第15号 令和7年5月22日(木曜日)
令和七年五月二十二日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 竹内 譲君
理事 あかま二郎君 理事 塩崎 彰久君
理事 島尻安伊子君 理事おおつき紅葉君
理事 岡島 一正君 理事 吉川 元君
理事 黒田 征樹君 理事 向山 好一君
石橋林太郎君 大西 洋平君
加藤 竜祥君 川崎ひでと君
小寺 裕雄君 小森 卓郎君
佐藤 勉君 高見 康裕君
田所 嘉徳君 中野 英幸君
根本 拓君 福原 淳嗣君
古川 直季君 森下 千里君
山口 俊一君 若山 慎司君
青山 大人君 おおたけりえ君
岡本あき子君 奥野総一郎君
川内 博史君 杉村 慎治君
高松 智之君 武正 公一君
西川 厚志君 福田 昭夫君
松尾 明弘君 藤巻 健太君
守島 正君 橋本 幹彦君
中川 康洋君 山川 仁君
辰巳孝太郎君
…………………………………
総務大臣 村上誠一郎君
総務大臣政務官 川崎ひでと君
総務大臣政務官 古川 直季君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 水野 敦君
政府参考人
(消費者庁政策立案総括審議官) 藤本 武士君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 竹林 悟史君
政府参考人
(デジタル庁審議官) 井幡 晃三君
政府参考人
(総務省大臣官房地域力創造審議官) 望月 明雄君
政府参考人
(総務省行政管理局長) 平池 栄一君
政府参考人
(総務省自治行政局長) 阿部 知明君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 小池 信之君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 笠置 隆範君
政府参考人
(総務省自治財政局長) 大沢 博君
政府参考人
(総務省自治税務局長) 寺崎 秀俊君
政府参考人
(総務省情報流通行政局郵政行政部長) 牛山 智弘君
政府参考人
(総務省情報公開・個人情報保護審査会事務局長) 河合 暁君
政府参考人
(消防庁次長) 田辺 康彦君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君
政府参考人
(財務省理財局次長) 石田 清君
政府参考人
(国税庁長官官房審議官) 斎須 朋之君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 森 真弘君
政府参考人
(防衛省地方協力局次長) 森田 治男君
参考人
(日本郵政株式会社常務執行役) 西口 彰人君
総務委員会専門員 阿部 哲也君
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委員の異動
五月二十二日
辞任 補欠選任
川崎ひでと君 高見 康裕君
小森 卓郎君 根本 拓君
道下 大樹君 川内 博史君
山花 郁夫君 青山 大人君
福田 玄君 橋本 幹彦君
同日
辞任 補欠選任
高見 康裕君 森下 千里君
根本 拓君 小森 卓郎君
青山 大人君 山花 郁夫君
川内 博史君 道下 大樹君
橋本 幹彦君 福田 玄君
同日
辞任 補欠選任
森下 千里君 川崎ひでと君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件
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○竹内委員長 これより会議を開きます。
行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社常務執行役西口彰人君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府政策統括官水野敦君外十八名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○竹内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。若山慎司君。
○若山委員 おはようございます。自由民主党の若山慎司でございます。
今日は、まず冒頭、行政不服申立てについてお尋ねをしたいと思います。
行政庁の処分や不作為に対して不服がある人が行政不服審査法に基づいて処分や不作為の再審査を求めるこの制度でございますが、我々国民の権利利益を救済し、行政の適正な運営を確保していくためには大変重要な制度であると思っております。そうした中で、行政不服審査法が新法へと移行していった平成二十八年四月以降の不服申立て件数等の推移について、また申立て内容の類型について御説明をいただけますでしょうか。
○平池政府参考人 お答えいたします。
総務省にて実施いたしました行政不服審査法施行状況調査におきまして、国及び都道府県、政令市を対象とした地方公共団体について調査したところ、平成二十八年四月の現行の行政不服審査法の施行以降の不服申立ての件数は、平成二十八年度は、国が二万三千五百七十四件、地方が一万一千二百三十三件、計三万四千八百七件、平成三十年度は、国が四万一千二百五十六件、地方が一万六千四百五十二件、計五万七千七百八件、令和元年度は、国が三万一千七百十五件、地方が一万四千五百二十七件、計四万六千二百四十二件となっております。
また、不服申立ての件数の多い分野は、国では、情報公開・個人情報保護関係、出入国及び難民認定法関係、社会保険関係、地方では、生活保護法関係、情報公開・個人情報保護関係、後期高齢者医療制度関係となっております。
○若山委員 ありがとうございました。
不服申立てのメリットは、私も長年秘書をやってまいりまして、いろいろな申請案件で、何で通らないんだというような案件に触れる機会もございましたけれども、こうした不服申立てをする際に、では裁判でもということになりますと非常に時間もかかりますし手続も大変である、手続が裁判に比べて簡易迅速であること、また、専門的な知識がなくても利用できるというメリットがあるのでこういう不服申立て制度があるわけですが、この点に鑑みると、申立て処理がスムーズに行われることというのも大変重要になってくると思います。その中でやはり繰越し案件があろうかと思いますが、繰越し案件の処理について現状どのように進められているのか、お伺いしたいと思います。
○平池政府参考人 お答えいたします。
先ほど申し上げました行政不服審査法施行状況調査によりますと、前年度から繰り越して処理すべき不服申立て件数は、平成三十年度は、国が二万二千八百五十三件、地方が七千百四件、計二万九千九百五十七件、令和元年度は、国が三万六千八百四件、地方が一万三千四百七十一件、計五万二百七十五件となっております。
総務省といたしましては、審理手続を行う国及び地方公共団体等の職員を対象として裁決書、答申書の作成など実践的な研修を実施し、審理手続に従事する職員の更なる能力向上を図るほか、行政機関向けの事務取扱ガイドラインを作成、公表し、不服申立てに対する処理体制の整備や標準審理期間の設定が適切に行われるための留意点を示すなど、行政不服審査法の特徴の一つであります簡易迅速性が確保されるよう取り組んでいるところでございます。
○若山委員 ありがとうございました。
不服申立ての迅速な処理を実現していくためには、申立て内容がしっかり整理されていること、特に法的にしっかり整理されているということが必要であるということを感じております。そのためにも、法的な知見を有する士業の皆さんにしっかり関わっていただきながら、行政書士が作成していない例えば給付申請に係る不服申立てというのは今は特定行政書士に代理依頼できないというようなお話も伺っております。個人の申請する権利を否定しないで不服申立て時の円滑な処理を進めていくためにも是非、特定行政書士の代理依頼をできるようにすることも繰越し件数の低減や処理速度の向上に資するというふうに考えますので、是非こういったことも踏まえて取り組んでいただければというふうに思います。
次に質問を移らせていただきます。普通交付税についてお伺いをしたいと思います。
去る二月二十五日のこの委員会で普通交付税の算定についての質問を少しさせていただきました。普通交付税の算定の基礎となる単位費用について質問させていただいたりもしたわけですが、物価の高騰を始めとして特に経済的要因を加味した見直しを実施された旨の答弁をいただいておりますけれども、これに加えて、地元の市町村からは合併市ならではの事情について要望もいただいたりしております。自治体へのこういったところの配慮について御説明をいただけたらと思います。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
合併市町村に対します交付税算定につきましては、委員御指摘のとおり、平成の合併によりまして市町村の面積が拡大するなど、市町村の姿が大きく変化をし、合併時点では想定されなかった財政需要が生じていると考えておりまして、これを普通交付税の算定に反映してきたところでございます。
具体的には、平成二十六年度以降五年間かけまして、旧市町村単位の支所や消防署等に要する経費の算定、それから、ごみ収集、運搬等に要する経費について人口密度によります需要の割増し、また、標準団体の面積の見直しに合わせて標準団体の経費を見直して単位費用に反映する、こういった見直しを行い、全体で六千七百億円程度の措置を行っておりまして、合併市町村からも評価をいただいてきたところでございます。
また、こうした合併市町村において生じます財政需要の算定につきまして、経費の実態なども踏まえて、物価の上昇等を反映するなど、その後も適切に対応してきたと考えております。
引き続き、合併市町村を含めまして地方団体からの御意見も伺いながら、地方団体の財政運営に支障が生じないよう適切な算定に努めてまいります。
○若山委員 ありがとうございました。
どこかで線は引かなければならないので、どの自治体からも、よし、これでというようなことにはなかなかならないとは思うんですけれども、しかしながら自治体からは依然として、基準財政需要額が実態に、はじき出された数というものに対して、なかなか我々の気持ち、実態を酌み取り切れていただけていないのでないかというようなお声も引き続きいただくところでございます。愛知県も、地方である部分もありますが、物づくりの県でありまして、産業が盛んな部分もあり、自治体によって全く県内の自治体それぞれの抱えている課題が違うというようなところもございますので、どうか、それを計算する際の補正係数のかかり方等で御調整いただくしかないと思いますから、是非この点についても引き続き御配慮いただけるように要望させていただきたいと思います。
さて、次に地域医療体制の確保に資する公立病院経営の支援ということでお伺いをしたいと思います。
都道府県や市町村などが運営する公立病院は全国に八十病院以上あるわけでございますが、コロナの対策で打ち出されていたお金が途切れたところから一気に全体の七割が赤字に転落、黒字の病院も実態としては自治体からの繰り出し金によって何とか黒字化しているというような状況になっているところがほとんどでございます。そうしたときに、特にコロナ前とコロナ後で経営が一気に悪化したところもある中で、公立病院の経営強化というのはどうしてもやっていかなければならないことでございます。自治体からの繰り出し金に対する地方交付税による措置について、あわせて、経営改善推進事業、病院事業債の活用ということを打ち出しておられると思いますが、どのような自治体病院再建の支援を行っていこうとしておられるのかということをお伺いしたいと思います。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
総務省では、公立病院が不採算医療でありますとか特殊医療などの地域医療にとって重要な役割を担っていることを踏まえまして、これまでも必要な地方財政措置を講じてまいりました。
現在、公立病院は、医師、看護師等の不足や人口減少などを背景とする厳しい経営環境に直面していると認識しております。
そこで、令和七年度におきまして、経営改善実行計画を策定し収支改善に取り組む公立病院の資金繰りを支援いたしまして経営改善を促進するための新たな地方債措置を創設したところでございまして、こうした措置を活用して経営改善に努めていただきたいというふうに期待しております。
また、令和七年度におきましては、不採算地域における医療提供体制を確保するために、不採算地区病院への特別交付税措置の基準額の三〇%の引上げ措置を継続することとしております。
今後とも、持続可能な地域医療提供体制を確保するために、地方の公立病院の実態なども踏まえながら必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
○若山委員 ありがとうございます。
自治体病院をざっと見まして、外科、内科といった基本的な診療科もそうなんですけれども、一番足りないといって地方から声が上がっておりますのは、小児科であるとか産科であるとか、こういった、ドクターの中でも、美直という言葉もどこかで私も耳にさせていただいていますけれども、もうからない仕事にはなかなかドクターも集まらないというような実情もあります。ただ、それぞれの自治体の中での医療を担っている公立病院でありますので、不採算であってもやはり維持していきたい、いかなければならないという使命感を持って取り組んでいるところも多々ございます。負のスパイラルに陥っているような病院を何とか再生しようと思いますと、どうしても自治体は、指定管理に出して病院経営の抜本的な見直しをやるか、若しくは病院を譲渡して一定の条件をつけて診療科を守っていくというような取組をしなければならない、こういう状況に陥っております。
また、公立病院であるがゆえに、民間病院と違って、とにかく持っているベッドを回しさえすれば黒字化していくということが分かっていながら、そこまでのことは自治体病院としてできないというような事情も抱えておるところでございますので、指定管理であったり譲渡というようなことを自治体が検討する際には、元々抱えている病院の負債というものがネックになってくるということもございます。そうしたときに自治体がそういったことに踏み切るために背中を押してあげられるような支援ということを、是非、国としても考えていかなければならないと思います。御答弁は特に結構でございますが、引き続き、各自治体の公立病院の支援ももちろんではありますけれども、その先の譲渡また指定管理への移行というようなことへの支援も引き続きお願いをしたいと思います。私も実は幾つかのところから非常に公立病院の経営が厳しいという市長さんたちのお声も伺っておるところではありますが、身動きが取れないという実態も抱えているところが多数ございますので、こうした声にも応えていただけるように是非お願いを申し上げたいと思います。
時間が来たようでございますので、ここまでとさせていただきます。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、山川仁君。
○山川委員 おはようございます。れいわ新選組の山川仁です。
本日も質問順を考慮していただきまして、ありがとうございました。
早速質問に入りたいと思いますが、今資料を職員の方が配っていただいているので、資料の一と二を御覧いただきながらこのお話を聞いていただければなと思っております。
まず初めに、戦後八十年が経過し、今なお沖縄県内では米軍戦闘機の騒音問題、米軍属の事件、事故は実効性ある防止策すらできないまま、沖縄県民への負担だけの異常事態となっていることを御認識いただき、総務省を始め各省庁が一丸となって安寧できる沖縄を一日も早くつくっていただきたいと強く要望し、質問に入らせていただきたいと思います。
さて、この資料の中には沖縄の地元紙から報道されている内容を掲載しております。いつも痛ましく心が晴れない情報ばかりでございますけれども、沖縄振興予算が県民のためにこれ以上ない予算額となったとか、米軍が今年中に撤去を約束してくれたとか、そういった県民にとってうれしい情報が記事になるよう、是非総務大臣を始め閣僚の皆さん方もお力添えいただきたいと思っているところです。
さて、五月三日に自民党沖縄県連も関連する沖縄県那覇市で開かれたシンポジウムにおいて、心ない西田氏の発言を受けた様々なところからの抗議の記事が連日掲載されております。沖縄戦の実相がゆがめられ、かつ自分たちが納得できる歴史をつくらなければならないと自民党の西田参議員が発言し、今なおこの歴史観について収まることなく抗議行動、決議などが沖縄県の各市町村からも全会一致という形の中で、こういう決議が政府にも届いているかと思っております。
県民の声として参考にお伝えしますが、西田氏の発言は認識不足であり、戦争の体験談を伝えてきた歴史を否定することについて歴史修正主義だなどの批判的な反応も多くあります。また、沖縄県は、沖縄戦の実相をゆがめる意味で考えるとゆゆしき発言、認識不足も甚だしいと知事も発信しておるところです。平和祈念資料館の館長においては、沖縄戦体験者の思いを踏みにじる失言など、多くの県民の声を代弁した報道があったようです。先日、二十日に石破総理が自民党総裁として深くおわびすると沖縄県知事へ謝罪の言葉を述べたとも報道されておりました。
るるこれまでの経緯を踏まえて、自民党西田参議員の沖縄県民や多くのみたまへの冒涜発言についてお伺いしたいと思います。
政権与党の中には、さきの沖縄戦、ひめゆり学徒隊への歴史認識が欠落した者がいるようです。西田議員は歴史は自ら書き換えなければならない旨の発言をし、後に謝罪はしたものの、西田議員御自身の歴史認識は変わっておらず、沖縄戦の苛烈で悲惨、凄惨な実相を冒涜し、県民の苦悩と尊厳を踏みにじる発言であったと強く非難しなければいけないところですが、総務大臣にまずお聞きします。
西田議員の今回の発言や、中谷防衛大臣の牛島司令官の辞世の句を平和を願う歌と解釈する発言など、歴史修正主義的な発言が相次いでいることから、村上総務大臣に対して沖縄戦における日本軍の行いについての認識と沖縄への思いを伺いたいと思います。
○村上国務大臣 お答えします。
さきの大戦や旧日本軍に関する認識については、総務省の所管外であるため、お答えを差し控えさせていただきます。
なお、さきの大戦における沖縄戦について、政府としては、沖縄は国内最大の地上戦を経験し多くの方々が犠牲となり筆舌に尽くし難い苦難を経験された、このような悲惨な経験を風化させることなく次の世代に継承することが重要であるとの立場である、そのように認識しております。
○山川委員 総務大臣にもう一度お伺いしますが、総務大臣はひめゆり資料館、若しくは平和祈念資料館、平和の礎に行かれたことはありますか。
○村上国務大臣 残念ながらまだ行っておりません。
○山川委員 ありがとうございます。
平和を希求する施設を是非訪問し、沖縄県民とともに理解を深め、実相を受け止め、真に寄り添った政治、政権運営を行っていただきたいと思っていますが、今国会、残り一か月余りとなりました。実相を再確認すべきタイミングかと私は思っております。以前からお願いしている、沖縄の地方自治がどのような状況なのか、若しくは大臣自ら視察をしていただきたいが、沖縄県への視察、総務大臣、いかがでしょうか。
○村上国務大臣 委員もお分かりのように、私としてはなるべく早く行きたいんですが、何せ浅学非才なもので、総務大臣としての所轄というか管轄の仕事を実は全うするというか、それが正直言って今のところは精いっぱいでございます。特にこういう委員会が開かれるときには大体毎日四時、五時起きでやっていますので、今のところは体力の限界までやっておりますので、国会が一段落したらなるべく行けるようにできたらいいなと思っております。
○山川委員 ありがとうございます。
次に、沖縄振興予算、特措法について質疑をしたいと思います。
まず、資料三になりますかね、首相官邸ホームページの「沖縄の目指す姿」のページに「沖縄が日本のフロントランナーとして二十一世紀の成長モデルとなり、日本経済成長の牽引役へ」と記載されています。フロントランナー、牽引役とはどのような意味なのか、伺います。
○水野政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のフロントランナー、牽引役の意味については、まず一般的に、先頭に立って引っ張っていく人や、先頭に立って推進する人のことを指すものと認識してございます。
したがって、沖縄が日本の経済成長のモデルとなり、日本の経済を引っ張っていくことを目指す姿として表現しているものというふうに理解してございます。
○山川委員 ありがとうございます。
平成二十五年、二〇一三年十二月二十四日の閣議における安倍元総理のこのような発言がありました。沖縄が日本のフロントランナーとして二十一世紀の成長モデルとなり日本経済活性化の牽引役となるよう、国家戦略として沖縄振興策を総合的、積極的に進める必要があるという力強いリーダーとしての発言がありました。あれから十二年余がたちましたが、沖縄経済や沖縄振興は日本のフロントランナー的役割を果たすことができているのでしょうか。
それでは、質問します。首相官邸ホームページ、先ほど来申し上げているとおり「沖縄が日本のフロントランナーとして二十一世紀の成長モデルとなり、日本経済成長の牽引役へ」と記載されていますが、沖縄は日本の経済活性化のフロントランナーとなっているのか、お伺いします。
○水野政府参考人 お答えいたします。
沖縄は、東アジアの中心に位置する地理的特性、日本一高い出生率といった多くの優位性、潜在力を有しているところでございます。これらを生かして沖縄が日本のフロントランナーとして日本の経済成長の牽引役となるよう、国家戦略として沖縄振興策を総合的、積極的に推進することが必要であるということはホームページに書いてあるとおりでございます。
一例を挙げさせていただきますと、例えば那覇空港の航空機整備施設では我が国において唯一のMROビジネスが展開されているところでございます。内閣府としても、コロナ禍を経て回復しつつあるアジアの航空機整備需要の更なる取り込みを進めて、沖縄における航空関連産業クラスターの形成促進を図って、この分野におけるフロントランナーになってもらうように頑張っていきたいと思っております。
沖縄が日本の経済成長の牽引役となるよう、引き続きこうした取組を進めてまいりたいと考えてございます。
○山川委員 是非そのような思いを持続しながら対応していただければと思っておりますが、まず、沖縄経済は復帰後おおむね国をやや上回る成長を続けてきました。しかし、ここ十年の県経済の成長率を見てみますと、国全体よりも景気の波に左右されやすい脆弱性を示す状況が続いています。これでは日本経済の活性化を牽引できるような状況にはなっていないのは明白ではないでしょうか。
沖縄県民一人当たりの県民所得は、一九八九年、平成に入ってから三十六年間、ずっと全国最下位。この所得も全国平均の七割ですよ、まだまだ七割、しかも現在は六割に低下している、そのような状況です。コロナ禍では県民や県経済も稼ぐ力を失っていると言わざるを得ません。
今回、総務省統計局の「統計でみる都道府県のすがた二〇二五」によれば、都道府県別の生産品出荷額は沖縄は全国最下位、卸、小売の商品販売額は三十位ぐらい、完全失業率は全国トップ。都道府県との経済的な競争力を全く有していない現状が見られています。更に見ていくと、持家比率は全国最下位、一世帯当たりの年間収入も全国最下位、消費支出に占める割合は食料品費が六位、住居費が一位、衣服が四十六位、教育、娯楽は四十六位。そしてまた、貯蓄残高は全国最下位となっています。衣食住を整えるのに精いっぱいの県民生活がこのデータでは浮き彫りになっているという状況です。
これがこれまで沖縄振興への予算と事業内容を進めてきた結果であり、国家戦略として、日本のフロントランナーではなく、私たちは貧困のトップランナーへ低下させられてしまったのではないかと考えているところです。どう考えてもこれまでの沖縄振興の進め方、沖縄振興予算の計上の仕方に県民生活とずれが大きくあることは、この実態が示している政権運営の結果だと言わざるを得ません。
そこで、質疑に入りますが、今年度の沖縄振興予算総額二千六百四十二億円について厳しい財政状況の下と所信表明で訴えておりますが、過去最高の税収益をもたらし、沖縄においては国に納める税金、主な国税は直近でも四千億円以上だと伺っておりますが、正確な国税納付額についての数字と、厳しい財政状況とは何を指しているのか、伺います。
○斎須政府参考人 国税庁が公表しております統計年報におきます令和五年度の沖縄県における国税収納済額は約四千六百七十八億円となってございます。
○水野政府参考人 お答えいたします。
厳しい財政状況とは何を指しているかというお尋ねでございます。
国の財政状況につきましては、昨年十二月九日の参議院本会議におきまして石破総理が、我が国の債務残高対GDP比が世界最悪の水準にあるなど財政が厳しい状況にあることもまた事実でございますと述べられているとおりでございまして、こうしたことを指しているものというところです。
○山川委員 ありがとうございます。
令和七年度の沖縄振興予算は、当初の予算ベースで二千六百四十二億円です。一般会計歳出の僅か〇・二三%にしかすぎません。
政府は国家戦略として沖縄振興策を推進するとしておりますが、この内容では沖縄を軽視していると捉えられても仕方ありません。国家戦略というならばそれなりの予算をつけるべきで、基地と振興策、予算がリンクしない根拠もなく、安倍政権時の十年間三千億円台の約束もできていないものと私は考えているところです。
平成二十四年度、二〇一二年度と令和六年度、二〇二四年度の当初予算を比較すると、国の公共事業関係費はプラス六四%と大幅に増えているのに対し、沖縄振興予算のハード交付金はマイナス四七%と大幅に減少しています。国の直轄事業と合わせてもようやくプラマイ・ゼロですから、あらゆる分野で事業の遅れが生じ、地域の発展等に影響が出ていて、沖縄県だけでなく県内の市町村からも当然のように要望が多く上がってきているところです。
村上総務大臣も、総務省、内閣府もこれら沖縄県内の窮状を理解していただき、是非とも、今年度の補正、次年度の沖縄振興予算はまず当面は三千億円台の確保、そして御支援をいただき、国家戦略及び日本のフロントランナーとしての位置づけを守っていただければと強くお願いします。
時間になりましたので、済みません、最後に一問だけさせてください。
五月十三日付、沖縄県議会市町村議員有志の会から「戦後八十年の節目に、沖縄の基地負担軽減のための法整備を求める要請」が届いておりました。沖縄基地縮小促進法、仮称ではありますが、国会で設置、制定をしていただきたいという要望がありましたけれども、最後の資料五のところで見ていただければと思いますが、そのような要請についてどのような見解をお持ちでしょうか。
○竹内委員長 簡潔にお願いいたします。
○森田政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘の要請がなされたことは承知しておりますけれども、防衛省としていただいたものではございませんので、その内容についてコメントすることは差し控えたいと存じます。
その上で申し上げますと、沖縄の基地負担軽減につきましては、政府としても最重要課題の一つとして取り組んできてございます。中でも、米軍施設・区域の返還につきましては、これまでもSACO最終報告などに沿いまして取組を進めてまいりましたし、また、沖縄統合計画に基づいて、政府の責任におきましてこれまでも移設工事を着実に進めているところでございまして、一日も早い実現を目指しているところでございます。
引き続き沖縄の基地負担軽減につきましてより一層取り組んでまいりたいと考えております。
○竹内委員長 時間が参りましたので。
○山川委員 はい。
多くの要望があると思いますので、是非お力添えいただきたいと思います。
質問を終わります。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、青山大人君。
○青山委員 立憲民主党の青山大人です。
今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
今日の質問の目的は、地方自治体の現場の声を政府へ伝え、その運用の改善を求めることでございますので、早速質問を進めさせていただきます。
まず一点目、地方税関係情報の連携における自署同意の運用の見直しについて伺います。
これは一例でございますけれども、障害者総合支援法に基づく日常生活用具給付事業においては、地方自治体では、給付の決定に当たり、申請者や世帯員の課税状況を確認する必要がございます。その際には、情報提供ネットワークシステムを通じて地方税関係情報の連携が行われています。
現行では、平成二十八年十一月三十日付の総務省からの事務連絡に基づき、地方税情報の取得に当たっては、利用目的の明示、対象者全員分の同意の取得、自署及び代理人が署名する場合は委任状の添付が求められております。
しかし、視覚障害者や知的障害者など自署や委任手続が困難な方も多くおられ、自治体の現場ではその対応に苦慮しているのが実情でございます。やむを得ず、来庁いただいて職員が代筆する、あるいは郵送で申請を受けるなどの対応がなされているものの、申請者に過度な負担がかかっている上、電子申請の活用も妨げられるという課題もございます。
そこで、お尋ねします。障害のある方など自署が困難な場合について、情報連携に係る同意書の取扱いにおいて、現場の自治体において自署を求めず柔軟に対応することは可能と考えますが、総務省の見解を伺います。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
情報連携で提供されることになる地方税関係情報は地方税法上の秘密に該当するものでございまして、総務省としては必ずしもその方法で、自署に限定するものではございませんが、地方税関係情報の提供を受ける各社会保障関係事務におきまして、本人からの同意を得るための様式や事務フローなどが適切に整備されている必要があると考えているところでございます。
その上で、御指摘のありました障害をお持ちの方など自署による同意が困難な方につきましては、例えば本人の意思を確認した上で介助者や自治体職員が代筆するなど、個々の実情に配慮した対応をしていただくことは全く差し支えないものと考えているところでございます。
○青山委員 ということは、例えば電子申請などのように、今の趣旨がしっかり押さえられていれば簡略化は自治体ごとにしてもいいというような認識でよろしいでしょうか。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘がございました電子申請につきましても、確実に本人が同意していることを確認できる措置を講じた上で、申請事務と併せて導入することは現行制度上可能であると考えているところでございます。
○青山委員 そういったことが可能であることを広く改めて通知してほしいと私は思うんですよ。
そもそも、平成二十八年十一月三十日の事務連絡が出されてから約九年が経過をしております。当時とはデジタルの環境や社会状況も大きく変わっております。税情報が重要な個人情報であることは承知をしていますが、自ら署名を行うことを一律に求める運用が現在もなお必要不可欠なのか、改めて検証すべき時期に来ているのではないでしょうか。
なので、障害のある方とかは関係なく、広く一般的な話として、目的はあくまで税情報の連携に対して同意を適切に取得することにあると私は思います。であるならば、手段としての自署を唯一の方法とせず、状況に応じた代替手段も認める運用とすべきです。
総務省として、現行の事務連絡の内容を見直し、自署を必須とはしない運用方針を示す通知を新たに出すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
署名の在り方につきましては先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、そういった考え方を踏まえまして、社会保障関係事務を所管する各省庁におきまして適切な同意事務の実施を検討いただけるように、御指摘のように前回の通知から大分時間もたっていることもございますので、総務省として、改めて考え方を関係省庁に周知するなど、適切な対応を行ってまいりたいと考えております。
○青山委員 今、改めて通知を出すという非常に前向きな答弁をいただきました。本当にありがとうございます。
やはり自治体の現場としましてはなかなか現場で判断できない事項もございますので、改めて今おっしゃったような通知を出すことをお願い申し上げ、次の質問に移ります。
少額随意契約における市町村の上限額の柔軟化について伺います。
昨年六月、国会において私から提起しました少額随意契約の上限額の見直しについては、今年の三月に基準額の引上げが閣議決定され、四月より実施されたと承知をしております。昭和四十九年以来五十年ぶりの改定ということで、現場からも評価する声が上がっています。まずはこの対応に感謝を申し上げます。
しかし、次の課題がございます。地方自治体においては、地方自治法施行令第百六十七条の二に基づき、市町村の少額随意契約の上限額は国のおおむね二分の一に設定されています。この制度は昭和五十七年に整備されたものですが、当時とは異なり、現在の市町村は、平成の大合併などを経て、規模、事務量、財政規模が極めて多様化をしております。
例えば、人口三十万人を超える中核市と人口数千人の過疎自治体が市町村として一律に扱われ、上限額が国の半額に固定されている現行制度は、もはや現実に即しているとは言えないのではないでしょうか。特に物価上昇や人手不足に直面している自治体の現場においては、少額随意契約の活用によって事務の効率化や地元業者との円滑な契約執行を図る必要性が高まっております。
そこで、伺います。今回、国における少額随意契約の上限が引き上げられたことを踏まえ、市町村においても、一律に国の二分の一とするのではなくて、人口規模や財政規模等に応じて柔軟に上限額を設定できる制度とすることが必要ではないでしょうか。総務省の見解を伺います。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
地方公共団体の契約につきましては、公正性と機会均等性を確保するため、一般競争入札によることが原則とされてございますけれども、能率的な行政運営の観点から、基準額以下の契約については随意契約によることが可能とされてございます。
その上で、指定都市を除く市区町村の基準額につきましては、都道府県、指定都市の財政規模と指定都市以外の市区町村の財政規模の違い等を勘案しまして、都道府県、指定都市の二分の一程度の金額とされてございます。
先ほどお話がございましたけれども、本年三月の地方自治法施行令の一部改正におきまして、昨今の物価高騰や事務の効率化の観点を踏まえまして少額随意契約の基準額の引上げを行っておりますが、その際も、都道府県、指定都市と指定都市を除く市区町村との財政規模には大きな差が生じていること、随意契約が地方公共団体の契約原則である一般競争入札の例外とされていること等を踏まえまして、指定都市を除く市区町村の基準額については物価上昇分以上の引上げは行わなかったところでございます。
なお、国の基準額と都道府県、指定都市の基準額につきましては同額となってございます。その他の市区町村が二分の一ということでございます。
○青山委員 参考人には制度に沿って答弁してもらったわけですけれども、あえて大臣に一問だけ聞かせてください。
大臣、確かに以前は随契によって入札の公共性がゆがめられるとかそういう懸念もございましたし、特に以前は市町村長の選挙なんかでいわゆる業者の皆様の支援があるなしとかで入札が変わったりとかがあった問題がございましたけれども、大臣も御存じのように、今は地方の建設業者も以前のような選挙どうこうということで見返りを求めているわけじゃないですし、どこも地域の経済やインフラを支えようということで非常に献身的な努力もされております。災害も多発する中で、やはりそういった地元の建設業者を育成するという観点も今の時代は必要になってきています。
少額随意契約、一律に上げろとは言いませんが、もう少し市町村の規模に応じて、もちろん国の上限額を限度に、ある程度ルールを決めて幅を持たせることは、私はそこは政治の判断としていいのかなと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○村上国務大臣 青山委員御指摘のように、人口規模では指定都市に近い市区町村もあるところですが、今局長から答弁がありましたように、都道府県、指定都市と指定都市を除く市区町村では引き続き財政規模に大きな差が生じていることは現状であります。
加えて、随意契約は、競争入札に係る事務作業を省略できる一方、その運用によっては契約の相手方の選定が一部の者に偏り公正性が確保されなくなるおそれがあることから、自治体の契約原則である一般競争入札の例外とされております。
これらを踏まえますと、委員御指摘のように、指定都市を除く市区町村の基準額について、政令で都道府県、指定都市の基準額の二分の一程度となっておりますが、その取扱いを変更することについてはやはり慎重に検討する必要がある、そのように考えております。
○青山委員 これはもう本当に、事務方ではなくて大臣の考え方だと思うんですよ。大臣も多分、地方の実情をよく分かっていると思います。私も田舎からのたたき上げの議員でございます。以前と地元の経済を取り巻く状況は本当に変わってきています。再検討に値するのではないかと私は思います。
御承知のように、市町村では今回、百三十万から二百万になって大分楽にはなったんですが、頻発する災害の中であえて金額を分けて発注とか、そんな手間とかをしている状況でもございますし、是非そこは一度検討していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
本来であれば、建設業界から私は一切支援をもらっていませんけれども、それは選挙の有無ではなくて、地元の経済、地域のためにということでこの質問を取り上げさせていただきました。自民党の先生方も是非御検討いただけたら幸いでございます。
それでは、次の質問を伺います。緊急防災・減災事業債について伺います。
この事業債は、地方自治体が防災、減災に資する単独事業を進める上で非常に重要な財源措置であり、特に今後は避難所に指定されている学校体育館などの空調整備へ有効に活用されていくものと思われます。御承知のように、気候変動の影響により災害は激甚化、頻発化しており、猛暑の長期化も相まって、こうした避難所に指定されている学校体育館などの空調整備の必要性は年々高まってきております。
この委員会でも何人か質問されていますが、この緊急防災・減災事業債は令和七年度末をもって期限を迎えるとされていますが、実際には全国の自治体から令和八年以降も活用したいという声が強く寄せられています。そこで、お伺いします。総務省として、今年度末で終わりにすることなく、令和八年度以降、複数年の延長を行う方向で検討しているというような認識でよろしいでしょうか。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
緊急防災・減災事業債につきましては、地方債の充当率が一〇〇%、元利償還に対する交付税算入率が七〇%と、特別に手厚い措置を講じているところでございます。これは、自治体におきましてできる限り早期の取組が求められることから、事業期間を区切ってこのような手厚い措置を講じているものでございます。
いずれにいたしましても、本事業債の事業期間終了後の在り方につきましては、自治体における防災・減災対策に関する取組や地域の実情、課題などを踏まえて検討していきたいと考えております。
○青山委員 とはいえ、令和八年度に向けた地方自治体の予算編成のスケジュールを踏まえれば、延長の有無も遅くとも夏頃には明示する必要があると思います。早めに示してほしいところでございますし、また、平成二十九年度から令和二年度の期間、市町村役場機能緊急保全事業によって、多くの市町村が防災拠点となる庁舎の建て替えを行うことができました。
しかし、この市町村役場機能緊急保全事業は令和二年度で終了したため、現在は防災拠点となる庁舎の建て替えに資する満足な起債制度がないのが現状でございます。緊急防災・減災事業債の延長に際してはその対象の拡大も併せて検討すべきではないかと思いますが、見解を伺います。
○大沢政府参考人 お答え申し上げます。
緊急防災・減災事業債の令和八年度以降の在り方につきましては、現在、自治体の取組状況やニーズ等の把握に努めておりまして、その上で丁寧に検討を進めていくことが必要と考えておりますが、自治体の予算編成のスケジュールに支障が生じませんように適切に検討してまいりたいと考えております。
また、庁舎についてですが、庁舎は公用施設でありますことから、自ら積み立てた庁舎建設基金など、自己財源により実施されることが基本と考えております。
その一方で、熊本地震を契機といたしまして、その際に極めて例外的な措置といたしまして、平成二十九年度から令和二年度までの期間を設けて市町村役場緊急保全事業を創設させていただきました。
その際、自治体に対しましては様々な場面を通じて期間内における本事業の積極的な活用を働きかけるとともに、経過措置も設けさせていただいたところでございます。
また、令和三年度につきましては、未耐震の本庁舎の建て替えに併せて災害対策本部等の整備を行う場合には当該施設部分について緊急防災・減災事業債の対象となるような制度の拡充を行わせていただきました。
いずれにいたしましても、緊急防災・減災事業債の事業期間終了後の在り方につきましては、自治体における取組状況等を踏まえ適切に検討してまいりたいと考えております。
○青山委員 是非検討してください。
次の質問に行きます。
令和五年度補正から予算化され、令和六年度補正でも継続して支援されている五歳児健診ですが、現場では幾つかの改善を求める声が上がっております。
まず、実施方法の柔軟性についてです。
制度上、五歳児健診は原則として集団健診とされていますが、こども家庭庁の通知や事務連絡によれば、園医方式、巡回方式、個別健診方式であっても一定条件を満たせば補助対象となるとされています。しかしながら、現場では原則集団健診という表現に引きずられ、ほかの方式の活用にちゅうちょする自治体が少なくありません。そこで、お伺いします。五歳児健康診査の実施に当たり、原則集団健診とする文言が過度に拘束的に受け取られている実態を踏まえ、自治体の実情に応じて行う集団健診以外の方法も補助対象とすることを制度上明示し、弾力的な運用に改善すべきではないかと思いますが、こども家庭庁の見解を伺います。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、五歳児健診の実施方法につきましては、実施要綱において、原則、市町村保健センター等において行う集団健診としております。一方で、自治体から様々なお声もあったことから、個別健診やいわゆる園医方式、巡回方式等につきましても一定の条件の下で補助対象とする旨を昨年度の事務連絡でお示ししたところでございます。
こうした内容につきましては、母子保健担当課長会議等の場を通じまして自治体の担当の方に直接説明してまいりましたが、引き続き現場の声によく耳を傾けるとともに、地域の実情に応じた柔軟な実施方法を選択できるということの周知や必要な支援に努め、五歳児健診の全国展開を図ってまいります。
○青山委員 元々、一歳半と三歳児健診がある中で、一か月と五歳児が加わったわけでございますけれども、確かに意図する目的は分かるんですけれども、ただ、やはりそこに現場が追いついていないという。国がこんなことをやりたい、分かりますよ。私も今、八歳、六歳の子育て中でございますし。ただ、自治体の負担等を考えた場合は、なるべく現場で柔軟な運用ができるような状況をつくってあげたり、あとはやはり予算措置ですよね。
最後の質問ですけれども、五歳児健診後の保健指導や相談支援、カンファレンスなども含めた費用も補助対象に今後は含める方向で拡充すべきと私は考えますけれども、見解を伺います。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
五歳児健診事業につきましては、令和五年度の制度創設当初、一人当たり三千円の補助単価で開始をいたしました。その後、自治体の五歳児健診の実施状況を把握していく中で、多くの自治体におきまして、健診後の保健指導、相談支援、カンファレンスなどを含む健診の適切な実施のための所要額と当初我々が設定していた補助単価との差が見られたこと等を踏まえまして、令和六年度補正予算におきましては一人当たり三千円から五千円の補助単価に増額をしたところでございます。
まずは、この補助事業をより多くの自治体に活用していただき五歳児健診が適切に実施されるよう取り組んでいきたいと考えており、その上で、引き続き実際の自治体の実施状況も踏まえまして必要な支援に努めてまいりたいと考えております。
○青山委員 時間が来たので、最後に、ガバメントクラウド移行による自治体の運用コストの増加に対しても今後是非しっかり運用コストの削減が図られるよう重ねて要望し、質問を終わりにします。ありがとうございました。
以上です。
○竹内委員長 次に、川内博史君。
○川内委員 おはようございます。
竹内委員長を始めとして理事の先生方にもお許しいただいて、発言の時間をいただきましたことに心からまず感謝を申し上げさせていただきたいというふうに思います。
本日は、尊敬する村上大臣と議論をさせていただけるということで、心から更に重ねて感謝申し上げながら質疑をさせていただきたいというふうに思います。
本日は、兵庫県で起きている様々な問題、地方自治の現場で起きている様々な問題について御見解をお聞かせいただきたいというふうに思っておりますが、今、私の前に質疑した青山議員の質疑を聞いておりまして、政治や行政というのは細かい言葉にこだわりながら前進していくのだなということを感じながら聞かせていただいておりましたけれども、そういう意味で、地方自治体、地方公共団体の首長さんというのは法令に適合し、法令を遵守しながら行政を進められることを期待されておるということであろうというふうに思います。
村上大臣が雑誌のインタビューにお答えになられて兵庫県で起きていることを事件というふうに表現され、民主主義の危機であるということも併せておっしゃっていらっしゃる中で、この間、兵庫県知事の御発言の中で一つ法令に適合しない発言をされていらっしゃる部分がある、それは何なのかということをまず公益通報者保護法を所管する消費者庁から教えていただきたいというふうに思います。
○藤本政府参考人 お答え申し上げます。
我々の認識では、兵庫県知事は、公益通報者保護法の体制整備義務につきましても法定指針の対象について三号通報も含まれるという考え方がある一方で、これは内部通報に限定されるという考え方もありますという御発言をされております。この点についての御指摘かと認識をしております。
○川内委員 地方公共団体の長、自治体の長が法令に適合しない発言をし、それがそのまま放置をされてきている、兵庫県で起きている問題の出発点は、委員長、私はこの一点に集約をされるのであろうというふうに思うのですね。もちろん地方自治ですからそれは尊重されなければならないし、国があれこれ、私ども国会議員を含めてごちゃごちゃ言うべきことではないというふうに思いますが、ただ一つ法令に適合しない発言をしている部分については、それは違いますよということは言わなければならないというふうに思うのでございまして。
今年の二月十八日に共産党の辰巳先生が村上大臣とこの問題について御議論をされています。その後、三月四日に兵庫県議会の百条委員会の報告書が出た、三月十九日に兵庫県知事が自ら委託した第三者委員会の報告書も出た。いずれも、死をもって抗議するということを言い残されて自死された兵庫県の元県民局長さんの文書は公益通報であり保護されるべきものである、知事や副知事らが県民局長を処分したのは違法、不当であると、百条委員会そして第三者委員会の報告書も結論づけていらっしゃいます。せんだっての衆議院消費者特別委員会での伊東大臣も、二つの報告書について、その解釈及び結論には一定の納得をしなければならぬという思いをしているところでありますというふうに政府の見解をお示しになられていらっしゃいます。
大変痛ましい、本当に哀悼の意を表したいというふうに思いますが、元県民局長さんや百条委員会の委員だった県会議員の先生が、本件をめぐり二人が自死されている、そして亡くなってからも様々な誹謗中傷にさらされているというのは村上大臣も御指摘のとおりでございます。混乱の原因、問題の本質は、今申し上げましたが、元県民局長さんの文書を公益通報として対応したのか否かというところにあるわけですが、その前段として、公益通報者保護法の法令に適合した運用、外部通報も公益通報者保護法上の保護の対象であるということを兵庫県知事さんが御発言されていらっしゃらないというところにあるというふうに思います。
さらに、昨年十二月二十五日、兵庫県の元副知事が百条委員会で証言をされていらっしゃって、以下のように御証言をされていらっしゃいます。公益通報者保護法第十一条第二項には明文で、内部通報だけに該当するというふうに明文規定がありますと。百条委員会で元副知事さんがこのように証言しているんですが、この証言は公益通報者保護法に反する発言ですよね。
○藤本政府参考人 お答えいたします。
法定指針に定めます公益通報者を保護する体制の整備として事業者が取るべき措置につきましては、公益通報者には二号通報者、行政機関への通報者、それから三号通報者、報道機関等への通報者も含まれております。このため、この点について内部通報に限定されるとの解釈は正しくないと考えております。
○川内委員 先ほども消費者庁の審議官から御説明がありましたけれども、兵庫県知事の三月二十六日の記者会見における、体制整備義務につきましても法定指針の対象について三号通報も含まれるという考え方がある一方で、これは内部通報に限定されるという考え方もあります、公益通報者保護法の各主要論点については様々な論点や考え方があるというものです、そういったことを踏まえると我々としては対応については適切にやってきたというふうに先ほど申し上げたとおりという御発言を記者会見で知事としてされている。法令に反することを為政者として発言する場でおっしゃっていらっしゃる。知事の発言も、先ほど参考人から御発言があったように公益通報者保護法に反する発言なんです。
ここで確認しておきますが、公益通報者保護法に基づく法定指針、内閣府告示第百十八号、これには法的拘束力があるというふうに考えていいですね。
○藤本政府参考人 お答えいたします。
法定指針は、公益通報者保護法第十一条第四項の委任を受けて同条第一項及び第二項の規定に基づき事業者が取るべき措置に関してその適切かつ有効な実施を図るために必要なものとして定められた内閣府告示でありまして、法的拘束力を有する法令であります。
○川内委員 では、もう一度重ねて確認しますけれども、外部通報も保護されるべき通報であるということには法的拘束力があるということでよろしいですね。
○藤本政府参考人 お答えいたします。
法定指針に定めます公益通報者を保護する体制の整備として事業者が取るべき措置については、公益通報者、これには二号通報者、三号通報者も含まれておりますので、こちらは法的拘束力があるものと考えております。
○川内委員 だからこそ、村上大臣は五月十一日にインタビューにお答えになられてですね。これは言いづらいんだけれども、兵庫県の場合は元県民局長からの公益通報を受けた県庁がきちんと対応できなかったと言われている、そうだとすれば県庁として体制に不備があったと言われても仕方がないと思いますというふうに御発言になられ、通報や告発した人を徹底して守ることが大事ですというふうに、総務大臣たる村上誠一郎さんが政治家村上誠一郎としてお答えになられているのであろうというふうに思いますが、この雑誌の発言はそのとおり、そういうふうに発言したということのまず確認を大臣にさせてください。
○村上国務大臣 川内委員の問題提起と申しますか御指摘は非常に重要なことだと思っております。
私としては、やはりこういうことがきちんと制度上担保されないとするならば非常に民主主義は危うくなるんじゃないかな、そういう気がしております。
○川内委員 制度上きちんと担保されなければ民主主義が危うくなるというふうに大臣から御発言がございました。
地方自治の現場は地方自治の現場にお任せをしなければならない、しかしそれはあくまでも法令に適合した中においてお任せをしなければならないわけであって、法令に適合しない発言を兵庫県知事、元副知事などが堂々と公の場でされている状況の中では、何らかの関与というものを、その発言についてですよ、他のその発言に付随するその後のことについてはそれぞれお考えがあるでしょうからそこまで関与できないとしても、その発言は違うよということを言っていかなければならないというふうに思うんですけれども。
先ほど来申し上げているとおり、兵庫県は知事、副知事が公益通報者保護法に反する発言をし、消費者庁もいろいろ御努力をされていると思うし、御苦労されていると思うんです、しかし、今日現在まで兵庫県知事が公の場で、兵庫県知事としての記者会見の場や兵庫県議会で、公益通報者保護法上、三号通報、外部通報は保護の対象であるということを発言はされておりませんですよね。
○藤本政府参考人 お答えいたします。
兵庫県知事がそうした発言はされていないものと認識をしております。
○川内委員 発言は改まっておらない、要するに公益通報者保護法に反する発言がずっと続いているというのが今日的状況である。公益通報者保護法に反する考え方が兵庫県で起きている問題の根本だとするならば、その考え方を改めていただいて、適切に対応していただけるように言葉を改めるということにおいて、出発点にしていかなければならないというふうに思うんです。
そこで、大臣の見解を求めたいんですけれども、兵庫県の文書問題で、百条委員会、第三者委員会が元県民局長に対する懲戒処分を含めて違法、不当と認定し、公益通報者保護法を担当する伊東大臣も、その結論を一定納得しなければならないと見解を述べていらっしゃいます。地方公務員の懲戒処分を定めているのは地方公務員法になるわけでございますが、公益通報者保護法は大臣の所管外であるということは重々承知をし、しかし他方で懲戒処分を定めた地方公務員法は大臣の所管でありますから、本件元県民局長に対する懲戒処分の取消しも含めてもう一回考えた方がいいよ、原点に立ち戻って考えた方がいいよという何らかの兵庫県に対する助言が総務省としてでき得るものかどうかを含めて、本件に対する見解、総務大臣としての見解を教えていただきたいというふうに思います。
○村上国務大臣 兵庫県の文書問題に関しましては、同県の第三者委員会が調査結果報告を公表されたことは承知しております。しかしながら、個別の懲戒処分事案につきましては総務省としましてはお答えすることを差し控えさせていただきたいと思います。
ただ、その上で、一般論として申し上げますと、本当に悲しく思いますのは、各任命権者は為政者としての良識の下、抑制的に権限を行使すべきであり、そしてまた職員が安んじて職務に精励できるように率先して環境整備に取り組む責務を有していると考えております。こうした責務に思いを致しながら各任命権者はそれぞれの事案に即して適切に判断していただきたい、そのように考えております。
○川内委員 抑制的にその権限を行使しなければならないということなわけですけれども。
消費者庁は、公益通報者保護法に関して、兵庫県に対して技術的助言や勧告や是正の要求ができる立場にある。私、今回、技術的助言とは何なのと総務省のお若いお役所の方にレクを受けて聞いたんですけれども、具体的な行動を促すというのが技術的助言だというふうに教えていただきました。そうすると、法令に反した発言を記者会見の場でされて、それがずっとまだ改まっていないという状況の中で、その発言は間違っていますから変えてねという具体的行動を促す助言というものを消費者庁はすべきではないかというふうに私は思うのでございますけれども、そろそろ私の時間が来ますので、最後に消費者庁に、指導助言、勧告、是正の要求もできるという地方自治法上の消費者庁のそれこそあたう限りの権限をもって、法令に違反した発言がずっと続いているわけですから、兵庫県に対して何らかの更なる対応を求めたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○藤本政府参考人 お答えいたします。
消費者庁は、兵庫県に対しまして四月八日に、法定指針に定める公益通報者を保護する体制の整備として事業者が取るべき措置につきまして、公益通報者には二号通報者、三号通報者も含まれている旨、一般的な助言として伝達をしております。これに対して兵庫県からは今月十四日に、兵庫県知事の解釈について消費者庁の法解釈とそごがないことを確認しております。このため、現段階におきまして、兵庫県に対して同じ内容について更に何らかの対応を行うことは検討しておりません。
他方で、公益通報者保護法の内容やその解釈について地方自治体を含めて全ての事業者に正しく理解されることは重要であると考えております。この点につきましては、五月十六日の閣議後大臣会見でお示ししているとおり大臣からも指示がありまして、消費者庁においてどのような対応ができるのか今検討しているところでございます。
○川内委員 時間が来ましたので終わりますが、法令に反した発言だけは是非早急に是正されるように求めて、質疑を終わりたいというふうに思います。
以上です。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、吉川元君。
○吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。
早速質問に入らせていただきたいと思います。
地方税、交付税の本会議質疑でも触れさせていただいたんですけれども、自治体業務の民間委託がこの間ずっと進んできたわけですが、新型コロナ感染症あるいは大規模な災害が発生した際に最前線に立つ自治体職員、わけても技能労務職員、いわゆる現業職員ですが、その不足が非常に顕在化をしております。また、埼玉県八潮市の道路陥没あるいは各地で上水道の冠水が起こっており老朽化が指摘されているわけですが、このインフラ整備、財源も不足をしておりますけれども、人も不足をしている、これが今の現状だろうというふうに思います。歳出改革等々の中で効率化の名の下に行政事業の民間委託と並行して進んだ現業職員の削減は果たして地域の実情に見合ったものなのか、あるいは非常時に対応できる体制になっているのか、こういう点で質問させていただきたいと思います。
時間が余りないので少し順番を変えさせていただいて、まず、大臣に、四番目の質問ですけれども、大臣の所感をお聞きしたいと思うんですが。
配付しております資料、一ページ目の上の資料を見ていただくと、これは総務省の調査なんですけれども、市区町村で民間委託がどの程度進んだのかということを示したグラフであります。非常に高い数字になっておりまして、市区町村でこうでありますから、都道府県あるいは指定都市などにおいてはもっとこの数字が高いと考えて間違いないのかなというふうに思います。さらに、下の表を見ていただくと、技能労務職員、いわゆる現業職員数の推移を私の方でまとめさせていただいて表にしたものでありますが、見ていただくと分かるように、現業職員の数でありますけれども、二十五年前の二十八万人以上から二三年には四分の一以下に減少しております。
そこで、まず冒頭、減らし過ぎたんじゃないのかと。先ほども言ったとおり、コロナやあるいは災害時に必要な公共サービスを自治体が提供できない、例えば災害廃棄物が出たときに民間の委託業者は災害時は除くというような契約が主でありますから対応ができない、そういう点で、公共サービスの民間委託の現状あるいは現業労働者の激減、このことについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
○村上国務大臣 吉川委員の御質問にお答えします。
自治体における技能労務職員の職員数は減少傾向が続いております。しかし、これは、自治体において民間の委託先の有無などの地域の実情も踏まえまして、直営や民間委託といった事業の実施方法を判断していただきながら適正な定員管理に努めていただいている結果だ、そのように認識しております。
各自治体におきましては、今後とも、行政の合理化、能率化を図るとともに、行政課題に的確に対応できるよう、地域の実情を踏まえつつ技能労務職員を含めた適正な定員管理に取り組むことが重要である、そのように考えております。
以上であります。
○吉川(元)委員 本会議の答弁でもそうだったんですが、どうするかということについては自治体の御判断と。もちろんそれは地方自治ですから、しかも地方交付税というのは色がついているわけではありませんので、当然、各自治体の判断ということになるんですが。
ただ、他方で、先ほど示した上のグラフはほとんどがトップランナー方式の対象になっている業務なわけですけれども、実は対象業務の単位費用がいずれも、トップランナー方式導入前には、例えば小学校でいいますと給食費というのは児童数を測定単位として積算内容には給食従業員二人分という、つまり給与として積算がされているわけです。ところが、トップランナー方式が入りまして、これが委託費に。二〇二一年度を見ますと、人件費、給与費というのが消えて、委託費だけしか記載をされておりません。
これは先ほど答弁があったとおり自治体の判断ということなんですが、この積算の内容については当然自治体も見るわけです。分かっているとは思いますけれども、ただ、委託費として書かれている以上はやはりこれは委託なんだというふうな、非常に硬直した対応が実際に現場にはあるというふうにも伺っております。非常に柔軟性に欠くような、そういう状況になっている。
この後に質問しますけれども、例えば公的・公立病院でお話を伺った際に言われたのは、今は委託費が非常に上昇している、内製化、つまり自分のところで作った方が安く済む、ところがそれがなかなかできないんだと。定員の管理の問題でありますとか、先ほどの書き方ですよね、委託費というふうに書かれてしまうとやはりなかなか人件費として人を配置することができない、これが今の現状なんだろうというふうに思います。ですから、是非、民間委託ありきの表現ではなくて、民間委託もある、ただ、これを人を雇って直営でやってもこの費用は出る、そういう表現の仕方、例えば、民間委託でこれを給与費として充ててもよいとか、給与費として民間委託も含むだとか、そういう書き方に変えるべきではないかというふうに考えますが、この点はいかがでしょうか。
○大沢政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆるトップランナー方式の対象経費につきましては、委員御指摘のとおり、積算の方法として、給与費から委託料という形で経費区分を見直して積算する方式に変えたわけでございます。
単位費用につきましては、その積算を地方団体にもお示しする必要がありますので、経費区分が給与費から委託料という形に変わりまして積算を説明するということになりますと、やはり基本的には委託料に変えた以上は委託料という形で説明するのかなというふうに思いますけれども、委員御指摘のとおり地方交付税の使途は地方自治体の判断に委ねられておりますから、トップランナー方式の対象業務の実施方法が必ずしも民間委託に限定はされていないということについては、会議の場などの機会を捉えて自治体に対して丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。
○吉川(元)委員 先ほども言ったとおり、委託すれば安くつく、委託すればよりサービスが上がる、そういう局面もあったかも分かりません。だけれども、今はこの物価高の中で非常に委託費も高騰を続けております。その中で各自治体が適切な行政サービスを提供できるように、また、先ほど最初に言ったとおり非常時でも対応できるような体制を、各自治体が常に体制整備ができるような、そういう形で進められるように是非お願いをしたいというふうに思います。
次に、公立・公的病院の経営についてお伺いをしたいというふうに思います。
私も話を聞きまして愕然としたんですけれども、公立・公的病院、一気に経営が、これは公立・公的病院だけじゃなくて大きな病院、大学病院も含めてみんなそうだと思いますけれども、ここは総務委員会でありますので公立・公的病院ということでお話をさせていただきますけれども、一気に赤字が増えている、赤字総額もコロナの時期と比べると四倍近くに増えております。
我が党でも、党内に公立・公的病院のワーキングチームを設けまして、ヒアリング、それから実際に三重県の方にも視察に行かせていただき、私も参加をさせていただきました。これは要望なんですけれども、先ほどなかなか時間が取れないというお話もございましたけれども、是非現場を見ていただきたい。事前に大臣の方にお渡ししておりますけれども、大臣の地元の愛媛県に地方紙で愛媛新聞というのがあるわけですが、ここでも見出しで、県立病院、厳しい経営と。一気に赤字が増えたということで記事が出ております。現場を是非見ていただきたいというふうに思っております。
その上で、何点か質問したいと思います。
昨年度補正で、経営状況の急変に直面をしている医療機関への支援として厚労省の方で、病床数を削減した病院に対して一床当たり四百十万四千円の給付を予算計上いたしました。この申請数、非常に多いと。元々厚労省の方では七千床程度の削減を見込んでいたんですが、申請数が想定の七・七倍、五万四千床に達したというふうにも報じられております。この申請数について、厚労省はどのように認識をされていますか。
○森政府参考人 御指摘の病床適正化支援事業についてでございますが、委員御指摘のとおり、こちらについては三月に活用意向調査を行ったところ約五万床の申請があったところでございます。
急激な人口減による病床の稼働率の低下、それからコロナ後の大変厳しい経営環境の悪化、私どもも、こうした状況を踏まえて今回は五万も申請があったということではないかということで、大変重く受け止めているところでございます。こうした状況を踏まえて本年四月にまず七千床分の内示を行ったところでございますが、今後も申請状況とか足下の情勢変化等を丁寧に把握した上で必要な対応を検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○吉川(元)委員 人口減少とかというような理由をつけられておりますけれども、私は、もちろん人口減少の影響がないとは言いませんが、今回の急激な赤字の拡大というのは人口減少で説明しちゃ駄目だと思いますよ。明らかにそうではない、原因は。
大臣に伺いたいんですけれども、公立病院は八千床、手を挙げているわけです。元々全体で七千床しかないところに、公立病院だけで八千床もの削減の申請が出ている。これをどういうふうに受け止められますか。
○村上国務大臣 先ほど愛媛新聞を御紹介いただきましたけれども、なかなかどの地域も厳しい状況にあると思います。
公立病院は、地域における基幹的な公的医療機関として、地域医療の確保のために重要な役割を果たしているというふうに思っております。
しかし、公立病院は、現在、物価高騰や人件費の増加、医師、看護師等の不足、人口減少などを背景とする厳しい経営環境に置かれているものと認識しております。
そのような中、各自治体におきまして、各地域の医療機関の状況や地域医療構想などを踏まえつつ、持続可能な地域医療提供体制の確保に向けて、各公立病院の病床機能や病床数等を検討し、主体的に決定するものと考えております。
今回の申請についても、各自治体において、地域医療提供体制を確保する観点を踏まえつつ、病床機能や病床数等を検討の上申請がなされたもの、そのように認識しております。
○吉川(元)委員 七千床程度の削減の中に五万四千床、報道ベースですけれども、これが出て、そのうち八千床は公立病院ということでありますが、その後、支援の予定の中に公立病院というのは全く入っていない、一床も入っていない。どういう基準で選定されたんですか。
○森政府参考人 病床適正化支援事業の内示の考え方についてでございますが、今年四月に実施した七千床分の第一次内示に当たっては、国といたしまして、どこを優先するかというのは、いろいろ吟味した結果として特に経営的に厳しい医療機関を早急に先行して支援する観点から、一般会計の繰入れ等がない医療機関であって、令和四から六年度が連続赤字の医療機関、又は令和五、六年度の連続赤字、かつ令和六年度に病床削減済みの医療機関というふうにさせていただいたものでございます。
○吉川(元)委員 昨日、その紙をいただきました。四月十一日に各都道府県の方に事務連絡が出されています。その中に、今説明にあった、対象は一般会計の繰入れ等がない医療機関、つまり自治体から一般会計の繰入れ等がある機関は除く、これは最初からこういうふうにしていないですよね。四月十一日の時点で、後でゴールを動かしたという言い方がいいのかどうか分かりませんけれども、当初は公立病院も対象になっていたのに、余りにも多過ぎるから公立病院を外すという、後でこういうことをやるというのは、私はやはりおかしいというふうに思いますよ。大臣に伺います。事前に話は、四月十一日の事務連絡が来る前にこういうふうにするというのは聞いていましたか。
○村上国務大臣 病床数適正化支援事業の第一次内示におきまして一般会計の繰入れ等がない医療機関が対象とされたことについては、事前協議を受けておりませんでした。
○吉川(元)委員 厚労省、これはやはり問題だと思いますよ。最初から公立病院は除きますということでやっているんだったらまだしも、募集をした結果として余りにもたくさん来たから、後からこんな事務連絡を出して、しかも地方自治を預かる総務省に何の相談もしないまま、こんな通知を一本出されて。公立病院も経営は非常に厳しいんですよ。もちろん、先ほど言ったとおり、民間病院も厳しいです。それはこの間の厚生労働省の政策の誤りが今如実に表れているんだと私は思いますが、だとすれば公立病院に対して後からこういうことをするというのは非常に不誠実な対応だ、そのことを指摘させていただきたいというふうに思います。
その上で、通知を見ますと、その後もやる、第二弾があるという話ですけれども。今回は一病床で四百万強のお金を出す、この第二弾なんですが、想定される財源及び総額について教えてください。
○森政府参考人 追加の内示等についてでございますが、現在執行状況等の精査を行いながら検討中でございまして、現時点でお示しすることは困難でございますが、都道府県の一次の内示状況等を見ながら適切に対応してまいりたいと考えております。(吉川(元)委員「財源を聞いたんです」と呼ぶ)
今回、医療機関に対する緊急支援パッケージをさせていただいたところでございまして、そちらの全体の執行状況等を踏まえて、必要な財源を確保しながら対応させていただきたいというふうに考えているところでございます。
○吉川(元)委員 二回目は公立病院も対象になりますか。また同じように、一般会計の繰入れ等がない医療機関というふうな制限を設けますか。
○森政府参考人 今回の一次の内示に当たっては、委員のお手元にございます資料にも書いてありますけれども、内示の考え方は変更があり得るということを申し上げて内示させていただいております。
二次の追加の内示に当たっては、当然、今御指摘いただいたような点も踏まえて検討を行いながら対象を精査してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○吉川(元)委員 もちろん、金額自体は総額が決まっているわけで、その中でそれをどのように配分していくのかということについては、それは大変苦しいことをやらなきゃいけないというのは分かります。ただ、先ほども言ったとおり、最初から入れないなら、入れないと言っておかないと。公立病院はこれで何床減らせるということで、先ほど言ったとおり危機的状況なんですよ。いつ資金ショートしてもおかしくないような病院もあるというふうにも聞いております。ここで、これだけのお金を確保しようと考えていたものが全て消えるわけです。公正に審査した上で落ちるならまだしも、入口段階で後からはじくという、このやり方というのは絶対に今後はやめていただきたいというふうに思います。
余り時間がありませんので、最後に大臣に伺いたいと思います。
実は、先ほどの愛媛新聞に書かれているところにグラフが出ておりますが、別に愛媛県だけがこうじゃないんです、全国がそうなっている、同じような状況になっているんですね。おつけした資料の二ページ目のところに、病床利用率と医療損益への影響についていろいろグラフをつけさせていただいていますが、よく似ているんですよ。別に愛媛は特別にそうなっているわけじゃないということでありますが、非常に危機的状況なんです。
実は、愛媛県知事が三月二十一日に記者会見を行っておりまして、物価高騰分に対応できないと。国に対して、我々の努力の範疇を超えている、政策の見直しを求めるという発言をしております。なお、求めているんだけれども、どこまで耐えられるかという話になっているわけで、非常に緊急性が高いわけです。厚労省のパッケージ、次をやったとしてもこれに入らない可能性があるわけで、原因は物価高、人件費の上昇なんですけれども、だとするならば特別交付税措置等の財政支援をしていく必要があるというふうに考えますけれども、最後に大臣の考えを伺って、質問を終わりたいと思います。
○村上国務大臣 総務省におきましては、公立病院や公的病院等が不採算医療や特殊医療などの地域医療にとって重要な役割を担っていることも踏まえまして、これまでも必要な地方財政措置を講じてまいりました。
令和七年度におきましては、不採算地域における医療提供体制を確保するために、不採算地区病院等への特別交付税措置の基準額の三〇%引上げを継続しております。公的病院等についても同様に基準額の引上げを継続しております。
令和七年度におきましては、さらに、公的病院等が僻地医療拠点病院等である場合においては、訪問看護や遠隔医療に要する助成経費を新たに特別交付税措置の対象に追加しております。
また、公立病院が厳しい経営環境に直面していることを踏まえ、公立病院の資金繰りを支援し経営改善を促進するために、令和七年度に新たな地方債を創設したところであります。
今後とも、公立病院や公的病院等の状況も踏まえつつ、持続可能な地域医療提供体制を確保するために必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
以上であります。
○吉川(元)委員 以上で終わります。
○竹内委員長 次に、守島正君。
○守島委員 日本維新の会の守島です。
まず、在外投票についてお伺いしたいんですが、さきの衆議院選挙では在外投票率が過去二番目の低さということで、比例で一八・二三%でした。とはいうものの、在外選挙人名簿の登録者自体が約九万五千人で、うち投票者が一万七千人程度だったということで、在留邦人は百三十万人ぐらいいますので、投票している人というのは実質一・四%程度というのが現状です。実際には在外投票は名簿登録の煩わしさとかいろいろなハードルが指摘されているんですが、今の状況をどのようにみなしているのか、考えを教えてください。
○古川大臣政務官 お答えいたします。
令和六年十月二十七日執行の衆議院議員総選挙における在外投票の投票率は、小選挙区は一八・一%となっており、国内の投票率に比べて低いものと認識しております。
在外選挙については、在外公館投票の投票期間が国内に比べ短くなっていること、在外公館の遠方に居住する在外選挙人が在外公館へ赴くことは困難であること、郵便等投票では投票用紙等の郵送に時間を要することなどについて指摘がなされております。
総務省としては、在外選挙人の利便性向上のため、令和四年には、在外選挙人証の在外公館申請の際に直接在外公館に出向くことなくビデオ通話を通じて本人確認を行うことができるよう見直しを行ったほか、令和六年には、在外選挙人証の交付に当たってこれまで市町村選挙管理委員会から在外公館へ紙で送付していたところ、メールを活用し在外公館で印刷するようにしたことにより交付の迅速化を図ったところです。
加えて、在外選挙人名簿の登録に係る出国時申請に関して、本年二月に、自治体窓口において国外転出者への出国時申請手続の御案内、周知等に係る取組を積極的に実施いただくよう通知したところであります。
今後とも、在外選挙人の利便性向上に向けて、外務省とも連携を図りながら取り組んでまいります。
○守島委員 今でも利便性向上に向けて取り組んでくれていると思うんですが、うちのスタッフとかも、先日まで海外に住んでいた人が領事館の来館予約すらなかなか日数がかかって取れなかったとか、いろいろな問題を抱えていると思います。その抜本的な解消策として在外ネット投票というのも選択肢として言われてきたと思うんですが、過去、幾人かの大臣も早期導入できるんじゃないかという話をされていたけれども、動いていないんですね。二〇一八年段階で有識者会議もセキュリティーなどの一定対策を講じればクリアできるというふうに言っていたはずなんですけれども、今のステータスはどういうふうになっているのか教えてください。
○笠置政府参考人 総務省では、投票しにくい状況にあります在外選挙人の利便性向上のために、現実的に今郵便等投票が広く認められている在外選挙におけるインターネット投票について調査研究を進めてきております。
これまで、実証用のシステムを用いた検証を行うとともに、マイナンバーカードを活用した確実な本人確認、二重投票の防止、選挙人情報との切離し保存などの投票の秘密保持、システムのセキュリティー対策、システムダウン対策、選挙人の自由意思によって投票できる環境の確保といった課題や論点について調査研究を実施し、制度面、運用面の方向性について整理を進めてきております。
総務省といたしましては、在外選挙インターネット投票について引き続き検討し、課題の整理、対応などの調査研究を進めてまいりたいと思いますが、選挙の公正を確保するため、投票は投票管理者や立会人の下で行うことが原則となっている中で、インターネット投票は御案内のとおり、これらの者が不在となって行われる新たな投票方法でございまして、これを導入することにつきましては選挙制度の根幹にも関わることから、各党各会派で十分に御議論いただきたいと考えております。
○守島委員 前に聞いたときから余り進んでいないんですね、検討しているということで。技術的な課題は多分クリアできると思うんですよ。そこから動いていないので、結局最後は各党各会派で決めるということだと思うので、ボールを持っているのは与党なんですよね。だって、我々は立憲さんも含めて賛成なので。これぐらいやった方がいいと思いますし、村上大臣にはここをブレークスルーしてほしいなというふうに思っています。去年の総裁選挙でも河野大臣なんかは、すぐやれる、公選法改正はできるみたいなことを言っていたので、政治的な決めの問題なんです。
通告していなかったんですけれども、この点もちょっと大臣に確認したいのと、加えて、国内のネット投票も二年前に立憲さんと私どもは共同で法案を提出させていただいたので、これに対しても、やりたいし、やれると思っているので、与党側の反応がないことを残念に思っているので、大臣のネット投票に対する見解を教えてください。国内もなんですが、在外に対しても答えていただければと思います。
○村上国務大臣 国内、国外、両方ということですか。
守島委員御指摘のように、インターネット投票につきましては、先ほど選挙部長が答弁したとおりでございまして、システムのセキュリティー対策のほか、確実な本人確認や投票の秘密保持、自由意思によって投票できる環境の確保といった選挙特有の課題に対応する必要があります。
また、インターネット投票という新たな投票方法の導入につきましては、投票管理者や立会人不在の投票を一般的な制度とすることになりますから、選挙制度の根幹に関わりますことから、選挙の公正確保の観点も含めて各党各会派の皆さん方に十分御議論いただいてまとめていただけたら、そのように考えております。
○守島委員 各党各会派といいつつ、野党側はほぼ賛成なんです。共産党さんとかは違うと思うんですけれども、ほぼ立憲さんとうちでは共同提案の中で投票の秘密とかも守られる仕組みをちゃんとつくっているので、ボールは与党の皆さん方が握っているということで、ここはしっかりやってほしいなという。あとは決めの問題なので、そこは思っているんですね。急に国内投票というと規模も大きいので難しいというのであれば、やはりスモールサクセスという点では在外投票からやっていくべきだというふうに思っているんです。
また、国内でいうと、小さいところから実現しようというと、例えばつくば市さんなんかはインターネット投票を求めて特区なんかを求めていたようですけれども、結局総務省と折り合えず、結果として市長の退職金を決めるネット投票なんかをする程度にとどまったということです。こうした特区制度を使って意欲的な自治体に対してネット投票を解禁することから検討するなどはどうかと思うんですが、その点に関する見解を教えてください。
○村上国務大臣 守島委員のお気持ちというか意欲はよく分かるんですけれども、先ほど申し上げたとおり、インターネット投票の導入に当たりましては、システムのセキュリティー対策のほか、確実な本人確認や投票の秘密保持、自由意思によって投票できる環境の確保といった選挙特有の課題に対応する必要があると考えております。
インターネット投票を一部の自治体の選挙で導入する場合であっても、投票管理者や立会人不在の投票を一般的な制度とすることになります。これは選挙制度の根幹に関わりますから、特区として実験的に行う性質のものかどうか、また、国民の最も基本的な権利の行使について自治体ごとに差をつける合理的な根拠が認められるかどうかといった観点を含めて、先ほど申し上げたように各党各会派において十分に御議論を詰めていただく必要がある、そのように考えております。
○守島委員 従来の大臣の見解と変わらないんですね。どこからでもいいから進めてほしいと思いますし、ずっと進まない、二〇一八年からできると言っているのに七年間動いていないので、その点はしっかり考えていただきたいなというふうに思っています。
一問、鹿児島県の伊仙町で先日、投票率が九二・五三%だったということを質問しようと思ったんですが、時間がないので飛ばして、こういう投票率の高い自治体の分析もしてほしいということだけお願いしておきます。
次に、日本郵政に関して、二〇二三年六月の郵政グループとヤマトグループが提携した基本合意について聞きたいと思います。
その合意においては、小型薄物荷物のネコポスをクロネコゆうパケットとし、メール便のクロネコDM便をクロネコゆうメールとして、配達業務の全量を委託することで協業に関する合意を締結し、その上でネコポス等は廃止される方向だったと思います。ヤマトはトラック運送、郵便局はバイク運送に強みを持っていて、互いが補完することでシナジーを生み出すというふうに思っているんですが、そもそもこれはどちらからの呼びかけだったのか。合意の経緯を教えてください。
○西口参考人 お答えさせていただきます。
経緯という意味では、先生がおっしゃっているような形での経緯でございまして、そもそも、どちらから呼びかけがあったかということにつきましては、二〇二三年の一月にヤマト社側の方から、投函型サービス、つまりメール便とヤマト様でいえばネコポスについて二輪のネットワークで強みを持つ日本郵便の方に全量委託したいという申出があって、それを受けて両社間で協議いたしまして六月に基本合意に至ったという経緯でございます。
○守島委員 ヤマト側から呼びかけがあったということですが、そのヤマト運輸が小型薄物荷物の委託の停止を打診したことが昨年末に明らかになりました。理由としては、ヤマト側は委託することで輸送日数が延びたとか言っていて、郵政側はスピードが遅くなることは当初から合意しているというようなことを聞いたんですけれども、委託停止に対する受け止め、及び、既に移管されているものがあったりすると思うんですけれども、基本合意自体の取扱いは今どうなっているのか教えてください。
○西口参考人 これまでのヤマトさんとの協業の状況と基本合意書の状況という御質問でございます。
まず、今もクロネコゆうメールというものについてはヤマト様から全面移管をしていただいております。
一方で、ネコポスと言われているクロネコゆうパケットというものですけれども、これにつきまして、二〇二四年の十月にヤマト様の方から、クロネコゆうパケットに関しては、一月から当面の間、当社への運用委託を停止したいというような申出がございました。これは基本合意で予定されております小型薄物荷物の運送をJP側に全面委託するという当事者間の合意をある意味一方的にほごにするものだというふうに認識しておりまして、そういった意味では大変遺憾というふうに会社としては考えているところでございます。
○守島委員 それはそうですね、郵政側も委託を受ける前提でいた分の投資とかをしたと思いますし、見込みの需要もあったと思うので、前提条件が変われば収益構造も変わるということで。日本郵便はヤマト運輸に対して今百二十億円の訴訟をしているところなんですが、この内容も聞こうと思ったんですけれども、時間の都合上、割愛させてください。
訴訟のことに関してなので詳しくは聞けないんですけれども、両者に主張があり、どちらかに加担するというわけではないんですけれども、結果としてもうけの薄いメール便だけを押しつけられているような状況になってしまったんじゃないかなと思っています。というのも、まさに昨日、五月二十一日からヤマトは四百二十円で、こねこ便というのを全国で始められたということです。これは郵便局のレターパックライトの四百三十円に対抗するものというみなし方もできて、結果として持ちかけられて業務提携をしたのにサービスで重複してより厳しい環境になってしまったというのが現状なんです。なので、当初はシナジーを求めた業務提携がこのような形になってしまっています。
日本郵便の物流サービスの収益構造を向上させていく必要があるので、監督官庁としての総務省の意見を聞こうと思ったんですけれども、時間がないので、監督官庁としても総務省はしっかり利益を確保できるような経営環境をチェックしてほしいなというふうに思っています。というのも、日本政府は郵政の株を三八%持っているので、このような日本郵便の利益を損なうことは国民の財産の毀損にもつながりますし、しっかりと自前で自力で経営改善をするのが大前提で、増資もされましたし、今後は公的支援もするんじゃないかという話を自民党さんがしているという話を聞きます。けれども、それはやはり郵便としての経営形態の改善、経営状況の改善があってこその話だというふうに思っていますので、収支改善の努力をしっかりお願いして、私の質疑を終わります。
ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、黒田征樹君。
○黒田委員 おはようございます。日本維新の会、黒田征樹でございます。
前回の一般質疑に引き続いて、今回の一般質疑においても日本郵政について取り上げたいというふうに思います。
前回は、日本郵政の名簿の不正流用、点呼を行っていないとか、そういった不祥事が取締役会にうそをついて正確に上がっていないというようなガバナンスの問題等々を取り上げて質疑させていただきましたけれども、先日、日本郵政の決算が公表されたことから、財務的な課題、とりわけ日本郵便の収支についてお聞かせいただきたいというふうに思います。公表されました決算説明資料でありますけれども、これによると日本郵便の純損益は四十二億円、マイナス四十二億円ということでありますけれども、日本郵便の事業の収益構造と課題認識についてまずはお聞かせいただきたいというふうに思います。
○西口参考人 お答えさせていただきます。
日本郵便の収益構造と、経営上の課題は何かという御質問でございます。
まず、事実関係としまして、先生の方から御指摘もございましたけれども、日本郵便連結決算、二〇二五年三月期の決算につきましては、営業利益は三十五億円の黒字でございましたけれども、税効果等で当期純利益は御指摘のようにマイナス四十二億円の赤字ということで、大変厳しい結果になったというふうに受け止めております。
それぞれの事業の特質に基づきまして課題等を述べさせていただきますと、まず、郵便・物流事業につきましては、御案内のように、やはりデジタル化の進展によりまして郵便物の減少が止まらないといいますか今後も予想されるといった点、また、コスト面につきましては物価高とか人件費単価の上昇で非常に厳しい状況になっておりますので、コストコントロールをできるだけしっかりやっていくということと、逆に言いますと、収益をこれからしっかりと伸ばしていきたい、物流分野の成長を図っていきたいというふうに思っております。
一方で、郵便局窓口事業の方でございます。こちらにつきましては、金融二社、ゆうちょ、かんぽからの手数料収入の減少が続いておりますけれども、二〇二四年度につきましては人件費や物件費を抑制することによって一応黒字を確保した状況でございます。
その他、トール社を中心とします国際物流事業や不動産事業については、それほど大きな額ではないかもしれませんけれども、黒字は確保しているところでございます。
ただ、いずれにしましても、先生の方からも御指摘がございますように、郵便サービスというのはユニバーサルサービスとしてしっかり安定的に提供していかないといけないというふうに考えておりますので、これを確保していくための業務の効率化等にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○黒田委員 ありがとうございます。
今お話をいただきましたように、郵便事業自体の数が減っている、社会の変化に伴って物量がどんどん減っていく、物価高、様々な課題があると。郵便の窓口に関しましては、前回も御指摘させていただきましたけれども、ゆうちょとかんぽの窓口の委託による依存がかなり高いんじゃないかなというところもあると思います。
今後、人口減少、少子化、高齢化していく中、物量は更に減っていくというようなことが予測される中で、今おっしゃられた物流を伸ばしていくとか、そういったところも必要なのかもしれませんけれども、何か戦略を立てるときというのはやはり現状の分析というものが欠かせないというふうに思っておりまして、例えば郵便の料金、値上げしてもなお赤字に転落をしているという状況で、まだまだ改革の必要があるというふうに考えております。
先ほどお話がありましたけれども、あまねく全国において公平に利用できるようにするというようなユニバーサルサービスということがありますけれども、そもそも、どれだけの人が何を目的にして郵便局にやってくるのか。一部資料では、二〇一五年の資料ですけれども、一日の来客が二十人以下の局も多数あります。一日の来客が十人以下のところも多数ありますけれども、それが一体どれぐらいあって、どのように把握をしているのか。そしてまた、利用の目的ですね、何が目的で郵便局に来られる方が多いのか、そういったところをどのように把握しているのか。そのことについてお聞かせいただきたいと思います。
○西口参考人 郵便局の窓口の利用状況についてという御質問でございます。
まず、先生のお持ちの数字につきましては、審議会の方に二〇一八年にたしか提出させていただいた資料でございまして、済みません、昨年度の、直近のデータは持ち合わせていないところでございます。
その上で、郵便局の利用動向なんでございますけれども、もちろん郵政三事業、郵便・物流と貯金、保険の利用で窓口に来ていただいているお客さんが大半でございますけれども、加えまして最近は地方公共団体の事務も請け負ったりしておりまして、いろいろなサービスを展開することによって地域の多様なニーズに応えていこうとしているというのが郵便局の今の現状でございまして、そういった意味では、地域の利用者、地域住民の方々にできるだけ郵便局の窓口を利用していただきたいというようなスタンスでございます。
ただ、一方で、先生も御指摘のように人口の減少やデジタル化の進展で来客者数というのは全体としまして減少傾向にありまして、繰り返しでございますけれども、こういった減少傾向を踏まえてコスト削減の努力をするとともにサービスの多様化を図って来客者数を一定程度確保していきたいという思いでございます。
○黒田委員 先ほどお示ししました十人以下、二十人以下、その数字でありますけれども、過疎地の郵便局約七千六百のうち半数が一日二十人以下、更にその半数が十人以下というところで、しかも、二〇一五年のデータが二〇一八年に公表されたわけでありますけれども、そのときよりも更に、十年前ですから更にトレンドとしては減少傾向が続いているんじゃないかなというところは、今お答えいただいた中でも容易に想像できるのかなというふうに思っております。
先ほど、窓口に来ていただきたいというようなお答えの仕方でしたけれども、そもそもサービスを提供する側として、窓口に来ていただくということではなくて、サービスをいかにお客さんに提供していくのかという、そういった視点が僕は大事だなというふうに思っておりまして。要は、窓口に来ていただくイコールサービスを提供するというところに今はつながっていない、もっと様々な手法で、窓口に来ていただかなくてもサービスを提供するという手段は幾らでも探れるはずですから、そういった新たな観点は持っていただきたいというふうに思っております。
要は、今の郵便局というのは一日十人しか来ない、十人以下のところでも平日、朝から晩まで局舎で待っているだけというような状況で、長年二万四千以上ある郵便局というものがほとんど統廃合が進んでいないということでありまして、当然おっしゃるようなユニバーサルサービスというものは必要だということは僕も認識をしていますけれども、業務の効率化、組織のスリム化、それによってサービスを向上するやり方というのもあるというふうに考えます。
今後の経営改善に向けた取組についてお聞かせいただきたいというふうに思います。
○西口参考人 お答え申し上げます。
窓口でお客さんを待ってサービスを提供するだけではないんじゃないかという御指摘はごもっともでございまして、我々としましてもスマホのアプリケーションなどを使って銀行なり保険のサービス提供にも取り組んでおりまして、そういった意味では、サービス提供の形態についても多様化して、できるだけ利用者ニーズを酌み上げていきたいというふうに思っております。
窓口についてなんですけれども、お客さんの少ない郵便局も確かにそれなりの数がございますけれども、ただ、一方で、郵政民営化法等の法制度で将来にわたってあまねく全国において公平に利用できることが確保されるよう郵便局ネットワークを維持するようにというふうに要請を受けておりまして、会社側としてはこれらの法制度を受けて、利用者があまねく全国で公平に利用できるようにといった基準の下に窓口の設置とか運営をやってございます。ただ、個々の郵便局の移転とか新設においては、大型商業施設の中に、利用者が利用しやすいようなところに積極的に出店する等しておりまして、ネットワークの価値の向上にも努めております。
いずれにしましても、先生が御指摘のように、利用者ニーズにできるだけしっかりと応えられるような形でのサービスの提供、窓口の運営を心がけてまいりたいというふうに思っております。
○黒田委員 今お答えいただいたように、郵政民営化法の中で確かに郵便局ネットワークを維持するものとするという一文はあります。ただ、全文を見ると、あまねく全国において公平に利用できることが確保されるようという、目的はこっちであって、ネットワークの維持というのはその当時の手段の一つにしかすぎないというふうに僕は考えております。ですから、今、時代が移り変わっていく中で、更に利用者が減り続ける中で在り方というものを考えていく、そういう時期に入っているというふうに思います。
ユニバーサルサービス、ユニバーサルサービスと繰り返しお答えいただいていますけれども、そもそもこの定義ですね、郵便局の設置の基準、責務の解釈について総務省はどのような見解をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○牛山政府参考人 お答え申し上げます。
日本郵政及び日本郵便は、郵便、貯金、保険のサービスを郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務を有してございまして、さらに、日本郵便は、総務省令で定めるところによりまして、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならないとされてございます。
具体的に、総務省令におきましては、いずれの市町村におきましても一以上の郵便局を設置しなければならず、過疎地におきましては平成二十四年の改正郵政民営化法施行時の郵便局ネットワークの水準を維持すること等が定められておるところでございます。
○黒田委員 時間が来ましたので質問は終わりますけれども、今の総務省の見解によりますと、例えば群馬県の方では二局が午前中は窓口を閉めて午後しか営業していないとか、いわゆる全国公平、それは公平と言えるんですかというような状況もあると思いますし、例えば統廃合がこれまで進んできたところもあると思いますけれども、それ自身もそれは公平なんですかという観点で見れば必ずしもそうじゃないという状況もあると思います。ですから、解釈をどうするかというところは自分たちの都合じゃなくて、サービスを利用する側、国民の側に立った観点で今後の経営改善をしていただきたいと思いますし、料金値上げをする前にまずは徹底した改革をすることをお願い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、橋本幹彦君。
○橋本(幹)委員 国民民主党・無所属クラブの橋本幹彦でございます。
総務大臣に伺います。
冒頭、私の地元であります埼玉県白岡市におきまして市役所の庁舎が火災に見舞われました。発災の翌週、私も、現場が落ち着いた頃に市長と、長年その地域で発展に尽力されてきた岡重夫前県議とともに現場を視察いたしました。
被害は想像を超えていました。焼け焦げて黒くすすけた庁舎で、甚大な被害を受けているわけでございます。このような状況にあっても、藤井白岡市長の指揮の下で市の職員の皆さんが、市民生活への影響を最小限に食い止めようと懸命に献身的に復旧作業に当たっておられる。心からの敬意を覚えずにはいられませんでした。
市長によると、火災により庁舎の耐震性に問題がないか、劣化の調査に二か月程度を要するという話でございました。本格的な復旧や建て替えの方針決定はこの調査結果を待たねばならないわけですから、長期化が予想されます。
市民生活への影響も大変長引くだろうというふうに懸念しておりますが、市民生活に不可欠な庁舎を一日も早く全面的に復旧できますよう、多額の費用も庁舎の復旧あるいは建て直しには必要になろうかというふうに思います。国にも特別交付税措置などを最大限活用できるよう埼玉県を通じてサポートしていただきますよう強く要望いたしますが、まず大臣からのコメントをお願いいたします。
〔委員長退席、あかま委員長代理着席〕
○村上国務大臣 橋本委員にお答えいたします。
まず、御要望につきましては、白岡市の実情をよくお伺いしながら、その財政運営に支障が生じることのないよう適切に対応してまいりたいと考えております。
委員御指摘のとおり、災害発生後の自治体システムの迅速な復旧は非常に重要であります。白岡市からは、関係する事業者と緊密な連携を取り電源復旧及び配線工事等を実施したことで主要業務の早期再開が可能となったと聞いております。
現在、政府で進めております自治体情報システムの標準化やガバメントクラウドの利用により、災害復旧の迅速化が期待されております。委員御指摘のとおり、今回の事例から得られる教訓があると思いますので、フォローアップするとともに、必要に応じて横展開などを行ってまいりたい、そのように考えております。
なお、総務省におきましては、災害時においても自治体の情報システム部門が業務を継続できるようにするため、ICT―BCPガイドラインを示しております。今後も全ての自治体においてこれらの取組が進められるよう支援してまいりたい、そのように考えております。
○橋本(幹)委員 二つ目の質問のところまでお答えをいただきまして、誠にありがとうございました。
おっしゃるとおり、思ったよりサービスの復旧は早く進みました。それの一つの要素として、標準化ですとかガバメントクラウドの導入ですとかいったところが一つ寄与したのではないかということを市の方からも伺っております。大変興味深い事例だというふうに思います。今大臣におっしゃっていただきましたけれども、日本全国で標準化、ガバメントクラウド化を進めていますけれども、これがBCPに寄与するんだと。あるいは、白岡市役所からもいろいろ話を伺うといろいろな教訓があるようでございます。
総務大臣、先ほど山川委員への答弁のところで体力の限界までされているというお話がありましたけれども、白岡市役所は霞が関から車で五十分ぐらいで着きますから、御多忙のところだとは思いますけれども是非直接見ていただいて、そういった教訓ですとかあるいは今の庁舎の状況を御確認していただければというふうに願っております。是非御検討いただければと思いますが、いかがでしょうか。
○村上国務大臣 努力しますけれども、御高承のように、今回は次から次へと新しい問題が来て、最初に百三万の壁があって、それからSNSの選挙妨害の話があって、挙げ句の果ては中居君のフジテレビの問題がまだ続いてあって、挙げ句の果ては地元の今治の山林火災があって、オンラインカジノとありまして、極力努力したいと思いますけれども、次から次へと巡り合わせというか難問が降りかかっていますので、取りあえずは国会会期中は全力を尽くしたいと思います。
○橋本(幹)委員 是非、力強い支援と、お忙しければ大臣でなくても、政務官ですとかあるいは総務省の官僚の方でも御視察いただければというふうに思っております。白岡市長も是非御視察くださいということでございました。
さて、ここから地方自治に関して本質的な議論をしたいというふうにも思います。その際には村上大臣御自身のお考えも伺いながら議論できればというふうに思っております。
まず、石破政権においては地方創生二・〇とうたっております。令和の日本列島改造というふうにもうたっておりますけれども、余り具体性が見えないといいますか、かけ声は分かるんですけれども、それが戦略に落ちているのか、具体的な施策に落ちているのかと言われると、ややよく分からないなというふうなところが率直なところであります。
あるいは、今現在自治体は北方領土の六村も含めまして千七百二十四ありますけれども、村上大臣は二月十三日の本委員会の答弁の中で、個人的見解と断りながらではありましたけれども、今世紀末には三百から四百の市で済むのではないか、再編した市が国と直接やり取りするのが望ましい、そういうような極めて示唆に富む発言をされました。
大臣の御発言は決して、今現在市町村ですとかあるいは都道府県で頑張っていらっしゃる皆さんの努力をないがしろにする意図はなかったんだというふうに思います。むしろ、未来への強い危機感と大胆な改革の意欲の表れだったというふうに思っております。是非この構想を具体的に検討いただく、あるいは議論を深めていくということがまさに令和の日本列島改造にもつながるのではないか、地方創生二・〇にもつながるのではないかというふうに思います。
まず、大臣の言う三百から四百の市が国と直接結びつく未来の日本の姿について、その理念ですとか、どういうメリットがあるのかというところを改めて御説明いただきたいと思います。
〔あかま委員長代理退席、委員長着席〕
○村上国務大臣 ありがとうございます。
私のこれまでの発言はあくまで個人的見解と断った上で申しているんですが、今、我々は次の世代のために何をすべきかということを考える時期に来ているんじゃないかということなんです。すなわち、今は約一億二千万ですけれども、これが半分になったときに今の三層構造が維持できるかどうか、それを考えるんですが。
特に私が感じましたのは、二〇二四年問題で名古屋市の市営バスの運転士さんが確保できなかった、運行状況を残念ながら改ざんしてしまったという事件があったんですが、二〇四〇年問題、二〇五〇年問題は、遠いように思いますけれども、すぐだと思っています。今日やあしたの問題ではなく、五十年先、六十年先の長期的スパンを見たときに、六千万人になったときに本当に今のシステムが維持できるかという問題意識です。そういう面で、様々な自治の在り方について考えていく必要があるんじゃないかということで申し上げたわけです。
特に、あのときにちょっと切り取られちゃってですね。県庁は要らないとか道州制は要らないと言ったのは、多分、愛媛県も四、五十万になると思うんですね。そうすると、塩崎さんのところの松山がぽつんとあって、東予と南予でやれば三つの市で終わっちゃうんですよね。その三つの市が国と直接対話するということの方が早いんじゃないか、そういう意味で申し上げた。そういうことで計算しますと、大体三十万から四十万の市はやはり三百ぐらいになるんじゃないかな。そうしたら、昔の江戸時代の三百諸侯じゃないんですけれども、その三百が中央政府と直接対話する。
もう一つ、これはなかなか言いづらいんですけれども、県によりましては、五、六十万の県があるんですね。ところが、世田谷は八十万を切りましてね。ただ、政治家の数を考えると六十万、五十万の県は二、三百人ですね、市町村議員から県会議員から。世田谷は五十人しかいないんですね。そういう面でも行政改革になるんじゃないかということであります。どうも済みませんでした。
○橋本(幹)委員 大変示唆に富む御発言だったと思います。今の大臣の御発言は、単にマクロの視点から考えただけではなくてミクロの、地方行政の在り方も見据えたときにも大変必要な視点なのではないかなというふうに思っております。
今いろいろな事例も紹介していただきましたけれども、私は選挙区は埼玉県でございまして、埼玉県の十三区といいます。有権者はまさに四十万人ほどでございまして、面積はちょうど日本全国を三百等分した広さになります。まさに今大臣がおっしゃったところの、想定されるというか理念的なモデルになる地域ではないかなというふうに思いますが。
以前は埼玉の十三区、便宜的にこの地域で話しますけれども、十個の自治体がありました。平成の大合併のときに鷲宮町、栗橋町、菖蒲町というところが久喜市に合併しまして、今は七つの自治体に再編されました。久喜市、蓮田市、白岡市、幸手市、杉戸町、宮代町、伊奈町とあるわけですけれども、平成の大合併のときには本当はもっといろいろな合併案があったんです。あるいは、二段階合併しようというような構想もありました。しかし、結果としてなかなか進まなくて、十が七になったというところであります。
四十万人規模の生活圏でありながら行政の境界が細分化されて、例えば今申し上げた域内にはごみ処理場が四か所あります、工業団地は十八か所あります、消防体制は三つに分かれています。いろいろな資源がモザイクのようになっていて、首都の近郊であっても似たような問題というのはあるのではないかなというふうに私は思っております。
一方で、では首都の近郊だから資源が潤沢に存在するかというと、そうではなくて。例えば、去る三月には、百三十六年続いた小学校、大山小学校というところが今お話しした白岡市にあるんですけれども、この大山小学校が閉校になりました。児童数の減少に伴って、その判断は理解はするんですけれども。ただ、行政の境界を挟んですぐそこにも小学校があるんですね、久喜市ですとか蓮田市にもある。だから、ここの行政の境界を取り払って、広域連携の枠組みなんかがありますけれども、もっとここは柔軟になっていくような地域というのが私は望ましいのではないかなというふうに思っております。
合併が進まなかった懐疑的な理由としては、住民サービスがきめ細やかでなくなるのではないかとかそういった懸念もあったと思いますし、あるいは、名前がなくなるとふるさとがなくなるのではないかというような懸念もあったと思います。今後自治体を再編していくという中では、平成の大合併をどのように総括して検証して、そのときに支障になった項目を除去していくのかというのが極めて重要なんだというふうに思います。
特に埼玉県は、今申し上げたのは私の選挙区の話でしたけれども、埼玉県全体で一般的には余り合併が進まなかった県でもあります。是非、こういった地域においてどのように合併を進めていくのか、住民の感情というのをどのように乗り越えていくといいますか一緒になって考えていただくかというところについて、もし、村上大臣、お考えがありましたらお聞かせいただければと思います。
○村上国務大臣 御高承のように、平成の合併は、人口減少などの進展を背景に、地方分権を推進する上で、基礎自治体の規模、能力の充実を図るために自主的な市町村合併を積極的に推進したものでありました。
第三十二次地方制度調査会では、合併市町村に関するデータ等に基づいて、専門職員の配置や組織の充実等行財政の効率化や地域コミュニティーの活性化に係る分析などとともに、周辺部の課題の解決に向けた取組などについて御議論いただきました。市町村合併についての今後の対応方策に関する答申が取りまとめられ、公表されたわけであります。
総務省としましては、合併の円滑化のために、自らの判断により合併を進めようとする市町村に対しては、市町村からの求めに応じて随時必要な助言や情報提供を行うなど、引き続き必要な支援を行ってまいります。
あえてちょっと私の考えを申し上げますと、合併のときに進む地域と進まない地域が大きく分かれたのは、ちょっと地方議員の先生方の意識が違ったんじゃないかと思うんですね。自分の町は町議会だとか市議会くらいは残したいという意識の強いところはなかなか合併が進まなかったし、そうじゃないんだと、委員のように、この際、一挙にいろいろなものを統合して、例えばごみ焼却場だとか学校だとかを統合していこう、そういう意識のあったところは結構進んだんじゃないかという気がいたします。
○橋本(幹)委員 ありがとうございます。
地方議員のお話を今されましたけれども、私の地元ですと大変志の高い地方議員の方がいらっしゃって、自分たちの議席はなくなるかもしれないけれどもこれが地域の未来になるんだということで、自ら身を引いた方もいらっしゃいました。そういった先見の明ですとか志の高さには深く敬意を表するところであります。
あるいは、住民投票というのは必須要件ではなかったかもしれないですけれども、住民投票の結果として否決されて合併が進まなかった、その住民の皆さんがどういうことを懸念されたかというと、行政の細かなことの懸念というよりかは、名前がなくなるとか、何であそことくっつくんだとか、そういう感情的なものが多かったのではないかなというふうに思います。感情的だということで一蹴できるかもしれないんですけれども、感情というのは一方で大事なんだというふうに思っております。その地域に対する愛着、ふるさとに対する愛着というところが表れたのではないかなというふうに思うわけですけれども。
そもそも、行政の区割りとふるさとというのはやはりちょっと違う、本質的には違うものであるから、ここを分離していくと丁寧に説明していく、その丁寧な説明に当たって冒頭おっしゃったような今までの検証の結果ですとかデータ、私もデータがあるのは知っていますけれども、ただ、まだまだ不十分だと思いますから、もっと合併した地域、合併しなかった地域でどう違うのかというところを長期的な追跡調査も含めてやっていただいて、それを住民の皆さん、国民の皆さんに知っていただくということがまず大事であろうかなというふうにも思います。
そしてもう一つ、名前の問題ですとか地域への愛着の問題というのを乗り越えるために三層制を見直すというような話を今されましたけれども、私は市と国との二層制ではなくて新たな三層制でもいいのではないかなというふうに思っております。
それは何かといいますと、大臣がおっしゃるような、新しい大きな規模の市の下に、小学校区ですとかあるいはRMOぐらいの単位で自治区というのを設けて、その中で例えばごみの分別の話とかあるいは町の清掃の話だとか本当に生活に近い話を議論していく、地域のコミュニティー、あえてふるさとと言わせていただきますけれども、そのふるさとを市が持続可能なように支援していく、そういうような三層制もあり得るのではないかなというふうに思っております。
RMOの取組ですとか自治会ですとか、自治会というとまた総務省の中で別の部署だし、RMOというと別の部署で、でも一体となって市よりも近接性のあるふるさとというのを守っていく、これもまた私は総務省の役割であろうかというふうに思います。こういうところも含めて研究ですとかあるいは調査を進めていただければというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○村上国務大臣 ただいま委員から新しい御提案をいただきましたが、このような議論が活性化されることは大変有意義なことである、そういうふうに考えております。地方自治の在り方につきましては様々な御議論があるかと思いますが、委員の見解を一つの提案として受け取らせていただきたいと思います。
現在、我が国は急激な人口減少と少子高齢化に直面しておりまして、その中でも住民に必要な行政サービスを提供していくために、自治体の行財政を持続可能なものにしていくことが重要だと考えています。
このため、自治体間の連携や国、都道府県、市町村の役割の在り方を含め、どのような方策が考えられるか、自治体の皆さんの声を聞きながら検討を進めてまいりたいと思います。
あえて、この際、私見というか、皆さん方に考えていただきたいのが、今、例えば郵政に関しても宅急便があり郵便局があり、一つ考えられるのは、電気の検針からガスの検針から水道の検針、全部ばらばらなんですね。もうそろそろばらばらにやっているのを全部一括して考えるという新しい発想も必要じゃないかと思うんですね。そういうことを地方自治でも、先ほど言われたように別々の分野がやるんじゃなくて一緒にやるような大胆な発想がこれからは必要じゃないかな、そういう気がしております。
○橋本(幹)委員 全くおっしゃるとおりだと思います。私は、村上大臣のお考えに深く共感するものでありますし、効率化を図っていく、限られた地域の資源をどういうふうに効果的に使っていくのかということが大事だと思います。同時に、先ほど小学校区ですとかRMOの話をいたしましたけれども、住民自治ということ、あるいはふるさとを大事にするということ、この視点もまた大事なのであります。後者の視点は、どちらかというと効率化ですとかそういうものとは原理的に相反するところもあろうかと思います。
ただ、民主主義というのはそもそもコストがかかるものであります。本当に効率的だったら独裁制の方がいいわけですけれども、そうではなくて民主主義を重んじているということは、そのコストも許容するということであります。地域自治は民主主義の揺り籠である、揺籃である、学校であるという言葉もあるわけですけれども、そういう観点から平成の大合併ではなくて令和の大合併というのをもし進めていくんだとしたら、効率化、効率化ということだけでは、私は平成の大合併の延長でしかないんだというふうに思います。
ふるさとを大事にするんです、地域自治を大事にするんです、地域を守っている人たちに敬意を払うんですということがしっかりとメッセージとして伝わらないと、結局、平成の大合併の延長であって、名前の話であるだとかあるいは住民投票のところで対立してしまうというふうに思うものですから、是非、この二つの視点、限られた資源をどのように効率的に活用していくのかという視点と、住民自治をどのように充実させていくのかという視点、このどちらも大事だと思いますが、特に後者のところについて、村上大臣、何かお考えがあればお聞かせください。
○村上国務大臣 委員のおっしゃるとおりだと思うんです。
ただ、委員、もう一つ考えていただきたいのは、これから今世紀末になったときに本当に物理的に可能なのかどうかということなんですね。現に、ある村の役場は二十八名が定員なんですけれども、十四名しか集まらない。郷土愛とかそういうのは非常に大事だと思うし、それは大事にしなければいけないんですけれども、私が心配していますのは、今の日本の財政状況で人口が六千万になったときに働き手もいなくなる、地方自治を担う人員もいなくなる、そういう中でどういうふうにシステムを変えていくかということが、今おっしゃったことも大事なんですが、今の日本の体制の中でどういうフレームワークがつくれるかということをある程度ドラスチックに考える必要があるんじゃないかな、そういう気がしております。
○橋本(幹)委員 私は、決して日本の未来ですとか地域経済の未来というのは暗いものばかりではないというふうに思っております。むしろ、行政の境界というところが一つのくびきとなっているのではないかというふうに思っております。
今は基礎自治体の話を主にしましたけれども、都道府県も同様だというふうに思います。都道府県をなくすかどうかという話もありますけれども、地域経済、例えば先ほど十八の工業団地が私の選挙区内にあると申し上げました、全ての町、旧自治体も含めてあるんですね。私の自治体はたまたま東北自動車道と圏央道が交差する場所で、物流の拠点にもなっています。圏央道を通じて成田空港とも連携できるわけです。こういう基礎自治体ですとかあるいは都道府県の境界を越えて産業集積をどのように図っていくのか、産業構造をどのように育てていくのか。実は昨日経済産業委員会でも同じような質問をいたしましたけれども、総務省と経済産業省が連携して、地域がどうやって自立できる経済をつくっていけるのか、どうやって次世代のAIであるだとかドローンであるだとかそういった産業も育てていけるのかというところも含めて地域自治の在り方というのは考えなければならないというふうに思っております。
時間が来たからこれで終わります。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、中川康洋君。
○中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。
今日も質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。今日は一般質疑ということで、また村上大臣に大変にお世話になります。よろしくお願いいたします。
まず最初に、地方財政基盤の強化について伺います。
私、さきの一般質疑におきまして地方税の偏在是正について大臣のお考えというのを聞かさせていただきました。本日は、特に地方自治体における地方財政基盤の強化について大臣の御見解を是非とも伺いたいというふうに思っています。
地方自治体がデジタル化や脱炭素化、さらには医療、福祉、雇用対策、防災・減災対策、最近におきましては物価高騰対策等を一層強化しまして、地方創生や地域経済の活性化を進めるために必要となる一般財源総額を安定的かつ十分に確保すること、これは今後も重要な取組でございます。
また、自治体が地方創生二・〇の実現に取り組むためには、これを支える地方行財政基盤の強化が不可欠であり、具体的には、地方創生を支える地方一般財源総額の確保として、物価動向等を踏まえた財源や地方公務員の給与改定に必要な財源の確保、さらには地域を支える持続可能な公共インフラサービスの確保として、特に下水道など老朽インフラの適切な管理や経営環境が悪化しつつある地域医療提供体制の確保、また災害の頻発化、激甚化を踏まえた防災・減災対策の推進、これは重要な取組であると私も感じているところでございます。
また、加えて、令和七年度は制度創設以来初めて臨時財政対策債の発行額がゼロというふうになりましたが、これも総務省の御努力の結果だと思います。将来世代に責任を果たすための地方財政の健全化についても、この取組を着実に推進していくことも私は必要だと思っています。
そこで、村上大臣に伺いますが、大臣は、今後の地方自治体における地方創生二・〇の力強い推進と、その地方創生を支える地方財政基盤の強化についてどのような御構想をお持ちなのか。その具体的なお考えと、その構想推進のための決意、ここを是非ともお伺いしたいと思います。
○村上国務大臣 中川委員にお答え申し上げます。
現在、我が国では、人口減少、少子高齢化、過疎化、地域の担い手不足などが顕在化し、待ったなしの問題が山積しております。次の十年を見据えた地方創生二・〇の推進は最重要政策の一つであるとの強い思いを持っております。地方こそ成長の主役との発想に基づきまして、持続可能な地域社会の実現に向けた取組を進めてまいります。
また、中川委員御指摘のとおり、自治体が地方創生二・〇の取組を進めるためには地方財政基盤の強化が不可欠であります。
地方財政は、物価の上昇や人件費の増加等により歳出の増加圧力が高まっており、こうした中で地域医療の確保など様々な課題に対応しながら安定的な財政運営を行っていけるよう、必要な一般財源総額をしっかりと確保してまいります。
また、先ほどおっしゃられた令和七年度におきましては、臨時財政対策債の新規発行額をゼロとするとともに、債務残高の縮減を図ったところであります。今後ともこれらの財政健全化の流れができる限り継続できるよう努力していきたい、そのように考えております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
地方創生二・〇、これを力強く推進していくための大臣の御構想というのをしっかりとお示しいただければと思いますし、また、具体的な施策を力強く地方が推進していくこと、今日のこの委員会におきましてもいわゆる緊防債の話もありました、さらには地域医療体制の確保というところの話もありました、これは地方にとっては大変に重要でございますので、そのために地方財政基盤を強化し確保していくこと、ここにおける大臣のリーダーシップを今後是非ともよろしくお願いしたいという思いで、今日はこの質問をまず最初に挙げさせていただいたところでございます。今後も、骨太でありますとか予算の策定の中でしっかりと大臣と意見交換また議論をさせていただきたいと思います。
次に、地域おこし協力隊の充実についてお伺いをさせていただきます。
地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域などいわゆる条件不利地域に住民票を異動し、地域ブランドや地場産品の開発販売、PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、さらには住民支援などの地域協力活動を行いながらその地域への定着、定住を図る取組でございますが、その隊員数を見ますと令和六年度では七千九百十人、また受入れ自治体数は千百七十六自治体となっております。
この地域おこし協力隊の充実については、例えばおためし地域おこし協力隊や地域おこし協力隊インターンなど比較的垣根の低い事業も行いながら、令和八年度までに一万人の隊員を目標に掲げておりますが、総務省といたしましてはこの目標に対して今後どのような取組を進めていくのか、ここのところをお伺いします。
また、加えて、総務省としては、隊員の任期終了後の定着、定住について、地域協力隊員等の起業に要する経費や、定住するための空き家の改修に要する経費の補助など、こういったものも推進をしておりますが、これらの効果も含めた地域おこし協力隊の任期終了後の同じ地域への定着率、これがどれくらいになっているのか。また、就業や起業など具体的にどのような形での定着や定住が図られているのか。この点、御答弁をいただきたいと思います。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
地域おこし協力隊は、委員御指摘のとおり、都市部から過疎地域など地方部へ生活の拠点を移した方が地域協力活動によりまして地域活性化に貢献していただく、最終的にはその地域への定住、定着を図っていこう、こういった施策でございます。
数字につきましては、先ほど御指摘がありましたが、令和六年度でありますけれども、隊員数七千九百十名、また取組自治体数は一千百七十六団体となっておりまして、これらは過去最高という形で推移をしております。
令和八年度までに隊員数を一万人にするという目標に向けまして、今ありましたおためしとかインターンのほかにも、総務省では、地域おこし協力隊の活用を検討する自治体、特に余り慣れていない自治体、そういったものを想定しながら、地域おこし協力隊アドバイザーを派遣して伴走支援を強化しております。これまでは二日ぐらいという形での伴走支援だったんですが、最大五日間まで一貫して支援できるような形で強化をする、そういった形での強化を行っているところでございます。また、なり手の更なる掘り起こしということを図るために、若者とか女性とかシニアとかそれぞれのターゲットに応じた戦略的な広報、こちらの方を強化しておりまして、オンラインイベントであるとかSNSを使ったターゲティングによる広報、また、ターゲットが異なるメディア、それぞれの好みの雑誌とかがありますので、そういったものに合わせた記事の掲載、さらには秋をめどにマッチングイベントを集中的に実施していきたいというふうに考えております。
次に、地域おこし協力隊の定住、定着についてでございますが、隊員の起業、事業承継等に要する経費とか任期終了後の隊員が住まいとするための空き家を改修するための経費、こういったものは自治体が行う場合があるわけですけれども、それについて特別交付税を措置して財政的な支援を行っているほかに、隊員が起業のノウハウを学べる研修、オンラインの形式になりますが、これを国費で実施しているような形になっております。こういったことによりまして、直近五年に任期終了した隊員の定住率でございますが、約七〇%に上っているということであります。
さらに、定住、定着後の状況について御質問をいただきましたけれども、同一市町村内に定住しました隊員の約四六%が起業を行っておるというふうな状況でございまして、地元の企業とか役場に就業した方、これらは三四%、就農、就林を行ったというのが一二%というふうな状況になっております。
先ほどの、起業をした状況につきましては、例えば、地域資源を活用した商品開発をミッションに活動されていた隊員が、その後、化粧品のブランドを立ち上げたような事例がございます。その他様々な事例があるわけですけれども、食品とか宿泊、また観光とか、美術、工芸、あと六次産業、そういった形で地域の課題解決に大いに貢献をしていただいているところでございます。今後ともしっかりと対応していきたいと思います。
○中川(康)委員 ありがとうございました。目標に向かって様々な手だてをしていただいている、さらには地域への定住率も約七〇%と高い、起業なんかも四六%と非常に高いということでありますので、引き続きお取組をお進めいただきたいと思います。
次に、三つ目に救急救命体制の確保についてお伺いをします。
まず、マイナ救急の全国展開についてお伺いします。
マイナ救急は、原則として、救急隊員が傷病者の同意を得た上で、その傷病者のマイナンバーカードでオンライン資格確認システムにアクセスし、傷病者の医療情報などを取得するものであり、救急隊は取得した正確で詳細な医療情報などを救急業務で活用することができるようになるため、傷病者への負担を軽減しつつ、搬送先医療機関を円滑に選定できるようになるなどの効果が期待されております。
そこで、お伺いしますが、消防庁では令和六年度補正予算でマイナンバーカードを活用した救急業務の迅速化、円滑化の全国展開の推進として二十・六億円を確保しておりますが、今年度の具体的な取組内容、さらには今後の取組の方向性として全国展開をどのように推進していくのか、ここのところにおける消防庁の答弁を願いたいと思います。
○田辺政府参考人 委員御指摘のいわゆるマイナ救急については、昨年度、六十七消防本部六百六十隊で実証事業を行ったところ、マイナ救急により円滑にかかりつけの医療機関へ搬送することができたなど、住民の皆様、救急隊員、病院それぞれから役に立ったという声をいただき、マイナ救急の有用性を確認することができました。
そのため、本年度は、全国全ての七百二十消防本部五千三百三十四隊の救急隊において実証事業を実施し、全国展開を図ることとしています。
あわせて、マイナ救急について国民の皆様の認知度を向上させるため、消防庁においてショートムービーを作成したほか、政府広報、ポスター、広報誌等により、国と自治体とで連携した広報を積極的に展開しているところです。
消防庁としては、引き続き、マイナ救急の全国展開が円滑に行われ、住民の皆様のお役に立てるよう、しっかりと取り組んでまいります。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
今救急車が逼迫状況の中でこの展開というのは非常に有効性があると思っていますので、是非全国的な面展開をお願いしたいと思います。
最後に、救急安心センター事業、いわゆるシャープ七一一九の全国展開についてお伺いします。この件については、私どもの地方議員もよく地方議会で質問していますし、私も当委員会で取り上げております。
近年、救急車の出動件数は高齢化の進展などで本当に増加傾向にあり、救急車の適時適切な利用というのは各自治体にとっても大変に重要な課題であります。
そのような中、住民が急な病気などの際に救急車を呼ぶべきかを医師や看護師などの専門家に電話で相談できるシャープ七一一九は、救急車の出動率を下げる意味においても大変重要な取組であり、消防庁としてはこの取組の全国展開を推進していただいております。
そこで、伺いますが、このシャープ七一一九の取組は、令和七年五月現在、一部地域で実施の五道県も含め全国三十七都道府県で実施されており、人口カバー率は七九・一%となっておりますが、更に実施自治体を増やし、かつ人口カバー率を増加させていくために消防庁としては各自治体とも連携を図りながら具体的にどのような取組を展開されようとしているのか、この点について御答弁願いたいと思います。
○田辺政府参考人 救急安心センター事業、シャープ七一一九につきましては、現在全国三十七地域で実施されており、さらに、今年度中にも複数の地域において新たに導入あるいは実施地域の拡大が予定されているところです。
消防庁ではこれまでも、シャープ七一一九の導入に向けた検討への着手を改めて依頼する通知の発出、普及促進アドバイザーの派遣、未実施団体において円滑な事業導入の参考としていただく手引の提供等を通じて、シャープ七一一九の導入に向けた自治体の取組を支援してきました。
あわせて、個別団体ごとのヒアリングや意見交換会等の場を通じて、シャープ七一一九の実施主体となる道県や消防本部に対して導入に向けた働きかけを行っています。
消防庁としましては、引き続き、管内にシャープ七一一九の未実施地域を有する道県に対して、地域ごとの課題や状況をよく聞きながら、各地域の実情に即して導入が進められるよう、シャープ七一一九の更なる展開拡大に向けた取組を進めてまいります。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
救急車の出動が逼迫する中で、この事業というのは大変重要だと思っています。ここ二、三年で検討する又は実施したところが大変増えてきていると思いますので、より全国展開を図っていただきまして、面整備をしていただきますこと、このことをお願い申し上げ、質問を終わります。大変にありがとうございました。
○竹内委員長 次に、辰巳孝太郎君。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
今日は森友事件について聞きます。
なぜ夫は死ななければならなかったのか、真実を知りたい、これが夫を亡くした赤木雅子さんの一貫した思いであります。
公文書の改ざんをさせられた赤木俊夫さんは、自分の雇用主は国民と言っていました、そして、公務員という仕事に誇りを持っていたと語っています。彼は公務員として優秀だったからこそ、公文書の改ざんを行った良心の呵責にさいなまれました。そういう優秀な公務員を失った、これは国家的な損失であると私は思います。
四月、財務省が検察に任意提出し、そして返還された資料、約十七万ページの一部、二千二百ページが公開されました。しかし、政治家に関連する部分は欠落をしたままであります。この間、雅子さんは情報公開請求で関連文書の開示を求めてきました。政府は文書の存否すら明らかにせず、不開示決定を続けてきました。
情報公開・個人情報保護審査会が昨年三月、存否を明らかにせず不開示としたのは不開示要件に該当せず、存否を明らかにして改めて開示決定すべきとの答申を出しました。並行して行われていた訴訟でも、財務省の存否すら明らかにしないという決定を一月の大阪高裁判決は違法だといたしました。政府は、判決を受け入れる方針を明らかにして、文書の存在をようやく認めて、四月、一部を開示したということであります。
大臣にお伺いします。公文書の改ざんは、国権の最高機関である国会、立法府と国民を冒涜し、民主主義をじゅうりんするものであります。政府の間違った方針によって優秀な公務員が命を落としました。そして、政治家の関連した資料はいまだ欠落したままであります。大臣は、一連のいわゆる政治家の政治の私物化を許せないということも、この間、語ってきたと思います。その気持ちは今も変わらないでしょうか。
○村上国務大臣 辰巳委員にお答えいたします。
お尋ねの私の発言については、どのような場面で申し上げたものであったかは定かではありませんが、大臣就任前に一政治家として申し上げたものと存じます。
本日は、総務大臣としてこの場に立っておりますので、一政治家としての発言の内容についてはお答えすることは差し控えたいと思います。
その上で、一般論を申し上げれば、上に立つ者というか為政者は権力を抑制的に行使しなければならない、こういうふうに考えております。
○辰巳委員 まさにそのとおりでありますけれども、そうはならなかった、だからこそ優秀な職員が命を落としてしまったということであります。
赤木雅子さんの訴訟を認諾して裁判を強制的に勝手に終わらせて、本来裁判など経なくても提出しなければならない文書をこれまでさんざん拒否してきたのが財務省であります。雅子さんの闘いの結果、今回、文書の公開ということになりました。これは当然でありますけれども、安倍、菅政権であれば絶対に公開することはなかったとも私は思わざるを得ません。
それでは、今回提出された、検察に任意提出し財務省に戻ってきたこの文書について、具体的に財務省に確認をしていきます。今回出された二千二百ページもの資料は誰が何のために作成をしたものなんでしょうか。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
提出の経緯については、委員の方から御説明いただいた内容に沿ってということでございます。
検察に任意提出した資料について四月以降順次開示をしているところで、まず、四月については二千ページ強の文書を開示させていただきました。
こちらにつきましては、近畿財務局管財部において森友学園に関する土地取引の案件を担当していた統括国有財産管理官部門というところがございまして、その職員が取りまとめたものでございます。
森友学園との土地取引につきましては、複数年にわたり行われていたものです。近畿財務局の職員の手控えという性質であるため、厳密に組織として管理したものではありませんが、おおむね三年間の土地取引の中で人事異動のタイミングなどの節目節目において経緯を整理するために作成し、最終的に土地取引が終了するまでの経緯を取りまとめたもの、そのように考えております。
以上です。
○辰巳委員 続けて確認しますけれども、今回出されてきたものには政治家との接触の文書が欠落したままになっています。なぜ政治家との接触の応接録が欠落をしているんでしょうか。
○石田政府参考人 お答えします。
平成三十年六月に財務省で取りまとめました森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書におきましてお示ししているとおり、平成二十九年当時近畿財務局において本省理財局からの指示を受けて政治家関係者との応接録として存在が確認されたものを廃棄しております。この応接録の廃棄については、調査報告書でお示ししているとおり、国会審議において森友学園案件が大きく取り上げられる中で更なる質問につながり得る材料を極力少なくすることが主たる目的であったと認められます。
平成二十九年当時本省理財局からの指示を受けて政治家関係者との応接録を廃棄した経緯、及び今回お示しした四月に開示した文書において欠落していると思われるものは政治家関係者に言及しているものが多くを占めていると推認されることを踏まえれば、欠落部分の大宗は応接録の廃棄の過程において欠落したというふうに考えられます。
○辰巳委員 続けて確認しますけれども、これは誰の指示で誰が抜いたのか、そのものは処分されたのかを確認したいと思います。
○石田政府参考人 お答えします。
欠落部分が生じることとなった文書廃棄の意思決定をした者、その点につきましては、調査報告書におきまして、応接録の廃棄を含む一連の問題行為について本省理財局において国有財産行政の責任者であった理財局長が方向性を決定づけたものであり、その下で総務課長が関係者に方針を伝達するなど中核的な役割を担った旨を認定し、関与した職員に厳正な処分を行っているところです。
なお、実際の廃棄という意味では近畿財務局職員が廃棄したものと考えておりますが、これはあくまで本省理財局からの指示を受けて行ったものです。
森友学園案件につきましては、本省理財局職員のほか、本省理財局からの指示を受けて一連の問題行為に関与した近畿財務局職員のうち幹部職員については処分を行っておりますけれども、配下職員で作業に従事した者の責任は問わないということとしているところでございます。
以上です。
○辰巳委員 二〇一四年の四月の二十八日、それまで十分な資料を示さず出さなかった森友学園への貸付契約交渉をいよいよ終わらせようと考えていた矢先に森友学園から示されたのが安倍昭恵氏と籠池夫妻とのスリーショットの写真であり、そのときに、いい土地ですから前に進めてくださいという言葉があったとされております。そこから急転直下、異例の契約締結に進んでいくわけであります。そして、その日の応接録というのは欠落したままであります。
確認します。この貸付契約の締結に昭恵氏の影響があったというのは疑いのないことだと思いますけれども、いかがですか。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の平成二十六年四月二十八日の応接録につきましては、これまでも押収された文書の写しを入手するなど検察当局の協力も得てできる限りの捜索を行っておりましたが、発見には至らなかった旨、国会で財務省から答弁申し上げてきました。現在開示に向けて速やかに作業を進めているところですが、御指摘の文書は発見されておりません。
その上で、平成三十年に議論されていた際に当時の職員に確認した結果として、当該応接録の内容は財務省ホームページにおいて公表している改ざん前の決裁文書における経緯の部分に書かれている内容であった旨、国会で答弁申し上げてきました。
内容としては、打合せの際、本年四月二十五日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは、いい土地ですから前に進めてくださいとのお言葉をいただいたという旨の発言を森友学園側からなされていたという内容となっているところでございます。
○辰巳委員 ですから、安倍昭恵さんがまさにこの契約交渉のターニングポイントになったということですよね。
○石田政府参考人 本件土地取引の中で、貸付契約の部分について御質問いただきました。
こちらにつきましては、本省の承認を必要とする原則の三年を超える貸付期間を要望していたものです。既に平成三十年に本省相談メモを公表しているとおり、本省理財局において近畿財務局に対し適宜その方向性を示していたものです。
この際、理財局からは、国有財産の処分に当たっては公用、公共用を優先するという方針や、学校法人や社会福祉法人が土地を使用したいとしていることについてはできるだけ進めるように努力するという基本的な考え方をお示しして、それに基づいて近畿財務局からの相談に応じていたというふうに考えているところです。
○辰巳委員 いや、そうじゃなくて。出ている応接録で分かることは、それまでは、森友学園がいろいろややこしいことを言うてくる、要求した文書を全然出さない、三くだり半で契約交渉はもうやめようという相談までしているじゃないですか。安倍昭恵さんの一件がターニングポイントになって、本省がそれを引き取ってやるんだということは全部分かっているじゃないですか。今更そういうことをつらつらつらつらと述べていただきたくないんですよ。これははっきり認めるべきです。
今日、皆さんにおつけした資料があります。私たちが独自に入手した文書なんですけれども、見ていただきますと、裏面ですけれども、これは財務省と国交省がすり合わせをしたことを示すメモなんですね。
ここに何と書いてあるか。近畿財務局と理財局のやり取りについては最高裁まで争う覚悟で非公表と書かれてあるんですね。改ざん発覚後の話ですから、全く反省をしていないということだというふうに思います。
また、この応接録メモにはこう書いてあります。五月二十三日に提出することを前提に文書はこうつづられているんですね。
五月二十三日の後、調査報告書をいつ出すかは、刑事処分がいつになるかに依存している。官邸も早くということで、法務省に何度も巻きを入れているが、刑事処分が五月二十五日夜という話はなくなりそうで、翌週と思われる。
つまり、財務省は、佐川氏らが不起訴になることを知った上で、不起訴処分が出たタイミングで調査報告書を出したいという思い、思惑をここで語っているわけですね。実際、不起訴処分は五月三十一日、調査報告書は六月四日に公表されました。まさに、官邸、財務省、法務省、そして検察が連絡を取り合って動いていると言わざるを得ないと思います。
法務省に来てもらっています。法務省、ここには、官邸が法務省に何度も巻きを入れている、こう書いてあるんですよ。当時、官邸から法務省は巻きを入れられていないんですか。
○吉田政府参考人 御指摘の文書については、その作成経緯や記載内容の趣旨等を把握しておらず、御質問についてお答えすることはできないことを御理解いただきたいと存じます。
○辰巳委員 財務省、国交省とのやり取りの文書、あるいは近畿財務局と本省理財局とのやり取りの文書、これを全部出していただけますね。
○石田政府参考人 お答えします。
まず、委員からお示しいただいた御指摘の文書については、財務省では作成しておらず、どのような文書なのかも分からない中で、その記載内容についてお答えは差し控えさせていただきます。
その上で、現在、森友学園事案に関して開示請求作業を行っているところですが、分量が相当量の文書について作業を進めているところです。その中に近畿財務局と本省とのやり取りも含めて開示作業自体はさせていただいているところですので、まず御遺族からの開示請求について精力的に進めていきたいというふうに考えております。
以上です。
○辰巳委員 森友事件はまだ終わっておりません。民主主義の根幹をじゅうりんするこの事件の真相解明を引き続き図っていくこと、これを決意して、質問を終わります。
○竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時六分散会