衆議院

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第23号 令和3年5月28日(金曜日)

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令和三年五月二十八日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 とかしきなおみ君

   理事 大岡 敏孝君 理事 門  博文君

   理事 田畑 裕明君 理事 長尾  敬君

   理事 橋本  岳君 理事 中島 克仁君

   理事 長妻  昭君 理事 伊佐 進一君

      青山 周平君    安藤 高夫君

      上野 宏史君    大串 正樹君

      大隈 和英君    神田  裕君

      木村 次郎君    木村 哲也君

      木村 弥生君    国光あやの君

      小島 敏文君    後藤 茂之君

      後藤田正純君    高村 正大君

      佐藤 明男君    塩崎 恭久君

      繁本  護君    武井 俊輔君

      百武 公親君    藤丸  敏君

      村井 英樹君    山田 美樹君

      渡辺 孝一君    尾辻かな子君

      大島  敦君    川内 博史君

      白石 洋一君    津村 啓介君

      西村智奈美君    屋良 朝博君

      山井 和則君    早稲田夕季君

      高木美智代君    桝屋 敬悟君

      宮本  徹君    青山 雅幸君

      高井 崇志君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   財務副大臣        伊藤  渉君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   厚生労働副大臣     三原じゅん子君

   農林水産副大臣      葉梨 康弘君

   厚生労働大臣政務官    大隈 和英君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  時澤  忠君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  植松 浩二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  十時 憲司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  梶尾 雅宏君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           彦谷 直克君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 猪原 誠司君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁出入国管理部長)        丸山 秀治君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           蝦名 喜之君

   政府参考人

   (スポーツ庁審議官)   豊岡 宏規君

   政府参考人

   (スポーツ庁スポーツ総括官)           牛尾 則文君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  正林 督章君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           渡辺由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    赤澤 公省君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           道野 英司君

   参考人

   (中央大学大学院戦略経営研究科准教授)      高村  静君

   参考人

   (独立行政法人労働政策研究・研修機構主任研究員) 池田 心豪君

   参考人

   (日本商工会議所産業政策第二部担当部長)     杉崎 友則君

   参考人

   (全国労働組合総連合女性部長)          舟橋 初恵君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十八日

 辞任         補欠選任

  百武 公親君     神田  裕君

  山田 美樹君     藤丸  敏君

  山川百合子君     屋良 朝博君

同日

 辞任         補欠選任

  神田  裕君     百武 公親君

  藤丸  敏君     山田 美樹君

  屋良 朝博君     山川百合子君

    ―――――――――――――

五月二十八日

 既存規格接続コネクタ存続と使用継続に関する請願(上野宏史君紹介)(第一〇四二号)

 同(深澤陽一君紹介)(第一〇四三号)

 同(国光あやの君紹介)(第一〇五五号)

 同(根本匠君紹介)(第一〇五六号)

 同(深澤陽一君紹介)(第一〇五七号)

 同(深澤陽一君紹介)(第一〇六七号)

 同(加藤鮎子君紹介)(第一一六六号)

 難病・長期慢性疾病・小児慢性特定疾病対策の総合的な推進に関する請願(宮本徹君紹介)(第一〇四四号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第一〇六八号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一一六七号)

 新型コロナ危機打開のため雇用調整助成金の特例措置の延長等に関する請願(奥野総一郎君紹介)(第一〇四五号)

 同(清水忠史君紹介)(第一一二九号)

 障害福祉についての法制度拡充に関する請願(串田誠一君紹介)(第一〇四六号)

 同(篠原豪君紹介)(第一〇四七号)

 同(末松義規君紹介)(第一一五三号)

 同(稲富修二君紹介)(第一一六一号)

 同(森田俊和君紹介)(第一一六二号)

 同(矢上雅義君紹介)(第一一六三号)

 同(山内康一君紹介)(第一一六四号)

 同(笠浩史君紹介)(第一一六五号)

 同(小沢一郎君紹介)(第一一八八号)

 同(城井崇君紹介)(第一一八九号)

 同(後藤祐一君紹介)(第一一九〇号)

 同(原田義昭君紹介)(第一一九一号)

 同(山口壯君紹介)(第一一九二号)

 子供のための予算を大幅に増やし国の責任で安全・安心な保育・学童保育の実現を求めることに関する請願(手塚仁雄君紹介)(第一〇五二号)

 同(堀越啓仁君紹介)(第一一二七号)

 同(海江田万里君紹介)(第一一八五号)

 安全・安心の医療・介護の実現と国民の命と健康を守ることに関する請願(菊田真紀子君紹介)(第一〇五三号)

 同(斎藤洋明君紹介)(第一〇五四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一一〇二号)

 同(清水忠史君紹介)(第一一三〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一六〇号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(穀田恵二君紹介)(第一一〇〇号)

 医療・介護の負担増の中止を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第一一〇一号)

 同(清水忠史君紹介)(第一一二八号)

 同(宮川伸君紹介)(第一一五〇号)

 同(今井雅人君紹介)(第一一八六号)

 七十五歳以上医療費窓口負担二割化撤回に関する請願(清水忠史君紹介)(第一一三一号)

 同(宮川伸君紹介)(第一一五一号)

 七十五歳以上医療費窓口負担二割化撤回を求めることに関する請願(山川百合子君紹介)(第一一三二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一一五四号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第一一九三号)

 新型コロナウイルスの感染拡大を抑止するためにPCR検査の抜本的強化と医療体制を守り抜くことに関する請願(笠井亮君紹介)(第一一四九号)

 減らない年金、頼れる年金を求めることに関する請願(宮本徹君紹介)(第一一五二号)

 七十五歳以上医療費窓口負担二割化に反対することに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一一五九号)

 福祉職員を増やし、賃金を引き上げることに関する請願(青山大人君紹介)(第一一八七号)

 全国一律最低賃金制度の実現を求めることに関する請願(関健一郎君紹介)(第一一九四号)

 同(牧義夫君紹介)(第一一九五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

とかしき委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、中央大学大学院戦略経営研究科准教授高村静さん、独立行政法人労働政策研究・研修機構主任研究員池田心豪君、日本商工会議所産業政策第二部担当部長杉崎友則君、全国労働組合総連合女性部長舟橋初恵さん、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十五分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず高村参考人にお願いいたします。

高村参考人 ただいま御紹介いただきました、私、中央大学大学院戦略経営研究科の高村と申します。本日は、参考人としてお呼びいただきまして、誠にありがとうございます。

 私は、企業の職場における働き方ですとか、それからキャリア開発というような課題に取り組んでおります。中でも、ワーク・ライフ・バランスですとか女性の活躍という点に関心を持ちまして、調査研究に取り組んでおります。また、厚生労働省のイクメンプロジェクトの推進委員という立場から、男性の育児休業取得促進に取り組んでおります。

 イクメンプロジェクトということに関しましては、御存じの方も多くいらっしゃるかとは思うんですが、二〇一〇年にスタートしております。こちらのプロジェクトでは、イクメンのことを、子育てを楽しみ、自分自身も成長する男性というふうに定義をいたしまして、男性の育児、家事参加を進めるための企業ですとか職場の取組、また御本人の工夫などを広く掘り起こしまして、伝えることに取り組んでおります。

 そうした取組によりまして、男性の育児休業取得とその意義につきましての社会的認知を高め、国の男性の育児休業取得率の目標達成を目指した取組を行っております。現在、イクメンという言葉も広く認知されるようになってきたというふうに思っております。

 本日は、特にそうした、職場での働き方というような観点から、男性の育児休業取得を進める意味というようなことについて述べさせていただきたいと思っております。

 まず、男性の育児休業の取得を特に推進しようとすることの背景には、働く場における男女の非対称性という課題があるということを改めて指摘したいと思います。

 資料を御用意しておりますけれども、こちらの資料にございます、表紙をおめくりいただきまして、資料の一を御覧いただきたいと思います。こちらは、内閣府男女共同参画局が作成しまして、男女共同参画白書の方に掲出されたグラフでございますけれども、男女の生活時間、特に労働時間を抜き出した国際比較でございます。

 企業で働く時間の参考値といたしまして、有償労働を示すピンクの部分を見ていただきたいと思うのですが、日本は、男性が長いということとともに、男性と女性の比率が、イタリアと並びまして非常に差が大きいというような状況になっております。このような働き方の非対称性ということと育児休業取得の状況の男女の非対称性ということは、表裏一体であるというふうに考えております。

 つまり、育児休業制度というのは、一九九一年に、男女にひとしく請求権を認める内容として法制化されましたけれども、導入から三十年がたちまして、男女の取得率に大きな乖離が見られます。その背景には、こうした働き方の男女差がある。それが、男女で等しい制度としてスタートしたこの制度が今日異なる影響を男女にもたらす、そういった一因になっているというふうに考えております。

 私は、男性の育児休業取得の取組というのは、直接的には男性の休み方の問題になるわけですけれども、他方で、働き方を見直す取組であるというふうに考えています。

 これまで、男女の働く場での差の解消ということは、実質的には、女性の働き方を男性に合わせるという方向で取り組まれてまいりましたけれども、男性の育児休業取得促進ということを通じまして、男性を中心とする職場の働き方を見直すことで、男女共に、育児・介護休業法が目的とします、子の養育又は家族の介護を行う労働者等の雇用の継続及び再就職の促進、それから職業生活と家庭生活の両立を目指す取組であるというふうに位置づけることができるのではないかというふうに考えております。これが私の基本的な考え方でございます。

 このような認識を基にしまして、男性の育児休業取得促進が重要であるというふうに考える理由、及び、法案御審議に当たりまして御考慮いただきたいというふうに考える点を三点ずつ述べさせていただきます。

 まず、男性の育児休業取得が重要であると考える理由ですけれども、まず第一は、ただいま述べましたとおり、それを進めることで、従来の休みにくく長時間になりやすい職場の働き方の見直しにつながるのではないか、このように考えるからでございます。

 毎年、厚生労働省が、イクメン企業アワード、それからイクボスアワードというふうなことを表彰しておりますけれども、これらの表彰制度では、審査項目に、仕事と育児を両立できる職場環境の整備、それから取組による定量的な効果が示されること、こういった項目を加えておりますことから、こういった職場環境の整備ですとか、よい効果を上げているということについて、様々な工夫を行う企業の事例というものが集まってまいります。

 特に昨年は、予期せぬ新型コロナウイルスの感染症拡大で、仕事の見直し若しくはオンラインへの移行ということで、仕事のプロセスを見直した企業も多かったというふうに思います。

 昨年のその表彰を受けた企業さんの中では、男性の育児休業取得を促進する中で取り組んできた取組が、そういった中で仕事ですとか仕事プロセスの見直しを進めてきたために、昨年のような緊急事態にもスムーズに対応できたというふうなことを話してくださる企業さんがございました。

 資料二にお示ししておりますように、育児休業取得というのはこうした仕事ですとか手順の見直しなどにつながるというふうに考えておりますので、二でも、こちらの資料の方でも、チームで仕事を共有するですとか、手順、手続を簡略化する、不要なミーティングを減らすようにしていたなど、仕事上の工夫というものをする人の比率が高いというような報告がありますのも、そういったことに結びついているというふうに考えております。

 二点目ですけれども、育児休業の期間に男性が幅広い育児や家事に取り組むこと、長い間取り組むということが、育児休業が終了した後も家事や育児への参画の継続につながる可能性があるというふうな観点から、重要であるというふうに考えています。

 例えば、資料三でございますけれども、ちょっと専門的な内容になっているかもしれませんが、こうした可能性を指摘しているというふうに考えております。

 夫婦共に家事ですとか育児のできる範囲が広まる、守備範囲というふうに考えられると思うんですが、育児休業終了後も夫婦で連携する、あるいは調整するということがしやすくなるというふうに思います。子育てや家庭管理及び働き方の男女非対称性の緩和につながり、夫婦で子育てをするというスタイルが広まる可能性があるのではないかというふうに考えております。

 重要と考える三点目ですけれども、こうした育児休業取得をきっかけにして、会社と個人の関係性が強まるという可能性もあるというふうに考えられます。

 こちらは資料四になりますけれども、育児休業を取得した男性というのは、同時期に子供が生まれまして育児休業を取得しなかった男性に比べて、会社への好感度が高まった、会社への帰属意識が高まったなどと回答する人の比率が高いということが示されております。

 男性の育児休業取得を推進することには、以上のような効果、影響があるというふうに考えますが、そのために考慮すべき点もあるというふうに考えております。今回の法改正に関わる点として、三点申し上げたいと思います。

 一点目は、周知についてです。

 今回新設される個別周知と、従来からの周知の努力義務というのがあるわけですが、双方を組み合わせて、個別に加え幅広い層に対して充実した内容が伝わるようにお願いしたいと考えます。

 男性本人が育児休業制度を正しく認識するということは育児休業取得の大前提になりますが、様々な調査が示すとおり、上司、同僚が支持的だったとか職場に取りやすい雰囲気があったということが、育児休業取得を希望する男性が実際に取得できたかどうかに大きく影響するということが言われております。職場全体に、男女共に育児休業取得についてひとしく請求権があるということについての周知を一層お願いしたいと思います。

 また、男性が育児休業を取得しなかった理由に、妻が育児休業を取得したためということが指摘されるわけですが、これは二〇〇九年の育児・介護休業法改正以前、労働者の配偶者が専業主婦等であって子供を養育できる場合には、企業は労使協定によって当該労働者の育児休業取得を認めないとすることができたという扱いであったことが、改正後も、その制度が廃止された後も職場風土として存続している可能性があるのではないかと考えております。こうした除外規定というのが廃止されていること、それから、むしろ、パパ・ママ育休プラスなど夫婦での子育てを進めようとする象徴的な制度があることなどについて、広範囲への積極的な周知をお願いしたいと考えます。

 二点目は、男性の育児休業取得意向の確認についてです。

 育児休業の取得時期というのはある程度見通すことができますので、本人から取得の意向が示されましたらば、意向確認と併せまして、仕事の内容ですとか配分、スケジュール等を職場で話し合う機会というふうにしていただきたいと思っております。そのことで仕事や働き方の見直しにつながることになると思いますし、また、休みの間に仕事を託す相手の方を育成する機会として利用している企業さんのケースもございます。

 三点目ですけれども、育児休業中の行動についてということです。

 産後八週の間に新設が検討されている仕組みでは、労使協定を前提に、一部就業も認められることとなっております。このような柔軟性を取り入れることで、これまで、職場に迷惑がかかるからということで、取得を希望しながらも二の足を踏んでいたであろう一定数の男性の育児休業の取得が促進されるということが考えられますが、一方で、就業を強要されることのないよう、十分な仕組みの検討をいただきたいというふうに考えています。

 また、就労を可とするという新たな仕組みに目が行きがちですけれども、新制度は、育児休業とその後に続く長い夫婦での子育てのスタートの期間というふうに位置づけまして、その後の夫婦の子育ての協業や連携が進むような過ごし方、これについても幾つかの事例を基に伝えていただきたいというふうに思います。

 最後に、個別の内容というよりも、今般、労政審からの建議に、男性に対するポジティブアクションに沿ってと記載されている点について意見を申し述べたいと思います。

 冒頭申しましたとおり、男女が置かれている社会的な状況の違いによりまして、育児休業取得状況に大きな差が出ているというふうに考えられるわけでして、一定期間のポジティブアクションは必要であるというふうに考えます。ただし、そうであるならば、これは一定期間経過後に見直される必要というものがあるかと思いますので、その点を最後に申し述べたいと思います。

 私からの意見は以上でございます。どうもありがとうございます。(拍手)

とかしき委員長 ありがとうございました。

 次に、池田参考人にお願いいたします。

池田参考人 おはようございます。労働政策研究・研修機構の池田と申します。

 平素より当機構の活動に御理解と御協力を賜りまして、ありがとうございます。この場をかりて御礼申し上げます。

 私は当機構の研究員になって十五年になるんですが、終始一貫して仕事と家庭の両立支援に関する調査研究を担当してまいりました。今日は、その経験を踏まえまして、改正育児・介護休業法の法案の中でも、先ほど高村参考人も言及しました男性の育児休業について私の意見を述べさせていただきたいと思います。

 このような貴重な機会をいただきましたことに、まず深く感謝申し上げます。

 お手元の黄色と青の表紙がついております資料に沿ってお話ししていきたいと思います。

 一枚めくっていただきますと、本日の報告内容ということで概要を記載しておりますが、まず一点目、育児休業に係る政策というのは実は二つの側面を持っているということをまず再確認しておく必要があるというふうに思います。

 育児・介護休業法というのは、元々、男女雇用機会均等法から独立する形で制定されました労働法の一つです。その趣旨は、男女雇用機会均等、そういう理念の下に、男性にも育児休業を適用する、そういう考え方を取っております。仕事と家庭というふうに、ワーク・ライフ・バランスのワークとライフというふうに二つ並べてみたときに、労働政策ですから、やはり女性の労働参加ということに関心がある。

 こちらに育児・介護休業法の第一条の目的規定を載せておりますが、ここで赤字で書いてあるところを読んでいただければ分かりますように、やはり、子育てをする労働者の雇用の継続及び再就職を図る、つまり労働参加を支援するということをはっきりとうたっております。

 さらに、第三条の二項に、ここも赤字になっておりますが、休業後における就業を円滑に行うよう必要な努力を労働者はしなければならない。つまり、家にいてしっかり子育てをしましょうね、それはもちろんあるんですが、やはり、その後に復職をしてキャリア形成をする、就業を継続する、そういう労働参加への関心の強い法律になっているということをまず再確認しておきたいと思います。

 一方、同じように育児休業取得促進政策として推進されております次世代育成支援対策推進法、この法は、やはり、目的は、少子化対策、数量的な子供の数を増やすということだけでなく、質的な面でストレスや負担感の小さい、より幸福の感じられる子育て生活を実現しよう、そういう子育て支援という側面があります。

 これは次世代法の第三条にもそれが明記されておりまして、次世代育成支援対策を通じて、子育ての意義について理解が深められ、かつ子育てに伴う喜びが実感されるようにしよう。つまり、ベクトルが実は仕事と家庭をめぐってちょうど正反対の方を向いていて、それが相補的に関わり合うことで育休政策というのを推進している、そういう性質があるということです。

 今回は育児・介護休業法の改正ですので、次世代法の発想に引っ張られるとちょっと制度設計がいびつになるという側面がございます。なので、あくまでも労働政策、特に男女雇用機会均等という理念の下に制度設計を考えていただきたいというのが私の第一の主張です。

 次に、一枚めくっていただいて、じゃ、男女雇用機会均等というふうにいったときに、何で男性が育児休業を取らなきゃいけないんですかということになります。

 女性の育休の場合は、産後の復職支援という側面があります。現実的に産休だけでは復職がかなわないときに、復職時期を少し先に延ばして復職を円滑にしていく、そういう側面があります。しかし、男性については、育休を取れないと離職をするという話では、なかなかそういうふうな想定では話が進んでいないというふうに思います。

 だけれども、実は、育休には、一定期間子育てに専念して、かつ雇用が保障されるというメリットだけでなく、その後の更なるキャリアということを考えたときには一定のデメリットがあるということが知られています。それが所得ロスとキャリアロスというふうに言われています。

 所得ロスというのは、御承知のとおり、育児休業というのはノーワーク・ノーペイの原則ですから、一定期間の休業に伴う就業中断で収入が減る、そういう問題がございます。もう一方で、やはり、休業期間が長くなると、その間就業経験を積めないとか、将来のキャリアアップにつなぐ大事な、例えば契約案件ですとか大口の仕事ですとか、いろんなチャンスをその期間に逸してしまう、そういうリスクがありますので、女性だけでなく男性も育児休業を取りましょうねというのは、この育休取得に伴うデメリットを女性だけが甘受するというのはやはり男女不平等ですね、そういう考え方にのっとっています。

 なので、できることならば、男女の雇用機会均等という意味では、現状は、雇用保険で夫婦が六か月ずつ育児休業を取るとちょうど所得ロスが一番小さくなるような設計がされていますが、やはり、男女が共に子育てに関わるという家庭生活の面だけではなくて、就業機会を男女で均等にしていく、そういう側面があるんですよということをもう一つ確認しておきたいと思います。

 その観点から見たときに、先ほど高村参考人も指摘されておりましたとおり、スライドの五番目ですが、男性の育休取得率というのは極めて低調になっています。この圧倒的な男女差、かつ、諸外国と比べても、正直、国際会議に出ますと本当に失笑を買うぐらいの低い取得率ということを何とかしなきゃいけないということで、ここ数年間、男性育休についての関心が盛り上がってきたわけなんですが、実は、その中で余り語られていない事実というのがあります。それがスライドの六ページ目です。

 実は、育休制度以外の制度を使って、子供が生まれたときに仕事を休むという男性は割と多いんですね。日本の場合は、未消化の年休がかなりあるという状態ですので、やはり年休は所得保障一〇〇%ですし、先ほど言った、半休、時間休、連続休暇、いろんな取り方ができます。非常に柔軟な形で仕事と家庭の事情に合わせて子育てに時間を割くことができる、そういう便利な制度として使われているという面がございます。あるいは、企業の中には配偶者出産休暇とかいろんな特別休暇制度を用意していて、そういったいわゆる育児休業という方式ではない方式で休んでいる人が結構実はいるんですよということがあります。

 なので、そもそも休めないという人と、休めるんだけれども育児休業は取っていないという人と、育児休業を取っているという、この三層構造になっているということをちょっと頭に置いていただきたい。どうしても、育児休業を取れないイコール休めない、何か、人手が足りない、仕事が忙しい、そういう話になってしまうんですが、休めないという話と育児休業を取らないという話はちょっと段階の違う話として専門家の間では共有されている問題ですので、この点、御注意ください。

 そうすると、六ページ目のスライドで、いずれも非取得、つまり、どんな手段を使っても休んでいないですよという人は、実は二三・八%なんですね、これは一番新しい調査ですが。そうすると、この人たちが正規の育休を取るとどうなりますかということが問題になります。

 実は、育児休業といっても、男性の場合は、何か月もの単位で取っている人というのはそれほど多くなくて、やはり短期間、場合によっては五日未満とか一週間とか一か月未満、そういった人たちが圧倒的に多いので、それと例えば二十日間丸々繰り越している年休を全部消化するのと何がどう違うんですか、そういう問いが専門家の間では出ています。

 なので、女性が育休を取れないという場合は、やはり最初から何か月単位で取るので、それが取れないとなると非常に仕事と家庭の両立が危うくなるという側面があるんですが、男性はこの短期の取得という問題が間に挟まっているので、非常に問題を複雑にしています。

 実際に、では、ほかの休業制度を使った場合はどうなのかというと、やはり取得日数というのは短めになります。やはり育児休業を取っている人は長めです。

 スライドの七ページを見ていただくと分かるんですが、制度の種別を問わない合算の平均、この左側の図の一番下にありますが、これが大体十三・一日、二週間弱ぐらいですね。それに対して、育児休業の場合ですと二十六・二というふうになっていますから、やはり一か月近くというふうになっていますので、単純に考えて倍ぐらいの日数は取っているということになります。

 そうすると、やはり短くいろいろ小刻みに取っていくというのが今の現状の男性の、要するに両立支援のある種の戦略というか、そういうスタイルなんですよね。それを、育児休業をやはり取りましょうよ、それで、できれば長く取りましょうよというふうに持っていくということが大事じゃないですかねという話になります。

 そういう観点で、一枚めくっていただいてスライドの八ページ目ですが、改正法を見ましたときに、どういったことが効果として期待できるかといいますと、先ほど申しましたように、育休以外の制度を使って休んで子育てに時間を使っている、そういう男性が育休を取るようになるということです。ですので、年休で十日間とかほかの特別休暇を使って二週間ぐらいとかと言っている人たちが、二週間だったら育休を取りましょうよというふうに、先ほど言った個別周知と意向確認というのがそこにくっついてきますので、育児休業を取りましょうよというふうになります。それによって当事者が育休を取るということを意識するようになって、制度についての十分な理解がないままに他の特別休暇で対応しようとしていたところが育休を取るようになる、それによって育休取得率が上がるということが期待されています。

 その制度設計の中で、二回に分割できるとか、先ほども言及のありました育休中の就労を一部認めるというのは、これは、現状の、柔軟に、分かりやすく言うと、年休と比べたときに育休の方がいいと思えないと、やはり年休を取った方が当事者にとっては取りやすいんですよね。そうすると、育休中の就労というふうに言うと、何か子育ての片手間に仕事もするというふうに見えますが、現実的には、年休を使う場合は、時間休とか半休という形で、一日の時間を子育ての時間と仕事の時間というふうに割って、それで両方に当たるということが現実的にできるようになっていますので、そういったやり方で取りあえず男性が育休を取るということの道筋をつけよう、そういう考え方というふうに理解できます。

 実際に、厚生労働省の資料でも、九ページに引用しておりますが、やはり長期一回を最初から念頭に置いて取っていただくのではなくて、断続的に細切れに取っていただく、そういうやり方で取得の取りやすさということを考えていきましょう、そういう制度として理解できます。

 しかしながら、この九ページのスライドを見ていただいても分かりますように、母と父とで矢印の引っ張り方がやはり違いますよね。ここで問題になってくるのが今後の検討課題ということになりますが、やはり男性と女性の育児休業の取り方の非対称性という問題を今後どう考えていくかということは非常に重要な課題になります。

 特に、今回新設されました出生後育休につきましては、女性は、産後六週間、これは強制休業です。本人が働きたいと言っても一切の就業が認められない、そういう休業になっております。他方で、出生後育休の方は、分割できるということは、間を挟んで仕事をしてもいいですよということになりますし、労使協定に基づく休業中の就労というのは、これは文字どおり断続的に就業が認められるということになります。

 これを、やはり男は仕事なんだよねというふうになっちゃうと、性別役割分業を支持し強化する制度になってしまいます。なので、やはりこの非対称性の問題というのは、先ほどポジティブアクションというお話がありましたが、短期的にはポジティブアクションとして考えてもいいですが、やはり男女雇用機会均等の根本的な問題に関わる部分を持っているということを最後にお話ししていきたいと思います。

 二つの方向性として、まず、やはり、男性も働けるんだったら女性も育休の合間に働けるということがあってもいいよね、そういう考え方もあると思います。つまり、今回男性に適用した考え方を女性にも適用していきましょうよ、体の体調がよかったら働いてもいいんじゃないんですか、そういう考え方を取っていくという考え方はあると思います。

 いや、そうではなくて、やはり産休というのは母体保護ですから、これはもう何物にも代え難い保護の対象なので、これはもう鉄板で動かさない。だったら、男性も一定期間は仕事をしないでしっかり休んでください、そういう考え方もできます。

 だけれども、女性の母体保護の問題というのは、やはり他者が代替できない自分自身に対するケアであるのに対して、男性の育児というのは、現実的には、夫婦以外の人が子育てに関わるという場面が日本では結構あります。実家の親だったり、あるいはシッターさんだったり、産褥シッターを雇ったりとかということもありますので、妻か夫かでいったら、妻が要するに動けないんだから夫がやらなきゃいけない、だけれども夫婦だけじゃないですよという問題がありますので、この点を留意して今後検討を進めていくことが大事じゃないかなというふうに思っています。

 最後に、締めになりますが、労働政策としての育休政策と子育て支援政策としての育休政策というのはやはりちょっと性質が違うというのは、労働政策というのは労働市場に介入する政策だということを最後に申し添えておきたいと思います。

 市場である以上は、交換関係、ギブ・アンド・テイクで成り立つ。その当事者の取引関係の中に政府が介入して、市場取引のルールを整備していくというのが労働政策が持っている一つの重要な機能としてあります。

 そのときに、育休とか何にしても、使用者の人が気軽に、休んだ分は働いてねと言いますけれども、それは別に意地悪で言っているんじゃなくて、やはりギブ・アンド・テイクの関係で職場は成り立っているということを端的に表している側面がありまして、政策介入によって労働者にある種の便益を与える、今回の場合だと、育休を取りづらいから取れるようにしましょう、なるべく長く取れた方がいいですねということを便益として与えた代わりに、企業側というのは、そのコストに見合った見返りというのをやはり労働者に求めてきます。例えば、休んだ分は働いてねという気軽な言い方は、例えば、女性が育休を取って復職した後には、やはり管理職昇進という形で見返りを求めます。

 これは、職域拡大とか男女雇用機会均等の理念に合っているので、どちらかといえば望ましいことというふうに捉えられがちですが、やはり、そこまで仕事にフルコミットメントしたくないんだけれどもという女性にとっては厳しい選択を迫られているという側面も当然ございます。

 そういう意味で、お互いに信頼関係の上で成り立っている職場ではありますが、やはり、営利活動の中で従業員の人材を活用しよう、その基本前提の中でいろいろなベネフィット、便益をやり取りしているというのが労使関係ですので、困っているから助けてあげないといけないという形で、安直な慈悲深さで、労働者に便益を上から介入して無理やり提供するようなことをすると、それは労働者にとってある種の債務を負うことになりかねない。

 育休を取った見返りにあなたは何をしてくれるんですか、そんなに育休を取りたいんだったら。よく言われるのが、そういうことになると逆に子供を産みづらくなるとか、逆に、それに見合った男性しか要するに企業が期待をかけなくなるとか、そういったことが現実的に懸念される。これは女性についても言われますし、労働政策全般について、やはり、利益を得ると思った方の首を絞める結果という、そういう副作用が常について回るということを考慮して政策を決めなきゃいけない。だから、労使の対話ということが大事になります。

 対話が大事というと、何か話合いでマイルドに問題を解決しようとするハト派の主張のように見えますが、これは違います。何か思い切ったことをやるのが格好よくて、マイルドな人は弱腰という話じゃなくて、基本的に、取引関係、交換関係について労使が納得していないルールを適用しようとすると、必ずゆがみということが生じます。

 それは、もう一回強調しますが、利益を与えようと思って、困っているから助けてあげようと思った方の人を苦しめるという結果になるのが労働政策の怖いところです。非正規の人がかわいそうだから、女性の人がかわいそうだから、ああいう人がかわいそうだから何とかしてあげようといっても、急進的なことをやると、その副作用でその人たちが困るということになるということを重々留意して、労働政策としての育児・介護休業法の在り方ということを引き続き御検討いただきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。(拍手)

とかしき委員長 ありがとうございました。

 次に、杉崎参考人にお願いいたします。

杉崎参考人 日本商工会議所で労働政策の担当部長をしております杉崎と申します。

 本日は、このような場を設けていただきまして、誠にありがとうございます。感謝申し上げます。

 育児・介護休業法の改正案につきまして、労働政策審議会の使用者側委員として議論に参加した立場から、また、商工会議所は全国に百二十二万の会員を擁しておりまして、その大宗が中小企業であるということから、本日は中小企業の実態を踏まえて意見を申し上げたいと思います。

 まず、改正法案に対する基本認識を申し上げます。

 今回の改正法案の基本的な考え方となっております男性の育児休業取得の促進につきまして、その趣旨に賛同いたしております。

 女性の育児休業取得率が八〇%を超えて推移している一方で、男性の取得率は七・四八%にとどまっております。家庭内の家事、育児の負担が女性に偏っている現状を踏まえますと、男性も育児休業を取得し、その後も育児を担っていくということは、仕事と育児を両立できる社会の実現はもとより、女性の雇用継続、ひいては女性の更なる活躍に向け非常に重要であると認識しているところでございます。

 一方で、育児休業は、労働者が申し出た場合、事業主は必ず取らせなくてはならない強い権利となっております。企業の立場では、労働者が育児休業を取得した場合、いかに業務を円滑に回していくかということが課題になります。人手不足の傾向が続いている中で、特に、企業規模が小さくなるほど、育児休業を取得した労働者の代替要員の確保など、業務の円滑な継続に困難が生じることが考えられます。

 また、コロナ禍の非常に厳しい経済情勢の中で、多くの中小企業は、雇用調整助成金等の各種支援策を活用しながら事業の存続と雇用の維持にぎりぎりの努力を続けていることから、企業の余力は乏しく、余裕を持って人員を確保しておくということも困難でございます。

 今回、改正法案の取りまとめに当たりましては、労働政策審議会において議論が行われましたが、現下の企業の厳しい実態も踏まえつつ、男性の育児休業取得促進策を真摯かつ建設的に議論した結果、妥当かつ実効性のある結論に至ったものであると認識してございます。

 次に、改正法案の具体的な内容について意見を申し上げます。

 今回の改正法案の大きな柱の一つが、男性について、産後八週の間に四週間分の休業を取得することができる出生時育児休業制度の創設であります。

 男性が育児休業を取得しない理由として、業務の都合ですとか職場の雰囲気を挙げる割合が多いということを踏まえますと、育児休業の取得が進んでいない男性について、柔軟に取得できる新たな仕組みを設けることは有意義であると考えております。

 一方で、現実的には、マンパワーが乏しい中小企業においても、年末などの繁忙期に複数の社員が同時に育児休業を取得する可能性もあり得ること、また、休業する男性労働者の仕事を引き継ぐほかの労働者の負担軽減、例えば、引継ぎに係る準備ですとか体制整備を十分な時間的余裕を持って行うことで、特定の個人に過度な負担がかからないようにするということが重要でございます。

 したがいまして、企業における業務の円滑な継続には、柔軟性を確保することに加えて、現場の実態に配慮した仕組みにしていく必要がございます。

 特に、今回は、出生時育児休業制度について、通常の育児休業よりも申出期限を短縮し、原則二週間にすることとなっております。これに関しましては、義務を上回るような取組を実施することを労使協定で定めた場合には、申出期限を一か月前とすることが可能となっております。

 このように、企業の現場に配慮しつつも、男性の育児休業取得促進を図るような仕組みを設けるということが、今回の改正法案の実効可能性を高めることにつながっており、まさに労働政策審議会で労使が議論して結論を得た成果であると考えております。

 また、今回の出生時育児休業制度については、事前に調整した上で、休業中に就労することが認められる案になっております。一方で、本来休業したい労働者が意に反して就業させられることがないように、労使協定の締結や、個別の同意、労働者側からの条件の申出など、様々な手続や要件を求めております。この点については、労働者の意に反して働かされることを防ぐとともに、男性の育児休業取得のハードルを下げ、育児休業を取得しやすくなる効果が見込めるという点、さらに、中小企業における事業の継続性を担保する点からも評価をしたいと思っております。

 今回の出生時育児休業制度が新設されることにより、これまでよりも男性が育児休業を取得するようになるということが考えられますが、中小企業はマンパワーに限りがあることから、育児休業を取得しやすい環境整備に向けた支援が重要であると考えます。

 このため、労働政策審議会の建議では、特に中小企業においては育児休業等取得に伴う代替要員の確保等の負担が大きいことから、派遣等による代替要員確保や業務体制の整備等に関する事業主の取組への支援、ハローワークにおける代替要員確保のための求人に対する積極的な支援を行うことが適当、事業主の取組への支援については、ノウハウが十分ではない中小企業からの相談対応や好事例の周知も含めて行うことが適当とされたところでございます。

 雇用の七割は中小企業が担っているということから、中小企業において実効性を確保することが重要でございます。こうした形で、国からの支援も受けながら、中小企業においても男性が育児休業を取得できるよう、日本商工会議所といたしましても取り組んでまいりたいと考えております。

 今回の改正法案のもう一つの柱が、事業主に対する、育児休業を取得しやすい職場環境の整備及び労働者への育児休業制度の個別の周知、取得意向の義務化でございます。

 男性が育児休業を取得しない理由として、職場の雰囲気が挙げられております。職場での取組の有無によって育児休業取得率が違ってくるということを踏まえますと、育児休業を取得しやすい職場環境の整備ですとか、労働者への個別の周知、意向確認が求められるということについては理解いたしているところでございます。

 一方で、今回の措置は企業規模にかかわらず事業主に義務づけられるということを踏まえますと、義務の内容については、中小企業でも対応可能なものにしていく必要がございます。

 このため、労働政策審議会の建議においては、育児休業を取得しやすい職場環境の整備の具体的な内容としては、中小企業にも配慮し、研修、相談窓口の設置、制度や取得事例の情報提供等の複数の選択肢からいずれかを選択することが適当である、また、労働者への個別の周知、意向確認の具体的な方法としては、中小企業にも配慮し、面談での制度説明、書面等による制度の情報提供等の複数の選択肢からいずれかを選択することが適当であるとされたところでございます。

 これらの取組を行うことは中小企業にとってなかなかハードルが高いものではありますが、国において、これらの環境整備や周知に関する分かりやすく活用しやすいポスター、リーフレット等を提供していただけるということになってございます。

 これらの国の支援や各種のツールも活用しながら、中小企業においてもこれらの義務を円滑に履行できるよう、日本商工会議所は改正内容の周知に協力していきたいと考えてございます。

 冒頭にも申し上げましたが、コロナ禍の影響もあり、多くの中小企業は今もなお事業の存続と雇用の維持にぎりぎりの努力を続けており、非常に厳しい経営環境に置かれております。

 厳しい経済情勢ではありますが、男性の育児休業の取得促進は、仕事と育児を両立できる社会の実現はもとより、女性の雇用継続、女性の更なる活躍のみならず、少子化対策にも資する非常に重要な課題であることから、その必要性を理解し、労働政策審議会においては、労使共に現場の実情に即した建設的な議論を行ってまいりました。

 今回の改正法案は審議会の議論を踏まえて作成されており、審議会委員の一員といたしまして、この改正法案には賛同いたしております。

 日本商工会議所といたしましても、今回の改正法案が成立した際には、周知に積極的に協力させていただくとともに、男女共に希望に応じて育児休業が取得できる社会の実現に協力してまいりたいと考えてございます。

 説明は以上でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

とかしき委員長 ありがとうございました。

 次に、舟橋参考人にお願いいたします。

舟橋参考人 お世話になります。全国労働組合総連合女性部長の舟橋でございます。

 本日は、育児・介護休業法改正に関わって、労働者の立場、労働組合の立場からの発言の機会をいただき、ありがとうございます。

 全労連女性部は、昨年のコロナ禍にある四月から七月にかけて、健康・労働実態及び雇用における男女平等調査、七千八百二十九人、妊娠・出産・育児に関する実態調査については、二〇一五年以降に妊娠、出産した人を対象に、二千五百七十一人から回答を集めました。本調査は一九九二年から五年ごとに実施しているものであり、前回は二〇一五年、今回は七回目です。

 皆さんにお配りをしております資料、「本調査の目的と背景」と記された表紙の五ページからの調査概要につきましては、厚生労働省で記者発表を行い、厚生労働省、内閣府には提出済みのものでございます。

 本調査は、働く女性の労働環境にどのような変化があり、どのような課題を抱えながら働き続けているか、また、何が仕事と生活の両立を困難にしているか実態をつかみ、女性はもちろんのこと全ての労働者が人間らしく働き続けることができるよう、職場、労働行政に活用するため行っているものです。

 五年ぶりとなる調査では、前回調査以降、女性活躍推進法、働き方改革関連法の労働時間の上限規制、年次有給休暇の年五日取得義務化、パートタイム・有期雇用労働法の不合理な差別禁止、また、パワハラ防止法などが施行される中で調査を行ったもので、この調査への影響も把握をしたところです。

 二〇二〇年は、新型コロナウイルスの発生と感染拡大に伴い、これまで以上に、女性労働者、非正規労働者に対して様々な負担が集中しています。その結果、雇用や生活面等への影響も大きく、女性労働者、非正規労働者の実態を踏まえて、改善に向けた実効ある施策を進めるなど、ジェンダーの視点から諸制度を見直すことが求められています。また、第五次男女共同参画基本計画の具体化の充実を図ること、通常国会に育児・介護休業法改正案が審議されており、安心して妊娠、出産、子育て、介護のできる法改正にしていただけることを願い、本日は私からの意見を述べさせていただきます。

 それでは、配付しております舟橋初恵の参考人資料を御覧ください。

 まず、資料二ページ。あなたは妊娠、出産、子育てを理由として仕事を辞めた経験はありますかの問いに、非正規は、辞めたことがある五六・四%、前回調査は六〇・二%で、正規は七・〇%、前回五・八%と大きな差があります。非正規で、妊娠、出産、子育てを理由として仕事を辞めた経験がないとする人が四三・三%でした。これは、前回三八・四%から増えており、就労を継続する方は僅かですが増えています。

 三ページを御覧ください。辞めたことがあるを選んだ方に尋ねています。辞めた理由はの問いに、雇用形態別で見ると、正規は、職場に両立を支援する制度や雰囲気がなかったが二三・七%と最も多く、自分の体力がもたなそう一六・七%、勤務時間が合わなかった一四・七%、家事、育児に専念するため希望して辞めたが一二・二%でした。

 非正規は、家事、育児に専念するため希望して辞めたが最も多く一八・九%、職場に両立を支援する雰囲気や制度がなかった、自分の体力がもたなそうが共に一七・七%、次いで、勤務時間が合わなかった一六・五%、つわりや体調不良のため一〇・四%でした。

 退職勧奨、解雇されたが全体で六・一%に上っています。妊娠期間中や育児、短時間勤務が終わって一年以内に解雇や雇い止めなどの不利益扱いを行うことは違法とされているにもかかわらず、そのような違法行為が実際にあることが改めて浮き彫りとなっています。

 保育園に預けられなかったも三・八%であり、待機児童ゼロが実現されていないことも分かります。

 職場に両立を支援する制度や雰囲気がなかった二〇・三%、両立支援制度はあったが取れる雰囲気がなかったが六・七%、合わせると、四人に一人は離職せずに済んだかもしれません。

 五ページです。あなたは妊娠、出産、育児に関わってハラスメントを受けたことがありますかの問いに、二〇一七年十月の育児・介護休業法改正によってマタハラ防止措置が強化されたにもかかわらず、ハラスメントを受けたことがあるは一六・六%、前回の調査より一・一%増えています。法改正が徹底されていない実態があります。

 六ページです。あると答えた方に尋ねます、どんなハラスメントですかの問いに、表とグラフは前問でハラスメントがあると答えた四百十一人の内訳です。正規七三・九%、非正規七〇・七%が、言葉で嫌がらせを受けたと答えています。

 七ページです。産後休暇終了後、育児休業を取りましたかの問いに、育児休業を自分が取ったは正規で八二・五%。自分と配偶者が取ったを合計すると、正規女性の育児休業取得は八七・七%です。一方、非正規は五〇・九%です。非正規では、仕事を辞めた二七・八%と三割近くに上っています。

 八ページです。育児休業を取った方はお答えください、あなた自身育児休業をどのくらい取りましたか。自分が取った、自分と配偶者が取ったの合計です。育児休業の取得期間は、正規、非正規共に十二か月から一歳六か月未満が最も多く三〇・二%です。二〇一五年前回調査と比べて僅かに増加しています。

 九ページです。配偶者が育児休業を取った方にお聞きします、配偶者の育休期間はどのくらいですか。配偶者が取った、自分と配偶者が取ったの合計。配偶者の育休取得期間について、雇用形態別では、正規は五九・九%が一か月未満でした。非正規では配偶者の育休取得はほとんど例がなく、回答のあった四件は全て三か月未満でした。

 十ページです。あなたが希望どおりの育児休業を取らなかった理由をお答えください。希望どおりの期間育児休業を取らなかった理由で多かったのは、保育園に入れるため。全体二千五百七十一人から、不明、無回答千三百四十一人を除いて、千二百三十人が希望どおりの期間育児休業を取れておらず、約半数が育児休業期間を短縮する選択をしています。千二百三十人のうち、希望どおりの期間育児休業を取らなかった理由で多かったのは、保育園に入れるためで、正規は五五・七%、非正規四四・〇%となっています。続いて多いのは、休業中の所得保障が少ないで、正規は三一・九%、非正規一六・〇%となっています。

 十二ページです。夫が育児休業を取らない、又はもっと長く取りたかったが期間を短くした理由は何ですか。この質問は妻に聞いた回答となりますが、全体で、夫の職場に育休を取れる雰囲気がないが最も多く四九・九%。次いで、育児休業の制度が職場にない二一・三%、人員不足二〇・二%です。

 十七ページです。育児休業法の改善に向けて最も要求したいことは何ですか。育児休業法の改正要求のトップは、育児休業中の所得保障五七・七%。代替要員の配置の義務化二九・二%、男性の取得の推進の措置二五・五%です。

 十八ページです。子育てに関する両立支援制度の改善に向けて要求したいことは何ですか。両立支援制度の改善に向けての要求では、子供の看護休暇の日数増五五・八%、参観日、PTA活動など家族的責任を果たすための休暇の新設、拡充四八・五%、子供の看護休暇の対象年齢の引上げ三四・七%と、子供のための休暇制度の拡充を求める回答が上位三つを占めています。この傾向は非正規も同様です。

 十九ページです。あなたが仕事と家庭、育児を両立させて働き続けるために最も切実な要求を五つお答えください。仕事と家庭、育児を両立させて働き続けるための切実な要求五つは、全体では、休暇の取りやすい職場環境四〇・五%、子の看護休暇の拡充三九・〇%、保育や授業参観、行事参加の休暇三三・五%、子育て等に対する職場の理解二八・七%、保育料など育児に関わる負担軽減二八・〇%でした。

 まとめをさせていただきます。

 あなたは妊娠、出産、子育てを理由として仕事を辞めた経験はありますかの問いで、辞めた方の回答で、職場に両立を支援する制度や雰囲気がなかった二〇・三%、両立支援制度はあったが取れる雰囲気がなかった六・七%を合わせると、四人に一人は離職をせずに済んだかもしれません。ハラスメントを受けたことがあるは一六・〇%で、言葉で嫌がらせを受けたと七割が答えています。

 このように、職場における両立支援制度の整備と制度取得を促す体制整備が求められています。

 自由記載、当事者の生の声です。妊娠中、通勤緩和を利用したら、上司から、妊娠していることを公表し、迷惑かけて済みませんと言いなさい、制度だからといっていつまで取っていいものではない等、精神的、体力的にもつらい思いをしました。こういう声が寄せられています。

 育児休業法の改正要求のトップは、育児休業中の所得保障五七・七%でした。

 育児休業中の所得保障の要求が強いのは、女性の賃金が低いからです。国税庁民間給与実態調査二〇二〇年で、平均給与は、男性正規五百六十一万円、女性正規は三百八十九万円、女性の非正規は百五十二万円となっています。女性では、百万円から二百万円は五百二十六万人と最も多く、百万円以下と合わせると八百六十七万人となっています。この賃金が低いことが妊娠、出産をためらう要因で、様々な両立支援制度があっても、所得保障のないために活用せず、無理をしてしまう要因の一つと考えられます。

 育児休業法の改正要求の、育児休業中の所得保障五七・七%に次いで多かったのが、代替要員の配置の義務化が二九・二%です。

 これも自由記載からですが、人員不足のため休憩、年休等が取れない、このことが原因で疲労が増し、ハラスメントやメンタルにつながっているのではないでしょうかと声が寄せられています。

 本日、育児・介護休業法改正に係る参考人意見ということで、妊娠、出産、育児に係る調査結果よりの報告を中心に発言させていただいていますが、二十一ページを御覧ください。

 もう一つの、健康・労働実態及び雇用における男女平等調査で、要求調査を行っていますが、女性の二大要求ははっきりしています。賃金引上げと人員増です。妊娠、出産、育児を行い、働き続けるためにも、この賃金引上げと人員増は切実な要求です。

 世界経済フォーラムが毎年発表している男女の格差のギャップ指数では、今年公表されているもので、日本は百五十六か国中百二十位でした。経済分野における順位を上げるためにも、女性が働き続けられる制度整備、男女差別ない、八時間働いたら暮らせる賃金、労働条件の整備をお願いします。

 また、女性労働者の六割が非正規労働者という現在、本日報告したアンケート結果でも、非正規労働者はより制度利用が困難となっています。そして、今後懸念されるのは、雇用によらない働き方を増やすと政府はしていますが、雇用によらない働き方は、産前産後、育休など労働者保護の制度は使えません。男女とも安心して子育てできる社会であるためにも、非正規雇用や雇用によらない働き方が広がらないようお願いをいたします。

 最後に、妊娠、出産、育児を自己責任とせず、社会が後押ししていただく制度となることをお願いをし、私の意見とさせていただきます。

 ありがとうございます。(拍手)

とかしき委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

とかしき委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。上野宏史君。

上野委員 自由民主党の上野宏史でございます。

 四人の参考人の先生方、大変貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。

 今回の法改正でありますけれども、全ての働く方がその希望に応じて仕事と育児を両立をできるようにしていく、また、足下、コロナウイルス感染症の影響もありますけれども、令和二年出生数が八十七万人、また令和三年は七十万人台にもなるということも言われておりますけれども、子供を産み育てやすい環境をしっかり整えていくという意味からも、大変、その目指すところ、大切な法案であるというふうに思います。参考人の先生方の御意見をしっかりと踏まえながら審議に当たっていきたいと思います。

 順次お伺いしていきたいというふうに思います。

 まず、足下の育児休業の取得率、先ほど各先生方からも言及がありました。女性の八三%に比べて男性は七%である、さらに取得期間についても男性は大変短い、五日未満が三六%ということでもありました。

 男性に対してなぜ育児休業を取らなかったのかという話を取ると、例えば、会社の中で制度が整っていない、これは周知不足という点もあると思いますけれども、あとは、収入を減らしたくないというような調査結果というのも挙げられているところであります。

 一方で、こうした点についても従来から指摘をされておりましたし、様々な制度改正において手当てをされてきた、育児休業給付等についても手当てをされてきたところであります。

 各先生方、様々な、それぞれのお立場で、こうした育児休業の施策についてはコメントをされたり発信をされたり、又は政府の施策決定に関わってこられた先生方もいらっしゃるというふうに承知をいたしております。現行の制度、今の制度についてどのように評価をするのか、また、今回の改正法案でそうした課題がどのように解決をされていくというふうに考えているのか、各先生方、四人の先生方にお伺いをしたいと思います。

高村参考人 高村でございます。

 御質問いただきました点でございます。現在の制度についての評価ということと、今回の改正による効果の見通しということで御質問いただいたかというふうに思います。

 現在の制度の、育児・介護休業法の中に定められていることと、それから、雇用保険法の中から給付される休業給付ということと、両方あるかというふうに思います。

 御質問の中に特にございました、制度が整っていないということと、それから、所得が減るのではないかという二つのことを中心にちょっと申し述べたいと思います。

 まず、制度が整っていないということについてなんですけれども、実際には、一定の要件を満たしていれば請求権というのがあるわけでございます。当然、会社の方でも、それを会社として認めるとか、あるいはそれに対して上乗せするというような制度をつくりまして、就業規則などに定めてあればよりよいとは思うのですけれども、実際には、会社に制度がなかったとしても、こちらの制度の中で請求権というのが認められているところでございます。ですので、現在の制度の問題というよりは、議員も御指摘になられましたとおり、やはり周知というところが不足しているのかなというふうに考えております。

 そういったことでいいますと、今回の改正の法案の中にもございます個別周知ということに関しては、ほかの参考人の方からも御意見がございましたけれども、私は効果が見込めるのではないかというふうに考えております。ちょっと、その程度というところについてまでは申し上げられるところではないのですけれども、効果があるかないかということについて言えば、その点については効果があるというふうに考えております。

 また、所得保障というところでございますけれども、これはこちらの法律というよりは雇用保険の方の話でございますけれども、私はこちらについても十分に周知が実は足りていないという面があるのではないかというふうに考えております。

 私は先ほどイクメンプロジェクトの中の推進委員会のメンバーであるということを申し上げたんですが、表彰を受ける企業さんの中には、従業員の方がやはり所得保障ということに関して非常に不安を持っている、それについては情報が正しく伝わっていないこともあるのではないかというふうにお考えになられて、その方の個別の置かれている状況、実際にどのぐらい所得があるとか、そういうことを踏まえてシミュレーションを見せることによって、個人の方の理解それから安心感ということが広がり、取得につながったというふうなことに取り組まれている企業さんもございますので、この点についても周知というところは大切かなというふうに思っております。

 済みません、ちょっと長くなりました。ありがとうございます。

池田参考人 御質問ありがとうございます。

 まず、現行法の制度の評価ですが、これは実は女性に関しては、非常に、もうこの後どう上乗せするかというぐらい、特に無期契約の女性、先ほど非正規の問題に言及されましたが、非正規の問題というのは相変わらずあるというふうに思いますが、正社員として働く女性、無期契約の女性に関しましては、これまで度重なる改正で、相当程度手厚い改正を繰り返してきました。

 実は、これはある意味皮肉なことなんですが、先ほど申しました、女性の離職防止のために、何とか離職を防ごう、出産退職を減らそう、そういう趣旨から、育児休業期間の延長ですとか短時間勤務制度の単独義務化ですとか、とにかく離職を防ぐということについて、女性に対してかなりいろいろな法改正をして手厚くしてきたんですが、結果として、女性だけが制度を利用すれば何とか離職を防止できるようになってしまっている。つまり、男性の出番というのがどこにあるのかが非常に分かりづらい法体系になってしまっているという問題があります。

 典型的なのがパパ・ママ育休プラスで、一歳二か月まで育休期間を延長できますよと言っているんですが、女性単独でも保育園に入れない等の事情があれば一歳半ないしは二歳まで延長できるんですから、この一歳二か月までの延長って何なんですか、そういう疑問がやはり出てくるんですね。

 なので、先ほど言った、男性では制度がないとか、無知だとか、周知が足りていないという問題は当然あるんですが、現状において女性が一人で制度のやりくりをすれば何とかなってしまっているというところで、そこに男性の出番を何とかつくらなきゃいけない、そういう非常に無理難題が実はこの法律にはあります。

 ですので、どういうことかというと、もう今までの考え方から一つ発想を変えないといけないというのが、多分ここの、今回の法律の大きなポイントだと思います。

 ですので、分割取得を可能にしたというのは、これまで一つの制度をなるべく長く連続して、長期間にわたって使えた方がいいんだ、そういう発想を一旦やめて、制度を分割してもいいんじゃないかというふうになるということは、断続的に仕事と家庭を調整していくということになりますので、発想の転換が含まれているんですね。

 今後、男性の育児休業取得を増やそうとか男性の制度利用を増やそうというときには、いかにしてこの発想の転換をしていって、それで、女性の両立の在り方も見直し、そこに男性の両立の在り方というのをはめ込んでいく、そういう発想の転換の第一歩として、今回の改正というのは非常に大きな成果じゃないかなというふうに私は見ています。

 以上です。

杉崎参考人 まず、現行制度の評価についてでございますが、制度自体は一定程度は整っているものと認識してございます。

 ただし、先ほど来、他の参考人の先生方からの御指摘もございましたように、周知の面で課題があるということは考えられるかと思います。例えば現行のパパ休暇制度というものがございますが、これがどれだけ十分に知れ渡っているのか、活用されているのかという課題は挙げられるかと思います。

 そして、もう一つの観点は、現在、男性の方々が育児休業、休暇を取っていないという現状なんですけれども、年次有給休暇を使っているケースもあるということがございます。じゃ、なぜ年次有給休暇を使っているのか。そこについては、柔軟性、申出期限ですとかを始めとした柔軟性の問題があるのかなという、この周知の問題、柔軟性の問題があるというふうに考えてございます。

 一方で、今回、改正法案に盛り込まれております新制度の評価ですとか効果といった点についてでございますが、まずもって、非常に柔軟な仕組みとされている、しかも企業の実態を踏まえた上での制度となっている点が評価できると思ってございます。

 例えば、申出の期限でございますとか、分割、休業中の就労と、非常に柔軟な仕組みになっていることが挙げられます。また、周知の点におきましても、この周知、意向確認の義務化というところが入ってございます。

 したがいまして、現行の育児休業制度の課題を解決する新制度であるということが言えるのかと思います。こうした制度が実現することによりまして、男性の取得率の向上が図られるのではないかというふうに考えてございます。

 そして一方で、所得面、育児休業給付に関してでございますけれども、こちらは現在でも国際的に見て高い水準であると認識してございます。これはユニセフの報告などにもございましたと思いますが、世界的に見ても立派なものであるかと思います。

 一方で、財源の問題でございますが、育児休業給付は雇用保険料を財源としてございます。現在、雇用調整助成金を始め、この財源の確保が非常に大きな課題となっている中で、慎重な検討が必要であろうと思ってございます。

 今回の改正におきましても、労政審で議論した結果、給付率は現行のままが妥当であるというふうにされたことから、この育児休業給付については非常に現時点でも評価できるということが言えるかと思います。

 以上でございます。

舟橋参考人 舟橋から意見を言います。

 まずは、現行制度よりも、いわゆる男性の育児休業に関しては柔軟な対応、具体的に言えば二週間前に申出をすればいいという期間の短縮なども含めて、より使いやすい方向での改正にはなっているというふうに思います。

 全体、ほかの意見も出ておりますが、女性も含めて、この制度自体、非常に不十分な周知状況に置かれているということはあると思います。改めて、改正になった場合の、どういう違いがあるのか、また、使うためにはどういうふうに促進していくかということで、丁寧にいろいろ計画されているかと思いますけれども、より徹底をお願いをしたいと思います。

 さらに、女性たちも含めて、男性がより柔軟にこの制度を使うことで、女性自身も育児、妊娠、出産も含めて後押しをしてもらえるという制度になっているということでは、特に、柔軟に取れる、出生時ですね、退院時から取れるということなども含めて、いわゆる出産後の女性の非常に不安定な時期に男性が育児に関わってもらい、女性が安定して子育てもできる。そして、男性も子育てに関わることで男女共に子育てをするということの重要性をきちんと感受できるというのは重要な点だというふうに考えています。

 以上です。

上野委員 ありがとうございました。

 各先生方、大変丁寧に御回答をいただきまして、次が最後の質問になるというふうに思うんですけれども、杉崎参考人にお伺いをしたいと思います。先ほどの御説明の中でも若干触れていただきました、人員の確保の件についてお伺いをしたいというふうに思います。

 企業の経営者又は人事担当者が育児休業を社員の方々、職員の方々に取ってほしいというふうに思っていても、そもそも人手不足であったり、又は専門性のある業務であったり、又は経験が必要な業務ということについて、なかなか代替できる人員を確保できないという点があるんだと思います。日頃から、例えば業務を複数の者で共有をしたり、さらには代替要員を育成をしたり、又は中長期的にそうした人事異動も想定をしながら人事管理をできればいいのだと思うんですけれども、なかなか現実的には難しいということでもあるというふうに思います。

 そうした中で、こうした課題を解決していくためにはどういう取組があり得るのか、又は具体的にそうした取組事例のようなものがあれば御教授いただきたいというふうに思いますし、あわせて、政府からどのような支援策があればいいのかといった点についてもお伺いをしたいと思います。

杉崎参考人 御質問ありがとうございます。

 この点については、中小企業における取得促進をするに当たって、非常に重要な御指摘だと認識してございます。

 この点については労政審でも議論を尽くしまして、まず一点目が、政府による支援が期待できるということでございます。

 取りまとめられた建議には、例えば中小企業における代替要員の確保、これについては、派遣等による代替要員の確保、業務体制の整備に関する事業主への支援、ハローワークにおける支援ということが明記されてございます。また、中小企業はなかなかノウハウが十分ではないという実態もございますので、中小企業からの相談対応の支援、好事例の周知というところが建議にも明記されているところでございます。

 こういった政府による公的な支援を期待しておりますし、実効性ある制度にしていくためには支援が必要だと思っております。

 一方で、企業側の取組といたしましては、働き方改革を始めとした労働生産性の向上といったようなことも重要だと思いますし、いわゆるチームで仕事をしていくという体制づくり、機運の醸成ということも必要だと思います。先進的な企業においては、多能工化を図って、一人の人が幾つもの仕事をできるような体制を図っていくというような中小企業もあるやに聞いておりますので、こういった好事例をしっかりと周知して横展開していくということが大事だと思っております。

 いずれにいたしましても、政府の支援に期待するところでございますが、商工会議所といたしましても、政府と緊密に連携いたしまして、中小企業支援に当たってまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

上野委員 ありがとうございました。

 参考人の各先生方の御意見をしっかりと踏まえて、よりよい制度設計、また運用になるよう努めていきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 本日は、大変お忙しい中、四人の参考人の皆様には、衆議院厚生労働委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場での陳述、拝聴させていただきまして、大変参考になりました。限られた時間ではございますが、私からも何点かお尋ねをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、池田参考人にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 女性に比べて圧倒的に取得が進んでいない男性の育児休業取得促進ということで、今回の法改正の出発点、男性育休の義務化であったと私自身は承知しているわけでありますが、これは基本的なことで大変恐縮なんですが、男性に限定した義務化といったものが、労働法制上、本来考えられるものなのか、あり得るものなのか、確認をさせていただきたいと思います。

池田参考人 御質問ありがとうございます。

 男性育休の義務化の内容ですが、私の理解が間違っていなければ、いわゆる女性の産後休業と同じような強制休業を、男性についても女性の産休期間に課すという、そういう意味での、強制義務化という、そういう御趣旨での御質問というふうに理解いたしました。

 ほかにもいろんな段階の義務があるんですが、差し当たりそういうふうに理解いたしますと、そういうことが可能だという、そういう労働法学者の意見は私は耳にしたことがございません。御承知のとおり、当機構は学際的な研究機関ですので、労働法の研究者も在籍しておりますし、日々の研究活動の中で、労働法学者と交流し意見交換をするという機会は多数ございますが、この育休の義務化ということが法理論として正当化できるということは、聞いたことがないです。

 あとは、私の半分解釈と理解ですが、先ほど申しましたように、休業ということはメリットだけじゃなくてデメリットがございます。例えば、休業ということをデメリットというふうに捉えた場合に、どういうことかというと、強制休業ということは、子供が生まれましたと会社に言うと、出勤停止を命じられて給料の支払いを止められるということになるんですよね。これはメリットですかという問いが出てきます。

 先ほど申しましたように、そのデメリットを上回る大きなメリット、あるいは、そのことよりも更に、休まないと大きなデメリットを被るという、女性の産休の場合には体に影響するという、やはり労働法政策としては、過労死もそうですが、健康とか身体に悪影響を及ぼす可能性があるというのは非常に強い理由になるというふうに理解しています。

 これに対しまして、先ほど申しましたように、男性がこの期間、家にいて家事、育児をすることの必要性は高いわけですが、強制するほど、そのデメリットを法律とか国家の指示によって全国民に甘受させるというか、それだけの理由があるかというと、やはりそれはちょっとないんじゃないかなというふうに思いますので、そういう意味では、私も、義務化ということが正当化できる理由というのはちょっと見当たらないというのが御回答です。

中島委員 今回、男性の育休取得率が圧倒的に少ない中で、男性の義務化というところが出発点というふうに承知して、労働法制上はなかなか解釈が難しいという御意見であって、女性の場合は母体保護ということで六週間、男性の場合にそのいわゆるメリットがどこにあるのか、労働法制の上ではなかなか解釈しづらいという御見解だったと思います。

 池田参考人の資料にありますように、育介法、これは労働政策の観点ということで、もう一方では子育てや少子化対策である社会保障政策の、二面性というか、こういった捉え方の中で、ちょっと混同している状況かなというふうに私は理解しているんですけれども。

 その上で、高村参考人、池田参考人にお尋ねをしたいと思うんですが、今回、出生時育児休業について、取得が進んでいない男性の育児休業取得策として選択肢になるものだということは理解できると思いますが、主に男性が対象になる制度であって、男女平等の観点に留意することが大変重要なのではないかなと思うわけでございますが、高村参考人、池田参考人の御見解をお伺いしたいと思います。

高村参考人 御質問いただきましてありがとうございます。

 私、冒頭の意見で申し上げましたとおり、今回の取組といいますのは、働くという状況におきまして男女で非対称な状況がある。ほかの参考人からも御説明があったとおりでございまして、それを踏まえると、育児・介護休業法自体は男女に平等であるにもかかわらず、結果として非対称の影響というものが男女に及ぶという状況になっている。こういうことの状況であれば、やはりポジティブアクションということを取り得る理由にはなり得るというふうに考えております。

 これは、ポジティブアクションということでございますので、やはり、一定期間経過したときに、ポジティブアクションが必要とされるような状況に改善などがあるのであれば、見直されるべきであるというふうに考えております。

 以上です。

池田参考人 御質問ありがとうございます。

 私のスライドの十枚目を念頭に置いた御質問というふうに理解させていただきましたが、やはり、正論というか原則論としましては、男女の非対称ということは余り望ましくないといいますか、育児・介護休業法が、結果的に、女性の支援でありながら、先ほど申しましたように、女性が家庭を優先しながら働くことを強化してしまった、そういう側面があるわけなので、やはり、育児・介護休業法には、そういう意味で、男女平等に向かうベクトルと、現状のジェンダーバイアスの中で、男性は男性なりに、女性は女性なりに仕事と家庭を両立していきましょうという、ある種、性別役割分業を是認していく方向性と両方内在していて、常にそのバランスの中で政策を展開している、そういう状況です。

 そういう意味では、今回の、御指摘の産休期間の出生後育休に関しましては、男性だけに特別な制度、しかも、女性の産休と違うたてつけの制度を、分割取得とか一部の就業を認める。

 先ほど申しましたように、それは男性だからやはり仕事があるでしょうというふうになってしまうと、やはりジェンダーバイアスの強化になりますので、今後どういうふうにしていくかということで、先ほど言いましたように、一つの発想の転換点として、分割ですとか休業中の就業ということを法律で認めるということをやってみたというところで、この後、女性に関しても、育休が分割取得できるようになりました。

 例えば、育休中に就労することとか、あるいは、女性の産休期間というものについても本当に六週間強制でないといけないのかとか、いろんなことを問い直すきっかけになっているというのが今回の法律で、その中で、繰り返しになりますが、母体保護といいますか、体に悪影響が出る働き方というのはやはり強い規制をかけなきゃいけないので、そういう意味で、やはり女性に対して適切な保護をしていくということを担保しながら、女性もより就業機会が拡大していく。

 そういう形で、次のステップでまた違った発想の法改正ができるのであれば、これはある種の、先ほどポジティブアクションという話がありましたが、一時的な措置で、この一歩から次の一歩が、性別役割分業の是認ではなく、やはり男女平等というふうに向かっていく方向に議論を展開していくということが大事じゃないかなというふうに思っています。

 以上です。

中島委員 ありがとうございます。

 時間もないので、まだお聞きしたいことはあるんですが、休業中の就労について、池田参考人、杉崎参考人にお尋ねをしたいと思うんですが、休業中に労働者が事業主から就労を強要されるような場合、関係性から本当に断れるのかという懸念もあったと分科会での意見にもあったというふうに承知しております。

 この仕組みが本来の趣旨から外れないように、モデルケースなどを明確に示す必要性、例えば、育児休業中の就労においては、仕組みがある上で、改めて明確に、半日は完全に休業にするとか、午後の二時間は就労に当てるとか、部分休業などの仕組みも同時に整備するモデルケースのようなものを明確に示した上でこの仕組みが運用されなければならないというふうに考えるんですが、池田参考人、杉崎参考人にそれぞれお尋ねしたいと思います。

池田参考人 御質問ありがとうございます。

 御指摘のとおり、ただ就業を認めますよといって個別の裁量に任せていると、やはり労使のトラブルの元になると思います。やはり、使用者にとか、同じ会社にいても、上司に対して自分の子育てに必要な時間とか要件ということを適切に伝えられる人と、上司に言われるままに、やはりどうしても仕事に引き込まれてしまう人と、両方いると思います。

 基本的に、今回の法改正というのは、労働者が自分で、元々、育児休業はもう請求権としてあるんだから、権利としてあるんだから主張してくださいよと言ったら、取れるんですから、それで終わりのところを、わざわざ使用者に、周知してください、意向確認してくださいと親切心を求めているわけです。どういうことかというと、そういう労働者を想定した改正なんですよね。

 そうすると、使用者に対して、何時から何時までは子育ての用事があるので仕事はできませんときっぱり言える人は、育休を取りたいですと従来法のまま請求したらいいじゃないですかという話になってしまうので。

 そういう意味では、やはり、個別に任せるのではなくて、きちんと制度設計として、みんなが使いやすい部分就業といいますか、そういったものの制度の在り方というのを、これから施行に向けて、当然、厚生労働省では毎回、そういうことがあるたびに、いろいろガイドラインとかモデルケースとか留意点とか、今日も示しましたが、非常に親切な図を作って現場に情報発信していますので、そういったことをしっかりと周知していくということとセットで、施行上、労使のトラブルが起きないようにしていくということが大事じゃないかなというふうに私も思います。

 以上です。

杉崎参考人 御質問ありがとうございます。

 この点につきましては、労政審の中でも議論があったところでございます。今回の改正案では、労使協定を締結した上で、個別の労働者の同意が必要であるということになってございます。

 具体的には、労働者が申し出た範囲内で事業者が日時を提案するという手続になっておりまして、労働者の意に反したものとならないような工夫がなされているものと認識してございます。

 そういう観点で、労政審でも妥当とされたところでございます。労使双方が決められた手続をしっかりと理解をして、適切に運用していくことが大事だと思います。

 また、好事例。これから、この法律が成立した後に、好事例の発掘ということも重要だと思いますが、好事例を周知していくということも大事だと思います。

 今回のこの休業中の就労については、いろいろな議論がなされたところでございますが、男性の育児休業の取得に当たって、取得をしたい、しやすくなる環境整備の一助にもなるのではないかというふうに考えてございます。

 いずれにしましても、この定められた手続をしっかり周知して、労使双方が理解をする、適切に運用するということが大事だと思っております。

 以上です。

中島委員 ありがとうございます。

 今の、具体的な、先ほど池田参考人の話の中にも、休んだはいいんだけれども、実際何をしたらいいのかということで、他の休業制度と合わせていくと、育児休業以外の休業取得率と合わせていって、今回の法律が施行されたときに育児休業の割合が増えていくという一方で、その中身が具体的に、また、雇用の、就労の話からいえば、そのめり張りを明確に分かりやすく、取得した休業が有意義に使われなければいけないということだと思います。

 そもそも、家庭における父親の役割、社会的合意というものがまだまだできていない状況の中で、今回の休業制度、出生時の休業がどういった影響を及ぼすのかということも含めて、大事な観点だというふうに思います。

 もう時間になってしまいまして、舟橋参考人にも質問を用意していたんですけれども、質問できなかったことをおわびを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 今日は、四人の参考人の皆さん、本当に、更に私もこの法案についての理解が深まりました、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思いますが、まず、育休取得のそもそもの意義という点で、高村参考人に伺いたいと思います。

 研究を御紹介していただいて、育休を取得することで、働き方にもプラスだし、家事、育児への参画にもプラス、夫婦関係にもプラスだというようなお話もございました。

 その中で、ちょっと逆の見方をする、意地悪な見方をすると、鶏が先か卵が先か、つまり、育休を取得したことで家事、育児への参画により積極的になれましたという御紹介だったと思いますが、一方で、例えば、元々平日の家事をたくさんやっている長い人が育休を取得している率がそもそも高いんだという意見であったりとか、あるいは、育休を取れたので会社に対する好感度が上がったという御紹介もありました。これも、逆に言えば、会社の理解が逆にあるから育休が取れたんだ、元々いい会社なんだというようなことを言う方もいらっしゃいます。

 ここはどう、もし御発言いただければと思います。

高村参考人 御質問を頂戴しまして、ありがとうございます。

 今のお尋ねの点につきましては、私が本日提出をいたしました資料の中の資料三というところを念頭に置かれての御質問というふうに思いました。

 議員御指摘のとおり、ここの表で示しているのは、育児休業を取得した人の方が、取得前と取得後の間の差というところ、よりよくやるようになっているよということを示しております。

 元々育児ですとか例えば家事ということをやる人が育児休業を取得しているのではないかという御指摘なんですが、それはデータでも確かにそういう傾向はございます。

 さはさりながら、こちらの方でお示ししているのは、元々やっている方が取るんだけれども、その高い水準から比べても、育児休業をすることによって更にその差が大きくなっているよということでございます。なので、そうではあるんですけれども、その影響というのを取ったとしても、更に増えているというようなことが言えるのかなというふうに思っております。

 こちらの方は、確かにデータでそのようなことが示されており、この出典の元になっている報告書などにもそのように書いてございます。

 ただ、二点目の御質問でいただきました会社に対する好感度というようなところも、もしかすると、因果というのは、好感度があるからこそ取れたのではないかという御指摘、こちらにつきましては、そうかもしれないということでございます。

 会社とそれから個人との間の信頼関係というふうなところの因果というのを、なかなかどちらが先というのを示すのは難しいと思うんですが、ただ、一つ言えるのは、そこにはやはり信頼関係なり好感度なりというのはあるということかなというふうに考えております。

伊佐委員 そうですね。元々家事、育児をやっている人は更にやるようになるし、そうでない人も今までよりはやるようになるということだというふうに理解をしました。

 次は、杉崎参考人に伺いたいと思います。

 本当に中小企業の置かれた状況というのは今もう大変な状況だと思っておりまして、でも、中小企業でこそやっていただかないと、なかなかこの育休というのは実効性が上がらないというのももう一つの側面だというふうに思っています。

 昨年四月から働き方改革をやっていただいて、今年四月から同一労働同一賃金、今コロナ禍という本当に大変な中で、今回、この法案になるわけで、元々、アンケートも取っていただいた中では、育休義務化、七割が反対というようなお声もいただいております。そういう上で、やはり我々はしっかり支援していく必要があるというふうに思っています。

 先ほどは、代替要員の確保の支援とか、ハローワークの支援とか、好事例の展開とか、こういうのを政府の支援に期待しますというふうに、遠慮されながらおっしゃっていたなという私は印象を受けたんですが、私は、こういう雇用の支援だけじゃなくて、そもそもの、様々な角度からの支援、経済的な支援、いろいろな経営に対する支援も含めて、こういうのも一体となってやることで雇用を守っていくことになるんじゃないかというふうに思っておりますが、その辺の御意見を聞かせていただければと思います。

杉崎参考人 御質問ありがとうございます。非常に重要な御指摘をいただいたものと認識してございます。

 中小企業の現状は、このコロナの状況で、まさに事業の継続、雇用の維持に本当にぎりぎりの努力を積み重ねているという状況になってございます。

 その一方で、いわゆる時間外労働の上限規制、年休取得義務化、また、この四月には中小企業に対して同一労働同一賃金、改正高齢法も施行されたという現状がございまして、中小企業の現場負担、人手不足の中での現場負担というのは高まっているというのは実態としてあろうかと思います。

 先生御指摘のとおり、労働政策による支援のみならず、公的な融資ですとか助成金などの経済全般にわたる、企業経営全般にわたる支援を是非お願いしたいと思いますし、今、コロナの状況でこそ、こうした中小企業に対する支援を手厚くお願いしたいと思っております。

 もちろん、商工会議所といたしましても、全国五百十五商工会議所に経営指導員というものがおりまして、日々、中小企業を巡回して、経営面のアドバイスをさせていただいてございます。商工会議所も、こういう状況だからこそ、中小・小規模事業者の支援にこれまでよりも力を入れてまいりたいと考えてございます。

 以上です。

伊佐委員 ありがとうございました。しっかり中小企業の支援を様々な角度からやっていかなきゃいけないというふうに思っております。

 次、舟橋参考人に伺いたいと思います。

 本当に、今回、最初、冒頭の発表の中で生の声を伝えていただきました。ありがとうございます。本当に貴重な妊娠、出産、育児に対しての調査の結果をお伝えいただきました。

 その中で、私も様々勉強になりましたが、例えば、一点、夫が育休を取らない理由ということで、職場の雰囲気がないというのが一番多かった、四九・九%というのもございました。

 今回の法案の中で、ここは、様々、職場の雰囲気を変えるために、例えば研修とか相談窓口の設置、これを義務づけるということであったりとか、あるいは育休取得の意向の確認もしてもらう、これもやはり義務づけで雰囲気を変えることにつながるんじゃないかというふうに思っておりますし、あるいは育休取得の状況も公表するというような話もございます。

 こうした様々な義務づけの中で、こうした雰囲気づくり、雰囲気を変えていくという中にも今回の法案はプラスに働くのではないかというふうに思っておりますが、御意見をいただければというふうに思います。

舟橋参考人 御質問ありがとうございます。

 今の日本の社会では、長らく、いわゆる妊娠、出産に関わって、育児をするのは女性という、やはりそういうものが醸成されてきた時代が長く続いてきたと思います。

 そこに関わって、今回の育介法の改正については、男性も大いに育児に参加する、男女共に育児を行うという観点に立ちまして、様々な今お話しいただきました研修や、制度そのものも男性が取得しやすい雰囲気、制度設計にされつつあるというふうに認識していますので、ここは、いわゆる事業主さん、そして働く者、両方の立場でこの制度設計そのものを理解をし、お互いに推進していくということが職場また社会全体でも進めば、非常に子育てにとってもよりよい、ジェンダー平等も含めて、推進になるのではないかというふうに考えています。

 御質問ありがとうございます。

伊佐委員 次に、ポジティブアクションについて私も伺いたいと思います。池田参考人に質問させていただきたいと思います。

 確かに、今回、男性の育児休業取得促進のための新たな枠組みということで、これは本当に、ジェンダー平等という中で、男性だけポジティブアクションで是か非かという議論が先ほどの質問でもございましたが、法理論上としては、余り特別の性だけに向けては聞いたことがないという話だったと思いますが、片や、池田参考人も、また高村参考人もおっしゃっていただいたとおり、現状は非対称性があるんだという中で、現状を踏まえてやれば、やはり一つの選択肢として今回の法案になっているということだと理解しています。

 そういう意味では、一定の期間である程度達成できれば最後は見直していくべきだというのは高村参考人の方もおっしゃっていただいておりますが、その中で、さっき池田参考人の話を聞いていて、なるほどと思いながら、ちょっと悩ましいなと思ったのは、当然、出産は他者が代替できない、女性しかできないという中で、仕事は代替できるというのであれば、最後のところは、やはり、見直したとしても、最後行き着くところ、雇用政策の行き着くところも、どこかでやはり性差の部分というのは残っていくんじゃないかなという気もしておりますが、その辺の御意見をいただければというふうに思います。

池田参考人 御質問ありがとうございます。非常に哲学的かつ悩ましい問題をいただいたと思っております。

 産後の六週間、若しくは、今回、八週間のうちの四週間という時期に限った場合に、その非対称性が解消できるかどうかという問題は、私は母体保護に関する専門知識を持ち合わせておりませんので、直接的な回答は避けたいと思いますが、ただ、子供が一歳ないしは一歳半になるまでのトータルの就業中断期間というのは、やはり男女で均等化していく余地は十分にあります。

 今回の育児・介護休業法の改正が出産直後のところに強いフォーカスが当たっていますが、やはり、本来の育児休業、海外でペアレンタルリーブというふうに呼ばれる期間は、女性が早く復職して、その代わりに夫が休業を取るということになりますので、つまり、繰り返しますが、女性が今ある制度を全部使い切って、かつ、男性はどうですかといったら、それはどうしてもそこに非対称性が残るわけですが、やはり本来の趣旨は、先ほど言いましたが、つまり、八週間の後の方の育休をしっかり議論していくということが実質的な男女雇用機会の均等の確保につながっていくことになるというふうに思います。

 そういう意味で、雇用保険で、今、育児休業給付が六か月ずつ夫婦で取ればちょうど一番給付率が高くなりますよとか、パパ・ママ育休プラスとか、育休の延長部分を妻が延長して取るんじゃなくて夫が代わりに取るとか、そういったところの議論を深めていくことで実質的な就業中断期間を男女均等にしていくことが可能じゃないかなというふうには思います。

 以上です。

伊佐委員 もう一問池田参考人に伺いたいと思いますが、というのは、育児休業給付について、私は聞いていてなるほどと思ったことがあったんですが、今、育児休業給付は、六か月以内であれば賃金の六七%で、六か月たった後は五〇%ということになっています。公明党は、一〇〇%にするべきじゃないかというのをずっと求めておりまして、というのは、今、世の中、共働きがこれだけ多い中で、二人で家計を支えているのに、一人が半分になるというんだと相当生活が厳しくなる、これも育休が取れない大きな一つの原因じゃないか。ここはさっきの舟橋参考人のアンケート調査の中でも結果が出ておりましたが。

 ただ、厚労省に話すと、元々これは雇用保険なので、あくまで雇用保険というのは離職防止の意味なんですというふうに言われる。この趣旨、一〇〇%にしましょうという趣旨が育休取得促進なら、これは雇用保険、離職防止じゃなくて一般会計なんですよというような説明をずっと受けてきたんです。

 ところが、今の池田参考人の話でいえば、いやいや、この育介法というのは労働参加を支援する法律なんですと。その趣旨でいえば、雇用保険でもいいんじゃないかというふうに私は今思ったんですが、この育児休業給付についてももし御意見があればいただきたいと思います。

池田参考人 ありがとうございます。

 次々に難しい御質問が来るので、回答に迷うんですが、まず、所得保障が一〇〇%である方が望ましいのではないかということに関して言いますと、今日の主題であります男性育休に関して言いますと、先ほど言いましたように、年休が所得保障一〇〇%ですので、やはりその方が使いやすいですよねというのは言えると思います。

 女性に関しても、例えば看護休暇とかもそうですけれども、年休で代替できる部分はやはり年休から先に使っていくというのは自然な行動ですので、それの理由は何かといったら、看護休暇も所得保障がないですし、となると、やはり所得保障つきの休業を労働者が望んでいるということは確かだと思います。

 ですけれども、問題は、やはり財源の整合性という問題があるので、これは極めて技術論的な話があります。

 例えば、男性の今後の出生時育休の期間の所得保障を一〇〇%にしましょうとか例えば言ったとしますね。実際にそういう御意見を伺ったことがあります。そうすると、何で男性だけが一〇〇%なんですかという話が出てきますので、そうすると、当然、先ほど言った、男女平等で、お金が必要なのは男性も女性も関係ないですよということになると、女性も一〇〇%にしないと駄目ですよとなると、今度、健保が財源になっている出産手当金の料率を要するに見直すという話になります。

 もう一つは、雇用保険だったら何とかなるんじゃないですかというのも、雇用保険も元々はやはり失業給付とか他の給付との兼ね合いの中で給付率というのを決めているところがありますので、そういう意味でいくと、問題意識としては非常によく分かるんですが、技術論として非常に難しい問題があるところですので、この点については拙速な回答は避けることにして。

 ただ、女性はノーワーク・ノーペイでもいいじゃないか、女性は給付率六七%とか五〇%でもいいじゃないかというふうには言えない状況が今の国民生活の実情として拡大しているのも確かです。シングルマザーでやっている方もいらっしゃいますし、夫婦でやっていても、妻の収入減が家計にダイレクトに響くような生活を送っている夫婦もありますので、そういう意味では、休業とかノーワーク・ノーペイの中で今ノーペイになっている部分にどういう所得保障をつけていくべきかということは、局所的に考えるんじゃなくて、総合的にきちっと議論を積み重ねる重要な問題だというふうに認識しています。

 以上です。

伊佐委員 ありがとうございました。

 時間になりました。本当に、皆さんの意見陳述と意見交換を通じてより議論が深まりました。しっかりと国会の質疑に生かしていきたいと思います。ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 四人の参考人の皆様、本当に、今日はお忙しい中、ありがとうございます。大変勉強になりました。

 四人の参考人の皆様に全員まとめて質問させていただきますので、三点お伺いします。

 一つは、国会質疑でも紹介したんですけれども、アイスランドは育休の取り方を、男女どちらかが三か月取ったら、その次は相方が取り、残り三か月はどちらが取ってもいいですよということをやることによって、ジェンダー平等の元々先進国ですけれども、更に社会としてのジェンダー平等が進んだということを聞いております。

 そういう点でいえば、やはり男性が育休をたくさん取っていくことが日本社会のジェンダー平等を進める上で大変大きな意味があるのかなと思っているんですけれども、男性の育休取得のジェンダー平等を進める上での意義と在り方、これについて一点お伺いしたいと思います。

 それから、二点目に、男性育休は今かなり取得率が低いわけでございます。三〇%を目指そうと政府は言っていますけれども、では三〇%でいいのかといったら、それは三〇%になってもかなり男女差は大きいわけです。もっと進めなきゃいけないということになると思うんですが、今回の法改正は一つの大きな意味があると思うんですけれども、その次の一手ですよね、男性育休を更にみんなが取るような社会にするためには、今回の法改正の次の一手は何が必要だとお考えなのかというのが二点目でございます。

 それで、三点目ですけれども、先ほど伊佐議員とのやり取りでありましたけれども、政党の側は、やはり育休期間一〇〇%賃金保障というのは、自民党さん、公明党さんから私たち共産党までみんな主張している状況があるわけでございます。やはり男女とも実質一〇〇%の所得保障が育休に際しては望ましいのではないかと思いますが、これも四人の皆さんに改めて伺いたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

高村参考人 御質問いただきましてありがとうございます。

 まず、男性の育児休業取得ということがジェンダー平等ということにどのような影響を与えるかという御質問であったかというふうに認識をしております。

 先ほどの答弁の中で池田参考人から御説明がございましたけれども、育児休業というのは、女性だけが取得するということではなく、女性が早期復職をするということのために、子供が一歳までの期間、女性が復職するのであれば、その間、今度は男性が育児休業を取るんだというようなことで、就業機会というのを男女がひとしくその機会を得るようにするという意味があるというような御説明がありましたが、その御説明に対しましては私も同感でして、そういった形でのジェンダー平等が進むのかなというふうに思っております。

 就業の機会ということもそうですし、それから、一方で、家庭生活というのでしょうか、子供を産むのは女性なんですけれども、育てるのを一緒に育てていくという、そちらの方のジェンダー平等ということにもつながっていくのかなと思っております。

 就業機会ということと、それから、再生産活動というのでしょうか、次世代それから前の世代のケアというのを共に行っていくという両方の意味でのジェンダー平等ということにつながっていくのかなというふうに考えてございます。

 それから、二点目の御質問ですけれども、男性の育休取得というのを更に進める上での次の一手ということであったかと思います。

 進めるといったときに、その目的というか着地をどこにするかということもあるかと思うんですが、今、女性の育休取得率は大体八割前後かなというふうに認識しているのですが、ひとまずは、やはり女性と同程度ということかなというふうに思っているところでございます。

 もし、今回の改正が目指しているような、きっちり本人にこの制度のことが伝わり、そして、事業主の認知を通じて職場での取りやすい雰囲気ですとか働きかけということが実現するのであれば、取得率が上がっていくんではないかというふうに思っておりまして、今、認識している認知の問題とか職場の風土の問題というところが一つボトルネックになっているのであるとすれば、そこのところが今回の法律によって緩和されるというか改善される。そうすると、私は、かなり改善の見込みというか期待というのはあるのかなというふうに思っておりまして、ちょっとお答えになっていないかもしれないんですが、その状況を見て、さらに、まだ足りないところはどこなのかというようなことの検討の上に、次の一手を考えていくのかなというふうに考えてございます。

 それから、三点目、所得保障というお尋ねであったかと思います。

 ここに関しましても、先ほどの質疑の中で池田参考人がお答えになっておられましたけれども、ほかの様々な給付との兼ね合いということの中で考えていくということが大切かなということと、あと、実質的な水準ということについて考えてみますと、こちらの給付の方からは育児休業中は社会保障の負担というのはないわけでして、給付が六七%、三分の二ということでありまして、そこに対して社会保障の保険料などが免除ということを考え合わせますと、通常の給与所得というものとそれほど違わない水準にはなるのかなというような考えは持ってございます。

 あと、お答えとしましては、様々なほかの給付との兼ね合いというようなところを考えて検討する必要があるのかなということでございます。

 ありがとうございます。

池田参考人 御質問ありがとうございます。

 若干順不同になりますが、まず、次の一手ということにつきましては、これからこの改正法については施行して影響を見ていくことになりますので、また五年後の見直し等で議論をしていくことになると思いますが、もう一つ、私の意見陳述の冒頭で申し上げました次世代育成支援対策推進法と育児・介護休業法をどう組み合わせて効果的に運用していくかということが実質的な政策推進では重要になります。今回は育児・介護休業法の改正審議ですので、あえて次世代法の話には言及しませんでしたが、やはり次世代法を再延長するかどうかということについては一つの争点になると思います。

 そこで、やはり、行動計画を立てて、マークを上げるから頑張って取り組んでくださいね、このやり方は結構効果があるというふうなことが専門家の間でも共有されていますし、だから、同じ枠組みで女性活躍推進法ということもやっているわけです。

 ですので、今回の個別周知とか意向確認ということの実効性を高めるために次世代法を再延長するかどうかということは、またこれも労使との合意を得てしっかりと検討していく次の課題かなというふうに思っています。二〇二五年がちょうど次世代法の二十年目に当たりますので、十年の時限立法の二周目が終わるというタイミングになりますので、これはあるかなというふうに思います。

 男性育休を通じたジェンダー平等の在り方ということと所得保障一〇〇%ということの考え方は、実は非常に親密な関係にあるというふうに私は認識しています。

 というのは、申しましたように、男性育休の話が出た途端に所得保障の話が出てくるというのは、これはどういうことなんですかということが、先進的な企業でも、男性に育休を取らせるために最初の一か月は所得保障一〇〇%にしているんですというふうに言って、でも、男性だけじゃいけないから、女性にも適用しているんですという、これは何なんですかという問題がやはりあります。なぜ今所得保障一〇〇%なんですかという文脈の中に、やはりある種のジェンダーバイアスが介在している側面もあります。

 それを抜きにして、所得保障は何%がいいですかと聞けば、それは何だって誰だって一〇〇%がいいに決まっているんですよね。それは病気休業だったり、だから、病気治療と仕事の両立支援とか、両立支援のテーマも今多岐にわたっていますから、何についても一〇〇%がいいに決まっているんですが、これを、事育休とか、これにだけ一〇〇%の所得保障をする正当な理由が何かあるんですかといったときに、みんながみんな子供を産む社会が一つの理想形かもしれませんが、現実的にそうじゃない状況だったり子供を産む人数も違う中で、ある特定のライフスタイルの人だけが手厚い所得保障を受けるということが本当に国民的な合意が得られるかという問題がやはりありますので、問題意識はシンプルなんですが、考え方の筋道の立て方というのは非常に難しいのがこの所得保障一〇〇%問題だと思います。

 最後に、ジェンダー平等という意味では、やはり先ほど言った、女性はノーワーク・ノーペイでも家庭に時間を割ければいいですよねという考え方ではなくて、男女が同じようにお金も必要だし子供と関わる時間も必要ですよということを推進していくというのが男性育休を通じたジェンダー平等の在り方だと思いますので、男性がお金が必要なだけじゃなくて、女性もやはり必要なんですよというところで、女性の生活保障とか所得保障ということももう一回見直しながら全体的な議論を進めていくということが大事じゃないかなというふうに思っています。

 以上です。

杉崎参考人 御質問ありがとうございました。

 まず、ジェンダー平等の観点でございますが、今回の新制度は、そもそも、男性の取得が進んでいないという現状を踏まえて、ポジティブアクションの考え方に沿ったものとして設けられております。男性の育休取得が高水準になって、この仕組みがなくても水準を保つことができるとなった場合には見直されるべきものであるというふうに審議会でも結論づけられてございます。

 今回の、特に新制度は柔軟な仕組みとなってございます。これによって男性の育休取得が進むであろうと思います。その結果として、両立できる社会の実現ですとか女性の就労継続、更なる女性活躍が進むものと思っております。こうした観点から、今回の新制度はジェンダー平等の点からも実現していくべきではないかというふうに考えてございます。また、この制度ができた際にも、しっかりとPDCAを回していくという点も必要だと思います。

 二点目の、次の一手というところでございますが、真のワーク・ライフ・バランスの定着を図っていくということが大事なのではないかと思います。

 特に、中小企業は雇用の七割を担っておりますので、中小企業において働き方改革を徹底していくということが大事なのではないかと思います。この点については、商工会議所は厚生労働省と連携協定を締結しておりますので、商工会議所自身も政策普及に努めてまいります。

 一方で、人手不足は構造的な問題でございます。したがいまして、ワーク・ライフ・バランスの定着につなげていくには、企業からしますと生産性の向上が必要でございますので、是非公的な支援をお願いしたいと思っております。

 三点目の所得保障についてでございますが、こちらは、先ほども申し上げましたとおり、財源の確保の問題がございますので、慎重な検討が必要になってくるであろうと思います。

 この点については、労政審で審議いたしました結果、給付率は現行のままが妥当であるとされたところでございますので、この点を是非御留意いただきたいと思ってございます。

 以上でございます。

舟橋参考人 御質問ありがとうございます。

 ジェンダーの促進という意味では、改めて、子育ては女性だけが担うものではないということを社会的にも明らかにしていくもの、推進するものというふうに考えています。

 大前提になるというところでは、現在、男女の賃金格差があるということが、この育休取得がやはり女性に偏らざるを得ないということとも大きく関係をしています。改めて、男女賃金格差、ここを是正する施策も並行して考える必要性はあるというふうに言いたいと思います。

 そして、男女共に子育てをする必要性があるよねというのは、職場だけの問題ではなく、社会全体で醸成していくというふうになったときに、改めて、先ほど二つ目の質問にありましたいわゆるその一手はというようなところにもつながるもので、所得の保障そのものも重要ではありますが、さっき中小企業の支援の実態もお話がありましたけれども、やはり人員不足、ここが改めて男性も女性も育休を含めて取得が困難になっている部分はあると思います。

 やはり、どう職場にゆとりを設けていくか、そのゆとりというのをどういうふうに国として支援していくかという新しい一手が必要ではないか。非常に進んでいるというのは、教職員については代替制度があります。やはり、それと同等にはならないかもしれませんけれども、そういう水準がどこでも推進されていけば安心して子育てに関われるというふうに思います。

 所得については、どこを財源に取るかという問題が非常にネックになりますけれども、子供というのは未来をつくり上げていくものという社会の合意形成が行われたときに、どこに財政を振り向けていくかということを考えれば、子育て支援を含めて、そこに充当していくことが社会からも支援される、合意形成を図れるのではないかと思っています。

 以上です。

宮本委員 初めの質問で時間切れになってしまいました。大変参考になる御意見をありがとうございました。終わります。

とかしき委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。

 今日は大変貴重な意見、各参考人の皆様ありがとうございました。

 質問に当たりまして、まず前提として、ちょっと私がどういうふうに考えているかについて述べさせていただくと、個々人が子育てに関わる機会を得た場合、それを十分に充実させ、また、負担としてではなく楽しむことができるようにするということは、これは個々人の人生にとって大変重要なことだと考えております。あくまで副次的なものではございますけれども、この人口減少社会、そして人口構成が大変これからゆがみが更に進んでいく今の日本という社会にとって、子供を産み育てやすい社会にしていくことは、将来的に子供たち自身の負担を軽減させていくという意味で大変重要なことだと思っております。

 そういった観点から、少し今回の法の改正を超えたオープンな質問をさせていただくことをお許しいただきたいと思っております。

 まず、研究者である高村さん、池田さんへの質問としてお聞きしたいのは、これは非常に当然のことでございますけれども、人間における育児というのは、ほかの普通の哺乳類の動物に比べて非常に長い期間かけて行う、そして、多分に後天的、社会的なものだと考えております。

 日本の社会においては、男性が育児に関わるということが、自分の親の世代から模倣する、あるいは訓練を受けていないという非常に大きな問題があると思います。あるいは親の世代だけではなく周りを見渡しても、なかなか規範となるべき、あるいは理想となるべき、子育てに男性が関わっている姿というのを見ることがどちらかといえば少ないものだというふうに考えております。

 私は弁護士をやっているものですから、しょっちゅう、非常に多い類型の事件として離婚に関わるわけですね。そして、離婚に関わった場合に、特に女性側から非常に大きな不満としてよく聞かされるのが、家事、育児に夫が全く関与しないと。子育て中に、せっかくの休みの日でも、子供そっちのけで、子供が寄ってきても全然相手にしないで、ゲームばかりずっとやっている。負担ばかりあるし、関わらないと。いわゆる破綻事由といいますか、そういったところでも、夫とこれ以上やっていけないというようなことをよく述べられるわけですね。

 私は、今回の法改正案も含めて、法制度を整備することも、これは当然、極めて大切だと思っております。

 ただし、それだけではなかなか解決しない部分がありまして、特に、男性の子育てへの関わり方として、模倣の機会がなかった日本の男性に対して、訓練というか教育の機会を与えることが非常に大切だと思います。それは教育の問題なのか、あるいはこういった労働問題として取り扱うのか、いろいろな考え方はあると思いますけれども。

 そもそも法制度の整備と私は両輪で進めるべきだと思うんですね、そこの部分を。それについてお二人はどのようにお考えなのかを、お伺いさせていただきたいと思います。

高村参考人 お考えを拝聴いたしまして、私も感銘を受けたところでございます。

 まさしく制度だけではやはり運用というところはうまくいかないわけでございまして、私たちの中にある意識というところを変えていくということとまさしく両輪で進めていくことで社会の中の状況というのは変わっていくという御指摘、そのとおりかなというふうに思っております。

 その中で、男性が育児休業を取得するということは、結局、その後ろにありますのは、男性の育児ですとか家事というところの参画というふうに申し上げますけれども、それを進めていくということ。さらに、ひいて言えば、そのことから、育児に関わるということから喜びを感じる、そして自分自身もやはり成長していくということかなというふうに思っております。それで、さらに、今のお話であれば、家族の中の信頼関係というのを構築していくということかなというふうに思っているわけですけれども。

 こうしたロールモデルがない中で、どのようにして意識の醸成というのを図っていくのかというお尋ねかなというふうに思います。

 教育なのか、それとも労働の現場なのかというところで最後に御質問があったかと思うんですが、どこか一つということはやはりないというふうに思っております。

 教育というふうなことであれば、八〇年代からかと思いますけれども、家庭科必修化というふうなことがございまして、かなりそれによって男性、女性の意識が変わったというふうに言われておりますので、教育の中で取り上げていくということは非常に大事であるかなというふうに思っております。

 また、教育の中では、男女の平等というふうなことですとか、雇用機会の均等の話ですとか、あとワーク・ライフ・バランスですとか、様々なことを取り上げられているというふうに思っておりまして、ロールモデルがないとはいうものの、実際にはかなり認識は変わってきているかなというふうに思っております。

 また、企業の方とお話しする機会も結構あるんですけれども、最近、面接に来る学生さんは、男女問わず、やはり、子育てができるのかというふうなこと、それから、仕事と御自身の生活というふうなことの両立ということが図れるのかということに関する関心はかなり高いというふうに聞いておりますので、ある程度そういった意味では教育の効果かなというふうに思っております。

 ただ、そうやって入られた後の労働の現場というところの環境がどうかというところが、またここも非常に大事なところでして、男性でも子育てに関わりたい、家族との信頼関係というのを構築した上で充実した職業人生活を送りたいということに対して、やはり職場も応えていくという必要があり、様々なところが連携してそういった環境をつくっていくことが必要かなというふうに思っております。

 ロールモデルはないんですが、人間はやはり学ぶ生き物ですし、自ら工夫をしていくところがあるかと思います。また、自分の親だけでも必ずしもないと思いますので、私どものイクメンプロジェクトというふうなところでも、親以外の様々なロールモデルというのも紹介するというふうなことに取り組んでいるところでございます。

 私の家庭でもかなり夫が子育てをしておりまして、そういった観点から、本当に大切だな、いろいろな面で大切だなというふうに思っているところでございます。

 どうもありがとうございます。

池田参考人 御質問ありがとうございます。

 非常に重要な問題提起だというふうに受け止めておりますが。

 まず、学習とか模倣あるいは訓練といった、そういった側面に関しましては、高村参考人からも御指摘ありましたが、学校教育において家庭科の共修化ということがもう既にスタートしていて、家庭科共修世代というのは、一つ、そういう意味では固定的な性別、役割にとらわれない新しい世代というふうにちょっと注目されている部分もあります。

 また、労働法制としても、九七年の均等法改正以降に労働市場に参入した、施行が九九年からですが、その人たちというのは、やはりその前の世代とはちょっと違うんじゃないかというふうに、少しずつ時代の変化の中でジェンダーステレオタイプを見直すような動きというのはありまして、それが浸透しているという様子も一方でうかがえます。学校教育でも、社会科とか公民の授業とかで、そういうことをちゃんと取り上げたりとかしていますので。

 しかし、一つ大きな問題として、日本についてよく言われることなんですが、新しい役割を積極的に担いましょうというメッセージはすごく出てくるんですが、古い役割にとらわれなくていいですよというメッセージは弱いんですね。

 つまり、先ほど、夫は家事、育児をしないということを御指摘されましたが、妻が家事、育児をしないということが、社会的にそのことに対して寛容でしょうか。お母さんが作るお弁当、お母さんが子供のために用意する服、お母さんが学校活動に費やす時間、そういうことが、仕事があるのでできません、キャリアがあるのでということを容認できますかという問題。

 また、今度、お父さんが稼いでこないということ、先ほどの所得保障一〇〇%、何で男性だと出てくるんですか。要するに、お父さんが仕事をしないで家庭で子供と時間を過ごすということに対して寛容ですかという問いがやはりもう一方であって、これは、まさにその役割分担とか性別役割分業の実証的な研究の中で、伝統的役割は免除されないまま新しい役割ばかりがオンされるので、男女が共に二重役割負担に苦しむ、そういう社会に向かっているという警鐘が現に鳴らされています。ところが、これは新しい警鐘では実はないんです、割かし昔からある問題で。

 そういうところでいくと、新しい役割を積極的に担っていくための教育、あるいはその学習機会の更なる拡充ということも大事ですが、お父さんが育休を取るときに、今の六七%でもやっていける生活とか、何かにつけて、お母さん、どうしているのというふうに言われない社会的雰囲気の醸成とか、そういったこともやはり大事じゃないかなというふうに、改正法とはちょっと離れた大局的な御質問ということで、そういった感想を私は日々の研究活動の中から感じて、思っています。

 以上です。

青山(雅)委員 ありがとうございます。

 常に私は現場でいろんな家庭を見ていて思うんですけれども、こういう議論をするときに、大企業であるとか、うまく当てはまりそうなところが我々想定しがちですけれども、そうじゃない層というのがあって、実はそれが大半であって、そこら辺に普遍化できるようなやり方を是非研究者の皆様方には、やりやすいところよりは難しいところ、そして数が多いところをちょっと頭に入れて研究を進めていただければ幸いだと思っております。ありがとうございます。

 それで、次は、杉崎参考人と舟橋参考人にお伺いしたいんですけれども、私は前、少子化の問題をかなり研究したことがありまして、そうすると、フランスにどうしても行き着くわけですね。日本と同じように少子化したところを、いろんな社会制度で、五十年かけて出生率を改善していったと。

 その中で、幾つか読んだときに、やはり、一番そうだよなと思ったのは、フランスはいろんな給付制度もあって、あるいは時短的な制度もある、あるいは育児休業的な制度もあると。問題は、その制度を利用しやすい雰囲気があるかないかだということで、現にフランスで暮らしていらっしゃる方がおっしゃったわけですね。

 時短で帰るのにも何の気兼ねもなく帰れると、フランスの場合。日本はなかなかそれがないというのは、これは否定しようのない事実で、先ほど舟橋参考人がアンケートを紹介いただいた中でもそういったものが幾つかあったと思います。

 例えばうちの法律事務所なんかだと、そういったことを研究したこともあったものですから、子育てに関わる時短とか育休には誰も文句は言わないわけですね。ただ、振り返ってみると、うちの仕事というのは、量は多いんですけれども、ある程度おいておけるといえばおいておけるんですね。日々締切りに追われるわけではない、締切りはもちろんあるんですけれども。

 一方で、今の日本社会というのは、当然ながら、特に物理的な仕事をされている、仕事の種類によりますけれども、そういったところは、ぎりぎりの人員で回しているところがあるものですから、現場で、育休あるいは時短、そういったことを受け入れにくいと。それは、使用者、労働者の問題でもあるし、労働者間同士の問題でもあると思うんですね。

 いかにしてこういった育児に関わる時間短縮あるいは育休等について周りが受け入れる雰囲気をつくるかが物すごく大事だと思うんですけれども、これについて、どういうことがあり得るのかということについて、杉崎参考人と舟橋参考人の御意見をお伺いしたいと思います。

杉崎参考人 ありがとうございます。

 非常に重要な御指摘だと思います。

 取得しやすい雰囲気づくりという点については、今回の改正法案で柔軟な仕組みの創設が盛り込まれておりますが、これを契機に、各企業、これは中小企業も含めてですが、機運醸成が図られるのではないかというふうに思ってございます。今回、この制度が具現化され、また運用されていく過程の中で、PDCAも必要ですけれども、企業においても大分そういった機運が高まってくるんだろうなということは想像してございます。

 一方で、中小企業、雇用の七割を担っておりますが、人手不足という現状もございます。そういったことが要因になって、取得しやすい雰囲気づくりがなかなか築けないというのもあろうかと思います。

 この点については、生産性の向上が必要だと思っております。働き方改革、ワーク・ライフ・バランスを中小企業でも実現していく、これは厚生労働省のいろいろな支援もいただきながらというところでございます。

 また、各企業においては、例えば、フレックスタイム制度を始めとした柔軟な働き方を導入していくですとか、あと、このコロナ禍で一気に進みましたが、テレワークをうまく活用していく、また、そうした好事例を横展開していくというようなことが大事なのではないかと思っております。

 代替要員の確保が非常に課題となっておりますので、生産性の向上ですとか、チームで仕事を回していくといったようなことが企業において求められると思っております。

 以上です。

舟橋参考人 御質問ありがとうございます。

 雰囲気づくりはとても重要だと思います。

 青山議員がさきにお話をいたしました、子育ては長い期間関わりますよねというお話がございました。

 今回の育介法については、いわゆる男女共に関わる、そのことが貫かれた法改正になるかと思いますので、やはり、従来型の企業社会、男性が中心の社会では、育児にはほとんど関わらない方が中心に座られてきた今の日本の社会というのはあるかと思います。やはり、そこに男性が関わることで、どれだけ育児が大変なことかということの意識改革、理解が深まり、妊娠、出産、育児に関しては、みんなで支え合う、お互いさまというようなものをつくっていくということにつながるような制度設計も含めてしていただくことはすごく重要なことだというふうに思いますので、改めて子育てというのがどれほど大変なものなのかということの教育的な視点も含めて、大いに社会的に進めていただけたら大変ありがたいと思います。

 以上です。

青山(雅)委員 ありがとうございます。お互いさまという考え方は大変大事だと思います。

 本当に日本にとって最も重要な課題だと思っております。参考人の皆様、それぞれのお立場で、是非今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井と申します。

 今日は、四人の参考人の皆様、本当に貴重な御意見、ありがとうございました。

 私も宮本委員と同じく、四人の皆様にそれぞれ同じ質問を二問、宮本さんは三問、なかなか厳しいなと思ったんですけれども、二問、しかも一問ずつお聞きしますので。そうすると、大体お一人一分半ずつ、一問についてお答えいただくと、ちょうど時間になる計算です。ちょっとぐらい、せっかくですから、延びても、委員長は許してくださると思いますけれども、大体そのくらいの目安でお答えいただけたらと思いますが。

 まず一点目は、これは、高村委員からの資料の一枚目にあったこのグラフを見て、私も驚きました。もう一目瞭然ですよね。日本だけが、折れ線グラフのオレンジ、無償労働の男女比が五・五倍という、もう突出していますから、このグラフだけ見たら、日本がいかに遅れているというか、おかしいかということが一目瞭然なんですが。

 私は、この原因をやはりきちんと追求しないと、いろいろな対策をやるにしても不十分じゃないかと思っていまして、なぜ日本がこうなってしまったのか、ちょっと難しい質問だと思うんですけれども、お聞きしたいんです。

 私の考えは、やはり、遡って、日本のこの男女差別というか、実は私は選択的夫婦別姓を一生懸命やっているんですけれども、推進しているんですけれども、これは、でも明治からなんですね。江戸時代までは別にそうでも、結構別姓も多くて、明治民法で夫婦同姓になり、そして家制度という、戦前まで続いた家制度というのは、はっきり言って、家長、戸主に物すごい権限があって、女性は家に入ると民法にはっきり書いている。こんな制度が続いたら、それはこうなるよなと思うんですけれども。

 ただ、実は、民法というのは、ヨーロッパも同じような規定だったんですね、ヨーロッパ民法をそのまま持ってきているわけですから。しかも、日本は戦後に大改革をやって、民法も大改正もしているわけです。

 そういった中で、ヨーロッパは昔そうだったのがどんどん変わっているのに、なぜ日本だけ、しかも戦後改革まであったのに、いまだにこういう状況が続いているのかということを、ちょっとそれぞれのお立場から、それでは、高村さんから順番に、二問目の質問は今度は舟橋さんから順番に逆方向で聞きたいと思いますので、高村さんからお願いします。

高村参考人 御質問いただきまして、ありがとうございます。

 確かに、このオレンジの折れ線のところが目を引くということかと思います。オレンジのところだけにこだわらず、どうしてこのような男女の格差というのが生じているかということの一つは、やはり、固定的なステレオタイプというところが非常に強く、先ほどの池田参考人の答弁にもありましたけれども、女性がこれをする、お母さんが何とかというふうに求めるというところがやはり強いというところが一つかと思います。

 もう一つは、やはり、何度か出ているとおり、賃金差というところが厳然としてあるということかというふうに思っております。そうすると、やはり分担をするときに賃金の高い人が外で働くという選択になりがちということがあるのかなということでございます。そういうことかなと思います。

 ありがとうございます。

池田参考人 御質問ありがとうございます。手短にお答えいたします。

 私が実際にデータを分析した結果に基づいた回答になりますが、男性稼得役割意識と家庭での夫婦の家事分担の内容というのは相関があります。

 つまり、夫婦で共に家計を担うという意識の男性の場合は、子育てをする場合でも、妻と同じように子供の身の回りの世話、先ほど言ったお母さんに求められるような役割をします。しかし、自分が主たる稼ぎ手であるべきだと思っている男性は、子育てには関わりますが、子供と遊ぶとか、そういう方面にかなり傾斜するということですので、やはり、ケアと稼得というのが、家庭生活の中では両方見ないとこの問題というのはいけないというのが最近の私の見解です。

 以上です。

杉崎参考人 ありがとうございます。

 やはり、長年の男女間の役割分担意識があるのだと思います。こうした点について、今回の制度創設を契機に女性活躍が更に進んでいくものと思いますし、男女間の差というものは埋まってくるのであろうかと思います。

 あと、一方で、中小企業は人材確保が非常に重要な課題になっておりますが、人材確保をするに当たって、若い学生の皆さんは、育児ができる、両立できる点を会社選びで非常に重視をするということからしても、企業の現場でこういったことは根づいていくのだろうなというふうに思います。

 あと、例えば、いろんな会社の若い社員、男性社員の方と話しておりましても、男性自身が家事、育児をするというのは、若い世代ではもう当たり前になっているというのを感じますので、いずれこういった差というのは埋まってくるだろうなと考えてございます。

 以上です。

舟橋参考人 ありがとうございます。

 やはり、歴史的にと先生がおっしゃいましたけれども、ずっと醸成されてきているということで、役割分担意識は、繰り返し繰り返し、まず、もう産み落ちたときからとは言いませんけれども、意識的に、男性は、女性はという役割分担意識を常に植え付けられてくる中で、家庭においても、また職場においても、女性はこうあるべき、男性はこうあるべきという中で、労働時間のまた使い方も含めて格差が出ているというふうに思います。

 以上です。

高井委員 皆さん、大変簡潔にお答えいただいてありがとうございます。

 だから、歴史的経緯だとは思うんですけれども、それにしても、ヨーロッパとかほかの国もそうだったのが変わっているのに、なぜ日本は戦後変われずにここまで来てしまったのかということは、本当に、ちょっと、ここをまず解明しないとこの問題は解決していかないのかなと私は思っております。

 それでは、二問目お聞きしますが、これは池田参考人の資料の中にもありましたが、四ページにあった、女性だけが所得ロスやキャリアロスを甘受することになるという、私は、特にキャリアロス、これが深刻じゃないかなと思うんですね。

 私の妻も働いていまして、ただ、子供がいないので育休とかは無縁なんですけれども。ただ、自分ももし子供が生まれたら、とてもやはり育休なんか取れない、周りの働いている女性もみんなそう言っていると。

 会社の中で、同じ能力、あるいはちょっと男性の方が劣っていても、やはり女性は育休をいつか取るのかとかいうふうに思われると、面倒くさいとか、いろいろこの人には仕事を任せられないとか、そういう現実がもう厳然としてあると思いますね。

 やはり、私は、このキャリアロスをいかになくしていくか、なかなか本当に難しい問題だと思いますけれども、ここに切り込まないと、幾ら休暇とかを整備しても、実際取れない、取りたくないという女性がまだまだいるということになると思います。

 このことを聞きたいのと、あと、あわせて、もし、専門外なので、答えられたらでいいんですけれども、私は、実は妻の、妊活、不妊治療をやっていまして、この不妊治療、妊活、つまり育休に入る前もこれは非常に重要だと、全く同じ問題があるんですね、キャリアロスにつながるから。まだ育休は明示的に分かりますよね、出産するから休むってみんな分かるけれども、妊活、不妊治療は言えないわけですよ。言っても職場、男性は理解してくれない。

 そうなると、余計このキャリアロスの問題は深刻で、後から厚労省にも聞こうと思っているんですけれども、私は、この不妊治療の問題は、お医者さん、不妊治療する医者を、夜間とか休日の診療を拡大する以外にないんじゃないかと思っているんですけれども。

 専門外ですから、もし分かったらでいいですけれども、不妊治療、妊活の問題についても何か御所見があったら併せてお答えいただけたらと思います。それでは、今度は舟橋参考人から順番にお願いします。

舟橋参考人 御質問ありがとうございます。

 女性が現時点では育休取得率が非常に高いわけですけれども、非常にこのキャリアロス、所得ロス、ペナルティーだというふうに思われます。ペナルティーではなく、本当に社会に貢献をしているというような状況をつくり出すのが今回の一歩だというふうには承知をしておりますけれども。一時金や、また昇進、昇格、こういうことにも大きく影響する。つまり、キャリアロスが昇進、昇格にも影響し、生涯賃金にも大きく影響するということが、一歩踏み出せない、様々に影響しているというふうに思いますので、そこの解消は男性も含めて非常に重要な視点だということで、改めてペナルティーのない制度設計を御検討いただきたいというふうに思います。

 あと、もちろん私は専門家ではございませんが、妊活の問題でいうと、うちの労働組合も、先ほどお示ししましたもう一つの資料というところで、一番最後に、妊活のアンケートも取っております。やはり一割程度の方が、女性、本当にそのことを切実で、制度利用を求めているというふうに私どもの調査結果にも出ております。

 しかし、その取得に関しては、まだ社会的にも認知度が非常に低くて、積極的に取るというふうにはならないし、柔軟に取らないと、いつ排卵というか、検査も含めて、取得日というのは非常に、決まった日でないと駄目なわけですね。そこを支援する制度にならないと妊活そのものをしようという気にならないことや、金銭的な問題はもちろんのことながら、両方兼ねて、金銭と休暇、社会的にも取得が当たり前だよねというような制度設計を望むところです。

 以上です。

杉崎参考人 ありがとうございます。

 キャリアロスの問題について、これも非常に重要な御指摘であると思います。

 今回の改正法が具現化されることによりまして、男性の育休は大分進むのではないかと思います。そうなることで女性の就労継続が図られると思いますので、そういった面からも今回の改正法案は重要だと思います。

 また、いわゆる女性活躍の重要性、女性のみならず、ダイバーシティー経営の重要性というのは、大企業のみならず中小企業の間でも非常に浸透してきていると思いますので、会議所もこういった周知に努めてまいりたいと思います。

 あと、不妊治療の問題でございますが、不妊治療をされている労働者の方からしますと、突発的に休暇を取得する必要性があるというふうに認識してございます。そうした意味からも、今回の男性育休取得促進にも求められますが、チームで仕事を回すですとか、生産性を高めていくといったようなことが重要だと思いますし、とりわけ不妊治療の問題については厚労省さんが非常に周知に力を入れておられまして、そういった周知により、大分企業の理解も進んできているのかなというのが実感としてございます。

 以上です。

池田参考人 御質問ありがとうございます。簡潔にお答えいたします。

 まず、キャリアロスの問題に関しましては、先ほど現行法の評価のところで申しましたように、やはり、連続した期間仕事から離れる時間を確保する、そういう制度設計の弊害というものがキャリアロスという形で認識されるようになっていて、ですので、今回の改正で分割取得であるとか、より柔軟化を図っていく。

 ただ、柔軟化を図るということは、非常に労務管理が煩雑になりますし、柔軟性をめぐる労使のトラブルというのもやはり起きますので、非常に慎重な議論が必要な面もあるんですが、一つその発想を変えていくことで、女性活躍含めて、キャリアロスをどう解消していくかという方向にこれから議論が進んでいくだろうというふうに予想はしております。

 もう一つ、妊活の問題に関しましては、私も断片的にお話を聞くことというのはあるんですが、今回の改正の話とちょっと絡めますと、使用者が理解できる範囲の制度を使用者の判断で周知してくださいね、制度を利用させてくださいねというふうに言っていると、いや、もっと想定していない問題が実は現場では起きている、想定していない悩みを女性労働者は持っているということに対して後手を踏むことになるというふうに思います。

 ですので、使用者に制度周知を求める、取得勧奨を求めるという形で、使用者の働きかけによって労働者が福祉とかベネフィットを得るという発想から、やはりもう一回、今日、労働組合もいらっしゃいますが、労働者のニーズをしっかりと発言、発話、発信していくような労使関係の再構築の中で、より多様な女性の多様な悩みがきちんと労使関係の中に反映されていくということを考えていかなきゃいけない。今はそれが一つ、妊活という問題が非常に象徴的な問題としてあるというふうに私は認識しております。

 以上です。

高村参考人 御質問ありがとうございます。

 二点であったかと思います。

 まず、キャリアロスということについてでございます。確かに、長期間職場を育児休業で離れるということであって、そこにキャリアロスが生じるということなんですけれども、私としては、やはり、女性だからというカテゴライズされた見方というのをまず外すということが一番重要ではないかなというふうに思っております。

 女性なのでもしかすると、いつか長期間休むかもしれないとか、女性だからもしかするとというふうなことはほかにもあるかもしれないんですが、女性だからという、まずそこのところを外す。そこにもし、思っていないけれども無意識にバイアスがかかっていないかというところを、上司の方とか使用者側の方には、自問自答しながら、個を見て、どの人を成長させていくのが大切なのかというところをしっかり見るようにしていただけたらというふうに思っております。女性だからといってチャンスを与えないことによって、やはり意欲というところが下がると、結果的にそのこと自体がキャリアのチャンスをなくすことになるという、予言の自己成就というふうなこともありますので、そこはしっかり個を見ていくということが非常に大切かなというふうに思っております。

 二点目の妊活ということでございますけれども、非常に、一般論にはなりますが、個別の生活とそれから就業というものを継続させるニーズというのは多様化していると思います。治療の話ですとかあるいは介護というようなこと、突発的に起こりますし、男女を問わず起こるということは様々ございます。先ほど舟橋参考人のお話にもあったとおり、お互いさまというふうな言葉がございましたけれども、様々なニーズがあり得るという理解が職場で進んでいくということが重要かなというふうに思っております。ちょっと一般論になりまして、恐縮です、手短ということで。

 以上です。

高井委員 大変参考になりました。どうもありがとうございました。

とかしき委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩といたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

とかしき委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、参議院送付、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人地域医療機能推進機構理事長尾身茂君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官時澤忠君、内閣審議官植松浩二君、内閣審議官十時憲司君、内閣審議官梶尾雅宏君、内閣府規制改革推進室次長彦谷直克君、警察庁長官官房審議官猪原誠司君、出入国在留管理庁出入国管理部長丸山秀治君、文部科学省大臣官房審議官蝦名喜之君、スポーツ庁審議官豊岡宏規君、スポーツ総括官牛尾則文君、厚生労働省健康局長正林督章君、医薬・生活衛生局長鎌田光明君、職業安定局長田中誠二君、雇用環境・均等局長坂口卓君、子ども家庭局長渡辺由美子君、社会・援護局長橋本泰宏君、社会・援護局障害保健福祉部長赤澤公省君、保険局長浜谷浩樹君、農林水産省大臣官房審議官道野英司君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

とかしき委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

とかしき委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。

長妻委員 お疲れさまです、連日。立憲民主党の長妻昭でございます。

 まず、育介法の件についてお尋ねをいたします。

 これは、民主党政権のときに、イクメンという言葉をはやらせたいということで、そしてイクメンプロジェクトを始めまして、今もやられているんですよね、厚生労働省の中で。

 田村大臣もイクメン議連のメンバーで、私もメンバーでございまして、イクメンという言葉は相当というか、かなりもう手あかがついたというか浸透しましたけれども、ただ、実態がなかなか追いついていないということで、育休を取りやすくしようということで柔軟な取組ということが始まりました。

 その中で一点だけ気になるのが、この制度の中で、分割がしやすくなる、そして事前の通告の期間が短くて済むとか、あともう一つ極めつけは、仕事もその中でできるんだよと。当然上限が半分ということだと思いますが、ちょっと本末転倒になる危険性があるんじゃないかなということも危惧するんですけれども、やはり日本は空気の力というのがございますので。

 新しい育休で、全部休みたいという人もいると思うんですね、仕事はしたくない。ただ、仕事も、それはできる育休だから、上の方から、会社の方から、やはり仕事をしないとこれはおかしいんじゃないのという空気がかかっていくということを危惧するんですが。

 一点危惧するのは、何か実務的にこの制度が始まると、会社の方から、その育休を取ってくださいと申請した方に、ちょっと紙とか、つまり、働けるその期間にチェックをつけてください、働かないのであればゼロ、ゼロ、ゼロ時間、ゼロ時間、この日もゼロ時間と全部ゼロを書いてくれればいいから、働けるその期間に、一時間とか五時間とか、何時間を書いてください、そういう紙を作って、そういう申請の方に、仕事ができるんだからというふうにお渡しをするというようなことを準備しているという組織もあるやに聞いているんですけれども、この空気の力がかからないようにするにはどうしたらいいのか、今のような取組というのは好ましくないと大臣は思われているのか、ちょっとお答えいただければ。

田村国務大臣 まず、これで全部休んでいただくというのはもう前提ですから、そういう要望を出していただけばそうしなきゃならないというのは、もうこれは企業側の務めです。

 あわせて、そういう心配もあるということであれば、今までの育児休業も取れるわけなので、新しい育児休業じゃなくて、会社に出ない、出ちゃいけない育児休業と言った方がいいですかね、それを取っていただければ絶対にそんなことはないんですが、そんなことを言ったら、何のための新しい制度かという話になりますので。

 委員が心配されているのは、何かそういう申出の様式みたいなものに、初めから、この日とこの日とこの日、仕事、出る日を書いてくださいみたいなことが書いてあったら、何か、取る前提がそれになっちゃうんだろう、多分そういう御心配なんだろうというふうに思います。

 基本的に、仕事を、いつ働くかというのは、休みに入る前日までにそれを出せばいい話でありますので、育児休業を申し込む人はちょっと若干ずれがあるわけですね。ですから、育児休業を申し込む様式は、それはそれとして当然あるわけで、強制ではないですがモデルみたいなものは作りたいと思いますが、その中に入れるつもりはありません。

 ただ一方で、前日までに出さなきゃいけないという紙はありますから、これの様式のモデルも、ちょっとこれはいろいろと専門家の方々に相談しながら作っていかなければならないと思っておりますが、委員が御心配されているように、前提に働くことにならないように、そういうモデルを作らないように我々も心がけたいというふうに思っております。

長妻委員 そこはかなり重要なところだと思いますので、是非よろしくお願いします。

 そして、コロナ対策について質問を移りますが、尾身先生、今日もありがとうございます。初め、冒頭、オリンピック関係についてちょっとオリンピックの事務方とやり取りをいたしますので、尾身先生、是非聞いていただいて、後で御感想をお伺いしたいと思っております。

 いろいろ私も首をかしげることがあるのでございますけれども、まず、オリパラ関係でこれまで日本に入国を許可された方、新規の入国ですね、新規、これは何人ぐらいおられるんですか。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 オリパラに関連して入国した選手等及び大会関係者数につきまして、四月が九百九十一名、五月は、五月十六日までで六百五十八名でございます。

長妻委員 その前にもあるとは思うんですけれども。

 これまで陽性者は何人ですか。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 オリパラ関係でテストイベントに出場する選手等の場合は原則毎日、大会関係者は、三日間の待機の後、入国後三日目、八日目、十四日目に検査を実施しておりますけれども、その間の検査で陽性が確認された事例は、四月―五月十六日までの事例の中で一名となってございます。

長妻委員 この一ページ目の資料の四月二名というのは、これは間違いということですね。

 それで、入国は今、私の理解だと、新規入国はできない、基本的に。例外があればできるということになっているんですが、これはオリパラの方が、四月は千人近く、五月は十六日までで六百五十八人も新規で、新規の枠で入国されておられるということで、例外は何かと聞きましたら、五ページにございますけれども、この(4)、オリパラの方は、「特に人道上配慮すべき事情がある」、こういうようなことで入国しているということで、これで間違いないですか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 オリパラ関係者につきましては、準備、運営上必要不可欠な大会関係者につきましては、関係省庁と協議の上、公益性や緊急性を踏まえて、個別に特段の事情による入国を認めるところでございます。

長妻委員 いや、だから、五ページに、これは政府から配付いただいた資料で、この(4)がオリパラの入国の根拠だと。つまり、「特に人道上配慮すべき事情があるとき」ということでいいんですか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 失礼いたしました。

 今先生お示しいただいたところの、「特に人道上配慮すべき事情があるときなど、」「など、」のところで読んでいるものでございます。

長妻委員 これは、人道上の配慮がオリパラはあるというから、オリパラの関係者はどういう人道上なのかなと思ったら、「人道上配慮すべき事情があるときなど、」「など、」に入っている、「など、」で四月、千人も入っちゃっていると。まあ、本当にこれだけで読んでいいのかというようなことも首をかしげるわけでございますけれども。

 オリンピック、パラリンピック以外で入国している方、新規枠でいらっしゃると思うんですが、私が聞いているのは、オリパラはこういう、ほとんどフリーというか、フリーと言ったら失礼ですけれども、この(4)の例外規定を拡大解釈してどんどん入れちゃっているんだというふうに私は理解しておりますけれども。ただ、オリパラ以外の方は、やはり親族とか、新規入国者ですね、配偶者とか、そういうやはり限定された方ということでいいんですか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 そのほかの方としましては、日本人や永住者の配偶者等身分関係のある方、あるいは外交、公用の在留資格をお持ちの方なども、特段の事情ということで入国を認めているところでございます。

長妻委員 何といいますか、身分関係があると、親族とか配偶者とかですね。何か御病気がすごく悪化して、海外に親族がおられて、もうその親族がみとりに来るとか、そういう例も聞いたことはありますけれども、そういう親族とか、あとは外交の公館の方とか、そういう方、これは分かるんですけれども、ただ、オリパラだけ、相当、この「など、」で、「人道上配慮すべき事情」ではなくて、「など、」で読んじゃっているというのはちょっと優遇し過ぎなんじゃないかなというふうに思います。

 実際にオリンピック、パラリンピック本番になりますと、政府にお尋ねすると、選手、関係者、マスコミ等を含めて九万三千三百人ほどが来日される。そのうち数百人は日本選手ということなので、まあ、九万三千人前後が来日ということなので、これはもちろん新規な方がかなり多いでしょうから、こういうふうに優遇しておかないとオリンピックはできないということなんでしょうが、原理原則が相当ねじ曲がっているんじゃないかという危惧が一つはあります。

 もう一つの危惧が、じゃ、入国をした後ですね。入国をした後、これはもう皆さんの常識というか、我々も共通認識ですが、どの国からであっても今の我が日本は、入国した場合、十四日間必ず宿泊施設か自宅で待機しなきゃいけない、こういう大原則があるわけですね。

 ただ、その大原則もまた例外規定がある、こういう例外があれば待機については緩和をするというようなことがあるというふうに聞いておりまして、じゃ、オリパラ関係で新規で入国された方のうち、どれだけ二週間待機しないでいいよというふうになっているのかということでお尋ねをしますと、一番最後のページ、十六ページの資料を昨日いただきました。

 これは一番最後のトータルで結構ですので、説明いただけますか、数字を。

十時政府参考人 配付資料の最後の部分ということでございますでしょうか。

 オリパラに関連し、国内で開催される国際大会に出場する選手等や東京大会本番に向けた準備を行う大会関係者については、東京大会の確実な遂行に必要不可欠であるということで、このため、出国前や入国時の検査に加えて、入国後の定期的な検査や、受入れ責任者による厳格な行動管理、健康管理などの必要な防疫措置を講じた上で、個別に入国を認めていただいているところでございます。

 こういった個別の協議でお認めいただいている中で、委員御指摘のような待機緩和という措置も併せて講じられておりまして、オリパラに関連して入国した選手等及び大会関係者数が先ほど申し上げたような数字になるわけですけれども、この中で、こうした防疫措置を前提として待機緩和を行った人数というのが、四月が八百六十五名、五月は五百六十七名となっておりまして、これらの方々は計八十三か国から来日しております。

長妻委員 今、四月、五月の新規入国者は先ほど御答弁ありましたので、比率でいうと、四月であると、オリパラ関係新規入国者のうち八七%が待機緩和者ということなんですね。五月に至っては八六%が待機緩和者。九割近くが、二週間待機しないでいいよという、非常に優遇されているということであります。

 これについては、事務方に聞いてみますと、じゃ、その待機緩和というのはどういうことなのかと聞くと、ほとんどが、まず、選手はほとんど、翌日からもう行動していい、翌日ですよ、入国の翌日から。選手以外のいろんな関係者については、待機は三日間だけでいい、四日目から動いていいよと。これがほとんどだということなんですが、それで間違いないですか。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、これらの個別に入国をお認めいただいた方々につきましては、出国前や入国時の検査に加えて、入国後、アスリートにつきましては基本毎日、そして、その他の大会関係者については三日間毎日検査をした上で定期的に検査を行うというようなこととともに、受入れ責任者というものがしっかりと厳格な行動管理を行う、健康管理もしっかり行うという徹底した防疫措置を講じるということで、個別に入国をお認めいただいているわけでございまして、先ほど委員御指摘のような優遇というような考え方とは違うのではないかというふうに考えてございます。(長妻委員「質問に答えて。一回止めて、これ。駄目だよ、聞いていないよ、全然関係ないことを答えている。一回止めてください。質問できません」と呼ぶ)

とかしき委員長 じゃ、ちょっと筆記を止めてください。

    〔速記中止〕

とかしき委員長 筆記を起こしてください。

 十時内閣官房内閣審議官。

十時政府参考人 大変失礼いたしました。

 アスリートについては毎日検査をする、大会関係者については……(長妻委員「それじゃない、違う違う」と呼ぶ)それによって行動できるということでございます。

 活動できるかという御質問だったかと思いますけれども。

長妻委員 いや、そんなこと聞いていないですよ。議事録をちゃんとチェックしていただきたいと思うんですが、オリパラ関係者は優遇されているというふうに私が申し上げた上で、じゃ、オリパラ関係以外で待機緩和をされている方は、役所から説明を私が受けたときには、待機を緩和したというケースでは、選手の場合は一日、つまり、選手の場合は入国した翌日にもう活動できる、そして選手以外では、三日間だけ待機して四日目から活動できる、大体そういうケースがほとんどですと、待機緩和の中には。それでよろしいんですねということです、翌日と三日だけの待機で。さっきから聞いています、これは。

豊岡政府参考人 スポーツ庁でございます。私の方から。

 個々の試合等々で入国されるというようなケースの場合、一つ一つが個別協議ということになっていますので、必ずこうだというルールがあるわけではなくて、状況に応じて個々にということでございますけれども、事例を申し上げますと、一つサッカー関係の例では、選手については、三日間毎日検査をし、三日後の陰性確認後に試合に出られるだとか、そういう個々のケースに応じてルール設定している場合が多かろうかと思います。

長妻委員 そうしたら、どういうケースなのか。ほとんどが選手は翌日と聞きましたし、レクで、説明で。関係者、選手以外は三日の待機で四日目から活動できると聞いていますので、これは委員長、資料を理事会でお願いします。

とかしき委員長 今の件につきましては、理事会で協議いたします。

長妻委員 いろいろ検査するから大丈夫だという趣旨の御発言がありましたけれども、そうしたら、一般の方だって、新規入国を認められている方だって、そういうふうにしたいですよ、それは。

 ただ、二週間、新規入国の場合は、自宅か宿泊施設で待機しなきゃいけないルールになっているんですよ。例外はなかなか難しいんですよ、これは。検査をいっぱいしたから大丈夫だといったら、普通の方にもそういうふうにやっていただきたいんですよね。何でこれを優遇するんだということなんですが。

 例外規定はどういうところから導き出されているのかというふうにお尋ねしますと、七ページ、この資料をいただきまして、オリンピック本番のときのみならず、現在もこれは適用されているという説明をオリパラ事務局から受けたわけでございます、七ページですが。そのうちの下の3というので例外を読んでいるんだということなんですね。「入国後三日以内に活動を開始しなければ、大会の運営に支障がある場合」、この場合は待機を緩和するということなんですが、これで間違いないですか。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御説明申し上げましたとおり、オリパラに関連し入国する方々につきましては、様々な防疫措置を講じた上で個別に入国を認めていただいているわけですけれども、個別にやっておりまして、基本的には、「変異株等に対応した追加的な対策について」の、「入国後三日以内に活動を開始しなければ、大会の運営に支障がある場合」といったケースを想定して対応しております。

長妻委員 これは相当私は優遇していると思うんですよ。新規で入国された方だって、早く活動したいという方はいっぱいると思いますよ。でも、オリパラだけは、要件として、「入国後三日以内に活動を開始しなければ、大会の運営に支障がある場合」、これを認めちゃうと。当然検査はするというのは、何度も何度も繰り返し答弁があって分かるんですけれども。

 そういう形で、もう一度、十六ページ、最後の表を見ますと、今、インド株が猛威を振るっている。イギリスでは、今、変異株、特にインド株が、最大七五%インド株になっていると推定されるということで、イギリスのハンコック保健大臣が記者会見で発表されました。

 インドを見てみますと、四月は、新規入国者は十名認められて、一人が待機緩和された。ところが、五月は、五月十六日までですが、十四人認められて、十四人全員が待機緩和だと。大丈夫なんですか、これは。

 そして、インド株要注意国で宿泊療養を義務づけられている国、例えばイギリス、これも、四月、入国者数が七十七人で、待機緩和が五十名。五月は、十六日までですけれども、入国者数が五十一名で、そのうち待機緩和者が、四十二名も待機緩和になっておられるということですね。

 フランスもインド株の要注意国で三日間の宿泊療養を義務づけられておりますけれども、トータルで二週間ですけれども、これも、四月には三十三名新規入国のうち二十五名が待機緩和、五月は五十一名入国のうち三十五名が待機緩和。

 ポーランドも同じレベルでインド株の流行国ということになっていますが、五月は入国者八人中八人全員が待機緩和をされている。

 デンマークも、四人、五月に入って四人とも待機緩和となっている。

 ギリシャも、二十一人入国者、二十人が待機緩和となっている。

 今申し上げた国はインド株の流行国ということで、政府としても、入国後三日間宿泊施設待機、トータルで、自宅を含めると二週間待機、これを義務づけているわけでございますので、こういうふうにどんどんどんどん待機緩和をされておられる。

 この待機緩和については、政府にお尋ねしますと、それぞれの省庁ごとに、所管事業に応じた方々を省庁ごとに認定して待機緩和にすると。だから、オリパラ事務局はこんなに大量に待機緩和しているんですが、例えばということで厚労省にお尋ねしますけれども、厚労省は、新規入国者のうち、厚労省所管の事業の中で、新規入国者、相当厚労省は絞っておられると思うんですけれども、そのうち待機緩和者というのは何人認めましたか。

田村国務大臣 四月及び五月ですね。これで十二名、特段の事情による入国者の人数でありますが、待機緩和という形です。ほとんど医療関係者で、ワクチン関係者の方であります。

長妻委員 十二名が新規に入国されて、待機の緩和はそのうち何人でございますか。

田村国務大臣 三月の十八日から五月の十九日でございました。失礼いたしました。

 この中で、ですから、待機緩和、つまり特段の事情ですよね、で待機緩和となっている者が十二名、済みません、となった者はいない。失礼いたしました。

 特段の事情が十二名、待機緩和となった者はいないということであります。

長妻委員 これは二種類あるんですね、さっきから私は申し上げておりますが。

 まず、新規入国は禁止なんです、どの国からでも、今、我が日本は。それは特段の事情がある場合だけ入国できるということで、厚労省にも相当いろいろオファーがあったと思うんですけれども、十二人しか入れていないんですよ、二か月ぐらいで。

 そのうち、もう一つあるんですね、特段の事情というのが。入国を新規で特段の事情で認めましたと。その方々が、これはもうルールとして、どなたでも、新規で入国された方は二週間必ず自宅か宿泊施設で待機しなきゃいけない。ただ、これを緩和するというのがもう一つの緩和なんですね。

 それが、今、田村大臣がおっしゃったように、十二人新規で絞って入国したけれども、十二人のうち待機緩和を認めた人は一人もいなかった、全部、二週間ちゃんと待機してくれと。これが、一つ、そういうふうに厚労省はやっているんですね。

 そういう方だって、多分、お話を聞くと、いろんな、ワクチン関係とか医療関係で、すぐ活動したいですよ、それは。毎日検査するから活動させてくれと言ったって、させてくれないわけですから。

 オリパラだけは目に余るんじゃないですかね。私は重要な事業だと思いますよ、オリンピックも。でも、これだけゆるゆるで、インド株がこれだけはやっていて、こういう状況で本当に大丈夫なのかというようなこと。今でこそこうですから、これは本番のときは本当に大丈夫なのかと思うんですが。

 これは尾身先生にお伺いしますけれども、結局、本番のときは、オリンピック、パラリンピックで約九万三千人の方が、本来、初めは二十万人だったんですが、半分に絞ったというんですね、政府は。それでも九・三万人の方が来日されて、相当優遇がいろいろ発生してくると思うのでございますが、これは、尾身先生、変異株の流行にこれが資してしまうということはございませんですか。

尾身参考人 一般論として言えば、来る人がみんなワクチンを受けて、しっかりした検査を、その国の出発前にしっかりして、全員がワクチンを打つというような、しかもクオリティーのいいワクチンですよね、ということが理想的にあれば、ウイルスの国内への流入というのは防げると思いますけれども、必ずしも現実は、そうは多分ならないと思います。

 そうなると、一般論としてですね、たくさんの人が、しかも今、インド株というのは世界にかなり拡散していますので、たくさんの人が来れば、そのリスクが、ウイルスの国内のリスク、流入のリスクというのは当然あると思います。

長妻委員 しかも、待機がこんなにゆるゆるで、本番のときのもう例外要件が出ちゃっていますから、ほとんど待機緩和になっちゃいますよね。

 今、尾身先生から変異株の話がありましたけれども、イギリスでは最大七五%インド株ということが推定されると発表がありましたけれども、日本でもインド株に相当置き換わるということが起こる可能性はどれだけあるのかというのは、尾身先生はいかがでございますか。

尾身参考人 これは、今までの経験あるいは感染症の理屈等々を総合的に考えますと、今のインド株は、国内でも少しずつ増えているんですよね。世界にもたくさん感染が起きている。そういう中で、イギリスなんかの状況を見ても、インド株というのが、今はほとんどイギリス株に国内はなっておりますから、それに徐々に換わっていく可能性というのは、私は、そうなることをある程度想定して準備をしていくことは極めて重要だと思います。

長妻委員 非常に重いお言葉だと思いますけれども、そういう中で、やはりオリパラ関係者は、本番のときも含めて優遇せざるを得ないと思うんですね。実際やった場合、二週間じっとして待機する一般と同じになかなかできないというような、運営上のことも分からないでもないんですけれども。ただ、そうなると、一般の原則が、穴が空いてしまう、オリンピックによって。それで、変異株にとっても、流行にとって、非常に日本にとってよくないような状況が起こるんじゃないか。

 このオリンピックで例外規定を設けて待機を緩和してしまう方が大量に入国するということについて、尾身先生はどんな御懸念をお持ちでございますか。

尾身参考人 オリンピックについては、正式に、やるかやらないかというのが、どうなっているか、本当のところ、正式なことは私はよく分からないんですけれども、これは、やるかやらないか、多分二者択一ですよね。

 やらない場合はやらない。やる場合は、感染症対策上でいえば、水際でのことと国内でのこと、二つありますよね、両者は関係ありますけれども。仮にやる場合は、海外からの訪問者ですね、アスリートも含め、大会関係者も含めて、なるべく少なくすることが私は重要だと思うし、国内の方の対策も、国内での感染対策というのも、人の流れですよね、接触を含めた対策というのを、もしやるのであれば、極めて強力な対策を打つ必要があると思います。

長妻委員 これはやはり、尾身先生、科学者のプロ集団として、やる場合はこうだ、やらない場合はこうだではなくて、現実として九万人以上の方が来日される、それで、ほとんどの方が、待機を二週間しないでいいんですよ、よくなるということなんですよ、それで本当に大丈夫なのかということなんですね。その点だけお答えいただければ。

尾身参考人 そういった意味で、やるのであれば、水際対策もしっかりやる必要があると思います。

長妻委員 ただ、やる場合はどういうふうな、これは、オリンピック委員会は、待機の原則は崩すという紙をもう作っているわけですから、大丈夫なんですかね、本当に。これは、オリンピックをやる、やらないというよりは、九万人が来日してそういう状況になったとき、尾身先生の科学者としての見解ですね。

 変異株が怖いんです、やはり都民は、大丈夫なのかと。やはりそれはやめた方がいいというような判断なのか、いやいや、九万人、やりようによっては変異株が拡散しないようなこともできるんだというふうに自信を持っておっしゃることができるのか、そこら辺をちょっと是非、科学者として本音を教えていただきたいと思うんです。

尾身参考人 世界各国もいろいろ状況が違いますけれども、イギリス株、インド株みたいなのが今、感染が流行している国とそうでないところ、大きく分けて二つあると思いますけれども、今、日本では、我々もかなり強く言って、政府も対応していただいているように、一部の国ですよね、インドを始めとしたところには、成田での、飛行場での検疫は、十日間の停留というのをお願い。基本的には、理想的には十四日というのがあれですけれども、実際にはいろんな事情があって十日。

 しかも、これは、アメリカのCDCなんかの最近の報告では、十日ぐらいやれば、あとプラス四日ぐらいは健康観察とか検査をうまく組み合わせれば何とか十四日と同じ効果があるというようなサイエンス。

 そういう意味では、そういうインド株がしっかりはやっている国というのは、やはりそのような強いコントロールをした方が感染対策上はいいということは、これは当然だと思います。

長妻委員 今尾身先生がおっしゃったのは、インドを含めてインド株が流行している国については、待機の例外を設けるんじゃなくて二週間ちゃんとやった方がいい、オリパラ関係者もということなんですが、事務方、それはやっていただけますね。

十時政府参考人 インド等から入国するアスリート等の取扱いについては、強化された水際対策も踏まえながら、関係省庁と個別に協議を進めて検討してまいります。

長妻委員 いやいや、そんなことを言ったって、五月一日から十六日まで、例えばインドだけでいうと、十四名を入国させて、全員を、十四名待機緩和しているじゃないですか、全然そういう措置をしていないじゃないですか。できないんじゃないですか、オリンピックの場合。今後、二週間、インドについてはやる、待機をするというようなことを本当にできるんですかね。これはやはり、科学者の皆さんが納得できることがなければオリンピックは難しいと思いますよ。

 しかも、待機したとしても、その後いろいろな行動制限があっても、マスコミとかスポンサーとかいろんな方がその九万人の中にはおられるわけで、コントロールが利かないじゃないですか。日本のボランティアの方も八万人が来られるということで、スタッフを入れるとどのぐらいになるんですか、数が。相当人が。

 そして、オリンピックをやれば、これはやはりみんな浮き浮きしますよ、それは。自粛ムードというか、町に多少繰り出す、それでもいいんじゃないのかと。

 オリンピックが始まっちゃったら、九月のパラリンピックまで、途中で事実上中止になんてできないと思いますよ、感染が拡大したときに、やはり中止だと。そのまま突っ走ると思いますよ。緊急事態宣言だって、四の五の言って出さないと思いますよ、オリンピック中は。

 そういうようないいかげんな形で待機緩和をこそっとこれだけの人数をしてしまって、本当に大丈夫なのかなということで、尾身先生にお伺いするんでございますけれども、前回も、前々回ですかね、尾身先生と議論したときに、もうそろそろオリンピックの開催の是非については議論するときが来ているんだ、議論をするべきだというふうにおっしゃいましたけれども、これはいつ頃からする見込みになっているんですか。

尾身参考人 私は、関係者に、早く議論してくださいと言ったので、いつ議論の見込みというのは、私がそれを語る立場にはないと思います。なるべく早くしてくださいということを申し上げたと思います。

長妻委員 これは是非、もう菅総理始め田村大臣にも、早く議論を、開催の是非、するように強く進言していただきたいんです。

 今私も気になりますのは、ワクチンは、これはもちろん早く打っていただくということは重要だと思うんですが、ワクチン万能論というかワクチンさえ打っちゃえばオリンピックもできるし云々かんぬんみたいな議論を、政府の中からも聞こえてきますけれども、アメリカのCDCが、ワクチンを打ってももう一度感染する可能性もあるんだよ、要注意だよということを先日発表しましたけれども、尾身先生、そういうようなやはり注意は必要だということでございますか。

尾身参考人 これはまだ日本での評価をするのは、しっかりとした評価をするのは時期尚早だと思いますけれども、海外のいろんな情報を総合的に判断しますと、このワクチンは、重症化予防には当然役立つんですけれども、それと同時に、思っていた以上に感染の防御にも役立つというような、今いろんな研究成果が出ていると思いますけれども、ただし、一〇〇%感染を防御するというわけではないので、その辺はしっかりとこの限界といいますか、かなりいいワクチンですけれども、このワクチンを打てばもう一〇〇%安全だということはないので、例えばワクチンをした後も当分の間マスクをするなどの、そういう注意はしばらく私は必要だと思います。

長妻委員 これは普通の株に比べると、やはり変異株の方がワクチンについては効果は減じるというふうに考えていいんですか。

尾身参考人 これもいろんな海外からの情報が入っていますけれども、確かに、この変異株に対してのワクチンの効果は多少落ちるけれども、私は、これは今のままであれば結構効くという、その状況は変わらないと思うので、ワクチンを多くの人が打てば、それだけ重症化があれで、感染の予防にもかなりの効果があるというふうに思います。

長妻委員 これは、ただ、オリンピックが始まる七月二十三日までに、高齢者ですら全員なかなか打てないと思うんですよね。そういう中で、変異株がやはり東京に集まってきて感染するということが仮に起こったとしたら、取り返しのつかないことになる。途中で止めるわけにいかないと思うんですね、オリンピックは。

 これは、尾身先生の分科会で、もし、オリンピックの開催の是非を議論してほしいという話になったときに、大体その議論というのはどのくらいの期間が必要になるんですか。あした教えてほしいと言っても、なかなかそれは難しいと思うんですが、どのくらい前から議論を始めるとある程度の見解を発表できる、そういうような御所見を教えていただければと思うんですけれども。

尾身参考人 委員にお尋ねしますけれども、分科会が請われて、何に、オリンピックをやるべきかどうかとか、あるいはリスクですか。(長妻委員「オリンピックの開催の是非。開催するかしないか」と呼ぶ)するかしない。

 仮に分科会に、政府の方から、あるいはオリンピック委員会の方か、よく分かりませんけれども、分科会で、オリンピック開催の是非について議論してくれ、そういう要請が仮にあった場合には、これはほかの委員ともあれですけれども、私は、目安としてしか言いようがありませんけれども、そうですね、一日ということはないですけれども、一か月もかからなくて。

 メンバー、委員会の人たちは、この問題には、それぞれ個人では随分考えております。私自身も当然考えておりますので、一週間もあれば、大きなことは、大きな方針というのは、これはなぜかというと、みんなもう既に考えているのは当然だと思いますので、一日は無理ですけれども一か月はかからないという感じだと思います。

長妻委員 是非、私は、尾身先生のところの分科会でそれをやはり議論していかないと、やるにしてもやらないにしても、科学的なやはり日本としての根拠を、これだけIOCから言われ放題言われているわけですから、きちっと日本のスタンスを科学的に明らかにするということが必要だと思っております。

 もう一点なんですが、尾身先生も前回触れられましたが、パブリックビューイング、オリンピックの。これはちょっと私の地元の話で恐縮なんですが、代々木公園でパブリックビューイングをやるということで、オリンピックのですね、一日三万五千人を集客するということで、このパブリックビューイングを設置すると木が邪魔だということで、今、木が三十六本剪定されていると。

 もう工事が始まっちゃっていますけれども、これは私、どんどん進めて大丈夫なのかと。さすがに三万五千人も集めようと思っても、もう来る人もいないとは思うんですが、こういう工事をどんどん始めることについて、パブリックビューイングについて、尾身先生、いかがでございますか。

尾身参考人 これは私、先日も申し上げましたように、オリンピックというのは、ほかのスポーツイベントとは、規模及び社会的な注目度で別格ですよね。

 そういう中で、私は、オリンピックを仮にする場合ですよね、いわゆる今委員がおっしゃるパブリックビューイングみたいなこと、ただでさえ注目があって、みんな外に出て見たいという雰囲気がある中でそういうことをすると、私は、今までの経験を踏まえれば、人流が増えて人々の接触の機会が増えるので、これは感染の増加するリスクが随分あると思います。

長妻委員 ありがとうございます。

 尾身先生、こちらで結構でございますので、どうもありがとうございました。

 最後に、警察にお伺いしますけれども、十一ページ目の資料を新たにいただきまして、これをちょっと説明していただけますか。

猪原政府参考人 お答えいたします。

 資料十一は、委員からの照会、お問合せを受けまして、令和三年四月中に警察が検視等により取り扱った新型コロナウイルス陽性の御遺体のうち、検案医等により死因が新型コロナウイルス感染症とされた六十四人の方々につきまして、その発見場所、PCR等検査の実施時期、病院搬送の有無等が記載されているところであります。

 例えば、この六十四人の方々が発見されました場所につきましては、御自宅が五十七人と一番多くなっております。

 そして、この五十七人のうち、生前にPCR等検査が実施されましたのは二十三人であります。

 さらに、この二十三人が病院に搬送されたかどうかにつきましては、御自宅から病院に搬送されたのは五人で、病院に搬送されなかったのは十八人となっております。

長妻委員 これは非常に、コロナが原因で亡くなったにもかかわらず、死後に分かった方もおられるということで、これは田村大臣、四月だけで六十四名おられるということなんですね。

 厚労省に聞きましたところ、この資料をいただきました。十五ページの資料をいただきましたら、自宅やホテルでコロナでお亡くなりになった厚労省が把握している方はというふうに聞きましたら、コロナでお亡くなりになった方ということで、HER―SYSで把握したもので、二月一日から五月二十三日までで五十四人ということで、非常に、警察は一か月で六十四人なのでちょっと差があるし、それぞれ具体的にどういう状況でどういう形でお亡くなりになったのか、何が足りなかったのか、これはやむを得ざることだったのか、本当に入院すれば助かった命なのか、こういうことがさっぱり何にも分からないんですね。一事例も、厚労省に聞くと、一つだけでもいいから事例を教えてほしいと言っても、分からないということでございまして。

 これは警察と厚労省、今、相互に情報交換をしていただいているというふうに思いますので、最後に田村大臣、こういうケース、二度と、今ももう実際起こっておりますけれども、助かる命が助からなくなるということを防ぐために、教訓とするためにも、分析を警察と急いでいただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

田村国務大臣 本来は、これはHER―SYSで全部把握していなきゃいけない話だと思います。多分いろんな事情で、病院に搬送したときに検査した医師が、陽性ならば報告いただいている中に入っているのかも分かりませんが、ただ、御自宅から来たかどうかというところの中で、警察の情報ほどうまく分別できて、分けていられない部分だと思います。

 それと、死後検査された方に関しては、多分、厚生労働省としては、警察の情報等々から明確に情報収集をさせていただいて確認をしていくという話になるんだというふうに思います。

 いずれにいたしましても、今委員の言われた趣旨というのは、多分、これは生前の方に対して検査をやったけれども、その間に亡くなられておられたということ、そこの対処がどうであったのかと。少なくとも、検査をやって御自宅で待っていただいていたこと自体は、保健所はそれなりに把握はしているはずですから、そこに対するフォローをしっかりやるべきではなかったのかというお話だというふうに思いますので、これはまた自治体としっかりと連携してまいりたいというふうに思います。

長妻委員 最後に、例えば警察の、四月だけでこの六十四名の方というのは、コロナの死亡者の、日本の発表している数には含まれているんですか。

とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が経過しておりますので。

田村国務大臣 HER―SYSにちゃんと入力いただいているということが前提ですけれども、これは陽性が分かれば、医師、要するに携わった医師は御報告をいただくということになっておりますので、そこがもし抜けておれば別かも分かりませんが、基本的にはちゃんと御報告いただいているという認識ではあります。

長妻委員 私は相当漏れているケースが多いんじゃないかと思いますので、そこもしっかり調査していただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

とかしき委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 委員長、今日もよろしくお願いします。大臣以下政府の皆様も御指導をよろしくお願い申し上げます。

 今回の改正法律案の名称になっておりますけれども、の一部に使われておりますけれども、労働者の福祉という言葉がありますけれども、本法律案における労働者の福祉という言葉の意味を、何をもって労働者の福祉というのかということをまず教えていただきたいというふうに思います。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 今回御提案しております育児・介護休業法の改正ということでございます。

 これは、育児であったり介護ということで、そういった負担がかかるということで休むということで、職業が、あるいは雇用ということがそれで中断してしまわないようにということで、育児であったり介護に当たっての休業制度であったり、両立を支援するための制度というものを設けることによって、継続的な雇用、就業ということをもって労働者の福祉を向上させていくという趣旨の法律でございます。

川内委員 継続的に就業していくことができる、すなわち、労働者が助かるねということが、労働者が助かるわというのが労働者の福祉という言葉の意味である、分かりやすく言えばですね、そういうことでよろしいですか。

坂口政府参考人 今委員御指摘のとおりで、労働者の福祉という意味での継続就業ができるということでございます。

川内委員 今、ちょうど新型コロナウイルス感染症の渦中にあって、先月、厚生労働省の方から、コロナ対応の特例というものも制度として発足をしていただいたようでございます。新型コロナウイルス感染症への対応として臨時休業等をした小学校等に通う子供の世話を行う労働者に対し、有給の休暇を取得させた事業主は助成金の対象となりますということで、こういう形でも労働者をお助けいただいているわけですけれども。

 この法律の中には、改正部分とは別途の部分で看護休暇という制度が設けられている、法定されている。年五日までだと。これは、小学校就学前までの子供たちの看護をする場合、年間五日までは看護休暇として取れますよということになっているけれども、法律上は無給でもいい、事業主サイドにしてみたら無給にしていいよということになっているわけですけれども、今後、いろいろな感染症の問題、あるいは、親一人子一人あるいは親一人子供二人みたいな形で一生懸命働きながら子供を育てている保護者の方々がいらっしゃるわけですけれども、特に、非正規雇用であったり、あるいは非常に厳しい低所得の状況の中で頑張っていらっしゃる親御さんというのは世の中にたくさんいらっしゃるんだろうというふうに思います。

 子供が病気になったとき、特に感染症などにかかったときに、そばにいて看病をしてあげたい、自分がそばにいたいというのが親の気持ちじゃないですか。ところが、非正規雇用などで日給、月給だったりした場合は休めないわけですね、仕事を。無理やり仕事に行かなきゃいけません。でも、子供は家でぐったりしています。そばにおじいちゃん、おばあちゃんもいません。もうどうしていいか分からないという一人親のママさんとか一人親のパパさんはたくさん世の中にいると思うんですね。

 だから、この法律の中に定められている看護休暇というこの制度を、私は、ちょっと厚生労働省の方で検討していただいて、年五日という期間を拡大するとか、あるいは、法律上は無給でも構わないよというふうになっているのを、やはり雇用保険の方から、医師の診断書があれば、その診断書の日数に応じて賃金見合いを支給するよとか、そういう、ここの部分の制度を拡充をすべきではないかというふうに、今回のこの改正案を勉強しながら、看護休暇というのはちょっと充実させればいいんじゃないかというふうに考えたので、大臣、ここをちょっと検討してみませんか。いかがですか。

田村国務大臣 言われるとおり、子の看護休暇、年五日、時間単位でも取れるようになりましたけれども、急な対応のためにある休みで、企業としては、育児休業のように給付があるわけではございませんので、これに対しては、その分給料を払わなくてもいい。

 ただ、これは、育休を取っていただいた後なんかにこういう看護休暇をその後もいろいろ取らざるを得ないというときがありますから、そういう場合には、両立支援コースという、要するに、育児休業支援コースですか、両立支援の中にそういうのを助成金として国として用意いたしておりまして、そういうものを使っていただきながらいろいろな対応はあるわけでありますが、いずれにいたしましても、これは法改正から五年で、一応検討規定がございますので、この検討規定に沿って、必要があればいろいろな検討ということはあり得る話だというふうに思っております。

川内委員 あり得る話だという大臣から御答弁がありましたので、担当局長、今の大臣のお考えを受けて、しっかりちょっと大臣と相談しながら頑張りますということを一言いただきたいんですけれども。

坂口政府参考人 今、大臣の方からも、前回の改正の検討規定を踏まえて今後検討ということで御答弁があったとおりでございますので、担当としてもしっかり検討したいと思います。

川内委員 ありがとうございます。

 本当はこの法律案のことをいっぱい議論したいんですけれども、実は、ちょっとゆるがせにできない、コロナの緊急事態の中で様々なことがありますので、ちょっとそちらに触れさせていただきたいというふうに思うんですけれども。

 先ほど、うちの長妻筆頭の方からも、IOCに言われたい放題言われているじゃないかという言及があったんですけれども、私も何でこんなに言われなきゃいけないんだろうかという思いを持っておりまして、バッハさんとかコーツさんとか、何か最近ではディック・パウンドさんという新しい人物も登場してきている。入れ替わり立ち替わり、言うことを聞けみたいなことを言われているわけですけれども。

 この人たちは一体何なんだろうかというふうに思っていろいろ聞いてみたら、何かオリンピックファミリーというふうに言われるそうですけれども、こうしたオリンピックファミリーの皆さんのオリンピック期間中の、何か超一流ホテルで借り上げて宿泊されるということで、例えば、ある超一流ホテルのスイートルーム、委員長、七百二十平米だそうですよ。超一流ホテルのスイートルーム、七百二十平米。死ぬまでに一回でいいから見てみたい、泊まれるなんて思わない、見てみたいと思いますよ、どんなところなんだろうみたいな。

 その七百二十平米のスイートルーム、一泊三百万円もするらしいんですけれども、そこに何かIOCの偉い人は宿泊するんだ。しかも、IOCはその三百万のスイートルームに四万円しか負担しない、残りの二百九十六万円は日本側の負担であると。これは本当ですか。まずその事実関係を教えてください。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 組織委員会に確認いたしましたところ、IOC関係者が宿泊するホテルにつきましては、大会特別料金で一括で契約をしておりまして、組織委員会は、IOCとの契約に基づきその一部を負担しております。

 分担につきましては、IOC側との関係もありまして公表はできないとのことでありますが、IOCがかなりの部分を負担していると伺っているところでございます。

 なお、報道にあるような一泊三百万円もするような部屋については、契約の対象には含まれていないと伺っているところでございます。

川内委員 この一泊三百万円もするような部屋は、その一括の契約の中には入っていない。

 個別の契約に入っているんじゃないんですか。何でそんなごまかすようなことをおっしゃるんですか。建物全部を借り上げるわけでしょう、セキュリティー上のこともあるし。駄目ですよ、そんなごまかしたら。私をごまかすということは、国民の皆さんをごまかすということですからね。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 報道の中で、ホテルを全室貸切りといったようなふうに読める記述も見られるようでございますけれども、実際の組織委員会の契約においては必ずしもそうはなっていないものと伺っておりまして、ちょっと理解が異なっているんじゃないかというふうに感じております。

川内委員 ですから、十時さん、私は質問通告で具体的に通告をさせていただいておるわけですね。一泊三百万円の部屋に、IOCは四万円払って、残りは日本側の負担ということでIOCの人が宿泊すると聞いておるが、それは事実ですかということを聞いている。事実か事実でないのかということをここで明確におっしゃってください。契約がどうちゃらとか、漠然とした言葉の中でごまかそうとしたら駄目です。具体的な事実を述べてください。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 事実か事実ではないかという御質問でございますけれども、先ほども申し上げましたように、組織委員会に確認したところでは、IOC関係者が宿泊するホテルについては大会特別料金で一括で契約をしておりまして、組織委員会はその一部を負担しているということになるわけでございます。

 全体としては、IOC側との関係で細かいところは公表はできないということでございますので、お答えできるのはこのくらいが限度かというふうに考えてございます。

川内委員 十時さん、組織委員会が何と答えたかをここで述べてくださいとは私は言っていないんです。三百万円の部屋に、IOCは四万円、残りは日本側の負担ということは事実なんですかということを聞いたわけですから、それが事実か事実でないのかということをお答えいただく。

 なぜならば、東京で開かれるオリンピック、日本で開かれるオリンピックは、企業が負担するとかいろいろありますよ。だけれども、最終的には全部国民負担になるんですよ。企業が負担するのは、企業の商品を消費者が買うからですよ。全ては国民の負担なんですよ、一兆何千億。

 それで、IOCの偉い人が、何かえらい上から目線でどうちゃらこうちゃら。もちろん、アスリートの皆さんには頑張ってほしいですよ。だって、今まで努力してきたんですから。だけれども、それと、IOCの偉い人が何かどや顔しながらどうたらこうたら言われるのはまた別問題だよね、委員長。

 それだけ偉そうにするんだったら、あなた方がどんなところに宿泊するのか、ちゃんと事実を述べなさいよ、それを国民に知ってもらいましょうよ、そういう趣旨の質問ですから、今日、今ここで答えられないんだったら、三百万円の部屋に三百万円払うとは言っていないからね、私。定価三百万円の部屋に、IOC負担は四万円だ、そういう部屋にIOCの偉い人が泊まるんですね、どうなのということを、事実を明確に調べて答えてください。この次でもいいけれども、今日分からなかったら。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 三百万円の部屋に泊まるのかということについての事実関係については、その一泊三百万円の部屋については契約の対象に含まれていないということで、泊まらないというふうに承ったと理解をしております。

 それから、IOCの委員が各人四万円の負担で泊まるのかというところについては、先ほども申し上げましたとおり、一括で契約している中でIOCがかなりの部分を負担しているというふうに伺っておりまして、それぞれの個人がどれだけの負担をするかというところについては、組織委員会から明らかにされていないということでございます。

川内委員 十時さん、一生懸命頑張っていらっしゃる十時さんに私がこんなことを申し上げるのは、お言葉を返すのは誠に僭越ではございますけれども、昨日、今日、大変話題になっている、何とかディレクターに、見積りの日当では四十万とか三十万とか、そういう見積書を作って仕事を発注しています、そういうことをされているわけですよ、組織委員会が。そうすると、じゃ、宿泊についてはどうなの、包括契約の中には入っていないかもしれないし。

 だから、何となく言葉でごまかされているような気がするわけです。明確に、いや、それはこうなんです、違いますと、そのことを明確に答えてもらいたいんです。

 そうなのか、違うのか、それを次までにきちんとお調べいただきたいというふうに思います。いかがですか。ちゃんと調べて、確認して、明確な答弁をこの場でしていただけますか。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 何度も申し上げて恐縮でございますが、組織委員会に確認したところ、組織委員会から報告を受けた内容が先ほど申し上げたとおりでございまして、それ以上の点については、IOC側との関係で組織委員会が公表できないということでございますので、御理解いただければと存じます。

川内委員 だから、そんなことを言っているから、ああ、やっぱりそうなんじゃんって言われるわけですよね。

 委員長、これ、めちゃくちゃ大事な問題なので、理事会でちゃんと出させるように協議してください。

とかしき委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。

川内委員 私は野党ですよ。だから、総理大臣を擁護する立場には一切ないですけれども、一国の総理、我が国の総理は私の総理でもありますからね。擁護はしないけれども。でも、私たちの国の総理大臣がもし中止と言ったとしても、それは個人的発言だ、関係ないよと平気で言うような人たちがIOCの偉い人たちなわけでしょう。これは政府として抗議ぐらいしなきゃ駄目ですよ。

 防衛省のつくった予約システムが不備だったですよということを報道したマスコミには平気で抗議文を出すくせに、本当に抗議しなきゃいけないものを抗議しないというのは一体どういうことなんですか。橋本先生、めちゃめちゃ受けるけれども、本当にそう思っているから受けているわけですよ、おかしいなと。

 総理大臣の発言、仮に、総理が中止と言わないと思うけれども、中止と言っても、それは個人的発言だと言うような人たちに、あなた、それは言い過ぎでしょう、それはちょっと言葉を慎んでもらわなきゃ困りますよ、国民の代表者ですからねということぐらい言わないと。どうですか。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の報道につきましては、IOC委員のディック・パウンド氏の発言のことかと存じますけれども、その発言があったことについては報道で承知しておりますけれども、全体としてどのような文脈の中での発言かなど、具体的な内容を承知しておりませんので、個人の一つ一つの発言についてコメントすることは差し控えたいと存じます。

川内委員 だから、個人の一つ一つの発言に対して政府として抗議をせよと言っているんじゃなくて、組織対組織としてつき合って契約して東京オリンピックを開催しようねということになさっているんでしょうから、だったらば、IOCに対して、IOC委員たるディック・パウンド氏のこういう記事が出ておるけれども、事実関係を確認し、もし事実であるとするならば、御注意を促していただきたい、それが政府の立場である、そういう抗議の仕方をしなさいと言っているわけですよ。

 個人にそんな抗議文を出してどうするんですか、日本政府が。そんなことを言っているんじゃないですよ。どうですか。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 IOC、IPC、そして組織委員会、東京都ら主催者と国との間では、コロナ対策を始めとして、様々な形で緊密に連絡、連携を取っておりまして、先般も五者協議で、トップレベルでも協議、連携を図ってきたところでございます。

 例えば、先ほど委員が御指摘いただいたIOCバッハ会長の発言として、報道の中で、我々は犠牲を払わなければならないと述べたというような報道がございましたけれども、これにつきましても、事実関係、詳細を確認いたしますと、我々というところに若干誤訳のようなところがございまして、全てのオリンピックコミュニティーが犠牲を受け入れなければならないという趣旨の発言をしたものであるということで、日本の国民に対して発言されたものではないと伺ったところでございます。

 このように、全体の中でどのように発言されたのか、それが原語と日本語の中でどのように翻訳をされ、取り上げられているのかといったところもございますので、そういったところも踏まえますと、なかなか個々の発言について個別に私どもの方から申し上げるというのは難しいかと考えてございます。

川内委員 国民に対しては、自粛しろとか、映画館とか美術館とか百貨店まで開くなと言いながら、オリンピックはやる、パブリックビューイングもやる、IOCの人たちには言わせ放題言わせている。一体私たち国民は何なの、どういう存在なのと多くの人が思っていると思うんです。

 自分たちがやっていることは何一つ間違っていないのだ、正しいのだとおっしゃるのであれば、誰が見ても、ああ、そうだね、納得できるねというようなことをしていただかないと、結局、バッハさんの犠牲発言もそうですけれども、犠牲とは、三百万の部屋に自分は四万で泊まって、二百九十六万を日本国民に負担させることが犠牲なのかというふうに思っちゃうんですよ。何かもう、すごいひがみ根性になっているわけ、今。卑屈になっちゃっているわけですよ、国民は、こういう状況の中で。それを政府はあるいは偉い人たちは理解して自分たちのやりたいことを進めていくんだったら進めていかないと理解が得られないということを、御理解を何とかいただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。

 次の話題に行きます。

 五月二十六日にワクチン副反応検討部会が行われました。アナフィラキシー疑いとして報告のあった件数、さらに、うちアナフィラキシーとして認定したものの件数、さらに、アナフィラキシー以外の重篤な副反応の疑い報告件数を教えていただけますでしょうか。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 五月二十六日の審議会におきましては、接種開始の二月十七日から五月十六日まで、約六百十一万回の接種についての報告がございました。

 御指摘のあった件ですけれども、アナフィラキシーとして報告された件数は九百四十三件でございました。そのうち、アナフィラキシーに認定ということは、恐らくブライトン分類一から三ということだと思いますので、それで申し上げますと、百四十六件でございます。また、アナフィラキシー以外の重篤な副反応の報告件数につきましては、医療機関からは五百六十件、製造販売業者からは千九百四十八件でございます。

川内委員 それで、ブライトン分類で一から三に分類された件数が百四十六件だという御報告なんですけれども、この副反応検討部会の資料一―四、別紙にあります事例三番ですね、これはブライトン分類で四になっているんですけれども、様々な症状を呈しているし、喘鳴がある、呼吸困難である、全体の皮膚症状も出ているということで、どう見てもブライトン分類の一から三に分類されるべき事象ではないのかというふうに私は見ながら思ったんですけれども、専門家に再度確認して御答弁いただきたいということを申し上げておきましたけれども、この副反応検討部会に提出された資料一―四、別紙、事例三、ブライトン分類四になっているものは一から三の間違いではないのかということについて、御答弁をいただきたいと思います。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の事例でございます。これは、専門家の評価、それから審議会において御議論の結果、なったものでございますけれども、御指摘のとおり、ブライトン分類に規定されております皮膚症状及び呼吸器症状が報告されてございますが、これらの症状の発生日が不明ということでございまして、レベル四に相当すると判断されたものでございます。

 このことに関しましては、そもそも、医療機関から報告があった後に、企業がその詳細を確認したんですが、それでも不明だったということでございますので、このような判断になったというものでございます。

川内委員 発生日が不明とどこに書いてあります。

鎌田政府参考人 先生が御覧になっているのは、当日の資料の、エクセル表というんでしょうか、一覧表でございますけれども、同じ五月二十六日の、その詳細をずっと書いた資料がございます。資料の一―二―三になるわけでございますが、そこに、この症例に限りませんけれども、全ての症例につきまして、時系列というんでしょうか、いろいろ書いてございます。その中に、この方につきましては、不明日ということで、いろいろ、呼吸窮迫ですとか、そういったことが書かれておりまして、このことに関しまして、医療機関から報告があり、企業が詳細を確認したけれども、不明のままだったというところでございます。

川内委員 この方は、ワクチン接種した後、何の脈絡もなく、その後数日たってからこういう症状になったというふうにおっしゃっていらっしゃるんですか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの資料一―二―三にその経過が書いてございますけれども、この方につきましては、接種を受けた後に、十分程度でアナフィラキシーの症状が出たとして、アドレナリンの注射、筋注でなされたということが書いてございますけれども、ポイントとなる症状ですね、呼吸窮迫ですとか、あるいは、対象となるような皮膚症状、呼吸窮迫なんですけれども、それが不明日にという形で報告がございまして、そのことを確認したけれども、そこが変わらなかったということでございます。

川内委員 いや、そこは私も見ていますけれども、この方は、三月八日に接種を受けているんですよね。このエクセル表のまとめた表には副反応の発生日は三月八日というふうに書いてございますけれども、確かに、今局長がおっしゃる詳細版には不明日にというふうには書いてありますけれども、その上に、三月十日の追加情報によると、三月九日退院、副反応で一回入院しているんですよね、翌日退院後、三十八度の発熱及び倦怠感が発現した、こう書いてある。その下にいろいろな副反応の症状が書いてあって、更にその下に行くと、報告医師は事象重症アナフィラキシー発作を重篤に分類し、ワクチンに関連ありと評価したというふうに、他の要因は否定されたと。ワクチンに関連ありということを評価して、他の要因は否定したというふうに出ております。

 この方の事例もそうなんですけれども、ずっと私も、夜、今、会合がないじゃないですか、委員長。夜、資料をずっと見ていると、何でこれがブライトン分類で四なの、何で一から三じゃないのというものが結構あるんですよ。だから、専門家が分類している、専門家が分類している。どんな専門家なんですか、それは一体誰なんですか、どういうところでやっているんですか。一人でやっているのか、二人でやっているのか、三人でやっているのか。もう一回よく見た方がいいんじゃないかと思うんですよ。これは絶対、分類一から三だと思いますよ。

 PMDAなりPMDAが委託している専門家にもう一回ちゃんと確認していただけましたか。不明日にと書いてあるからブライトン分類四なのだというのは、私はちょっとそれは理由にならぬと思いますよ。

鎌田政府参考人 この件につきまして、先生から昨晩御指摘がございまして、我々の方でも再度確認したけれども、同じような評価であったというところでございます。

 また、確かに、この先生がいろいろ御覧になっている資料なんですけれども、我々の方でも、これはたしか、御指摘のように、三月八日とか九日とか、三月初めの事例でございます。そうしたことがございまして、我々の方で、三月末に、きちんと正確な記載を求めるという旨で周知徹底しておりまして、我々の方で、先ほど、この件に関しましては企業からも詳細を確認した結果でございますけれども、なお、その詳細な記載を現場の先生にお願いいたしますように周知しているところでございます。

川内委員 すごい細かい議論をして恐縮なんですけれども。というのは、やはり、いや、僕もワクチンの接種はどんどんどんどん進んだ方がいいと思うし、進めるべきだというふうに思います。

 他方で、国民の皆さんに与えられるべき情報というのはしっかり与えられるべきである、そこは認識は一致していると思うんですよね。与えられるべき情報というものがきちんと正しい情報でなければならないし、適正に評価された情報でなければならないというふうに思っておりまして、この不明日にという言葉が一個入っているからブライトン分類四なのだというのは、そうですか、残念でしたという話じゃないと思うんですよ。

 不明日にというのが一個入っている。じゃ、この言葉がなければブライトン分類一から三だったんですか、あるいは、ブライトン分類一なんですかという話になっちゃって、何で不明日にと、確認しなかったの、確認すればよかったじゃんという話になっちゃうんですよね。医師は重篤だと言っているわけですから、現場の。

 それは、私は、いや、ちゃんと一回見直しましたよとおっしゃったけれども、ちょっと附箋をつけて私も資料を持っておりますので、一度じっくり局長と議論させていただいて、どこがおかしいのか、やらせていただきたいと思いますが、何か手を挙げていますが。

とかしき委員長 鎌田医薬・生活衛生局長、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

鎌田政府参考人 個々の事例につきまして、先ほど申し上げましたように、医療機関から報告の後、企業で確認いたしますし、詳細を求めますし、我々も気がついたところは調査してございますが、まず、我々が行っているのは全体のモニタリング評価でございまして、個々の事例について丁寧に行いつつも、やはり全体としてどうなのかということを、傾向を把握することが目的であるということについては御理解賜りたいと思います。

川内委員 終わります。

とかしき委員長 次に、尾辻かな子さん。

尾辻委員 立憲民主党の尾辻かな子です。

 まずは、一回、法の改正案の前に、先にちょっとコロナ対策のことをお聞きしたい。その後、法案の方に行かせていただきたいと思います。

 今日は、九都府県で緊急事態宣言の延長を決められるという日になりました。次なる大きな波を起こさないためにも、そして医療崩壊を起こさないためにも、今回の緊急事態宣言の延長というのは私から見ても妥当な判断ではないのかというふうに感じております。

 その中で、今日も、済みません、お忙しい中、朝からも会議をしていただいた後に、尾身先生に来ていただいて、ありがとうございます。先に尾身先生にお聞きをさせていただければと思っております。

 それは、やはり私は地元の大阪の第四波のことをちょっとお聞きしたいと思っておりまして、実は、大阪の五月のコロナ感染による死亡者数というのは、昨日時点で七百九十一人。一か月で七百九十一人という、膨大な、もう本当に、多分、五月いっぱいで八百人になるんじゃないかという方が、もう本当に言葉を失うような状況であります。

 第四波が始まった四月と一緒にしますと、四月がたしか二百七十二人ですので、四月と五月を合わせて千六十三人。今、全体で大阪は二千二百四十七人亡くなられておりまして、三五%がこの第四波で命を失われた状態になっております。

 このような状況になった原因、要因は何だというふうに捉えておられるのか、尾身会長の御意見をお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、長尾(敬)委員長代理着席〕

尾身参考人 大阪で死亡者が多かったという委員の御指摘ですけれども、そこについては、私は、基本的には二つの理由があったと思います。

 一つは、これを東京と比べると比較的明らかなんですけれども、東京はこれだけの人口がいるけれども高齢者の死亡者が少ないですね。これの一つはっきりどうもしているのは、大阪では高齢者施設の死亡者がかなり出て、高齢者施設のクラスターの連鎖が起きたというふうに考えたらいいと思います。それに比べて、東京の場合には比較的早く閉じたということです。

 それが一つの理由ですけれども、では、それがなぜ起きたか。こちらがより根本的な理由になると思いますけれども、これはまだ評価の途中ですけれども、私どもが今評価しているのは、これは様々な理由で、大阪府で、例えば重点措置を検討し、それを要請し、さらに決定するまでの時間がありますよね。これが、やはり少し手間がかかったというのが、私は、これは後から見るとあるので、大阪の場合には少しアクションが、これは誰が悪いとかということではないと思いますけれども、様々な理由でそのアクションが少し遅かったということで、高齢者施設の感染が広がったということだと私は今解釈しています。

尾辻委員 確かに蔓延防止等重点措置は、やはり、今回より二週間前に出さなければならなかったであろうと、私の感覚では蔓延防止等重点措置のときに緊急事態宣言を出さなければならなかったのではないかと感じています。

 そういった、今回の大阪のことについて、特に全国一のこういう死亡者数になったということで、検証がやはり必要だというふうに考えております。尾身会長はどのようにお考えになられるでしょうか。

尾身参考人 委員がおっしゃるように、この検証というのは様々な意味でやる必要があると思いますけれども、私は、一つは、やはりタイミングというもの。対策自身の内容も妥当性というのがありますけれども、タイミングというのは私はかなり重要で、そういう意味では、これは私の個人的な意見で、お願いというか、国会議員の先生の前でこれはなかなか難しいと思うんですけれども、重点措置の発出するまでのプロセスが、ほぼ緊急事態宣言のプロセスと一緒ですよね。恐らく違いは総理大臣の記者会見があるかないかみたいな、やや大ざっぱに言うとそんなところで。そもそも重点措置というのはなるべく早く機動的に打つということなんだけれども、そういう発想で、そうあるべきなんですけれども、随分重いプロセスになっているので、ここは何とか、一感染症の専門家としては、そういうことをすぐに検討していただければ、今回の大阪のこともそれが一部関係していると思うので、これは私の個人的な希望でございます。

尾辻委員 ありがとうございます。

 今、尾身先生からあった、緊急事態宣言と蔓延防止等重点措置の違いは総理の会見があるかどうかなんですけれども、実は沖縄への緊急事態宣言の発出では菅総理は会見をされておりませんで、ちょっと今の議論とは関係ない話なんですけれども、私は、これは本当に総理にちゃんと会見していただかなければいけない、特に緊急事態宣言を出すというのは非常に私権制限がかかる話ですから、やはり一国の総理がやっていただかなければいけないというふうに思いますので、是非、田村大臣、また閣議のときなどに総理に言っていただければと思います。これは要望にとどめます、今日は時間があれですので。

 先生からの宿題は、しっかり私たちも受け止めたいと思います。

 大阪は、実は、ちょっと上がって、若者たちの感染者が上がるときに、手前に指数を作って見ていたんですよね。ただ、それがうまく蔓延防止等重点措置につながらなかったというところがあります。そこは、もう何度も申し上げているように、聖火リレーの問題とかがあったんじゃなかろうかと思っております。

 やはり、私は今思うのは、この大阪の教訓を、これからの、特にインド変異株、やはりイギリス変異株のそのスピードというのが、物すごく感染スピードが速くて、大阪の藤井健康医療部長も四百人を超える重症者というのは想定外であったというふうにはっきりおっしゃっておられるんですね。このインド変異株で同じことを起こさないために、長妻委員とも尾身先生はお話をされていましたけれども、私は、既に、ちょっと水際はもう突破をされているんじゃないか、もう市中感染のステージに、どうも、インド変異株、なっているんじゃないかと思わざるを得ないと思います。

 先生の評価はいかがでしょうか。

尾身参考人 委員おっしゃるように、いわゆるインド株と言われている変異株は、もう国内、地域に来ていて、地域の中の感染が少しずつ広がっているというふうに考えておいた方がいいと思います。

尾辻委員 そうなんですよ。だんだん地域に広がっていっている、それもスピードや感染力がイギリスの変異株よりも強いんじゃないか。

 それで、例えば、今日、京都大学の西浦先生がツイッターでこのようなことをつぶやいておられまして、インド変異株は今の公衆衛生的介入では止めることが厳しいということもあり得ると。今の、つまり緊急事態宣言などの措置ではもう止めにくいということ、可能性について言及されておられます。

 尾身先生は、このような見解に同意されるか、やはりそういうこともあるだろうと思われておられるでしょうか。

尾身参考人 私は、インド株に対する対応としては、二つの側面があると思います。それは、国あるいは自治体の政策ですよね。それと呼応する形の一般市民の感染対策に係る協力ですよね。

 この変異株というのは、従来株よりやはり感染しやすいと思います。それは、同じ空間にいても、今までは比較的長くいなきゃうつらないのが、比較的短い時間でもうつる。あるいは、換気が悪いところだとうつりやすいというところで、今までよりもうつりやすいというようなことがあって、そういう国、自治体の対策という意味で、今、西浦さんの言ったのはそういう趣旨ですよね、人流を下げるとか。そこは大事だと思いますけれども、もう一つ、私は、単にもう人々の協力ということでは、今、緊急事態宣言に対する効果というのが去年の四月に比べて薄れていることは間違いないので、こういう実態がありますよね。

 この実態に対しては、私は、科学と技術を駆使する、今までも使ってきましたけれども、これを最大限に活用する時期。それが一つがワクチンであり、検査を今、ここで国の方も真剣になってくれるような検査とワクチンと、それから、実は余り一般の人には興味がないと思いますけれども、疫学情報の共有というのは、これは日本は極めて発展途上国です。ここを何とかITのテクノロジーを使って、今までいろいろ試みがあったんですけれどもなかなかうまくいかない。ここに来て、もう絶対に検査とワクチンとITテクノロジーによる疫学情報の迅速なる自治体間での共有、この三つが、さっきの人々の行動、西浦さんの言っていることに加えて重要だと思います。

尾辻委員 大臣、今の尾身先生の三つが大事だということはお聞きいただいたでしょうか。じゃ、うなずいていただきました。しっかりとやはりここをやっていかなければいけない。これは私たち立法府にいる人間も一緒だと思いますので、やはり専門家の先生方も、しっかり分析するためにはそのためのデータがないとどうしようもないという部分がありますので、これもしっかりと受け止めていきたいと思います。

 あと一問だけ、ちょっと尾身先生とさせていただければと思うんですけれども、今大阪で大事になっていることが二つありまして、一つは、伊佐先生もやられました後遺症への支援をどうしていくかという部分。後遺症ですね。いわゆるロングコビッドと呼ばれるような後遺症。実は保健所は、十日間の待機が終わったら積極的に動いてくださいとか言っちゃうわけなんです。これももうちょっと、さすがに、積極的に動くと、今、後遺症がありますから、余計にしんどくなるという方がいらっしゃるので、そこへの支援をちゃんとやはり大阪の場合は感染者数が多いのでやらなきゃいけないというのと、もう一つが遺族ケアでして、例えば家族で感染した場合は、自分が持ち込んでしまったがゆえに、例えば自分の夫とか妻とかにうつって感染してしまって、それで亡くなってしまったということで、物すごく自分を責めながら、でも、感染した事実をほとんど誰にも言えないということで、本当に何かどこにも行き場がない、孤独と自責の念でどうしようもないような状態があって、これはちゃんとやはり遺族のケアとか、グリーフケアをする、そういったこともこれからちょっと必要になるかと感じております。

 ちょっと先生の専門外かもしれませんけれども、御見解をいただければと思います。

尾身参考人 後遺症のケアと、それからグリーフケアですよね、心のケア。これは本当に後遺症というのはかなり頻度の高い割合で起きていそうなので、この二つについてはしっかりと、今もう既にそういう試みが始まっていますけれども、これについては各地方自治体の動きを国はサポートしていただければと思います。

尾辻委員 ありがとうございます。

 それを受けての大臣の議論は、またちょっと来週させていただければと思います。済みません。ちょっと時間の関係で。

 尾身先生、以上で結構でございます。お忙しい中、ありがとうございました。

 じゃ、引き続きです。

 これもちょっと確認だけしておきます。やはり今、オリンピック、パラリンピックの開催を、非現実的になっているような状況の中で、私がやはり気になっているのはホストタウンなんですね。これは本当に各自治体も今交流事業の実施に悩んで、国から求められているマニュアルの提出も本当に難しくて、難題が降りかかっているという状況で、やはりそろそろホストタウンも強行するような状況ではないんじゃないかと思っています。

 この間、議論してきて、例えば様々な交流を中止する自治体の情報を報道で拾う体制はおかしいということも申し上げてきましたし、そば打ちなどの交流イベントというのも、もう今の時期はおかしいんじゃないかとも投げかけてきました。ここの議論で、実は事前キャンプの受入れは三百四十自治体がやるということも教えていただいたところです。

 様々調べているうちに、実は五月十四日にホストタウン事業の中で落札している事業があったんですね。まず、ちょっとその金額だけ教えていただきたいと思いますが、五月十四日に落札されたオリパラ基本方針推進調査、新型コロナウイルス流行下におけるホストタウンの交流や情報発信の在り方等というのは、幾らで落札、契約をされたものでしょうか。

植松政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘のありました調査につきましては、税込み価格で十二億九千三十万でございます。

尾辻委員 そうなんですよ。これは今ですよ、今、ホストタウンに十三億のお金がまた税金から投入されているということなんですよね。

 ちなみになんですが、オリパラ基本方針推進調査、これは累次にやっているんですけれども、これまでで大体幾らぐらい使われていますか。

植松政府参考人 お答えをいたします。

 平成二十八年度から実施しておりまして、総額といたしましては約四十三億六千九百万でございます。

尾辻委員 そうなんですよ。だから、ホストタウンは、実は地方交付税措置とか地域活性化事業債で財政措置しているんですが、それ以外にも四十億近くがやはりオリパラのために使われている。

 この内容、ちょっとまた、これは今後もうちょっとやるので、今日は指摘にとどめたいと思いますけれども、今回の十三億の中身というのは、コロナ禍なので、オンライン交流などの支援をしますよ、それの発信の手伝いもして報告書にまとめますよというような内容なんですよね、大体ね。これは何か、何となく自作自演じゃないかと。ホストタウン交流をやりました、コロナ禍でもという、ちょっとアリバイづくりに、本当にこういう無理をしているんじゃないかな。結局、政府が、政治家がオリパラ中止ということをしないがゆえに、こんな無理くりなことをしているんじゃないかということであります。

 また詳しくは今度やりたいと思いますので、今日はこれでとどめて、育介法の改正案のことを残りの時間で聞いていきたいと思います。大臣、お待たせをいたしました。

 今日も午前中、参考人の方から非常に有意義な話がありまして、やはりちょっと私は今回の特に出生時の育休制度についてはかなり疑問を持っています。本当に今日も聞いていて思ったんですけれども、立法府の側も、衆議院も女性が一〇%、一割という中で、例えば育休を取る女性たちの生の声が立法府の中でもやはりなかなか聞こえてこないような状況の中で、性別役割分業がなかなか打破されないのかな、そして男性の長時間労働というのもあるのかなというふうに感じております。

 基本的に、今回の法律なんですけれども、読み方として、やはり片方の性にのみ対象の育休制度になるわけですよね。法律上はそう書いていないけれども、産後八週というのは、基本的に女性は産休がありますから。そうすると、男女平等の観点から、やはりこの法律はずれるんじゃないかと思うわけですが、いかがでしょうか。

    〔長尾(敬)委員長代理退席、委員長着席〕

田村国務大臣 法律を作った前提といいますか、立法事実といいますか、それはおっしゃられるとおり、男性の育児休業というものの取得率が七・四八、非常に低い、上がってきたとはいえ、女性と比べると桁が違うわけですね。そういう意味で、そこを取得をいただくためのまず入口として、このような形にしました。

 ただ、法律のたてつけ上はどうなっているかというと、今委員がおっしゃったとおり、要するに、出産されたお母様は産後休業があるわけですよね、休めるわけですよね。

 ところが、一方で、出産していない人に関しては、これはそれがないわけです。そこを同じように同じ時期に取って、共に育児をやろうという法律ですから、別に女性であっても取れる。つまり、言うなれば、出産していなければという形になるわけでありますので、そういう意味で、男女と書いていないというのはまさにそういうことでありますから、産後で取られる方と同じような形、出産で取られるような方のその期間を、要は育児休業として特別に取れるような、そういうような制度を今回設けさせていただいたということ。

 ただ、立法趣旨的には、男性が非常に低いからそこを取らせていきたいという中で、こういう、言うなれば、就業というものも含めて一定期間やれるような形になっておりますが、取るという意味からすると、今申し上げたみたいに、女性であっても取れるということであります。

尾辻委員 その答弁はちょっと、非常に、私、詭弁だなと感じるわけです。

 というのが、じゃ、男性以外にこれを取れるのは、恐らく特別養子縁組をした女性ぐらいじゃないですか。

田村国務大臣 養子というような形ですね、特別養子には限らず。要するに、一歳までですから、一歳で自分の子供で出産していないという場合は取れるということになります。

尾辻委員 要は、でも、ターゲットはやはり男性になるわけですよね、そこは共通点だと思いますので。そこがやはり、ジェンダー平等の観点からいくと、性別役割分業の固定化、今日も参考人の方からも御指摘があったように、固定化する育休制度にならないのかと。男女が共に育児ができる社会を目指すための育休制度というよりは、どういう形でもいいから男性に育休を取ってもらう、それも、その間半分働いてもらう、だから、会社にも家庭にもちょっと貢献したように見えてしまう育休みたいな感じに見えるわけですよ。

 産後八週ということですけれども、この産後八週というのは、なぜ産後八週にしたのか。これは、産後ケアを担ってもらうという意味で産後八週にされたのか。大臣です、大臣。

田村国務大臣 まさに出産をされた女性にとって一番大変といいますか、子供を産まれて、まだ非常にお体の方も本調子に戻られないという中で、お子さんはちっちゃいわけでございまして、生まれたばかりでございますから、いろいろな形で育児に対しても負担がかかる時期であります。

 そういうときに男性も取っていただいて、育児、家事も含めてでありますが参画をいただくということ、それによって、女性の負担も当然減りますが、男性も、一番生まれたばかりで言うなれば大変なときにお子さんと接して育児をやっていただくことによって、子供への愛着形成等々も深まりますし、当然パートナーに対しての愛情も更に深まるというわけでございますので、そういう意味合いで、この時期に取っていただこうということであります。

 そうすると、次に向かってまた育児休業を取ろう、また家事をやろう、育児をやろうというような思いを持っていただけるのではないか、こういう期待を込めて、この時期をこういう形の中で設定をさせていただいておるということであります。

尾辻委員 大臣のことから、産後ケアという言葉がちょっと具体的にはなかったんですが、この役割の中には産後ケアを担ってもらうということも含まれているということでよろしいですか。

田村国務大臣 産後ケアという言葉が広いものですから、やれること、やれないことはあると思いますが。ただ、やはり、産後大変な時期でありますから、夫婦としてといいますか、パートナーとして、産後ケア、ケアをやれる部分もあると思いますので、そういう部分も含めて対応いただくということであります。決してそれを外しているというわけではありません。

尾辻委員 そうすると、なおさら、産後ケアを担っていただくのも役割の一つだとするならば、出生時育休の期間の半分仕事ができるという、今回たてつけ、就業が可能になる、もちろん労使協定とかいろいろありますよ、そこはおいておいて、たてつけ上そうなるわけですよね。これで本当に、じゃ、産後ケアの役割を担うのかということは、やはり非常に私も問題だと思うわけです。

 というのは、やはり、特に生まれたばかりというのは、女性の方も体調がどうなっているか分からないし、子供だって、そういう、自分の予定どおりにはもちろんならないということを考えると、これはやはり、本当は半分仕事じゃなくて、しっかりもしやるなら休んでいただかなきゃいけないものになるんじゃないかなと思うわけです。

 じゃ、ちょっと今こっちの話に飛びましたので、先にそこだけちょっと確認しようと思うんですけれども。そうすると、就業する予定があっても、その取得者が子供や妻の状況では就業がかなわないということは必ず想定されると思うんですけれども、そういった場合はどうなるんでしょう。同意を取り直すというふうにたしか今書かれているかと思うんですが、これは事後的に、つまり、今日は就業の日でしたけれども、妻と子供の状態があるので、自分は今日は仕事ではなく育休を取りますということができるんでしょうか。

田村国務大臣 それは、どうしてもというよりか、言うなれば、一応これは同意をしているわけですよね、この日とこの日と。もちろん、あらかじめ、どの日かということで出して、その上で、事業主と相談をした上で、同意をして、じゃ、この日とこの日にしましょうかと。それに対して、例えば五月の三十日が、お子さんの状況が悪くなる、奥さんの状況が悪くなる、いろんなことでどうしても休まなきゃならないという場合を言われているとすれば、それは同意を撤回という形になるわけであります。

尾辻委員 じゃ、その場でフレキシブルにできるということでよろしいですか。

坂口政府参考人 ちょっと条文等、技術的な部分もございますので、お答えを申し上げます。

 今、大臣からも御答弁させていただいたとおり、あらかじめ労使で就業の日時等については同意の手続ということをやるんですけれども、やはりいろんな健康上の変化とか事情もありますので、同意した日時の就業が困難となるということも想定されます。

 そういった、日時を決定を同意でした後であっても、実際に休業を開始される前までの間につきましては、就業してもよい日時とか上限日数、時間数等の条件、いろいろございますけれども、そういったことについて、労働者の側から変更するというようなことは可能としておりますし、また、休業中の就業に関します労働者の同意自体というものについての撤回ということについても、理由を問わずに可能ということとしております。

 ただ、それと、休業開始後ということになりますと、やはり一定の制約ということはございますが、その場合でも、配偶者の疾病でありましたり、それに準ずる心身の状態の悪化等の特別の事情がある場合には、労働者が同意を撤回することを可能とするという予定でございます。

尾辻委員 坂口局長、最後だけ答えていただければいいので、ちょっとよろしくお願いしますね。基本的に全部大臣に答えていただこうというのでやっていますので。

 ちょっと私、やはりいろんな危惧を感じているんです。

 例えば、自分は育休取ったから家にいますという男性が、本当に、じゃ、子供の世話をするスキルを持っているのかという。

 今、コロナ禍でリモートワークになって何が起こっているかというと、やはり夫婦で例えばリモートワークしていても、夫は自分の仕事をしている、妻は子育てをしながら夫の昼御飯まで作って、子供の昼御飯まで作って、何か訳が分からぬと、すごく女性の方が負担がかかる。

 もしかして、この育休、そういうスキルがない人が、いや、でも、会社が休めと言うんですよ、くるみん取るためには、プラチナくるみん取るためにはとかいってやって、休んだら、ほら、何もしない。さっきあったように、ゲームだけしているとか、そんなことにもならないかということも非常に感じるわけです。

 今回のこの出生時育休の一番の私は問題だと思うのは、男性の育休というのは仕事をすることが当たり前なんだと、今回、半分仕事しますからね、できますからね、仕事をすることが当たり前、やはり男は仕事だよという誤ったメッセージを発することになりませんか、大臣。

田村国務大臣 まず、今、テレワークは、育児、家事をするためにテレワークという話じゃなくて、感染症を防ぐためにテレワークという形で導入されていますから、まずは入っていくモチベーションが違いますよね。

 要は、今回は育児休業を取っていただくということが前提ですから。ですから、それは、能力がないのならば、父親学級でありますとかいろいろなところで、まずノウハウを持ってから計画的に休業に入っていただくということが重要だというふうに思います。

 その上で、前提ではないかという話ですが、前提だと思っている人がいるんですね、男性には、残念ながら。

 その人が、いきなり、本当はもう全部休んでもらいたいです、我々も。休むことが本来です。だけれども、ちょっとあんた休んでみなよと、本当にそうあんたは思っているけれども、やってみたら違うんじゃないのということを気づいてもらいたいんですよね。自分がいなくても、ああ、大丈夫なんだと。三分の一でも、例えば四分の一しか出なかったとしますよね。四分の一であっても、ああ、何だ、回っていくんだと思ったら、そうしたら次に育児休業を取りやすくなるわけなので。

 そういう意味で、そういうことも気づいていただきたいという思いがあって、本当は初めから全部休む、そんなの俺がいなくても大丈夫だよと思っておられればこんなものは取らないわけであって、そう思っていない方がおられますから、そこに、何だ、俺ってそこまで、俺がいなくたって会社って回るんだねということを気づいて、家庭を大事にしていただく、こういうことをやはり分かっていただくという意味での今回のポジティブアクションでございますので、これが普通になれば、これをいつまでも続けるという制度ではないというような我々考えの下で提案をさせていただいているわけであります。

尾辻委員 西村委員との中でも、これ、本当にポジティブアクションと言っていいのかというのは私もすごく感じています。

 今回の出生時育休制度のみとしているこの就労の例外、これがほかの育休制度にも広がることを私はやはりすごく懸念しているんですね。というのが、今まで、派遣労働もそうですけれども、専門業種だけとしていたのがどんどんどんどん広がっていっている。労働法制というのは、いつもアリの一穴が空いたらそこからどんどん広がっていっている、そういうことをやっているわけです。

 実際、ニーズ調査を見ると、女性の側にもやはり働きたいというのはあるんですよ。これから人手不足の中で、ニーズがあるからということで、じゃ、今度、育休制度自身にやはり就労の例外を設けていこう、こういうふうに広がることは本当にないのか、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

田村国務大臣 法律の考え方は、しっかり休んでいただくというのが本来でございますので、こういうものがほかの育休に広がっていってもらっては困りますし、委員は多分、何か規制改革の名の下にいろいろなことをやられるんじゃないかというふうに思われているんだと思いますが、本来考え方が全く違いますから、そのようなことはないという中において我々は提案させていただいておるということでございます。

尾辻委員 こういった例外を設けることは、私はやはり本当にすごく危惧をしているんですよね。ちょっと時間がないので、次の質問に行きたいと思うんですけれども。

 今回の出生時育休によって、例えば、雇用均等基本調査のカウントの話を確認しておきたいと思うんですけれども、雇用均等基本調査では、今回のこの出生時育休を取ると就業期間が除外されずに四週間という期間でカウントされる、そうすると、きっちりとした実態把握等を、この基本調査がずれてしまうということが指摘されているわけです。

 ちょっと大臣、これはやはり直さなきゃいけないのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 御心配の点、参議院の厚生労働委員会でも、附帯決議で、本則附則の規定に基づく検討、これは検討規定があるわけでありますが、検討すると書いてあるわけでありますけれども、出生時育児休業等の取得期間、それから出生時育児休業中の就業等についての詳細な調査を行う、こういうふうなことが検討ということで書いてあるわけでありますが。

 正直言って、この基本調査自体は毎年やっていますけれども、ちょっと内容的に何もかも毎年というわけにはいかないというのが本当のところでございまして、そういう意味からすると、毎年毎年というわけにはいかないとは思いますけれども、このような形で附帯決議もいただいておるということでございますので、適切な把握方法、これを検討してまいりたいというふうに思っております。

尾辻委員 雇用均等基本調査って毎年ではなかったかと思うんですけれども。毎年でしたっけ。

とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

田村国務大臣 これは、調査は毎年やっております。その中で、周期的にいろんな調査をやっているということであります。

尾辻委員 私もちょっと確認したいと思いますけれども。

 ちょっと時間が来ていますけれども、今回の育休の改正法案で、ただ、よかった点が一個あるかなと。それは、一年未満の非正規雇用も育休が取れるようになった、ここは本当によかったと思いますが。ちょっと出生時育休については、私はやはりこれに疑義を呈しておきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、山井和則君。

山井委員 よろしくお願いいたします。

 それでは、質問させていただきます。

 今日も大変お忙しい中、尾身会長にもお越しをいただきまして、本当にありがとうございます。

 今日は育児休業・介護休業法の改正法案ということでありまして、これは、どうやって子育て支援、また子供が幸せに育ちやすい、また産みやすい、そういう社会をつくっていくかということだと思いますが、今日の配付資料にもありますように、コロナの中で少子化が加速しているということで非常に深刻な問題になっております。

 そういう意味では、いかにコロナを早く終息させるかということも子育て支援になりますし、また同時に、今回のインド型の変異ウイルスは保育所などでもクラスターができておりまして、子供をどうやってコロナから守っていくかということも重要だと思っております。また、今尾辻議員からも御指摘がありましたが、例えばテレワークということも今あるわけですから、育児休業を取りながらも実際は仕事をさせられるんじゃないか、そういうふうな心配も当然これは、職場じゃなくて自宅だから様々な問題があるかと思います。

 そういう意味で、子育て支援に関連して幾つかお聞きしたいと思います。

 全て質問通告はさせていただいておりますので、今日の配付資料のまず三ページを見ていただきたいんですが、非常にこれは深刻なデータでありまして、しんぐるまざあず・ふぉーらむの、一人親家庭の方々の支援団体によりますと、この一年間のコロナの中で、ここの左上のグラフにありますように、十分に食べ物が食べられなくて一割以上のお子さんが体重が減ったという、本当にこれは深刻な事態となっております。

 それに関して、田村大臣にも御尽力いただきまして、五ページにありますような子育て世帯給付金というものを御決断いただいたわけですね。それで一人親家庭と二人親家庭にも出していただいているということであります。

 ところが、当事者団体の方々からの話によると、本当にこの給付金がなかったら生きていけなかった、命を救っていただいたと。これは四ページの左にもありますように、子育て世帯への生活支援給付金への感謝の気持ちということで、四ページ目の配付資料の一番左の下に行くと、「新入学進級のこの時期に、この給付金がなかったら、生きていけなかったと思います。命を助けてくださりありがとうございます!」こういう声も出ているわけであります。

 私たち、また近日中にもう一度、八月か九月にこの子育ての支援の給付金を出していただきたいという議員立法も出す予定にしておりますが、何とか田村大臣、これは六月十六日に私たちも会期末を迎えて、その後恐らく十月ぐらいまで国会は事実上の開店休業になると思うんですね。非常に厳しい状況にありますので、是非与野党協力してこの法案を成立するか、あるいはこういう、もう一回、子育て世帯の給付金をやるべきではないかと思っております。

 また、それに関連して、もう一つセットで質問をしますが、今日の配付資料の中の五ページにありますように、私たち、来週月曜日、子ども総合基本法案というものを国会に提出する予定ですが、この中では、子育て家庭にとって今一番切実な問題である高校への児童手当の延長というものも入れさせていただきました。

 ここに資料もございますけれども、例えば、令和二年四月十四日、参議院自由民主党政策審議会、自民党の資料がございますが、この少子化社会対策に関する緊急提言(概要)の中でも、出産、子育て費用の支援ということで、児童手当の支給対象を高校生まで拡大するということも書いてあります。

 そういう意味では、あと、子ども総合基本法案の中には、三番目の、高校生への支給対象拡大、児童手当のみならず、四番目、児童扶養手当を二人親家庭に拡大する、また、児童扶養手当を増額するということも書かせていただいております。

 一括になりますけれども、子育て給付金をもう一回、八月、九月にやる、また、これを恒久制度にするために、児童扶養手当を二人親世帯に対象拡大したり、額を上げたり、また児童手当を高校まで延長する、こういうふうなことを、子供を産み育てやすい社会をつくるためにやっていくべきではないかと思いますが、田村大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 一人親世帯のお子さん、特に生活困窮されておられる方々のみならず、二人、両方といいますか、お父様もお母様もそろっておられる家庭でも大変な状況のところがあられるということでありまして、特別給付金という形で、これは本当に、委員も以前からそういうお話がございました、決定をさせていただいて給付をさせていただいております。

 ただ、まだ、残念ながら、配るすべという意味からすると、本当はもっと早くお配りをしたかったんですけれども、二人親の世帯にはこれがまだ配られていないということ。これをまずしっかりと、配れる体制を組んで早急に配っていく、これがまずやらなければならないことだというふうに我々は思っております。

 それから、ちょっと児童手当は私どもは所管ではございませんので、これは内閣府の方にお聞きをいただきたいというふうに思いますが、児童扶養手当に関しても、多子加算額の倍増でありますとか、それから給付回数、これもこの委員会でも何度も御議論を与野党ともいただいたものでありますけれども、これを増やしたりでありますとか、また、全部支給の所得制限、その制限限度額の引上げ、こういうこともやってきたわけであります。障害年金受給者との併給調整、こういうのもあったわけでありますが、この方法の見直し、これもやってまいりました。そういう意味では、児童扶養手当もいろんな形で、言うなれば強化をしてきたという状況であります。

 ただ、この上乗せとなると、当然、財源はどうするんだという議論でございますので、これはやはり、財源をしっかり確保できないことには実現はできないということでございます。ましてや、一回限りではございませんので、一度やれば恒久的という話でございますので。これはまた幅広く皆様方がいろんな御議論をされるんだろうというふうに思いますが、なかなか、政府としては、今、現状難しいということで御理解をいただければありがたいというふうに思います。

山井委員 田村大臣、この間、子ども貧困議員連盟の会長としても本当に先頭に立って御尽力いただいたことは、感謝を申し上げたいと思います。

 なかなか財源のこともあるから難しいという答弁でありましたが、例えば、児童手当も、小六までだったのを中三までに引き上げたのは、民主党政権、長妻大臣のときだったわけでありまして、そのとき質問をされたのは田村議員でありましたが、私たち与野党協力して中三まで拡大したわけですね。かつ児童扶養手当も、元々は母子家庭だけだったのが父子家庭に広げたのも、二〇一〇年、これも長妻厚労大臣のときでありました。自民党、公明党さんにも御協力いただきました。

 そういう意味では、やはり児童手当も児童扶養手当も、私たちの力で、この厚労委員会のこの場で、様々な困難を乗り越えて拡充、対象拡大、延長、増額しているわけですから、是非これを実現していきたいですし、特に、高校への児童手当の拡充、これは一万円を軸に私たちも今検討しておりますけれども、これは、先ほども言いましたように、自民党さんの政策提言にも、参議院には入っておりますし、公明党さんもこういうことにはすごく熱心な政党であられますから、与野党を超えてこういったことを実現をできればと思っております。

 それに関連して、今心配なのは、インド株がお子さんたちにうつりやすくて、保育所でもクラスターができているということで、今日の配付資料の七ページ、NHKの報道で、「新型コロナ 保育所などでクラスター増加「早くワクチンを」」ということです。実際、青森市では保育士さんに先行接種をしているということでありますし、次のページ、八ページでも、佐賀市で要望があったり、また、九ページになりますと、福岡市では保育士さんに先行接種を行っている、こういうふうな資料も載せさせていただいております。

 そこで、田村大臣、やはりこれは、本当に保育園というのは、マスクができにくいとか、濃厚接触しながらお子さんのお世話をするというのはもう当然ですので、優先接種で、保育士さんにもワクチンの優先接種をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 この先行接種というか優先順位ですね、優先順位の考え方というのは、もう委員も何度もこの委員会でもお聞きをいただいていると思いますが、専門家の方々に御判断をいただく中で、要は、感染リスクが高くて、しかも、例えば医師、介護職員の場合は、何かあったときにはずっと対応していただかなきゃいけないという方、命が懸かっているというような方々でありますので。その次は高齢者、これも重症化リスク。基礎疾患もそういう流れであります。保育士、子供さん、重症化リスクが高いというと、そうではないわけであります。ただ、言われるとおり、クラスターが起こりやすいということは一方であります。

 そういう考え方の下で、優先的な順位というわけではないんですが、一つは、これは今、ワクチンの余りといいますか、接種の余りがありますから、そういうものが出たときに対応いただくというのが一つ、自治体での考え方だと思います。

 同時に、高齢者がもういよいよ始まっております。一回目が打ち終わり、そして、二回目の予約も入り出すという頃になると、言うなれば職域の体制もだんだん整ってまいりますので、職域等々での接種というものが動き出してくると思います。そういうときに、そういう保育所も職域になるわけでございますので、そういうところで集団的に、各自治体の御判断で早くといいますか、一般の中で先行して打っていっていただくということは当然あり得るというふうに思いますので。

 そういうことは、各自治体の御判断で、より多くの皆様方にワクチン接種をしていただく一つの手法でございますから、やっていっていただいて、安心した保育所といいますか、お子さんとの保育の場というものを維持いただくということも重要であろうというふうに思っております。

山井委員 是非、国からも後押しをしていただきたいと思います。

 それに関連して、やはり打ち手が足りないということが一つのポイントに、全てのことに関して、このワクチンについてなると思うんですが、今日、私に質問主意書が返ってまいりまして、結局、薬剤師さんにワクチン接種の打ち手になってもらうために法改正、立法措置は必要かという質問主意書を出しましたら、読み上げると、お尋ねのコロナウイルスワクチンの注射は医行為に該当するところ、行えるようにするの意味するところが必ずしも明らかではないが、薬剤師が当該行為を適法に業として行うことができるようにすることにするためには、同条の規定の特例を設ける等の立法措置が必要になると考えているという答弁でありました。

 ただ、この質問主意書の答弁で、ちょっと私、正直言って分かりにくいと思うのは、これだけ読むと立法措置が必要というふうに読めるんですけれども、ちょっとここは大事なので確認させてもらいたいんですけれども、歯科医師さんもそうであったように、検討会で、もし違法性阻却というものが通知でできるというふうな結論が出るのであれば、薬剤師さんにおいても、必ず立法措置が必要だということではないという理解でよろしいですか。

田村国務大臣 どんな立法措置をするかということもあると思います。例えば、今回のことだけに限っての立法措置ということなのか、恒久的に立法措置ということによって、当然、法律の内容も変わってくるわけでありますし、必要な技術も変わってくるわけでありますけれども。

 今委員がおっしゃられたのは、多分、医師法等々、外形上は適法ではない、けれども違法性を阻却するということで、事実上、違法でない状況を行政として認めるという話だと思います。

 それはもう歯科医の皆様方でやられておることでございますから、言われるとおり、違法性が阻却できるという条件、こういうものが整っておれば、違法でない中で対応していただけるという形になるわけであります。

山井委員 要は、それが可能かどうかを今後検討会で議論するということでよろしいですか。

田村国務大臣 薬剤師の先生方だけではございませんけれども、ほかの職種の方々も含めて検討いただくということであります。

山井委員 ありがとうございます。

 そうなんですね。これは、ぱっとこの質問主意書を読むと、立法措置が一〇〇%必要で、通知では無理だというふうに読めるんですけれども、実はそうではないと。今、今後そのことを検討会で検討するという答弁をいただきました。ありがとうございます。

 それで、あともう一つお聞きしたいのは、今日の報道でも出ておりますが、十ページ、十一ページ、生活困難者、困窮世帯に最大三十万円の給付金という報道がございました。

 これは、少し気になっておりますのは、これも質問通告しておりますが、私、新給付金はいいと思います、高井議員もずっと取り上げてくださっておりますから。ただ、ちょっと心配なのは、この報道だけ聞くと、困っている人みんなが対象なのかなと。しかし、報道によると、二十万世帯ぐらいあるいは五百億円で、めちゃくちゃ少ないんです。

 私たちが要望しておりますのは、今日の配付資料にもありますように、十一ページ、二千七百万人に十万円、約二・七兆円、これぐらいのことを私たちは三月一日に議員立法で提案しておりますが、それに比べると、二十万人、五百億円というのは、本当にもうこれは数十分の一にすぎないんですね。

 そこで、お聞きしたいのは、要望でもあるんですけれども、是非これは幅広く、もう、十倍ぐらいの、今考えておられる方の対象に広げていただきたいと思っております。

 これは、今までから総合福祉資金貸付けとか緊急小口とかを借りていた人だけが対象の制度ではやはり駄目だと思うんですね。かつ、求職中の方が条件というような報道もありますが、じゃ、仕事を実際している人で求職していない人はもらえないのかと。

 これは、求職中、つまり、今仕事をしている人は駄目なのか、あるいは、福祉生活総合貸付けとか、そういうお金を今社協などで借りていないと駄目なのか、そこについてお聞きしたいとともに、もしそうであれば、やはり困っている人は、今仕事をしている人もおられれば、今まで社協で総合福祉資金貸付けを借りたことのない人も多いわけですから、もっと幅広くすべきじゃないか。そのことについてお答えください。

田村国務大臣 以前から、これは高井委員ともいろんなお話をさせていただく中で、やはり、我々としては、緊急小口、総合支援資金というものが非常に使い勝手がいいというお言葉もいただく中で、最大二百万円という形ですから、かなりの金額をお貸しさせていただき、最終的には、住民税非課税という形であれば、これは償還免除でありますから、御支援みたいな形になるわけですよね。これをやはり機動的に使っていくというのを今までやってまいりました。

 その後、今委員が言われた話でございますが、これに関して申し上げると、もう委員も行政にもおられたのでよく分かると思いますが、ちょっとまだ決定をいたしていないものでありますから、私、今この時点で何も申し上げられないということ、それが根拠があるかどうかは別にして、いろんな報道は流れておりますけれども、ちょっとここでは申し上げられないということは御理解いただきたいというふうに思います。

山井委員 だから、先に今言っているんです。

 期待だけさせておいて、多くの人が自分も対象になるんじゃないかと蓋を開けたら、実際は、働いている人はもらえないとか、今までから福祉資金貸付けを借りている人じゃないと、総合資金貸付けを借りている人しか対象になれないとか、ほとんどの一般の人は対象にならないということにしたら、多くの国民をだましたことになりかねませんから、そういうことにならないようにしてくださいという要望です。

 ついては、緊急事態宣言も出るわけですから、補正予算を組んで、そのために国会も延長して補正予算を組んで、私たちが言っているような、二千七百万人、二・七兆円の、十万円の、コロナで大幅減収や生活困窮者のための給付金とか、あるいは二回目の持続化給付金、七兆円規模、約四百万事業者、こういうことを是非やっていただきたいと強く要望したいと思います。

 それでは、尾身会長にお伺いをします。

 今回また延長になるわけですが、インド株が非常に増えておりまして、今後インド株が置き換わるのではないかと思います。

 そうすると、東大の専門家の方の予測によりますと、今日の配付資料にも出ておりますように、十四ページ、オリンピックの時期に、八月、九月の時期にまた緊急事態宣言を出さねばならないぐらいに増えるのではないかという、そういう予測も出ております。

 これは、尾身会長、やはり七月か八月に、今後、インド株などによる新たな感染拡大になる可能性というのはありますか。

尾身参考人 いろんな先生方がシミュレーションされていますが、シミュレーションというのは仮定の置き方で随分変わってくるので、そのようになるかどうかというのは分かりませんけれども、言えることは、今回も、緊急事態宣言、今日、恐らくこれから政府の対策本部で決定して、延長されるということになって、いずれ解除するわけですよね、いつか分かりませんけれども。解除をする時期だとか解除の仕方ということが非常に影響して、それで、更に解除した後にどういう対策を取って、人々がどういう行動を取って、先ほどのワクチンのこと、検査のこと、それからテクノロジーを使った疫学情報のこと等で随分変わってくると思いますので、そういうことはあり得るので、そうならないようにしっかりやるということが私は大事だと思います。

山井委員 尾身会長、それはそうなんですけれども、万が一、オリンピックでクラスターが発生したり、また、オリンピックで人流が増えることによって再び感染が拡大、爆発して緊急事態宣言になったら、これは取り返しのつかないことになるんです。そうならないように頑張ります、それはもう思いは一緒ですよ。でも、これ、国会議員、官僚の方々、そして尾身会長が入って議論して、結果的には、インド株のこともあって、オリンピックの最中に感染が拡大しました、爆発しました、外国の選手の方も含めて感染が出て、死者が出ました、これでは許されないと思うんです。

 尾身会長、七月、八月の時期に、日本でですよ、感染拡大しない、爆発しない、その七月、八月というオリンピックの時期にクラスターが起こったり、感染爆発したり、緊急事態宣言が出るような事態になる、そういうリスクはゼロですか、それともリスクはありますか。オリンピック是か非かということはおいておいて、そこは答えられないでしょうから、今後、七月、八月に、そういう、日本で感染爆発、感染拡大、緊急事態宣言ということが、インド株への置き換わりも含めて、七月、八月にそういうことが起こり得るかどうかをお答えください。

尾身参考人 私は、オリンピックというのは特別なイベントですよね。多くの人が、数万以上の人が集まるということで、先日の国会でも申し上げましたように、リスクというのは間違いなくあります。そのリスクを大きく分けると、私は、選手とか、スタジアムの中での感染リスクというのは、これはしっかりやればコントロールできると思います。

 なかなか難しくて、しっかり考えなきゃいけないのは、いわゆる選手以外の大会の関係者というのが多くおられて、その中には、よく言われるジャーナリストだとか、スポンサーだとか、政府関係者、外国の関係、たくさんおられますよね。その人たちが、本当にプレーブックで書かれているような行動規範が遵守されるかどうかというのは、選手とはまた別の懸念がある。それが一つです。

 実は、それよりももっと大事なのは、このオリンピックという特別なイベントですよね。日本では、いろんな行事があったりすると、今までも人流が増えて、人の接触が増えて、感染が急拡大したというのはもう何度も経験していることですので、これはオリンピックの選手というよりは、このオリンピックという大イベントを開催することによって、人々の、これは人々というのは日本人の方ですね、の社会の人流が増えて、接触が増えて、それによる感染が拡大するリスクというのはあるので。ということだけは言えると思います。

山井委員 それは、何が何でも菅総理がやると言えば、オリンピックはできるのかもしれません。

 しかし、私たちが心配しているのは、そのことによって、今、尾身会長がおっしゃったように、人流も増えて、感染拡大する、爆発する、もう一度緊急事態宣言が出る、そのことによって感染が広がり、多くの人が亡くなり、そうしたら、オリンピックはできたけれども多くの感染者が増えて多くの人が亡くなった、これは平和の祭典としては大失敗になると思うんですね。

 これは、本当に私たち、世界にも迷惑をかけます。みんなおかしいなと思っているけれども止められない、気がついたら緊急事態宣言あるいは感染爆発している最中にオリンピックをやっている、みんな怖いと思っていたけれども誰も止められなかったでは私たちは済まないんですね、国会としては。

 これは、尾身会長、先日私と議論をしたときに、X週間前には最終的にやるやらないも含めて判断をせねばという趣旨のことをおっしゃっておられましたけれども、私が申し上げたいのは、オリンピック、開催前提でこのまま突き進んで、尾身会長、いいんですか。私は、これは歴史的な大惨事になるリスクをはらんでいると思います。尾身会長や専門家の方も含めて大議論をした上で菅総理が判断するということならまだしも、まだ議論もされていないわけですね。

 これ、尾身会長、答えづらいかもしれませんけれども、今私たちから見ると、このオリンピックについては開催ありき、開催ありきの前提で全てが進んでいるんです。開催するかどうかの議論はもうしない、尾身会長にもそういう意見は聞かない、分科会にもそういう意見は聞かない。でも、これは危険です。すごい危険です。

 尾身会長、これはオリンピック開催ありき、開催するという前提で今のように六月、七月に突入するということで尾身会長はいいと思われますか。

尾身参考人 これを開催することになれば、日本の国内の、私はやはり一番今大事なのは医療への逼迫というものがどうかということだと思います。

 開催することによって感染が増えるということもそうですけれども、医療の逼迫というのがどうなるのか、負担が更に増すのかどうかということを考える。これを重点的に考えて、このオリンピックの在り方をどうするかというのをある程度前広に、さっきのXデー、Xウィーク前に、どういうときになったら、やるやらないを含めて、やるのならどういう形でやる、やらないのならどう、これを関係者が前もって考えて、決断をして知らせるのは当然の義務だと私は思います。

山井委員 本当に私もそう思います。

 そこでなんです。何週間か前にといえば、七月二十三日が開会式で、この緊急事態宣言の次の解除予定が六月二十日ですから、もう一か月前になるんですね。これは、一か月前、今日延長になった緊急事態宣言が次に解除するかという六月二十日の時点には、今、尾身会長がおっしゃった、本当にこれはオリンピック、このまま突っ込んで、医療の負荷、逼迫度合いも含めて大丈夫なのかという議論をすべきではないかと思うんですが、六月二十日の次の延長の可否を議論する際に。

 尾身会長、その頃にはそのような議論をすべきだと思われませんか。いかがですか。

尾身参考人 解除の時期もそうですけれども、前から申し上げているように、もうオリンピックは間近に控えているわけですよね。そういう意味では、急に決めるといってもみんなが困るわけで、当然のことながら、余裕を持って決断をするというのは、これは私は当然のことだと思います。

 そのときには、やはりしっかりとした、どういうことをするとどういう感染のリスクがあって、どのように医療への負荷がかかるのか、かからないのか、どういうことをすればリスクを最小限にできるかというのを考えて、それを大きな方針として出して社会に示すというのは、組織をオーガナイズする人たちであれば、当然、ある一定の時期が来れば、いつかということはその方たちが決めるといいと思いますけれども、直前になって決めるというわけにはいかないので、もうそろそろ準備をしておいた方がいいんじゃないかと私は思います。

山井委員 尾身会長はそうおっしゃってくださいますが、私は、下手したら菅総理は、もう永遠にオリンピック開催是非の話は分科会や尾身会長にも聞かれない可能性が高いんじゃないかと思うんです。それを聞くと、こんなリスクがありますよと言われたら開催しにくくなっちゃうから。私は、放っておいたら菅総理は聞かれないと思います。

 これはお願いなんですけれども、尾身会長の方から今のようなお話をしていただいて、早急に分科会のオリンピックの開催の可否、あるいは、やる場合にはこういう最低限の条件が必要であるということを、是非分科会の意見を聞いてくれないかということを、尾身会長から菅総理大臣に、今日もこの後当然会われるでしょうから、言っていただけませんか。

 私、これ、先ほど言ったように、インド株に置き換わってオリンピックで感染爆発して、外国の選手も含めて多くの感染者が出てクラスターができて死者が出たら、世界中から、日本というのは何てばかな国なんだ、リスクも自分たちで判断できなかったのか、その議論さえしていないんじゃないかと、徹底的に日本という国は国際社会から笑い物になると思います。最低限、議論はすべきだと思うんです。

 申し訳ないけれども、本当に、私たちは尾身会長に期待しているからお願いしているんですが、何とか尾身会長の方から菅総理に、これは本当に国家の命運、国民の命、外国選手の命も懸かったことなので、分科会の委員もいろんな意見があるから、一回聞いてもらえないか、議論させてもらえないかと言っていただけませんか。

尾身参考人 今のところ、私のところに総理の方からそういう正式な、あなたたちの意見を聞かせてくれという正式な要請はございません。

 もちろん、私ども含めて分科会のメンバーは、仮に、総理からあなたたちはどう思うのということを聞かれれば、もちろん我々は、国への、感染症対策にアドバイスするという職務を与えられているわけですから、そういう場合にはもちろん、我々のできるだけの意見を申し上げるということになるんだと思いますけれども。

 そういうことで、今のところはそういうお声がかかっていないということで、かかれば我々は意見を申し上げるであろうということであります。

山井委員 尾身会長、一か月前からこの議論をさせてもらっています。もうずっとこの一か月も、菅総理から尾身会長や分科会にオリンピックについての意見を聞きたいということは、声がかからない。私は、このまま放っておいたら永遠にかからないと思いますよ。

 尾身会長には本当に繰り返し聞いて恐縮ですけれども、これはやはり、尾身会長は国民のみんなが期待しているわけですから、尾身会長から今のようなことを総理大臣に言うということは、やはり難しいんですか。何とかそれは言っていただきたいんです。

 というのが、これを言わずに、このまま開催ありきで、多くの人が感染して死者が出たときは、これはもう謝って済む問題ではありません。菅総理が辞任して済む問題でもないと思います、これは。私たち野党も共犯になります、当然、止められなかったということで。

 尾身会長から、是非議論させてほしいということを、さすがに、さすがにもうこの期に及んでは、言っていただくことというのはできませんか。

尾身参考人 先ほど申し上げましたように、オリンピックをやるということは、国際的な社会への影響と同時に、国内の感染対策、あるいは医療に大きな影響があると思いますので、それについてあなたたちはどう思うのか、どうすればリスクを最小化できるのか、どういう方法がいいのかということを聞かれれば、それは、私たちは答えることができると思います。

 ここは、政治家の人たちがそれを決めるのであって、我々は今、政府の中で求められることをやっているので、オリンピックについての影響について、リスクについて述べてくれと言われれば、当然我々はその役割を果たすということになるんだと思いますが、今のところそういうところはないということでありと、繰り返して申し上げるしか今のところはないということです。

山井委員 尾身会長、そうしたら、このまま意見を求められなくて、実際、感染爆発した、クラスターができた、再び緊急事態宣言になった、外国の選手もお亡くなりになった、そういうことが起こって、分科会や尾身会長としては、自分たちの職責は全うしたということになるんですか。

とかしき委員長 尾身独立行政法人地域医療機能推進機構理事長、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

尾身参考人 総理の方からは公式にはそういう話はございませんが、この前も申し上げましたように、時々、いわゆる事務局の方ですかね、という方が来られ、最近も来られました。その際に、これは、私ども、私一人しかいませんでしたけれども、の考えは、基本的には述べるということはありました。そういうことでは、前もあったし、またこれからもあるんだろうと思います。

山井委員 時間が来たので終わりますが、これは、この局面は、私たちが、一人一人が、将来、歴史の審判を受けることになると思います。あのときなぜ止めなかったんだということになったとき、これは本当に、人災で多くの人が亡くなったということになったら取り返しがつかなくなります。

 だから、最後に、改めて尾身会長に申し上げますが、是非早急に菅総理と話して、分科会で議論してください。尾身会長や分科会の方々にも、委員になった以上は、国民の命を守る義務と感染を防止する義務があるんですから、言いづらいと思いますが、是非そこをお願いしたいと思います。

 以上、終わります。

とかしき委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 尾身会長、今日もお忙しいところ、ありがとうございます。

 アドバイザリーボードで、東京のリバウンドの可能性というのが言及されておりました。これまでの傾向でいえば、夜間滞留人口、昼間の滞留人口が増加し始めると、どの程度の期間で感染者数というのはリバウンドしていくんでしょうか。

尾身参考人 人流といっても、昼間の人流だとか、あるいは繁華街だけの限定した、しかも夜の滞留人口というので多少違いますけれども、今までの研究の結果、一番感染と関係があるのは、夜間のしかも繁華街、そういうところの人流と感染の拡大とのリンクが一番しっかりと今までの情報ではそうなっています。

 今まで、変異株の前は、大体、そうした夜間の滞留人口というのが二、三週間続くと感染の拡大の兆候が見られるというのが一般的な傾向でした。今回は、いろいろな県からのいろいろな情報を集めますと、変異株の影響があるとは考えられますけれども、感染の拡大のスピードが前よりも速くなっていて、今度は逆に下がるのに時間がかかるということもありますので、もしかすると今までの二、三週間よりも早い、期間が短くてリバウンドをするということも考えておかないといけないということで、これからいろいろ様々な状況で影響されるので、いろいろなことを考えていく必要があると思います。

宮本委員 そうすると、アドバイザリーボードの資料では、五月八日から十五、二十二と夜間の滞留人口が増加し続けて二週間続いている。これが今週も含めて続いているということになると、従来であってももうリバウンドが始まるということですから、変異株ならそれより物すごい早いタイミング、もしかしたら今月中に感染者数もプラスに転じる可能性があるというふうな理解でよろしいでしょうか。

尾身参考人 ゴールデンウィークの影響というのはだんだんもうなくなっておりますので、これから、今委員御指摘のように、東京はまだ緊急事態宣言発出下なんですけれども、人流が少しずつ増えているという現象がありますので、このことがしばらくすると新規の感染者数に反映されていくという可能性はあると思うので、私は注意をする必要があると思います。

宮本委員 近いところでリバウンドしていく可能性があるということです。

 そして、今日も資料をお配りしておりますけれども、昨日、東京都の健康安全研究センターの変異株のスクリーニングの調査が出ておりました。資料でお配りし、尾身会長も御覧になっているかと思いますが、これを見たら、母数は少ないんですけれども、L452R、インド由来の変異株の比率が六・七%まで上がってきております。

 ちなみに、イギリス由来のN501Yが五・七%だったのは三月の半ば頃だったんですよね。それが多数になるまで、一か月半ぐらいでばっと多数になったということを考えると、六・七%までもう来ているということがこれが全体の傾向だとすれば、もう一か月、一か月半の間に多数にこのインド変異株がなる可能性もあるというふうに見ていらっしゃるんでしょうか。

尾身参考人 今委員がおっしゃるように、インド株がだんだんとイギリス株に取って代わっていくということは十分あり得て、しかも、それほど時間がかからない可能性もあるので、様々な対策をしっかりと今まで以上に強化する必要があると思っております。

宮本委員 そうすると、先ほど来オリンピックの問題の議論もされているわけですけれども、当然いろいろな対策を打っていかなきゃいけないのは前提ですけれども、リバウンドが始まっていく、それがインドの変異株によってリバウンドが加速していく、そういう中で七月を、オリンピックの時期を迎えていく可能性もある。

 そのときに、長妻さんもおっしゃっていましたけれども、本来、様々な対策を強めなきゃいけない、ハンマーを打たなきゃいけないというときに、オリンピックをやっているからという理由でハンマーが打てなくなる、こういうリスクがあるのではないかと思いますけれども、その点はどうお考えでしょうか。

尾身参考人 私は、今、日本の社会で求められているのは、オリンピックの開催するしないにかかわらず、今の大阪で見られているような状況、緊急事態宣言を出しただけでなくて、一般の医療に支障が来て、本来なら病院でケアをされるべき人が家庭にいて、しかも重症化したり、そういうような状況が今起きている。この状況、こういうことを、オリンピックの開催の有無にかかわらず、もうそういうことを避けるんだという強い思いが私は政府と自治体と我々に求められているんじゃないかと思います。

宮本委員 絶対そういう事態は避けなきゃいけないというのは、当然、政府も自治体も国民もみんな持たなきゃいけないということだと思うんですけれども、そのときに、オリンピックをやっているがためにいろんなことができないということになったら、これはなかなか厳しい事態になるなということもありますので、そういうことを考えても、今、インド変異株の状況やリバウンドの状況を見て、本当にもう判断しなきゃいけない時期に来ているんじゃないかなというふうに感じております。

 その上で、アドバイザリーボードの資料も拝見させていただいたんですけれども、変異株の影響もあるんではないかと思いますけれども、職場、飲食以外の職場で、マスクあり会食なしという状態でも感染が広がっているケースが間々ある。ホワイトカラー、デスクワークの職場であっても、距離を取っていた、マスクをしていた、でも感染したのではないか、そういう資料も出ておりました。

 もちろん、マスクの質や着け方に問題があった可能性もあるとは思いますし、あるいは、換気の悪い例えばトイレみたいなところで、誰かごほごほとしたのがエアロゾルが残っていた、そういう共有スペースがあるのかも分からないですし、あるいは、換気の悪い場所でずっとみんなで仕事をしている、長時間一緒に換気がそれほどよくない場所にいることによるリスクもあるのかなというふうに思いますけれども、やはり、こうしたリスクを、とりわけ、イギリス変異株でこういうことが起きていて、インド由来の変異株ということになれば、もっと大きなリスクが、もっと本当に、感染対策を一人一人のレベルでも徹底していく、社会全体でも徹底していくということがより求められると思うんですけれども、その辺を共通認識にしていくのをもっと徹底しなきゃいけないんじゃないかと思いますが、いかがですか。

尾身参考人 今委員おっしゃるように、いろんな各地方自治体からの情報を集めたり外国の論文を見たりすると、やはり今、感染が個々人のレベルでしやすくなっているということはかなりもう確実だと思います。

 どういうことかというと、やはり今までは三密ということを言っていて、しかし今は、三密の一つでもあって、さらに、まだこれは確定的なことじゃなくて、次回の分科会でしっかりと我々の考えをまとめて、政府、あるいは政府を通して一般の市民の方にお知らせをできればいいと思っていますけれども、今のところ我々が感じているのは、三密だとか大声だとかお酒ということに加えて、もう一つ、一緒にいる時間というもののファクターが、今まで私どもは人数のこととか距離のことは申し上げましたけれども、時間のことについてはそれほど強調はしてこなかったです。だけれども、今回、同じところに長くいるというこの時間のファクターというのが非常に重要になったことと、それから換気というもの。つまり、マイクロ飛沫というものが今まで以上に、この変異株になって、今までもマイクロ飛沫の重要性は指摘していましたけれども、ここに来て、接触の感染も重要ですけれども、マイクロ飛沫が感染の伝播に占める役割というのがますます重要になってきたので、そういうこと、新たな気をつける点というものが出てきた。これについては、なるべく早く一般の市民の皆さんに専門家の方から発信をしたいと思っています。

宮本委員 変異株の下でのマイクロ飛沫対策、私はエアロゾル感染ということをずっと申し上げてまいりましたけれども、エアロゾル感染対策、時間のリスクの問題、換気、あとマスクの密着、是非専門家の皆さんからの効果的な発信をお願いしたいと思いますし、政府からも徹底的に発信をしていただきたいというふうに思います。

 その上で、換気の関係なんですけれども、飲食店の認証制度というのを尾身会長もかなり強調されていたわけですけれども、今日は内閣官房にも来ていただきましたけれども、これは具体化の状況というのは今どうなっているんでしょうか。

梶尾政府参考人 お答えします。

 飲食店における感染防止対策を徹底するために、山梨県や鳥取県などの認証基準を基に、感染症予防対策に係る認証の基準という案を作りまして、それを基に、第三者認証制度の導入にできるだけ早く着手するようということで、四月の三十日に厚労省、農水省との連名の事務連絡で都道府県に依頼をしたところでございます。

 現状ですけれども、五月二十五日現在、これの基準を作成をしまして飲食店の見回りを実施しているということで、十八の自治体から報告を受けているところでございます。

宮本委員 そのうち、緊急事態宣言が出ている自治体は幾つありますか。

梶尾政府参考人 この十八の中に、現在緊急事態宣言が出されているものが二つございます。

宮本委員 全体としてまだ具体化も進んでいないですし、緊急事態宣言が出されているところでは二つしかまだ認証制度もないということなんですよね。人流も、自粛疲れもあってもう我慢し切れない、そういう中で増えてくるという下で、本当に、環境を変えることでリスクを下げるというところにもっと私は力を入れていただきたいというふうに思います。

 何度も申し上げていますけれども、CO2モニターを使って換気を測定するといったときに、具体的に換気のやり方のアドバイスなんかもしっかりやる取組をそれぞれの自治体でやるというのをもっとやらなきゃいけないと思いますし、あるいは、前に紹介しましたけれども、千代田区はCO2モニターを無償で配付するということを開始しました。補助金を使って、申請したら上げますよというのじゃ手間なので、なかなかそうならないわけですよ。

 やはり飲食店の皆さんに対してもっと積極的に、環境を変えるための支援、感染リスクを下げるための支援、これをやっていただきたいと思うんですけれども、内閣官房、いかがですか。

梶尾政府参考人 お答えします。

 先ほど、現在十八の自治体が作成済みということを申しましたけれども、検討状況は報告を受けることになっておりまして、ほぼ全ての自治体から、現在、第三者認証制度の導入に向けて検討しているという報告は受けてございます。

 そして、CO2センサーに関してですけれども、この事務連絡の中でも、換気の徹底というのは必須項目として定めた上で、換気を徹底するに当たりCO2センサーの使用等により換気状況の把握に努めることというふうに定め、また、第三者認証制度の重要な要件としましては、一軒一軒戸別訪問をして遵守状況を厳しく確認、指導するということを明記しておりますので、各自治体ではこういったことを踏まえた検討を進めていただいていると考えてございます。

 そして、支援についてでございますけれども、この事務連絡の中でも地方創生臨時交付金を活用できる旨を記載しておりますけれども、先般、この臨時交付金で新たに特別枠として事業者支援分五千億を創設しまして、そのうちの三千億円分については、喫緊の課題に対応するために先行して各県に交付限度額をお示しし、速やかに事業に着手できるようにしたところでございます。都道府県の判断で、交付金を用いてCO2モニター等の配付あるいは購入支援を行うということも可能であるというふうに考えてございます。

宮本委員 ですけれども、その自治体に積んだお金というのは、やはり事業者の皆さんの様々な協力だとか減収に対しての支援に大体どこの自治体でも回るわけですよね。それはよく分かっていると思いますけれども、やはり別枠で、ちゃんとこういうことで使ったら積み増して出しますからということをやっていかないと、ワクチン接種、高齢者は七月末まで頑張る、そこまでやれば重症化する方は大分減るとは思いますけれども、若い世代も含めて重症化する方というのは当然いるわけですから、その先まで、秋冬まで見据えた対策をやはりやらなきゃいけないと思うんですよね。

 これから暑くなりますので、暑くなるとどうしてもお店は、今は窓を開けて外の空気を入れて換気をよくしているところも、また密の環境が広がる危険があるというふうに私は思っております。ですから、そこまで見据えて様々な換気対策への支援というのを是非やっていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 尾身会長、ありがとうございました。内閣官房も結構でございます。

 それでは、後半の質問に入りますが、今日は特別養子縁組についてお伺いいたします。

 国は、この間、特別養子縁組の普及促進を図ってまいりました。その理由を端的に述べていただけますか。

渡辺政府参考人 御指摘の特別養子縁組制度、これは、養子となる子供と実の親との法的な親子関係を終了させるとともに、養親との離縁の要件を厳格にすることによって、養親子関係を強固なものとする制度でございます。

 これは、子供にとって永続的に安定した養育環境を提供することができるものでありまして、平成二十八年の児童福祉法の改正で導入しました家庭養育優先原則というものにもかなうものということで、重要な役割を担う制度だと考えておりまして、これまで普及促進に努めてきたところでございます。

宮本委員 国として促進をしてきたわけですから、しっかり適切な支援を関係者で行うというのは当然のことだと思います。

 こういう相談を一件受けているんですけれども、特別養子縁組の場合、子が一歳を超えて養子縁組をしたり監護期間に入った場合は、育休は取れず、夫婦のどちらかが無収入のまま家庭で子供を見るか、保育施設に子供を預けて働き続けるしかない、無収入は酷である、一方で、養父母と子供が愛着関係を築く大切なときに子供を保育施設に預けるのもつらいという話でございます。

 子が一歳を超えて養子縁組をしたりあるいは監護期間に入った場合に何らかの公的な経済支援を受けられる仕組みというのが必要じゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 今委員もおっしゃったような気がしますけれども、一歳未満でございますれば、当該子、養子縁組であったとしても、これは対象になるわけでございます。

 今、翻って、多分、それを超えた場合どうするんだという話だったというふうに思うんですけれども、特別養子縁組に至る過程で里親制度というものがあるわけでございまして、特別養子縁組までの間、里親でいろんな対応をいただくということであれば、里親に対しては、それぞれ手当、生活費、教育費、医療費等々、これは出るわけでございますので、そのようなものをお使いをいただきながら特別養子縁組につなげていただく、その間に愛情形成等々をしていただくというような形を使っていただくのも一つであろうというふうに思います。

宮本委員 里親制度を使わない場合も当然あるわけでして、一歳をちょうど超えたぐらいの子供と養子縁組あるいは監護期間に入るという場合も当然あるわけですよね。ですから、ちょっと別の形式も含めて是非御検討いただきたいというふうに思います。

 続いて、昨年突然事業を停止したベビーライフの件についてお伺いいたします。

 特別養子縁組で子となった人が自分の出自を知る権利が保障されること、また、養父母が、真実告知など、発達段階ごとに適切な子供への働きかけが行えるよう、継続的に援助することの重要性について、大臣はどう認識されているでしょうか。

田村国務大臣 やはり出自を知る権利は非常に重要であります。そういう意味ではこれは保障されなきゃなりませんし、真実を告知するということは大変なことでありますので、これに対して養父母に対してしっかりと厚生労働省も支援をしていくということは非常に重要であろうというふうに思っております。

宮本委員 この点で、ベビーライフを介してあっせんを受けた関係者の皆さんは大変今困っている状況にございます。情報の一部は東京都に引き継がれましたが、その詳細も明らかになっておらず、一昨日、養父母の皆さんが東京都に様々な要望も出しております。

 これまではベビーライフを介して養父母と実親との交流というのが行われてきました。成長に合わせて定期的に写真を生みの親に届ける、こうしたものも全部ベビーライフが仲介となってやってきたわけです。子が将来、実親に会いたい、あるいは手紙を出したいというふうになったときのことを考えると、実親との関係を続けていけるようにするというのは極めて大事なことだと思います。もちろん、子の健康に関わる養父母の健康情報が得られるということも大変大事な問題であります。

 そこで、大臣にお伺いしますけれども、このベビーライフの情報を整理し、どのような情報を引き継いだのか、速やかに関係者に明らかにすべきではないのか。また、必要な情報が適切に当事者に開示されるよう都道府県にしっかり働きかける必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

田村国務大臣 民間あっせん機関による養子に関する記録の保有といいますか、こういう在り方でありますとか、また、養子の方々に実親の情報をしっかり提供する際の留意点、こういうものに関しては、民間あっせん機関宛てに本年三月にも、周知すべく通知を出させていただきました。

 そういう意味では、法律にのっとって、また関係指針にのっとって、いろんな形で、真実を告知する、これに関する悩みでありますとか、児童の発達段階に応じた悩み、こういうものに対して助言、支援をあっせん機関は行わなければならないとなっているわけであります。

 一方で、今、多分、言われたベビーライフに関しては、もう既に事業を停止しているので、そういうようなことができない中においてどうやってその役割というものをどこが担っていくのかという話だと思いますが、ベビーライフからの情報の引継ぎ、これは東京都からも今随時報告を受けております。東京都が引き継いでいるわけでありまして、把握できる限りの養子等に関する情報を引き継いだ上で、現在、内容の整理を行っているということであります。

 今後の対応方針については東京都において現在整理しているところと聞いておりますけれども、厚生労働省といたしましても、東京都には助言をしっかりと行っているわけであります。

 いずれにいたしましても、養親、それから実際に養子の皆様方、実の親、それぞれに対して必要な対応をしていかなきゃならないわけでありまして、厚生労働省といたしましても、今後とも東京都に協力をしてまいりたいというふうに思っております。

宮本委員 ベビーライフの場合は、許可団体になっていない段階で廃業しちゃったという問題があるわけですよね。それで、東京都の側からなかなか関係者にいまだ何の情報も伝わっていないし、どういう情報があるのかも関係者の皆さんは知らされていないのが今の現状なわけであります。

 ただ、許可団体になっているかいないかということによって、子供の権利や利益、あるいは、いろんなもの、本来知り得ることが知れないということがあってはならないというふうに思いますので、是非、先ほど大臣がおっしゃった通知、これは許可団体に対しての通知だと思うんですけれども、その趣旨あるいは指針の趣旨も踏まえて、しっかり当事者に情報が開示される仕組みをつくっていただきたいというふうに思います。

 その上で、ベビーライフ自身は許可団体ではなかったわけですけれども、過去には許可団体が廃止した例もあります。あっせん団体が事業廃止した場合に、情報の継承というのは大前提ですけれども、同時に大切なのは、子供や養父母に必要な支援が継続的に行われるということだと思います。

 大臣にお伺いしますけれども、養子縁組をあっせんしていた機関が解散した場合、事業が引き継がれ必要な支援が行われるようにどのような取組を行っていくのか、ベビーライフの事業廃止に伴う、情報だけじゃなくて、事業の継承についてはどのような取組を行い、現状はどうなっているんでしょうか。

田村国務大臣 ベビーライフは、今、法施行以前の状況のまま解散されておりましたので、そういう意味からいたしますと、言われるとおり、あっせん機関になっていなかったといいますか、指定されていなかったわけでございますので、そういう意味では、余計に今東京都との間において大変御苦労いただいて情報の引継ぎをいただいているというふうに思いますけれども、民間あっせん機関が廃業する場合は、その帳簿を都道府県又は他の民間あっせん機関にこれを引き継いでいかなければならないものとされているわけであります。

 こうした規定に基づいて適切に支援が継続されることとなる、一応制度上はこういうふうになっているわけでありますけれども、養子等に関する情報に関しましては、やはり養子の出自を知る権利の確保、これは重要なものでありますので、情報の保存や引継ぎが円滑に行われるよう、厚生労働省といたしましても都道府県と連携して、そのような形になるように、他のあっせん機関の協力を得るなどして必要な対応を行っているわけであります。

 いずれにいたしましても、ベビーライフの場合は、今東京都が情報を引き継いでいただいておるということであります。全て引き継いでいるわけではないと委員はおっしゃられましたけれども、かなりの部分は引き継いでいただいておるということをお聞きもいたしておりますので、しっかりとこの件に関しては東京都と連携してまいりたいというふうに思っております。

宮本委員 ベビーライフが子供をあっせんした実親あるいは養父母の仲介支援を行ってもいいよと名のりを上げていただいている団体も今生まれてきているという話は伺っておりますが、そこにしっかり情報が引き継がれていくという仕組みも必要です。

 あわせて、そういう団体ができたとしても、その団体への十分な支援がないと、また事業の継続性という問題が生まれる可能性がある。そのことを養父母の皆さんも心配をされておられます。というのも、収入はあっせんのときの手数料だけですから、その手数料が引き継ぐ団体に入ってくるわけではないというのが今の仕組みでありますので。

 ですから、事業がしっかりと継続されていく、情報がしっかり管理されて必要なときに伝えられると同時に、実親と養父母の定期的ないろんな交流、こうしたものへの支援というのもしっかりできるようにしていこうと思った場合は、やはり帳簿や事業を引き継ぐ団体へのしっかりとした財政的な支援、これもやる必要があるんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 様々ないろんな問題、諸問題に対してはいろんな助言等々の支援はしてまいりたいというふうに思っております。

 いろんな形で、出自を知る権利等々においていろんな対応をしていただくというものに関しては、これはモデル事業としての支援はあるんですけれども、今言われたみたいに、引継ぎというような形の中において全体の体制を整備するという意味では国からの財政的支援というものはないわけでありますけれども、いろんなお悩みはあられるというふうに思いますので、それぞれの相談に関しては都とも連携しながら協力して対応してまいりたいというふうに思っております。あくまでも助言という形になろうと思いますけれども。

宮本委員 是非、同じことがまた生じちゃいますので、一回こういうことが起きて受け継いだ団体がまた大変なことになったら大変ですから、そこは本当にどういうふうにすればこうした事業が継続できるのかというのをしっかり検討していただきたいというふうに思います。

 問いはまだ残っておりますけれども、時間になりましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。

 本日も、大変貴重な機会、ありがとうございます。

 早速でございます。

 昨日、非常に残念なニュース、悲しいニュースが入ってまいりました。配付資料1のとおり、持久走の後に小五男児が死亡されたという事件がございました。

 体育の授業の際に、このお子さん、マスクを着けて臨まれた、そこは間違いないと。五分間ペース走の終了間際に、様子がおかしいということで、他の児童が気づいたということでございます。

 この配付資料には書いてございませんけれども、別のニュースでは、児童は倒れた後、吐きそうと言ったため、近くにいたクラスメートが駆け寄り、マスクを外したらと言ったということでございますので、恐らくこのペース走の際にはマスクを着けていたんだろうと思われます。

 今日、先ほど確認しましたところ、萩生田文科大臣が、この残念な事例を受けて、体育の授業でマスク着用は必要ないということをはっきりと声明で言われたということなので、文科省はこの事実は当然つかんでおられると思います。

 そこでお伺いしますけれども、まず、こういった事例が発生したということを受けて、マスクとの因果関係の有無や、状況はどういうものであったかということについては文科省はきちんと調査する必要があると考えられますが、その予定はございますでしょうか。

牛尾政府参考人 お答え申し上げます。

 今、委員の方から御紹介がございました事案につきましては、発生した時点におきまして、大阪府教育庁の方から私どもとしても報告を受けているところでございます。

 今、御紹介いただいたような体育の授業中での状況でございますとか、その後の学校の対応等について私ども報告を受けておりますけれども、死因については不明という形で報告を受けております。

 今後の調査ということでございますけれども、死亡の原因につきましては、現在、病理検査が更に続けられておりまして、その結果を踏まえまして、大阪府高槻市教育委員会において、改めて調査を行うかどうかを決めるという状況にあるというふうに承知しております。

 ですので、私どもといたしましても、まず、この病理検査の結果が出るのを待って考えたいというふうに思っております。

青山(雅)委員 確かに、病理検査、相当の期間、例えば半年くらいかかることもございます。報告をきちんと受けて、必要な場合には是非また調査の方、是非お願いいたします。

 そして、マスクの装着で体育などの運動時の死亡例といえば、昨年、ちょうど今からもうちょっと前ですかね、中国で何例か報告があったと思いますけれども、そういった情報はつかんでおられるでしょうか。それについて、つかんでおられれば内容を紹介していただきたいと思います。

牛尾政府参考人 お答え申し上げます。

 中国で発生した死亡事案につきましては、昨年四月の段階で、在中国日本大使館からの報告を通じまして、概要を把握しているところでございます。

 その報告によりますと、体育の授業におきまして、マスクを着用した状態で千五百メートル走やランニングをしている際に、中学校の生徒が急に倒れ、死亡した事故というものが三件発生しているという報告を受けているところでございます。

青山(雅)委員 大変残念な事件が、昨年、中国では発生しているわけです。

 こういったこともあって、日本臨床スポーツ医学会、日本臨床運動療法学会は、共同声明、「新型コロナウイルス感染拡大防止期間中における屋外での運動に際しての注意」というのを既に昨年度出しております。これを皆様のお手元、資料2としておつけいたしました。これは出たのが二〇二〇年の七月一日でございます。これですね。

 これを見ますと、二番にはっきりとこう書いてあります。「屋外運動時のマスクや口鼻を覆うものの着用は、基本的には推奨いたしません」と。その理由として、「(熱中症や呼吸不全の危険が高まる可能性があり、海外では死亡例もあります)」と。今紹介がありました、中国で三例でしたか、既にあるわけですね。

 こういったことを受けて、文科省のマニュアル、確かにこう書いてございます。「体育の授業においては、マスクの着用は必要ありません。ただし、十分な身体的距離がとれない状況で、十分な呼吸ができなくなるリスクや熱中症になるリスクがない場合には、マスクを着用しましょう。」と。

 これは、私、この書きぶりが大変問題だと思っています。今日の会見でも萩生田大臣は体育の授業でマスク着用は必要ないとはっきり言われたようですけれども、前記の書きぶりだと、現場は一体どっちにしたらいいのかよく分からなくなってしまうわけですね。

 実際にも、私、このことをちょうど先日、文科委員会でお伺いしたわけですけれども、こういう声が寄せられています。例えば、持久走なんかでたまに距離が詰まるときがあるわけですよね。だから、そういうときだと、この例外のような書き方の方の「ただし、十分な身体的距離がとれない状況で、」というのに当てはまるから着けるんだという学校現場があるようなんです。

 それからもう一つ、大阪府の先ほどの死亡事例は、一応、マスクの着用については、先ほどの資料1を御覧いただきたいんですけれども、体育のときはマスクを外してもよいと児童に伝えた一方で、新型コロナの感染などが心配な人は着けてもよい、こういう言い方をしたそうです。

 私のところに非常に多数の声が寄せられているんですけれども、この書き方だと、まず第一に、学校現場は、たまに近づくときがあるんだから、この例外の方に当たっちゃうから、マスクは着けてもらわなきゃ困るという取り方をする例。それからもう一つは、子供に確かに聞きます、ところが、子供は、今のこの状況ですから、マスクを絶対着けていなきゃ駄目なんだというふうに思い込んじゃっているから、どっちにしたらいいんですかと言われたら、苦しくても着けちゃうわけですね。そっちを選んじゃう。迷った挙げ句に、着けたままにするという例が出てきてしまうわけです。

 今日の記者会見でも、萩生田大臣ははっきりと体育の授業でマスク着用は必要ないと言われながらも、児童生徒同士の間隔を空けるなど十分な対策を取った場合はマスク着用は必要ない、こういう言い方もしちゃっているわけです。

 そうすると、マスコミの中にはそちらを見出しとして取っている方もありまして、私は、ここははっきりと、基本は外すべきである、学校現場としては、少なくとも体育の授業中は子供たちが外せるように、児童生徒同士の間隔を空けてマスク着用が必要ない状況をつくるようにされたい、そういう物の言い方をしなければいけないわけですね。

 物の言い方というのは、その言い方一つでもってどっちでも取れちゃいますし、現場は、今の状況だと萎縮していますから、マスクを着けさせないで万が一コロナが出ちゃったらどうしよう、自分たちが責任を追及されたらどうしようと思っちゃうわけですね。

 このリスクを考えると、子供たち、まだいまだに、日本では幸いなことに十代以下の死亡者は一人もいないわけです。今現在も重症者は厚労省の発表によれば一人もいません、今現在において。

 そう考えると、私は、次回のマニュアル改定の際には、ここをはっきりさせていただいて、基本は着けないでくださいと。間隔が取れるように十分注意をしてあげてくださいという言い方にすべきだと思いますし、それからもう一つは、幼稚園児。これはちょっと置いていかれているんですけれども、幼稚園児で一日中着けているようなんです。これも、子供が小さければ小さいほど肺の呼吸機能が未熟ですから、これはやはり非常に心配であって、そこについて指摘しているお医者さんもおられます。また、もう一つは、高炭酸ガス血症というものが、マスクを着けていると二酸化炭素をどんどんどんどん吸い込んじゃって、非常に危険な呼吸不全を起こすというような指摘もあります。

 そういったことも踏まえて、文科省は、ちょっとマニュアルの書きぶりを、せっかくのいいマニュアルを作っていただいているので、変えていただきたいと思うんですけれども、今日、副大臣おいでですので、ちょっとお伺いしたいと思います。

丹羽副大臣 まず、この大阪府高槻市の事案につきましては、原因について病理検査が続けられているというふうに承知いたしておりますが、小学校五年生の児童が亡くなったことに対しては、大変痛ましく、心より御冥福を申し上げたいというふうに思っております。

 運動を行う際にマスクを着用する場合、十分な呼吸ができなくなるリスクや、また熱中症になるリスクが指摘されていることから、これまでも、児童生徒の間隔を十分に確保するなど、感染症対策を講じた上で、体育の授業においてはマスクの着用は必要ない旨の通知を昨年五月から行ってまいりました。また、マスクの取扱いにつきましては、衛生管理マニュアルや関連する通知等により、学校や学校の設置者に対して重ねて周知をいたしてまいりました。

 その上で、委員おっしゃるように、体育の授業等においてマスクの着用は必要ないことや、また、地域の感染状況を踏まえて、運動の内容を工夫するとか、全員が全員、例えば野球とかやっている場合、応援している子も中にはいるわけですよね。そういった子においては着けていたりしてもらって、じゃ、自分がバッターボックスに入ったときはマスクをしなくていいとか、いろいろとやり方はあるというふうに思っております。

 様々なことを工夫することにつきまして、改めて、教育委員会やまた学校等に対して必要な情報を更に分かりやすく周知することにも、また丁寧に情報発信をしていきたいというふうに考えております。

青山(雅)委員 非常に前向きな答弁、ありがとうございました。

 重ねて強調しますけれども、日本では十代以下の死亡者は一人もおりません。そんな中で、不要な対策で、あるいは過剰な対策で子供が万が一でも死ぬことがあれば、これはとてもじゃないけれども釣合いが取れないので、是非その点、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 そしてもう一点、文科省おいでなものですから、もう一点だけ続けて聞かせていただきますと、小中学生の荷物の多さ、これも私はすごくずっと気になっていまして、本当に重いランドセルとか重いリュックサックみたいなもので、体がこんなに曲がる、老人のように曲がらなければ持てないような荷物を持っているわけですね。

 この点も調べましたら、文科省にお聞きしましたら、平成三十年九月に事務連絡は出してくださっているんですね。これも添付しておきました。資料3で、まさに私が心配しているとおり、授業で用いる教科書やその他でもって過重になることで、身体の健やかな発達に影響が生じかねないことの懸念があると。裏面の方に書いてありますけれども、児童生徒の机の中に置いて帰ることを認めているとか、ロッカーに部活の用品を置くとか。

 ところが、残念なことに、私は身の回りでこういうことが実践されているのを見たことがないわけですね、つい近々にわたってというか今現在においても。

 これは、是非改めてもっと強く通知していただいて、多分こういったことで、私は再三言うように弁護士なものですから、残念な中学生の交通事故で亡くなった事件なんというのもあるんですね。そのときにもやはり大きな荷物を抱えていたりなんということも実際に経験するものですから、ここを改めて強く学校現場に訴えていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。

 授業で用いる教科書やその他の教材等は、例えば宿題や予習、復習などの学習課題を適切に課すなど、家庭学習も視野に入れた指導を行う上で重要なものでありますけれども、児童生徒の身体の健やかな発達の観点から、携行品の重さや量への配慮を講ずるということは重要なことと考えてございます。

 このため、今ほど議員から御紹介ございましたとおり、平成三十年の九月に各教育委員会宛ての事務連絡を発出をし、例えば家庭学習で使用する予定のない教材などを机の中などに置いて帰ることを認めるなど、各学校における実際の工夫の例も示しながら、各学校におきます配慮を求めたところでございます。

 例えば、ある教育委員会におきましては、この事務連絡を受ける形で更なる見直しを行い、教材を個人ロッカーなどで管理をし、持ち運ぶ量を減らすなどとした結果、荷物の重さが小学校で約三割、中学校で約五割軽減したといったような事例も承知をしているところでございます。

 何を児童生徒に持ち帰らせて、何を学校に置くこととするかにつきましては、各学校において、児童生徒の発達段階でありますとか学習上の必要性、あるいは通学上の負担や安全性など、地域や学校の実態を考慮しながら判断をするということとなりますけれども、文科省といたしましては、全国の各学校におきまして適切な配慮が一層なされますように、引き続き会議等の場でしっかりと周知を図ってまいりたいと考えてございます。

青山(雅)委員 考え方としてはそのとおりで、本当にそこを進めていただきたい。現場に徹底していないところを踏まえて、更に徹底をお願いしたいと思っております。

 文科副大臣、そして文科省、ありがとうございました。質問は以上でございます。

 続きまして、質問を一問飛ばしまして、尾身先生にお伺いしたいと思います。

 まず最初に、おわびを申し上げます。

 前回、最後の質問で、厚労省研究について、尾身会長の答弁について、私、反論のような形で終わっているんですけれども、そこは、私、理解が間違っておりまして、尾身先生おっしゃっているように、N501Y―PCR検査の結果に基づいてやっているものですから、これは全数調査ということになっておりまして、その点、私、誤解しておりまして、今おわび申し上げます。申し訳ございませんでした。

 その上で、同じ問題について更に議論をさせていただきたいんですけれども、添付資料の資料5を御覧いただきたいと思います。これでございます。厚労省の報告で、N501Y―PCR検査陽性群が陰性群に比べて一・四倍の重症化リスクがあったと。これが尾身先生が御紹介された論文でございます。これを図式化してみました。

 この論文の真の問題点は、厚労省のこの論文自体にも書かれているんですけれども、実は、N501Y―PCR検査というのは、二〇二一年の二月十日から五月六日の全検査のうちの九・七%にすぎないわけですね。そして、B1群という陰性は二・二%、陽性が七・五%にすぎないわけです。この中で、結論の部分で書いてあるのが、「N501Y―PCR検査の結果が陰性である場合のHER―SYSへの入力率は低く、本報告におけるN501Y―PCR検査陰性群の特性がすべてのN501Y―PCR検査陰性例の特性を必ずしも反映しているとは言えない。この選択バイアスの影響により観察された重症度の差は過大評価あるいは過小評価のいずれの可能性もある」とされているわけですね。

 要は、これはちょっと理解が難しい話なんですけれども、この検査の結果というのは、A群とB1群、N501Y―PCR検査陽性というのが、この中に英国株が含まれているわけです。一枚めくっていただいて資料6を見ていただくと分かるんですけれども、このA群のうち左側のものが英国株と判定されたもの、右側が陽性だけれどもそれかどうかは分からないというものなんですけれども。元に戻っていただいて、A群とN501Y―PCR検査陰性群を比べると一・四倍あるよと。しかしながら、このA群と、B2と書いてありまして、陰性群を含むその他全部と比べると、実はほぼ同等だ、こういう結果なんですね。

 そうすると、これは尾身先生に確認したいんですけれども、要は、PCR陰性群の中で、本当はPCR陰性で重症、もっと重症化していたものがこの右側の検査不明の方に紛れている可能性があり、紛れている可能性が高ければ高いほど、このAとB2を比較した〇・九六、つまり重症化リスクは大差ないという方向に行く可能性があると思うんですけれども、その点について御見解をお伺いしたいと思います。

尾身参考人 お答えいたします。

 今、このスライドは見ましたので、ちょっと、ぱっと見ました。

 それで、先生御指摘のように、実は、厚生省の、あれは感染研ですね、やられたスタディー、これは私自身がやっているわけじゃなくて、私は研究の結果を先生に共有しているわけですけれども。実は、この重症化率のスタディーがいろいろ限界があるというのは度々申し上げてきたところで、このスタディーも、実は、重症化率というものを最初からスタディーデザインを持って、しっかりしたプロトコールを持って、いわゆる統計学上のしっかりした、検討に値するような、しっかりしたプロトコールをやったスタディーではないんですね、これは。

 そもそもこれは、私は毎日サーベイランスのデータを読む方で、作っている方じゃないので、作っている人でも、これは、実際に今ある、委員も御承知のように、日本のサーベイランスシステムはまだ発展途上なんですよね。そういう中で、今、サーベイランスに載ってきたデータを基にやっている比較で、今先生が言われたA群とB1群のことをやると一・四倍。ただし、これが、そこの論文にも書いてあるように、これでパーフェクトなスタディーということはないので、今できる方法でしたものがこうであり、大阪でやったものはああであり、そういうものを、いろいろなピースを集めてきて総合的に判断するという。

 先生のおっしゃっている、この今のをぱっと見ましたけれども、実はここは、先生のおっしゃっていることはよく分かります。むしろ、この中に実は変異株であるかどうかが分からないのも入っている可能性があるんですね、ここは分からないと言っているので、ここで。

 そういう意味では、今の先生の〇・九六というこの結果がありますけれども、これはアンダーエスティメートもオーバーエスティメートもあるわけですけれども、変異株であるのが分からないものがもし入っていると、これがアンダーエスティメートされている可能性が、これは今私が初めて見たので、ぱっと見たときのあれですから、またそういうことで御了解いただいて。

 そういう意味では、これはよくはっきりと分かりませんけれども、真の値は、〇・九六と一・四の、つまり、ここのあれは分からないものが入っていて、分母は小さくなりますから。ここはだから、元々このスタディーはそういうデザインで、パーフェクトではないので、いろいろな難点があることを指摘するのはごまんとあるんですね。そういう限界の中でやっているデータで、〇・九六というのが、もしかすると、これのデータのあれもちょっと後で先生に教えていただきたいですけれども、もしかすると、ここの大きな白いところに変異株であるか分からないものが入っていると、分子としては最終的には小さく出てくるということが当然あり得るので、ここにもバイアスがあるんです、実は、そういう厳密な意味でいうと。

 そういう意味では、一つの仮説としては、〇・九六は少ない。一・四は、今先生の言っている一・四ですよね、こっちの方が、一・四倍というのがややオーバーエスティメートで、本当の神のみぞ知っているのは、そのどっちかの中間であるという可能性は私はあると思います。

青山(雅)委員 ありがとうございます。それが公正な評価だと思います。この論文が、今先生言われたように、そもそもそのためのデザインじゃないので、これではちょっと評価できないと。

 我々、やはり現実を向いてやらなきゃいけないものですから、やはり先生が前から言っているように大阪のデータが大事だと思うんですね。大阪のやつが、最新のやつが出ていたものですから、資料10でおつけしました。ちょっとちっちゃくて大変恐縮なんですけれども。一番新しいところとして、四月十五から四月三十のところの数字が、確定したものが出てきました。これを拡大して表にしてみました。

 それを比べると、やはり前に言ったように、第三波、三・二%の重症化率が三で、〇・二%低くなっているんですね。四十から五十九だけ、その世代だけ一・一%の上昇ではあるんですけれども、全体として一・九が三になったというにすぎない。

 ということを見ると、やはりこれは、変異株が必ずしも日本においては重症化を引き起こしているというふうには言えるのかというのが大変疑問にあるわけです。

 前にお示ししたとおり、資料11を御覧いただくと、日本全体どこも変異株は増えてきている、先ほど宮本委員がお示しになったとおり、東京都でも英国株は増えているわけですね。しかしながら、重症者割合は減っている。

 これはやはり、私は、今度の、少なくとも日本においては、重症者数が増えた、この理由は、当然ながら陽性者数が増えたからですね。だから、当然ながら重症者数も割合的に増えるという影響の方が大きいんじゃないかと。特に大阪においては、先ほど尾身先生がおっしゃったように、残念ながら介護施設でのクラスターが大量に発生してしまったんですね。これが、死亡者数それから重症者数を大変多く生んでしまった原因じゃないかと思っているわけです。

 私は尾身先生にお伺いしたいのは、そもそも、中国での武漢でもS型がK型、G型になった、東京都もE484Kという、これは国内の変異ですね、こういったものが変異している。資料12におつけしましたけれども、これは何かというと、上の方の赤いのは、同じ英国型の中でも、この丸の数だけ変異があるわけですよ、実は。そもそもRNAウイルスというのは変異の塊みたいなものなんですね。

 そうすると、私は、現実を見据えて、マスコミはすぐにあおる方向に行きます、しかしながら、一般の科学としてはより慎重な分析をすべきだと思いますし、そういった慎重な評価をアドバイザリーボードもきちんとしていただきたいと思うんですけれども、恐怖をあおる方向じゃなくて、そうでない方向も是非言っていただきたいと思うんですけれども、尾身先生、最後に御意見をお伺いしたいと思います。

とかしき委員長 尾身独立行政法人地域医療機能推進機構理事長、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

尾身参考人 先日申し上げましたように、ウイルス自体の重症化をさせるものというものと、医療の提供体制という現場の中で重症化が出るというのは、ちょっとこれは別ですよね。医療の現場で起こるのは、治療がよくなったり、医療の体制がしっかりしてくるということで、あとは重症化。そういうことで割合が変わって、そのことは十分我々は注意して、この二つは別なんだと。

 先生が多分一番御関心なのは、そちらの方は当然ですよね、治療がしっかりしたり、あるいは医療体制がしっかりすれば上下する。だけれども、先生の御関心は、恐らく、ウイルス自体の、これが重症化、あるいは感染率、感染させるかどうか、重症化ということですよね、同じ条件の中で。

 それについては、今のところ、外国ではそういうようなところがあって、日本では、今先生のおっしゃったように、我々のスタディーとか、感染研でやっているスタディー、大阪でやっているスタディー、これは限界が当然ありますね。そういう中ですけれども、重症化が、しかもこれは全年齢ということではなくて、我々が一番興味があるのは、比較的若い人たちはほとんど重症化していなかったのにどうなのかということに今焦点を当てて、だから、全年代ということではないので、そういう意味では、若い年齢層、四十代、五十歳も重症化しているんじゃないかというのが今までの判断ですけれども。

 これについては、そうじゃないという、先生おっしゃるように、これについては科学的なしっかりしたエビデンスを、予見を持っていいかげんなことを国民に言わないのは、それはもう大賛成です。

 ただ一方で、限界があるんだけれども、今集められるデータで今のところどう判断されるかというものを、私、全くサイエンティフィックに一〇〇%確信がないと、一〇〇%正しいスタディーじゃないと出さないということになると、いつになっても出さない、出せなくなるということが、今のデータのリミテーションがありますから。

 そういう中では、限界がある中で、これは、しかも外国のデータあるいは臨床家の先生たちによると、比較的若い、四十代、五十代の人がどうも重症化しやすいという傾向があるので、そういうことを我々は一般の市民に政府を通して知らせることが、そうじゃないというエビデンスが今のところないので、ただ、今先生の、さっきの言うようなことで多少バイアスがかかっているということは間違いないので、それを補正されるとどうなるか。

 そういうことで、新たなデータが出てきたら、また我々は真摯にそれを公表するのが我々の仕事だと思っていますので、そういうことで、これからもしっかりとスタディーを続けていく、検討を続けていくということだと思います。

青山(雅)委員 ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。

 今日も、金曜の夕方、お疲れさまでございます。最後、あと二十五分、よろしくお願いいたします。

 今日は、財務省の伊藤副大臣と、あと農水省の葉梨副大臣、お忙しい中をお越しいただき、ありがとうございます。

 まず、ちょっと葉梨副大臣に一問だけ聞いて、もう、終わったらお帰りいただいて結構でございますが、ちょっと厚労委員会と余り関係ないことで恐縮なんですけれども、どうしても聞きたいことがありまして、お越しいただきました。

 私は、ずっと、ライフワークと言ってもいい取組で、動物福祉を一生懸命やっています。二年前の動物愛護法改正はかなり中心的に携わって。あれは議員立法なんですね。もう閣法のように細かいんですけれども、個々経緯があって議員立法でやりまして、七年ぶりの大改正だったんですけれども。

 本当に、日本は世界的に非常に遅れています、この動物福祉の分野が。あの改正で何とか、少しでも近づけたかなとは思っていますが、まだまだ不十分なんですけれども。

 その関係で、実は、今日お聞きするベジタリアン、ビーガン、これにも関心を持つようになりまして、今、議員連盟に入っております。おととい、このベジタリアン・ヴィーガン議員連盟がありまして、河村先生が会長で松原仁さんが事務局長という布陣なんですけれども、ここで、JAS、日本農林規格をこのベジタリアン・ヴィーガンで決めようと。

 このこと自体は私も賛同するものなんですけれども、ただ、このJASの選定プロセスにおいて、まず、プロジェクトチームというのを業界団体とか有識者とかいろんな方に入ってもらってつくって、そこで案を作った後に、最終的には農水省としてしっかり決めていくということになるんですが、この基準がちょっと厳し過ぎた場合に、このベジタリアンとかビーガンとか、まあ世界に比べるとまだまだなんですけれども、大分日本でも頑張って、民間の皆さん、団体なんかも頑張って、もう既にビーガンマークとかベジタリアンのマークとかがかなり普及してきているんですよね。

 ところが、このJASの基準を満たさないと、ベジタリアンとかビーガンと表示してはいけないみたいな、そんなことになってしまったら、これはもうその取組が萎縮しますし、市場も、せっかく広めようとしているのに、かえってその市場が小さくなってしまう。これでは意味がないし。

 欧米なんかを見るとマークは複数存在しているそうですから、私は是非、このJASを決めるのはいいんですけれども、そういった特定の、もう既にある団体のマークとか、あるいはベジタリアン、ビーガンの表示を排除することになるんじゃないかという懸念の声がありますので、是非、そういうことにはならないということを副大臣からしっかり御答弁いただきたいと思いますが。お願いします。

葉梨副大臣 委員も参加されております議連の議論、まさにその議論に基づいて、日本ベジタリアン協会の方でJAS策定に向けた検討を開始したというふうに聞いております。

 御案内のように、JAS法の六十三条、これは今、現在は有機JASだけなんですけれども、政令で指定をしますと、JASにおいて定められた名称の表示、これが、JASを取った者が使用できるという規定は確かにあるんですが、これは今、有機JASだけでございます。

 現在検討されていますベジタリアン、ビーガンについては、この政令で指定されるというわけではございませんので、仮にJASができても、委員御懸念のような、既に普及しているマークや表示、これが排除されるということはないというふうに考えています。

高井委員 ありがとうございます。

 農水省もこれは非常に積極的に応援してくれていて、今後ろにいる西川室長なども大変積極的にやっていただいていますけれども、人事異動でいついなくなっちゃうか分かりませんので、一年ぐらいかけてこれを作るということですので、是非、今の大臣の答弁をしっかり農水省の中でも共有していただいて、こういった懸念がないように是非お願いしたいと思います。

 それでは副大臣、どうぞ。ありがとうございました。

 それでは、今日も、済みません、法案の中身に入る前に、総合支援資金と、あと、今話題になっております生活者困窮支援資金ですかね、先ほど山井委員からも質問がありました、これはまだ決まっていないんだということは承知しています。恐らく今日、総理がこの後会見で発表するのかなと推測しますけれども。

 だから、制度の中身の具体的なことは聞きませんけれども、今日は局長にも、橋本局長に来ていただきましたので是非ちょっと教えていただきたいのは、私ずっと、この間、この総合支援資金で、まず不承認になった人、これが多分二・五万人ぐらいいると思うんですけれども、この方々を何とか救ってくださいと申し上げてきました。それに対して公明党さんからいい提案もあって、大臣、私は初めて検討しますと言っていただいたので、これは物すごくうれしかったですし、多くの私のツイッターとかユーチューブを見てくれている方々も非常に期待をしたわけです。それがこれなのかなと思うと、うれしさ反面、ちょっと期待を裏切られたという面もあるんですけれども。

 とにかく、まず、この不承認の方はせめて、やはりこの対象にしていただきたいですし、あとは、それ以外にも、報道によれば二十万人ぐらいが対象ということになれば、私はやはり、そこの方の部分、再貸付けでもう二百万まで借り切ってしまっているような方も、この方々を救っていくということをずっと訴えてきましたけれども、そういった方々が対象になるというか、そういう方々を何とか救おうというためにこの制度を準備しているんだという辺りを是非局長から御答弁いただけたらと思うんですけれども、いかがですか。

橋本政府参考人 新型コロナウイルス感染症の影響によって生活に困窮されている方々に対しましては、これまで、緊急小口資金あるいは総合支援資金といった特例貸付けですとか、あるいは住居確保給付金など、そういった様々な重層的なセーフティーネットによって支援を行ってきたところでございますので、まずはそういったものを着実に届けていくことが重要でございますが、一方で、新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中で、緊急小口資金等の特例貸付けをこれまで利用されてきた方の中には、貸付限度額に達している方、あるいは、今委員御指摘になりましたように、再貸付けの申請をされたけれども不承認になったような方など、そういった方々が生じてきているわけでございます。

 そういった方々に対してどのような支援を行っていくべきなのか、現時点で具体的な内容については、申し訳ございませんけれども申し上げられませんが、検討を急いでいるということでございます。

高井委員 今の答弁で、いずれ明らかになることですけれども、私は、私が救ってくださいと言った方々の多くの方が対象になるというふうに理解をいたしました。

 ただ、それでも私のツイッター上では、やはり失望の声が結構、検討すると大臣に言っていただいて、総合支援資金の三か月貸付けが延長になる、もう一回三か月もらえるんじゃないかということを期待した方がかなり多いと思うんですね。

 それで、私は、これは報道で五百億となっています、それは分かりませんけれども、しかし、その規模ではやはりどうしても救えない。財務副大臣に来ていただいていますけれども。

 じゃ、ちょっと提案ですけれども、まずは、不承認になってしまうような、つまり、返済能力がない、もうこれ以上貸しても返済できないという方が残念ながら不承認になってしまっている。この現実はこの給付でカバーしてあげるというのは、一ついいと思います。

 ただ、まだ返済できる可能性が、余力がある、しかし、今コロナ禍だから仕事がなくて本当に困っている。あと三か月、あと三か月、いつまで貸すんだとおっしゃるかもしれないけれども、緊急事態宣言がここまで延びているわけですから。

 前回は、二月十九日に再貸付けというのを大臣の英断でやっていただいた。あれも緊急事態宣言の真っただ中で、まさに緊急事態宣言だからということでやっていただいた。そこで緊急事態宣言が終わっていればよかったわけですけれども、ここまで、しかも六月二十日になるんですかね、今日で。本当に、更に二か月も緊急事態宣言が長引くならば、やはり私は、これはもう一回三か月貸してあげても全く問題はない、おかしなことはないと思います。

 そこは、だから、返せるかどうかということは御心配だと思いますので、やはりまず返せる能力のある方というのは、今までどおり同じように審査していただければいいと思います。貸付けしたら返せないだろうという方については給付をしてあげる。そういう二本立てでいかがですかね。

 その代わり、貸付けの分の三か月掛ける二十万、六十万は、そこまでは給付できない。給付額は例えばその半分になってしまうかもしれないけれども、しかし、そこを、まず、もうこれ以上貸しても返せない人については給付で、額は小さくなるけれどもやる、そして、貸付けして返せる見込みのある人には貸してあげるということが、私は、これが一番いい。新しくこれからされる困窮者支援の給付金と、そしてこの総合貸付けを、本当に貸付けでいいから、返すから、必ず返すから貸してくれと言っている人が相当数いる中で、是非ここをセットで考えていただきたい。

 私は、悪質な、もう貸さなくてもいい人は、ここは厳格に審査すればいいと思いますし、何なら、そういう人にはもう何か罰則とかを厳しく設けて本当に取り締まったらいいと思うんですけれども、そういう人はごく僅かいたとしても、やはり多くの方は、本当にこの貸付けで何とか生き長らえて明日への希望を見出そうとしている方なので、是非大臣、ちょっと通告していませんけれども、そういう組合せでいかがですか。じゃ、局長でもいいですけれども。

橋本政府参考人 これまで累次委員の方から御指摘いただきましたような、貸付限度額を更に引き上げるというふうな御提案につきましては承知いたしておりますが、これまで御答弁申し上げましたように、今既に六十万円の総合支援資金三回分、これを仮に返済するということになりますと、十年間の月賦払いでありましても月々の返済が最大で一万五千円というふうなことにも及ぶわけでございまして、これに緊急小口資金分も加わるということになりますと、もっと大きな額ということになります。

 そういった、様々、その償還時の負担というふうなことも併せて考えながら、今後の在り方ということを考える必要があるだろうというふうに考えております。

高井委員 その理屈はもう聞いていますけれども、それはやはり平時の発想、おとといも言いましたけれども。やはり、このコロナ時においてもう少し柔軟にそこを考えていただいて、繰り返し申し上げますけれども、返せる見込みがもうないな、そこが分かったらそれは給付にする、そして、まだ貸しても大丈夫だという方には貸してあげる。

 そこを厳格に審査すると、確かに時間がかかっちゃうんですよ。だからこそ、私は、まずは貸してあげて、そして返せなくなったときにはそれは給付に切り替えるとか、あるいは返済免除という形にする、そういう二段構えがいいと思いますので、この提案は今日初めて私、しますので、新たな給付金、困窮者支援給付金、これで全部解決すればいいんですけれども、この後、総理が発表して、多分、多くの人は失望して、これじゃ足りないとなります、絶対なります。

 ですから、是非その第二弾として、それプラス総合支援資金の貸付けをうまく組み合わせていくということを今日初めて大臣に申し上げましたので、是非大臣と局長でちょっとそこをもう一度考えていただかないと、これは本当にせっかくやっても解決になっていないというか、本当に私の下には失望の声の方が多いので、是非そこは考えていただきたいし、今日は、財務副大臣、来ていただいていますので、これは本当に、さっき山井さんは二・七兆円、私も、それ、やってほしいですよ。困窮低所得者世帯、二千七百万世帯に十万円給付すれば二・七兆円です。でも、それに比べればこれは五百億とか一千億とかいうレベルの話ですし。

 あと、今その再貸付けであと三か月貸してほしいと言っている人は、前回二月十九日に借りた人なんですね。この金額は約八百億から九百億ですよね、多分。四月の十四日時点で七百五十億で、もうちょっと増えているのかなと思いますけれども、多くたってそんな、八百とか九百億ですよ。

 ですから、そこが、しかも、これは貸付けですから。大臣、ちょっと通告しているんで聞きますけれども、貸付けですから、これ。給付と貸付けだったら、貸付けの方が財務省的には財源の観点から絶対いいと思いますけれども、財務大臣、いかがですか。

伊藤副大臣 先ほどまでの議論を聞いておりまして、給付と貸付け、どちらが好ましいのかといった趣旨の質問だということで御答弁いたしますが、まずは、財政上の措置でありますので、国民の負担で実施をしているものであるということを踏まえた上で、生活にお困りの方が置かれた状況、そのニーズを捉え、どのような施策が効果的であるのか、相談支援や就労支援を含め、他の支援策とどのようにきめ細かく組み合わせていくのか。

 また、貸付けの場合には、これも再三先ほどから議論をお聞きしておりましたけれども、返済時の状況により償還免除の対象とする場合もありますけれども、ほかの制度との公平性にも配慮をし、どのような条件で具体的に実施をしていくのかなど、様々な観点から検討する必要があると思います。

 その上で、政府におきましては、これも繰り返しになりますが、給付による支援として、低所得の子育て世帯に対する給付金、住居確保給付金、貸付けによる支援策として、緊急小口資金、総合支援資金の特例貸付け、また、求職者支援制度等の職業訓練の抜本的な拡充などの施策も講じてきているところであります。

 今申し上げたように、給付や貸付け、どちらが好ましいかということよりも、様々な施策を効果的に組み合わせていくことで、今お困りの方をどう支援をしていくか、これが重要であると考えております。

高井委員 財務省的というか厚労省的な、政府全体としての答弁かもしれませんけれども、私は、明らかに財源の面からいけば貸付けの方がよくて、返してもらえるなら返してもらえばいいんですよ。だけれども、それがどうしても駄目になったときは、また給付なり返済免除を考えればいいので。

 是非、大臣もさっきから、総合支援資金はいい制度だと、本当にいい制度ですよ、本当に使い勝手のいい、こんないい制度ないので。だからこそ、こんなに私のユーチューブも五万四千再生とか、人気があるんですよ。地味ですけれども人気があるんですよ、これは本当に。余りマスコミも取り上げませんけれども。ですから、これは本当にいい制度なので、是非これを延長、継続をお願いしたいということをお願いします。

 それでは、伊藤副大臣、ちょっと通告にないことを聞きます。いろいろやり取りしてきた中の話で。大体そういうときのために政府の参考人がいるものなんですけれども、今日も宇波さんは来ておらずお一人ですので、しっかり答弁いただきたいと思いますが。

 五月二十一日の委員会で、私が財務省の主な任務は何かと聞いたら、伊藤副大臣は大変いい答えだったと思います、通告がなくていきなり聞いた割には。経済財政運営に資する取組だと思いますと、一言で簡潔に。私はこれは間違っていないと思います。

 その後に宇波次長にも同じことを聞いたんですよ。そうしたら、宇波次長はこう答えた。私、これは改めて見返してみてちょっとおかしいと思って聞くんですけれども、こう答えているんですね。副大臣から申し上げたことに尽きると思いますが、せんだって答弁申し上げましたように、例えば財務省の政策評価実施計画において、広く国の信用を守り、健全で活力ある経済及び安心で豊かな社会を実現すること、これを財務省の使命として記載しておりますので、事務方としては、これにのっとって一生懸命働きたいというふうに考えます。

 これはいい答えなんです。広く国の信用を守り、健全で活力ある経済及び安心で豊かな社会を実現する、まさにこの後私が言いたかった、財務省というのは本来こうあるべきだという答えなんですけれども、それの根拠が、財務省の政策評価実施計画において書いてあることを宇波次長は答えたんです。

 これはおかしいですよね。財務省の設置法に任務とかいろんなことが書いてあるのに、そこの中にはこういう言葉は書いてないわけですよ。それで、財務省の政策評価実施計画なるよく聞いたこともないものに書いてあることが、財務省で一番の任務は何だと思いますかと言ったら、主計局次長はこう答えたんですね。

 これは、やはり私が前から指摘しているとおり、設置法がおかしいんじゃないですか。設置法を変えるのか、それとも、財務省は本当は、設置法に書いている財政健全化、これが一番の任務だと考えていて、私がしつこくこういう質問をするから、宇波次長は、この政策評価実施計画なるものを持ってきて、こういういい答えをしたんじゃないかというふうに思われるんですけれども、宇波次長の答えをちょっと副大臣に聞くのは申し訳ありませんけれども、改めて、この財務省設置法を私は変えるべきだと思いますけれども、いかがですか。

伊藤副大臣 今先生がおっしゃっていただいたとおり、宇波次長は冒頭、私が申し上げたとおり、適切な経済財政の運営ということに尽きるとお断りした上で、先ほど繰り返していただいたような御答弁があったと思います。

 そういう意味では、財務省の設置法に基づいて、文字どおり予算と税制を主に駆使をしながら適切に経済財政を運営していく、これが財務省の使命だというふうに考えております。

高井委員 なかなかそつのない答弁ですね。財務官僚のようななかなかスマートな答弁でしたけれども。

 これは、でも、本当に私は、設置法を変えるというか、やはり財務省に、財政健全化というのが一番頭にある、財務官僚の中にはそのことばかりなんだろうなというふうにも思われます。

 それと、もう一つ聞きます。

 おとといの副大臣の答弁で、私がインフレ率二%になるまで国債を発行するということを法律で決めたらどうかという提案をしたんですね。そうしたら、副大臣はこう答えました。総理も四月二十三日、当委員会で答弁をされていると聞いておりますけれども、国債につきましては云々と。

 確かに、総理が四月二十三日に答弁をしているんですが、総理の答弁と、この間、伊藤副大臣が答弁したことに違いがあるんですよ。違いが何かというと、ほとんど一緒なんですけれども、国債を発行するというルールを設けることは現時点では考えておりませんということを伊藤副大臣は追加しています。総理は、現時点ではという言葉は入れていません。

 ここに違いがあるんですけれども、これは、伊藤副大臣が勝手に独断で答えたのか、それとも、ちゃんと財務省内で答弁をすり合わせて、事務方ともすり合わせてした答弁なのか、どちらですか。

伊藤副大臣 いずれにしても、先日答弁申し上げたとおり、なかなかこのインフレ率というものをコントロールをしたり予測をするということは、私の知り得る限りでは非常に難しいというふうに思っております。

 よって、私が現時点ではとあえてつけ加えたのは、これから将来、様々な研究者などが出てきて、もしかしたらそういったことを推測できる時代が来るのかもしれません。そういう意味で、現時点ではそういうことは考えておりませんと私は答弁いたしました。

高井委員 これはすごく重要な答弁だと思うんですね。私もうっかり聞き漏らしましたけれども、わざわざあえて、現時点ではというのをちゃんとつけ足したということは、やはり将来的にはそういう余地もあるというのが、まさに今副大臣がおっしゃったとおりでありますし、その将来がどのくらいの期間かということは分かりませんけれども、私は、財務省としても、やはり、完璧に否定するわけではなくて、そういった考え方も視野に入れていかなきゃいけないなと。前回私が取り上げたように、アメリカの経済学者なんかも、こぞって大きく変わってきているわけです。そういったことを是非加味していることだというふうに受け止めました。

 じゃ、副大臣、もう結構でございます、あと三分ぐらいしかないんですけれども。ありがとうございました。

 それでは、大臣にお聞きします。法案についてお伺いします。

 今日も参考人質疑でテレワークの話が出ました。私は、育休とテレワークというのは、これはなかなか関連性があると思っていますが、厚労省がテレワークの補助金というのはやっているんですけれども、これが結構額がちっちゃいんですよ。令和三年度では二十二億円です。しかも、経費の三〇%助成、上限額は百万円又は一名当たり二十万円とかね。去年、令和二年度も、本予算は四億円で、これは補正なのかな、三十億円つけています。経費の五〇%、上限百万円。いずれも、要望額、支給額、上回っているんですよ、予算額を。

 これは、もっと予算をいっぱいつけて、経費の五〇%とかじゃなくて、しかも、去年五〇%だったのに、今年度三〇%に減らしているんですよ。これでテレワークをどんどんやってくださいとか、あるいはテレワークをやっている企業を公表しますとか、そんなことよりも、やはり、まずこの予算を、こんなみみっちい予算じゃなくて、私は、もっと大々的に予算をつけるということをやることからまず始めるべきだと考えますが、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 人材確保等支援助成金(テレワークコース)というのを始めたということでありまして、これは令和三年度からでありますが、機器導入助成ということで、言うなれば、目標達成助成を二年度にわたって助成をするというような類いのものでございます。

 いずれにいたしましても、他の省でもいろんなものをやっていますので、なかなか、整理してみないと、それぞれの事業者は分かりづらいのかも分かりませんが、IT補助金でありますとかいろんなものをお使いをいただきながら、これはテレワーク等々を進めていっていただきたいと思います。

 もっとつければいいではないかということでございますが、テレワーク自体、進めるに当たって、やはり生産性を上げていただかなきゃなりませんので、そういう意味では、企業も要するにメリットがあるという中で、メリットがないものをやっていただいて、結果的には企業が、言うなれば生産性が上がらなくなっちゃったらこれは意味がないわけでありますから、そういう意味合いで我々としては助成をさせていただいておるものでございますから、テレワーク自体の意義というものもしっかりと企業に御理解をいただきながら、それぞれの助成を使っていただいて、いろんな形でお進めをいただければというふうに思っております。

高井委員 これは他省庁はやっていないんですよ。総務省も補助金はないですし、経産省もありますけれども、まあちょっと余り、大して使い勝手はよくないです。厚労省がやるしかないので、是非そこを、他省庁のも調べていただいて、厚労省でやってください。

 終わります。

とかしき委員長 次回は、来る六月二日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十分散会


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