衆議院

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第18号 令和6年5月9日(木曜日)

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令和六年五月九日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 斎藤 洋明君 理事 田所 嘉徳君

   理事 田中 良生君 理事 本田 太郎君

   理事 湯原 俊二君 理事 吉川  元君

   理事 中司  宏君 理事 中川 康洋君

      井原  巧君    石田 真敏君

      尾身 朝子君    金子 恭之君

      川崎ひでと君    国光あやの君

      坂井  学君    杉田 水脈君

      田畑 裕明君    寺田  稔君

      中川 貴元君    西田 昭二君

      西野 太亮君    根本 幸典君

      葉梨 康弘君    長谷川淳二君

      古川 直季君    保岡 宏武君

      おおつき紅葉君    岡本あき子君

      奥野総一郎君    福田 昭夫君

      藤岡 隆雄君    道下 大樹君

      阿部  司君    中嶋 秀樹君

      吉田とも代君    平林  晃君

      宮本 岳志君    西岡 秀子君

      吉川  赳君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   総務副大臣        馬場 成志君

   総務大臣政務官      西田 昭二君

   総務大臣政務官      長谷川淳二君

   総務大臣政務官      船橋 利実君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 信也君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中溝 和孝君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 畠山 貴晃君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 瀧澤  謙君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        豊岡 宏規君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            徳増 伸二君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 親家 和仁君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小林  豊君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局審議官)        山澄  克君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局審議官)        大槻 大輔君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   榊原  毅君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   藤田清太郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           藤野  克君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           湯本 博信君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山野  謙君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  田原 康生君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            小笠原陽一君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       玉田 康人君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            今川 拓郎君

   政府参考人

   (消防庁次長)      五味 裕一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           淵上  孝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           原口  剛君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           北澤  歩君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 山名 啓雄君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          市倉  昇君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月九日

 辞任         補欠選任

  鳩山 二郎君     杉田 水脈君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     鳩山 二郎君

    ―――――――――――――

五月七日

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会専務理事山名啓雄さん及び日本郵政株式会社常務執行役市倉昇さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木信也さん、内閣官房内閣審議官中溝和孝さん、内閣府大臣官房審議官畠山貴晃さん、内閣府大臣官房審議官瀧澤謙さん、内閣府地方創生推進事務局審議官豊岡宏規さん、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官徳増伸二さん、警察庁長官官房審議官親家和仁さん、警察庁長官官房審議官小林豊さん、個人情報保護委員会事務局審議官山澄克さん、個人情報保護委員会事務局審議官大槻大輔さん、デジタル庁審議官榊原毅さん、デジタル庁審議官藤田清太郎さん、総務省大臣官房総括審議官藤野克さん、大臣官房総括審議官湯本博信さん、大臣官房地域力創造審議官山越伸子さん、自治行政局長山野謙さん、自治行政局公務員部長小池信之さん、自治行政局選挙部長笠置隆範さん、国際戦略局長田原康生さん、情報流通行政局長小笠原陽一さん、情報流通行政局郵政行政部長玉田康人さん、総合通信基盤局長今川拓郎さん、消防庁次長五味裕一さん、法務省大臣官房審議官松井信憲さん、文部科学省大臣官房審議官淵上孝さん、厚生労働省大臣官房審議官日原知己さん、厚生労働省大臣官房審議官原口剛さん及び国土交通省航空局安全部長北澤歩さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。奥野総一郎さん。

奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。大臣、よろしくお願いいたします。

 今日はまずAIガバナンスからお伺いしたいんですが、私は、四月に二泊四日でOECDに委員派遣で派遣をしていただきまして、OECDグローバル議員ネットワークというところで発言をさせていただきました。コーマン事務総長にも直接お目にかかる機会を得て、いろいろお話をさせていただきました。

 この会合というのは、事務局からいろいろな個別の政策課題についての問題提起があって、各国の議員がフリートークをして提言する、こういう形だったんですが、例えばPISAテストの状況とかあるいは世界経済、そういうものに並んで、AIガバナンス及びOECDの役割というのが六項目の中の一つの柱として立っていました。そして、締めのセッションが民主主義の強化に関する特別セッションなんですが、その中で偽情報の話も取り上げられていました。偽情報、やはり印象的だったのは、ロシアの隣国の方々が非常に現実のものとしてこれを捉えていて、何としても対処してほしい、一体どうして対処するんだということを真剣に訴えておられたのが非常に印象的でありました。

 そうした中で、AIガバナンスについては、実はと言うと怒られますが、我が国が最初に提案して世界をリードしながら走ってきたということでありまして、私も今回OECDに行って初めて実感したのでありますけれども、そもそもG7の香川・高松情報通信会合で我が国が提案したのが始まりで、これは二〇一六年なんですが、それを受けて二〇一九年にOECDでAIに関する理事会勧告が採択された、その流れの中で昨年の広島AIプロセスというものを我が国が世界に提唱したということになります。ずっとこの問題は日本がリードし、コーマン事務総長からも感謝の言葉を得ましたし、セッションの中で広島AIプロセスの紹介をしましたけれども、コーディネーターの方からもわざわざ議事を止めて感謝の言葉をいただくこともできました。そういうことで非常に日本のプレゼンスが高いなというのを実感したわけであります。

 そして、この連休、OECDの閣僚理事会が行われまして、総理も行かれましたし、大臣も行かれたと承知しておりますが、この中で、二〇一九年のOECD勧告を改めて我が国の広島AIプロセスの流れを受けて改定したというふうに理解しております。大臣もそこに貢献されたというふうに理解していますが、閣僚理事会で改定されたAI原則の内容と、我が国はどういうふうにそこに貢献したかというのを伺いたいと思います。

松本国務大臣 今委員からも御指摘がありましたとおり、AI原則に関しましては、二〇一六年のG7高松会合での我が国の提案を契機としてOECDが二〇一九年に公表していただいたものでありますが、この時点から我が国としては、やはりOECDとの連携、特にAIに関しては国境を越えた連携もということでOECDとの連携を進めてきたところでありますが、これも今御指摘があったとおりでありまして、それ以降も、生成AIが急速に普及する、また偽・誤情報への対処が大変大きな課題となる、そして各国地域間のAIガバナンスの相互運用性の確保も取り組まなければならない、こういった課題が出てきたところであります。

 これも今御指摘をいただきましたけれども、昨年我が国はG7議長国として広島AIプロセスを立ち上げたところでありまして、この成果も踏まえて我が国からAI原則の改定について、ただいま申し上げましたような偽・誤情報への対処やAIガバナンスの各国地域間の相互運用性の確保などを盛り込むような形で提案させていただきました。閣僚理事会におきましては、AIをテーマとするセッションにおいて、私から我が国のこれまでの取組を紹介するとともに、セッションの議長を務めさせていただきまして、議論をリードする役割を務めたところでございます。

 委員からも我が国のプレゼンスについて言及をいただきましたけれども、今回のAI原則の改定におきまして我が国はしっかりと役割を果たせたというふうに認識しております。

奥野(総)委員 本当に我が国としてはいいことだと思うんですが、しかし、更に世界は一歩ずつ進んでいまして、OECDはあくまで強制力のない勧告でありますから、ある種世界に規範を示すということでありまして、決して縛りではないんですね。そういう意味で、ではどうやって強制力を持たせるかという話がこれから出てくるんです。

 EUは一歩進んでおりまして、この三月にAI規則がEU議会で可決されたということであります。規則というのは勧告と違って、直接EU全土に対して規制がかかる、直接縛りがかかるというものでありますから、それが既に可決されたということでありますが、このEUのAI規則の内容について伺いたいと思います。

徳増政府参考人 本年三月に、EUのAI法案が欧州議会で賛成多数で承認をされております。

 本法案は、イノベーションを促進しつつ、安全性や基本的人権の遵守を確保することを目的としたものであります。具体的には、リスクベースのアプローチを採用しておりまして、四段階のリスク、具体的に申し上げますと禁止されるAI、ハイリスクなAIシステム、限定リスクのAIシステム、最小リスクのAIシステムの四つでありますけれども、これらのリスクに応じてAIの義務を設定している次第であります。

 また、罰則としまして、違反企業の前会計年度の年間売上高に対する一定割合又はあらかじめ定められた金額のいずれか高い方が罰則として科されることになっております。

 本法案の成立には今後EU理事会において承認される必要がありまして、引き続きその動向を注視してまいりたく存じます。

奥野(総)委員 成立目前と言っていいと思うんですが、結構厳しいんですね。

 許容できないリスクのあるAIというのは禁止、ハイリスクのものについては規制というのは分かります。規制のところは後ほどちょっと伺いますが。禁止は四つの類型があって、サブリミナルな技法とか、あとは公的機関のソーシャルスコアリングということで、自然人に害や不利な取扱いなどをAIはしてしまう、こういったところは禁止になっている、非常に厳しい、ある意味一歩進んだもの、どこまでこれを日本に適用するかというのはありますが、しかし、これは走り出したら少なくともGDPRと同じように、EU域内においてはこういう規制はかかるわけです、日本にも波及してくるんじゃないかというように思うので、日本はこのままでいいのかという問題が提起されていると思います。

 もう一つ、米国はどうなっていますか。

徳増政府参考人 米国でありますけれども、昨年七月にバイデン大統領はグーグルやマイクロソフト等の大手AI開発者とともに、安全性やセキュリティー、信頼性の確保などを内容とする自主的コミットメントを発表したところであります。

 また、昨年の十月に発出しました大統領令では、各省庁に対して、既存の法令、予算を活用し、イノベーションの促進とリスクへの対応を指示し、デュアルユース基盤モデルの開発企業等に報告義務を課すなどの安全、安心で信頼のできるAIの実現に向けた取組を行っているところです。

 こうした米国の対応を含め、海外の動向については引き続き注視をしてまいりたいと存じております。

奥野(総)委員 米国はなかなか立法化まで進むには時間がかかると思いますが、大統領令が出ているということなんですね。OECDの話はあくまでガイドラインだと思うんですが、そこからどうやって駒を進めていくかということでありまして、EUは一歩進んでいる、アメリカもそこを考えているということであります。

 さっき規制の一例というのを申し上げたんですが、顔認証、日本は結構そこが緩くて、カメラがあちこちに置いてあって、顔認証のシステムなんかが配置されているやに聞いています。EUの規制法だと、自然人の生体識別・分類とここにありますが、ハイリスクAIに分類されています。そこの例として、民間企業による自然人の遠隔生体識別と。これは規制の対象にEUでは法案が成立したらなるということなんですが、では我が国では、今ちょっと申し上げましたけれども、例えば街頭のカメラを使って顔認証システムを使ってデータ収集すること自体は何らかの規制の対象になるんでしょうか。

徳増政府参考人 EUの法案では、民間企業による自然人の遠隔生体識別はハイリスクAIに分類をされておりまして、規制対象となっており、リスク管理システムや品質管理システムの担保、適合性評価などが求められているところです。

 なお、何でもかんでも対象となるというわけではなくて、ハイリスクAIとして規定されているものであっても、自然人の健康、安全又は基本的権利に重大な危害を及ぼすリスクがなければハイリスクAIシステムとはみなされないといった旨が具体的な要件とともに同時に規定されているところであります。

 他方、我が国においては、委員御指摘のような事例について、AIに特化したものとして現時点で特段の規制はないものと認識をしています。

奥野(総)委員 それは、例えば犯罪の捜査とかそういうもの、あるいは、どうなのかな、感染症のときに体温とか、特定の場合には許される場合もEUだってあると思うんですが、日本は恐らく全く今のところは考えられていないんですね。だから、民間企業が街頭にカメラをいっぱい設置して、顔認証で、例えばお買物の様子を全部撮って感情を分析して、この人はこれを買おうとしているとか次は何を買うのかというのをデータ収集したとしても、恐らくそれ自体は直ちに違法とはならない、自由にできるということだと思います。それをよしとするかどうかということなんですね。

 さらに、EUの方はGDPRの話がありますが、顔面画像等の生体データ、これは個人情報にEUではそもそも当たるんですね、個人情報なんですよ。特別なカテゴリーの個人データに当たって原則として取扱いが禁止されるということなんですが、では我が国は、カメラが設置されて撮られた顔の情報、個別の生体情報というのは個人情報に当たるんでしょうか、何らかそういう意味の規制はあるんでしょうか。

山澄政府参考人 お答え申し上げます。

 AIとの絡みということで限定はしておりませんけれども、我が国の個人情報保護法上も、例えばですが、顔の部位の位置及び形状から抽出した特徴情報を本人を認証することを目的としたソフトウェア等によって認証できるようにしたものにつきましては、個人識別符号といいまして、個人情報の一類型といたしまして個人情報保護法上の規律がかかります。

 規律の具体的な中身といたしましては、例えばですが、利用目的をできる限り特定して、それを本人に通知又は公表しなければならないですとか、不正の手段によってそれを取得してはならない、あるいは違法、不当な行為を助長するような方法によって利用してはならないというような規制がかかっているところでございます。

 いずれにいたしましても、こういうような規律をしっかり遵守していただくべく、我々として日々やっているところでございます。

奥野(総)委員 容易照合性という概念があって、ただいっぱい撮影して、匿名性を持って、AIを使って分析するような場合というのは個人情報に当たらないんじゃないですかね。

山澄政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しませんけれども、先ほど申しました一定の要件に該当します顔の部位等々の情報につきましては、個人識別符号ということでございまして、定義上個人情報になるということでございます。

奥野(総)委員 その上で、更に第三者への提供があるかないかで変わってくるんですが、例えば、どこかの町で企業が公開実験を行いますといって公表した上でカメラをいっぱい設置して、それを自社で使う、第三者に提供しない、一応形式的な通知もされているし第三者には渡さないといった場合に、これは特段、個別の本人への通知というのはなくて大丈夫なんでしたっけ。

山澄政府参考人 繰り返しになりますけれども、個人情報の取扱いに当たりましては、利用目的をできる限り特定いたしまして本人への通知又は公表をするということになってございます。

奥野(総)委員 今の話だと、公表すればいいんですよね。だから、例えば大きな町でカメラがそこら中に置いてあって、第三者に渡さないという前提でどこかの企業が撮影して、それをAIを使って分析する、それを蓄積すること自体は決して違法ではないということになります。本人の同意も要らないということなんですよ、これが果たしていいのか。GDPRだと恐らく原則としてこういうのは禁止になるし、今言ったAI法だとこれも禁止に恐らくなるんでしょうから、日本だけが突出して緩いと思うんですね。

 昔「1984」というオーウェルの小説がありましたけれども、そこまでとは言いませんが、やはり一定程度規制があった方がいいと私は思うんですよ。個人情報ももう少し厳しくすべきだし、AIについてもリスクに応じてというやり方をして特定のものについては禁止又は規制をかけるということが私はあり得べき姿だと思うし、現にGDPRを見たって、EUが国際標準に今なりつつありますから、そこをやはりEUに握られてしまうというか、そういうおそれもある、既になっていると思うんですが。

 せっかくこれまで日本が走ってきたわけですから、報道によれば、規制を法制化するということは検討されているとも報道されていますが、総務大臣として、一定の規制をかけていく、ソフトローじゃなくてハードローでかけていくということについてどのようにお考えでしょうか。

松本国務大臣 AIに係る規制については様々課題があろうかというふうに思います。委員もよく御案内のとおり、安全性を確保するという意味で、違法・有害情報や偽・誤情報によって財産権を始めとする人権が侵害されるおそれがあったりするわけでありますし、民主主義への影響も御案内のとおりでありますが、これら安全性を確保するために、規制と同時にイノベーション、技術の進展を阻害することもできませんし、もちろん表現の自由を始めとする自由を確保することも大切であるということで、大変課題の多い中での規制になろうかと思いますし、また、これも委員御案内のとおり、デジタルはボーダーレスですので、国際的な協調も必要であろうかというふうに思っております。

 そういった中で、先ほど委員とも御議論させていただきましたOECDの原則改定、広島AIプロセスの進展ということで、広島AIプロセスフレンズグループの立ち上げを総理から公表して、現時点で五十か国近くの参加が表明され、アウトリーチの取組を進める。

 また、我が国としてはこういった世界のルール作りと足並みをそろえて、国内において関係府省が連携して先月AI事業者ガイドラインを策定したところで、現在、周知、普及に取り組んでいるところでありますが、AIに関する法規制の在り方につきましてはAI戦略会議等政府全体で検討していくものと承知をしておりまして、総務省として申し上げられることは、関係府省と連携して積極的に貢献してまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 確かに、最大公約数、あるいは縛りをかけないであるべき姿を描いてみせるのも大事なんですが、やはりEUは力が大きいですから、そこにこれからどんどん引きずられていくようなことにならないように、我が国は我が国でしっかり考えて、むしろEUとすり合わせながらやっていくというぐらいのことを考えていかれるべきだと思います。

 AIはありとあらゆる分野に利いてきますから、自動運転からですね、我々の生活のあらゆる分野に入り込んできますから、そこで暴走したり誤作動となるかどうか分かりませんが、そういったものも含めてきちんと規制を一定程度かけていかないと、日本が実験場のようになっても困るんですね、アルトマンCEOがわざわざ岸田さんに会いに来たのは日本が規制が緩いからというふうにも言われていますから。もちろんイノベーションも大事だし、規制のかけ過ぎはよくないと思いますが、そこをしっかり考えながら政府としてやっていただきたいというふうに思います。

 この問題については以上です。

 次は選挙妨害についてですが、まず、公職選挙法の選挙の自由妨害罪、二百二十五条に書かれています。古い法律なので、選挙運動者又は当選人に対し暴行若しくは威力を加え又はこれをかどわかしたときとかいう規定もあります。一方で、交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもって選挙の自由を妨害したときと。これは相当広く書かれていると思うんですが、この解釈について伺いたいと思います。

笠置政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員御紹介がございました公職選挙法第二百二十五条でございますけれども、選挙の自由妨害罪というのが規定をされております。同条第一号におきましては、選挙に関し、選挙人、公職の候補者、選挙運動者等に対し暴行若しくは威力を加え又はこれをかどわかしたとき、同条第二号におきましては、選挙に関し、交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもって選挙の自由を妨害したときは、その行為をした者は四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処するとされております。

 個別の事案が公職選挙法の規定に該当するか否かにつきましては、具体の事実に即して判断されるべきものと考えております。

奥野(総)委員 私も東京十五区に応援に入ったんですが、私のいるときも、ある陣営が演説しようとしているところに車を乗りつけて、大音量でそこにいる人の、誹謗中傷なんでしょうね、的なことを繰り返し演説するとか、あるいは私の同僚なんかも車を追跡されたりとか割り込みとか相当荒っぽいことをやられたようですが、これは交通の便を妨げる、例えば車を割り込んできたりつけてきたりする、そういうのは交通の便を妨げることに当たるでしょうし、そこにいられなくなるわけですから集会の便を妨げるということになるでしょうし、端的に言うと演説妨害に当たるということだと思います。

 一般論として、ある陣営が演説をしているところに別の陣営がやってきて、横で大音量で演説をしてきた、内容は別に選挙演説でも何でもいいんですが、来て演説ができなくなったというような場合は、これは二号に当たると言えるんでしょうか。

笠置政府参考人 個別の事案ということでございまして、あくまでも解釈というか一般ということでございますが、第二号で言います演説を妨害しというのは、一般的な解釈として、選挙のための演説が行われるに当たって演説を不能にしたり又は聴取しにくくなる等演説そのものに対して妨害行為をすることをいうものと解されております。

奥野(総)委員 最高裁の昭和二十三年判例というのがあって、聴衆がこれを聞き取ることを不可能又は困難ならしめるような所為があった以上、これはやはり演説の妨害である、こういう最高裁判決もありますし、戦前の大審院判例だと、拍手をずっとし続ける、これも妨害に当たるという事例があるわけです。

 今回ちょっと気になるのは、相手方も表現の自由、選挙の自由があるんだから取り締まれないんだというような論調もありますが、そうではなくて、今のは一般論ですけれども、明らかに妨害に当たるような事案がある場合は、拍手でも大音量による演説をかぶせるのでもそうなんですが、選挙の自由妨害罪に当たり得るということなんですよね。だから、表現の自由の名の下に何でもやっていいというわけではないわけなんですよ。

 警察庁に伺いますが、NHKのニュースに出ていましたけれども、警視庁は十五区の補欠選挙で公職選挙法違反に当たるとして合わせて六件の警告を出して、このうち演説の自由を妨害した自由妨害の警告が一件あったとありますが、事実関係はいかがでしょうか。

親家政府参考人 委員から関連報道の内容について今御紹介をいただきましたけれども、今回の衆議院東京都第十五区の補欠選挙の違反取締りにおいて、警視庁はこれまでに六件の警告を行っており、そのうち一件は選挙の自由妨害に当たるものであったと私どもは報告を受けております。

奥野(総)委員 ちなみに私の後学に。警告というのは我々もよく言われるんですよ。僕らも看板が駄目だとかのぼりが駄目だとかという警告を受けることもあるんですが、この警告というのは法律上の概念なんでしょうか。

親家政府参考人 お答えいたします。

 警察において選挙違反の取締りを行う際に実施する警告は、公職選挙法に規定された制度ではなく、行政指導と位置づけられているものでございます。

 この警告につきましては、個別の事案における違反の態様等を勘案して、違法状態の早期除去と続発防止を図る観点から実施しております。

奥野(総)委員 そうすると、少なくとも、警告を発したということは、その六件の事例については違法状態にあったというふうな認識でよろしいんでしょうか。

親家政府参考人 公職選挙法に触れる行為があったというふうなことでございます。

奥野(総)委員 違法だったとの認識があったということなんですが、その上で、この警告の曖昧さというか、確かに、僕ら選挙をやる側から見ると、一発で罰金とかとやられると、待ってくれよという話に皆さんはなると思うんです。こういった特に悪質な事例の場合に、違法と認識をしていてあえて、立件という言葉がいいのかどうか分からないんですが、罰金刑まで持っていかないというのは何か理由があるんですか。

親家政府参考人 お答えいたします。

 警告につきましては、公職選挙法違反に当たる行為について、まさに選挙実施中であることに鑑みまして、違法状態の早期除去や続発防止を図る観点から行う行政指導であるというふうに認識しております。

 その上で、一般論として申し上げますと、当該違反行為については、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処するものと承知しております。

奥野(総)委員 選挙は終わったわけですね。選挙の自由というのは確かにあるんですが、よく選挙が終わった後に、いろいろな選挙違反事例を警察の方が動かれて立件していくということはよくあるんですが、では今回はそういうことがあり得る、あるいは引き続き捜査を、これもなかなか個別情報なので難しいかもしれませんが、捜査を引き続きしているということはあり得るんでしょうか。

親家政府参考人 お答えいたします。

 個別の事案について、捜査しているとかしていないとか、こういったことについてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、警察としては、個別の事案の具体的な事実関係に即して、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処していくこととなると考えております。

奥野(総)委員 今日は違法だということを認められたのはよかったと思いますし、選挙の自由妨害罪は結構幅広く書いてありますから、実はこういう事例には結構使える法律のはずなんですよ。だから、あとは運用の話であって、こうしたことが二度と起こらないようにするためには、きちんとそれなりの罰則をかけるというのはあり得べきだと私は思います。今はこれ以上おっしゃれないでしょうけれども、そこはきちんと範を示していただきたい。

 もしこれが警告に終わるのであれば、繰り返しこういうことがまた繰り返されると思うんですよね。法律改正という話も出てきていますが、改正を幾らしても結局、運用がきちんとされなければまた同じことが起こり得ます。ですから引き続きしっかりやっていただきたいと思いますし、今の話でいうと、いわゆるされた側もきっちり動画とかを押さえて撮っておけば、選挙が終わった後に告発をすれば応じていただけるということになりますよね、一般論として。

親家政府参考人 お答えいたします。

 告発等がなされた場合は、刑事訴訟法にのっとり適切に対処していくこととなると考えております。

奥野(総)委員 やる方は言語道断ですが、やられる側もしっかり対処して、こうしたことが起きないようにしていかなければならないと思います。

 せっかく大臣に来ていただいていますから、この事案について、公職選挙法の所管大臣として、どうあるべきと思われますでしょうか。

松本国務大臣 公職選挙法の所管大臣として申し上げられることは立場にのっとってということになりますが、一議員として申し上げれば、これまで私が感じてまいりましたのは、民主主義をいわば担う者として党派を超えてフェアプレーの精神で選挙はなされてきたのではないかと思います。個別の事案についてコメントすることは難しいところがありますが、報道されているとおりであるとすれば、これまでになかったような局面であると感じるところが一議員としてあったことは事実であります。

 そんなような中で、街頭演説の意義はここにおられる皆さんに私から申し上げるまでもないかというふうに思いますが、私自身も街頭演説を行う中で、訴えるとともに有権者の皆様の雰囲気を感じ取ることもできるといった意味でも大変有意義なものだというふうに考えているところでありますし、有権者の皆様にとっても様々選択のための情報を集める場としても大切な機会ではないかというふうに思いますので、街頭演説の自由な実施は守られる必要がある、候補者であったとしても、選挙に関して、他の候補者が行う街頭演説への妨害を行えば公職選挙法上の選挙の自由妨害罪の処罰の対象となり得るということは改めて申し上げなければならないかというふうに思っております。

 法を犯すことなく公正、適切に選挙運動を展開していただくことが大切ではないかというふうに改めて痛感するところでございます。

奥野(総)委員 大臣、ありがとうございました。

 とにかく、東京十五区の事例、全部は把握されていないと思いますが、少なくとも警察が把握したものについて違法だという認識があった、違法であると今日は答弁をいただきましたので、ここはしっかり押さえていきたいと思います。

 最後に、能動的サイバー防御について伺います。

 昨日、新聞に、能動的サイバー防御の導入に向けて有識者会議を五月にも設置し、早ければ今秋の臨時国会で関連法の改正を行うという報道がありましたが、事実関係はいかがでしょうか。

 時間が近づいておりますから、もう一問重ねます。記事によると、そこで電気通信事業法の通信の秘密の改正などというのも例に挙がっていましたが、この問題というのは、通信の秘密との関係ではどういう問題があるんでしょうか。これも憲法上の通信の秘密と理解していますが、一般的な正当防衛や正当業務行為で違法性阻却はできないのか、あるいは公共の福祉の関係から突破しようとしているのか、その辺も伺いたいと思います。

中溝政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の有識者会議について、現時点において具体的に決定していることはございません。

 他方、我が国のサイバー対応能力を向上させることは、現在の安全保障環境に鑑みると、ますます急を要する重要な課題でございます。このため、可能な限り早期に能動的サイバー防御を可能とする法案をお示しできるよう、現行法令との関係等を含め、様々な角度から検討を加速しているところでございます。

 有識者会議の開催については、こうした検討状況も踏まえ、できる限り早期に開催できるよう努力してまいりたいと考えております。

 次に、通信の秘密との関係の御質問がございました。

 国家安全保障戦略におきまして、武力攻撃に至らないものの、国、重要インフラ等に対する安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃のおそれがある場合、これを未然に防止し、また、そのようなサイバー攻撃が発生した場合の被害の拡大を防止するため能動的サイバー防御を導入することとされ、そのための取組の一つとして、国内通信事業者が役務提供する通信に係る情報を活用し、攻撃者による悪用が疑われるサーバー等を検知するため所要の取組を進めるとされたところでございます。

 こうした場合の通信の秘密に関する考え方につきましては、現在、公共の福祉の観点を含めまして、憲法その他の現行法令との関係など、様々な角度から政府全体で検討を進めているところでございます。

 いずれにせよ、我が国のサイバー対応能力を向上させることは現在の安全保障環境に鑑みるとますます急を要する課題でございますので、可能な限り早期に法案をお示しできるよう検討を加速してまいりたいと考えてございます。

奥野(総)委員 これはなかなか難しくて、例えば察知した場合に相手方に未然防止をするというときに、相手方の外国のサーバーに不正アクセスを、不正かどうかということもあるんですが、不正アクセスをすることになりますから、これをどうかいくぐっていくのかというような問題もぱっと思いつくだけでもあるので、しっかり論点整理をしていただきたいと思いますし、一刻も早く国会で、この場で議論させていただければと思います。

 私からは以上です。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、岡本あき子さん。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私から、まずはマイナンバーカードについて伺います。

 マイナンバーカード、行政サービスのデジタル化を進める上で基盤として重要だという説明をずっと政府はなされていらっしゃると思います。私もそれは非常に重要だと思っています。だからこそ、カードで取り扱う情報のセキュリティー、それからカード自体への信頼、そしてカードを使うことでのメリット、利益というのを国民がしっかり享受できる、これが大前提でなければならないと思っています。

 資料を一枚めくっていただいて、資料二から先にお伝えさせていただきます。出典が松田憲幸市議のブログによるものですけれども、ヤフーニュースに載っていたものです。偽造のマイナカードで機種変が可能となって二百二十五万円の高級腕時計が買われた、要はカードを利用されて、直接カードでということではないですが、カードの偽造ということが原因になって事件があったということです。身分証明としてのマイナカードの価値が上がれば上がるほど悪用されるリスクもあるということは容易に想像できますけれども、やはりカードの信頼を向上させるためにも防止策の強化が必要ではないかと思います。まずは総務大臣に所感を伺いたいと思います。

松本国務大臣 御指摘の事案については、捜査中の事案であり、個別の事案についてはコメントを差し控えさせていただきますが、一般的に申し上げれば、マイナンバーカードは特殊な印刷技術によって券面の偽造防止措置が取られています。また、内部の情報を読み取ろうとすると内容が消去される機能を有するICチップを活用しているなど、様々セキュリティー対策が講じられております。

 カードの利用の場面では、カードの中のICチップに記録されている正しい券面情報を確認することにより券面の真贋性を確認することもできまして、不正利用を防ぐ対策は講じられておりまして、是非申し上げた機能を活用して安心してカードを利用いただけるよう、カードのセキュリティーについて引き続き周知を図っていきたいと思っております。

岡本(あ)委員 マイナンバーカードで身分証明としては非常に最高レベルの身分証明になるよということをお伝えする一方で、カードの信頼ということはしっかり政府としても注視をしながら、いろいろな、取り方ですとかあるいはカード自体の偽造防止、こういうところに御努力をいただきたいと思います。

 そして、残念ながら再び、コンビニ交付で他人の住民票が出力されるトラブルが起きました。行政指導の上にまた行政指導という状況だと思います。残念ながら再発防止になっていないと思います。この点についても総務大臣にお答えいただきたいと思います。

松本国務大臣 コンビニ交付サービスにつきましては、多くの国民の皆様に利用いただいておりまして、ニーズが高く、利便性も一定程度評価をいただいているかと思っておりますが、それだけに正確なコンビニ交付を行うことの重要性が高いわけでありまして、誤交付が発生したことは極めて残念であります。

 御承知のとおり、昨年度、富士通Japan社は、同社が契約を行っている全ての地方自治体において別人交付につながるプログラムに対処する修正プログラムの適用が漏れていないか総点検を行ってもらい、再発防止策を着実に実行すると報告を受けたわけでありますが、残念ながら、それにもかかわらず、今般、総点検後に新たにシステムを導入した高松市において修正プログラムの適用漏れ等による別人の証明書の誤交付事案が再発しました。総務省としてはこれを重く受け止めて、同社に対して文書により厳重注意を行い、当該適用漏れの原因究明及び再発防止対策の徹底等を求める行政指導を行ったところであります。

 行政指導に当たっては、再発防止の実効性を図るため、今般の事案の原因の速やかな究明と組織上、管理上の責任の所在を明らかにすることに加えて、同社が提供する全ての当該システムについて本事案はもとより過去に発生した事案に対処するプログラムの適用誤りがないかを改めて点検すること、及び、今後誤交付を起こさないための対策として未知のプログラム誤りにも対応できるようないわゆるフェールセーフ機能についてできる限り早期の適用を行うことなどの徹底した再発防止対策を求めました。これらの措置について少なくとも今後一年間は四半期に一度、進捗状況の報告を求めております。

 総務省としては、実効性の観点からも報告に不十分な点がある場合は追加的な対策を求めることも含め、再発防止対策の徹底に努めてまいります。

 なお、自治体に対しましても、コンビニの誤交付が発生したことに関する情報提供にもしっかりと努めてまいりたいと思っております。

岡本(あ)委員 再発防止という言葉は再三聞くんですけれども、残念ながら同じことが起きてしまう。マイナ保険証と住民基本台帳とのひもづけも新たに五百四十五件のミスがあったという追加の報告がありました。

 私は、住民票とか、特に戸籍謄本などは本人にとっては重要なプライバシー情報なんです、こういう情報を扱っているという緊張感がそもそもないのではないかと。これは受注をした業者さんのミスというところもありますが、そもそも政府側、発注側というところについても個人情報を扱っているという緊張感は是非政府を挙げて、また全国の自治体で持っていただきたいと思っています。

 行政は、行政だけに限らずかもしれないんですが、悪用されなければ、次からは気をつける、再発防止ということで収まっている。民間も個人情報の漏えいはありますけれども、企業の信頼に直結するものなので、いろいろな意味で信頼回復されていらっしゃる部分があります。そういう意味でいきますと、マイナンバーカードに限らずですけれども、個人情報漏えいに対する責任と罰則が行政側というのは、全体もなんですね、全体もまず個人情報の漏えいに対する責任と罰則が軽いんじゃないか、特に行政というのは個人情報を漏えいした場合の対処が甘いのではないかと私は思っています。

 資料を二つめくっていただいて、資料四を御覧ください。

 個人情報保護委員会にお聞きをしたいんですけれども、民間事業者、行政機関、それから地方公共団体の機関、独立行政法人、三種類で、行政機関、地方公共団体の方は令和三年から強化はされましたけれども、例えば一番最後、勧告、命令が民間事業者にはありますけれども、行政に対しては勧告で終わることになっています。民間と比べても行政が結果として制度上甘くなってしまっているんじゃないかと思いますけれども、やはり民間との違いという部分はせめて一緒にするべきだし、さらに、民間も含めて、個人情報が漏えいし悪用されて、結果、何かに使われて損害が発生した場合というのはあるとは思うんですが、漏えいしたことをもってということは私はかなり甘く思えるんですが、この点、個人情報保護委員会としてはどう受け止めていらっしゃいますでしょうか。お答えください。

大槻政府参考人 お答え申し上げます。

 個人情報の漏えい等に対する個人情報保護法上の規律については、個人情報保護委員会の権限行使として、民間事業者に対しては正当な理由がなく勧告に係る措置を取らなかった場合には命令を行うことができ、当該命令に違反した場合には罰則があるのに対し、行政機関等に対しては勧告までであるなどの違いがございます。これは、我が国の行政組織の体系上、個人情報保護委員会と他の行政機関は対等であること、行政機関が勧告に従わない事態は想定されないことが理由です。

 他方で、行政機関等は民間部門と異なり、法令等により個人情報等を取得する権限を有し、また保有する個人情報が多大となり得ることから、透明性と信頼性の確保が特に重要であることを踏まえ、個人情報保護委員会においては、行政機関等に対して計画的な実地調査を行い、法令やガイドラインに基づく適切な対応が行われているか確認をしています。また、漏えい等の事案が発生した行政機関等に対しては、再発防止等の取組が的確に行われるよう指導助言を行うなどの取組を行っているところです。

 今後とも引き続き行政機関等に対する個人情報の適切な取扱いの確保に努めてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 行政機関同士ということで組織上の限界があるということは、保護委員会の立場ではそのとおりだと思いますけれども、やはり民間と比べても行政が甘いと受け取られることになる、令和三年から法改正で強化をしたとはいえ、やはり個人情報の取扱いに対して行政機関それから地方公共団体については甘く見えてしまう、このことがかえって問題になるんじゃないかということは強く指摘したいと思います。これは政府を挙げての課題だと思いますので、これからも確認をしていきたいと思います。

 さて、マイナンバーカードに戻りたいと思います。

 マイナンバーカードでコンビニ交付、非常に便利になってきたと先ほど総務大臣からも御答弁がありました。一方で、市町村役場で窓口にマイナンバーカードを持っていって、例えば住民票の発行、印鑑証明等の発行をお願いしたいと役場の窓口にカードを持っていった場合、市役所、町村役場ではマルチコピー機がないために窓口ではマイナンバーカードを持ってこられても発行ができません、なので手書きで申請書を書いてください、あるいは印鑑証明の場合は印鑑登録証を持ってきてくださいという自治体が今もございます。

 該当するところにお聞きしたんですが、大きな自治体は速やかにマルチコピー機を配備したということをお聞きしましたが、やはり小さい自治体でこの端末を整備する予算が正直厳しいというお声を聞いております。マイナンバーカードの活用を推進する総務省として是非こういう、人口が少ない、あるいは予算規模が小さい自治体、そういうところに、マイナンバーカードを役場でも使えるように全面的な支援を求めたいと思います。総務大臣、お答えください。

松本国務大臣 デジタル技術を活用して公共サービスを維持強化することは、人手不足も言われる中、大変重要だと思っておりまして、特に今委員からもお話がございました住民と自治体行政との接点であるフロントヤードのいわばDXを進めていくためには、やはり自治体の規模によってある程度対応を考える必要があるということで、人口規模別の先進モデルの構築を小規模団体も含めて進めておりまして、オンライン申請、ワンストップ窓口の実現など、住民との接点の多様化、充実化を図ってまいりたいと考えております。

 マイナンバーカードは対面でもオンラインでも安全、確実な本人確認を行うことができる、地域のDXの基盤となるツールであるということは申し上げてまいりましたとおりでありまして、フロントヤードの先進モデルにおきましてはカードを活用した証明書交付サービスや書かない窓口の導入等が進んでおりまして、これらの効果も示しながら、小規模団体におきましても広く活用されるよう全国への横展開につなげてまいりたいと思っております。

 なお、マイナンバーカードを活用した証明書の交付につきまして、コンビニ交付サービスと同様の端末を自治体庁舎内に設置する場合におきましても、その導入経費等について特別交付税による支援の対象としておりますので、地方公共団体の積極的な取組を期待したいと思っております。

岡本(あ)委員 既存の制度があるのは存じ上げておりますが、それがあっても整備できないという悲鳴が特にやはり予算規模が小さい自治体で起きております。小さい役場に行って、マイナンバーカードで欲しければ近くのコンビニに行ってくださいという案内をされる、ところが、小さいので、コンビニも非常に離れたところにあって、コンビニも便利なところにない、そういうところだからこそやはり役場でワンストップで、できればマイナンバーカードでできるのであればそれにこしたことはないと思いますので、既存の制度を使ってくださいで今の現状が起きているということは是非御認識いただきたいと思いますし、それを踏まえて、規模別という御答弁がありましたので、更なる御支援を求めたいと思います。

 さて、資料一を御覧いただきたいと思います。

 マイナンバーカードに保険証を載せてください、今年の十二月で保険証は廃止しますという方針をいまだに変えておりません。マイナ保険証をベースにするという考え方には私は異論を唱えませんし、そうであれば、マイナ保険証を使うことでより本気でメリットを享受できるようなメニューを更に増やしていただきたいと思います。残念ながら、今の医療制度、データを照会できるだけでは御本人からすると大きなメリットとは考えられていないというのが利用率の低迷にも表れているんだと思います。

 マイナ保険証を望まない、あるいは取得できない、そういう方に対して既存の保険証廃止を声高に言うのではなく資格確認書を発行するという説明がありました。私は、マイナ保険証を持たない方には資格確認書をこれからもずっと発行し続ければ誰も取り残さないことができるんだと思います。

 では資格確認書とは一体どういうものなのかというところを資料一に示しました。左側が、国民健康保険の今発行している保険証のひな形、デザインです。右側が、マイナ保険証になって保険証を廃止した後に資格確認書として発行する予定の様式です。何が違うんだろうと思ったら、まず健康保険証と資格確認書という名前が違っています。右側に負担割合が資格確認書は増えているんですが、国民健康保険だと多分七十歳以上の方は負担割合が変わることがあるから資格確認書ではここが増えているのかなと思うんですが、今発行している保険証と変わらないんじゃないかと思うんです。

 まず一つ、記載、中身で何が変わるのか。それから、保険証を使うことと、資格確認書、右側を使うことで、医療を受診する意味での機能ですね、機能で何か違いがあるのか。この点、厚労省に伺いたいと思います。

日原政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、御指摘のございました記載事項でございますけれども、これは、御指摘されましたような、名称が違うという以外に大きい変更はないということでございます。

 それから、機能についてでございますけれども、現行の保険証と資格確認書はいずれも保険診療を受ける際に医療機関等で提示いただくことで被保険者資格の確認を受けることができるという、同じ効果を有しているものでございます。

岡本(あ)委員 同じものなんですね。なので、被保険者証という文字を資格確認書と変えるためにシステムを変えるのであれば、これほど無駄なことはないんじゃないかと私は思うんです。別に健康保険証の名前でいいんじゃないかと思います。七十歳以上の国民健康保険の被保険者証には同じように、負担割合という資格確認書と同じ記載があります。今までの健康保険証の仕様でこのまま発行し続けていいんじゃないか。わざわざ、廃止しますよ、廃止しますよと、資格確認書がないと医療を受けられないかのような不安をあおる、そういうやり方をやめて、引き続きこのまま同じ様式のものを発行し続けますよ、これをなぜ言えないんでしょうか。厚労省、もう一度お答えください。

日原政府参考人 お答えを申し上げます。

 資格確認書についてでございますけれども、これは、保険証の廃止後はマイナンバーカードにより受診いただくということを基本としました上で、マイナンバーカードでオンライン資格確認を受けることができない状況にある方を対象に、改正法の規定に基づき新たに創設するものでございます。

 全ての加入者の方に交付を行っております現行の保険証とは対象者等が異なることから、資格確認書という名称で発行いただくこととしているものでございます。

岡本(あ)委員 それがコストの意味でも無駄ではないかということを指摘しております。

 大前提として、信頼があること、利益、メリットが享受できること、それからやはり誰も取り残さないこと、これがデジタル化の大前提でありますし、その象徴としてこのマイナンバーカードを使われるとすれば、マイナ保険証を望まない方、あるいは載せたくても載せにくい方もいらっしゃると思います、そういう方々に、原則から外れているから資格確認書も当面としか説明を今のところはしておりませんが、まあ五年間と聞いておりますけれども、五年後もずっとこれを発行し続ける、だから誰も取り残しませんよということをしっかりお伝えする方がデジタル化への信頼度を増すと私は思います。

 あと、マイナ保険証を持った方にも資格情報のお知らせというものを送るというのもちょっとお聞きしたんですが、これは事実でしょうか。ごめんなさい、通告をしていませんが、分かりましたらお答えください。

日原政府参考人 お答えをさせていただきます。

 マイナ保険証をお持ちの方につきましても、これは、被保険者の方に付与されます記号、番号、枝番、そういった御自身の被保険者資格、こういったものを簡易に把握いただけるように、マイナ保険証の保有者の方に対しては資格情報のお知らせをお送りすることとしてございます。

岡本(あ)委員 結局は全員に郵送をかけるんですね。マイナ保険証を持っている人には資格情報のお知らせというもの、マイナ保険証を持っていない人には資格確認書というものを送る、わざわざこれを仕分してそれぞれ郵送をかけるというのは、健康保険の組合にとっては仕事が増える可能性がある。それから、郵送コストが減る減ると今までずっと説明でいただいていたんですが、結局は全員に郵送をかけるということは、効果という意味でも果たしてどうなのかというところは感じております。

 マイナ保険証を持つことで医療的な利益を、もっともっとメニューをどんどん増やしていくということがまずはあるべきだし、それを持った方が明らかな利益があるよということで国民が享受できれば、もっと利用率は上がっていくと思います。一方で、持たない人に対して引き続きコストをかけない形で配慮していくということを考えると、既存の保険証を今までどおり全員に郵送するというだけで済むんじゃないかと私は思っておりますので、わざわざ声高に不安をあおるようなことは控えていただきたいと思います。

 次の質問に行きますが、マイナ保険証に加えて運転免許証もマイナンバーカード掲載が可能となります。しかし、健康保険証や運転免許証は今まで本人確認をするための証として使われてきたという今までの経験がございます。

 マイナンバーカードに全部載せてしまうと、例えばマイナンバーカードを紛失してしまいましたと再発行を求める際に、間違いなく本人だというIDを示してほしいと言われると思います。ほかの委員会でも質問しましたが、顔写真つきだとパスポートという話でした。パスポートを持っていないと、免許証をマイナンバーカードに載せてしまうと顔写真つきの本人確認できるものがなくなってしまうんじゃないか、なのでかえって不便と感じる人もいるのではないでしょうか。

 例えば、役場にマイナンバーカード再発行をお願いしたいよと言うと、多分本人確認を求められると思います。全部マイナンバーカードに載せてしまうということがかえって不便になるのではないかという点について、総務省でお答えいただきたいと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードを紛失した方が再交付を希望する場合でございますが、お住まいの市区町村において紛失届を提出した上で、再交付の申請書により再交付申請を行うことになります。

 申請、交付に当たりましては、本人確認書類を用いて本人確認を行うことになりますが、その際に必要な書類については、一つには、お話がありましたパスポートなどのマイナンバー法の主務省令で定めます公的な写真つきの本人確認書類の提示、これが一つございます。このほかに、社員証や学生証、各種資格証、母子健康手帳、子供医療費受給者証、年金手帳といった年金関係書類などの書類の複数提示、及び、申請者本人の住所宛ての照会文書への回答書などを提示すること、こういった方法によっても本人確認が行われることになっております。

 再交付申請の際には、これまでも必要な本人確認書類について市区町村にお示ししておるわけでございますけれども、今後も紛失時における再交付手続が円滑に行えるよう、市区町村を通じ周知に努めてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 免許証はマイナンバーカードに載せるのは任意だというところを確認しております。なので、保険証に関しても希望する人はどんどんマイナンバーカード一体化で、しかもメリットが享受できるということを増やしていけば、マイナンバーカードに一体化するというのを望む方を増やしていくというのは、私はそれはそれで必要だと思います。

 一方で、本人確認できるもの、顔写真がついているものは免許証とマイナンバーカードしかないよね、これを一緒にするのはちょっとねと思う人もいるかもしれない。それから、保険証だったら今まではちょっと悪用されるというのがあったんですが、先ほどの御答弁で本人確認できるものがあればというところでいくと、先ほどお示ししました資格確認書とか、あるいは厚労省が出す資格情報のお知らせ、こういうのも複数点の本人確認書類としては使える可能性があると考えれば、別に既存の保険証だけが悪用されるという理由としては成り立たないんじゃないかと私は思います。なので、全住民に対して、しっかり選択肢があるということと誰も取り残さないので安心してくださいということを伝えるべきだと思います。

 あと、ちょっと事務的なところをもう一回確認させてください。もし紛失した場合ですね、厚労省と警察庁にそれぞれお伺いしたいです。既存の保険証だと、例えば国保ですと、市役所の窓口に行って即日あるいは翌日、なるべく速やかに再交付が今まではできていると思います。免許証も、紛失したら免許センターに行って再交付する、その場でその日のうちに再交付が可能だと思います。マイナンバーカードに載せてしまった場合、マイナンバーカードの場合は数日から数週間かかると言われておりますが、手元に保険証あるいは免許証がないということで医療を受けることに支障あるいは運転をすることに支障というのはないのか、この点、お答えください。

日原政府参考人 まず、保険証の方についてお答えをさせていただきます。

 紛失などによりましてマイナンバーカードの再交付を受ける必要がある場合につきましては、総務省におきまして、申請から一週間以内、最短五日で交付できる特急発行、交付の仕組みの構築に取り組んでいただいているというふうに承知をしてございます。こうしたお取組を通じまして速やかにマイナ保険証での受診が可能となるということが重要であるというふうに考えてございます。

 また、マイナンバーカードを紛失されました場合には、マイナンバーカードによりましてオンライン資格確認を受けることができない状況にあるということでございますので、申請をいただいて資格確認書の発行を受けていただくことも可能でございます。

 なお、現在、保険証を紛失された場合につきましては、各保険者において加入される保険ですとか状況に応じて短期間の間に保険証を再交付できるよう対応が取られるものというふうに承知してございまして、マイナンバーカードを紛失された場合の資格確認書の発行につきましても、これは基本的に同様の流れ、期間となるということを想定されているというふうに考えてございます。

小林政府参考人 お答えいたします。

 運転免許証の関係でございますけれども、マイナンバーカードと運転免許証の一体化につきましては、令和六年度末までの少しでも早い時期に開始をすることとしておりまして、現在その準備を進めております。

 一体化を希望する場合は、運転免許証の免許情報が記録されたいわゆる一体化されたマイナンバーカードのみを保有する場合、又は一体化されたマイナンバーカードと運転免許証の双方を保有する場合のいずれかを本人が選択することができるようになります。また、これまでどおり運転免許証のみを保有することも可能となります。

 お尋ねのような場合につきましては、マイナンバーカードの再交付を申請し、再交付を受けた後、警察において所要の手続を行っていただくこととなります。また、一体化カードの再交付までに運転を行う必要がある方については、運転免許証の即日交付を行っている運転免許センター等において運転免許証の交付を申請することも可能であります。

岡本(あ)委員 改めて、やはり選択できることが大事だということ、それから誰も取り残さないということが大事だということを強く指摘させていただきます。

 済みません、時間がなくなってまいりましたので、ちょっと飛ばしまして、能登半島地震時の正しい情報発信についてを伺わせていただきたいと思います。

 今回、能登半島地震時に偽・誤情報の出回りで混乱しました。中にはAIで安易に加工した災害画像もあり、救助活動にも支障があったと聞いております。インプレッション稼ぎのための偽・誤情報対策に今回のプロ責法の改正が成立することで期待はしたいと思います。

 また、先日OECD会議でも生成AIのルール作りが、総務大臣が積極的に貢献していくと先ほど答弁されましたが、採択をされています。

 正しい情報発信とネットを通じての被害を生み出さないことが総務省の仕事でもあると思います。これについての覚悟、それから著名人に成り済ますSNS型投資詐偽を速やかに解決していただきたいと思います、この二点を含めて、総務大臣、お答えください。

松本国務大臣 能登半島地震におきましては、残念ながら、偽・誤情報がインターネット上で流通しまして様々な問題が出たと言わざるを得ないというふうに深刻に受け止めておりまして、他方では、所管ということで申し上げれば、放送の重要性も改めて再認識をされたのではないかというふうに考えております。

 偽・誤情報への対応、違法・有害情報への対応ということに関して申し上げれば、今回、プロバイダー責任制限法改正、衆議院におきましては既に御審議をいただいたところで、現在参議院におきまして審議をいただいているところでございますが、この成立を目指しまして、この改正によりまして誹謗中傷等による被害の救済や被害拡大の防止に取り組んでまいりたいと思っております。加えて、情報空間の健全性の確保に向けて、デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会を設けておりまして、具体的な検討を進めて、この夏頃までに取りまとめをいただいて所要の対応をしていきたいと思っております。

 健全性の確保は民主主義の基盤でもあり、また、デジタルによるメリットを享受していただくためにも健全性の確保は大変重要であると思っております。

 AIに係る国際的ルール作りに関しましては先ほど奥野委員との質疑でも申し上げたとおりでございますが、まずは今我が国におきましてはガイドラインを策定して、利用、提供いただく方々、開発者にこのガイドラインにのっとって健全に御利用いただくことを考えているところでありますけれども、OECDの原則の改定も含めまして、国際的な情勢も踏まえて、是非利用者、国民の視点に立って、偽・誤情報等の被害防止のために必要な政策を機動的に検討して進めていきたいと思っております。

 なお、成り済ましにつきましては、閲覧した方に財産上の被害をもたらすといった側面があって、そういった面から今様々対応もなされているかと思いますが、更に成り済まされた人の社会的な評価を下げるなどの権利を侵害する可能性もあると考えておりまして、重大な課題と位置づけているところでございます。

 このような行為について、明らかに成り済ましなのに削除されない、削除申出が放置されている、成り済ましに対する削除、アカウント停止の基準はあるが適切に運用されていないなどの課題が指摘されていると承知しておりまして、今国会で今御審議いただいているプロバイダー責任制限法の改正案で、大規模なプラットフォーム事業者に対しまして、削除申出窓口、手続の整備と公表義務、権利侵害への対処に関して十分な知識経験を有する者の選任、削除申出に対する一定期間内の判断と通知義務、削除基準の策定と公表義務、削除の実施状況についての評価と公表を求めておりまして、一定の効果が期待できるかと考えております。

 成り済まし行為を始めとする緊急に対応を求められる事案が発生していることに鑑みまして、本法案が成立した後、施行前であってもなるべく早期に法案に準じた対応が行えるよう、必要に応じ大規模なプラットフォーム事業者に対して求めをしてまいりたいと思っております。

 また、成り済まし行為に対するプラットフォーム事業者の対策に関しては、情報空間の健全性確保の在り方について、偽・誤情報への対応を含め、デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会において更に議論、検討を進めているところでありまして、これにつきましても夏頃の取りまとめを踏まえて所要の対応をしていきたいと思っております。

岡本(あ)委員 時間がなくて、今日お越しいただいた各省庁の皆さん、申し訳ありません。

 偽・誤情報対策、それから正しい情報をしっかり発信していくこと、その使命、総務省にも更に期待を申し上げ、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、吉田とも代さん。

吉田(と)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の吉田とも代と申します。本日も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速質問に入ります。

 今から約十年前、全国に衝撃を与えた日本創成会議による消滅可能性都市の公表により、人口減少対策の機運が高まりました。そこで、政府は地方創生を掲げ、地方への移住や企業移転などの促進策を打ち出しました。

 あれから十年、本年四月二十四日、民間の有識者グループ、人口戦略会議は、全体の四割に当たる七百四十四の自治体で二〇五〇年までに二十代から三十代の女性が半減し、最終的には消滅する可能性があるとした分析結果を公表しました。二〇一四年に行われた同様の分析に比べますと、消滅可能性自治体は百五十二自治体少なくなっています。これは将来的な外国人住民の増加見込みが反映されており、人口戦略会議では実態として少子化基調は変わっていないとしています。

 これらはあくまで一律の指標に基づいた分析結果であり、必ずしも実態を反映したものではありません。また、消滅という強いインパクトを与える言葉、悲観的な表現を用いることに賛否があるところだと思います。しかし、人口減少対策が急務であるということに変わりはありません。

 また、国立社会保障・人口問題研究所が令和五年八月三十一日に公表した人口の将来推計によれば、二一〇〇年には六千二百七十七万人となり、現在の人口から半減されると予想されています。高齢化は現在の二九%から四〇%となり、労働力人口の大幅な減少により社会経済の仕組みが機能しなくなる可能性があります。いずれにせよ、少子化により我が国の人口、人口構造が非常に深刻な状態であることは事実だと思います。

 そこで、松本総務大臣にお尋ねいたします。この報告書の受け止めと、少子高齢化が進み人口減少が進んでいる現状について、地方を元気にするためにも、総務大臣としてどのように捉え、どのような対応を行うべきとお考えか、御見解をお聞かせください。

松本国務大臣 民間の有識者による人口戦略会議が先日公表されたレポートについての受け止めということでございますが、当該レポートは、新たな視点として出生率の向上といった自然減対策と人口流出の是正といった社会減対策の両面から分析を行っていること、外国人の入国超過数が大きく増加していることなどから人口減少傾向が改善する結果となっているものの、実態として少子化基調が全く変わっていないということに留意する必要があるとしていることといった内容であると理解をしておりまして、深刻な危機感が示されているものと承知をいたしております。

 この試算結果につきましては、正確かつ冷静に認識した上で対策を講じていく必要があると考えております。

 このレポートにおいても指摘をされております少子高齢化、人口減少への対応は極めて重要な課題でありまして、人口減少そのものへの取組として、総務省も含めて政府一丸となって子供、子育て政策に取り組んでまいっているところでございます。また、人口減少が進む中で地域を活性化していくために地方への人の流れの拡大や地域を担う人材の確保、育成に積極的に取り組んでいるところでございまして、子供、子育て政策の強化につきましては国と地方が車の両輪となって取り組んでいくべきものであることから、令和六年度の地方財政計画において国が進める政策の地方負担分の財源と地方が独自に実施する政策の財源の双方を確保したところでございまして、地方自治体の取組を支えてまいりたいと思います。

 地方への人の流れということでは、地域おこし協力隊につきまして、令和八年度までに隊員数を一万人まで増やす目標に向けた取組を強化する、また、地域活性化起業人や人口急減地域における地域づくり人材を確保し、いわば人材のシェアを行う制度として活用されている特定地域づくり事業協同組合制度の推進などに取り組んでいるところでございます。

 また、地域の経済循環を創出、拡大するローカル一万プロジェクト、地域の多様な主体が連携し地域コミュニティーの維持を図って地域の暮らしを守る地域運営組織や集落支援員の取組、そしてテレワークの導入支援や5Gや光ファイバーなどデジタル基盤の整備などの施策についても推進をしてまいりたいと思っております。

 地方自治体がそれぞれ直面する課題やニーズは様々で各団体の目標の立て方も異なっているところでありまして、総務省としては、できる限り多様な状況に対して多様な手段を活用できるように用意してまいりたいと考えております。全国で地域社会が持続可能で活力あるものとなるように取り組んでまいりたいと思っております。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 子供の出生数、これは八年連続減少しておりまして過去最低となっています。また、減少スピード、これも拍車がかかっている状況でございます。人口減少は様々な要因が重なって生じているとは思いますけれども、私たちの国、そして日本の存続に関わる大きな課題だと思います。自治体個々の問題ではなく、政府、そして私たち国会議員、国民のお一人お一人が危機感を持ってこの問題を直視し対応していく必要があると考えます。すぐに解決できる問題ではないからこそ、長期的な視点で国を挙げて着実な取組、対応を重ねていく必要があると思います。

 そういった中、今回の人口戦略会議の分析結果におきまして、私の地元徳島県では、全二十四市町村のうち十六自治体が消滅する可能性があるとされました。一方、十年前に消滅可能性があるとされた上勝町と板野町は消滅可能性自治体の分類から脱却したとの分析結果が出ています。

 消滅可能性自治体から脱却した上勝町ですが、地域の活性化に対する取組で有名な自治体でもあります。上勝町の人口は約千四百人弱で、四国の中では最も人口が少ない町でありまして、六十五歳以上の高齢者が半数を超えている、少子高齢化と過疎が進んでいる地域です。

 実は、この上勝町、ごみゼロの町として有名でして、二〇〇三年に地方自治体として初のゼロウェースト宣言を掲げ、ごみを削減、再利用、そして資源として再生、リサイクルする3Rに取り組んできた結果、二一年度のリサイクル率は七九・九%と、全国平均一九・九%をはるかに上回ります。今では四十五種類にも及ぶ独自のごみ分別方法は、特に話題を呼んだ内閣府のSDGs未来都市にも選ばれており、国内外から視察が絶えません。

 そのような先進的な地域ではありますが、この取組に至る前、三十八年前から始まった地域を再生させた第三セクター、いろどりというものがここにはあります。

 上勝町は、一九八一年の異常寒波でミカンの木が全滅し、また、基幹産業だった林業の衰退もありまして、町の経済は一時どん底状態に陥りました。この逆境の中で、当時JA職員で、現在はいろどりの代表取締役社長の横石知二氏が葉っぱビジネスを始めました。

 この葉っぱというものですが、料理を美しく彩るための、日本料理の脇役として添えられる季節の葉や花、これをつま物と呼んでいますけれども、この花を栽培、出荷、販売する農業ビジネスを葉っぱビジネスと呼んでいます。

 この葉っぱビジネスなんですが、年商は平常時は約二億円。しかし、最初から軌道に乗ったわけではなく、横石社長が日本料理店を回り、そして市場を調査し、人脈をつくり、ようやく出荷したものであります。

 この葉っぱビジネス、成功の鍵は、高齢者にITシステムを使ってもらうという逆転の発想です。これまでつま物を組織的に扱う仕組みがなかったため板前さんが独自ルートで入手するのが主流でしたが、料亭が望むつま物を顧客が望むタイミングで必要な量だけ提供する組織体制をつくり上げたものです。ITシステムを導入し、取引先からの注文を農協が受けて一斉配信し、農家側が配信を見て受注希望をかけます。横石社長はお母さん方に、お母さん名義の通帳を作ろうとお声がけをして参加する農家の意識を高めていたといいます。当初、パソコンなど触ったこともない高齢者ばかりでしたけれども、いろどりが提供する情報ネットワークの売上げランキングの動向でやる気を高め、出荷状況から市場を分析するなどで効果を上げ、今では年間売上げが約一千万円のおばあちゃんもいると言われています。

 葉っぱビジネス、これは人の力により軌道に乗って、人の力で今日に至っていますけれども、この上勝の事例は地域性とうまくマッチングし、ほかの地域で同じ取組をしたからといって軌道に乗るものではないと思います。

 今回、人口戦略会議の調査に見られますように、日本の地方を変えていかなければ、日本そのものの存続の危機であります。過疎と高齢化という大きく変貌した上勝町、その成功は、高齢者によるICT活用が大きな役割を果たしました。こういう地方をどうしたら増やしていけるのか。

 現在、総務省では、ICT活用による地域の課題解決のため、専門人材を派遣する地域情報化アドバイザー制度を実施しています。どのような制度なのか、この派遣制度の概要を教えていただけますでしょうか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 地域情報化アドバイザー派遣制度につきましては、地域の課題解決のためにICTの活用を検討する地方公共団体等からの求めに応じまして、ICTの知見やノウハウを有するアドバイザーを派遣し、助言や情報提供を行うものでございます。

 具体的には、多様な分野での地域のDXの推進であるとか人材育成、さらにはスマートシティーや地域ビジネスなど三十三の幅広い支援分野に対応するものでございまして、大学での研究活動や地域における企業活動を行っている方、またNPO活動等を通じた地域情報化に知見、ノウハウを有する民間の有識者など、合計で二百二十二名をアドバイザーとして委嘱しているところでございます。

吉田(と)委員 ありがとうございます。今御説明をいただきましたけれども、こういった派遣制度、この成果によって地方活性化に資することを願っております。

 こういったICTが大きな役割を果たしていくということもお話をさせていただきましたけれども、地方活性化は、地域で中心となってプロジェクトを進めていく人の力、これが必要不可欠だと思います。さらに、人の力によって、指導を受けた方々、影響を受けた方々によって更によい影響が広がっていくのではないかなと思っています。地域のことは地域に住む人が一番よく分かっている。どんな資源があるか、そしてそれをどう生かしていくか、知恵を出し合うことが大切だと思います。

 上勝のこの葉っぱビジネス、いろいろ御紹介をいたしましたけれども、高齢者が収入を得ることによって、年金受給者から納税者にもなり得ていきます。高齢社会で現役世代の社会保障費負担が大きくなる中、地域の活性化とともに日本の課題解決のヒントとなる取組だと思います。ICTによる変革、そして人の力による支援、両方が地域の活性化には不可欠だというのが上勝町の教訓だと思います。

 先ほど松本大臣からも地域に人の流れをつくっていくというお話をいただきましたけれども、人の力による支援、そして双方を所管する総務省だからこそ連携した取組支援ができるんだと思います。松本大臣を筆頭に、総務省の皆様におかれましては、そういう視点を持って臨んでいただきたいと御要望申し上げます。

 済みません、ちょっと時間の関係上、内閣府そして文科の皆様にもお越しいただいておりましたけれども、また次の機会に質問をさせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、中司宏さん。

中司委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の中司宏でございます。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まず、郵政事業に関して質問いたします。

 平成十九年に郵政民営化法に基づいて日本郵政株式会社を中核とした五社体制の日本郵政グループが発足して以来、十六年が経過をしました。平成二十四年には現在の四社体制に再編され、今日に至るまで郵政を取り巻く環境は大きく変化したと思います。そこで、まず郵政民営化の成果と課題について、総括を松本大臣に伺います。

松本国務大臣 平成十九年の郵政民営化以降、全国二万四千の郵便局ネットワークを維持しつつ、レターパックや郵便局と他の金融機関との間の相互振り込みといった新たなサービスが実現するなど、国民の利便性は向上していると認識しており、民営化以降、一定の成果があったものと考えております。

 他方で、御指摘のように、民営化以降、人口減少、デジタル化の進展など社会経済環境の変化を受けまして、日本郵政グループの経営環境は厳しい状況にあります。ユニバーサルサービスの維持について懸念する御意見があることも承知をしているところでございます。

 総務省としては、日本郵政グループに対しまして、まずは顧客ニーズを第一として、競争力がある質の高いサービスの提供に取り組むなど、より一層収益力を向上させるよう求めているところでございます。

 郵政事業を取り巻く環境の変化も踏まえながら、三事業のユニバーサルサービスの維持のため、日本郵政グループに対して適切な監督を行ってまいりたいと思っております。

 その上で、国民の生活を守るためにはユニバーサルサービスは大変大事だと思っておりますが、我が国の人口や経済の状況を考えますと、ユニバーサルサービスのコストをどのような形で負担いただくのかといったことについては議論が必要かというふうに思います。

 また、民営化以降、年月が経過したという御指摘でありましたが、物流を含めて取り巻く環境は大きく変わってきておりまして、恐らく民営化当時は想定できなかったような形で日本郵便と物流企業との協業が行われるなど環境もいろいろ変わってきておりますので、日本郵政グループの施策を担当し、国民にとって必要なサービスが提供できるような体制を整えるために、私どももまた政策についても国会での議論などもいただいた上でしっかりと考えていきたいと思っているところでございます。

中司委員 環境もまた大きく変わってきたわけですので、そうした中でユニバーサルサービスを守っていく、そういう思いを今述べていただいたわけですけれども。

 我々日本維新の会は、公共サービスの民営化を推進する立場にあります。民間企業はもちろん、NPO、NGOを含めて多様な主体が公共的サービスを担うということで持続可能な地域社会が形成できるものと考えております。したがって、事業の主体が株式会社になっても郵政事業が担うべき公共的な役割には変わりはない、むしろ民間企業であるからこそ創意工夫によってより効果的かつ効率的な形で公共的な役割を果たしていくことができると思っております。

 さて、日本郵政の増田社長が、これは去年のことですけれども、日経新聞の取材に対して、ユニバーサルサービスの水準を維持した上でとしながら、二〇四〇年を一つのタイミングに、地方だけでなく都心も整理しなければならない、こう述べておられます。これは、全国におよそ二万四千ある郵便局を二〇四〇年頃をめどに整理再編していく必要があるという考えを示したことと受け止めております。この件については後に本人が否定されておりますけれども、今後更に経営環境が厳しくなっていく中で、こうした考えが根底にあるのではないかと推察するわけでございます。

 今総務大臣としては適切に体制を整備していくということでありますが、日本郵政として実際のところどのような方針を持たれているのか伺います。

市倉参考人 お答えいたします。

 日本郵政株式会社及び日本郵便株式会社は、関係法令によりまして、郵便、貯金、保険の窓口業務として、ユニバーサルサービスを郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにしなければならないとされております。民営化以降、局数の大きな変動はなく、郵便局ネットワークを維持しているところでございます。

 二〇二一年五月に公表いたしましたグループの中期経営計画、JPビジョン二〇二五におきましてお客様と地域を支える共創プラットフォームを目指す姿として掲げておりまして、地方公共団体事務の受託のほか、地域金融機関等との連携強化、郵便局窓口と駅窓口の一体運営等、他企業様とも連携しながら、地域やお客様ニーズに応じた郵便局らしい多種多様な商品、サービスを展開し、郵便局ネットワークの価値、魅力の向上に取り組んでいるところでございます。

 加えて、DXを推進いたしまして、お客様ニーズに応じた商品、サービスの提案による収益力向上のほか、業務の効率化等の生産性の向上も進めております。

 これらの取組を通じまして、安定的な利益の確保を図ることにより、郵便局ネットワークやユニバーサルサービスの維持に取り組んでまいります。

中司委員 人口減少が進む中で、政府は平成二十六年にまち・ひと・しごと創生総合戦略を閣議決定された。その中で、東京一極集中の是正、そして地域の特性に即した課題の解決など、そんな視点をしっかりと踏まえた戦略をスタートされたということでございますが、現在も引き続いてその取組が進められているところでございます。

 東京一極集中を解消する上では、人口の少ない地域であっても、基礎的な公共サービスがしっかりと維持されていなければならないと考えます。その基礎的な公共サービスの一つが郵便事業であって、それを担う郵便局網を中心とした、基盤としたゆうちょ銀行やかんぽ生命である、こう思っております。

 総務省の資料によりますと、今後、グループ外の多様な企業や地方公共団体との連携によって多種多様なサービス展開の支援を進めていくと記されています。その基本的な考え方と展望についてお伺いいたします。

玉田政府参考人 お答え申し上げます。

 人口減少が進む日本の地域社会におきまして、あまねく全国に拠点が存在する郵便局は地域のつながりを支える身近で公共的な存在であり、三事業一体でのユニバーサルサービスを確実に提供しつつ、地域のニーズと信頼に応えていただくことが重要であると考えております。

 日本郵便におきましては、これまでも、住民票の交付などの証明書発行事務やマイナンバーカードの交付申請などの自治体窓口業務に加えまして、スマートスピーカーを活用した高齢者の見守りサービス、過疎地域における集配車両の空きスペースを活用した買物支援サービスや、自治体からの委託を受け郵便集配業務を担当する社員による空き家調査など、地域課題の解決に資する様々な取組を行っております。

 このような取組を後押しするため、総務省におきましても令和元年度から郵便局と自治体などとの連携による実証事業を行っております。例えば、令和五年度におきましては、医療機関のない僻地の郵便局のスペースで信頼できる郵便局員のサポートの下でのオンライン診療事業に取り組んだほか、郵便局が保有する配達原簿に係る情報や転居に係る情報を大規模災害時などにおける安否確認に活用するための実証なども行っております。

 また、デジタル社会における郵便局の地域貢献の在り方について情報通信審議会に諮問をしておりまして、自立的な地域経済の維持が困難な地域でも住民が必要な公的サービス、生活サービスを今後とも受けられるための郵便局の役割などについても議論されております。

 総務省としましては、審議会での議論も踏まえ、郵便局が住民に身近な存在として地域を支え課題解決に貢献していけるよう、必要な取組を進めてまいります。

中司委員 様々な取組を進めておられるのはよく分かりますが、ただ、自治体との連携、これは余り進んでいないと思うんですね。ですから、何がそれを阻害しているのかとか、しっかり把握して進めていただきたいと思っております。

 DX化の推進なんですけれども、今後、郵便局の役割を維持していくためには、様々な地域に根を張った郵便局の役割を生かしていく、その中でデジタル社会に対応するということが非常に大事だと思っております。

 まず、これを実現するためには、地方の特定郵便局の現状を十分に把握していただかなければならないと考えております。地元の郵便局長からお話を伺いますと、多くの局長が経営が苦しいと。その中にあっても公共的な役割を担っているという自負を持っておられますから、デジタル化を推進したいと考えておられるわけです。しかしながら、多くの局の中で、正規の職員が一名から二、三名という現状を踏まえたら、郵便局のデジタル化への対応については、それを担える人員の体制と財政基盤の確立、これを並行して進めていかなければならないと思うんですけれども、見解を伺います。

市倉参考人 ただいま委員御指摘のとおり、郵便局のDX化は経営上大変重要な戦略だと考えており、郵便局を御利用になるお客様の利便性向上、また業務効率化による社員負担の軽減などを目的といたしまして、郵便局窓口のデジタル化に取り組んでいるところでございます。

 具体的には、郵便物の差し出しあるいは一部商品の購入がお客様自身で完結できるセルフレジ、また、昨年十月にサービスを開始いたしました郵便局アプリを通じまして、お客様のスマートフォンで郵便局窓口の待ち人数が確認でき、郵便局に来局される前に番号札を発券することができるデジタル発券機の導入拡大等を進めております。また、一昨年十月に開始をいたしました金融コンタクトセンターを通じまして、NISAあるいは損害保険に関して商品説明、申込手続をリモートで対応することができる取組を進めているところでございます。

 これからも、郵便局のDX推進の取組を強化いたしまして、郵便局の価値向上に努めてまいりたいと思っております。

中司委員 自治体のアンケートによりますと、郵便局へ期待する役割としまして、災害時のサポートが一番多い、次いで高齢者の生活支援、そして地域の魅力、情報発信が三番目ということでございます。そのほかに、市役所等の行政サービスの拠点とかあるいは地域コミュニティーづくりの核、こういう内容が挙げられます。まさに地域社会における多機能な、公共的な役割が郵便局に期待をされているということが分かるわけです。

 その中で、例えば地域の魅力発信とかいうことでありましたら、地域の情報発信のためのポスターの掲示とかチラシの配布とか、あるいは土日の駐車場を活用した特産品の販売とか、コミュニティーとか農協とか地元企業とタイアップしたいろいろな連携が想像されるわけなんです。

 しかし、現状では、郵便局の施設とか土地を利用する際に使用料を課すということなどが、郵便局が地域と共同で取り組むということを阻害する要因ともなっていると思います。地域社会の様々なステークホルダーが協力しながら活性化に取り組もうとしている中で、郵便局として限定的な採算性にこだわるよりも、地域社会との関係を構築するということを優先してもらいたいと思っております。

 生活を支える上で欠かせないネットワークとして多機能化への様々な取組を進めることについてどのような戦略を持っておられるのか、もう一度お伺いします。

市倉参考人 日本郵便におきましては、今年の三月末現在、四十五の都道府県及び千四百七十八の市区町村と包括連携協定を締結いたしております。また、道路の損傷といった情報提供などの地域における協力に関する協定、こちらも千七百三十五の市区町村と締結をしております。

 これらの各種協定を機に、自治体と連携の上、地域ニーズに応じた様々な取組を実施いたしております。例えば、郵便局の窓口で住民票の写し等を交付する公的証明書の交付事務、あるいは法改正を受けまして郵便局で取扱いが可能となりましたマイナンバーカードの電子証明書関連事務、マイナンバーカードの交付申請の受付等の事務、そしてプレミアムつき商品券の販売事務や空き家調査の事務など、今年の三月末現在で四百四の自治体から地方公共団体事務を受託いたしております。

 従来より、都道府県、市区町村ごとに地方公共団体担当局長を設置いたしまして、これで地域ニーズをよく伺い、本社、支社、郵便局が一体となって地域の活性化に取り組んでおりますが、委員の御指摘も踏まえまして今後も積極的に推進してまいりたいと考えております。

中司委員 しっかりと取り組んでいただきますように、よろしくお願いいたします。

 時間の関係で少し飛ばさせていただきます。

 もう一つ、デジタル社会におけるシステム障害の件ですけれども、誤発行のことにつきましては先ほども質問がありましたので、次の機会にさせていただきます。

 そこで、年度末に生じた法務局のシステムの障害についてお伺いいたします。

 年度末の三月二十九日に、法務局の登記・供託オンライン申請システムに障害が発生しました。全国の法務局で登記申請などの手続がストップをしてしまいました。多くの利用者に大きな不安と混乱を招くという事案が発生したわけでございます。三月三十日及び三十一日が土日の閉庁日でありましたので、二十九日の金曜日が年度末の最終日に当たったということで、全国の登記所から大量のオンライン申請が短時間のうちに集中したことがシステム障害の発生原因とされています。

 年度内に必要な登記申請ができるかどうかは、経済活動にとって極めて重要なことであります。このようなシステム障害があってはならないことと思うわけでございますが、法務局では、当面の対策として、同様の状況になるおそれを感知した場合、全国の登記所でシステム操作を分散して制御する措置を講じるとされていますけれども、そもそも、法務局のオンライン申請システムですが、どの程度の処理件数が対応できる上限であったのかということ、そしてまた今後このようなレベルの対応で本当に再発を防ぐことができるのか、この辺についてお伺いいたします。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御紹介がございましたとおり、法務省の登記・供託オンライン申請システムにおいて、本年三月二十九日金曜日の午後、オンラインによる登記申請や登記事項証明書等の請求の受付ができないシステムトラブルが発生いたしました。

 この原因については、年度末の業務日であったため大量のオンライン登記申請があったこと、そしてその処理をするための法務局側の操作が短時間に集中したことの二つの要因が重なり、システムに高い負荷がかかったことが原因と考えております。

 再発防止に向けて、まずは暫定的な対応策として、御紹介があったとおり、法務局ホームページに掲載したとおり、システムが高負荷になった場合には全国の登記所でシステム操作を分散して制限する措置を講じたところです。

 四月一日以降、同様のトラブルは生じておりませんが、本システムの安定的な稼働を維持することは重要であると認識しておりまして、そのために必要な方策として、機器の増強など、業務量やそのピーク特性を踏まえた適正なリソース確保の在り方について検討しているところでございます。

 法務省としては、多くの国民が利用する本システムの安定稼働に引き続きしっかりと取り組んでまいります。

中司委員 ちょっと時間が迫ってきましたので、今回の原因が集中したことにあったということであれば、本来はサーバーを強化するなど抜本的な改善を行うべきであることを指摘させていただきます。

 今後、様々な分野にまたがってこうしたオンラインによる手続の増加が見込まれるわけですけれども、信頼性、安全性を確保するためにもそれぞれのシステムのレベルアップが必要となってくると思います。各省庁とか地方自治体のシステムがトラブルを起こして、あるいはヒューマンエラーが生じた際の対応とか復旧、また、根本的にシステムを修正するためにはデジタル化の司令塔であるデジタル庁の知見を活用することが欠かせないと思っています。

 様々な分野でデジタル化を推進するに当たって、今回のように国民生活に大きな影響を与えることを防ぐために、デジタル庁が人材の確保も含めて各省庁、自治体等とどのように連携しているのか、最後にお聞きして、終わります。

古屋委員長 簡潔にお願いいたします。

藤田政府参考人 今般のシステム障害によって利用者の皆様に多大な御迷惑をおかけしたことは、デジタル庁としても大変残念に思っております。

 デジタル庁としては、このような社会的影響の大きいシステム障害の発生を受け、先月も各府省に対して障害発生に係る予防策の徹底や障害発生時の速やかな対応などの注意喚起を行ったところでございます。また、従来より実施してきた情報システムの整備段階における支援に加えまして、システム運用時の障害においても、デジタル庁から各府省へ派遣している民間専門人材の知見を必要に応じ活用することによって、その原因究明や再発防止に協力しているところでございます。

 今後も、民間専門人材の派遣による伴走型支援により各府省のプロジェクトの体制強化を図るとともに、各府省に対しても体制強化を求め、社会的に大きいシステムを安定して運用していただけるよう努めてまいる所存でございます。

中司委員 しっかり対応していただきますようにお願いいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 四月二十三日の当委員会では、マイナンバーカードを利用したコンビニ交付での誤交付の問題を取り上げました。とにかく、政府がマイナンバーカードやマイナ保険証を安心、安全と繰り返すたびに、ミスや間違い、個人情報の漏えいのニュースが飛び込んでくるんですね。

 そして、マイナ保険証の利用率は下がったまま、上がる兆しもなく、三月末で僅か五・四七%であります。利用率が上がらない背景には、国民にとって利用メリットが感じられていないばかりか、国民は情報漏えいなどの不安を持っていることは明らかです。このように利用が浸透してもいない。現行保険証の発行停止は、厚労省に聞きますけれども、きっぱりと撤回すべきではありませんか。

日原政府参考人 お答えを申し上げます。

 マイナ保険証でございますけれども、これは、よりよい医療の提供を可能にしますほか、今後、医療DXのパスポートとして、メリットがますます増えていくものと考えてございます。こうしたメリットを最大限早期に発現させて国民の皆様に享受いただけるようにするとの考え方で、御指摘をいただきましたような点につきましても不安払拭のための取組を進めてきたところでございます。こうした取組、また、マイナ保険証の利用促進、これも最近は利用率を見ましても上昇する傾向にございます。マイナ保険証の利用促進にも総力を挙げて取り組んだ上で、今年十二月二日から保険証の新規発行を終了してマイナ保険証を基本とする仕組みに移行することとしてまいります。

宮本(岳)委員 いや、上向いているって、三月末で五%余りですよ。九五%は使っていないんですよ。

 本来マイナンバーカードの取得もマイナ保険証の利用もあくまで任意の制度であることを繰り返し確認してきました。任意の制度であるならば、マイナ保険証を作るのも、逆に一度ひもづけを行った人がやはり心配だからとひもづけを解除することも自由、任意であるはずであります。解除できて当然であるにもかかわらず、厚労省は本人の希望では解除できないシステムを構築し、いまだに解除できるようにはなっておりません。当初の制度設計がどうなっていたのか、私の問合せに対して厚労省は、オンライン資格確認等システム設計・開発業務一式調達仕様書というものを提出してまいりました。

 資料一を御覧いただきたい。ここには、「資格情報と利用者証明用電子証明書のシリアル番号の紐付け解除」として、「被保険者等が、マイナポータルにログインせずにマイナンバーカードの利用者証明用電子証明書のシリアル番号と資格情報の紐付けの解除を行う。」となっております。つまり、当初の仕様書は、任意の制度という趣旨どおり、ちゃんと解除できる仕様になっていたわけですね。

 ところが、厚労省によると、プロジェクトを推進する過程において、厚労省、内閣府番号制度担当室、社会保険診療報酬支払基金で検討し、優先度の高い作業や要件の精査を行ったなどといって、結局解除ができないようなシステムを作ったんですね。そして、今度はその責任の所在も明らかにしないまま、昨年度の補正予算で二百四十九億円もの国費をかけて、やっと解除できるようにシステム改修を進めております。

 一旦はマイナ保険証を手にした人も、いまだに九五%近い人は利用しておりません。本来の任意の制度の趣旨どおりに一体いつから本人の御希望で解除できるようになるのか、厚労省にお答えいただきたい。

日原政府参考人 御指摘をいただきました利用登録の解除の機能についてでございますけれども、これにつきましては、関係者と協力して、現在必要なシステムの改修に鋭意取り組んでいるところでございます。

 本年十月目途にこの機能が利用できるようにということで、現在必要な改修を進めているところでございます。

宮本(岳)委員 十月なんですね。一体いつまで待たせるのか。現在、利用率は五・四七%ですから、九五%近い使っておられない人の中には、当然、解除を望んでおられる方がいらっしゃるんです。現行の保険証を廃止しなければ、これはこれでどちらでもよいという言い分もあったわけですね。

 しかし、先日、参議院で我が党の倉林明子参議院議員が、マイナ保険証の利用率が五〇%を超えていなくとも現行保険証の廃止をやるのかと聞いたら、厚生労働大臣は、利用率がどんなに低くても現行保険証については十二月二日から発行を終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行していくつもりだと答弁をされました。

 しかし、任意の制度であるならば、また、任意の制度であるという趣旨を踏まえて解除ができるようにシステム改修したというのであれば、一旦ひもづけを行ったけれども心配なので使うのをやめたという九五%の保険証を使っておられない方々にはもう一度解除する権利もあるはずであります。窓口でまるでマイナ保険証を使うしかないかのような誘導を行うのではなく、マイナ保険証を解除できるようにもなりましたと周知することは当然のことであります。

 これは、渋々マイナ保険証を使うのも、またきっぱり解除、返上するのも、どちらも任意、ニュートラルということでよろしいですね、厚労省。

日原政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げましたように、マイナ保険証には数々のメリットがございますので、政府といたしましては、お一人でも多くの方々にマイナ保険証を御利用いただけるよう、国民の皆様に丁寧にメリットを御説明して利用促進に向けた取組を行っておりまして、これからも行ってまいりたいと考えておりますけれども、マイナ保険証の利用を希望されない方につきましては、利用登録を解除いただいて資格確認書の交付を受けて医療機関等を受診するということが可能でございます。

宮本(岳)委員 だが、窓口で次に持ってきてくださいと促すことは、国民に解除の選択肢もあることが示されない結果にもなりかねません。あくまで任意の制度であるのであれば、同じ重みでどちらにしますかと言わなければおかしいですね。

 利用率が上がっていかない背景には、ひもづけ誤りの問題があります。

 資料二を見ていただきたい。保険証情報のひもづけ誤りは昨年からずっと問題になってきましたが、今年四月二十五日、また新たにひもづけ誤りが五百四十五件あることが公表されました。ひもづけ誤りは、総点検で明らかになった一千百四十二件、それ以前の二〇二一年十月から二三年十一月三十日に明らかになった誤り、七千五百三十六件、これは七千五百五十三件から重複の十七件を引いたものでありますけれども、合わせて九千二百二十三件となりました。この五百四十五件はどのように発覚したんですか、日原さん。

日原政府参考人 お答えを申し上げます。

 登録済みデータにつきましては、全ての登録済みデータ、この全体につきまして住民基本台帳との突合を行ったところでございます。突合を行った上で、確認が必要な約百三十九万件について、閲覧停止をした上で保険者等による確認作業を実施していただいてまいりました。

 今お話のございました五百四十五件につきましては、この確認作業を通じまして、これは誤登録として御報告をいただいたものでございます。

宮本(岳)委員 五百四十五件について、厚労省は、九月に情報の閲覧を停止して確認作業を進めてきたと説明をしてまいりました。昨日になって、停止は九月でなく、十一月までに対応したとの回答がありました。閲覧停止が二か月も遅れれば、それだけ情報漏えいのリスクは高まります。閲覧停止以前にマイナポータルを通じた情報漏えい事案は何件あったんですか、厚労省。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話のございました登録済みデータ全体の確認によりまして、これまで保険者から誤登録の報告があった五百四十五件につきまして、薬剤情報等の閲覧があったかどうかにつきましては現在確認をしている最中でございまして、確認が終了次第公表することを予定してございます。

宮本(岳)委員 そんなことを言っているから駄目なんですよ。情報漏えいは重大な問題です。早急に把握すべきだということを申し上げたい。

 対策で突合が当たり前のように行われております。こうした突合は、本人の希望しない場合も行われております。このこと自身が問題だと思いますが、今回は、事業者や本人からマイナンバーの提出を得られなかったケースが約三十万件もあるということについて聞きたいと思うんです。

 資料三を見ていただきたい。総点検本部に提出された資料であります。確かに三十万件となっております。保険者が住民基本台帳情報と突合作業をしたとしても、マイナンバーさえつかめない状況があります。DVから逃れるために住所を秘匿しているとか、生まれついた性別とは別の性で生活しておられるトランスジェンダーの方など、住民基本台帳の四情報であっても、様々な事情があって知られたくない、伝えたくないというケースがあり得るんです。

 その理由について厚労省は把握しておりますか。新規の誤り事案の発生を防止するためだといって住民基本台帳情報と一律に突合していくことについての問題はないんですか、大丈夫なんですか。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたJ―LISデータとの突合につきましては、登録されておりますデータの正確性を入念的に確認するために実施したものでございまして、御指摘のような問題はないというふうに考えてございます。

 なお、昨年十二月末に公表した時点では今お話をいただいた未登録は約三十万件でございましたけれども、その後、本年三月末時点では約十五万件に減少してございます。医療保険加入者の九九・九%の方につきましては登録をされておるところでございます。

宮本(岳)委員 十五万件がまだ残っているわけですね。保険者がそもそもマイナンバーを掌握していないケースがこれだけ残されております。支払基金のデータとマイナンバー登録さえままならないわけですね。

 厚労省が、任意取得のマイナンバーカードと任意でひもづけするマイナ保険証を、任意であるにもかかわらず利用を強要し、保険証の廃止に突き進んでいることに一番の問題があるんです。現行保険証の廃止はきっぱり中止することを求めて、次のテーマに移りたいと思います。

 次に、四月二十三日にも聞いたコンビニ誤交付問題について聞きたいと思います。

 資料四を見ていただきたい。この文書は、昨年九月二十日の個人情報保護委員会の指導を受け、二〇二三年九月二十六日に総務省自治行政局住民制度課マイナンバー制度支援室が都道府県、政令市の担当者に発出した「コンビニエンスストア等での証明書自動交付サービス等における誤交付事案に対する個人情報の保護に関する法律に基づく行政上の対応等について」と題した通知であります。

 この通知では、誤交付が発生した地方公共団体のみならず、交付サービス等を実施する全ての地方公共団体に対して、下線部、当該システムにおいて、自らの窓口で職員が住民に証明書を交付する際と同等の安全管理措置が講じられているか確認を行うこととしております。ここに言う、自らの窓口で職員が住民に証明書を交付する際と同等の安全管理措置とは何なんですか、行政局長。

山野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、昨年の富士通Japan株式会社のコンビニ交付サービスによる誤交付事案を受けまして、同年九月に個人情報保護委員会より個人情報保護法に基づく指導等が行われたところでございます。これを踏まえまして、同月、総務省から全ての自治体宛てに、自らの窓口で職員が住民に証明書を交付する際と同等の安全管理措置が講じられているかを確認するよう事務連絡を発出いたしたところでございます。

 具体的には、窓口の交付においては、現に請求の任に当たっている者が本人であることを明らかにさせることとしておりまして、コンビニ交付サービスを用いる場合においても、利用者証明用電子証明書を用いまして請求者に暗証番号の入力を求めることで、本人であることを明らかにさせております。

 それから、市町村長は、住民基本台帳などの事務処理に当たって、住民票等に記載されている事項の漏えい防止などの措置を講じなければならないとされておるところでございます。総務省としては、コンビニ交付サービスにおける証明書の交付においても、誤交付防止のため必要なシステム上の対策を取ることを求めているところでございます。

 本人確認が利用者証明用電子証明書によって行われていることに加えまして、こうした万全を期すための証明発行サーバー等の対策として常時監視体制の仕組みの構築等を求めていることを踏まえまして対応されているというふうに考えてございます。

宮本(岳)委員 いやいや、自らの窓口で職員が住民に証明書を交付する際と同等の安全管理措置ということであれば、役所の窓口での住民票交付なら、最終的に誤交付がないか職員がチェックするんですね。同等の安全管理措置ということになれば、コンビニの従業員に自治体職員のように誤交付でないかどうかの最終チェックをさせることができるんですか、局長。

山野政府参考人 お答えいたします。

 コンビニ交付におきましては、各コンビニ店で交付がされるということでございますけれども、この通知にございますように、当該システムにおいてそういった安全管理措置が講じられているかということでございますので、コンビニ交付サービスにおける証明書の交付におきましても誤交付防止のための必要なシステム上の対策を取ることを求めるということで、先ほどお答えしたとおりであります。

宮本(岳)委員 システムのことだったら、まさにベンダーに言うしかないんですね。

 総務省が十二月十二日に出した事務連絡では、富士通についても誤交付に直結するような課題はないことを確認しましたと書いてあります。しかし、四月の二十三日の質疑で明らかになったとおり、ダブルチェック機能に当たるフェールセーフ機能については、富士通は現在でも試験を行っている自治体が一団体あるのみで、フェールセーフ機能が実装された自治体など一つもないということが明らかになりました。

 にもかかわらず、その後、この対策が不十分な富士通のコンビニ交付システムを今年一月四日に香川県高松市が導入いたしました。そして、四月四日には、その香川県高松市のコンビニ交付サービスシステムで別人の住民票の写しが交付されるという事案がまた発生したわけです。

 昨年の時点でダブルチェック機能がないがために誤交付を繰り返してきた富士通がなぜ今年になっても選ばれているのかと不審に思ったんですけれども、どうやら富士通と新たな契約を行った自治体は高松市だけではないようであります。高松市以外にも新たに富士通Japanのコンビニ交付システムを導入した自治体があるというんですけれども、総務省、それは何団体ですか。

山野政府参考人 お答えいたします。

 私どもが把握しているところでは、含めて三団体ということでございます。

宮本(岳)委員 高松を含めて三団体。高松以外では二団体ということですね。

 総務省が誤交付に直結するような課題はないことを確認したなどと通知に書いたから促してしまったのではないか。総務省の情報提供も不十分だったと言わざるを得ません。

 しかし、なぜここまで富士通を優遇しているのか。私は、昨年四月二十七日の総務委員会で、自民党の政治資金団体、国民政治協会の二〇二一年分の政治資金収支報告書の写しを配付して、富士通から自民党の政治資金団体に一千五百万円が渡っている事実を明らかにいたしました。

 資料五は、令和四年分、二〇二二年分の国民政治協会の収支報告書の写しであります。これは総務大臣に聞くんです。富士通からの自民党への政治献金は更に増えて一千八百万円となっております。この献金の効果があって富士通を優遇しているのではありませんか。

松本国務大臣 これまでの対応については、当委員会での審議、また局長からも御答弁申し上げてきたとおりでございますが、昨年の横浜市の事案が発覚して以降、総務省としては、富士通株式会社及び富士通Japan株式会社に対し、事案が発覚するたびに原因の究明、当該団体のシステム改修を求め、同社のシステムを利用する他の自治体においても、過去のプログラム誤りを是正する修正プログラムの適用漏れなどがないか、総点検の上、確認を求めてきました。

 また、今後、新たな誤交付を起こさせないための対策として、未知のプログラム誤りにも対応できるようないわゆるフェールセーフ機能の速やかな開発を行い、同社のシステムを利用している地方公共団体に早期に適用するよう対応を求めてきたところでございます。

 誤交付が発生した際には、全ての自治体に対して、富士通Japan株式会社のシステムによる誤交付の発生とその原因等について情報を提供するとともに、全てのコンビニ交付事業者に対してヒアリングを行って、富士通Japan株式会社以外の事業者において誤交付に直結するような課題がなかったことについても情報提供を行っているところでありまして、こうした度重なる対策を要請したにもかかわらず誤交付が再発したことについて総務省としては重く受け止めて、四月十六日に同社に対して厳重注意を行いました。当該適用漏れによる原因究明及び再発防止対策の徹底等を求める文書による行政指導に踏み切ったところでありまして、また、同社における誤交付の発生、その原因等についても各自治体に情報を提供させていただいておりまして、同社を優遇してきたという認識はございません。

宮本(岳)委員 本当にひどいじゃないですか。

 我が党は、国民の利便性の向上を決して否定いたしません。国民が便利になることは大切なことであります。しかし、国民は利便性を望んでいるといっても、個人情報が漏えいしてもいいから便利になってほしいという国民はいないんです。自治体の窓口で自治体職員が住民に証明書を交付する際と同等の安全管理措置というものは、結局は自治体の窓口で自治体職員が行う以外にやりようがないんです。自治体窓口とコンビニでは根本的に違うことを認識すべきです。

 そういう根本矛盾がある中でコンビニ交付を安易に推進してきた総務省の姿勢自体が問われているということを指摘して、私の質問を終わります。

古屋委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、東京一極集中の是正について、大臣に質問させていただきます。

 人口減少、少子高齢化の進展の中で、コロナ禍では一定、地方に人口が流れるという、地方への流れができてきたものの、現状ではコロナ禍のレベルまで再度東京一極集中が進展して戻っている局面にあるというふうに認識をいたしております。

 先日、総務省が住民基本台帳に基づきます二〇二三年の人口移動報告を発表いたしましたけれども、東京都を中心とする東京圏におきまして転入者が転出者を上回る転入超過という状況が全体で十二万人にも上るという調査結果が出ております。また、三十一の道府県で人口の流出が前年よりも拡大しているという状況がございまして、先般発表されました社会保障・人口問題研究所の試算というものも出されましたけれども、私の地元長崎県も、二〇五〇年の人口が二〇二〇年に比べて三三・八%減少する、全国で五番目に低い地域というデータが出て、大変深刻な状況であると受け止めをいたしております。

 一方で、政府は、二〇二七年までの間に地方と東京圏との転出、転入の均衡というものを目標に掲げておられまして、かなりハードルの高い目標であると今の状況では言わざるを得ないというふうに考えております。

 その中で、大臣も御承知のように、先般、民間の有識者グループ、人口戦略会議が全国の市町村の人口の動向を分析した報告書を発表されまして、それによりますと、全体の四割に当たる七百四十四の自治体で二〇五〇年までに二十代から三十代までの女性が半減をし、最終的に消滅する可能性があるというデータが公表されました。十年前のいわゆる増田レポートによりまして政府が危機感を持った中で地方創生を強力に進めた経緯がございますけれども、様々地域によっても独自のお取組等、大変努力を積み重ねてこられておりますが、結果としては深刻な状況が改善するには至っていないという認識でございます。

 その中で、若者、とりわけ若い女性が地方から都市部へ転出するということは中長期的に見ると少子化、人口減少につながる大きな要因となりますので、このことを転換していく政策というのが大変重要であるし、これからの政府の取組の中で強力に進めていただかなければいけない視点であるというふうに私は認識をいたしております。

 今日、資料をお配りいたしておりますけれども、地方において女性が活躍をしていくためには、地方によってそれぞれ独特の事情ですとか課題があって、様々な今お取組がある中でございますけれども、特に地方においてはまだまだ社会全体の環境整備が、女性活躍の土台としてはまだまだ十分に整備ができていない状況があるというふうに認識をいたしております。そのためには横断的な、総合的な施策が重要でございますし、女性活躍という視点は総務省の所管では直接ないのでありますけれども、地方の状況を考えていったときに、女性活躍を推進するという視点が大変重要だという認識の下で大臣に質問させていただきたいと思います。

 先般、国際女性デーに合わせて、地域におけるジェンダーギャップ指数、昨年から発表されておりまして、大臣も御覧になったことがあるかというふうに思いますけれども、それぞれの地域で女性活躍を含めたジェンダーギャップ指数が今現状どういう状況かというのが見える化されております。このことをしっかり見える化することを通じて課題解決につなげていかなければいけないと思いますけれども、総務省としての取組としては、地方における女性のデジタル人材の活用ですとか地方公共団体における女性の活躍の取組というのが直接的にはあるというふうに思うんですけれども、まず今回の人口戦略会議の報告についての大臣の見解をお伺いした上で、総務省としてこれからどのようにこの問題に取り組んでいかれるかという方針についてお伺いをさせていただきます。

松本国務大臣 人口戦略会議のレポートにつきましては、先ほどもこの委員会でお取り上げいただいて御答弁をさせていただきましたけれども、私どもとしても自然減の問題と社会減の問題とをそれぞれしっかり、このレポートでも分析をされておられますが、そういった両面の見方も、また、外国人の入国超過数が増えていることによって、これが各地域にそれぞれ影響を与えているということにも着目をしておられます。他方で少子化の基調が変わっていないということにも留意する必要があるという指摘もいただいていると認識をしておりまして、このレポートの試算の結果を正確かつ冷静に認識した上で対策を進めていきたいと思っております。

 私どもとしても、人口減少そのものへの取組としては、総務省も含めて政府一丸となって子供、子育て政策に取り組んでおりまして、私ども総務省としては、国が進める政策の地方負担分の財源と地方が独自に実施する政策の財源の双方の確保をしてきているところでございます。

 また、地方への人の流れについては地域おこし協力隊や特定地域づくり事業協同組合、地域活性化企業人、そして地域の経済活性化という意味ではローカル一万プロジェクトを始め様々な施策を進めてきているところでございまして、今回、消滅可能性があるというふうに人口レポートで言っている自治体の数も一部やはり減ってきているところもあるようでございますが、私どもとしても、施策には一定の効果はあるかと思いますけれども、更にまた必要な政策は展開をしていきたいと思っております。

 女性活躍につきましても、今委員からも御指摘いただきましたように、女性のデジタル人材育成につきまして、女性デジタル人材育成プランに基づいて、総務省でもデータサイエンスに係るオンライン講座など統計データを利活用するための学びの機会の提供、地域におけるテレワークの普及推進などに取り組んでおりますし、また、第五次男女共同参画基本計画において地方公務員の管理職に占める女性の割合などの成果目標を定めて、その達成に向けて先進的な取組をまとめたガイドブックを作成しました。女性の積極的な採用、女性の管理職登用、仕事と家庭の両立支援の取組を紹介するなど、自治体を支援してまいりたいと思っております。

 また、地域おこし協力隊で多くの女性の方々が活躍していただいておりますが、総務省の施策を展開するに当たっても、女性活躍の視点は欠かさぬようにしてまいりたいと思っておりますし、女性が活躍いただくことで様々、今お話がありましたように、地域の活性化であり、また少子化などの課題に対する効果の進展も期待できるところもあろうかと思いますので、しっかりとこの政策にも取り組んでいきたいと思っております。

西岡委員 今大臣から総務省としてのお取組につきましても言及がございましたし、総務省としても地方における女性活躍は大切な視点として取り組みたいというお言葉もいただきました。

 進学ですとか就職をきっかけとして転出されるということもあるんですけれども、今日お配りをしております資料の中にもありますように、アンケート結果から見ても、いわゆるアンコンシャスバイアスという、地方においてはまだまだ男女の役割分担意識が強いということもありまして、それが一つは女性活躍の障壁になっていて、そういう意味も含めて都市部に転出される若い女性も多いということもアンケート等からも分かっておりますし、この資料からも分かるとおり、やはり正規雇用化も大変重要でございまして、女性の、従来はM字カーブと言われたものが今L字カーブと言われて、出産、子育てを経験して、それから女性がどのようにキャリアを継続していくかということが大変重要な課題でございます。

 様々複合的な対策が必要であるという中で、総務省としてもしっかり女性活躍ということを施策の大変重要な位置づけとしてお取り組みいただきますように強く要望させていただきまして、次の質問に移らせていただきます。

 関連いたしまして、女性活躍は働きやすい環境整備という意味でも大変資するものでございますけれども、性別にかかわらず、障害をお持ちの方や社会的に弱い立場にある方々も含めまして、ハラスメント対策は大変重要な課題であると認識をいたしております。そこで、地方公共団体におきます関係法令に基づいた各種ハラスメント防止対策の実施状況についてお伺いをいたします。調査によりますと、昨年末時点でいまだ必要な措置が講じられていない自治体が一二・一%あるというふうにされております。この実施促進へ向けたお取組について、総務省の方にお伺いをいたします。

小池政府参考人 ハラスメントは、個人の尊厳や人格を不当に傷つける許されない行為であり、また、職員の能力の発揮を阻害し、公務能率の低下を招くことから、地方自治体におけるハラスメント対策は重要な取組であると考えております。

 総務省としましては、関係法律やこれらの法律に基づく厚生労働大臣指針また人事院規則を踏まえ、各種ハラスメントを防止するために必要な措置を講ずるよう各種会議において要請するなど、これまでも機会を捉えて地方自治体に対して助言を行ってきたところです。

 昨年十二月に公表した各種ハラスメント対策の取組状況調査の結果によれば、昨年六月一日現在で、都道府県や指定都市については全て措置済みとなっているものの、指定都市を除く市区町村につきましては、御指摘いただいたとおり、一二・一%が一部又は全て未措置となってございます。

 この結果を受けて、必要な措置が講じられていない団体に対し、各種ハラスメント対策は団体の規模や職場の状況のいかんを問わず必ず講じなければならないものであることから、速やかに対応するよう要請してきたところです。

 今後とも、地方自治体における取組状況を調査し、特に未措置団体の実施状況については随時フォローアップ調査を行うなど、各種ハラスメント対策の実効性が確保されるよう取り組んでまいります。

西岡委員 引き続きしっかり推進に向けたお取組をお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、カスタマーハラスメントについてお伺いをさせていただきます。

 国民民主党は、先進的にカスタマーハラスメント対策に取り組んでまいりまして、既にカスタマーハラスメント対策推進法案を二年前に提出させていただいております。

 公務部門においても大変カスタマーハラスメントの被害が深刻でありまして、地方公務員の約半数がいわゆる迷惑行為、悪質クレームを受けているという調査結果も出ております。

 不当な要求に対して明確な基準を持って対応できるマニュアルの作成ですとか研修の実施、相談体制の整備等、社会問題としてカスタマーハラスメントに対応することが大変重要であるというふうに思っておりますし、また、啓発ポスターも含めた周知、広報、これも大変重要でございます。

 特に、公務員という立場上、大変対応に苦慮して精神的にも追い込まれる事例も多く発生をいたしております。働く方々の心身の健康のためにも、また、住民サービスにも大きな影響が及ぶという事態もございますし、カスタマーハラスメント対策は大変急務だというふうに考えておりますけれども、地方自治体におけるカスタマーハラスメントの現状とその対策、今後の方針について、総務省にお伺いをさせていただきます。

小池政府参考人 窓口業務を多く担う地方自治体に係るカスタマーハラスメントについては、長時間にわたって不合理なクレームを言われ続けて拘束される、行政サービスの相手方から暴言等を受けるなど様々な被害があるものと承知をしております。

 地方自治体を含む事業主に適用される労働施策総合推進法に基づく厚生労働大臣指針においては、カスタマーハラスメント対策については事業主が行うことが望ましい取組とされています。

 一方、同法が適用されない国家公務員については、人事院規則等において、カスタマーハラスメントに関する苦情、相談があった場合に、組織として対応し、その内容に応じて迅速かつ適切に職員の救済を図ることが各省各庁の長の責務とされております。

 これを踏まえ、総務省としては、地方自治体においても、公務職場に特有の要請に応える観点から、国家公務員と同様の対応を行っていただくよう要請するとともに、その措置状況の把握を行ってきたところです。

 昨年十二月に公表した各種ハラスメント対策の取組状況調査の結果によれば、カスタマーハラスメント対策について措置を講じている団体が年々着実に増加しており、都道府県や指定都市については全て措置済みとなっているものの、市区町村において必要な措置が講じられていない団体が四割程度となっております。

 総務省としては、カスタマーハラスメント対策の措置状況のフォローアップに加え、今後、新たに、ハラスメントを抑止するために厚生労働省が作成したカスタマーハラスメント防止を呼びかけるポスターなどを地方自治体の窓口に掲示することを促すとともに、カスタマーハラスメントの発生事案を含めたハラスメントの実態調査やその対策を実施する好事例の収集等を実施し必要な情報提供を行うなど、地方自治体におけるカスタマーハラスメント対策の取組を推進してまいります。

西岡委員 今御説明をいただきましたけれども、法律上の明確な定義がない状況の中で、厚労省においてはカスタマーハラスメント対策企業マニュアルが作成をされておりますし、それぞれの企業や自治体独自でお取組をしていただいておりますけれども、やはり法的な根拠がないというところが大変難しい状況もあるというふうに思いますので、法制化へ向けた取組、我が党としてもしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。

 質問はさせていただきませんけれども、先日プロバイダー責任制限法の改正について様々な議論がありましたけれども、カスタマーハラスメントにつきましても社会の変化に伴いまして悪質クレームが対面だけではなくてSNS上にも広がっている、そういう状況も新たに生まれてきておりますので、SNS上でのカスタマーハラスメント対策についてもしっかり今後課題としてお取り組みいただきたいという問題提起をさせていただきたいと思います。

 続きまして、時間が残り少なくなっておりますけれども、先般、能登半島地震におきまして様々な課題が明確になったところでございますけれども、本日は、私の方からは、災害時の要配慮者を安全に避難誘導するということにつきまして質問させていただきます。このことは災害時には極めて重要な課題であると認識をいたしておりますけれども、国は自治体に対して災害時における高齢者や障害者などの要支援者の名簿作成を義務づけると同時に、具体的な一人一人の個別避難計画の策定は努力義務とされております。

 個別避難計画策定について現在どのような策定状況にあるのかということと、今のこの状況、策定できていない自治体の理由というものがどういうものであるのかということをどのように内閣府として把握されているかということ、また、この度の能登半島地震におきまして計画の実際の活用状況がどういう状況であったか、地域が壊滅的な被害を受ける中で大変難しい実態が浮き彫りとなったというふうに思いますけれども、今後の課題、お取組についてお伺いをして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

瀧澤政府参考人 お答え申し上げます。

 個別避難計画の作成状況については、令和五年十月一日現在、作成に着手している市町村は千四百七十四、割合で八四・七%でございます。また、二百六十七、割合で一五・三%の市町村では一件も作成できていないという状況でございます。

 市町村で計画が進んでいない要因としては、防災、福祉部局どちらも人手不足であること、多くの関係者を巻き込みながら多数の計画作りに取り組むことに対する心理的なハードルがあることといった実情が市町村の現場にあるのではないかと考えております。

 このため、内閣府では、市町村が計画の策定にまず着手していただけるよう、簡単な計画のひな形とともに、その作成手順を分かりやすく示した手引を全国の自治体にお配りしたところでございます。また、市町村に対して都道府県が積極的に支援を行っている地域ほど計画作りが進んでいるということで、都道府県による市町村支援を推進するためのモデル事業や都道府県担当者会議を実施しているところでございます。

 今後、計画に基づく取組状況について実施把握に努めるとともに、好事例や教訓の横展開に取り組んでいきたいと思います。

西岡委員 時間となりましたので、これで質問を終わらせていただきます。

 残余の質問は引き続き次回にさせていただきます。大変申し訳ございませんでした。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

古屋委員長 次に、内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。松本総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方自治法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松本国務大臣 地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、地方制度調査会の答申を踏まえ、地方公共団体の運営の合理化及び適正化並びに持続可能な地域社会の形成を図るとともに、大規模な災害、感染症の蔓延その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と地方公共団体との関係を明確化するため、所要の措置を講ずるものです。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、デジタルトランスフォーメーションの進展を踏まえた対応に関する事項であります。

 まず、地方公共団体の議会及び長等は、サイバーセキュリティーを確保するための方針を定め、これに基づき必要な措置を講じなければならないこと等とするとともに、地方公共団体の長は、eLTAXを用いた地方税以外の公金の収納事務を地方税共同機構に行わせるものとすることとしております。

 第二は、地域の多様な主体の連携及び協働を推進するための制度の創設に関する事項であります。

 地域において住民が日常生活を営むために必要な環境の持続的な確保に資する活動を行う団体を市町村長が指定することができることとし、当該団体への支援等に係る規定を整備することとしております。

 第三は、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と地方公共団体との関係等の特例の創設に関する事項であります。

 まず、当該事態への対処に関する基本的な方針の検討等を行うため、国又は都道府県は地方公共団体に対し資料又は意見の提出を求めることができることとしております。

 また、国民の生命等の保護の措置を的確かつ迅速に実施するため、国は都道府県に対し指定都市、中核市等の事務処理との調整を図るために必要な措置を講ずるよう指示をすることができることとするとともに、当該事態の規模、態様等を勘案して国民の生命等の保護の措置を的確かつ迅速に実施するため特に必要があるときは、国は、閣議の決定を経て、地方公共団体に対し当該措置を的確かつ迅速に実施するため構ずべき措置に関し必要な指示をすることができることとし、併せて、地方公共団体相互間の応援又は職員の派遣について、国による広域調整等に係る規定を整備することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

古屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十四日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十四分散会


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