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第1号 令和7年3月7日(金曜日)

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本国会召集日(令和七年一月二十四日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 藤丸  敏君

   理事 上野賢一郎君 理事 古賀  篤君

   理事 長坂 康正君 理事 井坂 信彦君

   理事 岡本 充功君 理事 早稲田ゆき君

   理事 梅村  聡君 理事 浅野  哲君

      安藤たかお君    草間  剛君

      後藤 茂之君    佐々木 紀君

      塩崎 彰久君    鈴木 隼人君

      田畑 裕明君    田村 憲久君

      根本  拓君    長谷川淳二君

      平口  洋君    深澤 陽一君

      福田かおる君    森下 千里君

      吉田 真次君    池田 真紀君

      大塚小百合君    大西 健介君

      酒井なつみ君    宗野  創君

      堤 かなめ君    中島 克仁君

      長妻  昭君    長谷川嘉一君

      宮川  伸君    山井 和則君

      柚木 道義君    阿部 圭史君

      池下  卓君    猪口 幸子君

      福田  徹君    森ようすけ君

      沼崎 満子君    浜地 雅一君

      八幡  愛君    田村 貴昭君

令和七年三月七日(金曜日)

    午後零時十分開議

 出席委員

   委員長 藤丸  敏君

   理事 上野賢一郎君 理事 古賀  篤君

   理事 長坂 康正君 理事 井坂 信彦君

   理事 岡本 充功君 理事 早稲田ゆき君

   理事 梅村  聡君 理事 浅野  哲君

      大空 幸星君    大西 洋平君

      川崎ひでと君    草間  剛君

      後藤 茂之君    塩崎 彰久君

      鈴木 隼人君    田野瀬太道君

      田畑 裕明君    田村 憲久君

      根本  拓君    長谷川淳二君

      平口  洋君    深澤 陽一君

      福田かおる君    吉田 真次君

      池田 真紀君    大塚小百合君

      大西 健介君    酒井なつみ君

      宗野  創君    堤 かなめ君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      長谷川嘉一君    宮川  伸君

      山井 和則君    柚木 道義君

      阿部 圭史君    池下  卓君

      猪口 幸子君    福田  徹君

      森ようすけ君    沼崎 満子君

      浜地 雅一君    八幡  愛君

      田村 貴昭君

    …………………………………

   厚生労働大臣       福岡 資麿君

   厚生労働副大臣      仁木 博文君

   厚生労働副大臣      鰐淵 洋子君

   厚生労働大臣政務官    吉田 真次君

   厚生労働委員会専門員   森  恭子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月七日

 辞任         補欠選任

  安藤たかお君     川崎ひでと君

  佐々木 紀君     田野瀬太道君

  根本  拓君     大空 幸星君

  森下 千里君     大西 洋平君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     根本  拓君

  大西 洋平君     森下 千里君

  川崎ひでと君     安藤たかお君

  田野瀬太道君     佐々木 紀君

    ―――――――――――――

一月二十四日

 就労支援給付制度の導入に関する法律案(階猛君外六名提出、第二百十五回国会衆法第二号)

 育児・介護二重負担者の支援に関する施策の推進に関する法律案(浅野哲君外一名提出、第二百十六回国会衆法第一九号)

 健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案(中島克仁君外八名提出、第二百十六回国会衆法第二三号)

二月十七日

 従来の健康保険証を残すことに関する請願(高井崇志君紹介)(第二号)

 同(山田勝彦君紹介)(第四六号)

 同(市來伴子君紹介)(第五五号)

 同(枝野幸男君紹介)(第五六号)

 同(杉村慎治君紹介)(第五七号)

 同(大島敦君紹介)(第六九号)

 同(志位和夫君紹介)(第七〇号)

 同(小沢一郎君紹介)(第八七号)

 同(三角創太君紹介)(第八八号)

 介護保険制度の抜本改善、介護従事者の処遇改善を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三八号)

 同(志位和夫君紹介)(第三九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四〇号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第四一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四二号)

 同(田村智子君紹介)(第四三号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第四四号)

 同(本村伸子君紹介)(第四五号)

 じん肺とアスベスト被害根絶等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四七号)

 同(志位和夫君紹介)(第四八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四九号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第五〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第五一号)

 同(田村智子君紹介)(第五二号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第五三号)

 同(本村伸子君紹介)(第五四号)

 従来の健康保険証を残すことを求め、マイナンバーカード取得の強制に反対することに関する請願(志位和夫君紹介)(第七七号)

同月二十八日

 従来の健康保険証を残すことに関する請願(小宮山泰子君紹介)(第一五〇号)

 同(梅谷守君紹介)(第一六四号)

 同(森田俊和君紹介)(第一六五号)

 同(竹内千春君紹介)(第二三三号)

 同(長谷川嘉一君紹介)(第二八八号)

 介護保険制度の抜本改善、介護従事者の処遇改善を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一六六号)

 同(安藤じゅん子君紹介)(第一六七号)

 同(小山千帆君紹介)(第一六八号)

 同(志位和夫君紹介)(第一六九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七〇号)

 同(たがや亮君紹介)(第一七一号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第一七二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一七三号)

 同(田村智子君紹介)(第一七四号)

 同(西川厚志君紹介)(第一七五号)

 同(藤原規眞君紹介)(第一七六号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第一七七号)

 同(本村伸子君紹介)(第一七八号)

 同(井坂信彦君紹介)(第一八二号)

 同(牧義夫君紹介)(第一八三号)

 大軍拡をやめ、暮らしと社会保障予算の大幅な拡充で公共を取り戻すことに関する請願

 (赤嶺政賢君紹介)(第二二五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二二六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二二七号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第二二八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二二九号)

 同(田村智子君紹介)(第二三〇号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第二三一号)

 同(本村伸子君紹介)(第二三二号)

 じん肺とアスベスト被害根絶等に関する請願(長妻昭君紹介)(第二三四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

藤丸委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 厚生労働関係の基本施策に関する事項

 社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する事項

 労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する事項

以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

藤丸委員長 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、厚生労働大臣から所信を聴取いたします。福岡厚生労働大臣。

福岡国務大臣 厚生労働大臣に就任してから約半年、国民の生活を生涯にわたって支える厚生労働行政の諸課題に全力で取り組んでまいりました。引き続き、国民の皆様の安全、安心の確保に万全を期することにより、社会経済活動の安定に資するよう、職務に邁進してまいります。

 賃上げと人手不足の緩和の好循環に向けて、一人一人の生産性や付加価値を向上させ、物価上昇を上回る賃金の引上げを実現していくことが重要です。

 持続的、構造的な賃上げを実現するため、引き続き、リスキリングによる能力向上支援、個々の企業の実態に応じたジョブ型人事の導入、成長分野への労働移動の円滑化という三位一体の労働市場改革を推進してまいります。求職者の状況に応じてきめ細かい就労支援を行います。

 最低賃金については、二〇二〇年代に全国平均千五百円という高い目標に向かって、たゆまぬ努力を続けます。また、政労使の意見交換における今後の中期的引上げ方針の議論に参画するとともに、全都道府県での地方版政労使会議の開催等により、最低賃金を含め、地方で賃金が上がっていく環境をつくり出していきます。中小企業等が賃上げしやすい環境整備に向け、引き続き、賃上げ支援助成金パッケージによる生産性向上等の支援や、関係省庁と連携した価格転嫁対策の徹底等に取り組んでまいります。

 令和六年度診療報酬改定において講じた医療、介護、障害福祉分野の職員の処遇を改善するための措置が最大限活用されるよう、書類の簡素化や幅広い周知に引き続き取り組むとともに、処遇改善加算の更なる取得促進に向けた要件の弾力化などに取り組んでまいります。加えて、足下の人材確保の課題に対応する観点から、先般の補正予算に盛り込んだ更なる賃上げに向けた支援が現場で働く方々に行き届くよう取り組んでまいります。

 また、介護分野については、ICT等を活用した生産性向上の取組を強力に推進し、サービスの質の向上や職場環境改善を図るとともに、訪問介護の提供体制の確保や、介護人材の確保、育成及び定着に向けた取組を支援してまいります。

 また、物価高騰などによる医療機関等の厳しい状況を踏まえ、報酬改定や補正予算の効果も含め、実態をよく把握し、適切に対応してまいります。

 昨年十二月の社会保障審議会年金部会等の取りまとめに基づき、年金制度をより働き方に中立的なものとし、年金の所得保障機能や再分配機能の強化を図るための関係法案を今国会に提出すべく、調整を進めます。具体的には、被用者保険の適用拡大、在職老齢年金制度の見直し、基礎年金水準の確保等の公的年金制度の見直しや、個人型確定拠出年金の加入可能年齢の上限の引上げ等、私的年金制度の見直しにも取り組んでまいります。

 そして、いわゆる年収の壁を意識せずに働くことができる環境づくりを後押しするため、年収の壁・支援強化パッケージによる支援に引き続き取り組んでまいります。また、年収百三十万円の壁への対応として、キャリアアップ助成金を拡充し、労働時間の延長や賃上げを通じて労働者の収入を増加させる事業主を支援する措置を令和七年度中に実施すべく、検討を進めます。

 本格的な少子高齢化、人口減少が進む中で、負担能力に応じて皆が支え合う全世代型社会保障を構築していくことが重要です。高額療養費制度については、高齢化や高額薬剤の普及等により、その総額が医療費全体の倍のペースで伸びている状況において、制度の持続可能性を確保するとともに、現役世代を中心に保険料負担の軽減を図る必要があります。令和五年末に閣議決定された改革工程に掲げられた他の項目も含め、必要な保障が欠けることのないよう留意しつつ、セーフティーネット機能を次の世代にも維持しながら、将来世代も含めた全世代の安心を保障する観点から検討を進めてまいります。

 将来にわたって地域での良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を確保するため、新たな地域医療構想の推進、医師偏在是正に向けた総合的な対策、医療DXの推進等に関する法案を今国会に提出いたしました。

 新たな地域医療構想については、二〇四〇年頃を見据え、医療、介護の複合ニーズを抱える高齢者の増大や人口減少などに対応できるよう、入院の病床の在り方に限らず、外来や在宅医療、介護との連携までをカバーし、人材確保等の状況も踏まえた医療機関の役割分担や連携を更に推進します。

 医師偏在対策については、昨年末に策定した総合的な対策パッケージに基づき、地域の実情に応じた実効性のある取組を推進します。

 また、周産期、救急、災害医療体制の充実など、地域の実情に応じた医療提供体制の確保に努めてまいります。

 さらに、電子カルテ情報の医療機関での共有や医療等情報の二次利用の推進、医療DXの運営の母体としての社会保険診療報酬支払基金の改組などについて取組を進めるとともに、国民の皆様が安心してオンライン診療を受けられるよう、その適切な実施と推進のための方策について検討を進めてまいります。

 マイナ保険証は、医療DXの基盤として、国民の皆様が健康医療情報に基づいたよりよい医療を受けることを可能にするものです。このため、引き続き、マイナ保険証の利用促進に向けた周知を行うことに加え、マイナ保険証のスマートフォンでの利用について、本年春以降、順次対応を進めてまいります。あわせて、マイナ保険証をお持ちでない方に対して申請によらず保険者から資格確認書を交付するなど、全ての方が安心して保険診療を受けられる環境を維持してまいります。

 医薬品の供給不足等に対応し、品質の確保された医薬品等を国民の方々に迅速かつ確実に提供するため、医薬品等の品質及び安全性確保、医療用医薬品等の安定供給体制の強化等、より活発な創薬が行われる環境を整備し、国民の方々へ医薬品を適正に提供するための薬局機能の強化等に関する法案を今国会に提出いたしました。

 医薬品産業を成長基幹産業と位置づけ、日本を創薬の地とするため、優れた創薬シーズを基にしたスタートアップの創出を促進すべく民間投資を呼び込む体制を強化するほか、創薬クラスターの整備やその支援のための新たな基金を造成する等、官民連携の下、企業、大学等が安定的、継続的に創薬に取り組み、実用化につなげることができる環境整備を進めます。加えて、国際水準の臨床試験体制整備について検討を進めるとともに、ドラッグロスの解消に向けて、未承認薬のうち我が国に必要性の高い医薬品を優先して対応し、企業における開発が進むように戦略的に対応するための取組を進めてまいります。

 また、後発医薬品の安定供給については、少量多品目生産という非効率な生産体制の解消に向け、計画的に生産性向上に取り組む企業を支援するため、新たな基金を造成します。企業間の連携、協力、再編を強力に後押しするために企業の取組を認定する枠組みを設けます。

 さらに、薬害の再発防止や、大麻や危険ドラッグなどの薬物乱用防止対策にも取り組んでまいります。

 多様性の尊重は、社会の持続的な発展の基盤であり、女性や高齢者を含む国民お一人お一人がその能力を十分に発揮し活躍することが、我が国の活力維持向上には不可欠です。働く方々の個々のニーズに応じて、多様で柔軟な働き方を選択することができる社会の実現を目指します。

 職場における女性活躍を推進するため、男女間の賃金差異に関する情報公表の義務を従業員百一人以上の企業に拡大して賃金差異の是正を促進するほか、いわゆるカスタマーハラスメントや就職活動中の学生の方々に対するセクシュアルハラスメントといった、職場におけるハラスメント対策を強化する関係法案を今国会に提出すべく、調整を進めます。

 非正規雇用労働者の方々の正社員への転換や、同一労働同一賃金の更なる遵守徹底などによる処遇改善に取り組みます。新卒者等に対しては、大学等と連携しながらきめ細かな就職支援を行うとともに、いわゆる就職氷河期世代を含む中高年層の方々に対し、就労や社会参加を支援してまいります。

 また、多様な人材が安心して働き続けられる環境を整備するため、七十歳までの就業機会の確保に取り組むとともに、外国人労働者に対する就職支援の強化、働きやすい環境整備等に取り組んでまいります。育成就労制度の円滑な施行に向け、出入国在留管理庁等と連携してまいります。

 さらに、個人事業者や高年齢労働者の安全衛生対策の推進、ストレスチェック制度の実施義務の対象事業場拡大によるメンタルヘルス対策の強化等に関する法案を今国会に提出すべく、調整を進めます。

 このほか、過労死等の防止に取り組むとともに、働く人の意識や働き方の多様性を踏まえつつ、今後の労働基準関係法制の見直し等に向け、検討を進めてまいります。

 本年四月に拡充される育児休業給付制度の着実な実施等により共働き、共育てを推進するとともに、仕事と育児、介護の両立支援や、安心して副業、兼業に取り組むことができる環境整備、テレワークの普及、フリーランスの方々が安心して働くことができる環境の整備を更に進めてまいります。

 本年は戦後八十年の節目の年です。改めて弔慰の意を表すため、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金の継続支給に関する法案を今国会に提出いたしました。加えて、戦没者遺児による洋上慰霊の実施、次世代への戦争に関する記憶の継承を行う平和の語り部事業の拡充等に取り組みます。また、国の責務として、可能な限り多くの戦没者の御遺骨を収容し、御遺族に早期にお渡しできるよう、集中的な取組に全力を挙げてまいります。さらに、中国残留邦人等に対する支援策もきめ細かく実施してまいります。

 新型コロナウイルス感染症については、引き続き確実な医療提供に取り組むとともに、罹患後症状、いわゆる後遺症に悩む方々が適切な医療を受けられる環境づくりを進めてまいります。ワクチンについては、有効性や安全性に関する科学的知見に基づき、引き続き必要な対応を講じてまいります。

 また、帯状疱疹ワクチンについては本年四月から定期接種に位置づけるとともに、HPVワクチンについては、キャッチアップ接種期間中に接種を希望した全ての対象者に接種機会を提供できるよう、期間内に一回以上接種した方を対象として、一年間の経過措置を設けます。

 さらに、本年四月の国立健康危機管理研究機構、JIHSの創設を始めとして、新型インフルエンザ等対策政府行動計画を踏まえた、次なる感染症危機への備えを着実に進めてまいります。

 UHCナレッジハブを我が国に本年設置できるよう調整するとともに、厚生労働省国際保健ビジョンを踏まえ、国際保健に関連する国内外の課題の解決に取り組んでまいります。

 国民の健康寿命の延伸を図るため、第三次の健康日本21等を推進し、予防、重症化予防、健康づくりに取り組んでまいります。また、事業主健診、産業保健体制の充実を図るとともに、昨年十月に国立研究開発法人国立成育医療研究センターに設置された女性の健康総合センターの取組を含め、女性の健康支援を推進してまいります。

 また、がん対策や循環器病対策に関する基本計画に基づいて総合的な対策を進めるとともに、花粉症を含むアレルギー疾患対策や受動喫煙対策も引き続き推進してまいります。

 ハンセン病元患者家族の方々への補償制度を引き続き着実に実施するとともに、ハンセン病に対する偏見、差別の解消にも全力で取り組みます。B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに感染された方々に対する給付金等も確実に支給してまいります。

 臓器移植については、臓器提供者数の増加に対応していくため、臓器移植体制の見直しなどの取組を進めてまいります。

 原子爆弾被爆者援護対策につきましては、被爆の実相を後世に伝えるための取組を進めるとともに、被爆者の方々に寄り添いながら、保健、医療及び福祉にわたる総合的な支援を行ってまいります。

 機能性表示食品を含むいわゆる健康食品による健康被害事案への対応等、食の安全の確保に取り組んでまいります。

 地域共生社会の実現に向け、包括的な支援体制の整備や、成年後見制度の利用促進、身寄りのない高齢者等が抱える生活上の課題への対応などに取り組むとともに、生活保護の生活扶助基準については社会経済情勢等を踏まえた対応を行います。

 障害者や難病の患者の方々が、地域や職場において、本人の希望に応じて、その方らしく暮らし、働くことができるよう、昨年施行された障害者総合支援法等改正法の取組を着実に進めます。また、障害者の方々の雇用機会の拡大と、その能力を発揮していただくための雇用の質の向上を図ります。

 第四次自殺総合対策大綱の下で、どなたも自殺に追い込まれることのない社会の実現に向け、関係省庁と連携し、SNSを活用した相談体制の拡充など、自殺対策を強化します。

 さらに、昨年末閣議決定された認知症施策推進基本計画にのっとって、認知症になっても希望を持って暮らし続けることができるという新しい認知症観に立ち、認知症施策に関する取組を推進し、共生社会の実現を目指します。

 昨年一月の能登半島地震やその後の大雨など、近年、累次の甚大な災害が全国各地で発生しています。改めて、お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。被災された皆様が一日も早く安全、安心な生活を取り戻すことができるよう、雇用対策や必要な医療・福祉サービスの提供、被災者の見守り及び心のケア等に引き続き全力で取り組んでまいります。また、自然災害から国民生活を守ることができるよう、保健、医療、福祉の連携強化を含む体制や支援の整備に取り組みます。

 厚生労働行政は幅広く、様々な課題がございますが、一つ一つ思いを込めて取り組んでまいりますので、委員長、理事を始め委員の皆様、国民の皆様に一層の御理解と御協力を賜りますようお願いを申し上げます。

藤丸委員長 次に、令和七年度厚生労働省関係予算の概要について説明を聴取いたします。鰐淵厚生労働副大臣。

鰐淵副大臣 厚生労働副大臣の鰐淵でございます。

 仁木副大臣、安藤、吉田両政務官とともに福岡大臣を支え、藤丸委員長を始め委員の皆様方の御指導、御鞭撻を賜りながら、厚生労働行政の推進に邁進してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 令和七年度厚生労働省関係予算案の概要について御説明いたします。

 厚生労働省所管一般会計予算案の総額は三十四兆二千九百四億円であり、令和七年度から国土交通省などに移管される経費を除いた令和六年度当初予算額三十三兆八千百八十九億円と比較しますと、四千七百十五億円、一・四%の増加となっています。また、厚生労働省所管特別会計予算案については、年金特別会計、労働保険特別会計、子ども・子育て支援特別会計及び東日本大震災復興特別会計にそれぞれ所要額を計上しています。

 以下、令和七年度予算案の重点事項について御説明いたします。

 第一に、全世代型社会保障の実現に向けた保健、医療、介護の構築について、ドラッグラグ、ドラッグロスの解消に向けて、有望シーズの実用化促進、研究開発環境の整備による創薬力の抜本的強化を図るとともに、医薬品などの安定的な供給の実現に取り組みます。また、医療、介護におけるDXを推進するほか、地域医療構想、医師偏在対策、かかりつけ医機能などの推進、地域包括ケアシステムの推進、周産期、救急、災害医療体制の充実などの地域医療、介護の基盤強化に向けた施策の推進や、次なる感染症危機に備えた体制強化などに取り組みます。さらに、生涯活躍社会の実現に向けた予防、重症化予防の推進、女性の健康づくりや認知症施策の推進などに取り組みます。

 第二に、持続的、構造的な賃上げに向けた三位一体の労働市場改革の推進と多様な人材の活躍促進について、最低賃金や賃金の引上げに向けた中小企業の生産性向上の支援、非正規雇用労働者への支援などに取り組むとともに、リスキリングによる能力向上への支援、成長分野への労働移動の円滑化の推進などに取り組みます。また、人手不足分野における人材確保を推進するとともに、障害者や高齢者等の多様な人材の活躍促進、仕事と育児、介護の両立支援、多様な働き方の実現に向けた環境整備、ハラスメント防止対策や女性の活躍促進などに取り組みます。

 第三に、一人一人が生きがいや役割を持つ包摂的な社会の実現について、地域共生社会の実現に向けて、対象者の属性を問わず包括的に相談を受け止める重層的支援体制の整備、生活困窮者自立支援、障害者支援、困難な問題を抱える女性への切れ目のない支援や自殺対策などを推進します。また、戦後八十年という節目を迎える中、戦没者の慰霊、戦没者遺族の援護の推進、持続可能で安心できる年金制度の運営などに取り組みます。

 次に、衆議院予算委員会における予算案に対する修正の概略について御説明いたします。

 厚生労働省所管一般会計予算案において、高額療養費制度の見直しについて、多数回該当の方の自己負担額の見直しをせず据え置くこととすることにより、五十五億円が増額されています。また、厚生労働省所管特別会計予算案については、労働保険特別会計雇用勘定において、社会保険に係る年収の壁による働き控えの解消に向け、賃上げや就業時間の延長等を通じて労働者の収入を増加させる事業主を支援する措置を実施することにより、所要の修正が行われています。

 今後の人口動態や経済社会の変化を見据えた保健、医療、介護の構築や包摂社会を実現するとともに、持続的、構造的な賃上げに向けた三位一体の労働市場改革の推進と多様な人材の活躍促進を通じて、国民一人一人が安心して生涯活躍できる社会の実現のため、厚生労働行政の推進に一層努力してまいりますので、皆様の一層の御理解と御協力をお願いいたします。

藤丸委員長 以上で大臣の所信表明及び令和七年度厚生労働省関係予算の概要についての説明は終わりました。

 次回は、来る十二日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十四分散会


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