衆議院

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第4号 令和7年3月18日(火曜日)

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令和七年三月十八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中村 裕之君

   理事 今枝宗一郎君 理事 小林 茂樹君

   理事 永岡 桂子君 理事 青山 大人君

   理事 亀井亜紀子君 理事 坂本祐之輔君

   理事 高橋 英明君 理事 日野紗里亜君

      遠藤 利明君    木原  稔君

      柴山 昌彦君    土田  慎君

      渡海紀三朗君    西野 太亮君

      萩生田光一君    深澤 陽一君

      松野 博一君    三谷 英弘君

      簗  和生君    山本 大地君

      吉田 真次君    阿部祐美子君

      安藤じゅん子君    五十嵐えり君

      小山 千帆君   佐々木ナオミ君

      高橋  永君    竹内 千春君

      辻  英之君    波多野 翼君

      眞野  哲君    うるま譲司君

      前原 誠司君    美延 映夫君

      西岡 義高君    浮島 智子君

      金城 泰邦君    大石あきこ君

    …………………………………

   文部科学大臣       あべ 俊子君

   内閣府副大臣       辻  清人君

   厚生労働副大臣      鰐淵 洋子君

   文部科学大臣政務官    金城 泰邦君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          高橋 宏治君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       日向 信和君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伊藤 学司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         浅野 敦行君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       井上 諭一君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            塩見みづ枝君

   文部科学委員会専門員   藤井  晃君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十八日

 辞任         補欠選任

  小渕 優子君     西野 太亮君

  鈴木 貴子君     深澤 陽一君

  船田  元君     吉田 真次君

同日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     土田  慎君

  深澤 陽一君     鈴木 貴子君

  吉田 真次君     船田  元君

同日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     小渕 優子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 大学等における修学の支援に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)


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     ――――◇―――――

中村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、大学等における修学の支援に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人としてこども家庭庁長官官房審議官高橋宏治君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官日向信和君、総合教育政策局長茂里毅君、高等教育局長伊藤学司君、高等教育局私学部長浅野敦行君、科学技術・学術政策局長井上諭一君、研究振興局長塩見みづ枝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。安藤じゅん子君。

安藤(じ)委員 おはようございます。立憲民主党、千葉六区、松戸市選出、安藤じゅん子です。

 昨秋当選いたしました一期生です。文科委員会では、分科会では行わせていただきましたけれども、こちらでは初質疑となります。

 大学等における修学に関する支援に関する法律の一部を改正する法律案につきまして質問いたします。

 法案質疑に先立ち、大臣に一つ伺います。石破総理の商品券配付問題です。

 今月十三日、報道にありました。三月三日の自民党新人議員十五名との会食に先立ち、一人十万円相当の商品券を配付したことについて、私は、会食は政治活動に当たり、政治資金規正法二十一条の二の一、個人から政治家個人に向けた政治活動に関する寄附で、金銭や有価証券などによるものを禁止していますが、まさにここのところに絡んでくると考えますし、重要法案の審議が続く中、物価高に苦しむ国民の金銭感覚とは相当程度ずれていると考えますが、大臣はいかがなものとお考えなのか、御所見を伺いたいと思います。お願いします。

あべ国務大臣 必ずしも詳細な事実関係を承知しているところではございませんが、石破総理、林官房長官が会見で御説明しているとおり、お尋ねの件につきましては、石破総理個人としての行為となりますので、文部科学大臣の立場でお答えすることは差し控えさせていただきますが、いずれにしても、国民の理解が得られるように、法令にのっとり適切に対応する必要があるというふうに考えています。

安藤(じ)委員 ありがとうございます。

 まさに、政治改革、年金法の改正と、重要広範議案の審議が続く中でございます。あべ大臣がおっしゃったとおり、やはり国民の理解が欠かせません。十万円相当の商品券配付は、余りにもやはり国民の金銭感覚とずれてしまっていると思います。

 総理会見の中に、過去十回程度配付してきたこと、規正法のどの条文なのかと記者へ迫る、開き直ってしまっていた絵が、国民の落胆の声がまさに私、野党議員にも届いている状況であります。是非とも、あべ大臣におかれても、答弁にありましたとおり、石破総理には国民の理解、納得ができる限り粘り強く説明責任を果たされるよう求めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 では、通告に従いまして、大学等における修学に関する支援に関する法律の一部を改正する法律案につきまして質問します。

 まず、第一条「目的」について伺います。

 そもそも、本改正案において、現行法から目的が大きく変更されていることが恣意的であると思います。

 現行法第一条では、法の目的に、この法律は、真に支援が必要な低所得者世帯の者に対し、社会で自立し、及び活躍することができる豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要な質の高い教育を実施する大学等における修学の支援を行い、その修学に係る経済的負担を軽減することによって、子供を安心して産み育てることができる環境の整備を図り、もって我が国における急速な少子化の進展へ対処することを目的とすると明記をされています。

 まず、現行法の目的である少子化の進展への対処は達成されたと考えるのでしょうか。また、令和六年度は、法の目的の改正なく、支援対象を真に支援が必要な低所得世帯の者のまま、年収六百万以下の、私立学校の理工農系へ進学する中間所得層の学生等への授業料減免を行いました。法的安定性はあるとお考えなのでしょうか、政府の見解を伺います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っていることから、少子化対策の効果としてこの高等教育の修学支援新制度単体の効果を推計することは困難であるというふうに考えてございます。

 一方で、本制度導入後に実施いたしました調査では、年収四百万円未満の世帯に対し、大学などの教育費負担が希望する数の子供を持てない要因になっていると思うかどうか尋ねたところ、そう思う、ある程度そう思うと回答した割合はより年収の高い世帯を上回っておらず、教育費の負担により希望する数の子供を持てない要因を軽減する効果は一定程度あったというふうに捉えてございます。

 今後につきましては、こども未来戦略に基づき、関係省庁とも連携をしながら、実施状況や効果等をしっかり検証してまいりたいというふうに思ってございます。

 次に、令和六年度の中間層への拡大についてのお尋ねでございます。

 御指摘のとおり、本制度では、令和六年度から、中間所得層の世帯のうち特に負担軽減の必要性が高い多子世帯や私立の理工農系の学部等に通う学生等に支援の対象を拡大し、支援の崖の緩和を図ったところでございますが、この拡充は、住民税非課税世帯に準ずる世帯への支援として実施したものであり、現行法に規定する真に支援が必要な低所得者世帯の学生等に対する支援の範疇にあると考えてございます。

 文部科学省といたしましては、大学等における修学の支援を行い、修学に係る経済的負担を軽減するという現行法に基づき、必要な政省令を定め、支援の対象を拡大したものであり、法的安定性についての問題はないものと認識してございます。

安藤(じ)委員 御答弁ありがとうございます。

 一定程度、目標を、少子化対策への進展への対処は達成が見られたという御答弁、そして、崖の拡充、準ずるというところを用いて、法的安定性はあるものと考えるという御答弁でありました。

 厚労省によれば、二〇二四年の日本人の出生数は初めて七十万人を割り込む見込みであり、九年連続で過去最少を更新しました。少子化は今なお加速度的に進展し続けています。これまでのあらゆる少子化への対処策は、効果があったかといえば、即効性はないんだろうと考えます。どちらかといえば、少子化対策ではなく、制度導入後の住民税非課税世帯の進学率の変化と表した文科省資料によれば、平成三十年度推計値で四〇%であったものが、令和五年度に実績値として六九%となっていることから、貧困の連鎖を断ち切る、格差是正対策として機能したんだろうと思います。ただ、全世帯の進学率が令和五年度で八四%であるため、まだ一五%の開きがある理由を引き続き丁寧に分析し、更なる格差是正を実現していくことが必要だと思います。

 令和六年度は、法の目的の改正なく、対象者を真に支援が必要な低所得世帯の者に準ずる者として、年収六百万円以下の、私立学校の理工農系へ進学する中間所得層の学生への授業料減免を行いました。

 さきの議員の指摘にもありましたが、やはり少しこの拡大は恣意的なものがあったと思います。もし、これが拡大ではなく縮小方向であるとすれば、法的安定性が問われると思います。制度利用者、当事者が安心感を持って制度利用できるように配慮することが欠かせないと考えますので、よろしくお願いします。

 続いて、この法律の改正案では、多数の子らの教育費を負担している家庭及び経済的理由により子らの教育費の負担を求めることが極めて困難な状況にある家庭における教育費の負担の一部を社会全体で負担することによりこれらの家庭における負担の軽減を図るため、これらの家庭の学生等に係る大学等の授業料等の減免を行い、もって子育てに希望を持つことができる社会の実現に寄与することを目的とするとありますが、ここで、以下、伺います。

 目的変更によって多数の子らの教育費を負担する家庭を新たに修学支援対象に含めることが子育てに希望を持つことができる社会の実現に寄与する根拠、理由とはいかなるものなのか、お聞かせください。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 改正案の目的規定では、低所得者世帯に加えて多子世帯の学生等も授業料等減免の対象とすることから、家庭における教育費の負担の一部を社会全体で負担し、家庭における教育費の負担の軽減を図ることによって、子育てに希望を持つことができる社会の実現に寄与することを目的とすることといたしました。

 子育てに希望を持つことができる社会の実現ができれば、少子化傾向にも歯止めがかかり、少子化の進展への対処に寄与するものであり、少子化対策の意図も含め、より広く規定をしたところでございます。

安藤(じ)委員 ありがとうございます。

 より広く規定をし、それを根拠とするということでありました。

 子供の側、学ぶ側から見たとき、教育の機会の確保が実現されていることが希望を持つことのできる社会だと思います。

 奨学金の返済を肩代わりし、生産年齢人口の増加に役立てようとする取組が、十五日土曜日の日本経済新聞一面と地域経済面に掲載がありました。御覧になった方もいらっしゃるかと思います。奨学金の返済を肩代わりし、若者誘致に取り組む自治体がこの五年間で何と倍増している、その事例とともに紹介がありました。

 しかし、この施策も、学校給食の無償化と同様、このまま進展していけば自治体間格差につながるリスクをはらんでいるのではないでしょうか。そもそも奨学金の返済は、貯蓄や日常生活、結婚、子育て等の将来設計にも影響を与えており、返済相談も後を絶ちません。資料を御覧いただきますと、奨学金という名前ではありますが、結局は、社会に出る前の若者に多額の借金を背負わせている。大き過ぎるハンデであり、今こそ、子育ての社会化、子供の学びは自己責任、家庭任せではなく、明確に社会全体で支える理念を浸透させていくことが欠かせません。

 今返済中の方への支援として、貸与型奨学金の返済額を所得控除の対象にすること、免除制度の拡充、金利のある時代に入りました、返済中の有利子奨学金の利子分免除が必要だと当事者の方々の声から、我が党としても提案もしています。貧困の連鎖を断ち切るための制度に参加できないことは、あってはならないと思います。

 一方で、親の年齢が随分と引き上がっていることも考えられます。現状、定年延長が官民で行われていますけれども、子育てのスタートが遅い世代では、平均寿命が延びていることも手伝いまして、給料が下がってもなお、年金だけでは暮らしていけず、働き続けている現状であります。そして、学生の親が自身の親、学生から見ると祖父母等の介護が始まっている状況、子育てと介護のダブルケアという状況も聞かれ、まさに団塊ジュニア、就職氷河期世代がこの波に突入しています。正規就労者に対する退職金税制や年金減額に関する議論が本格化しているただ中で、家計に不安は尽きません。とにかく学生が安心して学び続けられるよう、教育の機会の確保を重ねてお願いしたいと思います。

 財源ありきの制度では、想定する世帯が複雑になり、兄弟間の格差を生じさせる中途半端なものになってしまうことが考えられます。

 立憲民主党文部科学部会にお越しいただいた大学学生等関係団体の御説明によれば、現行制度の事業執行率が六割であり、現時点においても財政面で対象を拡充する余地があること、さらに、我が党は消費税を財源とする点に修正を求めていますが、将来的には完全無償化にすべきで、まず、私は、制度対象を全子育て世帯の一子にすることで、本人や家族のステージ、ニーズに合った制度利用を促し、真に必要かつ学習意欲のある子への支援に役立てられ、子育てや学びに希望を持つことができる社会の実現に寄与するのではないかと考えますので、要望としたいと思います。

 次に、制度周知について伺います。

 現行法には、法制定時に衆参両文科委員会から附帯決議が付されています。こちらについて伺います。

 各高等学校等において本人の学習意欲や進学目的等を確認するに当たっては、公平性、公正性が確保され、学校によって運用にばらつきが生じないよう、判断基準等についてガイドライン等を各学校へ示すとの記載がありました。こちらに関する政府の取組について、どのようなことが行われているのか、お聞かせください。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 高等学校等におきまして、本制度の支援を希望する生徒等の学習意欲等を確認するに当たっては、各学校によって運用にばらつきが生じることがないよう、文部科学省としての基本的な考え方を示すものとし、大学等への修学支援の措置に係る学修意欲等の確認の手引き、これを令和元年に定めました。また、同じく令和元年に、支援対象の候補者の推薦に当たってのQ&Aを作成をいたしました。これらを、高等学校等の関係者への説明や文部科学省のホームページへの公表などを通じ、その周知を図ってきているところでございます。

 制度開始後も毎年度、確認の手引き等についての共有、周知を実施しており、今後とも、適切な運用がなされるよう、積極的な周知、共有に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

安藤(じ)委員 御答弁ありがとうございます。

 公平性、公正性が真に確保され、学生に情報がしっかりと届くことがやはり欠かせないと思います。

 令和六年六月に高等教育の修学支援新制度の在り方検討会議から、高等教育の修学支援新制度における学業要件の在り方について(報告)の今後の検討課題によれば、学修支援、生活支援の重要性、学修成果の評価の在り方、教育費負担軽減の実施状況や効果等の検証について、学生等や中学生、高校生等の意見を受け止め反映する取組についてと並んで私が注目したのが初等中等教育段階における周知の重要性です。

 附属の文科省の参考資料によれば、制度卒業生の一九%、実に二割の学生が、中学校段階で知りたかったと回答しているとありました。あわせて、制度利用のきっかけについては、高校生のときに学校の先生や親から、その後、大学入学後と続いております。

 先番の方も触れていましたけれども、できるだけ早期に情報を提供しておくことが選択肢を増やすことにつながる、すなわち、経済的理由で諦めない支援になることを共有して新年度の周知に当たり、引き続き取組をお願い申し上げます。

 次に、機関要件につきまして伺います。

 学生の保護のための機関要件の厳格化については、在り方検討会議で様々議論があったことは承知をしておりますが、機関要件に立地自治体と連携した高大連携も盛り込むべきと考えますが、政府の見解はいかがでしょうか。

 また、高大連携に当たっては、令和六年度は省令で支援対象学部を増やしていることから、可能だと推察します。教育、医療、看護、介護、美容、芸術、観光系等学部進学者へ支援対象を拡大してはいかがでしょうか。お願いします。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、高等教育の修学支援新制度の機関要件に立地自治体との連携という要件を盛り込むべきではないかというお尋ねでございます。

 この高等教育の修学支援新制度は、支援を受ける学生がしっかりと学べるよう、一定の要件を満たす大学等を対象とし、授業料等減免等の経済的支援を行う仕組みでございますので、この制度の中で、御指摘の、立地自治体と連携した高大接続を盛り込むことはなじまないというふうに考えてございます。

 ただ一方で、本年二月の中央教育審議会の答申におきましては、高等教育へのアクセス確保を図るための仕組みの構築とし、大学等と各地方公共団体との連携協力体制を早急に構築する必要性について御提言を頂戴したところでございまして、これらも踏まえつつ、国において、高大接続の観点から、高等教育段階における学習の在り方というものもしっかりと検討してまいりたいというふうに考えてございます。

 次に、理工農系以外の学部への支援の拡大ということのお尋ねでございます。

 御指摘いただきましたとおり、令和六年度より、私立理工農系の学部等に通う中間所得層の世帯の学生等を対象に授業料等の減免を行ってございますが、これは、中間所得層の世帯のうち、政府として、大きな課題であるデジタルやグリーンなど成長分野の振興に資するとともに、授業料等の負担が人文社会科学系よりも比較的重いという観点から、この分野を優先して支援の拡充を図ったものでございます。

 今後につきましては、令和七年度からの多子世帯への支援拡充を着実に実施し、その効果を見定めながら、更なる負担軽減、支援の拡充についても、論点を整理した上で十分な検討を行いつつ、取り組んでまいりたいと考えてございます。

安藤(じ)委員 御答弁ありがとうございます。

 昨年三月方針で、国は、大学院卒業者を対象に、奨学金肩代わりを打ち出しています。千葉県では二〇二三年度から、都道府県単位では初めて、教員不足解消策として、大学卒業者を対象にこの奨学金肩代わりをスタートしました。教員志望の優秀な学生が地域で教職に就いてもらえる効果的な施策として注目を集めまして、この同様の取組が全国的に広がっているという状況であります。

 まさに、さきに紹介した生産年齢人口の増加、若者の確保、定着定住策、関係人口の増加にも資する地方創生二・〇の観点から、子育て施策実施主体である基礎自治体が本制度のプレーヤーになることは大変効果的だと思います。

 今後の検討課題というところで、大きな枠で、是非とも政府としては枠組みをしっかりと示していただいて、機関要件に高大、済みません、接続でした、連携じゃなくて接続で、また、対象学部等の拡大も、現状の状況をつまびらかに分析していただきながら御検討していただきたく要望します。

 昨日の日経新聞の社会面に、私学助成基準見直し、私学助成の配分見直しに関する初会合を伝える記事がありました。秋にこの提言がまとまるということでありますけれども、規模よりも質を評価対象とすることや、国の認証評価システムの評価項目を変更することなどが盛り込まれるようであります。

 ルール変更の動きがある中、恐縮でございますけれども、機関要件二点目は、この在り方検討会議の第四回で川並常任理事が指摘をされている点について、私からも確認させていただきたく、端的にお聞きします。

 国の認証評価システムと修学支援新制度の対象校が連動していないという点について、今後どのように対応していくのか、お聞かせください。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたとおり、高等教育の修学支援新制度は、大学等の経営が継続的かつ安定的に行われることを確認するため、一定の教育や経営に関する要件を満たす大学等を対象機関としてございます。

 一方で、国の認証評価制度は、各大学等の組織運営や教育研究活動等の状況について、定期的に文部科学大臣の認証を受けた評価機関による第三者評価を受けることを義務づけた制度でございます。

 各制度の在り方につきましては、それぞれの制度の目的や支援方法に応じて、それぞれの制度において必要性が判断されるものというふうに考えてございます。

安藤(じ)委員 ありがとうございます。

 そのように大学等にも御理解をいただくということが、丁寧な説明が求められるのかなと思いました。

 機関要件に関連しましては、大学の事務負担について確認をさせていただきたい。本改正で対象者が拡大すると思います。業務量が格段に増大することは必至と思いますので、伺いたいと思います。

 政府として、体制強化に係る支援はどのようなことを予定されているのか。ペーパーレス化、オンライン上での手続完了等、これまでとの違いなどあれば、併せて教えていただきたいと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 高等教育の修学支援新制度の実施に当たり、大学等の担当者の事務負担が大きいという声はこれまでもいただいておりまして、文部科学省としても、負担の軽減に取り組んでいくべきと考えてございます。

 このため、これまでも、申込書類の様式の一元化、マイナンバーを活用したウェブ提出による資料のペーパーレス化、学校担当者向けのホームページにおいて、問合せの多い質問事項について、AIを用いた適切な回答の自動的な提示などによって、大学等の担当者の事務負担の軽減に努めてきたところでございます。

 また、授業料等の減免は、その性質上、引き続き大学等において実施していただくものではございますけれども、事務負担の軽減のため、要件の確認等に関しましては、独立行政法人日本学生支援機構の給付型奨学金の判定結果を活用できることとしております。

 引き続き、各大学等において、支援を必要とする学生等への制度の案内などを含め、個々の事情にも寄り添った学生支援が実施できるよう、事務負担の軽減に努めてまいります。

安藤(じ)委員 どうもありがとうございます。

 次に、学業要件について伺いたいと思います。出席できなくなってしまった学生等への相談体制についてです。

 学生にとっては、環境が変わって、それまでは成績上位であった学生が急に中位や下位になることもあると思います。そこで不安を覚えることもあると思います。環境変化についていけないこともあると思います。様々な事情から通学が困難になった学生の生活面、学習面での伴走支援が気になるところでございます。

 そこで、伺います。出席できなくなってしまった学生への相談体制はどのようになっているのでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 各大学等におきまして、学生が学業や生活等に悩みや困難を抱えていないかという点も含めて、個々の学生の事情に応じ、丁寧に相談支援を行うことが重要と考えてございます。

 文部科学省といたしましては、各大学等に対し、修学に係る相談体制の整備等の徹底や、適切かつきめ細やかな対応を実施するよう要請をしており、引き続き、これらに取り組んでまいりたいというふうに思ってございます。

 なお、学業要件に関しましては、災害や病気などのやむを得ない事由がある場合には、標準修業年限の年数までは支援を継続することが可能となっており、個々の学生の事情に応じ、きめ細やかな対応に努めてまいります。

安藤(じ)委員 どうもありがとうございます。

 例えば災害が起きてしまったときに、多子世帯で支援を受けているような場合、その子が抜けたとしても、扶養が三人じゃなくなったとしても、しっかりとその伴走支援が行われると理解いたしました。ありがとうございます。

 続いて、資料を見ていただきますと、御覧いただくと本当に一目瞭然なのでございますけれども、大学の学費が上がり続けていることが御確認いただけると思います。団塊世代の方の大学の学費のお話を聞くと、私ども、にわかに信じ難い価格だったんだなということも、この資料を見ると納得だと思います。

 そして、現在、大学の標準額が二十年分据え置かれた状況にあるものの、令和六年に入り、中教審の特別部会における臨時委員からの提案や、国立大学協会の声明、東京大学の授業料改定など、国立大学の授業料をめぐる動きがある。これに呼応する形で、学生たちが反対の声を上げています。

 学生たちの学びを奪ってはならない、学生たちの進路選択に不当な影響を与えることがないようにしていかなくてはならない観点から、以下、伺いたいと思います。

 大学授業料の値上がりに関して、授業料の減免の上限額の増額を検討すべきと考えますが、政府の見解はいかがでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 高等教育の修学支援新制度におきます授業料減免額の取扱いにつきましては、例えば、国立大学は、授業料の標準額、約五十四万円でございますが、これを上限とし、減免をする。また、私立大学は、授業料設定の裁量性があり、その実態も様々である状況に鑑みまして、国立大学の標準額と私立大学の平均授業料の中間の額とし、七十万円を上限として減免をしております。

 この減免額につきましては、私立大学の授業料平均額が変化するたびにその都度見直すものとはしておりませんが、大学の授業料の水準や家庭の経済的負担の実情、状況の変化も踏まえながら、今後、文部科学省としても検討を行ってまいりたいと考えてございます。

安藤(じ)委員 ありがとうございます。

 では、法改正で多子世帯が支援対象に加わることについて、以下、確認させていただきたいと思っています。

 仮に、三人が年子で、私立大学、上限七十万円の授業料減免支援を受けることができるという御家庭を想定しますと、延べで七十掛けることの九年分として六百三十万円相当になりますが、ここで兄弟のいずれかがアルバイト等で、年収、扶養を外れてしまうということがあった場合、これはまさに故意ではなく、うっかり外れてしまったというようなときのセーフティーネットがあるのか、気になるところです。

 そこで、お伺いします。扶養を外れてしまったときのセーフティーネットはあるのでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、多子世帯の子供のいずれかがアルバイト等により扶養から外れてしまった場合には、当該世帯の大学生等は修学支援新制度の支援対象外となります。

 この場合において、更に修学のための費用が必要な場合は、例えば、民間団体や大学独自の奨学金等の御案内、また、日本学生支援機構の貸与型奨学金の御案内等が考えられ、現行制度においても、各大学等の学生等が直接相談できる窓口において、継続的に修学できるような支援が行われていると承知してございます。

 学生自身が、アルバイト等により一定の収入を超えると自分が扶養から外れ、扶養する子供としてカウントできなくなるということを認識していること、また、アルバイトと学業を適切に両立させることが大切ですので、引き続き、この制度の周知、広報等に努めてまいります。

安藤(じ)委員 では、しっかりと支援につなげていただきたいと思います。

 最後に一点だけ、済みません。

 年子三人の多子世帯の子育てというのは本当に過酷だと思うんです。経済的問題を解消したとしても、母体への負担であるとか、年子育児。やはり制度設計に当たって育児経験者の声などは反映されているのか本当に気になるところで、そこで、大臣に伺えたらと思いました。

 働く女性のキャリアや家族計画について政府はどのように考えているのか、お願いいたします。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 妊娠、出産等に関しましては、個人の自由な意思決定、また各家族の状況に応じて様々な事項が考慮されるものでございまして、今お話がありました年子のように年齢差が小さい場合、複数の子供に関わる教育費の負担も同時に集中するために、本制度による支援があるとしても、一概に間隔が短い出産を促すことにつながるとは考えておりません。

 文部科学省といたしましては、高等教育の負担を軽減することによりまして理想とする子供の数を持ちたいという子育て世帯が希望を持てるように後押しをするようにしているものでございまして、こういった支援拡充の目的を丁寧にしっかりと発信してまいりたいと思います。

安藤(じ)委員 ありがとうございます、大臣。

 やはり教育は一刻も早く無償化をして、安心して子育て、少子化対策をしっかりと行っていくべきだと思います。今後ともよろしくお願い申し上げまして、私、安藤からの質問を終わります。

 ありがとうございました。

中村委員長 次に、眞野哲君。

眞野委員 立憲民主党・無所属の眞野哲でございます。

 私も、昨年の選挙で初当選しまして、今回が初質疑となります。質問の機会を与えてくださいまして、心より感謝申し上げます。

 この前に、先ほど大臣と少しお話をさせていただきまして、大臣から、私たちは敵じゃないからね、一生懸命頑張りましょうとおっしゃっていただきまして、とてもありがたい思いがあります。大臣、一緒に頑張りましょう。

 私は三人の子供を育ててまいりました。三人とも私立の大学で、今でいう多子世帯なのかなという思いです。

 長男が十九歳のときに、自転車に乗って横断歩道を渡っていたところ、夜間、ライトを消して一方通行を百キロで逆走した車にはね飛ばされました。長男は、教員になる夢があって大学に通っておりました。その運転手は外国人で、母国でも日本でも一度も免許を取ったことのない運転手。そして、大量のお酒を飲んだ飲酒運転です。いわゆる無免許、飲酒運転ですね。その車は無車検、無保険です。実は、その事故の前に衝突事故を起こした逃走中の出来事でした。私は、病院に駆け寄って息子を見たときに、ドクターからもう手の施しようがないと言われまして、思わず長男を抱きかかえたところ、頭がどうも陥没しているような状態で、私は、息子の脳みそというんですかね、触ってしまった。多分なかなかそういう脳みそを触った経験はないと思いますが、そういう悲劇に襲われました。

 夢も希望も未来もない私は、当時会社を経営しておりましたが、仕事もする意欲がなく、会社もやめたいような状況でありました。もう途方に暮れたところ、半年後に、そういえば長男は教員になりたかったんだということを思い出して、亡くなった半年後に私は大学に進学しました。そして、その大学に進学したときに、息子と私が同じ大学生という、そんな状態でした。

 大学を卒業して、そのまま大学院に進学をして、卒業をしたときに、母校の実務家教員になったわけです。そこで初めて長男に、おまえの夢を少しかなえることができたのかなという思いでいます。

 その後、進化型実務家教員といいまして、文部科学省がやっているTEEPというのがありまして、そこの進化型実務家教員養成プログラムも名古屋市立大学で修了したと。長男の魂が乗り移ったのか、教育に目覚めてしまったという背景があります。

 私としては、無車検、無保険、何もないという状態の中で、その怒りの矛先をどこにぶつけていいか分からないんですね、悩み苦しんだときに、私は、この気持ちを法改正に向けて戦うしかないと。それしかないんですね。裁判もできないですし、相手から補償も謝罪もない。それで、苦しい思いで戦ってまいりました。

 そのときに初めて衆議院選挙に出て、当然落選するんですけれども、それから諦めずに選挙を重ねて、十二年ぶりに、三度目の選挙で初議席を得ることができました。(拍手)ありがとうございます。教育もそうですが、やはり、諦めないということが大事なのかなというふうに私自身経験したところでございます。

 それでは、大学等における修学の支援に関する法律の一部を改正する法律案について質疑を行います。

 高校生の進学決定に当たって、いろいろな選択肢があるんですが、私の息子もそうなんですが、高校から大学に行くときにどういう尺度で大学に進学するか、結構悩ましい問題だと思います。例えば、推薦入学だとか、あと内申書の点数、そこでより高い大学に行きたいと。そこで、例えば大学のブランド、早稲田、慶応だとか、行きたい大学を選ぶような風潮がどうも今あるのかなというふうに考えます。

 私としては、十八歳ぐらいの生徒が将来何になりたいかという夢というのはなかなかないと思うんですが、やはりそこは、学校教育とともに将来のビジョンを描くというのも非常に大切なことかなと感じました。

 実は、私の三男が進学する際に、なかなか内申点、ちょっとよかったんですけれども、地元の歯学部の推薦があるということで、息子に言ったんですね。そうしたら、お父さん、僕、歯医者になるつもりなんか全然ないよということで、多分、学校側からしたら、一番高いところの枠が歯学部だったので、そこに突っ込みたかったのかなというのがあったんですが。

 やはり、生徒と大学とのマッチングですね。将来何になりたいかは明確ではないんですけれども、最も行きたい大学に進学するべきだと私は考えるんですが、やはり、地元で有名な私立大学だとか、あと、行きたくもないけれども、国公立に行きたいという方もいらっしゃいますよね。それは親御さんの資力にも関わるかもしれませんが。

 私も進化型実務家教員の一員として、教育とは何だろうと考えたときに、やはり、将来に向けて社会に飛び立つ若者のために一生懸命考えてあげるのがまず第一優先であり、それから、例えば大学のブランドだとか内申点で選ぶというのもいいと思うんですが、いわゆる大学と生徒のマッチングですね、なかなかまだうまくいっていないんじゃないかなという思いがしてならないです。

 高い偏差値の大学に進学したいという思いは分かりますが、例えば、内申点だけで大学に行ってしまうと、例えば物理とか数学とか苦手な方が理工学部に行っちゃったら、高校時代に授業をやっていないんですよね。そうすると、せっかくそこそこいい大学の理工学部に行ったとしても、一年とかでやめちゃうんですよ。せっかく行った大学をやめてしまうのであれば、そこはもう少し、学校側か生徒か親御さんか、何かしなければ、結局、入った大学をやめて、また一年後、二年後、もう一度大学に行き直してということも、何かもったいないような気がしてならないわけです。

 これは、学校の進路指導が悪いとか、あるいは、保護者の学生に対するそういう選択の仕方がよくないのか分かりませんが、私個人としては、受験のシステムそのものが悪いのかなというふうな思いがしてなりません。ブランド志向ではなく、システムそのものに問題があるように思いますが、いかがでしょうか。お答えください。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 先ほどは、委員会の前に御挨拶いただきまして、最初の質問だということで、ありがとうございました。

 私、本当に、先生のプロフィールを見ていたら、一生懸命先生が頑張ってくださるのは、息子さんが教員になりたかった、その思いを、この委員として果たしたいということを思い、本当に頑張ってくださってありがとうという感謝の気持ちであります。

 また、被害者に寄り添う会をしてくださって本当にありがとうございます。いつか、先生のおいしいカレーを食べながらそのお話をゆっくり聞かせていただけたらというふうに思います。

 また、そうした中で、質問にお答えさせていただきます。

 教員になりたかった息子さんの話を受けながら先生が一生懸命考えてくださった中で、高等学校におきまして、生徒が自分の興味、関心、個性を理解した上で、自分たちが主体的に進路選択を行うことができるような、その指導が行われるということはまさに重要でございまして、大学入試において、受験生と大学の望ましいマッチングが図られることはまさに重要であると私どもも考えておりまして、現在、約七割の大学が高校生を対象といたしました体験授業を開催しているほか、また、総合型選抜また学校推薦型選抜で入学した方の割合は合わせて五〇%を超えるなど、取組は一定程度進んでまいりました。

 こうした取組に加えまして、今後は、入学希望者が自らの目的に合う大学を選ぶことができるように、各大学におきまして教育研究に関する情報の公表をより進めていくことがまさに重要でございまして、やはり、本人が何が好きなのか、何がしたいのかということを大切にしていくことなんだと思っております。

 また、今年の二月の中教審の答申におきましては、在学中にどれだけ力を伸ばすことができたのかといった大学教育の質を数段階で示し公表すると提言されていることを踏まえまして、私どもは、この学修者本位の教育の更なる推進の観点から、評価制度をしっかり見直していきたいというふうに思っておりまして、大学改革に取り組んでまいりたいと思いますので、皆さんと御一緒に考えていきたいと思いますので、御一緒に頑張りましょう。

眞野委員 大臣、ありがとうございました。

 まさか大臣から涙を流して御答弁いただけるとは夢にも思っておりませんでした。本当にありがとうございます。

 次は、今回の法律の大きな改正点ですね。多子世帯の授業料減免について、扶養する子供の数が三名であるということになっております。なぜ今回この法律はそのような規定になっているのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

あべ国務大臣 今回の制度改正におきましては、高等教育費の負担を理由として理想の子供の数を持てない状況を払拭することを目指すものでございまして、子育て、教育費によりまして理想の子供の数を持てない状況は三人以上を理想とする夫婦で特に顕著でございまして、三人以上を同時に扶養している期間が最も経済的な負担が重い状況であるから、扶養する子供が三人以上の世帯を支援することとさせていただいたところでございます。

眞野委員 大臣、ありがとうございます。

 私も、三人子供をつくりまして、育てた記憶があります。三人とも男の子なんですね。みんな大学に行きたいと。そこそこ出来が悪かったので国公立は行けなくて、全員私立大学と。親としては当時は本当に大変で、私自らが大学に行っているので、私が大学一年生、息子も一年生、二年生、二年生とか、親子共々、大学生の生活をしておりました。本当に出費が大変で、困っておりました。

 次に、こども家庭庁にお尋ねいたします。

 令和五年に策定されたこども未来戦略の中の施策には、今回の大学の修学支援のほか、児童手当の拡充、児童扶養手当の第三子の加算額引上げなど、子供が三人いることを念頭に支援を拡充しているように思います。

 なぜ、こども未来戦略において、その加速度プランの中で、第三子ということがポイントになっているのか。合理的ではないと思いますが、その理由を教えてください。

辻副大臣 委員の御質問にお答えします。

 質問に先立ちまして、委員の御経歴、また今日の質問、拝聴させていただきまして、二人の子を持つ親としても、胸中いかばかりかと察して余りあるとともに、御長男のみたま安らかなることを改めて御祈念申し上げまして、質問に入らせていただきます。

 委員御指摘のとおり、一回、こども未来戦略自体、こども家庭庁自体では、全ての子供、子育て世帯を切れ目なく支援するという、その中の強化策を数多く盛り込んでいて、第三子というわけではなく、妊娠期からの伴走型の相談支援ですとか、こども誰でも通園制度、また児童手当の支給要件に係る所得制限の撤廃や、高校生年代までの支援延長など、多くは子供の世帯人数にかかわらず支援対象となる施策であり、多子への支援策ばかりということではないんですが、その上で、例えば児童手当については、挙げさせていただいた拡充内容のほかにも、第三子以降の支給額を増額させる措置を講じています。

 これは、子供三人以上の世帯数の割合が特に減少していることなどを踏まえて、特に経済的支援を強化する必要性が高いと考えられ、同時に子供三人以上を養育する世帯を重点的に支援することとしたものです。

 来年度は、各種施策、本格実施を迎えるところですが、引き続き、委員の御指摘も踏まえて、それぞれの子育て世帯の状況に応じて必要な支援策をお届けできるように取り組んでまいります。

眞野委員 ありがとうございます。

 お二人のお子様を持つということで、とても優しい言葉を投げかけていただきまして、本当に皆様ありがとうございます。

 さて、今回の法案の衆議院本会議で、大臣は、理想の子供の数を持てないということで、子供の数が三名であることを念頭に置いているとお話しされました。

 まず、理想の子供の数について、二〇二一年の国立社会保障・人口問題研究所の調査では、夫婦の理想的な子供の数は平均で二・二五人と低下が続いております。

 同様に、内閣府の調査では、二十歳から四十九歳までのインターネットモニター約一万人を対象に行った調査では、二人が最も多く五五・一%、次いで三人が二六・七%、一人が五・六%となっております。

 夫婦が実際に持つつもりの子供の数は二・〇一人となっております。なかなかこの数ですと、人口が増えるということはないんですね。

 また、厚生労働省がまとめた二〇二二年の国民生活基礎調査では、十八歳未満の子供がいる世帯は初めて一千万世帯を割り込んだということでございます。全世帯に占める割合は一八・三%、初めて二〇%を割り込んでしまったというデータがあります。

 なかなか少子化に歯止めがかかっていないということだと思っております。とても三人の子供を持つことを望めるような状況ではないんでしょうかというふうに考えています。

 さらに、二〇二三年の人口動態統計における合計特殊出生率は一・二〇であり、これらの数字を見ると、今回の対策は的外れではないかなというふうに思ってしまいますが、いかがでしょうか。お答えください。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っているところでございまして、また、それぞれの家庭の状況において、何人の子供を欲しいか、こういう望む状況も一律ではないところでございますので、必ずしも各世帯が三人以上の子供を望んでいるわけでは当然ないわけでございます。

 しかしながら、三人以上のお子さんを欲しい、このように望む家庭も多うございまして、そうした家庭において実際には子供の数が二人以下になっている要因としては、その夫婦の約六割が子育てや教育にお金がかかり過ぎるからを理由として挙げる、こういう調査結果もあるところでございますので、今回の制度改正というものは、そうした点に着目しながら、教育費の負担を理由に三人以上の子供を持つ希望を断念している世帯に対し教育費の負担を大幅に軽減する、このことを通じましてこうした障壁を少しでも軽減をさせたいというふうに考えて制度設計をしたところでございます。

眞野委員 ありがとうございます。

 私の両親はもう七人兄弟とか八人兄弟とか、昔の昭和の時代というのは、本当にもう七人、八人、十人という方もいらっしゃるんですよね。今のこの日本の中には、あっ、十人ですか、委員長。

中村委員長 親がね。

眞野委員 そうですか、すばらしいです。

 やはり昭和の時代のような、産めよ育てよという時代では確かにないかもしれませんが、やはり一つは、お金の問題がどうしても子供を増やせないと。特に都内ですと、家賃がとても高くて、給料が多少高くても、子供を一人産むのがもういっぱいいっぱいだという声が多いのではないでしょうか。

 私の地元ですと若干家賃は安いんですけれども、それにしても、二人つくったら大したものだという声がありますし、どうしても、二人だと人口は増えないですね。緩やかに減少していくのは間違いない。ここにおいては、やはり、文部科学省、厚生労働省と確かにいろいろな施策をしないと、少子化が、加速的に減少するのではないかなと私は危惧しております。

 現に私が三人子供をつくったので、どうだと言いたいところですが、一人亡くなってしまったので、二人です。

 さて、今回、授業料減免及び入学金について、多子世帯の場合、その世帯年収にかかわらず、上限額までが支給、支援が受けられるということになっております。一方、給付型奨学金については、世帯年収の縛りがあり、年収約六百万を超えると全く支給がない制度設計になってしまっています。

 なぜこのような制度設計としたのか、お聞かせいただきたいと思います。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の制度改正は、急速な少子化への対応が喫緊の課題である中で、高等教育費の負担を理由とした理想の子供の数を持てない状況を払拭する、これを目指したところでございまして、財源が限られている中で、大学等が提供する教育役務等の対価としての性質を持つ授業料、入学金の減免を優先をすることとしたところでございます。

眞野委員 ありがとうございます。

 海外で奨学金というと本来は給付型の奨学金であり、いまだ有利子の奨学金を残している政府の少子化対策の本気度が問われているのではないでしょうか。

 それでは、次に、多子世帯への給付型奨学金についてお尋ねします。

 場当たり的な話ではなくて、大学は、学費や入学金、施設費などを払えば通えるわけではありません。資料によると、修学費、課外活動費、通学費、食費、保健衛生費、趣味、嗜好品、その他日常的に項目が挙げられますが、自宅から通う国立大学の場合、月額四万九千五百円、私立大学ですと五万四千二百八円、下宿やアパートから通う場合は、国立大学で九万八千四百二十四円、私立大学の場合も九万八千三百六十二円となっております。しかし、実際には、これは平均値ですので、先ほど言いました東京などであれば費用は更にかさんでしまうということで、家計の負担はとても大変だと考えております。

 いずれも年収が四百万以下、例えば工学部とか農業系の場合は六百万円以下の場合ですが、それでも、年収が二百七十万円を超えると支給額が減額されていきますので、多子世帯と同様の問題が起き得ると思います。

 今回の法律が、本会議での答弁でも、大臣が、理想の子供の数を持てないとの方策があると度々お話しされておりますが、さらに、取りあえず、今回の法律を通した上で検討と発言されておりますが、高等教育を受ける機会を拡大したと言えるものの、少子化対策としては遠回りではありませんかという思いがあります。

 むしろ、政治主導で、これらの学生が自己負担なく高等教育を受けられるような制度設計に改めるべきではありませんか。大臣の御所見をお伺いしたいです。お願いします。

あべ国務大臣 今般の法案によりまして支援対象を大幅に拡充いたしますが、その後につきましては、まずは制度を着実に実施に移しまして、その効果を見定めながら、更なる負担軽減と支援の拡充についても、論点を整理した上で十分な検討を行いつつ、取り組んでまいります。

眞野委員 ありがとうございました。

 続きまして、今回の修学支援制度の対象となる確認大学等となるための機関要件について、今年度から厳格化されたとお聞きしております。この影響により、本制度の対象取消しが、令和二年から五年には四十一校あったのに、令和六年度は七十七校と増加しています。

 しかし、大学の偏在による地方への影響や、専門性や職業教育的な側面で人材育成に大きな成果を上げているなど、これらを取り消すことが妥当ではない場合があると考えております。特に、これらの不利益を学校法人ではなく学生が負うことになるのは不当と考えますが、このような機関要件があり、厳格化した理由をお聞かせください。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 高等教育の修学支援新制度は、大学等の経営が継続的かつ安定的に行われることを確認するために、一定の教育や経営に関する要件、この機関要件を満たす大学等を対象機関としてございます。

 この機関要件につきましては、大学等の経営困難から学生等を保護する観点から、令和六年四月より、収容定員の充足率の要件を満たさない学校については制度の対象外とする見直しを行ったところでございます。

 一方、今委員御指摘いただきましたように、この枠組みは維持しつつも、中教審でも、高等教育へのアクセス確保の議論も踏まえまして、地域の経済社会にとって不可欠な専門人材の育成に貢献している大学等へ配慮する観点から、機関要件の見直しを更に行うことが必要と考えてございまして、現在、省令改正の準備を進めているところでございます。

眞野委員 ありがとうございました。

 次に、修学支援制度の予算執行についてお尋ねします。

 令和二年度以降のこの制度の予算で、毎年五十万人を超え、令和六年度の制度改定では七十二・七万人、令和七年度は八十四・三万人が予算上の支援対象者になるとのことですが、実際に支援の対象となったのは、令和五年度までに約六割前後であったと承知しております。

 なぜこのような低い執行率にとどまっているのか、理由を教えてください。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 高等教育の修学支援新制度におきましては、非課税世帯等の高等教育進学率が全世帯進学率と同じ水準まで向上することを想定をし、対象となり得る学生等の全員が支援を希望した場合でも対応できるよう、十分な予算を確保してきたところでございます。

 他方で、非課税世帯の進学率が全世帯進学率と同じ水準までは達していないこと、また、支援対象となる学生等に制度の情報が十分に行き届いていないのではないかと考えられることなどから、執行状況が予算額に満たない状況にあるものと考えております。

眞野委員 ありがとうございました。

 高等教育を受ける機会を拡充するという意味で有効な制度ではありますが、予算執行率が低いままであるのは問題ではないでしょうか。見込みの人数を正確に把握する努力をするとともに、対象者を拡充すればよいのかと思います。

 今までにそのような検討はされていたでしょうか。また、今後検討するつもりはありますか。お答えください。

伊藤政府参考人 本制度につきましては、単年度の執行状況に応じて支援対象者や支援額を変更するという形になりますと、その予見性また安定性が崩れる部分もございますので、しっかりあらかじめ対象者を明らかにし、周知を徹底をしながら、学生等が予見可能性を持って大学等への進学を目指すことができるようにすることが重要でございますので、しっかりと引き続き十分な予算を確保することが必要と考えてございます。

 その上で、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたが、今後につきましては、まずはこの制度を着実に実施に移し、その効果、状況というものを見定めながら、更なる負担軽減、支援の拡充についても、論点を整理した上で十分な検討を行いつつ、取り組んでまいりたいと思います。

眞野委員 ありがとうございました。

 もうお時間も余りないので、これが最後の質問とさせていただきます。

 東海国立大学機構、これは岐阜大学と名古屋大学が帰属している国立大学法人になりますが、私の地元の東濃地区、大学院を設置するという話が度々話題になっております。それまで、東海国立大学機構が東濃地区に大学院を設置するといった話について、どのような現状にあるかが知りたかったんですが、お答えはいいんですけれども、地元に帰ると、大変びっくりした。もう大学院ができるよというふうな話がかなり進んでいるかのごとく私の耳に入っております。

 中央リニアの新幹線が中津川駅に設置される予定となっていることも相まって、東濃地区の発展のために、もしそういった動きが本当にあれば、私も積極的に応援していきたいと思いますので、今後も正確な情報提供などもよろしくお願いを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

中村委員長 次に、西岡義高君。

西岡(義)委員 おはようございます。国民民主党の西岡義高でございます。

 早速、大学等における修学支援に関する法律の一部を改正する法律案について質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず、現行法における評価をお伺いしたいと思います。

 現行法の「目的」には、「修学に係る経済的負担を軽減することにより、子どもを安心して生み、育てることができる環境の整備を図り、もって我が国における急速な少子化の進展への対処に寄与することを目的とする。」このようにあるわけですけれども、この目標に対する現時点での評価をお聞かせください。

あべ国務大臣 黒帯の西岡委員にお答えさせていただきます。

 少子化の背景、実は、個々人の結婚、出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っていることでございまして、この少子化対策の効果といたしまして高等教育の修学支援新制度単体での効果を推計することは困難でございます。

 一方、本制度導入後に実施した調査におきましては、年収四百万未満の方の世帯に対しまして、大学などの教育費負担が希望する子供の数を持てない要因になっていると思うかどうかをお尋ねしましたところ、そう思う、ある程度そう思うと回答された割合はより年収の高い世帯を上回っておらず、教育費の負担によって希望する数の子供を持てないという要因を軽減する効果は一定程度あったものと捉えているところでございます。

 今後につきましても、こども未来戦略に基づきまして、関係省庁と連携しながら、この実施状況、効果等を検証してまいりたいというふうに思います。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 人口動態統計速報によりますと、昨年の出生数は九年連続減少しておりまして、七十二万九百八十八人と過去最少を更新いたしました。先ほどおっしゃっていましたように様々な要因があるかとは思いますけれども、現行制度は五年を経過しようとしております。やはり少子化対策という意味合いにおいては弱いのではないかという印象を受けざるを得ません。

 そこで、今回、法改正となるわけですけれども、ここで支援対象を拡充されることで少子化対策についてどの程度有効であるとお考えでこの改正を行うのか、お聞かせください。

あべ国務大臣 先ほども申し上げましたが、少子化の背景、個々人の結婚、出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っているものでございまして、一方、理想の子供の数が三人以上であるが、実際の子供の数は二人以下である夫婦の約六割の方が、子育て、教育にお金がかかり過ぎるからということを理由に挙げておりまして、今回の制度改正は、教育費の負担を理由に三人以上の子供を持つ希望を断念している世帯に対しましてこの教育費の負担を大幅に軽減することができまして、この観点からの障壁が軽減されたものというふうに私ども考えております。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 三人以上子供を持つための障壁が軽減されるという効果を期待されているということと認識いたしました。

 今回の改正で、この目的の部分が、少子化の進展への対処というような直接的な表現から、子育てに希望を持つことができる社会の実現に寄与することという形の、目的が若干、少子化対策としての目的が不明瞭になったように感じるんですけれども、このように改正した理由はなぜか、教えていただけますでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 改正案の目的規定では、低所得者世帯の学生等に加え、多子世帯の学生等も授業料等減免の対象とすることから、家庭における教育費の負担の一部を社会全体で負担し、家庭における教育費の負担の軽減を図ることによって、子育てに希望を持つことができる社会の実現に寄与することを目的とすることといたしました。

 この目的は、低所得者世帯の学生等への支援と多子世帯の学生等への支援の両方の趣旨を包含し表現してございまして、目的としては適切であるというふうに考えてございます。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 多子世帯への支援という側面もあるということでお伺いいたしました。

 文部科学省は、この制度の成果としまして、住民税非課税世帯の進学率の向上についてのデータを公表していらっしゃるかと思います。そのデータでは、平成三十年の住民税非課税世帯の進学率が四〇%であったものから、令和五年には住民税非課税世帯の進学率が六九%、大きく伸びております。

 この結果自体はすばらしい成果だと私は思います。でも、この指標というのは、少子化の成果ではなくて、教育の機会均等を図ったことの結果、すばらしい成果だと思います。先ほどの目的の改正もそうですけれども、本来、実効性を発揮しているのは、少子化対策ではないと私は認識しております。

 その中で、やはり消費税を財源とするために無理やり少子化対策にしている感をちょっと受け取ってしまうわけですね。消費税収は社会保障財源に充てることとされていまして、年金、医療、介護などの社会保障給付と少子化に対処するための施策に要する経費、これに使途が限られていると認識しております。

 教育費の負担の一部を社会全体で負担する、この点には私も合意いたします。消費税を財源とすること自体を否定するつもりはございません。ただ、教育の機会均等であったりほかの目的が見えている状態で、財源を消費税に限定してしまう必要はないのではないかと考えます。

 そこで、附則の第四条、「次に掲げる費用の財源は、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律附則第一条第二号に掲げる規定の施行により増加する消費税の収入を活用して、確保するもの」とあります。要は、消費税の増税分をここの施策に充てたということになっておりますけれども、増加する消費税の収入等という言葉を加えることで財源にやはり柔軟性を持たせていく必要があるのではないかと私は考えます。

 その他の財源としましては、例えば、我が党はずっと教育国債、これの発行を主張しております。今後、支援制度を更に拡充していく際には柔軟な財源議論ができるようになると思いますので、是非この消費税の収入等としていただきたいと思いますが、この見解はいかがでしょうか。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 大学等における修学の支援に関する法律の附則第四条におきまして、高等教育の修学支援新制度に要する費用の財源について、消費税の収入を活用して確保することとしてございますが、これは、本制度の対象となり得る学生等の全員が支援を希望した場合でも対応できるよう、十分な予算を確保するために規定をしているものでございます。

 令和七年度からの多子世帯への支援拡充につきましても、本規定に基づく消費税財源を活用して、対象となり得る学生等の全員が支援を希望した場合でも対応できるよう、必要な予算額を確保しているところでございまして、現時点において本規定を改正する必要はないものと考えております。

 なお、今御提言いただきましたように、教育国債に関しましては、安定財源の確保、また財政の信認確保の観点から、慎重に検討する必要があると考えております。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 ただ、今後、財源議論というのはやはりしていかなければ拡充はできないと思いますので、そこの議論に入るためにも、まずここの等という言葉というのは私は必要だと思います。仮に財源が枯渇してしまった場合、このままだと消費増税するしかなくなっちゃうんですね。我々は教育国債を主張していますけれども、幅広い財源議論をするためにも、是非、私は今後も、消費税収入等の部分はこだわって主張していきたいと思います。

 ちょっと話は変わります。先ほど申し上げた教育の機会均等という観点について御質問いたします。

 住民税非課税世帯の進学率が大きく伸びたとはいえ、全体の進学率の数字からしますと一五ポイントほどやはり少ない状況となっております。教育の機会均等ということもしっかりと目的に明記をして、取り組んでいくんだという姿勢を示して、ここも改善していくべきではないかと思いますけれども、この点の見解をお聞かせください。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘いただきましたように、この制度、特に経済的に厳しい家庭のお子さんに対する支援というものを令和二年度から実施をしてございますが、この導入によりまして着実にその進学率等は上昇しているところでございますけれども、より所得、世帯の年収が多い家庭と比べますと、まだその水準に至っていないところは御指摘のとおりでございます。

 このため、この点につきましては、私ども、この制度を、支援を必要としている学生やその世帯の方々に対してまだ必ずしも十分にしっかりとその情報というものが行き届いてはいないのではないかというような観点、さらには、高校生、例えば高校二年生、三年生になって急にこういう支援制度があるよと分かっても、なかなか、大学進学というのは準備期間が必要でございますので、十分な準備期間も取れないということもございますので、中学生段階を含めて早い時期からより適切な形でこの情報の周知というものを図ることを通じて、今後も、希望する低所得者世帯の御家庭のお子様たちがしっかりと進学の希望をかなえられるように努めてまいりたいというふうに考えてございます。

西岡(義)委員 ありがとうございます。今御答弁の中で、情報の周知という言葉をいただけました。

 若干質問の順番を前後させていただきたいと思いますけれども、現行制度においては、予算の執行率、先ほども六割程度という御指摘がありました。やはり制度自体の、知らない方、対象がまだまだいるというのは私も課題として感じております。学校への周知であったり、対象子供への周知、これらを、先ほども周知を頑張るというような認識で私は話を受け止めましたけれども、具体的に、では、そこはどうやっていくのかということをお聞かせいただければと思います。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど御答弁申しましたように、この周知をしっかり取り組まなければならないというふうに思ってございますが、文部科学省では、これまでも、学生等や進学を控えた高校生等に向けて、SNSや動画配信、テレビ放映、インターネット広告等で制度の内容を分かりやすく発信をしてきたところでございますが、特に、新高校三年生全員に対しリーフレットを配付するとともに、家庭の経済状況により早い段階で大学等への進学を断念してしまう可能性もある中学三年生に対しても周知資料を配付するなど、積極的に案内をしてきたところでございます。

 今後も、より積極的に情報をプッシュ型で発信していく、また、今の若い子たちに訴求力のあるような形で、先ほど申しましたようなSNSを使ったり、こうした工夫もしながらしっかり情報発信に努めてまいりたいと思います。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 せっかくの制度も、知ってもらって使ってもらわなければ意味がないかと思いますので、具体的な方策をお示しいただきましたので、引き続き頑張っていただければと思います。

 ちょっと話がまた前後してしまいますけれども、先ほど財源という話を触れさせていただいたので、教育費全体のことについてもお話を伺いたいと思います。

 我が国は公的支出に占める教育費の割合が八%という調査結果がございます。同じ調査で、OECDに加盟する三十六か国の平均値は一二%なので、平均から四ポイント下回っているという状況でございます。三十六か国中三番目に低い数字となっています。

 そして、大学や専門学校などの高等教育にかかる費用のうち、家計で負担しなければならない割合は、二〇二一年の時点で五一%と半数を超えているという状況です。比較できる三十か国の中では、日本の家計負担率は三番目に高い状態となっています。三十か国の平均は一九%ですので、それを三〇ポイント余り上回る高い家計負担率となっています。

 人づくりこそ国づくり、我が党もずっと掲げている言葉ですけれども、石破総理もあべ大臣もおっしゃっておりました。であればこそ、大臣にはしっかりと財務省から教育予算を取ってきてもらいたいと切に願うところでございますけれども、先日も浮島先生からの御指摘もありましたけれども、この点についての大臣の決意、思いをお聞かせいただければと思います。

あべ国務大臣 委員御指摘のとおり、OECDのデータによりますと、我が国の公財政教育支出、二〇二一年度で対GDP比が三・一でございまして、OECD平均四・五と比べて低いことは事実でございます。

 教育は子供たちの未来をつくる上で重要な役割を担うものでございまして、一人一人が負担軽減とともに、教育の質の向上に力を入れるということが重要でございまして、文部科学省としては、教育の質の向上と教育機会の確保を両輪といたしまして、必要な教育予算を着実に確保しながら、未来への投資である教育施策の推進に全力で取り組んで、予算も確保を頑張りますので、応援をお願いいたします。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 私もしっかり頑張りますので、是非大臣にも頑張って予算を取ってきていただければと思います。ありがとうございます。

 では、質問を変わりまして、令和六年度における支援対象者の拡充の際に、法改正がなく、世帯年収六百万円程度まで、多子世帯並びに理工農系に進学する学生にも支援対象が拡大したことを前提にお尋ねしたいと思います。

 我が国の高等教育への高い家計負担率、これを鑑みるに、予算の確保さえできれば、法改正することなく、年収三百八十万円程度から六百万円程度の世帯まで、その前の階段の段階ですね、年収三百万円程度から三百八十万円程度の水準が三分の一支援であったりですとか、又は、年収三百万円程度から六百万円程度までの範囲に関して二分の一支援に引き上げるですとか、こういった拡充が法改正することなくできるのではないかと思います。

 高い家計負担率、これを改善していくためにもやっていくべきだと考えるわけではありますけれども、先ほどの前提でございます、予算の確保さえすることができれば、来年度以降、こういった拡充について検討、実行していけるかと思いますけれども、この点、御見解いかがでしょうか。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 本制度を含めまして、法律の授権の範囲内におきまして制度の改善等を行うことは可能であると考えてございますが、この制度が経済的負担の軽減を行うものであることを踏まえますと、学生等が予見可能性を持って大学等への進学を目指すことができるようにすることが重要であるとともに、支援が長期間継続することができるよう、恒久的な安定財源を確保した上で拡充すること等に留意することが、制度改正を検討する場合に必要であると考えてございます。

 今般の法案によりまして、令和七年度からは支援対象を大幅に拡充することになりますが、その後につきましては、まずはこの制度を着実に実施に移し、その効果を見定めながら、更なる負担軽減、支援の拡充についても、論点を整理した上で十分な検討を行いつつ、取り組んでまいりたいと考えております。

西岡(義)委員 現在、先ほども御指摘しましたように、予算の執行率は六割程度ということもございます。その余剰分を使って対象を広げていくことは十分にできるかと思います。先ほど大臣も頑張って予算を取ってくるとおっしゃっていましたので、是非ここは前向きに進めていきたいと思います。私も応援いたします。

 それでは、次の質問に入ります。

 今回の法改正で、子供三人以上の多子世帯において、所得制限なく授業料の減免が満額受けられるようになります。この多子世帯というのは、扶養する子供が三人以上の世帯となっておりますけれども、そこで、実際の運用面について詳しくお聞きしたいと思います。

 例えば、子供を三人扶養している家族がいるとします。一番上の子供が大学に進学しました、この制度を利用したとします。二番目の子供が、俺は勉強、好きじゃないし、高校を卒業したら就職してばりばり働くんだといって、就職して扶養から外れてしまった場合、一番上の子が受けていた支援というのはどうなるんでしょうか。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の制度改正は、三人以上の子供を持つ家庭にとって最も経済的な負担が重い状況にあるのが、例えば、第一子が大学等に進学しており、下の子が高校生、中学生であるなど、三人以上を同時に扶養している期間であることから、財源が限られている中で、負担が集中している期間を優先して支援することとしたものでございます。

 今御指摘いただきましたようなケースについては、扶養しているお子さんが二人以下になっていくという状況でございまして、この負担が集中している期間からは外れるというふうに考えてございますので、この趣旨に照らしまして、そうした場合にはこの支援対象とはならないという形になります。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 支援対象にならないということで、七十万円、年間、学費で受けていた支援がいきなりゼロになるということで、この落差は、一人扶養から外れて自立してくれるとはいっても、家計に与えるインパクトというのは相当大きなものだと考えます。

 こういった場合に、例えば、二番目の子に対して、上の子の支援が打ち切られると困っちゃうから、あんたも支援も受けられるんだし、あんた、取りあえず二年だけ専門学校にでも行きなさいなんといって、本来、本人が希望していた進路を無理やり変えさせられてしまうようなことも懸念されるんですけれども、こういった点についてはどのようにお考えでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘ございましたようなケースについて、この支援は、いわゆる大学や専門学校等に支払う授業料に対して支援を行うものでございますので、逆に、支援をしたとしても、その分は授業料としてその家庭から外に出ていきますので、その家庭にとって自由に使えるお金が増えるものではないという制度でございます。

 こうしたことに鑑みますれば、私どものこの支援というものの存否によって進路が大きくゆがめられるというようなことはないというふうに私どもは考えてございますし、また、この制度の趣旨というものをしっかりと周知をしながら、学びたい場合にそれを支えていくんだ、こういう制度であるということをしっかりと今後も周知に努めてまいりたいと思います。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間が中途半端になってしまったんですけれども、私、あしたも質問時間をいただいていますので、時間になりましたので、続きはまたあした御指摘させていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

中村委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時二十五分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時三十分開議

中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。前原誠司君。

前原委員 日本維新の会の前原でございます。

 大学等における修学の支援に関する法律の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 この法案は、今年の四月から、多子世帯に限り、大学等の授業料、入学金が一定額まで減額、免除されるというものであります。大学だと、国公立は入学金が二十八万円、授業料が五十四万円が上限、私立は入学金が二十六万円、授業料が七十万円が上限ということであります。

 よく、私は教育の無償化を訴えておりますので、たくさん御意見をいただくのでありますが、国民の皆様方の中には、大学の無償化で、年間授業料が数千万円の私立の医科歯科大学の授業料全てが無償になるというふうに思っておられる方々も結構おられます。そうではないということは、明らかに言っておかなければいけないというふうに思います。

 我々日本維新の会は、多子世帯だけじゃなくて、子供一人世帯から無償にすべきだと主張していますが、減免上限額は多子世帯と同様でいいと考えております。それを上回る部分については、親の所得や子供の成績によって支払われる給付型奨学金、あるいは様々な支援制度というものを活用すべきだというふうに考えております。

 そもそも私が教育無償化を訴える理由を幾つか申し上げたいと思います。

 皆様方にお配りをしている資料、まず一を御覧いただきたいと思います。少し古い資料であります、平成二十七年度の日本学生支援機構の調査でありますけれども、これは、親の所得によって子供の進学機会が変わっているということを示しているものであります。上のグラフは、一千五十万以上親の世帯所得があれば、大学進学率は六二・九%、それに対して、四百万以下は二七・八%ということで、倍以上の差がついているということであります。

 私は何も、全ての子供が大学に行くべきだとは全く思っておりませんけれども、ただ、下のグラフを見ていただきますと、やはり、大学に行かれた方とそうでない方の生涯賃金というものの格差は七千五百万円程度になっているということであります。

 つまりは、親の所得格差が子供の教育格差につながって、そして、子供の年収、生涯収入格差につながっているということで、格差が連鎖する、これが私は一番大きな問題であると思っておりまして、親の所得に関係なく全ての子供がひとしく機会が与えられる、結果は不平等であっても機会は平等にあるべきだというのが理由の一つであります。

 二つ目。そもそも、日本の教育費は他の先進国と比べて低いんだということであります。

 図二を御覧いただきたいというふうに思います。下の方のみ使わせていただきますけれども、OECD、経済協力開発機構、これの同じような統計を取っている国の数は三十五、三十八のうち三十五あると言われておりますけれども、日本は二〇二一年で、下から数えて二番目という低さでございまして、OECD平均の四分の三程度ということでありまして、そもそも、対名目GDP比の教育費というものは少ないんだということであります。

 次のグラフを御覧いただきたいと思います。三ページ。その裏返しのグラフになるわけでありますけれども、OECDの国で、教育費を一〇〇とした場合、誰が負担しているのかということで見た場合、私費負担割合というのは、OECD平均が二八・六%、つまりは三割に満たないにもかかわらず、日本は六三・四%ということで、OECD平均の倍以上。

 つまりは、自己責任で親や子供が負担をし、親であれば、賃金が三十年上がっていないにもかかわらず教育費用は上がっている、子供ならば、奨学金、貸与型の奨学金を借りて、二・七人に一人ですか、今借りていて、それで、平均して、返さなければいけない金額は三百十万円ということで、いかに日本は公費負担が少なくて私費負担が多いかということでありまして、これをしっかりと上げていくということが、その公費負担を上げていくということが大事な事柄であるというのが私の問題意識の二点目であります。

 それで、三点目ですね。一点目、二点目、三点目を総括して大臣に所見を伺いたいと思いますけれども、教育というのは、私は投資だと思っています。これが、四ページが文科省からいただいた、平成二十七年、ちょっと古いんですけれども、それでもこれが直近の文科省からの資料だということでありまして、確認をいたしましたけれども、大学、大学院にかかる費用、一人当たりの費用は二百六十二万五千二百十五円、その一人当たりの費用便益、つまりは、便益というのは、税収増加額、あるいは失業による逸失税収抑制額、それから失業給付抑制額、犯罪費用抑制額、これが便益と考えているわけでありますけれども、この便益は六百二十七万六千二百七十六円ということで、一人当たりの大学生やあるいは大学院生に二百六十二万仮に国が使ったとしても、トータルで返ってくる費用は二・四倍ぐらい返ってくるということでありまして、極端な話、借金してでもしっかりと投資をし、そして人材育成をすることが、国にとっての大きなプラスになっていく、こういうことが言えるのではないかと思います。

 元々教育費用が少ないということ、そして、親の教育格差で子供の機会格差が生まれているということ、そしてその子供の、言ってみれば貧困の連鎖というか格差の連鎖が生まれているということ、そして、教育というのは投資である、人材育成は国家に返ってくるんだということ、この三つが、私が教育無償化を強く訴える大きな主な理由でありますけれども、大臣の所見をいただければと思います。

あべ国務大臣 前原委員にお答えさせていただきます。

 外務大臣、国交大臣とされた大物政治家の委員に私などが答弁するのは、ちょっと、大変緊張する次第でございますが、お答えさせていただきます。

 人への投資が大切だということは、もう本当に委員がおっしゃるとおりでございまして、特に今回の高等教育費の無償化におきましては、子供たち誰もが家庭の経済事情にかかわらず質の高い教育を受けるチャンスが平等に与えられるものとして、私費負担の軽減、また教育格差の是正など教育機会の均等に資するものでございまして、また、少子化対策、優秀な人材の育成にもつながると、委員がおっしゃっていたように、私どもも考えているところでございます。

前原委員 目的については、大臣とも、私の問題意識、同じだということを確認をさせていただきました。

 その上で、法案の中身について確認をしていきたいと思いますけれども、昔からただより高いものはないということを申しますけれども、私は、この無償化というものは無条件でやるべきではないというふうに思っています。無償化は大事であるという大前提に立ちながらも、無償化というものはやはり条件とか責務というものがしっかりと付されなければいけない、こういう私は思いを持っております。

 石破内閣総理大臣の所信表明演説に対して、私、代表質問をさせていただいたんですけれども、こういうことを申し上げました。勉強もろくにしない、遊びやアルバイト三昧、こういった学生が無償化の対象になることは、納税者の理解が得られるとは到底思えません、大学の門戸は広く、卒業は厳しく、真面目に勉強した学生のみが無償化の対象となる仕組みが不可欠です、こう私は申し上げたわけでありますが、大臣のお考えをお聞かせください。

あべ国務大臣 委員のお話の中で、私ども、やはり真面目な生徒にしっかりと応援をしていきたいというふうに思っております。

 そうした中で、高等教育の修学支援新制度におきましては、支援を受けた学生がしっかりと学べるように公費による支援を行う仕組みでございまして、この制度の目的や趣旨を踏まえまして、進学後、例えば学修状況を見極めた上で支援を行うように、また、学修意欲、学修成果の質の観点から、一定の学業要件を課しておりまして、今後もこの要件は私も必要であるとは考えております。

前原委員 今の大臣の御答弁だと、今回、多子世帯については所得制限なく無償化というものになりますよね。この法案の中に、今のような仕組み、つまりは、一定の子供に対して責務とかあるいは条件というものを付している、そういうお考えでしょうか。もしあれでしたら局長でも結構です。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大臣から御答弁申し上げましたとおり、しっかりと公費により支援を行う仕組みでございますので、学生本人が、その学修意欲、学修成果の観点から一定の学業要件を課すこととしてございます。

 具体的に申しますと、例えば履修をした科目の授業の出席率が悪い場合にはこの支援の対象から外れる、若しくは、標準の取得単位数に対する実際に学生が取得した単位数の割合が一定以下であればこの要件から外れる等々、しっかりと学んでいる学生を支援をするということをこの制度の中では位置づけているところでございます。

前原委員 今、局長の御答弁ですと、出席要件とか成績要件ということは前提ですよということでありますが、進級とかあるいは卒業というのは要件には入らないんでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、進級に関しましては、当然、履修、一定の単位を落とした場合には進級もできませんので、この場合には当然対象から外れるという形になってまいります。卒業の方も同等でございまして、この制度は、あくまで、例えば通常の学部学生であれば四年間の支援でございますので、最終的に、卒業ができずに五年目、六年目に行くという形であれば、四年の段階で支援は打ち切りという形になります。

前原委員 私は、そういう条件、前提条件は大事だと思うんですね。ですから、今確認をさせていただいたように、出席要件、成績要件、すなわちは、それは、進級要件、卒業要件というものもこの法案では課しているということで理解をさせていただきたいというふうに思います。

 次に、大学です。

 大学も、私は、同じく条件が付されなければいけない、こう思っているわけであります。先ほど、本会議の代表質問のときの話をいたしましたけれども、本会議の代表質問でこういうことも私は主張しております。淘汰されるような大学が生き残ることも、あってはなりません、無償化は学生への支援であって、大学への支援でないことを明確にすべきです、こういうことを申し上げたわけでありますけれども、この考えに対する大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

あべ国務大臣 二月の中教審の答申におきましても、経営、また教学面におきまして一定の質が確保できない高等教育機関におきましては、学生保護の観点及び高等教育全体への信頼確保の観点から、撤退を進める必要があるとされていることも踏まえ、今回の制度改正後も、引き続き、大学等には一定の機関要件を求めることとしているところでございます。

前原委員 じゃ、具体的に一定の要件というのを伺ってまいりたいと思いますが、まず、高校無償化の議論のときにもありましたけれども、便乗値上げというのをどうやって防ぐのかということが大事なことだと私も思っています。

 つまりは、今回も、先ほど申し上げたように、私学も含めて、所得要件なく多子世帯については無償化になるということでありますし、高校教育の三党合意についてもそういった所得要件なく無償化になるということでありますが、便乗値上げをどうやって防ぐのか。

 給与を上げたり、人件費をある程度上げたり、あるいは施設整備をしっかりやったりということは、私はあっていいと思うんですね。それによってある程度値上げというのはいいというふうに思いますけれども、あからさまにこれは便乗値上げであるというようなものはやはりしっかりと抑止するというか、そういうことはあってはならない、そういう大学、高校は無償化の対象外であるといった私は条件を課すべきだというふうに思いますけれども、その点についてのお答えをいただきたいと思います。

あべ国務大臣 大学の授業料に関しましては、学生の教育環境の充実等のために、各大学の設置者において適切に設定いただくものではございます。

 そうした中で、授業料等減免の国の支援の拡充の際には、その趣旨に反するような学費値上げが行われることがないよう、文部科学省から各大学に通知をしてきたところでございまして、今回の制度拡充に際しましても、経済的負担の軽減という趣旨に反する合理的な理由のない学費値上げが行われることがないようにしっかりと要請をしてまいります。

前原委員 趣旨に反することのないよう、合理的な値上げでなければいけないということで、それについては、しっかりと細目というか、一定の条件ということは決められるんですか。局長でも結構です。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 大学における学費の値上げにつきましては、その合理的な範囲を超えたものとならないかどうか、これについては各大学がまずは説明責任をしっかり果たしていくことが必要だというふうに考えてございます。

 その上で、文部科学省といたしましても、学生等の経済的負担を着実に実施するため、学生等の修学に要する費用の状況などについては今後しっかり調査、検討してまいりたいというふうに考えております。

前原委員 しっかり制度設計をしていただきたいと思います。

 我々は子供に対して、好きな学校を選べる、親の所得に関係なく選べる環境をつくろうとしているにもかかわらず、それを逆手に取って便乗値上げが行われるということは、これは厳にあってはいけないというふうに私は思っておりますので、そこは文科省のしっかりとした制度設計が私は必要だということを改めて申し上げて、その取組についての御努力を促したいというふうに思います。

 先ほど大臣がおっしゃった中教審の答申、二月二十一日に行われた答申で、図五を見ていただきたいわけでありますけれども、まず、この左上、「今後の高等教育の目指すべき姿」ということで、「社会の変化」、「高等教育を取り巻く変化」というのが書かれております。その点線の括弧内の大学進学者数推計というのが、かなり私はショッキングに感じました。

 というのも、二〇二一年が六十二・七万人、二〇三五年、まだ先ですよね、十年ほど先が五十九万人。つまりは、三万七千人しか、あと十年間で、二〇二一年からすると十四年間で三万七千人しか減らないのに、そこから先の五年間で五十九万人から四十六万人に減る、急激につるべ落としのように子供の数が減っていく、こういうことであります。

 その中で、「直面する課題」の下に「高等教育が目指す姿」があり、この高等教育が目指す姿は、知の総和。知の総和とは、数掛ける能力。一人一人の能力をどう引き出すかということはすごく大事なことでありますが、その下に書かれている、質の向上、プラス、規模の適正化というところ、先ほど申し上げたように、二〇三五年以降は急激につるべ落としのように子供の数が減っていくということになれば、学校の数というものは当然ながら淘汰、整理されていかなくてはいけないし、あるいは学部の定員というものについてもしっかりと見直しが行われていかなければいけないということになろうかと思います。

 図六を御覧いただきますと、厳正な設置認可審査への転換、そして、設置計画不履行に対する措置、そして、撤退、縮小ということで、一時的な定員減の仕組みの構築とか、あるいは規模の縮小や撤退に係る指導の強化、経営改善計画の策定の義務づけということが、中教審のこの答申でもなされているわけでありますけれども、今でも私学助成を停止したり減額をしている大学というのはありますよね。

 こういう大学、あるいは、定員割れを放置しているような大学、まあ、学部で定員割れを放置しているようなところ、そうなると、結局、先生の数がどうしても過剰になって経営を圧迫するということでありますけれども、こういうところというのは、先ほど申し上げた規模の適正化、そして、子供目線からすると、供給体制を維持することが目的ではないということでありますから、しっかりとした質の担保というものも行っていかなければいけないということになれば、この無償化の対象というのは、私学助成を停止あるいは減額するような大学は外れる、あるいは、定員割れを起こしているような学部を放置している大学、学部を持っている大学は外れる、こういう厳しい私は基準というものが設けられるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

あべ国務大臣 高等教育の修学支援新制度におきましては、大学等の経営が継続的かつ安定的に行われることを確認するために、収容定員充足率の状況等、一定の教育や経営に関する要件、いわゆる機関要件でございますが、それを満たす大学等を対象機関とさせていただいています。

 二月の中教審の答申におきましても、経営、教学面におきまして一定の質が確保できない高等教育機関につきましては、学生保護の観点から、高等教育全体の信頼確保の観点からも、撤退を求める必要があるというふうにされていることも踏まえ、今回の制度改正後も引き続き、大学には一定の機関要件を求めることにさせていただいております。

前原委員 その一定の機関要件を設けるということは、すなわち、無償化の対象にはならないということでよろしいんでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 一定の機関要件の中には、当然、その大学の経営の収支の状況等の要件もございます。また、定員が大幅に欠けている、満たしていない、こういうような状態が続いているという要件もございます。これら、その一定の要件を満たせない大学については、この支援の対象外の機関とするという形になりますので、今御指摘のとおりでございます。

前原委員 やはり、大学側の経営努力、そして魅力ある大学づくり、それができなければ、この無償化の対象から外れる、あるいは、大学自体が撤退する、こういうことが私は必要だというふうに思いますので、将来、これから無償化を進めていくに当たって、そういった大学にも厳しい責務、条件を課すということで臨んでいただきたいというふうに思います。

 三つ目、個人と大学と、もう一つ、企業なんですね、私は。企業に対して、しっかりとした責務をやはり課すということが必要だと私は思います。

 学生の勉学意欲、それに伴う質の向上という観点に立てば、早い時期の就職内定、いわゆる青田買いというのは、私は無償化の趣旨と相反すると考えております。政府は一応、卒業、修了予定者の就職、採用活動について、広報活動開始を卒業、修了年度に入る直前の三月一日以降、採用選考活動開始を卒業、修了年度の六月一日以降、正式内定を十月一日に定めていますが、原則とするということで、実際、誰もが知っているように、守られていないということであります。それは、学生側にも企業側にも、いわゆるルールを破ってもペナルティーが存在しない、こういうところであります。

 そもそも学生さんは、よい企業に就職するために一生懸命受験勉強を行い、よい大学に入ろうとするということであります。つまりは、いい就職をするために、もう小学校ぐらいからずっと受験勉強で、塾も通って家庭教師も雇ってもらって勉強して、最終のゴールが、大学に入ると同時に、いい就職に就くというところがゴールになっていて、それが私はいかがなものかというところがあると思うんですね。

 つまりは、大学というものは義務教育ではありませんので、高校も義務教育じゃありませんが九九%通っていると。大学はもっと、これは、しっかりとその人の能力を磨く、あるいは意欲というものをしっかりと達成する場でありますので、就職をするため、全ての子供がそうだとは申しませんけれども、そういうような仕組みになっていること自体をやはり変えていかなくてはいけないというふうに思うんですね。

 面白いデータがありましたので、ちょっと紹介をさせていただきたいと思います。これもちょっと二〇一一年とやや古いんですけれども、日本の大学の卒業率、つまり、大学に入学した者のうち卒業する者の比率は、OECD諸国の中で一番高いんですね、九〇%。OECD平均は六八%なんです。つまり、大学に入った割合の六八%しか卒業していないんです。日本は九割。大臣、アメリカはどのぐらいだと思いますか。五三%。つまり、二人に一人しか卒業しない。

 つまりは、入るのは易しくて、出るのは難しい、卒業するのは難しいというのが海外の大学でありまして、そういう意味では、私、この大学改革を就職と絡めて考えなきゃいけないというふうに思うわけでありますが、質を高めるという大学改革のポイントの一つは、やはりこの就職活動の在り方を見直すところにあるというふうに私は考えるわけでありますけれども、この点について、政府のお考えをお示しをいただきたいと思います。

鰐淵副大臣 お答え申し上げます。

 大卒等の就職、採用活動につきましては、学生等が学修時間等を確保しながら安心して就職活動に取り組むことができるよう、毎年度、関係省庁連絡会議を開催し、先ほども委員からも御紹介いただきました、具体的に就職、採用活動日程に関する考え方を取りまとめまして、その遵守を経済団体等に要請をしているところでございます。しかし、これも先ほど委員からも御指摘がございました、近年、学生の就職活動が早期化する傾向にあるということで承知をしております。

 繰り返しになりますが、まず、学生の皆様が学業に専念して安心して就職活動に取り組むことが、環境をつくっていくことが大変に重要でございますので、引き続き、関係省庁連絡会議で取りまとめました就職、採用活動日程に関する考え方、この趣旨を改めて経済団体等へ重ねて御理解また御協力を求めていきたいと思いますし、また、その遵守をしっかりと働きかけてまいりたいと思っております。

前原委員 副大臣、御答弁されましたけれども、御承知のとおり、これは非常に古くからある問題でありまして、破られ続けている歴史なんですね、これについては。企業側からすると、できるだけいい学生を採りたいということでありまして、この間、文科省の担当の方に事前にレクに来ていただいたんですけれども、その方がおっしゃっていたのは、もう一年生から内定をもらう子もいるという状況だそうであります。

 つまりは、勉強を重ねていき、そして自分自身を磨き能力を高めていくというにもかかわらず、仮にですよ、極端な例かもしれませんが、内定が一年生から出るということになれば、残りの三年とか、そういった期間はまさにその就職のための助走期間になってしまうわけであって、本来であれば、四年間勉強し、学士というものを得て、そしてそれを企業側が判断するということが大事な事柄であるけれども、そうではなくなっているわけで、いかに、理解を求めよう、遵守をしてくださいと言ったって、戦後からずっとこれについては破られ続けている歴史なんですね。

 その意味では、今回無償化を導入するに当たって、いわゆる、ルールを破れば無償化の対象から外れると。つまりは、無償化というのは、学んでもらうためでしょう。学んでもらうために、しかも、今回からは、多子世帯に限ってでありますけれども、いわゆる親の所得要件を外すわけですから、そういう意味では、言ってみれば、ちゃんと学んでもらうということが大事であり、こういうルールを破られた場合には無償化の対象から外すなんということも含めて、私は何らかの実効性を高めるための取組というのが必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

あべ国務大臣 今回の法律案につきましては、大学等が行う授業料の減免によりまして学生等の負担軽減を行うものでございまして、この法律において企業に対する義務を規定することはなじまないのかなと考えているところでございますが、学生が学修時間等を確保しながら安心して就職活動に取り組むことができるよう、企業におきまして先ほど厚生労働副大臣が申し上げました趣旨を踏まえた対応を文部科学省としても行っていただきたいというふうに考えているところでございます。

前原委員 繰り返しになりますけれども、戦後ずっとこれはルールを守られていないんです。守られていないのに、言ってみれば、遵守してほしいとかルールを守ってほしいとか言ったって、結局、いい人材を採ろうとするわけですね。ここのすごく肝の話だと私は思うんですね。

 つまりは、大学での勉学というものを充実をさせるためには、しっかりと勉強し、その中身が向上した者、それが企業の就職で相対するというところで決まるべきであって、先ほど申し上げたように、レクをしていただいた文科省の方がおっしゃっていた、早い方では一年生から内定が出ているというのは、それは私は、大学のまさに空疎化というか、勉強してもらうということは、それは勉強もするんだろうけれども、それ自体を見直さないと、実は日本の社会の仕組みというのは変わらないんじゃないですかね。

 つまり、先ほど申し上げたように、日本の大学は、要は、大学卒業率がずば抜けて高いんですよ、九〇%。OECD平均では六八、アメリカに至っては五三%。ここが肝だということで、しっかりと実効性あるものに、無償化で縛るということは難しいのであれば、そうでないところでしっかりとやはり実効性あるものに高めないと、これから更に一人からの無償化を広げていくということになったときに、学生には責務、条件を課します、大学にも課します、だけれども、青田買いをする企業は実質何の約束も守っていないということになれば、政府がやろうとしているこの無償化、あるいは、我々が求めている一人一人の能力を高めて日本そのものの経済成長を高めていくという目的と反することになるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

あべ国務大臣 委員の御指摘の点につきましては、しっかりと受け止めさせていただきます。

 また、文部科学省といたしましては、秩序ある就職、採用活動が行われるように、引き続き、関係省庁と連携して経済団体などに働きかけてまいりたいというふうに思います。

 しっかりと受け止めさせていただきます。

前原委員 いや、しっかり受け止めてという、これは、でも、大臣、なかなか難しいことですよ。

 御承知のとおり、釈迦に説法ですけれども、ずっと就職協定というのは破られ続けていて、いろいろなチャレンジをしても結局、企業側がいい人材を採ろうということの中で、結果はそうなっているということですね。

 そうなると、私も就職活動もしましたけれども、やはり、いい大学に入ろうというところで、小学校から中学校、高等学校、大学入試、難しい大学入試のところもあるでしょう、そしていい大学に入ったらいい企業に行けるということの中で、そこが言ってみればトップになっているわけですよ。ここのそのものを変えていくことが、やはり大学、高等教育の改革の肝だというふうに私は思います。

 今日は時間が参りましたのでこのぐらいにしておきますけれども、ここを、しっかり受け止めるだけではなくて、本当に実効性あるものにしていくということが大切であるということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

中村委員長 次回は、明十九日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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