第24号 令和7年6月4日(水曜日)
令和七年六月四日(水曜日)午後一時開議
出席委員
委員長 藤丸 敏君
理事 上野賢一郎君 理事 古賀 篤君
理事 長坂 康正君 理事 井坂 信彦君
理事 岡本 充功君 理事 早稲田ゆき君
理事 梅村 聡君 理事 浅野 哲君
安藤たかお君 井野 俊郎君
大空 幸星君 鬼木 誠君
草間 剛君 佐々木 紀君
塩崎 彰久君 鈴木 英敬君
鈴木 隼人君 田畑 裕明君
田村 憲久君 根本 拓君
長谷川淳二君 平口 洋君
深澤 陽一君 福田かおる君
森下 千里君 吉田 真次君
若山 慎司君 五十嵐えり君
池田 真紀君 大塚小百合君
大西 健介君 酒井なつみ君
宗野 創君 堤 かなめ君
中島 克仁君 長妻 昭君
西川 厚志君 長谷川嘉一君
宮川 伸君 山田 勝彦君
山井 和則君 柚木 道義君
阿部 圭史君 池下 卓君
猪口 幸子君 福田 徹君
森ようすけ君 沼崎 満子君
浜地 雅一君 八幡 愛君
田村 貴昭君
…………………………………
参議院厚生労働委員長 柘植 芳文君
参議院議員 石田 昌宏君
厚生労働大臣 福岡 資麿君
厚生労働副大臣 仁木 博文君
厚生労働副大臣 鰐淵 洋子君
厚生労働大臣政務官 安藤たかお君
厚生労働大臣政務官 吉田 真次君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 竹林 悟史君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 植松 利夫君
政府参考人
(文部科学省大臣官房学習基盤審議官) 日向 信和君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官) 内山 博之君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房年金管理審議官) 巽 慎一君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 岡本 利久君
政府参考人
(厚生労働省医政局長) 森光 敬子君
政府参考人
(厚生労働省健康・生活衛生局長) 大坪 寛子君
政府参考人
(厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長) 鷲見 学君
政府参考人
(厚生労働省労働基準局長) 岸本 武史君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局長) 山田 雅彦君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 日原 知己君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 野村 知司君
政府参考人
(厚生労働省老健局長) 黒田 秀郎君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 鹿沼 均君
政府参考人
(厚生労働省年金局長) 間 隆一郎君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 郷 達也君
厚生労働委員会専門員 森 恭子君
―――――――――――――
委員の異動
六月四日
辞任 補欠選任
草間 剛君 若山 慎司君
後藤 茂之君 鈴木 英敬君
佐々木 紀君 井野 俊郎君
長谷川淳二君 大空 幸星君
池田 真紀君 西川 厚志君
大塚小百合君 山田 勝彦君
長妻 昭君 五十嵐えり君
同日
辞任 補欠選任
井野 俊郎君 鬼木 誠君
大空 幸星君 長谷川淳二君
鈴木 英敬君 後藤 茂之君
若山 慎司君 草間 剛君
五十嵐えり君 長妻 昭君
西川 厚志君 池田 真紀君
山田 勝彦君 大塚小百合君
同日
辞任 補欠選任
鬼木 誠君 佐々木 紀君
―――――――――――――
六月三日
従来の健康保険証を残すことに関する請願(酒井なつみ君紹介)(第一五七九号)
同(鈴木庸介君紹介)(第一五八〇号)
最低賃金全国一律制度の法改正を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一五八一号)
同(有田芳生君紹介)(第一五八二号)
同(奥野総一郎君紹介)(第一五八三号)
同(小沢一郎君紹介)(第一五八四号)
同(川内博史君紹介)(第一五八五号)
同(神津たけし君紹介)(第一五八六号)
同(櫻井周君紹介)(第一五八七号)
同(志位和夫君紹介)(第一五八八号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一五八九号)
同(篠原豪君紹介)(第一五九〇号)
同(白石洋一君紹介)(第一五九一号)
同(高松智之君紹介)(第一五九二号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第一五九三号)
同(田村貴昭君紹介)(第一五九四号)
同(田村智子君紹介)(第一五九五号)
同(寺田学君紹介)(第一五九六号)
同(長友慎治君紹介)(第一五九七号)
同(福島伸享君紹介)(第一五九八号)
同(堀川あきこ君紹介)(第一五九九号)
同(本村伸子君紹介)(第一六〇〇号)
同(屋良朝博君紹介)(第一六〇一号)
同(米山隆一君紹介)(第一六〇二号)
同(有田芳生君紹介)(第一六四四号)
同(安藤じゅん子君紹介)(第一六四五号)
同(菊田真紀子君紹介)(第一六四六号)
同(志位和夫君紹介)(第一六四七号)
同(野間健君紹介)(第一六四八号)
同(福田昭夫君紹介)(第一六四九号)
同(藤岡たかお君紹介)(第一六五〇号)
同(海江田万里君紹介)(第一六八九号)
同(黒岩宇洋君紹介)(第一六九〇号)
同(山崎誠君紹介)(第一六九一号)
同(新垣邦男君紹介)(第一七六六号)
同(松木けんこう君紹介)(第一七六七号)
保険でよりよい歯科医療を求めることに関する請願(おおたけりえ君紹介)(第一六〇三号)
同(円より子君紹介)(第一六〇四号)
誰もが安心できる年金制度への改善を求めることに関する請願(神谷裕君紹介)(第一六〇五号)
同(小山千帆君紹介)(第一六〇六号)
同(篠原豪君紹介)(第一六〇七号)
同(白石洋一君紹介)(第一六〇八号)
同(米山隆一君紹介)(第一六〇九号)
同(菊田真紀子君紹介)(第一六五二号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第一六九二号)
同(川原田英世君紹介)(第一六九三号)
同(志位和夫君紹介)(第一六九四号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一六九五号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第一六九六号)
同(田村貴昭君紹介)(第一六九七号)
同(田村智子君紹介)(第一六九八号)
同(堀川あきこ君紹介)(第一六九九号)
同(本村伸子君紹介)(第一七〇〇号)
同(笠浩史君紹介)(第一七〇一号)
同(新垣邦男君紹介)(第一七六八号)
同(鎌田さゆり君紹介)(第一七六九号)
障害福祉についての法制度拡充に関する請願(おおたけりえ君紹介)(第一六一〇号)
同(杉本和巳君紹介)(第一六五三号)
同(岡田華子君紹介)(第一七〇二号)
難病・長期慢性疾病・小児慢性特定疾病対策の総合的な推進に関する請願(浅野哲君紹介)(第一六一一号)
同(白石洋一君紹介)(第一六一二号)
同(井坂信彦君紹介)(第一六五六号)
同(石田真敏君紹介)(第一六五七号)
同(寺田学君紹介)(第一六五八号)
同(長坂康正君紹介)(第一六五九号)
同(沼崎満子君紹介)(第一六六〇号)
同(馬淵澄夫君紹介)(第一六六一号)
同(棚橋泰文君紹介)(第一七〇三号)
同(田畑裕明君紹介)(第一七〇四号)
同(柳沢剛君紹介)(第一七〇五号)
同(柚木道義君紹介)(第一七〇六号)
同(鎌田さゆり君紹介)(第一七七二号)
同(川内博史君紹介)(第一七七三号)
同(堤かなめ君紹介)(第一七七四号)
同(松木けんこう君紹介)(第一七七五号)
同(宮内秀樹君紹介)(第一七七六号)
精神保健医療福祉の改善に関する請願(白石洋一君紹介)(第一六一三号)
同(長友慎治君紹介)(第一六一四号)
同(志位和夫君紹介)(第一六六二号)
同(山岸一生君紹介)(第一六六三号)
同(池田真紀君紹介)(第一七七七号)
同(岡田華子君紹介)(第一七七八号)
同(松木けんこう君紹介)(第一七七九号)
人権を保障する福祉職員の賃金と職員配置基準を引き上げることに関する請願(中谷一馬君紹介)(第一六五一号)
従来の健康保険証を使い続けられるよう求めることに関する請願(上村英明君紹介)(第一六五四号)
同(坂本祐之輔君紹介)(第一六五五号)
同(新垣邦男君紹介)(第一七七〇号)
同(落合貴之君紹介)(第一七七一号)
介護保険制度の抜本改善、介護従事者の処遇改善を求めることに関する請願(安藤じゅん子君紹介)(第一七三八号)
同(篠田奈保子君紹介)(第一七三九号)
同(宗野創君紹介)(第一七四〇号)
同(たがや亮君紹介)(第一七四一号)
同(松下玲子君紹介)(第一七四二号)
同(馬淵澄夫君紹介)(第一七四三号)
同(柳沢剛君紹介)(第一七四四号)
同(八幡愛君紹介)(第一七四五号)
同(山田勝彦君紹介)(第一七四六号)
安全・安心の医療・介護の実現のため人員増と処遇改善を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七四七号)
同(荒井優君紹介)(第一七四八号)
同(有田芳生君紹介)(第一七四九号)
同(池田真紀君紹介)(第一七五〇号)
同(佐原若子君紹介)(第一七五一号)
同(志位和夫君紹介)(第一七五二号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一七五三号)
同(高松智之君紹介)(第一七五四号)
同(たがや亮君紹介)(第一七五五号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第一七五六号)
同(田村貴昭君紹介)(第一七五七号)
同(田村智子君紹介)(第一七五八号)
同(中谷一馬君紹介)(第一七五九号)
同(西岡秀子君紹介)(第一七六〇号)
同(福田昭夫君紹介)(第一七六一号)
同(堀川あきこ君紹介)(第一七六二号)
同(本村伸子君紹介)(第一七六三号)
同(柳沢剛君紹介)(第一七六四号)
同(山岡達丸君紹介)(第一七六五号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
自殺対策基本法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第五号)
厚生労働関係の基本施策に関する件
――――◇―――――
○藤丸委員長 これより会議を開きます。
厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人としてこども家庭庁長官官房審議官竹林悟史君、財務省大臣官房審議官植松利夫君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官日向信和君、厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官内山博之君、大臣官房年金管理審議官巽慎一君、大臣官房審議官岡本利久君、医政局長森光敬子君、健康・生活衛生局長大坪寛子君、健康・生活衛生局感染症対策部長鷲見学君、労働基準局長岸本武史君、職業安定局長山田雅彦君、社会・援護局長日原知己君、社会・援護局障害保健福祉部長野村知司君、老健局長黒田秀郎君、保険局長鹿沼均君、年金局長間隆一郎君、農林水産省大臣官房審議官郷達也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○藤丸委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大西健介君。
○大西(健)委員 立憲民主党の大西健介です。
貴重な一般質疑の機会を賜りましたことに感謝を申し上げたいと思います。
時間もありませんので早速質問に入りたいと思いますが、まず、年金法案の審議では、基礎年金の底上げに議論が集中した結果、残念ながら他の論点の審議が深まらなかったことは、正直否めないんじゃないかなと思います。衆議院を通過した後に、遺族年金の改悪と一部のメディアや政治家が話題にしている点について、今日は厚労省に確認をしたいというふうに思います。
今回見直しの対象になるのは、四十歳未満でお子さんがいない方で夫と死別した場合に限られています。法律の施行時点で四十歳以上の方やお子さんがいる場合、それから既に受給している方、高齢で遺族になった方などは現行のままであります。したがって、対象になる方はかなり限定的だというふうに思いますけれども、具体的にはどれぐらいのイメージになるのか、政府参考人からで結構ですので、御説明いただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
影響を受けない方については、委員御指摘のとおりでございます。
その上で、今回の遺族年金制度改正の施行直後に見直しの対象になる方は、二〇二八年度末時点で四十歳未満の女性であり、粗い推計で年間約二百五十人と見込んでおります。その後二十年かけて対象年齢が六十歳未満まで引き上がりますので、徐々に増えてはまいりますが、令和三年度末時点の遺族厚生年金の受給権者数が約五百八十万人であることに鑑みますと、委員御指摘のとおり、今回の制度見直しの対象となる方は限定的であると考えております。
その上で、逆に夫の方でございますが、施行直後から新たに遺族厚生年金を受給することが可能となる十八歳未満の子のない六十歳未満の夫は、粗い推計ですが、年間約一万六千人と見込んでおります。
○大西(健)委員 少ないからいいじゃないかという話ではないんですけれども、ただ、今言ったように、非常に限定的でありますし、しかも、収入が低い方や障害のある方は引き続き遺族厚生年金をもらい続けていくことができるように配慮もちゃんとされているということですし、今御答弁にあったように、二十年かけて段階的に実施するんだということでありますから、これはもっとちゃんと説明をすれば私は理解をしてもらえるんだと思いますので、是非、理解を求めていくような丁寧な説明が必要だと思います。
あわせて、なぜこのような見直しを行うかといえば、今お話もありましたけれども、これまで、夫を亡くした三十歳未満の子のない妻は生涯遺族厚生年金を受けられた一方で、男性の方は妻に先立たれても遺族厚生年金はもらえなかった。これは、男は働いているから困らないだろうけれども、夫と死別した妻は就労し生計を立てることが困難で、稼得能力の喪失状態が将来にわたって続く、こういう古いある種の男女観に基づいたものだというふうに思います。
実は、一九八〇年の改正時にも、子供のいない四十歳未満の妻を遺族厚生年金の支給対象から外す改正を行おうとしましたけれども、当時も国会で大反対があって、野党から修正案も出て、そして実現しなかったという経緯があるというふうに聞いております。
それから二十年以上がたって、若くして夫と死別した女性でお子さんがいない場合には、生活再建のために仕事に就くことは今難しくなくなっているというふうに思いますけれども、今回このタイミングで見直しを行うことの背景にある時代の変化について、大臣から御説明いただきたいと思います。
○福岡国務大臣 今おっしゃられました約二十年前の二〇〇四年の改正では、配偶者と死別後の就労可能性であったり、男女の賃金差を踏まえまして、三十歳以下の子のない妻については五年間の有期給付とする見直しを行っております。
その上で、今回の法案では、二〇〇四年改正時と比べますと二十代、三十代の女性の就業率が改善していることに加えまして、将来的にも女性の就業率の更なる上昇が見込まれておりまして、現在の男性の就業率の水準と遜色なくなることであったり、男女の賃金差も二〇〇四年改正当時と比べて相当改善していることを踏まえまして、新たな加算の創設であったり、様々な配慮措置を設けながら、男女差解消という形で、男女共に遺族厚生年金を受給しやすい仕組みに見直すこととしたものでございます。
○大西(健)委員 そういう時代の変化も丁寧に説明すれば、私は、ある種の誤解と言っていいのかどうか分かりませんが、解けるんじゃないかというふうに思います。
ただ、今、この時代というのは、ネット上に様々な不正確な情報も含めて情報が氾濫をしているので、この件に限らず、やはり丁寧な説明をして、国民の理解を求めるということが今まで以上に重要になっているんじゃないかというふうに思います。
この点、先日、WHOの総会で、感染症の世界的大流行への備えやワクチンの公平配分の仕組みを定めた新たな国際ルール、パンデミック条約が採択をされましたけれども、このパンデミック条約に関しても、一時、締約国の主権を譲り渡すものだとか、グローバル製薬企業の利益を優先するものといった批判がネット上に広く流布されておりました。
今回採択された条約は、そういう内容になっているのでしょうか。総会に出席した当選同期の仁木副大臣から御答弁いただきたいと思います。
○仁木副大臣 大西委員にお答えします。
先月二十日のWHO総会において採択されたWHOパンデミック協定、これにおきましては、パンデミックの予防及び公衆衛生サーベイランス、技術移転及び関連するノウハウに関する協力、病原体へのアクセス及び利益配分といった規定が盛り込まれております。
協定の中には、WHOによる国家主権の制限やグローバル製薬企業の利益の優先といった、御懸念の内容規定は含まれていません。
よって、協定の概要及びQアンドAは外務省ホームページに掲載されておりますし、また協定の内容については、外務省とよく連携し、正確かつ丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。
○大西(健)委員 これも本当に残念ですけれども、そういう誤った不正確な情報が流布して、それを信じておられる方もいらっしゃるということなので、やはり丁寧な説明が必要なんじゃないかと思います。
一方で、米国は条約に参加せずに、米国企業からのワクチン等医薬品の提供がなければ、この条約の実効性が著しく損なわれる、そういうおそれもあると思います。それから、トランプ政権は、WHO脱退を表明して、厚生長官にはワクチン懐疑論者のロバート・ケネディ・ジュニア氏を充てています。
総会では、二年間の予算を当初見込んだ五十三億ドルから四十二億ドルに減らして、加盟国の拠出金を二〇%増額することが承認されました。さらに、出張やIT設備の調達の制限など、様々なコスト削減案も実施していて、本部の部門も半分以上に減らして組織をスリム化するということも提言をされています。
この米国のWHO脱退の影響と我が国の果たすべき役割について、大臣から御答弁いただきたいと思います。
○福岡国務大臣 アメリカは協定交渉には不参加でございますものの、このパンデミック協定の採択は、各国が本協定の意義を真摯に捉えて努力した結果であり、重要な一歩だと受け止めております。
また、今御指摘がありました米国のWHO脱退表明の影響につきましては、WHOは、今、アメリカの脱退表明に伴いまして予算の減少が見込まれますことを受け、事業の優先順位をつけて行っているものというふうに承知をしております。
将来的なパンデミックへの対応を含めまして、国際的な保健課題には国際社会が協力して対応していく必要がございます。WHOが引き続き保健をつかさどる国連の専門機関として、その専門性を生かし、科学的知見に基づいて国際保健分野の諸課題の解決に向けて活動していくことが重要でございまして、我が国としましても、WHOがその機能と役割をしっかり果たせるように貢献していきたいと考えています。
その上で、アメリカは感染症対策を含みます国際保健の重要な位置を占めており、引き続き、米国を含む各国とも連携しながら、国際保健の諸課題に積極的に取り組んでまいりたいと思います。
○大西(健)委員 正直言うと、もう少し踏み込んで御答弁いただけたらよかったかなと思いますが。当然、アメリカの抜けた穴というのは大きいので、そこを別に日本だけが埋めるという話ではないですけれども、やはり日本として積極的に、役割を果たしていくんだ、そういう気概を持ってやっていただければいいんじゃないかなと思います。
次に、先日、自民党の坂本国対委員長は医療法の今国会成立を見送るということを表明されましたけれども、医療法には、言うまでもありませんけれども、医師偏在対策であったり、地域医療構想の見直しであったりですとか、非常に重要な内容も含まれており、非常に残念だというふうに思います。
私は、オンライン診療に関して、初診予約が取りにくくなっている精神科において、対面と比較して非劣性にあるこのオンライン診療を活用すべきではないかということを、先日、本委員会で質問させていただきました。その続きなんですけれども、オンライン診療を行う県外の医療機関というのは地域包括ケアシステムには含まれないということで、その支援対象にはならない、そのために、地域医療機関での連携や受入れが困難であることを理由に、初診解禁を地域限定にすべきだ、こういう意見があると聞いております。しかし、それでは、本来受診を必要としている患者が排除されてしまい、地理的制限を受けないオンラインのよさというのが失われてしまうんじゃないかというふうに懸念をしております。
確かに、容体が急変をしたときなど、対面であったり入院が必要になった場合に、オンライン診療を行う県外の医療機関が自力で地域の受入先を探すというのは困難なんですけれども、そこは都道府県が主導して、例えばマッチング窓口のようなものを整備することで、オンライン初診から地域での対面、入院まで一貫した体制を構築すれば、初診待機を緩和しつつ地域連携を担保できる、こういうこともできるんじゃないかと考えるんですけれども、いかがでしょうか。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のオンラインの精神療法でございますけれども、これは一定のニーズが見られるという状態でございます。そうした中でも、安心かつ有効に実施をされていくということが重要だと考えております。
現在の情報通信機器を用いた精神療法に係る指針、このオンライン精神療法指針の中では、患者の急病、急変時の対応という観点から、患者が希望した場合であるとかあるいは緊急時の対面が必要である場合には、オンライン精神療法を実施した医師自らが速やかに対面で診療を行うことができる体制を整えることであるとか、あるいは、精神科救急対応を始めとして緊急時の入院受入先を行っている医療機関との連携など、入院の対応が必要となった場合などに対応可能な体制の確保をしておくことが望ましいこと、そして、対面と比べて得られる情報が限定されるということから、オンラインの精神療法というのは初診においては実施しないことなどをお示しをしているところでございます。
こうした現在のガイドラインでこのようなことをお示しをしておりますけれども、オンライン精神療法に係る医療提供体制の在り方につきましては、現在、好事例の収集でございますとか、具体的な活用法に関する調査研究を行っております。今後、その研究成果なども踏まえながら、当事者も含めた関係者の御意見を伺いながら、良質かつ適切な精神医療の提供の確保、診療の質の確保であるとか医療機能の連携とか、そういった観点も含めて検討を進めてまいりたいと考えております。
○大西(健)委員 今の答弁は余り、何を言いたいのか、よく分からなかったんですけれども。
オンラインの利点というのは、やはり地理的制限を受けないということなんですよね。だから、それと地域連携は相矛盾するような感じがするんですけれども、さっき言ったように、都道府県が窓口をつくってそれをマッチングすれば、私は、そのデメリットは乗り越えることができると。
一方で、この間の質疑のときにも言いましたけれども、今、精神科医療は初診予約を取りたくても全然取れないわけですよ。だから、なかなか精神科医療にかかれないことによって、非常に容体が悪化してしまう。早くから治療をすればもっと早く治るというのがあると思いますので、そのメリット、デメリットをうまく調整するやり方というのは私は考えられると思うので。単純に地域連携ができないから駄目なんだみたいな、そういう、地域限定にするんだみたいなのではオンラインのせっかくのよさが失われてしまうと思いますので、そこは是非お願いしたいと思います。
今国会、医療法が難しいということであれば、今日もそうですけれども、議員立法の審議をやるべきだと思っています。現在、社労士の使命規定の新設等を柱とする第九次の社労士法改正の議員立法について、各党各会派での調整が進められています。近年、労働環境や社会保障に関する課題が複雑化する中で、社労士の果たす役割はますます重要になっていて、早期の法案成立が望まれるというふうに思います。
法案では、労働監査に関する業務の明記が検討されていますけれども、企業が労働基準法や労働安全衛生法など法規制を遵守しているかをチェックして適正な労務管理を行うことは、企業のコンプライアンスを強化し、トラブルを未然に防止するという意味で、私は重要だと思っています。特に中小企業においては、労働組合がなく、労務管理の体制が整っていないケースも多いため、社労士が労働条件の適正性を確認することは、労働者の安全や健康を確保するためにも、それから企業の健全な発展のためにも重要だというふうに考えますが、この点に関する大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○福岡国務大臣 企業規模にかかわらず、労働者を雇用する事業場におきまして、労働関係法令であったり社会保険関係法令が遵守されること、大変重要だと考えています。
今先生御指摘がありましたように、社会保険労務士の方々については、企業が労務関係法令や社会保険関係法令を遵守しているか、また、就業規則や労働契約等が適正なものになっているか等について確認を行う業務を担っていただいているというふうに承知をしております。また、このような業務を、社会保険労務士法改正に関する御要望の中では労務監査と呼んでおられるというふうに承知をしております。
議員立法については国会で御議論いただくものでありますが、あえて申し上げれば、こうした業務につきましては、企業が社会保険労務士の知見を活用して、自主的に労働関係法令や社会保険関係法令の遵守に取り組むことができる環境を整える意味でも意義のあるものだと考えております。
○大西(健)委員 先ほども言いましたけれども、トラブルを未然に防止するということで私は重要だと思っています。
次に、昨日、韓国では大統領選挙がありました。私は超党派の日韓議連の運営委員長というのをやっていますけれども、そこでお聞きしたいんですが、戦争中に山口県の宇部市の長生炭鉱で起きた水没事故で犠牲となった日本人や朝鮮半島出身者の遺骨収集について、これまで市民団体が中心になって日韓共同での潜水調査というのが行われてきました。
政府は長らく、政府の対応可能な範囲を超えていると遺骨収集に消極的な姿勢を示していましたけれども、本年四月の参議院での質疑で、石破総理が、市民団体の取組を尊いこととした上で、国はいかなる責任を果たすべきかということでございます、そのことも併せて、福岡大臣を中心に政府として判断してまいります、こう答弁をされました。
先月行われた四回目の潜水調査では、遺骨がある地点につながる可能性がある側道が発見されました。一方で、財政的にも技術的にも、市民団体任せには限界があるというふうに思っています。日韓両国の犠牲者の遺骨収集を国の責任で行うということは、日韓国交正常化六十周年そして戦後八十年というこの節目の年に、大変、私は象徴的事業になり得るのではないかというふうに思います。大臣、是非、政治決断をお願いしたいと思います。
○福岡国務大臣 まず、長生炭鉱の坑道の落盤事故において犠牲になられました全ての方に心からお悔やみを申し上げます。
犠牲になった方々の御遺骨は海底に水没している状況でございまして、その埋没の位置や深度等が明らかでなく、落盤事故が発生した海底の坑道に潜水して調査、発掘することについては安全性に懸念があり、現時点では、実地調査という実務に照らして、対応可能な範囲を超えているというふうに考えています。
ただ、先ほど来、国会でのやり取りについて御紹介いただきました。今の時点で言いますと、この落盤後の廃鉱から長期間経過し、炭鉱の坑道が正確に把握されておらず、また構造物としての強度もつまびらかでない中で、構造物としての炭鉱の安全性であったり、安全を確保した上での潜水の実施可能性の観点から、知見を有する方々からのお話を今承っている最中でございます。
引き続き、専門的な知見を必要とする本件の性質を踏まえまして、様々な御意見を集積していきたいと考えています。
○大西(健)委員 政府が安全性が確保されないからやらないと言っても、市民団体がやっているわけですよね。本当に市民団体に任せっ切りでいいのか。総理も、尊いこと、また、国の責任というのを考えなきゃいけないということを言っておられるわけですから。新しい大統領が選ばれて、やはり日韓国交正常化六十周年を、私は、これはやはり実りある記念すべき年にしなきゃいけない。その中の一つとして、これは是非前向きに、政治的に考えていただきたい案件だというふうに思います。
次に、先週末、愛知県体育館に代わる国内最大級の一万七千人収容のIGアリーナのオープニングセレモニーがありました、私も行ってきたんですけれども。二〇二八年に、このIGアリーナで技能五輪の世界大会の開会式が行われる予定になっています。日本での開催は二十一年ぶりで四回目になります。
昨年九月のフランス・リヨンでの大会では、日本は金メダル五個と優秀な成績を収めましたけれども、一位は逃しました。金メダル獲得数では五位だったということなんですけれども、静岡県大会を最後に一位を逃しているということなんですね。
物づくり日本を世界に向けて発信するためにも、若い人々に物づくりの魅力を伝えるためにも、私はこの日本開催というのは絶好の機会だと思っています。二十一年ぶりの日本開催での金メダルの獲得、一位奪還を目指して、国を挙げて選手の支援を行うべきと考えます。
厚労省としても、今年度予算に予算計上もしていただいていると聞いておりますけれども、金メダル一位奪還に向けた意気込みと、そのための支援の方針を大臣に伺います。
○福岡国務大臣 技能五輪国際大会の開催は、若い世代を始め、広く国民の方々、世界の人々に技能のすばらしさ、我が国の優れた技能を伝えることにつながる絶好の機会となると考えています。
このため、二〇二八年に日本・愛知大会において、日本人選手が金メダルを獲得するなどの活躍をしていただけるように、今、競技力の強化を図ることとしております。
具体的には、本年三月に改定いたしました選手の競技力強化、人材育成の指針を踏まえまして、業界団体とも連携しながら、メダルの獲得の可能性が高い職種に対しまして強化費を重点的に配分すること、また複数の企業の参加による合同訓練を推進することなどによりまして、まずは直近の二〇二六年上海大会に向けました選手強化を図るとともに、その経験を踏まえまして、二〇二八年日本・愛知大会での一層の選手強化につなげていきたいと考えています。
まさに委員の御地元であられます日本・愛知大会は、二十一年ぶりの日本開催となるわけでございまして、一つでも多く金メダルを獲得できるよう政府としても最善を尽くすとともに、技能の魅力を若い世代に伝える機運醸成の機会としたいと考えています。
○大西(健)委員 ちなみに、選手強化の予算というのは具体的にはどれぐらいでしょうか。参考人で、もし分かれば。
○福岡国務大臣 四億円ということでございます。
○大西(健)委員 是非もう一声。一位をやはり奪還するという、その強い意気込みを示していただきたいというふうに思います。
次に、私は一型糖尿病の指定難病認定を求めて、本委員会でも繰り返し質問をさせていただいているんですけれども、ほかにも、患者の皆様からは、指定難病に加えてほしいという切実な声がある病気が多くあります。
その一つが、ME、CFS、筋痛性脳脊髄炎であります。原因不明の激しい全身の倦怠感、強度の疲労感とともに、微熱、頭痛、思考力の障害などが長期にわたり続く症候群で、有効な治療法が確立しておらず、厚労省の実態調査で約三割の患者さんが寝たきりに近い状態にあると。患者のQOLを著しく低下させる重篤な病気であります。
指定難病の要件には客観的な判断基準が確立していることというのがありますけれども、この点、ME、CFSは一般検査で異常を検出できず、バイオマーカーがないことがハードルになっているというふうに言われております。しかし、パーキンソン病も臨床診断が主であって、神経疾患においてバイオマーカーというのが絶対要件なのかどうなのか。絶対要件ではないという理解をしているんですけれども、それでよいのかを確認させてください。
また、あわせて、もう一つの指定難病の要件である患者数でありますけれども、厚労省は病態が確立されなければ実態調査も実施できないという見解を示していますけれども、そうなると結局、診断基準がないから、患者数が何人いるかという実態調査もできないということになってしまいます。
指定難病の要件としての診断基準と、患者数がどれぐらいいるかという実態把握のための診断基準というのは、これは私、必ずしも同一である必要はないんじゃないかと考えるんですけれども、この点についても厚労省の見解を教えていただきたいと思います。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、難病法におきまして、医療費助成の支給対象となります指定難病の要件の一つに、「診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっていること」と規定をされているところであります。この要件は、公平かつ公正な医療費助成を行うに当たって、その対象範囲を明確にする必要があることから、創設当時から設けられているものでございます。
そして、この客観的な指標が何を意味するかということにつきましては、血液等の検体検査、画像検査、遺伝子解析検査、生理学的検査、病理検査等の結果とともに、視診、聴診、打診、触診等の理学的所見とすることとしておりまして、その方針は既にお示しをしているところでありまして、必ずしもバイオマーカーの確立を求めているものではございません。
ME、CFSにつきましては、過去の厚生労働科学研究で、論文等で既に報告されております様々な診断基準、これを用いて研究対象を定め、実態調査を行い、患者の背景や臨床所見等の把握を行っているところでありまして、こういった様々な兆候を含めて、客観的指標を確立することが可能かどうか、研究班において検討をいただいているところでございます。
厚生労働省では、引き続き、研究に必要な予算を確保し、専門家の意見を踏まえながら、客観的な診断基準の確立に向けた研究を支援してまいりたいと思っております。
○大西(健)委員 今の御答弁の中で、バイオマーカーというのは必ずしも必要ではないという御答弁、確認ができましたので、それは大きいと思います。
これに限らず、私がずっとやってきた一型糖尿病もそうですけれども、やはり指定難病認定を求めている病気というのがありますので、引き続き、今言ったような研究を進めていただきたいなというふうに思います。
最後に、ちょっと質問主意書も出させていただいているんですが、がん探知犬というものについてお聞きをしたいと思うんですけれども、お手元に、がん探知犬育成センターのリーフレットのコピー、これをお配りをさせていただきました。
ここには九州大学大学院の園田先生のコメントなんかも載っておりますけれども、あるいはテレビ、雑誌、海外メディアでも多く取り上げられているということなんですけれども、人間の百万倍から一億倍以上の犬の嗅覚をがんの予備検査に活用しようと。予備検査ですから、正確な検査というのはちゃんとやるんだけれども、その前のスクリーニングというか予備検査としてがん探知犬が使えないかと。
犬の鋭敏な嗅覚というのは、麻薬取締り犬だとか警察犬だとかという形で、既にいろいろなところで役立てられているわけですけれども、山形県の金山町では、健康診断に実際にがん探知犬を導入したという実績があります。それから、群馬県の山本一太知事は、がん探知犬の研究費を県の予算に計上したということなんですね。
ですから、これは、もちろん科学的エビデンスというのをしっかり検証する必要があるので、すぐにはと言いませんけれども、厚生労働科学研究等で研究しても、その余地ぐらいはあるんじゃないかなというふうに私は思うんですけれども、大臣いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 今御指摘がありました厚生労働科学研究のうち、医療分野の研究につきましては、厚生労働行政の推進に資する研究に関する委員会でまとめられました報告書において、厚労行政施策の企画立案や見直しに直結する調査研究を対象とするとされたところでございます。
御指摘のがん探知犬を用いた検査に係る研究、進められているというふうには承知をしておりますが、学会等においても、その有効性についてコンセンサスが得られているとは承知しておりませんで、現時点では、行政施策の企画立案や見直しに直結する段階とは言えないため、厚労科研での実施にはなじまないと考えてございます。
他方で、報告書では、厚労行政施策に関係する技術開発に関する研究はAMEDにおいて実施することとされております。AMEDの革新的がん医療実用化研究事業におきまして、がんの診断、治療技術開発に関する研究等が公募によって今行われておりまして、がん探知犬を用いた研究につきましても応募が可能であると考えております。
○大西(健)委員 今日は一般質疑ということで、様々な問題について質問させていただきましたけれども、一番最初のやはり遺族厚生年金の問題ですけれども、さっきに加えて言うならば、今回、子供がいる場合の加算額は引き上がるということも大きなメリットですから、これももっともっと多くの人に伝えるべきだと思います。
何か本当に、誤ったとは言いませんけれども、一部の部分だけを切り取った情報が流布されて、遺族厚生年金の改悪だと言われているのは、私は本当に残念を通り越してちょっと憤るところがあるので、これは基礎年金の底上げの話も一緒でありますけれども、我々もしっかり有権者の皆さんにも丁寧に説明していきますけれども、政府としても正確な情報それから丁寧な説明で国民の理解を求めるということを引き続きお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
○藤丸委員長 次に、中島克仁君。
○中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。
貴重な一般質疑、時間をいただきましたので、私からも質問させていただきたいと思います。
私からは大きく三点、障害年金不支給急増報道を受けた問題についてと、あと、加熱式たばこにおける健康への影響、これは受動喫煙も含めて、これが二点目、そして三つ目は、私の一丁目一番地、かかりつけ医の制度化、これは、恐らく医療法がこの後審議されると私は信じておりますから、医療法の前振りとして質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、障害年金不支給急増報道を受けての質問でございますが、資料の一枚目。これは、四月下旬に報道された、二四年度の不支給と判定された方が前年に比べて約二倍の三万人になることが報道、この内容でございます。この事実確認については、厚労省が、不支給がどの程度増えているか、抽出、サンプル調査をして、六月中旬にも結果を発表するとされております。
資料の二枚目でございますが、この四月の報道を受けてなのか、年金機構が不支給判定のうち千数百件の判定をこっそりやり直していた、こういう内容が報道されたわけであります。
この再判定に関しては、年金機構は、当初、そういう事実はないとしていたものの、参議院の厚生労働委員会の理事会では、不支給と見込まれた事案についてより丁寧な審査を行ったと報告をしたと承知をしており、事実上の、再判定していたことを認めると。
この報道、最初、四月に出たときも、そしてこっそりやり直しているということも含めて、これは六月中旬、でも、もう六月ですから、この事実確認、公表が待たれるわけでありますが、改めて確認をしたいわけです。
不支給の人数、新規のみならず、更新の方が不支給となった件数、また、再調査された方の人数に加えて、再判定した結果、不支給から支給の判定になった人、また逆の人。六月中旬とおっしゃっておりますから、そういった内容を、この報道、国民の皆さんは本当に懸念、疑念を持っておられます。それを払拭するような調査方法、調査内容を公表するということでよろしいか。
そして、六月二十二日が会期末でありますから、まさか会期末直前とか、そういうことがない、必ず会期内に調査、報告して、それについての厚生労働委員会を開くつもりでよろしいか。確認させていただきたいと思います。
○福岡国務大臣 まず、御指摘の報道を踏まえ、様々なこの事例につきましては、年金行政への信頼に関わる問題でございますから、しっかり対応していく必要があると感じています。
このため、令和六年度におけます障害年金の認定状況につきまして、その実態把握のための調査をすることとしていますが、先ほど御紹介いただきましたように、様々、報道で出ているケースがあります。個別の事例についてどのように扱っていたか、適正に審査されているかなどについて、速やかにその中で確認をさせていただくこととしております。
その上で、この調査の結果につきましては、この国会中の六月中旬を目途に公表できるように作業を進めておりまして、その結果を踏まえて必要な対応を行っていきたいと考えております。
○中島委員 会期内ということでお答えいただきましたが、これは委員長にお願いしたいんですけれども、会期末は二十二日、実質には二十日、金曜日だと思うんです。その直前に公表されても、国会は閉会に向かっちゃうということです。国会内に発表するとおっしゃいましたから、その発表に基づいて委員会を必ず開く、もしそれが週をまたいで国会が閉会したならば閉会中審査を行う。是非、委員長、お願いいたします。
○藤丸委員長 理事会で協議します。
○中島委員 それでは、その内容は必ず、公表後、この厚生労働委員会で報告また審議をするということで私は確認できたと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
さきの年金改革法案の附帯決議においては、この障害年金、二項目が付されています。六月中旬、今ほどお答えいただいた、発表される調査結果を踏まえて、必要な措置を講ずるとともに、恣意的な判定がなされないよう透明性を確保するために検討を行い必要な措置を講ずる、また、医学モデルのみならず社会モデルも踏まえて、機能障害のみならず、日常生活の状況等を把握した上で障害等級の認定を行うこと。これはさきの年金改革法案の附帯決議に付され、大臣もよく御承知だと思います。
改めてでありますが、実態の確認、事実確認は大事でありますけれども、私も、今回のことが報道されて、年金機構の方や様々な関係者の方にお話を聞きました。今回、恣意的だったかどうかというよりも、判定システム自体がかなり問題、問題というか、人数面も含めて大変だと。
この附帯決議にもあるように、この判定においては、認定環境、認定基準の見直しのための検討会、これは約十年前に、地域間格差があるときに、年金機構内ではなく厚労省内に検討委員会を設けたと私は承知しております。改めて、実態確認は公表するにしても、事実としてそういう判定システム、内容に課題があるということは分かっておりますから、今回の報道、また事実確認の公表を踏まえるとともに、厚生労働省内に当事者も加える形で検討会を設置するべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 今まさに実態把握のための調査をさせていただいています。この中で、個別の事例について適正に審査されているか等を速やかに今確認をすることとしてございますので、まずその結果を見て、それを踏まえて、様々な御意見を伺いながら必要な対応を行っていきたいと考えております。
○中島委員 先ほども言ったように、地域間格差があるとき、約十年前、これは厚労省内に検討会が、当事者も入れた形だったかどうかはちょっと確認できておりませんが、設置された上で見直しがされたと承知しております。今現在分かっているだけで課題があるということはありますので、是非検討会を設置していただきたい。
そして、現在の判定システム、私もこの報道を見ていろいろ調べてみましたが、先ほども、繰り返しですが、システムそのもの、判定の在り方そのものを見直すことが必要だ。具体的には、例えば今回、附帯決議で、医学モデルのみならず社会モデル、日常生活の状況。今の判定システムだと診断書だけですよね。こういう状況で、じゃ、どうするんだといったときに、今、既存で障害福祉サービスの障害支援区分の調査結果、これがあるわけですから、これを判定の中に加えていく、これはすぐできることだというふうに思います。
また、これはよく言われますが、介護認定審査のように、医師のみではなく福祉など他の職種と判定会議をつくる。
そして、三つ目。そもそも、認定医の数がやはり圧倒的に足りない、しかも、専門性、特に精神とか発達障害とか、ばらつきが出ているということがありますから、こういった一人一人の判定に時間をかける医師の確保。
具体的にこの三点は、特に一番目の、今使われている障害福祉サービスの障害支援区分の調査結果、これは判定に運用していく、応用していくべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○福岡国務大臣 障害年金の認定に当たりましては、主治医の診断書のみならず、本人や家族が記載する病歴・就労状況等申立書を基に、障害の状況や日常生活への影響等について、障害認定医の意見も踏まえながら、認定基準に当てはめ、個別に診断を行うこととしております。
今御提案がありました障害支援区分の活用につきましては、障害年金と障害福祉サービスは、それぞれ、制度の趣旨であったり目的が異なります。また、支給要件や等級も別に定めていることから、障害支援区分を障害年金の認定に活用することについては様々な課題があるのではないかと考えています。
また、他職種の活用につきましても、今、認定に当たりましては、申立て書により日常生活の状況等も確認の上、審査をしておりますが、申立て書は社会福祉職の方が記入されているケースもございます。
また、障害認定申請が増加している中、今、認定医の確保にも努めさせていただいているところでございます。
今、建設的な様々な御提案をいただきました。障害年金の審査件数が年間四十万件近くある中で、適切かつまた遅滞なく審査を行えるよう、障害年金の認定の在り方については、様々な御意見を伺いながら検討を進めてまいりたいと思います。
○中島委員 今お答えいただいて、障害区分、これは要するに、先ほど附帯決議の内容を示しましたが、やはり診断書だけでは社会モデル、日常生活は分からない。今、障害福祉区分で調査しているわけですから、課題はあるとはいえ、今すぐできる対応とすれば、それが最もすぐやりやすい。医師を確保するにはまたコストもかかりますから、そういう意味で、調査結果を踏まえてでありますけれども、是非、そういった今すぐできる対応を、御検討をすぐしていただきたいと思います。
続いて、加熱式たばこの人体に与える影響、受動喫煙の健康への影響等について質問させていただきたいと思います。
資料の四枚目、近年、紙たばこ利用者が減少している一方で、下の青い折れ線グラフですね、加熱式たばこを使用する割合が増えています。海外では、紙たばこと比較して健康へのリスクが低いと税制上の手当てをしている国もございます。
四月末、大西委員もこのことを質問されていて、私も以前から大変気になっておりましたので、それを追う形でちょっと質問させていただきたいと思いますが、健康増進法上、加熱式たばこ、電子たばこの位置づけはどのようになっているのか、健康への影響を厚生労働省としてどのように調査分析されておるのか、まず確認させていただきたいと思います。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
健康増進法におけます加熱たばこと電子たばこの位置づけでございますが、たばこ事業法に規定をされております製造たばこ等をその規制の対象としております。
このうち加熱たばこにつきましては、健康増進法改正の際に、主流煙による健康被害は明らかであったものの、受動喫煙による長期的な健康影響を予測することが困難でありましたことから、健康増進法の附則において、経過措置として、当面の間、加熱式たばこ専用の喫煙室内で喫煙や飲食等を行うことを可能としているところでございます。
一方、ニコチンを含む電子たばこ、これは医薬品でありまして、製造販売承認を得る必要があります。また、たばこ事業法で言うところの製造たばこに当たらず、健康増進法においても規制の対象としていないという位置づけになっております。
その上で、これまでの間、紙たばこと比較して加熱式たばこの健康影響についてどのように調査分析をしているかということについて申し上げますと、健康影響の程度につきましては、かなり長期的な時間を要するものでもありまして、人体への影響に関する科学的知見、これの収集に努めているところであります。
具体的には、これまで、厚生労働科学研究等において、例えば、加熱式たばこの主流煙の成分分析はもう既に知見があるところですが、室内で使用したときの屋内空気のニコチン等の濃度の測定及び評価、また、動物実験において病理学的検討を行っていることや、人に対しましては、広くインターネット調査による加熱式たばこによるぜんそくの疾患の発生状況、加熱式たばこ喫煙歴等によるCOPD患者の呼吸機能の観察研究、こういったことの疫学なども広く行っているところであります。
引き続き、こういったことを予算を取って続けてまいりたいと思っております。
○中島委員 健康増進法上は、電子たばこは入っていない、加熱式たばこと紙たばこ。
そして、資料の三枚目にございますが、経過措置として、今、加熱式たばこについては専用喫煙室というくくりになっているということだと思いますが、これは私も気になるんですが、加熱式専用ルームは従業員の方も入られるわけですよね。いわゆる受動喫煙への影響というものは、今経過措置という状況になっていて、海外では、先ほども申し上げたとおり、明らかにリスクが下がるというハームリダクションの観点で税制上の差を設けている国もある。言うならばこれは、経過措置、何となくということだと思うんです。
これはやはり、先ほど、調査分析してこれからも進めるとおっしゃいましたが、換気環境が整備された場所での有意差とか、たばこであれば、三十年喫煙したときのリスクとか、そういった個別性に応じた、これだけ需要が増えておりますから、そうした加熱式たばこに特化した調査、厚労省としては、国民の健康や公衆衛生の観点で加熱式たばこをどう位置づけるか、早急に対応するべきだと考えますが、大臣、一言お願いいたします。
○藤丸委員長 局長。(中島委員「短く」と呼ぶ)短く。
○大坪政府参考人 委員御指摘のとおり、換気の環境などの違いによって、加熱式たばこの人への影響、これはしっかり結論を得ていきたいと思っておりますので、鋭意研究を進めてまいります。
○中島委員 よろしくお願いいたします。
続いて、私の本丸、一丁目一番地、私はこれをつくりたくて政治家の道を目指しました、かかりつけ医の制度化について質問させていただきたいと思います。
改めて、この四月から、かかりつけ医機能が発揮される制度整備が始まりました。二年前の全社法案のときに議論をされたわけでありますが、少子高齢化という人口構造の変化、高療費のときにも議論になりましたが、疾病構造の変化、こういう状況の中で、かかりつけ医の果たす役割、重要性、大臣はどのように認識しているか、確認をさせてください。
○福岡国務大臣 先ほど一丁目一番地とおっしゃいましたが、一貫してこの問題に熱心に取り組んでいただいておりますこと、心から敬意を表したいと思います。
かかりつけ医につきましては、法律上の定義があるわけではございませんが、一般的には、日頃からかかっている身近なお医者さんだったり医療機関を指しているものと承知をしております。令和五年の改正医療法におきましても、身近な地域において日常的な診療等を行うかかりつけ医機能が発揮される制度整備を行うこととされたところでございます。
この制度におきましては、医療に関する患者さんからの相談対応も含め、かかりつけ医機能の有無について医療機関から報告を求め、国民に情報提供を行うこととしております。この制度に基づく取組を着実に進めることによりまして、地域において必要なかかりつけ医機能の確保を図っていきたいと考えております。
○中島委員 もう一点、端的に。この四月から始まったかかりつけ医機能が発揮される制度整備によって、一体、今までと何が変わるのか、端的にお答えください。
○福岡国務大臣 令和五年の医療法改正におきましては、国民が、そのニーズに応じて、各医療機関が提供するかかりつけ医機能、具体的には、日常的な診療の提供であったり、休日、夜間の対応、入退院の支援、また介護との連携などの機能を確認し、適切に医療機関を選択できるような仕組みを創設したところでございます。
○中島委員 私は、何が変わるかというのは、これだけ、上手な医療のかかり方とか、デーモン閣下が、困ったらかかりつけへ、コロナのときなんてまさにそうですよね、ワクチンを接種したらいいかどうか迷ったらかかりつけへ。でも、一体全体、かかりつけ医というのはどこにいて、何をしてくれるのかが全く分からない。こういう状況が、この四月から始まったかかりつけ医機能が発揮される制度整備で改善されるのかどうか。
今はコロナ禍ではございませんが、もし新たな新興感染症で同じような状況になったときに、かかりつけ医だと思っていた方に、発熱したからと言ったら、私はあなたのかかりつけ医ではありませんと袖に振られるようなことがまた起こるんじゃないですか、このままだったら。
大臣、どうですか。このかかりつけ医機能整備によって二度とコロナ禍と同じような状況にはしないと言えますか。
○藤丸委員長 森光局長、簡潔に。
○森光政府参考人 お答え申し上げます。
かかりつけ医機能の制度というものにつきましては、まさに御自身が、それぞれの医療機関がどのような機能を持っているのかということを明らかに国民に情報提供するということによって、国民が自らそれを選ぶということを規定したものでございます。
コロナ禍において、二度と起こらないかということについてはなかなか、個々のドクターのことですから難しいとは思いますけれども、ただ、どのようなことをその医療機関が提供できるのかということは、選ぶ方の国民に明確になるということがまさに一つの進歩だというふうに思っておるところでございます。
○中島委員 それは絶対ないなんてことはないんですが、ただ、コロナの教訓は本当に大きいですよ。
私はその前から、かかりつけ医を制度化する、具体的に言います、資料の五枚目ですけれども、これは四年前に提出した我々の議員立法、今廃案になっておりますが、タイミングを見計らってまた政府に突きつけようと思っております。
端的に言うと、まず一番目、かかりつけ医とは一体何をしてくれて、何者なのか、明確にまず定義すること。そして、あくまでも患者さんが主体。そして医療側も手挙げ方式。患者さんが選んで、その手を挙げているかかりつけ医に登録することができる、すなわち、フリーアクセスは担保したまま事前登録する仕組み。三つ目が、かかりつけ医の質を担保するための認定制。そして、このプライマリーケア、事前登録された患者さんを総合性、責任性、継続性を持って診る部分については包括報酬。プライマリーケア機能を持って、総合性、責任性、継続性を持つかかりつけ医を家庭医と位置づけて制度化する。
こういう内容が、コロナの教訓を生かして、我が国、少子高齢化、人口減少、こういう制度を、今お答えいただきましたが、もし今回のかかりつけ医機能が発揮される制度整備がそこを目指しての第一歩であれば、私は評価は一定程度します。
最終的な目標、やはりこれは、私が今説明したような資料の五枚目、ここを目指しているものなのかどうか、大臣、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 済みません、先生の御意見についてはしっかり受け止めさせていただいた上で、私どもとしては、二〇四〇年頃に向けまして、生産年齢人口を中心に人口は減少し、八十五歳以上を中心に高齢者の増加が見込まれます中で、必要なときに迅速に必要な医療を受けられるフリーアクセスの考え方の下で、地域の医療機関が、地域の実情やその機能、専門性に応じて連携しながら、かかりつけ医機能を発揮するように促すことが重要であるというふうに考えております。
その上で、先ほども申し上げましたように、まず、令和五年に創設しましたかかりつけ医機能、これが発揮される仕組み、これを円滑に実行していきたいというふうに考えております。
○中島委員 残念ですけれども、それじゃ全然発揮されないですよ。
このままグレーにして、だって、そもそも、かかりつけ医機能が発揮される制度整備、二年前の議論もそうですが、今まで報告制度がなかったただの外来を報告する、そこに、冠にかかりつけ医とつけちゃったからややこしくなって、国民の皆さんもみんな勘違いしている。この制度整備において、じゃ、かかりつけ医は一体どこにいて何をしてくれるか、全く分からないじゃないですか。
だから、我々、これは悩ましい事情があるのは分かります、日本医師会は大反対していますから。なかなか、たくさんのお金をもらっている自民党さんにはこれは乗り越えられないかもしれないけれども。
例えば、資料の六枚目、コロナかかりつけ医。これは議員立法として提出いたしましたが、残念ながら否決をされました。コロナ禍において、重症化リスクの高い方は、何かのときに確実に医療にアクセスできるためのコロナかかりつけ医制度。
そして、もう一つ御提案したいんですが、資料の八枚目になります。これは、生活保護者の方々にかかりつけ医の登録制を推進してはどうか。
これは厚生労働省の被保護者健康管理支援事業の手引きでも報告されておるとおり、生活保護、困窮者の皆さんは健康面を含む様々な課題を抱えている。そういった一方で、生活保護費のうち医療扶助の割合、また、重複投与、頻回受診、こういった問題を抱えている生活保護受給者の皆様に、そういうニーズがあるのならば、今だって生活保護受給者の方は受診できる病院が限られている、その中で、ちゃんと、例えば高血圧、整形疾患、眼科、そういう重複疾病を持たれている方の総合的、継続性、責任性を持つかかりつけ医を持つことが、生活保護、また困窮者の皆さんの優位性につながると大臣はお考えになりませんか。
○福岡国務大臣 この点についても、委員、かねてから問題意識をお持ちであるということは承知をしております。
様々な困難や健康上の不安を抱えます生活保護受給者であったり生活困窮者の方々にとって、患者さんの身近な地域において日常的な診療や疾病予防などに対応するかかりつけ医機能は大変重要だというふうに考えています。
ただ、その上で、生活困窮者も含めまして、フリーアクセスの考え方の下、受診が必要なときに必要な医療機関を自ら選択し受診する方法が定着していること、また、生活保護受給者につきましても、受診が必要になり、福祉事務所において受診する医療機関を決定する際には患者本人の御希望を参考としていることなどを考えますと、生活困窮者の方々などを対象とした御指摘のような仕組みはなじまないのではないかというふうに考えています。
ただ、他方で、本年度から始まりますかかりつけ医機能報告制度によりまして、かかりつけ医機能の状況に関する情報提供が強化されることで、生活困窮者など困難な状況に置かれた方々も含めまして、国民の医療機関の適切な選択に資することになるというふうに考えておりますので、この制度の円滑な実施に取り組んでまいりたいと思います。
○中島委員 終わりますが、繰り返し言いますが、今回のかかりつけ医の制度整備だけでは、機能なんか全然強化されませんからね。制度化しなければ意味がないです。そして、地域医療構想や医師偏在、医療DX、この推進、対策のため、肝となるのはかかりつけ医ですから、来週、医療法の改正の審議があると思いますので、続いて、来週質疑をさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、酒井なつみ君。
○酒井委員 立憲民主党の酒井なつみでございます。
貴重な一般質問の機会をいただきました。二十五分という短い時間ですけれども、大綱三点、質問させていただきます。
まず初めに、困難な問題を抱える女性への支援について伺います。
困難な問題を抱える女性を支援する法律が六十六年ぶりに刷新され、二〇二四年四月一日、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が施行され、一年二か月が経過をいたしました。全国の女性相談支援センターなどで、女性相談支援員がDV、性暴力、生活困窮などの問題に対応しています。非常勤で働く人が八割、給与、報酬は月二十万円未満が六割、これが女性相談支援員の待遇です。
そこで、相談支援体制の強化や待遇について質問をいたします。
資料一のとおり、全国の女性相談支援員がDVや性被害、生活困窮などの相談に対応した件数は一年間で四十五万件弱に上り、相談件数は増加しています。八割が非常勤という状況は、旧売春防止法では婦人相談員は非常勤とすると規定されていたため、その影響だと認識しています。一人しか配置されておらず、同行支援などで身の危険を感じることもあるとの声が寄せられています。
女性相談支援員は増員及び常勤化していく方針を示すべきだと考えますが、今後の取組をお示しください。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
女性相談支援員は、困難な問題を抱える女性の方にとりましては、最初の窓口として相談に応じていただいておりますほか、その方の状況に応じた必要な支援のコーディネートを行うなど、女性支援において大変重要な役割を担っていただいております。
御案内のとおり、女性相談支援員の方は地方公務員でありますことから、その任用や労働条件については、それぞれの自治体において判断されるべきものでございますけれども、厚生労働省におきましても、女性相談支援員が非常勤として配置される場合でありましても、その役割に見合った処遇が確保されるよう、経験年数や職務に応じた手当などの補助を行っておりますほか、令和七年度からは、有識者や職員OBなどが知識や経験を生かして、女性相談支援員の方が抱える難しい事例に対する助言を行うなど、支援の質の向上や業務負担を軽減するためのスーパービジョン整備事業を行っているところでございます。
御指摘のございました女性相談支援員の増員や常勤化に向けましては、各自治体におきまして、女性支援の重要性や、それから女性相談支援員の役割について御理解をいただいた上で、必要な体制について検討いただくことが重要だというふうに考えてございますので、厚生労働省としましても、全国会議や女性支援特設サイトなどの場を活用いたしまして、こうした点の理解増進に努めてまいりたいと考えてございます。
○酒井委員 政府の方針として定めることで、より進めることができるというふうに考えますので、要望させていただきたいと思います。
次に、施設の利用率についてです。
資料二に、配付をしておりますが、女性相談支援センターの一時保護所の委託を含めた利用率は、令和五年度一三・四%と低い状況です。また、困難な問題を抱える女性の保護を行う女性自立支援施設の定員充足率も一九・三%と低く、そして、設置のない県が八県あることも課題だと考えています。
女性自立支援施設のない八県の解消が必要ではないでしょうか。また、施設入所をためらう理由に指摘される、携帯電話使用の柔軟化、同伴家族の生活への配慮、個室化、プライバシーの配慮、入所までの情報提供や同行支援の充実などに配慮した避難しやすい環境づくりと、そして安心して頼れる支援体制の整備が急務だと考えますが、大臣、見解を伺います。
○福岡国務大臣 女性相談支援センターの一時保護所や女性自立支援施設につきましては、緊急時の安全確保のみならず、中長期的な健康回復と自立支援等を行うための大変重要な施設であると認識しておりますが、先ほど来お話がありましたように、DV加害者等からの追跡のおそれのある入所者を守るため、入所者全体に対して携帯電話の使用であったり通勤通学を制限している施設が多いことなどが、利用率の低さであったり施設の設置状況に影響しているものと考えております。
このため、今年度、一時保護所であったり施設における支援の状況等について、今調査を行うこととしておりまして、その結果も踏まえまして、個々の女性の状況に応じて必要な支援を提供できる体制の充実に向けて検討を進めたいと考えています。
○酒井委員 よろしくお願いいたします。
施設における障害や疾病への対応力強化についても伺います。
女性自立支援施設の入所者のうち半数近くが、精神、知的、身体に何らかの障害や疾病を抱えていることから、精神面の支援など、心理的、医療的側面からの支援を行う体制を早急に整備して、受入れを強化するべきと考えますが、今後の取組を大臣に伺います。
○福岡国務大臣 女性自立支援施設は、様々な困難を抱える女性に対しまして、入所などによって心身の健康の回復を図り、自立に向けた生活支援を行うことを目的とした施設でございまして、今お話がありましたように、個々の入所者の状況に応じた医学的、心理学的な支援を受けられる体制を整備するということは、大変重要な御指摘だというふうに認識をしております。
このため、女性自立支援施設におきまして、心理療法担当職員を配置する場合の費用であったり精神科医の嘱託に係る費用につきましては、措置費の対象といたしまして、専門的なサポート体制の構築を図ることとしています。
こうした取組を通じまして、様々な困難を抱える女性の方々が、心身の状況等に応じた適切な支援を受け、安心して自立した生活を送ることができるよう、引き続き取組を進めたいと考えています。
○酒井委員 人材確保なども苦労があるかと思いますけれども、都道府県によってはこの施設がないというところもございますから、しっかりと拡充していただくようにお願いを申し上げます。
続いて、公務員以外の職員の待遇についてです。
女性支援新法では民間団体との協働が大きなポイントと言えますが、支援を民間団体と協働する場合などは、いわゆる公務員以外の職員の待遇については、安定的、長期的な財政支援を強化するべきと考えています。
複数の団体から、待遇が低く職員不足、男性も働いてほしいが、待遇が低くて、これでは来ない、志を持って業界に入っても、定期昇給がなく、キャリアプランを描けないのがリアル、これでは続けられない、待遇面も含め魅力が足りない、夜勤も必要で、何とかシフトを回しているが、一人欠けるだけで大きなしわ寄せが及ぶなどと現場から悲痛な声が寄せられております。
働く方々が、やりがいだけではなく、中長期的なキャリアプランを描くことのできる報酬体制の構築や処遇改善を進めるべきだと考えますが、大臣に見解を伺います。
○福岡国務大臣 困難な問題を抱えられる女性の方々への支援に当たりましては、官民が連携しながら様々な活動を行っている民間団体を支援するという御指摘については、非常に重要だと考えています。
このため、公的機関と密接に連携しまして、アウトリーチからの相談対応であったり、居場所の確保、地域での自立、定着まで切れ目のない支援を行う民間団体を支援する事業について国庫補助を行っております。今年度からは、自立に向けた地域生活への移行、定着に向けた支援についても補助の対象に追加いたしまして、民間団体を通じた多様な活動の後押しを一層進めることとしております。
こうした財政支援に加えまして、民間団体の方々からは、支援を行う人材の育成であったり定着、こういったことも課題であるというふうに承っておりますため、今年度からは、国が行います女性支援関係者を対象としました研修におきましても、公的機関や自治体に加えまして、民間団体の職員さんの方々も対象とすることによりまして、人材育成への支援を行うこととしております。
今後も、困難な問題を抱えられる女性の方々に対して、官民が連携して安定的な支援を行えるように、様々な角度から民間団体への支援にも取り組んでいきたいと考えています。
○酒井委員 民間の方も研修の対象になったということは、よいことだと思います。一方で、人手が不足していて研修に割く時間がないというのも現場の声ではないかと思います。しっかりと手厚い待遇にしていただきたいと思っています。
次に、支援の質の向上について、今大臣からも答弁がありましたけれども、現状は、支援の内容や受入れ人数に応じた評価や報酬が支払われておらず、重いケースに取り組むインセンティブがないとの指摘もあります。
多くの方が本当にやりがいを持って働いてくださっているんですけれども、この状況を考えると、診療報酬のような点数あるいは公定価格により評価する仕組みに制度を転換するべきと考えますが、大臣に見解を伺います。
○福岡国務大臣 受入れ人数に応じた評価、報酬に関しましては、現在、例えば、一時保護だったり民間団体等に一時保護委託する場合の措置費など、一部については人数に応じて国庫負担の対象となっておりますが、委員が御指摘いただいていますように、対象者の処遇困難度等に応じて措置費であったり補助金の交付額が変動する仕組みになっていないということは御指摘のとおりです。
一方で、困難な問題を抱える女性につきましては様々なケースがございまして、処遇が難しい女性に対しましても切れ目なく支援が行われること、この御指摘は重要だと考えています。
このため、女性支援事業におけます処遇困難ケースの内容であったり割合などの実態を把握しますために、令和七年度に調査を行うこととしておりまして、その結果も踏まえ、個々の女性の状況に応じて必要な支援を提供できる体制の充実に向けた検討を進めたいと考えています。
○酒井委員 今取り上げたような課題につきましても、令和七年度の調査事業で明らかになるように御配慮いただけたらと思います。女性支援新法の理念にのっとった、支援事業の実効性を高められるような、より一層の取組をお願いいたします。
続いて、子供の近視対策について伺います。
近視対策推進議員連盟、私も、最近入会をして所属をしているんですが、この議員連盟では、近視対策を求める提言書を昨年、厚生労働大臣と文部科学大臣に申入れを行いました。
近年、子供の近視は急増しておりまして、資料三を御覧ください。特に、未就学児から小学生低学年にかけての近視の発症が顕著になっています。文部科学省の二〇二四年度学校保健統計調査によると、裸眼視力が一・〇未満の子供の割合が過去最高になっています。小学生で三六・八四%、中学生では六〇・六一%、高校生では七一・〇六%となっています。驚くべき数字であります。十年間で近視の有病率は大幅に上昇しており、都心部では、中学生の九割以上が近視という事例も報告されています。
資料四を御覧ください。近視は、網膜剥離、緑内障、白内障、近視性黄斑症など、いろいろな目の病気を引き起こす原因になります。特に、近視の早期発症は、将来的な強度近視や視覚障害のリスクを高め、健康のみならず、教育、医療、経済への影響も懸念されています。視力障害の経済損失は世界で年間約四千億ドル、日本円にして約六十兆円に及ぶと言われ、WHOの眼科部門担当者は、近視は二十一世紀における公衆衛生上の重大な問題だと警鐘を鳴らしています。
子供の近視急増の現状と早期発症による失明や視覚障害のリスク及び医療、経済への影響をどう考えているか、また、日本では予防、介入、政策設計、全ての面で後手に回っていると言わざるを得ない状況についてどう考えているのか、厚生労働大臣とこども家庭庁の政府参考人、両者に伺います。
○福岡国務大臣 委員が資料でお示しいただきました昨年度の文部科学省の学校保健統計調査によりますと、裸眼視力一・〇未満の子供は約四十年前から増加傾向にあると承知をしております。また、日本近視学会からは、近視は進行すると緑内障等の将来の目の疾患を引き起こし、失明にもつながることから、WHOからは、生産性への影響があることが指摘をされております。
一方、近視の原因となります眼軸長の伸びは、一度伸びると縮めることはできないことから、小児期に近視の発症と進行を予防すること、これは非常に重要だというふうに考えています。
近視の対策につきましては、文部科学省やこども家庭庁とも連携しながら取り組んでおります。
その中で、厚生労働省は、生活習慣の改善を通じた近視の予防の観点から、文部科学省の実態調査を踏まえ、専門家の監修の下で「保護者の方に知っていただきたいこどもの近視予防対策」という記事を作成し、ホームページで公開するなど、科学的エビデンスに基づいた情報提供を行っているところでございます。
引き続き、関係省庁と連携しながら取組を進めてまいります。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど先生からも御紹介のあったとおり、近視の子供の状況につきましては、文部科学省の調査によりますと、裸眼視力一・〇未満の子供が約四十年前から増加傾向にあるということ、あるいは、近視は進行すると緑内障等の将来の目の疾患を引き起こすことにより失明との関連があることが指摘されていることなど、承知をしております。
近年の近視の子供の増加は、スマートフォン等のデジタル機器の長時間の使用などの環境による影響が大きいと承知をしておりまして、早期からの予防的取組が重要というふうに認識をしております。
このため、こども家庭庁におきましては、乳幼児健診における近視の早期発見、あるいは、母子健康手帳や初めの百か月の育ちに関するパンフレットを活用した周知啓発、こういったことに取り組んでいるところでございます。
引き続き、関係省庁とも連携しながら、適切な近視予防対策の取組を推進してまいります。
○酒井委員 三歳児健診でのスクリーニングも大変重要です。屈折検査が令和四年から導入され始めていますけれども、これでも弱視や斜視、近視もスクリーニングが可能ですから、その導入や精度管理も一層の取組をお願いしたいと思います。
続いて、予防、介入の取組について伺います。
台湾は近視対策の先進国でして、一九九九年に学童視力保健計画を策定し、二〇一〇年から、小学校で毎日、百二十分間を屋外活動に当てると定めています。二年間の外遊びが近視の発症を防いだり進行を遅らせるという効果が証明されています。シンガポールや中国でも同様に、外遊び、屋外活動を推進をして、近視の有病率低下を達成をしています。京都大学の研究グループは、屋外活動の時間を増やすことで、近視の発症率を三年間で九%抑制できるとの研究結果をまとめています。
台湾やシンガポール、中国なども参考に、日本でも踏み込んだ対策を立案、実施し、近視の有病率を下げるべきだと考えますが、文部科学省に見解を伺います。
○日向政府参考人 お答えいたします。
我が国においては、従来より、学校保健安全法に基づき、児童生徒等を対象とした健康診断において、幼稚園から高校の全ての学年において視力の検査を実施した上で、視力が一定の判定に満たない場合には、事後措置として専門医療機関の受診等を勧めているところです。
また、あわせて、文部科学省としては、三十センチ以上離して見る、三十分に一回は休憩するなど、タブレットの使用や読書の際の留意事項をまとめた、子供の目の健康を守るための啓発資料の作成、また、その周知などに取り組んでいるところです。
○酒井委員 周知、周知と先ほどから対策について答弁があるんですけれども、実際に減っているでしょうか。有病率を減らすという対策をやはり進めていかなくてはならないというふうに思います。
続いて、進行抑制治療について取り上げます。
日本近視学会によれば、有効性、安全性が示されている代表的な治療には、低濃度アトロピン点眼液や多焦点ソフトコンタクトレンズ、オルソケラトロジー、近視管理用眼鏡、レッドライト治療法などありますが、いずれも日本では保険適用の対象外となっています。
治療により近視の進行抑制は可能であるにもかかわらず、日本では近視が疾病と考えられていないことが大きな課題です。適切に検討し、近視抑制治療として有効性、安全性が認められたものは保険適用にするべきと考えますが、大臣に見解を伺います。
○福岡国務大臣 個別の医薬品であったり治療法を保険適用するに当たりましては、治療と疾病の関係が明らかであるか、また、治療の有効性、安全性等が確立しているかなどについて総合的に勘案した上で、中医協において判断することとなります。
近視の進行を抑制いたします治療を保険適用することにつきましては、公的医療保険は、疾病や負傷などについて被保険者相互の支え合いによって備えることを基本としている中、一般的な近視への対応は、眼鏡などを自費で購入することで通常の社会生活を送ることができることであったり、効能、効果が、近視の治癒ではなく、近視の進行抑制にとどまることなども踏まえて検討する必要があると考えております。
その上で、近視の進行抑制治療につきましては、企業から保険適用の希望書が提出をされておりませんが、保険適用希望書が提出された場合には、必要に応じて中医協で検討してまいりたいと思います。
○酒井委員 保険適用にできない理由が疾病と考えられていないというところですから、様々な研究が進んでいる中で、進行が抑制できるという治療法があるということは、保護者にとっては、子供たちの未来にとってもですけれども、大切なことです。目に対する健康、より一層進めていただきたいというふうに思います。
私からの提言ですけれども、昨年から始まった五歳児健診や、学校でのスクリーニング機会の提供、屋外活動を増やす取組の努力義務化、子育て世代、とりわけ産後早期の啓発強化を行うべきと考えますが、政府の見解を伺います。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
スマートフォン等のデジタル機器の長時間の使用によって近視の子供が増えている、先ほども申し上げましたけれども、早期からの予防的取組が重要と認識をしております。
このため、こども家庭庁におきましては、三歳児健診で近視を含めた視覚のスクリーニング検査を行い、早期発見に努めるとともに、三歳児健診や今先生御指摘のあった五歳児健診の問診票に、子供のスマートフォン等の長時間視聴に関する項目を設けまして、診察の際にメディア視聴の状況を確認することとしております。
また、健診の場に限らず、保護者への周知啓発を強化する観点から、令和五年度に母子健康手帳の様式を改正し、保護者が各年齢での成長を記録する欄に問診票と同様の項目を設け、保護者の気づきを促しているところでございます。
加えまして、初めの百か月の育ちに関するパンフレットを作成しまして、この中で、外の光に当たる時間が長いほど子供の近視抑制につながるということの周知なども行っております。
引き続き、関係省庁とも連携しながら、適切な近視予防対策の取組を推進してまいります。
○酒井委員 小児科で、ワクチン接種のときに小児科にかかったり、あと健診の機会など、大きなポスターなどを掲示いただくように御協力をお願いするということも一つの案だというふうに思います。今の現状では歯止めが利かないんじゃないかととても懸念していますので、よろしくお願いいたします。
最後に、有料老人ホーム、いわゆるホスピスホームの不正請求について伺います。
資料五を御覧ください。パーキンソン病専門の有料老人ホームや、末期がん、難病患者向けのホスピス住宅における訪問看護に関する診療報酬の不正請求問題についてです。
終末期のがんや一部の難病患者には医療保険による訪問看護が上限なく提供できることから、もうかるビジネスとして着目され、報酬を最大化する手法が業界に浸透していると指摘されています。末期がん、難病患者向けのホスピス型住宅を運営するサンウェルズ社の不正請求額は総額二十八億四千七百万円、これは特別調査委員会の調査結果で明らかになっています。こういった不正は氷山の一角にすぎないと指摘されています。
そもそもホスピスホームは、緩和ケアの担い手がいないという社会的課題の解決のために生まれたものであり、その意義は大きく、患者や家族にとっては重要なものであると認識しています。
ビジネスモデルを可能にしている要因としては、患者や家族が医療費の負担を感じにくいという点があります。通常は一から三割の自己負担を求められますが、月の医療費が高額になった場合には高額療養費制度があることや、難病の場合は医療費助成を、生活保護受給者であれば自己負担がゼロと、医療費の負担を感じにくい特徴があります。架空請求があったとしても患者や家族がそれに気づくことも難しく、やはり経営者や職員の高い倫理観や透明性の確保が求められていると感じます。
不正請求に対して厳正に対処し、早急に対応するべきです。不正と認定した場合には、医療保険に返還を求めるべきではありませんか。これまでに行った政府の対応を大臣に伺います。
○福岡国務大臣 今日も資料としてお示ししていただいているような報道があったことについては承知をしておりますが、個別の案件についてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
その上で、一般論として申し上げますと、訪問看護ステーションで医療保険の訪問看護療養費の不正請求の疑いがある場合には、健康保険法に基づき、地方厚生局において必要な指導監査を行い、不正請求が確認された場合には厳正に対処することとなります。
○酒井委員 時間が来てしまいましたけれども、このホスピスホームは、病院のような施設で看護師も常駐しているにもかかわらず、訪問看護という形で請求されているという、こういったビジネスモデルは認めるべきではないというふうに思います。しっかりと取り組んでいただくようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、山田勝彦君。
○山田(勝)委員 立憲民主党の山田勝彦です。どうぞよろしくお願いいたします。
今年の夏、被爆八十年を迎えます。にもかかわらず、被爆者問題はいまだに解決していません。長崎の被爆体験者についてです。
原爆投下時、爆心地から半径十二キロ以内におり、被爆者と同じように原爆に遭っていながらも、国が指定する被爆地域の外だったため被爆者と認められず、被爆体験者という名で区別されている方々がいます。
昨年八月九日、長崎の被爆体験者と総理大臣との面会が初めて実現しました。私も同席していましたが、岸田前総理は被爆体験者に、課題を合理的に解決できるよう指示したと発言されました。さらに、参加者から、被爆体験者は被爆者じゃないんですかとの悲痛な訴えに対し、岸田総理はその方に歩み寄り、現実的な解決方法をしっかり考えます、一生懸命やりますと答えられていました。
その後、九月九日、長崎地方裁判所は、一部の地域で黒い雨が降ったと判断し、原告四十四人のうち十五人を被爆者と認める判決を言い渡しました。長崎県と長崎市は被爆体験者とともに国に控訴しないよう強く求めましたが、国は控訴を決めました。一部とはいえ、被爆者と認めた司法判決に対し、国が不服とした理由は何なのか、全く理解できません。被爆地長崎で深い悲しみと怒りの感情がますます強まっています。被爆体験者が求める合理的解決とは、被爆者として認めることしかありません。
大臣、被爆体験者との約束が違うのではないでしょうか。あのとき政府が約束した合理的解決とは何なのか。なぜ、いまだに被爆者と認めないのか。お答えください。
○福岡国務大臣 御指摘の被爆体験者の方々につきましては、過去に最高裁まで争われ、原爆投下後間もなく雨が降ったとする客観的な記録はないことなどから、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあったとは言えず、被爆者と認定できない旨の判決がなされているところでございます。
一方で、今御指摘いただきました昨年の長崎地裁の判決は、被爆未指定地域の一部で黒い雨が降った事実を認定しておりますが、その根拠として用いられた証拠資料につきまして、さきに最高裁まで争われて確定しました福岡高裁平成三十年判決では、事実認定の根拠として用いられておらず、今回の判決と異なる判断をしていることなどから、上級審の判断を仰ぐ必要があると考えたものでございます。
こうした中におきまして、令和六年八月九日、当時の岸田総理から厚生労働省に対し、早急に課題を合理的に解決できるよう具体的な対応策を調整するよう指示がなされ、被爆体験者の方々は平均年齢も八十五歳を超え、多くの方々が様々な疾病を抱えて長期療養されていることから、昨年十二月より新たに第二種健康診断特例区域治療支援事業を開始し、一般的な疾病について、被爆者と同等の医療費助成を実施させていただいているところでございます。
なお、この事業においては、令和六年度末までで三千九百五十八名の方々が旧事業から移行されているというふうに承知をしておりまして、こうした対策を着実に実施してまいりたいと考えております。
○山田(勝)委員 今お答えがありましたが、長崎地裁と最高裁の判決が分かれているのは当然なんです。長崎の最高裁の後に広島の黒い雨訴訟があり、この高裁判決で原告が勝利し、国は負けました。その流れを受け、昨年、長崎の地裁は、一部とはいえ、初めて長崎でも黒い雨での被爆を認めています。
二〇二一年の広島高裁判決は、黒い雨に放射性降下物が含まれていた可能性があった、黒い雨に直接打たれた者は無論のこと、たとえ黒い雨に打たれていなくても、空気中に滞留する放射性微粒子を吸引したり、地上に到着した放射性微粒子が混入した飲料水、井戸水を飲んだり、付着した野菜を摂取したりして、放射性微粒子を体内に取り込むことで、内部被曝による健康被害を受ける可能性があるものであったと結論、認定しています。
厚労省は、認定が難しいのではなく、こういった司法判決に忠実に従って、むしろ速やかに被爆体験者を被爆者と認定すべきです。被爆体験者への医療費助成の御説明もありましたが、あくまで被爆体験者の皆さんは、お金が欲しいのではない、自分たちが被爆者であると認めてほしいと訴え続けています。
資料一の毎日新聞の記事を御覧ください。
被爆体験者訴訟の原告団長を務める岩永千代子さん、五分で結構です、どうか石破茂総理と面会できるよう御配慮くださいと、総理との面会を求め、長崎市長と知事に手紙を出したことが報道されています。
今回、初めて福岡大臣にこうやって質問させてもらうに当たって、ホームページを拝見させていただきました。大臣の政治理念、政治は弱者のためにある、私も強く共感いたします。
被爆八十年の節目の年である今年の夏、福岡大臣そして石破総理は、被爆体験者と面会していただけるでしょうか。直接会って話を聞いていただけないでしょうか。どうかお願い申し上げます。
○福岡国務大臣 今御提案いただきました、長崎原爆平和祈念式典後に開催されております御指摘の被爆者の方々との御要望をいただく会につきましては、今年の詳細はまだ現時点で決まっておりませんため、お答えすることは困難であるということを御理解いただきたいと思います。
○山田(勝)委員 なぜ約束できないのか、本当に残念で仕方ありません。
昨年は、ちなみに、岸田総理も武見厚労大臣も直接会って話をしたわけです。被爆体験者を被爆者と認めるまでは、問題は解決しません。国に救済を求める原爆被害者の声を聞かない大臣は、弱者に寄り添っているとは到底言えないのではないでしょうか。
福岡大臣、直接、被爆体験者と話を聞く機会、必要だと思いませんか。
○福岡国務大臣 被爆体験者の方々の御意見、御要望につきましては、これまでも、裁判の場も含めて、事務方において直接お伺いして、私も報告を受けているところでございます。
その上で、今年の詳細は、先ほど申し上げましたように、現時点で決まっていないため、お答えすることは困難だということでございます。
○山田(勝)委員 今、恐らくこの中継を御覧いただいている長崎の被爆体験者の皆さん、相当がっかりしていると思います。そういう姿勢でこの八十年という節目に本当に被爆者問題を解決する意思があるのか、全く見えてこないし、残念で仕方ありません。強く抗議いたします。必ず八月九日、長崎の式典の後に面会いただけるよう、重ねて申し上げます。
その上で、次の質問に入ります。
長崎地裁で黒い雨が降ったと認めたのは、多くの証言が集まった現在の長崎市の東部に位置する地域だけでした。当然この判決に被爆体験者の皆さんは納得していませんし、しかし、驚くべきことに、政府はこの判決を不服とし、控訴したのです。理解に本当に苦しみます。なぜ、多くの当事者の証言が残されているにもかかわらず、長崎でも黒い雨が降ったという事実を認めないのか。まさか、原爆の被害者がうそをついていると思っているのでしょうか。
そもそも、黒い雨にこだわる自体が本来おかしな話です。これまでの国会での議論も明らかにしているように、重要なことは、原爆の放射性微粒子が広範囲に拡散しており、その微粒子を含んだ雨が黒い雨であって、放射性降下物の一部にしかすぎません。つまり、原爆投下後に空から降ってきた灰も雨も、同じ放射性降下物です。
大臣、確認させてください。この認識で間違いないですよね。そして、あの日、長崎で灰が広範囲に降っていたという事実はお認めになられるでしょうか。
○福岡国務大臣 御指摘の福岡高裁の判決におきましては、マンハッタン調査団による測定値を基に、被爆未指定地域の年間積算線量を十八・七ミリシーベルトと推計した上で、健康影響を生ずる可能性があると認めることはできないと判示され、最高裁もこれを維持しているものと承知をしています。
また、長崎市が平成二年に行いました放射性降下物による残留放射能の影響を調査した専門家の調査におきましても、原爆由来と考えられる放射性降下物が検出されておりますが、改めて専門家によりこの調査結果を科学的に検証した結果、爆心地からおおむね半径十二キロメートル以内の被爆未指定地においては、放射性降下物の残留放射能による健康影響が生じるとは言えないとされているところでございます。
なお、御指摘の広島高裁判決につきましては、一審、二審を通じた事実認定を踏まえれば、一定の合理的根拠に基づいて被爆者と認定することとされたものでございます。
○山田(勝)委員 今、線量の話をされているんですけれども、そもそも、雨であっても灰であっても線量に違いがあるはずがありません。大臣、明確に答えていただいていないんですが、ちょっと時間がないので次の質問に移りますが、そもそも広島高裁は線量の差で被爆認定していないんですよ。放射性微粒子を体内に取り込むことで、内部被曝による健康被害を受ける可能性があると結論を出したのです。
この手紙を書き続けている岩永さんは、私たちの闘いはお金や同情を得るためではない、平等と真実を回復することが目的だと言われています。被爆八十年、被爆体験者の問題を解決するには、被爆体験者は被爆者だと認めることしかありません。このことを強く訴え、次の質問に入ります。
未解決の被爆者問題、実はこの被爆体験者だけではなく、被爆二世についてもあります。被爆二世とは、被爆者を両親又は父母どちらかに持ち、親の被爆後に命を預かった人たちのことです。
被爆二世の団体で構成する全国被爆二世団体連絡協議会が一九八八年十二月に結成されました。全国に三十万人から五十万人もの被爆二世が存在すると推定されています。被爆二世は、原爆放射線の遺伝的影響を否定できない原爆の被害者であり、これまで多くの被爆二世が、被爆者と同様に、がんや白血病などの病気で亡くなってきました。そして、現在も健康被害に苦しみ、将来の健康不安におびえながら生きている被爆二世がおられます。
全国被爆二世団体連絡協議会では、結成以来、厚生労働省に被爆二世の救済を求めてきました。大臣、被爆八十年を迎えるに当たり、被爆二世の問題を解決するため、被爆二世を被爆者援護法の適用とすべきではないでしょうか。
○福岡国務大臣 御指摘がございました被爆二世の方々につきましては、これまで放射線影響研究所におきまして様々な調査が行われてきているところでございますが、親の放射線被爆が被爆二世御本人の健康に影響があることを示す調査結果については、今のところ得られていないところでございます。
このため、被爆者として被爆者援護法の対象とすることは難しいというふうに考えておりまして、高裁の判決におきましても、被爆者援護法の対象とする立法措置を講じないことは著しく合理性を欠くとは言えないなどと判断され、その後、最高裁で確定したものというふうに承知をしております。
引き続きまして、放射線影響研究所が行っている調査を注視してまいりたいと考えています。
○山田(勝)委員 時間が参りました。
動物実験では遺伝的影響を認められています。被爆二世に対しても救済の道を開くべきで、この被爆者問題の解決なくして戦後は終わらないと強く訴え、質問を終わります。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、池下卓君。
○池下委員 日本維新の会の池下卓です。
一般質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
本日は、動物愛護、また狂犬病予防法の現行制度の抱える問題点という観点から、御質問の方をさせていただきたいという具合に思います。
狂犬病予防法についてなんですが、これは昭和二十五年に制定されまして、当初から、犬に対する狂犬病の予防接種は年一回という具合に決められております。ただ、制定当時は、狂犬病の発症が非常に多いということから、これは運用上になりますけれども、春と秋の年二回をされておりました。
ところが、昭和三十一年を最後に、国内での狂犬病というものは確認されておりません。そして、その後、年一回になるというのが昭和六十年という具合になりますけれども、年一回の予防接種というのが今日まで続いている。その予防接種の期間、接種期間というのが四月から六月の間で決められているということが今の現状でございます。
しかしながら、今現在の犬の飼育状況といいますのは、非常に衛生管理であったりとか飼育環境というのがかつてに比べまして向上してきているという状況の中で、我が国、日本は国際的にも狂犬病がない清浄国であるという具合に認定されております。
こうした中で、動物福祉であったり科学的リスクの評価の観点からも、今の制度の在り方に対しましては見直しが必要である。この点に関しましては、世界動物保健機関であったりとかにも提言がなされておりまして、また国内の学術研究におきましても、現在の制度は過剰であるということが、動物、犬の、ペットの体であったりとか、飼い主自体に負担を抱えてきているというところも報告されてきています。
これは犬の出生月によって予防接種の時期に不合理な差が生じているということにもなっているんですが、獣医師さんの医学的判断に基づく接種の延期、あと免除、こういったところにつきましても、現在の狂犬病予防法については明文化されておりません。
こうした制度の不備というものを中心に、ちょっとこれから質問をさせていただきたいということを御承知いただければと思います。
それでは質問に入らせていただきたいと思うんですが、令和四年に、内閣府の地方分権改革推進委員会におきまして、複数の地方自治体の方から、狂犬病予防接種に関する柔軟な運用を求める提案が出されているということは承知をしています。特に、先ほど申し上げました毎年四月から六月の間に接種すると定められた施行規則については、接種率の向上であったりワクチンの生産体制の確保、これは一定理解はするところなんですが、ただ一方、実務上は、犬の体調であったりとか、ほかのワクチンの接種の兼ね合い、こういったところから現場の実情にそぐっていないのではないか、こういう声が多いわけなんですね。
私も昨年の予算委員会の分科会で、この点につきまして、是非大臣、調査してくださいという御質問をさせていただいて、調査を行うという御答弁をいただいております。
そこで、全国における、狂犬病予防接種の法令、通知等で示されている接種時期に準じた接種がどの程度で行われているのか、また、現在の調査の進捗状況、具体的にいつ頃までに対策を講じるのか、スケジュール感も含めまして見解をお伺いしたいと思います。
○鷲見政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、狂犬病予防法におきましては、国内での狂犬病の発生の予防や蔓延を防止するために、犬の所有者に対して、毎年四月一日から六月三十日までの期間に、所有する犬に狂犬病予防注射を受けさせることを義務づけております。
狂犬病の予防接種につきましては、先ほども先生御指摘の令和五年の地方分権改革に関する提案におきまして、狂犬病予防注射の時期におきまして、四月一日から六月三十日までの間に一回受けさせなければならないとする現行の規定について、通年接種できるよう見直しを行うことなどの御指摘をいただいているところでございます。これに基づきまして、市町村等の御意見を踏まえて検討し、令和七年度中に結論を得ることとしているところでございます。
現在、これを踏まえまして、令和六年度に、狂犬病予防法の事務を担う全国の市区町村を対象に、注射時期の見直し等に関する調査を実施したところでございます。現在集計中でございまして、今後、取りまとめの上、獣医師等の現場の方からの御意見もいただきながら、今年度中に狂犬病予防注射の接種時期の方針について結論を得られるよう、検討を進めてまいります。
○池下委員 今年度中に集計して結果を出していただけるというお答え、これは非常にありがたいという具合に思うんですけれども、ただ、今現在の、まずは接種時期の問題が一番大きいかなと私は思っております。
加えて、今この四月から六月以外の時期に予防接種するとどうなるかというと、これは二十万円の罰金が生じるわけなんですよね。これは、飼い主さんはもとよりなんですけれども、獣医師さんの方にも科せられる可能性がある。ただ、この二十万円の罰金につきまして、昨日厚労の皆さんとお話しさせていただいたんですけれども、実際にこれは取られているんですかというと、把握されていないということだったんです。これは自治体からの報告義務がないということなんですが、まさにこの点からしても、この狂犬病の予防法なんですけれども、ちょっと形骸化しているんじゃないかなという懸念を私は持っております。
まさに接種時期の硬直性というところが一番問題だと思っておりますけれども、例えば、四月から六月と今これは決められておりますけれども、犬の出生月次第で年二回これをされる場合があるわけなんですね。
現在の狂犬病予防法では、犬が生後九十日を経過した日から三十日以内に予防接種を受けさせることというのを義務づけられているんです。例えば、十月下旬に子犬が生まれましたよということだとすると、九十日を経過するのが大体一月下旬から二月の上旬ですよという具合になります。法定の接種期限は大体三月一日ぐらいまでに到来するということなんですが、そこで一回目を受けまして、二回目がまた四月から六月にやってくるわけなんですね。まさに物すごいこれは期間が短いということで、過剰接種である、こういう指摘もあるわけなんです。
逆に、出生月が四月から六月で、一回目の接種が年度後半や年明けとなる場合には、二回目が翌年度の定期接種の時期にまた近くなってしまうということで、法令上の義務違反を覚悟して、ちょっと後ろ倒しにするとか、ずらして、受けさせないとか、こういうこともこの二十万円罰則というところに発生してくるというわけでございます。
そこで、このような制度設計というのは、犬の健康へ過度な負担を生むと同時に、制度に対する飼い主の理解とか納得感、これは得られないんじゃないかと危惧しているわけなんですが、こういう実態を厚労省の方はどのように御認識されているのか、お伺いをしていきたいという具合に思います。
また、今後の調査では、こういう点につきましても調査されているのか、もう一度お伺いをしたいと思います。
○鷲見政府参考人 お答え申し上げます。
現行制度におきまして、狂犬病予防注射の接種間隔につきましては、先生が御指摘のとおり、飼い主が犬を所有した時期などによりまして接種間隔にばらつきが生じるということは承知しているところでございます。
また、厚生労働省、先ほど申し上げましたが、令和六年度に行った市町村の実態調査の結果、まだ現在集計中でございますが、その結果の中でも市町村から同様の課題が指摘されているということから、接種時期の検討を行う際に本件についても併せて検討してまいります。
○池下委員 是非、この件につきましても、集計して、結果を御報告していただいて、柔軟な対応をしていただければと思います。
こういう問題は、本当に、昭和二十五年、長らく、戦後からですけれども、放置されてきたというところが指摘されているというところでありますけれども、私はやはり、要は、定期接種自体をちょっと撤廃して、通年接種を可能にすることが一番手っ取り早いんじゃないかなと思っております。
若しくは、獣医師さんが発行する接種猶予証明書というのを現状使うことができるということもあるんですが、そもそも、狂犬病予防法におきまして、接種猶予証明書というのがこれまた法的に担保されていないという問題があります。
そこで、資料の方を見ていただきたいと思うんですが、一枚目になりますけれども、これが狂犬病予防注射実施猶予証明書というもののコピーになっております。これは獣医師さんが、医学的判断に基づきまして、犬の健康状態を理由に接種を見送るというケースの場合に発行していただくものになるわけなんですね。
二枚目、三枚目になりますけれども、これは狂犬病ワクチンの使用説明書。特に三枚目、赤字のところで御覧いただければいいかなと思うんですけれども、説明書の中では、重篤な疾患であったりとかアナフィラキシーの経歴がある場合には投与を避けるように明確に記載されています。こういった医学的判断に基づく接種回避というのは狂犬病予防法上明文化されておらず、制度上の運用上で混乱をまたしているという点が言われています。
獣医師が予防接種を発行する場合には、獣医師法に基づく適切な診療行為と言えるのか。また、添付書類に従って投与を控えた場合、動物用医薬品の適正使用として法的に適切と言えるのか。まず一点、農水省の方の見解を伺います。
ちょっと時間がないので、もう一つ一緒に聞かせていただきたいと思うんです。資料の次のページですね、四枚目かな、東京の江東区のホームページの資料なんですが、先ほどの猶予証明書の提出によって接種を免除している例というのが、各自治体で実は異なっているわけなんですよね。ここがやはり自治体が混乱している要因だと思うわけなんですが、接種猶予証明書が法的に位置づけがないために、自治体ごとに対応が異なるなど、混乱、先ほど言いました。こういったものをしっかりと法的に明確化して、全国統一のガイドラインを整備するべきじゃないかなという具合に思うんですけれども、これは厚労大臣の方に御見解をお伺いしたいと思います。
○郷政府参考人 お答えいたします。
診療に関して、狂犬病の診断、ワクチン接種の可否について獣医師がどのような判断をするかという御質問でございます。
畜主の方から過去のアナフィラキシーですとかの症状について稟告を受けまして適切に判断をし、指示をすることについては、獣医師の診療行為の中に入るものというふうに考えております。
○福岡国務大臣 狂犬病予防法におきましては、御指摘の接種猶予証明書を含めまして、接種猶予については法律上規定はされてございません。
その上で、予防注射の接種がその犬に悪影響を及ぼす可能性があると市町村が判断した場合には、予防注射の猶予を認めている場合もあるというふうに承知をしております。
まずは、猶予証明書の発行状況など、市町村における猶予の実態を把握し、その上で必要な対応を検討してまいりたいと思います。
○池下委員 今、明確になりましたけれども、獣医師法の場合の方では適正に処理されているということをお答えいただきました。一方で、狂犬病予防法の方では、これは別に書かれていない、明確にされていないということを今大臣明らかにお答えいただきましたので、まさにこういったことのずれを直していただくということが最善じゃないかなという具合に思っております。
もう時間がなくなりましたので、質問はこれで終了させていただきますけれども、今回、御答弁の中で、今年度中に調査の結果を集計して、答えを出していくということがありました。そのほか、るる、今、予防接種だけじゃなくて、海外から、迷い猫であったりとかというのがコンテナに入って、例えば狂犬病を持ってくるという場合も考えられる。質問したかったんですけれども、こういう点につきましても、やはり今の古いやり方ではなくて、今の時代に即したやり方でしっかりと進めていただきますようお願いいたしまして、私の質問を終了させていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、猪口幸子君。
○猪口委員 日本維新の会の猪口幸子でございます。
本日もまた、お財布の要らない出産についてまず質問いたします。
年金制度で最も重要な点は出生率であると考えますが、この予想が常に、出生率について、下回っています。菅総理のとき不妊治療を保険適用とし、翌年、二〇二二年、不妊治療で生まれたお子さんが一万七千人増加しました。画期的なことだと思います。厚生労働省のホームページに掲載されている日本の妊産婦の声は、出産にかかる費用が多いということが最も多いということでした。是非とも、お財布の要らない出産を政府に進めていただきたいと強く願います。
出産費用の無償化の道として三点考えられますが、前回もちょっとお話ししたんですけれども、一つには、保険適用と、窓口負担のない完全無償化、そして二番目には、室料、食事などのサービスの選択、三番目には、産科医療機関への支援と考えますが、福岡厚生労働大臣、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 委員が強く問題意識を感じておられることについては理解をしております。
先月取りまとめられました有識者検討会の議論の整理におきましては、産科医療機関の経営実態等にも十分配慮しながら、令和八年度を目途に、標準的な出産費用の自己負担無償化に向けた具体的な制度設計を進めるべき、また、妊婦自身が希望に応じた出産環境を選択できるよう、出産費用や提供されるサービスについて十分な情報が得られるような仕組みを整備すべきといった方向性が整理されたところでございます。
分娩数が減少する中におきましても、地域の周産期医療体制を確保していくことは極めて重要です。妊産婦さんの負担軽減と周産期体制の維持、これをどのように両立させるか、産科医療機関等の経営実態等も踏まえながら、様々な関係者の方々の御意見を丁寧に伺いながら検討していくことが必要だというふうに考えておりまして、今後、具体的な制度設計を進めてまいりたいと思います。
○猪口委員 速やかに進めていただきたいと思います。
そして、問題点としては、出産の無償化を保険適用とした場合、出産目的で入国する外国人が増加すると思われます。外国人の国保加入要件を在留三か月より十か月に変更すべきと考えますが、いかがでしょうか。これにより、高額療養費目的の入国も減少すると思われますが、いかがでしょうか。あるいは、出産と高額療養費のみ、適用要件として在留期間を延長する等の措置が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 国民健康保険におきましては、国内に住所を有することを被保険者の要件としておりまして、住民基本台帳への登録がなされる在留期間が三か月を超える外国人を原則として被保険者とし、保険料を納めながらひとしく保険給付を受けていただく制度としているところでございます。
これは、社会連帯と相互扶助の理念に基づき、国籍のいかんを問わず、ひとしく保障を及ぼすべきという我が国の医療保険制度の基本的な考え方に沿ったものであります。
御指摘の、外国人の国民健康保険への加入要件を見直すことであったり、外国人に限って出産費用に係る給付や高額療養費制度の利用に要件を設けることについては、慎重な検討が必要ではないかというふうに考えております。
ただ、他方で、例えば、外国人が入国目的を偽って在留資格を取得し日本の医療保険制度に加入するような場合には、被保険者の支え合いで成り立っている医療保険制度の信頼を損なうものであるとも考えております。
このため、平成三十年の一月から、厚生労働省と法務省が連携しまして、在留資格の本来活動を行っていない可能性があると判断される場合には、保険者である市町村から地方出入国在留管理局に通知する仕組みを実施しているところでございまして、引き続き、そういった取組を通じて、適正な利用に向けて取組を進めてまいりたいと思います。
○猪口委員 非常に博愛的な制度ということで、それはそれでいいんですけれども、国民が今苦しんでいる、保険料を捻出するために苦労している現状を考えれば、少なくともこの二点、高額療養費の問題、これは本当に医療費を圧迫しておりますので、そしてまた、出産の費用全額無償化ということを掲げますと、これは非常に大きなインパクトがありますので、集中して来られるということは十分考慮しなくてはいけないんじゃないかと思います。平和を愛する諸国民ばかりではない、ウクライナのことを思えば、そういう国民ばかりではないということをよく考えて、現状を把握していただきたいと思います。
厚生労働省のホームページでは、令和五年度の出産件数は七十二万三千百二十八件、前年の令和四年度の七十五万七千九百六十三件から、一年間で三万四千八百三十五件も出産は減少しております。そのうち、正常分娩は三十八万四千六百十三件、異常分娩は三十三万八千五百十五件と、約半数に近い分娩が異常となっています。しかし、この数字は、単純に異常分娩という医学的な問題だけではないんですが、この異常分娩数は、異常分娩とならないための措置も含むということでありますが、出産は多くの危険をはらんでいます。
これに対し、産科医療体制の構築が非常に重要と考えますが、産科医の数や地方の状況、産科救急体制、このようなものをどのように政府は対策として考えていらっしゃるのか、細かく教えていただきたいと思います。
〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕
○森光政府参考人 お答え申し上げます。
周産期の医療につきましては、先生御指摘のとおり、緊急時の対応を含めて、地域で必要な提供体制を確保するということが必要であると考えております。
都道府県においては、医療計画に基づいて、二十四時間の救急対応が可能な周産期母子医療センターを基幹とした集約化と重点化、分娩取扱施設と妊婦健診や産後ケアを行う施設との役割分担や連携、そういう周産期医療体制の確保を進めているという状況でございます。
厚生労働省においては、ハイリスク分娩や妊産婦の急変時の対応等の体制の確保の考え方、これをお示しするとともに、周産期母子医療センターの運営や、分娩取扱施設が少ない地域などにおける分娩取扱機能の維持に対する財政支援、これを行っているところでございまして、引き続き、都道府県と連携しながら、妊産婦が安全に出産できる体制、これを確保してまいりたいと考えておるところでございます。
○猪口委員 産科医が非常に激務ということで、途中で産科医を放棄してしまう、他科へ異動してしまうというケースも多いので、産科医の確保ということも対策を進めていただきたいと思います。
少子化で出産、分娩数が減っているという状況も、それは大きく影響する。今後非常に望めないという科と考えて、研修医が他科へ異動してしまう、あるいは非常に激務で大変だからということで他科に異動してしまう、そういうことも起きますので、是非、その点、考慮していただきたいと思います。
続きまして、二〇二六年度より、こども誰でも通園制度が実施されますが、現在、保育園の入園に際しましては就業証明書が必要であり、基準を満たさないため入園できないパートタイム労働者がいることを政府は把握していますか。こども誰でも通園制度では、このような場合は優先させることができるのでしょうか。お教え願いたいと思います。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
保育所等に子供を預けるためには、保育の必要性の認定を受ける必要がございます。この認定事由の一つである就労につきましては、就労時間の下限が定められておりまして、各市町村におきまして、四十八時間から六十四時間までの範囲内で、月を単位に市町村が定める時間以上労働することを要件としているものでございます。
これは、短時間の就労を除いて、フルタイム就労のほか、パートタイム就労など様々な就労形態に対応していくことと、地域ごとの就労の実情が多様であり、それを反映した市町村の運営にも幅があることから、市町村が地域の就労実態等を考慮して定める時間とすることなどを踏まえたものでございます。
先生御指摘の短時間の就労につきましては、また別の事業といたしまして、保育所等で実施されている一時預かり事業による対応も可能でありますことも踏まえましたら、このような保育に関する要件は合理的なものであると考えております。
先生御指摘のこども誰でも通園制度の方は、保護者のために預かるという制度ではなく、子供の育ちを応援することを主な目的としている制度でありまして、制度の趣旨は別でございます。
いずれにせよ、引き続き、保育を必要とする子供が保育所等を利用することができる環境の整備を推進してまいります。
○猪口委員 全く目的が別ということですよね、子供誰でも保育園というのは。
子供誰でも保育園は、目的が別で、子供を主体とするということですけれども、預かる基準として何時間までということはありますか。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
こども誰でも通園制度は、今年の四月から実施されておりますが、ちょっとこの一年間は時限的な位置づけになっていまして、令和八年度から給付となって、全国展開になります。今年度行われている時限的な制度では、月十時間ということになっております。そして、来年度から本格実施する際の利用時間につきましては、引き続き、今年度における制度の実施状況等を踏まえまして検討していくことになっております。
○猪口委員 パートタイムで働く方、四十八時間が下限ということを先ほどおっしゃっていましたけれども、四十八時間未満、例えば、週三回三時間で、三、三が九で、九、四、三十六時間ぐらい働きたいという方は、実際、入れない場合が多くて、入れる場合も、すごく高いんです、地方によって違いますけれども。
だから、現実問題、この四十八時間以上という制限、これがなぜ決まっているのか。本当にパートタイムで少しだけ働きたいという、せっかく働きたいという方がいらっしゃる、家計を助けるためとか、それに四十八時間という、それを課すというのは何かおかしいなと前から思っていたんです。
それで、就業証明書、これを書く場合でも、繁忙期と、忙しいときと暇なときというのがあるから、それを総合して平均で書けばいいということですけれども、真面目な事業主はしっかり四十八時間未満というので書いて、却下されます。
ですから、この子供誰でも保育園ができて少しはいいかと思ったんですけれども、十時間未満、目的が違う。そうすると、十時間から四十八時間未満の、預けるということが非常に困難になる。ここを、こういうはざまがある制度というのは非常によくない。できれば、就業証明書、働いているということだけ証明して、そして時間の制約は、一応書いても、それが例えば三十六時間でも二十時間でも保育園に預けられる、そういった制度に是非変えていただきたいと思います、現実はそれで困っているお母さんたちがいますので。
時間がなくなりますので、もう一点。
国の基準では、希望する園に入園できず、他の園に仕方なく入園し空きを待つ場合は、待機児童に含まれないこととするとあります。実際に、育児休業明けの一歳児の入園希望者が集中して多くなっており、兄弟で同一園に入園できない、遠い保育園になってしまう等の利便性が問題になっており、空きを待っている場合が多い状況です。
待機児童は減少したとの厚生労働省のデータはありますが、隠れ待機児童と言われる子供が多数いることを鑑み、こども誰でも通園制度実施に際し、この隠れ待機児童を優先させることを考慮する必要があると考えます。
これは、制度が違うといっても、保母さんがそっちに取られて、隠れ待機児童と言われる人がまた入園できない、そういうようなことが起きないために……
○長坂委員長代理 申合せの時間は経過しておりますので、御協力願います。
○猪口委員 はい、分かりました。
待機児童の定義にこの隠れ待機児童も含めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○長坂委員長代理 要望でいいですか。
○猪口委員 はい。
これで質問を終わらせていただきます。次にさせていただきます。ありがとうございました。
○長坂委員長代理 次に、福田徹君。
○福田(徹)委員 国民民主党、福田徹です。よろしくお願いします。
先日、医療法改正案の本国会での成立見送りという報道を目にしました。医療法は喫緊の課題です。今年のお正月、救急車を呼んでも救急車が来てくれないという報道がたくさんありました。私の知っている救急外来もパンクして、医療従事者にすごい負担がかかっていました。それだけ患者さんがいても、病院経営は大赤字で火の車。もう地域医療が破綻しかけている。そんな大きな問題が目の前で起こっている今ですから、やはり医療法、一刻も早く改善策を出さなきゃいけないと思うんですよね。
私は、成立をさせることは先送っても、この委員会で改正案について十分な議論をするということはとても大事なことだと思っております。来週からしっかりできるように期待しております。よろしくお願いします。
大臣にお尋ねします。
これは、もしかしたら大臣としてではなくて自民党の議員の一人としてのお答えになるのかもしれませんが、医療法改正案を今国会での成立見送りと決定された経緯を教えてください。見送ることで社会にどのような影響があるとお考えでしょうか。そして、次の国会までにどのような議論や調整が行われる予定でしょうか。教えてください。
○福岡国務大臣 まず、報道については承知をしております。そして、法案の取扱いについてはあくまで国会でお決めいただくというふうに承知をしておりますし、その中で、ちょっと与党内の検討過程については、私も今厚生労働省の中で仕事をしているものですから、どういう検討プロセスがあったかとかについては承知をしているものではございません。
厚生労働省といたしましては、引き続き、今回の法案の意義や内容について丁寧に説明を尽くし、国会のお求めに誠実に対応してまいりたいというふうに考えております。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
私も、今の立場でお答えできないことは分かっておりました。正直、その立場での発言でおかしいみたいな、そういう批判をする気も全くありません。ただ、この部屋にいる国会議員、皆で国民のためにやっていかなければいけないことだと思いますので、是非審議入りに向けてリーダーシップを発揮いただけるとうれしいです。
今日は一般質疑ですので、私の元に直接届いた有権者からの声をちょっと質疑にさせていただきたいと思います。
先日、介護施設の経営者から、人材紹介会社に支払う手数料が大きな負担になっているという話を伺いました。正直、私は不勉強で余り詳しくなかったのですが、私も実態を教えてもらったら驚きましたので、是非取り上げたいなと思いました。
公益社団法人全国老人福祉施設協議会の令和五年度人材紹介手数料実態調査報告では、人材紹介会社に支払う紹介手数料が、介護福祉士等、資格を持っている常勤介護職員で、一人当たりの平均が八十九万千三百七十三円、そして一施設当たりの年間平均百九十万七千百二十四円支払っているということでした。介護福祉士資格を持たない普通の常勤の介護職員についても、一人当たり平均六十七万四百八十三円、一施設当たり百三十九万千四百三十二円。厚生労働省の職業紹介事業報告では、介護職員に対して平均四十二万円とあり、やや差はありますが、いずれにしろ、すごく高額であることは間違いありません。
更にびっくりしたのが、同じく全国老人福祉施設協議会の調査で、人材紹介会社を通して採用した介護職員がどれくらいで退職したか調査されており、三か月以内に四一・六%が退職しているんですよね。私はこの数字を見て驚きました。これだけお金をかけて、しかもいわゆる介護報酬、社会保険料ベースのお金です、それだけお金をかけて雇用した職員がこれほど短期間で退職されては、もちろん経営者にも負担が大きいし、何よりも現場の介護職員にそれだけお金が届いていないということなんですよね。
もちろん、厚生労働省としてこの問題に対する取組を行っていることは承知しております。今日はその効果について教えてください。厚生労働省の取組のおかげで、医療・介護分野の人材紹介の紹介料が高い点について、取組を行った結果、紹介料は低くなっていますでしょうか、離職率は改善していますでしょうか、そしてハローワーク経由の就職は増えていますでしょうか。この辺りの効果検証を教えてください。
そして、ごめんなさい、あと一点。これは通告がなくて本当に申し訳ないのですが、今、優良な事業者を認定していると思います。その認定基準に手数料の上限というのを加えるのはいかがでしょうか。教えてください。
○山田政府参考人 お答えいたします。
厚生労働省では、丁寧なマッチングを行う適正有料職業紹介事業者の認定制度というものの創設等、先生もお触れいただきましたが、適正な事業者の見える化を進めてきたところであります。
医療・介護分野の人手不足の状況や就労環境など、様々な要因が関わる中で、厚労省のやってきた取組の効果を一概に評価することは困難でありますけれども、医療・介護分野の手数料率については、賃金額の二〇%から三〇%程度とする紹介事業者が多くて、これは実は、医療・介護分野以外のところではこれが三〇%から四〇%とする事業者が多い状況に比べて、率の上では医療・介護分野が少し低めではありますが、求人者が紹介手数料に対して依然として負担感を感じていることは十分我々としても認識をしております。
それから、先生がお触れいただいた労働者の定着の問題についてですが、民間事業者が紹介した労働者の定着状況については、入職後半年以内の離職率が一〇%未満の紹介事業者が全体の七割程度でありますが、一方で、離職率が三〇%以上の事業者が一割程度存在をしております。
ハローワークの機能強化については我々としても取り組んでおるところであって、今、医療、福祉分野の転職入職者に占めるハローワーク又はハローワークインターネットサービス経由の入職者割合というのは二七・一%でありまして、民間職業紹介事業者全体の数字ですけれども、それ経由は一〇・五%ということで、ハローワークの方が上回っております。
現在、ハローワークの中途採用市場におけるシェアというのは足下では拡大をしておりますので、引き続きハローワークの対応の充実を図っていきたいと思います。
それから、労働者の早期離職の際に紹介手数料の一部が返還されるということについては、紹介事業者を利用して手数料を支払っている事業者の安心や納得に資することを踏まえて、六か月までの離職を対象とする返戻金制度を有することというのを、適正な有料職業紹介事業者の認定制度の認定基準としております。
先生の方で今、この認定制度について、手数料の上限を設定するかどうかということについてお尋ねがありましたけれども、これについては、この委員会でも何度か御質問いただいておりますけれども、民間事業者が一定のシェアを占めている中で、離職率をすごく低くして、丁寧にマッチングすることによって手数料を高くしておるような事業者もある中で、一律に手数料の上限を設定することについては困難を伴うということで、現在は認定制度の認定基準とはしておりません。
ただ、我々も手をこまねいているわけではなく、個々の事業者については、これまで就職実績だとか離職者数ということを我々に報告していただいておりますが、この四月から新たに、手数料の徴収実績を職種ごとの平均手数料率としても公開することを義務化しております。
今後とも、こうした取組状況を踏まえながら、サービスの質や実績のよい事業者が利用されるような環境に取り組んでまいりたいと思っております。
〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
評価が難しいということですが、これは評価しないと全く改善ができないものです。
ごめんなさい、もう一回確認させてください。
紹介料は下がったのか、離職率は下がったのか、そして今、ハローワークは民間経由よりも多いとおっしゃいましたが、それは事実ですか。もう一回教えてください。
○山田政府参考人 離職率については、余り変わっておりません。今、直近の数字について算出しておりますので、今実は手元にあるのが令和三年度の数字まででありますので、我々が取り組んだ前の数字になっておりますので、これは早急にデータを整えて、先生の言われるとおり、ちゃんとそういった効果があったかどうかというのを確認をしなきゃいけないというふうに思っております。
ハローワークのシェアが伸びているというのは事実であります。これは、雇用動向調査という、ハローワークなり民間事業者から取ったデータではなくて、一般の政府の統計として取った数字でありますので、これは先ほど申し上げたとおりのものになっております。
手数料率、手数料の額についても、実はそれほど目立って下がっているとは言えませんけれども、令和四年度から五年度にかけての上昇幅はかなり抑制されております。これも早々に、令和六年度の数字でもって、我々の対応がきちんと効果を成しているかどうかということの確認をしなきゃいけないというふうに思っております。
○福田(徹)委員 これは社会保険料ベースでやっていることですので、この金額はさすがにまずいと私個人も思いました。しっかりこれは下げるように、横ばいではなくて、上昇率、上がるより、下げるような取組を是非やっていただきたい。そのためにはやはりもう少し規制が必要で、例えば手数料の上限を決めるとか、それぐらいまでしないと実効性は厳しいんじゃないのかなと思っております。
次に、介護施設の管理者要件について教えてください。
今、介護施設の管理者の要件として、常勤であることが求められていると思います。この中で、育児・介護休業法の対象となる未就学児を持つ親は、週三十時間以上で常勤とみなされていて、いわゆる管理者になれます。ただ、子供が小学校に入学するとこの特例が外れて、四十時間でないと常勤と認められません。常勤職員として管理者を立派に務めていた方が、ただ子供が小学校に上がったからといって管理者ができなくなるという合理性は全くないと思うんですよね。
小学校低学年というのは、やはり一人で家にいることも難しいですし、学校行事もあって、場合によっては未就学児よりも親の力が必要になることがあると思います。社会全体においても、小一の壁というのは有名です。人材確保の面でも、子育て支援の面でも、小学校低学年の子供を持つ親にも週三十時間以上を常勤とみなすという特例、これを適用することはできませんでしょうか。それで助かる業界というのはいっぱいあるようですが、いかがでしょうか。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
介護事業者の管理者につきましては、先生御指摘のように、利用者等へのサービスの提供場面などで生じる事象を適時適切に把握をすることが求められておりますので、常勤であることを求めております。介護保険の基準上の常勤の定義は、一週当たり三十二時間を常勤として取り扱っているところでございます。
その上で、育児・介護休業法におきまして、小学校就学前の子を養育する労働者に対しまして短時間勤務制度の措置を講ずる努力義務を事業主に課されていることを踏まえまして、介護現場におきましても、職員が育児・介護休業法による短時間勤務制度を利用する場合に、常勤の従業者が勤務すべき時間数を満たすこととして認めるなど、介護の運営基準上も仕事と育児等の両立が可能となる環境整備を進めているところでございます。
なお、育児・介護休業法による短時間勤務制度の対象となる子の年齢につきましては、公労使三者構成の労働政策審議会における議論を踏まえて位置づけているものであると承知をしております。
こうした議論も踏まえながら、介護現場におきましても仕事と育児等の両立が可能となるような環境整備に取り組んでまいります。
○福田(徹)委員 これは、常勤を、少し時間を延ばしても、それで恐らく労働抑制には、だから働かない、働く時間を短くするということはないと思うんですよね。それまで責任を持って務めていた仕事をそのままできるようにしていただくことは、社会全体に価値があることだと思いますので、是非検討いただきたいと思います。
サービスの質とか安全というのは極めて重要で、そのために要件とか配置基準みたいな規制があると思いますが、どの業態でもそれが実態に即していないということが多々あると思うんですよね。要件や配置基準が多大な非効率を生み出しているということが、私の専門としている医療でもいっぱいあります。今後はやはり、真にサービスの質や安全の向上につながっている規制と、そうでない規制というのを、データに基づいてしっかりと見分けて、国民の利益に資する規制としていただきたいと思っております。
質問がちょっと残りましたが、時間がなくなりましたので、こちらで終わらせていただきます。ありがとうございます。
○藤丸委員長 次に、森ようすけ君。
○森(よ)委員 国民民主党の森ようすけでございます。
本日は、障害を抱える子供を育てている方が直面する十八歳の壁についてお伺いいたします。
障害の程度が重たく、常時介護が必要な子供の多くは、特別支援学校卒業後の十八歳以降は生活介護や就労支援に通うことになります。一方で、生活介護事業所や就労支援施設の多くは十五時から十六時に終了してしまうので、その後に過ごす居場所がほとんどないというのが現状でございます。
卒業前までは、特別支援学校の下校後に放課後等デイサービスで過ごして、仕事を終えた親が十八時頃に子供を迎えに行く、こうしたように親子の生活を支える仕組みが構築されているものの、卒業後は原則、放課後等デイサービスが使えなくなりますので、十八歳の壁という大きな問題が生じているところでございます。やはり、多くの保護者が仕事を辞めたり働き方を変えざるを得ない、こうしたような大きな問題がただいま生じているところでございます。
保護者の方々からいただくお声としては、自立が難しい子供を育てているからこそ、働いてお金をためる必要があるというような声でございます。自分が亡くなった後に子供が安心して生活できるように、資産を残すために働かないといけないのに、この十八歳の壁があるからこそ仕事を変える必要が生じて、すごくもどかしい思いをしている、仕事をしてお金を稼ぎたいのに介護の時間があるからとジレンマがすごく生じている、こうした声をいただいているところでございます。
また、保護者の側だけではなくて、障害を持つ方自身の余暇活動も重要だというふうに言われております。
高校生までは、放課後等デイサービスで、学校が終わった後の余暇活動の場が確保されておりますが、成人を迎えた後は、福祉作業所などで仕事をした後に、その後に仲間たちと余暇を過ごす場所がなかなか確保できていないのが実態でございます。障害を有する方が充実した人生を送るためにも、様々な形での余暇活動の場を確保する、これは非常に重要な課題だというふうに認識をしております。
まず、大臣にお伺いいたします。
こうしたように、特別支援学校卒業後に放課後等デイサービスが利用ができなくなるという十八歳の壁について、どのように感じていますでしょうか。お願いいたします。
○福岡国務大臣 いわゆる十八歳の壁につきましては、十八歳で特別支援学校を卒業された後の日常生活におきまして、日々利用する障害福祉サービス上の生活介護等が、先ほども言及されましたように午後三時台などに終了する場合に、余暇活動の機会であったり居場所が確保できず、夕方以降の時間を有意義に過ごすことが難しい、また親御さんにとっては、自分が勤務している間の預け先が見つけ難いといった御意見があることについては承知をしております。
その上で、こうした点に関して、日中の活動をより充実する観点から、令和六年度の障害福祉サービス等報酬改定において、生活介護、これの延長支援加算を拡充し、預かりニーズへの更なる対応を行ったところでございます。また、障害者の創作的活動の機会であったり日中活動の場を提供することを目的といたしまして、日中一時支援であったり地域活動支援センターなどの事業を地域の実情に応じて実施してきております。
これまでも、制度の見直しであったり報酬改定の検討などに際して、直接、支援機関や当事者団体との意見交換等を行っておりますので、引き続き、そういった当事者の方々の御意見も丁寧に伺いながら、施策の推進に取り組んでまいりたいと考えています。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
もちろん、いろいろやられているというのは十分理解をしているところでございます。おっしゃっていただいたとおり、生活介護の加算であったりとか、あと日中一時支援、地域活動支援センター、こうした取組はされているのは理解しているんですけれども、やはり当事者からの声を聞くと、この日中一時支援というのはすごく画一的な取組になっていて、放課後等デイサービスみたいに、月曜日から金曜日、フルフルで使えるかというと、なかなかそうはなっていない仕組みだと思います。
なので、二〇一二年から放課後等デイサービスが事業化されたことで、やはり、障害を有する子供を育てていながら仕事ができる、こうしたことは非常に増えてきている。ただ、十八歳を過ぎると、いろいろ取組をされているのは理解できるんですけれども、やはりまだまだ十分ではないというのが現状なんだというふうに捉えているところでございます。
そもそも論として、政策を考える上で、当事者の意見を聞いているという話も今御答弁いただきましたけれども、やはりまだまだ現状の把握が足りていないんだというふうに捉えているところでございます。そもそも、十八歳の壁に直面している方が日本全体でどれだけいるのかでしたり、保護者の就労の制約にどれだけつながっているのか、そうした実態把握に努めることでしたり、あと、当事者が実際にどのような課題を持っているのか、そしてどのような支えを必要にしているのか、こうしたことについて丁寧に調べることが、まず大前提として必要だというふうに考えております。
そこで、参考人にお伺いするんですけれども、現状、政府において、この十八歳の壁をめぐる現状の把握について、どのような取組をされておりますでしょうか。お願いいたします。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
厚生労働省において、御指摘のいわゆる十八歳の壁と言われる課題に関しまして、その関係する人数であるとか就労制約を受けられている方の人数などといったデータ的な面での実態調査は行っておりませんが、制度の見直しあるいは報酬改定の検討などに際して、支援機関であるとか当事者団体との意見交換、情報収集などを行ってきたところでございます。
例えば、令和六年度の報酬改定に際しましては、関係団体ヒアリングの中で、家族の方の就労支援あるいは十八歳以降の重症者の居場所としての生活介護の拡充といった御意見を伺ったところでございまして、これも踏まえて、先ほど大臣から御答弁申し上げました、報酬改定の中で生活介護の延長支援加算の拡充ということにつながっていったということがあります。
こうした形で、実態というのもいろいろお伺いしながら、制度の改革に取り組んでまいりたいと思っております。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
支援機関であったりとか当事者団体からの意見交換を踏まえて施策については検討しているというような答弁でしたが、実際に困っている方がどれだけいるのか、そして就労調整を強いられている保護者の方がどれだけいるのか、こうした数については、やはりしっかり丁寧に把握をしないと、どれくらいの規模感での政策が必要なのか、こうしたことが間違いなく捉えられないというふうに認識をしているところでございます。
なので、やはり、まず、実態としてどうなっているのか、この調査の必要性を強く感じているんですけれども、大臣にお伺いいたします。この実態調査、是非、政府において進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 障害のある方の余暇活動、居場所の支援につきましては、日中活動の場を確保する日中一時支援事業だったり、先ほども申し上げましたように、創作的活動等の機会を提供する地域活動支援センターなどを地域の実情に応じた形で実施をしております。
このような障害者の方々の余暇活動や居場所も含めまして、福祉分野へのニーズにつきましては、これまでも、制度の見直しや報酬改定の検討などに際して、直接、支援機関や当事者団体との意見交換を行っておりまして、引き続き、当事者などの御意見を丁寧に伺いながら、施策の推進に取り組んでまいりたいと考えています。
○森(よ)委員 何度も日中一時支援と地域活動支援センターの取組を挙げていただいていますけれども、当事者の方の声を聞くと、十分だという声は全く正直聞こえていないところだと思います。もちろん、それは政府でも理解はしていると思うんですけれども。
やはり、放課後等デイサービスにおいては、十八歳までの期間においては、もちろん障害の厳しさによって受け入れられる日数は変わってきますけれども、月曜日から金曜日、しっかり仕事をしながら受け入れられる体制があるのに、なかなか十八歳を過ぎるとなくなって苦労している、これはもう間違いない当事者の声なんだと思います。日中一時支援もやはり画一的で、なかなかニーズに応えられていないというのは間違いない声でございますので、そうした声を是非政府においてもしっかり拾っていただきたいなと思っております。
加えまして、この十八歳の壁に関しては、政府の取組だけではなくて、自治体レベルでも様々取組が行われているところでございます。例えば、品川区においては、生活介護の後の数時間の延長ステイを実施する事業者に対して補助金を支給するでしたり、あと世田谷区においては、十八歳以降も移動支援を日常生活に使えるような制度変更がなされたり、こうした十八歳の壁が起きていることに対して、自治体レベルで先進的な取組は一部行われているところでございます。
ただ、自治体に任せると、やはり全国で取組の状況、進捗の濃淡が生まれると思います。こういった障害を有する子供を育てる方というのは全国津々浦々いるわけですから、自治体ごとにこうした濃淡が出るのはよくないというふうに捉えているところでございます。
加えまして、こうした取組を行っている事業者において、事業単体では赤字になっていて、ほかの事業の黒字で補填をしているといった声でしたり、あと、利用者のニーズに施設、人員が追いついておらず、希望があっても週に一回しか、一日しか受入れをすることができない、今後更にニーズが増えてくるので週一回の受入れでさえも厳しくて、二週間に一回になるとか月に何回になるとか、こうしたような事業者からの声も届いているところでございます。
こうしたように、様々な課題が存在しているわけでございます。全国的に広がっていないことでしたり、自治体レベルの取組がまだまだ十分ではないことであったり、そうした課題がございますが、そうした課題を大臣としてどのように捉えているのか、再度お伺いいたします。
○福岡国務大臣 日中一時支援を始めといたします地域生活支援事業は、市町村が実施主体となっております。地域の特性であったり利用者の状況に応じ、柔軟な形態により、障害のある方の地域生活の支援を行っていただいています。
これまでも、各自治体における地域の特性や利用者の状況に応じた事業が効果的かつ効率的に実施されるように予算の増額を行ってきたところでございますが、事業の運営状況についても伺いながら、執行状況やニーズなどを踏まえて、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えています。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
やはり、これからますます共働きの世帯が増えてきますし、放課後等デイサービスを使われていた家庭が増えてくるので、そうしたことを受けて、更に今後、十八歳の壁に直面する家庭、世帯というのはどんどん増えてくると思っています。なので、しっかりと当事者の声を聞いていただいて、十八歳未満のときと同じような支援ができるような体制を是非とも強化していただきたいと思っております。
こうしたことをお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、八幡愛君。
○八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。
国会も終盤となってまいりましたが、今日のテーマは、これで終わりではない、大臣に忘れてもらったら困るをテーマに質問してまいります。よろしくお願いいたします。
まずは、患者団体らの反発や国会内での議論を受けて、この夏からの引上げを見送りました高額療養費制度についてです。
れいわ新選組は、凍結や見直しではなく、白紙撤回の一択しかないと申した上で、衆院に戻ってきました予算の修正に、これは賛成いたしました。高額療養費制度と社会保障を考えるという超党派の議連も立ち上がりまして、私もメンバーとなり、役職にも就かせていただいております。
この議連の立ち上げには、私の周りからも、当事者である、がん治療を行っている方が電話をしてきてくださって、自分たちのことを見捨てずにいてくれて希望が持てたなどと言われたんですが、一方で、新聞など報道によりますと、この秋までに方向性を見直すといった一言がすごくひっかかるということ、この不安の声も寄せられました。秋以降にまた段階的に引き上げていく予定なのではないか、なぜ今年のこの秋にこだわるかなどを聞かれるんですけれども、厚生労働省は、先週二十六日、患者団体などで構成する専門委員会を立ち上げ、高額療養費制度の見直しに向けた議論を再開しております。
この専門委員会において、秋までに見直しの方向性を決めるということについて、当事者の方から不安の声、時期尚早ではないのかなど、声は上がりませんでしたでしょうか。厚生労働省、お願いします。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
五月二十六日に開催されました専門委員会におきましては、制度の持続可能性、現役世代の保険料負担の軽減の観点から見直し自体は必要ではないかという意見や、検討に当たっては患者の方々や現役世代の方々など幅広く多くの方から御意見を伺うべきだとか、高額療養費制度のセーフティーネットの重要性、これは引き続き堅持すべき、また、患者の方々の家計に与える影響をしっかり分析すべき、そういった様々な視点からの御意見をいただいたところであります。
その上で、先生から今お話のありました患者団体の委員から、本年秋までに方針を検討し結論を得るという点について、この点について、直接それに関する御発言はありませんでしたが、一方で、そもそも、まずは高額療養費の見直しを行う必要性について改めて検討すべきです、そういった御意見はいただいたところでございます。
○八幡委員 様々な声が聞かれたということで、そもそも高額療養費の引上げ自体が必要なのかどうなのかも声が上がったということなんですが、本当に、それならなおさら、この秋までにと期限を切るものではなく、もっと議論の時間が必要だと思います。ただでさえ物価高騰で生活が困窮する中、また上がるかもしれないとなると、受診の抑制に拍車をかけます。国民の健康と命を脅かすことにもなりかねないです。
実際、超党派の議連の中でも、この問題というのは当事者団体の方が指摘しておりまして、秋以降、また引上げの可能性があるなら、もう定期検査に行くのをやめようとする人たちもいたそうなんです。なぜ行かないかというと、新たな移転などがもし見つかってしまったら生活ができなくなるからと。もう検査自体、検診自体を控えようという動きがあります。こういった不安な状態というのは様々あるんですけれども、経済毒性とも言われております。
例えば、がんになると、入院費、外来費だけではなく、治療以外にもかかる様々な費用が長期にわたって続くという方も当然いらっしゃいますので、お金がなくて治療が受けられずに病症が悪化するということだけじゃなくて、何とか今治療費を工面できているが、もうそれだけで生活が手いっぱいとなって、そのことばかり考えていたら結局健康も損ねてしまうんだという、将来への不安感から、生活の質とか、あと精神的な負担の増大で、場合によっては治療の成績の悪化にもつながるということを含んでおります。政府は、この経済毒性という状態にも向き合う必要があると私は考えます。
高額療養費の引上げ、これはやはり一時凍結ではなく白紙撤回すべきだと私は訴えております。そもそも、国全体の医療費を削減するという思考回路はやめるべきで、もっと医療には公金を投入すべきだと私は引き続き訴えていくんですが、この後も訴えていきますけれども。
まず、私、こうやって質問させていただけるようになって、やはり学んだことがあって、幾ら私たちが言うことを言っても、なかなかいい答弁が得られない。一つでも前に進めていかないといけないという意味で、今日、大臣にお願いがございます。高額療養費制度の引上げについて、せめて、この秋までに方向性を決めるという方針について、いま一度立ち止まっていただいて、もっと議論を重ねる時間をいただけないでしょうか。大臣、是非お願いいたします。
○福岡国務大臣 五月二十六日のやり取りについては、先ほど局長が申し上げました。
その上で、この委員会でも何度も申し上げてきましたが、高額療養費が今医療費全体の倍のスピードで増加している中で、保険料負担を抑制するとともに、制度を持続可能なものとする観点からも、議論を進め、結論を得ていくことが必要だと考えています。
今後、この専門委員会において、当事者の方を始めとした関係者の皆様の御意見を丁寧に伺いながら、患者の方々の経済的な負担が過度なものとならないよう配慮しながら、増大する高額療養費をどのように分かち合うかという観点から検討を進めてまいりたいと思います。
○八幡委員 全然答えていただいていないんですが。時間をいただけるという、この大臣の一言があるのとないのとで、やはり絶望とか希望とかというのは変わってくるんですよ。
私、言っているのは、とにかく、この秋までにという部分、これは厚労省の方にもお願いもしたし、レクに来てくださった方にも聞いたんですけれども、なぜか、その一言にめちゃくちゃこだわるんです。何でか、この秋、この秋と言うんですけれども、そこに何があるんですかね。
是非、大臣、もう一言お願いします。この秋となぜこだわるのか、もしその理由が今あるんだったら教えていただきたいですし、そうやって何度も議論を重ねないといけないと御自身でおっしゃったんですから、是非そこを緩和していただきたい。もう少し、当事者団体の人たち、そして厚労省の中での方たちに時間を下さい、議論の時間を下さい。もう一言お願いします。
○福岡国務大臣 先ほど、私、きちっと答えたつもりだったんですが、今、高額療養費が医療費全体の倍のスピードで増加している中で、保険料負担を抑制するとともに、制度を持続可能なものとする観点からも、そういった観点で結論をこの秋までに向けて得ていただくよう、今、鋭意、検討会を立ち上げていただいて議論を始めていただいているということでございますから、そこの中で丁寧に、いろいろな方々の御意見を出し合っていただいて、結論を得てまいりたいというふうに考えております。
○八幡委員 話をまたそらしながら、また最後戻ってきたみたいな感じで……(発言する者あり)そらしていない、いやいや、秋までというところ、秋までにというお尻が決まっていて、そこでじっくり議論しますという話だったんですが、秋までにと言われると、さっきも言いました経済毒性というものがあって、そこで不安になったりとか、そういう大臣の本当に一言、二言で希望が絶望に変わったりするんですから、そこは御理解いただきたい。
これはもうやり取りしてもちょっと意味がないので、次に行きますね。引き続き、でも、諦めずに言っていきますから。そして、その議連に参加していても、高額療養費制度、引き上げない代わりに、OTC医薬品に何を置き換えていくのかみたいな、どこを削るかの議論になってしまいがちなので、やはり、何かの犠牲の上に何かが成り立つという感じというのは、特に医療の分野では改めていただきたいと私は訴えていきます。
続いて、昨年度に障害年金を不支給と判断された人たち約三万人、前年度の二倍以上ということを前回の委員会でも取り上げさせていただきました。これは、精神、発達障害の分野で特に顕著な増加をしており、障害年金のセンター長の意向で審査が厳格化されたことが原因だと報道をされております。
これに対して大臣は、しっかりと調査をして、今月の中旬には公表するんだとおっしゃっていただきましたけれども、やはりこれを機会に、現在の障害年金支給の判定方法そのものを見詰め直すときに来ているんじゃないかなと私は思います。というのも、申請者の主治医が書いた診断書などを基に日本年金機構の判定医が単独で審査をするため、職員や判定医の主観で左右されかねないという問題がございます。
そこで、申請者が希望した場合は、自宅などへ訪問して生活状況を調査するなど、より客観的な判定方法に改善すべきではないでしょうか。これの御指摘は、学者や弁護士、社会保険労務士などからも出ております。お願いします。
○巽政府参考人 お答えいたします。
障害年金の認定に当たりましては、主治医に記載いただいた診断書、あるいは請求者本人等が記載する病歴、就労状況等の申立てによりまして、障害の状態等を確認の上、審査をしているところでございます。
障害年金の審査は、以前は都道府県ごとの事務センターも活用して行っておりましたが、認定業務の標準化等の観点から、現在は東京の障害年金センターで集約して審査を行っており、全国からの請求に対し、書面審査を基本としているところでございます。
議員御指摘の訪問調査につきましては、障害年金の審査件数が年間四十万近くある中で、審査に相当の時間を要することとなるため、運用上の課題があると考えております。
障害年金の認定の在り方につきましては、今後も、様々な御意見をいただきながら検討してまいります。
以上です。
○八幡委員 せめて、申請者が希望した場合と私は申し上げましたので、そこを是非検討いただきたいです。特に、自閉スペクトラム症とか知的障害、精神障害の人の判定については、現行のシステムでは公平な支給判定が難しいと、以前から地域格差なんかも指摘されております。
今回のこの報道が、現行の障害年金の課題を社会全体で認識をして、改革を行うきっかけにしていきたいと私は願います。大臣、よろしくお願いいたします。
続いてです。今国会で審議されるはずであった医療法の提出、これはなされない流れになってまいりました。そこに連動させようときっと制作されていたと思うんですが、国会の閉会を前に、医療現場の悲鳴を扱うドキュメントや特集などが最近多く放映をされている印象です。これは私、今に始まったことではないと冒頭申し上げますけれども、やはり医療法もしっかりと今国会で議論すべきだったと思います。強く抗議申し上げます。
今月一日に放映されましたNHKスペシャル「ドキュメント 医療限界社会 追いつめられた病院で」が話題となりましたが、大臣、御覧になられましたでしょうか。多分、日本で一番このドキュメントを見なきゃいけないのは大臣だと思います。
深刻な医師不足を背景に医療の質が脅かされており、医療限界社会というのが到来しているということを告発するという内容だったんですけれども、医療不足で現場は疲弊します。そして、ミスや事故が起きてしまう。赤字経営の病院も多くて、非常勤医師を雇うこともままならない。一方、経営を安定させようと思うと、効率性や生産性を重視する経営体制に切り替えなければならない。それらのしわ寄せは全て、現場の医師と患者に回ってくる。そんな中、何とかぎりぎり、今もですよ、仕事を続けてくださっている医療関係者の皆様、本当に頭が下がる思いでございます。ありがとうございます。
番組でも、医師偏在や、物価や人件費の高騰による病院経営の悪化など、様々な原因が取り上げられていきましたけれども、医療体制の確保という基本的なことがままならないという状態までほったらかしにしてきた政府にも十分、私は原因があると思っています。この厚労委員会で私も繰り返し訴えてきましたけれども、医療現場に命を守る予算を今すぐつけるしかない。医療崩壊はもう既に始まっていると思います。
実際、今年三月に公表されました二〇二四年度診療報酬改定後の病院経営状況の調査結果によりますと、医業利益の赤字病院というのは六九%まで増加していて、経営利益、こちら、赤字病院というのは六一%。このままでは、ある日突然、いつも通っていた病院がなくなるという状況が全国で起きてしまうかもしれない。先ほど申し上げました、六割の病院が赤字というのを一つ取っても、もうこの国、既に日本の医療体制というのは崩壊していると繰り返し申し上げます。
まあ、大臣が行かれる病院はきっと大丈夫だと思いますよ。でも、国民が運ばれていく病院というのは、行く先の先生がちゃんと寝てくれているかなとか、手術してくれている先生が睡眠足りているかなとか思わないといけない、病院ガチャみたいな状態、これは異常だと思うんです。
そんな状況、このような日本の医療をめぐる現状、大臣、いかがお考えでしょうか。お願いします。
○福岡国務大臣 病院経営の厳しさについては、これまでの国会の議論でも、様々な委員から幾度にわたって御指摘をいただいてまいりました。資金繰りが悪化することで地域医療が継続できないようなことは避けなければならないというふうに考えております。
そのため、令和六年度報酬改定で一定の措置を講じましたが、依然として物価高騰の影響を受けておりますため、令和六年度の補正予算で必要な支援を講じつつ、これらの取組の効果が出るまでの資金繰り支援として、福祉医療機構の融資を大幅に拡充をしたところでございます。こういった効果を速やかに現場に届けさせるとともに、足下の情勢変化や現場の御意見もよく把握した上で、次期報酬改定を始め必要な対応を行っていきたいと思います。
そして、医療法について言及がありました。
法案は提出しておりますが、その扱いについては国会でお決めいただくということを前提に申し上げますと、質の高い医療提供体制の確保に向けまして、新たな地域医療構想を通じた医療機関の連携、再編、集約化であったり、医師偏在是正に向けて、昨年十二月に取りまとめました総合的な対策パッケージに定めた取組、こういったものを推進しながら、限られた医療資源の中で、地域の実情に応じた体制確保にも取り組んでまいりたいと思います。
○八幡委員 先ほど令和六年度の補正予算と言いましたけれども、一千三百十一億円のことですよね。全然足りないです。福祉の機構でゼロゼロ融資の話もされたと思うんですが、福祉において、お金を貸すからといって、またそれを返さなあかんと思ったら、どんどんどんどん効率化ばかり求めていって、結局、現場が置いてきぼりになってくると思うんです。
そして、医療法に言及がありましたけれども、医療法の中身を私も先に見ていますけれども、全然足りないですよ、あれも。それも含めてしっかりと議論はしたいということを申し上げますが、国民の健康、命のために、医療費予算というのは増額すべきです。
でも、これもまた問題ですよ。来年度予算案、自民、公明、維新で、現役世代の社会保険料の負担軽減のために、医療費四兆円の削減を念頭に置くといいながら三党合意もされた経緯もあります。医療費抑制、国民医療費の四兆円削減なんて、本当にとんでもない話です。
是非、大臣、あのドキュメントを見てください。ほかにもたくさんの様々な番組があります。是非、現場の声を聞いてください。引き続き、私は諦めずに大臣に質問していきます。よろしくお願いします。
ありがとうございます。
○藤丸委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
大手脱毛サロン、ミュゼプラチナムで働く方々が大量解雇に遭い、そして賃金が不払いになっている問題について質問します。
ミュゼプラチナムは、運営会社MPHの経営権をめぐるトラブルや社会保険料の未払い、未納による差押えなどによって、三月二十二日以降、今に至るまで全店舗休業となっています。三月末日までに従業員は全員が解雇され、未払いの賃金は総額十五億円、二千人を超える被害者がいるとされています。
五月二十八日に、私、直接被害者の方々とお会いしてお話を聞きました。給料が未払いなので食事代にも事欠いている、生活のため知人や家族に借金をせざるを得ない、子供にも習い事をやめさせたと、皆さん、生活に逼迫されています。そして、失業保険や立替え払い制度があるはずなのに、そういう失業者支援の制度も受けられないでいる、行政が動いてくれない、行政の対応が悪いと嘆いておられました。
被害者が加入している組合、コミュニティユニオン東京が五月二十八日に厚生労働大臣宛てに要請をし、対応者へ切実と被害を訴えました。大臣はその報告を聞いておられると思いますけれども、二千人からの労働者が半年以上も給料未払いになっている、失業手当も受けられずにいる、こういう状況に対して、大臣はどう受け止めておられますか。
○福岡国務大臣 五月二十八日の御要請については報告を受けてございます。その上で、恐縮ですが、個別の事案についてのお答えについては差し控えさせていただきます。
一般論として申し上げれば、厚生労働省としては、賃金不払いは労働者の方々の生活の根幹を揺るがす問題であり、あってはならないものと考えています。労働者から賃金不払い等に関する相談を受けた場合は、労働基準監督署において監督指導を実施し、労働基準関係法令の違反が認められた場合は、その是正がなされるよう粘り強く指導しているところです。また、雇用保険につきましては、ハローワークにおいて、離職者に対する丁寧な説明と迅速な支給に向け対応を行ってございます。
引き続き、労働基準監督署やハローワークにおいてしっかりと対応してまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 離職票の発行手続が遅れているために失業保険の受給も遅れているわけです。東京労働局が指導して、離職票の発行は終了しているというふうにも聞きました。解雇なので待期期間はありません。速やかに支給手続が必要です。その届いていない方に対しても、元従業員に対して丁寧な対応が必要だと思いますが、いかがですか。
○山田政府参考人 個別の事案における対応についてはお答えは差し控えますが、一般的に、先生もお触れいただいたように、離職票の交付遅延等により雇用保険の基本手当の手続ができない離職者に対しては、受給資格があるものと認定できるときは、受給資格の仮決定の案内を行うなど丁寧な対応を行っております。
いずれにしても、ハローワークにおいて、雇用保険の基本手当における迅速な支給に向けて、引き続き適切に取り組んでまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 MPHは、五月三十一日に一月の未払い分三〇%を支払うと言っていたんですけれども、破産の申立てを理由に支払いが行われませんでした。次回の支払いは六月三十日が目標と元従業員への手紙で伝えています。しかし、元従業員の皆さんは、今まで給料の遅滞があった場合、必ず、何日まで待ってくださいということが何度もあったそうです。だから、約束が信用できないと述べておられます。
本来、賃金未払いに対する救済制度としての未払い賃金立替え払い制度、これがありますけれども、MPHは賃金の支払いが現にできず、事業再開の見通しが立っていません。なのに、中小企業でないために、法的倒産でなければ制度の対象にならないのであります。大企業の経営者が事業継続の意向を持っていれば、立替え払い制度の適用を受けられない。そのため、支払い能力のない会社と個々の労働者が延々と交渉しなければならないというのが本件です。
大臣、おかしくありませんか。大企業であっても、全員が解雇され、事業再開の見通しがない場合には、事実上の倒産として制度を適用できるようにすべきだと考えます。いかがですか。
○福岡国務大臣 一般論として申し上げさせていただきますが、未払い賃金立替え払い制度は、賃金の支払いが本来個々の事業主の責任の範囲に属するものである一方、倒産等によって賃金の支払いを受けられない労働者の差し迫った生活を救済する必要に鑑み、労働者からの請求に基づき、未払い賃金のうち一定の範囲のものを事業主に代わって政府が弁済する制度でございます。
この制度によって未払い賃金の弁済を受けられる要件を明確にする必要があることから、法律上の倒産を対象とすることを原則とし、事実上の倒産は、例外的に中小企業事業主に限って立替え払いの対象としているものでございます。
○田村(貴)委員 被害者は逼迫しています。生活が大変です。ですから、立替え払い制度や失業保険の給付が迅速に行われるように対応を強めていただきたいと思います。
次に、自治体から委託された障害者相談支援事業への消費税課税問題について質問します。
この問題は国会でも多く議論されて、そして全国的な問題になり、混乱も生じています。そもそも、受託法人は自治体からの委託料が少ないんです。持ち出しで事業を行っているのが実際です。そして、簡易課税から本則課税に移行せざるを得ず、更なる事務負担や税負担が生じています。現場からは、消費税の負担が大変、課税をやめてほしいと切実な声が上がっています。当事者だけではありません。市町村議会やあるいは政令指定都市の市長会からも、国に対して、社会福祉事業に位置づけて非課税とすることとの要望が上がっています。
厚労省は、障害者相談支援事業について、市町村が実施主体として実施する事業、公的助成や規制の必要性などを総合的に勘案すると、社会福祉事業の性格に必ずしもなじまないというふうに言っています。そうであるならば、包括支援事業と同様に、社会福祉事業に類する事業として整理すればいいのではありませんか。
○福岡国務大臣 障害者相談支援事業につきましては、市町村が実施主体として実施する事業であり、社会福祉事業の性格に必ずしもなじまないため、社会福祉事業として位置づけられてございません。
その上で、御指摘の介護保険の包括的支援事業は、消費税法上、社会福祉事業に類する事業とされておりますが、これは、委託先の一つであります老人介護支援センターが行う事業が非課税となっていたことも踏まえ、それ以外の者が包括的支援事業を行う場合においても非課税とするための取扱いでございまして、障害者相談支援事業とは制度創設時の経緯などが異なるものであることなどを踏まえますと、御指摘のような見直しを行うことについては慎重な検討が必要ではないかと考えております。
○田村(貴)委員 財務省にお伺いします。
課税事業であったものが、政策判断により非課税事業になった事例というのはこれまでありますか。例があれば示していただきたいと思います。
○植松政府参考人 お答えいたします。
例えば、一定の認可外保育施設の利用料につきましては、平成十七年度税制改正におきまして非課税とする改正が行われておりますけれども、これにつきましては、認可外保育施設を利用する児童の安全を確保していくという観点から、厚生労働省が定める指導監督基準を満たす施設であることを都道府県知事等が証明する仕組み等を導入されたことを踏まえまして、当該証明を受けた一定の認可外保育施設に関しては非課税とするということとされたものでございます。
ほかにも、例えば、出産から一年間、母子のケアやサポートを行う産後ケア事業につきましても、母子保健法の改正を受けまして、令和三年度税制改正において非課税とされておりますけれども、先ほどの認可外保育施設を含めまして、いずれも、関係法令に基づく位置づけ等が何も変わらない中で消費税について課税から非課税に変更されたものではないと承知しております。
いずれにいたしましても、現行法のとおり、第一種、第二種社会福祉事業やそれらに類するものが非課税とされて以降、関係法令に基づく位置づけ等が何も変わらない中で消費税について課税から非課税に変更されたものはないと承知しております。
○田村(貴)委員 いずれにしても、政策的判断によって、課税だったものが非課税になった例というのはあるわけなんですよね。障害者の委託相談支援事業もそうあるべきだと思います。
政策的判断で課税を非課税にする手順について質問します。
消費税法で、政令により社会福祉事業に類するものと位置づけた上で、内閣総理大臣、厚生労働大臣、財務大臣が協議して、同事業が社会福祉事業に類するものに該当すると告示で示す、こうするやり方によれば、法改正によらなくても、政令や告示で社会福祉事業に類するものとして非課税とすることは可能ではないですか。そう考えますが、いかがですか。
○植松政府参考人 お答えいたします。
消費税法上、社会福祉事業に類するものとして政令で定める事業は、社会福祉事業と同等のサービスを提供しておりますが、事業規模の要件を満たさない等の理由により社会福祉事業には該当しないものについて、課税関係に差異を設けるべきではないとの観点から非課税としているものでございます。
具体的には、消費税法施行令第十四条の三第八号は、障害者総合支援法等に基づく一定の事業のうち、内閣総理大臣及び厚生労働大臣が財務大臣と協議して指定するものを社会福祉事業に類するものとして規定しておりまして、この規定に基づく指定がなされれば非課税となる仕組みでございます。
規定の構造としては今申し上げたとおりでございますけれども、御指摘の障害者相談支援事業につきましては、まずは、社会福祉制度を所管する厚生労働省におきまして、社会福祉事業である一般相談支援事業や特定相談支援事業と同様の事業であると言えるかどうか等につきまして、慎重に検討していただく必要があると考えております。
○田村(貴)委員 だから、手続上は可能なんですよ。だから、厚生労働大臣、福岡大臣、もう決断が迫られていると思うんですよね。
これはやはり、自治体によって対応が異なっているところもあるし、そして、何よりも事業者が消費税課税で困窮し、そして困っている。もう事業所が成り立たないという話まで出てきているんですよね。メディアでも大きく扱われています。国会でも論議されています。これはやはり、事業者に負担をかけないという方向で政策的判断に持っていく、これしかないと考えます。
地域包括支援センターで行う包括的支援事業は、消費税法上、社会福祉事業に類するものとして整理され、非課税となりました。それは、従来からの社会福祉事業である老人介護支援センターがそもそも非課税であり、地域包括支援センターの委託先が老人介護支援センターとなることから、公平性の観点から非課税の政策的判断となりました。
そうですね。厚生労働省、確認します。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
老人介護支援センターを経営する事業につきましては、従来より、社会福祉事業に該当するものとして、非課税として取り扱われてきたところでございます。平成十七年の介護保険法改正におきまして、こうした老人介護支援センターが行う事業の一部が包括的支援事業と新たに位置づけられて、老人介護支援センターを継承、発展する形で設けられた地域包括支援センターにより実施されることとなったということでございます。
こうした経緯を踏まえまして、老人介護支援センター以外の主体が実施する包括的支援事業につきましては、従前、老人介護支援センターを経営する事業との均衡を図る観点から、社会福祉事業に類するものとして、消費税非課税の取扱いとしているところでございます。
○田村(貴)委員 だから、できるんですよ。
大臣、委託の相談支援事業について、厚生労働省が作成して自治体に通知している地域生活支援事業実施要領、ここでは実施主体は市町村と定められて、そして、委託する場合には指定特定相談支援事業者又は指定一般相談支援事業者に委託することとなっています。これは両方とも非課税なんですよ。これが前提なんです。
大臣、昨年三月に、当時の武見厚労大臣も、地域包括支援センターが非課税になったのは、委託先の一つである老人介護支援センターが行う事業が非課税であったからだと答弁しています。今日の答弁でもありました。
相談支援事業も、非課税事業を行っている事業所への委託が前提なんだから、非課税事業とするのが、これは筋ではないかと思いますが、いかがですか。
○福岡国務大臣 御指摘のそれぞれの事業につきましては、障害者から相談に応じる事業であるという点では共通するものの、一般相談支援事業及び特定相談支援事業は、指定を受けた事業者が、障害福祉サービス等の支給決定を受けている障害者を対象として、サービスの計画作成や地域移行支援に付随する形で相談支援を行うものでございまして、他方で、障害者相談支援事業は、市町村が、住民である障害者に対するサービスとして、障害福祉サービス等の支給決定を受けていない障害者を中心に、生活上の課題などの様々な相談支援を行うものでございまして、このように事業内容等に違いがありますことから、消費税法施行令を改正し非課税とすることについては慎重な検討が必要であると考えております。
○田村(貴)委員 時間が来ました。
法改正の必要もなく、そして政策判断でできるんですから、大臣、決断すべきです。非課税事業として位置づけることを強く求めて、終わります。
――――◇―――――
○藤丸委員長 次に、参議院提出、自殺対策基本法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。参議院厚生労働委員長柘植芳文君。
―――――――――――――
自殺対策基本法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○柘植参議院議員 自殺対策基本法の一部を改正する法律案の提案理由の説明を申し上げます。
ただいま議題となりました自殺対策基本法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
自殺対策基本法は、参議院の議員立法として平成十八年に制定された後、平成二十八年の改正により拡充強化されました。令和六年の自殺者数は二万三百二十人と、依然、楽観できる状況にはありませんが、自殺対策基本法に基づき、自殺対策が総合的に推進されてきた結果、年間三万人を超えていた自殺者は二万人台に減少をいたしております。
その一方で、近年、子供の自殺者数は増加傾向にあります。令和六年の児童生徒の自殺者数は、五百二十九人と過去最多となりました。これは、統計開始以来、最も数が少なかった平成五年と比べ、約二・七倍であり、極めて深刻な状況となっております。
本法律案は、こうした状況等を踏まえ、自殺対策基本法において、子供に係る自殺対策について基本理念に明記し、学校の責務を明らかにするほか、子供に係る自殺対策の協議会について規定するとともに、基本的施策の拡充等を行おうとするものであります。
次に、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。
第一に、基本理念として、デジタル社会の進展を踏まえた施策の展開及び適切な配慮について明記するとともに、子供に係る自殺対策について社会全体で取り組むことを基本として行わなければならないことを明記することとしております。
第二に、国の責務として、子供に係る自殺対策について、内閣総理大臣、文部科学大臣及び厚生労働大臣は、相互に又は関係行政機関の長との間において緊密な連携協力を図りつつ、それぞれの所掌に係る施策を推進しなければならない旨を追加することとしております。
第三に、学校の責務として、基本理念にのっとり、関係者との連携を図りつつ、子供の自殺の防止等に取り組むよう努めることを明記することとしております。
第四に、基本的施策として定められている、心の健康の保持に係る教育及び啓発の推進等、医療提供体制の整備、自殺発生回避のための体制の整備等、自殺未遂者等の支援、自殺者の親族等の支援について、それぞれ規定の改正を行い、施策の拡充を図ることとしております。
第五に、地方公共団体は、子供に係る自殺対策の実施に当たり、学校、教育委員会、児童相談所、精神保健福祉センター、医療機関、警察署等の関係機関、自殺対策に係る活動を行う民間団体等をもって構成する協議会を置くことができることとし、協議会は、子供の自殺の防止等について必要な情報交換及び対処等の措置に関する協議を行うこととしております。
第六に、自殺対策については、自殺に関する状況の変化、自殺対策に係る諸施策の実施の状況等を踏まえ、必要な見直し等の措置が講ぜられるものとしております。
第七に、こども家庭庁の所掌事務として、子供に係る自殺対策を規定することとしております。
なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○藤丸委員長 この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省労働基準局長岸本武史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○藤丸委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、これを許します。田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
自殺対策基本法改正案について質問します。
二〇二四年の小中高生の自殺者は五百二十九人で、過去最多を記録しました。いじめ、不登校についても、同年の調査で過去最多を更新し、共に十一年連続で増え続けています。
改正案では、学校の責務として、基本理念にのっとり、関係者との連携を図りつつ、子供の自殺の防止等に取り組むよう努めることを明記するとしています。一方で、学校教員の長時間労働が長年問題となっており、今国会では、その是正に向けた給特法の審議が今行われています。
法改正によって学校現場や教師の負担増を招くことにならないか。子供と向き合うカウンセラーの配置等の対応が必要だと考えますが、提出者はいかがお考えでしょうか。
○柘植参議院議員 お答え申し上げます。
子供の自殺防止等の取組といたしまして、子供と向き合うカウンセラーの配置等が重要であることは、先生の御指摘のとおりでございます。
従来から、子供の自殺対策だけでなく、児童生徒の心のケアや環境の改善に向けて、スクールカウンセラーやソーシャルワーカーによる教育相談体制の充実等の事業が進められており、教育相談を受けることができる小中学校の数も増えてきていると承知をいたしております。
今回の自殺対策基本法改正では、子供の自殺防止等に係る学校の責務だけではなく、学校における心の健康の保持のための保健指導の措置などについても規定をしており、これらも踏まえまして、学校全体が一つのチームとして取組が更に進められていくものと考えております。
以上でございます。
○田村(貴)委員 是非、過度な負担増を招かないようにしていただきたいと思います。
次に、自殺に追い込まれる原因というのは、過労があったり、貧困やいじめ、病気、あるいは育児、介護疲れ、様々な原因があります。自殺を未然に防ぐためには、自殺に至る原因とそして社会背景を把握する必要があります。
自殺をめぐる詳細なデータは警察が収集し、内閣府が保有しているものがありますが、いずれも非公表です。自殺対策を進めていくには、プライバシーに配慮しつつ、データの公表等が求められると思いますが、いかがでしょうか。
○柘植参議院議員 お答えをいたします。
プライバシーに配慮してのデータの公表の必要性は先生の御指摘のとおりであります。データを速やかに対策に生かすという意味で、できる限り迅速に公表することも併せて重要だと考えております。
そのため、現在は厚生労働省が、警察庁の自殺統計原票を集計した結果である自殺統計を使いまして、プライバシーに配慮しながら、毎月、全国や都道府県単位に加えて市町村単位の暫定値を公表しております。厚生労働省のホームページからは誰もがデータをダウンロードできるようになっており、これには、自殺で亡くなった方々の人数だけでなく、年齢階級や職業、原因、動機などに関するデータも含まれております。
自殺対策の適切な推進のためには、このような取組をしっかり進めていくことが大事であると考えております。
以上でございます。
○田村(貴)委員 最後の質問です。
鰐淵厚労副大臣にお伺いします。
うつ病対策などのメンタル対策に、行政や政府が実効ある対策を行うことが必要です。働く人たちの自殺防止対策として、長時間過密労働をなくす対策を強化する必要があります。また、職場におけるハラスメント対策はまだ不十分です。その強化に、厚生労働省が先頭に立って、そして省庁を挙げて取り組むことが大事だと思いますが、いかがでしょうか。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
まず、委員御指摘の職場におけるメンタルヘルス対策、ハラスメント対策につきましては、労働安全衛生法改正法案と労働施策総合推進法等改正法案を御審議の上、成立していただきました。
具体的には、安衛法改正法案において、ストレスチェックの実施義務を全事業場に拡大し、労推法等の改正法案におきましては、職場でハラスメントを行ってはならないことの法文上の明確化、カスハラ防止の措置義務等を盛り込んでおり、その施行に万全を期してまいります。
次に、長時間労働の是正につきましては、監督指導の徹底を図るとともに、労働政策審議会で労働基準関係法制の在り方について引き続き議論を深めてまいります。
今後とも、働く方の生命と健康を守り、誰もが生き生きと働くことのできる労働環境を整備してまいります。
○田村(貴)委員 終わります。
○藤丸委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○藤丸委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
参議院提出、自殺対策基本法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○藤丸委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○藤丸委員長 次回は、来る六日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時十六分散会