衆議院

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第15号 令和6年4月9日(火曜日)

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令和六年四月九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 津島  淳君

   理事 井上 貴博君 理事 金子 俊平君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 塚田 一郎君

   理事 稲富 修二君 理事 櫻井  周君

   理事 伊東 信久君 理事 稲津  久君

      英利アルフィヤ君    小田原 潔君

      大塚  拓君    大野敬太郎君

      木原 誠二君    岸 信千世君

      小森 卓郎君    鈴木 英敬君

      鈴木 隼人君    瀬戸 隆一君

      中村 裕之君    中山 展宏君

      藤井比早之君    藤丸  敏君

      藤原  崇君    古川 禎久君

      宮下 一郎君    宗清 皇一君

      簗  和生君    山下 貴司君

      山田 美樹君    山本 左近君

      若林 健太君    江田 憲司君

      神津たけし君    階   猛君

      末松 義規君    野田 佳彦君

      馬場 雄基君    原口 一博君

      沢田  良君    藤巻 健太君

      掘井 健智君    竹内  譲君

      中川 宏昌君    田村 貴昭君

      吉田 豊史君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   財務大臣政務官      瀬戸 隆一君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局次長)      七條 浩二君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 由布和嘉子君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 江口 有隣君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   藤田清太郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           海老原 諭君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   宇波 弘貴君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   吉野維一郎君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    青木 孝徳君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星屋 和彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           菊川 人吾君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     山本 左近君

  越智 隆雄君     中村 裕之君

  宮下 一郎君     簗  和生君

  馬場 雄基君     神津たけし君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 裕之君     山下 貴司君

  簗  和生君     宮下 一郎君

  山本 左近君     鈴木 英敬君

  神津たけし君     馬場 雄基君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 英敬君     石原 正敬君

  山下 貴司君     小森 卓郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     藤井比早之君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     越智 隆雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)


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     ――――◇―――――

津島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房行政改革推進本部事務局次長七條浩二君、内閣府大臣官房審議官由布和嘉子君、警察庁長官官房審議官江口有隣君、デジタル庁審議官藤田清太郎君、総務省大臣官房総括審議官海老原諭君、自治行政局公務員部長小池信之君、財務省大臣官房長宇波弘貴君、主計局次長吉野維一郎君、主税局長青木孝徳君、国税庁次長星屋和彦君、経済産業省大臣官房審議官菊川人吾君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

津島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。井上貴博君。

井上(貴)委員 自由民主党の井上貴博です。

 質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 昨日、岸田総理が日米首脳会談のために旅立たれました。鈴木財務大臣も、十五日からIMFの総会、G20財務大臣・中央銀行総裁会議に出席するため、桜咲くワシントンに向かわれます。この時期のワシントンは、日本の大臣、日銀総裁、スタッフも桜のバッジを着け会議に臨み、各国共に最も日本に思いを寄せる中での会議になります。

 混沌とする世界情勢、そして円安も相まって、海外との折衝を緊密に行わなければいけない状況が増えてまいりました。政務三役であったり各省の官僚の方々が、海外の会議にしっかりと出席し、充実した会議、折衝できる環境をつくることが不可欠だというふうに思っています。今も事務方のスタッフは、ワシントンで事務折衝を行っていただいているというふうに思います。

 そこで、質問をさせていただきます。

 私がちょうど財務副大臣であった当時、各省から御要望いただいたことも踏まえまして、この度、七十年ぶりに旅費法を抜本的に改正することとなったと認識しております。私も昨年五月のデジタル臨調において改正の方向性を説明させていただきましたけれども、改めて、改正に至った経緯、改正の目的を説明していただきたいと思います。財務大臣、よろしくお願い申し上げます。

鈴木国務大臣 旅費法でありますが、国家公務員等の旅費制度について規定している法律でありますが、法律の制定から七十年余りが経過しており、必ずしも現下の経済社会情勢に合わないものとなっているところであります。

 こうした中、昨年五月のデジタル臨時行政調査会におきまして、当時の井上財務副大臣から、旅費制度の見直しについて、幅広い観点から抜本的な見直しを行う必要がある旨を御説明いただき、総理から、関係大臣が協力して取組を加速していくよう指示があったところであります。

 さらに、昨年の秋の財政制度等審議会では、改正の具体的な方向性について御議論いただき、旅費制度について、速やかに法定額と実勢額の乖離を解消するなど、国内外の経済社会情勢の変化に対応できるものとすること、令和六年の通常国会に旅費法改正法案を提出すべきことが建議の中で示されたところでございます。

 こうした経緯を踏まえまして、今回、国会に法案を提出させていただいているところでございますが、提出させていただいております改正法案においては、旅費制度について、デジタル化の進展、旅行商品や販売方法の多様化、交通機関、料金体系の多様化、外国の宿泊料金の変動など、国内外の経済社会情勢の変化に対応するとともに、国家公務員の働き方改革に資する事務負担軽減や業務環境の改善を図ることを目的としているところであります。

井上(貴)委員 ありがとうございます。

 財務大臣補佐官、財務大臣政務官、副大臣と務めさせていただきましたが、その当時、財務省のスタッフとともに度々海外出張に行かせていただきました。海外の特に先進国では物価も高く、現在、円安の状況もありまして、スタッフは事務的にいろいろなやりくりをしながら苦労しているのを目の当たりにさせていただいたこともございました。

 そこで、今回の改正に当たりまして、現状、どのような課題があるのか、それを踏まえてどのような見直しを検討しているのかを御説明いただきたいと思います。

吉野政府参考人 御答弁申し上げます。

 現行の旅費法におきましては、実費弁償の考え方を基本としつつも、手続の簡素化等の観点から、法律上、宿泊料が定額で規定されており、昭和二十五年に制定されて以来、必要に応じ金額や職階区分等の見直しを行ってまいりましたが、抜本的な改正はなされておりませんでした。

 そうした中でも、宿泊料の実勢価格が法定額を超過し、所定の旅費では旅行することが困難である場合には、現行の旅費法第四十六条第二項の規定に基づきまして、財務大臣と協議して旅費の増額調整を行ってまいりました。

 さらに、最近のインバウンドの増加や為替、物価の変動により法定額を超過する事例が増加してきたことを踏まえまして、増額調整に係る包括協議の締結や個別協議の事務手続の簡素化を行いまして、事務負担の軽減を図りながら、法定額を上回る実費額を支給してまいりました。

 他方、その都度運用面で対応してきたことにより、例外的な取扱いが増加したり、執行の際のルールが複雑化したりするといった問題を生じておりました。今回、こうした問題を解決し、持続的な制度とするために見直しが必要と判断いたしました。

 このため、具体的には政省令で規定することにしておりますが、宿泊料につきまして、現行は定額支給としているところ、今後は上限付実費支給とすること、現行、内国旅費は六つ、外国旅費は七つの職階区分に分けて定額を設定しているところでございますが、今後は、上限となる基準額を設定するに当たり、職階区分を大臣等、指定職、一般職員の三区分に大くくり化すること、上限となる基準額を超える場合のうち一定の場合について、各府省の旅行命令権者の責任の下で、個別の財務大臣協議の手続を経ずに対応することができるようにすることといった見直しを想定しております。

井上(貴)委員 ありがとうございます。

 今もお話がありましたとおり、今回の改正では上限付実費ということになっておりますけれども、上限額を低く設定してしまうと、結局、現状と同じような問題が生じてしまうのではないかという懸念がございます。宿泊料を安く抑えなければならないという理由のみで、会議会場から遠く離れたところに泊まっているという現状もあります。これは非常に非効率であります。

 そこで、宿泊場所から会場までの距離や時間コスト、そしてエリアの安全性なども含めて、適切なところに泊まれるようにすべきだというふうに思いますが、見解をお願い申し上げます。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的には政省令で規定することとしておりますけれども、御指摘の点につきましては、宿泊料の上限となる基準額につきまして、実勢価格の調査をまず行いまして、その結果を踏まえて適切な水準に設定することを想定しております。

 その上で、各府省の旅行命令権者の責任におきまして、上限となる基準額の範囲内で、用務先までの所要時間や設備、安全性等といった公務上の必要性も勘案しつつ、適切なホテル等を選定することになります。

 なお、旅費業務の効率化に向けて、全省庁で一体的に取り組むために設けられました旅費業務効率化推進会議で令和五年九月に取りまとめられました旅費業務プロセスの改善方針において、外国旅行の場合には、在外公館が作成するホテルのリストに基づき、旅行者が職階の区分に応じたホテルを簡易に選択できるような方法を導入するとされております。

 これを踏まえまして、当該リストに記載されましたホテルにつきましては、価格の季節変動等により上限となる基準を超えました場合でも、個別の増額協議の手続を経ずに旅費を支給することを可能とする運用を検討しておりまして、詳細につきましては、今後関係府省と調整してまいりたいと考えております。

井上(貴)委員 今回の改正を成立させていただいても、今回の改正の趣旨が各省庁の会計担当者や財務省などいわゆる現場担当者に周知されなければ、結局のところは絵に描いた餅になるのではないかと心配しております。

 そこで、今後、改正の趣旨が現場に周知徹底される必要があると思いますが、御見解を聞かせていただきたいと思います。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の旅費法におきましては、実費弁償の考え方を基本としつつも、手続の簡素化等の観点から、法律上、宿泊料が定額で規定されております。こうした中でも、宿泊料の実勢価格が法定額を超過し、所定の旅費では旅行することが困難である場合には、現行の旅費法第四十六条二項の規定により、財務大臣と協議して増額調整を行ってきたところでございます。

 他方、何らかの理由により、こうした増額の調整の手続が行われなかった者につきましては、やむを得ず自己負担が生じていた場合もあったかと思われます。

 今回の見直しにより、宿泊料につきましては、上限付実費支給とするとともに、上限となる基準額を超える場合の対応について政省令等で規定することを予定しておりまして、今後は、職員に自己負担が生じることのないよう、しっかりと制度の周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

 具体的には、法改正の内容を実際の旅費業務に適切に反映させるため、各府省等と連携しまして、旅費業務に関する標準マニュアルの改正や、旅費の会計処理に携わる職員への研修、出張者への周知などを行いまして、改正の趣旨が現場に徹底されるよう努めてまいりたいと考えております。

井上(貴)委員 本来ならば会議の準備のために時間を有効に使うべきところ、出張申請や精算業務などの現場業務に相当な時間と手間がかかっているということも事実ございます。職員が業務に専念できるよう、事務負担を軽減する必要があるというふうに思いますが、御見解をお聞かせください。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、今回の旅費法改正におきましては、公務の円滑な遂行を図るとともに、国家公務員の働き方改革に資する事務負担の軽減や業務環境の改善を図ることを目的としております。

 このため、具体的には、旅費制度本来の趣旨である実費弁償の考え方に基づきまして、これまで定額支給であった宿泊料等につきましても原則実費支給とし、法定額を上回る場合に実費額を支給するために取っていた増額調整に係る事務負担を軽減しますとともに、旅費の計算等に係る規定の簡素化として旅費システムによる処理を促進し、事務処理の簡素化を図る観点から、旅行命令簿などにつきまして、書面での提出を想定していた様式を廃止します。

 あわせまして、旅費の支給対象の見直しとして、テレワークも普及する中、出張や勤務の実態を踏まえた業務環境の改善を図る観点から、自宅発の出張に係る旅費の支給を可能とする、また、旅行代理店等を通じた手配に係る手続の改善を図る観点から、旅行代理店が旅費に相当する金額を直接請求、受給することを可能とする等の見直しを行うこととしております。

 あわせまして、関係省庁と連携してルールの合理化、明確化、旅費手続に係るシステムの改善を進めていくなど、旅費業務プロセスの全体を見直すことを通じて事務負担の軽減を図ることとしております。

 こうした施策を通じまして、今後とも、出張に係る職員の事務負担の軽減に取り組んでまいりたいと考えております。

井上(貴)委員 最後に、要望を一点、お話ししたいと思います。

 混沌とする世界情勢の中で、我が国としても国際的な政治判断が必要な場面が増えてまいりました。野田元総理も、以前、この委員会におきまして、海外で行われる重要な国際会議には大臣ができるだけ出席するべきだとおっしゃっておられました。私も同意見です。政治的責任を持って判断することが不可欠になっている昨今、大臣若しくは副大臣、政務官が出席することが適切な場合も多くなってまいりました。

 旅費はかかるかもしれませんけれども、現場に入り、責任ある政治判断をすることは非常に重要で、私も、財務大臣政務官のときにG20財務大臣・中央銀行総裁会議を担当させていただきましたけれども、当時、麻生大臣の折衝する姿を目の当たりにさせていただいて、ここまで詰めるかというような状況を目の当たりにしました。そのことによって、コミュニケとして発表することができ、G20のサミットにつながったというふうに思っております。

 だからこそ、全ての省庁、全ての担当者が国際会議にしっかりと参加できる環境をつくることが重要だというふうに思います。そういう意味で、今回の改正は非常に大切な改正でありますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思いまして、このことを要望いたしまして、質問とさせていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

津島委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。

 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 おはようございます。馬場雄基でございます。

 本日は、他の委員会との関係もありまして、質疑時間を調整を賜りました。関係される全ての皆様方に感謝の気持ちをお伝えし、会派を代表して質問をさせていただければと思います。

 本日、財務省の皆様方のほかに、内閣官房、そしてデジタル庁、総務省の皆様にもお越しをいただきました。誠にありがとうございます。

 今回の改正法案は、物価高を考慮して旅費規定を変更していくということでございますので、必要性は理解をしているつもりであります。しかし、なぜ今であるのかというところが違和感を覚えるということを指摘せざるを得ないかなと思います。

 今回、定額の支給から実際にかかった費用を弁償するという方式に変えていくというふうに思いますけれども、これは至極当然の流れだというふうに思います。民間あるいは他の地方自治体の方々も、もう何年も前から導入されている県も多く存在しております。また、資料も用意させていただきましたが、日本はそれほど、過去数年、物価は上がっていませんが、他の国々は、物価は常に上昇し続けているところもあり、当然、為替レートの関係もありますけれども、この必要性というのは何も今に始まったことではないのではないかというふうに思います。

 そこで、まず財務省さんにお伺いをさせていただきたいのは、なぜこれまで変えてこられなかったのかというところ、この法案の改正がそれほどまでに難しいものであったのか、あるいは別に何かしらの問題があったのか、必要性が分かるからこそ整理をさせていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の旅費法におきましては、実費弁償の考え方を基本といたしましても、手続の簡素化等の観点から、法律上、宿泊料が定額で規定されておりまして、これまで、必要に応じて金額や職階区分等の見直しを行ってはまいりました。

 こうした中で、宿泊料の実勢価格が法定額を超過し、所定の旅費で旅行することが困難である場合には、現行の旅費法第四十六条二項の規定に基づきまして、財務大臣と協議して旅費の増額調整を行ってまいりました。

 さらに、最近のインバウンドの増加や為替、物価の変動による法定額を超過する事例が極めて大きく増加してきましたことを踏まえまして、増額調整に係る包括協議の締結や個別協議の事務手続の簡素化を行い、事務負担の軽減を図りながら、法定額を上回る実費額を支給するようにしてまいりました。

 他方、その都度運用面で対応してきたことにより、例外的な取扱いが増加したり、執行する際のルールが複雑化したりするという問題が大きくなってまいりました。さらに、現行制度では国内外の経済社会情勢の変化に対応できていない面があり、かつ、旅費業務に係る事務負担の軽減や業務環境の改善を図る必要性もあることから、今回の旅費法改正におきましては、単に宿泊料の見直しを行うだけではなく、旅費の内容や計算方法も含め、旅費制度全体を抜本的に見直すこととしたところでございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 この部分に関して、恐らく、与党と野党の間で大きな、例えば考え方の隔たりがあったという問題ではないんじゃないかなというふうに思うわけでございますが、困難に困難を重ねた結果、今に至るという今御回答だったというふうに思うわけですけれども、それが常態化することは余りよくないというふうに思いますので、そうなる前にしかるべき相談をしていくというのが本来はあるべき姿だったのではないかなというふうに思いますし、これは大きな変更点にもなっていきますから、そういうことがほかで発生していないかということも常々省庁の中で吟味をしていただきたいということを申し添えたいというふうに思います。

 続いて、今回の実費弁償の方式で、資料を読み込みますと、オンラインということが、一つ言葉が出てくると思います。オンライン会議の活用を含めた業務の効率化を進めることを大前提というふうに書かれているわけでございますが、思い切ったなというふうに思いますし、いいぞというふうにも、正直、心の中で思っている自分がいるわけですけれども、ただ、ここに明記をするということは、それなりのやはり実践を伴わなくてはいけないんじゃないかということをはっきりと申し上げなければいけないと思いますし、前提をオンライン、例外をリアルというたてつけになっていくというふうに思います。

 リアル会議を催すということは、つまりはオンラインではできない、オンラインでは厳しいからこそリアルにしていくという明確な理由が必要になるのではないかというふうに思います。この理由が当然リアル会議をするときには必要になると思いますし、かつ、その理由が各省庁間のバランスで違っていたりすると、それはそれで問題ではないかというふうに思うわけでございます。

 だからこそ、この新しい概念について、ここは是非財務大臣から、今のその整理を、そして、これから含まれてくるその執行状況について説明をお願いしたいというふうに思います。

鈴木国務大臣 旅費法第四条第二項におきまして、旅行命令権者が旅行命令を発することができる要件として、「電信、電話、郵便等の通信による連絡手段によつては公務の円滑な遂行を図ることができない場合」と規定されております。

 そして、この規定にある通信には、オンライン会議を始め、情報通信技術を用いる様々な通信方法が含まれていることから、まずは、オンライン会議等により公務の円滑な遂行を図ることができるかどうか、それを確認し、それが困難とされる場合に出張を検討することとなります。

 その上で、個別の出張の必要性については、各府省における公務の目的、内容や、案件ごとの事情を踏まえ、各府省の旅行命令権者の責任において判断することが適当であると考えておりまして、一律に基準を設けるということまでは考えていないところであります。

馬場(雄)委員 鈴木大臣、ありがとうございます。

 答弁は理解はできるんですが、ここに付記する、書くということは、それが言うだけで終わってはいけないということになると思います。だからこそ、その実態というものがこれから確実に問われるということを、それは省庁間の中で緊張感を持っていただきたいということは、ここではっきりと申し添えたいというふうに思いますし、私も翻って反省しなければいけないなというふうに思いますが、例えば各省庁にお願いさせていただくレク等々も含めてですけれども、オンラインでできることはオンラインでしていくということも、また私たちも、隗より始めよですが、必要になっているのかもしれないなということを思いながら、私自身も気をつけていきたいというふうに思います。

 リアルとオンライン、それぞれメリット、デメリットがありますので、そのときに合わせた手法というところではっきりとしていけばいいのではないかなと思います。

 続きまして、今回の法改正で注目していきたい点は、旅費種目のところに関して、法律事項から政令、政省令の事項に変えていくということだと思いますが、これは、変更が容易になっていくというところは一見便利になると思います。ただ、チェック体制というものが本当に整っていくものかというところは、極めて吟味していかなくてはならない点だと思います。

 まず確認をさせていただきたいんですけれども、変更するときに、報告というもの、これは国会の承認が今後なくなっていくということになるのかなというふうに思うわけですが、その点について、まず事実関係を、財務省さん、お伺いさせてください。

鈴木国務大臣 通常のことで申し上げますと、政令の制定、それから改正、これは内閣の責任の下で行っておりまして、この旅費法に限らず、こうした政令の制定、改正は、国会に特段の報告は行っていないところであります。

馬場(雄)委員 国会の報告が不要になっていくというところが、いわゆる税を取り扱っていく中でしっかりと吟味していかなくてはいけないわけですし、逆に、国会の承認があるということが、ある意味で大義名分が立つ部分もあると思うんです。

 それを逆に、自らそれを放棄して、自分たちで決めたことが正しいというふうに言い切っていく世界に変えていくということは、私はかなり思い切った判断だなというふうに思いますし、それなりの自信があるんだろうなというふうにも思うわけでございます。だから、ここを、より緊張感を持って対応していただきたいということを私の立場からは申し上げなければいけないというふうに思うわけでございます。これが、つまり、この委員会の質疑というのが、ある意味、国会での報告の最後の場になりかねないというところでもありますので、以下の点、より明確にさせていただければというふうに思います。

 まずは旅費です。

 現状は、法令の別表というものに四つの種類があると思います。指定都市というもの、そして、甲、乙、丙というものです。これが、四つの分類があって、それぞれの上限規定がなされております。現状の四種類では、指定都市のほかに、例えば北米、ヨーロッパなどで一つ、アジア、中南米、アフリカ、南極で一つ、それ以外で一つということになるわけですけれども、この四種類だったものが、今後どのパターン、どのぐらいの規模になっていくのか、それをどのように検討しているのか、お答えください。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 宿泊料の上限となる基準額につきましては、御指摘のとおり、具体的に政省令で規定することになりますけれども、実勢価格を踏まえ、適切な金額を設定することとしており、地域区分についても必要に応じ見直しを行ってまいりたいと考えております。

 外国における地域区分の数につきましては、現時点におきまして、在外公館所在都市を基本単位として定め、それ以外については国ごと又は地域ごとの金額を想定しておりまして、今のところ、そうした形で政省令に規定してまいりたいと考えております。

馬場(雄)委員 ここは是非具体的にお答えいただきたいところなんですけれども、現状は四種類であるということは、私の理解は間違っていないですよね。指定都市、甲、乙、丙の四種類。これをどのぐらい幅を広げようとしているのか、あるいは、それは幅を広げないというふうに考えているのか、広げるならばどういうふうに考えているのか、その点を明確にお答えいただきたいです。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、外国における地域区分の数につきまして、現時点での検討状況につきましてお答えしますけれども、在外公館所在都市、これは大使館、総領事館を含めまして二百二十三都市ございます、を基本単位として定め、それ以外については国ごと又は地域ごとの大くくりな形で金額によることを想定しております。

馬場(雄)委員 今の考え方と変わるんですか。私は余りそこがよく分からなくて、指定都市というその概念が、多分、大使館がある二百数か所というものになるんだろうなと。あとは地域によって変わる。

 その地域というのは、具体的にどのように変わっていくんでしょうか。それとも、変わらないならば、多分、甲、乙、丙のその三か所になるのかなというふうに思うんですけれども、そこはどのように変わるんでしょうか。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の四区分からは、今回、実費で支給するとともに上限を規定するという形になりますので、適切な価格をある意味きめ細やかに設定しなければいけないという認識に立っております。それを踏まえまして、現時点におきましては、在外公館所在都市、先ほど申し上げました二百二十三都市を基本単位として定めまして、それ以外については、基本的に、在外公館が余りなくて出張の頻度等が低いところにつきましては、国ごと又は地域ごとの金額によることを想定しておりまして、これまでの定額を規定したものとは少し考え方の異なる形で、きめ細やかに設定していきたいというふうに思います。

馬場(雄)委員 だから伺いたいんです。きめ細やかに決めていくというふうに言われながら、その基準がいまだ見えてこないわけですよね、国ごとに全てを変えていくと。正直、ここの法案の審議が終わってしまうと、全部、何でも丸投げになってしまう状態になっていきかねないので、その基準というのを自ら説明された方がいいんじゃないですかということを申し上げているという私の考え方は理解していただきたいんですよね。

 その基準というものが国ごとに変わります、きめ細やかになりますというのは分かるんです。分かるんですが、それがどういう基準で決められているのか分からないというのが、ちょっと押し問答になってしまうのでここで終わりますけれども、そこを説明しないというのがどうしても気になるところではあります。

 次に行きますね。

 場所だけじゃなくて、季節も変わると思うんです。それぞれ、皆さん、旅行に行かれたこともあると思いますし、それぞれで視察等々も行かれていくこともあると思うので、その時期に応じて全く金額が違うということもお分かりだと思うんですが、夏休み等々のハイシーズンの値段と、いわゆるハイシーズンじゃない値段、平日と休日では全く違うとかということもあると思うんですけれども、今回、上限規定というものに関しては、このハイシーズンの値段を基軸にして考えていくのか、どこの部分を基軸にして考えていくのか、その基準というもの。

 地域の話は先ほどありましたが、今のところよく分からないと。その季節の部分に関する、ハイシーズンの捉え方に対する基準はどこで上限規定を作っていくのか、教えていただきたいと思います。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の宿泊料の上限となる基準額につきましては、具体的には政省令で規定することとされておりますけれども、実勢価格の調査を毎年行いまして、その結果を踏まえて適切な水準に設定するという方向で検討しております。また、毎年度、実勢価格等を確認した上で、必要に応じて上限となる基準額の見直しを行うことも想定しておりまして、先ほど御答弁申し上げました、地域ごとに上限額を実勢価格を踏まえて見直していくということになります。

 その上で、上限となる基準額を超える場合の対応につきましても、今御指摘がございましたけれども、一定の場合につきまして、現行の運用を踏まえまして、各府省の旅行命令権者の責任の下で、個別の財務大臣協議等を経ずに対応できることを検討しております。

 具体的には、旅費業務の効率化に向けまして、各省庁で一体的に取り組むために設けられました旅費業務効率化推進会議で令和五年九月に決定されました旅費業務プロセスの改善方針におきまして、季節による繁閑、物価、為替の影響を受けやすい外国出張の宿泊につきまして、在外公館が作成するホテルのリストに基づきまして、旅行者が職階の区分に応じたホテルを簡易に選択できるような方法を導入するとされております。

 これを踏まえまして、当該リストに記載されたホテルにつきましては、価格が季節変動等により上限となる基準を超えた場合でも、個別の増額協議の手続を経ずに旅費を支給することを可能とする仕組みを検討することとしておりまして、詳細については、今後関係府省とともに調整してまいります。

馬場(雄)委員 るる御説明いただきましたが、結局基準がないんですよね。政省令で決めていきます、自分たちで考えていきます、これは正直対立する部分じゃないというふうに私は思っていまして、御説明された方が後々御自身のためになるんじゃないですかという、何を基準にその金額になるんですかというところを、我々はもう聞く手段がなくなっていくわけですよ、委員会の質疑ではもう法案の改正質疑というものはなくなるわけですから。

 そういった意味で、ちゃんと説明された方がいいんじゃないですかということをただ単に私は申し上げているだけですので、それで、政省令で決めていきます、自分たちで考えます、都度都度変更を考えていきますというふうに言われるのが、どうしても何か、傲慢だなというか違和感を覚えてならないわけでございます。

 であるならば、ちょっと質問を変えたいんですけれども、都度変更するというのは分かります。では、その都度変更するという理由は、見直す際、どんな基準であるのか、あるいは、見直しの時期、タイミングというのはいつになるのか、その点はお答えいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 やや繰り返しになって申し訳ありませんけれども、実勢価格の調査を毎年度行いまして、確認した上で、必要に応じて上限となる基準額の見直しを行うことを想定しております。

 毎年度でございますので、季節を今確定してはおりませんけれども、ある一定の期間、一年ごとに確認をしてまいりたいというふうに思います。

 先ほど来、説明責任の問題が少しございましたけれども、毎年実勢価格を調査いたしまして、政令を必要であれば改正してまいりますけれども、財務省といたしましては、説明責任を果たすべき観点から、今回、法案の御審議をいただくに当たりましても丁寧に御説明してまいりましたけれども、今後につきましても、政令の制定や改正に当たって、パブリックコメントを実施して広く意見を求めるとともに、財務省ホームページ等で政令の内容を含めて、その都度の制度の見直しの趣旨や内容について掲載しまして、広く国民の皆様に説明責任を果たしてまいりたいと考えております。

馬場(雄)委員 説明責任という言葉の使い方、ここ最近いろいろと政治と金の問題もあったので、いろいろと私も感じ得るんですけれども、しゃべれば説明責任になるということではないと思います。分かるように説明をしていただくということで説明責任は果たされるということでありまして、基準がない、何をどういうふうに考えているのか分からない状態で、全てを、それをもって説明責任を果たすということは、私は行政の傲慢な態度だというふうに思いますよ。それは、決して説明責任を果たしているというふうに私は思えないわけですし、今回、法案の規定から、法律事項から政省令の事項に落とすというわけですから、変更がより自らの力でやりやすくなっていくというからこそ、より緊張感を持ってやった方がいいんじゃないですかということを申し上げているわけでございます。

 次に移りましょう。

 日当です。日当の考え方が今後変わると思います。

 日当は、今までは、交通費と、昼食代あるいは弁当代というふうに理解されていたのではないかなというふうに思うわけでございますが、交通費がそもそも実費弁償であるならば、日当の定義は弁当代ということになると思います。それは弁当代ですし、日当という言葉の概念は消えていくんじゃないかなというのが私の理解です。

 逆に、日当という言葉をなくしていくものなのか、日当という言葉を残すなら、日当という言葉の新しい定義というものをしっかりと作っていかなければうまく回っていかないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 日当につきましては、具体的には政省令で規定することとしておりますけれども、引き続き定額を支給することを想定しております。

 その上で、現行の旅費法の解釈におきましては、日当は、昼食代を含む諸雑費と目的地内の交通費を賄う旅費により構成しておりましたけれども、今回の見直しにおきましては、昼食代については通常の出勤時でも必要となることから今後は支給しないこととし、目的地内交通費については今後実費支給とすることから日当には含まないと整理することとしております。

 他方、宿泊を伴う出張の場合には、夕食代のかかり増し費用を含む諸雑費がかかるため、今後、日当につきましては、主な民間企業の取扱いと同様に、こうした諸雑費に充てるための旅費と整理いたしまして、宿泊を伴う出張にのみ支給することとしております。

 日当の水準につきましては、同じく具体的には政省令で規定することとしておりますけれども、宿泊に伴う夕食代のかかり増し費用を含む諸雑費を賄うことを想定しまして、民間企業等の水準を参考に金額を設定することとしており、今後、民間企業等の実態調査をしました上で、適切な水準の金額を設定してまいりたいと考えております。

馬場(雄)委員 何か余り張り合いのない質疑になってしまって、私自身も申し訳ないなというふうに思うんですけれども、やはりよく分からないんですよね。

 交通費は実費弁償になります、弁当代はこれからは払いません、でも日当というものは残ります、諸雑費というものがかかります、でも、その諸雑費に関しても実費弁償はしていきます。では、日当って何ですかというところになりませんか。これは私だけですかね。

 これを公務員の皆さんはこれから使われていくわけですよね。日当というその定義がかなり曖昧になっているのにもかかわらず、自信を持ってここで日当というものはしっかりと設けますというふうに答えられる。よく分からないんですよね。

 日当の定義を教えてください。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 日当につきましては、今後につきましては、夕朝食代のかかり増しの費用を含む、いわゆる宿泊を伴う出張にかかる諸雑費に対して支給するということでございます。

馬場(雄)委員 それは実費弁償で賄うと先ほど答弁されていたと思うんですが。

吉野政府参考人 繰り返しになりますけれども、日当につきましては、具体的には政省令で規定することとしておりますけれども、引き続き定額で支給することとしております。

馬場(雄)委員 全く説明になっていないんですよね。傲慢じゃないですか。日当という定義が全く曖昧のままなのに、日当というものは残しますと言うんですよ。日当って何なんですか。

 間違ってほしくないのは、私、この法案の改正の必要性はすごい理解しているんです。だから、自信を持って応援したいんです。応援したいんですけれども、そこがすごいぬるっとしている状態がずっと続いていくので、一体どうなっているんですかということをお伺いしたいだけなんです。

 これから政省令でまた規定するんですか。もう一度伺います。日当って何ですか。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 やや繰り返しになって申し訳ありませんけれども、丁寧に御答弁したいので申し上げますが、夕朝食代のかかり増し費用については宿泊料の法定額に含めておりましたけれども、今回の見直しにおきまして、宿泊料を実費弁償とし、夕朝食代のかかり増し費用については宿泊料に含まないという形に整理しますので……(馬場(雄)委員「では、素泊まりだけなんですね」と呼ぶ)はい、そのとおりでございます。夕朝食代のかかり増し費用については、日当で支給することとしております。

馬場(雄)委員 では、素泊まりだけが宿泊費であり、夕食費、朝食費というのが日当だということの定義でいいですか。

 では、全国で見ている国家公務員の皆様方、これからそうなるということですので、そういうふうに規定を作っていただきたい。最初からそう言っていただければ早かったんじゃないかなというふうに思います。わざわざ難しくしないでください。

 最後に、私、一つお伺いしていきたい部分があるわけですけれども、残り十分でお伺いしたいと思います。この度の法案改正でお伺いしたい一番のところです。地方自治体の旅費規定の現状把握です。

 鈴木大臣にまずお伺いさせていただきたいのと、そして総務省の方々にお伺いしたいんですけれども、今回の国の旅費規定の変更は地方自治体の旅費規定に影響を与えるというふうに認識を持たれているか否か、その点についてお伺いしたいです。

鈴木国務大臣 影響を与える地方自治体もあれば、影響を与えない地方自治体もあるんだ、こういうふうに思います。

 地方自治体の中には国家公務員等の旅費制度を参考にしているところもあるため、そういうところは、今回の旅費法の改正を契機として、制度を見直す自治体が出てくることも想定されると思います。

 一方で、旅費法はあくまで国家公務員等の旅費について規定する法律でありまして、地方公務員の旅費に関しては、各地方自治体において、それぞれの実情に応じ、自主的、自立的に御判断いただくものと認識をしております。

小池政府参考人 地方公務員に支給される旅費につきましては、公務のため職務命令により旅行等を行った際に、地方自治法の規定により、各地方公共団体においてそれに要する費用を支給しなければならないとされております。

 また、旅費の額及びその支給方法につきましては、条例で定めることとされておりまして、地方公務員法の規定により、国や他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないよう適当な考慮が払われなければならないとされているところでございます。

 各地方公共団体においては、こうした規定に基づき、国の取扱いも踏まえ、適切に条例等を制定されているものと認識しておりまして、今回改正される旅費法等の取扱いも踏まえ、各地方公共団体において検討が行われるものと承知をしております。

馬場(雄)委員 大臣そして総務省の皆様、ありがとうございます。そのとおり、与えるというふうに思います。

 済みません、先ほどの日当のところでちょっと付言、追記させていただきたいと思うんですが、さっき、逆に言うと、御飯代だけだということになるならば、恐らく日当の金額、今までとは大きく下がっていく可能性があるんじゃないかなというふうに思うので、そこは注視をさせていただければというふうに思います。

 先ほどの話に戻ります。影響を与えるわけです。資料を御覧いただければと思うんですけれども、二ページ目以降、まさしくその言葉のとおり、例えば都ですけれども、「都における旅費制度は国家公務員の旅費制度と均衡を踏まえて定めている」等々、国の旅費規定に準じて地方自治体が変えていくというのは極めて多くあるのではないかなというふうに思います。

 その地方自治体がどれほどあるものであるのか、総務省さんは、まず把握されているのか、お答えください。

小池政府参考人 地方公共団体におきましては、地方自治法及び地方公務員法の規定に基づき、国の取扱いも踏まえ、地方公共団体ごとに条例等を制定し、旅費を支給しております。

 今回、旅費法で改正が予定されている内容に関する各地方公共団体の条例における規定の状況につきましては、総務省では把握をしておりません。

馬場(雄)委員 把握していないわけなんです。もちろん、先ほど影響を与え得るということを答弁いただいておりますので、影響を与え得るわけでございまして、ただ、実態が把握できていないというところがやや問題ではないかなというふうに思うわけでございます。本法案の改正で各自治体に影響を与えているのは明白でありますし、そこに配慮した体制をつくるのが皆様の役目ではないかということを申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 旅費の経理処理のシステム、改修、決して安いものではないと思います。

 デジタル庁さんにお伺いいたします。今回、国の旅費規定の改正に伴うシステム改修、お幾らになるでしょうか。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 デジタル庁にて整備、運用を行っております旅費等内部管理業務共通システム、英語名の表記を省略しましてSEABISと呼んでおりますが、これは、旅費、謝金・諸手当、それから物品管理の三業務を対象とした、全府省向けに提供するシステムでございます。

 今後、当法律改正案が成立しましたら、宿泊料等の実費支給化、日当の見直し等、法改正事項を反映するためのシステム改修作業を速やかに行う予定としております。SEABISの改修関連経費として、令和五年度補正予算と令和六年度当初予算の合計で十四・四億円としておりますが、改正旅費法の施行のための改修費用はこの内数で行うことを予定しております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 十四・四億円、SEABIS、いわゆるシステムの改修にお金がかかるということで、決して、決して安くはないというふうに思いますし、地方自治体も同じく、旅費の、例えば経理精算システムを導入しているところもあるんだというふうに思うわけですが、それを改修していくとなれば、多額のお金がそこにかかっていくということになると思いますし、ある意味で、国が今回、旅費規定を改正するわけで、そこで地方自治体に影響を与えます。その地方自治体で旅費の同じようなシステム、別なやつでもいいと思うんですよ、SEABISじゃなくてもいいと思うんですが、それを使っている場合、その改修が見込まれるというのは容易に想像ができることだと思います。

 地方の自治体でそういうふうなシステムを導入している場合、そこに改修をかけていく場合、どれくらいの費用がかかっていくのか、総務省さんは御検討はされたことはあるんでしょうか。

小池政府参考人 各地方公共団体は、それぞれの条例等に基づき、職員等の旅費に係る事務を進められているところでございまして、そのシステムの内容につきましても様々であると承知をしております。

 総務省におきましては、旅費システムの改修に係る予算措置の状況等につきましては、特に把握をしてございません。

馬場(雄)委員 大分投げやりな答弁に聞こえてしまうんですけれども、把握していませんというところ、それで様々あります、それは様々あるでしょう。だけれども、今回、国がこうやって改正していくときに自治体に影響を与え得るならば、総務省さんとしてここを予算要求してもいいんじゃないのかなというふうに私は思うわけでございます。そういうことはしないんでしょうか。

小池政府参考人 旅費に係る事務を始めとしまして、地方公共団体の事務を行うために要する経費につきましては、原則として、当該地方公共団体の負担によりまして実施をするべき性質のものと考えております。

馬場(雄)委員 大分、だから投げやりなんですよね。だから、国は国でやる、あとは自分たち、勝手にやれ、それでお金は自分たちで払え、それは当然でしょうと。これはレクで聞いたとき、交付金があるでしょうというふうにも言われたんですけれども、それは不交付団体もあるわけですし、交付金はそもそもこの改修のために用意されているお金ではないと思うんです。

 今回、国が正直、変えるわけですよ。国が変えて、自治体に影響を与えますということが明白だということは大臣がおっしゃっているし、総務省さんも認めてるわけです。であるのにもかかわらず、最終的にそれは自治体がやることですと投げやりになってしまったら、それはもう何か、秩序ってこの国にあるのかなということも何か思ってしまうわけでございますね。

 財務大臣にお伺いさせていただきたいんですけれども、もし今後、総務省さんから予算要求を受けてきた場合は、当然、それは財務省さんとしてお考えになる余地はあるというふうに思うんですけれども、その点の財務大臣のお考えはいかがでしょうか。

鈴木国務大臣 決まりとして、国家公務員の旅費規定の改正がストレートに地方自治体の旅費の改定に連動しているということであるならばともかく、先ほど申し上げましたとおり、国家公務員の旅費規定の改定を参考にする自治体もあれば、全く参考にしない、独自にやっている自治体もあるわけであります。その数は、総務省として把握をしていないという答弁でございましたけれども、地方公務員の旅費に関しては、各地方自治体において、それぞれの実情に応じ、自主的、自立的に御判断いただくものと認識をいたしております。

 したがいまして、各地方自治体における制度の見直しに伴うシステムの改修費用については、地方自治体の負担により実施すべき性質のものと承知しておりまして、基本的には、各地方自治体で御対応いただくものと考えております。

馬場(雄)委員 何か、今日の質疑、三十五分かけて、本当に冷たいなというふうに感じなければいけないのが本当に申し訳ないですけれども、把握できていないなら把握すればいいですし、影響を与え得ると先ほど答弁されているわけですから、その点を配慮して。だって、影響を与えるところもあるわけですよね。であれば、配慮をした方がいいんじゃないんですかということでございます。都合のいい形で、国は国、地方自治体は自治体と言わない方がいいのではないかということを最後に申し上げて、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

津島委員長 これにて馬場君の質疑は終了いたしました。

 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。

 通告に従って質問してまいりますが、既にお二方から質疑がありまして、かなり私の質問通告と重複いたしますが、我が党の基本的な考え方も明示しながら質問させていただきますので、御理解いただきたいと思います。

 早速質問に入ります。

 まず一点目は、旅費法改正に当たっての基本方針について、大臣にお伺いしたいと思います。

 先ほど来の質疑にもありましたけれども、今の我が国の旅費の制度については、デジタル化の進展ですとか、それから旅行の商品も非常に多様化して、販売方法も、これも様々な種類のものが展開されています。また、交通機関、料金体系の多様化、それから海外の宿泊料金の変動、これはかなり大きなものがあると思いますし、そして、国内外の社会情勢になかなか対応できていない面があって、そのゆえに例外的な規定を幾つか設けてきて、結果として非常に複雑なものになってきた、また事務手続も煩雑化してきた、このように指摘もあったところでございます。

 それから、テレワークが普及してきて、そうしたことによって柔軟な働き方ができる。このことでの出張実態の変化、これも制度に反映していかなければいけない。職員の負担軽減、業務の効率化を図るためにも、広く見直しを行う必要がある、このように認識をしています。

 質問は、今回七十年ぶりの抜本的な法改正となっておりますが、どういうところに重点的に視点を置いて改正に当たったのか、その基本的な考え方について、大臣にお伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 旅費法でありますが、国家公務員等の旅費制度について規定している法律でありまして、法律の制定から七十年余りが経過しておりまして、デジタル化の進展、旅行商品や販売方法の多様化、交通機関、料金体系の多様化、外国の宿泊料金の変動といった現下の経済社会情勢に必ずしも合わないものとなっております。

 このため、今回の改正では、ただいま申し上げた国内外の経済社会情勢の変化に対応するという視点や、国家公務員の働き方改革に資する事務負担軽減や業務環境の改善を図るという視点に重点を置いて、旅費の計算等に係る規定の簡素化及び旅費の支給対象の見直しを行うほか、国費の適正な支出を確保することを目的として改正に当たったところであります。

稲津委員 ありがとうございました。

 それでは、ここから先は少し具体的なことをお伺いしていきたいと思いますけれども、これも先ほど来質問がありましたが、政令に委任する意義と今後の政令の策定、改正に際しての説明責任ということについて伺っておきます。

 現行の旅費法においては、宿泊料、日当、移転料といった旅費種目が法律で規定をされていて、その金額についても法律で定額が記載されているものが多い。

 ただ、近年の急激な為替、物価の変動で、特に海外出張においては、宿泊料の実費額が法定額を超過し、金額調整手続が増加している。具体的な金額までが法律で規定された上に、長年法律規定がなされていなかったために、実態との乖離が生じていることから、本改正案においては、公務上必要となる実費の弁償という制度趣旨を踏まえて、宿泊料、移転料は実費支給、そして、これまで法律で規定していた各旅費の種目を政令で定める、こういうことになったと認識しています。

 政令事項にすることによって、物価の変動に応じて迅速な対応ができるという意味で、ここが制度改正で可能になる。ただ、一方、国会審議を経ずに閣議決定で制度改正ができることになって、そうなったときに、説明責任はどう果たすのかということがやはり一つの課題であるというふうに認識しております。

 そこで、旅費の種類及び内容に関する規定を簡素化し、政令に委任する意義は何なのか、また、今後の政令の策定や改正に際し、その趣旨や内容に関する説明責任をどう果たしていくのか、見解を伺います。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の旅費法改正におきましては、旅費制度を国内外の経済社会情勢の変化に対応させるとともに、職員の事務負担軽減を図るため、旅費の計算等に係る規定の簡素化を行うこととしております。

 現行の旅費法におきましては、旅費の種類及び内容について詳細に規定しておりますけれども、旅費は実費弁償であり、必ずしも法律で詳細まで規定する必要がない中で、旅費の種類及び内容に係る技術的事項を政令に委任することで、適時適切に時代の変化に対応できるような制度に改めることが適当であると考えましたことから、今回の法改正におきまして、旅費の種類及び内容に係る規定を政令に委任することとしております。

 その上で、御指摘の政令の制定や改正に当たっての説明責任でございますけれども、宿泊料の実勢価格や民間企業における旅費の取扱いを調査いたしまして、政令の検討に生かしました上で、毎年実勢価格を調査して、必要に応じ見直しを行ってまいりますが、パブリックコメントに付しまして広く意見を求めること、財務省ホームページ等で今回の制度の見直しの趣旨や内容を対外的に説明していくこと等を通じまして、しっかり説明責任を果たしてまいりたいと考えております。

稲津委員 この説明責任のところがやはり大事なポイントですので、今答弁いただきましたけれども、その趣旨にのっとって適切に対応していただきたいことを申し上げておきます。

 次に、宿泊料の支給基準と移転料の支給対象について伺いますが、通告で宿泊料の上限等の基準額の設定、通告しておりましたが、これは質問をいたしません。その次に通告していたところですね、扶養親族の移転料等の支給対象について伺います。

 赴任時における旅費の支給対象について、現行法においては、扶養親族一人ごとに、扶養親族の年齢に応じて、交通費は実費を、そして、日当、宿泊料、食卓料及び着後手当については定額を支給する。

 あくまで扶養親族に限定して支給されるとされていますが、今後どのような見直し方針なのか、見解を伺っておきます。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の扶養親族の移転料等の支給対象につきましては、現行の旅費法では、赴任時における旅費の支給対象として、就業している配偶者等については移転に係る旅費が当該就業先から支給される可能性があるため、二重支給を防ぐとの観点から、赴任に係る旅費の支給対象を扶養親族に限定しております。

 他方、現在では共働き夫婦の増加や働き方の多様化が進む中、配偶者が職員の赴任に帯同しつつテレワーク等により仕事を継続することも想定されますこと、二重支給の防止は省令等で手続を規定することにより対応可能であることから、具体的内容については今後政令で規定することとなりますけれども、今後の見直しにより、扶養しているか否かにかかわらず、職員本人と同居し生計を一にする家族について、赴任に係る旅費の支給対象とすることを検討しております。

稲津委員 この点についてはかなり心配している方もいらっしゃると思いますので、できるだけ速やかに対応していただきたいと思います。

 次は、事務手続の簡素化、効率化についてですけれども、これも先ほど来の質疑等でありますが、デジタル化の進展ということで、行政事務の合理化を図るために柔軟な制度設計を目指してきたという認識に立っておりますが、具体的に、例えば、旅行の名簿等の様式の廃止とか、必要な記録の事項の手続のみ規定するとか、また、旅行代理店等による旅費の請求手続を可能にする、また、自宅等発による旅費の計算を可能にする。

 こうしたことで、事務手続の負担が軽減され、利便性が図られると認識していますが、この事務手続の簡素化、効率化に向けて、政府としてどのような検討が行われ、実際に法律案に反映されているのかということと、特に、旅行代理店に対する直接支払いを可能にするということ、これは職員の働き方改革とか事務負担の軽減に直接ここが起因してくると思っておりますので、この制度の趣旨を含めて、見解を伺います。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 旅費制度につきましては、令和五年五月のデジタル臨時行政調査会におきまして、旅費制度の見直しに係る取組を加速するよう指示がございまして、これを受けまして、旅費業務の効率化に向けて、全省庁で一体的に取り組むために設けられました旅費業務効率化推進会議におきまして、令和五年九月に旅費業務プロセスの改善方針が取りまとめられました。その上で、財政制度等審議会におきましては、令和五年十一月に令和六年度予算の編成等に関する建議が行われまして、それらの中で、事務手続の簡素化、効率化に向け、紙ベースの提出書類の様式の廃止や、旅行代理店等を活用した旅費請求手続の拡充などの提案がなされました。

 今回の法改正におきましては、これらを踏まえた形で、事務負担の軽減を図るための措置が盛り込まれております。

 例えば、委員御指摘の旅行代理店等への直接支払いにつきましては、現行法においてその活用が想定されておりませんで、原則、旅行した職員本人のみが旅費の請求主体、受給対象とされております。

 一方で、実際の運用におきましては、職員が旅行代理店との間で代理受領等指示書を、書面を取り交わすことによりまして代理店による旅費の受領を認めておりましたことや、職員による立替え払いを極力なくしまして事務負担軽減を図る観点から、代理店等の活用を更に拡大することが望ましいと考えられましたことを踏まえまして、今回の改正におきまして、旅行代理店等の職員以外の者が旅費に相当する金額を直接請求、受給をできるようにいたしまして、職員の事務負担の軽減を図ることとしております。

稲津委員 それでは、最後の質問にさせていただきたいと思います。

 最後は、国費の適正な支出の確保規定についてということで伺いますけれども、この国費の適正な支出の確保については、旅費の実費弁償を適切に図り、また、説明責任、透明性確保をする、不正防止、冗費節約の観念が損なわれない、そうした仕組みが必要になってくるわけですが、そのための方策として、第十条で、規定に違反して旅費を受給した者に対しての返納規定や、給与からの控除を可能にする規定が設けられている。それから、第十一条では、この法律の適正な執行を確保するため、財務大臣が各庁の長に対して、執行状況の報告を求めるとともに、実地監査を行うことができるといった監督規定が新設をされております。

 国費の適正な支出を確保するための規定について、どのように実効性を担保するのか、また、財務大臣の監督規定は具体的に何を行おうとしているのか、この点の見解を伺って、質問とさせていただきます。

赤澤副大臣 国費の適正な支出を確保するための規定についてのお尋ねでございます。

 今回の旅費制度の見直しにおいて、これまで定額で規定されていた宿泊料などを実費支給とすることを想定をしております。これにより、旅行の実態に即した旅費の支給が担保される一方で、一定程度自由度が増す面もあるということを考えておりまして、より一層適切な支給を担保していく必要があるという考えでございます。

 このため、旅費法の規定に違反して旅費の支給を受けた旅行者などに対して、委員今まさに御指摘のとおり、旅費の返納を求めるとともに、旅行者の給与などからの控除を可能とする規定を新設することで、不正受給の発生を抑止するとともに、仮に不正受給が発生した場合には、厳格に対処してまいりたいと考えております。

 また、今回の見直しにより、運用面における各府省の裁量も拡大することを踏まえまして、財務大臣が各庁の長に対して、法律の執行状況に関する資料や報告を求め、実地監査を行い、会計法上求められる閣議決定を経ることなく必要な措置を求めることができるようにすることで、適正な執行の確保を図っているところでございます。

 こうした仕組みの導入により、今後とも、国費の適正な支出の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

稲津委員 以上で質問を終わらせていただきますけれども、今回の旅費法の改正については、国家公務員に直接関わってくることですので、業務をしっかり遂行できるためにも、この改正、速やかに成立をさせて、そして確実に執行していただくよう強く求めまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

津島委員長 これにて稲津君の質疑は終了いたしました。

 次に、稲富修二君。

稲富委員 立憲民主党の稲富でございます。どうぞよろしくお願いします。

 今回の旅費法改正については、基本的には実費精算にするということ、また、旅費精算業務を効率化、簡素化する、この趣旨には賛同をいたします。

 と申しますのは、現行法では、国内宿泊、例えば、二つの地域に分類されていて、私の福岡、地元であれば、指定職の方が一泊一万四千八百円、内閣総理大臣が一泊一万九千百円という定額が規定をされております。それは実態とかけ離れているということ。また、外国の宿泊費も同じような別表と、同じように安価過ぎて実態とかけ離れているということから、その趣旨には大いに賛同するものであります。

 とはいえ、法定していた旅費を政令に変えるということになりますので、幾つか確認をさせていただきます。

 まず最初に、政府全体の現在の実質的な年間旅費総額は幾らなのか、お答えをお願いします。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年度決算における旅費の支出済歳出額は八百三十九億円でございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 財務省の旅費総額は幾らでしょうか。

宇波政府参考人 お答え申し上げます。

 財務省の令和四年度決算における旅費の支出済歳出額、七十四億円でございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 本改正によって、旅費総額はどれぐらい増減をするのか。増加するのか減少するのか、いかがでしょうか。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の旅費制度の見直しにおきましては、具体的には政令で規定することとなりますけれども、旅費制度本来の趣旨である実費弁償の考え方に基づきまして、これまで定額で規定されていた宿泊料等を実費支給とすることとしております。

 今回、実際に支給される旅費の金額につきましては、現行の旅費法では宿泊料等を定額支給としており、現在の執行額には実費が定額を上回ったが増額していない場合や、実費が定額を下回ったが減額調整をしていない場合の双方が含まれること、実際に宿泊したホテル等の料金によって定まります面がございますことから、予算総額の影響について、現時点で一概に申し述べることは困難と考えられます。

 ただし、現行の運用におきましても、宿泊料等について、法律上の実費支給の原則に基づき、実費が定額を超える場合には現在も実費支給とする対応を取っておりますことから、制度の見直し後も旅費が大幅に増加することはないものと考えております。

稲富委員 ありがとうございます。

 定量的にはなかなか見通せないけれどもということかと思います。来年度から実施を想定しているということでございますが、旅費総額については今御答弁あったとおりです。

 ただし、最後、少しおっしゃっていただきましたけれども、政令になり、国会の審議を通らないということになりますので、全体としては、常識的な範囲内で実費運用するということを是非御答弁願いたいと思います。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 改正後の旅費法は、その目的の一つとして、第一条で国費の適正な支出を図ることを掲げておりまして、政令につきましても、そのような考え方で制定することを予定しております。

 その上で、政令で規定する旅費の具体的な内容は今後検討していくこととなりますけれども、例えば、宿泊料につきましては、現行の定額支給から上限付実費支給に変更し、実勢価格を踏まえた上で上限となる基準額を設定する、移転料につきましても、現行の新旧オフィス間の距離に応じた定額支給から新旧住居間の移転に係る実費支給に変更するなど、経済社会の情勢を踏まえまして適切に規定してまいりたいと考えております。

稲富委員 ありがとうございます。

 そこで、先ほどちょっと議論がありました日当なんですけれども、現行法、日当は二十条、三十五条で使われておりますけれども、本改正に伴い、法律上、日当という言葉そのものが法律からなくなる、こういう理解で正しいでしょうか。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 そのとおりでございます。

稲富委員 現行法上どのような内容で、法改正によってどのように変えるのかについて、先ほど御答弁ありましたけれども、昼食代をなくす、そして、宿泊のときの夕食代に普通かかるであろうかかり増しの部分を足した分、あるいは朝食の部分を足す、そういう御説明だったと思うんですね。なので、そのかかり増し費用に充てるための費用、そういう説明かと思います。

 そうであれば、日当という言葉、先ほどちょっと議論がありましたけれども、非常に多義的でございまして、いろいろなことを惹起する言葉でもあります。あらぬ誤解を与えるよりも、今の趣旨であれば、出張食費補填か補助か分かりませんけれども、今回の法の趣旨は、いわば実態に即した形の旅費にするということであろうと思いますので、少し言葉を変えた方がいいのではないかというふうに私は思いますけれども、その点、いかがでしょうか。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 日当につきましては、今御指摘がございましたとおり、これまで、昼食代を含む諸雑費と目的地内の交通費を賄う旅費により構成されるとしておりましたけれども、今回の見直しにおきましては、昼食代については通常の通勤時でも必要となることから、今後は支給しないこととし、目的地内の交通費については今後実費支給とすることから、日当には含まないという整理をいたしました。

 あわせて、日当については、宿泊を伴う旅行における夕朝食代のかかり増し費用を含む諸雑費に充てるための旅費と整理する方向で検討をしております。

 御指摘のとおり、旅費種目の名称につきましては、その使途が分かりやすいことも非常に重要と考えておりますが、他方、日当という名称につきましては、これまで長年、旅行中の諸雑費を賄う旅費の種目として広く使用されてきておりまして、民間企業におきましても、今のところ旅費種目として日当という形で支給する企業も多く見られますことから、引き続き、旅費の種目として日当という形で規定することに特段問題はないのではないかと考えております。

稲富委員 どうしてもその日当という言葉が持つ意味がいろいろなものを惹起すると思いますので、是非、政令を策定する際には御検討いただきたいなと思います。

 それで、今度は宿泊料についてでございますが、これも先ほど来様々な御議論がありました。実費の支給方式に変更することということで、ただ、上限つきということです。

 ただ、これも与党からもありましたように、大変難しいところでございまして、今はもうダイナミックプライシングで、ハイシーズンとシーズンオフの価格差がすごく大きくなってしまっております。

 例えば、私の地元福岡でも、大きなコンサートがあるとホテル代が高騰いたします。海外の宿泊費なども、為替の影響を大きく受ける。

 先ほどありましたけれども、世界をどう区分をするのか等々、非常に実態に即したものにするというのは難しくなっているなというのを感じています。

 民間企業は非常にその点は恐らく先行的にいろいろなことを考えてやっておりますので、ちょっと従来とは違う形の合理的な手法というのを民間に倣って考えるべきではないかなというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の宿泊料の上限となる基準額につきましては、具体的には政省令で規定することになりますけれども、実勢価格、特に民間企業等の実勢価格の調査をしっかり行いまして、その結果を踏まえて適切な水準に設定する方向で検討しております。また、毎年度、実勢価格等を確認した上で、必要に応じて上限となる基準額の見直しを行うことを予定しております。

 その上で、上限となる基準額を超える場合のうちの一定の場合につきまして、現行の運用を踏まえ、各府省の旅行命令権者の責任の下で、個別の財務大臣協議手続を経ずに対応できることを検討しております。

 具体的には、旅費業務の効率化に向けて、全省庁で一体的に取り組むために設けられました旅費業務効率化推進会議で令和五年九月に決定されました旅費業務プロセスの改善方針におきまして、外国旅行の場合には、在外公館が作成するホテルのリストに基づき、旅行者が職階の区分に応じたホテルを簡易に選択できるような方法を導入するとされております。これを踏まえまして、当該リストに記載されたホテルにつきましては、価格の季節変動等により上限となる基準額を超えた場合でも、個別の増額協議の手続を経ずに旅費を支給することを可能とする仕組みを検討しておりまして、詳細につきましては、今後関係府省とともに調整して運用に当たりたいと考えております。

稲富委員 ありがとうございます。そうすると、何か上限つきというのがどういう意味があるのかなというのは率直に思います。

 そこで、やはり、政令にどう結果として策定するのかという内容自体が非常に大事になりますが、この政令が各地方自治体にもある程度影響があるということでございますので、この法律自体が、これからはこの国会では審議を経ずに旅費が決まっていくということでございますので、この政令の策定について、いつ頃になるかという、その想定を教えていただきたいと思います。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の旅費制度の見直しにつきましては、国内外の経済社会情勢の変化に対応するとともに、国家公務員の働き方改革に資する事務負担軽減や業務環境の改善を図るため、旅費の計算等に係る規定の簡素化、旅費の支給対象の見直しを行うものであり、速やかに施行することが望ましいと考えております。

 他方、法改正の内容を実際の旅費業務に反映させるためには、改正後の旅費法の規定を踏まえまして政省令を整備する必要がございます。御指摘の改正旅費法の政省令につきましては、改正旅費法の施行期日である令和七年四月までの間に、当該政省令の内容を踏まえた上で、システムの整備や会計処理に携わる職員や出張者への周知を行う必要がございますので、法案成立後、必要な手続を経ました上で、できる限り速やかに制定することを目指してまいりたいと考えております。

稲富委員 いつ頃かという、大体のところはお答えできないですか。

吉野政府参考人 確定的な日付をお答えすることにつきましては、今回、七十年ぶりの改正でありまして、新しい仕組みを相当多岐にわたって入れますので、どれぐらいの業務がどれぐらいのスピードでこなせるか、現在も既に準備を始めてはおりますけれども、明らかに見極めることが困難でございますので、ここでお答えするのは差し控えたいというふうに思います。

稲富委員 各自治体にも非常に影響するということもございますので、是非、できる限り早くという御答弁もありましたけれども、御対応をよろしくお願いいたします。

 それで、この旅費法に際して、私、役所OBの方とも何人かお話をさせていただきまして、どう思うかということを少し話をいたしました。

 総務省の方にちょっと質問したいんです。

 総務省OBの方からこういうことを言われました。例えば出張するといったときに、実際の会議は一、二時間、三、四時間、すぐ、日帰りで帰ってこようと思ったら帰ってこられるわけですね、今は。しかし、地方出張に行った場合、地方に行ったら、やはりその地域の方と食事をする、あるいは、その地域の実情を知るという意味で、今、オンラインでなくリアルで行く以上、それなりの付加価値といいますか、価値があるんじゃないかと。そうであれば、何らか、四角四面に帰ってこられるだろうということで、いわばその旅費を削るためではなく、一定、その地方の実情を知り、それを政策に生かすということもあるだろうということがあるんじゃないか、そういう御指摘でありました。そうだなと私も思うんです。

 そこで、現在、出張、日帰り、あるいは宿泊という線引きをどうされているのか。また、今指摘したような点で、地方の実情を知るという意味で、ある程度おおらかにというと恐縮ですけれども、当然厳しく歳出については見なきゃいけないけれども、そういうことも踏まえて、どう省として考えているのか。御答弁をお願いしたいと思います。

海老原政府参考人 お答えいたします。

 職員の出張につきましては、旅費法の第四条によりまして、旅行命令権者の発する旅行命令書等によって行われなければならないとされております。総務省においても、各府省と同様に、当該規定に基づき運用を行っております。

 御質問がありました出張を日帰りとするのか宿泊つきとするのかでございますけれども、個々の出張の内容、どういったことを目的にするのか、あるいは用務先、どこに行くのかなどに応じまして旅行命令権者が個別に判断をすることになるということで運用しているところでございます。

 なお、旅費法の第七条の、旅行は、最も経済的な通常の経路及び方法により旅行した場合の旅費により計算するという規定がございますので、用務が終了いたしまして、その日のうちに帰任できる交通手段がある場合には日帰りとするということで、国費の適正な支出を図る観点から運用を行っているところでございます。

稲富委員 その日に帰れる場合は帰るというお話ですけれども、そうではなくてということで私は申し上げたわけですけれども。

 少しそれは、省庁の仕事ですから、いわば地方を知るということで、もし会議が終わって帰ってこられるんだったら、そもそもオンラインでやればいいじゃないかと私は思うわけです。なので、そこはちょっと柔軟に考えた方がいいのではないかということを指摘したいと思います。

 続きまして、国際会議への出張についてでございます。

 大臣、来週ワシントンに出張をされます。大事な会議でありますので、しっかり成果を出していただければというふうに思います。

 そこで、一般的になんですけれども、国際会議への出張に帯同する人数規模というのは、財務省、どんなものなのか教えてください。

宇波政府参考人 お答え申し上げます。

 財務省のケースでという御質問だというふうなことを前提に、国際会議に出席する財務大臣に随行する事務方職員の数につきましては、それぞれの会議のテーマや規模などを踏まえて、必要な人数をその都度決定しております。

 今お話が出ました、例えば、今大臣が出席する方向で調整をしております米国で来週開催されます予定のIMF・世銀春会合について言えば、一つには、G20やG7など閣僚級の会議に参加する大臣をサポートする、これとともに、二つ目には、会議の期間中に、事務方レベルによる気候変動関連を始めとする様々な会合がございます。また、世界銀行などの国際機関幹部職員などとの面会もございます。これらへの対応も重要であるため、全体として、現在調整中でございますが、合計三十名程度の財務省及び金融庁職員が随行する予定でございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 その多寡がどうかということよりも、今回の法案で、使うべきところは使った方がいいし、実情に合わせたところでお金を使えばいいと思います。

 ただし、ちょっと私、危惧しておりますのは、例えば、質問レクを我々が受ける際に、多くの職員さんが来ていただくようなことがあります。そして、例えば、質問を翌日に控えた、あるいは翌々日に控えたところで、役所の方が十人、あるいは多いともっと多くなる。総理質疑であればもっと多くの方が来られるということがあるというこの状況を見ていると、恐らく本当に必要な人、その方には決して何かけちる必要はないと思うんですよ、私。ただ、本当に必要なのかなと正直思うところがあります。それは、恐らく国際会議に行かれるときも同じようなことが起こっているのではないかと、ちょっと危惧をするわけです。

 それで、さらに言えば、今回は財務省の財務大臣だけですけれども、省庁をまたがるような場合だったら、さらに各省庁でそれぞれ同じようなことが起こっているんじゃないか。それは、縦割りが同じように外国に行っても縦割りになっていて、これはもしかして古い話かもしれませんけれども、そしてその受入れというか、現地の大使館が恐らく仕事をするんでしょうけれども、そういういわば複数省庁にまたがるような場合、そういった場合にも大量の出張になるんじゃないか。

 それは意味があるものだったら、先ほど来申し上げますけれども、意味があると思うんですよ。ただ、本当にそうなのかということ、改善をされているのか、そういった視点で、是非、この出張、特に海外出張、例えばロジで各省が共通する部分については一元化するなど、そういったことを心がけていらっしゃるのか、現状も含めて御説明を大臣にいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 今までの私の経験からいいますと、私と、それから例えば経済産業大臣とか国土交通大臣とか、他の省庁の閣僚と一緒に参加した国際会議の経験は今まではございませんので分かりませんけれども、ロジということになると、やはりどうしてもそれぞれの省庁ごとで対応しているんだ、そういうふうに思います。

 私が経験している国際会議は財務省と金融庁ということでありますが、これにつきましては相当適正化をしておりまして、例えば現地で使用する作業室でありますとか面会室等、これを両省庁の職員で共用するとか、現地での移動につきましても、小型バスというんでしょうか、そういうようなものを借り上げまして、そこには私も乗りますし、財務官も乗りますし、一般の職員の人も乗って移動するというような、そういう統一的な行動もするということになっているということであります。

稲富委員 ありがとうございます。

 これは、先ほど同じ、井上先生もおっしゃったように、国際会議で、役所の方、そして閣僚の方、あるいは副大臣、政務官がいらっしゃるということは重要なことだと私も思います。他方で、先ほど申し上げた、重複するようなこと、本当に必要なのかどうかということを、改めてそこの中で是非御検討いただければと思います。ありがとうございます。

 それでは、旅費法の質疑は終わりまして、次に、政治活動と課税について少しお伺いをしたいと思います。

 まず、毎年、確定申告の際に、我々議員に、所得税及び復興特別税の確定申告についてというパンフレットが、配付をいただきます。質問、四番目からいきますので。この中で、選挙運動に関して受けた収入は課税されませんということがあります。

 これはなぜ課税されないのかということについてお伺いしたいんですが、例えば旧文通費も非課税で、これも国会で議論がありました。しかし、旧文通費が非課税であるのは、いわば政治活動の経費的な扱いであるという当時の答弁もある。選挙運動に関して、なぜ非課税なのか。これ、度々問題になるのは、選挙運動の際に余ったお金が誰に帰属をするのかということもありまして、この課税関係がどうなるのかということもやはり大きく左右するわけです。

 なぜ非課税なのか、その点、御説明をお願いします。

青木政府参考人 お答えします。

 公職選挙法の適用を受ける選挙に係る公職の候補者が選挙運動に関し贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で、公職選挙法に基づく選挙運動に関する収入及び支出の報告書が提出されたものについては、個人からの贈与は相続税法により、法人からの贈与は所得税法により、それぞれ非課税とされております。

 その理由につきましては、それぞれの規定の創設時、相続税法では昭和二十五年から、所得税法では昭和二十七年なんですけれども、選挙の公共性に鑑みて非課税とするというふうに整理したものであると承知しております。

稲富委員 ありがとうございます。

 ちょっとここも議論すると多分長くなるんですけれども、では、公共性だけでそれを言えるのかという、非課税でいいのかということは、非常に議論があるところかなと思いますね。かつてそれは設けられた立法趣旨ということでございますけれども、それは公共性一言で、じゃ、非課税ということが言えるというのはなかなか難しいなというのが率直な思いです。

 そこで、次に、この同じパンフレットで、このような説明がございます。政党から受け取った政策活動費は雑所得の収入金額になるので、所得金額の計算をする必要がある、政治資金に係る雑所得の金額は、年間の政治資金収入から政治活動のために支出した費用を控除した額であり、課税対象になるということでございます。

 仮に、申告をする場合、領収書がないにもかかわらず、これは政治活動のために支出した費用であるといって収入からその分を控除した場合に、それは認められるのかどうか、その点をお伺いをいたします。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、政治資金につきましては、それが政治家の関連政治団体、又は政治家個人のいずれに帰属するかによりまして課税関係が異なるため、個々の事実関係を精査する必要がございます。

 その上で、一般論として申し上げますと、政治資金が政治家個人に帰属する場合には、雑所得の収入として取り扱われ、一年間の総収入金額から必要経費として政治活動のために支出した費用の総額を差し引いた残額が課税の対象となるということでございます。

 なお、必要経費の判断に当たりましては、単に領収書等の書類の有無のみで必要経費となるかどうか判断するのではなく、その支出の事実の有無及び当該支出が必要経費に当たるかどうかの検討を行うこととしております。

 いずれにいたしましても、申告納税制度の下では、まずは納税者の方々において御自身の収入や必要経費を計算していただくこととなりますが、その上で、国税当局におきましては、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどいたしまして、適正、公平な課税の実現に努めているところでございます。

稲富委員 つまり、申告納税なので申告をして、それで実態で判断をする、そういうことかなと思います。

 次に移りますけれども、相続税、贈与税の括弧二番のところを質問いたします。

 政治団体間の資金移動については、税金はかかりません。これは、伊東先生が相続のことを御質問されました。その際に、資金を有する政治団体を家族が引き継いだ場合、これは個人ではない、団体間の引継ぎであり、個人ではないので、相続税がかからないということでありました。同じく、贈与についても同じ考えかなと思います。

 しかし、一般に考えれば、例えば事業承継を考えると、普通の民間企業であれば、親の事業を承継しようとする場合、普通は株式相続をする。その際、株式の評価額が高いと、事業から、収益では払えない相続税負担が発生することがある。相続税のために事業承継がうまくいかないこともあるという中にあって、団体であるからということで、個人ではないからかからないという理屈で果たしていいのかというふうに思うわけです。

 先ほどありましたけれども、実態で判断をするということからすれば、実態からすれば、相続についても実態で判断すれば、誰がその政治資金を引き継いでいるかということは明らかになる場合であって、それを、その場合は形式的な、形上、団体間であるから課税はしない。でも、実態を見れば、明らかにこれは個人の相続ではないかと言われる場合がやはりあると思うんです。

 実態判断ということであれば、実態判断を、この政治団体間の相続、あるいはその資金移動についても当てはめるべきじゃないかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げますと、相続税と贈与税は、個人から相続又は贈与等により財産を取得した場合に課される税でございまして、政治団体は個人ではないことから、政治団体が他の政治団体から寄附を受けたとしても、相続税や贈与税の課税関係は生じないということでございます。

稲富委員 なので、実態としてどうなのかということを考えるべきじゃないかということを申し上げましたけれども。

 形式上、団体の人間であるからということで、先ほどおっしゃいました、実態で課税関係を見ると、所得の場合は。であれば、この相続の場合も、実態としてその人が、誰が引き継いでいるのかということを実態として見たものに基づいて相続税を考えるべきじゃないかということを申し上げているんですが。

 その点、もう一度御答弁をお願いします。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 政治団体に帰属する財産は政治団体の財産でございますので、個人の財産ではないということで、相続税又は贈与税の課税関係は一般的には生じないということでございます。

稲富委員 それでは、団体を解散した場合、解散した場合のその団体が持つ資産は誰に引き継がれるか。個人が持った場合は、この場合は課税関係はどうなるんですか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 政治団体が解散された場合の残余財産の課税関係につきましては、その残余財産の帰属先に応じて異なるということでございます。

 その上で、一般論として申し上げますと、残余財産が個人に帰属する場合には所得税の課税関係が生じることとなり、こうした取扱いは、当該納税者が政治家であるか否かに関わらず同様でございます。

稲富委員 残余の財産があれば、政治家とかそういうことに関わらず、個人に帰属する場合には課税関係が発生する、そういう御答弁だったと思います。

 先ほど、政治団体間の資金移動、それが事実上家族間での相続に当たるような場合というのはある、あり得るわけでございまして、先ほどおっしゃったような、実態で判断をしていくということが私は必要だと思うんです。

 それで、時間がもう少しで、最後となるかと思います。

 ちょっと政治と課税とはまた別の話題でございますが、先日、日産自動車が賃上げ優遇税制を利用する資格を失ったという報道がございました。賃上げ優遇税制を利用するに当たっての要件を失ったということかと思います。公取から下請法違反で勧告を受けたことに伴いということがございますが、この賃上げ優遇税制の利用を失う、その具体的、今回の内容、あるいは、どのような場合にどれぐらいの期間失うのかということを御説明お願いします。

菊川政府参考人 今委員から御指摘ありました報道についてですが、報道についても承知しておりますし、また、日産自動車が公正取引委員会における下請代金法に基づく勧告を受けた点についても承知をしております。

 その上で、個別の企業の税制の適用状況等について、個別についてのお答えについては差し控えたいと思いますが、その上で申し上げますと、賃上げ促進税制の仕組みといたしまして、下請代金法に基づく勧告を受けた事業年度については賃上げ促進税制の適用は受けられないということになってございます。

 賃上げ促進税制の現行の仕組みをもう少し具体的に申し上げますと、資本金十億円以上かつ従業員一千人以上の法人が賃上げ促進税制の適用を受けようとする場合には、マルチステークホルダー方針というものを自社のホームページに公表することが必要になってございます。

 その方針におきましては、パートナーシップ構築宣言ということを公表している旨の記載が必要でございまして、下請代金法に基づく公正取引委員会の勧告が行われた場合には、そのパートナーシップ構築宣言の掲載を取りやめることとなっております。そして、その掲載取りやめ後一年間経過しなければ再掲載できないことにもなっております。

 このため、マルチステークホルダー方針も一年間公表できないというところでございまして、下請代金法に基づく勧告を受けた当該事業年度については賃上げ促進税制の適用が受けられないことというふうになってございます。

稲富委員 どうも御説明ありがとうございました。

 以上で終わります。

津島委員長 これにて稲富君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の伊東信久です。

 本日は、旅費法に関する質疑ということで、国費の適正な支出を図るという趣旨ですので、基本的に我が党としても賛同しますけれども、幾つか御指摘したいと思います。

 現在の旅費法では、定額で宿泊料を払うということで、資料一を見ていただくとお分かりですけれども、場所の区分に関して、指定都市、甲、乙、丙とありまして、指定都市は、ニューヨークとか、今度大臣が行かれるワシントンであったりとか、ロンドンとか、宿泊料が高い。丙ですと、宿泊料が安い地域。公務員の方も区分されていて、大臣級は金額が高い。内閣総理大臣が指定都市に宿泊した場合は四万二百円。二級以下ですと、ニューヨークに泊まっても一万六千百円というところが資料一に示されております。

 改正によって、実費で上限つきとなっているというのが、本日もこの委員会で指摘されているところなんですけれども、まずは上限の金額の根拠。場合によって、急激な物価上昇とか宿泊需要によって、この話も指摘されましたけれども、こういうときは規定される上限を柔軟に引き上げる、こういった議論もされているんでしょうか。財務省にお尋ねします。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の宿泊料の上限となる基準額につきましては、具体的には政省令で規定することとなりますけれども、まずは実勢価格の調査を行いまして、その結果を踏まえて適切な水準に設定する方向で検討しております。また、毎年度、実勢価格等を確認した上で、必要に応じまして、上限となる基準額の見直しを行うことを想定しております。

 急激な物価変動等の御指摘もありましたけれども、上限となる基準額を超える場合のうちの一定の場合につきまして、現行の運用を踏まえまして、各府省の旅行命令権者の責任の下で、個別の財務大臣協議手続を経ずに対応することができるようにすることも併せて検討しております。

 具体的には、旅費業務の効率化に向けて、全省庁で一体的に取り組むために設けられました旅費業務効率化推進会議で令和五年九月に決定されました旅費業務プロセスの改善方針におきまして、外国旅行の場合には、在外公館が作成するホテルのリストに基づき、旅行者が職階の区分に応じたホテルを簡易に選択できるような方法を導入するとされております。

 これを踏まえて、当該リストに記載されたホテルにつきましては、価格の季節変動等によりまして上限となる基準額を超えた場合でも、個別の増額協議の手続を経ずに旅費を支給することを可能とする仕組みを検討しておりまして、詳細については、今後関係府省と調整して運用に当たりたいと思います。

伊東(信)委員 今の答弁で、各府省庁で検討できるということですよね。

 一方で、現行法の第四十六条二項において、各庁の長は、旅行者がこの法律又は旅費に関する他の法律の規定による旅費により旅行することが当該旅行における特別の事情により又は当該旅行の性質上困難である場合は、財務大臣に協議して定める旅費を支給することができるとなっていまして、この点に関しては改正後も変更がないということですけれども、やはりそうなると、一つの手間にもなり、効率的ではないと考えるんですけれども、効率化を目指すのであれば、財務省に協議の交渉を図ることなく、この点も各庁の長の裁量によっての実費弁済が可能になるという、そういった運用の変更は、財務省、検討されていませんでしょうか。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の旅費法は、公務のための旅行をするに際し支給する旅費に関して一般的な基準を定めておりますけれども、特別の事情によって所定の旅費で旅行することが困難な場合には、必要に応じ財務大臣への協議を行うことにより所定の旅費を支給することとされております。

 その上で、これまでも、特に外国宿泊料につきましては、最近の為替、物価の変動により法定額を超過する事例が増加してきましたことを踏まえまして、現行の運用におきましても増額調整に係る包括協議の締結や個別協議の事務手続の簡素化をかねてより行っておりまして、法制度との整合性を確保しつつ、事務負担の軽減を図ってきたところでございます。これにつきましても、制度としては残りますけれども、この運用方針若しくは方向性については変更を加えないで、簡素化してまいりたいというふうに思います。

 今後、やや繰り返しになりまして恐縮ですけれども、宿泊料につきましては、具体的には省令で定めることとなりますけれども、原則実費支給とした上で、やはり冗費節約の観点から、支給の上限となる基準額は設定させていただいた一方で、上限となる基準額を超える場合の対応については、現行の運用も踏まえつつ、一定の場合には、先ほども申し上げたとおり、例えば、外国旅行の場合で在外公館が作成するホテルのリストに基づき旅行者が職階の区分に応じホテルを選択した場合には、価格変動等により上限となる基準額を超えた場合でも、各府省の旅行命令権者の責任の下で、個別の財務大臣協議の手続を経ずに旅費を支給することができるように仕組みを検討しておりまして、各府省とともに調整してまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 検討するということに関して答弁をいただいたと思いますけれども。

 であれば、実費支給方式にしたときに、では、どんなところで問題点があったり、疑義が生じるかというところになります。

 細かいことになりますけれども、宿泊料金自体が、大体相場というのはあるじゃないですか、もちろん日本においてもインバウンドとか、私も海外に行ったときにもそういったところを感じるときがあるんですけれども、相場以上のものであったりとか、また、場合によっては、先ほども日当の話でも出ましたけれども、食事とかは必要だと思いますけれども、不必要な条件が宿泊施設に、宿泊料に全部合算されますから、領収書とかを見ても。

 だから、こういったところは当然防がなければいけなくて、財政制度審議会とかでも令和六年度予算の編成等に関する建議の中でも、説明責任や透明性を確保し、不正防止、冗費節約の観念が損なわれないための新たな仕組みについてと書いてあるんですけれども、その新たな仕組みについて、政府ではどのような検討を行っているでしょうか。これは財務大臣にお尋ねします。

鈴木国務大臣 先ほど来、主計局の次長から答弁をしているところでありますけれども、今回の旅費制度の見直しにおきまして、これまで定額で規定されていた宿泊料などを実費支給することを想定しております。これによりまして、旅行の実態に即した旅費の支給が担保される一方で、一定程度、自由度が増す面もあることから、より一層適切な支給を担保していく必要があると考えます。

 このため、旅費法の規定に違反をして旅費の支給を受けた旅行者に対して旅費の返還を求めるとともに、旅行者の給与等からの控除を可能とする規定を新設することで、不正受給の発生を抑止するとともに、仮に不正受給が発生した場合には厳格に対処してまいりたいと考えております。

 また、今回の見直しにより、運用面における各府省の裁量も拡大することを踏まえまして、財務大臣が各庁の長に対して、法律の執行状況に関する資料や報告を求め、実地監査を行い、会計法上求められている閣議決定を経ることなく必要な措置を求めることができるようにすることで、適正な執行の確保を図っているところであります。

 御指摘の財政制度等審議会の建議にもあるように、こうした仕組みの導入によりまして、旅費の不正防止、冗費節約に一層努めることを通じて、今後とも国費の適正な支出の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 今までの反省を踏まえてということなんですけれども、今まではいわゆる旅行命令簿というのがありまして、今回の財政審議会では、こういった様式を廃止しというところなんですけれども、デジタル化を進めることによって効率化も進めるし、そういった不正防止にもなるというところなんですけれども。

 ちょっと、まず整理のために、紙ベースによる旅行命令簿及び旅行依頼等の現行の様式というのは、今までは各省庁でどのように運営、管理されていたんでしょうか。これは財務省にお尋ねします。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 現行法におきましては、旅行命令簿の様式を定めた上、旅行命令権者が旅行命令を発する場合、旅行命令簿に用務先、期間等の事項を記録し、旅行者に提示して行うことが予定されておりました。こうした法令上の規定がある中で、現在、財務省を含めた多くの省庁におきましては、旅費システム上、旅行命令権者が必要事項を旅行命令簿に記録し、旅行者に提示する形での処理を行っておりますが、旅行命令簿を出力する際に法令に定められた様式で出力されるようにするなど、システムの機能を旅行命令簿の様式に合わせる必要が生じております。

 このため、デジタル化が進展する中で、今回の見直しにおきましては、旅行命令簿の様式を廃止いたしまして、旅費に関する一連の手続をシステムによるデジタル処理を前提としたものに移行いたしまして、手続の簡素化を図ってまいりたいと考えておるところでございます。

伊東(信)委員 よくぞ今まで改善せずにいたものだなと逆に思ってしまうんですけれども、まあ、改正の、こういった法律の時期というのはあると思うんですけれども。

 このデジタル化というのは、この共通化に関してはデジタル庁が担うものでしょうか。また、これによって各省庁の手間がどれぐらい減るか、こういった試算はされているでしょうか。これはデジタル庁にお聞きします。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 デジタル庁にて整備、運用を行っています旅費等内部管理業務共通システム、英語名表記を省略しましてSEABISと呼んでおりますが、これは、旅費、謝金・諸手当、物品管理の三業務を対象とした、全省庁向けに提供するシステムでございまして、現在、一部の行政機関を除き、約四十万人が利用可能となっております。

 今後、当法律改正案が成立いたしましたら、宿泊料等の実費支給化、日当の見直しのほか、旅行命令簿を含む各種様式の廃止等のシステム改修作業を速やかに行う予定でございます。

 旅行命令簿の様式の廃止につきましては、国家公務員独自の様式にとらわれず、省令で定める記載又は記録事項を分かりやすくシステム上に表示されるよう改修を行いまして、これにより、確認者、承認者等の業務効率化が図られるものと期待しております。具体的な金額というものは、申し訳ございませんが、算出はしてございません。

 また、将来のシステム開発におきましても、これまでの旅行命令簿の様式にシステムの機能を合わせる必要がなくなることから、民間事業者がSaaS等の形で提供する利便性の高いサービスの活用等を通じまして、ユーザーインターフェースの一層の改善や更なる業務の効率化が期待できるものと考えておるところでございます。

伊東(信)委員 紙のフォーマットがあって、それに書き込んで、各省庁がそれをまた、恐らくエクセルとかを使ってやると思うんですけれども、それをデジタル化して、デジタル庁が一元にそういった様式を管理すると、当然、効率化というのは図られるとは思うんですけれども、やはり、私自身もやはり理系で、エビデンスに基づいてほしいので、当然やと思わずに、当然のことを証明するのも大事なので、そういったところも検討していただいたらと思います。また、本当に、今後のためにもと思います。

 今回の法案というのは、当然ながらというか、当然ながらという言い方はおかしいな、国家公務員の旅費についての規定なんですけれども、やはりこれが地方公務員の旅費等の扱いについて影響を与える。直接的な適用ではないんですけれども、やはり地方自治体においてもこの旅費法を参考に条例を作成している例もございます。

 この旅費法を参考にして地方自治体が条例の変更やシステムの改修を行うとしても、やはり自治体の規模ではかなり苦労されるところもあると思います。行政の窓口やシステム改修に伴う、ここは、内容に関しては、各論に関しては総務省に尋ねるところなんですけれども、総務省ではなく、行政の窓口やシステム改修を行う等に関して予算支援とか、財務省としては何か考慮をされているんでしょうか。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 旅費法は、国家公務員等の旅費について規定する法律でございまして、地方公務員の旅費に関しましては、それぞれの実情に応じ、地方自治体が条例等により規定しておられます。

 このため、旅費制度の見直しやそれに伴うシステム改修につきましては、各地方自治体の自主的、自立的な判断において対応されるものと承知しております。

 一方で、地方自治体の中には国家公務員等の旅費制度を参考にしているところもございまして、地方公務員制度を所管している総務省とも連携いたしまして、必要な情報を提供するとともに、相談があった場合には適切に対応してまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 こういったところの窓口をしっかりと国でも地方のためにやっていただきたいなと思いますので、管轄するのは総務省なんですけれども、財政の面、経費の面に関してはやはり財務省が担ってはるので、お願いしたいと思うんですけれども。

 国家公務員の旅費の話に関して、実費であるところは賛同するというところに関しては共通の認識があると思うんですけれども、じゃ、我々議員はどうなんだという話にもやはりなりますわね。

 先ほど立憲の稲富議員が文書交通費の話に及んでいただきまして、これは税金がかからない、なぜならば経費だからと。だけれども、ここに定額という概念と実費という概念、つまり、いわゆる領収書の添付とか報告とかというのがないです。そもそも前受けですし。

 さて、岸田総理は、三月二十七日の参議院の予算委員会で、これは資料二に添付しているんですけれども、四月三日のときの、政調会長が党の会合で強調して、三月二十七日、これは我が党の東参議院議員の質疑なんですけれども、党の考え方を整理し、議論に参加したいと述べられているんですけれども、新聞なので、何か、冷めた目と書いていますけれども、別に冷めた目じゃないので、これは新聞が書いていて、我々が言っているわけじゃないんですけれども。

 内閣のお一人である財務大臣にお尋ねしたいんですけれども、やはり国会議員に対する改革をせずに公務員の皆さんにああだこうだ言っても説得力がないんですけれども、この旧文通費に関してのこういった総理の御意見を踏まえて、財務大臣としては、これが最後になると思いますけれども、どのようにお考えでしょうか、御所見をお伺いします。

鈴木国務大臣 旧文通費の在り方につきましては、ただいま伊東先生から御指摘のとおり、三月二十七日の参議院の予算委員会におきまして、岸田総理が総裁としての立場で、自民党としての考え方について整理し、議論に参加したい、こう述べられました。

 まさにこれから議論が始まるところであると思いますので、今この場でそのことについて私が財務大臣の立場でコメントすることは控えたいと思います。

 いずれ、新たに議論がされて、新たなルールが定まれば、それは、当然のことでありますけれども、そのルールに従ってまいりたいと考えています。

伊東(信)委員 時間となりましたけれども、やはり国民の信頼の回復のためにも、今政治と金の問題が指摘されているので、こういった経費の部分、税金のかかるような部分に関してはしっかりとこの国会で議論していきましょう。

 終わります。

津島委員長 これにて伊東君の質疑は終了いたしました。

 次に、掘井健智君。

掘井委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の会派の掘井健智でございます。

 ちょっと質問の順番を変えますけれども、お願いします。

 今朝、馬場委員からもリアル会議とオンライン会議の質疑がありましたけれども、オンライン会議ができるものはオンライン会議でした方がいいんじゃないのかな、こういう立場で質問していきます。

 昨晩、旅費法に関する報道がありました。ちょっと取り上げますけれども、NHKによりますと、自民党参議院議員の長谷川岳議員に政策などを説明するために北海道の幹部四人が東京に出張した際の費用が、去年一年間で五百五十万円に上ったということが報道されておりました。それは事実なんだと思いますけれども、報道されたということは、一般的にどうなのかなというようなものが背景にあるのかなと思っております。

 道はいずれも適切に業務を行ったということでありますけれども。国家公務員法の、適用対象とする今回の旅費法の改正でありますけれども、やはり後には地方自治体へ波及することがあるから、これは通告にないんですけれども、ちょっと大臣に、今回のこの出張、適正であるということでありますけれども、報道を御覧になりまして、感想をお聞かせいただけたら幸いです。

鈴木国務大臣 その報道は見出し程度しか見ておりませんので、ちょっとよく分かりませんけれども、恐らく、北海道庁として、オンラインでやった方がいいのか、それとも実際に人を差し向けてやらなければならないのか、その辺を考えて北海道庁で判断されたことである、そういうふうに思います。

 したがって、私がそのことがいい、悪いということはちょっと申し上げられないということであります。

掘井委員 ありがとうございました。

 我々維新の会は、徹底した行政改革、行政の無駄を削減するということを党是で挙げておりますけれども、私は、出張に代わってできる限りオンライン会議を利用すれば、行政コストを削減できると思っております。まず、オンライン会議の活用推進について質問をいたします。

 旅費、予算のシーリングを導入したらどうか、その可否について質問します。

 今、資料をお配りさせていただいておりますけれども、最近五か年間の旅費の推移という資料を見てください。この下の決算額の方でありますけれども、令和二年、三年で金額が大幅に減っております。これは、コロナ禍の影響であって、オンライン会議が普及したからだと読み取れます。しかし、コロナ収束後、令和四年度は決算額が今戻りつつあります。

 確かに、対面の方がいい場合、対面でなければいけない場合もありますけれども、その場合はもちろん出張を認めていくべきでありますけれども、しかし、やはりこういうオンラインができたわけでありますから、これで足りる会議もたくさん増えたのも今現実であると思います。

 そこで、行政の無駄を削減していくために、なるべくやはりオンライン会議で済ませて、そもそも出張を減らす努力をすべきではないのか、そして、実効性を高めるために、シーリング、枠というか上限というか、そういうことを設けるべきではないのかなと思いますけれども、大臣の所見を伺います。

鈴木国務大臣 まず、オンライン会議をなるべく活用すべきであるという御指摘でございますが、旅費法第四条第二項におきまして、旅行命令権者が旅行命令を発することができる要件といたしまして、「電信、電話、郵便等の通信による連絡手段によつては公務の円滑な遂行を図ることができない場合」と規定をしておりまして、この規定にある通信には、オンライン会議を含め、情報通信技術を用いる様々な通信方法が含まれておって、したがいまして、まずはオンライン会議等により公務の円滑な遂行を図ることができるかを確認し、それが困難とされる場合に出張を検討するものでありまして、まさに、オンライン会議の活用推進ということが念頭に置かれたものである、そういうふうに思います。

 その上で、旅費予算にシーリングを導入すべきではないかという御指摘であるわけでございますけれども、毎年度の予算編成におきまして、それぞれの経費の必要性等を精査しながら、予算の合理化、効率化に努めつつ、所要額について措置をしているところでありまして、国家公務員の旅費につきましても、各府省において、国内外における会議の開催状況や、先ほど申し上げましたオンライン会議の実態なども踏まえて、必要な予算を措置しているところでございます。

 一律のシーリングを設定するといったこと、これについては慎重な対応が必要である、今現在、シーリングの設定ということは考えていないということであります。

掘井委員 ありがとうございます。

 実際に、コロナ前とコロナ後を見ますと、大体半分ぐらいになっておるんですね。すごいですよね、経費で見たら。また、今後、実費支払いということになりますと、今までは外務省ですよね、海外の、外務省職員に自腹を切っていただいた海外の宿泊費についての決算がやはり増加するということも見込まれます。オンライン会議で代用できるものは代用して、やはり極力経費を削っていった方がいいのかな、そんなふうに思っております。

 次の質問であります。オンライン会議の活用推進と文言の修正の可否について質問します。

 財政制度等審議会の建議では、「財政規律の担保やオンライン会議の活用を含めた業務の効率化を進めることを大前提とした上で、国家公務員の旅費制度の在り方として、旅費の適切な実費弁償を図る。」ということがあります。つまり、オンライン会議で済む場合にはオンライン会議で実施せよ、こういうことが前提にあると思うんですね、この建議を見ましたら。

 しかし、出張可能な要件を定める法案四条です。その二項は、現行法と文言が一字一句全く同じなんです。ちょっと読みますけれども、「電信、電話、郵便等の通信による連絡手段によつては公務の円滑な遂行を図ることができない場合」、これは昔と全然変わっていないんですね。

 それで、ここにオンライン会議ということを入れてみてはどうでしょうかという提案であります。これは本当に古い条文で、昭和の条文そのままでありますけれども、令和時代の新しい技術を読み込んでいく、せっかくの大改正でありますから、きちんと新しい文言を入れてみたらどうでしょうかということであります。

 確かに、オンライン会議の文言を明記する法律はないようでありますけれども、一昨年改正された民事訴訟法の八十七条の二、この第一項はこう書かれております。双方が映像と音声の送受信により相手側の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法と記載してあるんです。ウェブ会議を認めておるというふうに解釈できます。

 同じように、この改正法案にはオンライン会議と想起できる文言を入れた方が、この建議の問題意識により合致すると思います。また、国民から見ても、法案の趣旨にあるように、経済社会情勢の変化に対応する法改正だと一目瞭然になるのではないでしょうかということで、この条項にオンライン会議を想起できる文言を入れてはどうでしょうか。大臣の見解をお伺いします。

鈴木国務大臣 先ほど申し上げました旅費法第四条第二項におきまして、旅行命令権者が旅行命令を発することができる要件として、「電信、電話、郵便等の通信による連絡手段によつては公務の円滑な遂行を図ることができない場合」と規定をされておりまして、先ほど申し上げましたとおり、この通信の中にはオンライン会議ということが含まれている、そのように解釈をしているところでございます。

 したがいまして、今のこの第四条二項の中でも、そうしたオンライン会議というものは、推進、活用ということも含まれている、そのように解しておりますので、あえてオンライン会議という文言を特に追加する必要はないものと考えているところであります。

掘井委員 入れた方が分かりやすいかなと思った質問でありました。分かりました。

 次の質問であります。法律の簡素化と委任立法について質問をいたします。

 改正法案では、旅費の計算等に係る規定が簡素化されるということであります。現行法は、条文の数が四十八条、しかも別途別表で具体金額の指定と、詳細まで規定しております。一方、この今回の改正法案は十二条で、前と比べますと四分の一ぐらいの量なんです。大部分は財務省令へ委任されるということであります。

 現行法は、この法文の記載事項が細か過ぎるようにも思えたのが率直な感想でありますが、ただ、この趣旨は、国家公務員の旅費について法定事項とすることで、やはり国会を通じて国民の目に見えるようにして、旅費に関する国家公務員のお手盛り、仮にね、お手盛りを防止するようなこと、冒頭に指摘しましたけれども、こういう事項が細かい、立法趣旨のそもそもであったのかなと推測をしております。

 以上からしますと、この詳細規定が法律から政令へ委任されること、この適否は、国民の目に見えるようにして、旅費に関する国家公務員のお手盛りを防止する担保がされているかどうかということが重要になるのかなというふうに思っております。

 今回の改正法案では法律が簡素化されまして、多くを政令に委任されます。お手盛りにならないように、適正な運用がどう担保できるのか、この旅費に関する国家公務員のお手盛りを防止するためにどのような担保がなされておるのか、お伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 今回の法改正に関する政令等におきましては、国費の適正な支出を図るため、旅費の種類及び内容に係る規定を設けることとしておりますが、その制定に当たっては、何か役所で勝手に決めるということではなくて、広くパブリックコメントを実施をして意見を求めることとしております。

 また、財務省ホームページ等で政令の内容を含めた今回の制度見直しの趣旨、内容を掲載をするということで、国民の皆様方に対して広く説明をしっかりと果たしてまいりたいと考えているところでございます。

 今回の見直しにより各府省の裁量も拡大することを踏まえまして、財務大臣が各庁の長に対して、法律の執行状況に関する資料や報告を求め、実地監査を行い、会計法上求められる閣議決定を経ることなく必要な措置を求めることができるようになっておりまして、お手盛りというような批判を招くことがないよう、適正な執行の確保を図ってまいります。

掘井委員 時間がないので、よろしくお願いしますということで、次の質問をします。

 現行の体制の検証ということで、行政の無駄は極力削減すべきであると。そもそも現行の体制でこういったお手盛りをしっかり防止できていたのかという検証も必要だと思うんです。

 この旅費法と財政法の役割分担について質問したいと思います。

 財務省のレクでは、例えば、昨日に出発しました岸田総理のアメリカ滞在中の宿泊代は、旅費法ではなくて財政法に基づくと伺いました。契約主体が国家公務員個人の場合は旅費法、国の場合は財政法の規律を受けるそうでありますけれども、そこで、契約主体の違いで適用法が違う、この理由をいま一度お伺いしたいと思います。

赤澤副大臣 財政法や会計法は、国の財政や会計に関する基本的事項を定めた法律でございまして、旅費法は、国家公務員などの旅費に関する諸般の基準を定めた法律です。

 旅費については、旅行者個人が契約、支払いを行ったものに対して国が費用弁償を行うという、前提が立替え払い、実費弁償、そういう前提に立っております。国が直接契約を行う、今先生が御指摘の一般的な他の会計事務とは性質が異なるため、その性質に応じた基準を旅費法として規律したものと考えております。

掘井委員 分かりました。

 私もレクを受けるまでは、総理の海外の宿泊費などは官房機密費なんかでやっているのかな、計上しているのかなと思っておりましたけれども、財政法上の庁費に計上されているということが分かりました。少し細かいことでありますけれども、このようなことも委員会で明らかにしておくことが非常に大事かなと思っております。

 ただ、財政法の適用を受ける場合には、やはり国民が監視できないようにもちょっと見えるんですね。以前、二〇〇九年、大分古い話でありますけれども、当時の中川昭一財務大臣の釈明記者会見がありました。飛行機、チャーターなどで合計六千万円支出したということが報道されたりしましたけれども、もちろん財政法には、現行旅費法のように、官僚の宿泊費の具体的金額まで明記はされておりません。

 一般公務員が旅費の規律を受けてしっかりやっているという中、政治家が財政法という別の法律を使って旅費法をくぐり抜けて、お手盛りしているとしたら、これは問題でありますけれども、この辺、財務省が所管する財政法の一般論として、財務大臣としてどうお手盛りの防止のための措置を担保していくのか、また、しておるのか。また、執行官庁である、具体的に、財務大臣が海外に出張する場合には、どうやってお手盛りということを防止するための措置を担保できるんでしょうかという、そのお考えを聞かせていただきたいと思います。

赤澤副大臣 旅費法とは別の財政法の下で規律されている部分についてというお尋ねでございますけれども、国の契約全般については一般競争入札が原則とされておりまして、会計法の規定で、予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもって申込みをした者と契約するなどと規定されておりますし、それを受けた予算決算会計令等で、予定価格を決めることとか、予定価格について適正に定めることなどが規定されており、随意契約を締結する場合も同様でございます。そういう意味では、国が契約を締結するに当たっては、予定価格を定める、そしてまた適正に定めなければならないといったことは規定されています。

 その上で、財務大臣の海外出張に伴う航空機の利用については、これも定期便を利用することを原則とするという考えによっておりますし、また、公費の適正な支出を確保する観点から、国会審議を始めとする公務の日程上、定期便では適当な日時の便が確保できない場合などに限りチャーター機を利用するとの内部規定などを整備して、これに基づく運用を行っているところでございます。

 実際には、チャーター機を利用するに当たっても、複数の事業者から見積りを徴取した上で適正な予定価格を定め、その範囲内で最も経済的となる事業者と契約するなど、限られた予算を適正に執行するように取り組んでいるところでございます。

掘井委員 時間が来ました。細かい話でありますけれども、こういった公の場で説明することが非常に大事かなと思っております。

 ちょっと質問を残しましたけれども、また別の機会でさせていただきます。ありがとうございました。

津島委員長 これにて掘井君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 国家公務員旅費法について質問します。

 定額支給から実費支給に法案では改正します。不正請求の防止の観点から、第十条では、規定に違反した者に対して支給された旅費の返還を求め、給与又は旅費の額から差し引くことができる規定が新設されます。

 本人の意思にかかわらず給与から差し引くことは、給与全額支払いの原則が不当に侵害されるおそれがあるため、原則禁止であります。労働基準法でも、所得税や社会保険料など法令で定められる場合や、労使協定を結んでいる場合に限定されています。給料等から差し引く規定はかなり限定的な条件に適用するべきだというふうに考えますけれども、適用の基準をどのように考えていますでしょうか。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 一般職の職員の給与に関する法律第九条におきましては、給与の全額払いの原則が定められておりまして、給与等からの控除は認められておりませんが、人事院規則九―七におきましては、法律等で認められた場合には例外的に給与からの控除を行うことが可能とされております。

 この点、現行の旅費法におきましても、給与の全額払いの例外といたしまして、旅費の概算払いを行い、過払い金が発生している場合などには給与等からの控除が義務づけられております。

 これに加えまして、改正後の旅費法におきましては、旅費法の規定に違反して旅費の支給を受けた旅行者等に対しまして、当該旅行者の給与等から控除を可能とする規定を設けております。

 したがって、本規定が給与の全額払いの原則に反するといった御指摘には必ずしも当たらないと考えております。

田村(貴)委員 改正案十一条では、財務大臣に、本法律の執行状況を把握するため、各省庁に対して報告徴求や実地監査する権限を新たに付与しています。

 財務大臣の監査のための業務負担が過剰になりますと、これは、本改正案の目的にある簡素化に反することになりはしないでしょうか。どのような条件で実地監査を想定しているのか、過度な業務負担を各省庁の会計担当に求めることが起こらないような歯止めはあるのでしょうか、説明をしてください。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の見直しにより、運用面における各府省の裁量も拡大することを踏まえまして、改正後の旅費法におきましては、財務大臣が各庁の長に対しまして、法律の執行状況に関する資料や報告を求めまして、実地監査を行い、必要な措置を求めることができるように規定を設けております。

 御指摘の実地監査につきましては、旅費の不正受給があった場合などに必要に応じて行うことを想定しておりまして、定期的に実地監査を行うことは想定しておりません。

 国家公務員の働き方改革に資する事務の負担軽減や業務改善を図ること自体は今回の法改正の目的の一つでもありまして、実地監査の実施がこうした目的に反することのないよう、運用に当たっては職員の事務負担に配慮してまいります。

田村(貴)委員 本改正で、旅費の種類や支給額、支給方法等については法律から削除されます。代わって政令に書き込まれる内容が適切で合理的な基準かどうかが非常に重要になってまいります。

 そこで伺います。

 条文には、各種旅費には上限を設け、実費支払いとなるというふうに書かれていますけれども、この上限をどのように決めていくのでしょうか。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 宿泊料の上限となる基準額につきましては、具体的に政省令で規定することとしておりますけれども、実勢価格の調査を行いまして、その結果を踏まえて適切な水準に設定することを想定しております。また、毎年度、実勢価格等を確認した上で、必要に応じ、上限となる基準額の見直しを行うことも予定しております。

 その上で、改正後の旅費法におきましても、引き続き、オンライン会議等の手段では公務の円滑な遂行を図ることができない場合で、かつ、予算上旅費の支出が可能となる場合に限り旅費命令等を発することができる旨や、最も経済的な通常の経路及び方法により旅行した場合の旅費により計算する旨を規定しておりまして、各府省において旅費法の趣旨をしっかりと踏まえていただき、冗費が生じないように適切に運用することとなろうかと考えております。

田村(貴)委員 冗費が生じないようにということですね。

 交通チケットとか、それから宿泊費については、これはもうインターネット上で様々なサイトが安値を競争しています。また、先ほど稲富議員からもありましたけれども、イベントが大がかりで行われたり、あるいは季節によってはこの価格が大きく変動してまいります。

 旅費法では、旅費計算について、最も経済的な通常の経路及び方法により旅行した場合と書かれています。実費支給とした場合、常に最安値を求められても、価格は日々変わっているため、これは事実上困難ではないでしょうか。

 実費の旅費の計算の考え方について、説明をしてください。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 旅行経路の決定につきましては、改正後の旅費法第六条におきまして、最も経済的な通常の経路及び方法によって計算することとされております。

 その上で、最も経済的なということについてでございますが、必ずしも最も安価なものに限らず、公務の円滑な運営のため、時間コストも含めて判断すべきものであり、当該旅行における公務の内容及び日程並びに旅費総額を勘案して、各府省において適切に判断されることとなります。

 例えば、宿泊料につきまして、具体的には政省令で規定することとしておりますが、各府省の旅行命令権者の責任において、上限となる基準額の範囲内で、用務先までの所要時間や設備、安全性などといった公務上の必要性も勘案しつつ、適正なホテル等の選定を行うこととなります。

 いずれにせよ、最も経済的な通常の経路及び方法を追求し、国費の適正な支出を確保しつつも、事務負担の増大につながることのないよう、運用に努めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 次の質問です。

 先月二十六日、犯罪被害者給付金の支給対象に事実婚状態の同性カップルが含まれているかどうかが争われた訴訟の上告審判決がありました。最高裁判所は、同性パートナーも事実婚パートナーに該当し得るとの判断を初めて示しました。

 この裁判所の判断について、簡単に説明していただけますか。

江口政府参考人 お答えを申し上げます。

 犯罪被害者の遺族などに給付金を支給いたします制度であります犯罪被害給付制度におきましては、犯罪被害により亡くなった方の配偶者などが給付金の支給を受けることができることとされているところでございますが、この配偶者には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含むことが規定をされているところでございます。

 お尋ねの最高裁判決におきましては、犯罪被害給付制度の目的を踏まえると、亡くなった犯罪被害者と事実上婚姻関係と同様の事情にあった者には、異性の者だけではなく同性の者も含まれ得るとの判断が示されたものでございます。

田村(貴)委員 同性パートナーも事実上のパートナーという判断であります。

 警察庁に再びお伺いします。この最高裁の判断を受けて、どのような対応を行いますか。既に行っていますか。

江口政府参考人 お答えを申し上げます。

 警察庁におきましては、犯罪被害者等給付金の裁定事務を担う各都道府県警察に対しまして、今申し上げた最高裁判所の判決内容を周知するとともに、死亡した犯罪被害者と同性であったことのみを理由に不支給裁定をすることがないよう、文書を発出したところでございます。

 引き続き、犯罪被害給付制度に関して、事案に即して適正な運用が行われるよう、都道府県警察を指導してまいる所存でございます。

田村(貴)委員 分かりました。警察庁は既に最高裁の判断を周知徹底するということでありました。

 犯給法と同様に、事実上婚姻関係と同様の事情にある者と定める法令は二百三十あるというふうに聞いています。

 内閣府にお尋ねします。政府は、当然、それぞれの法令で同性パートナーを含めるかどうかを洗い出す必要があると思いますが、どのような対応を行っていきますか。

由布政府参考人 お答え申し上げます。

 多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる誰一人取り残さない社会の実現は、非常に重要なものであると認識しております。

 本件判決を受けました各制度における同性カップルの取扱いにつきましては、それぞれの制度を所管する各府省庁において、本件判決の趣旨等を踏まえ、各制度の趣旨、目的等に照らし、精査されるものと承知しております。

田村(貴)委員 昨年成立の性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律では、基本理念に、その性的指向及びジェンダーアイデンティティーにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、不当な差別はあってはならない、共生する社会の実現に資することを旨として行わなければならないと定めています。今、説明の中にもありました。

 国は、国民の理解の増進を進める義務があります。実施の努力をしなければならないと書かれています。最高裁判所判断で新しい認識が先月示されたのですから、それに応じた法律の施行に国は責任を負うべきではないでしょうか。内閣府がやはり率先してやっていかなければいけないと思いますが、いかがですか。

由布政府参考人 お答え申し上げます。

 本件判決につきましては、犯罪被害者等給付金という個別の制度についての判断がなされたものと承知しております。

 いずれにいたしましても、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる誰一人取り残さない社会の実現に向けまして、関係省庁と連携しながら、しっかりと取り組んでまいります。

田村(貴)委員 配偶者の規定、そして、同性パートナーがどうなっていくのか、これは非常に大事な問題ですよ。

 旅費法に戻ります。

 国家公務員旅費法改正案の第二条に、配偶者についての定義があります。事実上の婚姻関係と同様の事情にある者を含むと書かれています。この旅費法では、配偶者に関して、どのような旅費の種類が該当していくのでしょうか。説明をお願いします。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 旅費法におきましては、配偶者の定義について、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むとしております。

 職員の配偶者を対象として支給される旅費といたしましては、例えば、職員の赴任に帯同するための引っ越し費用である移転料や、配偶者自身の移転先までの交通費等である扶養親族移転料、職員が外国で死亡した場合の遺体引取り費用等に充てる死亡手当などがございます。

田村(貴)委員 そうですよね。移転料、それから死亡手当、扶養親族移転料、こうしたものが関わってくる、範囲に入ってくるということであります。

 例えば、旅費法において、配偶者に係る規定には、職員の海外赴任中に死亡したケース、それから、赴任に当たって同行する家族の旅費が該当します。不幸にして、例えば、赴任中に死亡された場合、今説明があったところの手当とかが関わってくるわけであります。同居の方、あるいは配偶者の方に精神的、経済的打撃を与えるケースも往々にして考えられてくるというふうに思います。犯給法は、遺族らの精神的、経済的打撃の早期軽減という判断がありましたけれども、旅費法においても、この精神的、経済的打撃の早期軽減というのは同じではないかというふうに思うわけであります。

 財務大臣、同性パートナーも事実上のパートナー、この最高裁判所の判断に基づいて、国家公務員旅費規定もしっかりとこれを捉えて適用していくべきではないかと思いますけれども、大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 旅費法におけます配偶者の定義につきましては、ただいま主計局次長から答弁があったとおりでありますが、現在、民法においては、婚姻の当事者である夫婦とは、男性の夫と女性の妻を意味するとされ、いわゆる同性婚は認められていないものと承知をしております。

 旅費法では、民法におけるこの婚姻の定義を踏まえまして、同性のパートナーは配偶者には含まれないと解しております。

 他方、田村先生御指摘のとおり、本年三月二十六日の最高裁判所判決において、同性パートナーは事実上婚姻関係と同様の事情にあった者に該当し得るとの判断がなされたことは承知をしております。

 今後の取扱いにつきましては、民法や健康保険法など同性のパートナーが配偶者に含まれないものとして取り扱っている他の法令における状況、これを踏まえながら、適切に検討してまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 検討から前に進めてください。最高裁の判断が出ました。

 同性パートナーも事実婚パートナーに該当し得るという判断が全ての法令で事実上婚姻関係に反映されるよう、そのことを強く要求して、質問を終わります。

津島委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

津島委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

津島委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

津島委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、塚田一郎君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。櫻井周君。

櫻井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 政令で定めることとする旅費については、宿泊料に係る上限額の設定方法次第では現行制度の場合と比較して支給額が増加する可能性もあることから、年度ごとに旅費総額を把握するとともに、適切な実費弁償が図られていることを検証し、必要に応じて改善策を講じるなど不正防止や冗費節約の観念を損なうことなく国費の適正な支出が確保されるよう努めること。また、国家公務員の働き方改革に資するよう旅費制度に係る事務負担の実態を把握し、事務負担の軽減に努めること。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。

津島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

津島委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣鈴木俊一君。

鈴木国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

津島委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

津島委員長 次回は、明十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十九分散会


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