衆議院

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第2号 令和7年2月12日(水曜日)

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令和七年二月十二日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 井林 辰憲君

   理事 大野敬太郎君 理事 国光あやの君

   理事 小林 鷹之君 理事 阿久津幸彦君

   理事 稲富 修二君 理事 櫻井  周君

   理事 斎藤アレックス君 理事 田中  健君

      東  国幹君    石田 真敏君

      井出 庸生君    伊藤 達也君

      上田 英俊君    大空 幸星君

      田中 和徳君    田野瀬太道君

      土田  慎君    長島 昭久君

      中西 健治君    根本 幸典君

      福原 淳嗣君    古川 禎久君

      松本 剛明君    向山  淳君

      阿部祐美子君    江田 憲司君

      岡田  悟君    海江田万里君

      小山 千帆君    篠田奈保子君

      柴田 勝之君    末松 義規君

      杉村 慎治君    原口 一博君

      水沼 秀幸君    三角 創太君

      矢崎堅太郎君    村上 智信君

      岸田 光広君    中川 宏昌君

      山口 良治君    高井 崇志君

      田村 智子君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       加藤 勝信君

   内閣府副大臣       瀬戸 隆一君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   内閣府大臣政務官     西野 太亮君

   財務大臣政務官      東  国幹君

   財務大臣政務官      土田  慎君

   厚生労働大臣政務官    吉田 真次君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   馬場  健君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 水田  豊君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         江口 有隣君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局政策立案総括審議官)      堀本 善雄君

   政府参考人

   (金融庁企画市場局長)  油布 志行君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    伊藤  豊君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 伊藤 正志君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   吉野維一郎君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    青木 孝徳君

   政府参考人

   (財務省関税局長)    高村 泰夫君

   政府参考人

   (国税庁次長)      小宮 敦史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           榊原  毅君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    南   亮君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田尻 貴裕君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            山本 和徳君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           堤  洋介君

   参考人

   (日本銀行総裁)     植田 和男君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十二日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     大空 幸星君

  田中 和徳君     向山  淳君

  牧島かれん君     井出 庸生君

  川内 博史君     篠田奈保子君

  階   猛君     柴田 勝之君

  長谷川嘉一君     小山 千帆君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     田野瀬太道君

  大空 幸星君     石田 真敏君

  向山  淳君     田中 和徳君

  小山 千帆君     長谷川嘉一君

  篠田奈保子君     杉村 慎治君

  柴田 勝之君     階   猛君

同日

 辞任         補欠選任

  田野瀬太道君     牧島かれん君

  杉村 慎治君     阿部祐美子君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部祐美子君     川内 博史君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

井林委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁植田和男君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長馬場健君、内閣府大臣官房審議官水田豊君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長江口有隣君、金融庁総合政策局政策立案総括審議官堀本善雄君、企画市場局長油布志行君、監督局長伊藤豊君、総務省大臣官房審議官伊藤正志君、財務省主税局長青木孝徳君、関税局長高村泰夫君、国税庁次長小宮敦史君、厚生労働省大臣官房審議官榊原毅君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官南亮君、大臣官房審議官田尻貴裕君、中小企業庁事業環境部長山本和徳君、国土交通省大臣官房審議官堤洋介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。福原淳嗣君。

福原委員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。委員長、理事、そして全ての委員の先生方に感謝申し上げます。

 それでは、通告に従いまして三問お聞きをしたいと思っておりましたけれども、皆さん御存じのとおり、去る二月の十日、残念なことに、財務省関税局の職員が、お酒を飲んだ上、密輸入に係る容疑者の個人情報が入った行政文書を紛失したとの報道がありました。非常に残念だなという思いでおりますが、まず、この点に関しまして、大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。

加藤国務大臣 二月七日未明、財務省関税局職員が、密輸入事件の犯則嫌疑者などに係る個人情報を含む文書等が入ったかばんを紛失する事案が発生しました。関税局職員が、密輸入事件の犯則嫌疑者を含む個人情報が記載された行政文書を保持した状態で帰宅しようとし、さらに、飲酒の上、当該文書を紛失するに至ったこと、あってはならないことで、誠に遺憾であります。税関行政に対する国民の皆さんの信頼を大きく損なったことに、心からおわびを申し上げます。

 この事態を極めて重く受け止めており、今後このような事態が起きないよう、まずは再発防止に徹底して取り組むよう指示をいたしました。

 関税局長から局内全職員に向けて、綱紀の保持の徹底は当然のことでありますが、今後、機密性の高い情報が掲載されている行政文書については、セキュリティー対策を施した上で電子的に管理すること、業務上の必要性からやむを得ずデータを物理的に持ち出す場合にはセキュリティー対策を施した媒体によって適切に運搬することを周知徹底させております。

 また、財務省全体としても、文書、端末の持ち出しに係る留意事項や必要なセキュリティー対策等を明示した注意喚起を全職員に対して行ったところであります。

 今後とも、国民の皆さんからの信頼回復にしっかりと努めてまいります。

福原委員 二度とこのようなことがないように努めていただきたいと思います。

 それでは、早速、通告に従いまして第一問に移らせていただきたいと思います。第一問も、まさに関税であります。

 日米首脳会談におきまして非常に印象的だったのは、トランプ大統領は貿易赤字の話を冒頭に出してきましたが、しっかりと石破総理大臣は、アメリカに直接投資をしているんだという話をしております。非常に聡明だなというふうに思いました。

 というのも、日本は、ここ十年、経常黒字の大国であります。普通、マクロ経済をきちんと勉強した人間であれば、経常収支が黒字であるならば、通貨基軸の円は高いはずでありますが、高くはない。要は、経常収支だけでは為替の高い安いは決められないわけでありますが、そういうところに、私は、今の日本の産業構造が見えてくるのではないのかなというふうに思います。

 原油、天然ガスあるいは石炭、そういったものを含めると、いろいろカウントはありますが、約二十七兆近く、それに、昨今言われているデジタル赤字も含めますと、マイナス七兆と言われていますので、大体三十四兆近くマイナスの部分が出ている。

 そういうふうな部分を捉えた場合に、私は、総理が指摘している産業構造の脆弱性を更に強靱的なものにするためにも、国内投資に目を向けるべきではないかという考えを持っておりますが、この点に関しまして、大臣は、財政は国の信頼の礎であると所信で表明をされております。是非とも、この日本の国際収支と日本の産業構造についての大臣の見解をお聞かせください。

加藤国務大臣 二〇二四年の国際収支統計によりますと、経常黒字は過去最大の約二十九兆円。その中で、貿易収支は四兆円の赤字となっております。また、第一次所得収支、これは四十兆円という過去最大の黒字となっています。ここに、今委員御指摘の、一つの日本の現在の産業経済構造が反映されていると思います。

 かつては、輸出主導で経済発展を成し遂げ、貿易収支は長らく黒字であり、逆に円安であると輸出がそれに応じて更に伸びるという状況でありましたが、近年は、円安もある中で、赤字基調となっています。

 背景には、我が国産業の国際競争力の低下や生産拠点の海外移転、こうしたことによって輸出が伸び悩む、一方で、資源はそもそも価格上昇等もあって輸入が更に増えてきている。投資については、御承知のように、海外から配当金や利子の受取が拡大した結果、先ほど申し上げた第一次所得収支の黒字は過去最高であり、これは、ある意味では、国内に投資が向かわずに、より海外に投資に行っているということも言えるのではないかと思っております。

 こうしたことを踏まえて、政府として、省エネの促進や脱炭素効果の高い電源の活用等を通じたエネルギーコスト上昇に強い経済社会の実現、あるいは農業の収益力向上、輸出促進などに取り組むとともに、潜在成長力を高める国内投資の拡大、インバウンド拡大等を進め、日本経済の成長力そのもの、これを強化すべく努力していきたい、こういうふうに考えています。

福原委員 ありがとうございます。

 いみじくも加藤大臣が言及されている点、非常に私も重要だなというふうに捉えております。

 と申しますのも、石破総理の施政方針演説の中、冒頭の方にありますが、我が国は食料自給力、エネルギー自給率が低い現状だ、それなので外的な事象に国民生活が大きく影響を受ける懸念がある、より自立した形で国民生活を守ることができるよう、戦略的な国家運営が必要である、持続可能で自立することを重視しなければならない、価値観の転換が必要だというふうな文言があります。

 そういう意味におきまして、特に、私は、エネルギー自給率に関しましては、政府が昨年末に公表しましたGX二〇四〇ビジョン、脱炭素成長型経済構造移行推進戦略、これに絡めて、今通常国会には、いわゆる資源有効利用促進法、いわゆる資源法の改正案、そしてGX推進法の改正案が国会に提出されます。是非、こういう面ときちっとすり合わせて進めていきたいということ。

 そして、食料自給力に関しましては、昨年、二十五年ぶりに食料・農業・農村基本法が変わりまして、今、基本計画が策定されている最中であります。食料を生産する空間、それを消費する空間と分けた場合、生産空間にもっと投資をするべきだという説もありますが、是非、こういうふうな考え方についてもお聞きをしたいと思っております。

 また、施政方針演説の中にあります、我が国はもはや人材希少社会に入った中で、人中心の国づくりを進めていかなければならないというふうにも総理は申しております。そういう意味においては、国民への投資という観点、子育て支援、あるいは、高等教育機関への環境あるいはアクセス等、以上三点に関しまして、どのようにお考えなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

加藤国務大臣 御指摘いただきました食料自給力の強化、またエネルギー、子供、子育てといった分野、大変重要な分野であり、積極的に取り組むべき分野だと考えております。令和七年度予算においても、こうした分野における、国内投資であり、広い意味での投資の促進などに力を入れております。

 具体的には、食料自給力の強化については、農林水産業の収益力向上と持続的な発展に向けて、スマート技術の導入、農地の集積、集約、品種改良などによる生産性の向上の取組を進めることとしております。

 また、エネルギー分野については、エネルギー安定供給の確保の観点も踏まえ、御指摘いただきましたGX推進戦略などに基づき、官民GX投資を強力に推進をしてまいります。

 また、子供、子育て分野については、高等教育の負担軽減、一歳児の保育士などの職員配置の改善など、保育の質の向上の実施などを進めることとしております。

 日本経済、総理がよくおっしゃっております、コストカット型経済から高付加価値創出型経済への移行のまさに分岐点にある中、引き続き、国内での投資を促進し、まさに投資立国、その実現を目指してまいります。

福原委員 ありがとうございます。

 それでは、いよいよ最後になりますが、三問目であります。実は、三問目というのは、税関行政というのは地味に見えますが、実はイノベーションを起こせる行政分野でもあるのだというのが私の質問の趣旨であります。

 加藤大臣の所信表明の中には、国際的課題への対応という項目の中で次のように述べておられています。入国者数そして輸入件数が急増している。ある意味で、冒頭、大臣からもお言葉をいただきましたが、経常黒字大国でもある我が日本の方向性の一つに、人口は減少するんだけれども、人流と物流、いわゆる人と物が行き交う極東アジアの大国、人流、物流大国日本というものが挙げられるんだろうと私は考えています。そして同時に、この人流、物流大国日本を実現する上で重要な行政機能の一つが、間違いなく、私は税関行政であるというふうに捉えております。

 物流の例を、私の地元で、例に挙げてお話をさせていただきたいと思います。

 実は、私の地元、秋田の県北ですが、鉱山があります。今は、国内にとどまらず、海外からも廃棄されたスマホや家電、自動車の部品等を輸入してリサイクルをして、銅、白金等、十種類以上の重要鉱物、ベースメタルやレアメタルを産出しています。実はこのすぐ近くには、世界第二位の人工透析器メーカー、ダイアライザーを作るメーカーがあり、世界中に輸出しています。この静脈物流と動脈物流をつなげる。そして、地元の駅に、実は、保税蔵置場をつくるというプランであります。これが、実は、インランドデポと言われている計画ですが、これは総理が掲げている地方創生二・〇の、まさしく令和の日本列島改造を支える第四の柱、新時代のインフラ整備、あるいは第五の柱、広域リージョン連携にかなうものだと思います。

 でも、これは税関行政が今まで以上に進化していかなければならないと考えておりますが、是非、この点に関しまして、加藤大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

斎藤副大臣 福原委員の御質問にお答えいたします。

 御地元の大館駅インランドデポ構想について御言及いただきましたが、港や空港から離れた内陸部に整備された物流拠点でありますインランドデポにつきまして、税関行政の観点から申し上げますれば、一定の要件を満たした施設では、保税制度を活用して輸出入通関のための貨物の保管等も行われているものと認識をしてございます。

 このように、内陸部の物流施設におきまして保税制度が活用されますことは、物流の迅速化、効率化、さらには地域経済の活性化にも貢献し得るものと認識をしております。

 引き続き、保税制度の活用に関する申請等をいただきました場合には、適切に対応してまいりたいと思います。

福原委員 ありがとうございます。

 今、副大臣からお言葉をいただきまして、非常に地元は喜んでいるというふうに思います。

 人流、物流大国日本をつくる上で非常に重要な考え方というのは、地域が直接、東京を介さないで地域が直接世界に打って出ていく、そういう国のありようではないのかなと思います。

 そう捉えてくると、私は、東北の秋田ですけれども、食料自給率は二〇〇%を超えています。そして、今、洋上風力というものが日本でもトップランナーであります。脱炭素電源供給地域でもある。そして、山の鉱山というのは経済安全保障上、非常に重要なベースメタルやレアメタルをリサイクルして出している。ちなみに、地金を作ってメタルを作るよりもリサイクルしている方が、七〇%から九〇%、二酸化炭素を出さないんだそうです。そういう意味におきましても、是非、地方が持っている可能性というものに投資をする、こういう機運を育てていただければ非常にありがたいなというふうに感じておりますが、大臣、この点に関しまして最後にお言葉をいただけませんでしょうか。

加藤国務大臣 今、副大臣からもお話をさせていただきましたけれども、こうした取組を通じて、まさに通関行政、輸出入通関行政としての効率化を図ると同時に、御指摘のように、地域における活性化にもつながっていく。ある意味ではウィン・ウィンの関係だというふうに思っております。

 こうした取組、よくそれぞれ地域の皆さん方の御協力をいただきながら、更にしっかりと進めさせていただきたいというふうに思っています。

福原委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

井林委員長 次に、海江田万里君。

海江田委員 おはようございます。立憲民主党の海江田でございます。しばらく質問をやっていなかったので、久しぶりでございますが。

 大分遅ればせになりましたが、加藤財務大臣、大臣就任おめでとうございます。加藤大臣は、共通の友人もおりますが、厚生労働大臣を見事にお務めになって、そして、いよいよ財務大臣ということでございますので、どうぞ財務大臣として活躍をいただきまして、いい実績を残していただきたいと心から思っております。

 さて、その上で、やはり私は、森友文書あるいは赤木ファイルと申しますか、このことについて申し上げないわけにはいきません。

 今日ずっと財務金融委員会の委員を見渡しましても、あの問題が起きました二〇一八年、財務金融委員会に身を置いておりましたのは、私と、それから、今日はお休みですが、川内さんもそう。それから末松さんもいらっしゃったかな。あと、高井さんは財金にはいなかったかな、予算委員会で頑張ってくれたと思いますが、当時からのずっと流れを知っております者がもう何人もいなくなったということでございますので、ここはやはり是非、今度のこの国会で、できたらもう近日中にこの問題にけりをつけていただきたいと思っております。

 大阪高裁が違法判決を出して、それに対して総理が上告をしない決断を下した、そして、そこで加藤大臣も総理からの指示を受けたということでございましたけれども、その総理の指示はどういうものであったか、改めて御紹介ください。

加藤国務大臣 まず、財務大臣就任にごエールをいただきました。ありがとうございました。また、委員が副議長のときにも厚労大臣等々で大変お世話になりましたこと、改めて御礼申し上げたいと思います。

 その上で、本判決への対応については、総理からは、誠心誠意職務に精励されていた方が亡くなられたことを考えれば、上告をせず、判決を真摯に受け入れるべきである、文書の開示、不開示の判断に当たっては、法令にのっとり、国民に対する説明責任の観点から丁寧に検討するよう、こうした指示がございました。

海江田委員 今の指示、加藤大臣もしっかりと受け止めたと思いますが、それから、指示が出てからかれこれ一週間、正確に言いますと六日ですかね、そろそろ、今度は加藤財務大臣が結論を出すときではないだろうか、判断を出すときではないだろうかと思料いたします。そして、それはもちろん、今の石破総理の指示に基づいた判断をしていただけるものと思っておりますが、どうでしょうか、いつ頃に、もうそろそろ、当然これは開示だろうと思いますが、開示していただけることになるんですか。どうですか。

加藤国務大臣 総理からの指示を受けて、国民に対する説明責任の観点からもしっかり判断をしていきたいと思っております。

 具体的な時期のお話がございました。

 判決によって不開示決定が取り消された際の再決定までの期限について法令上は特段の定めがあるわけではありませんが、また一方で、相応量の文書になっているものと承知をしております。そうした点も踏まえて、まずは、請求対象の文書や開示に必要な作業を改めて精査をし、その上で、できるだけ速やかに対応していく。

 本件、今委員からもお話、いろいろな経緯があって今日に至っているわけでございます。また、赤木さんあるいは赤木さんの御遺族の思い、こうしたことも踏まえながら、できるだけ速やかに対応していきたいと考えております。

海江田委員 できるだけ速やかにというお話がありましたから、これは当然、今月中だろうと思います。

 それから、分量が非常に大量というか大部にわたるものだというふうにも承っておりますが、分量というのは、私どもが、当時、二〇一八年頃議論したときも、本当に大変な大量の分量があったんですよ。財務省の職員が手押し車で、手押し車というか何というんですかね、もっと簡単に言いますと。それで各部屋に届けたぐらい、大量の分量があったんですよ。ただ、私たちは、それをやはり、事の性格上、できるだけ早く読み込まなきゃいけないということで、本当に、前日に届いて、翌日にそれを基にして、読み込んで、そして質問をしたりしたんですよ。だから、ここは、分量の多さが理由でということではなしに。

 それから、もうほとんど開示してありまして、私の事務所にもまだ積んでありますけれども、本当に何メートルもあるんですよ。残されたいわゆる赤木ファイルというのは、全体は多くても、かなり限定されるものになると思うんですね。ですから、その意味では、大臣はまだその全体を御覧になっていないということかもしれませんが、できるだけ早く、やはり大臣の指示の下で、それを御覧になって、そして、今月中に是非お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 正直言って、今精査している段階なので、いつまでにということを今の段階で申し上げることはできませんが、今おっしゃった、かなりのボリュームがあって、既に掲示させたものも多分、中にはあるんだろうと思いますが、そうでないものもあります、また、電子的文書もございますので、それをまずしっかり精査をしなければならない。

 そうした意味で、どのぐらいまず時間がかかるのか、しっかり見極めながら、ただ一方で、先ほど申し上げたような経緯の中で、また、総理の御指示もございますから、できるだけ速やかに、この姿勢でしっかり取組をさせていただきたいと思っています。

海江田委員 あともう一つ、大臣に、これはお願いといいますか、若干、先輩の私からのアドバイスでございますが、私、麻生財務大臣のときにも何度も、一回、赤木さんの御霊前にお線香でも手向けてはいかがかというお話をしたんです。そうしましたら、麻生大臣は、現在係争中であるということで、それをおやりにならなかった。大臣をお辞めになってからそういうことがあったかどうか私は存じ上げません。

 しかし、私は、やはりこの赤木さんという方は、立派な、今はもうそういう言葉はほとんど使われなくなりましたけれども、吏道、官吏の道を歩んだ方ではないだろうかと思うんですね。あの方は篆書、篆刻が非常にお好きで、あの写真はいつも、篆書の、篆刻の展覧会を見に行ったときの写真。加藤大臣もお母様が草書をやられて、仮名が非常にお上手で、私も何回か見に行ったこともございますけれども。

 やはりそういう立派な方ですから、一度、この文書が、当然公開になると思いますが、できるだけこれは、それをもって、選挙区が岡山ですから途中の大阪でもいいですから、ちょっとそれを実際に亡くなった方に手向けると奥様は非常にやはり喜ばれると。やはり理も情もある財務大臣だということで、加藤財務大臣の名前はそれこそ千載の後に残る、私はそう思っておるんですが、どうですか。

加藤国務大臣 墓参の話がございました。

 まずは、何といっても、赤木さんは本当に、今お話があったように、真面目に、高い倫理観を持って仕事に取り組んでこられた、そうした中で、公務の中においてこういった事態に至ってしまった、このことをしっかりと踏まえていかなきゃいけないと思っています。

 その上で、歴代、何代の財務大臣からは、墓参に関しては、今裁判で争っているということでございます。今回、もう争いはここで一旦は終わりましたが、この後、今まさに委員御指摘のように、開示、不開示に向けての、今、私どもは精査をさせていただいております。そうした状況なども踏まえた上で墓参についても判断させていただきたいというふうに思っています。

海江田委員 ありがとうございます。

 是非そうしていただきたい。そのためには、まあ、私は不開示はもうないと思っている。不開示があると、またそれこそ争いになりますし、それから、開示があっても、黒塗りだらけの、いわゆるノリ弁みたいなものでは、これはやはり赤木さんの奥様も納得しないでしょうし、それから多くの国民も納得することができないと思うんですね。私は、今、財務省にまたいろいろなちょっと別な角度からの批判とかそういうものもあるようでございますが、やはり、この際、財務省がしっかり立ち直るんだ、それから、こういうことは二度とあってはいけないんだということを明らかにする意味でも、是非、財務大臣の指導力といいますか、これを発揮していただきたいと、くどいようでございますが、重ねて申し上げておきます。

 そして、次の題に入ります。

 先ほどの福原委員が関税のことに触れられましたので、ちょっと順番を入れ替えまして、私は、大臣の今の経済情勢に対する認識といいますか、せんだっての当委員会での所信表明、それからあと、その前に本会議場での財政演説を聞いてまいりました。それから、私は、この財務省が出しています広報誌ファイナンス、これは結構、愛読書で愛読しているんですよ。これの今年の冒頭に、財務大臣の年頭所感というものが出ています。これら三つを読んでちょっと感じるところがあるんですが、大臣は、今の経済の状況、大きく言ってデフレの問題、それからインフレの問題、これをどう捉えておられますか。

加藤国務大臣 まず、デフレ、インフレの話、予算委員会でもお話がございましたけれども、足下、消費者物価が上昇している、こういう点を捉えて、現在、もちろん、デフレではなくインフレという状態にあるというふうに考えているところでございます。

 マクロ経済全体で見ると、例えばGDPも六百兆を超えるなど、こういった回復への兆し、これが見て取れるという面が一方である中で、ミクロ、特に個々の方々の生活等々を感じる場で、この間の実質賃金、去年のを見ると〇・幾つの数字でありますけれども、その前には随分、実質賃金はマイナスが続いてきているわけでございますし、それから、先日の新聞、新聞というか記事にもございましたけれども、いわゆる家計における消費の割合、この割合が非常に高まってきている等々、生活の厳しさ、これが一方であるというふうに認識をしているところでございます。

海江田委員 今の冒頭の、デフレではなくてインフレの状態にあるという認識、非常に大切だと思います。そうはっきりおっしゃったのは今日が初めてじゃないかなと実は私は思うんですけれども。

 先ほどお話をしましたファイナンスの正月号、これは恐らく原稿は去年お書きになったんだろうと思いますけれども、ここの中で、一つ目は、一番大切なこと、「賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現する」の中の一番初めに書いてあるのは、「デフレからの脱却を確実なものとし、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現することです。」と。つまり、デフレからの脱却という言葉をここではまだ使っているんですよね。

 デフレからの脱却ということは、実はまだデフレからは、完全と言ってもいいかもしれません、完全に脱却はしていない、またいつデフレになるかも分からないから、やはりデフレに対する目配せというのはかなり大きなウェートを置かなきゃいけないよという認識だろうと思うんです。これは恐らく去年の認識なんですね。

 今年になってからは、先ほどお話をした財政演説でも、あるいはせんだっての演説でも、デフレからの脱却という言葉は姿を消しまして、そして、今おっしゃったようなことですね、日本は、三十三年ぶりの高水準の賃上げ、過去最大規模の設備投資、名目六百兆円超のGDPが実現するなど、明るい兆しが見られておりますと。これを確かなものに、明るい兆しを確かなものにするということで、ここでは、デフレ脱却を確かなものにするとはもう書かれていないわけですね。だから、恐らく、去年から今年の間。

 それから、もちろん、植田総裁は、去年の二月に、インフレだと言っているんですよ。それから、ついせんだっての二月の四日の予算委員会でも、インフレだと言っている。それから、経済財政の担当大臣もそれを言っている、インフレだということを言っておる。

 私は、財務大臣の担務を見てみたら、デフレ脱却大臣というのになっているんですね。そうしたら、デフレ脱却大臣は、もう世の中はデフレじゃないんだ、もうデフレ脱却は私の仕事ではないと、デフレではないからデフレ脱却宣言をお出しになって、そして担務を返上されたらどうですか。

加藤国務大臣 多分分かっていておっしゃっているのではないかと思いますが、足下の状況はどうかと言われれば、こうした消費者物価が上昇しているということをもって、デフレではない、インフレである。また、デフレではないというこの認識は、もう随分前から政府としては明らかにしていたというふうに思います。

 その上で、デフレ脱却という意味でありますけれども、デフレ脱却とは、物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがないことと定義をさせていただいておりますので、そういった意味において、現在、デフレ脱却とは考えておりません。

 いずれにしても、消費者物価のみならず、物価の基調、背景を総合的に勘案して、考慮して判断していかなければならないと考えています。

海江田委員 これは、再びデフレにならないという確信が持てたときということを言っていますけれども、再びというのは、未来永劫なんということはあり得ないわけですよ。経済の世界では二、三年のレンジで見ればいいわけでありまして。

 この後、時間があったら話をしますけれども、やはり関税の問題も、全部インフレにつながる課題なんですね。そういうことを言えば、やはりもうそろそろ。デフレ脱却宣言というのはありませんからね。デフレでない状況というのは、これは甘利さんのときでしたかね、発言がありました。もう何年も前からありました。デフレでない状況というのはもう分かっていることで、やはり政府のしかるべき人が、デフレじゃない、もうデフレを脱却したんだということを言うことによって、そのことによって、最近はやりの経済用語でノルムという言葉がありますけれども、人々の意識ですよ、これは。

 今、植田総裁が控えていらっしゃるかもしれませんが、前の黒田総裁は、何で物価が上がらなかったんだ、人々のソーシャルノルム、人々が、やはりもう物価は上がらないものだ、賃金も上がらないものだという社会通念ができ上がってしまった、これが大きな物価上昇に対する一つのおもしになっていたと。私はそれだけじゃないと思いますけれども、そう言わざるを得なかったんだろうと思うけれども、今、社会的なノルムというのを変える、それはあなたしかいないんですよ、財務大臣兼ねてデフレ脱却担当大臣なんですから。

 デフレは脱却したということを今この時点で言って何の不都合があるんですか。経済上、何の不利益というか、何の悪い影響を与えるんですか。是非おっしゃってください。

加藤国務大臣 私も、まず、一日も早くデフレ脱却を宣言をしたい、その思いは委員と一緒であります。ただ、足下がどうかということをきちんと判断せずにそれを申し上げるというのは、責任ある立場としていかがなものなのかというふうに思っております。

 また、デフレに戻るか戻らないか、いろいろな指標を見ていく必要もございますし、過去のいろいろな分析等にもあって、やはり、どういう形で物価上昇が行われているのか。例えば、御承知のように、外から来た、例えば原油が上がって物価上昇がということであれば、原油が下がれば物価が下がっていくわけでありますから、そういった点も含めながら、一体国内の状況がどうなっていくのか、これを総合的に判断をして、一日も早く、デフレ脱却、こうしたことを言えるような状況をつくるべく努力をしていきたいと思います。

海江田委員 言えるような状況はもう既にあるんですよ。あとは言うか言わないか。先ほどの赤木ファイルについても、できるだけ早く決着をしたいということであれば、やはりここも一日も早くデフレ脱却宣言、それは本当に大臣しかいないわけですよ、その任務を負っているのは。ほかの方たちはみんなそれぞれ発言しているわけですよ。だから、ここで大臣が、鶴の一声と言うのもおかしいけれども、一声、デフレは脱却しました、今緊急に必要なのはインフレに対する対応です、こういうことをおっしゃれば一番いいわけで。

 うがった見方をすれば、例えば、これも実は去年のことですからもういいんですけれども、今次の補正予算を作るに当たって、石破総理が最初に規模ありきで言っちゃいましたでしょう。規模ありきというのは、やはり、デフレの最中で、何とかデフレを脱却しなきゃいけないという需要と供給の、需給バランスの問題等もこれあり、言わざるを得なかったんだろうと思いますけれども、だけれども、そういうことは二度とあっちゃいけないんですよ。規模ありきじゃないんですよ。

 今議論しています予算だって、私はやはり、デフレ脱却というか、規模ありきの部分が随分あると思うんですね。だけれども、むしろ、規模ありきじゃなくて、その中身だと。

 そして、その中身のかなり主な部分は、足下足下とおっしゃるけれども、足下はやはりインフレ、物価高で苦しんでいるわけですよ。数字以上に本当に生活苦で苦しんでいる。その人に対する手当てを十分行うんだ、政府の責任において十分やるんだ、とりわけデフレ脱却担当大臣としての加藤財務大臣が、そこは俺に任せろということを言っていただきますと、世の中明るくなりますし、それから、本当にそれによって賃金だって上昇しますよ。是非お願いしたいと思います。どうぞ。

加藤国務大臣 今委員御指摘のように、まさに賃金や所得が上がっていく、これを基調としながら、デフレ脱却であり、成長型経済への移行を果たしていく。

 それに向けて、先般の総合経済対策、補正予算、そして今御審議をいただいております令和七年度予算、また税制改正法案、こういったものを、私どもとしては中身をしっかり説明させていただき、また御理解をいただいた上で、その執行を行うことによって、今申し上げたような状況を、いわゆるデフレ脱却あるいは成長型経済への移行、これを一日も早く実現できるべく努力をさせていただきたいと思っています。

海江田委員 もう時間は少しですけれども、やはり関税の問題ですね、トランプさんの。

 石破総理は、仮定の問題に対してはお答えしないというのが日本の国会での常套文句だということを言って、トランプ大統領が、いいアンサーだと。何がいいアンサーかよく分かりませんけれども。御本人も悦に入っていたようでありますが。

 これは仮定の質問じゃないんです。現に、一番直近の話題では、トランプ大統領は、鉄鋼とアルミニウム、これはもうはっきり言った。そして、これは例外はないんだということもおっしゃいました。それから、そのほか、半導体や自動車についてもこれから関税をやるというお話でありまして、これはやはり日本経済あるいは世界経済に非常に大きな影響を与えると思うんですね。

 特に今、日本経済についての話をすると、やはりインフレの要因にもなるわけですよ。これからどうします。もうあしたかあさってぐらいに発表するでしょうし、特に鉄鋼とアルミニウム以外。もう鉄鋼とアルミニウムは発表して現実のものになりました。そのほかの分野についても現実問題になりますけれども、どうされますか、加藤財務大臣。

加藤国務大臣 トランプ大統領は、関税政策についてもいろいろな方向性をお示しになっております。既に中国に対しては関税引上げが実施されたものと承知をしておりますが、中には、それが延期されたり、また協議に移っているというものもあるわけでございますので、まさに、様々な政策の具体の中身、これが明らかになってくる中で、政府としてそうした米国の政策が日本経済あるいは世界経済に与える影響について考えていくべきだと思っておりますので、現時点で予断を持ってお答えする状況にはないと考えております。

 いずれにしても、そうした米国政策の動向の影響が貿易、金融市場といった様々なルートを通じてどのように生じるかを注視し、十分に精査した上で、当然、適切な対応を取っていきたいというふうに思います。

海江田委員 精査し、検討し、そしてそれからアクションだということですけれども、精査、検討はもちろん大切ですけれども、それと同時に、アクションがやはり大事だと思うんですね。

 一つは、やはり、これによって被害を被る他の国々、まあ、中国は自分たちも関税をかけると言っていますから、これは二つの国の話に任せておけば私は当面いいと思うんですけれども、これは中国の経済にとって決していいことじゃないと思いますよ。

 ただ、そのほかに、例えばお隣の韓国なんかも、これもやはり、この関税が追加になると、二五%になると大きな被害を受けるということで、韓国なんかは、たしか副総理かな、日本と早く話合いをしたいということを言ってきているんですよ。

 あるいはEUですね。EUはEU自体が大きな経済圏ですけれども、やはりそこでも、関税をかけられることによって、ただでさえも落ち込んでいるEUの経済がますます落ち込むということになって、世界経済が大きな打撃を受けますから、これに対して日本が、その意味ではまだ直接的な被害は出ていないけれどもこれから被害が出てくる、あるいは被害が軽微だという新聞なんかの論調もありますけれども、被害は軽微だけれども国際経済にとってみればこれは大変大きな問題だから、ここはやはり日本が音頭を取ってそういう国々と連携する、あるいは、一日も早くアメリカの財務長官と話をして、そしてやはりこれはいけないことだということを言わなきゃいけないと私は思うんですけれども、いかがですか。そういうアクションを起こしてください。

加藤国務大臣 当然、しかるべきタイミングでは適切な対応を取っていくというのは先ほど申し上げたところ、状況を踏まえて適切な対応を取っていくということは申し上げたところでございますが、ただ、現時点において、やはり、我が国あるいは我が国産業に対する影響がどうなのか、これはしっかり精査する必要があると思います。

 これは別に日本に対する関税だけではなくて、日本以外に対する関税でも、そこに日本から輸出がなされ、それが例えば米国に向かっていくといった場合には、当然我が国の産業には影響を与えるということになると思いますから、そういった点も含めて幅広く、経産省始め関係省庁ともよく連携を取って対応していきたいというふうに思っています。

海江田委員 もう時間も来ましたのであとは質問しませんが、是非、加藤大臣、それこそ名財務大臣として後世に名を残すように行動していただきたい、目に見える形で国民に訴えていただきたいと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

井林委員長 次に、岡田悟君。

岡田(悟)委員 立憲民主党の岡田悟と申します。

 十月の総選挙、初めて当選をしまして、そしてそれ以来初めての質疑となりますので、皆さんどうかお手柔らかによろしくお願いをいたします。

 先ほど海江田委員から質問がありましたけれども、私からも、森友学園問題、大阪高裁の判決に対する対応についてお尋ねをしたいというふうに思います。

 先ほど加藤大臣の答弁で、対象となる文書は非常に大量である、精査をしているという御説明でしたけれども、具体的に、どのような点、何を精査をしているのか、まず教えていただきたいと思います。

加藤国務大臣 今やっておりますのは、まず、どのぐらいの文書があるのか、これは把握をし終わったと承知をしております。そして、それに向けて、開示、不開示の判断をするに当たって、どういう作業をどういう段取りで進めていくのか、まさに今そうしたところを精査をし、また、それによって、後はそれにのっとった段取りに応じて処理をしていくということになります。

 ただ、いずれにしても、全体の作業をできるだけ速やかにやるべく、進めさせていただきたいと思っています。

岡田(悟)委員 できれば、もう少し具体的に教えていただければと思うんですけれども。

 開示にするか不開示にするか、もちろん私も、そして先ほど海江田委員からも、そして野党のあらゆる党首の皆さんが、黒塗りにせず全面的に開示をすべきだというふうにおっしゃっているわけです。皆さんの判断で、不開示にする、あるいは不開示にする箇所もあるかもしれないということを今まさに精査をされているということだと思いますが、それがどのような根拠で、どのような点について、どのような要因で、一部あるいは全てを不開示にするのか、もう少し具体的にその判断の基準、ポイントを教えていただきたいと思います。

加藤国務大臣 まさにこれは法律にのっとって開示、非開示の判断をする、これは総理からもお話がございました。

 したがって、その文書によって、例えば個人情報に係る話なのか、様々な情報公開法などにおいての規定がありますから、それごとに一つ一つその文書を見ながら判断するということになると思いますが、それについての、今言った、今はまだそこの作業というのは、それに向けての、どういう段取りでやっていけばより効率的に進むことができるか、そういったところを精査しているものと承知をしています。

岡田(悟)委員 全面的に開示をしていただけるものとまずは期待をしたいと思いますし、予算委員会でも当該文書について提出の要求がありましたけれども、この財務金融委員会においても文書を是非提出をしていただきたいというふうにお願いをしたいと思います。

 そして、開示いただけるものと期待をしてはおりますが、高裁判決を少し読みますと、これまでの財務省、国側の主張に対して、全面的にこれを否定する内容というふうになっています。

 これまでは、国の、財務省の決定は、情報公開請求に対して、不開示ではなくて、文書があるかどうかについてそもそも回答しない、存否応答拒否という回答であったというふうに承知をしておりますけれども、これに対して、その理由を、検察の捜査に支障を及ぼすという趣旨の理由をもって国は判断の理由を説明していたわけですけれども、これが大阪高裁判決によってほぼ否定をされているという状況です。

 現在、開示、不開示の判断で精査をされているという御説明ですけれども、捜査に支障を及ぼすというこれまでの理由、これは現在精査をされている要因にはなっていないという理解でよろしいでしょうか。

加藤国務大臣 今の話は存否応答との絡みで出てきた話でありますから、また、情報公開に当たっては、そうした観点も含めて、一つ一つ丁寧に精査をするということになるものと承知をしています。

岡田(悟)委員 石破総理が二月六日に、先ほどお話がありましたとおり、上告をしないという意向を表明されたわけですが、その後、加藤大臣が、これは記者の取材に対してだと思いますけれども、当該文書が検察に任意提出をされた後、もう既に財務省に戻っているというお話をされましたけれども、いつ検察から戻ってきたのか、教えてください。

加藤国務大臣 いつかということになると、まさに捜査機関の活動と絡むものでありますから、それについてはお答えを差し控えさせていただいておりますが、ただ、いずれにしても、現時点、現時点というか、その記者会見した時点においてもそうでありますが、全ての我々から任意提出した文書は私どもに戻っているということ、これを申し上げたところであります。

岡田(悟)委員 あと、細かい点で恐縮でありますけれども、総務省の第三者委員会の情報公開・個人情報保護審査会というところが、開示をすべきだという答申を過去に出していますが、まず、答申とは異なる開示決定、不開示決定をした件数が、総務省によりますと、一万五千件のうち二十四件だったと。かつ、報道によりますと、この答申に全く従わない存否応答拒否のままだったケースは、この森友の件、今回の文書の件のみであったというふうに報じられていますけれども、皆さんが、裁判の中で主張は出されているのかもしれませんが、総務省の審査会の答申に従わなかった理由、国としてこれにどういう主張をされたのか、教えていただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、御遺族からの開示請求に対して、令和三年に行った存否応答拒否との決定、これをまず先に私どもはさせていただきました。御指摘のとおり、情報公開・個人情報保護審査委員会からは、昨年三月に存否応答拒否による不開示決定処分を取り消すべきとの答申がなされました。また一方で、おととし九月の地裁判決では、存否応答拒否によらずに不開示決定を行う場合、捜査への支障が生じるとする国側の考えが認められ、存否応答拒否による不開示決定は適法であるとの判断がなされたところでございます。

 こうした事情の下、答申が出された当時は、不開示情報を明らかにしないよう存否応答拒否による不開示決定処分を維持することと考え、御遺族から財務省にあった審査請求については棄却する裁決を行ったところであります。

 ただ、その後、今委員御指摘のように、控訴審判決が出て、総理の指示も含めて、今そうした開示、非開示の判断をさせていただいているという状況にあります。

岡田(悟)委員 財務省において文書の改ざんがなされたということは残念ながら事実ではありますけれども、この問題の経緯、もちろん、当時、私は議員ではなく一介の記者にすぎなかったわけですが、大変強い関心を持って見ておりました。また、大ニュースでしたので、国民の関心も非常に高いという状況でもありました。今もなお、国民の多くの皆さんの関心は非常に高い状況は続いていると思います。

 そして、財務省、財務省といいましても、大本、これはもう皆さん御承知のとおり、問題の根本はやはり政治の問題。例えば改ざんにおいても、これも御承知のとおり、安倍元総理が国会の予算委員会において、私や妻がもし関係していたら総理も国会議員も辞めるというふうに発言をされた、これがきっかけで始まったというふうに認識をされているわけですけれども、もちろん、財務省において改ざんが行われたということ自体は大変深刻だと思いますが、やはり政治のレベルで決着をしていただくということが極めて重要ではないかというふうに思いますので、是非、加藤大臣におかれましては、全面的に開示をするという御判断をいただくことを改めてお願いをしたいというふうに思います。

 済みません、ちょっと通告より質問が前後しておりますけれども、次の質問に行きたいと思います。

 昨今、SNS、あるいは社会的に影響力のある方が財務省に対して、余りいい言葉だとは決して思いませんけれども、ザイム真理教であるとか、大変残念ですけれども、財務省はカルト集団であるとか、こういう非常に強い極端な表現を使って批判をされるという状況があります。

 まず、こういう状況について、加藤大臣、どのように受け止めておられるか、伺いたいと思います。

加藤国務大臣 我が国の財政、税制、あるいは財務省における様々な対応について、いろいろな御意見をいただいているところでございますし、そうした御意見の表現とその背景にあるそれぞれの方の思い、こういったものをしっかり受け止める必要があると思います。

 そういった意味においては、先ほど海江田委員とのやり取りもございましたけれども、国民生活ということで見ると、実質賃金が去年はほぼ若干のマイナスでありますが、その前は結構マイナスもある等、大変生活の厳しさ、あるいは買物をする中で本当に物が上がって生活が厳しいという思いを持っておられる、こういった国民の皆さんの状況が背景にある、このことをしっかり踏まえていかなければならないというふうに思いますし、そうした課題について、我々としてはまさに、それにはどういった事実があるのか、データがどうなっているのか、こういったことも踏まえながら、しっかり議論をし、必要な対策を講じていくことが重要だというふうに考えております。

 しかし、他方で、今委員が御指摘のあるように、やはりこうしたことが、特に財務省で働く皆さん方にどういう影響があるのか、このことは、全体の責任を負う私としてはよくその辺も見ながら、公務をしっかり果たして、そして、それを通じて国民の皆さんにしっかり貢献できる、こういった状況をつくるべく努力をしていきたいと考えています。

岡田(悟)委員 ありがとうございます。

 私自身は、先ほど申し上げたような表現は決して適切ではないと思っておりますし、そういう主張には、経済合理性を欠いたものであるとか事実ではないことが多数含まれているというふうに考えております。財務省の役割、財政規律も極めて重要だと思っております。

 そして、先ほど大臣が、財務省で働いておられる方々を大切にするという趣旨の御発言がありました。これも極めて重要であると思います。もちろん、政策とか、批判をする自由もありますし、あってしかるべきだとは思いますけれども、私、兵庫県が地元ですので、いろいろなことが今起きておりまして、SNS上での言説等についてはなかなか非常に困難な問題もあるなというふうに思っております。

 ただ、一方で、先ほど申し上げたような表現あるいは主張そのものよりも、大臣もおっしゃったように、そのような主張に同調してしまう、せざるを得ないぐらい生活が困窮しているであるとか、将来が非常に強く不安に感じておられる、こういう方々に向き合っていく必要が当然ある。それもやはり政治の役割ではないかというふうに思います。

 そして、配付資料をちょっと御覧をいただければと思うんですが、三枚の紙になっております。こちらは、日本経団連が昨年に発表しました、二〇四〇年の経団連が考える社会のあるべき姿、これに対してどのような課題認識を持っていて、解決策をどのようにお考えかということをお示しになっている文書だと思いますけれども、まず一枚目、中間層が日本では衰退している、世帯所得の中央値が非常に一九九四年と比べて下がっている、特に現役世代の低下が大きいという指摘をしています。

 そして二ページ目、格差が非常にほかの先進国と比べても我が国は大きい、ジニ係数が米国、英国に次いで高い、そして、可処分所得の上位一〇%、下位一〇%の比率が米国に次いで高い。

 格差が大きいという現状認識を示した上で、税と社会保障の一体改革、三枚目、ここでは、応能負担を徹底する、そして富裕層の負担増、企業の応分の負担、消費増税ということも書かれていますが、逆進性対策も必要であるというふうに書かれています。

 一頃、九五年ですね、新時代の日本的経営ということを経団連から示されたことがあり、それが直接の要因とは必ずしも言えないかもしれませんが、その後、非正規の方が非常に増えた、就職氷河期と呼ばれる方々が生まれてしまったという問題があったことを考えれば、経団連の皆さんの現状の社会に対する危機感というのも非常に強いのではないかというふうに、これを見て思いました。

 そして、消費税の逆進性対策としまして、我が党は、階委員始め先輩方が尽力をされて、消費税の還付法案というものをこれまで国会に提出をしています。給付つき税額控除、これを使って、一定の所得未満の方には給付や還付によって消費税を戻すということで逆進性対策を行うということをこれまで主張してきたわけです。

 様々な課題があることは承知をしておりますけれども、現時点で、財務省としてお考えの給付つき税額控除に対する課題、どのようにお考えか、伺いたいと思います。

加藤国務大臣 まず、消費税でありますけれども、逆進性の指摘等があるわけでありますが、それを緩和するという観点からも軽減税率制度が設けられて、既に導入から五年が経過をしているところでございます。

 他方、給付つき税額控除について御指摘がございました。

 その場合、財源確保をどうするかという問題と、加えて、現行制度では把握していない非納税者等の所得や世帯所得の正確な把握、あるいは企業や地方自治体の事務負担といった課題のほか、制度面でも、所得は低いが資産を多く持っている場合の取扱い、あるいは生活保護など他の低所得者支援制度との関係を十分に整理する必要があるといった課題もあります。その導入には慎重な検討が必要であると考えているところであります。

岡田(悟)委員 これまでも国会で質問されておられますけれども、特にやはりマイナンバー、これが証券口座以外の資産とはなかなか結びついていない。国民の皆さんのプライバシーの意識も、例えば北欧とは大きく異なるという現状もあります。そして、マイナンバーというよりはマイナンバーカード、これに対する国民の皆さんの不信感も強い。これがマイナンバーといろいろと一緒になって批判をされているという面もあろうかと思います。こういう課題を乗り越えて、国民の皆さんの理解を得ながら、真に公平な逆進性対策、こういうものが進められていくように、是非検討を進めていただければと思います。

 そして、次の質問、基金について伺いたいと思います。

 この国会では、今年度の当初予算案百十五兆円、非常に規模が大きいということで、立憲では、歳出の見直し、これを、私ども新人議員も省庁別にチームに分かれて進めてきたところです。かつ、基金、特にコロナになってから基金の金額が非常に大きく膨らんだということを従来指摘をされて、国会でも議論をされてきたところだと思います。

 我が党の城井崇衆議院議員が大変精緻な試算をされておられます。いわゆる三年ルールというものが決められましたけれども、これに基づいて、令和三年度以前に造成をされた基金にもこのルールを適用して試算をした場合、約七兆七千八百億円が国庫に納付可能ではないか、このような指摘をされています。

 基金の在り方について、国会でもこれも議論をしてこられたわけですけれども、例えば、通常の予算であれば、これはまた後日、機会があれば、議論の機会をいただければと思いますが、今国会では、給特法、これを改正して、教職調整額、これを現行の四%から一〇%に段階的に増やしていく、こういうことで財務省と文科省で一致をしたというふうに伺っていますが、それが一致するまでの、財務省の皆さんが作られた給特法に関する資料を見ますと、非常に細かい。アンケート調査であるとか国際比較を使って、必ずしもお金を使わなくても教職員の皆さんの問題を解決できるのではないかということが非常に細かく書かれていて、それが教職員の皆さんの職場の実態と合っているかどうかはともかく、大変精緻な論理が構成されているというふうに見えまして。

 何が申し上げたいかというと、通常の予算は大変厳しく皆さんが査定をされるにもかかわらず、基金に対して、それがどれだけ皆さんのおっしゃっている査定なりチェックができているのかという課題はあるのではないか。従来、これも指摘されてきたところだと思います。

 基金に対して、より、無駄、あるいは見直しができる要素はないのか。この点についての、まず財務省としての見解を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 まさに今委員がおっしゃったところがポイントで、きちんと精査ができることであればそれは基金にしてはならない、これが一つのルールになっている。逆に、基金にしているというのは、なかなかそこまで見極め難いけれども、やはり、これだけ世の中スピードが速いわけですから、すぐ対処する必要がある、あるいは複数年度において先が見通せる中で対処していく必要がある、こういったことで設けられているものと承知をしております。

 したがって、逆に言うと、そういう部分、そういう面があるということはしっかり認識をしながら基金の運営をしていかなきゃならないというのは御指摘のとおりだというふうに思います。

 その上で、私どもの方においては若干見解が違うというのは、三年ルールの適用については、その三年ルールが、決めた後については適用するけれども、その前についてはそれは適用されないことを前提に既に運用されているんだということがございます。

 それから、今後の見方も、過去三年分の支出実績をそのまま投影するのが御党での試算だったと思いますが、やはり、これから先どれだけ必要なのかということを見極めながらそれは考えていく必要があるということだと思います。

 また、毎年度、基金については、国会での御審議をお願いするに当たって、予算書と併せて国会に提出している書類、各目明細書に国から基金への予算措置額を記載すること、また、行政事業レビューの枠組みの下で、基金残高や支出額等を示した基金シートを作成、公表するなど、必要な対応をさせていただいているものと考えております。

 その上で、いわゆる基金ルールの趣旨も踏まえて、事業の中身や執行状況も精査し、基金を所管する大臣、行革大臣とも連携をしながら、各基金について、保有資金規模が適正なものとなるよう不断な見直しを行っていく、これは引き続き必要であり、こうした取組を引き続きやっていきたいと考えています。

岡田(悟)委員 ありがとうございます。

 先ほどの試算の根拠は御指摘のとおりだろうと思いますが、これはやはり試みの計算でありますので、一定の条件の下に行うものだというふうに思います。

 そして、例えば、昨年の臨時国会の予算委員会等では、我が党の先輩の議員が質問をして初めて、予算の執行額あるいは執行すると認定をした金額が明らかになるというケースがありました。これは、例えば、基金シートにリアルタイムで、いついつこの項目で基金の執行を決めました、あるいは執行を認定しましたとか、もう少しリアルタイムでお金の動きが分かる、国会も国民もそれが把握できるという状況に改正をしていけば、より透明性は高まるのではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 これは行政事業レビューの枠組みで行われておりますので、今のお話含めて、担当大臣にもお話をしておきたいというふうに思います。

岡田(悟)委員 もちろん、立憲民主党としては、これは先輩議員も皆さんおっしゃっているとおり、基金そのものを否定するわけではない。お金をちゃんと積んで、必要なときにはしっかり使える、そういう枠組みは当然必要だと思いますが、従来指摘をされておりますように、予算の規模を膨らませるために基金が使われているのではないか。特に、今年度の補正予算、そういうふうな面があるように見えますので、これはやはり透明化をして、見える化をしていく必要があるということで是非進めていただければと思います。

 それから、最後、NISAについて伺えればと思います。

 新しく昨年の一月から投資枠が拡大をされて、中所得層までの国民の皆さんが非常に投資をしやすくなったということ、枠が広がったこと自体、制度改正自体は歓迎をしたいというふうに思います。

 一方で、これは結果としてということかもしれませんが、世界株に投資をする投資信託が大変な人気を博しているという状況、これによって、円を売って外貨に替えて投資をするという仕組みでありますので、円安の要因になっているというふうに言われています。

 こういう取引であるということと金額の大きさを考えれば、円安の要因であることは、それが全てではないにせよ、一要因であることは間違いないというふうに思います。しかも、外国の株式に、まあ日本株にもお金は流れているということでありますけれども、貯蓄から投資へという従来の目標が果たしてこれで達成されているというふうにお考えなのか、現状の認識、これは金融庁になりますかね、お伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 御指摘のように、NISAの買い付け額のうち、外国の資産を投資対象とする投資信託が相当な割合を占めているという話は聞いているところでございます。

 金融庁としては、NISAを活用して貯蓄から投資への流れを後押しするに当たって、特に個人投資家の皆さんが、長期の積立て、分散投資が有効であることを考慮して投資判断をいただくことが重要であると考えており、分散投資の一環として、NISAを通じた投資の一部が海外資産に向かうこと自体、これは自然なことだというふうに認識をしております。

 ただ、一方で、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現する観点からは、資金が国内企業の成長投資に回ることは重要であります。これは、国内の資金に限らず、海外からもそうした投資が行われていくことが大事だと考えております。

 このため、コーポレートガバナンス改革の推進等、中長期的な企業価値の向上を後押しする取組を通じ、家計などのみならず、海外からの資金も含めて、より多くの資金が国内企業への投資に向かうよう取り組んでまいりたいと考えておりますので、資産運用の話と投資に向かう話、これは、それぞれの中で努力をしていく、こういうことが大事だと考えています。

岡田(悟)委員 是非国内にもしっかりとお金が回って、みんなで豊かになれるような経済になればいいと思っておりますので、是非取組を進めていただきたいと思います。

 これで私の質疑を終わります。ありがとうございました。

井林委員長 次に、水沼秀幸君。

水沼委員 市川、船橋からやってまいりました、立憲民主党、水沼秀幸と申します。

 本日が、私、財務金融委員会での初質問となります。送り出していただいた船橋そして市川の皆様の思いを胸に、また、この国の四人に一人、割合でいうと二五%以上、数でいうと三千万人以上いながらも、この国のルールを決める国会の場には僅か二%にも満たない人数しかいない平成生まれの当事者として、未来志向の議論ができればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 まずは、NISAについてお伺いさせていただきます。

 今回の税制改正においては、iDeCoの受取時の適用される退職金課税のルールが変更となりました。iDeCoで、六十歳、ためて受け取って、その後五年待てば、企業の退職金などは控除を受けた形で受け取ることができるというのが現行のルールだったんですけれども、それが、五年から十年、倍増したわけであります。

 これから資産形成をする現役世代にとっては、一番避けたいものは、国によって途中でその資産形成のルールを変えられる、ゴールポストをずらされるということが、現役世代にとっては一番苦しいことだなというふうに考えております。

 だからこそ、金融庁が所管するNISAにおいては、何があっても現在の非課税枠を維持することを今ここで国民の皆様にお約束をしていただきたく思います。そうすればもっともっとNISAは進むと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

加藤国務大臣 今、まず、前段のお話があった件は、やはり、退職されるタイミング等がだんだん、今、昔六十歳だったのが六十五歳になったりという、いろいろなそうした状況を踏まえた対応だったというふうに承知をしております。

 その上で、NISAでありますけれども、若者を含め国民の皆さんが安心して資産形成に取り組むための環境を整備し、長期、分散、積立て投資を促進する上で重要な仕組みでありますから、こうした観点から、金融庁としては、NISAについて、これまでも、投資枠の大幅な拡充、それからこれまでは暫定的なものを恒久化させていただきました。あるいは利便性の向上等にも取り組んできたところでありますので、今後、NISAを活用した長期的な金融資産形成や、その利便性が損なわれるような制度の見直しを行うことは考えてはおりません。

 引き続き、NISAが若者も含めた国民の安定的な資産形成に資する制度として活用されるよう、継続的な改善に取り組んでいきたいと考えています。

水沼委員 ありがとうございます。

 NISAの拡充は、本当に若者にとってもすばらしい拡充だったというふうに思っています。だからこそ、是非、現役世代が抱く将来不安に関しても、寄り添った対応を今後もお願いしたいというふうに思います。お願いします。

 続いて、生命保険料控除についてテーマを移します。

 まずもってですが、現役世代が支払う社会保険料の負担の軽減につながらず、万が一の際の費用負担リスクを高めるのみである今回の高額療養費制度の自己負担額引上げに断固反対であるという旨を申し上げます。そもそも、一人一人に自助を強いるのであれば、国がまずはその環境を整備して、そこから国民に対して提案を行うというのが筋であるはずだからです。

 それを踏まえて、資料一を御覧ください。

 今回、二十三歳未満の扶養控除を持つ対象家庭、対象への子育て支援策として、所得税において、新生命保険料控除に係る一般生命保険料控除の適用限度額が、子育て世代を対象に、四万円から六万円に引き上げられることになりました。念のためお伝えいたしますと、一般生命保険料というのは、主に終身保険ですとか養老保険といった、お亡くなりになった、若しくは七十歳まで生きていたといったような、人の生死に起因して保険金が支払われるという種類の保険です。

 しかし、人生百年時代におけるリスクにおいては、生きてはいますが働けなくなってしまったというような場合を十分考慮すべきであるというふうに考えています。なぜなら、医療の発達によって、この国の平均寿命は延びている。また、自己負担額引上げの改悪論議でもありました、がんにおいても、がんの五年相対生存率というのは近年上がっております。

 そういった中で、私自身、子供を育てる当事者として申し上げるんですけれども、現在は、子育て世代が抱える疾病リスクというものについては、病を乗り越え職場復帰をしたとしても大多数の人が収入減に直面してしまっている、この実態を無視して語れないと思います。加えて、現在は物価高です。必要生活資金が年々高まっていることも不安の種となっています。

 だからこそ、今申し上げたリスクというのは、死ぬこと若しくは特定の期間まで生存していることに起因する保険金を支払う種類の一般生命保険料控除では対処ができません。

 そのため、子育て世代の将来不安を払拭して、安心して子供を産み育てられる日本とするためには、がん保険ですとか就業不能保険ですとか、様々なものが対象となる介護医療保険料控除の適用限度額も併せて六万円に引き上げるべきだと考えます。大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 生命保険料控除制度における介護医療保険控除額について御指摘をいただきました。

 現行の生命保険料控除制度は、この提示いただきました資料にありますように、一般生命保険、介護医療保険、個人年金保険、それぞれ分かれておりまして、公的保障を補完する私的保障としての役割を果たしていることから、これらに加入する方々のまさに自助努力を支援するということで設けられたものであります。

 御指摘の介護医療保険については、扶養する家族を含む生活への備えという機能もありますが、健康を害した場合に自身にかかる医療費や介護費の増加に備えるというものが機能であります。

 令和五年度の民間給与実態統計調査によりますと、年間の平均控除額が、一般生命保険は三万六千三百九十六円に対して介護医療保険は三万二千五十二円という水準にあります。限度額近く拠出している方が、比較して介護医療保険の方が少ないというふうに考えられるところでございます。

 高齢化が急速に進展する中、保険商品による自助努力を通じて老後の生活等のリスクに備えることは、これは重要だと考えております。生命保険料控除の在り方を考える上では、こうした保険商品ごとの性質の差、また、今申し上げた控除額の実態、これも踏まえつつ、保険商品ごとの税負担の公平性にも留意しながら検討を進めていきたいと考えています。

水沼委員 ありがとうございます。

 今、四万円の今の額で収まるからというような答弁だったかと思うんですけれども、やはり、これを拡大することによって救えるリスクですとか防げるリスクというところは、自助の部分の増大にもつながってくると思いますので、是非、子育て支援を目的とするのであれば、実情に見合った制度設計を今後も将来世代のために実行すべきであるというふうに考えております。ありがとうございます。

 次に、もう少しマクロなテーマで議論ができればと思っております。

 植田総裁に本日お越しいただきました。ありがとうございました。

 そこで、日銀の政策についてお伺いします。

 今から申し上げるのは、全てデータに基づく事実でございます。資料二、めくっていただいて御覧ください。こちらは異次元緩和の前後における実質GDPの平均成長率を示しています。これは、結論から申し上げるとほぼ横ばいで、経済成長にもつながっていないということが明らかとなっています。

 当初、二年の間に二%の物価安定目標を達成するとぶち上げた黒田前総裁でしたが、道半ばと言い続け、結局、達成には十一年かかりました。しかも、国債を刷って円安になったことを起因とするコストプッシュという形です。

 雇用は確かに増えました。しかし、実質GDPが伸びておりませんので、当初の目的とした経済成長には見合っていないと思います。

 株価も確かに史上最高額を更新しました。しかし、貯金ゼロ世帯も史上最高です。岸田前総理の間に、貯蓄ゼロ世帯は三百万人増えました。

 では、誰が日本株を買っているのかというと、海外投資家です。異次元の円安によって日本株を爆買いしているという実態があるのではないかと思います。日本に住む外国人の割合は僅か二%ですが、日本株保有でいうと、三割、三〇%以上保有している。また、売買代金の半数以上が海外投資家によって構成されております。

 この状況は果たして、国益にかなったと言えるのか、手放しに成果と呼べるのでしょうか。株式市場においては、日本国民の多くが果実を手にできていない状況なのではないかと危惧をしております。

 そして、日銀が大量に国債も引き受けた結果、異次元金融緩和の結果として、私たちと次世代に残されたものは、過度な円安、それに伴う物価上昇、そして巨額の国債残高というものになりました。

 昨年末、日銀が公表した多角的レビューにおいても、異次元緩和は導入当初に想定していたほど効果を発揮せずという結論が出されておりました。

 以上、これまでのファクトをベースにお伝えをしたんですけれども、何が伝えたいかというと、私たちはもう過去を変えることができないということです。だからこそ、この日本の行く末を左右する財務金融委員会の場で、与野党問わず、全員で、熟議と公開の下で、この異次元緩和の出口戦略について考えたいというふうに思っております。

 日銀の国債買入れ額の圧縮を実現しつつ、金利の過度な上昇を避ける最も有効な方法は、新規国債の発行額抑制であり、財政の再建だというふうに考えております。

 改めて、異次元緩和の出口戦略とその決意を、アメリカの元FRB議長ボルカー氏の印象も含めまして、日銀総裁にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

植田参考人 お答えいたします。

 私ども、昨年の三月、それまでのイールドカーブコントロールを含みます大規模な金融緩和政策から、短期金利の操作を主な政策手段とする政策枠組みに移行いたしました。その後、国債買入れにつきましては、昨年の七月に、二〇二六年三月までの国債買入れの減額計画を決定、発表いたしました。

 長期金利は、金融市場において形成されることが基本であり、国債市場の安定に配慮するための柔軟性を一応確保しつつ、予見可能な形で減額していくことが適切であるという考え方に基づきまして、相応の規模となる減額計画を策定し、実行中でございます。

 なお、二〇二六年四月以降の方針につきましては、今年の六月に、これまでの減額計画の実行状況の中間評価を実施しまして、国債市場の動向や機能度を点検した上で改めて検討し、その結果をお示しする予定でございます。

 それから、ポール・ボルカー元FED議長についてお尋ねがございました。

 ボルカー元議長は、たしか一九七九年にFEDの議長に就任されていますが、当時、一〇%を超えるインフレーションにアメリカは直面していました。これを抑制するという困難な課題に取り組まれたわけですが、私は当時、アメリカで大学院生でありまして、非常に強い意思を持ってこの政策に取り組まれているということに感銘を受けた記憶を持っております。ボルカー元議長がインフレの抑制に成功したことは、その後の米国の物価安定の下での持続的な成長に大きく貢献したというふうに考えております。

 私どもも、我が国の二%の物価安定の目標を、持続的、安定的な実現という観点から、適切に金融政策を運営していくということを心に銘じて、引き続き努力してまいりたいと思っております。

水沼委員 ありがとうございます。

 是非、断固たる決意で日銀のかじ取りをしていただきたく存じます。

 あわせて、政府は、日銀の独立性を守りながら、そして国債の円滑な消化に向けた、適切な、将来世代に顔向けのできる国債管理政策を実行いただきたいというふうに思います。

 植田総裁は、もしよろしければ、ここで御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

井林委員長 御退席ください。

水沼委員 次に、住宅ローン金利についてお伺いします。

 長引く超低金利の下で、家計は近年、過去のトレンドを大きく超えて、多額の住宅ローンというものを借り入れてきました。借入れの約八割は変動金利であり、結果、短期金利が上昇すれば利用者の負担が増えるという構図にあります。

 家計部門は、異次元緩和で預金残高が大きく増えたんです。ですけれども、その大半というのは六十五歳以上の方々の保有です。ベテラン世代の方々の家計は利上げの恩恵を受けますが、二十代、三十代、四十代の人々は預金残高の倍以上の住宅ローン残高を有しています。

 もう既に住宅ローン減税等の措置もありますが、これからの社会保障制度を支える年齢層に特に配慮した政策実行が大切だというふうに考えています。大臣の御見解をお伺いしたく、よろしくお願いします。

加藤国務大臣 若い人たちに、特に住宅の問題は大変大事だというふうに思っております。

 今、金利上昇を受けて、個人の住宅ローン返済額の増加など、生活、さらにはなりわいへの影響を心配する声が出ていることも承知をしております。

 将来不安を払拭すること、これは大変重要であります。そのためには、やはり全ての世代の現在や将来の賃金、所得の増加に向けて、例えば価格転嫁の取引適正化の推進や企業の稼ぐ力を引き出すための諸施策に取り組んでいくことが大事であると思いますし、また、現役世代の保険料負担を軽減をしつつ、負担能力に応じて全ての世代で公平に支え合う全世代型社会保障の構築を図っていくということも同時に大事だというふうに考えております。

 金利上昇が家計に与える影響は、申し上げるまでもなく、住宅ローンの支払い利子が増加をする一方で、預貯金の利子は増加をするという側面もあります。

 引き続き、個人の住宅ローンを含めて、金利上昇が国民生活等に与える影響については注視しつつ、経済財政運営に万全を期していきたいと考えています。

水沼委員 ありがとうございます。

 課題認識ですとか解決策というのは、すごく目線は合っているなと思うんですけれども、だからこそ、やはり、若年層にとって本当に実効力のある、手取りを増やすですとか様々な負担を軽減するという策を今後とも考えていければというふうに思います。

 次のテーマは、女性起業家の拡大についてお伺いいたします。資料としては次のページ三ということになります。

 人口減少社会に突入した日本では、これまで働けていなかった人が働くことによって、新たな労働力を生み出すことが重要だと考えています。そうなってきたときに、女性の活躍推進の最たる例が女性起業家の拡大であり、石破総理におかれましても、総理官邸で女性起業家の方々とお会いしたということを確認しています。

 他方、構造上の優位性を悪用して、女性起業家に対して性的な対応と引換えに出資を働きかけるといったような深刻なハラスメント事案が発生していることも事実です。

 昨年、金融庁は、経産省とともに、ベンチャーキャピタル向けの新指針、これがまさに資料三なんですけれども、新指針を発表しました。しかし、同指針の中には、コンプライアンスというワードはあるものの、ハラスメントというワードは一切見当たりません。

 年明けに放送業界で問題となっている状況も踏まえまして、ハラスメントに対しての業界ルールの策定及び徹底も考慮すべきではないかというふうに考えるんですけれども、大臣の御見解をお願いします。

加藤国務大臣 私自身、最初の大臣が、一億総活躍担当大臣というのをやらせていただきました。その理念は、やはり、今の、これから特に人口が減少していく中で、それぞれの持つ力が十二分に発揮できる、男性、女性、若い方、年配の方、障害がある方、難病を抱えている方など含めて、それぞれがその力を発揮していただき、また、それぞれの将来の展望を持ちながら人生を過ごしていただける状況をつくっていく、そのためにはそれを阻害をするような障壁を一つ一つ解消していくことが必要だということで、働き方改革などにも取り組んでまいりました。

 今お話があったハラスメント、起業者に対するということがありましたが、それ以外も、働く方に対するハラスメント、いろいろ問題があり、最近ではカスタマーハラスメントの話もあります。

 こうしたハラスメントは、被害を受けた、ハラスメントを受けた方の心身に大変な影響を与えるのみならず、例えば、そこで働いている社員の力を落としてしまうわけでありますし、ひいては経済全体そのものにもプラスにはならない、そして、企業においても同じだというふうに私も思っておりますので、こうした状況についてしっかり対応していくということは、特に今、ベンチャーに対する支援あるいはスタートアップ企業の成長、これが非常に我が国の持続的な成長にとっても大きな役割を担っていると認識をされているわけでありますから、そうしたベンチャーキャピタルを受ける側の起業家、これは男性、女性問わず、その力を発揮していただけるよう、今御指摘の女性起業家のハラスメントの防止の徹底を含めて、適切なコンプライアンス管理に取り組んでいただくことが重要だと考えております。

 その上で、委員御指摘のように、じゃ、具体的なという話であります。そこは、我々どもキャピタルを通じて見ているわけでありますから、その中でどういった対応ができるのか、そういったところはこれから考えていかなきゃいけないというふうに思っております。

水沼委員 ありがとうございます。

 すごく大きな考えとしては同意するんですけれども、もう少し、より具体的なお話をさせてください。

 まさにそのキャピタルの側から見て新指針を作成したということなんですけれども、この資料三、指針を作成するに当たってパブリックコメントを受け付けたというふうになっていて、ここに、パブリックコメントにおいては、読みますが、VC、ベンチャーキャピタルにおけるコンプライアンス管理について、昨今、投資家によるスタートアップ、特に女性起業家へのハラスメントが大きな問題となっている、最近公開された予備調査では、半数以上の女性起業家が被害に遭っていることが明らかとなった、投資先へのハラスメントを禁じる規定を必須とすべきではないか、こういったパブリックコメントが寄せられている中でございます。

 その上で、資料四をおめくりください、見てください。じゃ、それを踏まえて何を言っているのかというんですけれども、新指針の中においては、貴重な声が一切反映されていないように見受けられます。

 有識者会議では、これまでもコンプライアンス管理を適切にやってきたという趣旨の考え方が示されていますが、これまでの対応の結果が今現在の女性起業家の輩出低迷という現実を招いたという自覚はあるのかというふうに疑問に思っています。

 大臣、どうして、パブコメにも明確に女性起業家の悲痛な声、また各種報道でもあります、ここまで上がっているにもかかわらず、ハラスメント対応というのを新指針において明文化しないのでしょうか。また、パブコメを受けて、金融庁内で女性起業家へのハラスメントの実態を調査しましたか。また、調査したのであれば、どれぐらいの規模で実施をしたのか。お答えください。

油布政府参考人 短くお答え申し上げます。

 御指摘のような調査そのものを私どもが主体的に実施したということはございませんけれども、先生がおっしゃいましたこの予備調査、去年策定されたものなどについても目は通してございます。

加藤国務大臣 昨年十月、金融庁において、ベンチャーキャピタルのガバナンスの向上等を図るために、ベンチャーキャピタルにおける推奨、期待される事項を策定し、その中には、ハラスメント防止も含めたコンプライアンス管理の体制確保を推奨する事項を盛り込んだ。これは委員御指摘のコンプライアンスということが書いてあるところでありますし、これらについてはベンチャーキャピタルに対して周知を行い、その活用を促しているところでございます。

 また、業界における自主的な取組としては、日本ベンチャーキャピタル協会において、ハラスメントの根絶に向けた様々な啓発活動等が行われているものと承知をしております。

 金融庁として、女性起業家が安心して活躍できることは我が国経済にとって非常に重要であると考えており、ベンチャーキャピタルについて、官民で必要な環境整備や啓発活動に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

水沼委員 お答えありがとうございました。

 調査をしていないということで、極めて残念だというふうに思います。改めて、現政権与党及び自民党の女性軽視の実態が明らかになったんじゃないかなというふうに考えております。

 規制強化というと、行動を制限するというようなイメージを持つところがありますが、スタートアップかいわいにおいては、ハラスメント対策を強化することは起業家増大に向けた重要な政策であるというふうに考えています。

 もちろん、大臣もおっしゃってもおりましたが、セクシュアルハラスメントだけではない、例えば、投資を判断するプレゼンの場で、成功するとは到底思えないといったような過激な言葉を投げつける、あるいは仏頂面でピッチについても見ているといったようなパワーハラスメントについても、併せて対策をすべきだというふうに考えております。

 所信でも述べられました社会的課題の解決と持続的な成長には、スタートアップかいわいの発展が不可欠です。だからこそ、意思のある人が安心して起業に挑戦することのできる起業家新法制定といったような環境整備を今後どのように行っていくか、大臣の見解をお答えください。

加藤国務大臣 議論の中で、コンプライアンスの中には、今おっしゃったハラスメント以外、様々なものがあり、様々な指摘がなされているものと承知をしております。そういったものを一つ一つ、どういう形でこの中に取り組んでいくのかという中で、取りあえず、コンプライアンス管理という形でそこに入っていますという応答要領も含めて今お出しをさせていただき、今、先ほど申し上げた業界等においてもいろいろな取組がなされているところであります。

 このハラスメントの問題というのは、先ほど申し上げたように、受けた御本人のみならず、我が国の、今であればスタートアップを含めた経済活動そのものにもいろいろな意味で支障を来していくわけでありますから、そうしたスタートアップが健全に進んでいくためにどういうことをしていくべきなのか、そういった点に立って、引き続き検討していきたいと考えています。

水沼委員 ありがとうございます。

 是非、検討のみならず、実際の調査も金融庁の方々に行っていただければと思いますので、大臣についても御検討いただければと思います。本当に、我が国の発展のためにも、是非期限を決めての環境整備を実行いただきたく思います。

 時間が迫ってまいりました。

 日本の発展、そして持続的な社会保障制度の確立に向けて、子育て世代や現役世代の声をお届けしながら、しっかりと今後も精力的に活動させていただく決意を申し上げて、質問を終えたいと思います。

 質問を一部飛ばしてしまい、御準備された方には大変失礼いたしました。お答えをいただいた皆様、ありがとうございました。

井林委員長 次に、三角創太君。

三角委員 立憲民主党の三角創太です。

 さきの衆院選にて初当選をいたしまして、財務金融委員会では本日が初めての質疑となります。有権者の皆様から託された、物価高の苦しい現状を何とかしてほしいという思いにしっかりとお応えをするべく、本日は質疑をしていきたいというふうに思います。

 今日は、先日行われました加藤大臣の所信に対する質疑ということで、とりわけ、大学生年代の子に係る控除の創設、そして国民の資産形成政策、さらに防衛増税などの税制について質疑をさせていただきたいと思います。

 私も、これまで銀行員としてサラリーマン経験を積みまして、また、その後には公認会計士、税理士として仕事を行ってまいりました。本日の質疑では、これらの経験を踏まえて行わせていただきたいと思います。

 まず、順番がちょっと前後してしまうんですけれども、金融取引課税について、いわゆる一億円の壁の問題について先に、済みません、質疑をさせていただきたいと思います。

 大臣もよく御存じだと思いますけれども、株式や債券の売買などの金融取引においては、現状、国税と地方税を合わせて二〇・三一五%の一律の分離課税ということにとどまっております。その結果として、年収一億円を超えるいわゆる超富裕層の方々においては、収入の多くが金融所得であることから、所得税率がそれ以下の所得の人と逆転をする、いわゆる一億円の壁の問題が存在をしています。

 所得税制の公平性を確保する観点からも、この一億円の壁について取り払うべく制度改正を行うべきだというふうに考えておりますけれども、まずはこの点について大臣の所見をお伺いいたします。

    〔委員長退席、国光委員長代理着席〕

加藤国務大臣 税制の在り方について、改めて申し上げることではありませんが、公平、中立、簡素の三原則の下、経済社会の情勢の変化なども踏まえつつ検討することが重要であると考えております。いわゆる一億円の壁、要するに、所得が一定の金額を超えると、高くなると税負担が減っていく、こうした問題については、このうちまさに公平性に関わるものであります。政府としても、税負担の公平性を確保することは重要と考えております。

 令和五年度税制改正において、金融所得を含め、極めて高い水準の所得を対象として、令和七年分所得から追加的に負担を求める措置を導入し、一定の対応を図ってきたところではあります。これは令和七年分の所得でありますからこれからでありますが、この措置の効果についてよく見極めていきたいとまずは考えております。

三角委員 ありがとうございます。

 公平性が大事だという御答弁だったと思いますけれども、その意義については私も当然理解をするところでありますけれども、そこで、公平がということであれば是非大臣に御提案を差し上げたいのは、金融取引課税についても給与所得などと同様に総合課税に見直しをするというのはいかがかなというふうに思っております。

 総合課税に仮にすれば、大体年収一千五百万円程度ぐらいまでの方については所得税分でも税率が一五%程度ということでございますので、多くの皆様にとってはこれが減税につながるというふうに思います。一方、一億円の壁に見られるような高所得の方については、適正な御負担をいただくということになりまして、公平この上ないかなというふうに私は思います。

 金融取引課税において総合課税を適用することができない、難しいという理由があれば、是非御答弁を願います。

    〔国光委員長代理退席、委員長着席〕

加藤国務大臣 金融所得課税の検討に当たっては、先ほど申し上げた税負担の公平性のほかに、貯蓄から投資への流れを引き続き推進し、一般の投資家が投資しやすい環境を損なわないようにするということも重要であり、これらを総合的に判断していかなければなりません。

 例えば、我が国においては、上場株式の譲渡益や配当等の課税方式が原則一律二〇%の分離課税、比例税率の対象とされていることにより、確定申告が不要な特定口座制度を活用できる制度となっております。したがって、こうした納税者の利便性にも貢献しているものと考えております。

 御指摘のように、例えば金融所得に総合課税を適用する場合には、納税者御自身に確定申告をしていただかなければなりません。そうしますと、確定申告不要というこの利便性が失われてしまうということもございます。こうしたことも考え合わせて検討していかなければならないと思います。

三角委員 ありがとうございます。

 貯蓄から投資への流れ、これが重要だということの御指摘だと思いますけれども、それはひいては株価につながってくるのかなというふうに思いますけれども、仮に、高所得者の方に関して税率を引き上げたとして、あるいは総合課税ということを導入をしたとして、所得税における金融取引課税の見直しの影響を受けるのは、海外投資家とかは関係ない、また法人の投資家も関係ないということで、国内の個人投資家がその影響の対象ということになるのかなというふうに思うんですけれども、全取引所の合計で売買金額のうち大体何%ぐらいがこの個人投資家の投資に当たるのかということが分かれば、御答弁いただきたいというふうに思います。

加藤国務大臣 納税者の選択によって申告不要が認められている上場株式の配当、譲渡益や、源泉分離課税で完結する預貯金の利子など、税務当局が把握できていない計数があり、税務当局として、金融所得課税が適用される個人投資家の人数は把握していないところであります。

三角委員 ありがとうございます。

 把握されていないということなんですけれども、先ほどの、たしか水沼委員の質疑でもありましたけれども、海外の投資家あるいは法人の投資家というところがかなり、過半を占めているというのは今の現状だというふうに思いますので、そうした中で、これから個人投資を拡大していくということの重要性は理解をしておりますけれども、個人投資家のうちの、まあ個人投資家全体の割合が分かっていないということなのでこれはなかなか質問にお答えいただくのは難しいのかなと思いますが、これから株価に対する影響というのが一体どのように、仮に総合課税を導入した場合に出てくるのかというところを確認をさせていただきたいんです。

 私の方で調べたところによりますと、日本証券業協会の調査によりますと、一千万円以上の株式投資を行っているという方は個人投資家のうちのおよそ二五%ということで、個人投資家自体がそもそも株式市場で過半以下、かつ、その個人投資家の中でも大口の投資を行っているという方はその程度ということになりますので、非常に、その影響といいますか、もし仮に総合課税に切り替えたとしても株価への影響というのは小さいのではないかなというふうに私は考えております。

 そうした中で、前回、二〇一四年に一〇%から二〇%に税率の引上げを行ったというふうに認識をしておりますけれども、その際には、株価への影響といいますか、その前後で株価はどういうふうに推移をしたのかというようなことがもし分かれば、お答えいただきたいと思います。

加藤国務大臣 正直言って、株価への影響というのは、いろいろな要素があるので、あるいは、そのときの経済あるいは金融情勢によっても、また、それが同じようなショックというか同じような刺激があっても表れ方は違ってくる。なかなか一律には言い難いというふうに思います。

 その上で、委員御指摘の、税率を二〇%に戻した平成二十六年以降の市場動向ということで見ると、税率引上げの直前には一時的に売り越しが発生しておりますが、引上げ直後には反対に買い越しが発生していること、日経平均株価は税率引上げ後も上昇傾向にあることになっていたものと認識をしております。

 ただ、これはそのときの状況でありますから、例えば、今度おっしゃるようなことがあればどうなるかというのは、なかなか言い難いものがあるということは御理解いただきたいと思います。

三角委員 ありがとうございます。

 もちろん、株価は様々な要因で決定されるというふうに思いますけれども、当時の数字を見てみますと、そこまで大幅な値下がりにはなっていないというふうに理解をしております。このことからも分かるように、税率の変更がそこまで投資の抑制などにつながるということは必ずしも言えないのではないかなというふうに、私の意見として申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、防衛増税のところについて、済みません、また順番が前後するんですが、お伺いさせていただきます。

 防衛費の増額のための財源といたしまして、今回、たばこ税の増税ということが計画をされております。まずは、今般のたばこ税の増税の概要について御説明をお願いをいたします。

加藤国務大臣 たばこ税の増税の概要でありますけれども、現在、加熱式たばこと紙巻きたばこ、これの課税負担が異なっておりますので、まずそれを調整した上で、その後、たばこの増税を、段階的に引き上げていくということでございます。そして、平年度ベース、最終的には二千百五十億円の増収を見込んでいるところであります。

三角委員 ありがとうございます。

 今御指摘があったとおり、加熱式たばこと紙たばこの税率の差も埋めていくということが一つのテーマだというふうに認識をしておりますけれども、これまでは、加熱式たばこの方が例えば副流煙が出ないとかそういう社会的にメリットがあるから加熱式たばこの方を低く抑えておこう、そういう意図があったんだというふうに理解をしているんですけれども、今回その差を埋めようとしているということは、別に、これから、電子たばこと紙巻きたばこと、政府としては優劣をつけないというか、別にどっちが悪い、いいとかということではなくなる、そういう理解でよろしいんでしょうか。

加藤国務大臣 まず、経緯、これまで何で差、違いが出たのかという背景でありますけれども、たばこ税については、加熱式たばこも含め多種多様な製品が存在していることから、簡便な課税方式として、紙巻きたばこ以外は製品重量に応じて課税する仕組みとなっております。こうした課税方式の中で、加熱式たばこは、紙巻きたばこと比べて製品重量が軽いため、結果として税負担が低くなっている。平成三十年度税制改正で一部見直しをした後も、紙巻きたばことの税負担差が残っている。したがって、今御指摘があった健康への影響を考慮して加熱式たばこに低い税率が設定されているものではないということであります。

 この加熱式たばこの課税方式の見直しは、加熱式たばこの市場シェアが拡大している中で、紙巻きたばこと同様の価格帯で販売され、かつ代替性が高いにもかかわらず税負担が低くなっている実態があることから、同種同等のものには同様の税負担を求める消費課税の基本的な考え方に沿って、紙巻きたばことの税負担差を解消することとされたものであります。

三角委員 ありがとうございます。差を別につけるつもりはないんだということの意図が理解をできました。ありがとうございます。

 その上で、これまで三十年近くにわたって、喫煙をしている方自体も減っている、たばこの販売本数についても減少傾向にあって、何度か増税されていますけれども、結局、税収としては全然増えておりません。大体二兆円程度で安定的に推移をしているということで、今回のたばこ増税を実施したところで、果たして本当に必要な財源が確保されるのかというのが大変に疑問であります。

 このたばこ増税と、その後に関して、販売本数の想定というのは、これまでの実績から何か増えるとかそういう数字になっているのか、それともまた、こういう税収増を実現するために、政府として、たばこの販売本数の増加に向けて何か取組を行うつもりなのか、この辺りについて御答弁を願えればと思います。

加藤国務大臣 まず、今回のたばこ税の見直しによる増収は、足下のたばこ消費量の自然減なども勘案しつつ、今回のたばこ税の見直しを実施した場合のたばこ税収と実施しなかった場合のたばこ税収の差額として見込んでおります。

 今回の見直し、ちょっと先ほどざくっと申し上げましたが、加熱式たばこの課税方式の見直しを二段階で行う、その後、たばこ税率の引上げを一本当たり〇・五円ずつ三段階で、かつ小幅に行う。こういったことで需要への影響にも配慮した形となっているところであります。試算に当たっては、当然、値段が上がれば需要が減るわけでありますから、その辺も勘案して試算をさせていただいているところであります。

 それから、販売本数の増加に向けての取組というお話でありましたけれども、製造たばこについては、国内外の製造たばこメーカーによる競争の下で販売されるものであって、政府として、製造たばこの販売本数を増加させるための取組を支援することは考えていないところであります。

三角委員 ありがとうございます。

 たばこ文化というか、その拡充を別に政府としては目指さないというふうに伺いましたけれども、そうすると、やはり、当然、自然にたばこを吸う本数、販売本数自体が減少していくという中で、実際、この増税によって、今回の増税が、特に過去の増税と比べて別に金額幅がとりわけ大きいというわけでもないというふうに認識していますので、そうすると、税収全体として上がっていくというふうに想定をするのは、私は非常に難しいのではないかなというふうに改めて思うところでございます。

 そして、もう一つ、この防衛増税について、所得税の部分についてお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、今回は、復興特別所得税を一%引下げをして、その代わりに、防衛財源として一%の付加税を所得税につけるということが計画をされていると認識をしております。これは実質的に復興財源の防衛費へのつけ替えに当たるという批判がありますけれども、この辺りどのように、つけ替えではないんだというふうに御説明ができるのか、答弁を願います。

加藤国務大臣 復興特別所得税は、東日本大震災からの復興のために実施する施策に必要な財源を確保するための特別措置として創設されたものであります。また、防衛力強化に係る財源確保のための所得税に関する措置との関係については、令和五年度税制改正大綱において、現下の家計の負担増とならないよう、復興特別所得税の税率を引き下げるとしつつ、復興事業の着実な実施に影響を与えないよう、課税期間を延長して復興財源の総額を確実に確保するとしておりますので、復興財源を防衛費につけ替えるというわけではないということは御理解いただけると思います。

 引き続き、福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なしという考え方の下で、復興には引き続きしっかりと取り組んでいきたいと考えています。

三角委員 ありがとうございます。

 復興財源が一%分所得税からなくなるわけでございまして、その分が何で足りるというふうに想定をされているのかがちょっとやはり理解がし難いところがあるんですけれども、その辺り、もう一度、済みません、御説明いただけますでしょうか。

加藤国務大臣 当然、一%、復興所得税の税率を引き下げますから、当初の期間でいえば、おっしゃるように税収は減るわけでありますが、その分だけ課税期間を延長して復興財源の総額そのものは確実に確保する、こういう仕組みになっているわけであります。

三角委員 分かりました。ありがとうございます。

 ちょっと時間がないので、済みません、防衛増税については以上とさせていただいて、日銀の利上げの問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回、利上げで、物価高、また円安の過度な進行が進んでいるのかなというふうに思いますけれども、大枠として、私としても、利上げということはあるべき姿なのかな、金融の正常化という観点からあるべき姿かなというふうに認識をしております。

 一方で、その副作用として懸念をされる課題として私が指摘をさせていただきたいのは、やはり中小企業の資金調達という部分についてでありますけれども、今回、コロナのときに始まったゼロゼロ融資からの借換えがもう既にスタートしているというふうに思いますけれども、利上げによって、こうした借換えが今後困難になるというような影響が懸念をされるというふうに思います。この影響額といいますか、企業に対する影響というのはどの程度見込んでいるのか、御説明をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 日本銀行による政策金利の引上げは、市場金利などを介して中小企業向けの貸出金利にも影響し得るものと考えております。ただ、その影響額については、具体的な影響については、事業者ごとに置かれた業況等も様々であることから、これは一概にお示しをすることが困難であることは御理解いただければと思います。

三角委員 ありがとうございます。

 コロナからの借換えに当たっては、借換え保証という制度が用意されているというのは認識をしておるんですけれども、こうした制度を見てみますと、やはり、信用保証料、保証協会つきの融資とかであれば信用保証料を安くするという制度だけで、金融機関側の利子、利息の部分については、利子補給とかは規定をされていないというふうに思うんですが、今回の利上げによって金融機関側の金利がやはり上がるということが問題なわけでございまして、そこに対する対処というのは政府としては特段されないということなのか、御答弁願います。

井林委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

井林委員長 速記を起こしてください。

 加藤財務大臣。

加藤国務大臣 失礼いたしました。

 経営環境変化対応資金といういわゆるセーフティーネット貸付けが現在でも行われているところでございまして、貸付利率は基準利率となっておりますけれども、ウクライナ情勢、原油価格上昇の影響を受け、利益率が五%以上減少した事業者に対しては金利を〇・四%引き下げる、こういった対応も取らせていただいているところでございます。

三角委員 分かりました。ありがとうございます。

 私も、銀行において中小企業に対する融資なども行ってまいりましたので、是非ここの部分については適切な支援を今後も行っていただければというふうに思います。

 時間が、済みません、ありませんので、次に、政治団体に対する相続税の課税がし得るかどうかという議題についてお伺いさせていただきたいと思います。

 自民党の今回の派閥裏金問題に端を発しまして、政治資金規正法の在り方についても今議論がなされておりますけれども、そうした中で、政治団体の代表者の名義を変えたりですとか、政治団体間で資金を移したりということで、実質的に、相続税だったり贈与税を支払わずに、無税で大金を引き継ぐようなことができてしまっているという状況がございまして、事実上の租税回避ではないかという指摘がなされております。

 私が、先日、ある大物の政治家が亡くなられた際に三億四千万の政治資金が親族に継承されたという報道を踏まえて、簡易的に相続税の計算、もし発生をしていたら、課税対象だったらということでしたところ、大体三千五百万円程度の支払い義務が発生するというようなことも計算がなされました。

 そこで、加藤大臣にお伺いをさせていただきたいのは、政治団体の資金を親族に引き継ぐ際に相続税やまた贈与税を課すことを検討しないのかということを、御意見、お伺いをしたいというふうに思います。

加藤国務大臣 相続税、贈与税ということで申し上げますと、相続税、贈与税は、個人が相続又は贈与等により財産を取得した場合に課される税とされています。政治団体の政治資金はその代表者ではなく政治団体自体に帰属するものであり、政治団体の代表者の地位の承継等を行ったとしても代表者個人は政治団体の財産を取得するわけではないことから、相続税や贈与税の課税関係は生じないものと承知をしております。

 この代表者の地位の承継等に対して相続税、贈与税を課税することについては、政治団体の位置づけでありますが、一般的には人格のない社団等とされております。そうしますと、政治団体以外の人格のない社団等における代表者の地位の承継とのバランスなども踏まえると、この点については慎重な検討が必要だと考えております。

三角委員 ありがとうございます。

 そうはいっても、やはり大物の政治家が大金をしょって次の世代に世襲をしているという今の現状がありますので、是非ここについては御検討いただければということをお願い申し上げまして、質問時間が参りましたので、ここで私の質問を終了とさせていただきます。

 ありがとうございました。

井林委員長 次に、矢崎堅太郎君。

矢崎委員 立憲民主党、千葉県第五区、矢崎堅太郎でございます。

 銀行員十六年、千葉県議会議員十五年、中小企業勤務三年を経まして、昨年の総選挙で初当選をさせていただきました。この国会で初めての質問となりますので、どうぞ皆様よろしくお願いいたします。

 まず、今回は、大臣の先日の所信に対しまして、大きく三つ質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず初めですけれども、新たな防衛力整備計画に関する財源確保について御質問したいと思います。今、三角議員からたばこ税については触れられましたので、それ以外のところについて御質問をさせていただきます。

 大臣も所信において防衛力の抜本強化については触れられておりますけれども、二〇二五年度の予算で約八兆六千億円計上されております。この財源について、政府は、歳出改革、決算剰余金の活用、仮称防衛力強化資金、税制措置を挙げておりますけれども、具体的にそれぞれ項目と金額をお示しいただければと思います。

加藤国務大臣 令和七年度予算では、防衛力整備計画対象経費について、現行の整備計画が開始する前年度である令和四年度に比べて三・三兆円の増加となっております。この増額分は、歳出改革が〇・六兆円、税外収入が一・〇兆円、防衛力強化資金の活用一・七兆円によって必要な財源を確保するとしております。

矢崎委員 それぞれ今御答弁がございましたけれども、もう少し細かいところについての内訳というものはお示しいただくことはできないでしょうか。

加藤国務大臣 済みません、細かいところというのはどういうところでございましょうか。

矢崎委員 例えば、歳出改革〇・六兆円ということでございましたけれども、どこの部分を歳出改革してそこに充てるのかといったところをお示しをいただきたいと思います。

加藤国務大臣 歳出改革については、非社会保障関係費について、経済、物価動向も踏まえつつ、歳出改革の取組を実質的に継続することで、全体として令和六年度に比べてプラス三千億程度の伸びに抑制する中で、防衛力整備計画対象経費以外の非社会保障関係費をプラス九百億円程度に抑制しつつ、防衛力整備計画対象経費の増額に対応する二千百億円の財源を確保しているところでございます。

 令和五年度、令和六年度にも同様の取組により〇・二兆円程度を確保したことから、歳出改革によって、〇・二、〇・二、〇・二ということで〇・六兆円の財源が確保されているところであります。

 税外収入でありますが、外為特会からの繰入金により一・〇兆円を確保しております。

 それから防衛力強化資金については、防衛力強化資金からの繰入れで一・七兆円の確保を図っているところであります。

矢崎委員 それでは続きまして、税制措置のところでございますけれども、税制措置では、法人税額に対して税率四%の新たな付加税として仮称防衛特別法人税を課すとされておりますけれども、この四%の根拠についてお示しいただければと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛力の抜本的な強化に必要な財源の確保に当たりまして、税制措置につきましては、令和五年度税制改正大綱におきまして、令和九年度において一兆円強を確保する、法人税については、法人税額に対して税率四から四・五%の新たな付加税を課すなどとされておりました。

 今回の令和七年度税制改正プロセスにおきまして、与党の税制調査会におきまして、今申し上げました五年度大綱の基本的方向性が検討された結果、法人税の付加税率については、必要な財源を確保するという前提で、最も低い四%とされたということと承知しております。

矢崎委員 そうしますと、今回、今お話ありましたけれども、最も低いところで四%というところなんですけれども、この仮称防衛特別法人税の創設、そうはいっても、四%といいますと企業にとってはかなりの負担だと思うんですが、このことについて経済界から何か反応なり意見、要望等がありましたら、お答えいただければと思います。

青木政府参考人 お答えします。

 今回の防衛財源確保のための税制措置について様々御意見ございますが、例えば日本経済団体連合会からは、法人税の付加税率が四%に抑えられ、国内投資の拡大や賃金引上げの取組への配慮が示されたものと認識しているといった御意見があることを承知しております。

矢崎委員 大企業においてはそのような発言があるのかもしれませんけれども、例えば中小企業、こちらについては何かそういった意見などございませんでしたでしょうか。

斎藤副大臣 お答えいたします。

 防衛財源確保のための税制措置のうち法人税につきましては、今、中小企業というお尋ねがございましたが、地域経済、雇用を支える中小企業に配慮し、所得二千四百万円程度までは付加税が課されない仕組みとなってございます。これによりまして全法人の九四%は対象外となる見込みなど、手厚い配慮がなされていること。

 加えまして、今ほど参考人からも答弁申し上げましたとおり、五年度政府税制大綱で付加税率四%から四・五%とされている中で最も低い四%とされたことに加えまして、令和五年度においては法人の申告所得金額が過去最高を記録するなど企業業績が好調である中で、法人税率に換算いたしますと一%程度の御負担をお願いするものであり、企業活動に対して過度な影響を与えるものにはなっていないものと考えてございます。

矢崎委員 今の御答弁で、中小企業に対する影響は少ないという御答弁だったわけですけれども、今のこの景気の状況、上向きとはいえ、なかなか中小企業にとっては厳しい状況が続いていると思います。この中での付加税ということ、経済全体にとって、業績に対しては、政府としては、どのように影響があるかというところをお示しいただければというふうに思います。

斎藤副大臣 繰り返しになりますが、全法人の九四%を対象外にするなどして手厚い配慮をさせていただいております。加えまして、付加税率四%でございますが、これは法人税率に換算いたしますと〇・九二八%相当ということでございます。

 ですので、もちろん御負担をお願いすることには変わりはございませんが、企業活動に対して過度な影響、特に中小企業に対しては相当程度の配慮がなされたものというふうに認識をしてございます。

矢崎委員 分かりました。

 そうしましたら、次は所得税の方なんですけれども、こちらについては引き続き検討するというようなことなんですが、今後、所得税のところについても付加していく可能性があるのかどうか、そこのところを教えていただければと思います。

斎藤副大臣 お答えいたします。

 御指摘の所得税の措置についてでございますが、これはまさに委員から御指摘ありましたとおり、与党税制改正大綱におきまして、五年度税制改正大綱等の基本的方向性を踏まえつつ、引き続き検討することとされたものと承知をしております。

 政府といたしましては、こうした方針を踏まえまして、今後しっかりと検討を進めていくということになってございます。

矢崎委員 今御説明いろいろいただきましたけれども、防衛費の増額については、その財源というもの、やはり国民生活に影響が与えられてはいけないというふうに思っています。ですので、今後しっかりとそういった部分も含めて検討していただいて、過度な負担があって防衛力増強となっては、私はこれはちょっと違うのではないかなというふうに思いますので、その点についても是非御検討を慎重にしていただければなというふうに思います。

 それでは、続いて、次の質問に移らせていただきます。こちらは、大臣の所信の中でも、賃金、所得の増加を最重要課題というふうにおっしゃっておりますけれども、その中で、その一つの方法ではないかと思いますが、最低時給の千五百円実現に向けて御質問いたします。

 石破総理が、最低時給を全国加重平均で、前倒しをいたしまして二〇二九年度末までに千五百円まで引上げということをおっしゃっておられます。ただ、そのための課題も多いというふうに思います。政府としてどのような課題があると認識しているのか、そして、その上でどのように実現をしようとしているのか、教えていただければと思います。

馬場政府参考人 お答え申し上げます。

 石破政権では、アベノミクスの成果の下に岸田政権が進めてきた取組を着実に引き継ぎ、更に加速、発展させることで、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現していくことを目指しております。

 最低賃金につきましては、生活が豊かになったことを一人一人の国民の皆様に実感していただけますよう、岸田政権の取組を加速し、二〇三〇年代半ばに千五百円という目標を、半分程度の期間である二〇二〇年代に実現するという高い目標を掲げまして、これに向けてたゆまぬ努力を続けることといたしたところでございます。

 この目標に向けました第一歩といたしまして、昨年十一月二十六日、石破政権で初めてとなる政労使の意見交換を開催いたしまして、総理から、赤澤大臣を中心に、関係閣僚と協力して、最低賃金を引き上げていくための対応策を本年春までに取りまとめるよう指示があったところでございます。

 中小企業としては、なかなか個人消費が伸びてこない中で賃金を上げていくことに対しまして、経営面での不安があることは承知しております。中小企業を始めとした皆様方が安心して賃上げができますよう、原資となる稼ぐ力を継続的に高めていくことが課題であると認識しております。

 そのため、本年春に向けまして、中小企業の皆様方に利益を上げていただけますよう、適切な価格転嫁の推進、生産性向上に向けて省力化、デジタル化投資の促進、人材、経営基盤を強化する事業承継やMアンドAの後押し、下請法の改正などにつきまして更に具体化してまいります。

矢崎委員 そうしましたら、続きまして、現在、賃上げ促進税制が使われておりますが、その適用実績を見ると、大企業と中小企業が大体半分ぐらいになっております。そんな中で、中小企業に勤める方が全体の約七割と言われておりますけれども、この促進税制の方が全体の勤労者の賃上げの引上げにはつながっていないというふうに思うんですけれども、どのように思われているでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 賃上げ促進税制の二〇二三年度の適用の件数を見ますと、大企業では五千二百六十八件に対して、中小企業では二十四万九千二百十五件となってございます。中小企業においても広く活用されていると認識しておりまして、中小企業の賃上げに対し、一定程度寄与しているものと考えております。

 また、中小企業向け賃上げ促進税制につきましては、令和六年度税制改正におきまして、前例のない長期となる五年間の繰越控除措置の創設等の強化を行ったところでございます。中小企業の賃上げを最大限に引き出すべく、赤字でも賃上げに挑戦する中小企業を後押ししているところでございます。

 中小企業庁といたしましては、持続的な賃上げを定着させるためには、賃上げの流れを中小企業や地方にも行き渡らせることが必要であると考えておりまして、先ほどの答弁もございましたけれども、抜本的な強化を行ったこの賃上げ促進税制の活用を更に促進してまいるとともに、価格転嫁の促進、生産性向上支援なども引き続き行ってまいる所存であります。

矢崎委員 最低時給千五百円実現ということで、地元の中小企業の社長さんなんかと話をしますと、引き上げることはしたいんだけれども、なかなか、実際引き上げるとなると、それに伴って社会保険料の負担が半分、企業はございますからできないんだというお声をよく聞いております。

 そこで、私たちの党の方で提案しております中小企業の正社員を増やした場合の社会保険料の軽減措置、それに加えて、これは個人的な意見ではありますけれども、既存の社員の方の賃上げ引上げ分についても、社会保険料について軽減措置をすることは有効なことだというふうに思うんですけれども、その点についていかがお考えになっていますでしょうか。

榊原政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業に対しまして賃上げに伴う事業主の社会保険料負担を助成することにつきましては、社会保険料が医療や年金の給付を通じて労働者を支えるための事業主の責任であり、また、働く方の健康保持や労働生産性の増進を通じまして事業主の利益にも資するものであることから、慎重な検討が必要であると考えているところでございます。

 一方で、引き続き中小企業等が賃上げしやすい環境整備を図っていくことが重要と考えておりまして、関係省庁と連携して、適切な価格転嫁や生産性向上支援を進めていきますとともに、厚生労働省としましても、令和七年度予算案において、生産性向上に資する設備投資等を支援する助成金を始め、労働市場全体の賃上げを支援する賃上げ支援助成金パッケージを取りまとめるなど、中小企業等に向けた支援に取り組んでいるところでございます。

矢崎委員 いろいろと施策がある中でありますけれども、私が今お話をした社会保険料の軽減について、是非御検討もいただければなというふうに思います。

 それでは、三つ目の質問をさせていただきます。こちらは、大臣の所信のところでもございました、早期のプライマリーバランス黒字化実現に向けて財政健全化に取り組んでいくということが書かれております経済財政運営と改革の基本方針二〇二四について、御質問いたします。

 まず一つ目ですけれども、こちらが昨年の六月に策定されたわけでありますが、その中の第三章の中で、プライマリーバランスが、二〇二五年度の黒字化が視野に入る状況にあるというふうに示されておりました。しかし、実際には、二〇二五年度予算では実現できないということになったわけでありますけれども、その要因について御説明いただければと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 本年一月の試算では、二〇二五年度の国、地方のプライマリーバランスについて、対GDP比で〇・七%程度、金額では四・五兆円程度の赤字となる結果をお示ししました。

 これは、税収の上振れや歳出効率化が改善に寄与する一方で、昨年十一月に策定された経済対策の執行に伴う支出や所得税の基礎控除の引上げ等の税制改正などが赤字に寄与したためでございます。

矢崎委員 そうしますと、今後、二〇二六年度以降の改善の見通しについてお聞かせいただければと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 二〇二六年度の国、地方のプライマリーバランスにつきましては、経済成長に伴う歳入増や昨年十一月の経済対策に係る歳出の執行縮小によって黒字化する結果となっております。

 その後のプライマリーバランスにつきましては、実質GDPが安定的に一%を上回る成長移行ケースでは黒字幅が拡大する一方で、実質GDP成長率がゼロ%台半ばで推移する過去投影ケースでは次第に縮小して赤字となっていく姿をお示ししております。

矢崎委員 次に、予算の単年度主義の弊害是正に取り組むというふうにされておりますけれども、どのような点を弊害と認識しているのか、そしてまた、是正について取り組んでいる改善策の具体的なことをお示しいただければと思います。

加藤国務大臣 我が国の予算は、毎年度国会で議決をいただく単年度主義が原則となっています。他方、企業経営に当たり長期的な視点が必要であるように、国の財政運営においても長期的視点に立った戦略的な対応も必要とされており、予算の単年度主義の弊害是正に取り組むとは、そうした長期的視点を持った対応を指しているものであります。

 こうした対応を行うために、例えば、個々の事業の性質に応じて、事業の完了までに複数年度を要する重要インフラの整備などについては国庫債務負担行為といった手法を活用する、また、各年度の所要額があらかじめ見込み難い複数年度にわたる事業に対しては基金といった手法を活用する、こうした対応を取っているところであります。

矢崎委員 今御答弁いただきましたけれども、単年度の予算の弊害を改善するために、その一つとして基金の活用ということがございました。先ほど岡田議員からも、この問題点については指摘をされました。そしてまた、予算委員会でも、私たちの党からは、積み過ぎではないかということについて指摘をさせていただいております。

 そのことについて、改めて、基金の運用の在り方についての大臣のお考えをお示しいただければと思います。

加藤国務大臣 先ほどの議論でも申し上げましたけれども、基金の予算措置というのが、なかなか見込み難い、各年度の所要があらかじめ見込み難い性格を踏まえて予算措置をしている、こういう性格があるわけであります。

 そうした性格を踏まえた上で、基金については、不断の見直しを行っていくことは大変重要であります。令和五年十二月に取りまとめられた基金の点検・見直しの横断的な方針などに基づいて、足下の執行状況を踏まえた合理的な事業見込みを算定し、不要と見込まれる分は返納し、保有資金規模を適切なものとするなど、必要な対応を行っていくことが重要であり、引き続き、そうした対応を取っていきたいと考えています。

矢崎委員 今御答弁いただきましたけれども、単年度予算の弊害として基金の運用というものが使われるというお話ではありますけれども、しかし、私たちが指摘をしているそういった部分を考えますと、弊害を是正するために使っている基金の運用というところが、またかえって問題点があるというふうに私たちは思っております。そういった部分を、今大臣の方で、不断の見直しということをおっしゃっていただきましたけれども、このことについては、やはり、私たちが指摘している部分についても十分検討していただきながら、基金の運用について、もう少し国民の理解が得られるようなそういったものにしていっていただければなというふうに思っております。

 時間がありませんので最後になりますけれども、大臣がおっしゃっていた、経済再生と財政健全化の両立を図っていく、このことについては、やはり、国民の生活を考えますと、誰もがそのように思っているというふうに思います。ただ、その手法が異なっている。しかし、これをやはり、今国会、与野党共に、熟議の国会というふうに話しているわけですから、この違うやり方のところをどうやって一致点を見出していくか。そして、国民のために経済再生と財政健全化を図っていく、その実現に向けて私も努力をしていきたいと思いますので、是非、大臣も、知恵を出し合いながら、実現していく方向でやらせていただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上で私の質問を終了とさせていただきます。ありがとうございました。

井林委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。

 本日も質問の時間をいただきまして、誠にありがとうございます。

 それでは、時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 ちょっと、通告をした質問の前に、先ほど理事会で御報告のあった件についてお尋ねをいたします。二月六日深夜から七日未明にかけて発生をいたしました財務省関税局職員の行政文書等の紛失について、お尋ねをいたします。

 先ほど自民党の福原委員からもこの点について質問があり、大臣から謝罪を含む答弁をいただいたところではございます。

 質問させていただきますのは、まず、紛失した行政文書とノートパソコンは回収できたのか、情報漏えいはあるのかないのか、それから、事件の発生の原因は何か、どのようにして再発を防止するのか、大臣から御答弁をお願いいたします。

加藤国務大臣 現時点で、紛失したものは回収されていないというふうに報告を受けております。

 それから、漏えいということでありますが、紛失した文書がまだ回収されていないことから、当該文書に含まれる個人情報が漏えいした可能性は否定できないところでありますが、現時点で、外部から具体的な問合せがあるわけではございません。

 それから、発生原因でありますけれども、まずは、当該職員がこうした文書を保持して帰宅の途についたということ、そして、かなりお酒を飲まれたということ、これは、国家公務員として当然遵守すべき綱紀の保持がなされていなかったということがまずベースにあると思います。

 その上で、財務省においては、機密性の高い情報を持ち出す場合は安全確保に留意して適切な措置を講ずる、こういう書き方になっておりますので、今回の事案も踏まえて、具体的な内容等について、先ほども申し上げましたけれども、機密性の高い情報が掲載されている行政文書については、セキュリティー対策を施した上で電子的に管理する等々の措置を講ずべきということを今徹底をさせていただいているところでございます。

 いずれにしても、こうした文書を紛失するに至ったこと、これは誠に遺憾なことというふうに考えています。

櫻井委員 こうした、特に、個人情報を含む行政文書を紛失するということで外部に漏えいしてしまうというようなことがあってはなりませんので、是非、再発防止はしっかりやっていただきたいということをお願い申し上げます。特に、昨今はこうした個人情報が次の犯罪に使われてしまうリスクすらあるわけなので、そういった点からも是非よろしくお願いします。

 続きまして、通告に従いまして質問させていただきますが、ちょっと残り時間も少なくなっておりますので、持ち時間がちょっと減っておりますので、順番をちょっと入れ替える部分が出てまいりますことを御容赦ください。

 まず、外国人旅行者向け免税制度の見直しについて質問させていただきます。

 現状は、街角に免税店、あちこちあります。こうした街角にあってその場で免税してしまうという方式については、転売などの不正の温床になっているのではないのか、こういう指摘もあるわけでございます。そうしたことを踏まえて、来年、二〇二六年秋には、空港などの出国時に消費税分を還付するという制度に切り替えていこうというふうに取り組んでいるというふうには承知をしております。

 ただ、現状は、円安で日本の物価は外国人観光客の皆さんにとっては十分安い、そして、オーバーツーリズムが発生して大変だという地域も出てきている中でございますから、もう消費税の免税それから還付というのはそもそも必要ないのではないか、こんなふうに考えております。

 このことについては、昨年十二月十八日、この財務金融委員会で中西健治議員からも御指摘があったところです。その議事録は資料一としてつけさせていただいております。

 この中西議員のおっしゃられたこと、私も全く同感でございます。これで消費税二千四百億円、現状、還付しているであろう金額ですけれども、それが税収としてちゃんと確保できるということになりましたら、いろいろな日本国内の社会課題にこの分を充てられるわけです。高額療養費制度、どうするんだという話もありますけれども、この消費税を還付しなければそれで十分賄えるわけですから、こういったところにしっかり使っていくべきではないのか、こんなふうに考えています。

 そこで、資料二につけております、この還付の仕組みを来年秋に向けてやっているという中で、当然、還付をしようと思ったら、空港に端末機を設置しなきゃいけない、また、システム改修も必要になってくる、こういうことになるわけなんですけれども、それで約四億円計上されているというふうに承知をしております。

 免税もしない、還付もしないというのであれば、こうしたシステムを導入する必要はないということですから、この予算も必要ないというふうに考えるんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 御指摘のように、免税もしない、還付もしないということまで踏み切っちゃえばこういう措置は要らないということだと思いますが、まず、そのときのやり取りは書いてあるので同じことを余り言うのも重複でありますが、消費税課税というのは本来、消費地で課税することが原則となっていますので、これは、輸出取引については消費税は課税されないというのが世界的なルールでありますし、外国人の旅行者向けの免税制度についても、大半の国においてこうした制度は導入されているというところであります。

 また、この制度に対しては、令和五年三月に閣議決定された観光立国推進基本計画において、その利用促進等によりショッピングツーリズムを推進すると示されており、まさに観光立国の実現に資する制度だというふうにも認識をしているところでございます。

 まさに、確かにオーバーツーリズムが出ている地域もあります。しかし、正直言って私の地元はまだまだ、もっともっと来てほしいという地域もありますので、やはりそうしたことを一律に税で対応していくのか、むしろ、オーバーツーリズムについて、税というのは一律というのが原則でありますから、オーバーツーリズムに対する対策については既に観光庁等でもやっておられますけれども、そうした予算における対応等を取って、メリットは生かし、デメリットをなるべく少なくしていく、そういう対応を取っていきたいというふうに思います。

櫻井委員 ちょっと時間が限られていますので、この点については私から意見を述べさせていただくにとどめますが、要は、外国人観光客に来ていただけるのはありがたいんですけれども、これからは、数、人数を追うのではなくて、客単価というのも見ていくべきだろうというふうに考えるわけなんです。そうしたときに、消費税を安くしますよ、だから来てくださいというような、ある意味、安いから来てくださいという勧誘の仕方ではなくて、日本はこんなにすばらしいから、高いけれども来てくださいと言えるような、そういうアプローチに切り替えていくべきではないのかと考えますから、そうすると、やはり免税は別にそこまでしなくたっていいんじゃないのかな、こういうふうに考えるわけなんです。

 ちょっと時間も押していますので次の質問に移らせていただくんですが、今日ちょっと日本銀行の総裁に来ていただいておりますので、二つ飛ばして、日本銀行総裁にお尋ねをさせていただきます。

 アメリカのトランプ政権下で、関税をどうするかとか、移民を強制送還するとか、いろいろなことがありますけれども、こうしたことがアメリカの物価、そして金利、経済、いろいろ影響するのではないのかというふうに言われております。それがまた日本にも影響するのではないのか、こういう指摘がございます。このことについて、もう先ほど福原委員、それから海江田委員からも同様の質問がございまして、財務大臣に御答弁いただいてもいるところなんですが、日本銀行総裁にもお尋ねをいたします。

 まず、資料五でつけておりますウォール・ストリート・ジャーナルの記事にもございますが、移民の国外退去、それから関税の引上げなどが物価高の要因になるのではないのか、こういった指摘もございます。

 具体的には、おととい、トランプ大統領は、鉄鋼、アルミニウムに対する二五%の追加関税、これは全ての輸入品に適用する、こういうことで大統領令に署名をしております。それから、自動車、半導体、医薬品に対する追加の関税も検討しているということでございます。

 こうした政策が米国の物価と金利にどのように影響するというふうに見通していらっしゃるのか。また、米国の物価と金利と経済状況が日本の物価、金利、為替レートに与える影響をどのように見通しておられるのかということについて、総裁、御答弁をお願いいたします。

植田参考人 お答えいたします。

 現状では、米国のインフレ率は二%をちょっと上回って推移していますけれども、FEDは、これが、標準シナリオでは二%に向けて徐々に低下していく姿であるというふうに見ています。こうした下で、市場では、FEDは今年の後半にかけて政策金利を若干引き下げるというふうに見ている先が多いというふうに考えております。

 しかしながら、パウエル議長は、一月の記者会見あるいは今朝方ありましたアメリカの議会での証言等でも、関税政策だけでなくて移民政策あるいはその他の新政権の政策について、引き続きまだ不確実性が非常に高いという認識で、見通しにきっちり組み込むのがなかなか難しいというふうに述べていらっしゃいました。

 米国の政策運営はこういうふうに不確実であるわけですが、アメリカ経済だけでなく世界経済、市場に大きな影響を及ぼすものですので、私どもも引き続ききちんとモニターしてまいりたいと思いますし、我が国あるいは市場への影響という観点からは、個別の政策だけでなくて、全体としてどういうパッケージであるか、あるいは、為替が動いたとすると、その背後にどういう政策の動きがあって動いたのか、こういうことを総体として捉えないと我が国への影響は十分には分からないという観点から、抽象的で恐縮ですが、現状ではなかなか見極め難いのですが、非常に強い関心を持って見ているところですし、米国の政策が一段と明らかになるにつれて、私どもの見通しにもしっかりと取り込んでいきたいと思っております。

櫻井委員 ちょっと済みません、財務大臣にもお尋ねをしたいんですけれども、トランプ大統領の関税引上げに対して、対抗して関税を引き上げるということを言っている国がいろいろ出てきております。

 先ほど海江田委員からの質問にももう既に御答弁いただいておりますけれども、予断を持って判断しない、精査して対応というふうに先ほど御答弁されました。一方で、本日の午前の林官房長官の記者会見では、対象国、トランプ関税の二五%引上げから我が国を除外するように申し入れる、こういうことを官房長官がおっしゃられております。

 そうしたことを踏まえまして、一月二十九日に、アメリカのベッセント財務長官とオンラインで大臣は会議をされていますよね。その中では、緊密に協議をしていく、日米二国間の協力を更に強化していくことを確認というふうに承知をしております。

 やはりこういう、状況がどんどんどんどん動いている状況ですから、アメリカの財務長官との協議というのは非常に重要だと思うんです。思うんですが、今月末に予定されておりますG20の財務大臣・中央銀行総裁会議、これに出席するかどうかは国対で協議をしているというふうに承知をしていますので、私からどうこう申し上げませんが、ともかく、やはりアメリカのベッセント財務長官との協議、これは非常に重要だと思うんですが、御予定はありますでしょうか。

加藤国務大臣 まず一つは、先般のベッセント財務長官との間でも、必要に応じ緊密な連携を図っていくということ、これは合意をしたところでございます。

 それから、今回の対応については、具体的な中身がまだ見切れていないというところで、当然、それによって、我が国経済、あるいは世界経済を通じて我が国経済への影響、これもよく見えていないということでありますから、そうした動向をしっかり注視して、先ほど申し上げた、適切に対応していきたいというふうに思っています。

櫻井委員 ということは、取りあえず、近々協議をする予定はまだ入っていないという意味の御答弁だと受け止めましたけれども、やはりこれは、オンラインでもいいので、電話でもいいので、早急に協議をしていくことが必要なのではないのかというふうに考えますので、是非ともそういった適切な対応、よろしくお願い申し上げます。

 総裁への質問に戻りまして、先ほど植田総裁からも、御答弁の中でお話がありました。一月二十九日のFOMCの後の記者会見で、パウエル議長は、関税の引上げが物価に与える影響についてどうかという質問に対して、ザ・レンジ・オブ・ポッシビリティーズ・イズ・ベリー・ベリー・ワイド、だから、影響は非常に大きいというふうに答えつつも、その先についてどうなるのかということについては、アイ・ドント・ノーということを連発をされておりました。結局、結論としては、ウェート・アンド・シーということでございました。

 パウエル議長もいろいろ暗中模索の状況ですから、日本銀行の総裁としても同じような見方をされているというのも当然かとは思います。ただ、見通しが立たない状況だからこそ、政策の柔軟性それから機敏性というのは重要なんだと思います。

 日本銀行の今の政策金利、既に今世紀最高の〇・五%になっているわけです。これ以上の利上げということになりますと、多くの日本人にとっては未経験のゾーンということになってくるかと思います。一方で、この資料六につけております日本経済新聞、二月一日のオンラインの記事でございますが、ここでは、〇・七五%視野にということで、更なる利上げを催促するような、こんな記事も出てきているわけです。

 ただ、私は、〇・二五%単位で上げていくとなると、結構、勇気が必要になってくるんじゃないのかなというふうにも考えますので、刻み幅、諸外国が〇・二五%でやっているからといって日本もそれをまねするのではなくて、例えば、〇・一%ともう少し刻み幅を小さくすることによって、そのことによって柔軟性と機動性を高めていくというのも一つの方法ではないかと考えるんですが、総裁、いかがお考えでしょうか。

植田参考人 一般論として、まず、政策金利の調整をどの程度の幅でやるべきかということは、その時々の経済、物価、金融情勢次第かと思います。

 極端な例で申し上げれば、しばらく前のFEDでは、二〇二二年の後半になるかと思いますが、インフレを抑制したいという観点から、一回、〇・七五%というような利上げを行ったこともあります。

 私どもでは、一月のこの前の会合では、いろいろな情勢を丹念に検討した上で、不確実性の高さもさらに念頭に置いた上で、〇・二五%の幅の政策金利の引上げを決定したところですし、これまでのところ、こうした利上げの幅による政策決定は適切であったというふうに考えています。

 今後とも、情勢をきちんと見極めて、適切な金融政策を実行してまいりたいと思っております。

櫻井委員 幅についてはその都度適切に判断ということですから、〇・二五%という幅にこだわるわけではない、こういうふうに受け止めさせていただきました。

 続いて、ちょっともう一つ総裁にお尋ねしたいのは、資料につけております、総務省が発表しております消費者物価指数でございます。

 物価の中で、やはり生鮮食品が最も上昇しているわけでございます。一方で、金融政策の決定に当たっては、展望レポートなんかを見ましても、消費者物価、除く生鮮食品というふうになっているわけですね。

 確かに、生鮮食品は、天候不順などの影響で値段が上がったり下がったりと結構幅広く動くということで、経済動向を見ていく上では攪乱要因ということで除外してきたのかなというふうには理解をしておりますが、ただ、昨今は、地球温暖化、気候変動によって天候不順が多発しておりまして、必ずしも生鮮食料品の値上がりというのが特異事例とは言えなくなってきています。

 そして、さらには、国民生活、まさに生鮮食品の値上がりで苦労しているわけでございます。更に申し上げると、低所得の方ほど食料品への支出割合が高い、エンゲル係数が高いという中で、やはり生活への影響は非常に大きいわけです。

 こうしたことを考えますと、金融政策の決定に当たっては、生鮮食品の値上がりもしっかりと踏まえて検討するべきではないのか。すなわち、消費者物価、含む生鮮食品ということで検討することを御提案申し上げたいんですけれども、総裁、いかがでしょうか。

植田参考人 私ども、物価安定の目標については、生鮮食品を含む総合ベースでの消費者物価の前年比で二%と定義しております。その上で、この目標が持続的、安定的に実現されるよう政策を運営してきているところでございます。

 ただ、足下、委員御指摘のように、生鮮食品を含む食料品など、人々の購入頻度の高い品目の価格が大きく上昇しまして、消費者物価総合が二%を超え、国民生活に強いマイナスの影響を及ぼしていることは深く認識しておるところでございます。

 その上で申し上げれば、これも委員御指摘されましたように、生鮮食品等の価格は天候要因によって一時的に大きな変動を示す、そういう傾向が強いことから、私どもでは、物価の見通しは生鮮食品を除くベースで作成したり、公表してきてございます。

 また、コロナ禍以降は、輸入物価上昇というコストプッシュ要因が物価上昇率を大幅に押し上げているということもありましたので、その直接的な影響を除いた基調的な物価上昇率をいろいろ把握するように努力してきたところでございます。

 ただ、足下の生鮮食品を含む食料品等の値上がりが一時的なものでは必ずしもなく、人々のマインドや期待物価上昇率等に影響を与えていくというリスクはゼロではないというふうに思っておりますので、そういう観点も取り入れながら、適切に金融政策を実行してまいりたいと思っております。

櫻井委員 今総裁にも御答弁いただきましたけれども、資料七のところで、ちょっと字がちっちゃいですけれども、直近、一番新しい、発表されている消費者物価指数においては、表一の右のところ、十二月を見ますと、生鮮食品を除く総合は三・〇%の物価上昇ですけれども、含む総合は三・六%と、大分高くなっているわけですね。もちろん、この差が大きい月もあれば、そうでない月もありますけれども、おおむね、含む方が高くなっていますし、また、今総裁御答弁いただいたとおり、やはり生鮮食品は生鮮ですから買物する頻度は高いわけですよね。やはり上がったなという生活感、非常に大きいものがあろうかと思いますので、そういったことも含めて、やはり生鮮食品も含めて、是非、金融政策を決定いただきたいということをお願い申し上げまして、ちょうど持ち時間が終了いたしましたので、私の質問を終わらせていただきます。

 本日用意していた質問についてはまた別の機会に質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

井林委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

井林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 日本維新の会の斎藤アレックスでございます。

 萩原委員がちょっとコロナに感染をしてしまいましたので、臨時で代打に立たせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 質問の順番を少し入れ替えさせていただきまして、まず防衛増税について財務省の方にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置、防衛特別法人税についてですけれども、この防衛特別法人税については、法人税額に対して四%の付加価値税を課すものとなっています。法人税の実効税率に与える影響は約一%となり、また、法人税額から五百万円を控除した額が課税標準になると。

 まず一つ目の質問ですけれども、なぜ四%の付加価値税にしたのか、また、五百万の控除額を設定した理由をお聞かせをいただきたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛力の抜本的な強化に必要な財源の確保に当たりまして、税制措置については、令和五年度の税制改正大綱において、令和九年度において一兆円強を確保する、それから、法人税については、法人税額に対し税率四から四・五%の新たな付加税を課すなどとされております。

 今年の、令和七年度の税制改正プロセスにおきまして、与党税制調査会におきまして、今申し上げました五年度の税制改正大綱の基本的な方向性により検討なされた結果、法人税の付加税率につきましては、最も負担の低い四%とされたものと承知しております。

 その際、法人税額から五百万円を控除する仕組みとしておりますが、これは、地域経済、雇用を支える中小法人に配慮する観点から設けられたものであり、所得二千四百万円程度まで付加税が課されないこととなるため、全法人の九四%程度が対象外となるということになっております。

斎藤(ア)委員 九四%の法人が対象外になるということで、中小企業であれば、先ほどおっしゃっていた所得二千四百万円強、大企業であると所得二千百万円強からこの税が課税をされるということになると思います。

 実際、この基準に合致する何社ぐらいが防衛特別法人税の支払い対象となることを予定をされているのか、また事務方、よろしくお願いします。

青木政府参考人 お答えします。

 法人税額から五百万円を控除する仕組みとしておることによりまして、対象法人は、全法人のうち六%程度に当たる約十八・八万社というふうに見込んでおります。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 この防衛特別法人税によって、現在の法人税の実効税率は二九%台ですけれども、これの対象になる企業について実効税率は三〇%を超えるということになります。

 これは、いろいろお考え方があると思いますけれども、法人税については基本的には低い方が企業活動にはプラスであるということは、これは論をまたないことだと思います。楽天の三木谷社長なども、経済界の方々も、減税の方が望ましいという意見は当然おっしゃるわけでございますけれども、この法人税について、今回は増税をするという話ですけれども、減税する方が望ましいのか、あるいは、ある程度、少し上げていった方がいいのか、そういったところは、財務省として、加藤大臣としてどうお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。

加藤国務大臣 税というのは支出との見合いではありますが、税だけ見れば、高いより低い方がいいというのは、それは一般的にはそのとおりだとは思います。

 他方で、我が国の法人税の在り方は、世界的な法人税率の引下げ競争が展開される中、二〇一〇年代に、投資や雇用、賃上げの促進などを図るため、税率を二三・二%まで引き下げ、経済界には、その趣旨、まさに投資や雇用、賃上げの促進の趣旨を踏まえた対応を求めてまいりました。企業部門では、収益が拡大したにもかかわらず、現預金等が積み上がり続けており、このような状況をどのようにして転換させていくかという課題が現在あると考えております。

 具体的には、令和七年度与党税制改正大綱で、現預金等の積み上がりが指摘されつつ、こうした振り返りを踏まえれば、法人税改革は意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ずと評価をされたほか、今後の日本の法人の在り方について、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、めり張りのある法人税体系を構築していくとされているところであります。

 政府としては、このような与党税制改正大綱で示された考え方、経済情勢の変化、国際的な動向などを踏まえながら検討していく必要があると考えています。

斎藤(ア)委員 もちろん税率は低いにこしたことはないけれども、法人税を下げることのコスト、対費用効果でそれがよかったのかどうなのかということは、私も検証が必要だというふうに思います。特に、二〇一〇年以降、更に一段と法人税を引き下げたけれども、現預金が積み上がって、投資が促進をされなかった、賃上げが進まなかったという中ですから、どういったふうにそれを促していくのかという税制の在り方はしっかりと検証していった方がいいとは思うんですけれども、だからといって、全般的に法人税が上がるような傾向になってしまえば企業の活動は大変厳しくなってしまうと思うんですけれども、防衛増税の今回の在り方、また今後どうしていくのかということは、改めて、この委員会でも所得税法の質疑の中などで議論をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 次に、厚生労働省さんにも来ていただいていますので、社会保険料のお話を少しさせていただきたいと思います。

 応能負担というのは、社会保険料でもその原則の下で一応運営をされているわけですけれども、この今の制度は少しおかしな点があるんじゃないかというところで質問をさせていただきたいと思います。

 二号保険者、働いている方の、勤め人の社会保険料の応能負担について少しお伺いをしていきたいと思います。

 社会保険料が高過ぎるので、その対策として、よく会社では、四月から六月の給料によって社会保険料が計算をされますので、四月から六月に支給された給料、これを下げようと、残業をその月はしなかったり、また、入社日や退職日を工夫して一か月分の社会保険料を浮かすなどなど、涙ぐましい努力をされているという例は、民間企業では例がたくさんあるわけでございます。私もそういったことをやっているのを見聞きしたことがあります。これも、翻って、やはり、それだけ、そういったことをせざるを得ないぐらい社会保険料の負担が重いのでこういったことをせざるを得ないという状況になっているかというふうに思います。

 社会保険料の標準報酬月額に非課税交通費が入るのはおかしい等々、いろいろ改正をしなければならない、議論をすべき点はたくさんあるんですけれども、今回取上げをさせていただきたいのが、給料と賞与、毎月の給料と賞与を意図的に調整することによって社会保険料を大幅に下げることができてしまう点なんですけれども、これを放置をしていいのですかというお話を少しさせていただきたいと思います。

 本日、資料を配付をさせていただいています。資料二の方に試算結果も、簡単な試算ですけれども、萩原さんの事務所でされていますので、添付をさせていただいているので、そちらも見ながら委員の方には聞いていただければと思うんですけれども。

 これは、大阪の協会けんぽに加入している方を想定をした試算になっています。月額報酬五十万円の方、毎月五十万円をもらっている方、ボーナスがなくて毎月五十万円だけをもらっている従業員の方と、月額報酬は一万二千円、毎月の給料は一万二千円で、一方で賞与は五百八十五万六千円をもらっているという、片一方は毎月均等に報酬でもらっている方と、もう一方は賞与でどばっともらって月額報酬は低くしているケースを比べた試算というものになります。

 従業員の場合に月の給料一万二千円というケースはあり得ないわけですけれども、役員の方にはそういった調整が可能でございます、そういった設定をすることは可能になります。それを比べてみますと、この六百万円と同じ報酬を、月五十万円、毎月毎月もらっている場合の社会保険料の個人負担額は約九十万円、会社負担分も合わせると約百八十万円になるわけですけれども、一方で、毎月もらう額を一万二千円に抑えて、賞与で残りをもらう、五百八十万円以上もらうような特殊な設定をした場合は、個人の負担額は約六十万円で、会社負担分と合わせると百二十万円ということになります。

 つまり、こういったふうに、毎月の給料でもらうのか、あるいはボーナスで多くもらうのか、こういった調整をすることによって、社会保険料の負担が、同じ収入であるのにもかかわらず大きく変わってしまうというのが、今のこの社会保険の負担の計算の仕方になってしまっているわけです。

 そういった方法で社会保険料額を変えられてしまうというのは応能負担の原則に合致しないのではないか、こういった社会保険料の決め方をしていることは改正をしていくことが必要ではないのかと思うんですけれども、これは、まず、厚労省の参考人の方、お答えをいただきたいというふうに思います。

吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 今委員の御指摘のとおり、標準報酬月額が低い被保険者に対して、報酬を極端に低く設定をして高額な賞与を支給をしているというケースが存在するということにつきましては、昨年の社会保障審議会において複数回にわたり御議論をいただいたところでございます。

 審議会においては、被保険者の実際の負担能力に応じた保険料の賦課となるように、標準賞与額の上限設定の見直しについて検討すべきではないか、そうした御意見があった一方で、そもそもこの標準報酬の在り方、これを全体について見直すべきではないか、そういう時期に来ているのではないかという御意見もいただいたところでございます。

 委員の今おっしゃった問題意識というものについては我々も共有をしているところでございますので、引き続き、どのような対応が考えられるのか、審議会においても丁寧に議論していただきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

斎藤(ア)委員 一見すると、一般の従業員の方とそして役員の方とでは条件が違って、役員のような給料のもらい方、ボーナス重視のもらい方では得になるというようなことでは、一般国民の御理解も得られない、既に問題がある制度になってしまっていると思いますので、今御紹介いただいたような様々な意見も踏まえて、この社会保障審議会の御意見なども踏まえて、改正に向けて取り組んでいただきたいと思います。

 そもそも、おっしゃっていただいたように、標準報酬月額に基づいて社会保険料を払うということであると、急に負担が増えたりだとか、あるいは、最初、負担にかかる部分が急に上がってしまって働き控えを招くとか、そういった原因にもなっていますので、どういった形で社会保険料を取るのが好ましいのか、望ましいのかということは全体の改革の中でしっかりと検討していくべきだと思っておりますので、その点もしっかりと、我々日本維新の会としても、様々御提案をこれからもさせていただきたいというふうに考えております。

 次に、所得控除の在り方について、財務省の方に御質問させていただきたいと思います。

 この税制改正では、百三万円の壁をどこまで引き上げるのかという議論も大変注目をされているわけでございます。我々日本維新の会としましては、国民民主党さんが訴えているような百三万円の壁の更なる引上げ、これは必要であるという立場でございますので、百七十八万円への引上げに関しても、しっかりと、共に我々も声を上げていきたいというふうに考えております。

 また、それと同時に、働き控えを招いている問題としましては、やはり、先ほど申し上げた社会保障の話、社会保険料の話で、百六万円の話、百三十万円の話、こういったところも大変重要になっておりますので、こういったところもしっかりと、我々日本維新の会としては、どうやって働き控えを解消していくのかという観点で、この百六万円、百三十万円の壁についても、様々、今、自民党、公明党に投げかけさせていただいているところでございますので、是非真摯に協議をいただいて、こういった壁の問題も乗り越えていきたいというふうに考えています。

 この働き控えの問題にも関連してお尋ねをしたいと思いますけれども、現状のこの改正案では、所得税に関しては、基礎控除が十万円、そして給与所得控除についても十万円、それぞれ引き上げるということになっています。ただし、当該控除額の影響は年収百九十万円で消失するというものになっていますけれども。

 基礎控除十万円については累進課税制度を採用しているため、結果としては減税額は高所得者ほど多額になるということになります。これは報道されているとおりで、高所得者ほど優遇額が大きいというのは様々な議論があるところでございますので、まず、その点について大臣はどのように考えているのか、一つお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

 それと同時に、給与所得控除に、仮に今回の壁を引き上げるということをやっても、結局、百六万円の壁や百三十万円の壁は残ってしまいますから、この今回の十万円、十万円ずつの引上げによって就業調整への対応がどれほどできるのかということはかなり懐疑的ではあるんですけれども、就業調整への対応としてはどういった効果があるのか、十分なものがあるのか、何らか効果があるのか、そういったところはどのようにお考えなのか、大臣から御答弁をいただきたいというふうに思います。

加藤国務大臣 まず、基礎控除の関係でありますが、一般に、基礎控除を含む所得控除の控除額の引上げについては、今の累進税率を前提とすると、高所得者ほど減税の影響額が大きくなるというのは御指摘のとおりであります。

 今回の基礎控除の引上げは、所得税の基礎控除の額や給与所得控除の最低保障額が定額であることにより、物価が上昇すると実質的な税負担が増えるという課題に対応するため、物価動向を踏まえ、基礎控除の額と給与所得控除の最低保障額を十万ずつ引き上げるということにしたものでありますので、減税額が高所得者ほど大きくなるということは事実ではありますが、これはあくまでも物価調整という趣旨で行われたものということでございます。

 それから、就業調整の話がございました。

 今回の基礎控除及び給与所得控除のいわゆる百三万について、その段階で実質所得が下がるわけではございません。課税がなされるということで、もちろんそうした心理的な影響もあって就業調整される方もいらっしゃると思いますが、では、実際その方がどのぐらいなのかというのはなかなか、データがあるわけでもありませんし、そうした研究も承知をしていないところでございます。

 他方で、大学生年代についての対応については、税制上も親の手取りが減少する仕組みになっていることは事実であり、配偶者について税制上は壁はないということでありますので、今回の改正により一定の効果はあるというふうには考えているところであります。

 また、配偶者についても、今申し上げた、何となく壁があると思っていらっしゃる方、これは定量的にはなかなか申し上げられませんが、そういった方にも一定の対応の変化というのはあるのかもしれないというふうには思います。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 やはり、就業調整の原因として、感覚的なものとして、何かここを超えちゃいけないんだろうなみたいな雰囲気で調整をしている例というのはかなり多いと思うんです、そのデータがないということだと思いますけれども。やはり事業者側も、大きな事業者でなければ、制度が複雑で理解が余り追いついていないときもあると思いますので、何となく百万円ぐらいで止めておこうという例もあると思いますので、広報、周知であったりとか、そもそもそういった壁が生じない制度への改正が極めて重要だと思いますので、その点は重ねてまた検討をお願いしていきたいというふうに思います。

 一つ目にお伺いをさせていただいた、高所得者ほど今回の減税幅が大きいというのは、元々お支払いいただいている税金が多いわけですから、当然そうなるということは一定我々も理解できます。逆に、所得をたくさんいただいている方には、それに応じてたくさん税金、社会保険料もお支払いをいただいているわけですので、それに応じて、所得が上がると行政サービスが受けられなくなるという所得制限の考え方については、我々日本維新の会としては、今後改めていく必要があるのではないかなというふうに考えております。別に、たくさん税金を払っているからたくさんサービスを受けられるようにしてくれということを申し上げるつもりは毛頭ありませんで、一方で、逆に、税金をしっかりと払っているんだから同じようなサービスは我々も受けてもいいではないかというふうなことを思われる高所得者の方はたくさんいらっしゃると思うんですね。

 制度によって、特に低所得者の方を支えるための制度というものはもちろん必要なので、それまで全て均等に、財政的な制約がある中で、所得制限を外すということは難しいかもしれませんけれども、しっかりと、例えば我々が今提案させていただいている教育の無償化とか子育て支援とか、そういったところを中心に、所得制限を設けるのが当たり前なんだという、そういった政府の考え方というのは私は変えていただければと思うんです。

 これは更問いで申し訳ないんですけれども、加藤財務大臣にちょっと御所感、御所見をお伺いしたいと思うんですけれども、各種行政サービスに所得制限とか給付制限を設けている状態を多少でも緩和をしていく方向性にしていった方がいいとは思われないのか、そういったところをちょっと御所見を伺いたいというふうに思います。

加藤国務大臣 今、教育の無償化等については公党間で議論がされておりますので、それについては、まさにそこにおける協議を踏まえた私どもの対応ということだと思います。

 一般論ということだと思います。一般論で、所得制限についていろいろあると思います。そこに制限があることによって、受け手側がスティグマになるという指摘があるのも事実だと思います。

 ただ、他方で、限られた財源をどういうふうに使っていくのかという中において、それを均一に対応するのか、より所得の低い人、困窮度の高い人により手厚くしていくのかという、こういった議論は他方であるというふうに思います。

 それから、税のお話をされましたけれども、所得税は累進でありますけれども、消費税についてはいわゆる逆進性も指摘をされているということもございます。

 そういった全体を把握しながら議論をされていくべきものというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 日本では特に納税者の痛税感が高いというふうにも言われていますので、納税者の方に御納得いただけるような制度にしっかりとしていくということは大変重要だと思っています。

 なので、所得が上がって、たくさん働くようになって、税金をたくさん払うようになったら逆にサービスが減っていくということは、一般にはやはり、何で税金を払っているのにという痛税感につながる話だと思いますので、財政的な制約がある中でありますけれども、この部分については所得制限を外していくべきだという議論はあってしかるべきだと思いますし、我々日本維新の会は、特に教育や子育て、子供の視点に立てば、親の所得によって所得制限が課せられることはあってはならないことだと思いますので、そういったところは引き続き三党の協議の中でも強く訴えていきたいというふうに思っております。

 そういった痛税感を軽減するための取組については是非財務省の方でもお願いをさせていただきたいと思いますし、また、そもそも政治不信が高まっていることが、納税者にとって税金を納めることに対する何か疑義みたいなものを高めてしまっている結果を招いていると思いますので、社会保障制度、税制改革だけではなくて、政治不信を払拭するための政治資金改革についても、しっかりと政府・与党にも、自民、公明さんにも向き合っていただきたいというふうに考えております。

 最後に、ちょっと少し時間が残っておりますので、もう一つ財務省の方にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 今回、賃上げや物価高への対応に迫られている中小企業の実態を踏まえて、資本金一億円以下の中小法人に対する法人税率を所得八百万円まで一五%とする軽減措置を二年延長されることになりました。この点については我々日本維新の会としても評価をさせていただきたいというふうに考えていますけれども、この中で、所得が十億円を超える企業に対しては、一五%ではなく一七%に軽減額を引き下げる改正となっています。

 ここで大臣にお伺いしたいんですけれども、なぜ二%だけ差をつけることにしたのか、また、所得額を十億円とした理由について、その趣旨をお伺いをしたいというふうに思います。

加藤国務大臣 中小法人の八百万円までの所得に適用される軽減税率の特例、これは今、一九%を一五%とされているところであります。

 これについては、リーマン・ショックの際の経済対策において時限措置として講じられたわけでありますが、それから既に十六年経過しているところでございます。一方で、賃上げや物価高への対応に直面している中小事業の状況というのもあります。こうしたものを踏まえて、極めて所得が高い、具体的には所得が十億円超を超える中小企業などについては、適用税率を一七%へと二%引き上げるなどの見直しを行うこととしました。

 ただ、この特例の在り方については、創設の経緯を踏まえて、次の適用期限の到来である令和九年度税制改正プロセスにおいて改めて検討するということにされているというふうに認識をしているところであります。

斎藤(ア)委員 これの対象となる中小法人については、財務省の方に伺うと、〇・一%程度の法人しかないと。企業数にして僅か二千八百社のために二%の差をつけるということになったわけでございますけれども、その二千八百社のために二%の差をつけることが、システム的にも複雑になりますし、必要な差だったのか、妥当であると考えているのか。その点は参考人の方から御答弁お願いしたいというふうに思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの大臣からの答弁にもありましたように、今回の中小企業の軽減税率の特例につきましては、創設の経緯や足下の中小企業をめぐる状況を踏まえて、極めて高い、具体的には所得が十億円を超える中小企業等への適用税率を、二%引き上げて一七%とすることとしております。

 御指摘のように、今回の見直しにより、一部の法人にはシステム改修等の対応が必要になる可能性もございますが、この特例が創設された経緯などを踏まえますと、必要な見直しを進めていくことは不可欠であり、影響を受ける企業には何とぞ御理解をいただきたいというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございました。

 今後、更にこの十億円を下げるための途中経過ということなのかもしれませんけれども、僅か〇・一%の企業のために、対象のために民間企業にシステム改修や経理に負担をかけるような改正を行うというのは、なかなかちょっと理解がし難い部分もありますので、そういった無駄なコスト、経費がかからないような改正というのも今後はしっかりと意識していただければというふうに思います。

 以上で私の方からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

井林委員長 次に、村上智信君。

村上(智)委員 日本維新の会の村上智信でございます。

 加藤大臣の所信表明について質問をさせていただきます。

 最近、寒い日が続くんですけれども、冬が終わり四月になりますと、大阪・関西万博が始まります。世相は暗くなりがちですけれども、このような国際的なイベント、万博を是非大成功に導いて世相を明るくしたいというふうに本当に思います。

 このような万博が開催されますと、海外から訪日客が増えまして、経済活動をしていただく、外貨を稼ぐ機会にもなる、いいことが多いんですけれども、しかし、招かざる客も来てしまいます。どのような方かというと、テロを起こすような方ですね。国際的に注目が集まるイベント、こういうのが開催されますと、それをテロの標的にしよう、そういうふうなことがうわさされるわけなんですけれども、このようなことが起こらないように、是非、税関におきましては、そういうふうなテロを起こすような方が密輸しようとする武器などをしっかりと水際で防止をしてほしい、こういうふうに考えます。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、大阪・関西万博の期間中は入国者数が増えると予想されますけれども、厳格な水際の取締りを行うため、担当部署の増員などにより万全を期すべきだというふうに考えますけれども、お考えをお聞かせください。

加藤国務大臣 大阪・関西万博も、もう二か月後ですか、に迫ってきておるところでございます。

 この開催に当たり、入国者数の増加等が見込まれることを踏まえ、税関においては、銃砲、爆発物等のテロ関連物資等の国内流入を水際で阻止するため、応援職員の派遣等、集中的な人員投入、情報や取締り検査機器の活用による輸入される貨物等の検査強化、空港、港湾等の巡回強化、国内外の関係機関や業界団体との連携強化などの取組を進めているところであります。

 今後も、万博の開催に伴う入国者数の状況などを注視しつつ、必要に応じて更なる体制整備を行うなど、万博の開催に向けて水際取締りの万全を期していきたいと考えております。

村上(智)委員 御答弁ありがとうございます。十分な対策が取られているというふうに感じました。非常に喜ばしいことです。

 テロ以外にも、この機会に密輸をしてもうけようとするような方も来るかもしれませんので、その対策もしっかりと考えていただきたいと思いますし、そもそも、万博全体を成功させるために、政府として一丸となって是非万全の体制で取り組んでほしいというふうに思います。そして、思うだけではなくて、私自身も、成功に導いてほしいと思うものですから、チケットの売上げが伸びるように個人的に活動しているところです。

 次の質問に移ります。

 所信表明において大臣がおっしゃったことについてですけれども、税務を起点とした社会全体のDX、デジタルトランスフォーメーションを推進しつつ、納税者利便の向上を推進するというふうにおっしゃっておりました。

 デジタルで納税、こういうふうにお聞きすると、e―Taxを思い浮かべます。私も個人事業者としてe―Taxを利用させていただきました。このe―Tax、年々便利になる印象を受けておりまして、そして、特に、マイナンバーカード、これが導入されてから更に利便性が高まった。社会保険料、こういうふうなものも情報が集まってくる、自動的に集まってきて自動的に入力をしてもらえる。非常に便利がいいですし、また、申請も簡単になったというふうに思います。デジタル的に便利に申請できる。

 他方で、個人でやる申請はe―Taxで便利になっているんですけれども、法人の方のe―Tax、この仕組みの方はなかなか便利になっていかないなというふうな印象を持っております。

 どこが違うかといいますと、個人で事業をしていて、青色申告をしている。そうすると、貸借対照表を作成して、損益計算書を作成して、それを入力する。そうすると、ほかにも社会保険料とか情報はサイトで自動的に集まりますけれども、あとは自動的に税額を計算してもらえるんですね。サイト上で自動的に計算してもらえる。他方で、法人の方は、会社ですから、貸借対照表を作成して、損益計算書を作る、そういうふうにやっても、その情報だけじゃ足らなくて、会社の方で税額までを計算してその税額を入力するというふうな仕組みになっていて、かなり便利さが違うんですね。このように、法人の方については、どうしてそういうふうに税額まで計算しないようなことになっているのか、その差が気になるんです。

 質問いたしますけれども、法人の確定申告についても、サイト上で納税額まで計算するような仕組みが整えられれば便利だというふうに思いますけれども、このように利便性が高まってこなかった理由をお聞かせください。

小宮政府参考人 お答え申し上げます。

 法人税のe―Taxソフトについての考え方でございますけれども、税務行政のデジタル化の観点から、法人税の電子申告の推進は国税庁にとって重要な課題でございます。

 法人税の電子申告につきましては、国税庁が提供するe―Taxソフトと民間ベンダーが提供をされている税務申告ソフトが適切に役割分担をしながら電子申告の利用を推進するといった考え方で、必要な機能を、e―Taxソフトの機能を提供させていただいているところでございます。その結果、法人税の電子申告割合は、令和五年度において八六・二%と高い利用率となっているところでございます。

 国税庁といたしましては、あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会の実現を目指しまして、国税庁が提供するe―Taxソフトの改善を含めまして、引き続き、民間ベンダーとも連携して、納税者の利便性向上に努めてまいりたいと考えております。

村上(智)委員 今、民間ベンダーの開発するソフトとすみ分けというふうな話をされましたけれども、しかし、制度が、システムができれば社会全体が裨益するというふうに考えれば、これをまとめて政府でつくる意味もあるんじゃないかというふうに思います。個人の方でも、そういうふうにいうと、システムが進まずに、民間ベンダーがやればいいというふうな考え方もできるわけですから、そうは思わずに、是非前向きに考えていただけたらというふうに思います。

 次の質問に移りますけれども、e―Taxに関連して、次の質問は、eLTAXとの連携です。e―Tax以外にeLTAXというシステムがありまして、その連携についてお聞きしたいんです。

 まず、e―Tax。個人で使う場合は、e―Taxを使って所得税のための申告をします。そうすると、その情報がいろいろな自治体に伝わりまして、そして、住民税を課税してもらえる、その通知が来るというふうな流れになっておりまして、手続的にはe―Taxだけで済むんですね。しかし、法人の方につきましてはそうはなっていなくて、e―Taxで法人税のための手続をする、そして、それとは別にeLTAXというシステム、これのアカウントを準備して、そして法人住民税のための手続をする、こういうふうなことになっております。このe―TaxとeLTAXの連携を進めることによって、より便利になるんじゃないかというふうに考えるんです。

 そこで、大臣にお聞きしますが、e―TaxとeLTAXの連携を進めて利便性を高めるべきではないかと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

加藤国務大臣 e―Taxと地方税のeLTAXの連携を進めることは、納税者の利便性の向上、また、国、地方の行政の効率化、こういった観点からも大変重要であると考えております。これまでも、国税当局と地方税当局は積極的に連携を進めておりまして、例えば、法人からe―Taxにより提出された財務諸表は地方税当局への提出は不要とする施策も実施をしているところでございます。

 ただ、例えば、国税当局と地方税当局の申告の中身については、御承知のように、そのベースになる情報が違っているというところがありますので、それも踏まえながら、そうした連携をしっかり図っていく必要があるんだろうと思っています。

村上(智)委員 今後の連携を検討いただけるということで、前向きな御回答をいただいたというふうに思います。

 今後、このe―TaxとeLTAX、是非連携を進めていって、納税する側、法人にとっては、一つの窓口で一つのシステムを扱っているような、そんな印象を受けるような、そんな仕組みにしていただけたらというふうに思います。

 確かに、大臣おっしゃったように、e―Taxは国税庁担当で、またeLTAXは自治体の方なので、予算も違うので、なかなか連携もしにくいところもあるのかもしれませんけれども、しかし、システム上にくっつけるのは楽なので、今後の連携においては、例えば、e―Taxだけを窓口にして、ログインして入っていって必要な情報を入力する、そして、ボタン一つでeLTAXに移行して、そのときに、e―Taxに入力した情報も写して、新しくもう一回同じ情報を入力しなくていいように写して、そして、eLTAXでのみ必要な情報を入力すればいいような、そういうふうなシステムを是非考えていただけたらというふうに思います。納税者の利便性の観点は非常に大切ですので、是非よろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に移ります。

 所信表明にありました話からまた質問をさせていただきますけれども、金融デジタル化等の進展に対応し、送金、決済サービスに関する規制の見直しをされるというふうにおっしゃっておりました。

 デジタル化が進展することによりまして規制を見直すということは、それは当然あることだというふうに思いますけれども、質問しますが、この所信表明にあった送金、決済サービスに関する規制の見直しについて、その具体的な内容を教えてください。

油布政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の送金、決済サービスに関する規制というものの内容でございますけれども、金融審議会の作業部会において議論が行われまして、まさに先月、報告書が取りまとめられたところでございます。

 その内容ですけれども、資金移動や暗号資産、ステーブルコイン等に関するものとなっておりまして、具体的には、資金移動業者の破綻時等の資金返還方法の多様化、国境をまたぐ収納代行サービスのうち一定のものに対する規制の見直し、暗号資産交換業者等に対する資産の国内保有命令、それから、信託型ステーブルコインの裏づけ資産の柔軟化、暗号資産等の売買等の媒介を行う仲介業の創設といったものが盛り込まれております。

 これを踏まえて制度の見直しを行うことを考えてございます。

村上(智)委員 御回答ありがとうございます。

 今の規制の見直しの一つは、暗号資産交換業者等に対する資産の国内保有命令の導入ということと説明を受けましたけれども、この暗号資産交換業者、これに関連して思い出すのが、二〇二二年に破綻をしたFTXの話です。まさにこのFTXを意識してこの見直しを行ったというふうに説明をいただきました。

 この際には、外国にあるFTXの本体の方が破綻をしまして、そして、そのときに、FTXジャパンが国内で活動していましたけれども、そこに預けている日本人の資産がちゃんと守れるんだろうか、こういうふうなことが話題になったわけなんです。それを防ぐために、資産の国内保有命令が出せるという話をお聞きしました。

 この話は非常に前向きだなというふうに思いますし、私は、昨年のこの財務金融委員会において質問させていただいて話をした中で、投資立国、大事です、貯蓄よりも投資が大事、しかし、同時に考えないと、気をつけないといけないのは、投資をしていて海外に投資した場合、投資をして、それで日本人が損をして、日本の投資家が損をして海外の人がもうかる、そういうふうなことが起これば国内の国富が海外に移ってしまう、日本の国富を守る、国益を守るためにも、海外との関係はしっかり気をつけた方がいいですという話をさせていただきました。その文脈からしますと、このように国内の資産を守るための規制だということで、日本の投資家を守るための前向きな規制であるというふうに受け止めております。

 そこで質問いたしますが、この送金、決済サービスに関する規制の見直しについて、大臣の意気込みを伺わせてください。

加藤国務大臣 先ほど事務局から答弁させていただいたように、今回の送金、決済サービスに関しての見直しに当たっては、資金移動業や暗号資産等に関する制度の見直しを図ることとしております。

 金融庁としては、デジタル技術の進展による新たな金融サービス、取引が広がる中、委員からも御指摘がありました利用者保護の観点を確保しつつ、健全な資金決済システムを構築していくとともに、更なるイノベーションの促進を図る、これが重要と考えております。今回の制度見直しによって、利用者が安心して利便性の高い送金、決済サービスが利用できる環境を実現したいと考えています。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 金融機関における送金、決済のサービス、これが世の中に与える影響というのは非常に大きいというふうに思います。この財務金融委員会の担当ではないかもしれませんけれども、クレジットカードなどのキャッシュレス決済、この手数料が国際的に見て高いということで、この手数料が下げられないかということを経済産業省において検討を進めているんですけれども、その手数料が高い理由について、ネットとかで言われているのは、銀行への振り込み手数料が高いからそのような手数料が高いんじゃないかというふうなことが言われておりまして、金融機関における送金、決済のサービス、その在り方というのは社会全体に与えているんだろうなというふうに感じるわけでございます。

 このような決済サービス、これをデジタル化して更に利便性が高まっておりますので、是非、金融機関における送金、決済、これも振り込み手数料が下がるように考えていただきたいなというふうに考えております。

 社会全体、デジタル化が進んでおります。クレジットカードのキャッシュレス化、これも消費者において様々なメリットがありまして、現金を持ち歩かなくていいとか、あるいは店舗においては、レジの現金を確認するような手間がなくなるだとか入出金を確認する手間が減らせるというメリット、そして、それを自動的に集計しまして帳簿をつけられるような、そんなメリットまであります。

 このようなことを進めていく上では、その手数料、金融機関に関係する送金や決済の手数料、これを下げていく。それを、デジタル化が進んでいるからできると思いますけれども、そういうことを是非前向きに考えていただきたいというふうに思います。

 今回は、この法案の改正の中では、それに直接結びつくようなものはないようにも感じたんですけれども、是非そのような視点でも、今後、決済を、決済手数料が安くなる方向でも是非引き続き検討をお願いいたしまして、私からの質問を終わりにさせていただきたいと思います。

 誠にありがとうございました。

井林委員長 次に、岸田光広君。

岸田(光)委員 国民民主党の岸田光広でございます。

 本日は、質疑の機会をいただき、誠にありがとうございます。

 それでは、時間もございませんので、早速質問の方に移らせていただきたいと思います。

 本日は、給与所得者の通勤費、単身赴任者の帰省の旅費に係る課税の問題について取り上げさせていただきたいと思います。

 この問題は、国民民主党の大先輩である小林正夫先生も平成二十七年四月に参議院決算委員会で取り上げられた問題です。しかし、この問題について多くの方から不公平であるとの声があるにもかかわらず、一向に改善をされておりません。国民民主党の公約でもありますので、今回の財務金融委員会で取り上げさせていただきます。

 御承知のとおり、会社が支給する通勤手当、これは一定の限度額内であれば非課税となっております。非課税の限度額は、電車やバスといった交通機関を利用するケース、また、マイカーや自転車で通勤するケースで異なりますが、交通機関を利用する従業員への通勤手当、こちらの方は現在一か月十五万円の限度額で非課税となっているところです。マイカーや自転車での通勤の場合は、距離に応じて非課税の上限額が決められており、マイカーや公共機関を併用する場合、こちらは上限額一か月十五万円ということになっているかと思います。

 ここでまずお伺いします。

 平成二十八年度の税制改革により、給与所得者に支給する通勤手当、こちらの非課税限度額が十万円から現在の十五万円に引き上げられました。この改正はどのような理由で行われたものか、経緯、背景についてお答えをお願いします。

斎藤副大臣 お答えいたします。

 通勤手当につきましては、従業員の通勤に要する費用に充てられる実費弁償的なものと考えております。

 平成二十八年度税制改正の経緯でございますが、近年の遠距離通勤の実態といたしまして、新幹線用の通勤定期乗車券で、その発売額が一か月当たり十万円を超える区間のものの利用者が一定程度存在いたしますこと、それから、新幹線を利用して通勤する従業員に対しまして、一か月当たり十万円を超える額の通勤手当を支給する企業もあるという状況を踏まえまして、その非課税限度が引き上げられたものと承知をしております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 実態としてそのような新幹線通勤が増えてきたということがあるかと思います。また、東京に集中している人口を地方に分散させたいという政府の方針もあったというふうにお聞きをしております。

 次に、政府は、今年の秋にも、勤務先から受け取る自動車通勤手当の非課税額、こちらを、近年のガソリン価格の上昇に対応して十一年ぶりに増額すると新聞報道がありました。ガソリン価格の上昇は、特に地方でマイカー通勤をされている方々にとっては大変深刻な問題です。私もこの非課税額の増額、是非とも行うべきだと思いますが、この点につきまして加藤大臣の御所見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

加藤国務大臣 給与所得者に支給される通勤手当については、通勤手当が通勤費用の実費弁償的な性格を有することを踏まえ、通常必要と認める部分について、所得税法上、一定額を限度として非課税とする措置を講じております。

 自動車通勤手当については、客観的な指標として、人事院勧告の前提となる民間企業の通勤手当の支給実態に関する調査の結果などを踏まえ、非課税限度額を定めてまいりました。昨年末の令和七年度与党税制改正大綱において、エネルギー価格が上昇する中、人事院による新たな調査が行われる際には、その結果に基づき、通勤手当の非課税限度額について迅速に見直しを行うとされたところであります。

 政府としても、人事院による民間企業の通勤手当の支給実態に関する新たな調査の結果が明らかになり、自動車通勤手当の支給限度額引上げが決定されれば、与党と連携しつつ、迅速に対応することとしたいと考えております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 是非とも、実態に合うように変更の方を進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 次に、そもそも、所得税、地方税の税計算において通勤手当が非課税とされるのはなぜか。先ほど大臣からも、実費弁償的な性格があるというふうに答弁されましたけれども、その根本的な考え方についてお聞かせください。

斎藤副大臣 お答えいたします。

 一部、先ほどの答弁と重複いたしますが、給与所得者に支給される通勤手当につきましては、通勤費用の実費弁償的な性格を有すること、また、一般に広く支給されているものであることを踏まえて、通常必要と認められる部分について、所得税法上、一定額を限度として非課税とする措置を講じているところです。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 通勤手当については、先ほど実費弁償というお話がありましたけれども、実費でかかっていないものなので、手取りは全く増えません。非課税とされるのは、これは合理的かつ当然だというふうに考えます。通勤手当が非課税とされている理由は、通勤にかかる費用が働くために必要な経費として認識されているからだとも思います。

 それでは次に、単身赴任における自宅への帰省のための交通費について考えたいと思います。

 帰省のための交通費は、単身赴任手当、帰省手当などとして会社が毎月一定額を支給するケースと、帰省費用を回数の上限を設けて実費精算するケースがあると聞いています。手当として支給されている場合、家族と離れて生活することに伴い生活費等の負担が大きくなること、これに配慮し、単身赴任者に対する給与等の補填として支給されているという考え、これに基づいて課税されていると伺っております。

 ここでお伺いをしたいと思います。

 実費精算をする場合においても、帰省旅費は、職務の遂行に必要な旅行の費用として支給されるものではなく、手当と同様の性質のものと考えるため、給与等に該当し、所得税が課税されているというように聞いていますが、この考え方に間違いはありませんか。

斎藤副大臣 帰省旅費についての御質問でございますが、単身赴任者が家族と離れて生活することに伴う追加的な手当というものでありますれば、それは給与の性格を有するものでありまして、したがいまして、原則として課税すべきものであるということと、それから、あくまで単身赴任者にのみ支払われるものであり、通勤手当のように幅広く支給されているものでないことも踏まえますと、帰省旅費を非課税とすることについては、公平性の観点からも、これは慎重に判断する必要があると考えております。

岸田(光)委員 答弁にありましたように、単身赴任者の帰省旅費は、それが手当であっても実費精算であっても、原則給与等に該当し、現在は課税をされています。

 議論を単純化するために、単身赴任手当ではなく、交通費を実費精算するケースで考えたいと思います。

 この場合、実費精算なので、何ら金銭的に収入が増えるものではないにもかかわらず、帰省交通費が税計算上、課税所得となり、税額は増え、手取りはマイナスとなります。

 実際に、自宅が東京で、事業所がある北海道に単身赴任されているケースで御相談を受けました。その方は、社内制度上、月二回まで帰省旅費の実費精算が可能となっており、月二回で約十七万円、年間で約二百万円が実費でかかってしまっています。課税所得が増えることで税率も変わり、所得税そして翌年度の住民税にも大きな影響が出て困っていると訴えられていました。

 東京と北海道の旅費はかなり高額になる事例ですが、例えば、東京から大阪に単身赴任した、配偶者そして子供二人を扶養している、月三回帰省される、年収が七百五十万円の方のケースで試算すると、一回当たり往復で三万円といたしますと、年間三十六回で所得額が百八万円、年間増えます。この方の場合、所得税が約十七万円、住民税が約八万円、合計で年間二十五万円、手取りが減少してしまいます。

 このように、実際の所得が全く増えていないにもかかわらず税金が増え、可処分所得、手取りが減少している現実があります。現在の企業経営そして社会の状況を考えれば、単身赴任はやむを得ず、帰省旅費を通勤の一部と考えるのは当然だと考えます。

 単身赴任者の帰省旅費については、必要経費と考えて非課税とするべきではないでしょうか。御所見をお伺いします。

斎藤副大臣 現行の所得税法の解釈上は、帰省旅費につきましては、給与の性格を有するものでありますことと、それから、先ほども申し上げましたが、通勤手当のように幅広く支給されているものではないことを踏まえて、非課税とはなってはございませんが、今後の帰省旅費の取扱いにつきましては、各政党でありましたり、また政府におきましても御検討いただくものと考えております。

岸田(光)委員 御答弁で、幅広くというお話もあったんですけれども、じゃ、少なければ実際に手取りが減ってしまっていいのかというのは、ちょっとやはり合理的ではないというふうに私は考えます。

 現行、単身赴任の場合、帰省旅費、特定支出控除という制度もあって、こちらに算入が可能とも伺っているんですけれども、こちらも、金額的に多くの部分が足切りになってしまう実態があって。更に言えば、本来、帰省の交通費だけではなく、元々、住居費とか、単身赴任で行ったところの例えば家具とか、そういうのは本来自宅に住んでいれば買わなくていいものなので、そういうような単身赴任に伴う実質的な負担、単身赴任をしなければ支出する必要のない費用は、やはりこれは、一定限度額を設けてですが、非課税とするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

斎藤副大臣 申し上げております帰省旅費を課税対象としております根拠は、追加的な手当として給与の性格を有するということと、それから、通勤手当のように幅広く支給されているものではないというこの二点でございます。ですので、この二点に照らして検討していくことになると考えます。

岸田(光)委員 給与の性格ということでおっしゃられたんですけれども、やはり、実費弁償の部分であれば給与ではないというふうに考えられると思いますので、そこは今後、是非とも、加藤大臣の下でこの制度を変えていただきたいというふうに思います。

 今回の質疑では触れませんが、質問にはしていませんが、労働保険料、社会保険料について、こちらも、実費経費である帰省時の交通費だけではなく通勤手当も算定基礎に含まれており、住んでいる場所によって保険料や給付に差が出るのは非常に不合理だと私は考えます。通勤手当は労働保険料、社会保険料の算定基礎より除外すべきではないでしょうか。

 また、教育費の補助制度、奨学金、住宅ローン減税など、帰省の旅費によって所得が加算されることによって、所得制限があるような制度の場合、その制限を超えてしまうこともあります。

 先ほどお話をしました所得税の特定支出控除につきましても、金額的に多くの部分が足切りの対象となってしまいます。実際にこの制度を使われる方にお話を伺ったんですけれども、飛行機を利用した場合なんですけれども、確定申告時に添付する書類に、搭乗、乗車、乗船に関する証明の依頼書、これが必要で、搭乗直後に航空会社のカウンターに行って税務署所定の様式に判こを押してもらわなければならないということで、手続が非常に煩雑となっていて、申告者の負担が非常に大きい制度となっているとのことです。これも是非とも改善をお願いしたいと思います。

 コロナ後、リモートワークが確かに増えてきて、そういう単身赴任されている方は減っているのかも分からないんですけれども、やはり、リモートワークとかでは対応できない、例えばデータセンターとかで働く最先端の技術者の方々とかゼネコンの方は現場に行かないと仕事になりませんので、これらの方々が依然として多くいらっしゃいます。このような方々は、日本経済の発展に寄与をしているにもかかわらず不合理な扱いを受けていると言わざるを得ません。

 家族と離れて暮らすだけでも精神的な不安を抱える中、更に経済的にも不安を抱える現実があります。また、子育ての様々な問題、高齢の両親、病気の家族の介護など、様々な事情を抱えている方もおられます。月に一定程度家族と一緒に過ごす時間を持つことは、人間として当然の権利だと私は考えます。真面目に働く者が損をするような税制は変えていかなくてはならないのではないでしょうか。

 先ほど、特定支出の控除について何回もお話をさせていただいているんですけれども、本来なら非課税措置が好ましいと思うんですけれども、次善の策として、この制度で税負担を軽減されようと努力されている方もいらっしゃるんですけれども、国税庁に問合せをしたところ、令和五年の特定支出控除の利用者の方が七百八十名だけでした。正直、少ないなというのが実感です。やはり、この中には、帰省旅費が所得控除の二分の一未満のため足切りになってしまう人とか、先ほど申し上げたように、この制度が非常に煩雑なので申請自体をもう諦められる方も大勢いるとも伺っています。まずは、今ある制度、こちらの方も改善していただくことをお願いいたしまして、私からの質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

井林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いをいたします。

 今日、私からは、三菱UFJ銀行で起きました元行員による貸し金庫の窃盗事件について伺いたいと思います。

 この事件は、貸し金庫の安全性に対する人々の不安をかき立てました。また、前回の委員会の中でも質問がありました、被害者の保護という観点では質疑が行われましたが、様々な問題をはらんでいると思いますので、別の観点からも質疑をしたいと思います。

 まず、金融庁は、十二月の十六日に同行に対して報告の徴求命令を発し、一月十六日には事案の発生原因の分析と再発防止策が報告をされました。管理体制の不備は明らかになりましたが、被害総額は約十四億円、内容は現金と金とあるだけで、貸し金庫に現金が入っていたという問題については触れていませんでした。

 今回の調査では貸し金庫の中身についても報告を求めたのか、まず伺いたいと思います。

伊藤(豊)政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の事案については大変遺憾に思っておりますけれども、今委員御指摘の報告の中で、貸し金庫の中身について、現金が入っていたという報告はいただいておりますけれども、それ以外のものでどういうものが入っていたのかというような報告は徴求しておりません。

田中(健)委員 現金が入っていたというのは正式に報告があったんですが、そもそも貸し金庫に現金を入れていいのかという問題であります。

 貸し金庫を借りる場合は銀行の口座を持っていなければできませんし、そもそも、支店に行きますので、支店には窓口もATMもありますから、現金であれば口座に入れればいいわけでありますので、なぜ現金があったかということであります。

 ですから、そもそも現金を貸し金庫に入れていいのか、さらには、なぜATMや窓口があるのに貸し金庫に入れていたと考えられるのか、見解を伺います。

伊藤(豊)政府参考人 お答えを申し上げます。

 貸し金庫に現金を入れてよいのかというお尋ねでございますけれども、金融機関によって貸し金庫の規定については若干差異があるとは思いますけれども、三菱UFJ銀行の貸し金庫の契約の規定におきましては、現金につきましては、格納できるものとして列挙されているものにも格納することができないものとして列挙されているものにも含まれておりませんで、したがいまして、現金を貸し金庫に入れることが明示的に禁止されているということはないというふうに承知をしております。

 それから、済みません、貸し金庫になぜ現金を入れるのかという点の御質問でございますけれども、現金を入れていた利用者の目的については、金融機関も金融庁も把握をしていないというところでございます。

田中(健)委員 私も金融機関のを見させていただきましたが、貸し金庫に格納できる対象は契約で定めて例示をしていますが、その中に現金はありません。そして、格納できないものとしても、危険物や変質、腐敗のおそれがある等、保管に適さないものとして、こちらにも現金の文字はありません。つまり、貸し金庫に入れていいかどうかというのは、いわゆるグレーゾーンだということです。

 とはいえ、多くの顧客が現金を入れていたということです。なぜ入れていたか分からないというんですが、合理的とも言えない行動を取るのは、やはり表に出せないお金だということがなかったかという疑念が生まれます。

 ここで、警察庁にお伺いしますが、貸し金庫はマネーロンダリングなどに使われているとして国家公安委員会からも警告をされたことがあります。どのような点が問題と考え、また、過去、実際に警察として問題となった事案があれば、伺います。

江口政府参考人 お答えを申し上げます。

 貸し金庫につきましては、金融機関が貸し金庫に保管される物件そのものの確認をしないため、保管物の秘匿性が非常に高く、犯罪収益を物理的に隠匿する有効な手段となり得るものと認識をしてございます。

 貸し金庫がマネーロンダリングに悪用されました過去の事案といたしましては、だまし取った約束手形を換金し、その現金の一部を親族が契約した銀行の貸し金庫に保管したもの、詐欺による犯罪収益が暴力団組織へ上納され、暴力団幹部が家族名義で契約している銀行の貸し金庫に保管したものがあるところでございます。

田中(健)委員 実際に事件があり、事案があり、その秘匿性により様々な問題点が指摘をされてきたわけであります。つまり、貸し金庫の問題というのはもう以前から言われてきたということであります。

 今お話がありましたが、相続税の資産や現金報酬などの課税対象所得をごまかすために利用されていたということでありますが、税を扱う税務当局としては、この点は問題視してこなかったのか伺いたいと思いますし、これまでどう把握をし、対応してきたか、併せて伺います。

斎藤副大臣 田中委員の御質問にお答えいたします。

 貸し金庫の利用方法自体につきましては、一義的には銀行と利用者間の問題であると考えますことから、適否については国税当局としてはコメントいたしませんが、国税の観点から申しますと、日頃からあらゆる機会を通じまして課税上有効な資料情報の収集に努めるとともに、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めているところであります。その一環といたしまして、必要と認められる場合には貸し金庫の内容物の確認も行われております。

 いずれにいたしましても、国税当局といたしましては、今後とも適正、公平な課税の実現の観点から適切に対応してまいります。

田中(健)委員 適否については言う立場にないと言ったんですが、貸し金庫に現金を収納することには問題があると思っているということでよろしいでしょうか。

斎藤副大臣 貸し金庫の利用目的につきまして様々な推論が成り立つというのは、委員御指摘のとおりだと思います。

 国税当局といたしましては、課税逃れという観点から貸し金庫が利用されているおそれがある場合には、調査の過程において必要な調査を行うように努めているところでございます。

田中(健)委員 確かに、国税庁が昨年発表した査察の概要という資料がありますけれども、この中で、不正資金の隠匿場所の一つとして銀行の貸し金庫というのも挙げております。ですから、もちろん問題視をしてきたわけだと思いますが、当局から、これに対して、金融庁に問題があると直接改善を求めたりしたということはこれまであるんでしょうか。

斎藤副大臣 金融庁に対して直接改善を求めたということはございません。

田中(健)委員 これまで聞いてきますと、警察としても、マネーロンダリングに使われたり、大変、事案もあり、問題であると、そして、税務当局としても、国税庁としても、これに対しては、隠匿場所だということで問題だと言ってきたのに、これまで、貸し金庫に対しての課題として、ないしは指摘として直接改善が求められたことはなかったということだと思います。

 十二月十八日の質疑で、職員による貸し金庫からの窃盗容疑が三件、過去にあったことも明らかになっています。このうち少なくとも一件は今回の件と同じく職員が鍵を不正に複製した手口であり、金融庁は、以前から鍵のリスク、まあ今回、鍵のリスクは様々な対策が取られるということですが、もう一点、現金が格納されているということも知っていながら、これまで管理体制の確認など要請していなかったということになります。もしもこの三件の事件のときにそれがしっかりと、管理体制の確認ないしは中身の確認ができていれば、もしを言ってもあれなんですが、今回の事件がなかったかもしれないということにもつながります。

 さらに、金融機関が貸し金庫を通じて口座の保有者の現金を預かっているとなれば、これは預金にも該当する可能性もあります。預金においては、一千万円以内というペイオフの対象もありますし、また、預けているお金に対して預金保険機構の保険料の納付という問題もあり、法的な整備の問題からも課題が大きいと思っています。

 さらに、今回、僅か二か店の一部の金庫に十数億円近い現金があったことを考えれば、三菱UFJだけでも今十三万件の貸し金庫があり、三つのメガバンクを合わせると四十万件、さらには、全国の地方銀行や様々な金融機関を合わせると幾ら現金が貸し金庫に潜んでいるのかというのは、大変に大きな課題かと思っています。

 今回、貸し金庫の一部に多額の非合理な現金が入っていたかもしれないということが明らかになった以上、貸し金庫業務を営む全国の金融機関を対象に利用実態の調査を行うことが必要ではないかと思いますが、加藤大臣の見解を伺います。

加藤国務大臣 まず、預金保険制度と貸し金庫に保管された現金の関係でありますけれども、貸し金庫は、利用者が利用料を支払って貸し金庫に物品を格納するものであります。そこに保管された物品は、現金も含め利用者に帰属するため、預金保険制度の対象になるものではないと整理しております。

 また、貸し金庫サービスへの現金受入れについては、三菱UFJ銀行に限らず他の金融機関においてもこれを明確に排除していない運営がなされているものと認識をしております。そのため、金融庁としては、現金の保管が行われている可能性があることを前提に対応策を検討していきたいと思っております。

 具体的には、金融機関に犯罪収益移転防止法等に基づき適切にマネロン対策等を講じることが求められている一方、貸し金庫サービスは、国家公安委員会の調査書において、マネロン等の手段になり得ることが指摘をされております。こうしたことを踏まえて、マネロン対策等の観点から、金融機関の貸し金庫サービスがどうあるべきかについて検討していきたいと考えています。

田中(健)委員 マネロン対策ということで検討するということなんですが、是非、その中身というのを今回の件を機に明らかにしていただきたいと思っています。

 銀行自体もその中身が分からないので、どのようにすればいいのかというのは検討かと思いますけれども、実際、今回の件を受けて、全国銀行協会は、会員の銀行に貸し金庫の管理体制の点検は求めています。予備の鍵の管理状況といった不正が生じるリスクがないかといったことが通達の内容ではありますが、しかし、各行は貸し金庫のあくまで管理体制の再確認を進めるだけでありまして、この通達でもやはり、中身といった視点では何の言及もされていません。早速、メガバンクを始めとして既に着手をしているということを銀行から聞きましたけれども、しかし、管理体制にとどまっているということであります。

 マネロン対策における調査というので、どこまで、中身ということまで調査ができるか分からないんですが、是非、今、一歩進んで利用実態の調査を進めるということですので、改めて、この中身ということについて、加藤大臣の方から、調査を進めるということをおっしゃっていただければと思います。

加藤国務大臣 先ほど申し上げたのは、まず、調査をするまでもなく、まさに現金の保管が行われている可能性がある、このことを前提に、マネロン対策等の観点から、金融機関の貸し金庫サービスがどうあるべきかについては検討するということでございますので、今の段階で調査そのものをするという考え方は持っていないところでありますが、ただ、入っている可能性があることを前提に、金融機関の貸し金庫サービスがどうあるべきか、これはしっかり検討させていただきたいと考えています。

田中(健)委員 是非お願いをしたいと思います。

 実際、銀行の方から聞いても、幾ら場所貸しとはいえ、中身が何か分からないものを、これまではあくまで性善説に基づいて貸してきたんですけれども、銀行が預かっているのはコンプライアンス上もどうなんだろうか、ないしは、今、金利というものが生まれる社会になりましたので、今までは、貸し金庫を貸して、そして、一万円、二万円の手数料でビジネスとして運用してきましたけれども、そもそもこのビジネスモデルが大変リスクの高いものであっていいのかということで、銀行自体もこの在り方というのを考えているということでありますので、是非、この機会に、大臣、先頭に立ちまして、この在り方、また、マネロン対策という視点で、もうあるということは今、前提だと言っていただきましたので、取組を進めていただければと思っております。よろしくお願いします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございます。

井林委員長 次に、山口良治君。

山口(良)委員 公明党の山口良治でございます。

 昨年の衆議院選挙で初当選をさせていただき、本日、財務金融委員会で初めての質問に立たせていただきます。この場に送ってくださった皆様に感謝をし、庶民目線を貫いてしっかりと働いてまいる決意でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、大臣は、所信表明の中で、賃金、所得の増加を最重要課題と位置づけておられます。そこで、本日は、全ての人の賃上げを論ずる上で不可欠となる中小企業の問題に絞ってお伺いをさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず、中小企業の資金繰り支援についてお聞きをいたします。

 政府の資金繰り支援といたしましては、昨年十二月末で終了したもの、また今年の三月末で終了するもの、そして延長終了後に後継対策を行うものとなっているかと存じます。また、資金繰り支援は、コロナ禍による売上減少対応型の支援から、二月末、そして三月末を切替え時期として、人手不足、賃上げ、原材料価格等の高騰対応へとシフトチェンジを進めていると承知をしております。

 そのうち、資材費等の価格高騰対策として実施をされております公庫のセーフティーネット貸付けについて、三月末までの延長後の対策が示されておりませんが、この物価高がまだ続いている状況を鑑み、更なる延長が必要ではないかと考えますが、御見解をお伺いいたします。

加藤国務大臣 日本公庫等においては、物価高騰に苦しむ中小企業の資金繰りを支援するため、令和四年四月以降、セーフティーネット貸付けの金利引下げ措置を継続して実施をしております。

 足下の中小企業を取り巻く環境は、物価高騰を始め依然として厳しい状況にあると認識をしており、直近では、昨年末までとしていた金利引下げ措置の適用期限を本年三月末まで延長しているところであります。

 本年四月以降の取扱いについては、今後の事業者を取り巻く環境の変化も踏まえて判断していくということになりますが、引き続き、事業者の皆さんに寄り添った資金繰り支援策を講じていくという立場に立って対応していきたいと思っております。

山口(良)委員 ありがとうございます。

 特に地方の中小零細企業においては、ゼロゼロ融資の本格的な返済が始まり、原材料高騰、人件費の上昇が重なり、返済が滞り倒産に至るといったケースも増えております。是非とも、このセーフティーネット貸付け延長、継続、御検討いただければというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次の質問に移ります。

 午前中にも同様の質問がございましたが、ゼロ金利政策が解除され、直近では日銀が〇・五%への利上げを表明をし、金利政策の転換が今後の経済に及ぼす影響が大変注目をされております。既に、金利上昇に備え、資金を前倒しで借りる企業の動きも出始めている一方で、業績の悪化を借入金等の補充でしのいできた、そういった中小企業にとっては、支払い利息の上昇による負担が一層重くなるという可能性もございます。

 先月二十四日に帝国データバンクが公表された、約九万社を対象にした、追加利上げが企業に与える影響度を調査した結果によりますと、〇・五%への利上げが、あくまでこれは一概には言えませんが、一社当たり平均で経常利益を二・一%押し下げるとの試算も出ております。利上げによって、金融機関、特に地方の金融機関が貸し渋りや、中小企業等の借り控えが起きてしまえば、中小企業の経営意欲すら損ないかねません。

 利上げを金融機関の収益機会につなげていくために、これまで以上に各金融機関が融資先との関係の強化を行い、個々の経営課題を見極め、中小企業の生産性向上、収益力の強化に向け、より付加価値の高い支援を図っていくことが重要であると考えます。

 そこで、金利政策の転換に当たって、金融庁が積極的な姿勢を示すべきであると考えますが、今後どのように取り組まれるか、お伺いしたいと思います。

伊藤(豊)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、昨今の金利の状況が、中小企業の資金繰りへの影響を心配する声があることはよく承知をしております。また、物価高や人手不足など中小企業は様々な経営課題に直面しており、金融機関には個々の取引先が抱える課題に応じたきめ細かな事業者支援に取り組むことが求められていると考えております。

 こうした状況を踏まえまして、金融庁では、これまで金融機関に対し、金利見直しの協議に際しては十分な説明や適切な返済計画のアドバイスを行うとともに、関係する支援機関等と早期から密接に連携しつつ、資金繰り支援にとどまらず、経営改善、事業再生の支援など、事業者の実情に応じた支援を徹底することなどを繰り返し要請してきたところでございます。

 私どもといたしましては、今後の貸出金利をめぐる金融機関の動向や、それが借り手に与える影響などを注視するとともに、金融機関に対し、状況の変化の兆候を把握し、一歩先を見据えて事業者支援に取り組むよう求めていくなど、引き続き金融機関に積極的な対応を促してまいりたいと考えております。

山口(良)委員 ありがとうございます。

 金利のある世界を実現していくことは、過度な円安に歯止めをかけるためにも大変重要であり、必要であると認識をしておりますが、この利上げによるリスクによって中小企業や金融機関に対して過度な不安が広がらないよう、引き続き、金融庁の適切なモニタリング等、是非ともよろしくお願いを申し上げます。

 次の質問に移らせていただきます。

 大臣は、所信表明の中で、物価上昇や人手不足への対応等、地域の事業者が抱える経営課題が今多様化する中、金融機関が、金融仲介機能を十分に発揮するとともに、持続可能なビジネスモデルの確立に向けて取り組むことを促す、こう述べられました。金融機関が金融仲介機能を発揮するという点において、昨年成立をした事業性融資推進法に基づいて、担保、保証によらない事業性評価に基づく融資の開始に向け、現在、様々な課題整理が進んでいると承知をしております。

 この事業性融資、大企業、大手金融機関における必要性とともに、やはり、地方の中小・小規模事業者、またその企業を支える地方銀行を始めとした地域の金融機関においても有効に機能させるべきものであると考えております。

 しかし、地方金融機関は、人口減少また低金利の長期化など経営環境が厳しい上に、現在、若手や中堅行員などの離職などによって人的リソースが不足をしているというお声も現場ではお聞きをしております。

 無形資産を活用した事業成長性が期待できても、その評価が適切なものでなければ、また過大な担保価値を設定してしまうような危険性もございます。そうした意味で、銀行には、融資を提供する企業の価値を見極める能力、いわゆる目利き力がこれまで以上に必要になってまいります。

 金融庁として、例えば地方金融機関のコンサルティング機能の強化、目利き力の強化に向けた支援について、今後どのように取り組んでいかれるか、お伺いをいたします。

伊藤(豊)政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、地域金融機関が顧客企業の状況や規模、特性等に応じ様々なコンサルティング機能を発揮するに当たっては、必要な人材の確保、育成は極めて重要な課題であるというふうに認識しております。

 こうした観点から、金融庁では、地域金融機関のコンサルティング機能の発揮に向けた人材育成を後押しするために、例えば、融資先の経営改善を支援する際の着眼点を支援対象となる業種ごとに整理した業種別支援の着眼点を公表いたしまして、業種別の融資先支援に係る研修を実施するなどの取組を行ってきております。

 加えまして、金融庁では、地域金融機関がデジタル化や地方創生などの分野で持続可能な地域社会の構築に幅広く貢献できるよう、業務範囲規制や出資規制の抜本的な見直しなどの環境整備にも取り組んできたところでございます。

 さらに、金融機関が質の高いコンサルティング機能を持続的に発揮することができるよう、金融庁といたしましては、金融機関自身の経営基盤の強化や健全性の確保に向けたモニタリングも継続的に実施しているところでございます。

 引き続き、金融機関が、事業者に寄り添いながら、金融仲介機能をより一層発揮し、地域経済や事業者の成長発展に貢献していくよう、その取組を後押ししてまいりたいと考えております。

山口(良)委員 御答弁ありがとうございます。

 無形の、いわゆる事業そのものを担保としていくという、保証によらないそうした企業価値担保権、この目的というのは、単に新しい担保として設定するのみならず、中小企業に対する金融機関などの、企業と一体となった寄り添い型の伴走型支援をしっかりと強化していこう、しっかりそこにつなげていこうという趣旨、目的もあるかと存じます。

 私も、地元へ戻りますと、やはり相談が遅れてしまう、様々な金融支援また経営支援のメニューがそろっていてもなかなか声が上がってこない、その人手が足りない、そういったお声も地方銀行さんまた支援機関さんからいただいております。地方銀行等への支援強化も、重ねて引き続きよろしくお願いを申し上げます。

 最後の質問をさせていただきます。

 中小零細企業の社会保険料負担についてお聞きをいたします。

 日本の歳出の三三・五%を占める社会保障関係費が今伸び続ける中で、中小零細企業の社会保険料負担も大きくなっております。特に、小規模事業者の皆様方から、雇用主負担の増加が経営を圧迫することへの不安の声を数多くいただいております。

 先日も、あるコンビニエンスストアを経営をされる事業主さんからこのようなお声をいただきました。人手不足の中で、アルバイト一人当たりの年収が上がり、社会保険の対象者が急増し、保険料を支払うだけでも本当に大変だ、相当の負担だ、このままでは雇用を守るはずが店自体が潰れてしまう、そういった切実なお声を頂戴をいたしました。社会保険料負担によって中小零細企業が廃業や倒産に追い込まれるようなことがあってはならないと考えます。

 代表質問で我が党が取り上げました、年収の壁解消に向けた支援強化パッケージと制度の抜本的な見直しに加え、中小零細企業の負担軽減策として、複数年にわたる激変緩和措置を講じることが必要ではないかと考えます。国の財政全般を預かるお立場である財務大臣に御見解をお伺いいたします。

加藤国務大臣 事業主の社会保険料負担について、原則的な考え方は、社会保険料が医療や年金の給付を通じて労働者を支えるための事業主の責任であること、また、働く人の健康保持や労働生産性の増進を通じ事業主の利益に資するものであるということを考えて対応すべきものと考えていますが、その上で、今般の年金制度改革との関連で申し上げますと、働き方に中立的な制度を構築する観点から、企業規模要件の撤廃等が検討されていると承知をしております。その施行に当たっては、中小企業者への負担を考慮し、激変緩和の観点から、段階的な拡大を行う方針で検討されているものと承知をしております。

 加えて、今回の改正で適用が拡大される比較的小規模な企業に対し、事業主が労使折半を超えて保険料を負担する場合に、その保険料負担の一定割合を支援する仕組みを設けることについても併せて検討されているものと聞いております。

 これらの改正内容を含む年金改正法案の取りまとめに向けて、これは現在、厚生労働省において検討が進められるものと承知をしておりますが、財務省としてもよく連携を図っていきたいと考えています。

山口(良)委員 御答弁、大変にありがとうございます。

 賃上げの流れをつくり、しっかり地方の小規模事業者の皆様の経営を守り、そして社会保険料負担についてもしっかり支えていく、こういった仕組みづくりを、厚生労働省また関係省庁とともに連携をしていただきながら、前に進めていただきたいというふうに思います。どうかよろしくお願いいたします。

 では、私からは、質問は以上となります。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

井林委員長 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として財務省主計局次長吉野維一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井林委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 れいわ新選組の高井でございます。

 大変残念ながら、今日も主計局長には来ていただけないということで、次長が今座られましたけれども。

 朝の理事会で、私は主計局長に是非来ていただきたいと申し上げましたけれども、自民党の筆頭理事から、それは駄目だと。これは、与野党というか理事が合意しないと呼べないというルールですので、それはしようがないんですけれども、なぜ反対されるんですかとお聞きをしたら、財務省の中の仕事の分担というような趣旨のことをおっしゃったんですね。ちょっと、理由が非常に分からない。

 主計局長は忙しいということですかね、ほかの局長に比べて。予算委員会中は確かに忙しい。でも、予算委員会にずっと主計局長は確かにいますけれども、財務大臣もずっと座っていますからね。ほとんど財務大臣が答えているわけで、主計局長の出番なんてほとんどありませんから、それが理由というのもちょっとよく分かりませんし、しかも、予算委員会が終わった後も、慣例だとおっしゃったんですね、今までずっと主計局長は出席していないんだと。

 これは、実は、私はあしき慣例だと思いますけれども、ほかの委員会でも、事務次官は呼べない、あるいは、事務次官級の何たら審議官、そういう各省庁のトップ級の方は呼べないという変な慣例があるんですけれども、私は変えるべきだと思いますが、しかし、百歩譲ってそれは認めるとしても、なぜ主計局長だけが主管の委員会で大臣も出席する委員会で出てこられないのかというのは全く分かりません。

 これは、うがった見方をすれば、いや、主計局長というのは、では事務次官級の方なんですねというふうなメッセージになると思うんですね。これは私は本当によくない、財務省にとってもよくないメッセージで、前回の委員会でも言いましたけれども、予算のヒアリングをするときなんかは、必ず財務省は一ポストか二ポスト上の人を呼んでやっている。だから、ほかの省庁よりも財務省は偉いんだ、主計局は偉いんだ、そういうふうに取られかねないことをやっていて、それをまさにこの国会というオープンな場で、しかも与党もそれを認める、主計局長は偉い、主計局長は事務次官級だと認めるに等しいことになっていると私は思いますから、是非これは改善をしていただきたい。

 少なくとも、さっき言ったような理由ではちょっとやはり国民の皆さんも納得できないと思うので、もう一度きちんと理由を、次回の理事会で結構ですけれども、理由を教えていただきたいと思います。

 ちなみに、予算委員会でこの間、国民民主党の議員さんが、防衛省の、自衛隊の制服組、自衛官を呼ぼうとして、予算委員長がそれは駄目だと。このときは、でも、安住予算委員長はかなり理由を明確に、シビリアンコントロールの観点からだというふうに説明されましたので、それはそれで分かったということになるわけですけれども、主計局長のことはちゃんと理由を、理事会では与党筆頭理事から説明していただきたいし、あるいはこの委員会の場で委員長からきちんと説明すべきことだと思います。

 出ていただくのが一番いいし、出ていただくまで私はこれは要求し続けたいと思いますが、そこは是非、野党の筆頭理事からは出るべきだと言ってもらっていますので、与野党で、筆頭理事間で協議をいただきたいと思います。

 それでは、質問に入ります。

 まず、これは前回の財務金融委員会あるいは予算委員会でも取り上げたことなんですけれども、三十年間日本は経済が全く成長していない。しかも、これは世界中で日本だけですからね。ほかの国はみんな成長しているけれども、日本だけが全く成長していない。これは本当に異常事態だ。私は、その最大の原因が、やはり消費税の三度にわたる増税だと。

 三十年間の間に三回増税しているわけです。一回の増税だけで、一回増税するだけで、あの百年に一度のリーマン・ショックをはるかに上回る消費の落ち込み、減少が起きているんですね。消費が落ち込み、消費が減少すれば、日本のGDPの六割は個人消費ですから、経済が止まるに決まっています。つまり、日本だけは、三十年間の間に百年に一度のリーマン・ショック級の経済恐慌が四回、消費税増税三回とリーマン・ショックと四回起きている。これで経済が成長するわけないでしょうということを申し上げてきました。

 経済が悪い、景気が悪いときに税金を下げるというのは、中学校で皆さん、公民の時間で習う経済学の基本中の基本なんですよ。それと全く真逆のことをこの三十年間やってきたわけで、これは明らかに、この三十年間、経済が成長しない、デフレが続いた最大の原因は、この三度の消費税増税だと私は考えますけれども、これは是非、財務大臣も、今まではっきりそうお答えいただいていませんが、これがやはり原因だった、消費税増税が最大の原因だったというふうに認めていただけませんか。

加藤国務大臣 消費税の引上げについては、過去三回、例えば三から五の引上げにおいては、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立って、個人所得課税の負担軽減と消費税の充実を柱とする税制改革の一環として行われていますし、五%から八%、あるいは八%から一〇%の引上げは、急速な高齢化に伴い社会保障給付費が大きく増加する中で、社会保障の安定的な財源を確保するということで行われたわけでありますので。

 まさに不況期こそ、そうした社会保障給付費が安定して支給されていく、そして、この社会保障給付費というのは結果的に家計に還元されていくわけでありますから、負担の面だけ着目して消費税の引上げの是非や経済への影響を論じるというのは必ずしも適切ではないというふうに考えています。

高井委員 それはつまり、社会保障の安定とか今理由を言われましたけれども、そちらを優先したということですかね。

 景気が悪いときに税金を下げるのが、これは経済学のセオリーです。それは財務大臣も認めていただけますか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げているのは、歳入と歳出両面を見ていかないと、結果的に経済に与える影響というのは断じ得ないのではないか。要するに、確かに歳入を増やすということは国民の方から税をいただく、しかし一方で、歳出をその分増やしていくということであればその分戻っていくわけでありますから、その間においては、資金循環的に見ればプラスマイナスはゼロということにもなるわけでありますので。

 一方、消費税引上げだけじゃなくて、それが一体どういう形で担保されたのか、あるいはどういう形でその財源が使われてきたのか、そういったところも見ながら判断していくべきものだというふうに考えています。

高井委員 政府支出を伸ばすことは必要なんですね。これは予算委員会でやりましたけれども、財政出動をすることは、経済、逆に言うと、日本は三十年間財政出動を非常に渋ってきた。世界の中でも一番伸び率が低いんですね。そのことが経済成長しなかった原因でもありますから、そこは一理あるわけですけれども、ただ、それは消費税で取らなくても、別の方法で取って、そして財政支出を増やすということはできたはずだし、これは私たちは国債を発行してやるべきだったということを主張しています。

 ちょっと、次にこのテーマに移りたいと思いますが、財務省はしきりと、これ以上国債を発行すると財政が破綻するとか財政への信認が失われるというようなことを言うわけですけれども、財政の破綻とか財政への信認が失われるというのは、具体的にどういう場合を想定していますか。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の財政破綻、財政への信認が失われるという事態につきましては、一般的に、財政状況が著しく悪化し、その運営が極めて困難となる状況のことをいうものと考えております。

 その具体的な状況を網羅的に申し上げることは困難でございますけれども、例えばIMFのワーキングペーパーにおきましては、財政危機の事例といたしまして、債務返済の不履行、IMFなどからの例外的に大規模な公的財政支援、市場からの信認喪失等による資金調達の困難化といった事態が発生している場合が挙げられていると承知しております。

 財政への信認という意味では、例えば国債の格付が下がった場合の影響について申し上げれば、国債の信用に連動して国内の金融機関や企業の社債等の信用が低下したり、国債が外貨調達の際に担保として認められなくなるといったことを通じまして企業等の資金調達コストが上昇する場合などがあるといった指摘がなされていると承知しております。

高井委員 簡単に言えばというか、やはり債務不履行になるということですよね。国債をこれ以上発行して、発行し過ぎて、発行し過ぎることによって、デフォルトする、債務不履行になれば、それは確かに大きな影響が生じ、財政破綻だということになると思いますが、我々が主張しているのは、債務不履行になりませんよと。今の状況で、債務不履行になる、デフォルトをするというのは、ハイパーインフレになることが想定されると思うんですけれども、ハイパーインフレなんかになる状況じゃないですよということをずっと言っているんですけれども、ここは財務省と全く議論がかみ合わない。財務省は、とにかく、今はもう国債の発行残高が世界最悪の水準で、これ以上発行したら危ないんだと。財務省は債務残高のことばかり言うわけですよ。

 確かに、債務残高だけ取れば、世界で日本は一番多い。GDPと比べても二倍以上という、その数字は大きい。しかも、それが分かりやすいから、国民の皆さんもそれにだまされて、ああそうか、日本はそんな借金しているのか、一人当たりにすると一千万円かみたいなね。この一人当たりに換算するというのも非常に私はミスリーディングだと思っていますが、しかし、ほかの指標を是非見てください。

 例えば、これは経団連のシンクタンクなんかも言っていることですけれども、政府の純利払い費、これをGDPと比べる。純利払い費、利払い費の中でも、政府は、負債も持っているけれども資産も持っているわけです。だから、負債では利払いするけれども、資産の分はもらうわけですから、それをネットで、純で見たら、それとGDP比と比べたら、これはG7で二番目に低いんですよ。カナダの次に日本は安定しているんです。それから、対外純資産をGDPと比べる対外純資産対GDP比、あるいは政府債務対外債務比率、これは二つとも日本が断トツ一位ですよ。安定しているんです。それから、経常収支対GDP、これはドイツに次いで二位です。

 つまり、ほかの指標を見たら、G7の中でもめちゃくちゃ安定しているんですよ。何でこれで、日本が財政破綻するとか将来するおそれがあるなんという、そういう国民の皆さんの不安をあおるようなことを言うんですか。これはおかしくないですか。債務残高対GDP比だけ強調するのはおかしくないですか。

加藤国務大臣 債務残高対GDP比は、政府が負う債務の総額について、その返済の原資となる税収を生み出す元となる国の経済規模、すなわちGDPに対してどの程度の割合になっているか示す指標であって、財政の持続可能性を見る上では有意義なものと考えております。

 また、指標を算出する上で不可欠なデータの入手が比較的容易なため、財政状況を継続して把握でき、かつ、他国とも比較しやすいという利点もあって、日本のみならず、EU等の先進国においても、多くでも、財政健全化に係る指標として用いられるものと認識をしております。

 その上で、経済財政状況について、様々な指標を用いて検証し議論していくことは、これは重要だと思います。

 委員御指摘の、例えば政府純利払い費対GDP比についてでありますが、我が国の場合、受取利子の多くが外貨建てであり、国内の金利変動とは必ずしも連動しないため、仮に国内の金利水準が上昇する場合に、支払い利子の増加額が受取利子の増加額を大きく上回り、純利払い費が大幅に悪化するなど、金利リスクに対して指標が不安定であるということ、また、主要先進国の財政ルールにおいて政府純利払い費対GDPを正式な指標として用いていない、こういった点にも留意をしていく必要があると考えています。

高井委員 いや、ちょっと、だから、データが取りやすいとか各国と比較しやすい、分かりやすいですよ、それは確かに、債務残高が一番多いというのは。だけれども、やはり、それで国債をどこまで発行できるかという非常に重要な、センシティブな議論をするときに、分かりやすいとかデータを取りやすいというだけの理由で、しかも、ほとんど言わないんですよ、財務省は。債務残高対GDP比ぐらいしか言わないんですよ。今、私が言った四つの指標に財務省が言及しているのなんか聞いたことも、今、利払い費だけ初めて説明してもらいましたけれども、こういう議論もなしに、債務残高だけで不安をあおるというのは本当に間違っていますし、これは是非、国会議員の皆さんや国民の皆さんも、それに惑わされないでいただきたい。明らかに間違っている、こう思います。

 もう一つ、財務省が意図的に債務残高を多く見せている、国債がこれ以上発行できないんだとやっているトリックが、前回も取り上げた債務償還費なんですよ。

 令和七年度予算で十七・七兆円、予算の一五・三%を、債務償還費という債務を返すための、これは、当たり前だろうと思うかもしれませんけれども、世界中でどこもやっていないんですよ。この間の財務金融委員会で、次長が、やっていません、調べるのが余り現実的じゃありませんと。そんなことないですよ。財務省は、各国の大使館に、必要な情報だったらすぐに調べられますから、それをやらないということは、やっている国がないからですよ。

 この債務償還費、十七・七兆円も、何で、世界中一か国もやっていないのに日本だけやるんですか。大臣、お答えください。

加藤国務大臣 御指摘の債務償還費については、国債の償還財源を確実に確保しつつ、償還のための財政負担を平準化するといった観点から、六十年償還ルールの下で、法律の規定に基づいて計上しているものであります。

 その上で、債務償還費を計上しているのは日本だけではないかとの御指摘でありますけれども、主要先進国において、六十年償還ルールのような、償還財源の確保に関して毎年度適用される特別の制度はないものと承知をしております。

 他方、財政規律維持に関する基準等を法律等において規定をしているというのも、他方で各国における取組だと承知をしておりますし、実際、債務残高対GDP比は日本よりもはるかに低い水準にもあると承知をしております。

 国際比較に当たっては、こうした財政規律の維持に関する枠組み全体などを見る必要があると考えております。

高井委員 いや、ほかの国が財政規律の維持に何もやっていないなんて一言も言っていませんよ。やっているのを知っていますよ。アメリカとかだって、法律とかに書いているとかね。

 だけれども、一方で、それは法律であったり決め事だから、変えればいいんですよ。変えている例もあるわけですよ、そういう規律もね。

 だから、そこをなぜ、もう一度聞きますけれども、じゃ、日本もそっちにすればいいじゃないですか。ほかの国がみんなやっているんだから。世界中一か国もやっていないんですよ。債務償還費という、十七兆円もの、一五%をも占める債務償還費というのを、一か国も、どの国もやっていなくて、何で日本だけやるんですか。

 これをやることによって、ああ、国債の償還費がこんなにあるからこれ以上国債は発行できないね、予算は厳しいねという、それを見せるために見えるじゃないですか。なぜ日本だけやらないんですか。

加藤国務大臣 見えるか見えないかは、それは見方なんだとは思いますけれども、今、先ほどと同じことになってしまいますけれども、この六十年間償還ルールということに基づいて、財政負担の平準化、あるいは国債の償還財源を確実に確保するということで、法律上求められているということであります。

 ほかのルールの、やり方がある、確かにそれはそのとおりだというふうには思いますが、ある意味で、この六十年償還ルールは財政健全化の精神を体現するものとして定着をしているものであり、市場の信認、これを維持する観点からも、こうしたルールというのは意義があるものと考えています。

高井委員 世界、一か国もやっていないんですよ。日本だけが独自にやっている理由に全然なっていないし、同じことを答えられたので、これは私もちょっと通告の仕方が悪かったかなと。いきなり財務大臣に聞いてもあれでしょうから、是非財務省にまたちゃんと通告して、しっかりこれは、なぜ日本で、唯一ですから、唯一なぜ日本だけがやっているのかということは聞きたいと思います。

 じゃ、最後に、もう一問。

 こういった、結局、財務省が財政健全化を非常に重視する。これは、でも、ある意味仕方ない。財務省はそういう役所なんです。ほかのそれぞれの役所が任務があるように、財務省の任務というのは、実は、財務省設置法第三条で、財務省は健全な財政の確保云々と、健全な財政の確保というのが一番最初に出てくるんですよ。だから財務省はそれを忠実にやっているということですけれども。

 でも、日本の予算を作る、予算編成を担う役所ですよ。財政健全化よりも、国民生活の向上とか日本経済の発展とか、そういうことをやはり第一に考えるべきじゃないですか。

 ということは、この財務省設置法に、この文言、日本経済の発展、国民生活の向上、こういうのを入れるべきだと考えますが、財務大臣、いかがですか。

井林委員長 加藤財務大臣、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

加藤国務大臣 はい。

 財務省設置法では、今御指摘のように、財務省の任務として、健全な財政の確保、適正かつ公平な課税の実現などを図ることを定めており、現在、経済あっての財政との考え方の下、様々な政策の課題に取り組んでいるところでございます。

 日本経済の発展や国民生活の向上は、財務省設置法を改正するまでもなく、経済財政運営を行う上で当然に優先すべきことと考えており、今後とも、力強く経済再生を進める中で、財政健全化も実現し、経済再生と財政健全化の両立を図っていきたいと考えています。

高井委員 まとめますが、財務省に聞いたら、ホームページに書いていますみたいな、任務として。そんなんじゃ駄目ですよ。やはり法律にきちんと書きましょう。

 是非、これは引き続き議論したいと思います。ありがとうございます。

井林委員長 次に、田村智子君。

田村(智)委員 日本共産党の田村智子です。

 インボイスについて質問いたします。

 インボイス制度が始まって二回目の確定申告が始まります。昨年度、免税業者でインボイス登録をした人は約百四万八千人とされています。これらの新規の消費税納税者は、昨年は、特例によって八割減額、また、インボイス導入後の三か月分の消費税納入でした。それでも、インボイスの影響で多くの滞納が発生したのではないかと私は危惧をしております。

 昨年八月二十九日公表の国税庁の資料によれば、消費税、国税分の新規滞納は四千三百八十三億円に上っていて、消費税、国税分が滞納全体の五五%を占めるに至っています。しかも、消費税の滞納額が前年比で二割以上増えています。

 この要因について、インボイス制度導入の影響はどうかなど、調査分析をしているでしょうか。

小宮政府参考人 お答え申し上げます。

 滞納が発生する原因につきましては、納税者個々の事業の状況や資金繰りなど様々な事情によりますため、消費税の新規滞納発生の増加とインボイス制度の導入との関係などにつきまして、確たることは申し上げられないということと考えております。

田村(智)委員 インボイスの導入によって、免税業者が大規模に課税業者になったわけですよね。しかも、このインボイスをめぐっては、本当にフリーランスの方々などが多大な影響が出るぞということを訴えておられて、国会でもこのことは審議をされていたはずなんですよ。私は、その影響を調査するというのは当然のことだというふうに思います。

 昨年は、所得税も法人税も新規滞納は減っている。その下で、なぜ消費税は新規滞納がこれほど増えたのか。大体、ぐっと増えるのは税率が上がったときなどなんですよ。税率は上がっていないですから。新たに消費税を納めることになった方々が消費税を納めることができているのかどうか、こうした実態調査もしないというのは、私は、国民生活に対して余りにも無関心が過ぎるというふうに思います。

 今年の確定申告では、丸々一年分の消費税納入が求められることになります。加藤大臣、インボイス導入による影響調査や分析ということが必要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今、インボイス制度の導入に伴う影響の話がございました。

 免税事業者から課税事業者になった、これは個人でありますけれども、個人の納税者の令和五年分の確定申告については、期限内に申告があり、かつ納税額があるものの約八十一万件のうち九三%は滞納となることなく納付されており、この割合はインボイス発行事業者全体の納付割合と変わらないものと認識をしているところでございます。

田村(智)委員 昨年、フリーランスの会がインターネットで集めたアンケートを見てみると、本当に個人事業者に大きな影響を与えていることが赤裸々に語られていますよ。だから、納税しているから大丈夫とも言えないんですよ。滞納の原因、滞納者の中にどれだけ新たな消費税納入者がいるのかとか、納めたけれどもどういう影響が出ているかとか、これは、私、経過措置を取っているうちにちゃんとした実態調査をやるべきだと思いますよ。

 このフリーランスの方々が集めたアンケート、例えば、千葉県、二十代のクリエーター。インボイスが始まってから同業者の廃業が続き、代わりに、外注先を探すという新たな業務が発生している。築き上げた関係性もリセットとなってしまった。

 あるいは、東京都、三十代のフリーランス。特例終了の納税額がかなりの金額になると予想されるので、納税のために生活を切り詰めるか、借入れをしなくてはならなくなるおそれがあります。資金をためて挑戦したかったことや将来的な希望、夢のようなものを全て諦め、廃業を視野に入れざるを得ない状況です。

 こういう声がいっぱいあるんです。

 そして、何人もの方が、国民健康保険料、保険税の負担の重さ、国民年金では老後の暮らしが成り立たないために貯蓄が必要だという個人事業者が抱える問題を指摘しておられるわけです。

 加藤大臣は、厚労大臣のときに、国民健康保険の負担の重さ、あるいは、それが滞納になっていること、これはよく御存じだというふうに思います。その上に、インボイスで消費税の納入がどれほど重いのかということなんですよ。

 加藤大臣、八割減額の経過措置が取られていても廃業が相次いでいるという指摘がある、廃業するしかないという声が起きている、このことをどう受け止めますか。

加藤国務大臣 インボイス制度については、御指摘の声も含めて、様々な声があることは承知をしております。

 国税当局においては、納税者から一括納付が困難との相談を受けた場合は、納税者の置かれた状況に配意し、親切丁寧に対応するとともに、納税者の実情などを十分に把握した上で、法令に基づき猶予制度を適切に適用することとしておると承知をしております。

 また、インボイス制度については、これまで、制度の円滑な定着に向け、課税転換者については、先ほどありましたが、売上げ時に受け取った税額の二割を納付すればよい二割特例によって各種負担を軽減するとともに、引き続き免税事業者でいる方についても、免税事業者からの仕入れについても一定割合を控除できる経過措置を設け、発注側への影響を抑えることで、免税事業者から課税転換するか否か検討する時間を十分確保する等の対応を行っているところであります。

 こうした特例等の周知に取り組むとともに、丁寧な相談対応などを通じて事業者の抱える課題などを把握し、きめ細かく対応していかなければならないと考えております。

田村(智)委員 この間の答弁と全く同じで、私は、そういう消費税の法的な仕組みだけの議論でいいのかと思うんですよ。日本の産業、経済にこのインボイス制度あるいは消費税がどういう影響を与えているのかということこそ見るべきだと思います。

 例えば、建設産業。私も直接、先日、都内で建設職人の皆さんに集まっていただいて、お話を伺いました。

 二十代から三十代で職人として独立し、自営業者として仕事をしている一人親方の場合、売上げは大体五百万円ぐらいが多いだろうということだったんです。今年の確定申告の準備はこれからになりますけれども、消費税の納税額は十万円ぐらいになるだろうというふうに推測される、物価高騰で資材や燃料費の値上がりが直撃しているところに新たに消費税の負担、これは相当に重いものとなるという訴えがありました。まして、三年後、二割特例がなくなったらどうなるんだろうか。

 今、建設産業は、担い手不足をどうするかということが喫緊の課題となっています。建設産業で働く人に収入と休日の両方を増やさないと若い世代が建設業に入ってこない。小規模の事業者ほどこの苦労は大きいわけですね。

 六十代の職人の方は、自分が職人になった時代は会社員よりも稼げるという実感があった、貯金もできる、将来への希望も持てた、今は全く逆だ、若い人が建設をやりたいと思える産業にしていこうというときに明らかに足を引っ張るのがインボイス制度ではないか、財務省は建設産業を潰すつもりかと、何人もの方がこういう怒りの声を述べておられました。

 インボイスが人手不足の産業、担い手不足の産業にもたらす影響、私はこれを直視すべきだと思いますが、大臣、どうでしょうか。

加藤国務大臣 受注側に立つ事業者の方々がインボイス制度に関連して取引上不当な取扱いを受けることがないよう、政府としては、これまでも、独占禁止法等に関する考え方を関係省庁の連名でQアンドA形式にまとめて公表し、事業者団体等に周知するほか、公正取引委員会などにおいても厳正な対応を行っているものと承知をしております。

 また、個別の業界のお話がございました。

 建設業については、国交省において、駆け込みホットラインで不適正な取引情報を受け付け、必要に応じて建設Gメンが実地調査を行って改善を求めるものと承知をしております。

 インボイス制度については、仕入れ税額控除において差し引く金額を複数税率の下でも正しく計算できるようにすることで課税の適正性を確保するために必要な制度であるというふうに考えており、引き続き、関係省庁とも緊密に連携し、各種特例等の周知に取り組むとともに、先ほども申し上げましたが、丁寧な相談対応等を通じて事業者の抱える課題等を把握し、きめ細かな対応を図っていきたいと考えています。

田村(智)委員 私、昨年、総選挙の直前まで参議院の国土交通委員会を担当しておりまして、建設業における担い手不足がいかに深刻か、政府も与野党も一致した認識で議論をして、担い手づくりの法律を全会一致で成立をさせたんですね。その議論の中でも、担い手不足は目の前の危機だということが強調されていました。

 今、大工や左官を始め建設技能者の四分の一が六十歳以上なんですね。若い職人の育成に本気で取り組むとともに、今、六十歳以上の建設業の職人の皆さんの力が不可欠なんです。そういうときに、今まで免税業者だった一人親方が、六十代、七十代でインボイスに登録して、煩雑な事務作業をして、しかも消費税納入の重い負担を覚悟して仕事を続けるだろうか。インボイスの導入が引き金となって廃業が相次いだら、町場の建設の仕事は誰が担うのかということになるんですね。住宅建設、リフォーム、バリアフリー化、災害復旧、こういう仕事です。既に、町場で一人親方、小規模事業者がいなくなっていて、除雪ができない、災害への対応が遅れるなど、地域社会に深刻な影響を与え始めています。

 今日は国交省にも来ていただきました。本来、インボイスを導入する前に、私は、省庁横断で、産業に与える影響、産業全体に与える影響を検証すべきだったと思いますが、今からでもやるべきだと思います。インボイスの導入による建設産業そのものへの影響について、国交省は何か調査をしておられますか。

堤政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、インボイス制度開始以降の建設業における取引実態を把握するため、令和五年十一月に、建設工事の取引における消費税の取扱い状況等について調査を実施しております。

 この調査によりますと、受注者である免税事業者との取引において消費税額分を引き下げた、又は取引自体を中止した旨の回答が、合わせて一割強あったところでございます。

 ただし、こうしたケースにつきましては、免税事業者からの仕入れに関する控除の経過措置がある点なども勘案して、当事者間で十分な協議がなされた場合も想定されますので、直ちに全てが問題のある取引に該当するわけではないと考えております。

 いずれにいたしましても、インボイス制度の導入を契機に一方的な形で受注者の収入が減ることのないようにすることが重要でありまして、令和六年四月には、各建設業団体に対して、当事者間で十分に協議し、適切な価格交渉と価格転嫁を行うよう改めて求めたところです。

 加えて、先ほど大臣からもありましたけれども、国土交通省では、駆け込みホットラインにおいて、建設業法違反の疑われる不適正な取引情報を受け付けておりますので、必要に応じて建設Gメンが調査を行い、改善を強く求めてまいります。

田村(智)委員 その調査はインボイスへの対応を円滑に進めるための調査でしかないですよ。しかも、その調査の中でも、例えば、一人親方が免税業者で、消費税負担分を発注する業者がかぶっている、これが負担が重いという声が出ていて、じゃ、経過措置がなくなったらどうなるのかということになるような内容も含まれているわけですね。

 これは建設業だけじゃないですね。インボイスの導入前から反対運動を広げてきたのは、声優、俳優、漫画家、アニメーター、音楽関係者などのクリエーターの皆さんです。

 石破首相は、先日の施政方針演説で、エンタメ、コンテンツ産業の海外売上高を五兆円から二十兆円にする、そのために、クリエーターの方々の育成や安心して働ける環境の整備を強力に支援すると表明された。しかし、そういう業界の皆さんが、インボイスによって若い人たちがこの産業で生きていけなくなる、エンタメ産業はどうなってしまうのかと危機感の声を上げている。

 経産省はインボイスの導入によるエンタメ業界への影響を調査していますか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 インボイス制度につきましては、経済産業省が、コンテンツ産業の関連業界団体を通じまして、会員企業に対し、不当な取引停止や価格引下げ、こうしたものを行わないように周知をしてきております。

 これまでも、インボイス制度に限らず、関連業界団体と様々な意見を交換してきておりますが、業界からの要請があれば、インボイス制度の影響につきましても、こうした場を通じまして、しっかりした声を拾ってまいりたいと思っております。

田村(智)委員 加藤大臣、今経産省から、業界から要請があれば調査したいとあった。省庁横断で、廃業などが起きていないのかどうか、私は今年の確定申告を受けて調査すべきだと思う。どうですか。

加藤国務大臣 先日も、倒産との関係等々のお話もありました。たしか東京商工リサーチにおいても、倒産した中において、廃業も入っていたかもしれませんが、滞納等があった事例、これは税全体でありましたけれども、こうした統計はありますけれども、それは、要因とは別に、別途調べた。したがって、何が引き金になっているかというのはなかなか、その辺、判明し難い、こういった事情もあるというふうに承知をしておりますし、滞納状況については、先ほど申し上げた個人の納税者の令和五年分の確定申告ではありますけれども、その全体に占める中で、インボイス発行事業者全体の納付割合と、今回新たにインボイス制度の導入に伴い免税事業者から課税事業者になった方との割合には変化がないということも申し上げたところでございます。

田村(智)委員 経過措置を本当になくすことができるのかどうか、インボイスを続けていいのか、問われていると思います。

 埼玉県議会、昨年十二月二十日、インボイスの廃止を求める意見書を採択しました。

 制度導入から一年が経過したが、小規模事業者などからは、減収や税負担の増によって経営状況が悪化したとの切実な声が上がっており、インボイスに係る租税事務が過大な負担になっているとの訴えも噴出している。さらに、本県議会が要求した負担軽減策も不十分であり、事業活動への深刻な影響は決して看過できるものではない。国においては、インボイス制度等の事業者に過度な負担を与える制度を早急に廃止することを強く要望する、こういう意見書なんです。

 この意見書は、自民党埼玉県議団が提出し、賛成多数で採択されたものです。インボイスが現実に重大な影響を与えていることを直視すれば、与野党問わず、自民党の地方議員団も危機感を持たざるを得ない、それがこの埼玉の意見書に表れていると思いますよ。

 加藤大臣、この意見書をどう受け止めますか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、一つは、受注側に立つ事業者の方々がインボイス制度に関連して取引上不当な取扱いを受けることがないよう、先ほど国交省も話がありましたが、様々な取組をしていく。

 そして、このインボイス制度そのものについては、重ねてになりますが、仕入れ税額控除において差し引く金額を複数税率の下でも正しく計算できるようにすることで課税の適正を確保する必要な制度である、このことも含めてしっかりと説明をし、また、各種特例等の周知に取り組んでいきたい、また、丁寧な相談対応も図っていきたい、かように考えています。

田村(智)委員 私は、やはり消費税そのものが本当に中小業者や小規模事業者の賃上げも阻害している、だから私たちは廃止を目指して緊急に五%をやらなきゃいけないと思っていますが、少なくとも、総選挙ではいろいろな政党に対するアンケートが行われていて、インボイス制度の廃止に賛成かを問うアンケートには、自民党はノーだと言った。廃止はできないと。公明党、日本維新の会は回答しなかった。その他の政党はインボイスの廃止は必要、こうやって総選挙でも回答をされています。是非、私はこの国会で、インボイス廃止というこの一致点でやはり議員立法を作ってですね。本当に今、八割減額で廃業が相次いでいるんですから、これがなくなったらとんでもないことになりますよ。この経過措置をやられている間にインボイスを廃止するという決断を是非超党派でやっていくことを呼びかけまして、質問を終わります。

井林委員長 以上で、大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十四日金曜日午後三時二十五分理事会、午後三時三十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十五分散会


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