衆議院

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第3号 令和7年11月27日(木曜日)

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令和七年十一月二十七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 佐藤 英道君

   理事 島尻安伊子君 理事 鈴木 英敬君

   理事 橘 慶一郎君 理事 岡島 一正君

   理事 岡本あき子君 理事 高松 智之君

   理事 岩谷 良平君 理事 向山 好一君

      安藤たかお君    石橋林太郎君

      上田 英俊君    大空 幸星君

      勝目  康君    金子 容三君

      神田 潤一君    国定 勇人君

      高村 正大君    坂井  学君

      坂本竜太郎君    佐藤  勉君

      島田 智明君    新谷 正義君

      高見 康裕君    中野 英幸君

      根本  拓君    福原 淳嗣君

      穂坂  泰君    本田 太郎君

      宮路 拓馬君    向山  淳君

      村上誠一郎君    山口 俊一君

      吉田 真次君   おおつき紅葉君

      奥野総一郎君    高橋  永君

      西川 厚志君    波多野 翼君

      福田 昭夫君    松田  功君

      眞野  哲君    道下 大樹君

      矢崎堅太郎君    山 登志浩君

      山花 郁夫君    黒田 征樹君

      杉本 和巳君    福田  玄君

      庄子 賢一君    高井 崇志君

      八幡  愛君    山川  仁君

      辰巳孝太郎君

    …………………………………

   総務大臣         林  芳正君

   総務副大臣        堀内 詔子君

   総務大臣政務官      中野 英幸君

   総務大臣政務官      向山  淳君

   会計検査院事務総局第五局長            長岡 尚志君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           藤田清太郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  小川 康則君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           長谷川 孝君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            豊嶋 基暢君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         古賀 信行君

   参考人

   (日本放送協会会長)   稲葉 延雄君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 小池 英夫君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 山名 啓雄君

   参考人

   (日本放送協会理事)   根本 拓也君

   参考人

   (日本放送協会理事)   中嶋 太一君

   参考人

   (日本放送協会理事・技師長)           寺田 健二君

   総務委員会専門員     山本 麻美君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十七日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     坂本竜太郎君

  勝目  康君     上田 英俊君

  小林 史明君     金子 容三君

  本田 太郎君     高村 正大君

  宮路 拓馬君     石橋林太郎君

  奥野総一郎君     矢崎堅太郎君

  杉村 慎治君     眞野  哲君

  山川  仁君     高井 崇志君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     高見 康裕君

  上田 英俊君     勝目  康君

  金子 容三君     吉田 真次君

  高村 正大君     本田 太郎君

  坂本竜太郎君     大空 幸星君

  眞野  哲君     杉村 慎治君

  矢崎堅太郎君     奥野総一郎君

  高井 崇志君     八幡  愛君

同日

 辞任         補欠選任

  高見 康裕君     穂坂  泰君

  吉田 真次君     根本  拓君

  八幡  愛君     山川  仁君

同日

 辞任         補欠選任

  根本  拓君     新谷 正義君

  穂坂  泰君     宮路 拓馬君

同日

 辞任         補欠選任

  新谷 正義君     安藤たかお君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤たかお君     島田 智明君

同日

 辞任         補欠選任

  島田 智明君     小林 史明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 日本放送協会令和二年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

 日本放送協会令和三年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

 日本放送協会令和四年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

 日本放送協会令和五年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 日本放送協会令和二年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書、日本放送協会令和三年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書、日本放送協会令和四年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書、日本放送協会令和五年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書の各件を議題とし、審査に入ります。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各件審査のため、本日、参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、日本放送協会経営委員会委員長古賀信行君外六名の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、総務省大臣官房総括審議官藤田清太郎君外三名の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長長岡尚志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 まず、総務大臣から説明を聴取いたします。林総務大臣。

    ―――――――――――――

 日本放送協会令和二年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

 日本放送協会令和三年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

 日本放送協会令和四年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

 日本放送協会令和五年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

林国務大臣 おはようございます。

 日本放送協会令和二年度、令和三年度、令和四年度及び令和五年度財務諸表等について、その内容の概要を御説明申し上げます。

 本資料は、放送法第七十四条第三項の規定により、会計検査院の検査を経まして国会に提出するものであります。

 まず、令和二年度の貸借対照表の一般勘定については、令和三年三月三十一日現在、資産合計は一兆二千七百二十五億円、負債合計は四千五百十六億円、純資産合計は八千二百九億円となっております。

 損益計算書の一般勘定については、経常事業収入は七千九十九億円、経常事業支出は六千九百十七億円となっており、経常事業収支差金は百八十一億円となっております。

 次に、令和三年度の貸借対照表の一般勘定については、令和四年三月三十一日現在、資産合計は一兆二千七百四十三億円、負債合計は四千百三十四億円、純資産合計は八千六百九億円となっております。

 損益計算書の一般勘定については、経常事業収入は七千一億円、経常事業支出は六千六百三十八億円となっており、経常事業収支差金は三百六十三億円となっております。

 次に、令和四年度の貸借対照表の一般勘定については、令和五年三月三十一日現在、資産合計は一兆二千九百七十億円、負債合計は四千九十八億円、純資産合計は八千八百七十二億円となっております。

 損益計算書の一般勘定については、経常事業収入は六千九百十七億円、経常事業支出は六千七百五十三億円となっており、経常事業収支差金は百六十三億円となっております。

 次に、令和五年度の貸借対照表の一般勘定については、令和六年三月三十一日現在、資産合計は一兆三千百九十一億円、負債合計は四千四百五十五億円、純資産合計は八千七百三十五億円となっております。

 損益計算書の一般勘定については、経常事業収入は六千五百十八億円、経常事業支出は六千七百二十七億円となっており、経常事業収支差金は二百八億円の欠損となっております。

 何とぞ慎重御審議のほどお願いをいたします。

佐藤委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長稲葉延雄君。

稲葉参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の令和二年度から令和五年度財務諸表等の概要につきまして御説明申し上げます。

 初めに、令和二年度につきまして御説明申し上げます。

 貸借対照表における一般勘定の当年度末の資産総額は一兆二千七百二十五億円、一方、これに対する負債総額は四千五百十六億円、また、純資産総額は八千二百九億円でございます。

 続いて、損益計算書における一般勘定の経常事業収入は七千九十九億円、経常事業支出は六千九百十七億円でございます。以上の結果、経常事業収支差金は百八十一億円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期事業収支差金は二百五十一億円となりました。

 当期事業収支差金につきましては、全額、事業収支剰余金として、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものでございます。

 引き続きまして、令和三年度につきまして御説明申し上げます。

 貸借対照表における一般勘定の当年度末の資産総額は一兆二千七百四十三億円、一方、これに対する負債総額は四千百三十四億円、また、純資産総額は八千六百九億円でございます。

 続いて、損益計算書における一般勘定の経常事業収入は七千一億円、経常事業支出は六千六百三十八億円でございます。以上の結果、経常事業収支差金は三百六十三億円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期事業収支差金は四百億円となりました。

 当期事業収支差金につきましては、全額、事業収支剰余金として、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものでございます。

 引き続きまして、令和四年度につきまして御説明申し上げます。

 貸借対照表における一般勘定の当年度末の資産総額は一兆二千九百七十億円、一方、これに対する負債総額は四千九十八億円、また、純資産総額は八千八百七十二億円でございます。

 続いて、損益計算書における一般勘定の経常事業収入は六千九百十七億円、経常事業支出は六千七百五十三億円でございます。以上の結果、経常事業収支差金は百六十三億円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期事業収支差金は二百六十三億円となりました。

 当期事業収支差金につきましては、全額、事業収支剰余金として、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものでございます。

 なお、令和五年四月二十日に放送法及び放送法施行規則の還元目的積立金に関する規定が施行されたことを受け、令和五年度に財政安定のための繰越金のうち千九百二十億円を取り崩し、還元目的積立金に組み入れました。

 引き続き、令和五年度につきまして御説明申し上げます。

 貸借対照表における一般勘定の当年度末の資産総額は一兆三千百九十一億円、一方、これに対する負債総額は四千四百五十五億円、また、純資産総額は八千七百三十五億円でございます。

 続いて、損益計算書における一般勘定の経常事業収入は六千五百十八億円、経常事業支出は六千七百二十七億円でございます。以上の結果、経常事業収支差金は二百八億円の不足となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期事業収支差金は百三十六億円の不足となりました。

 当期事業収支差金の不足につきましては、財政安定のための繰越金を取り崩し、補填いたしました。

 以上につきまして、令和二年度から令和五年度の財務諸表とも、監査委員会の意見書では、会計監査人の監査意見は相当と認めるとされておりまして、また、会計監査人の意見書では、財務諸表が、放送法、放送法施行規則及び我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、全ての重要な点において適正に表示しているものと認めるとされております。

 これをもちまして概要説明を終わらせていただきますが、今後、協会運営に当たりまして、公共放送の原点を堅持し、事実に基づく公平公正で正確、迅速な放送をお届けしてまいります。

 放送開始百年という節目を迎え、正確で信頼できる情報を届けるという放送開始の原点に思いを致し、NHKとして、視聴者・国民の皆様が本当に知りたいと思っていることに真正面から向き合い、期待にお応えしていきたい所存でございます。

 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。

佐藤委員長 次に、会計検査院当局から検査結果について説明を求めます。会計検査院事務総局第五局長長岡尚志君。

長岡会計検査院当局者 日本放送協会の令和二年度、三年度、四年度及び五年度の決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。

 協会の令和二年度、三年度、四年度及び五年度の財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書並びにこれらに関する説明書等は、令和二年度につきましては三年七月二日、三年度につきましては四年七月十三日、四年度につきましては五年七月五日、五年度につきましては六年七月十二日にそれぞれ内閣から送付を受け、その検査を行って、それぞれ三年十一月五日、四年十一月七日、五年十一月七日、六年十一月六日に内閣に回付いたしました。

 協会の二年度の決算につきまして検査いたしました結果、検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 これは、職員の不正行為による損害が生じたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、複写機の調達に当たり、一般競争入札を実施することが可能であったにもかかわらず、これを実施しなかったことにより透明性及び競争性が確保されておらず、経済的な価格により契約を締結していなかった事態が見受けられました。これについて指摘したところ、協会において、一般競争入札を実施することにより、透明性及び競争性を確保し、経済的な価格により契約を締結するなどの処置を講じたものであります。

 協会の三年度及び四年度の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

 協会の五年度の決算につきまして検査いたしました結果、検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 これは、職員の不正行為による損害が生じたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、有料老人ホーム等における受信契約の締結を促進するための取組について、協会全体としての契約締結を促進するための取組が十分に行われていなかった事態が見受けられました。これについて指摘したところ、協会は、協会全体として有料老人ホーム等における受信契約の締結を促進して受信料負担の公平性を確保するための取組を十分行うことができるよう、協会本部が主導して取組の成果の検証等を行うとともに、各放送局に対して具体的な取組方法等を周知するなどの処置を講じたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

佐藤委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大空幸星君。

大空委員 おはようございます。自由民主党の大空幸星でございます。

 今日は、令和二、三、四、五と、四年分まとめてのNHK決算ということで、皆さんのお手元にも大変多くの資料が配られていると思いますが、単年度決算を連続して比較するというのはなかなか難しいという前提に立った上で、国民目線のためのNHKとしてあり続けていただきたい、その思いで質問をさせていただきます。

 まず、NHKの予算そして業務報告書には、総務大臣意見が付されるということになっております。令和二、三、四、五と、業務報告書に対する総務大臣意見において繰り返し言及をされている言葉がございます。それが、より精緻な収支予算の編成に努めることが望まれると。これは、全ての業務報告書で全く同じような文言が総務大臣から付されているわけでございます。令和二から四年度は、赤字予算を掲げながら実績では黒字となった。令和五年度は逆に赤字となっています。総務省としては、収支予算の精度向上を求めておりますけれども、毎年同じような指摘になってしまっている。

 まずは、このことについて、すなわち、収支予算の精度向上の改善がなかなか見えづらいんじゃないか、こういう声についてどういうふうに受け止めておられるか、お聞かせください。

中嶋参考人 お答えいたします。

 予算、事業計画を着実に実行してまいりますことは、当然のことながら重要なことだというふうに考えております。

 各年度とも、事業収入につきましては、より高い成果を上げるために取り組んでおりまして、その結果として増収となっております。また、事業支出につきましては、より効果的、効率的な事業運営に努めておりまして、その結果として、決算では事業収支差金が増えております。

 このうち、令和二年度につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための緊急事態宣言などによりまして、事業活動に様々な制約が生じまして、事業収入、事業支出両面にわたって大きな影響が出ました。

 令和三年度、四年度、五年度につきましては、事業収入は、コロナ禍の減収からの回復に努めた結果、予算に対して増収となっております。事業支出につきましては、設備投資の抑制など、効果的、効率的な事業運営を行った結果、支出は削減されております。

 令和六年度以降につきましても、こうした方針に変わりはありませんけれども、計画した支出削減をしっかりと行い、構造改革を進める中で、経営資源をより有効に活用いたしまして、予算管理の精度を高めていきたいというふうに考えております。

大空委員 ありがとうございます。

 まさにおっしゃっていただいたように、コロナもありましたし、そして放送法の改定もありましたから、様々な内部、外部要因があったと思います。ただ、この収支の差というのが、そのまま放置をされていいというわけではないと思うんですね。

 といいますのも、今、NHKは受信料の未収対策を非常に強化をしている。今般、報道もありましたけれども、弁護士等から成る受信料特別対策センターというのも設置をされておりまして、支払い督促による民事手続が過去最大の規模で行われていくというふうに伺っております。

 受信料の公平負担というのは、もう言うまでもなく極めて重要でございまして、先ほどもありましたとおり、やはり効果的な、受信料をどうやって、国民の皆さんにいただいていくのか、そういう方策を考えなきゃいけないということもよく分かります。

 ただ、受信料の公平負担というのは、受信料制度そのものへの深い御理解があって成り立つものだというふうに思っておりまして、毎年毎年収支予算の精度向上が求められているという状況の中で受信料の支払いを、強化をしていくというのは、これはなかなか理解が広がらないんじゃないかというような気もいたします。

 収支の精度を高めるということは、受信料を過大に徴収しないためにも重要だというふうに私は思っておりますけれども、どのように精度を上げていくのかということについてお聞かせいただければと思います。

中嶋参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘のあったとおり、予算、事業計画の策定に当たりましては、視聴者からいただく受信料を財源としておりますことから、しっかりと適正なものでなければならないというふうに考えております。

 予算執行に当たりましては、計画した業務を着実に実行していくとともに、施策の効果分析あるいは見極めを更に精緻に行うことなどによって、これまで以上に施行管理を徹底してまいりたいと考えております。

大空委員 ありがとうございます。

 是非、適宜見直しを行っていただいて、そして、効果的な経営というのもやっていただきたいと思います。

 もう一点、収支の差に加えまして、受信料制度への国民の理解を得るために、NHKが是非とも説明をしていただきたいということがございまして、それが資産についてであります。

 今回の審議対象である令和二年から五年度にかけて見ますと、資産合計は一兆二千六百八十一億円から一兆三千二百二億円まで増えている。単純に純資産を見ていったときに、二〇二〇年は八千百五十八億円、これが二〇二三年には八千七百三十五億円と、およそ五百七十七億円増えておりまして、今回の決算審議の対象ではありませんけれども、その前年の二〇一九年から見ていくと、二〇二三年までに八百四十五億円純資産が増えているわけですね。特に、現金預金であるとか有価証券、長期保有有価証券も含めた金融資産がかなり増えております。

 この莫大な金融資産を常に抱えている、そして、またそれを非常にうまく運用をしておられるということだと思いますけれども、やはり、これだけの金融資産を保有をしている、そのことについての説明というのも、分かりやすい説明が必要ではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

中嶋参考人 お答えいたします。

 令和二年度末より五年度末で、現金預金は、五百十九億円から四百三十億円増加いたしまして九百五十億円、有価証券につきましては、六千七百六十七億円から三百六十八億円増加して七千百三十六億円となっております。

 増加した主な理由につきましては、コロナ禍におきまして当初計画していた事業活動が十分に行えず、支出が抑制されたことによりまして、事業収支差金が発生したためであります。差金を有価証券などで保有しているものであります。

 建設積立金、あるいは受信料値下げの原資となっております還元目的積立金は、中期経営計画どおりに取り崩しているところでありまして、有価証券の保有額につきましては、直近の令和六年度末では、五年度末に比べて千百三十四億円減少して六千一億円となっておりまして、令和二年度末の六千七百六十七億円よりも減少しております。

 現金預金につきましては、日常の出金などの運転資金のために、一か月半分の支払い規模を目安に保有をしております。また、有価証券は、放送センター建て替えなどに備えるための建設積立金、あるいは視聴者に還元するための還元目的積立金などを担保するために保有しているものであります。

大空委員 ありがとうございます。

 また、加えて、全国それぞれの地方にNHKはあるわけでございまして、その設備であるとか、また最新鋭の機材ということもそろえておられると思います。これは、NHKの国際競争力をしっかりと担保していくという意味でも重要な資産であると思いますから、現金預金、有価証券についても今御報告をいただきましたけれども、それでも、規模としてはやはり大きい。

 受信料をこれだけ徴収していくんだということが同時に発信をされている中でのこれだけの金融資産の規模でありますから、是非、特殊法人で法人税も免除をされているということも踏まえて、受信料の支払いを、強化していくのであれば、より透明性の高い経営、そして数字についての適切な説明というのを引き続き続けていただきたいと思います。

 同様に、先般の放送法改定に伴って、今おっしゃっていただきましたけれども、還元目的積立金が創設をされて、受信料の値下げが行われました。NHKの資産を国民に還元をしていくということがこれから重要になるのではないかと思いますが、還元というのは、何も値下げだけではないと思うんですね。例えばということで、今日、是非議論をさせていただきたいのがコンテンツ産業についてでございます。

 今般、総務省の放送・配信コンテンツ産業戦略検討チームにおいて、我が国のコンテンツ産業の発展のために官民の協議会をつくるということの取りまとめがございました。NHKの還元目的積立金を使用してファンディング機関をつくっていくということになっております。メディア産業全体に貢献する取組に約百億円NHKが確保しているということの発表がございます。

 皆さんも御案内のとおり、我が国のコンテンツ産業の規模というのは現在約十五兆円ということで、海外売上げは今、六兆円なんですね。六兆円ですけれども、既に半導体や鉄鋼を超えているという状況で、二〇三三年までにエンタメ、コンテンツ産業の海外市場規模を二十兆円にするというのが今の政府の目標であります。

 私、この我が国の成長戦略は極めて重要だと思っておりまして、日本経済復活のまさに切り札というのがコンテンツ産業というふうに思っております。日本のコンテンツ産業の競争力の更なる強化であるとか持続的な発展に向けましては、まさにオール・ジャパンの取組が重要でありまして、当然ここには、NHKの皆さんには主体的な役割を果たしていただく必要があると思っております。

 今回のこの有識者会議の結論も踏まえて、コンテンツ産業の振興の意義であるとか、NHKがそれに取り組んでいくことの役割等についてお聞かせください。

稲葉参考人 コンテンツ産業育成の件でございますけれども、私も、コンテンツ産業全体の発展あるいは底上げに貢献することは大変重要なことだというふうに考えてございます。NHKといたしましても、施策の検討、議論に積極的に関与していきたいというふうに考えております。

 今年八月の、例の総務省の有識者による検討チーム、そこでの御検討でも、取りまとめの柱の一つに、NHKに対して、メディア産業の多元性確保のために確保している資金も活用しつつ、コンテンツ競争力強化等の支援に率先して取り組むことというのが期待されてございます。

 官民協議体によるオール・ジャパンの取組、私も大変有意義だというふうに考えてございまして、NHKも、これまで培ってきたノウハウを生かせる形で協議会に関わっていきたいというふうに考えてございます。

 NHKは、経営計画でも、地域を含むメディア産業全体の多元性確保への貢献というのを掲げておりまして、それに充てるために還元目的積立金百億円を確保してございます。

 具体的な取組内容は現在検討中でございますけれども、メディア業界全体の底上げに貢献すること、これはNHKの重要な役割だというふうに考えておりまして、しっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

大空委員 ありがとうございます。

 それぞれの地方、魅力がたくさんございます。そういった地方の魅力を発信する番組は、それはそれとして私は作っていただきたいと思うんですが、ただ、このコンテンツ産業というのは、もう世界各国と争っているわけですね。韓国や中国もそうでありますけれども、こういった国々との競争の中でNHKに果たしていただきたいのは、先ほど指摘をさせていただいたような、資産であるとか、まさにNHKが持っている力、すなわちNHKを触媒として日本のコンテンツ産業全体を発展をさせていくということでございまして、NHKがコンテンツを作って、それを世界に売るとかということではなくて、NHKを使って、日本のいろいろな、クリエーターの皆さんであるとか、人材育成なんかにも貢献をいただきたい、こういう思いでございます。

 この人材育成というのは特に重要でございまして、すぐに結果が出ないんですね。国の単年度主義で、なかなかアジャイルで施策を推進していくというのは難しいですから、還元目的積立金をファンドとして、中長期的な視点に立って進めていくということは極めて重要だと思っております。

 一方で、この還元目的積立金を受信料の値下げ以外に使う場合には、受信料の値下げというのは目に見える形での還元でありますけれども、コンテンツ産業の振興とか放送コンテンツの質の向上とか、かなり抽象度の高いことに使うということについては、やはり国民の皆さんに、必要なんだけれどもこの積立金を使います、そういうクリアな説明というのが必要だと思っておりまして、積立金の透明性の確保、すなわち、その担保についてどのような御見解か、教えてください。

稲葉参考人 今ほど御指摘の点は大変重要な点だと私どもも認識してございます。

 還元目的積立金百億円をどう使うか、その使途などについても、視聴者の皆様からの受信料を元にしているということでございますので、透明性の確保というのは大変重要だというふうに思っております。説明責任がしっかり伴うものでないといけないというふうに考えてございます。

 具体的な使途あるいは業務設計、これは今検討を進めているところでございますけれども、還元目的積立金を基金に拠出した場合には、ガバナンス強化の観点から、外部有識者などをメンバーとする運営委員会等を設置することなどによって公平性あるいは透明性を確保していきたいというふうに考えてございます。

大空委員 ありがとうございました。

 コンテンツ産業の育成につきましては、是非、稲葉会長の強いリーダーシップの下、進めていただきたいと思います。

 また同時に、日本のスタートアップは、コンテンツ産業の振興、育成のために一生懸命頑張っているところがあります。NHKの影響力というのは実はかなりすさまじくて、市場に参入してくるということについて警戒感を持っているスタートアップの皆さんがいることもやはり事実なんですね。要は、NHKが明確に、そういう日本の若いスタートアップの皆さんも支援をして、それによってコンテンツ産業全体の発展に資するようにする、こういう方針を是非クリアにこれから打ち出していただきたいと思います。

 いろいろな形の協働があると思います。大きな民間の放送会社だけじゃなくて、世界で勝っていこうとクリエーターのコンテンツであるとかエコノミーの中で頑張っているちっちゃなスタートアップの皆さんにも、是非とも御支援をいただきたいというふうに思います。

 次に、ファクトチェックについて伺わせていただきます。

 事前にNHKの皆さんとファクトチェックについて議論をしたときに、様々なお取組状況を御説明をいただきました。その際に、非常に力を込めておっしゃっていただいたのが、さきの参議院選挙の際、様々なSNSでデマ情報であるとか誤情報というのがありました、それに対して、ニュース番組等でそれを訂正していく、すなわちNHKの番組でSNSのファクトチェックを行いましたというような御説明をいただきました。

 もちろん、SNS空間、正しい情報にどうやって触れさせていくのか、こういう観点は重要なんですが、マスメディアが、NHKがSNSをチェックするというその構造そのものがもはや理解をされなくなり、その構造そのものがNHKひいてはマスメディアに対する信頼が失墜をしていくということにつながっている、だからSNSでどんどんどんどん誤った情報が流れてしまうんだ、こういった構造というのも私はあるというふうに思っております。

 ですから、お聞きをしたいのは、マスメディア、NHKがどうやってSNSを含めてファクトチェックをするかではなくて、NHK内部でどういったファクトチェックの体制が整っているのか。すなわち、NHKのコンテンツというのは幅広くあります。テレビだけではありません。そして、皆さんも記憶に新しいと思いますけれども、尖閣諸島は中国の領土だ、そういった発信もされたわけですね。こういったことも含めて、正しいファクトチェックの体制がNHKの中でまずあるかどうか、ここが極めて重要ではないかというふうに思っておりまして、その点につきまして、是非お取組の状況をお聞かせください。

山名参考人 お答えいたします。

 NHKでは、平素から、ニュース、番組の取材、制作に当たりまして、複数の視点からチェックを行い、正確で公平公正な報道に努めているところであります。

 番組制作に当たりましても、福祉、科学、歴史など多様な専門性を持った職員による複眼的試写を行うなど、提案から取材、制作、放送に至る過程の中で、正確を期すために複数のチェックを行っているところでございます。

 インターネットを始め真偽の不確かな情報があふれる中、こうした取組を通じまして、判断のよりどころとなる正確な情報を提示し、情報空間の参照点を提供していくことで、情報空間の健全性確保に貢献していきたいと考えております。

大空委員 どうもありがとうございます。

 公共放送としての質の高いコンテンツを維持していくためには、やはりNHKの皆さんが常にファクトチェックを自分たちの内部に対して行っていただいて、そして、それによって質の高い発信をしていくということが不可欠だと思います。それがNHKの信頼をしっかりとつくっていくということにつながると思いますし、災害時なんかにはやはりNHKをつけるという人は多いと思います。私、今二十代ですけれども、正直、テレビは見ないですよ。NHKを見ているかというと、まあ、見ているという人はそんなにいないかもしれない。でも、やはり災害が起きたときなんかにはNHKをつけるという人も当然いるわけですね。

 SNSで、これは正しいのかな、どうなのかなという情報に触れたときに、じゃ、NHKをチェックしてみよう、そうなるのが私はNHKにとっては理想だと思っておりまして、そのためには、NHK自身の信頼の醸成、質の高い発信が不可欠だと思いますので、引き続きのお取組をよろしくお願い申し上げます。

 次に、先ほど冒頭、資産の話をしましたけれども、この資産の中で触れられていない部分、ここに載っていない部分、それがNHKアーカイブス等の見えない資産だと思っております。過去の放送資産というのは、この収支報告書には載っていないわけですね。この見えない資産というのは権利関係が難しいでしょうけれども、いかに視聴できるように増やしていくのか。

 NHKの様々なお取組を見させていただきますと、文化芸術的な、博物館であるとか放送史、いわゆるアカデミアの観点から、どうやって見えない文化財として過去の放送コンテンツを保護していくのかというような観点の取組は多いんですが、収益を得るための、同時に資産という考え方も私はあると思います。いわゆるアーカイブビジネスという考え方でございます。

 皆さん恐らく御覧いただいたことがあると思いますけれども、ベルリンの壁をハンマーで壊す映像、これはBBCなんかが持っているんですが、例えば、テレビ広告で使いたい場合は二十五万円、日本で、払ったら使えるんですね。政治広告は五十五万六千五百円。五十五万円払ったら、それぞれの委員の先生方の政治広告にもこの映像を使える。こういうアーカイブビジネスをBBCはかなり先駆的にやっています。

 放送史という観点から、アカデミアの観点から放送コンテンツを保護していくというのも重要だと思いますが、いわゆるライセンスビジネスとしての観点、まさに配信プラットフォームとも闘っているわけでありまして、アマゾンやネットフリックスが質の高いコンテンツをどんどん作ろうとしているからこそ、まさにアーカイブビジネスの市場規模、今大体世界で八千百三十億円ぐらいですけれども、十年で少なくとも倍増するという試算もあります。

 これについてどういうふうな観点で取り組んでいかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。

山名参考人 お答えいたします。

 過去の番組を含めましたNHKのアーカイブスは非常に価値の高い映像資産であるというふうなことで私どもも認識してございます。

 こうしたアーカイブスを有効に活用していくということは、貴重な映像資産を視聴者に還元するとともに、コンテンツ産業におけるプレゼンスを高める上でも有効な取組だというふうに考えております。

 そうした活用方法の一つとしまして、NHKオンデマンドでは、NHKが地上波、衛星波で放送しております番組の中から、放送から一週間後に配信、あるいは過去のアーカイブスから選ぶ形で、有料でインターネット配信をしております。ドラマ、エンターテインメントだけでなく、公共メディアならではのドキュメンタリーや教養番組など、現在二万本以上の番組を配信しておりまして、今後も増やしていく方針でございます。

 二〇二四年度からは、4K番組、スポーツ、アニメなど、より多様なジャンルにサービスを広げているところでございます。

 また、NHKオンデマンドは、外部のコンテンツ配信事業者にも展開しておりまして、今後も、国内外の配信事業者に幅広く展開することによりまして、NHKが培ってまいりました映像資産の価値を最大限活用していきたいというふうに考えております。

大空委員 ありがとうございます。

 個人が視聴できるということも重要ですし、配信プラットフォーマーの皆さんとの連携も必要だと思うんですが、それぞれの企業で、例えば見本市とか展示会で使用されたりとか、社内向けに使用されたりとか、そういう様々なトゥーBのビジネスの可能性というのがあるんですね。残念ながら、NHKの皆さん、そこまでは、まだ過去の資産の活用というのは行っていないと思うんですね。

 これは、これから様々な取組が必要になってきますから、コンテンツ産業全体の発展のためにも、過去の資産、映像資産の活用、これは静止画も含めてなんですけれども、これについては引き続き積極的なお取組をお願いをして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。

 大臣とは初めてになりますけれども、よろしくお願いいたします。

 今の話とかぶるんですが、やはりコンテンツが大事だと私もずっと言い続けてまいりまして、NHKのコンテンツ資産、受信料で作られたものですが、これをもっと有効活用して収益を上げたらどうかというのが私の持論であります。

 最近忙しくて、ドラマを見ている時間もないのですが、今見ているのは、NHKだと「べらぼう」とか「ばけばけ」とかなんですけれども、民放も面白いのがあって、「ザ・ロイヤルファミリー」とか「ちょっとだけエスパー」とか面白いんですが。「ザ・ロイヤルファミリー」とか「ちょっとだけエスパー」は、ネットフリックスを見ると過去のやつが見られるんですね。ところが、NHKのものはほとんどネットフリックスのプラットフォームに上がってきていないですね。この辺がちょっと弱いのかなと思います。

 それから、NHKプラス、これは新しくなっているんですが、そこは、直近の一週間はあるんですが、過去のものを見ようとすると、別のホームページ、NHKオンデマンドを見なきゃいけない。私はアマゾンプライムのプラットフォームから視聴をしています。だから、見逃したものは、大河ドラマであれば、過去のものも含めて、アマゾンプライムからNHKオンデマンドを見ている、こういう状況なんですが、接続が悪いんですよね。NHKプラス、ONEからNHKオンデマンドに直接飛ばせばいいじゃないか、あるいは、まずプラットフォームを一緒にして、同じプラットフォームから見られるようにすればいいじゃないかと思いますが、現状はどうなっているんでしょうか。

山名参考人 お答えいたします。

 十月以降、NHK ONEでは、同時配信や一週間の見逃し配信を行いまして、NHKオンデマンドでは、NHK ONEの配信が終了する放送一週間後から長期に配信を行うサービスとなっております。

 NHK ONEとオンデマンドの二つのサービスを通じて、利用者が分かりやすくNHKのコンテンツに触れていただけるよう、NHK ONEとオンデマンドの相互にリンクを張ることを進めているところです。

 これまで、会計分離、区分経理の下、NHKオンデマンドはNHK ONEとは異なる配信基盤システムを使用するなど、独自に運用されてきた経緯がございます。現在、相互リンクにつきましては、区分経理の観点で制度上問題ないことを確認しながら、配信する一部の番組から順次開始したところでございます。

 より一層のユーザーの利便性向上のために、NHK ONEとNHKオンデマンドの連携を推し進めていくつもりでございます。

奥野委員 総務省に確認したいんです。

 確かにリンクを張っていると言っているんですが、ダイレクトにリンクを張れていないんですね。「美の壺」とか、個別の番組で少しずつ、すごく抑制的にやっているんですよ。NHK ONEの入口のところにきちんとリンクを張っておけばいいと思うんですが、なかなかできていない。あるいは、最終的にプラットフォームを一緒にしちゃえばいいと思うんですが、できていない。どうも区分経理を気にして、総務省、制度面を気にして抑制的にやっているように感じられるんです。

 総務省に確認したいんですが、今も、区分経理に触れないか、考え方、触れないか確認しつつと言っていますが、そもそも区分経理ですから、きちんと会計上明示されていればよくて、例えば、プラットフォームを統合しても、そこの使用料、お金のやり取りをきちんと明示していればプラットフォームを統合するのも可能だし、ダイレクトにリンクを張るのも全然問題ないと思うんですが、その辺り、総務省、いかがでしょうか。

豊嶋政府参考人 今委員御指摘のとおり、放送法上、まず、NHKは、NHKオンデマンドを含む任意的配信業務に係る経理は、その他の経理と区分をして、特別の勘定を設けて整理することとされておりますけれども、御指摘のとおり、区分経理を適切に実施する前提でございましたら、例えばNHK ONEとNHKオンデマンドの間で相互にリンクを張るということも十分可能ではないかと考えております。

 NHKにおきましては、引き続き、過去の放送番組も活用しながらサービス向上に取り組んでいただきたいというふうに考えております。

奥野委員 まず、相互リンクをすぐやっていただきたいんです。非常に不便で、一々違うページを開けなきゃいけない、アマゾンプライムの方から入っていかなきゃいけないというのは非常にやりにくいので、飛ばしてもらえるとありがたいと思いますし。最終的にはプラットフォームの統合も考えるでしょうし。これから言いますけれども、これで収益を上げて、民間にも提供して、いっときTVerと一緒みたいな話もあったんですが、そういうのも含めて、最終的には総合的なプラットフォームでいろいろなテレビ番組を見られるようになると非常に便利かなというふうに思います。

 わざわざネットフリックスまで行かなくてもいいとか、日本のプラットフォームできちんと見られれば、それはそれでいいんじゃないかと思うので、是非考えていただきたいんですが、今ちょっと触れましたけれども、番組は受信料で作られているので、なかなかそれで稼ぐということが民放との関係で難しいのかなとは思いますが、これまで難しかったのかなと思いますが、やはり、これはある意味国民共有の財産ですから、もっとこれを有効活用すべきだと思うんですね。

 例えば、NHKオンデマンドをもっと宣伝して、今言ったように使い勝手をよくしていくとか、それから、ネットフリックスなんかにもっとばんばん番組を提供するとか、そうやって収益を上げることで、その利益を視聴者や放送業界全体に還元をすればどうかというのが私の考えなんですね。

 利益が出れば、番組の質も上がるでしょうし、さっき言ったようなTVerと共通のプラットフォームなんかも提供できるかもしれないし、あるいは、中継局の共同設置なんかにももう少しお金が回せるかもしれないし、あるいは、最終的に受信料だって下げられるかもしれない。いろいろなことが、あるいは、コンテンツ産業全体の支援、先ほどの質問でもありましたけれども、そういったところにも使えるんじゃないかということで、どんどん活用すればいいと思うんですが。

 総務省、海外ではどうやっているんでしょうか、海外の事例。海外の公共放送の中で、どうやって利益を上げているか。

豊嶋政府参考人 お答えいたします。

 海外の事例ということで、海外の公共放送の事例で一つ申し上げますと、まず、知る限りで申し上げますと、一番多く行っているのは、多分BBCではないかと思っております。

 例えば、BBCにつきましては、国内は広告放送はできませんけれども、国際放送につきましては広告の収入を得ている。あるいは、アイプレーヤーとかのインターネット配信の事業を行ったりしておりまして、いわゆる多角的な事業を行っているというふうに聞いております。

奥野委員 なかなか日本と同じような形態を取っているところは少ないんですが、有料配信をやったりいろいろなことをして、全体として利益を上げていると思うんですね。

 NHKももっと、閉じこもらないで、制度があって、民間との関係等もあって、これまではなかなか難しかったと思うんですが、もう少し総務省が間に入って、コンテンツ産業と共通でして繁栄できるようなことを考えていただきたいと思います。

 例えば、NHKオンデマンドでは、実施基準の三十五条というのがあって、収支差金、もうけたお金は当該業務の支出に充てることを基本というのがたしかあるんですが、これだと、ほかになかなか使えない、じゃ、そんなに稼いでいいのかということにもつながると思うんですけれども、この辺りの見直しとかも含めてやられたらどうかと思うんです。

 会長に伺いたいんですが、もっと番組資産を活用したらどうかと思うんですが、いかがでしょうか、会長。

稲葉参考人 今ほど総務省の見解も明らかになりました。

 NHKとしても、オンデマンドのプラットフォームとしての事業の成長性、そういうことを十分考えながら取り組み、NHKが培ってきたアーカイブの価値の最大化を図ってまいりたいと思っております。

 NHKオンデマンドに関しましては、二〇二三年度に繰越欠損金を解消して、これまで進めることができなかった配信システムや、先ほど来御議論になっているユーザーの使い勝手向上のためのインターフェース改修など、サービス拡充への投資というのも始めてございます。持続可能な安定的な運営を目指している、そういう段階でございます。

 お話しのように、NHKオンデマンドのサービスの目的は、国民共有の財産である放送番組を視聴者・国民の皆様に還元することということでございまして、収入はサービスの充実に充てることが基本ではございますけれども、最終的には、事業収支差金として、副次収入として一般勘定に現在も繰り入れているということで、NHKの事業運営原資としての役割を担っているということでございます。

 そういうことをしっかり頭に入れながら、NHKオンデマンドの事業の成長性に今後とも取り組んでまいりたいというふうに考えております。

奥野委員 前向きに是非頑張っていただきたいと思います。

 この件について、大臣に。

 政府の経済対策でもコンテンツ振興とうたっているわけですが、やはりNHKのコンテンツというのは、これまで積み上げてきた国民の財産だと私は思うんですが、もっと活用すべきだということについて、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 NHKは、放送法におきまして、公共の福祉のために、あまねく日本全国において豊かでよい放送番組を受信できるように放送や配信を行う、この目的を達成するために、過去の放送番組の配信を行うことができるとされておるところでございます。

 この目的を達成するために、NHKが配信サービスの利便性の向上そして視聴者への還元の取組を行うことは重要と考えておりまして、放送法上、これを直接的に禁止する規定はないということでございます。

 NHKにおいては、放送法の規定また実施基準、これを遵守しながら、引き続きサービスの向上に取り組んでいただきたい、そういうふうに考えております。

奥野委員 制度的な面はいろいろあると思うんですが、区分経理を貫徹していれば、受信料ときっちり分けてお金の透明化を図っていれば、基本的には障害はないんじゃないかというふうに思いまして、その辺り、しっかり振興をお願いしたいというふうに思います。

 そして、残りの時間が、お配りしている毎日新聞の記事ですが、林総務大臣の労務費問題について伺います。

 実は、二年前も、当時寺田総務大臣に同じような話があって、NHK決算の場でたまたま私が質問したことがあって、そのときは、寺田大臣が私の質問ですぐ辞任されてしまったようなこともあったんですが、この事案というのは、実はそれと同じ話じゃないかということで、少し話を伺っていきたいと思います。

 お配りしているところに線を引いていますが、労務費の支出について、昨年の選挙の収支報告だと思うんですが、三つのパターンが報道されています。

 一つは、これは総務省に伺いたいんですが、類型として、本人に無断で、労務費を支払っていないのに労務者として記載されている、領収書も上がってきているということですが、一般論として、こういう場合は公職選挙法上にどのように触れるのでしょうか。

長谷川政府参考人 御答弁申し上げます。

 総務省といたしましては、個別の事案につきまして実質的調査権を有しておらず、具体的な事実関係を承知する立場にはございませんので、お答えは差し控えさせていただきます。

 その上で、一般論として申し上げますれば、公職選挙法第百八十八条第一項におきまして、出納責任者又は公職の候補者若しくは出納責任者と意思を通じてそのために支出をした者は、選挙運動に関する支出について、支出の金額、年月日及び目的を記載した領収書その他の支出を証すべき書面を徴収することとされております。

 さらに、同条第二項におきまして、出納責任者等と意思を通じて支出をした者は、徴収した領収書等を直ちに出納責任者に送付することとされております。

 また、故意又は重大な過失によりまして、公職選挙法第百八十八条の規定に違反して領収書その他の支出を証すべき書面を徴せず又はこれに虚偽の記入をしたときは、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する旨の規定がされています。

 さらに、故意又は重大な過失により、選挙運動費用収支報告書などに記載すべき事項を記載しなかった者又は虚偽の記載をした者について、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する旨の規定がされております。

 いずれにいたしましても、個別の事案が公職選挙法の規定に該当するか否かにつきましては、具体の事実に即して判断されるべきものと考えております。

奥野委員 新聞記事には線を引っ張っていますが、お金はもろうたことがない、領収書も書いたことがないとか、ポスター維持管理をした覚えはない、誰が私の名前を使って領収書を作ったのかさっぱり分からないし、気持ちが悪いなどと収支報告に記載された方が答えているという記事がありまして、一般論で言えば、こうした場合は虚偽記載になる、こういうことだと思います。

 そして、もう一つのパターン、これは週刊文春とかにもあったんですが、そもそも、実際に、労務費を支払っている、労務費をもらっているということは認めているんだけれども、労務を行っていない方の名前が載っている。

 あるいは、この記事の下の方に書いてありますが、運動員として林氏陣営の選挙カーに乗ったという男性は、ポスター維持管理費などの名目で受け取った三日分の計一万五千円について、運動員をしたからもらった、こうした形で受け取ったのは初めてだ、こういう話をしているわけですね。だから、こう答えておられるんですから、これを読むと、選挙運動の運動員に、もらった側が報酬だと意識してもらっているということなんですよ。

 もう時間がないからあれですが、要するに、これだとダイレクトに、一般論で言えば運動員買収になりかねない、こういうことをはっきりメディアの中で語っている方がおられる、こういうことになります。

 それから、ここは確認ですけれども、当時、寺田大臣のときに答弁いただいたことでありますが、一般論として、労務者報酬を支払った同じ日に、当日に選挙運動を行ったのであれば、その可能性はある。当時の寺田大臣は、労務者報酬を支払った同じ日に、当日に選挙運動を行ったのであれば違法の可能性があると答弁していますが、これは間違いないでしょうか。

長谷川政府参考人 御答弁申し上げます。

 総務省といたしましては、個別の事案につきまして実質的調査権を有しておらず、具体的な事実関係を承知する立場にはございません。

 その上で、一般論として公職選挙法の規定について申し上げますと、労務者に対して報酬を支給することはできますが、選挙運動に従事する者に対しては、車上運動員などを除き、報酬を支給することはできないこととされております。

 また、従事の実態により判断することになりますが、一般的には、同じ人を同じ日に労務のほかに選挙運動にも従事させる場合には、その者に対して報酬を支給することはできないと解されているところでございます。

 いずれにいたしましても、個別の事案が公職選挙法の規定に該当するか否かにつきましては、個別具体の事実に即して判断されるべきものと考えております。

奥野委員 そうなんですね。

 寺田大臣は、このことを答えて、違法の可能性があると答えた上で、更に私の問いに対して答えていて、出陣式に居合わせたということだけで、あるいはのぼりを持っていたとか、それは選挙運動になろうかと思いますというふうに答弁をされました。その日の夕方かな、同じように掲示板にポスターを貼ったことに対して労務報酬を支払った地方議員の方がのぼりを持って出陣式に出ている映像がしっかり残っていて、それが報道されて、結局耐え切れず、寺田大臣は辞任に至ったということだったんですよ。総務大臣としても、恐らく所管の大臣としても示しがつかないという御判断もあったのかと思われます。

 それで、先日の二十日の質疑で林大臣は、労務費の領収書と同じ日付で御地元の市議会議員及び県議会議員の方が遊説に参加して頑張ろうをしている、こういう資料が共産党の辰巳先生の資料で出ていて、これに対して大臣の答弁を見ると、労務と同一日において選挙運動を依頼することは意図しないと。意図しないとは言っておられるんですが、否定はしていないんですね。

 領収書の日付の日に御地元の地方議員の方が頑張ろうをしている、街宣車の横で頑張ろうをしているということについて否定はしていないんですが、それは、そういう事実があったということでよろしいんでしょうか。

林国務大臣 まず、個別の行為が選挙運動に当たるかどうか、これは具体の事実に即して判断されるべきものと考えております。

 選対事務局としては、ポスターの貼付などの機械的労務に対して報酬を支払ったものでございまして、選挙運動に対して報酬を支払うこと等はしていないと報告を受けております。

 これまでも申し上げておるところでございますが、現在、事務所において確認作業を進めておるところでございます。正確に事実関係を把握するためには一定の時間を要することから、現時点で確たることを申し上げることは難しいと考えております。

奥野委員 もう一度確認しますが、先日の答弁は、意図しないとおっしゃっておられますが、じゃ、頑張ろうの日と領収書の日が一致していることについて、これは事実ではない、あるいは事実と確認できない、こういう答弁なんでしょうか。あれは結構明確な資料だったと思うんですけれども。

林国務大臣 前回も御答弁したとおりでございますが、今、事務所において確認作業を進めておるところでございますので、先ほども申し上げましたが、正確に事実関係を把握するためには一定の時間を要するということで、現時点で確たることを申し上げることは難しいと考えてございます。結果がまとまり次第、説明をしてまいりたいと考えております。

奥野委員 結構いろいろなメディアとかも調査をしていて、領収書の日付と選挙運動の日付が一致しているというのは事実として確認されつつあるというふうに思いますが、意図がなければ違反じゃないというのは、ちょっと違うと思うんですね。

 寺田大臣のときもそうですけれども、寺田大臣はその行為があったことを認めて辞職に至ったということなんですよ。ですから、意図があったかどうかは、そもそも制度上、そこは関係ないと思いますが、そこはどうなんですかね。意図がなければ、故意じゃなければ、これは適法なんでしょうか。

長谷川政府参考人 御答弁申し上げます。

 総務省といたしましては、個別の事案について実質的な調査権を有しておりません。具体的な事実関係を承知する立場にはございませんので、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

 その上で、一般論でございますけれども、まず、刑罰に関しましては、公職選挙法の刑罰については、一定のものを除きまして、故意でなければ罰せられないといったようなことにはなっております。

 また、そもそも一般論として、同法第二百二十一条第一項第一号の買収の罪に該当するかどうかにつきましては、具体の事実に即して判断すべきものと考えております。

奥野委員 意図があるかどうかということは、そこは判断材料にならないということだと思うんですね。あくまで、同じ日に支払っているかどうか、選挙運動と同じ日に労務費を支払っているかどうか。しかも、たとえ労務に対する対価であっても、同じ日に選挙運動しちゃいけないということは、そこは違法であるということは明確になっているわけであります。

 その上で、大臣、調査とずっとこの間おっしゃられていますが、これはいつ調査が終わり、それをどのような形で公表されるのでありましょうか。

林国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたが、やはり正確に事実関係を把握するためには一定の時間を要することから、現時点でその時期について確たることを申し上げることは難しいと考えておりますが、結果がまとまり次第、しっかりと説明をしてまいりたいと考えております。

奥野委員 よくあるパターンが、会期末を経て、国会が閉じてしまったら、もうなかなか質問のしようもないわけですよ。お正月が来て何となくうやむやになってしまうというのは、これまでもそういう事案が散見されたように思うんですね。

 ということで、是非、この会期中というか、この総務委員会の場で、この後補正審議もあるんでしょうから、それまでに調査を終えて、この委員会の場でしっかり公表いただけないでしょうか。あるいは、予算委員会の補正審議もありますから、そういった場で身の潔白をしっかり晴らされたらいかがかと思いますが、いかがですか。

林国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、正確に事実関係を把握するためには一定の時間を要するということでございますので、現時点で確たることを申し上げることは難しいと考えておりますが、結果がまとまり次第、説明をしてまいりたいというふうに考えております。

奥野委員 残念ながら、完全には否定されないわけですよ。ここが本当に残念なところでして。絶対ないとは言えない、確たることは申し上げられないということはそういうことだと思うので、しっかり調べていただいて。

 先ほど、NHKのコンテンツなどにも前向きな御答弁をいただきましたし、頑張っていただきたいと思うのですが、しかし、さすがに所管大臣としてこの問題をうやむやにしておくわけには私はいかないと思うし、過去、寺田大臣もこれで潔くお辞めになっていますから、そういう事実があれば、そこはそれなりの覚悟をしていただかなきゃいけないというふうに思うので、しっかり、できるだけ早く調査をして、お示しいただきたいと思います。

 今までの資料だけを見ても十分、反論し難いと私は思うんですけれども、もし明確に違うというのであれば、そこはしっかり資料を出していただきたいと思います。

 時間が来ましたので、以上で終わります。

佐藤委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹でございます。

 では、早速、NHKの二〇二〇年度から二〇二三年度の決算について質問をいたしますが、その前に、まず、聴覚に障害のあるアスリートの方たちの国際スポーツ大会、デフリンピックが、十一月十五日から昨日まで開催されました。昨日、閉幕式が行われました。

 この点については、全日本ろうあ連盟デフリンピック運営委員会、東京二〇二五デフリンピック日本代表選手、関係者、通訳の皆様、そして東京都の関係者の皆様、そしてNHKの皆様にも、本当に、御努力、御尽力に敬意を表したい、感謝申し上げたいというふうに思います。

 NHKに関しては、日本初開催のデフリンピックに関して、本当に、関連番組や様々な放送コンテンツを作っていただきました。私も拝見させていただきました。この中にも、実際に大会、試合を御覧になった方もいらっしゃると思いますが、本当に、NHKの皆様にもそういった点で御尽力いただいたことによりまして、私は、これで、デフリンピックによって聴覚障害への理解が進んだ、また、誰もが暮らしやすい社会を目指す、そうした大きなきっかけとなったかなというふうに思います。

 国会においても、さきの通常国会で、手話施策推進法が、デフリンピックが開催される前に何とか成立にこぎ着けたということで、これからも、聴覚のみならず、障害のあるなしにかかわらず、安心して暮らし、働ける日本づくりに向けて、共に頑張っていきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

 一つ、実は、今日の新聞に載っていたことで、通告なしになってしまいますが、直前にちょっと質問をするということをお伝えしたことで、お許しください。公用車のNHK受信料未払い問題についてでございます。

 今朝の読売新聞によりますと、岐阜県の江崎知事が、昨日、NHKの小池専務とお会いになって、全国の自治体で公用車に搭載したテレビ受信機能つきカーナビなどでNHKの受信料が未払いになっている問題について、この点について、非公開でございますけれども、県によりますと、江崎知事からは、視聴目的でカーナビを所有しているわけではないと強調して、放送法の受信契約締結などに関する解釈の見直しや、自治体など事業所の受信契約を一世帯一契約とする受信規約に準じた対応をするように求めたというふうにされています。これに対して、小池専務理事は、放送法の所管が総務省である点を挙げ、我々は何もできないなどと答えられ、また、受信契約については、不断の見直しの中で検討していくと述べるにとどまったということでございます。

 まず、NHKに伺いたいと思いますが、この事実確認と、ここで、記事にあります、不断の見直しの中で検討していく、この検討ということの具体的な中身について御答弁いただければ幸いです。

小池参考人 お答えいたします。

 岐阜県の江崎知事からは、公用車に設置されたカーナビを、放送の受信を目的としない受信設備として扱い、契約の対象外としてほしいといった要望がありました。

 これに関して意見交換を行い、放送法の解釈、事業所契約の単位の在り方、事業所契約の仕組みの丁寧な周知などについて御意見を頂戴しました。

 放送法の解釈につきましては、こちらの方からは、見る、見ないという設置者の主観によるものではなく、受信設備の設置に対して契約締結義務が発生するとした二〇一七年の最高裁判決などを説明して理解を求めましたが、江崎知事は、総務省の方に照会したいというお話がありました。

 二つ目の、契約の単位の在り方につきましては、放送通信技術の発展も踏まえて、将来的に何ができるか検討していく必要があると考えており、今後、会長の諮問機関でありますNHK受信料制度等検討委員会にも意見をお聞きしながら、検討していきたいと考えております。

 三つ目の、事業所契約の仕組みにつきましては、事業所の方に分かりやすく御案内をすることは重要だと考えておりまして、今回、NHK ONEのスタートに合わせてパンフレットなども刷新しております。これに加えて、自動車の販売、リース等の業界団体にも周知の協力を呼びかけていきたいと考えております。

道下委員 この点については、これまでも質問主意書等で問合せが、質問があったというふうに思いますが、その中で、政府は、NHKが考えることというような内容の質問主意書が、返ってきているんですよね。でも、やはりこれは放送法に関係することで、総務省も大変重要な、所管ですから、役割を担わなきゃいけない。

 全国の自治体は困っているんですよ。公用車を発注する中で、カーナビをつけてほしいとかはあるかもしれないけれども、テレビの受信ができるようにとか、そこまで細かくしていないと思うんですよね。たまたま、カーナビがついていたら、テレビが見られるようになっていた。でも、仕事中にテレビを見る職員はいると思いますか、移動しているときに。そうした中で、たまたまついていたのに、後になって受信料を払ってくださいと言われる、こうしたところは、非常に私は、自治体にとって大変厳しい、法律や制度のはざまに陥ってしまっていると思います。

 総務省は、放送法も所管していますし、地方自治行政も所管している。こうした中で、やはりこれは何らか改善しなきゃいけないと思います。

 ちょっとこれも通告はしなかったんですけれども、総務省から、NHKと話し合って、これについて、自治体もちゃんと納得ができるような法改正なり規約改正をやっていただけませんか。いかがですか。

豊嶋政府参考人 まず、放送法におきましては、NHKの放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、受信規約に基づき受信契約を締結しなければならないというふうに規定をされております。したがいまして、NHKのテレビ放送を受信できるカーナビについても、受信契約の締結対象となるということになっております。

 しかしながら、今委員から御質問がございましたが、本件につきまして、NHKにおきまして丁寧な説明に努めていただく、これがまず第一義に重要かと思っております。

 また、あわせまして、丁寧な説明に当たって、単にNHKからだけということではなくて、例えば、車の購入に関わるところでありましたら、関係する業界団体もございますので、NHKにおいて適切な説明をしっかりしていただくということを検討していただきたいと思います。

 また、あわせまして、先ほど申し上げたとおり、受信規約に基づき契約を締結するというふうになっておりまして、先ほどNHKから答弁がありましたが、NHKにおいても併せて検討を進めていく旨の発言がございましたので、NHKにおける検討状況については、総務省としてもしっかり把握をしてまいりたいと思っております。

道下委員 把握していただいた上で、必要であれば放送法の改正、我々も協力させていただきますので、我々というか、私個人は協力いたしますので。これは自治体にとって厳しいですよ、本当に。支払ったところとまだ支払っていないところ、また不公平も出てきますから、早急に検討を総務省とNHKで進めていただきたいというふうに要望しておきます。

 それでは、通告に従って質問をさせていただきます。中継局設備の共同利用についてでございます。

 これについては、二〇二三年の放送法改正を受けて、NHKは、民放と中継局設備を共同利用するための子会社、日本ブロードキャストネットワークを設立し、二〇二五年末をめどに子会社の中継局の共同利用事業を本格化するとし、NHKは還元目的積立金から六百億円を子会社に拠出、出資する予定でしたが、今年九月に、NHKは、この子会社の事業モデルについて、長期的な事業の維持が難しいと判断、また、費用対効果が合わないというか、別途の在り方、事業の在り方も模索するとして、この計画の大幅修正を、一部の報道機関によれば白紙撤回とも言われています、NHKは表明したというふうに承知しております。

 本来であれば、十月にも子会社は始動するという計画でございましたけれども、当初の計画より大幅に遅れていることについて、NHK会長と総務大臣の認識を伺いたいと思います。

稲葉参考人 中継局の共同利用につきまして、これは検討を深めていくという中で、当初の案では持続的な事業運営がなかなか難しいということが分かったために、極めて技術的なことではございましたが、一部変更が不可欠と判断しました。

 一般に、大きなプロジェクトを仕立てるといいますか形成していく際には、往々にして、前提条件等が変化をしたりいたしまして、それに対してそれなりの修正なり対応をしなきゃいけないということがよくございます。今回も、どちらかというとそういったような類いの話でございまして、NHKとして、白紙撤回したとか、そういうふうな表現が適切な状況ではないというふうに思ってございます。

 いずれにしても、プロジェクトの目的達成を確実にするために、これまでの検討を踏まえて、事業スキームにどういう見直しをしていったらよいか、そういう点の協議を関係者にお願いしたということでございます。

 御心配をおかけしてございますけれども、現状、新たな事業スキームは合意に向けて前進している状況でございまして、できるだけ早く協議を進めて内容を固めたいと今思ってございますし、来年度の二〇二六年度のNHK予算には計上したいというふうに考えてございます。

 NHKは、還元目的積立金の六百億円を活用して、民放と協調して二元体制による放送ネットワークを維持する、そのために積極的に対応するという考えにいささかも変更はございません。引き続き、事業の在り方について関係者と丁寧に協議を続けていきたいというふうに考えてございます。

林国務大臣 今、NHK会長からも御答弁があったところですが、中継局共同利用、これについては、持続可能な放送ネットワーク構築のための有効な選択肢として、今ほど御答弁がありましたが、現在、NHKと民間放送事業者の間で、事業スキーム、これを見直した上で検討が進められている、そういうふうに承知をしております。

 総務省といたしましては、放送法の趣旨を踏まえまして、将来にわたって安定的に放送のネットワークインフラ、これが提供されますように、引き続き放送事業者の取組が進められるということを期待をしておるところでございます。

道下委員 この点について、私は、以前、二〇二三年三月十四日の総務委員会で、当時、NHKの予算案について質疑をしていたときに、中継局の共同利用について、私は懸念を申し上げました。それについても、当時の松本総務大臣も、懸念もあるかもしれませんが、放送全体の発展のために必要なことだと考えているというふうに答弁をされました。

 特に今回、還元目的積立金、元々は受信料です、集めた受信料によって賄われているもので、それが、民放が今、スポンサーからなかなかスポンサー料を得られない、経営が厳しいということで、これから更新時期を迎える中継局の建設や更新費用、管理費用をNHKと一緒にやっていきたいということで、放送法を改正してまでこのようなことができるようにしているんですけれども、私は、ある意味で、民放の経営を受信料で支えてしまうのかということも非常に懸念をしておりました。

 これも、今回、一部の報道というか、今年十月二十七日付の映像新聞によれば、新しい方策として、この子会社について、還元目的積立金六百億円を二百億円と四百億円に分けて、そして、今想定されるのは、NHK財団に基金として積み立てて、それで共同利用の中継局の更新等に充てるだとか建設などに充てるという新たなスキームが提案されているということが映像新聞によって報道されています。他の新聞社もいろいろと報道していますが。

 こういったNHKと民放と総務省の間の協議、やり取りは、総務省において中継局共同利用推進全国協議会というのが設置されて、総会とあと運営委員会、協議会かな、これが議論されているんですけれども、オンラインとかで二十分とか二十五分で、ホームページで掲載されているのは本当に議事概要だけで、誰が何を言ったとか全くないんですよね、資料も公開されていない。どういった議論が行われているのかということが国民や我々NHKの受信料を支払っている者にも全く分からない中で、はっきり言って私は、この中継局の共同利用事業は、受信料を基にして営利企業である民放を支える形になっている、これが本当に国民・視聴者に対して十分に公開されていないというところも問題だと思うんですよ。

 そして、しかも、還元目的積立金は、六百億円は、法律上も、二〇二六年度にちゃんと使途を決めなきゃ二〇二七年には原則繰り越せないという中身だから急いでしまっているというふうに思うんですが、もう一度これを考えて、当初の目的や、又はNHKが民放を支えるとかじゃなくて、ちゃんと正しい、共同利用するんですから、お互い出資し合って中継局の建設や更新をするということが私は望ましいと思うんですが、その点についてNHKの答弁を求めたいと思います。

稲葉参考人 今、関係者において新しい事業スキームを検討している最中でございますので、その辺の会議の模様についてどうディスクローズするかというのは、いろいろな考え方があろうかというふうに思います。いずれにしても、協議の最中でございますので、若干御不満に思われるようなことがあるいはあるかと思います。

 ただ、新しい方策についての考え方なんですけれども、実は、共同利用会社を使って中継局の共同利用事業を全面的にやっていくということを考えますと、ちょっと共同利用会社の負担が大きくて、全体的には、収益的に参加者が十分満足するような状況がつくれないということが分かったので、その辺、共同利用会社の役割を少しつづめまして、その一方で、基金を設立して、中継局の共同設備をする先に対しては助成するという新しい考え方を入れて、それでハイブリッドな形でその二つの事業を組み合わせることで放送ネットワークの維持効率化を実現していきたいというふうな見直し案を今提示しているということでございます。

 協議を続けている最中なので、具体的な事業内容については詳しく申し上げることはできないんですけれども、先ほど申し上げたとおり、大分その議論が進捗してございます。今、固める作業を進めてございますので、このピッチでやっていき、来年度、二〇二六年度のNHK予算に計上できるというふうに思います。

 いずれにしても、丁寧に協議を続けて、新たな事業スキームの具体化を図る、民間放送事業者との連携、協力を将来にわたって視聴者・国民に放送を届けていくために実現していく、そういうふうな考えでございます。

道下委員 難視聴地域を解消するために、ミニサテライト、本当に小規模よりも更に小さい中継局を民放とNHKで共同で更新、運営することというのは、私はあり得ると思いますが、やはり原則としては、NHKと民放は、中継局、小規模も含めて、やはり別々にちゃんと設置して、これが災害時に一本だと、共同で一本の中継局で倒れたら民放もNHKも放送できないわけですから、私は、リスク分散という形でも、NHKと民放は、できる限りというか、小規模中継局、大規模、親局もありますけれども、極力別々に中継局は設置し、更新し、運営すべきだというふうに思いますし、よもや受信料で民放の経営を支えるようなことがあってはならないと私は思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 時間も限られているので、二番目の、NHKサイトの一部停止、閉鎖についてでございます。

 NHKは、九月までは放送法、インターネット活用業務実施基準に基づいて運用して、様々なサイトを運営してきましたけれども、放送法改正に伴ってインターネットサービスの見直しを行ったことによって、一部サイトが見られない、例えば、私もよく利用した政治マガジンだとか、あとは性暴力を考えるサイトとかいろいろあります。私は、これは、これまでの受信料によって、積み重ねられた過去の取材や、あとは独自なものも含めて、放送番組から派生したり補完する趣旨、目的の内容だったというふうに思います。

 当初は、二〇二四年の朝日新聞によりますと、中身の更新とかはないけれども、閲覧はできるということだったんですが、もう閲覧もできなくなっているサイトが多くあるわけですね。私は、これは、停止や、更新はしなくてもいいんですけれども、閲覧はずっと続けられるようにした方がいいと思う。しかも、過去に言ったことが、今では新しい、現代になって変わってきたから、そこで突っ込まれないようにという話も聞いているんですけれども、私は、そうじゃなくて、過去、こういう社会状況や国際状況だったからこういう現状だったとか、NHKとしては、取材でこういう報道をしたとか、こういう考えだとか、過去の歴史とか経緯を知るために大変重要な、先ほどもあった、アーカイブ資産と僕は思っているんです。

 だから、私自身は、停止はあり得ても、これは閲覧できなくなるんじゃなくて、復活を求めたいと思います。署名も行われています。是非、この点、御検討いただきたい。規約がとか放送法がとかじゃなくて、民放のこともあるかもしれませんが、是非、その点、御検討いただきたい。よろしくお願いします。

 NHK会長、御答弁をお願いします。

稲葉参考人 なかなかこれは表現が難しいんですけれども、政治マガジン、言ってみれば、NHKのネット必須業務化をお認めいただける前に試行的に許された、そういう試みにやっている番組です。

 確かに、一部の視聴者の方からはそれなりの評価をいただいている面があります。でも、それは、何で評価を得ているのかというのをよく吟味してみますと、ちょうどネットの社会で、いろいろ、本当の情報か偽の情報かよく分からないんだけれども面白いというのがもてはやされるような、そういう傾向がなかったかというふうに思います。

 今やっている、十月一日からやっているNHKのネット社会に対する配信業務ですけれども、これは明らかにNHKの基準に沿った、あくまでも正しい情報を提供する場、豊かな番組を発信すること、あくまでNHKの基準に合ったそういうものをお出ししたいというふうに思っています。

 もちろん、一部のネットを喜んで見る方々に対して喜ばれるという側面はなくなっているかもしれません。ただし、本当に正しい情報を提供するというネットの配信にはなるだろうというふうに思います。それでもって、ネットを含む情報空間がより健全になるようにNHKは努力していきたいというふうに思います。

 したがって、過去の試しにやっていたものは、もう配信しないということでございます。

道下委員 もう時間がないので質問はやめますが、試しではないです。あれは我々はNHKとして発信した正しい情報だと思いますし、十月までのことはしっかりと閲覧できるようにすべきだ、それがオールドメディアと言われるNHKの責務だと私は申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、松田功君。

松田委員 皆さん、こんにちは。

 今日は、十一月二十七日、ノーベル賞の制定記念日でもあり、そして、私の出身地でもある、現在の愛知県が誕生した日でもあるということで、そのことをお伝えして、また、今日誕生日を迎えられた皆様、おめでとうございます。

 立憲民主党の松田功でございます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 初めに、NHKの事業収入の推移についてお伺いをいたします。

 NHKの令和二年度から令和五年度における決算内容について、国会に提出された財務諸表などの資料を見ますと、事業収入は一貫して減少傾向にあります。実際、令和五年度の事業収入は令和二年度と比べて大幅に減少しており、右肩下がりの状況が続いています。

 そこで、伺います。NHK自身が認識している事業収入減少の主な原因は何でしょうか。お聞きいたします。

    〔委員長退席、岡島委員長代理着席〕

稲葉参考人 この点は、皆さん、本当に御承知のとおりだと思います。

 事業収入の減少は、二〇二〇年と二〇二三年に実施しました値下げに加えまして、巡回型訪問営業活動、これも廃止したということなどの影響によりまして、受信料収入が減少したということでございます。

松田委員 令和二年度以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、対面での接触を控えざるを得なくなったこともあったでしょう。また、NHKは、それまでの対面による訪問営業から、訪問によらない営業へと営業方針を転換したということであります。

 その結果、新たな受信契約の獲得が難しくなったと推測され、支払い率、そして受信料収入も大きく落ち込んだものと考えております。新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収束した現在においても、支払い率は令和元年度の水準まで回復をしていない状況であります。

 そこで、伺います。NHK自身が認識している、受信料収入減少の主たる原因をお聞かせください。

稲葉参考人 数字をお答えすることでお答えになるのであれば申し上げるんですけれども、受信料収入は、二〇二〇年十月から実施した地上契約、衛星契約の二・五%の値下げ、二〇二三年十月から実施した一〇%値下げ、その他に巡回型訪問活動を廃止したことなどによる受信契約件数の減少、未収数の拡大などによって減収となったということですが、大きく言えば、受信料収入の値下げというのが利いていると。

 その後の、少し下がっているという状況についてはいろいろな原因が考えられるわけですけれども、必ずしも、どの要因が一番大きいかなどという、そういう断定ができるような状況にはなっていない。

 いずれにしても、ここのところ大きく受信料収入が落ちているのは値下げの影響であるというふうに理解してよろしいんじゃないかと思います。

松田委員 率の方は、お答えはいただけないでしょうか。

小池参考人 お答えいたします。

 受信料の支払い率でありますが、委員御指摘のとおり、コロナ禍を踏まえて、支払い率が、一九年は八一%でありましたが、現在、二四年度は七八%というふうに、受信料収入の減少に伴いまして、支払い率も減少しているといった状況であります。

松田委員 値下げの影響とかいうこともありますが、やはり、市民の皆さんが公共放送を安心して見るためにも、NHKとしても努力をされている部分だというふうには認識はいたしております。

 続きまして、先ほども申し上げましたとおり、NHKの事業収入は減少傾向が続いております。このように事業収入の減少が続くと、番組の制作費や地域放送局における取材力が縮小し、現場や関連団体にしわ寄せが行ってしまうことで、公共放送としての役割を十分に果たせなくなるような事態が生じるのではないでしょうか。

 そこで、伺います。継続的な事業収入の減少による弊害として、現にどのような事態が生じているのか。また、今後、どのような事態が生じることが考えられますでしょうか。お聞かせください。

    〔岡島委員長代理退席、委員長着席〕

稲葉参考人 かねて申し上げてございますけれども、事業収入が減っている局面であっても、放送サービスが低下するということはあってはならないというふうに考えております。

 千三百億円にも上る支出削減を行う必要があるわけですけれども、その中で、構造改革を進める一方で、経営資源を最適配分する、そういう方針の下で、コンテンツの質と量は維持するという形で事業運営に取り組んできてございます。この点は何回も、委員会でもその旨発表させていただきました。

 近年、水害あるいは地震など、災害の頻発、激甚化が進む中で、命と暮らしを守る、そういう報道がますます重要になっていることを認識してございます。

 事業収入が減少してございますけれども、緊急報道を確実に行うための全国ネットワーク強化に取り組むとともに、十月からのインターネット必須業務化で、テレビ、ラジオの放送に加え、インターネット配信でも発信を強化してございます。来年度、新たな報道拠点となる情報棟の運用開始などもございます。

 今後とも、災害報道などに万全を期してまいりたいというふうに思っております。

松田委員 NHKは、民間放送のようにスポンサーの意向に左右されず、公共放送として、国民・視聴者に対して中立かつ公平な情報を提供し続けるためには、安定した財源の確保が不可欠であります。その基盤となっているのが受信料制度であり、受信料収入を今後も安定的に確保し続けていくためには、テレビ視聴者とともに、NHK ONEの受信者を増やす新たな受信契約の獲得が重要になってくるのではないでしょうか。

 そこで、伺います。NHKとして、新たな受信契約を獲得することの必要性をどのように認識をいたしておりますでしょうか。また、近年における受信契約数の減少傾向を踏まえ、その改善に向けて、今後どのような方策を講じていくのか、具体的にお答えください。

稲葉参考人 NHKは受信料で成り立っている組織でございまして、受信料の公平負担のためには、受信契約を結んでいただき、継続的に受信料をお支払いいただける方を増やしていくということが大事なことだと認識してございます。

 NHKでは、支払い率の維持向上に向けて、NHKの公共的価値に共感し、納得して受信料をお支払いいただける方を増やす新たな営業アプローチを強化しているところでございます。

 具体的には、外部データ等を利用して、新築や入居者の入れ替わりが多い地域に対して集中的に対策を行うこと、特別あて所配達郵便等の施策の改善に取り組むこと、自主的な新規契約の届出を増やしていくというような形でやっております。

 また、この十月から始まったNHK ONEはテレビを持たずに配信のみを受信している方にも受信料を御負担していただくということになってございまして、ネットでもNHKの生活の情報や豊かな番組コンテンツに触れていただくことで新規の契約に結びつけていきたいというふうに考えてございます。

松田委員 NHKは、放送法に基づく公共放送として、国民・視聴者からの受信料を主な財源として運営されております。テレビを設置しているのにNHKは見ないから受信料は払いたくないなどという方もお見えですが、受信料は、ニュースや教育番組、防災情報など、国民生活に不可欠な放送サービスを安定的に提供するための基盤となっております。

 そこで、改めて伺います。受信料制度の法的位置づけ、受信料制度の必要性、受信料の支払い率向上に向けたNHKの取組についてお答えください。

稲葉参考人 受信料は公共放送NHKを維持運営するための財源でございます。放送法六十四条を根拠とし、NHKが公共放送としての業務を行うために必要な経費を、受信機の設置者やNHKの配信の受信を開始した者に公平に負担していただくという考え方に基づくものでございまして、報道機関であるNHKの組織運営の独立性、番組編集の自主自律を財源面から保障しているというふうに言ってよろしいかと思います。

 放送と通信の融合時代を迎えましても、放送法十五条である確かな情報や豊かな番組コンテンツを、いつでもどこでも誰にでも伝えるという公共放送としての役割は引き続き重要だというふうに考えておりまして、その財源としては、広く視聴者の皆様に負担していただく受信料がふさわしいというふうに考えてございます。

 支払い率を維持向上させていくためには、多くの方にNHKの放送サービスに触れていただくということとともに、自主的な新規契約の届出の増加や未収の削減が必要でございまして、現在取り組んでいる新たな営業アプローチを更に強化していきたいというふうに考えてございます。

松田委員 ちょっと時間の方がなくなってきているので、先に四番の質問に変えさせていただきたいと思います。

 NHKの大きな役割の一つとして、未就学児を対象とした教育番組が重要であると私自身は考えているところであります。

 そこで、近年、民放各局では、ビジネス上の事情や少子化の影響もあり、二歳から六歳までの未就学児を対象とした番組が減少傾向にあるのではないかと感じております。

 NHK放送文化研究所が令和四年に実施した未就学児を対象とした幼児視聴率調査によれば、NHKと民放を合わせて、よく視聴されている番組のほとんどがEテレの番組でした。唯一無二、ランクインしたのが、民放の番組はアニメのみであります。

 Eテレは、アニメに加えて、教育番組、音楽番組、語学番組など幅広いジャンルを手がけて、幼児、子供向けに多様な番組を提供をいたしております。これは公共放送であるNHKだからこそ実現できる取組であり、今後もより充実した幼児、子供向け番組の提供を心より期待するところでございます。

 そこで、伺います。こうした状況を踏まえ、幼児、子供向けの番組の提供について、NHKとしてどのような考え方を持ち、今後どのような取組を進めていくのか、お聞かせをください。

稲葉参考人 Eテレがございまして、これはあらゆる世代の学びを支える教育専門チャンネルでございます。視聴者の知りたい、学びたいという気持ちに応え、人生を豊かにできるようなコンテンツの発信をしてございます。

 とりわけ未就学児を対象とした教育番組の重要性というのは強く認識してございまして、これまでも様々な番組を放送してございます。

 主な番組としては、昨年六十五周年を迎えた「おかあさんといっしょ」を始め、「ピタゴラスイッチ」「デザインあneo」など、子供たちの好奇心を刺激し、創造性を育む番組や、語学番組「にほんごであそぼ」「えいごであそぼ」などがありまして、これからも多様なジャンルでの番組を放送していきたいというふうに思います。

 こうした番組は、各家庭の生活時間に合わせて、いつでもどこでも繰り返し御覧いただけるNHK ONEでの視聴にも適しているというふうに考えてございます。NHK ONEのテレビ向けアプリには子供向け番組のみを案内するキッズモードの機能もございまして、大きな画面で安心して御覧いただける、また、一部の番組はNHKオンデマンドでも長期間配信してございまして、こうしたことをPRして、より多くの御家庭で活用してもらえるよう努めていきたいというふうに思います。

 引き続き、良質な教育・幼児子供コンテンツの充実を図っていくというふうにお答えしたいわけでございますが、ただ、私は、未就学児童だけでなくて、百歳を超えるお年寄りの方でも満足していただけるような番組も併せて充実していきたいというふうに思っております。

松田委員 会長、力強くいただいて、ありがとうございます。是非、いい番組を作っていただきたいと思います。

 最後の質問になります。

 NHKの歴史を振り返りますと、その原点の一つは大正十二年九月一日に発生した関東大震災にあります。震災を契機として、国民に正確で信頼できる情報を迅速に届ける手段として、海外で行われていたラジオ放送の重要性が注目され、今からちょうど百年前、大正十四年三月二十二日には社団法人東京放送局による日本初のラジオ放送が開始されました。

 テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、いわゆるマスコミ四媒体を広告市場として見た場合、ラジオ市場は規模は比較的小さいと言えます。しかし、災害時におけるラジオ放送の重要性や機動性の高さは今も変わらず、停電や断線による通信障害、物流停止の際でも、ラジオ放送は、命を守る道具として、情報を確実に届ける手段として機能をし続けております。

 そこで、NHKにお伺いをいたします。NHK業務の中で災害時におけるラジオ放送をどのように位置づけ、また、どのような課題があると認識していらっしゃるのでしょうか。さらに、その課題の解決に向けた今後の見通しや対応方針について、具体的にお聞かせください。

稲葉参考人 御指摘のとおり、大規模災害時、ラジオでは特に、ニュースや生活情報、帰宅困難者向け情報など、きめ細かい情報を迅速に発信することに努めてございます。停電時でも放送を受信できるラジオが果たす役割というのは大変大きいというふうに思ってございます。

 近年はラジオの受信機を利用する人が減っているという傾向がありますが、その一方で、インターネットを通じてラジオを利用するという方も増えてございます。そういうことなので、NHKのラジオ放送の同時配信、聞き逃し配信などを提供しているインターネットラジオの「らじる・らじる」では、ホームページに加えまして、スマートフォンのアプリでも利用できるということでございます。

 災害時や停電時であっても、通信環境さえ整えば誰でも聞いていただけるということでございますので、ラジオでの情報発信の充実とともに、こうした「らじる・らじる」の周知及びその普及に努め、引き続き、あらゆる手段で情報発信に努めていきたいというふうに考えてございます。

松田委員 是非、いい放送、公共放送の大切な重要性をしっかりかみしめていただいて、是非、いい放送を続けていただきますようお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 れいわ新選組の高井崇志でございます。

 私は総務省出身で、総務委員会に長く在籍していたので、これまでもNHKさんにはいろいろな苦言や提案を様々やってきたということもあって、今日は山川委員に代わって、私から志願して質問に立たせていただきます。

 ただ、NHK決算の前に、ふだん総務委員会所属じゃないのでなかなか総務大臣に聞く機会もないものですから、二、三、大臣に、議題外ではありますが、お聞きしたいと思います。

 林大臣が総務大臣になって、あれ、何で、何かちょっと畑違いじゃないのと思われた方はいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはないんですね。林大臣は、実は、デジタルソサエティ議員連盟という超党派の議員連盟が、IT政策を進める、これは元々平井卓也さんが議連の会長だったんですけれども、平井さんがデジタル大臣になったときに、林さんが今度は議連の会長になって。

 ちょうどそのときに、超党派で、議員立法で、デジタルファースト法案、こういう法案を作ろうということで、私もこの議連の委員だったものですから、一緒に作って、そして、案文もできて、もうちょっとで成立するというところで、実は立憲民主党がまとめられなくて、私、当時立憲民主党にいまして、本当に申し訳なかった。私、林大臣にそのことを、まずおわびを今日は申し上げたいと思って、ちょうどいい機会をいただいたと思います。

 そういう、IT政策にも明るい林大臣ですが、これまでのデジタル政策をどのように評価しているか、あるいは、今後どのように取り組む考えか、まずそこをお聞かせください。

林国務大臣 高井委員には、懐かしいお話を今していただきまして、ありがとうございます。

 あの当時、立憲民主党の担当の委員として、本当にお骨折りをいただいて、本当に感謝申し上げるところでございますが、デジタルファースト法案そのものは残念ながら法律にはなりませんでしたが、これを参考に、令和元年にデジタル手続法というのが成立をした、こういうふうに受け止めております。

 その後も、デジタル政策に関する政府の取組、これは令和三年に、今度はデジタル社会形成基本法というのが成立いたしまして、そして、まさに政府の司令塔としてデジタル庁が設置をされました。誰一人取り残されないデジタル化をという理念の下で、行政手続のオンライン化のほかに、国、地方の情報基盤整備、データ利活用の推進など、様々な取組が推進されまして、着実に成果を上げてきたもの、こういうふうに認識をしておるところでございます。

 総務省においてこういうことをやっているというのは、もう釈迦に説法だと思いますが、安全、確実な本人確認ができるデジタル社会の基盤となるツールとして、マイナンバーカードの普及を進めてまいりました。また、住民の皆様の利便性の向上、そして業務効率化、こうしたことを図るために、自治体情報システムの標準化、そしてデジタル技術を活用した自治体の窓口業務改革、こういうことに取り組んでいるところでございまして、引き続き、デジタル庁を始め関係省庁と連携して、先生の御指導をいただきながら、デジタル施策の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

高井委員 私も総務省出身で、旧郵政省なので、ずっとIT政策をやってきました。本当に、IT分野、デジタル分野、ますます大事になって、総務省の役割も大事になりますが、私は、一番総務省が力を入れてほしい、そして、今の組織では一つの課でしかやっていないことがありまして、それがSNSの誹謗中傷対策です。

 これは、この委員会でも何度か私は取り上げて、私の友人がSNSに事実じゃないことを書かれて、それによって仕事を失いかねなかった、本当に自死まで考えるぐらい悩みに悩んで、私は、そういうのを何で削除できないんですかと何度もやりましたけれども、今の情プラ法という法律では限界があるんですよ。

 でも、この委員会じゃないんですけれども、警察庁に、SNSで亡くなった方の数、どのくらいいるんですかと聞いたら、警察は答えてくれたんですよ。三年間で百一人です。警察が百一人と答えるって、よく分かると思いますけれども、実際はその何十倍亡くなっていると思いますよ。はっきりSNSが原因で亡くなった人が百一人もいるんですよ、三年間で。こんな問題をやはり真剣に取り組まなかったら、私は、総務省はいけないと思います。

 総務省、なかなか事務方は腰が重くて、確かに法律の壁とかいろいろあるんですけれども、でも、これは総務省を挙げて取り組むべき課題で、そして、もう一つの課で、私は一つの局ぐらいつくってもいいぐらい、今のこの世の中を考えたら、SNS対策、そして誹謗中傷で百一人亡くなっているんですからね。このことの重みを、是非大臣には御理解いただきたい。

 もう今日は質問をしません、いい答弁が返ってこないと思うので。ただ、このことは改めてやりますから、時間があるときにしっかり、どうしてそうなったかということを大臣にもよく知っていただきたいので、今日は予告という意味で、大臣、是非、このことは必ず聞きますから、担当課に問い合わせて、どういう経緯で高井がこんなに言っているんだということを、法律の問題点とかいっぱい指摘してありますから、これは本当に大臣のときにやる価値のある、一番私はやってほしいことですので、是非心に留めていただきたいと思います。

 もう一つ、どうしても聞きたいことが大臣にはありまして、それは、これも所管外だと言われると思いますが、大臣は、官房長官もやられた、外務大臣もやられた、そして総理を目指しておられる方ですから、あえて聞きます。

 今の日中関係です。高市総理の、十一月七日の、台湾有事の個別の例を挙げて、存立危機事態になり得ると断言をされた、この映像が何度もテレビで流れていますよ。後ろで林総務大臣が座って深刻な顔をされている映像が流れているんですよ。

 高市大臣がこの発言をしたとき、官房長官や外務大臣を経験した林大臣としては、これはまずいと思いませんでしたか。

林国務大臣 ちょっと御通告もなかったものですから、また所管外ではありますが、報道で、あのときの映像で、後ろで私、映っておりましたので、自分でどういう思いでああいう表情をしていたのかなかなか思い出せないところもございますが、たしか岡田委員とのやり取りでありましたので、総理の過去の、総理になられる前の発言等についてもかなり詳しくやり取りがあった、こういうことでございました。緊張感を持って聞いておったという記憶はございますが、それ以上に、そのときどういうふうに感じたかというのは、ちょっと記憶が定かではありませんので、差し控えたいと思います。

高井委員 さすが安定した答弁ですね。別に失言を引き出そうなんて思っていませんから。でも、本当に、私は、記者会見とかでも聞かれているかなと思って調べたんですけれども、記者さんは聞いていないですよね。こんなのは所管外でも聞いた方がいいですよ。

 もう一つ、私は問いたいのは、今、日中関係のパイプ役がいないとやたら報道されるんですよ。二階さんが引退された、あと、幹事長、森山さんが非主流派になったとか。いや、一番のパイプ役は林さんですからね。日中友好議連の会長を五年ぐらいやっていますよね、大臣になる前に。閣内にいるんだから、林さんが所管外でもやるべきじゃないですか。これは何か、仲介とかやらないですか。

林国務大臣 かつて日中友好議員連盟の会長を何年かやっておりました。その前も、事務局長ということで、高村会長、もう引退されましたが、お支えして、ずっと取り組んできたところでございます。

 やはり、互いに引っ越せない関係でありますし、いろいろな過去の歴史もあるわけでございますが、会って話をして、違っているところは違う、しかし、目指すべき共有できるものは何か、こういうことをしっかりと、交流をしていくということは大事であるし、特に、GトゥーG、政府対政府、外務大臣のときはそういう役割を果たさせていただきましたが、そうでない、議員交流のような形で、GトゥーGでなかなか言いにくいところまでざっくばらんに話をするというのは、政党間交流等でしっかりとすべき役割ということでございますので、今、私は政府内におりますから、そういうことはなかなかできないという状況ではございますが、やはり、そういうことの重要性というのは、しっかり肝に据えてやってまいらなければならないと思っております。

高井委員 いや、これは大変な危機ですからね、今、日中関係がこれだけ冷え込むというのは。もう国を挙げて、政権を挙げて、政府を挙げてやるべきですから、私は、高市総理は、所管外だけれども、林さん、行ってくれというのをやるべきだと思いますよ。これは、林さんに言ってもなかなか、でも、林さんも総理にそのくらい言ったらいいんじゃないですか、提案したら。私は、林大臣にその役割を、日本のために、国益のために是非やっていただきたいと思います。

 そして、もう一つだけ聞きますけれども、私は、今回、この事態、明らかに高市さんは、総理は、踏み込んだ発言だと思います。あの場で言うべきではなかった、総理として委員会で言うべきではなかったと。

 何でそういうことになるかというと、ちょっと今、高市人気があって、私がこんなことを言うと、ネットですごくまたたたかれそうで怖いんですけれども、しかしあえて言いますけれどもね。

 私は、高市総務大臣のときに総務委員会の筆頭理事とかやっていたのでよく知っているんですけれども、やはり一つは、人の意見を聞かないというかね。

 私は、結構問題だと思うのは、質問レクをやらない。これは、総務大臣時代も、朝質問レクをやらないんですよ。答弁書をもらって、自分で手を入れて答えるんです。これは、総務官僚はみんな喜んでいました。高市さんになったら朝出勤しなくてよくなったと。一見いいことのように、しかも、官僚が書いた答弁じゃなくて自分で答えるっていいことに思いますけれども、総務大臣だからまだそれはよかったかもしれないけれども、総理でもそれをやっているみたいじゃないですか。

 今回のあの存立危機事態発言だって、やはりあれは、もし、ちゃんと官僚も入ったレクをやっていれば、こういう答弁をしようと思うと言った時点で、それは全力を挙げてみんな止めますよ。そんなことはこうこうこういう理由で駄目なんですと、そこまでちゃんと言えば、総理だってちゃんと分かったと思うんですけれども、それをまずやっていない。これは、私は非常に問題だと思います。これは、官僚の皆さん、朝出勤するのは大変かもしれないけれども、是非。

 質問通告が遅いとかよく言いますけれども、与野党で決めるのが遅いんですから。だから、前日に決めるのはやめてください。これは与党の、与党のルールとして、前々日までに国会をやると決めれば、質問通告は前日の昼までにできます。ほとんどの場合、当日とかに決まるんですよ。だから、このルールを変えることが大事だということを申し上げておきたい。

 それから、高市さん、総理のもう一つ悪い点は、間違いを認めない。非常にやはり頑固です。これは、かつて、あの電波停止発言という、総務大臣のときに、放送法四条違反で、電波停止、一つの番組でも電波停止させますよと、今まで言っていないことを言っちゃったわけですよ。だけれども、それを頑として曲げない、撤回をしない、こういう点。

 あとは、負けず嫌いなところがあるんでしょうね。

 あと、よく見せたがる。やはり、今の林大臣みたいな、差し控えるみたいなつまらない答弁を、それは皆さんしたくないと思いますよ。だけれども、する必要もあるんですよ。だけれども、やはり、つい自分の考えをリップサービスで言ってしまう。昨日も、予算委員会が止まるかもしれないから言ったなんという、私は、あれもとんでもない党首討論の発言だと思いますけれども、そういう軽いものじゃないんですよ、総理の発言というのは。

 こういうことを注意しないと、これはまた起こりますよ。同じような失言がまた起こる。だから、これは野党にとっては有利かもしれないけれども、国益を害するので、私はやるべきじゃないと。

 これは、やはり注意できるのは林大臣じゃないですか。官房長官もやって、外務大臣も務めた大臣から、そういう点、少なくとも質問レクはちゃんとやりましょうとか、そういうことを注意していただけませんか。

林国務大臣 こういうやり取りがあったということは何らかの形で共有できるようにしたいとは思っておりますが、官房長官もおまえはやっていたではないかということですが、まさに官房長官が、よく女房役と、女房役というのもちょっと時代錯誤的な表現ではないかなと思っておりますが、一番近いところにいてお支えをするということであれば、官房長官がいろいろな対応をされておられるのでないか、こういうふうに推察はいたしますけれども、必要に応じて、しっかりと私もいろいろなサポートはしてまいりたいと考えております。

高井委員 野党の一議員の発言ですけれども、是非、これは本当に大事なことだと思うので、確かに林さんが自分で言うのは言いづらいかもしれないけれども、野党からこういうことを言われたぐらいちゃんと伝えていただいて、官房長官に伝えるでもいいですよ。これは本当に大事な、私は非常に本質をついた話だと思っていますので、これはもう、とにかく今日は絶対それを伝えたいと思って参りました。

 それでは、本題に入りたいと思います。

 NHKは本当に重要な問題なので、あと二十分ぐらいありますかね、十五分か、半分過ぎちゃいましたが、質問したいと思います。

 まず、経営委員長、今日お越しいただきまして、実は二月の十八日にも、私、総務委員会で経営委員長に同じことを聞いたんですが、そのときは経営委員長のことを余り存じ上げなかったんですが、その後、非常に立派な方だなと。

 読売新聞の記事で、こういうことをおっしゃっているんですね。古賀委員長は放送法改正の難しさに触れつつ、戦後作った法律を墨守しているような感じがしてならないといら立ちをにじませると。法律を作る人(国会議員)がおかしいと思わなければ変わらないと言ってね。

 放送法のいろいろな問題があるんですよ。私も指摘してきました。例えば、会長の任期が三年なのに役員が二年だと、入れ替わりのタイミングでずれが起きたり。こういうことは直していけばいいんですよ、一個一個。だけれども、そういうことをなかなか総務省はやらないということで、経営委員長は非常に立派なことを言っておられるなと。

 今日はそのことを本当は聞きたかったんですが、もう時間が十五分しかないので、一番聞きたいことだけ聞きます。時間があったら後でまた聞きますが、これは、会長人事です。

 経営委員会が会長を決めるんですけれども、NHKの会長は、既にもう六代続けて民間の経営者の方がなっています。今は日銀の方ですけれども、しかし、ある意味畑違いなわけですよ、メディアとか放送ということとは違う。それまで不祥事がNHKはあって、それで六代続きました。でも、そろそろ、さすがに十八年外部の人というのは、私はいびつだと思います。

 二月にも言ったんですけれども、私は総務委員会の筆頭理事だったときに海外視察に行きました。フィンランド、それからスイス、スペインへ行きました。それで公共放送の方々、トップの方ともお会いしたんですけれども、もう世界各国でそんな、民間経営者が公共放送のトップをやっている例はないですよ。大体生え抜きというか、その職員か、若しくはほかのメディアをやっていた方ですよ。やはりメディアとか放送とか、そういったことに詳しい人がやらなきゃおかしいじゃないですか。

 特に、NHKも、やはり生え抜きの人がならないと、モチベーションも下がりますよ。いつまでたってもトップになれないというような組織では、私はいい人材も集まらないと思うし、これはもう経営委員長のときの本当に大仕事だと思いますが、稲葉さんの続投ということはあるかもしれないけれども、このタイミングが、三年たちますので、是非、私は、生え抜きの方を会長にすべきだ、あるいはメディア関係者にすべきだと思いますけれども、経営委員長、いかがですか。

古賀参考人 高井議員のおっしゃっていることはよく分かります。

 ただ、私は、組織の長たるもの、その属性もありますが、一番大事なのは、その組織の現状においてどういう課題があって、それを解決するにはどうしたらいいか、この観点が非常に大事だと思います。よく、企業経営でも、企業経営者としてこの人が立派ですよねと言いますが、私は、企業の状況によって、立派な人も立派に仕事ができないケースがあると思います。

 だから、最も大事なのは、その組織にとって何が一番大切か、それを解決するにはどういう人がいいのか、この観点を貫いていかないと、私は、そういういい長は選べないというふうに思って、今鋭意考えております。

 以上、お答え申し上げました。

高井委員 大変立派なお考えだと思います。そのことがまず第一であるということは私も同感いたします。

 ただ、委員長、同時にこうもおっしゃっていますよね。こんな大変な仕事は経営者で引受手がいない、あの新浪さんでも引き受けないだろうみたいなことも言われたと報道されていますよ。いや、おっしゃるとおりなんですよ。給与も三千万ぐらいしかもらっていなくて、これだけ国会でやんややんや言われて、本当に大変なお仕事なので、なかなか引受手もいないんですよ。

 そういった中で、私は、そろそろやはりNHK、NHKの中でこれはという人がいればいいんですけれども、私も正直、余り最近関わっていないからかもしれませんけれども、これはという人は聞こえないんですけれども、しかし、報道でも、ある人は本命だというふうに言われています。

 ただ、それに対して、私はもう一つ気になる記事を見たんですよ。本命の生え抜きの方がいるのに、高市総理が何か横やりを入れて替えるんじゃないかみたいな。私、これは絶対にあってはならないことだと思っています。

 今まで、私も総務省出身で、放送行政もやってきました、会長人事なんというのは、そういう、政権が何か口を出すとか、総理がなんということじゃなかったんですよ。だけれども、明らかに私は、安倍総理になってから、あるいは菅総理の辺りで会長人事にも影響力があることを感じますので、これは、もしここで本当に高市総理の横やりで会長人事が決まったみたいなことがちょっとでもにおうような人事をやったら、本当に私はNHKの終わりだと思いますから、委員長、ゆめゆめそういうことはないということを言っていただけませんか。

古賀参考人 放送法において、会長は経営委員会が決めると書いてあります。これは、私は、決める権限ではなくて、決める責任だと思ってやってまいります。(拍手)

高井委員 委員長のその言葉を信じたいと思います。委員長のこれまでの経歴とか実績も拝見しました。そういったことを必ず実行してくださる方だと信じていますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、残りの時間、受信料制度について伺いたいと思います。

 私は実は、大学生のとき、四年間、NHK受信料の集金のアルバイトで生活させてもらっていました。なので、NHKの受信料には大変な思い入れがあります。やはり払っている人と払っていない人がいるのは不公平だということをずっと言ってきました。だから、義務化した方がいいんじゃないかと。

 BBCとか、世界は結構義務化している国は多いんですね。義務化すると何がいいかというと、例えば、引っ越したときに情報が市役所からもらえるとか、あるいは、韓国なんかは電気代とセットで徴収したりとか、こういうメリットもあるんですね。しかし、かたくなにNHKは、それは嫌だと言って拒みます。

 私は、義務化というと皆さんもええっと思うかもしれないけれども、絶対受信料は下がるはずなんですよ。まず、徴収するコストがかからなくなりますし、それから、今未納の方も払うわけですから、必ず受信料は下がるという意味で。義務化については今日私は聞きません、いい答弁は返ってこないと思うので。

 今、支払い催促を一生懸命やるようになりましたけれども、これは、会長、本当にずさんですから、やり方が。形だけやるのはやめてください。

 私の友人が引っ越したんですよ。引っ越したのに、空き家にずっと送り続けて、それが、郵便局は転送するじゃないですか、転送して、新しい家にどんどん毎月毎月の催促がたまっていく。これは、私、受信料をよく知っていますから、放送法六十四条で、受信設備を設置した者は契約しなければならない。引っ越したら、契約をもう一回やらなきゃ駄目でしょう。だって、テレビを設置しているかどうか分からないんだから。

 そういうことをやらずに、ただ転居した人もまとめて催促するなんという、こういう粗っぽいやり方は駄目ですよ。一軒一軒訪問しなくなったから、住んでいないことも分からないわけですよ。こういういいかげんなことをやっていると、本当に国民の信頼を失います。

 それから、広告を入れるというのも手だと思いますよ。世界は、もう公共放送でも、私が行ったスペインもやっていると言いました。ほかにも、ドイツ、フランス、イタリア、オーストラリア、韓国、公共放送に広告、スポンサーを取っているんですよ。こういったことも考えるとか、さっきの、公用車にカーナビ、岐阜県の話だって、粗っぽい話じゃないですか。

 やはり、何でもかんでも受信料を取り立てようというその姿勢は逆に反感を買いますから、そこは改めていただきたいのと、あと、もうそろそろ受信料制度というのを抜本的に変える時期に来ていると思いますが、これについて。

 これは、会長と、それからあと総務大臣も関わりますので、両方からそれぞれ答弁をお願いします。

稲葉参考人 今ほどおっしゃられた受信料の徴収に係る、言ってみればNHKの営業の実務、実態について、私、いろいろ御批判等がおありになると承ってございます。一つ一つそれらについて、どういうやり方が適正か、今後とも見直していく余地というのはかなりあるというふうに思ってございます。

 思っているということを前提に、しかし、現状どうしても、受信料制度についての基本的な考え方はと問われましたら、私としては、公共放送NHKが、公共の福祉のために、あまねく日本全国に豊かでよい番組をお届けすることを、基本的に役割を担っているわけですが、そのための財源の在り方として、報道機関であるNHKの組織運営の独立性あるいは番組編集の自主自律、これを財源面から保障している現在の受信料制度というのは、やはり今の時代においても引き続き公共放送にふさわしい仕組みだというふうに思っています。

 世界的にいろいろな見直しの動きはあるんですけれども、結局、いろいろ議論しながら、基本的には今の我が国の受信料制度に似たようなところに議論が収れんしているというような面があります。基本的にはそういうことではないかというふうに思っております。

 改正放送法の施行に伴って、今年十月から、インターネットを通じた番組や番組関連情報の配信がNHKの必須業務というふうになりまして、あわせて、テレビを設置した方だけではなくて、NHKの配信の受信を開始した方にも受信料の御負担をいただくということが規定されました。

 基本は、やはり視聴者に、NHKならではの放送サービスを通じて公共的価値に共感していただく、納得して受信料をお支払いいただくということがやはり重要なことではないかというふうに思いまして、引き続き、受信料制度の意義あるいは公共放送の役割を丁寧に説明する、そういうことで公平負担の徹底に努めてまいりたいというふうに思っております。

高井委員 総務大臣、結構です。もう時間がないので。

 最後の質問に行きたいと思います。

 私、提案なんですけれども、これはもう答えは要りませんけれども、十一月二十三日の産経新聞で、砂川教授、よく出てくる立教の教授ですけれども、新しい収益源として、アーカイブを活用した有料サービスというのを提案しています。タレントやグループの名前を入力すると、過去の出演番組を簡単に見られる有料サービス、NHKの持つ膨大なアーカイブ資産を活用することで収益にする。本当にいい案だと思います。

 とにかく、NHKの最大の魅力はアーカイブですよ。あれだけの作品が残っている。でも、これを、やはり今、オンデマンドみたいな形で限定的にしか出していないというのは、私は、受信料をもらっているのに何で更に金を取るんだと思います。無料にすべきだとずっと言ってきましたけれども、でも、逆にもう有料にしたっていいと思いますよ、著作権料とかも払わなきゃいけないから。だけれども、それでも見たいという、例えばアイドルとか、検索してNHKのを見られるようになったら絶対お金を払いますから、是非これは採用すべきだということは提案をしておきます。

 最後の質問ですが、受信料で成り立つ公共放送が、何で視聴率を追い求めるんですか。紅白とか、番宣とかやったりして、いっぱい見てもらえるように、それで視聴率が高いと誇ったりしますけれども、要らないんですよ。視聴率は考えなくていい。むしろ、視聴率至上主義の民放ができない番組を作ることで、それは、例えばNHKスペシャルとか、お金がかかるから民放は作れないんですよ、時間もかかるから作れないんですよ。そういうもの、だけれども国民にとって絶対必要な、そういう番組を視聴率とか度外視して作る、これがいい。そして、それにお金がかかり過ぎるんだったら、一番お金がかからないのは国会中継ですから、国会中継をあとの時間は流せばいいじゃないですか。

 どうですか、これについて。会長、最後にお答えください。

稲葉参考人 御指摘のとおり、NHKには、やはりコンテンツの質と量を確保しながら視聴者の満足を最大限高めていくということが必要であって、そこでは視聴率だけではなくて、視聴者の本当の反響、あるいは番組審議会という審議会がございますが、そこでの識者の御意見、あるいは質的な評価指標など、どんなふうにNHKの番組が見られているか、常々把握しながらやっていかなきゃいけない。視聴率はその指標のごく一部、一つだというふうに認識してございますが、いずれにしても、様々な観点で視聴者に対する受け止めを多面的に評価しながら、それを番組に生かしていくということが大事だと思います。

 最後にちょっとおっしゃっていただいた国会中継でございますけれども、委員は経済理論によく精通されている方だからお分かりと思いますが、国会中継は、形式的にそれを中継するコストというのはそんなに高くないです。ただし、国会中継をするたびに蹴飛ばしている、例えば相撲中継とか定時のニュース番組というのは、元々それを見たいと思っている視聴者にとっては、それがなくなっちゃうということです。こういうのは、国会中継の、言ってみれば機会費用が高くなっているということで、国会中継というのは決して安いものではないと私は思います。

 それでも、やはり国会でどういう議論がなされているかというのは、国民にとって非常に大事なことなので、NHKとしては万難を排して国会中継をやっていきたいということでございまして、いずれにしても、国会中継を含め、ニュースなどの報道番組、文化、娯楽、スポーツ、多彩な番組を編成しながら、国民の幅広い関心と期待に応えていきたいというふうに考えております。

高井委員 高い出演料を払ってバラエティー番組なんかやらなくていいんですよ。そういうのをやめて国会中継をやっていく。相撲をやめろなんて言っていませんから。是非、相撲だって幕下とかまで流すじゃないですか、委員会も流してくださいよ。

 以上です。終わります。

佐藤委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会の杉本和巳です。

 今、高井委員から幾つかの提案があって、党は違いますけれども、やはり、物価高の折にあって、NHKの受信料、これは値下げを条件に義務化するというのは、我々与野党を超えて考えることができるんではないかなと高井さんの御提案を聞きながらつくづく感じましたので、冒頭申し上げさせていただきたいと思います。

 また、視聴率についても、私は、BS世界のドキュメンタリーとかNHKスペシャル、大好きでございますので、本質的にはNHKの大ファンでありますから、応援団でありますから、そういった意味でも、視聴率狙いの番組というものは、一線を画していただいて、民間放送との違いの公共放送ということをお願いしたいと思っております。

 それで、前振りが長くなってもいけないんですが、私は、日本維新の会の中で国際局長、外交部会長というのをさせていただいていますので、ちょっと国際的な視点で後段は質問させていただきたいと思います。

 ただ、前段の方では、やはり今回、決算、四年分たまっているという中で、与野党筆頭の御労苦の中で、四年分、何とか仕上げようではないかということの中での今日の質疑というふうに承っていますので、まず私の問題意識は、予算と決算の乖離が各年度やはりあるんですね。各年度ごとになぜこれが乖離したのかというのを、四年分で恐縮なんですが、それぞれちょっと説明をいただきたいんですが、まず令和二年度、二〇二〇年度、予算残額、これがプラス四百一億円でございますが、なぜこれほどの金額が出たのか、教えてください。

中嶋参考人 お答えします。

 予算、事業計画を着実に実行してまいることは、当然のことながら、重要なことだというふうに思っております。各年度とも、事業収支につきましては、より高い成果を上げるために取り組んでおりまして、その結果として増収となっております。また、事業支出につきましては、より効果的、効率的な事業運営に努めておりまして、その結果として、決算では事業収支差金が増えているということであります。

 年度ごとにその理由という御質問でありましたので、令和二年度につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための緊急事態宣言などによりまして、事業活動に様々な制約が生じまして、事業収入、事業支出の両面で大きな影響が生じております。

 令和三年度、四年度、五年度につきましては、事業収入は、コロナ禍の減収からの回復に努めた結果、予算に対して増収となっています。事業支出につきましては、設備投資の抑制など、効果的、効率的な事業運営を行った結果、支出は削減をされております。

 令和六年度以降ですけれども、これについてもこうした方針に変わりはありませんけれども、計画した支出削減をしっかりと行い、構造改革を進める中で、経営資源をより有効に活用いたしまして、予算管理の精度を高めていきたいというふうに考えているところであります。

杉本委員 数字を私の方から申し上げると、申し上げた令和二年度はプラスの四百一億円、令和三年度はプラスの六百三十億円、コロナの反動増という感じだったんですかね。それから、令和四年度がプラスの二百六十三億円、令和五年度がプラスの百四十三億円という数字でございます。

 令和三年度がかなり膨らんで、それが傾向値的に見ると、トレンドとしては減少傾向にあるというような認識ができるかと思っていますが、この差異がやはり、日本の国家予算でもちょっと差異があり過ぎますけれども、公共放送で事業体であるというNHKさんがこの差異が百億単位というのが、三桁もあるというのが、しかるべき事業体なんだろうかという意味で、大臣には質問しませんけれども、御心配なく。それで、せめて二桁の十億単位の予算と決算というふうにならないものかなと思っていますが、今の御答弁で、より精度を高めていくというお答えでしたので、その言葉を受けて、私のお願いとしては、是非、予算と決算の差異が、せめて三桁ではなくて二桁になるということをお願いをしておきたいと思います。

 それと併せて、重ねて高井さんの発言にまたかぶせますけれども、やはり受信料、これは松田さんあたりも質問されておられましたけれども、やはり義務化をして、是非、値下げをできるような、七八とか八一とかいう数字を会長が先ほどおっしゃっていたかと思いますが、比率でいって。これを一〇〇に近づけることによって一人当たりのコストというか支払うべき受信料というものが下がってくると思いますので、是非、義務化の方向を、我々は、諸外国でも例があるというお話もありましたので、考えてみる必要があるのではないかということを提案させていただいておきたいと思っております。

 次に、関連会社のことについて伺いたいと思います。

 関連会社が十六ぐらいかな、子会社が十六なのかな、関連会社が四つ、関連公益法人が四つということで、結構、意外と巨大組織ですね。そういった中で、全体としては総じて決算の問題はないんであろうという認識ではありますが、具体でいくと、NHKエンタープライズさん、これが直近の令和五年度決算で売上げ六百三十四億、純利益二十二億、それから、私がお世話になって、一生懸命、これからまた出しますけれども、NHK出版さん、出版業界は厳しくなっていますけれども、売上げベースのような数字でいくと百二十三億円、純利益が、これはやはり業界の影響なのかもしれませんが、マイナス四億という数字で伺っておりますけれども。

 例えば、NHKエンタープライズ、申し上げたBS世界のドキュメンタリーなんて流していただいていて、これはNHK本体と共同で海外の番組を購入しているやに聞いていますけれども、例えば、こんな番組があったなというのを思い出していただきたいんですが、二、三年前ですか、「“原爆の父”オッペンハイマー」、前編が「核開発への道」、後編が「私は死神となった」、こういうような番組だったんですけれども、ウクライナの戦争の状況だとか、もろもろ、世界の諸課題というようなものがドキュメンタリーベースで見られるというのは、このNHKエンタープライズあってこそだというふうに思っております。

 この点、後段申し上げますが、大分、三十六年ぐらい前の話ですが、NHKスペシャルで報道されたものが出版化されているというようなものがあって、NHK出版も頑張ってくださっているという認識ですが、全体として、この子会社、関連会社、関連公益法人は、決算上おおむね良好に推移しているのかどうか、全体観で結構なので、御答弁いただければと思います。

根本参考人 お答えいたします。

 令和五年度、二〇二三年度決算におけます子会社十二社の合計ですが、売上高二千四百五十四億円、当期純利益は百九億円となっております。また、令和五年度、二〇二三年度決算における関連会社四社の合計ですが、こちらは売上高百八十六億円、当期純利益十七億円となってございます。

杉本委員 数字の方をありがとうございます。

 中身の問題ですね、先ほどもアーカイブスの話がありましたけれども、コンテンツ、そういったものを含めてNHKの資産というものは、特にソフトパワーとして大きなものがあると思いますので、関連会社の経営も含めて、会長を始め、あるいは経営委員会の会長さんらも含めて、しっかりと目を光らせていただきたいなというふうにお願いをしておきます。

 次に、NHKの海外発信について、ちょっと国際的な視点というか、海外でチャンネルをひねると、日本語の、英語以外で、違う国に行くと何をしゃべっているのかよく分からぬので、結局NHKワールドを探してしまうというのが、英語圏以外のところに行った私の行いでございますけれども。

 このNHKワールドの海外での放送状況、今何か国ぐらいで放送をしていて、そして、例えば、主な国でいくとこんな国がありますよみたいなところは確認させていただきたいんですが、いかがでしょうか。

山名参考人 お答えいたします。

 英語によりますテレビ国際放送NHKワールドJAPANは、衛星放送のほか、ケーブルテレビや地上デジタル放送など、地域のメディア事情に合わせて、より見てもらいやすい形で届けるように努めており、現在、およそ百六十の国と地域、そして四億六千万世帯で視聴可能となっております。また、放送番組は、公式ウェブサイトやアプリで同時配信、見逃し配信などを提供しておりまして、ネット環境があれば世界中どこでも御覧いただけるようになっております。

 NHKの国際放送は世界全域をカバーしておりますけれども、特に、国際的に大きな影響力を持ち、日本とも関係の深い北米、そして、日本と地理的に近く、政治経済的にもつながりの深いアジア、こちらを戦略的に重点地域と位置づけまして、視聴者の方がアクセスしやすいよう、環境整備に力を入れているところでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 NHKは、実は、経済安保とか、そういう視点からいっても非常に大事な組織体ではないかなというふうに思っております。今も北米、アジアで放送してくださっていますが、日本という国が世界でしっかり生き残っていくためには、親日の方々を増やすし、親日の国を増やすしというような意味でのソフトパワーですが、より具体で申し上げれば、認知戦という言葉が安全保障上の話でございますが、まさしくこの認知戦という展開の中で、諸外国が日本に対して認知戦をしかけてきているかもしれませんが、しかし、日本は本当に公明正大に日本のよさを世界に発信していくことが、日本の経済安保なのか、そもそも安全保障の、全体なのか分かりませんけれども、非常に重要な私は中身だと思っています。

 そんな意味で、訪日外国人が、直近、残念ながら中国が減っていますけれども、来たい方々はたくさん潜在的にはいらっしゃると思いますし、そういった方々に、なっていっていただくために、日本の歴史、伝統、文化、例えば金閣寺であったり、あるいは、例えば石川県の漆塗りの技能というか、この継承とか、ちょっと具体的に申し上げましたけれども、そういった一つ一つの日本のよさみたいなところを分かっていただいて訪日外国人が増えているという現実でもありますが、このきっかけになるのがやはりNHKワールドJAPANなのではないかなと思っています。

 コンテンツ的に、あるいは認知戦上と言ったら語弊があるのかもしれませんが、本当に大きな意味での日本シンパをつくっていく、日本の親日国をつくっていくという意味で大変重要だと思っておりますけれども、この中身については、どんな内容を主に流しているという認識をしておけばいいか、確認をさせてください。

稲葉参考人 NHKの国際放送あるいは海外展開についてでございますけれども、国際放送として、日本の世論の動向や取材に基づく正確な情報を世界に向けて積極的に発信していく、それからまた日本に対する正しい理解を促進していくこと、これらは公共放送の極めて重要な役割というふうに認識してございます。

 特に、昨今、国際社会で分断が深刻化する中、NHKの国際放送は、日本の視座、例えば平和に対する思い入れ、そういうことを含めて、日本の視座に立った発信を強化していきたいというふうに考えてございます。

 このうち、基幹サービスと位置づけてございます英語のテレビ放送、NHKワールドJAPANでございますけれども、これは、日本の文化や歴史、地域の魅力を伝える番組のほかに、世界が注目するような最新のテクノロジーやその研究、あるいはポップカルチャーなど、多面的な日本の魅力を世界にお届けするよう努めてございます。

 一方で、こうした国内放送の海外展開ということに関しましては、関連団体を通じて、海外の放送事業者や配信事業者に番組を販売しているということをやってございます。さらに、国際共同制作の枠組みなどを活用して、各国と共同でコンテンツの開発や制作を推進してございます。

 いずれにしても、日本の魅力を世界に発信する取組をこうした形で強化していきたいというふうに考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 国際社会が分断する中、日本の本当の意味でのよさを分かっていただくということで、また、最後の方で会長からいただいたお言葉の中に、国際共同制作といったことで、諸外国とも協力して、自然に関することであるとか、あるいは生命に関することとか、そういったいろいろなテーマがあると思いますが、国際協調といった意味でも、番組作りの方でも連携していただきたいなと、今、拝聴しながら、お話を伺いながらそう感じさせていただきました。

 さて、次に、直近、ウクライナが和平になるのかどうかというのは非常に心配しておりますけれども、是非期待もしておるわけでありますが、日本では、大相撲中継がある中で、安青錦が優勝されて、そして大関昇格ということがニュースで入ってまいりました。

 それで、もう毎々私は提案をさせていただいていて、今お席を外されていますが、前村上誠一郎大臣のときも執拗にお願いした記憶があるんですが、私は各国大使館をお尋ねする機会が多くて、先般はチェコにお邪魔して、チェコの大使館ではこれがチェコ友好杯ですというふうに見せていただいたんですね。

 昔、子供の頃、チェコスロバキア友好杯という、当時はチェコスロバキアだったんですが、その贈呈がまさしく優勝杯、優勝旗などに続いてテレビで見た記憶がございます。もう一つ、民間の方でいけば、パンアメリカン航空の方がしゃべるみたいなのもあったかと思いますが、各国いろいろ、私が知る限り、例えばUAE、アラブ首長国連邦の友好杯であったり、日仏友好杯であったり、ハンガリー友好杯とか、それ以外にも各国が日本の国技である大相撲に対していろいろな賞を出してくださっているというのが現実なんですが、NHKさんに伺うと、日本の民間企業なんかからもいろいろ賞が出ているので、そこと差別化はできないんだというような答弁ではあったんですが。

 事国際的な外交上の考え方からすると、今までの千秋楽の最後の表彰式でとか、そんなイメージでは全くなくていいので、さっき高井さん、外しちゃいましたけれども、お相撲も早い時間から序の口、序二段からやっているみたいな、BSでやっていたりもしますけれども、そんな時間のタイミングでもいいし、中日とか千秋楽とかではなくていいので、初日の後の二日目、三日目とか、そんなタイミングでも構わないので、各国が日本の国技に対してどれだけ賞を出してくださっているかというのをきちっと開示する、公開する必要が、これは日本相撲協会にも当然あると思いますが、それを放送しているNHKさんにも私は責務があると思っております。

 そういった意味で、是非ともこの各国からの賞について開示をすることができないのかどうか、御答弁いただきたいと思います。

山名参考人 お答えいたします。

 大相撲の中継では、放送時間に限りがある中、注目の取組、場所全体の振り返り、こういったことも伝える必要がございまして、件数も多い海外の各国、地域の友好杯ですとか、地方自治体の知事賞などの表彰について、御紹介することが難しい面もございます。

 放送内容につきましては、自主的な編集判断に基づいて、視聴者の関心なども踏まえまして、その都度総合的に判断させていただいております。いただいた御意見も参考にさせていただければと思っております。

杉本委員 お立場は分かっています。放送内容はあくまでも独立性があって、政治的介入があってはならないと思っていますけれども、客観的に、国際関係からすると、本当に各国が日本の国技を称賛し、そして賞を出してくださっているということに対する、やはり国民の皆様への公共放送としての周知という意味では、是非御検討を前向きにいただきたいというふうにお願いします。

 残りもう三分弱なんですが、政治と金のことで提案をしておきたいなと思いますし、あるいは政権交代ということについても提案をしておきたいと思っています。

 理事会で御了解いただいていますが、三十六年前にNHKスペシャルで放送された番組が二つあります。一つは「かくして政治はよみがえった」、もう一つは「影の内閣」ですね。

 これがどちらも、放送されただけじゃなくて、さっき言ったNHK出版から出版されております。おまけで言うと、この「かくして政治はよみがえった」というのは野田代表にも差し上げてありまして、おお、杉本君、ちょうどなくなって探していたんだよ、ちょうどいいね、ありがとうと言われました。

 ということで、与野党を超えて日本の政治をよりよくしていくという意味で、この「かくして政治はよみがえった」というのは、論旨を言うと、何と、参議院選挙の公示後、一九八九年、三十六年前の公示の後に、七月九日に総合テレビで一時間にわたって放送したのが、このNHKスペシャル「かくして政治はよみがえった」と。

 内容は、英国議会政治腐敗防止の軌跡ということで、百年前のイギリスを見習えというようなことを、ベテラン政治家の言葉にヒントを得たNHK取材班がロンドンに行って、公文書をいろいろあさりながら、歴史の問題点、歴史的な民主主義先進国イギリスに焦点を当てて、日本の政治をよくしようという異色のドキュメンタリー番組だったということでございます。

 これを、アーカイブはあるのと聞いたら、ないですと言うんですよね。これは貴重なアーカイブですけれどもね。どこかの党の幹部に言ったら、自民党に忖度しているんじゃないかと言われたんですが、僕は自民党側に今いますので、自民党じゃないですけれども、連立政権なので。

 党派を超えて、こういったいいコンテンツというのは、もう一回、古いから流せないんですとかなんとか言っておられましたけれども、もう一回再編集して、今大事な時期ですからね、高市さんの二年間で政治改革をやるという話で、もちろん定数も大事だけれども、政治とお金の問題もきれいにしていくということが、子供たち、孫たちにこの日本の政治を引き継いでいく、我々の責務だと思っていますので、そういった意味で、是非ともこの内容を、会長始め、再編集していただいて、流していただきたい。前は参議院選のさなかにやったということでございます。

 あわせて、この「影の内閣」、もはや二大政党の時代ではなくなりましたけれども、どこが政権に入ってくるか分からない時代になってきたんです。

 私も、ここで質問したのは、当時、亀井金融大臣がそこで、私も与党の民主党の一角で、質問したのがこの部屋だったか十七委員室だったかは覚えていないですが、それ以来久しぶりにこっちに座っていますけれども。

 そんなことで、親しくさせていただいている林大臣にもエールを送る意味で、この影の内閣を育てたり、あるいは政治をよみがえらせるという内容のコンテンツを、是非、再放送、あるいは再編集の上放送していただきたい。会長、うなずいてくださっていますが、御答弁いただければと思いますが。お願いします。御答弁をいただけますでしょうか。

山名参考人 お答えいたします。

 御紹介いただきました二本の番組、総合テレビで平成元年七月と十二月にそれぞれ放送されております。当時、四回再放送させていただきました。

 番組の再放送につきましては、NHKの自主的な編集権の下、放送枠、視聴者の要望などを踏まえまして、その都度総合的に判断して決めさせていただいております。もちろん、いただいた御意見も参考にさせていただきたいというふうに考えております。

 なお、御指摘の番組につきましては、現在、NHKオンデマンドでは配信しておりません。NHKアーカイブスでも公開しておりません。再放送や配信には、番組に対して様々な御要望がございまして、できるだけお応えするように努力しております。ただ、権利処理、コストといった難しい課題もございまして、御要望に必ずしもお応えできていないという面があることも御理解いただければと思います。

 今後も、幅広い世代の皆様に多様な価値に触れていただけるよう、視聴者の要望を踏まえ、再放送、配信に取り組んでまいります。

杉本委員 NHKの責務、あるいは責任、あるいは矜持として、是非放送していただくことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時五十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十七分開議

佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。向山好一君。

向山(好)委員 国民民主党の向山好一でございます。

 午前中に引き続きよろしくお願いいたします。

 今日の議題は令和二年度から五年度までの四年間のNHK決算審議ということでございますが、さすがに令和二年となったらもう五年前で、私も国会にいませんでしたし、あるいはお答えする側ももう記憶が薄れているというふうに思うので、PDCAサイクルのことを考えても、やはり単年度ごとに審議というのをやっていただきたいな、このようなことを要望させていただきたいと思います。

 その上で質問なんですが、午前中でもあったので重複いたしますけれども、大切な問題なので、通告もしていますから質問させていただきたいと思います。

 まず、決算の共通している課題というのがやはりあるんですね。それは、総務大臣も意見の中で指摘している、余りにも収支の乖離が大き過ぎる。結局、事業収支差金が年度当初の計画を大幅に上回る状況が続いているということに対して、より精密な収支予算の編成に努めることということになっています。これは、午前中もありましたとおり、少ないときでも百四十三億円、多いときは六百三十億円、このぐらいの大きな金額になっているんですけれども、収支が改善されているから、悪いということで済まされないんじゃないかというふうに思っています。

 うがった見方をすると、受信料を高めに設定するために相当厳しめに予算化したのではないかというような誤解も与えかねないような今状況になっているというふうに思うんですが、まず、やはり、より精緻な収支の編成を求められていながら応えていないことに対して、総務大臣としては、どのような指導をされる、あるいは、今どんなお気持ちを持っているのかということを伺いたいと思います。

林国務大臣 今委員から御指摘がありましたように、令和三年度は乖離額が六百三十億、四年度で二百六十三億、五年度で百四十三億ということでございますので、この三年を見ると縮小傾向にはある、こういうふうには承知をしておりますが、やはり、このNHK受信契約の件数の見通し、そして支出の見込みなど、直近の数字を踏まえて、より実態に沿った収支予算の編成に努めているものと聞いております。

 総務省としては、やはり、NHKの収支予算を国会に御承認いただく仕組みが設けられていること、そして、国民・視聴者の、今ちょっと御指摘がありましたが、受信料で支えられていること、こういうことも踏まえて、NHKにおいては精緻な収支予算の編成に努めていただきたい、そういうふうに考えております。

向山(好)委員 精緻な、求めていきたいというふうにおっしゃっておりますけれども、午前中の審議の中でも、NHKさんから、この乖離の原因が、コロナの影響があったとか、あるいは、設備投資をできるだけ圧縮した経営努力だとか、そういうふうなお話があって、そういうのが原因かなということの答弁があったんですけれども、例えばコロナ前の令和元年でも、三十億円の赤字の予算から二百三十億円の黒字やと。二百六十億円も乖離があるんですよね。それと、今大臣もおっしゃった六百三十億円という金額は莫大でして、これは民間企業やったら、もう株主訴訟の対象になるぐらいの、本当にどんな収支を予測をしているんだという話なんですけれども、求められたNHKさんとしては、午前中の答弁は余りにも漠然としているので、もう少し精緻な、詳細の改善策というのをお答えいただきたいと思います。

中嶋参考人 お答えいたします。

 予算、事業計画の策定に当たりましては、今御指摘もありましたけれども、視聴者からいただく受信料を財源としていることから、しっかり適正なものにしていかなければならないというふうに考えております。

 各年度とも、今御指摘にあった部分も含めて、事業収入については、より高い成果を上げるために取り組んでおり、その結果として増収になっております。それからまた、事業支出については、より効果的、効率的な事業運用に努めており、その結果として、決算では事業収支差金が増えるということになっております。

 直近の数字を踏まえた収支の予算編成に努めておりますが、今後も、予算の執行に当たって、計画した業務を着実に実行していくとともに、施策の効果分析あるいは見極めといったものを更に精緻に行うことなどによりまして、これまで以上に管理を徹底してまいりたいというふうに考えているところであります。

向山(好)委員 再三申しますけれども、やはり受信料で成り立っているNHKさんは、国民に対して説明責任もあるし、言ったことにはちゃんとそれを責任を果たすという役割もありますので、是非ともその辺りを注意して、今後の経営計画を立てていただきたいと思います。

 それと、次の質問は、ちょうど今決算をやっている、その事業の期間中というのは、たまたまコロナの期間と重なっておりまして、コロナパンデミックのときの、特に公共放送の在り方というのが結構問われた時期でもあるんじゃないかと思っています。大臣意見にも、やはりそういうこととして、公共放送としての社会的使命を果たすための徹底した対策ということも指摘をされておられます。

 改めて、今、コロナのパンデミックは一応収束というか、少なくなったこの期間、NHKは、報道に対して細心の注意をその当時払っていらっしゃったと思いますけれども、公共放送としての役割がちゃんとその期間果たせたのか、振り返ってみて反省点はないのか、改善点はどういうことがあるのか、そういったものが求められていると思うんですけれども、NHKさん、その辺り、どういう今御認識をお持ちでしょうか。

山名参考人 お答えいたします。

 NHKが社会的な役割を果たせたかどうかにつきましては、視聴者の皆様に御判断いただきたいと思っております。

 当時の例を申し上げますと、NHKは、命と暮らしを守るという報道の使命を果たすために、最新の情報ですとか支援策などを連日お伝えしてまいりましたが、視聴者の皆様から、相談窓口を教えてほしいですとか、どうしたら支援を受けられるのかといった声が寄せられまして、そうした声を受け止めながらも、随時発信の在り方などを改善してまいりました。こうした経験は今でも教訓となっております。

 反省点ですが、令和二年三月に試行的に始まりました同時・見逃し配信サービス、NHKプラスですけれども、こちらは当時、設備が整っておらず、各地域のコロナウイルス関連の状況を迅速に見逃し配信するということができませんでした。その後、令和五年六月に、各地域で放送した全ての平日十八時台のニュース、こちらの四十八番組が見逃し配信できるようになり、情報発信、サービスの強化につなげました。

 また、新型コロナウイルス禍での対策を通じて改善できた点としましては、当時、NHKは、学校放送番組、それに連動しましたウェブサイトの教材を掲載したサービス、NHK・フォー・スクール、こちらを提供しておりましたが、一斉休校を受けまして、子供たちが自宅で学習しやすいようにレイアウトを変更しましたり、コンテンツの充実を図ったりというようなことをいたしました。そのほか、印刷やダウンロードして使うワークシートを新たに導入するといったことなど、現在のより使いやすい仕様への改善につながりました。

 感染症の報道、災害報道は、いずれも人々の命と暮らしを守るという公共放送、公共メディアの極めて重要な役割でありまして、当時の教訓を生かしてまいりたいと考えております。

向山(好)委員 教訓は大切ですから、是非とも生かしていただきたいと思うんですが、あの当時の報道というのは、対面でなかなか収録できなかったとか、あるいは、スタジオで収録できなくてリモートとかオンラインでやることを余儀なくされたとか、そういう事実をしっかりと把握、確認できるという環境でできなかったというのは一つ大きな特徴があったというふうに思うんですね。そういうときは、別にコロナだけじゃなくて、大災害のときもそういうことはあり得るわけですから、そういったことの共通のやはり課題としてしっかり検証していただきたいと思います。

 特に、我々も報道でよく接したんですけれども、二〇二三年五月十五日の「ニュースウオッチ9」、このときに、ワクチンの後遺症で亡くなった方があたかもコロナで亡くなったかのような報道があって、これがBPOでも指摘されているというようなこともあったんですね。

 そういったことはやはりNHKさんとしても非常に教訓とするべきだというふうに思いますので、災害のときにはやはり公共放送が本当に命のきずな、最後のとりでなので、是非ともそういったことを教訓にして、これからもいい報道をしていただきたいというふうに思います。

 続きまして、また、大臣の意見の中でも、インターネットの発信事業についても触れられております。

 そこで質問させていただきたいんですけれども、令和二年にNHKプラスが始まって、今年の十月にNHK ONEに移行をしております。今、六百万程度の登録者というふうに聞いていますが、今後、ネット配信の事業が拡大していく、そういうトレンドがあるというふうに思いますので、そのとき出てきているのが、受信料の公平性という問題であります。

 これまで、テレビ保有を前提とした料金制度、これがNHKの受信料の基本でしたけれども、それが時代とともに変わりつつあるんじゃないかというふうに思います。

 最近、やはり若い者を中心に、使った分だけ払いたいんだとか、あるいは、見たい番組だけ選択しているのでその分を応分に負担したい、サブスク文化、こういうふうに言われておりますけれども、そういった対応というのも料金制度でも検討すべき時期に今来ているんじゃないかというふうに思いますが、公平性の観点から、総務省としての御見解というのをお伺いしたいと思います。

豊嶋政府参考人 お答えいたします。

 NHKは、広告主の意向や視聴率にとらわれることなく、報道や教養など、豊かでよい番組を放送することにより、公共放送としての役割を果たしております。受信料制度は、そのための財源を広く国民・視聴者に公平に負担していただくためのものでございます。

 NHKにおきましては、令和六年の放送法改正に基づきまして、本年十月より、インターネット時代に対応した配信サービスとして、それまで行っていたNHKプラスとは法律的な位置づけを変えまして、NHK ONEを放送と同様の必須業務として位置づけをして開始をしたところでございます。

 この法律改正の際、あわせまして、受信料制度におけます公平負担の観点から、NHKの放送を受信できる設備を設置した者、いわゆる放送の場合の受信料の徴収対象につきまして、これと同等の受信環境にある者として、放送番組等の配信の受信を開始した者を受信契約の締結義務の対象としたところでございまして、これに基づきまして、本年十月から新たなスタートが、開始したところでございます。

 委員御指摘のございました、番組を視聴した分量に応じた料金体系を導入するということは、このような公共放送の財源の在り方として、放送受信が、今、受信料体系になっておりますので、これも踏まえますと、直ちになじむものではないものというふうに認識をしております。

向山(好)委員 なじむのかどうかというのは、やはり受信者の方が結構そういう判断ができるんじゃないかというふうに思います。テレビ視聴ではなかなか難しいかもしれませんけれども、ネット配信の場合はそれは技術的にも可能なので、是非とも従量料金という、新たな概念かもしれませんけれども、次の時代の一つの課題としてNHK内でも検討していただきたいな、このように思います。

 次、時間がないので進みますけれども、子会社の剰余金のことが会計検査院の結果によって大きく報道もされております。NHKの子会社の剰余金は二〇二三年度末で千三十億円、そういう指摘をされておりまして、それが全て配当に回るというか、内部留保をするんじゃないかという問題じゃないにしても、これは結構やはり大きな額だなというふうに思わざるを得ないんですけれども、その一つの、やはりNHKの構造的な問題かもしれませんが、子会社に、本体でやるべきことまで含めて外部発注し過ぎているんじゃないかというような懸念もあるんですが、NHKさんに、大手三社で結構ですから、二〇二四年にどのぐらいの額の外部委託、発注があったのか、金額でお答えいただきたいと思います。

根本参考人 お答えいたします。

 二〇二四年度決算でNHKから関連団体へ支払った金額の大きい上位三社は次のとおりでございます。

 NHKエンタープライズ、四百九十九億円、NHKテクノロジーズ、三百七十一億円、NHKグローバルメディアサービス、二百二十三億円。

 以上でございます。

向山(好)委員 今、三社で合計約一千百億円と。これは全ての放送料の、国際も含めた放送の制作費の三分の一程度までになっているんですね。これがNHKの放送の制作上の特殊性というか、そういうのからくることかもしれませんけれども、これはちょっと余りにも外部発注が大き過ぎるんじゃないかというような思いがいたします。それはやはり、言うたら、身内で発注し合うんだったら随意契約が結構主流になってきていて、本当に価格競争力のある下でやっているのか、それが経費節減につながっているのかどうかというような疑問がやはり残るんですよね。

 その辺りというのは、総務省も、こういったNHKの今の経営体質というか外部発注の仕組み、量、そういう辺りが、ちゃんとした、健全なものなのかどうか、その辺りの御判断というのはどういうことを思っていらっしゃるのかをお聞きしたいと思います。

林国務大臣 NHKにおきましては、放送法に基づいて、業務の委託に関する基準を定めて、NHKの業務等の円滑な遂行に支障が生じない範囲で効率的に行っているというふうに承知をしております。この基準は届出ということになっております。

 その際、子会社等への業務委託のうちで随意契約につきましては、内部に設置をされました入札契約委員会、これにおいてチェックを行うとともに、各年度の取引については公表を行っていると承知をしております。

 総務省としては、NHKに対して、NHK予算に付す総務大臣意見において、高止まりをしております随意契約比率、これを引き下げることによって、より競争性の高い調達を実現すること、これを求めているところでございます。

 NHKにおいては、今委員からも御指摘がありましたが、国民・視聴者の受信料によって支えられているということも踏まえまして、随意契約比率に関しても丁寧に説明いただくとともに、随意契約比率が高止まりしている現状を踏まえて、改めて、実効性のある取組、これをお願いしたい、そういうふうに考えております。

向山(好)委員 今の随意契約の改善とかも、NHKさん、聞いていらっしゃったと思うので、是非ともその改善努力をしていただきたいと思います。

 次に、職員の処遇改善、ちょっと時間がないので早口で言いますけれども、やはり給料をもっと上げなきゃいけないんじゃないかと思います。

 NHKさんからお聞きすると、二〇二四年度のベースアップが一・九二、二〇二五年度が二・三四。これは、大手の企業は五%を超えているんですよね。余りにも低いんじゃないかというふうに思うんですが、やはり、強い責任感と業務遂行能力、これを求められているNHK職員さんとしては、もう少し改善の余地があるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

稲葉参考人 職員の処遇改善の件でございますけれども、二〇二七年度に収支均衡する、こういう目標に向けて、千三百億円規模の支出削減を行っておるわけでございますが、その中でも、人件費についてはこの支出削減の対象にしないということを経営の方針として取り組んできております。

 そして、二〇二四年度におきましては、これは、経営計画達成に必要不可欠な質と生産性の向上への取組、これを真剣に始めたところでございますが、その成果、まあまあ出てきておりますが、それを前提に、先行的にそうした取組に報いるという観点から、実は、二〇二四年度の段階で二〇〇一年以来のベアを行ったものでございます。二〇二五年度においても、質と生産性の向上、それに応じた処遇改善というのを行ってございます。

 今後とも、質と生産性の向上の進捗、あるいは経済状況等の動向、さらにはNHKの財政状況、併せて組合とのしっかりした協議、そうしたことを前提に検討を重ねてまいりたいというふうに思っております。

向山(好)委員 会長の決意も伺いましたけれども、今御指摘された一千億円の節減というのは、職員の協力は不可欠ですよね。ですから、そういった期待も込めて、是非とも来年の賃上げはしっかり今の方針でやっていただきたいということをお願いさせていただきます。

 もう一つ、ちょっと質問の予定があったんですけれども、時間が来ましたので、衆議院の解散がなければ来年の予算のときに回していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、福田玄君。

福田(玄)委員 国民民主党、福田玄でございます。

 向山委員に続いて国民民主党の質問時間をいただき、ありがとうございます。よろしくお願いを申し上げます。

 今回、四年ぶりのNHKの決算ということでございます。四年間まとめてということでございますが、少し中長期の視点から質問をさせていただきたいと思っております。

 今回の決算を見ても、事業収入が減少をしているということでございます。一般企業では経常利益に相当する事業収支差金は、経営努力のおかげもあって黒字基調を維持はされておりますが、やはり事業収入が減っているということは、企業として見ると、やや危機的な状況であるのではないかというふうに思います。

 特に事業収入は、二〇二三年、令和五年度決算を過去からの目で見ると、三年前の二一年と比べると六%台の減少、五年前の二〇一九年と比べて約一一%と、二桁の減収になっています。受信料の値下げなどを行ってきた結果なので、収入減少を責められても困るということもあるかもしれませんけれども、やはり経営体であるNHKの決算評価という観点から、率直にこの決算をNHKとしてどう評価されているのか、お答えください。

中嶋参考人 お答えさせていただきます。

 二〇二三年度の事業収入は、二〇一九年度と比較すると八百五十二億円の減収、それから、二〇二一年度と比較しますと四百七十七億円の減収となっております。これはやはり二〇二〇年度と二〇二三年度に実施をいたしました受信料の値下げの影響が大きいというふうに考えております。そうした中でも、二〇二三年度は少しでも減収を抑えるべく取組を進めまして、当初の予算に対しては増収になっています。

 それから、効率的な事業運営に努めておりまして、事業収入が減少する中でも、NHKの使命を果たすべく取り組んでいるというところであります。

福田(玄)委員 事業収入が減少する中でもということでございますが、大臣、日本の今の一番の大きな課題は人口減少、少子高齢化と言われますが、人口が減っていくということでありますよね。

 NHKの収益部分については受信料をベースにしておられますが、これはどういうふうに読むことができるかというと、世帯数をベースにして考えることができるということがあると思います。世帯数をベースにするということは、かなり堅く読める、そういった予算が組めるということであると思うんですが、今までは人口減少の中で単身世帯が増えてきているので、契約の件数自体は、世帯数としては増えてきているということです。

 NHKの収入は高い状態を維持できたと言えますが、しかし、二〇三〇年に世帯数がピークを打って、収入が減少に入るとされており、しかも今後の中心となってくる若者は、今日、大空議員もテレビを見ないという話がありましたけれども、テレビを持たない世代でもあるということでございます。

 端的に言って、ある時点から顧客の数が減少をする、収入減少が更に顕在化すると思われますが、この点、NHKとしてはどう思われるのか、収入減少はそこまで急激に起こらないと想定されているのか、減少するならばそれはどの程度か。これは抽象的な努力論ではなく、例えば今後十年の収入金額と内訳の予想など、具体的な見込みをお教えいただけますでしょうか。

小池参考人 委員御指摘の人口減少や世帯数のピークアウトといった外部環境の変化は、今後のNHK、特に受信料収入を考えるに当たって大きな要因であると認識しております。

 中期経営計画や予算、事業計画の策定に当たりましては、これらの外部環境などの分析、検討を踏まえ、収入の見通しを立てておりまして、公平負担を徹底して受信料収入を確保することが何よりも重要だと考えています。今、未収対策の強化を含めて、様々なアプローチにより財源の確保を図っております。

 一方で、外部環境が変化する中にあっても、適切な資源管理とテクノロジーの力でコンテンツの量、質を確保し、多くの方にNHKの放送サービスに触れていただき、NHKの公共的価値に共感して、必要性を感じていただくことが重要であると考えております。

 不確実性が高まる中で今後十年の収入見通しを立てることは難しいんですが、まずは今お示ししております経営計画及び予算、事業計画を着実に実行してまいりたいと思います。

 先々の収支、また二〇二七年度以降の中長期的なNHKの経営の在り方、事業収入などにつきましては、来年度策定します次期中期経営計画の中でしっかりと検討していきたいと考えております。

福田(玄)委員 お答えありがとうございます。

 次期計画の中に盛り込んでいかれるということでありますけれども、稲葉会長にちょっとお伺いをしたいと思います。

 顧客の継続的減少、これはもう避けられないということですよね。これが見込まれる場合、永続企業として存続させることが可能かどうか、させるお気持ちでされるとは思うんですけれども、可能かどうか。そして、その収入の減少に対してどのように対応していくのか。視聴料金の単価引上げで補うのか、あるいは副収入を増加させるのか、若しくは、これは縮小均衡ということを是とした経営を行うのか。根本的な議論ではありますけれども、現段階での経営トップとしての考え方を伺いたいと思います。

稲葉参考人 大変大きな問題だというふうに思っております。

 私は、大事なことは、顧客の継続的な減少が見込まれるということなんですが、視聴者・国民の皆様がNHKに対してどのようなディマンド、どのような情報やコンテンツを総体として求めておられるのかというのが大事だというふうに思っております。

 私の感じでは、昨今のネット情勢等もあって、NHKに対するこうした面の期待あるいはニーズはむしろ高まっているのではないかというふうに思います。これに応えるために質の高いサービスを提供していくことになるわけですけれども、取りあえずは、受信料制度の下でしっかりと効率的な業務運営や構造改革を着実に進めていくというのが大事なことではないかというふうに思います。

 いずれにしても、人口減少という、社会環境が変化していく中で、NHKは、縮小均衡を是とした経営をするのではなくて、むしろ、NHKに対する視聴者・国民の皆様の期待の高まり、これにしっかり応えられるように、情報やコンテンツの価値を最大化するとか、そういった経営面の努力を行っていく方が重要だというふうに考えてございます。

 構造改革を着実に進める、NHKを取り巻く環境の変化に機動的に対応する経営を行う、今後も情報空間の健全性を確保し、ひいては究極の使命である健全な民主主義の発展に貢献してまいりたいというふうに考えております。

福田(玄)委員 ありがとうございます。

 今の御答弁の中では、視聴料収入をまずは柱としながら様々な経営改革をされるということでございましたが、その中でやはり、今日もるる質問の中で御提案がありました、例えばCMを入れたらいいんじゃないかとか、さらには、コンテンツをアーカイブビジネスとして成り立たせるべきではないかというお話もありましたが、一般的な企業の経営では、日本の市場が縮小する場合は、海外事業を拡大するであるとか、新規事業を行う、他社との競合で国内事業を集約化しシェアを拡大させるなどの戦略、また、その際、自社だけで行うのではなく、他社との提携、場合によってはMアンドAなども一般的に行われるのが民間企業であると思います。

 NHKにおいては、公共放送という立ち位置で取り得る戦略には限界があるということは理解いたしますが、事業収入の減少が避けられないとすると、現状の中で取り得る選択肢は、今述べた、一般的な企業と比較しても、取り得る戦略は限られているというふうに思うんです。

 その中で、これはNHKと総務省双方にお伺いします。

 NHKとしては、そもそも、現状の放送法等の縛りがなければ、新しい事業機会を捉え、よりドラスチックな戦略を取ってでも拡大したいというふうに考えられているのか、若しくは、仮定の話になってしまいますので、状況が許せばNHKとしては能力的にそれを行うことが可能なのかどうか、お伺いをしたい。

 そして、総務省さんには、もしNHKが日本発の世界的なメディアへという挑戦を決意された場合に、これは法の縛りをある程度緩くしたり、考える余地があるのか。そういった部分についての答弁をお願い申し上げます。

小池参考人 仮定の質問にはお答えできないことを御理解いただきたいと思います。

 受信料を財源とするNHKとしましては、視聴者・国民の皆様に、確かなよりどころとなる情報や豊かなコンテンツをしっかりお届けすることで、より多くの方に公共的価値を共感していただき、納得して受信料をお支払いいただくことが基本だと考えております。

 また、NHKの優れたコンテンツやノウハウの社会還元を目的として、関連団体を通じて、国内外に番組を販売したり、関連する事業を行ったりして、その効果として、副次収入の確保を図っているところであります。

 海外の展開につきましても、海外でのニーズを踏まえながら、展開の可能性を探っているところです。

 現行の枠組みでもできることは様々あると考えておりまして、引き続き検討してまいりたいと考えています。

豊嶋政府参考人 仮定の御質問でございますので、一般論になってしまいますが御容赦いただきたいと思います。

 NHKの事業展開の在り方、例えば情報通信技術の進展だとか、あるいは国民・視聴者の生活様式の変化だとか、いわゆる放送を取り巻く環境の変化を踏まえながら、事業展開のあるべき姿というのは常に変わっていくものがあるかと思っております。

 事業展開に関わることでございますので、仮定の御質問としているかもしれませんけれども、NHKにおきまして、公共放送として果たすべき役割を踏まえながら検討していくべきものかというふうに考えております。

 総務省におきましても、これまで、ちょっと古い話を申し上げますと、技術の進展ということで申し上げれば、例えば、衛星放送という技術が出てきましたら、やはりNHKで新たな衛星放送というサービスがスタートしましたし、直近で申し上げると、先ほども答弁した部分はございますけれども、例えば、本格的にインターネット配信サービスというのを必須業務としてスタートするというような形で、技術進展、あるいは視聴環境の変化に応じながら、実際にNHKの方でこういう事業をしていきたいというようなニーズを踏まえながら検討を進めてきたところの部分もございます。

 したがいまして、今後の事業展開が具体的にどういうものがあるか分かりませんけれども、その検討の過程の中で、例えば、もし法改正が必要なものがあるということでありますならば、要望も踏まえながら適切に検討してまいりたいというふうに考えております。

福田(玄)委員 ありがとうございます。

 仮定の話ということで、ちょっとお答えづらい部分があったかと思いますけれども、人口減少は半端じゃないですから、今一億二千万人が将来的には半減するかもしれないということです。それだけ人口が減った中でも中長期経営計画を立てられるということでもありますけれども、この人口減少を前提として、しっかりとNHKとして大切なコンテンツを提供し続けられるような方法をしっかりと考えていただきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってきましたので、若干質問の順番を入れ替えて伺いたいと思います。

 その中で、経営努力の中でも、これは、残すものと生かすものといって、事業の選別ということではないんですけれども、4Kと8Kのことについて伺いたいと思います。

 報道では、これは民間放送事業者ですが、事業の採算性から4K、8K放送を断念するという例がありますが、NHKにおいても、今後どのように取り扱っていくのかという判断が求められることがあるかもしれないと思っております。

 お伺いしたいのは、そもそも視聴者が求めている技術が変化してきたのではないかということであります。もちろん、画面がきれいであるということは意味があり、大切なことであると思いますが、そこまで、もうこれだけスマホとかPCで動画を見る、ネットの展開というお話がありましたけれども、そういった状況になっている中で、そもそも精細画像にどこまで必要性があるのか、これは疑問があるなと私は思っております。

 そこでお伺いしたいのは、今後、視聴者に必要とされる技術はどのようなものなのか、また、その中でNHKとしてどのような事業に注力をしていくのか。4K、8Kをこのままやり続けるのか、そういった観点でお答えいただければと思います。

寺田参考人 お答えします。

 総務省の有識者会議の議論やメディア環境の動きなどを引き続き注視していきますが、NHKとしては、これまで同様、4Kコンテンツの制作、BS4K放送に取り組んでいきたいと考えております。

 その上で、今後視聴者に必要とされる技術については、デジタル化が進み、AIやクラウドなどの技術が急速に進化しており、メディア環境も変化していくと予想され、その中で、放送とインターネットサービスを更に豊かにしていく必要があると考えております。

 このため、NHKの放送技術研究所では、二〇三〇年から二〇四〇年頃のネット環境やコンテンツ制作環境を想定して、目指すべき未来ビジョンを設定し、それらの実現に必要な研究開発に取り組んでいるところです。

 例えば、放送と通信が連携する技術として、ネット経由の動画をテレビに低遅延で再生する技術、放送やネットといった伝送路によらない視聴環境を視聴者に提供する技術の研究開発を進めています。

 また、ネット上の偽情報、誤情報への対策など、メディアの信頼性向上のために、コンテンツの制作者、誰が制作したのか、誰が編集したか、そのような履歴を、来歴情報を利用者に提示するセキュリティー基盤の要素技術についても研究を行っているところです。

 このほか、スマートフォンやスマートグラスなど、各デバイスに適した形でコンテンツを提示することで、これまでにない視聴スタイルを実現するなど、研究開発にも取り組んでいるところです。

 今後も、メディアの未来を創造し、効率的なコンテンツ制作に貢献できるよう、研究開発を進めてまいります。

福田(玄)委員 私も、先日、放送技術研究所、お伺いをいたしまして、すごく様々な技術を研究されているな、これが未来で実装されたらすばらしいだろうなと思うような技術がたくさん開発はされていますが、ただ、それと同時に、例えば、今日ここにいらっしゃる皆さんで、じゃ、8Kのテレビを誰が持っているんだという、そんな状況があると思います。

 その設備投資はかなり高額なものということもありますので、それをいつまでやるのか、若しくは、NHKとしてやり続けるのではなくて、例えば、手術の現場では、遠隔でやるためには相当精細な画像が要るという話もありますので、例えばそういった民間事業に売っていくようなことも含めて、しっかりと経営基盤を改善していただきたいということを最後にお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、庄子賢一君。

庄子委員 公明党の庄子賢一でございます。

 NHKの決算の質疑に入ります前に、来年三・一一で東日本大震災からちょうど十五年を迎えるということでありますし、また、私自身、宮城県で被災を経験した一人といたしまして、災害報道ということについて何点かお尋ねをさせていただきたいというふうに思っています。

 宮城県だけではありません。十二都道府県で二万二千三百人もの死者・行方不明者を出し、その後、福島原発で原子力災害があり、いまだに帰還困難区域といって御自分の土地を追われ、全国に散り散りばらばらになっている被災者の方々が自分のふるさとに帰れずにいるという現在進行形の災害でもございます。まだ全く終わっていないという認識でおります。

 この東日本大震災のとき、十四年前ですから、今ほどネットとかSNSとかありませんでしたので、今のようなデマ、誤情報というのはさほどではなかったにせよ、やはり原発関連のいろいろな、うわさ話に似た流言は飛び交いました。非常に被災者の方々はそれで御苦労もされたことを今でも私自身も覚えておりますけれども、もしこんな大規模な災害が今起こったらどんなことになっているんだろうと、非常に怖い気がいたします。

 近年、自然災害が頻発化し、激甚化をする中で、その都度その都度、その地域の皆様が、生活を追われ、地域コミュニティーは壊れ、また命を奪われ、こんなことを繰り返す中で、私は、災害報道の重要性というのはいよいよ増してきているんじゃないかなというふうに思っている一人であります。

 私自身もそうだったんですが、食べるもの、飲むもの、あるいは備蓄、これは平時から、自分自身の問題意識さえあれば、ある程度備えることは可能ですが、しかし、発災直後の混沌とした中で正しい情報を確実に得るというのは、自分だけの努力では到底できません。やはり行政機関と放送機関の確かな情報発信ということを待つ以外にないわけでありまして、そういう意味でも非常に重要になってくるなというふうに思っています。

 そこで、災害報道の役割、あるいは災害報道とは何かということを会長に改めて問いたいと思うんですが、これは、関西大学出版部が出した「災害報道とリアリティ」、そういう書籍の中に、こういうふうに定義づけています。一つ、人々の命を救う緊急報道、二つ、人々の命を支える復興報道、三つ、人々の命を守る予防報道、これが災害報道という、三つの定義だというふうに意義づけられておりまして、私も、この考えは全く同感で、こうしたことをもっともっと深掘りをして平時から準備をすることがとても重要だろうというふうに思っています。

 今、いろいろな意味で安全保障という言葉が使われます。食料の安全保障もエネルギーの安全保障も、安全保障という言葉を聞かない日はないぐらい。そこで、災害が起きたときに一番大事なのは、自分で備えられるもの以外の、情報、いわゆる情報保障、これが一番大事だというふうに思います。

 普通、情報保障というと、聴覚や視覚に障害のある皆様方に的確に情報を届けるという文脈で情報保障という言葉をよく使いますが、大規模災害になったら、障害の有無にかかわらず、全ての被災者、全ての国民に正しい情報が的確に届くという情報保障、これを確立するということが国そして公共放送NHKの重要な使命だというふうに思っております。

 そこで、会長に、公共放送として、今後の災害報道のあるべき姿について所見を伺いますとともに、加えて、今申し上げましたように、明年三月、東日本大震災から十五年という節目を迎えますときに、NHKとして、十四年前のこの災害の何をどのように伝えていくべきだというふうにお考えでしょうか。

稲葉参考人 今お話にありましたように、災害報道の目指すところといいますのは、危険が差し迫った人たちに迅速かつ確実に避難してもらい、一人でも多くの命を救うということだと思います。NHKはこれまで、放送を中心に、地域のためのきめ細かい災害情報を発信し、避難を促してまいりました。

 来年三月で十五年となる東日本大震災については、各地の復興の現状の在り方を検証するほか、震災の記憶や教訓をどのようにして将来に伝承していくかなどについて、番組やニュースで伝えていくことにしてございまして、今、具体的な内容を検討している最中でございます。

 放送法の改正によりまして、今年十月からは、インターネットを通じた番組などの配信がNHKの必須業務となってございます。放送でもネットでも、それぞれの強みや特性を生かして、命と暮らしを守る報道を深化させる、そういうふうにしていくことが公共放送としての今後の災害報道のあるべき姿ではないかと考えてございます。

 一つつけ加えさせていただきますと、私、東日本大震災十五年の節目で思いますに、過去、日本列島で生活した先人たちは、いずれも大きな災害を乗り切ってきてございます。それらの先人の努力がどういったものだったのか、どうやって復興に取り組んできたのか、今から見ると、ほとんど、被災されたという状況すらうかがわれないような形で復興している、そういった事例をお伝えすることによって、先人たちの努力をお伝えすることによって、今まさに復興に取り組んでおられる方の応援のメッセージとなればいいかなというふうに考えてございます。

庄子委員 今会長にるるおっしゃっていただいたことは非常に重要だと思っています。

 特に、来年の三・一一における、もちろんその日、当日だけではないですね、その期間、ある一定期間に報道されるNHKさんの様々な報道特集等は、私が今申し上げた、命を守る予防報道にもつながっていくというふうに思っておりまして、何かあったときにどうすればいいのかという対処方法を報道するだけではなくて、何かあったときに被害を最小限に食い止めていくための予防という観点からの報道であるということも是非認識をいただきまして明年の三・一一を迎えていただきたいなというふうに思っているところであります。

 先般の能登半島地震、これは元旦の発災ということもございまして、災害報道の隙をつかれたというふうに指摘をされてもいます。実際に、NHKにおきましてもヘリコプターを飛ばすことができなかった、全体から俯瞰した災害報道ができませんでした。また、中継局の電源喪失によりまして、広範囲に地上波放送が停止をするということにもなりました。

 当然、災害は、時間、季節を選ばずにやってまいりますので、平時から強靱化していくというその備えが非常に重要だというふうに思っています。今後も、南海トラフ地震あるいは首都における大きな災害などが警告をされている中にあって、国営放送としての強靱化対策、これは極めて、国民の命、暮らしを守っていくという意味においても重要です。

 こうしたことについてのお取組を伺っていきたいというふうに思います。

山名参考人 お答えいたします。

 能登半島地震では、発災直後にヘリコプターを現地に向かわせましたけれども、機体トラブルなどが重なりまして、当日は、御指摘のとおり、被災現場を上空から取材するということができませんでした。

 この教訓から、ヘリコプターにつきましては、新しい離着陸場の確保を進めるといった、配置や運用を見直しました。また、大規模災害時にヘリコプターで取材した映像を民放と共有し合う取組を全国で進めておりまして、これまでに北海道から沖縄まで全国の八つのブロックで民放各社と協定を取り交わすということなど、体制強化に努めているところであります。

 また、中継局についてでございますけれども、NHKは、東日本大震災を教訓としまして、全国の中継局の規模に応じまして、非常用電源として発電機やバッテリーを準備し、停電時も放送を継続できるよう備えてまいりました。

 しかし、能登半島地震では、長期間の停電に加えまして、中継局にアクセスする道路が損壊していたため、発電機の燃料補給や仮設発電機を搬入してバッテリーをバックアップするといったことができず、輪島市内の一部地域の放送が停波いたしました。

 こうしたことを受けまして、輪島市内にある中継局において追加でバッテリーを整備したほか、発電機への燃料補給を円滑に行うために、ヘリも手段の一つとして活用するといった体制を今整えているところでございます。

庄子委員 一つ一つの災害が、国民にとってももちろんなんですけれども、NHKにとっても大きな教訓であり、次に向けて準備をするという一つの示唆だというふうに思いますので、今後に向けてしっかりお取組をお願いをしたいと思います。

 法政大学の藤田真文先生という方が、こういうふうにおっしゃっています。

 岩手、宮城、福島の民放とNHKローカルテレビ局に対する聞き取り調査を行った。その結果、放射性物質に関する放送局側の専門的知識の不足、風評被害にも関わる、事実を伝えかつ不安をあおらない報道、そして全国報道との温度差などに困難や課題があったというふうに現地の放送局のスタッフが述べているということを調査し、発表していただいております。

 こうしたことを一個一個積み重ねていった中で、実は、能登半島地震の際に、NHKの女性アナウンサーが、命を守る、そうした避難行動の呼びかけを行ったということが非常に有名になりました。それまでは、ですます調で語りかけて避難を呼びかけるというやり方だったのを、逃げることというふうに、強い口調で、紋切り型で言って緊迫感を伝えるという報道をされました。

 こうした緊急報道の在り方というのは、やはり、その時々、在り方を見直して、ブラッシュアップをして、研究を重ねて、より国民にその切迫感が伝わるように、発信する側の、NHKさん、あるいはスタジオにいるスタッフや技術の方やアナウンサーの皆さんまで、共通した思いの中で伝えていただくということがとても重要だろうというふうに思います。自分は大丈夫だろうというふうに、どうしても正常なバイアスが働きます、国民の側には。そこを揺り動かしていくような報道が必要でございます。

 今後のこうした初動段階での報道につきまして、どのように力を入れて取り組んでいかれるか、伺いたいと思います。

山名参考人 お答えいたします。

 災害報道では、初動段階の的確な情報発信によって一人でも多くの命を救うということが最も重要と考えておりまして、大規模災害に備えまして、NHKでは、本部そして地方が連携して対応を強化しているところです。

 近い将来に発生が予想されております南海トラフ巨大地震に備え、甚大な被害が想定されております関東から九州・沖縄にかけての六つのエリアで、全国放送に続きまして速やかにブロック放送を実施し、きめ細かい情報提供ができるように放送訓練を定期的に行っております。

 また、日本海溝、千島海溝沿いで想定されております巨大地震、こちらの対応も進めておりまして、北海道や東北ブロックでは、今月から来月にかけまして、放送や要員の展開を検証する図上での訓練のほかに、初動段階での情報発信を想定した放送訓練を実施しているところであります。

 様々なケースを想定しまして訓練を繰り返すことによりまして、初動段階での情報発信力を高めていきたいと考えております。

庄子委員 民放連研究所による調査によりますと、ラジオに物心両面で救われた、あるいはラジオがなければ精神的にどうなっていたか考えると怖くなるといった回答が多く見られたというふうに言われています。この理由については、ラジオが持つリスナーとの距離の近さ、リスナーに直接語りかけるような臨場感、密着感、放送を通じ、コミュニティーの形成機能など高い信頼度を生み出したことが背景になっているというふうにこの放送連研究所ではまとめておられます。

 そういう意味でも、ラジオの有用性というのは、午前中の質疑にもありましたとおり、非常に重要だと思いますが、一点、災害によっては、災害FMラジオ、臨時局ですね、これが開設されないということもございました。

 総務省にお伺いをしたいんですけれども、総務省として、災害時に災害FMラジオ、これが速やかに開局できますように体制整備をしていただく必要があると思いますが、現状はどのようになっているでしょうか。

豊嶋政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘がありました災害FMラジオ、これは臨時災害放送局というふうに呼んでおりまして、災害発生時にその被害軽減に役立つことを目的として、自治体などが免許人あるいは運用主体となって臨時かつ一時的に開設される放送局でございます。

 総務省では、この臨時災害放送局を円滑に開設するために、平時から全国の地方総合通信局などに送信機、アンテナの設備を配備し、実際に災害が発生した際には、自治体からの要請に応じて貸出しを行うとともに、直ちに放送ができるように無線局の開設に係る手続を口頭により行うことができることとしております。

 さらに、自治体の防災訓練等の際に、地方総合通信局等が臨時災害放送局の設備を現地に持参をしまして、地元のコミュニティー放送事業者などの協力を得ながら、自治体による開設、運用のための実地訓練を実施をしております。

 なお、直近では、能登半島地震で被災した輪島市で、本年七月にこの臨時災害放送局が開局されておりまして、これまでに計五十六件開設の実績がございます。

 総務省としましては、引き続き、関係団体の皆様ともよく連携をさせていただきながら、災害時に備えて臨時災害放送局の開設支援に取り組んでまいりたいと考えております。

庄子委員 知見によっては、自治体の方がこの臨時FM局の開設に二の足を踏むような例もありました。よく日常からコミュニケーションを取って、開設に向けた準備をお願いしたいと思います。

 では、NHKの決算、受信料の納付について伺ってまいります。

 四年間の決算の直近であります二四年度決算、企業の収益に当たります事業収支差金は四百四十九億円の赤字、受信料収入は対前年比七%減の五千九百一億円、減収は六年連続となりました。二〇二三年十月の受信料引下げの影響と契約総数が四十万件減少したことによるものというふうに思います。全国の支払い率も公表されておりまして、二四年度末の世帯の支払い率七七・三%、前年より一ポイント低下しています。未払いに当たる未収は百七十四万件にも上っています。

 次期中期計画の初年度になります令和九年度には収支均衡予算を組みたい、こう伺っているんですが、かなり現実とは乖離があるように思っています。やるべき課題について具体に示していただきたいと思います。

稲葉参考人 収支均衡についてでございます。

 少し総花的なお話になりますが、経営計画で掲げました二〇二六年度までの事業収入の確保と事業支出の削減につきましては、これまでのところ、おおむね計画を上回る形で達成、進捗しているという状況にあります。

 二〇二六年度は経営計画の最終年度となりますが、二〇二七年度の収支均衡を実現するために、収入の確保とともに、千三百億円規模の支出削減に向けた最終的な取組について、緩めることなく、確実に実施していくという方針であります。

 今後も、経営資源の有効活用を進めるため、設備投資の大幅な縮減を行うほか、既存業務の大胆な見直しを行い、経常的経費の削減などによる支出の見直しを実現していきます。

 その一方で、業務全般にわたる経費の削減で生み出した原資の一部を質と生産性向上につながる投資に充てて、コンテンツの質と量を確保してまいります。

 課題になっている受信料の未収数の増加に歯止めをかけるための対策を強化するなど、公平負担の徹底と収入確保を図っていきたいというふうに思っております。

 さらに、AIの活用や制作DXの推進など、生産性向上に資する取組も進めていきたいというふうに考えております。

 今後も公共放送としての役割を果たし続けていくために、これらはいずれも必要な取組と考えておりまして、業務の効率化及び生産性向上につながる構造改革を着実に進めていくという考えでございます。

庄子委員 収支均衡を組むためには、会長が最後の方におっしゃっていただいた収入確保だと思います。どんな企業であれ、健全経営のためには入るを量りて出るをなすです。出ていくものを抑えるということよりも、まず入ってくることをしっかり精緻に確保するということが極めて重要、これは基本中の基本ですので、是非、しっかり計画立てて、そのとおりに収入が入ってくるような対策をお願いをしたいというふうに思っております。

 十一月十八日にNHK広報局から発表されました、支払い督促による民事手続の強化という報道資料がありました。受信料を長期にわたって支払っていない世帯や事業者に対し、支払い督促による民事手続を強化するとして、本部内に受信料特別対策センターを設置したというものであります。

 そこでまず伺いますが、これまでの民事手続によります未収回収件数、そして金額を示していただきますとともに、長期にわたる未払いというのはどのぐらいの期間を指しておっしゃっているのか。また、近年、家計急変などによる不測の案件が多くありますが、こうした問題にはどのように対応していかれるか、伺います。

小池参考人 お答えいたします。

 これまでに実施しました支払い督促の申立て数は累計で一万一千九百七十九件で、このうちの一万九百三十一件から受信料を回収できております。

 金額につきましては、過去全ての支払い督促の事案を個別に集計することができないために、二〇二四年度の実績値を基に試算しますと、これまでに支払い督促により請求した金額は九億円、そのうちの九割に当たる八億円規模の受信料を回収していると見ております。

 なお、二〇二四年度は支払い督促を百二十五件申立てまして、このうちの百三件から受信料を回収し、平均の請求額は約八万円となっております。

 長期にわたる未払いというのは、一年以上にわたって受信料をお支払いいただけていない方であります。こうした方への支払い督促によります民事手続の実施に当たりましては、お客様の個別の事情等を総合的に勘案しながら判断しております。仮に経済的な事情が急変したなどの不測の事態が生じた場合には、そうしたことも考慮して対応を検討していくことにしております。

庄子委員 新たに対前年比で十倍ぐらいこの手続を増やしたいというふうに報道されておりますが、今専務がおっしゃっていただいたとおり、NHKの方もコロナでなかなか訪問できずに回収率が下がったという事情がある一方で、国民の側、払う側もコロナ等によって家計が急変してしまっているという事案もありますので、より丁寧に対応していただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。

 それから、地域による受信料納付に差があります。二〇二三年末の推定世帯支払い率、タワーマンションなどが多い東京都は六七・四、大阪は六五・四、最も納付率が高い秋田県は九七・三%ということで、都道府県による差が非常に激しいですね。

 都市部の転入転出の多い国民が未払いのまま、そのままある種放置され、地方部で民事扱い案件が増えるというのは、必ずしも公平とは言えないのではないかというふうに思っておりまして、より都市部の納付率を確実に上げる対策を実行していただきたい、そう思いますが、いかがでしょうか。

小池参考人 お答えいたします。

 受信料の支払い率について、大都市圏において低い傾向にあることは課題だとして受け止めております。支払い率が低い要因の一つとしましては、単身世帯やオートロックマンションなどの集合住宅の割合が大きく、面接が困難な世帯が多いことが考えられます。

 こうした大都市圏において支払い率を維持向上させていくため、現在取り組んでおります新たな営業アプローチを強化していくことが重要だと考えています。

 具体的には、外部データなどを活用しまして、新築や入居者の入れ替わりが多い地域に対して集中的に対策を行うことや、特別あて所配達郵便などの施策の改善に取り組んで、自主的な新規契約の届出を増やしてまいります。

 さらに、受信契約を結んでいるにもかかわらず長期にわたって受信料をお支払いいただけていない方につきましては、支払い督促による民事手続などを含めて、対策を質、量共に強化することで、未収の増加に歯止めをかけて、課題となっている大都市圏の支払い率を向上させていきたいと考えております。

庄子委員 よろしくお願いをしたいと思います。

 子会社の問題に移りたいと思います。

 NHK子会社の取引比率につきまして、会計検査院の検査報告書によりますと、関連団体との随意契約に関し、競争性のある取引ではない、取引数量や取引金額に妥当性が見出しにくいという指摘がございます。

 令和六年度で見ますと、関連団体との契約に占める随意契約割合、件数で申し上げれば八九・七%に達しています。金額では実に九六・三%になります。かなり以前から会計検査院の指摘を受けていますが、この検査院の指摘をまるで無視するかのような高止まりが続いていると言わざるを得ません。

 コストの削減の努力なしに、随意契約をただ慢性的に繰り返しているような姿勢は実に問題だというふうに言いたいと思いますが、まずその認識を伺いたいと思います。

中嶋参考人 お答えいたします。

 会計検査院の二〇一七年決算報告では、業務委託額の妥当性を検証し、業務委託額の削減に努めることという所見が委員御指摘のとおりございました。

 これを踏まえて取組を進めておりまして、その結果、二〇二四年度の会計検査院の検査では、全ての業務委託に関して仕様の見直しなどを継続して行う取組を実施しており、業務委託額を削減したというふうに報告されていると認識をしております。

 こうした結果につきましては、二〇二三年度から、経営課題といたしまして、部局横断のプロジェクトで調達改革に取り組んでいることによるものであるというふうに認識をしております。委託の仕様であるとか業務の見直しを行うとともに、子会社などとの取引の競争契約化を現在推進しております。

 今後もこうした取組を一層進めていきたいというふうに考えているところであります。

庄子委員 今、ある種会計検査院からは合格点をいただいているような御答弁でございましたけれども、民間の感覚から申し上げれば、まだまだ競争は働くし、コスト削減についてはまだ相当余白があるというふうに私は思います。これで満足することなく、国民の理解が得られるような、是非、削減の努力、競争性の確保、こうしたことについてはしっかり取り組んでいただきたい、こう考えておりまして、この問題はまた、予算などもありますし、今後も進行管理をしっかりやらせていただきたいというふうに思っておりますので、どうかよろしくお願いします。

 次に、SNS上でのデマあるいは誤情報対策についてなんですけれども、私の地元宮城県の知事選挙が十月にございました。この際に、デマや誤情報、これがネット、SNS上で拡散をし、候補者はもとより多くの県民に、混乱や不信感、あるいは断絶といったものまで生んでしまったわけであります。

 民主主義の根幹であります選挙の公平さを守る、そうした観点から、NHKは、令和七年十月から、始まったばかりですが、インターネット配信で情報を提供されますテキスト情報、いわゆる番組関連情報が偽情報、誤情報の流通の防止に資する、こうおっしゃっているんですけれども、これは具体的にどのようにテキスト情報がこうした流通の防止につながっていくのか、お示しをいただきたいと思います。

山名参考人 お答えいたします。

 SNSなどで発信されました情報が選挙結果にも影響すると指摘される中、デジタル空間での偽の情報ですとか誤った情報への対策はNHKの重要な使命と考えております。

 NHKでは、報道局の中に専門チーム、ソーシャルリスニングチームというふうに呼んでおりますけれども、こちらがインターネット上の投稿といったものを二十四時間体制で確認しているほか、二〇二五年には新たに、地域放送局にもファクトチェックの担当者を指名して、本部と連携して対応する体制を整備しております。

 選挙期間中は、SNSなどで偽の情報、誤った情報が多く発信される傾向にあるということから、対応を強化しているところです。幅広いテーマで事実関係を検証するほか、不正選挙が行われるといった典型的な偽の情報あるいは誤った情報に対してはあらかじめ打ち消す報道を行うといったことなど、正確かつ公平公正で多角的な情報を発信していきます。

 今後も、事実に基づく正確かつ公平公正な報道を継続するとともに、有権者が投票先を決める際の判断材料となる事前報道の強化に取り組み、健全な民主主義の発達に貢献していきたいと考えております。

庄子委員 最後に、林大臣、これは通告申し上げていないので恐縮なんですけれども、ネットの誤情報の拡散というのは、オールドメディアとは違って、物すごいスピードで広がっていきますので、それをオールドメディアで拡散を防止するといっても限界もある。スピード感を持ってどう対処するかということが非常に課題だったなというふうに十月の県知事選挙で感じました。

 大臣として、選挙とそれから放送を所管されるお立場で、お答えできる範囲で結構なんですけれども、近年の、特に宮城県知事選挙などで見られた、こうしたデマ、誤情報の流布、拡散ということについての所感、そして、何か具体的な手だてがないのかといったことについて、是非、御意見といいますか御認識を伺いたいというふうに思います。

林国務大臣 委員がおっしゃるように、SNSは、拡散が非常に速く、広範囲に行くという性格がございます。

 もとより、委員も御案内のように、情報流通プラットフォーム対処法というものが四月から施行されておりますので、これをしっかりと運用していくということであります。落書きと違って、たどれば、そもそも誰がまず発信したかというのは分かっていく、こういうことの上にこの法律の運用というのがあるわけでございましょうから、そういうこととともに、ちょっと今、急なお尋ねですからあれですが、権利侵害、それから違法、そして有害、こういう種類を分けながら、最も重い権利侵害からしっかりやっていく、こういう考え方がございますが。

 選挙の場合は、我々衆議院ですと十日、知事さんでも十七日ということで、期間が短い、こういうことで、いろいろ対処が終わったら、そのときにはもう選挙は終わっていた、こういうことがあるわけでございますので、情報流通プラットフォーム対処法に加えてどういうことができるのかというのはしっかり考えていかなければいけないと思っておりますし、選挙ということになりますと、総務省にとどまらず、各党各会派でやはりしっかりと民主主義の基本的なルールとして御議論いただく、このことも非常に大事な大前提だ、こういうふうに思っております。

庄子委員 ありがとうございました。

 終わります。

佐藤委員長 次に、山花郁夫君。

山花委員 立憲民主党の山花郁夫でございます。よろしくお願いいたします。

 委員会が重複しておりまして、質問時間帯を御配慮いただきました。委員長そして理事の皆様には感謝を申し上げます。

 昨日、デフリンピックの東京大会が閉会式ということでございました。

 五年以上前になりますでしょうか、私は一期空いている者ですので、前の前の任期のときかな、NHKの予算の審議で、オリパラはもちろんですけれども、デフリンピックのようなものは、まさにこういうことこそNHKがしっかり取り組んでいただきたいということを申し上げておりました。

 欲を言えば切りがないのと、ちょっと画面で手話通訳の方が映らなかったシーンがあったりとか、反省点はあるかもしれませんけれども、全体としては本当によく取り組んでいただいたと思います。ありがとうございました。

 ところで、五月の二十八日になりますけれども、世田谷の砧にありますNHKの放送技術研究所というところに行かせていただきました。これも非常に親切に対応していただいたことを感謝申し上げます。

 まさに、デフリンピックの半年ほど前ということもあったんでしょうか、入っていくと、大体、最初の辺りのところで、情報保障というような観点からの展示が非常に多くあったと思います。音楽を可視化したりであるとか、あるいは解説音声であるとか、そういったものについての展示があり、また、それこそ、その前に質疑をさせていただいたときには、手話のCGなんかもまだまだ十分じゃないよね、表情なんかもついていないしというようなことを言わせていただきましたけれども、行ったら、本当にそれが進歩しておりまして、非常に分かりやすくなっていたということが印象的でありました。

 そのほかにも多数の展示がされていまして、ただ、説明を聞いて、あ、なるほどなと思ったんですけれども、技術はすごく進歩しているんですけれども、いかんせん受信施設の問題があって、つまり、テレビがアナログから地デジになったときには一気にそれまでの技術は投入できたんだけれども、それ以降の進歩している部分についてはどうしてもやはり限界があって、将来またテレビを更新するときにならないとなかなか反映されないというようなお話も非常に印象的でございました。

 その際、一緒に回っていただいた研究所の所長さんともお話をさせていただいたんですけれども、字幕放送を研究してほしいということについて、改めてNHKの理事の方にも御発言をいただきたいと思っております。

 実は、昨年四月から、むしろ当委員会というよりも厚労委員会みたいな話になりますが、障害者差別解消法というのがあって、民間の事業者にも、努力義務ということでありますけれども、これが適用されることになっております。

 そういうことがあるものですから、私自身、地域で、実際それがどんな運用になっているのかとか、障害者の方とかが実際に町中で困ったこと、要するに、今まで公的なところだけだったので、民間のところで何か困っていることはありませんかということについて、福祉作業所なんかを中心に行って、話を聞く機会をつくっているんです。

 そんなときに、ある福祉法人の理事長さんが、字幕放送をもうちょっと頑張ってほしいんだよねという話をされました。私は、最初に聞いたとき、リモコンで字幕放送ってありますよという感覚だったんですけれども、福祉の会の理事長さんが御存じないのかしらと思ったら、当然そんなことではなくて、NHKなんかで、分かりやすいニュースとか、そういうのはやっていただいてはいるんだけれども、例えば、普通のニュースを知的障害のある方がぱあっと字幕で見ても、ちょっと難しくて分からないというようなことでありました。今、AI技術なんかも進歩しているので、リアルタイムでそういうニュースなんかもいわば変換して、分かりやすい言葉にして流すという技術もできないだろうかというようなお話でありました。

 それこそ一緒にいた所長さんにもその話をしたところ、非常に関心を持っていただきまして、技術的には、なかなかちょっと、興味のあるところですと。ただ、言われるほどそんな簡単な話じゃないんですよというようなことも御説明いただきました。

 先ほども公明党の庄子委員から情報保障という話がありましたけれども、まさにこういった情報保障、特に聴覚障害の方にということについては、NHKの重要な役割ではないかと思うんです。この点、是非研究を進めていただきたいという要望をさせていただきたいんですけれども、御所見をいただければと思います。

    〔委員長退席、岡島委員長代理着席〕

寺田参考人 お答えします。

 NHKでは人間の視覚や聴覚に関する研究に長年取り組んでおりまして、委員御指摘のとおり、高齢者や障害がある方々も含めた誰もが豊かな放送サービスを楽しめる人に優しい放送は、NHKの重要な役割の一つと考えておりまして、そのための研究開発を進めております。

 一例としまして、委員からありましたが、耳の不自由な方などのための字幕放送を拡充するために、音声認識技術を使って、放送番組にリアルタイムで字幕を付与する研究を進めておりまして、障害者などの方に分かりやすく、役に立つ技術を目指しております。

 また、AI技術の急速な発展に伴いまして、字幕や解説音声の制作など、情報アクセシビリティー向上への活用も期待されております。NHK放送技術研究所では、AIを用いまして自動字幕の精度を上げる研究にも取り組んでいるところです。

 委員の御指摘も踏まえまして、今後、国内外で急速に進みますAI等に関する研究開発の動向を調査しつつ、新しいユニバーサルサービスなどにつながるような研究開発を進めていきたいと考えています。

    〔岡島委員長代理退席、委員長着席〕

山花委員 今お話があったとおりで、耳の不自由な方のというのはあるんですけれども、今私が言っているのは、いろいろ研究していただけるということですけれども、知的障害のある方が非常に分かりやすいようなということが、できればリアルタイムで、ニュースなどでということも研究していただきたいということでございますので、受け止めていただいたというふうに思います。

 さて、話はちょっと変わるんですけれども、先ほども偽・誤情報、あるいは違法・権利侵害情報というような話が出ておりました。

 当委員会では、先ほど大臣からも情プラ法の話がありましたけれども、SNSとかの話を中心に議論をされております。いわゆる情報だとか通信の分野ですけれども。今から取り上げたいと思いますのは、近年オールドメディアと言われるようになってしまっております放送に関してでございます。

 偽・誤情報であるとか違法・権利侵害情報については、いかにして削除させるかとか、どうやって損害賠償を請求するのか、特定の問題とか、こういったことが中心となって議論されているように感じます。

 フランスとかドイツですと、反論権という制度があって、これは紙媒体のものであっても放送にあっても同様なんです。ちょっと仕組みが違っていて、今フランスなんかだとどっちが原則だみたいな議論があるようですけれども、こういったものが認められております。

 放送法にも訂正請求という仕組みがあって、これが参考になるのかなと思って調べたんですけれども、それこそ、NHKがかつて被告になっている「生活ほっとモーニング」事件というのが、平成十六年に最高裁の判決が出ているものがありまして、後ほど議論を展開させていただきたいと思いますけれども、私は、おやっと思った事件なんです。

 事件の概要と、どのような判決だったのかということをお答えください。

山名参考人 お答えいたします。

 まず、概要でございます。

 一九九六年、平成八年六月放送のNHKの「生活ほっとモーニング」という番組で、「妻からの離縁状・突然の別れに戸惑う夫たち」という特集を放送した中で、結婚二十一年目に妻から突然離婚してほしいと言われた、離婚から四年を経過しても妻がなぜ突然離婚を要求したのかが分からず、戸惑っているという男性の話が紹介されました。これに対しまして、男性の元妻が、事実と異なるとしてNHKに訂正を求めましたが、この時点でNHKは訂正をしませんでした。続きまして、この元妻は、自分には取材せずに男性の言い分だけが一方的に取り上げられ、事実と異なる放送によって精神的苦痛を受けたとして、NHKに訂正放送等を求めて民事訴訟を起こしました。

 判決の要旨でございます。

 訂正放送について、最高裁判所は、二〇〇四年、平成十六年十一月二十五日、放送法の訂正放送の規定は、他からの関与を排除して表現の自由を保障する放送法の理念からすれば、放送局が自律的に訂正放送を行うことを国民全体への義務として定めたものと解釈すべきであり、被害者が裁判を通じて訂正放送を求める権利を認めてはいないという初めての判断を示しました。

 以上です。

山花委員 そこなんですよ、私があらっと思ったのは。

 つまり、放送で、訂正放送というのが、被害を受けたという人が裁判で訴えて認めてもらえるという制度だとすれば、例えば、これはあくまでも放送ですというたてつけかもしれないけれども、これがヒントになって、今、これだけ通信と放送って融合していて垣根はなくなってきていますから、SNSとかのところでも応用が利くのではないかと思ったんですけれども、最高裁はそうじゃないんですという話なんです。

 今日は配付資料の、過去の議事録を見ていただきたいんですけれども、恐らく当時の、総務委員じゃなくて逓信委員の方が聞いたらちょっとびっくりしたんじゃないかと思うんですが、まず、当時の、総務大臣じゃなくて郵政大臣ですね、法案の趣旨説明をしています。

 この法律案は、真実でない事項の放送により権利を侵害された者に対する救済措置の改善を図るため、訂正又は取消しの放送の請求期間を延長するとともにということで、横線を引いておりますので、ちょっと目で眺めていただければと思います。つまり、権利を侵害された者に対する救済措置の改善ということを言っています。

 一枚めくっていただいて、これも横線を引いているところですね。訂正放送については具体的にどんな場合にどのような放送で行われるんですか、一つでも例を挙げて、イメージがすっきりするように御説明くださいということで。実例を申し上げますということで、ある放送で間違った放送をしてしまいましたと。これに対して訂正請求があって、その先のアンダーラインのところですけれども、今日夕方のニュースで何々町長がこれこれこうしたことがあったけれども、事実ではなかったことが分かりましたので訂正いたしますという趣旨の放送を実施したわけでございますと。つまり、これは請求が認められたケースです。

 一枚めくっていただいて、当然、放送事業者としては、いや、間違っていないよね、何言っているのというケースもあると思います。そうなると、そういったふうに争いになったときどうするんですかという質問に対して、二つ目の御指摘の対立したときにどうなるかということについてでございます、それでも駄目なときには手だてとして何があるかというと、先生おっしゃいますように、それは裁判所に行く以外にはございません、訴訟でやってもらうということになりますという議論を委員会ではしているわけです。

 なので、当時、立法者の意思としては、最高裁が言っている趣旨と違う趣旨でこの法律を作られたのではないかと思うわけでありますけれども、実はこれ、憲法学の高橋和之先生という著名な先生が疑問を呈されているところでございまして、私も、過去の議事録を見ると、確かにそうだなと思ったんですが。

 ここは四条となっていますけれども、旧四条一項というのは、現在の九条一項の規定です。総務省としては、この規定はどのような規定であるというふうに解釈をしているでしょうか。

豊嶋政府参考人 ただいま御指摘のありました放送法、今、現第九条の第一項でございますが、これは、真実でない事項の放送により毀損された放送に対する信頼性を回復し、併せて被害者の救済を図るためのいわゆる訂正放送等に関する規定であると認識をしております。

 先ほどNHKから最高裁判決の説明がございましたとおり、訂正放送等の実施は、公法上の義務として課されたものであり、私法上の請求権を与えたものではないとされていると認識をしております。

山花委員 今日お配りしている議事録ではないんですけれども、済みません、これは後から気がついたので。

 公法上のものだという解釈なんですけれども、プライバシーの侵害のときには訂正放送って余り有効ではないですよねという議論に対して、当時の放送局長は、訂正放送制度と申しますのは、真実でない事項の放送によって権利侵害を受けた人が権利の回復を同じ放送という手段によって図ろうとするものというふうに、権利侵害を受けた人を主語としてお話をされているということが一つと、この議事録を何度、どこを見ても、これは公法上のものであるなんという議論は一切ないわけであります。

 ただ、最高裁の判決が出ちゃっていますから、今役所として、いや、最高裁はこう言っていますけれども違う解釈をしますとは言えないという事情もあろうかと思いますけれども、これは改めてこのことを、是非、総務委員の皆さんも考える機会にできればと思います。

 ちょっと時間がなくなったので一問飛ばしますけれども、かつてアメリカでは、フェアネスドクトリン、公平原則というルールがあって、恐らく日本の放送法はそれを承継したのではないかというふうに考えられますが、そのフェアネスドクトリンの中に、やはり訂正放送という制度がありました。これについて、いわゆる反論権を米国でも認めていた時代があって、アメリカの最高裁は、これはレッドライオン事件というんですけれども、合憲であるというふうに言っていました。

 一九七八年のFCC・バーサス・パシフィカファウンデーション事件というのがあって、ごめんなさい、前提として大事なことを忘れていました。

 大臣、今日答弁は求めませんけれども、放送という制度が、新聞とかほかのメディアと比べて何で規律を受けるのか。例えば、新聞社を設立するときに免許を取らなきゃいけませんよなんという制度をつくったら憲法違反だと思いますけれども、そうじゃなくて、何で放送がそういう規律を受けているのかということについて、これまで、学者もそうですし、政府は、電波の有限性と社会的影響力の大きさというこの二つを大体柱にして説明してきています。

 ところが、もう現在の放送法で、伝送路は電波に限られるということじゃなくなっているし、つまり、電波の有限性という理屈はちょっと弱くなっているはずです。社会的影響力の大きさというのも、さっきから議論があるように、もうオールドメディアと言われちゃっているぐらいで、SNSとかの方がでっかくなっているわけで、じゃ、何で放送だけこういう規律を受けるのということについては考え直す必要があるのではないかという問題意識を持っておりますので、ちょっと頭に入れておいていただきたいということで。

 その上で、先ほどのパシフィカ・FCCの事件ですけれども、この一九七八年の米国の判例で、ちょっと興味深いことを言っております。

 ラジオの特性として、家庭内に置かれた装置であって、好むと好まざるとにかかわらず音声が耳に飛び込んでくる、つまり、家庭内のプライバシーを侵害してしまうおそれがあるから、放送については、例えば公平原則だとかそういうのを入れていいのだとか、あるいは、FCC側です、FCC側というのは、要するに訴えられている側ですけれども、放送が印刷の場合と別異の取扱いを受ける根拠として、不快な表現が放送される又は放送中であるとの告知を受けないでスイッチを回す成人の感性を保護すべきこと。ちょっと分かりづらいんですけれども、要するに、もし見たくなきゃ見なきゃいいじゃんというのであればスイッチを回さなきゃいけないという、行為を強いなきゃいけないので、要するに、一方的に入ってくるものだから、何らかの、新聞とかとは別の規制をしていいよという考え方で、実は、今の放送法が何でペーパーメディアと違うのといったときに、一つ参考になる考え方ではないかと思います。

 その上で、だから、放送の規律の根拠というのが、電波とかそういうことじゃなくて、とらわれの聴衆という概念があるんですけれども、要するに、とらわれの聴衆を保護することである、一方的に入ってくることについてブロックすることができるのだという考え方がもし放送規律の根拠だとすると、限定的ではありますけれども、偽・誤情報対策のヒントになるのではないかというふうに考えられます。

 つまり、電波と違って、SNSなんかは自分で選択しているから違うのよと言われるけれども、アルゴリズムなんかによって、実質的には自分の選択じゃない情報がどんどん入ってくる状態であるというふうに考えると、一定のカテゴリーのものについては、削除させるとかそういう強烈なものじゃなくて、訂正請求というのをさせるという方がより制限的でない方法ですから、そういうことを考える法制度に道を開けるのではないかというふうに考えておりまして、是非、こういったことを総務省において検討していただきたいと思います。一言所感をいただければと思います。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 SNS等のインターネット上の偽・誤情報への対応につきましては、SNS等を運営する事業者によって自主的な取組が行われているところでございます。

 総務省では、情報流通プラットフォーム対処法の運用等の制度的な対応、それから幅広い世代のリテラシーの向上、それから対策技術の研究開発、こういったことの総合的な対策を進めているところでございます。

 委員が御提示されましたように、偽・誤情報について訂正要求を行う枠組みを設けるということにつきましてでございますが、放送制度においては、情報の発信主体である放送事業者に対して訂正放送の実施義務が課されている一方で、SNS等のインターネットでは、情報の発信主体はSNS等の利用者でございまして、当該情報を伝送するプラットフォーム事業者ではない点にも留意が必要ではあると考えております。

 こうした放送とインターネットの特性の違い等を踏まえれば、例えば、誰に対して訂正の実施を求めることとするのか、また、その実効性をどのように確保するのか、情報流通プラットフォーム対処法の削除対応の迅速化の規律との関係をどのように整理するのかといった課題や論点について整理が必要になるものと考えております。

 いずれにしましても、総務省におきましては、今後とも、いただいた御意見、それからそのほか様々な御意見を参考とさせていただきながら、インターネット上の偽・誤情報につきまして、対策を積極的に進めてまいります。

山花委員 役所的にはそういう答弁になるんだと思うんですけれども、是非政府の方でも受け止めていただいて、御検討いただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、辰巳孝太郎君。

辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。

 私は前回、十一月二十日の所信質疑で、大臣の昨年の総選挙期間中の労務費の支払いにおいて、何もしていないのに支払われたという問題や、他人によって書かれた領収書の存在、選挙運動を行った同日に労務費が支払われるという公職選挙法違反が強く疑われる問題を指摘いたしました。

 しかし、問題はそれだけではなかったということが本日発売の週刊文春に書かれております。

 二〇二一年の総選挙でも同様のことが行われていたのではないかという報道なんですね。二〇二一年の総選挙の労務費の支払いの領収書の一つに、何と、この領収書の宛名に河村建夫と書かれたものがあるわけなんです。日付は十月十八日で、これは公示日の前日なんですね。これは河村さんが政界を引退される引退記者会見を行った日の日付で領収書が書かれている。住所も河村建夫さん、元官房長官本人のものなんですね。私、手元にまさにその領収書があるわけなんですけれども、これを見ますと、職業、無職と書いてあるんですね。労務内容、ハガキ筆耕と書いてあるんですよ。

 大臣、二〇二一年の総選挙で、大臣は元官房長官の河村建夫さんにはがき書きをやってもらったんですか。

林国務大臣 御通告はいただいておりませんでしたが、今御指摘のあった報道について、四年前の労務費について報じられているということは承知をしております。まずは報道の内容についてよく見させていただきたいと思っております。

辰巳委員 大臣、前回の質問、やり取りもあったわけなんですけれども、精査する、精査するということなんですけれども、いつまでも精査というのは私は許されないというふうに思うんですね。

 今後、あしたでしょうかね、補正予算の閣議決定ということが行われて、この総務委員会でも地方財政に関わる法案審議ということが予定をされているわけです。公選法を所管する大臣への今回重大な疑惑であって、この問題について、まさに補正予算の審議の前に一切の説明がないまま審議するというのはあり得ないというふうに私は思います。

 大臣、もう一度答弁をいただきたいんですけれども、補正予算の国会提出までには、まさにそれは精査が終わって、これを報告していただけるということでよろしいでしょうか。

林国務大臣 これまでも申し上げているとおりでございますが、現在、事務所において確認作業を進めているところでございます。正確に事実関係を把握するためには一定の時間を要する、また、今、委員からも、四年前の労務費についての御指摘もあったところでございます。

 現時点で確たることを申し上げることは難しいとは考えておりますが、結果がまとまり次第、説明をしてまいりたいと思っております。

辰巳委員 これは報道されてかなりたっていますからね。これは私は許されないことだというふうに思いますよ。これは必ず、必ず、補正予算の審議の前に報告をしていただきたいというふうに思います。

 さて、NHKの会長選挙、選任について聞いていきたいと思います。

 来年一月の二十四日に、稲葉会長の任期が満了となります。放送法は「会長は、経営委員会が任命する。」と定めており、経営委員会は七月に、次期会長の任命に向けて指名部会を設置しております。

 九月三十日、NHK経営委員会の事務局は、市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会から公開質問状を受け、それに対して次のように回答をしております。経営委員会が会長を任命する際の手続については、委員会として外部からの会長候補者の推薦を受け付けることなく、会長候補者を推薦することができるのは経営委員会委員のみとしております。会長の選任に当たっては、特定の個人や団体の意見に左右されることなく、委員一人一人が自らの考えに基づいて議論に参画することを通じて、経営委員会として、自律的、主体的に判断を行うものです。

 直近六人のNHK会長は、アサヒビール、JR東海、三井物産、三菱商事、みずほフィナンシャルグループ、日銀、外部出身者となっております。NHKの説明とは違って、時の政権やその関係者、政治家などから会長候補者への打診や説得、根回しが行われてきたという報道や指摘が繰り返されております。

 そこで、稲葉会長に聞きたいと思うんです。

 会長は、二〇二三年一月二十五日に会長に就任をされております。次期会長を決定したとされる第九回指名部会、二〇二二年十二月五日の翌日の読売新聞では、「NHK次期会長 稲葉氏 首相が就任説得」の見出しで、政府高官によると、これは当時岸田首相ですけれども、首相は水面下で稲葉氏に接触して口説き落とし云々と報じられております。

 大事なことなので聞きたいと思うんですね。稲葉会長、水面下で接触を受けて口説き落とされた、これは事実でしょうか。

稲葉参考人 御指摘のような事実はございません。

辰巳委員 事実はないと。ということは、読売新聞の誤報ということでよろしいでしょうか。訂正を求めた事実はありますか。

稲葉参考人 その種の報道に対して、抗議とか訂正とか、そういう対応を求めるというようなことはしておりませんし、考えてございませんが、今みたいなお問合せがあれば、御指摘のような事実はありませんと常に申し上げております。

辰巳委員 いや、常に申し上げているのは分かっているんです。そう聞かれれば確かにそう言ってきたんです。

 ところが、そのたびに、会長選挙がやられるたびに、政府関係者が次期会長に接触して云々という話は毎回のように出てきているわけですよ。事実はないと常套句のように言うのではなくて、そんなことがないんだったら、これは会長選挙に関わる話ですからね、会長選挙に関わる話で、そんな事実でないことを報道されるというのは、NHKの会長選に、まさに関わることですよ。本来であれば事実の訂正を求めるべきですよ、本当にやられていないんだったらね。

 では、続けて聞きますけれども、三年前に稲葉会長が会長候補として指名部会から推薦されるに至った経緯、これをちょっと説明していただけませんか。

古賀参考人 三年前、私は経営委員でもございませんので。だから、現実、その場におりませんので、ここで確たることを申し上げるというのはちょっと差し控えさせていただきますけれども、私は、真摯にやった、そう信じております。

辰巳委員 古賀さんに聞いたつもりではなかったんですね。

 稲葉会長、指名委員会から指名された。突然電話がかかってきたんですか。いろいろな接触は指名委員会からはあったということでよろしいですか。

稲葉参考人 何かばたばたとやったので記憶が詳しくない面もあるかもしれないんですけれども、たしか経営委員長の森下さんからお電話がありまして、おまえは候補の一人になっていると。ついては、翌日でしたか、NHK、多分これは指名部会に来て、委員からの質問等に答えてくれ、そういうふうに言われたというのは覚えてございます。

辰巳委員 分かりました。

 古賀委員長に聞きたいと思います。

 経営委員長は、委員会として外部からの会長候補者の推薦を受け付けないと。特定の個人や団体の意見に左右されることなく、委員一人一人が自らの考えに基づいて議論に参画するんだ、こう言うわけなんですが、経営委員会としての自主的、主体的な判断を保障するためにも、どういう人物が候補になっていて、もし特定の個人や団体からの推薦があるのであれば、その推薦の内容や働きかけの経緯など、その詳細を経営委員会として事前に公開すること、私はこれが必要なんちゃうかなというふうに思うんですね。

 つまり、時の政権やその関係者、政治家の働きかけがあっても、それが隠されて、あるいは暗黙のうちに追認している、こういう批判がされるわけです。報道だっていろいろ出るわけだから。そういうことを、批判を受けないためにも、働きかけがあったんだったら、それは経営委員会として事前に公表する、こういう運用を、是非改善してほしいんですよ。いかがですか。

古賀参考人 私、考えますに、会長の選任のプロセス、これはきちっとやはり真正面から見詰めてやる、そういうものだと思います。したがって、経営委員会になぜ負託されているか。やはり経営委員の自主的な判断、これを前面に出せよということが法の趣旨だと思います。

 委員御指摘のように、途中でいろいろあります。政権とよく言われますけれども、政権があるのかどうかは私は知りませんが、そうじゃなくても、市民団体から、いろいろなところから、これがいいぞ、あれがいいぞというのはあります。それを途中でディスクローズしたらいいんじゃないかという御指摘でありますが、私は必ずしもそうは思いません。というのは、そういうプロセスを示せば、必ずそのプロセスに乗って、それを阻害しようとする、そういう人たちの便法にもなります。

 したがって、ここはやはり、会長を任命するというのは経営委員会の最大の責務だと思いますから、これはやはり、そういう途中経過の云々よりは、私が大事なのは、やはり、どうしてこういう人選が行われたか、これをきちっとお示しすることだと思いますし、途中でそういう余分な動作があれば、それはそれできちっとディスクローズする、そういうことは考えますけれども、必ずしも委員の御指摘どおり、はい、さようでございますねと言うつもりはございません。

 ただ、とにかく、一般国民から見て分かりやすい、そうだなと納得できる要素をもっと出していかないといけない、かように考えております。

辰巳委員 委員長が今おっしゃられたように、非常に大事なプロセスなんですよ。要するに、指名部会でどういう経過で選任されたのかということが全く今の運用では分からない、分からないんですよ。そんな中で、政権幹部などから、政権側からいろいろな接触があるということが会長選挙のたびに出されるわけじゃないですか。それは一般の人が物を言うとかじゃないんですよ。

 結局、今の指名部会の在り方、会長選任の在り方そのものが政権側の働きかけを黙認しているということにつながっているわけですから、それの改善が必要じゃありませんかということを言っているわけですよ。

 会長の方から、全否定されなかったですよね、今、運用の改善については。もっと分かりやすい選任の仕方という話を恐らくちょっと触れられたと思いますので、これは是非検討していただきたいですよ。

 それと、古賀さん、来期、稲葉会長が退任されて、そろそろ新しいという話になるわけですけれども、今のところ政権側からの働きかけ、いかがですか。何かありますか。

古賀参考人 委員、お言葉ではございますが、私はこれは懸命にやっています。懸命にやって、全部終わったところでは、その経過について一定のディスクローズをするつもりです。

 最後のお答えの、現時点はあるか。全くございません。

辰巳委員 では、これからあった場合にちゃんとディスクローズしていただけるということですね。約束してください、委員長。

古賀参考人 今後の過程は極力私は明らかにしていきたい、こう思っております。政権、政権と、政権ばかりおっしゃいますが、世の中にはたくさんの方がいらっしゃいますから、いろいろな意見が寄せられます。その全てについてディスクローズするかどうか。

 ただ、大きなプロセスの中で影響を受けるような事象については、やはり一定のディスクローズをすべきだろう、このように考えております。

辰巳委員 政権と一般市民とちょっと一緒にするのはあれかなとは思いますけれども、是非お願いしたいと思います。

 NHK ONEについて聞きます。この十月にNHK番組のインターネット配信が、NHKプラスからNHK ONEに移行しました。今までのインターネット配信を見ていた人にとっては大きな変化を感じなかったかもしれません。

 二〇二四年の放送法改正で、これまでの任意業務だった放送番組のインターネット同時配信業務等を、放送番組の同時配信、放送番組の見逃し配信、番組関連情報の配信を必須業務に追加をしたわけでございます。

 そのため、これまで行っていた、放送を補完して、その理解を深めるためにインターネットで配信がされていた理解増進情報というのを廃止されまして、番組情報と密接な関係を有するものであって、放送番組の編集上必要な資料によるものに限定する番組関連情報に再整理するとされました。

 我が党は、法改正によってネットコンテンツの縮小が起こり、設けられる競争評価委員会においては、民業圧迫と大臣が判断をすれば是正勧告や命令までできるなど、外からの介入が可能になるということなどの問題点を指摘して、反対をしました。そして、我が党の懸念は的中したわけです。

 NHK ONEスタートを受けて、限定された番組関連情報になったわけですが、これまで見ることができていたミャンマー特集、被害者の声を取り上げて大きな反響もあった「性暴力を考える」、また、ロシアがSNS等を通じて日本国内の世論を形成し、選挙に介入しようとする試みを記事にした特集、ロシア情報戦などのコンテンツが閲覧できなくなっております。今日、資料にもつけましたけれども、ネットコンテンツの次々閉鎖、視聴者置き去りの声が上がっていることが紹介されております。

 何でこんなことが起こっているんでしょうか。いかがですか。

山名参考人 お答えいたします。

 必須業務化に伴いまして、NHKはインターネットサービスの見直しというものを行いました。九月までは、放送法、NHKインターネット活用業務実施基準に基づいて運用をしてまいりましたけれども、十月一日からは、放送法、NHK番組関連情報配信業務規程、NHK任意的配信業務実施基準など、新しいルールに基づいての運用となっています。

 九月まで理解増進情報として提供していたものに関しましては、放送番組の内容と密接な関連を有する内容の情報であって、当該放送番組の編集上必要な資料により構成されるなど、新しいルールに適合したものに限って番組関連情報として提供しております。

 必須業務化に合わせまして、こうした新しいルールへの適合性、それと、正確な情報を持続的に提供できる体制、こういった面などの観点から、過去に掲載しているものも含め、NHKのインターネットサービスを再構成したということでございます。新しい掲載ルールの中でNHKとしての編集判断をした上で、一部のサイトに関しましては公開を終了したということでございます。

辰巳委員 私は思うんですけれども、やはり、削られたコンテンツというのは、価値があったからこそ、削らんといて、削らないでという声が上がっているんだと思うんですよね。現場の記者や職員が、やはり国民に届けたい、届けなければならない情報やコンテンツをせっかく作ったのに、今回、削られたわけですよ。私は、NHKのジャーナリズムそのものがやはり問われている事態にあるんじゃないかというふうに思うんです。

 会長、ちょっと聞きたい。この理解増進情報を廃止して番組関連情報となったことについて、視聴者あるいはNHK内部の記者や職員らの思いをどう受け止めて、NHKはどのように改善しようとしているのか、お聞かせいただきたい。

稲葉参考人 大変重大な論点を提示されているというふうに思っております。

 情報であれドキュメンタリーであれ、そのコンテンツの中身というのは、結構いろいろな要素があります。視聴者によっては、ある一定の要素について非常に高く評価するということで番組を評価するということがあります。だけれども、番組は、ある一つの要素だけでできているのではなくて、いろいろな要素からできている総合的な作品であります。

 今回、これまで出してきたものを再構築する、見直しする、新しいルールの下でインターネットとしてコンテンツをもう一回送り出す、こういう作業をしたわけですけれども、その際、割と大事な要素としては、これまでやっていた番組配信の中で、これは例示ですけれども、例えば、周りのネット配信に影響されるような形で、あたかもアテンションが得られるだろうというような編集の作為なんかがあったような例もございました。全てとは言いません。全てとは思いませんが、そういうこれまでネットで流した要素の中に、いわばネット社会でこれは問題だと言われているようなアテンションを、引きずられるような中身、それをキャッチするような中身になっているようなそういうコンテンツが、NHKが今後正しい情報を出し続ける、そういうコンテンツの考え方に合わないという問題であります。

 もちろん、いろいろな、新しいルールの下でどうネットコンテンツを作って出していくかというのがありまして、それに合わせるように再構築しているんですけれども、一つには、いわゆるネット社会で横行しているまずい側面が余り出てこないような、よりNHK的な正しい情報が供給されるというふうな見地から再構築をしたということであります。

 それで、残念ながら、前のコンテンツについて、ここは評価していたのにと思うような視聴者あるいはそれを作った職員、いると思いますけれども、ここはもう総合判断ということで、今後は、そういったいい内容の面をちゃんと取り込みながら、しかし余りネットに毒されないような、そういうネットコンテンツをNHKとしては出していきたいという課題だと認識してございます。

辰巳委員 分かったような分からぬようななんですけれども、失礼。いいコンテンツだったから評価されていたと思うんです。それはやはりNHKでなければ、NHKの蓄積、取材力でなければできなかったコンテンツだったということだと思うんですよ。それがみすみす削除されたということです。それを惜しんでいるわけですよね。

 ですから、今回、理解増進情報ではなくて番組関連情報に整理されるということですから、惜しまれている、「性暴力について考える」とかミャンマーの問題とか、番組でもう一回やってくださいよ。番組でやったらまた戻るじゃないですか。是非やっていただきたいと思います。これは是非要求しておきたいと思いますね。

 4K問題、聞きたいと思います。

 民放キー局がBS4K放送から撤退を検討という報道が続いているんですけれども、ちょっと時間がなくなってきましたので飛ばしていきますけれども、やはり皆さん実感されているとおり、そんなに広がっていない。総務省がぶち上げたけれども、民放各局は赤字続きだということになっていると思うんですよね。総務省に、やはりこれは総括が必要やと思います。

 今回、総務省の皆さんがいろいろワーキンググループということでやられていますけれども、その中でもこんな記述もあるわけですよ。衛星放送ワーキンググループ第二次取りまとめ(案)というやつですけれども、現行の2Kアップコンバート番組の比率の高さや、それらの2K放送とのサイマル放送中心の編成といった運用により、視聴者の4Kに対するニーズを十分に喚起できず、スポンサーから広告媒体としての評価を得られていない、関係事業者においては、このことを事実として重く受け止め、放送業界として次の展開を戦略的に検討していくべき状況にあると。

 つまり、これは放送事業者の責任のみを指摘しているかのようにも取れる内容になっているわけですよね。でも、そうじゃないと思うんですよ。やはり総務省が旗を振ってきたわけです。

 民放の元幹部、朝日新聞の取材に対して、総務省が地デジの成功体験から4Kテレビ普及ありきで突き進んだことに対して、民放はやりたいなんて言っていない、全部総務省ですよと言っていますよね。この民放の声をどう受け止めるのか。BS4K放送は番組制作にかかる高額な放送コストが生じることから、実質、民放キー局が撤退すればNHKだけということになる。このことについてどう考えているか、総務省、お聞かせいただけますか。

豊嶋政府参考人 お尋ねのBS4K放送につきましては、二〇一八年から実用放送が始まったものでございます。立ち上げに当たりましては、総務省としても、放送事業者などによる4Kコンテンツの制作支援あるいは視聴者の普及啓発に取り組んでまいったところでございます。

 ただ、一方で、総務省としては、民放キー局がBS4K放送から撤退するということは聞いておりませんけれども、一般に、放送サービスを開始した後は、各放送事業者における自主的な努力によって、優れた放送を実施し、収益を上げていくことが期待されているところでございます。

 しかしながら、一部の民間放送事業者におきましては、BS4K放送について、BS2K放送と比較すると番組の制作費用が増えることや、BS2K放送と同一の番組が多いため広告収入が伸びないことなどの理由により、厳しい事業環境にある旨、衛星放送に関する総務省の有識者会議において指摘されているというふうに承知をしております。

 総務省としましては、今後、この有識者会議の取りまとめを踏まえまして、引き続き4Kコンテンツの流通の促進に適切に取り組んでまいりたいと考えております。

辰巳委員 やはり真摯な総括、反省が必要だと思いますよ。このことは言っておきたいと思います。

 未収民事訴訟問題について、最後に取り上げたいと思います。

 NHKは、受信料特別対策センターなるものを立ち上げまして、支払い督促を強化する、民事訴訟を何と去年の十倍を超える規模まで拡大をして、来年度は更に申立て数を増やしていくんだということで、督促の数ありきということが示されております。

 しかし、そもそもやはり国民生活の悪化が未収の原因になっている、そういう理由もあると思うんですよね。そういう認識が私は必要だと思うんです。

 私は、やはり求めたいのは、今、そういう国民に対して、例えば免除基準、これを広げていくということが大事だと思うんですよね。非課税基準というのは免除にならないんですよ。これは是非含めていただきたいのと、もう一点、免除基準になる対象に親と別居している学生さんというのがあって、その学生さんの条件は、年収が百三十万円以下というのがあるんですよね。これはいろいろ基準があると思うんですけれども、今、いわゆる年収の壁というのがどんどん引き上がってきていますやんか。だから、別居している学生さんに対しても百三十万以下じゃなくて、これはやはり引き上げていくということが大事だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

稲葉参考人 いろいろなお話を同時にされてございます。

 未払いの数字の動きでございます。

 委員御指摘のように、そのときの現在の経済社会情勢を映じた、言ってみれば、循環的な要素の中の一局面なのか、あるいは、そもそも受信料制度に対して、構造的に受信料が払われなくなっているという構造要因。構造要因なのか循環要因なのか、少ない数字を分析して今やっているんですけれども、やはり若干そういった要素がないとは必ずしも言い切れませんが、だからとして、どういう要素が支配的なのかということは、やはり必ずしも判然としないというふうに思います。判然としない中で、取りあえず支払い率の向上を図るという趣旨の検討を進めていくというのが現状でございます。

 それから、受信料の免除対象に例えば非課税世帯を加えてはどうかとか、あるいは、収入の百三十万円以下の何か引き上げといったようなことがどうあるべきかなというふうにお尋ねでございます。

 学生免除の要件で百三十万円云々ですけれども、これは例の百三万円の壁の議論と同じで、全体で消費者物価が少しずつ上がっていくという状況の下で、それを放置していくというのはやはりちょっとそれはおかしいというような感じはあります。(辰巳委員「上げる」と呼ぶ)ええ。ですから、そういうのに見合って、いろいろ変更を考えるということは大事な論点ではないかと思いますけれども、これは税制の方でもそういう御議論をしていますので、そんなのもよく観察しながらやっていくべきではないかなというふうに思います。

 それから、非課税世帯を何か設けたらどうかということですけれども、これは非課税世帯を免除対象とすると、今度は免除対象にならない人の負担が大きく増えるということがありまして、こいつはなかなか悩ましいという問題があります。

 要するに、ほかの皆様の負担によって成り立つというような制度でありますと、限定的に運用せざるを得ないのかなと。この点については、ちょっと慎重に検討を要するべきだというふうに考えてございます。

佐藤委員長 申合せの時間が経過しておりますので。

辰巳委員 是非、拡大をしていただきたいというふうに思います。

 以上です。

佐藤委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 これより各件を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。辰巳孝太郎君。

辰巳委員 私は、日本共産党を代表して、二〇二〇年度、二一年度、二二年度及び二三年度の各年度のNHK決算の承諾について、反対の討論を行います。

 NHK決算については、予算の執行状況とともに、視聴者・国民の理解と信頼に支えられる公共放送としての経営姿勢が、放送法にのっとり、権力からの独立、表現の自由の確保という基本姿勢を貫くものであるかについての評価が求められます。

 今回承諾の対象となる二〇二〇年度から二〇二三年度は、かんぽ不正報道問題をめぐり、NHKと経営委員会の対応、姿勢が根本から問われた時期です。

 二〇一八年四月二十四日の「クローズアップ現代+」は、日本郵政のかんぽ不正販売により被害が広がっている深刻な実態を明らかにし、視聴者・国民の知る権利に応え、公共放送としての役割を果たすものでした。ところが、NHK執行部は、日本郵政からの抗議を受け入れ、予定していた第二弾の番組放送を取りやめました。

 さらに、経営委員会は、日本郵政の要求に屈して、ガバナンスを口実に、当時の上田良一NHK会長を厳重注意としたのです。経営委員会の行為は、放送番組は何人からも干渉されないとする放送法第三条を踏みにじり、公共放送たるNHKの自主自律を脅かすものでした。

 しかも、経営委員会は、放送法に背を向けて、厳重注意を行った際の議事録を国民から隠す姿勢を取り続けました。議事録の公開は、NHKと経営委員会を訴える視聴者・市民グループによる裁判の地裁判決で録音データの提出を命じる言い渡しが行われ、経営委員会が公表について決定を行うという経緯をたどったものであります。

 我が党は、二〇二〇年度から二三年度のNHK予算の承認に反対をしました。決算はその執行と一体であり、二〇二〇年度から二〇二三年度までの各決算の承諾について反対とするものです。

 最後に、NHK執行部、経営委員会が放送の自主自律を遵守し、国民の信頼を回復できるかどうかについては、なお厳しく問われていることを申し上げて、討論といたします。

 以上です。

佐藤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 これより各件について順次採決に入ります。

 まず、日本放送協会令和二年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書について採決いたします。

 本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立多数。よって、本件は異議がないものと決しました。

 次に、日本放送協会令和三年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書について採決いたします。

 本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立多数。よって、本件は異議がないものと決しました。

 次に、日本放送協会令和四年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書について採決いたします。

 本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立多数。よって、本件は異議がないものと決しました。

 次に、日本放送協会令和五年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書について採決いたします。

 本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立多数。よって、本件は異議がないものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

佐藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十三分散会


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