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第1号 令和6年5月13日(月曜日)

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本分科会は令和六年四月十五日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

五月十日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      田中 英之君    高木  毅君

      棚橋 泰文君    三反園 訓君

      村上誠一郎君   大河原まさこ君

      中谷 一馬君    遠藤 良太君

      佐藤 茂樹君    池田 佳隆君

五月十日

 田中英之君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和六年五月十三日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 田中 英之君

      勝目  康君    高木  毅君

      棚橋 泰文君    三反園 訓君

      村上誠一郎君    柳本  顕君

      山本 左近君   大河原まさこ君

      中谷 一馬君    馬淵 澄夫君

      山崎  誠君    遠藤 良太君

      斎藤アレックス君    堀場 幸子君

      稲津  久君

   兼務 井坂 信彦君 兼務 大西 健介君

   兼務 早坂  敦君

    …………………………………

   法務大臣         小泉 龍司君

   外務大臣         上川 陽子君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   法務副大臣        門山 宏哲君

   国土交通副大臣      國場幸之助君

   国土交通副大臣      堂故  茂君

   農林水産大臣政務官    舞立 昇治君

   国土交通大臣政務官    石橋林太郎君

   国土交通大臣政務官    こやり隆史君

   国土交通大臣政務官    尾崎 正直君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       長森浩一郎君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       佐藤 稔久君

   会計検査院事務総局第三局長            中川  浩君

   最高裁判所事務総局家庭局長            馬渡 直史君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 福田  毅君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房公益法人行政担当室長)      北川  修君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            川崎  暁君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 豊嶋 基暢君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          坂本 三郎君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    竹内  努君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 丸山 秀治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 藤本健太郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 濱本 幸也君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 小宮 敦史君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  八木 和広君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           勝野 美江君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  長崎屋圭太君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通政策審議官)     石原  大君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         林  正道君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        秋月聡二郎君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            榊  真一君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  天河 宏文君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        廣瀬 昌由君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石坂  聡君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  村田 茂樹君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  稲田 雅裕君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  平岡 成哲君

   政府参考人

   (観光庁次長)      加藤  進君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       青木 健至君

   参考人

   (独立行政法人国際協力機構理事長)        田中 明彦君

   外務委員会専門員     大野雄一郎君

   国土交通委員会専門員   國廣 勇人君

   決算行政監視委員会専門員 菊田 幸夫君

    ―――――――――――――

分科員の異動

五月十三日

 辞任         補欠選任

  棚橋 泰文君     山本 左近君

  三反園 訓君     勝目  康君

  大河原まさこ君    山崎  誠君

  遠藤 良太君     林  佑美君

  佐藤 茂樹君     稲津  久君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     三反園 訓君

  山本 左近君     柳本  顕君

  山崎  誠君     馬淵 澄夫君

  林  佑美君     藤巻 健太君

  稲津  久君     佐藤 茂樹君

同日

 辞任         補欠選任

  柳本  顕君     棚橋 泰文君

  馬淵 澄夫君     長妻  昭君

  藤巻 健太君     斎藤アレックス君

同日

 辞任         補欠選任

  長妻  昭君     大河原まさこ君

  斎藤アレックス君   吉田とも代君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田とも代君     堀場 幸子君

同日

 辞任         補欠選任

  堀場 幸子君     遠藤 良太君

同日

 第一分科員大西健介君、早坂敦君及び第三分科員井坂信彦君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和二年度一般会計歳入歳出決算

 令和二年度特別会計歳入歳出決算

 令和二年度国税収納金整理資金受払計算書

 令和二年度政府関係機関決算書

 令和二年度国有財産増減及び現在額総計算書

 令和二年度国有財産無償貸付状況総計算書

 令和三年度一般会計歳入歳出決算

 令和三年度特別会計歳入歳出決算

 令和三年度国税収納金整理資金受払計算書

 令和三年度政府関係機関決算書

 令和三年度国有財産増減及び現在額総計算書

 令和三年度国有財産無償貸付状況総計算書

 令和四年度一般会計歳入歳出決算

 令和四年度特別会計歳入歳出決算

 令和四年度国税収納金整理資金受払計算書

 令和四年度政府関係機関決算書

 令和四年度国有財産増減及び現在額総計算書

 令和四年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (法務省、外務省所管、独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門及び国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

田中主査 これより決算行政監視委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました田中英之でございます。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、法務省所管、外務省所管、独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門及び国土交通省所管についての審査を行うことになっております。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 令和二年度決算外二件、令和三年度決算外二件及び令和四年度決算外二件中、法務省所管、外務省所管、独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門及び国土交通省所管について審査を行います。

 これより国土交通省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。斉藤国土交通大臣。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省所管の令和二年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計につきまして申し上げます。

 収納済歳入額は一兆七億三千二百万円余であります。支出済歳出額は八兆二千六百八十五億一千九百万円余であります。

 次に、特別会計につきまして申し上げます。

 まず、自動車安全特別会計でありますが、保障、自動車検査登録、自動車事故対策及び空港整備の四勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は六千五百五億一千万円余であります。支出済歳出額は四千三百三十八億四千二百万円余であります。

 このほか、財務省と共管の財政投融資特別会計及び各省各庁共管の東日本大震災復興特別会計がございますが、これら特別会計の決算の概要及び各事業の詳細につきましては、お手元に配付いたしました令和二年度決算概要説明書を御覧いただきたいと存じます。

 引き続き、国土交通省所管の令和三年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計につきまして申し上げます。

 収納済歳入額は一兆二百五十億二千百万円余であります。支出済歳出額は八兆四千六百九十八億八千百万円余であります。

 次に、特別会計につきまして申し上げます。

 まず、自動車安全特別会計でありますが、保障、自動車検査登録、自動車事故対策及び空港整備の四勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は五千五百八十八億円余であります。支出済歳出額は三千九百四十八億八千六百万円余であります。

 このほか、財務省と共管の財政投融資特別会計及び各省各庁共管の東日本大震災復興特別会計がございますが、これら特別会計の決算の概要及び各事業の詳細につきましては、お手元に配付いたしました令和三年度決算概要説明書を御覧いただきたいと存じます。

 引き続き、国土交通省所管の令和四年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計につきまして申し上げます。

 収納済歳入額は九千三百五十七億一千七百万円余であります。支出済歳出額は八兆七千八百二十六億一千万円余であります。

 次に、特別会計につきまして申し上げます。

 まず、自動車安全特別会計でありますが、保障、自動車検査登録、自動車事故対策及び空港整備の四勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は五千六百九十一億五千百万円余であります。支出済歳出額は四千二百六十四億三千二百万円余であります。

 このほか、財務省と共管の財政投融資特別会計及び各省各庁共管の東日本大震災復興特別会計がございますが、これら特別会計の決算の概要及び各事業の詳細につきましては、お手元に配付いたしました令和四年度決算概要説明書を御覧いただきたいと存じます。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

田中主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院中川第三局長。

中川会計検査院当局者 令和二年度国土交通省の決算につきまして検査した結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二十五件、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号一〇二号は、会計経理が適正を欠いていたもの、一〇三号は、契約額が割高となっていたもの、一〇四号から一二六号までの二十三件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 これは、可搬形電源設備に関して、改善の処置を要求したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、河川管理施設に設置された機械設備の維持管理に関するもので、これについて指摘したところ、改善の処置が取られたものであります。

 続きまして、令和三年度国土交通省の決算につきまして検査いたしました結果の概要について御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二十一件、意見を表示し又は処置を要求した事項二件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項三件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号二二四号は、契約額が割高となっていたもの、二二五号は、設計が適切でなかったもの、二二六号から二四四号までの十九件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、GoToトラベル事業における取消し料対応費用等に関して、適宜の処置を要求し、及び改善の処置を要求したもの、その二は、空き家対策事業の実施に関して、適宜の処置を要求し、是正改善の処置を求め、及び改善の処置を要求したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、河道掘削に伴う建設発生土に関するもの、その二は、河川管理施設に関するもの、その三は、合同庁舎に入居している特別地域気象観測所における非常用電源の整備事業に関するものであり、これら三件について指摘したところ、改善の処置が取られたものであります。

 最後に、令和四年度国土交通省の決算につきまして検査した結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三十三件、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項五件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号二二八号は、会計経理が適正を欠いていたもの、二二九号から二五九号までの三十一件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの、二六〇号は、現金が領得されたものであります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 これは、多重無線回線の機能維持に必要な通信鉄塔及び局舎の耐震性等の確保に関して、改善の処置を要求したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、下水道管路施設の老朽化対策に関するもの、その二は、無人航空機の運航者に注意喚起を行うなどするために構築したドクターヘリ離発着場所、条例飛行禁止区域等の情報を共有するシステムに関するもの、その三は、橋梁工事における床版防水工の設計に関するもの、その四は、水害ハザードマップに記載する必要があるとされている情報に関するもの、その五は、航空管制官訓練教官業務作業員の派遣契約に係る予定価格の積算に関するもので、これら五件について指摘したところ、それぞれ改善の処置が取られたものであります。

 以上をもって説明を終わります。

田中主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。斉藤国土交通大臣。

斉藤(鉄)国務大臣 令和二年度決算、令和三年度決算及び令和四年度決算における会計検査院の御指摘に対しまして、国土交通省の取った措置について御説明申し上げます。

 所管事業に係る予算につきましては、その適正な執行を図るよう常に努力しているところでありますが、令和二年度、令和三年度及び令和四年度の決算報告書におきまして、不当事項等として御指摘を受ける事態を生じましたことは、誠に遺憾であります。

 御指摘を受けた事項につきましては、直ちにその是正の措置を講じたところであり、今後、このような御指摘を受けることのないよう指導を一層徹底し、事業の適正かつ効率的な執行を図ってまいる所存であります。

田中主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田中主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田中主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大河原まさこ君。

大河原分科員 おはようございます。立憲民主党の大河原まさこです。

 私自身、中途障害当事者となりまして、こうして本日も着座にて質問をさせていただきます。

 電動車椅子で、タクシー、電車やバスなど、公共交通機関を利用する機会も増えましたので、本日は、私自身の経験や、同じように障害を持つ方々の声を伺ってきたことを踏まえて、公共交通におけるバリアフリー問題について質問をさせていただきます。

 高齢者、障害者の移動円滑化を進めるバリアフリー法は、平成十八年に成立してから現在まで、二度の改正が行われています。まずは、令和二年のバリアフリー法改正後から現在までの進捗状況についてお尋ねをいたします。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 バリアフリー法の理念である共生社会の実現に向けて、障害の有無や特性にかかわらず、誰もが安心して外出し、社会生活を送ることができるよう、バリアフリー環境の整備を図っていくことは大変重要であると認識しております。

 現在、令和三年度から五年間を目標期間とする第三次バリアフリー整備目標の達成に向けて、関係者が連携して取り組んでおり、公共交通機関におけるバリアフリー化も一定程度進展してきております。

 令和四年度末時点におけるバリアフリー化の状況は、例えば、一日の利用者数が二千人以上の旅客施設における段差解消につきましては、原則一〇〇%とする目標に対し、鉄道駅が九四%、バスターミナル、旅客船ターミナル、航空旅客ターミナルが、それぞれ九三%の達成状況となっております。

 また、ホームドア又は可動式ホーム柵の設置につきましては、三千番線の目標に対し、約二千五百番線に設置済みとなっております。

大河原分科員 公共交通のバリアフリー化のために政府がどのような予算措置をしてきたのかについて、お答えください。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 公共交通機関におけるバリアフリー化の推進に関する国土交通省の主な予算といたしましては、鉄道駅、バスターミナル、旅客船ターミナル、航空旅客ターミナルにおける段差の解消や誘導ブロックの整備、鉄道駅におけるホームドアの整備、ノンステップバス、リフトつきバスの導入、福祉タクシーの導入の推進に係るものがあります。

 国土交通省といたしましては、これらの予算を活用しながら、引き続き、公共交通機関のバリアフリー化を推進してまいります。

大河原分科員 バリアフリー化を進めるには、社会全体で取り組まなければならない問題でございます。それにはもちろん費用負担が発生いたしますので、その意味での課題はどのようになっているでしょうか。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 バリアフリー法では、公共交通事業者に対し、旅客施設などの新設又は大規模な改良を行う際には、同法に基づく移動等円滑化基準への適合を義務づけるとともに、既存の施設等に対しては適合の努力義務を課すことでバリアフリー化の推進を図っております。

 加えて、同法に基づきバリアフリー整備目標を定め、この達成に向けて、国土交通省では、先ほど申し上げた予算措置など各種支援措置を設け、公共交通事業者によるバリアフリー化の推進を図っているところでございます。

 一方、御指摘のとおり、公共交通事業者にとっては、鉄道駅のホームドアやエレベーターの整備といったバリアフリー化投資に係る費用負担が大きな課題となっております。

 このため、鉄道駅につきましては、事業者によるバリアフリー化を促進するため、都市部において利用者の薄く広い負担も得てバリアフリー化を進める新たな料金制度を令和三年十二月に創設いたしましたほか、地方部における支援措置の重点化として、市町村が作成するバリアフリー基本構想に位置づけられた鉄道駅のバリアフリー施設整備について補助率を最大三分の一から最大二分の一に拡充することにより、全国の鉄道駅のバリアフリー化を進めているところです。

 国土交通省といたしましては、公共交通事業者において幅広く各種支援措置が活用され、更なるバリアフリー化が推進されるよう、引き続きしっかりと働きかけてまいります。

大河原分科員 ありがとうございました、答弁。

 確かに、数字上は進捗しているように見えます。しかし、障害者や高齢者など、移動に困難を抱える全ての人の円滑な移動を保障するという理念は大変大きなものでございます。その意味では、まだまだ全ての人に円滑な移動が保障されているというわけにはまいりません。今後も継続した努力を続けていくことが必要ではないでしょうか。

 次に、公共交通機関の旅客施設・車両・役務の提供に関する移動等円滑化整備ガイドラインについてお尋ねをいたします。

 バリアフリー化を進めるためのガイドラインは令和六年三月に改定されていますが、これについての経緯と、またその趣旨について御説明ください。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 令和三年に障害者差別解消法が改正され、本年四月から、それまで努力義務であった事業者の障害者に対する合理的配慮の提供が義務化されました。こうしたことを受けて、国土交通省では、バリアフリー整備ガイドラインについて改定を行ったものです。

 改定後のガイドラインにおきましては、不当な差別的取扱いや合理的配慮の提供について、具体的な事例を充実させるなどの改正を行っております。

 例えば、段差が解消されていないなど施設がバリアフリー化されていないことのみをもって駅等の利用を一律に拒否するといったことは、正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに当たると考えられること。

 また、鉄道駅等において、障害者や介助者等からの意思の表明に応じて、各障害特性に応じた案内、誘導を行ったり、プラットホームと車両との段差や隙間を解消するために渡り板を提供し、乗降の手助けを行うといったことが、合理的配慮の提供事例として想定されることをお示ししております。

 これらに加え、合理的配慮の提供に当たりましては、双方の建設的対話による相互理解を通じて、柔軟に対応がなされる必要があることなどを盛り込んだところでございます。

大河原分科員 合理的配慮の提供義務化は大変大きなものになると期待をしております。令和六年三月の改定内容のポイント、そして、その後に向けて残されている課題も伺っておきます。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたが、令和三年の障害者差別解消法の改正により、事業者における合理的配慮の提供が義務づけられましたことから、こうしたことを受けて、国土交通省では、不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例について、ガイドラインへ盛り込むなどの改定を行ったものでございます。

 今後の検討課題でございますが、例えば、鉄道駅における誘導案内表示等について、途中で見失ったり、複雑で分からなくなるなどの声が利用者から寄せられております。より分かりやすい誘導案内表示の在り方について検討する必要があると考えております。

 また、ウェブサイト上の駅構内図が複雑である、情報量が多過ぎる、掲載されている画面が見づらいといった声が寄せられており、ウェブサイトにおける情報提供の在り方についても検討しなければならないと考えております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、障害者、高齢者等の方々の御意見を伺いながら、これらの課題についての検討を進め、バリアフリー整備ガイドラインの見直しを行ってまいります。

大河原分科員 障害の特性というのは本当に一人一人違うわけですので、大変難しいことに取り組んでおられる、更にそれを進めていただきたいと思っております。

 例えば、誰にとってもトイレが快適に利用できることは大変重要です。同整備ガイドラインにおいても、その呼称について変更があったと承知していますが、多機能トイレ、多目的トイレからバリアフリートイレと変更した経緯と、その背景についてもお答えください。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のいわゆる多機能トイレ、多目的トイレは、車椅子使用者が利用できる広さや手すり、オストメイト用設備などに加えて、おむつ替えシート、ベビーチェアなどを備え、車椅子使用者や高齢者、障害者だけでなく、子供連れなど多様な方々の利用を可能とするトイレです。

 このようなトイレに設備や機能が集中した結果、利用対象者が拡大し、多機能トイレや多目的トイレといった名称が表記されていることも相まって、一般トイレの利用でも支障のない方が利用している実態があるのではないかとの指摘がなされるようになりました。

 こうしたことから、車椅子使用者の方など、必要とされる方のトイレであることが分かりやすく表示されるよう、令和二年にバリアフリー整備ガイドラインを改定し、バリアフリートイレとの表記に改定したものであります。

 国土交通省といたしましては、必要な方が必要なときにバリアフリートイレを利用することができますよう、適正利用推進キャンペーン等の普及啓発活動による適正利用の推進に、引き続き取り組んでまいります。

大河原分科員 大変重要なポイントなんですね、そこが。誰でも使えること、これは大変分かりやすいと思いますけれども、逆に、バリアフリートイレでなければ使えないということが課題になったわけですから、利用者が快適に、バリアフリーでなければ使えない方たちの利用が快適に進むように、利用者のトイレであることが明示されたということになったわけです。

 私は、このようにハード面でのバリアフリーは重要だと思いますし、同時に、使う側の気持ちの障害、バリアも解消していける方向にしなければならないと考えております。心のバリアフリーの解消も社会全体に広がっていくことを強く望んでおります。だからこそ、私は、公共の役割というのがとても重要だと思うんです。

 そこで、今度は大臣にお伺いいたします。大臣がお考えになる、公共交通機関若しくは公共施設におけるユニバーサルデザインとは何でしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 ユニバーサルデザインは、平成二十九年に政府において取りまとめられたユニバーサルデザイン二〇二〇行動計画におきまして、「障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいようあらかじめ都市や生活環境をデザインする考え方。」とされております。

 議員御指摘のとおり、ユニバーサルデザインとは確立したデザインを指すものではなく、様々な障害特性等に対応した使いやすさを求め、今後も見直していくべきものと考えております。

 ユニバーサルデザインの取組を推進していくに当たりましては、障害者や高齢者を始め、幅広く皆様の御意見をよくお伺いしながら、継続して施策に反映させていくことが重要と考えておりまして、バリアフリー化に係る基準や施設整備に係るガイドライン等について、御意見を踏まえて随時見直しを行っているところでございます。

 この見直しにおきましては、先ほど大河原委員おっしゃいましたような視点、障害者の視点に立った、そして、健常者も一緒に使えるということはいいんですけれども、それでは障害者の方がかえって使いにくくなるというような面も含めながら、これをしっかり見直しをしていきたいと思っております。

大河原分科員 大臣、ありがとうございました。大臣には、バリアフリー社会の実現に向けて、全力を傾けていただけるものと信じております。

 次に、私も日常的に利用しておりますユニバーサルデザインタクシーについてお伺いいたします。

 まずは、車椅子に乗ったままで乗車可能なタクシーの車種と、その開発の状況について教えてください。

鶴田政府参考人 国土交通省におきましては、タクシー車両におきましてもユニバーサルデザインタクシーの車両の認定制度を設けまして、これまでにNV200バネット、セレナ、ジャパンタクシーを認定してきたところでございます。

 一方で、現時点では、車両の側面から乗降するジャパンタクシーのみが販売されている状況でございます。そこで、障害当事者団体との意見交換を行う中で、車両の後ろから乗り降り可能な車両につきましてもユニバーサルデザインタクシーとして認定してほしいという御要望が出ていたところでございます。

 これを踏まえまして検討を重ねまして、本年の四月に認定要領を改正して、新しい認定基準を創設しました。これに基づきまして、トヨタのシエンタを、この新しい基準に適合したユニバーサルデザインタクシーとして認定したところでございます。

 この新しく認定されたタクシーにつきましても、購入費補助それから税制特例の対象となります。これを通じまして、引き続き、重要な公共交通機関であるタクシーについて、ユニバーサルデザイン車両の普及に努めてまいりたいと考えております。

大河原分科員 ありがとうございます。

 本日のように雨の日などは、横から乗るUDタクシーは、スロープを出すだけで乗務員の方がずぶぬれになる、そんなこともあります。

 障害者団体の皆さんがUDタクシーの乗車運動を行っておられます。積極的にUDタクシーを利用されているわけですけれども、国交省はこのことをどのように受け止めておられるでしょうか。

鶴田政府参考人 今先生御指摘ありました運動に関しましては、これを実施しておられます団体から活動結果の御報告をいただいているところでございます。

 車椅子の利用者などの運送の引受け、これを正当な理由なく拒絶することは法令に違反する行為でございます。国土交通省においては、従前から、関係法令を遵守するとともに、UDタクシーに関する研修を実施するよう、事業者に対して指導してきたところでございます。

 今回、団体からいただきました御報告を踏まえまして、改めて事業者等に対して周知徹底を図ったところであります。引き続き、不適切な事案の根絶に向けて、事業者を指導してまいりたいと考えております。

大河原分科員 障害者にとって、UDタクシーができたことは、移動の自由に向けて、大きな一歩であったと思います。バリアフリー社会づくりの社会参画の一つであり、社会全体が積極的に耳を傾けていってほしいと願っております。

 自動車メーカーの開発努力も、そしてまた、新たな利用ニーズにしっかりと応じた認定もされているということも御答弁から分かりましたので、さらに、社会全体が積極的に利用者の声、また開発者、そして事業者の声を受け止めて、バリアフリー化を全体として進め、障害者、高齢者の移動の円滑化を更に更に図っていくこと。

 そして、UDタクシーにはハートマークをつけているわけですけれども、余りまだ知られていないのが実情ではないでしょうか。その意味合いや周知方法などについてお尋ねいたします。

鶴田政府参考人 UDタクシーは流し営業に使用されるものでございますので、あらゆる利用者から一目でUDタクシーであると判別できることが必要でございます。

 このため、今御指摘のありましたように、UDタクシーである旨につきましては、外部から見やすいように、車体の前面、左側面、後面にハートマークを表示することを事業者に義務づけているところでございます。

 また、利用者に対しましては、国土交通省のホームページ等におきまして、車体表示に関する周知を実施しております。

 こうした取組と併せまして、今後、UDタクシーが一層普及していくことに伴って、利用者が車体表示を目にする機会、これも増えて、周知が進んでいくものと考えてございます。UDタクシー自体の普及拡大にも力を注いでまいりたいと考えております。

大河原分科員 さて、利用者だけでなく、乗務員、ドライバーさんたちにとっても、UDタクシーがバリアフリーでなければならないと私は思っております。タクシーを実際に利用する際にドライバーさんとお話しする機会も多いのですが、実はUD研修の内容やその回数が十分とは言えないのではないかと感じるところでもございます。

 UD研修について、内容や回数、その実施方法、国土交通省としての対応はどのようになっているのでしょうか。

鶴田政府参考人 研修実施機関が実施しますユニバーサルドライバー研修、これは一日七時間の研修で修了するものであります。また、内容につきましても、各研修実施機関によって多少のばらつきがあるところでございます。このため、御指摘のとおり、内容や回数につきましては補足すべき部分があるものと考えております。

 このため、これを補足するものとしまして、平成三十年に通達を発出しまして、事業者と事業者団体におきまして、UDタクシーの運送等に関する研修をドライバーに受講させる、それから、教育担当者を育成する、また、定期的な自主研修を行う、これらを実行するよう指導しているところでございます。

 引き続き、これを通じまして、UD研修の内容、回数の充実、拡大に努めてまいりたいと考えております。

大河原分科員 ユニバーサルドライバー研修の受講に当たっては、タクシーに乗務できなくなり、給与などの取扱いに課題が生じているとも伺っております。そのため受講が進んでいないのではないかという、そんな素朴な疑問もありますが、実態もあると聞いておりますので、補助の在り方を含めた国土交通省の御見解をお尋ねいたします。

鶴田政府参考人 ユニバーサルドライバー研修は、高齢者や障害者等の特性を理解して適切な接遇、介助を行うことで安全、安心な運行を実現して利用者の信頼を得る、これらを目的としております。このため、公共交通サービスとして高齢者や障害者等の円滑な移動を確保する責務を負っているタクシー事業者において、しっかり従業員に研修を受講させるということがまず必要であると考えております。

 その上で、国土交通省としましては、事業者による人材確保、養成の取組を支援するその一環として、ユニバーサルドライバー研修に係る研修費用等を支援しております。また、受講日、ドライバーが受講をする当日にそのドライバーに支給する手当につきましても、運賃改定時における必要コストに算入しているところでございます。

 引き続き、こういった支援や事業者への助言を通じまして、ユニバーサルドライバー研修の受講が進むように促してまいりたいと考えております。

大河原分科員 ユニバーサルドライバー研修、ドライバーさんたちの負担が大きくならないように、是非進めていただきたいと考えております。

 次に、乗り合いバスに乗車する際のことを取り上げたいと思いますが、私も乗り合いバスに乗車する際には、運転手さんにスロープを出してもらい、他のお客さんに、車椅子を固定する場所に座っていらっしゃる方に別の場所に移っていただかなければならないということがございまして、非常に、ドライバーの方には御苦労や、他の方々の御協力が必要でございます。そういう御協力を得ることや運転手さんへの負担というものが、私自身の乗り合いバスに乗るという、そうした行動へのプレッシャーになるというか、私自身の心のバリアになって、気兼ねをする、遠慮をするということが発生しております。

 普通の路線バス、乗り合いバスに乗るということで、運転手さんへの負担、またより一層の乗客の皆さんの御理解を必要とするなど、難しい課題はあると思いますが、そうした面についてはいかがでしょうか。

石原政府参考人 お答えいたします。

 車椅子を利用されている方が乗り合いバスを利用される際には、バスドライバーにおいて、スロープの設置や乗降介助、また、必要に応じ、既に乗車されているほかの利用客に協力、配慮を求めるなど、様々な対応を行っているものと承知しております。

 乗り合いバスのドライバーは、バリアフリー法に基づき、車椅子利用者が円滑にバスを利用することができるよう、乗車装置の取扱いや接遇に関する教育訓練を受けております。バスを利用される車椅子の方が、このドライバーの負担について御心配いただくこと、全くございません。

 国土交通省におきましては、乗り合いバスが車椅子を利用される方にとって利便性の高い公共交通機関となりますよう、引き続き適切な、必要な指導をしてまいります。

大河原分科員 ありがとうございます。

 公共交通機関というものは本当に重要であり、その責任上からも、大変様々な困難や御負担を乗り越えていかなくてはなりません。

 さて、最後になりますが、私の地元であります八王子市の南大沢のまちづくりに関連して質問をさせていただきます。

 南大沢のまちづくりにおいては、バリアフリー政策推進に向けた取組が行われておりますが、そのことについてお尋ねいたします。

 東京都が設置した南大沢スマートシティ協議会が行った南大沢における実証実験について、国交省はどのように受け止めておられるでしょうか。まずお答えください。

天河政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の実証実験は、東京都、八王子市、地元企業、通信事業者等で設立されました南大沢スマートシティ協議会が主体となって実施しているものでございまして、デジタル技術を活用したモビリティーや、町のにぎわい、情報等に関する多様な試みが行われているものと承知をしております。

 例えば、バリアフリールートをスマートフォンに分かりやすく表示、誘導する実験におきましては、参加回答者の過半数の方が満足したと回答するなど、有意義な実証になったと聞いております。

 このような事例も参考にしつつ、国土交通省といたしましては、障害者、高齢者等の方々の意見をよく伺いながら、ハード、ソフトの両面におきまして、障害者、高齢者の方々を含む全ての人が住みよいまちづくりに取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

大河原分科員 地域の方々からは度々、交通が不便でお困りだというふうに聞いております。国は、自治体の政策についても、助言など、すべきところはしっかりと行ってほしいというふうに思います。

 一問飛ばさせていただきました。

 では、最後に改めて……

田中主査 申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

大河原分科員 国交省のバリアフリー政策推進に向けての大臣の意気込み、国交省の取組を更に進めるために、大臣の決意や意気込みをお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 公共交通機関におけるバリアフリー、そして地域の面的なバリアフリー、そして何よりも心のバリアフリーを進めていきたいと思っております。その上で、最も大切なのは当事者の方の御意見を伺うこと、そのことが大事だと思いますので、しっかりこれを進めてまいります。

大河原分科員 ありがとうございました。

田中主査 これにて大河原まさこ君の質疑は終了いたしました。

 次に、山崎誠君。

山崎(誠)分科員 おはようございます。立憲民主党、衆議院議員の山崎誠でございます。

 今日、第四分科会、国交省の皆様に御質問のチャンスをいただきました。鋭意、テーマについて質問をさせていただきます。

 まず、第一点でありますけれども、人口減少に基づいて、少子化対策が極めて大事だと。国土形成計画、これを所管する国交省においても、あらゆる政策手段でもって少子化に対応してもらいたいという意味で、質問をしたいと思います。

 この国土形成計画の中では、東京一極集中の是正というのが大きなテーマとして掲げられています。一方で、民間有識者から成る人口戦略会議、最近の発表で、出生率の低い地域からの、人口流入に依存しているブラックホール自治体という概念が提唱されて、非常に話題になっています。

 単に東京から地方への人口移動ということではなくて、こうしたブラックホール自治体から、出生率の高いホワイトホール自治体、こういったところに人口を移動する、そういう施策が重要なのではないかという指摘であります。

 国全体として出生率を引き上げるための国土計画ということについて、お考えをお聞きをしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 昨年、国土形成計画を作りました。そのときも、まさに今、山崎委員がおっしゃったような問題意識の下で、この国土形成計画を作ったものでございます。

 こういう問題意識に基づきまして、具体的には、地域生活圏において安心して子供を産み育てられる共働き、共育ての環境整備など、若者世代を引きつけるこどもまんなかまちづくり、また、地方における教育、就業環境整備を通じた女性が能力を発揮できる魅力的な地域づくり、そして、現在参議院で審議中の二地域居住促進の法案も含め、関係人口の拡大、地域とのつながりの深化に向けた人、場、仕組みづくりなどに取り組むこととされております。

 国土交通省としましては、これらの実現に向けて、今、ホワイトホール自治体というお言葉を使われましたけれども、そういう自治体がしっかり地方に根づくように、しっかり頑張っていきたいと思います。

山崎(誠)分科員 ありがとうございます。

 関連して、地方といえばやはり農業だということで、農水省にもお越しをいただいております。

 若い世代や都市の住民が、今言ったような地方移住や二地域の拠点で居住をするような、そうした施策というのがこれから重要になってくるわけでありますけれども、そうしたときの食の確保という意味では、農業にやはり注目をしなければいけないというふうに思います。

 例えば、地域おこし協力隊のような、これもいろいろ話題になっておりますけれども、しっかりとした身分保障というんでしょうか、地域に根差した活動をして、そのまま移住が進む、そういう好事例もあります。これを是非、農業でも就農に結びつけるような仕組みをつくっていけないかという御提案でありますけれども、農水省、いかがでしょうか。

舞立大臣政務官 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、農業が将来にわたりまして食料の安定供給や国土保全等の役割を果たしていくためには、地方から移住される方も含めて、農業の担い手をしっかりと育成、確保していかなければならないと考えております。

 このため、農林水産省におきましては、新規就農者育成総合対策というものにおきまして、先生御指摘の、前職を辞めて地方へ移住して就農するなど、生活資金の確保が厳しい中でもリスクを取り、長きにわたって我が国の農業を担おうとする方を後押しする観点からも、就農に向けた研修資金、経営開始資金、雇用就農の促進のための資金の交付ですとか、経営発展のための機械、施設等の導入支援を行っているほか、長野県や鹿児島県など、行政とJA等が連携して新規就農者の育成を進めておるところでございますが、この取組を全国展開すべく、研修農場の整備や就農相談員の設置、先輩農業者による技術指導など、サポート体制の充実、そして、農業大学校、農業高校等における農業教育の高度化等の取組を支援しているところでございまして、引き続き、農業にチャレンジしやすい環境づくりに取り組んでまいりたいと考えております。

山崎(誠)分科員 ありがとうございます。

 私はやはり、地方に行って農業をやろうというときに、身分保障というか生活の保障、そういったことがきちっと行われるようにということが重要だと考えております。

 特に、仲間では、国立農業公社のような新しい組織をつくって、一元的にこういう新規就農を支援するような組織体制というのが、この移住を含めて、地域を活性化していくためにも非常に重要ではないかということで、提案をさせていただいています。今後も、こうした取組に注視をし、そして応援をしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次のテーマに移らせていただきます。川辺ダムのこの計画についてでございまして、さきの内閣委員会でも質問させていただきました。

 この川辺ダムの計画について、球磨川豪雨災害、令和の二年の七月にありました。この災害を受けて、新たな河川整備計画が策定されて、流水型の川辺川ダムを柱とする治水対策が進んでいる。

 ただ、被災者を含む地域の皆様、住民の皆様、市民グループの皆様からは、この豪雨災害の検証がずさんであり、必要な対策が実施されない、川辺川ダムありきで全て進められているのではないかという根強い不安や懸念、疑問の声が上がっています。本日も、この点、地元の声に基づいてただしたいと思います。

 まず第一点でありますけれども、この豪雨災害犠牲者に関する市民の皆さんが実施した詳細な調査があります。それぞれ亡くなった経緯について、内水氾濫のメカニズムとか避難ルート、あるいは震災経過の状況などを明らかにしています。その調査は、この本にもまとめられているのでありますけれども、嘉田由紀子参議院議員を中心にして、五十人の溺死者の調査を丹念に実施をされまして、どうして命を落としてしまったのか、洪水の状況などが詳細にまとめられています。

 私は、こうしたレポート、調査というのを、是非この河川整備計画のベースにすべきと考えているのでありますけれども、この市民の調査について、国交省はどういうふうに把握をしているのか、どう評価しているのか、お聞きします。大臣、よろしければお願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 大変失礼いたしました。

 令和二年七月豪雨による球磨川流域での氾濫につきまして、御地元の方が調査を実施し、その結果を取りまとめ、出版物などとして公表されていることは、国土交通省としても承知しております。

 その中で、支川の山田川や万江川の氾濫水が人吉市市街地で局所的に集まり、急激な増水や激しい流れを引き起こし、人命が奪われたことなどが整理されていると認識しております。

 発災後、九州地方整備局では、速やかに、熊本県とともに、流域内の十二市町村長から構成される令和二年七月球磨川豪雨検証委員会におきまして、氾濫現象の解析や洪水流量の推定などを行いました。

 そのための基礎情報として、水位計やカメラ映像、沿川住民の証言、氾濫水の痕跡などにつきまして、国や県が保有するものに加え、市町村からも提供いただき、地図上に時系列で浸水状況を整理するとともに、洪水で亡くなられた方の状況なども把握をいたしました。

 また、本川、支川一体となった河川の水位計算や氾濫シミュレーションを数値解析を用いて行い、整理、把握した基礎情報と照らし合わせることで、現象の再現性について確認を行ったところでございます。

 こうした検証結果につきましては、球磨川水系河川整備計画の策定に当たって活用する際、球磨川水系学識者懇談会において、改めて専門的観点から確認をいただいております。

 このように、客観的、技術的に令和二年七月豪雨の検証を進めてきておりますが、委員御指摘の調査を実施された御地元の方には、この検証結果について十分に御理解いただけていない点があると認識しておりまして、引き続き丁寧な説明に努めてまいります。

山崎(誠)分科員 申し訳ないんですけれども、それは分かっているんですよ。それと、こういう調査があって、今大臣もお認めになりました、そごがあるんですよ、大いに。大いにそごがあるんです。

 地元の皆さんは、丹念に、二百人以上にヒアリングをして、二千以上の写真や映像データを分析しているんですよ。これは、現場の事実がここに詰まっているんです。それと、皆さんが開いているその調査のデータとそごがあるから、そして、それは机上で、皆さんが専門家と称している皆さんの分析とどっちが正しいか、それをきちっと検証してもらいたいというのが現場の声なんです。

 大臣も今、そごがあるというのはお認めです。是非これはもう一回、一つ一つこの検証結果をベースにしていただきたい、もう一回見直していただきたいというのがここでの要望です。

 具体的に、山田川だとか、万江川だとか、川内川など、支流の氾濫の発生のメカニズムについて、この調査からも様々なことが言われています。時間がありませんので、山田川の事例だとか万江川の事例はたくさんあるんですけれども、国交省が出している事実が誤っている、それが具体的に、例えば写真などでも示される、そういうケースがたくさんあります。

 例えば資料一、お届けをしていると思いますが、見ていただけると、この支流を襲った豪雨によって全ての支流が一斉に氾濫しているんです。国交省の説明は、おおむねバックウォーターが原因、バックウォーターが支配的な要因だ、そういう説明をずっと繰り返しているんですよ。しかしながら、地元のこういう分析を見れば、これはバックウォーターだけではない、バックウォーターが支配的とは言えない氾濫の様子というのが明らかなんです。合流点からの例えば距離だとか、水流の向きだとか、水量だとか、水の勢いだとか、そういう検証を一つ一つやっていくと、バックウォーターで全部説明しようというのは無理なんですよ。

 これは、国交省、どういうふうに分析をして、国交省はこのバックウォーター以外の要因についてはどういうふうに把握をしているのか、教えてください。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 本川の水位が高いことで支川の洪水が合流しにくくなるいわゆるバックウォーター現象が、本川に合流する支川の下流部のところで卓越してきたということで支配的だという説明をさせていただいていると思います。

 一方で、委員御指摘のように、川内川などの支川においては、このバックウォーター現象に加えて、上流域での大量の雨による河川の増水であったりとか、いわゆる河川の増水によるいわゆる自己流というものであったりとか、土砂の埋塞によって氾濫が生じたということは、これは熊本県の調査でも明らかになってございますし、私どもも懇談会等で検証させていただいているところでございます。

山崎(誠)分科員 今、重要なお話がありました。

 国交省には、バックウォーター以外の理由、分析、その具体的な内容を明示した行政文書をこの委員会に提出していただきたいと要望いたします。

 委員長、取り計らいをお願いします。

田中主査 理事会で協議いたします。

山崎(誠)分科員 次、様々あるのでありますけれども、球磨川、川辺川の合流点より上流で大きな洪水が発生していないのに、この第四橋梁というのがダム化をして、その以前に洪水が発生をしている、そういう地元の皆さんの声が上がっています。そして、その発生状況というのを見ると、非常に破壊力のある鉄砲水が発生した痕跡がある。

 資料の二を見ていただくと、この球磨川の第四橋梁というのがダム化したために、水がせき止められて氾濫をしているという様子がこの分析結果から明らかになっています。

 この様子というのを、地元の皆さん、様々な検証をして指摘をしているのでありますけれども、国交省はこれをなかなか認めようとしないということであります。この第四橋梁のダム化についてはどのように把握していますか。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二年七月豪雨の際に、球磨川第四橋梁がダム化して水圧がかかったことにより橋梁の流失に至り、下流に流れる流量が一気に増加したことがあったのではないかというふうに御指摘があったと思っております。

 仮にそうした現象が発生した場合には、下流で急激な水位上昇が発生するのが一般的でございますが、球磨川第四橋梁の下流約四・七キロメートルにある水位計の観測データではそうした水位変化は確認しておらず、下流に急激な水位上昇を伴うような現象が発生した可能性は低いというふうに認識しております。

 このような国土交通省の見解につきましては、球磨川水系河川整備計画に当たり、球磨川水系学識者懇談会においてお示ししているほか、水位計のデータについても、八代河川国道事務所のホームページで公開しております。

 なお、人吉市街地の氾濫域の広がりや浸水深については、数値解析を用いて河川の水位や氾濫シミュレーションを行い、整理、把握した基礎情報と照らし合わせることで現象の再現性についても確認を行っております。

 済みません、私、最初の答弁のところで、令和二年と読むべきところを平成二年と読んだようでございます。大変失礼しました。令和二年と訂正させていただきます。

田中主査 先ほど山崎委員から資料請求がありましたけれども、失礼いたしました、政府においてしかるべき措置を取っていただきますようお願いします。

山崎(誠)分科員 今お話がありました、水位計のデータを基にして、このダム化はないんだというのを主張しているんですけれども、一つは、この水位計が本当に機能していたのかと。これは何度も疑問が湧いています。ホームページでもいろいろと説明が追加されて、私からの質問もあったので、そういうことなのかもしれませんけれども、資料三を見ていただくと、いかにも、水位計、壊れている。測定をする先端についている機器が本当に取れている。写真がもっと明確になっていれば分かるのでありますけれども、どう見てもそうなんですよ。地元の皆さんは、これを見て、こういう状況を見て、このダム化のことをもっとちゃんと分析してもらいたい、ちゃんと検証してもらいたいと言っているんです。

 皆さん、この測定記録をもう一回、そして、この機器がこの水害の直後どうだったのかと。十四日の写真は出てくるのでありますけれども、十日もたってからの数字ではなくて、写真ではなくて、この直後の様子を教えていただきたいんですよ。これも是非、国交省、必要な資料を作って提出をいただきたいと思います。直後、この水位計が本当に機能していたかどうかです。異常値が出てもそれはそのまま測定記録として出すよ、そういう注意書きまでこれはついていますよ。本当に、この緊急危機管理型の水位計が正しく動作していたのかというのは、いまだに私は明確になっていないと思います。

 それも併せて、先ほどの第四橋梁のダム化ということについては、改めて地元の皆さんの主張などにも耳を傾けて、きちっと検証すべきです。こういう資料二にあるような状況が発生しているのは事実でありますから、是非取り組んでいただきたいと思いますので、強く要望させていただきます。水位計のデータについても、管理記録や当日の水位計の様子が分かる資料をお出しをいただきたいというふうに思います。

 それから、こうした様々な洪水、氾濫のメカニズムについて、疑問が呈されています。そういう中で、国交省との議論の中では、川辺川ダムができればこうした洪水は発生しない、洪水の抑止効果は高いんだということで、一辺倒でございます。

 これは大臣に是非聞いていただきたいんですよ。ダムが効果を発揮するのは、あくまでもダムの上流部に特定の雨量が降った場合のみの話です。二〇二〇年のこの豪雨災害のとき、雨量が多かったのは、ダムの上流部分ではなくて、はるか下流の球磨川中流域、その支流、あるいは球磨川の本流の上流部です。短時間に激しい雨が降って、谷や山が崩れて、そして支流はいち早く氾濫いたしました。国交省の、川辺川ダムができれば氾濫を防ぐことができるというその主張の前提は、この現場の事実を無視をしている。

 これは、私は重要な問題だと思っています。川辺川ダムありきではなくて、住民の命を守るために何が必要かという視点で、原点に立ち戻って、現場の事実を踏まえた検証を進めるべきだと。地元の皆さんは、国交省が進めている検証は机上の空論だ、数値計算にすぎないと言っていますよ。

 気候危機の影響で、毎年のように各地で記録的な豪雨が観測されるようになっています。球磨川でも今回の豪雨災害を超える豪雨がまた発生するかもしれない。そのたびに基本高水を高く改定してダムを開発する、それで大丈夫なんだと。これは今、新しい流域治水という考え方、これを最大限活用して、省庁横断で、例えば、森林の整備やそのほかの施策も併せて治水対策をやるべきだという考え方と私は一致していないと思うんですよ。ダムの治水効果というのは限定的だ、国際的に、もうそのように共通認識が図られています。

 これは大臣にお聞きします。日本の河川行政、これは転換期に来ているというふうに思うんです。この川辺川ダムの計画を見ても、私はそのように痛感するのでありますけれども、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 流域全体で川の洪水管理を行っていく、水位調整を行っていく、そういう考え方はもうおっしゃるとおりでございます。その上で、ダムだけで全てが解決できるなどと我々も思っているわけではございません。ダムは、その中の一部の機能を果たすものだと思っております。

 その上で、今回、この川辺川ダムにつきましては、球磨川水害からできました有識者の委員会、専門家の委員会におきまして、これはあらゆる方面の専門家の方に集まっていただいた委員会でございますけれども、これまで得られたいろいろなデータやまた数値計算、また地域の状況などを見ながら総合的に勘案しての結論でございます。この点は是非御理解をいただきたいと思います。

 今回、今、山崎委員おっしゃるように、支川の氾濫が溺死の原因であった、そのとおりでございますが、その支川の氾濫というのは、やはり、本川の水位が高ければ、支川から来た水が本川に流れにくくなって支川の水位が高くなる、これがバックウォーター現象でございますけれども、こういうことに大きな原因があるというのが、専門家の委員があらゆるデータを使いながら検討された結果である、その結果に基づきまして我々も施策をし、熊本県の地元の皆様方にも御説明申し上げ、御理解をいただいている、このように認識しております。

山崎(誠)分科員 大臣、その最後の御説明が問題なんですよ。バックウォーターだということを、また大臣、それは残念だけれども、強調していますよ。バックウォーターは、場合によっては一部そういう現象の確かに原因になっているかもしれないけれども、今回の、先ほど説明したようなこの豪雨災害、起こり方を見れば、バックウォーターだけじゃないです、原因は。

 そして、もっと今、私、重要なことを指摘したつもりなんですけれども、川辺川ダムがあればこのバックウォーター現象を抑えることができるか、そうじゃないと。雨の降り方は違うんですよ。それはどうですか。

 今、御説明したのを聞いていただいたと思います。本当にバックウォーターは、この川辺川ダムを造れば、その川辺川ダムの上流の雨を抑えるだけですよ。それで今回の氾濫を抑えることができるのか、バックウォーターを抑えることができるのか、どうですか。

斉藤(鉄)国務大臣 今回の支川の氾濫が、全てバックウォーターが一〇〇%だと申し上げているつもりはございません。先ほど局長が答弁しましたように、このバックウォーター現象が主な原因である、主要な部分を占めている、これが専門家委員会の結論でございます。

 そして、本川の水位が高いことによって、支川から来たものが本川に流れ込めない、これがバックウォーターでございます。この本川の水位が下がれば支川の水も流れやすくなって、支川における氾濫がなくなる、これが今回の専門家の報告書の趣旨だ、このように思っております。

山崎(誠)分科員 繰り返しですよ、大臣。

 是非、こうした詳細な分析、現場の分析がありますから、それは、皆さんの専門家のグループの見解は分かりますけれども、それがバックウォーター、バックウォーターと言っているんですよ。川辺川ダムの計画を継続したいがために、バックウォーターを理由にして、それを抑える計画なんだ、そういうふうに一辺倒で説明しているんですよ、地元で。それで、皆さん非常に今怒っているんです。

 もう一回、お示しをしているこういう調査、現場の皆さんとの議論を深めていただきたい。その上で、今大臣がおっしゃっていることが本当に有効なのかというのをもう一回検証してもらう。

 これは、この後も質問したかったんですけれども、例えば、河川の整備計画を策定するプロセスで、住民の皆さんの意見はどのぐらい反映されたのかと。

 これは地元で確認しましたよ。説明会は一度も開催されず、公聴会を開いただけ。それも五日間で十二か所、実際に公述人が申し込まれたのが十か所だと。公述人は説明も受けないで意見を言わなきゃいけない。意見を言っても、それは一方通行で何の返事もないと。平日の夜に開催してもらいたい、土日に開催してもらいたいとリクエストしているのに無視をされる。

 大臣、これは、地元の皆さんは真摯にいろいろな現象を分析をされて、それを共有したいと願っているんですよ。でも、国交省は地元の意見を十分に聞いていないんですよ。これは是非十分に聞くように、大臣、指示していただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 住民の皆様の御意見を聞くのは当然、大変重要でございます。

 球磨川におきましても、河川整備計画の策定に当たりましては、八代市や球磨村を始め、十か所で公聴会を開催いたしました。また、パブリックコメントも併せて実施し、国、県のホームページに開設した特設ページや、沿川関係機関の庁舎三十一か所に設置した意見箱に、関係住民の方から御意見をお寄せいただいております。

 いただいた御意見につきましては、全てホームページで公表するとともに、意見に対する河川管理者の取組状況と考え方や、河川整備計画への反映案について、学識者で構成される球磨川水系学識者懇談会にお示しし、意見をお聞きした上で、河川整備計画を策定したところでございます。

山崎(誠)分科員 時間がなくなってしまいましたので、また続けたいと思いますけれども、もう一回、大臣、地元の皆さんと丁寧に議論をし、現実の、起こったことをもう一回検証すると言ってもらえませんか。

斉藤(鉄)国務大臣 私も熊本県球磨川流域を訪問し、沿川、市、町、村の全ての首長の方々と懇談をし、御意見をお聞きしております。これからもその努力を続けたいと思います。

山崎(誠)分科員 終わりますが、首長だけじゃなくて、地元の皆さんは本当に心配しているんですよ。被害者、被災者でもありますよ。そういう方々の声を本当に、聞く力を発揮してくださいよ。心からお願い申し上げまして、残余の質問はまたの機会にさせていただきます。

 ありがとうございます。

田中主査 これにて山崎誠君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西健介君。

大西(健)分科員 立憲民主党の大西健介です。

 本日、私は、地元愛知に関わる国交省所管の様々な課題について御質問をしたいと思います。

 まず、私の地元の碧南市にあるJERAの碧南火力発電所、先日、私もお隣の山崎委員と一緒に訪問させていただきましたけれども、現在、アンモニア混焼実験が行われています。

 先日、イタリアで行われたG7気候・エネルギー・環境相会合では、二酸化炭素の排出削減対策がなされていない石炭火力については二〇三五年までに段階的に廃止をするという目標で合意をしました。つまり、このアンモニア混焼を実用化しないと石炭火力が使えなくなってしまうということであります。

 碧南火力は、愛知県の電力の半分を供給しており、将来的にはアンモニア専焼も視野に置いているということでありますけれども、そうなりますと、大量のアンモニアを受け入れる必要があるということになります。

 その受入れ港が衣浦港になるわけですけれども、また、この衣浦港、臨海の工業地域や、後背地には多くの製造業が立地しているために、サプライチェーン全体での脱炭素の取組も期待できる。カーボンニュートラルポート形成にこれ以上適した港というのは私はないんじゃないかというふうに思っております。

 政府は、CNP形成を推進するに当たって、広く薄く支援するんじゃなくて、まず、この衣浦港のような港を、これをモデル港にして集中的な整備をして、それをショーケースにすべきではないかというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 衣浦港は、委員御指摘のように、国内最大級でありまして、かつ、全国でも先行してアンモニア混焼実験が開始された碧南火力発電所や、鉄鋼業、化学工業、自動車関連などの製造業が多く立地しており、大規模なアンモニア需要が見込まれ、これに対応する受入れ環境の整備が求められるため、カーボンニュートラルポートのモデル的な港湾の一つであると考えております。

 こうした考え方に基づきまして、衣浦港では、国土交通省も参画する官民の協議会において、今年三月にカーボンニュートラルポート形成のための計画が取りまとめられ、港湾地域の脱炭素化に向けた取組方針が策定されたところでございます。

 国土交通省としては、もうまさに衣浦港、カーボンニュートラルポートのモデルになるように、しっかり頑張っていきたいと思います。

大西(健)分科員 私が申し上げたいのは、広く薄く、いろいろな全国の港をやるんじゃなくて、まさにここにたくさんアンモニアを受け入れることになるわけですから、ですから、ここをひとつモデルにしていただきたいというのが私の質問の趣旨でありますので、是非その方向で国交省にも御尽力いただきたいと思います。

 次に、能登半島地震では、被害の大きかった地域につながる主要道路が寸断されて、その中には緊急輸送道路も含まれていたために、救助活動や物資輸送が滞る原因となりました。

 この衣浦港も、ちょうど半島の先っぽの方にありまして、BCPの対策を考える上で、南海トラフ地震に備えて、緊急輸送道路に指定されている国道二百四十七号、それから港南一号線の路線の強化や再点検、これが私は必要だというふうに思っておりますけれども、いかがでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、道路の方についてお話をいたします。

 国道二百四十七号、あと、港南一号線につきましては、愛知県内陸部と衣浦港を結ぶ幹線道路の一部を担っておりまして、緊急輸送道路に指定をされております。

 このうち、愛知県が管理する国道二百四十七号につきましては、一部二車線区間になっておりまして、交通混雑を緩和するために、個別補助金を活用しながら、碧南拡幅、碧南高浜拡幅として、四車線化の工事を進めているところでございます。

 また、港南一号線は、碧南市が管理する四車線以上の道路でありまして、現在は、災害時の安全で円滑な交通の確保のため、舗装の修繕工事、これを実施していると聞いております。

 国土交通省といたしましては、愛知県また碧南市の要望を踏まえまして、機能強化に対する必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

大西(健)分科員 碧南市の南部、非常に砂地になっていますので、地震があると液状化等の危険もあると思いますので、是非そこはしっかりお願いしたいというふうに思います。

 次に、二〇二六年アジアパラ大会が愛知で行われますけれども、選手村を整備する代わりに、三千人程度が滞在できる規模のクルーズ船を一隻チャーターして、名古屋港の金城埠頭に停泊させて、宿泊先として活用することを計画しています。選手村を造ったら、大会が終わったら壊さなきゃいけないということで、無駄にもなりますし、予算もかかるということですので、これは私、非常に面白いアイデアだと思っています。

 二〇一九年には、イタリアで行われたユニバーシアード夏季大会において、選手の滞在先にクルーズ船が活用された事例があるそうですけれども、これだけ大規模な国際大会でのクルーズ船の活用というのは初の試みであって、注目すべきだと思います。

 クルーズ振興を掲げている国交省としても応援すべきではないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 クルーズ船のホテルシップとしての活用につきましては、令和元年十月に、国土交通省が関係省庁と連携いたしまして、必要となる手続や設備などに関する基礎的な確認事項を整理したガイドラインを策定いたしました。そして、その環境整備を行ってきたところでございます。

 二〇二六年アジア・アジアパラ競技大会の組織委員会や名古屋港管理組合などの関係者からよくお話をお伺いしながら、関係省庁とも連携いたしまして、課題の解決や所要の手続に関する助言など、是非これを使いたいということであれば、必要な支援をしっかり行っていきたいと思います。

大西(健)分科員 今、非常に力強い御答弁をいただきましたけれども、先ほども言いましたように、これだけ大きな国際大会でのホテルシップとしての使用というのは初の事例になるというふうに思いますので、そういう意味では、これは非常に今後のモデルになるというふうに思いますので、国交省としても必要な支援をお願いしたいというふうに思います。

 私は以前、クルーズ振興に関しまして、とにかく何でもいいからクルーズ船を寄港誘致すればいいという話ではなくて、欧米の富裕層をターゲットにした外国船の日本発着クルーズを増やしていく、そういう戦略が必要じゃないかということを質問させていただいたことがあります。その点において、日本の中央に位置している中部国際空港島、これをフライ・アンド・クルーズの拠点にしていったらどうかと提案したことがあります。しかし、当時は、ちょうど新型コロナウイルスの関係で、クルーズ振興どころではない状況でありましたので、そういう御答弁だったんですけれども、ここに来て、クルーズ船観光というのが着実な回復基調にあります。

 中部国際空港に世界中から観光客を呼び込むためには、国際線の更なる充実、これが必要になります。現在でも滑走路の処理容量の限界に達しつつあり、一本しかないことから、メンテナンスなどで夜間は発着を制限する必要がありましたが、二本に増やすことで、空港の完全二十四時間運用が可能になり、発着容量が大幅に増加することになります。この二本目の滑走路が完成すれば、大規模改修が計画しやすくなるほか、不測の事態で片方の滑走路が使えなくなった場合にも対応が可能になります。

 コロナ後の航空需要が急速に回復する中で、今まさに二本目滑走路の整備に向けて、私は機が熟しているのではないかと考えますけれども、中部国際空港第二滑走路早期実現に向けての大臣の御決意を伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 前段のクルーズ船の話でございますけれども、フライ・アンド・クルーズというのは、これからの非常に大きな観光の目玉になるのではないかと我々も認識しております。

 中部国際空港の整備につきましては、まずは、空港島内、この空港の滑走路のすぐ横に常滑港空港地区というのがございまして、クルーズ船を誘致することが重要との考えの下、港湾管理者である愛知県が、地元商工会議所や自治体等と連携した会議を継続して開催し、地元イベントへのブース出展、船会社、旅行会社への訪問営業などを進めていらっしゃると承知しております。愛知県や関係省庁と連携して、新しいクルーズ船の寄港に向けた取組をしっかりと支援してまいりたいと思います。

 その上で、中部国際空港第二滑走路の早期実現に向けての大臣の決意ということでございますけれども、中部国際空港の現滑走路は、平成十七年に開港して以降、一度も大規模補修を行っておらず、劣化が進行していることから、早期に大規模補修に着手することが重要であると認識しております。

 このため、現滑走路の大規模補修時においても、継続的な空港運用を可能とすること、完全二十四時間運用を実現することなどを目的として、今年度より、現空港用地内の誘導路を転用して、代替滑走路を整備することとしております。

 地元関係者としっかり連携し、中部国際空港の代替滑走路事業に取り組んでまいりたいと思います。

大西(健)分科員 最初のクルーズ船の話について言えば、先ほども言いましたけれども、要は、中国とアジアの船が、アジア発着の船が福岡とか横浜に行くんですけれども、名古屋は飛ばされちゃうんですね。でも、そういうのをわざわざ名古屋に寄せるんじゃなくて、先ほども言いましたように、ヨーロッパ、欧米の富裕層にセントレアに飛んできてもらって、そこから日本やアジアの観光地にクルーズしてもらうみたいな方が、私はこれは戦略としてあり得るんじゃないかと。そして、そうすることによって、そこで例えば要員が乗り替わったりとか、あるいは食料品を積み込んだりとかすることによって、地域経済にも非常にプラスがあるんじゃないかというふうに思っております。

 その意味でも、このセントレアの発着枠を増やすためにも、この第二滑走路、特に今大臣の答弁にもありましたけれども、大規模改修も必要になっている時期ということですので、是非これは本当に真剣に考えていただきたいなというふうに思っています。

 先ほど言ったアジア大会もありますし、それから、少し遅れそうでありますけれども、中央リニア新幹線が開通すれば、東京―名古屋は四十分になります。ですから、そういうことをいろいろ考えても、このセントレアの第二滑走路、是非とも前向きに取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次に、今言いましたけれども、リニアの新幹線の話ですけれども、JR東海は三月二十九日に、二〇二七年の開業断念を発表しましたけれども、リニア中央新幹線の県内着工を認めてこなかった静岡県の川勝知事が四月十日に辞職願を提出し、現在、知事選が行われています。

 静岡工区の工期は約十年かかると言われているので、仮に今すぐ始めても、開業は二〇三〇年以降になってしまうということなんですけれども、このリニアは経済効果が高くて、開業が一日遅れると二百億円の経済的なロスがあるとも言われています。年間にすれば七兆円ということになります。静岡工区というのは八・九キロということでありますので、追加的な資金支援をしてでも工期を短縮し、前倒しすることを私は検討するのが合理的ではないかと考えます。

 知事選の結果次第でありますが、静岡工区の工期を前倒しできないか、私は再度検討する余地があるのではないかと考えていますけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、開業時期についてでございますが、JR東海はこの三月に、静岡工区の工事にいまだ着手の見込みが立たないことから、現時点で新たな開業時期を見通すことはできないが、引き続き、早期の開業を目指して全力を挙げて取り組んでいくと公表したものでございます。現時点で工期が約十年遅れるということを明示したものではございません。

 早期開業に向けた追加的投資につきましては、建設主体であるJR東海により適切に判断されるものと認識しておりますが、いまだ着工のできていない静岡工区について早期着工することが、リニア中央新幹線の早期開業に向けた何よりの重大な課題と認識しております。

 その上で、静岡工区の早期着工に向けては、静岡県とJR東海の対話を促進すること、科学的、客観的な観点から議論することが重要であると考えております。国土交通省として、静岡県とJR東海の協議が早期にまとまることを、全力を尽くしてサポートしていきたいと思います。

大西(健)分科員 もちろん、早期にまず着工しなきゃいけないんですけれども、着工しても、そうは言っていないということですけれども、やはりいろいろな審議会とかで、今のやり方だと十年かかるということですけれども、ただ、その工期を短縮するために資金を追加的に投入したりすれば、前倒しするということだって可能だと思うんですよね。

 ですから、まずは早期着工ですけれども、着工した上で、十年かかるところを八年、七年とできるように、これは本当に真剣に、私、取り組む必要があるんじゃないかというふうに思いますので、そのことは重ねて大臣にお願いをしておきたいというふうに思います。

 次に、愛知県は、県内唯一の天然湖沼、油ケ淵において、県営の水辺公園の整備を進めています。この油ケ淵には日本モーターボート選手会の常設訓練所があって、フライングによるペナルティーを受けた選手の研修等が行われています。

 国交省の海事局はボートレースを所管しており、海事関係事業、公益事業の振興と、地方財政の改善を図ることを目的にされております。この観点からも、この水辺公園の整備、運営管理に、是非国交省には御協力していただきたいと思います。

 あわせて、せっかく公園整備をしても、水環境が悪くては、これは台なしです。国交省は、これまでも、水環境改善緊急行動計画、清流ルネッサンス2の対象湖沼に油ケ淵を選定していただくなど、水質改善に支援をしていただいていますけれども、今後も、そうした面でも一層の御支援をお願いしたいと思いますが、この両面において、県が進める水辺公園に国交省として御協力いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

    〔主査退席、中谷(一)主査代理着席〕

天河政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省におきましては、愛知県の県営都市公園であります油ケ淵水辺公園の整備や、油ケ淵のヘドロの撤去、流域の下水道整備等の水質改善に向けた取組に対しまして、これまでも社会資本整備総合交付金等で支援を行ってきたところでございます。今後も、地方公共団体からの御要望を踏まえ、油ケ淵水辺公園の整備等について支援を行ってまいりたいと思います。

 日本モーターボート選手権の水上スポーツセンターにつきましては、国交省として特段の支援は行っておりません。

 以上でございます。

大西(健)分科員 私が聞いているのはそういうことじゃなくて、総合整備交付金はちゃんとしっかり、着実に予算を確保していただきたいんですけれども、でも、モーターボート競走を国交省としては所管していて、さっき言ったように、海事関係事業、公益事業の振興ということを言っているわけですから、せっかくそこにあるわけですから、だから、水上スポーツセンターというか、モーターボート競走振興みたいなところとも絡めて、水辺公園を訪れた人に楽しんでいただくような、何かそういう間接的支援とかないんですか。あるいは、せっかく公園をきれいにしても、さっき言ったように、水が汚かったら、水が臭かったら、公園に遊びに来た人もこれはがっかりですから、その水をきれいにする。

 そういう意味で、ただお金、予算を投じるだけじゃなくて、間接的に国交省として支援してくださいということなんですけれども、いかがですか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 当該センターは公共団体が設置するものではございませんので、都市公園の世界では支援ができませんけれども、今申し上げましたモーターボートの水上スポーツセンターにつきましては、日本財団がこれを支援しておりますけれども、今後、例えば、日本財団への必要な助言を行うといったことにつきまして、しっかりやっていきたいと思っております。

 以上でございます。

大西(健)分科員 一緒になってイベントをやるとか、いろいろな支援は私はできると思いますので、モーターボート競走振興と水辺公園というのを何かうまく絡めてやるというのは幾らでもできるんじゃないかと思いますので、是非考えていただきたいと思います。

 次に、私の地元の高浜市、碧南市の地域は、日本の年間瓦生産数の約六〇%を占める三州瓦の産地になっています。

 瓦の生産過程では、どうしても規格外瓦というのが出てきてしまって、これを破砕してリサイクルをしています。これをシャモットと言っていますけれども、このシャモットは、再生原料にも使用されていますけれども、土から生まれた環境に優しい無害なリサイクル資源であって、摩擦性、透水性、軽量性において優れた土木資材としても幅広く利用されています。

 このシャモットは、路盤・路床材であったりとか裏込め材などとして公共事業でも活用されていますけれども、もっと積極的に活用していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省では、製品規格から外れた瓦を粉砕加工した、路盤材、裏込め材などに活用できるリサイクル材料である破砕瓦を港湾・空港等整備におけるリサイクルガイドラインに位置づけまして、積極的に利用促進を図っているところでございます。

 直轄事業におきましては、これまでに、平成三十年度と令和元年度の三河港予防保全事業におきまして破砕瓦を活用しており、他の材料と比較して単価が高い傾向にあるものの、軽量で排水性に優れるなどの利点があるとの報告を受けております。

 また、破砕瓦は、既に国土交通省の新技術情報提供システム、NETISに登録されておりますが、令和五年度より、優れた新技術を活用する観点から、直轄工事におきましては、このNETISに登録された新技術の活用を原則義務化したところであり、今後とも、経済性などを勘案しつつ、公共事業における活用を進めてまいりたいと思っております。

大西(健)分科員 三河港で使っていただいた事例があるということなんですけれども、これからも、ちょっと経済性の問題という御指摘はありますけれども、積極的な活用を是非国交省としてお願いしたいというふうに思います。

 次に、この瓦ですけれども、能登半島地震では、古い木造住宅を中心に多くの住宅の倒壊被害がありましたけれども、報道等で、分かりやすいためか、屋根から滑り落ちた瓦が割れたり、屋根瓦を載せた古い家がぺしゃんこになっているような写真とか映像がよく使われます。

 現在では、ガイドライン工法によってふかれた瓦屋根は耐震性が高くて、大きな地震でも滑り落ちることはありません。また、倒壊の主な原因は構造躯体や地盤の弱さであって、決して瓦屋根が重いので地震に弱いということではないんですけれども、そういう誤った情報が流布をしています。瓦業界や産地は、大きな地震のたびにこうした風評被害に苦しめられています。

 国交省としても、風評被害対策をお願いできませんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 住宅の耐震性は、使用される屋根や壁の材料の種類に応じ、その重さに対応して耐力壁や筋交いを適切に配置することにより、確保することが可能でございます。このため、新築時にこれらの対策を適切に行った場合はもちろんのこと、瓦屋根の既存住宅につきましても、耐震性が不足している場合であっても、適切に補強すれば瓦屋根のままで耐震性を確保することが可能となります。

 瓦屋根標準設計・施工ガイドラインの仕様は、地震時の瓦の脱落防止に有効であることから、令和四年より、新築時にこの仕様への適合を義務づけるとともに、ガイドラインに沿った既存住宅の改修に対する財政的支援も行っているところです。国土交通省としては、瓦屋根の住宅についても、適切に設計、施工すれば耐震性を確保することが可能であることを周知してまいりたい、このように思っております。

 なお、能登半島地震を受けて整備中である木造仮設住宅におきましても、能登地域で伝統的に使われてきた瓦屋根の導入が進められていると承知しており、このような活用事例についても共有を図っていきたいと思います。

大西(健)分科員 瓦屋根のある風景というのは、これは日本の原風景だというふうに思いますし、ところが、私の地元の、さっき言った高浜、碧南という三州瓦の産地においても、瓦屋さんがどんどんどんどんなくなっていっています。あるいは、釉薬等を扱っている事業者も、最近なくなったところもあります。非常に厳しい状況にありまして、このままでは本当に日本の瓦産業がなくなってしまうんじゃないかというふうに思っておりますので、それをしっかり守っていくということが私は必要だと思います。

 あるいは、例えば金属加工屋根とかスレート屋根だと、雨が当たってもバチバチバチバチと音が鳴るんですよね。ところが、瓦に当たった雨の音というのは非常に優しくて、これもまた、まさに日本の本当に文化だと思いますので、瓦は本当に日本の文化ですので、是非それを守っていくという意味においても、先ほど言った破砕リサイクルのシャモットを活用していただくとか、あるいは地震のたびに苦しめられている風評被害、これらへの対策をしっかり国としても取り組んでいただくというのは、是非お願いをしたいというふうに思います。

 次に、先ほど山崎委員の質問の中では川辺川ダムの話がありましたけれども、今日も非常にこの後も強い雨が降るようですけれども、もうすぐ梅雨や台風の時期がやってまいります。

 ここ数年、地球温暖化の影響もあってか、線状降水帯などによる大雨被害が毎年のように全国で起きております。私の地元を流れている一級河川矢作川においても、下流部における重要水防箇所等の堤防点検、それから河道掘削、樹木伐開などに、引き続き国から十分な御支援をお願いしたいというふうに思います。

 また、最近の状況を見ますと、先ほどの話にもありましたように、本川じゃなくて支川が氾濫するというような被害が多く報告されています。この点、矢作川の支川である鹿乗川や西鹿乗川合流地点までの河川改修の早期実現に向けても国の支援をお願いしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 国が管理する矢作川下流部については、重要水防箇所を含めた堤防の出水期前点検や日常的な河川巡視等により、堤防等、河川管理施設の状態を的確に把握し、治水上支障がある場合には河道掘削、樹木伐採を行うなど、適切な河川管理に努めているところでございます。

 また、委員御指摘ありました矢作川の支川であります鹿乗川につきましては、管理する愛知県が河道掘削や堤防整備などを実施しているところでございまして、国土交通省としましては、防災・安全交付金により、引き続き、地域の安全向上に向け、財政的支援をしてまいりたいと思います。

大西(健)分科員 矢作川の例えば流域で、私、ある地域の方から呼ばれて行ったら、堤防と道路の隙間のところから、大雨が降った後、水が噴き出しているというようなことがあって、地域の方が非常に心配されていて、それは、例えば水の通り道みたいなものが堤防の中にできちゃっているんじゃないかということで、豊橋の河川事務所に来てもらって、現場を見てもらったりしましたけれども、本当に、河川の氾濫というのは一度起きると大変な被害が起きますので、是非ともしっかり対策をお願いしたいというふうに思います。

 最後の質問になりますけれども、本年度、名豊道路が五十年以上の時を経て、いよいよ全線開通を迎える予定であります。全線開通によって、例えば、豊田市内の自動車工場から三河港への輸送時間が短縮されて、完成車両の輸送回数が二往復から三往復に増加するなど、物流効率化への効果が期待をされます。

 国道二十三号線全線開通への期待と、その先の、早期の暫定二車線区間の四車線化に向けた決意を、最後、大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

斉藤(鉄)国務大臣 国道二十三号名豊道路は、その名のとおり、名古屋と豊橋を結ぶ延長約七十三キロメートルの道路であり、これまでに約九割が開通しており、約四割が四車線で整備済みでございます。

 この道路の全線開通により、名古屋から豊橋、浜松方面へのアクセス向上や、沿線の物づくり産業の生産性向上などが期待されているところです。

 現在、名豊道路唯一の未開通区間である蒲郡バイパスの豊川為当インターチェンジから蒲郡インターチェンジ間につきまして、令和六年度開通を目指して工事を推進しております。

 また、暫定二車線区間の四車線化につきましては、現在、野依インターチェンジから大崎インターチェンジ間、幸田芦谷インターチェンジから西尾東インターチェンジ間で用地買収や工事を推進しており、残る区間につきましても、全線開通後の交通状況などを踏まえて検討してまいりたいと思っております。

 引き続き、全線開通に向けて、地域の皆様の御理解と御協力をいただきながら、しっかりと進めてまいります。

大西(健)分科員 この道路は、本当に三河地域においては念願の道路でありまして、以前にも私も質問したとき、太田大臣も愛知県出身ということで、豊橋市にいらっしゃっていることで、本当にこの道路について熱い思いを語っていただきましたけれども、本当に、開通すれば非常に大きな経済効果を生む道路でありますので、全線開通はもちろんですけれども、その後の早期四車線化の実現に向けても一層の国土交通省の御支援をお願いしまして、ほぼ時間となりましたので、これにて私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

中谷(一)主査代理 これにて大西健介君の質疑は終了いたしました。

 次に、井坂信彦君。

井坂分科員 立憲民主党の井坂信彦です。

 本日は、公共施設の予防保全による維持補修コストの削減、後半は、NPOなども含めた新しい公共とインパクト経済について伺います。

 決算の議論をするときに、単年度の収支にとらわれてはいけないと考えております。今年仮に赤字でも、それによって将来黒字になるのであれば、望ましい財政運営と言えます。

 政府は、二〇一三年にインフラ長寿命化基本計画を策定しました。国交省は、施設に不具合が生じてから対策を行う事後保全から不具合が生じる前に対策を行う予防保全に転換することで、二〇四八年に、国交省のインフラに係る維持管理、更新費用が十二・三兆円から六・五兆円に五割削減できて、三十年間にかかるコストは二百八十兆円から百九十兆円に三割削減できるという見通しを発表しました。国交省のインフラだけで三十年間で九十兆円ものコスト削減ができるすばらしい推計結果で、是非、予防保全や長寿命化を進めていただきたいと思います。

 一方で、基本計画の策定から現在までの十年間で、長寿命化や予防保全の取組により実際に削減できたコストは測定しているか、参考人に伺います。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 国土交通省では、二〇一八年十一月に将来の維持管理、更新費の推計を行ってございますが、委員から御指摘のございました予防保全の措置を行うことで得られたコスト縮減効果につきましては、全体の把握はしてございません。

 なお、老朽化対策の状況といたしましては、例えば道路の橋梁で申し上げますと、全国に約七十二万の橋梁がございますが、このうち、早期あるいは緊急に措置が必要である判定区分3又は4とされている橋梁は、二〇一八年度末時点で約六万九千橋ございました。これが二〇二二年度末時点では約五万九千橋に減少するなど、着実に取組が進められてきております。

 現行の国土交通省インフラ長寿命化行動計画は令和七年度までの計画期間となっておりますことから、こういった老朽化対策の進捗等も踏まえつつ、次期計画策定に向けて、将来の維持管理、更新費に係る新たな推計について検討してまいりたいと存じます。

井坂分科員 是非、この予防保全による実際の削減コストというのも測定をしていただきたいというふうに思います。

 私は、予防国債という新しい借金を提案、提唱しております。将来の税収増につながる例えば少子化対策であったり、あるいは将来のコスト削減につながるインフラ予防保全やかかりつけ医などの予防政策は、その財政効果の範囲内で借金をしてでも先にやるべきだというふうに考えております。将来これだけお金が浮くというエビデンスがあり、実際に財政効果があったかどうかをきちんと測定をする予防国債は、将来返ってこない赤字国債なんかより、よほどまともで前向きな借金だと思います。

 大臣に伺いますが、この長寿命化で削減できたコストをエビデンスとして示し、将来の財政支出を削減する予防保全の投資を優先的に実施できるような財政的な仕組みを考えてはいかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省では、笹子トンネルの事故以降、各インフラについて定期的な点検を行い、緊急又は早期に措置が必要なものから優先して集中的な対策を実施しております。あわせて、施設に不具合が生じる前に措置を講ずるという予防保全型のインフラメンテナンスへの本格転換に取り組んでいるところです。

 しかしながら、多くの地方公共団体では、財源や人的資源の制約から、これらが十分に進んでいない状況にあります。

 このため、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策では、インフラ老朽化対策をしっかりと位置づけ、財政的な支援を強化して取組を進めているところです。また、職員の技術力向上への支援や、ドローンやロボットなどの新技術導入の促進などにも努めております。さらに、既存の行政区域にこだわらない広域的な視点で、複数、多分野のインフラを群として捉えてマネジメントする地域インフラ群再生戦略マネジメント、いわゆる群マネの取組について、モデル地域での試行を踏まえた検討を進めております。

 このような取組を通じてインフラ老朽化対策に全力で取り組んでまいりますが、先ほど井坂委員からありましたようなこの財源の在り方についても、しっかり、いろいろな可能性を含めて検討してまいりたいと思います。

井坂分科員 ありがとうございます。

 PFIと同じように、やはり、将来お金を取り戻せる投資の資金調達スキームを、予防保全の重要性と課題を分かっておられる国土交通大臣として、是非前向きに考えていただきたいというふうに思います。

 国交省は、今年三月、国家機関の建築物等の保全の現況という調査結果を公表しました。全省庁の庁舎や宿舎一万二千七百を対象にした大規模な調査で、防災や避難経路、衛生環境などは九割以上が良好と評価をされておりました。一方で、四割以上の庁舎や宿舎で外壁のひび割れがあり、庁舎の二五%、宿舎の一〇%で、天井や壁から室内への漏水が見られたわけであります。

 こうなると、建物は相当傷んでいるので、急いで事後保全しなければ建物の寿命は縮まるばかりです。インフラ長寿命化を考えるなら、本来は、ひび割れて漏水が始まる前に予防保全をしなければいけません。

 大臣に伺いますが、庁舎や宿舎の事後保全を急ぐのは当然ですが、同時並行で早期発見、予防保全をすべきではないでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省では、毎年度、官庁施設の保全実態の現況を調査、公表しております。これを基に、各施設の保全責任者などに改善意見や情報提供を行っているところです。この現況の中では、例年、各施設における外壁のひび割れや漏水などの劣化や不具合が報告されております。

 施設の性能を継続的に維持するためには、定期点検や保全計画に基づく計画的な補修等が必要であり、その際には、損傷が軽微な段階で措置を講ずることにより施設を長寿命化させる予防保全を適切に行っていくことが望ましいと考えております。

 国土交通省としては、官庁施設を適切に保存できるよう、引き続きこうした観点から、施設を管理する各省庁に対し、この予防保全という考え方も含めまして指導と支援を行ってまいりたいと思います。

井坂分科員 現状、後追いで、修繕費の大半が事後保全に費やされて予防保全が遅れてしまうと、結局は将来の維持管理コストが削減できずに終わり、今後も修繕費が足りない状況が続くわけであります。借金をしてでも、あるいは民間資金を活用してでも、早く大量に予算を確保して予防保全ができるように、先ほどの質問でもお答えいただきましたが、是非考えていただきたいというふうに思います。

 次の質問に移りますが、今から一、二年前、自衛隊の宿舎がぼろぼろだという報道が相次いだ時期がありました。我々立憲民主党は、人を大事にする政党であります。自衛隊員を応援する議員連盟を党内でつくったところ、ほとんどの議員が加入をして、党内最大の議員連盟になったほどであります。

 今年度予算で宿舎の維持補修の予算が確保されているのは非常によいことだと評価をしています。しかし、ぼろぼろの宿舎が多過ぎて、予算の大半が事後保全に費やされるのではないかと心配をしています。

 防衛省の参考人に伺いますが、こちらもやはり、事後保全と同時並行で、同じぐらい予算をかけて、自衛隊宿舎など関連施設の予防保全をすべきではないでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省におきましては、防衛力整備計画に基づき、宿舎、隊舎の予防保全を含む計画的な老朽化対策等を講じることとしております。

 令和六年度予算におきましても、予防保全を含む必要な経費といたしまして、具体的には、宿舎、隊舎等の老朽化対策などの経費として約三千五百四億円を計上しております。

 防衛省といたしましては、引き続き、予防保全の計画の策定を進めつつ、必要な予算を確保し、隊員の生活、勤務環境の改善に努めてまいりたいと考えております。

井坂分科員 ありがとうございます。

 ちょっと、大臣、時間がなくて通告から省いたんですけれども、海上保安庁のことについても同様のことをお聞きをしたいと思います。

 海上保安庁の担当の方も、事後保全に予算をかけてきて、やっと全体の四割の事後保全が済んだところだという現状を伺っております。

 海上保安庁は国土交通大臣のお膝元なので、やはり、早くしっかり予防保全に予算をかけて、こうした国を守る方々の処遇改善や環境改善を是非お願いをしたいと思うわけでありますが、ちょっと通告から省いてしまったので、大臣、一言、御決意だけでもいただければというふうに思います。

斉藤(鉄)国務大臣 私も、全国の海上保安庁を訪れ、施設を見ておりますが、大分補修が必要なところもたくさんございますが、予防保全の考え方で今後いくように、しっかり指導してまいりたいと思います。

井坂分科員 大臣、どうもありがとうございました。

 次に、後半の議題に移りたいと思います。

 新しい公共、そしてインパクト経済について伺います。

 こうして幾ら予防政策で予算を節約しても、税金を使って政府ができることには限りがあります。そこで、各国は、公益的な事業を行う団体に対し国民の寄附を促進しており、無数の公益団体が多額の寄附を受けて公益事業を行っています。例えばアメリカでは、年間三十五兆円もの個人寄附が行われており、歳入法五百一条c項三号の寄附控除団体が何と百三十万法人もあるということであります。一方で日本は、個人寄附は年間一兆二千億円のみであり、公益法人数は九千七百、認定NPO法人数は一千三百と桁違いに少ない状況であります。

 内閣府の参考人にお伺いいたします。公益法人と認定NPOは部署が違うので別々に質問してくれと言われたので、まず、公益法人の法人数と寄附額の数値目標を設定して、政府として大幅に増やすべきではないか、お伺いいたします。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、公益法人についてでありますが、公益法人については、民間の公益活動を活性化する観点からの制度改革を推進しているところであります。寄附文化の醸成も非常に重要な課題と認識しております。

 民間の公益活動がどのように活性化されたかにつきましては、公益法人の数や寄附額のみならず、事業の規模を示す公益事業費や公益活動の担い手の数、また、公益活動が社会に与えた影響なども踏まえて総合的に勘案し、関係者、有識者の声も聞きつつ、民間公益活性化の観点から、具体的な目標の設定を検討してまいります。

井坂分科員 のみならずということでありますが、やはり、法人数と寄附額が余りにも低い、少ない状況では、幾ら総合的に評価をしても、おのずと知れていると思いますので、是非そこにもこだわっていただきたいというふうに思います。

 同様に、今度は、認定NPOの法人数とそれから寄附額の数値目標を設定して、政府として大幅に増やすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

福田政府参考人 お答え申し上げます。

 認定NPO法人につきましては、毎年、前年度以上に法人数が増加するということを数値目標として掲げておりまして、それに伴って寄附額も増加するよう、その環境整備に努めてきたところでございます。

 社会課題解決等に取り組むNPO法人の活動基盤を充実させることは重要な政策課題と考えており、引き続き、寄附の促進に向けた環境整備に努めてまいります。

井坂分科員 認定NPO法人の方も前年度以上の法人数ということで、これは毎年そのようになっているということで評価をしたいと思います。思いますが、当初の期待の集まった時期と比べて、やはり伸びがだんだん鈍化をしているのはグラフを見ても明らかでございますので、ここはやはり単に前年度以上ということだけではそろそろ厳しいのかなというふうに考えております。

 今回、質疑をさせていただいて、やはり、認定NPOとそれから公益法人、この二つだけでも、こうして縦割りで、別の部署から答弁をいただくという形になってしまうわけでありますが、公益的な活動の団体を増やすということ、あるいは、そこに対する国民の寄附を増やすということは、これは縦割りで各部署が細々とそれぞれ個別にやることでは私はないと考えております。国として、個人寄附と、それから公益法人や認定NPOを増やす、国として一大方針と目標数値を決めていただきたいということを強くお願いをいたします。

 次に、寄附を促進するための規制緩和を提案させていただきます。

 日本人も決して寄附の心がないわけでは全くありません。日本ファンドレイジング協会の寄付白書二〇二一によりますと、遺産の一部を寄附してもよいと考える人は、実に四二%に上っているそうであります。遺産、年間の相続額は三十七兆円とも五十兆円とも推計をされておりますので、遺産の寄附、すなわち遺贈寄附だけで毎年数兆円あってもおかしくない状況だと思います。

 ところが、不動産を遺贈寄附すると、その資産を相続していない、本来相続するはずだった相続人が譲渡所得税を納めなければいけないというみなし譲渡課税という制度があります。これを非課税にする特例もあるにはあるのですが、複雑な申請を遺贈する側の高齢者がしなければならず、これが寄附の妨げになっております。仮に非課税特例が個別に国税庁に認められた場合であっても、その非課税となってNPOとかが譲り受けた不動産は、今度は租税特措法四十条によって公益目的事業に直接供するとされており、賃貸や売却など自由な活用が許されない状況があります。

 財務省の参考人に伺いますが、不動産の遺贈寄附を促進するためにも、非課税特例の複雑な申請や租税特措法四十条の縛りをなくすべきではないでしょうか。伺います。

小宮政府参考人 お答え申し上げます。

 不動産などの資産につきまして、法人に対して無償で譲渡をした場合でございますが、資産の値上がり益、キャピタルゲインに対する課税がいつまでも延期されてしまうということを防止する観点から、その資産を時価で譲渡したものとみなしまして課税することを原則としております。これは、お尋ねの遺贈の場合も同様となっているところでございます。ただし、国、地方公共団体のほか、一定の要件を満たす公益法人等に対しまして資産を無償譲渡する場合には、このみなし譲渡所得課税を行わないという措置を設けているところでございます。

 このうち、公益法人等への無償譲渡の場合につきましては、民間の担う公益活動を促進するための特例として設けているものでございまして、御指摘ございました寄附財産について、公益目的事業の用に直接供するということを要件にしていること、それから、特例の趣旨に合致した寄附であるか等を担保するための諸手続につきましては、こうした制度趣旨や制度を悪用した課税逃れの抑止といった観点に鑑みれば、最低限必要なものであろうと考えているところでございます。

井坂分科員 もちろん、性悪説に立って税制というものは考えなければいけないということは分かるんです。ただ、これは公益的な団体への寄附控除全般に言えることだと思うんですけれども、やはり、寄附を受ける側が、もう本当に毎年きっちりといろいろな監査を受けたり財務報告をしたりして、ここはちゃんとしていると、要は、もう本当に、どこの何かも分からないような団体に対する遺贈寄附に対してこういうお願いをしているわけではないんです。国がきちんと認定をした公益法人であったり認定NPOに対して、こうした本当に性悪説に基づいた細かい手続が必要かということは、一度考えていただきたいというふうに思います。

 ちょっと御答弁がなかったんですけれども、租税特措法四十条の縛りについてなんですが、要は、寄附者が不動産を現金化してから寄附をしたら寄附控除が受けられるわけであります。それなのに、不動産を遺贈寄附して、受け取った側が現金化をするという場合には、これが直接供しないから駄目だというのは、これはやはりおかしいのではないかというふうに考えます。

 ちょっと再質問いたしますが、本来は、やはり、公益法人や認定NPOに不動産を寄附したら、みなし譲渡課税の対象外にするというのが私は国際標準だというふうに思います。せめて、今日提案をした内容ぐらいは、ちょっと、全否定をせずに、検討ぐらいしていただけないものかどうか、財務省の参考人にお伺いをいたします。

小宮政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのございました租特法四十条の件でございますが、先ほど申し上げましたように、キャピタルゲインに対する課税がいつまでも延期されることを防止するという観点からの措置に対しまして、公益法人等、民間の担う公益活動を促進するための特例としてどこまでが適当かという問題でございまして、そのバランスの中で、寄附財産について公益目的事業の用に直接供するといった要件を付しているところでございます。

 税制につきましては、常日頃から経済社会情勢の変化等に対応しながら、よりよい税制を目指して検討しているところでございますので、各般の税制につきまして、今後ともそうした形での検討を進めていきたいというふうに思っております。

井坂分科員 ありがとうございます。

 よりよい税制を目指して、是非たゆまぬ検討をお願いをしたいと思います。

 この問題について、国土交通大臣についても御所見を伺います。

 国交省は、今、全国で空き家対策に大変な御苦労をされているわけであります。空き家になるぐらいであれば公益的な団体に寄附をしたいという人が、実際、先ほど、四二%、そういう御意向があるということでありますが、みなし譲渡課税があると、また、特例を使っても様々な煩雑さや縛りがあると、やはりそれも難しい、今の質疑を聞いていただいたかというふうに思います。

 大臣に伺いますが、これは例えば、空き家解消の一助としても、不動産の遺贈寄附を、国土交通大臣としても後押しをしていただけないでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 四月三十日に公表されました令和五年住宅・土地統計調査によりますと、全国の空き家が約九百万戸となるなど、空き家対策の必要性が高まっております。

 こうした状況を踏まえ、昨年末に施行された改正空き家法により、制度面から空き家対策を総合的に強化したほか、税制や補助事業等により、空き家の有効活用や適切な除却等への支援を行っております。

 空き家は相続を機に発生しているものが多いことを踏まえますと、委員御指摘の、遺贈等により空き家を有効に活用できる方に引き継ぐことができれば、空き家の適正な管理や利活用にも資するものと考えておりますが、一方で、空き家などの不動産は、譲り受けた後の管理や活用等が難しいという指摘もなされているところでございます。

 いずれにいたしましても、国土交通省としては、空き家対策の充実に向けて、空き家の利活用や適切な除却に関してどのような対策、対応が有効か、地方公共団体などのニーズも踏まえつつ、引き続き検討してまいりたい、このように思います。

    〔中谷(一)主査代理退席、主査着席〕

井坂分科員 是非、大臣におかれましては、この空き家問題についても、空き家になった後の事後保全ではなくて、空き家になる前の予防保全という発想で対応をお願いをしたいというふうに思います。

 もう一つ、寄附を促進するための規制緩和を提案したいと思います。

 近年、ふるさと納税の伸びが著しく、二〇二二年の寄附総額は九千六百億円に達したとも言われております。一方で、NPOに対する寄附は、返礼品が一切禁止をされています。ふるさと納税のような過剰な返礼品競争は問題が大きいと考えますが、寄附を受けたNPOが公益活動に関連するちょっとした返礼品をつけただけでも寄附として認められないのは、公平性を欠いており、NPOに対する寄附が伸び悩む理由の一つになっています。

 イギリスでは、寄附の二五%を上限とした返礼品があっても寄附控除を認めています。アメリカでは、寄附金から返礼品の金額を引いた差額を寄附控除の対象にしています。

 財務省に伺いますが、NPOに対する寄附の返礼品を、上限額や差額控除など、一定の制限の下で認めるべきではないでしょうか。

小宮政府参考人 お答え申し上げます。

 認定NPO法人に対する寄附につきましては、公益的な法人への寄附を促進させる観点から、所得税の所得控除等の措置や、法人税の損金算入限度額の上乗せ措置といった税制優遇措置を講じておりますが、寄附とは、一般的に、支出する側に任意性があり、対価性がない経済的な利益の供与を指すものとされておるところでございます。そうした前提で、返礼品に対価性がない公益法人や認定NPO法人等への寄附を優遇措置の対象としているというところでございます。

 したがいまして、これを超えまして更に対価性のある返礼品を対象に認めるということにつきましては、こうした制度の趣旨を踏まえると、慎重な検討が必要ではないかと考えているところでございます。

井坂分科員 寄附の定義はおっしゃるとおりだと思うんです。対価性のあるものを欲しくて寄附をするというのは、それは果たして寄附かというのは元々あると思うんですけれども、一方で、ふるさと納税では自由にやりたい放題やっているわけであります。NPOには返礼品をつけたら対価性があるので寄附ではないと厳しく制限をしながら、ふるさと納税ばかりを過剰に税制優遇するのは私はいいかげんやめるべきだということを申し上げたいというふうに思います。

 最後に、寄附より更に大規模な公益資金を獲得できるインパクト投資について伺います。

 政府が公益的な事業に使えるお金は、まずは百兆円の当初予算であります。しかし、世界の個人金融資産は二京円、すなわち二万兆円あるというふうに言われています。このお金を一部でも公益的な事業に使って社会の課題解決をしようというのがインパクト投資です。

 インパクト投資とは、単に経済的リターンを求めて投資するのではなく、その事業が社会に与えるよい影響、すなわち、インパクトの大きさに着目して投資先を決める手法です。世界のインパクト投資市場は百五十兆円に拡大をしており、日本でも十兆円と急拡大をしています。

 金融庁の参考人に伺いますが、インパクト投資やインパクト事業に対して、補助金や税制優遇などインセンティブをつけて推進していただけないでしょうか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、社会課題が多様化する中で、社会、環境的効果と事業の成果の実現を両立させていく取組を金融面から支援しますインパクト投資につきましては、その社会的ニーズや重要性が高まってきているものと考えてございます。

 このため、金融庁におきましては、関係省庁と連絡いたしまして、本年三月、インパクト投資につきまして民間当事者間で議論を行う上での基礎となります基本的な考え方を取りまとめましたインパクト投資に関する基本的指針を策定させていただきました。また、ちょうどあしたでございますけれども、投資家、金融機関、企業、自治体等様々な関係主体が議論、協働する場でございますインパクトコンソーシアムの総会が開かれる予定になってございまして、今後、データの整備や企業評価手法の確立、あるいは、地域における連携手法等について当事者間で議論されていくこととなっておりまして、こうした枠組みを支援するなど、様々な取組を進めておるところでございます。

 委員御指摘のような資金的な支援につきましても、例えば、環境省においてグリーンファイナンス拡大に向けた市場基盤整備支援事業、あるいは、自治体におきましては、例えば、東京都の金融機関と連携したサステナビリティ経営促進事業といった取組が行われてきております。関係省庁や自治体ともよく連携を図りながら総合的に支援を図ってまいりたいと考えてございます。

井坂分科員 時間が参りました。

 予防保全や予防政策など将来の財政を考えて予防的な投資をする、また、そのための新たな資金調達手法を考える、また、寄附やインパクト投資など個人の資産も公益事業に呼び込む、公益事業を実施する公益法人や認定NPOを大幅に増やす、こうした公益資本主義を実現するために、引き続き提案を重ねてまいりたいと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。

田中主査 これにて井坂信彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、馬淵澄夫君。

馬淵分科員 馬淵でございます。

 第四分科会の質疑の機会をいただきました。

 ちょうど一年前、高速道路料金徴収を二一一五年まで延長可能、こういう法案が可決をいたしました。そのときには私も様々な問題点の指摘をしたわけでありまして、例えば、前回の法案のときには、償還主義に対しての疑問と、あるいは国の審議会でも度々指摘されてきた長期的な道路の維持管理の在り方、これについての検討がなされていないなど、私も、その部分については大臣にも強く問うたところであります。

 今回は、高速道路ではございませんが、やはり同様の構図があるのではないかということで、私は、大変危惧している国の直轄道路事業について確認をさせていただきたいと思います。

 今日はお手元に資料を配付させていただいています。これは私の事務所で調査したものなんですが、ちょっと表題に若干誤りがあったというか、私の方で抜けていたのを入れましたので、ちょっと表題とずれるんですが、お手元には、令和四年、五年に再評価を行った道路事業、この一覧をお配りをしています。沖縄と北海道は、これは特異な事情がある部分もありますので、除きました。表題には、再評価におけるBバイCが一以下の直轄道路事業とありますが、一以下にはならないものも一事業だけありましたので、ここだけ訂正させていただきます。

 つまり、令和四年、五年の再評価は全部で三十七事業ありました。これを一つ一つ、当初事業の事業費、そして再評価で変更後の事業費、さらにはその増加率、そして、当初事業の事業決定時のときの、事業化年度のときのBバイC、そして再評価で改めて事業を見直したときのBバイC。

 これは少し分かりにくくなっておりまして、二段になっているところがあるんですが、御覧いただく部分は、まずはこのBバイCの変更後という縦列を御覧いただきますと、上の段が再評価における事業費の変更によるBバイCということになります。

 御覧いただきますと、三十七、全部つらつら言いませんが、九州の地整から各地整に係る道路の直轄道路事業、それぞれございます。宇土道路であったり、滝室坂道路等々、これは全て、当初BバイCは一を超えていたものが、再評価後、令和四年、五年に再評価を行うと一を切っている。御覧いただいているとおりです。

 全三十七事業中、佐賀大方道路だけは一を超えていました。ですから、ここは全てが一以下ではありませんが、これ以外、御覧いただきますと、皆、一を下回っています。

 この再評価BバイC、これが実は出ていないのもあります。これは後ほど議論しますが、中国地整の百八十三号線の鍵掛峠道路、こういったものは、防災面で効果が大きいということで、再評価まではやっているんですよ、事業評価はしているんですが、BバイCは算出していないんですね。だから、事業費と便益は出るので、私の事務所でその場合の計算値を入れています。この鍵掛峠道路などは〇・一になります。

 これ以外も含めて全部で七路線の道路事業が、BバイC、算出されていないんですが、算出できるということでいいますとここに入っている状況ですが、算出されていませんので、正式には、三十七事業のうち三十六事業が一以下。しかし、七事業は算出されていませんので、二十九。二十九事業があるという状況の中で、佐賀大方道路は一本、これは一を超えていますが、ざっくりこれで九七%、再評価後にこのような形で大幅に事業費が増えて、BバイCが一を切っている、こういう状況です。

 そこで、局長にお尋ねします。

 局長、私はいつも申し上げていますが、尋ねたことに端的にお答えください。大臣には、その上で、政治家同士としての議論をさせていただきたいと思っています。

 今申し上げたデータ、これは私の方で作りました。したがって、正式な公のものではないという位置づけかもしれませんが、これはもう既に国交省にも提出をして御覧いただいておりますので、特に間違っているという指摘はいただいておりません。

 その上で、このデータを見ますと、当初事業費の算出根拠が実態と乖離していると言わざるを得ないんじゃないか、新規事業評価が、再評価を見ると形骸化しているのではないか、このように感じるわけですが、局長、これに対してお答えいただけますか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、新規の事業化に当たりましては、各種の調査結果、また類似の工事実績を踏まえまして、事業化時点で判明した現場条件を基に当初事業費を算出しているところでございます。

 その後、事業実施段階において、調査また工事の進展に伴い確認されました技術的課題への、また、地元や関係機関との協議も踏まえました追加の対応のほか、資材などの物価上昇により、事業費の増額が生じることがございます。

 なお、これらの事業費の増額に当たりましては、有識者委員会での審議などの事業再評価の手続を実施いたしまして、事業費の増加、事業の妥当性を審議いただいております。

 また、このような過去の事業費増の実態も踏まえまして、当初計画でのチェックリストを作成いたしまして、このリストに基づきまして、新規事業採択時評価に当たっては、必要な費用を適切に計上するよう、令和四年三月に地方整備局に周知徹底をいたしまして、新規事業採択時における事業費算出の精度向上に努めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、道路事業を含めた公共事業における実態を踏まえた事業費算出は、これは重要な課題だというふうに認識をいたしております。引き続きの改善に向けまして、有識者委員会を本日スタートさせることといたしました。有識者委員会でも審議いただきながら、検討を進めてまいりたいと考えております。

馬淵分科員 様々な工事に入って設計変更が求められる、これは私も理解はします。そして、地域住民の声や、こういったことに対応するということも理解もいたします。また、物価の高騰、資材の高騰、これも予測を超えた部分であったんだろうと思います。

 しかし、現実的に、九七%にまで上って、これだけの数字で、当初の事業評価が一を切っている状況があるんですね。こうした中で、有識者の皆さん方の委員会の検討の結果も踏まえて、これも承知しますよ、皆さん、これは必要じゃないかということでおっしゃられるとは思います。しかし、私が申し上げているのは、そういった上がった理由を幾ら挙げても、そもそもの、当初の事業評価の仕組みそのもの、ここがやはり形骸化しているという現実は、これは直視しなきゃいけないと思うんです。

 今局長、今日、有識者会議が立ち上がるんですか、どういう状況ですか、もうちょっと正確に言ってください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、審議中でございますけれども、公共事業評価手法研究会、令和六年度第一回ということでありまして、その中の項目の一つとして、事業費の積み上げ方というんですか、それを議題として、どうしたら精度を上げられるかということを議論するということでございます。

馬淵分科員 今年度の第一回で始めたということでありますから、それはそれでいいことですよ。私、もう一か月ほど前にこのデータをお渡ししているので、慌てて入れられたんだったら、それはそれで結構です、ありがたいことです。

 しかし、繰り返し申し上げますが、やはり問題なんですよ。私がこれを指摘しなければ、ほったらかしになっていたら、どうしようもないわけです。こういう形で事業費が膨らんでいってしまう。

 特に、皆さんに御覧いただいたこの表の中で、増加率を御覧いただきますと、一〇〇%台後半から二〇〇%台、特に東北の日沿道、能代―小坂間などは、増加率が最大三六二%にも及んでいます。それぞれ事情があるということでありますので、ここも一概には言えないということになるんでしょうけれども、やはりこれだけの事業費が膨らむということが果たして本当に正しいのか。

 例えば、日沿道の二ツ井今泉道路の事業費などを見ますと、やはり大きいのは、現道活用区間というものがあったんですが、それを新たに整備のような形で、一応、接続位置の変更ということで、一気に百九十億が上乗せされているという説明があります。

 このように、上がる理由というのは幾らでも後でつけられるんですよ。問題は、事業評価という仕組みそのものを形骸化させるような状況に陥ってはいないのか。

 しかも、これは令和四年、五年ですが、私は、これも道路局の皆さんに言いました。私は、令和二年、三年も調べたんです。同じような状況になっています。あえて令和二年、三年分まで出さなかったのは、幾らいっぱい出したって意味がないので。同じことになっているんですよ。指摘されなければ、このまま通り過ぎてしまう可能性があるわけです。

 このように、特異値という部分はあるかもしれませんが、やはり事業が膨れ上がっているということ、そして、それに対して何ら、BバイCが一・〇を超えるという前提で事業化していたことに対する、税金を使うわけですから、公金を使っていくというところで、国会に対しての説明も含めて、何ら皆さん方からの発信があるとは私は思えないんですね。

 大臣、今、事業費が上がっているということについては局長からるる答弁がありました。確かに、そのとおりで、各事業の事業計画の変更内容などを見ると、いろいろとそこには事情が書いてあります。しかし、先ほど局長がおっしゃった中で、地元住民の声等々、こんなものは事業化当初の想定に入れなければならないはずですよ。

 私は、国交省に一年四か月いる中で様々見てきたわけですが、やはりこうしたことに対する、事業費が膨らんでいく、あるいは事業評価が形骸化するということに対する危機意識というのか、これは、先般も私、委員会質疑で申し上げましたが、やはり政治がしっかりと検証して、そこに行政監視を働かせないと駄目なんですよ。

 大臣、今私が指摘させていただいた三十七事業のこの実態をどのようにお感じですか。

斉藤(鉄)国務大臣 先週、質問通告いただいて、この表も先週見させていただきました。こういう御努力をされていることにまず敬意を表したいと思います。私自身もへえと思うような数字が並んでおりまして、私自身も勉強させていただきました。

 そして、委員とは昨年の道路特措法の審議以来、これから税金を使って道路を造っていくときのその基準、考え方というのは本当にしっかりしなきゃいけないという御指摘もいただいたところでございます。その点、説明責任を含めて、しっかりやっていかなくてはならないと思います。

 昨年の委員の御指摘も踏まえまして、新たに、先ほど申し上げました公共事業評価手法研究委員会を、こういうテーマで議論をしていただこうということで、第一回を今日、今ちょうど開催しているところでございます。このような形で、事業評価手法の改善に向けて、不断の努力を重ねていきたいと思います。

馬淵分科員 私は、道路局の皆さん、若手の方々も来られました、おかしくないかと何度も何度も彼らにもそれを問いただし、もちろん答えられませんよね、先輩の方々がずっとやってきた仕事ですから。気の毒だとは思いながらも、こういったことに対しておかしいと言える組織じゃなきゃ駄目なんだということを強く彼らにも伝えてきた。うなずきはしませんよ、うなずいていましたとチクられたら困りますからね。みんな黙って下を向いていましたけれども、それは顔には書いてありますよ。

 それで、私はそのときにもはっきり言いました、大臣に、こういったことに対して検証するということを明確に答弁を求めなきゃいけないと思っているわと。このように申し上げてきて、先ほど局長からも話がありましたし、大臣からもお話がありました、第一回の公共事業の評価手法に関する研究会が立ち上がったということですけれども、まさに今やっていると。私が通告をしてきて、ひょっとすると、そういったことも大きなインパクトになって進めていただけるので、非常にありがたいと思います。

 私は、今日の質疑の中で、大臣に、こういったものを行うべきだという意思を問おうと思っていたんですが、もうスタートしていただいているということですから、これはどれぐらいの期限を持って結果を出そうという決意でいらっしゃいますか、大臣、お答えいただけるでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 この委員会は、家田委員長を中心に今日スタートさせていただいておりますが、事業費算定の改善方策につきましては、今年の夏をめどに一定の方向性をお示ししていきたい、このように考えております。この委員会でも精力的に議論をしていただく予定でございます。

馬淵分科員 大臣、非常に明確に期限を区切って、しかも、その方向性と、そして何を結論を得るかということについてまで御答弁いただいていますから、私は評価をさせていただきたいと思います。生意気ですけれども、評価できる御答弁をいただけたと思います。これはしっかりやっていただきたいと思います。

 さて、今、当初BバイCが再評価でこのような形になっているということを指摘させていただきましたが、もう一つ、残事業についてです。

 残事業というのは、百の事業があったとしますね、当然、進捗していくと、どんどんどんどん事業費を消化していきます、六十を消化すれば四十の事業費が残る、これが残事業です。四十分やらなきゃいけないということになります。

 BバイCというのは便益をコストで割るわけですから、コストは事業費ですので、事業費が消化されていけば、残りの残事業は当然小さくなっていくので、BバイC、便益は変わりませんから、BバイCはより大きく出ます。つまり、残事業がどんどんどんどん減っていけばいくほど、BバイCは一を大きく上回る数字が出てくるんですね。

 ところが、この残事業BバイC、これも御覧をいただきますと、では、どうかというと、なかなか微妙な数字が出てきているわけですね。

 残事業のBバイC、これは二段に分かれていますが、下の方はまた後ほどの質疑のときに使うので、上の段のところで、かぎ括弧も、あるいは丸括弧もない、これを見ていただくと、一・二とか一・五とか、中には〇・三なんというとんでもないのもあるんです。

 こういう形で、残事業BバイCというのが本来ならば高くなる傾向ということだというふうに理解をしておりますが、局長、イエス、ノーで結構です、それでよろしいですよね。局長、御答弁、残事業BバイCは一般的に大きくなる傾向にあるということで、いかがでしょうか。

丹羽政府参考人 途中に供用等がなければ、変わらないということです。

馬淵分科員 そうなんですよ。したがって、大きく出ていかなきゃいけないんですが、この残事業のBバイCを見ると、そうはなっていない傾向も少し読み取れる、いや、そうはなっていない例があるんじゃないか。

 ここは私も、またレクで度々、道路局の皆さんと議論をさせていただきました。これは、実は、BバイCが一を上回るレベルまで、消化した事業費まで事業費を増やすことができるということになるんですね、理論的には。

 百の事業があって六十消化しました、残りは四十です。したがって、仮にBバイCを一・〇として便益を百としましょう。百分の百で一・〇です。百の事業が六十消化されれば残り四十ですから、四十分の百です。そうすると、これは二・五になるんですよ。だけれども、残事業を、また事業費を増やすことができる。どこまで増やせるか。百まで増やせるんですよね。百まで残事業を、残り四十になったのに、六十、事業費を増やすことが可能だ。一・〇を超えないところまで増やすことが可能なんですよ。理論的ですよ。理論的には可能なんです。

 つまり、私がこの表を作ったときに、令和二年、三年も同じ状況が起きています。残事業BバイCが高くならなきゃいけないのにもかかわらず、そうではない事業が幾つも出てくる。ネットワークの話は横に置いておきますので、かぎ括弧は無視してください。

 私は、理論的に残事業の範囲の中で事業費を膨らますことができる、そういった、ある意味、BバイC一・一狙い、一・二狙いで事業費を増やす、そんなことが起きはしないかということを尋ねてきました。もちろん、役所の皆さんは、そんなことはあるわけがありませんと答えますよ。でも、理論的にはそれが可能なんですね。このような状況で、BバイCが一を超えるような再評価を行っているということはあり得ないと信じたいんですが、あえて聞きましょう、局長、いかがですか。こういうことが行われていることがあり得るでしょうか、どうですか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員が言われているような、作為的に一を超えるようにということは、我々はやってございません。どういうやり方をやっているかというと、まず、事業着手後、原則として五年に一度、費用の増加要因、最新データに基づく費用便益分析などもいたしまして、有識者委員会で事業の妥当性を御審議いただいた上で、事業の再評価を行っております。

 この事業再評価につきましては、用地買収また工事着手時など事業の節目で事業費の精査を行った上で、事業費が増加する場合などは五年を待たずに前倒しで行う、必要な場合は随時、再評価を実施しているということでございます。

 なお、この有識者委員会におきましては、事業全体でのBバイCとともに、残事業BバイCやコスト縮減策などをお示しした上で、事業の妥当性について委員会で審議をいただいております。

 それで、事業費が増加する場合、五年を待たずに前倒しで行うというのは、令和四年に各整備局に対して通知をいたしまして、周知徹底したところでございます。

馬淵分科員 しかしながら、五年置きということと、あと有識者の会議、有識者の会議ももういいんです、そこにかけるのは、当然ながら皆さん方が全部段取りをつくって、有識者の皆さん方に納得していただけるような会をつくっていくわけですから。それを金科玉条のように言っても駄目ですよ。

 私が申し上げているのは、このような状況の中で、残事業、新たな事業費の増加、これは五年を待たずにできる、逆に言うと、内規では定められていませんよね、その事業費の増加の部分をどのタイミングで決するか、発表するかというのは、これは特に規定はないですよね。いかがですか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました令和四年の三月に、各整備局に対して、この事業費が見込まれる場合は再評価を前倒しで、五年を待たずにやるようにという通知を出したところでございます。

馬淵分科員 だから、再評価の五年を待たずにやっていいというだけで、どのタイミング、どのような、例えば事業費が上振れをする可能性が何%だとか、細かな内規はないじゃないですか。局長、ないですよね。どうですか。

丹羽政府参考人 事業費の増額が見込まれる場合には必ずやるようにという周知徹底をしたところでございます。

馬淵分科員 事業費の増額が見込まれるというのを誰が判断するんでしょうか、局長。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 通知の中で、用地買収の着手時、工事着手時、また一部区間の開通時、そういった事業費が確認できる節目でやりなさいということ、そこで事業費をきっちり出しなさいとなっております。(馬淵分科員「誰が」と呼ぶ)各地方整備局において、それを出した時点でやってくださいというふうになっております。

馬淵分科員 地方整備局長ですよね、名でいえば。

 それで、今、それが見込まれたときにはやりなさいということですけれども、その通達の中でいうと、明確な規定ではないと私は思っているんですよ。これは、後ほどネットワークのところでも触れますが、つまり、内規なので、ここが非常に曖昧になっています。

 大臣、今申し上げたような、残事業のBバイC、残事業をもって、当初事業から随分と変わってきて、これで判断するというのはいかがなものかなと私は思っていまして、確かに、一を割っているひどいのもあるんですが、ここはやはり参考程度にする、もっと、ここはやはり当初事業の評価を本当に厳しくやるということしかないと思うんですね。後で膨らませてくるというのは、どの仕事でも一緒ですよ、設計変更なり何らかの不可抗力なり、要素が増えたということで、増やすのは簡単です。ですから、もう既にその状況に陥っているということです。

 大臣、ですから、先ほどの繰り返しになるかもしれませんが、公共事業の評価手法の研究会、第一回がようやく今日スタートだということですけれども、そこまで、つまり残事業BバイCをもって何か金科玉条のように、これでやれるんだということがあってはならないところまで踏み込む必要があると思いますが、大臣、どう思われますか。

斉藤(鉄)国務大臣 残事業の評価をするというのは非常に難しい側面がございます。私も建設現場で働いていたことがございますので、一旦スタートした事業の設計変更というのはしょっちゅうございます。設計者がいろいろなことを言ってきますし、ここをこうしろ、この材料にすぐ替えろと、毎日のようにある。

 そういう中で、そういう状況にどう対応していくかというのは非常に難しい問題でございますが、それも含めまして、先ほど局長が答弁いたしましたように、残事業の評価の在り方についても今回の委員会で御検討いただきたい、このように思っております。

馬淵分科員 ありがとうございます。ここは極めて重要なところです。

 もう一つ、時間が少ないんですが、防災事業と事業評価の関係について、これも確認をしておきたいと思います。

 防災事業の場合は、いわゆる防災が目的であるということから、防災面の効果が大きい道路事業ということで、いわゆるBバイCの評価から外れることになっているんですね。これは、当然ケース・バイ・ケースということもあり、専門家の委員会の皆さん方にお諮りしたと決まり文句のように出てくるんです。しかし、そもそも地域高規格道路で整備すると決めたものが、防災面で効果が大きいからということで、それを外してBバイCを出さない、これをやっちゃうわけですよ。ここがまたおかしいんですね。

 防災面で効果が大きいというのは当初から分かり切ったことですよ。それをあえて、地域高規格道路でやっていたのを、これをまた外してBバイCを算出しない。だったら、これは現道の改良工事で済んでいたはずじゃないですか。つまり、防災ということをまた同じく金科玉条のようにして、本来であれば地域高規格道路として整備、自専道のような整備がなされてくる事業の中で、BバイCの算出はしなくていいという方向にかじを切っているわけです。これもおかしな話だと私は思います。

 東日本大震災における様々な防災の必要性、こんなことは誰も否定しません。私たちが政権のときにあれを経験しているわけですから、極めて強い思いを持っていますよ。私が申し上げたいのは、そういった部分で、防災面の効果が大きいからということで道路事業を、当初、地域高規格道路で設定しておきながら外していくということが、やはり恣意的になされる可能性があるということじゃないでしょうか。大臣、どう思われますか。

斉藤(鉄)国務大臣 防災面の効果を数値化するというのはなかなか難しいところがあります。しかし、防災面に対してしっかり配慮しなきゃいけないということも確かでございます。

 確かに、今、馬淵委員御指摘の問題点というのは非常に難しいことかと思いますが、これまでは、防災・減災というのは最も我々が重点を置かなくてはいけない分野として、そのような評価が行われてきた、それはそれで必ずしも間違っていなかったとは思っております。

馬淵分科員 ここも、だから、大臣、整理が必要なんですよ。防災効果が大きいということで事業評価を外すということに対して、確かに、現状では、有効性だとか必要性だとか効率性という三つの観点とかいって、これは数値化できないからとやっていますけれども、でも、そもそも事業化する段階ではBバイCということを厳しくチェックしてきたといって世間には喧伝してきているわけですから、それを、防災面が大きいからといって地域高規格道路のその整備をいきなり外していくというのはやはり問題があるんじゃないかと思いますよ。

 大臣、もう時間がありませんので、最後に一点だけ、今申し上げたようなことも含めて。防災に必要だからということだけでもなく、税金を使うという公共事業に対して厳しい目を向ける必要があります。この防災面、私も正直申し上げて、議論していて、なかなか彼らとも、答えが難しいねと言ってきたんですが、これは果敢に取り組むべきだと思いますが、大臣、御決意を。これを最後にしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 一つは、やはり防災面につきましても、できるだけ客観的な評価が可能な指標、これが数字なのか、どういうものなのかはちょっとまだ検討委員会の方で検討していただきたいと思いますけれども、そういう客観的な評価が必要であるということについては、私も馬淵委員と意見を一にいたします。

馬淵分科員 ありがとうございました。

 終わります。

田中主査 これにて馬淵澄夫君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田中主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 国土交通省所管について質疑を続行いたします。勝目康君。

勝目分科員 自由民主党、京都一区の勝目康でございます。

 期せずして京都の議員が三人並んでいる中での質問でございますけれども、実は、国交省さんに対して国会で御質問させていただくのは初めてでございまして、ちょっと欲張って、今日も政府参考人の方にたくさんおいでいただきましたけれども、たくさん質問をしていきたいと思います。簡潔に、しかし前向きに御答弁いただきますよう、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、まず観光についてお伺いをしたいと思います。

 この委員会は、令和二年度から四年度までの決算というのが対象ということでございます。緊急事態宣言が出されて、観光分野が未曽有の厳しい状況に陥って、そこから徐々に回復をしてきた、そういう期間に当たるんだと思います。

 その後、去年五月にコロナも感染症法上五類となって、観光は今やコロナ前を超える勢いで活発になって、私の地元京都市を始め有名な観光地では、またオーバーツーリズムが言われるようになっております。

 ここで、相変わらず観光公害という言葉を用いるケースが見られます。もう二度とコロナのときのようなあんな目には遭いたくないという事業者、あるいはそこで働いている皆さんの思い、気持ちを忘れて、観光産業をおとしめ、観光客に対する地元の反感をあおり、そして関係者の心情を傷つける極めて不適切な表現じゃないか、私はこう考えております。

 ただ、もちろん、地域における生活と観光の調和、両立を図るという観点では山ほど課題があるわけでありまして、これはまた事実であります。それはそれとしてしっかり向き合って、解決をしていかなければならない、こう考えているところであります。

 そこで、まず総括的な質問でありますが、国交省として、このオーバーツーリズムに対してどのように認識をされていて、これまでの対策、また今後どうしていかれるか、御地元も大変な観光地でいらっしゃいますけれども、國場副大臣にお伺いしたいと思います。

國場副大臣 国内外の観光需要の急速な回復に伴い、多くの観光地がにぎわいを取り戻す一方で、一部の地域や時間帯においては、混雑やマナー違反による地域住民の生活への影響や旅行者の満足度の低下といった懸念が生じています。

 こうした課題に対処するため、昨年十月の観光立国推進閣僚会議において、オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージが決定されました。

 また、これを受け、令和五年度補正予算、オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業において、住民の方々を含めた地域の関係者による協議に基づく計画の策定や、具体的な取組の実施を総合的に支援することとしており、本年三月、先駆モデル地域として二十地域を採択しました。

 これらの地域においては、今後、地域の関係者による協議を踏まえ、例えば、京都市では、住民の方々が利用する一般の路線バスに加えて、通常運賃よりも高い価格を設定し、京都駅と主要観光スポットをダイレクトに結ぶ観光特急バスを新設する、北海道美瑛町では、AIカメラの活用やデジタルサイネージの設置を通じた、私有地への無断立入り行為の抑制を図るなど、各地域の実情に応じた取組が進められる予定であります。

 国土交通省としては、地域の実情に応じた具体策が進み、観光客の受入れと住民の生活の質の確保の両方が図られるよう、地域における意欲的な取組をしっかりと支援してまいります。

勝目分科員 このオーバーツーリズム対策の事業、京都市も選んでいただきまして、ありがとうございます。

 今ほど言及がありましたように、やはり混雑であるとかごみ問題、そして、本来静ひつな場所での振る舞いといったマナー、こういった問題というのが地元の負担感に直結をしているということ、これがオーバーツーリズムの問題の本質かなというふうに思っています。

 特に、マナーにつきましては、日本特有のものも多々ありまして、訪日される外国人の方に対して効果的に啓発をしていかないと、ちゃんと届けないといけないと思います。どのようにされますか、お聞かせいただきたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 訪日外国人旅行者に対するマナーの啓発は、地域住民の方々の生活への配慮という観点と、観光客の方々の快適な旅行という観点の双方から大変重要な課題と認識しております。

 このため、観光庁といたしましては、公共交通機関、あるいは観光地、宿泊施設など、シチュエーション別に訪日外国人旅行者向けマナー啓発動画を作成し、観光庁ホームページで公開するとともに、宿泊施設や観光案内所などにおける活用を促しているところです。

 また、マナー啓発に向けたデジタルサイネージや看板の導入などに対する補助も行っておりまして、例えば、京都駅や地下鉄烏丸御池駅におけるデジタルサイネージの設置、祇園エリアにおける高札の設置などにも活用いただいているところでございます。

 さらに、現在、オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージに基づきまして、統一のピクトグラムですとか、さらには、旅行者の意識の持ち方や行動例を示す旅行者向け指針、こうしたものの策定に取り組んでいるところでございます。

 これらの取組と併せて、SNSなど様々なツールを活用して、いわゆる旅中におけるマナー啓発だけでなくて、旅前の段階から訪日外国人旅行者に対するマナー啓発に取り組んでまいります。

勝目分科員 おっしゃるとおり、旅前から日本というのはこういうところなんだということを分かって来ていただくことは非常に大事なんじゃないかなというふうに思います。

 ただ、旅前というのはアプローチがやはりどうしても難しいということで、今おっしゃった様々な手法を使っていただきたいと思いますし、国交省さんは航空局も所管されていますけれども、日本に入ってくる航空便のモニターで最後に日本のマナーはこうだと、このピクトグラムにしても動画にしても、そういうものをお示しすると、実は、入ってくる人全員がそれを見る、こういう効果もあるんじゃないかというふうに思いますので、様々な御工夫をいただきたいと思います。

 そしてまた、ごみ問題なんかはやはり財政負担なりその地元の負担に直結しますので、こういうところを何とかお支えをしていただけるとありがたいという意味で、この後もお伺いしますが、マネタイズの問題につながっていくと思うんですけれども、そういう在り方というのを深めていきたいな、こんなふうに思います。

 混雑対策、地元案件でちょっと二点ほどお伺いしたいなと思います。

 まず、京都駅であります。一日七十万人以上乗降客がいらっしゃるということで、多くの観光客の方、ビジネス客の方、そして、もちろん地元の生活者ということで、行き交って大変な混雑になっております。特に、嵐山方面に行く嵯峨野線、これが西の方にあって、頭端式ホームなものですから、自由通路が大変な混雑になっておりまして、この混雑対策の一環として、JR西日本と連携をする形で、京都市が、京都駅の西側に橋上駅舎と自由通路を新設するという事業を今年度から予算化をしています。これは国交省さんとして是非しっかり応援いただきたいと思いますので、お考えを伺います。

 また、二点目でありますけれども、バスです。先ほど観光特急バスの話がありましたけれども、大型荷物、これは本当は持って入ったらあかんのですけれども、これが常態化していることもあって、大変な混雑でございます。この特急バスは、料金をたがえるという全国初の取組に加えて、市民の価格とそうじゃない方の価格に差をつけるとか、いろいろ柔軟な取組も検討しておるところでありまして、これも国交省さんの御支援がなくてはできないことであります。いかがでしょうか、お考えをお聞かせください。

天河政府参考人 お答えいたします。

 御質問の新たな自由通路の整備につきましては、混雑をしております既存の南北自由通路の西側に新たな自由通路等を整備することで、人の流れを京都駅の西側へ誘導、分散し、既存の南北自由通路だけではなく、京都駅周辺地域全体としての混雑の解消、活性化につながる重要な事業であると認識をしております。

 国土交通省といたしましては、令和六年度から、京都市やJR西日本などから構成されます京都駅周辺地区都市再生協議会に対しまして補助金により支援をしておりますが、早期に事業効果を発現させるため、引き続き支援してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

石原政府参考人 二点目の路線バスについて、二重の運賃、市民は安い、異なる運賃を設定するということについてお答え申し上げます。

 まず、制度面でございますけれども、乗り合いバスの運賃につきましては、道路運送法において、特定の旅客に対して不当な差別的取扱いをすることを禁じております。

 どのような運賃が不当差別となるかについては、個別の事案ごとに判断することになりますが、一般論として申し上げれば、人種や性別など利用者の属性を理由に同一区間で異なる運賃額を設定することは、この法律が禁じている不当な差別的取扱いに該当するおそれがございます。

 そのため、御指摘のような運賃設定を行うことにつきまして、その目的や目的を達成する手段として適切かどうか、こういったことについて京都市及び京都市交通局の考えをお聞きし、個別に判断をする必要があると考えておりまして、現在、本件について市交通局と継続的な協議を実施しているところでございます。

 引き続き、京都市及び市交通局からの御相談に対して丁寧にお話を伺い、必要な助言、検討を行ってまいります。

勝目分科員 いずれも心強い御答弁をありがとうございます。特に、バスにつきましては是非相談に乗っていただいて、その実現に向けて前へ進めていきたいな、こんなふうに思っております。

 続きまして、観光のマネタイズについてお伺いをしたいと思います。

 オーバーツーリズムというのが敬遠されるのは、やはりお客さんが来て、そしてそれが負担がある、それに見合った利益、収益が果たしてあるんだろうか、その実感が地元になかなかないというときに非常に顕在化してくるんだろうと思います。だから、観光コンテンツといったものをしっかりマネタイズする、稼ぐ、そして担い手に還元していく、この仕組みをつくるのが大事だと思っております。

 インバウンド振興については、訪日客というお客さんの数だけじゃなくて、旅行消費額で捉えていこうということで、去年一年間でも五・三兆円と、五兆円を超えてきたわけでありまして、これはすごいことだなと思うわけですが、ここから更にもう一歩踏み込んでいきたいというふうに思います。つまり、この旅行消費額も中身が問われるんじゃないかということであります。

 今、これだけの円安ですから、訪日客にとってみたら、免税以上に、日本で買物をするというのは安いわけですね。こういうときに、海外のブランド品であるとか洋酒、洋たばこ、これで消費額を稼いでも、ちょっと効果が非常に限られるんじゃないか。本来であれば、伝統工芸品であるとか和雑貨であるとか、食品あるいはお酒、もちろん、マーケットイン型のデザインとか機能とか味とか、こういうものは必要だと思いますけれども、どうせ免税にするんだったら、こういうもののプロモーションにつなげていく方が効果があるし、作り手にも還元されるんじゃないか、こんなふうに考えるところであります。

 尾崎政務官の御地元高知もすばらしいものがいろいろあると思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

尾崎大臣政務官 お答えをいたします。

 訪日外国人旅行消費額は、御指摘のとおり、二〇二三年に過去最高の五・三兆円となっておりまして、こうした消費を我が国経済の成長や地域活性化につなげることが確かに重要だ、そのように考えているところでございます。

 このため、国土交通省では、消費拡大や地方誘客に効果の高いコンテンツの整備や、我が国観光の魅力の戦略的な発信等に取り組んでおりまして、日本における地域ならではの産品等の消費拡大にも資するように、訪日誘客を進めているところでございます。

 具体的には、日本政府観光局において、日本全体への誘客を促進する観点から、日本の食文化、自然など、日本全体の魅力を売り込む戦略的な訪日プロモーションを実施しており、さらに、インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた全国各地の観光コンテンツ造成を支援するに当たりましては、このJNTOによるプロモーションも踏まえつつ、日本ならでは、及び各地の産品を活用した事業を積極的に採択をし、お土産としての購入や帰国後の通販による購入も視野に入れて、訪日外国人による消費拡大を促進するべく、日本の消費拡大につながるように取り組んでいくべく努力をしておるところであります。

 引き続き、訪日外国人の消費の内容にも注目しながら、二〇三〇年六千万人、十五兆円という目標の達成に向け、取り組んでまいります。

勝目分科員 そうですね。確かに、元々から日本に来てこれを買いたいなと思っていただくのがまず取っかかりだと思いますので、その事業をしっかりやっていただきたいと思いますし、今ほどちょっと例示として挙げるのを忘れていましたけれども、漫画とかアニメとかゲームとかのキャラクターグッズ系、こういうものも非常に訴求力があると思うんですよね。なので、こういうものにしっかりつなげていく。是非その取組を更に拡大をしていただければと思います。

 続きまして、マネタイズで非常に難しい分野というんでしょうかね、例えば、自然の景観を楽しむであるとか、町並みとか、あるいは、最近ですと商店街、こういう観光コンテンツ、本来は観光コンテンツというよりもふだんからそこにあるものが、そこに行きたいということでたくさんの方が来られるわけです。

 これは経済学でいうところの非排除性と非競合性がある、まさに公共財そのものでありまして、関所を設けるわけにもいきませんし、そういう意味で、お金を徴収するというのはなかなか技術的には難しいところもあるんだと思うんですが、ただ、やはりこういうところで地元にお金が落ちないと、負担ばかりだなということになってしまうんじゃないかと思います。

 こういった種類の分野のコンテンツ、このマネタイズについてお知恵を聞かせていただければと思います。

尾崎大臣政務官 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、観光を通じた地域活性化のためには、観光客の来訪を地域における消費へ結びつけることが重要と考えております。

 このため、国土交通省としましては、御指摘の自然景観や歴史的、文化的な町並みなど、そのままでは消費に結びつかない地域資源につきまして消費に結びつける仕掛け、すなわち、観光商品としての造成や商業利用の仕組みづくりを積極的に行うよう取り組んでいくことが大事だ、そのように考えているところであります。

 例えば、旅行者が自然保全活動に参加するツアーの造成を図るだとか、清流はそのままでは消費に結びつかないわけでありますが、あえて屋形船を通すことで消費に結びつけていくだとか、さらには宿泊や飲食施設として利用するために古民家の改装等を図るだとか、このような取組を支援していく、そういう考え方が大事だろうと思っております。

 また、このような地域資源を観光に活用することによりまして収益の一部を地域資源の保全に還元する好循環の仕組みづくり、こういうことについても大事ではないか、そのように考えるところでございます。

勝目分科員 ありがとうございます。

 あとは、例えばですけれども、料金を義務的に取るわけじゃないんですが、いわゆるサジェステッドというんですかね、任意でお金を払って、ここに、楽しませてもらうんだから協力しよう、そういうキャッシュレスでぱっと払えるみたいな、何かそんなものの設置とかも、これはまず一義的には地元で考えるべき話だと思うんですけれども、いろいろな支援メニューというのも考えていただいて、そのままだと負担ばかりが増すような、そんな観光においてもしっかり循環ができる、そういう仕組みづくりを是非お助けをいただければと考えております。

 工芸品のマネタイズと作り手への循環ということでいきますと、ちょっと外務省さんに一点お伺いしたいんですが、今、京友禅でサリーを作る、インドのですね、こういうプロジェクトをやっております。三年たって、デザインもかなり洗練をされてきていまして、去年は、インドのムンバイとニューデリーで鈴木駐印大使にもお越しいただいて展示会をやりましたし、今年は、東京のインド大使館でファッションショーもやっていただいた、こういうことであります。

 釈迦に説法でありますけれども、インドは、クアッドの一角を占める極めて我が国にとって重要なパートナーでありますけれども、やはり政治、経済に加えて文化といった面でも交流を重ねて多層的な関係をつくっていく、これは極めて大事じゃないかな、こう考えるところであります。

 この京友禅サリーの発信強化について外務省さんとともに取り組んでいきたいと思いますが、いかがでしょうか。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 日本とインドは、特別戦略的グローバルパートナーシップの下、文化、人的交流を含め、幅広い分野での協力を行ってきているところでございます。その際、日本企業の海外展開支援は重要と考えておりまして、大使館、総領事館に日本企業支援窓口を設置する等、様々な支援をやってきているところでございます。

 委員御指摘の京友禅サリーにつきましては、インドでの普及に向けて在インド日本大使館と事業関係者の間で意見交換が実施されたことに加え、インドで開催された京友禅サリーのイベントに大使館からも広報したほか、大使館主催レセプションにも事業関係者に出展していただいたところでございます。

 今後も、こうした取組を通じまして、広く日本の伝統技術や産品の海外展開を後押ししていく考えでございます。

勝目分科員 これは、単に日本の伝統産業が出ていくというだけじゃなくて、まさにコラボ企画といいますか、向こうの伝統的な衣装を日本の技術で作る、こういう話でありますので、是非総理あるいは外務大臣も含めましてこの発信に、共々に日印関係の深化に取り組んでいきたいな、こういうふうに思います。

 観光の質問の最後でありますけれども、修学旅行について一点お伺いしたいと思います。

 修学旅行というのは、契約をしてから実際に実施するまで二、三年、ちょっとリードタイムがあります。この間、物価が上がってきて、これを保護者さんに転嫁するのも難しくて、もう原価が割れる状態で受け入れないといけない、非常に厳しい状況にありまして、ここを何とかしていただきたいというのが事業者の切なる声でございます。

 これは、所管は文科省さんであるとか、あるいは財源を持っているという意味では内閣府さんであるとか、いろいろわたりますけれども、宿泊事業を所管される観光庁さんとして、お考えをお伺いしたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 修学旅行につきましては、宿泊単価を見直した場合に保護者の負担が増加することになることから価格転嫁が難しく、一方で、昨今の物価高の影響により、修学旅行の受入れにより経営が悪化してしまう場合もあるといった声を宿泊事業者の方々からお聞きしております。

 修学旅行の実施に関しましては、昨今の物価高騰を踏まえて、家計の教育費負担を支援するため、内閣府が所管する重点支援地方交付金につきまして、校外学習費を含めて積極的な活用を検討するよう、こうしたことを文部科学省から各自治体等に対して求めるなどの取組が行われていると承知しております。

 観光庁といたしましても、引き続き、宿泊事業者の皆様が抱える課題をしっかりと受け止めて、文部科学省等、関係省庁に働きかけるなど、適切に対応してまいります。

勝目分科員 是非、各省連携でお願いをしたいと思います。修学旅行も当然に実施できるわけではない、その受皿がしっかり経営が回って初めて成り立つものでありますので、よろしくお願いします。この点につきましては、引き続き私の方でもフォローしてまいりたいというふうに思います。

 続きまして、ちょっと地元のインフラ関係についてお伺いをしたいと思うのですが、五点御準備いただいていると思うんですが、二点目と三点目、新名神と国道一号、九号についてはちょっと同僚議員に譲ることといたしまして、一番と四番と五番についてお伺いしたいと思います。

 まず、名神と第二京阪、今、両道路というのは直交をしているわけですけれども、ジャンクションがなくて、滋賀県方面、大阪方面と京都市中心部の円滑な交通のネックになっております。ここを一刻も早くつないでいただきたい。効果は非常に大きいわけでありますけれども、いかがでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、委員がおっしゃられたとおり、名神高速と第二京阪道路は、交差はしておるんですが、接続していないために、相互に行き来ができないという状況でございます。

 そのため、名神高速道路の大阪、滋賀方面と第二京阪道路の京都市内方面を結ぶ京都南ジャンクションにつきまして、令和二年十一月に都市計画決定がなされまして、現在、NEXCO西日本において調査設計を進めているところでございます。

 この京都南ジャンクションができることによりまして、京都市内中心部と大阪、滋賀方面のアクセス性が増して利便性が向上すること、また、京都市内中心部と大阪、滋賀方面との経路が増えるということで、災害時の安全、安心の確保に寄与するなどの効果が期待されているところでございます。

 引き続き、早期完成を目指しまして、しっかり事業を進めてまいりたいと考えております。

勝目分科員 是非よろしくお願いをいたします。

 道路局長、二番目、三番目、大変申し訳ありません。御準備いただきましたのに、失礼申し上げます。

 続きましては、向日町駅の東口の整備と、街路事業の向日町上鳥羽線そして牛ケ瀬馬場線、この事業についてであります。

 今、京都市は、南の方、サウスベクトルといいまして、南部地域を産業発展のフロンティアにしていこう、こういうことが期待されていまして、この事業は、本当に産業から物流から人材確保から住宅開発の面でも非常に大きな効果が発揮されるということで、地元でも期待をされております。

 こちらの推進について伺いたいと思います。

天河政府参考人 お答えいたします。

 向日町駅周辺では、駅へのアクセス向上や地域の活性化などに向けまして、街路事業や市街地再開発事業が進んでおります。

 現在、向日町上鳥羽線、牛ケ瀬馬場線につきましては、用地取得が進められるとともに、向日町駅の東西自由通路の工事が着手されたほか、東口の駅前広場整備を含む市街地再開発事業は来年度着工予定であり、いずれの事業も順調に進捗していると伺っております。

 国土交通省といたしましては、御要望を踏まえ、引き続き支援してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

勝目分科員 この事業ができると、北摂地域と京都市の南部地域が接続されることになり、また、伏見の近鉄、地下鉄の竹田駅との連絡も非常によくなるので、もちろん、これは地元でしっかりやっていきますので、事業完遂まで御支援の方を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

 五点目、河川であります。

 京都の川の安心、安全、西の桂川、東の鴨川、鴨川は京都府の管理河川になるわけですけれども、令和三年度、四年度で、桂川の、私の地元の京都市南区の祥久橋という橋があって、そこの下流域で事業をやっていただきましたけれども、大規模な河道掘削ですね、これにつきまして、今後の方針を伺いたいと思います。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省が管理する桂川では、平成二十五年九月台風十八号洪水を安全に流すことを目標に、これまで久我橋周辺などにおける河道掘削や堰の撤去等を実施しており、現在は、大下津地区の川幅を広げる引き堤事業等を実施しているところでございます。

 また、京都府が管理する鴨川では、おおむね三十年に一度発生する可能性がある降雨による洪水を安全に流下させることを整備目標として、桂川との合流点から国道一号の鳥羽大橋までを重点整備区間と位置づけて、下流から順次、河道掘削や護岸整備が進められております。

 国土交通省といたしましては、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策予算も活用いたしまして、引き続き、これらの事業の推進を図ってまいりたいと思います。

勝目分科員 京都は、三十年近い共産府政の間にインフラ整備が本当に遅れてしまって、町の活性化、そして安心、安全、まだまだやらないといけない事業がたくさんあります。どうか国交省さんの御支援をいただいて、しっかり取り組んでいきたい、このように考えております。

 三点目でありますけれども、ライドシェアでございます。

 我が国でライドシェア事業が導入されて一月がたちました。質問通告した次の日に公表がありましたので、改めてになりますけれども、この間の実績と評価、そして今後の方針についてお伺いしたいと思います。

鶴田政府参考人 今御質問がありました自家用車活用事業でございますが、四月八日に東京、京都で運行開始、続きまして、その後、横浜、名古屋、軽井沢でも運行が開始されております。

 まず、実績ですけれども、五月五日までに、先ほど申し上げました五地域において、許可事業者が百二十八者、延べ稼働台数が二千二百八十六台、延べ運行回数は一万二千六百二十八回となっております。また、各地域のマッチング率ですけれども、タクシードライバーの増加の効果もありまして、昨年十月、十一月、十二月のデータと比較して、おおむね改善されているところでございます。

 次に、評価ですけれども、このように担い手や移動の足の不足の対策として、一定の効果が発揮されつつあるのではないかと認識しております。一方で、この事業が開始されてからまだ間もないこと、また、多くの地域は準備段階にあることから、その効果を現時点で評価することは適切ではないと考えております。

 三つ目、今後でございますが、今の状況を踏まえまして、引き続き、この事業のモニタリングを行って、データを検証しながら、地域の移動の足不足を解消するため、柔軟に制度の改善を行ってまいります。

 また、六月に向けての議論ということでございますが、これは、四月から開始した事業、今般実施したタクシーの規制緩和、さらに自家用有償旅客運送制度の制度改善、これらの実施効果を検証した上で、移動の足不足が解消されているかという観点から丁寧に議論する必要があると考えております。

勝目分科員 やはりこういう新しいことに取り組んでいくに当たって、こういう形でまず先行的にやったこのデータをきっちりと押さえておく、これは非常に大事だと思います。

 ライドシェアを入れるのか入れないのか、それとも、何か守旧派か改革派かみたいな、そういう解像度の低い議論ではなくて、国民の皆様、住民の皆様にちゃんと交通の足、移動の手段を提供できるのか否か、その手段として適切なのかということ、ここをきっちり押さえながらやっていく必要があると思います。

 そこが十分充足している状態で更に投入してしまうと、これは典型的な供給過剰のレッドオーシャンということになってしまいますし、そうすると、運転手の処遇が下がり、質が下がり、その結果、じゃ、一体誰の得になるんだということ、これはプラットフォーマーしか得をしないんじゃないか、こんなことになってはいかぬわけでありますので、やはりおっしゃったようなデータに基づく丁寧な施策展開、六月に向けてですかね、しっかりやっていただく必要があるというふうに思います。

 これこそが今求められる改革なんだということを申し上げまして、質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

田中主査 これにて勝目康君の質疑は終了いたしました。

 次に、早坂敦君。

早坂分科員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の早坂敦です。

 本日は、決算行政監視委員会第四分科会ということで、会派を代表させていただいて、国交省、法務省さんに質問させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 まず初めに、所有者不明土地問題について伺いたいと思います。

 相続登記が義務化されたその背景と現状についてですが、法務省さんの資料によりますと、所有者不明土地の割合は二四%、その原因の六一%は相続登記の未了、そして、三五%は住所変更登記の未了ということだそうです。なぜ、ここまで膨れ上がったんでしょうか。

 管理が放棄された所有者不明土地は、地震や豪雨による崖崩れの心配や、また、景観、治安の悪化、災害復旧の妨げ、公共事業の遅れなど、地域住民の安全を脅かすなど様々な問題をはらんでおります。

 二〇一一年、東日本大震災のとき、私の地元宮城県も甚大な被害が起きました。高台移転するために自治体の職員が用地取得する際、所有者不明の土地が多数見つかり、相続人調査や権利関係の調整に多大な時間を費やし、結果的に避難生活が長期化してしまったということを間近に私は見てまいりました。地道な作業でありますが、やはりスピード感を持ってしっかりやっていかなければならない問題だと思います。

 そして、国は、所有者不明の土地の発生を予防する方策として、本年、相続登記の申請義務化がスタートしました。これは、不動産を相続した相続人に対し、その取得を知った日から三年以内に相続登記の申請を義務づけ、正当な理由なく義務を履行しない場合、十万円以下の過料を科すというものです。

 これまで相続登記が任意であったことが、所有者不明土地を増殖させていった大きな原因だったと思います。時代が変わり、やはり人口が減り、土地の需要が減少する中、人口の流出など社会の変化に制度が合わなくなっているのではないかと思います。もらって困る土地をわざわざ相続登記する人は少ないです。そもそも意欲が湧かないですよね。

 この義務化に至った背景、また、所有者不明土地問題の現状についてどのような認識をお持ちか、伺います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省の調査によりますれば、所有者不明土地の割合は約二四%であるとされております。所有者不明土地が公共事業や民間取引などの妨げになっており、その解消は政府全体として取り組むべき喫緊の課題であります。

 所有者不明土地の発生原因の約三分の二を相続登記の未了が占めておりますが、相続登記がされない理由につきましては、相続登記の申請が義務とされておらず、申請をしなくても相続人が不利益を被ることが少ないですとか、相続をした土地の価値が乏しく、売却も困難である場合には、費用や手間をかけてまで登記の申請をするインセンティブが働きにくいといった指摘がされておりました。

 そこで、令和三年に不動産登記法が改正をされまして、令和六年四月一日から不動産の相続登記の申請が義務化されたところでございます。

早坂分科員 ありがとうございます。

 私も東日本大震災を経験しまして、実は本当に、所有者不明の土地の方々は、亡くなった方も大変多いですし、登記していない方も大変おりました。実は、私のおばも、これが持っている土地ですよと突然行政から連絡が来て、全然知らない土地を見に行ったら、大変多くの人たちが所有権を持っていた、そういう問題もありました。だから、今回の改正法は絶対いい方向に持っていってもらいたい。

 そして、もう一つ併せて言わせてもらえば、空き家も、法案が変わりましたが、やはり空き家の問題も、私が、十三年前、仙台市議会議員をやっているときからまだまだ何も進化がないので、是非ともそっちの方もしっかりと対応していただきたいと思います。

 次に、義務化されることにより期待される効果、目標について伺いたいと思います。

 義務化されることにより、今後の発生予防としては、本当に大変大きな一歩ではないかと思います。しっかり周知徹底し、進めていただきたいと思います。

 義務化されることにより、どのような変化、また効果が期待されるんでしょうか。所有者不明土地問題の問題解消につながるんでしょうか。既に長期間相続登記がされていないものについて、これから登記するということは簡単ではないと思います。先ほど言いました、相続人が多いケースなど、いろいろ状況があると思います。

 所有者不明土地の一つ一つは、うちですとか我が家の問題なんだと思います。うちの実家はどうしようというようなミクロな問題なんです。一人一人がその土地を適切に登記する、管理するという日々の行動が、地域の土地利用、まちづくり、災害時の復興、国土管理という大きなみんなの問題につながっていくんだと思います。いわば、公共の問題だと言ってもいいと思います。人口減少時代、適切な土地利用のサイクルをつくっていくことが求められております。

 その第一歩が相続登記の義務化なんだと思います。所有者不明土地の発生を予防する大きな一歩だと思いますが、期待される効果と目標になる数値があれば教えてください。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 相続登記の申請義務化によりまして、不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から三年以内に相続登記の申請をすることが法律上の義務となったものでございます。

 相続登記の申請義務化は、所有者不明土地の主要な発生原因である相続登記の未了に直接対応するものでありまして、これにより、所有者不明土地の解消という目標に向けて大きく前進するものと期待をしております。

早坂分科員 ありがとうございます。

 私も実家がありまして、そしてまた私も家を建てて、また、家内の、妻の家も盛岡の方にあって、今両親が二人で住んでいるんですけれども、土地と家の登記、やはり分けていかなくちゃいけないし、どうしようという問題もこれから出てくると思うんですよね。人口減、そして、やはり核家族とかも増えてきていますので、それが、私たちが今五十代なんですけれども、二十代、三十代なんか何も考えていなかったんですけれども、今大事な問題でありますので、しっかりとやはりこの法案を皆さんに義務づけて、本当にしっかり守っていってもらいたいと思います。

 そこで、所有者不明の土地を増やさない対策について、次に伺いたいと思います。

 相続登記の義務化は所有者不明土地の発生を予防する一つの手段だと思いますが、土地をめぐる問題は様々なケースがあり、一つ一つ問題が異なると言っても過言ではありません。相続登記の義務化と併せて、様々なケースにも対応していかなくてはならないと思います。

 そこで、相続登記の義務化に併せて、所有者不明土地を増やさないための方策について伺います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 令和三年の不動産登記法改正によりまして、相続登記の申請義務化のほかにも、所有者不明土地の発生を予防するための対策が講じられております。

 具体的には、所有者不明土地の発生原因の約三分の一を占める住所変更登記の未了に対応するため、令和八年四月から住所等の変更登記の申請義務化が施行されます。これは、所有権の登記名義人の住所等の変更の日から二年以内にその変更登記の申請をすることを法律上の義務とするものでございます。また、登記官が他の公的機関から取得した住所等の異動情報に基づきまして、登記官が職権で住所等の変更登記をする仕組みも併せて導入をされます。

 法務省といたしましては、これらの新制度の円滑な施行に向けて、しっかりと準備を進めてまいりたいと考えております。

早坂分科員 是非、しっかり取り組んでいってもらいたいと思います。

 そこで、ただ、この今の法案の件がどのぐらい周知されていくのかという広報の取組について、次に伺いたいと思います。

 繰り返しになりますが、相続登記の義務化は、今後の所有者不明土地の発生を予防する手段としては、今御説明いただいたように、大変大きな一歩ではないかと思います。しかし、法務省さんの令和五年のアンケート調査によりますと、詳しく知っている、大体知っているが三二・三%、聞いたことがあるがよく知らないが二六・四%という結果なんです。認知度の向上が課題ではないでしょうか。

 皆さんも認知度の向上にいろいろ考えているとは思います。私は、二十代、三十代、先ほども言いましたが、若い世代のときは、やはり何にもそういうことは余り考えていなかったと思います、すごく重大に。相続ということに対して、自分のことと感じることが少ないように本当に思ったんですが、むしろ、今の四十代、五十代などミドル世代以上の人は、現実味を感じる人が増えているのではないでしょうか。広く浅くというよりも、ある層に集中するような広報の仕方があっていいのではないでしょうか。

 また、登記手続の経験や知識が少ない方がほとんどだと思います。自治体における相談窓口の設置や、司法書士などの専門家の方々との連携、財政支援など、あらゆる手段を尽くして周知徹底をお願いしたいと思います。

 昨年からの議論の中で、認知度の問題は多くの先生方が指摘されているところであります。国土の問題であり、人の命にも関わる問題であります。周知、広報は今後どのように行っていくのか、周知、広報の取組について伺います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 本年四月に施行されました相続登記の申請義務化は、所有者不明土地対策の中核を成すものでありまして、国民に大きな影響を及ぼす重要な制度改正であります。

 しかしながら、昨年に法務省で実施した認知度調査におきましては、委員御指摘のとおり、相続登記の申請義務化を詳しく知っている、大体知っていると答えた方の割合は約三二%にとどまっておりまして、認知度の向上が課題であると認識をしております。

 これを踏まえまして、法務省として、本年三月に新聞広告などを実施いたしましたほか、今後、相続への関心が高いと考えられる四十代、五十代、六十代といった中高年層を主なターゲットに、テレビCMなどの様々な媒体による全国的かつ効果的な広報を実施する予定としておるところでございます。

 法務省といたしましては、引き続き、制度の認知度向上に努めるとともに、制度の意義や内容につきまして効果的な周知、広報に努めてまいりたいと考えております。

早坂分科員 これから広報で、SNS、そして、やはり新聞広告を見ている方もちょっと少ないかもしれないので、本当にいろいろ考慮して、考えていってほしいと思う。

 これは広報の予算はどのぐらいか、ちょっと教えてもらっていいですか、分かれば。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 広報予算といたしましては、約二億円程度を見込んでおるところでございます。

早坂分科員 二億円ですよ。相当広告料を使いますので、本当に有意義に、本当にうまく使ってほしいという思いでございます。

 先ほど言いましたけれども、本当に、四十代、五十代になると、いろいろ、母、父が介護の方に入っちゃって、家に誰も住まなくなるということで、よくある話だと、やはり土地が親のものであり、自分の家を自分で建てたという方が多いんですよね。そうすると、生前贈与しちゃうとすごい税金がかかっちゃうというのも知らないので、だからといって、近くに司法書士、弁護士さんで仲がいい方がいるというわけでもないので、どういう取組を、やはり地方自治体と連携して相談室をつくってもらって、こういうところに行ってほしいというのを周知してほしいのもあります。

 一つ聞いたのは、やはり生前遺書とか、弁護士さんに前に聞かせていただいたんですけれども、そういうのが今、結構主流になっているというのは、やはり税金負担がかかって、今、物価高騰で給料も上がらないという時代ですから、しっかり取り組んで、是非とも、広報を期待しておりますので、よろしくお願いします。

 次に、鉄道の安全に対する取組について国交省さんの方に伺いたいんですけれども、踏切事故がなくならない現状に対する認識ですね。

 先月、群馬県の高崎市の第四種踏切において、小学生の女児が列車と接触し、死亡したという痛ましい事故が起きました。これは、皆さんも大変記憶に新しいと思います。

 長年にわたり国も様々な対策を取ってきておりますが、踏切の種類や地域の状況も異なり、様々なケースがある中、簡単に踏切事故はなくなりません。いまだ全国に踏切は三万か所以上あり、そのうち、第四種踏切は令和四年の末時点で二千四百八か所あります。しかし、踏切の数は減ってきているんですね。

 踏切事故も減少傾向にありますが、国交省さんの資料では、平成元年に八百六十件あった踏切事故は、令和四年には百九十五件まで減少しております。第四種踏切についても、令和四年度に発生した踏切事故は十六件。減っているんですね。是非、踏切事故ゼロを目指していただきたいと思います。

 踏切事故の原因について国交省として分析しているのか、また、事故の原因の背景に何があると認識をしているのか、伺います。

    〔主査退席、中谷(一)主査代理着席〕

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおりでございますけれども、四月六日、上信電鉄の第四種踏切におきまして、小学生が列車と衝突し、お亡くなりになる事故が発生いたしました。改めて、お亡くなりになられた方の御冥福をお祈りするとともに、御家族の皆様にお悔やみ申し上げたいと思います。

 また、踏切の現状でございますけれども、警報機も遮断機も共に設置していない第四種踏切と称しておりますこの踏切は、令和四年度末で全国に二千四百八か所ございます。

 この四種踏切におきまして、令和四年度には踏切障害事故が十六件発生しているということでございます。

 私ども、踏切全体につきましては、国土交通省といたしまして、連続立体交差化事業によります踏切そのものの廃止でありますとか、あるいは警報機と遮断機の設置などによります安全対策を進めてきたところでございまして、平成元年度には八百六十件であった踏切事故が、令和四年度には百九十五件に減少している、こういった現状になっているというふうに認識しております。

早坂分科員 この第四種踏切だけでも、どのぐらいには全部なくすという感じなんですかね。それはちょっと分かりますか、全部を廃止する目標とか年度とかはあるんですかね。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 第四種踏切の現状でございますけれども、これをいつまでにどのくらい減らすという具体的な数値目標的なものは現在持っていないところでございます。

早坂分科員 是非とも、その取組を尽くすために、目標を掲げていただきたいと思います。

 次に、踏切事故を防止するための取組と技術開発について伺いたいと思います。

 第四種踏切のある地域というのは郊外で、地元の生活道路の一部になっているようなところが大変多いんですね。第四種踏切の解消には、地元住民、地元自治体の意見というものも大変重要になってきております。鉄道事業者も赤字路線を抱え、経営的にも厳しい状況の事業者が多いと思います。地域住民、地域の鉄道事業者の理解なくしては、なかなかスムーズには進まないものだと思います。安全対策を進める上でも、国として効率的な施設の導入や技術開発に対する支援も必要だと思います。

 踏切事故を減少させるためには、利用者の安全意識の向上は不可欠ですが、同時に、設備の増強、ハイテク化も必要になってくるのではないかと思います。ICT等も活用した技術開発や最新技術の導入などは、どこまで進んでいるんでしょうか。踏切対策の進捗状況と取組の成果、また技術開発の状況、あとは最新技術の導入状況について併せて伺います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国土交通省といたしましては、遮断機も警報機も設置されていない第四種踏切につきましては、安全性の向上が重要な課題であると認識しておりまして、これまで、第四種踏切の統廃合の促進、また遮断機と警報機の整備の支援によります第一種踏切化の促進などの取組を、道路管理者、地方自治体、鉄道事業者などの関係者とともに進めてきているところでございます。

 こうした取組によりまして、第四種踏切の数は毎年着実に減少しておりまして、先ほど数値目標はないと申し上げましたけれども、実績といたしましては、直近の四年間で二百四十か所減っている、こういった現状になってございます。

 また、委員御指摘のような技術的な取組でございますけれども、踏切保安設備の改良に当たりましては、踏切内の人や自動車を自動で検知する障害物検知装置でありますとか、様々な方向からの視認性が高い全方位型の警報機でありますとか、また踏切監視用カメラ、こういったものが導入されておりまして、国といたしましても、このような設備につきまして補助金による支援を行っているところでございます。

 引き続き、このように、第四種踏切の統廃合、あるいは第一種踏切化の促進、あるいは踏切保安設備の改良などの安全対策につきまして、関係の方々と連携して着実に進めてまいりたいと考えております。

早坂分科員 是非、取り組んでいただきたいと思います。

 もう一つ、開かずの踏切というのがありまして、私も地元に帰ると、うちの子供たちが、開かなくて学校に遅刻するという、それはなぜなんだということで陳情が来ますので、やはり技術向上させていただいて、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 次に、ホームドア設置状況、目標、課題について伺いたいと思います。

 そこで、ホームドアの設置状況について伺います。

 二〇一七年一月、埼玉県の蕨市のJR京浜東北線蕨駅において、盲導犬を連れた目の不自由な男性がホームから転落して、電車と接触してお亡くなりになるという痛ましい事故が起きました。この事故を機に、ホームドア設置を求める世論の高まりを受け、JR東日本は、設置予定のほかの路線も含めて前倒しで設置しました。

 ホームドアは列車との直接的な接触がなくなるので、こういった転落事故を防いだり、自殺防止をしたりといった効果があると思います。スマートホームドアと呼ばれる新型のホームドアは、アルミやステンレスを多用し、ドアの部分を板ではなくフレーム構造にするなど軽量化が図られて、費用や工期も半分程度に短縮できるという話を聞きました。ほかにもいろいろな種類のホームドアがあるそうですが、積極的にホームドアの推進をお願いしたいと思います。

 新幹線を含む主要な路線、駅には大分ホームドアの設置が進んでいると思いますが、設置状況、今後の目標、課題がありましたら、御説明をお願いします。また、私の地元であります東北新幹線仙台駅は未設置の状況です。設置基準などもありましたら、併せて伺います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 ホームドアの整備などの鉄道駅のバリアフリー化の推進につきましては、全ての方が鉄道を安全、安心かつ円滑に利用するために大変重要でございます。

 私どもの国土交通省といたしまして、全国の鉄道駅のホームドアの整備目標でございますけれども、令和七年度までに三千番線、うち一日当たりの平均利用者数が十万人以上の駅で八百番線を整備することとしておりまして、令和四年度末時点で、全体で二千四百八十四番線、また、うち十万人以上の駅では四百九十三番線が整備済みでございます。

 ホームドアの導入に当たりましては、車両のドア位置の相違や車両停止位置のずれ等が課題となってございますけれども、これらに対応可能な様々なタイプの新型ホームドアの開発、導入が進められているところでございます。

 また、多額の初期費用や維持管理コストについても課題となっておりますけれども、都市部では鉄道駅バリアフリー料金制度、また地方部では予算措置による重点的支援を活用しながら、引き続き全国の鉄道駅のホームドアの整備を推進してまいります。

早坂分科員 是非、仙台駅の方にも設置を早めていただきたいなと思います。

 そして、もう一つ、違う話なんですけれども、最近、東北新幹線は大変止まって、私も一回、仙台から六時間半かけて常磐線で来ました。実は、東京へ仙台から飛行機が飛んでいないんですね。だから、我々は山形に行くか盛岡に行くかという感じにやらなくちゃいけないので、止まると本当にパニックになっています。本当にそのありがたみも私は感じておりますので、是非とも併せてお願いを申し上げます。

 次に、鉄道におけるバリアフリー化の現状、取組、あと課題について伺います。

 鉄道の駅、車両のバリアフリー化について、今問題になっていることについて伺いたいんですが、鉄道の駅、鉄道車両は、多くの様々な人が利用する公共交通機関です。通学の児童生徒から通勤で利用する方、高齢のお年寄り、障害を持った方、妊婦さんまで、本当に様々な方が利用されます。全ての人に優しい施設が求められており、社会の要請であると思います。

 そこで、駅における段差の解消、先ほどの質問でありましたホームドアの設置、視覚障害者用の誘導ブロック、また障害者対応型のトイレの設置、車椅子スペースがある車両など多くの項目が定められておりますが、鉄道におけるバリアフリー化の現状、取組、そして課題について伺います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄道駅のバリアフリー化でございますけれども、令和七年度までの目標といたしまして、一日当たりの利用者数が三千人以上の駅に加えまして、バリアフリー法に基づく基本構想の生活関連施設に位置づけられた二千人以上の駅につきましても、原則として全てバリアフリー化をするということとしておりまして、令和四年度末におきましては、エレベーター等の整備によりまして、段差解消された駅は約九四%となっております。

 国土交通省といたしましては、先ほども申し上げましたように、都市部では鉄道駅のバリアフリー料金制度、地方部では予算措置による重点的支援というような措置を活用しながら、鉄道駅のバリアフリー化を進めております。

 また、このほか、このようなハード面の施設整備に加えまして、高齢者や障害者等の社会参加に積極的に協力する心のバリアフリーという観点から、ソフト面での対策も大変重要であると考えております。

 このため、毎年、全国の鉄道事業者と障害者団体、国等が連携いたしまして、「声かけ・サポート」運動強化キャンペーンというものを行うなど、障害者の方々を始めとしたお困りのお客様への声かけ、また見守りが促進されるように取り組んでまいります。

 高齢者や障害をお持ちの方々が安心して、また安全に鉄道を御利用いただけるよう、全国の鉄道駅につきまして、ハード、ソフトの両面からバリアフリー化を推進してまいります。

早坂分科員 是非とも、よろしくお願いを申し上げます。

 最後の私の質問になりますが、運輸安全委員会の鉄道事故の統計を見ますと、二〇二三年は十一件、二〇二二年は十四件、二〇二一年は十一件、二〇二〇年は十三件と、二〇二〇年以降だけでも、単純に計算しても月に一度以上の頻度で事故が報告されております。報告されていない小さい事故や故障、トラブルを含めると、日々、何かしらの事故、トラブルが起きていると言っても過言ではありません。

 JR東日本のレポートを見ますと、二〇二二年の鉄道運転事故は百三十七件発生しております。その多くが鉄道人身障害事故です。JR東日本一社ですから、全国の鉄道事業者の事故発生件数は更に多いものだと思います。

 まず、鉄道事業者による日々の鉄道の安全、安定輸送の徹底が求められておりますが、国土交通省としても適切な指導、監査などが求められると思います。鉄道事故を防止する、ゼロを目標とする、そして目指すという安全対策に対する副大臣の決意をお聞かせください。

國場副大臣 鉄道は、国民生活に密着した重要な公共交通機関です。

 この鉄道において一たび事故が発生すると、多くの死傷者を生ずるおそれや、国民の社会経済に大きな影響を与えるおそれがあることなどから、鉄道輸送の安全の確保は、最も基本的で重要な使命であります。

 先ほど来、村田局長から答弁がありますけれども、安全性向上への取組、ハード、ソフト両面から、鉄道輸送の安全の確保のための取組を進めているところでございます。

 国土交通省としては、国民の皆様が安心して鉄道を御利用いただけるよう、鉄道輸送の安全の確保に向けてしっかりと取り組んでまいります。

早坂分科員 是非ともしっかりと取り組んでいただきたい、その決意をありがとうございます。

 時間が来ましたので、質問を終わりにします。ありがとうございました。

中谷(一)主査代理 これにて早坂敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)分科員 教育無償化を実現する会の斎藤アレックスでございます。

 日本維新の会との共同会派のお時間をいただきまして、質問をさせていただきます。

 まず、北陸新幹線の敦賀以西への延伸に関して、何点か御質問をさせていただきます。

 このゴールデンウィークは、敦賀までの延伸が果たされてから初めての大型連休ということで、新幹線を利用して北陸を訪れた方が増えてというか多くなって、にぎわっていたということも報道をされていました。元旦に大きな震災が北陸でありまして、その復興を支えるためにも、是非今後とも、新幹線も活用しながら、北陸地域の観光振興や人の交流を増やしていける、活発化していけるような取組が拡大していくことを私としても願っております。

 その上で、敦賀以西へと延伸をすることについて、つまり、北陸経由で大阪までのルートを完成させる、この新幹線の経路を完成させることについて、どういった今状況なのかについて御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、前提としてちょっとお聞きしたいんですけれども、この敦賀以西のルートはどのような形で大阪まで今つなげる予定になっているのか、その概略を教えていただければと思います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 北陸新幹線の敦賀―新大阪間につきましては、具体的には、敦賀駅、小浜市(東小浜)付近、京都駅、京田辺市(松井山手)付近、そして新大阪駅というところを結ぶルートを基にいたしまして、現在、建設主体であります鉄道・運輸機構におきまして環境影響評価手続が進められているところでございます。

 また、昨年度から、北陸新幹線事業推進調査といたしまして、施工上の課題を解決するための調査を先行的、集中的に実施しているところでありまして、具体的な駅位置及びルートの案につきましては、できる限り早くお示しできるように、現在、検討を行っているところでございます。

斎藤(ア)分科員 今教えていただいた概略のルートについて加えて質問させていただきますけれども、大深度地下を通ったり、地下の区間が大変多くなるという想定で進められていますけれども、敦賀から新大阪に至る区間の地下となる区間は何割ぐらいになるのか、概数で構いませんけれども、お手元にデータがありましたら、教えていただければと思います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的なルート及び駅位置につきましては、現在、検討作業を行っておりますので、具体的に何割という数字は、現在、持ち合わせておりません。

斎藤(ア)分科員 じゃ、何割かは結構なんですけれども、東小浜を出た後、京都に至る区間はおおむね地下になるというふうに理解をしているんですけれども、その理解は合っているか、間違っているかはお答えできますか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 おおむねの状況といたしましては、今委員御指摘のとおりでございまして、小浜市を出た後、京都駅に向かうまでの間は、かなりの部分をトンネルを通るということになろうかと承知しております。

斎藤(ア)分科員 環境評価に関する資料は、ホームページに掲載されているものを私も拝見をさせていただきました。いろいろ懸念があるので、ちょっと質問していきたいんですけれども、まず、環境への影響ですね。

 この新幹線のルートは、私の選挙区は通らないんですけれども、私の選挙区は大津市、高島市ということで、この新幹線が通ることになっている、想定されているルートの隣の隣みたいな感じになるんですけれども、高島市から、ルートが通る南丹市に関しては隣接をしているということでございます。

 この高島市から南丹市に入ったところには、芦生の原生林というか、何が原生林なのかはいろいろ専門家の意見はあるのかもしれませんけれども、原生的な植生が残っている、芦生の原生林と呼ばれている部分があります。原生林というのは日本国内でも本当に貴重でございまして、天然林といっても、人類の歴史は長いですから、ほとんど人の手の入っている森ばかりです。ほとんど手が入っていない原生的な森林、原生林というものは本当に日本国土でも貴重なんですけれども、それが南丹市にはあるということでございます。

 普通に考えると、小浜から真っすぐ京都駅に落とそうとしてくると、この原生林の下を通って、さらに左京区とかを通って、そして京都駅の方に行くということになるんですけれども、環境評価の資料を見ますと、原生林の部分を外すようにしてカーブを描いて、そしてまた京都の方に戻ってきて、下に落ちてくるみたいな形で、原生林のところを通らないようにルートを設定をしようという意思があるんだろうというふうに理解をしているんですけれども、それはそういったことでいいのか、それとも、違う理由で曲がっているのか、それは今お手元の資料で分かりますでしょうか。

 原生林を通るということで、先月、今月ぐらいも、新聞紙上でも、問題があるんじゃないかということで報道がされているんですけれども、そういうつもりはない、原生林の下を通すつもりはないということであれば、そうお答えいただいた方がいいと思いますし、ちょっと分からないということであれば、また改めて教えていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 原生林と委員御指摘の場所というのが正確にちょっと認識がすり合わせをされておりませんので、軽々に申し上げるのは控えたいというふうに思っておりますけれども、小浜から京都駅の間につきましても、様々な環境等への影響を考慮いたしまして、環境影響評価の調査等が行われるというふうに承知をしております。

斎藤(ア)分科員 ルートの点線を見る限り、この原生林を何としても外そうとして通しているような感じを受けますので、そういうことであればいいんですけれども、また確認をして教えていただければと思います。

 そうでなくても、当然ですけれども、京都駅に向かうまでに京都の市街地を縦断していくことになるわけでございます、地下をですね。どれぐらいの深度なのかということもまだあれですけれども、京都の市営地下鉄というのは、京都の地下を通すために掘るたび掘るたびに遺跡が出てきて、とんでもない工事費がかかったということもありましたし、大変な困難が予想をされることだというふうに思います。

 今、環境評価手続であったり、地質の調査、施工に関する調査などを行っているところということを今御答弁をいただきました。

 この次のフェーズとしては、こういった調査が終わって、詳細なルートが公表をされるのが次のフェーズだというふうに伺っていますけれども、ちょっと改めてのお伺いになるかもしれないんですけれども、これがいつ公表されるかというのは、一年後、二年後、三年後、何年以内とか、そういっためども含めて、まだ見通しというのは出されていない状況でしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 北陸新幹線の環境影響評価手続でございますけれども、現在、鉄道・運輸機構において進められておりまして、現地の調査につきましてはおおむね終了したところでございますが、今後、具体的な駅位置とルートを明らかにした上で、環境影響評価準備書の作成に向けた作業を進めていくということにしております。

 具体的にいつかということについては今申し上げることはなかなか難しいという状況でございますけれども、私どもとしては、できるだけ早くそういったことを進めていかなければいけないというふうに思っております。

    〔中谷(一)主査代理退席、主査着席〕

斎藤(ア)分科員 分かりました。

 準備書というものが公表されて、詳細なルートが判明をするということになるのがまだいつかは分からないということなんですけれども、さらに、有権者、納税者としても気になるのは、実際の施工費が最新の見積りで一体幾らになるのかということが相当気になるところでございます。

 かつて様々なルートが比較検討されているとき、最終的に決まった小浜・京都ルートというのは、工事費はおよそ二・一兆円と見積りが出されていたわけですけれども、昨今の様々な物価高、資材高などで大分高騰することになるのではないかという報道が相次いで、民間からそういった意見が出ているわけでございます。

 次の質問は、具体的な、アップデートされた工事に着工する前の工事費の見込みというのは、環境影響評価の準備書が出されて、詳細ルートが出されてから、また更にある程度の期間を要してから出てくることになるのか、それとも、ルートが出てくると同時に建設費用というのは公表されて、次の手続にさっと進んでいくことになるのか、その辺りはいかがなんでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもは、作業を今いろいろやっているところでございますけれども、駅位置とルートが示すことができますれば、それに併せまして、事業費につきましても一定の見通しというものは併せて作業ができるのではないかというふうに考えております。

斎藤(ア)分科員 分かりました。

 これは、改めての常識みたいなお話なんですけれども、本当にこのルートで建設するかどうかというのは、様々なデータ、数字が出てきてからそれに基づいて決断をすることになるということだと思うんですよね。言うたら、建設費用は幾らで、財源が確保できるのか、採算性はどうなのか、そして投資効果があるのか、JRは同意するのか、並行在来線の問題はどうなのか、地域住民は同意してくれるのか、こういった着工五条件というものがありますけれども、この着工五条件は、当然ですけれども、まだ確認をされていないと。

 これからいろいろな、今、調査を行っていて、ルートが決まって、建設費が決まって、投資効果が出てきてということになって、そこから五条件が示されて、それで、やりますか、やらないかということになる、こういった理解でいいか、御確認をさせていただければと思います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 おおむね委員の御指摘のとおりかと思いますけれども、確認になりますけれども、環境影響評価書の手続が終了いたしまして、それに並行いたしまして、いわゆる政府・与党申合せに基づく着工五条件の確認というものがされた後に工事実施計画の認可というような手続に入っていくというふうな流れになろうかと思っております。

斎藤(ア)分科員 ちょっと繰り返しの質問みたいな感じになって恐縮なんですけれども、いつ延伸が新大阪まで果たされるのかということが、地元の方もそうですし、多分、北陸の方もそうですけれども、京都の方も含めてそうだと思いますけれども、これは一体本当にできるのか、いつになるのかという思いが高まっていると思うんですね。

 これは、二〇一六年ですかね、ルート選定時には、新大阪までの工事の着手を二〇三一年、そして開業を二〇四六年と想定していたと思いますけれども、この開業を二〇四六年という想定に関しても、今段階ではこれは未定という、特に二〇四六年は変わっていないとも変わっているということもなくて、未定ということなんでしょうか。そこをお答えいただけますでしょうか。

村田政府参考人 当時の見通し、二〇四六年、こういった見通しを示したときからもう数年たっておりますので、現在の状況の下で改めて様々な検討を行っているところでございます。

斎藤(ア)分科員 工事の着工時期、そして、もちろんですけれども、完成の時期についても、今、様々な検討を行っているというお答えでした。

 ここからはちょっと私の私見になりますけれども、大深度地下を通って、京都府を縦断をして、芦生の森については避けて工事をされるんじゃないかなと勝手に推察をしますけれども、それにしても、様々な水脈の問題、京都市の地下は何かいろいろなものが恐らく埋まっているでしょうし、大変な難工事が予想されるわけでございます。

 元々これは二・一兆円という工事費の見込みでしたけれども、これも間違いなく上がるのは上がると思います、これだけ物価が上がっている、資材が上がっている、人件費が上がっているんですから。問題は、幾らまで上がってしまうのかということだと思います。二・一兆円という想定のときでも、費用対効果、BバイCは一・一だったんですね。投資した費用に対して一・一倍の便益があるということにとどまっていたわけでございまして、三兆円とか四兆円とかに工事費が膨らんでしまえば、費用対効果が大きく一を割り込むような数字になることも想定を今しておかなければならない状況だというふうに思います。

 採算が取れないかもしれない。採算が全てではないと思いますけれども、今これだけ財政が厳しい中で、物価高で国民が苦しんでいる、増税も議論をされているような中で、これだけ費用対効果が悪い事業に果たして有権者の支持がこれから集まるのかといえば、相当状況は私は厳しくなってしまっているというふうに思います。

 先ほど申し上げたように、長距離を大深度の地下を掘っていくという、今、リニアで同じようなことを挑戦していますけれども、まだこれで開通をした鉄道路線というのはないわけでございますから、相当な困難が予想されます。建設費用が膨らめば、当然、各地域、各府県の負担も増えていって、もう既に大きな懸念が、通過する京都府の住民からも出されているわけでございます。

 北陸新幹線というのは、東京圏と大阪圏を結ぶ経路として、二重の経路を設けないといけない、南海トラフもあった際に南側が交通が寸断されるかもしれないので、日本海側を通ろう、そういった意図もあったんだと思うんですけれども、だからこそ、これは急ぐ必要があるというふうに私も思います。だからこそ、ルートに関しては本当はしっかりともう一度検討する必要があるんだというふうに思います。

 今、中央リニアの新幹線の工事が、遅れていますけれども行われていて、大阪までの延伸に関しても二〇三七年を目標として取組が進んでいるところで、元々の北陸新幹線の小浜・京都ルートの二〇四六年というものの大分先に中央リニアの新幹線が完成するということになります。

 そういったことも含めて、米原へのルートをもう一度検討していただくことが、私は、今の経済状況、財政状況、また中央リニアの新幹線の工事が始まっているということも踏まえて、名古屋―大阪間についてはまだ調査をしている段階でしょうけれども、そういったことも踏まえて、より全体的な、戦略的にルートの再検討というのを行っていくべきだというふうに考えています。

 これは、当然、滋賀県の意向であったり、関西圏の、北陸の各府県の意向とかもありますので、安易に政府の方もこれを変えるということは当然答弁できないと思いますので、これを質問することはしませんけれども。本当に幾らになるのか、そしてどういったルートになるのか、本当に地域住民が同意をしてくれるのか、本当に工事ができるのかということは、早急に答えを出していただかないとずっと工事が進まないということになってしまうと思いますので、計画、調査の完了、詳細のルートの発表、そして工事費用も含めた費用対効果の分析の発表、こういったものを急いでいただきたいと思いますので、その点だけ御答弁をいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

村田政府参考人 北陸新幹線の全線の一日も早い開業というのは重要な課題であるというふうに思いますので、その目標に向けて様々な作業は私どもは一生懸命やっていかなければいけないというふうに考えております。

斎藤(ア)分科員 ありがとうございます。

 本当に納税者の皆様に御理解をいただける、また沿線住民の皆様にも御理解をいただけるような形で早期開通を目指していくことが必要だと思いますので、ルートの問題は大変センシティブな問題になってしまっていると思いますけれども、ここは必要な議論を恐れずに、しっかりと私も様々な提言であったり議論を続けさせていただきたいと考えておりますので、是非皆様にも引き続きの努力をお願いしたいというふうに思います。

 それでは、ちょっとテーマを移しまして、路線バスの維持、確保に向けた取組についてお伺いをしたいと思います。

 地域の公共交通機関の最後のとりでとも言われる路線バスについては、私も、様々な、国土交通委員会、予算委員会でも質問をさせていただいています。国土交通省の方でも取組を進めていただいて、補助金のつけ方に少し変化を与えていただいて、各自治体のバス業者の取組へのインセンティブを与えるような形に変えていただいたり、様々な取組をしていただいていると思いますけれども、特に、私が強く問題意識を持っているのが、路線バスの維持に向けた補助金の単価が地域間格差が非常に大きいという問題があります。

 確かに、今の日本の経済の実態として、地方に行けば行くほど物価が安かったり人件費が安かったり、様々なコストが安いということはあるのかもしれませんけれども、地方に行けば安くて都市部は高いというこの状況を変えないと、どんどん都市部に人口が集中をしてしまう傾向が続いてしまうと思います。

 今、入管法の改正で、海外からの人材に日本に来ていただいて、できれば地方で働いてもらいたい、地方で定着してもらいたい、そういった政策をやっていますけれども、これまた都市部が高くて地方は安いということになると、外国人の方も当然都市部に集まってきてしまうということになるんですね。

 この補助金を、最低賃金とかでもそうでございますけれども、地方は安くていい、都市部よりは安くていいというこの考え方を変えないと、どんどん地方は疲弊をして、そして都市部に人が集まってくるということが続いてしまうと思うので、これをやめてほしい、地域間の補助金の単価とかの格差を埋めてくれ、なくしてくれということを私は申し上げてきました。

 今、そういったことについて、国土交通省の方でどう考えているのか、格差を埋める方向で取り組んでいこうという思いを持っていただいているのか、その点だけこの問いについてはお聞かせいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のありました地域公共交通確保維持改善事業費補助金という制度に基づきます路線バスの欠損補助の補助金算定に当たっての単価の件でございますけれども、バス事業者の経営に必要な人件費ですとかそれから車両費、燃料費、こういったものの費用は、やはり現実に地域により差がある状況でございます。

 そのため、この事業費に基づきます補助対象経費につきましては、地域ブロックごとに地域の実情を反映した標準経常費用を基に算出することとしておりまして、それにより、事業者の効率的な事業運営を促進するとともに、限られた財源の中、幅広い支援を行うことが可能になっております。

 このように一定の合理性があるというふうに考えておりますので、この基本的な考え方については引き続き維持をしたい、このように考えてございます。

斎藤(ア)分科員 一例として私の地元を申し上げますけれども、大津市、滋賀県は、北陸地方と同じブロックにこの算定においてはなりまして、すぐお隣の京都市との補助金の単価の差は三割ぐらいあるんですね。これは毎回申し上げているんですけれども、大津から京都まで十分ぐらいで行けちゃうんですね。バスの運転手さんも、言うたら、給料が高い京都の方に、通勤して、すぐ行けちゃいますから。私の住んでいる駅からも、電車一本乗ったらすぐ京都に行けちゃうので。

 こういった形で、地域によって人件費が違う、物価が違うというのは、当然、現実としてはそうなんですけれども、この区分けをもっと広くしていただいたり、ちょっと移動したら圧倒的に単価が違うとかになってしまうと、運転手が確保できなくて、バスの経営が成り立たなくなってしまいますので。今、地域ごとに分ける合理性はあるとおっしゃっていましたけれども、その分け方とかも含めて、ちょっと柔軟に考えていただくということを改めてお願いをさせていただきたいと思います。

 この問題は引き続き注視をさせていただきたいと思いますので、是非地域に対して公共交通機関、バス路線が維持できる形で支援をしていただきますよう、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 最後に、道路ネットワークのことについてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 元旦の能登半島の地震は、交通が寸断をされて、自衛隊の方が物資を歩いて運ぶということになりまして、大変な苦労をしながら救援活動を行ったということがありました。

 交通が寸断をされて救援の手が外から入ってこないということは日本のいろいろな地域で起こり得るわけですけれども、滋賀県の湖西地域というところも、琵琶湖があって、すぐに山になるところがあって、道路がすごく限られて、もしそこに地すべりとかがあって土が覆いかぶさってしまったら、交通が寸断をされるような事態が危惧を昔からされていたわけでございます。滋賀県の北側には原発がたくさんありますので、原発事故が起きた際の避難の面でも、交通が脆弱だということは、滋賀県エリアの大変大きな問題として今も取組が続いています。

 そんな中、高島市と大津市を結ぶ、そして京都に抜ける大切な道路である国道百六十一号線に関しては、大変狭くなってしまっているところを拡幅して四車線化をしていただいたり、また、琵琶湖と山の間を通っている道ではなくて、新たにトンネルを造って、抜ける道路を造っていただいたり、こういった工事を進めていただいているんですけれども、地元の方で、本当にこれが、これだけ地震が頻発している中ですので、予定どおり完成できるのかということで、いろいろ質問をいただいているところでございます。

 改めて、この工事の状況、完成のめどについてお伺いをさせていただければと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 国道百六十一号でございますが、大津市、高島市を始めとする琵琶湖の西部地域を南北に結ぶ幹線道路でございまして、各拠点間のアクセス性の向上、災害時における交通確保を担う重要な路線であるというふうに認識をいたしております。

 国道百六十一号につきましては、交通集中による渋滞が発生していることから、順次、渋滞対策として、必要な機能強化を進めております。

 このうち、二車線で開通しております湖西道路の真野から坂本北の間につきましては、令和七年秋の四車線化に向けて工事を進めているところでございます。

 また、事業中の小松拡幅についてでございますが、バイパス区間の一部となります大津市の北小松地区において、これも令和七年秋の二車線開通に向けて工事を進めております。

 加えまして、高島市内の安曇川地区においては、渋滞に伴う追突事故の防止を目的に、交差点の立体化事業を実施しているところでございまして、早期開通に向けまして橋梁工事を進めているところでございます。

 引き続き、地域の御理解と御協力をいただきながら、国道百六十一号の早期整備に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

斎藤(ア)分科員 ありがとうございます。

 令和七年秋の予定どおりの開通に向けて、是非安全に工事を進めていただきますよう、よろしくお願いをいたします。

 そして、もう一つ道路のネットワークに関して、国道一号線のことをお伺いをさせていただきたいと思います。

 言うまでもないですけれども、国道一号線というのは、まさに日本の基幹ルート、ナショナルルートでございますけれども、基幹ルートであるのにもかかわらず、大津市を通る区間では、国道一号線が二車線になっている、片側一車線になっているところがありまして、長年の課題でございます。これについては、何十年も地元から、京都と、しかも、それ以降の東日本までを結ぶ基幹の道路が一車線、一車線と、二車線しかないというのは余りにも貧弱じゃないかということで、昔から様々な要望をさせていただいてきたところでございます。

 今般、滋賀県の方からも様々な働きかけをさせていただいておりまして、二車線区間が残る国道一号線の滋賀―京都間に関して、新たなバイパスを造るための取組を進めてほしいというところを今要望させていただいて、政府の方でも受け止めていただいているところかと思いますけれども、この国道一号線滋賀―京都間のバイパスについての取組状況とか受け止めというか、教えていただければと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 国道一号の大津市から京都市の間につきましては、積雪また豪雨によりまして名神高速道路との同時通行止めも発生するなど、防災面での課題があるというふうに認識をいたしております。

 このような状況を踏まえまして、令和三年に京都府、滋賀県がそれぞれ策定した新広域道路交通計画においては、大津市から京都市の間の国道一号のバイパスが高規格道路として位置づけられております。

 この道路につきましては、現在、国土交通省におきまして、地域を取り巻く状況、また道路の交通の課題、整備効果などの調査を今実施しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、関係自治体と連携しつつ、計画の具体化に向けて調査を進めてまいりたいと考えております。

斎藤(ア)分科員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたように、一号線というのは、名神高速と同じところを通っていて、京阪電車もJR線も同じところを通っている、言うたら、逢坂の関でございますので、全てそこを通っているわけでございます。そこで積雪とかがあると、全ての交通が、全てが一気に止まるということは相当激しい状態ですけれども、場所的に集中しているので、全てが一気に止まる可能性はあるということだと思いますので、それで、今、様々な取組、調査などを進めていただいているところだと思います。

 これについても、防災の面もそうですけれども、地域の経済活動が停滞をしないようにという面でも重要な施策だと思いますので、費用対効果などをもちろん見ていただきながら、調査を進めていただいて、事業が前に進むように取組を進めていただきたいと思いますので、是非よろしくお願いをいたします。

 それでは、時間が参りましたので、私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

田中主査 これにて斎藤アレックス君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして国土交通省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

田中主査 これより法務省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。小泉法務大臣。

小泉国務大臣 令和二年度法務省所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 歳入につきましては、歳入予算額は九百六十九億一千四百八十五万円余であります。

 これに対しまして、収納済歳入額は九百二十四億三千九百四十四万円余であり、歳入予算額に比べますと四十四億七千五百四十万円余少なくなっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は八千九百六十九億九千四百四十三万円余であります。

 これに対しまして、支出済歳出額は八千二百十四億一千百四十八万円余であり、翌年度へ繰り越した額は五百十九億五千五百九十六万円余であり、不用額は二百三十六億二千六百九十八万円余であります。

 引き続きまして、令和三年度の法務省所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 歳入につきましては、歳入予算額は九百三十六億六千百二十二万円余であります。

 これに対しまして、収納済歳入額は一千五十七億八千百一万円余であり、歳入予算額に比べますと百二十一億一千九百七十九万円余多くなっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は八千六百六十九億七千七百八十八万円余であります。

 これに対しまして、支出済歳出額は七千九百三十八億一千百九十四万円余であり、翌年度へ繰り越した額は五百二十億四千百七十二万円余であり、不用額は二百十一億二千四百二十一万円余であります。

 引き続きまして、令和四年度の法務省所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 歳入につきましては、歳入予算額は九百二十七億八千二百三十五億円余であります。

 これに対しまして、収納済歳入額は一千百七十九億一千六百七十七万円余であり、歳入予算額に比べますと二百五十一億三千四百四十二万円余多くなっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は八千九百二十三億七千百九十七万円余であります。

 これに対しまして、支出済歳出額は八千二百四十九億九千五百四十万円余であり、翌年度へ繰り越した額は四百六十六億一千九百二十万円余であり、不用額は二百七億五千七百三十六万円余であります。

 以上をもちまして、令和二年度、令和三年度及び令和四年度の決算の概要説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

田中主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院長森審議官。

長森会計検査院当局者 まず、令和二年度法務省の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

 次に、令和三年度法務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 これは、刑事施設において繰越予算により実施する改修工事等について、手引書を作成するなどした上で、矯正局、矯正管区及び刑事施設の職員に対して研修を行うとともに、刑事施設に対して適切な指導を実施することなどにより、承認を受けた事項の内容と異なる内容の事務事業に充てることなく繰越予算が繰越制度の趣旨に沿って適切に執行されるよう改善させたものであります。

 最後に、令和四年度法務省の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

 以上をもって説明を終わります。

田中主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。小泉法務大臣。

小泉国務大臣 令和三年度の決算検査報告において、会計検査院から御指摘を受けましたことにつきましては、誠に遺憾に存じます。

 御指摘を受けました事項につきましては、是正に向けた措置を講じたところでありますが、今後、このような御指摘を受けることのないよう、指導監督の徹底を図り、より一層事務の適正な執行に努めてまいる所存でございます。

 なお、先ほどの歳入歳出決算の御説明の中で、一か所、令和四年度の歳入歳出決算の中の歳入予算額、九百二十七億八千二百三十五億円と申し上げました。間違いでございます。九百二十七億八千二百三十五万円余でございます。訂正して、おわびを申し上げます。

田中主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田中主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田中主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、これを許します。稲津久君。

稲津分科員 公明党の稲津久でございます。

 今日の決算行政監視委員会第四分科会に当たり、所管の法務省小泉大臣、これから順次、通告に従って質問してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。

 また、総務省、出入国管理庁、文部科学省からも今日は御答弁いただくということで、お越しをいただきましたことにお礼申し上げ、どうかよろしくお願いをさせていただきたいと思います。

 私の今日の質問は、外国人の就労についてということで何点か質問をさせていただきたいと思いますが、まず、育成就労制度の意義、重要性について、法務大臣に伺っていきたいというふうに思います。

 出入国在留管理庁の発表によりますと、二〇二三年末時点での在留外国人の数は前年比で一〇・九%増えているということで三百四十一万人、そして、外国人労働者につきましては前年比で一二・四%増の二百四万人と、いずれも過去最高を更新しているというふうに承知をしております。そのうち、技能実習生は約四十万、特定技能実習生、約二十万を超えました。

 外国人は今後も増加の見込みであると、このように承知をしておりまして、国立社会保障・人口問題研究所が発表した将来推計人口によりますと、二〇七〇年には、日本の総人口が八千七百万人に減少する一方で、外国人は九百三十九万人に増加をして、人口の約一割超を占めると予測をしています。

 この中には、外国人の労働力にやはり依存をしていかなければいけないということがある、今の経済成長やあるいは社会保障の基盤を維持していくためにはこうしたことが必要である、こういう必要性を示しているものでもあるというふうに私は認識しています。

 今後、生産年齢人口の減少が進んで多くの産業で人手不足が深刻化する日本においては、外国人の労働力というものがますます重要になってくるだろう、特に、高齢化の影響で若い労働者の採用が難しくなっている地方においてはより一層その度合いが増すというふうに思っております。

 このような実情において、現在、法務委員会でも議論を行っている育成就労制度等の法改正の意義、そしてその重要性について、まず大臣にお伺いしたいと思います。

小泉国務大臣 委員御指摘のとおり、日本では労働力不足の深刻化が進んでおります。そしてまた、これが中長期的にも続くであろうという見通しも強まっているところであります。したがって、有能な、優秀な外国人材に来ていただきたいのでありますが、今度は世界に目を向けますと、世界的にも、アジアの中でも人材獲得競争が非常に激しくなってきております。

 そういう中で、これまで技能実習制度という制度があったわけでございますけれども、国際貢献だと言いつつ、安価な労働力としてそれを活用するというような問題もありました。したがって、入ってこられる外国人材の方々に十分な労働者としての保護が行き届かないという問題もあり、そういう点の課題を踏まえつつ、入ってきていただく外国人にもステップアップをして幸せになってもらいながら、我が国の経済をより長く、より多面的に支えていただきたい、こういう考え方に基づいて、技能実習制度を廃止、これを改めまして、更新しまして、育成就労制度というものを今回つくろうという法案を提出させていただいているところであります。

 この法案の細かいところはさておき、その一番の背骨は、できるだけ多くの方に長く来ていただくということが一つと、入ってもらうだけではなくて、我々がそういう方々を受け止めよう、しっかり受け止めよう、地域社会においても受け止めよう、共生社会というものをつくっていこう、そういう入る、受け止めるという二つの所作から成り立っているわけでございまして、その後者の問題も非常に重要性を持った課題だというふうに考えております。

 御党からいただいた様々な御提案も、そういうところに全部光を当てていただいておりまして、十分に参考にさせていただきながら進めているところでございます。

稲津分科員 ありがとうございました。

 大臣から育成就労の意義について改めて明確にお答えいただいて、大変明確になったと思います。

 よって、これからは、長く我が国に滞在をする、あるいは、場合によっては住んでもらう、そのことによって、共生社会、後で質問の中心部に入っていきますけれども、そういう地域もやはりつくっていかなければいけない、だからこそ、育成をさせていただいて、そして就労を図っていきながら、次のステップはやはり特定技能のところに移っていただくぐらいの、そうしたことを本格的にやろうじゃないか、こういう趣旨かと思っておりまして、我が党としても非常にここは大事に今思っているところです。

 今年になってから、群馬県の大泉町に行ってまいりました。村山町長さんからも種々お話を伺いまして、ここは人口が四万二、三千人だと思いますけれども、約二割が外国の方ということで、これはもちろん日系の方が圧倒的に多いんですけれども、しかし、特定技能、技能実習等とも合わせて、実に五十三か国の外国の方が住んでいらっしゃる。ですから、恐らく中身的には、この大泉町に住んで、隣の町や周辺に働きに行っている方もいらっしゃるんだと思います。実は、やはり大泉町が非常に外国人の方にとってフレンドリーな町、暮らしやすい町になっているんだと思います。

 私も現地に行って、例えば、いろいろな標識なんかもポルトガル語で書かれていたり英語で書かれていたり、非常に環境が整備されているんだろうと思います。ただ、町長さんから伺うと、メリットもあるけれども大変な課題も多いんですと、その御苦労ぶりを聞かせていただいて、こうしたことをこれから真剣に向き合って解消していく、そこにいよいよ舞台が来ているんだなということも、この地方都市に参りまして感じました。

 踏まえて少し質問させていただきますけれども、次は、外国人労働者受入れによる課題についてということで、これは出入国在留管理庁に伺いたいと思いますが、先進七か国において、日本以外の国はいずれも移民比率が人口の一〇%以上を占めております。日本の在留外国人比二・七%と比べると随分高い数値です。

 これは、欧米諸国の国の歴史的背景、成り立ちから考えると、移民を積極的に受け入れてきたということもありまして、日本とは外国人の受入れに対する考え方とか背景が違っていますから、一概に比較することは難しいと思いますけれども、しかし、欧米諸国における外国人の労働者の受入れは、これは日本にとってもいろいろここを見て検討していかなきゃいけない、すなわち、各国にとって様々なメリットや課題が生じているんだろうと思います。

 その上で、我が国においては、外国人労働者の受入れに当たって、現状どのようなメリットそして課題があるのか、この点をお伺いしたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国への外国人労働者の受入れによりまして、深刻化する我が国における労働力不足が解消され、経済や産業が活性化するのみならず、多様な価値観や経験を持った方々を我が国社会に受け入れることで、受入れ企業や地域社会の国際化や活性化にもつながるといったメリットがあり得ると考えております。

 他方で、外国人労働者の受入れに当たりましては、日本の労働市場への影響、本人や家族の社会保障等に係るコストの増大といった点に関する懸念もあり得ることから、これらについてバランスを取りつつ検討する必要があると考えております。

 加えて、外国人労働者の受入れに当たりましては、共生社会の実現のため、外国人の方々が安心して暮らしやすい受入れ環境を整備していくことが重要であり、入管庁としましても、引き続き、外国人の受入れ環境整備に関する総合調整機能を発揮しながら、関係省庁とも連携して、しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

稲津分科員 今、課題についてお話をいただきました。また後でこれに関連して質問しますので、お願いしたいと思いますが。

 今日は、皆さんのお手元に、少子高齢化、人口減少への対応に関する自治体アンケートの結果表をお配りをさせていただきました。これは、今年の二月から三月にかけて私ども公明党が全国の自治体にアンケートをお願いをして、その結果出てきたものの概要でございます。

 ちなみに、千七百二十四市区町村中、市町村におきましては千三百四市区町村が回答、それから、都道府県の方は石川県以外、被災を受けていますのでそのようなことをお願いできませんでしたので、四十六都道府県が回答いただいて、市町村の方だけで見ますと回答率は七五・六%、非常に高い回答をいただいて、御協力いただいた自治体の皆さんには心からこの場をおかりしてお礼を申し上げたいと思います。

 実は、我が党には二〇四〇ビジョン検討委員会という委員会を設置していまして、これはどういう委員会かというと、すなわち、二〇四〇年、少子化、高齢化がピークになっていく、人口減少も重なっていく、この二〇四〇年の時点を見据えて、持続的な社会保障制度をどう構築していくのか、あるいはまた、更に深掘りあるいは上乗せする社会保障制度は何なのか、こういったことをもう一年近く検討してまいりまして、その際に、自治体のアンケートも伺おうじゃないか、こういうことで行ったものでございます。不肖私が事務局長を務めております。

 この中から何点か申し上げたいと思うんですけれども、例えば外国人材の受入れの見通しについて尋ねたところ、今後不足しそうだと回答した市区町村が六三・七%ありました。

 ちなみに、このアンケートというのは、基本的には、二〇四〇年を見据えて、社会保障制度は大丈夫ですか、人口減少はどうなりますかということを聞きながら、もう一方で、別な問いとして外国人のことについても尋ねているわけなんです。

 今、外国人のことを話しましたけれども、一方で、今のところ外国人材の必要性は低いと答えたところは二六・六%でございました。これを自治体としての存続に危機感を持っているという市町村と重ね合わせていくと、実に七〇・七%が、外国人材の受入れについて将来的には不足しそうだという答えが返ってきました。これは大変注目すべきことだと思います。

 また、外国人材を受け入れる上での課題を三つ挙げてもらいました。そうしましたところ、市区町村では、地域住民の理解と協力が最も多い六一・一%、そして二番目には、日本語教育の充実、五三・七%、そして三番目には、地域や職場における通訳などの支援スタッフの確保、これが五一・三%です。都道府県では、日本語教育の充実、これを挙げた回答が八一・一%と圧倒的に多い状況でした。

 これらのアンケートの結果から、人口減少が進む自治体ほど外国人材の受入れを必要としている、それから、外国人の方々に選ばれるような地域になるための体制づくり、共生社会、この実現に向けては、やはり多くの自治体が課題を抱えているということが浮き彫りになったというふうに思っております。

 以上、このアンケートの結果の概要について私、申し上げましたけれども、このことについて、今お話を聞いていただいた法務大臣に所見を伺いたいと思います。

小泉国務大臣 まず、委員おっしゃいました、諸外国の外国人材に選ばれる、そういう国にならなければならない、これは国全体の課題であります。そのために、今回は、転籍制限、これを緩めたり、労働者としての保護を強めたり、それから、適正な管理ができるような組織的な改革も織り込んでいます。これは国全体の努力でありますが、もう一つ重要な点は、今委員おっしゃったとおり、また私も先ほど少し申し上げたとおり、入ってもらうだけではなくて長く定着してもらう、これも重要なポイントです。

 そのためには、ステップアップの道筋を明確に示すこと、これも大事なんですが、もう一つは、地域コミュニティーが外国人材をどれだけ丁寧に共生社会という形で受け入れられるかどうかという努力も非常に重要な点があると思います。また、そのことが日本という国の多様性を生み出す力にもなるわけですよね、文化的な多様性、そういったものにもつながっていくんだと思います。

 そういう意味で、地域協議会というものが今の技能実習制度でも設置されていますけれども、ここに今回は自治体にも直接入っていただく、そして、様々な分野の行政機関と一緒になって、むしろ先頭に立って共生社会に向けての取組をしていただこう、そして、日本語教育ももう一度よく実質的に習得していただけるような、そういうことも文科省とも連携しながら今進めようとしているところでございます。

 総体として、外国人に選ばれる、選んでもらった後、来ていただいて、やはり日本がいい、こういうふうに思ってもらえるような、そういう仕組み、これは非常に重要だと思います。

 長話で恐縮ですけれども、介護の分野で働いていらっしゃる方々とお会いすると、やはり日本という国のすばらしさに引かれて来ています。給与水準だけではなくて、日本という国の持つ、抱擁してくれる、様々な温かい社会、こういったものに憧れて来ている方も大勢いますので、我々もそういう点をよく踏まえて、共生社会、言葉だけではなくて、実態的な取組を今回の法改正を契機として進めたいと思っております。

稲津分科員 大臣、大変重要なことをおっしゃっていただいて、私も意を同じくするところでありますけれども、もちろん、日本語の教育をみんなで応援していくということは大事、そして働いていただくことは最も大事なことの一つですけれども、その上で、どうやって、外国人の方と一緒に生活をしていくような地域コミュニティー、共生社会をつくっていくのか、ここがやはり一番の大事なところなのかなというふうに思っておりまして、大臣の今御答弁を伺っておりまして、改めてそこに私も確信を持ったところでございます。

 その上で、外国人材の受入れ、定着に向けた支援を少し具体的に伺っていきたいと思いますけれども、このアンケートの結果の中で、自治体としての存続に危機感を持っている市区町村の七割が、将来的に外国人材が不足すると回答しました。在留外国人統計を見ても、都市部に外国人材が集中してしまう傾向があります。地方の中小企業で受け入れた技能実習生が、特定技能資格を得た後に、より条件のいい都市部へ移るという例も少なくないというふうに承知しています。

 人手不足が深刻な地方において、外国人材を受け入れ、定着、活躍を促すためには、先ほど大臣がお話しいただいたことを含めて、やはり市町村レベルでの支援が不可欠ではないか、このように思いますが、出入国在留管理庁の、このことについてお示しいただきたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 受け入れた外国人が地方で定着し、活躍を促すためには、地方公共団体の支援が重要であると認識しております。

 この点、育成就労制度において設置される地域協議会におきましては、地方入管局、都道府県労働局、業所管省庁の出先機関などの国の機関及び地方公共団体を構成員として、相互の連絡を図り、地域の実情を踏まえた育成就労の適正な実施や外国人保護に有用な情報の共有を目的として組織することとしております。

 その上で、地域協議会では、地方公共団体も積極的に参画し、地域産業政策として地域での受入れ環境整備などに取り組むなど、よりきめ細やかで積極的な取組を行う方針としております。

 このような場を設けることで、地域で抱える課題について関係機関が一丸となって取り組み、外国人の地域への定着が更に促進されるよう努めてまいりたいと思います。

稲津分科員 次は、もう一つ大きなテーマになっているのが、やはり日本語、あるいは言葉の問題ですね、このことについて伺っていきたいと思いますけれども、まず、多言語音声翻訳サービスについて、今日は総務省に来ていただいているので、お答えいただきたいと思います。

 このアンケートの中で、各自治体から、外国人材の受入れを進めていく上での課題として、地域や職場における通訳などの支援スタッフの確保が上位に挙がっています。

 地方自治体でも、昨今、多文化共生社会、多文化共生という言葉が掲げられてきて、自治体の中には、多文化共生課というような、そういったポジションの部署を設ける自治体も増えてきています。

 取組の事例として、例えば、私が承知しているところでは浜松市、ここでは、行政窓口での通訳員の配置、タブレット端末を活用した通訳サービス、これが行われている。ほかの自治体でも、外国語版のチラシやホームページを作成するなど、様々な取組が行われております。

 ただ、小規模自治体では、じゃ、そういったことが取り組めるのかとなると、なかなか難しい。そこに多くのコストをかけることもできないとか、何から始めていいか分からないという、そういう担当者もいるのではないかなと思います。

 この状況を打開するために、総務省は多言語音声翻訳サービスについてのガイドラインを作成したと聞いておりますが、どういった背景でこのガイドラインを作ったのか、また、期待できる効果や導入する上でのポイントは何なのか、導入する際に補助金等の国からの支援はあるのか、以上三点、総務省に簡潔にお答えいただきたいと思います。

豊嶋政府参考人 お答えいたします。

 総務省では、国立研究開発法人情報通信研究機構と連携をしまして、外国人の方々との言葉の壁をなくすべく、多言語翻訳技術、これをVoiceTraと呼んでおりますが、これの高度化とその普及に取り組んでおります。

 VoiceTraにつきましては、訪日、在留外国人対応等を想定して三十一言語に対応しておりまして、VoiceTraを使った民間の製品、サービスにつきましても、既に三十以上が市場に投入され、様々な現場で利用が進んでいるものと承知をしております。

 お尋ねのございました地方公共団体における多言語音声翻訳サービスの導入ガイドにつきましては、近年の在留外国人の増加に伴いまして、公的機関における多言語対応ニーズが急増していることを踏まえ、地方公共団体において多言語翻訳サービスを調達、利用する際に考慮すべき事項について整理をしまして、令和三年四月に取りまとめを行い、地方公共団体に広く周知を行ったものでございます。

 地方公共団体におきまして多言語翻訳サービスを活用していただくことで、外国人住民の方とより簡易に、深くコミュニケーションを取ることが可能となり、行政サービスの質の向上、あるいは職員の負担軽減にもつながるものと考えております。

 この多言語翻訳サービスの導入に際しましては、地域の抱える課題に合わせまして、例えば必要な言語や機能に対応したサービスを選択していただくというようなことがポイントかと考えておりまして、このガイドラインでは、導入事例も参考にさせていただきながら、現場の職員が実際に導入を検討する上で考慮すべき事項について取りまとめを行ったものでございます。

 また、地方公共団体に対しましては、本ガイドの周知に加え、多言語翻訳サービスの活用を含めた行政・生活情報の多言語化の推進に要する経費に係る財政措置等の導入支援策を講じているところでございます。

 総務省としましては、引き続き、多言語翻訳技術の更なる高度化に取り組むとともに、関係省庁とも連携をしまして、多言語翻訳技術の活用推進に一層取り組んでまいりたいと考えております。

稲津分科員 このサービスについて、是非、答弁いただきましたけれども、更に自治体に周知を図っていただきたいことをお願いしておきたいと思います。

 共生社会の実現の観点から、日本語教育の充実についても伺っておきたいと思いますけれども、文化庁の令和四年度日本語教育実態調査によりますと、全国の日本語教師約四万四千三十人のうち三割が東京に集中している。公明党が実施したアンケートからも、とりわけ地方において日本語を教える人材の確保が難しいということも浮き彫りになってまいりました。

 今後法制化される育成就労制度では、就労開始前と転籍をする際、また、特定技能一号、二号への移行の際に、それぞれ日本語能力の試験の合格が求められる。ですから、質、量共に充実した日本語教育の環境整備を急ぐ必要があると思いますが、育成就労制度における日本語教育について、今後の体制を、これは法務省に伺いたいと思います。

 そして二点目、文科省に聞きますけれども、日本語教師の国家資格の創設を始め、オンラインでの日本語教室や日本語学習サイトの創設など、質、量の充実に向けた様々な取組を行っていますが、今後増え続ける外国人に対する日本語教育の充実に向けた展望、課題をお答えいただきたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 育成就労制度では、適正な人材育成や入国後の地域社会との共生といった観点を踏まえて、受入れ機関の責任により段階的に日本語能力を向上させる仕組みとすることを予定しております。

 その上で、外国人の日本語能力の向上を図るに当たりましては、国の制度の活用や政府関係機関の支援や協力も極めて重要と認識しており、日本語教育機関認定法の仕組みを活用した日本語教育の質の向上、日本語学習のためのオンライン技術の活用による負担軽減、母国における日本語学習支援としての日本語教材の開発といった取組を行うことを予定しております。

 入管庁におきましては、関係省庁とも連携しながら、必要な環境整備等に努めてまいりたいと存じます。

八木政府参考人 お答えいたします。

 我が国の在留外国人数は今後も増加することが見込まれ、先ほど委員から御指摘いただいた自治体アンケート調査結果でも示されておりますように、日本語教育に対するニーズはこれまで以上に高まっているものと認識しております。このような中、外国人が必要な日本語を理解し、使用する能力を身につけられる環境の整備が重要と考えております。

 文部科学省といたしましては、本年四月から施行された日本語教育機関認定法による質の担保された日本語教育機関の認定制度と登録日本語教員の資格制度を着実に実施し、日本語教育の適正かつ確実な実施を図ってまいります。

 また、日本語教育の環境に地域差があること等の課題に対応し、各地域で日本語学習を希望する外国人等が学習機会を得られるよう、都道府県等による地域日本語教育の総合的な体制づくりへの支援などを行うとともに、オンラインで日本語学習が可能となるよう、「つながるひろがるにほんごでのくらし」という名称の日本語学習コンテンツ、いわゆる「つなひろ」と呼んでおりますが、この「つなひろ」を作成し、ホームページで公開し、多言語化等の充実を図っているところでございます。

 こうした取組により、日本語教育の環境整備を一層推進してまいります。

稲津分科員 是非お願いします。

 時間の関係上、最後の質問は私の意見だけ申し上げて終わりますけれども、外国人女性の妊娠、出産なんです。

 これは、妊娠した技能実習生が、監理団体などから、妊娠したら帰すしかない、仕事は辞めてもらう、こう言われて、妊娠すると帰国させられるというネットの情報を信じて、誰にも相談できずに出産をして、乳児の遺体を遺棄するという、こんな悲しい事案も発生しました。女性労働者の妊娠、出産による解雇や不利益は絶対あってはならないと思っています。

 今後、外国人の労働者の中で、滞在期間が長くなり、滞在中に妊娠、出産するなどのライフステージの変化を迎える外国人も増えてくる可能性があります。外国人女性労働者が不利益を被ることのないよう、新設された育成就労制度においても、是非、注意喚起、周知をお願いしたいと思います。

 それからもう一つ、居住環境の整備なんですけれども、地方自治体によっては、公営住宅に外国の方も住んでいることもある、あるいは、外国人の方は受け付けませんといって門前払いにしているケースも私は承知しています。ですから、こういったことも、是非これは、地方自治体にも、特に総務省になると思いますけれども、様々な形で十分な対応をしていただきたい。

 そのことを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

田中主査 これにて稲津久君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして法務省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

田中主査 これより外務省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。上川外務大臣。

上川国務大臣 令和二年度外務省主管一般会計歳入決算及び外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 外務省主管の歳入につきましては、予算額二百三十六億七千八百五十三万円余に対しまして、収納済歳入額は百四十六億五千七百五十八万円余であり、差引き九十億二千九十五万円余の減少となっております。

 外務省所管の歳出につきましては、歳出予算現額一兆二百億一千百三十四万円余に対しまして、支出済歳出額は八千八百七十一億八千百八十一万円余、翌年度繰越額は一千七十一億八千八百十万円余、不用額は二百五十六億四千百四十三万円余となっております。

 以上をもちまして、令和二年度決算の概要説明を終わります。

 続きまして、令和三年度外務省主管一般会計歳入決算及び外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 外務省主管の歳入につきましては、予算額三百十八億七千四百四十七万円余に対しまして、収納済歳入額は二百七十億六千八百三十八万円余であり、差引き四十八億六百八万円余の減少となっております。

 外務省所管の歳出につきましては、歳出予算現額九千六百七十五億六千四百二十六万円余に対しまして、支出済歳出額は八千三百九十五億八千四百七十万円余、翌年度繰越額は一千二十七億二千九百三十八万円余、不用額は二百五十二億五千十七万円余となっております。

 以上をもちまして、令和三年度決算の概要説明を終わります。

 続きまして、令和四年度外務省主管一般会計歳入決算及び外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 外務省主管の歳入につきましては、予算額四百六十五億五千四百三十七万円余に対しまして、収納済歳入額は四百四十七億四千七百九十一万円余であり、差引き十八億六百四十五万円余の減少となっております。

 外務省所管の歳出につきましては、歳出予算現額一兆一千四百八十億二千七百五十八万円余に対しまして、支出済歳出額は一兆二百三十七億七百七十四万円余、翌年度繰越額は一千八十三億五千八百五十七万円余、不用額は百五十九億六千百二十六万円余となっております。

 以上をもちまして、令和四年度決算の概要説明を終わります。

 何とぞ御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

田中主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院長森審議官。

長森会計検査院当局者 まず、令和二年度外務省の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

 次に、令和三年度外務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、意見を表示し又は処置を要求した事項一件であります。

 これは、政府開発援助の実施に当たり、人口減少が著しい地域に所在する小学校の改修工事等を行う事業において、完了検査等により事業計画における児童数を下回っていたり、事業開始前よりも児童数が減少していたりなどしていることを認識した場合、事業完了後も引き続き利用状況等を確認するなどして、援助の効果が十分に発現するよう意見を表示したものであります。

 次に、令和四年度外務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 これは、職員の不正行為による損害が生じたものであります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 これは、無償資金協力、草の根・人間の安全保障無償資金協力の実施に当たり、小学校等の建設工事を実施する事業において、進捗状況の確認のために事業実施機関から取り付けることとしていた中間報告書が期限までに未提出であるなどの場合、遅延の原因の究明や工事の現況把握のための現地訪問等により事業の進捗を確認する措置を十分に講ずるなどして、無償資金協力の効果が十分に発現するよう意見を表示したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、在外公館の館員住宅に設置する自家発電機の買換えに当たり、新たな申請の様式を作成し、在外公館が配備先となる被貸与者を明記した上で申請するよう周知するとともに、本省において申請の審査時に配備の見込みの確認を十分に行うことにより、自家発電機が適時適切に調達されるよう改善させたものであります。

 なお、以上のほか、令和三年度決算検査報告に掲記いたしました政府開発援助の効果の発現について意見を表示した事項につきまして、その結果を掲記いたしました。

 続きまして、令和二年度独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

 次に、令和三年度独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

 最後に、令和四年度独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

 以上をもって説明を終わります。

田中主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。上川外務大臣。

上川国務大臣 令和三年度決算に関する会計検査院の御指摘につきまして、外務省が講じた措置を御説明申し上げます。

 政府開発援助の実施につきましては、援助の効果が十分発現するよう、事業の進捗を適切に把握すること等を周知徹底するなど、所要の措置を講じております。

 今後とも、より効果的な政府開発援助の実施に努めてまいる所存です。

 続きまして、令和四年度決算に関する会計検査院の御指摘につきまして、外務省が講じた措置を御説明申し上げます。

 在外公館における会計経理につきまして、不当事項として御指摘を受けるような事態を生じたことは、誠に遺憾であります。

 これにつきましては、このような不正行為のないよう、在外公館に対して注意喚起を行い、改めて会計手続の厳守及び職員に対する指導の徹底等の措置を講じております。

 今後とも、これらの措置を着実に実施し、不正の再発防止に努めてまいる所存です。

 その他の指摘事項につきましても、所要の措置を講じております。

 以上です。

田中主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田中主査 以上をもちまして外務省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田中主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、これを許します。堀場幸子君。

堀場分科員 日本維新の会そして教育無償化を実現する会の堀場幸子です。

 本日は、非常に、今このタイミングでやらなければならないと思っておりますミャンマー情勢について、上川大臣にお尋ねをさせていただきたいなと思っております。

 もう御承知のとおりでございますが、三年前のクーデター以降、国軍による攻撃、そして民主化勢力との戦闘が激化しているというのがミャンマー情勢でございます。去年の秋以降、空爆も非常に増えているのが現状だと承知をしております。最近では、様々な攻防が激化しておりまして、特に、国境付近、国境地帯での貿易や軍事拠点での動きが非常に注視されなければならない状況だと思っております。

 また一方で、雨季になると、今国軍がメインでやっている空爆が非常に難しい状況になるというタイミングでもございますので、このタイミングで、我々、もう少しできることはあるんじゃないかなというふうに考えております。

 私ども、日本維新の会の京都市会の方でも、このミャンマーに対する様々な意見書等々の作成をしたいというような声も上がるほど、やはり日本の様々なところでミャンマーの方々が住んでいらっしゃって、そういう住民の皆様との交流の中でも、やはりミャンマー情勢の厳しさを耳にすることが非常に多いという、そういったところだと思います。

 なので、まず、この状況において、ミャンマー情勢に対する大臣の御所見をお願いいたします。

上川国務大臣 委員御指摘のとおり、クーデターから三年以上がたつところでございますが、ミャンマー情勢が年々悪化していることを深刻に懸念をしております。また、ミャンマー国軍によります空爆などの暴力によりまして多くの無辜の市民が日々死傷していることを強く非難をいたします。

 我が国は、クーデター以降、ミャンマー国軍に対しまして、第一に暴力の即時停止、第二に被拘束者の解放、そして第三に民主的な政治体制の早期回復につきまして、具体的な行動を取るよう一貫して求めてまいりました。また、ミャンマー国軍に対しまして、特に空爆などの暴力を直ちに停止するとともに、当事者間の対話を開始することによりまして平和的な問題解決に具体的に取り組むよう、引き続き強く求めてまいります。

 また、日本として、ミャンマーの人々の声に耳を傾け、様々な関係者との対話を進めるとともに、ASEANによるミャンマー問題への取組と密接に連携しつつ、事態打開に向けて取り組んでまいる所存でございます。

堀場分科員 ありがとうございます。

 現状、それだと思うんですけれども、それでは全然前に進んでいないのが現状ではないかなというふうに思っているんですね。様々な紛争というものを、我々、今この生きている社会の中で国際的に起こっている、これを、紛争を解決したいという強い意思をやはり私は大臣に示していただきたいなと思っているんですね。

 紛争を解決するというのは、非常にもちろん難しいんですけれども、対話を促進するためには、仲介をする人が必要だと思っています。そのときに、どういう立場の人であるならば仲介に適しているのかということを考えたときに、WPSをやらせていただいていますので、女性という立場なのかもしれないですし、若しくは、宗教的な観点から考えて日本人というカテゴリーなのかもしれないし、様々な点から考えて、上川大臣が今お持ちの所属で十分に、特にミャンマーに関する平和構築に貢献することができると思うんですが、もう少し積極的にミャンマー情勢に入っていかれたらいかがかなということを思っています。

 ですので、地域の紛争、様々な世界で起こっている紛争自体は、貧困であったり、宗教であったり、価値観の違いであったり、歴史であったり、様々な原因で起こっているとは思うんですけれども、それを解決するという点でリーダーシップを取っていく日本ということを我々は求めているんですが、それに対して、大臣、どのようにお考えなのか。

 様々な地域で起こっている紛争解決というものに、日本の役割、特に、上川大臣だからできる役割というものが私はあると思うんですけれども、それについて大臣の御所見をお願いいたします。

上川国務大臣 我が国は、平和国家として、戦後八十年近くにわたりまして、世界の安定と平和を実現するために具体的な行動を取るということが重要であるということを認識してきたところであります。この認識を踏まえまして、紛争予防、また解決に向けまして、関係国との対話、また国連平和維持活動への貢献、ODAを通じました支援等を積極的に積み重ねてきたところであります。

 岸田内閣で推進しております人間の尊厳、また法の支配も、紛争予防、解決に極めて重要な要素であると認識をしております。

 また、脆弱な立場にある女性そして子供たちの保護や救済に取り組みつつ、女性自らが指導的な立場からの紛争の予防や復興、平和構築に参画することによりまして、より持続的な平和に近づけるというWPSの視点、こうしたことが一層重要性を増していると認識をしております。そのような認識に立ちまして、私自身、WPSを日本外交のメインストリームと位置づけて、今取り組んでいる状況であります。

 世界の中では様々な紛争の現場がございますが、実は、先日出張したナイジェリアにおきましても、国内の避難民となりました女性たち、また、彼女たちを支援する国連の女性機関、この幹部の皆様と面会をいたしました。

 我が国は、同地での女性の生計支援、また、ジェンダーによります暴力防止の支援などを実施してきているところでありますが、今回の訪問で、現地の女性の方々から、切実な現状の中で被害を受けた経験も踏まえて、コミュニティーの安定化や早期復興に向けて取組に自分たちも参加をする、このことの応援に日本の支援が極めて重要な役割を果たしていることを、現場でその方たちのお話を通して実感をしたところであります。こうした声に対してしっかりと向き合っていくということが大事であるというふうに思っております。

 世界ではたくさんの、そうした中で活躍していらっしゃる女性たちが大勢いらっしゃいますので、そういった声を総動員しながら、日本としては、また私としても、アクションオリエンテッドな施策を具体的に取り組むということを通して、平和な国際社会の構築に具体的な成果をしっかりと上げ、貢献してまいりたいと考えております。

堀場分科員 ありがとうございます。

 やはり、様々な立場であったり、相手がどういう所属であったり、どういう立場の人であったりということによって、平和の構築の作業というものは変わってくると思っています。

 なので、今大臣がおっしゃられて、本当にその現場に行かれてお声を聞くという作業も大事なんですけれども、やはりミャンマーに対して、若しくは様々な紛争地帯、特に東南アジアに関しては、我々、ASEANと一緒に力を合わせてリーダーシップを発揮できるエリアだというふうに思っておりますので、そこをかなり注力していただいて、直接的に平和交渉等々を実現できるような、そんな外交を是非やっていただきたいなという応援とともに、そして、もっとやってほしいという要望をつけさせていただきまして、外務省さんに対する質問は終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 続きまして、法務省さんにお尋ねをさせていただきたいと思っています。そもそも、谷間世代法曹への一律給付についてということで御質問をさせていただきます。

 大臣、大丈夫です。

田中主査 外務大臣、退席していただいて結構でございます。

堀場分科員 まず、法曹養成課程の変換において、司法修習生の修習期間中に給与とか給付金がもらえなかった世代がいらっしゃるかと思います。いわゆる谷間世代と言われているんですが、彼らに対して一律給付の要望というものがあると承知をしているんですが、これに対して法務省さんの考えをお願いいたします。

門山副大臣 いわゆる谷間世代とされる方々に対して、御指摘の一律給付等の事後的な救済措置を講ずることにつきましては、既に法曹となっている者に対して、国による相当の財政負担を伴う金銭的な給付等を意味することになり、国民的理解を得ることは困難であると考えております。

 そこで、法務省といたしましては、こうした一律給付等の措置ではなく、むしろ、日弁連を含む関係機関、団体と連携しながら、社会情勢の、社会経済の変化に伴って新たに生じ、また生じつつある法的需要を的確に把握し、若手法曹が様々な分野で活躍するために必要な環境整備等を行っていきたいと考えているところでございます。

堀場分科員 一律給付という形は難しいかもしれないんですが、私も一緒にお声を聞いていると、やはり公平感というのは非常に重要なんだろうなと思っています。この公平感があるから、何か自分が不公平だなと思っている状態ではなかなかチャレンジができない、しっかり公平感があれば、皆さんに貢献したい、そうやってやっていただく国に恩返ししたいといった気持ちが醸成されるというお話も聞いておりますので、何かしらの措置、できるだけ早くしていただければなというふうに考えております。

 こういったときに、弁護士の皆様が様々な公益的な活動をされるかと思うんですが、そのときに法テラスというものが挙げられると思います。我々、旧統一教会の課題をやらせていただいたり、例えばDV被害に関することをやらせていただいたり、性被害であったり、様々な被害に遭われている方の法案等々をやらせていただいているんですけれども、そのたびに、やはり法テラスの重要性というものを非常に強く感じているんですね。

 なので、この法テラス、本当に困っている人たちにとっては希望なんですよね。ここに行ったら、もしかしたら裁判を起こせるかもしれない。そもそも、裁判を起こすことに対する非常に高いハードルがある中で、法テラスに行くことにもハードルがあるんじゃないかということを思っています。

 特に、まずは距離的な問題。日本全国ありますけれども、なかなかこの距離の問題を縮めることができない。若しくは費用の問題、この後やるので詳しくは言いませんが、費用の問題。若しくは情報、若しくは心理的、こういった四つのハードルがあるかと思うんですけれども、まず、現在の利用状況と地理的な問題についての取組具合を教えてください。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 まず、直近三年の民事法律扶助の主な利用件数の内訳についてでございますけれども、令和三年度が、法律相談援助が約三十一万二千件、代理援助が約十万三千件、令和四年度が、法律相談援助が約三十万九千件、代理援助が約十万一千件、令和五年度が、これは速報値でございますけれども、法律相談援助が約三十一万二千件、代理援助が約十万五千件となっております。

 引き続きまして、司法過疎対策の取組状況についてでございますけれども、法テラスでは、司法過疎地域に地域事務所を設置いたしまして、常勤弁護士を常駐させ、法律事務を幅広く取り扱わせているところでございます。

 平成五年の時点では、地方裁判所支部の管轄単位で弁護士がゼロ人の地域と弁護士が一人の地域が、それぞれ五十か所、二十四か所であったところ、令和六年四月一日時点では、それぞれ零か所、二か所となったと承知しております。また、司法過疎地域に地域事務所を設置しない場合においても、電話やオンライン相談の活用により司法アクセスの確保を図っているところでございます。

 法務省といたしましては、関係機関、団体と連携しながら、地域ごとの法的ニーズを十分把握して、司法過疎対策につき不断の検討を行ってまいりたいと考えております。

堀場分科員 ありがとうございます。

 やはり、日本津々浦々、しっかりとどこでも公平に裁判若しくは法テラスにアクセスできるような環境整備、非常に進んでいるところではありますが、それを更に、これからでも、DXの時代なので、もう少しオンラインであったり様々な可能性が増えるのかなと思いますけれども、そういったところを注視しているところです。

 これはちょっと離れるんですが、法テラスの災害特例法というのがちょっと失効してしまっていて、熊本のときもそうだったんですが、今回、能登半島地震、これに対して同様の支援が必要ではないかなと思っています。特に、今回は半島特有の課題というものもありますので、これについて、法務省さん、どうでしょうか。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のいわゆる法テラス震災特例法は、東日本大震災の被災者について、資力を問わず、法律相談援助及び代理援助を行うものとしておりました。その趣旨は、極めて広範囲にわたって生活基盤が根本から失われる被害が発生したという被害の状況等に鑑みまして、これら援助の利用に当たって被災者に資料の提出を求めて資力審査を行うこと自体、著しく困難であることを考慮したものと考えられます。

 これに対しまして、大規模災害一般につきましては、代理援助の利用に当たってまでは、資力審査を行うこと自体が著しく困難であるとは一概には言えないものと考えられるところでございます。もっとも、大規模災害発生後には、まずは法律相談を実施すべき必要性、緊急性がございまして、迅速に法律相談を受けたいという需要は大きいと考えられるところでございます。

 そこで、能登半島地震にも適用されている総合法律支援法に基づく被災者法律相談援助では、資力を問わず、かつ無料で生活の再建に当たって必要な法律相談を実施しておりまして、裁判手続における弁護士報酬の立替え等につきましては、民事法律扶助制度における代理援助を利用していただくこととしております。

 大規模災害の被災者に対する代理援助を含め、民事法律扶助の在り方につきましては、これが国民の負担によって弁護士報酬の立替え等を行うものであることから、国費支出の適正確保等の観点を考慮しつつ、適宜適切に法的支援を実施できるよう、引き続き必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

堀場分科員 やはり、大きな地震に被災するまで分からないことというのはたくさんあるんですよね。この境界線がどうだとか、あそこのこともどうだ、様々な問題が、これは再建しようとしたときには出てくるというふうになっておりますので、是非是非、無料相談、そして償還がない、国費で投入できる、無料で相談できる、様々なことをもう少し充実していただいて、やはり困っている人のところにすぐに司法の手が届くという国を目指していきたいなというふうに思っておりますので、引き続き、そこはしっかりやっていただければなと思っています。

 この法テラスに、やはり、行ってみようかなと、最初、自分が被害を受けているかもしれないと思って、被害かどうか分からない、これを相談していいのか分からない、若しくは、ちゃんと守秘義務が守られるか分からない、様々な心理的な心配があって法テラスになかなか到達できない方々もいらっしゃるかと思うんですね。

 心理的なものの大きなものというのは、費用のことだと思っているんです。費用というのは、被害に遭ったことで、慰謝料が取れればしっかりとお支払いできるかもしれないけれども、そうじゃないことであったならば、たとえ裁判に勝ったとしても非常に自分の生活がその後苦しくなってしまうとか、様々な要因があって費用面の不安があるかと思います。

 次に、法律に対する情報も少ない。どんな支援がありますよ、こういう支援、この法律でこんな支援がありますよというようなことの周知が余りされていないので、本当にこれで裁判、大丈夫なのかな、でも、悔しい思いをしているんだな、そういう方がいらっしゃるかと思うんですね。

 そういう様々な情報不足等が原因だと考えるんですが、こういう心理的なハードルに対して、副大臣の御所見をお願いします。

門山副大臣 様々な問題でお困りの方に対して、弁護士費用や法的情報について知る機会を持っていただくため、まずは法テラスを認識し、容易にアクセスしていただくことは重要であると考えます。

 そのため、法務省及び法テラスでは、法テラスの業務等に対する認知度の向上を図る取組や制度の周知、広報を行っているところです。さらに、法務省では、法テラスが行う一人親支援のための運用改善や犯罪被害者等支援弁護士制度の創設等、様々な問題でお困りの方々が必要とする法的支援を十分受けられるようにするための方策を講じてきたところでございます。

 引き続き、法テラスが提供する各種法的支援について、その運用状況を十分見定めつつ、関係機関、団体等と必要な協議を行うなどして、様々な問題でお困りの方々にとって使い勝手のよいものとなるよう、不断の検討を行っていく所存です。

堀場分科員 やはり、さっき地理的な問題もありましたけれども、自分の生活の身近なところに法テラスがないと、なかなか法テラスに行こうと思わないし、存在自体に気がつかないという方も結構いらっしゃると思うんですね。被害に遭って困ったな、でも、お金ないんだよね、裁判できないよなというときに法テラスに行かれる方が多いんだと思うんですね。なので、困る前から法テラスの存在を知っていれば、困ったときには法テラスと、行けると思うんですけれども、なかなかそこの周知ができていないのかなというふうに思っているところです。

 我々は、やはり法テラスを活用した法律等々をやっているので非常に身近に感じていますけれども、その重要性についてもやはり認識をしているところなので、充実させていくというのは非常に重要なんですけれども。

 今度は、被害者の方々というのは、司法の支援というのは非常に必要なんですね。法律的な支援、法律的なアドバイスという意味での支援も必要ですけれども、例えば、何か争っているときにしっかりとお金を取ってきていただけるというか、例えば旧統一教会のお話であったならば、しっかりと被害に遭っていることを立証して、そしてちゃんとお金を取り戻すというところまで必要になってくると思うんですね。

 そうなってきた場合に、今後の法テラス自体がもう少し支援を拡充しないといけないなというふうに私自身は考えています。特に、お金を使って、後からでいいですよ、償還制度ですね、だけれども、それではやはり、どっちにしてもお金がかかってしまう。なので、非常に厳しい立場にある方に対する償還免除について、議論もあると思いますが、そこについての議論を中心に、副大臣の御所見をお願いいたします。

門山副大臣 様々な困難を抱えた方々が法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供を受けられるよう、総合法律支援の充実強化を図ることはとても重要です。

 法テラスでは、旧統一教会問題につきまして、霊感商法等対応ダイヤルにおける相談対応を引き続き行うとともに、本年三月十九日から、特定不法行為等被害者特例法に基づく支援を開始したところです。

 また、今国会において、犯罪被害者等への包括的かつ継続的な援助が行えるよう、犯罪被害者等支援弁護士制度の創設を内容とする改正総合法律支援法が成立し、現在、その円滑な施行に向けて準備を進めているところです。

 さらに、委員御指摘の償還免除の点に関連しましては、本年四月から、一人親の方が養育費を請求するために民事法律扶助を利用した場合に償還等免除の要件を緩和するなど、一人親支援のための運用改善を行ったところです。

 法務省といたしましては、誰一人取り残さない社会の実現を目指して、引き続き、様々な法的ニーズに的確に対応し、支援や体制の充実を図るなど、総合法律支援の一層の充実強化にしっかりと取り組んでまいります。

堀場分科員 ありがとうございます。

 今、一人親のお話がありましたけれども、養育費は、払ってもらえない人が結構泣き寝入り状態というか、諦めている方が多いんだと思います。養育費の課題は本当に大変で、やはりどこのタイミングで決めるのかというのも大事で、その裁判をしている離婚のときは所得が低かったかもしれないですけれども、その後すごいお金持ちになったらそれはどうなるのかとか、様々なことがあるかとは思うんです。でも、そもそも払ってもらえない人もいるので、そういった人に対して支援をしていくというのは非常に重要だと思っています。

 次に、DVによる離婚という課題について少し議論をさせていただきたいなというふうに思っています。

 今、共同親権をちょうど参議院でやられているので、それについては余り言及はしませんけれども、この話のときも、やはりDVというものが改めて注目されたんじゃないかなというふうに思っています。

 私自身は内閣委員会の中でずっとDVの課題をやっているんですが、やはり加害者の人が自分が加害者だと気づかないという問題があるんですね。これはずっと毎年やっているんですけれども、加害者プログラムというものがあって、これを受講できるような体制にしていかなきゃいけないんじゃないかなと私自身は思っていますけれども、そういう、加害者の人が自分の加害に気づいていない、特に精神的暴力については気づいていないんじゃないかなという懸念があります。

 これはDV法改正のときも、保護命令を出すとなったときに、本当に出せるのかという質問を何度もさせていただいていますけれども、そもそも身体的な暴力でもなかなか保護命令が出ないのに、すごく時間がかかって全然出ないのに、精神的暴力のみで本当に裁判官が出してくれるのかという不安があるぐらい、加害者が加害に気づいていないということがあるんですね。

 そのときに、さっき言いました加害者プログラムというものは非常に重要で、世界各国を見回すと、こういったものを受講命令として出すことができるような刑事司法の在り方というのがあります。例えば、アメリカであれば専門コードがあって、DVコードというものがあって、様々な受講命令が出せますよね。ドラッグコードがあったり、様々な問題解決型の裁判所というような形を取っているというような刑事司法の在り方について、副大臣の御所見をお願いします。

吉田政府参考人 配偶者への暴力に及んだ者に対しては、現行制度の下でも、次のような形で指導を行っております。

 すなわち、配偶者への暴力に及んだ受刑者に対して、いわゆる刑事収容施設法の規定に基づき、刑事施設において、その問題性等に応じて、改善指導として、暴力を振るうことなく生活するための具体的なスキルを身につけさせるための暴力防止プログラムを実施したり、また、配偶者暴力の類型に該当する保護観察対象者に対して、更生保護法の規定に基づき、保護観察所において、事案に応じて、保護観察の特別遵守事項として暴力防止プログラムの受講を義務づけ、配偶者への暴力につながる態度やその考え方の変容などについて指導しているところでございます。

 今申し上げたのは、懲役刑など現行法で定められている種類の刑の言渡しを前提とするものでございますが、そうした位置づけを超えて、例えば、加害者プログラムの受講命令それ自体を刑罰として科す制度を設けるということになりますと、次のような課題、すなわち、我が国における刑罰が応報、これは過去の犯罪行為に対する報いとして刑が科せられるものであるということを意味しますが、我が国の刑罰がそうした応報であるとされていることと整合性を有するのかどうかについてどう考えるか、また、受講命令をあえて独立の刑罰として位置づけるべき必要性についてどのように考えるかといった課題があることから、慎重な検討を要するものと考えております。

堀場分科員 懲役刑の中でやられているというのは、それは十分承知をしているんですけれども、加害者が自分の加害に気づいて、これは児童虐待の現場でもあると思いますが、気づいていない人に対してどうするのかということを今議論していて、懲役刑の方でやられているというのは重々承知しているんですけれども、日常的にあるDVの被害の中で、それをどのように変えていくのか、改善するのかということを課題として質問をしているんですが、副大臣、何かコメントがあればお願いしたいんですけれども。

門山副大臣 基本的に、刑罰としてということに関しては、今当局の答えたとおりで、同じになるわけでございますが、そうじゃなくて、刑罰を前提としないでそういった命令が出せるかというのは、これはやはりいろいろな問題で、慎重な検討を要するんじゃないかなというふうなことになると思います。

堀場分科員 なので、なかなか受講命令が出せない日本の司法の仕組みというのは分かっているんですが、じゃ、これを被害者の方の立場に立ったときにどのようにして改善していくのかということは、やはりどんどん考えていただきたいなと思っています。加害者プログラム、日本でやられている民間の方々は非常に有効な結果を出されておりますので、そういったものもしっかりと注目をしてやっていただきたいなと思います。

 ちょっと時間がないので、一つだけ。DVの被害者の離婚調停や裁判の長期化というものが非常に懸念をされています。特に、DVにおける離婚調停若しくは裁判をした場合、非常に長期化する傾向があるんですね。それについて、今度、共同親権が入ってきたらもっと長期化すると言われていますけれども、この長期化ということが非常に被害者の皆さんの負担になっているんですが、それについてどのようにお考えか、お願いいたします。

馬渡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 調停と訴訟、両方ありますけれども、まず離婚調停について申し上げますと、各地の家庭裁判所では、適正迅速な紛争の解決に向けて、期日の持ち方の工夫、評議等を通じた裁判官の効果的関与、ウェブ調停の活用などを含む調停運営改善の取組を進めてきておりまして、最高裁としても、そうした取組を後押ししてきているところでございます。

 加えて、最高裁におきましては、先日、各地の家庭裁判所における調停運営改善の一層の取組を支援するために、家事調停の期日間隔の長期化の点に焦点を当てまして、その長期化要因の分析や、あり得る対策を提示するなどの情報提供を行っております。これを踏まえて、今後、各地の家庭裁判所において、それぞれ長期化要因に応じた実効的な対策を検討、実践していく取組がより一層進展していくものと考えております。

 次に、離婚訴訟につきましても、各地の家庭裁判所では、ウェブ会議が導入されたことに伴いまして、ITツールを活用した審理運営の工夫に取り組んでいるほか、適正迅速な審理の在り方等について、各地の弁護士会との間で意見交換をするといった取組も進められていると承知しております。

 最高裁としては、離婚調停、離婚訴訟のいずれにつきましても、こうした各地の家庭裁判所の取組を引き続き後押ししていきたいと考えております。

堀場分科員 時間ですので終わらせていただきますけれども、やはり、DVの被害に遭われている方の裁判の長期化、調停の長期化というのは非常に精神的な重みでございますので、できるだけすぐに、すぐにというわけではないんですが、迅速に、特に、期日、場所がないとか、そういう理由であるならば、それをすぐに解消していただくような形を取っていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

田中主査 これにて堀場幸子君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして外務省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後三時四十九分散会


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