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第1号 令和6年5月13日(月曜日)

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本分科会は令和六年四月十五日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

五月十日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      小倉 將信君    下村 博文君

      福田 達夫君    松野 博一君

      山下 貴司君    吉野 正芳君

      井坂 信彦君    谷田川 元君

      たがや 亮君

五月十日

 井坂信彦君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和六年五月十三日(月曜日)

    午前九時三分開議

 出席分科員

   主査 井坂 信彦君

      井原  巧君    小倉 將信君

      金子 容三君    柴山 昌彦君

      下村 博文君    杉田 水脈君

      高木  啓君    福田 達夫君

      松野 博一君    三ッ林裕巳君

      山下 貴司君    阿部 知子君

      逢坂 誠二君    野間  健君

      谷田川 元君    大石あきこ君

   兼務 神津たけし君 兼務 長妻  昭君

   兼務 住吉 寛紀君 兼務 林  佑美君

   兼務 吉田とも代君 兼務 佐藤 英道君

    …………………………………

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   農林水産大臣       坂本 哲志君

   経済産業大臣       齋藤  健君

   環境大臣         伊藤信太郎君

   内閣府副大臣       工藤 彰三君

   厚生労働副大臣      浜地 雅一君

   内閣府大臣政務官     古賀友一郎君

   厚生労働大臣政務官    塩崎 彰久君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       中尾 英樹君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       柳瀬 太郎君

   会計検査院事務総局第二局長            長岡 尚志君

   会計検査院事務総局第三局長            中川  浩君

   会計検査院事務総局第五局長            片桐  聡君

   政府参考人

   (内閣府孤独・孤立対策推進室室長代理)      滝澤 幹滋君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 親家 和仁君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          野村 知司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           海老原 諭君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 田中佐智子君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局長)         大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長)   佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局長)  城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         杉中  淳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         宮浦 浩司君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           関村 静雄君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           押切 光弘君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房新事業・食品産業部長)    小林 大樹君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          山田 英也君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           安岡 澄人君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  村井 正親君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            長井 俊彦君

   政府参考人

   (水産庁長官)      森   健君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西村 秀隆君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         山影 雅良君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         木原 晋一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           宿本 尚吾君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 飯田 博文君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  秦  康之君

   厚生労働委員会専門員   森  恭子君

   農林水産委員会専門員   飯野 伸夫君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

   環境委員会専門員     野崎 政栄君

   決算行政監視委員会専門員 菊田 幸夫君

    ―――――――――――――

分科員の異動

五月十三日

 辞任         補欠選任

  福田 達夫君     杉田 水脈君

  松野 博一君     金子 容三君

  吉野 正芳君     井原  巧君

  谷田川 元君     逢坂 誠二君

  たがや 亮君     大石あきこ君

同日

 辞任         補欠選任

  井原  巧君     柴山 昌彦君

  金子 容三君     松野 博一君

  杉田 水脈君     福田 達夫君

  逢坂 誠二君     西村智奈美君

  大石あきこ君     たがや 亮君

同日

 辞任         補欠選任

  柴山 昌彦君     三ッ林裕巳君

  西村智奈美君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  三ッ林裕巳君     高木  啓君

  阿部 知子君     野間  健君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     吉野 正芳君

  野間  健君     谷田川 元君

同日

 第一分科員住吉寛紀君、佐藤英道君、第二分科員神津たけし君、第四分科員長妻昭君、林佑美君及び吉田とも代君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和二年度一般会計歳入歳出決算

 令和二年度特別会計歳入歳出決算

 令和二年度国税収納金整理資金受払計算書

 令和二年度政府関係機関決算書

 令和二年度国有財産増減及び現在額総計算書

 令和二年度国有財産無償貸付状況総計算書

 令和三年度一般会計歳入歳出決算

 令和三年度特別会計歳入歳出決算

 令和三年度国税収納金整理資金受払計算書

 令和三年度政府関係機関決算書

 令和三年度国有財産増減及び現在額総計算書

 令和三年度国有財産無償貸付状況総計算書

 令和四年度一般会計歳入歳出決算

 令和四年度特別会計歳入歳出決算

 令和四年度国税収納金整理資金受払計算書

 令和四年度政府関係機関決算書

 令和四年度国有財産増減及び現在額総計算書

 令和四年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (厚生労働省、農林水産省、経済産業省及び環境省所管)


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     ――――◇―――――

井坂主査 これより決算行政監視委員会第三分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました井坂信彦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本分科会は、厚生労働省所管、農林水産省所管、経済産業省所管及び環境省所管についての審査を行うことになっております。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 令和二年度決算外二件、令和三年度決算外二件及び令和四年度決算外二件中、厚生労働省所管、農林水産省所管、経済産業省所管及び環境省所管について審査を行います。

 これより農林水産省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。坂本農林水産大臣。

坂本国務大臣 令和二年度、令和三年度及び令和四年度の農林水産省の決算の概要を御説明いたします。

 第一に、令和二年度の決算の概要を御説明いたします。

 まず、一般会計についてであります。

 歳入は、歳入予算額四千六百十六億円余に対し、収納済歳入額は四千六百三億円余であります。

 歳出は、歳出予算現額四兆六千五百六億円余に対し、支出済歳出額は三兆二千七百二十八億円余、翌年度繰越額は一兆二千二百九十三億円余、不用額は千四百八十五億円余であります。

 次に、特別会計についてであります。

 食料安定供給特別会計については、収納済歳入額九千二百六十四億円余に対し、支出済歳出額は八千二百九億円余であり、その差額千五十四億円余のうち、翌年度の歳入への繰入額は千二十三億円余であります。

 また、国有林野事業債務管理特別会計については、収納済歳入額及び支出済歳出額が共に三千六百三十三億円余であり、その差額はありません。

 第二に、令和三年度の決算の概要を御説明いたします。

 まず、一般会計についてであります。

 歳入は、歳入予算額四千六百六十二億円余に対し、収納済歳入額は四千九百九十四億円余であります。

 歳出は、歳出予算現額一兆四千四百七十六億円余に対し、支出済歳出額は三兆二千二百六億円余、翌年度繰越額は一兆二十八億円余、不用額は二千二百四十一億円余であります。

 次に、特別会計についてであります。

 食料安定供給特別会計については、収納済歳入額九千七百九十七億円余に対し、支出済歳出額は九千百三十四億円余であり、その差額六百六十三億円余のうち、翌年度の歳入への繰入額は六百三十五億円余であります。

 また、国有林野事業債務管理特別会計については、収納済歳入額及び支出済歳出額が共に三千六百三億円余であり、その差額はありません。

 第三に、令和四年度の決算の概要を御説明いたします。

 まず、一般会計についてであります。

 歳入は、歳入予算額四千五百九十三億円余に対し、収納済歳入額は五千五十億円余であります。

 歳出は、歳出予算現額四兆五千二百三十三億円余に対し、支出済歳出額は三兆四千三十三億円余、翌年度繰越額は九千八百十二億円余、不用額は千三百八十七億円余であります。

 次に、特別会計についてであります。

 食料安定供給特別会計については、収納済歳入額一兆二千五百四十一億円余に対し、支出済歳出額は一兆一千五百五億円余であり、その差額千三十六億円余のうち、翌年度歳入への繰入額は千十七億円余であります。

 また、国有林野事業債務管理特別会計については、収納済歳入額及び支出済歳出額が共に三千五百三十四億円余であり、その差額はありません。

 以上をもちまして、令和二年度、令和三年度及び令和四年度の農林水産省の決算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議のほどをお願いいたします。

井坂主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院柳瀬審議官。

柳瀬会計検査院当局者 令和二年度農林水産省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十五件、意見を表示し又は処置を要求した事項五件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項四件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号八六号から一〇〇号までの十五件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、強い農業・担い手づくり総合支援交付金事業の実施に関して、改善の処置を要求し、及び是正改善の処置を求めたもの、その二は、農地情報公開システム整備事業により構築されたシステムに関し、意見を表示し、及び改善の処置を要求したもの、その三は、立木販売等における丸太のトラック運搬に係る経費の積算に関して、改善の処置を要求したもの、その四は、農地耕作条件改善事業における地域内農地集積型事業の実施に関して、改善の処置を要求したもの、その五は、政府所有米穀の販売等業務委託契約のメッシュチェック荷役経費の単価に関して、改善の処置を要求したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、公用車による高速自動車国道等の利用に関するもの、その二は、中山間地域等直接支払交付金事業に関するもの、その三は、合板・製材生産性強化対策事業等における間伐材生産事業の実施に関するもの、その四は、競争力強化型機器等導入緊急対策事業の実施に関するものであり、これら四件について指摘したところ、それぞれ改善の処置が取られたものであります。

 続きまして、令和三年度農林水産省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二十件、意見を表示し又は処置を要求した事項五件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号一九九号は、委託費の支払いが過大となっていたもの、二〇〇号から二一八号までの十九件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、高収益作物次期作支援交付金事業の実施に関して、適宜の処置を要求し、及び改善の処置を要求したもの、その二は、過剰木材在庫利用緊急対策事業と同様の要件を規定する事業に関して、意見を表示したもの、その三は、林業・木材産業改善資金の実施に関して、改善の処置を要求したもの、その四は、農業農村整備事業等における公共測量の実施に関して、改善の処置を要求したもの、その五は、国営更新事業に係る附帯施設の機能保全計画の策定状況等の把握等に関して、改善の処置を要求したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、離島漁業再生事業の実施に関するもので、これについて指摘したところ、改善の処置が取られたものであります。

 最後に、令和四年度農林水産省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十八件、意見を表示し又は処置を要求した事項三件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号二〇五号は、会計経理が適正を欠いていたもの、二〇六号は、契約額が割高となっていたもの、二〇七号から二二二号までの十六件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、水田活用の直接支払交付金事業の実施に関して、改善の処置を要求するとともに、意見を表示したもの、その二は、森林環境保全整備事業で整備された防護柵に関して、改善の処置を要求したもの、その三は、非常用発電設備が設置された農業水利施設のうち、ポンプ場設計基準等の改定前に設計された施設に関して、改善の処置を要求したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、畜産・酪農収益力強化総合対策基金等事業の実施に関するもの、その二は、収穫調査に係る人員輸送費の積算に関するものであり、これら二件について指摘したところ、それぞれ改善の処置が取られたものであります。

 以上をもって説明を終わります。

井坂主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。坂本農林水産大臣。

坂本国務大臣 まず、訂正をさせていただきます。

 先ほどの発言の中で、令和三年度の歳出予算現額を一兆四千四百七十六億円余と発言いたしましたが、正しくは四兆四千四百七十六億円余でございます。おわびして訂正をいたします。

 会計検査院から報告のあった令和二年度、令和三年度及び令和四年度決算検査報告に対しまして、農林水産省が講じた措置を御説明いたします。

 予算の執行に当たっては、常に効率的かつ厳正な処理に努力してまいりましたが、不当事項等として指摘を受けるような事態が生じたことは、誠に遺憾であります。

 指摘を受けた事項に当たっては、不当事項について、指摘に基づき直ちに是正や改善措置、補助金の返還、手直し工事を実施するとともに、それ以外の処置要求事項等についても、指摘に基づき是正や再発防止のための改善措置を講じているところです。

 今後、このような事例の発生を未然に防止するため、指導監督の強化を図り、事務事業の厳正かつ効率的な実施に万全を期すとともに、予算の適切な執行をより一層徹底してまいる所存であります。

井坂主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井坂主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

井坂主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

井坂主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。逢坂誠二君。

逢坂分科員 どうも、おはようございます。立憲民主党の逢坂誠二でございます。今日はよろしくお願いします。

 まず、今日は、子供食堂についてお伺いをしたいと思います。

 一点目、子供食堂の現在の数、これを政府はどのように把握しているか、参考人の方からお知らせください。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 全国の子供食堂に対する各種立ち上げの支援などを行っております認定NPO法人むすびえさんの調査によりますると、子供食堂は、二〇一八年時点において二千二百八十六か所でございましたところ、二〇二三年時点では九千百三十二か所となっております。箇所数は増加をしているというふうに承知をしております。

逢坂分科員 今、子供食堂の数が九千を超えているという報告でありますけれども、子供食堂は二〇一二年に第一号ができたかというふうに承知をしております。それから十二年で九千を超える一万近い数になっている。全国の中学校の数が大体一万ということでありますので、それを思うと、中学校区一つに一か所というような感じになるかなと思っています。

 御案内のとおり、子供食堂、これは民間やボランティアの皆さんによって行われている。政府の方では、子供食堂を継続するために、継続的な支援策を設けているわけでは必ずしもないわけであります。しかし、これほど子供食堂の数が増えているということは、そのニーズ、必要性、それが高いんだろうということの裏返しかなというふうに思っております。

 そこで、子供食堂の必要性に対する認識、これは政務官の方でしょうか、御認識を少し御披瀝いただきたいと思います。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。

 子供食堂でございますが、委員御指摘のとおり、地域のボランティアの方などが子供たちに対して無料又は安価で栄養のある食事、あるいは温かな団らんを提供する場、提供する取組といたしまして、様々な目的、あるいは様々な運営方法で行われているというところでございまして、利用者につきましても、必ずしも低所得世帯の子供に限らずに、誰でも参加できる場所が多い、こういうふうに承知をいたしております。

 こうした子供食堂は、子供たちに対する食の支援はもちろんのことでございますけれども、子供の安全、安心な居場所としても、また、虐待等々、更なる支援を必要とする子供の早期発見、早期対応の端緒となるなど、重要かつ多面的な役割がある、こういうふうに認識をいたしておりまして、その取組を支援していくことを通じて子供たちの健やかな成長を促進してまいりたい、このように考えております。

 以上です。

逢坂分科員 政務官、是非、子供食堂の重要性、これをしっかり認識をした上で、政府としてもこれからも十分な対策を講じていただきたいというふうに思います。

 そこで、また政府参考人にお伺いしますけれども、一昨年度、政府から全国の子供食堂に対して国費でどの程度の支援を行ったのか、これが一点。また、今年はどのような支援メニューがあって、どの程度の予算を計上しているのか。この二点、お知らせください。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 子供食堂に対する支援の実績ということで、御指摘になられました令和四年度でございますけれども、例えば、地域子供の未来応援交付金という補助金がございましたけれども、こちらの中では、各地方自治体に対しまして合計六億円強の支援を行ったところでございます。

 ただ、ちょっと、この補助金のメニューとして、子供食堂のみではございませんので、子供食堂を始めとして、フードパントリーでございますとか、学習サポートの場、プレーパークでございますとか、そういった地域の実情に応じた、子供たちあるいは親御さんも含めた形での居場所づくり、こうしたものへの支援として活用いただいたところでございます。

 今年度でございますけれども、令和五年度補正予算で措置をいたしました二事業、具体的には、地方自治体が実施主体となっていただきます地域こどもの生活支援事業について十三億円、民間の中間法人から各地域での子供食堂などの取組を支援していただくひとり親家庭等のこどもの食事等支援事業について二十五億円を繰り越して実施をし、子供食堂への支援に充てることとしてございます。

逢坂分科員 一昨年度の決算の状況、六億余りということですが、残念ながら、子供食堂単体での補助ではなくて、ほかのものも含めてというお話でありました。

 そこで、野村さん、もしお手元にあれば、一昨年度の執行の状況というのはどの程度だったのか、これは今の時点で分かりますかね。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 メニュー事業でございますので、取組の具体の内訳まではちょっと持ち合わせておりませんが、地域子供の未来応援交付金という予算額自体は二十億ちょっとございまして、その中で、こういった地域関係の取組への支援ということで支出済みとなっているのが、先ほど御紹介申し上げた六億強ということでございます。

逢坂分科員 予算額が二十億で、執行済みが六億だということなんですね。ということは、余り使われていないんですよ。

 是非政務官にお願いしたいんですけれども、子供食堂をやられている皆さんというのは、行政の状況に精通している人ばかりではないんですね。やはりボランティアの方も多いですし、御地元のお父さんやお母さんたちが手弁当でやっているというようなものもあるわけです。そういう方々に、補助のメニューをただ示しただけで、さあ申請してくださいといっても、これは簡単なことではないんですね。

 そこで、二つお願いしたいんですけれども、一つは、政府の支援メニューが幾つかに分かれている。農水省にあったり、厚労省にあったり、こども家庭庁にあったりということもありますので、メニューを一元化して分かりやすく提示をするというのが一つ。それから、申請が非常に煩瑣。役所の人から見ればこんなの大したことないよというものなのかもしれないんですけれども、やはり、一般国民から見ると、役所に何かを出すというだけでびびるんですね。だから、そこは、複雑な申請を少しでも簡素にして、申請しやすいような環境づくりをしていただきたいというふうに思いますけれども、この二点、いかがでしょう。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。

 大変重要な御指摘をいただいたというふうに認識をいたしておりまして、子供食堂が全国各地で大変増えてきているということもございますし、今おっしゃった、それぞれの現場に支援策の情報をきちんと分かるようにお伝えしていくということは大変重要な課題だというふうになってきていると認識しております。

 この点について、既に自治体やあるいは中間支援団体に対する説明会などを順次開催してきておりまして、実は今日もその予定がございますけれども、引き続き、自治体や中間支援団体と連携をしながら、様々な機会を捉えて情報提供に努めていきたいと思います。

 あわせて、先ほど二点あったと思います、一元的という話と、それから申請の煩瑣な問題を解決せよ、こういった御指摘がございまして、こういうことも含めて、支援策を効果的に実施していくためには、やはり現場のニーズといいますか、そういったところをしっかりと我々も酌み上げていくということが大変重要だ、こういうふうに考えておりまして、その点についても、自治体あるいは中間支援団体と連携しながら、しっかり対応させていただきたい、こういうふうに思っております。

 以上です。

逢坂分科員 政務官、是非よろしくお願いします。

 そこで、坂本大臣にお伺いしますけれども、坂本大臣、奥様も子供食堂に関わっているというふうに承知をしているんですけれども、大臣としての子供食堂に対する認識、そして農水省としてどんな支援を行っているか、お話しいただけますか。

坂本国務大臣 三年前、私は、孤独・孤立対策担当大臣で、子供食堂も担当しておりました。そのときが六千か所でございました。僅か二年の間に、令和五年度で九千を超える子供食堂になった。それは、都市も地方も問わずこれだけ急増したということは、やはり私たちはしっかりそこを考えなければいけないというふうに思っております。

 いろいろな方、うちで、やはりボランティアが子供を対象にできるというようなことが、一つ、私の女房なんかもやっている大きな要因であろうというふうに思いますけれども、その中で、様々な困難を抱える子供たちが安心して過ごせる居場所であるということと同時に、居場所をなくした中高齢者の皆さんたちがそこにコミュニケーションの場として参加をして、そして共に食事をする、このような状況になっていることが、やはり大きく子供食堂を増やしている原因ではないだろうかというふうに考えております。

 さらに、その中で、子供たちを中心に栄養のある食事を提供し、食品アクセスの確保も農林省としても図っていかなければいけないというふうに考えております。

 これまでも、食育推進の観点から、子供食堂への政府備蓄米の無償交付を行ってまいりました。これ以外に、子供食堂が地域の共食の場を提供する取組の支援、こういったもの、例えば消費・安全対策交付金等などによりましてその支援をしていかなければいけないというふうに思っております。

 さらに、円滑な食品アクセスの確保を図る観点から、子供食堂等への多様な食料の提供に向けて、地域の関係者が連携する体制づくり、これを支援していかなければいけないと考えております。

 引き続き、こども家庭庁及び子供食堂を支援する関係省庁とも連携をしながら、地域の取組を後押ししてまいりたいというふうに思っております。

逢坂分科員 大臣、ありがとうございます。こども家庭庁よりも何か踏み込んでいろいろな答弁をいただいたような感じがするわけでありますけれども。

 要するに、こういうことなんですねという言い方は変なんですが、本来やるべきこども家庭庁よりも農水省の方が実は踏み込んだ発言をしている、これはやはりちょっとおかしなことでありまして、もっとこども家庭庁が前面に出て頑張らなきゃいけないというふうに思っていますので、是非お願いでございますけれども、子供食堂は単なる食事の場ではない、子供も高齢者も含めて、地域にとって非常に重要な場であるということでありますので、こども家庭庁においては、子供食堂というのはどういうものであるかということをよく検討した上で、政府としてどういう対応をすべきかということをしっかり考えていただきたいということをお願いさせていただきます。

 それでは、古賀政務官と野村さんは、これで子供食堂の質問を終わりますので、委員長、退席いただいて構いませんので、よろしくお願いします。

井坂主査 御退席くださって結構です。

逢坂分科員 どうもありがとうございました。

 それでは、今度は農水省にお伺いします。農業の問題です。

 ここ二十年余りの農業従事者、それから農業従事者の平均年齢、農地面積の推移、これをお知らせください。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 ここ二十年ということでございますので、二〇〇〇年以降ということでデータを取らせていただきました。

 まず、農業従事者でございますが、基幹的農業従事者と申しまして、ふだんお仕事として主に自営の農業に従事されている方、こちらの人数で申し上げますと、二〇〇〇年の二百四十万人から、二〇二〇年には百三十六万人、そして直近の二〇二三年では百十六万人となってございます。そして、その基幹的農業従事者の方々の平均年齢でございますが、二〇〇〇年の六十二・二歳から、二〇二三年には六十八・七歳となってございます。また、耕地面積でございますが、二〇〇〇年の四百八十三万ヘクタールから、直近の二〇二三年では四百三十万ヘクタールとなってございます。

逢坂分科員 農業従事者が大幅に減っている、しかも平均年齢が約六十九歳ということであります。それから、農地面積も減っている。相当深刻な状況なんですが、この農業従事者、さらに農地面積が減っている理由を政府はどう見ているでしょうか。政府参考人、お願いします。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、農業従事者数の関係でございますけれども、先ほど統計部長の方から答弁ありましたが、個人経営体の農業者であります基幹的農業従事者につきましては、農林業センサスの数字で見ると、現行の食料・農業・農村基本法の制定時、平成十一年ということになりますけれども、そのときから約二十年間で百四万人減少したということでございますけれども、このうちの七十七万人を稲作関連が占めているという状況でございます。

 稲作は、機械化等の進展を背景に、少ない労働時間で生産できる体系が確立していることなどから、高齢でも比較的従事しやすいという特徴がございますけれども、こういった形で、高齢でありながらこれまで従事されてきた方々がいよいよリタイアする局面に入っている、こういったことが背景にあるというふうに考えております。

 加えて、企業の定年延長による早期退職世代や定年帰農世代の就農の減少、若年世代における少子化や職業選択肢の多様化等による新規就農者の減少なども農業者の減少の要因と考えており、次代の農業人材を育成しなければ、農業の持続性が危ぶまれるとの危機感を持っております。

 次に、農地面積の関係でございますけれども、農地面積が減少している主な要因は、宅地や工場等の建設に伴う農地転用や、高齢化や労働力不足などによる荒廃農地の発生によるものと考えております。

逢坂分科員 これもなかなか深刻な状況なんですけれども、農業従事者、農地面積に対して、農水省、将来はこれはどのように推移すると見ているのか、その状況をお知らせください。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、農業従事者数の関係でございますけれども、我が国農業の現状の構造ということで申しますと、個人経営と法人経営の二つがございます。個人経営の農業従事者につきましては、この二十年間でおおむね半減をし、直近の、センサス以外の調査の数字ということになりますけれども、一番新しい数字で申しますと、現在約百十六万人ということになります。その一方で、法人経営の農業従事者については、この二十年間で増加をしております、現在約二十四万人となっております。

 こうした中、個人経営の農業従事者につきましては、現在の年齢構成から見て、今後二十年間で約三十万人にまで減少するおそれがあるというふうに考えておるところでございます。

 また、農地面積につきましては、現行の食料・農業・農村基本法におきまして、食料自給率目標の前提となる生産努力目標が実現可能となる面積といたしまして、令和十二年時点で四百十四万ヘクタールと見通しているところでございます。

逢坂分科員 坂本大臣、今数字をいろいろ言っていただきましたけれども、もう大臣も、これ、委員会で何度も何度も質問を受けていて、耳にたこができるぐらい、しかも同じことを、答弁書を見ないでも答弁できるぐらい答弁されていると承知をしているんですけれども、日本の農業の状況、極めて深刻です。これはどんどんどんどん従事者が減っていっています。それから、自分の感覚でも、私も農村の生まれ育ちですので、子供の頃あった田畑がどんどんどんどんなくなっている。なくなっているのは、何かほかの土地に転用されたというものばかりではなくて、荒廃地が相当多くなっているんですね。一方で、食料自給率三八%だと。これ、相当深刻ですよ。

 だから、坂本大臣、農水省として日本の農業をどうしたいのか、どういうことを目標に政策を展開しているのか、そのことを分かりやすく大臣の口で少しお話しいただけますか。

坂本国務大臣 まず、世界を取り巻く農業環境でありますけれども、気候変動が想定以上に進んでしまっております。それから、日本は人口減少化ですけれども、アフリカを始めとして人口増加に伴う食料争奪、こういったものが起きております。さらには、地政的紛争リスク、こういったものが起きてまいりまして、非常に世界の情勢が変化をしているというのが国際情勢です。

 そして、国内に目を向ければ、やはり人口減少があります。総人口が二〇五〇年には一億人と、今よりも二千万人減ります。そして、国内市場も減少いたします。先ほど事務方から言いましたように、百二十万人の農業従事者が三十万人に減るということであります。

 委員と同じように私も農村の出身でありますので、私の前後の同級生たちは、ほとんどがその当時は何も迷うこともなく、農家の長男は農業高校に行きました。その世代が、今、六十歳、七十歳代であります。ですから、この層は二百五十万人から二百万人生まれていた時代であります、その層がごっそりとこれから二十年後には抜けるということになりますので、百二十万人が三十万人になるということになっていくわけです。

 そこで、どういう農業を展開しなければいけないかといいますと、やはり四分の一になりますので、今まで四人でやっていたことを一人でやれるような、そういうスマート農業というものを進めていかなければならないというふうに思います。同時に、やはり付加価値の高い農業の生産を実現する、そして何よりも所得をしっかりと確保する、そのための経営感覚というものを磨いていくということが大事だというふうに思っております。

 加えて、やはり海外へ向けた輸出も大事であります。日本を食料の輸出の拠点にするということも重要なことであるというふうに思いますので、日本の農業がアジアの中心となるよう、諸外国への食料供給を担ってまいりたい。そのためには、安心、安全で非常にレベルの高い食品、食料というものを作り上げていく、このことが大事であるというふうに思います。

 そして、やはり、農村の関係人口、こういったものも、これはほかの省庁とも連携をしながら減少に歯止めをかけて、様々な形で農村の活力をつくっていかなければいけないというふうに思っております。所得を確保すること、やりがい、そして希望、目標、こういったものが持てる農業を展開すること、そしてそれに賛同する農業経営者あるいは農業経営体、法人も含めて農業経営体というのがやはり参画をしてくること、このことがこれからの日本の食料と農業と農村を維持拡大させていくことにつながっていくというふうに考えております。

逢坂分科員 大臣、もう少し確認させてもらいたいんですけれども、今の答弁からすれば、農地面積は基本的には今の四百万程度を将来も確保したい、それから、農業従事者はどんどん減っていくから、少ない人数でもこの四百万ヘクタールを耕して耕作できるそういう体制をつくりたい、こういう基本的な考え方でよろしいでしょうか。

坂本国務大臣 基本的にはそのとおりであります。しかし、それを補完する農業経営体あるいは人材、これもやはりしっかりつくっていかなければいけない、参画していただかなければいけないというふうに思っております。

 そのためには、やはり多様な農業経営体、半農半Xと言われるように、退職をしてでも、あるいはほかで働いていても農業に参画する、そのことによって、農地も守る、あるいは農村のコミュニティーも守っていく、食料生産にも寄与する、そういった多様な経営体、そして個人経営体、さらには法人経営体、こういったものの組合せで、これからの日本農業を構成していかなければいけないというふうに考えております。

逢坂分科員 それじゃ、改めて確認ですけれども、私が、少ない人数で今程度の農地面積を何とか維持していきたい、それはそのとおりだと言ったので、その方向はそうなんだろうということで確認をさせていただきましたが、多様な経営体、それは具体的に言うと、規模が大きい、小さい、規模の面ではどういうふうに考えていますか。規模の小さなところも規模の大きなところも、それは、農水省としては、これからの農業の担い手として重要だと考えているのかどうか、これが一点。

 それから、経営形態、法人と個人というものがありますけれども、法人と個人以外にも農業経営の形態、これを認めていきたいということなのかどうなのか。この二点、お伺いします。

坂本国務大臣 規模の大小にかかわりません。多様な経営体というのは、やはり小規模であっても、農業に参画をする、あるいは農村のコミュニティーに参画をする、地域づくりの一端を担っていただく。こういったことで、小規模農家におきましても、そういう多様な経営体、あるいは半農半Xの方々も、農業に関わっていただく、こういったことを位置づけてまいりたいというふうに思っております。

 それから、法人経営体としては、これは農地の面積にしても、それから農業の総産出額にいたしましても、法人経営体の農業産出額、あるいは農地の所有、こういったものが増えております。ですから、法人につきましては、今後、やはり大きく伸びるところは伸ばしていただく、規模拡大するところは規模拡大していただく、そしてしっかりと雇用もしていただく、そういうことを進めてまいりたいというふうに思っております。

 先ほど言いました百二十万人の中には、法人経営体に雇用されている方々は含まれておりません。ですから、こういったものもしっかりと確保してまいりたいというふうに思っております。

逢坂分科員 是非、日本の食料を守り、農業を守るために力を尽くしてもらいたいと思うんです。

 大臣、農水省は食料を確保するという大きな役割を担っているわけですが、日本はかつて世界で一番の食料輸入国でありました。現在は中国が世界で一番の食料輸入国です。それから、アメリカも食料を輸入する国に変わってきました。日本の食料の輸入量は世界のトップではなくなったわけであります。そういう中で、円が安くなって、食料を買うことにおいて日本が買い負けをするのではないか、こういう懸念が指摘されております。これが一つ。これについて、大臣、どう思うかという、御自身の感想でも構いません。

 それからもう一つ。日本の農業は九九・四%、〇・六%程度が有機農業で、それ以外は化学肥料を使う農業です。化学肥料がなければ日本の農業はやっていけないというのが現実だと思います。肥料の三要素、窒素、リン酸、カリ、このほぼ全てが輸入に頼っている。窒素の一割程度だけが自国で何とかなるというわけであります。したがって、化学肥料の輸出を止められたら、日本の農業というのは立ち行かなくなる可能性が高い。このことについて、これも大臣の感想で構いません、どうお考えになっているか。

 役所が作った答弁書というよりも、大臣も農村生まれ、農村育ちの立場として、今の日本の農業、このような状況をどう見るか、このことについて、御自身のお考えをお知らせいただければと思います。

坂本国務大臣 おっしゃるとおり、食料を輸入できない、買えるときに買えない、こういう状況になっているのは事実であるというふうに思います。現実的に、中国が南米やあるいは北米からの航路を全て抑える、そのことによって、やはり流通を断たれるというようなことも考えられます。そういったことで、円安も含めて非常にやはり厳しい状況である。それだけに、やはり自分たちで作れるものは自分たちで作る。小麦も大豆も、非常に輸入に依存しているものに対しては、国内でやはり生産するということを努めていかなければいけないというふうに思っております。

 それから、有機の関係は、これからやはり世界の潮流です。EUも、これはファーム・トゥー・フォークということで、食卓へということで有機を進めております。それから、アメリカの方もイノベーションアジェンダというのを掲げまして、有機、自然、地球に優しい農業を進めております。私たちは、それをみどりの食料システム戦略の中で日本としても実現していかなければいけないというふうに思います。

 もちろん、肥料につきましても、下水道資源を活用した肥料、あるいは堆肥、こういったものに着目しながら、堆肥のペレット化等も含めて、やはり国内で窒素、リン酸、カリに代わる有機肥料をしっかり生産していく、そのことが大切であるというふうに思っております。

逢坂分科員 大臣、是非よろしくお願いしたいと思います。

 そこで、大臣、最後ですけれども、私、これまで農業というのは、農水省や役所と農家だけで何とかしよう、何とかしよう、JAなどの農業関係者も含めて関係者だけでやっていたような気がするんですね。これをもっと、市民全体を巻き込むというか、国民全体を巻き込むというようなことにしないと、農業についての決意みたいなものはなかなか生まれないと思うんですよ。

 それで、例えばですよ、それぞれの自治体に目標を設定してもらって、地産地消率の競争をするとか、あるいは、それぞれの自治体に自給率を競ってもらうようなことをやるとか、こういう何か具体的な目標を作って、もちろん、それは全ての自治体にやれと言ってもやらないかもしれませんので、希望する自治体に手挙げ方式で、地産地消率の競争とか自給率の競争とか、こういうことをやられてみたらいかがでしょうか。これは一つのアイデアです。どうですか、大臣。

坂本国務大臣 全体で考えていきましょうということにつきましては、今度の食料・農業・農村基本法の中で、生産、加工、流通、小売、そして消費者、この五団体でしっかり考えていきましょうということで、今、話合いもやっていただいております。市民も取り込んで、消費者も取り込んで、流通も取り込んで、取り込んだ上での農業という、もうシステムとして考えていくというのがこれからのコンセプトになるというふうに思っております。

 今言われました自治体による自給率の競争、発想としては面白いというふうに思いますが、現実的に、一〇〇%近くになる北海道とそれから東京がどれだけ競争できるかというようなことはありますけれども、様々な検討をこれから加えてまいりたいというふうに思っております。

逢坂分科員 終わります。ありがとうございます。

井坂主査 これにて逢坂誠二君の質疑は終了いたしました。

 次に、神津たけし君。

神津分科員 立憲民主党の神津たけしです。

 坂本大臣、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 前回、食料・農業・農村基本法が提出される前に、私、予算委員会の分科会で質問させていただいたので、少し食料・農業・農村基本法についてもちょっと伺いたい、既に衆議院を通過していますが、話を伺いたいというふうに思っております。

 今、この食料・農業・農村基本法なんですが、地元で、今回のこの改正を受けてどういった意見を持っていらっしゃるか伺うと、実は、余り好ましいと思っていらっしゃる方がいなくて、結局、期待していたけれども何も変わらないのではないかというような、それから、後継者も増えないとか、農業の将来像が見えないといった声が非常に私は多く聞かれるんですね。

 私自身も、正直申し上げて、今回の条文を読んでいて、変わるところというのは、輸入が強化されるところと、それから法人が推進されていくというところが大きく変わるところで、それ以外は余り変わらないのかなという印象を受けてしまっているんですが、今回の食料・農業・農村基本法の改正で何が大きく変わるのか、具体的に教えてください。

坂本国務大臣 先ほど私の方からもお答えしましたように、国の内外の農業に関する、食料に関する環境というのが非常に大きく変化をしております。気候変動、それから紛争のリスク、あるいは食料の争奪戦、世界ではこういうものがあっておりますし、国内では、非常に今農業人口が少なくなっている、耕地面積もなかなか厳しい状況になっているということであります。

 そういう中で、今回の食料・農業・農村基本法、まず一つは、輸入リスクの増大に対して、食料の安定供給を確保するための食料安全保障という考え方を明確にするということであります。

 そして二つ目は、現行基本法では総量としての食料というものをやはり大きく取り扱っておりますけれども、総量から、やはり一人一人に食料を届けるという食品アクセス、この問題を非常に重視をし、法の中にも位置づけているということであります。

 そして三番目は、生産者だけではなくて、生産、加工、流通、そして小売、消費者、こういったものを全て食料システムとして捉えて、それぞれの分野で協力をしながら連携をし、そして価格も合理的な価格を決めていくということであります。

 四番目は、やはり、気候変動がこれだけ進んでおりますので、環境と調和の取れた産業へ農業を転換させていくということであります。そのために、地球温暖化あるいは生物多様性への対応を求められているというふうに思いますので、我が国も先頭に立って、世界の中で、環境調和、地球に優しい農業というものを進めていかなければいけないというふうに思います。

 五番目は、人口減少下における農業生産を維持発展しながら、一方の方で、やはり、農村のコミュニティー、地域コミュニティー、これをしっかりと維持していくということであります。

 そして、やはり、最後は、農業人口の減少に伴いまして、スマート化、効率化、そして生産性の向上、こういったものを進めていく必要があるというふうに思っております。

 世界が大きく、AIも含めて、デジタル化も含めて変わっていく中で、農業もまさに転換点に立っているというふうに思っております。世界の中でしっかりと食料を自ら確保していく、そのためのやはり効率性、そして地球に優しい農業、そして、全ての国民でやはりシステムとして農業を考えていく、こういうことを今回の食料・農業・農村基本法というものは目指しているということであります。

神津分科員 ありがとうございました。

 御説明を理解するところでは、国民にとって、それから国にとって、ある程度、食料・農業・農村基本法、成立するのかなと思うんですが、今回の改正について。ただ、農業者にとって重要なところというのは、私たち、私が思うところは、やはり価格転嫁、再生産可能な価格でのこれを販売できる環境と、それからもう一つは農業者の収入が安定するというところが非常に重要なところだと思っています。

 今、御答弁の中でその部分がちょっと欠けていたので、もしその点について強化されるところがあるのであれば教えていただけますでしょうか。

坂本国務大臣 価格転嫁、合理的な価格というのは本当に必要であるというふうに思っております。

 それで、昨年の八月から、生産者、加工業者、そして流通、さらには小売、消費者、こういった代表者の方々に集まっていただきまして、農業の、食料品の価格がどうあるべきかということをこれまで論議をしていただいております。

 四回の論議をしました。そして、消費者の方々も、やはり生産者の立場、コスト、こういったものをしっかりと考える、そういったところまでは大まかな合意ができるところまでは今来たところでございますので、今後は、その法制化も視野に、今後の食料品の価格というものに対してやはりアプローチをしていかなければいけないというふうに思っております。

 そういう中で、やはり、どこかの分野にしわ寄せがあるということだけではいけませんので、しわ寄せがない形で合理的な価格を適正な手法によって決めていく、そのことによって農業者の方々の所得を一定程度というか、これまで以上にやはり確保する、そういったことをこれから目指していきたい、今後の食料・農業・農村基本法は目指していきたいというふうに思っております。

神津分科員 ありがとうございます。

 今日の日本農業新聞の一面の中では、価格転嫁の仕組みづくりというのを体系的に進めていくと、これは岸田総理が発言されたというところが載っておりました。この辺について、今、恐らく、そこについて法制化をしていくというところを言及されたと私も理解しているんですが、併せて岸田総理がおっしゃられたのが、食料・農業・農村基本法が成立した後に、年度内に新たな基本計画を立てていくというふうにおっしゃられているんですが、これはどっちが先になるのか。

 私の理解の中では、価格転嫁の仕組みづくり、この法制化がなされた上で基本計画というものが作られた方がそごが生じないというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

 まず食料・農業・農村基本法の法を成立させていただく、その上に立って全体的な基本計画というものを作ってまいります。これは、自給率も含めて様々な形で具体的なものを作っていって、それをやはり予算獲得のための一つのバックボーンにしたいというふうに思っております。

 並行して、価格転嫁に関する法制化、これはなかなか難しいところもありますので、これはこれとして、法制化に向けてどういうやはりプログラムで作成をしていくか、これから十分に、新たにまたそれぞれの分野の方々、生産者、加工、流通、小売、消費者の方々の意見を聞きながら、法制化を視野に検討をしてまいりたいというふうに思っております。

神津分科員 ありがとうございます。

 法制化については、特に、私、今回の食料・農業・農村基本法、大まかな方針については与野党とも多分一致していたと思うんですね、何をしていくかというところ。ただ、残念ながら、一部の、再生産可能な価格で販売されるというところを確約するとか、それから農業者の収入が安定するというところをもう少し強く、強めにやはり書いていただくところが不足していたのかなと思っていて、そのために結局私たちは反対をせざるを得なかったのかなというふうに思っています。

 今回のこの価格転嫁の仕組みづくりについては、恐らくどこの党も多分一致しているところだと思うんですよね。だから、是非とも、この法律を作る段階から私たち野党についても一緒に含めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。済みません、自民党の立場として、是非御検討いただければと思います。

坂本国務大臣 まずはあらゆる方面の方々の意見を聞かなければいけないというふうに思っております。そして、理解をいただくこと、これが大事だというふうに思います。

 消費者の皆さん方は、理念は分かる、そして生産者の皆さん方のコストも分かる、しかし、実際に消費行動になるとやはり安いものに走ってしまうというようなこともありますので、それぞれの理解をまず深めること、先ほど言いましたように、大まかな理解は今いただいているところでございますので、これを更に深化させていくこと、これが大事であるというふうに思います。そして、その中で、例えばコストの見える化とか、こういったものを考えながら、それを表示しながら、消費者の皆さん方に十分そのことを理解していただくというような努力も必要であるというふうに思っております。

神津分科員 立場上お答えにくいかもしれないんですが、是非野党も含めて、この法律、法制度化、進めるのであれば、是非私たちも含めて、法制化に向けた案文の作成とか内容については是非一緒に議論させていただきたいと思っております。

 次の質問に移りたいと思います。

 次の質問なんですが、今、食料自給率四五%以上を掲げて二十年以上経過しているというところがあります。これは一年たりとも実は達成していないというところで、食料自給率のこの目標をどのように達成して、更に自給率を上げていこうというふうに考えているのか、伺えますでしょうか。

坂本国務大臣 現行の基本法以降の食料の自給率は三八%前後で推移をしております。四五%に届いておりません。

 その変動要因を見ますと、やはり、自給可能な食料でございます米、野菜、それから魚介類、この消費が減少していること、そして、輸入依存度の高い飼料を多く使用いたします畜産物の消費量が増加をしていること、このマイナス要因と、あるいはプラス要因が相まって自給率の低下ということを招いております。

 こうした食料消費の傾向がしばらくは継続するということが想定をされます。食料自給率が確実に上がると言い切ることは私は困難であるというふうに思いますけれども、いずれにいたしましても、食料安全保障の確保の観点からは、輸入依存度の高い麦や大豆、加工原料用の野菜、こういったものの国産転換を図るということが重要であるというふうに考えております。

 今後とも、食料・農業・農村基本法の改正法案について国会で御審議いただきまして、最終的に成立をさせていただきましたならば、先ほど委員の方から言われました基本計画を策定いたしますので、この基本計画の策定の中で、食料自給率のほか、その他の食料の安全保障の確保に関する事項について適切な目標の設定をしてまいりたいというふうに思っております。

神津分科員 私の印象としてなんですが、これまでと同じ政策をやはりやっていては実現できないというふうに思っております。

 もう一つやはり問題なのは、食料自給率、ずっと達成していないけれども、誰も今責任を取っていないというところにもあるかと。これは私は大臣に辞めろとかそういうことを言っているのではなくて、構造的に誰かがやはり責任を取ってやっていくような、達成に向けて、実現に向けてやっていくべきだというふうに思っております。これは意見として、要望としてお願いしたいと思います。

 ちょっと次の質問に行きたいと思うんですが、私、次は水田の畑地化支援について伺います。

 これは地元のことであるんですが、令和五年十一月に県の要望として、令和六年度予算に対する要望として上がってきたものなんですが、令和四年度に措置された畑地化支援事業の一次採択については八割が保留となって、採択率の低さから、畑地化に向けて合意形成を進めてきた地域では先行きの不安が広がっておりました。

 二次採択の保留者についても、国の予算額を上回る申請が上がっているということがありました。国の通知によると、採択されても、これは畑地化が確約されたものではないということ、それから事務手続スケジュールが年度途中で示されるなど、地域協議会では事務手続の混乱が生じていたということがありました。

 この畑地化支援事業なんですが、ちょっと見通しを持つために、何年までこれを継続される予定なのか。それから、申込みがあった畑地については原則採択して、現在の畑地化支援価格を維持して進めるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 畑地化につきましては、水田機能を維持するのか畑地化にするのか、その地域地域によってそれぞれの状況が違いますので、選択にお任せして、選択をしていただくということにしております。

 畑地化そのものにつきましては、もう委員御承知のように、まず、畑地化していただきましたら、十アール当たり十四万円の交付金を出す。その後、一定期間、これは五年間でございますけれども、二万円ずつそれぞれ交付をする。それ以外にも、排水対策や、あるいは基盤整備への支援を一体的に行うというふうにしております。

 それ以降の畑地化への支援につきましては、現在畑作をやられている方々とのやはり公平感、こういったものを考えていかなければいけませんので、私たちとしては、この五年間の中で、畑地化を選択されたところは畑地化への取組をしていただきたいというふうに考えているところです。

神津分科員 五年間というのは、令和何年度まででしょうか。事務方の方からお願いします。

平形政府参考人 お答えいたします。

 五年間と申しますのは、令和五年から、四年度の補正で令和五年産からスタートしているわけでありますので、令和九年産というふうに思っておりまして、令和九年度までは、このように、畑地化か、あるいは水活を利用しながらブロックローテーションをするかということを各地域の中で判断していただきまして、それに対して支援を行いたいというふうに考えております。

神津分科員 明確な答弁、ありがとうございました。

 次に、技能実習の制度について伺いたいと思います。

 私の地元でも、多くの農家の方々、特にレタス農家の方々ですね、技能実習の方々を雇っていらっしゃいます。今、農業生産現場においては、外国人材が不可欠な存在となっている。農業分野において安定的に外国人労働力が確保されるように、農水省としてどのような取組を行っているのか、教えてください。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ありましたように、農村部の人口減少等が進行する中で、外国人材を含め、農業現場における労働力確保は重要である、大変重要な課題になっていると受け止めております。

 現在、我が国が外国人材から魅力ある働き先として選ばれる国となりますよう、三年間で特定技能一号水準の人材を育成する育成就労制度を創設するための法案が審議中となっております。法案が成立し、新制度が創設された場合には、特定技能制度と相まって、農業現場において中長期的に御活躍いただける外国人材の確保、育成につながるものと期待をしております。

 農林水産省といたしましては、外国人材の適正かつ円滑な受入れと働きやすい環境整備に向けて、外国人材の技能を評価するための技能試験の実施、それから相談窓口の設置や優良事例の収集、周知、さらには海外における現地説明会、相談会の実施などの取組を支援をしておりますけれども、新たな制度の下でも、農業が外国人から選ばれる産業となるよう取り組んでまいりたいと考えております。

神津分科員 新しい育成就労の制度なんですが、一年から二年で別の場所で仕事をすることができるようになるということを伺っております。これは、実は私、職業選択の自由の中で、移動できるというのはいいことだと思うんですが、ただ、農家にとっては、せっかくやっと連れてきた人材がまた別のところに行ってしまう。

 例えば、私たち、よく三年ぐらいで一人前になると言いますけれども、一年目で、やはり何となく言われて仕事をしている中で覚えていく、二年目で、やはり昨年の仕事を思い出しながら自分から少しずつ動けるようになって、三年目でようやく一人前になるというようなところがあると思っているんですね。そういう意味においては、本当に、自由に転職できるというところが農業の人材育成にとっていいのかなと。職業を学びに来る、農業を学びに来る方にとっても本当にいいことなのかというところを疑問も思っております。

 この期間については、これから設定していくというふうに聞いているんですね、各分野でどのくらいの期間を置いて転職できるようにするか。農水省としてはこの辺りについてどのような意見を持っていらっしゃるのか、教えていただけますでしょうか。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございましたように、現在法案審議中の育成就労制度におきましては、一定の要件を満たす場合には、同一業務区分内で御本人の意向による転籍が可能とされております。

 その要件の一つであります同一受入れ機関における在籍期間につきまして、農業関係団体の方からは、計画的な人材育成の観点、あるいは地方等における人材確保、こういったことにはやはり留意をしなければいけないという声がある一方で、外国人の人権保護、労働者としての権利性向上を通じて、農業分野が外国人材から選ばれる産業となること、これも必要であるということで、こういったことを、双方をやはり念頭に置きながら検討していく必要があるとの考え方を聞いておるところでございます。

 農林水産省といたしましては、今後、農業関係団体など農業現場の意見をよくお聞きしながら、法案が成立した暁には、今御指摘あったように、それからまた具体的なことはいろいろ決めていくということになりますけれども、そういったところにつきましては関係省庁と連携をしながら検討を進めてまいりたいと考えております。

神津分科員 農業分野においても、どれくらいの期間を得ないと、一人前の、その仕事を覚えるかということができないというところを根拠に、是非とも長めにちょっと設定してもらうようなことを御検討いただければというふうに思います。

 次の、物流の二〇二四年問題について伺います。

 今回、四月一日から、トラックドライバーの方々、残業時間が九百六十時間に制限されることによって始まった物流の二〇二四問題ですけれども、今回、国交省の方では、標準的運賃の八%の値上げをされました。これは、中身を見ると、荷待ちの時間とか、それから荷積み、荷降ろしの時間を有料化を更に強化していくというところとか、それから燃料費のところとか、各アイテムをそれぞれ少し値上げを反映させていくことによって標準的運賃を上げているんですが、ただ、実は、私が地元の方から伺っている話だと、八%の値上げどころではなくて、農家さんには、物流事業者の方から一五%ぐらいから二〇%ぐらいの値上げを要望しているという話を伺っております。

 私、実は、昨日は、川上村という、レタスの、高原野菜を販売しているところがあるんですが、そこの農家さんからも実は話を伺っていて、レタス、一農家当たり大体三万から四万箱ぐらい生産されるんですが、大体年間で九十万円ぐらいの一農家当たりの物流コスト増になってくるというふうに伺っております。これは実は、やはり一農家当たりの所得を考えると非常に大きな金額ですし、それからあと、これから高速道路の料金改定が行われてまいります。

 高速道路の料金については、夜中の十二時から四時まで走った分について、一分でもそこにかかっていれば、これまで割引が受けられたんですね。例えば十四時からずっと運転を、まあ休みながら運転して、十二時一分で高速道路を降りたとしても、割引は三割引きが利いていたんですね。これが、夜中、今走った分だけになってしまうという料金改定がこれから行われて、十時から五時まで走った分だけ、その分だけ料金が安くなるというところで、実は、これは往復で一回当たり大体二万円分ぐらい、多分長距離で運ぶ場合には値上げになってしまう。そうすると、恐らく一農家さん当たり、またこれも数十万円分ぐらいの値上げになってしまうというところで、農家の皆さん、本当にこれから価格転嫁、どういうふうにしたらいいのかというような状況があると思っております。

 この物流二〇二四問題の価格転嫁について農水省としてどのようにサポートしていくのか、伺えますでしょうか。

宮浦政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ございました物流の二〇二四年問題でございますが、政府全体といたしましては、様々な省庁が関係いたしますので、関係閣僚会議を設置いたしまして、昨年六月に物流革新に向けた政策パッケージというものを定めてございます。これに従いまして関係省庁取り組んでございますが、私ども農水省関係で申しますと、特に遠隔の産地から消費地に長距離輸送がやはり不可避だということで、極力コストの負担を抑制しながら物流をきちんと確保するということに意を配っているところでございます。

 このため、まずは、産地におきまして共同集出荷施設を整備をいたすことによりまして、荷を大きくする、それから出荷機会もできるだけ集約するというような取組を進めて、輸送コストを抑制するように努めているところでございます。

 また、御指摘のございましたとおり、ドライバーの荷役というものもこれは非常に大きな支出になります。標準仕様のパレット、これを使いましてドライバーの荷役を縮減いたしまして、荷役サービス支払い、これも抑制するというようなことを行っております。

 さらに、政府全体で申しますと、所得増と成長の好循環を実現するということで、価格転嫁をサプライチェーン全体で定着させようと今取り組んでございますが、やはりこの物流コストの増加分につきましても転嫁は不可避だというふうに考えてございます。

 現在、農水省では、物財費の高騰を踏まえた費用を考慮した価格形成の仕組みづくりというものを協議をいたしてございますが、この物流費の負担も含めまして、関係者間でバランスの取れた食料システムとなるように、実現に向けて丁寧に合意形成を図っているところでございます。

神津分科員 余り具体的な支援に踏み込んだようなところの話はなかったと思います。

 今、物流コストのやはり価格転嫁が非常に難しい。もう一つ、私、申し上げ忘れてしまったんですが、例えば長野県からレタスを運ぶ場合、一日で行けるところが、これまで、大阪までは実は行けるんですけれども、それより先は二日、三日かかってしまうことになるんですね。そうするとドライバーも二人必要になってくるというところは、やはり非常に大きな価格が必要になってくる。もしかしたら、それを避けるために、じゃ、一日で行ける範囲に農産物を売っていこうということになってしまう。そうすると、大阪までの地域までで結局過剰なものが供給される、過剰な品物が供給されてしまうということで、価格も下がってしまいかねないというような話も出ております。

 恐らく、物流革新パッケージの話の中で、私、いろいろ議事録を読んでいると、そこまで今の現状というものを予想、想定できていたかなというと、余り想定できていなかったのではないかなというふうに思っています。

 この点については、もう少し農水省の方で調査をしていただいて、どれだけ農家の皆さんに影響があるかというところを把握していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございました点に関しましては、私ども、現在、予算措置で中継物流拠点の整備というものを進めてございます。御指摘のとおり、一日の走行距離がおおむね二百キロから三百キロぐらいの間に制限されるのではないかというようなことでございますので、これまで、終日、昼夜問わず運んでいたものを、きちっと中継物流拠点でつないで、なおかつ、そこできちんと保冷をしながらつないでいくということの取組を進めているところでございます。

 また、生産者への影響につきましてもよく確認をしながら、今後物流の対策を進めていきたいと考えているところでございます。

神津分科員 ありがとうございます。

 もう時間が来てしまったので、最後、一言だけ申し上げさせていただきますが、やはり物流の価格転嫁については是非ともしっかりと進めていただきたいというところと、パレットについて先ほど申し上げられたんですが、これまで二十年間かけてつくってきたコールドチェーンなんですけれども、これが今、標準パレットを使っていないんですよね。標準パレットに移行するに当たっての支援というものを是非御検討いただきたいと思います。

 以上です。本日はありがとうございました。

井坂主査 これにて神津たけし君の質疑は終了いたしました。

 次に、林佑美君。

    〔主査退席、山下主査代理着席〕

林(佑)分科員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の林佑美と申します。

 本日は、質問の機会を与えてくださり、どうもありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、海業の活用についてお伺いいたします。

 近年、日本近海での不漁に歯止めがかからず、二〇二二年の一年間の養殖を含む水産物の生産量は、初めて四百万トンを割り込み、過去最低を更新しております。和歌山県でも同様ですが、特に森林と海に囲まれた自然豊かな県であり、多くの漁港を抱えております。

 漁業は、ヘルシーで貴重なたんぱく源である魚を供給する、なくてはならない産業ですが、とても大変な仕事です。担い手不足に悩まれており、廃業してしまえば、漁村のにぎわいもなくなってしまうという懸念もございます。漁業を次世代につないでいくため、漁業者の皆様が漁業を続けられるようにしていかなければいけません。漁業を持続可能な産業にしていくための支援や取組にはいろいろありますが、幾つかの地元の取組を紹介したいと思います。

 和歌山市の加太や和歌浦漁港では、漁港の活性化として、ダイビングができるようにして観光客を呼び込む取組を強化したり、和歌浦は万葉集でも詠み上げられた風光明媚な和歌の聖地として親しまれております。また、加太はアニメの聖地として若者に人気の観光スポットとなっております。また、有田市の箕島漁港では漁協直営のバーベキュー場がオープンしたり、和歌山県内では比較的アクセスもよく、より観光客を呼び込めば漁村の振興につながるのではないかと思っております。

 このように、漁港を漁業の仕事場と捉えるのではなく、いろいろな関連の施設を併設することで、漁港を活性化しようとすることは大変よいことだと思っております。漁業の拠点となる地域の漁港が元気になれば、漁師さんの収入アップにもつながりますし、若い人材の参入も期待できると思っております。漁港を巻き込んだ海業の振興が漁業にもいい影響が出てくると考えております。

 水産庁でも、こういった取組を海業として推進し、昨年、海業を一層推進するよう関連法を改正したと承知しております。こうした海業の推進状況、今後期待される展開についてお伺いいたします。

森政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、漁港は、高い鮮度の水産物、独自の風景や歴史など、大きなポテンシャルを有しており、これらの地域資源を生かした取組によりまして、漁業者の所得の向上や地域の雇用創出、漁村、漁港の新たな価値や魅力の発見、提供が期待できるものというふうに考えております。

 このため、昨年の通常国会での漁港漁場整備法の改正におきまして、漁港において販売施設や飲食店、釣りや漁業体験活動などの事業を取り組みやすくする漁港施設等活用事業の制度が創設されたところでございまして、この制度の活用に向けた取組も各地で見られ始めているところでございます。

 農林水産省といたしましても、海業に係る各種関係省庁施策を取りまとめました海業支援パッケージの周知でございますとか、このような支援制度についての理解、浸透のため、海業振興総合相談窓口の設置などを行ってきたところでございます。加えて、今後は、漁港施設等活用事業の積極的な活用を全国に促していくことで、海業の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

林(佑)分科員 ありがとうございました。

 御答弁にもありましたように、地域資源を活用した取組によって、漁業者の所得の向上や漁村、漁港の新たな価値や魅力の発見、提供が十分期待できると思っております。

 例えば、和歌山の雑賀崎という港町は、ノスタルジックでイタリアのアマルフィの海岸のようだと、独特の美しい景観が話題になっております。そして、そこの地域は、近年観光としても力を入れているところでございます。

 このように、港は本当にいろいろな顔と特色があり、漁業というだけの機能ではとてももったいないと思っております。それぞれの潜在性を引き出していただけるよう、引き続き、支援策の周知と活用の促進をどうぞよろしくお願いいたします。

 次に、自然災害による農作物の被害について伺います。

 本年は、残念ながら、和歌山県では降ひょうによる梅の被害が発生いたしました。県の発表によりますと、被害面積は約四千ヘクタール、被害金額は約二十億円にも及ぶとのことです。一年に一回しか収穫できない農家にとって、自然災害は大きな影響を及ぼします。農家の減収に対する補填や経営の継続に向けた支援が必要です。和歌山県でも、国と一体になって降ひょうに対する支援を講じているところと聞いております。

 一方、被害を受けた梅の中には、そのままでは売り物にならなくても、加工すれば問題なく売れるものも多くあると聞いています。せっかく高品質の和歌山の梅を少し傷がついたからといって全部捨ててしまっては、食品ロスの観点からも、加工品としての利用や果樹の消費拡大のための新商品の開発支援等も併せて行えば、今後につながっていくと思っております。このことについてどのようにお考えでしょうか。大臣にお伺いいたします。

坂本国務大臣 本年三月、和歌山県におきましてひょうが降った、いわゆる降ひょうによりまして、特産の梅である果実に大きな被害が出たということは承知をしております。そのことによりまして、和歌山県も単独で無利子の融資制度、こういったものを行っているということを承知しております。

 我々農林水産省といたしましては、従来より、梅を含めました農産物を対象に、自然災害などの農業者の経営努力では避けられない収入減少を補償するために、収入保険制度というのを設けております。そして、自然災害によって受ける損失を補填いたします農業共済についても、その予算を措置しているところでございます。

 また、これまで、同様の降ひょうの被害の発生時におきましては、被害果実を、委員おっしゃいますように、可能な限り利用して、それを収入に結びつけるというような努力が必要だというふうに思っております。

 被害果実の中から生食や加工品に利用可能なものを分別集荷をして、そしてそれを出荷する、その際に生じるかかり増し経費、こういったものに対しては支援をしてまいりました。さらに、被害果実やその加工品の販売を促進するためにリーフレットを作る、販売キャンペーンを開催する、そのキャンペーン、リーフレット等につきましても支援をしてきたところでございます。

 農林水産省として、更に和歌山県から要望を聞きながら、被害を受けた産地の皆様に寄り添いながら、必要な対応策をこれからもしてまいりたいというふうに思っております。

林(佑)分科員 ありがとうございました。

 今回の降ひょうによる梅の被害は、過去二十年で二番目の被害額となっております。元々、今年は不作で収穫量が少ない状況の中の打撃となりました。梅の葉も出てきておらず、梅の幼果があらわになった状態でのひょうだったので、被害が更に大きくなることが予想されています。果実が大きくなるにつれて傷も大きくなっていくので、目立ちやすくなります。また、全ての農家さんが保険に加入しているわけではないと思いますので、でき得る対策と、傷がついたものでもできるだけ収入につながるよう、消費者へのPRを強化するなどの対策も含め、今後収穫時期を迎えるに当たり、現場の意見をしっかりと聞いていただき、国としても御対応いただきますようよろしくお願いいたします。

 次に、農産物について伺います。

 地元和歌山は、果実産出額全国三位で、生産額の約七割を果物が占めるフルーツ王国であり、地元でも多くの果樹農家さんがいます。また、和歌山県では、各地で果物の輸出にチャレンジされており、着実に成果を残されています。高品質な農産物を作る生産者のみならず、流通業者の方、輸出業者の方など、関係者の方々の努力のたまものだと思っております。今後も和歌山のおいしい果物を多くの方に知っていただきたいと思いますし、国内の生産者の方にとっても夢のある農業になってほしいと思っております。

 果実は、とても収益性が高く、成功すればもうかる品目ですが、人手がかかることが課題です。私も、桃農家の方のお手伝いをしてまいりましたが、雨が近づけば実一つ一つに雨よけをつける等、とにかく大変だという声を聞いてまいりました。

 果実は、一般的に機械化が進んでおらず、今も人手に頼るところがとても多いと聞いております。少しでも作業が楽になるよう、また、担い手が減少する中でも生産が維持できるように、生産性向上に向けた対策が必要だと思いますが、どのような支援をしておられるか、お教えください。

平形政府参考人 お答えいたします。

 果樹農業は、整枝、剪定等に高度な技術を要するため、機械化が遅れております。手作業に頼らざるを得ないことがございまして、生産者の減少、高齢化と相まって栽培面積が減少して、国内外の需要に国内の生産が対応し切れていない、そういう状況にございます。

 果樹生産を維持拡大させていくためには、担い手や労働力の育成、確保とともに、省力化した生産体系への転換のため、労働生産性を向上させることが重要というふうに考えております。

 このため、農林水産省では、低い樹高で直線的に配置する省力樹形の導入を推進するとともに、今後の技術開発によりますスマート農機の導入も見据えた、傾斜が緩く、木の間隔を広く配置した園地整備、また、加工用に生産管理、収穫まで一貫した省力栽培技術の組合せにより生産性を飛躍的に向上させるパイロットモデルの構築等に取り組んでいるところでございまして、果樹の生産性向上を推進していきたいというふうに考えております。

林(佑)分科員 ありがとうございました。

 果樹は販売単価も高く、今後国内外の需要も期待できることから、それらに応えられるような生産体制の構築は急務であると思っております。

 先ほど答弁にもございましたパイロットモデルは、非常にいい労働環境につながると思います。現在の果樹の栽培農家さんだけではなく、新規で参入する若い人にとっても非常に魅力のある仕事となると思いますので、引き続き、丁寧な指導と大胆な支援をどうぞよろしくお願いいたします。

 次に、果物の消費促進について質問いたします。

 果物をたくさん作るだけではなく、消費量を増やすことも非常に重要だと考えております。果物は、栄養もあり、食卓を彩るものです。果物は多くの人が好きな食べ物かと思いますが、果樹は比較的高価であり、毎日食べるのは難しいというのが現実かもしれません。また、共働き家庭では、皮をむくだけでも手間を感じ、敬遠してしまうということもあるかもしれません。

 私も実際、今はスーパーでイチゴが並んでいますけれども、仕事帰りの忙しい時間帯に買物をしておりますと、イチゴのへたを取るのがすごく面倒に感じて、子供に食べさせたいなと思いながらも、値段もいいなと思いながらも、買わずに帰ってしまうということがよくあります。

 一人一日当たりの果物の消費量が、オランダが一位で日本は百二十九位、先進国の中では最低水準というデータもあると承知しております。果物が消費されなくなってしまうと生産者の方も困ってしまいます。消費面での対策も重要だと思っております。商品棚で見るのも珍しくなくなりましたが、実をそのまま売るのではなく、加工して売ったり、また、消費者に対して果物に関する理解を深めるような仕掛けを行うなど、工夫して果物の消費拡大をしていくべきと考えておりますが、いかがでしょうか。お答えください。

平形政府参考人 お答えいたします。

 健康づくりの指標でございます健康日本21では、一人一日当たりの果実の摂取量の目標値がございまして、二百グラムとなっております。それに対して、現状百グラム程度でありまして、特に若い世代で摂取量が少ない傾向にございます。その理由としては、価格が高い、日もちがしない、皮むきなどの手間がかかることが挙げられております。

 このため、委員御指摘のとおり、消費者ニーズに沿ったカットフルーツですとか冷凍果実を始めとする新たな果実の加工品の取組に対して支援を行っているところでございます。また、若者をターゲットにしましたカフェとのコラボによりますフルーツを使ったメニューの開発などの取組の推進、また、SNSを活用し、果実に含まれる機能性関与成分の健康への有益性など、果実の魅力に関する様々な情報発信等に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、このような取組を通じ、果実の消費拡大を図ってまいりたいと考えております。

林(佑)分科員 ありがとうございました。

 一日二百グラム取らなきゃいけないという果実が百グラムしか取られていないということをすごく残念に思います。

 私の実感といたしましては、果物の消費拡大のPRはなかなかできていないのではないかという思いがあります。例えば、ホームページを拝見いたしましたが、国産果物の消費拡大に関するポスターデザイン募集ということで、これは農水省の農産局園芸作物課発信となっておりました。本日締切りということですが、もっと、募集していますよということをSNS等で誰もが目にするぐらいのPRをされてもいいのではないかと思いました。

 そして、募集要項を見る限り、作品が採用されても国のPRに使われるということだけのようです。とても名誉なことですけれども、果物一年分を懸賞にするとか、SNSでも話題になるくらいの大胆なことをする方がいいのかなというふうに思いました。今日が締切日ということですので、今後の参考までに是非よろしくお願いいたします。いい作品が選ばれることを期待して、次の質問に参ります。

 生産性の向上も非常に重要ですが、人材の確保ももちろん重要だと考えております。紀の川では、新規就農プログラムとして紀の川アグリカレッジがあります。座学と実習を組み合わせ、また経験者と未経験者を分けたコースが準備されており、農業をやってみようという方にとってチャレンジしやすい環境にあると思っております。

 また、ホームページを拝見しますと、プログラムの内容だけではなく、医療、教育といった紀の川市での生活が想像できるような内容になっており、移住、就農に関する情報がワンストップになっており、分かりやすくまとまっています。

 コロナ禍を経て、地方での暮らしが改めて注目されるようになりましたが、地方への移住がうまくいくためには仕事が重要です。果樹は比較的少ない面積で始められるため、うまく引き継ぐことができれば新規就農者にとってもチャンスになるかと思います。人手が必要な果樹農業にとって人材確保は重要な課題ですが、見方を変えると、新規就農して成功すれば大きな収益を出すこともできる、夢のあることだと思っております。経営が軌道に乗り、その地域に定着すれば、地域の活性化にもつながります。

 一方で、果樹はすぐ生産できるわけではなく、生産を軌道に乗せるためにはそれなりの期間が必要です。また、栽培技術の習得のためにトレーニングも必要です。農業によって地方に人材を呼び込み、地域の活性化につなげていくためには、農業の入口の対策を充実させ、多くの人が農業をやってみたいと思ってもらうような対策が必要だと考えますが、大臣にお伺いいたします。

坂本国務大臣 果樹につきましては、生産者が減少しています。また高齢化も進んでおります。そして、後継者不足と相まって栽培面積が減少しております。そういうことで、国内外の需要に国内生産が対応し切れないというような状況が続いております。

 果樹生産の維持拡大のため、そして担い手確保のためには、やはり喫緊の対応策が必要だというふうに思います。しかし、今委員おっしゃいましたように、幾つかのハードルがあります。一つは、やはり園地の確保、そして、やはり実が実るまで未収益期間というのがありますので、これをどうするのかということ、それから、剪定あるいは枝を整える、そういった非常に高度な技術が必要でありますので、他の品目よりもその技術的なハードルが高いというようなことがあります。

 そのために、農林水産省の方といたしましては、やはり、果実の新植や改植をしてから実が実るまでのいわゆる未収益期間における管理経費の支援、こういったものを行っております。そして、市町村やJAや生産者等、地域の関係者が連携をいたしまして、新規就農者が継承可能なような実がなる園、成園を確保してあげること、そして、当該園地等で技術指導による実地研修をするというようなこと、これは紀の川アグリカレッジなどもそれに入るんだろうというふうに思います。そして、地域の農業者のみならず、住民とのネットワークや住居紹介等の地域への定着支援、これを地方創生対策も含めて一体的に行っていくこと、これが大事であろうというふうに思っております。

 引き続き、果樹の担い手育成、確保が地域の活性化にもつながる、そういう思いで後押しをしてまいりたいというふうに思っております。

林(佑)分科員 ありがとうございました。

 答弁にもございましたように、果樹は未収益期間があるということ、そして、ほかの作物に比べて高度な技術が必要ということで、生産することが大変難しく、その継承も課題が多いところがあると思いますが、できるだけ平準化したり、きめ細かい支援体制などが重要になってくると思います。

 新規就農者の方々が、地域のコミュニティーと連携して、果樹栽培への魅力がしっかり共有でき、将来的に希望を持てるような産業にできると思いますので、政府としてもしっかりとしたサポートをよろしくお願いいたします。

 次は、先ほどは果樹栽培の担い手不足について質問いたしましたが、少し掘り下げて、農業の担い手不足、担い手確保対策について伺います。

 我が国の農業は、長期にわたり、農業者の減少、高齢化等の課題に直面しております。ふだんの仕事として主に自営農業に従事している基幹的農業従業者の数は、令和五年は百十六・四万人となり、この十年間を見ても三割以上減少しております。

 また、高齢化が進み、六十歳以上が全体の約八割を占めております。つまり、二十年後の基幹的農業従業者の中心となる五十歳以下の層が全体の二割しかいないという状況です。このため、今後十年から二十年先を見据えると、更に大幅に減少することが確実であり、少ない経営体で農業生産を支えていかなければならないという認識が政府の資料でも示されております。

 このような状況は、私の地元和歌山県でも同様であり、地元からは、担い手対策を抜本的に見直さなければ、十年後には危機的状況になるという懸念の声が届けられています。

 ここまで述べてきましたが、農業の担い手不足の現状と今後の見通しにつきまして、改めて政府としてどのような御認識をお持ちでしょうか。大臣にお伺いいたします。

坂本国務大臣 我が国の農業は、経営体数の九六%を個人経営体が占めます。そして、経営体数が三万を超え、農地面積の四分の一、販売金額の四割を担うまでになった法人経営というのがあります。この個人経営と法人経営の組合せで成り立っているところであります。

 食料・農業・農村基本法の制定時から二十年を経過した中で、個人経営体の農業者であります基幹的農業従事者が、稲作農家の高齢化によりましてリタイアをし、そして百十六万人と半減をいたしました。一方の方で、法人経営体の役員や常雇いは増加をいたしまして、基幹的農業従事者とは別に、これは今、百十六万人の中にはカウントされておりませんけれども、二十四万人いらっしゃいます。こうした結果、個人経営体は減っておりますけれども、農業総産出額そのものは九兆円台を維持しているというようなことであります。

 一方で、現在百十六万人いる個人経営体の基幹的農業従事者は、現在七十歳以上の層が六十八万人、六〇%近くいらっしゃいます。年齢構成から見て、我が国全体が平成二十年をピークに人口減少に入っていることを踏まえますと、委員もおっしゃいますように、二十年で三十万人までに減少していくということが十分考えられます。そのため、次を担う農業者の確保をいかにやはり図っていくか、これが一番重要な課題であるというふうに思っております。

 今回の食料・農業・農村基本法でも様々な対応策を出しておりますけれども、いろいろな資金メニューで施設や機械、こういったものに支援をしていきたい、それから農業法人の経営の基盤を強化していきたい、さらにはスマート農業をしっかり進め、そのための支援策もしてまいりたい。

 それともう一つは、やはりサービス事業体ということで、農薬を散布していただくとか、肥料をまいていただくとか、刈取りだけをするとか、こういう新たな産業体、サービス事業体の創出、こういったものも生み出すことによりまして、農業がやはり持続可能なものになっていく、そういうことをやってまいりたいというふうに思っております。

 後継者育成のために、担い手育成のために、あらゆる対応策を農林水産省としてはやってまいりたいというふうに考えております。

林(佑)分科員 ありがとうございました。

 答弁にございましたように、農業の現状は、約九六%が個人経営、そして四%が法人で成り立っているということでした。法人経営では二十四万人を抱えており、売上げの四〇%を担っているということです。

 最近のデータでは、法人経営体等に雇用される形で新たに就農する者の数は増加傾向にあると伺っております。新規就農の入口としては大変入りやすく、リスクも少ないと思っております。

 一方、新規参入者の就農の理由は、自ら采配を振れるや、農業はやり方次第でもうかるという理由が約八割を占めております。つまり、入口は法人経営体に所属して、継続的に技術やノウハウを取得していく中で将来的には独立していくという極めて合理的な方法で就業人数を増やしていけると思いますので、その部分がスムーズに進んでいくように、政府としても、動向を注視しながら適切な施策をお願いいたします。

 次に、担い手の定義を見直し、多様な農業人材への支援を行う必要性についてお伺いいたします。

 先日、今国会の重要広範の議案の一つである食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案が、我が党が中心となって提案した修正を経て衆議院を通過いたしました。農業の憲法と言われる食料・農業・農村基本法ですが、制定から四半世紀が経過し、世界的な食料需要の変動など、我が国の食料、農業、農村をめぐる情勢が制定時の想定を超えて変化していることから、食料安全保障の確保等を図るために改正案が提出されたものです。

 一方、私の地元和歌山では、これから地域の農業生産を確保するため、国の支援対象となる担い手の定義を見直して、定年帰農者やシルバー就農者等の幅広く多様な農業者も含めて、支援を拡充することが必要だと認識されています。

 ここで、一般に言う担い手とは、現行の基本法の規定では、望ましい農業構造の確立における効率的かつ安定的な農業経営を営む者と同義であると考えられています。

 これに関連して、今回の基本法改正案では、多様な農業者が新たに位置づけられましたが、配慮事項という位置づけにとどまり、望ましい農業構造は効率的かつ安定的な農業経営であるという位置づけは変わっておりません。つまり、一般に言う担い手の定義も変わっていないと考えられます。

 今回、我が党は修正を含めた基本法改正案に賛成いたしましたが、この多様な農業者の位置づけ等につきましては、今後も引き続き検討を進めていく必要があると考えております。

 以上を踏まえて、基本法改正案で位置づけられた多様な農業者は、今後、人口減少の中で不可欠ですので、地域の農業生産を支える環境を整えることが必要ではないでしょうか。そのためにも、定年帰農者やシルバー就農者等の幅広く多様な農業者に対する具体的な支援が必要だと考えておりますが、政府の見解をお答えください。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省では、経営規模の大小や、家族経営か法人経営かを問わず、農業で生計を立てる農業者である担い手と、農業以外で生計を立てる多様な農業者では、農業において果たしている役割は異なるものと考えております。

 農業を副業的に営む経営体などの多様な農業者は、農業で生計を立てる担い手ではないものの、農地の保全管理や集落機能の維持などの面で重要な役割を果たしていただいているものと認識をしております。

 このため、今般提出をいたしました食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案におきましては、担い手である効率的かつ安定的な農業経営の育成、確保を引き続き図りつつ、担い手とともに地域の農業生産活動を行う多様な農業者を位置づけたところでございます。

 これを踏まえまして、担い手に対しては、補助金、金融措置、税制措置など、各種施策によりまして重点的な支援を行うとともに、担い手以外の多様な農業者に対しましては、多面的機能支払い、中山間地域等直接支払いによる地域の共同活動への支援など、それぞれの役割に応じた支援を行い、双方連携の下、一体となって農業生産の基盤である農地の確保を図ってまいりたいと考えております。

林(佑)分科員 ありがとうございました。

 確かに、農業で生計を立てているという概念で担い手とすることに合理性はあると思いますが、将来的に担い手になってもらうこと、その入口の幅を広げていくことも大事だと思っております。

 特に、近年、定年の年齢も引き上げられ、高齢者でも働く意欲や体力にも大きな個人差があります。定年帰農者やシルバー就農者においても十分な期間営農できることもありますので、全体の仕組みをより細分化するなどの工夫で効率的かつ安定的な農業構造が維持できると思います。どうぞ、その辺の支援の方をよろしくお願いいたします。

 時間になりましたので、終了いたします。ありがとうございました。

山下主査代理 これにて林佑美君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして農林水産省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

山下主査代理 これより経済産業省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。齋藤経済産業大臣。

齋藤(健)国務大臣 令和二年度、令和三年度及び令和四年度における経済産業省の決算の概要を御説明申し上げます。

 まず、令和二年度における経済産業省の決算の概要を御説明いたします。

 一般会計の歳入につきましては、歳入予算額四百八十八億円余に対して、収納済歳入額は七百六十六億円余であり、差引き二百七十七億円余の増加となっております。

 歳出につきましては、歳出予算現額二十三兆八千二百五十七億円余に対して、支出済歳出額は十七兆一千百三十七億円余であり、その差額六兆七千百二十億円余のうち、翌年度への繰越額は六兆五千二百八十六億円余、不用額は千八百三十四億円余となっております。

 次に、エネルギー対策特別会計につきましては、収納済歳入額は十一兆一千五百五十四億円余、支出済歳出額は十兆六千百八十億円余であり、その差額五千三百七十四億円余のうち、翌年度への繰越額は一千六百十三億円余、令和三年度予算に歳入計上した剰余金は一千八百六十六億円余、これらを除いた純剰余金は一千八百九十三億円余であります。

 このほか、特許特別会計及び東日本大震災復興特別会計がございますが、これら特別会計の決算の概要につきましては、お手元の資料に掲載したとおりであります。

 続きまして、令和三年度における経済産業省の決算の概要を御説明いたします。

 一般会計の歳入につきましては、歳入予算額六千七百五十三億円余に対して、収納済歳入額は六千八百二十一億円余であり、差引き六十八億円余の増加となっております。

 歳出につきましては、歳出予算現額十三兆四千三百七十五億円余に対して、支出済歳出額は七兆六千二百三十七億円余であり、その差額五兆八千百三十七億円余のうち、翌年度への繰越額は三兆三千百十九億円余、不用額は二兆五千十八億円余となっております。

 次に、エネルギー対策特別会計につきましては、収納済歳入額は十一兆六千四百八十七億円余、支出済歳出額は十兆九千百四十二億円余であり、その差額七千三百四十五億円余のうち、翌年度への繰越額は二千九百二十九億円余、令和四年度予算に歳入計上した剰余金は一千七百八十二億円余、これらを除いた純剰余金は二千六百三十三億円余であります。

 このほか、特許特別会計及び東日本大震災復興特別会計がございますが、これら特別会計の決算の概要につきましては、お手元の資料に掲載したとおりであります。

 続きまして、令和四年度における経済産業省の決算の概要を御説明いたします。

 一般会計の歳入につきましては、歳入予算額三百十九億円余に対して、収納済歳入額は四百三十九億円余であり、差引き百十九億円余の増加となっております。

 歳出につきましては、歳出予算現額十八兆三千六百八十八億円余に対して、支出済歳出額は十一兆七百八十八億円余であり、その差額七兆二千九百億円余のうち、翌年度への繰越額は六兆七百四十七億円余、不用額は一兆二千百五十三億円余となっております。

 次に、エネルギー対策特別会計につきましては、収納済歳入額は十一兆八千九百三十一億円余、支出済歳出額は十一兆二百十一億円余であり、その差額八千七百十九億円余のうち、翌年度への繰越額は三千四百五十七億円余、令和五年度予算に歳入計上した剰余金は千九百七十億円余、これらを除いた純剰余金は三千二百九十一億円余であります。

 このほか、特許特別会計及び東日本大震災復興特別会計がございますが、これら特別会計の決算の概要につきましては、お手元の資料に掲載したとおりであります。

 以上をもちまして、令和二年度、令和三年度及び令和四年度における経済産業省の決算の概要に関する説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

山下主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院片桐第五局長。

片桐会計検査院当局者 令和二年度経済産業省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 これは、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 これは、石油製品安定供給確保支援事業等の実施及び災害時情報収集システムの運用に関して、改善の処置を要求し、適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求め、並びに意見を表示したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、海外SC拠出金等に関するもので、これについて指摘したところ、改善の処置が取られたものであります。

 続きまして、令和三年度経済産業省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項五件、意見を表示し又は処置を要求した事項二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号二一九号から二二三号までの五件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構が管理している取戻しが見込まれない鉱害賠償積立金の取扱いに関して、意見を表示したもの、その二は、独立行政法人中小企業基盤整備機構の貸付金等を財源として福島県が貸し付ける特定地域中小企業特別資金事業に係る資金に関して、改善の処置を要求したものであります。

 最後に、令和四年度経済産業省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項五件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号二二三号から二二七号までの五件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、コンテンツグローバル需要創出促進事業に関するもので、これについて指摘したところ、改善の処置が取られたものであります。

 以上をもって説明を終わります。

山下主査代理 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。齋藤経済産業大臣。

齋藤(健)国務大臣 令和二年度、令和三年度及び令和四年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりであり、誠に遺憾であります。

 御指摘を受けた事項につきましては、その是正の措置を講じているところでありますが、今後このような御指摘を受けることのないよう、指導監督の強化を図り、より一層予算の適正な執行に努めてまいる所存でございます。

山下主査代理 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山下主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山下主査代理 以上をもちまして経済産業省所管についての説明は終わりました。

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山下主査代理 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。金子容三君。

金子(容)分科員 おはようございます。自由民主党、長崎第四区の金子容三でございます。

 今日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。齋藤大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質疑に移らさせていただきます。

 まず、先日イタリアで開催されましたG7トリノ気候・エネルギー・環境大臣会合の内容について、日本におきましても報道がありましたけれども、改めてここで確認をさせていただきたいと思います。

 先日のG7トリノ気候・エネルギー・環境大臣会合の内容を報じるものの中で、石炭火力発電、二〇三五年廃止合意へという見出しがあり、私としても驚き、報道内容について確認をさせていただきましたが、再度、この場におきまして大臣に確認をさせていただきたいと思います。

 また、併せまして、この度のG7トリノ気候・エネルギー・環境大臣会合の成果についてもお伺いいたします。

齋藤(健)国務大臣 今回の会合におきましては、G7広島サミットやCOP28後に開催された最初のG7気候・エネルギー・環境大臣会合でありまして、これらの会合における決定を具体的な行動に移すためのG7の決意と団結を示す上で重要な会合となったというふうに思います。

 具体的には、再エネ導入拡大に向けて、世界のエネルギー貯蔵容量を六倍以上にすることへの貢献ですとか、水素、CCUS等の技術への投資拡大、あるいは、SMRなどの革新的な原子力技術開発の推進ですとか、グリーン鉄の評価手法の確立や、企業の削減貢献定量化、革新技術の開発等を通じた産業脱炭素化の加速、あるいは、重要鉱物、エネルギー技術のサプライチェーンの多様化、天然ガス投資の必要性や、ガスセキュリティーに関するIEAの機能強化、こういったことなどについて合意をいたしました。

 今回の合意を踏まえ、日本としても、G7のみならず、世界全体でのネットゼロ達成に貢献すべく取り組んでいく所存であります。

 また、御指摘の石炭火力につきましては、各国のネットゼロの道筋に沿って、二〇三〇年代前半、又は気温上昇を一・五度Cに抑えることを射程に入れ続けることと整合的なタイムラインで、排出削減対策の講じられていない既存石炭火力を段階的に廃止すること、これに合意したわけでありまして、それ以上のものでも以下のものでもないということでございます。

 日本としては、エネルギー基本計画に基づき、まずは二〇三〇年に向けて、非効率な石炭火力のフェードアウト、これを着実に進めてまいります。さらに、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けまして、水素、アンモニアやCCUS等を活用することで、一・五度C目標と整合的な形で脱炭素型の火力に置き換える取組、これを引き続き推進していきたいと考えています。

金子(容)分科員 ありがとうございます。

 排出削減対策の講じられていない既存の石炭火力発電のフェードアウトを講じていくというふうなことで、二〇三〇年までに全ての石炭火力発電が廃止されるということではないというふうなことで承知をいたしました。ありがとうございます。

 これに関連いたしまして、続けて、石炭火力発電の休廃止に伴う雇用問題と地元経済に与える影響について質問をさせていただきます。

 電力会社におきましては、二〇三〇年までに老朽化した非効率な石炭火力発電の休廃止を予定しているところもございます。私、地元長崎県の松浦市におきましても、先日、五月九日に、電源開発の中期経営計画におきまして、二〇三〇年までに一号機を休廃止するというような計画が発表されたところでもございます。

 電力会社というものは、地方の経済を支える上で非常に大きな影響を持っております。それと同時に、電力会社で働いている方々の雇用問題についても重要な検討事項であります。地方におきまして、電力業界で働いている方々は、一般的に高所得でもあり、地方の経済を牽引していることも事実でございます。

 この発電所の休廃止に伴い雇用を失う方々への対策、またそれに伴い地方が受ける大きな影響に対してどのような対策を講じていくのか、政府の見解をお伺いいたします。

齋藤(健)国務大臣 石炭火力を含む火力発電につきましては、CO2を排出するという環境面での課題がありまして、非効率な石炭火力のフェードアウト、こういったことを進めていく方針であります。

 他方で、御指摘のように、火力発電は、電力供給を支える重要な電源であると同時に、地元の雇用や地域経済にも貢献をしています。こうした中で、休廃止による影響を懸念する声、こういった声があることはもちろん承知をいたしております。発電事業者が地元の関係者としっかりとコミュニケーションを重ねていくことがまずは重要だと思っています。

 エネルギー基本計画におきましても、火力発電が地方税収、雇用、地元企業への外注等を通じて地元経済に貢献している中で、地域経済や雇用への影響等を踏まえながら、地域の実情等に応じてトランジションを検討していくことが必要だ、そういう趣旨を記載をしているところであります。

 また、雇用の確保などの観点を踏まえつつGXを進めることは、GX推進戦略にも明記した公正な移行の考え方に沿ったものであります。こうした観点から取組を進めることが重要だと考えています。

 いずれにいたしましても、政府としては、安定供給の確保、これを大前提に、地域を始めとした関係者の声をお伺いし、火力発電の休廃止に関する懸念にも配慮しながら、火力発電の脱炭素化に取り組んでまいりたいと考えています。

金子(容)分科員 ありがとうございます。

 その老朽化した非効率な石炭火力発電、フェードアウトしていくという方針に関しましては特に異論はないんですけれども、今申し上げたとおり、その地域の雇用それから税収の観点で非常に大きな影響を与え得るものだというふうに思っております。

 そして、この廃止になる一号機の跡、どのような活用をしていくのかというふうなところも様々な意見が地元からは出てきております。申し上げましたとおり、一号機は休廃止をしていく、一方で、二号機については、これは効率的な石炭火力発電でもございますので、アンモニア混焼であったりとかCCSを活用したそういった新しい取組を行っていくというふうなことでも伺っております。このもう一つの休廃止となるその跡地の利用について、今後は早急にちょっと進めていかなければいけないのかなというふうに考えております。

 先ほど、自治体と事業者との間のコミュニケーションが非常に重要だというふうな御答弁をいただきました。一方で、事業者といたしましては、電力の需給関係にもよりまして、費用対効果というふうな観点から、新しい投資をその廃炉の跡地に行っていくというような考えもなかなか進まないというふうなことも実情であるのかなというふうに思っております。

 このような状況を打破し、地域の活力を保つために自治体がどのように対処していけばよいのか、国の支援が必要であるというふうに考えますけれども、その点、政府の見解をお伺いいたします。

齋藤(健)国務大臣 カーボンニュートラルの実現に向けましては、非効率な石炭火力のフェードアウト等、これを進めることが必要なわけですが、そういった中でも、発電所の立地地域との共生という観点は非常に重要だと思っています。休廃止によって発生するおそれのある地域経済や雇用への影響等を踏まえながら、地域の実情等に応じて、脱炭素に向けたトランジションの促進を検討していく、こういうことが必要だろうと思っています。

 具体的な進め方につきましては、もちろん地域の事情によって異なるわけでありますが、例えば、アンモニア混焼を行う石炭火力発電所と周囲の工業地帯とが一体となってアンモニアのサプライチェーンを構築する計画ですとか、あるいは、廃止された発電所の跡地を再生可能エネルギーや資源循環の拠点として活用した例、こういった例もあると承知をしています。

 政府としても、こうした取組を後押しすべく、例えば、脱炭素型の火力も含む脱炭素電源への新規投資を促す措置として、長期脱炭素電源オークション、これを導入をしています。

 また、水素等のサプライチェーンの構築を進めるべく、価格差に着目した支援ですとか拠点整備支援を盛り込んだ水素社会推進法案を国会に今提出をして御議論いただいているところであります。

 再エネにつきましても、民間企業等が再エネ電気を調達する際に、FIT、FIP制度によらず、自ら主体的に発電事業者、小売電気事業者と連携して行う太陽光発電設備の導入を支援する、需要家主導による太陽光発電導入促進補助金や、再エネ特措法に基づくFIT、FIP制度など、様々な支援で後押しを行っているところであります。

 こうした措置等を通じて、地域の実情に応じたエネルギーのトランジション、こういったものを促してまいりたいと考えています。

金子(容)分科員 ありがとうございます。

 いろいろなエネルギー対策に向けた地域の活性化策というものはあると思いますので、是非とも、政府として、地域の活性化につながるような御支援をこれからも引き続き行っていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 続きまして、廃棄物処理対策の強化について御質問いたします。

 旧焼却施設は、老朽化が進むことによって倒壊や環境汚染のおそれが高まっており、早急な解体撤去が必要となっております。施設の解体撤去工事は多額の費用を要しますが、新たな廃棄物処理施設を伴わない工事は、国の循環型社会形成推進交付金の対象とはならないことから、厳しい財政状況の中、市単独事業として実施が困難であるのが現状です。

 今後、特に、市町村合併により廃止した旧焼却施設の老朽化が更に進むなど、環境汚染リスクが高まることから、早急な解体撤去を行うことができるようにするため、新たな廃棄物処理施設整備を伴わない解体工事についても交付金の対象とできないかについて、環境省、政府の見解をお伺いいたします。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省では、ごみ焼却施設などの一般廃棄物処理施設の整備につきまして、循環型社会形成推進交付金等により市町村等へ財政支援を行っており、その際に、焼却施設の解体事業も支援対象としております。

 焼却施設の解体事業への財政支援に当たりましては、令和二年度までは、同一の敷地内で施設の更新を計画しており、古い施設を解体しないと新しい施設の整備が進まないような場合のみを支援対象としていたところです。

 その後、令和三年度からは、焼却施設の老朽化、荒廃による災害リスクの低減や、ごみ排出量の減少などを踏まえた焼却施設の広域化、集約化の観点などから、解体を行う焼却施設の跡地とは別の敷地に新たな焼却施設を整備する場合や、処理の広域化に伴い必要となるごみ運搬中継施設を解体を行う焼却施設の跡地に整備する場合も支援対象として追加し、より柔軟な支援を行っているところであります。

 環境省としましては、社会情勢の変化や地方公共団体の御意見などを踏まえながら、廃棄物の適正処理に資するよう、引き続き必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

金子(容)分科員 ありがとうございます。引き続き柔軟な対応を行っていただければというふうに思います。

 続きまして、外国人労働者につきまして御質問をさせていただければと思います。

 今、地元の佐世保市のコンビニエンスストアで、ベトナムから留学で日本に来ている四年生が、一年生の半ばから地元のそのコンビニで働いております。初めはレジの要員として働いていた彼は、今では店長も任せられる、それから、日本人ともちろん同様の仕事をできるようになっております。しかも、金庫の鍵も渡して任せられるほど信頼されているような、そこまでの働きっぷりを示しているというふうなことを聞いております。

 一方で、大学生の彼は、現在、留学ビザで日本においてコンビニで働いていることができるんですけれども、大学を卒業するとコンビニで就労できなくなる。ベトナム人の彼自身もこれからもそのコンビニで働き続けたいというふうな思いであるとともに、雇主もずっと彼を雇っていきたいというふうに考えているところでございます。

 現状、コンビニエンスストアでの就労について、外国人労働者の特定技能の分野では認められていないというふうに承知をしておりますけれども、その背景と今後の方針につきまして、業所管の経済産業省に見解をお伺いいたします。

山影政府参考人 お答えいたします。

 コンビニエンスストア、これは、生活に密着する製品、サービスを提供する、なくてはならない存在となっておりますが、人手不足の課題があると認識してございます。他方で、特定技能制度、こちらは、生産性の向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野に限りまして、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れることを目的としている制度と承知してございます。

 コンビニ業界におきましては、生産性の向上についてはデジタル技術の導入による省力化への投資、また、国内人材の確保につきましては賃上げ等による処遇の改善への取組等、様々な観点について検討が現時点では不十分であり、更なる検討が必要と認識してございます。

 なお、業界におきましては、特定技能に限らず、他の在留資格である技術・人文知識・国際業務制度等の活用も含めて、人手不足への対応について様々な検討を行っている状況と聞いてございます。

 いずれにしましても、経済産業省といたしましては、コンビニ業界における人手不足の課題解消に向けまして、引き続き業界と意見交換してまいりたいと考えてございます。

金子(容)分科員 ありがとうございます。

 ほかにいろいろと外国人労働者を受け入れられるようなオプションがあるというふうなこともあると思いますので、是非、そういった選択肢も各地方自治体、事業者の方にも伝えていっていただければ、情報提供していっていただければなというふうに思います。

 続いて、同じ外国人労働者に関してなんですけれども、住居対策についてお伺いをいたします。

 今後、日本の労働市場において外国人労働者が急速に増加していくことが予想されます。その中で、外国人労働者の住まいを確保するということも大きな課題であるかというふうに思います。この課題を解決していくに当たりまして、各自治体に存在する公営住宅、市営住宅の更なる柔軟な運営を進めてはどうかというふうに考えております。

 先日、地元長崎県の畜産農家の視察を行った際に、その土地の自然環境に魅了をされ、移住し、畜産農家で働きたい人がいる、住居環境の確保のため市営住宅への転居を市に希望したところ、現在は入居の公募を行っていないため受け付けられないとの回答で、一旦移住を諦めたという話を伺いました。

 今回は、今申し上げたのは移住者の話でございますが、このようなニーズは外国人労働者受入れにおいても生ずるものというふうに考えます。

 公営住宅法の第一条におきまして、「この法律は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。」とあります。

 このような法の目的、趣旨というものは理解しますが、現在、人口減少、人口流出により市営住宅にも余りが生じているというふうにも認識しております。これまでどおりの規定で運営するのではなく、時代に合った形で、もっと柔軟性を持って推進していくべきと考えますが、政府の見解をお伺いいたします。

    〔山下主査代理退席、主査着席〕

宿本政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの公営住宅につきましては、御指摘のとおり、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃の住宅を供給するということを本来の目的としてございます。

 一方で、地域における様々な居住ニーズに対応するため、事業主体である地方公共団体の判断によりまして、公営住宅の本来の目的に支障のない範囲で、すなわち、いわゆる目的外使用といたしまして、住まい等を必要とする方々に公営住宅の空き室を提供する、そういった取組も可能としております。こうした取組の中には、住宅困窮者に対する支援や地域の活性化といった観点から、外国人の方に住まいを提供している事例もあるところであります。

 国土交通省といたしましては、こうした事例を含め、地域の実情に応じた目的外使用の様々な事例につきまして、地方公共団体向けの会議や研修を通じてしっかりと周知をしてまいります。

金子(容)分科員 ありがとうございます。

 是非、その事例を本当に各地方自治体に展開をしていただければと思います。そういうふうな認識がないところも多数ございますので、是非ともそこはしっかりとやっていただければと思います。

 ちょっと順番が前後してしまって大変申し訳ございません。大臣にちょっと、経済産業省の方に、もう一問お伺いをしたいことがございました。

 地球温暖化対策の脱炭素化を進めるための環境整備について御質問をいたします。

 地球温暖化対策に国民に協力してもらうためには、国民一人一人が脱炭素化に向けて取り組みやすい環境整備を進め、多くの国民に協力を得ることが重要でございます。しかしながら、現在のような円安や物価の高騰が続く環境下においては、特に中小企業及び小規模事業者の方々への支援が特に重要となっております。

 先日、またこれも地元長崎になりますけれども、その長崎で七十年以上にわたって水産氷を製造する企業が、製氷機械の老朽化に伴いまして、環境省の補助事業を活用した設備更新を検討している話を伺いました。元々、既存の製氷機械も環境保全に配慮し、アンモニアガスを冷媒とする設備を使用しており、その更新計画を進めているところでございます。環境省の冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業に対する補助金を活用できないかを環境省に問い合わせたところ、食用の製氷工場のみが対象であり、水産氷は対象とならないとの回答でありました。

 一方で、この水産氷を造っている会社は、長崎の佐世保における水産業におけるとても重要な会社であります。漁協に対しては水産庁が手厚い支援を行うことになっておりますけれども、一方で、その製氷会社は、株式会社であるがために水産庁からの支援はなかなか受け入れられない、そういったこともありまして、ほかの環境省や経済産業省というふうなところにその支援を求めるというふうな状況になっております。

 このように、業界や業種等のくくりの中で生じる隙間に陥ることで支援や補助が受けられないというような企業や事業者が生じぬように、きめ細やかな制度づくりと環境整備を進めることが急務であると考えます。脱炭素化社会の実現には、現在工場で使用している機械などの入替えや工場そのものの改修も必要となります。

 そのように、今、業種や業界において専門的な支援を積極的に行える制度への変更なども検討する必要があるのではないかというふうに考えますが、脱炭素化社会の実現に向けて、国民の協力を得るために、安心して取り組める環境づくりの重要性について、政府の見解をお伺いいたします。

秦政府参考人 お答えいたします。

 中小企業は日本全体の温室効果ガス排出量の約二割を占めておりまして、カーボンニュートラルの実現に向けて、中小企業の脱炭素経営に向けた取組、これは大変重要だと認識をいたしてございます。

 環境省におきましては、中小企業の脱炭素化を後押しするために、中小企業向けのガイドブックの作成、工場、事業場での設備更新、電化、燃料転換への補助、地域金融機関による中小企業が行う設備投資への融資に対する利子補給などを実施しております。こうした中小企業向けの様々なカーボンニュートラル支援策につきまして、経済産業省とも連携をして取りまとめた上で公表をいたしております。

 一方で、脱炭素に向けて何から始めるべきか分からないといったような中小企業さんもございますので、こういったところを対象に、中小企業との接点が多い地域の金融機関、自治体、商工会議所等が連携をいたしまして、中小企業の脱炭素経営を地域ぐるみで支援する、こういった体制を構築するモデル事業を、昨年度、令和五年度から、全国各地十六か所で実施をしておるところでございます。

 さらに、これに加えまして、各地の地方環境事務所におきまして、自治体や企業に対し、脱炭素に関する具体的な事業の推進への伴走支援を行いつつ、相談窓口としての対応強化を図っております。環境省のみならず、各地方支分部局との連携を進めておるところでございます。

 引き続き、こうした取組を通じて、中小企業の脱炭素化の推進に向け、きめ細やかな支援を行ってまいる所存でございます。

金子(容)分科員 ありがとうございます。是非、取りこぼしのないような支援をお願いしたいと思います。

 続きまして、食品の合理的な価格の形成に向けた取組について質問いたします。

 食料・農業・農村基本法の改正案におきまして、食料の持続的な供給に要する費用の考慮の規定を新設し、理解の増進、合理的な費用の明確化の促進という施策が挙げられております。

 食料・農業・農村政策審議会の答申にも述べられているとおり、他品目に比べ、農外収入が大きく、兼業主体の生産構造からの転換が進まなかった稲作を始め、生産側は、必ずしもその需要に合わせた対応ができておらず、実際には、農産物市場の動向だけで農業者の経営が変更されることはなかった、また、長期にわたるデフレ経済の中で、価格の安さによって競争する食品販売が普遍化し、その結果、価格形成において生産コストが十分考慮されず、また、生産コストが上昇しても販売価格に反映することが難しい状況を生み出しているとあります。

 これらの反省を踏まえて、生産者、加工流通業者、そして、小売業者、消費者がそれぞれウィン・ウィンとなる適正な価格形成をどのように図っていくのか、政府の見解をお伺いいたします。

小林政府参考人 お答えいたします。

 近年の資材価格等の高騰は、生産から消費に至る各段階に幅広く影響が及んでおります。こうした状況の中でも食料の持続的な供給を行っていくためには、食料システム全体で合理的な費用が考慮されるようにする必要がございます。

 このため、農林水産省では、昨年の八月より、生産、加工、流通、小売、消費等の幅広い関係者が一堂に集まる協議会を開始いたしまして、食料システム全体の持続性の確保を目的に、持続的な供給に必要な合理的な費用、これを考慮する仕組みの必要性でございますとか、品目ごとに作成する費用の指標であるコスト指標の作成等について、関係者間で議論を行っているところでございます。

 先月五日に開催しました第四回の協議会では、こうした仕組みを設ける必要性でありますとか、法制化を視野に検討することについて共通認識が得られたところであり、引き続き、協議会での議論を進めてまいります。

 この協議に当たりましては、生産者にしろ、消費者にしろ、どこか一部の関係者にだけしわ寄せが及ぶという仕組みでは、食料システムの持続性を確保することは難しくなるという課題があると考えております。このため、関係者間で協調することを働きかけているところでございまして、食料システムの持続性の確保という共通目的の下に関係者が相互に理解し合えるように、丁寧に合意形成を図ってまいります。

金子(容)分科員 ありがとうございます。

 是非、それぞれのフードチェーンの皆様方にとって最適な価格形成を進めるべく対策を講じていただければと思います。

 時間が来てしまいましたので、これで質問を終わらせていただきます。済みません、三つ質問が残ってしまいまして、農水省の皆様方には御迷惑をおかけしました。これで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

井坂主査 これにて金子容三君の質疑は終了いたしました。

 次に、住吉寛紀君。

住吉分科員 兵庫県姫路市よりやってまいりました住吉でございます。

 我が国のエネルギー政策についてお尋ねしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 第六次エネルギー基本計画は、二〇二〇年十月に表明された二〇五〇年カーボンニュートラルと、二〇二一年四月に表明された、二〇三〇年度の温室効果ガス排出、二〇一三年度比で四六%、更に五〇%削減の高みを目指すという野心的な削減目標の実現に向けて、エネルギー政策の道筋を示したものとなっております。

 その達成のためには再生可能エネルギーの更なる導入が不可欠であり、二〇二二年四月に資源エネルギー庁が発行した「今後の再生可能エネルギー政策について」の中で、エネルギーミックス改定において、二〇三〇年度の温室効果ガス四六%削減に向けての再生可能エネルギーの電源構成、三六から三八%を発表しております。内訳は、太陽光発電が一四から一六%程度、風力発電が五%程度、水力発電が一一%程度、地熱発電が一%、バイオマスが五%となっております。

 現状の導入進捗率、これを見ると、太陽光が九七%導入しているということで非常に順調なわけですが、風力が約四五%、地熱約四一%、バイオマス約七五%となっております。太陽光が手いっぱいであるのを、現実的に、この日本というのは国土が狭いですので、太陽光が今後増えていくというのはなかなか難しいところでございますが、その太陽光が手いっぱいであることを風力発電で補う状況となっております。実際に、今国会においても、風力発電を進める法案、これが審議される予定となっております。

 現在の、再生可能エネルギーの目標に対してほど遠いこのような状況を、政府としてどのように考えているのか、御見解をお伺いいたします。

齋藤(健)国務大臣 再生可能エネルギーにつきましては、地域との共生、これを大前提に最大限導入していくこと、これを政府の基本方針としているところであります。

 こうした中で、電源構成に占める再エネ比率は、FIT制度導入時の二〇一二年の約一〇%から直近二〇二二年度の約二〇%まで倍増しておりまして、例えば、太陽光の導入量は、平地面積当たりで見れば主要国で実は最大級となるなど、着実に導入が進んでいると認識しています。

 経産省としては、地域との共生を前提に、関係省庁と連携して再エネ導入に取り組んでいるわけでありますが、具体的には、FIT、FIP制度では、地域共生しやすい屋根設置の太陽光発電について、二〇二三年度下半期からは、新たに区分を設けまして、地上設置型よりも二割程度高い価格を設定をして導入を促進をしているところであります。

 また、関係省庁と連携しまして、公共施設や住宅、工場、倉庫などの建築物の屋根への導入拡大に取り組むとともに、再エネ海域利用法に基づく着実な洋上風力発電の案件形成等に取り組んでいます。

 また、グリーンイノベーション基金等を活用して、ペロブスカイト等の次世代型太陽電池、浮体式洋上風力の技術開発や早期実用化に向けた取組を行っているところであります。

 こうした取組を着実に実施をしていくということで、二〇三〇年度の再エネの電源構成比三六から三八%、この目標を達成してまいりたいと考えています。

住吉分科員 ありがとうございます。

 実は私も、一期生の最初の予算委員会の質疑に関しては、このエネルギー政策について質問させていただきました。それはまだロシア、ウクライナ問題が発生する前の状況で、再生可能エネルギー導入を非常に促進する例えばドイツなんかでいうと、非常にエネルギーが不安定で、度々停電も起きている、そして価格も上昇している。これは、二割、三割とかではなくて、八倍とか十倍とかそんな規模で起きている、そういったところをどうバランスを取りながら進めていくのかというのを質問させていただいたわけでございます。環境は大きく変わって、今、ロシア、ウクライナ問題が長期化している、また新たなフェーズに突入しているのかなというふうに思っております。

 そこで、国民負担についてお尋ねしたいと思います。先ほど申し上げたように、このロシア、ウクライナ侵略等の世界情勢、これを背景として世界的な燃料価格の変動、これは日本はほとんど九割近くを海外に依存しているため、我々の生活に密接に関わる電力またガス料金、これにも大きく影響を及ぼしました。国民生活、事業活動を守るため、電気・ガス料金の激変緩和措置として今対策が行われておりますが、この措置も今年五月に縮小され、六月には終了するという予定になっております。さらに、二〇二四年度の再生可能エネルギーの賦課金単価、これはまた増額をしていくふうになっております。

 エネルギー政策はその時々の状況に応じて重視するものが変わっていくのは当然だと考えますので、この変化自体は悪いことだとは思いません。しかし、場当たり的な変更は消費者を混乱させ、一貫したエネルギー政策も実現できないため、エネルギー政策自体を一度考え直す、こういうことも必要ではないかと考えております。

 そのような観点を踏まえて、激変緩和措置がなくなり、再エネ賦課金が上がる、これによって国民の負担が上がってしまうことについてどう考えているのか、政府の見解をお伺いいたします。

齋藤(健)国務大臣 まず、電気料金の激変緩和措置は、ロシアによるウクライナ侵略を背景としたエネルギーの国際価格の急騰によりまして急激な電気料金の上昇が想定をされる中で、家計や価格転嫁の困難な企業の負担、これを直接的に軽減するために、緊急対応として実施をしてきたものであります。

 委員御指摘の電気の需要家の負担という観点について見れば、足下では、電気料金への影響が大きいLNG、石炭、これらの輸入価格がロシアのウクライナ侵略前と同程度まで低下をしてきているということがまずあって、その結果、再エネ特措法に基づき算定された再エネ賦課金の単価が昨年度に比べて上昇したことを考慮しても、結果として、電気料金は激変緩和対策の開始前と同水準以下で推移をしてきているということでありますので、こうした状況を踏まえまして、電気料金の激変緩和対策については、激変緩和の幅を縮小した上で今月末まで講じるという判断をさせていただいています。

 また、家計や経済活動への影響、これを抑えるためにも、エネルギーコストの上昇に強い経済構造へ転換するということが大事でありまして、徹底した省エネに加えまして、再エネや原子力など、エネルギー自給率の向上につながる脱炭素電源の活用を進めていきたいと思っています。

 その上で、委員御指摘のようにエネルギー環境は割と激しく変わるものですから、予期せぬ国際情勢の変化等により価格高騰が生じ、国民生活への過大な影響を回避するために緊急対応が必要だなというふうになった場合には、迅速かつ機動的に対応する、こういうふうにさせていただきたいと思っています。

住吉分科員 私も、いつまでも公金に頼り続ける構造というのは余りよくないと思っております。そういった意味で、今御説明があったように、激変緩和をなくしたとしても、現時点では国民の負担というのはコロナ前と変わらないか、ちょっと低いか、余り負担が変わらないということだと思います。

 一方で、この六月に減税措置が行われるわけでございます。それは何のためにやるかというと、物価高対策で昨年に決定したことでございます。国民からすると、物価が高い、そういった意味で減税をしている、一方で、こっちでは賦課金が上がったり激変緩和がなくなっているということで、かなりちぐはぐな政策に映ってしまうと思っております。

 実際に、私もこの日曜日、とある支援者の集まりに行ったときに、そういったことを指摘され、電気料金これから上がるんやろ、本当にどうなっているんやというようなことを言われたわけで、少しメッセージが足りていないのではないかなと思っております。電気料金が上がるということだけが独り歩きして、こういう事情で正常に戻すんですよというようなことが足りていないのかなというふうに思いますので、その辺りのメッセージをしっかりと国民に打ち出していただけたらなというふうに思っております。

 続きまして、エネルギーの消費の増加についてお尋ねいたします。

 省エネルギーについて、資源エネルギー庁のエネルギー白書二〇二三では、二〇三〇年度におけるエネルギー需給の見通しにおいて、省エネについては、経済成長等による足下からのエネルギー需要の増加を見込みながら、技術的にも可能で現実的な省エネ対策として考えられ得る限りのものを全て積み上げ、年間最終エネルギー消費を、対策前に比べ、原油換算六千二百万キロリットル程度削減することを見込んでおります。これは、二〇一三年度から二〇三〇年度までにエネルギー消費効率を四〇%程度改善することに相当しており、石油危機後の二十年間に日本が実現した省エネを上回るエネルギー消費効率の改善が必要となります。

 この見込みを着実に実現し、徹底した省エネと経済成長を両立させるため、業務、家庭、運輸、産業の各部門において、制度と支援措置の両面で施策を検討し、実施していくことが必要ですが、既に産業界にも相当の努力を強いているという状況です。

 さらに、近年、データセンターの増加や生成AIの普及が目覚ましく、そのために必要な電力も急増していくことが予想されます。生成AIは、交通予測などに貢献し、エネルギー効率の向上につながる面もありますが、大量の電気を使い、GPUからの発熱もすさまじいものがあります。

 電力中央研究所の予測では、生成AIなどに使うデータセンターの日本の電力消費は、二一年の二百億キロワット時から四〇年に最大で千五十億キロワット時まで増える可能性があることも指摘されております。

 二二年度の温室効果ガス排出量の削減、これの大きな要因として、排出量が大きな鉄鋼業を始めとした製造業の生産減少の影響が大きく、半導体不足に伴う自動車向け鋼材需要の伸び悩みや世界的な利上げによる輸出低迷などを背景に、国内の鉄鋼業、これの生産量が前年度に比べ八%減っております。しかし、二三年度以降は、新型コロナウイルス禍からの経済の正常化が一段と進んでおり、これまでどおりに削減は進まないと指摘する専門家もおります。

 そこで、データセンターの増加や生成AI普及により今後増えることが想定されるエネルギー消費に対してどのように考え、増加した電力需要に応えてどのように排出削減目標を達成するのか、政府の見解をお伺いいたします。

齋藤(健)国務大臣 生成AIの普及やデータセンターの増加などDXの進展に伴いまして、今後、電力需要が増加するとの指摘がある、これはもう十分認識をしています。

 例えば、電力広域的運営推進機関が本年一月に公表いたしました今後十年の電力需要の見通しにおいては、データセンターや半導体工場の新増設によりまして、電力需要の増加が見込まれております。

 こうした中で、将来の電力需要増加の可能性にも対応すべく、必要な供給力を確保するための制度であります容量市場、これを令和二年度に既に導入をしているところでありますが、加えまして、脱炭素電源への新規投資を広く対象にしまして、投資回収の予見性を確保するための長期脱炭素電源オークションを昨年度から導入しております。これらの取組を通じて電力の安定供給の確保を図るとともに、需要側でも省エネの取組を進めていきたいと考えています。

 将来の電力需要の見通しにつきましては、今後検討を進めてまいります次期エネルギー基本計画の検討に際して、重要な論点の一つになると認識をしています。

 今後、DXの進展による電力需要の可能性と光電融合のような省エネ技術の開発が進む可能性、この双方を十分に踏まえながら、しっかりと検討していきたいと考えています。

住吉分科員 ありがとうございます。

 DXの進展と光電融合の省エネ化を踏まえて今後検討されるということで、また機会があれば質問させていただきたいと思います。

 次に、先ほど来より出ております再エネの中で、太陽光発電についてお尋ねしたいと思います。

 これまで政府は、太陽光発電、これを再生可能エネルギーの主力として、拡大を後押ししてまいりました。しかし、一方で、景観破壊、生態系への影響など、懸念があることも事実です。

 私の地元兵庫県姫路市では、二〇一八年七月の西日本豪雨で太陽光パネルが大規模に崩れ落ちたということがありました。また、太陽光パネルには有害物質が含まれ、それを知らずに、あるいは知っていても費用負担を嫌って、そのまま廃棄、放置して、土壌が汚染される危険性もございます。

 また、太陽光パネル、安価な太陽光パネルに関しては中国が大半を占めており、国の根幹を成すエネルギー政策において他国の関与を強め過ぎるというのは余りいいことだとは思いません。

 さらに、FIT制度の際に、サイレント国土買収なんか言われておりますが、外資に日本の土地が購入されていて、現時点で外資からどれぐらい購入されたのかというのは把握もできていないという状況でございます。先日、専門家の方とも意見交換しましたが、購入された土地の中で、健全な経済活動の中で行われているのもありますが、その方の肌感覚では、一五%ぐらいはそういった経済活動では説明のつかないような買われ方をしているというふうに述べておりました。安全保障上の懸念もあるわけであります。

 このように、本来環境にいいはずの再生可能エネルギーである太陽光発電には様々な懸念点があります。例えば、転売で責任の所在が不透明になっていたり、そういう可能性もありますが、再生可能エネルギー、環境にいいはずの太陽光発電についての政府の見解をお伺いいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 太陽光発電の導入には地域との共生が大前提でございまして、今年四月一日から改正再エネ特措法を施行いたしておりますが、一点目には、環境面を含めた事業内容に関する周辺地域の住民の皆様への説明会の開催などをFIT、FIP認定要件としていること、それから二点目は、関係法令に違反する事業者、これは森林法であるとか様々の法令がございますけれども、こうした者には早期の是正を促すためFIT、FIP交付金を一時停止することとしまして、例えば、四月二日には、森林法違反が明らかな九件に対して交付金の一時停止の措置を実施するなど、事業規律の強化を行っているところでございます。

 また、適切な廃棄というものも地域共生における重要な課題の一つでございまして、二〇二二年七月から、再エネ特措法に基づきまして、認定事業者に対して太陽光発電設備の解体、撤去や廃棄費用の積立てを求めてございます。

 加えまして、委員御指摘のとおり、安全保障上の課題など、様々ございます。

 引き続き、こうした取組を通じて、様々な課題を克服しながら、太陽光発電の導入拡大に適切に取り組んでいきたいと考えてございます。

住吉分科員 後手後手かもしれませんが、様々な対策を講じておられるということだと思います。特に、FIT制度が二十年ぐらいあって、それが終わると、それの廃棄に関しての積立てなんかは特に評価したいと思います。

 FIT制度に関しては、それぞれ様々な規制が設けられたところでございますが、最近、非FIT太陽光発電、こういったことにも注目がされております。電力会社が買い取る際に発生する費用の一部を国民が再エネ賦課金という形で負担してこれまで再生可能エネルギーの設備導入を支えておりましたが、この再エネ賦課金による国民負担など様々な問題により、非FIT太陽光発電が今注目されているということを聞いております。

 実際に、脱炭素社会の実現に向けて、非FIT太陽光発電所を推進している企業も多く存在します。

 政府の方も、FITに頼らず、非FIT再生可能エネルギーを促進させることは、国民負担を軽減しつつ再生可能エネルギーの導入拡大につながるとの見解を示しております。

 FIT制度において様々な規制が取られる中で、非FIT電気に関しても設置や廃棄の規制、これを同様にしていくべきではないかと考えますが、政府の見解をお伺いいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 再エネの導入に当たりましては、御指摘のとおり、非FITあるいはFIT、いずれであるかにかかわらず、しっかり地域と共生を図りながら事業を進めることが大前提だと考えております。

 先ほど申し上げました関係法令遵守につきましては、非FITであっても、各法令の要件等に応じて、加えて、環境アセスメントの手続であるとか、森林法など土地開発に当たっての許認可、あるいは電気事業法での保安規制などが当然に適用されます。

 また、二〇二二年四月から、農水省や国交省、環境省と共同で検討会を開催しまして、非FITも含めて、太陽光発電設備の特性を踏まえた上で開発許可等の基準の策定であるとか運用、こういうことができるように、例えば、傾斜度に応じた防災措置あるいは排水対策の在り方などについて方針を整理して、それぞれの関係法令の適切な反映を図っているというところを行っております。

 また、先ほどの御指摘の廃棄の部分でございますけれども、申し上げました積立て自体はFIT、FIP対象ということになってございますが、非FITも含めて、確実な引渡し、引取りがなされ、適切な廃棄、リサイクルが行われる制度の在り方、これを検討するために、環境省と共同で昨年四月から検討会を開催し、今年一月に課題の整理を行ったところでございます。

 新たな仕組みの構築に向けて、更に検討を深めていきたいというふうに考えてございます。

住吉分科員 再生可能エネルギー自体は私も否定しないところでございます。様々に今後検討されるという御答弁でしたので、課題は共通認識かなというふうに思っております。

 せっかく環境にいいものを使っても、それが結果として環境破壊につながっている、それじゃ、何のために国民から賦課金を徴収して進めているのか、本末転倒になってしまいますので、そういったところも、しっかりと今後も、私は、同様の規制、必要だと思っておりますので、検討していただけたらと思います。

 次に、半導体支援についてお尋ねいたします。

 世界の半導体市場における日本のシェアは、一九八八年の五〇%超から二〇一九年には一〇%まで縮小しております。二〇二一年に経済産業省は半導体・デジタル産業戦略を立ち上げて、三年足らずで同戦略に関連する予算を約四兆円確保しております。岸田総理は、官民合わせて半導体分野へ十兆円程度の投資を目指すとしております。

 ちょっと改めての確認なんですが、政府が半導体産業に巨額の支援を行う目的について、改めて確認をさせていただきます。

齋藤(健)国務大臣 半導体は、デジタル化や脱炭素化の実現に不可欠なキーテクノロジーであります。さらに、経済安全保障上の観点からも重要な、日本の産業競争力全体を左右する戦略物資でありまして、今後、世界で大きく増加していく需要を我が国が取り込んでいく必要があるなと考えています。

 具体的には、我が国におけるミッシングピース、これを補完するための先端ロジック半導体の生産基盤構築や、幅広い産業用途で用いられるマイコン、アナログ等のサプライチェーン強靱化、これらに取り組むとともに、次世代、将来技術の研究開発を支援することが重要であります。

 世界各国では、半導体製造能力の確保に向けた取組が進められてきておりまして、経済産業省としても、これまでスピード感を持って法律改正や大規模な財政支援を講じてきたところであります。

 その結果、先端ロジック半導体を製造する熊本のTSMC、JASMの工場建設を始めとした複数の大規模国内投資を実現をしてまいりました。九州では、二〇二三年度の設備投資計画額が前年度の二倍以上と、伸び率としては過去最高を記録するなど、関連産業への大きな波及効果、好循環も生まれ始めております。こうした流れを継続、加速させていくことが重要であります。

 また、自動運転や生成AI等、我が国産業の将来、未来の経済成長を左右する最重要技術である二ナノ世代のロジック半導体については、その量産を目指すラピダスプロジェクトを強力に推進しているところであります。

 このように、我が国の半導体産業の再興に向けては、既に大きな一歩を踏み出しているところでありますが、いまだ道半ばでありまして、ここからが本当の勝負ではないかと考えています。日本の半導体産業の復活と、それを起点にした日本産業全体の国際競争力の強化、そして、経済安全保障の観点からのサプライチェーンの強靱化、これらに向けて、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えています。

住吉分科員 非常に重要な分野だと思っております。

 その中で、今御答弁にもありましたラピダスについてお伺いしたいと思いますが、世界で最先端、二ナノメートルの半導体の量産、これを二〇二七年に開始することを目指しております。一方で、このラピダスというのは、設立から二年に満たないベンチャー企業による最先端技術への挑戦、これは業界の常識からするとかなりハードルが高いとの見方もあるようでございます。

 この案件自体は、補助事業ではなく委託事業を取っております。委託事業は、業務をほかの組織や企業に委託することであり、委託される側は委託者の指示に従って業務を遂行するということでございます。

 ちょっと時間もなくなったので、通告しておりませんが、前回、財政制度等審議会、この分科会で様々な意見が出ました、それをちょっと質問させていただく予定だったんですが、この中では、委員からは、民間資金や人材を呼び込める安定的な支援を講じるべきだであったり、また、官民のリスク分担、これを見直して民間投資を促進すべきだというような声も上がっております。分科会の増田寛也会長代理、これは会見後の、記者会見で、巨額の財政出動の効果を検証すべきというのは共通意見だというようなことも述べております。

 最後、大臣にお伺いしたいんですが、この財政制度等審議会でのいろいろなやり取りを受けて、大臣の率直な受け止めといいますか、感想を最後にお聞かせいただければと思います。

齋藤(健)国務大臣 財政審議会においては、従来から、それぞれの役所に関係する様々な財政支出について御議論いただいておりまして、経済産業省においても様々な御指摘をいただいているところでありますので、それらについては受け止めながらも、必要なものはしっかりと財政資金を確保していくというのが我々の基本的な考え方でありますので、よく議論をしていきたいなというふうに思っています。

住吉分科員 ありがとうございます。

 時間ですので、終わります。ありがとうございました。

井坂主査 これにて住吉寛紀君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして経済産業省所管についての質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

井坂主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより厚生労働省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。武見厚生労働大臣。

武見国務大臣 令和二年度、令和三年度及び令和四年度厚生労働省所管一般会計及び特別会計の決算の概要につきまして御説明申し上げます。

 まず、令和二年度の決算について申し上げます。

 一般予算につきましては、歳出予算現額四十五兆八千九百十八億円余に対して、支出済歳出額四十兆三千七百四十六億円余、翌年度繰越額四兆四千九百八十一億円余、不用額一兆百九十億円余で決算をいたしました。

 次に、特別会計の決算につきまして御説明申し上げます。

 第一に、雇用保険特別会計につきましては、労災、雇用及び徴収の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額十兆五千八百八十六億円余、支出済歳出額九兆五千百九十億円余、翌年度繰越額六千八百四十五億円余、未経過保険料に相当する額二百二十四億円余、支払備金に相当する額一千六百九十億円余であり、一般会計からの超過受入額を調整し、差引き一千八百八十二億円余をこの会計の積立金から補足するなどして、決算をいたしました。

 第二に、年金特別会計につきましては、基礎年金勘定等の六勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額九十四兆五千九百七億円余、支出済歳出額九十一兆八千四十三億円余、翌年度繰越額七十二億円余であり、差引き二兆七千七百九十一億円余をこの会計の積立金として積み立てるなどして、決算をいたしました。

 最後に、東日本大震災復興特別会計につきましては、歳出予算現額二百九十五億円余に対して、支出済歳出額百九十九億円余、翌年度繰越額六十四億円余、不用額三十一億円余で決算をいたしました。

 次に、令和三年度の決算について申し上げます。

 一般会計につきましては、歳出予算現額四十九兆三千二百九十六億円余に対して、支出済歳出額四十四兆七千二百九十八億円余、翌年度繰越額三兆四千四百十億円余、不用額一兆一千五百八十八億円余で決算をいたしました。

 次に、特別会計の決算につきまして御説明申し上げます。

 第一に、労働保険特別会計につきましては、労災、雇用及び徴収の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額十兆四千八百五十五億円余、支出済歳出額八兆六千百三億円余、翌年度繰越額五千七十八億円余、未経過保険料に相当する額二百二十九億円余、支払備金に相当する額一千六百六十四億円余であり、一般会計からの超過受入額を調整し、差引き八千五百二十三億円余をこの会計の積立金として積み立てるなどして、決算をいたしました。

 第二に、年金特別会計につきましては、基礎年金勘定等の六勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額九十六兆三千七百五十九億円余、支出済歳出額九十二兆七千二百四十七億円余、翌年度繰越額一千百十三億円余であり、差引き三兆五千三百九十九億円余をこの会計の積立金として積み立てるなどして、決算をいたしました。

 最後に、東日本大震災復興特別会計につきましては、歳出予算現額二百四十八億円余に対して、支出済歳出額二百十五億円余、翌年度繰越額十二億円余、不用額二十一億円余で決算をいたしました。

 次に、令和四年度の決算について申し上げます。

 一般会計につきましては、歳出予算現額四十三兆五千五百二十八億円余に対して、支出済歳出額四十兆四百五十億円余、翌年度繰越額一兆九千八百八十五億円余、不用額一兆五千百九十三億円余で決算をいたしました。

 次に、特別会計の決算につきまして御説明申し上げます。

 第一に、労働保険特別会計につきましては、労災、雇用及び徴収の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額八兆二千八百八十七億円余、支出済歳出額七兆五千三百五十五億円余、翌年度繰越額八百八十億円余、未経過保険料に相当する額二百五十七億円余、支払備金に相当する額一千六百三十六億円余であり、一般会計からの超過受入額を調整し、差引き二千七百七十五億円余をこの会計の積立金として積み立てるなどして、決算をいたしました。

 第二に、年金特別会計につきましては、基礎年金勘定等の六勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額九十七兆一千九百九億円余、支出済歳出額九十二兆九千二百八十七億円余、翌年度繰越額百十六億円余であり、差引き四兆二千五百四億円余をこの会計の積立金として積み立てるなどして、決算をいたしました。

 最後に、東日本大震災復興特別会計につきましては、歳出予算現額百七十三億円余に対して、支出済歳出額百五十九億円余、翌年度繰越額五億円余、不用額八億円余で決算をいたしました。

 以上をもちまして、厚生労働省所管に属する一般会計及び特別会計の決算の説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願いを申し上げます。

 以上でございます。

井坂主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院長岡第二局長。

長岡会計検査院当局者 令和二年度厚生労働省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項五十四件、意見を表示し又は処置を要求した事項四件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号三二号は、保険料の徴収が適正でなかったもの、三三号は、保険料等の徴収が適正でなかったもの、三四号及び三五号は、委託費の支払いが過大となっていたもの、三六号及び三七号は、保険の給付が適正でなかったもの、三八号及び三九号は、医療費の支払いが過大となっていたもの、四〇号から八二号までの四十三件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの、八三号から八五号までの三件は、介護給付費等の支払いが過大となっていたものであります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、国民健康保険の保険基盤安定負担金の交付額に関して、適宜の処置を要求し、是正改善の処置を求めたもの、その二は、障害児通所支援事業に関して、適宜の処置を要求するとともに、是正改善の処置を求めたもの、その三は、新型コロナウイルス接触確認アプリ等の各種システムの開発、保守等に係る業務の実施に関して、是正改善の処置を求め、及び改善の処置を要求したもの、その四は、放課後児童健全育成事業に係る子ども・子育て支援交付金に関して、適宜の処置を要求し、是正改善の処置を求めたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、離職者等再就職訓練事業の託児サービス経費に関するもので、これについて指摘したところ、改善の処置が取られたものであります。

 続きまして、令和三年度厚生労働省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項百四十六件、意見を表示し又は処置を要求した事項五件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号五三号は、保険料の徴収が適正でなかったもの、五四号は、保険料等の徴収が適正でなかったもの、五五号から六一号までの七件は、委託費の支払いが過大となっていたもの、六二号から六四号までの三件は、保険の給付が適正でなかったもの、六五号は、医療費の支払いが過大となっていたもの、六六号から一九五号までの百三十件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの、一九六号から一九八号までの三件は、介護給付費等の支払いが過大となっていたものであります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、障害児通所支援事業に関して、適宜の処置を要求するとともに、是正改善の処置を求めたもの、その二は、雇用調整助成金等及び休業支援金等の支給に関する事後確認の実施に関して、是正改善の処置を求め、適宜の処置を要求し、及び改善の処置を要求したもの、その三は、雇用調整助成金の支給に関して、意見を表示したもの、その四は、生活保護業務における情報提供ネットワークシステムを通じた情報照会の実施状況に関して、改善の処置を要求したもの、その五は、施設整備補助金により社会福祉施設等に整備した非常用設備等に関して、改善の処置を要求したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、キャリアアップ助成金等に関するもので、これについて指摘したところ、改善の処置が取られたものであります。

 最後に、令和四年度厚生労働省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項百四十六件、意見を表示し又は処置を要求した事項五件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項三件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号五九号は、保険料の徴収が適正でなかったもの、六〇号は、保険料等の徴収が適正でなかったもの、六一号は、支払い額が過大となっていたもの、六二号から六五号までの四件は、保険の給付が適正でなかったもの、六六号及び六七号の二件は、医療費の支払いが過大となっていたもの、六八号から一九九号までの百三十二件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの、二〇〇号及び二〇一号の二件は、保険給付に係る費用の徴収が適正でなかったもの、二〇二号から二〇四号までの三件は、介護給付費等の支払いが過大となっていたものであります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、生活扶助費等負担金等の算定に関して、適宜の処置を要求するとともに、是正改善の処置を求めたもの、その二は、事実と異なる申請を行っていた指定医療機関等に関して、適宜の処置を要求し、及び是正改善の処置を求めたもの、その三は、国民健康保険特定健康診査・保健指導国庫負担金に関して、適宜の処置を要求し、是正改善の処置を求め、及び意見を表示したもの、その四は、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金により民間検査機関に整備した次世代シークエンサーに関して、意見を表示したもの、その五は、後期高齢者医療広域連合が実施している高齢者保健事業に関して、意見を表示したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、社会福祉施設等災害復旧費国庫補助金の交付額の算定に関するもの、その二は、介護施設等における陰圧装置設置事業の実施に関するもの、その三は、労働保険事務組合に対する報奨金の交付額の算定に関するものであり、これら三件について指摘したところ、それぞれ改善の処置が取られたものであります。

 以上をもって説明を終わります。

井坂主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置のうち、こども家庭庁所管を除く部分について説明を聴取いたします。武見厚生労働大臣。

武見国務大臣 まず、厚生労働省所管の先ほどの一般会計及び特別会計決算に関する概要説明で二か所訂正がございますので、訂正をさせていただきます。

 まず、令和二年度の決算についてのところで、一般会計と述べるべきところを一般予算と述べたようでございます。これは一般会計に訂正をお願いを申し上げます。

 また、同じく令和二年度決算につきまして、労働保険特別会計と申し述べるところ、雇用保険特別会計と述べたようでございますので、これを労働保険特別会計に訂正をお願い申し上げます。

 訂正は以上であります。

 令和二年度、令和三年度及び令和四年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりであり、誠に遺憾であります。

 御指摘を受けた事項につきましては、その是正措置を講じているところでありますが、今後このような御指摘を受けることがないよう、指導監督の強化を図り、より一層予算の適正な執行に努めてまいる所存であります。

井坂主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井坂主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

井坂主査 以上をもちまして厚生労働省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

井坂主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。佐藤英道君。

佐藤(英)分科員 公明党の佐藤英道です。

 まず、能登半島地震の仮設住宅における介護、福祉サービスの提供についてお伺いをいたします。

 四月の二十七日と二十八日、公明党の能登半島地震災害対策本部の一員として、被災地の一日も早い復興に向けて石川県内で調査活動を行ってまいりました。福祉や介護、リハビリなど、各種二十四団体との政策要望懇談会にも出席し、直接お聞きしてきた被災地の生の声を踏まえて質問をさせていただきたいと思います。

 さて、能登半島地震の被災地支援のために、予備費の使用の閣議決定が四月二十三日に行われました。この中で、福祉・介護サービス提供体制緊急整備事業約十六億円は、高齢者や障害者に対する総合相談、食事や入浴などを提供するデイサービス機能などを有するサポート拠点を仮設住宅の中などに設置するための経費を支援するものと承知をしております。

 仮設住宅には多くの高齢者の入居が予想されます。長引く避難生活で、健康状態が悪化した高齢者も多いです。仮設住宅に入居後、孤立することなく、必要な医療や介護、福祉サービス、見守り、相談支援を受け、安心して暮らせる環境を整備する必要があり、速やかにサポート拠点を整備していただきたいと思います。

 また、このサポート拠点を機能させるためには、介護や福祉人材の確保が不可欠であります。被災地では、自宅の被災により遠方に転居せざるを得ないことなどから、介護や福祉人材の離職も相次ぎました。被災地で必要な介護、福祉人材を確保していただくことへの支援も急務であります。併せて武見厚生労働大臣の見解を伺います。

武見国務大臣 被災地の仮設住宅の建設が進む中、介護、福祉サービスの提供体制の回復に向け、先月二十三日に閣議決定した予備費を活用し、仮設住宅内などに、高齢者等に対する総合相談や、食事、入浴等を提供するデイサービス機能を有するサポート拠点の設置に係る財政支援を行うことといたしました。あわせて、仮設住宅に入居した高齢者等に対し、被災者見守り・相談支援等事業を活用して、戸別訪問などにより、見守りや日常生活上の相談支援等を実施する取組を進めることとしております。

 また、福祉、介護人材確保のため、予備費を活用し、震災の影響により休業などした介護事業所等の事業の再開に伴う割増し賃金や手当などのかかり増し経費への財政支援も行うこととしており、引き続き、被災自治体ともしっかり連携しながら、地域の実情に応じた復旧復興支援に取り組んでまいりたいと思います。

佐藤(英)分科員 次に、災害関連死を防ぐリハビリテーション支援について伺います。

 一般社団法人日本災害リハビリテーション支援協会、いわゆるJRATは、二月に視察をした金沢市内の一・五次避難所を始め能登半島地震の被災地域で、災害関連死や生活不活発病を防ぐために、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などリハビリテーションの専門家が現地に入り、支援に取り組んでおります。

 災害救助法では、救助の種類として医療を挙げ、都道府県知事等は、必要があると認めるときは、医療関係者を救助に関する業務に従事させることができると定めております。しかし、同法の施行令には、医療関係者として、医師や看護師のほか、臨床工学技士や救命救急士、歯科衛生士等が明記されておりますが、リハビリテーション専門職は含まれておりません。

 災害救助法における医療に、助かった命を再び生活に戻すことであるリハビリテーションが含まれることを明確にし、災害救助法の施行令や関連する通達などに理学療法士や作業療法士、言語聴覚士を、医師や看護師等のほかの医療職と同じように明記すべきと考えます。

 また、JRATなどの支援団体が被災地で活動をするためには、自治体との平時からの連携強化も欠かせません。今回の能登半島地震の経験を生かして、今後、支援団体と地方自治体との連携強化に向けてどのように取り組んでいく方針か、併せて大臣の見解を伺います。

武見国務大臣 委員御指摘の、災害救助法におけるリハビリテーションの位置づけにつきましては、同法を所掌する内閣府の事務取扱要領において、災害時に編成、派遣される救護班のスタッフとして、生活不活発病の予防などの健康管理に必要な保健医療専門職等が含まれることを示しておりまして、この専門職には、御指摘の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等も含まれます。

 また、委員御指摘の平時からの連携については、災害時への備えとして、医療提供体制の確保に関する基本方針や介護保険事業計画の基本指針に、自治体とJRATを含む関係団体との連携を明記をしております。また、そうした連携の基礎として、関係団体等を含めた協議会の設置など、地域リハビリテーションの基盤づくりに取り組んでおり、引き続き、平時からの自治体と関係団体との連携を促してまいりたいと思います。

 能登半島地震の経験や委員の御指摘も踏まえまして、関係府省とも連携して、災害時におけるリハビリテーションの在り方について必要な検討を進めてまいりたいと思います。

佐藤(英)分科員 どうぞよろしくお願い申し上げます。

 能登半島地震におきましては、甚大で広域的な被害であったために、石川のJRAT単独で被災地支援活動を展開することは極めて困難との判断で、石川県からJRAT、日本災害リハビリテーション支援への依頼に基づいて、全国規模で医師やリハビリテーション専門職を公募し、チーム編成を行い、県外からも多くのチームが派遣され、発災後から避難所等の支援活動が展開をされました。

 今回のような大規模な災害における被災地支援活動には、全国から必要な支援のための人員調整、いわゆるマッチングが不可欠であり、事務作業、ロジスティック等にも県内外にかかわらず費用弁済が行われることが必要と思います。

 現地での調整が難しく、東京などの本部などでマッチング、調整する場合の経費についても国が支援できる仕組みを是非検討すべきと考えますが、見解を伺います。

間政府参考人 お答えいたします。

 JRAT、日本災害リハビリテーション支援協会を始めとする災害支援につきましては、現地活動費用は災害救助費で支弁いたしますけれども、御指摘の本部の調整機能については、一部のものを除き、国による支援を行っていないのが現状でございます。

 今後の被災地での災害対応の在り方については、委員御指摘の点も含めまして、今回の経験を踏まえながら、関係府省庁と連携して引き続き検討してまいりたい、このように考えております。

佐藤(英)分科員 引き続き、検討をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、能登半島地震を踏まえた病院船の在り方について伺います。

 能登半島地震では、半島という地理的特性と道路の寸断により被災者支援が難航する中、海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」や海上保安庁の巡視船による救援物資の海上輸送が行われ、被災地の孤立状態の解消に大きく貢献をされました。

 令和三年六月に、災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する法律が成立し、災害時における医療分野での船舶利用について、政府において既存の船舶を活用した災害医療活動の具体化に取り組むこととされました。

 また、船内で医療行為を行う機能を有する病院船の活用については、厚生労働省や内閣府、防衛省、国土交通省において調査検討が実施されております。

 病院船に関する現状と、能登半島地震を踏まえた病院船の在り方について、厚生労働省の見解を伺いたいと思います。

浜地副大臣 お答えいたします。

 今後、高い確率で発生が予想されます南海トラフ地震などの災害に備えまして、災害時には一人でも多くの命を救うため、船舶を活用した医療活動の実施に向けまして、御指摘の法律の施行の準備を政府全体で進めております。

 具体的には、内閣官房を中心に、厚生労働省も協力をしながら、船舶活用の在り方、発災時の医療資器材の調達方法等について調査検討を行ってきております。またそのほか、民間事業者や自衛隊の船舶を実際に活用して、医療資器材の搭載、設営、そして患者の搬送、DMAT等の医療チームによる救援活動の実動訓練を重ね、課題の検討などを行ってきております。

 また、厚生労働省としては、関係団体と調整を行い、船舶を活用した医療活動が実際に展開される際に必要な医療チームの確保や医療器材の整備を行うための準備を進めているところでございます。

 先ほど指摘がありました、今般の能登半島地震におきましても、船舶による海からの災害救援物資の輸送等の支援活動が非常に効果的でありました。したがいまして、厚生労働省としても、災害時に船舶を活用しました医療提供体制の整備に向けて、引き続き、内閣官房を始めとした関係省庁や有識者等と連携し、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

佐藤(英)分科員 是非ともよろしくお願いしたいと思います。

 次に、遠隔医療の拡充について伺います。

 医師の偏在や診療科目の偏在対策については、武見大臣の強い強いリーダーシップの下で、厚生労働省内に検討体制ができたと承知をしております。

 私の地元北海道は、医療過疎地も多く抱えまして、医師の地域偏在や診療科における医師不足の解消が長年の喫緊の課題であります。北海道の経験に照らせば、医師偏在の対策の一つがオンライン診療などの遠隔医療の拡充であります。

 令和六年度の診療報酬改定で、遠隔連携診療料の対象疾患がてんかんに加え指定難病を含む形に拡大されたことは、これは北海道も以前から要望させていただいたものであり、対応に感謝をさせていただきたいと思います。

 一方、北海道の場合、例えば僻地診療所における診断や治療、救急搬送の要否については、医師や救急隊員が遠隔地の専門医にオンラインで助言や判断を求めるなど、てんかんや指定難病患者以外のケースにおいても遠隔医療が地域の医師不足を補う状況にあります。

 現状、こうした専門医による医師や救急隊員への助言は無償で行われておりますけれども、地域医療を持続可能なものにするためにも、今後の医師偏在対策の検討においては、遠隔連携診療料を含めて、地域の医療機関が遠隔医療をより一層活用しやすくするような方策について是非とも検討すべきであります。厚生労働大臣の見解を伺います。

武見国務大臣 オンライン診療を含む遠隔医療の推進は重要な課題であると認識をしておりまして、委員御指摘の診療報酬での対応も含め、様々な取組を進めてまいりました。

 このうち、遠隔連携診療料につきましては、令和六年度診療報酬改定において、関係学会からの提案を基に中央社会保険医療協議会、中医協において議論を行い、治療を目的とする場合の対象患者に指定難病患者を追加するとともに、かかりつけ医からの連携先とすることができる保険医療機関の対象を拡大する見直しを行ったところでございます。

 このほか、遠隔医療の普及に向けては、遠隔医療に関わる事例集や手引書を作成し、これを広く医療機関に対して周知するとともに、遠隔医療のための機器の整備に対する財政支援を行っており、この財政支援については、今年四月に補助対象の拡大を図ったところでございます。

 今般の診療報酬改定の影響については、今後、実態の把握を行いまして、関係学会の御意見も踏まえつつ、今後とも、地域の医療機関における適切な遠隔医療の推進に資するよう取り組んでまいりたいと考えます。

佐藤(英)分科員 是非ともよろしくお願いしたいと思います。

 先日、一般社団法人gid.jp日本性同一性障害と共に生きる人々の会から、医療機関を受診する際の不安の声をいただきました。

 それは、昨年十月、生殖機能をなくす手術を性別変更の事実上の要件とする性同一性障害特例法の規定について、最高裁は手術要件を違憲と判断をいたしました。これにより、手術しなくても性別の変更が認められる道が開かれた、そのことはとても喜ばしいが、戸籍上の性別は男性だが身体は女性の方について、女性器由来の疾患の治療は保険診療の対象となるのでしょうか、また、戸籍上の性別は男性だが体は女性の方が婦人科で入院する場合、病室について配慮されるのかどうか、あるいは、婦人科に外来受診する場合、自身の体について一々説明する必要があるのでしょうかといった、医療機関を受診する際の不安の声を寄せられました。

 是非とも人権に配慮した対応が必要と考えますが、厚生労働省の見解を伺います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 保険診療につきましては、医学的な必要性に基づきまして診療の必要があると認められる疾病に対して、的確な診断を基に行うこととなっております。したがいまして、診療報酬上も、生物学的な性別に特有の疾患に対する診療につきまして、戸籍上の性別に係る制限は設けておりません。

 このため、例えば、女性器である子宮を有する方であって戸籍上の性別を女性から男性に変更した方が子宮がんに罹患した場合における手術等の診療については、保険診療の対象であるということは明らかでございまして、先生が御指摘のようなこと、誤解がないように、しっかりと現場に対処、対応してまいりたいと考えております。

浅沼政府参考人 続けてお答えいたします。

 医療は、医療の担い手と医療を受ける方との信頼関係の下で行われているものであり、医療機関においては、LGBT理解増進法の趣旨も踏まえ、患者様との適切な関係を構築することが重要であると認識しております。

 厚生労働省といたしましては、自治体に対して、病院等への立入検査や医療機関の担当者への研修等の機会を捉えて、性同一性障害の方々等が不当な取扱いを受けることがないよう徹底することを要請しているところでございます。

 性的指向やジェンダーアイデンティティーを理由とする不当な差別や偏見はあってはならないと考えており、引き続き、LGBT理解増進法の趣旨を医療関係者に対して周知をしてまいりたいと考えております。

佐藤(英)分科員 是非、人権に配慮した徹底を引き続きよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、子供ホスピスについて伺います。

 去る五月六日、小児がんや難病などを患うお子さんや御家族を支えているNPO法人北海道こどもホスピスプロジェクト主催の講演会に出席をいたしました。北海道内初の子供ホスピスであるくまさんのおうちは、マンションの一室を仮の施設として昨年二月から利用を開始いたしました。同施設と提携している北海道大学病院に入院しているお子さんと御家族が、数日間、治療や療養の合間に宿泊して、くつろぎの時間を過ごされております。

 小児がんや難病などを患うお子さんが御家族や友人らと安心して過ごすことができるよう、こども家庭庁や文部科学省など関係省庁と一層の連携を図り、子供ホスピスに対する支援を充実すべきと考えます。厚生労働大臣の見解を伺います。

武見国務大臣 いわゆる子供ホスピスにつきましては、現在、こども家庭庁において子供ホスピスに関する調査研究を行い、実態把握を進めるとともに、子供の居場所づくりモデル事業の中で子供ホスピスの取組について支援をしているものと承知しております。

 小児がんや難病などを患う子供たちへの支援として、厚生労働省といたしましては、小児がん拠点病院における学習の支援や付添家族の宿泊施設の整備に加えまして、難病を抱える児童やその家族などが相互に交流する機会の支援などの取組を行っているところでございます。

 昨年十二月に策定されたこども大綱において、子供ホスピスの全国普及に向けた取組を進めるとされていると承知をしております。厚生労働省としても、関係省庁と緊密に連携の上、子供の視点に立った支援が推進されるよう取り組んでまいりたいと思います。

佐藤(英)分科員 力強いお言葉をいただきました。今後とも是非よろしくお願いしたいと思います。

 次に、片目失明者の方々への支援について伺います。

 昨年、二〇二三年九月二十三日、札幌市内で開かれたNPO片目失明者友の会北海道支部交流会に出席をいたしました。久山公明会長を始め、友の会の皆さんから、片目が見えないことによる日常生活におけるハンディキャップについてお話をお聞きしました。

 片目が見えないことにより就職先が見つかりにくい、自動車免許が取得しづらい、義眼や斜視、白濁、萎縮、眼帯により偏見や差別等を受けている、遠近感が取れにくいために体が疲れやすい、階段を踏み外してしまうなど、切実なお話ばかりでありました。

 このように、様々な日常生活におけるハンディキャップがある片目失明者の支援などについて、是非とも当事者の方々の御意見を聞きながら対応を検討していただきたいと思います。厚生労働大臣の見解を伺います。

武見国務大臣 身体障害者福祉法に基づく身体障害の認定基準につきましては、医学的な観点からの身体機能の状態などを基本として定められており、視覚障害の場合は、視力のよい方の目の視力等による判定を行うこととしております。このため、片目失明の場合も、失明していないもう片方の目の視力が〇・六を上回る場合には障害認定されないということになります。

 一方で、片目失明の方々が日常生活で不便を感じているという声は伺っておりまして、現在、令和四年度から六年度にかけて、片目失明の支援方法等に関する厚生労働科学研究を実施をしております。引き続き、当事者の意見をしっかりと伺いながら、この調査研究を進めていきたいと思います。

佐藤(英)分科員 是非ともよろしくお願いをしたいと思います。

 最後に、メディカルウイングについてお伺いいたします。

 北海道では、全国に先駆けて、平成二十九年七月から、医療用小型ジェット機であるメディカルウイングを運航しております。面積が広大で、かつ医療資源の偏在が著しい北海道において、高度専門的医療を必要とする患者を高度専門医療機関へ計画的に搬送し、誰もがどこに住んでいても必要な医療が提供される地域医療提供体制を推進することを目的としており、この七年間、平成二十九年度から令和五年度の搬送件数は百四十一件、直近の令和五年度の搬送件数は十七件となっております。

 メディカルウイングは、航続距離が長く、関東や関西圏を始め、日本全国の空港間を活動範囲としており、また、有視界飛行であるドクターヘリとは異なり、計器飛行のため夜間や多少の悪天候でも飛行が可能であるとともに、振動や騒音が少なく、気圧調整が可能なために、患者の身体的負担が少ないというメリットがあります。

 その一方、空港間の運用であり、病院と空港の間は救急車の搬送となるために、搬送に関わる消防機関関係者との連携の必要性や、運用時間が空港の運用時間に左右されるなど、デメリットもあるということも承知をしております。そもそも、空港がなければ運用できず、空港が被災して使えない場合もあります。

 そこで伺いますが、昨年の予算分科会で私は、冬期間についてはメディカルウイングが離発着できなかった札幌市内にある丘珠空港の滑走路延伸についてお伺いをいたしました。札幌市は二〇三〇年に延伸を目指す方針と聞いておりますが、この度、改めて、メディカルウイングの現状と課題について、また、課題の解決に向けた取組について厚生労働省の見解をお伺いしたいと思います。

浜地副大臣 お答えいたします。

 北海道におきましては、ここで運航されておりますメディカルウイング、これは、僻地における住民など、近隣の医療機関では治療困難な場合でも、高度専門医療機関が所在する都市部へ輸送できることから、大変重要であると考えております。このため、厚生労働省では、運送経費に対して財政支援を行っているところでございます。

 先ほど佐藤委員からも御指摘がありましたとおり、札幌市内へ患者を搬送する際、冬の期間中に丘珠空港が利用できないことになっております。この課題につきましては、冬期、利用できませんので、隣の市であります新千歳空港を使って、そこから陸路で札幌の医療機関に搬送する必要がありまして、時間や身体的な負担も増しているという課題があることを厚生労働省も認識をさせていただいております。

 こうした中、札幌市によりますと、この丘珠空港において、滑走路を一千八百メーターに伸長される計画があるというふうに伺っております。こういったことが実施をされ、路面の条件や気象条件が整った場合には、冬期もメディカルウイングの運航が可能となるということが示されておりますので、厚生労働省としましては、こうした動きをしっかりと注視をしながら、引き続きまして、航空機を用いた患者搬送体制が効果的に確保されるよう、関係団体と連携しながら必要な支援を実施してまいりたいと思っております。

佐藤(英)分科員 ありがとうございます。

 全国では唯一、北海道だけメディカルジェットが運航されております。是非、武見厚生労働大臣、そしてまた浜地厚生労働副大臣、北海道に行かれて、やはり全国でここだけのメディカルウイングでありますので、御視察をいただければ大変にうれしく思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 質問を終わります。

井坂主査 これにて佐藤英道君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部(知)分科員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、決算行政分科会のお時間をこの厚生労働問題で頂戴をいたしまして、ありがとうございます。

 私は元々厚生労働委員会に所属しておりますので、委員会でお尋ねしてもよいのですが、少しまとまって実は大臣とゆっくり質疑をさせていただきたいと思って、今日、このお時間をお願いをいたしました。

 ちょうど、コロナワクチン、コロナの我が国への到来と、それに対して最も有効と考えられてワクチン接種が始まった二〇二一年二月十四日、これは、当時は医療関係者からまずモデル的にやるということで始まってございまして、そこから、二〇二四年の三月三十一日で公的な補助のある接種は終了というところで、丸三年が経過をいたしております。このワクチン接種ということと、その効果、及ぼした社会的影響、副反応などについて、一回、中間総括をしてみる必要があるということで、今日お願いをいたしました。

 まず、武見大臣にあっては、この間、延べ四億三千六百万回接種がされまして、せんだっても、公的接種の終了に当たって、残っているワクチンは全て処分ということになって、それにかかった費用が六千億以上であるということが財政的には問題になっておりまして、それはそれであろうと思いますが、私は、むしろ、このワクチン接種における国民とのリスクコミュニケーションがどうであったかということでお尋ねをしたいと思います。

 四億三千六百万回接種で、報道されるというか、報告される副反応疑い、これは、医師から上がる、あるいは製薬会社から上がる、まれには御本人や御家族から上がるというものもございますが、三万七千五十一件、うち重篤なものが八千九百八十八件、うち死亡が二千百九十三件であります。

 私は元々小児科医でありますので、小児科医の業務の多くは実は予防接種と現在なっておりまして、そして、そろそろ五十年も小児科医をやっておりますが、これだけの数の接種による死亡というのは実は経験したことがございませんで、こうした事態を前に国民も不安を持っていることと思います。数の多さもそうなんですけれども、果たして副反応としてきちんと自分の訴えが受け入れられているかどうかというところも、国民側からは大変大きな疑念となってございます。

 大臣のお手元に、まず、資料二枚目と三枚目をお開きいただきますと、ここには、いわゆる医療従事者に接種が始まったときのコホート調査。医療従事者ですから対象がつかまえやすい、そこで、長期に遷延する持続性のいわゆるワクチン接種後の症状があるかないかということをつかまえたのが、一枚目の、ナンバーですと二ですが、資料でございます。このうち、例えば、接種後の症状の持続期間で最長のもの、三百六十五日感覚鈍麻となってございますが、そのほかにも、三十九日から、それに類いするような、持続する、いわゆる三十一日以上であったと報告される事例がここにまとめられております。

 そして、もう一枚めくっていただきますと、これは、そういう遷延するワクチン接種後の症状があるのではないかということで、厚生労働省としても、その因果関係は別として、接種後の現状を把握しようということで、大曲先生にお願いしてやられた研究班の結果でございますが、下に簡単なグラフのようなものが出ておりまして、これを見ていただきますと、予防接種の副反応が三十日以内、二十九から三十五までのところ、確かにピークはございますが、その後もだらだらと症状の訴えが続いております。副反応かどうかは、これは、その後の審査会等々で決まってくる因果関係を含めて、あるわけですが、自覚されて症状と考えられたものがこれだけあるということです。

 私は、ちなみに、このグラフの数を数えてみますと、これは二百十二例あって、そのうち五十三例がいわゆる三十一日以上の持続する症状ということの訴えであります。

 武見大臣にお伺いいたします。一問目です。

 今の調査方法で、こうした持続する、患者さんがというか打った方が不調を抱えて、副反応ではないかと懸念されるような症状があるという実態については御認識でしょうか。

武見国務大臣 新型コロナワクチンの接種後に生じる症状につきましては、遷延する症状をも含めまして、副反応疑い報告制度等により、幅広い情報収集に努めてきたところでございます。具体的には、アナフィラキシーや心筋炎など、報告基準として規定している症状に加えまして、遷延する症状を含めて、これら以外の症状の報告も検討するよう自治体や医療機関に対して周知をしております。

 なお、副反応疑い報告制度のほか、健康状況調査等により接種後の症状の把握を行っているとともに、新型コロナワクチン接種後の遷延する症状については、厚生労働省の研究班、先ほど先生の御言及もありましたが、その研究班において二〇二三年二月より調査を行い、審議会に報告をしていただいているところでございます。

阿部(知)分科員 大臣が周知をしておるとおっしゃるんですが、その周知に値するものは、お手元の一ページ目の、報告基準についてと記載された文書であると思います。

 各副反応ごとに、例えば、アナフィラキシーはすぐ起こるので四時間とか、血栓症が二十八日、心筋炎、心膜炎は二十八日、熱性けいれんは七日。そして、今大臣の御答弁は、予防接種との関連性が高いと医師が認める期間ということで、ここには期間を限定していないんだという御認識を述べられたと思うのですけれども、多くこれまで報告に上がっている件数を見て、その中身を見ますと、例えば三万七千五十一件のうちでも、多くが三十日以内のものになってございます。

 私は、周知徹底の方法が不足しておると思うのであります。どうやって周知徹底されるかというと、厚生労働省が局長名で出しておられる、定期の予防接種等による副反応疑いの報告等の取扱いについてという文書がございまして、その中にどのようにコメントされているかということでございますが、これは担当部局で結構ですが、こうした遷延するものについての報告について、何か特別な記載がございますでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘いただいたとおり、該当する通知、当時は局長通知、今は部長通知という形にはなりますけれども、その中で、遷延する又は遅発的に起こり得るということを明示的にということで申しますと、必ずしもそのような記載にはなりませんが、ただ、先ほど委員が御指摘いただいたとおり、例えば、委員からお示しいただいた資料の一枚目にあるとおり、これは、二十八日を過ぎた後も起こり得るんだということを前提とした知らせ方をしているというところでございます。

阿部(知)分科員 明示していただくことが大事なのであります。明示していないという御答弁でした、遷延するもの、長く持続するもの。

 やはり私は、これ一枚見ただけでは、定期予防接種との因果関連が高いと医師が認める期間というのを、遷延すると読み込んだり、そのように受け止めるか否かというところでは、確定的ではございません。

 是非、皆さんが出しておられる報告の取扱いについてという政令、自治体に通知になるんでしょうか、その中に、遷延するとか長期のとかについての報告も併せて求めていただきたい。武見大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 副反応の疑いの報告の取扱いに関する通知におきまして、新型コロナワクチンについては、報告基準に明記されていない症状も含め、幅広く評価を行っていく必要性があることから、広く症状の報告を求めることを周知しているところでございます。

 医療機関などから、新型コロナワクチンに係る、遷延する症状も含めた報告がなされているものと承知をしております。また、新型コロナワクチン接種後の遷延する症状につきましては、厚生労働省の研究班において二〇二三年二月より調査を行っております。審議会に報告もしていただいているところでございます。

阿部(知)分科員 大臣、ちゃんと聞いていただいていないと思うんですね。私は、通知に書けと申しているのであります。というのは、研究班があるのも存じています、また、この基準ということが発表されているのも。しかし、多くはこの通知、通達で各自治体並びに医療機関にも行くわけであります。

 例えば、子宮頸がん、ヒトパピローマウイルス感染症については、いろいろ広範な、疼痛を訴えた場合にもそれを報告することとか、わざわざ書いてあるわけです。それが本来の、接種との関連性はどうであれ、取りあえず報告をしていただいて、広く国民の不安を拾う。医療関係者も同様です。そういう訴えを受けたときに、それをきちんと報告して、国が調査、判断をする素材でありますので。

 是非、大臣、もう一度伺います。

 私は、ヒトパピローマウイルスも問題と思ってはおりますが、ここには、ちゃんとこの通知の中に述べられておりますので。遷延する、今大臣もおっしゃいました、あることは、因果関係は別として、多く報道されておりますので、是非その点を通知に入れていただきたい。もう一度、お願いいたします。

武見国務大臣 改めて、この遷延する症状についての取扱いについては検討させていただきます。

阿部(知)分科員 大変ありがとうございます。

 これが国民の不安との大きな行き違いになっていて、例えば国の研究班はちゃんと見ていないんじゃないかとか、私は正直言って、すごくそれは残念なんです。ワクチンというのは、信なくば立たずの業務であります。その信頼を、どうやって少しでも行き違いを除いていくかということに大臣の今の御答弁を生かしていただければと思います。

 もう一つ、コロナワクチンには保護者報告制度というのがございます。今までの報告ルートは、先ほど申し述べましたが、医療機関か製薬会社でございますが、保護者からの報告制度というのを取り入れた。これは開いて四ページ目の資料にございますが、その心はということと、これまでの実績について担当部局からお願いします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、副反応を疑う症状に関する情報収集については、これは法律に基づいて、医療機関や製造販売業者による副反応疑い報告制度に加え、当事者からも広く情報収集するため、ワクチン接種後に発生した症状に関して被接種者又は保護者から、これは、市町村が相談を受けた場合には、保護者等に対し必要に応じて市町村へ報告をいただくよう促しております。

 これは、なぜこのような仕組みを設けているかということの直接的なお答えで申し上げますと、広くその情報を収集した上で、その上で副反応に対する様々な対応が必要だからでございます。

 また、ワクチンに限らない医薬品全般の副作用が疑われる症状に関する情報を収集するため、患者又は家族の方が医薬品による副作用が疑われる症例についての情報を把握した場合、こちらは直接PMDAに副作用報告をするという仕組みになっております。(阿部(知)分科員「実績」と呼ぶ)失礼しました。そうでした。

 実績でございます。

 これは、令和二年度はゼロでございましたが、令和三年度は七十四件、令和四年度は三十件、令和五年度は二十一件、令和六年度、一か月余りですが、現時点ではまだゼロという状況でございます。

阿部(知)分科員 確認ですが、令和二年度から始まったと見てよいのでしょうか。報告が医療機関に義務化されたのが平成二十五年ですけれども、この保護者報告制度は令和二年から始まったと理解してよいのか。一点だけお願いします。

佐々木政府参考人 失礼しました。

 先ほど申し上げた数字は、新型コロナワクチンについて令和二年度以降の数字で、そのほかは御指摘のとおりでございます。

阿部(知)分科員 ありがとうございます。

 大臣、この数値、少ないと思いませんか、いかに何でも。せっかく制度を、広く国民に、問題があったら言っていらっしゃいという構えをつくった保護者報告制度。実は、ほかのワクチンでも余り多くはないんだと思いますが、今日はあえてそこに立ち入りませんで、これだけ他の報告の中で被害報告が多い中で、当事者の保護者、本人か御家族から上がる数が、今伺ったところ、令和三年、七十四、令和四年、三十、令和五年、二十一、桁が二桁くらい違うのかなと思います。

 私は、なぜこうなるのか、この保護者報告制度が周知徹底されておらないこと、それから、ここから武見大臣に是非お願いがあるんですけれども、こういうものをオンライン化されたらどうでしょうか。オンラインで報告していただく。もちろん玉石混交になりますが、知られてもおらず、ほとんど報告が上がらずでは、元々幅広く副反応と考えられ得るものを集めようという趣旨にのっとらないと思うのです。

 ちなみに、大臣、御存じだと思いますが、英国では、アドバース・イベント・リポーティング・システムというのがあって、そこには、接種された御本人あるいは御家族からオンラインで報告が上がるようになっております。大臣が日頃おっしゃるデジタル化の一つの活用と思いますが、いかがでしょう。

武見国務大臣 現在でも、患者又は家族の方々がPMDAに直接報告する場合には、スマートフォンなどを用いてオンラインで報告が可能となっておりますから、これを通じて是非御連絡をいただけるようなことが進めばよいのではないかなと思いますが。

阿部(知)分科員 今大臣がおっしゃったように、実は報告は四ルートあって、医療機関、製薬会社、PMDA、そして自治体の窓口の保護者報告制度。ところが、今大臣がいみじくもおっしゃったように、PMDAの方はオンラインでできるんです。でも、自治体の方がそうなっておらないので、これをオンライン化していただければいいのではないかと思うのです。

 正直言って、PMDAって、なかなか市民は知りません。その名前すら知りません。でも、自治体の窓口と言われれば身近ですし、オンラインでそこに報告といえば、もっと身近になると思います。大臣、いかがでしょう。

武見国務大臣 これは、総務省ともよく相談しなければできない対応の課題だとは思います。改めて、現在、こうした周知する方法、いかなる形のものが最も効果的で適切か検討した上で、今後の対応を考えたいと思います。

阿部(知)分科員 大臣のお取組に期待をします。こういうことこそ、私はオンライン化して広く情報を集めるべきと思うし、できるんです。PMDAでもやっておりますから。自治体を束ねる総務省ともよく御相談いただきまして、是非、大臣の手で変えていただきたい。強く期待するものであります。

 次いで、このワクチンについて、大変多い死亡事例が上がっておりますが、その因果関係は別として、報告の上がっている件数から申しますと、接種開始から三年で二千百九十二人となってございます。

 例えば、インフルエンザワクチンと比較いたしますと、同じ三億千九百一万回ほどで比べましても、インフルエンザは四件、報告ではなくて救済制度の方で四件、これは救済しか調べられなかったので。コロナワクチンは一億九千三百四十七万回のときに四百十三件と、二桁くらい違う副反応の報告や救済事例となっておるということで、この一覧をここに上げさせていただきました。

 私は、冒頭、自分が長いこと小児科医をやってきて、これだけ多くの死亡事例が副反応疑いで上げられたことの経験がないと申し上げましたが、大臣は、この数についての印象というか、いかがお考えでしょう。

城政府参考人 私からお答え申し上げます。

 新型コロナワクチンと他のワクチンでございますが、これは、接種回数の推定方法でありますとか接種対象者が異なるなどの違いがございますことから、副反応疑い報告制度におけるワクチン接種後の死亡事例の報告数でありますとか報告頻度を単純に比較するというのは必ずしも適切ではないと考えているところでございます。

 新型コロナワクチンにつきましては、副反応疑い報告制度に基づく報告につきましては、審議会において評価をいたしておりまして、死亡例も含めて評価を行っているところでございますが、これまで、その安全性に重大な懸念は認められていないとされているところでございます。

 今後とも、ワクチンの安全性の評価は適切に行ってまいりたいと考えております。

阿部(知)分科員 安全性については問題ないというのは評価であって、私がお尋ねしたいのは、報告数が多いでしょうと。その一つすら認めないと。その検証した結果は、因果関係が確定されなかったという御意見です。そうではなくて、お尋ねしたのは、こんな多い数を見たことがないからであります。

 今、報告されたものを因果関係を調べていくにも、α、β、γ、結果を区分けしておりますが、膨大な数で、正直言って、これだって大変な作業を皆さん担っておられるはずです。厚生労働省だって大変な業務を担っていると思うんです。それくらい数が多く上がってきている。そこからまた、α、β、γをやっていかなければならない。

 そして、結果的に多くがγ。γとは何かというと、αは因果関係が想定される、βは否定、残り多くはγで、分からない。要するに、何とも言い難い、確定できないというものばかりでございます、だらけと言ったらいいのか。

 そして、それがまた、多く副反応報告を上げた、例えば医師であっても、これは因果関係ありじゃないかとして上げても、ほとんど採用されません。今まで二例とかだと思います。逆に、多くがγになっちゃうんですよね、九九・四%。いわく、情報不足により評価不能が二千百九十二人のうち二千百七十九人。ほとんど評価不能だと。やはりこれでは誠意がないと私は思うんです。

 その後、幾つか、例えば心筋炎が、二一年の七月から、ワクチンの注意書きのところに添えられましたよね。じゃ、その心筋炎という報告について、今まで上げられて報告されたものを振り返って検証されましたか。どうでしょう。これも担当部局でよろしい。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナワクチン接種後の副反応疑い事例の因果関係評価に当たりましては、御指摘のように、医療機関や製造販売業者から情報を収集しまして評価をしているところでございます。もちろん、御指摘のように、これも、ワクチン接種後の症状が偶発的な発生によるものなのか、それともワクチンを原因として発生したものなのかの判断は極めて難しいところでございます。

 御指摘のγでございます、情報不足等により因果関係が評価できない、これをγというものにしておりますが、こう評価された事例につきましては、追加の情報が必要となった場合でありますとか、そういった場合には、医療機関や製造販売業者に対しまして追加情報の報告をお願いするなど、必要な情報の収集に努めますとともに、一定以上の頻度で同様の事例が発生した場合には集団として解析をして、必要な場合には注意喚起を行うなど、解析結果を安全対策に活用しているところでございます。

 ワクチン接種後に報告された死亡とワクチンの因果関係評価におきまして、新型コロナワクチンが他のワクチンと比較して特にγ評価の割合が多いとは承知をいたしておりませんが、引き続き、ワクチン接種後の副反応を疑う事例につきましては、適切な評価ができるように取り組んでまいりたいと考えております。

阿部(知)分科員 何でも結果だけを言わないで、塩漬けにしたγはどう扱っているんですかと私は聞いたんですよ。

 例えば、心筋炎、心膜炎が多いとなったら、元に振り返って見てみましたかと伺ったら、昨日までのところは、見たことはないと。もうそこに塩漬けしちゃったら塩漬けのまま。それではやはり私は、新たな知見というのは、日進月歩、科学ですから、出てくるんですよね。是非、これは見直してみていただいて、やはりどんな副反応があるかはしっかり把握して。そして、あえて申しませば、これは大臣にお願いですけれども、いわゆるワクチン・セーフティー・データリンクといって、ワクチン接種と、医療的な、その人に起きたことを本来はリンクするようなシステムがデジタル化の中でできると思うんです。みんなブラックボックス、塩漬けボックス、関係ない、分からないで放置しないで、何か改善を考えていただきたい。

 一つは、振り返って見ること。一つは、その方の病状とワクチン接種がデータベース化されていて、それで突合していけば、また新たな発見ができるかもしれません。大臣は医療データのデジタル化に大変熱心でいらっしゃって、私も期待をしています。是非、ここにも生かしていただきたい。

 一つには、塩漬けにしないで、もうγに行っちゃったら未来永劫γ、これはないでしょうと。もう一つは、医療情報と合わせるような仕組みを是非考えていただきたい。大臣、いかがでしょう。

武見国務大臣 私も担当者などからも説明を聞いておりますけれども、決して、先生おっしゃるような塩漬けにしようなどというような思いは厚生労働省としても全くございません。改めて追加情報があれば必ず見直すという考え方は確実に持っておりますので、その点は是非誤解なきようにしておきたいと思います。

 その上で、先生御指摘のように、データベースはもう決定的に重要です。したがって、こうした副反応疑いとして報告された情報は、PMDAにおいてデータベースで今もう既に管理をしております。新型コロナワクチンの接種と副反応疑い事例の因果関係が、情報不足等により因果関係が評価できないというγと評価された場合でも、データベースに格納されました個別事案については、追加情報に基づく再度の評価が必要と判断される場合には、厚生労働省から医療機関等に報告をお願いするなど、必要な情報の収集に努めた上で、追加情報が得られた場合には、その都度評価の見直しを行うということになっております。

 ワクチンについては、リスクの可能性が疑われた場合などには、γと評価されたものを含めた事例の集積情報の解析結果などを審議会で議論し、必要な場合には国民の皆様にも注意を喚起をする、それが我々の立場です。

阿部(知)分科員 そのとおりなんですけれども、一例もなされていないんですね。それで御指摘をさせていただきました。

 最後の質問になります。

 ワクチンの接種を職務上の必要性でなさって、その結果ワクチン禍が起こった方について、医療関係者は労災認定されておりますのですけれども、何も、ワクチン接種をある意味業務命令というものにも似た形でなさっている方は医療関係者にとどまりません。例えば実習をする学生もそのように言われますし、ほかにもいろいろな職種がございます。

 大臣、労災の通知のところには医療関係者としか書かれていなくて、本来、なお書きで、業務起因性があるものについてはその限りではなく、きちんと指示命令系統を見て労災の適用もせよというふうになっておるんですけれども、全く徹底されていないんです。各職場、労災の担当部署に、なお書き、業務命令性があれば、これは労災によるワクチン接種禍だということを徹底していただきたい。いかがでしょう。

武見国務大臣 ワクチン接種後に健康被害に遭われた方に対しまして、適切な救済を行うことは極めて重要なことだと考えております。

 予防接種健康被害救済制度における給付を受けていたとしても労災保険給付の対象となる場合があることについて、厚生労働省のホームページで掲載をして、広く周知をしているところであります。この周知を更にきちんと徹底をいたしまして、両制度、これの連携をしっかりとするように努めていきたいと思います。

阿部(知)分科員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 是非、被害に遭われた方を労災できちんと対処していただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございます。

井坂主査 これにて阿部知子君の質疑は終了いたしました。

 次に、長妻昭君。

長妻分科員 立憲民主党の長妻昭でございます。よろしくお願いをいたします。

 まず、今、配付資料をお配りしておりますけれども、この一ページ目は警察庁からいただいた資料でございます。これについて、警察庁の方から資料の説明をお願いします。

親家政府参考人 今御指摘ありました資料につきましては、警察庁から委員に提出したものでございます。令和六年一月から三月までの間に警察が取り扱った死体のうち、自宅において死亡した独り暮らしの方の数を年齢階層別にお示ししたものでございます。

 その内容について簡単に申し上げますと、令和六年一月から三月までの間に警察が取り扱った死体は、暫定値になりますけれども、六万四百六十六体でありまして、そのうち、自宅において死亡した独り暮らしの方は二万一千七百十六体となっておるところでございます。

長妻分科員 六十五歳以上の方というのは何人でございますか。

親家政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げました自宅において死亡した独り暮らしの方二万一千七百十六体について、年齢別に見ますと、六十五歳以上は一万七千三十四体となっております。

長妻分科員 これは三か月分ということだと思うんですけれども、仮に一年というふうに推計をすると何人に、六十五歳以上で自宅において死亡した独り暮らしの方、警察取扱死体というふうになりますか。

親家政府参考人 お答えいたします。

 警察が取り扱う月ごとの死体の数につきましては、季節によって変動が見られるところでありますけれども、先ほどお答えした一月から三月までの三か月間の暫定値を年間分ということで単純に四倍いたしますと、約六万八千体となるところでございます。

長妻分科員 この資料は、どういうところに役立てようとして調査されたのでございましょうか。

親家政府参考人 お答えいたします。

 警察庁といたしましては、こういった数値については、様々な政府内での検討の場あるいは議論の場等で役立てていただければいいなということで集計したところでございます。

長妻分科員 特に様々な検討の部門というのは、具体的にどのワーキンググループですか。

親家政府参考人 お答えいたします。

 内閣府の「孤独死・孤立死」の実態把握に関するワーキンググループなどが挙げられるというふうに認識しております。

長妻分科員 これは「警察取扱死体のうち」というふうに書いてあるんですが、この警察取扱死体というのはどういうものなのか。つまり、多分、警察取扱死体と警察が取り扱わない死体と、二つに分けるとしたら、どのような違いがあるんでしょうか。

親家政府参考人 お答えいたします。

 警察が取り扱うのは、不自然な死を遂げたおそれのある死体でございます。具体的には、例えば、御家族や救急隊等からの通報を受け認知した死体や、医師から異状死の届出がなされた死体等について、その死が犯罪に起因するかどうかなどを判断するため、医師と連携し、死体の状況を確認するなどしているところでございます。

 他方で、例えば、病院でお亡くなりになり、医師から異状死の届出がなされないような死体につきましては、警察が取り扱うこととはならないものと承知しております。

長妻分科員 この六十五歳以上に注目したいんですが、六十五歳以上の方々の警察取扱死体のうち自宅において死亡した独り暮らしの方というのが年間推計六万八千人ということでございますが、この中に自殺も含まれますか。

親家政府参考人 お答えいたします。

 お示しした数には自殺の方も含まれております。

長妻分科員 そして次に、今日は内閣府から滝澤さんも来られておられて、滝澤さんは孤独・孤立対策推進室室長代理ということでございまして、この中に、先ほど答弁いただいた「孤独死・孤立死」の実態把握に関するワーキンググループというのが設置されたわけですね。

 そもそも、なぜ設置されたのかといいますと、私の方で、配付資料の八ページにございますが、ちょうど二年前の五月に予算委員会で岸田首相に、日本は孤独・孤立担当大臣がいるのに、孤独死の数もさっぱり分かりません、こんなことじゃ駄目なんじゃないの、お隣の韓国では法律ができて、毎年毎年孤独死の人数を公表して対策を講じているのに、全てのデータのベースにあるものが私は孤立死の総数の調査だと思っているんですが、それを岸田首相に強く申し上げたところ、岸田首相が、それを明らかにしていきたい、進めていきたいという御答弁を受けてワーキンググループをつくっていただいて、そこで議論をしているわけでございます。

 その中で、ワーキンググループには警察もオブザーバーで出ているので、資する資料ということで今の資料が出てきたというふうに承知をしておりますが、もう一回警察にお伺いしますが、この資料というのは初めて出てきたわけですか、この委員会で。

親家政府参考人 お答えいたします。

 今回お示ししたような数につきましては、これまで警察庁で集計はしておらず、今回初めて集計したところでございます。

長妻分科員 発表はここの場で、ここが初めてですか、今が。

親家政府参考人 お答えいたします。

 特に広報等をしておりませんので、この場で御説明させていただいたのが初めてだと考えております。

長妻分科員 今年一月から初めてこういう調査を警察がしていただいたというのは、これはありがたいことだというふうに思います。

 そこで、これは年内も、今後も続けていただくと聞いておりますので、そうですよね。

親家政府参考人 お答えいたします。

 引き続き、この数字は集計していきたいというふうに考えております。

長妻分科員 内閣府にお伺いしますけれども、この今警察から説明があった数字というのは、これは孤独死、孤立死の総数を出す意味で参考になる数字というふうに考えてよろしいんですか。

滝澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の警察庁の調査は、警察が取り扱った死体のうち自宅において死亡した独り暮らしの者を把握するものでありまして、孤独死としてのデータの把握を意図したものではないと承知しておりますが、「孤独死・孤立死」の実態把握に関するワーキンググループにおいて検討を進めている孤立死の実態把握に当たりまして、参考になり得るものと考えております。

長妻分科員 この集計は、具体的には内閣府の方から依頼したわけですか。「孤独死・孤立死」の実態把握に関するワーキンググループが依頼した、こういう位置づけでよろしいんですか。

親家政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお答えした数値については、警察庁の方で集約はしていなかったわけでありますけれども、内閣府のワーキンググループなどにおいて、孤独死、孤立死といったことで実態把握をどうするかといった議論が行われている中で、警察庁としても、現場の負担を考えながら、集約できる数値はないだろうかということで考えて集約したところでございます。

長妻分科員 非常に一歩前進だと思います。感謝申し上げるところでありますけれども、これは恐らく、ここの数字からいろいろちょっと調整は必要になるんじゃないかと思うんですね。

 つまり、若い方の中には、例えば、独り暮らしで普通に会社に勤めておられる方が、例えば連休の初め頃に御自宅で急に脳梗塞とか脳卒中とかそういう形で突然お亡くなりになられた、こういうものもこの中に恐らく含まれると思うんですね。ですから、そういうものを除外したり、いろいろなことが想定されると思いますけれども。

 そうすると、六十五歳以上であると、お仕事も就いておられる方ももちろんおられますけれども、そうでない方もおられるということで、そこの推計が一万七千三十四人、年間では六万八千人ということなんですが、今後、孤独、孤立死の総計を出すときに、ここで言われている数字というのが、これが最大限の数字になるという理解でよろしいんですか。

滝澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の警察庁の調査は、警察での取扱い、自宅での死亡、独り暮らしといった一定の条件の下での数値であり、先ほども申し上げましたとおり、必ずしも孤立死としてのデータの把握を意図したものではないと承知しております。例えば、かかりつけ医にかかっていた方が御自宅で亡くなられた場合は、警察での取扱いがないため、今回の集計の対象外とされているものと承知しております。

 ワーキンググループにおいては、孤立死の概念的定義としまして、当面、誰にもみとられることなく死亡し、かつ、その遺体が一定期間の経過後に発見されるような死亡の態様と仮置きした段階です。

 こうした中で、御指摘の警察庁のデータが孤立死の最大値かとの御質問については、今後精査する必要があると考えてございます。

長妻分科員 定義が今仮置きということなんですね。ですから、御夫婦がお二人でも孤立死になり得るという今の仮置きの定義だと思うんですが、ワーキンググループの中でも議論が相当あるわけで、やはり、そこまで広げると非常に焦点がぼやけるという議論もあります。

 そういう意味では、例えば独り暮らしに限定をすると、では、例えば六十五歳以上に限ると、年間六万八千人という数字が出ましたけれども、これが上限なのかどうか。ただ、今のお話だと、かかりつけ医にかかっておられる場合は警察の取扱死体ではないから、そういう意味では、これは定義いかんによりますが、独り暮らしに限定したとしても、この年間六万八千人という人数が増えることもあるし減ることもある、両方に振れる可能性があると考えてよろしいんですか。

滝澤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまワーキンググループにおきましては、孤独死の概念的定義として、先ほど申し上げたような定義を仮置きした段階でございますけれども、まだまだ議論が途中でございます。そのような基準がない中で、増える、減るということにつきましては、なかなか言い難いものだというふうに考えてございます。

長妻分科員 先ほど一つの参考値になるとおっしゃいましたから、精査を続けていただきたいんですが、三ページ目でございますけれども、これは、もう皆さんよく御存じのニッセイ基礎研が、シンクタンクが出した推計値、全国の孤立死者推計。年間二万六千八百二十一人ということで、私、これを見たときもびっくりしました。年間の自殺者よりもはるかに多いわけでございます。

 今回も、六十五歳以上でいうと、警察庁のデータでありますが、六万八千人ということで、非常にこれも大きな数字でありまして、早く、このワーキンググループ、二年前に私が依頼をして、ワーキンググループはまだ四回しか開かれていないということでございますが、これは、もう今年中には孤立、孤独死の死者数、死者総数、これを把握する、そして発表するということでよろしいんですか。

滝澤政府参考人 お答え申し上げます。

 孤立死に関しましては、有識者及び関係省庁から構成されます先ほど来のワーキンググループを設置しまして、実態把握のために必要な用語の定義や把握方法等について、様々な研究事例や死亡に関する統計データ等を参考にして検討を行っておりまして、本年一月には中間論点整理が公表されているところでございます。

 この中間論点整理におきましては、孤立死の概念的定義として、当面、誰にもみとられることなく死亡し、かつ、その遺体が一定期間の経過後に発見されるような死亡の態様と仮置きした上で、統計を作成する上でどのような定義を置けば孤立死の実態を把握可能であるのかの議論を先行すること、今後の検討の方向性として、既存のデータや新たなデータの利活用、統計の整備等に向けた検討、推計の精緻化に向けた検討を行うこととされております。

 このワーキンググループにつきましては本年度も継続して設置することとしており、内閣府としましては、ワーキンググループの議論がまとまりました段階で、速やかに実態把握に着手したいと考えております。

長妻分科員 これは、遅くとも年内には総数を出していただけるんですね。これ、お約束いただければ。

 何らかの、まあ、こういうことはないと思いますけれども、いろいろな話が漏れ聞こえてきますけれども、これは別に、純粋に政策としてやっていただきたいと思うわけで、年内、これをめどということでよろしいですね。

滝澤政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府としては、ワーキンググループの議論がまとまり次第、速やかに実態把握に着手したいと考えております。

 一方で、このワーキンググループの議論がまとまる時期については、例えば、これまで明確な定義すらなかった中、実態把握の手法の具体化に向けた議論にどの程度時間がかかるか等によるため、現時点において、取りまとめの具体的な時期を申し上げることは困難でございます。

 したがいまして、お尋ねの人数がいつ頃分かるのかにつきましても、現時点で申し上げることは困難であることを御理解賜ればと存じております。

長妻分科員 ちょっと理解できないですね。もう機は熟していると思いますし、来年はちょうど昭和百年、昭和に換算するとですね、七十五歳以上の方々、団塊の世代の方が全て入るというようなことで、基礎的な資料となる重要なデータですので、是非お願いをします。

 武見大臣、これまでのやり取りを聞いていただいたわけでございますが、厚労省は引きこもり対策も取り組んでおられるわけで、介護ももちろん厚労省の所管ですけれども、この引きこもりと孤独死との関係性というのは、大臣はどういうふうに認識しておられますか。

武見国務大臣 引きこもりについて、おおよそ百四十六万人ほど、これは推測で、数がございます。こうした引きこもりの数というものの大きさに鑑みまして、しかも現実に高齢者の単独世帯がどんどん今増え始めてきている中で、先生御指摘のような孤独死という確率は、確実にこれから社会的に高まるわけであります。

 したがって、こうした問題に対しては真正面からきちんと取り組んでいくことが厚生労働省としても重要な課題であって、現実に、地域包括ケアあるいは在宅介護、こうしたことを通じて、我々、ある程度の対応はしてきているわけでありますが、今後さらに、こうした問題意識を持ってきちんと取り組んでいくべき課題だと私は思います。

長妻分科員 武見大臣、NHKのラジオのひきこもりラジオとか、あるいは「PLAN75」という映画、これは御覧になったことはありますか。

武見国務大臣 先生からの御質問の資料を見させていただいて、それで初めて知りました。

長妻分科員 今、本当に世の中、大変な状況でございまして、武見大臣も若干、今、一端を御答弁いただきましたけれども、孤立、孤独問題、これは非常に広がりが広うございまして、その方々だけに着目するんじゃなくて、むしろ、社会がそういうことを生み出しているという観点から、社会を改善するということに取り組んでいただきたいんですが。

 もう一つ、この孤独死の問題で気になりますのは、私もいろいろな方のお話をお伺いしましたけれども、やはりセルフネグレクト、こういうケースが非常に多いんですね。ほとんどとは言いませんけれども、自己放任とも言われておりますが。私は、いろいろな方のお話を聞いていると、消極的自殺ということもあり得るのではないのかと。

 自分は体がかなり悪いようだけれども、お金もないので、あえて医者に行かない、それで死ぬのなら仕方がないとか、あるいは、なかなか食費もままならないので、食事をなかなか取らずにそのままお亡くなりになるとか、そういう非常に深刻な、消極的自殺というようなことも私は感じるのでございますが、武見大臣はいかがですか。

武見国務大臣 独居高齢者の中で、孤立をして、そしてそれが一つの自殺の背景要因になってくるということについては、これは想定されますので、十分に、そうした事態にならないように、そして孤立化させないように、社会的にいかにその支援をするかということは極めて重要な課題である、こう思います。

長妻分科員 是非、広がりがありますので、よろしくお願いをします、実態把握ですね。

 次に、今日は工藤副大臣も来ていただいていますので。例の、消費者庁が、小林製薬以外の機能性表示食品の健康被害、調査いただきました。その中で、百四十七件があるという報告、小林製薬以外で。この中に入院した事例はありますか。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 今、長妻先生からお問合せがありました。具体的な回答方法をいろいろ調べまして、事業者によってばらつき、重複報告の有無、情報の粒度等があり、精査が必要な状況であったため、追加的な聞き取り調査を行ったところです。

 こうした追加的な調査の結果も踏まえ、回答のあった健康被害状況と当該製品の因果関係について、医学等の専門家により分析を行っていただいております。取りまとめが……(長妻分科員「入院があったかどうか」と呼ぶ)私ども、今それを精査しておるんですが、私にもその入院の結果はまだ知らされておりません。(長妻分科員「いや、だから、入院があったかどうか、入院したという事例が」と呼ぶ)先生方からと、消費者庁の取りまとめをしているところで、入院があったかどうかと私が聞いても、何とか五月下旬までもう少し時間をいただきたい、そういう回答が来たわけでございます。ですから、今、先生に対して、入院があったかどうかというものを正確に申し上げることはできません。

長妻分科員 ちょっと今の答弁は見過ごせない答弁なんですが。

 配付資料の一番最後のページに、これは、消費者庁が、小林製薬以外に、こういう調査票を作って調査いただいたんです。ですから、ここに入院と書いてある案件が一件でもあったのかどうか、それを聞いているんですね。これは副大臣にも知らされていないんですか。

工藤副大臣 入院があったということは聞かされておりますが、件数は私にも聞かされておりません。

長妻分科員 この入院も、当初は検査入院だというふうに消費者庁はおっしゃっていたんですが、これは全件が検査入院ということなんですか。

工藤副大臣 何度も繰り返しになりますが、医師の先生方、専門医の方々がその原因追求を今されているところで、検査なのか、実質本当に被害が厳しく、それの、薬品にあったのか、それを今精査しておるところでございますが、そのことは私も聞かされておりません。

長妻分科員 そうすると、副大臣は、入院があったというのは聞かされたけれども、検査入院なのか、それが本当の入院なのか、あるいは両方が混合しているのか、それは一切聞かされていない、こういうことでよろしいんですか。

 この調査票は、普通、副大臣、見れますよ、だって、守秘義務がかかっているから。これも見せてくれないんですか。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 先生の質問を受けまして、私も、出せるものなら、私も政治家ですから、きちっと中間報告はすべきだと。いろいろあったんですけれども、まだ本当に検査入院か入院なのか精査中であるのでこれは出せない、出せないというのか、慎重に精査させてもらいたいというのが私に対する回答であります。

長妻分科員 これは、消費者庁に詰めてお伺いしたらば、実は、検査入院もあったけれども、検査入院じゃなくて本当の入院もありました、本当の入院もありましたと私に消費者庁の方が認めたんですが、それ、ちょっと後ろに聞いてみてください。本当にあるんですよ。

井坂主査 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

井坂主査 速記を起こしてください。

 工藤副大臣。

工藤副大臣 本当に何度も申し上げますが、精査中であります。そして、四月十九日だと思いますが……(長妻分科員「ちょっと待って。ちょっといいですか」と呼ぶ)はい。

長妻分科員 いや、消費者庁の方が、ちゃんとレクを正式に要請して、私のところに来て、検査入院もあったけれども入院もありました、検査入院じゃない入院も報告に上がってきましたと明言されたんですよ。これは、じゃ、消費者庁は訂正するんですか。ちょっと一回止めて、精査してください。

井坂主査 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

井坂主査 速記を起こしてください。

 工藤副大臣。

工藤副大臣 検査入院、入院という話は、入院しているという話はあったと伺って、今確認しましたけれども、実際本当にこれが原因で今の入院なのか、それを再精査しているというところが今の消費者庁の答えでございます。

長妻分科員 私は因果関係は聞いていないんですよ。ここの報告に上がってきたのを聞いたわけですね。そうすると、ちょっと副大臣、答弁がぐらついていますが、検査入院もあったけれども本当の入院もあったということを今明言をされたわけで、ちゃんと、ちょっとチェックしてほしいんですね、こういう問題について。

 では、五月頃に公開をするとおっしゃいましたよね、精査して。これは、じゃ、入院案件など、そういう案件についてはメーカー名も公表するということでよろしいんですか。

工藤副大臣 過去に先生方から質問がありまして、私が五月中旬に公表すると……(長妻分科員「メーカー名」と呼ぶ)済みません、メーカー名は、食品表示法第六条に基づいて、指示の対象は事業者、要は、違反した事業者で、私どもから指示、そしてまた監督命令を全く聞かなかった事業者にはメーカー名は出す、そういう考えでおります。

長妻分科員 これは、何か指導して言うことを聞かないなんというのではなくて、これは入院しているわけですからね。入院した案件についてメーカー名と商品名、公表するというんだったら、公表しなきゃ駄目だと思うんですね。

 これは、じゃ、逆に言うと、法律の規定があって公表できない仕組みになっているんですか。

 ちょっと一回止めてください。

井坂主査 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

井坂主査 速記を起こしてください。

 工藤副大臣。

工藤副大臣 今回の調査は、様々な実施報告、把握、分析するために事業者名や製品名を公表しないことを前提に実施、回答を得ております。ですから、今出すことは厳しいと。

長妻分科員 これはちょっと自民党の皆さんもよくチェックしてほしいんですね。

 今回、小林製薬以外を調査したときに、確かにこの調査票に、今副大臣がおっしゃったように、届出者が特定できる事項の公表はいたしませんと明言しちゃっているんですよ。重大な入院案件が出ても公表できない、こういう前提になっているんですね。これはちょっと撤回してもらって、もう一回ちゃんと調査していただきたいんですよ。

 これは小林製薬ですら、因果関係が分からないうちに公表されたわけですね、企業が。ですから、入院案件があるときに、ちゃんと副大臣がチェックせずに公表がずるずる遅れたことで被害が拡大していたと仮にしたら、これは大きな責任問題ですよ。

 何か、副大臣、頼りないのは、チェックしてくださいよ、役所を。この国会も行政監視機能で役所を、行政府をチェックするんですが、副大臣もチェックするんですね。国会議員が大臣、副大臣で役所の中に入って、そこもチェックしないといけないんですよ。全部お任せで言いなりみたいなちょっと私は印象を受けたので、事安全、健康に関わることでありますので、もっときちっとやっていただきたい。

 例えばアメリカでは……

井坂主査 申合せの時間が既に経過しておりますので、おまとめください。

長妻分科員 はい。

 アメリカではダイエタリーサプリメントということをチェックする法律があって、これは因果関係がなくても公表すると、重篤な有害事象は。業界向けガイドラインでもそれが明記されておりますので、これはちょっと、初めから公表しない前提で、しかも入院が出てきた、だから初めの約束どおり一切公表しませんというのは余りにも無責任だと。政治家として是非きちっと役所をコントロールしていただきたいということをお願い申し上げまして、質問といたします。

 どうもありがとうございました。

井坂主査 これにて長妻昭君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田とも代君。

吉田(と)分科員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の吉田とも代と申します。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 早速、質問に入らせていただきます。

 高齢化、核家族化が進む現代の日本では、子供を産んだばかりの母親は家族のサポートが受けにくいことも多くなってきています。また、共働きが進んで、産後すぐに仕事復帰をしなければならない場合や、高齢出産が増えて体力が低下したりする中での育児負担は大きい方もいらっしゃいます。

 退院直後の母子に対して心身のケアや育児のサポート等を行い、産後も安心して子育てができる支援体制の確保を行う産後ケア事業について、少子化の状況を踏まえ、誰もがより安心、安全な子育て環境を整えるため、母子保健法の一部を改正する法律により市町村の努力義務と規定されました。

 旧来の少子化社会大綱によりますと、当事業を二〇二四年度末までの全国展開を目指しているとのことでしたが、現在導入している自治体の数と全国割合を教えてください。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の産後ケア事業でございますけれども、令和三年度、この実施が市町村の努力義務になったということもございますけれども、令和四年度時点では千四百六十二市町村で実施をされております。これは、全国の市区町村千七百四十一に対する比率といたしましては約八四%、そのような状況でございます。

吉田(と)分科員 産後起こりがちな情緒不安定をマタニティーブルーといい、急に泣きたくなるとか気分が落ち込むなどの症状が表れ、一過性のことも多いものの、症状が長引いたり重くなったりすると産後うつに移行することもあります。

 産後うつは産後一か月から三か月以内に発症することの多い抑うつ症状で、妊娠期から産後は精神障害のリスクの高い時期です。エジンバラ産後うつ病自己質問票で九点以上の方の場合、産後うつ、つまりメンタルヘルスのハイリスク群とされており、直近のデータでは、産後一か月での割合は九・九%となっています。

 こども家庭庁として、産後うつの対策をどのようにするのか、現在、各自治体が産後ケア事業を実施する中で把握している課題について、また、現在審議中の子ども・子育て支援法が成立した際に見込まれる対処について、御教示ください。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 産後は、やはり心身の変化でありますとか、あるいは慣れない育児ということで、産後うつのリスクが高い時期であるというふうに承知をしております。そうした産婦の方々へのメンタルヘルスの支援、こういったものは非常に重要な課題であるというふうに考えております。

 現在、こども家庭庁におきましては、こういった産後うつの予防を図るために、市町村を実施主体として、産後間もない時期の産婦の方々に対して産婦の健康診査を実施して、その結果、特に支援が必要な産婦の方々については産後ケア事業へとつないでいく、こういったようなメンタルヘルスケアを実施をしているところでございます。

 妊産婦のメンタルヘルスの対応につきましては、医療体制を担う都道府県との連携も重要な課題であるというふうに承知をしております。

 そのため、令和五年度の補正予算におきまして、都道府県、中核病院が中心となって、妊産婦のメンタルヘルスに関する関係機関のネットワークを構築するための国庫補助事業、これを新たに創設をいたしました。また、令和六年度予算では、こども未来戦略の加速化プランを踏まえまして、支援の必要度の高い妊婦を受け入れる産後ケア施設に対する支援の拡充を図ったところでございます。

 さらに、御指摘ございました、今国会で御審議をいただいております子ども・子育て支援法の改正法案では、この産後ケア事業につきまして、地域子ども・子育て支援事業に位置づけをした上で、国、都道府県、市町村の役割分担を明確にすることとしております。逆に申し上げれば、こういったところが現状においては課題となっていたということでございます。

 今回の改正の中身におきましては、国で基本方針を定める、各都道府県でも、量の見込みでございますとか、提供体制の確保の中身などを定めた計画を策定する、こうしたことを通じまして、産後ケア事業の計画的な提供体制の整備、全国展開を進めていくこととしていきたいというふうに考えております。

 引き続き、こうした取組などを通じまして、産後ケア事業の実施体制の強化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(と)分科員 令和四年度に産後ケアの事業実施における課題をアンケートしたところ、精神疾患への対応が四三・六%にも上っています。一方、情報連携フローを定めている都道府県は四%となっておりまして、医療機関との連携がどこまでできるのかが懸念があったところですけれども、今御説明いただきましたように、子ども・子育て支援法の中で計画的な自治体との連携体制を整えていくということですので、こちらをしっかりやっていただきたいなと思います。

 また、産後ケアですけれども、例えば、うつとして認定されるかされないかにかかわらず、ケアしてもらえるところはありがたいと思いますけれども、一年以内という期限が設けられています。それまでに母子双方にとって十分な子育て環境が整えられるのか、そこは難しいところもあると考えます。

 さて、訪問看護ステーションといえば、一般的には高齢者を対象としているという印象がありますけれども、そのような中、まだまだ全国的にも数えるほどしかないと言われる、医療保険を適用した、親子のための訪問看護ステーション、母子特化型訪問看護ステーションが私の地元徳島にあります。徳島初の産前産後ケア訪問看護ステーション、ママスマイルでは、母親やその御家族からの相談を受け、困っていること、しんどいこと、不安なこと、できないと思うようなことを聞いた上で、それらの解決のために必要な事柄を吟味し、訪問看護が利用可能な場合は医師が訪問看護指示書を作成、さらに、ママスマイルの助産師が訪問看護計画書を作成した上で、契約に基づき訪問看護を行う枠組みとなっています。

 また、医療保険外のサポートも同時に行っています。サービス内容としては、分娩、育児に向いた体づくりなどを始めとする産前サポート、授乳指導から母乳育児支援等の赤ちゃんサポートといったサポートが提供されています。自治体の産後ケア事業は、先ほどもお話ししたとおり、産後一年以内の母子が対象となり、利用回数も限られていますが、ママスマイルの場合は期限の縛りはなく、基本週三回まで利用できます。また、医師の診断に基づいた訪問看護もあり、医療との連携体制も確立されています。

 現代社会は、医療ケアを必要とする母子も多くおられます。また、基礎疾患はもとより、様々な障害を持つ方々への子育てサポートの必要性が重視されています。

 幼児の保護者調査によりますと、保護者の九割は子供がかわいくてたまらないと思っているものの、六七%は子供のことでどうしたらいいか分からないと答えています。子育てについての情報は、親よりも友人や知人から得ている人が多いそうです。その情報すら、二〇一五年の七二%から半減した、三六%の割合でしか得られていないそうです。孤立する子育て環境の中、児童虐待通報件数は増加し、虐待死に至るケースは直近では年間七十四人です。母子保健ビジョン、健やか親子21においては全ての子供が健やかに育つ社会を目指すとされる中、市町村が実施する保健サービスはあるものの、利用回数は限られ、また、健康問題を抱える親子の生活は支え切れません。

 こういった隙間を埋める親子のための訪問看護ステーションは、今後ますます必要とされると考えます。政府としてこういった民間の取組を後押ししていく必要があると考えますが、武見厚労大臣の御見解をお聞かせください。

武見国務大臣 委員御指摘のように、産後のうつなどの疾患を持つ親や、医療的なケアが必要なお子さんへの支援というのは、これは極めて重要です。このような親や子供に対する訪問看護の対応強化を図る必要も、我々認めているところでございます。

 まず、精神疾患を有する妊産婦に対しまして、その診療も含めた支援について、多職種が連携して取り組むということが重要となります。令和六年度の診療報酬改定において、このような妊産婦に対してカンファレンスで診療方針を決める際に、産科だけではございませんで、精神科、それから自治体に加えて、必要に応じて訪問看護ステーションが参加することを要件として評価することとしております。訪問看護も含めまして、一層多職種による連携した支援を図ることとしております。

 また、今般の診療報酬の改定では、難病や医療的ケアの必要な乳幼児に係る訪問看護の加算額を引き上げるなど、乳幼児の状態に応じた評価を行う仕組みの見直しも行っております。

 このような訪問看護による対応の実施状況も踏まえまして、産後うつを抱える親や、それから医療的ケアを必要とする子供などに対する支援の在り方について、引き続き、しっかり検討していきたいと思います。

吉田(と)分科員 武見大臣、大変力強いお言葉、ありがとうございます。国もあなたに寄り添っていますというメッセージが大変重要だと考えます。

 また、例えばこのような取組を行っている事業者を厚労省のホームページで案内するなど、困っている御家族に情報を届けてはいかがでしょうか。厚労省の所見をお伺いします。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣からも御答弁させていただきましたように、親や子供に対する訪問看護につきましては、まず今般の診療報酬改定、様々な措置を打ちましたので、こうした影響も含めまして、それから、先生が今挙げられたような好事例、こうした現場での取組状況を把握することが非常に大事だと考えてございます。

 その上で、療養しながら生活する親や子供に対する支援の在り方について、その具体的な周知の方法も含め、ホームページに掲載するとか、そういうやり方も含めまして、関係部署と連携しながら検討してまいりたいと考えております。

吉田(と)分科員 昨今、人間関係や仕事で生きづらさを感じている発達障害の方も増えています。目では確認できない発達障害は、障害自体が定型発達と連続しているため、障害との線引きが難しく、子育てに困惑を感じているお母さん方は少なくありません。また、発達障害児を育てる母親が精神症状を発症する事例もあります。

 切れ目ない支援を実現していくという政府として、産前産後の母親や家族はもとより、それをサポートする事業者への目配り、支援もよろしくお願いしたいと思います。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 私が岸田総理に予算委員会で出産費用無償化についてお尋ねしたのは、令和四年十月のことです。その際の御答弁は、出産育児一時金を四十二万円から五十万円に引き上げる、そして出産費用を見える化して、個人の望む形の出産を提供できるようにするとのことでした。

 その後、昨年四月、出産育児一時金は引上げされましたが、出産費用を見える化したサイトがようやく今月に上がるとの情報をいただいております。

 政府においては、二〇二六年度をめどに出産費用の保険適用導入の検討中とのことですが、一方で、課題が多く、検討に時間を要するのではないかとの指摘もあります。なるべく早く検討を開始する必要があるかと考えますが、政府における議論のポイント並びに今後の具体的なスケジュールを御説明ください。

塩崎大臣政務官 お答えいたします。

 今委員から御案内のありましたように、政府としては、妊婦の方々が安心して出産できるよう、昨年四月から出産一時金を四十二万円から五十万円に大幅に増額するとともに、今年中に速やかに、分娩取扱施設ごとのサービス内容や出産費用の状況などを公表し、出産費用の見える化、これを進めることとしております。

 また、昨年十二月に閣議決定されましたこども未来戦略、こちらでは、これらの取組の次の段階として、二〇二六年度をめどに、出産費用の保険適用の導入を含め、出産に関する支援等の更なる強化について検討を進めるとされたところでございます。

 その中身についてでございますが、出産費用の保険適用については、サービスの質が確保されるというメリット、これがある一方で、全国一律の診療報酬が評価されることで、かえって妊婦の選択の幅を狭めることになってはいけない、こういう課題も指摘されているところでありまして、これら双方の考え方を踏まえて検討をしていく必要があると考えております。

 また、自己負担につきましても、今回の出産育児一時金の引上げは平均的な標準費用について妊婦に自己負担が生じないようにしたものでございますので、保険適用の検討に当たっても、こうした基本的な考え方を踏襲しながら、鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。

吉田(と)分科員 ありがとうございます。

 厚労省の調査によりますと、去年四月までの一年間で、出産費用の値上げに踏み切った医療機関は四四・五%に上ったそうです。ただ、去年一年間の出産費用調査の統計は出ていないそうですが、出産費用が高くて子供を産むことをためらうという声も聞くところです。

 出産費用見える化のホームページ掲載は、当時一年をめどとお伺いしておりましたが、予定時期より遅れています。二〇二六年に向けて、議論を是非スピードアップしていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 令和四年の障害者雇用促進法改正を受けて、本年四月に障害者雇用相談援助助成金が創設されました。これは、事業主に対する障害者の一連の雇用管理に関する相談援助を実施した認定事業者に対して支給するものとされていますが、改めてその概要と創設の経緯、趣旨をお伺いいたします。

田中政府参考人 お答えいたします。

 御質問いただきました障害者雇用相談援助助成金でございますが、議員御指摘にありましたように、令和四年、障害者雇用促進法を改正をいたしまして、今後の雇用率の段階的な引上げなどによりまして新たに雇用義務が生じる事業主が増加することも念頭に、また、障害者の雇用義務があるにもかかわらず障害者を一人も雇用していない企業、いわゆる障害者雇用ゼロ企業、こういったような企業を始めといたしました法定雇用率未達成企業等の障害者雇用の取組を後押しをするために、新たに創設をいたした制度でございます。

 具体的には、雇入れや雇用継続を図るために必要な一連の雇用管理に関する相談援助を行う事業者を認定をいたしまして、当該相談援助事業者に対して助成を行う制度でありまして、本年度より実施をしてございます。

 障害者雇用相談援助事業の実施に当たりましては、都道府県労働局やハローワークが行う雇用指導と一体となった支援として相談援助の質を担保するために、障害者の一連の雇用管理に関する相談援助の経験を有する事業者、それから特例子会社、もにす認定企業等でございまして、一定の人員配置等の要件を満たすものとして都道府県労働局長の認定を受けた事業者が事業を行った場合に助成金を支給することとしてございます。

吉田(と)分科員 障害者雇用相談援助助成金のリーフレットには、障害者雇用相談援助事業者の認定を受ける場合は、令和六年度からの事業の開始に向けて、令和五年度中から申請を受け付けると記載されています。

 助成金の創設から一か月が経過し、現時点で認定申請受理件数は確定していないとのことですが、四月一日時点で認定事業者は二十二社。コンサルが十三社、特例子会社が六社、もにすが三社と伺っております。

 令和五年六月一日現在の特例子会社は、五百九十八件です。県別で見ると、一位は東京で百八十九社、二位は大阪で五十五社と続きますが、一方で、特例子会社が一桁台の県は三十二県、一社、二社しか存在しない県も多数あります。また、もにす認定事業主は令和五年十二月二十八日時点、暫定値ですが、三百七十二事業主です。特例子会社は県ごとに偏りが出てくるのは致し方なく、認定事業者の数を増やすには、やはり雇用を促進する、いわゆるコンサル会社の存在が大きいと考えます。

 助成金は、対象となり得る事業者に広く知られていなければなりませんし、使い勝手のよいものでなければならないと考えます。今回創設した障害者雇用相談援助助成金については、周知のため、また利用しやすくするため、どのような方策を取っているのか、教えてください。

田中政府参考人 お答えいたします。

 障害者雇用相談援助助成金でございますが、本年度より実施をしているものでございます。

 この施行に当たりましては、各種リーフレット、それから、相談援助を行う事業者向けの認定申請マニュアルを整備をいたしまして、ホームページへの掲載を行ってございます。また、労働局においても、事業者向けの説明会を行う、こういったような形で周知を実施をしております。

 御指摘にありましたように、多くの適切な事業者の方に認定を受けていただいて助成金を使っていただくというようなことは、障害者雇用を進める上で非常に重要なことだというふうに考えております。

 本制度が適切に活用されますよう、引き続き、都道府県労働局、ハローワーク等も含め、理解の増進を図るとともに、支援を必要とする企業への周知、利用勧奨に努めてまいります。

吉田(と)分科員 先ほど来御説明をいただいておりますけれども、四月から障害者雇用率が現行の二・三%から二・七%に引き上げられ、法定雇用率の義務がかかる事業者の条件が変わり、今まで対象外だった事業者も法定雇用率の達成が求められます。

 事業主に負担がかからないよう、そして、障害者雇用に理解ある企業が正当な評価をされるためにも、この助成金を活用していただきたいと考えるところです。

 コンサル会社を運営する方が労働局で認定申請を希望したところ、該当外と言われ、登録を諦めたという話も聞いたことがあります。先ほどの御答弁では、特定子会社ではないからとか、もにす認定事業主ではないからという理由で該当しないということはないとのことですけれども、創設されたばかりの補助金だからこそ、障害者雇用を一層進めていくためにも、まずは、労働局の職員の方にしっかりと理解をしていただく、また、認定事業者登録に向けて、就労支援事業所始め、周知広報を積極的に行っていただくようお願いしたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 既に一千万人を超えるなど、障害者の人数は右肩上がりです。それに応じて就労事業所の数も増加をしています。

 とある障害者施設に訪問した際、集まる事業所には入所希望がどんどん集まって、一方では、集まらない事業者には全くそうならず、例えば、一般就労で入所者がいなくなった場合、次に応募される方がいつ来られるか分からない、こういった二極化する現状をお伺いしました。

 そういった問題から、一部の事業所では、なかなか新陳代謝が生まれない、いつも決まったメンバーで運営しがちだそうです。例えば、一般就労へ移行し六か月以上定着した場合、就労継続支援事業所への加算として、就労移行支援体制加算があります。もし新しい人が入所しない場合、半年間、事業所には加算が入らないのも、事業所によっては死活問題だと思います。

 例えば、この就労移行支援体制加算を、移行した段階と、それから半年後と、二回に分けて加算をするというのはいかがでしょうか。提案させていただきたいと思います。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 障害福祉サービスでございます就労継続支援のA型及びB型の事業所が先生御指摘いただいた事業所かと思いますが、こうした事業所におきましては、通常の企業等に雇用されること、いわゆる一般就労が困難な障害者に対して、生産活動の機会等を通じて、知識、能力の向上のための訓練等を行う事業を行っておりまして、本人の希望、能力、適性に応じて、一般就労に移行してしっかり定着できるように支援していくことが重要でございます。

 このため、一般就労の移行後に着実に定着につなげることを見据えた支援が必要であるとの観点から、一般就労に移行したという事実に加えて、定着に向けて継続的な支援体制が構築をされている事業所であることをセットで評価することが必要と考えております。

 このため、御指摘の就労移行支援体制加算でございますけれども、六月定着した時点で支払うということではなくて、前年度において六か月以上定着している者がいる場合に、そのような支援体制が継続して構築されていることを評価するものとしているところでございまして、定着した方の数に応じた所定単位を、当該事業所の全ての利用者について、日々の基本報酬に加算することというふうにしております。

 こうした趣旨をしっかりと理解していただきながら運用してまいりたいと考えております。

吉田(と)分科員 事業所として、入所者の皆様を守っていかなければならないのも現実だと思います。是非、障害者雇用促進と、それからこの就労継続支援事業所、両輪で施策を促進していけるように、前向きな検討をお願いしたいと思います。

 続きまして、時間の関係上、次の質問は私からの一方的な質問ということで、御答弁は求めないですけれども。

 就労支援施設では様々な加算がありますけれども、特にA型事業所においては、研修やフレックス制度を導入、また、地域貢献加算などがありますけれども、事業所によっては、これをうまく対応できずに、加算ができないままスコアが低い場合があると伺っています。

 障害者の方の就労支援という意味では、是非、自治体そして厚労省が加算についてアドバイスなど、積極的に行っていただくことも必要だと思いますので、引き続き周知をよろしくお願いいたします。

 続きまして、最後の質問に移らせていただきます。

 令和四年度の全国の就職人数は、A型事業所は利用者数平均八・二万人のうち四千八百十八人、五・九%、B型事業所は三十一・九万人のうち四千五百十四人、一・四%です。都道府県全体で割ったとしても百人前後しか就職していないのが現状です。この割合で考えた場合、A型事業所は二十人に一人、B型事業所においては百人に対して一・五人という計算になります。障害者が増え続けている現状を鑑みると、社会保障費はこれからますます増加傾向であると言わざるを得ません。これらを抑えるためにも、就職率を上げていくことが求められています。

 障害者一人がA型、B型事業所に通うと、地域や加算等により金額に差が生じますが、一年間で約二百万から二百五十万、補助額が下りています。単純に考えて、四十年間通ったとしたら約一億円です。

 雇用のマッチング、これは大変重要であり、国の予算を減らすまではいかずとも、増加を減らしていくことが重要です。就職した場合、一人当たりの手当が減りますので、例えばこれまでの就労移行支援体制加算とは別に、就労支援施設から就職した段階で、施設に対し、就職に導いたという一時金を出すことによって障害者雇用を進めていくのはいかがでしょうか。

武見国務大臣 この就労継続支援のA型とB型につきまして、障害者に対する福祉サービスとして、通常の事業所に雇用されることが困難な障害者に対して、就労や生産活動の機会を提供し、知識、能力の向上のための訓練などを行う事業であり、本人の希望や能力、適性等に応じて一般就労に移行をし、しっかりと定着できるように支援することが重要です。

 このため、一般就労への移行後に着実に定着につながることを見据えた支援が必要であるとの観点から、運営基準において、就職した日から六か月以上支援の継続に努めることとしているほか、報酬においても、一般就労に移行して六か月以上継続している場合、加算で評価をしており、結果として、コロナ禍の時期を除いて、一般就労への移行者は増加しているものと認識をしております。

 さらに、令和七年十月に開始予定の就労選択支援において、就労アセスメントの手法を活用して、本人の希望や能力、適性等を踏まえ、就労継続支援事業A型、B型の利用者に対しても、一般就労を含め、就労先や働き方を適正に選択できるように支援することとしております。

 こうした取組を着実に進めつつ、現場の状況を把握しながら、障害のある方が本人の希望や能力、適性に応じて一般就労を実現できるように、引き続き支援を進めてまいりたいと考えています。

吉田(と)分科員 武見大臣、ありがとうございます。

 障害者の就労をめぐる状況というのは、現状、改善は見られるものの、やはりまだ全体的に就業率は低く、就業している場合でも低収入であることが多いです。就労の機会だけでなく、生活維持のできる水準の所得が得られるような就労を得るための支援が十分でない、今はまだそのように感じています。是非、多様な形態で就労の機会を保障していくことが求められていると思います。

 そしてまた、障害者とそして就労先をマッチングするコンサル事業というものの在り方が大変必要だと思っています。是非、障害者雇用の促進に、福祉分野にも精通した、障害者分野の就労を支える専門人材の育成、確保が急務ですので、政府としてもお力添えをお願いいたします。

 時間になりましたので、私の質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。

井坂主査 これにて吉田とも代君の質疑は終了いたしました。

 次に、大石あきこ君。

大石分科員 れいわ新選組、大石あきこです。

 本日は、介護の報酬改定と新型コロナワクチン健康被害救済について伺います。

 まず、介護の報酬改定についてです。

 この四月、二〇二四年四月に介護の報酬改定でまさかの訪問介護のマイナス改定となって、介護現場や介護の業界の有識者の方々からは怒りの声、失望に近い声が上がっています。

 そもそも、介護分野において、訪問介護というのはこの国の本来の目指すべきものなんですよね。たくさんのお年寄りを施設で住まわせていたというところから、元々住んでいたとか、お年寄りをおうちで見ていく、それが訪問介護ですから、そういう方向性、この国が訪問介護を大きな方向性にしているわけですけれども、その訪問介護というのが今この社会で既に崩壊が始まっていて、非常に深刻な状況です。

 訪問介護の人手不足が非常に深刻で、もう皆さんに言うまでもないですけれども、求人倍率十五倍と、介護の事業所が人を募集している、十五の者が募集しても一人のヘルパーさんしか手を挙げないという深刻な人手不足の中にあって、これは大幅なお給料アップしかないというのが業界でも社会でも当たり前の認識になっているのですが、まさかのマイナス改定であった。

 一方で、政府は、いや違うんだ、賃上げになっているんだというふうに言っているんですね。

 二〇二四年、今年一月二十二日の厚労省の社会保障審議会の介護給付費分科会においても、このように述べられているんですよ。介護現場で働く方々にとって、令和六年度に二・五%、令和七年度に二・〇%のベースアップへと確実につながるよう加算率の引上げを行うと、確実に賃上げをやるということを政府として、厚労省として明記しているんですね。

 今日おられる武見厚労大臣も、国会でも、予算委員会とかでも堂々と、全体としてはプラス改定なんだと、かなり語気を強めるような場面もあったんですけれども、繰り返し答弁されています。

 そこまで国が国会でも言うんですから、これはほんまなのかということで、私は二月と三月に質問主意書を出しまして、これの根拠を聞いたんですよね、ここまで確実に賃上げとおっしゃるので。でも、その質問主意書で分かったことは、根拠はなかったということなんですね。

 一回目の二月の質問主意書の答弁では、よくあることですけれども、お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないとかすっとぼけられて、三月に、もう一回聞くで、確実に賃上げと言うからにはそれなりの積算根拠があると推定されるが、それを示してくださいというふうに言ったら、渋々出してきた回答が、全体としてプラス改定になるという言葉、これについては、試算はあるんだが示せないという回答だったんですよ。そんな思わせぶりなね。でも、あるんやったら示さないと駄目じゃないですか。だから、これは都合が悪いから出さぬのやろうとしか思えないんですけれども、全体としてプラスになるという試算については、あるが示せない。

 令和六年度に二・五%、令和七年度に二・〇%のベースアップという数字も、これは何らかの根拠があるんやろうというのを二回聞いたら、二回目で、これは何らかの試算に基づき数字を積み上げて算出したものではないと、数字的根拠はないということを明言されました。

 それから、同時に、物価高に負けない賃上げと、介護分野でも政府が言っているんですよ。でも、物価高というのは、今の消費者物価の物価高が三・一%なんですね。だから、物価上昇に負けていないですか、物価上昇に負けている分、どうするんですかというのも聞いたんですけれども、物価上昇の推定等から逆算して勝手に言っているだけで、ベースアップができるという算定根拠はないという回答だったんですよ。

 これは政府が出す誤情報だろうと思うんですけれども、省庁にも先日、この質問主意書の答弁で間違いないですねと聞いたら、計算根拠はないんですよねと言ったら、そうですよということだったので、武見大臣にお伺いしたいんですけれども、大臣、国会の中でも、全体としてプラス改定なんだと豪語されていたので、大臣が豪語した根拠は何ですか。

武見国務大臣 令和六年度から二・五%のベースアップについては、何らかの試算に基づく数字を積み上げて算出したものではなくて、政府経済見通しで、令和六年度の全産業平均の一人当たりの雇用者報酬の伸びが二・五%と物価上昇率と同水準と見込まれている中、こうした見込みと整合的に求めているところでありまして、委員御指摘の質問主意書への政府答弁はこの点に基づいてお答えしたものです。

 今般の介護報酬改定においては、こうした政府経済見通しも踏まえて、事業所の自助努力部分も含めて、令和六年度二・五%、令和七年度二・〇%のベースアップが可能となるように処遇改善加算の加算率を引き上げたところであり、こうしたベースアップを実現するために処遇改善加算の取得促進に今現在、全力を尽くしているところでございます。

大石分科員 その全力を尽くしているという具体的なものを聞いているんですね。でも、全然、結局は違うんですよ。今おっしゃっているような、事業所にお願いと言っているのは本当にお願いで、厚労省のQアンドAでも、二・五プラスのベアとは加算要件ではなくてあくまでお願いですと言っていて、もう本当に何の根拠もないという状況なんですけれども、何の根拠もないけれども絶対上げるでと言っていたでよろしいですか。ちょっとそれは明確にしていただきたいんですけれども。

武見国務大臣 まず、全体として、政府の経済見通しの中でこうした目標を設定しているということをまず御理解をいただきたいと思います。

 その上で、それを達成するために、今、四月からの、実際に申請状況の把握を急いでやらせており、かつまた、そうした特定加算というものについて確実に周知をするべく努力をして全力を挙げている、こう申し上げているところであります。

大石分科員 次の問いに行きます。通告では問い五としているものです。

 とにかく、今のお答えを聞いても、現場の職員で納得する人はいないんですよ。だから、現場の声を聞かないといけないという意識なんですけれども、問い五について武見厚労大臣にお伺いします。

 四月十二日に、とにかく私だけじゃなくて基本的に現場の方が怒っているんですよ、介護報酬改定を始めた四月の以降に、わざわざ武見厚労大臣が訪問介護事業所の皆さんと意見交換を行っているんですよ。だから、やはりこれはあり得ぬやろうという声を受けて意見交換を行っているわけですが、その意見交換を行った際にどういう意見が出たのか、具体的にどういう意見だったのかを教えてください。

武見国務大臣 委員御指摘のように、私もやはり現場の意見をきちんとお受けしておくことが大変大事だというふうに考えました。

 四月十二日、私自身、地域で訪問介護に取り組んでいらっしゃいます比較的小規模な事業者の皆様から御意見を伺ったところであります。介護現場の皆様からは、ホームヘルパーが高齢化する一方で若い方々の採用が難しいといった介護人材不足の状況であるとか、それから、処遇改善加算の取得により利用者負担が増加したり、それから、取得状況に違いがあると周辺の事業所との利用料に差が生じる、さらには、事業所、これは社会福祉協議会の中でホームヘルパーだけ賃金を上げにくい面があるんだ、こういった御指摘を率直にいただきました。

 同時に、今後に向けて、これを機に、今回の一本化された処遇改善加算の取得と賃上げに取り組みたい、それから、国を挙げたホームヘルパーの魅力発信の取組を期待したい、こういった御意見を頂戴をいたしました。

大石分科員 この質疑、この通告をしたときに、政府の答弁ラインというのが来るんですけれども、ひどかったんですけれども。今、武見大臣がおっしゃった答えの最後の部分、一方で、最後に前向きなことが一個だけ入れてありました。今回の一本化された処遇改善加算の取得と賃上げに取り組みたいなどの御意見をいただいたというその一点だけが最初答弁ラインで返ってきて、ちょっと、全然マイナスな現場の声がないじゃないですかというのでこのパネルの資料一をお示ししたんですね、その職員さんに。

 福祉新聞で、こういう意見交換、これは武見大臣ですけれども、出ているんですけれども、ここでマイナスなことを言われているんですけれども、これは誤情報ですか、誤報道ですかと言ったら、職員さんは、これは確かにそうだ、確かにこういう意見があった、認識していると言っていて、そうならそれは出さなあかんのちゃうんですかというやり取りを経て、武見大臣が今の答弁をされていると私は思っているんですけれどもね。

 でも、そういうやり取りで、最初の、質問に対する答えが、さっきの質問主意書もそうですけれども、何を聞いているか分かりませんとか、前向きな答えだけ答えてみるとか、こちらの質問している問題意識は明らかなのに違う答えをやってくるというのは、印象操作というか、必要な情報を出してこない。これは誤情報とか誤解を与えている行為だよということは指摘しておきます。

 そして、武見大臣に現場の声をもっとちゃんと聞いてほしいんです。私は五月に介護事業者の方にアンケートを出したんですけれども、たった十日間で百五十件ぐらいの回答をいただいているんですよ。そのアンケートの一部を紹介しますので、大臣も、そして、そういう誤情報というか都合の悪いものを出してこうへんという厚労省の方も、耳をかっぽじって聞いていただきたいんですよ。

 現場の声です。

 引上げではなく引下げ、介護報酬ですね、もう狂っているとしか思えない。余りに処遇が低い日本の状況に辟易。オランダやカナダでは、介護職の月収は八十万超えだそうです。

 この方。シドニー在住です。シドニーでの現状は、一昨年、ヘルパーの時給が三〇%、ケアマネ(私自身)も約一五%賃上げとなりました。二〇〇〇年頃、ヘルパーの時給は十二ドルほどでしたが、二〇二四年現在は三十ドル以上です。

 次の方。一日六件回っても、ヘルパーさんの報酬は四千円から五千円。二十日間続けても十万円にもなりません。給料計算しながら情けなくなります。車のエアコンをつけるとガソリンが早く減るので使いたくないのですが、これからの季節はそうも言っていられないでしょう。事業所は黒字になりません。同じ地域の事業所も同じ状況で、廃業せざるを得ません。

 次の方。ガソリン代、光熱費、ゴム手袋やマスク、消毒液などの消耗品も軒並み値上がりしています。中でも、社会保険料の負担はびっくりするほどです。

 処遇改善加算等の加算を事業所が申請すると、利用者の自己負担も増えます。介護保険料は上がる。さらに自己負担も上がる。例えば、今まで週二回利用していた利用者が、自己負担が増えることを気にして週一回の利用となる場合もあります。

 必ず人は介護されます。世話になります。国会議員だろうが、私たちに介護される側、世話となるのに、なぜないがしろにするのか。見てくれる人がいなくなればどうなるのか。自分含め、そのような仕事している人に感謝の気持ちもなく引き下げるとは言語道断。

 次の方。政治家や官僚にとってもうけにならない職種には国家予算を使いたくないという腹が見え見え。報酬が下がれば働く意欲が薄れ、転職する人が増える。

 小規模事業者は、法人代表が全ての業務をしています。少なくとも弊社はそうです。会社、事業所の運営、管理、管理者、サ責、ヘルパー、事務員、会計処理等全てです。処遇改善加算って何ですか。処遇改善になぜ要件がつくのでしょうか。介護職の給与が低いことは誰しも認知していることではないでしょうか。それでも要件が必要なのでしょうか。私はそれが納得いきません。

 この方。報酬を下げることでより多くの利用者を人手不足の状態で見ないといけなくなり、不十分なケアや虐待、家族負担が増えて殺しが増えることは岸田政権は想像できないのか。介護職を軽んじているとしか思えない。政治家自身がどれだけ介護が大変かを身をもって知れ。

 全て真っ当な意見ですね。

 訪問介護はこの国の本来の方向性だと言いました。実際に訪問介護を足下で、この国で支えてくれている人たちは誰なのかというと、大臣もお会いになったんですけれども、小規模事業者なんですよ。小規模事業者が、有料老人ホームとかサ高住とかで効率よくもうける大企業が見ないような、採算が合わないような戸建てのおじいちゃん、おばあちゃん、中山間地にお住まいの方だったりとか、そういう困難な、採算が合わないところにやむを得ず、行政に、行ってとか言われたりして、断れずに引き受けて、この国の本来あるべき訪問介護を支えているわけなんです。その結果として、赤字が拡大しているんです。

 厚労省の統計によれば、収益率、今回、訪問介護がマイナス改定となった大きな原因として、収益率がプラスだという平均化された数値が根拠にされているんですけれども、しかし、本来の訪問介護、この国のあるべき訪問介護の核心を担っている赤字の小さな訪問事業所、これは三六・七%もおられて、黒字だから引きましたとか言っているんですけれども、三六・七%が、訪問介護事業所は赤字なんですね。一番支援しなければいけないのはそこであり、これをわざわざマイナス改定を持ってきて、ここまで現場の声、失望させるというのは、介護をわざわざ崩壊させる、殺しにいっているとしか言えないです。

 やるべきことはシンプルで、現場の声は、加算はあかんというのも、加算に納得がいかないという声もありましたよね。加算は利用者の負担も増えるし、加算を、処遇改善を一本化しましたとか、そういうことをおっしゃっているけれども、一本化してもあれは条件が厳しくて、やはり、相変わらず小規模事業所にはなかなか加算が取れないんです。だから、普通に国庫で、普通に国の金で給料を増やせ、利用者負担はこれ以上無理やでということを言っているんですよ。

 だから、大臣に伺いますけれども、月十万円アップは全額国費で行うことを大臣が決断をすること、そして、既に介護崩壊している特に地方、もう緊急事態、全てが緊急事態なんですけれども、既に緊急事態、うば捨て山になっていますので、そういった地方について介護職を公務員として雇うこと、これをやっていただきたいんですが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 厚生労働省として、やはり最も課題となっている介護人材の確保の定着に向けまして、高い水準の加算率を設定をした処遇改善加算の取得促進に全力を尽くすこととしております。申請様式を大幅に簡素化しておりますし、申請のための分かりやすい見本の作成、周知なども行っております。

 四月中旬以降、処遇改善加算の未取得の訪問介護事業所に対して、その取得のための御案内をお届けしたところであり、引き続き、オンラインを用いた個別相談などを通じて、その早期取得をしっかり支援していきたいと思います。

 基本的なことを申し上げておきたいんだけれども、実際に介護財源というのにもやはり限りがあるんです。その中で配分をするときに、利益率というのは一つの指標になるんです。そうすると、施設介護などは今赤字が多くなる中で、訪問介護というのは、収支差率というのが実は七・一とか七・二とか、非常に高うございます。そういうものの中で、しかし、赤字になっているのが過疎地の小規模事業者等であります。したがって、こうした小規模事業者に対しては、入院基本料を下げたとしても、その人件費等を確保できるような特別加算というのを、今まで以上にきちんと簡素化させて取得できるようにさせ、そして、人材確保がより確実に行えるようにする。しかも、基本料金を下げるということになりますと、その分は患者負担が下がるわけでありますから、そうしたことをも考えた上で実際にこうした措置を取ったという基本的な考え方も是非御理解いただきたいと思います。

大石分科員 私の言ったこととか現場の声とは矛盾するというか、聞いていないような内容でしたので、こういう答弁をされたということは皆さんに見ていただくしかないと思います。

 問い四として、ケアマネジャーのことをお伺いしたいんですけれども、結構時間がなくなってきましたので、お伺いしないかもしれませんが、ケアマネジャーの現状についてなんです。

 介護職員のみならずケアマネジャー、介護支援専門員の人手不足も深刻で、今、ケアマネジャーの更新研修、五年に一回あるやつ、これは負担が大き過ぎて崩壊しているので、これはやめて、国家資格にして更新をやらない、更新研修をやらない、五年でこの研修を受けへんかったらケアマネになられへんぞじゃなくて、国家資格として残して、処遇を上げるべきという要望があります。

 四月十五日に厚労省が審議会を行っているんですけれども、これはどういうものですかという質問を問い四でしようとしていたんですけれども、もうそれは聞かないで、私の方で説明いたします。

 この審議会の資料自体が本当にもうすさまじくて、これを読んで青ざめない大臣はもうあり得ないと思っています。介護の必要なお年寄りはどんどん増えているんですけれども、それにもかかわらず、ケアマネの数はもう二〇二〇年から逆に減少しています。そして、ケアプランセンターも二〇一九年からマイナスに転じていて、これはどうなっているかというと、結局はうば捨て山になるということですね。

 この危機感がまるでなく、ケアマネの方に、五年に一回の資格更新をしろと。費用と時間は自治体によって若干違いはありますけれども、五万円又は七万円の費用負担をしろと。何十時間もの、八十八時間とかそういう研修、ほかにもテキスト代、更新費用とか、とんでもなく負担があって、失望を買っているんですよ。

 なので、大臣には、また答えが長いと思うので、要望だけにしておきます。大臣の政治判断で、今すぐに、ケアマネ研修は、資格更新要件にせず、処遇改善などインセンティブになる制度に抜本見直ししないとこれはまず過ぎますので、そのように決意してください。答えは求めません。これは、現状、国民の尊厳や生存権を踏みにじる政府運営となっていますので、至急の改善を求めます。

 訪問介護については以上で、次に、新型コロナワクチンの健康被害について伺います。

 質問通告は問い七です。新型コロナワクチンについて、予防接種健康被害救済制度について伺います。

 予防接種健康被害審査会の審査資料の最新版が四月二十五日時点でしたので、その資料によると、自治体からの進達受理件数が、死亡では千三百二十一件で、そのうち審査したのが七百四十五件となっています。障害年金では、四百八十八件に対して百六十件と、審査が滞っています。これでは迅速な救済という制度趣旨が実現できていないと考えるんですけれども、政府参考人の方にお答えいただきたいんですけれども、これは迅速ではないけれども、どないなっているんでしょうか。

佐々木政府参考人 簡潔にお答えいたします。

 御指摘の迅速という点では、この一年ほどですか、回数を大幅に増やしました。それは、審査会の増設ですとか事務局機能を増強するなどの取組を行うことによって、令和四年十月―十二月と直近三か月を比較すると、一月当たり四倍というところまではたどり着いているところでございます。

大石分科員 もう少し詳しくその改善内容を聞くと、去年の六月に、審査会の分科会を、一だったのを四に増やしたので月四回開催できるようになった、月五百件審査できるような体制になったということで、現在は申請は二、三百件なので、入りよりも審査スピードが上がっていますよという回答だったんですけれども、これでは全然足りないだろうということを言いたいんですね。

 大阪府内にお住まいの若い女性から、私、お手紙を渡されたんですけれども、このようでした。私の父は新型コロナワクチン三回目接種の後に脳梗塞を発症し、六か月後の令和六年一月に死去しましたと。去年七月に発症して、今年一月に亡くなったという方なんです。

 この方は、お父さんが七月にワクチン接種をして脳梗塞を発症したときに、救済制度の医療手当を申請したんですね、七月の時点で。でも、その申請までに四か月いろいろかかって、十一月にやっと申請ができて、審査が翌年三月に始まっているんです。しかし、お父さんは、その審査開始前の一月に亡くなっているんです。それでも、お父さんは亡くなっているけれども、医療手当の申請の認定結果が出るまでには、審査が始まった今年三月以降、一、二年かかると言われているんですね。さらに、お父さんが亡くなったので、追加で出した死亡一時金の申請は、医療手当の一、二年かかる申請の認定、是か否か出た更に後になるのだそうです。

 これは、費用もかかるし、時間も余りにも長いので、それで、ワクチン後遺症の診断を病院が出してくれることも少なく、自費の治療となっています。

 この方はたまたまの偶然の不運とかではなくて、ある意味の必然でして、配付資料二で、報道されていますけれども、去年の十一月、十二月の段階では累計一万件近くのうち三千件が審査が手つかずだったので、月五百件に増やしましたといっても、三千件審査が手つかずだったので、最低半年は放置だということがその時点で見えてきたことになりますので、これは迅速だったとか引き続き迅速であったとは決して言えないと考えますので、質問はしませんが、申し上げておきますね。

 やはりこれは、政府の態度として、コロナワクチンの接種方針などについても、国民目線にはなっていなかったということをはっきりさせるべきと思っています。

 新型コロナワクチンの健康被害救済制度で、死亡の因果関係の認定は、現時点で五百六十一人で、これは過去のワクチン接種と比較しても桁違いの多さなんですね。これは今日、立憲・無所属の阿部さんが質問したのと同じで、阿部さんは、五十年間お医者さんをやっていて、ワクチン接種もかなり主要な業務だったということで、このようなことというのはなかなかないよということをおっしゃっていたと思うんですけれども。

 これまでの、昭和五十二年から四十七年間でのほかの全てのワクチンの健康被害の死亡認定の累計が百五十一人なので、その全部合わせて百五十一人に対して、今回、新型コロナの死亡の被害救済の認定が五百六十一と非常に大きな数なので、これは審議会とかに提出してフィードバックするとか、ちょっとおかしいことが起こっているよみたいなことをやりましたかという質問を投げたんですけれども、もう時間がないので、答えは聞いていたので、フィードバックしていないという答えでした。でも、しないといけないんじゃないでしょうか、これは。これはやはり、対応が底抜けているんじゃないかなと思いましてね。

 ちょっと、時間がないので、パネル六を見てほしいんですけれども。

 政府の対応が本当にまずいなと思うのは、一つは、配付資料の六なんですが、これは厚労省のホームページの説明で、コロナワクチンの接種が原因で多くの方が亡くなっているのは本当ですかというQアンドAに対して、必ずしもワクチンが原因で亡くなったということではありません云々、安全性が確認されていますみたいなのが続いて、このピンク色のところが私の言いたい部分なんですけれども、現時点で、ワクチン接種との因果関係が否定できないとされた事例が二例あり、その他の事例についてはワクチン接種との因果関係があると判断されていませんと。これはひど過ぎひんかと思うんですよ。現時点のホームページでこれですからね。

 先ほど、被害救済制度で死亡認定が五百六十一件あったのに、せめてそれちゃうんかという。この二件というのが何かといいますと、五六一死んでいるのに認定したことになってへんのかいと。因果関係は認めてへんけれども、取りあえず救済制度は認定してあげたよという扱いだとしたら、被害者の気持ちは考えているんですか。

 二件というのは何のことなのか説明します。

 配付資料の五なんですけれども、これは二つ、上の表と下の表がありまして、上の表は新型コロナワクチンの接種後の副反応疑い報告の死亡例です。

 簡単に言うと、右下の赤い数字、これは、総接種回数が四億回ぐらい、そのうちの死亡例が二千百九十二人、そのうちの、α、β、γというふうに専門家の評価を分けているんです。αが因果関係あり、βがなし、γが分からぬ。九九%以上がγ、分からぬというような、ワクチンの接種後に副反応疑いで死にましたよという報告は二一九二あるんですけれども、ほとんど分からぬのやと。α、因果関係が否めない、これも否めないなんですけれども、二件。この二、これだけ亡くなっている方のうちの二というのをわざわざホームページに採用して、まだ二件しか、これも、二件が、因果関係が否定できないという書き方なので、ほとんど認めていないみたいな言い方ですよね。

 インフルエンザワクチンと比べてみました。百万回接種当たりで比べたんですよ。新型コロナワクチンで四億回なので、同じぐらいの桁にそろえぬとまたいろいろ言われるやろうなと思って、過去十年間のインフルエンザワクチンの接種回数、五億回ぐらいのやつと比べたんですよ。これを比べると、百万件接種当たりで、コロナでは、百万回接種のうち五人を超える方が副反応疑いの死亡、まあ、亡くなっているんですね。インフルエンザワクチンだと〇・一四四なんですよ。だから、死亡例が二一九二人に対し、インフルエンザだと七十七回。

 これは、パネルでいいますと……

井坂主査 申合せの時間が経過しておりますので、御協力お願いいたします。

大石分科員 分かりました。

 これは、パネルでいいますと、配付資料四なんですけれども、これだけ違うんですよ。三十五・一倍違うんですね。

 これは、ここで、これは何かおかしいなと思って、絶対調べないといけないですよね。このγというのを分からぬまま放置して、先ほど、阿部さんが、塩漬けにしているじゃないかと言ったら、塩漬けにしていないとおっしゃっているんですけれども、でも、厚労省に聞いたら、じゃ、そのγの部分、二千件を超えているけれども、ちゃんと一件一件丁寧に振り返って、このワクチンはほんまにこのままでええんかとか、フィードバックしないんですかと聞いたら、する予定はないと厚労省はおっしゃっていましたよ。

 武見大臣、先ほども阿部さんの答弁で、塩漬けじゃないと言っていたけれども、塩漬けじゃないですか……

井坂主査 持ち時間が終了しておりますので、結論をおまとめください。

大石分科員 結論は、こういう国が、一人一人、被害者には感情があるんです。自分たちが社会防衛の被害に遭ったということを国に認めてほしいんですね。でも、その国の態度は全然違うでしょう。

 一方で、パンデミック条約とか先日出してきた計画とかで、誤情報とかね。まとめますね。誤情報は……

井坂主査 もう既に二分経過しておりますので。

大石分科員 分かりました。

 偽情報、誤情報は監視していくでと。SNSの事業者に必要な要請、これは削除とかじゃないんですか。パンデミック条約でも、そういったものと戦うと書いてあって、その誤情報の定義はないんです。でも、今日見てきたように、介護だったりこっちだったりで、厚労省がどう見ても誤情報というか誤解するような情報を私にも与えているし、国民にも与えているんじゃないんですか。これへの改善を求めます。

 以上です。遅くなって済みませんでした。

井坂主査 これにて大石あきこ君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして厚生労働省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

井坂主査 これより環境省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。伊藤環境大臣。

伊藤国務大臣 令和二年度環境省主管一般会計歳入決算並びに環境省所管の一般会計歳出決算及び特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まずは、一般会計の歳入決算について申し上げます。

 歳入予算額は二十七億一千百十四万円余、これに対しまして、収納済歳入額は二十五億百二十万円余、歳入予算額と収納済歳入額との差は二億九百九十三万円余の減少となっております。

 次に、一般会計歳出決算について申し上げます。

 歳出予算現額は六千七百四十億一千三十四万円余、これに対しまして、支出済歳出額は四千八百九十七億三百十九万円余、翌年度への繰越額は千四百三億四千九百五十四万円余、不用額は四百三十九億五千七百六十万円余となっております。

 次に、環境省所管の特別会計の令和二年度の決算につきまして御説明申し上げます。

 第一に、エネルギー対策特別会計について申し上げます。

 収納済歳入額三千六百三十五億二千百九十一万円余、支出済歳出額千九百五億四千八十三万円余であります。

 収納済歳入額と支出済歳出額との差額は千七百二十九億八千百七万円余でありまして、翌年度への繰越額は九百九十億六千九百六十三万円余、令和三年度予算に歳入計上した剰余金は三百六十一億六千四百七十四万円余、これらを除いた純剰余金は三百七十七億四千六百六十九万円余となっております。

 第二に、東日本大震災復興特別会計について申し上げます。

 まずは、歳入決算につきましては、収納済歳入額三千百八十億五千三百四十九万円余となっております。

 次に、歳出決算につきましては、歳出予算現額八千五百四十一億九千五百六十九万円余、これに対しまして、支出済歳出額は七千六百三億九千二百二十三万円余、翌年度への繰越額は四百九十八億九千七十九万円余、不用額は四百三十九億千二百六十六万円余となっております。

 以上が、令和二年度における環境省の決算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 続きまして、令和三年度環境省主管一般会計歳入決算並びに環境省所管の一般会計歳出決算及び特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まずは、一般会計の歳入決算について申し上げます。

 歳入予算額は三十九億二千九百八十六万円余、これに対しまして、収納済歳入額は四十九億五百二十一万円余、歳入予算額と収納済歳入額との差は九億七千五百三十四万円余の増加となっております。

 次に、一般会計歳出決算について申し上げます。

 歳出予算現額は六千二百六億六千六百四十八万円余、これに対しまして、支出済歳出額は四千七百二十二億七千七百四十一万円余、翌年度への繰越額は千二百七十五億二百八十六万円余、不用額は二百八億八千六百二十万円余となっております。

 次に、環境省所管の特別会計の令和三年度の決算につきまして御説明申し上げます。

 第一に、エネルギー対策特別会計について申し上げます。

 収納済歳入額三千九百十二億六千四百八十万円余、支出済歳出額千九百二十億七千八百二十七万円余であります。

 収納済歳入額と支出済歳出額との差額は千九百九十一億八千六百五十二万円余でありまして、翌年度への繰越額は千九十四億九千三万円余、令和四年度予算に歳入計上した剰余金は三百九十七億九千五百九万円余、これらを除いた純剰余金は四百九十九億百三十九万円余となっております。

 第二に、東日本大震災復興特別会計について申し上げます。

 まず、歳入決算につきましては、収納済歳入額二千四百十二億八千九百六万円余となっております。

 次に、歳出決算につきましては、歳出予算現額三千五百七十六億六百五万円余、これに対しまして、支出済歳出額は二千七百四十一億四千二百九十八万円余、翌年度への繰越額は五百二十六億九千九百六十二万円余、不用額は三百七億六千三百四十五万円余となっております。

 以上が、令和三年度における環境省の決算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 続きまして、令和四年度環境省主管一般会計歳入決算並びに環境省所管の一般会計歳出決算及び特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計の歳入決算について申し上げます。

 歳入予算額は二十八億六千百三十三万円余、これに対しまして、収納済歳入額は三十八億三千五百十万円余、歳入予算額と収納済歳入額との差は九億七千三百七十六万円余の増加となっております。

 次に、一般会計歳出決算について申し上げます。

 歳出予算現額は六千百七億八千三万円余、これに対しまして、支出済歳出額は四千四百三十八億一千三百六万円余、翌年度への繰越額は千四百二十四億二千二百六十五万円余、不用額は二百四十五億四千四百三十一万円余となっております。

 次に、環境省所管の特別会計の令和四年度の決算につきまして御説明申し上げます。

 第一に、エネルギー対策特別会計について申し上げます。

 収納済歳入額四千百三十四億四千四十三万円余、支出済歳出額二千四十六億七千百四十八万円余であります。

 収納済歳入額と支出済歳出額との差額は二千八十七億六千八百九十五万円余でありまして、翌年度への繰越額は一千八億五千七百二万円余、令和五年度予算に歳入計上した剰余金は五百十六億八千八百三十六万円余、これらを除いた純剰余金は五百六十二億二千二百五十八万円余となっております。

 第二に、東日本大震災復興特別会計について申し上げます。

 まず、歳入決算につきましては、収納済歳入額一千五百三十二億二千四百七十一万円余となっております。

 次に、歳出決算につきましては、歳出予算現額三千七百五億一千七十一万円余、これに対しまして、支出済歳出額は三千五十九億八千五百七十四万円余、翌年度への繰越額は二百八億五千九百七十一万円余、不用額は四百三十六億六千五百二十五万円余となっております。

 以上が、令和四年度における環境省の決算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

井坂主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院中川第三局長。

中川会計検査院当局者 令和二年度環境省の決算について検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項八件であります。

 検査報告番号一二七号から一三四号までの八件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 このうち、補助の対象とならないなどのものが五件、補助金により造成した基金の使用が適切でなかったものが三件であります。

 続きまして、令和三年度環境省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項八件であります。

 検査報告番号二四五号は、環境調査研修所の管理及び運営の業務に係る請負契約において、契約金額の算定の前提となっている業務量と実際の業務量に著しい差異が生じていたのに、契約金額を減額する契約変更を行っていなかったため、契約金額が過大となっていたものであります。

 二四六号から二五二号までの七件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 このうち、補助の対象とならないなどのものが四件、補助金により造成した基金の使用が適切でなかったものが二件、工事の設計が適切でなかったものが一件であります。

 最後に、令和四年度環境省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十一件であります。

 検査報告番号二六一号から二七一号までの十一件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 このうち、補助の対象とならないなどのものが四件、補助金が過大に交付されていたものが三件、補助事業により取得した財産を無断で処分していたものが二件、工事の設計が適切でなかったものが一件、工事費の積算が過大となっていたものが一件であります。

 以上をもって説明を終わります。

井坂主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。伊藤環境大臣。

伊藤国務大臣 令和二年度、令和三年度及び令和四年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、誠に遺憾に存じております。

 指摘を受けました事項につきましては、直ちに是正措置を講じましたが、今後なお一層厳正な態度をもって事務の執行の適正に期する所存であります。

井坂主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井坂主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

井坂主査 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

井坂主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、これを許します。野間健君。

野間分科員 立憲民主党の野間健です。

 私は、鹿児島県の、水俣病が発生した熊本県の水俣市、そして不知火湾を取り囲む鹿児島側の長島町、あるいは出水市、阿久根市、これが私のふるさと、地元であります。そこの私の隣町のおじさんやおばさん、この方々が、何の罪もないのに、不知火海の魚を食べたということで大変な犠牲者になって、今なお水俣病で苦しんでいる。私どもの身内、親戚、仲間であります。こういうふるさとの皆さんが七十代、八十代になって、いまだに裁判闘争して救済を求めている、その立場から、私もまた超党派の議員連盟であります、水俣病被害者とともに歩む連絡協議会の事務局長もさせていただきながら、当事者として今日は質問させていただきたいと思います。

 五月一日の水俣病犠牲者慰霊式、私も大臣の隣の隣に座って出席をさせていただきました。大臣から、政府を代表して、水俣病拡大を防ぐことができなかったことを、改めて衷心よりおわび申し上げます、こういう心のこもった御挨拶がありましたので、ああ、大臣が今度こそやってくれるなという思いを持って見守っておったんですけれども、その後の懇談会において、水俣病関係の団体の皆さんとの懇談で、申し上げるまでもありません、発言をしていたら三分間でマイクを切られて発言を中断され、涙を流して怒りをあらわにされた。

 大臣、これは事務方から公表されていますけれども、これが、そのように書いていますね。持ち時間が近づいた場合。お話し中申し訳ありませんが、他の団体様のお時間もありますので手短にお願いします。括弧、三分でマイクオフ。言葉は優しいんですね。しかし、この括弧のところの、もう聞いたんだからオフにしろ、こういうことですよね。

 大臣、このシナリオは御覧になっていましたか、前に。御覧になっていなかった。ということは、事務方がこうやって、恐らくこういうふうに通常にやっていたんでしょうね。

 もっとひどいことも書いてあるんですよ。言葉は優しいんですよ。後ほど大臣からまとめて発言すること、御理解いただきたく存じます。では、御意見を続けてください。括弧、時間を短くしたから後でしゃべらせろと言われた場合はこうする。こういう失礼な表現、ここは本音の部分ですよね、環境省の官僚の皆さんの。こんなことで、こういうシナリオで進めてやりますから、そういう姿勢はすぐ分かりますよ。ひどいと思います。

 大臣、今年の慰霊式典後の対話というのは非常に重大だということを御存じだと思うんですね。昨年九月、大阪地裁の判決が出ました。三月、熊本の判決も出ました。四月、新潟も出ました。今年は、そういう意味では特別な、患者の皆さんも、大臣と話をしたい、こういうことを訴えたい、こんな判決が出たんだということを特に話をしたいときだったんですね。

 大臣には、私ども議連の方からも、九月の、昨年の判決が出た後、何度となく、面会をしてください、患者の声を、皆さんの声を直接聞いてくださいということをお願いしました。ナシのつぶてです。一つあったのが、実は、この五月一日に皆さんと会うので、そのときにお話をしますという答えでした。我々もそれを期待しておりました。しかし、三分で終えられてしまった。

 もう一つ言えば、環境省の皆さんは、二回マイクを切ったと言うんですね。三回切っているんですよ。岩崎会長、不知火患者会の会長さん。これは、ユーチューブで全部残っているんです、画像が。三回切られています。今日、私どもの立憲民主党の国対のヒアリングで、そのことの、その画像も映して、環境省の審議官にも見ていただきました。三回切られているんです。それを、二回しかやっていないと言い張っています。岩崎会長も本当に怒っていました。だから、先般、大臣が水俣に謝罪で訪れたとき、自分は行かなかったと。なぜ自分が切ったことを認めないのか。当たり前ですよね。もう一度、大臣、これはきちんと事務方にも言って調べさせてください。おかしいと思います。

 こういった対応、大臣、本当にどういうお気持ちですか、今。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 水俣病は、環境が破壊され、多くの方が健康被害に苦しまれてきた、我が国の環境問題の原点だと思います。

 五月一日は、政府を代表して、水俣病犠牲者慰霊式に参列して、水俣病によって亡くなられた方々の御冥福を心を込めてお祈りすること、そして、語り部の皆様や関係団体の皆様の声を拝聴し、環境大臣としてどのように受け止めて今後取り組んでいくかをお伝えする、大変重要なことだと考えておりました。

 当日は、御出席だから御存じだと思いますけれども、慰霊式が当初の予定より十五分延びて終了しました。語り部の皆様との懇談も、その影響で始まりが遅れましたが、三十分行いました。その後の団体の皆様との懇談も、当初の予定よりもその影響で開始が遅れたものの、予定していた四十分を超えてお話を伺って、かつ、御参加いただいた八団体のお話は、私には全て聞こえておりました。

 このうち、御発言の途中でマイクの音量を切られてしまった方のお一人についても、当初、団体としての六分程度お話をされ、マイクを切られた後も続けて三十秒程度お話をされ、さらに、他の団体の御厚意により、マイクがしっかり入っている状態で更に一分程度お話しされ、七分程度全体の話をされてお話を終えられて、私はその話を最後までしっかりお聞きしておりました。

 その後、八団体ありますので、残りの二つの団体から更にお話を伺って、最後に、この八つの団体からいただいた御意見、御要望について私から七分程度お話をして、お答えをして懇談を終了して、記者会見を行い、予定していた行程を全て終えたところでございます。

 御指摘のように、団体との懇談において、時間を超過した一部の方について発言の途中でマイクの音量を切るという運営をしたことについては、大変遺憾であり、発言された方に対して大変申し訳ないと思ってございます。

 今後、今回の深い反省の上に立って、環境省として皆様に寄り添って対応ができるように、また環境省が一丸となってこの問題に取り組むため、省内の体制を強化し、現状を分析しつつ、現行法の丁寧な運用や医療、福祉の充実、地域の再生、融和、振興などの取組をしっかり進め、水俣病対策に全力を尽くしてまいりたいと思います。

野間分科員 大臣は、その五月一日、どうしても東京に帰らなきゃいけない、事務方の御説明ですと十時に東京に戻り着いたということですけれども、どうしても東京に帰らなきゃいけない公務が何かあったんでしょうか。

伊藤国務大臣 五月一日は、水俣病犠牲者慰霊式に参列した後、語り部の会との懇談、水俣病関係団体の懇談に対応し、その後、記者会見を行い、事務方によって当初から組まれていた行程で東京に戻ったところでございます。

 今後の開催に当たっては、懇談の際にもっと時間を取って話を聞いてほしいという趣旨の御要望をいただいていることを踏まえて、発言の時間も十分に確保し、丁寧に御意見を聞けるような運営の仕方を検討してまいりたいと考えております。

野間分科員 この懇談会、これだけ紛糾したわけですし、皆さんももっともっと発言したいことがありました。当然これは、政治家として、もうちょっと時間を取って話をしよう、今年は特別だからと思うのが当然だと思います。

 大臣は、これは五月九日付の朝日新聞で、記者の質問で、話をじっくり聞くには後ろに制限がない形でやらないととも述べておられるということであります。本当は、熊本に泊まってももうちょっと話を聞こうということになるべきなんですが、これは、二日の日は平日ですが、までいるということはできなかったんですか。

伊藤国務大臣 御案内のように、大臣日程というのは事前にいろいろなことが決まっておりまして、私の一存でもう一日延ばすというのは、いろいろな関係者がおりますので、大変困難なことではないかと思っております。

野間分科員 大臣は今、環境大臣という大きな公職に、公務に就かれています。一方で、大臣は、政治家としての政務といいますか、地元のことやらいろいろあると思うんですが、公務と政務、今、大臣はどちらを優先しているんでしょうか。どのように優先して仕事をされているんですか。

伊藤国務大臣 公務を優先して活動しております。

野間分科員 当然ですよね。

 五月二日、平日、お帰りになった翌日ですね、大臣は、政務で、いろいろと地元の自治体、石巻とか女川町とかを回られていますね。これは、自民党の東日本大震災の復旧促進本部の方々が何名か来られたということで、それを地元でお迎えするというような形ですね。写真も出ています。谷公一本部長さんのフェイスブックにもこれは上がっているものでありますね。これは政務ですよね。

伊藤国務大臣 そうでございます。

野間分科員 これは、二日、平日ですよね。そこに政務を、しかも、御自分の選挙区に帰って、そこをぐるぐる回る。その内容は別として、公務を優先すべき環境大臣が、水俣の昨日のこんな問題も起きているにもかかわらず、政務を優先して自分の選挙区を回る。これはいかがなものですかね。納得できないと思います、被害者の皆さんも。

 大臣、それでいいと思ったんですか。

伊藤国務大臣 御発言は重く受け止めております。

 日程の順番からいいますと、五月二日の政務が決まっていたわけではありませんで、五月一日、日帰りするということが先に決まっておりまして、五月二日、ほかの公務がなかったものですから、宮城県に行ったということでございます。

野間分科員 それでは、翌日どうしても東京でやらなきゃいけない公務が入っていたら別ですけれども、選挙区に帰るというぐらいであれば、きちんと熊本の皆さんと夜を徹してでも話すべきだったと思います。

 大臣、大臣は、先週金曜日の環境委員会で、渡辺創議員に対して、先日も謝罪に水俣にまた行かれて、もう一度きちっとした懇談の場を設けます、約束されましたよね。本日、私どもも国対のヒアリングで、先日大臣ともお会いした水俣病被害者互助会の佐藤英樹会長さんからも、なるべく早く来てほしいと。これは、大臣、一年後に行っても何の意味もないですよね。佐藤さんはこう言っていましたよ、大臣じゃなくなっているかもしれないから早く来てほしい。当たり前ですよね。

 それを、では、大臣、どれぐらいのあれで考えているんですか。普通考えれば、今月中にやはり行ってきちっと膝詰めで話をする、今後どうする、やるべきだと思うんですよね。どうお考えですか。

伊藤国務大臣 なるたけ早く行きたいと思っておりますが、現時点では、相手方との調整もあり、具体的な時期をお答えすることはできませんけれども、できるだけ早く実施したいと思います。

 それから、今回の反省もあり、懇談の具体的な開催方法については今後調整することになりますが、発言の時間も十分確保して、丁寧に御意見を聞けるような運営の仕方をよく検討してまいりたいと思います。具体的には、今度、前田審議官を早々に派遣して調整を行うつもりでございます。

野間分科員 その前田審議官はいつ行かれるんでしょうか。

伊藤国務大臣 あしたになるか、あさってになるか分かりませんけれども、本当に数日中だと思います。

野間分科員 是非その際も、行って先延ばしするのではなくて、きちっと、行ったときには日を決めていただきたいと思いますけれども、それは大臣からきちんと指示していただけますか。

伊藤国務大臣 指示いたしますけれども、これは相手方のあることなので、しかも八団体ありますので、八団体との調整で、八団体の方が出られる日ということになると、一回で決められるかどうか、ちょっと私は分かりませんけれども、いずれにしても、前田審議官の方には、できるだけ早く調整して、早くそれが行われるように指示しているところでございます。

野間分科員 是非、早期の訪問を期待したいと思います。

 これと同時に、これは大臣にも要望書が出ておりますけれども、五月三十一日に新潟県の主催で、新潟水俣病の歴史と教訓を伝えるつどい、新潟水俣病の公式確認から五十九年目になりますけれども、これが行われます。大臣は、国定政務官をこれに派遣するとおっしゃっているんですけれども、なぜ大臣は直接行かれないんですか。どこに新潟と熊本の違いがあるんですか。なぜその差をつけるんですか。

伊藤国務大臣 御指摘のように、新潟県での懇談会には、環境省からは地元新潟県出身の国会議員でもある国定政務官を派遣したいと考えております。そして、国定政務官には、地元の声を丁寧に聞いてくるように既に指示をしたところでございます。

 この日はまだ会期中でございます。ですから、そこも含めて、この日に限らず、私が新潟の皆さんのお声を聞く機会を今、これは既に事務方に指示して算段しているところでございます。これも調整して早くやりたいと考えております。

野間分科員 それでは、新潟も早期に訪問していただけるということで、そういう答弁だということを確認させていただきたいと思います。

 新潟は、大臣も御存じだと思うんですけれども、これは熊本以上に非常に差別や偏見がまだまだ根強いところなんです。原告団の中には、かわいいお孫さんとも会えない、息子とも会えない、なぜならば、おじいちゃんが訴訟をしているから、私たちは一切縁を切る、こう言われても裁判をやっている方がいるんですよ。是非早く新潟にも行っていただきたいと思います。

 伊藤大臣は、水俣病の全面的な解決の方向として、いろいろ記者会見の中で、三つの今地裁の判決が出て、いずれの内容も、国が認定していない、国の認定から外れた方々が水俣病であると判決の中で認められています。そういったことを含めて、伊藤大臣は記者会見の中で、法の不備ということであれば、元々議員立法なので立法府において御検討いただければという発言を何度かされています。この意味はどういうことでしょうか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 水俣病については、公害健康被害補償法に基づいて三千人が認定を受けて補償を受けられるとともに、これまで、平成七年と平成二十一年の二度にわたり政治救済が図られてございます。平成二十一年の水俣病被害者特措法は、超党派の議員立法により、地域における紛争を終結させ、水俣病問題の最終解決を図ることを目指したものだと思います。これらの政治救済により、合わせて五万人以上が救済対象となりました。

 特措法が超党派の議員立法により制定された経緯を踏まえますと、行政府としては、その立法趣旨を最大限尊重して制度を運用しなければならないというふうに考えております。そして、議員立法については国会で御議論いただくものであるという趣旨で、そのように申し上げました。

 その上で、関係の皆様にできる限り寄り添って対応できるよう、現状を分析しつつ、現行法の丁寧な運用や医療、福祉の充実、地域の再生、融和、振興などの取組をしっかり進め、水俣病対策に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

野間分科員 議員立法だから議会でやってくれというのはおかしな話ですよね。何か、議員立法で、法律の不備を行政府で直してはいけないという決まりがあるんでしょうか。

伊藤国務大臣 この特措法がやはり超党派の議員立法によって制定された経緯というものを踏まえますと、行政府としては、その立法趣旨を最大限尊重して制度を運用しなければならないと考えています。ですので、議員立法については国会で御議論いただくという趣旨で、そのように申し上げているところでございます。

野間分科員 例えば、これは環境省が出している法律です、瀬戸内海の環境保全特別措置法というのがあります。これも議員立法でできたんですけれども、その後、環境省が、いろいろ不備があるということで、閣法で訂正しているんです。だから、環境省がやってはいけないということは全くないんですね。不備があれば直すのは当たり前なんですよ。議員立法に責任転嫁しないでいただきたいと思います。

 どうですか、それは。ちょっと、大臣、お答えください。

伊藤国務大臣 繰り返しになって恐縮ですけれども、この水俣病の今までの歴史的経緯、そして特措法が制定された経緯、そしてそれが、繰り返しになって恐縮ですけれども、超党派の議員立法によって制定された、その経緯を踏まえると、行政府としては、その立法趣旨を最大限尊重して制度を運用しなければならないというのが、私どもの今の立場でございます。

野間分科員 先日の五月十日の環境委員会での渡辺創議員への答弁では、そういう議員立法なりが出てくれば、自分は応援をする、それに賛同するとおっしゃったですね。ということは、もし今後、私どもも準備をしていきますけれども、立法府と、そして当然これは環境省もしっかりと協力していただいて、いい救済、全面救済のものを作っていかなければならないと思いますので、その際は、大臣のその言葉をたがわないようにしていただきたいと思います。

 大臣、度々、判決が出たときに、この判決は国際的な科学的知見と違うんだということで、これはおかしいんだということを判決について述べておられますけれども、これはどういう意味なんでしょうか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 有機水銀の暴露に関する国際的な科学的知見としては、例えば、WHO、世界保健機構が示すメチル水銀の環境保健クライテリアがございます。これは、加盟国の専門的知見を集約し、検証を重ねて作成されたものでございます。

 この中では、発症閾値に係る知見などが示され、作成後も国際的な検証が継続して行われてございます。現在も信頼性の高い国際的な基準として維持されているものと考えておりまして、こうした知見を踏まえた対応をしているところでございます。

野間分科員 この問題も、これは別に人類普遍の永遠の基準ではないんですよね、五〇ppmというのは。

 過去に、例えば一九九〇年、足利事件というのがありました。これは、捜査の過程でDNA鑑定をして、これだからこの人が犯人だということになったんですけれども、実際調べてみたら、その基準が曖昧といいますか、非常に範囲が広くて、それだけを当てはめてしまって無罪の人を有罪にしていたということで、冤罪事件でした。

 こういったいろいろな基準は、個人差もあります。絶対これでなきゃいけないというのはないんですよね。ですから、五〇以下の、二〇から五〇の中で、これは新潟大学の研究もありますけれども、決してこれが唯一絶対の人類普遍の指標であるということは言えないということを申し上げておきたいと思います。

 そして、被害者の皆様、今、認定されない皆さんが言うことは、そんなに難しいことではないんですよ。環境省が、平成二十五年に最高裁判決で出した判定する基準、これにきちっと従ってほしい、これだけなんです。

 ところが、恐らく環境省さんも、まあメンツの問題なんでしょうね、それまでに自分たちが出していた基準と最高裁が出した基準がちょっと違うから。最高裁は、もう少し広く見なさい、そこまで厳格に見ていったら、いろいろな個人がいるんだから、もうちょっと総合的に判断しなさい、こういうことで最高裁判決が出ました。

 そうしたら、その後、二十六年の三月に、新たな審査基準だということで通知を環境省が出したわけですけれども、それがまた非常に厳しいものになってしまって、その後、ですから、認定される数がぐっと、もうゼロに近いぐらい減っていったんですね。明らかなんです、これは。それを、もう一回この通知を見直すということさえ言っていただければ、大きくこの問題は救済に向かうんです。

 ですから、大臣、この前も質問で、いや、多岐にわたってどうのこうの、救済が。そうじゃないんです。今、環境省が出したこの通知を見直す、もう少し基準を見直すということで、全然変わってくるんです。いかがお考えですか。

伊藤国務大臣 重い御指摘だと思います。

 その問題もありますけれども、やはり、私も、関係団体のいろいろな人と話を聞いてみますと、本当に多岐な要望があります。御指摘のこともあると思います。

 いずれにいたしましても、現時点では、対象地域についても、通常起こり得る程度を超えるメチル水銀暴露を受けた可能性があり、水俣病患者が多発した地域として関係県が認めた地域を指しておりまして、この対象地域は、平成二十二年にノーモア・ミナマタ第一次訴訟において裁判所が示した和解所見、これを基本に、訴訟しなかった患者団体との協議も踏まえて決められたものと承知しております。

 また、救済対象の判定に当たっては、対象地域内に一定期間の居住歴のある方については暴露を追認する一方で、対象地域外に居住歴のある方についても、個別に暴露の有無を判断し、相当数の方が救済の対象になったというふうに承知しております。

 委員の御指摘も踏まえて、何ができるか、最大限の救済策が取れるように私も全力を挙げてまいりたいと思います。

野間分科員 余り言いたくありませんけれども、この新しい通知というのは、例えば、水俣病になったときの血液とか毛髪が残っていないのか、あるいは、今日は佐藤会長もおっしゃっていました。佐藤さん、家が漁業なんですね。漁業で、家族はみんな認定されているのに自分だけ認定されない。漁業者ですよ。おまえは魚を本当に食べていたのかということまで聞かれたと。こういう本当に理不尽な認定の仕方が行われているのも事実なんですよね。

 そういう様々な不条理の中で一生懸命裁判闘争している皆さんの声をなるべく早く聞いていただきたいということ、今日はお約束をいただきましたので、なるべく早い日程を我々にもお知らせいただきたいと同時に、私どもも、議員連盟として、やはり政治的な解決に向けて、大臣とも直接、虚心坦懐に話をさせていただきたいと思っています。何度となく、環境省を通じて大臣との面会も求めていますので、是非そういう機会もつくっていただきたいということをお願い申し上げて、時間となりましたので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

井坂主査 これにて野間健君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして環境省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の格段の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後四時三十九分散会


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