第1号 令和6年6月19日(水曜日)
令和六年六月十九日(水曜日)午後三時開議
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委員氏名
衆議院
委員長 根本 匠君
理事 金子 恭之君 理事 佐藤 勉君
理事 平井 卓也君 理事 御法川信英君
理事 後藤 祐一君 理事 笠 浩史君
理事 藤田 文武君 理事 石井 啓一君
麻生 太郎君 小渕 優子君
梶山 弘志君 金田 勝年君
田村 憲久君 渡海紀三朗君
丹羽 秀樹君 西村 明宏君
葉梨 康弘君 浜田 靖一君
茂木 敏充君 森山 裕君
鷲尾英一郎君 泉 健太君
岡田 克也君 中村喜四郎君
長妻 昭君 徳永 久志君
馬場 伸幸君 志位 和夫君
玉木雄一郎君
参議院
委員長 浅田 均君
理事 牧野たかお君 理事 松山 政司君
理事 榛葉賀津也君 理事 小池 晃君
こやり隆史君 古賀友一郎君
上月 良祐君 滝沢 求君
柘植 芳文君 馬場 成志君
船橋 利実君 斎藤 嘉隆君
田名部匡代君 森本 真治君
谷合 正明君 山口那津男君
片山 大介君 田村 智子君
木村 英子君
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出席委員
衆議院
委員長 根本 匠君
理事 金子 恭之君 理事 佐藤 勉君
理事 平井 卓也君 理事 御法川信英君
理事 後藤 祐一君 理事 笠 浩史君
理事 藤田 文武君 理事 石井 啓一君
麻生 太郎君 小渕 優子君
梶山 弘志君 金田 勝年君
田村 憲久君 渡海紀三朗君
丹羽 秀樹君 西村 明宏君
葉梨 康弘君 浜田 靖一君
茂木 敏充君 森山 裕君
鷲尾英一郎君 泉 健太君
岡田 克也君 長妻 昭君
湯原 俊二君 徳永 久志君
馬場 伸幸君 志位 和夫君
玉木雄一郎君
参議院
委員長 浅田 均君
理事 牧野たかお君 理事 松山 政司君
理事 榛葉賀津也君 理事 小池 晃君
こやり隆史君 古賀友一郎君
上月 良祐君 滝沢 求君
柘植 芳文君 馬場 成志君
船橋 利実君 斎藤 嘉隆君
田名部匡代君 森本 真治君
谷合 正明君 山口那津男君
片山 大介君 田村 智子君
木村 英子君
…………………………………
内閣総理大臣 岸田 文雄君
総務大臣 松本 剛明君
法務大臣 小泉 龍司君
外務大臣 上川 陽子君
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 鈴木 俊一君
文部科学大臣 盛山 正仁君
厚生労働大臣 武見 敬三君
農林水産大臣 坂本 哲志君
経済産業大臣
国務大臣
(原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当) 齋藤 健君
国土交通大臣 斉藤 鉄夫君
環境大臣
国務大臣
(原子力防災担当) 伊藤信太郎君
防衛大臣 木原 稔君
国務大臣
(内閣官房長官) 林 芳正君
国務大臣
(デジタル大臣)
(規制改革担当) 河野 太郎君
国務大臣
(復興大臣) 土屋 品子君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(防災担当)
(海洋政策担当) 松村 祥史君
国務大臣
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)
(孤独・孤立対策担当) 加藤 鮎子君
国務大臣
(経済財政政策担当) 新藤 義孝君
国務大臣
(クールジャパン戦略担当)
(知的財産戦略担当)
(科学技術政策担当)
(宇宙政策担当)
(経済安全保障担当) 高市 早苗君
国務大臣
(沖縄及び北方対策担当)
(消費者及び食品安全担当)
(地方創生担当)
(アイヌ施策担当) 自見はなこ君
内閣官房副長官 村井 英樹君
内閣官房副長官 森屋 宏君
政府特別補佐人
(内閣法制局長官) 近藤 正春君
衆議院国家基本政策委員会専門員 菅野 亨君
参議院常任委員会専門員 金澤 真志君
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本日の会議に付した案件
国家の基本政策に関する件
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〔根本匠君会長席に着く〕
○会長(根本匠君) これより国家基本政策委員会合同審査会を開会いたします。
本日は、私が会長を務めさせていただきます。
この際、一言御挨拶を申し上げます。
衆議院国家基本政策委員長の根本匠でございます。
参議院の浅田均委員長を始め、衆参両院の委員の皆様方の御指導、御協力を賜りまして、その職責を全うしてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
国家の基本政策に関する件について調査を進めます。
これより討議を行います。
討議に当たりましては、申合せに従い、野党党首及び内閣総理大臣は、決められた時間を厳守し、簡潔に発言を行うようお願い申し上げます。
また、委員及び傍聴議員各位におかれましても、不規則発言等、議事の妨げとなるような言動は厳に慎まれますよう、御協力をお願いいたします。
発言の申出がありますので、順次これを許します。泉健太君。(拍手)
○泉健太君 立憲民主党の泉健太です。
総理、思いのほか近いですね。私と総理は、これは初めての党首討論というふうになりますけれども、私は、これまで代表質問ですとかあるいは予算委員会、総理とやり取りしていて、一つやはり残念だったのは、なかなか本音が聞けない、何をしたいのかが伝わってこないという場面がありました。それは、どうしても答弁書を読んでいるというところが大きかったのかなと思っています。
その意味では、総理、今日は答弁書があるかどうか分かりませんが、是非、政治家同士、大将同士の討論ですから、私は二十六分ですが、是非総理には、政治決断、政治発言もあり得るということ、まず冒頭、その言葉をいただきたいと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今回の党首討論、三年ぶりの開催であります。その間、世界も、そして日本も大きく変化しています。政治の責任、より重たいものがある。その中で泉代表とこうして討論をさせていただく。私も、一人の政治家として、思いをしっかりと申し述べさせていただきたいと思っております。
○泉健太君 ありがとうございます。
まず、総理はいつも、一つ一つの課題を先送りをしないということをおっしゃってきた。そして、今まさに総理は、この三年間でも随分世界が変わってきたということをおっしゃった。その意味では、一つ代表的な例は、今回、経団連の十倉会長がお話をされた選択的夫婦別姓、これについて、経団連がやるべきだと言ったというのは大きな変化だと思います。
残念ながら、総理はこれまでの国会答弁では、家族のことだとか、一体感だとか、慎重にとかという言葉で濁してきている。私は改めて、自民党の方針はいろいろあるんだろうけれども、総理として、この選択的夫婦別姓は先送りできない課題なのか、それとも先送りをしていいと思っている課題なのか、どちらかお答えください。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 選択的夫婦別氏制度の議論、これは国会においても、この三年間、度々行われてきました。
この議論につきまして、御指摘のように、経団連からも、改めるべきである、こういった提案がありました。確かに、ビジネスの世界だけ見てみても、あるいは銀行預金の作成ですとか、あるいは不動産登記ですとか、さらには、海外におけるビジネスにおいてダブルネームによって疑われてしまうとか、そうした不利益、不都合が生じる、こういったこともありました、こういった指摘もありました。加えて、立場変わって、自分の家ですとか家名を守るために夫婦別氏制度をつくってもらいたい、こういった考え方もありました。
しかし、その一方で……(泉健太君「簡潔に」と呼ぶ)その一方で、この問題については……(発言する者あり)
○会長(根本匠君) 御静粛に。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) ビジネスだけではなくして、家族の在り方ですとか、あるいは子供の姓の問題、子供の利益の問題、こういった観点からも議論しなければならない。だからこそ、令和三年、最近、直近の世論調査を見ても意見が分かれている、これが現状であると私は認識をしております。
こうしたものであるからして、最高裁の決定においても、国会において議論を尽くし判断すべきものだとされているこの課題、是非、国会としてもこの議論を深めていく、こうした努力は重要だと考えております。
○泉健太君 残念ですね、本当に。二十数年、法制審でももう既に議論されていて、ここまで来てもまだ、総理自身がまだまだ議論が必要だと言うわけですから、選択的夫婦別姓を求める多くの方々にとっては、総理の内閣ではこれは全く進まないのだろうなということをもう考えざるを得ないですよね。総理がそういった意味で決断を今しようとしていることは考えていないということがよく分かりました。
さて、まず、先ほど、大変残念ですが、政治資金規正法の改正案が可決をされました。これ、我々にとっては大変残念です。悔しいと言ってもいいぐらい。
だって、私も自民党とずっと戦ってきましたよ。だけれども、相手チームがずっとルール違反をしていたなんて考えたくもない。情けないよ。何ちゅうことをやってくれたんだと思いますよ、この裏金問題は。八十五名もの人間が、しかも、それは現職だけでの話ですから。二十年近くやっていたというんでしょう。それだけのルール違反をやっていて、そこで求められている自民党にとっての政治改革じゃないですか。にもかかわらず、企業・団体献金もやめない、パーティーもほぼそのまま。もう何万の公開かなんてちいちゃな話になっている。そんなんじゃ、国民、全く納得しないし。
もう一つ、今回、裏金で分かってきたのは、自民党がこれまで国会議員や自治体議員にも配ってきたんじゃないかと言われている政策活動費のことですよ。この政策活動費は、恐らく、なかなか表に出せないというお金だと思っているから、今回も十年後の公開なんという話になっている。これだって、国民の皆さん、全く納得していませんよ。そういうものを今回無理やり通したというのは本当に残念であります。
そこで、総理に聞きたいんですが、政策活動費はどの党も全面公開か廃止だと言って、自民党に迫ってきた。でも、自民党はそこを死守をした、今回の政治改革案。だとしたらですよ、自民党、本気で、次の総選挙のときにも各候補者や現職の議員たちに政策活動費を執行するんですか。答えてください。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 政治資金については、まずは今回の事案を引き起こした我々自民党として、反省の上でまずは党改革を進め、そして、刑事責任が問われたその上で政治家としての政治責任を判断し、その上で今回の法改正に臨んだ次第であります。
まずは、こういった事案に対する具体的な再発防止策として、政治家の責任の強化、外部監査の強化、あるいはデジタル等における透明化の推進と併せて、御指摘の政策活動費を始めとする政治資金全体についても議論を行った。そして、各党の議論も、意見も聞きながら法律をまとめた、こういったことであります。この政策活動費についても、透明性を高め、信頼をしっかりと得るために、二重三重に様々な仕掛けをつくって制度をつくった、こういったことであります。
政策活動費については、党として、その党勢拡大のために様々な戦略的な活動を行うために活用されてきた、こういったものであると理解をしています。しかし、その際に、個人のプライバシーですとか、配慮しなければならないこういった点と、国民の透明性の確保、このバランスの中で制度をつくったと理解をしています。
この制度、この政治活動の自由と国民の知る権利のバランスの中でつくった制度、この制度に基づいて政策活動費を使っていく。今回のこの結論、これは重要な結論であり、党としてもその結論を守ってまいります。
○泉健太君 全然答えていないし、自民党だけですよ、そんなことで抵抗しているのは。あなたたちが抵抗勢力ですよ。本当にけしからぬですよ。
我々は、国民に見える形で、政治資金がちゃんと見える形で、選挙も公平にやろうと言っている。政治活動だってそうだ。でもそれを、戦略だ何だ、外国勢力が何だと何かよく分からない理由をつけて、結局、国民に見えない金を使い続けたいということでしょう。一年十億ですよ、一年十億。五年で五十億。しかも、出した人の領収書はあるかもしれないけれども、その出した人から更に各個別の議員に行ったら、その後の領収書はどうなるか分からないという仕掛けじゃないですか。途中から消える魔球みたいになっているじゃないですか。もうとんでもないですよ、こんなものは。
国民の皆さんに私は今日知っていただいたと思う。結局、自民党はこういう、表金ではやれないと自民党が言っている裏のお金をつくって、結局それを使って選挙や政治活動をしようとしている政党だと。ほかの政党はそんなことやりませんからね。もう明確にその姿勢が違うということが分かりました。
ただ、私は、この政治改革のことで今日全ての時間を使うということも考えたんですが、やはり私は、野党の第一党として、二十六分という最長の時間をいただいています。その意味では、国民生活のことについても必ず触れなきゃいけない。何より大事なのはこの国民生活のことですから、経済のこと、物価のことについて総理に聞きたいと思います。
まずは賃上げなんですけれども、実質賃金が二十五か月連続でマイナス、もう本当にこれ、二年以上ですからね。結局、総理は、賃上げだと沸いているかもしれないし、俺の成果だと思っているかもしれないけれども、二年以上にわたって、実際には、給料が増えても、また、年金額が上がっても、年金額が上がっても使えるお金は減っている、こういう状況ですよ。大変、国民生活が厳しい。
その中で、私は不思議なのは、なぜ今回、電気・ガス補助金を切ったんですかということですよ。これ、追い打ちかけるんじゃないですか。だって、電気だけで月千四百円以上負担増です。ガスでも四百五十円ぐらいの負担増です。両方合わせたら月二千円の負担増がもうみんなに、国民みんなにかかってくる、この状況で。しかも、これから夏じゃないですか、酷暑も控えているじゃないですか、クーラーもつけなきゃいけないじゃないですか。そういう国民の皆さんがおられる中で、このエネルギー補助金は私は続けるべきだったと思う。
総理、改めて復活してはいかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、前段の政治資金の点について申し上げますが、今回の政策活動費を始めとする様々な課題について、自民党としては、具体的な実践的な案を用意し、そして、多くの党とも協議しながら、できるだけ意見を取り入れて結論を出してきました。
その中で、この御党との議論において、御党は、企業・団体献金は禁止、政治資金パーティーは禁止、そして政策活動費も禁止、全て禁止とされておられました。
この禁止ということについて、私は決して、御党がこうやって禁止を言いながら実際パーティーを、政治資金パーティーを開いておられるとか、あるいは労働組合等から団体献金を受けているとか、こういったことをあげつらう場ではない、こう思っておりますが、しかし……(発言する者あり)
○会長(根本匠君) 御静粛に。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) しかし、この禁止、禁止、禁止というのは、大変気持ちはいいかもしれない、分かりやすいかもしれない、しかし、現実的な政治の中で、政治資金というものは民主主義を支える大変重要な要素であります。それについて真剣に現実的に考える、こういった責任ある姿勢が大事ではないかと我々は思っております。
政治にはコストがかかる、これは当然のことであります。そして、どんな立場の若者でも志があれば政治を志すことができる、お金がなくても政治を志すことができる、こういったことから、現実的な資金のありよう、こういったものを考えた次第であります。禁止、禁止、禁止で全て禁止してしまって、こうした現実を見ることがない、こういった案であってはならない、こういった思いで取り組んでまいりました。
そして、加えて、今度は経済の方の話であります。経済の方の話についても、実質賃金、マイナスのままではないか、こういった御指摘でありました。
だからこそ、私の内閣においては、経済対策、賃上げ、これを最重点項目として取り組んできました。そして、昨年は春闘において三・五八%プラス、今年は三十三年ぶりに五・〇八%プラス、こうした賃上げの効果が出てきました。そして、それが六月から実際に効果を発揮してくる、八月、九月にかけて効果が終了する。十月には、この最低賃金、これも効果が出てくる、今年の秋以降にこの効果が出てきて実質賃金がプラスになる。多くの民間のエコノミストがそういった評価をしている、こういった中であります。
そして、その中で、エネルギー等についてどうするのかということがありました。こうした賃上げの流れ、これは間違いなく確実なものにしなければならない。だからこそ、今月から定額減税も行ってまいります。
そしてさらに、こうしたエネルギー、特に、年金世帯ですとか、価格転嫁ができない中小企業、零細企業に対してどのように配慮をするのか。今言った賃上げの流れを確実なものにしていく、定額減税もやる、それに加えて、年金生活者等に対しての配慮、これを秋に向けて行ってまいります。そして、そのことによって、今年、物価に負けない所得、これを実現し、来年は、物価に負けない賃上げ、これを定着させる、これを国民の皆さんにお約束をさせていただいているわけであります。
そして、これは討論でありますので、今二つ、泉代表の御質問にお答えいたしました。今お答えする中で改めて思うわけですが、政策活動費、あるいは総合経済対策、具体的なこの対策、私たちは現実的な対策を今説明をさせていただいたわけでありますが、是非御党にも、こうした責任ある具体的な政策、これをしっかり提示していただきたい、これを思っております。そして、これは経済あるいは政治改革だけではありません。安全保障ですとか、エネルギーですとか、こういった分野についても責任ある態度を取ってもらいたい。
さらに、今、この国会を振り返って強く思うこととして、憲法改正につきましても是非責任ある対応をお願いしたいと思っています。この問題については、この国会において、憲法改正、この起案の動きがあったならば、国会を、委員会を全て止めるというような発言もあったと記憶しております。これは極めて無責任な対応ではないかと思っておるところであります。
私も、今、世界を……(発言する者あり)
○会長(根本匠君) 御静粛にお願いします。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 外交を進める中にあって、今、世界は大きな変化の中にあります。国内の中においても大きな変化の中にあります。その中で、憲法審査会、十三年間議論して、こうした起案にたどり着かない、こういった状況の中で、是非、泉代表にお願いしたいことは、こうした、憲法審査会において、先週は、与党の代表幹事が具体的に起案について骨子を示し、五会派が賛成する、こういったことでありました。
○会長(根本匠君) 岸田総理、簡潔に、簡潔にお願いします。簡潔にお願いします。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 是非、明日は、憲法審査会、定例日であります。
○会長(根本匠君) 岸田総理、簡潔にお願いします。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 明日の憲法審査会の議論から、具体的な各条、この起案について、改正の起案について議論を始めるよう、御協力をお願いしたいと思いますし、これからは決して、憲法について議論をしたら、触れたら国会を止めるなどということはしない、こういったことは是非お願いしたいと思っております。
○泉健太君 総理、今のようなお話の仕方で外交をやられているんですか。ちょっと不安になりましたよ。もう何か、話が前後してしまっているというか。
まず、お話をしたいんですが、総理、これは麻生副総裁もそうなんですけれども、金を集められないと若い世代が入ってこられないみたいなことをおっしゃるわけです。私、それは真逆じゃないかと思っていまして。総理、金集めで、すごい人たちばかり集まってやっているから、普通の国民が入れないんですよ、総理。そこを分かってもらわなきゃ。
だって、総理、二億円集めているんですよ。広島一区で誰が戦えますか、そんなので。集め過ぎなんですよ、あなた。そんなに集めて、みんなにまねしろ、できるわけないじゃないですか、そんなもの。ふざけるなと言いたいですよ。
ちゃんと政党交付金があるのであれば、政党から新人に対して表金で交付金を渡すなり、増やして、みんなこれで公平に戦えでいいじゃないですか。その金集め競争が激化をして、秘書も増やして、とにかく秘書の数が多い方が選挙に強くなる、そういう政治、金のかかる政治をやっているから変わらないんじゃないですか。新しい人材が入らないんじゃないですか。
聞いてみてくださいよ。今、一生懸命民間で働いている人や公務員に聞いてみてくださいよ。政治には関心があるけれども、こんなに金がかかるんじゃ入れないと言っていますよ。その人間たちに、政治資金パーティーをやれ、そうじゃないとあんた入れないよと言うんですか。全く逆ですよ、それは、総理。
もっともっと若い世代が、新しい感覚を持った人間が入れるような政治、そういう世界にしなきゃいけないんじゃないですか。まず、これが一つ。
そして、憲法ですけれども、我々はずっと審議に応じています。そして、議論を真摯にやっていますよ。論点があるのに、すっ飛ばして何をするというんですか。論点がまだ尽くされていないんだったら、議論するのは当たり前じゃないですか。ちゃんと一つ一つ議論をする。任期の延長だとか、緊急事態のことについても、公選法もあるし、そして憲法の中でどうするかというのも当然ある。いろいろな論点をやはり議論するのは当たり前です。一つ一つ国会のルールの中で議論をしていく。それは、各それぞれのやり取りの中で様々なことはあるかもしれないけれども、我々はこれからも真摯にこの議論の中に入っていきたいと考えています。
それで、総理、もう時間もあっという間ですから、総理はこれまで、一つ一つ結果を出していくと言った。ただ、もしこの政治改革、政治資金規正法の改正が総理にとっての結果だと言うならば、これは落第点です、総理。国民の皆さんもそう思っていますよ。今回の政治資金規正法で、あの改革案で総理や自民党に合格点を出す方はまあ二、三割じゃないですか。おられたらすごいなと思うぐらい。
そういう中で、是非、総理、あなたがもしそこで答えを出した、結果を出したと言うならば、総理自身、まだ処分を自分に下していませんよね。そして、総理はこう言いましたよね、私自身については国民の皆さんに御判断いただきますと言いましたよね。総理、ここで判断いただくときが来ているんじゃないですか。解散をして、国民にこの政治資金規正法の改正案がいいのか悪いのか、是非、総理、国民に信を問おうじゃないですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず最初の政治資金の話でありますが、政治資金をどう維持していくのか。これは実際問題、印刷物ですとか地元との行き帰りですとか、コストが生じる、これは当然のことであります。これをどう賄うかということであります。個人であったり企業であったり、そして公費であったり、これをバランスよくこのコストを支えるためにしっかりと確保する、こういった制度が大事だと思います。だからこそ、政治パーティーは禁止、企業献金も禁止、政策活動費も禁止、全部禁止では具体的な案を作ることができないということを申し上げているところであります。是非、こうした具体的な責任ある対応、これをしっかりと考えていかなければならないと思います。
そして、憲法についても是非はっきりお答えいただきたいと思います。憲法について議論をしているとおっしゃいました。しかし、具体的な各条、条文について議論を行いたいならば委員会を止めるとおっしゃっておられました。明日、憲法審査会の定例日であります。明日もこの憲法審査会の場で条文の審議等、議論等、これをしっかり進めていただく、こういったことをお約束いただけませんでしょうか。そして、加えて、今後とも、憲法に関わるといったならば国会を止めるというようなことを是非言わないでいただきたい。このことについて、しっかりお答えいただきたいと思います。
そして、最後の責任の話であります。
責任を果たさなければいけない、自民党総裁として、この政治の信頼の問題、責任を果たさなければならない、こういったことで、この一月から私自身、先頭に立って取組を進めてきました。この法案で終わったというようなことは考えておりません。こうした制度をつくると同時に、何よりも政治家自身が、何か特権意識がなかったか、あるいはおごりがなかったか、そういった政治姿勢も含めて、信頼回復に向けて引き続き努力をしていかなければならない、このように思っております。
そして、一つ一つ先送りできない課題に取り組むということ、代表からも御紹介がありました、そのとおりであります。経済を始め様々な課題に取り組んでいき、結果を出していく、これに専念をしていかなければならない……
○会長(根本匠君) 岸田総理、岸田総理、時間が終了しておりますので、簡潔にお願いします。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) これが今の私の立場であります。それ以外のことは考えていない。それが、解散を迫られた質問に対するお答えであります。
○泉健太君 ありがとうございます。委員長、御配慮をありがとうございます。
本当、総理、時間を見て、答弁を求めるんだったら時間を見てやっていただきたいなと思いますね。
改めてですけれども、憲法審査会、これは各委員会もそうですが、それぞれの理事や委員長が決めることであります。あなたに何か約束されてやるものではないということは、是非国会に任せていただきたいということであります。
そして、改めてですが、解散、立憲民主党は、先ほど総理がお話をしたように、現実路線で我々は政権運営をしていきたいと考えています。外交も安全保障も経済もそうです。我々は、現実路線で安定的な政権を運営していくということをお約束をしたい。これは国民の皆様にお約束をさせていただきたいと思います。はい、これは是非やらせていただきます。
むしろ、総理のような、あるいは自民党のような、今の裏金体質を抱えてしまっているような政治よりも、国民の皆さんにとって誠実な政治が必ずできると我々は確信をしております。是非とも政権交代をさせていただきたい。そのためにも是非、総理、改めてですが、解散しましょうよ。総理が自信を持って作った、党首会談をしてやった、この政治資金規正法ですよね。
○会長(根本匠君) 時間が終了していますので、簡潔にお願いします。
○泉健太君 是非、次の方でも構いませんから、解散を宣言していただきたい、このことを私からお伝えをして、私の討論を終わります。
○会長(根本匠君) これにて泉君の発言は終了いたしました。
次に、馬場伸幸君。(拍手)
○馬場伸幸君 日本維新の会、馬場伸幸でございます。
総理、余り怖い顔をなさらずに、昨日の夜の会合から出てこられたときのようなにこやかな顔で、この討論、お願いしたいと思います。
まず、政治とお金の問題です。
この問題は、もう言うまでもなく、自民党以外の政党には何の責任もありません。自民党が起こした不祥事、事件でこれだけの大きな問題になっているということをまず冒頭申し上げたいと思います。そうすれば、もっと他党がついてこれないぐらい厳しい改革案を出すべきであったということを申し上げたいというふうに思います。
我が党も内部では、当初は、余り積極的に改革案を出すべきではないという意見もありました。しかし、途中で、自民党さんの方から何か協議をしてくれないかという話があって、我が党からは十項目にわたる改正案というものを出させていただきましたが、それはにべもなく蹴られたんですね。それなら、自民党さんは自民党さんでやってください、我々は我が道を行きますということで、どんどん月日がたっていきました。時間が流れていきました。
そうしているうちに、これは五月の二十九日ですよ。総理の指示でどなたかから、維新の会の、我が党の遠藤敬国対委員長に電話があったということなんですね。それを受けて、私と岸田総理で、この合意、三項目にわたる合意文書を交わしました。
これ、非常に大事なポイントだと思うんです。この私と岸田総理が合意を交わした、この文書を作ろうじゃないか、そして、政治改革、進めようじゃないかと言ったのはどちらですか。維新の会なのか、自民党なのか、どちらでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今おっしゃったように、両党の議論の経緯の中で、おっしゃるようなタイミングで両党の関係者が、文書を作ろう、是非合意をしよう、こういった話になったと思います。ですから、どちらが働きかけたかということは、その前の段階からの流れの中で考えるべきでありますので、結果として、両党関係者が合意したということであると思っています。
○馬場伸幸君 全然違いますね。
二十九日の夜に岸田総理が、所属されている幹部の議員の方に、遠藤敬国対委員長に電話をして頼んでくれと言ったんでしょう。だから、私のところに三十日に遠藤国対委員長、藤田幹事長から連絡があって、こういうお申出があったから、この政治改革を前に少しでも進められるのであれば、やるべきではないですかという話がありました。ですから、私は、きちっとペーパーに残して三項目について合意をすれば話合いをしてもいいんじゃないかという決断をしたわけですね。それが最初の話の流れなんですよ。それをよく、総理、理解しておいていただいて、いろいろな方がいろいろな情報を恐らく総理に言っていると思いますが、これは間違いのない事実です。違うというのであれば、後日おっしゃっていただきたいと思いますが。
今回、今日、参議院の方で採決があって、政治資金規正法の採決がありました。我が党は、衆議院では賛成をしましたが、参議院では反対をさせていただきました。これ、おかしい、おかしいという声がまたあるんですね。おかしくないんです。皆さんは永田町の前例、慣例で考えているだけ。おかしいと言うなら一院にしたらいいじゃないですか。二院あるんだから、対応が変わっても当たり前でしょう。
ただ、私は……(発言する者あり)なぜおかしいんですか。前提が変わったから対応が変わっているんです。あなた方が変えたから、変わったんです。
そして、まあいいですよ、政治資金改正法も文通費も、これから改革はやっていかなければなりません。今回は反対しましたけれども、この改革が前に進むのであれば、これからも協議していくということを拒否するものではありません。
ただ、はははじゃないんですよ。どなたですか、今、はははと笑っているの。全然反省していないでしょう、自民党の皆さん。
ただ、文通費も、これ、総理、本気でやる気があるのであれば、会期延長したらいいんじゃないですか。何でやらないんですか、会期の延長。政府の皆さんは、自分たちが都合のいいときに、重要法案だとか補正予算だとか、そういうことがあるときには会期延長してでもやるじゃないですか。なぜやらないんですか。重要だと思われていないからでしょう。それならやってくださいよ。会期延長しますか。(内閣総理大臣岸田文雄君「委員長」と呼ぶ)いや、答えなくて結構です。
先ほど、総理、憲法改正の話もされました。私は、憲法審査会、当選以来十二年間ずっと所属をしています。在籍をしています。確かに、憲法改正、審査会の流れも大きく変わってきました。国民民主党さん、有志の会、私たち日本維新の会、緊急事態条項の中で、国会の機能をいかに維持していけるか。これはもう法案も作って、法文も作って出しているんですね。だから、どんどん議論は煮詰まってきている。いろいろな、拒否して、脅して、そんなことをする他党もあります。でも、もう今、やるかやらないかなんです、憲法改正。やるかやらないか。
総理がやろうということをおっしゃっているということは聞いています。でも、現場にはいろいろな不安定要素があって、それを総理に申し上げていると。でも、総理はやれとおっしゃっているが、先ほど総理がおっしゃったように、それをやれば参議院でのいろいろな他の法案の審議が止まってしまう。だから、本当にいいんですかと言うと、いや、何とかやってくれということなんですね。
本来、総理が参議院の会長や議運の委員長やいろいろな方に直接電話されて、これをやってくれと、参議院の憲法審査会の会長に直接指示を出されたらいいんじゃないですか。
ですから、私から見ていると、やるやる詐欺なんですよね。きちっとやらない、最後まで詰めを行わない。その結果、いろいろな、総理が対外的、世間に対してやると約束されていることが全て止まってしまっている。何も、あれもこれもみんなそうです。やらない。国民は今、岸田内閣のことを何もヤラナイカクと言っています。
だから、やらないのか、できないのか、よく分かりませんけれども、これ、どういう理由でできないんですかね。なぜできないんですか、岸田総理。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、旧文通費につきましては、おっしゃるように、二年間滞っていた議論を馬場代表との合意において動かしたわけであります。具体的な協議会をつくるなど、プロセスを明らかにし、そして、使途を明らかにする、返金をする、具体的な論点も明らかにした。こういった合意を行って議論をスタートさせたわけであります。
期日については、合意した時点から三週間余りしかなかったわけでありますから、こうした合意の後に協議会を立ち上げて、有識者の話を聞き、そして詳細を詰める、それを考えた場合に期限は明記しなかったわけでありますが、しかし、一刻も早く成立させたい、そういった思いは全く偽りありません。
今日、そしてプロセスが、合意の結果始まったわけですから、是非やろうではないですか。会期延長あるいは閉中審査等、これは国会で決めることではありますが、是非、議論、今スタートしているわけですから、是非この議論を進めることに同意をいただきたいと思います。
そして、憲法についてお話がありました。憲法について、おっしゃるように、衆議院の憲法審査会において論点をしっかり示して、そして五会派が賛同する、こういったところまで議論が進んできました。是非これをつなげていきたいということで、先ほども、衆議院の憲法審査会は明日定例日を迎えるわけですが、それも活用して、議論を続けていきたい、そして結果につなげていきたい、このように申し上げた次第であります。是非御協力をいただきたいと思います。
○馬場伸幸君 それなら、会期延長を是非やってください。今日、指示を出してください。国会で決めることではありません。総理か官房長官か幹事長か、皆さんで寄り集まって、会期延長するという相談をすぐにしてください、これが終わったら。是非お願いしますね。
憲法改正の方も、これは閉会中審査がいつでもできるという特殊な審査会ですから、それを必ずやるように指示してください。審査会の場ではそういう話が出ていますけれども、一部の野党の、この辺に座っている皆さん方の反対でできないんですけれども、やればできます。だから、やるという指示をきちっと出してください、この討論会が終わったら。
私は、この岸田内閣、何もヤラナイカクと言われている原因は、僭越ではありますけれども、岸田総理の私はリーダーシップが欠けていると思います。今の自民党さん、外から見せていただいて、恐縮でありますけれども、もうガバナンスが全然なっていないです。
先ほども申し上げた、岸田総理がこの指示を出した、五月二十九日の夜です、覚えておられるでしょう、本当は。その指示を出した岸田派側近の議員さん、この議員さん、もう我々に対して知らぬふりですよ、今。政治家の前に、私は人の道があると思います。期日が書いてあるとか書いてないとか、それは子供の本当に言い訳ですよ。だから、やはりガバナンスが全く利いていない。そして、平場で、そちらにいらっしゃる自民党の議員さんと平場でいろいろな話合いをしたら、皆さん、総理の不平不満だらけです。ですから、大変僭越ではありますけれども、私は、岸田内閣、もう万策が尽きていると思います。もはやこれまで。
立憲民主党さんは解散を迫っておられますけれども、我々は、その人が落ち込んでいるときに隙をつく……
○会長(根本匠君) 持ち時間が終了しておりますので、簡潔にお願いします。
○馬場伸幸君 間隙をつくというような、そんなことはやりたくない。だから、総理、あした、あさっての間にもう内閣総辞職して、総理を替えてください。責任を持って仕事ができる総理にバトンを渡してください。是非お願いします。どうですか。
○会長(根本匠君) 岸田総理、簡潔にお願いします。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) はい。
旧文通費の問題、憲法の問題、是非、残された会期、僅かでありますが、この議論をしっかりと条文起案に向けて進める、まずこれを行うことが大事だと思います。その上で、それをどう次につなげていくか、しっかりこの判断をしたいと思います。
その上で、こうしたこの先送りできない課題に向けて最善を尽くしてまいります。退陣の御要望でありますが、今、先送りできない課題に専念する、私としてはそれに全力を注いでまいります。結果を出すことに全力を挙げてまいります。
○馬場伸幸君 ありがとうございました。
○会長(根本匠君) これにて馬場君の発言は終了いたしました。
次に、田村智子君。(拍手)
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
六月十日、経団連が、夫、妻各々が希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名のり続けることのできる制度、つまり選択的夫婦別姓の早期実現を求める要望書を政府に提出するに至りました。
要望書では、アイデンティティーの喪失、あるいは、不都合や不利益が女性に偏っているという女性の人権の問題とともに、通称使用によってトラブルが起きている、企業にとってビジネス上のリスクだということも指摘されています。これらは長年にわたる女性たちの訴えそのものであり、ジェンダー平等を求めるムーブメントがついに経済界も動かしたことに、心からの敬意を表したいと思います。
個人の尊厳、法の下の平等、婚姻の自由、夫婦同等の権利、日本国憲法で女性の人権が認められて七十七年ですね。ところが、夫婦の九五%で女性が名前を変えている。その中には、同姓の強制によって、女性が名前を変えることが当たり前にされているために、違和感を口にすることができないまま名前を変えた女性も多くいます。そして、アイデンティティーの喪失、キャリアの断絶、名称変更の煩雑な手続、海外では通称が使えないなどの不利益を圧倒的に女性が引き受けている。これが日本の現実です。
総理にお聞きします。
同姓か別姓かを選択できない、同姓を強制されることによって、女性が個人の尊厳を傷つけられている、不利益を被っている、これが事実だという認識がありますか。世論調査とか様々な意見とかそういうことじゃない、あなたの認識でお答えください。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、御指摘の経団連の提案、これは重く受け止めたいと思います。そして、その提案の中にもあったと記憶しておりますが、女性の方を中心に大きな不利益が生じている、こういった御指摘がありました。先ほども一旦触れましたが、預金口座の開設ですとか不動産登記ですとか、海外における、このダブルネームによって疑いを得てしまう、こういった不利益があるということ、このことについては重く受け止めております。私も、そういった事実があるということは強く認識しております。
ただ、ビジネスの面だけではなくして、この問題については様々な角度から議論する必要がある。だからこそ、世論調査が割れているということを申し上げております。今言った点について認識はしておりますが、それ以外の方面からも、角度からも、この問題について議論を深めていく必要を今まだ感じております。
○田村智子君 おとといのテレビ中継のあった国会質疑の場では、その様々な理由の中で、家族の一体感、こういうことを言われました。しかし、既に事実婚の家族というのは何百万と存在しています。家族の一体感とか、あるいは子供の利益ということもおっしゃいました、おとといの審議の中では。それで、子供の幸せに係ることも、それぞれの家族の営みに関わることなんですよ。
この選択的夫婦別姓についての議論の中で、家族の一体感に関わる問題ということを指摘される。そういう捉え方をすること自体が私は特定の価値観の押しつけにほかならないと思う。いかがですか。
○会長(根本匠君) 岸田総理、持ち時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の選択的夫婦別氏制度ですが、これは、国民生活、そして多くの国民、幅広く影響するものであります。一定の価値観に基づいて判断しているのではないかという御指摘でありますが、そんなことは決してありません。
だからこそ、再三申し上げております、国民の世論調査を見ても、今の同姓を維持するという答え、二七%、今の同姓を維持した上で別称の制度を法制化するべきであるという意見、四二%、そして、夫婦別氏制度、実行するべきだというのが二八%。世論調査でも分かれているのは、今おっしゃったように、様々な価値観、様々な立場の方々が、この問題について影響を感じ、意見を言っている、こういったことであるからだと思っております。
○会長(根本匠君) 田村君、持ち時間が終了しておりますので、簡潔にお願いします。
○田村智子君 事実としてあるのは、女性の個人の尊厳が傷つけられているという事実です。
そして、選択的夫婦別姓の早期実現を求める合理的な理由はたくさんある。しかし、それを阻む具体的で合理的な理由は何もない。一刻も早く法案の審議を国会で行うべきだと求めて、討論を終わります。
○会長(根本匠君) これにて田村君の発言は終了いたしました。
次に、玉木雄一郎君。(拍手)
○玉木雄一郎君 国民民主党代表の玉木雄一郎です。
岸田総理、総理、今、四面楚歌じゃないですか。野党の協力が得られない。公明党さんからもぐずぐずしていると言われたり、自民党の中からも、ついに総理の責任を問うような声が公然と出てきています。国民の信頼も地に落ちている。
四面楚歌、八方塞がり、なぜこういう事態に陥ったと思いますか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 四面楚歌だという御指摘でありますが、私自身は、四面楚歌であるとは感じておりません。
今、これだけ難しい課題が山積しているからこそこの議論を行っているわけでありますが、それら難しい課題であるからこそ、結果を出さなければならない。判断をしなければならない。当然のことながら、批判は出てまいります。しかし、批判が出る中にあっても、やるべきことはやる、これが政治家の責任であると考えております。
○玉木雄一郎君 憲法改正にしても、相当、我々、協力もしてきましたし、結果が出ていません。これは半分自民党のせいだと思いますよ。
私は、結果が出ないこと、そして四面楚歌になっていることの理由は、総理、トップが責任を取らないからです。
私は、是々非々なので、応援できるところは応援したいと今も思っています。ただ、トップが責任を取らずに小手先でごまかしても、物は前に進みません。今回の法案もざる法です。このことが通ったからといって何かが変わるわけではありません。
政治に対する信頼を回復するために今一番やらなければいけないのは、総理、総理が潔く職を辞して、リーダーとしての責任をしっかり果たすことではないですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 小手先の対応だという御指摘でありますが、現実の政治の中で一つ一つ結論を出していくこと、これは大事だと思っています。法改正についても、完璧だとみんなから褒められるすばらしい法案ができる、これは理想かもしれませんが、現実の中で法律を作る、大変難しい調整が求められる、厳しいやり取りもありました。その中にあっても結論を出していく、この勇気と、そして決断がなければならないと信じて努力を続けてきました。
今、先送りできない課題、山積する中で、経済も安全保障もエネルギーも、このあらゆる課題において結論を出していく、この強い覚悟を持ってこれからも取り臨んでいきたいと考えております。
○玉木雄一郎君 結論を出す資格を失っているんだと思うんです。派閥の会計責任者が立件されても、党内の処分さえ免れている。多くの所属議員がこれだけの大量の法令違反を犯しても何の責任も取っていないし、逆に、そういうことを見ているから、党や派閥の幹部がこれでいいんだと思って、政倫審でも平気でうそをつく。そういうことがまさに起こっているんじゃないですか、総理。
私は、賃上げとか株価とか、評価できるところは評価できると思います。ただ……
○会長(根本匠君) 持ち時間が終了しておりますので、簡潔にお願いします。
○玉木雄一郎君 ただ、やはり、世界に冠たる日本をつくっていくためには、世界に範たる日本である必要があります。そのためには、政治が規範を見せていかなければいけないと思います。
今、日本の政治にはこの規範が失われています。日本政治に規範を取り戻すために、総理に職を辞することを改めて求めて、討論を終わります。
○会長(根本匠君) これにて玉木君の発言は終了いたしました。
以上をもちまして、本日の合同審査会は終了いたしました。
これにて散会いたします。
午後三時五十二分散会