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第16号 令和7年5月29日(木曜日)

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令和七年五月二十九日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 あかま二郎君 理事 塩崎 彰久君

   理事 島尻安伊子君 理事 おおつき紅葉君

   理事 岡島 一正君 理事 吉川  元君

   理事 黒田 征樹君 理事 向山 好一君

      石田 真敏君    石橋林太郎君

      上野賢一郎君    大西 洋平君

      加藤 竜祥君    川崎ひでと君

      小寺 裕雄君    小森 卓郎君

      田所 嘉徳君    中野 英幸君

      長谷川淳二君    古川 直季君

      山口 俊一君    若山 慎司君

      市來 伴子君   おおたけりえ君

      岡本あき子君    奥野総一郎君

      尾辻かな子君    杉村 慎治君

      高松 智之君    西川 厚志君

      福田 昭夫君    松尾 明弘君

      道下 大樹君    藤巻 健太君

      守島  正君    福田  玄君

      中川 康洋君    山川  仁君

      辰巳孝太郎君

    …………………………………

   総務大臣政務官      川崎ひでと君

   総務大臣政務官      古川 直季君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  阿部 知明君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十九日

 辞任         補欠選任

  佐藤  勉君     上野賢一郎君

  高市 早苗君     石田 真敏君

  福原 淳嗣君     長谷川淳二君

  武正 公一君     市來 伴子君

  山花 郁夫君     尾辻かな子君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     高市 早苗君

  上野賢一郎君     佐藤  勉君

  長谷川淳二君     福原 淳嗣君

  市來 伴子君     武正 公一君

  尾辻かな子君     山花 郁夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方自治及び地方税財政に関する件

 行政書士法の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 行政書士法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長阿部知明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 本件につきましては、各党間の協議の結果、石田真敏君外八名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおりの行政書士法の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。石田真敏君。

石田委員 おはようございます。

 提出者を代表して、本起草案の趣旨及び内容につきまして御説明申し上げます。

 まず、本起草案の趣旨について御説明申し上げます。

 行政書士は、依頼を受けて、官公署に提出する書類を作成すること等を通じて、行政に関する手続の円滑な実施に寄与するとともに、国民の利便の向上や権利利益の実現に資してまいりましたが、今日、デジタル社会が進展するなど、行政書士制度を取り巻く状況は大きく変化しております。

 このような状況を踏まえ、国民の利便の更なる向上等を図る見地から、特定行政書士の業務範囲を拡大する等の措置を講ずることとし、本起草案を提出した次第であります。

 次に、本起草案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、現行の目的規定を改め、行政書士の使命を明らかにする規定を設けることといたしております。

 第二に、職責を明らかにする規定を創設し、デジタル社会の進展を踏まえた対応等を行政書士の職責として規定することといたしております。

 第三に、特定行政書士の業務範囲を拡大し、特定行政書士は、行政書士が作成することができる官公署に提出する書類に係る許認可等に関する不服申立ての手続について代理等をすることができることといたしております。

 第四に、行政書士又は行政書士法人でない者による業務の制限規定に「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」との文言を加え、趣旨の明確化を図ることといたしております。

 第五に、行政書士又は行政書士法人でない者による業務の制限違反等に対する罰則及び行政書士法人による義務違反に対する罰則につきまして、両罰規定を整備することといたしております。

 なお、この法律は、令和八年一月一日から施行することといたしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容でございます。

 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

 行政書士法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。山川仁君。

山川委員 おはようございます。れいわ新選組の山川仁です。

 早速ですが、今回の行政書士法改正案について、関連した質疑を行いたいと思います。

 昨年元日に起こった能登半島地震を受けて、十日後に、令和六年一月十一日ですが、総務省自治行政局行政課長名で能登地震被災四県の担当部署に通知が発出されました。その内容は、「令和六年能登半島地震における行政書士の活用について」というタイトルで、被災自治体へ行政書士の皆さんの支援を受けられるという周知を促す内容でした。

 そこで、その際の行政書士による被災者、被災自治体支援の数や国からの財政措置について、二点、お伺いしたいと思います。

 まず一点目に、この通知を発行した際に自治体別に派遣された行政書士の延べ人数と従事された業務内容について総務省がしっかりと把握しているのか、まずお聞きしたいと思います。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の通知でございますが、被災した地方公共団体からの要請によりまして派遣された行政書士の数と主な派遣先でございます。日本行政書士会連合会によりますと、令和七年五月二十七日時点の延べ人数で、七尾市に約二百名、輪島市に約百六十名、志賀町に約八十名、珠洲市に約七十名と伺ってございます。

 また、従事した主な業務でございますけれども、地方公共団体が開設する相談所における生活相談、地方公共団体の窓口における罹災証明や公費解体の申請支援、なりわい再建支援補助金等の事業者向け補助金に係る相談や申請支援と伺ってございます。

山川委員 ありがとうございます。

 それでは、次に二点目ですね。行政書士派遣について、国や県からの財政措置は幾ら支出をされているのか。当然、行政書士会若しくは被災自治体の皆さん方にいろいろな支援をということで広く考えてその文書を発出したと思っていますので、国からの財政支出がない中で行政書士会のボランティアという支援は私はあり得ないと考えておりますが、その点についてお聞かせいただきたいと思います。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 日本行政書士会連合会は、社会貢献活動として、大規模災害の発生時に行政書士を無償で派遣し、被災者の生活相談や行政手続の申請サポート等に従事する事業を実施されています。

 平時より、各行政書士会におきまして行うことができる支援策のリストを作成されていると私どもも承知しておりまして、令和六年能登半島地震に際しましても、被災四県の行政書士会において、私どもは通知を発出しましたけれども、通知記載の支援が可能であるという意向等を確認させていただいた上で被災四県にお知らせさせていただいたというものでございます。

 当該通知の性格でございますけれども、自らも被災した現地行政書士会が被災した地方公共団体に個別に連絡すると事務が非常に重たくなるということで、事務負担を軽減する等の観点から制度を所管する総務省を通じて発出させていただいたものでございまして、基本的に行政書士連合会の自主財源によりボランティアとして実施されたものでございまして、国や県が財政措置を講じたものではないということでございます。

 なお、令和六年能登半島地震の復旧復興に係る各府省の取組の中には、例えば、公費解体の手続において未申請物件に関する所有関係の調査を行う必要がある場合や、未申請者に行政側から申請を促す必要がある場合など、行政書士の高い専門性が必要とされる取組もございまして、このようなものに対しましては各制度を所管する府省におきまして適切に財政措置が講じられているものと認識してございます。

山川委員 ありがとうございます。

 行政書士法の改正に伴って、今回、行政書士又は特定行政書士の業務が拡大をすることになります。国民の選択肢が増えるわけなので、その分の活躍の場を提供していくのは国の責務でもあると私は考えております。

 災害が発生すると、多くの被災者は、罹災証明書の取得若しくは支援金の申請、保険金の請求といった、ふだん経験しないような複雑な手続を余儀なくされると思います。これらの手続は被災者にとって精神的、身体的な負担となりがちですけれども、そういった状況で行政書士の皆さん方のお力というのを十分に発揮していただくために、自治行政局長がお話をされたような、ボランティアでというのは少し不備が生じるのかなと思っております。その中で、是非提案者の皆さん方にお答えがもしできるのであればお願いしたいんですが、こういった財政支援をしっかりと行政書士の皆さん方にも手厚くし、連携が取れるような状況というお考えがあるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの繰り返しになる部分もございますけれども、基本的に、今回通知を出させていただいたものにつきましては、そもそも行政書士会の方でボランティアとして取り組みたいといって事前に準備されているもの、それの周知を私どもはお手伝いしたというふうな位置づけだと思っております。それ以外に更に必要なサポート、特に複雑な行政書士の専門性を必要とするものにつきましては、個別に必要な財政支援というのをしていく必要はあろうかとは思ってございます。

上野委員 大変重要な指摘だと思います。どういった形で行政書士あるいは行政書士会の皆さんを応援できるか、我々も重要な視点だと思いますので、しっかり勉強して取り組んでいきたいと思います。

山川委員 ありがとうございます。そういった状況で行政書士の皆さんから被災者が必要な支援を受けられるよう、被災者の生活再建支援の力となるようにお力添えをいただきたいと思っています。

 昨年は、沖縄北部豪雨災害においても行政書士による支援活動が行われましたが、需要に対して供給が十分だったかどうかというと、沖縄県内の行政書士の数が人口に対して比較的少なく、災害時ではその対応が難しくなるケースもあるというふうに伺っております。そういったときのためにも、今後、災害時の迅速な対応を確保するためには、団体や個人のボランティアに頼るのではなく、国がしっかりと財政出動を行い、行政書士を始めとする士業者派遣や業務委託などを国の予算で行うことを検討していただき、地域間での協力体制の強化が重要ではないかということを申し上げて、今回の質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、辰巳孝太郎君。

辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。

 行政書士が行う不服審査請求については、二〇一四年の法改正により、行政書士会連合会が定める研修の修了と、試験に合格し特定行政書士として登録されれば、官公署への許認可申請等についての事前手続での依頼人の意向を踏まえて、事後の不服申立てでも審査請求書の補正や反論書の作成ができるということになっております。

 本法案では、行政書士が行える業務について、行政不服審査の申立てを受任できる範囲を見直すことになります。まず、確認をしたいと思います。この法改正が行われ、業務の範囲の見直しがされると、特定行政書士は何ができるようになるんでしょうか。

上野委員 現行法におきましては、特定行政書士が不服申立ての手続につきまして代理し、及びその手続について提出書類を作成することができる範囲が、行政書士が作成した書類に係る許認可等に関するものに限られております。そのため、個人が生活保護給付金、保育所の入所等の申請をする場合ですとか、あるいは事業者が補助金等を申請する場合につきましては、申請者本人が申請書類を作成することが多いと考えられます。現在は、このように申請者本人が申請書類を作成した場合に、特定行政書士がその不服申立て手続について代理等を行うことはできないということになります。

 今回の改正によりまして、特定行政書士が不服申立ての手続について代理し、及びその手続について提出書類を作成することができる範囲が行政書士が作成することができるものに拡大されることによりまして、申請者本人が当初申請書類を作成した場合の不服申立て手続につきましても特定行政書士が代理等を行うことができるようになるものであります。国民の権利利益の保護に資するものと考えております。

辰巳委員 つまり、本人によってなされた許認可申請が、事前に受任していなかった案件についても代理ができるようになる、こういうことであります。

 行政不服審査請求についてなんですが、二〇一九年度公表分で、裁決された総数は、国で二万七千三百六十二件、都道府県、政令市で九千七百六十六件、そのうち不服申立てが認められたというものが、国で一千三百九十五件、全体の五・一%、都道府県、政令市で四百六十三件、四・七%となっておりまして、それ以外ではほとんどが却下若しくは棄却ということになっております。そこで、聞きたいんですけれども、行政書士が関与していれば不服申立てが認められた、認容されたと考えられる事例は一体どれぐらいあるんでしょうか、つかんでおられるんでしょうか。

奥野委員 今の数字を伺うと、ほとんど認容されることはないという残念な結果だと思います。少しでも行政書士が関わることで認容の率が上がっていく、あるいは時間切れ等で却下されてしまったものについて救済できればという趣旨なんですが、残念ながら現在行われているわけではないので、全ての案件について網羅的に調べて、この案件ならばというようなことはなかなか難しいということで御理解いただきたいと思います。

 その上で申し上げると、例えば、申請者が申請に必要な要件を満たすことを示すような資料を、提出時にはあったんだけれども時間がたって散逸させてしまった、どこかへ行ってしまったような場合について行政書士に依頼して、行政書士さんは許認可申請手続には詳しいのでその経験を生かして代替的な資料を、なくしてしまった資料に代わるものを収集することで許認可が得られたというような事例があるというふうに伺っております。このような事例においては、仮に申請者本人が申請書類を作成し、申請要件を満たすことを示す資料が足りないというような理由で棄却された場合について、特定行政書士がその不服申立て手続に関与できるようになることで不服申立てが認容されるんじゃないかということも考えられる、こういった事例はあります。

 ほかに、却下も多いんですが、不服申立てが却下された事例のうち不服申立て期間の経過が理由であるものについては、適切な時期に特定行政書士に相談があれば少なくとも却下となることはなくなる、そうした件数が減るんじゃないかというふうに考えているところでございます。御理解いただければと思います。

辰巳委員 おっしゃったように、誰が代理するにせよ、不服審査で行政庁の判断が覆ることは今のところはそう多くないというのが実態だというふうに思います。同時に、誇大広告とか過大請求とか説明不足による行き違いなどが起きないように注視する必要があるんじゃないかと思います。

 また、全国に五万一千人を超える行政書士がおられまして、そのうち法定研修を修了した特定行政書士は二〇二三年度末で五千五百八十人と聞いております。特定行政書士制度ができて十年以上になるわけですので、今後の制度の在り方についても検討していく上でも、実情について把握していくべきだというふうにも考えております。

 最後にですけれども、改正案第十九条は、行政書士の業務を他人の依頼により行政書士以外の者が報酬を受け取り業として行うことについて禁止するという規定なんですけれども、この改正案では、いかなる名目によるかを問わず報酬を得てというふうに新たに書き加えております。確認したいと思いますけれども、今回の法改正によって違法とか合法の範囲を広げたり狭めたり、あるいはラインを動かしたりするということなんでしょうか、どうでしょう。

長谷川(淳)委員 お答えいたします。

 今回の改正で、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得てとの文言を追加する趣旨でございますが、どのような名目でありましても、行政書士や行政書士法人でない者が他人の依頼を受け書類作成の役務の提供に対する対価を受領して業として官公署に提出する書類等を作成することは違法であるという現行法の趣旨を条文に明示することにより、行政書士や行政書士法人でない者による違法行為の更なる抑制を図るものでございます。

 したがいまして、今回の改正は、行政書士や行政書士法人でない者による業務の制限について現行法の解釈を明確化するものでありまして、違法、合法の線引きを現行法から変えるものではございません。

辰巳委員 確認をいたしました。

 行政不服審査は、国民の誰もが行政庁が行った処分又は不作為に不服があった場合に不服の申立て、審査の請求を行うことができるものであります。このことによって、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保するというものになります。そういう意味では、今回の法改正が行政に対する住民の要望活動あるいは行政運営の改善を求める運動などに影響を及ぼしてはならないということも改めて述べさせていただいて、私からの質問を終わりたいと思います。

 以上です。

竹内委員長 これにて発言は終わりました。

 お諮りいたします。

 行政書士法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時二十二分散会


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