第10号 令和7年4月16日(水曜日)
令和七年四月十六日(水曜日)午前九時二分開議
出席委員
委員長 藤丸 敏君
理事 上野賢一郎君 理事 古賀 篤君
理事 長坂 康正君 理事 井坂 信彦君
理事 岡本 充功君 理事 早稲田ゆき君
理事 梅村 聡君 理事 浅野 哲君
安藤たかお君 岩田 和親君
草間 剛君 後藤 茂之君
坂本竜太郎君 佐々木 紀君
塩崎 彰久君 鈴木 隼人君
田畑 裕明君 田村 憲久君
根本 拓君 長谷川淳二君
平口 洋君 深澤 陽一君
福田かおる君 牧島かれん君
森下 千里君 吉田 真次君
池田 真紀君 大塚小百合君
大西 健介君 落合 貴之君
酒井なつみ君 宗野 創君
堤 かなめ君 中島 克仁君
長妻 昭君 長谷川嘉一君
宮川 伸君 山井 和則君
柚木 道義君 阿部 圭史君
池下 卓君 猪口 幸子君
福田 徹君 森ようすけ君
沼崎 満子君 浜地 雅一君
八幡 愛君 田村 貴昭君
…………………………………
厚生労働大臣 福岡 資麿君
総務副大臣 冨樫 博之君
厚生労働副大臣 仁木 博文君
厚生労働副大臣 鰐淵 洋子君
厚生労働大臣政務官 安藤たかお君
厚生労働大臣政務官 吉田 真次君
防衛大臣政務官 金子 容三君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 市川 道夫君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 源河真規子君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 下仲 宏卓君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 小池 信之君
政府参考人
(総務省統計局統計調査部長) 永島 勝利君
政府参考人
(消防庁審議官) 鳥井 陽一君
政府参考人
(消防庁国民保護・防災部長) 小谷 敦君
政府参考人
(文部科学省大臣官房学習基盤審議官) 日向 信和君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文部科学戦略官) 松坂 浩史君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房総括審議官) 宮崎 敦文君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官) 佐々木昌弘君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官) 内山 博之君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 藤川 眞行君
政府参考人
(厚生労働省医政局長) 森光 敬子君
政府参考人
(厚生労働省健康・生活衛生局長) 大坪 寛子君
政府参考人
(厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長) 鷲見 学君
政府参考人
(厚生労働省医薬局長) 城 克文君
政府参考人
(厚生労働省労働基準局長) 岸本 武史君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 日原 知己君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 野村 知司君
政府参考人
(厚生労働省老健局長) 黒田 秀郎君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 鹿沼 均君
政府参考人
(厚生労働省年金局長) 間 隆一郎君
政府参考人
(厚生労働省政策統括官) 朝川 知昭君
政府参考人
(厚生労働省政策統括官) 森川 善樹君
政府参考人
(防衛省大臣官房政策立案総括審議官) 廣瀬 律子君
政府参考人
(防衛省大臣官房衛生監) 針田 哲君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 伊藤 哲也君
政府参考人
(防衛装備庁プロジェクト管理部長) 嶺 康晴君
厚生労働委員会専門員 森 恭子君
―――――――――――――
委員の異動
四月十六日
辞任 補欠選任
安藤たかお君 岩田 和親君
塩崎 彰久君 牧島かれん君
森下 千里君 坂本竜太郎君
長妻 昭君 落合 貴之君
同日
辞任 補欠選任
岩田 和親君 安藤たかお君
坂本竜太郎君 森下 千里君
牧島かれん君 塩崎 彰久君
落合 貴之君 長妻 昭君
―――――――――――――
四月十五日
自殺対策基本法の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出、参法第五号)(予)
同月十六日
自殺対策基本法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第五号)
同日
国立病院の機能強化に関する請願(早稲田ゆき君紹介)(第八七〇号)
同(道下大樹君紹介)(第九一六号)
安全・安心の医療・介護の実現のため人員増と処遇改善を求めることに関する請願(早稲田ゆき君紹介)(第八七一号)
同(石川香織君紹介)(第八八三号)
人権を保障する福祉職員の賃金と職員配置基準を引き上げることに関する請願(本庄知史君紹介)(第八七二号)
同(早稲田ゆき君紹介)(第八七三号)
同(稲富修二君紹介)(第八八五号)
同(神津たけし君紹介)(第八八六号)
同(渡辺創君紹介)(第八八七号)
同(篠原孝君紹介)(第九三〇号)
同(森田俊和君紹介)(第九六五号)
国民を腎疾患から守る総合対策の早期確立に関する請願(早稲田ゆき君紹介)(第八七四号)
同(石川香織君紹介)(第八八九号)
同(階猛君紹介)(第八九〇号)
同(渡辺創君紹介)(第八九一号)
同(棚橋泰文君紹介)(第九一四号)
同(平井卓也君紹介)(第九一五号)
同(阿部知子君紹介)(第九三二号)
同(今井雅人君紹介)(第九三三号)
同(篠原孝君紹介)(第九三四号)
同(平林晃君紹介)(第九五二号)
同(広瀬建君紹介)(第九六六号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第九八六号)
同(石田真敏君紹介)(第九八七号)
同(吉田宣弘君紹介)(第九九四号)
障害児者の暮らしの場の拡充・充実に関する請願(宮川伸君紹介)(第八七五号)
同(田村貴昭君紹介)(第九五三号)
最低賃金全国一律制度の法改正を求めることに関する請願(渡辺創君紹介)(第八八四号)
パーキンソン病治療研究支援及び医療費助成制度の改善に関する請願(階猛君紹介)(第八八八号)
同(佐藤勉君紹介)(第九三一号)
全ての看護職員の処遇改善に関する請願(渡辺創君紹介)(第八九二号)
従来の健康保険証を残すことに関する請願(志位和夫君紹介)(第九〇五号)
従来の健康保険証を残すことを求め、マイナンバーカード取得の強制に反対することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九〇六号)
同(志位和夫君紹介)(第九〇七号)
同(塩川鉄也君紹介)(第九〇八号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第九〇九号)
同(田村貴昭君紹介)(第九一〇号)
同(田村智子君紹介)(第九一一号)
同(堀川あきこ君紹介)(第九一二号)
同(本村伸子君紹介)(第九一三号)
誰もが安心できる年金制度への改善を求めることに関する請願(白石洋一君紹介)(第九九五号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
厚生労働関係の基本施策に関する件
高額療養費制度の適正な見直し手続に関する件
――――◇―――――
○藤丸委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
他に質疑の申出がありませんので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○藤丸委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、順次これを許します。井坂信彦君。
○井坂委員 私は、立憲民主党・無所属を代表して、政府提出の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に賛成の立場から討論を行います。
政府提出法案による医療品等の安定供給体制や品質、安全性の確保を強化するための改正内容は、医薬品不足が長期化する現状や製薬企業の不正事案の発覚等を踏まえれば、早急に措置を講ずるべき必要性があると考えます。
一方で、条件付承認制度の適用拡大は、希少、重篤な疾患の速やかな治療の観点からその必要性は認められるものの、効果の不確かな医薬品も有効性の検証が不十分なまま承認されて流通することが懸念されます。薬害被害者の方々の当事者団体から反対の声が上がっていることを重く受け止めなければなりません。
また、処方箋なしで医療用医薬品が購入可能ないわゆる零売薬局に対する規制が法制化されることによって、仮に過度な指導や規制がなされれば、医療用医薬品へのアクセスが阻害されたり、零売薬局の営業に支障を来すことも懸念されます。
こうした課題については、附帯決議等で一定程度適切な運用等が担保できたと考え、政府提出法案に賛成することとします。
政府提出法案とともに、私たちが国民民主党・無所属クラブと共同で提出した、通称医薬品不足を解消するための中間年改定廃止法案の審議を行いました。私たちの法案は、医薬品の安定供給、イノベーション創出の基盤を強固にし、国民に品質の高い医薬品を安定して供給できるようにすることを目的としており、政府提出法案と目的を同じくしています。本来であれば、中間年改定廃止法案についても、本日、政府提出法案と同時に採決をすると約束をしていたところであり、引き続き、今国会のなるべく早い時期での採決を求めてまいります。
医薬品不足やドラッグラグ、ドラッグロスは、国民の命と健康を守る観点から、看過できない状況となっています。立憲民主党は、安全で質の高い医薬品の創薬や安定供給に全力で取り組んでいく所存であることを申し述べ、討論を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
○藤丸委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
反対の理由は、本改正による薬事承認における要件緩和により、有効性、安全性が不確実な新薬が市場に流通し、患者にそのリスクを負わせることが懸念されるからです。
現行の条件付承認制度については、申請時に多人数の患者を対象とした検証的臨床試験の実施が困難という要件を付していますが、改正案ではこれを外し、検証的臨床試験の実施ができる場合であっても、希少で患者数が少ない疾患や重篤で代替治療法がない疾患であれば、やらなくても申請が可能となります。
これまで検証的臨床試験の成績の提出を必須としていたのは、少人数の患者を対象とする探索的臨床試験だけでは有効性と安全性が十分に評価できないからです。一度医薬品が市場に出れば、臨床試験を組むことは困難になります。
また、本改正では、通常承認の申請時に必要とされた臨床試験の試験成績に関する資料その他の資料を条文上削除し、省令で定める資料に変更しており、薬事承認行政における重要な原則を変えることになります。ランダム化比較試験ではなく、リアルワールドデータのみの資料で申請、承認に道を開き得る本改正は認められません。
厚労省は、この見直しの狙いを、日本市場に新規参入する外国企業が日本市場へアクセスしやすいように、米国と同じ仕組みにすることでドラッグラグ、ドラッグロス解消に寄与するものとしていますが、米国の迅速承認制度の下で承認された多くの抗がん剤が有用性を示せなかったとする調査結果について検証もされていません。
こうした検証なしに、海外の製薬企業の日本市場参入のために行う本改正の規制緩和は、患者に安全性、有用性においてリスクを負わせるものであり、認められません。
ドラッグラグ、ドラッグロスの解決には、臨床試験を実施するための環境整備、医療研究予算の抜本的拡充こそ必要です。
また、要指導医薬品、一般用医薬品の販売についても規制緩和が図られていますが、若年者の薬物乱用が社会問題となる中で、購入のハードルを下げるよりも、法令遵守の徹底、そのための対策こそ必要です。
以上述べまして、反対討論とします。
○藤丸委員長 以上で討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○藤丸委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○藤丸委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○藤丸委員長 この際、本案に対し、長坂康正君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。大塚小百合君。
○大塚委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 製造販売業者等の薬事に関する業務に責任を有する役員の変更命令を発出するに当たっては、事業者の経営権にも十分に配慮し、事業者が自律的に役員体制の見直しを行えるようにあらかじめ必要な指導を徹底すること。また、役員の変更命令を発出する場合の判断の考え方や手順をあらかじめ公表すること。
二 後発医薬品業界の再編を進めるに当たっては、業界の自主的な取組を促すだけでなく、個々の後発医薬品企業が、その経営状況、製造能力及び品質管理等について第三者による評価を受ける枠組みを新たに検討するなど、客観的な外部の視点を織り込んで着実に再編を推進すること。また、令和六年度補正予算によるモデル事業の成果も踏まえ、令和八年度中に品目統合による生産効率化の進展、産業力の強化等の観点から具体的なKPI(重要業績評価指標)を設定し、令和十二年度末までの後発医薬品製造基盤整備基金設置期間中の後発医薬品業界の再編の取組を加速化させること。
三 後発医薬品製造基盤整備基金による支援を始めとした、本法に規定する医薬品の安定供給のための措置の実施状況を踏まえ、医薬品の供給不足が解消されない場合は、後発医薬品の産業構造や薬価の見直しを含め、医薬品の安定供給のための措置を検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずること。
四 条件付き承認に当たっては、承認後に行う検証的臨床試験の内容及び臨床試験成績に関する資料を提出する期限等を可能な限り具体的に定め、正当な理由なく期限内に検証的臨床試験によって有効性及び安全性が確認できなかった場合には承認取消し権限を適切に行使すること。
五 本改正は条件付き承認制度を米国の迅速承認制度と同様の制度とすることを目指すとされているが、米国の迅速承認制度によって承認された抗がん剤には、承認から五年以内に延命効果やQOL(生活の質)の改善を示せなかったものがあると指摘されていることを教訓に、条件付き承認制度の適切な運用を図ること。
六 条件付き承認制度によって承認された医薬品等については、市販後の安全対策を強化することが必要であり、承認に当たっては、強化する市販後安全対策の内容を具体的に定めること。また、安全対策には医薬品副作用被害救済制度における情報も活かすこと。
七 医薬品の添付文書に、条件付き承認制度によって承認された医薬品であることや承認の条件を明記し、患者にも十分な情報提供を行うこと。
八 条件付き承認制度によって承認された医薬品等により副作用被害を受けた場合は、医薬品副作用被害救済制度によって迅速な救済を行うとともに、医薬品副作用被害救済制度の対象となっていない抗がん剤の扱いについては引き続き検討していくこと。
九 医薬品等の有効性及び安全性の評価において最も信頼性の高い方法は、比較臨床試験であること、薬事承認申請に際して添付する資料を定めた一般規定である本改正後の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第十四条第三項等の「品質、有効性及び安全性に関する資料として厚生労働省令で定める資料」は、原則として、臨床試験の試験成績に関する資料であることに変わりがないことを改めて確認すること。
十 リアルワールドデータは臨床試験に完全に代わるものではなく、薬事承認におけるリアルワールドデータの利活用には、適合性及び品質が適切なレベルで担保されたデータベースの構築とリアルワールドデータの利点と限界を十分に踏まえた基準の確立等が必要であり、引き続きリアルワールドデータの利活用のための適切な基盤の構築に努めていくとともに、リアルワールドデータのみに基づく薬事承認は慎重に検討すること。
十一 革新的医薬品等実用化支援基金について、創薬環境の整備に資する事業に対して適切な支援が透明性をもって行われるよう、対象事業に関する基準の策定、対象事業の認定及び認定取消し等を適正に行うとともに、基金の執行状況について定期的に公表すること。
十二 「「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」中間とりまとめを踏まえた政策目標と工程表」に基づき、成果目標の実現に向けて、関係府省が一丸となって必要な施策・事業の推進を確実に行うこと。
十三 処方箋なしでの医療用医薬品の販売についていわゆる零売規制の具体的な運用を定める厚生労働省令やガイドライン等の策定に当たっては、処方箋医薬品以外の医療用医薬品の積極的なOTC化推進及び薬剤師との相談を通じて患者が主体的に医薬品を選択・購入するセルフメディケーション推進の政策方針に逆行することがないよう留意し、処方箋の交付を受けた者以外の者に対して医療用医薬品の販売が認められる「やむを得ない場合」の範囲・運用については、国民の医薬品へのアクセスを阻害しないよう十分に配慮すること。
十四 前項の運用については、本改正以前より零売を行ってきた薬局等が、国民の医薬品へのアクセスに一定の役割を果たしていることも考慮し、過度な指導や規制により営業継続が困難となることのないよう、必要最小限かつ合理的な規制措置にとどめること。
十五 医療資源の効率的な活用を図る観点から、セルフメディケーションの社会的意義について国民への周知啓発を推進し、地域の医薬品供給体制の多様性と安定性の確保に努めること。
十六 国連女子差別撤廃委員会の勧告を尊重し、緊急避妊薬の全国の薬局での恒久的な販売について、面前服用を始め、年齢制限、親の同意、価格などのセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する自己決定権)に関する諸課題について、これまでヒアリングやパブリックコメントでしか意見を聴いてこなかった当事者、とりわけ若い世代の意見を代表する者を検討の場に参画せしめること。
十七 リフィル処方箋の利用状況に関する実態調査を行い、利用が進まない理由を把握するとともに、患者と医療機関の負担軽減、医療費の抑制、医師の業務負担軽減等のリフィル処方箋利用のメリットについての周知・広報に努めることにより、リフィル処方箋の更なる利用促進に取り組むこと。
十八 地域における薬局の役割・機能を更に整理・明確化し、国民にわかりやすいものとするとともに、地域に必要な役割・機能を持つ薬局に対し、適切に診療報酬上の評価を行うこと。
十九 薬学教育を受けた薬剤師の専門性を有効活用するため、プライマリ・ケアへの更なる薬剤師の関与を検討し、必要な措置を講ずること。また、薬剤師の更なる専門性向上のため、養成課程における教育内容、生涯にわたるキャリア形成の在り方、ふさわしい処遇等について検討を行い、必要な措置を講ずること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
○藤丸委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○藤丸委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、福岡厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。福岡厚生労働大臣。
○福岡国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいります。
―――――――――――――
○藤丸委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
――――◇―――――
○藤丸委員長 次に、厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、高額療養費制度の適正な見直し手続に関する件について決議をいたしたいと存じます。
本件につきましては、先般来各会派間において御協議をいただき、今般、案文がまとまりましたので、委員各位のお手元に配付いたしております。
便宜、委員長から案文を朗読し、その趣旨の説明に代えたいと存じます。
高額療養費制度の適正な見直し手続に関する件(案)
政府は、働きながらがんの治療を受ける患者など、長期にわたって高額な医療費のかかる患者が適切な自己負担額で高額療養費制度を利用できるよう、今後の制度変更は以下の考慮と手続を経た上で行うこと。
一 長期にわたり高額療養費の支給を受けた者の療養に必要な費用の負担の家計に与える影響を分析、考慮するとともに、必要かつ適切な受診への影響に留意すること。
二 政令を定める前に、審議会へ委員として参加を認めるなど、長期にわたり高額療養費の支給を受けた者その他関係者の意見を聴くこと。
右決議する。
以上であります。
お諮りいたします。
ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○藤丸委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。
この際、福岡厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。福岡厚生労働大臣。
○福岡国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいります。
○藤丸委員長 なお、本決議の議長に対する報告及び関係方面への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
――――◇―――――
○藤丸委員長 引き続き、厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官市川道夫君、こども家庭庁長官官房審議官源河真規子君、総務省大臣官房審議官下仲宏卓君、自治行政局公務員部長小池信之君、統計局統計調査部長永島勝利君、消防庁審議官鳥井陽一君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官日向信和君、消防庁国民保護・防災部長小谷敦君、文部科学省大臣官房文部科学戦略官松坂浩史君、厚生労働省大臣官房総括審議官宮崎敦文君、大臣官房危機管理・医務技術総括審議官佐々木昌弘君、大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官内山博之君、大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官藤川眞行君、医政局長森光敬子君、健康・生活衛生局長大坪寛子君、健康・生活衛生局感染症対策部長鷲見学君、労働基準局長岸本武史君、社会・援護局長日原知己君、医薬局長城克文君、社会・援護局障害保健福祉部長野村知司君、老健局長黒田秀郎君、保険局長鹿沼均君、年金局長間隆一郎君、政策統括官朝川知昭君、政策統括官森川善樹君、防衛省大臣官房政策立案総括審議官廣瀬律子君、大臣官房衛生監針田哲君、大臣官房審議官伊藤哲也君、防衛装備庁プロジェクト管理部長嶺康晴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○藤丸委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。
○長妻委員 おはようございます。よろしくお願いします。
まず、昨年の財政検証で、年金について、基礎年金が今後三割目減りするということがはっきりいたしました。これについて、もちろん対策を打たなきゃいけないんですが、どういう対策を今国会で打つというふうに考えておられますか。
○福岡国務大臣 今日資料でもお示ししていただいていますが、実質ゼロ成長を見込んだ過去三十年投影ケースにおける基礎年金の水準について今おっしゃったというふうに認識をしております。
政府としては、移行を目指す成長型経済では、現行制度を前提としても、将来の年金の給付水準がおおむね維持される見通しでございます。
加えて、昨年の財政検証における個人単位の推計では、若い世代ほど、労働参加が進展し、厚生年金の加入期間が延びることで、将来の年金の給付水準が充実する傾向が確認されています。
一方で、御指摘いただきましたように、経済が好調に推移しない場合においては、今後三十年余り基礎年金のマクロ経済スライドの調整期間が続き、給付水準が低下するということでございます。
こうしたことも踏まえまして、今般の制度の見直しでは、将来の年金給付水準の充実につながる被用者保険の更なる適用拡大であったり、また、経済が好調に推移しない場合の備えといたしまして、特に就職氷河期世代以降の若い方に幅広く恩恵が及ぶよう、基礎年金のマクロ経済スライドを早期終了し、将来の基礎年金の底上げを図ることなどについて検討をさせていただいております。
○長妻委員 検討はいいんですけれども、やるかやらないかなんですね、今国会で。つまり、後段のところが重要なんですけれども、基礎年金の底上げ案とおっしゃいましたけれども、これはやるんですか、やらないんですか、今国会。
○福岡国務大臣 御承知のとおり、マクロ経済スライドの早期終了も含めた年金改正法案の詳細な内容については現在検討が行われているところでございまして、現時点で具体的な案については定まってございません。
その上で、年金は社会や経済情勢等とも密接に結びついてございまして、昨年公表した財政検証の結果においても経済情勢に応じて将来の給付水準は異なりますことから、当面の状況を見極める必要があるというふうに考えてございます。
そうしたことから、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了につきましては、今後の経済情勢等を踏まえ、次期財政検証後に判断することについて与党と御相談をしているところでございます。
○長妻委員 法案が出てくれば我々も建設的に議論するということでありますので、ですから、法案を出すんですか。無責任じゃないですかね。ちょっとはっきり明言してください。
○福岡国務大臣 今、今国会への法案提出に向けまして、検討及び調整を進めさせていただいてございます。
現時点で具体的な提出時期についてお答えすることは困難でございますが、できる限り早期に提出できるように調整を進めてまいりたいと思います。
○長妻委員 これはちょっと無責任だと思うんですね。つまり、法案を提出するかどうかも分からない、しかも、出てきた法案は、基礎年金底上げ案をやるかやらないかは四年後に様子を見て決めますという法案ということですよね。
いずれにしても、法案を速やかに出して、建設的に決着をつけるような修正を図っていくということで、我々も建設的な議論をしていきたいというふうに思っているんですね。
これは就職氷河期を直撃するんですね。これは厚労省のお墨つきもいただいたグラフでございますけれども、三割減なんですよ。皆さんにも配っておりますけれども、二〇三七年に基礎年金が三十年ケースで一割減、いわゆる所得代替率、これは実質価値ですけれども、一割減になる、二〇四七年、その十年後に二割減、二〇五七年に三割減になる。これは厚労省の去年の財政検証に基づいたデータなんですね。
下に就職氷河期世代の年齢を書いています。これはいろいろな学者さんの意見で、去年の時点で就職氷河期の方というのは三十八歳から五十四歳の方、賃金が非常にほかの世代に比べても低い方なんですね。その方々が、二〇三七年、つまり就職氷河期世代の一番年長者グループが年金受給になるときに一割減になる。そして、就職氷河期世代の一番年少者が年金受給をしようとするとき、二〇四七年に二割減になる、六十一歳から七十七歳。二〇五七年には、就職氷河期世代は七十一歳から八十七歳、本格的に皆さんが年金をもらうときに三割減になる。就職氷河期世代を直撃するんですね。
ですから、何を迷っているのか、そのポイントを教えてください。
○福岡国務大臣 今、与党内において何度も議論を重ねていただいておりまして、検討に時間を要しているということでございまして、こちら側としては、なるべく早くその検討作業を進めていただけるように調整をさせていただいているということです。
○長妻委員 だから、私も分からないのは、何を迷っているのか、何が心配なのかということなんですね。それを教えてください。
○福岡国務大臣 与党内の御議論、様々な御議論がありますが、代表的な意見について申し上げさせていただきますと、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了の具体的な仕組みに関して、厚生年金の積立金を活用することに慎重な御意見であったり、また、被用者保険の適用拡大について企業の負担増を懸念する御意見であったり、また、在職老齢年金制度の見直しにつきまして厚生年金の給付水準の低下を懸念する御意見、また、標準報酬月額の上限の引上げにつきまして現役世代の負担増を懸念する御意見、こういった様々な御意見をいただいているというふうに承知をしています。
○長妻委員 ですから、本丸は基礎年金底上げ案なんですけれども、じゃ、厚労大臣として福岡大臣の見識を聞きますが、福岡大臣は、個人としてはこの三割減をどうすればいいと思っておられますか。
○福岡国務大臣 私も就職氷河期世代の一員でございますから、そういう意味でいうと、将来世代における基礎年金水準の確保ということは大変大きなテーマであるというふうに考えております。
その上で、先ほども申しましたように、将来の基礎年金水準については、経済動向等によりましても大きな影響を受けることでございますから、そういった意味においては、今後、マクロ経済スライドの早期終了等も含めて、今後の経済情勢を見極めた上で判断をする必要があるというふうに感じています。
○長妻委員 いやいや、福岡大臣自身は、就職氷河期世代ということなんですが、三割減をどうすればいいというふうに個人では思っておられますか。
○福岡国務大臣 ですから、そこは、基礎年金のマクロ経済スライドを早期終了し、将来の基礎年金の底上げを図ること、そういった意味で将来世代の基礎年金水準の確保は大変重要であるというふうに考えてございますが、そういった重要性を認識しながらも、先ほども言いましたように、経済情勢等、そういったことを見極めながら判断していくということが必要だというふうに考えております。
○長妻委員 私も前段は同感なんですね。その手段というのは、非常に大きな選択肢だというふうに思います。
そして、もう一つ今おっしゃっていただいているのは、経済状況を見ながら、見ながらとおっしゃるんですが、これも非常に私は疑問なんですけれども、政府がネーミングをした過去三十年投影ケースという、これが基本的にこれまでも財政検証で基本として使ってきた前提じゃないかと思うんですけれども、過去三十年投影ケースは悲観的過ぎるというふうにおっしゃる方も自民党の中におられるんです。これは全くの間違いで、過去三十年投影ケースというのは、はっきり言って、ちょっと誤認を呼ぶようなネーミングなんですね。
本当に過去三十年の経済を前提としていると思いきや、全く違います。専門家からも批判が上がっています。過去三十年投影ケースは、今後百年、実質賃金が毎年毎年〇・五パー上がる、こういう前提なんですね。これは私、非常に楽観的、これでも楽観的だと思うんですよ。ところが、過去三十年の実質賃金を正確に調べますと、厚労省も認めましたが、〇・〇パーなんですよ、過去三十年、平均すると。ですから、過去三十年でも非常に私は楽観的過ぎると思うんですね、年金については。
それが、今おっしゃったのは成長型ケース。成長型ケースになれば、確かに目減りはこれほど起こらないというのは事実です。でも、成長型ケースというのはどういうケースか。今後百年、実質賃金が一・五パーずつ毎年毎年上がるということなんですよ。今、実質賃金はマイナスですよ、世の中、これだけ賃上げしているのに。これはあり得ないと思うんですね、成長型ケース。これがあるかどうか見極めるというのは、百年間、成長型、一・五パーが続くということが何で二、三年見て分かるんですか。これは〇・五パーでも過大だとは思いますが、〇・五パーの実質賃金上昇でも三割減になるわけで、ですから、今決断しなきゃいけないんですよ。
だから、法案を是非出して、そこら辺も含めて建設的な議論をしていきたいというふうに思うんですが、成長型ケースに移行するということも本気で、福岡大臣、可能性としてあると思っておられるんですか。
○福岡国務大臣 当然、政府といたしましては、成長型経済に移行することを目指して、今、様々な施策を動員しているということでございます。
そういった中で、今おっしゃいましたように、経済情勢によって将来の給付水準が異なりますことから、当面の状況を見極める必要があると考えていますが、年金改正法案の詳細な内容はまさに今現在検討しているところでございまして、引き続き、幅広い方に御理解いただけるように説明を重ね、早期に提出できるように頑張っていきたいと思います。
○長妻委員 ちょっと今の答弁は見識がなさ過ぎると思うんですね。
つまり、短期的な政府の御努力で成長型に、成長経済にするというのは分かるんですよ。それは、今までの経済政策はそうですけれども、しかし、年金の場合は百年なんですよ。成長型が百年続くかどうかということで検討するので、百年間、プラス一・五の実質賃金の上昇が毎年毎年あるというようなことは今判断できないし、そういうことは考えちゃいけないと思うんですね、年金の世界では。ですから、それを前提に国民の皆さんに何か期待を持たせてというか、これは否定しないといけないと思うんですよ、こういうことは。
ですから、過去三十年投影ケース、このネーミングも私はいかがなものかと思いますけれども、こういう、現実的、これでも過大なんですけれども、これを前提に考えると三割減るということなので、これについて大臣のリーダーシップがちょっと感じられないんですね。
昨日も、三回目ですよ、与党、森山幹事長と小野寺政調会長と参議院の自民党の幹部が話し合って、ああでもないこうでもない、法案を出すなという意見もあったと聞いておりますけれども、これは報告を受けているんですか、そういう与党の協議は。
○福岡国務大臣 実際にそこの協議の場については、当然こちらの省の者も入らずに行われているわけでございますが、概略等については話は承っております。
○長妻委員 昨日の概略はどんな概略ですか。
○福岡国務大臣 そこにつきましては、様々な御議論があった上で、また引き続き党内の議論を重ねていくということで、昨日は結論が出なかったというふうに承知をしています。
○長妻委員 それに対して、これは閣法ですから、政府が主導しないといけないので、福岡大臣は彼らに対してどういうふうな主張をぶつけているんですか。
○福岡国務大臣 私も自民党に所属していますので、党の方とはいろいろな機会に接触する機会がございます。その際に、この制度の中身等について話をさせていただき、御理解をいただくように努めているところでございます。
○長妻委員 報道によると、基礎年金の底上げ部分だけを削除するというような案も出ている、あるいは、基礎年金底上げ部分を附則にして、今後の検討条項として格下げする、こういうとんでもない案が出ているようなんですね。先日も山井さんは、あんこのないあんパンとおっしゃいましたけれども、目玉のない目玉焼きというふうに言う人も。これは目玉焼きじゃないじゃないですか。
本当にやりたいんですね、我々はこの懸案を。就職氷河期世代の方々の目減りを何とか歯止めをかけなきゃいけない。それでなくても就職氷河期世代の方々は賃金が非常に低くて、ここにありますけれども、非正規雇用を拡大する政策をはっきり言って自民党が進めて、その犠牲になった方も多いんです、非正規雇用で。
そして、これはびっくりしますよ。名目の賃金の増加率でいうと、全部の年齢で、五十から五十四歳だけが減っているんですね。いわゆる就職氷河期世代の方は、ほかよりも伸びが低い。ということは、老後の年金が低いんですね。そして、かつ、三割減らされる。これは踏んだり蹴ったりじゃないですか。ですから、ここを何とかしないといけないということなので、是非、大臣、もっとリーダーシップを持って、国会に出てくれば建設的に議論します。
最後、一点だけ申し上げると、厚生年金受給者で二〇四〇年までに亡くなる方は、全員が目減りしてしまうんですね。我々が申し上げているのは、ここの対策を年金の制度の中でも外でもいいから検討してほしいと去年の十二月から私も予算委員会、テレビ入りで申し上げましたし、検討していると厚労省は言っておられるので、早く出していただければ、多分与党も、じゃ、いいんじゃないかという話になると思うんですけれども、この検討状況というのは今どういうふうになっているんですか。
○福岡国務大臣 私も、委員が予算委員会等で問題提起されたことについては十分記憶してございます。その上で、まさに今国会への法案提出に向けて与党において御議論いただいているところでございまして、様々な御意見があり、調整に時間を要しているところでございます。
そういう意味におきましては、御指摘のような措置につきましては、必要な財源の確保はもとより、マクロ経済スライドは、将来世代の年金の給付水準を確保するため、世代間の仕送りの制度でありますことや、また厚生年金の受給額が多い受給者ほど補填額も大きくなることから、公費の使い方として適切かどうかといった点に鑑み、様々な検討が必要だというふうに考えています。
○長妻委員 ちょっと質問の趣旨を誤解されておられるんですけれども、基礎年金底上げ案をやるときに、二〇四〇年までにお亡くなりになる厚生年金受給者の方は受給額が減るんですよ。これは事実です、減るんですね。ですから、その方々に対して手当てをしないまま国会に法案を出そうとされているので、それは自民党だって心配しますよ。
ですから、我々もこれに対する、年金の制度の中でもいいから、外でもいいから、何らかの目減りに対する手当てをしてほしいと言っているんですね。検討しますとはっきり明言しているんですよ、厚労省は。どんな状況ですか、今、検討。
○福岡国務大臣 今御指摘いただいた点も含めて、今与党と御相談しながら法案作成に臨んでいるということでございます。
○長妻委員 いや、ですから、その検討……(発言する者あり)ちょっともう一回。
○福岡国務大臣 そこは、今御指摘いただいたように、私も検討するというふうに申し上げました。
その上で、先ほど申し上げました論点といたしましては、例えば、厚生年金の受給額が多い受給者ほど補填額も大きくなりますことから、公費の使い方として適切かどうかということも踏まえて、どういう検討があり得るのかということについて引き続き精査をさせていただいているということです。
○長妻委員 ですから、じゃ、やるんですね、そういう手当ては。つまり、二〇四〇年までにお亡くなりになる厚生年金受給者の方々は、目減り、全員しますから。それはなかなか理解を得られないですよ、一定の手当てをしないと。一定の手当てと申し上げています。
そうすると、一定の手当てはするということは明言していただきたい。
○福岡国務大臣 当然、一定の手当てをするにつきましては財源等も必要なわけでございますから、そういったことも含めて、今与党の方々と御相談をさせていただいているということです。
○長妻委員 ですから、そういうようなことを、別に、できると思うんですね、我々も案を厚労省に申し上げておりますので、それをして、そして国会に法案を出していただく、そして建設的な議論をしていく。
いずれにしても、もう目減りがはっきりしているわけですから、何にもしないというのはあり得ないことですよ、法案を出さないとか、この部分を削除するというのは。絶対にこういうことが起こらないように、国会にちゃんと法案を出していただくように。むしろ出さないと、本当に、これは逆に大きな争点になりますよ。目減りを政府は、しない、逃げたというようなそしりを受けかねないので、是非よろしくお願いします。
どうもありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、大西健介君。
○大西(健)委員 おはようございます。立憲民主党の大西健介です。
前回、ちょっと質問時間が足りなくてできなかった件から始めたいと思うんですが、たばこの話です。
五月一日から加熱式のたばこが二十円値上がりをします。政府・与党は、防衛力強化の財源確保のために、来年度も加熱式たばこの税率を更に引き上げて、紙巻きたばこと税差をそろえていくという方針であります。
これに対して海外では、加熱式たばこは、紙巻きに比べて健康リスクが低い、いわゆるハームリダクション製品とされていて、欧米諸国を中心に、税制を優遇する、そういう国も多いと聞いております。
この点、まず、たばこ政策に関して、リスクをゼロにするのが難しいのであれば、より害が少ない、このハームリダクションというのをどう考えるのかということについて、基本的な考え方をまず大臣にお聞きしたいと思います。
○福岡国務大臣 委員御指摘がございましたハームリダクションにつきましては、一般的には、使用の中止ではなく、使用による健康への影響を減らすという公衆衛生上の政策アプローチのことをいい、たばこ対策の文脈の中では、低リスク製品への転換という意味で使用されてございます。具体的には、紙巻きたばこから加熱式たばこへの置き換えを進めるべきとの御意見を頂戴する際に用いられているものと承知をしております。
加熱式たばこにつきましては、現時点で紙巻きたばこと比較して健康影響が低いとの十分なエビデンスは得られていないことから、現時点では、種類を問わず、喫煙率の減少や受動喫煙の防止に関する取組を行ってございまして、特に加熱式たばこへの置き換えを促すような施策の展開は行ってございません。
加熱式たばこにつきましては、発生する物質や健康影響等の研究を継続的に実施してございまして、引き続き、その科学的知見の収集に努めたいと思います。
○大西(健)委員 今、大臣の答弁の中で、科学的知見の話がありました。引き続き科学的知見の収集に努めるということですけれども、以前に厚生労働省が加熱式たばこにおける科学的知見という資料を出しているんですけれども、それによれば、現時点までに得られた科学的知見として、加熱式たばこ喫煙時の室内におけるニコチン濃度は紙巻きたばこに比べて低い、加熱式たばこの主流煙に含まれる主要な発がん性物質の含有量は紙巻きたばこに比べて少ないというふうになっています。ただ、まだそれが結論までは至っていないということだと思うんです。
今回、ただ、税差をなくすということは、政府は、加熱式たばこと紙巻きたばこの健康影響は同じであると科学的に結論づけたということなのかどうなのか。先ほどの答弁では、まだ引き続き科学的知見については収集するんだということでしたけれども、改めて確認したいと思います。
○福岡国務大臣 税制については財務省の所管でございますが、今の制度におきましては、加熱式たばこと紙巻きたばこの間で税負担に差がございますのは、紙巻きたばこは単純にその本数に応じて課税されるのに対しまして、加熱式たばこは、製品重量などに応じ、紙巻きたばこ何本分になるかを換算した上で課税される仕組みとなっていることによるものでございまして、健康影響を考慮して税率が設定されているものではございません。
また、今回見直しを行う際に当たっても、加熱式たばこの市場シェアが拡大している中で、紙巻きたばこと同様の価格帯で販売され、かつ、代替性が高いにもかかわらず、加熱式たばこの税負担が低くなっている実態があることを踏まえて行われるものでございまして、こちらについても、健康影響を考慮したものではないというふうに承知をしております。
○大西(健)委員 今まさに答弁の中でもおっしゃったように、どんどん加熱式のシェアが高まっているんですよね。ただ、先ほどの答弁によれば、別に科学的知見ではなくて、税差を解消するというのは、それとは関係ないということが確認できたと思いますが、最初に言ったように、ハームリダクションということを考えるならば、もし本当に紙巻きよりも加熱式の方が害が少ないんだったら、それに誘導していくというのは一つ考えられることなので、是非、科学的知見をしっかり出していただきたいんですが、結局、今答弁にあったように、財務省は、加熱式たばこと紙巻きたばこの税差解消の理由としては、同種同等なものには同様の負担を求めるという基本的な考え方に沿ったものだというふうに説明しています。
他方、例えば健康増進法というのがありますよね、あれでは、加熱式たばこによる受動喫煙の影響が明らかになるまでの経過措置として、加熱式たばこ専用の喫煙室では飲食等も可ということになっていますけれども、これは両者を別に扱っているわけですね。
ということでいうと、これも確認ですけれども、税差が解消したからといって、加熱式たばこ専用の喫煙室で認められている飲食というのが、従来のこの扱いというのが変更されることはないのかどうなのか、この点について確認したいと思います。
○福岡国務大臣 加熱式たばこにつきましては、健康増進法の改正の際、主流煙による健康被害は明らかであったものの、受動喫煙での長期的な健康影響を予測するのは困難であったことから、経過措置として、加熱式たばこ専用の喫煙室内で飲食等を行うことを可能としたところでございます。
加熱式たばこと紙巻きたばこの間で税に負担があることは健康影響を考慮したものではないということは先ほど申し上げたとおりでございますが、厚生労働省といたしましては、健康増進法の施行後五年の検討規定を踏まえまして、加熱式たばこの健康影響について調査研究を進めるとともに、施行の状況について検討を行うなど、受動喫煙対策についても引き続き取り組んでまいりたいと思います。
○大西(健)委員 先ほど来、健康影響の話について、結論がまだ出ていないという話なんですけれども、いつまでこういうことをずっと続けるんですか。私は、やはりはっきりさせるべきだと思いますし、多分、一般の皆さんの感覚はそうじゃないと思うんですよ。
たばこに関する健康リスクの認識とたばこ増税に関する意識調査というものによると、七割の人が、加熱式と紙巻きは同等ではなくて、紙巻きの方がリスクが高いと認識しています。ですから、多くの皆さんは、何で紙巻きを吸っていた人が加熱式に替えるかというと、やはりそっちの方が健康に少しはリスクが少ないんじゃないかと思ってやっているんですよ。だから、税差の解消というのも、国民の意識とも私はかけ離れているというふうに思います。
財務省は、たばこを所詮都合のよい財政物資として見ているだけなので、私は、厚労省が、国民の健康や公衆衛生の観点で加熱式たばこをどう位置づけていくのかというのをしっかりやはり検討してほしいというふうに思いますので、そのことは強くお願いしておきたいと思います。
次の質問に移りたいと思いますけれども、次に審議を予定されている医療法の改正に関連することでお聞きをしたいんです。
今回の医療法で、オンライン診療を法制上しっかり位置づけるという改正が入ることになっています。適切なオンライン診療を更に推進していくということは私も賛成なんですけれども、オンライン診療というのは、従来から、僻地とか離島だとか、そういうところでは非常に有効性があるんじゃないか、医療アクセスが限られた地域で医療を受けられるということで有効だと言われていますけれども、とりわけ、通院の負担軽減だとかスティグマ、つまり、精神科に通っていますということがスティグマになるということでいうと、あるいは、引きこもりなんかは家の外にそもそも出ることが難しい、こういう精神科領域ではオンライン診療というのは私はメリットが大きいというふうに思うんですが、まず厚労省に、この点についての認識をお伺いしたいと思います。
○福岡国務大臣 オンラインの精神療法は、情報通信技術の発展等に伴い一定のニーズが見られます中、安心かつ有効に実施されることが重要だと考えてございます。
精神科におけるオンライン精神療法のメリットにつきましては、患者さんが在宅で診療を受けられることから患者さんの生活状況等に関する情報が得やすいこと、また、御指摘がございましたように、地理的、時間的、心理的に対面診療が受けにくい、若しくは受けられない方について、診療へのアクセシビリティーが向上することなどが挙げられます。
こうしたオンライン精神療法の適正かつ幅広い普及に資するように、情報通信機器を用いた精神療法に係る指針を策定いたしまして、精神医療の現場での活用を推進していきたいと考えております。
○大西(健)委員 オンライン診療というと、一般的には地理的な話が中心なんですけれども、精神科においては、今大臣が答弁していただいたように、心理的な負担というところでも私はメリットがあるというふうに考えています。
じゃ、精神科に限ってでいいんですけれども、対面診療に比べてオンライン診療が治療効果の面で劣っているということがあるかどうか、これについて端的に、参考人からで結構ですので、お答えいただきたいと思います。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
心療科分野でのオンライン診療でございますけれども、これを、劣るか劣らないかというのを白黒ではっきりと一言で申し上げるのはなかなか正直難しいところではございますけれども、オンライン診療に関する日本国内での研究がございまして、この中では、うつ病と不安症と強迫症、この三疾患につきまして、オンライン診療を併用した患者さんと、対面診療だけで診療を行った患者さんについて、半年間の治療効果を比較をしたという研究がございます。その結果、オンライン診療併用群において、対面診療だけの場合と比べて治療効果の面では劣らなかったということを示すもの、こうした研究の結果があったということは承知をしております。
オンライン精神療法でございますけれども、現在、好事例の収集でございますとか具体的な活用方法に関する調査研究を行っているところでございます。今後、その研究成果なども踏まえながら、当事者も含めた関係者の御意見を伺いながら、良質かつ適切な精神医療の確保に向けまして検討を進めていきたいと考えております。
○大西(健)委員 今御答弁があったとおりなんですけれども、例えば、厚労省に設置されている精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会において、令和六年度から七年度の厚生労働科学研究の結果についてヒアリングしているんですけれども、ここでも、対面診療とオンライン診療は非劣性であるという結果が報告をされています。
私は、その効果に劣るところがないならば、先ほど言ったようにメリットも大きいので、精神科領域において適切な形で活用を進めていただきたいと思っているんですけれども、ところが、ここにたくさん条件がいろいろついてしまうと、結果として、患者にとっては実際には使えないものになってしまうんじゃないかということを懸念をしております。
この点、例えば初診オンライン診療を精神保健指定医に限定してはどうかという意見がありますけれども、そもそも精神保健指定医というのは、本来、患者本人の意思によらない入院であったりとか行動制限の判定を行う役割を持たされているのが精神保健指定医であって、適切なオンライン診療を行えるかどうかということとは余り関係ないと思うんですね。
また、精神保健指定医は数も限られていて、初診オンライン診療を精神保健指定医に限定すれば解禁のメリットが限定的になってしまうおそれがあるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
令和五年度に策定されましたオンライン精神療法に関する指針におきましては、対面と比べて得られる情報がなかなか限定されるオンライン精神療法、こちらを初診の際には実施をしないということにされているところでございます。
現在、オンライン精神療法に関する医療提供体制の在り方については、先ほど先生からも御紹介がありました在り方検討会、ここでも研究内容の報告などが行われたところでございますけれども、こうした好事例の収集でありますとか具体的な活用方法に関する調査研究を引き続き行っているところでございます。
厚生労働省としては、初診のオンライン診療というものを精神保健指定医に限定して可能とするというような方針なり考えなりを示したりしたことはないところではございますけれども、いずれにいたしましても、オンライン精神療法につきましては、安心かつ有効に実施されることが重要であります。調査研究の成果なども踏まえながら、関係者の御意見を伺いながら、良質かつ適切な精神医療を提供できるように検討を進めていきたいというふうに考えております。
○大西(健)委員 私が先ほど来申し上げているのは、せっかくこれはメリットがあるのに、いろいろ条件をつけてしまって、結局使えないものになったら意味がないんじゃないかと。
それをなぜ言うかというと、皆さんの周りでも、例えば精神科クリニックにかかろうと思ったけれども初診の予約を断られたとか、あるいは、初診数か月待ち、半年待ちというのが、周りでお聞きになったことがありませんかね。今、精神科医療の提供体制については、初診をそもそも予約を入れてもらえないとか、数か月待ちというのが当たり前になっているんですね。
お手元に資料をお配りしましたけれども、これはちょっと児童精神科の話にとりわけフォーカスしていますけれども、例えば発達障害などのことでやはり児童精神科の需要も増えているんですけれども、これはかなり深刻で、記事にもあるように、初診まで数か月待ち。そういう中で、親御さんも大きな不安を抱えながら過ごして、もう心が限界だと。また、支援が遅れてしまうことで、二次障害の発症リスクもあるということであります。
ですから、オンライン診療を活用した医療提供体制の確保が私は急務だと思うんですけれども、子供もですけれども、大人についても、精神科医療の供給不足がちゃんと可視化されていないことが私は大きな問題だと思っておりまして、まず、そこでお願いしたいのは、病院とか医療提供側じゃなくて患者側に立って、今言ったように、皆さんの周りでも、初診の予約が取れないとか、断られたという話をお聞きになっていると思うんですけれども、それが可視化されていないので、それを私は実態調査をしていただきたいというふうに思っているんですけれども、大臣、是非お願いできないでしょうか。
○福岡国務大臣 精神科であったり児童精神科において、医療機関によって初診までに待機時間が生じている実態があることについては承知をしてございます。
それは、様々な受診理由や疾患で精神科を受診する患者さんについて、初診待機の実態であったり、その要因等について、先ほど言いましたように、発達障害児に関してのデータはお示しいただきましたが、網羅的に厚生労働省において十分な把握がこれまでできていなかったということは御指摘のとおりでございます。
必要な方を早期の支援につなげていくということは極めて重要でございますから、初診待機の実態の把握、これをどういう形でできるのか、調査手法について検討してまいりたいと思います。
○大西(健)委員 大臣から、ちゃんとこの実態把握、やりたいということで御答弁いただいて、大変ありがたいと思います。是非お願いしたいというふうに思っております。
次の質問に移りたいと思いますけれども、私はかねてから、現代社会というのは、少子化と同時に、多死化、一年に多くの人が亡くなっていく、そういう社会だというふうに申し上げてきて、これまで国会でこの問題を何度か取り上げさせていただいているんですけれども、例えば、二〇二三年に愛知県の岡崎市の営業していない葬儀場で男性二人の遺体が見つかって、遺体はいずれも身寄りがなく、碧南市と愛西市が業者に保管を依頼していた御遺体だということが分かりました。この碧南市というのは私の地元の選挙区なんですね。
引取り手のない御遺体の保管等については統一的なルールがなく、自治体は対応に苦慮しています。この度、厚労省による実態調査が初めて行われて、引取り手のない御遺体の数が推計で令和五年度に約四万二千人に上るということが明らかになりました。これは資料として、この最終報告書のポイントというのをお配りしております。ここで改めて明らかになったのは、マニュアルが整備されている自治体は約一一%にすぎず、例えば火葬までの期間や火葬判断もばらばらで、統一されていないということなんですね。
こういうことがありました。NHKの「クローズアップ現代」で放送された事例なんですけれども、オーストラリアで働いていた娘さんが、お母さんと連絡が取れないので、警察に頼んで家の中を確認してもらったところ、直前まで普通に生活していたような状態なんですね。搬送記録を調べてもらうと、お母さんが自分で救急車を呼んで、病院に搬送されて、その後亡くなっていたということが分かりました。娘さんは急いで帰国しましたけれども、お母さんは既に火葬されて、お骨は無縁墓地にあることが分かりました。母親を見送ってあげることができなかった娘さんのショックというのは、これは想像に絶するものがあるというふうに思います。その後、実は弟夫婦が近くに住んでいたことも分かったんですね。このケースでは、死亡後二日という短い期間で火葬されてしまったこと、親族の調査や連絡が不十分であったために起きた悲劇じゃないかというふうに思います。
一方で、自治体の側の負担というのも確かに大きいんですね。だから、それもよく理解できます。ただ、現状では、親族等を調査する戸籍調査の範囲も、それから火葬までの期限も、何にもルールがないんです。だから、自治体としては、こういうケースでクレームを受けても、我々としては、例えば国が示したこういう標準的な期間、ちゃんと調査しました、これだけのことをやりました、だから御理解いただきたいと思います、こういう説明もできないんです。
この度、初めて調査をしてもらったことは、私はすごく高く評価しています。ただ、その調査の結果、厚労省は各自治体に、マニュアルを整備してね、こう言っているだけなんですね。でも、その中身については、地域の埋葬文化が異なるので、それぞれで定めてください、こういうことなんですよ。でも、それでは、今私が言ったような、こういう問題の解決にはつながらないんですよ。どこまでの身寄り調査をすべきなのか、少なくともどれぐらいの期間は親族調査を行った上で火葬の判断を下すべきかについて、国が標準的なルールを指針等で示さないと、自治体としても結局困っちゃうんですよ。
ですから、私は、それをやらないと、せっかく調査しても無責任だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 委員のおっしゃっている趣旨については、十分理解をいたします。
その上で、政府の立場を申し上げますと、先ほどおっしゃいましたように、高齢化の進展であったり一人世帯の増加によりまして、自治体における引取り手のない御遺骨の取扱いが増えてございまして、その実態調査を行いました。
その報告書では、火葬までの期間であったり親族調査の方法など、引取り手のない御遺体等をめぐる状況は自治体の規模や地域によって大きく異なることが示されましたが、この背景には、例えば地域における遺体の保管設備の有無など、各自治体の関連する地域資源の状況が異なることであったり、また、東北には一部骨葬地帯があるみたいに、各地域の風習も異なるような状況であるといったこと、また、葬送を第一義的には誰が行うべきかであったり、御遺骨の帰属について法的に整理されていないこと等がございまして、引取り手のない御遺体等をどのように取り扱うのが適切かという社会的な合意がなされていないということが指摘をされてございます。
こうした指摘も踏まえまして、国として一律の基準を示すのではなく、今後、親族への連絡や御遺体の保管などに関する自治体の工夫、対応例を国の手引に盛り込み、全国的に周知していきたいというふうに考えております。
こうしたことを通じまして、自治体の実務が円滑に進むように取り組んでまいりたいと思います。
○大西(健)委員 今も言ったように、確かにばらばらなんだけれども、でも、大体これぐらいというのを示さないと困っちゃうんじゃないかと。
例えば、この報告書を見ると、警察、病院において親族調査をしてもらい、区への依頼があるのは、親族がいないという判断が下された後である、遺体を引き取ったらすぐ手続して火葬を行う、火葬までに親族調査は行わない、こういう特別区もあると思えば、親族調査をきちんとやると時間がかかるので、場合によっては数か月安置することになる、長期間になってしまって保管にかかる費用がかさむという政令市があります。それから、結局、今言ったような状況なので、期間を定めてもらわないと困るんだという御意見があるんですね。
ですから、結局、やはり自治体としては、それはきちっとは定められないけれども、ある程度、目安をちゃんと定めてもらわないと、例えば、どこまでの親族調査をしなければいけないのか基準もない、全て調べるというのが答えなのかもしれないけれども、そこまではできない、どこまでやれば及第点なのかが知りたい、これは一般市。これが多くの自治体の本音だと思うんですよ。
ですから、おっしゃるとおりだと思いますけれども、だからこそ、自治体の代表者とか法学とか、公衆衛生学の有識者とか民俗学、葬儀事業者とか、いろいろな人を入れて検討会をつくって、そして、私は、標準的な期間を定めるべきだというふうに思います。それは是非お願いしたいというふうに思います。
続けて、土葬墓地についてお聞きしたいんですけれども、宮城県では、土葬墓地の建設計画をめぐって反対論があって、村井知事が、多文化共生社会といいながら墓地に目が行き届いていないのは行政としてはいかがなものかと思う、批判があってもやらなければならないと述べています。
宮城県では、令和五年度にインドネシア政府と人材確保に関する覚書を交わしており、火葬を忌み嫌うイスラム教徒が多いインドネシア人労働者の受入れのためには、墓地の整備も必要と県は考えているようであります。
同様な事例は、今後、他の地域でも出てくるものと思われますけれども、我が国では土葬は別に法律上禁止されていないはずでありますけれども、この土葬墓地と多文化共生、これについて国の考え方というのをお答えいただきたいと思います。
○福岡国務大臣 御指摘がございましたように、外国人であっても尊厳を持って弔われ、埋葬されるような環境づくりというのは大変重要だと考えてございます。
墓地、埋葬等に関する法律におきまして、墓地経営の許可につきましては、住民の宗教的感情や風習、各地方の地理的条件や周辺の生活環境等を十分に踏まえ、地域の実情に応じて行う必要があることから、都道府県の自治事務とされております。
各地方自治体におきまして、地域の風習であったり、住民が信仰している宗教の状況、墓地の候補地やその周辺環境など、地域の実情を踏まえながら、特に外国人の方のための墓地の場合は、多文化共生という観点からも丁寧に検討、調整いただきたいと考えてございます。
自治体の状況も注視しながら、関係する自治体に対して必要な助言を行ってまいりたいと思います。
○大西(健)委員 最初に言ったように、多死社会ですから、これからこういうことはいっぱい起こってくると思うんです。それを自治体に丸投げでは駄目だと私は思うんですね。
二〇二五年というのは、団塊の世代が全て七十五歳以上の後期高齢者になります。我が国は死者数が年間百五十七万人という多死社会です。社会保障は揺り籠から墓場までといいますけれども、墓場、人の死に関わる社会制度が時代の変化に対応できていないところについて、我々立法府はもっと真剣に議論しなければならないのではないかという問題意識をお伝えして、私の質問を終わります。
○藤丸委員長 次に、池田真紀君。
○池田委員 立憲民主党、池田真紀です。よろしくお願いいたします。
今日は、四つあるんですけれども、まず初めに医療を。不正の疑いがあるお話だったんですけれども、まず、この病院では、アイリーアというお薬を、一回で一本使うところを二回とか三回に分けて、それで不正請求をしているのではないかという疑いがあって、こういったところのお話がありました。そして、こういった場合、どういう手続になるか、教えていただけますでしょうか。
○鹿沼政府参考人 個別のお話につきましてはちょっと答弁を避けさせていただきますが、一般論としてお話をさせていただければ、診療報酬の不正請求に関する情報があった場合は、まず地方厚生局における調査において必要な情報収集を速やかに行う、その結果を踏まえ、個別指導や監査などにより事実関係の確認を行う、こういうような形になっております。
○池田委員 ありがとうございました。
申立てといいますか、その通報をされた方にその情報、結果とかをお戻しするというようなプロセスにはなっていないということでよろしいですか。
○鹿沼政府参考人 基本的に、情報をいただいた方にお返しするというよりは、むしろ、いただいた情報を踏まえて必要な対応をしっかりと講じていくということになっているということでございます。
○池田委員 しっかりと対処をしていただきたいというふうに思っております。
あと、別件、もう一件あるんですが、ちょっと確認をしたいのですけれども、処方箋を出す先生といいますか、自分でどうだろうなというふうに思いますと、診ていただいた先生がお名前があって、処方箋を薬局に持っていくというふうに普通にしているんですけれども、ちょっと私の方で実際入手しているところは、存在しない先生がお名前を掲げていて処方箋を出されているということが、ほかにたくさんレセプトであるんですね。
これというのは法律的にどういう位置づけになっているのか、教えていただきたいと思います。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
医療保険関係の法規といいますよりも医師法の方で、医師法の第二十条におきまして、医師は自ら診察しないで処方箋を交付してはならないというふうになっております。したがいまして、処方箋は患者を診察した医師が交付する必要がありまして、診察していない医師が処方箋を交付することはできない。このため、処方箋の保険医の署名欄には患者を診察した医師が署名すべきもの、このように考えております。
○池田委員 じゃ、これらについても、必要な申立て等があれば、対処といいますか、しっかりと調査をしていただくということでよろしいんでしょうか。
○鹿沼政府参考人 そのようなお話があり、それで私どもとして調査をし、先ほど言いましたように、処方箋は、やはり自ら診察しないで処方箋を交付してはならないとなっておりますので、そういった法規に照らし合わせて、しっかりと対応していくということになろうかと思っております。
○池田委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
続いて、次の質問に移らせていただきますけれども、ちょっと今日は働き方ということで自衛隊の関係の質問をさせていただきます。自衛隊の働き方ということで少しさせていただきたいと思います。今日は防衛省からお越しいただきました。
私の地域なんですけれども、五駐屯地、そして空の方も二つの基地がありまして、約二千ヘクタールぐらいの地域ですね。そして、一万一千人ぐらい直轄の隊員さんがいらっしゃるということで、この週末も行事に伺ってまいりました。
大変、日夜厳しい訓練を受けて、災害派遣に備えたりということで日々訓練をされているわけでありますけれども、その中で、今回は、一つお話を伺いました。働き方改革推進のための取組コンテストというのを受賞されたということで大変喜ばれておりまして、このコンテストの意義とか目的というのを教えてください。
○廣瀬政府参考人 お答えいたします。
働き方改革推進のための取組コンテストは、ワーク・ライフ・バランスの推進等の観点から、働き方改革推進の資となる取組を募集し、応募のあった取組の中から優れたものを表彰することにより、隊員の働き方改革への意識の向上及び啓発を図ることを目的に実施をしているものでございます。
こうした取組は、隊員自らが働き方改革について考える機会を提供するものであり、隊員の働き方改革に対する意識を高める意義があると考えております。
また、今般のコンテストで表彰された取組については、不要な業務の見直しや職場におけるコミュニケーションの活性化、業務のデジタル化の推進等、働き方改革に直結するものであると考えております。
防衛省としては、引き続き、こうした取組を実施することにより、職員の働き方改革への意識の向上及び啓発を図るとともに、ワーク・ライフ・バランスの推進を図ってまいります。
○池田委員 簡単に言いますと、私のところの表彰、全国で三つあるということだったんですけれども、上下が大変厳しい、訓練も大変厳しい、そして、あちこちで分散してお仕事をされているわけですから、コミュニケーションが昨今不足をするというのは、どこの職場でも同じだと思うんですね。そういったところで、毎日のようにコミュニケーションを図るような取組と、そして、取説といって、自分はこういう人間ですというような自分の取説といったものが物すごく楽しく、風通しのよい職場になったということで、大変表情もよくて、私も、すごく何か雰囲気が変わったなと思うぐらい、よかったなと思っている取組でした。これは、ほかのところにもつながるなと思っています。
そして、そうはいいながらも、今ちょうど処遇改善の話も行われているかと思います。手当なんかも改善をされているということでありますけれども、この手当ですが、災害派遣でいえば五百四十円アップということでありました。
ここに、まさに今日資料でおつけしたんですけれども、ちょっと見づらいかもしれませんが、資料五とあります。宣誓という文、警察、消防、そして自衛隊ということでありますが、自衛隊の分の宣誓は、本当に重たい言葉だなというふうに思っていまして、ここを深掘りをこの委員会では今するつもりはありませんけれども、ただ、この危険を顧みずというところの範囲といいますか、非常にこの解釈というのが大変重たいというふうに受け止めているところであります。
ここについて、災害派遣というのは、第一陣、誰も分からないような状況でも出動するのが自衛隊の皆さんであって、そういったときに、この宣誓というものと、そして併せて手当というのが本当に見合っているのかどうかというと、すごく私は疑問だななんて思っているんです。
この辺について、どう定めがあったのか、お考えもお聞かせいただければと思います。
○廣瀬政府参考人 お答えいたします。
まず、宣誓についてでございますけれども、自衛隊員の服務の宣誓は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛するという自衛隊の任務や隊員としての服務上の義務を隊員一人一人に自覚させるものでございます。
その上で、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託に応えるという点につきましては、防衛出動を始めとする各種任務に際して、自衛隊員として身を挺してその任務を遂行し、国民の命と幸せな暮らしを守るという国民から託された思いに応えるということでございます。
また、先生御指摘のございました災害派遣等手当につきましては、令和七年度より、自衛隊員が災害派遣に従事した場合に、俸給とは別に支給される災害派遣等手当の通常の日額を千六百二十円から二千百六十円に引き上げたところでございます。
また、特に生命に著しい危険を伴う場合には通常の二倍の日額が支給されるところ、この額につきましても、現行の日額三千二百四十円から四千三百二十円となりました。その上で、東日本大震災のときは、特例措置として最大で日額四万二千円を支給しております。その後、再び同程度の大規模災害が起こった場合に備え、最大で四万二千円の災害派遣等手当を支給できる規定を平成三十一年四月から恒久化しました。
こうした災害派遣等手当に限らず、自衛隊の任務や勤務環境の特殊性を踏まえ、現場の自衛隊員が厳しい任務に安心して従事できるよう、隊員の処遇や生活、勤務環境の改善に全力を挙げて取り組んでまいります。
○池田委員 安心というよりは、この言葉の意味、すごく重いですから、これは本当に名誉に値するような形で、何円という話ではないと思うんですね。
とはいえ、現実路線として、一つ確認をさせていただきたいんです。被服の部分でいいますと、予算においては、手袋が二組から三組になった、靴下は四足から六足になった、こんな状況の中で今やっているわけですよね。それも、隊員さんの御要望でようやく今回予算がついたというけれども、令和六年から令和七年の予算については、二百十五億円から百八十七億円と下がっているんです。
私が聞きたいのは、寒冷地における冬靴なんですが、あと冬の革の手袋、これを自費で買っていたりするんですよね。
ここについて、何で増額していないのかなと思っていまして。日常の中で、全国どこかあって、寒いところに行くときだけ一足あればいいということではなくて、北海道とかだと、マイナス何十度というのは当たり前の状況の中で朝から晩までいるわけですね。そうすると、手袋とか、もう凍傷になっちゃうんですよ。それを自分で買っているというのは、ちょっとここは、はてなという形で思っていて。一組しかないということ、これは事実ですか。確認です。
○嶺政府参考人 お答え申し上げます。
まず、隊員に支給している被服等の官品でございます。
令和七年度予算におきましては、作業用手袋及び靴下の品質改善や、交付する数量を見直しました。それでかかる経費を計上しているところでございます。
委員御指摘ございました厳しい寒さとなる、例えば北海道地区なんですけれども、部隊等に勤務する隊員には、通常の作業用手袋に加えまして、防寒性を備えた防寒戦闘手袋というのがございますが、これを防寒装備として支給するほか、靴の方も、防寒戦闘靴と……(池田委員「二つ欲しい」と呼ぶ)数ですね。支給としては、防寒戦闘靴に関しましては二足ということになっております。(発言する者あり)手袋につきましては一つということでございます。
○池田委員 何とかそこを、二つお願いします。
私も、朝、街頭活動、マイナス二十七度とかいうところがありますけれども、そんなのは私の場合は一時間、二時間ですから。もうずっとやっているわけですから、凍傷になって、そして自分で買っているということを考えますと、少なくとも二つ、二組お願いしたいと思います。
○嶺政府参考人 お答え申し上げます。
隊員が必要とする品質、数量を確保することは重要だと考えております。これら、改善を引き続き取り組んでまいりたいと思います。
○池田委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
防衛省の皆さん、本当にありがとうございました。
それでは、ケアマネジメントについて、介護支援専門員の質問に入らせていただきたいと思います。
まず、この介護支援専門員、この後また介護についてはいろいろとこの委員会で議論させていただこうと思っておりますけれども、そのつなぎ役として大変重要な介護支援専門員、私も、この制度創設から介護支援専門員として、そしてケアマネジャーとしても働いておりましたし、東京から北海道へ移ったときに、また手続し直すのかみたいなところもあったりとかというようなことも踏まえた上で、今日は質問させていただきたいと思います。
まず初めに、この制度の定数ですね。介護支援専門員の人数、制度創設時が五十、平成十八年から三十五、令和六年四月から四十四に変わっています。この数字の変化は、どういった根拠といいますか、理由がありますでしょうか。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のケアマネジャー一人当たりの担当件数につきましては、指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準において規定をしてございます。
委員御指摘のとおり、制度創設当初は、標準的な担当件数は五十人としておりました。その後、ケアマネジメントの質の確保が課題になったことから、平成十八年度に先ほどの基準を改正をしまして、これを三十五人としたということでございます。その後、令和六年度の基準の改正におきまして、業務効率化の状況など、居宅介護支援事業所を取り巻く環境の変化を踏まえて、逓減制の緩和と合わせて、担当数の基準を四十四人としたところでございます。
○池田委員 私が確認したいのは、何で、人口減少ですごく地域で人が少なくなって、事業所サービスも少なくなってというところになるのに人数が増えるのかなと。私は、五十人のときよりも、やはり三十五というのは、おおむね、都内だったらケースをしっかり見渡せるなと家族や地域を見ても思ったんですけれども、これは何で逆行するんだろうな、非常に大変厳しい見直しだなというふうに思っているんですね。
そもそも、このケアマネジメント、ケアマネジャー、今、介護支援専門員の法に基づくケアマネジメントについてですけれども、本来業務はどう捉えていらっしゃるんでしょうか。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
ケアマネジャー、介護支援専門員の本来業務につきましては、介護保険法に規定がございまして、まず、介護保険法第七条におきまして、要介護者等からの相談対応、要介護者等が適切な介護サービス等を利用できるよう、市町村、介護サービス事業者等、関係機関との連絡調整が位置づけられておりますし、介護保険法第八条の居宅介護支援の内容といたしまして、居宅サービス計画、いわゆるケアプランの作成等が位置づけられているところでございます。
○池田委員 恐らく、数の見直しのときに、施設の中での部分と混同しているんじゃないかなと。要は、居宅でやっているところの点在する人たちというのは、すごく今減少しているんですよね。資料を今日はおつけしていますけれども、居宅ケアマネジャーさんは大変減少しているんです。当然だと思います、地方ではサービスがないとか、あとは距離が大変だとか。
さらには、移動距離、見てください。ちなみに北海道の面積をつけています。現状と課題というところで、日本の面積の四分の一、オーストリアとほぼ同じみたいなところで、人口減少も全国よりも二十年早く少子化が進んでいるというような状況の中で、地方に行けば地方に行くほど、非常に距離間、移動の距離が大変になるということで、ここのコストも出ないんですよね。ですので、もう事業所も成り立たないという状況だと思うんですね。
こういったところをしっかり加味しているんでしょうか。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどの定義、それから基準の見直しにつきましては、全国のデータ等々も拝見をした上での見直しでございますが、委員御指摘のように、立地の状況等々に基づきまして様々差異があるというお話は私どもも承知をしております。
そういう話と、それから、先ほどもう一つお話がありました、介護支援専門員の方々の業務の実態を施設内のケアマネジャーさん等と区別しているのかというお尋ねがございましたが、私ども、タイムスタディー調査等々もしておりますが、それは、居宅介護支援、つまり居宅介護支援事業所を構えている事業所への調査として行っておりますので、母数となっているデータにつきましては、居宅介護支援事業所に関する調査だということは申し添えておきます。
○池田委員 ありがとうございます。
そして、シャドーワークといって、いわゆるサービスとサービスをつないでいくとか、御本人の意欲喚起といいますか、合うか合わないかなみたいな、そういったアセスメントを通しながらケアプランに盛り込んでいくという、いわゆるサービス、一つ何か買物をしますというものとは全く違う質がここにあるわけですよね。
こういった見えない部分の働きがしっかりあってこそ、御本人の日常生活の豊かな自立の支援という形につながってまいりますので、ここをしっかりと換算していただきたいんです。どういう仕事があるのか、そして、どういう手続とかもやっているのか。それは代替サービスが都会であればあるかもしれませんけれども、地方に行けば行くほどそういったものもないので、現実に、介護支援専門員さん、ケアマネさんが担っているというのが現実なんですよ。
ですので、そういった地方の格差とか実情に見合った認識をしていただかないと、今後、いわゆるケアマネジャーさんの国家資格だとか、あるいは資格化とか研修の在り方だとか、こういったところを議論するベースになりますので、まずは、今、実態調査をしっかりしていただきたいんです。地方の格差もあるし、中身もあるし、それを余計なことだというふうに言われちゃうと、それまた困っちゃいますしね。
どういう実態があるのかというのを実態調査、本当に、どんな形でもいいのでやっていただきたいと思っているんですが、いかがですか。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、ケアマネジャーの在り方を検討する上では、ケアマネジャーさんの業務内容ごとの時間等々についてしっかり把握をして、議論に供していくことが重要だと考えております。
私ども、定期的にタイムスタディー調査、これは先ほど申し上げましたように居宅介護支援の事業所に対する調査ですけれども、それを行う中で、先ほど先生が御指摘くださった法定業務、それから法定外の業務、業務についても、ある程度細かく分類をした上で時間数の把握等をさせていただいているところです。
また今年度も予定をしておりますので、先生御指摘のような話も含めて、きめ細かい把握に努めてまいります。
○池田委員 是非、処遇改善も対象になっていなかったりとかもしますから、しっかり丁寧な実態調査をしていただきたいと思います。
また、デジタル化についても、今、もちろん全国的に進めていく中で、小さな事業所、個別のところでやるというよりは、統一的なものをしっかりと国としてサポートをして、さらには財政的な支援も求めていきたい。
加えて言えば、先ほど来から申し上げているのは、介護支援専門員さん、ケアマネジャーさんは対面です。対面が基本です。五感で感じて、いわゆる画面では見えない部分をどう捉えるのかというのがアセスメントに物すごく重要ですから、今、ここは外せないという認識のあるケアマネジャーさんたちがまだまだ存在していますから、本来この国にとってどういう制度がいいのか、見直すために大変重要だと思いますので、そこも併せて丁寧に実態調査をお願いしたいと思います。
そうしたら、ちょっとお願いで言い切りになりましたけれども、最後に一点。
今日、先ほど附帯決議で医薬品のであったリプロダクティブヘルス・ライツについて、質問を大臣にさせていただきたいと思います。
今日、産婦人科学会が出された資料を添付させていただきました。このようなことが注意喚起という形でお知らせされておりましたけれども、まさに命、そして女性の意思決定というのは極めて重要であって、ここはちょっと医療の観点からも大臣に、厚労大臣としてどういうふうに思われていらっしゃるか。今回こういった文書を御覧になられて、どんなメッセージを出すべきかということを、女性のリプロダクティブヘルス・ライツについての観点から、大臣から一言お願いしたいと思います。
○福岡国務大臣 性と生殖に関する健康と権利を指します、御指摘がございました女性のリプロダクティブライツ・アンド・ヘルスにつきましては、国際的に重要な女性の人権の一つであるというふうに承知をしております。
一義的にはこども家庭庁の所管でございますが、厚生労働省といたしましても、女性のリプロダクティブライツ・アンド・ヘルスを含む女性の健康支援は大変重要と考えてございまして、昨年十月に設置いたしました女性の健康総合センターにおいても、女性やカップルを対象として、将来の妊娠のための健康管理を促す取組でございますプレコンセプションケアなど、女性の体と心のケアに取り組んでいるところでございます。
引き続き、関係省庁ともしっかり連携しながら、女性の健康に対する必要な支援を行ってまいりたいと思います。
○池田委員 大臣、今、答弁、残念だったのは、やはり、こども家庭庁が所管ですとか、そういうことじゃないなと思うんですよね。今、命を育む部分で、医療の問題で、もちろん子供の出自を知る権利とか、こども家庭庁かもしれませんけれども、厚労大臣として、やはり命に向き合って、命をつくっていく、守っていく、物すごく、大臣、もう少し強いメッセージをいただきたかったと思います。
引き続き、委員会でやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○藤丸委員長 次に、中島克仁君。
○中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。
私からも質問させていただきたいと思いますが、私からは、大きく三点、厚生労働政策決定と医療系団体からの献金の妥当性について、医薬品供給における価格交渉代行業者の評価について、またゲノム医療に関して基本計画について、お尋ねをしたいと思います。
政治改革における企業・団体献金の在り方に結論を出すというのは、今国会の最大のテーマの一つだったと思います。しかしながら、全面禁止か、我々は企業・団体献金は全面禁止を訴えているわけですが、自民党においては透明性確保ということで、まだ結論が出ていない、硬直化している状況であります。
ここは政治改革特別委員会ではございませんから、その是非を問おうとは思わないんですけれども、医療系団体、はっきり言います、日本医師会、その医師連盟、歯科医師会、歯科医師連盟、この献金においては、その原資は、国民の皆様の税金、保険料、そして一部の自己負担。これが、政治家に多額の献金がなされている。
私は、政治改革特別委員会で禁止か透明性確保か、これはこれなんですけれども、やはり、高額療養費の問題、また中間年薬価もそうですし、我が国は少子高齢化、人口減少、かつてない厳しい時代の中で、百歩譲って、民間企業が自分たちの目標に向けて、それを理解してもらおうと思って政治家に献金をする、これは民主主義のコストと呼べるかもしれませんが、原資が税金、保険料が大部分である医療系団体からの献金について、政治資金規正法云々ではなく、今の社会状況から考えれば、それを民主主義のコストと本当に片づけていいのか、そういう問題意識から、まず大臣に事実関係を確認させていただきたいと思います。
福岡大臣は、日本医師連盟、日本歯科医師連盟から、これまでどれくらいの政治献金、寄附、またパーティー券購入を受けておられるのか、確認させていただきたいと思います。
○福岡国務大臣 政治資金につきましては、政治資金規正法に従い公表してございまして、私が代表となっております自由民主党佐賀県参議院選挙区第一支部に対します寄附は、日本医師連盟から令和五年に百万円、令和四年に百五十万円、日本歯科医師連盟からは令和四年に五十万円となってございます。
○中島委員 これは報道によると、日本医師会から、二〇一二年以降、福岡大臣の政治団体は一千七百六十万円の寄附やパーティー券購入を受けていたとされておりますが、これは事実でしょうか。
○福岡国務大臣 済みません、遡った額等につきましては、ちょっと今日の御質問の通告にございませんでしたので、そこは改めて調べさせていただきたいと思います。
○中島委員 私の問題意識は先ほど申し上げましたが、令和四年、令和三年、百万円、百万円ということでございます。
パーティー券も含めてということでよろしいですね。
○福岡国務大臣 パーティー券は、一回当たり二十万円を超える購入の場合に記載することとされてございまして、日本医師連盟、日本歯科医師連盟については、それを超える購入はないということでございます。
○中島委員 その公表の在り方も今議論されているわけでありますが。
もう一点確認ですけれども、大臣は、厚生労働大臣就任後、医師会、また歯科医師会から、献金、寄附、パーティー券の購入を受けておられるかどうか、確認させてください。
○福岡国務大臣 厚生労働大臣就任後は、所管業界から寄附であったりパーティー券代を受け取ったことはございません。また、政治資金に関する収入及び支出は、法にのっとり適切に収支報告書に記載をしてございます。
○中島委員 これは支部も含めてということでよろしいですね。政党支部。
○福岡国務大臣 政党支部も含めまして、就任後については一切受け取ってございません。
○中島委員 私の問題意識は、ここは政治改革特別委員会ではありませんからなんですけれども、大臣、やはり、先ほど言ったように、高額療養費とか中間年薬価とか、現下の物価高の中で、保険料が高くて、本当に必要な方が医療を諦めてしまうかもしれない。
そして、こういう状況の中で、大臣として、今、大臣就任後は受けられていないということでありますが、今後も厚生労働行政のトップとして様々な制度改革が必要ですよね、そのリーダーシップを取るために、税金が原資、保険料が原資である医療系団体からの寄附は一切受け付けないとお約束していただけますか。
○福岡国務大臣 政治資金の今後の在り方については、各党各会派で御議論いただくべきものであるというふうに承知しておりますが、いずれにしましても、法令にしっかりのっとって対応してまいりたいと思います。
○中島委員 この話をそんなに多くしようと思っていない。
じゃ、大臣、私がさっき問題意識をした、医師連盟、歯科医師連盟、献金を含む資金提供、原資が、税金、保険料がほとんどを占めている。この税金、保険料が大きく占める医療団体からの政治献金が政治家に多額、福岡大臣は今お答えいただきましたが、一部の報道では自民党には六億円とも言われている、個人の政治家に何億円も献金がされている、こういったことが本当に妥当性があると大臣はお考えになられますか。
○福岡国務大臣 政治資金の今後の在り方については、まさに今御議論を各党各会派でいただいておるところでございまして、それについての私自身の所感については申し上げることは差し控えさせていただきますが、いずれにしても、法にのっとってしっかり対応してまいりたいと思います。
○中島委員 私は、さっきも言ったように、百歩譲って、民間企業の献金だったり、それは議論の余地だと思いますが、予算委員会であれだけ問題になった高額療養費、多くの患者さんが受診をためらってしまうかもしれない、でも制度維持のためにという御説明を政府がしている一方で、その原資が税金、保険料である。これは法律で決める以前の話であって、改革、また見直しを、リーダーシップを取るために。
政策をゆがめられているかどうかということは、私は、外形的に見れば、昨年末、財務大臣と厚生労働大臣の折衝の中で、中間年薬価改定と、そして高額療養費の見直しが決められた。ただ一方で、例えば、慢性疾患の包括報酬制の導入であったりとか、外来管理加算の廃止であったりとか、OTC類似薬、こういう議論は社会保障審議会でやられている中で、何か日本医師会が大きく反対しないようなものはどんどんどんどん前に進み、そうじゃないもの、私の本丸のかかりつけ医の制度化だってそうですよ、そういう状況が、そうじゃないとは言っても、それだけの額がそういう医療団体から献金がされていれば、これは政策がゆがめられると疑念を生じますから。
政治が、法律が決まった、決まらないではなく、これは厳にしっかり、法令に従ってというよりは、これから厳しい我が国の状況の中で、厚生労働行政、リーダーシップを取っていくなら、法律が決まったとか法令に従ってではなく、そういう疑念を抱かれないために、そういう医療団体からの献金は自主的に控えるべき。これは副大臣も政務官も、是非指示をしていただきたい。いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 重ねてで恐縮ですが、政治資金の在り方については、まさに今御議論をいただいているところでございまして、その御議論の下に出された結果に私たちはしっかり従っていきたいと思います。
○中島委員 御議論の結果じゃなくて、自主的にやるべきだと私は言っているわけです。
言っておきますが、到底そんな理屈で国民の多くの皆さんに理解なんか求められませんよ、それだけの多額の献金をもらっておいて。だって、医師連盟の目的、日本医師会の理念や政策を実現するために活動する政治団体から多額の献金をもらっていて、いや、でも、医師連盟さんからお金をもらっているけれども一切関係ありませんなんということが、そんなことを国民の皆さんが理解できるわけないじゃないですか。
だから、そういう疑念を抱かせてしまったら、例えば高療費の見直しもこれからと言いますが、やはり何かの意向が働いていると疑念を抱きますよ。
是非そこは、大臣、副大臣、政務官含め、そもそも我々は、企業・団体献金全面禁止、政策をゆがめられるような、疑念を持たれるようなものは一切廃止するべきと訴えていますので、特に厚生労働行政においては、その観点は重要に思っていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
続いて、ちょっと順番を飛ばして、ゲノム基本法の方から先に質問をさせていただきたいと思います。
約二年前の令和五年六月に、通称ゲノム法、良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律、これは長い名前なんですが、このタイトルは、一緒に、今御引退されましたが、長崎の冨岡先生と、これは何日もかけて、アクセルとブレーキをどう表現するかということで作ったネーミングでありますが、これが議員立法として成立をいたしました。
その法律に基づいて基本計画が策定されることになっておりましたが、もう二年前に成立したわけでありますが、いまだ基本計画が策定されていません。
まず確認、参考人でいいです。ゲノム医療法に基づく基本計画の策定がいまだされていない理由と、検討状況、進捗について確認させてください。
○内山政府参考人 お答えいたします。
今御指摘いただきました、令和五年六月に公布されましたいわゆるゲノム医療推進法におきましては、御指摘のとおり、政府がゲノム医療政策を総合的かつ計画的に推進するための基本計画を策定することが規定されております。
これを受けまして、基本計画の具体化を図るため、厚生労働省のワーキンググループにおきまして、がんや難病の患者の立場の方、ゲノム医療の提供や関連する研究を担う有識者の方などの参画の下、複数回のヒアリングを含め、計十一回にわたり、策定に向けた議論を丁寧に積み重ねてきているところでございます。
本年二月二十八日、そして三月二十五日開催のワーキンググループでは、基本計画の本文案について議論を行っておりまして、その議論も踏まえ、現在、更に調整を行っているところでございます。
今後、法律の成立に御尽力いただいた超党派の議員連盟等でも御意見をいただきながら、基本計画の策定に向けた対応を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○中島委員 様々な意見を聞いて丁寧に進めている結果、成立から二年、まだ基本計画ができていない。丁寧には進めながらも、やはり迅速に基本計画を策定しなきゃいけない。
今お話に出た超党派議連、私は事務局長を務めているわけでありますけれども、改めてですが、その声を聞いていただいて丁寧に進めていただいておることは改めて敬意を表したい、そのように思いますが、いつまでも延ばすわけにはいきませんから、具体的にもう日程も決まっているんだと思いますけれども、迅速に策定、急いでいただきたい。
そして、議連の中でも様々な声がある中で、やはり、国民の皆様にとってこのゲノム医療は非常に分かりづらい部分もあるんですが、一般的に国民の皆さんが接する部分においては、医療以外の目的による解析、消費者向けサービス、DTC、ダイレクト・トゥー・コンシューマーの質の担保、精度管理への適切な配慮、これが通称ゲノム法にも規定をされております。
このDTCに関しては、一部には、医師が関わっていないにもかかわらず医学的な判断を行っているものも見受けられる。一年前でしたか、幼稚園の理事長が子供たち全員にゲノム検査をして、その特徴からいい対応をしようと誤った使われ方がされている。
これは、管轄は経産省また消費者庁にまたがるところでございますが、基本計画に向けて、医療とは別のくくりであるDTCに関してどのように検討がされているか、確認させてください。
○内山政府参考人 お答えいたします。
現在、民間事業者による様々な消費者向けの検査サービス、いわゆるDTCが存在しているということは承知をしてございます。
一般論といたしまして、疾患の罹患可能性の提示や診断等の医学的判断を行うことについては、医師以外による医業を禁止する医師法に抵触するおそれがあるというふうに考えてございます。
このため、民間事業者による消費者向け検査サービスについては、関係法令を遵守した適切な検査の提供を担保するため、本年三月に、健康寿命延伸産業分野における新事業活動のガイドラインの見直しを行いまして、医師以外による医業を禁止する医師法第十七条の解釈の明確化や、適法事例や違法事例の明確化を行ったところでございます。
このガイドラインは、遺伝子分野における検査サービス、DTCにも同様に適用されるものでございまして、その内容や、その他関連するルールの周知等の取組につきましては、先ほど申しました基本計画への記載も検討しながら進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○中島委員 これは民間検査でありますから、DTCの質の担保と適正な使われ方、間違った利用にならないように、これも管轄がまたがるんですが、これは厚生労働省がしっかりグリップをして、基本計画にも明確に盛り込んでいただきたい、そのように思います。
そして、基本計画、一度策定しただけで終わりではありませんので、社会の変化とともに随時フォローアップする体制、まずは迅速に基本計画を立てていただくことが必要ですが、そのフォローアップの在り方についても、答弁は求めませんが、是非お願いをしたいと思います。
そして、大臣、やはり患者さん方から一番、現状で要望されるのは、がんパネル検査ですね。現時点で、標準治療が終了した場合に保険適用となっています。治療上の必要に応じて標準治療の開始前に実施できるように見直ししていく、これは実際そうだと思うんです。最後の標準治療が終わってからゲノム解析。その前からゲノム解析が出てきていれば、選択肢も狭まり、効率的に治療が開始できる。
そういう意味で、次の診療報酬改定に向けて、このがんパネル検査、標準治療の開始前に実施できるように、是非大臣からも働きかけをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 御指摘がございましたように、がん遺伝子パネル検査については、現在、標準治療がない固形がん患者の方であったり標準治療が終了又は終了見込みの固形がん患者さんに対しまして、保険診療として実施することが可能でございます。
御指摘がございました標準治療前に実施されますがん遺伝子パネル検査につきましては、現在、先進医療の枠組みで科学的根拠の収集が進められてございまして、今後、保険適用の可能性も含め、評価が行われる予定でございます。
その結果によって得られる有効性、安全性に係るエビデンスも含めまして、関連学会の学術的見解等も聞きながら、中央社会保険医療協議会において議論を進めてまいりたいと思います。
○中島委員 聞くまでもないと思うんですけれども。
こういうがんゲノム、本当にアクセルとブレーキ。一方で遺伝による差別。これは、法務省が令和七年度の人権擁護機関啓発活動重点目標十八番目に、ゲノム、遺伝情報を基に差別取扱いが行われてはいけないと。
そういう一面と、一方では難病を抱える方々。前もここで御披露しましたが、私、外科医だった三十年前、初めて診た患者さんは、家族性大腸ポリポーシス、常染色体優性遺伝、十七歳の女の子、女性でしたが、その子の夢は子供を持つこと。戸惑いますが、いずれ、今回のようにゲノム医療が発展をして、その夢がかなうときが来る、今元気であれば四十七歳だと思いますけれども、そういう患者さん方がたくさんおられます。
そういう意味から、がんゲノムは推進しつつ、そして差別取扱いがないように、さらに、医療現場においてはより効率的にゲノム医療を推進できるように、是非努力をしていただきたいと思います。
そして最後に、医薬品供給における価格交渉代行業者の評価についてお尋ねをいたします。
先ほど冒頭、中間年薬価改定が、井坂筆頭理事からも、採決は見送られているということでございますが、私も、医者になって先ほど言った三十年ですが、この三年以上の医薬品不足は本当に経験したことがないぐらいです。なぜここまで長引くのか。その理由については、一点目はジェネリックの問題。そして二点目が、いわゆる中間年薬価、毎年のマイナス改定、これが製薬基盤を脆弱にしているがためにこういう状況を招いている。そして三つ目が、私は流通の問題だと思っています。
この流通に関わる部分が価格交渉代行業者ということになるわけですが、これは、厚生労働省も有識者検討会などを開催して、報告書をまとめ、問題意識は持っていると思います。その対応としてガイドラインを遵守させるということでございますが、そもそも、普通の商品では、生産者から流通業者を経て消費者に届けられるその過程の中で、需給バランス等に応じて価格が決まる。一方、医薬品は、消費者に該当する患者等に対して公定価格、薬価ですから。こういう固定された価格での販売しかできないにもかかわらず、流通過程では一般の商品と同様に自由な価格交渉が可能となっている仕組み、これによってひずみを生じさせているわけです。
公定価格という形で出口が固定されているにもかかわらず、流通過程において自由な価格交渉がされるという現在の医薬品の流通慣行について、大臣はどのように考えられておられるか。厚生労働省としては、医薬品の流通における自由な価格交渉や交渉代行業者の存在について、どのように認識し、そしてこれからどうしようとしているのか、大臣にお尋ねしたいと思います。
○福岡国務大臣 御指摘ございましたように、医療用の医薬品は、薬価基準に基づき、国によって償還価格が決められる一方で、製薬企業、卸売業者、医療機関、薬局の間の取引は自由取引に委ねられてございます。
その上で、これまで総価取引みたいなことが行われていましたから、そういったものの改善であったり、単品単価取引の推進などの課題もございますことから、個々の医薬品の安定供給に必要な流通コストを考慮した適正な価格形成が図られるよう、流通関係者が遵守すべきガイドラインを定め、一定のルールの下での取引環境の整備を行ってきているところでございます。
価格代行業者につきましてもガイドラインにのっとった取引が求められてございますが、チェーン薬局であったり価格交渉を代行する者が大規模化により価格交渉力を強め、薬価差を得る目的での取引が増加し、一部で過度な薬価差の偏在が生じていることなどが課題になっているというふうに承知をしてございます。
それに当たりまして、今後、先ほど申し上げましたガイドラインにおいて、医療機関や薬局に対して、価格交渉を代行する者に依頼するに当たり、その者にもガイドラインを遵守させることを求めるなどを明記したところでございまして、こうした扱いについて、しっかり徹底していきたいというふうに考えております。
○中島委員 今、ちょっともう少しこれは質問しようと思ったんですが、薬価は決まっていて、中間年薬価も改定されるわけです。こんなことをなし崩しで、何の基準もなければ、薬価そのものが何の意味があるのかということになるということを問題意識として持っていただきたい。
それと、福岡大臣、日本医師連盟からの献金について、就任前、昨年の十一月二日に二十万円のパーティー券を買ってもらっている。(発言する者あり)一昨年か、一昨年。これは先ほどの答弁とちょっと食い違いますので、是非、理事会に、大臣就任以降の、医療団体、日本医師連盟、歯科医師会からの献金の額について、詳細を理事会に提出していただくことをお願いしたいと思いますが、委員長、お諮りをお願いします。
○藤丸委員長 はい。理事会に諮ります。
○中島委員 ちょっと価格交渉代行業者については途中になってしまいましたので、また次回の機会に質問させていただきます。
ありがとうございました。
〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕
○長坂委員長代理 次に、長谷川淳二君。
○長谷川(淳)委員 自由民主党の長谷川淳二でございます。
質問の機会をいただき、ありがとうございます。
まず、私は、地方の医師不足問題についてお伺いをしたいと思います。
私の地元は、四国の西南部、愛媛の一番南の地域でございます。県立病院が一つ、九つの市立、町立病院がございまして、公立病院が地域医療を支えている地域でございます。医師の偏在、当然ございます。
この偏在是正については、これまで、医学部の定員増あるいは地域枠の設定など様々な対策が講じられてきましたが、依然として、地域間の偏在、また診療科間の偏在が深刻でございます。救急医療、産科、小児科、麻酔科、最近では外科医の不足も顕著でございます。
私は、医師不足地域から選出されている議員の有志で、昨年、武見前大臣に、実効性ある偏在是正対策を講じていただきたいという提言をさせていただきました。昨年末には医師偏在の是正に向けた総合的なパッケージが取りまとめられ、また、今般の医療法の改正案においても具体的な対策が盛り込まれております。
特に私が指摘をさせていただきたいのが、やはり、従来、大学医学部の医局が担っていた、地方の医療機関に対して医師を紹介する機能が弱まっている、これが一番の課題ではないかということでございます。かつては、医局の紹介によりまして自治体病院に派遣された医師が定着をし、地元で開業されて地域医療を支えていただく形がございましたが、最近、医局からそもそも派遣ができないというケースですとか、あるいは、派遣をしていただいても短期間で医局に戻らざるを得ないといったケースがほとんどでございます。
地方において医師を確保するための実効的な対策として、まず、そうした医師不足地域で重点的に支援すべき自治体病院などを指定をして、大学の医学部や基幹病院から医師をローテーションで派遣していただく機能、これを強化するとともに、医師不足地域への定着を促進するために、経済的なインセンティブの付与も含めて、国が一層後押しをすべきではないかと考えております。
また、これまでの対策によって、若手医師の医師不足地域での勤務については一定の効果は表れていると思いますが、地方の自治体病院では経験を積んだベテラン医師が不足をしております。自治体病院を設置している市長あるいは町長が、退職医師を何とか確保しようと苦心をされているところでございます。
こうした医師不足地域における医師確保を図るために、大学や基幹病院からの医師派遣やローテーション機能の強化、あるいは大学病院などを退職した勤務医と医師不足地域の医療機関とのマッチングについて国は更に支援を強化すべきと考えますが、大臣の見解を伺いたいと思います。
○森光政府参考人 お答えさせていただきます。
医師不足地域におきます医師の確保は、将来にわたって地域で必要な医療提供体制を確保する上で重要な課題でございます。
こうした課題に対応するため、昨年末に若手医師だけでなく全ての医師を対象といたしました医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージを策定した上で、関連法案を提出したところでございます。
これらの中では、具体的には、議員が御指摘されたような、都道府県で医師の特に確保が必要な地域を重点支援地域として指定し、そこに派遣する医師に対する手当を支給するなどの経済的なインセンティブ等の内容、また、大学病院を退職した勤務医と医師不足地域の医療機関との全国的なマッチングへの支援、それから総合的な診療能力を有する医師養成に係るリカレント教育、また、都道府県と大学病院との間での医師派遣等に関する連携パートナーシップ協定の締結などの総合的な対策を推進することとしております。
本法案が成立した際には、御審議の内容も踏まえ、さらに、地方自治体、医療関係者等の御意見を伺いながら、実効性のある取組を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
○長谷川(淳)委員 福岡大臣、参議院本会議に出られるということでございますので、御退席されて結構でございます。
ありがとうございます。
私の地元は医師不足地域ですので、国民皆保険の下でひとしく保険料を払っている、救急など命に関わる医療アクセスについてはやはりひとしく確保してほしいという声が切実にございます。
特に医師不足地域の医師派遣については、私は、例えば自治医科大学に人的資源を集中して医療機関に派遣するなど、将来的にはやはり医師派遣機能を一元化すべきというふうなことが必要じゃないかと思います。
次に、今度は看護師の不足、とりわけ夜勤を担う看護師の不足の問題についてお伺いをしたいと思います。
私の地元の愛媛県で実施した昨年の、令和六年四月の看護師の募集人員に対する充足率、県内の医療機関で募集をしたものに対して、実際に看護師が採用できたパーセントが七四・六%でございました。必要な人員の四分の三しか確保できておりません。
また、私の地元で三次救急医療を担っている市立宇和島病院については、看護学生に対して独自の奨学金を給付していますけれども、やはり待遇のよい都市部に流出をしてしまいます。また、コロナ禍から続く現場の疲弊によって、やはり離職も生じている。人員の確保に大変苦慮している状況です。独自に夜間手当も増額をしていますけれども、育児休業を取得される看護職員も増加をし、また、介護のために夜勤が可能な実動看護師の確保が難しくなっております。そうなりますと、今度は特定の看護師の方に夜勤の負担が集中して、更に離職を招く、そういった事態も懸念されているところでございます。
また、実動看護師が不足していますので、病棟の一部を閉鎖せざるを得ない、こういった状況が地方の特に基幹病院では生じております。
やはり夜勤を担う看護師の不足は、救急医療を始め国民の命に関わる問題でございます。医師不足の問題の前に、地域医療が崩壊しかねないのではないかという強い危機感を私は持っております。
そこで、チーム医療の要である看護師、特に夜勤を担う看護師の確保のため、看護師の更なる処遇改善や、看護補助者の活用や看護DXなどによる負担の軽減、さらには、やはり質の高い看護を実践できる研修の充実強化など、更に踏み込んだ対策を検討していただきたいと思いますが、これは仁木副大臣でよろしいでしょうか。
○仁木副大臣 長谷川議員にお答えします。
看護職員の確保については、御指摘がありましたように、新規養成、復職支援、そして定着促進の三本柱で今取組を進めております。日常的に夜勤を行う必要があるという看護職員の業務特徴を踏まえると、これは病院であることが多いわけですけれども、夜勤を担う看護師の負担を軽減しながら必要な人材を確保していくことが重要ですので、例えば仮眠室の環境の改善や、また、看護師と共同してタスクをシェアしていただく看護補助者へのタスクシフティングの推進も進めております。
また、夜勤の負担軽減にも資するように、看護現場、特に、いろいろな看護業務をした後に医療従事者同士で申し送り等々をやります、そのときにまた看護記録を記載する、こういったところにおきましても、ICT、更に進化しておりますので、そういった進化したICTを普及させるための推進、これも令和六年度補正予算を活用して、新たに看護DXという形の検証事業を開始することにしていますので、その検証を踏まえて、そういった医療DXの知見的ないいシステムが各病院の方に普及するようになることも、そのことに併せて資すると思っております。
また、先ほど、私も四国でございますけれども、厳しい地方での、看護師さんの資格を取った人が都会というか処遇のいいところへ流れていくこともありますので、こういった処遇改善も重要であるということで、来年度の診療報酬改定に向けてもそうでございますし、また、補正予算でも賃上げに向けた支援を講じてきたところでございます。そういうことも踏まえて、看護師のことを進めていきたいと思います。
また、定着促進ということに関しましては、子供さんのいらっしゃる方が、例えば企業内保育という形で、託児保育を同じ病院内でやる取組も、例えば地域医療介護確保基金を用いてやれるような事業もありますので、とにかくそういうことを総合的にフル活用しながら、地域における、特に地方における看護師の確保に向けて取り組みたいというふうに努めてまいりたいと思っております。
○長谷川(淳)委員 仁木副大臣、ありがとうございます。
やはり、処遇の更なる継続的な改善、これが是非必要だと思います。是非ともよろしくお願いいたしたいと思います。
次に、医師や看護師不足の影響を最も受けているのが周産期医療、とりわけ、中核となる総合周産期母子医療センターの現場ではないかと思います。
御案内のとおり、総合周産期母子医療センターは、ハイリスク出産や新生児の集中治療が必要なケースを専門に扱う医療機関でございます。私の地元、愛媛県では県立中央病院に周産期医療センターが設置をされておりますが、産科、小児科、麻酔科の医師、夜勤を担う看護師が慢性的に不足をしております。母体・胎児集中治療室、MFICUの病床が全床稼働ができていない状況でございます。
さらに、MFICUの体制を確保するために、これまでは一人の当直医師ともう一人の待機医師の体制で、激務の中、ぎりぎり支えてきたところでございますけれども、令和六年度の診療報酬改定において、MFICUの施設基準に宿日直を行う医師以外の専任医師の配置が追加されたことによりまして、愛媛県を始め、地方の基幹病院ではMFICUの算定ができなくなっている事態が生じています。このままでは病院の収入まで減ってしまいまして、県下で唯一のハイリスク分娩に対応する周産期医療の維持が困難になる。あるいは、最近、晩婚化、晩産化が進んでいます。ハイリスク分娩も増えています。そうしたハイリスク分娩に対応して妊婦や胎児の命を守るために、やはり地方の実情に応じた支援が必要という切実な声をいただいております。
そこで、総合周産期母子医療センターの体制を確保するために、産科、小児科医師や夜勤を担う看護師の確保対策とともに、施設基準の見直しを含め、地方の基幹病院が運営可能な診療報酬体系が必要と考えますけれども、見解をお伺いいたします。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
令和六年度の診療報酬改定におきましては、医師の働き方改革等を推進する観点、あるいは先生御指摘の母子、胎児集中治療室において求められる業務というのが、状態として、ほとんど労働することがない、断続的な業務とは言えないことですとか、他の病棟と比較して高い点数が設定されていることなどを踏まえまして、この母体・胎児集中治療室管理料を算定する治療室の専任の医師については、原則として宿日直を行う医師ではないことを要件とさせていただきました。
一方で、御指摘のとおり、当該要件の追加によって、特に医師の確保が困難である地方の基幹病院において管理料の算定が困難になったというふうなお声があることも承知しておりますし、私自身、関係団体の方から直接そういったお話もお聞きをさせていただいたところでございます。
周産期医療を担う医療機関の診療報酬の評価の在り方については、令和六年度診療報酬改定による影響等をよく分析し、また踏まえながら、関係学会に御意見も伺いながら、中央社会保険医療協議会において引き続き検討していきたい、このように考えております。
〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕
○長谷川(淳)委員 鹿沼局長、ありがとうございます。
医師の働き方改革も最重要の課題でございますが、同時にやはり、安全、安心な出産の最後のとりでとなっているMFICUの体制を、是非とも地方の基幹病院でも確保していただくように検討いただきたいと思います。
また、我が国の半分の分娩は、地域の産科の診療所で対応されています。やはり地域の産科診療所で安全、安心な分娩を提供できる体制を支援することも、周産期医療全体を守るためには重要であると思います。
続いて、深刻化する外科医の不足の解消策の一つとして、情報通信技術の進歩によって、遠隔手術の社会実装に向けた研究が行われております。遠隔手術は、情報通信技術の発達と新機能手術ロボットの開発によりまして、技術的には可能な時代を迎えていると言われております。
現在、日本外科学会が中心となって遠隔手術の技術検証と運用指針の策定作業が進められていますけれども、遠隔手術の最大の課題は、通信回線の安全性と経済性の確保、そして何より、映像の圧縮伝送に伴う遅延時間、遅れる時間の短縮でございます。この伝送遅延については、総務省の支援の下に実施した最近の実証実験で、遠隔手術の社会実装が可能な水準まで短縮されたと伺っております。
そこで、総務省に、遠隔手術についての実用化研究事業について、どのような具体的な成果が得られたのかをお伺いしたいと思います。
○下仲政府参考人 お答えいたします。
遠隔手術につきましては、外科医師の不足が顕著な地方の医療体制の確保などにつながると期待されています。
総務省におきましては、高度遠隔医療ネットワークに関する研究事業として、令和二年度から六年度まで、遠隔手術の実現に必要な通信環境の検討、整理などの研究開発を実施してまいりました。
本研究事業により、通信回線の安全性について、仮に遠隔手術中に回線切断があり、冗長化された通信回線に切り替わっても、手術の操作性に影響がないことが確認されました。また、映像の圧縮伝送に伴う遅延時間の短縮については、高度な映像圧縮技術を用いることにより、当初想定した一ギガbps帯域保証型回線ではなく、百メガ帯域保証型回線でも遠隔手術の許容遅延時間とされている百ミリ秒未満を十分に達成できることが確認され、経済性についても、この必要通信帯域の減少により、一定程度確保されることとなります。
総務省としては、本研究事業により、遠隔手術の実現に必要な通信環境などを確認する成果が得られたものと考えております。
○長谷川(淳)委員 ありがとうございます。
私がお伺いしているところですと、この実用化研究事業では、伝送速度の遅延が具体的にどの程度低減されたか、札幌―福岡間、二千キロの距離であっても〇・〇三秒の遅延ということで、実際に手術室の中でリアルに会話することの場合と、ほぼ人間では知覚できない領域まで差が短縮されたとお伺いしています。
そして、遠隔手術の最大の課題である映像の圧縮伝送に伴う遅延時間の問題を克服し、遠隔手術が社会実装されれば、やはり、外科医が不足している地域で外科治療を十分に受けられる体制の確保のみならず、外科医の育成や働き方改革にも資するものと期待をしております。
地方に勤務する外科医にとっては、基幹病院の熟練した医師からそうした遠隔手術を通じて技術指導を受けることができる、あるいは地方の勤務へのインセンティブにもなると思います。また、指導医も手術指導のために地方の基幹病院まで出向かなくて済むということで、働き方改革との両立も図りやすいんじゃないかと思います。
現在、この遠隔手術支援のロボットでございますけれども、PMDAの承認申請に向けて研究が進められている段階とお伺いしています。今後、遠隔手術の社会実装に向けて、遠隔手術を行う際の通信費の負担の軽減や必要な運営体制の構築が課題となっているとお伺いしています。また、遠隔手術が保険収載されるためには、やはり情報通信技術を用いた手術技術のエビデンスが蓄積されていない点が最大の課題の一つとお伺いしています。
そこで、遠隔手術の社会実装に向けて、エビデンスを蓄積するための臨床研修を始め、遠隔手術を行う際の通信費の負担軽減や必要な運営体制の構築に対して、厚労省は、総務省、経産省など関係省庁とも連携して積極的な支援を行うとともに、保険収載に向けて検討を進めるべきと考えますが、見解をお伺いしたいと思います。
○森光政府参考人 お答え申し上げます。
遠隔手術につきましては、先ほど総務省の政府参考人から答弁していただいたとおり、実用化に向けて、技術的な課題を中心に研究は進んできていると承知をしております。
現在、まず、関係学会が、安全性を踏まえた実施体制に関するガイドラインの整備を進めているところと承知をしております。将来の社会実装に向けて、引き続き、関係学会等の御意見を伺いつつ、適切に連携してまいりたいと考えております。
また、御指摘のとおり、医学的な有効性、安全性に関わるエビデンスの収集のために必要な臨床研究等を進めることが必要でございまして、それにつきましては、厚労省といたしまして、医療機器に関しては医療機器開発推進研究事業等の枠組みを用意しておりますので、そういうものを活用して積極的に支援をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
また、その上で、遠隔手術の保険収載につきましては、その有効性、安全性に関するエビデンスに基づきまして検討していくこととなると考えておるところでございます。
○長谷川(淳)委員 ありがとうございます。
不足する外科医の確保対策につながる遠隔手術の社会実装の加速化に是非取り組んでいただきたいと思います。
以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、福田かおる君。
○福田(か)委員 自由民主党の福田かおるです。
現在三十九歳、働く世代ど真ん中でもございます。同世代から、暮らしがきついという声、そして将来への不安の声、よく聞いております。物価が高い、かつかつの生活を送っている、思うように賃金は上がっていかない、それでいて、将来のためだと給料から天引きされていく費用は多い。自分も精いっぱいな中で、子供の将来のこと、お金のこと、不安。
今後の本委員会では、医療や年金のことを更に議論していくと承知しております。本日は、雇用、賃金のこと、そして、保険料が大きな負担になりつつある社会保障制度のことを改めて議論させていただければと思っております。
初めに、二〇二五年の賃金の上昇見通しについてお伺いいたします。
インフレ基調の中、政府・与党として賃上げを訴えてまいりました。賃上げするための原資がきついという状況の中でも、経営者の方々、そして働く皆さんの大きな御尽力があり、二〇二三年、二四年と大幅な賃上げがなされてきたと承知しております。
二〇二五年春闘ベースアップはどのような傾向となっているのか、大企業と中小企業での違いはあるのか、また、政府としてはどのように評価しているのか、お伺いしたいと思います。
○森川政府参考人 お答え申し上げます。
四月三日に公表された連合の集計を見ますと、定期昇給相当分を含めたもので見ますと、規模計で一万七千三百五十八円、五・四二%の賃上げとなっており、組合員数三百人未満の中小組合では一万三千三百六十円、五・〇%の賃上げとなってございます。
ベースアップ分が明確に分かる組合の集計結果を見ますと、規模計で一万二千二百七十四円、三・八二%、組合員数三百人未満の中小組合で見ると、一万百十八円、三・七三%となってございます。
定期昇給相当分を含む賃上げ、ベースアップのいずれも昨年同時期を上回る結果となっておりまして、この賃上げの流れを、今後、地方や中小企業また非正規雇用労働者にも波及させていくことが重要と考えております。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
賃上げのトレンドを続けることができるかということは、今後の日本経済においても、そして、私たちの暮らしにとっても大変重要だと考えております。
折しも、米国のトランプ大統領の主導する関税措置で、世界経済は混乱しております。貿易環境がどのようになるのか、経済界は状況を注視していると思います。成長投資をしようにも、関税の状況を見ないと、どこにどのように投資すべきか、大変判断が難しい。また、これまで米国向けだった商材の仕向地が変わってくるとなると、様々な材の世界市場はどう動くのか、こうしたこともよく分からないと、予想がしにくいことばかりです。
要は、今回の一連の騒動を契機として、日本企業にとっても堅実な成長の道筋が描きにくくなる、こうしたリスクが顕在化しつつあるということかと思います。
短期的な事象に一喜一憂してもしようがない部分もございますが、米国のような日本にとって影響力の大きい国の体制は、中長期で日本の産業そして雇用に大きな影響を及ぼします。米国関税措置による雇用への影響については不安の声も出始めておりますが、政府は迅速に対応できる体制を整えていただきたいと思っております。
また、今後、どのように継続して状況を分析し、政策に反映していくのかも併せてお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
今般の米国における相互関税措置の発動につきまして、厚生労働省におきましては、厚生労働分野への影響の分析を始め、総合的な対応を図っていくため、今月九日に、事務次官を本部長といたしまして、米国の関税措置に関する厚生労働省総合対策本部を設置し、必要な対応について検討を進めているところでございます。関税措置による雇用や賃金への影響の分析に当たり、今後の関税措置の動向や様々な経済指標を十分に注視していく必要があると考えております。
また、米国の関税措置を踏まえた自動車産業を始めとする国内の各産業における対応やそれに伴う雇用への影響について、現在、都道府県労働局に対しまして情報収集を指示しているところでございます。今後、雇用への影響が見られた場合には、事業主、労働者からの相談対応や雇用維持への支援等の考えられる取組を適切に実施をしてまいります。
また、あわせまして、賃上げしやすい環境整備にも、引き続き関係省庁と連携を取り、取り組んでまいります。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
くしくも、トランプ大統領の関税措置により円高に揺り戻しがございましたが、今後の物価の変動については予断を許しません。物価が上がっている中で、それを上回る水準で賃金が上がっているのか、この点が大変重要だと思っております。
近年、そして足下の実質賃金はどのような傾向になっていますでしょうか。お伺いいたします。
○森川政府参考人 お答え申し上げます。
毎月勤労統計調査によりますと、令和六年の名目賃金の対前年比はプラス二・八%と三十三年ぶりの高い伸びとなった一方、実質賃金はマイナス〇・三%となってございます。名目賃金は四年連続のプラスとなったものの、消費者物価指数の高い伸びが続いていることにより、実質賃金は三年連続のマイナスとなってございます。しかしながら、そのマイナス幅については、令和五年の前年比マイナス二・五%から縮小しているというような状況でございます。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
結局、物価上昇率を超える賃上げがまだ達成されていない、そんな中で、不安定な国際情勢に直面しております。一刻も早くこの混乱した貿易環境が落ち着き、正常化されることを願っておりますが、交渉はまだ椅子が準備されたばかりという状況です。焦って妥協することも許されておりません。
産業の成長促進は引き続き全力で取り組み続ける、それと同時に、国民の負担を可能な限り軽減して、可処分所得を増やして生活を安定させていく、この二つが大切だと思っています。
物価の上昇は特に厳しく、生活の重荷になっております。自分たちの努力のあかしである給与から何か余計なものが引かれているのではないか、そんな疑いを持たれることは当然と思います。給与明細を見ると、やはり大きいのが年金や健康保険などの社会保険料になります。収入における社会保険料の負担割合はどの程度になっていますでしょうか。この十年間ではどのように変化しているのか、お伺いいたします。
○朝川政府参考人 お答えいたします。
平成二十八年度以降の十年間におきまして、社会保険料率の被保険者負担分の傾向を見ますと、まず第一に、厚生年金保険の保険料率につきましては、平成二十九年九月以降は九・一五%で据え置かれておりまして、協会けんぽの健康保険料率につきましても、平成二十四年度以降は五%で据え置かれております。また、協会けんぽの介護保険料率につきましては、〇・八から〇・九%程度でほぼ横ばいに推移しています。
このため、これらの制度に加入する被保険者が負担する社会保険料率は、この十年間、一五%程度でほぼ横ばいに推移してございます。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
全ての人にとってのセーフティーネットとなってくる社会保障制度です。しかし、少子高齢化の中で、先ほどもお話にありましたが、これからどんどん歳出が多くなると言われており、逆に、それを支える現役世代は減る一方となります。私たちの世代は、もはや引退した後に年金で生活することができない、何とか投資、貯蓄をしなければ将来に備えられない、そんな危機感を持っている方々も少なくありません。
家計調査では、この十年間、三十代や四十代の貯蓄や負債はどのように推移しているのでしょうか。お伺いいたします。
○永島政府参考人 委員お尋ねのデータにつきましては、家計調査の二人以上の世帯の結果から、現時点で最新となります二〇二三年の結果と、その十年前の二〇一三年の結果を比較してお答えいたします。
まず、貯蓄額でございますが、世帯主が三十代の世帯では、六百二十八万円から八百二十五万円と百九十七万円の増加でございます。それから、四十代の世帯では、千四十九万円から千二百八万円と百五十九万円の増加となっております。
次に、負債額について申し上げますと、三十代の世帯では、千十一万円から千八百五十四万円と八百四十三万円の増加、四十代の世帯では、九百九十四万円から千三百八十八万円と三百九十四万円の増加となってございます。
なお、この負債額の増加の要因については、いわゆる住宅ローンの増加の影響があると考えられます。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
マクロで見ればということになりますが、若い層の負債は拡大している、これがデータの示すところかと思います。
一昔前であれば、子供が独立すれば支出が減って貯金もできる、そんな展望もあったかと思います。ところが、現状は、若い方の収支は以前よりも悪化してしまっている。そして、今の経済状況です。
今の現役世代は、年齢を重ねれば貯蓄が増えて自分の老後は何とかなるというようなことは、無邪気に信じてはいられません。大変に厳しい目で今の日本社会を見ているということは、立法府そして行政府の皆さんにもしっかりと御理解いただきたいと思っております。
こうした中で、社会保障に係る負担の在り方について、今様々な議論がなされております。年金についても、本委員会で委員の皆さんが問題提起をなさっておられます。年金保険料の現役世代の負担はどのように定量化されているのでしょうか。また、負担割合の増加抑制のためにどのように取り組んでこられたかもお伺いいたします。
○間政府参考人 お答えいたします。
まず、現役世代の年金保険料の関係でございますけれども、年金制度は世代間の支え合いの仕組みでございまして、平成十六年、今から約二十年前の制度改正におきまして、将来世代の負担が過重にならないように、年金給付の原資となる保険料の上限を固定するということとしております。例えば厚生年金では、現在、労使合わせて一八・三%というふうな上限に到達しております。
その上で、収入をそういうふうにした上で、国庫負担金や積立金と合わせて、そうした財源の範囲内で給付を調整するという仕組みを行ってございます。
今後とも、こうした仕組みの下で、年金制度の持続可能性を維持しながら、着実に給付を行うということに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
御答弁いただきましたとおり、現役世代の負担の比率は近年据え置かれ、給付を調整することでやりくりされてきたと理解しております。
一方、物価は上がる中で、皆さん、切り詰めながら生活をなさっている。企業に対して、いつも同じ比率で社会保険料が引かれている。若い世代は特に、年金で生活することなどできないなと悟っている。自分に返ってくるように見えないこの支出は一体何なんだろう、こんなに切り詰めているのに、そんな気持ちになる方がいらっしゃることも否定し難いと思っております。
二十代後半や三十代前半の国民年金の納付率は、以前は六八から七〇%だったと承知していますが、最近は七五から七七%。納付率を高めるために、関係者の皆さんが一生懸命取り組んでこられた結果でもあると思います。
年金の納付は制度上義務になっておりますので、相互に助け合い、セーフティーネットとして運用されていると。納付率が下がるのをトレンドとするわけにはいきませんが、生活に余裕がなくて納付が考えられない、そんなお声もいただいております。結婚していない、子供もいない、一人で暮らしていて、今後も周囲のサポートは見込めず、自分一人で何とかしなければいけない、老後が心配だ、そんな方も増えております。そして、世界をめぐる経済環境は不透明さを増しております。
負担をお願いするに当たって、歳出を削減する努力は極限までしていると言えるのか、不要不急の給付があるのではないのか、増えつつある外国人の方々からもちゃんと徴収を強化しているのか、政府としての努力が大きく問われるということかと思います。日本に在留する外国人の国民年金納付率は四三%という答弁書の閣議決定も、早速に話題となっております。
現役世代は、自分が払ったものが返ってくる、そんなふうに政府を信用してはいません。年金制度は本当にお困りの方に届くための制度になっているのか、余裕のある方に更にお支払いするために、賦課方式の中で現役世代から徴収を強化しようとしているのではないのか、まさか、生活に余裕がある裕福な御高齢の方々にまで更に給付を増やすような制度提案がされるのではないのか、現役世代がそんなことを疑いながら年金制度を見守っていることを是非深く心に留めていただき、制度検討や発信をしていただきたいと思っております。
そして、もう一点、本委員会でも本日、手続の在り方について採決がございました高額療養費制度についても触れたいと思います。
見直しは大変に大きな話題を呼びました。本制度が究極のセーフティーネットとして非常に重要であることもさることながら、国民医療費の抑制のための施策としての優先順位に疑問を持つ方々が多かったということだと思っています。年金と同様、重要な政策に着手するのに値する努力をしているのか、国民から評価していただけているのか、そんなことが問われたのが予算委員会だったと受け止めております。
国民医療費については、利用者の負担割合の見直しやOTC保険適用など、あらゆる検討をしているのかというお声をかけられることもございます。
令和五年に閣議決定された改革工程にも多くのメニューがあると承知しています。高額療養費制度の見直しの再検討が秋までに行われることとなっていますが、その際には、高額療養費制度だけではなく、改革工程表に記載されたそのほかの取組なども含め俎上に上げていただき、また、優先順位、時間軸についても明確にして改革を進める検討を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○吉田大臣政務官 社会保険料の負担軽減を図り、医療保険制度の持続可能性を高めるためには、不断の改革に取り組んでいくことが必要と考えておりまして、政府といたしましては、全世代型社会保障の理念にのっとりまして、一昨年末に取りまとめられた改革工程に沿って着実に改革を進めてまいるところでございます。
お尋ねの高額療養費制度、この見直しにつきましては、患者団体を含む関係者の御意見もよくお伺いをしながら、本年秋までに改めて方針を検討し、決定をするということにしているところでありますが、社会保険料の負担軽減を図り、医療保険制度の持続可能性を確保するため、改革工程に掲げられた他の様々な取組もこれはもちろん視野に入れながら、引き続き医療保険制度改革に取り組んでまいりたいと思っております。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
物価の上昇を上回る賃上げにはいまだ至っておりません。国際情勢も不安定な中、将来の不安は尽きない。そして、給料明細を見れば、社会保険料に税と、たくさんのものが引かれている。同世代の苦しい感情を背負って、私はここに立たせていただいております。
一方で、御高齢の方々の福祉というのは、自分たちの祖父母や親のことでもございます。医療や介護、困っている方々への支援、少子高齢化の中で歳出が増加していく必要、これはやむを得ないものでもあること、現役世代もよく理解していると思います。また、我が国の発展を牽引されてきた御高齢の方々からも、社会保障制度が将来世代に課していく負担を懸念し、給付についてもよく考えてほしいという御意見をいただくようなこともございます。
SNSの時代、専門家も市井の方々も、国政の一挙一動に目を光らせているように思います。政府が、誰も大きな問題にしないだろう、気に留めないだろうと思うような技術的な改正も大きな論争となり得る時代です。ましてや、歳入歳出の収支を合わせてごまかせるような時代でもございません。年金や医療といった命に関わる社会保障制度の大改革、多くの方々が注視している、そのことを強く意識して、政策の根拠となるエビデンスはしっかりと示していかなければいけません。
それと同時に、負担をお願いする方々の感情というものもないがしろにはできません。偽りのない危機感とビジョンを強いメッセージとともに発信するリーダーシップが必要だと思っております。そして、負担をお願いするに値する抜本的な歳出のコントロールをしていく覚悟、これが必須だと考えております。本委員会から国民的な議論を惹起し、政治としても責任を果たしていきたいということを申し上げ、質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、沼崎満子君。
○沼崎委員 公明党の沼崎満子です。
本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
最初に、HIV感染予防のための暴露前予防、暴露前投与についての御質問をさせていただきます。
HIVの予防のためには、暴露前予防が、PrEPと訳させていただきますけれども、これが有効であることが分かっておりまして、諸外国においても、適切に服用を継続すればHIVの感染予防効果があるということが報告されております。既にこのPrEPを導入して効果を上げている国もあるというふうに承知しています。
日本におきましても、昨年、HIV暴露前投与として初めてツルバダというお薬が承認を受けまして、HIVの感染予防においては重要な一歩であると考えています。この新しい治療法が普及することで、感染リスクの高い方々に対する予防策が強化されることを期待しています。
しかし、一方で、このツルバダの金額は非常に高額で、月に七万円から八万円の経済的な負担があるということで、継続的な使用が困難であるために、一部の方々が個人輸入を行っている、そういった現状も問題視をされています。
こういった状況を踏まえて、以下の点についてお伺いします。
今、二〇三〇年までにHIVというのは感染の終息に向けて国連の方でも取り組んでいるところでもありますけれども、現在の日本国内におけるHIV感染者の数はどのようになっているのか、最新の統計データをお示しいただきたいと思います。
○鷲見政府参考人 お答え申し上げます。
先月開催されましたエイズ動向委員会で公表した数字となりますが、二〇二四年の新規HIV感染者報告数は六百六十四人で、二〇二三年、六百六十九人と比べ、おおむね横ばいでございます。また、二〇二四年の新規エイズ患者報告数の速報値は三百三十六人で、二〇二三年の二百九十一人と比べ増加しており、今後の状況を引き続き注視していく必要があると考えております。
HIV感染症につきましては、感染症法において、特に総合的に予防のための施策を推進する必要がある感染症と位置づけて、これまで、エイズに係る特定感染症予防指針を平成十一年に策定し、原因の究明、発生の予防そして蔓延の防止、医療の提供、研究開発の推進、人権の尊重などの取組を進めてまいったところでございます。
○沼崎委員 私も知らなかったんですけれども、新規感染者が少しではあるけれども増えているというのは、やはり非常に注視をしていかなくてはならないなというふうに問題意識を持って見ております。
PrEPはHIVの感染予防策としては有効な手段であって、普及に努めるべきというふうに考えますが、そちらに対する見解をお伺いします。
○吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。
先ほど委員から御指摘もございましたが、HIV感染症に対する暴露前予防、いわゆるPrEPにつきましては、これは、適切な服用により性的接触によるHIV感染に対する高い予防効果が報告をされておりまして、各国で利用をされていると承知をしているところでございます。
一方で、調査研究によりますと、PrEP導入後のコンドーム使用率の低下とともに、HIV感染症以外の性感染症増加等の懸念も報告をされているところでございます。日本国内におけるPrEPの普及については、まずこうした懸念を払拭することが重要であると認識をしております。
このため、現在、厚生労働科学研究において、PrEPの安全性や導入によるHIV感染症以外の性感染症の罹患率への影響等の評価を行っておりまして、PrEPをどのようにHIV感染症対策に取り入れていくか、これについては引き続き検討をしっかり進めてまいりたいと思っております。
○沼崎委員 そのほかの性感染症に関しましては、意識を高めることで減ったというような、そういう報告もございますので、是非しっかり検討していただいて、PrEPの効果というのも検討していただきたいと思います。
加えて、PrEPを適切に正しく適用するということも非常に大事でして、そのためには、例えば導入前にHIVの検査をする、そういったことも必要になってまいります。そのためには、そういったことをやれる医療機関というのがしっかりあるということも大事になってまいりますけれども、現在、全国でどの程度の医療機関がこういったPrEPの提供をできるような状況にあるか、そういう体制が整っているか、そういった施設数や地域分布についてのデータがございましたら教えてください。
○鷲見政府参考人 お答え申し上げます。
HIV感染症に対する暴露前予防、いわゆるPrEPを提供している医療機関につきましては、必ずしも全国的な調査をしておらず、網羅的に把握をしていない状況でございます。
一方で、本件に係る厚生労働科学研究で把握している状況について御説明申し上げますと、PrEPについて先生が御指摘の体制などをしっかり整えながら安心して相談、受診できる医療機関として、北海道、東京、神奈川、千葉、大阪、広島、福岡、沖縄の八つの都道府県にある計二十施設が紹介されていると承知しております。
PrEPについて安心して相談、受診できる医療機関の状況を把握することは、国内におけるHIV対策の一つとしてPrEPを取り入れていく上で重要であると認識しておりまして、引き続き情報収集を行ってまいります。
○沼崎委員 是非よろしくお願いいたします。
また、感染予防のためには、PrEPに対する啓発活動やあるいは教育プログラム、そういったことも重要になってくると思います。患者さん側に対する情報提供というところですね。そこに関してはどのように展開していく予定か、お尋ねいたします。
○鷲見政府参考人 お答えいたします。
HIV感染症に対する暴露前予防、いわゆるPrEPの啓発活動につきましては、これまで、厚生労働科学研究におきまして、国内におけるPrEP利用の手引と利用者ガイドを令和四年に作成したところでありまして、本研究のウェブサイトでも広く公開しております。
本手引では、PrEP利用希望者に対する医療従事者に対して、安全かつ有効性の高い感染予防を実施するため、PrEP利用希望者に対するHIV感染リスクの評価方法、PrEPの投与スケジュール、PrEP服用者のモニタリング方法等について情報提供を行っております。
また、先生御指摘の利用者ガイドでございますけれども、PrEP利用者や利用を検討している人に対して、PrEPの使用方法、PrEPの開始及び継続のために必要な検査、PrEPの中止や再開の判断の目安などにつきまして情報提供を行っております。
さらに、本研究では、これらの情報を含めて分かりやすくウェブサイトで公開するとともに、PrEPに関する相談にも対応しているところでございます。
また引き続き、私ども、HIV検査普及週間、六月上旬、また世界エイズデー、十二月一日等の周知啓発と併せまして、こうした取組を継続して、PrEPに関する啓発活動や教育に努めてまいります。
○沼崎委員 決してなくなったわけではない疾患である、かなり治療は有効になってまいりましたけれども、そういったことも是非皆さんには知っていただいて、適切な予防というのを取っていただきたいと思います。
次の質問に移らせていただきます。高齢者が地域の担い手として活動できる取組についてお伺いします。
先日、神奈川県の大和市にある、わ〜くすケア千本桜さんというデイサービスの施設さんを見学させていただきました。その中では、有償ボランティアをデイサービスの中に取り入れておりまして、利用者の皆さんが非常にやりがいを感じて生き生きと有償ボランティアに取り組まれている姿が非常に印象的でした。特に、仕事に頑張ってこられた男性にとっては非常に好評というような声をお伺いしております。年齢を重ねてもお金を稼ぐことができる、何か社会に役に立つことができるという思いは高齢者の方々にとっては非常に大切なのだ、そういった認識を新たにしました。
また、昨年十二月に閣議決定されました認知症施策推進基本計画の中でも、新しい認知症観の下、認知症だからできないではなく、認知症でもできることがあるという視点が非常に重要で、御本人が地域で役割を果たしていると感じることができる、そういった取組を推進していくことが非常に大切だと思っております。
そこで、お伺いいたします。
まず、高齢者が地域の担い手として活動できるような取組を推進するために、政府としてどのような取組をされているのか、具体的な事例がありましたらお伺いいたします。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
高齢者の介護予防、社会参加を促進をするため、介護保険制度の地域支援事業の中に位置づけられております一般介護予防事業におきまして、高齢者が介護施設等でボランティアなどを行った場合に、市町村から商品などに交換可能なポイントを付与するボランティアポイント制度を位置づけて、そうした取組を推進してございます。
各自治体の取組を支援するため、こうした財政的な支援に加えまして、ボランティアポイント制度の導入時の留意点、好事例などをまとめた手引の作成、周知等も行っておりまして、取り組む自治体は近年、増加傾向にございます。
引き続き、高齢者の社会参加を促す取組を推進してまいります。
○沼崎委員 市町村でこういった取組をされている市町村はどれぐらいあるかというのは、お分かりになりますでしょうか。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
手元にありますのは令和四年度の数字ですけれども、ボランティアポイント制度を実施している市町村、それは六百八十七市町村でございます。近年、増加傾向にございます。
○沼崎委員 引き続き、こういった取組ができるような市町村を横に展開していただければと思います。
また、有償ボランティアのような形で、高齢者が社会にできる機会を増やすための支援について、どのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
また、実際に先日私がお伺いしたような、デイサービスなどで有償ボランティアを行っている事業数などはお分かりになりますでしょうか。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、高齢者が要介護状態になっても社会的な役割を持つことが大変重要でございます。そうした観点から、通所介護事業所が、地域における社会参加活動や地域住民との交流などの取組を実施することは非常に重要であると考えております。
有償ボランティア等の社会参加活動を行う通所事業所の網羅的な数については把握しておりませんが、調査研究を行っておりまして、その中では、約六百五十の事業所のうち、約四割の事業所でそうした活動が行われておりました。
その一方で、職員の見守り体制を維持、構築することが難しい、あるいは、利用者に適した活動が見つからない、活動に参加できる連携先の発掘が難しいといった理由によって、社会参加活動等を実施できていない事業所も約六割程度あったということを確認してございます。
○沼崎委員 私がお伺いした事業所さんでも、全く同じようなことで苦労しているという、今お答えいただいた内容で苦労しているというような御意見もお伺いしましたので、是非、そこが解消できるような取組というのを今後取り組んでいただきたいというふうに思います。
また、高齢者の方だけではなくて、認知症の方々が地域で役割を果たすことができるような支援体制を整えるために、認知症施策推進基本計画の策定もありますけれども、今後どのような方針で取り組んでいくのか、お尋ねいたします。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
認知症の方が孤立することなく地域、社会、仲間とつながるコミュニティーがあって、生きがいや希望を持って暮らし続けることができるようにするためにも、認知症の方の多様な社会参加の機会を確保することが重要でございます。
このため、昨年十二月に閣議決定いたしました認知症施策推進基本計画におきましては、認知症地域支援推進員による社会参加活動のための体制整備、あるいは、若年性認知症コーディネーターによる若年性認知症の方への就労支援、介護事業所において、企業等とも連携をし、利用者の社会参加を確保する取組などを推進していくことが位置づけられてございます。今後、本計画に基づきまして、自治体におきまして、認知症の人の意見を聞きながら計画の策定に努めることとされております。
国と自治体が一体となって、認知症の人の多様な社会参加の機会の確保に向けて取り組んでまいります。
○沼崎委員 先ほど御紹介いただいた高齢者に対する取組というのも、同じ目的で認知症の方にも合わせて使っていけるような制度だと思いますので、是非、こういった既存の取組等も活用していただくということも御配慮いただければというふうに思います。高齢者が年齢を重ねても社会に貢献できる機会を提供して、そういったことは地域の活性化にもつながっていくと思いますので、積極的な普及をお願いしたいと思います。
次の質問に移ります。次は、障害者の雇用に関してです。
少子高齢化による労働者不足は、特に中小企業によっては深刻な問題となっています。多くの中小企業で人材を確保できず、悲鳴にも近い声をお聞きしています。この状況に加えて、最近では、障害者雇用率の引上げも影響していると思いますが、私も、幾つかの中小企業さんから、今まで障害者の雇用をやっていなかったんですけれども、取り入れていきたいというような声もお伺いしています。ですが、障害者の雇用を検討しているけれども、どのようにしたらいいのか分からない、そういったお声をお伺いしました。
障害者雇用率制度に関しましては、事業主に対して障害者雇用率に相当する人数の障害者の雇用を義務づけるものですけれども、昨年の四月から雇用率が引上げになっていると認識しています。
そこで、お聞きします。
現在の障害者雇用の状況と法定雇用率達成企業の割合についてお聞かせください。
○藤川政府参考人 お答えいたします。
昨年六月一日現在の障害者の雇用状況につきましては、先ほどありました令和六年四月より雇用率を二・三%から二・五%に引き上げるという中で、民間企業における雇用義務がある障害者の雇用者数は約六十七・七万人と二十一年連続過去最高を更新してございまして、また、実際に何人の障害者の方が雇用されているかの割合でございます実雇用率についても二・四一%と十三年連続で過去最高を更新するなど、障害者雇用については着実に伸展しているものと認識してございます。
また、後段の御質問の、法定雇用率の達成企業の割合についてでございますけれども、昨年六月一日現在では四六%となってございます。
○沼崎委員 この引上げによって、何人に対して一人というのが引き上げられることによって、恐らく、事業規模が小さくても雇用しなくてはならない、そういう企業さんの数が増えてくると思いますけれども、特に引上げによってこの雇用率というのが変わったかどうかというのをお聞かせください。
○藤川政府参考人 お答えいたします。
この雇用率の見直しにつきまして、法定雇用率の割合について見ますと、一昨年ですね、令和五年六月一日時点では五〇・一%であったものが、先ほども申しましたとおり、昨年六月一日現在では四六%と半数を下回る状況となったわけでございます。これは、先生御指摘のとおり、昨年四月に法定雇用率が〇・二%引き上げられたということが影響しているものであると考えてございます。
○沼崎委員 連続で障害者の雇用が上がっているのも非常にすばらしいなというふうに私自身は思っております。これは、当然この雇用率が上がってきたということも一つの要因というふうに思いますけれども、これからは特に、雇用率の引上げに伴って、中小企業さんでやはり障害者の雇用というのがより広がってくるだろうというふうに思っておりますけれども、中小企業における雇用率の達成割合というのはお分かりになりますでしょうか。
○藤川政府参考人 法定雇用率の達成状況でございますけれども、例えば、中小企業ということで、四十人以上百人未満の企業で見ますと四四・三%、百人以上三百人未満の企業で見ますと四九・一%と、これは全体で見ますと四六・〇%なので、低い状況にあるというふうに考えております。
○沼崎委員 ありがとうございます。
そこがこれからすごく問題になってくるかなというか、大事かなというふうに思っております。
新たに、中小企業さんで、雇用率の引上げに伴って障害者を雇いたい、そういった意欲のある企業に対しての相談窓口はございますか。また、企業が障害者を雇用する際の負担を軽減するための具体的な施策であったり、あるいは環境整備、業務のサポートに対する支援、また、中小企業に対する障害者雇用支援が充実していくためのそういった取組がございましたら、お聞かせください。
○藤川政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘の昨年の雇用率の引上げでございまして、新たに雇用義務の対象となったのは、四十人以上四十三・五人未満の企業が新たに対象になったということでございまして、これらのいろいろ御相談もございます。主にハローワークでしっかり対応させていただいておるところでございますので、引き続き対応してまいりたいというふうに思っております。
それと、あと、先生から御指摘があった障害者雇用に関する支援に関しましては、ハローワークにおきまして、各企業の状況に応じて、障害者雇用のノウハウが不足している中小企業の方々に対して、地域の関係機関とも連携しつつ、募集の準備段階から採用後の職場定着までの一貫した支援を行う、いわゆる企業向け支援というものを実施してございましたり、また、ハローワーク等の紹介により障害者を雇い入れる事業主さんに対しまして助成する、特定求職者雇用開発助成金等の支給による障害者雇用への取組支援というものも行ってございます。
また、これらの支援に加えまして、職場環境の整備や職場適応を図る観点から、企業が取り組む職場環境の整備等に係る障害者納付金制度に基づく助成金の支給でありましたり、職務や職場環境改善に対する助言などを行いますジョブコーチによる職場適応支援等も行っているところでございます。
厚生労働省におきましては、引き続きこうした取組を着実に実施いたしますとともに、ハローワーク等での取組について企業に周知が徹底されるように、ホームページなどによる情報提供でありましたり、地域の経済団体を通じた周知についてしっかり取り組んでまいりたいと存じます。
○沼崎委員 ありがとうございます。
様々な支援があるんだなというふうに私も認識いたしましたので、是非、周知に取り組んでいただければと思います。
次に、アレルギーの医療提供体制についてお伺いいたします。
平成二十九年の三月にアレルギー疾患対策基本指針が策定されて、国のアレルギー疾患の医療体制というのは整えられてきています。
しかし、現在、アレルギー治療に関する医療サービスは、地域によって大きな格差が生じていると思います。アレルギーに関する情報や治療法についての知識についても、かなり地域でばらつきがあり、患者さんが必要な情報を得られない場合もあります。
今、アトピーの治療など、アレルギーの治療は、新たな知見や新薬も登場しておりますし、その考え方というのも大分変わってきていると思います。この治療や知識の均てん化に関してはどのような対策を取っているか、お尋ねいたします。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
厚生労働省では、先生御指摘のように、アレルギー疾患を有する方が安心して生活できる社会の構築を目指しまして、アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針、これを法律に基づいて策定をいたしまして、総合的な対策を推進しているところでございます。
アレルギー疾患の医療提供体制といたしましては、全国に二か所指定をしております中心拠点病院と、都道府県が指定しております県の拠点病院が七十八か所ございます。
アレルギーに係る医療の均てん化、これは非常に重要であると考えておりまして、もちろん関係学会等でもポータルサイトなどで治療の御案内などをされているところでありますが、厚生労働省といたしましては、中心拠点病院による都道府県拠点病院へのアレルギー医療に関わる医師への研修会等を実施しているほか、令和五年度からは、困難な事例に対しまして、対応方針を直接オンラインで相談などを受け付けているところでございます。
またさらに、この事業の中でリウマチ・アレルギー特別対策事業というのを設けておりまして、都道府県において、医療や相談体制の整備、これは患者様、一般国民からの相談も受け付けるような形で事業を推進しております。
こうした取組によりまして、引き続き、居住する地域に関わらず、適切な医療提供、相談支援が受けられる体制の整備、専門医を含む人材育成などに努めてまいりたいと考えております。
○沼崎委員 アレルギー専門医というのはまだ数が少ないので、やはり、いない地域というのが遅れてしまうということがあります。専門医でない先生方にもしっかりこの知識が届くように、体制を整えていただければと思います。
加えて、アレルギーに関しましてですが、乳幼児をお持ちの御家庭の御家族というのは、お子さんのアレルギーに対して非常に強い不安を持っておりまして、関心も強いというふうに感じています。しかし、正しい知識を得る機会というのが非常に不足しているように思います。
そういった意味で、保健指導というのがアレルギーの知識に関しては大きな役割を持つというふうに思いますけれども、保健指導をする保健師さんがアレルギーの知識が追いついていない、今そういった声も聞いております。
先ほども言いましたけれども、アレルギーの発症予防に関しては新しい知見が出てきて、考え方がもう百八十度変わってきておりますので、正しい保健指導によってアレルギーそのものが発症することを予防するといったことも期待されますので、こういった新たな知識の普及というのが非常にアレルギー対策には重要です。
保健指導におけるアレルギー対策に対してはどのような方針で取り組まれているのか、お聞きいたします。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたアレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針、この中でも、啓発及び知識の普及、これは五本柱の中の一つに掲げておりまして、大変重要な観点であるというふうに認識をしております。
お尋ねの乳幼児につきましては、厚生労働省では、平成三十年度の厚生労働科学研究の中で、保健指導の現場で活用するため、乳幼児を含めた「小児のアレルギー疾患 保健指導の手引き」、これを作成をいたしまして、令和四年度には、実際の指導の際に活用しやすいよう改定を行い、各都道府県への配布、また、アレルギーポータルへの掲載などにより周知を行っているところであります。
また、こども家庭庁におきましても、近年の食物アレルギー児の増加や科学的知見等を踏まえ、保健医療従事者向けに授乳や離乳の望ましい支援の在り方についてお示しをしております授乳・離乳の支援ガイド、これにおきまして、食物アレルギー予防に関する支援の内容を記載をし、自治体等に対して、保健指導等の場面で活用いただくよう依頼をしていると承知をしております。
こういった取組につきましては、引き続き、医療機関や関係学会、関係省庁とも連携をいたしまして、発症予防を始めとした保健指導の周知に努めてまいりたいと思っております。
○沼崎委員 ありがとうございます。
省庁をまたいでの取組になると思いますので、是非連携してお願いします。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○藤丸委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十一分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○藤丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。堤かなめ君。
○堤委員 立憲民主党の堤かなめです。
一年前にも本委員会で教職員の長時間労働の是正について質問し、当時の武見厚労大臣からは、教職員の病気休職者が増加傾向にあることにつきまして、深刻な課題として受け止めるべき、労働行政を担当する厚生労働省としても、しっかりと注視していく必要があるとお答えいただきました。
教職員のメンタルヘルスを含む健康問題を、文科省任せではなく、厚労省としての更なる関与を期待し、二十五分間質問させていただきます。
本年は、過労死防止のための対策に関する大綱の策定から十年目の節目の年です。この大綱のサブタイトルは「過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ」となっています。ところが、十年目を迎えても過労死ゼロにはほど遠いのが現状です。
中でも、義務教育学校の教職員の過労死などの公務災害は相変わらず高い水準にあります。そして、この公務災害の認定については懸念する声があります。
そこで、まず総務省に確認させていただきます。
いわゆる給特法によって、校外実習や職員会議に関する業務など超勤四項目以外の勤務は自主的、自発的勤務と整理されていますが、過労死等の公務災害認定において超勤四項目以外の勤務は考慮されているのでしょうか。
○小池政府参考人 自治体の職員が災害を受けた際、地方公務員災害補償基金によってそれが公務災害として認められるためには、任命権者の支配管理下にある状況で災害が発生したかどうかの公務遂行性と、公務と災害との間に相当因果関係があるかどうかの公務起因性の両方を満たす必要があります。
いわゆる過労死等事案における時間外勤務については、超勤四項目以外であっても、個別具体の状況を精査し、必要な業務に従事していたと客観的に認められる時間は公務遂行性があるものとして評価していると承知をしております。
○堤委員 小池部長、ありがとうございます。
次に、管理者である校長の安全配慮義務についてです。
長時間労働は、教職員の心身をむしばんでいます。ですが、給特法が分厚い壁となって、校長の安全配慮義務がなかなか認められてきませんでした。
しかし、およそ三年前に画期的な判決が出ています。資料一の新聞記事を御覧ください。大阪地裁で、教員の長時間労働について行政の賠償責任が認められたということです。その後、大阪府は控訴せず、判決が確定しています。
報道によれば、原告の西本氏は校長に対し、適正な労務管理をしてください、余りにも偏り過ぎている、このままでは死んでしまう、もう限界です、精神も崩壊寸前ですなど、適切な労務管理をするよう求めましたが、校長は、体調は大丈夫ですか、仕事の進み具合はどうですかなどの声かけをするのみだったということです。
四月十日の我が党、立憲民主党の代表質問で、公立学校の教員の時間外労働の上限規制を遵守させるためには、しっかりと健康確保措置、安全配慮義務が履行されることが必要、罰則等を管理職、設置者に科す必要があるのではないかと考えますと総理の答弁を求めました。しかし、何と総理は、この問いには全く答えませんでした。
そこで、厚労大臣にお伺いします。
労働時間の適正な管理について、校長にその責務がありますでしょうか。総理に代わって、明確にお答えください。
○福岡国務大臣 厚生労働省といたしましては、働く方が働き過ぎによって健康を害することはあってはならず、また、誰もが働きやすい環境をつくるためにも、長時間労働の是正を図っていくことは重要であるというふうに考えてございます。
労働基準法における労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことを言い、使用者の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に該当いたします。
こうした労働時間につきまして、厚生労働省としては、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインにおいて、「労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有している。」と示しておりまして、校長等の使用者には、労働時間を適正に把握する責務があると考えております。
○堤委員 責務があると厚労大臣にお答えいただきました。
それでは、文科省にお聞きします。
管理職である校長による労務管理をもっと徹底すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○日向政府参考人 お答えいたします。
校務をつかさどり、学校の管理運営に責任を有する校長は、教育委員会とともに、教師の時間管理を適切に行った上で、学校における業務分担の見直し、適正化や教師の健康管理について取り組む責務があります。
公立学校の教師については、正規の勤務時間及び校長からの時間外勤務命令に基づく勤務時間のみならず、超勤四項目以外の業務を行う時間を含めて、教師が働いている時間を適切に管理していくことが学校における働き方改革を進める上で必要不可欠です。
そのため、令和元年の改正給特法に基づく指針において、超勤四項目以外の業務を行う時間を含めて外形的に把握できる時間を在校等時間として時間管理の対象とすることを明確にした上で、その上限の目安時間を教育委員会や校長に対して示すなど、教師の時間外在校等時間の長時間化を防ぐための取組を進めてきているところです。
加えて、今国会に提出し現在御審議をいただいております給特法の改正案では、教育職員の業務量の適切な管理を一層進め、時間外在校等時間の縮減を確実に進めるため、教育委員会に対し、業務量管理・健康確保措置に関する目標や内容等について定める計画の策定及びその実施状況の公表等を義務づける内容を規定しています。
文部科学省としては、こうした仕組みも活用しながら、教師を取り巻く環境を改善するために、学校の働き方改革の更なる加速化、学校の指導、運営体制の充実等について総合的に取組を進めてまいります。
○堤委員 日向審議官、ありがとうございます。
ただ、学校に計画を、学校といいますか教育委員会ですかね、計画を義務づけるということは、また現場の負担が多くなるんじゃないかなというふうに少し懸念しております。
やはり、給特法のために、自主的、自発的との言葉で片づけられている、傍線を引いているところですけれども、労働としてちゃんと認めてほしいということで、法改正の必要性を強調するという、この新聞記事にもあります。ですから、是非やはり給特法ではなく労基法が適用されるようにしていただきたいと思います。
通告しておりませんけれども、労働行政をつかさどる厚労大臣にお聞きします。
給特法の対象は公立学校の教員のみです。私立学校の教員には、給特法ではなく労働基準法、労基法が適用されています。国立の教員も、二〇〇四年に公立大学が法人化されることに伴って、給特法ではなく労基法が適用されるようになりました。同じ小中高の教員なのに、労基法が適用される教員と適用されない教員がいる。おかしいと思いませんでしょうか。率直にお答えください。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、私立の学校につきましては労働基準法が適用され、公立学校について給特法が適用されるといった形で、法律の適用関係は分かれておりますけれども、これはそれぞれの実情に応じて法政策が取られているものと承知をしておりまして、私どもとしては、労働基準法が適用されているところにおいては、労働基準法が適正に履行されるよう努めてまいりたいと考えております。
○福岡国務大臣 今局長から話があったとおりでございますが、働く方が働き過ぎによって健康を害することはあってはならないというふうに思っております。
文部科学省において、教員の働き方改革を進める中で、学校の指導、運営体制の充実を推進されるものというふうに承知しています。
○堤委員 実情に応じてということですが、実情が非常に、労基法が適用されていないということによって労働時間が増えているということがあるわけですから、労基法との矛盾をなくし、不当な違いを解消するためには、給特法を廃止すべきであるということを申し上げておきます。
次に、子供の脳の発達と乳幼児里親の普及についてお聞きします。
資料の二を御覧ください。
これは、ユニセフの二〇〇一年世界子供白書からでございます。下線部1を読み上げさせていただきます。脳内の細胞の結合は生後三年間に爆発的に増殖し、子供は目覚めている事実上全ての瞬間に新しい事項を発見している。2、様々な経験が幼い脳の発達の仕方に影響するが、早期のケアや養育ほど重要なものはない。3、発達に最も適したときに子供が必要なケアを受けず、飢餓、虐待、放置にさらされると、脳の発達が損なわれるおそれがあるということです。この後も、様々な脳科学の進歩によって、そのようなことが裏づけられてきております。
そこで、四月二日の本委員会で私は、人的資本への投資はとにかく子供が小さいうちに行うべきとする論考を紹介させていただきました。三歳以下の子供が信頼できる大人と愛着関係を築きやすいように、家庭的な環境で暮らせるよう保障することが必要だと考えますが、いかがでしょうか。御見解をお聞きします。
○源河政府参考人 お答えいたします。
議員から今御指摘いただいたとおり、特に三歳以下の子供については、愛着関係の基礎をつくる時期であり、子供が安心できる、温かく安定した家庭で養育されることが重要であると考えております。
児童福祉法におきましても、社会的養護に係る家庭養育優先原則が定められておりまして、こども家庭庁といたしましては、こうした原則の下、子供の最善の利益を実現するため、取組を進めているところでございます。
また、取組を徹底する上では、実施主体となる各都道府県において計画的に家庭養育を推進するための整備等を行っていただくことが重要であり、各都道府県において、里親等への委託の推進に向けた取組を含む社会的養育推進計画を策定し、これに基づいて取組を進めていただくこととしておりまして、こども家庭庁としても都道府県を伴走的に支援していくこととしております。
こうした取組を通じて、三歳以下の子供も含め、やむを得ず家庭からの分離が必要となった子供についても、安心できる、温かく安定した家庭環境で暮らすことができるよう、里親委託の推進などに取り組んでまいります。
○堤委員 源河審議官、ありがとうございます。
資料の三を御覧ください。
これは、こども家庭庁のホームページからですけれども、左下のところ、里親等委託率、これが、現状、三歳児未満は二五・三%である、そして国の目標は三歳未満児が七五%であるということです。
このことについても、三年前の二〇二二年二月四日、内閣委員会で質問させていただきました。当時の佐藤副大臣は、令和二年度を初年度として、三歳未満についてはおおむね五年以内に里親委託率七五%を実現するのが目標と明言されました。
つまり、令和六年度内、昨年度内、つまり今年の三月末までに七五%ということです。七五%の目標を達成する時期はもう既に過ぎているということです。しかし、いまだ二五%台にとどまっています。余りにも低過ぎると言わざるを得ません。
政府が掲げた目標は国民との約束です。目標を達成できなかったことを真摯に反省すべきと思いますが、どう考えておられるのか、お聞かせください。
その上で、新計画で明記された、令和十一年、二〇二九年度までに七五%という目標、つまり、五年後に先送りされてしまったわけですけれども、この目標は今度こそ必ず達成していただけるのか、お聞きします。
○源河政府参考人 お答えいたします。
今御指摘いただきましたとおり、令和二年度より三歳未満児の里親等委託率について七五%という目標を掲げているところですが、令和六年三月末時点で二六・九%となっており、目標に達していない状況となっております。この背景には、里親制度の周知が十分に進んでいない、保護者の同意が得られにくい、里親と児童との間のマッチングがうまくいっていないといった事情があるものと考えております。
こども家庭庁といたしましては、里親等委託の更なる推進のために、昨年四月に施行された改正児童福祉法において包括的な里親支援を行う児童福祉施設として創設された里親支援センターの設置を促進するとともに、昨年より里親等委託の更なる推進に向けた自治体間ネットワーク会議を実施し、各自治体の課題の洗い出し、取組事例の横展開を行い、都道府県等を伴走的に支援するなどの取組を進めているところでございます。
これらを通じて各自治体における里親等委託が進むよう、必要な支援を続けてまいります。
○堤委員 是非よろしくお願いします。
資料四を御覧ください。
これは世田谷区の取組についてなんですけれども、保護した乳幼児、すぐに里親家庭へということで、一時保護せずにすぐに里親家庭に委託するということです。そのためには、世田谷区は、四家庭に月十万円の待機料を払って、いつでも子供を迎えられるように原則として準備してもらうという取組になっております。これはまた同様の取組が大分県、山梨県でも行われていると聞いております。そして、このような短期の里親をきっかけに、長期の里親や養子縁組につながるとも聞いています。
この乳幼児短期緊急里親事業についてどのように評価しておられるのか、お聞かせください。また、この事業を是非こども家庭庁としても制度化していただきたいと考えておりますが、いかがでしょうか。
○源河政府参考人 お答えいたします。
今御紹介いただきました乳幼児短期緊急里親事業につきましては、乳幼児の一時保護委託を原則としていつでも受け入れてくださる養育里親を確保し、受託の有無を問わず待機料として毎月一定額を支給する事業として、世田谷区、大分県、山梨県で実施されているものと承知しております。
特に乳幼児については愛着形成の観点から家庭養育が望ましく、その点は比較的短期の養育となる一時保護委託についても同様と考えておりまして、事業実施自治体においては、緊急保護時であっても円滑な里親の一時保護委託が図られるなど、一定の成果が上がっていると承知しております。
一方で、受託の有無にかかわらず待機料として一定の公費を支払うことをどう考えるか、当該里親に求められる要件など、国が制度化するに当たっては整理すべき課題も多くあると考えておりますので、今後、実施自治体からの聞き取りなどを行って、実施状況や課題について把握してまいりたいと思います。
○堤委員 源河審議官、是非よろしくお願いいたします。
次に、乳幼児生活援助事業について、これは、赤ちゃんの実親が養育困難に直面する、そういう問題の背景に思いがけない妊娠があり、そして、この思いがけない妊娠をした方々を支援する大切な取組なんですけれども、ちょっと時間が来てしまいましたので、次の機会にお願いしたいと思っております。
ありがとうございました。(発言する者あり)
○藤丸委員長 もう一問ぐらいいいかもしれない。(堤委員「二十三分までと思ったんですけれども、大丈夫ですか」と呼ぶ)まだ二十分だから。じゃ、一問お願いします。
○堤委員 済みません、ありがとうございます。ちょっと私の時計が進んでいたのかもしれないですけれども。
じゃ、この事業ですけれども、昨年四月一日に施行された改正児童福祉法に基づく法定事業で、まだ始まったばかりですので、事業所にとって使いづらい点もあるというふうにお聞きしました。
そこで、そのようないただいた課題から二点、つい先日、この事業をなさっているところを視察させていただき、そのときにお聞かせいただいた課題二点、お聞きしたいと思います。
一点目に、県外の方の利用がかなりあるということで、広域利用が活用できるようにしていただきたい。また、広域利用を実施した場合には自治体間で費用分担できるようにすべきではないかとのことですが、いかがでしょうか。
○源河政府参考人 お答えいたします。
今御指摘いただきました広域利用につきましては、令和六年三月二十九日に発出したガイドラインにおいて、居住地外の妊産婦等から相談があった場合には、相談者が管轄外であることをもって相談支援を取りやめることなく、必要に応じて、居住地の自治体とも連携するなどにより事業を実施することとして自治体に周知しておりまして、現行でも広域利用を可能としているところでございます。
議員御指摘のとおり、予期せぬ妊娠等に悩まれる方々につきましては、早期に支援につながることが重要であり、昨年四月より開始したこの事業を更に拡大していくとともに、関係機関の連携により、妊婦を円滑に支援につなげられる環境を整備することが必要であるというふうに考えております。
このため、令和七年度予算におきましては、引き続き、自治体における事業実施に必要な予算を確保するとともに、新たに、妊産婦等生活援助事業のほか、関係機関が連携するためのネットワークの形成強化を図る事業を創設し、必要な予算を計上いたしました。
こども家庭庁といたしましては、引き続き、こうした取組を通じて困難な事情を抱える妊婦さんへの支援体制の整備に取り組むとともに、費用分担も含めた本事業の広域的な活用についても、関係者の意見を聞きながら、どのような対応ができるか検討してまいりたいと思います。
○堤委員 現在でも広域利用は可能だということですけれども、やはり断られたりして、そして次々にほかのところを当たらなくちゃいけない現場の負担に非常になっているということです。
ネットワークをつくっていただくのは結構ですが、その中で出てきた現場の意見をちゃんと酌み取っていただいて課題の解決をするように、是非よろしくお願いいたします。
それでは、時間ですので終わらせていただきます。ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、猪口幸子君。
○猪口委員 日本維新の会の猪口幸子でございます。よろしくお願いいたします。
まず、市販薬のオーバードーズが若年者に増加しており、命に関わる危険な状態を招いています。今回の薬機法改正では薬剤の販売規制を行うこととしており、一定の効果が得られることを期待しております。
しかし、オーバードーズに至る問題は、様々な要因として、精神的なストレスなど、生きづらさを抱えた若年者が多いと推測されます。国として、若年者に対するオーバードーズへ至る心のケアに対しての対策は何かありますでしょうか。厚生労働大臣にお聞きします。
○福岡国務大臣 心のケアが大事だというのは御指摘のとおりだというふうに思います。オーバードーズ対策につきましては、販売時の対応のみならず、普及啓発であったり、根本的な原因であります孤独、孤立への対応を一体的に行っていく必要がございます。
一般医薬品の乱用の危険性などにつきましては、パンフレットであったり動画の作成、厚生労働省のホームページであったり、SNS、ラジオ番組などを活用した啓発を行っております。
また、孤独、孤立への対応につきましては、自治体の相談窓口であったり、電話、SNSによる相談窓口を設けておりまして、例えば、つらい気持ちや悩みを抱える若者などを対象といたしました相談窓口として「まもろうよ こころ」を設け、周知を図っているところでございます。
加えまして、薬剤師さんや登録販売者さんが薬物乱用に苦しむ青少年を適切な支援先につなぐためのマニュアルを作成しておりまして、今般の薬機法改正法案の販売規制に加えて、オーバードーズに関する啓発活動や相談窓口での対応などを通じて、抑止であったり支援につなげることができるよう、対応を進めてまいりたいと思います。
○猪口委員 ありがとうございます。
学校と家庭というのは、そこが原因で心の問題につながっていくということなので、その真ん中を埋めるということで、SNS等、電話等を利用するのはいいと思いますが、塾や駅、あるいはトイレとかそういったところに、そういうSNSにつなげるとか電話につなげる、そういったものを利用して、誰にも相談できずにという状況がないように、小中高の自殺のお子さんが過去最高を記録しておりましたので、それも含めて様々な対応をしていただきたいと思います。
続きまして、市販薬のオーバードーズで、依存性と意識障害や呼吸不全を生じる危険が高いブロモバレリル尿素、これは市販名でウットとかナロンエースなんかがあるんですけれども、欧米では一般用医薬品としても処方箋医薬品としても使用されていませんが、日本では一般用医薬品として市販されています。
今後、一般用医薬品から処方箋医薬品へのスイッチ、あるいは承認取消しとするお考えはないでしょうか。
○城政府参考人 お答え申し上げます。
医薬品の製造販売につきましては、薬機法に基づきまして、企業から申請される効能、効果、用法、用量等について提出されたデータを基に品質、有効性及び安全性について審査をして、品目ごとに承認をしております。
御指摘のブロモバレリル尿素につきましては、日本では約五十年以上前から市販薬として販売されているものでございますが、用法、用量や使用上の注意を守って適正に使用されている限りにおきましては、有効性及び安全性の観点から薬機法の承認取消し事由に該当するものではないと考えております。
また、承認の仕組み上でございますが、一般用医薬品から処方箋医薬品への変更につきましては、これは、有効性や安全性に関する新たな知見によって処方箋医薬品に変更するような必要性が生じるような状況の場合に限りまして、製造販売業者から医療用医薬品としての申請及び承認の手続を要するものでございます。一方的に処方箋医薬品への変更を行うということは難しいものでございます。
なお、このブロモバレリル尿素につきましては、乱用等のおそれのある医薬品に指定をしまして、購入者の年齢、購入理由等の確認や販売数量規制を行っているところでございまして、今般の薬機法改正法案による販売規制の強化やオーバードーズに関する啓発活動等を通じまして、引き続き適正使用に取り組んでまいりたいと考えております。
○猪口委員 取消しは非常に難しいということですけれども、ブロモバレリル尿素は、これは依存性もあって、規制していますけれども、定期的に購入して使っている方をたまに見受けますので、依存性もあり、脳の萎縮等も起こしてきますので、あと、大量投与で死に至るケースもありますので、できれば非常に厳しい規制をかけていただけたらと思います。
続きまして、熊本の慈恵病院に「こうのとりのゆりかご」、東京の賛育会病院に「いのちのバスケット」という名称で赤ちゃんを託す施設が設置されていますが、誰にも相談できずに出産を迎える母親に対し、最後のとりでとしての機能と考えられます。
相談窓口として、国は令和六年よりこども家庭センターを設置していますが、賛育会病院は出産費用までは支援が困難とのことでありますが、出産費用等の面で国が支援するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
出産のケースについては、通常であれば、出産育児一時金ということで、医療保険の世界では費用を出しているというところでございます。
ただ、本件については、恐らく、親の方がどうなのか、いらっしゃるのかというか、預けていらっしゃるということもあるので、そこはちょっとこども家庭庁ともよく相談をしながら検討させていただければと思っております。
○猪口委員 支援がなくて子供を産んで、そしてお子さんの命が奪われるというケースが非常に多いので、こういったケースについて、救いの手を差し伸べるという制度も必要なんじゃないかなと思います。
現時点での一般的な出産に関わる費用というのは、先ほど鹿沼さんがおっしゃったとおりに、地域によっては異なりますが、一時的に出産費用は妊婦がまず支払って、後で費用が出産一時金として払い戻される、そういう状況が今あります。全ての妊婦さんに対して、出産時に支払いをしなくて済むよう、完全無償化とすることが少子化対策になるのではないか。
今、出産のときに、ある程度、医療機関によっては違いますけれども、予約金みたいな形で二、三十万用意して、それをあらかじめ払って、その上で出産ということになる。出産で、出産育児一時金が後から払われるという状況で、現金を用意することが難しい若い世帯が非常に多いので、そういうことをケアするためにも、まず、お財布の要らない出産、これがやはり一番大事だと思うんです。
経済的に非常に苦しいから、子供は欲しいけれども、お金がたまってから子供を産みたい、そういう若い世帯が多いのを承知しております。そういうことが積み重なると、高齢出産にもつながり、さらには不妊という、高齢によって不妊が増えるという状況がありますので、できれば、出産に際しては全く初めにお金を用意しなくてもいい、そのような状況が非常に重要かと思いますが、厚生労働大臣に、そのような制度を整える今後の予定とかはないでしょうか。
○福岡国務大臣 妊婦の方々の経済的な負担を軽減し、安心して出産できる環境を整備するために、令和五年四月から出産育児一時金を四十二万円から五十万円に大幅に増額いたしますとともに、出産費用の見える化について進めさせていただいてきたところでございます。
出産費用は年々上昇傾向にございまして、令和六年度上半期には全国平均でいえば五十二万円と、出産育児一時金の支給額を上回ってございます。こうした現状を踏まえまして、現在、有識者の検討会におきまして、平均的な標準費用について、妊婦さんに自己負担が生じないようにするとの基本的な考え方に基づきまして、妊婦の出産時の経済的負担の軽減策を検討してございます。
妊婦さんの経済的負担の軽減と地域の周産期医療提供体制確保、この双方の観点に十分留意しながら、引き続き、関係者の方々の意見を丁寧に伺いながら検討を進めてまいりたいと思います。
○猪口委員 妊婦さんたちにとっては、後から払われるという状況が一番困るという、それをまず考慮していただきたい。保険医療でやるか、いろいろな手法があるとは思いますけれども、後からの状況というのが困難な状況を招くということだけ理解していただきたいと思います。
○福岡国務大臣 先生御承知のとおりと思いますが、保険者から医療機関に直接給付をいたしまして、その分を妊婦さんの支払いに充当する直接支払い制度を多くの医療機関で導入いただいておりまして、現在、年間の分娩の割合でいうと約九四%がそれに当たるということでございます。
今委員の御指摘いただいた部分は、そこの残りの六%の部分ということでございますので、そこのこともしっかり受け止めながら、対応については、先ほども言いましたように、今後検討を進めてまいりたいと思います。
○猪口委員 分かりました。
ただ、調べた限りでは、出産に際しての予約金、そういうことは今も行われていると思いますので、それがないようにしていただけたらと。保険給付でやるのであればいいんですけれども、そういったことが、自己負担というよりも、後から戻るということがないように、全員に対して無料であるということを目指していただきたいと思います。
続きまして……
○藤丸委員長 保険局長はいいですか。
○猪口委員 お願いします。
○鹿沼政府参考人 今おっしゃられましたのは、分娩予約のときの預り金のようなもののことだと思いますけれども、妊婦の一時的な経済負担を軽減するという趣旨は先生がおっしゃっていたとおりだと思いますけれども、これを踏まえれば、直接支払い制度を利用している医療機関等で分娩予約時等に預り金を求めることは限定的であるべきだというふうに我々も思っております。例えば、出産費用の見込額が一時金支給額を超えることが事前に明らかであるというような場合に限り、その差額の範囲内で個別に預り金を設定するよう、これは医療機関等に私どもは求めております。
そういった意味でも、出産費用の見える化等もしっかりやっていきながら、妊婦の出産費用に対する予見可能性の向上にも併せて取り組んでいきたいと思いますし、あとは、今、検討会におきましては、妊産婦に対する総合的な支援策、こういったものも検討しているところでございますので、引き続きしっかりと対応していきたいと思っております。
○猪口委員 ありがとうございます。
早い段階でそれを実現していただきたいと思います。よろしくお願いします。
続きまして、マイナ保険証について御質問させていただきます。
マイナ保険証は、患者、保険者、医療機関同士を結び、情報を共有するものですけれども、今回の医療法の改正で最も大きなところは、この中に、支払基金を医療情報共有サービスとして新たに位置づけることが最も大きな改正点ではないかと承知しております。
医療の無駄を省いて、ビッグデータを生かし、国民の健康やパンデミックに備えるといった観点で医療DXも進めていくことが最善かと思いますが、その中で多くの課題を抱えているということは皆さんも御承知と思います。
まず、マイナ保険証は、薬剤情報、特定健診結果、本人確認、こういったことが医療機関では非常に欠かせないデータで、非常に役立っております。しかし、マイナ保険証の普及率は二〇%程度にとどまっておりまして、今後更にマイナ保険証の利用率を上げるためには何か方策があるのかどうか、厚生労働大臣にお聞きしたいと思います。
○鹿沼政府参考人 先生御指摘のとおり、マイナ保険証は、まさに確実かつ電子的な本人確認の下、本人の健康医療情報を活用した適切な医療の提供に大きく寄与するものだと考えております。そのメリットが早期に享受されるよう、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行したところでございます。
一方で、これも先生御指摘いただきましたが、利用率については、令和七年二月時点で二六・六%ということで、多くの皆様にマイナ保険証を御利用いただけるよう、メリットの周知、不安の声に丁寧に対応していく、この必要性が非常に高いと思っております。
こういった観点から、昨年度から順次、救急車や搬送先の病院といった救急医療の現場において、患者の意識がない場合等でも医療情報の共有が可能になっているほか、令和七年度中に、電子カルテ情報共有サービスの本格運用により、必要な電子カルテ情報を医療機関等が電子的に共有できるようになるということ、またさらには、本年春のiPhoneへの搭載を、実証事業を経た上で、九月頃をめどに、環境の整った医療機関においてスマートフォンでもマイナ保険証を利用できるようになるなど、そのメリットがますます増えていくと考えており、国民の皆様がこういったメリットを享受できるよう着実に取組を進めるとともに、周知も行っていきたい。
また、あわせて、持ち歩いて紛失しないか心配といった不安の声もあると承知しておりますので、マイナンバーカードの中にプライバシー性の高い情報が入っていないことや、何らかの事情でマイナ保険証での資格確認ができなかった場合の対応、こういったものも含め、丁寧に周知をし、また国民の皆さんに御理解をいただきながら、利用促進にしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。
○猪口委員 医療機関に対しては、推進のためのいろいろな施策、加算ですよね、医療DX推進体制整備加算とかそういったものはあるんですけれども、患者さん目線からメリットを感じないから自分から進んで利用しない、そういうケースが今一番多いんじゃないかと思います。
医療機関としては、マイナ保険証の取扱いについて、機械の不具合がよく起きることは確かなんですけれども、これは導入という状況からしたら、導入時というのはどのような状況でも、例えば日本年金機構ができるときも非常に不具合があったりして、これは非常に起きるべくして起こることで、それを少しでも改善していくということが必要かとは思うんですけれども、患者さんに対しての何かメリットとなる普及の方法というのは考えていないんですか。
今お話しになったのは、スマホでチェックインすればいい、そういう状況も非常に利便性が高いと思うんですけれども、高齢者に対しての普及、これはいかがでしょうか。紙の資格確認書が発行されている状況であればそれでもいいと思うんですけれども、実際に医療現場あるいは救急の場では、やはりマイナ保険証があることで受入先医療機関は非常に利便性が高まると思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○鹿沼政府参考人 ありがとうございます。
一部ちょっと重複もございますが、大きく申しまして、まずメリットをしっかりと国民の皆様に理解をしていただく、周知していくということが大事だと思っております。そういった意味で、マイナ保険証は、確実かつ電子的な本人確認の下に、本人の健康医療情報を活用した適切な医療が提供できるということ。また、先ほどもちょっとお話ししましたが、救急車や搬送先で意識がないということがございますけれども、その場合にはマイナ保険証を見ることによって医療情報の共有が可能となっている。まさに一刻を争う救急の現場でございますので、そういったところで、こういったことで命が救われるということ。こういったことをしっかり伝えていくことが大事だと思っています。
二つ目は、やはり利便性の向上ということで、スマートフォンなどもそういったものの一環だと思っております。
三つ目といたしまして、やはり不安の声というのがあるので、そういった不安の声に対して応えていかなきゃいけないということで、マイナンバーカードをいつも持ち歩いて大丈夫だろうか、落としたらどうなるんだろうか、そういったような不安のお声に対してもしっかり応えていきたいということで、先ほど述べさせていただいたとおりでございます。
○猪口委員 ありがとうございます。
マイナ保険証のほかに情報の集約に欠かせないのが電子カルテですが、電子カルテの普及率は五〇%にとどまっていますけれども、現在、五〇%の電子カルテを導入している医療機関でクラウド型を利用している医療機関はどの程度でしょうか。
○内山政府参考人 お答えいたします。
いわゆるクラウド型とオンプレミス型の電子カルテシステムでございますけれども、何をもってクラウド型というか。これは、電子カルテのアプリケーションが院内のサーバーで動作しているかどうかという観点もございますし、あるいは、データの保管が院内かクラウドかによってクラウド型という場合もございます。
そういう意味で、定義が様々なので、一概にお答えすることは難しいのでございますけれども、令和五年度の調査におきまして、電子カルテを導入している一般病院の約九割、一般診療所の約八割が医療機関内にあるサーバー機器等でデータを保管しているというふうに回答しておりまして、その意味で、これらがオンプレミス型の医療機関だと考えてございまして、オンプレミス型の医療機関が多い状況というふうに承知をしてございます。
○猪口委員 そうしますと、電子カルテが普及していないところが五〇%で、普及しているところではオンプレミス型ということで、今後、社会保険支払基金が役割を大きく変えて、電子カルテ情報共有サービスの基盤となるような形になりますので、そういった場合のときに、クラウド型にしていかないと、オンプレミス型だと普及が非常に難しくなるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○内山政府参考人 電子カルテの普及でございますけれども、今、厚生労働省では、できるだけクラウド型にしていくという方針を打ち出しているところでございます。
いずれにしましても、オンプレミス型であれ、クラウド型であれ、現状の電子カルテの普及率、これを向上させていかなければいけないというふうに思っていまして、そのため、例えば診療所につきましては、クラウド型製品が普及し始めている点、そういうこともありますし、医療機関の負担の軽減の観点もございますので、標準型対応済みのクラウド型電子カルテの導入を検討いただきたいと考えてございまして、例えば、現在政府で開発しています標準型電子カルテの普及を進めるといったようなこと、それから、既に導入している診療所についても、標準型対応済みの民間事業者のクラウド型製品、あるいは先ほど申し上げた標準型電子カルテへの移行を検討いただきたいということをお願いをしているところでございます。
また、病院に対しては、今、クラウド型製品の普及が十分ではないこともございますので、民間事業者において標準型に対応したクラウド型製品の開発を今後促していくということもしてございますし、導入済みの病院については、オンプレミスの製品の標準型への改修、こうしたものを促していくというふうにしてございます。
こうしたような方向性を持って電子カルテの早期の普及に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○猪口委員 時間もなくなりましたので、ちょっとはしょりますけれども、今回の医療法の改正で、社会保険診療報酬支払基金の役割が大きく変更されて、電子カルテ情報共有サービスの基盤となりますが、国民健康保険団体連合会における業務はどのようになるのか、また国保連との関係はどうなるのか、これをお示しいただきたいと思います。
○福岡国務大臣 医療DXに係る社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険団体連合会の費用に関しましては、これまで、オンライン資格確認等システムであったり電子処方箋管理サービス等の運用に係る必要経費は、国民健康保険も含む各保険者等が加入者数に応じて負担する運営負担金で賄われておりまして、支払基金の改組後も同様でございます。
その上で、今後、支払基金が新たな医療DX業務を実施する場合においては、その負担の枠組みを医療保険者等の関係者と調整した上で決定していくこととなります。
なお、御指摘のとおり、国保連合会は国民健康保険に係る診療報酬の審査支払い業務を担っておりまして、その点については今後変わるものではございません。
医療DXの推進に当たりましては、支払基金であったり、国保連合会、国保中央会とよく連携して、適切な体制を構築して進めていきたいと考えております。
○猪口委員 現在、支払基金に各保険者は手数料として審査のために八百億円ほど、協会けんぽなんかでは八百億円程度払っているという状況で、それは被保険者と雇用主、これが負担をしているわけで、これが一体化してしまう、今後の共有サービスの基盤となる支払基金、これがどのような形で費用、運営されるのかということは十分公平に考えていただきたいと思います。
以上、質問がちょっと残りましたけれども、また次にさせていただきます。ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、阿部圭史君。
○阿部(圭)委員 日本維新の会の阿部圭史でございます。
先ほど、薬機法がこの委員会において可決されました。後発医薬品の業界再編に加えまして、革新的医薬品に関する創薬体制の強化は非常に重要なことだと思っております。特に、附帯決議に記載しました後発医薬品の業界再編の促進策につきましては、厚生労働省を挙げて確実に行っていただきたいというふうに思っておりますので、お願い申し上げます。
また、零売薬局についても一言申し上げます。
先週水曜日の四月九日、薬機法改正に当たりまして、私、零売について質問いたしましたが、その質問を聞いた零売薬局の経営者の方から後日御連絡をいただきました。
以下、読み上げます。これまで零売薬局は法的な位置づけが明確ではないまま、地域の健康インフラとして役割を果たしてまいりました。今回、私、阿部の質問によって、国として零売薬局の存在を明確に認めていただいたことが広く伝わり、現場で日々対応している私たちにとって大きな励みとなりました。
このようにいただいておりまして、現場ではこのように受け止めていただいているということなんだろうなと思います。参議院の方でも薬機法が可決、成立した場合には、その後、やむを得ない場合というものについては厚生労働省令で列挙することということになっておりまして、医薬局長や医薬局総務課長からも、省令に書く具体的事項としてはこういうものを想定しているという資料をいただいております。
日本維新の会は、セルフメディケーションの推進、薬剤師の役割の拡大を実施すべきだと考えておりまして、その省令に書く内容について、今後、なかなか、こういったいただいた資料から変更が軽々になされることはないと思っておりますし、大方そごはないというふうに思っておりますけれども、引き続き注視していきたいと思っております。大臣におかれては、その辺りの御指導をしっかりとお願いしたいというふうに思っております。
それでは、まず初めに、沖縄の離島からの住民避難、受入れに係る取組について質問いたします。
自衛隊と米軍が昨年二月に実施した日米共同指揮所演習、キーンエッジで、台湾に侵攻する中国軍艦艇に対し自衛隊機がミサイル攻撃を行う判断が下されたことなど、演習の概要が六日判明したと産経新聞が報じております。日米共同演習で本格的に台湾有事を想定したのは初めてとのことで、演習の結果は、有事の際に自衛隊や米軍が行動する際の指針となる作戦計画に反映されることが想定されています。
台湾有事は日本有事、まさにそのとおりだと思っております。台湾有事で我が国の最前線となるのは沖縄県です。沖縄県につきましては、国民保護法三十二条に基づく国民保護基本指針において、沖縄県の島外避難の適切な実施のための体制づくりに資するよう、国が特段の配慮をすることが必要とされています。
本年三月、台湾有事等を想定して、内閣官房事態室が、沖縄県の離島からの住民避難・受入れに係る取組を公表しました。
資料一を御覧ください。対象は、先島諸島の五市町村、約十二万人です。一日約二万人の輸送力、単純計算で六日間で十二万人を九州及び山口県に輸送する計画となっております。
ここで事態室にお伺いします。
沖縄の離島からの住民避難、受入れに係る取組について、この国民保護措置を実行するに当たり、避難開始のトリガーに関してどのように考えているか、お聞かせいただけますでしょうか。
○市川政府参考人 お答え申し上げます。
住民の方の避難等の国民保護措置が必要となる状況につきまして、一般的な状況としましてお答えさせていただきますと、少なくとも、我が国に対する武力攻撃が予測される事態と評価される状況であるというふうに考えております。
そのような状況におきまして、政府としましては、いわゆる事態対処法等に基づきまして、対処措置としまして、避難の指示等の国民保護措置を行うことになるというふうに考えております。
事態が緊迫し、時間的な制約がある状況に応じてこうした措置を的確に実施するためには、武力攻撃予測事態を極力早期に認定することが特に重要であると認識しております。
○阿部(圭)委員 ありがとうございます。
武力攻撃予測事態の認定ということですけれども、やはり、避難をするに当たっては、これを早期にやっていくということが大事だと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
防衛省にお伺いします。
今の説明によれば、武力攻撃予測事態ということですけれども、資料にもございますとおり、輸送については船と飛行機を利用することになっております。民間アセットと自衛隊アセットの船と飛行機、使い分けについてはどのように検討されているのでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答えいたします。
防衛省・自衛隊といたしましては、有事に際して、武力攻撃を排除し、国民への被害を局限化するという主たる任務を遂行するとともに、これに支障のない範囲で、可能な限り国民保護措置を行うことになります。自衛隊しかできない、武力攻撃を早期に排除するという任務、これを遂行することが極めて重要であり、このことが国民の生命財産を守ることにつながるとの考えに基づくものでございます。
その上で、御指摘ありました沖縄県の国民保護訓練では、先島諸島からの住民避難の輸送手段として、基本的には民間の航空機や船舶の活用を想定していますが、自衛隊のアセットについても、海上輸送の手段の一つとして、その活用可能性が検討されております。
防衛省といたしましては、引き続き、様々な検討、訓練に参加することで関係機関との連携を深めるなどして、国民保護の実効性を高めてまいります。
○阿部(圭)委員 自衛隊の本務はまさに武力攻撃を排除するということで、武力攻撃正面への対応というのがまさに一番重要になってくると思いますので、やはり後方の輸送については、民間アセットを中心に活用するというのが望ましいんだと思っております。ですので、民間との連携を密にしてやっていただきたいなと思っております。
次に、資料二を御覧ください。
避難に当たっては、医療・介護サービスを受けている方を輸送する必要もございます。今回の取組の中では、このような方々を要配慮者と呼んでおりまして、十二万人の避難民のうち約八千人いると試算されています。全避難者のうち約六%になります。
本計画では、輸送は消防庁、受入れ側を担っているのは厚生労働省と聞いておりますので、消防庁と厚労省にお伺いします。
避難時の要配慮者の避難手順及び受入れ先の医療、福祉の提供体制の確保に関する施策について、輸送と受入れの詳細について教えてください。特に、この際、医療従事者等の人を他県からですとか、アセットが非常に課題になってくると思いますので、人をどのように派遣するかですとか、あとは病床や施設等の箱、受入れ側の箱に余裕があるのか、その手当てをどうするのか、この辺についてもお伺いしたいと思っております。
お答えいただくに当たっては、やはり、これはまだ全ての検討が済んでいるわけではないと思いますので、現在までに決まっていることと今後決めていくことを峻別してお答えいただけますでしょうか。お願いします。
○小谷政府参考人 お答え申し上げます。
本年一月三十日に、国、沖縄県、先島諸島の五市町村等が協力し、武力攻撃予測事態を想定した、先島諸島から九州、山口各県等への住民避難について図上訓練を実施しました。
要配慮者の避難に係る調整については、令和六年度までの訓練において、先島諸島の五市町村ごとの対象人数の把握、医療関係者の意見等を踏まえた要配慮者の症状の程度等に応じた搬送手段及び付添体制の整理、先島諸島の五市町村における医療機関に入院している方や社会福祉施設に入所している方、在宅の方、それぞれの避難実施要領のモデル的な検討などを行ってまいりました。
令和六年度までの訓練を通じて課題が明らかになったことから、令和七年度以降の訓練においては、これまでの検討内容の更なる具体化、医療従事者等の応援確保に関する検討、避難先都道府県との連携、調整に係る検討などを行ってまいります。
こうした訓練、検討を通じて練度の向上や課題の改善を図るなど、引き続き、離島避難の更なる実効性の向上に努めてまいります。
○福岡国務大臣 国民保護事案が発生した場合には、厚生労働省国民保護計画に基づきまして、医療につきましては、医師を確保し救護班を編成し、患者さんの搬送や受入れ医療機関の支援を進め、福祉につきましては、関係団体と連携して、避難者の受入れ施設等への介護職員等の応援派遣により支援を進めることとしておりまして、有事にこうした対応が取れますように、例えば令和六年度までの訓練においては、要配慮者の避難者数の把握であったり避難のための搬送手段の整理を行ってきたところでございます。
令和七年度におきましては、避難者数に応じた受入れ施設の確保に関する検討に加えまして、救護班を編成するための、医療従事者であったり医療資材の確保に関する検討などを行う予定としております。
引き続き、医療、福祉関係者の方々の協力を得ながら、関係省庁や関係自治体と連携し、より具体的な計画となるように準備を進めてまいりたいと思います。
○阿部(圭)委員 ありがとうございます。
まさに令和七年度からも検討せねばならないことはたくさんあると思いますので、是非よろしくお願いいたします。
次に、資料三を御覧ください。今回の国民保護における輸送避難体制とは、要するに、さきの大戦の戦時中でいうところの疎開の一部のようなものだと理解をしております。
我が国は専守防衛をうたっておりまして、専守防衛ということは、戦域は我が国領域内ということが想定をされるわけです。現在、ロシアによるウクライナ侵略が続いておりますけれども、戦域が我が国領域内になるというのは、まさにウクライナ戦争で見ている光景が想像されるわけでございます。そのためには、今回の国民保護における輸送避難体制の構築という施策は非常に重要なものでございます。
本日、これまで議論してきましたのは、あくまで輸送と受入れ体制についてです。しかし、長期化した場合には、受入れ場所での生活をどうするのか、医療・介護提供体制をどうするのかということも考えねばなりません。
この資料にございますのが、戦時中、長期的に避難する場合、すなわち、いわゆる疎開ですね。疎開について戦時中に行われていたのが、この昭和十九年三月三日の閣議決定、一般疎開促進要綱、これに基づいて疎開が行われていたと認識をしております。
長期的な避難施策、いわゆる疎開の体制、全体像、どのようになっているんでしょうか。厚生労働省にお伺いします。
○福岡国務大臣 避難生活が長期化をした場合には国民生活に様々な影響が及びますために、国民の安全、安心の確保に取り組み、社会経済活動の安定に資するように取り組んでいくことは極めて重要だというふうに考えております。
このため、厚生労働省では、国民保護法に基づき厚生労働省国民保護計画を策定しておりまして、その中で国民生活の安定に関する措置をあらかじめ定めまして、雇用対策であったり必要な福祉サービスの提供など、厚生労働省の所管事務に係る幅広い措置に的確かつ迅速に取り組むことができるようにしております。
避難生活が長期化した場合には、本計画に基づきまして、関係府省庁とも連携しながら必要な生活支援を行っていきたいと考えています。
○阿部(圭)委員 今お話しいただきましたのは、まさに全体像ということで、国民保護計画に基づいてということでございます。
特に、避難が長期化した場合は、もちろん厚生労働省も旧内務省系の官庁として非常に重要な役割を担うわけですけれども、それ以外のところもしっかりカバーせねばならないというふうに思っております。
具体的に言いますと、よく戦時中の漫画でございますように、例えば学生が田舎に行って疎開をしているというシーンとかありますけれども、そういったことを想像しますと、避難が長期化した場合の、どのようになりわいを続けていくか、生活支援ですとか、就労、教育体制、この辺についてもしっかりと体制を整えておかなければならないのではないかというふうに思っておりまして、避難が長期化した場合の生活支援、就労、教育の体制について、厚労省と文科省にお伺いします。いかがでしょうか。
○松坂政府参考人 お答えいたします。
国民保護に関する沖縄県の離島からの住民避難、受入れの検討につきましては、現在、内閣官房を中心として、関係省庁、自治体等が連携して検討を行っているところです。就学再開を含む避難の長期化等を見据えた対応につきましても、検討していく予定と承知しております。
その上で申し上げれば、文部科学省といたしましては、これまでの自然災害におきましては、児童生徒の就学機会の確保に向けて、例えば、避難先の学校での児童生徒の弾力的な受入れについて全国の教育委員会等に通知すること、また、被災地の学校が避難先で教育活動を再開する場合における支援等の対応を行ってきたところです。
今後の検討に当たりましては、これまでのこうした対応も参考としつつ、避難の元の地域、受入先地域、双方の自治体の御意向等も丁寧に伺いながら、関係省庁等と連携し、必要な検討を深めてまいります。
○福岡国務大臣 武力攻撃事態や災害時における生活支援策としては、まずは、国民保護法であったり災害救助法に基づき、避難先の確保であったり食料品等の必要な物資の確保が行われることになると承知しています。
加えまして、生活の維持であったり再建に向けて、例えば、社会福祉協議会が行います生活福祉資金貸付けにおきまして、緊急小口資金の対象者の拡大であったり償還期限の延長など、災害の規模等に応じた対応を災害時の特例として検討することが考えられます。
また、就労支援につきましては、ハローワークにおいて、必要に応じて、避難した求職者のニーズの把握であったり、地方自治体と連携した出張相談会の実施、避難者向けの求人の確保など、求職者と事業主の橋渡しを行い、きめ細かな就職支援に取り組むことが考えられます。
いずれにしましても、その状況に応じた適切な対応を迅速かつきめ細かく講じることが必要だと考えております。
○阿部(圭)委員 今大臣からお話がございました、生活支援に関する生活福祉資金制度というのがございましたけれども、やはり、災害時の特例ということでお話がございましたとおり、これまで我が国が災害をかなり経験をしてきて、なかなか自分の地域に戻れない、例えば福島の事例なんかはそうだと思いますけれども、そういったこれまでの積み重ねが活用できるんじゃないかというふうに思っておりますので、是非とも、災害関係もよく見ていただいて、特に、また戦時中の疎開の状況についてもよく研究していただいた上で施策を練っていただきたいというふうに思っております。
次に、同じく有事の際ということで、有事の医療という観点で、特に重要な抗菌薬と戦傷医療に必要なアドレナリン、ノルアドレナリン、麻薬について伺います。
まずは、抗菌薬について。抗菌薬については、特定重要物資として指定されていると思いますけれども、抗菌薬の原材料及び原薬の国内における確保策について、現状を教えていただけますでしょうか。
○内山政府参考人 お答えいたします。
ベータラクタム系抗菌薬につきましては、医療上の必要性が高いにもかかわらず、その原材料のほぼ一〇〇%が中国に依存していることなどから、経済安全保障推進法の、御指摘のありました特定重要物資に指定をしてございまして、二〇三〇年までに原薬の国内生産体制を整備することとしてございます。
具体的には、抗菌薬原薬国産化支援事業というものを実施させていただいてございまして、原薬やその原材料を製造する事業者の負担が大きい、国内製造に必要な設備投資に助成を行っているところでございます。
引き続き、この事業を通じて、ベータラクタム系抗菌薬のサプライチェーンの強靱化を進めてまいりたいと考えてございます。
○阿部(圭)委員 抗菌薬は非常に重要ですので、施策を進める必要があると思っておりまして。
余談ですけれども、かつて私、厚労省の役人をしていた際に、多剤耐性菌、いわゆるAMRというものと抗菌薬に関する施策の初代の担当者をしておりまして、その際の大臣は、今日も委員会にいらっしゃいますけれども、田村憲久厚生労働大臣でいらっしゃいまして、田村大臣にレクに伺った際に、これは本当に大変なことだということで、俺も風呂場でのぼせるまでこの本を読んだから、おまえも読めというふうに言われまして、本を渡されて、大変熱い御指導を賜りまして、私は田村先生の熱い御指導でのぼせそうになりながら勉強していたということでございまして、非常に懐かしい、よい思い出でございますが、済みません、ありがとうございました。
その際に、様々な製薬企業にお話を聞いたところ、抗菌薬は汎用品として薬価が低く、商売にならない、要するに、もうからないので作りませんということを大半お伺いをいたしまして、これは日本だけではなく、他国でもそうなんですね。安いから作りませんということで、法的な対応もされている国もございます。
先ほど審議官からお話がございましたとおり、厚労省では、令和四年度第二次補正予算で五百五十億円規模の抗菌薬原薬国産化事業を実施しておりまして、抗菌薬の国内製造設備の費用負担を補助しています。抗菌薬は安くて作ってももうからないということなので、やはり製造工場に補助するだけでは駄目でして、国産品の抗菌薬については、薬価を引き上げる等の施策が必要だと思いますけれども、現在の対応をお伺いいたします。いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 経済安全保障推進法の特定重要物資に指定されましたベータラクタム系抗菌薬につきましては、二〇三〇年をめどに国産原薬を用いた抗菌薬の製造販売が開始される見込みでございますが、国産原薬を使用した製剤は、海外産原薬のみを用いた抗菌薬よりも高くなることが想定されます。
国産原薬を用いることに伴うコスト増につきましては、委員御指摘のとおり、私たちも課題だというふうに認識をしておりまして、令和七年三月に開催されました中医協において、二〇三〇年目途の国産原薬を使用した製剤の供給開始に向けて、例えば薬価であったり時限的補助といった方法により、国産原薬を用いることに伴うコスト増に対し、どのような対応が可能かを検討する必要が生じることを論点として提示したところでございます。
引き続き、国内製造の原薬が継続的に用いられるような環境整備に向けて検討を進めてまいりたいと思います。
○阿部(圭)委員 ありがとうございます。是非頑張っていただきたいと思っておりまして。
次に、有事の際に同じく重要なアドレナリン、ノルアドレナリン、麻薬について伺います。
資料四を御覧ください。最も優先して取組を行う安定確保医薬品、カテゴリーAとして、このアドレナリン、ノルアドレナリンも含まれております。それだけ救命にとって重要だということでございます。
防衛省にお伺いしますけれども、戦傷医療として、このアドレナリン、ノルアドレナリン、麻薬は、有事の際、しっかり確保できるんでしょうか。
○金子大臣政務官 御指摘のとおり、戦傷医療においては、アドレナリン等の投与による救急救命行為や麻薬による疼痛管理は、自衛隊員の人命救助の観点で非常に重要であるというふうに認識しております。そのため、防衛省では、自衛隊員への投与のためのアドレナリン等や麻薬の確保に向けた体制を整備しているところでございます。
また、厚労省では、国民の保護に関する基本指針に基づき、指定公共機関及び都道府県において、必要な応急救護用医薬品、医療資機材等の備蓄が行われるよう努めるものとされていると承知をしております。
防衛省といたしましては、戦傷医療対処能力向上を図るため、厚労省と連携し、対応してまいります。
○阿部(圭)委員 是非、連携して頑張っていただきたいと思っております。
次に、時間がございますので、飛ばしまして、医療提供体制の再編について伺います。
資料五を御覧ください。政府は、令和六年補正予算に基づく病床数適正化支援事業を行っています。これは、超高齢化、人口減少の中で効率的な医療提供体制の確保を図るということで、病床の適正化を進めるものですけれども、具体的には、病床数の適正化を進める医療機関を対象に、経費相当分として、病床一床当たり約四百万円を支給するというものでございます。
ここで厚労省にお伺いします。
令和六年補正予算に基づくこの事業について、今回の、今申請がされていると思いますけれども、申請状況について教えてください。具体的には、三つお願いします。全医療機関数のうち手を挙げた医療機関数及びパーセンテージ、二つ目、全病床数のうち手を挙げた病床数及びパーセンテージ、三つ目、現時点において、各都道府県に許容された病床数のうち手を挙げた病床数が多い都道府県のトップファイブについて教えていただけますでしょうか。
○森光政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの病床数適正化支援事業につきましては、都道府県を通じまして、医療機関に対して、本年の二月二十一日から三月十八日まで募集を行い、医療機関の経営状況等を勘案した上で、今月十一日に都道府県に第一次内示を行ったところでございます。
申請状況につきましては、病床を有する全ての医療機関約一万三千のうち申請した医療機関数は約二千でございまして、全体の一五%。全病床、これは一般、療養、精神等、全部含めたものでございますが、約百五十四万床のうち申請した病床数は約五万床でございまして、全体の約三%となっております。申請された病床数が多い都道府県は、上位から、北海道、東京都、大阪府、福岡県、兵庫県となっております。
○阿部(圭)委員 ありがとうございます。
これは数字を見ましたけれども、今回の事業で拾われている病床数、医療機関、少ないということで、やはり制限があるんだと思います。
やはり、この事業は大きな需要があるんだと思っておりまして、地域医療構想を進めていく過程で、より加速化して行う必要があると思いますけれども、最後に、大臣、その必要性についてお伺いしますけれども、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 御指摘の、昨年度の補正予算で措置いたしました病床数適正化支援事業については、医療機関から五万床を超える申請がございまして、約七千床分の予算配分について、先週、都道府県への第一次の内示を行ったところでございます。
他の補正予算の事業であったり融資拡充と併せて、まずは必要な支援が現場に行き届くように取り組みますとともに、執行状況や足下の情勢変化等を丁寧に把握した上で、執行残も活用した予算確保であったり、更に必要な対応を検討していきたいというふうに考えております。
○阿部(圭)委員 ありがとうございます。
これは、必要な状況が、需要がかなり大きい事業だと思いますので、是非頑張って進めていただきたいなと思っております。
これで質問を終わります。ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、福田徹君。
○福田(徹)委員 お願いします。国民民主党、福田徹です。
私は、初めて街頭演説に立ったその日からずっと、人に優しい医療改革という言葉で訴えております。現役世代の負担を抑えながら、世界一の日本の医療を守る。医療を受ける人も、医療を提供する人も、医療を支える人も、皆にうれしい医療改革を実現したいと思っております。
そして、医療の経験がある者として、科学的根拠に基づいて、そして、その根拠がなければその根拠をつくるような、そういう役割として実現の力になっていきたいと思っております。
そして、私は、今政府が進めようとしている方向性はおおむね正しいと思っております。そして、その実現のために前へ進むことを阻む壁は何なのか、その壁を乗り越えるためには何が必要なのか、それを政府の皆様、委員の皆様と一緒に前向きに議論していきたいと思っております。
今日は、骨太の方針二〇二四のこの部分に注目したいと思います。「持続可能な社会保障制度の構築に向け、能力に応じ全世代が支え合う」、このビジョンに向かって進むために最も重要な言葉は、「能力に応じ」という部分だと思っております。ここの意味を明確にして、全ての国民で議論の前提として共有すること、まず、これが適切な議論に向けて大切なことだと思っています。
そして、質問させていただきます。
この能力とは何を意味するのでしょうか。恐らく、自然に受け取れば、医療費支払い能力、医療費を支払ってもほかの生活に支障が出ない人という意味だと思っておりますが、間違っていませんでしょうか。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
恐らく、まず話の前段といたしまして、今までのように、どちらかといえば高齢者は支えられる側、若い人は支える側ということではなくて、あくまで負担能力に応じて、全世代型の社会保障という流れの中の文章だというふうに理解をしております。
そういった中で、医療保険制度におきましては、被保険者が負担する保険料や医療を受けた患者自身が負担する窓口負担などを適切に組み合わせることによって医療費を賄っておりまして、負担能力に応じた負担とは、そうした保険料や窓口負担について、支払い能力がある方に御負担をいただくという意味で用いられているというふうに思っております。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
能力の意味は、恐らく多くの人が受け取る意味で間違いないことが確認できました。
では、次に教えてください。能力で負担を決めるために、その能力をどのように測定、評価しますでしょうか。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
医療保険におきましては、保険料の算定ですとか自己負担割合の判定に当たって負担能力ということを使っておりますが、例えば、国民健康保険、後期高齢者医療制度におきましては、年金収入や事業収入といった各種収入の総収入について、市町村民税の課税所得などの指標を用いて判定をしております。
また、被用者保険におきましては、事業主が支払う賃金に着目いたしまして、標準報酬月額と標準賞与額を指標として用いているということでございます。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
そうですね。今は収入で評価されています。ただ、能力の意味が先ほどの意味だとするのであれば、収入では正確に評価できないと思っております。収入が少なくても多くの資産を持つ方というのは確実にいらっしゃいます。だから、収入だけで自己負担を決めるというのは、やや正確に欠けると思います。
では、次に教えてください。能力に応じた負担、これをより正確に使うために、今取り組まれていることは何でしょうか。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
現在の医療保険におきましては、賃金や課税所得など、先ほど申しましたようなそういった指標により窓口負担能力や保険料等を決定しているところでございます。
一方で、負担能力に応じた負担という観点からいえば、一昨年末の改革工程におきまして、医療保険等における負担への金融所得、金融資産、こういったものの反映が検討項目として盛り込まれているところでございます。
マイナンバー制度によって被保険者の金融所得や金融資産を把握することができるかなど、実務上の課題、事務負担、こういったものもしっかり考慮しながらやっていかなければいけませんが、引き続き、そういったものを整理してまいりたいというふうに思っております。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
金融資産、あと金融所得、これを把握する検討をされているということです。確かに、個人個人の資産を把握するのは、これはすごく難しいですよね。今後、丁寧な議論が必要だと思います。
ただ一方で、個人個人の資産を把握することは難しいけれども、今、若年層より高齢層の方が金融資産が多いこと、これはもう現時点でも、金融庁を始め行政や民間の様々な調査で分かっております。
そこで、お聞きします。現時点で、今の情報で高齢者の自己負担割合を増やすこと、この問題点は何でしょうか。
○福岡国務大臣 今おっしゃったように、資産等の把握の仕方等については工夫を重ねる必要がありますが、全体で見たときに、例えば御高齢者であっても、資産を持っていらっしゃる方と持っていらっしゃらない方、それぞれ違うわけでありますから、そこを一律に、全体の資産額だけをもってそういう制度を適用することが適当かどうかということについては、十分検討が必要だというふうに思っております。
高齢者の方の自己負担割合の引上げを検討していくに当たりましては、一般的には所得が低い一方で医療費が高い傾向にある高齢者の方々にとっては大きな負担増となるとの指摘であったり、また、必要な受診が抑制されるおそれがあるといった指摘もあること等から、高齢者の方々の所得状況であったり受診状況等については丁寧に確認する必要があるというふうに考えています。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
一番の問題点は、やはり受診が抑制されることだと思うのですが、ただ、一番大切なのは、受診の回数ではなくて、その結果、健康に悪影響が出ることだと認識しています。
一方で、様々な研究において、自己負担の割合が変わることが健康に関して大きな悪影響がないということが示されています。例えば、アメリカで行われたランド医療保険実験では、自己負担を〇%、二五%、五〇%、九五%に無作為に分けて追跡調査されています。このRCTと呼ばれる前向きの無作為化比較試験、これは最も信頼度が高い研究モデルだと言われております。
この研究では、想像されるとおりですが、自己負担割合が増えると外来の受診回数は減っております。特に、負担ゼロと二五%で大きく差がありますので、少額でも自己負担があると受診行動に大きな影響があることが示されています。もちろん、医療費も自己負担が増えるほど減っております。
最も大きな関心事は、自己負担割合が高くなると健康に悪影響が出るのかという点ですが、こちらの研究では、自己負担のあるなしで健康のアウトカムに差はついておりません。唯一、最も経済的に厳しくて健康状態も悪い六%の人たちにおいて、三十の健康状態のうち四つで悪くなるという結果となりましたが、ほとんどの人では悪影響は出ていません。
こちらの研究からは、自己負担割合を増やしても健康に悪影響は少ない。そして、同様の自己負担と健康状態の関わりというのは、日本におけるたくさんの研究があって、やはり同じ結果となっております。
お聞きします。自己負担割合を増やすと受診回数が減るということは事実です。一方で、健康に悪影響があるというデータはありません。現時点で、政府は、医療費の自己負担割合を上げると健康に悪影響が出るとお考えでしょうか。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
まず最初に、そのランドの医療保険実験についてでございます。
委員御指摘のランド実験は、国民皆保険ではない米国において六十五歳未満の方を対象とした実験でございまして、公的医療保険制度が大きく異なる日本の後期高齢者医療制度にそのまま研究結果を当てはめることは、慎重にちょっと考えていかなきゃいけないかなというふうに思っています。
なお、ランド実験では、一般的には、自己負担があることによる健康状態への悪影響は認められなかったが、例外として、最も貧困で健康状態の悪い方については、一部の項目において、自己負担がないグループの方が健康状態がよい結果となったというような結果も出ているというふうに承知しております。
一方で、自己負担割合を引き上げることに伴う健康への影響でございますが、受診行動と健康状態の関係については、個人の健康には様々な要因が関係すると思っておりますので、一概に、自己負担割合の見直しに伴う受診行動の変化のみに着目して、健康状態に影響を与えるかどうかを評価することはなかなか難しいというふうに考えております。
いずれにいたしましても、高齢者の自己負担割合に関する見直しを行うに際しては、必要な受診について、できる限り抑制を招かないような丁寧な検討が必要だというふうに思っております。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
現時点のエビデンスでは個人の健康への影響を判断することは難しいという認識だと理解しました。確かにそうなんです。海外の研究とは、まず前提が全然違います。
そして、やはり、広い意味での健康というか幸せという価値観まで、今ある医療経済の研究で評価することは私も難しいと思っております。ただ、狭い意味での健康、医学的に評価できる健康という点においては悪影響がないと示唆されることも、国内の研究も含めて事実だと思っております。
そして、今我が国に、国民の健康を守りながら持続性のある医療制度をつくらなければいけない、この至上命題がある限り、やはり、今あるエビデンスで個人の健康への影響を評価できないというのであれば、どのような研究デザインにすれば評価できるのか、どのようなエビデンスをつくればいいのか、これを考えていただきたいと思うんですよね。もちろん、私も一緒に考えたいと思います。
私たち国民民主党は、後期高齢者の窓口負担、原則二割を提案しています。この案について、政府、御意見、いかがでしょうか。もし、現時点でエビデンスが足りない、何かが分かればできる、そういう点があれば、私も頑張りますので、教えてください。
○福岡国務大臣 まず、繰り返しになりますが、後期高齢者の自己負担割合を原則二割とすることにつきましては、所得が低い一方で医療費が高い傾向にある後期高齢者の方々にとって大きな負担増となるとの御指摘であったり、また、必要な受診が抑制されるおそれがあるといった指摘もあることなどから、後期高齢者の方々の所得状況であったり受診状況等を丁寧に確認することが必要だと考えております。
そして、後期高齢者の方々の自己負担割合につきましては、一昨年末に閣議決定いたしました改革工程において、二〇二八年度までに実施について検討する項目といたしまして、三割負担の対象となる現役並み所得の判断基準の見直しを掲げておりまして、まずは、こうした課題を中心に、患者さんに対する必要な保障が欠けることがないよう、見直しにより生じる影響を考慮しながら検討を進めてまいりたいと思います。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
では、少し別の方法で、余り話題に上がらない仕組みなのですが、一定金額までは定額負担で、それを超えた分、健康保険の適用となるという保険免責制というものがあります。例えば、外来受診一回当たり千円の支払いは決められていて、それに加えて、千円を超えた分のいわゆる医療費、その中の自己負担割合に従って支払うというものです。
これは調べてみますと、二〇〇五年の医療制度構造改革試案というところで検討されたことが記されています。当時の試算では、外来受診一回当たり千円の保険免責にすると、二〇二五年、まさに今年ですね、四兆円の医療費削減効果があると試算されていました。外来一回千円で四兆円です。
この保険免責制が導入されなかった理由は何でしょうか。当時の記録はありますでしょうか。
○福岡国務大臣 御指摘がございました、平成十七年十月に厚生労働省として公表いたしました医療制度構造改革試案におきましては、経済財政諮問会議等における議論を踏まえまして、外来受診一回ごとに一定額までを全額自己負担とするという、いわゆる保険免責制を導入した場合の医療費削減効果を機械的に試算してございます。
この保険免責制につきましては、その後、社会保障審議会医療保険部会でも御議論をいただいたところでございますが、医療資源を真に必要な患者へ重点的に投入するために導入すべきとの意見もあった一方で、患者負担は将来にわたり三割を限度とするとの十四年健保法改正時の規定の趣旨に照らして問題があるといった反対の意見が多かったため、最終的には導入に至らなかったものでございます。
医療保険制度を持続可能なものとするために改革に取り組むべきであるという委員の問題意識については共有しておりまして、政府といたしましては、全世代型社会保障の理念にのっとり、改革工程に沿って着実に改革を進めたいと考えております。
○福田(徹)委員 ありがとうございました。
非常にこれはシンプルで分かりやすい方法でして、外来受診一回当たり千円の支払いを増えることが国民の健康にどれぐらい影響があるのか、この辺りは是非調べていただきたいなと私は思っております。
次に、少し話題が変わりますが、救急車の出動件数の問題について質問させていただきます。
今、救急要請が増え過ぎて、救急車が足りない、本当に緊急性の高い傷病者がすぐに搬送されない、こういう問題が起きています。ただ、私、これは起こるべくして起こっていると思っております。やはり、いわゆる消防の救急の体制というのは、ある程度将来の需要を推計して、それに見合う体制をつくらなければいけないと思っております。
一方で、今からちょうど十年前ですか、平成二十五年四月二十六日、消防庁救急企画室資料によりますと、十年前はどうだったのかなと調べてみました。救急出動件数は、二〇二三年から二〇二四年頃に約六百二十万件に達し、その後減少に向かうと推計されていました。実際は、二〇二四年に七百六十四万件近くに達し、今後も増加する見込みです。
やはり、これだけ推計から外れていれば、当然、必要な提供体制というのがつくられていなかったと思うんですよね。ただ、私は、この推計が外れたことは全く責めてはいけないと思っております。大切なのは、外れたのであれば解決する施策を考えること、それが政治だと思っております。これからも増加する救急需要に対する対策は、今、何かされますでしょうか。
○冨樫副大臣 救急業務を取り巻く諸課題に対応するためには、消防関係者のみによる取組では成り立たず、医療側の協力も不可欠であると認識をしています。このため、総務省消防庁では、消防機関に加え、医療関係者等の有識者にも参画していただき、救急業務のあり方に関する検討会を毎年開催しており、増大する救急需要への対策等について検討を行ってきております。
総務省消防庁としましては、この検討結果を踏まえ、シャープ七七一一九の……(福田(徹)委員「七一一九」と呼ぶ)もとい、シャープ七一一九の全国的な展開、病院救急車の搬送等、搬送事業者の活用、日勤救急隊の導入等の促進、救急DXの推進といった、増大する救急需要に対する取組も進めてまいります。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
シャープ七一一九、私も効果を調べさせていただいたら、やはり出動件数の伸びは抑えていました。
ただ一方で、救急出動件数自体を前年比で減らしている施策があります。三重県松阪市では二〇二四年六月から、救急搬送されながら入院しなかった患者に対して病院が七千七百円、選定療養費を徴収するという取組を行いました。よく救急車有料化といいますが、これは違います。救急車に払っているわけではなくて、病院に払っています。違いますが、患者が負担するという意味では、ほぼ同じ影響と想像されます。
この取組の結果、開始から三か月で、救急搬送件数は前年比で二三・二%減少しました。一方で、休日診療所の利用者数は六八・二%増加、救急相談ダイヤルの使用も四二・八%増加しました。つまり、これは、まさに国が目指す方針が実現しています。
この間、実際に七千七百円の選定療養費が徴収されたのは全搬送の七・四%だったそうです。実は、入院せずに帰宅した患者さん、本来は払うべき人が実際に徴収されたのは一三・五%だったそうです。現場の医療者の判断で徴収しなかったケースが多いみたいですね。これぐらい優しい状況でも、これほどの効果がありました。
救急車の有料化について、御意見をお願いします。
○冨樫副大臣 先ほどは大変失礼いたしました。
総務省消防庁では、救急業務の一部有料化について、平成二十七年度に救急業務のあり方に関する検討会で検討してまいりました。この検討において、経済状況により救急要請をちゅうちょするのではないか、有料、無料の線引きや判断が難しいのではないか、料金徴収に係る事務負担が増えるのではないかなど、導入の際に多くの課題があることや、各消防本部から懸念が示されたことを踏まえ、引き続き慎重な議論が必要と認識をしております。
このため、総務省消防庁として、まず、救急車の適時適切な利用の呼びかけや、シャープ七一一九の全国的な展開などの取組を進めてまいります。
以上です。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
時間がなくなってしまったので、最後、この救急車の有料化、真っさらの取組ですね、是非、安全性の確認の検証、それだけお願いします。それが担保されていれば、私はすごくいい方法だと思います。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、浅野哲君。
○浅野委員 国民民主党二人目、浅野哲でございます。よろしくお願いいたします。
今日は、私は、大きく二つのテーマを取り上げさせていただきます。一つは、訪問介護事業の現状と今後の対策ですね。この厚生労働委員会でも、この通常国会、厚生労働委員会が動き始めた冒頭、何名かの委員の皆様、この問題を取り上げられておりました。後半は、障害児に係る障害福祉サービスについて、これはこども家庭庁を中心にお伺いしていきたいと思います。先日の地こデジの委員会でも取り上げられておりますけれども、それを踏まえて質疑をさせていただきます。
まず、訪問介護事業の現状について伺いたいと思います。
皆様のお手元に配付資料を配らせていただきました。資料一を御覧いただきますと、二〇二四年、介護事業者の倒産、休廃業、解散が過去最多の七百八十四件に達したとの調査結果が東京商工リサーチの調べで分かっております。
業種別で特に深刻なのが、今回のテーマであります訪問介護であり、倒産は前年比二〇・八%増の八十一件、休廃業、解散も同じく二四・四%増の四百四十八件となっており、全体の約七割を占めている状況です。でも、これはあくまでも日本全国、マクロで見た場合の数字でありまして、もう少し分解能の高い状況把握がしたいと思っております。
まず一問目は、今このような状況なんですが、都市部、過疎地、こういった地域別あるいは事業所の規模別に見たときにどのような傾向があるのかを教えてください。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
委員お尋ねの訪問介護事業につきましては、経年で見ますと、全事業所の一割程度が新規参入、再開をし、一割程度が休廃止をしている、そんな状況がございます。
民間の調査結果についてのコメントは控えたいと思いますが、委員御指摘のとおり、訪問介護事業は、長引く人手不足、燃料代の高騰など、大変厳しい状況にあると認識してございます。
厚労省で調査した結果について少し申し上げますと、昨年三月、六月、それから昨年六月から八月までの三つの時点で訪問介護事業所の休廃止の状況について把握をしてございますが、いずれも前年同期比でおおむね一割弱の増加というようなイメージになってございます。
一方で、新規開業や再開も同程度であるということと、それから、休廃止の主な理由は人員の不足ということでございまして、人材確保に大変現場の皆様が苦労されているということだと承知しております。
あと、先生御指摘の地域別あるいは規模別のお話になりますけれども、先ほど申しました調査の中で、中山間地域、それから小規模事業所に重点を置いた調査を行ってございます。
その中で申しますと、報酬改定の前後で比べますと、事業所の訪問一回当たりの収入は微増ということになってございますが、一方で、小規模な事業所を中心に、都市部、中山間地域等のいずれにおいても訪問回数が減少しておりまして、収入減につながっていること、それから、特に中山間地域等については、高齢者人口の伸びが鈍化又は減少傾向にありまして、こうした厳しい状況が継続することが見込まれるということ、こうしたことが私どもの調査の中でも明らかになってございます。
引き続き、地域の特性、規模ごとの事業所の経営状況、様々課題がございますので、把握をさせていただいた上で丁寧に対応してまいります。
○浅野委員 ありがとうございました。
今局長の御答弁にもありましたけれども、私も少し調べてまいりましたが、やはり、休廃止と新規、再開というのが同程度で均衡しているような状況が見受けられる。ただ、もう少し踏み込んで調べてみると、休廃業は地方で多く、再開、新規開業というのは都市部で多い。
何が言いたいかというと、国全体で見たときに、地方ほど休廃業が多く、都心ほど新規開業と再開が多い。何が起こっていくかというと、どんどんどんどん訪問介護事業も都市部一極集中化が進んでいるのではないかというような、仮説というか懸念であります。
やはり、どうしても地方ほど高齢化が進んでいる現状を考えますと、全体、マクロで見たときにはそれほど大きく減少はしていないというふうに見えていても、実際、地方の現場に行きますと、非常にその影響は大きな状況になっている、こういったことが今の日本で起きているんだと思われます。
そこで、二問目、伺いたいのは、先ほど少し御答弁の中でも触れられておりましたが、政府は、処遇改善加算などの支援策をこの訪問介護分野で講じているというふうに承知をしています。ただ、各事業所の経営状況を見ると、赤字事業所は依然として全体の約四割。経営難が続いている。今、御答弁いただきました。
経営が厳しく、事業所閉鎖となってしまうことを防ぐためにも、特に地方でそのような事業所がこれからもっともっと増えていくことが懸念される中、これに手当てをしていかなければいけないと思うんですが、今やっている施策に加えて、今後どのような支援策あるいは対策を検討しているか、行おうとしているか、それはどのような効果を期待しているのか、その点について答弁をお願いします。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたとおり、あるいは先生も御指摘いただいていましたとおり、訪問介護事業の経営状況は、地域の特性、事業規模、それから事業形態等に応じて様々でございます。
これまでも、処遇改善加算につきまして、小規模事業所等の更なる取得を促進するため、本年二月申請受付分から取得要件の弾力化を行っておりますほか、物価高騰や賃上げに対する支援、それから先般の補正予算等による訪問介護事業所向けの各種支援など対策に取り組んでおりますが、こうした支援策が順次現場に届いていくと見込んでおります。
加えまして、今回の調査結果を踏まえまして、特に厳しい経営環境に置かれております中山間地域等の小規模事業所の経営安定化を早期に図りたいと考えておりまして、介護報酬の仕組みの中に中山間等地域に係る加算というのがございまして、こちらの取得要件の弾力化、それから、昨年の補正予算でいただいております体制確保事業の中にございます研修体制の構築支援、協働化、大規模化に関する対象要件の弾力化などの取組を講じていくという方針を設定をしているところでございます。
こうした支援策、これまで行っていること、それから、これからお届けしていくこと、双方を組み合わせた上で、こうした取組の効果も含めて、引き続き丁寧な把握、分析に努めてまいります。
○浅野委員 ありがとうございます。
ちょっと今、御答弁の中でも少し触れていましたけれども、本日の資料二を御覧いただきますと、これは、結構面白いなというふうに私も最初見たとき思ったんですが、各訪問介護事業所が月に何回訪問しているかというのを横軸に取っていて、縦軸には、いわゆる収益差率、利益率と言ってもいいかもしれないですけれども、利益を取っている、その相関のグラフになります。何本かグラフが書いてありますけれども、一番下、青いグラフを見ていただきますと、これがいわゆる利益率のグラフになっています。
少し分かりづらいかもしれませんけれども、やはり全体を見てみますと、毎月の訪問回数が少ない事業所ほど利益が少ない。つまりは、恐らく、いろいろな要因は考えられますが、最も可能性として高いのは、訪問する家と家が離れ離れの地方都市、そこで頑張っていらっしゃる小規模な訪問介護事業所、こういったところが利益率が低く、月の訪問回数もそれほど多く稼ぐことができない、こういった事業所に分類されるのではないかと思うんですね。
先ほど老健局長の方から御答弁をいただきましたが、中山間地域などにおける小規模事業所加算あるいは特別地域加算といった加算の制度が今ありますけれども、この要件緩和というもの、先ほど、柔軟な、弾力化というふうな言葉を使われておりましたが、ここを是非私も進めていただきたいと思っています。
現状、例えば、訪問回数が月二百回以下とか、月の訪問入浴介護の回数が二十回以下、こういった事業所の場合に加算が適用されるというような条件になっているそうなんですが、この資料二のグラフを見ていただければ、二百回以下ということは、一番左のところ、ここしか対象にならないんですが、実際見てみますと、訪問回数が二百一回以上の事業所でも同じような利益率、なかなか収益が上がらない、そんな状況にありますので、是非、ここの弾力化を進めていただきたいというふうに思っています。
改めて、この制度の見直しについて、もう少し答弁を補強していただきたいと思います。
○福岡国務大臣 先ほど局長から、中山間地域に係る加算の取得要件の弾力化であったり、また、研修体制の構築支援であったり、協働化、大規模化に関する対象要件の弾力化ということについては述べさせていただきましたが、更に踏み込んだ対応が必要じゃないかという御指摘があったというふうに思います。
訪問介護につきましては、利用者個人へのサービス提供に対して、提供時間に応じた報酬を支払う仕組みとしておりまして、具体的には訪問回数に着目して評価しておりますため、例えば、利用者の事情によって突然キャンセルがなされたとしたら、人を用意していても、その分カウントされないということであったり、また、今おっしゃいましたように、地方においては移動に時間がかかりますために、どうしても、一日の中でカウントを稼ごうと思っても、移動にかかる時間等でそこが稼げないというような、そういった御指摘があるということについては十分認識をしてございます。
また、人口減少のスピードが地域で異なります中、二〇四〇年に向けた訪問介護も含めた介護サービスの提供体制などについて、今検討会で中間取りまとめを行わせていただいたところでございまして、中山間地域の特性に応じた方策として、包括的な評価の仕組みを設けるなどの提案もいただいているところでございます。
引き続き、関係審議会において様々な議論を進めてまいりながら、必要な対応を行ってまいりたいと思います。
○浅野委員 大臣の方から答弁をいただきました。是非、弾力的な運用が図られるように、また、実態に合った要件への見直しにつながりますようにお願いしたいと思います。
少し、このテーマについて、もう一問だけ、更問いということでさせていただきたいと思います。これは答弁は参考人でも構わないんですが。
そもそも、利益がなかなか上がらない原因の一つは、訪問できる回数あるいは訪問できる場所が少なくて利益につながりづらいという原因もあるんですけれども、もう一つは、慢性的な人材難の中で、人を確保するということに対して非常に、過大なと言ってもいいかもしれませんけれども、各事業所がコストをかけて人を確保しているという状況があると思うんですね。
厚生労働省の資料を以前いただいたときに、私の方で確認しましたら、訪問介護の人材を確保するために、事業所の方々は様々な努力をされています。例えば、ハローワークから紹介を受けるだとか、有料職業紹介所を通して人を紹介してもらうとか、あるいは、直接的な友人、知人に声をかけて人を連れてくる、こういった努力をされているわけですが、有料職業紹介所を通して人を確保している割合が全体の一五%というデータが、二〇二三年の時点での厚生労働省の調査結果でありました。
あとは、やはり人件費については、人を確保するために、紹介手数料が、大体なんですけれども、この調査によると月六万円程度かかってしまうというような、月平均六万円程度ですね、一人当たり七十八万円程度の紹介手数料がかかっているというような資料もいただいております。
一人当たり七十八万円という数字を見ると、それがどのくらいの影響を及ぼすのかどうか分かりませんけれども、これを計算していくと、大体、年間の収入の全体の一%前後に相当するということなんですね。ということは、今日の資料で示した収益差率一・二%とか一・四%、つまり、利益が一・二%、一・四%という状況で踏ん張っている地方の訪問介護事業者の皆様からすると、人を確保するために、その利益が吹っ飛んでしまうくらいの紹介料を払って人を確保しているという現状が今あるわけです。
この部分について、何らかの手当てをするべき、あるいは対策を講じるべきじゃないかと思うんですけれども、済みません、これは通告外になりますので、今答弁をできる範囲でお願いしたいと思います。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
有料職業紹介の経営へのインパクトについては、先ほど先生御紹介いただきましたように、介護事業者の方々はやむを得ずお使いになっているケースがあって、それが経営上の一定の負担になっているということは委員のおっしゃるとおりだと思います。
特に、中山間地域の事業者の方々は様々御尽力をいただいて、訪問介護の事業所の離職率は近年低下傾向にございまして、離職はかなり現場の御努力の中で防いでいただいているというふうに思います。ただ、一旦欠けてしまったときに、その次の方を確保することが非常に難しい。それが有効求人倍率が非常に高いといったことにも表れているかと存じます。
今回の昨年末の補正予算で、中山間地域の事業所の方々が地域外から次の人材を確保していくときの経費を補助するというような仕組みも御用意してみまして、それをどんなふうに使っていただくのか、これも自治体の皆さんと今協議を進めているところでございます。
中山間の事業者の方々の経営の安定という、先ほど先生がおっしゃってくださったテーマについても非常に大事だと思いますし、そこの事業者の方々の人材確保における課題、それからそれに対して何ができるのかという話は、丁寧に御相談をしながら進めたいと存じます。
ありがとうございます。
○浅野委員 いろいろ補正予算でも対策を組んでいただいているというふうに承知はしておりますけれども、是非その検証をしていただくのと、あとは、やはりハローワークの機能強化というか、紹介力の向上といったものも重要な視点だと思いますので、その点は今日ここで申し上げさせていただきたいと思います。
最後、残り時間僅かとなりましたので、こども家庭庁の方に障害児に係る障害福祉サービスについて伺います。
これは、先日の地こデジでも、同様な質問が立憲民主党の委員そして国民民主党の委員からもされておりました。ちょっと重なる部分もありますけれども、本日の資料三を御覧ください。
通所サービス利用時における自己負担額、これは世帯年収によって二段階に分かれておりまして、世帯年収が約九百万円以下の世帯については、毎月の負担上限額が四千六百円、そして、それを上回る場合は、毎月の上限額が三万七千二百円まで一気に引き上げられます。
ただ、三万七千二百円と四千六百円というのを単純に比較すると物すごい差額になってしまいますが、実際の利用ケースをちょっと調べてみたところ、右側の表に書いてありますが、大体、平日一日預けると千円、そして、おやつ代が一日百円。月二十日間、平日のみ利用することを考えると、毎月の負担額がおよそ二万二千円となります。このケースを想定した場合に、世帯年収が九百万円未満の方とそれ以上の方の負担額、差額を出してみますと、こちらに記載のとおり、年間約二十一万円弱というような額になります。
最近、賃上げが精力的に行われていて、これは世帯年収ですので、平均所得四百五、六十万なんですね、平均給与が四百五、六十万、御夫婦で共働きしている場合は、ちょうどこの年収九百万円前後を確保している世帯が十分多いことも考えられます。
今、賃上げをする中で、このラインを超えるか超えないかという世帯が非常に増えていくんじゃないかというふうに言われておりまして、質問に入りますけれども、この春闘の賃上げの潮流、流れを見ても、この年収要件は見直す時期に来ているのではないか。
また、今日、資料四に記載していますが、非常に階段が大きいんですね。ですので、階段の境目で逆転現象が起きてしまうおそれが十分に考えられる。もう少し年収に応じた多段階化、あるいは、比例方式というのは定率方式というのよりなかなか難しいかもしれないですけれども、ここに工夫の余地がないのかどうか、答弁をお願いいたします。
○源河政府参考人 お答えいたします。
障害児を対象とする障害福祉サービスの利用につきましては、制度の持続可能性や公平性の観点から、一割の自己負担を原則としつつ、それが過剰な負担とならないよう、保護者の所得に応じた自己負担額の上限額を設定しております。
障害児支援の利用者負担の一月の上限額につきましては、平成十八年の制度創設時からこれまでの間、負担軽減の観点から累次の軽減を図ってきて、今の額となっております。
障害児支援に関する福祉サービスの利用については、制度の持続可能性や公平性等を踏まえて設定しているものであり、累次にわたる負担軽減がなされた経緯等もある中で、その見直しについては慎重な議論が必要だというふうに考えております。
障害児とその御家族の支援は大変重要と考えておりまして、安心して暮らすことのできるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○浅野委員 これで終わりますが、先日の答弁と一言一句変わりませんでしたので、また議論を深めたいと思います。
終わります。
○藤丸委員長 次に、八幡愛君。
○八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。
今日もたくさん質問したいことがありますので、どうぞよろしくお願いいたします。
十日前の四月六日、長崎県の対馬空港から患者を乗せて福岡市内の病院に向かっていた医療搬送用のヘリコプターであるホワイトバード、こちらが消息不明となり、患者や医師ら三名が死亡するという痛ましい事故がありました。
今回事故があった福岡和白病院のホワイトバードは、国や自治体が整備を進めているドクターヘリとは違い、民間病院の事業として運用しており、二〇二三年当時で年間経費は二億円で、赤字だったとの報道もありました。
なぜ国の支援を受けていなかったのかと調べましたところ、厚労省によりますと、民間の医療機関の管理の下で運用されているヘリコプターについては、都道府県に相談の上、一定の要件に合致すれば国に申請して補助対象になり得るとしているんですが、ホワイトバードは公的補助金を受けていないからこそ柔軟な運用が可能で、要請があれば軽症の患者さんでも運ぶし、回復した患者さんを地元の医療機関まで送ることもできますし、県をまたいだ搬送も問題なくできるという点から、補助を受けていなかったとのことです。そこには、赤字であっても要請があれば飛んでいくんだという医療従事者としての思い、これは容易に想像できると思います。
本来は、離島などを含む僻地からの救急患者の搬送に役立つ医療搬送用の民間のヘリコプターも、国が主導をして、地方自治体や民間団体に任せっ切りにせず、メンテナンスも含めて柔軟なサポートをすべきだと思うんですが、まず、今回の事故の受け止めと今後の改善策などを予定しているのかを教えてください。お願いします。
〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕
○森光政府参考人 お答えさせていただきます。
まず初めに、事故で亡くなられました三人の方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、今回の事故に遭遇された皆様とその御家族の方に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
ヘリコプターを用いました患者搬送時における安全の確保、これは非常に重要でございまして、本事案の発生を受けまして、地方自治体、医療機関、運航事業者等に対しまして、安全確保に向けた注意喚起を図るなど、対応を行ったところでございます。
また、財政支援についてのお尋ねがございました。この財政支援につきましては、救命救急センターに配備するヘリコプターであって、交通事故など、救急搬送を要する傷病者の発生時に消防機関等の要請に応じて出動し、医師を含む救命チームが同乗して救命活動をしつつ搬送できる体制を確保しているものを対象に、運航経費等を補助しているというものでございます。
民間のヘリコプターでありましても、そのような要件を満たした場合に関しては、都道府県として地域の医療需要に対応するために必要と認めた場合には、補助対象の検討となり得るというものと考えております。
これまで、救急要請に応じて出動するドクターヘリのニーズが高まっておりまして、その拡充を優先的に行ったところでございます。限られた財源の中で、救急でない病院間の搬送を主に行うヘリコプターにまで対象を拡大するということにつきましては、非常に難しい課題があると考えております。
いずれにしましても、ドクターヘリの安全な運航体制の確保が重要だというふうに考えております。運航体制の再確認や必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
○八幡委員 本当におっしゃったことはしっかりとやっていただきたいんですが、やはり、でも、民間が赤字でも運用するというそこには絶対理由があるんですよね。その理由を政府としてもしっかりと受け止めていただきたいと思っております。
事故が起きてしまったこと、大変残念ではございますが、このホワイトバードに助けられた命、たくさんの方がいらっしゃると思いますので、それは政府としても受け止めてください。よろしくお願いします。
こうした僻地医療の重要さにもつながってくるので、次の厚労委員会で議論をされる予定である医療法等の一部を改正する法律案について、医師偏在是正に向けた総合的な対策という部分などは是非私も賛成したいなと思っているんですが、この改正法案で束ねている法律の数が、本則の改正だけでも二十四本になっているんですね。
私、国会議員になって約半年なんですけれども、そんなもんやでと言われたら終わりなんですが、やはりここは納得がいかなかったんです。何で政府はこんなにも法律を束ねているんでしょうか。現在も二十四本の法案について一つずつ審議中なんですけれども、当然、共感できる部分はある一方で、賛同できない部分もあります。
これまでもいわゆる束ね法案というものはあったと思うんですが、個々の法律案に対する賛否が異なる場合でも一括して賛否を表明しなければならないというこの状態に、私、違和感を感じるんです。何より、国民の皆様にどの法律がどのように変わっていくのか分かりにくいですし、さすがに二十四本は束ね過ぎだなと思ったんです。
政治家の先輩として大臣にお伺いしたいんですが、なぜ政府はこんなにも法律を束ねて提案してくるんでしょうか。これで充実した国会審議が可能なのかも含めて、大臣の見解をお知らせください。
○福岡国務大臣 私も、議員生活二十年弱になりますが、最初、当選したときは、束ね法案と聞いて驚いたということは、議員と認識としては一緒でございます。
その上で、政府提出法案については、二つ以上の法律を改正する場合に、法律によって実現する政策が統一的であって、その趣旨、目的が一つであると認められるとき、内容的に法律の条項が相互に関連して一つの体系をつくっている、そういったことも認められる場合には、これらを一つの改正法案としてすることができるというふうに考えられてございます。
厚生労働省からのこの提出法案につきましては、こうした考え方にのっとって、必要に応じて複数の法律を束ねて提案させていただいているところでございまして、一体的に御議論をいただきたいと考えているものでございます。
○八幡委員 厚生労働委員会は特に多いなと私は感じているんですけれども、当然、数が全てではないですし、多かろうが少なかろうが、しっかり審議をしていくべきというのは変わらないんですが、いいものの中にこっそりやばいのが混ざっていて、どうすることもできないという状態になるのは避けなあかんなと思って危惧をいたしました。
続いての質問に参ります。
重度訪問介護の告示、厚労省告示五百二十三号について。
厚労省の告示五百二十三号というのは平成十八年に作られました。障害者総合支援法の訪問系サービスである重度訪問介護、同行援護、行動援護についての費用の額の算定基準になります。
その基準の中に「通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出を除く。」という文言がありまして、この文言に当てはまる外出はサービスの対象外とされているんですが、社会通念上適当でない外出というのはかなり幅の広い概念でありまして、この文言があることによって、重度障害者の政治活動、宗教活動、遊び、飲酒を伴う外出、ギャンブルなどが制限されます。
本来は障害者の方の生存権や生活を保障するはずの介護制度が様々な場面で制限されていて、社会参加を阻んでいると思うんですね。重度障害者は好きに外出をするなとも受け取れるこの告示五百二十三号を私は早く削除してほしいと願っているんですが、れいわ新選組の参議院議員たちもこれまで何度も訴えてまいりました。
天畠大輔参議院議員は昨年十二月十七日の予算委員会で、この厚労省告示五百二十三号で選挙活動中の重度訪問介護等が利用できない現状を訴えたところ、石破総理から、参政権に抵触するというような感じは持っているという答弁を引き出し、二日後の十九日、厚生労働委員会では、厚労大臣から、選挙運動のための外出であることのみをもって一律に社会通念上適当でない外出に当たるものではないと考えるという旨を主管課長会議で周知しますという答弁をいただきました。
さらに、同じくれいわ新選組の木村英子参議院議員も先月七日の予算委員会で、外出の目的が選挙運動や立候補予定者の政治活動のためであるということのみをもって一律にこれを社会通念上適当でない外出に当たるものではないという更に一歩踏み込んだ答弁を引き出させていただき、二十四日の厚生労働委員会で厚労大臣から、投票所へ投票に行くことについても社会通念上適当でない外出に当たるものではないと御答弁いただきまして、投票所へ行くことは例外なく介護制度の対象になることが明らかになりました。
当初、参政権も危ういという状況から、投票には行ける、選挙活動も認める、選挙に出馬をする想定での政治活動は認める、かなり進んできたかなと思うんですが、もう一つ今日は前に進めたいと思っています。
実際に私に相談がありました。れいわ新選組が開催しているおしゃべり会に参加したいのに、重度訪問介護のサービスの対象外であるから参加できなかったという一般の政治参加についてです。
自分が出馬しなければ政治活動は認めないというこれまでの回答だったんですが、やはり集会に参加したり、例えばデモに参加したり、政治的意思決定に関与する政治活動の自由は、障害があろうがなかろうが最大限尊重されるべきだと思います。
大臣にお願いです。厚労省告示五百二十三号の社会通念上適当でない外出に個人の政治活動を含めることは、障害者の政治活動の自由を不当に制限すると思うんですが、都議選挙や参議院選挙も近づいてきた今、大臣、これを認めていただけないでしょうか。お願いします。
○福岡国務大臣 委員御紹介いただきましたように、重度訪問介護の扱いにつきましては、御党の議員からいろいろな場で御質問いただいてきたところでございます。
この重度訪問介護の利用につきましては、障害者総合支援法上、各市町村において支給の要否が決定されるものでございますが、選挙運動であったり立候補予定者の政治活動のための外出であることのみをもって一律に社会通念上適当でない外出に当たるものではないと考えておりまして、自治体に対しまして、三月に開催いたしました関係課長会議の場において広く周知をしたところでございます。
また、重度訪問介護の利用につきまして、投票所へ行くことにつきましては社会通念上適切でない外出に当たるものではないと考えてございますが、政治活動には様々な活動があり得るものでございまして、また、重度訪問介護の支給決定は市町村において個別のケースに応じて判断されるものでありますことから、御指摘のケース一つ一つについて国として一概に申し上げることは困難だと考えてございます。
御指摘の告示の規定につきましては、重度訪問介護の外出時の利用範囲を定めているものでございまして、廃止することは考えておりませんが、当事者の方々の御要望であったり自治体の考え方を伺いながら、必要に応じて解釈の明確化などの対応を行ってまいりたいと思います。
○八幡委員 投票率が低いと選挙のたびに言われるんですけれども、そのたびに主権者教育の必要性なんかも言われるんですが、なぜか、この重度訪問介護を利用している重度障害者においては、投票先を決めるためであっても、各候補者の演説すら聞きに出かけられないわけですよ。それはやはりおかしいんじゃないかなと。これこそやはり参政権に抵触すると考えます。
そもそも、話を戻しますけれども、私、この五百二十三号の在り方がやはりおかしいと思うんですね。カフェはいいけれども、居酒屋は行ったらあかんみたいな、何でそんな上から目線で決められないといけないのか。障害があっても、たばこを吸いたい人もいるし、お酒を飲みたい人もいるし、遊びにも行きたい人もいるし、やはりそこの感覚というのを、やはりもう令和にもなりましたので、みんなでちょっともう一度考えていく必要があるんじゃないかなと思いました。なので、またこの問題は取り上げたいと思っております。
続いて、旧統一教会についてちょっとお伺いしたいんですけれども、旧統一教会の高額献金や霊感商法の問題をめぐって、先月、東京地方裁判所は、膨大な規模の被害が生じ、現在も見過ごせない状況が続いているとして、国の請求を認めて教団に解散を命じました。
私は、政治家になる以前から、この旧統一教会については、本人やその家族が崩壊するまで献金を強いる団体なので、もう宗教法人から逸脱しているとずっと訴えてまいりました。私は信教の自由を守りたいからこそ、その信じる心を利用した、外形的に法に触れる行為とか、あと反社会的な行為は制裁を受けることは当然だと考えています。
この解散命令が出た日に、厚労委員でもあります立憲民主党の山井議員が主導されています被害者の方へのヒアリングの会へ参加をいたしました。この解散命令が出たことは被害者の救済と今後の被害抑止に向けた大きな一歩なんですが、今からが本当の戦いだと皆さんがおっしゃっていたことが印象的でした。特に、幼少期から信者である親御さんから受けてきた影響について、二世の方々を取り巻く諸問題は宗教的虐待とも言えます。
旧統一教会問題が社会問題化された二〇二二年十二月に、厚生労働省は、宗教団体の信者を親に持つ宗教二世の被害を想定して、児童相談所による一時保護などの措置を促す狙いで、宗教の信仰等に関係する児童虐待等への対応に関するQアンドAとして、対応指針を初めて取りまとめたんですね。
この指針は、旧統一教会に限らず様々な宗教虐待を想定したものなんですが、子供のときに受けた虐待は十八歳を過ぎてからも当然影響を及ぼすことが想定されるので、年齢で切るのではなく、柔軟な対応が必要だと考えるんですが、今回、解散命令を受けたことで、必要な支援につながりたいと気づいた被害者もいるかもしれないので、政府の見解をお伺いしたいです。お願いします。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
児童相談所での対応を先生お挙げになりながら、十八歳を過ぎて気がつく方もいらっしゃるだろうということですので、大人の方を所管している厚労省の方からお話を申し上げます。
令和四年に通知を児童相談所に対して当時は子ども家庭局というところから出した際に、同じように、私どもの障害保健福祉の方からも通知を出しております。それは何かといいますと、宗教を背景として精神的な不調であるとか心の健康に不安がある方もいるだろうということがあって当時出した通知でございますけれども、心の健康に不安などを抱える方々につきましては、その原因、背景が、別に宗教に限らずいろいろなものがございますけれども、その原因にかかわらず、平時から、都道府県とか指定都市など全国の六十九か所に設置されております精神保健福祉センターで、各種相談に医師、保健師、精神保健福祉士など専門職がお答えをしているところでございます。
こうした精神的な不調あるいは心の健康に関する不安について掘り下げてというか接していく中で、その背景に宗教があったとかというような場合でございますけれども、そうした場合にも、宗教などが背景にある相談だからといって、そのこと一事のみをもって消極的な対応をしないようにということで、当時、留意を求める旨の通知を出したところでございます。必要に応じて、人によっては精神科の病院であるとかクリニック、こういったところを御紹介するなど、関係機関とも連携して対応していただくように、自治体に対して依頼をしたところでございます。
今後とも、心の不調というのはいろいろな背景があって発生することだとは思いますけれども、厚労省といたしましても、関係省庁と連携を図りながら、こうした相談支援の体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
○八幡委員 今回質問するに当たって、通告した時点では子供を前提としたガイドラインしかないんだということだったので、是非それは大人に向けても。
せっかく二〇二二年、令和四年に、私としては、画期的なものを作ったと思うんですよ、宗教虐待ということを、何か見えているようで見えないようにされてきたものに対して、しっかりその当時の厚生労働省が向き合ってガイドラインを作ったということ、私はすごくそれを評価しているので。是非、解散命令が出た今、改めて周知の必要があると思って質問しようと思ったら、大人の目線からもしっかりと御答弁いただいたので、引き続き、被害のある方が相談しやすいように、厚生労働省としても促していただきたいなと思っております。よろしくお願いいたします。
私は依存症問題をライフワークにしているんですが、やはり心の穴を埋めるために何かで気を紛らわそうとかして、結果として様々な依存をしてしまうというケースを多く見てまいりました。例えばアルコールであったり薬物、ギャンブルなんかは近年皆さんの認識の中でも広がってきたと思うんですが、宗教も依存なのかどうかといったらそれぞれの見解は変わるかもしれないんですけれども、やはりこの旧統一教会問題だけではなく、例えばマルチビジネスですね。その被害者の方たちが言っていたのが、統一教会の問題もそうなんだけれども、宗教の問題もそうなんだけれども、やはり日本にはマルチビジネスが多過ぎるから、そこに依存してしまう人たち、これも何とかしてほしいんだというふうに一議員としてお願いをされたというところもあります。
ですので、心の隙間、そういった不安につけ込んで依存させているというケース、そしてあと、一概には言えませんが、いわゆる近年のホストに大金をつぎ込む女性たち、その女性たちもその関係性に依存をしているかもしれないと私は個人的に考えております。
先ほど宗教虐待からの話を展開してまいりましたけれども、二世とか関係なく、入信したりとか、脱会したいとか望む人たち、宗教に限らずそのほかの問題、いわゆる心のセーフティーネットとして、これからの時代、国として積極的に受皿が必要だと思うんですが、厚生労働省としていかがお考えでしょうか。お願いします。
〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
なかなか、障害者施策の範囲を超えるようなお話をいただいた気がするので、ちょっとお答えしづらい面もございますけれども。やはり、何がしか自分の居場所とかあるいはこういった人のつながりを持てない、そういうところの不調からいろいろなところで行き場を求めてしまうというところがあると思いますので、そういう意味では、ちょっと障害者施策という範囲を超えますけれども、やはり世の中でいろいろな居場所をつくるとか、落ち着いて自分の居どころを見つけられる、こういった取組をいろいろ進めていくことが必要なのかなと思います。
そうしたもろもろ、世の中との葛藤の中で心の健康上の不調を訴える方、抑うつ状態であったりとか、またその逆に躁状態になるとか、いろいろな症状が出てくる方もいらっしゃるかもしれません。そういった心の不調を感じられたときに、やはり心の問題について、先ほど来、精神保健福祉センターということでお答え申し上げましたけれども、こういったセンターであるとかあるいは専門の医療機関、そういったところに相談すること、かかることといいましょうか、受診すること、こうしたことについてやはり気がついてもらえるように、心の健康、そういったものについての関心を一般にもよりよく知ってもらうというか、そういったことも必要じゃないのかなというふうに思っております。
○八幡委員 ありがとうございます。
厚生労働省としてのどこまでの範囲とおっしゃっていたんですけれども、やはり本当にこういった問題、人の心というのはそれこそ一言では語れないですので、いろいろなところが、省庁なんかが連携しながら社会を構築していかないといけないなと私もいつも考えております。
先日も依存症についての議連にも参加してきたんですけれども、やはり厚生労働省だけじゃ解決できない問題というのがたくさんあるんですね。やはりギャンブル依存症であったり、アルコール依存症であったり、様々あるんですが、本当にいろいろなところと連携しながら、一つずつ解決をしていきたいなと思っております。
ですので、引き続きこの厚生労働委員会で私は依存症問題もやっていきたいですし、これから、今万博が始まっていますけれども、その後にIR、カジノが来ますから、ギャンブル依存症についてもしっかりとやっていきたいと思いますし、多分、今のこのペースでいくと、絶対カジノをやられても間に合わないです。全く何にも、皆さん、対応できていないですから。この委員会でもお伝えしたんですけれども、ギャンブル依存症に限らず、依存症全体の予算がやはり少な過ぎますよね。それをもって、全然増えもしない横ばいの八億円ちょっとの予算で、このまま日本としてカジノ、IRを進めていって大丈夫なんかいなと私は危惧をしておりますので、それも併せて引き続きやっていきたいと思っております。
また、今日、話を戻しますけれども、旧統一教会について、そこに加担した政治家の方というのも国会の中に現在もいらっしゃいますので、その先生方のお墨つきを受けて入信した人がいるかもしれないという視点は、我々議員として忘れてはいけないと思います。解散命令が出た後も国が引き続き被害者支援をしていくべきだと申しまして、少し早いんですが、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
最初に、B型肝炎被害者救済について質問します。
集団予防接種の注射器の使い回しによって蔓延したB型肝炎。被害者、患者はほぼ完治することのない病と闘い、さらに、多くの方が賠償請求権が消滅する二十年の除斥期間で給付金が大幅に減らされることに苦しんでおられます。
九州三県の患者が国を訴えている二審の裁判で、三月十八日、福岡高等裁判所は、肝炎再発を繰り返す場合でも救済の対象とする和解案を示しました。
これを受けて、原告団、弁護団は、四月十日、福岡厚労大臣に対して要望書を提出しました。大臣、御存じですね。国が裁判所の見解を受け入れて、協議を前に進めて、そして除斥適用によって救済を阻まれている原告らを救済することを求めておられます。
大臣、要請に応えて、除斥期間の問題、解決すべきではありませんか。
○福岡国務大臣 B型肝炎特別措置法に基づく給付金の支給につきましては、慢性肝炎の発症後、民法上の除斥期間であります二十年が経過し国の損害賠償責任が消滅した方でありましても、減額した給付金を支給するといった政策的な対応を行っているところでございます。
この除斥期間の起算点につきましては、令和三年の最高裁判決におきまして慢性肝炎が再発した場合の考え方が示されたことを受けまして、判例で示されたものと同様と考えられる事例につきまして、既に昨年八月から救済を開始したところでございます。
現在、福岡高裁の仲介の下、国と弁護団及び原告団との間で協議を行わせていただいているところでございますが、福岡高裁における協議が継続中でありますため、御指摘の福岡高裁におけるところについては裁判所外でコメントすることについては差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、引き続き、B型肝炎特別措置法に基づいて、被害者の早期救済に努めてまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 昨年九月、読売テレビで「B型肝炎「二十年の壁」時効に挑む患者たち」という報道番組がありました。この番組で紹介された長崎県諫早市の原告、宇都秋伸さんは、小学校六年生のときに体調が悪化しました。
ここから本当に大変なんですけれども、大臣、聞いてください。三十六歳になるまで八回の入退院を繰り返したそうです。現在六十七歳です。病気に感染したのは国の責任だということで、十二年前に裁判に訴えました。しかし、除斥二十年の壁で、和解金の提示は僅か百五十万円だった。これまでの治療費にも満たない額であったと。先ほどは減額した補償という話があったんですけれども、話にならない額なんですよね。もし発症から二十年以内だったら、千二百五十万円なんですよ。百五十万円と千二百五十万円、この差があるわけです。
宇都さんの小学生のときの夢は、プロ野球選手でありました。しかし、私の青春は肝炎の苦しみの中にあったと。先日、たまたまお会いして、直接お話を聞くことがありました。
大臣、国が被害をつくり、拡大しました。そして、毎日の生活が、そして仕事が、そして人生が意のままにならない、こういう患者さんたちの苦しみ。加えて、正当な補償も受けられない、この除斥の苦しさ、分かるでしょうか。原告だけでもこういう方が三百人おられると聞いています。筆舌に尽くせぬ患者さんの苦しみ、大臣、受け止めていただけますか。
○福岡国務大臣 まず、患者さんが苦しんでおられるということについては十分認識をしてございます。
その上で、先ほども申し上げましたように、民法上の除斥期間であります二十年を経過し国の賠償責任が消滅した方であっても、今、減額はした上ででありますが、給付金を支給するといった政策的な対応を行わせていただいているということでございます。
除斥ということの扱いについては、最高裁の判断においてもそこについては、それについて御指摘がなされていないわけでありまして、あくまでも起算点をどう考えるかということでございますから、そういった点も含めて今後様々な検討がされるというふうに承知をしています。
○田村(貴)委員 二〇二一年四月二十六日、B型肝炎訴訟の最高裁判決があり、最初の慢性肝炎発症時を起算点として除斥期間を適用した福岡高裁の判決を破棄しました。当時、我が党の宮本徹議員が本委員会で除斥問題の解決を求めたのに対し、厚労大臣からは、関係省庁と相談をしつつ検討してまいりたいと答弁しました。
あれから四年たちました。そして、大臣も四人替わりました。そして、今度、福岡高裁は、発症と鎮静化を繰り返す再々発型まで救済すべきとの判断に立ったわけなんですよね。再々発型まで。
先ほどの答弁では、協議中であるとか、それから速やかに救済とかいうのがあったんですけれども、もう待ったなしではないでしょうか。最高裁での判決、そして福岡高裁での判断、ここで除斥期間の問題、これはやはり改めるべきじゃないんですか。裁判所の示した方向で解決する以外に私はないと思うんですけれども、そういう方向で今、原告、弁護団と向き合おうとしているのか、それとも、判決が終わるまでずるずるとこの問題を先延ばすのか、厚生労働省はどういうふうに考えているんですか。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど大臣からも御答弁ございましたけれども、除斥期間の起算点につきましては、令和三年の最高裁におきまして、まず、再発した場合の考え方、これがお示しされたところでございます。我々といたしましては、その考え方に基づき、同様の事案につきましては、既に昨年八月から救済を開始しているところでございます。
先生が御指摘の今回の再々発型、これにつきましては、現在、福岡高裁の仲介の下で、国と弁護団及び原告団との間で協議を行わせていただいております。裁判所における協議が継続中でありますことから、現在、御指摘いただいております福岡高裁の所見について裁判所外でコメントすることは差し控えさせていただきたいと思っておりますが、真摯に裁判所での協議に我々としては対応しているところでございます。
○田村(貴)委員 真摯に協議に向き合って、そして現に苦しんでおられるB型肝炎の患者さん、被害者をあたうべく救済していただきたい、そのことを強く要望したいと思います。
続いて、医療機関の経営危機とその対策について質問します。
医療、介護、福祉労働者の賃上げが極めて低調な状況にあります。日本医労連の調査によりますと、今年の春闘で、ベースアップと手当の両方でどちらもなかったと回答した組合が実に七四・六%です。ベースアップの提案なんですけれども、あったのは二五%の組合で、その平均額は月二千一円、昨年実績の三千五百十一円よりも千五百十一円も減少している。ボーナスなどを含めた全体の平均増加額は五千百七十八円で、三千百五十一円マイナスになった。既に今年の夏季のボーナスについて回答があった五十六組合のうち、七組合、一二・五%が引下げの提案をしてきたというわけです。日本医労連は、ほかの産業との差がますます拡大して人材流出も加速し、医療、介護崩壊につながると指摘しています。
賃上げどころか賃下げとなっている背景に、医療機関の経営難があります。日本病院会など六つの病院団体が、昨年の診療報酬改定後の医療機関の経営状況について緊急調査を行いました。医療利益率、経常利益率の状況はどうなっていますか。
また、医業利益、経常利益が赤字の医療機関はどれだけ増えていますか。説明してください。
○森光政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の令和七年三月に公表されました六病院団体緊急調査においては、令和六年六月から十一月までの医療機関の状況につきまして、対令和五年度同時期で医業利益率はマイナス五・二%からマイナス六・〇%、〇・八%の悪化、経常利益率はマイナス一・〇%からマイナス三・三%、二・三ポイントの悪化に変化をしております。
また、医業利益が赤字の病院の割合、これにつきましては六四・八%から六九・〇%へ四・二ポイントの増となっております。また、経常利益が赤字の病院の割合は五〇・八%から六一・二%、一〇・四ポイントの増と変化していることが示されていると承知をしております。
○田村(貴)委員 経営は悪化、赤字は増える、本当に深刻な状態ですよね。病床利用率は上昇傾向にあるんです。診療報酬など医業収益は若干増加しているんですけれども、人件費、材料費、委託費、そして水光熱費、こうした経費が収入を上回っています。診療報酬は公定価格で、医療機関だけの努力ではもう赤字解消には限界があるとみなさなければなりません。
六つの病院団体は、病院が危機的状況、地域医療は崩壊寸前、このままでは、ある日突然、病院がなくなりますと国民に対して訴えています。現に、病院、診療所の倒産は、二〇二四年、昨年、これは過去最高です。六百四十一件に上ったと帝国データバンクが発表しています。経営危機が医療崩壊につながるということでは、労使が認識を一致しています。それほど深刻な状況にあります。
政府は、処遇改善の加算があるから労働者の給与引上げは大丈夫と言ってきましたけれども、全く大丈夫ではありません。昨年の補正予算の審議、このときよりも更に深刻な状況となっています。物価上昇率が二・七%に対して、診療報酬本体の改定率は〇・八八%、賃金が物価上昇に全く追いついていません。看護師などの離職に歯止めがかかっていません。
大臣、この状況、どうしますか。臨時の期中の改定、必要じゃないんでしょうか。更なる支援の上積みが必要となるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 先ほど調査もお示しいただきましたが、医療機関においては今大変厳しい状況に直面していると認識をしております。
政府といたしましては、令和六年度診療報酬で賃上げ等に関する措置を講じましたが、その後も物価高騰等が続いております中で、補正予算において、重点支援地方交付金の積み増しに加えまして、緊急的な支援パッケージによる医療機関への支援を盛り込み、令和七年度予算では、低所得者に配慮しながら、医療機関の入院時の食費基準の引上げなどを行ったところでございます。
まずは必要な支援が現場に行き届くよう取り組みますとともに、これから現場に行き届く補正予算の効果であったり、物価等の状況、医療機関の経営状況など、足下の情勢変化もよく把握した上で必要な対応を検討してまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 診療報酬後の改定で病院を見たところ、経営体を見たところ、大変な状況にある。だから、今すぐの手だてが必要なんです。
WAM、福祉医療機構は、赤字医療機関支援のために、無利子の経営資金、長期運転資金融資を創設すると新たに打ち出したというふうに聞いております。有利子では負担の減少にならないという声に応えて、無利子枠を設けたというふうにされています。
多くの医療機関は、高額の医療機器の購入等のために多額の借金を抱えています。コロナ禍で実施されたWAMの新型コロナ対応融資でも借金を増やしています。この借金がどういう影響を与えているか。
資料を一枚お配りしています。六病院団体の資料ですけれども、御覧ください。
円グラフの赤い部分です。債務償還の原資がマイナスになっている医療機関が四二%に上っています。これは、毎年の経営の中からは借金返済ができないという状況です。そして、一般的に破綻先とされる、償還まで三十年以上かかる医療機関が八%、合わせて半数の医療機関が破綻懸念先というふうに指摘されています。
赤字で経営が苦しい医療機関に無利子とはいえ更に借金を重ねるという事業が、経営支援になるということになりますかね。いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 先ほども申し上げましたように、令和六年度の報酬改定であったり、その後の補正予算、令和七年予算の対応については説明をさせていただきました。これらの取組の効果や足下の情勢変化もよく把握した上で必要な対応を検討していきますが、その間、資金繰りが厳しくなり、地域で医療が継続できなくなる事態は避けなければなりませんから、目下の対応といたしまして、医療機関であったり介護施設に対する福祉医療機構の融資を大幅に拡充することとし、今月八日より申請の受付を開始したものでございます。
引き続き、物価の動向、経営状況など、足下の情勢変化もよく把握しながら、必要な対応については検討してまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 借金を増やさずに返済を減らしていく、ここが要だと思うんですよね。借金に借金を重ねたら、やはり病院経営体、破綻してしまいます。ここを基本に対応していただきたいと思います。
具体的に聞きます。
新しい無利子融資で、WAMの新型コロナ対応融資などの既存の融資、借金とか、民間機関のこれまでの既存の融資、これにおける借換えは可能でしょうか。これが一点目。
もう一つ。病床削減をしたんだけれども実施時期の関係で病床数適性化支援事業に手を挙げられなかった医療機関は、無利子融資の上乗せの対象となるか。この二点について教えてください。
○森光政府参考人 お答え申し上げます。
御質問の中で、今般、大幅に拡充いたしました福祉医療機構による融資を新型コロナウイルス対応支援資金等の既存融資の返済に充てる、いわゆる借換えのような対応を行うということについては可能となっております。
また、今般の融資の更なる特例として、一定の要件の下で五年間の無利子融資が可能となっていますが、その対象については、令和六年度補正予算の病床数適正化支援事業に係る事業計画が提出された医療機関のほか、地域医療構想調整会議において合意を得て、今後、地域のニーズを踏まえた再編、減床を行う予定である場合には対象とするということとなっております。
あと、なお、先ほど私、先生の御質問で六病院団体緊急調査、これの医業利益率の悪化につきまして、パーセントという形を言わせていただきましたが、〇・八ポイントの悪化でございました。失礼いたしました。
○田村(貴)委員 借換えが可能だということですね。それから、病床数削減、ここも地域のニーズを踏まえた再編、減床の場合には対象となるということですね。これは弾力的に運用して、そして周知もしていただきたいと思うんですけれども、大事なのはWAMがどういう対応をするかということなんですよ。
経営悪化に直面している医療機関の多くは、新型コロナウイルス対応の融資を受けています。二千三百六十八施設が融資を受けて、六月にもう返済が始まろうとしています。既に返済を始めている医療機関でもその返済が大変だと聞いています。四つの病院団体協議会も、WAMへコロナ対応融資の返済猶予それから返済期日の延長を求めている、これは報道もされているんです。
そこで、私の方で、WAMに相談に行った医療機関からの対応をお伺いしてまいりました。ある法人は猶予期間それから返済期間の延長を相談したというんですけれども、一、二年返済額を下げるのはいい、だけれども十年間の返済期間は延長できないという返事だったそうです。それから、三年目以降は更に返済額が増えていくので、これはちょっと別の対応をしているということでありました。
ここは大事なところなんですけれども、病院の機関が、医療機関がWAMに相談したときに、相談した相手のWAMの方が、国から指示がないから対応はできないとおっしゃったそうですね。ここは大事なところなんです。
別の法人です。五年間の猶予期間中に、三年目から前倒しで返済を始めたんです。しかし、やはり苦しくなったので猶予してほしい、返済猶予を復活してほしいと要請したら、その猶予の復活はできないと言われたんですよね。東京、長野、石川、大阪、広島、福岡などでWAMに相談に行った医療機関の話を聞いてきたんですけれども、やはり猶予をしてもらえなかったという話がありました。
WAMの理事長さんは、メディファクスのインタビューで、回収はしっかりやらないといけないとしつつ、地域における医療基盤の維持存続が最優先、個別で丁寧に対応していきたいと答えています。個別で丁寧に対応していきたいと言っているんだけれども、実態は機械的な対応になっているのではありませんか。そこが問題だと私たちは思うんですけれども。
これだけ医療機関が行き詰まって、そして無利子の新しい融資が始まる、しかも借換えもできるといったところで、こうしたところの病院の苦しみを弾力的に解消していく、こういう運用が必要だと思いますが、いかがですか。
○森光政府参考人 お答え申し上げます。
福祉医療機構が実施いたしました新型コロナウイルス対応支援資金については、本年夏に元金の返済の開始件数がピークになるというふうに見込まれております。元金の返済に際しましては、地域の医療提供体制に支障が生じないよう、貸付先の丁寧な返済相談や貸付条件の緩和等、きめ細やか、柔軟に対応する必要があります。
福祉医療機構においては、医療機関が運営を継続できることを最優先として、例えば医療機関の経営状況に応じて元金返済開始の延期や毎月の返済額の見直しなど、柔軟に対応しているものと承知をしております。
厚生労働省といたしましても、基本的には医療機関に寄り添った丁寧な対応が求められるものだと考えております。地域の医療提供体制を確保するために、福祉医療機構とも連携しながら、丁寧に対応してまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 医療機関の状況に寄り添った丁寧な対応、これを具現化しないといけないですよね。先ほど、国から指示がないとWAMが言っていると。そうすると、WAMに対しては、ちゃんと厚生労働省の方から、国の方からしかるべき要請をしなければいけませんよね。大臣も会見の中で、資金繰り悪化によって医療が継続できなくなる事態は避けなければいけない、そういうふうにおっしゃっていただいた。
国は、WAMに対して多額の出資をしています。そして、福祉医療機構法によって、厚生労働大臣は、経済事情の急激な変動があったときに、福祉、医療の安定的提供を図るために緊急の必要のあるときは、福祉施設や医療機関への貸付けに関する措置要求権も持っているというふうに定められています。
既存の融資についても、それから地域における医療基盤の維持存続を最優先した返済猶予、返済期間の延長など、丁寧な対応をWAMに対して要請すべきではありませんか、指示すべきではありませんか。それをやはり文書化していただきたい。そして、医療機関に向けたWAMからの文書も要るし、また、厚生労働省からの医療機関に向けてのいわゆるアナウンスというか案内というか、そうしたところも周知を図る必要があると思うんですね。
この場で言うだけでは駄目なので、是非、具体的な広報、それから連絡文書の発出、これらをしていただけないか。大事だと思うんですけれども、いかがですか。
○福岡国務大臣 WAMが実施いたしました新型コロナウイルス対応支援資金については、もう元本の返済が始まっている中、地域の医療提供体制に支障が生じないよう丁寧な対応を図っていくことは重要であるというふうに認識をしております。
福祉医療機構におきましては、引き続き、新型コロナ融資における元本の返済について、きめ細かな対応の徹底を図るとともに、さらに、今月より開始しました無担保無利子融資を活用することで、いわゆる借換えのような対応ができることもホームページで分かりやすく掲載する予定と承知をしております。
厚生労働省としても、地域の医療提供体制を確保するために、福祉医療機構とも連携しながら、委員御指摘の周知の方法も含めて丁寧に対応してまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 厚生労働省はいかがですか。
○森光政府参考人 今大臣から答弁があったとおり、福祉医療機構において、きめ細やかな対応の徹底を図るということ、さらに、今月より開始いたしました無担保無利子を活用するということで借換えのような対応ができるといったことにつきましても、ホームページで分かりやすく掲載する予定と承知しています。
厚生労働省におきましても、各都道府県やそれから各病院団体、こういうところにも丁寧に周知をして、そこから各病院に対して丁寧にこの情報が行き渡るように徹底していきたいというふうに考えております。
○田村(貴)委員 病院、診療所の廃止、倒産が過去最多、もうこれ以上悪化させないために、今、緊急、そして思い切った措置を取ることを強く要望して、今日の質問を終わります。
○藤丸委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時四十三分散会