第21号 令和7年5月14日(水曜日)
令和七年五月十四日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 井林 辰憲君
理事 大野敬太郎君 理事 国光あやの君
理事 小林 鷹之君 理事 阿久津幸彦君
理事 稲富 修二君 理事 櫻井 周君
理事 斎藤アレックス君 理事 村上 智信君
理事 田中 健君
石田 真敏君 伊藤 達也君
井野 俊郎君 上田 英俊君
尾崎 正直君 金子 容三君
田中 和徳君 土田 慎君
長島 昭久君 中西 健治君
根本 幸典君 福原 淳嗣君
古川 禎久君 牧島かれん君
松本 剛明君 向山 淳君
江田 憲司君 岡田 悟君
海江田万里君 川内 博史君
階 猛君 末松 義規君
長谷川嘉一君 原口 一博君
水沼 秀幸君 三角 創太君
矢崎堅太郎君 萩原 佳君
岸田 光広君 中川 宏昌君
山口 良治君 高井 崇志君
田村 智子君 本村 伸子君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 加藤 勝信君
内閣府副大臣 瀬戸 隆一君
財務副大臣 斎藤 洋明君
内閣府大臣政務官 西野 太亮君
財務大臣政務官 土田 慎君
政府参考人
(金融庁企画市場局長) 油布 志行君
政府参考人
(金融庁監督局長) 伊藤 豊君
政府参考人
(財務省主計局次長) 中山 光輝君
政府参考人
(財務省主税局長) 青木 孝徳君
財務金融委員会専門員 二階堂 豊君
―――――――――――――
委員の異動
五月十四日
辞任 補欠選任
東 国幹君 金子 容三君
石田 真敏君 尾崎 正直君
牧島かれん君 井野 俊郎君
田村 智子君 本村 伸子君
同日
辞任 補欠選任
井野 俊郎君 牧島かれん君
尾崎 正直君 石田 真敏君
金子 容三君 向山 淳君
本村 伸子君 田村 智子君
同日
辞任 補欠選任
向山 淳君 東 国幹君
同日
理事村上智信君同日理事辞任につき、その補欠として斎藤アレックス君が理事に当選した。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)
――――◇―――――
○井林委員長 これより会議を開きます。
この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。
理事村上智信君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。
それでは、理事に斎藤アレックス君を指名いたします。
――――◇―――――
○井林委員長 内閣提出、保険業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁企画市場局長油布志行君、監督局長伊藤豊君、財務省主計局次長中山光輝君、主税局長青木孝徳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○井林委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。田村智子君。
○田村(智)委員 日本共産党の田村智子です。
質問の順番に御配慮いただき、ありがとうございます。
保険業法改正案のうち、ビッグモーターの不正請求事件について質問いたします。
保険代理店でもある中古車売買大手のビッグモーターが、損傷箇所がない部位について修理作業を行い、また、修理作業を行っていないのに行ったと偽装して、保険会社三社に保険金を不正請求していました。損保も不正請求を黙認していた。ビッグモーターは代理店登録の取消し、大手損害保険会社のうち損保ジャパン、SOMPOホールディングスは業務改善命令の行政処分を受けています。
ビッグモーターの調査報告書によれば、工場長らが、ヘッドライトのカバーを割る、ドライバーで車体を傷つけるなど損傷を新たにつくって、修理範囲を拡大させていたと。利益追求による極めて深刻なモラルハザードだと指摘しなければなりません。大手代理店に対して、利益相反になりかねない兼業の禁止が必要だというふうに私は考えます。
今回の改正案は、代理店内のコンプライアンスの強化や損保の指導責任などを強化するとしていますが、兼業禁止の規定を入れていません。それはなぜなのか、お答えください。
○油布政府参考人 お答え申し上げます。
まず、ビッグモーター事案、一連の保険金不正請求事案は、大変深刻な問題であると受け止めてございます。
お尋ねの兼業の禁止でございますけれども、現状、自動車の販売店等におきましては、自動車保険にそこで加入をなさる方は少なくないわけでございます。仮に、代理店がこうした自動車販売や修理といった事業を兼業すること自体を禁止した場合には、自動車の購入や修理の際にワンストップで自動車保険の加入、相談を行うということができなくなり、結果として顧客の利便性の低下につながるということが懸念されるわけでございます。
こうした懸念を踏まえまして、昨年六月に公表されました、損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議の報告書においては、保険代理店の兼業の是非につきましては、兼業自体を禁止するのではなく、兼業に伴う弊害を適切に管理することが合理的であるとの御意見をいただいたところでございます。
こうしたことを踏まえまして、今般の保険金不正請求事案への対応といたしまして、代理店と自動車関連業などの兼業自体を禁止するのではなく、規模が特に大きい乗り合い損害保険代理店が自動車修理業などの兼業業務を行う場合には、当該代理店自身に対して体制整備義務を上乗せして課すとともに、保険会社に対しましては、兼業業務を行う全ての代理店に対する管理、指導の強化を求めるという仕組みを構築することとしております。
金融庁としても、この仕組みが適切に機能しているか、モニタリングを通じて確認することで、事案の再発防止を図ることとしております。
○田村(智)委員 なぜそこまで求めるかというと、この業界が深刻な問題を抱えているからです。
一月二十四日、金融庁は、トヨタ自動車の直営販売会社、トヨタモビリティ東京の保険代理店、また中古車販売大手のグッドスピードの保険代理店に対して、保険業法に基づく業務改善命令を出しています。トヨタモビリティについては、保険金の不正請求事案が多数ある可能性を指摘したと。
週刊東洋経済二四年一月二十四日号には、大手損保四社の覆面座談会が掲載され、その中で、修理費の不正請求なんて、BMに限らず、大手ディーラーでも日常的にあるという発言まで紹介されています。過大な修理は自動車修理を兼業する代理店の利益になり、事故が大きいことになれば、保険料の等級が変わり、損保の利益にもなると。
この法案策定に当たって、自動車修理を兼業する大規模代理店全体に対して、金融庁は検査を行ったのでしょうか。端的にお答えください。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
自動車関連業の代理店、全て足しますと八万店ほどございますけれども、この保険代理店に対して、不祥事件や苦情等の情報を含め監督上入手した情報等に基づいて、その時々のリスクの状況に応じて、いわゆるリスクベースで立入検査を実施することを判断しているところでございます。
自動車整備工場を兼業する保険代理店に対しましても、経営管理体制や保険募集管理体制等の実効性を確認するため、今申し上げましたようなリスクベースで立入り先を選定して、検査を実施しているところでございます。
○田村(智)委員 それでは足りないほどの深刻さがあると思うんですよね。是非、うみを出し切るような代理店への検査、リスクベースと言うけれども、やはりもっと広げて調査を行うべきだということを求めておきます。
損保ジャパンへの行政処分について、金融庁は、損保ジャパンからBM社への出向者の一部から、組織的な不正請求の蓋然性が高いと考えられる事象、不正が確信される事象などについて、損保ジャパンの営業部門や保険金サービス部門に対し継続的に複数の報告を行っていた、しかしながら、これらの報告を受けた営業部門や保険金サービス部門は、厳格な指導や調査を実施した場合のBM社の反発や、それに伴う営業成績、収益への影響を懸念して、その対応を放置している実態にあったというふうに指摘をしているんですね。
保険会社と保険代理店のなれ合い、そして、特定の大規模乗り合い代理店が大きな力を持ち、保険会社が問題を把握しても指摘がしにくい力関係があるということを指摘しているわけです。
金融庁によるモニタリングの強化、これは重要なんですが、私は、定期的な検査体制、これを真剣につくって、定期検査、リスクベースと言わずもっと広く検査を行っていくことが必要だというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘の点、私どももしっかりとモニタリングをしていかなければいけないというふうに考えておりますけれども、先ほど申し上げたような数、それから私どもの制約も考えますと、先ほど申し上げたようなリスクベースの検査と、今回の法改正で御提案をしていますような、保険会社に対する、代理店に対する監督強化でございますとか、代理店自身の体制整備義務を課すことによって、こうした全体として実効を高めていきたいというふうに考えているところでございます。
○田村(智)委員 代理店自身では駄目なんですよね。駄目だということが、先ほど紹介した東洋経済の覆面座談会でも表れていると思うんですよ。大手損保四社の中でこういうのが常態化しているという指摘があるからですね。
そして、もう一つ指摘したいのは、リスクベースでの対応、リスクベースで検査もやって対応すると言うんですけれども、それもきちんと行われているのかどうか、私は疑問なんですよ。
今回の水増し請求の問題は、二〇二一年秋、日本損害保険協会に内部告発があって発覚をしました。それでは、金融庁自身はどうだったのか。ビッグモーターの不正事案はいつ認識をしたのか。二〇二一年秋の内部告発以前に金融庁に対して告発や相談はなかったのか。告発や相談があったのならば、相談件数を年度ごとに示していただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘のとおり、金融庁には相談室がございまして、そこに多数の相談が寄せられておりますけれども、ビッグモーターに関する相談につきまして、遡れる範囲で確認をいたしましたところ、金融庁のこの相談窓口には、二〇二〇年度は三件、二〇二一年度は七件、二〇二二年度は十九件、二〇二三年四月からビッグモーターの件が大きく報じられました七月十八日までで二十二件、七月十八日以降七月三十一日までで二百四十八件ということになっております。
こうした相談の件数を振り返りますと、結果として、当庁に情報が寄せられ始めたタイミングでこの保険金不正請求事案の端緒をつかめなかったということについては御指摘のとおりでございまして、反省すべき点であるというふうに考えております。
○田村(智)委員 相談件数、資料にも、配りましたけれども、二〇年度に三件、以降、七件、十九件、相談があったわけですね。それに対してどう対応したのかが問われると思います。BM事件の予兆を把握していたのではないかということなんですね。
加藤大臣、金融庁の対応がどうだったのかということの調査、検討が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 今説明させていただきましたように、こうした経緯を振り返りますと、当初の様々な通報に関して、しっかりそれを受け止めることができなかった、これは非常に反省すべき点だというふうに考えているところでございますので、今後とも、そうしていただいた情報については的確に分析をし、そしてそれをモニタリング等にしっかり結びつけていきたいというふうに考えております。
○田村(智)委員 今回は、法改正に至るほどの重大事案なんですよ。このビッグモーターの件での調査、検証を行うべきだと思いますが、いかがですか。
○加藤国務大臣 これは私ども不断に行っているところでございまして、今回もそういったところから、本件に関しても、そうした金融当局としての対応も含めて議論をした上で、今回の法律改正及び一連の対応を出させていただいているということでございます。
○田村(智)委員 金融庁の相談窓口というのはそっけない対応だと言う告発者がいるんですよ。失望して、実は、我が党の事務所に、金融庁の相談窓口に相談したけれども対応してもらえなかったといって私たちのところに相談が来るということは決して少なくなくあるわけです。スルガ銀行のシェアハウス事件でも、金融庁への告発があったにもかかわらず放置して事件が大きくなった。今日もまだこの問題が解決していないということで、この委員会でも何度も問題になっているわけですね。こういう金融庁の相談窓口の強化、そして対応の改善、ここに真剣に取り組むべきだというふうに思います。
今回の法改正に当たってやったと言われるけれども、私は不十分だと思うんですよ。本当にどうやって体制強化していくのか、対応がどうだったのかということは、法改正に至るような事案だったビッグモーターの問題についてもう一度金融庁の中で調査、検証をやって、私たちにもその検証の内容を示していただきたいと思うんです。もう一度、加藤大臣、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 私ども金融庁においては、いわゆる内部告発を取り扱う窓口としての、公益通報者保護法に基づく公益通報等を適切に取り扱うための通報窓口の設置、また、公益通報等以外の通報についても、金融庁内の金融サービス利用者相談室において、金融サービスに関する一般的な相談を受け付ける相談窓口を設けているところでございまして、こうしたところに先ほどいろいろな通報等も頂戴をしたということでございます。
まず、その前に、対応云々というお話がありました。これは、しっかりそうした声も聞いて、通報をしっかりしていただける環境をつくっていくということが大事だと思いますし、同時に、必ずしもこうした通報窓口がいろいろな方に周知されているとも思いませんので、引き続きそうした周知、広報に努めていく。そして、もう一つは、そこでいただいた情報をどうモニタリング等に的確につなげていくのかという中で、中において、今回の事案も含めて、そうしていただいた情報をどう的確にモニタリング等に結びつけていくのか、これは引き続き検証していきたいというふうに考えています。
○田村(智)委員 今回の改正は必要なことですから我が党は賛成しますけれども、この業界は大変問題が多いので、これだけでは不十分だということを指摘して、質問を終わります。
○井林委員長 次に、岸田光広君。
○岸田(光)委員 おはようございます。国民民主党の岸田光広です。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
それでは、早速質問させていただきます。
本日、ビッグモーターの不正請求問題等を踏まえた保険業法の一部を改正する法律案についてお伺いしてまいります。改正案の具体性や実効性、損害保険業界の信頼回復に向けた政府の責任と方針を中心に、見解を伺ってまいります。明確な答弁をお願い申し上げます。
ビッグモーターによる不正請求問題は、損害保険業界のみならず、中古車販売業界や関連する金融サービス全体に対する国民の不信感を増幅させました。改正案への期待が示される一方、ビッグモーターのような事例の再発防止が十分かどうか、懸念も残ります。
まず、加藤大臣にお伺いします。
ビッグモーター問題が社会に与えた影響をどのように評価し、改正案を通じて政府がどのような責任を果たそうとしているのか、また、不正を根絶し、国民の信頼を回復するために、大臣としてどのようなリーダーシップを発揮される方針か、御見解をお伺いします。
○加藤国務大臣 まず、今回の保険金不正請求事案は、損保業界というか、損保そのものに対する国民の信頼を大きく失墜させるものであり、大変遺憾なことだと考えております。
こうした失墜した信頼を早急に回復するため、本事案の再発防止を図るとともに、まさに顧客本位の業務運営がそれぞれにおいて行われていくこと、それを実現すること、これが重要と考えています。
本事案に関して、金融庁としては、ビッグモーター社に対して代理店の登録取消処分、また、損保会社やその他の保険代理店に対しては業務改善命令などを発出して、厳正な対応を図ってまいりましたが、今後については、法改正やその施行を待たずして対応できる課題については、監督指針の改正により、速やかな対応も図ることとしております。
その上で、今回、規模の特に大きい乗り合い損害保険代理店に関する構造的な課題等の是正を図るためには保険業法そのものの見直しが不可欠ということで、今般、保険業法の改正案を提出させていただいたところでございます。
内容についてはもう委員御承知のとおりでございますが、こうした一連の措置を講ずることで、今般の不祥事案の再発防止に対する実効性、これをしっかり確保し、そして、それを通じて、損保また損保業界における顧客本位の業務運営の徹底、そして損保に対する国民の信頼をしっかり取り戻すべく努力をしていきたいというふうに考えております。
○岸田(光)委員 今回の問題は大きな、本当に社会問題にまで発展したと思います。是非とも、今回の改正案を通じて、大臣のリーダーシップをよろしくお願い申し上げます。
今回の改正案では、特定大規模乗り合い損害保険代理店に新たな体制整備の義務を課すとされていますが、この特定大規模乗り合い損害保険代理店、この定義はどのように定めるのでしょうか。選定基準として具体的な数値、指標を教えてください。また、対象が約百社と伺っていますが、今後この対象を増やしていく見込みがあるのか、また、この基準の見直しの頻度、プロセスについても御説明ください。
○油布政府参考人 お答えいたします。
今般の保険金不正請求事案では、自動車修理業などを兼業する、規模が特に大きい、そういう乗り合い損害保険代理店が保険会社に大きな収益をもたらしているということで、保険会社側におきまして過度の営業上の配慮が働き、現行制度において期待されていた保険会社による代理店の管理、指導や不正な修理費等の請求への牽制機能が不十分となっていたということがその背景にあると考えております。
こうした背景を踏まえまして、今般の改正法案により上乗せの体制整備義務を課すこととしております特定大規模乗り合い損害保険代理店の定義につきましては、代理店としての活動の規模を表すと考えられます、保険会社から受け取る手数料等の金額が年間で一定額以上であることなどを要件とすることとして、検討中でございます。
その具体的な金額水準などについては、今後、内閣府令等で、しっかり実態を把握した上で規定してまいることとしておりますけれども、保険会社側において配慮が働きまして保険会社による代理店管理、指導が不十分になることが懸念されるような大規模な代理店は、これを対象とするということ、それから、今般の保険金の不正請求事案が発生した当時のビッグモーター社と同規模の代理店は、少なくとも再発防止の観点から確実に対象となる水準であることなどが必要と考えております。
こうした考えの下、今般の特定大規模乗り合い損害保険代理店の数が最終的に幾つになるかということでございますけれども、ちょっと幅のある数字で大変恐縮でございまして、今後の検討次第でございますが、おおむね七十社程度から百社程度になるのではないかというふうに見込んでございます。
なお、将来の数の見通しや基準の見直しなどについては、現時点ではお答えを差し控えさせていただきます。
○岸田(光)委員 今回の改正案におきましては、特定大規模乗り合い損害保険代理店、この不正請求リスク、保険会社への影響力、複雑な業務構造が理由で、今回の改正の対象とされているかと思います。御説明ありましたように、これらの代理店は保険会社との力関係が逆転しやすく、営業上の配慮から保険会社の管理、指導が行き届きにくくなる点から、今回の改正案においてこの体制整備を求めることに合理性があると考えております。
一方、フランチャイズ店なんですけれども、法人規模で見ると、一つ一つの規模は大きくないので、今回の特定大規模乗り合い損害保険代理店、これには該当してこないと思うんですが、しかし、中古車販売のフランチャイズ形態におきましては、複数の店舗が統一ブランドで保険代理店業務を行い、特定大規模乗り合い損害保険代理店と同様の利益相反や管理不備などのリスクが内在していると考えております。
保険金不正請求事案を踏まえ、こうしたフランチャイズ形態の代理店についても法改正の対象に含めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○油布政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御答弁申し上げましたけれども、特定大規模乗り合い損害保険代理店の定義につきましては、保険会社から受け取る手数料などの金額、これを一つの目安として考えるということを検討しているところでございます。
フランチャイズ方式の乗り合い代理店につきましては、御指摘のとおり、一つ一つの代理店が、まず独立した法人でございます。それから、代理店としての登録も、その一つの営業店ごとに取得しているということでございますが、その結果、個々の保険代理店一つ一つは特定大規模乗り合い損害保険代理店の要件に該当しないということも想定されるわけでございます。
もっとも、今回の改正法案におきましては、保険会社の方に対する義務といたしまして、顧客の利益が不当に害されることのないよう、委託先である兼業代理店の兼業業務の実施状況を適切に管理する、あるいは、忖度が働かないように保険会社内において営業部門と査定部門を遮断するといったことを新たに求めることとしておりまして、こちらの方は、規模にかかわらず、すなわちフランチャイズ方式の代理店であっても、その対象となります。
このフランチャイズ方式でございますけれども、まさに内容や実態は様々であるというふうに承知しておりまして、今後実態に応じて対応を検討していくということを考えておりますけれども、いずれにせよ、フランチャイズ方式の乗り合い代理店において、仮に、今般の不祥事案と同様に、保険会社において営業上の配慮が働いてしまい、適切な管理、指導が行き届かなくなるおそれがある場合には、金融庁において、適切な管理、指導を行うよう、まず保険会社にしっかりとした対応を求めるとともに、いわゆるリスクベースのモニタリングの徹底を通じまして、各々の代理店、フランチャイジーに対してだけではなく、フランチャイズ全体を一体のものとして適切にモニタリングを行ってまいります。
○岸田(光)委員 小規模と同様のそういうモニタリングなりの対応がされるとのことなんですけれども、リスクとしてはやはり小規模のものとは違うと思っていますので、今後、これらのものも、さっきもリスクベースでということをおっしゃっていたと思うんですけれども、やはり小規模のものよりリスクは高いと思うので、しっかりこの辺りの対応もよろしくお願いします。
次に、法令等遵守責任者と統括責任者について伺ってまいります。
改正案では、各営業所に法令等遵守責任者、本店に統括責任者の設置を求めております。これらについて、どのような人物が責任者として想定されているんでしょうか。また、店舗管理者や役員との兼務が可能か、専任が求められているのかについても教えてください。営業所については、小規模なものがあると思います。例えば従業員五人未満、例えば二人、三人でやっているところもあるかと思います。これらに責任者の配置を義務づけていくのか、これについても御説明をお願いします。
○油布政府参考人 お尋ねの、法令等遵守責任者及び統括責任者がどのような人物かということでございますが、金融審議会損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループの報告書におきまして、不正な修理費等の請求を防止し、かつ、適切な保険募集を確保するためには、法令等遵守の徹底や業務品質の向上を図るための内部管理体制を強化する必要があるということで、この内部管理体制の整備に当たっては、責任者の設置を求め、同責任者に一定の資格の保有を求めること等を通じて実効性を確保していくべきであるという提言をいただいております。
また、委員お尋ねの、法令等遵守責任者等に関する店舗管理者、役員との兼務、それから、配置が求められる営業所の規模といった点につきましては、このワーキンググループにおきまして、法令等遵守責任者等が保険代理店の経営陣に直接報告できるようなレポーティングラインや、営業部門からの介入が及ばないような体制が確保されている必要があるほか、保険募集業務に従事することなく、管理業務に専念できるようにすべきであるといった御指摘をいただいた一方で、数名程度の人員しかいない小規模の営業所又は事務所においては、その実情に応じたできる限りの対応が許容されるべきであるといった御指摘もいただいたところでございます。
今後、委員お尋ねの点につきましては、こうした指摘も踏まえまして、関係する事業者や現場の声も聞きつつ、検討してまいりたいと思います。
○岸田(光)委員 ありがとうございます。
ワーキンググループの結果を受けて今後検討していくということなんですけれども、研修、資格が必要となってくると思うんですが、金融庁として、業界団体による標準化された研修プログラムを用意される準備があるのか、また、責任者の知識、能力を試験、監査を通じてどのように担保していくというふうにお考えか、お聞かせください。
○油布政府参考人 代理店におきます法令等遵守責任者などの要件につきましては、先ほど御説明申し上げました金融審議会のワーキンググループの報告書におきまして、一定の資格要件を求めるとした上で、そのための試験制度を新設するということが適切であるという提言をいただいております。
これを踏まえまして、現在、業界におきまして、法令等遵守責任者などを対象といたしまして、保険募集に係るコンプライアンス等に関する新たな資格制度の創設や、この資格制度に伴います研修プログラムの統一的な提供などが検討されていると承知しております。
こうした機会を通じまして、その知識や能力を担保してまいりたいと思っております。
○岸田(光)委員 ありがとうございます。責任者が形だけの、形骸化しないように、是非よろしくお願いします。
次に、今回の改正による体制整備義務の強化が、現場の代理店にとってコストや人的負担の増加を伴い、負担が重過ぎるとの懸念の声も聞かれます。金融庁は、パブリックコメントや業界団体との対話を通じて、どの程度この現場の意見を反映しているのでしょうか。お答えください。
○油布政府参考人 今般の改正法案の中で規定しております特定大規模乗り合い損害保険代理店、これに対しましては、該当する大規模な代理店に限定して法令等遵守責任者の設置などの義務を課すということでございます。また、当該代理店が保険金請求に関する兼業業務を行う場合に限りまして、その兼業業務を適切に監視するための義務を課すということにしておりまして、規制の対象範囲につきましては限定的、合理的なものになるよう留意すべきであると考えております。
こうした内容は、金融審議会の、先ほど申し上げましたワーキンググループの報告書における提言を踏まえたものでございますが、このワーキンググループには保険会社、保険代理店の業界団体などにも幅広くオブザーバーとして参加していただいた上で、丁寧に議論を進めてまいりました。このほか、業界団体からの求めに応じまして、会員企業各社の集まる場所などでこのワーキンググループでの議論や検討の方向性などについてもできる限り説明するなど、現場の声も踏まえるべく対応を進めてきたところでございます。
いずれにいたしましても、今回の改正保険業法の規制が代理店に対しまして不必要な過度の負担とならないように留意してまいりたいと思います。
○岸田(光)委員 ありがとうございます。
時間もありませんので、質問をちょっと飛ばさせていただきます。次に、金融庁のモニタリング体制についてお伺いしていきたいと思います。
金融庁は、改正案の施行後、特定大規模乗り合い代理店を重点的にモニタリングするとしていますが、どのような方針で進めていかれるのか、御説明ください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
今般の改正法案では、新たに定義する特定大規模乗り合い損害保険代理店に対して、法令等遵守責任者等の設置のほか、兼業業務が保険金支払いに不当な影響を及ぼさないこと、苦情、内部通報の処理、保全の適切性を確保するために必要な体制義務を課すこととしております。
これを踏まえまして、特定大規模乗り合い損害保険代理店に対し、体制整備義務の履行状況等を重点的にモニタリングし、必要に応じ、適時適切な行政対応を行うことが可能となるというふうに考えております。
金融庁におきましては、二〇二五年七月より、新たに保険代理店に対するモニタリングに責任を負う室長級のポストを新設するほか、担当部局の検査官を増員し、モニタリング体制を強化することとしております。
今般の法改正をお認めいただけた場合には、新たに措置された機構・定員も活用しつつ、保険代理店へのモニタリングを一層強化してまいりたいと考えております。
○岸田(光)委員 今、金融庁におけるモニタリング体制において人員の充足等のお話もありましたが、このモニタリングをする人的リソース、これは充足していくということですけれども、この限られたリソースをどのように活用していくのか、お聞かせください。
保険会社が蓄積する情報、例えば募集実績や苦情データの活用、顧客とのやり取りの記録義務化や早期警戒システムの構築につきましても、DXまたAIを活用して効率的なモニタリング手法を導入すべきだと考えますが、これについてお考えをお聞かせください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、金融庁の限られた人員で効率的にモニタリングをするということは非常に大事なことであるということでございますし、私どもとしても工夫をしていかなければいけないというふうに考えておりますが、今回の法案で、先ほど答弁申し上げましたように、特定大規模乗り合い損害代理店に法令上の義務を課すとともに、その数が絞られておりますので、こういうところを重点的にモニタリングしていくことができるということでございますし、それから、規模の大きな保険代理店が金融庁に毎年度報告する事業報告書というものがございますけれども、それの記載項目も追加していく、拡充していくということを考えております。
また、今委員御指摘のとおり、いろいろなDXでございますとか新たな効率化のためのツールも使いまして、しっかりとモニタリングを進めてまいりたいというふうに考えております。
○岸田(光)委員 ありがとうございます。
以上で終わります。
○井林委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組の高井です。
今日、ちょっと法案審議に入る前に、おとといの予算委員会で、国債の発行の是非について私はかなり議論をしようと思い、そして最後に、総理に、まさに国債発行の是非が余り国会で議論になっていない、発行しちゃ駄目なんだ、ありきだ、そういったことに対して、やはりこの場で議論しましょう、そういう議論をもっと深めましょうという、そういう総理の決意を聞きたかったんですけれども、なぜか加藤大臣が手を挙げて、国債発行は駄目なんだということを長々と御答弁されました。
そして、なぜか、それが、大臣の、かなり長時間、二分近くしゃべったんじゃないかと思いますけれども、大幅に超過したことを予算委員長から私が何か厳重注意みたいなことをされたのは本当に遺憾でありまして、これは大臣にも抗議、まあ予算委員長にも抗議申し上げたいと思いますが、大臣にも申し上げたいと思います。
ちょっと聞きたいのは、あのとき、私が質疑している最中に予算委員長から何かこそこそっと総理と大臣に耳打ちをされていました。あれは、大臣からさらっと答えてください、そういう耳打ちがあったんですか。
○加藤国務大臣 耳打ちという意味が分かりませんが、耳打ちするほど近い距離じゃございませんので、どっちが手を挙げるかみたいなことで確認を、見られたんだと思います。私が手を挙げていたので、それで指されたというふうに思いますけれども。
○高井委員 明らかに私は最初に、質問する前から総理というふうに聞きましたし、答える中身も総理に答えていただきたい。大臣とはこの場でこうやって議論できるわけですから、是非そこのところはしっかり、それぞれの委員会の役割というのがありますので。しかも、十分しかない中で私は二問しか聞いていませんので。総理の答えというのは本当に数秒ですよ。本当にこれは遺憾だということを申し上げておきたいと思います。
今日はその続きをちょっと、ですから、やらせていただきますが、そもそも、財政審議会の場で国債の発行のことも議論にほとんどなっていないんですけれども、そもそも、委員のメンバーに、国債をもっと発行すべきだという積極財政派の委員が全くいない。このことも問題だし、おかしいと思いますが、そこに財務省が出している資料にも私は非常に疑問を感じます。
例えば海外の格付会社の日本の格付が下がっているという資料、何か立派な資料を整えて出してきているんですけれども、しかし、その中身を見れば、例えば、ユーロ圏の、ヨーロッパの国の方が格付が確かに民間会社は上なんですけれども、しかし、これは、財務省自身がかつて、日米など先進国で自国建て通貨で国債を発行している場合、債務不履行はあり得ないというふうに抗議までしているわけですよね。だから、そういった意味でいうと、海外の格付会社の方が考え方を間違えている、かつて財務省はそう主張しているのに、今は、多分、自分たちに都合がいいからという理由で、今度はそれを声高に財務省の資料に使うというのは、これは私はおかしいんじゃないかと思いますけれども、財務省、いかがですか。
○中山政府参考人 お答えいたします。
我が国の財政状況につきまして、様々な指標を用いて検証し、議論していくこと、これは極めて重要だと考えております。
こうした観点から、これまで財政制度等審議会に財務省事務方から提出した資料におきましても、例えば、いろいろ御指摘いただいていますような債務残高対GDP比だけではなくて、純利払い費対GDP比ですとか、純債務残高対GDP比ですとか、また、利払い費の状況ですとか、様々な指標を用いて作成した格好でございます。
財務省としては、引き続き、財政審議会における事実とデータに基づいた議論に資するよう、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
○高井委員 主計局次長、今のは、それは私が次に聞こうと思った質問の答えなんですよ。
今私が聞いたのは、国債の格付会社にかつて抗議していますよね、何で今抗議しないんですか。
○中山政府参考人 財務省といたしましては、各格付会社の評価ですとか市場関係者の評価等をしっかり注視して、我が国の財政状況について適切に説明責任を果たしてまいりたいと考えてございます。
○高井委員 全く答えになっていませんよね。次長、担当なんですか、この分野の。
だから、私は主計局長を通告で呼んでいるんですよ。主計局次長は三人いるから、何か毎回来る人が違って、前回の議論ともかみ合わなくなるし、やはり責任者である主計局長が出てくるべきですよ。
主計局次長、何の担当をしているのか、教えてください。
○中山政府参考人 先ほど御指摘いただきました、外国格付会社宛て意見書趣旨のことだと思います。
これらの回答の文書については、平成十四年の日本国債の格付の理由についてより客観的な説明を求める中で、当時行っておりました財政構造改革などの取組ですとか、当時の強固なマクロ経済の中では自国通貨建てのデフォルトは考えられないと発行当局として述べたところでございます。
○高井委員 いや、担当はと聞いたんですけれども、もう時間がないので。しかも、後ろから入ったペーパーを読んだだけじゃないですか。
そもそも、その答弁は何度も聞いているんですけれども、そうやって、かつて抗議をした民間の格付会社なんか、そんな信用できていないわけでしょう。それを、今になって、財政審議会の資料に財務省として声高に出して。
じゃ、私が国会で取り上げている、あるいは江田委員とかほかの委員も、今、クレジット・デフォルト・スワップ、これが非常に客観的な指標で、重要だと。これは何で使わないんですか。
○中山政府参考人 今御指摘いただきましたCDSの数字につきましては、近年は、足下の状況を見ますと、G7各国の中でも低い水準で推移しているということは認識してございます。その背景には、潤沢な家計金融資産ですとか経常収支の黒字等を背景に、足下、国債が安定的に消化されているといった状況の中で、債務残高対GDP比の安定的な引下げを始めとする財政健全化目標を掲げ、その取組を進めていることにより、市場からの信認を維持してきたという背景があると考えてございます。
もっとも、日本のCDSの分析に当たっては、取引量が少なく、取引主体が限られているといった点にも留意は必要であると考えてございます。
いずれにいたしましても、財政当局として、様々な指標を基に説明責任を果たしていきたいと考えてございます。
○高井委員 だから、偏っているんですって。格付会社、出すのなら、CDSも、両方出してくださいよ。
CDSが低い理由はそのとおりですよ。だけれども、財務省が財政健全化をやっているから市場が信認されると、昨日大臣もそう答弁しましたけれども、そんな簡単なことですか、財務省の姿勢が評価されて。
しかも、私たちは、いつまでも国債を発行しろとは言っていないんですよ。昨日、あっ、おととい、総理が共産党のことをすごい褒めていました。私たちは法人税や所得税の増税をやるんですと。それは我々も一緒ですよ、累進化をしようと。ただ、今いきなり増税するんですかと。まだ国債発行の余地があるんだから、インフレが、コストプッシュじゃなくてデマンドプルインフレが進行するまでは、国債発行でまずは賄いましょう、それはいつまでなのかとか、幾らまでだったらインフレにならないのかということを国会の場で議論しましょうよということを総理に聞きたかったんです。
財務大臣にも聞きますけれども、国会はそうですけれども、まず財務省の中で、財政審議会で何でそういう議論をしないんですか。お互いの、積極財政派の学者も入れて、そして、データも公平なデータを出して、そういう場を財務省がまず示さないと、信用されませんよ。是非、財務大臣、それをやると言ってください。
○加藤国務大臣 まさに、国債も含めて、財政運営の在り方については、財政制度等審議会等において幅広く御議論いただいているところでございます。
ただ、委員の御指摘のように、どこまで発行できるかということに関しては、これは、従前からお話を申し上げておりますように、単に今委員御指摘のインフレ率ということだけではなくて、様々な、この間も答弁で申し上げさせていただきましたけれども、経済、財政の状況等々等々、様々な観点に立ってこれが市場において判断されていくものと承知をしているわけでございますので、まさにそうしたことも含めて、財政運営全般に関して、まさに財政制度等審議会において御議論していただいているものと承知をしています。
○高井委員 やはり、委員がそもそも偏っていますからね、資料も偏っていますので、そこの部分は是非、これから、またあさっても質疑がありますので、本当は今日はどこまで国債発行できるかという議論もしたかったんですが、今日は保険業法の質疑、もう時間ないですけれども、最後に一問聞きます。
我々は、この法案に反対します。さっきの共産党の田村さんの言うとおりだと思いますよ。だけれども、何で共産党が賛成するのか分かりませんが、そもそも、やはり、修理会社とか保険代理店、兼業するのは、有識者の報告書だって、おかしいという意見があったわけですよ。やはり、そもそも禁止をしないとおかしいんじゃないんですか。これは大臣に通告しています、大臣。
○加藤国務大臣 先ほどもやり取りがあったわけでありますけれども、自動車の購入者は、自動車の販売店等において自動車保険の加入等を行うケースが多い。実際、私なんかもそういうことでありますけれども。仮に、販売店等が保険代理店業務を兼業すること自体を禁止した場合には、自動車の購入や修理の際にワンストップで自動車保険の加入、相談を行うことができなくなり、結果として顧客の利便性の低下につながることが懸念をされているところでございます。
また、損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議の報告書において、保険代理店の兼業の是非に関し、こうした懸念も踏まえて、兼業自体を禁止するのではなく、兼業に伴う弊害を適切に管理することが合理的であるとの意見をいただいたところでございまして、また、その中で、兼業自体を禁止すべきという意見はなかったものと承知をしているところでございます。
これを踏まえて、今回の保険金不正請求事案への対応として、代理店と自動車関連業との兼業を禁止するのではなく、規模が特に大きい乗り合い損害保険代理店が自動車修理業などの兼業業務を行う場合には、上乗せ規制を課すとともに、金融庁としてもモニタリングを強化するといった対応を講じることで、事案の再発の防止を図っていきたいというふうに考えております。
○高井委員 納得できませんので、反対します。反対理由は、また後ほど討論いたします。
ありがとうございます。
○井林委員長 加藤財務大臣は御退席ください。
次に、国光あやの君。
○国光委員 自民党の国光あやのでございます。
私は全て保険業法に関係する質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
私も、自民党、与党の立場として、本法案は非常に重要だと思っております。やはり皆様お一人お一人、委員の皆様、そしてまた地元でも、元々やはり保険に対する安心感、これは保険が信頼されないとかち得られないものでございます。私も、保険のおかげで助かったとか保険があって安心だというお声をたくさんいただいていたので、二年前の、某はもう要らないかもしれません、ビッグモーター社の事案、非常に破壊力がある報道でありまして、これに対して、どの業界も光と闇というのがあるかもしれませんが、その闇の部分の破壊力が大きかったので、しっかりこれは対処していただきたいということを、与党の立場からもお願いを申し上げたいと思います。
特に、私も実は、被害に遭った方、水増し請求を受けましたとか保険の等級がちょっとおかしいんじゃないかという御相談を受けたこともあって、その観点から、この法案にちゃんと魂はこもっているんですかということは非常に気になるところでございます。是非お伺いをしたいと思うんです。
今日、済みません、ほかの委員は資料を配付されていないようですけれども、この保険業法の改正の概要をお手元に配付しております。
このとおり、先ほど来御質問もありましたけれども、今回の課題に対して、この一番左の部分のポイント、あんことなる部分は、顧客本位のやはり業務運営を徹底するんだということで、損保代理店に対する体制整備義務の強化として、特に、特定大規模乗り合い損害保険代理店、先ほどの御答弁も、大体七十から百社ですか、該当するという話がありましたけれども、そちらに、下記の体制整備を義務づけと青い字で書いてあるようなところですね、適切に監視するための体制整備であるとか、営業所ごとに法令等遵守責任者、本店等に統括責任者の設置、これも当たり前といえば当たり前だと思いますけれども。それから、苦情の体制、これは、今まで苦情の相談先がないということも、私も被害者の方からいただいておりましたので、非常に重要なことだと思いますけれども、体制整備などを行うとされております。
改めて、与党の立場から改めて確認をしたいと思いますけれども、これは再発防止が非常に重要で、これがないとまた業界の信用は失墜しますし、もう一つ申し上げたいのは、やはりちゃんとされている代理店様の方が多いんですね。まさに、この業界のこの問題、悪貨が良貨を駆逐するという状況になっていることを、たくさんの懸念をいただいておりますので、ちゃんとこれで確実に防止できるんですよねということを、改めて御答弁をいただきたいと思います。
○油布政府参考人 今般の保険金不正請求事案でございますけれども、自動車修理業などの兼業業務を行う、規模が特に大きいような乗り合いの損害保険代理店におきまして、極めて不適切な保険金請求に関わる行為が行われていたにもかかわらず、保険会社の側において営業上の配慮が働いてしまったためにこれを是正できなかったという、一種の構造的な問題が認められております。
今般の法案では、こうした構造のゆがみを正すということを一つの目的としておりまして、規模が特に大きい乗り合い損害保険代理店に対しまして、兼業業務の適切性の確保まで含めた法令遵守等に必要な体制整備義務を上乗せして課すということでございますほか、保険会社側につきましても、営業上の配慮を遮断して、こうした代理店に対する管理、指導責任を全うさせていきたいというふうに考えております。
また、金融庁といたしましても、上乗せ措置の対象を大規模な代理店に絞るということで、こうした代理店に対しましてその遵守状況を重点的にモニタリングいたしまして、必要に応じて適時適切に行政処分等の対応を取るということが可能になると考えておりまして、こうした一連の措置を通じまして、再発防止の実効性を確保してまいりたいと思っております。
○国光委員 ありがとうございます。
考え得る対策としては、やはり詰めていくと、一般論としてはそうなんだと思いますが、一点、一番恐らく今回の原因で非常にコアとなる部分は、そもそも自動車修理業と保険代理店さんが兼業しているという摩訶不思議な業態がある。これはどう見ても、やはり先ほど来、野党の皆さんからも質問が出ていたように、利益相反に普通に考えてもなりやすい。そして、不正請求、当然インセンティブが生まれやすいよねということはやはり構造的にあろうか、兼業が続いている限りあるかと思います。
改めて、これは与党の立場からも、御質問なんですけれども、やはり、この兼業していること自体が、国民の皆さんからとってみると、非常に透明性に欠けるんじゃないか、また新たな不正が起こるんじゃないかという懸念にもつながりますので、代理店がそもそも自動車関連業を兼業していますねということ自体禁止すべきという意見、これはいろいろなところから出ていたのかと思いますけれども、こちらの考え方についてどう今考えていらっしゃるか、対処すべきだと思っていらっしゃるかということを、改めて御答弁願います。
○油布政府参考人 この点、御議論をいただいているところでございますが、先ほどもお答え申し上げました、損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議の報告におきましては、委員の御指摘のとおり、兼業代理店がその兼業という立場を利用して自らの利益を得るために顧客の利益を損なうことは許されるべきものではなく、また、兼業代理店はこのような利益相反が生じ得る事業構造であることを改めて認識する必要がある、ただ、今後、こうした事案の再発を防ぐ観点からは、保険代理店の兼業を禁止することも考えられないわけではないが、それによって顧客の利便性あるいは自動車事故に係る被害者救済機能の低下といった弊害が生じ得ることに鑑みれば、保険代理店の兼業自体を禁止するのではなく、兼業に伴う弊害を適切に管理することが合理的である、こういう提言がなされているところでございます。
こうしたことを踏まえまして、今般の対応といたしましては、規模が特に大きいこういう乗り合い損害保険代理店が自動車修理業などの兼業業務を行う場合には、当該代理店自身に対して体制整備義務を上乗せして課すとともに、保険会社の方に対しましても、兼業業務を行う全ての代理店に対する管理、指導の強化を求めるという仕組みを構築しておりまして、金融庁としても、この仕組みが適切に機能しているかをモニタリングを通じて確認することで事案の再発防止を図ることとしております。
○国光委員 ありがとうございます。
是非、しっかりと実効性を確保していただきたいと存じます。
是非、国の立場で、最後おっしゃったモニタリング、これは金融庁そして財務局において実施していくということかと思いますけれども、やはりここは一つのポイントだと思うんですね。
というのが、御参考になるか分からないんですが、私、元々厚労省の出身なんですけれども、厚労省でも、これは民間保険の話ですけれども、例えば公的保険、診療報酬、介護報酬、不正請求するという方はやはりいらっしゃるんですよ。必ずいます、一部ですけれども。それで、悪貨が良貨を駆逐する、イメージを悪くする、診療報酬がまた厳しくなる、もう大変だみたいな話が繰り返されているんですが。その指導監査を、厚労省そしてまた各厚生局があって必死にやっているんですけれども、やはり、かなりこれはモニタリングをするのが大変です。厚労省の場合は、一定の、今年は診療報酬の請求額がやたら多いよねとか、何か非常に売上げ、収益に動きがあるよねみたいなのをひっかけて見ていったりするんですが、非常にこれをモニタリングするのは大変だと思います。
ちょっと事前に聞き及ぶところによりますと、今、体制、関東財務局にはちょろっとその担当者の方がいらっしゃるようですが、ほかの財務局にはほとんどいらっしゃらない。やはり、繰り返しますけれども、これはもう一回起こったら相当アウトだと思います。なので、このモニタリングを強化するということは、DX等を使うにしても、やはりある程度の人海戦術的なものというのはどうしても必要になりますので、是非ここを、実効的な検査や監督を行っていく中で、今日は瀬戸副大臣にも、済みません、お忙しい中お越しをいただいておりますが、ここは是非、政務を御担当される副大臣のお立場から、金融庁及び財務局の体制整備。
これは、ちょっとつけ加えますと、国税や税関は結構職員がいらっしゃると思うんですね。でも、なかなか財務局、金融庁さんは非常にマンパワー的には厳しいものがありますので、是非ここは副大臣のリーダーシップを発揮していただいて、しっかりと体制強化をしていただきたいと与党の立場からも思いますが、いかがでしょうか。
○瀬戸副大臣 お答えさせていただきます。
本法案に盛り込まれました措置が期待どおりの成果を上げるためには、御指摘のとおり、全国で十五万店超と多数存在する損害保険代理店に対するモニタリングを、今まで以上に確実に、そしてまた高度化していくということが必要だというふうに考えています。
そしてもう一つ、特に法案で義務が課されます特定大規模乗り合い損害保険代理店に対する体制整備等が、実際に現場で的確に実施されるよう指導監督を図っていくことが重要であるというふうに考えています。
金融庁としましては、今般の法改正を踏まえまして、金融庁及び財務局において必要な体制の構築に努めるとともに、また、その中に人員増ということもあるのかもしれません、これも検討していきたいと思います。そしてまた、体制整備義務が課される特定大規模乗り合い損害保険代理店に対する重点的なモニタリングを始め、保険代理店へのモニタリングを一層強化してまいりたいと考えております。
○国光委員 ありがとうございます。
是非、瀬戸副大臣のリーダーシップを強く御期待を申し上げますし、与党の立場からも応援をしたいと思います。
ちょっと暗い話が続いたので、最後、保険の光という意味で、やはり保険は、それぞれの、時々の社会のいろいろな課題や、安心を国民の皆さんに届けるために、非常に重要なものだと私自身は思っています。
今日は、ちょっとお手元に配付した資料を御覧いただければと思いますが、私が一つ、保険の今後の社会的価値そして社会的役割として注目を非常にしている部分は、自分自身が元々医療現場出身なんですけれども、自由診療と医療保険の関係でございます。
実際、民間の医療保険、医療特約の世帯カバー率は七三%にも上ります。皆さんほとんど入っていらっしゃるんじゃないでしょうか。さらに、その入っていらっしゃる保険を見ていただいたら、公的保険、重要ですけれども、これも野党の皆さんからよく御質問いただいていますが、なかなか持続可能性が厳しいですよねと。誰がどう考えてもそうなんだと思います。その中で、やはり、先進医療であるとか、そのほかの、公的保険の外の、保険外の部分に対する保険の特約、保険などに関して、先進医療特約というのがあって、これは特約の付加率が九〇%程度になっています。
これは、先進医療という、ちょっと今日は詳細は省きますけれども、厚労省が先進医療ですよと決めたものに関して、百種類ぐらいあるんですけれども、それは保険の特約がこうやって九〇%ぐらいあるんですが、そのほかにも、やはり自由診療などというのも、もう少しマーケットとしては広げる余地、私はブルーオーシャンとしてあろうかと思います。
例えばどんなことといいますと、実際私が患者さんを診ている中で、たまにやはり言われることはこれです。皆さん、がんになったときを想像してください。がん患者、いきなり、肺がんです、例えば悪性リンパ腫です、ちょっと初期診断をされました。今、どうやら、アメリカの俳優アンジェリーナ・ジョリーさんがやったように、がんの遺伝子ですね、細胞だとか血液から、パネル検査といって、あなたにはどの薬が効くんですよみたいなゲノム医療のパネル検査があるんですね。ただ、これはまだちょっと発展途上なんです。公的保険に入っているのは、実は、手術とか抗がん剤をした後で初めて使えるというのが公的保険の世界、それしかないんです。ただ、やはり普通に考えたら、わらをもすがる思いです。いきなりがんと言われて、非常にショックを受けて、もっと早期から使えないのかという患者さんが本当にいらっしゃって、私も、いや、まだまだ早期だからちょっと使えないですねと、外来のときにお伺いすると、泣き出す患者さんがやはり結構いらっしゃいます。
そういうときに、実は、これは私のみならず、がんの治療に当たる先生方や、そして民間の保険会社さん、どことは言いませんが何社か、実際、そういう患者さんのニーズを捉まえて、公的保険に至る手前の段階の自由診療などでもカバーするような保険というのを誕生させようということで、これは有名なんですけれども、二〇二二年にがんの自由診療に対する民間保険が誕生しました。これは、先進医療特約に、何とワンコイン、五百円だけでさっきのパネル検査が受けられるんですね。海外で承認されているけれども日本で使えない薬、これもやはり使いたいわけですよ、安心して。そういうときに、自由診療の保険で、最大給付が一億円という保険が出て、これはかなり売れています。
こういうのがたくさん出ていて、これを図に落とすと下のような形で、やはり国民の皆さんの選択、アクセス確保のために、皆保険は当たり前ですけれども、その上の保険外の部分も広げていって、そこにやはり、いい質のものは、民間保険を抱き合わせて国民の安心にかなわせていくということが突き進めていくと必要だと思います。
済みません、時間切れになって恐縮なんですけれども、是非ここは政府参考人の方にお伺いしたいんですけれども、暗い話が続く民間保険の現場ですけれども、私は、明るい光、対応はたくさんあると思います。国民皆保険制度の維持、患者さんやそして国民の安心、そして多様な商品開発を今こそ進めるべきだと思いますので、是非意気込みをお伺いさせてください。
○井林委員長 伊藤監督局長、ちょっと申合せの時間が過ぎていますので、簡潔にお願いします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、民間保険会社が公的保険を補完する保険を開発し提供していくことは極めて重要であるというふうに考えておりますし、これも御指摘のとおり、複数の民間保険会社におきまして、保険外診療を保障する民間保険商品を開発しているところでございます。
今後、厚労省におきまして、イノベーションの進展を踏まえた医療や医薬品を早期に活用できるよう、保険外併用療養費制度の運用改善や同制度について保険会社と対話を深めることを通じまして、保険会社における自主的な商品開発の取組を促していくと承知しておりますし、金融庁といたしましても、引き続き、厚労省始め関係省庁とも連携しながら、保険会社による商品開発の検討の状況をフォローしてまいりたいというふうに考えております。
○国光委員 ありがとうございます。
是非、金融庁さんに期待をしておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○井林委員長 次に、中川宏昌君。
○中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。
保険業法の一部を改正する法律案でございます。
今回は、特殊な不祥事によりまして、再発防止の強化を図るものでございますけれども、大規模の代理店は当然といたしまして、実は、中小の代理店とか中小のディーラーさんが心配されている点がありますので、私の方からはその点を中心に確認をさせていただきたいと思っております。
特定大規模乗り合い損害保険代理店への規制強化についてでありますけれども、法令遵守責任者の設置、また兼業業務の監視義務、苦情処理体制の整備などが義務化される一方で、自販連からは、規模の大きい代理店の全てを一律に対象とするのは過剰ではないかという声が寄せられたり、とりわけ、誠実に地域密着で営業してきたディーラーまでビッグモーターと同列に扱われることへの疑問と不安が示されております。規制の必要性は当然のことといたしまして、特殊な不祥事の一般化によって過剰な負担が生じることがないよう、この対象の範囲を合理的に設計すべきではないかと思っております。
規模だけではなく、これまでの業態、違反リスク、過去の実績等への対応は検討されているのか、まずこの点をお伺いさせていただきます。
○油布政府参考人 お答えいたします。
今般の保険金不正請求事案でございますけれども、自動車修理業などを兼業する、規模が特に大きい、そういう乗り合いの損害保険代理店が保険会社にとって大きな収益源であったということでございまして、そうした構造の下で、保険会社においては、営業上の配慮が働き、現行制度に期待されておりました代理店の管理、指導、それから不正な請求に対する牽制が不十分であったということが背景にあるわけでございます。
こうした構造的な問題に対応するということで、今回の改正法案では、保険会社に大きな収益をもたらす一定規模以上の乗り合い損害保険代理店を特定大規模乗り合い損害保険代理店と定義いたしまして、これに該当する代理店のみに限定して、先ほど委員の御指摘のとおり、法令等遵守責任者の設置等の体制義務などを課すこととしているわけでございます。
この上乗せ規制の対象につきましては、合理的、限定的な範囲となるように留意すべきであると考えておりまして、規制の対象、すなわち特定大規模乗り合い損害保険代理店の数は、幅のある数字で大変恐縮でございますが、現時点でおよそ七十から百程度ではないかと見込んでおります。
委員御指摘の、規模だけではなく、業態、違反リスク、過去の実績といった要素につきましては、今後、この特定大規模乗り合い損害保険代理店に対しまして、いわゆるリスクベースでのモニタリングを実施していく中で、適切に勘案していくことになると考えております。
いずれにいたしましても、今般の新たな規制が代理店に対しまして不必要で過度な負担を課すことにならないよう、留意してまいる所存でございます。
○中川(宏)委員 ありがとうございました。
次に、比較推奨販売ルールについてお伺いしたいと思います。
今後、乗り合い代理店は、顧客の意向を丁寧に把握をいたしまして、それに沿って保険商品を選定、推奨することが求められてまいります。これは当然の姿でありますけれども、実務面で見ますと、各保険商品の差異が僅かである場合とか、私も、ディーラーに行って例えばそこで保険に入る場合に、どれでもいいよ、お任せすると言ったこともありますけれども、そういうケースもあると販売の現場の方からも伺っております。これを、全商品を平等に説明するとなると、新たなシステム投資、また人材確保が不可欠でありまして、とりわけ中小ディーラーにおきましては過大な負担となることが懸念されるところであります。
顧客本位という理念の下であっても、画一的な対応を強いるのではなくて、顧客が任せると明言した場合には従来の柔軟な運用、これも許容すべき仕組みではないかと考えるところでございますが、中小ディーラーの対応につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答えをいたします。
私どもといたしましても、代理店、特に中小の代理店の方から、商品を数時間かけて説明しなければならないんじゃないかですとか、どこまでやればいいのかといったようなお話を伺うことはございます。
今後、乗り合い代理店が特定の商品を推奨して販売する場合ですけれども、お客様の意向を丁寧に把握して、この意向に基づき、提案する商品を絞り込んだ上で、絞り込んだ商品の概要を説明するということを求めていく方針でございまして、これは、意向把握、お客様に聞く前に、取り扱う全ての商品を詳細に説明するというようなことまでも求めるものではございません。
その上で、先ほどの委員御指摘の任せるというケースでございますけれども、他方で、顧客本位の業務運営を確保する観点からは、これまでのような、単なる代理店の都合でこれがいいんじゃないですかという推奨を行うということは望ましくないというふうに考えておりまして、その商品に附帯されるサービス、アフターフォローの状況、保険料の水準、お客様が重視するものを把握して、把握した顧客のニーズに合わせて適切な商品を推奨するといった対応をしていただく必要があるというふうに考えております。
先般損害保険協会が公表したアンケートによりますと、回答者の半数以上が、保険加入時の説明、提案について、ニーズを丁寧、明確に確認して商品を提案してほしい、ないし、どちらかといえばニーズを丁寧、明確に確認して商品を提案してほしいという御回答が半数を超えているところでございます。
保険販売時における留意事項につきましては、今後、関係者と丁寧に議論を重ね、現場の実務も踏まえながら、可能な限りの明確化を図っていきたいというふうに考えております。
○中川(宏)委員 ありがとうございました。
これは、引き続き中小規模の事業者の声を丁寧にすくい取っていただきたいと思っています。そして、先ほどもございましたけれども、実務への影響が過度にならないように、寄り添った対応をお願いしたいというふうに思っております。
次に、保険会社出向者についてでありますけれども、過度な便宜供与を是正する観点から出向の見直しが提言されたこと、これは非常に理解するところであります。それによりまして、一律の出向者引揚げが進みますと、代理店の現場力また対応力に影響が出るおそれがあります。実際に、顧客本位の業務運営を支える人材が失われる、こういった声も聞いているところであります。
そこで、全ての出向を否定するのではなく、過度な便宜供与と現場支援としての出向、この線引き、これを明確にしまして、出向者の存在が顧客対応力の維持に資する場合は適切な活用を認めていくべきではないかと思いますが、この点につきまして、見解をお伺いさせていただきます。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、保険会社が出向の見直しを進めるに当たり、顧客への悪影響が生じないよう配慮することは非常に重要であるというふうに考えております。その上で、保険代理店は、現行の保険業法におきましても、保険募集の業務に関する健全かつ適切な運営を確保するための措置を自ら講じることが求められている点には御留意をいただく必要があろうかというふうに思っております。
また、保険会社が保険代理店に対して出向による業務運営の支援を行うことには悪い心配もございまして、出向元商品の優遇を招き、顧客の適切な商品選択の機会を阻害するおそれがあることに加え、他社顧客情報の不適切な共有や保険代理店としての自立の阻害などの弊害を生じさせるおそれがあるという指摘もあるところでございます。
こうした点を踏まえまして、先般公表いたしました保険会社向けの総合的な監督指針の改正案におきましては、保険会社が保険代理店に対する出向の適切性を判断、検証する際に留意すべき事項といたしまして、当該出向が顧客の適切な商品選択の機会を阻害しないか、当該出向先の保険代理店において、出向者が顧客等の同意なく当該保険代理店の顧客情報等を出向元の保険会社に共有するおそれが生じないことを確保しているかといったことを示したところでございます。
金融庁といたしましては、今後、このパブリックコメントを経て最終化される監督指針も踏まえながら、保険会社による出向方針の見直しや管理体制の改善等が真に顧客本位の業務運営に資するものとなっているか、しっかりと確認するとともに、保険代理店との対話を通じまして、現場の実態についてもしっかりと確認をしてまいりたいというふうに考えております。
○中川(宏)委員 是非、現場の実態もきちんと拾い上げて検討をしていただきたいと思っております。
最後の質問になりますけれども、制度改正後の検証体制についてお伺いをさせていただきます。
制度の理念がどれほど立派であっても、現場にとって過剰な負担となって、代理店業務の縮小ですとか、また撤退を招いてしまっては、本末転倒だと思っております。特に、地方におきましては、ディーラーが保険募集の担い手として果たす役割、これは大きく、その後退は結果的に地域住民の選択肢を奪うことにもつながりかねないと思っております。
今回の改正によりまして現場にどのような影響が生じるのか、中小の代理店、整備業、兼業代理店の声を継続的に把握をしまして適切に対応していくことが不可欠だと考えますが、最後にこの点をお伺いさせていただきたいと思います。
○油布政府参考人 まず、今般の法改正でございますけれども、代理店に対しまして体制整備義務の上乗せをかける部分、これはいわゆる特定大規模乗り合い損害保険代理店に限定しているということでございまして、中小規模の代理店はその対象外ということでございます。
また、今回の法改正以外にも、保険金不正請求事案の再発防止を十分に図るという観点から、監督指針の改正でありますとか、あるいは業界における取組、その他、政府令等の下位法令による対応なども含まれますけれども、こうしたものを多面的に進めているところでございます。こうした取組を進めるに当たっても、中小規模の代理店等に対する不必要で過度な負担とならないよう、留意してまいりたいと考えております。
今後、金融庁といたしましては、保険代理店に対するモニタリングを通じまして、兼業も含めまして、保険代理店の実態を継続して把握していくということとなります。その中で、現場に過度な負担が生じていないかどうかといった点も踏まえつつ、規制の趣旨にも鑑みまして、必要に応じて適切な対応を検討してまいりたいと思っております。
○中川(宏)委員 ありがとうございました。
是非、モニタリングの中で実態をしっかり把握していただいて、一番は不正を許さないということでございますので、今後の対応をお願いしたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
○井林委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前十時十七分休憩
――――◇―――――
午前十時四十二分開議
○井林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。岡田悟君。
○岡田(悟)委員 立憲民主党の岡田悟です。
引き続き、保険業法の一部を改正する法律案について質疑をいたします。
先ほど来、様々な委員の方、指摘をされているように、やはり多くの国民の皆さんの関心を引いた、非常にインパクトを与えたのは、ビッグモーターの事案であったと思います。これは極めて深刻であったわけですけれども、ただ、ビッグモーターだけではないというのもまた事実ですね。
先ほど名前が挙がっておりましたトヨタモビリティ東京、トヨタ自動車の直営のディーラーだったわけですけれども、業務改善命令が出ている。また、金融庁の発表の内容を見ても、保険事業に関しては本業でないとの意識が根底にあるとか、人材育成を行っていないとか、あるいは、経営陣自身が保険業法に関する知見を有していないとか、かなりひどい業務実態があったということをかなり厳しく指摘をされています。また、報道ベースにはなりますけれども、中古車販売大手ネクステージ、あるいは、損保ではなくて生保ですけれども、マネードクター、今テレビCMをやっていますね、これを運営しているFPパートナーに対しても処分を科す方針であるということが報じられているという状況です。これはコメント、結構です。
ビッグモーター以外にもこういう深刻な状況が既に明らかになっているということで、今回の法改正そのものは方向性としては当然行われるべきであるというふうに思いますが、一方で、これまでこういう状況は広く行われていた、不正がビッグモーター以外のいろいろな代理店等で存在していたということは自明であったというふうに思います。
これからどうそれを改善していくかということを、これまでこの委員会でも議論されてきたと思うんですけれども、これまでそもそも金融庁として何もやっていなかったとか、そういうことを言うつもりはありません、いろいろ手だては打ってこられたんだと思いますが、法律、ルールの拡大解釈であるとか潜脱であるとか、抜け道を探して、自分たちに都合のいいように不正も含めてビジネスをやってきたという実態があるのではないかと思います。
伊藤局長も、東洋経済のインタビューでかなり保険会社に厳しい指摘も行われていますけれども、こうしたことも踏まえて、これまでの金融庁としての代理店あるいは保険会社に対する監督の在り方、どのような課題があったのか、お答えをいただければと思います。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
まず、保険会社でございますけれども、金融庁としては、これまで、損害保険会社に対する監督として、検査を含むモニタリングを通じて業務の適切性を確認し、不適切な事案が認められた場合には、業務改善命令の発出を含め、厳格な行政対応を行ってきたところでございます。
一方、保険代理店につきましては、委託者である保険会社を通じた監督が主となっている中で、保険会社は、一部の大規模な保険代理店に対し、営業上の配慮から、適切な管理、指導を行わず、不適切な保険募集がなされるなど、両者の間における構造的な課題が見受けられ、当該課題は今般の保険金不正請求事案を引き起こす一因となっていたというふうに現在においては考えておるところでございます。
○岡田(悟)委員 これはいろいろな論点があるわけです。今日の委員会では出ていませんでしたけれども、例えば、代理店手数料ポイント制度といって、保険会社が代理店に支払う手数料を決めるときに、どのような基準で決めるかという仕組みがあるそうですけれども、金融庁が行っているいろいろな金融業界の業界団体との意見交換会において、これまで、この問題、一昨日パブリックコメントを集めるための監督指針の改正案が明らかになりましたけれども、ここでも触れられており、かつ、金融庁のワーキンググループであるとか有識者会議でも触れられている点ではありますが、ポイント制度が代理店の規模、増収に偏り過ぎている、あるいは、顧客対応に努力しても小規模代理店の経営は苦しくなっている、要はビッグモーターのような大規模な代理店に有利な仕組みになっているということについて、意見交換が、平成二十九年、二〇一七年の段階で、金融庁としては今回の監督指針の改正で改善をするという内容が数年前にも既に指摘をされているということで、いろいろな課題については把握をしておられたんだと思います。
今回どのように監督指針を改正する方針であるかということは今回の改正案に書かれているわけですけれども、改めて伺いますが、まず、小規模の代理店の中では、このポイント制度が非常に不公平である、大規模代理店偏重であるということで、公正取引委員会に申告をしているという例が既にあります。公取の方針についてはコメントしていただかなくても結構なんですが、大規模代理店偏重の状況を見直すという方向になっているのかどうかという点と、ちょっとこれは通告をしておりませんが、一昨日改正案が出されて、これも私は目を通しましたが、規模、増収率に偏ることなく業務品質を重視しているかを監督指針で評価をするということですが、代理店の規模は様々ではありますが、もう少し具体的に、例えば数値目標等を定めるといったことまで踏み込むことができないのかどうかという点も含めて、ポイント制度に関するお考えを伺いたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
代理店手数料ポイント制度というのは、何か私どもが定めている制度があるわけではなくて、民民の、保険会社と代理店との間の手数料の支払いの仕方を決める算式の一部ということでございますけれども、これにつきまして、先般公表いたしました保険会社向けの総合的な監督指針の改正案におきましては、保険代理店におけるコンプライアンス疑義事案の発生状況等を踏まえているか、これはビッグモーターなどを念頭に置いたものでございます、また、保険代理店の規模、増収に偏ることなく業務品質を重視することに加え、さらに、その業務品質の具体的な指標について、損害保険会社の事務効率化ではなく顧客にとってのサービス向上に資するものとなっているかということを含むものになっているところでございます。
こうした対応、こうした監督指針、今後最終化してまいりますけれども、これによって、保険代理店において、規模ではなくて顧客本位の業務運営の徹底が図られているかどうかということで、保険市場の健全な発展の一助になればというふうに考えている次第でございます。
○岡田(悟)委員 民民の取引のルールであるからということですけれども、ちょっと、先ほどお伺いをした、小規模の代理店にとっても必ずしも不利にならないような形に見直しをしていくという方向でいいのかどうか、この点、一点確認させてください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
今申し上げましたように、民民の契約の算出の仕方でございますので、先ほど御質問いただきまして、御答弁申し上げませんでしたけれども、私どもとして何か数値を決めるということは考えておりませんが、他方で、今まで規模、増収に偏っていたものが業務品質の方にウェートをシフトするということで、今まで以上に中小代理店にとっては不利にならない体系になるものというふうに考えております。
○岡田(悟)委員 御指摘の点も是非モニタリング等で確認をしていただくようにしていただければと思います。
そして、もう一つ問題になっておりましたのが、損害保険会社、主に損害保険会社から代理店への出向ですね、ディーラーや中古車販売店等でイベントのお手伝いをするであるとか、こういうことが本来保険会社にとって必要なのかというふうなことまで社員の方がやっているというふうな状況がまかり通っていて、その貢献度が保険を売ってもらえるかどうかの基準になっていたという状況があったわけですけれども、これだけいろいろな問題があり、処分等も出て批判をされている状況で、損害保険会社は今、人を一斉にとにかく引き揚げている、出向をやめているという状況になっているわけですけれども。
これも一昨日、監督指針の改正案が出ました。内容を読んでみると、細かくいろいろなことが書かれていますが、一律に禁止をするものではない、特に利益相反になるところについてはかなり注意をしましょうということになっていますけれども、全部やめましょうというふうにも読めないんですけれども。
この点、先ほど来指摘の上がっています点、利益相反にならないのかという点と今回の監督指針の改正、どのようにある種バランスを取るというのか、線引きをどうするのかというところ、もう少し詳しく伺えればと思っております。
○伊藤政府参考人 御指摘の、先般公表いたしました監督指針の改正案の考え方、内容でございますけれども、保険会社が保険代理店に対して出向による業務運営の支援を行うことはいろいろな弊害を惹起するというふうに考えておりまして、そうした内容を含んでおります。
出向元の保険商品の優先的な取扱いを誘引し、顧客の適切な商品選択の機会を阻害するのではないか、他社顧客情報の不適切な共有や、保険代理店としての自立の阻害などの出向特有の弊害を生じさせるのではないか、こういう点をよく考えて、保険会社においては、出向方針を作る、見直すということですとか、改善若しくはチェックに向けた体制整備を構築するということをしてくださいというような内容になっているものでございます。
○岡田(悟)委員 利益相反との線引きがどの程度かというところですけれども、これは、でも、損害保険会社にある程度それを委ねるという形なのかなというふうに読めます。もちろん、箸の上げ下ろしまで全部金融庁が見ないといけないのかという議論はあろうと思いますけれども、ここもかなり今回の不正の要因になっていたというふうに考えられますので、是非モニタリングをしっかりとやっていただけたらというふうに思います。
そして、今回の監督指針には含まれていませんが、いわゆる比較推奨販売ですね。法律の条文は、細かいんですが、保険業法施行規則第二百二十七条の二第三項第四号イ、ロ、ハという保険の比較推奨販売のルールが乗り合い代理店の場合はある。今まで、代理店独自の推奨理由、基準に従って商品を選別し、商品をお客さんに勧める、単純に、この保険会社の商品を使ってくださいというふうに、自動車修理会社等に修理をしに行けば、なぜか分からないけれども一社の保険が勧められるということを経験されている方は多いと思いますけれども、恐らくこういうからくりで行われていたんだろうというふうに考えられます。
これも、非常に例外的なルールとして設けられたにもかかわらず、広く大手の乗り合い代理店にある種悪用されて、テリトリー制といって、ある地域ではこの保険会社のものしか売りませんというふうな習慣になっており、保険を契約するお客さんが大変不利な状況になっていたということが言われているわけで、ハ方式と言われるものは廃止をするということですけれども、じゃ、どうやって保険を売ればいいのかという問題が新たに生じ得るものと思います。
小規模の代理店であれば、保険の知識が必ずしも十分でないというところもあろうと思います。また、大手の代理店であれば、これは今回監督指針等で示されているように、自律的にちゃんと保険のことを学んでお客さんに説明できる状況をつくっていただく必要があるわけですが、なかなかそうはいかないという小規模の代理店もあると思われることと、あと、保険の商品というのは極めて複雑で、契約するお客さんにとって、すぐに、ABCの選択肢を示されて簡単に選べるものでもないのかなというふうに思います。
この点、ハ方式を廃止することによって、代理店の保険の推奨の在り方、どのような方向性を目指しておられるのか、伺いたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の、いわゆるハ方式でございます、代理店の、自店の都合によって推奨する保険商品を決めるということでございますけれども、これは、今までの有識者会議ですとかワーキンググループの中でも御議論がございまして、これを廃止していく方向で私ども考えているところでございます。
自社都合の、自店都合の方式ではないということになると、原則に戻りまして、顧客に対し、保険契約をするに当たってどういう点を重視するかということをまずお聞きして、その上で、絞られた保険商品につきまして内容をしっかりと御説明をするということが、保険代理店、保険募集をする方には求められるわけですけれども、おっしゃるように、中小の代理店から不安の声が上がっているということも事実でございます。
今後でございますけれども、やはり保険会社としては、保険商品を売ってもらうわけですけれども、これはどういうところに自社の商品の特徴があるのかということを代理店の皆さんにもよく御説明をして、又は、使いやすい、分かりやすいパンフレットなども用意して使っていただくということもあろうかと思いますし、代理店の方でも、いろいろな説明の工夫をしていただくということは必要になってくるのではないかというふうに思っておりまして、こういったことを目指して、私どもも監督、指導を続けていきたいというふうに考えております。
○岡田(悟)委員 伊藤局長は東洋経済のインタビューで損害保険会社についてかなり厳しい指摘をしておられて、同一価格、同一商品で提供してきた過去があるから楽をしようとしているのか、商品を差別化できないと思い込んでいるとか、代理店からその保険を是非売らせてくれと言われるぐらいの優位性のある商品を開発してほしいとか、おっしゃるとおりだと思います。ただ、ネットの保険も広く行き渡っている中で、大手の保険会社が何を売るかというのはなかなかという課題もあろうかと思いますが。
最後に一点だけ、大臣に、どうしても保険代理店と損害保険会社の力関係というのは引き続き続くのではないかというふうに思いますけれども、この中で、問題を改善していくという決意をお聞かせいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 今般の保険金不正請求事案は、自動車修理業などの兼業業務を行う、規模が特に大きい乗り合い損害保険代理店において、保険請求に関して極めて不適切な行為が行われてきたにもかかわらず、そのような代理店が保険会社に対して優位な力関係にあったことから、保険会社において営業上の配慮が働き、そうした不適切な状況を是正することができなかった、いわば構造的な問題と考えております。
これを踏まえて、今般の法律改正では、規模が特に大きい乗り合い損害保険代理店に対して、兼業業務の適切性の確保を含めた法令遵守等に必要な体制整備義務を上乗せして課す措置を講じ、また、保険会社に対し、営業上の配慮を遮断し、こうした代理店に対する管理、指導責任を全うさせるということにしております。
加えて、金融庁としても、上乗せ措置の対象を大規模な代理店に絞ることで、こうした代理店における法令の遵守状況を重点的にモニタリングし、必要に応じ、適時適切な行政処分等の対応を取るということが可能と考えております。
さらに、今回の法改正による措置に加えて、監督指針の改正、また、業界におけるガイドライン等の整備といった対応を含め、進めていきたいと考えており、こうした対応や当局による規制の遵守状況のモニタリングを通じて、今般の保険金不正請求事案のようなことがまた再び起きることがないよう、その再発防止の実効性をしっかり確保していきたいというふうに考えております。
○岡田(悟)委員 是非進めていただきたいと思います。
これで終わります。ありがとうございました。
○井林委員長 次に、長谷川嘉一君。
○長谷川(嘉)委員 私は、立憲民主党の長谷川嘉一でございます。
通告に従いまして、質問をさせていただきます。
大変限られた時間でございますので、少々早口になる点は御容赦いただきたいと思います。
早速ではありますけれども、株式会社ビッグモーターによる保険金不正請求事案につきまして、代理店登録が取り消されております。また、保険料調整行為事案につきましては、独占禁止法に抵触するおそれがある行為として、公正取引委員会による排除措置命令等が発出されております。損害保険代理店や損害保険会社にとっては大変厳しい措置が取られておりますが、なぜ今回この改正が必要なのか、お教えください。
○加藤国務大臣 今般の、損保業界において、今お話があった保険金不正請求事案、また保険料調整行為事案、こうしたものが発生をしたところであります。これらを受け、その背景にある、規模が特に大きい乗り合い損害保険代理店に関する構造的な課題、また保険契約の締結等に関するゆがんだ競争構造、これを是正し、今般の不祥事案の再発防止を図るために、今回、保険業法そのものの見直しが不可欠と判断し、保険業法の改正法案を提出させていただいたところでございます。
具体的な中身は既に御説明をさせていただいたところでありますが、今般の措置を通じ、損保業界において、顧客本位の業務運営を徹底し、健全な競争関係を実現することによって、今回失われた保険、損保業界に対する信頼をしっかりと取り戻していきたいというふうに考えております。
○長谷川(嘉)委員 御答弁ありがとうございました。
保険業法は、不正があるたびに厳しい改正が繰り返されております。金銭利得が発生する限り、この種の不正は防ぐことはできません。経営責任者の商業モラルの欠如によるもので、経営責任者にこのことをたゆまず求め続けることが監督官庁の責務と私は考えます。
次に、法案の提出背景として、株式会社ビッグモーターによる保険金不正請求事案と大手損保会社四社による保険料調整行為事案を挙げておりますが、損害保険代理店に対する体制整備義務強化について、生命保険代理店に対しても、政令において同様の措置を規定する、この根拠をお示しください。
○油布政府参考人 委員御指摘のとおり、今般の改正法案でございますけれども、損害保険業界で起きた保険金不正請求事案等の再発を防止するという観点から、規模が特に大きい損害保険代理店に対して、上乗せの体制整備義務を課すというものでございます。
他方、生命保険業界におきましても、損害保険業界と同様、規模が特に大きい乗り合い代理店に対しまして、生命保険会社において営業上の配慮が働き、生命保険会社による管理、指導が適切に機能しない可能性があるという点は同一の構造と考えられますことから、生命保険代理店に対しては、規模が特に大きい乗り合い代理店については、特定大規模乗り合い損害保険代理店と同様の体制整備義務を課す必要があると考えております。
なお、現在の保険業法上、損害保険代理店と生命保険代理店とでは、乗り合いの代理店に関します法体系、規定ぶりが異なっておりまして、生命保険につきましては、法改正を行うことなく同様の規制を課すことができますことから、生命保険代理店につきましては、政令を改正することで対応する予定でございます。
○長谷川(嘉)委員 ただいまの御答弁に関しまして、乗り合い代理店の多くが生命保険と損害保険の両方を取り扱う生損保兼営の形態を取っているからといって、政令等で規制の対象や内容を生命保険まで広げることは、当法案の中から疑義が生じるということは再度申し上げますけれども、この点については、私は、この考えは厳守してまいりたいと思っておりますので、御念頭に置いておいてください。
次に、当法案の対象となる損害保険代理店についてお教えください。対象となる損害保険代理店は、特定大規模乗り合い代理店で、かつ兼業特定保険募集人と考えてよろしいでしょうか。
○油布政府参考人 御指摘のとおり、保険募集人ということで、兼業の保険募集人ということでございます。
○長谷川(嘉)委員 損害保険代理店でありますけれども、このうち、乗り合い代理店は約二五%、専属代理店の約四分の一ということでありますが、収入保険料では、約七割が乗り合い代理店契約によるものです。一代理店当たりの収入保険料は、乗り合い代理店が専属代理店の約七・四倍。多くの資本力に乏しい中小の損害保険代理店が、この改正により業務運営に大きな影響を受けることがないようにしなければならないと考えます。
次に、特定大規模乗り合い代理店の基準についてお教えください。
○油布政府参考人 失礼いたしました。
特定大規模乗り合い損害保険代理店の要件につきましては、代理店としての活動の規模を表すと考えられます、保険会社から受け取る手数料等の金額、これが年間で一定額以上であることなどを要件としております。
その具体的な水準につきましては、法案成立後に内閣府令で規定する予定でございますけれども、保険会社において営業上の配慮が働いて保険会社から代理店への管理、指導が不十分となることが懸念されるような大規模な代理店を対象とすること、それから、今般のビッグモーター社と同規模の代理店、これにつきましては、再発防止の観点から確実に対象となる水準であること、こういった点が必要と考えておる次第でございます。
○長谷川(嘉)委員 規模の定量的な基準において、現行の上乗せ規制の要件が手数料収入等を基準としているということで、モニタリングの連続性という観点から、手数料等の収入の方が適切とされているということでありましょうが、法案提出の背景事案や損害保険代理店の実態を勘案しますと、営業上の配慮が働きやすい、売上げに相当する保険料収入を取る方が改正法案の目的に沿っていると考えます。御意見をお聞かせください。
○油布政府参考人 御指摘のとおり、保険料収入という考え方も、ワーキンググループの議論の過程ではあったところでございますけれども、今回の事案につきましては、保険会社側が代理店に対しまして、その収益源となっているということが背景にあって、営業上の配慮をしてしまった、適切な指導監督ができなかったということでございまして、そのことを捉えまして、保険会社から受け取る手数料の額でこの水準を決めることと考えている次第でございます。
○長谷川(嘉)委員 手数料等の対価の総額など具体的な基準は内閣府令で定められる予定ということだと思いますが、規制等の強化の対象が不明確な状態では、代理店の業務運営への影響などを数値として把握することができません。
次の質問に移りますが、特定大規模乗り合い損害保険代理店の営業所ごとに法令遵守責任者、本店等にその統括責任者を設置し、行政処分を可能にするとしていますが、その担当責任者の立場そして権限及び行政処分の内容について御説明ください。
○油布政府参考人 今般の改正法案におきまして、特定大規模乗り合い損害保険代理店、これにつきまして、その内部管理体制を強化させるという趣旨から、こうした代理店に対しては、営業所あるいは事務所ごとに、保険募集人等に対して助言、指導を行う法令等遵守責任者の設置を求める、それから、本店あるいは主たる事務所におきまして、この法令等遵守責任者を指揮する統括責任者の設置を求めることとしております。
今回設置を求めます法令等遵守責任者でございますけれども、これは、営業所等で勤務しております保険募集人に対しまして、助言、指導を通じて、営業所等におけるコンプライアンス体制の向上を図ることを目的としております。他方、統括責任者の方は、先ほど申し上げました法令等遵守責任者の指揮、統括等を通じて、代理店全体におきますコンプライアンス体制の向上を図ることを、それぞれ期待しているところでございます。
それぞれの要件につきましては、一定の資格要件を求めることとした上で、そのための試験制度を新設する、こういう金融審議会ワーキンググループの報告書の指摘もございまして、業界におきまして、法令等遵守責任者等を対象といたしまして新たな資格制度の創設を検討していると承知しております。
このことによりまして、規制の実効性の確保、強化を図ってまいりたいと思っております。
○長谷川(嘉)委員 これから詰めるということでありましょうけれども、この辺は慎重にやっていただきたいと思います。責任者の実際の立場、権限によっては、会社全体の法令遵守の向上につながるかどうかは疑問な点がございます。何かあった場合に、担当責任者に全ての責任をかぶせることにもつながりかねません。繰り返しになりますけれども、最も重要なのは、経営責任者に求められる責務をうやむやにすることのないようにしなければなりません。このことを申し添えさせていただきます。
次に、損害賠償保険会社に対して、顧客の利益が不当に害されることを防止する目的で、業務の適切な管理やその他の必要な体制整備義務を強化し、この整備が講じられているかを確認して、疑義がある兼業代理店に対する支払い査定の厳格化をするとしておりますが、誰が整備の進行度合いを確認し、誰が支払い査定の厳格化をどのような基準で行うのか、お教えください。
○油布政府参考人 今般の改正法案では、特定大規模乗り合い損害保険代理店そのものに対しまして、上乗せの内部管理体制義務の強化を求める、その一方で、保険会社に対しましても、こうした代理店に対する営業上の配慮を遮断し、所属保険会社としての管理、指導責任を全うするために必要な体制整備義務を課すということの措置を講じることとしております。
今後、内閣府令を見直すこと等によりまして、保険会社の方に対しましては、自動車修理業等を兼業している規模が特に大きい乗り合い損害保険代理店に求めております兼業業務を適切に監視するための内部管理体制、これが代理店内においてしっかり構築されているかを確認するということ、これに加えまして、こうした代理店側の体制の実効性に疑義がある場合には、その兼業代理店が関与する保険金請求に対する査定を厳格化することを求めてまいりたいと考えております。
これによりまして、今般の保険金不正請求事案の再発防止の実効性が確保されるものと考えております。
○長谷川(嘉)委員 そもそも、損害賠償保険会社の経営責務として行うべきことを法律とすることはどれほどの実効性があるか疑問であることは呈させていただきます。
次に、比較推奨販売における販売方法に応じた説明は現行の保険業法でも義務づけられておりますが、具体的販売方法について簡潔に御説明ください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
保険業法施行規則に規定がございますけれども、乗り合い代理店が複数の保険商品を比較する場合、また特定の保険商品を推奨する場合のそれぞれの販売方法に応じまして、乗り合い代理店が説明しなければならない内容が規定されているところでございます。
このうち、特定の保険商品を推奨する場合、現行の施行規則におきましては、推奨の理由が特定の保険会社との資本関係など代理店都合のものであっても、その理由を顧客に説明さえすれば許容することとされております。
一方、昨年取りまとめられましたワーキンググループの報告書では、こうした販売については、顧客の意向にかかわらず、乗り合い代理店の利益のみを優先して特定の保険会社の商品を推奨することは、顧客の適切な商品選択を阻害し得る、本来は便宜供与等を推奨理由としているにもかかわらず、経営方針であるなどと保険代理店独自の理由であるかのように装ったとしても、それが分かりづらいといった課題が指摘されたところでございます。
加えまして、改正金融サービス提供法における顧客等の最善利益を勘案した誠実公正義務も踏まえれば、単なる代理店都合の商品提案は望ましくないというふうに考えておりまして、こうした点も踏まえて、代理店都合の販売を許容する現行の施行規則の規定を廃止して、乗り合い代理店が特定の商品を推奨して販売する場合には、顧客本位の業務運営を確保する観点から、顧客の意向を丁寧に把握し、意向に基づき、提案する商品を絞り込んだ上で、絞り込んだ商品の概要を説明することを求めていくこととしたいと考えているところでございます。
○長谷川(嘉)委員 時間もありますので、最後の指摘に入らせていただきますが、乗り合い代理店の保険募集実務や募集形態等を踏まえつつ、顧客の意向に沿った保険商品の販売を求めるべきで、留意事項等については、監督指針等において可能な限り明確化を図る必要があるとしております。一昨日、五月十二日に、保険会社向けの総合的な監督指針を改正することに対するパブリックコメントを開始されたみたいですが、法案審議の場である本委員会においては、更に具体的な詳細については、我々は理解している部分が少ないわけであります。
そもそも、損害保険販売現場の実務、実情を詳細に調べているのか、甚だ疑問です。保険販売の現場において実務を担当している人々が口をそろえて話すのは、顧客と担当販売者との信頼関係を構築することが最も大切ということで、商品の説明はその後だということです。外国の保険会社などは、必ずしも市場に根を張った営業体制を構築できているわけではありませんので、当法案による影響はそれほどではないかもしれませんが、市場に緻密に根を張り、顧客が不利にならないよう頑張っている代理店や損害補償保険の販売を担当する従業員が逆に不利益を被らないようにすることが必要であります。
保険料にも関係してきますので、当法案による営業現場等への費用負担等も含めて、当法案が及ぼす数値影響の精度の高い推計を考慮する必要があります。
アメリカ合衆国の高関税対策による経済の不透明さ、物価高騰、実質賃金の低下、高い国民負担率という厳しい生活環境の中で、商業ルールを守り、必死に仕事をしている損害保険代理店や代理店の損害保険を販売する担当者が報われるような制度設計が必要であることを申し上げ、質問を終わります。
○井林委員長 次に、水沼秀幸君。
○水沼委員 市川、船橋からやってまいりました立憲民主党の水沼秀幸です。
本日も未来志向の対話ができればと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
まずは、総括的なお話から伺います。
金融庁は、二〇一七年に、金融機関の取るべき行動として詳細に規定を設けるルールベースのアプローチではなく、プリンシプルベースのアプローチ、いわば原則主義を採用し、金融機関が個々の状況に応じて実質的に顧客本位の業務運営を実現できるように現在、働きかけているというふうに認識をしています。実質的な取組によって金融機関の業態や状況に合わせてより柔軟な対応ができるようになったということはプラスの点ですが、今回法改正を審議する発端となった不祥事が発生していることも事実です。
これらを踏まえ、金融庁における保険会社への監督体制について大臣としてどう評価しますか。まずお答えください。
○加藤国務大臣 まず、今般の事案、いわゆるビッグモーターの事案に関し、当初はビッグモーター社の整備工場の問題と認識をし、保険会社の経営管理やガバナンスの問題まで認識が及ばず、結果として早期に端緒がつかめなかったこと、これは金融庁としても反省すべきものと考えております。
今般の事案を踏まえ、保険会社の経営管理体制の根幹に関わり得る問題への苦情、内部通報等の情報については、今回の法改正がなくとも、日頃のモニタリングにおいて、より一層活用を図ることで早期の問題発見につなげていきたいと考えております。
また、今改正法案を成立させていただいた場合には、保険会社及び保険代理店における当該ルールの遵守状況や体制整備の状況についてはより厳格な検査が可能になるほか、苦情や内部通報等の情報の厚みも増し、早期に問題を発見しやすくなることから、保険会社に対する監督体制の一層の強化に資するものと考えております。
なお、今、ルールとプリンシプルのバランスのお話もございました。
金融庁は、保険会社及び保険代理店における実質的な法令遵守意識の向上を図るために、どっちかに偏るということではなくて、ルールとプリンシプルのバランス、これを重視して監督を行っていきたいと考えています。
○水沼委員 ありがとうございます。
やはり、忖度や曲解をしやすい部分においては、今大臣おっしゃったように、ルールベースで具体的に対応を明確化することも必要であるというふうに理解しました。そのため、ここからは二つ、具体的な質問をさせていただきます。
まず、保険会社に対する体制整備に関して質問をします。
金融庁からは、今回の損保業界の不祥事案を踏まえて、保険金の支払い部門と営業部門の適切な分離を実行するという方針が示されています。この適切な分離の定義を教えてください。
○油布政府参考人 お答えをいたします。
御指摘のとおり、今般の改正法案では、保険金不正請求事案の再発防止を図るということで、保険会社に対しまして、兼業代理店に関連して顧客の利益が不当に害されないよう、業務の適切な管理を行う等の体制整備義務の強化を求めておりまして、その具体的な内容は今後、内閣府令で定めていく予定でございますけれども、その中で、保険金支払い部門と営業部門を適切に分離すること等を規定して、保険会社における保険金支払い管理の適切性の向上を図っていくことを予定しております。
金融庁といたしましては、保険会社におきまして保険金支払い部門と営業部門を担当する役員を分ける等によりまして、保険金支払い部門の独立性を維持するため、レポーティングラインが確立されているかどうか、それから、自動車修理業を兼業する代理店から修理費の見積り等が提出された場合などに、例えば入庫時の車両の損傷状況でありますとか、修理過程の記録、そういう損害事実に係る証跡を踏まえて適切な査定体制が確保されているかなどについてモニタリングを行い、保険金支払い管理の適切性の確保に向けた取組の実効性が向上するようにフォローアップしてまいります。
○水沼委員 分かりました。ありがとうございます。
次に、代理店に対する過度な便宜供与を防ぐため、社会通念に照らし相当であると認められない物品の購入や役務の提供を禁止する方針ということですが、これらの、過度な便宜供与及び社会通念に照らし相当であると認められない物品という定義について、どのようなケースを想定しているのか、具体的にお示しください。
○油布政府参考人 現行の保険業法におきましても、保険会社等が保険契約者等に対しまして特別の利益を提供するということは禁止されておるわけでございますが、今般の改正法案におきまして、取引上の社会通念に照らし相当であると認められない取引を新たに禁止行為の対象に加えるということを盛り込んでおります。
当該禁止行為につきましては、例えば、保険契約者となる企業との保険契約に際しまして、保険会社が、契約の締結につながるということを期待して当該企業あるいはそのグループ企業の物品を購入すること、当該企業やそのグループ企業への役務を提供すること等が該当するわけでございますが、より具体的な基準や考え方につきましては、今後、監督指針において定めることとしております。
ただ、その際には、金融審議会の報告書におきまして、公正な取引や合理的な商慣行等と考えられる行為まで禁止されることのないよう明確化が図られる必要があると指摘をされておりますことも踏まえまして、保険業界における取引や商慣行の実態把握を行いまして、その結果に基づき監督指針を改正して、禁止行為の該当性の基準や考え方を示すということを考えております。
保険会社等が運用に迷うことのないよう、極力明確化を図ってまいりたいと思っております。
○水沼委員 ありがとうございます。
今おっしゃっていただいたように、是非、今後の監督方針や法令等で、現場が判断に迷わないということが大切だと思いますので、一層具体的な方針を示していただければと思います。
次に、企業向け保険についてテーマを移します。
個人保険と比較して、企業向け保険の価格というのは、営業の第一線に一定の裁量権があるというふうに認識しています。価格は各社の保険料率によって決まるので、個別事情を反映させたことが適正に算出されたものであれば問題ないとは思っています。しかし、算出された価格に個別事情を反映させ過ぎた結果によって、そのことを起因として価格競争に陥り、赤字体質を招いてしまったことも今回の不祥事の一因になっているというふうに映ります。一部の契約者だけを優遇して、その他の契約者が必要以上に保険料を払う状況は存在すべきではないと思っています。
また、今回は、自然災害の増加によって火災保険が収支悪化したことが不祥事の根底にありますが、例えば、今後、サイバーテロが頻発し、保険支払いが増加すれば、サイバー保険領域で今回と同様の事案が発生しかねないというおそれがあります。だからこそ、種目を限らず全ての企業向け保険における保険料のモニタリング体制を再構築する必要があるのではないかと思います。御見解をお聞かせください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおりでございまして、今般の保険料調整行為事案を招いた前提として、損害保険会社内で営業上のプレッシャーなどが高まる中で、保険料率の適用、管理が必ずしも適切に実施されていなかったという指摘もございますし、そうした背景があったのではないかと私どもも考えているところでございます。
企業向けの損害保険における保険料率の適切な運用のためには、損害保険会社自らが企業向け損害保険の収支分析、リスクや事務コストに応じた保険料率の設定、妥当性検証を行う体制を整備するということが極めて重要であると考えておりまして、金融庁といたしましては、そうした状況を今後しっかりとモニタリングをしていきたいというふうに考えております。
○水沼委員 ありがとうございます。
是非、全ての人に適正な保険料を提示するための努力を重ねていければというふうに考えております。
では、次のテーマ、ここからは保険代理店を対象とします。
今回の改正が実現すれば、乗り合い代理店の比較推奨販売において顧客の適切な商品選択に向けた実効力が高まるとされています。
保険の比較においては、顧客の実情に沿った保険料と補償内容を選択するというのが通常の考え方です。他方、自賠責保険は、強制保険であり、保険料や補償内容も各社一律です。簡潔に申し上げれば、自賠責保険はどの会社で加入しても全く差はない保険であり、だからこそ、代理店側にとってはどの保険会社をどれぐらい推奨するのかをコントロールしやすい保険でした。
同時に、強制保険で補償内容は同一ですが、保険会社から見た実績の中にも自賠責の保険というものは、保険料は挙績に入ってきます。だからこそ、価格も補償内容も同じであれば、個別のサービスによって歓心を買おうとする行為が発生する可能性も否定できず、この構造が代理店に対する過度な便宜供与につながっていたおそれがあります。
だからこそ、自賠責保険における各損保への振り分けに対する考え方を金融庁が示すべきだと考えます。見解をお聞かせください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
これも委員御指摘のとおりでございまして、保険金不正請求事案を端緒に、自動車修理工場を兼業している大規模乗り合い代理店が、保険会社から当該自動車修理工場への修理が必要な事故車両の紹介実績や、その他様々な保険会社からの営業協力の状況に応じて保険会社各社に保険契約を振り分けて、適切な保険募集をゆがめていた実態が認められたところでございます。
このため、保険会社から保険代理店への過度な便宜供与を防止するため、先般公表いたしました監督指針の改正案におきましては、保険会社が過度の便宜供与の判断基準を社内規則でしっかりと策定する、営業部門等に対する適切な教育、管理、指導を実施しているかといった体制整備の状況を監督上の目線として掲げているところでございます。
金融庁といたしましては、今後最終化される監督指針も踏まえながら保険会社及び保険代理店に対するモニタリングを行う方針でありまして、委員御指摘の自賠責保険につきましても全く同じことが言えると思っておりますので、こうしたモニタリングの中で、不適切な取扱いが行われていないか注視をしてまいりたいと考えております。
○水沼委員 ありがとうございます。
是非、実効力があり、判断に迷わない明確な基準を策定いただければと思います。
最後に、生命保険について伺います。
このところ、募集人による投資詐欺事案が残念ながら複数発生しています。特に、マイナス金利の導入以降、一部生命保険は、株式やREIT、債券などといった自分で選んで運用する投資性を帯びた商品も販売されており、そのため、投資の話を違和感なく聞いてしまうといった風土が醸成されつつあると認識しています。とはいえ、認可が出ているものなので、商品自体に問題があるわけではありません。大切なのは、適切に商品を扱えるかどうかという点にあるのだと考えます。
こういった状況を踏まえた募集人管理体制の在り方について、見解をお聞かせください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
生命保険業界では、従来は主に、保険契約が介在する保険料の詐取などを防止する観点から管理体制の整備を進めてきたところでございますけれども、委員御指摘のとおり、生命保険会社の営業職員が架空の金融商品の勧誘を装うなどにより保険契約者等から金銭詐取を行う事案が発覚をしているということは、事実でございます。
こうした点も踏まえて、生命保険協会は先般、本年の四月でございますけれども、各生命保険会社におけるコンプライアンス・リスク管理体制の高度化に向けた取組状況のフォローアップを実施し、その結果を公表している、不適切な紹介、勧誘を行わないことを営業職員に宣誓させるといった保険会社の取組事例を公表したところでございます。
金融庁といたしましても、各生命保険会社が営業職員チャネルにおける不適切な行為を防止するために十分な体制を整備しているか、どういった対応方針を持っているかなどを確認し、保険募集人管理体制の更なる高度化に向けた取組を促していくこととしたいと考えております。
○水沼委員 ありがとうございます。
是非、人生のパートナー、ライフパートナーと呼べるような質の高い募集体制の確立に向けた取組を加速いただければと思います。
時間となりました。人類が生み出した英知である相互扶助、助け合いの精神、それを具現化した存在である保険という仕組みが、いついかなるときもしっかりと人々の支えとなり、顧客本位の業務運営を実現できるよう、しっかりと私も今後も精力的に活動していく所存です。
以上となります。ありがとうございました。
○井林委員長 次に、萩原佳君。
○萩原委員 日本維新の会の萩原佳でございます。
では、早速ですけれども質疑に入らせていただきますが、法案質疑に入る前に、まず、インターネット証券の口座の乗っ取り、これに関してちょっとお伺いしたいなと思っております。
金融庁さんのサイトのトップページに、インターネット取引サービスへの不正アクセス、不正取引による被害が急増していますと題して、乗っ取りに関する注意喚起、これが行われています。同ページによると、非常に不正アクセス事案が増えていて、取引金額というのが大きなものとなっております。この点に関しては加藤大臣も先週金曜日に注意喚起されていたと思います。
ここで、ちょっと一点お伺いしたいんですけれども、この不正アクセス事案が生じている証券会社、資料によると九社となっているんですけれども、どこの会社が不正アクセス件数が多かったとかそういうようなものというのは公表することは可能なのか、お示しいただければと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
御質問の証券会社別の被害発生状況でございますけれども、不正アクセス、不正取引の被害は、例えば、現段階では被害が発生していない又は少ない証券会社でも今後発生、増加し得るものであること、この多寡に応じて、その証券会社と取引している方の警戒心といいますか行動が変わるようなことも考えられなくもないところでございますし、それぞれの証券会社が公表もしていないということでございますので、金融庁から個社別の被害の発生状況についてお答えをすることは差し控えたいというふうに考えております。
○萩原委員 今、差し控えたいというところですね。確かに、各証券会社を見てみますと、不正取引事案が発生していますという注意喚起はあっても、幾らというような話、何件という話はないかなというところ。
ただ、各証券会社、補償に関して、補償しますよと大手十社が公表している中で見ると、割と、本当にインターネット証券を代表するようなところ十件中そのうち九件が被害に遭っているという意味では、なかなか、うちのところは大丈夫か、自分の口座は大丈夫かという不安の声というのはあるかなと思っておりますので、仮に、数字自体は把握されていると思いますけれども、非常に額が大きい、図抜けて大きいようなところがあれば、それに対しては、注意喚起であるとか、そこは力を入れていただければなと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
あと、各証券会社は、この被害が発生した時点で、約款で責任を負わないと定められていることを理由に補償には割と慎重な立場であったかと理解しています。ただ、大手十社に関しては、被害状況に応じて顧客に補償する方針、これを定めたとなっていますが、このように補償の方針転換を図った理由を把握されているのであればお示しください。これに関しても、大臣から、補償を行うようにみたいな話をされていたとは思うんですけれども、その理由を把握されていれば教えていただきたいなというのと、補償の具体的内容、これに関しては、金融庁から証券会社に対して何かしらの指導や助言、これを与えていたのか、そこも含めて、二点、お伺いいたします。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
この度の不正アクセス、不正取引の被害急増を踏まえまして、金融庁といたしましては、日本証券業協会及び各証券会社に対して、顧客の立場に立った丁寧な対応を行うよう求めてきたところでございます。
このような中で、五月二日に、日本証券業協会及び各証券会社が一定の被害補償をする方針を公表したところでございまして、金融庁としては、顧客の立場に沿った丁寧な対応の一環として、これには一定の評価ができるものと考えているところでございます。
今後でございますけれども、各証券会社において、被害額や補償内容について具体的に検討を進めていくこととなるというふうに考えておりまして、金融庁としては、引き続き、各証券会社の状況をフォローアップしていきたいと考えております。
○萩原委員 今、今後のフォローアップの状況というところ、了解いたしました。
多くの証券会社は、具体的な内容はまだ明らかにしていない中、五月末をめどに公表しますよ、範囲についても示しますよとなっておりますので、被害に遭われた方はもう少々我慢していただくことになりますけれども、是非、安心して取引をしていただけるように配慮いただければと思います。
この点、最後、一点だけ確認させてください。
この不正アクセスに関する事案、一月、二月、そして三月になったときに爆発的に数が増えていて、四月に、更にその数、被害額というのも増えておりますが、不正アクセス対応に係る初動、これに関してはどのように評価されているのか、御見解をお示しください。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
本事案につきましては、本年三月下旬以降、一部の証券会社の偽サイトの検知が急増し、それに合わせて、顧客から証券会社に対して、身に覚えのない取引が行われている旨の被害申告が急増したという状況でございました。
この状況を受けまして、金融庁といたしましては、各証券会社に対して継続的にヒアリングを行い、新たな被害の発生状況、各社においてセキュリティー面や顧客相談体制などで追加的な対応の必要がないかということを確認し、被害の拡大防止や顧客対応に万全を期すよう求めてきたところでございます。
また、利用者向けの注意喚起といたしまして、金融庁ウェブサイトにおいて、四月三日に証券会社の偽サイトに関する注意喚起を実施、その後も被害拡大が続いたことから、四月十八日に不正取引の発生件数や金額なども公表し更なる注意喚起を実施、五月八日には三度目の注意喚起を実施しまして、数字を更新をしているという状況でございます。
金融庁といたしましては、引き続き、証券会社に対して、顧客に対するセキュリティー対策の要請や丁寧な顧客対応を行うよう求めていくとともに、業界団体とも緊密に連携をして、不正アクセス防止対策を始めとするインターネット取引におけるセキュリティー水準の向上を図ってまいりたいと考えております。
○萩原委員 結果責任みたいなところで申し訳ないんですけれども、四月三日、被害拡大に対しての注意喚起をしたにもかかわらず、五月になると、件数でいうと三倍弱、金額でいうと、被害額でいうと一桁以上上がっているような状況になっていますので、是非、引き続きの注意喚起というところをお願いしたいなと考えております。
本当に、最近、個人の株式保有金額そして株式保有数が右肩上がりの状況で生じたこの事案、非常に不安に思っている方、あと、投資経験が少ない方も多いと思いますので、そういう方に株式を資産形成の一つとして持っていただく意味でも、是非、積極的な情報発信そして手厚いフォローというところを各証券会社に指導、お願いしていただくことを要望させていただいて、法案質疑に入りたいと思います。
法案質疑に戻ります。まずは、損害保険代理店、保険会社に対する体制整備義務の強化についてお伺いいたします。
ちょっと重複しているところがあるかもしれないので、そこは飛ばしていきますけれども、今回、大規模な乗り合い代理店に関して上乗せ規制をかけていくという形かと思います。
ただ、この上乗せ規制、基本的には、会社のいわゆる内部統制、これに大きく依拠する形になるかと思いますが、そもそも、会社の内部統制に依拠する、内部統制を構築してもらうように依頼するとしても、ある意味、社風、会社の風土が腐っているようなところというのは、どんなに形を変えたとしても変わらないんですね。結局同じことを繰り返していく。経営陣を替えたとしても、それがうまくいくケースというのはなかなか、経営者を替えれば必ず社風が変わるというわけでもないというのは実務として感じているところであります。
そういう意味で、今回のような大規模な不正事件、これを起こした会社に対して各種内部統制を整備させたからといって、起こったような事案がなくなるということを考えるのは、なかなか、ちょっと楽観に過ぎるんじゃないのかなと思いますが、それに関して大臣の見解をお伺いいたします。
今回、後でお伺いしますけれども、統括責任者とか法令遵守責任者を幾ら置いても、その上の経営者の考えが間違っていれば無効化できる立場にあると思いますので、結局は意味がないと言えますので、その点、どのように考えられているのか、どのように想定されているのか、大臣のお考えをお示しください。
○加藤国務大臣 今般の改正法案においては、規模が特に大きい乗り合い損害保険代理店において、兼業業務の適切な監視や、苦情、内部通報の処理、保存の適切性を確保するために必要な内部管理体制の強化を求めるとともに、保険会社に対し、こうした代理店に対する営業上の配慮を遮断し、所属保険会社としての管理、指導責任を全うさせるために必要な体制整備義務を課す等の措置を講ずることとしております。
こうした措置によって、保険会社は、こうした代理店に対して、営業上の配慮なく客観的に体制整備の状況や蓄積された苦情情報等の証拠を活用できるようになり、それに基づく管理、指導が求められるほか、金融庁としても、上乗せ措置の対象を規模が特に大きい代理店に絞ることで、こうした代理店に対して体制整備義務の履行状況を重点的にモニタリングし、問題が認められれば、経営管理体制の改善も含め、必要に応じ、適時適切に行政処分等の対応が可能となるわけでありまして、こうした対応を通じて、代理店の内部経営環境の改善が図られ、再発防止の実効性が確保できるものと考えているところでございます。
○萩原委員 今のお答えは、社外の環境を整えて、それが内部環境に影響を及ぼす、保険会社にチェックをさせるというような感じだと思います。そういうきれいなストーリーで改善すればいいかなとは思いますが、保険会社、民間同士に任せていていいのかというところも少し思うところでございます。
レクとかを受けていると、この件に関しては保険会社がきっちりと見ていきますからという話はあるんですが、ただ、金融庁がそういう、七十社程度ですかね、大規模な会社、大規模な上乗せ措置の対象会社たちに定期的に検査に入るということは現状想定していないとお伺いしているんですけれども、議論等々あると思いますけれども、構造上の業界の課題があるところ、また、ビッグモーター事件とかネクステージとかの状況を鑑みると、なかなか内部、若しくは保険会社だけに任せるのは限界があるように思います。
そういう意味では、金融庁の検査というのは、現状、問題が起こってから入るという形だと思いますけれども、銀行のように定期的に入るような形にすればいいんじゃないのかというふうにも考えるんですけれども、それに関する御見解、大臣にお伺いできればと思います。
○加藤国務大臣 まさに、検査あるいはモニタリングといったものを適正に行使をしていくことによってこの制度自体が適切な運営を図っていくということが重要だというふうに思います。
検査の対象先、その時期については、顧客から寄せられた情報を含め、監督上入手した情報などに基づいて把握したその時々のリスクの状況に応じて、いわゆるリスクベースの判断で行ってきているところでありまして、これまで、金融庁及び財務局においては、不適切募集等が顕在化している保険代理店に対して、経営管理体制や保険募集体制等の実効性を確認する必要がある場合に立入検査を行っているところであります。
効率的な検査リソースの活用という観点からは、引き続き、リスクベースに基づき検査を実施することが適切とは考えておりますが、今般の改正法案で、特定大規模乗り合い損害保険代理店に対して、苦情、内部通報の処理、保存の適切性等を確保するために必要な体制整備義務の上乗せを課したところでありますので、その履行状況を重点的にモニタリングすることで、不適切募集等のリスクが高いなどコンプライアンス意識が欠如しているおそれがある先への立入検査の実施がより早期に可能になると考えているところでございます。
○萩原委員 今、まずは義務を課して、それに対しての状況を見ていくということだとは思います。なかなか、こういう不正事例を連発しているような業界でございますので、それに関してはより厳しく、より細かく見ていただければという点、要望させていただきます。
今ちょっと総括的な話をさせていただきましたけれども、中身のところ、法令遵守責任者そして統括責任者についてはどのような能力を求める設定をされようとしているのか、お答えください。また、その設定した能力、責任等、それを外部からどのように確認していく予定なのか、これに関してもお聞かせください。
○油布政府参考人 今般の改正法案でございますけれども、特定大規模乗り合い損害保険代理店、ここにおきまして、内部管理体制を強化させるという観点から、この代理店に対しまして、営業所又は事務所ごとに法令等遵守責任者、それから、本店又は主たる事務所におきましては、こうした責任者を指揮する統括責任者の設置を求めることとしております。
これは、先ほどから申し上げておりますけども、金融審議会のワーキンググループの報告書におきまして、法令等遵守責任者等の設置によりまして、代理店の内部管理体制の強化、この実効性を確保するためには、当該法令等遵守責任者等には一定の資格要件を求める、その上で、そのための試験制度を新設することが適切であるという提言をいただいておったところでございます。
これを踏まえまして、業界におきまして、法令等遵守責任者等を対象とする、保険募集に係るコンプライアンス等に関する新たな資格制度の創設を検討していると承知しております。法令等遵守責任者等に当該資格の取得を求めるということで、規制の実効性の確保を図ってまいりたいと考えております。
○萩原委員 ありがとうございます。
まず、法令遵守責任者に関しては資格を設けると言っていますけれども、損害保険とか生命保険の、最初の、ちょっと細かな試験の名前は忘れましたけれども、取扱い等をする試験は、大体合格率が九七%とか、九〇%を超えるような、何かその試験をして意味があるのかなという試験が多いという声も、私が言っているわけではありませんけれども、そういう声もございますというところで、そうやって形だけ資格をつくっても、どれだけ実効性があるのかというところは疑義、疑問がありますので、合格率が低ければ、いい資格ではないとはもちろん思うんですけれども、その点について、ただただ資格だけつくればいいというものじゃないという点は指摘させていただきます。
また、統括責任者、各所在所在で、そのように、法令を守ってくださいね、きっちりしてくださいねという人をつくったとしても、この統括責任者が結局経営者のコントロール下にあるような方であれば、そこに対してのチェックを緩くする、下の人が報告を上げても、責任を形だけ取っている、義務を果たしているような形にすることというのもあり得ると思いますので、その点についても是非、どういう立場がいいのかというところは難しいかもしれませんが、統括責任者についても、資格要件というわけではないとは思いますけれども、社内で独立した立場、監査役等、そういう立場の方等を活用するような形にしていただければなと思っておりますので、その点も御検討いただければと思います。
というところで、別の質問をさせていただきます。
今回、代理店で上乗せ措置の対象になっているのは、基本的には乗り合い代理店だけになっていて、専属代理店、これを外しています。専属代理店を外した趣旨、まずこれをお聞かせください。
○油布政府参考人 お答え申し上げます。
今般の保険金不正請求事案におきましては、規模が特に大きい乗り合いの損害保険代理店、これに対しまして保険会社が営業上の配慮を働かせてしまった、特に、複数の所属保険会社を有する乗り合いの代理店でありますれば、余り厳しいことを指摘をすると自社の保険を他社の保険に乗り換えられてしまうかもしれないというような、そういう懸念が働いたということが指摘されております。その結果として、保険会社による適切な管理、指導が行き届かなくなっていたということでございます。
他方で、一社だけを所属保険会社といたしますいわゆる専属代理店につきましては、今般の保険金不正請求事案のような問題は顕在化しているわけではないと承知しておりまして、単一の所属保険会社が責任を持って適切な管理、指導等を行うことができるというところがまず基本ではないかと考えております。
○萩原委員 そのような趣旨で専属は外しているということです。
ただ、例えば、仮の話をするんですけれども、ある大規模の乗り合い損害保険会社が、新たに、例えばスモールタイヤというホールディング会社をつくって、その子会社のスモールタイヤアルファはA損保、スモールタイヤベータはB損保、スモールタイヤガンマはC損保という形で、それぞれ子会社をつくって、それぞれが損害保険会社の専属代理店となって、修理の窓口や業務の割り振り等は、ホールディングである、親会社であるスモールタイヤ、これが一括して行うような形を取れば、実質的に上乗せ措置の対象から外れて無効化を図ることもできるかもしれないと思ってしまったんですけれども、このようなことに対する対応というのはどのように捉えているのか、お答えください。
○油布政府参考人 今般の改正法案におきましては、まず、専属代理店自体は、これは代理店に対する体制整備の上乗せ義務の対象としては含めておらないところでございます。
他方で、保険会社に対しましては、体制整備義務の強化として、専属であるか乗り合いであるかにかかわらず、自動車修理業などを兼業する代理店に対しまして管理、指導責任を全うさせることを求める、こういう体制整備義務を強化しているところでございます。
なお、仮定のお話ではございますけれども、委員御指摘ございました、意図的な分社化等によりまして、あえて複数の専属代理店を多数設立するといったような形で、意図的に上乗せ規制の潜脱を行おうとする代理店が現れた場合には、金融庁におきまして、まさにリスクベースのモニタリングということでございますけれども、この徹底を通じまして、個々の代理店に対してだけではなく、各代理店を一体のものとして捉えた上でモニタリングを行うなど、厳正に対処してまいりたいと考えております。
○萩原委員 今の、まずは各保険会社に確認させるというところでは、ただ、今回のビッグモーターとか、そうなると、本当に、業界的に保険会社が相対的に弱い立場にあってというところの話もあったと思うので、実質、有効、その確認というのが、やろうとした場合、確認というか、牽制になるのかなという点はちょっと疑問に思うところはございます。
今、全体を実質的に見ますよというところに関しては、省令等ではなくてより違う形でのチェックと思いますが、どうしてもイメージ的に、損害保険会社若しくは生命保険会社とか、そこら辺の周りの人の業界は、どちらかというと、何かを金融庁が規制をかけたら、抜け道というかそれに対する対応策を取ってという、行ったり来たりしているようなイメージもございますので、これは完全な素人考えではありますけれども、そういう分かりやすい穴とかあれば、適宜、事例ベースで塞いでいっていただければと思います。
時間がほとんどもうなくなってしまったので、最後に仲立人制度についてお伺いします。
仲立人制度、非常に趣旨は理解できるいい制度だと思うんですけれども、実質、九五年に導入されてから三十年、二十五年以上たっていて、全体で六十数社、保険の中で占める割合の一%となると、ほとんど浸透していないなと。ある意味、理念はいいんだけれども、実際、実務に見合っていないような施策かなと考えてしまうんですけれども、この制度が浸透しない理由についてどのように考えられているのか、そして今後の対応をどのように考えられているのか、お聞かせいただければと思います。
○油布政府参考人 保険仲立人制度でございますが、平成七年の保険業法改正時に、販売チャネルの多様化を通じた販売面での競争促進という観点から創設されているわけでございますけれども、その数、シェアは伸び悩んでおります。
その理由といたしましては、主に保険仲立人の認知が保険契約者である企業の間で広がっていないこと、これに加えまして、現行保険仲立人に供託が求められております保証金の水準、あるいは、手数料を保険会社からしか受け取ることができない、そういう仕組みになっていること、この辺りが保険仲立人に対する参入障壁になっているという御指摘が行われているところでございまして、今般、政令、内閣府令等々におきまして、以上申し上げた点については改善を図ることを考えております。これによりまして、仲立人の活用が進むことを期待しております。
○萩原委員 もう時間もあれなんですけれども、制度の考えとしては非常にいいと思っております。ただ、認知が全然進まない、じゃ、何でなのか、参入障壁についても、下げたとしても、それでもうまくいくかどうかというところがあるとは思うので、いい制度であれば、それが浸透しない理由というのを分析していただいて、参入障壁を下げればいいというものかどうかというところも疑問に思うところもありますので、是非、制度を拡大していただけるようお願いして、私からの質疑といたします。
どうも御清聴ありがとうございました。
○井林委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○井林委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組の高井崇志です。
会派を代表して、保険業法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。
本法案は、旧ビッグモーターによる保険金不正請求問題や、大手損保会社四社間による企業向け保険料の事前調整問題の発覚を受け、再発防止を図るための法案ですが、潜在的な利益相反となる保険代理業務と修理業務の兼業や、営業上の配慮による力関係の逆転状況が依然として解消されない保険会社と代理店のなれ合いといった不正の根源的な構造にメスを入れることなく、また、対象となる特定大規模乗り合い損保代理店の定義や、法文上の文言の、顧客の利益が不当に害されることを防止するために必要な措置や、取引上の社会通念に照らし相当ではないといった内容の詳細も今後の政令、内閣府令、監督指針任せであり、実効性に疑問が残り、引き続き、保険業者と代理店及び保険業者間のなれ合いが存続し、顧客本位の業務運営の徹底と健全な競争環境の実現が達せられるとは考えられず、対症療法的な、かけ声的な内容であるから、本法案には賛成いたしかねます。
なお、本日、共産党の田村委員からも指摘がありましたが、金融庁はスルガ銀行の不正問題にも真摯に取り組んでおらず、与野党のほぼ全ての政党からこの問題の早期解決を求められていることを重く受け止め、一刻も早く解決に導くことを求め、反対討論を終わります。
○井林委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○井林委員長 これより採決に入ります。
保険業法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○井林委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○井林委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、大野敬太郎君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。岡田悟君。
○岡田(悟)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
保険業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
一 今般の保険金不正請求事案及び保険料調整行為事案の再発防止策が、本法による措置及び下位法令への委任のほか、顧客本位ではない比較推奨販売の禁止、代理店への過度な便宜供与の禁止及び企業内代理店規制の見直しなどの監督指針等による対応を含む多面的な構造となっていることに鑑み、当局のモニタリングを総合的に行う態勢を確立するほか、業界における顧客本位の業務運営の徹底をさらに促すことなどにより、当該再発防止策の実効性を担保すること。
二 保険業界の不祥事への対応に当たって、必要十分な検査及び処分等が円滑に実施されるよう、金融庁及び財務局において必要な機構・定員を確保し、保険契約者等の保護を図ると共に、保険業に対する信頼性の確保及びその健全な発展に万全を期すこと。
三 今般の保険料調整行為事案の一因が、近年の自然災害の頻発・激甚化が火災保険金の支払いを増加させる一方、契約期間が長期であるなどの理由から保険料への反映が遅れることで、火災保険の危険差益を悪化させたことにあったことを踏まえ、このような火災保険の構造的な問題への対処のため、当該構造に係る分析を行い、持続可能なビジネスモデルの構築を損害保険業界に促すこと。
四 三の火災保険の危険差益の悪化への対応として、他の保険種別における収益移転が過度に起きることのないよう、保険商品の認可においては、保険商品の契約者間の公平性が確保されるような保険商品の認可に努めること。
五 保険会社等の金融機関に対しては、法令やガイドライン等により、個人情報保護法よりも厳格に個人情報を管理することが求められていることに鑑み、昨今多発している、保険代理店における個人情報漏えい事案に対し、その再発防止に向けた、より一層の厳格な対応を行うこと。
六 本法の基礎となる「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」及び「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」の取りまとめ後においても、保険業界においては不適切な行為が表面化し当局が立入検査を実施していることに鑑み、改めてこれを業界の問題として捉え、業界全体の実態解明に努めると共に、その結果を公表すること。
七 六の実態解明による問題への対処が本法による措置では不十分と判断される場合においては、附則第四条の検討規定に定める本法の施行後五年を目途とする時期を待つことなく、直ちに検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずること。
以上であります。
何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。
○井林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○井林委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。金融担当大臣加藤勝信君。
○加藤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○井林委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○井林委員長 次回は、来る十六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時六分散会