第17号 令和7年6月10日(火曜日)
令和七年六月十日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 竹内 譲君
理事 あかま二郎君 理事 塩崎 彰久君
理事 島尻安伊子君 理事おおつき紅葉君
理事 岡島 一正君 理事 吉川 元君
理事 黒田 征樹君 理事 向山 好一君
石橋林太郎君 大西 洋平君
加藤 竜祥君 川崎ひでと君
草間 剛君 小寺 裕雄君
小森 卓郎君 坂本竜太郎君
佐藤 勉君 田所 嘉徳君
中野 英幸君 福原 淳嗣君
古川 直季君 山口 俊一君
山本 大地君 若山 慎司君
阿部 知子君 おおたけりえ君
岡本あき子君 奥野総一郎君
杉村 慎治君 高松 智之君
武正 公一君 西川 厚志君
福田 昭夫君 松尾 明弘君
道下 大樹君 山花 郁夫君
藤巻 健太君 守島 正君
福田 玄君 中川 康洋君
山口 良治君 山川 仁君
辰巳孝太郎君
…………………………………
総務大臣 村上誠一郎君
法務副大臣 高村 正大君
総務大臣政務官 川崎ひでと君
総務大臣政務官 古川 直季君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 岩間 浩君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 大濱 健志君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 松田 哲也君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 竹林 悟史君
政府参考人
(デジタル庁審議官) 三橋 一彦君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 玉田 康人君
政府参考人
(総務省大臣官房地域力創造審議官) 望月 明雄君
政府参考人
(総務省自治行政局長) 阿部 知明君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 小池 信之君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 笠置 隆範君
政府参考人
(総務省自治税務局長) 寺崎 秀俊君
政府参考人
(総務省国際戦略局長) 竹村 晃一君
政府参考人
(総務省情報流通行政局長) 豊嶋 基暢君
政府参考人
(総務省情報流通行政局郵政行政部長) 牛山 智弘君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局長) 湯本 博信君
政府参考人
(消防庁次長) 田辺 康彦君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 堤 良行君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 大竹 宏明君
政府参考人
(文化庁審議官) 小林万里子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 宮本 直樹君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 岡本 利久君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 神ノ田昌博君
政府参考人
(農林水産省農産局農産政策部長) 山口潤一郎君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 藤田 昌邦君
政府参考人
(防衛省大臣官房衛生監) 針田 哲君
政府参考人
(防衛省地方協力局次長) 森田 治男君
参考人
(日本郵政株式会社常務執行役) 西口 彰人君
総務委員会専門員 阿部 哲也君
―――――――――――――
委員の異動
六月五日
辞任 補欠選任
小寺 裕雄君 長谷川淳二君
佐藤 勉君 上野賢一郎君
高市 早苗君 石田 真敏君
同日
辞任 補欠選任
石田 真敏君 高市 早苗君
上野賢一郎君 佐藤 勉君
長谷川淳二君 小寺 裕雄君
同月十日
辞任 補欠選任
石橋林太郎君 坂本竜太郎君
小森 卓郎君 山本 大地君
若山 慎司君 草間 剛君
道下 大樹君 阿部 知子君
中川 康洋君 山口 良治君
同日
辞任 補欠選任
草間 剛君 若山 慎司君
坂本竜太郎君 石橋林太郎君
山本 大地君 小森 卓郎君
阿部 知子君 道下 大樹君
山口 良治君 中川 康洋君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件
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○竹内委員長 これより会議を開きます。
行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社常務執行役西口彰人君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官岩間浩君外二十六名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○竹内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大西洋平君。
○大西(洋)委員 自民党、東京十六区の大西洋平でございます。
本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
本日は、るる当委員会でも議論が出ておりましたインターネット、SNSの悪質な誹謗中傷への対策強化について質問をしてまいりたいと思います。
私が江戸川区議会自民党幹事長時代に悪質な誹謗中傷について様々なお声をいただきまして、その声を基に議員発議で立案、取りまとめをさせていただいて、悪質な誹謗中傷から命を守る江戸川区インターネット健全利用促進条例というのを制定させていただきました。当時、東京二十三区で初めてということもございまして、NHKニュースやヤフーニュースなどにもお取上げをいただきまして、改めて社会問題でもある関心の高さを感じた次第でございます。今日は、私にとっても思い入れがある政策に関しまして国会でも議論を深めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
それでは、質問に入らせていただきます。
時には命をも奪う悪質な誹謗中傷等からインターネットの利用者を守るべく、昨年の通常国会においてプロバイダー責任制限法を改正し、大規模プラットフォーム事業者に違法、有害情報などの削除対応の迅速化、基準の透明化などの義務を課し、名称も情報流通プラットフォーム対処法と改めました。情報流通プラットフォーム対処法が今年四月一日から施行されたことを受けまして、改めて施行に当たっての効果の見通しについてまずお伺いをしたいと思います。
○玉田政府参考人 お答え申し上げます。
総務省では、インターネット上の誹謗中傷による被害者の救済を円滑にする等の対応を図るため、利用者のリテラシーの向上や相談体制の強化、発信者情報開示に係る簡易な裁判手続の創設など、累次の対策を進めてまいりました。
しかしながら、インターネット上の誹謗中傷等の違法、有害情報の流通は依然として深刻な状況であり、被害者の方々からは投稿の削除に関する相談が多く寄せられております。
総務省の有識者会議におきましても、主にプラットフォーム事業者の利用規約に基づいて行われている投稿の削除に関する課題としまして、放置されると情報が拡散するため被害者は迅速な削除を求めている点、削除申請をしても通知がない場合があり削除がなされたか分からないという点、事業者の削除指針の内容が抽象的で何が削除されるか分からないなどが指摘されているところでございます。
こうした課題認識を踏まえまして、本年四月一日に施行されました情報流通プラットフォーム対処法では、大規模なプラットフォーム事業者に対して誹謗中傷などの権利侵害情報の削除申出について原則として七日以内に応答する義務などを課すこととしており、これにより削除対応の迅速化が図られるものと考えております。
また、権利侵害情報に該当しない場合でありましても、事業者に対して削除基準やその運用状況の公表の義務などを課すこととしておりまして、これにより運用の透明化が図られるものと考えております。
SNS等を提供するプラットフォーム事業者は、違法、有害情報への対応について一定の社会的責任が求められる立場にあると認識しております。総務省としましては、今後、制度運用に際し、対象事業者による義務の履行状況について適切に把握、分析してまいります。
○大西(洋)委員 答弁をいただきました。ありがとうございました。七日以内等、迅速な開示等についても。
そういったことも踏まえていよいよこの四月一日からスタートをしているわけでございますが、先日の総務委員会でも他の委員から、インターネット上におけるデマの拡散や深刻な誹謗中傷についてのプラットフォーム事業者の責任について厳しく言及がなされました。私も他の委員の御意見に同感でございまして、プラットフォーム事業者に対しては、社会インフラであるインターネット空間を担っているという重みをしっかりと認識していただいて、安心、安全なインターネット空間を提供する義務をしっかりと追及していくべきと考えております。
削除義務の実効性を高めるには、大規模プラットフォーム事業者に対しEUのデジタルサービス法が科すような高額の制裁金制度を求める声も多く寄せられています。今後の運用を見定めながら、更なる改正の際には様々な検討が必要と思いますので、どうぞ引き続きよろしくお願いをしたいと思っております。
次に、フジテレビの番組を原因としたインターネット上の誹謗中傷で、女子プロレスラーの方の自死を契機として、インターネット、SNSでの悪質な誹謗中傷は大きな社会問題として認識を深めました。一方、元兵庫県議会議員の自死など、昨今においても問題の深刻化は残念ながら進んでいます。こうした悪質な誹謗中傷による被害を防ぐには、削除も重要ですが、加えて被害への賠償は被害状況の回復、更なる加害への抑止のために重要です。被害への賠償を求めるには発信者の情報開示が円滑に行われる必要があります。
プロバイダー責任制限法の令和三年度改正において悪質な誹謗中傷等について情報開示をしやすくしたと認識していますが、施行後の状況と総務省としての取組についてお伺いをさせていただきます。
○玉田政府参考人 お答え申し上げます。
発信者情報開示制度につきましては、迅速な被害者救済を図る観点から、令和三年に法改正を行い、簡易迅速に発信者情報を開示する裁判手続を創設いたしました。
この改正を受けまして、裁判所に対する発信者情報開示命令の申立ての件数につきましては、発信者情報開示の多くを扱う東京地裁では、直近の年間の請求件数は七千六十三件となっており、改正前の令和元年における仮処分の申立て件数約六百三十件と比較しまして大幅に増加をしております。
これは、被害者が裁判を行うに当たっての手続などの負担が軽減されたことが一定程度寄与していると想定され、新しい裁判手続の利用も着実に進んでいるものと考えております。
インターネット上の誹謗中傷等への対応としまして、法改正による被害者救済の効果が表れてくることが重要であると考えておりまして、総務省としましては、発信者情報開示制度の運用状況や、同様に誹謗中傷等への対応として権利侵害情報の削除対応の迅速化を規定した情報流通プラットフォーム対処法の運用状況を把握した上で必要な対応を検討してまいります。
○大西(洋)委員 答弁をいただきました。
いずれにいたしましても、令和三年度改正の効果の検証は今後詳細になされていくかと思いますが、現時点においても、情報開示の迅速性が欠ける、被害者の負担が大きいとの声がございます。先ほども御答弁の中で開示件数の増加についてお話がございましたが、それについてプラットフォーマーが速やかにどれぐらい対応いただくかというのは、もちろんこれからの検証もありますけれども、しっかりと政府としても注視をしていく、時には厳しく対処をしていく必要があると思っておりますので、よろしくお願いいたします。
そこで、更に伺っていきたいと思います。
インターネット、SNSの悪質な誹謗中傷による被害への賠償の基礎となる情報開示について、被害者は自ら司法手続を行うしかなく、金銭的、心理的負担は大変大きいものがございます。悪質な誹謗中傷等で被害を受けているにもかかわらず、更に司法手続で大きな負担を強いられることは非常に理不尽ではないかと思っております。国民に対する司法手続の支援といえば法テラスがございますが、現在、資力の状況を問わず支援しているのは極めて限定的な場合のみでございます。インターネット、SNSが国民が生活する上で必須の生活インフラであることを考えれば、インターネット、SNSの悪質な誹謗中傷による被害への賠償の基礎となる情報開示について、被害者による司法手続任せにせず、行政として被害者に寄り添い、積極的に支援していくことが必要であると考えますが、総務省のお考えをお伺いさせていただきます。
○玉田政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、インターネット上の誹謗中傷につきまして、行政として被害者救済に積極的に取り組んでいくことが重要と考えております。
総務省では、インターネット上の誹謗中傷の被害に遭われた方からの相談を受け付け、具体的な削除要請の方法や発信者情報開示の方法などについて的確なアドバイス等を行う違法・有害情報相談センターの運営を支援しております。
同センターについては、相談件数が年間六千件を超えるなど近年高止まりしている状況にあることを踏まえ、これまで、体制強化などの施策を講じるとともに関係機関との連携も強化してまいりましたけれども、加えて令和六年度からは相談センターとしましてチャットボットを活用した運用により相談者の心理的、時間的ハードルを下げるなど利便性の向上を図り、相談対応を充実させてきているところでございます。
総務省としましては、引き続き、関係省庁等とも連携し、インターネット上の誹謗中傷等の違法、有害情報への対策にしっかりと取り組んでまいります。
○大西(洋)委員 答弁をいただきました。ありがとうございます。
ハード面での整備もしっかりと推し進めていただきたいと思っておりますし、六千件の相談という話もございました。まず相談センターでしっかり対応するということは非常に大事でございますので、どこに相談していいか分からない方も多くいらっしゃる中で、こういったものがしっかりあるということの周知も含めてよろしくお願いをしたいと思っております。
悪質な誹謗中傷による被害を防止するには、違法、有害情報の削除強化、情報開示の迅速性強化、負担軽減などの重要性とともに、加害者にならない、被害を深刻化させないためのインターネットリテラシー強化も重要でございます。学校教育においてはインターネットリテラシー教育は行われていますが、仮に、インターネットリテラシー教育で、加害者にも被害者にもならないインターネット、SNSの利用が困難とされている昨今、オーストラリアの十六歳未満のSNS規制法のような立法措置が注目をされました。一方、大人のリテラシー向上についても大いに課題があり、リテラシー向上は急務です。
国民の皆様全般に対してのインターネットリテラシー向上における政府の取組の必要性について、川崎ひでと総務大臣政務官の御見解をお伺いさせていただきます。
○川崎大臣政務官 大西委員の御質問にお答えいたします。
インターネットやSNSの利用は、国民生活や社会経済活動の利便性を飛躍的に向上させる一方で、誹謗中傷などの様々なトラブルも生じさせており、委員御指摘のとおり、悪質な誹謗中傷による被害防止の観点からも、国民一人一人のICTリテラシー向上に向けた取組が必要不可欠であると考えております。
このため、総務省では、ICTリテラシー向上に係る意識啓発プロジェクト、デジタルポジティブアクションを本年一月に設立いたしました。このプロジェクトにおいては、例えば多様な関係者によるセミナー等の開催や普及啓発のための教材の作成、活用を行っております。また、現在ではウェブCM、テレビCMを放送しており、多くの方々に意識啓発の向上に取り組んでいただくようにお願いをしております。引き続き官民連携して取り組んでおります。
また、青少年に対しては、例えば、インターネットに係るトラブル事例の予防法等をまとめた事例集の作成や小中学校等への周知、小中学校等での生徒や保護者を対象としたインターネットの安心、安全な利用に関する出前講座の実施等、青少年が加害者にも被害者にもならないための様々な取組を進めております。
総務省としては、引き続き、国民一人一人がICTリテラシーを高め、安心してSNSを利用できる環境の整備に全力で取り組んでまいります。
○大西(洋)委員 川崎政務官から御答弁をいただきました。まさにこの問題が顕在化する前から川崎政務官におかれましては先駆的に取組をされていたわけでございまして、非常に様々な取組をお話しいただきました。更に更に推し進めていっていただきたいと思っております。
重ねて申し上げますが、インターネットやSNSは、行政手続など公的なものを含め、今や生活する上で欠かすことのできない生活インフラでございます。この生活インフラを安心、安全に利用するにはインターネットリテラシーの向上が必須でございます。今回の質問をするに当たりまして、改めて、インターネットリテラシーの向上を担う政府の司令塔が分かりにくい部分も一方でございましたので、私としては是非総務省には大規模プラットフォーム事業者を所管するという点で、今後もインターネット、SNS分野における主管官庁としてデジタル庁とともにしっかり取り組んでいっていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。
それでは、次の質問に入らせていただきますが、地方自治体における少額随意契約についてお伺いをしたいと思っております。
地方公共団体における工事発注などは原則として入札によるところでございますが、一方で、一定の条件の下に少額随意契約が認められております。財政制度等審議会において、企業物価指数の上昇等を踏まえ現行の基準額を引き上げるとの対応方針が財務省から示され、五十年ぶりに少額随意契約の対象額の引上げが行われたと認識をしております。少額随意契約を認めている趣旨と、財政審において五十年ぶりに国の少額随意契約の上限額を引き上げる中での総務省の地方自治体への対応についてお伺いしたいと思います。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
地方公共団体の契約は、公正性と機会均等性を確保するため、一般競争入札によることが原則とされてございますけれども、能率的な行政運営の観点から、基準額以下の契約については随意契約によることが可能とされてございます。
その上で、昨今の物価高騰や事務の効率化の観点から、国における基準額の引上げの状況も踏まえまして、お話がございましたように、本年三月に地方自治法施行令の改正を行い、地方公共団体が随意契約できる基準額につきましても、国と同様、約一・六倍の引上げを行ったというところでございます。
○大西(洋)委員 ありがとうございます。
時間の関係で二問目は要望にとどめますが、お伝えいただいた政令指定都市の中で最も財政規模が小さい相模原市と比べて、その財政規模を上回る特別区、世田谷区や、大田区や練馬区、私の地元の江戸川区など同等の規模の二十三区の特別区もございますので、都道府県の上限額を政令指定都市と同じように特別区についても是非検討いただきたいということを要望させていただきまして、時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、山川仁君。
○山川委員 おはようございます。れいわ新選組の山川仁です。どうぞよろしくお願いいたします。
本日、皆さん方のお手元に資料を配付させていただいておりますが、今日は、ひめゆり平和祈念資料館のガイドブックを引用させていただいて、資料を三つお届けしておりますので、是非見ていただきながらお話を聞いていただければと思います。
皆さん方にいろいろお話をさせていただきたいのは、六月二十三日は何の日か御存じでしょうか。沖縄のカレンダーには日付のところに赤い文字で分かりやすく表記をされていますが、沖縄県内の学校や市役所などは公休日として県条例で定めており、沖縄戦で亡くなられた全てのみたまを追悼する慰霊の日となっているのが六月二十三日です。
御承知のとおり、今から八十年前、日本は米国等と戦争を行い、日本で唯一の地上戦が沖縄で繰り広げられ、その組織的な戦闘が終わった日が六月二十三日です。その後二十七年間、米国の統治下にあった沖縄はまだ日本ではなかったので琉球政府が存在し、お金もドルを使用し、日本へはパスポートが必要な時代でした。当時の甲子園でも、参加はできたようですが、甲子園の土を持ち帰ることはできなかったと聞いています。そのような米国統治下で、当時の琉球政府が慰霊の日として定めたところです。
この沖縄戦では米軍にすさまじい数の砲弾を撃ち込まれ、全てを焼き払われ、鉄の暴風と呼ばれ、語り継がれています。
一方、沖縄県民が自国の日本軍に守られたかというと、決してそうではありません。日本軍にとって沖縄戦は、米国の攻撃に対して本土を守るため時間を稼ぐ持久戦であったと認識されております。それによって沖縄県民は子供や高齢者まで防衛隊として動員をされ、訓練も受けず、武器もないまま戦いに参加させられた記録が残されており、ひめゆり学徒隊についても、歴史を勝手に変えることなく、また風化させることなく、是非閣僚の皆さん方には今年中に一度は沖縄の実相を共有し学び直すために訪問していただきますよう、切にお願いを申し上げます。
沖縄戦は、日米合わせて約二十万人余の犠牲者を出し、全ての県民を巻き込み、十二万二千人以上、県民の四人に一人が亡くなったと記録をされております。沖縄県民は日本軍によって捨て石にされたと語り継がれ、これは昔の終わった話ではありません。
昨日も不発弾による事故が起こってしまいました。自衛隊員四人が搬送されたとの報道もありましたが、処理に当たった隊員には一日も早い回復を祈るばかりです。沖縄戦によって沖縄県の地中に埋まった不発弾は約一千九百トン、処理するには約百年以上かかると推定され、今でも県民の命を脅かしているところです。
現政権は米軍辺野古新基地建設を県民の民意を無視して強行し、地方自治を崩壊させていること、同じ日本人として心が痛まないのかと、いつも痛切に感じております。そして、沖縄のみならず、米国の対中包囲網への協力のため先島諸島を始めとする日本列島全体への中距離ミサイル配備を進めていて、その状況下の影響で島から医療や自治が崩壊している事態を招き、どのように平和な日本、強い経済をつくるおつもりなのか、お考えいただきたいと思います。
れいわ新選組は、六月二十三日のこの日、かつての戦争が自国民を守らなかったことを思い起こしつつ、沖縄県民を始めとする戦争被害者の方々に哀悼の意を表したいと思います。そして、二度と戦をしてはならないと、沖縄県内、宮古島や八重山への自衛隊ミサイル配備に対する住民の反対運動や、石垣での米軍艦艇入港に反対する港湾労組など、多くの人々が行動していることにも敬意を表したいと思います。基地のない、戦争のない、豊かな沖縄をつくるために、政府として徹底した平和外交を行い、次の質問でも、与那国の医師確保や、島民を食料危機にさせない、飢えさせない、恐怖と不安に陥れないことを要望し、質問に入りたいと思います。
この時期の沖縄県内では、毎年、平和の礎の沖縄戦で亡くなられた刻銘者の読み上げが行われているところです。沖縄県の調べでは、刻銘者数は二十四万二千五百六十七名、沖縄県内は十四万九千六百七十四名、県外は七万八千三百三名と、多くの方々が刻銘されております。誰でもどこでも刻銘者に対して哀悼の意を表し名前を読み上げておるところですが、全ての戦没者への哀悼の誠をささげ二度と戦争を起こさないと政府一丸となり、この刻銘者の読み上げに、総務大臣を始め閣僚の皆さん方、総理もですよ、参加していただきたいと思いますが、総務大臣の見解を伺いたいと思います。
○村上国務大臣 さきの大戦中、沖縄では国内最大の地上戦が行われ、多くの方々が犠牲になられたことを決して忘れてはならないと思います。
お話のあったオンラインでの戦没者のお名前の読み上げにつきましては、公務の事情を踏まえながら検討いたしたいと思います。
○山川委員 是非、沖縄県民また日本全国にしっかりと、今後の日米防衛等々、戦争をさせない、しないということで、公務と言わずに優先的にこの時間を大事にしていただきたいと思います。是非お願いします。
次の質疑に入ります。
五月二十九日に衝撃の記事が出ております。これは資料四になります。通告も事前に提出しておりますので、大臣を始め各省庁、特に厚労省は当然御覧になっているとの認識の中で質問させていただきます。
与那国診療所の継続困難という見出しです。しかし、記事の内容によりますと、台湾海峡に近い与那国町では台湾有事を念頭に医師確保がより困難になると見込んでいる、継続は困難と判断しているというような内容の記事です。有事懸念で医師確保が難しい。国防上、防衛上の観点から国民を守る立場の方が地方自治を壊し、地域医療体制も恐怖に陥れていいはずがありません。これが皆さんの目指す防衛力強化で、四十三兆円もの多額の国家予算を閣議のみで決め、地域医療や離島振興を置き去りにしたままで沖縄は日本経済のフロントランナーになれるんでしょうか。沖縄の中では、離島振興なくして沖縄の経済成長なしと、沖縄県民なら誰もがその思いを強く持っている言葉です。
まず最初の質問ですが、与那国の自衛隊駐屯地の医療体制はどうなっているのか、お伺いします。
○針田政府参考人 お答えいたします。
自衛隊与那国駐屯地に医務室を設けており、医官一名、看護官一名が常駐し、隊員の健康管理等に従事しております。
○山川委員 ありがとうございます。
次に、与那国や八重山地域で想定している有事を想定した避難用シェルター一基について、予算額が幾らになっているのかお伺いします。
○森田政府参考人 お答え申し上げます。
与那国町におきましては、新たに整備する複合庁舎の地下駐車場等を特定臨時避難施設として活用する計画を有しており、本年三月に基本計画が完了、夏頃から実施計画を実施する予定と承知しております。
防衛省の令和七年度予算の実施計画におきまして、この実施計画に係る補助金約七千万円を措置しているところでございます。
○山川委員 ありがとうございます。
与那国の医師、看護師常駐について、年間予算は幾らあればいいのかお伺いします。
○神ノ田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の与那国町診療所を含む僻地診療所の運営費として交付しております補助金では人件費の一部を補助しておりまして、その補助基準額は医師一人当たり約一千六十万円、看護師一人当たり約三百八十六万円となってございます。
○山川委員 ありがとうございます。
次に進みます。
国家公務員医師、看護師を今後一定期間、与那国の医療体制が崩壊しないように派遣することを提案いたしますが、見解を伺います。
○神ノ田政府参考人 お答えいたします。
地域医療に従事する医師や看護師の確保につきましては、都道府県において医師確保計画等に基づき行うこととなっておりまして、厚生労働省としては都道府県の取組に対する財政的な支援を行っております。
委員御提案の国家公務員医師としては、自衛隊医官、外務医務官、矯正医官などが挙げられますけれども、それぞれの国家公務員としての職責が定められていることから、地域医療に従事する医師については、地域枠や自治医科大学の卒業医師の派遣調整により確保することが基本であると考えてございます。
○山川委員 ありがとうございます。
今の質疑の流れにおいて皆さん方の答弁をお聞きしても、やはり与那国の診療所、医療体制をしっかりと支援していただきたいと思っております。各都道府県、沖縄県と自治体が連携を取りながら、医療体制の確保も当然努めていただかないといけないと思います。
その中で、今言われているシェルターの補助金が七千万。だけれども、医療体制をするためには一千万から二千万ぐらいの補助金等と。自治体は、令和五年度の与那国診療所の体制は大体五千万前後だというふうに伺っております。
そういった中で、是非とも診療所が来年の四月から医師がいなくならないように。これは、民間の委託、指定管理の皆さん方は、有事があるから怖くてこんなところにいられないということで記事になっているんですよね。そういう想定を皆さん方はした上で、ああだこうだ、防衛力強化だといっていろいろなところに、いろいろなあおりを受けて、この島民の不安を、強硬に推し進めようとしているわけですから、是非ともそれは責任を持って、島民の皆さん方を守る立場として、是非ともこのお考えを持って、診療所が崩壊しないように、島民の医療体制が崩壊しないように。
最終的にもし民間の方々が受託を断念した場合、自衛隊の医師一名、看護師一名の皆さん方が島民の医療をしっかりと支えていけることを提案したいと思いますが、そこら辺はどうでしょうか。
○神ノ田政府参考人 お答えいたします。
先ほども御答弁申し上げたとおり、地域医療に従事する医師につきましては、厚生労働省としては、地域枠ですとか自治医科大学の卒業医師の派遣調整等により確保するということが基本であると考えてございます。
自衛隊医官につきましては、所管している防衛省において御検討いただくことになるのかなというふうに理解してございます。
○針田政府参考人 お答えいたします。
防衛省といたしましては、関係省庁と協力して検討していきたいというふうに考えております。
○山川委員 これは憲法二十五条や十四条、十三条に違反となりますよ、皆さん方が国民を守らなければ。しっかりとそこら辺は丁寧に対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、時間もありませんので、最後の質問。
「かねひで」という文字が大きく出ておりますが、備蓄米十三日販売と。沖縄県内はまだ備蓄米がしっかりと届いていない状況です。八重山、石垣、宮古、与那国についてもそのような状況が続いている中で、小泉大臣が二千円をしっかりとベースにして聖域なきというふうなパフォーマンスをしておりますけれども、国が支援している精米できるところまでの支援も飛び越えて、与那国や竹富島その他、沖縄は島嶼県ですのでしっかりとそういった支援ができるようにお願いしたいと思いますが、その中で、沖縄県の離島地域に届いている備蓄米の価格と時期についてお伺いします。
○山口政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、現在行われております随意契約による売渡しにおきましては、小売業者に直接定価で販売いたしております。また、買受け者の指定する精米所まで国の負担で輸送しているところでございまして、比較的地域差が少なくなるのではないかと考えてございます。
今回の売渡しに関しましては、沖縄の複数の事業者からも申込みがあり、沖縄本島や石垣島から離島へ配送されるものと期待してございます。
また、全国規模のネット販売事業者の中には、随意契約の備蓄米につきまして、離島も含めて送料無料で全国一律価格にて販売しているものもあると承知してございます。こういったものについては、沖縄県の離島にも既に全国と同じ価格で届いているというふうに考えてございます。
引き続き、沖縄の離島の消費者の方にも手に取りやすい価格で早く備蓄米が提供されるよう努力してまいりたいと考えてございます。
○山川委員 済みません、時間が来ましたのでこれで質問を終わりますが、地方創生という名の下に、東京一極集中で、こういった備蓄米、地方にお米を届けられるのが遅れている状況をしっかりと反省しながら是非とも対処していただきたいと思います。
質問を終わります。
○竹内委員長 次に、阿部知子君。
○阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。
本日は、総務委員会の皆様に貴重なお時間を頂戴いたしまして、ありがとうございます。
早速ですが、質問に入らせていただきます。
私は、元々長く医師をやっておりまして、国会議員になってからも、特に働く皆さんの労働災害、公務災害などについては、なくせるものをできるだけ軽減していくということに向けて取り組んでまいりました。その趣旨にのっとって本日の質問を進めさせていただきます。
冒頭、一問目ですが、まず大臣のお手元の参考資料を御覧いただきたいと思います。
いわゆる消防職員、団員がどんな公務上の災害に遭っているかということで、上段は消防白書から抜きまして、下段は地方公務員の災害補償統計というものから引かせていただきました。御覧になって分かるように、亡くなられた方がこの年は四名、消防職員並びに団員。ここは団員の死亡はありませんが、危険業務でありますので、毎年数名、多いと七、八名の死亡者が出ております。
その多くが転落とか、けがとか、外側の事象からくるもので、下はそのための公務上の補償統計からでありますが、見ていただきますと、下の段の死亡者数は、実は公務員の中で消防職員が一番多いということになっております。他に危険業務はいろいろございますけれども、警察も自衛隊もいろいろなところで国民を守るために危険なお仕事をしてくださっていますが、消防職員も非常に多い数がお亡くなりになっているというデータでございます。
さて、その上で、大臣、二枚目を開けてくださいますか。
二〇二二年、国際がん研究機関、英語で略称するとIARCと申しますが、そこで消防士の職業を発がん性ありと、いわゆる業務起因性で発がん性のある仕事だというふうに分類し、グループワン、一番リスクの高い群に置いてございます。これはランセットという有名な雑誌の中にも出てまいりまして、国際的に広く知られるところとなりました。この中でいろいろ書いてございますが、消防士さんにがんが多いんだということが初めて公に国際的に明らかにされた文書かと思いますが、大臣にはまずこのことの御所見、どう受け止められますでしょう、お願いします。
○村上国務大臣 阿部先生の御質問にお答えします。
何せ私は浅学非才なもので、今日、先生の御質問を聞いていろいろ勉強しました。
二〇二二年七月のインターナショナル・エージェンシー・フォー・リサーチ・オン・キャンサーの評価におきまして、消防士としての職業上の暴露がヒトに対して発がん性があるグループワンに分類されたというのを聞いております。
このような評価を含めまして、消防隊員の皆さんは災害現場におきまして有害な化学物質に暴露する危険性を有しておりまして、隊員の安全管理は極めて重要である、そのように認識しております。
このため、総務省消防庁におきましては、消防隊員の安全管理マニュアルを全国の消防本部に通知しておりまして、各消防本部においても、防護服や空気呼吸器の確実な着装など、適切な安全管理に努めていただいております。
総務省消防庁としましても、引き続き消防隊員の皆さんが安全に現場活動を行えるようしっかりと取り組んでまいりたい、そのように考えております。
○阿部(知)委員 隊員を守るためにいろいろやっていただいていること、防護服やマスクのお話も大臣にしていただきましたが、私は、まず大前提として、職員並びに関係者にがんが多い仕事なんだということを自覚されることから全てが始まるんだと思います。
実は、アメリカのいわゆる国立労働安全研究所、ここでは二〇一三年から、今を遡ること十数年前から、中皮腫、アスベストによるがんですね、これが消防士さんは他の職種の二倍であるとか、様々な消防士さんのがんについての研究をしてこられました。また、アメリカ及びカナダの消防士のがん罹患などを分析している団体によれば、消防士さんの死亡原因の第一位はがんで全体の六七%を占めると。こういう先行する報告の上に、二〇二二年七月一日に国際がん研究機関により職業としてグループワンに位置づけるということがあったわけでございます。
大臣、次のページを開いていただけますでしょうか。
これは国際消防士連合というところが集計を分かりやすく出しておられますが、上段が、実は二〇〇一年から急速に消防士のがんの発生が増えているという図でございます。そして、二〇〇二年から二〇二三年の調査によれば、消防士として働いていた方の死亡原因一位ががんであると。これは先ほど申し述べましたが、それを分かりやすく。この国際消防士連合というところはそういうことを消防士さんたち共有の認識にして、今大臣が冒頭おっしゃってくださった様々な備えをどうしていくかということにも心を砕いている団体であります。分かりやすいので、御紹介をさせていただきました。
その次のページ、さて日本はといいますと、職業が原因でがんになる、これを職業がんと申しますが、この認識について非常に低いということが言われています。その理由は、業務との関係性が明確になっておらず労災認定がなかなかされないというようなこととか、あるいは、いわゆるアスベスト、石綿による肺がんや中皮腫にしても世界各国の統計よりははるかに少ない、年間九百人ほど、そして、そのほかの職業がんとして労災認定されている人は二十人ほどであると。
下に比較の表を置いてございます。これは化学物質情報管理研究センターの労働安全衛生研究所から取りましたが、例えばイギリスにおいては、亡くなられた職業がんの方のうち、九千人おられるんですけれども、五千人が石綿によるものであると。中皮腫か肺がんかということですね。比べて日本は、人口は倍なんですけれども九百人弱であると。何が違うのか、私は認識をきっちりと共有してもらって予防してもらうということが大きいと思うんです。
次のページを見ていただけますでしょうか。ここには今申し上げたアスベスト、二〇〇五年に大きな問題になりました、尼崎というところでアスベスト、石綿のある工場の周辺住民にアスベスト被害が出たのでアスベストによる健康被害ということが大きくクローズアップされたときですが、そのとき一応、消防庁としてはこうした通知、通達を出しておられます。これまで、警戒警報が鳴るのはNBCといって、ニュークリア、バイオ、ケミカルなどについては十分防護せよという通知が出ておるんですが、そこにはないアスベストについての通知でありました。
大臣はそもそも、先ほどの、職業がんが日本では発見されづらい、特に消防士さんにおいてはアスベストの問題が大きいという認識はこれまでおありであったでしょうか、お伺いいたします。
○村上国務大臣 私の母も兄弟も娘もみんな一緒でしたが、この問題については残念ながら非常に認識が薄かったと反省しております。
○阿部(知)委員 大体そうなんだと思います。言われれば、ああ、そうかなと、アスベストは建物のいろいろなところに使われているし、消火活動をイメージしてもらえば分かりますけれども、火が一回消えた後、更に鎮火を確実にするために建物の一部を取り壊したり、よく江戸の火消しで何かとがったものを持ってこうやって落としている姿を思い起こしていただければ分かりますが、実はそこにはアスベストが満載であります。特に昭和五十年代以前の建物はどこもかしこもアスベストで、火事が消えた後、再び燃えないようにするための活動というところが非常にアスベストに暴露されやすいわけです。
今大臣はこれまでは余り御認識がなかったとおっしゃいましたが、実は二〇〇五年に総務省はこの通知とともに実態調査をしておられます。偉かったなと思うんですけれども、二〇〇五年に総務省が消防職員と消防団員の石綿被害の健康実態調査をしている。この実態調査は十年間でありますが、ここで消防職員三名の中皮腫、四百九十八名の肺がん、消防団員十七名の中皮腫、四百五十八名の肺がん。これは、十年の集計を、既にお辞めになった方も含めて、地方の各消防本部にお願いして県が取りまとめた結果でございます。
私のところにレクに来ていただいたとても優秀な総務省の職員の方にも、なかなかこの情報は直にはいただくことができず、私の方からお尋ねして、こういうのがあるんじゃないですかと。
消防庁というか総務省は頑張ってきたんだから、これは総務省調査ですけれども、非常に貴重だと思うんですね。十年間ではありますが、現職とリタイアした人と消防団員なども含めて調査をした。この当時、アスベストということが焦眉の話題になっていたからとは思います。
大臣にも、これを見ると、全てがもちろんアスベストによるものではないです。でも、やはり多いんだなという認識を持つか持たないかで対策は違ってくるので、是非、この調査、現物を出してくださいと申し上げましたが、二十年前で、ないということでありましたので、とても残念です。こういう貴重なものこそ取っておいていただきまして、職員の安全管理に生かしていただきたいとまずお伝えいたします。
そして、そういうことを受けて、果たして中皮腫、アスベストなどについてはどれだけ公務災害認定があるかということで、次の資料六を御覧いただきたいと思います。
ここでは、三番目に消防職員のアスベストによる中皮腫、肺がん、石綿肺などが出ておりますが、字が小さくて恐縮ですが、下に少しまとめさせていただきますと、地方公務員災害補償基金の石綿関連疾病に係る公務災害の認定割合は依然として超低水準にある。
これは二〇一九年の論文でしたので、それ以前ですけれども、そこまでのところ、認定状況を見ると、認定で多いのは電気、ガス、水道事業職員。これは当然ですよね、そういうところで配管したり施工したりしますから。続いて、学校の先生、そして学校の先生以外の教育職員もあります。次に、消防職員、始まってからの年数で十件で、認定率が五二・六%ということ。中皮腫の公務上の認定割合はここで四七・三%。全体を見れば非常にいわゆる公務員ではないところの職種と比べると低い。九五%がほかで、こちらは四七・三%だということで、とにかく公務員全体は低いんですが、プラス、消防職員の石綿肺がんでの認定割合、特に肺がんはゼロ。職種全体ではほかの職種に公務員を広げれば二一・一%ということで、いずれにしろアスベストによる肺がんもなかなか認定されておらないということがここから分かるんだと思います。
一九九五年から今年で三十年たちました。一九九五年から二〇〇五年までの調査が先ほど御紹介したものであります。是非、村上大臣の手で、その後の二十年、果たして消防職員、団員にどのくらい中皮腫や肺がんがおられるのか、必ずしもアスベストとは断定できません、でも数を把握すれば多いか少ないかは出てまいります。そうした調査を二〇〇五年の総務省と同じようにやっていただきたいが、大臣、いかがでしょう。
○田辺政府参考人 委員から御紹介いただきましたが、二〇〇五年の消防職団員に対する健康実態調査は、平成七年七月から平成十七年七月までに中皮腫等により死亡又はこれらの疾病に罹患した消防職団員及びその退職者の人数について、各都道府県を通じて全国の消防本部及び消防団本部を対象に調査したものでございます。
この調査の結果では、中皮腫に罹患又は死亡した消防職員は三名、消防団員数は十七名でした。
消防庁といたしましては、この調査に合わせて、消防職団員については災害現場活動中に石綿等の有害な粉じんを吸引する可能性があることから、現場活動時における防じんマスク等の着用の徹底を求める通知を全国の消防本部に対して発出しているところです。
現在は、地方公務員災害補償基金の公表資料にて消防職員における中皮腫等の公務災害件数を確認しているところでございまして、引き続きこれらも踏まえて安全管理の徹底を図ってまいります。
○阿部(知)委員 申し訳ないが、質問はよく聞いてほしいんですね。今の御答弁は、全部私が言ったことを丁寧に翻訳してくださったんだと思うんです。
私は、その上で、かつて一九九五年から二〇〇五年までに調べたらこれだけの数があったよ、その後様々な注意喚起がやられたでしょう、しかしその後はどうだったのか、その後の二十年を調べていただけませんかとお尋ねしたんです。今の御答弁は、前のことと、公務災害で認められた人だけ。何度も申しますが、認められる率が低いんだということをお話しした上で質問を投げたつもりであります。私が長く言ったので混乱させたかもしれませんが。
大臣、もう一度お伺いいたします。かつての二〇〇五年の調査、あわせて、二十年たったんだから、一体その後の二十年はどうなったのか。消防職員、団員は守られているのか。きちんと公務災害認定を受けられているのか。私はとても重要だと思うので、二〇〇五年の調査と同じようで構いません、やっていただけませんか、いかがでしょう。大臣にお願いします。
○村上国務大臣 阿部先生の御指摘でございますので、一生懸命検討させていただきます。
○阿部(知)委員 村上さんは検討大臣じゃないと思っているので、実行大臣であることを期待して。
本当に貴重な人材です。今、山火事も増えておりますし、皆さんもお地元で消防団員、職員の、お正月であれば出初め、ふだんであれば訓練の様子を見ておられて、私たちを守ってくれている人たちですから、それを国が守らない手はない。
大臣もよく御承知のように、消防は地方分権で各自治体がやっております。それがやれないような、もうちょっと俯瞰的なことをやるのが総務省の役割と心得ておりますので、是非、実行大臣でお願いをしたいと思います。
○村上国務大臣 再度答弁させていただきます。
しっかりと調査させます。
○阿部(知)委員 ありがとうございます。
次に移らせていただきますが、まだまだあるんです。実は、私がずっとここのところ取り組んでいるPFAS、有機フッ素化合物のお話であります。
開いていただいて、七ページ目の資料ですけれども、いわゆるベテランの消防士さんたちで勤務期間が長いほど血液中の有機フッ素化合物濃度が高くなる。それは当然ですよね。消火の都度、アスベストにも暴露、ベンゼンにも暴露、PFASはあちこちにある。そういうものを、強固な防じんマスクをしても、やはり暴露される可能性が高いので。
これは同じようにアメリカでの、CDC、アメリカ疾病対策センターからの報告ですが、ここでは、特に従事年数の長い消防士さんは血中濃度が高いこと、高い方は御自身ががんになっていなくても希望すればがん登録で経過を追えるということ。元々、血中濃度については希望すれば測れるという仕組みが既に保障されております。ハワイのマウイ島の山火事とか、あちこちであった火事の後にPFASを測ると上がる、防護服はしているんですけれども上がっていく、蓄積効果がある、やがて退職してからがんになることもあるんだと思います。
この仕事に就いていただいた消防士さんの今を守り、将来を守ることが私ども国会議員の責務であると思います。これを私は是非御紹介して、これはどこの委員会で質問しても、ぐだぐだ言って、やらない、やらないと言うんです。でも、こんなに分かりやすく上がるんだよということが言われていて、もちろん血糖値と違ってそこが絶対に危ないというんじゃないんです、蓄積していく、それで健康管理に役立てられる。
アメリカではがん登録と血中濃度の測定を希望においてやっているということですが、これについてはいかがでしょう。
○田辺政府参考人 PFASの血中濃度と健康影響の関係性につきましては、血中濃度の結果からPFASを摂取した量、時期、期間等を推測するのは困難であり、また、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が個人に生じるかについては明らかになっていないと承知しております。
消防庁では、防護服や空気呼吸器の確実な着装など、消防隊員の安全管理上の留意事項を示した安全管理マニュアルを全国の消防本部に通知すること等を通じ、各消防本部において労働安全衛生法等を踏まえ適切な安全管理に努めていただいております。
また、規制対象のPFASを含有する泡消火薬剤を保有する消防本部に対し非含有泡消火薬剤への切替えを要請しており、各消防本部において適切に対応を進めていただいているものと認識しております。
関係省庁の検討状況を注視しつつ、引き続き、労働安全衛生法等を踏まえ、消防隊員の継続的な健康管理が図られるよう、関係省庁と連携して取り組んでまいります。
○阿部(知)委員 それは当然やっていただいた上で、どこでいつ暴露して、このときのPFASなんて分からないんです、だけれどもたまっていくんです。遷延して、蓄積性があって、それがどんな影響を及ぼすかをフォローすることで職業がんの可能性が分かるんです。
今いただいた御答弁は百万陀羅です、恐縮ですが。一年以上同じような答弁です。私は、やれることからやれという考えです。経過を追えるものは追わなくてはいけない。追わないのは不作為であります。
大臣に即答せよとは申しません。これはずっと官僚の皆さんの統一見解ですから。しかし、私は守りたいです、消防職員も団員も。そして、分かる手だて、高くなってきてアラームが出れば、それはそれでちゃんと対策に生かすべきなんです。それをこそ、大臣、ここは検討してくださいませんか。
○村上国務大臣 今日は、阿部先生の御指摘、ありがとうございました。
我々はやはり消防団員の皆さんの健康を守ることが一番重要であると考えていますので、私は先生ほど優秀じゃないのでなかなか専門的なことはよく分かりませんが、一生懸命その対応をしていきたいと考えております。
○阿部(知)委員 期待しております。
あと、最後に、ごめんなさい、一つだけ。防護服がそこの職員に何着与えられているかというところで、自治体ごとに差があるんです。少ないところでは、消火活動から帰って、また次の消火活動に行くときに同じものを着て行かなければいけない。消防職員の人がまとめてくれた、どの国が何着装備しているかの表もありますので、普通交付税なので各自治体に任されることになりますが、まず汚染された防護服を着て次に行かなきゃいけないことなどはないようにしていただきたい。最後に申し添えて、終わらせていただきます。ありがとうございます。
○竹内委員長 次に、西川厚志君。
○西川(厚)委員 立憲民主党の西川厚志でございます。今日もよろしくお願いいたします。
早速質問に入りますけれども、現在総務省では地方創生二・〇の実現に向け基本構想の取りまとめに総力を挙げておられると承知いたしております。私も、今月の四日、我が党会派の部門会議にて当局より骨子案について直接御説明を受けたところであります。その案によりますと、これまでの十年を概観した上での現状認識がまず整理され、次に、これからの十年を俯瞰した展開として、一つ目、目指す姿、二つ目、地方創生二・〇の基本姿勢と視点、三つ目、政策の五本柱、四つ目、各主体が果たす役割、五つ目、今後の進め方、こうした構成となっております。
そこで、今日この場で取り上げるのは、骨子案の中でも最も現在目玉政策として注目を浴びる政策の五本柱のうち、いわゆる関係人口登録について幾つかお伺いをさせていただきたいと思います。
ちょうど先週の今日、六月の三日、石破総理も同席された会議において、都市に住みながら継続的に特定地域に関わる関係人口を今後十年間で一千万人の登録を目指すとした数値目標が示されたところでもあります。これについて、骨子案の説明によりますと、関係人口の可視化のためふるさと住民登録制度を創設する、また、地域との関わり方の度合いに応じて関係人口の類型化を行い、それぞれの類型に応じて、二地域居住等の推進や若者、女性の地域交流の促進、地域と関係人口をマッチングする中間支援組織の育成、ふるさと納税の活用等の施策を展開する、以上が政策例の一つとして記載なされておりました。
まず、ここで私がどうしても違和感を覚えるのは、政府によるふるさと納税の更なる後押しです。
私自身の解釈といたしましては、今や優に一兆円を超える額が自治体間を移動し税収が著しく目減りする多くの事例や、一兆円を超える額の半額以上がアプリの手数料や返礼品に充当されているという内訳、そして、何よりもその実情は官製カタログショッピングである上に高所得者ほど恩恵が手厚いシステムである、こうした理由から、ふるさと納税につきましては抜本的見直しの方向へ進んでいくのだろう、そう解釈をしておりました。ましてや、少なくとも国によるてこ入れなんということはあり得ないというふうに思っておったところでございます。
そこで、まず率直にお聞きしますが、ふるさと納税制度がこうした局面にありながらも、それでもなお国のお墨つきを与えてまで更に推し進めようと本当に考えておられるのか、かつて大問題となった返礼品争いを今再び政府が助長することになるおそれはないのか。まずは総務省にお尋ねしたいと思います。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のふるさと納税は、ふるさとやお世話になった自治体への感謝の気持ちを伝え、税の使い道を自分の意思で決めることを可能とするものとして創設された制度でございます。
委員御指摘のとおり、これまで、過度な返礼品競争などを背景に、令和元年度から対象となる自治体を国が指定する制度を導入しております。その指定に当たりましては、先ほどおっしゃいましたような返礼品につきまして返礼割合を三割以下かつ地場産品に限ること、募集に要する費用を寄附金総額の五割以下とすることなど適正な募集を行うことといった基準を定めるなど、適時適切に基準の見直しや明確化等を行ってきたところでございます。
今後とも、全国の自治体と納税者の皆様の御理解をいただきながら、制度本来の趣旨に沿って制度が適正に運用されるように取り組んでまいりたいと考えております。
○西川(厚)委員 全国の自治体の御理解がなかなか得られていないところも実際にあるということだけは是非御認識をいただきたいと思います。
では、今回国がお墨つきを与えるふるさと納税について、もう一つ私の心配事を申し上げたいと思います。
私自身は過去、これまで当然、ふるさと納税を行ったことはありません、あるわけがありません。ですので、この質問を書くに当たって、いろいろ周りで利用したことのある人に聞いてみたところ、こんなことを大学の後輩から教わりました。
和歌山県にあるミカンとタチウオで有名な有田市という自治体にふるさと納税をしたところ、すると、その後輩の手元には、返礼品とともに市長からの礼状と一枚の名刺が添えられておったそうであります。その名刺には何と書かれておったかというと、有田市ふるさと応援大使という肩書の下にその後輩の個人名が書かれておったそうであります。
つまり、あなたを有田市の応援大使に任命しますよということなんだと思いますけれども、こんな演出をされたならば、誰だって悪い気はしません。この瞬間、有田市にとっては、間違いなく一人の関係人口が誕生したと言えるのではないかとも思います。
ふるさと納税制度の抱える多くの問題を度外視さえすれば、確かに理想的な取組だと納得もいたします。ただ、しかしながら、こうしたほほ笑ましい自治体と寄附者のやり取りも、国のお墨つきを与えることによってその関係が一変してしまうのではないかというのが私の心配の種であります。
というのも、ふるさと納税の活用が地方創生の一翼を担うんだとすると、自治体にとってこのふるさと納税はもはや錦の御旗ともなり得ることになります。例えば、過去に寄附を受けた方宛てに、我が町発展のために今年もよろしくねみたいなおねだりもまかり通ってしまうのではないか。既にアプリ利用者にはそれに似た広告が届いているとも、そんな話も聞いておりますけれども、こうした自治体による催促の過熱という懸念に対してはどうお考えなのか、これも総務省にお聞きしたいと思います。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
各自治体においてふるさと納税を行った方と継続的なつながりを持っていただくことは当該地域の活性化を図る上でも非常に重要なことから、総務省としても、そのような取組を積極的に進めるよう各自治体に対して促しているところでもございます。
委員から御指摘がございましたお手紙などにつきましては、そのような取組の一環として、例えばですが、受け入れた寄附金の活用状況のお知らせでありましたり、継続的な寄附をお願いする文書を送付する団体もあろうと承知しております。
一方で、ふるさと納税に関する基準においては、寄附者に対して自治体がこれらの手紙を送る際には返礼品等を強調することがないようにするものとされておりまして、各自治体において制度にのっとった対応を行っていただきたい、このように考えているところでございます。
○西川(厚)委員 分かりました。それについては私の心配も杞憂だということだと思います。
次に、関係人口の量的拡大、質的向上を図る上でも有効な二地域居住の推進についてお伺いをしたいと思います。
総務省のホームページによりますと、二地域居住の取組事例としては福島県のテレワーク支援補助金が掲載されています。福島への移住や二地域居住の希望者等が県内に滞在しコワーキングスペース等でテレワークを行った際の宿泊費や交通費、施設利用料等を補助する内容となっております。こうした取組も、確かに、東京在住の多くの皆さんが地方に関心を持ち、地方との関わりを深めてもらえる分には極めて理想的な地方創生なんだと思います。
しかしながら、果たして事はそう国の思惑どおりに進むのか。逆に、地方にお住まいの方々がもう一つの居住希望先として東京都を選ぶ可能性についてはどう考えているのかということです。さらに、その場合にも東京都が何らかの補助を与えるとなりますと、むしろ東京一極集中をますます加速させてしまわないのか。二地域居住の推進を掲げるのであれば、二地域目の希望先として地方へと視線を促す仕組みが必要不可欠なんだと考えますが、それについて見解をお示しいただきたいと思います。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
二地域居住につきましては、委員御指摘のとおり、複数の地域に拠点を設ける暮らし方、働き方であり、都市から地方への新たな人の流れを創出するものとして、地方創生二・〇の実現に資するものと受け止めてございます。
国土交通省といたしましては、昨年度、二地域居住を促進するための法律を整備し、これに基づき、地方で多く発生している空き家等を活用した住まいの確保等の環境整備のほか、地域と二地域居住者をつなぐコーディネーターの確保、育成を進めているところでございます。
また、二地域居住の更なる促進に向け、これまで北海道から九州まで全国二十六地域のモデル的な取組を支援してございます。具体的には、区域外就学制度を活用した子育て世帯を呼び込もうとする山形県高畠町のほか、二地域居住における移動費等の経済的負担を軽減するため割安な航空運賃や新幹線料金を提供する仕組みづくりを進める高知県、鳥取県や新潟県三条市等の取組が挙げられます。これらの成果につきましては、千を超える地方公共団体や民間事業者が参画する官民プラットフォームにて共有し、事例の普遍化を図ってまいります。
このような取組を通じまして、都市から地方への新たな人の流れを創出するなど、二地域居住を強力に進めてまいります。
○西川(厚)委員 とにかく都市から地方へ、その視点で推し進めていただきたいと思います。
私は、昨年の初当選後、初の当委員会の質問の場で東京一極集中の是正について取り上げました。東京都内の島嶼部や多摩地域、言ってみれば都内に存在する地方の創生を東京都独自の予算で十分に賄ってしまえる突出した東京の財政力、あるいは石破総理の目指す楽しい日本を既に唯一ここだけは実現した楽しい東京、その楽しい東京に吸い寄せられていく人、物、金、もはや幾ら地方創生二・〇、あるいはこの先三・〇、四・〇と小手先の策を続けていったとしてもその延長上に東京一極集中は決して揺るがないであろうということを申し上げたところであります。僭越ながら、この問題と地方創生二・〇は別次元で考えるべきとも申し上げたところであります。そして、一つ具体的に、かつて我が国が試みた首都機能移転のいきさつや、結果失敗に至った背景、また得られた教訓についても私なりの考察をお示しさせていただいたところでもあります。
そこで、まず政府参考人の方に、次いで村上大臣にも同じ質問を投げかけるわけでありますけれども、本当に地方創生の取組を繰り返すことによって東京一極集中は是正されるものとお考えなのか、何をもって是正されたと位置づけるべきなのか、是非それぞれ思うままに御答弁をいただければと思います。
○岩間政府参考人 お答え申し上げます。
東京圏への一極集中につきましては、データという意味ではまさに十代後半、それから二十代、そうした若い方の東京圏への転入超過が続いている。その要因としてはまさに進学、就職を契機としてというふうに考えてございます。さらに、もう一つは、この転入超過でありますが、男性よりも女性の方が多く転入超過している、これは事実ということでございます。
そういう意味におきましては、今回、地方創生二・〇ということを検討しておりますけれども、幾つかの要素がやはり大事なんだろうというふうに考えてございます。
一つは、経済ということでありますが、地域の産業が自然環境ですとか文化芸術も組み合わせながら付加価値を高めていくということ、それから、若者の流れという意味では、まさに地方に魅力的な学びの場ですとか働く場があって、若者が地方で学びたい、働きたいというふうに思える、もう一つは、まさに女性ということでありますが、女性にとっての地域の魅力という意味では、性別にかかわらず自分の能力や可能性が地域で発揮できるという幾つかの要素があろうというふうに考えてございます。
今回、目指す姿ということで基本構想に掲げていく考えでございますが、こうした個性ある地方創生の姿の実現というものが東京一極集中の是正に資するというふうに考えてございます。
○村上国務大臣 西川委員の御指摘はもっともだと思っております。地方自治を担当した者は、税の偏在性やいろいろな問題があって、どうしてもそういうことから考えていかないと抜本的な解決はできないと思います。
ただ、現時点においてできることは何かなということで答弁しますと、過度な東京一極集中の進展は、少子高齢化や過疎が進む地方における地域社会の担い手不足や災害リスクなどの点から大きな問題で、そのため、その是正は我が国全体にとって喫緊の課題である、そのように考えております。
我が国は、これまで東京と地方が一体となって発展してきたものと認識しております。東京と地方がしっかりと支え合い、活力を高めていくような環境をつくることが重要であると考えております。
地方創生二・〇基本構想の案では、強い経済と豊かな生活環境の基盤に支えられる多様性の好循環が新しい日本、楽しい日本をつくることを目指すこととしております。
このため、魅力的な環境整備により地方への若者の流れを二倍にする、関係人口を実人数一千万人、延べ人数一億人創出するなどの目標が十年後の目指す姿と示されております。
こういったことが過度な東京一極集中の是正が実現した姿の一つであると考えております。
総務省としましては、特に地域の担い手不足が深刻となる中、地方への人の流れや関係人口の創出、拡大などの施策を強化してまいりたいと考えております。
具体的には、地域おこし協力隊の一万人目標に向けた戦略的な情報発信やサポート体制の強化、自治体の二地域居住、関係人口の取組に係る特別交付税措置の創設、都市部で活躍したシニア層を即戦力として活用する仕組みの構築などに取り組むとともに、ふるさと住民登録制度の創設について関係府省庁と連携しながら検討を進めてまいりたいと思っています。
委員と多分同じ考え方だと思うんですけれども、昔よくありました首都機能移転のようなドラスチックなことをやらないとなかなかこれは難しいんじゃないか。これは個人的見解です、お許しください。
○西川(厚)委員 ありがとうございました。
思うに、何をもって一極集中の是正がなされたかといいますと、今大臣からもお話がありましたけれども、首都機能移転のような国家事業ですね。ただ、こうした国家事業というのはこの先なかなか可能性としては見出せないのではないか、私自身はそう思っております。
とするならば、一つの考え方として、まずは、東京都の転入超過人口、この転入超過人口をゼロにするということ。これがゼロになったとき、これも大きな一極集中が是正された指標になるのではないかと私自身は考えております。
現在、直近の統計ですと東京都の転入超過は約八万人、当然全国トップで、神奈川、埼玉と首都圏が続きます。一方、転出超過は広島が一万、次いで私の地元愛知が七千、そして兵庫、静岡。首都圏を除きますと、大阪、福岡、あと実は山梨、山梨は八十二人なんですけれども転入超過、あとは全ての道府県で転出人口が上回っている、そんな現状にあります。
そこで、私が着目をするのは、これも初質問の際に少し触れましたけれども、九州では福岡が、関西では大阪がそれぞれの地域で人口移動の受皿となっておるのに対しまして、中国地方では広島が、東海では愛知が受皿どころか東京への最大の送り元となっている背景であります。
こうした成功例、言ってみれば二地域居住が成功したと思われる大阪や福岡がこれまでどんな取組をしてきたかを分析していくことによって何らかのヒントが得られると思うわけでありますけれども、これまでの大阪、福岡の取組について最後にお示しをいただければと思います。
○岩間政府参考人 お答え申し上げます。
大阪府、福岡県が転入超過ということでございますが、手短に、どういう取組かという部分でありますが、様々な転入超過の要因はあると思いますが、例えば学校基本調査によりますと、大学数の全国に占める割合という意味では、大阪府が東京都に次いで二番目に多い七%、それから福岡県は六番目に多い四%ということでございます。
あと、民間の調査でありますが、福岡県は実は北九州市などでいわゆるスタートアップ企業に非常に力を入れられておりまして、新興企業の割合といいますか、出現率という言葉のようなんですが、それが全国トップ。それから、大阪府も企業誘致ということで、企業の、東京などですとか、そうした転入超過が東京都に次いで多いという状況があるということでございます。
○西川(厚)委員 どうもありがとうございました。
○竹内委員長 次に、おおたけりえ君。
○おおたけ委員 立憲民主党、おおたけりえでございます。
本日は、地方行政に関連して四テーマ、質問させていただきたいと思います。
まず、一歳半、三歳児健診時のつらい体験の排除について。
一歳半、三歳児健診は母子保健法で定められており、自治体に実施義務のある定期健診で、集団で行われます。特に、三歳児健診は個人差が目立ち始める時期であることから、発達の偏りや将来に直結する疾患や障害の早期発見が可能で、この時期に発育、発達やコミュニケーション、行動発達の問題を早期発見することで、早期療育や今後起こり得る課題への対応、予防につなげることができる大事な定期健診です。一方で、特に発達障害等、特性のある子供を抱える保護者の方から、三歳児健診がとても苦痛であった、つらい時間であったという声が聞かれます。
近年、発達障害児は増加傾向にあります。出産時に障害が分かるケースもあります。ダウン症や身体障害、医療的ケア児など、早い段階で障害が分かります。
出産をして三年後の三歳児健診、どれだけの母親が我が子の障害を受容しているでしょうか。集団健診となると、嫌でも周りの子と比べてしまいます。じっと待っていられない子、発語がなく泣きやまない子、体の不自由な子。多動の子の母からは、ひたすら動き回る子を追いかけて肩身の狭い思いをしたという声。超低体重児の母からは、余りにも周りの子と違い、現実を突きつけられた、待ち時間も長く、子供との会話も成立しないので、落ち着いて健診を受けられず、惨めで泣けてきたという声。そのほか、健診を受けても我が子にはできないことばかりなので行く気になれない、健診の日はどっと疲れて傷をえぐられたようだ、ダウン症は周りから分かりやすいので気を遣わせるからと、あえてほかのお母さんたちと距離を取っていたなど、つらい気持ちになる保護者の意見をたくさん伺いました。皆さん、このような気持ちが想像できますでしょうか。
このような障害のある子供を持つ御家族が三歳児健診を受けることでつらい思いをしなくて済むように、配慮を求めたいと思います。対策としては、既に三歳前に診断を受け医療機関や療育機関につながっている場合は健診を受けなくていいとすることや、先にお申し出いただいた方には少し時間をずらして個別での健診や別室での対応をすることや、個人的に医療機関で受診をすることで代替とすることなど、配慮があってもいいのではと考えます。一部の自治体では、一歳半健診などで相談があった方や既に把握できている方には事前に対応しているケースもあるそうです。
三歳児健診を受けたくないと自ら問合せをする親御さんもいらっしゃいました。その場合、その方の住む自治体は、受けなくてもよいと案内をされた方、別日で個別の健診をした方、尿検査のみで終えた方もみえたほか、どうしても受けないといけないと言われた方など、対応は様々です。電話に出られた職員により対応にばらつきがあります。また、役所に問い合わせたらこのような対応をしてくれることを知らずに、我慢して健診を受け、つらい思いをして帰ってきた保護者もおります。自治体から来た定期健診は受けないといけないからと真面目に健診を受けてくださる方がほとんどです。
しかし、法律上は、自治体には三歳児健診を実施する義務はありますが、保護者側には健診を受けないといけない義務はございません。役所側に気づいてもらえない方、自ら問合せをしない方が後からこのような対応があったことを知るのでは平等ではないと考えます。三歳児健診の案内などに、障害をお持ちのお子さんに関しては配慮しますので先にお知らせくださいとか、健診に当たり何か特別な配慮が必要な方はお電話くださいという記述があってもよいのではないかと考えます。
そこで、市町村が一歳半、三歳児健診を実施するに当たり、障害のある子供を持つ親など配慮が必要な方に対し時間をずらした対応、個別対応などを行ってもらえるよう、こども家庭庁として予算面でどのように対策をされるのか、伺います。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、発達に特性のあるお子さんとその保護者の方々が感じる健診時の心理的負担の解消につきましては重要な課題と認識をしております。
こども家庭庁では、昨年度、新たに調査研究を実施いたしまして、乳幼児健診の際に市町村が行っている配慮や工夫について調査を行っており、それらの好事例を各自治体に周知したところです。また、特別な配慮が必要なお子さんに対する健診を推進するため、今年度から新たに、市町村がそうしたお子さんに訪問健診や個別健診等の個別対応を実施した場合のかかり増し経費を補助する事業を創設いたしました。こうした取組を通じまして、より多くの自治体において特別な配慮が必要な子供に対する健診が進むよう取り組んでまいります。
○おおたけ委員 ありがとうございます。同じ課題意識で調査をしてくださって、予算化してくださったこと、本当にありがたいと思っております。
この予算を使って保護者が平等に個別対応を求められるように、健診に当たり何か特別の配慮が必要な方はお電話くださいなど、きちんと案内に記載されるように市町村へ通知等にて依頼していただけないかと思いますが、その点のお考えを伺います。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、各自治体において健診の際の特別な配慮や工夫が行われる場合に、保護者に対して、そうした対応がありますよということを広く周知されることは重要なことだと考えております。先ほど申し上げた昨年度の調査研究におきましても、これを基にそういう丁寧な対応をされている好事例を自治体に周知しているところです。
これに加えまして、こども家庭庁といたしましては、母子保健指導者養成研修というものがございますが、こういう場を通じまして自治体の方にこうした丁寧な対応を行うこと等の働きかけを行ってまいりたいというふうに考えております。
○おおたけ委員 ありがとうございます。是非、全国の自治体の理解が広がって、健診時につらい思いをしなくて済むように取組をお願いいたします。
次に参ります。ドローン産業育成について伺います。
物流、災害対応、農業、インフラ点検等の様々な分野でドローンの利用が進展いたしております。私も地元議員として顧問を務めております東三河ドローン・リバー構想推進協議会では、急激な人口減少という地域課題を踏まえ、ドローンを活用した省力化技術に関する様々な実証実験が行われております。先日開催されましたセミナーにおいて、これまでに行われたレベル三・五飛行から見えたドローンを取り巻く課題について報告がございました。例えば、山間部で林道等の災害被害調査に使用する場合、機上カメラで第三者を確認しつつ調査をしようとしても電波が途切れてしまうこと、使用できる電波は弱く、電波帯域も狭いこと、上空LTE通信は非常に高額であること、許認可の手続の負担など、現在の法制下でドローンを業務使用する際の課題が挙げられました。
現在、ドローン使用のための周波数帯として二・四ギガヘルツ帯と五・七ギガヘルツ帯、携帯電話のLTEが割り当てられ、加えて五・二ギガヘルツ、五・八ギガヘルツ帯の使用環境整備も進んでいると認識しております。米国、欧州、中国などでは五・八ギガヘルツ帯をドローンで利用可能となっており、日本においても五・八ギガヘルツ帯を利用したいという根強いニーズがございます。気象レーダーやETCシステムなど、電波を使用する他の重要インフラとの電波干渉を避けることは大変重要であるとは思いますが、国際協調しながらドローン産業を発展させていくことも重要であります。
昨年十一月に総務省から、五・八ギガヘルツ帯ドローン用特定実験試験局として使用可能な周波数の範囲、出力、使用可能な地域が自治体レベルで指定、告示をされました。また、同時期に経済産業省からも、関係者間で調整された飛行空間としてドローン航路を整備していくこと、今年五月にはドローン航路登録制度を二〇二六年度に開始するためのロードマップが発表され、河川上空や送電線上空からドローン航路整備を行う方向性が示されております。
このように、ドローン活用を進めるための環境整備は着実に前進していると思われますが、総務省による五・二ギガヘルツ、五・八ギガヘルツ帯の指定地域を見ますと、かなり限定されたエリアであり、ドローン利用を進めたい事業者、研究機関、自治体等の意向がかなえられないことが懸念をされます。例えば、東海総合通信局管内に位置する愛知県内では、五・二ギガヘルツ帯の屋外利用は豊明市と豊田市、五・八ギガヘルツ帯は豊根村のみが特定実験試験局の指定地域となっております。この範囲だけでは実証実験に十分でなく、拡大すべきと考えます。
東三河ドローン・リバー構想推進協議会が活動する豊川市、新城市は五・八ギガヘルツ帯の特定実験試験局で告示された開設区域には現在は含まれませんが、当該地域で五・八ギガヘルツ帯ドローンを使用した実証を行うことはできるようにならないのか、また、ドローン航路登録制度の二〇二六年度開始を勘案して特定実験試験局の使用場所を拡大すべきと考えますが、お考えを伺います。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
五・八ギガヘルツ帯はETCシステムに利用されており、高速道路の料金収受などの用途で広く国民に普及していることから、五・八ギガヘルツ帯の電波をドローンで使用する場合には、ETCシステムに有害な干渉が生じないよう確認することが必要でございます。
総務省におきましては、五・八ギガヘルツ帯におけるドローンの実験運用を推進する観点から、委員からもお話がございましたとおり、簡易な免許手続でドローンに利用可能とする特定実験試験局制度の整備を令和六年十一月に行ったところでございます。
委員から御指摘がございました豊川市、新城市につきましては、この特定実験試験局制度の対象地域に入っておりませんが、ドローンを用いた実証で使用する電波の周波数や出力また飛行経路などを個別に確認させていただき、ETCシステムに有害な干渉を与えないことが確認できれば、実験試験局として利用することは可能でございます。
また、同じく御指摘がございましたドローン航路登録制度の開始に伴う五・八ギガヘルツ帯の特定実験試験局につきましては、ユーザーのニーズを踏まえるとともに、既存の免許人等とも調整しながら、使用場所を拡大することについての検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。
総務省といたしましては、このような個別の御要望を丁寧にお聞きしながら、電波利用のニーズに迅速かつ適切にお応えしてまいります。
○おおたけ委員 個別で見てくださって、検討してくださるということ、理解いたしました。
東三河ドローン・リバー構想推進協議会では、ドローン活用に向けた課題について会員アンケートを行う予定であります。結果が取りまとめられ、国に対する報告、提言がなされる予定であり、提言に基づく対応を是非お願いしたいと要望いたします。残念ながら、日本のドローン産業は国際的に現在競争力が高いとは言えない状況でございます。ドローン利用者が増えない限りメーカーや研究機関による開発も進まず、民間通信企業の上空LTE利用料も下がっていかないと思われるため、より一層の環境整備をお願いして、次の質問に移ります。
次に、民俗文化財伝承・活用等事業について伺います。
重要無形民俗文化財とは、日本国内で文化財保護法に基づき文部科学大臣が指定する無形文化財であり、具体的には、祭りや年中行事、人生儀礼などの風俗慣習、民俗芸能、民俗技術などが含まれます。
コロナ禍において各地の祭礼等が活動を自粛したことで、急速な人口減少、高齢化が進む地域では無形民俗文化財の保存がより一層難しくなっていますし、さらに過疎の町では文化が消えていくおそれもございます。例えば、重要無形民俗文化財として昭和五十一年に国の指定を受けた愛知県奥三河地域の花祭は、十七ある地区保存会のうち三地区が中止となっております。また、花祭と同じ起源を持つ豊根村富山地区の湯立神楽は、かつては旧富山村内の五地区で祭りが行われておりましたが、最後まで残っていた大谷地区も二〇二四年度を最後に中止が決まっております。
二〇一八年にUFJリサーチ&コンサルティングが行った、伝統文化の保存を担う団体に文化財の保存について今後より一層直面すると想定される課題を聞いた調査では、コロナ前の段階で、担い手が減少するが六一・五%、予算規模が縮小するが五九・八%、専門的知見、ノウハウが十分に伝承されないが三四・五%という回答が上位を占めました。
文化庁では民俗文化財伝承・活用等事業を実施しており、民俗文化財である風俗慣習や民俗芸能等について、用具の修理、新調、施設の修理、伝承者の養成等にかかる経費を補助してみえます。民俗芸能について、前述の愛知県奥三河地域など過疎地の保存団体は、その地域の住民だけでなく、その地域から転出した方など、域外に住む方の参加なしには祭礼等の維持管理は難しい状況にございます。
既に当該事業では伝承者養成経費として練習に参加する受講者手当も補助対象になっておりますが、令和六年度実績では民俗芸能分野では活用されていないということでありました。補助申請額が百万円以上という原則があり、用具の修理、新調、施設の修理など大きな予算を要する事業には使いやすいですけれども、伝承者養成という比較的小規模な事業には使われにくいことが原因として考えられますので、百万円以上という原則をなくしてはどうかと考えます。また、上限額がなくせないのであれば、複数の保存団体がまとまって小規模事業をまとめて申請できるなど、より多くの保存団体に活用いただける運用をすべきと考えますが、お考えを伺います。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の様々な重要無形民俗文化財について、保存、継承を確保することは非常に重要と認識しております。
このような観点から、文化庁におきましては民俗文化財伝承・活用等事業を実施しており、昨年度における採択件数は五十件、採択額の総額は約一億八千八百万円となっております。
同事業につきましては、補助額に比した申請業務の負担が過剰になることがないように、事業規模の小さい案件につきましては複数の案件を組み合わせるなど、原則として一定の事業規模を確保して申請いただくようお願いしているところでございます。
なお、補助要項上は少額事業であっても申請可能となっているところでございまして、最終的には、具体の申請内容を踏まえまして個別の丁寧な調整等を行うこととなっております。また、例えば複数の保存会等が実施する事業を代表機関が取りまとめて申請することは可能となっているところでございます。
文化庁としましては、引き続き本事業を活用しながら我が国の様々な民俗文化財の継承支援に取り組んでまいります。
○おおたけ委員 複数まとめて申請してよいということ、理解しました。しっかりと保存していけるといいなと思っております。
時間がありませんので、公設光ファイバー及び関連施設の民間移行に関する質問は割愛させていただきます。御準備していただいた方、申し訳ございません。
山間部など地デジ難視聴地域においては、今でも放送施設の維持管理や民間移行に非常に苦労されております。ネットを使わない世代にとってはテレビから得られる情報が災害時にも大変重要ですので、地デジ難視聴地域でテレビ放送を担う企業、地方自治体への支援の拡大を是非御検討をお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、黒田征樹君。
○黒田委員 日本維新の会、黒田征樹でございます。
今回も日本郵便についてという内容で質疑をさせていただきます。
郵便事業は国民生活の基盤であり、社会的使命を担う重要なインフラでありますが、先日の総務委員会では、日本郵便の決算においてマイナス四十二億円が出ているということで、経営改善の必要性の話をさせていただきました。その前の総務委員会におきましては、主に日本郵便による度重なる不祥事に対して、組織のガバナンスの問題について質疑を行わせていただきました。
その不祥事が原因で日本郵便に対して一般貨物自動車運送事業の許可を取り消すといったような報道もありまして、今後、主力の軽バンも車両の使用停止になる可能性もあるということで、これによって更なる収支悪化は必然でありまして、国民負担と言える郵便料金への影響は免れません。
さらに、このような状況の中で自民党、国民民主党、公明党からいわゆる郵政お助け法案が昨日提出される予定でありましたが、なぜか延期になったということであります。どういう背景があったのかは分かりませんけれども、今国会での成立をまだ目指しているという記事も見ましたので一応申し上げておきますけれども、この法案には国に入るはずの配当金から毎年六百五十億円支援するといった内容が含まれております。つまり、これは国民の負担です。点呼をごまかす飲酒運転の常態化、役員会に虚偽の報告、金融二社への依存体質、そんな日本郵便が、自分たちの権益は守ったまま、毎年六百五十億円。
ちょっと待ってくださいという話ですね。国民に新たな負担を求める前にまずはやるべきことがあるでしょうというふうに考えております。それがまた国民の声でもあるというふうに考えておりまして、真面目に働く現場のスタッフはこういった状況をどう見ているのかというところも考えていただきたいということであります。
これまでの質疑また報道を見ると、日本郵便はここは解体的な出直しと聖域なき業務見直しを断行する覚悟が必要だと考えておりますし、我々政治家も立法機関として、政治的に影響を持った既得権益層を向いた政治ではなくて、公平に公正に広く国民の方を向いて、皆様が納税に納得できる、政策に納得できる、そういう政治に向けて、特に今は二段階の取組を進めていくべきじゃないかなというふうに考えております。一つ目は、今の法律の範囲内、解釈によってどこまで改革を後押しできるのか、もう一つは、経営構造改革、サービス向上に向けて足かせとなっている法律があるならばそこを改正していく、そういう観点で質疑をさせていただきます。
郵便局ネットワークの現状と経営への影響でありますけれども、先日お話ししたように、現在、日本郵便には約二万四千の局舎がありますけれども、そのうち来局者が一日十人未満の局が全国に千五百局以上あると推計をされております。二十人未満の局も相当数の数があるということは先日の委員会でも御紹介をさせていただきましたけれども、このような局であっても朝から晩まで局員さんが張りついて、光熱費、物件費などを考えると非常に非効率で、郵便事業全体の経営を圧迫する原因になっております。
そういった現時点での経営収支の問題に加えて、組織的な不祥事によります事業認可の取消しによって収支の悪化が免れない状況にある中で、更なる料金値上げの話も出てくる可能性もあります。先ほど六百五十億円の公的支援の話もありましたけれども、日本郵便はまずは徹底した経営改革を行ってから公的支援を求める、そして値上げするならお願いをする、それが国民が納得できる筋の通ったプロセスだと考えておりますけれども、大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○村上国務大臣 黒田委員の御指摘はごもっともだと思います。
日本郵便は、令和六年度決算におきまして当期純損益が赤字になっておりまして、また、今後更なる郵便物数の減少が見込まれ、点呼業務の不適切な実施などの問題も生じております。こうした中で、日本郵便におきましては経営改善に取り組むことが急務である、そのように認識しております。
現在、同社におきましては、一層の経営効率化を進めるとともに、成長分野である物流領域の能力増強や不動産事業の拡大に向けて資源を配分するなどにより収益力の向上に取り組んでいると聞いております。
総務省としましても、同社に対しまして、令和七年度の事業計画の認可の際、具体的な収支改善策について、その進捗状況などを報告するよう要請しているところであります。引き続き日本郵便において経営改善に向けた取組が進むようしっかりと監督していきたい、そのように考えております。
○黒田委員 大臣が今お答えいただきましたように、しっかりと経営の改善をしていくというところのプロセスは必要だというところは共有させていただいた上で、改革を進める手法として、まずは今の法律の範囲内で何ができるかなというところだというふうに思います。
郵政民営化法、日本郵便株式会社法などでユニバーサルサービスについての記載がありまして、確かに、郵便局ネットワークを維持する、こういった文言はありますけれども、全文を読みますと、あまねく全国において公平に利用できることの確保という、サービスの到達性というところであると考えておりまして、ネットワークの維持というのは、あくまでもその目的を達成するためのその当時の手段であるというふうに考えております。したがって、技術革新そしてまた社会構造の変化を踏まえれば、郵便局ネットワークの在り方も目的に合わせて見直す時期に来ているんじゃないかなというふうに考えております。
そこで、確認いたしますけれども、新技術の活用や合理的な手段によって住民の利便性を確保していく、若しくは向上できるのであれば、全国に二万四千以上ある局舎を維持するのではなくて、時代の変化に合わせて法解釈の幅を広げて郵便局ネットワークの在り方自体を見直していく、そういった必要があると考えますけれども、見解をお聞かせいただきたいと思います。
○牛山政府参考人 お答え申し上げます。
日本郵便株式会社法におきまして、郵便局とは日本郵便の営業所であって、郵便窓口業務、銀行窓口業務及び保険窓口業務を行うものと規定されており、また、同社は郵便局の名称及び所在地を届け出ることが規定されております。
郵便局として扱われるかにつきましては、こうした規定を踏まえまして、実際にどのようなサービスが行われるかなどを確認して判断していくものと考えております。
また、日本郵政及び日本郵便は、郵便、貯金、保険のサービスを郵便局で一体的に利用できるようにするとともに、将来にわたりあまねく全国において公平に利用できることが確保されるよう郵便局ネットワークを維持する責務を有しております。
総務省としては、郵便局ネットワークの維持につきまして、その責務を有する両社の意向なども踏まえながら適切に対応してまいりたいと考えております。
○黒田委員 ネットワークの維持というところをどういうふうに解釈するかなというところだと思うんですけれども。僕は、郵便局ネットワークの見直しというのは、ただ単に減らすということではなくて、代替手段となり得る質が問われているというふうに考えております。それによってサービスの向上も期待できるんじゃないかなということで、先日も少しお話をしました。
例えば、移動郵便局、これは既に災害対応、山間部でも一部やっているんですかね、導入実績もあります。市町村の庁舎、道の駅、スーパー、ガソリンスタンドという、住民の皆さんがふだんから用事で足を運ぶ場所で間借りするとか、若しくはそこに委託をするといった形で協働化していく、それによって庁舎の維持コストの削減とサービスの向上にもつながります。今は、ドローンとか自動運転、こういう技術革新で物流とか移動の仕方ということも変わってきております。また、AIを活用した遠隔支援窓口によって高齢者が安心できる対面機能も充実してまいりました。
先日も少し御紹介しましたけれども、群馬県でしたかね、二つの局で午前中は集配のことをして午後から窓口を開ける半日営業、こういったことも広げていくと、局舎をそのまま維持するというところも、例えば空いている時間に移動郵便局で回ってというようなこともできると思います、こういった調整によって局舎の統合だけじゃなくてサービスの向上も可能だというふうに考えております。
総務省として、こうした手段というのはいわゆるユニバーサルサービスに抵触しないというような見解でよろしいでしょうか。また、日本郵便はこれらの事例を踏まえて局数にこだわらない新たな住民サービス向上策を検討するべきだと考えますけれども、見解をお聞かせいただきたいと思います。
○牛山政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども御答弁させていただいたところでございますが、日本郵便株式会社法におきましては、ユニバーサルサービスを提供する郵便局とは日本郵便の営業所であって、郵便窓口業務、銀行窓口業務及び保険窓口業務を行うものと規定されてございまして、また、同社は郵便局の名称及び所在地を届け出ることが規定されております。
委員から御指摘のありましたようなケースが郵便局として扱われるかにつきましては、こうした規定を踏まえながら、実際にどのようなサービスが行われるかなどを確認して判断していくものと考えておるところでございます。
○西口参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、まずもって経営改善、経営改革が郵便局ネットワークの維持の観点での店舗戦略においても極めて重要であるというのは我々も十分に認識しております。
そういった観点で、現在、日本郵便においては、市場性のある商業施設への郵便局の出店や、地公体の施設への郵便局の開局、さらには鉄道の駅舎や道の駅への、鉄道の駅舎の場合は合築でございますけれども、道の駅の場合はその中に郵便局を設けさせていただく等、地域の実情を反映して、またコスト削減といった観点からも最適な店舗配置に取り組んでいるところでございます。
また、その設置形態についても、地公体や個人の方々に郵便局の窓口の業務を委託するといった、簡易郵便局といった名称でございますけれども、全国で約三千四百ほど設置しているところでございます。
さらには、委員からも御指摘がありましたような、自然災害等の対応が主でございますけれども、車両型の郵便局も全国に展開しておりますし、郵便局の営業時間につきましても、半日窓口営業ということで残り半日は郵便物流の集配業務を行うといったような試行的な取組にも取り組んでおりまして、これもできるだけ全国に広げていきたいと思っております。
いずれにいたしましても、数にこだわることなく、今後も社会環境の変化とか利用者のニーズ、動向に合わせた柔軟な店舗戦略というものに積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○黒田委員 ありがとうございます。
今の課題を認識してしっかり経営改善に向けていく、新たなトライアルもどんどんチャレンジをするということで、今の法の解釈の範囲内で様々やっていただくということは私自身も評価をしております。
郵便局のネットワークというのは、これまで地域コミュニティーの核として極めて重要な役割を担ってきたという、そのことは僕自身も尊重しております。だからこそ、その貴重な機能を守るために変える、そういう視点が必要だというふうに考えております。
ところが、今我々の前に突きつけられている現実というのは、点呼のごまかし、様々、先ほどもありましたけれども、そういった状態で、これでは国民からは反省も抜本的な意識改革も見えないというふうに考えております。責任を取らずに聖域を守って負担だけを国民に求める、そういう組織であってはならないというふうに考えますし、そこに国が真っ先に手を差し伸べる、それは完全な筋違いだというふうに申し上げておきます。郵便局は、数で存在を保障する時代から、機能と到達性で信頼を得る時代に入っているというふうに考えております。いつまでもユニバーサルサービスを盾にして現状維持に甘んじる姿勢を改めて、真に持続可能な地域のインフラとして再構築するビジョンが今求められておりますし、そのために必要な法改正は私はしていくべきじゃないかなというふうに考えております。
現場の方々も必死に働かれているというような状況を認識していただきまして、今後の経営改善に取り組んでいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、藤巻健太君。
○藤巻委員 日本維新の会の藤巻健太でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、闇バイトなどによる特殊詐欺を始めとする犯罪をどうしたら本当になくしていけるのか、本気でなくしていくためにはどうしたらいいのか、これをテーマに議論させていただきます。
特殊詐欺は、直接的な被害だけではなく、国民全員が常に詐欺に気をつけながら、警戒しながら生活していかなければならないなど、間接的な被害を含めると、社会に及ぼす影響はとてつもなく大きくなっていると考えております。
まず、お伺いいたしますが、近年特殊詐欺の認知件数はどのように推移していますでしょうか。
○松田政府参考人 お答えいたします。
令和四年から六年までの過去三年間の特殊詐欺の被害の認知件数は、令和四年が一万七千五百七十件、令和五年が一万九千三十八件、令和六年が二万一千四十三件と年々増加しております。
また、令和五年から統計を取り始めたSNS型投資・ロマンス詐欺についても、令和五年の認知件数が三千八百四十六件、令和六年が一万二百三十七件と大幅に増加しております。
本年に入っても、四月末までの特殊詐欺の被害の認知件数は八千六百四十一件と前年同時期の一・五倍、また、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害の認知件数も三千二百四十三件と前年同時期より僅かに減少するものの、依然として多くの被害が発生しており、極めて憂慮すべき状況と認識しております。
○藤巻委員 今ありましたように、特殊詐欺の件数、金額もどんどんどんどん増加の一途をたどっているわけでございます。関係各所が特殊詐欺を減らすべく努力しているというのは存じ上げているんですが、事実として減るどころかどんどん増えているというわけでございます。対策の結果が出ていないと言ってもいいのかもしれません。今までの対策を漫然と続けていても、結果として特殊詐欺は減っていないわけですから、なかなか減らすのは難しいのかな、何か抜本的な対策を打たなければいつまでたっても特殊詐欺はなくならないと思うところでございます。抜本的な対策を打たなければ、私たち社会は膨大なコストを特殊詐欺犯に払い続けることになるということでございます。
警察に伺いたいんですけれども、法改正を含め、何をどのようにすれば、どう変えていけば捜査を今まで以上にしっかりと進めることができるのでしょうか。何が捜査の妨げになっているのでしょうか。言える範囲で構わないので、お答えください。
○松田政府参考人 お答えいたします。
特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺等の事件においては、実行犯の募集や犯人側と被害者の連絡手段としてSNSが広く悪用されているほか、実行犯と指示役の連絡には秘匿性の高い通信アプリが用いられている実態がございます。
特殊詐欺等の被害を減らすためには、SNS上の犯罪実行者募集情報の実効的な削除といった犯行に加担させないための取組に加えまして、その首謀者や指示役を検挙することが重要であり、そのためには、実行犯と指示役の間の指示の状況や犯行に悪用されたSNSのアカウント情報等を解明することが重要な課題であると認識しております。
本年四月の犯罪対策閣僚会議において策定された国民を詐欺から守るための総合対策二・〇においても、SNS事業者の照会対応の強化、海外事業者の日本法人窓口の設置の働きかけなど情報提供の迅速化のための環境整備、通信履歴の保存の義務化等の取組が盛り込まれており、警察としても、総務省等の関係省庁や通信事業者等とも連携し、課題の解決に向けた取組を強力に推進してまいりたいと考えております。
○藤巻委員 SNSであったり秘匿性の高い通信アプリというような話が今ありましたけれども、特殊詐欺に限らないんですけれども、犯罪組織の通信にはテレグラムやシグナルがよく使われます。これらは、通信記録が完全に消去され、外部からの通信傍受も不可能なアプリです。海外に本社があって、日本の警察の捜査協力にもなかなか応じてくれないという話も聞きます。まさに犯罪に利用するにもってこいのアプリだと感じるところでございます。もちろん通信の秘密は大事なんですけれども、通信の秘密をより強化するツールとしてその存在意義を全面的に否定することはできないんですけれども、社会全体で考えるとやはりプラス面よりマイナス面の方が大きいのかなというふうに私は感じております。
通信の秘密は守られる、守らなきゃいけないという大前提の上で、テレグラムやシグナル、こういったアプリを一定規制すべきかと私は考えるんですけれども、お考えをお聞かせください。
○村上国務大臣 藤巻委員にお答えいたします。
スマートフォン上で利用される通信アプリのうち、一部の秘匿性の高い通信アプリが犯罪に悪用されている場合があることはよく聞いております。
秘匿性の高いアプリは、プライバシーやセキュリティーの確保の観点から、一定の時間が経過すると自分が送信したメッセージを相手の端末上からも消去できるといった特徴があり、犯罪捜査を難しくしている面があるためと考えております。
こうした秘匿性の高いアプリの多くは、グローバルにサービスを提供する海外事業者が運営しております。
このため、犯罪対策閣僚会議におきまして昨年十二月に決定された緊急対策におきましては、秘匿性の高い通信アプリを提供する海外事業者に対し日本法人窓口の設置を働きかけることとされております。
総務省としましては、通信サービスを所管する立場から、関係省庁と連携しながら、日本法人窓口の設置など、事業者による情報提供の迅速化に向けて必要な環境整備に取り組んでまいりたい、そのように考えております。
○藤巻委員 そういった部分はしっかりやってもらっていると思うんですけれども、こういった通信アプリはより深刻な犯罪あるいは無差別テロにも使われる可能性はあります。これはやはり何かが起きてからじゃ遅いわけです。何かが起きる前にある程度、一定の規制は必要かなということを私は意見させていただきます。
テレグラム、シグナルだけでなく、LINEも犯罪によく利用されています。LINEは日本法人があるので、日本の法体系の中にいるということで、テレグラムやシグナルとは状況が全く違うわけであります。警察の方に伺いたいんですけれども、LINE社は犯罪捜査の協力依頼といったものにしっかりと応じてくれているのでしょうか。
○松田政府参考人 お答えいたします。
個別の事業者の捜査への協力状況についてお答えすることは、捜査の手のうちを明らかにすることになり、また今後の捜査への協力に支障が生じる可能性もありますので、その詳細についてはお答えを差し控えさせていただきます。
その上で、一般論として申し上げれば、警察では捜査に必要な情報が迅速的確に得られることが重要でございまして、SNS事業者についても、通信の秘密との関係も考慮しながら、必要な御協力をいただけるよう働きかけを行っているところであります。
引き続き、国民を詐欺から守るための総合対策二・〇も踏まえ、総務省等の関係省庁とも連携しながら、事業者の御協力がいただけるよう努めてまいりたいと考えております。
○藤巻委員 LINEは国内の利用人数が一億人に迫るとも言われています。日本人の約八割ぐらいが利用しているという計算になります。一企業の提供する一通信ツールというレベルではなく、LINEはもはや社会インフラとも言えると思います。
しかし、LINE社自身にその自覚が本当にあるのでしょうか。これだけ多く犯罪に利用された上に情報漏えいやセキュリティーの問題を何回も起こしている、社会インフラを管理する公的企業と言っても過言ではないLINE社にはその自覚が足りないんじゃないかなというふうに私は考えているところでございます。総務省は過去何度かLINE社に行政指導を行っていますけれども、それで十分に責任を果たしていると言えますでしょうか。社会インフラを管理する公的企業と言っても過言ではないLINE社に対してしっかりとした管理監督を行えているのでしょうか。
○村上国務大臣 LINEヤフー社は、利用者数が多い通信アプリ、LINE等のサービスを提供する事業者でありまして、社会的な影響力が大きいと認識しております。
総務省としましては、昨年以来同社において通信の秘密を含む情報の漏えいというセキュリティー上の重大な事案が発生したことを踏まえ、再発防止の徹底と利用者の利益の確実な保護を求める行政指導を度々実施しております。
総務省としましては、LINEヤフー社を含む電気通信事業者が利用者の情報を適切に取り扱うなど、電気通信事業法に基づいた適切な対応を行うよう引き続き指導監督をしっかりしてまいりたい、そのように考えております。
○藤巻委員 私を含め多くの人が、LINE社は社会的責任が果たせていないのではないかと感じているところです。しっかりとした体制を築くべく、よろしくお願いいたします。
特殊詐欺を減らすためにある意味ここが一番重要な部分かなというふうに私が感じるところは、その量刑の軽さです。
詐欺犯は、初犯であれば執行猶予がつくことも少なくありません。これは司法判断ですので立法府で何かを言うのはふさわしくないのかもしれませんけれども、犯罪者側からすると、特殊詐欺をやって捕まらなければラッキー、捕まっても反省していますと言っておけば刑務所に入らないというような状況で、よし、やってやろうというような心理が当然働くんじゃないかなというふうに考えるところでございます。抑止力が働いていないのは、特殊詐欺がこれだけ横行していることからも明らかな事実です。何とか特殊詐欺をなくしてほしいという切実な多くの人の思いも酌んで、抑止力を強めるために詐欺罪の厳罰化を進めていくべきというふうに私は考えるんですけれども、お考えをお聞かせください。
○高村副大臣 お答えいたします。
近時、SNS等を利用して犯罪の実行者を募集する、いわゆる闇バイトを利用した手口の詐欺等の事案が多発しております。
法務省としても、こうした問題に対処することは喫緊の課題であると認識をしており、本年四月に政府の犯罪対策閣僚会議において決定された国民を詐欺から守るための総合対策二・〇を検察当局にも周知するなどしております。
検察当局においては、同総合対策の内容も踏まえ、この種の事案について、法と証拠に基づき、悪質な事情を含め適切に主張、立証することで厳正な科料の実現に努めており、引き続き適切に対処していくものと承知しております。
○藤巻委員 最後に一問、時間も限られていますので。近年、取調べの方が流れとして全体的に優しく穏やかになっているなというような話も聞きます。特殊詐欺をなくす、その先にある深刻な犯罪も防いでいく、社会の平和と安全を守っていく、その強い信念の下、一定厳しい取調べというのは私は必要だと思うんですけれども、お考えをお聞かせください。
○高村副大臣 お答え申し上げます。
被疑者の取調べは、犯罪の背景等も含めて事案の真相を解明するための証拠収集方法として重要な機能を果たしており、例えば組織的に行われる犯罪などでは、被疑者が真実を語らなければ組織的な背景等を含めた事案の真相が解明できない事件も少なくないものと承知しております。
他方で、検察の活動は国民の信頼の上に成り立っており、検察権の行使の適正さに疑いが生じるようなことがあれば検察の活動の基盤を揺るがしかねないことから、取調べを含む捜査が適正に行われなければならないことは当然であります。
検察当局においては、このような適正な取調べを行う中で必要な聴取、説得及び追及を行い、被疑者から真実の供述を得るよう努め、事案の真相を解明し、適切な処分を決するように取り組んでいるものと承知しております。
○藤巻委員 ありがとうございます。
特殊詐欺、その先にある凶悪犯罪をなくしていくこと、ここにいる皆さんも、犯罪者以外の国民全員は同じ思いであると思います。是非しっかりと取り組んでいただければと思います。
私の質問を終わらせていただきます。
○竹内委員長 次に、向山好一君。
○向山(好)委員 国民民主党の向山好一でございます。よろしくお願いいたします。
もうすぐ東京都議会議員選挙が行われます。そして、七月には参議院の通常選挙が予定されております。このように大変重要な選挙を目前に控えておりまして、世間の注目も集まっておるんですけれども、一方、最近の選挙では公選法が想定していないようなことも起こって、民主主義の根幹を揺るがしかねない事態も起こっております。ですから、そういったことを踏まえて選挙制度について一つ確認をさせていただきたいんですけれども。
立候補する者が届出をする際には、戸籍名簿が基本ということになっております。しかし、例外的に通称使用も認められております。私は、七月に行われます参議院の比例区の事前説明の資料を見させていただきました。そこに書いてあるのが、通称使用を申請する場合は氏名に代わるものとして広く通用していることを証するに足りる資料を提示しなければならないというふうに書いています。ここで言う広く通用している氏名はどういったことを具体的に指すのか、お伺いしたいと思います。
〔委員長退席、あかま委員長代理着席〕
○笠置政府参考人 通称認定のお尋ねだという理解をいたします。
制度をちょっと説明させていただきますと、公職選挙法上、立候補の届出につきましては、候補者となるべき者の氏名は、その者の戸籍簿に記載された氏名、本名によらなければならないとされております。
その上で、候補者が本名以外の呼称を有し、それが本名の代わりに広く通用している場合に、立候補の告示や選挙公報など特定の選挙運動において候補者が通称の記載や使用を希望する場合には、立候補届出書を提出する際に併せて通称認定申請書を添付して提出し、選挙長の、各選挙ごとに選挙長が設けられておりますが、選挙長の認定を受ける必要があるということでございます。その際、候補者は選挙長に対しまして、その呼称が本名に代わるものとして広く通用しているものであることを説明し、かつ、そのことを証するに足りる資料を提示しなければならないとされております。
ここで候補者が提示する資料といたしましては、一般に、公の機関が発行した書類、著書、出版物、その他その者の社会関係を広く眺めてみて、その者の呼称として通用している実績を示すもの、新聞記事とか報道機関での呼称といったもの等が考えられるところでございます。選挙長におきましては、これらの提示された資料と説明を踏まえまして、当該選挙の行われる区域において本名に代わって申請された呼称が広く使用されている、通用していると認められる場合に限って通称として認定をすると解されてございます。
通称申請の認定につきましては、ただいま申し上げたようなこと等を踏まえて、選挙長が個別の事案ごとに判断をすることとなるものでございます。その上で、あえて申し上げれば、一般的に、呼称として通用している実績がない中で他の候補者や著名な他人の氏名といったようなものを冒用するようなものは認められないと考えてございます。
○向山(好)委員 今の御答弁では、要するに、通称使用といっても結構厳格に審査をして、広く一般的にずっと、この人はそういう通称ですよねというふうに認められなければいけないというふうな解釈だというふうに思います。ですから、確認なんですけれども、ある届出者が、そこの同じ選挙区の中の同姓同名で、つけ焼き刃のようにいきなり通称だと名のっても、それは認められないということでよろしいんでしょうか。
○笠置政府参考人 通称認定は選挙長が判断することではございますけれども、ふだんにおきましてそうした呼称を使用している、あるいは通用している実績がないという中にあって他の候補者といったものを使うといったようなものについては認められないと考えるものでございます。
○向山(好)委員 ありがとうございます。
選挙というのは民意を適切に反映するものでございまして、例えば著名な村上誠一郎大臣が、いきなり一年ほど、二年ほど前からペンネーム村上誠一郎というのが登場して同じ選挙区で立候補したら、下手したら村上大臣の票は半分になっちゃう可能性があるんですね。同じ人を九人つくったら十分の一ですよ。ですから、そういったことというのは決して選挙というふうには言えないので、そういった通称というのも結構厳しく審査していただきたい、このことを要望させていただいて、次の質問をさせていただきます。
次は、私の地元の兵庫県にまつわる事件について質問させていただきます。
去る五月二十七日、兵庫県の文書問題の調査をしていた第三者委員会が最終報告書を公表しました。そこには、知事のパワハラを十項目認定、知事の公益通報者保護法違反、これは今まであったんですけれども、それに加えて新たに、亡くなった元県民局長の私的情報を元総務部長が県議側に漏らしたということを認定しています。さらに、その行為は齋藤元彦知事の指示によって行われた可能性が高い、このように明記しております。
前回の総務委員会、たしか川内委員とのやり取りで、告発人探しを行った齋藤知事の行為は個人情報保護法に違反する、こういうことが質疑で明白になっておりますけれども、それでは、今回新たに発覚した元局長の私的情報の漏えいが齋藤知事の指示によって行われたことが事実ならば、これは地方公務員法第六十二条違反に当たるというふうに思いますが、そのとおりでよろしいんでしょうか。
○小池政府参考人 一般論といたしまして、地方公務員法第三十四条第一項において、一般職の地方公務員は職務上知り得た秘密を漏らしてはならないとされており、第六十条第二号において、この規定に違反し秘密を漏らした者に対する罰則が規定をされております。
また、第六十二条においては、守秘義務違反など罰則の対象となる地方公務員法違反の行為を企て、命じ、故意にこれを容認し、唆し、又はその幇助をした者に対する罰則が規定されているところでございます。
個別の事案について同条の規定が適用されるかについては、総務省としてはお答えする立場にはないところでございます。
〔あかま委員長代理退席、委員長着席〕
○向山(好)委員 それでは、聞きますけれども、そういった六十二条で訴追された前例というのは過去にあったんでしょうか。
○小池政府参考人 六十二条が特別職の地方公務員に対して適用された事例につきましては、下級審の裁判例ではございますが、あるものと承知をしております。
○向山(好)委員 六月二日の参議院の消費者特では同じような質問がありまして、そのときは呉市でそういう事件があったということになっています。
呉市の事件というのはどういうことかといえば、当時の助役が消防職員の採用で不正を働いたというようなことで刑事訴追が行われて、助役は執行猶予つきですけれども有罪になっているんですね。今回の私的情報の漏えいとは違いますけれども、呉市はそのことを教訓といたしまして、透明性を高めて、あるいは監視の強化をしています。要するに、事件をうやむやにするんじゃなくて、しっかりと向き合うことによって呉市は行政ランキングというのが上がっているんですね。
一方、五百五十万人を抱える兵庫県は今どうなっているかといえば、再出発どころか分断が進んで、混乱が広がっているんですよ。私的情報を県議に漏らした元総務部長は、第三者委員会での弁明書で、知事の指示に基づき行ったと。こういうふうに文書で証言しています。これは元副知事や他の職員の発言とも一致するものなんですね。それに対し、齋藤知事は説明責任を果たさず否認し続けているんですね。このような行為がうやむやに終わると、公務員の中立性や行政の信頼性は根本から崩れていきます。地方自治体の適正な行政運営を指導、助言する立場にある総務省は決して傍観者じゃないというふうに思っておりますけれども、一連の兵庫県の対応について村上大臣はどういう見解を持っていらっしゃるでしょうか。
○村上国務大臣 個別の事案につきましては、総務省としてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
ただ、私は非常に最近残念に思うのは、議員においても首長においても余りにも常識から外れていることが多いんじゃないかなと。一般論として、自治体の首長は、為政者としての良識の下、抑制的に権限を行使すべきであり、また、地域住民の理解と納得が得られるように行政を進める責務を有していると私は考えております。こうした責務に思いを致しながら、それぞれの事案に対して本当にしっかりと適切に対応していただきたい、そういうふうに考えております。
○向山(好)委員 今大臣から為政者の権限は抑制的にという話をいただきまして、それが何で兵庫県で実現できないのかというふうに私は疑問を持っています。
今の兵庫県の状況を整理いたしますと、文書問題で兵庫県議会の百条委員会で報告書が出されました。それにはほとんど今私が申し上げたようなことが報告されています。一方、もう一つの第三者委員会も更に突っ込んだ報告書を出されています。それに対して、いわゆる指揮命令権のある知事はある意味無視をしているわけですね。消費者庁、政府の公益通報者保護法に関する文書にも見解の違いだというふうになっておるんですね。要するに、ぬかにくぎ状態ですわ。そういうことを踏まえて、刑事告発をしなきゃいけないんじゃないかというふうな状況にも今なっております。これは今後どうなるか分かりません。しかし、法令違反の疑いが非常に強くて、地方公共団体による適正な行政運営に重大な支障がある、そういうふうに認められた場合には総務省としても必要に応じて調査の実施や助言、指導、勧告を行うべきだと思いますけれども、そういったことというのは制度上は可能なんでしょうか。その辺りをお伺いしたいと思います。
○小池政府参考人 先ほど大臣から答弁がありましたように、自治体の首長は為政者としての良識の下に責務を果たすべきだと考えておりまして、本事案につきまして総務省から調査を要請するですとか、そういったことは現時点では考えていないところでございます。
○向山(好)委員 今の制度の限界があるのかもしれませんけれども、それだったら制度の整備というのもやっていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。というのは、兵庫県民の信頼というのは結局のところ国民の信頼とつながっているわけでございますので、信頼回復に国は無関係あるいは傍観者、兵庫県で適正にやってくださいと言うだけでは済まないような事態になっているんじゃないかと思いますよ。それは、一つは、元県民局長と私の同僚の県議が命を犠牲にしているんですよね。人の命というのは非常に貴重ですよ。そういったことを踏まえれば、教訓として制度の整備というのをある程度やっていく国の責務があるというふうに私は思っております。
大臣、コメントがあれば是非ともお願いしたいと思いますが、いかがでしょうかね。
○村上国務大臣 民主主義というのはある面では国民のレベルでしかできないとチャーチルが言っていましたけれども、結局は選挙を経ているわけですよね。お互いに自戒しなきゃいけないのは、選挙を経たら何をやってもいいのか、選挙の結果が全てなのかということをお互いに自戒しながら、また、それぞれの地域の皆さんに選挙をやるときはしっかり考えて投票してもらう以外には手はないんじゃないかな。委員の気持ちはよく分かりますけれども、それを法的に整備するということは今の現状においてはやはりなかなか難しいんじゃないかなという気がします。
○向山(好)委員 ありがとうございます。
本当に大臣の認識というのは私もよく分かりますし、同感です。選挙というのは民意として尊重されなければなりませんけれども、選挙が全ての免罪符になるわけでは決してないんですよね。今の混乱というのは選挙後にいろいろな事実が起こっている、そういうことも踏まえれば、しっかりと総務省も課題として認識していただきたい、このことを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、福田玄君。
○福田(玄)委員 国民民主党・無所属クラブ、福田玄でございます。
本日も質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。
今年は戦後八十年ということでございます。この総務委員会には、私は衆議院広島二区から立候補いたしましたが、被爆地広島そして長崎の先生方も所属をされていらっしゃいます。その中で、被爆の問題、このことは、今の世代、もう八十年たってしまっていますので、様々な部分で風化をしてきているような部分もありますが、しっかりとこの問題が解決をするまで訴え続けなければいけないという観点から、若干所管外のことを含みますが、質問させていただきたいと思います。
被爆二世健康記録簿というものについてお伺いをしたいと思います。
この制度は二〇二一年から始まった制度で、被爆二世健康記録簿という仕組みがあるんですが、これは文字どおり被爆二世の健康を記録しておく、通常の健康な方と比べて被爆者そして被爆二世の方というのは健康に特別な留意が必要なのではないか、その心配があるのではないかということで始まった制度でありまして、厚生労働省でもひな形を作成されているということでございます。
本来は、これは四十七都道府県と広島市、長崎市の二市の合わせて四十九自治体で運用されているはずの制度なんですね。しかし、先日、被爆者問題議員懇談会において全国被爆二世団体連絡協議会の方々と話をさせていただくと、四十九全ての自治体で運用されているわけではなくて、現在、十程度の自治体では発行されていないということなんです。十のうち五自治体は発行の検討をしているというふうに伺っておるんですが、残りの五自治体を含めて全ての自治体ではまだ発行に至っていないということであります。
今年は被爆後八十年の年でもあり、全国の被爆二世の方々の不安に寄り添っていくべきだというふうに思います。厚生労働省として、全ての自治体がこの記録簿を発行するよう、残りの約十自治体に是非この被爆二世健康記録簿の発行、運用を働きかけてほしいと思いますが、厚生労働省さんの見解をお伺いしたいと思います。
○宮本政府参考人 お答えいたします。
厚生労働省では、被爆二世の方の健康不安の解消を図る観点から、各都道府県と広島市、長崎市に委託して、希望する方に対して健康診断を実施しているところでございます。
こうした中で、健康診断の結果を記録し、被爆二世の方の健康管理に役立てていただくことを目的として、令和二年十二月に御指摘の被爆二世健康記録簿のひな形を作成し各自治体に周知しているところでございますが、御指摘のとおり、全ての自治体で導入されているわけではないという状況であると承知しております。
厚生労働省としては、記録簿は被爆二世の方の健康管理に資するものであることから、その趣旨について改めて周知を行ってまいりたいと考えております。
○福田(玄)委員 改めて周知ということでございます。今年は戦後八十年という節目の年でもありますので、これを機に全ての自治体に是非導入していただきたいというふうに思っております。
実は、私自身も、祖母が被爆をしておりまして、立場でいえば被爆三世という立場でございます。二世、三世の問題というのもこれから出てくると思いますが、是非その点をしっかりと進めていただきたいということでございます。その意味では、これは厚生労働省さんの管轄業務であると理解しておりますが、地方行政を所管する総務省としては是非厚労省の動きをバックアップ、フォローしてもらいたいと思います。総務省としての御見解をお伺いいたします。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
被爆者二世健康管理簿につきましては、重要な取組だというふうに認識をしております。
今後、厚生労働省さんの方から、多分ですけれども相談なり要請なりがあろうかと思いますので、総務省といたしましても必要な連携を図りまして、例えば地方公共団体の総合調整を担っております企画部門、こういったところにもその取組を周知することなどを検討してまいりたいと考えております。
○福田(玄)委員 ありがとうございます。
被爆者の問題は多岐にわたるんですが、少しでも前に進んだということ、戦後八十年で少しでも前に進んだという形が見えるような、そんな行政を行っていただきたいと思います。是非よろしくお願いをいたします。
次に、自治体におけるDXの現状についてお伺いをいたします。
ガバメントクラウドの導入に向けて、総務省また各自治体では大変な御努力をいただいていることに敬意と感謝を申し上げたいと思います。
しかし、足下では幾つか問題点が出てきていると思われます。例えば、標準化やガバメントクラウドへの移行期間が迫り、情報量が多く多岐にわたり、自治体職員の業務負荷が増えている、また、移行作業に係る質問に対し所管府省から回答するまで数か月かかることがある、そのことによってなかなか現場の作業が進められないという現場からの悲鳴が起きているというお話がございます。システム導入において一時的に負荷が多くなることはある意味仕方がないと思いますが、ただし、これに対しては状況や原因を把握して対処していくことも必要だというふうに思います。
このように現場に負荷がかかっていることに対して実態を把握しているのか。また、その上で、把握されているのであればどのような対策を立てているのか。総務省、デジタル庁それぞれに認識と今後の方針をお伺いしたいと思います。お答えください。
○阿部政府参考人 総務省からお答えさせていただきます。
自治体における標準化の取組を支援するため、全国の自治体の進捗状況や質疑応答等をオンラインで一元的に把握、対応する、標準化PMOと呼んでおりますけれども、プロジェクトマネジメントオフィスというツールを用意しておりまして、これを活用した進捗把握や制度所管省庁からの助言などを行っておりますけれども、御指摘がございましたとおり、自治体からの質問に対しまして各制度所管省庁からの回答に一定の時間を要するなど、課題もあるものと認識してございます。
質問の中には内容が複数省庁にまたがるなど回答にどうしても一定の時間を要するものもございますけれども、引き続きデジタル庁と連携しまして自治体からの質問への迅速な回答に努めたいと思います。
また、今国会では、自治体からの御意見も踏まえまして、移行経費を支援する基金の設置年限につきまして法改正を行いまして、令和七年度末から令和十二年度末までと五年延長していただきました。
総務省としましても、デジタル庁と連携して、移行の難易度が高いシステムの把握に向けた調査やヒアリングを行うなど、課題の解決に向けて自治体に寄り添った対応をしていきたいと考えてございます。
○三橋政府参考人 デジタル庁からお答えさせていただきます。
自治体情報システムの標準化に当たりまして、各自治体におきましては、標準準拠システムへの、提供事業者との契約手続、詳細な移行スケジュールの確定に向けた調整など、様々な移行作業が必要となりまして、一時的に業務負担が増加しているものと承知をしております。
また、円滑に移行作業を進めるに当たりまして、自治体からの質問への迅速な回答は重要と考えておりますが、先ほど総務省からも御答弁がございましたとおり、自治体からの質問に対しまして各制度所管省庁からの回答に一定の時間を要するという場合があるものというふうに承知しております。
そのため、デジタル庁ではこれまでも、各制度所管省庁の課長級で構成する会議の場などにおきまして、各制度所管省庁に対しまして自治体からの質問への迅速な回答につきまして総務省とともに働きかけを行ってきたところでございますが、今後、更に局長級で構成する会議の場なども活用いたしまして回答状況の進捗管理を行うなど働きかけを強化し、自治体の移行作業が円滑に行われるよう対応してまいります。
○福田(玄)委員 時間が参りましたので、最後に一言だけですが、一定の時間ということ、総務省さんもデジタル庁さんもですが、一定の時間が一か月、二か月ならいいんですけれども、三か月、四か月と相当な時間を要している部分があるかもしれないので、是非その点はしっかりとチェックをしていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、中川康洋君。
○中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
今日は一般質疑ということで、NICTの取組、さらにはふるさと納税についてお伺いをさせていただきたいということで、よろしくお願いいたします。
最初に、NICTの取組についてお伺いします。
国立研究開発法人情報通信研究機構、いわゆるNICTは情報通信分野を専門とする我が国唯一の公的機関でございまして、情報通信技術の研究開発を総合的な視点で推進するのとともに、その研究開発成果を広く社会へ還元し、イノベーションを創出する、こういったことを目指しておると聞いております。
また、重点的に研究開発を行う分野として、電磁波先進技術分野など五つの分野の研究開発を進めるのとともに、ソサエティー五・〇の早期実現に向けた次世代ICT基盤に必要不可欠な先端技術として戦略的に推進すべき研究四領域、具体的にはビヨンド5G、AI、量子情報通信、サイバーセキュリティーについても積極的に研究開発を進めており、その研究の多くは国からの運営費交付金や補助金などによってその運営が賄われております。
そこで、総務省に伺いますが、これまでの国からのNICTへの運営費交付金の推移について答弁願うのとともに、これらNICTの重点五分野並びに戦略的研究四領域の研究開発を今後も力強く推進するためにもこの運営費交付金については更に充実すべきであると考えますが、いかがでしょうか。また、NICTにおいては二〇二三年三月より恒久化された基金が造成されておりますが、今後NICTがビヨンド5Gの研究開発を始め民間企業との協調開発をこれまで以上に深めるためにも、この基金については今後も安定的かつ継続的に交付を行うことが重要と考えますが、いかがでしょうか。
情報通信に非常にたけております川崎政務官から御答弁いただきたいと思います。
○川崎大臣政務官 中川委員の御質問にお答えいたします。
委員御指摘のとおり、NICTは情報通信分野を専門とする我が国唯一の国立研究開発法人として、運営費交付金により中長期的に取り組むべき先端的な研究開発に自ら取り組んでいるところです。
加えて、ビヨンド5Gについては、社会実装、海外展開に向けた民間企業等による研究開発、国際標準化に対して、NICTに造成したビヨンド5G基金により積極的に支援を行っております。
御質問の運営費交付金の措置額については、令和三年度当初予算では二百八十・七億円、令和七年度当初予算では三百・五億円と堅調に増加しております。
加えて、令和五年度及び六年度におきましては、AIの開発力強化などに向け、令和五年度補正予算で九十四億円、そして令和六年度補正予算で百三十八・七億円を措置しております。
また、ビヨンド5G基金については、令和四年度から順次、当初予算及び補正予算により積み増しをしてきており、これまでに合計千六百六十八・四億円を措置しております。
NICTが国内外の研究開発をリードし、民間企業等への支援を行う役割をより一層果たしていくために、総務省においては今後も積極的に必要な予算の確保に努めてまいります。
○中川(康)委員 政務官、大変にありがとうございました。
予算については堅調に伸びておるということ、また補正対応もしていただいているということで、情報通信分野における研究としては我が国唯一の公的機関ですから、人材をしっかり確保するという意味でも大事ですし、特にビヨンド5G基金については、民間との協調開発ということで国の本気度を示すという意味においても、この基金はしっかりと造成し続けていくことが大事だと思いますので、冒頭お伺いをさせていただきました。
私はこの前、五月の二十三日にNICTを視察させていただきまして、具体的にここの部分を是非とも更に伸ばしていただきたいなというところがありましたので、次に二点ほど質問をさせていただきます。
一つには、リモートセンシング研究についてお伺いします。
NICTのリモートセンシング研究では、主に光や電波を用いて広範囲の大気状況や地表面の様子を瞬時に把握する機器やシステムの開発を行っていただいております。
中でも、風、水蒸気、降水等を高時間空間分解能で観測できるフェーズドアレイ気象レーダー、通称PAWRはゲリラ豪雨や竜巻など災害を起こす突発的な大気現象を早期捕捉する技術ですが、この技術は現在気象庁が用いている気象レーダー観測よりも短時間かつ高精度の解析を可能とするため、今後のゲリラ豪雨や線状降水帯などの予測に大変有用であるというふうに考えられております。
また、広範囲の地表面の様子を天候に左右されることなく観測できる航空機搭載合成開口レーダー、通称Pi―SARですけれども、これは、構造物や地表面の変化等を夜間も含め詳細に抽出し、世界最高水準の画質で観測できる技術であるため、例えば災害時の被災状況の把握や、地震や火山等で発生する地表面の変化等をこれまで以上に詳細に観測することができます。
我が国は、地震や津波さらには台風など災害大国であり、地球温暖化の中、今後もゲリラ豪雨などへの早期対応が求められる状況を考えると、私は、これらNICTが取り組んでいるフェーズドアレイ気象レーダー並びに航空機搭載合成開口レーダーなどリモートセンシング研究については、これまで以上に予算面の拡充を図り、早期に実証化、実用化を進めることが重要と考えますが、総務省の見解をお伺いいたします。
○竹村政府参考人 お答え申し上げます。
NICTで開発中の航空機搭載型レーダーは、電波を使い、昼夜、天候を問わず、十五センチという精度で地表面の観測が可能です。これにより、災害時の道路の寸断や火山の噴火時の火口の状況などを詳細に把握でき、効果的な救助活動や復旧作業への貢献が期待されております。
総務省では、このレーダーにより観測した高精度な地表面のデータに関し、防災分野などで活用を進めるための実証事業を今年度から開始しております。
次に、NICTで開発中の次世代気象レーダーは、従来方式と比べ雨雲の様子を高速かつ高密度に立体観測することができるため、ゲリラ豪雨の早期予測などにつながることが期待されております。
総務省では、大阪・関西万博におきまして、NICTや関係機関と協力し、関西に設置した二台の次世代型気象レーダーで観測したデータを基に、万博の来場者などに対してゲリラ豪雨を含む気象予測のプッシュ通知などを行う実証を進めております。
総務省としては、引き続きNICTにおけるリモートセンシング技術の高度化と社会実装に向けた取組を進めてまいります。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
私、現場を見させていただいて、非常にこのレーダーで高精度な観測ができるというのを学ばせていただきました。
今我が国は、ゲリラ豪雨とか線状降水帯、実は昨日から本日においても九州あたりでそういったことの報道がされていますが、さらには災害時の被災状況の把握などでNICTのリモートセンシング技術、いわゆるレーダーを使う、それも高精度、これは本当に国民の命や生活を守るというところには私は有用だと思っていますので、その早期の実用化を是非図っていただきたい、こういったことの思いで質問をさせていただいたわけでございます。
そうしたら、もう一点、ちょっと観点を変えまして、次は、多言語同時通訳技術及び音声マルチスポット再生技術を用いたシステムの実用化、ここについてお伺いをします。
今も触れていただきましたが、現在大阪では大阪・関西万博が開かれておりますが、今後、我が国へのインバウンド需要は更に加速するのとともに、多言語の外国人が参加するイベントなどが増えていくこと、これは間違いないと考えられます。
そのような中、現在NICTでは、エリアによって異なる音声を提供可能にする音声マルチスポット再生技術を開発するのとともに、多言語同時通訳技術と合わせることにより、複数者、多言語による会議の自動通訳が可能となるシステムの開発を進めております。
このシステムについては、本年一月に大阪の海遊館で実証実験を行い、その有用性が確認をされたところですが、今後、我が国での国際会議や国際展示場などでの需要を考えると、このシステムは早期の実用化に向け開発を高める必要があると私は考えております。
NICTにおきましては、多言語翻訳技術及びそのアプリでありますVoiceTraが社会実装されるのとともに、ライセンス契約により既に民間企業や公的機関などで三十を超えるサービスが展開されておりますが、私は、この多言語同時通訳技術及び音声マルチスポット再生技術を用いたシステムについてもライセンス契約も含めた早期の実用化を進める必要性があるのではないか、このように感じているわけでございますが、総務省の見解をお伺いしたいと思います。
○竹村政府参考人 お答え申し上げます。
複数の音声を同時に流す場合には、隣の音声が混じって聞き取りづらくなりますけれども、委員御指摘の音声マルチスポット再生技術を用いると、音の位相を調整することによりまして、場所ごとに一つの音声のみが聞こえるようにすることができます。
本年一月に大阪市内の水族館において行った実証実験では、この技術と多言語音声翻訳技術を組み合わせることによりまして、一つの観覧スペースを四つのゾーンに分けて、それぞれ英語、中国語、韓国語、日本語での解説を受けられるようにする実証を行いました。
この技術は、外国人の方が多数訪れる水族館などの観光施設に加えまして、国際会議の場などにおいても活用が期待されており、NICTでは民間企業と協力し、装置の小型化など実用化に向けた研究開発を進めております。
総務省としては、引き続き、民間企業とも協力してこうした技術の高度化と社会実装を推進してまいりたいと思います。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
これからインバウンド需要が増す中で、この技術の実用化というのも是非図っていただきたいということで今回は質問をさせていただきました。
最後、残り時間、ふるさと納税について、特に今回は米を返礼品としている自治体の対応についてお伺いします。
米を返礼品としている自治体の中で、今回届けることができなかったというようなところが報道されております。例えば、米が返礼品の九割以上を占める新潟県の南魚沼市とか、同じく新潟県の加茂市、五泉市、さらには茨城県の坂東市や香川県の三豊市などにおいて、返礼品としての米が不足し発送できないということが報道されておりました。
そこで、総務省にお伺いしますが、ふるさと納税を所管している総務省としては、このように返礼品としての米を発送できていない事例を具体的に把握しているのか、お伺いします。また、このような事態は全国で今回どれぐらいあったのか、この点についても把握をしているのか、この点をお聞かせください。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のような事例が発生していることは報道によりまして承知しておりますが、その詳細を私どもとしては把握いたしておりません。
また、全国における同様の事案の発生状況についても網羅的には把握していないところでございます。
○中川(康)委員 把握していないということで、そこまで詳しくというところではない、私と同じく報道の範囲かなというふうにも感じているところでありますが、しかし、実は米を返礼品としている自治体はすごく多いんですね。地場の産品としては非常に有名なところがあるものですから。
今回、報道の範囲ですけれども、返礼品として米を発送できなかった自治体の多くは、今年の秋以降に今年度の新米を発送するという対応を取るところが多いというふうにも報道されております。しかし、私は、今年の米の生産量さらには全国的な米不足の状況を考えた場合、令和七年産の新米についても同じように発送できないという問題が生じてくるんじゃないか、このように危惧をしておる一人でございます。
そこで、総務省としては、現状を把握していないということですけれども、この米を返礼品としている自治体と連携を図り、今から何らかの具体的な対応とか対策を取る必要があるのではないか、そうじゃないとまた混乱を生じるんじゃないか、こんなふうに感じるわけでございますが、この点、総務省の見解をいただきたいと思います。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
委員が御指摘されましたとおり、自治体がふるさと納税の寄附に当たりまして寄附者の皆様にお約束した返礼品について、提供可能な数量の想定を誤ったことなどから返礼品の発送時期や数量を変更するなどの事例があることを承知しております。
ふるさと納税は、ショッピングサイトとは異なりまして、返礼品の提供はあくまでも寄附の対価として行われるものではないということに留意が必要であると考えておりますが、寄附に際しての寄附者との約束が守られないといったことが頻繁に発生すれば、ふるさと納税制度に対する信頼を損ねるおそれもあると認識しているところでございます。
ただいまの委員の御指摘も踏まえまして、ふるさと納税制度への信頼が確保されるよう、様々な機会を活用し注意喚起をしてまいりたいと考えております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
今局長がおっしゃっていただいた、納税者に対して信頼を損ねるようなことがあってはいけないと思いますので、事務連絡等、今から早め早めに対応いただくこと、このことをお願い申し上げ、私の質問を終わります。大変にありがとうございました。
○竹内委員長 次に、辰巳孝太郎君。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
今日はヘイトスピーチについて聞きます。
今、ネットのみならず、政治、実社会にまで排外主義、差別扇動、そして陰謀論が渦巻いています。ヘイトスピーチの中には、外国人は得をしている、生活保護で優遇されているなどのデマが土台になっているものも少なくありません。
二〇二一年、京都府宇治市のウトロ地区で放火し民家を焼いたとして逮捕された男性は、インターネット上の情報をうのみにして、ウトロ地区の住民に対して一方的な敵意を抱いていました。そして、ウトロの住民は社会保障や医療費などを無償で受けられるなどとも言っていたとされています。まさに、このようなデマがヘイトクライムにつながった。差別はジェノサイド、戦争にもつながるものであり、絶対に許されるものではありません。
外国人の生活保護利用に関するデマ、今日はまずこのことについて取り上げたいと思います。
生活保護法第一条では、この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮する全ての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とするとあり、その対象は日本人に限るとしている一方で、昭和二十九年の厚生省社会局長の通知において、当分の間、生活に困窮する外国人に対しては一般国民に対する生活保護の決定実施の取扱いに準じて必要と認める保護を行うこととしており、行政措置として外国人への生活保護の適用を認めております。
厚労省に確認しますけれども、この当分の間という文言を捉えて、じゃ、もうやめてもいいんだろう、こう主張する人もいるわけなんですけれども、この当分の間という文言が入った歴史的経過あるいは背景を紹介していただけますか。
○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の昭和二十九年の通知が発出された経緯についてでございますが、昭和二十五年に旧来の生活保護法に代えて現在の生活保護法が制定された際、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基づき、生活保護法に基づき受給権を有する者を日本国民に限定したところでございますが、それまで旧生活保護法に基づき生活保護を受給していた外国人が適用対象でなくなったものの、当時現に生活保護を受けている外国人が少なからず存在したこと、また、昭和二十七年のいわゆるサンフランシスコ平和条約の発効に伴い在日韓国・朝鮮人等は日本国籍を離脱することになったが、当時生活保護を受けていた者に対して直ちに保護を廃止することは人道上問題があったことなどを踏まえてこの措置が講じられたものというふうに承知しております。
○辰巳委員 まさにそういう歴史的背景によって当分の間という文言が入って、その後、難民条約上の責務などからも今の外国人あるいは難民に対する生活保護の規定というのが継続的な措置に至っているわけですね。ですから、当分の間を文字どおり解釈して、もうそろそろいいだろうというような理屈が介在する余地はないということなんですね。
同時に、二〇一四年に最高裁が外国人の生活保護は憲法違反と判決を下した、こういうデマが今ちまたでもあるわけですね。しかし、これもあくまで生活保護法上は日本人に限るというものが確認されたものだということなんですね。重ねて確認しますが、この大分市の永住外国人生活保護申請却下訴訟における最高裁の判決は昭和二十九年の行政措置を禁止すべきというものなんでしょうか。
○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の平成二十六年七月の最高裁判決におきましては、外国人が生活保護の適用対象に含まれないと判示するとともに、外国人については行政措置による事実上の保護の対象となり得るにとどまるとしており、現行の行政措置による外国人の保護についての取扱いを否定したものではないというふうに承知しております。
○辰巳委員 そういうことなんですね、行政措置を禁止せよというものでは全くないということが確認されたわけでございまして、まさにデマがネットなどを含めてはびこっているということなんですね。それは違うよ、デマだよということが今の一連の国会答弁で確認をされたということであります。
もちろん、日本人であっても、外国人であっても保護の要件は変わりませんので、その点でも外国人優遇ということはあり得ません。
国会議員あるいは国政政党が、これらのデマに乗じた国会質問や、排外主義的政策、公約などを近年は発表するなどしており、私は到底看過できないということも言っておきたいというふうに思います。
さて、ヘイトスピーチについて幾つか確認をしていきます。
二〇一六年六月に施行されたヘイトスピーチ解消法は、本邦外出身者に対する差別的言動は許されないとして、附帯決議では、本邦外出身者に対するものであるか否かを問わず、国籍、人種、民族等を理由として差別意識を助長し又は誘発する目的で行われる排他的言動は決してあってはならないとしました。
同時に、何がヘイトスピーチに当たるのか、まだまだ国民には浸透し切れていない部分もあると思います。そこで、法務省に確認をいたします。何がヘイトスピーチに当たるのか。デモや街頭宣伝というのは想像できるんですけれども、当然だと思うんですが、そこに限定されるものなのか、お答えいただきたい。
○堤政府参考人 お答えいたします。
一口にヘイトスピーチといいましても、その概念は多義的でございますが、いわゆるヘイトスピーチ解消法第二条においては、本邦外出身者に対する不当な差別的言動についての定義が定められております。
どのような言動が同条に定める不当な差別的言動に該当するのかにつきましては、発言の背景や前後の文脈などの諸事情を総合的に考慮して判断されるべきものであり、一概にお答えすることは困難でございますが、例えば地域社会から排除することを扇動するもの、本邦外出身者の生命、身体、自由、名誉、財産に危害を加える旨を告知するもの、本邦外出身者を著しく侮辱するものといった類型があるものと考えております。
また、同条に言う不当な差別的言動は、デモや街頭宣伝活動における発言といった一定の手段、方法、媒体に限定されるものではなく、例えばプラカードに書かれた文字、インターネット上の書き込みなども含むと解されます。
○辰巳委員 前段は、排除、危害の告知、そして侮辱という、いわゆる三類型というものを示していただいたということだと思うんですね。国へ帰れと言うのも、これは明白なヘイトスピーチ、差別だということであります。
今年三月、在日コリアンの男性が高校の同窓生にX上で差別的投稿を繰り返されたとして損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は、特定の国籍や人種を犯罪と結びつける犯罪者みなしをヘイトスピーチ解消法が定める不当な差別的言動だと認めました。今日は、その判決文を読み上げて、まず紹介をいたします。
また在日の犯罪だとの表現は、一般の読者の普通の注意と読み方を基準にすれば、韓国又は北朝鮮出身者一般の犯罪性向がそれ以外の者と比較して高い旨を指摘して、韓国又は北朝鮮出身者一般に対する否定的評価ないし嫌悪感を表明するとともに、原告にも同様の傾向がある旨を示唆して原告を非難するものである。したがって、本件投稿は、原告を含む韓国又は北朝鮮出身者をその出身地を理由に著しく侮辱し、もって本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動するものであり、差別的言動解消法二条に規定する本邦外出身者に対する不当な差別的言動に当たるものと認められ、原告の人格的利益を侵害するものであると言える。よって、原告に対する不法行為を構成する。
以上が判決文なんですけれども、まさに犯罪者とみなす言動そのものがヘイトと認定された。画期的な判決だと言われております。
法務省に確認します。判決文の認定事実によりますと、今埼玉県川口市や蕨市においてクルド人を犯罪者扱いする差別的言動が一部差別主義者から行われ、そのことに対する抗議やカウンターも行われているわけですけれども、まさにそのようなクルド人を犯罪者とみなす言動も不法行為と言えるんじゃないでしょうか。
○堤政府参考人 お答えいたします。
いわゆるヘイトスピーチ解消法第二条において、本邦外出身者に対する不当な差別的言動とは、本邦外出身者に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し又は本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動をいうとされております。
もっとも、特定の言動が同条に規定する本邦外出身者に対する不当な差別的言動に該当するか否かにつきましては、対象となる言動の文言のみならず、当該言動の背景、前後の文脈、趣旨等の諸事情を総合的に考慮して判断されるべきものであり、お尋ねの言動が同法の不当な差別的言動に該当するか否かについて一概にお答えすることは困難でございます。
いずれにしましても、ヘイトスピーチ解消法に規定する本邦外出身者に対する不当な差別的言動はあってはならないものと認識しており、引き続き各種人権擁護活動に粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。
○辰巳委員 埼玉県川口市や蕨市で今行われていることというのはまさにヘイトですよね、差別主義者によるヘイトであります。これは絶対に許されてはならないと思います。
ヘイトスピーチ解消法が施行され、条例を制定する自治体もある中で、選挙であれば免罪されるんじゃないかと、選挙を口実に差別扇動の言動を行う者もいます。大臣に確認しますけれども、ヘイトスピーチは選挙だと免罪されるんでしょうか。
○村上国務大臣 委員のおっしゃるとおり、選挙だからといって免罪されることはあり得ないと思います。
公職選挙法上、選挙運動として行われる演説の内容等が、選挙運動として行われることをもって、いわゆるヘイトスピーチ解消法に規定する本邦外出身者に対する不当な差別的言動には該当しないものとする規定はない、そのように承知しております。
○辰巳委員 選挙だからといって免罪されない、これは確認されました。
最後に、これは大臣にも聞きたいと思います。
杉田水脈元総務政務官は、御自身のホームページで、チマチョゴリを着た女性のイラストに「差別されてるニダ」「日本人からイジメを受けてます」との文言をかぶせるイラストを掲載しております。特定の民族の女性をおとしめる発言であり、決して看過できません。法務当局から人権侵犯認定も彼女は受けました。石破総理は、こうした一連の差別的発言に強烈な違和感を持っていると国会でも答弁いたしました。差別扇動を先頭に立って行っている人物を公人にしていいはずはないと私は思います。政治家の発言は重く、影響力があります。そもそも政務官を務めていたこと自体が私は異常だと思います。大臣、このような人物は公人としてふさわしくないと私は思いますけれども、いかがですか。
○村上国務大臣 御指摘のホームページについては、杉田水脈氏の個人的なものと承知しておりまして、私からのコメントは差し控えさせてもらいたいと思います。
なお、一般論として申し上げれば、特定の民族や国籍の人々を排斥する趣旨の不当な差別的言動はいかなる社会においても許されないものと考えております。
○辰巳委員 大臣、個人的なと言いますけれども、自民党の公認候補なんですよね、本当に。これは絶対あってはならないことだと思います。デマで不安をあおる、排外主義を掲げる政党も恥ずべきだというふうに私は思います。
我が党はヘイトは絶対に許さない。差別、差別扇動、これらと戦い続ける決意を述べて、質問といたします。
以上です。
○竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時七分散会