衆議院

メインへスキップ



第24号 令和6年8月23日(金曜日)

会議録本文へ
令和六年八月二十三日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 津島  淳君

   理事 井上 貴博君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 塚田 一郎君 理事 稲富 修二君

   理事 櫻井  周君 理事 伊東 信久君

   理事 稲津  久君

      畦元 将吾君    石原 正敬君

      英利アルフィヤ君    小田原 潔君

      越智 隆雄君    大塚  拓君

      大野敬太郎君    岸 信千世君

      鈴木 隼人君    中山 展宏君

      藤丸  敏君    藤原  崇君

      古川 禎久君    宮下 一郎君

      宗清 皇一君    柳本  顕君

      山田 美樹君    江田 憲司君

      階   猛君    末松 義規君

      野田 佳彦君    馬場 雄基君

      原口 一博君    吉田はるみ君

      沢田  良君    藤巻 健太君

      掘井 健智君    竹内  譲君

      中川 宏昌君    田村 貴昭君

      吉田 豊史君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   農林水産副大臣      武村 展英君

   内閣府大臣政務官     神田 潤一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中澤 信吾君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           松家 新治君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局政策立案総括審議官)      堀本 善雄君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   吉野維一郎君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    窪田  修君

   参考人

   (日本銀行総裁)     植田 和男君

   参考人

   (日本銀行理事)     加藤  毅君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月二十三日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     畦元 将吾君

  瀬戸 隆一君     柳本  顕君

  小山 展弘君     吉田はるみ君

同日

 辞任         補欠選任

  畦元 将吾君     木原 誠二君

  柳本  顕君     瀬戸 隆一君

  吉田はるみ君     小山 展弘君

    ―――――――――――――

六月二十一日

 一、揮発油等の価格の高騰から国民生活及び国民経済を守るための東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律及び地方税法の一部を改正する等の法律案(足立康史君外二名提出、第二百七回国会衆法第二号)

 二、現下の揮発油等の価格の高騰から国民生活及び国民経済を守るための揮発油税等に関する法律の臨時特例等に関する法律案(末松義規君外六名提出、第二百七回国会衆法第三号)

 三、所得税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(末松義規君外九名提出、第二百八回国会衆法第二三号)

 四、消費税の減税その他の税制の見直しに関する法律案(小川淳也君外七名提出、第二百八回国会衆法第五九号)

 五、日本銀行法の一部を改正する法律案(青柳仁士君外三名提出、第二百十一回国会衆法第一号)

 六、消費税の逆進性を緩和するための給付付き税額控除の導入等に関する法律案(階猛君外八名提出、第二百十一回国会衆法第二九号)

 七、公益法人等に対する寄附を促進するための税制上の措置等に関する法律案(住吉寛紀君外三名提出、第二百十一回国会衆法第三七号)

 八、財政法の一部を改正する法律案(階猛君外六名提出、第二百十一回国会衆法第三八号)

 九、財政に関する件

 一〇、税制に関する件

 一一、関税に関する件

 一二、外国為替に関する件

 一三、国有財産に関する件

 一四、たばこ事業及び塩事業に関する件

 一五、印刷事業に関する件

 一六、造幣事業に関する件

 一七、金融に関する件

 一八、証券取引に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

津島委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官中澤信吾君、地方創生推進室次長松家新治君、金融庁総合政策局政策立案総括審議官堀本善雄君、財務省主計局次長吉野維一郎君、理財局長窪田修君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、本日は、参考人として日本銀行総裁植田和男君、理事加藤毅君に御出席をいただいております。

    ―――――――――――――

津島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中山展宏君。

中山委員 おはようございます。自由民主党の中山展宏でございます。

 質疑の機会をいただいて、誠にありがとうございます。

 本日は、植田総裁にもお越しいただき、また、加藤理事にもお越しいただき、ありがとうございます。

 今日は、金融市場、株式市場と金融政策について中心に伺っていきたいと存じます。

 七月十二日、我が国にとっては日経平均株価が過去最高値を更新をいたしました。終わり値ベースで四万二千二百二十四円に達しました。その後、七月末にまさに利上げが行われ、円安基調が是正をされ、さらに、八月に入り、アメリカのFRB議長による金利見通し、金利観測に関わる発言がありました。また、アメリカの雇用統計の発表を経て、八月五日、円急騰も相まって、株価が急落をいたしました。昭和六十二年のブラックマンデーを超える、四千四百五十一円の下げ幅となりました。一転、翌八月の六日には、三千二百十七円の過去最高の上げ幅となりました。

 そこでまず、植田総裁にお尋ねいたします。

 今次の株価急落の背景と要因、その後の反転を含め、相場の変動、市場の動揺をどのように捉えているか、お尋ねいたします。

植田参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、八月入り後、株価や為替の変動が大きくなったわけですけれども、その背景につきまして、経済指標の下振れを受けたアメリカの景気減速懸念、あるいは、それが急速に広がったことがあったというふうに考えてございます。これを契機に世界的にドル安と株価の下落が進んだことが大きかったというふうに見ております。また、我が国の場合、株価は、一時、他国に比べても大幅に下落いたしました。ドル・円相場は、世界的なドル安や七月末の私どもの政策変更もあって、これまでの一方的な円安の修正が進んだ形となっております。

 その後でございますが、八月中旬以降は、我が国の株価も、八月初めに大きく切り下げた水準からは上昇しております。この背景といたしましては、先ほど申し上げました米国経済についての過度に悲観的な見方が後退したことのほか、決算発表等を受けて我が国の企業の収益力が評価された面もあるというふうに考えております。

 もっとも、内外の金融資本市場は引き続き不安定な状況にあると認識しております。当面は、その動向を極めて高い緊張感を持ちつつ注視していく方針でございます。

中山委員 まさに、このボラタイルな相場は、米国景気の軟着陸を期待していたところにリセッション懸念を示されるような経済指標が出た、さらには、膠着していた金利差を背景にした円キャリートレードの巻き戻しもあったと思います。さらには、株式市場における昨今のプログラム取引によって大きく動いたんだと存じますが。

 そこで、もう一度改めて先般の利上げの狙いをお伺いしたいのですが、時系列で申し上げれば、八月の七日、内田副総裁が函館で講演、会見をされておられます。それも踏まえた上で、総裁の利上げの狙いというものをお教えいただきたいと思います。

植田参考人 七月の私どもの会合では、政策金利の引上げと、加えまして、六月に予告いたしました国債買入れの減額の具体的な内容を決定いたしております。

 御質問になかったかもしれませんが、後者の国債買入れの減額につきましては、予告した時点で申し上げましたように、市場において長期金利がより自由に形成されるよう減額していくという方針で内容を決定いたしました。六月に予告した後、市場参加者との意見交換も踏まえて具体案を作り、七月会合で決定したところでございます。

 利上げの方でございますが、七月会合で利上げをした趣旨といたしましては、私どもの経済、物価見通し、特に物価見通し、これが、いわゆる基調的な物価上昇率という表現で申し上げれば、見通し期間の後半には二%の持続的、安定的な物価安定の目標と整合的な水準で推移するという見通しになっているわけですが、この見通しにおおむね沿って経済が推移しているということがその時点でも再度確認されたこと、それから、その時点までの円安もあって、輸入物価が再び上昇に転じていた、これが引き起こす物価の上振れリスク、この二つに注意しまして、配慮しまして、あるいはこれらを考慮いたしまして、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整することが適切と判断したところでございます。

中山委員 しっかりした物価の予測に基づいて行われたということであります。我が国の価格形成、物価に対するいびつさをしっかり調整をしていただきたいと思いますし、それについてしっかり行ったということに受け止めています。

 そこで、市場との対話についてお話を伺いたいと思いますが、先ほど申し上げた八月七日の内田副総裁の説明にあります、金融資本市場が不安定な状況で利上げすることはないという発言が、市場では大変好感されたと存じています。

 総裁、副総裁の説明を通じて、市場変化に合わせて、時宜に合った、きめ細かく対話を行っていく、そういった姿勢、方針でいいかどうか、また、対話についての御所見をお伺いしたいと思います。

植田参考人 申し上げるまでもなく、私どもの金融政策は、金融市場への働きかけ等を通じまして経済、物価に波及してまいります。御指摘いただきましたように、私どもの経済、物価に関する見方あるいは政策運営の考え方について幅広い層に丁寧かつ分かりやすく説明することは、したがって、極めて重要であるというふうに認識しております。

 私どもの考え方が適切に伝わるよう、私や副総裁を含む政策委員の講演あるいは記者会見、こうした国会での答弁等を通じて、引き続き丁寧な情報発信に努めてまいりたいと思っております。

中山委員 市場はやはり変化をしていきます。その変化を捉まえながら、丁寧な対話を行っていただきたいと存じます。

 そこで、今般の利上げの方向性の中で、家計また企業への影響、また、家計や企業に関わる行動変化に対してどのようにお考えか、お教えいただきたいと思います。

加藤参考人 お答えいたします。

 今回の利上げでございますけれども、こちらは当然、市場金利、あと短期プライムレートの変化等を通じて、企業向けの短期の貸出金利、それからあとは家計向けの変動型住宅ローン金利に影響することがまず一つございます。こちらの影響について、我々、しっかり確認していく必要性があると思っております。ただ、同時に、預金金利などの利回りも上昇いたします。預金は今、一千兆ぐらいございますので、こちらが企業や家計の所得にプラスに作用する。この両方の面があると思っておりますので、経済主体によって両面の異なる影響がまずあるだろうと思っております。

 その上で、利上げというか金融政策全体の影響という観点になりますけれども、こちらは我が国経済全体を支える面を見ていく必要性があると思いまして、実際、政策金利の変更後も実質金利は大幅なマイナスになっておりますので、こちらが緩和的な金融環境を維持して、企業収益や賃金を支えるという影響があるというふうにも考えております。

 その上で、従来のマイナス金利ないしはゼロ金利から金利のある世界に変わってきておりますので、企業、家計、この金利がある世界を前提にした行動がこれから行われることとなってくると思いますので、その辺については我々としてもしっかりと丁寧に点検していきたいというふうに考えているところでございます。

中山委員 メリット、デメリットはあると思います。今日の日本経済新聞にも掲載されておりましたが、米国では、高い金利を背景に、利子収入が家計の金融所得を大変伸ばしているということであります。要諦は、景気、経済が成長軌道を巡航速度を保ち、進むことでありますので、しっかり、自然体の金利体系というものを培いながら、成長軌道を巡航速度で進んでいく、その道筋を一緒につくっていただきたいと思います。

 それでは、先ほど総裁の方から長期国債買入れの減額計画のお話もありましたが、日銀のバランスシートについて伺います。

 長期国債の買入れ減額計画が示されておりますが、もう一つの大きなストックであるETFの今後の展望についてお伺いできればと存じます。

加藤参考人 お答えいたします。

 今先生から御質問のありましたETFでございますけれども、こちらは、二〇二四年の三月には既に新規の買入れは、ETFの方は終了しているところでございますけれども、こちらについてまだ保有しております。

 このETFの処分というのがよく論点になるわけですけれども、これをすぐに行うということは私ども今考えておりませんで、処分を含めた今後の取扱いについて、ある程度時間をかけてしっかりと検討していく必要性があると考えております。

中山委員 ありがとうございます。

 今の現状のストックは、ちょっと極端な言い方かもしれませんが、ニュートラルという考え方において、実体経済や、また様々な景気、経済に合わせて、指標に合わせてそこは判断をしていただきたい、十分に慎重に判断していただきたいと思います。

 少し文脈は異なるのですが、残った時間で、私は前々職が証券会社で債券のディーラーをしておりました。金融の世界に身を置いておりました。昨今、先般、南海トラフ地震臨時情報も発せられましたけれども、連日、局地的な豪雨、雷雨、そして台風など自然災害リスクが顕在化しています。自然災害、気候変動、あるいは安全保障に関わる有事等の日本銀行としての対応をお伺いしたいと思いますが、金利は、もちろん、信用リスク、時間的リスク、決済リスクが内包されています。自然災害、私たちの生活に脅威を及ぼすものは大きなリスクでありますから、そのときに日本銀行、中央銀行として安心ができる対応をしていただけるかどうか、当然だと思いますが、御所見をいただきたいと思います。

加藤参考人 お答えいたします。

 まず、御質問にあった自然災害それからあと紛争といったそうした不測の事態が発生した場合、まず金融市場に大きなショックが及ぶリスクがあるわけですけれども、こちらにつきまして、中央銀行として最も重要な役割の一つが、やはり金融市場の安定確保に万全を期すということだというふうに考えておりまして、そのために金融市場に潤沢に資金を供給するということを我々は行うものでございます。

 実際、例えば二〇一一年、東日本大震災のあった際にも、日本銀行は、ショックの発生直後にまず総裁がメッセージを出す形をし、安定ということもありましたし、そして、潤沢な流動性の供給を通じて市場の安定確保に努めました。

 また、気候変動ということも御質問があったかと思いますけれども、こちらについては、やはり気候変動は中長期的に経済、物価、金融情勢に大きな影響を及ぼしますので、物価安定という日銀の使命に関わる問題でもあるということもありまして、私ども、気候変動対応オペというものを導入しております。それで金融機関の気候変動対応の投融資をバックファイナンスしておりまして、現在、貸付残高は十二兆円ほどまで増加しておりますので、こうした努力を引き続き続けていきたいと考えております。

中山委員 市中金利というか市場金利は、こういうときは動揺すると思います。安心を持って自然災害の対応、また有事の対応を完遂できるように、是非お支えいただきたいと思います。

 最後になりますが、新NISA制度がスタートしております。その中で、今回の株式市場の大きな変動がありました。

 神田政務官にお尋ねをいたします。

 我が国の個人の資産形成において、どのような影響というか、も含めて、NISA制度を御利用の方へ是非、メッセージをいただきたいと思います。

津島委員長 神田内閣府大臣政務官、申合せの時間が経過しておりますので、御協力お願いします。

神田大臣政務官 はい。

 委員御指摘のとおり、今般の株価急落を受けまして、新NISA制度を利用した投資を行う人々に動揺が生じたとの指摘があることは承知をしております。

 その上で、新NISA制度の利用に当たりましては、相場の下落等の市場変動の際にも、国民の皆様一人一人が、自らの資産状況やライフプラン等を踏まえつつ、長期、積立て、分散投資の特徴や重要性を考慮し、冷静に判断していただくことが重要と考えております。

 金融庁としましては、引き続き、金融経済教育推進機構、通称J―FLECを中心に、関係機関と連携をいたしまして、国民の皆様の金融リテラシーの向上に向けた金融経済教育の機会の提供等について取り組んでまいりたいと思います。

中山委員 ありがとうございました。

 終わります。

津島委員長 これにて中山君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。

 初めに、八月五日の株価暴落と二%のインフレ目標政策についてお伺いをさせていただきます。

 七月三十一日に日銀の金融政策決定会合で政策金利を〇・二五%程度引き上げる追加利上げを決めました。翌日から、政策金利の利上げだけではなく、アメリカの金利政策の行方など様々な要因がございまして株価が下がり始め、八月五日に過去最高の下げ幅となる株価大暴落という衝撃的な事態となりました。しかし、翌日には過去最高の上げとなり、その後、株価は上下をしながら、また、為替も現在はある程度落ち着きを見せているところであります。

 七月三十一日の植田総裁の御発言の中で、今後も続けて利上げがあるとしたことが暴落のトリガーになったとの御指摘もございますが、市場がかなり強く過剰に反応したように思っており、日銀としましては、様々なデータを基に、二%のインフレ目標政策をしっかりと前に進めるための金融政策決定だったと思っております。一方で、先ほど中山委員から市場との対話についてお話がございましたけれども、日銀として市場との対話が不十分だったという御指摘もございます。

 今回、株価大暴落という事態を日銀としてどう捉えているのか、また、今後、日銀として市場や政府との対話を通して二%のインフレ目標政策をどう的確に進めていかれるのか、植田総裁にお伺いをさせていただきます。

植田参考人 委員御指摘のように、八月入り後、我が国の株価の変動は非常に大きなものになりました。この背景は、先ほども申し上げましたが、アメリカを中心に経済指標の下振れを、八月入り後ですが、受けまして、景気減速懸念が急速に進んだということがあったと思います。その中で世界的にドル安あるいは株価の下落が進み、我が国の株価も、一時、他国に比べても大きく下落したというところでございます。

 その後、八月中旬以降は、米国経済について過度に悲観的な見方が後退したということもありまして、我が国の株価も、八月初めに大きく切り下げた水準からは戻ってきてございます。また、これをサポートする材料といたしまして、我が国の企業の収益力も評価されてきているという面もあると考えています。

 ただ、先ほども申し上げましたように、市場はまだ引き続き不安定な状況にあるというふうに見ておりますので、当面は、その動向を極めて高い緊張感を持って注視していく必要があるというふうに考えてございます。その上で、内外の金融資本市場の動向が、経済、物価の見通しやリスク、あるいは見通しが実現する確度に及ぼす影響をしっかりと今後、見極めていく考えでございます。

 こうしたことを進める中で、今後の金融政策運営でございますが、金融資本市場の動向が経済、物価の見通しやリスク等に及ぼす影響、あるいは七月に決定した利上げの経済、物価への影響を見極めつつ、経済、物価の見通しが、私どもが持っております姿どおりに実現していくという確度が高まっていくということが確認できたといたしますと、今後、金融緩和の度合いを調整していくという基本的な姿勢に、私ども変わりはございません。

 二%の物価安定の目標の下で、その持続的、安定的な実現という観点から、市場とも丁寧にコミュニケーションを取りつつ、適切に金融政策を運営してまいりたいと考えております。

中川(宏)委員 続きまして、政府、日銀の信頼性と金融リテラシーの向上についてお伺いをさせていただきます。

 先ほどもございましたとおり、今年から新NISAが始まりまして、若者を始め多くの方々が資産運用を新たに始められております。今回の株価暴落で、知人の二十代の男性ですけれども、投資を始めた友人たちが、やはり株は危ないよねと言って、今後投資をやめるという人が結構いますよ、こんなことを言っておりました。政府として、資産運用のメリット、デメリット、中でもリスクについて説明しているとは思いますけれども、いま一つ、特に若者の皆さんに正確に伝わっていないようにも感じられます。

 政府が目指す資産運用立国に向けて、二つの側面から見てみますと、まず、政府、日銀からの側面でございますが、日本市場への投資は、政府、日銀の信頼性が高いことが大前提であります。今回の一連の事態で、日銀総裁と副総裁と見解が違うのではないかですとか、財務当局との連携や市場との対話が不十分だったのではないかと言われております。このような指摘に対しまして丁寧に説明責任を果たしていくことで、政府、日銀の信頼性、また日銀からの発信の信憑性が高くなると思います。

 そして、もう一つの観点であります資産運用をする側からしますと、金融リテラシーの向上と、小さいときからの金融経済教育の取組が大事であります。この点につきましては、この委員会で度々議論をされているところであります。

 今回の、この度の事象を踏まえまして、日銀として、国民や市場からの信頼をどう高めていくのか、また、金融庁といたしまして、金融リテラシー、金融経済教育をどう強化されていくのか、お伺いをさせていただきます。

植田参考人 私どもといたしましては、引き続き、政府と緊密に連携するとともに、幅広い層の方々に、私どもの経済、物価に関する見方あるいは政策運営の考え方、これが適切に伝わるよう、講演、決定会合後の記者会見、あるいは今日のような国会での答弁等の場を通じまして、丁寧な情報発信に努めてまいりたいと考えております。

堀本政府参考人 金融庁の考え方についてお答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、金融リテラシーの向上とその実現に向けまして、若い世代を含めまして金融経済教育の機会を提供していく、これは重要なことでございます。

 この観点から、八月から本格稼働を迎えました金融経済教育推進機構、通称J―FLECでは、小学生低学年からシニア層まで様々な年齢に向けた講義資料の公開、これを始めております。また、今後、全国の学校やあるいは企業に金融経済教育に関する出張授業も行ってまいります。この講義内容には、各国民のライフスタイルに応じて、長期、積立て、分散投資を含めまして、安定的な資産形成の重要性、これも含めてまいります。

 そのほかにも、J―FLECにおいては、安心して相談できる環境整備ということでございまして、家計管理等に関する無料の電話相談の受付、これはもう既に開始しております。それから、今後、個人の資産状況やライフステージに応じた資産形成のアドバイス、これを行うという個別の相談受付も開始する予定でございます。

 金融庁といたしましては、ライフスタイルに応じた安定的な資産形成の重要性を含めまして、幅広い世代に対して金融経済教育を受ける機会を提供していくことが重要と考えておりますので、J―FLECを中心に、官民一体となって国民の金融リテラシーの向上を目指してまいりたい、このように考えております。

中川(宏)委員 次に、中小企業支援の必要性についてお伺いをします。

 政策金利の引上げが実体経済にどのような影響を及ぼすのか、様々なことが言われております。特に実体経済を支える中小・小規模企業には、影響が直に及ぶかと思います。例えば、銀行融資の金利が上がることから、これから借入れを控える、こういった懸念もされるところであります。

 中小・小規模企業の現状は、コロナ禍にゼロゼロ融資を借入れをしまして、据置期間が終了し、返済で厳しい状況になっている企業も多く見受けられ、実態としても倒産も増えております。

 この中で、政府として、中小企業へのコロナ対策の支援といたしまして事業再構築補助金を実施してまいりました。この補助金につきましては、昨年の十一月の行政事業レビューにおいて、抜本的見直しが指摘をされております。

 コロナ禍後、世界的に経済の立て直しが進む中、アメリカ経済の動向や政治情勢、中東の緊張、ウクライナ情勢の不確定要素もあり、日本の金融環境も厳しい局面であります。その中で、日本の中小・小規模企業においては、世界にない少子高齢社会と人手不足、また大企業との賃金格差の中、DXやGXの取組が足早に進む中での企業経営は非常に厳しい状態でありまして、まさに今こそ中小・小規模企業に対して更なる支援が必要と感じます。

 事業再構築補助金ですが、廃止論まであるのは真逆であると思います。むしろ、事業再構築補助金を拡充、あるいは中小・小規模企業に向けて新たな強い支援策を今講じるべきだと考えます。実体経済を現場で支えている中小企業への支援策の必要性に関しまして、財務大臣の見解をお伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 中川先生御指摘のとおりに、中小企業、これは、全従業員の約七割を占めるなど、我が国の経済にとって極めて重要な存在であると認識をいたしております。中小企業の稼ぐ力の向上を後押しすること、これは重要な取組である、そのように思います。

 足下の中小企業を取り巻く環境につきましては、物価上昇や人手不足などの課題があると承知をしておりまして、政府といたしましても、これまで、価格転嫁対策、省力化投資支援などの取組を進めてきたところであります。

 今、中川先生から個別具体の様々な課題と申しますか、論点についても御指摘をいただいたわけでありますが、今後の中小企業への支援につきましては、こうした認識の下で、予算編成過程において、これまでの取組の効果などを踏まえつつ、関係省庁とともに必要な検討を進めてまいりたいと考えています。

中川(宏)委員 是非よろしくお願い申し上げます。

 最後になりますけれども、政策金利の引上げと財政との関係についてですが、金利を引き上げていけば、予算に占める国債費、特に利払い費が増えていき、国家運営では、限られた財政の中で税収をアップさせるか、社会保障費を抑制するか、社会保障費以外の政策的経費を抑制するか、大体この三つが議論をされてきております。

 さきの通常国会では、本格的に防衛費や子供政策の拡充が行われました。また、社会保障費も予測より早く増加傾向にあります。このような中で国債の利払いが増えることで、基礎的財政収支を気にすると、また安易に公共事業を削るのではないかということが強く懸念をされます。

 本年も、元旦の能登半島地震や、この夏の豪雨や台風、また、八月八日の日向灘の地震など、災害が頻発をしております。現在、国土強靱化実施中期計画の策定に向け、作業が進められておりますけれども、年内に着実に策定することは極めて重要でありまして、安易に公共事業費を削減しないよう、私は強く申し上げたいと思います。

 国土強靱化実施中期計画の実施の重要性につきまして、お伺いをさせていただきます。

鈴木国務大臣 近年、地震でありますとか大雨などの自然災害が頻発化また激甚化をするとともに、インフラの老朽化が進む中にありまして、国民の生命と財産を守り抜くためには、防災・減災、国土強靱化の取組を国の重大な責務としてしっかり前に進めていくこと、これが重要であると考えております。

 財務省といたしましても、関係省庁と連携をし、令和三年度から令和七年度までを対象とする五か年加速化対策などに沿って取組を進めているところであります。

 その上で、五か年加速化対策の後についても、骨太の方針二〇二四において明らかにされているとおり、中長期的かつ明確な見通しの下、切れ目なく国土強靱化の取組を進めていくことが重要であると考えております。

 具体的には、国土強靱化基本法に基づいて、先生御指摘の実施中期計画、これを策定するとともに、この計画に盛り込まれる施策の実施に必要な予算につきましても、しっかりと確保できますように検討してまいりたいと考えています。

中川(宏)委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

津島委員長 これにて中川君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。

 本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず最初に、金融政策の修正の経緯についてお尋ねをいたします。

 アベノミクスに基づく異次元の金融緩和、これは、三月の金融政策決定会合での政策変更で終了し、七月の金融政策決定会合によって、政策金利で調整するという通常の金融政策、金融政策の正常化を果たしたというふうに理解をしておりますが、そういう理解で、植田総裁、よろしいでしょうか。イエス、ノーで簡潔に御答弁をお願いいたします。

植田参考人 基本的に、委員御指摘のとおりでございます。

 ただ、三月の会合でも既に通常の形になっておりまして、短期の政策金利をマイナスのところから〇―〇・一というところに引き上げたところでございます。

櫻井委員 続きまして、資料四をつけております。こちらは、立憲民主党が昨年二月に提案した新しい金融政策でございまして、金融政策の正常化の手順を提案しております。日本銀行は、植田総裁の就任以降、おおむねこの方向で進めていただいているというふうに承知をしておりまして、そのことは評価させていただいております。ただ、進め方が遅いのではないのかというふうにも考えるところです。

 資料一は内閣府の世論調査の結果ですけれども、物価高が国民の最大の心配事だというふうに示されております。資料二によれば、これは日経新聞の記事でございますが、低所得者層に物価高の負担感がより大きくなっているということです。

 一方で、資料三は、これはエコノミストの意見ですけれども、金融政策の正常化が遅れたことが、過度な円安、株高の進展、いわゆる円安、株高バブルを生み出し、足下の大きな調整を引き起こしたのではないのか、こういった指摘もあります。

 日銀の金融政策の正常化は遅かったのではないかというふうに考えるのですが、総裁の見解をお願いいたします。

植田参考人 私どもは三月まで大規模な金融緩和を粘り強く続けていたわけでございますが、その際の一つのポイントは、物価安定の目標が持続的、安定的に実現していくということが見通せる状況になるまで大規模緩和を続けるというコミットメントのようなものがあったということでございます。

 そういう見通しが持てるようになるところまで緩和を続けていた結果、三月頃になりまして、今年の春闘が強い動きになるということも予想できるような状況になってきまして、三月に大規模緩和を解除をしたところですし、その後、賃金が予想どおり経済で広がりを持って上昇し始めたということをもって、及びその他の動きが見通しどおりに推移しているということをもって、七月に短期金利を引き上げたというふうに調整をしてまいりました。

 この間の動きはそういう考え方に基づいておりまして、適切であったと考えております。

櫻井委員 いや、もう二〇二二年も二〇二三年も二%を超える物価高で、むしろ国民生活は厳しくなっている状況だったわけですよね。ですから、ちょっと遅かったのではないのかというふうにも考えます。

 何で遅かったんだろう、遅れたんだろうと考えたときに、資料七に朝日新聞の記事をつけておりますが、異次元の金融緩和の修正の遅れは自民党安倍派への忖度からではないのか、こういう指摘でございます。つまり、安倍派が二月に解散したからアベノミクス終了の金融政策の決定をできた、三月にできた、こういうふうになっていたのではないのかというふうに考えるんですが、総裁、そうなんでしょうか。

植田参考人 先ほど申し上げましたように、大規模金融緩和の継続は、物価の基調が二%に向けて徐々に高まっていくかどうかというところを見極めるという観点から実施しておりました。あるいは、別の言葉で申し上げますと、二%の物価安定の目標が持続的、安定的に実現可能かどうかというところを主眼に進めてきたわけでございます。そこにある程度の見通しが立つまでということで進め、ある程度の見通しが立ったということで三月に解除したところでございます。

櫻井委員 安倍派に忖度したと答弁してしまったらこれは忖度にならないので、いずれにしても忖度はないという答弁になるんだと思います。ただ、日本銀行としては、日本銀行たるもの、事実を正確に公表するべきだというふうなことを申し上げておきます。

 一方で、自民党安倍派に忖度して日本銀行の異次元の金融緩和をやめられなかったということであれば、そのために国民が物価高で苦しんだということになるわけですので、これは、自民党の責任、極めて重いというふうにも指摘をさせていただきます。

 続いて、ちょっと財務大臣にもお尋ねをいたします。

 日本銀行は、異次元の金融緩和を終了し、金融政策を正常化した、こういうふうに答弁されております。

 大臣、日本経済はデフレ脱却したんでしょうか。

鈴木国務大臣 今、政府としてデフレ脱却の宣言はいたしておりません。デフレではない状況には至ったと思っておりますが、まだ後戻りする可能性を否定できない、こういう中で、デフレ脱却は、まだそこまでは行っていない、そういう認識であります。

櫻井委員 いや、国民生活、先ほど資料でお示ししたとおり、国民はむしろ、物価高で大変だ、こういうふうに言っている状況です。実際、政府だってその物価高対策でいろいろな手を打っているじゃないですか。もう、デフレじゃなくてインフレの方が問題なんじゃないですか。

 こうした何か事実認識をしっかりできていないからいろいろな経済政策が失敗しているのではないのかというふうにも思いますし、あと、賃金の話も、さっき植田総裁もされていましたけれども、賃金は一義的には労働市場の逼迫状況によって決まると。それは、物価が上がろうが上がるまいが、労働市場が逼迫していれば賃金は上がっていくものだというふうに思うんですよね。

 ですから、賃金と物価の関係、これは因果関係、逆に、物価が上がったら賃金も上がるんだみたいなことを言うから政策を間違えてしまう。そうではなくて、賃金が上がれば確かに物価は上がりますよ。この相関関係の因果関係を逆に捉えると政策を間違ってしまうのではないのかということをちょっと指摘をした上で質問なんですけれども、岸田内閣、デフレマインドがいまだに続いていて、デフレ脱却と言いますけれども、脱却できていないのは岸田内閣の認識だけではないのか、こんなふうにも思うわけです。円安になれば、確かに輸出企業は円安効果でぬれ手にアワの利益、ぼろもうけですよ。しかし、それは物価高という国民生活の犠牲の上に成り立っているんじゃないですか。

 岸田内閣は、国民生活と輸出企業の利益、どちらを大事だというふうにお考えですか。

鈴木国務大臣 どちらも大事なんだ、そういうふうに思っております。それぞれ個別に政策も打ってきたところでありまして、物価高対策につきましても、一番影響を受けます低所得者の方々に対します給付でありますとか、それから地方で使えます交付金でありますとか、そういうものをやって、物価高対策にも手を打っているところでございます。

 また、行き過ぎた円安、先生御指摘のとおり、円安にはプラスとマイナスの面がありますが、これを、急激に変化することは望ましくないわけでありますので、そうしたことに対する対応、これはもう数字も明らかになっておりますけれども、為替介入も含めて対応してきたというふうに考えております。

櫻井委員 結局、私は、企業の利益、これは国民の生活を豊かにするためにあるものだというふうに思っています。間違っても、企業の利益のために国民の生活が犠牲になるようなことがあってはならないと思います。今こそ、国民の生活が第一、こういう政治が必要だということを申し上げておきます。

 大臣がこうした企業の利益にこだわるのは何でだろうと考えてみますと、一つには、この間ずっと問題になってまいりました裏金問題、そして政治資金パーティーの問題です。パーティー券を企業に買ってもらいたいということなんだろうかというふうにも考えるわけです。

 実際、大臣、八月三日に政治資金パーティーを開催されましたよね。大臣規範では、「パーティーの開催自粛」というふうに書いてあるというふうに承知しておりますけれども、物価高で国民が苦しむ中、大臣はパーティー三昧、これは国民に申し訳ないというふうにお思いになりませんか。

鈴木国務大臣 御指摘のとおり、八月三日、地元で政治資金パーティーのセミナーを開催をいたしました。

 大臣規範に、政治資金パーティーは自粛すべきである、在任中はという御指摘がありましたが、そういう記載はございません。大臣規範にありますのは、大規模パーティーを自粛すべきだ、こういうことであります。

 政治資金パーティーは法律的にもきちっと定められたものでありますので、それだけに様々な規制もございます。開催に当たっては、そのパーティーが政治資金パーティーである旨をきちっと伝えなければいけない。それから、パーティーが終わった後もそのままではなくて、政治資金報告書にきちんと報告をして収支を明らかにしなければならない。通常国会において改正をされました改正規正法におきましても、政治資金パーティーはこれからも一般的に開かれていくということを前提に、公開基準も二十万超から五万円超に引き下げるということもいたしました。

 こうした規制を、ルールをしっかりと守って行うということについては、私は何の問題もないのではないか、そのように思ってございます。

櫻井委員 大臣規範には、タイトルに、「パーティーの開催自粛」というタイトルになっているんですね。確かに、大規模は厳に慎むというふうにその中に書いてありますけれども、じゃ、何をもって大規模とするのか。報道によりますと、このパーティー、二百人以上の方が参加をされていたというので、普通に考えたら結構大規模なパーティーだなというふうにも思うわけです。

 ともかく、適法だから問題ないという御答弁で、国民に申し訳ないとは思わないということでした。残念です。

 続きまして、次の質問に移らせていただきます。資料八、こちらは、FRB、ECB、バンク・オブ・イングランド、日本銀行の政策金利の推移について記載しております。これを見ますと、ほかの三つの中央銀行は、〇・二五%刻みで引き上げております。現在、それぞれ四%から五%ぐらいの政策金利になっているわけですから、〇・二五%刻みというのは妥当かなというふうに考えます。

 一方で、日本銀行は、今世紀に入って政策金利の最高が〇・五%です。そうすると、刻み幅はもうちょっと細かくていいんじゃないのかな、具体的には、〇・一%刻みで調整してもいいのではないのかというふうに考えます。ちょっと今日は時間がないので、これは提案させていただくということで、〇・二五%ずつ上げたら、次、もう〇・二五%上げたら、もう〇・五%で今世紀最高というふうになっちゃいますから、ちょっと刺激が強いのではないのかなというふうにも心配するところです。

 それはおいておいて、次に資料十一を御覧いただきたいと思います。これは、金利上昇で、日本銀行が保有する国債、五百八十兆円ございますけれども、評価損が十兆円弱、既に発生しております。これは三月末の時点です。

 今後の金利引上げ局面において、日本銀行の財務の健全性をどのように検証されているのか、植田総裁、御答弁をお願いいたします。

植田参考人 私どもの収益でございますけれども、一つにはバランスシートの規模、それから、その時点での、その時点といいますか、そこまでの短期金利と長期金利の推移等に依存いたします。こうした点を踏まえて、政策金利をいろいろな形で変更していった場合に日本銀行の財務にどういう影響が及び得るのかというシミュレーションは、内部的に様々に実施してございます。

 そのメカニズムについて多少申し上げますと、政策金利が引き上げられてバランスシートが少しずつ縮小するという局面では、付利金利の引上げがまずありますので、それが超過準備に対する支払い利息を増加させて、収益の下振れ要因になります。他方で、超過準備が、例えば国債買いオペの縮小とかでだんだん縮小していくということになりますと、金利を一定にすれば利払い額全体は少しずつ下がっていくという力も働きます。さらに、国債買いオペが縮小したとしてもゼロにはならないという局面では、新たな国債を買い続けますので、少し金利の高い国債に私どもの保有する長期国債がだんだん入れ替わっていくという効果、これは収益を回復させるという要因になります。

 それらを総合して決まってくるということですし、それ全体に加えまして、資産サイドと負債サイドには、国債を持っていて、当座預金があるわけですが、さらに、負債サイドに日銀券がございます。日銀券には金利を払わないということがございますので、ここの部分は、それ見合いで持っている長期国債の利益がそのまま収益に計上される、いわゆる通貨発行益ですけれども、これらを全て考慮した上で、財務への影響が決まってくるという姿になっております。そうしたシミュレーションはいろいろやってございます。

櫻井委員 端的に言えば、短期的には逆ざやが発生する、収益は悪化するという話ですよね。それは分かるんです。

 その結果、どうなるのかということをちゃんと公表して示すべきではないのか。今、総裁は、内部的にはやっていますということなんですけれども、これはやはりちゃんと公表して説明するべきだと思うんですが、それをやっていただけませんか、総裁。

植田参考人 シミュレーションの結果でございますが、御想像つきますように、短期金利をどういうふうに上げていくか、あるいは、国債保有残高をどういうふうに縮小させていくのか、さらに、長期金利と短期金利の関係についてどういう仮定を置くのか等によって大きく変わってまいります。その具体的な形を示すことが、私どもの将来の政策運営について市場に様々な思惑を呼んで、不測の影響が生じる可能性について懸念するという立場から、今のところ、慎重に対応する必要があるというふうに考えております。

櫻井委員 いや、別に、だから、シミュレーションは幾つも示したらいいわけですよね。全然金利が上がらないのと、このままとか、一%上がる、二%上がると、いろいろ示したらいいじゃないですか。だから、いろいろ示したら、その不測の何か臆測とか、そういったものはないと思いますよ。

 資料の十二と十三を御覧いただきたいんですが、資料十二は、FRB、フェデラル・リザーブ・ボード、アメリカは財務シミュレーションをやっております。資料十三はバンク・オブ・イングランドの財務シミュレーションです。FRBもBOEも財務シミュレーションを公表しているんですよ。そして、一時的には債務超過に陥ります、でも、大丈夫ですということをちゃんと説明しているんですよ。

 何で日本銀行は公表して説明しないんですか。やはりこれはちゃんと説明するべきだと思いますよ。いかがでしょうか。

植田参考人 私ども、まだ大規模緩和を終了した直後でございまして、短期金利の水準が非常に低いところにあるということ、それから、将来、こういう表現がよろしいかどうかあれですが、中立金利というようなものがありますが、そういうところに向かっていくという、経済の見通しがよければですけれども、こともございますが、その行き着く先についても非常に高い不確実性があるというようなことから、現在時点では具体的な姿をいろいろ示すということのマイナスの方を重視して、先ほど来答弁させていただいているように、シミュレーション結果を公表しないという判断をいたしております。

櫻井委員 いや、ちょっと理由になっていないと思います。公表できないのはよっぽど何か隠したいことでもあるのかと、逆に心配になってしまいますので、そこは事実をちゃんと公表していただきたいと思います。

 長らく異次元の金融緩和をやっていて、植田総裁の前の総裁の時代の話ですよ、その負の遺産を相当たくさん引き継いでいる。短期的にはと申し上げましたけれども、日本銀行が保有している国債の残存期間の平均ですよね。結構足の長いものを買っちゃっているから、短期的にはといっても、その短期が、日本銀行の場合、FRBとかバンク・オブ・イングランドに比べて長くなっちゃっている。だから、いろいろしんどいところはあろうかと思いますけれども、それも含めて正直に示すべきじゃないでしょうか。

 トータルでいえば、ETFの評価益がたくさんあるわけですから、少々の評価損、国債の、債券の部分で発生しても、いや、トータルで大丈夫ですと今なら言えるわけですから、今のうちにちゃんと言った方がいいと思います。

 そこで、委員長、ちょっとお願いなんですが、FRBとかバンク・オブ・イングランドがやっているような財務シミュレーション、日本銀行もちゃんと公表するべきだと思いますし、その資料を委員会に提出いただくようにお願いしたいんですが。

津島委員長 理事会にて協議いたします。

櫻井委員 理事会。では、この委員のメンバーもいつまでこのメンバーでいられるかという問題もありますけれども、もし協議が先になっても、ちゃんと次の委員長に引き継いでいただくことも含めて、よろしくお願いいたします。

津島委員長 承知しました。

櫻井委員 続きまして、金融政策の正常化に伴う財政、金融への影響についても質問させていただきます。

 ちょっと質問を飛ばさせていただきまして、資料十六を御覧ください。今日は金融担当大臣にも御出席を求めております。

 資料十六にありますように、世界的な金利上昇局面においては、農林中金、債券運用で二兆円を超える巨額の評価損を発生させてしまいました。金利上昇局面で民間金融機関が保有する債券の評価損が発生するというのは当然の理屈なわけなんですけれども、この民間金融機関の財務の健全性、どのように検証されていますでしょうか。

鈴木国務大臣 金利上昇が金融機関の財務の健全性に与える影響につきましては、個々の金融機関によって様々でありますけれども、一般論として申し上げれば、金利が上昇した場合、預金金利の上昇による預金者への支払い利息の増加、保有債券の評価額の減少につながる一方で、貸出金利の上昇や債券運用利回りの改善を通じた収益の拡大というものが期待できると思います。

 こうした中で、金融庁では、例えば地域銀行について、金利変動等を想定したストレステストの実施状況はどうか、大きな市場変動等、不測の事態に備えた対応方針の策定状況はどうかなど、各行のリスク管理体制の整備状況等を日常的にモニタリングしているところであります。

 金融庁として、各金融機関が健全性を維持し、金融仲介機能を発揮できますように、引き続き、万全を期してまいりたいと考えております。

櫻井委員 あともう一つ、ちょっと前に戻って、金利上昇局面において、これは財務大臣に対する質問でございますが、公債費の増加も見込まれます。日本の財政の健全性、これについてどのように検証されているのか、これについてもお答えをお願いいたします。

鈴木国務大臣 今後の長期金利等の動向につきまして一概に申し上げることは難しいわけでありますけれども、一般論として申し上げますと、巨額の規模の政府債務を抱える我が国におきまして、金利が上昇し、利払い費が増加すれば、政策的経費を圧迫をして、財政状況もますます悪化するおそれがあると考えているところであります。

 具体的には、櫻井先生のお示しになられた資料にあるとおりに、先般の財政制度等審議会において、今後、金利が一%上昇した場合の利払い費の増加幅を機械的に延伸をいたしますと、令和十五年度には八・七兆円程度となるという厳しい状況が試算として示されているところであります。

 また、内閣府が作成する中長期試算では、今後十年程度の財政状況の姿が示されておりますけれども、これによれば、経済成長が過去の平均並みと想定した過去投影ケースでは、国、地方の公債残高対GDP比が上昇に転じるという好ましくない状況が示されておりますけれども、他方、一%を安定的に上回る実質成長を想定する成長移行ケースでは、プライマリーバランスの改善が継続をして、金利が上昇する中におきましても、公債等残高対GDP比が徐々に低下していく姿が示されております。

 こうした検証結果を踏まえれば、日本の財政状況は極めて厳しい状況にあり、金利の動向についても注意が必要でありますが、歳出歳入両面の改革を実行していくと同時に、賃上げや設備投資などへの支援を通して経済成長をしっかりと高めていくことができれば、財政健全化も着実に進めていくことができるものと考えているところであります。

櫻井委員 今御答弁いただいたとおり、日本の財政の場合、新規の分だけじゃなくて、借換債も結構たくさんありますから、借換えの分は上がった金利で発行するということになりますから、金利の上昇局面というのは結構大変だというふうに思います。その分、ほかの必要な経費のところを圧迫されてしまいかねないわけですから、財政運営はしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 最後の質問になろうかと思いますが、金融政策全般について申し上げます。

 金融政策の正常化に賛成、こういうふうに言うと、一部から、財政緊縮派だ、けしからぬ、こういうふうにお叱りを受けることもございます。私自身は緊縮派でも拡張派でもなくて、費用対効果、コスパを重視するという立場です。

 日本の第一の問題は、一千兆円も借金があるわけなんです、積み上がっているわけなんですが、これだけ財政支出したのに、日本の経済、この二十年、三十年、停滞したままということ、これが問題だというふうに思います。要は、費用対効果が十分に上がっていないということが問題だと思います。

 最近は何かワイズスペンディングとかEBPMとか言っていますけれども、結果を見れば、スチューピッドなスペンディングがたくさんあったのではないのか、こんなふうにも考えるところです。

 それから第二の問題として、日本国内に投資機会が乏しいということも大きな問題だと思っています。

 実質金利がマイナスなのに投資が増えないということ、これはやはり日本の経済社会構造を改善していかなければいけないということだと思います。資料十九に示すとおり、実質実効為替レート、これはニクソン・ショックのときよりも今低いわけです。日本経済の実力、五十年前より低いというふうにも受け止められるわけです。

 では、どうすればいいのかということなんですが、七月に神田財務官、もう退任されましたので、前財務官ですけれども、取りまとめました「国際収支から見た日本経済の課題と処方箋」懇談会報告書というのがあります。私は勝手に神田レポートというふうに呼ばせていただいておりますが、これは大臣、読まれましたですか。はい、読まれたということですが、この内容、私も一〇〇%、賛成するわけではございますが、大変よいことがたくさん書いてあるというふうに思います。処方箋も書いてあります。処方箋を分かっているのに、財務省ナンバーツーの財務官をもってしても実施できなかった。

 これは、大臣、何で実施できなかったんでしょうか。

鈴木国務大臣 前財務官からのレポートにつきましては、直接本人から要点を御説明をいただいたところでございます。

 あのレポートの性格は、御自身が長らく大蔵省、財務省におられて、特に国際的な分野で働く中で、外から日本の国力というものを感ずる中で、いろいろ分析をされたものであると思っております。

 そういうことで、客観的に書かれておられますし、どうしてできなかったというようなことは書かれていないので、問題点が指摘をされておられて、今後こういうことを課題としてしっかり捉まえなければいけないということであったと思います。

 いずれ、政策におきましては折々に不断の評価あるいは見直しというものが必要であると思いますので、そういう中で、先生御指摘のような、あるべき姿になっていない点は那辺にあるのかというようなことも含めて、しっかり検討することが重要であると考えます。

櫻井委員 このレポートをまとめたのは七月ですけれども、神田財務官は以前からこういう問題意識をずっと持っていたと思うんですよね。だから、文章化したかしていないかは別として、分かっていたと思うんですよ。分かっていたのにできなかった。これは別に神田財務官に限らず、役所の人たち、いろいろな政策現場にいて、いろいろ思って、やはりこうした方がいいんじゃないのかな、いろいろアイデアはある、あるけれども、それが実施できないというのはどこに問題があるかというと、やはり内閣に問題があるということじゃないでしょうか。

 この日本、経済、社会を立て直していくためには政権交代が必要だということを最後に申し上げて、時間になりましたので、私の質問を終わらせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。

津島委員長 これにて櫻井君の質疑は終了いたしました。

 次に、階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 お盆の最中に、岸田首相が突如、総裁選に出馬せず、任期をもって退任するということを表明されたわけです。私は、正直言って驚きました。憲法審査会に私は所属しておりますが、この間、岸田総理は、御自身の総裁任期中に憲法を改正して、大災害などの緊急事態中は国会議員の任期を延長し、国政の機能を保つとおっしゃっていたわけです。それをやらずに、よもや南海トラフ地震の注意報の発令中に退任表明するとは夢にも思いませんでした。だったら、もっと早く退任してもよかったと私は思います。

 そんな残念な岸田総理でございましたが、あえて岸田総理の最大の功績を挙げるとすれば、私は日銀総裁を替えたことだと思っております。そして、黒田総裁から植田総裁に替わったことによって日銀が最も変わったことは、日銀が自らの誤りを認めて、それを正すようになったことだと思っております。その象徴が、三か月に一回発表される展望レポートで日銀が公表する物価見通し、これが変化したということです。

 黒田総裁の時代は、見通しが当たることは皆無でした。私は、自分たちが掲げた異次元の金融緩和を続けることを正当化するような御都合主義で恣意的な、展望レポートではなくて、願望レポートあるいは陰謀レポートになっているということをこの場でも発言してまいりました。黒田総裁はそのことを決して認めることなく、退任されるまで物価見通しを外し続けました。

 ところが、昨年十一月八日、この委員会で、植田総裁は率直に物価見通しの誤りを認めました。

 そして、今日配付した資料の一ページ、冒頭の黒丸を御覧になってください。経済、物価はこれまで示してきた見通しに沿って推移という、黒田総裁の時代には見られなかった表現がついに表れるようになったわけです。

 なぜ植田総裁に替わって展望レポートの物価見通しは当たるようになったのでしょうか、逆に言えば誤らなくなったのでしょうか。植田総裁の答弁を求めます。

植田参考人 大変難しい御質問ですけれども、次のように考えます。

 一つには、この間、二、三年間を振り返ってみますと、日本のインフレ率は、輸入インフレを起点とする部分と、それから国内の賃金、物価の循環、好循環で少しずつ上がってきているという部分に一応分けられるかと思います。

 それで、当初、見通しを誤った一つの要因は、その前段の部分、輸入物価を起点として国内物価が上昇するという部分が、どれくらいの大きさで、より大事には、どれくらいの持続性を持って続くのかという点の判断を誤っていたのだと思います。

 全体的な判断として、それは一時的なものなので、どこかで下がってくるという見通しは正しかったんだと思うんですけれども、思ったよりも長引いてしまった。ただし、最近になって、やはり大分前に見通していたように少しずつ下がり始めている。その部分は当たっているけれども、遅れて当たっているというところが一つあるかと思います。

 二番目に、国内の賃金、物価の好循環のところは、そう簡単には転嫁してこないんだというふうに、しばらく前の見通しでは見ていたんだと思います。

 ところが、いろいろな理由でそこが少しずつ、私ども、基調的物価上昇率というふうに呼んでいるものに近いわけですが、上昇してきております。それもあって、先ほど申し上げましたように、大規模緩和を終了したわけでございますが、その点も、見通しを作る際にだんだん見方を修正してきたという中で、誤差が最近になって少し低くなっているということは言えるかと思います。

 ただ、両面において様々な不確実性が今後もございますので、丹念に情勢を点検しつつ、見通しを作成してまいりたいと思っております。

階委員 私はこうなるだろうと思って、黒田総裁には、その見通しは誤っていますということをさんざん言ってきたわけですけれども、ついに誤りを認めないまま辞められて、ようやくここに来て誤りを認めた。そして、見通しが当たるようになったということで、これはいい方向には来ていると思います。

 そこで、次の質問ですけれども、資料一ページの上から二つ目の丸、輸入物価は再び上昇に転じており、先行き、物価が上振れするリスクには注意というふうにあります。

 ここには書いてありませんが、輸入物価の上昇の要因は、国際価格の上昇ではなくて円安です。一〇〇%、ほぼ一〇〇%、この時点は円安で輸入物価が上昇しています。ということは、円安が物価の上振れリスクを生じさせるということだと思います。

 この点、次のページ、上の方を見てください。グラフ、輸入物価の推移とありますけれども、円ベースと契約通貨、現地通貨ベースで輸入物価が推移したものであります。

 一番ピークだった頃、二〇二二年の秋ぐらい、私は予算委員会で黒田総裁にこう尋ねたんですよ。円安の物価への影響はあるんじゃないですかと私が尋ねたところ、円安の国内価格への波及は不確実性が高いんだということで、先行きの物価はむしろ下がるような見通しをとうとうと述べていたんですね。その判断が誤りだったことは、もうここに来て明らかです。

 植田総裁になってこの点も変わって、円安が日銀の物価見通しに影響を与えるようになったというふうに理解していいでしょうか。

植田参考人 一般論でお答えいたしますが、為替レートの変動は、一つ目は輸入物価の変化とその国内価格への転嫁、それからまた景気への影響等、様々な経路を通じて消費者物価に影響を及ぼします。したがいまして、為替レートの経済、物価に与える影響について考えるには、相場の変動、為替レートの変動に対する企業、家計など経済主体の反応も含めて幅広く分析していく必要があると考えています。

 こういう考え方に基づきまして、経済、物価への為替レートの影響について、引き続き、政策委員会でしっかりと点検してまいりたいと思っております。

階委員 よく最後の方が聞き取れなかったんですけれども、端的にお答えください。

 円安は日銀の物価見通しに影響を与えるのでしょうか。

植田参考人 見通しに影響を与えることもございますし、見通しの中心値に影響を与えないけれども見通しのリスクに影響を与えることもあるというふうに考えております。

階委員 見通しの中心値に影響を与えることはないということを今おっしゃったんでしょうか。

植田参考人 いえ、見通しの中心値に影響を与えることもある、場合によってはですね。

階委員 見通しの中心値に影響を与えることがある、そうでない場合でも上昇リスクに関わってくるというお話でした。

 そこで、またお尋ねしますけれども、そうすると、物価が上振れするリスクがあるということを認識した、あるいは物価の中心的な見通しに影響があると認識したということで円安を考慮したとするならば、一ページ目のところ、もう一度戻っていただいて、一ページ目の上の段の真ん中ら辺ですね、見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整というふうになっていますが、円安というのは必ずしも普遍的なものじゃなくて、変動し得るものだと思いますが、さっきの円安が物価に何がしかの影響を及ぼすという前提に立った場合、仮に物価見通しが実現していくとすればという条件を満たさなくても、円安を理由として機動的に政策金利を引き上げるということはあり得るということでいいですか。

植田参考人 それは七月の決定が一つの例だと思いますけれども、利上げをしたわけでございますけれども、その理由は、ここに、委員の資料にもございますように、二つでございました。すなわち、経済、物価見通しがおおむねこれまでの見通しに沿って推移している、したがって、金融緩和の度合いを調整していくことが本来望ましい状況であった、それに加えて、円安を大きな理由とする足下の輸入物価の上昇がこうした見通しに若干の上振れリスクを発生させている、ある種、この合わせ技を理由としまして利上げをしたということでございます。

階委員 だんだんクリアになってきたと思いますが、要するに、二つそろわないと利上げはできないということですね。日銀の経済、物価見通しにおおむね沿って推移するというのが一つ目、そしてもう一つは円安によって輸入物価が上昇して物価が上振れするリスクが高まる、この二つの条件がそろって初めて利上げだということでよろしいですね。

植田参考人 そうではございませんで、そのときは二つの理由があった、七月の場合はということでございますが、本線といたしましては、私どもの見通しに沿って経済、物価が推移していれば、それに沿って金融緩和度合いを調整していくという姿かなと思っております。

階委員 あくまで物価見通しが大事で、為替、円安というのは従たる位置づけにすぎなくて、今回はたまたま条件になったということですか。

植田参考人 先ほど申し上げましたが、為替の変動が中心的な見通しに影響を与える場合もあると思います。その場合は見通しが変わるということになりまして、それに対応してどういう政策が適切かということを考えるということになるかと思います。

 中心的な見通しを変えるまでの大きな動きではないかもしれないけれども、上方のリスク、あるいは下方のリスクとして配慮しないといけないというケースもあり得るかと思います。そのリスクの大きさによっては政策に影響を与えることもあるという考え方でございます。

階委員 ですから、今回はリスクが大きいと判断したから政策に影響を及ぼしたということでいいですね。うなずいていただきましたので、結構です。

 そうすると、大事なことは、物価、経済見通しがちゃんと見通しに沿って推移したかどうかということで金融政策が変わってくるということだと思います。

 では、この物価見通しが予想に沿って推移していく、実現していくというふうに仮定した場合、今見通しはどうなっているかというと、一ページ目の上の方の表ですね、二〇二四年度、除く生鮮食品、消費者物価、二・五%プラス、二〇二五年度二・一%プラス、二〇二六年度一・九%プラス、こういう見通しになっております。

 では、この見通しが実現していけば、いつ頃金融緩和は終了するということになりますか。

植田参考人 現在時点での判断では、今二〇二六年度まで見通しを出してございますが、こうした見通し期間の後半に、二%の物価安定目標とおおむね整合的な水準に基調的な物価上昇率が高まっていくと考えています。

 そうした見通しが本当に今後も実現していくということでありましたならば、そういう時期に、金融政策は中立的な状態になっているというふうに考えてございます。

階委員 見通し期間の後半ということですから、二〇二五年度の秋以降、金融緩和が終了するということを今おっしゃったと思います、見通しが実現すればですけれども。

 では、その上で、金融緩和が終了した場合、今ちらっとおっしゃいました中立金利ということがどうなるか、つまり、金融緩和が終了して、景気に中立的な金利、これがどうなるのかということも気になるわけです。

 金融緩和が終了する場合の名目金利の水準、すなわち中立金利はどうなるかということを御説明いただけますか。

植田参考人 これは、あくまで理論的に申し上げますと、そういう状態での政策金利、名目の政策金利の水準は、インフレ率がおおむね二%ということですので、二%のインフレ率と、そういう状態での実質金利を加えたものになるというふうに考えております。その実質金利のことをよく自然利子率というふうに呼んだりしております。

 問題は、その自然利子率が何%くらいかということでございますが、これもいろいろなところで私どもの現状での見方を申し上げているわけですが、なかなか、いろいろ推計をしましても幅がありまして、この辺であるというふうに特定することが難しい、残念ながら大きな幅を持った推計しかできていないというのが現状でございます。ちょっと先走って恐縮かと思いますが、委員の資料の二ページ目の下にある図がその状況を表しております。

 もちろん、今後、私ども、これをもう少し精密化するという分析は続けていきたいと思いますが、一方で、長い間低金利の状態が続いてきたという経済を見ながらこういう推計が行われておりますので、金利が上がっていったらどういうことが起こるかということがデータに十分入っていない可能性がございます。したがって、金利を少しずつ上げていく中で経済にどういうことが起こるかということも一つ一つ見極めながら、最終的な中立金利あるいは自然利子率の姿を狭めていくという作業にならざるを得ないのかなというふうに今のところは思っております。

階委員 中立金利を今後狭めていって、ある程度絞ったところで公表するというお考えがあるということでいいんですか。

植田参考人 これは、そういう状態が本当に、時期が来るかどうか、あるいはどの時点でそういうことができるかということはお約束できませんけれども、当然、このかなり幅が広い自然利子率の推計が、少し自信を持って狭めることができるという状態になりましたら、それは私どもの考え方として市場、メディア、国民に知らせていくということはやっていかなきゃいけないかなというふうにはもちろん思っております。

階委員 これはやはり今の段階で中立金利、すなわち、これから金融緩和を徐々に金融の正常化にしていくというときに、今どの辺にいるかということを皆さんに分からしめるためにも、中立金利というのをお示しした方がいいと思うんです。

 特に、今回、利上げするときにどういう説明をしているかというと、金融緩和の度合いを調整すると言っているわけですね。金融緩和の度合いを調整すると一般の人は言われても、ぴんとこないわけですよ。〇・二五に上がりましたけれども、中立金利が仮に〇・五だとしたら、調整してあと半分ぐらいというふうに思えるし、中立金利が二だったとしたら、〇・二五はまだ十分の一ちょっと超えたぐらいじゃないですか。全然、金融緩和の度合いの調整のイメージが変わりますよね。人によってまちまちで、日銀のメッセージが伝わらないでしょう。だから、私は、中立金利をちゃんと示した方がいいと言っているわけです。

 それで、他の中央銀行はそういうことをやっていますよ。日銀もできないはずはないんですよ。物価見通しだって正しい方向に変えたじゃないですか。ここをやってください。じゃないと疑心暗鬼に陥りますよ。中立金利、どこだか分からない、これから金利がどうなるか分からないということで私はマーケットの混乱を招いているんだと思います。

 これは、中立金利、示すべきではないですか。お願いします。

植田参考人 自信を持ってこの程度であるというふうに示せるものがあれば示していきたいと思いますが、なかなかそういう状況では必ずしもないということで、先ほど来申し上げているような答弁になって申し訳ありません。

 ただ、今回について言えることは、様々な自然利子率の推計値がございますけれども、その下の方のものを取ったとしても、現状、あるいは、一五ベーシス、七月に利上げをいたしましたが、その後の〇・二五%という水準を見てみますと、かなり自然利子率の推計値の下の方、それに二%程度の、あるいは期待インフレ率の現実の姿を乗せた名目の姿、つまり名目の中立金利の推計値の下限のようなものですが、それを現実の金利が下回っているところでの調整である。そういう意味で、中立金利より下の状況、つまり、金融が緩和的な状況が続く中での調整であるというメッセージは送らせていただいているところでございます。

階委員 今いろいろ、数字を出さないで御説明されましたけれども、私の資料の二ページ目の下ですね、自然利子率の推計の下の方というのは、自然利子率でいうと大体マイナス一%ぐらいです。それに期待インフレ率二%を足すと、一%が中立金利ということが、フィッシャー方程式でしたか、そこから導かれるかと思います。

 一%との比較において金融緩和の状況だということをおっしゃったということですよね。〇・二五というのは、一%との比較において金融緩和の状況だということをおっしゃったんだと思います。それでいいですよね。うなずかれました。はい。

 それで、これから中立金利、下限が一%ぐらいだとおっしゃっていましたので、一%を超えてくる可能性もあって、政策金利が中立金利に近づくと、当然長期金利も上がってくるわけですね。

 そこでお尋ねしますけれども、直近の保有国債の平均利回り、保有国債、莫大に抱えています、五百八十兆円ぐらい抱えていますけれども、この保有国債の平均利回りが今〇・三%弱と伺っています。それから、平均残存期間、これは六・六年ぐらいと伺っています。これを前提にして、仮に、満期が到来した国債の償還金を全額、仮にですけれども、一%の運用利回りの国債に再投資するということをずっと継続していった場合、保有国債の平均利回りは徐々に上がってくると思いますが、今後五年間でどのように推移するか、それをお答えください。

 そしてもう一つ、今は一%の運用利回りのケースを申し上げましたが、これが二%だったらどうなるか。

 この二つのケースについて具体的な数値をお答えください。

植田参考人 一%の運用利回りの国債に次々に再投資していくというケースですが、その場合の私どもの保有国債の平均利回りですけれども、二四年度〇・三五%、二五年度〇・四四%、二六年度〇・五二%、二七年度〇・五九%、二八年度〇・六五%となります。

 また、対象の国債の金利が二%の場合ですけれども、二四年度の私どもの保有国債の平均利回りは〇・四四%、二五年度〇・六六%、二六年度〇・八五%、二七年度一・〇二%、二八年度一・一六%になります。

 もちろん、これは国債買入れの減額の計画は織り込まない試算でございます。

階委員 最後おっしゃったとおり、減額をしないケースを想定しているわけですね。単純に一%だったり二%だったりで再投資した場合。

 ただ、今数字をお答えいただいて分かったとおり、今は政策金利〇・二五%です。政策金利というのは、イコール当座預金への付利の金利です。〇・二五%。これも国債の保有額と同じぐらいの規模があります。〇・二五%で利息を払い、今、〇・三%ぐらい国債から利息を得ている。これは順ざやですね。一応プラスです。

 ところが、仮にこれが〇・二五から〇・五に上げたとすると、一%に再投資した場合だと、もう二四年度から逆ざや、二五年度逆ざや、二六年になってようやくちょっとプラスになってくる。仮に政策金利を一%にして国債の方は一%で再投資すると、五年間ずっと逆ざやということになります。二%に再投資する場合でもほとんど逆ざやです。かつ、二%に再投資する場合というのは、基本的に政策金利も二%ぐらいになっていると思うんですよ。ですから、この場合もほぼ逆ざやでいくと思います。

 ちなみに、今の日銀の当座預金の残高を前提にすれば、政策金利を一%にしたら大体五兆円、支払い利息が生じます。二%にすれば十兆円です。だから、実額ベースで見て大幅な赤字になるわけですね。そうしたことも考えて、保有国債をこれから減らそうということで今回計画を示されたんだと思います。

 そして、この計画なんですけれども、私はこれで大丈夫かなと思いました。というのは、三ページ、右側を見てください。これはFRBのバランスシートというふうになっていまして、FRBは、最近少し減らすペースを落としましたけれども、最近は月九兆円ずつバランスシートを削減しているということです。

 日銀のバランスシート、イコール保有国債と考えると、日銀は、今回の発表した計画によると、当初一年ぐらいは、月九兆円がFRBですけれども、年間で九兆円ぐらいしか減らないんですよ。そんな小さい規模で削減していったとしても、将来の逆ざやリスク、そして赤字リスク、ひいては債務超過リスク、これは全然解消されないんじゃないですか。本当にこのままで日銀の財務はもつんでしょうか。お答えください。

植田参考人 委員おっしゃるように、短期金利を急速に引き上げていきますと一時的に逆ざやの構造が発生するというのは、そのとおりでございます。そういうことに対する備えとして、私ども、収益の一部を債券取引損失引当金等として積み立ててございます。

 その上で申し上げますと、少し先の姿になるかもしれませんが、何らかの状況で経済が落ち着きますと、さらに、そこである程度バランスシートが大きかったとします。ただ、そこで落ち着きますと、長期金利と短期金利の間にはそんなに差がない可能性があるかなというふうに思います。そうしますと、逆ざやという状況は解消されまして、仮に同じだとしますと、両者の差から収益も損も生まれないわけです。

 ただ、その上でバランスシートの資産側と負債側を見ますと、日本銀行券残高の分だけ、保有する国債の残高が当座預金を上回っております。日銀券には利子を払わないので、この部分が、国債の収入が丸々日本銀行の収益になります。

 そうしたことが長期的には残りますので、一時的に逆ざやで負の収益が積み上がったとしましても、長期的にはプラスに持っていけるというのが我々の基本的な考え方でございます。

階委員 今の説明は、先ほどの櫻井さんへの答えと同じようなことで定性的でしたので、やはり櫻井さんと同様、私も委員長に対して、日銀として財政状況の見通しを示す資料をこの委員会に提出するよう求めます。

津島委員長 理事会にて協議いたします。

階委員 それで、今のお話しぶりだと、一旦収益は悪化するけれども何とかなるような話をされていましたけれども、だとすると、櫻井さんは何かETFの含み益もあるから何とかなるということを言ったんだけれども、ETFを加味しなくても大丈夫だと私は伺ったんですけれども、それでよろしいですか。

植田参考人 そこは微妙でございますので、いろいろなケースによると思いますので、もし御要望があれば、改めて試算して、その結果を答弁させていただきたいと思いますが。

階委員 では、それは後で私のところに説明に来てください。

 その上で伺いますけれども、この委員会でも度々指摘させていただきました、保有ETF、今、日銀が死蔵しているような状況です。多額の含み益、宝の持ち腐れになっております。これを、市場に悪影響を与えないで保有ETFを減らすという計画、今回は国債を減額する計画ですけれども、ETFを減額する計画、これも速やかに検討して実行に移すべきだと考えますが、先ほど別の委員の質問で消極的なことも言われていましたけれども、改めて伺います。どうでしょうか。

植田参考人 保有ETFにつきましては、これは先ほどもお答えいたしましたように、処分をすぐに行うことは考えずに、今後の取扱いについて、ある程度時間をかけて検討してまいりたいと思います。

 ただ、処分を行う場合には、これも従来申し上げておりますけれども、市場等に攪乱的な影響を与えることを極力回避しつつ、また、日本銀行の損失発生も極力回避しつつ、適切な対価で行うということを目指したいと思っております。

階委員 日銀総裁、ここまでで結構ですので、御退席いただいて結構です。

津島委員長 総裁には御退席いただいて結構でございます。

階委員 残りの時間は財務大臣にお伺いします。

 今、保有ETFの話をさせていただきまして、これも関係するわけですけれども、四ページ目を御覧になってください。これは、当初予算における日銀の国庫納付金が、実際、決算段階でどうなっていたかということを示したものです。もう実績が出ているものについては、三本棒グラフがありまして、真ん中は私どもの方で試算した数字も挙げております。

 一回、前年度の実績が出る前にこの委員会に提出した資料なんですけれども、御覧になって分かるとおり、ここ数年、当初予算よりも決算段階の実績の方が大幅に上回っているということが続いております。今年、令和六年度も、当初予算国庫納付金は一・一兆なんですが、我々の試算ではこれを大幅に上回るだろうというふうに考えております。

 それを前提にすると、日銀の国庫納付金は今年度も大幅に上振れるというふうに考えておりまして、この上振れ分、今までは決算時に財務省の裁量で使用してきたわけですけれども、保有ETFを政府が簿価で買い取って分配金収入を政府が受け取れるようにすれば、予算時に財源として有効に活用できるのではないかと考えておりますが、この点いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 階先生からは、前の国会、通常国会のときにも同様の御質問をいただいて、法案も準備されているというお話を伺ったところであります。

 予算段階における見積りでありますけれども、階先生御指摘のように、仮に政府がETFを日銀から買い取って保有したといたしましても、そこから生まれる分配金収入の上振れは決算段階において初めて認識されるものでありまして、したがいまして、上振れを予算段階においてあらかじめ認識をして財源として活用することはできないのではないかと考えております。

 その上で、仮に分配金収入を予算段階で強気に見積もるとするのであれば、それに沿った金利や為替等の想定が必要となりますが、海外景気の下振れリスクや物価動向に関する不確実性のほか、頻発化する自然災害や、ウクライナ、中東地域をめぐる情勢の影響など、日本経済や金融市場に影響を及ぼし得る様々なリスクが存在する中で、国の予算に歳入不足が生じることがないようにするためには慎重な想定を前提とせざるを得ないと考えてございます。

 なお、ETFを簿価で政府に移管するとの御提案でありますが、日銀は、ETFの処分方針を定める際には、市場等の情勢を勘案し、適正な対価によるとしておりまして、政府が簿価で買い取るという対応がこうした日銀の方針などに照らして許容されるのかどうか疑問が生じるところであります。

 また、有配のETFを政府に移管することによりまして、日銀に分配金収入が受けられなくなるという逸失利益を生じさせることとなり、日銀の財務の健全性低下、ひいては政策の自由度を制限させてしまうおそれがあると考えているところでございます。

階委員 まず、我々は、簿価で買い取れる、これが許容されるということは昨年の国会で総裁に確認しております。さらに、逸失利益が生じるということなんですが、むしろ今の方が、含み益が三十兆円もあるのに全然活用されていないという意味で逸失利益だと思います。我々は、簿価で買い取ることによって毎年分配金が一兆円以上入ってくる、そしてさらに含み益もあるので、将来、市場に影響を与えない範囲で徐々に売却すれば、その売却益でもって新たな財源にすることもできたりするということで、これは非常に有効ではないかと思っております。

 そろそろ時間もなくなってきましたので、次の質問ですけれども、五ページ目を御覧になってください。内閣府の中長期財政見通しから抜粋したものです。今回初めて二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化が予想されました。今後、しかし、補正予算の規模や執行状況によって、下振れの可能性があるのではないかと思っております。

 まずこの点と、そして、このプライマリーバランス黒字化、来年達成されたとしても、金利上昇によっていずれは公債等残高GDP比は発散する可能性が高いというのが、六ページ真ん中下のグラフに示したとおりです。いずれは、二〇四〇年代に債務残高対GDP比は発散の方向に向かってくるわけです。ですから、二〇二五年度、今、微妙な状況で、プライマリーバランス黒字化が達成されるかどうかということになっていますけれども、これから金利のある世界を考えた場合に、新たな目標として、財政収支を指標とした目標を立てるべきではないかと考えております。

 最後、この二点、伺います。

鈴木国務大臣 二五年度PB黒字化の姿が示されたわけでありますけれども、補正予算が大きなものになればこれに影響を与える、そういう懸念、それは階先生と私も全く共有をさせていただいているところでございます。

 先般、内閣府から公表された中長期試算では、民需主導の堅調な経済成長が続く中、歳出等に関する一定の前提の下で、二五年度にプライマリーバランスが黒字化するとの結果が示されました。

 この中長期試算の結果と、秋に策定することを目指しております経済対策との関係につきましては、経済財政諮問会議において民間議員から、秋に策定を目指す経済対策については、執行が翌年度にずれ込む財政措置は二五年度のプライマリーバランス悪化をさせることも踏まえるべきであるとの御指摘をいただいたところでございます。

 現時点で、令和六年度補正予算について、決まったものは、予断を持ってお答えすることはできませんが、ただいま申し上げました民間議員の御指摘を踏まえれば、当初予算のみならず、補正予算を含めた予算全体での財政規律を重視していくことが重要、そのためには、経済成長を実現していくことと同時に、真に必要な事業への予算の重点化や財政支出の効率化など、歳出面の改革をしっかりと進めていく必要がある、そのように考えているところでございます……

津島委員長 申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

鈴木国務大臣 そして、二五年度以降の財政健全化目標についてまだ定まっておりませんけれども、財政収支を指標とする目標を立てるべきではないか、そういう御指摘でございます。

 委員からいただきました御指摘、これも参考にしながら、今の段階では決まっておりませんが、次なる目標を立てていきたいと思っています。

階委員 どうもありがとうございました。

津島委員長 これにて階君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の伊東信久でございます。

 本日の閉会中審査の植田総裁の答弁にも、政府との緊密な連携というお言葉がありました。本年七月三十、三十一日の金融政策決定会合における主な意見にも、財務省の意見としましては、日本銀行には、政府との密接な連携の下、二%の物価安定目標の持続的、安定的実現に向けた適切な金融政策運営を期待するというところで、密接な連携。緊密な連携、密接な連携、同じような意味だと思いますけれども。

 今般の政策金利の引上げの決定に対し、財務省と日銀はどのような密接な連携を取ったのか、これは財務大臣にお聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、塚田委員長代理着席〕

鈴木国務大臣 日銀によります金融政策と政府による経済政策の整合性、これを確保する観点から、これまでも政府と日銀は密接に連携をしてまいりました。

 具体的には、担当者による日々の情報交換、これはもとより、月例経済報告等に関する関係閣僚会議や経済財政諮問会議に加えて、財務省、金融庁、日銀の三者による国際金融資本市場に係る情報交換会、いわゆる三者会合でございますが、これなどを通じまして、経済、物価、金融情勢やその見通し等につきまして、密接に日銀とは情報共有、意見交換を行っているところであります。

 引き続きまして、物価安定の下での持続的な経済成長に向けまして、日銀と緊密に連携をすること、これは重要であると考えて、そのような取組を進めていきたいと思います。

伊東(信)委員 では、今回の政策金利の引上げに関して、果たして緊密な連携が取られていたかどうかということです。

 資料一に、日本銀行には政府としては緊密な連携を取ると書いてありますけれども、このことに関して、背景、趣旨について、政策金利の引上げについて質問していきたいと思います。

 資料二に、金融政策決定会合の意見を書いてありますけれども、赤線の部分、これは六月のなんですけれども、当面は現在の金融緩和を継続して、継続ですね、企業の前向きの構造改革を後押しすることが適当という見解があったんですけれども、七月におきましては、経済、物価はこれまで示した見通しにおおむね沿って推移しているほか、輸入物価は再び上昇に転じており、物価の上振れリスクに注意する必要もある、物価の安定目標の持続的、安定的な実現という観点から、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整、調整になりましたね、継続から調整することが適切と。これも四角い部分なんですけれども、足下の経済状態は、現在の極めて低い政策金利を幾分引き上げることができる程度によいと考えているということで、政策金利の引上げの流れをつくる表現となっているんですね。

 しかし、実際、今の日本の経済を考えるに当たり、やはり大事なことは、生産性の向上というのは共通の認識やと思います。為替の問題もありますけれども、国際社会の中で勝ち抜くためには、今の限られた労働力で多くの価値を生み出す価値があります。人口減少と高齢化の進行によって労働力の減少が避けられない、そんな中で生産性をいかにして高めるかということで、企業は日々奮闘されているということですね。

 国際社会の中で勝ち抜くためには、やはり技術革新、効率的な資源配分が求められるんですけれども、内需に目を向けて、企業投資が行われる環境づくりも不可欠であったり、特に中小企業にはそういった体力づくりが必要なんですけれども、これも結果論になるんですけれども、やはり今回の政策金利の引上げ、タイミングが悪かったのではないかなと指摘されても仕方ないと思います、結果論になりますけれども。やはりもう少し慎重に動かれてもよかったのではないか、そう思われるんですけれども。

 この局面で、今回はなぜ、ここで私は金融引締めと言わせていただきますけれども、金融緩和を継続してというような意見も六月にあったんですけれども、なぜ金融引締めに動いたか、その具体的な分析を日銀総裁よりお聞きしたいと思います。

    〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕

植田参考人 私どもの七月の決定会合での判断でございますけれども、六月から七月にかけまして、賃金、物価あるいはその他の経済指標を眺めまして、経済、物価がこれまで示してきた見通しにおおむね沿って推移しているという考え方を強めたということ、加えまして、そこまでの円安もあって輸入物価が再び上昇に転じており、物価の上振れリスクにも注意する必要があるというふうに判断し、二%の物価安定目標の持続的、安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整することが適切であると判断しました。

 その上で、もちろん、政策金利の引上げが市場金利や短期プライムレートの上昇を介して短期の貸出金利や一部の住宅ローン金利に影響することは認識してございますが、一方で、預金金利の利回りも上昇し、そちらは家計の所得にプラスに作用するという面もございます。

 さらに、金融政策の影響を評価するに当たっては、こうした金利収支の変化を通じる影響だけではなく、緩和的な環境が企業収益や賃金に及ぼしている影響も併せて評価する必要があると考えています。政策金利の変更後も、実質金利は、先ほど申し上げましたが、大幅なマイナスが続いて緩和的な金融環境は維持される、あるいは維持されていると考えておりますので、引き続き経済活動をしっかりサポートしていく考えでおります。

 物価の安定は経済の持続的な成長の基礎となるものでございます。日本銀行が物価安定の目標の持続的、安定的な実現を目指して適切に政策を行うことが国民経済全体にメリットを及ぼすというふうに考えております。

伊東(信)委員 今の総裁のお話では、やはり緩和は続いている、段階的に引き締めるということで、ちょっと緩和を緩やかにしたけれどもまだ緩和は続いているという認識だとは思います。

 利上げに関して、やはり世間の中でも、いい面もあったというところの指摘も実際にはあるんですね。あるんですけれども、やはり、一般の方も株式に投資されたりとか、中小企業のことも考えていただいた方がいいのではないかなと思っております。

 先ほどの質疑、タイミングの話を私はしましたので、そのタイミングに関して時系列で質問させていただきたいと思いますけれども、結果論となりますけれども、やはりアメリカの雇用統計の話になると思います。八月二日に発表されたアメリカの雇用統計の内容が市場予想を大幅に下回ったことで、売り注文が一気に増加したということも影響するわけですけれども、金利の引上げを決定した日銀の金融政策決定会合は七月の三十、三十一日なんですね。今申し上げた引き金となったアメリカの雇用統計については、本当に注目度の高いものとされていましたけれども、発表のタイミングは八月二日金曜日の日本時間の二十一時三十分になります。

 しつこいようですけれども、結果論だとは思いますけれども、海外市場についての情報収集体制をどのように取って、アメリカの雇用統計をどのように考え、どのように日銀は考えていたのか、総裁から、併せて質問いたします。

植田参考人 私ども、毎回の政策決定会合におきまして、海外経済の動向あるいは内外の金融資本市場の動向、あるいはそれらに起因するリスク要因などを注意深く点検、議論しております。

 こうした中で、七月の私どもの展望レポートでも、海外の経済、物価情勢、特に米欧において、これまでの利上げが実体経済、金融面に及ぼす影響についてはリスク要因であるというふうに指摘していたところでございます。さらに、これらが金融為替市場や我が国経済、物価に及ぼす影響についても十分注意する必要があるというふうに言及しておりました。

伊東(信)委員 言及はされていたけれども、残念ながら、それがやはり反映できなかったということになってしまいます。もちろん、難しい面もあるとは思いますけれども。

 そんな中で、金利引上げを行った理由に関して、さきの財務金融委員会の理事懇談会というのが八月の十三日、十日以上前なんですけれども、行われまして、その際に、日銀から一連の経緯説明がございました。このことについてちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、六月に会合があって、七月の会合の間に、三つ確認したものがあったそうです。

 一つ目といたしましては、日銀短観において、企業の業績、消費関連の企業業績などがしっかりしている、短観の中で、業績と同時にインフレ予想も引き続き上昇していく姿が確認できたとされております。

 二つ目といたしまして、毎月の勤労統計において、春闘の結果を見る中で、一般労働者の所定内給与の、賃金上昇がしっかり上がるだろうと予測していたが、統計のところで実際に反映され始めたということが確認できたと。二つ目のところは、勤労統計というところで、統計のところの結果が出ていたということが確認できたということなんですけれども。

 最後は、三つ目なんですけれども、日銀の視点としまして、先ほどからも中小企業の話をさせていただいていますけれども、中堅企業、中小企業の方々にも今後の賃上げが確認できたという説明があったんですね。

 この三点について詳しく聞きたいわけなんですけれども、特にこの三点目なんですけれども、統計によるものではないという説明がございました。統計でも確認できないような、小さい規模にも確認できたということなんですけれども、その根拠がどこにあるのかがいささか理事懇談会の中では不明でしたので、これは詳細になりますので、そのときは総裁からの説明ではなかったので、日銀の参考人から御説明をお願いいたします。

加藤参考人 お答えいたします。

 まず、中堅・中小企業の賃上げという観点で、まさに先生から御指摘いただきましたように、一つは、毎月勤労統計で確認したというのは御説明させていただいたところでございまして、この中では、当然、中小企業のものも含めた形での一般の所定内労働者の給与の伸びをまず確認したというところが一つでございました。

 もう一つ、中堅・中小企業、より小さいところについてもというところにつきましては、私ども、日本銀行本支店、全体合わせて、全国に本支店ございますけれども、こちらは通常からかなりいろいろな形で幅広くヒアリングをしているんですけれども、この七月の会合の前には、より集中的に、数千の企業にわたって確認を、ヒアリングをさせていただきました。

 そうする中では、幅広い地域とか業種、企業規模で賃上げをするという声が広がっておりましたので、そういう意味では賃上げの動きが広がってきているかなということを確認しましたし、この結果につきましては、七月の中旬でございますけれども、我々のさくらレポートの別冊という形で公表させていただいておりまして、その中でも、かなりの企業はこうなっているということを、数字にはなっていませんけれども、ヒアリングの形を取りまとめた形で、厚めのもので出しております。

 ただ、当然、このヒアリングの中で、中小企業の方が直面する環境の厳しさということも同時に確認をさせていただいていますので、そこも含めて、併せてここで公表させていただきましたし、今後もそこは丁寧に確認していきたいと考えているところでございます。

伊東(信)委員 いわゆるアンケートによる統計ではなかったけれども、実際にヒアリングをされたということで、ちょっと学術的な話になるかもしれないんですけれども、何例ぐらい、何件ぐらい聞いて、それがどれぐらい反映されているかということもやはり大事なところなので、記憶にある中でもいいんですけれども、本当に、二、三例聞いたのか、十例聞いたのか、十件聞いたのか、百件聞いたのかでも変わるんですけれども、どれぐらいの規模でヒアリングされていますか。数が多い少ないとかと言うつもりはないので、事実だけを知りたいんです。どれぐらいの規模でヒアリングされたかと。大体でいいです。

加藤参考人 数千社ではあったんですけれども、こちらについては後ほどきちんとした数字を御報告させていただきたいと思いますけれども、そちらでよろしいでしょうか。

伊東(信)委員 やはり、多くの中小企業の方が今回の株価の暴落で御苦労されているというのは事実です。その中での賃上げがあって、あくまでも結果論ですけれども、タイミングが悪かったということも指摘はされているので、それが多いか少ないかの判断は、国民の皆さんなり、それぞれ企業の皆さんも判断されてはいいとは思うんですけれども、実際に日銀がどのようにこういった評価をしているかというところを確認したいので、また後ほどよろしくお願いいたします。

 それでは、市場との対話という話をされておりますけれども、同時に、日銀は長期の国債の買入れに関して、減額計画、その中で、機動的に買入れ額の増額等を実施というところで、今回の私の質疑の大きなテーマとしては、どこに根拠があって、どのようにエビデンスを重ねていって決定しているかというところを、やはり国民の財産を守る話ですので、しっかりとお聞きしたいと思っているんですけれども。

 資料三にあるんですけれども、これは、先ほど申し上げました十三日の懇談会にいただいた資料なんですけれども、日銀は、金融市場に余り大きな影響を与えずに減額していくことができるかについて考え、減額計画を作成しているということなんですけれども、国債大量保有の弊害というのはやはり大きくて、日銀が大量に国債を保有して、バランスシートが肥大化している状況というのは、やはり国債の市場をゆがめたり、政府の財政規律を緩めたり、政策金利を引き上げるとともに、日本銀行の民間への利払いを拡大させ、日銀の財務を悪化させる、行く行くは円の信頼も毀損するのではないかという問題もあります。

 そういった観点で、バランスシートの規模を適正化するという観点から、この点についてお聞きしたいと思うんですけれども、この長期国債買入れの減額計画の中で、長期金利が急激に上昇する場合には機動的に買入れ額の増額等を実施ということで、この機動的という言葉が、四角の中の四角で囲んでいますけれども、重要になってくるわけですけれども、この機動的というのは、具体的に、誰がどのような意思決定で、いかなる意味なのかを、最後、日銀総裁にお聞きしたいと思います。

津島委員長 植田総裁、申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

植田参考人 長期金利はより自由に形成されていくという姿が望ましいと考えておりますが、そうした通常の自由な変動とは異なるような形で急激に上昇するというような例外的な状況において、機動的にオペを実施する余地を残したということでございます。

 具体的には、買入れ額の一時的な増額や指し値オペを使ったり、共通担保資金供給オペを実施するということですが、その判断は、オペレーションの実務を担当しております金融市場局が行うというつくりにしてございます。

伊東(信)委員 本当に緊張感を持って政府も日銀も行っていただくことをお願いいたしまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

津島委員長 これにて伊東君の質疑は終了いたしました。

 次に、掘井健智君。

掘井委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の掘井健智でございます。

 前回の質問で総裁は、物価の上振れや下振れというのは定量化が非常に難しいと。こういうことを踏まえて質問していきたいと思うんです。

 総裁は、経済、物価の見通しが実現していくのであれば金融緩和の度合いを調整していく、つまり、政策金利については利上げの方向にあることを明言されましたが、加えて、中立金利に関しては、見通しどおりの姿であれば政策金利はほぼ中立金利の近辺にあるという展望を持っていると述べられました。

 中立金利とは、景気を沸かせもしない、また冷ましもしない金利のことでありますけれども、この水準より政策金利が高ければ引締め的な金融政策、逆に低ければ緩和的な金融政策である、その考えで政策を行っておりますが、現在は緩和的ということなので、どの程度なのかは正確には分かりませんけれども、中立金利よりも政策金利の方が下方に位置しているということだろうと思っております。

 ここで問題となるのが、中立金利は、その構成要因にあります自然利子率を含めて、正確な数値の計測にはぶれが伴うということなんです。

 総裁自身も、一定の幅を参照にしながら、不確実性、まあ今日もいろいろ答弁しておりましたけれども、不確実性のある現実の経済金融環境の中で本当にコンマ数%の金利調整を行うという非常に難しいことをやっておられます。その結果、今回、幅の下限に近づく確率が高まるような事象が起きたということで、内田副総裁の、金融市場が不安定な状況で利上げすることはない、こういうコミットにつながっていると理解しております。

 日銀がやっていることは、市場にも企業にも家計にも、非常に分かりにくいは分かりにくいんです。

 そこで質問しますが、総裁がイメージする中立金利に基づく将来の政策金利パスと、市場が受け取る中立金利に基づく政策金利パス、このずれが時として過度に金融市場に影響を与えて、更にその波及によって実体経済も動かしてしまう、そんなことになると思うんです。中立金利自身が動く内生化について、総裁はどう説明されるのか。

 それと、特に我が国経済が非常に長期的なデフレマインド体質にある、こういうことの中で重要となる下振れリスクに対する総裁の意識、その持ち方について、見解を伺いたいと思います。

植田参考人 自然利子率については、先ほども御議論がありましたけれども、私どもも含めて様々な推計を行っていますが、推計の結果の幅は非常に広いものになっております。なかなか特定がしにくいというところであります。

 しかし、その上で、現在の政策金利の水準である〇・二五%は、二%をちょっと超えておりますインフレ率対比で見たといたしましてもかなり低く、実質金利は大幅なマイナスとなっているというふうに考えております。

 また、もう少し理論的に、自然利子率に関する様々な推計値を踏まえて中立金利を幅を持って見たとしましても、現在の短期金利の水準よりは相応に高い。つまり、現状は緩和的な金融環境にあるということは言えるのではないかなと思います。

 今後、自然利子率については、短期金利が変化していく中での経済、物価の反応をよく点検しながらその水準を探っていくこととしたいと思います。

掘井委員 今日も質疑の中で、中立金利を示せというお話もありましたけれども、そこに余り意味はないと思うんですけれども、自然利子率には幅があるということ、そして期待インフレ率は正確には分からないということでありますから、どこに重点を置くのか、軸をどこに置くのかということが非常に大事であると思うんですね。総裁は、金利を徐々に上げながら見ていくと。実験では駄目なので、やはり下振れにはよく気をつけていただきたい、このように思っております。

 次の質問です。

 日本経済は、三十年のデフレの中で消費者の意識が変化し、一般的な経済理論がなかなか通用しなくなってきていると思います。物価安定を掲げる日銀は、インフレ上振れリスクを意識し、利上げに踏み切りました。日本経済は、まずデフレに終止符を打つことが非常に重要であって、そのためには、現在の二%というインフレ率を目標とする物価安定の目標では不十分だと思うんです。現在の枠組みでも、基調的なインフレ率という表現の仕方で一時的な上振れを許容しているようにも見えます。しかし、実際に利上げをしているために、一般国民には分かりづらいんです。あくまで政策ターゲットは一般消費者であるということです。

 そこで、一つの考え方なんですけれども、デフレからインフレへの移行局面といった限られた局面では、物価の上昇率だけではなくて、物価の水準も目標に捉えてみてはどうでしょうかということなんです。これによって、ある程度の期間、二%を超えるインフレ率を許容しながら金融緩和を継続するというコミットメントが明確にされまして、一般消費者にも非常に分かりやすいものになると思うんですね。

 国民経済の健全な発展のためには、将来的な経済、物価の下方リスクを重視していただきたいと思うんです、状況が状況でありますので。それゆえに、こうした物価水準目標という考え方の採用を私は検討すべきだと思いますが、総裁の見解を伺いたいと思います。

植田参考人 委員が指摘されました物価水準目標政策の考え方は、かなり前から学界、中央銀行界に存在するものだと理解しております。これによりますと、過去に、目標に比べて現実のインフレ率が低かった場合に、下回った部分を取り返すようなところまで、今後といいますか将来、物価が上昇することを容認するというような部分を含んだ政策でございます。これを実現して、これが実行されると信じられれば、人々の物価上昇期待に大きな影響を与えて、それが原動力となってインフレ率を一段と引き上げるという効果を持つと期待されている政策かと思います。

 ただ、現状、私どもの経済を見てみますと、中長期のインフレ予想は、誰の予想を取るかによって違いますけれども、押しなべて緩やかに上昇しておりますし、基調的な物価上昇率は、私どもの見通し期間の後半には物価安定目標とおおむね整合的な水準で推移するというふうに見込んでおります。したがいまして、現状の政策スタンスを続けることによって物価安定の目標の実現に一歩一歩近づいていくというふうに私どもは現状、考えております。

掘井委員 時間がありませんから次の質問をさせていただきますが、アベノミクス以降の日本経済を牽引している要因の一つは、円安を背景とした好調な企業業績であります。円安には輸入物価の上昇というマイナス面もありますが、プラスの面があることも事実であります。今後、内外金利差の縮小傾向に伴う円高トレンドは、まあ円高トレンドに転じた場合の議論をしたいと思うんですけれども、一般的には、円安は輸出企業の業績にプラス、そこからの賃金上昇が内需をプラスする、こういうメカニズムが働くと考えられておりますけれども、逆に、円高トレンドが継続するということ、日本経済に一体どのような影響があると考えているのかということなんです。

 このような円安によるプラスの影響、円高によるマイナスの影響を、単位当たりといいますか、そういったもので比較したときに、どちらの影響が大きいのか。これは総裁と大臣、両方にお尋ねします。

鈴木国務大臣 円高トレンドが続いた場合という前提の御質問でございましたが、円高の日本経済への影響について、一般論として申し上げますと、掘井先生御指摘のとおり、輸出物価を通じた企業の海外売上げ、利子、配当など、海外からの所得等を下押しする方向に作用して、輸出企業の業績にマイナスに寄与する一方で、輸入物価を通じて企業の事業活動の負担が軽減され、輸入比率の高い企業を中心とした企業業績にプラスに作用するわけでございます。

 こうした両面がございますので、プラス面、マイナス面のどちらに影響が大きいかということについては、一概に申し上げることはできないと考えております。

植田参考人 為替相場の経済への影響でございますが、円高、円安、両方の局面で、業種、企業規模、経済主体によって不均一であることに加えまして、相場の水準だけでなく、相場の変動に対して企業、家計がどう反応するかということも含めて、幅広く分析していく必要があると考えております。

 これら、毎回の金融政策決定会合でしっかりと点検していきたいと考えております。

掘井委員 ありがとうございます。

 議論してきたように、日銀は利上げがメインのシナリオを崩しておりません。家計の消費者マインドの調査を見ても、やはり需要が、三十年続いたデフレからの完全脱却には需要喚起が本当に大事なんです。それには、金融緩和か財政出動しかないと私は思います。日銀は利上げを行っている以上、財政出動の果たす役割は非常に大きいと考えております。

 そこで、財務大臣に質問します。

 デフレ脱却のための機動的な財政出動についての見解を伺うということとともに、財務大臣よくおっしゃられるように、プライマリーバランスの黒字化、本来、悲願である二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化にこだわる余り、デフレ脱却という国民経済の健全な発展のために必要な政策対応をちゅうちょしてしまうことがないのかどうか、質問したいと思います。

鈴木国務大臣 岸田政権では、骨太の方針二〇二四におきまして財政健全化を最重要課題の一つとして掲げているところでありますが、これを進めるに当たっては、経済あっての財政との考え方の下で、民需主導の持続的な成長の実現に向けて、真に効果的な財政需要については機動的に対応していくことが重要であると考えております。

 実際、これまでも、予算編成や税制改正などを通じ、賃上げや設備投資を促進するための財政を資金面でしっかりと措置してきたところでありまして、その結果、日本経済は、長年続いてきたデフレから脱却し、力強い経済成長を実現する大きなチャンスを迎えていると考えております。

 一方で、我が国の財政状況、改めて申し上げるまでもございませんが、大変厳しい状況にありまして、その持続可能性に対する信認が失われた場合には、金利の急上昇あるいは過度なインフレが生じて、経済成長に多大な影響を与える可能性、これを否定することはできません。したがいまして、経済成長に必要な財政出動はしっかりと行いつつも、予算の重点化や財政支出の効率化といった歳出面の改革努力を同時に進めていくことも重要であると考えているところであります。

 経済成長への取組と歳出改革への努力、この中にはPB黒字化ということも含まれると思いますが、同時に進めることで、財政の健全化をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。

掘井委員 財政健全化は、僕は、バランスじゃなしに、やはり順番だと思います。

 最後に申し述べまして終わりたいと思いますが、やはり経済学は、所詮、人の行動の変容を求めているにすぎないと思うんですね。ですから、数式も間違えることもありますし、また、データが思うようにいかないということがあると思うんです。数字を合わせることが目的ではなくて、国民の生活がどうなっているか、こういうことに是非目を向けていただきたいと思います。

 そして、金融政策にはタイムラグが生じますから、その間どうするか、そこの国民生活をどうしていくか、救っていくかが……

津島委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

掘井委員 政治であると思いますので、よく考えて政策を打っていただきたい、このように思っております。

 ありがとうございます。

津島委員長 これにて掘井君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、定額減税対策について質問します。

 青色、白色の事業専従者が定額減税の対象外となっている件について、四月の答弁では、確定申告後の不足額給付で支給するとのことでありました。

 内閣官房のホームページにおいて、この不足額給付について内容が一部公開されています。一人当たり原則四万円の調整給付金とのことでありますけれども、この制度について簡単に説明していただけるでしょうか。

松家政府参考人 お答えいたします。

 定額減税をし切れないと見込まれる方への調整給付につきましては、当初の見込みと異なるなど減税や給付が十分でない場合には、減税額が確定する令和七年に不足分を給付することとしております。

 この不足額給付におきまして、御指摘の白色申告及び青色申告の事業専従者を含めまして、一定の要件を満たす場合には給付の対象とする旨、本年六月二十六日に公表し、自治体に対して周知をしたところでございます。

 具体的には、原則といたしまして、事業専従者御本人から令和七年度住民税課税市町村に対する申請を基本といたしまして、御本人として定額減税の対象外であること、また、扶養親族等としても定額減税の対象外であることなどの給付要件を確認した上で、原則お一人当たり四万円を給付する方針としております。

 こうした給付につきまして、令和七年以降に順次給付を開始できるよう、申請の具体的な開始時期などの詳細について、関係省庁と連携しながら検討し、準備を進めてまいりたいと考えてございます。

田村(貴)委員 ただ、この給付金は、本人の申請なんですよね。自分が定額減税から外されていること、そして不足金で給付されて支給される、これはなかなか知られていません。

 鈴木大臣、給付漏れがないように、本制度の周知徹底が極めて重要だと思います。そもそも、所得税法の配偶者、親族の定義を用いて定額減税の仕組みをつくってきた問題であります。財務省は、国税庁、税務署に対して、事業専従者全員に本制度の案内や申請書を送付するなど、広報の徹底を図るべきだと考えますが、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 本制度に関します周知、広報については、これは重要なことだと考えます。

 このことにつきましては、内閣官房、内閣府を始めとした給付金担当部局や地方自治体を中心に今後検討されていく、そのように思っておりますが、国税庁といたしましても、こうした検討を踏まえ、内閣官房、内閣府と引き続き連携をしていきたいと考えております。そして、納税者から個別に税務署等に問合せがあった場合には、丁寧に対応をしてまいりたいと考えています。

田村(貴)委員 責任を持ってしっかり当たっていただきたいと思います。

 次に、緊急を要する点について質問します。

 お米が不足していて店頭から消えて、今、大問題になっています。いつものお米が食べられない、店を何軒も探した、店を替えて手にすることができたけれども価格が高過ぎる、こうした声があちこちで上がって、連日、報道も続いています。

 武村農林水産副大臣に来ていただきました。

 米は全体として逼迫していないという答弁がずっとありましたけれども、その認識はもう何度も聞いてきましたから、結構です。大事なのは、国民の主食が手に入らないという重大事態に対して農林水産省は何もしないのでいいんでしょうか。いかがですか。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 最近の米の需給につきましては、令和五年産米の需要が堅調に推移をしたことから、令和六年六月末の在庫量は近年では低い水準になっております。こうした中で、米の在庫が最も少なくなる端境期である八月に、南海トラフ地震臨時情報とその後の地震や台風等によりまして、買い込み需要が発生をしました。また、輸送業者がお盆に入った影響もありまして、商品の搬入、補充に停滞が生じたこと、こうしたことから品薄となった店舗が生じているものと考えております。

 例年、新米は、八月には九州から千葉、茨城等の産地の早期米が出回り始め、九月には一年の出荷量の四割程度までこれから本格的に出回ってまいります。産地の情報によりますと、六年産米の生育は順調に進んでおりまして、平年よりも一週間程度収穫が早まる産地もありまして、あわせて、出荷も前倒しで行われる見込みです。

 このため、米が品薄となっている状況は今後、順次回復をしていくと見込んでおりますので、消費者の皆様方におかれましては、必要な量だけお米をお買い求めいただくなど、落ち着いた購買行動をお願いしたいと考えております。

 以上です。

田村(貴)委員 副大臣、そんな傍観者的な立場でいいんですか。家の米びつが空になって、お米が食べられない人が今たくさんいるんですよ。そして、何と、備蓄があるのに、スーパーではアメリカンライスが並んでいるということじゃないですか。これは明らかにおかしいでしょう。重たいお米を買いに行くことができない高齢者の方、どうしたらいいんですか。今、大問題になっているんですよ。

 私は四月からこの品不足の問題は農水委員会で取り上げてきましたけれども、まさに今答弁があったように、無策に等しいわけであります。新米が出回るまで待てというのは、余りにも無責任ではありませんか。

 提案します。生産者団体、卸の業界と相談して、店頭に十分なお米が回るように緊急対策を取るべきだと考えます。いかがですか。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 農水省としましては、お米の取引関係者である集荷業者や卸売業者等に対して、円滑な流通に努めていただくよう働きかけをしているところであります。また、毎月、各事業者から集荷、販売、在庫の状況等の情報を徴収し、公表することで、きめ細やかな情報提供を行っているところであります。

 繰り返しになりますが、既に新米の出回りも始まっておりまして、農水省として、今後も引き続き円滑な流通の確保に向けて取り組んでまいります。

田村(貴)委員 いつものお米がいつものお店屋さんで買えない。事は、日本の主食の問題なんですよね。いつまで放置しているんですか。ちゃんと対応を打ってください。減反に続く減反。米の需給調整を事実上、放棄。生産量はかつて一千万トンあったのに、今や六百六十一万トンまで減少した生産量の下で、今回少し需要が上がった。六月末の在庫量が百五十六万トン、過去最低にもなった。この事態を招いたのはまさに自民党農政であるということを強く指摘しておきたいと思います。直ちに対応を取ってください。

 それでは、金融政策について質問します。

 読売国際経済懇話会、五月八日に行われたこの懇話会で、植田総裁は、過去と比べると為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面があることは意識しておく必要があると述べられました。さらに、七月三十一日の記者会見で、足下の円安が物価に上振れリスクを発生させているということもあって政策変更に至った、このように述べておられます。つまり、急激な円安が、輸入物価の上昇を通じて想定以上の国内の物価高を起こしている、だから、ドル高・円安の是正のために今回の金利引上げを行ったということですね。

 そもそも、二〇二二年から超円安が起こったのは何が原因なんでしょうか。例えば三井住友信託銀行のレポートでは、円安の主因は日米金利差とし、近年の日米金利差とドル・円レートの動きはかなり近似していると指摘しています。つまり、日米の金融政策の違いにより金利差が拡大した結果、円キャリートレードが活発に行われて、ドル高・円安が進んだということであります。そうであるならば、日本銀行に相当な責任があるのではないでしょうか。総裁、いかがでしょうか。

植田参考人 まず、私どもの七月の決定会合における引上げの決定でございますが、その背景といたしましては、先ほど来も御議論がありましたように、為替、円安の影響を含め、経済、物価見通しやリスクを丹念に点検した上で、金融緩和の度合いを調整することが適切と判断したというところでございます。

 それから、二〇二二年頃からの円安・ドル高と金融政策との関係でございますけれども、申し上げるまでもなく、為替レートは多様な要因によって決定されるものだと思います。その中で、二二年以降、やはり、内外、特に我が国と米国の金融政策の方向性の違いに基づきます内外金利差に市場参加者の注目が集まって、それが為替市場に影響を与えたという面はあるとは思います。

田村(貴)委員 金利差の拡大により円安が進んでいる環境の下でも、二年前、当時の黒田総裁の答弁ですけれども、私の質問に対して、マクロ経済モデルを用いて円安の我が国の経済への影響を分析いたしますと、純輸出を中心に実質GDPを押し上げるという結果が得られていると、円安容認の姿勢を示されていました。

 結局、こういう姿勢が日米の金利差を拡大し、そして容認したことが急激な円安を招いたことになったのではないか、私はそう考えますけれども、総裁、いかがでしょうか。

植田参考人 繰り返しですが、為替レートは平時から様々な要因の影響を受けて動いていると思います。その上で、二二年以降の局面では、内外金利差と為替レートの関係に市場参加者の注目が集まったという面はあったかと思います。

 いずれにせよ、為替レートは、経済、金融のファンダメンタルズに沿って安定的に推移することが重要であると認識しております。

田村(貴)委員 総裁に引き続き尋ねます。

 七月三十一日の記者会見で総裁は、利上げの理由について、賃上げの中小企業への波及が確認できたことを一つの要因として挙げています。これは我々の実感とはほど遠いものがあります。

 そして、総裁は、次のような発言もしています。ついてこれない零細企業もある、ついてこれない企業の労働者たちが、より生産性が高いほかの企業にうまく移れるような様々な仕組みや努力が続いていくかどうかをモニタリングするというふうに述べられています。

 つまり、賃上げができない中小零細企業は、倒産、廃業やむなし、市場から撤退するのが日本経済にいい、そういう御判断なんでしょうか。いかがですか。

植田参考人 我が国経済が持続的に成長していくためには、申し上げるまでもなく、中小企業を含めて賃上げの動きが広がり、賃金と物価の好循環が実現していくことが必要であるというふうに考えております。

 我が国経済全体として賃上げの動きが広がってきていると、もちろん認識しております。しかしながら、企業間のばらつきも大きくなっていまして、中小企業の中には、直面する環境の厳しさを指摘する声が少なくないということも十分認識してございます。こうした中小企業の実情や経営を取り巻く環境について、私どもとしても丁寧に点検していく所存でございます。

 こうした環境の厳しさを改善していくためにはということでございますが、経済全体の生産性の向上が不可欠であるというふうに思います。経済全体の生産性が向上し、我が国経済が持続的な成長を遂げる中で、業種、規模を問わず企業も発展していくことができるというふうに考えております。

 この点、企業の皆様の努力とともに、政府も様々な取組をされていると承知しておりますが、日本銀行としても、緩和的な金融環境の維持を通じて、金融面から企業の生産性向上に向けた取組を後押ししていく方針でございます。

田村(貴)委員 総裁、地域経済や地域社会にとって必要な中小零細業者が、収益の向上が見込めずに、本当に経営悪化に陥っています。ゼロゼロ金融も終わりました。塗炭の苦しみにある中小業者、中小企業を、ちゃんと経営継続できるために、競争原理だけで見るのではない、そうしたところを是非指摘をさせていただきたいというふうに思っております。

 最後に、鈴木大臣、先ほども質問が出ましたけれども、大臣、八月三日の大臣の地元における政治資金パーティーについて質問します。

 大臣は、パーティーをやった、そして問題はないということでありましたけれども、これは大いに問題があります。そもそも、岸田政権の支持が国民から離されたというのは、派閥政治資金パーティー裏金事件、ここにあるわけなんですよね。そして、共同通信の世論調査では、岸田首相の退陣が信頼回復のきっかけにはならない、七八%ですよ。ここに問題があるわけです。

 大臣、裏金事件に対する反省はございますか。大事なのは裏金事件の全容解明ではないですか。いかがですか。

鈴木国務大臣 我が党におきまして、派閥の資金集めパーティーの政治資金法上に定められた記載を怠っていたこと、それが政治不信を招いているということ、これは大変重く受け止めてございます。それを受けて、通常国会におきましても政治資金規正法の改正等の議論が大変深くなされたものと理解をしております。そういうような、特に我が党は批判を受けているわけでありますので、そうした批判を受けないように今後しっかりとしていかなければいけないと思います。

 しかし、それと個人が開催する政治資金パーティーというのは全く別であります。これは法律にもきちっと位置づけられ、そして、位置づけられておりますから様々な規制がかかっております。その規制をしっかりと守って行っていく。

 政党が地元での活動等を丸抱えでやっていただける政党ならいいですが、自民党を始め多くの政党は、政治家個々人が自分で私設秘書さんを契約をして、そして事務所を構えてやらなければ政治活動が回らない。つまり、そのための家賃でありますとか、人件費でありますとか、あるいは光熱費、そして活動、ガソリン費、通信費等々、どうしても政治資金が必要であります。

 私は必要以上の政治資金を集めようなんて気持ちは全くないわけでありますが、そうした政治活動に必要な政治資金、それはどうしても必要であります。党が丸抱えでやっていただける政党とは違うわけでございますので、その点は個々人の責任においてきちっとルールを守ってやっていかなければならない。今後とも定期的に開催をしていきたいと考えています。

田村(貴)委員 大臣、自民党のやり方そのものが問題だと言っているんですよ。大臣の二〇二二年の政治資金報告、収支では、パーティー収入が何と四千六百七十七万円ですよ……

津島委員長 申合せ時間が経過しております。御協力をお願いします。

田村(貴)委員 利益率が八六・七%。こういうところに国民の厳しい目が向けられていること、裏金事件の全容を解明すること、そのことが大臣に求められていること、そのことを指摘して、質問を終わります。

津島委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.