衆議院

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第6号 令和7年2月28日(金曜日)

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令和七年二月二十八日(金曜日)

    午前八時三十一分開議

 出席委員

   委員長 井林 辰憲君

   理事 大野敬太郎君 理事 国光あやの君

   理事 小林 鷹之君 理事 阿久津幸彦君

   理事 稲富 修二君 理事 櫻井  周君

   理事 斎藤アレックス君 理事 田中  健君

      東  国幹君    石田 真敏君

      伊藤 達也君    上田 英俊君

      大空 幸星君    栗原  渉君

      田中 和徳君    土田  慎君

      中西 健治君    根本 幸典君

      平沼正二郎君    福原 淳嗣君

      古川 禎久君    松本 剛明君

      大西 健介君    岡田  悟君

      海江田万里君    川内 博史君

      階   猛君    末松 義規君

      宗野  創君    原口 一博君

      水沼 秀幸君    三角 創太君

      矢崎堅太郎君    萩原  佳君

      村上 智信君    岸田 光広君

      中川 宏昌君    山口 良治君

      高井 崇志君    田村 智子君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       加藤 勝信君

   外務副大臣        藤井比早之君

   財務副大臣        横山 信一君

   厚生労働副大臣      仁木 博文君

   内閣府大臣政務官     西野 太亮君

   財務大臣政務官      東  国幹君

   財務大臣政務官      土田  慎君

   会計検査院事務総局第二局長            長岡 尚志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 阿久澤 孝君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      岩成 博夫君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局政策立案総括審議官)      堀本 善雄君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    伊藤  豊君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   三浦  明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 阿向泰二郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    青木 孝徳君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    窪田  修君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           佐藤 大作君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           榊原  毅君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           武藤 憲真君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           横山 征成君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    内田 眞一君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  伊藤 達也君     大空 幸星君

  長島 昭久君     平沼正二郎君

  福原 淳嗣君     栗原  渉君

  牧島かれん君     後藤 茂之君

  江田 憲司君     宗野  創君

  山口 良治君     赤羽 一嘉君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     伊藤 達也君

  栗原  渉君     福原 淳嗣君

  平沼正二郎君     長島 昭久君

  宗野  創君     江田 憲司君

    ―――――――――――――

二月二十八日

 消費税率五%以下への引下げとインボイス制度の廃止に関する請願(安藤じゅん子君紹介)(第一五五号)

 同(西川厚志君紹介)(第一五六号)

 同(藤原規眞君紹介)(第一五七号)

 同(三角創太君紹介)(第一八六号)

 同(八幡愛君紹介)(第二八〇号)

 税の集め方の抜本的見直しに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二四六号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四八号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第二四九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二五〇号)

 同(田村智子君紹介)(第二五一号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第二五二号)

 同(本村伸子君紹介)(第二五三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

井林委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案及びこれに対する階猛君外一名提出の修正案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行副総裁内田眞一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府大臣官房審議官阿久澤孝君外十三名の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第二局長長岡尚志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。根本幸典君。

根本(幸)委員 おはようございます。自民党の根本幸典です。

 今日は、質問の機会をいただいたことに、まず感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、早速質疑の方に入りたいというふうに思います。私は、立憲民主党提出の所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、立憲民主党がまとめられた令和七年度当初予算に対する修正案を見ますと、御提案された政策実現のための財源確保策として、予算、基金の見直しで約三・八兆円を確保するとされております。

 そこで、お尋ねをいたします。

 立憲民主党の予算修正案は、恒久的な歳出増二・三兆円と減税一・五兆円、計三・八兆円に対して基金の返納などのワンショットの財源で賄う案となっており、安定財源の確保の視点が欠けると考えております。三・八兆円の安定財源をどのように確保するのか、提案者の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

大西(健)委員 おはようございます。根本委員の御質問にお答えをしたいと思います。

 根本委員御指摘のとおり、我々の示した修正案の財源はワンショットでありますから、令和八年度以降については、恒久財源を手当てする必要があると考えております。恒久財源としては、まさにこの税法の修正案の検討条項に掲げている項目について具体化を図ることにより、必要な財源を確保していきたいと考えております。

 具体的には、金融所得課税について、当面は分離課税を累進化し、将来的には総合課税へ移行することや、賃上げ促進税制のように効果が乏しいと思われる租税特別措置の廃止、法人課税を見直し、所得の高い法人に対して所得に見合う負担を求める等の方法を恒久財源確保の案として考えております。

 なおですけれども、今、予算委員会の審議も大詰めを迎えておりますけれども、自民、公明のいわゆる百六十万の壁案に必要な財源が一兆二千億円、それから、日本維新の会との間で合意した高校無償化には五千億円程度、来年度から一千億円程度の追加負担が必要になると伺っておりますけれども、与党におかれてもその恒久財源は示されているとは承知をしておりません。

 また、報道ベースでありますけれども、我々が三・八兆円の予算修正で示した歳出削減等のワンショットの財源を活用される予定であるというようなことも聞いておりますので、お互いにしっかりと恒久財源については考えてまいりたいと思います。

根本(幸)委員 続きまして、立憲民主党が提出された修正案で、防衛の財源確保措置のための税制措置の規定を削除するとしております。

 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、我が国自身の防衛力を抜本的に強化することは、待ったなしの課題であるというふうに考えております。先般の日米共同声明では、現行の国家防衛戦略に基づき、日本の防衛力の抜本的強化への揺るぎないコミットメントを表明したところであります。ここで税制措置を削除し、安定財源の確保に向けた姿勢が揺らぐようなことがあれば、国際的コミットメントや日本の防衛力に対する国際的信認に傷がつくことにもなりかねません。

 厳しさが増す国際環境の中で、どのように防衛力を強化し、必要となる防衛財源を確保するのか、提案者の御見解をお伺いをしたいというふうに思います。

大西(健)委員 根本委員から、防衛力強化とその財源について御質問いただきました。

 度々申し上げておりますけれども、現下の厳しさを増す国際環境に対して我が国の防衛力強化が必要であることについては、我々も認識を一にしております。

 我が党は、二〇二二年の十二月二十日に、外交・安全保障戦略の方向性と題する文書を取りまとめ、公表させていただきましたが、その中でも明示的に、防衛力強化の必要性を主張しております。また、当該文書の中では、具体的な防衛力強化策として、ミサイル防空能力の強化、自衛隊の継戦能力強化等を挙げております。したがって、我々としても、必要な金額を積み上げた結果としての防衛費増を否定するものでは全くありません。

 しかし、現状は、そもそも、前提となる総額四十三兆円規模の巨額の防衛費自体が数字ありきで、まさにどのように防衛力を強化すべきなのか、詳細な積み上げについて十分な説明がなされているとは思っておりません。そのため、国民からすれば、なぜ必要なのか分からないままに負担を求められる状況となっているわけであります。

 我々としては、こうした理由から防衛増税に反対しているわけでありますので、財源の議論の大前提として、必要な防衛力の詳細について議論ができるよう政府・与党にも御協力をお願いしているところであります。

根本(幸)委員 続きまして、今度は、揮発油税及び地方揮発油税の当分の間税率の廃止についてお伺いをしたいというふうに思います。

 揮発油税等の当分の間税率は、旧民主党政権の平成二十二年度税制改正において、非常に厳しい財政事情、地球温暖化対策の観点も踏まえ、引き続き税率水準を維持することとされたという経緯があります。こうした経緯や、道路やインフラの老朽化、維持管理などの費用を見通し、我が国の財政状況を踏まえれば、将来に安定的な財源を確保することが大前提と考えています。

 御党の提案では、当分の間税率廃止による減収分を基金の見直しなど単年度の財源で賄うこととされていますが、道路のインフラの老朽化、維持管理などに必要な費用も見据え、来年度以降、どのように財源確保を行うのか、具体的にお答えください。

 また、地球温暖化対策の観点からは、欧州各国では、一九九〇年前後からガソリン等に係る税率を大幅に引き上げています。物価に苦しむ国民のことを考えれば、欧州諸国のような増税は考えられませんが、一方で、当分の間税率を廃止して価格を引き下げることは、こうした動きに逆行することとなるのではないでしょうか。提案者の御見解を求めます。

大西(健)委員 根本委員から二つ御質問いただいたと思っております。一つは、道路インフラの老朽化、維持管理などに必要な財源をどのように賄っていくのかということ、それからもう一つは、ガソリン暫定税率の廃止と地球温暖化対策との関係について御質問いただきました。

 まず、道路インフラ老朽化の維持管理に必要な財源でありますけれども、先ほどの答弁の繰り返しにもなりますけれども、我々も、令和八年度以降については、ワンショットの財源だけではなくて恒久財源の手当てを考えていく必要があると考えており、具体的には、この税法修正案の検討条項で掲げている、応能負担を求める税制改正や、不合理な税制の見直し等に取り組むことによって必要な財源を確保していきたいと考えております。

 なお、委員が御指摘をされたように、埼玉県八潮市の道路陥没事故の例を挙げるまでもなく、高度成長期に整備され、老朽化が進んだインフラの維持管理の費用、これをしっかり確保していくことは大変重要なことだというふうに考えております。

 しかし、委員、誤解があると思われますのは、揮発油税及び地方揮発油税は、道路特定財源ではなくて、既に一般財源化されておりますので、財源につきましては、既に申し上げました税制改正を実行することに加えて、徹底した歳出改革により不効率な予算を真に必要な予算に振り向けるなど、予算全体の中で考えていくべきだと認識しております。

 なお、昨年十二月十一日には、御党と公明党、国民民主党の幹事長間で合意がなされ、ガソリン暫定税率については廃止をすることが確認をされていると承知をしております。したがって、御指摘をいただいた御懸念については、これは、御党も含めて全体でこの財源について責任を持って対応していかなければならない問題だというふうに考えております。

 地球温暖化対策との関係でありますけれども、現在、根本委員も御指摘のとおり、物価高に苦しむ国民生活を考えれば、これ以上国民に負担をお願いするというのはなかなか難しいのではないかと思っております。

 また、現在、自動車産業は百年に一度と言われる大変革期を迎えておりますけれども、政府は、エネルギー基本計画において、二〇三五年までに乗用車の新車販売を全てEV化するということにしておりますけれども、EV化が進展すれば、今後、ガソリン販売量は先細りをして、揮発油税等の税収も大幅に落ち込むことが将来的には予想されます。

 この点、まさに、令和六年度の自民党税制改正大綱では、自動車関係諸税の見直しについては、日本の自動車戦略やインフラ整備の長期展望を踏まえるとともに、二〇五〇年カーボンニュートラル目標の実現に積極的に貢献するものでなければならないとしております。次のエコカー減税の期限到来時、つまりは二〇二五年の末でありますけれども、それまでに検討を進めるとしております。

 私は、委員御指摘の地球温暖化対策の観点も含めて、自動車関係諸税については、当分の間税率廃止にとどまらない、簡素化、ユーザー負担の軽減に向けた抜本改革が必要と考えております。

 また、繰り返しになりますが、御党としても、ガソリン暫定税率を廃止するという立場であると承知しておりますので、その点については一緒に考えさせていただきたいと思います。

根本(幸)委員 ありがとうございました。

 大西先生の方から、当分の間税率含めて、特定財源ではない、そのことを私は誤解しているということをおっしゃっていましたが、決してそうではなくて、言い方としては、捉えということで、全体の数字の中でこの分も入っている、こういう認識で質問をしておりますので、決して誤解をしているわけでないということは私の方から申し上げたいと思いますし、また、大西先生と私のところは、来月、道路が全線開通、二十三号バイパス、するわけでありまして、そういう意味では、きっちりと道路、インフラ整備をしていくということはやはり重要なことだというふうに思っていますので、そういう意味では、この辺りの安定財源をしっかり確保していくという意味では、私は極めて重要な案件だというふうに思っていますので、その辺りは申し述べさせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、先ほどまた大西先生からありました、検討条項、これが安定財源につながっていくんだ、こういう御答弁がありましたので、この検討条項に関してお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 提出された修正案では、検討項目として七点が挙げられており、令和八年からの適用可能とされておりますが、まず、こうした検討条項を提案している御趣旨をお伺いをいたします。先ほど申し上げましたように、予算修正案で提示されている財源確保策は安定財源の視点に欠けると考えておりますが、これらの検討条項の見直しによって安定財源が確保される、こういう趣旨を改めて聞きたいというふうに思います。

階委員 御質問いただき、ありがとうございます。

 今、根本委員から御指摘ありましたとおり、また、大西委員からも先ほど答弁ありましたとおり、我々が今回の予算の修正案で掲げている政策項目を実現する上で必要な恒久財源を確保するという目的も一つあります。ただ、それだけにとどまる修正案ではないということも申し上げたいと思います。私どもの税法の修正案は、税への納得と信頼を取り戻し、能力に見合った負担をという基本的な考え方に基づくものです。七つの検討条項については、その中の能力に見合った負担という部分に対応するものであります。

 現在の日本の状況を勘案すれば、社会の格差や分断を防ぎつつ、財政の持続可能性を確保する必要性があることは誰しも認めるところかと思います。そのために、個々人あるいは個々の企業、団体、それぞれの負担能力に応じ、負担能力の乏しい方には税を軽減し、負担能力が認められる方にはそれに見合った御負担をいただく必要があると考えます。そうした観点から、我が党として、現時点で特に必要性が高いと判断した七つの項目を取り上げた次第です。

 なお、新たな税負担を求めるに当たっては、税制度への納得と信頼を取り戻すことが先決です。そこで、広く国民の納得が得られていない防衛増税や先ほどの暫定税率、これは取りやめることとします。さらに、裏金問題で失われた税制度への信頼を取り戻すため、租特による減税の適用上位先の公表、並びに、納税者に適正手続を保障するための納税者権利憲章の制定を行いたいと考えております。

 まずはこれらのことを行った上で、七つの検討事項について、実務上支障が生じないような制度の詳細を詰めて、そして、令和八年度の税制改正法において必要な措置を取るということを考えております。

 以上です。

根本(幸)委員 それでは、検討条項のうち、まず、1の金融所得課税について具体的にお伺いをしていきたいというふうに思います。

 御提案の金融所得課税の累進化や将来的な総合課税化については、一定以上の高額所得を有する者に実効税率が低位である問題、いわゆる一億円の壁の問題への対応として、課税の公平性を確保する観点から御提案いただいています。

 いわゆる一億円の壁の問題への対応や課税の公平性の確保が必要という点については問題意識を共有しており、今年から極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置を適用することとし、一部の高所得者については申告と追加的な税負担をお願いすることとしています。

 一方で、足下では物価上昇が続いており、こうしたインフレの下では預貯金は資産価値が目減りしていきます。このため、国民の資産形成の観点からは、貯蓄から投資への流れを一層加速させることが重要であり、一般の投資家が投資をしやすい環境を整備することが何より重要であるというふうに考えております。

 現在は、金融所得については分離課税と一律二〇%の税率としているため、所得の合計額の計算をせずとも税率が確定するため、納税者の選択により、証券会社による源泉徴収で納税が完了し、確定申告しないでも済むという簡便な制度の利用が可能となっております。

 こうした中で、もし御提案のような金融所得課税の累進課税化を導入するためには、納税者の金融所得の合計額を一人一人確認することが必要となりますが、どのように実現するというふうにお考えなのか。仮に、米国や英国の金融所得に累進課税を導入している国のように、金融所得がある方全員に確定申告を義務づけるというのであれば、これは相当な事務負担になり、貯蓄から投資への流れに水を差してしまうのではないかと懸念をします。提案者のお考えをお伺いしたいというふうに思います。

階委員 御質問ありがとうございます。

 先日の当委員会でも議論されたことかと思います。確かに、累進税を導入することによって、その累進税が導入された方々については申告納税が必要となってくるという問題が生じるかと思います。

 ただ、そもそもこれを何のためにやるかといいますと、まさに委員の御指摘の一億円の壁を解決するためにやるわけですから、中間層の資産形成を阻害する意図は毛頭ありません。したがって、一億円の壁を是正するのに必要な高所得者の方々の部分について金融所得課税を累進化していくということですから、申告納税の義務が発生するのも、おのずから高所得者の人に限られてくるということであります。

 この点、現在でも、相続税においては基礎控除額以下であれば申告が不要となっておりまして、一定の所得額以下の場合は、これからも、累進課税を導入したとしても申告納税は不要だというふうに考えますので、事務負担は非常に限られた範囲でしか生じないということで、中間層の資産形成などを阻害するおそれはないというふうに考えております。

根本(幸)委員 それでは、続いて、現在は預金利子についても分離課税、一律二〇%の税率としており、源泉徴収で完結する仕組みとなっております。この預金利子についても累進課税を導入するおつもりなのでしょうか。仮に導入する場合、高齢者を含め相当な事務負担になると思います。逆に、他の金融所得には累進課税を導入する一方で預金利子だけ一律二〇%を維持する場合は、高所得者に預貯金を推奨することになりかねません。

 預金利子についても累進課税を導入するつもりなのか、提案者のお考えをお伺いしたいというふうに思います。

階委員 金融所得の中には預金利子も含まれるという認識ですので、当然、累進課税の対象となる方については累進課税が課されるということになります。

 ただ、事務が煩雑になるかという点については、先ほど答弁したとおりでありまして、あくまでも一定の所得以上の方々に累進税を導入しますので、御高齢の方々、大抵はそれほどの金融所得がない方だと思いますので、そうした方々について新たに事務負担が発生するということはないと考えております。

根本(幸)委員 続きまして、4のいわゆる賃上げ促進税制の廃止についてお伺いをしたいというふうに思います。

 賃上げ促進税制は、最新の適用実績では、適用件数は、大企業が五千三百件、中小企業が約二十五万件、適用額は、大企業が約三千三百億円、中小企業が約三千九百億円となっております。昨年の賃上げ率は三十三年ぶりの高水準となる五・三%になった一方で、賃上げ率には企業規模、業種、地域でばらつきがあるのも実態であります。

 賃上げ促進税制の廃止で財源を捻出するとのことですが、現行制度では大企業向け、中堅企業向け、中小企業向けと利用者ごとに制度を設けられておりますが、そのいずれをも廃止する、このようにお考えでしょうか。お伺いします。

階委員 特に企業規模によって差を設けることは考えておりませんので、大企業に限らず、中小企業、中堅企業含めて廃止ということを考えております。

根本(幸)委員 特に中小企業においてはどういうふうに賃上げをしていくのか。まさに賃上げ税制が後ろからしっかり押すことによって中小企業の賃上げを進めることができるというふうに思いますので、全企業ということになるとなかなか、これからの賃上げを進めるという意味では大変厳しいのではないのかなというふうに思います。

 それでは、続いて、5として、教育に関する経済的負担の軽減に関する施策に充てるため、所得の高い法人にその所得に見合う税負担を求めるとされておりますが、法人の税負担をどのように見直し、それによってどの程度の財源を確保される見込みでしょうか。具体的なお考えをお伺いしたいというふうに思います。

階委員 その前に、ちょっと先ほどの答弁、委員からの御指摘もありましたので、中小企業の賃上げにマイナスではないかというお話もありましたので、そこについて補足させてください。

 まず、賃上げ促進税制、中小企業含めて、委員も御指摘のとおり、七千億以上減税が生じているわけですね。それのコストに見合うだけの賃上げ促進効果があるのかどうかということを問題にしているわけですが、この賃上げ促進税制の恩恵を受けるのは、収益力が高くて法人税をたくさん納めているような企業です。そのような企業は、このような制度がなくても、昨今の人手不足とか物価高の背景の下で人材確保のために自ら賃上げを進めることはできるというふうに考えています。また、そうせざるを得ないというふうにも思っております。

 ちなみに、二十六日、予算委員会で、同僚の井坂議員が東京商工リサーチのアンケート結果を取り上げていたんですが、賃上げを予定している企業の理由としては、社員が辞めるのを防ぐためというのが七八%、物価高への対応が七二%、新規採用をうまくやるためというのは五〇%であるのに対し、税の優遇措置があることを理由に挙げたのは五%弱だったということであります。

 それにもかかわらず七千億以上の減税をここにすることというのは、余りコストパフォーマンスとしてよくないのではないかと思っております。

 特に中小企業におきましては、赤字企業は七割と言われておりまして、この七割の企業にとっては減税というのは意味がないわけですね、そもそも法人税を納めていないわけですから。むしろ、こうした収益力が相対的に低くて、赤字企業など法人税を納められていない企業にとっては、賃上げ促進税制よりも、我々は、正社員を雇用した場合に社会保険料負担を軽減するというやり方でもって正規社員を増やして、生産性を高め、賃金を上げやすくするという方法の方が合理的であり、それに要する費用は年間二百六十億と試算しておりますけれども、はるかにコストパフォーマンスが高いというふうに考えております。

 以上補足させていただいた上で、法人税の負担、これをどのように見直していくのかということなんです。

 これは、防衛特別法人税を削除ということを先ほど大西委員の方も議論させていただきましたが、防衛特別法人税、これをなくすることによって、大体七千七百十億円、平年度で財源が不要になってくるというふうに言われております。この同額程度を同じようなスキームで法人の皆さんに御負担いただくということなどを行えば、子供たちの教育に資する部分に財源が確保できる。我が党の予算の修正案では、教育関係では合計で八千六百億円ぐらい計上しておりますけれども、この部分に、大半、この防衛特別法人税の部分を同じスキームで充てることによって賄い得るのではないかというふうに考えております。

 以上です。

根本(幸)委員 それでは、最後に、7の相続税、贈与税の累進化強化についてお伺いをしたいというふうに思います。

 経済のストック化が進む中で、資産再分配の重要性はますます高まっており、税制改正において基礎控除の引下げや最高税率の引上げを通じて相続税、贈与税の機能を高めてきた結果、死亡者に占める課税件数割合は、最新の実績で九・九%と、十件中一件が相続税に関わるという身近な税金へと変化してきております。

 こうした中で、給付行政において資産状況が現状考慮されにくいという難点を埋めるための相続税、贈与税の累進性強化という御党の御提案でありますが、具体的にどのような層の方々にどのような方法で累進性を強化すべきと考えておられるのか、御見解をお伺いしたいというふうに思います。

階委員 お答えいたします。

 今委員がお示しになったとおり、相続税制については、平成二十五年度ですか、改正されまして、以来、相続税をお支払いになる方の割合は約倍ぐらいになっているということなんですが、一方で、負担割合といいまして、各年の納付税額を合計課税価格で割ったものというデータがあるんですね。要は、相続財産の担税力といいますか、それに比して納付税額がどれぐらいになっているかという数値も私の手元に、これは調査室のデータとしてあるんですが、これがそれほど変わっていないということなんですね。

 どういうことかといいますと、負担する人は増えているんだけれども、その人たちが納める税額についてはそれほど増えていないということですから、やはり、多くの相続財産を相続した方についてはもっと負担を増やしてもいいのではないかというふうに考えております。

 先般、水沼委員の御質問に対して、仮に、相続税率、今八段階ありますけれども、それをそれぞれ五%ポイントずつ引き上げた場合は、相続税、贈与税合わせて七千億ぐらい増収になるというような政府答弁がありました。

 この五%ずつ引き上げるということは、これは現在の相続税率を一律、パラレルに引き上げるということなので累進性の強化ということではないと思うんですが、我々としましては、先ほど言った応能負担という観点から、低い税率の方々についてはそれほど上げる必要はないと思っておりますが、より高い税率の方々、過去には最高税率七〇%という時代もありましたが、今は五五%だったと思います。そうしたところを見直していくことによって、七千億になるのか、あるいはそれを上回るのか、その辺りはこれからよく検討した上で、累進性強化のための相続税の見直しということをやっていきたいと思っております。

根本(幸)委員 時間が参りましたが、様々な点について御答弁をいただきましたが、立憲民主党提出の修正案は、防衛力強化に係る財源確保のための租税措置に係る規定の削除や、当分の間税率の廃止など、現下の国や地方の財政上極めて重要な財政確保措置を停止又は廃止する一方で、検討項目はいずれも具体的な内容を伴わず、その検討は十分ではないと受け止めております。多くの問題があると申し上げ、私の質疑を終わらせていただきます。

井林委員長 次に、原口一博君。

原口委員 おはようございます。立憲民主党の原口一博です。

 まず、立憲民主党の修正案ですけれども、この三・八兆円はまだスタートであるということで、この後、基金の話をしますけれども、階さんの下で、私たちは、政権のときに思い切った行政仕分をやりました。だから、今回出しているのはまだスタートだ、そして、アメリカのDOGEと同様の、私たちは、今の政権、特にこれは岸田政権が顕著だったんですが、基金とそれから予備費、これの濫用、これにしっかりと踏み込んでいくことを申し上げて、まず、日銀。

 先ほど恒久財源という話があったので、それだったら、今日、日銀副総裁それから理事にも来ていただいていますが、今回、当座預金に〇・五の付利をしましたね、〇・二五から〇・五に。このことによって、日銀の国庫納付金は幾ら減少しますか。

窪田政府参考人 お答えいたします。

 令和七年度予算において日銀の国庫納付金を計上するに当たりまして、当座預金への支払い利息は一・二兆円としておりますが、付利金利が〇・二五%から〇・五%と二倍になったことをもって機械的に計算すれば、費用である利息も約二倍となると考えられます。また、日銀総裁は、予算委員会の場で、その影響を一兆円強というふうに御答弁されておられます。

原口委員 ということは、一兆円穴が空いているわけじゃないですか。どうするんですか、恒久財源。今修正すべきじゃないんですか。(発言する者あり)いや、恒久財源と言っているからにおいては、目の前の財源も減っているでしょうと言っているんです。やじるな。

 〇・五%に付利金利を上げた背景、副総裁、今日来ていただいていると思いますが、よろしくお願いします。

内田参考人 お答え申し上げます。

 日本銀行の当座預金に対する付利でございますけれども、短期市場において政策金利の誘導目標を実現するために行っているものでございます。仮に付利を行わない場合には、金融機関はその超過準備を金融市場に放出するということになりますので、その場合、短期金利が低下しまして、政策金利の誘導目標が実現できないということになってしまいます。

 こうした付利の扱いにつきましては、米国、欧州、それから英国を始めとする海外の中央銀行でも同様に行われているというふうに認識しております。

原口委員 内田副総裁の論文を幾つか読んできました。国際連携と流動性の確保と、極めてバランスの取れたことをお話しになっていますね。共感する部分が多いということを申し上げた上で、じゃ、日銀として、今、民のかまどから煙が上がっていると思っておられるのか。

 そして、日銀のバランスシート、今回付利をする四百六十兆、これは国債を買い込んだそのバランスの逆側ですよね。これは先行きをどのようにしていこうと考えておられるのか。今このバランスシートを急激に減らしてしまうと、市場からはお金を吸い上げることにもなりかねないんじゃないかと思うんですが、副総裁の基本的な認識を伺いたいと思います。

内田参考人 お答え申し上げます。

 まず、利上げの背景となった経済、物価情勢ということでございますけれども、我が国の経済、引き続き一部に弱めの動きも見られるというふうに認識しておりますが、緩やかに回復しております。その下で、賃金が上昇しておりますので、人件費あるいは物流費等の上昇を販売価格に展開する動きというのも広がっておりまして、基調的な物価上昇率は、二%の物価目標に向けて徐々に高まってきているというふうに考えております。こうした状況を踏まえまして、二%の持続的、安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整しているということでございます。

 その上で、バランスシートの先行きという御質問でございますけれども、この点につきましては、バランスシートの資産側で大きな比率を占めておりますのは国債でございますので、国債買入れにつきまして、昨年の七月に減額の方針、減額計画を決定しております。それに従いまして、フローの買入れ額を段階的に減額しているところでございます。

 これは、買入れの際の残存期間にもよりますので、多少の振れということは起きるとは思いますけれども、現行計画のとおり、今、来年の三月を一応終期としておりますが、このとおりやった場合におきましては、国債保有残高が、開始時点の昨年の七月から比べまして、おおよそ七、八%減少するというものと予想しております。

 私どもの国債買入れの効果は、主としてストック効果、つまり保有している残高に伴う効果と考えられますので、引き続き強い金融緩和の効果を持っているというふうに考えております。

原口委員 ありがとうございます。

 過去三十年の政策を見ると、欧米は大体インフレなんですよ。インフレの国の政策をデフレの国に入れてどつぼになっている、この繰り返しだった。内田副総裁の論文を読むとそんなことはなさらないと思いますが、是非慎重な運営をお願いをしたいと思います。

 そこで、今日のテーマである基金、べらぼうな基金の使い方をやっていると思うので、財務大臣、所管ではないですけれども、財政の運営規律という観点から。

 そもそも基金シートというのは何のためにあるんですかね。よろしくお願いします。

加藤国務大臣 行政事業レビューの基金シート、これは例年九月に公表されております。

 毎年の予算編成過程において、シートには、執行の状況、アウトカム、外部有識者の所見などいろいろな記載がございますが、それらを参考に、基金の必要性、これを議論させていただいているところでございます。

原口委員 所管外なのにお答えいただいてありがとうございます。

 まさに、おっしゃったとおり、基金の必要性、あるいはそれが本当に目的にかなったものなのか、チェックのためにあるわけですね。

 ところが、これを御覧になってください。

 これは我が党の藤岡議員もそれから岡本議員も取り上げたんですが、ワクチン生産体制緊急整備基金、さっき、大西提案者の方から、五千億とか、そういう今の与野党の協議のお話をしましたけれども、これはもっと大きなお金ですよ。七千八百五十二億、これを使い切るというわけです。

 そこで、厚労副大臣に聞きますが、過去の基金シートの中に接種という言葉はついていますか。ありますか。

仁木副大臣 原口委員にお答えします。

 過去を含めまして、今回の基金の方には書いております。

原口委員 いや、過去を聞いたわけです。接種という言葉は基金シートにはどこにもないですよ。今、答弁を間違えましたよ。

井林委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

井林委員長 速記を起こしてください。

 仁木厚労副大臣。

仁木副大臣 申し訳ないですが、今の私の発言は今回の事業に関してはあるということでございますが、過去の基金シートに関してはちょっと今調べておきますので、またお願いします。

原口委員 ちょっと許し難い。これは何回も、昨日も問取りミスしているんですよ。適当に聞いているからこうなるので、これは肝ですからね。

 今、財務大臣がおっしゃったじゃないですか、基金をちゃんとチェックできるかどうかと。その中に入っているか入っていないかも知らないであなた方はこれを提案しているんですか。

 これは、答えを言いますよ、接種という文言は一言も入っていないです、令和六年までも、当初のやつも。違いますか。

仁木副大臣 今、再度チェックしまして、この成果目標の中には、希望する全ての国民が接種という、受けることができる量の新型コロナワクチンを確保するという文言はあります。

原口委員 接種という言葉はないんですよ、それから地方という言葉もないんです、目的のところで聞いているんですよ。これは、ワクチン、あくまで生産体制なんです。いいですか。

 本来だったらこれを、財務大臣、基金が余ったら、その余ったものはどうしなければいけませんか。

加藤国務大臣 一般論として答弁させていただきますけれども、基金について、それぞれ先ほど申し上げた精査をさせていただいて、そして、使う見込みがなければ不用という形で国庫に対して編入、ちょっと言葉が正確じゃないかもしれませんが、繰り戻していただく、こういうことになると思います。

原口委員 そうなんです。これは令和五年で終わっているから、本来だったら国庫に戻さなきゃいけない。今財務大臣がおっしゃったのが答えなんです。

 じゃ、次、聞きますよ。地方という言葉がどこかにありますか。

仁木副大臣 お答えします。

 ないです。

原口委員 でしょう。

 しかし、これは前回も出しましたけれども、御覧になってください、この基金を地方の接種の助成金に使っているじゃないですか。

 本来これは国会議員として怒らなきゃいけないんですよ。本来だったら、補正予算を出し直して、この基金は一回、財務大臣がおっしゃったように国庫に戻して、新たに別の基金をつくるならつくってもいいけれども、それをやらなきゃいけないんじゃないですか。

 これは基金の流用じゃないんですか、基金スキームの。

仁木副大臣 お答えします。

 予防接種事業そのものが、国が策定した施策を基に、そして予算も確保しながら、接種主体は自治体、地方でございまして、今回の事業に関しましても、新型コロナワクチン定期接種の自治体助成事業は、国民の保健衛生の向上に寄与するという基金の要綱等の事業目的の範囲内で実施しているものと理解しております。

原口委員 副大臣、大丈夫ですか。そんなのをやったら、最初に財務大臣がおっしゃったじゃないですか、基金シートは何のためにやっているかと。こうやって目的外に使ったり野方図なことをやっちゃいけないからやっているわけです。ああ、そんな認識なんですね。驚いた。

 それで、次のページを御覧になってください。これが我が党の藤岡議員が追及したものですね。実際にはこんなにかからないんですよ。今あなたがおっしゃったことを、千歩下がって、万歩下がって本当だとしても、六百五十二億ぐらいしかかからない。

 ところが、何をやったかというと、一番目に戻ってください、各メーカーが、いや、今までの三千二百六十円でやれません、四倍にしてくれませんかと去年の冬に言った。おととしだな、今からいうと。

 そして、この上側を見てください、資料一の。二〇二四年、令和六年三月十五日、つまり一年ぐらい前に、私たちにはこの下のスキームで予算を、これでいいですかと言いながら、自治体にはこの基金スキームを変えて、実はメーカーが四倍ぐらいのお金が必要だと言っているから一本当たり八千三百円増やしますよとやっているんです。こんな国会無視のあれがありますか。とんでもないことだというふうに思うんです。

 そして、今日は厚労省からも来られているので。

 この間、じゃ、一本当たり幾らなんだということで、この場で答弁をもらいましたね。何とこれ、価格がそろっちゃっているじゃないですか。モデルナ、一万二千円台、これは資料五です、モデルナが一万二千十九円、これは前回のこの財務金融委員会で答弁なさった数字です。だからもう答弁は求めません。第一三共、一万一千九百九十円。武田薬品工業社は一万一千九百九十円。MeijiSeikaファルマは一万八百九十円。価格、そろっているじゃないですか。

 これはカルテルですか、いや、厚労省が介在した官製談合じゃないんですかと昨日の予算委員会で質問したら、厚労大臣は、いやいや、違います、厚労省は関わっていません、これは勝手にメーカーが価格を決めたものですという答弁でした。副大臣、それでいいですか。

仁木副大臣 そちらの質問に関しましては、そうでございます。

原口委員 ということは公取の出番ですね。この間も公正取引委員会から来られて、委員長が本当にお手本のような答弁をなさいました。一般論で結構です、こうして市場で、市場原理を外して、お互いが話し合ったようにして価格がそろうこと、それを何と言うのかと。この間御答弁いただきました。

 そして、新たなことが分かったんですね。

 じゃ、これを厚労大臣に聞くと、いやいや、単にワクチンメーカーの利益だけじゃありませんよ、中には、さっき仁木副大臣がおっしゃったように、開発企業の実証とかそういったものも入っていますよと。私もそうかなと思っていたら、一番最後の資料を御覧になってください。これは財務大臣も御覧になってくださいね。私に来た資料で分かったんです。MeijiSeikaファルマが私にくれた文書です。

 見込んでいた令和六年十一月末日時点の、原告というのは、私、訴えられているんだ、MeijiSeikaファルマの売上げを百四億九千万円で見込んでいた、同時点の原告製品による利益が約五十七億円というわけです。すごくないですか。今どき、財務大臣、百四億の売上げで利益が五十七億。つまり、厚労省がこうやって上げたもの、一本当たり八千三百円というのは丸々メーカーの利益になっているんじゃないですか。

 そこで、公取に聞きます。

 これは一般論で結構です。お互いにこうやって自分たちの利益のために話し合って、そして市場の価格をゆがめることを何と言いますか、公取。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 独占禁止法におきましては、複数の事業者が相互に連絡を取り合って、本来、各事業者が自主的に決めるべきである価格を共同で取り決めて競争を自主的に制限することを不当な取引制限というふうに呼んでおりまして、禁止をしているところでございます。

 したがって、事業者が相互に通じ合って価格を取り決めるといった場合には、いわゆる価格カルテルということで、独占禁止法上問題になるというところでございます。

原口委員 今日は法務省刑事局にも来ていただいています。法務省、生命財産に関わるものを、政策をゆがめて、そして国民に被害を与える、あるいは、この後言いますけれども、これはもう五類ですから風邪ですよね。何で重症化予防効果とかをやって、定期接種をやっているんですか。要らないんだと思うんだけれども。

 財務大臣にも、ちょっと今のと別件でお願いがあります。昨日もお願いしたんですが、法務省、検察。検察官のなり手というのは今すごく厳しくなっています。というのは、犯罪が広域化、組織化、凶悪化する。確かに検察は大きな権力を持っているけれども、しかし、一人一人の検察官をやはり強く守る、そういうことが必要だと思います。

 ちょっと、法のところに行く前に、財務大臣、国務大臣として、要するに、社会の秩序や正義を守る人たちを強く守る、そのことを閣僚懇でも伝えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まさに司法の機能を担う重要な担い手の一人というか一つの要素だというふうに思っておりますので、検察のみならず、司法がしっかりと機能を果たしていくこと、我が国は、立法、司法、行政という三権分立の仕組みを持っている、それが機能していくためにも大変大事だと思っております。

 ちょっと御指摘の点が、どうやって守るかというところがあると思いますが、私どもの立場でいえば、必要な財政措置、これをしっかり対応していく、そういった意味では心がけていきたいと思っています。

原口委員 ありがとうございます。

 やはり、守る人たちを強く守る、これは自衛官もそうですし、消防もそうです。一人一人、家に帰れば、私ごとで恐縮ですが、義理の父が副検事でした。しかも北九州の、目の前にいるのは反社です、バズーカ砲まで持っているような。非常に厳しい晩年を送りました。是非、閣僚懇でも御議論いただければと思います。

 さて、もう一回こっちに戻ると、資料四を御覧になってください。

 もう四年もワクチンを打ち続けているのに、常に、重大な懸念は見られないと言うわけですね。じゃ、いつになったら重大な懸念が見られるんですか。過去、小児に対するワクチンで、二例でも死亡例が出たら止まった例がある。だけれども、もう何百人、何千人と死亡例が出ている。

 この四ページは、今回のMeijiSeikaファルマ、コスタイベの死亡事例の人数と事象名です。いや、おかしいなと思ったんですね。十二月二十六日、報告受付日、ここでPMDAが発表しているんですね。ところが、厚労副大臣、この方々がいつ亡くなられたかというのを教えてくださいと言ったら、それは分からぬと言うわけです、分からぬと。

 八ページ、御覧になってください。一例目、八十八歳男性、誤嚥性肺炎、死亡日不明。二例目、七十歳男性、死亡日不明。

 財務大臣も厚労大臣をされていましたから、あのカリコさんは何でノーベル賞をもらったかというと、メッセンジャーRNAが長く安定的に体の中に続くということで取られたんだと思うんです。ところが、因果関係は短く見ているわけです。

 そこで、厚労省に聞きますが、皆さんは当初とんでもないことをやったんですよね。とんでもないことをやったというのは何かというと、感染予防効果を水増ししたんですよ。これは事実として認めてください。

 感染予防効果をどうやって水増ししたかというと、本当は接種しているのに、接種している人の中のいつ打ったかが不明の人を、接種日不明の人を未接種に入れて、その人たちの感染をカウントしたんです。これは事実ですね、副大臣。

仁木副大臣 まず、感染効果を水増ししたというその意図は全くございません。

 この経緯は、原口委員にもこの間御説明しましたけれども、未記入の場合であったとしても、問診票におきまして、それを接種履歴なしというふうに集計して、それを公表したというのがございました。

 それで、これは、統計学的ないわゆる有効性に関するまた数値の検討もしなければいけないとは思いますが、冒頭申し上げたような形で、接種の、原口委員が御指摘したような意図は全くございません。

原口委員 だって、接種した人を未接種に入れたら、それは意図はそういうふうに思いますよ。いや、私、人を傷つけたけれども傷つける意図はありませんでしたと言っているだけじゃないですか。

 その後、大々的に発表しましたか。だから、ここにいらっしゃる皆さんの中には、まだ感染予防効果がいっぱいあると思っている人が。その後、厚労省は口をつぐんだんです。ひどいやり方じゃないですか。どうして意図がなかったと分かるんですか。

 それと、副大臣、昨日厚労大臣は、ワクチンの値段、よその国も一万一千六百円程度だとおっしゃいましたよ。これは聞いたことがない。一万一千六百円程度の国を教えてください。そして、まだワクチンを接種している国を教えてください。

仁木副大臣 まず、二か国ですけれども、米国、英国、それぞれ今二か国の例を例示しますが、ファイザー社が、米国においては、日本円、これは百五十二円に換算しまして一万二千三百二・八円、モデルナ社が一万一千八百九十八・五円、ノババックス社が九千四百三十一・六円です。英国においては、ファイザー社が一万二千三百五十二円、そしてモデルナ社が一万三千三百十七円となっております。

原口委員 今、アメリカでは逆でしょう。トランプさんがワクチンを強制している学校についての連邦の資金を止めていますよ。そして、新しく保健庁長官になったRFKジュニアさんは、世界に向けてこの危険性を訴えているはずです。今度、イーロン・マスクさんが日本に来るということで、彼とも話し。

 もう非常に心配しているんですね。昨日、謎の日本人の大量死と。昨日、死亡統計が出ましたね。一年間で、去年一年で何百万人亡くなっていますか。それから、出生は幾らですか。過去最低だったと思うんですね。出生は七十二万、そして死亡は百六十一万ですよ。

 この数字、事務方でいいですから、正しいですか。昨日皆さんが発表した数字です。

佐々木政府参考人 委員御指摘の数字でございますが、恐縮ですが、手元の数字では正確な数字は持っておりませんが、委員御指摘の数字であったと私は記憶はしております。

原口委員 まあ、昨日のことですからね。

 それで、謎の大量死。今、各都道府県あるいは市町村、調べてみると、大体去年よりも一〇%ぐらいたくさん人が亡くなっています。今年の、二〇二五年の一月は、もう今までにないように亡くなっているんです。これは原因を究明すべきじゃないですか。

 これは、原因を究明すべきだと言うと、三月に大体全体の統計が出る、そして七月に年齢別とか死因別が出ると。DXの今、そんな恐竜みたいなことを言っていいんですか。これ、厚労副大臣、即調べていただけませんか。

仁木副大臣 今の御答弁の趣旨は理解しますが、一応、今、ルーティン的な話で、この三月の末の、通常の体制で発表、調べた上での公表になると思います。

原口委員 ここにいらっしゃる皆さんも、御自身の選挙区でどれぐらい人が亡くなっているか、見られたら分かりますよ。余り数字が出ていないのは、北九州は余り亡くなっていないんですよ。ほかは、大阪、広島、どこも物すごく亡くなっています。私はそれを徹底的に調べるべきだと思うし。

 これも事務方で結構ですから、本来、こういう深刻事例が出たら、いつまで重大な懸念はないと言い続けるんですか、深刻事例が出たら、PMDA始め、データベースがあるはずですよね。メッセンジャーRNAワクチンもそのデータベースの対象になるでしょう。だって、そうじゃなきゃ、もう四年も打っていて、それに対する副作用が積み重なっていない方がおかしいんです。事務方で結構ですから、そのデータベース、ありますよね。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のデータベースでございますけれども、PMDAにおきまして、副作用報告を収集したものに対して、そういったものをデータベースとして収集してございます。これについても定期的に審議会等にお諮りをいたしまして、現時点では、新たな安全性上の懸念はないというふうに判断されているものでございます。

原口委員 厚労大臣、それは信じられないですよ、これだけ亡くなっていて。だから、人の事例が出せないから自分の事例を出したんです、この間。

 皆さんの六ページ目、これが僕のがん細胞です。

 財務大臣、僕、間違っていますかね。自分が実際にこのワクチン由来と思われるものでがんになった。神様に助けてもらった。がん細胞を調べてみたら、こうやって、七ページを御覧になってください、七ページを見ると、ピンクとブルーになっています。SARS―CoV―2―Nというのは、これはNたんぱくです。両方に感染していたら、NたんぱくもSたんぱくも両方出るというんですね。ところが、僕のがん細胞を見てみると、六ページです、これにはSARS―CoV―2―Sしか出ていないんです。ということは、僕は、このSたんぱくが注射によって、つまりワクチンによって広がっていったということが分かっているわけです。

 間違っていますか。自分と同じようなことがほかの人に起きないようにというのが間違っていますか。

 ワクチン被害を訴えている人はみんなそう。もうほとんどの人が、あなた、陰謀論者でしょう、お金欲しさでやっているんですかと。歩けなくなった、血栓ができた、僕のようにがんができた。しかし、あなたが言っているのは証拠がないでしょうと。私は国会議員で、たまたま優秀な研究者に囲まれていたから、ここまで、二年でここまで来ました。

 財務大臣、僕が言っていることは間違っていますか。御所見を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 ちょっと原口先生の個人的な話になって恐縮ですけれども、この国会の中でも御一緒させていただきながら、結構体調が悪そうだなと思ったときから、現在、非常にお元気に、今日も御質問いただいている。様々、そうした状況状況があったものと推察をしているところでございます。

 その上で、済みません、私にはこれを読み解く能力も力もないので、これをもって判断しろと言われてもそれはできないことは御理解いただきたいというふうに思いますけれども、御自身の経験も踏まえて、そうした思いを持っておられる方、これは原口先生以外にも、私も厚労大臣をやっていたときに、ワクチン接種によって自分の配偶者が亡くなられた等々、いろいろなお話は聞かせていただきました。

 それらも踏まえながら、厚労省において、今説明したように、事実的な関係、そして有識者の皆さん方の知見をもって、しっかりと審査し、判断していただいているものと思ってはおります。

原口委員 今日私が問いたいのは、今まさに最後におっしゃったところなんです。

 本来の、薬であれば、データベースの中に入って、そして深刻事案があったらそこで止めるんです。あるいは、ブルーレターあるいはイエローレターというのを渡して、厚労大臣もなさっていましたから釈迦に説法ですけれども、これは危ないですよというのを警告するんです。しかし、この私たちがワクチンと呼んでいるものについては、警告は一回でも出ましたか。教えてください。これは事務方で結構です。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 緊急安全性情報、イエローレターと呼ばれているものですけれども、医薬品の副作用によると疑われる死亡や障害等の症状の発生や、海外において使用中止等の措置が行われるなど、緊急かつ重大な注意喚起や使用制限に係る対策の必要性を踏まえ、医薬品の製造販売業者が医療機関に配付する文書を指してございます。

 新型コロナワクチンにつきましては、審議会において、これまでに報告された副反応疑いの情報を踏まえ、審議がなされた結果、現時点でワクチンの安全性に係る重大な懸念は認められないとされており、また、海外においても使用中止等の措置は取られておらず、緊急安全性情報の発出が必要な状況ではないと考えてございます。

原口委員 さっき副大臣がイギリスとアメリカをお話しになったでしょう。ほかのところはもうやめているんですよ。ほかのところは、もうコロナなんか言っている国はないでしょう。日本だけが打てば打つほど感染する。

 では、そこまで言われるんだったら、今五類ですよね、五類の風邪に何で重症化予防効果が必要ですか。

仁木副大臣 お答えします。

 今、コロナウイルス感染症に罹患した結果、死亡されている事案が統計上三万人を超えております。比較する対象としましては、インフルエンザ感染症によって年間死亡された方が二千人、おおよそ十倍を超える形で新型コロナウイルス感染症によって命を落とされている方がいらっしゃるという実態。

 そして、かつ、いわゆる国が承認して事業として進めているこのワクチンには有効性がある、その有効性というのは重症化予防という形であると思っておりますので、継続してやっているということでございます。

原口委員 もう質疑時間が来ましたから終えますが、重症化予防効果、一年前は分からぬと言っていたんですよ。そして、この間の財務金融委員会の直前にデータを出してきたものであります。世界はあなたがおっしゃったのと逆を行っている。

 今日、会計検査院も来てもらいました。しっかりとこういう基金のスキームについては会計検査を行うように、それから、法務省としても、様々な官製談合の疑い、あるいはカルテルの疑いについては特段の注視をしてもらうように申し上げて、質問を終えたいと思います。

 財務大臣、ありがとうございました。

井林委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 大臣以下、官僚の皆様にも様々に教えていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 大臣、今、原口さんが、ワクチン生産体制等緊急整備基金のことについて様々御質問されたじゃないですか。これは、予算の目は、新型コロナウイルスワクチン等生産体制緊急整備臨時特例交付金なんです、目は。目は、新型コロナウイルスワクチン等、等は生産体制の前についているんですよね。新型コロナウイルスワクチンなどの生産体制をしっかりするための基金を造成するために予算の目を立てましたよという、当初はそうだったんですけれども、ところが、その予算が通った後、厚労省に行くと、ワクチン生産体制等、生産体制の後ろに等を持ってきて、何にでも使えるように変えたんですよ、厚労省が。財務省も、別にいいんじゃないですか、公衆衛生のためになるのであればというふうに、それを認めちゃっているわけですね。

 私は、少なくとも国会、あるいは閣議だって、予算の目は新型コロナウイルスワクチン等で通っているのに、国会もそれで通っているのに、予備費の決定もそれで国会に報告されているのに、目は。その後、厚労省に行った後、等の位置をつけ替えて、何にでも使えるようにしますよ、地方にもお金を流しますよ、製薬会社にお金を上げますよというこのビジネスモデルは、絶対許しちゃ駄目だ。誰も知らないんですよ、そんなことのためにお金を使うなんて、公費を使うなんて。

 これは、財務省はもう国会で答えちゃっているんですよ、別に問題ないんじゃないですかと。答えちゃっているんですけれども、財務大臣、この基金は、予算の目は、等が、コロナウイルスワクチン等と、ワクチンの後ろについている。しかし、厚労省に行って、基金の名前のところでは、生産体制等と、生産体制の後ろに等をつけて、何にでも使えるようにしましたというこのやり方は、やはり財務省として一度検証する必要があると思うんです。

 ちょっと、これは質問通告していないんですけれども、余りにもちょっと、原口さんの御質問は私もそのとおりだなと思うので、検証する、ちょっとそれは調べてみるということだけ御答弁いただければと思います。

加藤国務大臣 済みません、私のところにある二〇二四年度基金シートでは、ワクチン生産体制等緊急整備事業となっているということだけは確認できますが、今委員御指摘だったのは、二〇二四年度予算においてということ、済みません、ちょっとそこだけもう一回。

川内委員 補足で説明すると、二〇二〇年とか二一年とか、要するにパンデミックのときに、ワクチンをしっかり確保しなければならないねということで、予備費とかあるいは予算で、その基金造成のための目をつくっているわけですよね。その目のつくり方は、新型コロナウイルスワクチン等と、等はワクチンの後ろについているんです。それが、予算が国会で議決されて、あるいは予備費が閣議決定されて国会に報告されて、厚労省に行った後、等が生産体制の後ろに、今大臣がおっしゃったように等の位置が変わっているんですよ、予算の目と基金の名前とで。だから、そこは財務省としてちょっと一回検証して報告するとか。

 今後、これが許されるなら何だって許されちゃうんですよ、ということになってしまうと思うんです。公衆衛生のためとさっき厚労省の副大臣が言いましたけれども、公衆衛生のためだったら何でも使えますという基金になっちゃうんです。ということなので、そこはちょっと一回検証してみてくださいということをお願いしているんです。

加藤国務大臣 予算の目が途中で変わるとなるとこれは大変な問題だと思いますが、今おっしゃっている意味は、予算の目が等が前にあって、そして支出された先の事業ないし基金の名前が等が後ろになったという。目と基金の名前自体がイコールじゃなきゃいけないということは多分ないんだろうと思いますので、ただ、ちょっと私もそれ以上、事実関係は分かりませんので、まずはその事実関係を確認させていただきたいと思います。

川内委員 せっかくですから申し上げておきますけれども、ずっと、新型コロナウイルスワクチン等の生産体制のための基金として、新型コロナウイルスのワクチンを作るために、生産するために使われていたわけですね。ところが、令和六年になって、五類になってから、基金の運営要領を変えているんですよ、地方にもお金を流せるように。基金の運営要領を変えるに当たって、実施要綱は変わっていないんですよ。実施要綱は変わっていない。運営要領を変えたんです。運営要領を変えて地方自治体にお金を流せるようにした、そしてワクチンの値段を上げたという、この枠組みになっているんです。

 これは、お金の使われ方として、私はやはり、誰にも説明していないですから、基金の実施要領だから国会にも説明されないし、恐らく内閣にも、閣議にも説明していないんですよ。誰にも説明しないで、厚労省が勝手に基金の使われ方を実施要領を変えてやっているということについては、私はちょっとお金の使われ方として問題が多いと思うので、事実関係をまず確認するとおっしゃっていただいたので、確認していただいた上でまた議論をさせていただきたいというふうに思います。

 それじゃ、ちょっと本題に入ります。

 租特なんですけれども、毎年、租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書というのを財務省さんがお出しになっていらっしゃるわけで、この中で、今回、私たちも租特について様々議論をさせていただいているわけでございますけれども、令和五年分の実態報告書にまとめられている措置の数、適用額、そして減収額見込みというのをまず、主税局長さんに来ていただいているので、教えていただきたいというふうに思います。

青木政府参考人 お答えします。

 今国会に提出をいたしました令和五年度の租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書における、まず、対象措置数は七十八措置でございます。

 その適用額でございますが、幾つかの項目に分かれておりまして、まず法人税率の特例が約四・五兆円、それから税額控除約一・七兆円、特別償却約〇・八兆円、準備金約〇・六兆円、土地等その他約五・五兆円となっております。

 一定の前提を置いて試算する必要が減収額についてはあるんですけれども、そうした試算をした減収額につきましては、約二・九兆円でございます。

川内委員 この適用実態の調査報告書は、かつて民主党政権のときに、租特についてきちんと報告を国会も受けていきましょうねということで始まったものでございますけれども、平成二十三年から報告があるというふうに思うんですけれども、平成二十三年調査の同様の措置の数、適用額、減収額について教えていただきたいというふうに思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のありました平成二十三年度の数字でございますが、まず、対象措置数が八十五。適用額でございますが、法人税率の特例が約二・四兆円、税額控除が約〇・四兆円、特別償却が約〇・四兆円、準備金が約一・六兆円、土地等その他が約一・九兆円。

 実績推計におけます減収額でございますが、全体で約〇・九兆円となっております。

川内委員 だから、平成二十三年から令和五年、年数がたっているわけですけれども、租税特別措置で、要するに減収額が二兆円増えているわけですよね。〇・九兆円から二・九兆円へと。

 じゃ、今度は、せっかくですから、企業規模別で、資本金で、適用額を令和五年分調査で教えていただきたいんですけれども、資本金としては、一千万円以下、一千万円から一億円、一億円から十億円、十億円から百億円、百億円超ということで五つの分類に分けて適用額を教えてくださいということを申し上げてありましたけれども、お願いいたします。

青木政府参考人 申し訳ありません。先ほど申し上げました二十三年度の数字の中で適用額を五つ申し上げましたが、そのうちの土地等その他、私は一・九兆円と申し上げましたが、一・六兆円の誤りでございます。訂正させていただきます。

 その上で、令和五年度の租税特別措置の適用実態調査における資本金階級別の適用額をそれぞれ申し上げます。

 まず、法人税率の特例につきましては、資本金一千万円以下で約三・五兆円、資本金一千万円から一億円以下で約一・一兆円、資本金一億円から十億円以下で約七十五億円、資本金十億円から百億円以下で約五十一億円、資本金百億円超で約十億円でございます。

 ここから先はその分類で順番に数字を申し上げてまいります。

 税額控除につきましては、同様に、約〇・二兆円、約〇・四兆円、約〇・二兆円、約〇・二兆円、約〇・八兆円でございます。

 特別償却につきましては、約〇・三兆円、約〇・五兆円、約三十八億円、約十二億円、約六十億円。

 準備金につきましては、約三百十八億円、約百四十億円、約〇・二兆円、約五十七億円、約〇・四兆円。

 最後に、その他土地等につきましては、約〇・八兆円、約一・七兆円、約〇・二兆円、約〇・六兆円、約二・二兆円となっております。

川内委員 二・九兆円、減収額が令和五年の分にはあるということで、税額控除というのは、ストレートに税金が引かれますねということで分かりやすいわけですが、百億円超のところが〇・八兆円ということで、恐らく利いているんだろうなというふうに思うし、中小企業の特例税制ということで、中小企業にも一定の恩恵はありますねということはそのとおりであろうというふうに思うんですけれども。

 ただし、平成二十三年と令和五年と比べたときに、中小企業に対する税制というのが、それほど大きくは租特が変わっていないので、私は恐らく、その他の二・二兆円というところがまた大幅に、百億円超の資本金の会社で減税になっているのではないかなというふうに、想像ですね、減収額はちょっと資本金別には出せないというふうに財務省さんがおっしゃっていらっしゃったので、想像を申し上げました。

 租特というのは、中立、公平、簡素という税制の大原則の例外として、政策的にあるいは政治的に設けられるものであるというふうに考えるんですけれども、租特の中で増税、減税については調整をしていらっしゃるというふうには思うんですけれども、調整がついていない、要するに、租特を設けるときに財源については特に考慮していないよという税制なども、租特もあるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、具体的に教えていただきたいというふうに思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 厳しい財政事情に鑑みまして、租税特別措置につきましては、各省庁に対して、税制改正要望の際に、減収を伴う要望の場合にはしっかりと財源を確保していただく旨をお願いしております。また、措置の新設、拡充を行う場合には、既存措置の廃止、縮減が原則だということで、私ども、省庁に対して申し上げているところです。

 他方、令和四年度、令和六年度の税制改正におきまして抜本的に拡充されました賃上げ促進税制など、特段の財源を求めなかった事例も存在いたします。

川内委員 賃上げ促進税制はめちゃめちゃ減税額が大きいわけですけれども、財源は求めていないわけですよね。これはちょっと、なるほどみたいな御答弁なわけですけれども。他方で、財源を求めない、多額の減税を伴う税制もあります。租特もあります。

 もう一つ、私の興味は、租特で、これだけ社会に貢献しましたわ、これだけいいことがありましたよということがあるのであれば、まだ納得できるわけですけれども、例えば、うちの党が今回、この国会で大変大きなテーマにしました研究開発税制について、具体的に、こんな研究ができたんですよ、こんな開発ができたんですよというような検証を財務省としておやりになっていらっしゃるのだろうかということを教えていただきたいというふうに思います。

青木政府参考人 まず、賃上げ促進税制につきまして、先ほど財源の話を申し上げましたが、その際、財源の考え方を少し御説明させていただきます。

 個々の税制措置を検討する際には、それぞれの措置が必要となる背景ですとか、根拠、減収規模などを踏まえて、財源確保の要否が判断されるべきであろうというふうに考えております。

 令和四年度、令和六年度の税制改正におきます賃上げ促進税制の拡充について申し上げますと、構造的、持続的な賃上げの動きを広げていくということが日本経済が成長と分配の好循環を果たしていく上で欠かすことができないという認識に立ちまして、政労使で協議をする場で政府として経済界へ賃上げを要請するなどの対応を行ってきたことも踏まえまして、賃上げ促進税制の拡充については例外的に財源を確保しなかったということでございます。

 御質問の効果の検証の部分でございますが、まさに毎回毎回、租税特別措置というのは基本的には期限があるもので、期限を迎えますと税制改正要望が要望官庁から出てまいります。その際には、それまで取っておった措置についてどのような効果があったのか、できるだけ定量的にしっかりと出してくださいということでお願いをして、議論をしてということでございます。

 ただ、例えば今の研究開発の税制のことについて申しますと、研究開発税制があることもあって、恐らく一定の研究開発の成果は出ておると思いますし、しっかり後押しをしているということは恐らくそうなんだと思いますけれども、なかなか定量的に減税の部分だけの効果を測ることというのは難しい面もあるということも事実でございます。

 ただ、そこはしっかりやっていかなければいけないということで、前回賃上げ税制を拡充する際には、様々な有識者の方のお知恵もかりながら、賃上げ促進税制がどのような賃上げに後押しがあったのかというのをいろいろ議論させていただいて、公表させていただいて、それが今国会でもいろいろ御議論になっているところでございますが、そうした努力を引き続きしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。

川内委員 総務省の方で租税特別措置等に係る政策評価の点検というのをおやりになっていらっしゃって、A、B、C、D、Eという五つの評価を設けていらっしゃる。A、B、C、D、Eで、Eはよいという意味ではなくて、いいじゃなくて、分析も説明もされていないということで一番悪い評価になるんですけれども。

 総務省さんで租特について点検を毎年されて、点検結果を教えていただきたいんですけれども、今申し上げたようにA、B、C、D、Eの五段階で点検結果をまとめていらっしゃって、幾つかの項目があるにはあるんですが、令和四年、五年、六年の点検結果で、租税特別措置の適用額が百億円以上でE評価、すなわち分析も説明もされていないという租税特別措置があれば、網羅的に教えていただきたいというふうに思います。

阿向政府参考人 お答えいたします。

 各行政機関は租税特別措置等の新設や延長等を要望する際に政策評価を実施してございまして、私ども総務省は、客観的かつ厳格な政策評価の実施を担保する観点からその内容を点検してございます。

 具体的には、達成目標や効果といった八つの項目それぞれにつきまして、定量的なデータによって十分な分析、説明がなされているかといった観点から、先ほど先生から御紹介ございましたようにAからEまでの五段階で評定を付してございまして、その中で、分析、説明がされていないものをEとしてございます。

 先生お尋ねの、適用額が百億円以上となっている措置のうち、令和四年度から六年度に総務省が行いました政策評価の点検におきましてEの評定が付されている項目が一つでもあるものは、全部で八措置ございました。

 具体的には、探鉱準備金又は海外探鉱準備金、中小企業者等の法人税率の特例、それから給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除、こちらがいわゆる賃上げ促進税制と言われているものでございます。そのほか、海外投資等損失準備金、事業適応設備を取得した場合等の法人税額の特別控除、中小企業事業再編投資損失準備金、投資法人に係る課税の特例、収用等に伴い代替資産を取得した場合等の課税の特例、以上の八措置となってございます。

川内委員 賃上げ税制が入っているわけですね。財源を特に求めなかったということも先ほど御答弁いただいたし、分析も説明もされていないという中にも賃上げ税制は入っているということでですね。

 私は、加藤大臣、やはり、租特というのはあくまでも例外だ、だから、平成二十三年から令和五年にかけて二兆円も租特の減収が増大しているという意味では、適切な見直しを本気ですべきだというふうに思うんですよね。政策的にきちんと国民に対して説明できるものはいいけれども、多少、ちょっと政治的なもので、余り説明できませんわというものについてはきちんと整理するということをやはりしなければならぬというふうに思うんですけれども、大臣の御見解をいただきたいというふうに思います。

加藤国務大臣 租税特別措置法、もう先ほどもありましたが、公平、中立、簡素のいわゆる税制においては例外的な措置でありますし、また、特定の政策目的を実現するために有効な政策手段となり得るという一方で、今申し上げたように、税負担のゆがみを生じさせる面があるということも指摘をされ、まさに総合的に判断して真に必要なものに限定していくことが重要だというふうに認識をしております。

 令和七年度税制改正においても、令和六年度末の適用期限到来などによって見直しの対象となった二十九の法人税関係の租税特別措置のうち二十三について、廃止又は縮減を含む見直しを行うこととしております。

 今後とも、必要性や政策効果、先ほどの総務省の資料もその一つだと思いますが、そうしたものもしっかり踏まえながら不断の見直しを行っていきたいと考えています。

川内委員 ごくごく一般的な御答弁で、まあそうかなというふうには思いますが。

 そこで、修正案提出者に、租特に対する修正案の考え方をお述べをいただきたいというふうに思います。

階委員 川内委員にお答えいたします。

 租特の中でも、今委員から問題点をるる御指摘された賃上げ促進税制、これについては、もはや必要性はないだろうということで、我々の修正案では、一年以内に廃止ということを決めさせていただいております。

 それに加えて、租特全般について、中立、公平、簡素ということでいうと、特に私は、公平という面では、非常に大企業、特に企業・団体献金を行っているような大企業に恩恵が偏っているのではないかという疑念があります。社名をはっきりさせることによってそこがはっきりしてきて、そして、見直しの議論も更に加速すると思っております。

 ですから、我々の修正案では、賃上げ促進税制の廃止、それから、租特については適用社名の公開、これをまずやった上で、必要性あるいは効率性あるいは公平性、そうしたものについてしっかり判断して、見直すべきものは見直す、廃止すべきものは廃止するということをやっていきたいと思います。

川内委員 まさに私も同意するんですけれども、大臣、先ほどの主税局長さんの御説明で、定性的な、賃上げ税制とか研究開発税制に対する、世の中の全体的な方向性についてよくしていくためにやっているんですよ、経済が活発になるためにやっているんですよ、そのために効果はあると思いますよという御答弁があったんですけれども、しかし、お金というのは現実なので、一社で八百億減税されています、そういう現実の利益を供与されているお会社の名前とかは、やはり正々堂々と、これだけ減税されているのでこれだけ成果がありましたよという、やはり企業も説明責任というか社会的責任を果たすべきではないかなという意味において、今の修正案提出者の階先生の御発言に、誠にそのとおりだなというふうにも思うし。

 また、もう一点、この修正案の中でなるほどねということは、東日本大震災がありました、やっと復興して生活をしていたら、今度は山火事で家が焼けました、大変だと。去年の能登半島もそうですけれども、地震が来て家が潰れて、ああと思っていたら大雨が九月に降ってまた二重に被害を受ける、そういう人々に対して災害損失控除という考え方を修正案の中で提案をしているよということを聞いておりますので、ちょっと御説明をいただければというふうに思います。

階委員 お取り上げいただきまして、ありがとうございます。

 私も地元が岩手県でありまして、今も大船渡というところで山火事が燃え広がっております。まさに委員が今おっしゃったとおり、津波で家が流されて、ようやく高台に家を造ったら、今度は山火事でそこも燃えてしまうという、言うに尽くせぬような被害に遭われた方もいらっしゃるようです。

 私ども、災害損失控除を設けることによりまして、そうした非常な災害による苦難を味わった方々を、ちゃんと税の面で負担を減らしていこうということを考えています。

 現行制度では、災害による損失は、雑損控除という形で控除は受けられるわけですけれども、それは、人的控除の手前で控除をするということになっております。ちょうど今、百三万円の壁の議論が行われておりますけれども、雑損控除は給与所得控除と同じレベルで控除を行います。その控除を行った後、人的控除というのは基礎控除とか扶養控除、こういったものですから、雑損控除が大きくなり過ぎると人的控除が受けられないという問題があります。

 そのことによって、本来だったら、普通の人でも受けられる人的控除は災害によって被害を受けた方はより受けるべきだと思うんですが、人的控除が受けられないという問題を解決するためには、雑損控除の中から災害損失の部分は切り出した上で、災害損失控除は人的控除の後にする。しかも、災害損失控除は繰越しを五年間認められておりますので、人的控除をやりながら、五年かけて災害損失控除を計上していくことによって、毎年毎年の税負担というのは極力減らすことができるわけです。

 今の制度では、人的控除が行われなくなってしまって、本来だったら負担すべきでない税負担まで被災者の方に負わせてしまう。この問題を解決しようというのが我々の案でありまして、日本税理士会連合会からも同様の御提案をいただいておりまして、是非、与野党の御賛同をいただいて、これを実現していきたいと思っております。

川内委員 是非、私の方からも、与党の先生方に災害損失控除の考え方についてはお願いをさせていただきたいというふうに思います。ありがとうございました。

 もう時間がそろそろなくなってきましたので、租特を離れて、昨年の本委員会でマイナ保険証、健康保険証の廃止のことについて触れたんですけれども、相変わらず、病院とか、薬局とか、介護施設とか、市役所とか、役場とか、マイナ保険証を使え、マイナ保険証を使えというでっかい張り紙がされていてですね。マイナ保険証を使いたい人はそれでいいわけですが、従来型の健康保険証の方がいいよ、したがって今年以降、切替えが来たら資格確認書でいきたいよという人々のためにもでっかいポスターを貼ってくださいよ、病院に、薬局に貼ってくださいよということをお願いしているんですけれども、なかなか貼り出されないのです。何でかなと思っているんですけれども。

 その前に、まず、令和四年の十月十三日、加藤大臣はその頃厚労大臣でいらっしゃったわけでございますけれども、健康保険証廃止を四大臣で会合されてお決めになられたということなわけですけれども、これも、まあ、日本国政府はいろいろな謎を持っていらっしゃって肝腎なことは分からないというのが多いんですけれども、この四大臣会合で誰が健康保険証の廃止を発議したのかというのもいまだに明らかになっていないんですが、私はデジタル担当大臣が発議したのではないかというふうに見ているんですけれども、それでよろしいかということを教えていただきたいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘いただきました四大臣会合というものでございますけれども、こちらは、総務大臣、厚生労働大臣、デジタル大臣よりマイナンバーカードの取得加速の取組等につきまして総理に御報告を申し上げた会でございます。したがいまして、記録の方が残っておりませんでして、当方で確認ができておりません。

 なお、事実関係として補足をさせていただきますと、令和四年十月十三日の記者会見におきまして、河野デジタル大臣が、二〇二四年度の秋に現在の健康保険証の廃止を目指すというふうに発言をし、検討の方向性を対外的に初めて示したものと承知をしております。その後、専門家を交えた議論ですとか関係者などによる検討会の開催などを経まして、政府として必要な法律案の閣議決定、国会提出というものに、手続としてはなっております。その上で、国会で御審議を賜りまして法案成立に至ったということで、現在の健康保険証の廃止が決定されたということでございます。

 このプロセスにつきましては適切なものであるというふうに承知をしております。

 以上でございます。

川内委員 今、デジタル庁からるる健康保険証廃止に係る経緯の御答弁があったわけです。答弁するということは、デジタル庁が健康保険証の廃止を発議した、推進したということでよろしいですね。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 答弁はお尋ねに対してお答えをしたものでございまして、それが発議をしたことを表すものではないというふうに承知をしております。

 以上でございます。

川内委員 じゃ、誰が発議したのか教えてください。

三浦政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、記録の方、確認できておりませんでして、現在では不明でございます。

 以上でございます。

川内委員 今日、厚労省の健康保険証の御担当にも来ていただいているんですけれども、誰が発議したのか教えてくださいという問いに対してデジタル庁が答弁するということが、デジタル庁が発議したということを意味するわけですよね。だって、そうじゃなきゃ、所管外のことを委員会で答弁できないでしょう、それは。所管外のことを答弁できないですからね、委員会では、正式な委員会では。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねに対しましてデジタル庁として確認をした結果を御答弁申し上げたものでありまして、所管であるという趣旨で御答弁申し上げたことではないというふうにも理解をしております。

川内委員 いや、だから、誰が発議したんですかと私が聞いたらデジタル庁が出てきたじゃないですか。僕、デジタル庁に答えてくださいなんて言っていないですよね、委員長。誰が発議したんですかという問いは政府に対して投げかけているわけですね。

 じゃ、厚労省にも来ていただいているので。厚労省が発議したんですか。

榊原政府参考人 お答え申し上げます。

 保険証の新規発行終了の方針につきましては、政府全体としてマイナンバーカードの普及や国民の利便性向上に向けた対応を総合的に取り組む中で、令和四年十月十三日に当時のデジタル大臣から発表したものというふうに承知しております。

川内委員 時間が来ましたので。何か、最近、安住さんに指導されて、時間が来る前にやめなきゃいけないみたいな癖をつけられてしまったんですけれども。

 デジタル大臣が発議したことは、私は、恐らく間違いないだろう。だって、答弁していますからね。紙も作っているわけで。所管外の役所が廃止に至る経緯の紙を作るなんということはあり得ないわけですから、それはそうなんだろうというふうに推測はいたします。

 でも、加藤大臣、大事なことを曖昧にする、グレーにする、昨日の松本参考人の陳述でもそうですけれども、大事なことが分からない、赤木さんのこともそうですけれども、大事なことが分からない、それではやはり政府に対する信頼というのが私は低下していくと思うんですよ。

 デジタル庁が、デジタル大臣が発議したことが駄目だなんて私は思わないですよ。発議したなら発議したで正々堂々とそれを政府方針としてやっていけばいいし、資格確認書についても、不便な方が出るんだったら……

井林委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

川内委員 はい。

 資格確認書がちゃんとあるからと。ちゃんと、政府は国民のためにあるんだと。そのことを申し上げて、終わらせていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

井林委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 日本維新の会の斎藤アレックスでございます。

 本日は、法案の内容に入る前に二点質問をさせていただきたいと思っております。

 一つは、ウクライナ情勢に関して、ウクライナ支援について、まず御質問させていただきたいと思います。

 今週の月曜日で、ロシアによるウクライナ侵略が始まって丸三年となりました。おびただしい犠牲者が出て、難民も数百万人単位で出てしまっている。日本でも難民生活を送られている方がいらっしゃいますけれども、町も破壊をされ、この三年間通じて、大変厳しい状況に依然としてウクライナは置かれているわけでございます。

 これは明確な侵略行為であり、国際法上も決して許容されるものではないということは、日本政府としても、また国際社会からも、国連の場でも、繰り返し繰り返し発信がされていて、ロシアへの軍事行動の停止というか撤退を強く求めているわけですけれども。

 一方で、トランプ政権の誕生によって、西側諸国というか国際社会の連携にひずみが生まれてしまっているのも現実だと思います。特に、日本語で発信されるSNS空間でも、何か、ロシアが正当な立場にあるとか、ウクライナが独裁者であるだとか、おかしな論調が強くなっていて、ちょっとおかしいなというふうに感じているんですけれども、いずれにしましても、日本としてウクライナを支援し続けるということは変わらない、変えるべきではないことだと思っております。

 そのお話をする前に、まず、日本としてこれまで三年間全力でウクライナを支援してきたというふうに考えておりますけれども、金額面で教えていただきたいのが、これまで日本が政府として行ってきたウクライナ支援の総額について、まずお答えをいただきたいというふうに思います。

加藤国務大臣 今委員お話がありました、三年前の二〇二二年の二月のロシアによるウクライナ侵略開始以降、我が国はこれまで、世界銀行のウクライナ向け融資に対する信用補完を通じた八十五億ドルの財政支援を始めとして、無償資金協力、円借款も含めて総額約百二十億ドルのウクライナ支援を実施しているところであります。

斎藤(ア)委員 この百二十億ドルという金額は、ウクライナに近い欧州の国々と比べても決して遜色ないというか、欧州の主要国と比べても多い金額だというふうにも思いますので、その点は、日本としても国際社会の中で国際秩序を守るために責任を果たしてきた三年間だと思いますし、是非そのことは国民、有権者の皆様にも知っておいていただきたいというふうに考えております。

 先ほども少し、ロシアのプーチン大統領の方が正当なんだ、ゼレンスキーは独裁者で正統な立場にないんだという論調がなぜか強まってしまっていて、その影響にはトランプ政権の発信もあると思うんですけれども、大変私は懸念をしているというか、事実がゆがめられてしまっているなということで懸念をしております。

 これもちょっとSNSで拝見した意見なんですけれども、とある東京大学の教授の投稿に私はちょっとぎょっとしたんですけれども、正確な引用ではないですけれども、趣旨としてこういったことをおっしゃっていました。日本国内でウクライナ支援の機運が高まった背景にある理由は、人道、民主主義、国際秩序でもなくて、今度こそ戦勝国になりたいという正義の勝ち馬に乗るつもりで、ウクライナ支援、支持に傾注した層がいたと推測をしてヒアリングを繰り返していますと。ウクライナが正義でも勝ち馬でもないと気づいたとき、この層の反応が心配だとこの先生はおっしゃっていました。

 この方は学者の方ですよね。どういった仮説に基づいて研究をしていただいてももちろん構わないわけで、自由に研究をしていただく、必要があるのでしたらしていただいたらいいと思うんですけれども、第二次世界大戦のルサンチマンを晴らすためにウクライナ支援を行っている、そういった思いでウクライナを支援している日本人がそんなにいるのかといったら、私はそんな方に会ったことがないので、何かおかしな議論だなというふうに思いながら、この方の御意見を拝聴しておりました。

 改めて、私たち日本国として、日本人としてウクライナを支援している理由というのは私は明白だと思っておりまして、一つは、やはり人道上の理由だと思います。難民の方を受け入れたりもしていますけれども、子供も含めて、子供も千人を超す方が死傷されているし、成人の方も含めれば数万人の方がこの侵攻によって死傷している。ウクライナの軍人の死傷者というのも大変な数になってしまっている。また、町も大変破壊をされてしまっている。こういったことは許されないというか、こういったことに対してはしっかりと支援をしていきたいという日本人の心として、まずウクライナを支援しているというのは一つ当然あると思っています。

 一般有権者の方々からしたら、それが一番大きな理由だと思いますし、我々政治をつかさどる立場からすれば、国際社会で侵略行為を行うことが許容されてしまうような状態になってしまえば、それは当然、日本の安全にも大きな悪影響を及ぼすわけでございます。国際法が守られる国際社会を取り戻していくことは、日本の平和と安全を守っていくためにも、これは死活的に重要なことだと思いますので、そういった意味でも、今回の侵略行為を成功させないために国際社会と連携をしてウクライナを支援する、そういった背景があると思っていますので、何か、戦勝国になりたい、勝ち馬に乗りたいといった、そういった理由でしているわけではないと思うので。

 そのことについてコメントを求めるわけではございませんけれども、改めて、加藤財務大臣は財務大臣でございますので、外務大臣ではいらっしゃいませんけれども、日本を代表される政治家の一人でございまして、自民党の総裁選挙も出られているわけでございますから、また、財務大臣というのは国の歳出をつかさどる立場にあると思いますので、改めて、なぜウクライナを日本は支援をしていくことが重要なのか、なぜ支援しているのか、そういったところを是非大臣からお答えをいただきたいというふうに思います。

加藤国務大臣 これまで石破総理からもお話がありますが、ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす暴挙でありまして、このような力による一方的な現状変更の試みは、世界のどこであれ許されることではないと考えております。こうした問題意識の下で、侵略開始以降、我が国は、先ほど申し上げたような形で対ウクライナ支援を強力に推進をしてきたところであります。

 今後とも、ウクライナ情勢をめぐる動きを注視しながら、G7を始めとした国際社会と緊密に連携し、対応してまいりたいというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 侵略から三年の節目に当たって、石破総理大臣を始め、日本国の政府からは、ウクライナ支援を続けていくという力強いメッセージが発せられていますし、今のアメリカ政治の状況を見れば、ますます日本の役割というのは、また日本の発信力というのは重要になっていると思いますので、是非そういった意思を貫徹していただいて、侵略行為を許さない、そういった役割を日本も国際社会で担っていければというふうに考えております。

 その議論の中で、もう一つ私が懸念をしているお話が、ウクライナでは今、大統領選挙が戒厳令下で実施ができない状況になっていて、ずっと延長されているわけでございます。このことをもって、先ほども申し上げましたけれども、ゼレンスキー体制、政権というのは正統性が疑われる、ないんだという、そういった主張をされる方も今増えているというふうに感じております。これは、繰り返しですけれども、トランプ大統領が同様の趣旨のことを言ったことがきっかけだと思うんですけれども。

 ちょっと日本政府の立場を私は確認をさせていただきたいと思うんですけれども、今のウクライナの状況で、選挙ができない、選挙をしていないからといって、日本政府のウクライナ支援の姿勢に影響が出てきたのか、出るのか、そういったことをお尋ねしたいと思うんですね。

 言うまでもなく、毎日毎日ドローン攻撃やミサイル攻撃がウクライナの都市には加えられ続けているわけでございまして、そんな中で選挙活動などしてしまえば、私は危険極まりないと思うんですね、投票所も狙われてしまうかもしれませんし。また、仮に選挙戦が、親ロ派とあるいは親欧派、そういった戦いになったとき、私は、親欧派の候補者の身の安全というのは極めて危ないものになると思っております。また、情報戦、ウクライナ侵略が始まる前から激しい情報戦がロシアからウクライナに対して仕掛けられていたわけでございまして、この情報戦の影響によっても、戦時下で選挙を行うということはウクライナにとって極めて危険だと思うので、選挙ができないからといって、ゼレンスキー体制が正統性がないだとかそこに支援するのはおかしいという議論というのは、これは成り立たせてはいけないというふうに思うんですけれども。

 まず、外務副大臣、今日、いらっしゃっていただいています。ありがとうございます。

 まず、ウクライナにおいて選挙が実施をできていないことで、日本のウクライナ支援の姿勢というのは変わるのか、その点をちょっと確認をさせていただきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、大野委員長代理着席〕

藤井副大臣 戦時下におけるウクライナにおいて大統領選挙が実施されていないことについてお答えを申し上げたいと思いますが、戒厳令に関するウクライナ国内の関係法令につきましては、まず、戒厳令中にウクライナ大統領の任期が満了した場合、戒厳令解除後に選出される新大統領就任までその任期が延長される旨、また、戒厳令下における大統領選挙の実施は禁止される旨をそれぞれ規定されておりまして、また、同戒厳令は定期的にウクライナ議会において承認を受けているものと承知をしているところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、ゼレンスキー大統領は大統領として職務を遂行していると理解しておりまして、このような理解の下、我が国のみならず、世界各国の指導者が同大統領と首脳会談を実施してきているところでございます。

 その上で、ロシアによるウクライナ侵略への対応に当たりましては、我が国として、今日のウクライナは明日の東アジアかもしれないとの強い危機感を持って、自らの問題としてこの問題に取り組んできたところでございまして、このような考え方に基づきウクライナ支援を強力に推進してきたというところでございまして、今後とも国際社会と緊密に連携しながら対ウクライナ支援を継続していく考えでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 お答えいただいたとおり、日本政府としては、今大統領選挙が行われていないことをもって別に問題視しているわけでもなくて、ゼレンスキー政権と、ウクライナの大統領であるゼレンスキー大統領と引き続き連携をしながらこの問題に取り組んでいかれるということを副大臣からお話をいただきました。本日、副大臣、ウクライナの国旗をあしらったバッジもつけていただいていますので、その支援の意思をそういった意味でも示していただけて大変ありがたいというふうに考えております。

 ちょっと、この点については財務大臣にも通告をさせていただいておりました。政府の方針というのは今外務副大臣がお答えいただいたとおりであるとは思いますけれども、何か国際社会の中で、国際社会と言ったら変かもしれませんけれども、特にネット世論の中でこのゼレンスキー政権に対する批判が強まったり、国内、日本語で発信されるメディアでも、ゼレンスキー大統領が正統な立場ではなく、プーチンの方が何か正当なんだ、そして、これは先ほどちょっと御紹介をさせていただいた、とある東京大学の教授の投稿でも、私はその教授がそういうふうに考えていると別にここで断定するつもりはありませんけれども、ウクライナが正義でも勝ち馬でもないと気づいたとき反応が心配だと書いているんですけれども、別に、ウクライナが正当に自国を防衛しているという状況は、選挙ができない状況でも変わらないわけでございますから、こういった議論というのは少しずれてしまっていると思いますけれども。

 このウクライナ支援に対して、選挙ができない中で、厳しい状況で、国際社会から批判的な声も上がっている中ですけれども、ここをしっかりと継続していくんだということ、こういったお話も踏まえて、改めて財務大臣から御所感をいただければと思います。

    〔大野委員長代理退席、委員長着席〕

加藤国務大臣 我が国のウクライナ支援の立場は先ほどから説明をしているところでありますし、もちろん、まず、これだけ多くの方が亡くなっておられる、そうしたことを一日も早く止めていかなきゃならない。しかし一方で、こうした状況の中で、そうした皆さん方の生活を支えていく必要がある、そういった意味での人道支援をしておる。

 それからもう一つは、今外務副大臣からもありましたように、我が国を取り巻くこの東アジアにおける厳しい国際環境を考えると、明日の東アジアということを我々は考えながら、そうした危機意識を持ちながら対応していかなきゃいけない、こういった認識が根底にあるというふうに思っています。

 その上において、先ほど、ゼレンスキー大統領の立場というんでしょうかね、法律的な立場については、まさにウクライナの法令に沿って大統領として職務を遂行しているというふうに日本政府としては理解をしているわけでありますから、引き続き、日本としてG7と連携しつつウクライナ支援を継続していく、この方針には何ら変わるものはないということであります。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 おっしゃっていただいたように、こういった侵略行為が許される状況になってしまえば、当然、東アジア地域、日本にとっても危険な状況、国際社会となってしまうわけでございますので、そういった意味でも、我が国の平和と安全を守る上でも、ウクライナ支援というのをしっかりと継続をしていけるよう、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 では、外務副大臣におかれましてはこれで御退席いただいて結構でございます。

 では、続きまして、長期金利の動向、それが財政に与える影響についてお尋ねをさせていただいていきたいと思います。

 本日は日本銀行の内田副総裁にもお越しをいただいております。ありがとうございます。

 まず、内田副総裁にお伺いをしたいのが、日銀の金融政策の方針についてでございます。

 昨年来、国債の買入れの減額であったり、また金利の引上げということで、金融政策の正常化が内田総裁の下で今進められているところでございます。これは必要な方向性だと私も思いますし、そのことについて何か疑義を本日申し上げたいというわけではないんですけれども、様々御質問させていただく前に、この国債買入れの減額、短期金利の動向を中心に、日銀の金融政策の方針について、まず御説明をいただきたいと思います。

内田参考人 お答え申し上げます。

 日本銀行は、昨年の三月に大規模な金融緩和を終了いたしまして、現在は短期金利の操作を主な政策手段とする枠組みに移行しております。

 短期の政策金融の運営につきましては、今年の一月に公表しました展望レポートにおきまして、そのままの読み上げになりますが、先行きの経済、物価、金融情勢次第であるが、現在の実質金利が極めて低い水準にあることを踏まえると、展望レポートのということですが、経済、物価見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えているとお示ししているところでございます。この考え方は、昨年の四月の展望レポートで示して以来、同じ考え方に立って進めているところでございます。

 それから、国債の買入れの方ですけれども、これにつきましては、御指摘のとおり、昨年の七月に決定しました減額計画に沿って、フローの買入れ額を段階的に減額しているところでございます。その際示しましたことの一つとして、本年の六月に、決定会合におきまして、現行の計画について中間評価を行うなど、国債市場の安定に配慮するための柔軟性も確保しておりまして、一方で、予見可能な形で減額を進めるということを方針にしているところでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 今のお話について、少し副総裁にさらにお伺いをさせていただきたいんですけれども、日銀の国債の購入が減額をされると、当然需給が変わって、言うたら、需要が減って供給サイドの方が力を失って、値段が下がるとか金利が上昇をする方向に当然行くわけでございますし、また、そうでなくても金利利上げを行っていかれるわけですから、長期金利も上がる方向になっていくということだと思いますので、この日銀の国債の買入れ減額と短期金利の引上げによって長期金利は今後上がっていく傾向であるというふうに、ざっくりした話ですけれども、理解していいのか、その点、御説明をいただければと思います。

内田参考人 日々の金利の動向とか水準につきまして、具体的にコメントすることは差し控えたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、この間の日本銀行の短期政策金利の運営、それから国債買入れの運営についての考え方には変化はございません。

 その中で、市場金利は、基本的には市場における経済、物価に関する見方、あるいは海外金利の動向などを反映して変動するということかと考えております。

 若干つけ加えますと、これは先ほどの答弁でも申し上げたところでございますが、国債買入れの効果は主としてストック効果によるものと考えられますので、残高ベースの減少はごく僅かでございますので、引き続き大きな緩和効果を持っているというふうに考えております。

 その下で、市場はもちろん、我々の政策を含めて、長期金利に関しましては予想した上で成立するものですので、必ずしも方向としてこの後どうなっていくのかということは申し上げるべきでもありませんし、これは市場が決めていくということになると思います。

斎藤(ア)委員 お答えはよく分かりました。

 ただ、確かに国債買入れの減額の影響自体はそこまで大きくないのかもしれませんけれども、この国債買入れ減額をしていく中で、引き続き国債発行額というのが毎年今の水準で続いていくと、当然やはり海外の保有比率が高まったりして、これは、市場による影響というのが、それが通常の状態ですけれども、大きく出るようになって、金利という点でも上がる可能性は高まるし、様々なアナリストのレポートを見ていくと、これは上がっていく方向である、その幅については国債の海外保有の比率によって大きく変わるというレポートが中心かなと思います。

 そういったふうに見ると、やはり、今の金融政策の方向性として長期金利が上がっていく可能性が高いという想定の下で、私は少しこの後質問を財務省の方にもさせていただきたいと思っていますけれども。

 まず、これから短期間で長期金利が更に一%程度上がるという可能性は大変高いと私は思っています。それに同意していただく必要はないんですけれども、仮に長期金利が一%上がると、どの程度、国債費、利払い費といった国の財政支出が増えていくのか、その数字を、まず財務大臣、お答えをいただければと思います。

加藤国務大臣 金利の上昇の影響について、今後の動向、これはなかなか、先ほども答弁がありましたけれども、まさに市場に聞かなきゃ分からないということでございますけれども。

 今委員の御指摘で、先般財務省より国会に提出いたしました後年度影響試算では、金利が一%上昇した場合の利払い費を含む国債費への影響額について、令和八年度にはプラス〇・九兆円の増加、以降、高い金利の国債に置き換わっていくことに従いまして、令和九年度にはプラス二・一兆円、令和十年度にはプラス三・七兆円と増加する、こういう試算になっているところであります。

斎藤(ア)委員 一%上がることによって、すぐにではないですけれども、三年目には三・七兆円と四兆円近くの国債費の増加ということになるわけでございまして、大変な財政への負担になるということは、皆様これは御理解をいただけるというふうに思います。

 これは、財務省、日銀に同意を求めるわけではないですけれども、今、二〇〇九年以来の高い長期金利となっていて、少し今落ち着きましたけれども、それでも、今、一・三程度あるんですかね、それが二・三程度になる、一%上がる可能性というのは今後数年間で十分あるんじゃないかな。あるという、そういったレポートも専門家からたくさん出されていますので、この長期金利の上昇による国債費の増加というのもしっかりと見据えた上で財政運営をしていくということが大変重要になるというふうに考えております。

 今、予算の協議で、様々、少数与党の中で政策の変更などの議論が行われていますけれども、財政支出を削減をしていくということもなくてはならないことだと思いますので、国債費の増加というのは大変念頭に置きながら財政運営をしていく必要があると思うんです。

 一%上がると四兆円近くの支出になる、四兆円近くの財源が吹っ飛んでいくということになります。当然、金利が上がるということはインフレが起きているという想定でもありますので、インフレが起きるとインフレ率に伴って税収が増えるということもありますけれども、それでもこれは、それを賄うほどの自然増とは多分税収はならなくて、利払いの増加、国債費の増加の方が金額が大きいという分析結果なんだというふうに考えております。

 これは大変な財政への悪影響があると思うんですが、まず、日銀の副総裁にまたお伺いをしたいと思うんですけれども、この政府財政への懸念、一%上がるだけでこれだけ財政赤字が増えていくわけですけれども、こういったことを念頭に置いて金融政策というのは運営されるのか。つまり、財政赤字が増えると政府は困るだろうからということで、物価が上がっていて大変だけれども、金融政策を、手心を加えるのか、加減を加えるということがあるのか、そういったことをお伺いをしたいと思います。

内田参考人 お答え申し上げます。

 日本銀行の金融政策は、当然のことですが、経済、物価情勢を踏まえて物価安定を実現するために実施しているものでございます。財政資金調達の支援を目的とする財政ファイナンスではないということは、一貫して申し上げてきております。今後ともこうした考え方に変わりはございません。

斎藤(ア)委員 実際問題、財政ファイナンスであるのではないかという議論はおいておいて、日銀として、公式な立場というのは、たとえ財政赤字が膨らむ懸念があったとしても、日銀が見ているのは、物価であったり経済の情勢に基づいて金融政策を決めていくので、財政赤字が増えそうだからといって金融政策に手心を加えることはありませんという回答だったわけでございます。

 長期金利の動向が分からないと。分からないということは上がる可能性もあって、一%上がるだけでそういった状況になってしまう。レポートによっては、海外の保有比率がこれから上がっていくと二〇四〇年には更に高いパーセンテージ、長期金利になるというレポートも出ていますので、上振れする可能性を見据えながら、財政支出を削っていくであったりとか財政を考えていくことが大変重要だと考えております。

 これまで日本の財政運営というのは、この三十年間にわたって、税収がなかなか増えない中でも歳出規模がどんどん膨らんできたわけでございます。その財政赤字が、今、利払い費の増加、国債費の増加として時限爆弾のように日本の財政に乗っかってしまっているわけでございますけれども、我々日本維新の会としては、しっかりと未来投資をしていく、教育や子育てや科学技術や、そういったところに投資をしていく財源をつくるためにも、歳出の見直しもしっかりとしていかなければならないという立場でございますし、地方の行政の場では、そういったことを実際に日本維新の会はしてきたわけでございます。

 改めて財務大臣にお伺いしたいんですけれども、ここまで歳出規模が膨らんでしまった、それは、歳出削減といった、そういったところに対する取組が私は少なかったから今こういった結果になってしまって、なかなか、物価高であるのに日銀が金融政策をうまくコントロールできない、それはコントロールされているというお立場だと思いますけれども、物価高の状況で苦しいのは国民のみんな共通した認識だと思いますし、為替が円安にすごく行っているのに、なかなかそれを歯止めをかけることもできなくなってしまっているのは、これまでの財政の在り方に大きな問題があったからだと思います。

 歳出削減、こういった財政を立て直すことの重要性をおっしゃるけれども、実際に歳出削減に取り組んできたかといえば、そういったことはほとんど効果を発揮しなかったと思いますので、歳出削減をしていくんだ、やらなければならないんだ、行財政改革をしていかなければならないんだというところを、財務省として、財務大臣として本当に持っていただいているのか、そういったところをお尋ねをさせていただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、基本的なスタンスとして、政策経費を確保していく、また、あってはなりませんが、災害とか様々な状況のときにおいても国民生活をしっかり守っていく、そのためにも財政の持続可能性を維持していかなきゃなりませんし、そして、そのためには、ふだんにおいて歳出改革をしっかり行っていく、これが基本的なスタンスであります。

 具体的には、例えば骨太方針二〇二四においても、各年度の予算編成において、経済、物価動向等に配慮しながら、これまでの歳出改革の取組を継続するとされています。ただし、重要な政策の選択肢を狭めることがあってはならないことも明記をされているところであります。

 こうした考え方に沿って、真に必要な事業への予算の重点化など、めり張りの利いた予算編成を、これまでも行ってきたところでありますが、今後ともそうした方針にのっとって予算編成に当たっていきたいというふうに考えています。

斎藤(ア)委員 これまで行ってきたのであれば、こんな状況にはなっていないと思うんですけれども。

 何も全ての歳出を削減しろと言っているわけではない、そんなことを言うと先輩に緊縮派だと怒られてしまいそうな気がしますので、そういったことではなくて、やはり、物価高対策を行っていくだとか、未来への投資を行っていくとか、そういった政策提起を確保するためにも、平時から無駄の削減をしていく、コストカットをしていくということは、これは必要不可欠だと思いますので、今の財政状況を見るに、そういっためり張りの利いた財政運営ができたとは思いませんので、そのことは改めて日本維新の会からも、行財政改革、そういったところを強く求めていきたいと思います。

 今回、三党で、教育の無償化であったり、あるいは社会保険料を下げることを目的とした合意文書というものを結ばせていただきました。自民、公明、日本維新の会で結ばせていただきましたけれども、その中でも、この教育の無償化に関する財源などに関しては、行財政改革でしっかりと生み出していくんだと。これは、仮に増税をして教育無償化をしていきますということでは有権者の支持は得られないと思いますし、政策が頓挫をしてしまうと思います。大阪の方で教育無償化をされて、高校無償化をされて、それの大阪の方々の支持が高い理由というのは、それに伴って追加の税負担を求めなかったからだというふうに思っておりますので。

 今、財政をしっかりと立て直していく、歳出削減をしていく、行財政改革をしていく、それによって教育無償化の財源を生み出していくんだという、それが我々が結ばせていただいた三党の合意だとも思いますので、是非ともそういった方向で、今後とも、歳出の見直し、そして、将来、国民の生活に必要な、教育や子育てに、必要な投資にお金を回していけるような、そういった財政運営というのを新たに始めていただきたいというふうに考えております。

 では、日銀副総裁におかれましては、これで御退席をいただいて結構でございます。

 次に、残りの時間で、所得税法の一部を改正する法律案についてお尋ねをさせていただきたいというふうに考えています。

 今の三党合意の話とも重なるんですけれども、日本維新の会としましては、教育や子育てに対する投資は所得制限を設けるべきではないという立場に立っておりまして、今回、我々の立場に基づいた三党合意を結んでいただいたことは、これは評価をさせていただきたいというふうに思っております。

 その一方で、教育や子育てに対する所得制限は設けないけれども、やはり、税金というものは、これは所得に基づいて、所得がある方にはそれなりに払っていただいて、所得のない方には負担を軽減をしていくという累進課税の考え方が非常に重要だと考えております。税をいただいているからこそ、教育や子育てに対する投資に対しては所得制限を設けないというのが我々日本維新の会の基本的な立場でございます。

 今回、所得税法の一部を改正する法律案には、基礎控除と給与所得控除の合計額を百二十三万円に引き上げるという政策が盛り込まれています。まず、この百二十三万円に引き上げる政策というのは何を目的にしているものなのかということをお伺いをしたいんですけれども、今日、主税局長に来ていただいていますし、今のこの百二十三万円への引上げは何を目的として行われるのか、これをちょっと、まず端的にお伺いをしたいと思います。

青木政府参考人 お答えいたします。

 今回の基礎控除などの引上げにつきましては、所得税の基礎控除の額、それから給与所得控除の最低保障額が定額であることによりまして、物価が上昇すると実質的な税負担が増えるという課題がございます。こうした課題に対応するために、基礎控除の額と給与所得控除の最低保障額を十万円ずつ引き上げるものでございます。

 この引上げ幅につきましては、消費者物価指数が最後の基礎控除の引上げから直近までの消費者物価の動向等を踏まえたものであり、また、生活必需品を多く含む基礎的支出項目の消費者物価が二〇%程度上昇していることを勘案すれば、生活実感も踏まえた調整となっているものというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 物価高対策として行っているという御回答だったと思いますけれども、これは繰り返しこの委員会でも議論になっていますけれども、低所得者の方々にとって、例えば、年収四百万円程度の方々にとっては、五千円とか、あるいはもうちょっと所得が高くなっても一万円程度とか、別に、金額の多寡は人によって感じ方は違いますけれども、その程度しか減税にならなくて、物価高対策として本当に十分なのかといえばそうでもないですし、一方で、高所得者の人ほど減税幅が広がるわけですから、税金をたくさん納めていただいているので減税をするというのは、それは当然そうなんですけれども、物価高対策としては、やり方として余り効果的な方法ではないんじゃないかなと私は思うんですけれども。

 物価高対策として百二十三万円まで壁を引き上げましたというこの政策は、物価高対策として本当に効果的なものなのか。その点は、財務大臣、どのようにお考えなんでしょうか。

加藤国務大臣 物価高対策というと、いろいろな意味がそこに入ってくるのではないかなというふうに思うんですが、今回は、こうした物価上昇局面において、実質的な負担増、これを解消しようということで、先ほど主税局長が説明した形を取らせていただいているところでございますので。

 そういった意味で、物価高対策ということでいえば、特に低所得者の人たちの生活が厳しいということで、低所得者向けの給付金の支給、あるいは地域の実情に応じた物価高対策を後押しする重点支援地方交付金など、様々な対応を講じることとしているところであります。

斎藤(ア)委員 財政制約がある中で、減税をしたくてもできる範囲には限界が当然あると思いますが、その中でどこまでできるのかということを、今、ぎりぎり、自民党、公明党、国民民主党との協議もやられていますし、これからもされるというふうに伺っていますので、そういったところでしっかりと協議をしていただいて。

 我々日本維新の会としても、できるだけ国民負担を減らしていくというのは、それは、誰から見てもそれが望ましいことは当然でございますので、どういった方法が公平性が高いのか、どういった方法が今の物価高の状況に対して効果が高いのかということは、しっかりと政府の方とも議論をこれからもさせていただきたいと考えています。

 最後に、たばこ増税のところについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回、防衛増税の一環で、たばこ税が上がるという項目が含まれているわけでございます。特に影響が多いのは、電子たばこでございますね。

 電子たばこに関しては、これまで、紙巻きたばこと比べて税額が低かったわけでございますけれども、それを、数年度かけて紙巻きたばこと電子たばこの税率を一緒にするという改正が行われますけれども、今回の増税で、電子たばこの部分ですね、どれぐらい一箱当たり税金が上がる感じになるのか。まず、主税局長からお答えをいただきたいと思います。

青木政府参考人 お答えします。

 今回のたばこ税の見直しは、加熱式たばこの課税方式の適正化により、紙巻きたばことの税負担格差を解消した上で、全体のたばこ税の税率を一本当たり一・五円引き上げるものでございます。

 この見直しにより増加する一箱当たりの税負担額でございますが、加熱式たばこは製品ごとに増加する税負担額が異なるため一概に申し上げることは難しいんですが、課税方式の適正化とこの税率の引上げによりまして、約六十円から百二十円程度増加するものというふうに見込んでおります。

斎藤(ア)委員 たばこの税金が上がることはやむを得ないというか、たばこを吸っている人は別に悪いことをしているわけではなくて、たばこも違法なものではございませんので、そこだけをターゲットにするのはおかしいとは思いますけれども、一定程度税金が上がることに対しては、国民、有権者、納税者の方々も、やむを得ないと考えていると思うんですけれども、急激に税金を上げられてしまうと、消費者の方も困るし、事業者の方も困るし、それが、やり過ぎると不当なものになってしまうと思うんですけれども、この加熱式たばこの税率を紙巻きと合わせる期間というのは、どれぐらいの期間でこれを合わせることになるんでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のたばこ税の見直しのうち、加熱式たばこの課税の適正化につきましては、紙巻きたばことの間の不合理な税負担を生じているという状況に、早期に是正する必要があると考えております。

 その上で、製品によっては大幅に税負担が増加することも踏まえまして、消費者への影響に配慮する観点から、最初の引上げは一年後の令和八年四月から行うとともに、一度に適正化を実施するのではなく、二段階に分けて行うこととしております。

斎藤(ア)委員 今回、たばこ全体の税率も上がって、同時に、加熱式たばこの紙巻きたばことの税率の差を埋めるということですから、加熱式たばこを今吸っている人は半分近くいらっしゃるわけでございまして、急激な増税というのは、やはり生活者にとっては厳しいものと思いますので。

 今回、こういった案でございますけれども、是非とも、たばこ増税をしていくという方針は、それは仕方がないというか、やむを得ない面があると思いますけれども、余り特定の人たちだけに負担をかけるようなことは、たばこを吸っている人たちをターゲットにしてするというのは、これは余りフェアではないと思いますので、方向性は納得というか、仕方ないとしても、やはりそこはある程度配慮をして、さらに、多年度に分けて平準化してやっていくということが、正当な、フェアな方法だと思いますので。不合理な税差とおっしゃっていましたけれども、それは誰から見て不合理なのかということもあると思いますし、税差を埋めるということ、また増税をしていくということは、やむを得ない面があると思いますけれども、そこは是非とも、余り急激なことをするとみんなが困ってしまいますので、そのことだけは最後にお願いをさせていただきたいと思います。

 では、時間が参りましたので、以上にて終わらせていただきます。ありがとうございました。

井林委員長 次に、岸田光広君。

岸田(光)委員 国民民主党の岸田光広です。

 本日は、質疑の機会をいただき、ありがとうございます。

 昨日、自民、公明両党が、所得税の非課税枠であるいわゆる年収百三万円の壁の見直しに関しまして、課税最低限を百六十万円に引き上げるため、二〇二五年度予算案を修正する方向で調整に入ったとの報道がありました。

 我々国民民主党は、昨年の衆議院議員選挙におきまして手取りを増やすと訴えさせていただき、有権者の皆様の御支援をいただき、躍進をさせていただきました。

 百三万円の壁の撤廃において、我が党は、今、日本経済はデフレ経済から脱却できるかどうかの分水嶺にあること、そして、憲法二十五条の生存権に基づき、生活保護の考え方と同じように、生活に最低限必要なお金には税金をかけない、かけるべきではないこと、また、百三万円の壁が労働供給の阻害要因になっていることを解消しようとするものだと訴えさせていただきました。

 百三万円の壁撤廃について国民の皆さんからの御支持、これは、国民の皆様の、今、物価高などで非常に苦しいこの生活を何とかしてほしいという悲痛な声であると我々は認識しております。

 手取りを増やすというスローガンは、三年前の衆議院議員選挙において公約をつくる際の、給料を上げる経済をつくるとの公約の延長線上にあるもので、この精神は百三万円の壁撤廃の政策に引き継がれているものでございます。生存権に基づき最低限の生活費には税金をかけず、中間層を含めた全ての人に、簡素な方法で公平に、取り過ぎた税金を国民の皆様にお返しすることによって、消費を通じた経済の好循環を生み出し、壁をなくすことにより中立的な働き方ができる労働環境をつくり出すことが、我が党が訴えさせていただいた、この百三万円の壁を撤廃しようとした本旨でございます。

 自民党、公明党の所得税法修正案が提出されましたら、我々は、訴えたこの本旨、税の三原則である公平、中立、簡素の観点から、しっかりと検討させていただきたいと思います。

 また、百三万円の壁の撤廃と同時に、ガソリンの暫定税率の撤廃を取り決めた公党間の、幹事長間の合意は非常に重いものであると認識しているということを、併せてこの場で申し上げさせていただきます。

 それでは、質疑に入ってまいります。

 本日は、所得税法改正に関しまして、iDeCo、そしてNISAについて質問をさせていただきたいと思います。

 我が国の個人金融資産は、半分以上が預貯金、現金であり、欧米諸国に比べて投資が少ないと指摘されているところです。国民の所得を増やすためには、給与所得が上がることと併せて、金融資産所得を増やしていくことも重要です。政府は、貯蓄から投資のための資産所得倍増プランを推し進めてきており、個人が投資しやすい環境が整えられてきております。特にNISA導入後は、投資家の裾野が広がりまして、国民の資産形成のために活用されているところです。

 一方、投資未経験者が投資を行わない理由としましては、資産運用に関する知識がないから、また、購入、保有することに不安を感じるからとの回答が多いといった調査結果もございます。今回の改正に当たり、iDeCo、NISAの制度を更に簡素で分かりやすく使い勝手のよいものにするとともに、投資に関する知識不足の解消や不安の払拭に向けた取組が重要だと思います。

 昨年末、ネットで、二〇二五年度税制改正においてiDeCoが改悪される、また、iDeCoがステルス改悪と一部で炎上したと伺いました。改悪と言われているのは、確定拠出年金、DCを一時金で受け取る際の退職所得控除の制度変更に関してで、今まで、iDeCoを一時金で退職金より先に受け取った場合、五年以降に退職金を受け取った場合は、退職金と併せて両方で退職所得控除を利用できたものが、この五年以降というものが十年以降ということになったことを改悪とするものでした。

 この税制改正におきまして、意図と見解、こちらの方をお聞かせください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 退職所得につきましては、他の所得と比べまして税負担を軽減しておりますが、複数の退職金を受給する場合には、課税の公平性の観点から、勤続期間の重複につきまして調整した上で退職所得控除を計算することとしておりまして、退職金を受け取った年以前五年以内に受け取った別の退職金を調整の対象としております。

 確定拠出年金の一時金につきましても退職所得課税が適用されますが、受給者が、六十歳から七十五歳までの間に、確定拠出年金につきましてはその受給日を任意に選べるということを踏まえまして、課税の公平性の観点から、従来より重複期間の調整規定の特例が設けられております。具体的に申しますと、確定拠出年金の一時金と通常の退職金のどちらを先に受給するかで調整期間の長さに大きな差がある制度としております。確定拠出年金を先に受給した場合には五年である一方、後に受給した場合には二十年というふうになっております。

 今回の見直しの趣旨につきましては、定年の引上げなどによりまして、退職一時金の受給年齢が六十五歳以降になるケースが増えるということが見込まれる中で、課税の公平性の観点から、確定拠出年金の一時金を先に受給している場合について、受給後十年以内に別の退職金を受け取った場合には調整の対象とすることとしたものでございます。

 なお、厚生労働省の統計によりますと、六十五歳以上を定年年齢と定める企業は増加傾向にあるものの、現時点では、大企業の約八割、企業全体でも約七割において六十四歳以下を定年年齢としておりまして、こうした企業に勤めて退職金を受け取られる方につきましては、今回の見直しの影響は基本的にはないものと考えております。

 その上で、見直しに当たりましては、令和八年一月一日以後に受給した確定拠出年金の一時金について適用することとしておりまして、既に一時金を受け取った方については適用がないというようなことで対応をさせていただいております。こうした趣旨は丁寧に説明してまいりたいというふうに考えております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 今、局長の方からも課税の公平性という答弁をいただいたんですけれども、答弁にもありましたように、元々対象者は極めて少ないということと、今回のルール変更については、抜け道といいますか裏技といいますか、そういったものをきっちり防いだという点で、公平性という観点からは私も必要な改正だったと思います。ただ、例えば社長とか、退職金の受取のタイミングを調整できる裁量がある方などにつきましては、また裏技的に使われることも考えられますので、引き続き、公平性の観点から、更なる検討の方をよろしくお願いいたします。

 次に、昨年のNISAの制度改正以来、iDeCoとNISA、どちらが得かというような議論が起こっていると聞いています。そもそも、このiDeCoとNISA、違う性質を持ったものです。それぞれの制度の目的、趣旨、制度変更の歴史、運用方針についてお答えください。

堀本政府参考人 NISAについてお答えいたします。

 NISAは、長期、積立て、分散の投資、この投資を通じまして家計の安定的な資産形成を促す、これが目的でございます。

 経緯としては、二〇一四年に非課税期間を五年とする時限措置として導入されましたが、二〇一八年に、つみたてNISA、これの導入を経て、二〇二四年に、非課税枠の拡大、あるいは非課税期間の無期限化、制度の恒久化と、抜本的な見直しを行ってまいった制度でございます。

 運用方針についてですけれども、どの商品を実際に御利用されるかというのは、まさしく利用者の方々の御判断なんですけれども、金融庁としては、長期、積立て、分散による投資促進の観点から、NISAの商品等の制度設計、あるいは普及活動を行っているところでございます。

武藤政府参考人 iDeCoについてお答え申し上げます。

 個人型確定拠出年金であるiDeCoにつきましては、公的年金の上乗せとして、老後の多様なニーズに対応するための制度として、まず、自営業者や企業年金に加入していない会社員の方などを対象に、二〇〇二年の一月からスタートした制度でございます。個人で加入し、一定額を拠出の上、運用していくことで、最終的に拠出額と運用額により受取額が決まる年金制度でございます。拠出する掛金が全額所得控除されるなど、手厚い税制優遇を設けているところでございます。制度の創設後、働き方の多様化などに対応するため、二〇一七年には、原則、国民年金被保険者であれば加入可能となるよう、対象者の範囲を拡大しているところでございます。

 また、iDeCoは、加入者が自ら運用商品を選択し、運用する制度でございます。長期的な年金運用の観点から、継続して積立てを行う仕組みとなってございます。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 答弁いただいたように、NISAについては投資というか運用というか、iDeCoについては退職金というか年金的な性格があるということでお伺いしたんですけれども、それぞれの加入者、また運用額についてお答えいただけますでしょうか。

堀本政府参考人 NISAについてお答えいたします。

 NISA口座の保有額は、二〇二四年十二月末時点の速報値によりますと二千五百六十万人、これは、十八歳以上の国民のおよそ四人に一人が口座をお持ちだということでございます。

 NISAの残高についてでございます。これはまだ新NISAが導入される前の二〇二三年の十二月末のデータでございますけれども、その時点では十八・四兆円となっております。

 二〇一四年のNISA導入後、順調に増えておりますが、特に足下の一年間、新NISAが決定された足下一年間は急速な増加が見られるところでございます。

武藤政府参考人 まず、iDeCoの加入者数についてでございますが、直近の二〇二四年十二月末時点で約三百五十万人となっております。また、iDeCoの資産額でございますが、加入者の対象範囲を大幅に拡大した直後の二〇一七年三月末時点の約一・四兆円から、二〇二四年三月末時点では約六・二兆円と拡大しております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 iDeCoとNISA、それぞれ制度の目的が違うので単純比較はできないとは思いますが、ただ、NISAの利用者、今二千五百六十万人と伺いましたが、それに比べてiDeCoの利用者が三百五十万人とまだまだ少ないように思います。

 私は、iDeCoは非常にいい制度だと思っておりますので、iDeCoの加入者がもっともっと増えるべきだとは思っているんですが、NISAと比べた場合のiDeCoのメリットとデメリットについてお答えいただけますでしょうか。

武藤政府参考人 iDeCoにつきましては、NISAと異なり、掛金が全額所得控除の対象となることで拠出時の所得税や住民税が軽減されるメリットがございます。

 一方で、老後の所得確保を目的とした制度でありますことから、原則六十歳以降にならないと受け取ることができず、中途引き出しは原則認めていないという状況でございます。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 今挙げていただいたことも含めて、デメリットについて幾つかお聞きしたいと思います。

 iDeCoなんですけれども、毎月必ず払い続けていかなければならないということで、資金的にちょっと一時的に払えなくなるようなケースもあると思います。このようなことがデメリットとなると思いますが、その場合、一時的に支払いを止められるような制度はあるんでしょうか。

武藤政府参考人 iDeCoの加入者は、申出を行うことで、iDeCoの拠出を停止して運用指図のみを行う者となることができるということになってございます。

岸田(光)委員 一度入るとなかなか簡単にやめられないといったところを結構心配する方がいらっしゃるので、この点、一時的に止められるということなんですが、ただ、口座管理のために手数料はかかっていくということなので、こちらの点についても、負担をなくすというところで不安は払拭されると思いますので、こちらの、金額も含めた検討の方をよろしくお願いします。

 次に、長い人生において、突発的にお金が必要となってくることがあります。一定の年齢まで引き出すことができないというのは、ある意味いいところもあるんですが、やはり一時的にお金が必要なときというのは困る局面もあると思います。

 例えばなんですが、自分が積み立てておいた資金の範囲内で短期的な借入れができるような制度というのは考えていないでしょうか。

武藤政府参考人 確定拠出年金法によりまして、iDeCoの給付を受ける権利を担保に供することは禁止されていることから、iDeCoの個人別管理資産を担保とした貸付けは制度上認められていないという状況でございます。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 小規模事業者向けの制度で小規模企業共済というのがあると思うんですが、どちらかというと小規模事業者の退職金のような制度だと思うんですけれども、この小規模企業共済では、自分の支払った範囲で、短期で無保証で貸し付ける制度があります。やはり、一度払ったものが途中で出せないといったところが非常にデメリットとして強調されていますので、是非iDeCoにもこのような制度を考えていただければと思います。

 次に、iDeCoの加入者が一時金を受給する前に亡くなられたようなケースなんですけれども、この場合、一時金として受給できると思いますが、この手続というか、一時金をどのように受け取るような流れになるんでしょうか。

武藤政府参考人 iDeCoの加入者がお亡くなりになった場合、その御遺族の方は、請求手続を行うことで死亡一時金を受給することができることとなってございます。

 なお、iDeCoの加入者が亡くなられた場合には、その事実を検知した際にiDeCoの実施機関から加入者御本人の住所宛てに通知を行うなど、死亡一時金の受取の勧奨に努めているところでございます。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 遺族の方の手続漏れ等もありますので、今の答弁で、きっちり通知していただけるということですので、使い勝手の面で非常にいいかと思います。

 次に、iDeCoにおける被保険者ごとの取扱いについてお伺いしたいと思います。

 三号被保険者についてですが、一号、二号との違い、これはどこにあるのでしょうか。その位置づけについて教えてください。

武藤政府参考人 お答え申し上げます。

 国民年金の被保険者がiDeCoに全て加入できるようになっておりますので、そういう点では同じ条件になっているということでございますが、拠出限度額が加入する制度によって違うという点がございます。

岸田(光)委員 三号の方については、納税されていない方が多いと思うので、税制面でのiDeCoのメリットを余り享受できないので、その点がちょっと、私もなぜなのかなというところでお聞きしたんですけれども。

 今回の改正点で、一号、二号の拠出限度額の引上げがなされたと思いますが、どのような考えで決められたのか。また、三号被保険者の方については変わらずということだったんですけれども、その理由を教えてください。

青木政府参考人 お答えいたします。

 働き方やライフコースが多様化する中で、税制は老後の生活又は資産形成を左右しない仕組みにしていくことが基本だと思っております。

 この点を踏まえまして、現行制度では、会社員を中心とする第二号被保険者につきましては、勤務先の企業年金がない場合や拠出額が少ない場合であっても、現行の企業型DCの拠出額と同額を本人拠出により拠出することができないという課題がございます。

 このため、今回の税制改正では、iDeCoの拠出限度額につきまして、勤務先の企業年金の有無などに基づく限度額の差異を解消いたしまして、企業年金と共通の拠出限度額に一本化することとしております。その上で、前回の拠出限度額設定時からの賃金上昇率を勘案しまして、月額五・五万円から六・二万円に共通拠出限度額を引き上げるということをしております。これは二号被保険者の方。

 一号被保険者の方に関する見直しでございますが、働き方の多様化でございますとか、自営業者を中心とする第一号の方につきましては公的年金の給付額が少ないということも踏まえまして、iDeCoと国民年金基金との共通拠出限度額について、六・八万円から七・五万円に月額を引き上げるということによりまして、二号被保険者の方との公平を一定程度確保するということとしております。

 また、三号の被保険者の方の拠出限度額を引き上げない理由でございますが、委員からも御発言ありましたけれども、やはり三号の方というのは税制優遇も限定的な面がございます。また、三号被保険者のiDeCoの活用につきましては、元々iDeCoを利用されていた方について、転職の合間などに一時的に就業を停止している期間に利用されるということが想定されているものと思います。

 こうしたことから、公的年金の保険料は自らは支払っておられない第三号被保険者の方に税制優遇を拡大することにつきましては、働き方の多様化や第三号被保険者の在り方についての検討状況なども踏まえまして、慎重な検討が必要であるというふうに考えております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 三号被保険者の方については、一時的な利用ということで今回は引上げを見送られたということで、その趣旨は理解させていただきました。

 ちょっと時間も限られていますので、質問を飛ばさせていただきます。

 今回のルール変更で、抜け道あるいは裏技的に五年ルールと言われるものを塞いだという意味で、答弁にもありましたとおり、公平性の観点から必要な改正だったと思います。また、今回の改正で拠出限度額が引き上げられるとともに、スタート時の年齢も引き上げるなど、今回のiDeCoの制度の改正は、使いやすさの面から、全体として非常によい改正だと思っております。

 ただ、一番、iDeCoのデメリットといいますか、皆さんが加入においてためらわれているところは、今後iDeCoの制度が変更されるんじゃないか、掛けるときは入口、出るときは出口戦略みたいな形でよく言われるんですけれども、出口のときに大きな不利益を被るおそれがあるんじゃないか、これで入らないんですという方が非常に多いと思います。既に加入された方に対して不利となるような大きな制度変更は私はするべきではないと思います。例えば、民間の金融商品とかであれば後で変えるということはないので。

 ここでちょっと加藤大臣にお伺いしたいんですけれども、このような制度変更はしないというふうに加藤大臣からお聞きできればと思います。よろしくお願いします。

加藤国務大臣 今iDeCoの話がありましたけれども、働き方、ライフコースが多様化する中で、税制が老後の生活や資産形成を左右しない仕組みとしていくことが、豊かな老後生活に向けた安定的な資産形成の助けになると考えております。

 iDeCoを含む私的年金等の在り方については、令和七年度与党税制改正大綱において、「個人の生活設計にも密接に関係すること等を十分に踏まえながら、拠出・運用・給付の各段階を通じた適正かつ公平な税負担を確保できる包括的な見直しが求められる。」とされております。

 その上で、具体的な案の検討に際しては、あるべき方向性、全体像の共有、これを丁寧に深めながら進めていくことが重要というふうに考えております。

岸田(光)委員 今回の改正では、先ほども申し上げたように、税の公平性の観点から、また国民の利便性の観点からも、非常に歓迎すべき方向で改正されていると思います。

 高齢期の生活を維持するためには、公的年金に加えまして、このような私的年金の加入が有効だと思います。社会経済情勢の変化で、高齢の方でも就労される方が増えておりますし、また、企業年金のない企業、退職金制度のない企業にお勤めの方もいらっしゃいます。私的年金の加入の有無、これが、高齢になってからの資産とか所得の格差が拡大する一因ともなってまいります。より多くの国民が加入しやすくなるため、今後、制度面そして税制面でも、国の方でしっかりと後押しをすべきだと思いますし、幅広い年齢層への金融教育、そちらの方も進めていただいて、制度の周知の方もしっかりと取り組んでいただけたらと思います。

 取組を一層進めていただくことを要望いたしまして、私の全ての質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございます。

井林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 引き続きまして、国民民主党、田中健です。よろしくお願いします。

 所得税法に関してですけれども、いわゆる年収百三万の壁に関して修正案が出されるようであります。出される前に、現在の政府案を改めて確認をしておきたいと思います。

 先ほど斎藤アレックス議員もありましたが、政府案の百二十三万円、この目的でありますけれども、先ほど、物価高対策、インフレ対策というのはあったんですけれども、今回の法案提出を見ますと、物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整対策の観点からこれを入れたと書いてあるんですけれども、この政府案の百二十三万円は、インフレ対策、就業調整対策ということでよろしかったでしょうか。

加藤国務大臣 今回の法案において、物価上昇局面における税負担の調整の観点から、所得税の基礎控除などの見直しを行うとともに、就業調整対策の観点から、大学生年代の子等に係る新たな控除を創設することとしているところでございます。

田中(健)委員 あくまで百二十三万円は税負担調整だと、そして就業調整対策は大学生の特例措置、控除の創設ということで理解をしました。

 引き続きまして、基礎控除の考えですけれども、基礎控除は、あくまで最低限の生活コストに税金をかけないという考えで、それは基本は定額であるということでよろしかったでしょうか。

加藤国務大臣 基礎控除については、一定の額までの少額の所得については負担能力を見出すに至らないと考えられることから、原則全ての納税者に適用される、基礎的な人的控除の一つとして実施をしているところであります。

田中(健)委員 こちらも確認しました。

 さらに、この百二十三万円ですけれども、百二十三万円までなら財源措置は必要ないということを何度も予算委員会やこの委員会でも言っておりました。つまり、それは、裏返しますと、それ以上の場合は財務省としても財源措置が必要であるということと言えるのかも確認をします。

加藤国務大臣 今回の基礎控除等の額の引上げについては、令和七年度与党税制改正大綱において、デフレからの脱却局面に鑑み、基礎控除等の額が定額であることにより、物価が上昇すると実質的な税負担が増えるという所得税の制度的な課題に対応するものであるため、特段の財源確保措置は要しないと整理をされ、一方、これを超える恒久的な見直しが行われる場合の財政影響分については、与党税制改正大綱において、歳入歳出両面の取組により、必要な安定財源を追加的に確保するための措置を講ずるものとされていると承知をしています。

田中(健)委員 百二十三万円以上であるならば恒常的な財源措置が必要だということであります。

 この後に出る新たな修正案についても、これを踏まえて私たちも質疑をさせていただきたいと思います。

 今日は、続きまして、中小企業の融資、そしてそれに関わる金融機関についてをお聞かせをいただきたいと思います。

 東京商工リサーチによりますと、二〇二四年、倒産件数は十一年ぶりに一万件を超えたということです。

 さらに、代位弁済が、件数、金額共に、これも十年ぶりの高水準となりました。とりわけ零細企業は、物価高、人手不足によりまして資金繰りが悪化しております。二四年の代位弁済は四万八千二百七十件、前年比は一六%を超えて、代位弁済の額も五千五百十五億円と、一八%増加しています。

 さらに、財務省の企業統計によりますと、資本金一千万円以上、二千万未満の企業の借入金は、二四年九月末時点で約五十兆円と、コロナ前の一九年比で三割も増えています。コロナ禍において、余剰資金が乏しい零細企業ほど政府の資金繰りに依存していたということであります。

 しかしながら、一方、コロナ禍で困窮状態に陥った企業の資金繰りに緩和の効果を発揮した、いわゆるゼロゼロ融資でありますけれども、これも一時大変取り上げられ、問題になりましたけれども、利用した後に倒産した企業が、二〇二四年は五百六十七件ということで、前年より一〇%減だということでありました。二〇二〇年にゼロゼロ融資が始まって以来、利用企業の倒産が初めて減少に転じたということであります。

 これは大きな変化かと思いますけれども、この結果に対しては、企業が自分たちで自立的な経営を進めてきたのか、ないしはまた、政府の資金繰り、様々対策を進めておりますが、この効果が出ている影響なのか。大臣は、このような状況、どのような見解を持っているのか伺います。

加藤国務大臣 今、東京商工リサーチの調査結果のことをおっしゃられたところでありますが、ゼロゼロ融資の終了後、政府としては、官民金融機関に対して、既往債務の条件変更や借換えなど、資金繰り支援に迅速かつ柔軟に対応する一方、事業者の状況に応じた経営改善、事業再生支援等に積極的に取り組むよう要請をしたところでございます。

 これらが事業者の回復、成長に寄与しているものとも認識をしておりますが、各事業者の倒産の要因は、これは様々であります。御指摘の倒産件数が減少した要因を確定的に述べることは難しいことは、御理解いただきたいと思います。

田中(健)委員 なかなか一概には言えないとは思うんですけれども、資金繰り支援が続いているのが効果があるというのも一つかと思っていますが、やはり、金融機関、保証協会としましても、成長性の高い企業を見極めた上で、さらに、収益が低い企業というのは事業継承やまた事業再生などを活用して新陳代謝を促す、今、そういうときに来ているんじゃないかと思っています。そういった意味で、前回の質問では事業承継税制についても触れさせていただきました。もう一つの方の事業再生の取組についてをここでお聞かせいただきたいと思います。

 民事再生法などの再生型の倒産というのは、実は、今回のこの一万件の中では僅か二・六%と低い水準ということであります。再生見込みがある企業が十分な手だてがなくて倒産に追い込まれてしまうということは大きな問題であります。

 そんな中、金融庁は、昨年、地域の金融機関向けの監督指針を改正をし、資金繰り支援にとどまらず、その一歩先を見て、事業再生、さらに経営改善、その取組を積極的に行うということを促しました。地域の金融機関に聞くと、大きな転換であったというのをお聞きしておりますが、この取組や、そして今般までの実績、これを伺います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁では、地域金融機関による経営改善、事業再生支援について、二〇二四年の四月に、中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針を改正いたしまして、金融機関に対して、事業者の現状のみならず、一歩先を見据えた早め早めの対応を促しているところでございます。また、支援に当たりましては、事業者に提案するソリューションの充実、政府系金融機関、外部の支援機関との積極的な連携も促しているところでございます。

 その結果、足下では、地域金融機関による事業再生支援先は増加傾向にあるほか、中小企業活性化協議会、事業再生ファンドといった外部の支援機関と連携した支援実績も堅調に推移しているところでございまして、私どもの集計でございますと、地域銀行本体による再生支援等先数につきましては、二〇二四年九月時点で二万九千六百二十五先、その前の、半年前の二〇二四年三月の集計では二万七千七百十五先ということで、堅調な伸びを示しているというふうに考えております。

田中(健)委員 これは昨年から始まったばかりですのでまだ推移を見守っていきたいと思いますが、さらに、昨年には、事業性融資の推進等に関する法律も可決をしたばかりでありまして、融資基準をいわゆる担保から事業性へと転換をして、融資を受けられるような体制整備を今進めているということであります。

 どうしても銀行は、これまで融資においては担保が前提でありまして、なかなかこの金融機関の意識を変えるのは難しいと思っています。私も銀行員でありまして、古い銀行員でありますので、担保、担保と言って、個人保証も必ず取って融資をしておりました。事業再生を進めることや、事業の実態、将来性を含めた企業価値担保権に着目した融資を行うためには、銀行業界の意識変化が大変必要であります。

 この事業性融資の取組のために、金融庁は、新たに事業性融資推進本部を今後設置するということでありますが、この本部の設置の目的、また具体的な取組というのも伺いたいと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、事業性融資の推進等に関する法律を御審議いただいて、昨年六月に成立をさせていただいたということでございます。

 この法律で導入される企業価値担保権でございますけれども、将来キャッシュフローを含む事業全体を担保の目的とする新たな担保権でございまして、担保となる有形資産に乏しい事業者への融資をより一層推進すべく、新しい選択肢を提供するものであるというふうに考えております。

 御指摘の事業性融資推進本部につきましては、事業性融資の推進に総合的かつ集中的に取り組むために、これは法律の施行と同時にということでございますけれども、金融庁に設置するものでありまして、この本部は、具体的には、事業性融資を推進するための支援体制などを定める基本方針の策定や関係行政機関の事務の調整等を行うこととされております。

 金融庁といたしましては、これに向けまして、昨年七月に、事業性融資推進プロジェクトチームというのを立ち上げまして、この法律に関する政令等の整備も行っておりますけれども、そのほかに、業界団体と連携をいたしまして、この企業価値担保権の活用が想定される融資事例や与信審査、期中管理の在り方、担保権を活用した融資における引き当ての考え方などの実務上の課題について業界団体と議論をし、また検討を促進するということを今行っているところでございます。

田中(健)委員 中小の金融機関は、なかなか、担保主義がまだありますので、さらに経営資源も限られていますので、是非、そのサポートがないとなかなか前に進まないと思いますので、そのサポートをしっかり推進本部で行っていただきたいと思います。

 これだけ聞いていると、倒産も減ってきて、またそして金融機関も変わって、いいことずくめのような話になるんですけれども、なかなかそうはいかず、先ほどの倒産の大半は中小零細企業であって、従業員五人未満の企業が七千五百八十二件と七六%を占めます。その場合の企業のメインバンクというのは、いわゆるメガバンクや大きな銀行ではなくて、地域に根を張る信金、信組であります。その信金、信組は、今、経営へのしわ寄せが懸念されているということが言われています。なぜかというと、この倒産によると、民事再生処理ではなくて、店じまいをする清算型処理が増えているからで、清算型処理というのは、債務超過であれば、融資はカットされて、融資先もなくなってしまって、さらに、貸したお金も回収できずに、直接、信金、信組の健全性を毀損すると言われています。

 加藤大臣は、十月二日、初閣議の記者会見で、地域金融機関による金融機能の一層の発揮と健全性の確保を後押しするということを述べておりました。信金、信組、直近の要注意先を見ますと、融資先の総量百四十七兆円も総与信はあるんですけれども、そのうち二十二兆円が要注意先となっています。これは一五%にわたっていますが、健全性は大丈夫なんでしょうか。大臣の見解を伺います。

加藤国務大臣 まず、協同組織金融機関の健全性についてでありますけれども、委員も今御指摘ございましたが、コロナ禍を経て、融資全体に占める要注意先の割合は高まっています。他方、不良債権比率は、直近の決算で約三・一%と過去十年間で低い水準であります。総じて充実した自己資本も有しております。そうした点を踏まえますと、総体として安定しているものと認識をしております。

 他方、物価高や人手不足といった外部環境の変化、コロナ禍からの債務負担等を背景に倒産件数が増加をしており、協同組織金融機関においては、事業者を取り巻く厳しい経営環境を踏まえ、取引先の状況を丁寧に把握し、それを基に経営改善支援等を進めていく、また、そのことが金融機関自身の財務の健全性を確保する点からも重要だと考えているところでございます。

 こうした観点から、金融庁では、地域金融機関における金融仲介機能の一層の発揮を促すとともに、丁寧な与信管理等の信用リスク管理体制を含め、健全性の確保についても、引き続き、しっかりモニタリングしていきたいと考えております。

田中(健)委員 信金、信組は、上場企業とは違いまして情報開示が進んでおりませんので、是非モニタリングをしっかりしてほしいと思います。

 といいますのも、地域の金融機関には、万が一の場合の金融の機能強化法によります公的資金が用意されています。公的資金というとかなり昔の話のように思いますが、先日も、SBIの新生銀行、今年中に完済するという報道がされていました。しかし、それは、いわゆる九〇年代の金融危機で注入されたものであり、まさに平成金融危機と言われたときであります。しかし、実は、今、公的資金は増えておりまして、昨年までにも、五つの地銀と十三の信金、信組に四千億近い公的資金が注入をされています。さらに、今年になってからも新たに公的資金が注入されているということでありますが、この現状についてをまず伺います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、金融機能強化法に基づく、資本参加と私どもは言っておりますが、これは、地域銀行五先、信用金庫、信用組合二十九先について今残高が残ってございまして、この残高の総額は四千百五十七億二千万円というふうになっております。ただ、この中で、信用組合の中央機関からの分がございまして、これが百四十五億円ございますので、国からの公的資金は四千十二億円強ということに現在なっております。

 本年におきましては、この二月に、全国信用協同組合連合会を通じた資本参加の決定が行われておりまして、これが約九十六億八千万円ということでございます。

田中(健)委員 さらに、懸念事としましては、今挙げてもらった公的資金が注入されている銀行、例えば、きらやか銀行は、公的資金二百億円の返済を二〇三七年まで延期する計画を発表しまして、事実上の国有化状態とも言われていますし、山梨県民信組は、過去の不良債権を処理した結果、公的資金が資本を上回るという規模になっています。

 これは、二〇二〇年に改正金融機能強化法で設けた特例措置によって、返済期間を定めない、数値目標を課さない、それで公的資金を注入するようにできたことも起因するのではないかと思っていますが、現在、公的資金注入が増えていること、また、返済できない、また、延長するという金融機関が増えていることへの問題意識を大臣に伺います。

加藤国務大臣 金融機能強化法に基づく、今おっしゃった国の資本参加は、金融機関の金融機能の強化を図り、地域経済の活性化を図るということを旨とするものであります。

 国の資本参加先については、足下では、いわゆるコロナ特例などを使って国の資本参加を受け入れる金融機関が増えているものの、これは、十分な資本を確保し、地域経済への一層の貢献を目指すという姿勢の表れとも評価できるところであります。また、これまで資本参加をした金融機関については、計画よりも早期に返済される場合も含めて、おおむね計画どおりに資金が返済されております。こうしたことを踏まえますと、資本参加先の増加自体が、すぐ、イコール、問題ということではないと考えております。

 また、公的資金の返済期限については、金融機関の自己資本の充実の状況に照らし、金融機関が金融仲介機能を十分に発揮できるよう設定することとされており、必ずしも、返済期間が長期にわたること、これも、イコール、問題になるものとも考えていないところであります。

 一方、金融庁としては、資本参加先の金融機関について、返済計画も含めた状況を定期的にフォローアップするとともに、仮に問題があると認められる場合には、必要に応じ報告徴求等の監督上の措置を講じてきておりますが、公的資金の返済が困難な先が増えている状況にはないと認識をしております。

 先ほど申し上げましたけれども、金融機能強化法に基づき資本参加を受けている金融機関の状況も含め、しっかりとモニタリングしていきたいと考えています。

田中(健)委員 公的資金注入のことを資本参加というと、何か、言い方を変えてしまうとまろやかになってしまうんですけれども。

 あくまでこれは、返済できない公的資金、まあコロナ特例を使っていると今話がありましたが、事実上、補助金のような形になってしまいます、渡し切りに。ですから、しっかり、今、返済をチェックしていますし、滞っていないということも大臣から確認できましたけれども、前半の議論に戻りますが、企業に新陳代謝を求めていく、必要だということも私も理解しておりますが、一方で、金融機関を救済する、もちろん金融機関は潰してはいけない、そして救済するというのは前提でありますけれども、例外的だからこそ、機能してきた金融機関の公的資金注入、資本注入は、ある意味、言われ方をすると、ゾンビ金融機関を増やしている、不公平を生んでしまっているのじゃないかといった指摘があるのも事実であります。

 そういった指摘に対しても、改めて、最後に、公的資金の在り方について大臣の見解を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、金融機能強化法に基づく資本参加は、金融機関の業務の健全かつ効率的な運営と併せ、地域における経済の活性化を期すことを旨としているところであります。

 このため、資本参加に当たっては、資本参加を受ける金融機関が当該資本を活用して地域経済の再生、活性化のための金融仲介機能の発揮に向けた取組等を進めるとともに、収益力の強化を図り、公的資金の返済財源の確保に向けた取組を進めていくことが見込まれるか、これを審査した上で資本参加を決定するとともに、資本参加した後も、こうした取組の状況を継続的にモニタリングしているところでございます。

 金融庁としては、金融機関に対する資本参加が地域経済の再生、活性化につながるとともに、公的資金が着実に返済されるよう、金融機関の取組の適切なフォローアップに取り組んでいきたいと考えております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 モニタリングとしっかりとした調査をお願いしたいということをお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。

井林委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いを申し上げます。

 二〇〇八年に道路特定財源が一般財源化をされまして、二〇一八年には恒久化の議論が行われました。今回、物価高騰対策として、再び暫定税率の廃止が議論されまして、昨年の十二月十一日には、自民、公明、国民民主、三党で合意をし、十二月二十日に決定をされました令和七年度与党税制改正大綱には、具体的な実施方法等については、引き続き関係者間で誠実に協議を進めるとしたところであります。

 税制改正において自動車関係税の抜本的見直しが議論をされる際、道路インフラの維持整備をどのように確保するかが重要な論点となります。埼玉県八潮市の陥没事故や頻発する災害を踏まえますと、道路インフラの整備は不可欠であります。一方、暫定税率を五十年間継続してきたこと自体、見直しが必要だったとの論点もありますけれども、財源確保の観点から、ガソリン、軽油に対する一定の税負担の必要性も議論すべきではないかと思います。私は地方出身でございますけれども、特に地方の道路整備の遅れというのは、これは実感をしているところでございまして、生活や経済活動に大きな影響を及ぼしております。

 まず、暫定税率の廃止に伴う国と地方の減収につきまして財務省から御説明をいただきたいと思います。

青木政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの点につきましては、仮に揮発油税、地方揮発油税、軽油引取税のいわゆる暫定税率を廃止した場合、一年間で、国税は約一兆円、地方税は約〇・五兆円の減収となり、合わせまして約一・五兆円の税収が恒久的に失われるというふうに見込まれます。

中川(宏)委員 その上で、今日冒頭、根本委員からもございましたとおり、立憲民主党が提出をしております修正案についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今財務省から御説明がありましたとおり、国では一年間で約一兆円、地方では〇・五兆円の税収減となりますが、これは、先ほども御説明があったとおり、恒久財源であります。来週には三月に入りまして、地方公共団体では来年度予算につきまして議論が始まっているところでありまして、来年度、この四月から暫定税率を廃止した場合には、地方公共団体では大変な事態になるかと思われます。国が補填をすればいいと言う方もいらっしゃいますけれども、安定財源があり、持続的な行政が行われます。今年の暮れには自動車に係る税体系の抜本的な見直しも行われる予定でありますので、この来年度からというのは余りにも拙速ではないかと考えるところであります。

 立憲民主党の提出した修正案では、当分の間税率を廃止するとしておりますけれども、先ほどの財務省の答弁にもありましたとおり、国、地方合わせて毎年一・五兆円の恒久的な財源の税収減が生じます。立憲民主党が御提案をしている財源はほとんどが基金などで編成をされているところでありますが、一・五兆円の安定的な財源をどう考えているのかという点、また、仮に御主張されている財源で不十分な場合、代替財源として追加の税負担をどう工面していくのか、修正案提出者にお伺いをさせていただきたいと思います。

大西(健)委員 中川委員の御質問にお答えしたいと思います。

 先ほど中川委員も御指摘をされておりましたけれども、そもそも論として、当分の間や暫定という名前の税金が五十年以上も存続をし、また、一般財源化により既にその課税根拠が失われていることを考えると、税率を上乗せして徴収してきた分について、そもそも財源を用意する必要があるのかというふうに個人的には思うところもありますが、それはさておき、財源確保については、まずは、二〇〇九年から道路特定財源は廃止され、ガソリン税は一般財源化されております。ゆえに、暫定税率廃止に対応した財源というよりも、別途我が党が提出をしている予算の修正案でお示しをしているとおり、修正案のフレーム全体での、予算案全体での財源確保を求めております。

 その上で、御指摘のように、まずは我々は来年度については、この修正案のフレームで示しておりますように、ワンショットでの予算、基金等の取崩し等で対応するということでありますが、令和八年度以降については恒久財源の手当てをする必要があると考えております。恒久財源としては、まさにこの税法修正案の検討条項で掲げている項目の具体化により、必要な財源を確保していきたいと考えております。

 なお、昨年十二月十一日には、御党と自民党、国民民主党の幹事長間で合意をされ、ガソリン暫定税率については廃止をするということが確認をされていると承知をしております。したがって、まず来年度については、私たちが示しているようにワンショットの予算で対応できると思いますが、それ以降の部分については、御党としても責任を持って対応をお考えになるべきものと考えております。

 ちなみに、先ほども御答弁があったように、ガソリン暫定税率廃止に必要な財源は一・五兆円ということでありますが、自民党、公明党のいわゆる百六十万円の壁案に必要な財源は一兆二千億円、日本維新の会との間で合意した高校無償化には五千億円、来年度から一千億円の追加負担が必要ということを聞いております。与党においては、現状のところ、その恒久財源が示されているとは承知をしておりませんし、報道によりますと、我々が修正案の予算フレームで示したワンショットの財源の活用も検討されているというふうに聞いております。

 以上です。

中川(宏)委員 地方が特に影響が多いという中で、地方六団体からも、この暫定税率の廃止を含む自動車関係諸税全体の見直し、これにつきましては、地方にとって貴重な財源、税財源でありまして、先ほども申しましたけれども、インフラの更新、老朽化対策、また防災・減災対策の財政需要がこれから一段と厳しくなっていく、こういうことを考慮しまして、是非この税財源の安定的な確保を図っていただきたい、このように国に対しても要望をされているところでございます。

 私どもといたしましても、三党でこれからしっかり議論をして安定した恒久的な財源を探していくということ、これを真剣にやってまいりたいというふうに思っております。ですので、お互いに知恵を絞りながら暫定税率の廃止に向けた議論をしていくことが極めて大事だというふうに思っております。

 そうした中で、来年度からの廃止についての実現性についても伺いたいというふうに思っております。

 先ほども申しましたとおり、地公体におきましては、既に、税収を前提といたしまして、予算編成、議会審議が行われております。その中で、いきなり四月から廃止ということが決定すれば、大きな混乱が生じるわけであります。仮に国が補填するといたしましても、追加の予算措置、また法改正が必要となりまして、関係者における調整や準備に膨大な時間が必要になるかと思っております。そうした作業とスケジュールを踏まえまして、立憲民主党として三月末までに対応可能と考えていらっしゃるのか、どのようなスケジュール感なのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

大西(健)委員 中川委員にお答えをします。

 その前に、今委員御指摘をいただいたように、繰り返しになりますけれども、我々は、来年度については、予算修正フレームの中で示しているワンショットの基金で対応しますけれども、恒久減税については、委員からも言っていただきましたけれども、与野党一緒に協力をして、しっかり見つけていかなければならないというふうに思っております。

 今の御質問ですけれども、中川委員のお地元は長野県ということで、日本一ガソリンが高いと言われていて、全国平均よりも約十円高いというふうに聞いておりますので、国民は今まさにガソリンが高いことに困っているということを考えますと、これは、我々は、四月から実施をしなければいけないし、そしてそれは可能だというふうに考えております。暫定税率が廃止をされれば、目下のガソリン価格の高騰に苦しむ国民の利益は非常に大きく、そのため必要最小限の事務負担が生じることはやむを得ないものと考えております。

 なお、混乱が生ずるとの指摘もありますが、過去、二〇〇八年には、暫定税率の延長をめぐって折り合いがつかずに、一時的に暫定税率がなくなったガソリン国会の事例もあります。当時、多少混乱もあったということでありますけれども、その反省も踏まえることで、一定、事務負担を最小限にとどめることは可能ではないかと考えておりますし、何より、事務負担が大変だから実施しないというのは、国民の期待を裏切ることになるというふうに考えております。

中川(宏)委員 確認をさせていただいたところでございます。

 済みません、時間が短くなってきましたので、最後に一問だけ質問をさせていただきたいと思います。

 これは、法案、修正案からは少し外れますけれども、今回の委員会で度々議論されております銀行貸し金庫事件につきましてお伺いをしたいと思います。これはしっかりと対応していくべき課題だと思っております。

 昨年十一月、銀行貸し金庫での窃盗事件という前代未聞の事案が発生をいたしました。信頼を最も重視すべき銀行員がお客様の財産を盗むという、極めて遺憾な事件であります。さらに、今月、別の銀行においても同様の窃盗事件が報じられました。

 私も銀行に勤務しておりましたので、金融機関にとって信用以上に大切なものはないと考えております。金融機関でコンプライアンス、法令遵守が重視されるようになったのは、一九九〇年代後半から二〇〇〇年代にかけてだと思います。どの企業におきましても不正防止は重要な課題でありますけれども、金融機関としての取組が不十分であったと言わざるを得ないと思います。

 不正防止策の強化は各金融機関の責務でありますけれども、性善説では通用しない社会になりつつあると感じております。例えば、建築確認の不正問題、病院内の殺人事件の隠蔽、元裁判官によるインサイダー取引、保険業界や電力事業者での顧客情報漏えいなど、各業界で深刻な問題が相次いでおります。金融業界としても、原点に立ち返りまして、信用と信頼を基盤とした改革が求められます。そのためにも、金融庁の適切な指導が不可欠であります。

 今回の事件をどのように受け止めまして、再発防止に向けてどのような取組を行っていくのか、具体的にお伺いをさせていただきます。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、銀行業には高い信用と信頼が求められており、我が国を代表する銀行において今回のような事案が発生したことは大変遺憾であるというふうに考えております。

 まずは、今般の事案を契機として、各金融機関において類似事案の発生を防止するため、自らの貸し金庫サービスの管理体制等を含めて、改めて確認をすることが重要であると考えております。

 こうした観点から、金融庁といたしましては、昨年十二月、業界団体に対して要請を行いまして、全ての銀行、信用金庫、信用組合等に対して通達を発出し、貸し金庫サービスに係る管理体制の確認、コンプライアンスの重要性の再徹底等を求めたところでございます。

 また、全国銀行協会におきましては、二月になりましてから、会員行の貸し金庫の内部管理体制の強化を図るべく、具体的な取組事例などを取りまとめた取組事例集を策定し、会員行に対して周知を行っております。

 金融庁といたしましては、引き続き、各金融機関の体制整備の状況を適切にフォローするとともに、マネロン対策等の観点からも、今後の金融機関の貸し金庫サービスがどうあるべきかについて早急に検討を進め、対応していきたいというふうに考えております。

中川(宏)委員 この貸し金庫そのものの在り方の議論もあると思います。そしてまた、物理的なセキュリティー、個別セキュリティー対策、これもしっかりとしていかなければいけない。そして、内部管理体制の強化、これも大事であります。金融機関におきましては、多分、毎月の店内検査をやっているということ、また、年に一回は内部検査をしているかと思いますけれども、これが今、形式的になっているのではないかという点、そしてまた、他行と事例が共有をされていないために同様の不正が繰り返される可能性がありまして、こういった不正行為の事例や対策を横連携、金融機関で共有していくことも、全体の対策強化を図るために重要ではないかというふうに思います。これからの実効性のある取組をお願い申し上げまして、終わりにします。

 ありがとうございました。

井林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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