衆議院

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第14号 令和6年4月5日(金曜日)

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令和六年四月五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 津島  淳君

   理事 井上 貴博君 理事 金子 俊平君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 塚田 一郎君

   理事 稲富 修二君 理事 櫻井  周君

   理事 伊東 信久君 理事 稲津  久君

      石原 正敬君  英利アルフィヤ君

      小田原 潔君    越智 隆雄君

      大塚  拓君    大野敬太郎君

      木原 誠二君    岸 信千世君

      瀬戸 隆一君    藤丸  敏君

      藤原  崇君    古川 禎久君

      宮下 一郎君    宗清 皇一君

      山田 美樹君    若林 健太君

      江田 憲司君    階   猛君

      末松 義規君    野田 佳彦君

      馬場 雄基君    原口 一博君

      沢田  良君    藤巻 健太君

      掘井 健智君    中川 宏昌君

      田村 貴昭君    吉田 豊史君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   内閣府副大臣       井林 辰憲君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   外務大臣政務官      穂坂  泰君

   財務大臣政務官      瀬戸 隆一君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 和田  薫君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         猪原 誠司君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局政策立案総括審議官)      堀本 善雄君

   政府参考人

   (金融庁企画市場局長)  井藤 英樹君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    伊藤  豊君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           坂本  基君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   寺岡 光博君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    青木 孝徳君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    奥  達雄君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    三村  淳君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星屋 和彦君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     石塚 智之君

   政府参考人

   (株式会社国際協力銀行代表取締役副総裁)     天川 和彦君

   参考人

   (日本銀行総裁)     植田 和男君

   参考人

   (日本銀行決済機構局長) 武田 直己君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

四月五日

 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

津島委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁植田和男君、決済機構局長武田直己君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として警察庁長官官房審議官和田薫君、刑事局組織犯罪対策部長猪原誠司君、金融庁総合政策局政策立案総括審議官堀本善雄君、企画市場局長井藤英樹君、監督局長伊藤豊君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、法務省大臣官房審議官吉田雅之君、財務省大臣官房総括審議官坂本基君、主計局次長寺岡光博君、主税局長青木孝徳君、理財局長奥達雄君、国際局長三村淳君、国税庁次長星屋和彦君、観光庁審議官石塚智之君、株式会社国際協力銀行代表取締役副総裁天川和彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

津島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。岸信千世君。

岸委員 皆様、おはようございます。自由民主党の岸信千世です。

 本日は質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 早速ですが、質問の方に移りたいと思います。

 まず、歳出効率化と二〇二五年度のプライマリーバランスについて御質問させていただきたいと思います。

 経済・財政一体改革推進委員会において、経済・財政一体改革の点検・検証が取りまとめられました。この中で、二〇二四年度までの歳出効率化の効果については、二一年度の予算を発射台として、政府の経済見通しの物価、賃金の伸び等で延伸した歳出の推計値と歳出の目安に沿った予算の差分をその効果と考えた場合、年一・六兆円程度とされております。また、これに経済への影響を加味すると、歳出効率化の収支改善効果は年一・三兆円程度と記載がされております。

 一方で、二五年度プライマリーバランス黒字化達成に向けて、今後も更なる歳出効率化を継続していかなければなりませんけれども、これまで、毎年にわたる骨太の方針でも、二五年度の黒字化目標、これはずっと維持をされております。

 残すところ、時間もあと僅かとなっておりますが、プライマリーバランス黒字化達成に向けた鈴木大臣の意気込みをお伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 御質問の中で御紹介をいただきました経済・財政一体改革の点検・検証におきましては、骨太の方針における歳出の目安、これに沿ってずっと予算編成をしてきているわけでありますが、この歳出の目安に沿った予算編成がプライマリーバランス改善などに効果があったことなどが確認されるとともに、高い成長と歳出改革努力の継続が実現すれば、二〇二五年PB黒字化は視野に入るとされているものと承知をしております。

 今回の検証結果を踏まえますと、二〇二五年度PB黒字化目標の達成には、高い経済成長と歳出効率化努力の継続、これの両立が必要でありまして、決して容易なものではありませんけれども、政府としては、デフレからの完全脱却を果たし、経済を立て直すことと併せまして、緊急時の財政支出を長期化、恒常化させないよう歳出構造の平時化を進めるとともに、行政事業レビュー等を活用することで、より一層の予算の効率化と無駄の削減に取り組むなど、歳出歳入両面での改革努力、これを着実に推進することが不可欠であると考えておりまして、目標の達成に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

岸委員 ありがとうございます。

 まさに、経済成長と歳出効率化、これの両輪が必要だと考えておりますので、是非取り組んでいただきたいと考えております。

 続きまして、所得税の定額減税についてお伺いさせていただきたいと思います。

 政府が閣議決定した総合経済対策におきまして、賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和するため、デフレ脱却のための一時的な措置として、令和六年分の所得税及び令和六年度分の個人住民税の減税を実施することが示されています。具体的には、所得税が三万円、個人住民税が一万円の減税を行うとされております。

 その中でまた、所得税の定額減税を含む税制改正の法案というものは、もう三月には成立をしました。また、定額減税は、今回、定額給付と組み合わせることで、減税の対象となる納税者と、低所得者世帯の減税の恩恵を十分受けられない世帯、そういった十分受けられない方々の公平性を確保される、そういう目的があると思います。

 しかし、この実施方法、やはり仕組みが複雑化、煩雑化しておりまして、実施する企業や自治体の事務コストというものも負担が課題となってしまっているという意見も地元でよくよくお伺いいたします。

 もう間もなく、六月から制度が始まりますけれども、これは今現場では、制度の円滑な実施、また、企業、自治体の負担軽減、かさむ事務コストの改善、こうしたところで政府がどのように取り組んでいるか、詳細をお伺いしたいと思います。

青木政府参考人 お答えします。

 今般の定額減税と給付金の実施に当たりまして、企業、自治体を始めとする皆様方に一定の事務負担をお願いすることは事実でございます。

 このため、企業や自治体の事務の実態、それから実施上の課題などをできるだけ把握しながら、例えば、新規雇用者について前の職での減税適用の有無の確認を不要とするなど、企業の事務負担に配慮した制度設計を行うとともに、企業や自治体が早期に準備に着手できるように、パンフレットやQアンドAなどを迅速に策定、公表した上で、丁寧な周知に努めているところでございます。

 具体的に申しますと、全国の税務署におきまして、昨日までに七百十回、説明会を実施しておりますが、五月末までに更に約三千八百回の実施を予定しているところでございます。

 また、関連する給付につきましては、デジタル技術の積極的な活用などの執行面での工夫などを行いまして、各企業や自治体などの事務負担の軽減に努めてきたところでございますが、引き続き丁寧な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。

岸委員 まさに、こうした制度をつくっても実態が伴わない、そういうふうにならないように、しっかりとサポート、またデジタル化を含めてお願いをしていきたいと思っております。

 また、これは現場に近い話になりますけれども、次は、金融リテラシーについてお伺いしたいと思います。

 政府は、この度の資産所得倍増プランの策定の中で、貯蓄から投資、こうした流れの実現を進めていると思います。そうした中で、新NISAの導入や足下での株高もあり、国民の投資への関心は日に日に高まっております。

 今年三月の党提言では、金融リテラシーの向上に向けて、金融教育という面で、学校や社会人、そして退職者や高齢者、こうしたところの皆様への教育という課題が指摘をされておりまして、このリテラシーの向上の必要性を指摘しています。

 学校教育の現場では、家庭科の授業で既に金融教育が始まっておりますけれども、既存の教員が、やはり知見のない方もいらっしゃいます。そうした方が直接学生に教えるという部分では、かなり難しいものもあるのかなと考えております。

 やはり専門知識を持つ人間がしっかりと学生に教える必要がある、そのように考えておりますけれども、既に地域によっては、銀行や証券会社等々の金融機関、この関係者の方を招いて課外授業的に教育を少しずつ推進をしているというのが現状であると伺っております。これはいい取組だとは思うんですけれども、本当に、各社各社で自社製品というものもございますし、その自社商品の売り込みやPR、勧誘などにつながらないように注意する必要があると考えます。

 今月中には金融経済教育推進機構が設置されるとお伺いをしておりまして、より中立性を持った金融経済教育につながると考えられておりますけれども、今後、この機構が具体的にどのような役割を担っていくか、また、どのようなメニューで皆様に教育を図っていくかなどを教えていただきたいのと、日本よりも先に進んでいる米国等の諸外国では、先進的な取組として国民の皆様にいろいろなことを教えていると思いますが、日本に何か取り入れた方がいいもの、そういった参考にすべきものがあったら教えていただきたいと思います。

堀本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今月にも金融経済教育推進機構を設立いたしまして、官民一体となって、一方で、国全体として中立的な立場から金融経済教育を推進していく、この機構を設立する準備を現在進めているところでございます。

 金融経済教育推進機構でございますけれども、例えば、全国の学校への講師の派遣、あるいは各種イベント、セミナーの開催、こういったような従来行われていた活動は継続しつつ、これまで必ずしも十分に行ってこられなかった職域での従業員向けの教育、これにも力を入れていきたいというふうに考えております。

 さらに、新しい取組といたしましては、無料の個別相談事業、あるいは、特定の金融機関に偏らないといった要件を満たすアドバイザーを認定、公表する認定アドバイザーの事業なども実施すべく、現在準備を進めているところでございます。

 さらに、御質問の海外の事例でございますけれども、例えば、海外の事例では、デジタルサービスに慣れ親しんでいる若者の方をターゲットに、ゲーム形式の教材を作成しているというような事例がございます。こうした海外だけではなく、国内外の事例を参考にしながら、今後、効果的な手法を検討していきたいというふうに考えております。

岸委員 ありがとうございます。

 そうした親しみやすい、取り組みやすいような教育というものが必要になると思いますけれども、例えば、特に地方部では高齢化がかなり加速をしております。そうした中で、退職者や高齢者、こうした方も増えておりまして、将来への不安から少しでも今資産を増やしたい、そのように考えて資産形成に取り組むという方も多い、おられますけれども、退職者、学生ではない、社会人ではない、余り学びの場というものが見えにくい退職者や高齢者、こうした方々にはどのような教育の場をつくっていくのか。

 また、次からの働き手世代となる学生や既に社会人の皆様とは、資産の形成の仕方も、その目的も、ゴールも違うと考えております。退職者や高齢者に対しての金融教育の内容というもので、どのようなメニューを想定しているのか、お伺いしたいと思います。

 余りこうした方々が投資をしたいというものが先行し過ぎると、やはり投資の詐欺とか、そうした犯罪被害にもつながってくると思いますので、その内容についてお伺いしたいと思います。

堀本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、高齢者を含む国民の皆様に、金融トラブルに巻き込まれることなく適切な投資判断を行っていただく、このために金融リテラシーを身につけていただく、これは金融経済教育において非常に重要な課題であるというふうに我々も認識しております。

 こうした観点から、先ほど申し上げました金融経済教育推進機構におきましては、例えば公民館における出張授業、こういったようなことをしたり、あるいは、先ほど申し上げました個別相談の事業、こういった機会を通じて、高齢者の方々に学びの場を提供していきたいというふうに考えております。

 それから、その教材についてでも、高齢者向けを意識したものも作成して使用していきたいと思っています。例えば、社会保障、税制度、それから資産形成といったような基礎的なものに加えまして、やはり先ほど御質問にございました金融トラブル、これについての、金融経済に係る幅広い観点、こういったものを含めた教材を作っていきたいというふうに考えております。

岸委員 ありがとうございます。

 幅広い皆様に教育をしていただくということが重要なんじゃないかなと考えております。

 少し話題が変わりまして、私の地元の周南市というところでは今、重化学工業を中心に工業地帯が広がっております。今まさに、GX、脱炭素化社会に向けて、国際的な潮流に乗ってしっかりと推進をしておりますけれども、このような重要な課題がある地域、なかなか企業、民間だけの力では難しい部分もございます。こうした会社の皆様においては、一足飛びに脱炭素というものを実現することは資金的に難しい部分もありまして、その移行期における低炭素化の取組に対して資金供給というものが不可欠となっておりますけれども、この資金供給についてお伺いさせていただきたいと思います。

 今、サステーナブルファイナンス、この推進によって企業の皆様に頑張っていただこうと政府は取り組んでおられますけれども、これは具体的にはどのように取り組まれていくのでしょうか。出し手側の金融機関と受け手側の企業にはどのような対応を求めるというか、どのようなことをやってほしいか、ということを求めていくのか、また、政府としてどのようなサポートをしていくのか、お伺いさせていただきたいと思います。

堀本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、脱炭素化社会に向けまして、今後十年で官民によって百五十兆円規模の資金供給が必要というふうにされておりまして、先ほど御質問にありましたトランジションファイナンス、これを含むファイナンスの推進が不可欠だということは、我々としても十分認識しております。

 金融庁では、サステーナブルファイナンス、とりわけトランジションファイナンスの推進に取り組んでいるということでございまして、例えばなんですが、関係省庁と連携をいたしまして、このトランジションファイナンス、これらを含む投資の商品の基準を策定いたしましたり、あるいは、金融機関に対しまして、大企業のみならず中小企業についても脱炭素への取組について支援を促す、こういったようなことに取り組んでいるところでおります。

 特に、御質問の中にございましたサプライチェーンの中の地域企業におきましては、中核メーカーの対応を踏まえた戦略の検討をいたしまして、サプライチェーン全体として対応していく、これが必要になってくるというふうに考えております。このために、例えば、金融庁、財務局では、多排出産業が集積いたします地域の自治体あるいは地域金融機関と連携いたしまして、地域におけるサプライ企業におけるこうした脱炭素に向けた対応を面的に支援する、そういったような取組も促進しております。

 こうした取組の発信も含めまして、今後、我々としては、サステーナブルファイナンスを促進して浸透させていきたい、そういうふうに考えております。

岸委員 今、お話の中に、金融機関が、大手だけではなく地域を支える中小、中小企業、そうしたところにまで資金供給が届くようにしたいというふうな話がございましたけれども、まさに地域のGXを進める中では、大手だけではなく中小企業も大変欠かせない存在です。

 特に、地方部の経済を支えているのは中小企業であるとも考えておりますし、日本企業の七割が中小。また、私の選挙区がある山口県、そして中国地方で見れば、九割が中小企業となっております。

 昨今、中小企業の経営陣がとても高齢化が進んでおりまして、事業の承継というものが、この円滑化が大変な大きな悩みの種となっておりますけれども、この喫緊の課題について、少しお話をお伺いしたいと思います。

 中小の事業承継というものが円滑に行われなければ、中小の皆様が地域の経済を支えておりますので、そうしたところで雇用にも支障が出かねません。中小企業の承継については、例えば事業用の資産と一般資産の切り分け、相続税の負担が大きなハードルとなっている現状がございますので、そこをしっかり目を配っていく必要があると思っております。

 平成三十年に、非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例、いわゆる事業承継税制が改正をされました。早期の事業承継を後押しすべく、十年という期限付で特例の措置が講じられておりますけれども、今回、その中で、特例承継計画、この提出を、令和六年度の三月、先月の末に期限を迎えていたものを、今回は令和八年の三月末、二年延長をしていただいたと思います。これは大変ありがたいことですが、事業承継の緩和期間としては十年、変わらずと聞いています。

 特例承継の計画、この期間を二年延長した、この趣旨と狙いについてお伺いさせていただきたいと思います。

青木政府参考人 お答えします。

 御指摘をいただきました措置につきましては、平成三十年度税制改正におきまして、中小企業の円滑な世代交代を集中的に促進するため、十年間の期限を区切って、特例承継計画の提出がなされた事業承継について贈与税、相続税の税負担が生じない制度とするなど、極めて異例の時限措置を講じたものでございます。

 その上で、特例承継計画の提出期限の延長につきましては、コロナ禍の影響が長期化したことを踏まえる必要がある一方で、事前に特例承継計画の提出を求めることで早期かつ計画的な事業承継を促すという制度趣旨、それから、令和四年度税制改正において既に一年延長をしているという経緯もございますので、そういったことを踏まえまして、与党の税制調査会において御議論をいただいた結果、延長期間二年とされたものと承知しております。

 事業承継を検討されている中小企業経営者の方々には、本措置を活用いただきながら、早期に事業承継に取り組んでいただくことを期待しております。

岸委員 ありがとうございます。

 極めて異例の措置だというお話も出ましたけれども、まさに今が本当に正念場だと考えております。地元の中小も、大体もう八十代の社長が前線に出ている、そうした企業もございますので、しっかりと事業承継の推進をお願いしたいと思います。

 ただ、残念ながら、親族や社内、こうしたところで承継できない場合もございます。社外へ事業を渡していく、MアンドAについてもこれは一つの道だと考えておりますけれども、企業同士のマッチングに関しまして、これは、地方であれば地方部であるほど地域にネットワークを築いている、これはやはり、地銀や第二地銀のような存在がそうしたところを一つ一つつないでいる、そのように考えております。

 こうした地銀や第二地銀等にマッチングに関しては是非活躍をしてほしいと考えておりますけれども、二〇二一年の銀行法改正で規制が緩和されて、地銀グループの業務が多角化、多様化し始めております。

 改めて、地銀等の、地場にこうしたネットワークを有する金融機関の役割について、政府はどのようにお考えになっているでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 地域経済が人口減少などの厳しい状況に直面している中で、地域金融機関が地域経済の担い手を支えるべく、事業承継のときの資金需要への対応でございますとかMアンドAのマッチング支援などによりまして、事業者の方々の円滑な事業承継を支援することは、地域の経済を支え、さらには地域金融機関自らの事業基盤を維持する観点からも非常に重要な取組であると考えておりまして、金融庁ではこれまでも、地域金融機関に対しまして、こうした顧客に対する金融仲介機能やコンサルティング機能、経営支援機能の発揮を求めてきたところでございます。

 特に、コンサルティング機能につきましては、その更なる発揮に向けて監督指針を改正いたしまして、金融機関が提案するいろいろな改善策の充実を求めることや、税理士さん、弁護士さんなどの支援専門家との更なる連携を求めるということを盛り込みました監督指針を今年の四月から適用を開始しているところでございまして、金融庁といたしましては、金融機関において引き続き、円滑な事業承継を含め、事業者の実情を踏まえた支援が徹底されるよう、しっかりとモニタリングをしてまいりたいと考えております。

岸委員 ありがとうございます。

 地域に根差した金融機関の働きというものも大変重要となっておりますけれども、私の選挙区が大変地方部なもので、この地方の人口、今特に若者の世代が大変流出が進んでいます。このような、地域に若者がいない、これは雇用がないということなのか、働きたいところがないということなのか分かりませんけれども、地域の活性化においては大変重要な課題だと考えております。

 こうした地域の仕事の魅力向上、また雇用創出のためには、地方部であるところからスタートアップやベンチャー企業というものが育っていかなければならない、そのように考えておりますが、今まで、そうしたところのサポートは主にベンチャーキャピタルが支援をしていただいていたと考えております。

 ただ、今話にもありましたけれども、中小だけではなくて、ベンチャー企業、あとスタートアップの事業についても、地銀や第二地銀、地域の銀行というものがしっかり寄り添って伴走型の支援をしていく、こうしたものが必要じゃないかなと考えております。

 この金融機関におけるスタートアップ、ベンチャービジネスの支援につきまして、この度、事業性融資の推進等に関する法律案、これが閣議決定されましたけれども、企業価値の担保権を定めたりとか、認定事業性融資の推進支援機関、こうしたものを定めて、今まででしたら不動産や経営者保証、こうしたものが担保として必要だったんですけれども、事業全体、また無形資産を含む全てのものを担保としてしっかり考えて、その上で金融機関が融資、支援を行えることとしていると思います。

 この法律案についての意義、また政府としてどのように活用を行っていきたいか、そのような考えをお伺いしたいと思います。

井藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、スタートアップ企業は、地方を含めた我が国経済活性化のために非常に重要な存在でありまして、金融庁といたしましては、スタートアップ企業への成長資金の供給を促進することが非常に重要だと考えております。

 このため、金融庁及び関係業界においては、例えば、投資型クラウドファンディングに係る規制緩和、投資信託への非上場株式の組入れに係る枠組みの整備、広く機関投資家からの出資の獲得を目指すベンチャーキャピタル向けの行動規範の策定などの取組を進めているほか、今通常国会において、非上場株式のセカンダリー市場の活性化に向けた規制緩和を図る改正法案を提出しているなどの取組を進めているところでございます。

 また、特に地方におきましては、先生おっしゃるとおり、地域金融機関の役割が非常に大事だというふうに考えてございます。このため、先生お話のありました事業性融資の推進等に関する法律案を今国会に提出させていただいているところでございます。

 この法案におきましては、不動産担保や経営者保証によらず、事業の実態や将来性に着目した融資の推進を図るため、無形資産を含む事業全体を担保とする企業価値担保権の創設や、金融機関や事業者に対して事業性融資に係る指導助言を行う認定事業性融資推進支援機関制度の導入などが盛り込まれるところでございます。

 金融機関については、企業価値担保権を活用する際に事業の実態や将来性に着目した融資判断が求められるため、事業に関する関心を高め、タイムリーな経営支援等が行われるものというふうに考えてございますし、期待もしてございます。

 また、金融機関や事業者に対しまして、企業価値担保権の活用に関するノウハウの提供等の支援を行う機関の認定制度の導入を通じまして、こうした取組が一層促進されることが期待されるというふうに考えてございます。

 今回の法案は、御指摘のような有形資産に乏しいスタートアップを含む幅広い事業者に対する資金調達の円滑化や金融機関による経営支援等を促進するものであり、事業者の成長に資するものと考えてございます。

岸委員 ありがとうございます。

 今、Uターン、Iターン等々で地方でのスタートアップが増えてきています。また、先ほどお話しさせていただきましたけれども、GX、こうしたものも地域で推進をしておりますし、地域を支える地銀、第二地銀、こうした地域の金融機関というものの役割が非常に大きくなっておりますけれども、一方で、コロナ禍を含めて、人口減少であったりとか高齢化であったりとか、働き手世代が中心となって大きく人が減り始めて、地方から経済が傷んできている、そのような側面がございます。

 このように、年々、地方銀行等の地域の金融機関、こうしたところの経営環境の厳しさが増す中で、経営基盤強化のために施策を取るのは大変重要となっておりますけれども、二〇二一年には、合併や経営統合に踏み切る地域金融機関に対しまして交付金を出す制度、金融機能強化法の改正であったりですとか、地銀の再編も含めまして、政府として改めてどのようなことを考えているのか、最後にお伺いさせていただきたいと思います。

津島委員長 金融庁伊藤監督局長、時間が経過しておりますので、答弁は極めて簡潔にお願いをいたします。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 地域金融機関が将来を見据えた経営改革に取り組み、経営基盤を強化することにより、自らの金融機能を高め、地域経済の回復、成長に貢献していくことは極めて重要であると考えておりまして、合併、経営統合もそうした選択肢の一つになっているというふうに考えております。

 政府といたしましては、こうした観点から、委員御指摘のとおり、資金交付制度の創設のほか、独占禁止法の特例法の制定、それから業務範囲規制、出資規制の抜本的な見直しなどの環境整備を行ってきているところでございまして、引き続き、地域金融機関には、こうした制度を活用しながら経営改革に向けた取組を進めていただきたいと考えておりまして、金融庁としてもこうした取組を後押ししてまいりたいと考えておるところでございます。

岸委員 ありがとうございました。質問を終わります。

津島委員長 これにて岸君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。

 本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 まず、質問に入る前にちょっと一言申し上げたいのは、昨日、アメリカのメジャーリーグベースボールで活躍されている大谷翔平選手、移籍後初のホームランということで、ニュースにもなって、大変盛り上がっているところなんですが、そのインタビューの中で、メンタルは言い訳にしたくないということもございました。これまでのメジャーリーグでの経験の中、キャリアの中で一番遅い一号ホームランだったということの話としてそういったことが出てきたわけですが、じゃ、メンタル、何だったのかといいますと、多分、私が推察するに、大谷選手の通訳だった水原一平さんがギャンブルということでいろいろな事件を起こしてしまったということです。

 水原さんも、本当に、ギャンブル依存症だと本人も言っているとおり、大変、一回はまってしまうともう抜け出せない、泥沼にはまるというよりは、ブラックホールに吸い込まれて、そこからもう抜け出せない、何かそんなものなのかなというふうにも思います。

 ギャンブルの恐ろしさというのは、日本でも古来から言われているとおりでございまして、平安時代、持統天皇がギャンブルを禁止したというところからあるわけでございます。千年以上の歴史があるわけです。江戸時代には、ギャンブルということになれば死罪ということもあり得たというふうにも、厳しく取り締まる、それだけ人間に対する、ある種の人間の心を奪ってしまうようなものだというふうにも思っておりまして、これは大変厳しく取り締まっていかなければいけないというふうに思います。

 そこで、本日は、オンラインカジノの取締りについてお尋ねをしたいと思います。

 オンラインカジノ、違法なわけなんですけれども、ただ、サーバーが国内にあれば、すぐ捕まえて取り締まるということができるわけなんですが、海外にサーバーがあるということが非常に多いというか、日本で行われているものの全てはそういう状況にあろうかと思います。海外にサーバーがあると、なかなか直接取り締まることができないということで、実態としては野放し状態にあるのではないかというふうに思います。

 私も持っていますけれども、皆さんもお持ちのスマートフォンなりで検索してもらいますと、オンラインカジノということで検索すると、いろいろ出てきます。お勧めサイトとかいって丁寧に出てきますし、ちゃんと日本語で出てきます。だから、これだけ日本人がある種カモにされてしまっている状態なわけなんです。

 日本人の財産が狙われている、巻き上げられているということも問題ですし、また、それがある種犯罪組織などの資金源にもなってしまっている、そういう可能性も十分あるわけです。そういう意味で、両方の意味で大変大きな問題だと思っています。

 違法なので、どれぐらいの量があるのかということについては、なかなか分からないところではございますが、この分野をいろいろ調べておられる方に聞きますと、公営ギャンブルともはや同じぐらいの規模になっているのではないのかと。ということは、国内では百万人以上の人がプレーしている、お金を日々吸い取られてしまっているという可能性もある。

 実際、オンラインカジノ中毒になってしまったという方の話も私は聞いたことがありますけれども、やはり、特にコロナのときにこうした傾向がどっと広まった、それまで海外でギャンブルできる、カジノできるところに行っていた方が海外に行けなくなった、それでオンラインカジノにはまってしまったという話も聞きます。

 そういった中で、オンラインカジノの問題、非常に深刻化しているということで、二〇二二年六月一日、衆議院予算委員会で、我が会派の山岸一生議員が質問しております。これに対して、岸田総理からは、「御指摘のオンラインカジノ、これは、委員おっしゃるように違法なものであり、関係省庁が連携をし、厳正な取締りを行わなければならないと思います。また、資金の流れの把握、実態把握、これをしっかり行うことは重要であると思います。あわせて、依存症対策についても考えていかなければならない、こうした重要な課題であると認識をいたします。」こういうふうに答弁をされています。

 その後、二〇二二年十一月九日、内閣委員会で、FATFの対応のための法案の審議がありまして、私も質問をしております。

 さらには、昨年四月二十四日、決算行政監視委員会の分科会においても、オンラインカジノに関する違法行為の取締りと、これを通じた実態解明ということについても質問をして、御答弁もいただいているところです。

 そこで、改めてお尋ねをいたしますが、オンラインカジノに係る違法行為の取締りの状況、どうなっているのか、それを通じて、オンラインカジノの実態をどのように把握しているのか、今日は警察庁に来ていただいておりますので、まずお答えをお願いいたします。

和田政府参考人 警察では、いわゆるオンラインカジノに係る賭博事犯について、取締りを強化しているところです。

 その検挙状況に関し、いわゆるオンラインカジノに係る賭博事犯については、令和四年、十件、五十九人、令和五年、十三件、百七人を検挙し、このうち無店舗型のものでは、令和四年、一件、一人、令和五年、五件、三十二人となっております。

 例えば、昨年九月、警視庁等において、国内でオンラインカジノの決済システムを運用していた者や同システムを利用していた賭け客を検挙したほか、千葉県警察において、オンラインカジノで賭博をしていた状況を動画配信していた者を検挙しているところです。

 引き続き、厳正な取締り及びこれを通じた実態解明等を強力に推進してまいりたいと考えております。

櫻井委員 多分、店舗型、無店舗型というのは若干分かりにくいところがあろうかと思いますけれども、すなわち、カジノをやっていること自体、オンラインでやっているんだけれども、お店で、バーみたいなところで飲みながらやるような、そういう場を提供しているところ、そこで一網打尽にというケースがあったというお話かと思います。

 ただ、実態としては、バーにも行かずに、自宅でこもってやっている人もたくさんいるわけでございまして、こうしたカジノで、しかも取締りを日本でできるというのはお客さんの側で、ある種、本当に取り締まらなきゃいけないのは胴元の方なんですけれども、胴元は海外にいるから取り締まれないということで、これはなかなか難しいわけでございます。

 そこで、どういうアプローチがあるかといいますと、ざっくり二つ大きなアプローチがあろうかと思います。一つは、インターネット上でこうした違法サイトにはアクセスできないようにするアクセス遮断という方法、もう一つは、お金、カジノはお金を賭けているわけですから、送金を取り締まってしまう、海外送金できないようにしてしまうというのがもう一つの方法でございます。

 本日は財務金融委員会ですので、送金の取締りの方についての取組についてお尋ねをします。

 おととしのFATFの対日審査の勧告に基づいて、対応する法案も整備したわけなんですが、このFATFというのは、ファイナンシャル・アクション・タスク・フォース、金融活動作業部会というマネーロンダリングやテロリストへの資金供給を防ぐ対策の基準を作る国際組織で、こうしたオンラインカジノなどの犯罪収益の取締りも対象にしているというふうに承知をしております。

 これを受けまして、国家公安委員会では、犯罪収益移転危険度調査書というのを作って、これは令和五年度版も昨年の十二月に出ておりますけれども、この八十五ページには、収納代行のスキームで、第三者から代理受領権を取得した上で、当該第三者から自らが開設している銀行口座宛てへの入金を受け、集めた資金を、海外に所在する別の事業者に対して、まとめて送金、いわゆるバルク送金する事業者が存在することが確認された、銀行にとっては、資金移動業者と同様に、顧客宛てに入金する者や、最終的に資金を受領する者の素性を把握することができないリスクが存在するというふうに指摘をされております。

 また、金融庁の方でもマネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題ということで、昨年の六月に出されておりますけれども、これの二十四ページにも、金融庁は二〇二一年二月にガイドライン改正を行い、金融機関において態勢整備への意識も浸透させてきたことを踏まえ、ガイドラインの対応が求められる事項について、二〇二四年三月末までに対応を完了させ、態勢を整備することを要請した、金融機関において、二〇二四年三月末を目標に態勢整備が進められ、全体的な態勢の水準は高度化していると認められるものの、包括的かつ具体的なリスクの特定、評価の実施や、態勢高度化に向けた行動計画の検討に時間を要し、実際の取組に遅れが認められる金融機関も存在している、このように報告をしているところです。

 先ほど警察庁からも御報告いただきましたけれども、二〇二三年九月に国内のオンラインカジノ決済事業者が常習賭博幇助容疑ということで摘発をされております。こうした警察庁の取組と、それから金融庁、さらには銀行との連携を密接にすることによって、より取締りができるようになるのではないのかというふうにも考えるところ、今度は金融担当大臣としてお尋ねをいたしますが、収納代行、資金移動業に対する違法送金の取締り、この現状とともに、警察、金融庁、それから金融機関との連携状況について御答弁をお願いいたします。

鈴木国務大臣 金融庁では、これまでのモニタリングなどの結果、オンラインカジノへの送金につきましては、国内で収納代行や決済代行と称するビジネスを行っている民間事業者や無登録の海外資金移動業者等が資金決済を実行している可能性があることや、バルク送金、先生からも御指摘がございましたが、行われていることで、個々の送金人や受取人に関する情報が不透明になっているというリスクがあることを認識をしているところであります。

 銀行は、不正送金を防止するという観点から、収納代行業者等の口座については、資金の流れについて、リスクの特定、評価を行い、リスクに応じた顧客管理を通じ、リスクの低減を講じることが重要であり、その他の口座につきましても、取引モニタリングを通じて、バルク送金と見られる動きを確認した場合には、口座の持ち主である事業者が収納代行を行っているか否かを調査をして、その結果に応じて、講ずべきリスク低減措置を的確に判断、実施することも重要と考えます。

 その上で、銀行には、自らの顧客や口座が犯罪に関連する疑いがあれば、犯罪収益移転防止法に基づき、疑わしい取引の届出が適切に行えるよう、体制整備を行うことが求められております。

 金融庁といたしましては、銀行による顧客管理及び疑わしい取引の届出が適切に行われるよう、銀行に対して、適切なリスク管理体制の整備などを指導してまいりたいと思っております。

櫻井委員 是非これはよろしくお願いいたします。

 日本人の財産が狙われているということでございますので、しっかり国民の財産を守るというためにも、金融庁の取組をしっかり進めていただきたいと思います。

 警察庁の方でも、先ほど、取締りをやっていますということだったんですが、先ほど申し上げたとおり、潜在的には百万人以上のユーザーが日本国内にいるのではないのかとも言われている中で、逮捕者百人とかというのは、もう一万分の一にすぎない、氷山の一角にもならない、氷山のかけらにしかならないような状況ですので、ここは更に、財産を守るという観点からも、しっかり取組を進めていただきたいと思います。

 あと、もう一つ、これはちょっと日本銀行にもお尋ねしたいと思います。

 今日、資料一でおつけしておりますけれども、昨日、この質問の準備をして見ておりましたら、日本銀行は、アゴラという、国際決済銀行、BISが企画、運営する新規の実験プロジェクトに参加をするということで、これはデジタル通貨によって国際決済システムをやるということなんですが、目的はコスト低減であるとかスピードアップというふうにも承知をしておるんですけれども、これは、いわゆるブロックチェーンとかそういった技術を使うことによって、マネーロンダリングの対策にもつながるのではないのかというふうにも考えるんですが、これは犯罪収益の国際資金移動の取締りにも活用できるのかどうなのか、また、逆に言うと、活用できる、技術的にはできると思いますので、そういった観点からもこの取組を進めていくのかどうか、その方針についてお答えをお願いいたします。

武田参考人 先生御指摘の今回の実験プロジェクトにつきましては、分散型台帳技術を使いました共通プラットフォームをつくり、その上に商業銀行預金と中央銀行預金の両方を乗せ、それらを組み合わせたクロスボーダー決済を円滑に行う、新しいタイプのインフラの可能性を検討するものでございます。

 このプロジェクトは、大口資金のクロスボーダー決済が念頭に置かれておりまして、主として、そうした決済を安全かつ効率的に回すための事務フローを実現することを検討してまいります。

 加えまして、先生御指摘のクロスボーダー決済におけるマネーロンダリング対策やテロ資金供与対策を今よりも効率的に実施できるようにすることも検討対象の一つとなっております。

 このプロジェクトは、BIS、国際決済銀行が企画、運営を行うものでございますが、日本銀行といたしましても、他の中央銀行や民間金融機関と協力しながら、プロジェクトに精力的に貢献してまいりたいと考えております。

櫻井委員 続きまして、日本銀行の金融政策の変更について、これは先月ございましたけれども、これについて幾つか質問させていただきます。

 まず、為替レートへの影響でございます。

 ドル・円の為替レートの推移を見ますと、今年に入ってから、特にこの一か月ぐらい、一ドル百五十一円で張りついているような状態、非常に安定しているようにも見えるんですが、一方で、四月二日の閣議後の記者会見で鈴木財務大臣は、行き過ぎた動きに対してあらゆる手段を排除しないというふうにも発言をされています。

 これは、百五十一円で張りついている現状を、大臣は行き過ぎた動きというふうに認識されているということでしょうか。

鈴木国務大臣 為替相場の動向でありますけれども、これは、行き過ぎた動きであるかどうかということを含めまして、この為替相場について私が具体的に述べることで市場に不測の影響を与えることにもなりかねないわけでありますので、言及は控えさせていただきたいと思っております。

 基本的なことしか申し上げられないわけでありますけれども、為替相場、これは、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要でありまして、過度な変動は望ましくないと考えております。

 政府といたしましては、為替市場の動向を今高い緊張感を持って注視するとともに、これまでも申し上げてきたところでありますけれども、行き過ぎた動きに対しましては、あらゆる手段を排除することなく、適切な対応を取ってまいりたいと思います。

櫻井委員 これは、資料二にもつけておりますけれども、この三月の途中ぐらいから百五十一円に張りついていて、極めて安定的に推移しているようにも見えます。ただ、百五十一円という水準は、これまでの過去十年を見ますとやはり非常に円が安い状況で、この悪い円安が国内の悪い物価高につながっているのではないのか、物価高に対して賃金が追いつかない状況ということにもつながっているのではないのかというふうには一方で思います。

 そうしますと、やはりこの百五十一円というのが、日本のもしかすると今のファンダメンタルズを反映した水準かもしれませんので、そうなってくると、やはり日本の経済の基礎の方をむしろしっかりと取組を強化していくことが大事なのではないのかということも申し上げて、ちょっと日本銀行にもお尋ねをさせていただきます。

 この為替レートの水準について、日本銀行として操作目標としていないことは承知をしておりますが、一方で、金融政策の変更によってこの水準が大きな影響を受けるということはもう当然のことでございます。

 今回、マイナス金利を解除して、ほんのちょっとですけれどもプラスの金利に変えたということは、これは普通に考えたら円高に振れる要因になるのかなというふうに思っていたんですが、実際は円安の方に振れた。これは、経済学の一般論としてで結構ですので、何でこんなことになったのか、理由をどのように分析されているのか教えていただけますでしょうか。

植田参考人 為替相場でございますけれども、申し訳ありませんが、その短期的な動き、水準あるいはその評価について、やはり具体的にコメントすることは差し控えさせていただければなと思います。

 為替はファンダメンタルズに沿って安定的に推移することが重要と考えております。ただ、その上でですが、金融政策は為替を直接コントロールの対象とはしておりませんが、もちろん為替は経済、物価に影響を及ぼす重要な要因の一つでございます。

 我々としましては、政府と緊密に連携しつつ、引き続き、為替市場の動向あるいは経済、物価への影響について十分注視してまいりたいと思っております。

櫻井委員 質問は、一般論としてで結構ですので、何でマイナス金利をプラス金利に変えたのに円高に振れずに円安に振れたのかということなんですが、一般論としてもお答えいただけませんでしょうか。

植田参考人 一般論としては、様々な要因、特に内外の金融政策に関する思惑等もいろいろ影響した可能性はあるかとは思いますけれども。

櫻井委員 ちょっと、なかなかお答えにくいということですので、次の質問に移らせていただきます。

 ETF、今回の金融政策決定会合によって、日本銀行、この資産の買入れについては、ETFについては新規の買入れはしないということになったと承知をしております。

 ただ、ETFの残高、簿価で三十八兆円程度で、時価で七十兆円程度あろうかと思います。この日本銀行が保有する巨額のETF、今後はどうされるんでしょうか。一般論として、中央銀行が株式を大量に保有することが健全な姿とお考えかどうかも含めて、お答えをお願いいたします。

植田参考人 現在、委員御指摘のように、大量のETFを日本銀行は保有しておりますが、これは、三月に停止しました、大規模金融緩和が三月まで行われていたわけですが、その中で、副作用も認識しつつ、物価目標の達成を目指してやむを得ず取られた措置であるというふうに認識しております。

 その上で、現在保有しておりますETFの処分について、すぐに行うことは今のところ考えておりません。時間をかけて検討していきたいと思っております。

櫻井委員 確かに、これだけ大量に保有していると、東京証券取引所の時価の水準が六百兆円とかそういったレベルの中で、時価で七十兆円持っていたら、全部一遍に売ったら暴落してしまうかもしれないということですから、なかなか売りにくいということは承知をしております。とはいえ、今の株価水準はバブルじゃないという説もございますので、バブルでないんだったら売っても値崩れしないはずとも言えるわけなんですが。ただ、中央銀行が株式を大量に保有している現状というのは、健全な状態とは私は言えないと思います。

 まず、日本銀行としても、財務のリスク、今は含み益、評価益が大量にありますので、これがすぐ財務的なリスクになるとは言えませんけれども、ただ、過去にはコロナ禍で評価損が発生しそうな場面もあったやに承知をしております。ですから、こういったものを中央銀行が抱える、余計なリスクを抱えるというのはよろしくないというのが一つあろうかと思います。

 二つ目に、株式市場の価格形成にゆがみを与えてしまう、これも大きな問題だというふうに思います。

 そして三つ目に、日本銀行が時価で約一割を超えるようなものを持っているわけですけれども、これはすなわち企業のガバナンスにもゆがみを与えてしまっているのではないのか、こういうふうにも考えます。

 こういうことを考えると、やはり、もう一度お尋ねしますけれども、中央銀行が株式を大量に保有することは健全な姿ではないと私は考えるんですが、総裁はいかがでしょうか。

 そして、その上で、日本銀行が保有する株式、売れない、いわゆる市場を通して売るということができないんだったら、別な方法も考えてはどうかというふうにも考えます。

 例えば、一旦政府に移してしまう。政府部門の中でも例えば預金保険機構は株式を保有しているわけなので、これも、いろいろな破綻した銀行の株式を買い取るとか、そういった形で一回持って、一時期処分していたわけなんですが、売却していたわけなんですが、まだ残っているものはたくさんあるという状況です。こうしたことも一つのアイデアとして考えるんですが、総裁はいかがでしょうか。

植田参考人 今委員御指摘の案も含めまして、私どものETFをどうしていくのかという点について様々な御議論があることは承知しております。

 ただ、先ほど申し上げましたように、時間をかけて検討していきたいと思いますので、現時点で個別の提案に対して具体的にコメントさせていただくことは差し控えたいと思います。

櫻井委員 今申し上げたとおり、これは私の考えでございますけれども、一旦政府の方にETFを移す、日本銀行の勘定から切り離すということ、その代わりに日本銀行には、国債になるのか、債券を渡すという形で、ちょっと、いわゆる株式の上下変動のこういったものからは切り離すということで、その中で政府の方で処理を考えていく。

 少なくともETFの配当収入はあるわけですから、これを例えば子供、子育ての財源、保険料から取るとかという何かいびつなことをするのではなくて、むしろこうした方がまだ健全な財源となるのではないのかというふうにも考えるので、こうした方法もあるということを御提案申し上げます。

 続いて、J―REITの扱いですが、こちらについても新規の買入れを終了するということです。

 一方で、先月発表されました公示地価を見ますと二・三%の上昇ということで、バブル期以来の伸びというふうになっております。東京の新築マンションの販売価格は一億円を超えるというような状況になっていて、非常に高い水準になっております。

 日本銀行が保有する巨額のJ―REIT、今後どうするのか、是非お答えをいただきたいと思います。特に、一般論として、中央銀行が不動産投資信託を大量に保有するという姿が、私は健全な姿ではないというふうに思いますが、総裁はどのようにお考えでしょうか。今のこの地価の上昇を踏まえれば、J―REITはもう売りどきというふうに考えますけれども、総裁、いかがでしょうか。

植田参考人 私どもが保有するJ―REITの方でございますが、これの処分についても、ETFと同様、すぐに行うことは今考えてございません。今後の取扱いについて、ある程度時間をかけて検討していきたいと思っております。

櫻井委員 これは、株式よりはもうちょっと売りやすいと思いますので、是非早急に対応されることを御提案申し上げます。

 それからあと、国債についてです。長期国債の買入れ、これまでと同程度の金額ということで、六兆円程度ということで注釈がついておりますけれども、長期国債の買入れを継続するというのが三月の決定だというふうに承知をしております。長期金利が急激に上昇する場合には、毎月の買入れ予定額にかかわらず、機動的に、買入れ額の増額や指し値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施するということになっております。ただ、長期金利の上限一・〇%をめど、これはなくなったというふうにも承知をしております。

 残高が六百兆円もの国債、今後どうするのかというのも大きな問題だと思います。新規の買入れを抑制すれば、満期償還で残高は減っていく面もある一方で、毎月六兆円新たに買入れをするということになれば、多分、残高がプラス・マイナス・ゼロといいますか、残高維持するようなレベルになるのではないのかというふうにも考えますけれども、今後どうしていくんでしょうか。

 一方で、金利上昇局面ということになりますと、評価損が発生するということになろうかと思います。既に昨年九月の時点で十兆円を超える評価損が発生しているというふうに承知をしておりますけれども、そういった面からも、国債の残高、しかも、結構、諸外国の中央銀行に比べて残存期間の長いものをいっぱい持っちゃっていると思うんですが、そういったことも含めて今後どうするのか、方針をお聞かせください。

植田参考人 長期国債でございますけれども、委員御指摘のように、私ども、三月の決定会合で、当面引き続きこれまでと同程度の金額で買入れを行うということを決めております。そういたしますと、これも委員御指摘のとおり、私どもが保有します残高は、償還との見合いで、おおむね横ばいでしばらく推移するということになります。

 その上で、将来的にはやはり、大規模緩和からの出口をちゃんと進めていくという中で、国債の買入れ額を減額し、それに伴って、保有高が償還に伴って縮小していくというところに移行していきたいと考えております。

 一つ申し上げますと、私ども保有の国債の平均満期、たしか六・五年くらいであったと思います。これは、必ずしも諸外国の中央銀行の保有している国債の満期と比べてすごく長いというわけではございません。

櫻井委員 一方、資料三をつけておりますけれども、これは一昨年、二〇二二年七月六日の日本経済新聞の朝刊にある「経済教室」の欄ですけれども、ここでは、総裁がまだ大学の教授ということで、日本銀行の総裁に就任するとは多分思っていらっしゃらなかった頃だと思いますが、そのときには学者として率直な意見を書かれているわけでございまして、その中で、難しいのは、長期金利コントロールは微調整には向かない仕組みだというふうにおっしゃられています。真ん中下辺あたり、横線を引いておりますけれども。

 これを考えますと、やはり長期金利については、債券市場での価格形成に委ねていくという方針を今後取られていくのかなというふうにも思うんですが、総裁の今後の方針についてお聞かせください。

植田参考人 私ども、三月の決定会合で決めたことの一つは、十年国債金利につきまして目標とか上限のめどを撤廃するということでありまして、その意味といたしましては、長期金利を、私どもの買入れはしばらく継続しますけれども、基本的に金融市場において形成されるものと考えるということでございます。

櫻井委員 総裁、いろいろ御答弁いただきましてありがとうございました。

 これで日本銀行に対する質問を終わりますので、御退席いただいて大丈夫です。

津島委員長 植田総裁、御退室いただいて結構です。

櫻井委員 続きまして、開発金融における環境社会配慮についても質問させていただきます。

 おとといのIMF、IBRD加盟措置法の改正案の審議の中でも少し議論させていただきましたけれども、その中で、三村局長は環境社会配慮は重要というふうに答弁をいただいております。

 ただ一方で、ロシアとの協力プランの中には、国際協力銀行が二〇二一年十二月に、ギダン半島におけるアークティックLNG2プロジェクトに対するプロジェクトファイナンスということで、融資を決定をしております。

 これは、今の、ロシアに対して経済制裁を加えている現状の中で、こういう融資契約はもう破棄するべきだというふうに考えるんですが、まだこれは続いているんでしょうか。

天川政府参考人 お答え申し上げます。

 ロシアによるウクライナに対する侵略以降、当行におきましては、アークティックLNG2向けの融資を含め、全てのロシア向け出融資を見合わせてございます。

 今後も、ロシアのウクライナ侵略後の状況を踏まえ、日本政府を含む関係者とも相談しながら対応を検討していきたいと思っております。

櫻井委員 関係者とも相談ということなんですが、これは、一番の関係者といいますかは、そもそも安倍総理がプーチン大統領を地元の山口県に招いて約束した案件だというふうに承知をしております。JBICが勝手にやめるとかそういうことはできなくて、これは政府の方針ですから、やはり所掌大臣である財務大臣からもうこれはやめましょうと一言言っていただかないと、なかなかJBICも身動きが取れないというふうに考えるんです。

 ロシアに対して経済制裁をやっているわけですから、こういったものはもう契約は破棄してしまうということで、大臣、いかがでしょうか。そのようにJBICに対して指示していただけないでしょうか。

鈴木国務大臣 先生の御質問はロシアのアークティックLNG2プロジェクトのことだと思いますが、現在、JBICは、JBICが融資契約を締結した事業会社が二〇二三年十一月に米国の制裁を受けたことなども踏まえて、今後取るべき対応を検討している、そのように承知をいたしております。

 財務省といたしましても、JBICには我が国の政策金融機関として、G7がロシアによるウクライナ侵略を厳しく非難していることも十分踏まえて対応していただくことが必要だと考えておりまして、今後ともJBICの対応につきましては財務省としてもしっかりとフォローしてまいりたいと思っております。

櫻井委員 ロシアがウクライナに侵略してからもう二年以上たっているわけですから、ちょっと対応が遅過ぎるんじゃないでしょうかね。

 続きまして、ミャンマー向けの経済協力についてもお尋ねをしようと思っていたんですが、残り時間がちょっと少なくなってきたのですが、ちょっと端的に質問させていただきます。

 こちらについても、もう軍事クーデターから三年経過しております。今年の二月にはミャンマーの軍事政権は徴兵制を発表しているということで、これは、国民と国民を互いに殺し合いをさせようということで、もう極悪非道の極みだというふうに私は思います。

 こうした政府に対していまだに、新規の事業はやっていないと言いますけれども、既にクーデター前に契約したものについては続けているということがあります。やはり、こういうのはもう即刻やめる。実際、世界銀行、アジア開発銀行は、クーデター直後に、実施中の事業も含めて、貸付実行も停止をしているわけなんです。日本政府だけだらだらと続けてしまって、これは大変問題だと思うんですが、大臣、これもやめましょうよ。いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 櫻井先生御指摘のとおり、ミャンマーに対する新規の円借款、これはもう行わないという方針であります。

 一方で、既存のODA、これは、クーデター前に国民民主連盟を中心とする政権との間で国際約束を交換した案件でもあり、ミャンマー国民の生活向上や経済発展に貢献することや人道的なニーズに対応することを目的とするものであります。

 こうした既存のODAにつきまして、政府全体の方針といたしましては、今後の情勢の推移、我が国が要求しております暴力の即時停止、被拘束者の解放、民主的な政体の早期回復の三点、それからASEANの五つのコンセンサスをめぐる進展の有無などの諸要素を勘案しながら、どのような対応が効果的か、総合的に検討していくこととなっております。

 これが政府全体の方針でありますが、財務省といたしましても、こうした方針に沿って、関係省庁とよく連携の上、適切に対応してまいりたいと考えております。

櫻井委員 だから、いろいろな諸要素をおっしゃいましたけれども、その諸要素が満たされなければ、オンゴーイングの事業についても貸付実行を止めますというのが本来あるべき姿ですし、実際、世界銀行、アジア開発銀行はそうしているわけですから、何で日本政府だけそういうことができないのか。改めて、これは問題だということで、即刻止めるよう提案を申し上げます。

 続きまして、最後の質問になるかもしれませんが、国際機関の職員に関する諸課題ということで、おととい質問しようと思っていて、できなかったことです。

 これは資料にもつけておりますけれども、中国には国家情報法というのがございまして、この七条に「いかなる組織及び国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助及び協力を行い、」というふうになっているわけです。要するに、国民は全員してスパイになれ、こういうことを言っているようなものとも受け取れます。

 そうすると、IMFそれから世界銀行等、国際機関に勤務している中国人の職員は、国際公務員としての守秘義務と中国国家情報法のどちらを優先するのかということで、これは非常に悩ましい問題になってしまうかと思います。国際公務員としての守秘義務がないがしろにされるようなことがあってはならないと考えるんですが、この点、大丈夫なんでしょうか。どのようにお考えですか。

津島委員長 鈴木財務大臣、時間が経過しております。お願いします。

鈴木国務大臣 はい。

 御指摘のとおり、中国の国家情報法第七条は、中国の国家情報工作に関する市民、団体の協力義務等について定めた条文であると承知をいたしております。

 一方で、IMF、世銀の職員、これは、それぞれの協定や内規に沿いまして、各国政府ではなく、所属する機関に対してのみ責任を負って職務に当たる義務を負うとともに、守秘義務を負うこととされております。

 日本といたしましては、IMF、世銀の職員がこうした職務規定を遵守することは極めて重要と考えておりまして、今後とも、各機関のガバナンスやリスク管理について、理事会等を通じましてしっかり注視してまいりたいと思います。

 そして、仮に、各機関におきまして櫻井先生が懸念されているような守秘義務違反が生じた場合には、各機関において、それぞれの、日本としても立場がございますので、適切な対応がなされるように、出資国の立場からしっかりと対応をしていく所存であります。

櫻井委員 時間になりましたのですが、今御答弁いただいたことではありますけれども、中国というのは、エスクロー口座、秘密口座を作ったりして、いつでも何かお金を引き抜いて担保にしちゃうというようなことをやったりするような国なわけですから、そこは油断がならないというふうに思います。IMF等の職員は、ある意味、相手国の財務状況を詳しく、いち早く知ることができるわけですから、そうすると、このエスクロー口座からお金を引き出しちゃって、貸し剥がしをやっちゃうかもしれないというようなこともあり得るので、十分この点、しっかり注視をしていただきたいということでよろしくお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

津島委員長 これにて櫻井君の質疑は終了いたしました。

 次に、江田憲司君。

江田委員 おはようございます。

 まず、通告はしていないんですが、財務大臣、昨日、自民党三十九人の処分をやっとお決めになったということでございます。

 報道によりますと、党内には不満が続出している。真相究明もまだなのにどうして処分ができるのか、その処分の基準が曖昧ではないか、処分の軽重が不公平なのではないか、岸田総理は、自民党のトップであり、宏池会のトップであるのに、なぜ処分をされないのか、二階俊博さんに至っては引退を表明しただけで、無罪放免なのか等々、不満が続出しているということでございますけれども、大臣として、政治家として、どういう受け止めをされておりますか。

鈴木国務大臣 昨日、政治資金の不記載の問題で、自民党で処分がなされたということでございます。これに対しまして、党内に、軽過ぎるのではないかとか、重過ぎるのではないかとか、様々な角度からいろいろな御意見があるということは、私も新聞報道等で承知をしております。

 しかし、私としては、党紀委員会、これで決定されたものは、やはり、これはいろいろな思いが心にあったとしても、それを受け入れなければならないんだ、そういうふうに思います。もしそれを受け入れられないのであると、もう党の規律というものが成り立たなくなってしまうと思います。

 私もかつて党紀委員長を務めまして、復党の案件について取りまとめをいたしましたけれども、いろいろな意見があって、取りまとめは本当に苦労をしたわけでありますが、一度党紀委員会で決まったことについては、これは皆さん納得して守っていただかなければ、まさに党のガバナンスがもう利かなくなってしまう、規律が利かなくなってしまう、そういう思いをいたしておりますので、昨日の決定について、私としてはそれを受け入れたい、そのように思っています。

江田委員 こういう不祥事が起これば、それは我々の党も含めて、党紀委員会、名前は違えど、デュープロセス、やはり議員の身分に関わる重大な問題ですから、民主的な、正当な手続を経て決める、それについてはしっかり党としても受け止める、受け入れるということだと思うんですけれども。

 何か聞くところによると、二時間、一回しか開いていない。弁明書は出しているけれども、本人から聴取していないわけでしょう。だから、これは、事の問題から離れても、やはりデュープロセスをちゃんと踏んでいるのかというのは、なかなか、客観的に見て、私はちょっとどうかなと思いますけれども。

 簡単に言えば、党紀委員会を、何といいますかね、隠れみのにしているけれども、結局は、九月の総裁選再選に向けての岸田総理・総裁の戦略の一環として、処分をされた方、されなかった方、軽かった方、重かった人の顔ぶれを見ると、なかなか、岸田総理のお手盛りの処分だったんじゃないかなと私は勝手に思っておりますが。それは本題じゃないのでとどめておきますが、これでまさか一件落着じゃないですよね、幕引きじゃないですよね、大臣。

鈴木国務大臣 これは幕引きというよりもけじめである、そういうふうに思っています。

江田委員 だから、けじめの後に来るものが、しっかりやらなきゃいかぬことがあるということでよろしいですか、大臣。

鈴木国務大臣 直接の担当でありませんので、私がどうこうという確たることは申し上げることはできませんが、当然、まだいろいろな疑義があれば、それにお答えしなければならないんだ、そういうふうに思います。

江田委員 まずは真相究明を引き続きやらなければなりませんし、その上で、やはり再発防止策、具体的な政治改革案の策定というもの。今月中に政治改革特別委員会も設置されるようですから、会期末に向けて、やはり、連座制の導入を含む政治資金規正法の改正、さらには問題となっております政策活動費の廃止、それから、そもそも九〇年代に国民にお約束をした企業・団体献金の全面禁止、政党助成金という制度を税金をいただいて導入する代わりに政治腐敗の元となってきた企業・団体献金は全面禁止する、そして、文書通信交通滞在費、旧名、これの公開をするとか、もういろいろな課題が山積していますからね。これについて真摯に取り組むことこそ、私は、自民党さんのやはり信頼回復のために必須だと思っておりますので、是非、大臣、自民党の中の重鎮議員でおられる、麻生派の幹部でもあられる、岸田政権の重要閣僚でもあられるわけですから、そういうところにしっかり取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。

鈴木国務大臣 岸田総理も国会の予算委員会等の答弁におきまして、様々な政治資金規正法の問題点の解決、ほかにも様々あると思いますが、そういうことについて、自民党としてしっかりとそれを受け止めて、この議論の取りまとめに向けて貢献をしていきたいという旨の発言を岸田総理も繰り返し述べておられるということは、承知をしているところであります。

江田委員 是非、大臣も自民党の中の重鎮の政治家であられますから、しっかり主導していただきたいというふうに思います。

 さて、今日の本題は、あえて財政のイロハといいますか基本に立ち返って、これまで財務省あるいはマスコミの一部によって刷り込まれてきた財政や税制の常識というものが、本当に常識なのか。私は昔、「財務省のマインドコントロール」という本も書いているんですけれども、そのマインドコントロールにかかっているのではないかという意識から、基本中の基本の議論を大臣と財務省の皆さんとしていきたいと思うんですよ。

 その前にまずちょっと教えていただきたいのが、二〇二〇年度、二一年度、二二年度の補正予算を含む予算総額と、各年度の使い残した額を事務方から教えていただけませんか。

寺岡政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年度の、二〇二〇年の歳出予算現額、これは、当初予算と補正予算を含め、その年度で歳出が可能であった額の総額でございますが、百八十二兆二千六百五十八億円であり、そのうち歳出されなかった額、これは、不用額として三兆八千八百八十億円、繰越額は三十兆七千八百四億円でございます。

 令和三年度の歳出予算現額は百七十三兆三千七百九十六億円であり、不用額は六兆三千二十八億円、繰越額は二十二兆四千二百七十二億円。

 令和四年度の歳出予算現額は百六十一兆六千四百六十八億円、不用額は十一兆三千八十四億円、繰越額は十七兆九千五百二十八億円となってございます。

江田委員 ちょっと驚くべき数字だと思うんですよね。

 コロナが起こり、ある程度、危機管理対応として、また、コロナの正体が分からない中で多額な予算を積み増すということは、私はある意味理解はできます。しかし、そうはいっても、年間三十兆前後の使い残しがあるというのは、これは全てあれでしょう、借金や税金でしょう、原資は。こんな野方図な財政運営をしていたんだということの、大臣、反省の弁を述べていただけませんか。

鈴木国務大臣 江田先生にも一部認めていただいたところでございますが、政府といたしましては、令和二年度以降の新型コロナの感染拡大でありますとか物価高騰などの予期せぬ事態に対して万全な対応を期すべく、必要かつ十分な予算を措置してきたところでありまして、これは、未曽有の事態に対して国民の命と暮らしを守り抜く観点から、適切なものであったと考えているところであります。

 しかしながら、結果として、令和二年度以降、不用額や繰越金が大きくなっているということは事実でありまして、このことにつきましては重く受け止めなければならないと思ってございます。

 その上で、個別事業の予算計上に当たりましては、内容をよく精査の上、適切な経費の見積りに努めていくべきだということは当然のことでありまして、引き続き、歳出構造の平時化に向けて適切かつ的確な予算編成に努めていかなければならない、そのように感じているところであります。

江田委員 いずれにせよ、予算を組むに当たっての見積りの間違い、それから、やはりやっているふり感の演出、いや、それはもう年間百七十兆だ、百八十兆だと異常な予算の額を組んでいるわけでしょう。それが適切に例えばコロナであれば対応するような予算となっており、ニーズに応じた、それが、使い切っていればまだしも、使い切るどころか、三十兆ですよ、皆さん。これはみんな税金や借金で賄っている貴重なお金ですけれども、三十兆も使い残したということは、見込み違いでしたという弁を超えて、本当に野方図な財政運営をやってきたということだと私は思います。

 では、この額がどういう額かという意味で、ちょっと分かりやすく、分かっていただくために、事務方の方でいいですから、消費税収一%分の税収って幾らですか。

青木政府参考人 お答えします。

 約三兆円でございます。

江田委員 三兆円ですよね。そうすると、三十兆使い残しているということは、消費税一〇%分を使い残しているということですよ。

 皆さん、思い起こしていただければ、我々は、ほぼ野党は一致して、二一年秋の衆議院選、二二年夏の参院選において、時限的な消費税五%減税をやってくださいと訴え、政府にもお願いをしてまいりました。三十兆円も残す余裕があったのなら、五%減税なんかとっくにできていたじゃないですか。五%減税をして、お釣りが来る額ですよ。

 しかし、当時を振り返れば、安倍総理も菅総理も岸田総理も、いやいや、消費税は貴重な貴重な社会保障の財源ですから一円たりともまかりませんという答弁を繰り返し繰り返しやっていましたでしょう。

 私に言わせれば、こんな三十兆円も使い残す余裕があったのなら、見込み違いがあったなら、とっくにできているんですよ。消費税五%減税を、一番危機的な状況であった二〇年度、二一年度にできていたんですよ。違いますか、財務大臣。

鈴木国務大臣 消費税の減税の御議論というのはあるわけでありますが、これは財源論といいますか、財源がないからしないということではなくて、繰り返しになりますけれども、消費税は年々増加する社会保障給付費の財源確保が課題となる中で、全世代型社会保障制度を支える重要な財源として位置づけられることから、その引上げを行うことは適当ではなかったと考えているところでございます。

 済みません、今、引下げと言うべきところを引上げと言ってしまいました。

江田委員 これは機会費用というんですよ。機会損失ともいいますね。政策を選択するに当たって、結局、コロナ対応だと言い、物価高対応だと言い、ニーズもないようなところに見せかけの予算を積み上げて無駄にした機会、ここに、消費税、時限的に五%、一年間でもやれば、もっと早く困窮している国民生活を救えたかもしれないし、コロナ以前の景気にもっと早く戻ったかもしれない、そういう意味で、機会費用と機会損失が生じたと私は思いますけれどもね。

 今おっしゃられた、では、消費税は、そういう額の問題ではなくて、社会保障の財源だからとおっしゃいましたけれども、そんなことを言っている国は一つでもあるんですか、外国に。

青木政府参考人 お答えします。

 諸外国におきまして、例えばフランス、ドイツ、スイスでは、付加価値税の税収の一部を社会保障の支出に充てることを法律などで定めておる国がございます。そういったことを承知しております。

江田委員 それは私も存じ上げていますけれども、ごくごく例外、付加価値税の税収の一部をごくごく例外的に措置をしている、財政上の制約の観点から措置しているということであって、我が国のように、消費税収全体を社会保障の財源だと言い募っている国は一個もありません。これはもう明らかで、いや、社会保障の財源だと言えば国民は納得してくれるだろう、消費増税だって受け入れてくれるだろうという、これは財務省の魂胆なわけですよ。

 しかし、そういう国は一個もないし、それから、何度も指摘されていますけれども、では、あなた方は特別会計にしているんですか。昔の道路特定財源のように、消費税収を区分経理して、特別会計の管理をしていれば、まだ社会保障の財源に充てると言えると思いますよ。

 しかし、今やっていることは、消費税法の一条か二条か忘れました、そこに社会保障に充てるということと、予算総則に書いているだけで、しかも、年間の、予算の例えば社会保障関係費というのは三十七兆か八兆円でしょう。今、消費税の国の税収というのは二十三兆円、四兆円でしょう。要は、社会保障の内数だから、税収をそこに充てていますといったって、お金に色はついていないわけだから、そこはもう全く特別会計のようにリンクしていないわけです。消費税収がどこに使われているか分からないわけだから、金に色目はないわけですからね。

 ですから、そういうことでやっているのは日本だけだということを指摘したいと思いますし、この言い方が大問題をはらんでいると私が思うのは、消費税というのは逆進性のある税制でしょう。所得の低い人ほど重税感を持つ税を財源として、所得再配分機能を持つ社会保障の財源に充てようなんというのは、完全な論理矛盾じゃないですか。どうですか。

鈴木国務大臣 消費税につきましては逆進性があるという御指摘でございますが、高所得者より低所得者の方が所得に対する消費税の負担率が高くなるという点につきましては、御指摘のとおりでございます。

 しかし、軽減税率制度によって逆進性が緩和されていることに加えまして、消費税財源が充当される社会保障給付等の受益はむしろ低所得者に総体的に手厚くなっていることに鑑みれば、全体として所得再分配機能にも十分配慮したものとなっていると考えてございます。

 その上で、消費税については、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定している、働く世代などの特定の層に負担が集中することがないなどの特徴を有しておりまして、社会保障の財源としてふさわしいものであると考えているところであります。

江田委員 例えば、年金生活者支援給付金、これも消費税収を充てているんですよね。これは住民税非課税の方が対象ですよ。幼児教育の保育の無償化も、〇―二歳児については、無償化は住民税非課税世帯でしょう。生活保護費、これは国じゃなくて地方の消費税交付金で賄われている。

 こういう所得再配分の典型のような施策について、低所得者ほど重税感にあえぐことになる税財源を充てるなんという論理を構築している国は一つもないんですよ、さっき御指摘のドイツやフランスも含めて。全て、ヨーロッパの付加価値税も我が国の消費税も、これは一般財源なんですよ。だけれども、社会保障の財源だというなら増税も受け入れてくれるだろうという魂胆から、ずっと言い募ってきた。もうこういううそ偽りはやめましょう。

 消費税、私は全部廃止しろとは言いませんよ。しかし、消費税収は所得税、法人税と同じように一般税収として扱う、現にそうなんだから。社会保障の関係費よりもまだ内数だから、充てる充てるというのが言い逃れとしてまだできるかもしれませんけれども、消費税収、将来二〇%、三〇%に上げて、例えば社会保障の額を消費税収が上回ったときは必ず、その税収はほかに回しますと言うに決まっているので、財務省は。そういうことを指摘しておきたいと思います。

 さて、次、千兆円を超える、なんなんとする借金があって、もう日本の財政は破綻寸前だ、だから増税しなきゃいかぬ、今回も、防衛増税だ、子育て支援、これは重要な我々が訴えてきた政策ですけれども、その財源として健康保険料の値上げだと今、岸田政権はやっていますよね。しかし、そんな必要は全くないと私は思っていますので、ちょっと聞いていきたいと思います。

 まず基本中の基本、よく言いますよね、国債、借金は子や孫たちへのツケ回しだと。これは本当なんですか。

寺岡政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国債は、国民の中でもこれを保有している特定の者あるいはこれを包含する民間部門にとっては資産でありますが、政府にとりましては、国債に対する元金の償還や利払いを必ず責任を持って行わなければならないという意味において、負債であると考えてございます。

 世代間の問題についても、様々な議論があることは承知しておりますが、将来、国債の保有の有無にかかわらず、追加的に税金等の負担や歳出改革という国債の償還のための負担を負っていただく必要が生じるものであると考えてございます。

江田委員 国にとってはツケ回しだ、しかし、国民にとっては資産になる。私の言葉で言うと、国債、借金は、子や孫たちへの仕送りだ。

 例えば、江田憲司が百万円の国債を買います。それで、死にます。子供が相続します。満期が来ました、百万円もらえます。ですから、国民の側からすれば、借金、国債は、子や孫たちへの仕送りなんですよ。しかし一方で、国の立場からすると、それは将来へのツケ回しなんですよ。当たり前のことですよ。

 それをこの国ではなぜか、バランスシートの当たり前の考えを公正に正確に国民に情報提供するのではなくて、この負債だけを切り出して、千兆円を優に超える、今、長期債務残高千二百兆円を超えている、大変だ大変だと言うから、私は非常に怒っているわけですよ、ずっとこれを、もう十何年か。

 私の趣旨は、しっかり、国民に情報提供するときには、負債がこれだけあるのなら、資産もこれだけありますよと、財務省だって、二〇〇〇年代から国のバランスシートをやっと作り始めているわけでしょう。ですから、結局、超優良企業のトヨタさんだって、バランスシートの負債だけ言えば三十兆円の借金ですから。それを大変だ大変だと言っていますか。ソフトバンクさんも十七兆円の借金で、これだけ見れば大変な負債ですよ。しかし一方で、資産、トヨタは四十八兆円あるから、ソフトバンクさんは二十一兆円あるから、優良企業なんですよ。

 ですから、私が言いたいことは、一方的に負債だけを言って国民をだますのはやめてほしい。負債のことを言うときには、国の資産のことも言ってほしい。だからこれは、一般会計、特別会計というか全部、独法や政府系金融機関のバランスシートを見ると、今、国の資産は九百六十二・七兆円、負債は千五百四十四・五兆円、資産・負債差額が五百八十一・八兆円、これが正確な数字ですよ。

 私も、資産・負債差額が五百八十一兆あるから、財政再建は必要だと思っていますよ。財政規律も重要だと思っているんですよ。しかし、余りにも、日本は千兆円も超える借金があるから破綻寸前だ破綻寸前だ、だから消費税を増税しなきゃいかぬ、だから子育て支援でも健康保険料を値上げせないかぬ、だから防衛増税もしなきゃいかぬというのはおかしいと言っているんですよ。大臣、どうですか。

鈴木国務大臣 日本は国内外で多くの資産を保有しているということについて申し上げますと、我が国は、国内ではこれまで、家計の金融資産等を背景に、大量の国債の大部分を国内で低金利かつ安定的に消化するとともに、対外純資産の蓄積を背景とした経常収支の黒字が、経済全体で見て、その頑健性を支える要因の一つとなっているものと認識をいたしております。

 政府の債務残高、これは世界最悪の水準であることも事実でありまして、仮に政府の金融資産を債務残高から差し引いた純債務で見たとしても、諸外国と比べて高い水準となっております。また、その金融資産につきましても、年金積立金や外貨準備などは見合いの負債が存在しており、単純に債務残高から差し引くことのできる資産と認識するには適当ではないと考えております。

 こうしたことを踏まえますと、我が国の財政の現実は決して楽観できる状況ではなくて、一たび財政の持続可能性への信頼が損なわれれば、金利の上昇等を通じて利払い費が大きく増加することや、自国通貨建ての国債であっても市場からの資金調達が困難となる可能性があることなど、財政面においても重大な影響が及ぶと考えられることから、引き続き、歳出歳入両面の改革を続けて、責任のある経済財政運営を進めなければならないと考えております。

江田委員 では、どうしてあなた方はバランスシートを作り出したんですか、その意味は何ですかと問いたいところですけれども、今、資産は売れないものもある、例えば、高速道路だって今民営化されて株式があるわけだから、要は株式売却したら価値が出てくるわけで、売れないことはないんですよ。それから、今の資産の八割は金融資産ですから、いつでも売れるんですよ。有形固定資産だって、公務員宿舎は青山とか赤坂にあるわけだから、あれだって売ろうと思えば売れるので、そんな議論をしたら際限ないので、基本的に、資産、負債、しっかり平等に公正に情報提供してください、今後、本当に。それはお願いしますよ。

 では、ちょっと角度を変えて、端的に額だけ答えてほしいんですけれども、直近の日本の個人の金融資産は幾らですか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十二月末時点、家計の金融資産、日銀の資金循環統計によりますと、二千百四十一兆円でございます。

江田委員 二千百四十一兆円ですよ。

 では、これに国と企業の金融資産を合わせた全体の金融資産は幾らですか。

三村政府参考人 同じく昨年十二月末時点でございますが、国内全体の金融資産、九千七百四兆円でございます。

江田委員 ほぼ一京円ですよ、一京円ですよ。

 では、対外純資産は幾らですか。

三村政府参考人 お答えいたします。

 これは、直近、最新の数字が令和四年末ということになりますが、対外純資産、四百十八・六兆円でございます。

江田委員 四百十八兆。世界最大の債権国ですよ、日本は。

 外貨準備は幾らですか。

三村政府参考人 お答えいたします。

 こちらは、ちょうど本日の朝、三月末時点の外貨準備を公表しておりますので、その数字でございますが、一兆二千九百七億ドル、三月の基準外国為替相場で換算いたしますと、約百八十九・七兆円でございます。

江田委員 百九十兆円なんなんとして、年々、今の為替相場もあり、どんどん増えている、こんなに外貨準備を持っている国はありませんから。先進国はみんなこの十分の一、二十分の一以下です、残高。この議論はまたします、この財務金融委員会で。

 経常収支は幾らですか。

三村政府参考人 こちらは令和五年暦年の経常収支、二十・六兆円の黒字でございます。

 なお、先ほど、私、外貨準備のドル建ての数字、ひょっとすると一兆二千九百七と言ったかもしれませんが、切上げ、切下げの関係でより正確に言いますと、一兆二千九百六億ドルでございます。

江田委員 個人金融資産は二千百四十一兆円、国全体の金融資産は九千七百四兆円、対外純資産は四百十八・六兆円、外貨準備は百九十兆円弱、経常収支も二十兆円、どこが破綻するんですか、この国が。

 取るべきところから取っていないから、厳しい厳しいと財務省は言っているんでしょう。厳しい厳しいと言わなければ消費増税できないから、今まで言ってきたんでしょう。取るべきところから取っていないんですよ。日本の資金保有量というか、これは別の言葉で言うと、日本の支払い能力とも言うんですよ、今、私が答えていただいた数字は全て。日本の支払い能力は天下一品なんですよ。

 しかし、これだけお金があるのに、自民党の政治は超大企業と富裕層におもねる政治だから、なぜならば、超大企業からいっぱい献金をもらい、組織票をもらう、業界団体もそうでしょう、そういう政治なんです。いや、そういう政治があってもいいでしょう、民主主義ですから。それもある一部の国民を代表されているわけですから、いいと思いますよ。しかし、国民にしわ寄せをしないでほしい。取るべきところから取っていないから、また防衛増税だ、今度は健康保険料の値上げだ、する必要は全くありませんから。

 これは、代案も含めて、またこの委員会でやります、今回じゃなくて、次回以降やりますから、よく覚えておいていただきたいと思います。

 さて、その上で、私も何度も予算委員会で取り上げてきましたが、前黒田日銀総裁が財務官当時に書いた例の格付会社への意見書、ここには自国通貨建ての国債のデフォルトは考えられないと書いてあって、今でも財務省のホームページに載っているんですが、この考えに今でも同意しますね、財務省。

寺岡政府参考人 お答え申し上げます。

 国債の信用リスクに対するお尋ねだと思いますけれども、日本の財政は、家計の金融資産や御指摘の経常収支の黒字等を背景に、大量の国債を国内で低金利かつ安定的に消化してきたということでございます。

 一方、一たび財政の持続可能性への信認が損なわれれば、金利の上昇等を通じ、利払い費が大きく増加するおそれがあることや、自国通貨建ての国債の場合であっても、通貨の信認を失えば、市場からの資金調達が困難となる可能性があることなど、財政面において重大な影響が及ぶと考えてございます。

 したがいまして、引き続き、自国通貨建てであっても、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認が失われることのないよう、責任ある経済財政運営に努めていく必要があると考えてございます。

江田委員 今の発言は看過できない。では、黒田財務官、当時、が出して、今でも載っているあれを否定するんですね。断言しているんですよ、自国通貨建ての国債のデフォルトは考えられないと。私が理解するところは、徴税権もある、通貨発行権もあるからなんですよ。

 さっき言った、豊富な資金がある、日本は。支払い能力がある。そこからいざとなれば取れるので、税金で。だから、このデフォルトは考えられないという一般理論を述べているんです、一般理論を。具体理論じゃないよ。この一般理論をあなたは否定するということなのね、それをはっきりさせたい。

寺岡政府参考人 年々厳しさを増す財政状況に鑑みれば、仮に市場等の信認を失う事態が発生すれば、金利の上昇を通じて市場からの資金調達が必ずしも安定的に行われなくなる可能性も否定できないと考えてございます。

 このため、政府としては、市場の信認を失うような事態が生じないよう、引き続き財政健全化を進めていくことが極めて重要だと考えてございます。

江田委員 明らかに当時の財務省の考えを否定したと。

 というか、もう一切海外にこういうことを言わないでください。二枚舌ですから。格付会社、海外には、これ、あえて今日はやりませんけれども、日本の支払い能力は万全だ、低金利で、内国人に国債は消化されてと延々と書いていますよ。そんなことを対外的に言いながら、当時も国民には、財政は厳しい厳しい、増税が必要だと言っていた。完全な二枚舌なんですよ、財務省は。うそ八百なんですからね。金輪際言わないでくださいね、これを。

 対外的に何があっても、いやいや、自国通貨建ての国債のデフォルトは考えられないというのは間違いでした、やはり信認が落ちれば、いろいろな財政支出も要るし、全体的に問題があるから、こういうことはまともに認められませんという答弁でしたからね、そこは言っておきますよ。

 では、CDS、クレジット・デフォルト・スワップ、今日本は、レバレッジ何%ですか。

奥政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのCDSスプレッド、これは、その時々の経済財政の状況など様々な要因を背景に変動しておりますが、日本のCDSスプレッドの直近、本年四月三日時点の値は約〇・二%でございます。

江田委員 まあ、CDSを御存じない国会議員の人はいらっしゃらないと思いますが、念のため説明しますと、これは国債を買うときの保証料みたいなもんですね、保険料みたいなね。要は、日本の国債を百万円買いました、でも、その国債が破綻してしまった、そのときに全額返してもらうための保険料です。それが〇・二%というのは、今市場は、日本の国債はほぼ一〇〇%安全だと思っているということなんですよ。これは、G7で見ても、ドイツが〇・一五%に次いで安全だと市場は評価している。

 ちなみに、フランスは〇・二四、アメリカですら〇・三八、イギリスも〇・三三、日本は〇・二三と極めて低い水準にあって、エジプトなんかは一三・三二、一時財政破綻までいったギリシャで二五〇%、二、三年前のロシア、ウクライナ危機、一〇〇%、日本は、何度も言いますけれども、〇・二三%。

 財務省が幾らうそをついたって、市場が一番正直ですから、日本の国債はほぼ一〇〇%安全だと思って取引されているということを、是非国民の皆さん、知っていただきたいと思います。

 まとめると、日本の支払い能力、保有能力は天下一品、それを背景にして市場は、日本の国債は一〇〇%ほぼ安全だと思っている。何が財政破綻か。

 要は、自民党政治というのは、担税能力のあるところからまともに税金を取っていないから、いつまでたっても財政は厳しい厳しいといって、庶民を苦しめる消費増税に走っている。経団連会長の発言が典型ですよ。経団連会長が記者会見して口を開くたびに、なぜ消費増税しか言わないか、それは法人税を上げたくないからなんですよ。

 しかし、もう既に法人税下げ競争は終わっているんですよ、国際的には。バイデン大統領になって、トランプが一気に下げた法人税、二一%まで下げたものを二八%まで上げようとしています。今、議会の調整で二六・五%までちょっと下げていましたけれども、上げようとしている。イギリスのスナク政権は、サッチャー政権以来、半世紀ぶりに一九%の法人税を二五%に上げている。

 みんな、コロナで拡大した支出、財政を賄うために法人税を上げているんですよ。だけれども、あなた方は絶対に上げられないと思いますよ。これもまたやりますから。財務省の資料でも、法人税を一番負担していないのは超大企業ですから。中小零細企業よりも法人税を負担していない、いろいろな政策減税措置を適用して、ということもありますからね。取るべきところから取れば、健康保険料の値上げも要らないし、それから防衛増税も要らないということをここでは申し述べておきたいと思います。

 何度も言いますけれども、私も、資産・負債差額がマイナスである以上、財政規律は重要だと思っているんですよ、枠組みはね。私は、基本的考えは、この借金が将来的に収束するのか、発散するのかというのに注目しています。巨額の借金であっても、一千兆円の借金を、誰がやったって、あした、あさって返せないんだから。将来にわたってこの借金は収束するのか、発散するのかが重要なんですよ。

 そういう意味で、今政府も取っておられるプライマリーバランスをまずバランスさせた上で考えていこうという発想は、私が理解するところ、ドーマーの定理を背景にしている。ドーマーの定理というのは、二〇〇〇年代、与謝野・竹中論争があったんですけれども、結局、プライマリーバランスをバランスさせた上で経済成長率の方が長期金利よりも上回っていれば、もっと分かりやすく言うと、金利払いや借金返済よりも経済成長による税収が上回っていれば将来収束するからという意味で、私は一つの重要な枠組みだと思っているんですよ。ほかにもあるかもしれない、勉強してみますけれども。

 そういう考えで今、プライマリーバランスを前提とした財政規律の枠組みをつくっているという理解でよろしいですか。確認です。

鈴木国務大臣 ドーマーの定理によりますと、債務残高対GDP比の変動につきましては、名目成長率と名目金利の大小関係のほか、プライマリーバランスの水準にも左右されると承知をしております。

 将来の名目成長率と名目金利の水準について、政府として確たることを申し上げることができない中にありまして、債務残高対GDP比を安定的に引き下げていくためには、経済再生を図りつつ、まずはプライマリーバランスを黒字化することが必要であると考えます。

 こうした点を踏まえまして、骨太方針では、経済の再生を図りつつ、二〇二五年度の国、地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化を達成し、同時に債務残高対GDP比の安定的な下げを目指すこととされておりまして、政府といたしましては、これに基づいて財政運営を行っているところであります。

江田委員 GDPに占める債務残高比率というのは、従来から私は思っているんですけれども、どんな意味があるのかと思っているんですよ。

 そういうことじゃなくて、まずプライマリーバランスを黒字化した上で、経済成長率を長期金利よりも上げていくということが重要なんですよ。そういう考えに立っているんですよね。これは確認ですけれども、今ぐちゃぐちゃおっしゃいましたけれども、そういうことですよね。

寺岡政府参考人 大臣の御答弁したとおりでございますが、まず、現在の政府の方針については、経済の再生を図りつつ、二〇二五年度の国、地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化を達成し、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す。

 これは、おっしゃいますように、ドーマー条件、金利と成長率が一定な場合には、逆に申しますればプライマリーバランスが黒字化したときには、そのドーマー条件が成立いたしますれば債務残高GDP比が発散しないという条件でございますので、まずはプライマリーバランスの黒字化を目指して、さらに、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指すというのが政府の方針ということでございます。

江田委員 先にそういう答弁をしてもらえばいいんですよ。

 最後に、ゆめゆめ誤解なきように言うと、財務省が財政再建や財政規律を言い募るのは当然の職務です。だけれども、政府の中には、やはり財政の論理もあれば、経済の論理もあれば、社会保障の論理もあれば、外交、安全保障の論理もあって、それは並列なんですよ。それを、あたかも財政の論理が他の論理をへいげいするように財政規律だけを言っているのがおかしいと言っているだけなので。

 私は、財務省が口酸っぱく財政再建や規律を言うのは、当たり前の職責。しかし、それを踏まえて総合的な判断、この国のために何が一番いいか、優先順位を決めるのは総理大臣、トップですからね。トップ、総理大臣が、財務省の言い分も聞く、経済産業省の言い分も聞く、厚生労働省の言い分も聞く、外務省の言い分も聞いた上で総合判断するということだから。

 ゆめゆめ誤解しないでいただきたいのは、財務省がそういうことを言い募ることについて批判しているわけではなくて、私が今日言いたかったことは……

津島委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

江田委員 国民に情報提供するときには、正確な公正な情報提供をしてください。その上で、民主主義国家ですから、最終的には国民が判断しますということを申し上げたかったわけでございます。

 御清聴ありがとうございました。

津島委員長 これにて江田君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤巻健太君。

藤巻委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の藤巻健太でございます。本日も、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問の方に入らせていただきます。

 まず、為替の方についてお伺いいたします。

 大臣、先週水曜日、円安に関して、行き過ぎた動きには断固たる措置を取っていきたいというふうに述べられました。この断固たる措置というのは、これは具体的にはどのような措置になるのでしょうか。

鈴木国務大臣 断固たる措置ということについては、もう先生もイメージがおありになるんだと思いますけれども、具体的なことを言及すること、これは市場に影響を与えることにもなりかねませんので、その点は申し上げないということにいたしているところでございます。

 基本的なことの繰り返しで恐縮ですが、為替相場、これは、ファンダメンタルズを反映をして、安定的に推移することが望ましいと考えております。そして、過度な変動は望ましくないというのが基本的な考え方でありまして、政府としては、為替市場の動向、高い緊張感を持って注視をしているところであります。これまでも申し上げているとおりに、行き過ぎた動きに対しましては、あらゆる手段を排除せずに適切な対応を取りたいと考えております。

藤巻委員 なかなかお答えいただけないとは分かっておりますが、同日、神田財務官が、現在の円安について、投機的な動きであることは明らかだというふうに発言されました。その一方、月曜の参院決算委員会で大臣は、投機的な動きも見られると認識している、ファンダメンタルズに沿っていない部分もあるのではないかと答弁されております。神田財務官は、明らかに投機、大臣は、ファンダメンタルズに沿っていない部分もあるのではないか。これは、関係者の一挙手一投足を注視して、てにをはの違いにも敏感である市場関係者にとって、この発言、ニュアンスは大きく違うと思います。

 私は、現在の円安、日米の中央銀行の政策など、ファンダメンタルズに基づく側面がむしろ大きいのかなというふうに分析はしているところではありますが、神田財務官が明らかに投機と断言する根拠について、大臣はどうお考えでしょうか。神田財務官の投機的な動きであることは明らかだという発言はちょっと行き過ぎた見解で、ファンダメンタルズに沿っていない部分もあるのではないかという大臣の答弁の方が、ニュアンスとして財務省の公式見解であるというふうに考えてよろしいのでしょうか。

鈴木国務大臣 神田財務官の発言も、最近の円安はファンダメンタルズに沿ったものとは到底言えず、円安の背景に投機的な動きがあることは明らかだということを申し上げているわけでありまして、それをちょっと逆に言いますと、ファンダメンタルズに沿っていないものが投機的な動きによって生じているという意味を私も申し上げたところであります。

 基本的な認識につきましては、神田財務官と私の間には違いはないわけでありまして、違和感はないということであります。

藤巻委員 ただ、神田財務官の話を聞いていると、やはりちょっと、ニュアンスが少し違ってくる部分はあると思いますので、そこはマーケットの動揺も防ぐという意味においても、もう少し統一した見解に近づけていただければなというふうには思っております。

 為替の話はちょっとここで置いて、続いて、日銀植田総裁にお伺いいたします。

 情報管理についてです。先月の金融政策決定会合ですが、内部からリークがあったとしか思えないような報道が相次ぎました。この件に関しては、参議院の委員会の方から、何人かの委員から、先週、当委員会の方でも沢田委員の方から質問がありました。

 まず、そもそもですけれども、金融政策決定会合で決定される事項が事前に漏れてしまうことが望ましくないことであるのか、それとも問題ないのか、その部分については、総裁、お考えをお聞かせください。

植田参考人 私どもの決定会合前の報道ですが、これは、それまでの日本銀行の記者会見や講演、国会での答弁といった幅広い層を対象とした情報発信を基にしつつ、各社がそれぞれの見方を示されるものと理解しております。

 その上でですが、日本銀行が事前に特定の関係者に情報を伝えるようなことは、当然適切でないと考えております。引き続き、厳格な情報管理の下で、私どもの考え方が適切に伝わるよう努めてまいりたいと思っております。

藤巻委員 今、総裁から適切でないというふうにお言葉がありましたけれども、確かに、実際、日銀自身、二〇一六年二月の声明で、金融政策決定会合の結果が公表される直前の段階で、これに関する報道が行われた場合には、金融市場に攪乱的な影響が及ぶなど、極めて望ましくない事態にもつながりかねないと、日銀自身が声明で表明しております。日銀の決定する政策次第でとてつもない金額の資金が動くわけですから、その情報は一級機密に該当し、管理は最高レベルで行われなければならないと私も考えるところでございます。

 今回の金融政策決定会合の決定事項、一部報道機関が事前に断定的に報じております。改めて伺いますけれども、一部報道機関への内部からのリークはなかったのでしょうか。

植田参考人 私ども、政策修正を市場に織り込ませるために、事前に特定の関係者にリークするようなことはいたしません。一連の報道があったわけでございますが、これは、それまでの日本銀行の記者会見、講演、私どもの国会での答弁といった情報発信を基にしつつ、さらに、最近の春季労使交渉の動向等を踏まえた上で、各社がそれぞれの見方を示されたものと理解しております。

 長くなりますが、私ども、記者会見や国会の答弁等で、物価安定の目標の持続的、安定的な実現を見通せるか確認していく上で、春季労使交渉の動向が一つの大きなポイントになること、それから、目標実現が見通せる状況に至れば大規模緩和の修正を検討すること、さらに、政策を見直す際には、その前後で不連続な変化が生じることがないようにしていくことなどを申し上げてきたところであります。

 引き続き、厳格な情報管理に努めてまいりたいと思っております。

藤巻委員 今おっしゃるところによると、記者会見などの一般情報に基づく、新聞各社等々がそれぞれの見方を示したもの、つまり各社の予想記事、臆測記事にすぎないというような見解だというふうに理解しておりますけれども、決定会合の結果が発表されたのは三月十九日の昼過ぎです。

 十九日の午前二時には日経新聞がネット記事で、YCCやリスク資産を買い入れる枠組みをなくすと断定しております。十七年ぶりの利上げに踏み切ると断定的な書き方をして、結果、そのとおりになっています。総裁のおっしゃるところの予測記事にすぎないのに、なぜか断定的に書いております。毎日新聞は、十九日朝の朝刊で、マイナス金利解除を決める見通しとなったと書いております。共同通信は、十五日夜、マイナス金利政策の解除を決める見通しとなったことが十五日分かった。これはもう一回言います、十五日分かった。予測記事にすぎないのに、十五日分かった。これは分かっちゃっています。これは不思議ですね、本当に。

 一社だけじゃないんですよ、これは。ここまで多くの報道機関がこれだけ断定的な記事を書いているのを踏まえても、それは各社の見方で、あくまで予測記事にすぎない、情報のリークはなかったと、それでも断定するのでしょうか。改めてお答えください。

植田参考人 委員御指摘の事前報道、様々な事前報道でございますが、繰り返しになりますが、私どもの情報発信を基に各社がそれぞれの見方を示されたものと理解しております。

藤巻委員 これだけ外形的な証拠がそろっているのに、やはりちょっとその答弁は無理があるのではないかというふうに私は感じております。

 情報が漏れているんじゃないかという、これだけ客観的な証拠がそろっている中、総裁はリークはなかったというような答弁を続けておられますが、そこから考えられる、導かれる答えというのは一つかなというふうに私は思っておりまして、総裁のあずかり知らないところで情報が漏れている、情報を漏らしている内部の人間がいるという可能性が極めて高いということです。

 先日の総裁の答弁で、調査を行うことは考えていないとありましたが、ここまで情報漏えいが疑われる事態です。内部調査をすべきかと考えます。日銀は、二〇一六年に、今回と同じような情報漏えいの疑惑があったために、調査をしています。今回も内部調査をしていただけませんか。

植田参考人 繰り返しになりますが、現状では、様々な事前報道は、各社がそれぞれの見方を示されたものと理解しております。

 もちろん、何か客観的な事実が追加的に出てまいりましたならば、調査は行いたいと考えております。

藤巻委員 もう客観的な証拠に近い状態だと思いますので、是非、内部調査することを検討していただければと思っております。ここまで情報漏えいが疑われる事態にもかかわらず、情報漏えいはない、内部調査もしないと言い張る、これは民間だったらあり得ない事態だとは思いますので、是非前向きに検討をよろしくお願いいたします。

 市場の混乱を防ぐために、事前に情報を公開し、地ならしをする、これ自体は全く悪いことだとは思いません。その場合、こういった国会の場や記者会見といった公式の場で、次回の決定会合ではマイナス金利の解除を検討する可能性が高いとか言えば済むことだと思います。特定の人、特定のマスコミに情報をこそっと流すのがやはり問題であるとは思います。

 日銀の情報管理、さらには、日銀の統制に大きな疑問を持たざるを得ませんが、これ以上はちょっと水かけ論になってしまうので、このテーマは一旦ここで終わらせていただきます。

 情報管理について質疑は続けさせていただきますけれども、昨年二月の当委員会で、情報漏えいに関して、国税に対する私の質問に、税務職員には一般の国家公務員よりも重い守秘義務が課されている、個別の税務調査の具体的内容については、査察事項で公表する場合を除き、報道機関に情報提供は行っていないという答弁がありました。

 これは、脱税で逮捕、起訴されれば話は別ですけれども、申告漏れなど個別の税務案件は、本来、外部に情報が漏れることはないというふうに理解しております。しかし、二〇一九年には、有名芸能人の申告漏れがマスコミを通して公になりました。二〇一二年には、元プロ野球選手の申告漏れもマスコミで大々的に報道されました。

 これらの件は、本当に国税側からのリークはなかったのでしょうか、お答えください。

    〔委員長退席、塚田委員長代理着席〕

鈴木国務大臣 先生が以前質問されまして、そのときの答弁とほぼ同じになってしまうかとも思いますが、税務職員には、国税通則法上、一般の国家公務員よりも重い守秘義務が課せられておりまして、国税当局では、職務上の秘密保持につきまして、いろいろな機会を捉えて職員への周知徹底を行うなど、細心の注意を払っていると承知をしております。

 したがいまして、御指摘の方の事柄等に対するものも含めまして、個別の課税調査に関する内容について、国税当局から報道機関に対していわゆるリークが行われることは一切ないと認識をいたしております。

藤巻委員 そうおっしゃられますけれども、事実として、情報はマスコミに漏れております。国税側から漏れていないのならば、まさか本人が情報を漏らしたということなのでしょうか。自分の職業人生に致命的なダメージを与える情報を、あえてマスコミに自分から流すというのは到底考えられません。

 国税側から情報が漏れていないとすると、一体どこから情報は漏れているのでしょうか。そこについてはどうお考えでしょうか。お答えください。

鈴木国務大臣 それは私も分かりません。国税からはリークしていないということであります。

藤巻委員 国税側から情報は漏えいしていない。本人が情報を漏らすとも考えられない。しかし、事実として情報はマスコミに漏れている。

 これは、一体どこから情報は漏えいしたのか、調査すべき案件かと思うんですけれども、この件、調査は行われたのでしょうか。今後、これらの件に対して、情報漏えいに関する調査を行う予定はありますでしょうか。

鈴木国務大臣 現在、国税当局内部からの情報漏えいが疑われる事案があるとは考えておりませんが、万が一職員の守秘義務違反の疑いがある場合には、事実関係を確認の上、法令違反になりますので、厳正に対処すべきであると考えております。

 今後とも、国税当局において守秘義務の徹底に努めていかなければならないと考えているところでありまして、今直ちに調査をするということは考えておりません。

藤巻委員 これは日銀と一緒だと思うんですよね。事実として、情報はマスコミ等々に漏えいしている。しかし、自分たちは漏えいしていない、調査もしないと断言して、事を終わらせようとする。それで本当にいいのでしょうか。

 日銀にしろ、国税にしろ、公表すべき事実は公の場でしっかりと公表する。一方で、機密情報はしっかりと管理し、漏えいしないようにする。特定のマスコミにこそっとリークするというようなことは、公共の利益のためにも、個人の権利のためにも、社会の公正性のためにも望ましくないというふうに私は考えております。そういった情報管理、しっかりと、どうかよろしくお願いいたします。

 続いて、CPIについて植田総裁に質問させていただきます。

 総裁、昨年四月二十四日の衆議院決算行政監視委員会で、エネルギーを除いたCPIが、二〇二三年後半には二%を下回るということを見込んでいると述べられました。

 昨年五月、当委員会でも、世界中で物価上昇圧力が高まっている中、日本だけそれが収まっていく可能性は低いのではないかという私の質問に対しても、二〇二三年半ばにかけてインフレ率はプラス幅が縮小していくというふうに考えていると答弁されました。

 日本においても物価上昇圧力はそう簡単に抑えられないという、私に限らず、当時の主流である予測とは真逆の予測、分析をされておられました。

 結果はどうだったかというと、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数の前年同月比なんですけれども、二〇二三年七月は四・三%、八月も四・三%、九月は四・二%、十月は四・〇%、十一月は三・八%、十二月は三・七%です。これは、三%台だった二〇二三年初めからプラス幅は縮小されていないですし、二%も全く下回っておりません。

 総裁、当時の主流の予測と真逆の予想をした上で、大々的に予想を外しているということになるかと思います。これは、予測はあくまで予測なので、それを全く外れているじゃないかというふうに批判するのもちょっと大人げない部分はあるとは思うんですけれども、御自身では、当時の予測、分析、これが全く外れてしまった、このことをどう評価されておるのでしょうか。お答えください。

    〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕

植田参考人 私ども、四半期に一度、その時点で利用可能な情報に基づいて経済、物価見通しを作成しております。その際、中心的な見通しだけでなく、その背景であるメカニズムやリスク要因についても幅広く点検しております。

 その上で申し上げますと、昨年秋にかけての一年間、あるいはその後も含めて、ちょっと振り返ってみますと、やはり、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が私どもの想定を上回って長引いたということを主因に、当初の見通しはやや下方向に外れてしまった、あるいは、その後の私どもの見通しは上方修正を繰り返したということになったというふうに思っております。その後、この部分については、ようやく、遅れはしましたけれども、下落に転じつつあるというふうに思っております。

 そうではありますが、見通し計数の修正が続いたことは事実でありますが、各時点で、そのときの情報を最大限取り込んで見通しを作成してきたというふうには認識しております。

藤巻委員 予測は予測なので、それを外してしまったことは、修正を繰り返していくことはしようがないことなのかもしれませんけれども、物価の先行き見通しという、ある意味日銀総裁として最も重要な予測、これをここまで外してしまうと心配にはなってしまいます。客観的で精度の高い分析、予測、今後よろしくお願いいたします。

 総裁は、三日の朝日新聞のインタビューで、物価上昇率二%目標達成の確度が高まっていけば追加利上げをすることを示唆しました。また、物価上昇率二%目標の持続的、安定的な達成が見通せており、その可能性がどんどん高まると見ていますともおっしゃっております。

 今年後半にかけて、物価先行きをどのように見通されているのか、具体的にお答えいただければと思います。

植田参考人 これからの物価見通しでございますけれども、大まかに三つの点が重要かというふうに思っております。

 第一に、先ほども出ましたけれども、これまでの輸入物価の上昇が国内価格に転嫁されていくという動き、これは減衰していくというふうに考えております。

 それから、二番目に、政府によるエネルギー補助金関係の経済対策、これが少しずつ終了になっていくという動きが、エネルギーを含んだ物価インフレ率の動きにはある程度の影響を与えるというふうに見ております。

 三番目に、今年の春季労使交渉の現時点での結果等も踏まえますと、そういうものを除いた消費者物価の基調的な上昇率は徐々に今後高まっていくというふうに考えてございます。

 これらをまとめまして、ちょっと古い見通しでございますが、一月時点での展望レポートでは、二四年度の、除く生鮮食品のインフレ率について、政策委員見通しの中央値は二・四%となっているところであります。現在、四月の終盤にかけて新しい展望レポートを発表いたしますので、見通しを再度確認しているところでございます。

藤巻委員 中央銀行総裁の物価見通し、先行き見通し、これは本当に国の経済にとって重要な道しるべの一つです。それが客観的で精緻なものであることを信じております。

 再び日銀の金融政策決定会合に話を戻させていただきます。

 アメリカにせよ、イギリスにせよ、各国の中央銀行は、金融政策決定会合での決定事項を決められた日時に公表しております。一方、日銀は、日にちこそ決まっているんですけれども、時間の指定はしておりません。慣例で正午前後に結果を公表しておりますが、その時間帯は、私も経験がありますけれども、市場、疑心暗鬼に包まれて、時として市場の予期せぬ動きを誘発してしまうことも少なくありません。いつもよりやや発表時間が遅いので何か重要な政策変更があるのではないか、いや、今回は政策変更はない、ただ単に発表が遅いだけだ、そんな思いが錯綜します。

 マーケットの余計な動揺を招かないためにも、各国のように、決定事項の公表時刻を決めることはできないのでしょうか。

植田参考人 私ども、委員御指摘のように、現在では、金融政策決定会合の結果の公表時間をあらかじめ決めておらず、決定後直ちに公表することとしております。

 これは、理由としましては、政策決定を行うに当たり、終了時刻に制約されずに十分な議論を尽くしたいということに加えて、東京の金融資本市場で当日中に決定事項を消化できるよう、決めた決定事項をできるだけ早くお伝えするということに配慮しているからでございます。

藤巻委員 おっしゃることは非常によく分かるんですけれども、時刻を決めることも検討のテーブルにのせていっていただければ幸いでございます。

 金融政策決定会合の内容については、当日にその公表文、日銀総裁による記者会見が終わります。その後、議事要旨の公表、月報を始め様々な調査資料、そして議事録の公表と、金融政策の透明性を高める努力をされていることと思います。

 今後は、更に可視化を進める、後世の検証のためにも、記録を保持するためにも、会合の録画を取るようなことは考えられないでしょうか。衆参では、その会議の模様を議事録だけではなく映像でも残しております。これは、後世の研究にも大いに役立つことですし、検証が必要な際には参考になります。日銀においても、決定会合の模様、これは録画したり公表したりすることはできないのでしょうか。

植田参考人 私ども、現状では、日本銀行法二十条になりますか、決定会合の議事の内容については、もちろん厳正な機密管理を前提にして、議事要旨や議事録などを一定のルールに沿って開示するという取扱いになっております。

藤巻委員 録画の方も検討のテーブルにのせていただければ幸いでございます。

 次の質問に移らせていただきます。

 日銀総裁は、度々首相官邸を訪れております。黒田前総裁、任期中に公式に何回首相官邸を訪れているでしょうか。また、植田総裁、着任以降、何回でしょうか。また、この日銀総裁の首相官邸訪問、これは誰がどのような目的で設定しているのでしょうか。

植田参考人 黒田総裁と総理との会見、個別会談でございますが、これは、全部は承知しておりませんが、二一年の後半から二二年にかけては五回行われたというふうに承知しております。それから、私については、就任後、これまで四回でございます。

 この趣旨及び会談の内容でございますけれども、趣旨としましては、日本銀行法に基づきまして、もちろん政策運営は、日本銀行の政策運営について自主性を規定するという書きぶりになっておりますが、同時に、私どもの政策が政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、政府と日本銀行が十分な意思疎通を図るということも求められております。

 そうした下で、政府との間では、私ども様々な機会を通じて意思疎通を図っております。総理とも定期的にさっきのような頻度でお会いし、経済、物価、金融情勢について意見交換をさせていただいておりますし、私どもの政策運営について御説明もさせていただいているところでございます。

藤巻委員 委員会等で国民の皆様と考えを共有するのと異なって、市場が金融政策に敏感になっている時期に総理大臣と密室で何か話すということは、市場の大きな疑念を生み出すことも否定できません。政策の透明性、また日銀の独立性の観点からも、決して望ましいことではないのかなというふうにも思いますけれども、そこについて総裁のお考えをお聞かせください。

植田参考人 繰り返しになりますが、やはり政府との密接な意思疎通というものはいろいろな形で図っていきたいと思っておりますし、もちろん、それが無用の思惑を市場に呼び起こさないように配慮するということは考えたいとは思います。

藤巻委員 そこはしっかりとちょっと意識して対応していただければ幸いでございます。

 植田総裁、本日はありがとうございました。御退室いただきまして大丈夫でございます。ありがとうございました。

津島委員長 植田総裁、御退室いただいて結構でございます。

藤巻委員 変わって、円安下における観光政策についてお伺いいたします。

 新型コロナの感染法上の分類が五類に変わり、一年近くがたちました。インバウンドを含め、観光客は戻ってきているのでしょうか。データ等がありましたらお示しください。

石塚政府参考人 お答え申し上げます。

 一昨年秋の新型コロナウイルスの状況を踏まえた水際対策の緩和以降、インバウンドは堅調に回復してきており、昨年には、訪日外国人旅行者の数は約二千五百万人、消費額は約五・三兆円となりました。

 訪日外国人旅行者数については、コロナ前の二〇一九年と比べた年間値の回復率は約八割、消費額については、コロナ前の二〇一九年比で一〇・二%の増と、過去最大になりました。

 また、二〇二三年の日本人国内延べ旅行者数は約五億人となり、コロナ前の二〇一九年比で八四・七%まで回復しているほか、国内旅行消費額は約二十一・九兆円と推計されておりまして、二〇一九年比で九九・八%と、コロナ前の水準を回復しております。

藤巻委員 現在、円安、これはかなり進んでおります。円安が日本にとって望ましいのか、どの程度の水準が適切なのか、ここで議論はいたしませんけれども、事観光業にとってはこれはプラスであるのは間違いないことかと思います。

 十数年前の一ドル八十円の時代から比べれば、今の一ドル百五十円の状態は、半分近くの値段になります。二千ドルかかった日本旅行が、今は千ドルでできます。半額で日本旅行を楽しめるわけですから、当然、需要は高まります。

 円安が観光業に及ぼす影響、どのように捉えておりますでしょうか。

石塚政府参考人 お答え申し上げます。

 円安は、インバウンドの誘致、消費額の拡大に効果があると考えております。

 先ほども申し上げましたとおり、二〇二三年の訪日外国人旅行者数については、コロナ前の二〇一九年と比べて約八割まで回復しているほか、訪日外国人旅行消費額は約五・三兆円となり、観光立国推進基本計画における早期達成を目指す目標五兆円を達成することができました。また、一人当たり旅行消費額単価も二十一万三千円と推計され、こちらも基本計画に掲げる二〇二五年目標を達成しております。

 この背景には、円安、物価上昇等の影響が考えられますけれども、これらに加え、二〇一九年は八・八泊だった平均泊数が二〇二三年には十・一泊となり、一・三泊伸びたことも合わせて要因と考えております。

藤巻委員 コロナ禍で、この数年間、観光業にとっては非常に厳しい時期になりました。しかし、コロナの感染法上の分類が変わり一年、そしてこの円安、観光業にとっては大きなチャンスが到来、転換期を迎えていると思います。

 私は、今こそ日本が観光大国になる、そのきっかけとなる時期だというふうに考えております。日本の治安のよさ、衛生面、これらは間違いなく世界トップクラスです。欧州の人から見ると時差が多少きついですけれども、食事はおいしく、四季を楽しめ、独自の文化もあります。観光大国、観光立国となるその素養は十二分にあるというふうに思います。

 そういったことを踏まえて、今後観光業を振興していくための方策、今後の方向性についてお聞かせ願えればと思います。

石塚政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、円安のメリットを生かしながら、更なる訪日外国人旅行者の誘致、消費額の拡大につなげていく必要があると考えております。

 現在、政府におきましては、観光立国推進基本計画に基づき、持続可能な観光、消費額拡大、地方誘客促進の三つのキーワードを特に留意しながら、必要な取組を進めております。

 具体的には、日本各地でその地域を訪れたくなるような地域ならではの特別なコンテンツの創出、観光消費の旺盛な高付加価値旅行者の地方への誘客に向けた高付加価値なインバウンド観光地づくり、また、日本政府観光局を通じた各国・地域のニーズを踏まえた地方部の魅力の情報発信などに取り組んでまいります。

 国土交通省といたしましては、インバウンドの地方誘客促進や消費額拡大を図り、二〇三〇年訪日外国人六千万人、消費額十五兆円の目標に向かって全力で取り組んでまいります。

藤巻委員 是非そういった取組を進めていっていただければと思う一方で、今、都心のホテルのスイートルーム、高いところでは一泊数百万円のところもあるそうです、外国人富裕層向けの部屋だそうですけれども。また、インバウンドであふれるニセコに行くと、おにぎり一個千円、てんぷらうどん一杯二千円というようなことになっているというふうにも聞きます。

 このままでは、これでは、本当にインバウンドの多いエリアに行くと、ホテルにせよレストランにせよ、高くてとてもじゃないけれども日本人は利用できない、そんなことになってしまうことも考えられます。ごみや騒音や渋滞、いわゆるオーバーツーリズムの問題もあります。こういった観光業振興による負の側面も確実に存在するわけです。

 こういった事実をどう捉え、どう対処していくのか、方策をお聞かせください。

石塚政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、国内外の観光需要の急速な回復に伴い、多くの観光地がにぎわいを取り戻す一方で、一部の地域や時間帯において、混雑やマナー違反による地域住民の生活への影響や、旅行者の満足度の低下といった懸念が生じております。

 こうした課題に対処するため、昨年十月の観光立国推進閣僚会議において、オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージを決定したところでございます。

 これを受けまして、令和五年度補正予算、オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業において、住民の方々を含めた地域の関係者による協議に基づく計画の策定や、具体的な取組の実施を総合的に支援することとしておりまして、先月二十六日には先駆モデル地域などを選定いたしました。

 観光庁といたしましては、地域の実情に応じた具体策の実施を促進することにより、観光客の受入れと住民の生活の質の確保の両立が図られるよう、地域における意欲的な取組をしっかりと支援してまいります。

藤巻委員 是非、オーバーツーリズム対策、しっかりとやっていただければと考えております。

 関連して、いわゆる民泊についてお尋ねいたします。

 二〇一八年に住宅宿泊事業法が施行されて約六年がたちました。この法律に基づき、今、民泊の利用状況などはどうなっていますでしょうか。観光の振興につながることができているのでしょうか、お答えください。

石塚政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業の届出件数は、新型コロナウイルスの感染拡大により減少しておりましたが、令和四年六月以降増加傾向となり、昨年十一月時点で新型コロナウイルスの感染拡大前を上回り、直近の本年一月時点では二万二千百六十九件となっております。

 また、届出住宅における延べ宿泊者数についても、同様に新型コロナウイルスの感染拡大により減少しておりましたが、直近の令和五年四月から令和六年一月までの数字を見ると約三百六十六万人泊となっており、新型コロナウイルスの感染拡大前の令和元年度同期間比で約八〇%まで回復するなど、旅行者の多様なニーズに対応した宿泊サービスの提供を通じた観光客の受入れ環境整備につながってきているものと考えております。

藤巻委員 ありがとうございます。

 当初懸念されていた近隣住民とのトラブルだったり設備が壊されてしまったり火事の心配など、そういったトラブルの懸念、当初いろいろありましたけれども、そういったトラブルの報告などはありますでしょうか。また、そういったことに今後どう対応していく方針でしょうか。お考えをお聞かせください。

石塚政府参考人 お答え申し上げます。

 騒音、ごみ出し等の周辺地域の住民とのトラブルの懸念があることは承知しており、そうしたトラブルの防止のため、住宅宿泊事業法においては、住宅宿泊事業者に対して、宿泊者に対し、騒音の防止、ごみの処理など、周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項について説明する義務を課すとともに、届出住宅の周辺地域の住民からの苦情、問合せに対して、適切かつ迅速に対応する義務を課しております。また、住宅宿泊事業者に対して、住宅宿泊事業の実施に際して、周辺地域の住民に対して説明を求めている自治体もあると承知しております。

 引き続き、関係省庁、自治体とも連携し、トラブル防止のための措置の適正な運用を通じて、我が国の観光振興に向け、民泊サービスを含めた宿泊環境の整備に取り組んでまいります。

藤巻委員 ありがとうございます。

 いろいろトラブル、当然新しい事業ですので起きるとは思うんですけれども、そこにはしっかりと対処していただければと考えております。

 観光振興という観点から、今後、民泊の在り方、どのように考えておられますでしょうか。全体的な方向性を教えていただければと思います。

石塚政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇三〇年の訪日外国人旅行者数六千万人という目標の実現に向けて、六千万人を受け入れるための環境整備は重要な課題であると認識しております。

 特に宿泊施設につきましては、訪日外国人旅行者の多様なニーズに対応した宿泊サービスが提供されることが重要であると考えておりまして、住宅宿泊事業法の適正な運用などを通じて、ホテル、旅館や民泊など様々な宿泊サービスが提供される環境を整えてまいります。

 引き続き、二〇三〇年の訪日外国人旅行者数六千万人という目標の実現に向けて、民泊サービスも含め、宿泊施設の質、量の両面から、受入れ環境整備に万全を期してまいります。

藤巻委員 ありがとうございます。

 先ほどから申し上げていますように、コロナ禍も、感染法上の分類が変わり、そして、今回の円安でございます。まさに今、日本がこれから観光立国、観光大国になっていく大きなチャンス、大きな転換期を迎えておりますので、今後、民泊を含めて、総合的な観点から観光振興、これをしっかりとやっていただければと考えております。どうかよろしくお願いいたします。

 ちょっと早いんですけれども、これで私の質問、終わらせていただきます。

 本日は、どうもありがとうございました。

津島委員長 これにて藤巻君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 税制の中立の原則について質問します。

 財務省の「もっと知りたい税のこと」というパンフレットには、税の三原則として、簡素、中立、公平が挙げられています。この中の中立の原則の意義について、説明をしていただけますか。

青木政府参考人 お答えします。

 租税における中立の原則につきましては、昨年六月にまとめられました政府税制調査会の答申におきましても、「租税制度が職業選択、資産移転、企業立地などの納税者の選択を歪めないようにすること」とされているというふうに承知しております。

 近年の働き方の多様化などに伴いまして、就業形態などに対する中立性を確保していくことが一層重要となってきているものと考えております。

田村(貴)委員 重要であると。

 資料一を御覧いただきたいんですけれども、一九九七年の政府税制調査会答申では、中立の原則について、個人や企業が自由な想像力を十分発揮でき、自己の裁量と選択により経済活動、投資活動を行えるような環境を整備することが重要です、その上で、税制についても、国民の経済活動にゆがみをもたらすことを排除しなければならないと説明されています。

 鈴木大臣、この答申の指摘は踏襲されていますでしょうか。大臣も同じ認識でしょうか。

鈴木国務大臣 一九九七年の政府税制調査会における答申に書かれておりますこの中立ということにつきましては、この原則につきましては令和五年の政府税制調査会における答申においても明記されているわけでありまして、現在も変わらず重要であると考えております。

田村(貴)委員 自己の裁量と選択により経済活動、投資活動を行えるような環境というのは、事業者自らが仕事内容とかそして取引先を自由に選ぶことができる、そういう環境のことを言っていると思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 そういう面も含まれると思います。

田村(貴)委員 この政府税調の答申は、税制は事業者の自己の裁量と選択で行う経済活動を阻害してはいけないし、ゆがませてはいけない、むしろ国民の経済活動にゆがみをもたらすことを排除しなければならないと言っているわけであります。しかし、現在の税制はこの原則を徹底しているとは言えないと私は考えます。

 具体的に、インボイスの問題について伺います。

 大臣、一昨日のNHKニュース、御覧になったでしょうか。去年一年間に税理士事務所の休業や廃業が相次いでいることが全国報道されました。

 資料二を御覧ください。調査をした帝国データバンクの「全国企業「休廃業・解散」動向調査(二〇二三)」です。衝撃的な内容となっています。前年比で最も休廃業が増加した業種は何か、税理士事務所です。前年の三十件が八十一件へと、二・七倍も増えています。調査では、競争激化による顧問企業の減少、顧問料の低下など経営環境の悪化とともに、インボイス制度導入もその要因の一つと分析されています。

 なぜ税理士事務所がインボイスで休廃業するのか。大臣は、この事実を御存じでしたか。そして、どうしてこういう状況になっているのか、御認識を聞かせてください。

鈴木国務大臣 NHKの報道についてお話がございましたが、この報道は、民間調査会社の帝国データバンクが本年一月に公表したレポートに基づいたものと承知をいたしております。

 このレポートでは、税理士の廃業等の件数は二〇二二年の三十件から二〇二三年に八十一件に大幅に増加したとされておりますが、これはあくまで、帝国データバンクが行った、母数が極めて限られた一部の事業者に関する調査結果であると認識をいたしております。

 一方で、日本税理士連合会による全国税理士に関する廃業等の件数、これは全国の会員全てに対する調査であるわけでありますが、二〇二二年度下半期には六百六十六件であったのに対し、二〇二三年度の下半期では六百七十四、六百六十六件が六百七十四とおおむね同水準で推移をしておりまして、報道のように、昨年十月のインボイス制度の開始後、税理士の廃業等が大きく増加しているとは認識をいたしておりません。

 ただ、インボイス制度の導入に伴いまして税理士の方々の業務量が増加しているということは承知をいたしております。税理士の方々にインボイス制度の円滑な導入に多大な御協力をいただいていることにつきましては、この場をおかりをして感謝を申し上げたいと思います。

 インボイス制度の導入及び施行に当たっては、財務省、国税庁においては、これまでも税理士会の方々と緊密な連携をしてきたところでありますが、今後とも、税理士の皆さんの意見をよく伺いながら、インボイス制度の適正な施行に努めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 大臣、どのくくりであっても、一つの調査結果で廃業が増えているんだったら、なぜこういうふうになっているのか、まずやはり問題意識を持つべきじゃないですか。そして、状況の把握に努めるべきじゃないですか。

 そして、今から述べますけれども、税理士さんたちは全国各地で、このインボイスでどれだけの事務量になっているのか、そして、本当に大変な状況になっている。このことをやはり正面から受け止めなければいけないんじゃないですか。

 NHKのインタビューを受けた税理士さんは、インボイス制度による仕事量の増加は並大抵ではないが、それを価格に転嫁できないと述べていました。全国青年税理士連盟の税理士さんたちからもお話を私聞きましたけれども、インボイス導入で、実感として事務負担は二倍になった、顧問先も税負担が増えている中で、顧問料の値上げなどとてもできないなど、深刻な事態になっていることを伺いました。

 インボイス導入をきっかけとした廃業が税理士業界で広がっています。実務が膨大になって困っています。まずは実態を把握すべきではないですか。国税庁、財務大臣、いかがですか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 税理士の廃業等の件数につきましては、日本税理士会連合会から報告を受けてございますが、先ほど大臣から半年分の数字の説明がございましたが、一年分で見てみましても、二〇二二年度は千四百七十八件、二〇二三年度は千五百四十件と、おおむね同程度でございまして、足下で税理士の廃業等が大きく増加しているとは考えてございません。

 廃業等の要因につきましては、個々の税理士の事情により様々であると考えられ、一概には申し上げられませんが、例えば、税理士の高齢化、競争に伴う顧問企業の減少などが考えられるところでございます。

田村(貴)委員 次長、私の質問は、事務量が、作業量が増大している、そして事務負担が二倍になっている、それであっても顧問先に顧問料の値上げなどできない、経営的にも、それから労働の面でも大変な状況に遭っていると。それはもう共通していますよ。そういうことについて、実態を把握するとかヒアリングを行うとか、そういうことすらさえもしないということなんですか。そこの答弁が抜けていますので、ちゃんと答えてください。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 国税庁といたしましては、税理士の方々の置かれた状況等につきまして、従来からヒアリング等を通じて把握をしてきておりますが、今後とも適切に把握に努めていきたいと考えております。

田村(貴)委員 把握していると。今の状況について、どう把握しているんですか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、インボイス制度導入によりまして様々な形で税理士の皆様の負担が生じているということは認識をしておりますが、様々な意見に耳を傾けながら適切に対応していきたいと考えております。

田村(貴)委員 負担が増大しているんだったら、ちゃんとそこに関心を持って、そして、業務がこれまたできない状況になっているわけですよ。通常の業務ができないほどに事務負担が増えているわけですよ。ちゃんと把握に努めるべきです。

 税理士さんによれば、免税業者から課税業者になった顧問先では、今回は三か月分の納税だったので払えたんだけれども、来年度の確定申告で四倍の納税額となればとても払えない、このような事業者がたくさんいるとのことであります。取引先に対して、課税事業者になったからと取引価格を一〇%引き上げてほしいととても言える状況にない、こんな声も多いということであります。

 大臣、一番最初の議論なんですけれども、税の中立、税制が個人や企業の経済活動における選択をゆがめない、この原則に照らせば、インボイス制度というのは原則に反する事態を引き起こしているのではないですか。インボイスはやめるべきじゃないですか。

鈴木国務大臣 インボイス制度でありますが、これは、複数税率の下で適正な課税を実現することを目的としたものでありまして、税理士業務に新たな規制を課すものでもありません。

 また、先ほど答弁させていただきましたが、インボイス制度の開始後、税理士の廃業等が大きく増加しているとは認識をしておりません。

 インボイス制度が、自己の裁量と選択により経済活動や投資活動を行える環境を阻害しているとまでは言えないと考えております。

田村(貴)委員 税理士さんの訴えにもっと耳を傾けるべきであります。

 先ほどの資料に戻っていただきたいんですけれども、二〇二三年の休廃業・解散率で最も高いのが、パチンコホールの六・〇一%です。前年から急上昇した二〇二二年の四・六九%を更に上回っています。二〇二二年、二〇二三年と年を追ってパチンコホールの倒産が増えています。理由はいろいろあろうかと思います。

 二月の質疑で私、指摘しましたけれども、パチンコの景品買取り業者は、インボイスでの仕入れ税額控除ができなければ破綻せざるを得ません。インボイスに対応できていないパチンコ業界が廃業、倒産しているとも考えられます。

 古物商特例について伺います。

 古物商特例の適用対象とした場合、古物営業法の規定に基づく取引と同様に、取引総額が一万円以上の買取りでは、相手方の住所、氏名の確認や帳簿への記載等を行うことが必要となります。また、取引総額とは、一景品一取引ではなく、対価の総額が一万円以上ということを二月の質疑で確認しました。

 例えば、古物に準じるものに金地金があります。古物業者が一枚九千円の金地金を二枚以上古物として買い取る場合、古物商特例の対象とするのであれば、相手方の住所や名前の確認、そして帳簿への記載などの義務が当然求められてきます。この点について確認します。いかがですか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 古物商がインボイス発行事業者以外の者から金地金を古物営業と同等の取引方法により買い取る場合、いわゆる古物商特例によりまして、一定の事項を記載した帳簿のみを保存することで、仕入れ税額控除の適用を受けることができるとされております。

 取引総額が一万円以上か否かの判断につきましては、一つの取引の総額で行われるものでございますが、いずれにいたしましても、国税当局といたしましては、個々の取引の実態に即して適切に判断することといたしております。

田村(貴)委員 二月の質疑で、パチンコの景品取引所が特殊景品を買い取る場合に、特殊景品は古物に準じるものとして古物商特例の適用対象となり得る、星屋国税庁次長はそう答弁されました。

 パチンコの景品取引所が特殊景品を買い取る場合も、一景品一取引ではなく、対価の総額が一万円以上という条件になる、そういう理解でよろしいですか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 古物営業の許可を持つ景品交換所が買い受ける特殊景品につきましても、取引総額が一万円未満であるとの実態にある場合には、本人確認及び帳簿等への住所等の記載は必要なく、帳簿のみの保存により仕入れ税額控除が認められるということでございます。

田村(貴)委員 一景品一取引でなく、対価の総額が一万円以上ということが条件となる、こういうことの理解でいいですか。

星屋政府参考人 委員御指摘のとおり、取引総額が一万円以上か否かということで判断するということでございます。

田村(貴)委員 前回の質疑でも私、指摘しましたけれども、特殊景品を買い取るときに、本人確認をするために、お客さんに名前や住所を記録することを求めたら、これはトラブルになってしまうのではないかという懸念がありますけれども、これは現実のものとなるんじゃないでしょうか。

 それから、税務調査を行うときに、パチンコの景品買取り所が古物商特例を使っている場合、今言いましたように、景品買取りのときに、一万円以上の買取りで本人確認を行っているかどうか、氏名、住所等の記載など法令にのって実施しているかどうか、これは当然調査項目の中に入ってくると思いますけれども、いかがでしょうか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税法上、古物商特例の適用対象になるか否かにつきましては、景品交換所における個々の取引の実態に即して判断することとなりますが、必要に応じまして、法令の要件に従っているかどうかを確認するということでございます。

田村(貴)委員 もう一つ伺います。

 パチンコ業者が、古物特例を使うために、古物取引があるかのように装う可能性があります。警察庁は、実態取引のない場合は古物営業法の登録を取り下げると前回答弁しました。国税庁も、古物の実態取引がなく、特殊景品の買取りしかしていない景品買取り所は古物商特例の適用を取り消すということになるんでしょうか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 国税当局といたしましては、個々の取引の実態に即して、法令の要件に従っているかどうかを確認し、適切に判断するということでございます。

田村(貴)委員 適切に判断するということでした。

 今日も大臣に指摘しましたけれども、インボイスに伴う問題が、私がこの発言席に立つたびに出てくるわけですよ。税理士さんたちも、昨日もお会いしたんですけれども、本当、業務量が倍になった、大変だ、本来の仕事をさせてほしいと言っている方もたくさんおられます。全てインボイスがもたらしている状況です。

 国民、事業者の耐え難い負担、借金までして、二割特例もあるんだけれども、消費税を納めなければいけないという状況もこの間指摘してまいりました。やはりインボイスは中止し、廃止すべきであります。

 確定申告を経て、相当な問題があることを今実感しています。引き続きこの問題を取り上げていきたいと思います。

 時間が来ましたので、今日は終わります。

津島委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

津島委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣鈴木俊一君。

    ―――――――――――――

 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木国務大臣 ただいま議題となりました国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 政府は、国家公務員等の旅費制度について、国内外の経済社会情勢の変化に対応するとともに、職員の事務負担軽減を図るための所要の改正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、旅費について、旅行に要する実費を弁償するためのものとして、その種類及び内容に係る規定を簡素化することとしております。

 第二に、自宅から出発する出張に係る旅費の支給を可能とするとともに、旅行者に対する旅費の支給に代えて、旅行代理店に対する直接の代金の支払いを可能とするなど、旅費の支給対象の見直しを行うこととしております。

 第三に、国費の適正な支出を図るため、違法に旅費の支給を受けた旅行者等からの旅費の返納に関する規定を整備するとともに、財務大臣による各庁の長に対する監督規定を設けることとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

津島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る九日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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