第5号 令和7年3月19日(水曜日)
令和七年三月十九日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 中村 裕之君
理事 今枝宗一郎君 理事 小林 茂樹君
理事 永岡 桂子君 理事 青山 大人君
理事 亀井亜紀子君 理事 坂本祐之輔君
理事 高橋 英明君 理事 日野紗里亜君
遠藤 利明君 大西 洋平君
小渕 優子君 木原 稔君
坂本竜太郎君 柴山 昌彦君
島尻安伊子君 鈴木 貴子君
渡海紀三朗君 萩生田光一君
船田 元君 松野 博一君
三谷 英弘君 簗 和生君
山本 大地君 阿部祐美子君
安藤じゅん子君 五十嵐えり君
小山 千帆君 佐々木ナオミ君
高橋 永君 竹内 千春君
辻 英之君 波多野 翼君
眞野 哲君 吉川 元君
阿部 弘樹君 うるま譲司君
前原 誠司君 美延 映夫君
西岡 義高君 浮島 智子君
金城 泰邦君 大石あきこ君
…………………………………
文部科学大臣 あべ 俊子君
内閣府副大臣 辻 清人君
財務大臣政務官 土田 慎君
文部科学大臣政務官 金城 泰邦君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 高橋 宏治君
政府参考人
(文部科学省総合教育政策局長) 茂里 毅君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 伊藤 学司君
文部科学委員会専門員 藤井 晃君
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委員の異動
三月十九日
辞任 補欠選任
鈴木 貴子君 島尻安伊子君
萩生田光一君 大西 洋平君
古屋 圭司君 坂本竜太郎君
うるま譲司君 阿部 弘樹君
同日
辞任 補欠選任
大西 洋平君 萩生田光一君
坂本竜太郎君 古屋 圭司君
島尻安伊子君 鈴木 貴子君
阿部 弘樹君 うるま譲司君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
大学等における修学の支援に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)
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○中村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、大学等における修学の支援に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人としてこども家庭庁長官官房審議官高橋宏治君、文部科学省総合教育政策局長茂里毅君、高等教育局長伊藤学司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○中村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小山千帆君。
○小山(千)委員 おはようございます。立憲民主党・無所属の小山でございます。
本日は、新人の二周目トップバッターとしてこの場に立たせていただいております。前回、ちょっと私、自分の紹介を緊張の余りしなかったんですが、私、この前の秋の衆議院議員選挙で比例として当選させていただきました。
正直、私、今、今日もぎりぎりまで、知的障害、日本で六百人しかいない難病の息子が、昨日から具合が悪くて学校を休み、今日も学校に行かない、もう嫌だ、どうしよう、委員会の質疑があるのにとどきどきしていたら雪が降ってきてくれて、ママ、学校で雪で遊ぶから学校に行くと言って、青山特別支援学校のバスに元気に乗ってくれて、今この場に立たせていただいている、毎日はらはらどきどきの生活を行いながら、この立場に立たせていただいております。
正直、うちの息子は大学には行けないと思います。学校に行くだけでも精いっぱいです。でも、大学に行ける子たち、その子たちのため、気持ちを込めて今回質疑させていただきます。本日はよろしくお願いいたします。(拍手)
本日は、大学等における修学支援に関する法律の一部を改正する法律案の質疑ということですが、法案の中身に入る前に、スケジュールに関してお尋ねいたします。
この改正案は、施行日は、附則の第一条で「この法律は、令和七年四月一日から施行する。」とされていますが、しかし、この法案が、決議が決定され、国会に提出されたのは令和七年の二月の七日です。四月一日の施行の法律をこのタイミングで提出するのは遅過ぎるのではないでしょうか。昨年の通常国会、遅くても昨年の臨時国会で審議すべきではなかったでしょうか。
現に、ある大学からは、四月一日の法案が成立しない場合、授業料の納付について、本学では応募があった学生には結果が判定されるまで授業料の徴収を猶予することで対応している、本学の決定通知は七月末を予定しているが、法案の成立時期によっては授業料の徴収猶予を延長する可能性があり、学内の規定を整備する必要が生じるため、できれば早期に成立をお願いしたいとの意見をいただいております。
昨年のうちに審議していれば、このような事態は防げたのではないでしょうか。この法案審議のスケジュールに関して、政府の見解をお伺いいたします。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
また、今朝、大変な思いで、雪が降っている中でいろいろあったみたいで、本当に大変だったと思います。また、私の母も難病でございましたが、特に、難病を持っていらっしゃるお子さんをお持ちのお母様方が、本当に孤軍奮闘していらして、病院を幾つも幾つも行きながら分からないという御苦労を、私も看護師でございますのでたくさん聞いておりまして、そういう先生が委員会の中で、国会の中で、そういう声を国政に上げてくださることは本当に心から感謝でございまして、本当に孤軍奮闘されている親御さんも、お子さんも、みんな誰一人取り残されないという社会を御一緒につくっていけたらというふうに心から思うわけでございまして、今日も大変な中、朝、本当に御苦労さまでございました。
そうした中で、質問に戻らせていただきますが、スケジュール感のことでございまして、何でこんな遅くなったのかということでございますが、今回の制度改正、令和五年の十二月に実は閣議決定をしておりましたこども未来戦略に基づきまして令和七年から実施するものでございまして、本制度の改正によりまして支援対象者数が大幅に増加するということで、学生などが円滑かつ確実に支援を利用できるための体制の整備と、また学校などの関係機関の役割分担の整理、さらには世帯情報などの取扱い、慎重な検討を要する事項の整理などは、制度改正の詳細について令和六年度中に検討を行いまして、その検討結果を踏まえてこの法案の提出に至っているところでございます。
なお、高校生の進路選択等に役立てていただく観点におきまして、政府の責任におきまして、今回の制度改正の具体的な内容につきましては、大学、高校等に対して昨年の一月からあらかじめ周知は図らせていただいたところでございます。
○小山(千)委員 大臣、温かいお言葉、ありがとうございました。本当に、闘病生活、看護師の方には救われたので、思い出してしまいました。
気持ちを切り替えて。
ありがとうございます。スケジュールに関しては、一年でも早くスタートできる、それはそれで、お子さん、生徒、親御さんのためになるので、ありがたいと思います。
しかし、今回、本改正案で対象になり得る、現在高校三年生だけでなく、現在大学に在籍している学生や、再来年度以降の対象者である現在高校の一年や二年の方、若しくは中学生等も対象になると思いますが、その方々に対して、この制度、概要や手続について今後漏れなく周知をしていく予定でしょうか。そのスケジュール感も確認させていただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
この制度につきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、昨年の一月から政府の責任でこの制度の概要については周知をさせていただいているところでございますが、新しいホームページ等でのQアンドAなども今作成をいたしたところでございまして、当然、法律が成立し、予算が成立したという前提で、成った段階でということではございますが、こうした制度があるということを幅広く今周知をしているところでございますし、この法律が成立、お認めをいただきましたら、更に速やかに、より詳細に、学生、高校生、また中学生等にもしっかり周知をしてまいりたいというふうに思ってございます。
○小山(千)委員 御答弁ありがとうございます。
先日、街頭に夜立っておりましたら、よく大学生、高校生の子から声をかけていただけるんですが、四人兄弟の子が、大学生だったんです、今度大学、卒業式が終わって大学と言っていたんですけれども、実際やはり知らなかったんですね。豊橋は結構多子世帯が多くて、そのとき、六人ぐらいの男の子たちが、一人だけ一人っ子で、あとは三人、四人という、本当にそうなんです、多子の方が多い。それでも、やはり伝わっていない、卒業したてなのに伝わっていない、大学に今から行くという形で。私も、やはり街頭に立って子供たち一人一人に声をかけて活動はしていくんですけれども、もうちょっと周知できるようにやっていただけたらと思います。
あと、また、減免を受けるには在籍する大学への申込みが必要で、新一年生は入学前から予約申込みができる仕組みとなっていますが、現在の三年生は入学してから申し込むこととなります。そうしますと、一度やはり入学金、授業料の全額支払い、減免を受けられることが決まると減免額が戻ってくるという流れになります。これも、昨年のうちに審議を進めていれば、現在の三年生も入学前から予約の申込みができたのではないでしょうか。
現在の高校生の手続に対する政府の見解をお伺いいたします。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘いただきましたとおりでございますが、本法案をお認めいただきますれば、多子世帯支援の対象としての認定の手続を開始することが可能となりますが、その際に、今年の四月に進学する高校三年生については、入学する新年度となる前に入学の手続を行う必要があることから、令和七年度入学生に限っては、入学金と前期等の授業料について一旦全額を支払っていただき、後日減免額を還付されるという形になります。
なお、令和八年度以降の入学者につきましては、高校三年生の段階で、対象となる生徒についてあらかじめ事前に申込手続を行う予約採用を導入することとしており、採用候補者として決定していれば、各大学において入学手続の際には、本制度における授業料減免の上限額を上回る分のみを請求することを原則として取り扱うこととしたいと考えてございます。
○小山(千)委員 御答弁ありがとうございます。
この法案につきましては、我が党でも修正案を検討しておりますが、やはりスケジュールが余りにタイトで、詰めた議論も難しい状況です。石破首相もよく熟議の国会とおっしゃっていますが、熟議とは、審議時間の長さだけではなく、事前の準備や時間に追われない日程なども同じくらい重要であると考えます。今後はそのような視点を持って、余裕のあるスケジュールをお願いいたします。
では、法案の中身に入らせていただきます。
最初に、支援対象基準についてお尋ねいたします。
先日の本会議において我が党の青山議員が指摘した項目と重なる部分もあると思いますが、大切なところですので改めてお伺いしたいと思います。
この改正案の趣旨は、多数の子等の教育費を負担している世帯における負担の軽減を図るため、当該世帯の学生等に関わる学生等の授業料等の減免制度を創設する等の措置を講ずるというものです。第二条で、この法律において、大学等とは、大学、高等専門学校及び専門課程を置く専修学校をいうと定められています。
ここで一つ疑問に思うのですが、この対象学校種に大学院が入っていないことです。
大学院について、文部科学省のホームページで、高等教育の中でもとりわけ大学院は、知識集約型社会における知の生産、価値創造を先導する高度な人材育成という極めて重要な役割を果たしていますと記載されています。このように重要な機関である大学院がなぜ対象学種に入っていないのでしょうか。政府の見解をお願いいたします。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
高等教育の修学支援の新制度におきましては、大学の学部や短大、専門学校を卒業した方々の多くは就労をしておりまして、一定のいわゆる収入を得る力があるため、こうした方々とのバランスを考える必要があることと、また、大学院への進学は二十二歳人口の五・五%にとどまることから、大学院生は対象としないこととしています。
○小山(千)委員 御答弁ありがとうございます。
でも、一生懸命頑張っている子たち、そして親御さんのことを決めたら、何とか変えていけたらと思っています。
次に、対象者についてお尋ねいたします。
改正案では、第四条第一項で、対象者の要件として、「三人以上の子等の生計を維持する者に生計を維持されている子等であること。」、つまり、三人の子が扶養に入っていることが追加されています。そうすると、子等の数が三人の場合、一人が扶養から外れると残りの子等は支援の対象から外れることとなります。特に、扶養する子等の年齢が近い場合、複数の子等と同時に支援対象となり得て多額の授業料の減免を受けられる一方で、一人が扶養から外れると複数の子等が同時に支援を受ける資格を失い、大きな落差が生じることとなります。これは、残りの子等にとって、自ら何の落ち度や責任がないのに支援を受ける資格を失うこととなり、余りに不公平、不平等ではないでしょうか。
その観点から、多子世帯の定義について、扶養を要件とすることをやめるべきとする指摘もありますが、政府の見解をお尋ねいたします。
○あべ国務大臣 今回の制度改正におきましては、高等教育費の負担を理由として理想の子供の数を持てない状況を払拭することを目指すものでございまして、三人以上を同時に扶養している期間が最も経済的な負担が重い状況であることから、財源が限られている中でございますが、負担が集中している期間の世帯を優先して支援をしていることとしているところでございまして、この法案をお認めいただきましたら、まずは制度を着実に実施いたしまして、その効果を見定めながら、更なる負担軽減、支援の拡充についても、論点を整理した上で十分な検討を行いつつ、取り組んでまいります。
○小山(千)委員 御答弁ありがとうございます。
限られた財源の中とは本当に分かっておりますが、事前のレクで家計全体の負担軽減という説明もいただきました。しかし、やはり、対象者の要件として、学修意欲の確認や出席率等に関わる要件といった属人的な要件が定められており、個人的には要素が排除されるわけではありません。
また、家計全体の負担軽減が趣旨であれば、青山議員が指摘したように、直接世帯に支給すべきじゃないでしょうか。その点に関しても政府の見解をお尋ねいたします。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
支援の対象については、ただいま大臣からも御答弁申し上げましたとおり、財源が限られている中で、負担が集中している期間、世帯をしっかり支援したい、こういうような趣旨で制度設計をしているところでございます。
なお、直接世帯に支給をするのがいいのか、授業料という形で大学等に対し支援をすることがいいのかという観点につきましては、私ども、これが、世帯への支援ではございますけれども、実際に大学で学ぶ学生がその学びを確実に受けられるようにすることが必要であるというふうに考えてございますので、大学等に対し授業料に充てるということが確実に担保される形での制度の設計というものが重要と考え、このような制度とさせていただいているところでございます。
○小山(千)委員 御答弁ありがとうございます。
でも、やはり、家計の全体の負担軽減であれば、三人が扶養に入った時点で全ての子が対象となり、その後の、一部の扶養が外れても残りの子の支援の対象の資格は消滅しないとすべきだと思うのですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○あべ国務大臣 大変申し訳ない、先ほどと同じ趣旨になるのでございますが、今回の制度改正、三人以上を同時に扶養している期間が最も経済的な負担が重いので、財源が限られている中で、負担が集中している期間の世帯を優先して支援させていただくことにしたことでございまして、まずは制度を着実に行いながら、効果を見定め、更なる軽減負担と支援の拡充、論点を整理した上で十分検討を行いつつ、取り組んでまいります。
○小山(千)委員 済みません、何度も。でも、どうしてもという気持ちを伝えたかったです。ありがとうございます。
財源が限られているというお答えはあったかと思いますが、その点についてまた後ほど詳しく質問させていただきます。
あと、さらに、対象として認定されるための要件に、高等学校卒業後二年以内の進学者等であるということが含まれています。
人によっては、病気であったり、貧困、家庭の問題、あと、いわゆる多浪ですね。やはり、いい学校に行きたいと思って、絶対この学校に行きたいと思って勉強している学生さん、いると思います。浪人中、本当に親御さんは負担、大変だと思います。そのような多浪の方々が晴れて大学に入れたとしても、大学進学するまで三年以上の期間が空いている場合、対象外になってしまいます。
このような学生等を支援するためにも、本要件について見直しを検討するべきだと思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
○あべ国務大臣 高等教育の修学支援新制度の対象の要件、委員がおっしゃるように、高等学校等を卒業してから二年以内としているのは、高等学校等を卒業してから短期大学、二年制の専門学校に進学した方は二十歳で就労していることを踏まえながら、働いている同世代の若者との公平性の観点と、進学者の大半をカバーできる卒業後二年以内の者を支援対象とすることにより、バランスを図っているものでございます。
○小山(千)委員 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、短期大学、二年制や専門学校を卒業した方はおおむね二十歳以上で就労し、一定の稼得能力がある者がいるということを踏まえ、こうした方とのバランス等を考慮したためとの答弁ですが、稼得能力と大学無償化とはちょっと次元が違う話ではないかと思います。
このような要件を課さず、入学したときから四年又は二年を支援するとした方がシンプルに家計の負担軽減、本当の意味の家庭の負担軽減、そして本当の意味の少子化対策にも資すると考えますが、政府のお考えをお伺いいたします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
現在の制度、高等学校卒業後二年以内の進学者にという要件を課してございます。これにつきましては、先ほど大臣から御答弁を申し上げましたとおりの理由でございます。
一方、様々な事情によって高等学校卒業後すぐに働く必要がある方もいることや、大学等におけるリカレント教育、リスキリングの観点もございますので、この要件の取扱いにつきましては、他の施策との整合性も踏まえながら、今後、更に総合的に慎重に検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○小山(千)委員 御答弁ありがとうございます。
次に、支給基準についてお尋ねいたします。
ここで問題なのは、支給基準が四段階しかないということです、がたん、がたん、がたんというですね。支給基準が四段階しかないため、いわゆる崖効果や、反対側から見たら壁が生じることになり、年収が一円でも超えれば支給区分が異なり、最高五十万円もの差が生じることとなります。多くの大学で、年収が増減したため支給区分が異なったり支給対象から外れたりとした問題が生じているとの指摘もあります。
このような事態を改善するために、支給の基準をもう少しなだらかにすることはできないでしょうか。大臣の見解をお伺いいたします。
○あべ国務大臣 給付額の、奨学金の支給額と、また授業料、入学金の減免の設定につきましては、学校種、また国公私立の別のほか、自宅、自宅外、この区分を設定する必要があることを踏まえまして、学生等に対しまして迅速な支給を行うという観点から、この支給額の細分化に伴う事務的な手続の複雑化にも配慮した上で、今回は全体で四段階の区分とさせていただきますことを御理解いただきたいというふうに考えています。
○小山(千)委員 ありがとうございます。
この区分、私もニトリで社員で働いていたんですけれども、本当に一円単位で皆さん時給を計算していろいろやるので、年末にパートさんが全員いなくなるみたいな、そういう、働く方すらも、ごめんね、ちょっと超えちゃうからという、そういうことすらもちょっと本当に、やはり皆さんの生活に密着していないと思うので、もうちょっとなだらかな形でやっていただけたらと思います。
なので、このような階段状の図を見るたびに、本当に思います。障害福祉もそうなんですけれども、一円超えたら支給してもらえなくなるとか、すごく高くなっちゃう、兄弟が放課後デイに通えなくなっちゃうとか、本当にそういう階段状を何とかやめていただきたい。
だから、やはり、収入の階層に分けて支給額を決めるのではなく、一直線、つまり、y=ax+bのグラフ、格好よく言っちゃったんですけれども、真っすぐな線で描ける、本当に数式で、シンプルに一円単位で、皆さんの生活に密着した一円単位で支給決定をするように今後していただきたいと思います。そうすれば、崖とか壁とかそんなこと言わなくてもよくて、年収を調整することもなく、皆さんの生活に合わせた支給、本当にそれを、今からすぐとは難しいと思いますが、この法案や改正案の見直しの際、そのような視点を考慮していただければと思います。
是非、今後、どうでしょうか。政府の見解としてお伺いいたします。
○あべ国務大臣 委員の御指摘についてはしっかりと受け止めさせていただきながら、この法案をお認めいただきましたら、まずは制度を着実に実施いたしまして、更なる負担軽減と、論点を整理した上で十分な検討を行いながら、取り組んでまいります。
○小山(千)委員 ありがとうございます。
最後、続きまして、予算についてお尋ねいたします。
大臣を始め文部科学省の説明や答弁では、常々財源が限られているとおっしゃっています。本当にそうでしょうか。
例えば、先ほどの大学院の話を例に取って、ざっくりですが試算すると、今年度の予算が七千二十五億円で対象者が八十四万人ですので、一人当たり約八十三・六万円の支援となります。文部科学省学校基本調査の令和六年十二月のデータによると、大学院生の総数二十七万一千六百三十九人から留学生五万七千四百五十七人を引いて二十一万四千百八十二人の、大学段階での全学生に対する対象者の割合が二五%ですので、二十一万四千百八十二人の二五%で、約五万三千五百四十六人が対象大学院生となります。これに先ほどの約八十三・六万円を掛けると四百四十七・六億円となります。粗い試算ではありますが、大学院生をこの制度の対象に追加しても五百億円もかからない計算となります。
一方で、高等教育の修学支援制度の執行率は、新制度開始年度の令和二年度からのデータが、公開されている最新の年度の令和五年度まで、いずれも六割弱です。最新の令和五年度は、大学等修学支援制度の政府予算は五千三百八億円でしたが、決算ではその五八%しか執行されず、二千二百二十一億円もの金額が不用額として残りました。
この余剰分を用いて、五百億円もかからない大学院生への支援ですと対象者や支援の額の拡充ができるのではないでしょうか。政府の見解をお尋ねいたします。
○あべ国務大臣 本当に、委員の数字、しっかりと計算されていた中でありまして、実は、私どものこの修学支援新制度、非課税世帯の高等教育進学率が全世帯進学率と同じ水準で向上することを想定しておりまして、対象となり得る学生分の、全員が支援を希望した場合でも対応できるような十分な予算を確保しました。
他方で、非課税世帯の進学率が全世帯の進学率と同じ水準に実は達しておらず、支援対象となる学生の制度が、情報が実は十分に届いていない、先ほどの委員の御指摘でございますが、執行状況が予算額に満たない状況にあるというふうに考えておりますが、まずはこの制度を着実に実施させていただきまして、また、更なる負担軽減と支援の拡充、論点を整理した上で十分な検討を行いつつ取り組んでいきますので、本法案を是非お認めいただければと思います。
○小山(千)委員 御答弁ありがとうございます。
ただし、さらに、現行法が審議された平成三十一年三月二十二日、衆議院の文部科学委員会において、伯井政府参考人が、所要額でございますが、低所得者世帯の進学率が全体進学率に達するという仮定の下で、支援対象者は七十五万人程度になると想定し、最大七千六百億円程度と試算しておりますと御答弁しております。しかし、令和七年度の予算は、地方負担分も含めて七千二十五億円にとどまっています。
政府の説明どおり、現行法でも予算規模七千六百億円まで増額できる、しなければならず、改正法の対象が拡大されるのであれば、更なる増額をしなければならないのではないでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
修学支援新制度創設時におきましては、支援対象者七十五万人程度、最大七千六百億円程度と試算しているというふうに、政府参考人、答弁をさせていただいたところでございますが、この数字につきましては、当時、低所得者世帯の進学率が全体の進学率に達するという仮定の下で試算をしたものでございます。
令和七年度からは、従来の低所得者世帯への支援に加え、新たに子供三人以上を扶養する多子世帯に支援を拡充するために、これまでの予算の執行状況や、また現時点におきます低所得者世帯の進学率というものも踏まえつつ、既存の予算を最大限活用しながら、低所得者世帯と多子世帯を含めた八十四万人を対象に支援を行う上で必要な経費とし、令和七年度予算案において七千二十五億円を計上しているところでございます。
○小山(千)委員 御答弁ありがとうございます。
時間もぎりぎりなので、次で最後にさせていただきます。
また、現行法上、この制度、財源は、附則第四条において「増加する消費税の収入を活用して、確保する」と定められており、改正案でも変更がありません。令和五年度大学等修学支援制度の政府予算は五千三百八億円、執行率は六割弱で、まだ余力があるとはいえ、青山議員が指摘したよう、今後、子供二人以下の中間所得層の支援を拡大する際、多子世帯においてでも、兄弟間の不公平をなくすため、不要な扶養要件を撤廃する際に更なる予算が必要となった場合、今の規定であれば、ほかの子供の支援等の消費税財源から充当するか、消費税の増税を行わなければならない、財源が確保できないということになりかねません。
そこで、附則第四条中の「収入」を、収入等で改めるべきではないでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。
○伊藤政府参考人 御答弁申し上げます。
大学等における修学の支援に関する法律の附則第四条におきましては、高等教育の修学支援新制度に要する費用の財源について、消費税の収入を活用して確保することとしてございますが、この法律の趣旨につきましては、本制度の対象となり得る学生等の全員が支援を希望した場合でも対応できるよう、十分な予算を確保するためにこうした規定を設けているところでございます。
令和七年度からの多子世帯への支援拡充についても、本規定に基づく消費税財源を活用し、対象となり得る学生等の全員が支援を希望した場合でも対応できるよう、必要な予算を十分確保してございまして、現時点において本規定を改正する必要はないと政府としては考えているところでございます。
○小山(千)委員 御答弁ありがとうございました。
今後、四年をめどとされる見直しをできるだけ早い時期に行い、対象の拡大や支援の額の増加、特に中間層の負担軽減に迅速に取り組んでいただくことを強く要望して、私の質問を終わります。
温かいお言葉、ありがとうございました。
いろいろ、皆さん、やはり、大学に行かせるため、お母さんも一生懸命子育てしながら、お父さんも子育てしながら頑張っていると思います。みんなが幸せになれるように、私はこのバッジをおかりして代弁をさせていただいているだけですので、皆さんの意見だと思って、今後とも厳しい意見を言わせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○中村委員長 次に、辻英之君。
○辻(英)委員 立憲民主党の辻英之です。どうぞよろしくお願いいたします。
大学等における修学の支援に関する法律の一部を改正する法律案について質問をします。
まず、私、三人の子供を育ててきました。というか、まだ三人目が大学在学中です。先週の質問でも紹介したとおり、私は、人口千五百人の長野県の泰阜村で三十年間、NPOで働いてきました。年収が極めて低い中で何とかやりくりをして、本当に大変でした。大変です、今も。
当然、村の高校生や保護者の皆さんと日々語り合ってきた当事者でもあります。さらに、長野、福井、北海道、九州、これらの大学で十五年間非常勤講師も務めてきまして、地方の学生の声を聞き続けてきました。そして、議員になる前、二年半ですけれども、青森の地方大学で専任の教員も務めておりましたので、経済的な理由で進学を諦める地方の生徒が苦しむ姿を見続けてきました。
今日は、この地方に暮らす立場、大学在学中の親の立場、若者に向き合う大学教職員という当事者の立場から、そして、当然のことながら、青森、福井など地方大学担当者、高校生、保護者、支援を受ける現役の大学生に徹底的に聞き取りをしたことを基に質問をします。
この修学支援拡充は是非ともやるべきだ、この方向は一致をしています。問題点は後から指摘しますが、それでもこの新制度を待っている生徒、保護者、全国にいるんですね。保護者の方、こんなふうに言いました。所得制限がないので、子供が多い家庭にとってはよい制度だ。高校の担当者もこんなふうに言っています。多子世帯で進学を諦めていた優秀な生徒にもチャレンジする機会が生まれる、このように感謝をしております。
しかし、皆不安になっているんですね。本当にこの四月一日からこの制度は始まるのか、始まらなかったらどうしようかと。これは来年の四月一日じゃなくて今年の四月一日ですね、もうあと二週間後。まだ決まっていない、今頃審議しているこの状況を、これを不安に思っている声を聞いています。
高校生も保護者も、制度が始まるという前提で進学準備を進めています。というか、もう後戻りできない。ただでさえ家計が苦しいために将来の不安がある人たちが、更に不安になっていく、これは本当に避けなければならないと思っています。
一方、見切り発車を余儀なくされている大学現場からは、こういう声がありました。対象になるのかという保護者から相談が多く来ている、でも、この時期になっても、国の指針、手続方法等の公表がされていないために、対応に苦慮している。ほかにも、四月中旬には学生の関心は授業の履修に向かってしまう、入学式からの短期間で新制度について正確に分かりやすく学生と保護者に説明する必要があるが、時間も人員も限られている中、厳しい、こう悲鳴が上がっています。
大臣は所信で、幼児教育から高等教育段階まで、教育費の負担軽減を切れ目なくと言っていますが、最も支援を届けなければならない現場に、まさに切れ目が起こる寸前ではないでしょうか。もっと用意周到に進められなかったのかと思います。
そこで、伺います。
先ほど小山議員もただしておりましたが、新制度の支援対象者や関係者を不安にさせ、混乱させている責任をどう捉えておりますか。大臣の見解を伺います。
○あべ国務大臣 青森、長野、福井と、日本の地方の様々な御意見を聞いていらした委員、心から尊敬しておりまして、やはり日本というのは、各地区の人たちのそういう意見を聞きながら、国政をつかさどっていかなければいけないと私どもも思っているところでございます。
本当に、高等教育の修学支援新制度でございますが、今回の制度改正により支援対象者が大幅に増加をすることも踏まえれば、この支援の必要な方々に御活用いただくために、積極的な情報発信、関係者の分かりやすい説明は、まさに委員がおっしゃるように重要でございます。
文部科学省としては、今回の制度改正の具体的な内容につきましては、政府の責任におきまして、昨年一月から、実は、テレビ放映また政府広報で広く一般の方々への周知を図っているとともに、また、大学や高校に対しても、行政責任の実施や、通知の発出を、周知を図ってきたところでございますが、一方で、委員から御指摘いただいた現場からの声もしっかり受け止めさせていただきながら、例えばSNSなどの様々な広報媒体を活用した周知を更に増やすなど、今後とも、学生、保護者の方々に対しての積極的な情報発信と、関係者の分かりやすい説明に取り組んでまいります。
○辻(英)委員 ありがとうございました。
責任を感じてほしいんですね。とりわけ地方の人たちへ、今後、大臣からも丁寧なメッセージを発することをお願いを申し上げたいと思います。
それでは、法案の中身に入ります。
まず、改正法の目的を確認したいと思います。何度もこれは質問されていますが、現行法の目的では少子化の対策が明確です。しかし、改正法の目的は、少子化対策なのかどうかが曖昧だと感じております。
改めて確認します。
改正法もまた少子化対策が目的なのかどうか、改正法の趣旨、目的を伺います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
改正案の目的規定では、低所得者世帯の学生等に加え、多子世帯の学生等も授業料減免の対象とすることから、家庭における教育費の負担の一部を社会全体で負担し、家庭における教育費の負担の軽減を図ることによって、子育てに希望を持つことができる社会の実現に寄与することを目的とすることといたしました。
子育てに希望を持つことができる社会が実現できれば、少子化傾向にも歯止めがかかり、少子化の進展への対処にも寄与するものでございまして、少子化対策の意図も含め、より広く規定をしたところでございます。
○辻(英)委員 ありがとうございます。
広く考えて少子化対策ということなんですけれども、本当にこれが少子化対策になるのかというのは疑問に思っています。制度導入後五年がたとうとしておりますが、出生率は下がる一方で、令和六年度推定七十二万人。少子化対策にはなかなかなっていないんじゃないかなと思っています。
一方で、青森でも福井でもお聞き取りをしましたけれども、支援された学生のうち第一区分、つまり、満額支給の生徒が半数を超えているんですね。資料一、皆さん、一と二なんですが、これは文科省のデータなんですけれども、文部科学省のデータとも同じ傾向です。つまり、低所得者を救う対策にはなっているなと思っておりますので、そこは評価をしたいと思っております。
そこで、改めて伺います。
修学支援制度が少子化対策になる合理的な理由を伺います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っているものというふうに考えてございます。
一方で、理想の子供の数が三人以上であるが、実際の子供の数が二人以下である夫婦の約六割が、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからを理由として挙げてございまして、今回の制度改正は、教育費の負担を理由に三人以上の子供を持つ希望を断念している世帯に対し教育費負担を大幅に軽減することができ、この観点からは、そうした障壁というものは一部軽減されていくのではないかというふうに考えてございます。
なお、これまでの制度は、あくまで低所得者、多子世帯ということではなくて、低所得者のところだけを支援対象としてございましたので、そうした意味では、今委員から御紹介をいただきましたような低所得者の部分に対して、特に経済的負担を軽減でき、進学が実現することができたという、そうした観点での効果も大きかったのではないかというふうに思ってございます。
○辻(英)委員 教育費の軽減によって、希望の数の子供を持てない、こういう要因、軽減する一定の効果があった、これは伺いました。
でも、三人以上の子育てをする困難というのは、三人が生まれてから三人が無事に大学を卒業するまで続くんですね。それを支援し続けることが、切れ目のない教育負担軽減ではないのかと思います。扶養から外れた途端に対象外になる、これは現状でもすぐに当てはまる家庭が多いと思いますよ。
例えば、私自身の家族もまさに当てはまるので、ちょっと具体事例として挙げましょう。
三人の子供がいますので、対象です。一人目が大学に入った時点で一人目は無償になりますね。二人目は三つ離れているんですね。なので、一人目が大学四年と二人目が大学一年、この一年間は二人とも無償です。大変ありがたいですね。私のように地方に暮らして年収が少ない家庭にとっては、大変うれしく思います。
しかし、一人目が卒業して就職した時点で、二人目の二年生以降はいきなり対象外ですね。しかも、三人目も、二人目に二年遅れて大学に入りましたが、二人目も三人目も対象外ですね。つまり、最も経済的に厳しい二人、三人目の在学期間が、これでは支援されないことになります。地方に多い私のような多子世帯の家庭、つまり恩恵が大きい家庭こそ、扶養要件に振り回されてしまう。これでは本末転倒なのではないかと思います。
改正法の扶養要件では、例えば私のようなケースは容易に想定されます。そう思うと、理想の数の子供を最初から諦める夫婦がいるのではないかと。これでは、少子化の対策という法の趣旨、目的に逆行することにもつながると思います。
そこで、伺います。
少子化対策と言うなら、先ほど皆さん、いろいろな議員も指摘しておりますが、扶養要件を緩和する、対象を拡充すべきではないのか、端的に伺います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
三人以上の子供を持つ家庭にとっては、最もその経済的な負担が重い状況にあるのは、三人を同時に扶養している期間であると。そういう中で、例えば、第一子が大学に進学し、下の子が、今御指摘いただきましたように高校生や中学生、若しくは二人目も大学一年生に入っている、こういうような状況など、三人以上を同時に扶養している期間が最も負担が重い状況でございます。
一番上の子が大学を卒業して就職などして扶養から外れた場合には、いわゆるその家庭が面倒を見る、経済的に負担を負うというのは二人というような形になりますので、他の二人兄弟を持っている御家庭と同様の負担になっていくということでございますので、財源が限られている中で、負担が集中している期間を優先をして支援をするということとしているところでございます。
なお、今般の法案によりまして、令和七年度から支援対象を大幅に拡充することになりますが、その後につきましては、まずはこの制度を着実に実施に移し、その効果を見定めながら、更なる負担軽減、支援の拡充についても、論点を整理した上で十分検討を行いつつ、取り組んでまいりたいと思っております。
○辻(英)委員 ありがとうございました。
昨日、立憲の安藤議員から、うっかりアルバイト収入で扶養が外れてしまったケースとか、国民の西岡議員も、一人目が大学で二人目が就職した場合扶養が外れたケースなど、支援対象とならない。これは、制度設計として不十分な点が散見されると思います。
ほかにも、例えば、三人目からは全員無償化するとか、これは現場から伺ったんですけれども、改善の余地は相当あるのではないかと思います。今回への反映は無理としても、令和八年度以降の修正ではしっかり検討されていくことを強く求めたいと思います。
さて、財源がない財源がないという言葉が常套文句となっているのでちょっと聞かせてほしいんですが、今回の多子世帯の扶養要件を外した場合、七年度予算二千六百億円に加えて、どれだけ所要額が増えるのか伺います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
扶養の要件を外して子供三人以上の世帯の全ての大学生等を支援する場合、令和七年度政府予算案からの追加所要額は約二千六百億円の増というふうに試算してございます。
○辻(英)委員 ありがとうございます。
二千六百億ですね、更に。これはちょっと後ほどまた指摘します。
ちょっと質問の順番を変えますね。
財源がないというんですが、不用額が毎年二千億程度、資料の二ですね、これは毎年残っている、これだけ残っています。執行率が毎年六割前後にとどまっているということは、先ほどの議員も指摘しています。
これは幾つか問題があるので指摘しておきたいんですが、令和二年から今までに至るまで、既に五年がたとうとしている。なのに執行率が改善されない、これは一体どういうことなのか。見込みより申請する生徒が少ないのか、少ないならなぜなのか。申込数は多いが要件に合わない、つまり不採択の生徒が多いのか。ほかの理由、周知不足と余裕を持った予算組みというのは聞いておりますが、ほかの理由があるのかどうか伺います。なぜ六割程度にとどまり続けているのか、理由を教えてください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
高等教育の修学支援新制度におきましては、非課税世帯等の高等教育進学率が全世帯進学率と同じ水準まで向上することを想定をし、対象となり得る学生等の全員が支援を希望した場合でも対応できるよう十分な予算を確保しているところでございますが、他方で、非課税世帯の進学率、上昇傾向にはございますけれども、まだ全世帯進学率と同様の水準までは達していないということ。
そうした要因の一つといたしましては、当然進学はお金だけではない面はございますけれども、お金のところで仮に心配がなくなったとしても、その情報というものがしっかり支援対象となる学生等に十分制度の情報が届いていない。これも、高校三年生のときには情報を初めて知ったけれども、早い段階からその情報がなかったので十分な準備ができなかったということもあるのではないかというふうに思ってございますので、私ども、この周知については、早い段階からしっかりと必要な方々に情報が届けられるよう、積極的に周知に努めていきたいというふうに思ってございます。
○辻(英)委員 ありがとうございます。
少子化対策というなら、目的というなら、この不用額、これだけ毎年残っているので、これを使って対象を拡大すればいいのではないかと思います。先ほど、扶養要件を外した場合の追加所要額がざっと二千六百億と聞きました。これは一人百万円でも二十六万人支援できますね。
そこで、伺います。
先ほど小山議員もただしましたが、不用額を原資として支援対象を拡大すべきではないか、見解を伺います。
○あべ国務大臣 先ほど局長が申し上げましたとおり、本制度につきましては、単年度の執行状況に応じまして支援対象者、支援額を変更するのではなく、あらかじめ対象者を明らかにして周知することによって、学生が予見可能性を持って大学の進学を目指すことができるようにすることが重要でございまして、そのために十分な予算を確保することが必要だというふうに考えています。
今般の法案によりまして、まずは制度を着実に実施いたしまして、更なる負担軽減、支援の拡充についても、論点を整理した上で十分な検討を行ってまいります。
○辻(英)委員 ありがとうございました。
見込みが甘いとは言えませんが、それでも、見込み人数や額をもっと精緻に積算すべきでないかと思います。改めて、精緻な積算をすること、そして不用額が見込めるならそれを活用して支援対象を拡充すること、これを強く求めたいと思います。
財源の消費税については、先ほど小山議員もただしましたので、ちょっと割愛をします。
次の質問に移っていきます。
多くの高校担当者から、次のような声が聞かれました。そもそも修学支援制度を知らない教員が多い。制度を知っていても、制度の理解が低い教員も多い。これを聞いていると、本当に必要な生徒、家庭に届いているのか心配になります。
資料の三を見てください。ちょっと細かい資料で大変恐縮です。
文科省の、高校生の進路に関する保護者調査、これによると、高校卒業後の予定進路は、上の方の四角ですが、就職先が決まっている又は就職活動中の生徒の割合が八・四%。このうち、就職を希望した理由として、進学のための費用が高いからに対し、とても当てはまるが三一・四%、当てはまるが三四・九%、合わせて全体の六六・三%。就職を選んだ生徒のうち、実に三人に二人が経済的な理由で進学を断念しているというデータですね。
文科省によれば、令和六年五月現在の高校生の人数が約二百九十万人。各学年、ざっと約百万人として計算しますと、八万四千人掛ける〇・六六なので、五万五千四百人という計算になりました。この五万五千余人に確実に情報を届け、支援制度を活用してもらうべきだと思います。
そこで、伺います。
執行率が低いことも踏まえて、本当に支援を必要としている階層へアクセスするために、新制度で強化する対応は。見解を伺います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
まさに御指摘のとおり、私どもも、これまでも積極的な情報発信、関係者への周知ということには積極的に取り組んでいるところでございますけれども、御指摘いただきましたような数値も出てございます。私どもとしても、これが、それぞれの実際支援が必要な御家庭、お子さんに十分届いていないという面があるのではないかというふうに反省をしているところでございます。
そうしたことも含めまして、様々な媒体、例えば、いわゆる政府広報のテレビ放映だけをしても、今の高校生はなかなかテレビは見ないというような状況でございますので、例えばインターネット広告、また、SNS、動画配信、こういうようなものを積極的に活用していくということと併せて、やはり進路に関しては、高校生は高校の進路指導の先生とか担任の先生からいろいろなアドバイスをもらうということが非常に重要だというふうに思ってございますので、今、私ども、都道府県の教育委員会の団体、また私立の中高の連合会のところにも、私も直接出向いていきながら、こういうような新しい制度、また徐々に拡充されている制度について毎年しっかり周知をお願いをしながら、そして、その先生方がぱっと見て分かるような分かりやすい資料というものを文部科学省のホームページにも作成をしてあったり、取り組んでまいりたいと思いますし、更に深い情報という形であれば、その後、相談窓口なども充実をさせていただいてございます。
JASSO等とも連携をしながら、しっかり取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
○辻(英)委員 ありがとうございました。
これは本当にしっかりやらないと、結局また執行率が低い結果に終わっていく。苦しむ生徒を本気で救うんだという対応を実行していただくことを強く求めます。
次の質問に移ります。
高校の担当者から、次のような声も聞きました。多くの生徒が該当していたため大変ありがたい制度。当然、該当するかどうかは確認作業が必要となる。そのため、事務職員の業務量が相当増えていた。業務量軽減のため、期限付ではあるが、臨時的職員を雇って対応した。ほか、現行でも制度が複雑で生徒に勧めにくい、新制度は更に複雑になる。
大学でも次の声が聞かれました。学生たちは支援を受けるに当たり、一定の学修意欲と学修成果の要件である学業要件、これを満たさないといけません。資料四ですね。支援対象の学生が学業要件を満たすように、出席の管理、芳しくない学生への声がけ、毎月の面談など、特に支援対象の学生のサポートをきめ細やかに行い、支援が継続するよう、とにかく教職員が努力している。
これは、私も地方大学の教員として経験した当事者です、大変ですよ。
さらに、とにかく制度が複雑なので、希望する学生に何度も説明をする必要がある、こういう声も聞きました。しかし、教職員不足で当該学生に対するサポートが十分にできず苦慮しているという声が多い。要は、教職員がこの制度の事務作業に忙殺されているということですね。これはまさに教職員の働き方にも逆行する問題じゃないかな、そんなふうに思っております。
そこで、伺います。
事務手続の簡略化、そして、期間限定でもよいので、臨時雇用を増やすなどの事務体制強化の支援などができないか、見解を伺います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
二つの側面、まず、高校、高等学校の先生方、事務職員等に対する支援の部分でございますけれども、高等学校の生徒にしっかり支援をしていただくために、その事務負担が増大をするということが極力ないようにしなければいけないというふうに思ってございます。
高等学校在学中に、やはり日本学生支援機構においてしっかりと連携を取りながら、予約採用という制度を導入する形によって、そこのところはあらかじめ、この制度が使えるかどうかということを事務負担なく周知をしていくことが重要だというふうに思ってございますので、この予約採用手続について、生徒の必要な書類等をJASSOの方から高等学校の方に提供させていただきながら、協力をしてまずやらせていただいているところでございますが、その申請過程においては、高校における事務の手続の煩雑化というものを軽減するために、申請書や必要な資料の提出をオンライン化することによって、生徒と同機構の、JASSOとの間で直接手続をすることができるようにし、先生方や事務職員の皆様方に負担を極力かけないようにさせていただいているところでございます。
また、大学等の担当者の負担軽減ということについては、これまでも、申込書類の様式の一元化ですとか、マイナンバーを活用したウェブ提出による資料のペーパーレス化、さらには、学校担当者、大学担当者向けのホームページにおいて、問合せの多い質問事項についてAIを用いた適切な回答の自動的な提示ができるように、こういうシステムを整備をいたしまして、大学担当者の負担の軽減に努めてきているところでございます。
また、授業料の減免は、その性質上、引き続き大学等において実施をしていただかなければならないところではございますけれども、この事務負担の軽減のために、要件の確認等に関しては、日本学生支援機構、JASSOの給付型奨学金の判定結果を活用できることとしてございまして、引き続き、高校、大学双方の教員や事務職員の負担の軽減に努めてまいりたいというふうに思います。
○辻(英)委員 詳しくありがとうございました。大学教職員もまた働かせ放題にならないよう、特段の対応を求めます。
次に、機関要件について質問します。
とりわけ、私立大学だけの経営要件がありますね、事業運営において満たすべき要件。これは、地方小規模大学、本当に悲鳴が上がっています。経営要件が厳しいため、少子化や人口流出率が高い本学のような、これは青森の大学ですが、地方小規模大学としては、要件を満たすことに大変苦慮していますと。私も、当事者として、そのど真ん中にいました。この経営要件を満たすために、地方小規模大学の教職員は必死ですね。その結果、教職員が学生の教育、研究に集中できない環境に陥っています。これは大学の自殺行為に等しく、せっかく制度の支援を受けて修学した学生の学びを阻害してしまう、まさに本末転倒な状況だと言えます。
ここで、伺います。
大学設置基準を満たし、認証評価を受けている大学であるにもかかわらず、なぜ更に経営要件が必要なのか、伺います。
○あべ国務大臣 高等教育の修学支援新制度における機関要件でございますが、支援を受ける学生がやはりしっかりと学べるように、公費による支援を行うものであることを踏まえた上で、先ほど申し上げたように、大学の経営が継続的かつ安定的に行われることを確認するために設けさせていただいています。私立学校の撤退を促すことを目的としているわけではございません。
また、繰り返しになりますが、高等教育へのアクセス確保を図るため、地域の経済社会にとって不可欠な専門人材の育成に貢献している大学に配慮する観点からも、実は機関要件の見直しを行うこととしておりまして、現在、省令の改正の準備を進めておりまして、まず、地方の大学が地域に必要不可欠な人材を輩出するという役割を一層果たすことができるよう、先月取りまとめられました中教審の答申も踏まえた上で、具体的方策の検討を進めながら、速やかに実行に移れるように取り組んでまいります。
○辻(英)委員 ありがとうございます。
地方小規模大学と大都市の大規模大学というのは、やはり違うんですね。地方小規模大学は要件を満たせず、縮小、撤退に追い込まれてしまうことが容易に推察されます。
先ほども大臣もおっしゃいましたが、経営要件を課して更に強化することは、中教審の答申でも打ち出された私立大学適正化という淘汰政策を修学支援制度に持ち込んでいると見られてもしようがないんじゃないかなと思っております。
私学適正化と修学支援は切り離すべき。改めて、経営要件の廃止、少なくとも緩和を強く求めます。
最後に、今回、聞き取りをして、興味深いことを聞きましたので指摘をしておきます。最後の資料ですね。
修学支援制度を導入した令和二年度から、福井県内と青森県内の大学進学率は増えました。これはうれしいことですね。支援成果が出た。一方、両県内私立大学の定員充足率は減少をし続けています。特に福井県はより顕著です。
つまり、この制度の支援を受けた高校生は、県内より県外、つまり、大都市の大学に進学していることを示す一つのデータでもあります。
答弁は求めませんが、修学支援制度が地方の若者の人口流出、大都市への若者の人口集中を助長する可能性を持っているということ、つまり、政府が重点に置いている地方創生に逆行する可能性があることを指摘しておきたいと思います。
共に今後検討を、私たちも一緒に検討する中で、参考までの情報として提示をしておきます。
以上、過疎地に暮らす立場、大学在学中の親の立場、若者に向き合う大学教職員という当事者の立場から質問をしました。
基本的には、本法案の趣旨、方向性は合致しております。しかし、先ほども指摘しました、経済的な理由で進学を諦める生徒が、希望すればしっかり使っていただけるような対応、そして、その生徒、学生を支える高校や大学の教職員が多忙を極めてしまい、学生への学びの提供をおろそかにすることがないような対応について今後も検討いただくことを強く申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○中村委員長 次に、青山大人君。
○青山委員 立憲民主党の青山大人です。
これまでいろいろな各会派のこの法案について質問を聞きますと、やはり共通しているのが、本当に今回の法案が少子化対策につながるのかという、そこの目的のところに結構いろいろな疑問がありました。
あともう一点は、多子世帯とはいえ、扶養要件から外れてしまうとほかの子たちが支援を受けられなくなるという扶養要件、この二つが結構大きな論点になっていると私は思っています。
今日は少子化担当副大臣にも来てもらいましたけれども、私もさきの本会議で、やはりまず、石破政権がそもそも少子化対策を具体的にどう目指すのかと聞いたところ、こういった今回の多子世帯の大学無償化の支援等を通じて少子化のトレンドを反転させることとおっしゃいましたけれども、私は本当に、様々なところに多額な財源を使ってやる以上は、もう少し具体的な目標数値を設定すべきではないかと思うんですけれども、副大臣、どうでしょうか。
○辻副大臣 おはようございます。質問にお答えします。
委員御存じかもしれません、安倍内閣で令和二年に決定された少子化社会対策大綱等においては、若い世代の結婚、妊娠、出産等に関する希望がかなえられた場合に想定される出生率として、希望出生率というのを一つの指標として掲げさせていただいていました。
現在のこども未来戦略等においては、いわゆるそういう希望出生率という表現こそ盛り込んでいませんが、若い世代の誰もが結婚や子供を産み育てたいとの希望をかなえられるよう、個人の幸福追求を支援することで結果として少子化のトレンドを反転させることを少子化対策の目指すべき基本的方向としており、現在も若い世代の希望の実現に取り組むという考えに変わりありません。
重要なことは、結婚を望む方が結婚できるよう、また、子供を持ちたいと望む方が子供を持ち、安心して子育てできるよう、政府として必要なサポートや環境整備を行うことであり、こども家庭庁では、その結果として少子化のトレンドを反転させることを目指して取り組んでまいります。
○青山委員 たしか、当時、安倍政権のときは、希望出生率一・八みたいな目標があったと思うんですけれども、多分それは今全然達成されていないんですけれども、その辺の検証はされているんですか。また、それは今もまだ続いているんでしょうか。
○辻副大臣 今、一・八とおっしゃいましたが、令和二年当時の目標は一・八で、これは、希望出生率というのは、有配偶者の割合掛ける夫婦の予定子供数足す独身者割合掛ける独身者のうち結婚を希望する者の割合掛ける独身者の希望子供数ということで算出をさせていただいていまして、仮に現在、令和七年三月時点の指標で算出すると、この希望出生率というのは一・六になりますが、少子化社会対策大綱は、こども大綱の令和五年十二月の策定とともに廃止しておりまして、現在は希望出生率は指標として用いていません。
○青山委員 異次元の少子化対策ということで、本当に限られた財源を投入し集中的にやっている以上は、やはり、もう少し具体的な目標値、期限というものは政府として設定して、それに向かっていくという姿勢は、私は取った方がいいと思います。
それで、今回の多子世帯の法案に行きますけれども、私は今、子供が二人おります。多分、副大臣も二人とおっしゃいましたよね。この法律ができて、もう一人産みたいと仮定で考えますか。
○辻副大臣 お答えします。
蛇足ですが、私、委員とは同い年でもありまして、二人の子供を育てていますが、少子化対策のみならず、各種施策を推進するに当たっては、青山委員御指摘のとおり、施策の効果等を検証しながら進めていくことが重要だと思っています。
私自身が三人目を考えるかどうかというよりかは、実際、今後、政府全体で、EBPMの強化の一環として、少子化対策についてもKPIを用いて進捗管理、点検、評価を行うこととしています。そのKPIとしては、こども大綱において、子供政策全体に係るKPIという形で数値目標等を設定しています。
今後は、こども家庭審議会において、これらに基づいて施策を検証、評価して、PDCAを推進してまいりたいと考えています。
○青山委員 私も、今、小学校一年生と幼稚園年中なんですよね。こういう制度が今度できますと。ただ、仮に今この瞬間三人目が生まれたとしても、三人目は結局適用はされなくなってしまうんですよね。
多分、もし本当に少子化対策という考えがあれば、そういう、例えば、だって、二人育てていて、大臣、分かるように、もう赤ちゃんから小学校までは、そんな考える余裕ないじゃないですか。それで、小学校とか入っていって、ああという形に。そういうときに、もし仮にこういった制度があったとしたら、もしかして三人目を考えるかもしれない、私はそういうふうに思うんですよね。
ちょっと話が前後したんですけれども、今回は本当にその教育費の負担軽減というところには一部資すると思うんですよ。ただ、本当にその少子化対策というところをずっと言っているじゃないですか、目標が。経済的に、三人欲しいけれども、二人目ということをずっとおっしゃっているんだったら、少なくとも、何回も答弁で、今後、制度が始まってからその運用状況を見て今後の拡充について考えますということをおっしゃっていましたけれども、やはり少なくともこの扶養要件だけは、ここは外していかないと本来この法案が求めている少子化対策にはつながらないと私は思いますけれども。また同じ答弁ですかね、制度を見て考えます以外に、個人的な見解でも何かあれば、お願いいたします。
それとも、先に副大臣にちょっと聞きますかね。
結局、この制度の扶養要件を外さない限りは法案の目的とする少子化対策にはつながらないと思うのは、どうでしょうか。副大臣、お願いいたします。
○辻副大臣 こども家庭庁としましては、このいわゆる少子化対策のみならず、各種施策を推進するに当たって、今回はこの法案審議の中ですが、委員御自身のそういった御意見もしっかりと受け止めながら、しっかりとこれから邁進してまいりたいということしか、今の立場では申し上げられません。済みません。
○あべ国務大臣 委員のお気持ちも大変よく分かるところでございますが、御意見をしっかり受け止めさせていただきながら、まずはこの法案をお認めをいただきまして、制度を着実に、更なる負担軽減、論点を整理して十分な検討をしてまいりますので、よろしくお願いします。
○青山委員 だって大臣、これ、今度の四月からということでもう公表もしているし、こんな状況で我々は反対できないじゃないですか。だって、現に、その対象となっている方たちからしたら、もう、大学のホームページを見ても、今度こういうのができます、ただし、まだ、詳しくは、国会の審議状況ですとかなっているんだから、そんな、我々、反対できないじゃないですか。
さっきも、ほかの委員からもあったように、本来だったら一年早く出すべきなんですよね。去年の常会でも、私、同じ質問をしているんですよ。当時の盛山大臣に質問しているんですよ。来年の四月、まあ、今年の四月から始めるのであれば、今出さなきゃ駄目なんじゃないですかと。私は、その頃から、三人いる多子世帯の扶養要件、三人未満になってしまった場合の対応も、今やらないと、これ、だって、そうでしょう、大臣、子供たちにいろいろな準備を整えてしましょうと言っているのに、政府がこんなばたばたばたばたやっていたら、子供たちに迷惑がかかっちゃうじゃないですか。これは最後の質問にもあったんですけれども。
何でこういうことをやっているんですか。本当にこの政策は、大臣、文部科学省が本当にやりたかった政策なんですか。もしかして、どこかから言われて、多分、みんな思っていると思うんですよ。確かに教育費の負担軽減になるけれども、明らかにこれは中途半端。子供たちの未来を奪っていくようなことにもつながりかねない。
だったら、大臣、もうしようがないです、今更過去は変えられないから。今、我々だってそういうふうな協力をしようという姿勢ですから、この場で、少なくとも扶養要件に関しては、だって、親からしたら、でしょう、今度大学に入れて、今、三人目がもし生まれたら、我が子供も適用になるかもしれないじゃないですか。今二人いて、再来年ぐらいから大学に入る高校一年生、高校二年生がいて、仮にもう一人生まれれば、今の高一、高二が大学に入るときに無償化の対象になるかもしれないとか、そういうことも、もう今から将来を見据えていろいろなことを考えられるじゃないですか。また、いざ始まりました、運用状況を見て、急に、あ、じゃ、来年から今度、扶養以外、外しますとか、そういうばたばた感はやめましょうよ、我が国の教育なんだから。どうでしょうか。やっちゃいましょう、大臣。扶養要件、撤廃します。
○あべ国務大臣 御指摘ありがとうございます。
お気持ちは大変よく分かるところでございまして、何でこんなに法案の提出が遅くなったのかと言われれば、本当に申し訳ないです。是非まず通していただいて、今、待っている方々がいらっしゃるので、是非お願いしたいと思いますし。
私ども、本当に、令和五年の閣議決定した、何度も申し上げますが、こども未来戦略に基づくもので、ずっと精査してきた中で、実は、支援対象者が二十九万人、大幅に増加するということもあって、やはりこれは、財源の問題だけじゃなくて、制度の問題とどこまで対象にできるかというところをしっかり整理しなきゃいけなかったものなんです。
本当に本当に申し訳ないですが、是非、この六年度中に検討をずっとしておりましたので、この法案の提出に関しては、今回、御理解をいただきたいと思います。
○青山委員 だから、そこは分かっているから、我々としては、よりよくあなたたちが求めている少子化対策につながるにはという提案をしているわけですよ。だってこれは、もし仮に去年の総選挙で我々立憲民主党が政権を取った場合、もちろん教育費の負担軽減の大切さは分かる、ただし、物事の優先順位を考えた場合、例えば、同じ財源があったら、先に小学校の給食の無償化とか、そっちの方が私は少子化対策に効果があると思うし、例えば、今現在、二十代、三十代で奨学金の返済、返還に困っている方たち、こういう方たちの返済を免除するとか、そっちの方が少子化対策に即効性があるんじゃないかというのが我々立憲民主党なんですよ。
ただし、今回、私も、本会議場で言ったように、大学受験の予備校で高校三年生に世界史を教えています。これを待っている子供たち、親もいっぱいいます。分かっています。だったら、やる以上は、よりよくしましょうよという話なんですよ。それを、同じような答弁はもういいじゃないですか。今三人同時にいる、そこが負担が大きいからとか、もう同じ答弁は要らないですよ。そこを決断するのが大臣じゃないですか。それをやりましょうよ。
私、文部科学省が発足してから歴代の大臣を見たんですよ。みんな一年で自民党政権は替わっているんですよ。長くやったのが、萩生田先生が二年間やられていて、あとは下村博文先生が三年やられていて、やはり長くやっている大臣は言うことが違う。本当にそう思う、私、見ると。
だから、あべ大臣、ここはあなたの正念場なんですよ。そんなもらった答弁じゃなくて、さっきも我が党の辻委員がいい質問をしたじゃないですか。これだけ執行をやって、不用で残っているんだから。まだ、三千億円弱、作ろうと思えば作れるじゃないですか。大臣、やりましょうよ。何かありますか。
○あべ国務大臣 まだ新人大臣でございまして。だけれども、私は本当に、委員のおっしゃるお気持ちはよく分かります。よく分かりまして、ただ、この制度をお待ちになっている方々も確実にいらっしゃいまして、ですから、私どもとしては、御意見をしっかり受け止めさせていただきながら、優先順位としては、まずはこの法案をよろしくお願いいたします。
○青山委員 大臣、本当に、少子化のこの歯止めは、私は大変だと思っているんですよ。ある意味、日本の有事だと思っているんですよ。そういう財源の逐次投入、これが結果的に滅ぼすんですよ、国を。やるなら思い切ってやる、中途半端はやらない。
そういう中で、私、ちょっと別の質問に行きますね。
先週末、こんなことがあったんですよ。茨城県で、この四月から自衛隊や防衛大学校に入る、入隊、入学者の方たちの激励ということで、茨城県防衛協会とかみんなで応援のイベントをやったんです。そこで、自衛隊の子が、何か代表の方がこう言ったんですよ。うちは家計的に貧しい、親を助けるために自衛官になったんだということをおっしゃっていて、私はそれを聞きながら、この多子世帯の法案のことを思い出してしまったんですよ。
例えば、第一子、まさに、そういう防衛大学校に入った場合、仮に防衛大学としますよ、防衛大学って、いわゆる手当をいただく関係で扶養から外れちゃうんですよね。防衛大学校は例外をつくるべきじゃないでしょうか。どうでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
まず、この制度の対象としては、大学等ということで法律でも定義を置いてございますけれども、文部科学省が所管しています大学になりますので、防衛大学校始め、各省所管の目的の異なる部分は直接の対象にはなっていないところでございます。
例えば、今御指摘いただきましたように、防衛大学校に関して、一定の給与に準ずるような形での支給がなされて、それがいわゆる所得とみなされてくる場合には当然扶養から外れるわけでございますが、その場合には、その家計の経済的な負担というものはなくなっているという状況でございますので、経済的負担が重い世帯をしっかり支援する、この趣旨に鑑みますれば、私どもは、やはり経済的負担が重いところを優先的に支援をしてまいりたいというふうに考えてございます。
○青山委員 もちろん、そういうことですけれども、ただ、これは、私は例外をつくってもいいのかなと思いますので、提案をしておきます、防衛大。
あとは、同じように、高校を出ていわゆる自衛隊に入った方なんかも、まあ、この場合は自衛隊に入隊された方も同じような例外をとはちょっと言いにくい面もあるんですけれども、今、ただでさえ自衛官の数が減っているということで、各地方の協力隊も、自衛隊員の確保、それは多分どこも一緒だと思うんですよ。という中で、もちろんいろいろな事情があると思うんですけれども、家計の経済的な負担とかで、特に防衛大学に行った方とかは、そこは別に特別扱いで扶養の範囲内でもいいのかなというふうに私は思うので、提案をさせていただきます。
あとは、こんな例もあると思うんですよね。これはうちの事務所の若手スタッフがそうなんですけれども、スポーツ、例えば野球とかで、大学が野球推薦、特待で無料で大学に入りましたと。元々無料なので、家計の負担、こういった修学支援金をもらおうが無料なんですけれども、大学側の立場として、例えば大学独自で、そういったスポーツ特待生なんかには、その分更に親に授業料分を、どういう形かは別として、返還というか手当てというか分かりませんけれども、そういうことをやることは、それは大学独自の判断で可能ということでよろしいでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
本制度の適用を受けることによって授業料が例えば無償になるというようなお子さんに対して、それぞれ大学独自でこれまで様々な目的で奨学の支援をしていたような場合については、それぞれの大学の方で、そのお金が、ある意味、直接は支払わなくてよくなる部分の余裕も生じますので、こういうような部分については、より支援を例えば手厚くするとか支援層の拡大を図るなど、しっかりと学生の支援の充実に努めるよう、これはお願いというような形になってまいりますけれども、していくことがこの法律の趣旨にもかなうのではないかというふうに思ってございますので、私どもが支援をした分、大学が支払いをやめただけではなくて、支援の充実に努めていただきますよう、法律が成立しましたらお願いをしっかりしてまいりたいと思います。
○青山委員 じゃ、その辺は大学独自の判断でできるということでよろしいですね。分かりました。
次は、海外の大学に行く場合、本会議でも質問しましたけれども、基本的には適用になりませんけれども、日本の大学に行きながら、途中、留年して海外の大学に行く場合、これは基本的に、留年するとこの支援制度が打ち切られるようなケースがあると思うんですけれども、そういった、単位不足とかじゃなくて、本人が一回留年するけれども、海外の大学、これはもちろん自費になっちゃうんですけれども、行く場合というのは、この修学支援は打ち切られないということでよろしいんですか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
留学の形、様々あり得るかとは思いますけれども、例えば、国内の大学等に在籍をしたまま、その大学に授業料を納入しながら、大学間の協定によって海外の大学に留学しているような場合については、まずは、この留学期間中であっても、その国内の大学に支払う授業料がこの支援の対象となってまいりますので、しっかり支援ができるというふうに考えてございますし、また、国内の大学の在学中に、正規の手続を経て、休学という制度をしっかり利用していただいて、休学して海外の大学に行かれるような場合には、その海外の大学の授業料はこの支援の対象にはなりませんけれども、休学して復学後に、修業年限を超えない範囲でしっかりと、例えば通常の学部であれば四年間という形になりますけれども、支援を行うことができるとしてございまして、この制度というものが留学の妨げにならないよう、しっかり努めて、配慮してまいりたいと思います。
○青山委員 そうしますと、大学が認める留学制度を利用して行くということですけれども、仮に、大学の正規の留学制度を利用しないで自分で留学する場合、もちろん海外の大学代は自分で出すんだけれども、その間、国内の大学に在籍する場合なんかのこの支援の継続、打切りはどうなんでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御答弁申し上げましたとおり、留学のために、いわゆる今入っている国内の大学は休学をして留学をします、こういうような形であれば、その期間というのはもちろん支援は直接はできないんですけれども、復学後にちゃんと支援を継続をして、学部であれば都合四年間の支援ということをさせていただくような形で取り組んでいるところでございます。
○青山委員 そうしますと、結局は最大四年間になってしまうということなんですよね。
ここもやはり問題で、歴代の文部科学大臣の常会の最初の所信表明を、私、ずっと見返しているんですよ。そうしたら、やはりグローバル人材ということはうたっていますし、私は本会議でも言いましたけれども、この制度も、海外の大学に行くのもやはり僕は適用してもいいのかなとはそもそも論として思うんですよね。ただ、それに関しては、本会議のときにはっきり、その規定を見直す考えはありませんときっぱり否定されてしまったので、困ったものだなと思うんですけれども。
今も海外への留学のいろいろな支援制度はあるんですけれども、大臣御存じのように、非常にやはり門が狭いんですよね、非常に狭い。これは私も去年も委員会で言っていますけれども、この物価高とか為替の状況を見ると、よりなかなか日本人の子たちが海外に行けない。一方で、海外からの、日本がお金を払って、外国の方の留学費はそれなりの予算をつけて継続をしている。
もちろん、外国の方が日本に来る留学の費用の支援を全部は否定、批判はしませんけれども、やはり私はもう少し日本人に対する支援の方を増やすべきだと思うんですけれども、その辺、いかがでしょうか。
○あべ国務大臣 グローバル人材育成、本当に、まさにずっと私ども、大切ということを言い続けているわけでございますが、日本人学生の海外留学と優秀な外国人留学生の受入れ、一体的に進めている中にありまして、大学の多様性、流動性を高めながら、国際的な学習の環境を整備することが重要だというふうに思っておりまして。
特に日本人学生の海外留学支援は重要でございまして、この令和七年の予算案におきましては、日本人関係予算を拡充してバランスを取っていこうというふうに思っておりまして、具体的には、昨今の物価高騰を踏まえた上で、日本人の海外留学に関わる奨学金の単価の改正のために、対前年度七億円増の七十九億円を計上したところでございまして、日本人学生の負担軽減を図ることとしておりまして、引き続き、文科省といたしましては、意欲と能力のある日本人学生の海外留学の促進はしっかりと努めてまいりたいというふうに思います。
○青山委員 今回予算を増やしてくれたのは、どんどんどんどん増やしてほしいのと、あとは、海外の留学の方も、結構、今の状況ですから、私は、もしそっちの予算を、これは私の個人的な提案なんですけれども、うちも今小学校は地元の公立の学校に行っているんですけれども、外国人の子がやはり複数いるんですよ。彼らは、やはり本当にちょっとなかなか日本語もままならなくて、困っている子もいます。
優秀な外国の大学生を日本に引っ張ってくることも分かりますけれども、私はむしろ、そういういろいろな御家庭の事情で今、日本にいる小学生、ちっちゃな子に、やはり日本の教育はすばらしい、日本っていいなと思ってもらえるようもう少し力を入れるとより私は日本を愛する方が増えるのかなと思うので、そこはちょっと提案させてもらいます。
じゃ、答弁をどうぞ。
○あべ国務大臣 特に、委員の御指摘の、日本に理解のある外国人を増やすという観点、その観点からも、私は、日本の公立の小中学校に通う外国人児童生徒に対する教育を充実していくことはまさに重要だというふうに考えておりまして、文科省としては、日本語指導の特別教育課程の制度化と、また、日本語指導に必要な教員の定数の着実な改善と外国人児童生徒の支援に取り組む自治体に対する支援などもずっと行ってきたところでございますが、令和七年度の予算に関しましては、帰国・外国人児童生徒に対するきめ細やかな支援事業につきまして、対前年度一・五億円増の十一・五億円を計上いたしましてサポートの増強に努めているところでございまして、引き続き外国人児童生徒に対するきめ細やかな支援に努めてまいります。
○青山委員 では、この法案、最後の質問になります。
私は、本当に、去年の国会から、多分この関係、三回ぐらい質問していて、いいかげんもう最後ですけれども、これは奨学金のことも関わってくるので、この返還なんですけれども、やはり今、二十代、三十代が一番、結婚、子育てにこれからいく世代が返還に困っているという現状もありますので、そこの返還の緩和とかを含めて、そこは我が党が既に提案していますので、是非参考にしてもらって、取り入れてほしいなと思いますし。
もう一点、最後、以前は、二〇〇〇年初頭までは、大学を出て教員になった方は、奨学金の返還は免除になった規定があったと思うんですよね。私はこれはやはり復活していいのかなと思うんですけれども、大臣、一言お願いいたします。
○あべ国務大臣 委員の御指摘をしっかり踏まえさせていただきたいというふうに思います。自治体ベースでやっているところもございますので、またしっかりと受け止めさせていただきたいと思います。
○青山委員 ありがとうございました。
○中村委員長 次に、美延映夫君。
○美延委員 日本維新の会、美延映夫です。
先日の本会議の質問に引き続いて、本日も質問をさせていただきます。大臣、よろしくお願いいたします。
今回の法案は、いわゆる多子世帯の御家庭の学生について、一定額まで所得制限なく授業料や入学金を無償化するものとなっています。関係する経費は令和七年度予算案にも計上されており、この春から大学や高専、専門学校にめでたく入学する方や、二回生以上の方も支援の対象と伺っているところです。
先日十三日の本会議でもお話ししたことと重なりますけれども、私たち維新の会は、全国に先駆けて大阪で教育費の負担軽減を進めてきた政党であります。さきの衆議院選挙でも、国民全体に開かれた機会平等の出発点として、子供たちが経済状況にかかわらずひとしく質の高い教育が受けられるよう、義務教育に加え、幼児教育そして高校において所得制限のない完全無償化を実現すること、大学、大学院などの改革と合わせて、教育の全課程の無償化を目指すことを掲げており、教育の無償化は、国策としても私は最重要課題の一つだと考えております。
その観点から申しますれば、今回の多子世帯の無償化は、今より大幅に対象が拡大するため、我が党として掲げる方向性に合致するとは言える一方で、我が党の理想からすれば、まだまだ事足りないという感じがしております。更なる支援が必要だと思っております。
そこで、本日は、本会議の質問に引き続き、この法案が来年度からの教育費の支援として本当にふさわしいのかどうかしっかり見極めるため、政府の姿勢や運用が妥当かどうかをお伺いさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、本会議で伺ったところでありますが、議論の最も基本的な前提として、多子世帯の定義について改めて確認をさせていただきます。
条文上、支援の対象となる学生は、「三人以上の子等の生計を維持する者に生計を維持されている子等」、本当に複雑な書き方になっておりますが、文科省さんの説明によれば、これは子供三人を扶養している間は支援しますよという意味のことだそうです。
つまり、子供が三人いて、一番上のお子さんが大学に通っているとすれば、その間はその御家庭では下の子も一緒に面倒を見るのでしょうから、一番上のお子さんは卒業まで無償化が続いていくということなんでしょうけれども、ただ一方で、その一番上のお子さんが卒業して、扶養する子供が二人になったときは支援されないということで、ということは、言い換えると、二番目のお子さんは、学年の途中でも支援の対象から外れてしまうということになります。
なぜこういう制度設計にしたのか、それをまずお伺いできますか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
今回の制度改正におきましては、扶養する子供が三人以上の世帯を対象としてございますが、これは、理想の子供の数が三人以上の場合において、それを断念する理由とし、教育や子育ての費用を挙げる傾向が最も顕著である、こうした状況を踏まえたものでございます。
三人以上の子供を持つ家庭にとっては、最も経済的な負担が重い状況にあるのが、例えば第一子が大学に進学しており下の子が高校生と中学生であるなど、三人以上を同時に扶養している期間であることから、この財源が限られている中で、負担が集中している期間というものを優先して支援をするということを目的にこの法律の提案をさせていただいているところでございます。
○美延委員 三人ということで、文科省さんのこの間いただいた調査結果によると、私立大学の授業料の平均が約九十六万円、その他経費が十数万円かかるとして、子供二人世帯でも一気に二百数十万出ていくことになり、これはかなり苦労して家計をやりくりされております。
実は、今日言うつもりはなかったんですけれども、各質問者の方が御自身の御家庭のことを言われて、実は私、今、二人娘がいまして、大学三年生と一回生です。どちらも私立の大学に通っております。だから、どれぐらいかかっているか、月謝を払っているのは私ですから、授業料を払っているのは私ですから、分かっております。別に、私がいるから二人でも何とかしてくれと言うつもりは私自身はないですけれども、ただ、やはりこの費用というのはかなり負担になることは事実です、私、実際に支払っていますのでね。
だから、これに関してやはりもうちょっと、大臣、この間も、今日これは言うつもりはなかったんですけれども、やはり正味のことを言った方がいいかなと思って、正味のことを言わせてもらおうと思いまして。もちろん、自分の娘ですから、幾ら授業料を払っているのかも当然分かっていますので、だから、やはり二人のあれも、どうですか、大臣。
○あべ国務大臣 委員の今の生活の中で大変実感のこもった御質問をいただきまして、ありがとうございます。
実は、大学の授業料などの高等教育費について、二人以下の世帯も支援すべきという声、いろいろなところでいただいておりまして、委員会、本会議においても御質問いただいているところでございますが、三人以上を同時に扶養している期間が最も経済的な負担が重い状況であることが、財源が限られている中でございまして、この負担の集中しているところの世帯をまずは優先させていただいて支援させていただくことにしておりまして、この法案を通していただきまして、また、制度を着実に実施をいたしますので、その上で、教育の機会均等、少子化の観点から効果を見定めつつ、引き続き高等教育の負担軽減に取り組んでまいりますので、実感のこもった御質問ありがとうございます。私どももしっかり頑張ってまいります。
○美延委員 何か、大臣にうまいこと丸め込まれたなというような気がしております。
更に支援を行うことは当然財源が必要になる、これは私たちも理解ができます。だから、断定的なことは言えないと思いますけれども、やはり、文科省さんとしても、子供二人への支援が、まあ、これから、先ほど大臣が言われたように、まず三人でやってみて、その後は考えていくということなので、これは是非、これがゴールではなくて、これがスタートだということで、是非、これは本当に何回も、この間も言いましたけれども、大学に行かす、これはやはり、その親御さんの収入とか経済状況とかそういうのは関係なしで、学びたい人にしっかり学んでもらう、スポーツしたい人にしっかりスポーツをしてもらう、こういうことが僕は必要だと思いますので、これは是非、もうこれ以上は申しませんけれども、大臣によろしくお願いしたいと思います。
次に、ちょっとお伺いしておきたいのは、大学の教育の支援を、対象としている方に届けていく取組も、私は必要だと思うんです。
大学の授業料減免でも、これは奨学金だけでも話は全て同じかと思うんですけれども、経済的支援の制度は、知られていなければ活用することができません。また、今回の制度は、少子化対策の観点でもあるということですから、教育費の負担を気にする子育て世帯の保護者の方々に知ってもらわな意味ないわけですよね。しかし、御家庭に余裕がなければ、支援のこういうことがあるということにたどり着きづらいというようなジレンマを私は抱えていると思うんですけれども。
また、今の本当に授業料減免制度の手続についても、私も詳しくは分かりませんけれども、率直に言って、行政の手続というのは面倒くさいことが多いです。事務手続はなるべくシンプルでないと、最悪の場合、学生本人が支援を受ける気にもならないかもしれませんし、また、ほかの学生よりもお困りの学生だけが手続のために役所や大学を何往復もするとかいうことになるのも、これもいかがかなと思います。
そこで、大学生への経済的支援の積極的な周知の必要性についてどうお考えになっているのか、それと、先ほども言いましたように、やはり事務手続を簡素化することが重要やと思うんですけれども、これに対して、大臣、どう思われているか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘のとおりでございまして、高等教育の修学支援新制度、学生等の申請に基づき支援を行うものでございますので、この情報がしっかり申請をする方々に届き、かつ、その申請のハードルというものを極力低くしなければならないというふうに思ってございます。
このため、今回の制度改正によって支援対象者を大幅に増加をすることも踏まえますれば、新高校三年生全員にリーフレットの配付をするなど、積極的な情報発信、関係者への分かりやすい説明が重要だというふうに考えてございます。
加えて、この制度における事務手続の簡略化というものは、大学等の担当者と学生や保護者の双方における負担の軽減につながることから、私どもといたしましては、申込書類の様式の一元化やマイナンバーを活用したウェブ提出による資料のペーパーレス化等を行ってきたところでございまして、引き続き、学生や保護者にとって煩雑な事務手続が支援を受ける妨げとならないよう、事務負担軽減にも努めてまいりたいというふうに思います。
○美延委員 次に、経済的支援制度の実効性について伺います。
大学の授業料は、大学からすれば、学生たちにきちんと教育を提供するために必要な分はいただかなければいけない、これは私も理解できるんですけれども、他方で、高校の無償化の議論の中で、予算委員会でも取り上げられていましたが、いわゆる便乗値上げです。国が授業料を補填してくれるのであれば、この際に大学の授業料を上げる、大学が授業料を上げるなら、また経済的に進学が厳しい学生が生まれるということは、絶対に防いでいかなければいかぬことやと思います。はっきり言って、穴の空いたバケツに水を放り込むことになってしまうと思うんです。
そこで、お伺いしたいんですけれども、今回の制度改正に便乗して大学が授業料を値上げしてしまっては負担軽減策の意味がなくなってしまうと思うんですけれども、文部科学省は、どのようにこれに対応していく御所存でしょうか。
○あべ国務大臣 大学の授業料に関しましては、学生の教育環境、この充実等のために、各大学が設置者において適切に設定いただくものでございますが、国の支援の拡充の際には、その趣旨に反するような学費値上げが行われていることがないよう各大学に対して通知をしてきたところでございますが、合理的な理由のない学費値上げが行われないように、私どもは、しっかりと要請していきたいというふうに思います。
実は、高等教育の修学支援新制度が開始されました令和二年度以降に、標準額を上回る授業料を学部全体で設定したところは、実は国立大学では五大学あると承知しておりますが、この開始以前で、令和元年におきましての私立大学の授業料平均は九十一万円でございまして、令和五年におきまして九十六万円となっておりまして、いずれも便乗値上げではないというふうに考えております。
○美延委員 国立であろうが私立であろうが、これは絶対にしっかり見ていっていてもらわないかぬと思いますので、それはしっかりやってください。
もう一つ気になっている点があるんですけれども、多子世帯の負担軽減は少子化対策のために行うとはいえ、あくまでも文科省さんが責任を持って行う教育政策ですから、支援が確実に教育のために使われなければなりません。そのように考えたときに、支援のお金の流れ、すなわち、誰から誰にお金が渡るのか、これは非常に重要になってくると思います。
私も、地方議員の頃から現場で様々な方とお話をしてきましたが、いろいろな方のお声を頂戴すると、教育、特に大学進学に関しては家庭の考え方が様々だと感じています。加えて、残念ながら、行政などが子供の支援のためにお金を用意したとしても、きちんとその子供のために使える家庭ばかりではありません。また、子供のためにお金をかける意思があっても、例えば、一人親なんかで仕事が非常に大変であったりするとすれば、子供の大学教育のことまで時間をかけられないということもあるかもしれません。
いずれにしても、せっかく大学のために支援しても、それが別のことに消えてしまったり、また、銀行口座の中に眠ってしまったりということでは、助けたい学生も助けることができなくなると思います。
公費で二千六百億円という大きなお金を使うことを考えても、支援が確実に教育に使われること、これは制度上絶対担保すべきだと思うんですが、そこで、お伺いします。今回の制度改正による授業料の支援について、確実に教育費の支援につながると言えるのか、お金の流れをしっかり説明していただけますか。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
高等教育の修学支援新制度における授業料等減免におきましては、大学等が本制度に基づき学生等の授業料等を減免した際に、その減免した授業料等について、国等が大学等の設置者に対して支弁をする仕組みとなってございます。このため、本制度における国等の支出は確実に学生等の授業料等に充てられる仕組みとなっております。
○美延委員 そこをしっかりやってもらうのと、それから、ちょっと質問の通告には入れていなかったんですけれども、もう一つ私が心配しているのは、せっかく学生の支援をしても、前、本会議のときにも申し上げましたけれども、それが、お金だけもらって、はっきり言って、授業もまともに受けない、遊びほうけている、こういう学生さんに支援するということは、これはやはり税金を使うわけですから、絶対皆さんの理解を得られないと思うんです。
その対策、例えば留年しないとかいう対策があるというのは私も聞いていますけれども、もうちょっと詳しくそこを、チェックできるのかどうなのか、そこを教えていただけますか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
この高等教育の修学支援新制度については、その支援が公費で賄われるものであることを踏まえまして、学業成績の要件を、一定の要件というものを定めているところでございます。
この学業要件の中では、当然、学生がしっかりまず授業に出る、出席をしているというようなこと、そしてその上でしっかり単位を取っていくというようなこと、さらに、成績も、通常授業に出てしっかり学習すればある程度の成績、要件としても達成できる、こういうようなところをちゃんとしっかり加味をしながら、これらが満たせないという形であれば、この支援は、警告をしたり、場合によっては打切りというような形にさせていただく形によって、社会で支えられて、それを受けてしっかり学ぶ、このサイクルを実現できるような制度とさせていただいているところでございます。
○美延委員 そうなんですよね。
この間、本会議でも大臣に申し上げたんですけれども、日本の大学というのは、多分、大臣とか我々が学生の頃からもそうだったと思うんですけれども、入るとき結構難しいんですよね。入ったら、みんな何かもうというのが、多分皆さん、それは実感であるんじゃないかなと思うんですけれども。だから、やはり支援する以上はしっかり大学で勉学をしてもらうということが、私、これは絶対大事なことなので、そこはしっかりチェックしていただきたいと思います。
ちょっと話題を変えますけれども、奨学金について伺いたいんですけれども、平成二十九年に国として初めて給付型の奨学金、返さなくていい奨学金が創設されて、順次対象が拡大していると理解しております。しかし、これらの制度の創設は最近のことであり、過去に奨学金を利用して大学を卒業された方は今でも返還を続けていらっしゃいます。
次の世代に貸与するためのお金であるから返還はしっかりというのが政府の言い分ですけれども、若い世代、大学を卒業してすぐばりばりお金を稼げるわけでもないでしょうし、奨学金の返還がうまいこといかずに延滞してしまっている人が現在どれぐらいるのか、また、月々の返還が苦しい人に対してはどのような支援を行っているのか、政府の御所見をお伺いできますか。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
日本学生支援機構の奨学金の返還につきましては、様々な御事情により返還が困難な方に対しては、これまでも、返還の猶予や毎月の返還額を減額する制度等によりまして、負担の軽減を図ってきたところでございます。
こうした中でも延滞状況にある方がいるのは事実でございまして、令和五年度末時点で、三か月以上の延滞となっている方は十三万三千人、返還者全体に占める割合は二・七%となってございます。
こうしたことも踏まえまして、令和六年度より、減額返還制度について、利用可能な年収上限を三百二十五万円から四百万円に引き上げるとともに、月々の返還額を最大四分の一まで減額できるよう見直しを図ったところでございます。
文部科学省としては、こうした制度等により、引き続き、きめ細かい対応に努めるなど、高等教育費の負担軽減を着実に進めてまいりたいと考えております。
○美延委員 これはやはり、例えば自分の遊興費に使って借金したとか、こういうのはもう全然対象外ですけれども、学業をするために奨学金を借りて学校を卒業してということは、これはやはりあれが違うと思うんですよね。だから、文科省さんも、やはりそこはどうにかちゃんとしっかりやってもらってということを思いますので、これは是非やってください。
あと五分なので、もう一問、前の代表質問のあれで聞きたいんですけれども、前もちょっとお答えはなかなかいただけなかったんですけれども。
大学というのは、私たちが大学に進んだ頃、それからバブルで一番大学の進学数が多かった、今は少子化で大学の進学数が減っている、にもかかわらず、大学の数というのが全然減っていない。ということは、やはり、こういう制度をつくる以上は、大学側にも経営をしっかりしてもらわな私はあかんと思うんですけれども、その点は、もう一度、本会議のときもちょっと何か答弁、どうかなと思ったので、もうちょっとしっかりした答弁をしていただけますか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のように、十八歳人口はかなりもう減少局面に入って長くたってございますが、実はこの間、大学進学率の方はずっと上昇を続けてまいりましたので、現時点においては実は大学生はまだ少し増えている状況でございますが、大体今年、来年あたりがピークになるのではないかというふうに思ってございます。これから先は、急激に大学生が減少していく中で、経営状況も大変厳しく、撤退をする大学も数多く出てくるのではないかというふうに思ってございます。
そうした中で、私どもは、やはり大学に学生が入った以上、しっかりと、少なくとも卒業までの間、学びを継続してもらう、そしてその学びを提供するということが大学の責務だというふうに思ってございますので、この支援をしている最中に大学が経営が傾いてしまって学生を放り出してしまうというようなことはあってはならないというふうに思ってございます。
こうした観点から、いわゆる機関要件ということで、大学の方にもしっかり継続して授業を提供できるかどうか、これは資産の状況ですとか大学生をある程度しっかり集められているか、こういうような条件というものを定めながら、この機関要件を満たし、しっかりといい教育に取り組んでいるというような大学を支援できるよう、今後ともこの制度の運用に努めてまいりたいと思います。
○美延委員 ありがとうございます。
もうあと三分ぐらいなので、最後にもう一度大臣に伺いたいんですけれども、高等教育の負担軽減について大きな認識を伺っておきたいんです。
我々維新の会とそれから与党の自民党さん、公明党さんの中で高等学校や教育の無償化などに関する三党合意を結びました。大学の支援についても、更なる負担軽減、支援の拡充について、論点を整理した上で十分な検討を行い、その結果に基づき成案を得ていくとされています。
この合意文書について、今後更なる負担軽減に向けた検討が進むものと私も期待して考えておりますが、無償化と聞いたときの世の中の反応といいますか、必ずしも皆さん全員が好意的なものではなくて、いや、これはばらまきやとか、これは意味ないというような意見も実際耳にしました。私は、教育への投資というのはばらまきというようなわけは絶対あるはずはないと思うんですけれども、国として、家庭の経済力にかかわらず教育を受けられる基盤を整備し、自分が学び続けられるという希望が持てる社会を実現する、その中で、教育を提供する側も、教育を受ける側も、よりよい教育を求めて競い合う、そして、親世代は次の世代の子供が大学で質の高い教育を受けられるかどうかは心配しなくてもいい、そんな好循環をつくり上げていくことが私は重要だと思うんです。
先ほども、支援拡充はもうこれで打ち止めなのではということを伺いましたけれども、再度、御質問申し上げます。
大臣としても、今回の制度改正による多子世帯の無償化は、もちろんばらまきではなくて大きな意義があると考えておられると思います。あわせて、三党の合意について、更に高等教育費の負担軽減に取り組んでいく必要があると思いますが、大臣の御所見を最後に伺います。
○あべ国務大臣 今回の制度改正におきましては、高等教育費の負担を理由といたしまして理想の子供の数を持てない状況を払拭するということを目指しておりまして、少子化対策としても、また教育機会の均等の観点からも大変大きな意義があるものと考えているところでございます。
お尋ねの三党の合意につきましては、この高等教育の支援については、更なる負担軽減、また支援の拡充について、論点を整理した上で十分な検討を行い、その結果に基づき成案を得ていくこととされておりまして、引き続き、三党合意の枠組みで合意内容の実現に取り組まれるものと承知しております。
教育の質の向上と併せ、教育費の負担軽減にしっかりと文部科学省としても取り組んでまいりたいというふうに思います。
○美延委員 ありがとうございました。終わります。
○中村委員長 次に、西岡義高君。
○西岡(義)委員 国民民主党の西岡義高です。
昨日に引き続きまして、よろしくお願いいたします。
私たち国民民主党、今、衆議院議員が二十八名ですけれども、その三分の二が一年生議員ということで、私も含めまして、一年生議員フル回転、全員野球で役割分担してやっておりますので、連日の登板となりますことを御容赦いただきたいと思います。
それでは、質問に先立ちまして、昨日御答弁いただいた中で、財源が限られている中で、負担が集中している期間を優先して支援するものとしているという御答弁がございました。そして、今日も何度も、財源が、財源がというお言葉がございました。
財源なんですけれども、例えば外貨準備高、G7の他国に比べて十倍前後という高い外貨準備高、いわゆる外為特会の財源であったりですとか、あと、我が党は、昨日も申し上げましたけれども、教育国債、こういったものを発行していくべきではないかと強い主張をしております。
ただ、現在、附則の第四条の、消費税の収入に限られているというような記載がございますので、昨日に引き続きまして、ここの、附則の第四条の消費税の収入、この部分に等をつけて、消費税の収入等とすることで幅広い財源議論を今後進めていただきたいということを改めて主張させていただきます。
それでは、昨日の続きの質問をさせていただきたいと思います。
昨日の最後の、多子世帯への支援の拡充についてお話ししたと思いますけれども、そこから続けてまいりたいと思います。
昨日の質問で、子供三人を扶養している家庭において、一番上の子供が大学に進学し、この制度を使用したけれども、二番目の子供が就職して扶養から外れた場合、一番上の子は支援が打切りになるということを確認させていただきました。
子供がどういう進路をたどるか分からない、そういった中で、その時点にならないと支援が受けられるかどうかも分からないわけです。このような制度が少子化対策になるのかというのは、やはり疑問に思うところでありますし、教育の機会均等や学びの多様性、そういった観点からも、中途半端な施策だなという感じが拭い切れないわけでございます。
そもそも、子供がいる世帯のうち、三人以上子供がいる世帯というのは一一・七%しかありません。その中で、その全ての子供が対象になるわけではないので、支援対象としては極めて狭い制度であるということを言わざるを得ません。
理想の子供の数が三人以上の場合において、理想の数を諦める理由として、子育て、教育費を挙げる割合が顕著ということがありますけれども、この施策がこの点の解決に結びついているとは思えないわけでございます。
私は子供が二人おります。結婚当初は妻に子供は三人ぐらい欲しいねなんて言ったんですけれども、妻には勘弁してくれと言われて、今二人でございます。上の子が今十歳なんですね。下の子は五歳です。仮に、ここでもう一人生まれたとします。そうすると、一番上の子はフルでこの支援を受けられるかもしれないですけれども、二人目以降は、年の差もあるので全く支援が受けられない状況となります。つまり、二人分の授業料を自分たちで負担しなければいけないというのは、今の状況ですと、子供が二人でも三人でも変わらないわけですね。そんな状況で、この制度があるから、じゃ、もう一人いこうかというのは、先ほど青山先生のお話にもありましたけれども、私はならないですね。
確かに、支援対象が拡充されていって、一歩一歩前に進んでいるということは評価いたしますけれども、子供たちの年齢差というのは家庭によってそれぞれまちまちな状況で、子供三人以上の世帯の中でも受けられる支援に差が生まれてしまうということ、こういったことを考えますと、まだまだ不十分な施策であるという感じが拭えません。ですので、引き続き、支援の在り方というのは継続的に検討していかないといけないと思います。
昨日の答弁にも、まずはこの制度を着実に実施し、その効果を見定め、更なる負担軽減、支援の拡充についても取り組んでいくというような内容がございました。であるならば、この見直しの期間、検討条項について、施行後四年を目途となっているんですけれども、これはちょっと四年というのは、やはりこの制度を見直していくには期間が長過ぎるのではないかと思います。ですので、もうすぐに、来年度からでも、まず二年、三年以内、もう早いスパンでどんどん見直しを図っていくべきかと思いますが、この点、見解はいかがでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
今回の附則でも、四年間をめどに見直しという規定を設けてございます。これは、大学生、通常四年間支援することがこの法律、学部段階に入るお子さんが一番多いものでございますので、そうした上では、新しい制度ができ、支援対象になった方が卒業するまでのサイクルが大学の場合は四年でございますので、四年をめどにというような規定を設けてございます。これは、新制度が最初につくられたときにも同様の見直しの規定を設けたものでございます。
一方で、四年間全く見直さないということを規定しているものでは当然ございませんので、今後の社会情勢の変化を踏まえ、必要に応じ、適時制度の見直しを行っていくということは十分あり得るというふうに考えてございますし、私どもも、毎年度、しっかりこの制度の進捗状況を見ながら、必要な課題の洗い出しというものをしてまいりたいというふうに思っております。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
是非、積極的に前向きな見直しをどんどん図っていっていただきたいと思います。人づくりこそ国づくりと言うのであれば、やはり積極的な教育支援はどんどん行っていくべきだと思いますので、重ねてお願い申し上げます。
次に、学業要件について御質問いたします。
今回の改正で、支援が打切りとなる出席率が、五割以下から六割以下に厳しくなりました。修得単位数では、五割以下から六割以下に変更となります。卒業に必要な単位が百二十四単位だった場合、一年生では十八単位以下、二年生で三十七単位以下、三年生で五十五単位以下、四年生で七十四単位以下ですと支援打切りとなる内容でございます。そして、修得単位数においては、警告が出る水準も、六割以下という水準から七割以下へとなっております。
これはそれぞれ厳しい内容となるわけですけれども、これを厳しく変更した理由を教えていただきたいです。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
令和五年十二月に閣議決定をいたしましたこども未来戦略におきましては、多子世帯の学生等の授業料等無償化に当たっては、対象学生に係る学業の要件について必要な見直しを図ることを含め、早急に具体化することとされたところでございまして、これを踏まえ、文部科学省で有識者会議を開催し、検討を行ってまいりました。
お尋ねの見直しにつきましては、具体的には、出席率について、現行、五割以下である場合には支援を打ち切ることとしていますが、有識者会議においては、出席率は、学生等本人の学修意欲や努力による要素が大きいという意見、現行の要件である五割以下というのはより厳しくすべきではないかとの意見などがあったことを踏まえて、六割以下を要件とすることとしてございます。
また、修得単位数については、現行、標準単位数の五割以下である場合には支援を打ち切り、六割以下であった場合には学生等本人に警告をすることとしておりますが、関係団体からの意見聴取において、標準単位数の六割以下は留年が決定する低さであって、警告の意味を成さないとの御指摘があったこと等を踏まえまして、水準をそれぞれ一割引き上げることとしてございます。
また、学修成果の質を見る観点から、相対評価による一定の成績を収めることについては、客観的な成績評価を行う方法として広く導入されていること、学生等に対する履修指導や学修指導と一体的に運用されているなどの利点や効果等を踏まえて設定をしているところでございます。
GPAは、現に進級や卒業の要件、大学独自の奨学金選考等の基準として用いている学校もございまして、こうした取扱いというのは妥当だというふうに考えてございます。
なお、やむを得ない事情がある場合には、疾病、災害等、しっかり、支援の打切り等を行わないこととしているところでございます。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
当然、支援を受けて学校に行くわけですから、しっかり学業に集中してもらわないといけないというのは、私も賛成いたします。
ただ一方、この制度を利用する学生さんは、いわゆる苦学生と言われる、一生懸命生活費もアルバイト等で稼いでいるような学生さんも多いのではないかと想定できるわけであります。
そこで、もう一つの学業要件でありますGPA、成績評価の平均、これによる評価は私は問題があるのではないかと考えております。
このGPAによる評価では、GPAが、その通っている学部や学科などで下位四分の一に入ると警告を受けて、この警告、二回連続で受けると支援が打切りとなってしまう。イエローカード二枚でレッドカードというような、このような条件になっているわけですけれども、私が問題だと思うのは、このGPAの評価というのが相対評価であるということが問題だと思っています。この相対評価によって支援の継続が左右されてしまう。生活費を稼がなければならない苦学生と、あと、勉強時間を多く取れる学生が同じ土俵で戦わなければならない、そういった状況が平等ではないのではないかと考えます。
修得単位数については、自分が努力をすれば、これは何とかクリアできるものです。しかし、他者との争いになる相対評価では、自分の努力だけではどうにもならない部分があると思うわけですね。
修得単位数の要件を厳しくしたのであれば、このGPAの評価要件というのは取り除くか、若しくは緩和していくようなことがあってもいいのではないかと考えますが、この点、見解、いかがでしょうか。
○伊藤政府参考人 繰り返しになるところもあるかと思いますけれども、高等教育の修学支援新制度の学業要件でございますが、支援を受けた学生の社会での自立、活躍を図るという制度の目的と、支援が公費で賄われるものであるということを踏まえ、設定をしているものでございます。
学業要件につきましては、先ほど申しましたような学修意欲というようなものをしっかり測ってまいりたいと思ってございますが、学修成果の質について一定の要件というものは必要だというふうに考えてございますので、修得単位数、授業への出席率のほか、各科目の評定平均値であるGPAというものを用いているところでございます。
このGPAは、御指摘のとおり、相対評価によるというものでございますけれども、既に各大学においては、それぞれ学生の学びの質を測る客観的な成績評価を行う方法として広く導入をされていること、また、学生等に対する履修指導や学修支援と一体的に運用されているという利点、効果等もあるものでございますので、学業要件の一つとして設定をしているところでございます。
なお、そうした要件は設けてございますけれども、幾つかの例外というような形で、それぞれの学びの特性等、学科の特性等を踏まえて、一定の国家資格等の取得を目的とするような分野の学科においては、その国家資格等がしっかり取得できているのであれば、この四分の一相当にしても例外、警告等の、該当しないというようなこと。また、例えば児童養護施設の入所者など、非常に厳しい状況の中で、しっかり学んでいるけれども、結果として四分の一相当に当てはまってしまったというようなことを大学が認めるような場合には、その大学の判断を尊重しながら警告等の対象にしないなど、しっかり個々の状況を踏まえた上で対応させていただいているところでございます。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
二〇二三年度末には、この学業要件の認定を受けた学生約二十五万七千人、このうち警告となった学生は約三万人でした。そのうち、GPA、この相対評価による評価で警告となったのは約二万八千人。警告を受けた学生の九〇%以上がこのGPA、相対評価による警告です。学業要件の判定を受けた学生全体から見ても、一〇%以上の学生がGPAで警告を受けているという状況です。
私は、この制度自体は成績優秀者のみを救う制度ではないと理解しています。苦学生でも安心して勉学に取り組むことができるような制度であるためにも、相対評価であるこのGPAによる要件は今後見直しを検討していってほしいなと思っておりますので、これはちょっと要望として申し上げています。
続いて、奨学金制度について質問させていただきます。
現在の奨学金制度ですけれども、まず、給付型の奨学金がございます。そして、その中身は所得によって階段がつけられている。そして、別に貸与型奨学金というのもあります。これには、無利子のもの、有利子のものとございます。さらには、授業料減免の対象者とこの奨学金の支援の区分が異なる人がいるというような状況で、非常に複雑な制度になっているという感じがいたします。利用する側からは、やはり分かりやすいことというのは重要なことだと思います。
今後、奨学金制度自体をよりシンプルなものにしていく必要があるのではないかと思いますけれども、今後、この観点からの展望をお聞かせください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
奨学金について、今御指摘いただきましたように、いわゆる給付型の奨学金、返還が不要な給付型奨学金と無利子奨学金、有利子奨学金というような三種類がございますけれども、まず、この給付型奨学金については、経済的な困難な家庭の方に対する、修学支援新制度に基づく授業料減免とセットで支援をお届けをするという形になってございますので、その点については非常に紛れなく、明確にその認定を受けた方が対象になるという状況でございます。
ということを踏まえますと、無利子奨学金と有利子奨学金というような二つになってございますが、ここはいわゆる無利子なのか有利子なのかというものが所得の状況に応じて選択できるというような形になっているところでございますが、この辺りについてはやはり、学生に対して、こういう奨学金の仕組みはこうなっているんですよ、おたくの家庭ではこういう、ここの適用を受けられますとか、ここは適用を受けられませんということをそれぞれの学生また保護者の方がしっかり分かりやすく理解できるように、私ども、その積極的な情報の発信、周知に努めてまいりたいというふうに思います。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
積極的な情報発信、周知もしていただけるということなんですけれども、その点について、ちょっと重なるかもしれないんですけれども、具体的な周知、広報の方法、教えていただければと思います。
○伊藤政府参考人 これは、この修学支援新制度の情報の発信と奨学金のものについては、一体として情報を発信していくことが必要だというふうに考えてございます。
文部科学省でも、QアンドAを作成をしたり、ホームページ等で発信をしていくほか、日本学生支援機構において、非常に、シミュレーターというような形で、コンピューター上で、自分の家庭の収入が幾らで、世帯の今の家族の状況はこうだというようなものを入れ込みながら、どんな支援が受けられるのかというようなことが学生でも分かりやすく確認ができるような、こんなシステムを今提供させていただいているところでございます。
加えて、高校段階では、やはり高等学校等を通じてそうした情報を高校生にもお届けをする。ずっと御指摘いただいてございますが、より早い段階からというのもございますので、新しく中学校三年生からも情報を提供するようにしているところでございます。
より丁寧にする部分とシンプルで分かりやすくする部分という両面が必要かなというふうに思ってございますので、今後とも、しっかり絶えず改善をしながら情報の発信に努めてまいりたいと思います。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
昨日も、授業料減免のところで広報については質問させていただきました。重要だと思いましたので、重ねて質問させていただいた次第でございます。
次に、返還の必要がある貸与型の奨学金についてです。
特に有利子の奨学金については、奨学金というよりも、学資ローンのような性質だと感じているわけですね。学校を卒業して社会に出た瞬間から借金を背負っているような状況で、社会に出たばかりの少ない手取りからこの貸与型奨学金を返していかなければならないのは、とても苦しいものだと思います。例えば、この負担がネックになって、結婚をちゅうちょしてしまうような人ももしかしたらいるかもしれません。
私自身も、当時、日本育英会の貸与型奨学金を受けて大学に通っておりました。就職氷河期世代、中小企業のサラリーマンでしたので、少ない、増えない手取りから、無利子ではありましたけれども、こつこつと三十代半ばまで時間をかけて返しておりました。
この返還について、負担を軽くしていくような具体的な施策、現状、あればお聞かせいただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
日本学生支援機構の奨学金の返還につきましては、これまでも、返還の猶予や毎月の返還額を減額する制度などにより負担軽減を図ってまいりました。
毎月の返還額を減額する制度につきましては、令和六年度から、利用可能な年収上限を三百二十五万円から四百万円に引き上げるとともに、子育て時期の経済的負担に配慮する観点から、子供二人の世帯は五百万円、子供三人以上の世帯は六百万円まで更に引き上げたところでございます。あわせて、これまで月々の返還額を最大三分の一に減額できる制度であったところを更に最大四分の一まで減額できるようにするなど、返還負担の更なる軽減を進めてきたところでございます。
文部科学省といたしましては、引き続き、様々な事情により返還が困難な方に対し、きめ細かい対応に努めてまいりたいと考えております。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
そのような様々な施策もやられているということであれば、借りる前からしっかり学生や御家族が認識できるような形に、この辺の部分もしっかり周知、広報していっていただければと思います。
ただ、いずれにしても、返さなければならないという現実は変わらないわけですね。我が国の教育費の高い家計負担率を考えると、やはり奨学金というのは、有利子よりも無利子、貸与よりも給付、ここを加速的に進めていくべきだと私は思います。先ほどと重複する部分もあるかもしれませんけれども、この観点から、今後、奨学金をどう進めていくのかという見解をお聞かせいただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
貸与型奨学金については、平成二十九年度に、これまで予算上の制約によって基準を満たすにもかかわらず無利子奨学金の貸与を受けることができずに有利子奨学金等を借りざるを得なかったいわゆる残存適格者を解消し、以降、基準を満たす希望者全員への無利子奨学金の貸与を実現するなど、まず、有利子から無利子への流れを加速してまいりました。
また、平成二十九年度に我が国で初めての給付型奨学金事業を創設をし、令和二年度からは、給付型奨学金と授業料等減免を併せて行うこの高等教育の修学支援新制度を創設し、支援対象を大幅に拡充をしてまいりました。これにつきましては、令和六年度には多子世帯と理工農系の学生等の中間層にまで対象を拡大したところでございます。
こうした形で、奨学金の、まず有利子から無利子へ、そして給付型の奨学金を創設し、その拡大ということでこれまで努めてきたところでございまして、今回の制度も、奨学金直接ではございませんけれども、授業料の減免の対象を拡大するということを含めて、私どもとしては、しっかりと教育費負担の軽減策というのを進めてまいりたいというふうに思っております。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
給付型に進めていくという認識でよろしいでしょうか。
○伊藤政府参考人 授業料減免という施策と給付型奨学金の支給というような施策には、共にいわゆる教育費負担の軽減をするというようなことで目的を一にしているというふうに思ってございます。
具体的に、これから更に負担軽減を図っていく上で、どのような部分のどういった種類の負担軽減が必要かということについては、この実施状況等も踏まえながら、しっかり課題を整理して検討しながら取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○西岡(義)委員 しっかりと進めていっていただきたいと思います。
残り時間が少なくなってまいりましたので、次の質問に移ります。
この制度の対象である確認大学等になるための機関要件の審査について、お伺いいたします。
経営に係る要件が厳格されたということですけれども、令和六年度から学校の収支差額や負債の超過状況にかかわらず、直近三年で定員の充足率が基準に満たない場合は、この制度の対象外になることとなりました。簡単に言えば、経営状況にかかわらず、大幅な定員割れが続いたら対象から外されてしまうということです。その結果、対象取消しとなった学校の数が、令和二年度から令和五年度の四年間の合計で合計四十一校だったものが、令和六年度は単年で七十七校と大きく増加いたしました。
この制度は、大学等へ国費が支払われますので、大学などへの経営支援という一面も持ち合わせているかと思います。当然、私も安易な経営支援にならないように一定の線引きは必要だと思います。しかし、単純に定員の充足率だけで切ってしまうことで、高等教育へのアクセスという観点から、地方で必要とされている学校であったり、あと、例えば看護師であったり栄養士であったりといった、社会的に重要とされる分野の人材育成の観点から必要とされている学校までが対象から定員の充足率だけで外されてしまうことには問題があるのではないかと思います。
この点は、どのように捉えていらっしゃいますでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
高等教育の修学支援新制度、大学等の経営が継続的かつ安定的に行われることを確認するために、一定の機関要件を満たす大学を対象としてございます。
この支援でございますが、あくまで学生等の学びを支援をするものでございますので、大学の延命などのために支援しているものでは全く制度として異なるところでございますけれども、そうしたような観点で、令和六年四月から、収容定員の充足率の要件を満たさない学校について、制度の対象外とする見直しを行ったところでございます。
一方で、この基本的な枠組みは維持しながらも、今委員から御指摘もございましたように、同様の御指摘、中央教育審議会の方からもいただいてございます。高等教育、特に地方における高等教育へのアクセス確保というような観点から、地域の経済社会にとって不可欠な専門人材の育成に貢献している大学等へ配慮する観点が必要ではないか、こういうような御提言もいただいているところでございまして、こうした御提言を踏まえて、私ども、この制度の拡充に合わせ、機関要件の見直しを行うことを検討してございまして、現在、省令改正の準備を進めているところでございます。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
では、もう一点、令和七年二月時点で確認大学等の割合は、大学、短大、高等専門学校で九〇%を超えているという状況です。専門学校では、逆に八〇%未満と、若干低い状況となっております。
学びの多様性という観点から、確認大学等になる専門学校の割合を大学等と、大学、短大、高等専門学校といったところと同じような水準まで上げていく必要があるのではないかと思いますけれども、この点についての現状の認識と今後の対応についてお聞かせください。
○茂里政府参考人 お答え申し上げます。
ただいまお話ありました専門学校においても、大学と同様に機関要件というものがございます。確認を受けた専門学校の割合でございますが、令和六年八月時点で七八・三%となっており、大学、短期大学の九四・九%、これと比較すると低くなっているというのは事実でございます。
この原因につきましては、団体からの意見聴取や状況調査などを踏まえますと、学校として経営要件を満たすことが困難である、あるいは、学生の多くが本制度の対象とならない留学生等である、こういった事実がございまして、それが主たる要因と考えられます。
文科省といたしましては、専門学校の果たす役割に鑑みまして、地域の経済社会にとって重要な専門人材の育成に貢献していると都道府県知事が認める場合、こういった場合には確認取消しを猶予することができるというふうになってございます。専門学校の特性に応じた柔軟な対応に心がけてまいりたいと思います。
○西岡(義)委員 ありがとうございました。
時間となりましたので、二日間、合計五十五分間、もうそろそろ私の顔も見飽きた頃かと思いますので、これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○中村委員長 次に、大石あきこ君。
○大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。
今回の修学支援法改正について、多子世帯の支援とされます。この多子世帯の定義が、三人の子を現に扶養している世帯という定義になるということで、あべ文科大臣、第一子が卒業したら第二子が支援から外れるという多子世帯の定義に基づく支援では、支援の予見可能性も含め、理想の数の子供を諦めることがない社会の実現に寄与しないのではないですか。
○あべ国務大臣 今回の制度改正、三人以上で同時に扶養している期間が最も経済的な負担が重い状況ということで、この負担が集中している期間の世帯を財源が限られている中で支援しているところでございまして、制度をまず着実に、効果を見定めながら、更なる負担軽減と支援の拡充で論点整理をして十分な検討をした上で、またその次の施策に関しても取り組んでまいりたいというふうに思います。
○大石委員 質問の一回の返しの答弁で、教育費の負担を理由に三人以上の子供を持つ希望を断念している世帯に対しては一定の後押しになるものと考えていますと回答されているんですけれども、その考えでよろしいですね。
○あべ国務大臣 はい、その考えでございます。
○大石委員 この委員会でも、ほぼ全部の、全員の委員が言ったように、それ、ならないでしょう。この制度が非常に複雑怪奇だったり、定義がおかしいことによって、本当に必要な支援は受けられないんですよ。三人以上の現に扶養している世帯だから、卒業したら上がってしまうので、結局、いろいろ全員の子供に支援を受けるためにはどうすればいいんだとシミュレーションしましても、これは卒業年度をそろえるしかないので、三つ子を産むしかないじゃないですか。全員が全学年の支援を受けようとしたら、本当に三つ子を産むしかない。まあ、四つ子でもいいんですよ。
三つ子以上産まないといけないし、かつ、全員留年なしやぞ、全員卒業年度をそろえろよとやらないと全員が支援は受けられないという、そういうたてつけの制度になっていて、これは何の罰ゲームで、何の後押しになるんですか。
質問していませんよ。
この支援制度自体が、従前のものからしても、支援の対象は狭いので、根本的にこれはおかしいだろうということを言いたいんですね。
支援対象者というのが、今、学生さんが全体で三百六十万人いるそうです。それに、今回、多子世帯の学生等に該当する人は、よっぽどの資産を持っている人以外は上限額までは支援するよと。三百六十万人いる中の、今回の多子世帯の支援を受けられるのが四十一万人、四十万人ぐらいなので、九人に一人ぐらいなんですね、学生さんの、現にいる。従前の低所得者世帯の学生等に該当する方々も、満額は一部ですけれども、何らかの制度が受けられる、この方々も今約四十三万人、四十万人ぐらいですから、それも九人に一人なので。今回のやつで九人に一人が対象になる、多子世帯。今までのやつで、低所得者等というところで、九人に一人。
結局、その九人に七人、どういう層かというと、いろいろな場合分け以外の中間層五十六万人と、それ以外の高所得者層約二百二十万人ということで、足し合わせると二百七十万人なので、結局、これが可決したら四月から始まるとされているこの法律の支援対象からは、九人に七人が除かれてしまうんですよね。それは、予見可能性というか、自分の子供が大学に行くときにこの支援が受けられる可能性は低いわけですから、少子化対策だったり、まずは機会均等になるわけがないんですね。
高所得者層というのも、高所得者やったら仕方がないかなと思うかもしれませんけれども、高所得者層が世帯収入で六百万円以上と。高所得者なんですか。年収六百万以上で、六百万、六百十万とかの人が、一人育てて、もうさんざん言われていますけれども、私学に行かす、また国公立に行かす、もう大変ですよというところで少子化が止まらないのに、三つ子以上を産まないと全員が支援できない制度をやりました、まずはやらせてくださいでは行かないですよね。
あべ文科大臣が何度も言っているように、先ほども私の答弁でも言いましたけれども、財源が限られている。それが原因でしょう。それで、財源が消費税なわけじゃないですか。それを仕方がないんですと言っているから国賊なんですよ。これは、あべ大臣だけではないと思っています。
これは本当に危機感があるのかという話で、二年前の国会で予算委員会に呼ばれた京都大学の先生が、新しい世代が子供を産む気になる社会制度にしておかなければならない、そうじゃなければもうこの少子化は止められない、ツーレートになる、そのデッドラインが二〇二五年だと二年前におっしゃったんですよ。そのときに、八から九兆円ぐらいは国がお金を出さないと、その二〇二五年をデッドラインとする危機は突破できないということを、わざわざ二年前の予算委員会で来ておっしゃっているんですよ。それと全然テンションの違うことを。その方の言っているのが、国会の外の学生さんだったり御家庭だったり、これから産もうかなという人の気持ちを受けたものだと思いますよ。ちゃんと因子を、他国で有効だった制度を用いて、組み合わせて、このような制度設計にすれば、二〇二五年、これもかなり遅いけれども、もうぎりぎり間に合うかもしれないデッドラインであるということを説明されたのに、全然ちゃうことをやっていて。
ほとんど全ての委員が、私の今質問した質問をしましたよね。三人の子を現に扶養して、三人以上を現に扶養とかいう定義はおかしいんちゃうか、その扶養要件を外せと何度も何度も質問しているのに、財源が限られているとちょっとおどけた感じで言うて、それで何か笑いが起きたり、しゃあないなとなること自体がこれはおかしいですよ。
だから、財源を消費税に縛られているこの法律というもの自体がもう駄目ですし、財源は国債発行すればいいし、それがどうしても嫌なら資本家から取ればいいんです。やり切らなければいけないんです、二〇二五年までに。なのに、これを許した形でこの法案が今日審査され、可決されるというのは、もう非常に残念というか許されないことです。
大学に入る、進学する人が六割を超えたということなんですけれども、大学に必ずしも入らなくてもいいかもしれない、だけれども、前日にほかの委員が言いましたけれども、生涯賃金が全然変わってくると。高卒なのと大学卒なのとで生涯賃金が七千万ぐらい変わってくるから、じゃ、親御さんやその学生さんからしたら、やむにやまれずというか、やむを得ず大学に行かざるを得ないという苦しい立場、事情があるわけですよね。
そういう中で、行かざるを得ない中で、私学の学費がどんどん上がり、国立の学費も上げる議論がなされていて、じゃ、この問題をどうやって解決するかということを今まさにこの場で議論されるべきであったし、なのに、おかしな、この変な制度に関して、おかしいんじゃないですか、扶養要件を外したらいいんじゃないんですかというのに、財源が限られているんですよと何回も何回も言って終わるというのは、もうそれは質疑をやる意味がないので。
元々、公立なり私立の授業料が高いという問題が議論されるべきだったと思います。なのに、文科大臣は、授業料の更なる値上げ、これを大臣が進めているじゃないですか。
伺いますね。
えげつない人をあべ文科大臣は中教審に入れられました。あべ文科大臣、大臣は、国立大学授業料を約三倍の百五十万円に値上げすることを提唱した伊藤公平慶応義塾大学教授の主張に賛成するか反対するか、明確に答弁してください。
○あべ国務大臣 この伊藤委員ですか。(大石委員「いや、知らないですけれども。委員ですよね、大臣が選任した」と呼ぶ)
御指摘の値上げということを言われた発言でございますが、中央教育審議会の今後の高等教育の在り方について様々な議論をされている中の委員のお一人である伊藤委員の出された御意見と承知しているところでございますが、私ども、国が示す国立大学授業料の標準額の設定に当たりましては、国立大学の役割を踏まえながら、私立大学の授業料の水準など、また、社会経済の情勢、家庭負担の状況を総合的に勘案しながら丁寧に検討することが必要だと思っておりまして、しっかりと、現時点で、授業料に関して標準額を上げることは考えてはおりません。
○大石委員 現時点では考えていない、現時点では標準額を上げることは考えていないということなんですけれども、将来考えるんですか、将来上げることを考えるんですか、あるいは、将来下げることを考えるんですか。
○あべ国務大臣 国が示す標準額の設定に当たりましては、国立大学の役割を踏まえながら総合的に勘案するので、今後、国立大学法人の機能強化に向けた検討会におきまして、法人、国、ステークホルダーの間で教育研究コストの適切な負担という議論で進めてまいりますので、この議論の状況も踏まえつつ、丁寧に検討する必要があるんだと思っています。
○大石委員 そういう議論に、中教審の審議会の委員に、学費を三倍の百五十万円にしろと言った人を文科大臣が任命したから、島根県知事が、あなたは国賊だ、討伐しなければならない、そのように県知事が言ったんですよ。だから、その人を討議に、百五十万にしますと言う人の意見をいろいろな意見だと言って、あえて委員に入れて、かつ、その方がたまたま入ったんじゃなくて、その方が何を言っているか、今申し上げますね。その方は、結局、国立大学の淘汰をおっしゃっているんですよ。文科大臣もそれを進めようとしているんですね。
その方、慶応義塾長の、慶応義塾大学教授の伊藤公平さんが、中教審で特別部会で提案ということで資料を出しているんですね。その資料に百五十万ということがあって物議を醸しているわけなんですけれども、その方がおっしゃっているのは、その方は私立大学が不利だということを言っているんですよ。
それで、グラフを出していて、私立大学への学生一人当たりの公金投入は年間十八万円だ、一方、国立大学は二百二十九万円の学生一人当たりの年間の公金の投入がなされている、ずるいと。ずるいとは書いていませんけれども、十二・七倍なんだというグラフを作って、だから、これは公平ではないということをおっしゃっていて、公平のためには公平な競争環境を整えることが必要であるとして、国立大学の家計負担は百五十万円程度に上げる、このことで私学、私立大学では公平な競争に参加できると言っていて、ガチで上げろと言っているんですよ。
私立大学の入学金、授業料が百二十四万円、平均でも。これはむちゃくちゃ高いんですよ。本来ならば、国がちゃんと財源を出して、国がお金を出して、私立大学の学費、学生側の負担を下げなきゃいけないんですけれども、この方は、文科省や財務省の路線と同じで、国立大学の負担を増やせ、家計負担を増やせということで公平な競争に参加できるとおっしゃっていて、これは結局は、大学が淘汰される、減らされるということを念頭に置いておっしゃっているんですね、この方は。
あべ文科大臣にお伺いしますけれども、公立大学の淘汰には賛成ですか。
○あべ国務大臣 淘汰ということではなくて、いわゆる、私どもは、公平な負担、特に家庭の御負担をしっかり考えながら、私学は建学の精神に基づいてやっておりますので、そういうことも含めた総合的な勘案で行っていきたいというふうに思っております。
○大石委員 わざわざ伊藤さんを中教審の委員にして、いろんな議論をやっていくんだと。文科大臣自身がこのことについて、二月二十五日に記者会見されているその記録では、高等教育全体の規模のまずは適正化を図りつつと。まず適正化を図る。急速な少子化の中で、答申で御指摘いただいているように、高等教育全体の規模のまずは適正化を図りということをおっしゃっているんですよ。かつ、授業料の件も、中教審の答申におきまして、短期的に取り組むべき方策といたしまして、近年の物価、人件費の変化、また教育活動に係る費用を考慮した個人、保護者負担の在り方について、個人負担と個人の支援、また機関の補助とバランスを勘案しつつ検討するというふうに授業料のことも言っているんですよ。
丁寧に検討したいと言っていて、結局は、上げる話をしているじゃないですか。近年の物価、人件費の変化、保護者負担の在り方について。この伊藤さんの言っていることと全く矛盾しませんよね。中教審の委員に入れて、規模の適正化を図ると言っているんですから。急速な少子化の中で高等教育の規模の適正化という、少子化が進んでいるんだから、高等教育全体の適正化というのは、少なくするということで合っていますよね。
○あべ国務大臣 適正化ということでございますが、さっき委員がおっしゃった、例えば教員の給与の部分も、実は大学教員を目指す方が減ってきておりまして、大変私ども懸念しているところでございます。
財源をどこにしていくかということも考えていきながらやっていかなきゃいけない中で、また、中教審の、特に、急速な少子化の中の高等教育の在り方の中で、だけれども、いわゆる適正な数といったときに、やはり地方大学のこともしっかり考えなきゃいけなくて、アクセスの確保、都市からの地方の動きの促進、また、大学を中核とした地方創生の推進なども含めた具体策を御提案いただいた中でございまして、この御意見をしっかりわきまえた上で、私ども、適正化ということを少子化の中でどう考えていくかという全体的なバランスを考えていきたいというふうに思います。
○大石委員 つまりは、全体の規模の適正化を少子化の中で行うんだから、減らすということじゃないですか。シンプルに言って違うんですか。違うならおっしゃってください。
○あべ国務大臣 適正に配置していくということは、統廃合、縮小も含めての話でございます。
○大石委員 同時に、競争を促す学納金体系という、伊藤さんのおっしゃっていることも賛成ですよね。
○あべ国務大臣 伊藤さんのおっしゃっている内容を私は具体的に承知をしているところではございませんが、いずれにしても、適正配置ということの中でどういうふうな意味でおっしゃったのかは私は承知しておりませんが、逆に、御存じであったら教えていただければと思います。
○大石委員 中教審の令和六年三月二十七日の特別部会の資料二の一の中でそのように、タイトルで「国立・公立・私立大学の協調と競争を促す学納金体系」というスライドの中で、百五十万円に国立大学の学費を上げていくべきだというふうにおっしゃっているので、ちゃんと見てください。実際に物議を醸している中で、中教審の委員として任命されていて、国賊やと言われているんですから、しっかりとここを見て、本当にあなたの考えと合っているのか、まあ、合っているんですけれども、百五十万に値上げはしてはいけないです。
次、行きますね。
高校の教育無償化の議論も同じなんですけれども、結局のところ、公立の高校とか大学を畳むことで、この資料にもありますように、国立大学、公立の方が一人当たりの公金支出が大きいものですから、そこに大きな財源があるんだと。これは、高校の無償化でいえば維新の創設者の橋下徹さんが言っていて、そういう文脈の中で自民党と公明党と維新が三党合意を行って、今回の予算案を可決したという経緯があります。
これと非常に、一つのものだと考えているんですけれども、高校においても大学においても教育無償化なんだと、そういう冠はつけますけれども、中身を見れば、行われているのは主に公立高校の淘汰であり、実は、私立が優遇されているんだという議論の裏で、その真実というのは、公立の学校の方が公金投入がなされていますので、それを淘汰していくことによってその間違った財源というものが得られるということが、あけすけに語っている維新のような政党もあれば、あけすけには語っておられないですけれども、このような資料や考え方を見れば、同じ方向に向かっている、自民党も公明党も維新も財務省も同じ方向に向かっているんだと言わざるを得ません。
手を挙げておられるんですけれども、そこはちょっと結構です。
そういう淘汰と逆のことをやらないといけないって。私は、今回の多子世帯の扶養要件を外す、こんなこと、修正案を出すなら、これを入れたら与党は少数なんだからいいんじゃないかと思いますけれども、こういう議論で終わるのではなくて、子供たちの少子化を食い止める、そして教育の機会均等、教育基本法の理念を実現するためには、この文科委員会の中で違う議論をやらなければいけないと考えていまして、特に、この淘汰という路線と、方向性と逆のことをやらないといけないと考えています。
それを学生さんが言っているんですよ。文科大臣にも申入れしているようですので、そのことについてお尋ねしますね、あべ文科大臣。
今年の二月十三日に、学費値上げ反対緊急アクションの皆さんが文科大臣への要請書を出しております。大学の基盤的経費に対する国からの支援金の増額によって、高過ぎる授業料への改善を求めている。そもそも大学の授業料が高いということを国会の外の学生さんは問題にされているんです。まずは、近年行われた学費値上げを撤回しろと。東京大学でニュースに大きくなりましたけれども、東京大学以外でも、この間、学費値上げが国公立でも行われています。そしてあわせて、これは学生さんの要求の続きですね、学費を十万円下げるための予算措置等を具体的に求めていて、文科委員会では本来こういった議論をなされるべきではなかったでしょうか。
文科大臣は、まず、この要請書、文科大臣宛てでもあるんですけれども、読まれましたか。この要望についてどのような受け止めをされていますか。
○あべ国務大臣 委員御指摘の要請書を含めまして、学費の在り方については様々な声があることは承知しているところでございます。
○大石委員 様々な声で終わらせないでいただきたいんですよ。
この方々は、文科大臣や財務大臣宛てに、百十六の高等教育機関から集まった学生の方々でした。大学、短期大学、大学院、高等専門学校、専門学校などですね。そういったところから集まった方々が、学費が高過ぎると緊急での提言を行われていて、四つ、非常に優れているので読みますね。
一つ、近年行われた、来年度行われる学費値上げ撤回のため百四十五・二億円を緊急措置してください。二つ、大学等の学費をまず十万円引き下げるために三千二百十六・二億円を措置してください。三、少なくとも世帯年収六百五十万円まで無条件に受け取れる給付型奨学金を拡充してください。そして、四項目めが非常に大事だなと考えたんですけれども、四項目め、上記項目は、これらの今言った一から三までの項目は、国立大学法人運営費交付金、私立大学等経常費補助金、地方公共団体への国庫支出金等、大学等の基盤的経費に資する国からの支援金の増額により実現してくださいということをおっしゃっています。
これはなぜ優れているかというと、やはり、国の間違った方向性の本質をつかれているからですね。国立大学でいうと、運営費交付金というのが公金で支出されるわけですけれども、それらが下げられてきた、あるいは、下げ止まったとしても、運営費交付金の中身をできるだけ競争的なものにすると。財務省とかが熱心にそういう運動をされているんですけれども。
運営費交付金というのは、大学の研究の設備投資だったり学校の先生の人件費だったり、基礎的な、学生さんを受け入れるとか、運営の部分ですのに、そこを下げて、あるいはその中身の組成を競争的なもの、札つきというかひもつきのものに変えて、よりそこのエッジを利かせていくのだというのが、財務省の建議で出されている内容ですね。
ほかに、競争的資金というものも増やさせていますけれども、結局これも、すごくそれに、学校の先生がその書面に追われたりすることで、まともな研究ができない、研究できる日があればラッキーというのが大学の現場の先生の声なんですよね。
だから、見た目上増えているやないかと財務省は資料でおっしゃるんですけれども、そうではなくて、結局、そのような間違った無駄な競争みたいな、あるいは独法化して、民間ビジネスになる部分だけをやらせる。それで、非常に短期間の資金で、雇われるのは非正規の研究者なんですよね。労基法さえ無視したような、プロジェクト終了で雇い止めというような、劣悪な教育環境、研究環境の中で大学というのが苦しんでいるんですよ。
だから、この学生さんたちは、学生と大学側が交渉する中で、やはりこの運営費交付金というものが、国が削減させたり、競争のために、本来必要なところの使いしろを削ってやっているということに着目して、それをやめろと。国は運営費交付金をちゃんと増やせ、その増やす中で我々学生の授業料を下げろ、十万円下げろという要求をしていて、非常に真っ当な、本質を見据えた要求だと考えています。
このように述べましたが、やはり文科省が、今回の支援法という形で支援をうたっているかのような法案を出されていますが、既にたくさんの委員に指摘されているように、これは家庭の支援にならないし、本質的には違うことを文科省全体としてやって、公立学校を淘汰していくという方向性の陰謀を入れるという国賊なことをやって、実は学生の教育の機会均等を潰しているのが今の文科省の方針、方向性であるということをあべ大臣には是非理解して行動を起こしていただきたいです。
最後に、やはり消費税を財源としているということが非常に、袋小路といいますか、このような議論を続けていては、もう本当に、目先の、財務省的な、財源がないのを緊縮で、人と教育というのを壊していくんです。だから、この法案も、その設計図そのものが、社会全体で人を支えていくと称して、消費税という、末端の人たちから広く取る消費税のみを財源として、まあ、変なゲームですね、多子世帯という定義に外れたらもらえないような、実質的に九分の七の人がそこから漏れてしまうような制度をこねくり回して、この春に何か少子化対策をやったんだみたいなことは、もう全くもって許されません。
先日も申し上げましたが、教育基本法では、文科省の役割として、権力者が政治的な介入だったり強権発動はしてはいけないんですね、あくまでも教育環境の整備、教育条件の整備をするのが文科省であり、それがあべ大臣のお仕事です。
先日も言いましたけれども、それは何かというと、やはり機会均等で、ちゃんとした、学費を無償にして、誰もが大学に望めば進んでいける社会。それから、米軍機騒音の話、これは引き続き扱っていきますけれども、教育環境、そういったものをちゃんと整備する責任を持つこと。そして、ブラック校則という、もう憲法違反ですからね、そういったことを、憲法違反だったり、子どもの権利条約違反になっているようなことを正していくのがあべ文科大臣のお仕事ですので、このような法案を出したりするのではなくて、子供たちのためのことをやっていきましょう。
以上です。終わります。
○中村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○中村委員長 この際、本案に対し、坂本祐之輔君外一名から、立憲民主党・無所属及び国民民主党・無所属クラブの二派共同提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。坂本祐之輔君。
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大学等における修学の支援に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
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○坂本(祐)委員 ただいま議題となりました大学等における修学の支援に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び概要について御説明いたします。
本修正案は、大学等における修学の支援についての制度の将来における更なる拡充を図るために、基礎的な資料として、文部科学大臣による授業料等減免の額等についての調査及び公表に関する規定の新設などの所要の規定の整備を行うものであります。
次に、修正案の内容の概要について御説明申し上げます。
第一に、文部科学大臣が、大学等における修学の支援の基礎的な資料として、その実施状況について、大学等の設置者及び種類の区分並びに都道府県ごとに、授業料等減免の対象者の数等を調査し、公表する規定を新設することとしております。
第二に、大学等における修学の支援の実施のための財源について、消費税の収入以外の活用によっても確保することを明らかにするため、現行の附則第四条を改めることとしております。
第三に、本法律案の附則の検討条項について、この法律の施行後速やかに、大学等の授業料等の段階的な無償化、実情に応じた授業料等減免の額の見直し及び授業料等減免の対象となる大学等の確認要件の見直しについて検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする規定を追加するほか、これら以外の事項の検討期間について、原案では四年を目途とされているものを三年以内に改めることなどとしております。
以上が、修正案の趣旨及びその内容の概要でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をいただけますようお願いを申し上げます。
○中村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
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○中村委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申出がありますので、順次これを許します。高橋英明君。
○高橋(英)委員 日本維新の会の高橋英明です。
党を代表し、大学等における修学の支援に関する法律の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論いたします。
我々日本維新の会は、高等教育については、以前より、教育の質、学生の質の担保、大学入試制度、大学の数の適正化といった課題に対し、必要な改革を実施した上で無償化すべしという立場であり、改革を伴わない無作為な無償化には反対の立場です。
今回、以下三つの理由から、必要な改革をしっかり実行した上での無償化を実現していただくことを条件として、賛成いたします。
まず一つ目に、二月二十一日に発表された中教審の答申の内容についてです。
委員会の質疑において、答申を踏まえ、具体的な施策を実施するとの回答をいただきましたが、この答申と我々の目指す無償化の姿に、おおよその方向性の一致を見ました。
答申では、十五年後の二〇四〇年に大学進学者数は二七%減少するという深刻な課題に直面する中、目指すべき社会像や育成する人材像のビジョンを示し、質の向上、規模の適正化、アクセスの確保という目的を明確にしており、高等教育のあるべき姿のために必要な改革の具体的な実現イメージが描かれています。この答申の方向性は、我々の目指す大学改革の方向性とおおよそ一致するものであり、答申を踏まえた具体的な施策を着実に実施し、意義のある無償化の実現につなげていただくことを強く要望します。
二つ目に、我々が必要な大学改革と考える論点は、全て附帯決議に記載していただきました。
附帯決議に記載したことを真摯に実施していただけることは、文科省の皆様の前で言うまでもございません。全ての子供に対し、機会平等の観点で、更なる制度拡充の推進をお約束いただいた点を評価します。
最後、三つ目に、二月に取り交わされた自民、公明、維新による合意文書の存在です。
合意文書では、高等教育について、論点を整理し、無償化の更なる拡充に向け、成案を得ていくことを約束いただいております。そして、無償化のための安定財源も、徹底した行財政改革によって生み出していくと記載があります。現役世代に新たな負担をかけることは絶対に避けるべきです。三党で合意した、政府全体で徹底した行財政改革を実施して財源を捻出する、我が党は、この実現に向けて引き続き全力で協議することをお約束します。
以上、三つの点から賛成する理由を申し上げましたが、今後、高等教育の無償化を進めていく中で、本当に国民の皆様に納得していただけるか否かは、我々も提案しました様々な大学改革を徹底的に実現するかどうかに懸かっていると考えます。これから行動で示さねば意味がありません。
野党としてしっかりチェックしていくと同時に、将来の日本のために、責任を持って提案と行動を重ねていくことをお約束し、賛成の討論といたします。
以上でございます。ありがとうございました。
○中村委員長 次に、大石あきこ君。
○大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。
修学支援法の改正案について、反対の立場から討論いたします。立憲の修正案も反対します。
先ほどの質疑でも申し上げましたが、多子世帯の定義などや従前の制度の不備によって、学生の九人のうち七人は、結局、高まる授業料を払い続けるということを正当化するものであり、許されません。
そして、昨日、文科大臣というか、昨日の質疑で、立憲の方が、長男を亡くされて、壮絶な経験を経てこの議員になられているという、その質疑をされた中で、みんな泣いていたし、私も泣いていましたし、文科大臣も、その答弁の中で涙ながらに語られていたじゃないですか。そういう、血も涙もない方ではない、それはここにいる皆さんもそうだと思います。
でも、じゃ、国会の外はどうなの。国会の外でも、本当に国民生活はみんな大変ですよ。せっぱ詰まって、大学に行かざるを得ないから行って、奨学金を借りたりとか、学生さんとか親御さんとかは本当にすごい壮絶な生活ですよ。そこに国会の中の私たちは向き合えたんですか、そう考えると、今回の議論はそうではなかったということに、残念に思っています。
この法案が二〇一九年の成立以来そもそも抱えていた問題として、修学支援の財源を消費税収に限定していることが依然として残っています。消費税は、低所得者層や中所得者層に対して日常負担を強いる、問題の大きな税制です。消費税収ではなく、公債発行、あるいは法人税の累進課税、資本家から取るなどで行うべきです。
この法案が、子育てに希望を持てる社会の実現という目的規定を到底実現できないと考えております。今回の改正で、これまでの四人家族で世帯所得三百八十万円までの低所得者層の学生に加え、多子世帯であれば所得制限なしで授業料減免の対象になりますが、三人以上の子育てをする困難は、三人が生まれてから三人が無事に大学を卒業するまで続くにもかかわらず、第一子が卒業したら第二子が支援から外れるなどの不条理が起こる制度設計はあり得ません。
あるいは、学生との間で成績の相対評価を行って、成績要件を入れるということも問題であります。
やはり、教育無償化、そのような冠を掲げるのであれば、そのためにはしっかりと、国債発行を行い、安定的に財源を確保することが必要です。学者の先生がおっしゃいましたが、二〇二五年がデッドラインでした。八から九兆円の緊急の国の支援、国の財政出動が必要なんだと二年前に警鐘を鳴らしてくれたことを無視してこのような支援の在り方になってしまったことは残念であり、許されませんので、反対いたします。
終わります。
○中村委員長 これにて討論は終局いたしました。
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○中村委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、大学等における修学の支援に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、坂本祐之輔君外一名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○中村委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
原案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○中村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○中村委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、今枝宗一郎君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。眞野哲君。
○眞野委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
案文を朗読して説明に代えさせていただきます。
大学等における修学の支援に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一 高等教育の修学支援新制度は、学生等に対する経済的支援の面を持つ一方で、大学等に国費が拠出されることから大学等への支援となる面も併せ持つことを踏まえ、大学等における職業教育と学術研究との役割の明確化、教育内容の一層の充実、入学者の選抜に係る制度の改善、学修の成果に係る評価の客観性や厳格性の一層の確保及び大学等の数の適正化その他高等教育を行う機関の改革の実施に努めること。
二 一で示した改革の実施後においては、更なる教育の機会均等を図るため、高等教育の無償化を推進すること。
三 修学支援新制度について、消費税に限らない幅広い財源の活用等を検討するなど、安定的な財源の確保に努めること。
四 多子世帯の学生等に対する授業料等減免については、扶養する子等の数を要件としたことにより、兄弟姉妹の年齢差により支援を受ける期間が異なるという問題が生じることから、このような不公平を避けるため、修学支援新制度の見直しを検討すること。
五 本法附則第六条による施行後四年の見直し時期以前であっても、必要に応じて本法の規定その他学生等への経済的支援制度全般の在り方について検討を行い、必要があると認める場合には、早期に対応を図るよう努めること。
六 本法による改正後における修学支援新制度の効果を評価・検証するため、授業料等減免の対象者数及び要した費用の額並びに確認要件を満たさない大学等の数等の支援実績について、適切に調査し公開するよう努めること。
七 大学等における授業料の値上げ傾向が続いている実情を踏まえ、授業料等減免の上限額の見直しを検討すること。
八 大学等の確認要件については、確認大学等以外の大学等において学ぶ権利を侵害するおそれがあるほか、地方・中小の私立大学等については、これを容易に満たすことができないことから縮小・撤退に追い込まれることも想定されるため、その内容の見直しについて検討すること。
九 本法による改正後においては、学生等への経済的支援が複雑化することを踏まえ、学生等、保護者及び学校関係者等へ丁寧な説明を行うなど、奨学金制度を含め、修学支援新制度全般の更なる周知徹底に努めること。
十 令和六年度から開始された教職大学院等修了後に教員となった者に対する大学院段階に貸与された第一種奨学金の返還免除制度について、教員不足が深刻な状況を踏まえ、学部段階にも拡充するよう検討すること。
十一 教育を受ける機会を保障するという奨学金の制度趣旨を踏まえ、貸与型奨学金が給付型奨学金を、有利子奨学金が無利子奨学金を金額・人数とも上回っている現状を改善し、貸与型から給付型へ、有利子から無利子への流れを更に加速するための施策の検討を行うこと。
十二 貸与型奨学金の返還に係る負担軽減の観点から、返還額を所得控除の対象とすることや有利子である第二種奨学金の利子分の免除等について検討すること。
十三 今後、学生への経済的支援に係る重大な法改正を行うに当たっては、国会における十分な審議期間を確保するとともに学生や大学等における周知や準備のための期間を設ける必要性を踏まえ、制度の施行まで十分な余裕をもって法律案を国会に提出するよう努めること。
以上であります。
何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
○中村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○中村委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。あべ文部科学大臣。
○あべ国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。
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○中村委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○中村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十二分散会