衆議院

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第4号 令和7年11月25日(火曜日)

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令和七年十一月二十五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大串 正樹君

   理事 井上 信治君 理事 鬼木  誠君

   理事 勝目  康君 理事 岡本 充功君

   理事 酒井なつみ君 理事 早稲田ゆき君

   理事 伊東 信久君 理事 浅野  哲君

      東  国幹君    安藤たかお君

      大岡 敏孝君    加藤 鮎子君

      神田 潤一君    草間  剛君

      栗原  渉君    古賀  篤君

      後藤 茂之君    塩崎 彰久君

      田野瀬太道君    田畑 裕明君

      田村 憲久君    根本  拓君

      藤丸  敏君    東  克哉君

      石川 香織君    市來 伴子君

      大塚小百合君    小山 千帆君

      齋藤 裕喜君    柴田 勝之君

      下条 みつ君    宗野  創君

      中島 克仁君    宮川  伸君

      山井 和則君    阿部 圭史君

      猪口 幸子君    梅村  聡君

      岡野 純子君    日野紗里亜君

      沼崎 満子君    浜地 雅一君

      八幡  愛君    田村 貴昭君

    …………………………………

   厚生労働大臣政務官    栗原  渉君

   参考人

   (学習院大学長)     遠藤 久夫君

   参考人

   (タムスグループ理事長) 岡本 和久君

   参考人

   (公益社団法人全日本病院協会会長)        神野 正博君

   参考人

   (日本労働組合総連合会総合政策推進局長)     永井 幸子君

   参考人

   (社会医療法人社団健生会理事長)         山田 秀樹君

   厚生労働委員会専門員   森  恭子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十五日

 辞任         補欠選任

  山際大志郎君     神田 潤一君

同日

 辞任         補欠選任

  神田 潤一君     山際大志郎君

    ―――――――――――――

十一月二十五日

 国保加入者に傷病手当、出産手当を給付する制度の確立に関する請願(長谷川嘉一君紹介)(第五号)

 同(藤原規眞君紹介)(第六号)

 同(稲富修二君紹介)(第一七号)

 同(西川将人君紹介)(第一八号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第二二号)

 同(小沢一郎君紹介)(第二七号)

 同(野間健君紹介)(第二八号)

 同(緒方林太郎君紹介)(第三五号)

 同(青山大人君紹介)(第四〇号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第四一号)

 同(牧義夫君紹介)(第八〇号)

 同(渡辺創君紹介)(第八一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第八五号)

 同(井坂信彦君紹介)(第九八号)

 同(白石洋一君紹介)(第一〇二号)

 同(金子恵美君紹介)(第一〇五号)

 社会保障制度改革に関する請願(大塚小百合君紹介)(第三三号)

 同(神津たけし君紹介)(第五八号)

 じん肺とアスベスト被害根絶等に関する請願(鎌田さゆり君紹介)(第三四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四二号)

 同(志位和夫君紹介)(第四三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四四号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第四五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四六号)

 同(田村智子君紹介)(第四七号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第四八号)

 同(本村伸子君紹介)(第四九号)

 同(近藤昭一君紹介)(第八六号)

 治療に必要な医薬品の保険適用存続に関する請願(八幡愛君紹介)(第六三号)

 従来の健康保険証を使い続けられるよう求めることに関する請願(安藤じゅん子君紹介)(第六九号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第八七号)

 同(近藤昭一君紹介)(第八八号)

 同(矢崎堅太郎君紹介)(第九三号)

 保険でよりよい歯科医療を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第七〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第七一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第七二号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第七三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第七四号)

 同(田村智子君紹介)(第七五号)

 同(藤原規眞君紹介)(第七六号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第七七号)

 同(本村伸子君紹介)(第七八号)

 同(八幡愛君紹介)(第七九号)

 同(小沢一郎君紹介)(第八九号)

 同(近藤昭一君紹介)(第九〇号)

 同(井坂信彦君紹介)(第九四号)

 同(森山浩行君紹介)(第九五号)

 同(大西健介君紹介)(第一〇三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第二百十七回国会閣法第二一号)


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     ――――◇―――――

大串委員長 これより会議を開きます。

 第二百十七回国会、内閣提出、医療法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、本案に対し、鬼木誠君外二名から、自由民主党・無所属の会、日本維新の会及び公明党の三派共同提案による修正案並びに岡本充功君外一名から、立憲民主党・無所属及び国民民主党・無所属クラブの二派共同提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者より順次趣旨の説明を聴取いたします。伊東信久君。

    ―――――――――――――

 医療法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

伊東(信)委員 ただいま議題となりました医療法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正の要旨は、第一に、都道府県は、その地域の実情を踏まえ、医療機関がその経営の安定を図るために緊急に病床数を削減することを支援する事業を行うことができることとするとともに、医療機関が当該事業に基づき病床数を削減したときは、厚生労働省令で定める場合を除き、医療計画において定める基準病床数を削減するものとすること。また、国は、医療保険の保険料に係る国民の負担の抑制を図りつつ持続可能な医療保険制度を構築するため、予算の範囲内において、当該事業に要する費用を負担するものとすること。

 第二に、政府は、医療情報の共有を通じた効率的な医療提供体制の構築を促進するため、電子診療録等情報の電磁的方法による提供を実現しなければならないこと。

 第三に、政府は、令和十二年十二月三十一日までに、電子カルテの普及率が約一〇〇%となることを達成するよう、医療機関の業務における情報の電子化を実現しなければならないこと。

 第四に、政府は、令和八年四月一日に施行される外来医師過多区域等に関する規定の施行後三年を目途として、外来医師過多区域において、新たに開設された診療所の数が廃止された診療所の数を超える区域がある場合には、当該区域における新たな診療所の開設の在り方について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。

 第五に、政府は、この法律の公布後速やかに、介護、障害福祉従事者の賃金が他の業種に属する事業に従事する者と比較して低い水準にあること、介護、障害福祉従事者が従事する業務が身体的及び精神的な負担の大きいものであること等に鑑み、現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減を図りつつ介護、障害福祉従事者の人材の確保を図るため、介護、障害福祉従事者の適切な処遇の確保について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を機動的に講ずるものとすること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

大串委員長 次に、浅野哲君。

    ―――――――――――――

 医療法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

浅野委員 ただいま議題となりました医療法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正の要旨は、第一に、厚生労働大臣は、医療計画で定める都道府県において達成すべき五疾病六事業及び在宅医療の確保の目標の設定並びに当該目標の達成のための実効性のある取組及び当該取組の効果に係る評価の実施が総合的に推進されるよう、都道府県に対し、必要な助言を行うものとすること。

 第二に、外来医師過多区域における既存の無床診療所への対応を強化するため、既存の無床診療所による報告、都道府県知事による医療の提供の要請、勧告、保険医療機関の指定の期間の短縮等の規定を設けること。

 第三に、地域医療構想及び医療計画において定める事項に、病院又は診療所相互間、病院又は診療所と薬局との間の機能の分担及び業務の連携を追加すること。

 第四に、市町村計画に定める事項として、医療機関の施設又は設備の整備に関する事業及び医療従事者の確保に関する事業を追加すること。また、市町村が、市町村計画に掲載された事業に要する経費の全部又は一部を支弁するため基金を設ける場合には、国は、その財源に充てるために必要な資金の三分の二を負担するものとすること。

 第五に、国は、医師手当事業に要する費用の全額に相当する金額を都道府県に交付することとし、医師手当拠出金等の徴収及び納付に関する規定を削除すること。

 第六に、保険医療機関等の電子資格確認の実施に係る義務についての免除措置の廃止等についての検討規定を追加すること。

 第七に、持続可能な医療提供体制の構築を図る観点から、疾病等の初期の段階における医療の提供の在り方についての検討規定を追加すること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

大串委員長 以上で両修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

大串委員長 本日は、原案及び両修正案審査のため、参考人として、学習院大学長遠藤久夫君、タムスグループ理事長岡本和久君、公益社団法人全日本病院協会会長神野正博君、日本労働組合総連合会総合政策推進局長永井幸子君、社会医療法人社団健生会理事長山田秀樹君、以上五名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず遠藤参考人にお願いいたします。

遠藤参考人 学習院大学の遠藤でございます。

 本日は、発言の機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。

 私自身は医療経済学を専門にしておりまして、社会保障審議会医療部会の部会長をやっております関係上、この医療提供体制の見直しについて議論の取りまとめを担っている立場でございます。また、昨年は新たな地域医療構想に関する検討会が開かれており、その座長も務めました。本日は、そのような視点からお話をさせていただこうと思います。

 社会保障審議会医療部会は昨年十二月に「二〇四〇年頃に向けた医療提供体制の総合的な改革に関する意見」を取りまとめましたので、まず、その議論の趣旨、主要な問題意識について述べたいと思います。

 今回の議論の背景は、言うまでもなく、生産年齢の人口の減少と高齢者の増加による医療ニーズの変化、この二つが非常に大きな背景になっております。

 今後の人口動態は、特に医療と介護の両方のニーズを持つ八十五歳以上の人口が全国的に増加をし、高齢者向けの医療需要、特に中程度の疾患による入院や在宅医療のニーズの増加が見込まれております。

 ただし、地域ごとに事情は異なっておりまして、今後も、大都市部分では高齢者の人口は増加しますが、過疎地域では高齢者人口も減少し、地域全体の人口が減少するという状況でございます。求められる医療提供体制は全国一律のものとはならないので、地域の状況や患者数に応じた、地域の需要に相応した効率的な医療提供体制を整備することが必要となっております。

 また、近年の情報技術の発達は目覚ましく、医療分野でも、電子カルテシステムが五割以上の医療機関に普及し、マイナンバーカードによる医療機関への受診が広がっておりますので、患者や医療従事者の更なる利便性の向上と医療情報の安全性の向上などの取組を一層進める必要があると考えております。

 本日は、時間が限られておりますので、地域医療構想と医師偏在対策についてお話をさせていただきたいと思います。

 地域医療構想は、人口動態の変化に応じて、医療提供体制を適正な姿に変えていく試みであります。通常の市場経済であれば、環境変化に応じて、サービスの提供主体が自律的に変化をします。また、計画経済であれば、政府が提供体制をコントロールすることができます。しかし、我が国の医療や介護は市場経済と計画経済の中間的な性格を持つため、提供体制を環境に適応させるためには、政府は一定の介入を行いつつも、当事者間の調整に委ねなければなりません。

 地域医療構想は二〇一四年に改正された医療法で創設された仕組みであり、これは二〇二五年の医療提供体制、特に病床の在り方を主眼にした内容となっております。

 具体的には、まず、各種データを活用して地域の医療の需給状況を可視化することにより、地域の状況と将来のあるべき姿を提示します。その実現に向けて、地域ごとに協議の場を設定し、関係者間であるべき姿に近づけるための協議が行われます。加えて、インセンティブと規制的手法を組み合わせて医療提供体制の改変をサポートいたします。また、自治体の役割の強化を行い、同時に、国が行うべき仕事と自治体が行うべき仕事を明確にいたします。

 今回の医療法に基づく新たな地域医療構想がこれまでと大きく異なるのは、構想の対象が、これまでの病院病床だけではなく、外来医療や在宅医療、また介護との連携へと対象範囲が非常に広がったことでございます。従来から、医療では病院完結型医療から地域完結型医療へと言われ、介護では地域包括ケアシステムと言われてきた、このような視点で構想も進めていくということになるわけであります。

 これまでも、病診連携、医療・介護連携などを推進させる様々な施策が取られてきましたが、この新たな地域医療構想では、これらの機能を考慮しつつ、二〇四〇年頃の数量的な目標が示され、それに近づけていこうという試みで、医療提供体制の改変を大きく加速させる重要なものだと認識しております。

 一方で、構想の範囲が大きく拡大し、しかも、入院と在宅など代替関係にあるもの、あるいは在宅と介護など補完関係にあるものといった複雑な関係も見られますので、病床にのみ着目をしていたこれまでより格段と難しいものになるのではないかという気持ちもしております。いわば、これまでは一次方程式を解けばよかったものが、連立方程式を解くようなものになっていくというふうにも考えます。これまでの地域医療構想でもそうでしたが、今後、構想を進めながら、いろいろな課題にぶつかり、様々な考え方や手法が出てくるのではないかと考えております。

 また、これまでの地域医療構想の経験から、幾つかの変更が行われております。例えば、これまでの地域医療構想では回復期機能としていたものを、入院当初からリハビリや栄養管理などを行って退院後を見据えた医療を行うことが重要だ、そういう視点から、高齢者などの急性期患者への医療提供機能を追加いたしまして、包括期機能と名称を変更しております。また、病院の特性を明確にする意味で、従来の病床機能報告に加え、医療機関機能の報告も求めることとしております。

 この法律案が成立した暁には、都道府県、医療関係者、その他様々な地域の関係者が将来の理想的な地域の医療提供体制を話し合い、国は、財政的な支援はもちろん、ナショナルデータベースを活用するなどデータ分析、提供して、それを通じてしっかりとバックアップをし、各地域で着実に取組が進むことを期待したいと思っております。

 次に、医師偏在対策について述べたいと思います。

 医師偏在対策は、古くて新しい課題です。医師の偏在により保険あってサービスなしという状況は、公的医療保険制度の根幹を揺るがしかねません。そこで、一九七〇年代の一県一医大構想を始め、多様な政策が取られてきました。基本的人権の視点から医師を強制的に配置することは難しいので、インセンティブと規制的手段を駆使してまいりました。

 現在、医師偏在対策としては複数の政策をパッケージとして推進することが検討されておりますが、その中の幾つかが今回の医療法案にあるわけでございます。

 医学部の定員増により、医師数はここ十年で四万人増加して、約三十四万人となっております。医師の需給見通しでは、全国ベースでは二〇二九年頃に均衡するという推計もあるため、これからは、医師の総数の確保から医師偏在地域の解消にシフトする必要があります。

 そこで、早急に医師確保を要する地域を一定の基準で重点医師偏在対策支援区域として設定をして、この区域の医師不足対策を重点的に行うという考えが盛り込まれております。

 医師偏在対策は、インセンティブと規制が考えられます。インセンティブとしては、重点医師偏在対策支援区域において、診療所の医師の承継あるいは開業を支援する、医師派遣に関する手当増額を図る事業を創設するなど、そのような対応を考えているわけであります。

 一方、規制的手法としては、外来医師の多数区域に新規開業を希望する医師に対しては一定の制約を課すことや、医師少数区域での勤務経験を管理要件とする医療機関を拡大することなどがあります。もっとも、後者につきましては、病院関係者からは、今どき院長になりたいという若い医師は少ないから、医師偏在対策として有効なのかという疑問も呈されておるわけであります。

 また、医学部の地域枠などの取組で若手の医師の地域偏在は縮小してきているのですが、全年齢の医師で見ると地域偏在は縮小しているとは言えず、中堅、シニア世代を対象とする取組が課題となっております。中堅、シニア世代が地域で働く上で必要とされる総合的な診療能力について学び直すためのリカレント教育の進展なども意見の一致を見ているところであります。

 医師偏在対策は、いろいろな要因が背景にありますので、様々な施策や事業を総合的に実施する必要があると考えております。

 以上で私からの意見陳述とさせていただきます。

 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

大串委員長 ありがとうございました。

 次に、岡本参考人にお願いいたします。

岡本参考人 タムスグループの岡本です。

 今日は、このような機会をいただいて、ありがとうございました。

 僕は、三十三年前に診療所を開業しました。三十三年間、この業界をずっと見てきています。元々、余り人の前でしゃべるのは得意じゃないので、余り出てこないんですけれども、この一年半、診療報酬が変わってから、周りの先生たちの目つきが変わって、僕は、先週もお話しした先生から、先生、毎晩僕は寝るごとに三百万円ずつ借金が増えるんです、夜も寝られませんと言われました。そんな話をいっぱい聞くようになって、僕もきちっとお話を一回しに行かなきゃいけないのかなと思いました。

 うちの病院、診療所、介護施設、保育園、全部で常勤の職員は今七千人ぐらいいます。みんなで必死にやっていますけれども、本当に大変です。そんな中で、今日お話しさせていただければと思います。

 僕たち医療法人は、公益性を重んじつつ、経営環境の急変にも直面しており、もう破綻寸前です。現場の努力が報われるような公平な報酬、補助、制度運用を確保して、地域医療を持続可能な形で支える制度設計を何とかお願いしたいと思います。

 一番最初は、診療報酬、実質的な引上げをお願いしたいと思っています。医療現場のコスト上昇を踏まえ、診療報酬を実質的に一〇%、何とか引き上げてほしい。

 その理由というのはもう皆さん御存じだと思うんですけれども、医療機関では物価、人件費、建設費などの上昇が経営を圧迫しています。大体このくらい、八・二%、一四・四%、インフレになっているんですけれども。診療報酬、上がったというんですけれども、大体、誰も取れない点数が上がって、みんなが取れる点数は下がったりするので、上がらないんですね。これは、働いている側はみんなそうだと思います。ですから、何とか上げていただいて、普通に賃上げできるような、そういう業界にしてほしいと思っています。

 あと、次は、診療報酬制度関連事務の簡素化です。三十三年間で物すごく増えました。関東厚生局に電話しても、関東厚生局の人も今すぐには答えられません、三日ぐらいかかります。本当に、算定ルールや同意書などの事務手続を簡素化して、現場の事務の負担を軽減してほしいです。

 これ以上複雑になると、僕たちの業界で働いている人たちの能力ではもう対応できません。できないとどうなるかというと、多分、皆さん、診療を受けられなくなっちゃいます。書類対応に混乱して、医療機関と患者さん、双方がもううんざりしています。

 三番、紹介会社依存構造の是正。人材紹介手数料の上限や取引の透明化を図る制度を設けて、医療・介護業界の紹介会社依存を是正してほしい。

 医師、看護師の紹介手数料は高騰の一途をたどり、医師では四〇%以上の事例も出ています。毎年の医師、看護師、関連職種の異動の数から推計するに、医師、看護師についてそれぞれ三千億円程度、ほかの職種を含めると七千億円程度が人材紹介会社に流れています。そのお金は国民の保険料ですから。二〇二五年の四月から紹介手数料の平均率公表制度が義務化されていますが、歯止めになっていません。

 これはうちの会社の例なんですけれども、常勤の医師は十月末現在で百三十一名、常勤のナースは九百十八名います。昨年払った紹介手数料が、医師が常勤と非常勤で、ここにあるように一億四千五百万円。非常勤が九百三十万円。ナースが二億四千二百万円。非常勤が八百五十万円です。とんでもない金額になっています。

 元々、僕たちは統制経済なんですけれども、そこと資本主義のつなぎ目のところに必ずゆがみが出てくるんですけれども、そのゆがみを放置するとこういうことが起こってしまうんですね。別に紹介会社が悪いとは言いませんけれども、何かルールを作ってもらわないと、中小の病院とかは、お医者さんもナースも紹介手数料を払えなくて集められない状態です。何とかしてほしいです。

 あとは、四番目、医療法人と株式会社参入の公平性の担保。これもそうです。統制経済に株式会社が入ってくると、いろいろギャップが起こってきます。株式会社による不動産所有型、委託型などの医療参入スキームについて、制度上の公平性が担保されるように見直しを求めます。

 一部の医療法人買収案件で、土地、建物、機器を株式会社が所有し、医療法人に賃貸する方式が見られる。こうした構造が補助金制度などで不公平を生むおそれがあるため、透明性の高い運用ルールの整備が必要だと思います。

 あと、五番目は、病院建設費高騰への支援です。地域医療構想に沿って必要とされる病院に対しては、新築、建て替え費用の三分の二程度の補助を是非検討してほしいと思います。

 今、やむを得ず建て替えている病院が、あと、造っている病院があるんですけれども、千葉県では坪単価は二百四十二万円でした、もう一度計算したら。東京都では三百十四万円です、今。十年前、十一年前にオープンした江戸川区の病院が、これは税込みですけれども七十九万円だったので、四倍近くになっているんですね。ですから、もう建て替えは皆さんできなくなっています。老朽化施設が多くて、建て替えが物すごく困難です。安全確保のためにも、何とか支援していただかないと。もちろん、今の診療報酬の下では、この高い建築コストは賄うことができません。

 あと、最後は、病床削減補助金制度の拡充、是非続けてほしい。病床削減を希望する医療機関に対して、現行の一床当たり四百十・四万円の補助金制度を恒久化してほしい。

 厚労省のこの交付金で、一床当たり四百十万円の支援枠が設定されています。これは、この間のときは七倍ぐらいでなかなかみんな通りませんでした。

 これは何で必要かといったら、建物を壊して、更地にして、退職金を払うのに、もう内部留保もないんです。ですから、何かだらだらやっている病院も結構あるんです。手切れ金だと思って渡してやってください。病院をやっていても、四か月ぐらいレセプトを出したら多分四百万円ぐらいになるので、これはやってあげないと。

 僕たち、堅気なんですね。そうです、破産とか倒産とか、全然考えたことがないんです。その真面目なお医者さんたちが、地域医療をやって今それに直面して、本当に顔つきがみんな変わっています。ですから、これも何とか続けてあげて、静かに幕引きできるようにしてあげないと、かわいそうというか、今までやってきた先生たち、何とか終わらせてあげられればと思っています。

 僕からは以上です。(拍手)

大串委員長 ありがとうございました。

 次に、神野参考人にお願いいたします。

神野参考人 皆さん、こんにちは。今日はこのような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。全日本病院協会の会長の神野と申します。よろしくお願いいたします。

 皆様方には資料をお渡ししております。その二ページ目に、岡本委員と同じ六項目、要望事項と書きましたけれども、意見を述べさせていただきたいと思いますし、これ以降に、ページ数を振っておりますので、その中身というのが出ているわけであります。

 一番と六番は非常に関係した話ですけれども、まず一番の話でありますけれども、これはまさに人員配置基準、専従要件といった話であります。

 三ページ目を御覧ください。まさに、医療費というのは価格と量の掛け算で決まってくるわけでありますけれども、今、量は、高齢化が進んでいる、あるいは、新しい非常に高価な治療が進んでいるということで、上がっているわけであります。一方で、Pは据置きということです。ただし、医療費全体が上がっているということで、非常に国民からの批判というのもあるというのは存じているわけであります。

 しかし、この利益というところを御覧いただきたいと思います。価格から原価を引いて量を掛けるわけであります。今この原価が非常に高くなっている、物価、賃金、全て高くなっている。したがって、公定価格であるPが今までのままで原価が高くなっているから、マイナスになるわけです。マイナス掛ける量はマイナスであるということで、今大変な思いをしているのが医療機関でございます。

 一般のサービス業ということを考えると、お客さんがいっぱい来ればそれなりに利益が出るんですよ。お客さんが来なければ赤字になっちゃう。これが一般のサービス業。

 私たちのところは、例えば、手術とか救急とかをいっぱいやっている病院というのは、お客さんがいっぱい来るんだけれども、しかし原価が高くて赤字になっている。これは非常にいびつな関係であるということになるのかなと思います。

 そういった意味で、このCという経費を下げるということを考えたときに、もちろん物の値段を共同購入等あるいは標準化によって下げるという話もあるかもしれませんけれども、もう一つここで、人員配置基準、人件費というところであります。やみくもに人を少なくしろという労働強化ではなくて、非常に今、DXとかいろいろ生産性向上の仕組みがいっぱい入っているわけですよね、それを利用した上で、この人員配置基準というのを少し緩和いただければ人件費というところが下がって、Cを下げることができるということではないでしょうか。

 今お話があったような人材派遣会社、紹介会社といったことも、この人員配置基準があるからばっこするというものではないのかなというふうに思います。

 そして、次でありますけれども、これも先ほど岡本委員からもお話がありましたけれども、病院施設の近代化整備事業という話でございます。

 ページをめくっていただいて、今、特に自然災害というのが非常に多い時代であります。私も、実は能登半島地震で被災しました。ただ、私たちの病院は、この医療施設近代化整備事業を使うことで、当時、二〇一三年に新しい病院を造って、免震病院を造ることによって、能登で唯一生き残った病院でございます。これはこの整備事業のおかげであるということであります。これが今なくなってしまっているということであります。

 そういった意味で、これから地域で必要とされる病院に対して何らかの近代化整備事業、病院建て替え資金の補填というのをお願いしたいというふうに思います。これは、診療報酬ではもう既に病院建て替えの資金なんてできないわけであります。そのためには、やはりここは、必要な病院に対して補助金ということが必要なのかなと思います。

 今回の閣議決定で、病院建て替え資金ということで幾ばくかの基金を積むという、総合経済対策の中に出ていると思いますけれども、そういったことも是非是非また全会派の皆様の応援をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 そして、社会構造が変わっていくということになります。これは御承知のとおりでありますけれども、その課題等が、七ページあたりから少し資料として出させていただいておりますけれども、この七ページの左上を御覧ください。

 七十五歳以上の三割、八十五歳以上の六割の方々が要介護であるということであります。この方々は、もう病院に来る前から介護なんです。病気をして介護になるんじゃなくて、病院に来る前から介護になる方が非常に増えてくるというのが、これから我が国の一番大きな話になってくるのかなというふうに思います。

 そういった意味で、今、まさにこの医療法改正で、医療機関の新たな地域医療構想というものが進められようとしております。九ページに載っているような話でありますけれども、まさに、急性期拠点病院は治す医療、そしてそれ以外の病院は治し支える機能といったものだというふうに私は理解しております。

 そういった意味で、その次のページ、十ページを御覧いただきたいと思いますけれども、病院へ通えない、しかもこれから人数が増える高齢者の方々に対してどういった医療が必要なのかということで、私なりにちょっと絵を描いてみたわけであります。

 ここで強調したいのは、急変したときであります。九十歳でも百歳でも、さっきまで普通にしゃべっていたおじいちゃんが急に意識がなくなったら、これはどうするんですか。高齢者だから救急車を呼んじゃいけないということになったら人権問題ですよね。したがって、速やかに救急車を呼んで、そして二次救急病院に運んでいただくということになると思います。

 そして、急性期拠点機能病院と左の方にありますけれども、私は、この病院は、救急車を断る病院、何でもかんでも受けるんじゃなくて、ほかの病院で手に負えない患者さんを診ていただく、本当に、治すに特化した病院、そして、治し支える病院、二次救急病院以上で患者さんを治療し、そして次の生活につなげるということが重要なのかなというふうに思っているわけであります。

 そういった意味で、十二ページにありますように、病院の医療の前と後ろには生活の場があるわけであります。今、病院医療は、どんどんどんどん在院日数が短くなって、ちっちゃくなっています。この前と後ろの生活の場が重要であります。そういった意味で、これから高齢社会においては、心不全とか肺炎とか、同じ病気で繰り返して病気を起こす人もいらっしゃるわけですので、この輪をつなげるということが極めて重要であります。

 そういった意味では、情報統合というものが必要でありますし、ある意味、エコシステム、循環システム、急性期の医療が終わった後も、その後も、生活支援、あるいは、そういうところと病院、介護、医療、介護がつながって、ぐるぐる回っていくというシステムが必要なのかなというふうに思います。

 医師偏在について一言だけ申し上げます。

 十四ページを御覧ください。バケツを例えにしております。医師の供給が蛇口だとするならば、大都市とか人気診療科に、まずこのバケツはいっぱいになってくるわけであります。乏しい偏在対策でありますと、どんどんこのバケツを大きくするだけでありますので、幾ら供給しても偏在対策にはならない。

 一方で、左の方にありますように、バケツを小さくする、すなわち強い偏在対策をやるならば、人気診療科、都市部からあふれてきて、そして地方に充実してくるだろうというふうに思うわけであります。そういう意味では、強い偏在対策というものを求めたいというふうに思います。

 最後に、私の病院、恵寿総合病院、十五ページ以降でありますけれども、ここに書いてあるような病院でございます。そして、その中で、十六ページに、DXということに非常に取り組んでいるわけであります。

 例えば、生成AIを使う、RPA、ロボットを使う、それからデータセンター等で見える化する、あるいは生産性向上で、ウェアラブルデバイスとか音声DX等を使う、あるいは業務用のスマートフォンを使うということで進んできたわけであります。

 十七ページに、看護師の業務量調査であります。一年に一回、一週間かけてやっておりますけれども、これを御覧のとおり、この看護師の業務量調査の下の方へ行きますと、これは日勤帯でありますけれども、右のこのピンクのテールのところであります、これが減っております。これは何かといったら、記録時間が減っているわけであります。それから、左の水色のところでありますけれども、ここのところが減っているのは、申し送り時間が減っているわけであります。

 なぜそんなことができるのか。これはDXであります。記録時間に関しては、生成AIをフルに活用することによって、医師も看護師も、記録時間、特に要約を作る時間というのが非常に短くなっている。今まで一時間かかっていたものが、一分ぐらいで生成AIが作ってくれる。それをチェックして、その後に完成したものを作るということであります。

 最後でありますけれども、十八ページでありますけれども、こういったことによって、私どもの病院の時間外でありますけれども、看護師の時間外は今、月一・一時間、医師の時間外は月十八・五時間まで下げることができました。

 もちろん、この分は、私たちのところは看護師の人数が非常にぎりぎりであるので、その分、頑張れ頑張れじゃなくて、まさに労働時間も減らしながらDXの効果を享受していこうというふうに思いますし、この結果として多少の利益が出た分に関しては、ボーナス、給与等で還元するということは大原則であるということも最後に追加させていただきます。

 ということで、私のお話を終わらせていただきます。どうもありがとうございます。(拍手)

大串委員長 ありがとうございました。

 次に、永井参考人にお願いいたします。

永井参考人 おはようございます。連合の永井と申します。

 本日は、意見表明の機会をいただき、ありがとうございます。

 政府提出の医療法等改正法案に関する連合の考え方につきまして、大きく三点申し述べます。

 資料を配付しておりますので、適宜御覧いただければと思います。

 一点目は、新たな地域医療構想の策定、推進についてです。

 法案では、入院医療だけを対象にしてきた地域医療構想を見直し、外来や在宅医療、介護との連携を含めた将来ビジョンとして位置づけることが考えられています。また、地域の必要量に沿った病床数になるよう、都道府県知事の権限を一定程度強化することも盛り込まれています。

 そして、人材を始めとする限りある医療資源を最適化、効率化しつつ、治す医療を担う医療機関と、高齢者の救急搬送など、治し支える医療を担う医療機関との役割分担をより明確化していくこと、これまでの回復期機能に高齢の急性期患者へ医療を提供する機能を追加し、新たに包括期機能として位置づけることも想定されています。

 連合は、地域医療構想の実現に向けた取組によって、各地域で将来の医療ニーズに沿った機能分化と連携が進み、医療資源が適正に配分され、良質で切れ目のない効率的な医療提供体制が構築されることをかねてより求めてきました。切れ目のない医療、介護が受けられるよう、機能分化と連携強化が実効性あるものになるよう徹底していくことが必要と考えます。

 これまでは、公立・公的医療機関に偏った改革が論じられたりするなど、進捗は道半ばと言えるのではないでしょうか。今回の改正法案によって、都道府県知事の権限行使も念頭に、公立か、公的か、民間医療機関かを問わず、あらゆる設置主体の医療機関が新たな地域医療構想の実現に向けて協力し合い、合意形成が図られることを期待いたします。

 二点目は、医師の偏在対策の実施についてです。

 医療現場では、かねてより医師や看護師、薬剤師などの人材不足が問題となってきました。高齢化に伴う医療ニーズの増加と生産年齢人口の減少が同時進行しますので、必要となる医療人材の確保はその困難さを増していきます。加えて、医療人材の高齢化も進んでいる中、急ぎの対策が求められます。

 全国の医師数は緩やかに増加しているようですが、人口千人当たりの臨床医師数は諸外国に比べて少なく、何より、地域偏在、診療科偏在、そして診療所に偏り、病院では不足している現状が見られます。

 今回の法案には、外来医師過多区域において無床診療所を新規開業しようとする場合に、夜間、休日の初期救急や、在宅医療を提供すること、医師不足地域で土日の代替医師として従事することなどについて、都道府県知事が要請や勧告できるようにすることなど、規制強化策が盛り込まれています。

 連合といたしましては、これらの規制強化によって地域偏在が是正されていくことを期待しておりますが、同時に、地域間、診療科間の偏在の是正に向けて更なる規制的手法を検討する必要があると考えます。

 また、法案には問題があると考えます。

 都道府県知事が重点的に医師を確保すべき区域を定め、当該地域へ派遣される医師あるいは従事する医師への手当に財政支援を行う事業の創設が盛り込まれております。問題はその財源確保策です。法案では、その財源を保険者からの新たな拠出により確保するとされています。

 医師不足の地域で優先的、重点的に医師確保対策を推進できるようにすること自体は理解いたしますが、保険者からの拠出で財源を確保することは、保険給付とは関係性が乏しいものへ拠出することになり、問題と考えます。公的医療保険において、保険料は保険給付に用いられるべきと考えます。

 地域医療の確保に向けて公費で診療報酬を補完してきた歴史的積み重ねがある中で、保険者に拠出を求めることは疑問です。また、これまでも、公費による地域医療介護総合確保基金を通じて、産科への分娩手当や、小児救急医療支援として職員の給与への補助が行われてきています。こうしたことを踏まえて、連合としては、医師手当事業の費用が保険者からの拠出とされていることを修正し、公費で財源を確保すべきと考えます。

 三点目は、医療DXの推進について二点申し述べます。

 一つは、電子カルテ情報共有サービスについてです。

 これを構築し、普及していくことは必要なことだと考えております。その際、コストを誰が負担するのかということが論点となりますが、審議会段階では、サービスの普及や立ち上げに関する費用は国が負担し、保険者にはサービスが制度として一定程度確立した後に負担をお願いするというような説明が事務局よりあったと承知しております。

 したがいまして、運用コストはいずれ保険者や被保険者が負担することを想定されているのかもしれませんが、そうであれば、電子カルテ情報共有サービスの構築、普及が、保険者や被保険者そして患者にとってどのような効果やメリットがあるのか、それを明確にしていただく必要があると思います。そして、十分に普及したのかどうか、効果の状況はどうなのかといったことを見極めてから、運用コストの負担について議論するという検討プロセスで行っていただきたいと考えております。

 二つ目は、社会保険診療報酬支払基金についてです。

 法案には、支払基金が医療DXに係るシステム開発と運用の主体となることが盛り込まれていますが、これまで支払基金が担ってきた被用者保険の審査支払いという重要な機能を引き続き適切に果たせるようにすることが不可欠です。

 支払基金では、既に人員削減が行われてきた中で、限られた人員で医療DXの業務も担うことになることが予想されます。審査支払いの現場が過重な負担とならないよう、適切な人員配置が確保されなければならないと考えます。

 そして、今後の抜本改組に対応していく現場が混乱することのないよう、支払基金の中で労使を始め密なコミュニケーションが可能となるよう、政府としても前広に情報提供をしていくことが必要と考えます。

 以上が法案に対する連合の考え方でございますが、最後に、医療現場の処遇改善についても申し述べたく存じます。

 医療や介護の提供を担う人材の処遇改善策は、私たち国民が将来にわたって安心して暮らし働くことができるようにするために、また、高齢者人口の増加に対応する機能強化を図るために、欠かすことのできない施策だと考えます。

 提供体制の持続可能性が人材確保の面で揺らいでいる今、更なる処遇改善を継続的かつ集中的に行う必要があります。しかし、二〇二四年の賃金引上げ状況を調べた厚生労働省の二〇二四年賃金引上げ等の実態に関する調査によりますと、医療、福祉分野における二〇二四年の賃金改定率は二・五%であり、同じ調査結果にある全産業平均の賃金改定率が四・一%であることに比べ、小さい伸びにとどまっています。

 政府には、国民の命と暮らしを守る仕事に見合う賃金水準となるよう、更なる引上げが可能な施策の早急な実施を要望いたします。

 以上です。ありがとうございました。(拍手)

大串委員長 ありがとうございました。

 次に、山田参考人にお願いいたします。

山田参考人 御紹介いただきました山田です。

 発言の機会をいただき、ありがとうございます。

 私からは、改正案に示されました医師偏在是正に向けた総合的な対策並びに病床数削減を支援する事業等に関する事項の追加の二点について、再考を求める立場から発言させていただきます。

 初めに、医師の地域と診療科による偏在は存在し、対策が必要なことに異論はありません。しかしながら、前提として、医師の絶対数の不足の解消に取り組まなければ、抜本的な偏在対策とはならないと考えます。

 資料一から、論点を示します。

 一、医師需給推計について。

 二〇二九年で医師の需給が均衡するとした推計が独り歩きしていることを懸念します。推計は、年間九百六十時間の過労死水準の時間外労働を許容したものであることをまず確認すべきです。

 さらに、二〇一九年厚生労働省調査で、それ以上の時間外労働を行った三七・八%の病院常勤勤務医も九百六十時間以内として補正をしていること、また女性医師比率上昇補正など、様々な要素の正確性に疑問があること、宿日直の労働時間や、欧米では加えられる待機時間を含めないことなどの問題があります。

 この十年で四万人以上の医師が増加したと示されますが、内訳は、今後定年を迎える六十歳以上の医師が三万人、働き盛りの四十歳以下の医師増員数は一万人以下となっています。OECD平均の医師数を目指すとすれば、現在のペースで二〇五〇年前後にようやく到達すると予想されます。

 二、医師偏在指標について。

 政府は、医師の絶対的な充足状況を示すものではなく、あくまで相対的な偏在の状況を表すものであること、数値を絶対的な基準として取り扱うことや機械的な運用を行うことがないよう留意した上で活用する必要があるとしています。しかしながら、医師多数県のように、あたかも医師がどこかに余っているかのような言葉を用いて偏在対策が取られようとしていることは疑問です。

 昨年十一月、日本病院会の医師偏在対策等についての提言の中では、現在の医師偏在指標は対象地域に勤務する医師の肌感覚と乖離があると述べられています。医師多数県とされる知事からも、必要な診療科の医師が確保できない地域があり、偏在指標は実情を反映したものとなっていないことが指摘をされています。

 三、医師の働き方改革について。

 二〇二四年から開始されましたが、宿日直許可を受けた医療機関の急増や、時間外労働の一部を自己研さんに置き換えるなど、様々な矛盾を噴出させるものとなっています。

 背景にあるのは、都市部でも問題になっている病院勤務医の不足です。日本病院会が実施された二〇一九年度勤務医不足と医師の働き方改革に関するアンケート調査では、医療機能の維持のために必要な勤務医数が充足していると回答した病院は僅か一〇・四%でした。

 日本外科学会の働き方改革に関するアンケート調査では、自己研さんの定義が定まっていないものが四七・五%、本来、業務として認められるべき手術記録作成等が自己研さんに置き換えられ、見せかけの労働時間短縮を図るケースなど、現場の窮状を示す声が寄せられています。医師の過重労働がもたらしかねない過労死リスクや医療の質の低下、特に医療事故の懸念などの弊害は放置されたままです。

 二〇一九年三月、医師の働き方改革に関する検討会報告書では、基本認識として、我が国の医療は、医師の自己犠牲的な長時間労働に支えられており、危機的な状況にある、現状を変えて、健康で充実して働き続けることのできる社会を目指していくべきとあります。診療科偏在是正に向けた取組に記された、若手医師から選ばれるための環境づくりや処遇改善、業務負担への配慮、支援等の観点での手厚い評価を、全ての医師を対象に取り組むことが必要です。

 医師の働き方改革の原点に立ち返って、医師需給推計と医師偏在対策の是正に向けた総合的な対策パッケージの見直しを行っていただくようお願いするものです。

 四、医学部定員の適正化について。

 資料二に示します医師不足・医師偏在に対するアンケートでも、八七%が政府の進める医師偏在対策のみでは医師不足は解消しないと考え、医学部定員削減に賛成は三・七%にすぎません。

 全国知事会は、医学部臨時定員増の延長、恒久定員の増員を求めています。OECD諸国の中で、日本は、人口当たり医学部卒業生数は最下位のまま何年も推移をしています。コロナ禍の教訓と人口の高齢化に向けて、イギリス、アメリカ、ドイツなど諸外国が医学部定員増員に転じる中で、更にその差が広がると予想されます。今、医学部定員を適正化の名の下に削減する時期ではないと考え、適正化には反対いたします。

 次に、病床数削減を支援する事業等に関する事項について意見を述べます。

 初めに、基準病床数削減の前提は、国民が安心できる医療供給体制が担保されていることです。基準病床数について、使用する変数の正確性に課題があること、人材確保が困難なゆえに休止している病床、潜在的な医療需要を含めていないため、過小評価されているとの報告があります。また、削減を病院の経営安定を図るための手段とすることに大きな違和感を持ちます。

 二〇四〇年まで医療需要は減少しないとされ、さらに、医療の高度化で需要は今以上に喚起される可能性がある中で、今、病床削減を行うことは医療需要を切り捨てることにつながります。当法人急性期病院でも、十一月以降、度々満床となり、入院依頼をお断りする状況が生じています。コロナ禍の大きな教訓として、平時からの医療提供体制の余裕が必要と感じている医療者は多いのではないでしょうか。

 支援事業について。

 有事のみならず、平時でも感染症の流行があれば、満床で救急車をお断りする事態は毎年のように繰り返されますが、それでも二〇二四年診療報酬改定以降、全国の病院と同様に、当法人でも、二十数年ぶりのこれまでにない赤字を計上しています。

 この間、経営破綻の医療機関数は過去最高の件数です。病床削減に対し補助金を出すことは、経営難の病院が手挙げをし、地域の医療需要を無視した削減が行われる可能性を含みます。このことは、地域医療構想調整会議で、医療・介護需要の変化の予測データに基づき、病床機能分化と併せて進めてきた病床必要量検討のプロセスを無視したものです。データに基づかず、過剰な病床削減が起こることになれば、医療提供体制縮小の加速と患者の受療権の侵害が起こると考えます。

 病床削減の受皿について。

 今後、新たな地域医療構想の中で、かかりつけ医機能、在宅医療、医療・介護連携、人材確保等は議論されることと思いますが、医療以上に介護現場が人材確保困難、経営難で、事業所倒産や訪問介護事業所の撤退が相次ぐなどの状況の中、在宅や施設の受皿の整備は後退しています。

 オンライン資格確認、カードリーダー導入がきっかけで開業医が閉院するケースが報告されていますが、医師の高齢化と経営難にあえぐ診療所に電子診療録等DXを約一〇〇%を目指し迫る中で、閉院に至る事態も再び起こることと思います。

 病床削減のみ先行させた医療提供体制の変化は、新たな地域医療構想が目指す提供体制全体を見据えた計画の遂行に悪影響を及ぼすものと懸念します。保険あってサービスなしという地域が生じることなく、将来にわたって国民皆保険が維持されますよう取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、医療機関の経営の安定の根本は、診療報酬の増額です。人材確保のための紹介会社手数料の負担も大きな課題で、メスを入れていただきたいと思います。補正予算での医療・介護分野への支援と、医療界の総意としての次期診療報酬の一〇%以上のプラス改定、また、介護報酬期中改定をお願いして、私の発言を終わります。

 ありがとうございました。以上です。(拍手)

大串委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

大串委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田畑裕明君。

田畑委員 おはようございます。自民党の田畑裕明でございます。

 五名の参考人の皆様方それぞれ、研究者や医療法人の経営者、また労働者の代表として重要な御発言、御報告を賜りました。厚く御礼を申し上げたいと思います。

 限られた時間でございますので、何点か、それぞれ質疑をさせていただきたいと思います。

 何より、今回のこの医療法等の改正は、さきの通常国会で本来ならばしっかり成立をさせ、機動的に動かさなければいけなかったのではないかと個人的には強く思っております。その間、物価上昇、今日は岡本参考人さんからの話もありましたが、経営環境が非常に厳しい状況であるということ、私も大変胸に刺さったわけでありますし、ここにお集まりの委員の皆様方もそれぞれ、医療や介護に携わる方からの大変厳しい声をお聞きをしながら、何とか前進をさせ、国民の健康そしてまた日本の安定のために頑張っていかなければいけないと思いながら仕事をしているところであります。

 ちょうど先週の金曜日であります。政府は「強い経済」を実現する総合経済対策を閣議決定をしたところであり、医療・介護等の支援パッケージというものを策定をしたところであります。その文面の中にも、これまで累次の支援策を講じたものの、依然として物価、賃金上昇の影響を受けている状況であるといったこと、また、救急医療等を担うような医療機関の機能の特性も踏まえつつ、診療に必要な経費に係る物価上昇への的確な対応、物価を上回る賃上げの実現に向けた支援を行う、また、ICT機器等の導入、活用、看護師の特定行為研修修了者の加速的養成など、生産性向上や職場環境改善に率先して取り組む医療機関を支援する、病床数の適正化を進める医療機関に関しまして、地域の医療ニーズを踏まえ必要な支援を実施すると、明確にここには書かれているところであります。

 これの裏づけとなる補正予算をしっかり提出をし国会で審議をして、前進をさせなければいけないというふうに認識をしております。

 直近のMCDBの結果においても、病院の六割は赤字、診療所においても約四割は赤字であり、令和五年、六年、今七年に入っているところでありますが、赤字幅は拡大をしているという数値も報告がなされているところであります。大学病院に至りましては、経常利益は五百八億円の赤字ということでありまして、まさに本当に地域医療が揺らいでいるということを、改めて、皆様方のお声、そしてまた、政治の場面においても結果を出していかなければいけないということをお伝えをさせていただきたいと思います。

 その上で、今回、今朝でありますが、自民党また維新さんや公明党さんとの修正案が提示をされ、五項目、五点の修正が示されているところでございます。政府提案の医療法等の中ではやはり足らざるところということであり、これは野党の皆さんにも御理解をお願いをしていかなければいけないというふうに思いますが、病床数の削減についても県知事がしっかり責任を持って行う、そのための財政的な支援についてのこと、そしてまた、電子カルテのことについても、これも期限を区切り、そして政府がきちっと対応することが修正案として提示をさせていただいているところでございます。また、介護、障害福祉に関わる方々についての処遇改善についての見直し検討規定も入れさせていただいているということになります。

 ちょっと前置きが長くなりましたが、今回の医療法等については、今後の二〇四〇年を見据えた地域医療構想全体として、大きなビジョンに立って見直す、これまでの地域医療計画の上位にこの医療構想をしっかり位置づけるということがなされているところでございまして、この地域医療構想について、全員の方にまずお聞きをしたいというふうに思いますが、将来の必要病床数の見直し、またその報告制度といったようなことも盛り込まれるわけでございます。

 そして、この地域構想の会議に、市町村の方々、これは介護や障害福祉を含めてということでありますが、市町村の参加も明確化をするということ、在宅医療や介護との連携等を議題とする場合の参加を市町村に求めるということが規定をされるわけでございます。

 まず、地域医療構想全体の見直しについて、評価することがあれば評価点を、また、足らざるところを含め、病床削減についても各委員では少し異なる御見解の御開陳が今あったところでございますが、不足する医療機能への転換、地域における転換も含めたことが盛り込まれておりますが、改めて、今回規定する地域医療構想全体についての各委員の皆様方の評価であったりですとか足らざるところ、先ほどの意見開陳ではちょっと足りなかったことについて、改めてお聞きをさせていただきます。

遠藤参考人 ありがとうございます。

 先ほど冒頭で私ちょっと申し上げましたけれども、この新しい地域医療構想は、非常に幅広い内容についての医療提供体制の改革を求めているというものであります。そのことはこれまでもずっと議論をされてきた内容であったわけで、それを加速させるという意味では非常に期待が持てるものであります。

 ただ、一方で、様々な課題もあるわけです。対象が非常に広がりますので、病床の推計をするという簡単なものではなくなる可能性があるわけですね。例えば、在宅医療と入院などというのは代替的な関係にありますので、どういうふうに考えていくのかというような問題とか、介護との連携もまた同じような問題があります。

 ということで、単純に必要病床とか必要な施設の数を推計するということを簡単にできない可能性もあるだろうということもありますので、その辺をどういうふうに考えていくのか。今後の議論だと思いますけれども、やっていく必要がある。そういう意味で非常に難しいパズルを解くということになりますけれども、それは非常に重要なパズルなんだということだというふうに私は思っております。そこが一番の期待と同時に難しさがあるなというふうに私は感じているところであります。

 以上でございます。

岡本参考人 地域医療構想、非常にすばらしいんですけれども、厚生労働省がつくった地域包括ケアシステムとか、本当によくできているんですけれども、僕も含めて、今の医学生も、地域医療は授業でほとんど勉強していません。看護師と連携しろ、介護と連携しろと言われても、実はよく分からないんです。実際に出てみてやっています。ですから、十年単位で教育から変えていかないと、多分無理です。

 ですから、すごくちぐはぐなことが現場で起こって、是非、構想会議、ネットで見られるので見てください、ちぐはぐな議論をどうしてもやっちゃうんですね。それは、何をやっているんだと言われるかもしれないけれども、僕たちは教わっていないから分からないです、どうやって連携するのか。それはもう教育の段階から変えないと無理だと思います。

 病床の削減に関しては、皆さん御存じのとおり、平均在院日数がぎゅっと縮まっているんです。ぎゅっと縮まっているので、同じ患者さんを治すんだったら、平均在院日数が半分になっていれば半分でいいわけですね。ですから、患者さんの需要がちょっと増えるとしても、大学病院にしてももう八百床も九百床も要らないよねというのに、それはみんなもう気づいています。

 もう戦艦大和の時代じゃなくなっているので、病床は削減しないと、働く側ももたないですよ。同じ病床で平均在院日数が半分で倍の患者さんを診ていくことは、それは無理です。破綻します。

神野参考人 ありがとうございます。

 まさに地域医療構想というのは、計画経済のこれからの流れといったものをつくっているのかなと思います。

 前の二〇二五年を目途とした地域医療構想は、病棟の機能でいろいろ積み重ねていった。今回の新たな地域医療構想というのは、病院、医療施設機能で見ようということでありますので、そういった意味ではより現実的になったのかなというふうに私は思うところがあります。

 そしてまた、今回の新たな地域医療構想の大きな特徴は、治す医療と治し支える医療といったところを分けていこう、機能分化させていこうということであります。

 ただ、この治し支える医療のところで介護との連携ということがうたわれているわけでありますけれども、恐らくこれから、超高齢社会に入ってきた中で、特に八十五歳以上が増えてくる中で、治し支える中に、医療、介護だけじゃないでしょうということですよね。すなわち、いわゆる生活支援といったところもつなげていくというような発想が今のところはまだ少ないのかなというふうに思ってございます。

 最後に、地域医療構想は、どちらかというと、いわゆるこれからの医療のビジョンというものであって、そして、それに対して診療報酬が後追いしていくというのが正しい形ではないのかなというふうに思いますけれども、今、どうも、ビジョンよりも前に診療報酬の議論が進んでいるということに対してはちょっといかがなものかと。まずビジョンをきちんと策定した後でそれに診療報酬を、追っかけていくという形がいいのではないのかなというふうに思っております。

 以上でございます。

永井参考人 ありがとうございます。

 連合といたしましては、新たな地域医療構想につきましては、外来、在宅も含めた医療機関の機能分化、連携強化、地域における医療、介護の連携強化を推進するものとして一定の評価はいたしますが、医療機関の役割調整を進めるための協議の場と合意形成のプロセスが十分機能してこなかったことや、公立・公的医療機関が中心に議論され、民間医療機関が地域の将来ビジョンに主体的に関与しにくい構造になっていたことなどから、先ほども申し上げましたとおり、進捗は道半ばと考えているところでございます。

 あと、病床につきましては、病床再編の目的は、病床の削減ではなく、医療需要に応じた機能の最適化であるべきと考えております。しかしながら、地域での協議不足や、財政的誘導が強過ぎる場合、結果として病床削減につながる懸念もございます。特に、高齢化が進む地域では、急性期、回復期、在宅のバランスを誤ると救急受入れや入院医療に支障が出かねませんので、必要医療量が確保されているかを国、自治体が丁寧に検証しながら進めていただきたいと考えます。

 以上です。

山田参考人 新たな地域医療構想が、外来、在宅、介護との連携等、幅広く含めた取組になることについては承知をし、賛同しております。一方で、その体制を確保するための十分な支援が今足らないというふうに思っておりますので、この点をしっかりと前に進めていただきたいのが一点目。

 二点目に、生活支援について、現状、専ら共助のみで行われている感は否めません。ここについても、公助をしっかりと手当てしていただくことが必要ではないかというふうに思います。

 三点目に、基礎データの整備です。私、先ほど申しましたように、データの正確性というところに少し疑問を感じるようなところが多々ございます。この点をしっかりと見直し、深めていただきたいというふうに思いますし、四点目ですが、そのためにも、現場の声をしっかりと会議等で反映させていただく、その取組が大事になるのではないかというふうに思っております。

 以上です。

田畑委員 ありがとうございます。

 もう一問だけ、済みません、遠藤先生、岡本先生にお聞きしたいと思いますが、在宅医療の関係ですね。当然、在宅と組み合わせて体制をどうつくっていくかということが大変大きな命題であります。在宅医療に関わる人材の養成ですとか報酬体系の在り方について御意見がございましたら、遠藤先生、岡本先生、お聞かせをいただきたいと思います。

遠藤参考人 在宅医療を推進させるための仕組み、報酬を含めた仕組みということでありますけれども、在宅医療というのは、地域によって進んでいるところとそうでないところが非常に大きいということであります。

 例えば、私の認識では、東京などはかなり進んでいるのではなかろうか。これは、特に介護施設等が進んでいないというところも、余りないということもありまして、結果的に在宅になって、一方で、短い期間でたくさんの患者さんを、東京のような人口密度の高いところではありますので、多くの患者さんを診れるというようなことで、特に二十三区内などはかなり多くの在宅医療が提供されていると認識しておりますが、過疎地域になりますと移動に非常にコストがかかってしまうというような問題もありますので、そうなりますと在宅医療がペイできなくなるという問題もありますので、このような、地域の差によってどう考えていくのか。診療報酬というのは全国一律でありますけれども、どのように考えていくのかとか、これもまた、地域の差ということも少し考えていく必要があるのではなかろうかなという感じはいたしております。

 今申し上げられるのはそのぐらいでございます。

 以上です。

岡本参考人 今、遠藤先生がおっしゃったとおりで、在宅医療はだんだん進んできています。それは点数の誘導もあるんですけれども、医師の数も増えてきたので、在宅医療で仕事をやろうという若手もだんだん増えてきました。

 ただ、やはり地方と東京で全然移動時間が違うので、そこは不公平ですよね。それは何とか見てあげないといけないのかなと思います。

 やはり、若い人たちというのは、長くやっていると、なかなか在宅医療は疲弊します。なかなか新しい医療に触れられないとか、一人でジャッジしなきゃいけないとか、結構、何年かやると辞めていく先生も多いです。それはきちっと留意しておいた方がいいのかなと思います。

 以上です。

田畑委員 終わります。ありがとうございました。

大串委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 立憲民主党の岡本でございます。

 本日は、各参考人の皆様方、本当に急なお願いだったと思いますけれども、御都合をつけていただき、ありがとうございました。

 私、通常国会から理事をやっているんですけれども、通常国会のときに本来はこの医療法の審議をするということで、参考人のお願いをした方もいらっしゃると思います。そういう意味では、済みません、国会の都合でこういうタイミングになったということを、まず冒頭、感謝とおわびを申し上げさせていただきたいと思います。

 その上で、今日、せっかく来ていただいた皆様です、限られた時間ですから、質問していきたいと思います。

 まず、タムスグループの岡本理事長にお伺いしたいと思います。

 医師偏在対策で、今回、医師手当を政府は提案しています。一万人くらいの医師を僻地で働いてもらおう、こういうことを想定しているそうでありますけれども、国家公務員の医師が転勤で僻地に行くと支払われる手当が四万三千円、これより多くて、結果として、最高でも十八万円という答弁を医政局長がしていますが、この金額で医師が僻地に赴く、月に四万三千円、これで赴くというふうにお考えでしょうか。

岡本参考人 多分、誰も行かないと思うんですけれども。

 何で僻地に行かないかというと、二つ問題があって、医局が崩壊しました。僕の時代は医局があって、くじを引いて、一番最後のくじのやつが一番ぼろい病院に行って、翌年は逆だよとか、そんな人事をやっていたんです。医局が崩壊したので、もうそれは元に戻りません。戻らないので、僻地の問題はずっと残ります。

 もう一個は、子供の教育の問題です。夫婦でコンサートを見に行ったりとか、そういう不便は我慢できるんですけれども、子供の教育はみんな熱心です。うちに地方から来る先生も、一番の理由は子供の教育です。中学受験が一番多いですね。それで、みんな出てきます。先週、僕は富山の先生を二人面接しましたけれども、これでまた富山の地域医療が終わるんだと思うと、かわいそうだなと思ったけれども、でも、もう意思が固いです、みんな。子供の教育のためには出てきます。

 ですから、勤務医の二倍程度払えば、奥さんに、パパ行ってきてといって、北海道の無医村に多分お父さん一人で行くと思います。だから、そのくらいの感じなのかなと僕は思います。

 あとは、僻地の問題は、大学が真面目に地域医療をやっていかないと難しいと思います。僕の世代も今の世代も、自分の専門性をとにかくとがらせてとがらせて、そうするとプライオリティーが出てきて、患者さんがいっぱい来て、自分の地位も上がって、そうなるというふうに教わったんですけれども、これだけ高齢者が増えて合併症だらけの患者さんになると、専門性はもうちょっと低くてもいいけれども、何でも診れるような、それは多分、地域医療につながるんですけれども、そういうことが必要になってきています。

 ただ、それは全然、大学では、大学の先生たちはいまだに自分のやりたいことをやってそれを教えているし、若い人たちもそういうふうに思っているので、これは十年単位でかかると思うんですね、真面目に取り組んでくれれば。それは多分、自治医大の取組は物すごくよくやっているんです。是非、自治医大、前とは違うと思いますけれども、若い人たちを六年間全寮制で地域医療の重要性を教えて、みんな各地方に行くんですね。

 ただ、それももう変わりつつあると思います。昭和の時代の浪花節だったからああいうことはできたのかもしれないけれども、今はもうだんだん変わってきていますので、これから先は、自治医大を何校つくって解消するという問題でも、僻地の問題はなかなかいかないのかなと思います。

 以上です。

岡本(充)委員 勤務医の給料の二倍というと、三千万ぐらい出さないといけないんじゃないかという御示唆をいただいたわけで、四万三千円では行かないんじゃないかと。各参考人の皆さんもうなずいてみえるわけです。

 続いて、医師過多地域での新規開業制限とも言える政策が今回取られているわけですが、同じくタムスグループの岡本理事長にお伺いしたいんですけれども、都内で病院経営をされている理事長から見て、医師過多の状況、二十三区内はどんな状況になっていますか。そして、新規開業制限というのは必要とお考えでしょうか。このままだと多くなり過ぎて倒産する、そんなリスクもあるんじゃないかと思いますが、その辺をどのようにお考えですか。

岡本参考人 開業制限が行われるということもそうですけれども、都内の開業医はかなり増えたので、患者さんは多分、僕が開業したときに比べて、東京の西地区で三割か四割になっていますね。東地区はまだそれでもそんなに過多じゃないので、それでも六割ぐらいですね、ざっくりと。患者さんは減っています。ですから、もちろん収入も減っています。

 それプラス、去年の診療報酬の改定で診療所は一〇%ぐらい収入が減りました。みんな縮み上がっています。ですから、皆さん、ネットで調べてほしいんですけれども、例えば駅の前の五階建てのビルで、一階が薬局、二、三、四、五が医療モール、いっぱい空いています。決まっていません。新規開業、都内は全然ないです。ですから、きちっと誘導ができているんだと思いますね、そういう点では。だから、開業規制は現時点では要らないと思いますね。

 では、これから先も必要かといったら、ケース・バイ・ケースなんですけれども、新規参入しなくなると新陳代謝が働かなくなって、何か起こったときに、じゃ、これを頑張ろうという若い先生がいなかったりとか、何かいろいろたまってくると思いますね。ですから、やはり開業規制は、僕はそんなには必要ないのかなと思っています。

 倒産する先生がというのは、倒産しなくても、やはり僕たち、さっきもお話ししましたけれども、自己破産したり、何か倒産したりとか、そういうことは想像したことがないんです、人生で。そういう人たちが、開業して失敗するかもしれないというだけで、縮み上がって開業しないんです。そういう人たちなので。

 でも、これから多分出てくると思います、この五、六年で随分開業したので。それを見れば見るほど、みんな、若い人たち、またもっとびっくりするんですけれども、ただ、今の若い人たちに、じゃ、日曜も祭日も全部やって、それで夜も患者さんを診て何とかやろう、そういう世代ではもうなくなっているので、じゃ、みんなでグループでやろうよとか、多分、病院の一部で外来をやろうよとか、そういうふうに変わってくるのかなと僕は思っています。

 以上です。

岡本(充)委員 本当に、今回の法案では幾つか問題点があると思っています。その中で、私たち、修正案を出しました。先ほど趣旨説明を浅野委員にしていただきましたけれども、私どもが提出をした修正案では、国が、医師手当事業に要する費用の全額に相当する金額を都道府県に交付することとし、医師手当拠出金等の徴収及び納付に関する規定を削除するということを入れました。

 連合にお伺いしたいと思います。永井参考人にこの評価をいただきたいと思います。

永井参考人 ありがとうございます。

 先ほども申し上げましたけれども、連合といたしましては、保険料ではなく、公費を使うということについての修正ということで考えているところでございます。

 立国の修正案につきましては、連合の考え方と同様に、医師手当事業の財源を国費とすることが盛り込まれており、全ての働く者、生活者に寄り添った修正案だと考えます。

 また、外来医師過多区域の対策強化、病診連携、機能分担、多職種連携の強化、医療計画に定める生活習慣病の予防などへの対策の強化など、いずれも重要事項が盛り込まれていると考えております。

 以上です。

岡本(充)委員 ありがとうございます。

 今日お越しいただいた医療法人の理事長がくしくも診療報酬は上げてくれというところが一致していましたし、いろいろな意味で、人材派遣の費用が高いという御意見もいただきました。

 岡本理事長からは、既に診療報酬の簡素化という提案をいただいています。神野参考人、山田参考人に、この点について、もっと分かりやすい簡単な診療報酬にしてほしい、そして、しっかりコスト算定ができる診療報酬にしてほしいという意見がありましたが、これについての御意見をお二人に聞きたいと思います。

神野参考人 ありがとうございます。

 先ほど岡本参考人もおっしゃったように、今、診療報酬の仕組みというのは非常に複雑であります。私どもが主張しているのは、ロジックを明確にしてほしいということであります。もしロジックが明確になるならば、別に支払基金が審査しなくても、私どもの病院にそのロジックさえいただければ、きちんと、駄目なものは駄目、出せるものは出せるということで提出できるということになるのかなと思います。

 そういった意味では、簡素化、イコール、ロジック、論理を明確にしろということを主張したいというふうに思います。

 以上です。

山田参考人 診療報酬について言えば、様々な加算でかさ上げをするシステムになっております。その加算に対応して、関連する書類であるとか、例えば、多職種でカンファレンスを開かないといけないであるとか、かなり手を取られる、時間を取られるということです。

 これはDXやタスクシフト・シェア等では追いつかない業務が増えるということになりますし、今の急性期病院でいきますと、平均在院日数、当院の場合は十一日から十二日という状況です。そうなりますと、目まぐるしく入院患者が入れ替わるという状況の中で、そのことが現場の医師や看護師の負担、疲弊にもつながっているというふうに思います。

 そういった意味では、診療報酬については加算方式を改めて、基本診療料に包括して増額とするというような手だてを取っていただきたいと思っております。

 以上です。

岡本(充)委員 お二人とも、くしくも簡素化については賛成ということだということで、そういう意味では、今日、医療法人を経営される皆さん、今の診療報酬の在り方自体にやはり問題意識を持ってみえるということであります。

 遠藤参考人にお伺いしたいと思います。

 先ほど、診療報酬、地域で差をつけてもいいんじゃないか、一つの議論としてあり得るという話でしたが、遠藤参考人が思う私案で結構ですけれども、地方ほど高くなるべきだとお考えなのか、都市部ほど高くなるべきだとお考えなのか、一点目。

 もう一つ、経費を削減してほしいという医療法人の経営者の声をよく聞きます。その中で、いわゆる看護基準、これについて、だだ下がりというわけにはいかないですけれども、もう少しフレキシブルにできると、短期間だけでもちょっと今こういう状況だから少し特例的にというようなことができると、こうしたいわゆる紹介手数料が減るんじゃないかという声もいただいているんですが、この二点について遠藤参考人はどういうふうにお考えですか。

遠藤参考人 ありがとうございます。

 私もかつて中医協会長をやっておりまして、平成二十二年度改定は私のところでまとめたという記憶がありますけれども、確かに診療報酬は非常に複雑になっています、薬価も複雑になっているんですけれども、これはそれぞれの、その時々のやはり要請があって、そのために様々な要件をつけていくということでなるんですけれども。

 一言で言うと、簡素化は私は非常に大事だと思っておりますけれども、一方で、算定要件や施設要件によって医療機関を誘導するというような意味合いも一方であるということで、そもそも診療報酬で誘導することが不適切だという意見も一方であるわけなんですけれども、そういう流れがあるということもあって、簡素化の方向というのは適切だとは思いますけれども、どのようにするのかという問題は非常に重要だと思います。

 その中で、短期的に要件が満たされないようなときの対応をどうするのかという問題、これは一つ考えなければいけないことかなというふうに思います。今、診療報酬は全国一律になっておりますけれども、加算の要件みたいなものについては、地域によっては少し変えているところもあるんです。看護師さんを採用することができないような地域であれば、そういうこともあるので。時間的な弾力化みたいなものは、中医協の中で議論ができればよろしいのかなというふうに思っております。

 もう一つの問題は、地域別の診療報酬ということですけれども、私、ちょっと先ほど申し上げたのは、決して診療報酬を地域別に変えろということで申し上げたわけではなくて、それは違う報酬でもいいわけで、補助金であっても何でもよくて、都市部と地方では違うふうに対応するということもできるのではないかということで。決して、診療報酬の地域での変更を考えろということを主張したわけではないということです。

 私は、診療報酬を全国一律から外すことに対しては、かなり慎重に議論しないと様々な問題が一方で出てくる可能性もあるなというふうに考えてはおるということだけは申し伝えておきたいと思います。

 以上でございます。

岡本(充)委員 時間になりましたので終わりますけれども、様々な論点、また先生方の御意見を聞いて進めていきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

大串委員長 次に、阿部圭史君。

阿部(圭)委員 先生方、本日は、医療法改正に関連して様々な御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。私自身も、全部聞かせていただきまして、大変勉強になりました。

 そこで、幾つかお伺いをしたいと思いますが、まず、神野参考人にお伺いをしたいというふうに思っております。本日いただいたプレゼンの資料を少し超えて、広く医療提供体制についての御見解を伺いたいというふうに思っております。

 まずは、十月二十九日に四病協として、四病院団体協議会として、上野厚労大臣に対して、病院医療提供体制を維持し地域医療を確保する為の要望書を提出されていらっしゃると思います。そこにある項目を一つ抜粋させていただきますと、「病院における社会保障診療報酬にかかる消費税について、各病院間における補填状況に係るバラツキが解消されるよう、抜本的な対策を講ずること」との要望が記載されております。

 そこでお伺いをいたしますが、今回、我々与党、自民党、日本維新の会の連立合意書でも「医療機関における高度医療機器及び設備の更新等に係る現在の消費税負担の在り方の見直し」という項目がございます。病院経営にとって消費税というのは非常に大きな問題でございまして、積年の課題だと思うんですが、やはり今、医療機関の経営が大変な中で、この積年の課題、どのような解決の方法があるのかというふうに思いまして、要望書に即しても結構ですし、御私見でも構いませんので、お願いいたします。

神野参考人 阿部先生、ありがとうございます。

 今ちょうど、上野厚労大臣にこの要望書を提出したときに、私ども四病院団体協議会の方で消費税に関する実態調査というのも行ってございます。一言で言うと、非常にばらつきが多いということであります。

 一部の医療機関では益税であるし、一部の医療機関では非常に損税が大きい。特に、一番大きなところになりますと、大きな病院になりますけれども、急性期の大きな病院におきまして、損税が年間一億数千万円、二億円弱の消費税の補填不足というものが実態として認められたわけであります。

 この仕組みそのものが、消費税の成り立ちからいたしまして、きちんと消費者が税金を払っていただくということからすると、この益税、損税が出るということ自体がおかしい仕組みであるというふうに思います。そういった意味では、この税制に関しまして、是非、御議論いただいた上で、改善をいただきたいというふうに思います。

 抜本的には全て課税というのが一番よろしいかというふうに思いますが、ただ、今のこの御時世で、税を増やすということに関しては、非常に難しいということもよく理解しております。課税の上で軽減税率、あるいは今のままで還付というような、いろいろな仕組みももう一回更に戻って考える必要があるのかなというふうに思います。

 繰り返しますけれども、今は非常にまばらであるということ自体がおかしな仕組みであるということを、皆様、御理解いただきたいというふうに思います。

 以上でございます。ありがとうございます。

阿部(圭)委員 ありがとうございます。

 これは党派を超えて、本当に大きな課題だと思いますから、議論をしていきたいと思います。

 次に、同様に神野参考人についてお伺いしますが、国民皆保険の在り方ということで医療提供体制を考えていきたいなというふうに思っております。

 会長に御就任された際のインタビュー記事を私も拝見をいたしまして、本当にありがとうございました、勉強させていただきました。そこでございました言葉を引用させていただきたいと思いますが、「「国民皆保険」のあり方が今のままでよいのかということです。たとえば、基礎部分として救急や命にかかわる医療については今の健康保険制度のままでよいとして、それを超えたりはみ出したりする部分については自費の比率を高くするといったような「二階建て」の制度について提言する時代になっている」ということがございます。

 前任の猪口先生ともいろいろお話をさせていただいたときに、こういった話にもなったことがございますが、まさに我が国の医療について、どこまでを公的保険で見て、どこからがそうではないのか、こういった議論がいろいろな方面から出てきている時代になってきているんだろうなというふうに思います。

 そこでお伺いしますけれども、さきの通常国会で自民、公明、維新の骨太方針に関する三党合意書というものがございまして、これの附属書でございますとか、あとは今回の連立の合意書で「国民皆保険制度の中核を守るための公的保険の在り方及び民間保険の活用に関する検討」という項目がございます。公的保険の範囲がどこまでなのかという議論、これをしっかり進めなきゃいけないというふうに思っておりますし、非常に難しい議論だとは思うんですけれども、お考えとしてはどういった形が望ましいということを、一案として御助言いただければなと思いますが、いかがでしょうか。

神野参考人 ありがとうございます。

 元々、保険制度というのは、いざというときになかなかお金が出てこない、だから保険を掛けておく、これはまさに火災保険であろうが自動車保険であろうが同じである。そうすると、いざというときじゃない医療に関してはどうするのというのが一つあると思います。

 それから、まさにいざというとき、それは軽い重いじゃなくて、例えば救急にかかったときは、これはやはりいざというときでありますので、それに関してはセーフティーネットとしてきちんと保険で見るということが必要だと思いますけれども、先ほどおっしゃっていただきましたけれども、それを超えた部分に関してはどうするんですかということになるのかなと思います。

 二点、いわゆる軽度な医療といいますか、日常の医療、これは医療というのかどうか分かりませんけれども、日常に関してどうするのかということと、それから、いざというときのためのお金の入れ方ということに関しては、きちんとセーフティーネットであるということで面倒を見ていただかなければいけないのかなと思います。

 例えば、整形外科的な人工骨頭、大腿骨骨折、高齢者の方は多いわけですけれども、骨折いたしましたと。保険では例えばステンレスの、高齢者の方ですので、耐用年数は長くないかもしれないけれども、ステンレスの人工骨頭を入れましょう、いやいや、私はチタンの方がいいと。今でしたら、それがそのまま保険、通っちゃうというようなこともあるわけであります。例えばそういった要望に関してはある程度自己負担を増やすというのも、これはまさに平等ではなく公平な医療なのかなというふうに強く思うところでございます。

 よろしいでしょうか。ありがとうございます。

阿部(圭)委員 どうもありがとうございました。

 いろいろヒントをいただいたと思っておりますので、またこれもしっかり政党間で議論をしていきたいというふうに思っております。

 次に、岡本参考人にお伺いをしたいと思っております。

 本日、診療報酬制度関連事務の簡素化ということでお話をいただきました。その中で、算定ルールや同意書などの事務手続を簡素化し、現場の事務負担を軽減してほしいという御要望をいただきましたが、現場の視点に立ちまして、私も元々は医者でございますので、本当に共感をするところでございます。

 算定ルールや同意書、非常に複雑怪奇だと思っておりまして、遠藤参考人が先ほどおっしゃっていらっしゃいましたが、私も元々、厚生労働省の役人として平成二十八年度改定に従事していたことがございまして、お世話になりまして、ありがとうございました。

 改定を私も実務家としてやるたびに思っていたのが、診療報酬の改定の冊子がありますよね、緑本とか白本とかいろいろありますけれども、これがやるたびにどんどん厚くなっていく。これは一体何なんだということで、やはり現場の医療機関の経営者若しくは医療従事者の視点からすると、複雑怪奇、どんどん分からなくなってきていて、ユーザーアンフレンドリーな制度だなと私は思っております。

 そういった矛盾した思いを抱えながら診療報酬改定にも私も携わってきたわけでございますが、これは本当にシンプルにしないと、先ほど岡本参考人もおっしゃられましたとおり、訳が分からなくて算定できない、漏れまくるというような感じの日も来るんじゃないか、もう実際起こっているかもしれませんが、そんなことじゃないかなと思っておりまして、やはりこういった診療報酬制度というのは、どういうふうに簡素化していくか、シンプル化していくかということが喫緊の課題であると思うんですね。

 ただ、政治家同士で話をしていても、政府の官僚と話をしていても、じゃ、それを抜本的に変えていくような制度とはどういうものがあるのかといったときに、なかなか、これだというようなアイデアって難しいんですよね。

 じゃ、こういった場合に代替案としてどういったものがあり得るのか。もちろん、少しずつ変えていくというのはあるとは思うんですが、もし何か御助言が賜れればと思っておりますが、いかがでしょうか。

岡本参考人 僕はこの間どこかでも話したんですけれども、例えば連合の方たち、患者さんの代表、中医協でも支払い側がいろいろな紙を要求しますよね。あの辺は、いいですよ、やってもいいけれども、そのうちお医者さんにアクセスできなくなります。僕たちが十分話しますよね、その五分を書類のために割いて、五分を患者さんのために割いています。そのとき残る患者さんは、お金を払う患者さんです。某大学病院が、二万円の自費外来が大混雑していますよね、あの人たちが残ります。だから、難病とか保険の患者さんは多分最後に回されます。だから、お互いのために、支払い側の人たちもやめようよと言ってほしいんですよ、あの紙。本当に無駄です。

 レセプトをちゃんとやると、丸二日ぐらいかかっています、今。二日間ほかのことをやればもっと生産的な仕事ができるので、これはみんなで、多分、ちょっとこの辺で手を打とうやという感じで手を打つしかないんだと思いますね。それが多分一番いいのかなと思っています。

 あとは、診療報酬のルール。僕の患者さんで、経済系の官庁にいた子が三十歳ぐらいでうつ病になって辞めて、今、民間のコンサルに行って、患者さんで来ているんですけれども、先生、厚労省のルールって複雑怪奇で、こんなのは前の省庁とは全然違いますと言ってびっくりしていて。だろう、これは大変なんだよと言って。本当に、江戸幕府の外様大名みたいに、何かあれば何でもひっかけられるようなルールで僕たち本当に生きているんですと。本当にそうですよねと言って、すごく共感してくれてね。だから、本当にちゃんとコンサルをやってねと僕は毎回言っているんですけれども、なかなか、複雑なままで直りません。

 以上です。

阿部(圭)委員 ありがとうございました。

 非常に解が難しいということは如実に分かりましたので、本当にありがとうございます。しっかり検討していきたいと思います。

 次に、もう一つ、最後に岡本参考人にお伺いしたいと思いますが、病床削減補助金制度の拡充ということで御要望いただきました。病床削減を希望する医療機関に対して、現行の一床当たり四百十・四万円の補助金制度を恒久化してほしいということでございます。

 政府は、令和六年補正予算に基づく事業で、病床を一床削減するに際し、約四百十万円、この金額を担保するという病床削減策を開始をいたしましたが、その総枠が非常に微細なものであったということで、実際は五万床に相当する数が手が挙がりましたが、現在は一・一万床の対処を行うにとどまっているということで、これを大幅に拡充し加速化する観点から、自民、公明、維新の三党による協議で約十一万床を目標として担保することとして、現在、政府の方で検討を進めていただいております。

 岡本先生は、需要減少に伴い、柔軟な病床削減支援が医療費抑制に有効というふうにおっしゃっていらっしゃいます。

 本事業は、令和九年四月からのこの医療法改正に伴いまして、新たな地域医療構想までに一気に病床を削減して、そこのスリム化した段階で地域医療構想を進めよう、そういったアイデアなわけでございますが、これを恒久化するという点について、少し突っ込んだ点をお話しいただければと思いますが、やはり恒久化しないとかなり厳しいのか、その辺、お考えをお聞かせいただければと思います。いかがでしょうか。

岡本参考人 壊すお金も、多分、倍以上になっていますよね。ですから、壊すお金もないし、退職金もないし、どうしようかという病院、辞めてもらうにはやはりある程度お金を出していかないと、自然に、やはり、必要ない病床と言うと怒られるんですけれども、だんだん世の中が変わってきています。恐らく、療養病床も、国の政策では徐々にやはり減っていく過程だと思うんですね。そうすると、やはり療養病床をやっている先生たちは、次どうするかということを考えなきゃいけなくて。

 あと一つ、地方の病院はもう息子が帰ってきません。うちに北海道の病院のお子さんが二人いますけれども、一度帰ったけれども、それぞれお父さんが、俺の代でやめるからもうやめようと言って、それは病床のある病院です、戻ってきました。今度の春、和歌山のクリニックの先生、有床診療所に戻ってきますけれども、患者がいないので、もう無理だからやめようと三代目の息子に二代目のおやじが言って、やめています。

 ですから、やめるときにやはり退職金を払う、最後のしんがりをやるのに、その制度は是非続けてあげればと思うんですね。そうすると静かに閉めることができるので、お願いしたいと思っています。

 以上です。

阿部(圭)委員 どうもありがとうございます。

 本当に、本日のお話を超えて、大変大きな示唆を参考人の皆さんからいただいていると思います。今後もしっかり努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

大串委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 参考人の皆様方は、今日はそれぞれに御多忙の中、様々な御意見を開陳をしていただきましたことに、まず冒頭、御礼を申し上げます。

 私からも、今日は医師偏在対策を中心に参考人の皆様に御意見を伺っていきたいと思うんですが、先ほど岡本委員が、医師手当事業の金額に対する岡本参考人の御意見を伺いました。私も同じ質問をさせていただこうと思っていたんですが、もう岡本参考人には既に開陳いただきましたので、そのほか、神野参考人と山田参考人の方に、本件について改めて、同じ趣旨の質問ですけれども、伺いたいと思います。

 改めて申し上げますと、特地勤務手当が月四・三万円、そして僻地における勤務手当が今、月十八万円という目安があって、これを参考に、厚生労働省内では今後の予算化を検討しているということなんですね。都道府県にそれを国が交付をして、都道府県が医師に対して支払うというスキームだそうなんですけれども、もしかしたら多少ここに色がついて、月十万円とか十五万円とか、もしかしたらもっと高い金額になるかもしれませんが、でも、そのくらいの金額が想定されます。

 改めて伺いますけれども、神野参考人と山田参考人は、この金額をもって、特に、医師不足が深刻な地域に医師を派遣できるのかということについて、御見解を伺わせていただけますでしょうか。

神野参考人 ありがとうございます。

 先ほどの岡本参考人は医師をゲットする方で、私は能登の病院ですので、医師を取られる方であります。そういった意味では、上乗せしないとなかなか医師の獲得はできないというのが正直なところになります。

 今おっしゃった金額でありますけれども、これは相場観としては非常に苦しいのかな、なかなか足らないのかなというふうな気がいたしております。そういった意味では、全く先ほどの岡本参考人と同じで、やはり一つには教育の問題等があって、その教育の問題を無視しても行けるといったときにはいろいろなモチベーションが必要なわけでありますけれども、そこにやはりお金の話というのが、インセンティブの話というのが出てくるわけであります。

 一方で、実は私の法人ですけれども、健保組合を持ってございます。弱小の健保組合でありますけれども、当初の案では、健保組合からこのインセンティブを取るという話があったことに関しましては、健保組合としましては非常に、これはちょっと筋が違うだろうというふうに思って、今、修正案の方で、国が出すというふうにあって、ちょっと一安心しているところでもございます。

 以上でよろしいでしょうか。

山田参考人 まず、手当の金額としては全く足らないというふうに思います。

 現状でも、病院勤務医の二倍程度の報酬を掲げて募集をしているような僻地の診療所や病院等ございますけれども、それでもなかなか人が集まらないというようなお話も聞いておりますので、しっかりとした手当が必要であろうということと、その財源については国費できちんと賄っていただくという方向に賛同したいというふうに思います。

 さらに、インセンティブの問題だけではなく、先ほど来、各参考人からお話が出ていますように、きちんと僻地で生きがいを持って働けるようなシステムをつくるということを同時にしなければ、なかなか若い先生方を中心に僻地に赴くというのは難しいかというふうにも思います。

 以上です。

浅野委員 ありがとうございました。

 やはり金額的にも不足感があるし、もっと多面的な配慮事項を考えないと、僻地に対する医師の派遣ですとか勤務の継続というのはかなり難しいということが理解できました。

 続いて、遠藤参考人にお伺いしたいと思います。

 今の、これまでのような、手当事業に関して、やはり想定される金額水準であったり、あるいはその事業単体では、なかなか難しいんじゃないかという意見が今日複数出されたわけです。

 これまで検討してきた当事者としても、医師偏在対策における手当事業に何を期待して議論が進められてきたのか、そして、今回、これまでこうした事業が行われてきたことはないわけですけれども、それを保険料で賄うということに対して、御見解を是非伺いたいなというふうに思っておりますので、この二点についてまずはお聞かせください。

遠藤参考人 ありがとうございます。

 まず一つは、なぜ地方で働く人に対する手当をインセンティブとしてつけるかという、その議論の中身でありますけれども、これは、委員会の中でも、それなりのやはりインセンティブがなければ難しいであろうという流れであって、金額はともかくとしまして、そういう経済的インセンティブ。もう一つあったわけで、規制という形で、それこそ、医師が多い地域での開業に対してはいろいろ制約をかけるという、規制の話とインセンティブ、両方をやらないと難しいだろうなという流れの一環で出てきているというふうなことだと思います。

 それから、財源の問題でありますけれども、これは、原案として、保険者の事業として行うという形になっていったわけですけれども、これに対しては委員会の中でも賛否がありまして、結果的には両論併記という形になっているわけなのですけれども、審議会の中では。

 ただ、保険者の負担ということで、公費負担ということになりますと、今の保険料を抑制するという流れから見ればそういう方向でいいのだろうというふうに思いますが、一方で、保険者が地域医療により関わるという意味合いでは、保険者が何らかのそこに関与をすることによって、負担をしますから関与できますので、つまり、地域医療体制というのは国や自治体のやる話で保険者の仕事ではないというような考え方があるわけですけれども、しかし、保険者というのは被保険者を代表しているという視点から見るならば、そこにお金を払うということによって保険者の意向がそれなりに僻地対策に反映するということもあるということで、そこには一定の合理性があるかなというふうには思っておるわけでありまして、そこは非常に微妙な問題であるというのは私も考えておるわけであります。

 こんな回答でよろしいでしょうか。

浅野委員 ありがとうございます。

 遠藤参考人にもう一問、ちょっと今の続きで質問したいんですが、先日この委員会で医療法の審議入りをした初日、やはり複数の委員から、医療保険制度はあくまでも保険なので、もし万が一のときに、負担を軽減するための保険料を前もって支払って、診療を受けたときの負担を軽減するために保険が適用される、これが保険の大原則であります。ただ、今参考人もおっしゃられたように、医師偏在対策というのはあくまでも公的な施策であって、行政が対応すべき範疇だろう、これを被保険者が、あるいは保険者がそれを解決する当事者になるというのは、保険の原則からいってどうなんだ、こういう指摘が複数ございました。

 今、遠藤参考人は、保険者は被保険者の代表だからということをおっしゃいましたけれども、私の認識ですと、被保険者と保険者というのはある種の契約関係であって、代表者ではないというふうに理解をしておりまして、その辺りをもう少し参考人なりに整理をして、保険の原則に対して、今回保険料からの支払いとすることに対する解釈といいますか、参考人のお言葉でもう少し解説をいただければと思います。

遠藤参考人 先ほど私も申し上げましたけれども、私自身も迷っているところがあるわけであります。また、そういう意味で審議会でも両論併記になったわけで。

 ただ、一つは、保険者が負担をするといっても、医療保険制度の枠組みの中でという考え方でない考え方もできると思うんですよね。つまり、先ほど、保険者は被保険者の利益を代表していないというふうに言われてしまうともうその先は言えないんですけれども、もしそうだとするならば、その地域の被保険者の立場に立って、医療提供体制、僻地対策を行うことに対して、お金を出しますからそれなりの発言権があるということで、そういう形で医療保険が関与するというようなことはあり得るかなというふうに思います。

 だから、あえて理屈をつければ、医療保険制度の中でということであるならば、医療保険というのは、基本的に、保険あってサービスなしというのでは医療保険制度が成立しませんので、それを整備する意味でも、医療提供体制の整備ということも保険者としては意見が言えるんだろう、そのために今そこに何らかの費用負担をするというようなことも理屈としてはあり得るかなというふうに思います。

 そんな話で、保険の中で考えればそういう話。保険外という形で考えれば、被保険者と保険者との関係で何か言える、そういう考え方があるかなというふうに思いますけれども、公費でやるというのも一つの一案であることは間違いないというふうに思います。

浅野委員 我々、今日の冒頭、修正案を出させていただきまして、やはり、この医師偏在対策を医師手当という形で解決を図ろうとしたことというのは私の認識の範囲ではこれまでなく、地域医療介護総合確保基金というものも、これはある種、環境整備のために使えるお金であって、また、医師本人に直接支払うことはできずに医療機関を介してでないと交付できないという点では、やはりこの医師手当事業というものはこれまでやったことがないわけですね。

 政策効果検証がまだ十分にできていない、あるいは、今日の参考人の皆様の意見を聞くと、その政策効果が余り望めるような金額とは思えない中でこれをやるのであれば、保険料を財源とする前に一旦公費で負担をして、社会実験と言うと正しいのか分かりませんけれども、やはりそれは政策効果検証した後でもよいのではないかという思いで、我々は修正案を提案させていただいております。

 最後に、時間が限られていますので、外来医師過多地域における無床診療所への規制強化策についてちょっと伺いたいと思います。こちらは遠藤参考人、神野参考人にお伺いさせてください。

 やはり今回、新規開設者に絞って、事前届出や、あるいは、行政による要請、勧告、公表権限の付与というのがなされました。ただ一方で、これは、参入障壁を高めることによってその地域の面的な医療課題をクリアできるのかという素朴な疑問と、もう一つは、これから新たな総合医療計画を立てなきゃいけない、それには、今日も議論があったように、病床のみならず、診療所や介護、在宅医療など様々なステークホルダーが関与することになりますので、やはり既存診療所も含めた実態把握、意向把握というのは改めて面的に行う必要があるのではないかとも思うんですね。

 そんな中で、今回、新規開設者のみに限定したことの妥当性やあるいは制度的公平性の観点から、ちょっと両者の、お二人の御見解を伺えればと思います。

遠藤参考人 ありがとうございます。

 この問題は、病床規制のときにもあったかと思いますけれども、要するに、既得権益が発生するのではなかろうか、既に存在している者に。新規参入が入ってこないことで新陳代謝が行われなくなるのではないかという議論があるということだと思います。

 一方で、既に入っている人たちにはそれなりのやはり権利が既にあって、それを大きく変えるということはどこまで実効性があるのかということもあるわけで、情報として把握することはいいにしても、その後、要求したことに応じてくれない場合どういうペナルティーを与えるのか。そもそも、そんな話は、最初開業したときには何ら言われていなかったではないか、おたくのところはラーメンを売っているけれども、そば屋さんにしなさいと言われたときに、できるのかという課題があるわけですね。

 ただ、うちは、この辺はそば屋さんがいっぱいあるから、入るんだったらラーメンでやってくださいというのであればそれなりの説得があるかなという、そういうロジックが、取りあえずは新規参入ということに焦点を置いたというふうに私は理解しております。

 以上でございます。

神野参考人 ありがとうございます。

 要は、診療所の営業ということも一般のサービス業と同じで、お客さんがいる、市場があるところにお店を構えるということになるわけですよね。しかも、例えば、もし私が優秀な医者で、とても人気のある医者だとするならば、別に、駄目と言われてもやっちゃうよ、お客さんを集める自信があるから、いかに過剰地域であってもという自信があれば、幾らでも開業して、あとは法廷闘争してでも継続するというふうに思います。そういった意味で、新規参入そのものを制限する云々ではない。在宅専門であろうが、美容外科で美容専門であろうが、市場があればそこにはニーズがある。ニーズがあればそこに参入するということになってしまうのかなというふうに思います。

 そんなことよりも、いわゆる医師不足地域、過疎地等で、どれだけ魅力があって、どれだけ参入していただくかということを考えるとするならば、恐らく、都会のお客さんがいっぱいいるところと同じ値段で過疎地でやってくれといっても、それはお客はいないわけですから、とても無理だという経営判断が当然出てくるというふうに思います。

 したがって、いわゆる、一番、過疎地等の医師不足地域で新規参入してもらいたいならば、そこに対する報酬なのか補助金なのかということを含めて、そこに対するインセンティブということを考えた方が現実的なのかなというふうに思います。

 以上です。

浅野委員 時間が来たので終わりますが、質問ができなかった岡本参考人、また永井参考人も、今日は、これまでの議論でもたくさん御意見いただいたことに感謝を申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

大串委員長 次に、沼崎満子君。

沼崎委員 公明党の沼崎満子です。

 私も、麻酔科医として二十六年病院で勤務をしておりましたので、今の参考人の御意見には本当に共感するところが多いというふうにお伺いしました。

 最初に、参考人の皆様には、本当にお忙しい中、お時間を頂戴いたしまして、ありがとうございます。今日は、よりよい制度設計に向けての御質問をさせていただいて、御意見をいただきたいと思います。

 まず最初にですけれども、社会保障の持続可能性というところと新たな地域医療構想に関して、ちょっとこれは永井参考人以外から御意見をお伺いしたいんですけれども、私、先日、在宅医療をしている方から、病院で入院をして急性期の医療をするよりも、在宅で同じ急性期医療をした方が医療コストは低くなりますというようなお話をお伺いしました。

 こういったことも含めまして、これから非常に少子高齢化で、今、現状でも医療が、非常に国の財政を社会保障費が圧迫している、そういう状況の中で、持続可能としていくというところと、これから新たな地域医療構想をつくっていくわけですけれども、ここをどのようにしていったらより持続可能性のある地域医療構想をつくっていけるか、そういった御意見とかアイデアがございましたら、御意見をお伺いしたいと思います。お願いします。

遠藤参考人 ありがとうございます。

 地域医療構想という医療提供体制の改変と、医療保険制度の持続可能性ということの関連性という、実は非常に難しい御質問だと思います。

 基本的には、医療提供体制を変えることによってどのように医療費に影響するかということを正確に出すことはまだなかなか難しいというのが実態なわけであります。

 医療資源の効率的な活用のために医療提供体制を改変するんだというのが地域医療構想だというふうな形で言っていますが、このもわっと医療資源を効率的にという意味合いは、これはマンパワーもお金も全部含めての話なんですが、それによってどのぐらい医療費が削減されるかというのは大変難しい問題であります。医療提供体制もどういう形で変えていくのかということにもなりますので。

 ただ、明らかに、医療提供体制を変えていく中には、医療保険制度の維持ということも視野に入れるということは重要な視点ではなかろうかというふうには思っております。

 ということで、いいアイデアというのは特にないのですけれども、個別に少し調べてみなければいけないかなというふうに思っております。

 以上でございます。

岡本参考人 持続可能は今のままじゃ多分無理ですよね、みんな分かっているんですけれども。だけれども、混合診療というのはなかなか言えないし、いろいろな意味で最後は患者さんが負担するしかないのかなと思っていますけれども、現状の形で無理なのはみんな薄々気づいていると思いますね。

 さっきの在宅の問題もありましたけれども、そうはいっても、まだやはり、医療が必要な人は入院している方が安心だから大部分は入院しているし、じゃ、僕たち同業者がどうするかというと、大体入院していますよね。同業者でも、緩和になると家にいますよね。もうやることがないので、家でやはり最期を迎えたい。その辺が多分、今の在宅医療と入院医療との境目なのかなと思います。

 このままじゃ持続可能じゃないのはみんな気づいていると思います。

 以上です。

神野参考人 ありがとうございます。

 恐らく、私たちの医療関係者、あるいは行政が、コップの中でわいわいがやがややっているわけでありますけれども、もっと大事な話は、国民がどういうふうに医療にかかるかということかなというふうに思います。

 徹底的に専門医を渡り歩いて、そして自分が納得いくまで診断を仰ぐといった方々も世の中にたくさんいらっしゃるわけでありますし、それから一方で、価値観として、これは病院の方がいいんじゃないのということだけれども在宅にいらっしゃる方もいらっしゃるし、おっしゃるように、病院に入院しているけれども在宅でも可能な方もいらっしゃる。

 これは、国民の価値観が非常に多様であるということと、これまで私たちが培ってきた国民皆保険制度ということがまさにフリーアクセスを実現しているわけでありますけれども、フリーアクセスの裏にどれだけ負担するかということ、コストをどうするかということと、それからどの程度の質を求めるか、質とコストとアクセス、この三つをそろそろきちんと考えていく必要があるのかなというふうに思います。

 質がよくてアクセスがよければ、値段は少し高くてもしようがないねといったことを考えなきゃいけないのかなというふうに思います。そうしないと、やはり持続可能は無理ではないのかなというふうに強く思います。

 以上です。

山田参考人 両者の兼ね合いというのは大変、御指摘のとおり、厳しいものが、難しいものがあるかなというふうには当然思っております。

 これからの地域医療構想の中では、私は、在宅であるとか、あるいは介護との連携、ここをしっかりやっていくということと、そのためにも、治して支える病院機能、ここの部分をいかに充実させていくのかということが大事かというふうに思いますし、病院であっても外来であっても、いわゆる総合診療医的な、専門に特化した医師のみではなくて、総合的に診療ができる医師の部分を増やしていくということも大事であろうかというふうに思います。

 社会保障費そのものについて言えば、枠を更に広げる方策はないのかということも同時に考えたいというふうに思います。

 以上です。

沼崎委員 ありがとうございます。

 非常にお答えしづらい質問をしてしまったかなというふうにも思いますけれども、今いただいた御意見の中にも本当に考えるヒントはたくさんあったと思いますので、私も引き続き考えていきたいなというふうに思っております。

 遠藤参考人がおっしゃっていました、これから新たな地域医療構想を考える上では、枠組みが広がりましたので、非常に難しいパズルを解いていかなくてはならないというふうにおっしゃっておられました。もう本当に全くそのとおりで、しかも、この難しいパズルを解いて、仮にここにこれだけ医療を、こういう医療を投じましょうということが決まった先に、その形に本当に医療機関が協力して、統合あるいはそういう形になっていくかというのも、実は現実的には難しいよと現場の医師からは、病院経営者からも言われております。

 そういう中で、仮に、パズルを解きました、その上で、各医療機関に協力を仰いでその形に持っていくために必要なことというのを、遠藤参考人と岡本参考人、神野参考人、山田参考人、ごめんなさい、ちょっとまた永井参考人は外れますけれども、お聞かせいただきたいと思います。

遠藤参考人 医療提供体制を環境に応じて変えていく地域医療構想というのは、基本的にやり方としては二つあるわけでありまして、まあ、三つぐらい方法があるかなと私は理解しています。

 一つは、やはり可視化なんですね。この地域は現在どういうような需給関係にあるのか、今後どういうような需要状況になるので提供体制はどうあるべきか。実は、これを推測するのも結構難しいわけでありますけれども、病床の推計だけでもいろいろと大変であったわけですが、それを複数のいろいろな主体でやるわけですから大変なんです。

 そして、仮にそれが見えたとしても、今度は、しかるべき将来像に向かって各関係者がどう行動するかということ、その御質問だと思うんですね。これも基本的には、方法論としては、インセンティブと規制のこの二つを使うしかないわけでありまして、それが今回の、インセンティブとしては補助金等々ですね。それから、規制については、まさに、医師過剰地域のところでは新規開業するのがとか、あるいは、一部の病院では、院長になるためには、地域での診療が難しいといったような、これは医師偏在の問題ですけれども、そういうようなものを入れている。

 だから、インセンティブと規制をどこまでやるかということなんですが、これも実は、言うのは簡単でして、例えば、先ほど言いましたように、もう既にやっている医療に対して修正を加えて、ペナルティーをかけるみたいなことが果たして法的にできるのかどうか、新規参入についてはそれは可能かもしれませんが。それから、実態として能力的にできるかどうかという問題もありましょうから、そこをどうするのかというのは非常に難しい課題で、それも含めて難しいパズルだというふうに申し上げたわけでありまして、個々にいろいろ考えなければいけない課題が急に増えてきたなという印象は持っております。

 以上でございます。

岡本参考人 地域医療構想に基づいて、みんなで話し合いながら進めていくと、医療の効率と言うと怒られますけれども、今まで十人診ていたものが多分五人ぐらいしか診れなくなるんですよ。そのコストが今度は国民に跳ね返ってきますよね。なかなか、紙に書いてあるいろいろな会議とかを全部やっていくことというのは、現状だと難しい。それを、では、自費にしましょうとか、選定療養費にしましょうとか、そういうふうにしていったら多分またみんな、いろいろなことをやれるんだけれども、なかなかそれは実際にはできないですよね。

 だから、何とかそれをできるような方法があればいいなとは思いますけれども、ちょっと僕は、それをうまくやる方法がなかなか想像がつきませんね、今の患者さんの数で、それで経営を成り立たせるということを前提とすると。

 以上です。

神野参考人 恐らく先生が医師になられたときには、こういう医療をやりたいから、あるいは代議士になられたときは、こういう政治がやりたいからというのがあったと思いますけれども、一人一人の医師も、やはりこういう医療をやりたいからというので医師になったということだと思うんです。

 ところが、その自分がやりたいことと、それから地域社会に求められていることというのは、どうも乖離が出てきたぞということをやはり気づかせるということが極めて重要なのかな、気づくことによって行動変容を起こすという。これはまさに病院も全く同じであって、こういう医療をやりたいのでうちは急性期をやっているんだとか、慢性期をやっているんだという病院があるわけですけれども、地域社会が本当にそれを求めているんですかと。それは、いろいろなデータ等も出てくると思いますし、それから、そこに乖離があるというデータを出すことで気づかせる、もうここに尽きるのかなというふうに思います。

 以上です。

山田参考人 インセンティブや規制のみではなかなか前に進んでいかないのだろうというふうに思います。

 神野参考人もおっしゃいましたけれども、私は、当事者が納得のいくきちんとしたデータを可視化して示すということが何より大事だというふうに思いますし、二つ目は、その中で現場の声をきちんと反映しながら話合いを進めていくということが大事ではないかというふうに思います。

 以上です。

沼崎委員 済みません、もうかなり時間が迫ってきたんですけれども、今のお話は非常に大事で、恐らく、岡本参考人からは、もう現実、難しいんじゃないかというような御意見でしたけれども、共通のところは多分、可視化というところで、あるべき姿が見えていれば、医療従事者は基本的に真面目な人が多いというふうに私は思っているので、そこに近づいていく努力をしていくんじゃないかなというふうに思いました。

 最後になりますけれども、DX化と人員削減というのは非常に私は面白いというか、大事な観点だと思ったんですが、一方で、山田参考人の方は、働き方改革、当然、人が減ればその分、幾ら削減しても一人の負担というのは増えてくるんじゃないかというように、私もそういった懸念もあるんですけれども、その点に関する御意見、何かございましたら最後にいただければと思います。

山田参考人 DXについては、厚労省の資料で、そこで削減できる業務量というのはたしか七%か九%というような資料提示を見たことがございます。

 医療というのは、おっしゃるように、人と人の関わりが基本でございますので、DXを進めたとしても、現状の人員体制でいいますと、なかなか現場の疲弊感というのは解消できないのではないか、ここをきちんと正すためには、やはり人員の配置基準を見直して、より適正な人員を配置をしていただくということが大事かというふうに思います。

 以上です。

沼崎委員 ありがとうございました。

 いろいろな観点からの御意見をいただきましたので、参考にしたいと思います。

 ありがとうございます。終わります。

大串委員長 次に、八幡愛君。

八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。

 本日は、医療法改正について、参考人の皆様には、朝から貴重な御意見を賜りますこと、誠にありがとうございます。時間の許す限り、しっかりと質問してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

 地域医療構想では、医療費削減のために病床の削減を進めようとしております。自民、維新、公明党さんの修正案では明確な金額は入っておりませんでしたが、今年六月に交わされましたいわゆる三党合意の方針から、まず、年間四兆円の医療費削減のうちの一兆円分を病床十一万床削減で実現するという試算が出されております。先週、私、ここの厚生労働委員会で厚生省にこの試算について伺ったところ、政府としては、まだ明確な数字を出していないが、とにかく削減はする方針であると確認を取りました。

 私は、病床の削減は医療体制の縮小であり、必然的にその地域での医療従事者の減少につながると考えております。ただし、これは精神病床については別で、地域移行のための別途予算をつければ、削減も賛成だという立場でございます。

 そこで、まずは、医療法改正案に示された病床削減の方針について、当然、参考人の皆様、様々な意見があると思いますが、それぞれ、皆様の御意見をお聞かせください。お願いいたします。

遠藤参考人 病床数につきましては、既に、機能別の病床数を地域別に将来どうするかということをこれまでの地域医療構想の中でやってきたわけでありますけれども、その考え方というのは、一定の推計の方法にのっとって、現在入院している人がどのぐらい病床を使っているのかということで、それが変わらないとするならば、そうすると人口構成が変わりますので、それに応じて必要な病床数がどのぐらい増えるか減るかというようなことを計算しているわけであります。

 今後、二〇四〇年に対してどうこうということは、恐らく類似の、多少違うかもしれませんけれども、推計が行われるんだろうというふうに思っております。だから、地域によっては病床が増えるというような地域も当然あるということで推計をいたしました。

岡本参考人 先生、是非地方に行ってみてください。病院が、救急車を全部入院させても埋まらないと言っています。もう病床は余っているんですね。少し表現は悪いですけれども、でも、もう患者さんがいないとみんな言っています。

 人口四万人ぐらいの市で公的な病院が三つあったら、無理です。それは集約化して、それで先生たちの仕事も集約化して働き方改革をやらないと、お医者さんもナースも働きやすい職場にならないし、患者さんにとってもマイナスなので、病床削減をやっていってそれで適切な数に。地方もそうだし、都市部でもそれが必要なところはあると思うので、それは是非、いろいろなところ、多分役所の方はいろいろな事例を御存じだと思うので、いろいろ聞いてみると分かると思いますね。

 以上です。

神野参考人 ありがとうございます。

 今、岡本参考人からもお話があったように、全国のデータを見ましても、入院日数というのは非常に短縮している。そして一方で、それに倣って病床稼働率というのも非常に下がっているというのが現状であります。

 原因として、例えばロボット手術をやるとか、いろいろ先端医療がどんどん進んでいて、入院期間がどんどん短くなっているので、したがって稼働率が下がっているということになるかもしれませんし、それから、何といっても、患者さんの価値観が変わってきて、例えば末期でしたら、今までは病院で終末を迎えるという方が多かったわけですけれども、在宅医療等を使いながらおうちで、あるいはサ高住、有料老人ホームでみとられるという方も増えているということで、全体の患者さんの動向というのが変わっている。その中で、今と同じだけの病棟が必要かということになれば、やはりこれは削減の余地ありということなのかなというふうに思います。

 必要なのは、要るところを削って要らないところは残すということだけはしないようにするために、先ほど来申し上げておりますような見える化ということが必要なのかなというふうに思います。

 以上です。

永井参考人 ありがとうございます。

 連合といたしましては、病床の在り方につきましては、まずは地域の医療ニーズに基づいて決めるべきものであり、経営状況だけを理由に病床削減を進めるべきではないと考えております。

 医療機関の経営が厳しくなる背景には、地域の患者数だけでなく、物価高騰、人件費の上昇、医師、看護師の不足といった複合的な要因があり、必ずしも病床が過剰だから経営が悪化しているとは限らないと思います。

 また、地域によっては、高齢化が進み、緊急、救急性の受皿として病床が不可欠であるケースも多くあります。経営が悪いから病床を減らすというアプローチでは、必要な医療の受皿を失うおそれがあると考えます。地域で求められているのは、病床削減ありきではなく、必要な機能がどこにどれだけ整備されているかという観点での機能分化、連携の強化だと思います。

 経営の難しさへの対応としては、病床削減ありきではなく、医療機関への適切な財政支援、人材確保や処遇改善、地域ニーズに応じた機能転換の支援など、政策的な後押しによって医療提供体制を維持していくことが重要だと考えております。

 以上です。

山田参考人 まず、医療需要の予測が大事だと思います。この点、各参考人がおっしゃっているようなデータの可視化、特に、地域によって格差があると思いますので、きちんとデータを推計することがまず初めではないかというふうに思います。

 その上で、私は東京の立川市で法人を運営しておりますけれども、大都市部では医療需要はなかなか減らないという予測がきちんと立っておりますので、そういったところに経営を理由に病床削減を迫るということは、少し法案の趣旨からいってもおかしいのではないかというふうに疑問を呈してお話をした次第です。

 以上です。

八幡委員 皆様、ありがとうございます。

 永井参考人、山田参考人は、大体同じようなといいますか、経営状況を理由に病床削減するのはよくはない、まずはその地域に合った医療を求めていく、そこでしっかりと予算をつけていくというような話だったと思います。

 そして、遠藤参考人、岡本参考人、神野参考人も、それぞれの地域に合った使い方と、その上でやはり余っているんだよということを教えてくださったと思うんですが、めっちゃ話は分かるんですけれども、私、でも、大阪のコロナのときの医療崩壊を、維新の下で、先に、国の施策、医療法の改正も含めて、地域医療構想ということで前取りして、病床数削減をやってきたわけですよ。それが、結果、コロナで、残念ながらかかった方、これは東京の方が人数が多かったんだけれども、大阪の方がお亡くなりになった方が多かったという、これを目の当たりにして、そしてその現場で働いてこられた方の声を聞いたというのがすごく自分の中でひっかかっております。

 遠藤参考人がおっしゃいました、状況が変わらなければということだったと思うんですけれども、やはり何が起きるか分からないというのがこれからだと思っております。そういうはやり病といいますか、疫病もそうですけれども、やはりこの国は災害も来るかもしれない、いつ地震が来るかもしれない、そのときに削除ありきではなくて、やはり、前回我々が新型コロナウイルス感染症で得た、経験したこと、これを今こそ生かしていくべきだと思います。

 でも、すごく参考になりました。ありがとうございます。

 続いて、医療法改正案の大きな柱でもございます医師の偏在是正についてです。

 これは、都市部と地方などで医師の偏りを直していこう、見直していこうという施策になっておりますけれども、れいわ新選組としては、そもそも医師の数が全国的に不足していて、少なくとも都道府県単位での偏りが問題の本質ではないと考えております。

 その上で、医療法改正案で示す医師の偏在是正策は実効性がないと考えているんですが、皆様のそれぞれの御意見をお伺いしたいと思うんですが、言える範囲でよろしくお願いいたします。

遠藤参考人 日本の医師の数が適正なのか、不足しているのか、将来過剰になるのかというところは少し議論が分かれるところではありますけれども、かなりの形で医学部入学枠を増やしておりますので、今のような医療需要でいくと非常に過剰になるという可能性がある、そういう推計が出ております。

 その問題はそれとしまして、一方で、地域の偏在という問題は過去からずっとあるもので、したがって、これを何とかしなければ当然いけないということで、そこに力を入れよう。つまり、医師の絶対数を増やしても、しみ出ていって、それが医師不足の人たちの数が増えているのかどうかというのは非常に微妙なところでよく分からないというふうに思いますので、むしろ積極的に医師不足のところに偏在対策をするということが重要ではないかというふうに思っているわけであります。

 以上です。

岡本参考人 どこまで医者がやるかだと思います。

 産業医の仕事も、今結構だんだん産業医は増えてきてやっていますけれども、広がれば医師の数はたくさん必要なんですけれども、今は、今年生まれる子供が七十万人を切るかもしれないときに、今や医学部の定員が一万人なんですね。七十人に一人が医者になって、その需要がこれから将来あるのかなとは漠然と思いますね。

 偏在の問題も、歯医者さんがすごく多いんです、数が。歯医者さんが多いんですけれども、無医村というか、歯医者さんがいない地域というのは減らないんですよ。だから、別に数が増えたからしみ出してくるわけじゃなくて、やはり、都市で食べられなくても、なかなか僻地には行かないんだなというのは、それは、歯医者さんの例はすごく役に立つのかなと思っています。

 以上です。

神野参考人 お答えいたします。

 まず、私もいろいろ厚労省の医師偏在対策あるいは医師養成過程の検討会の審議会の委員をやっておりましたけれども、そのときも通じて一貫して申し上げております。というのは、四病院団体協議会としても話している話でありますけれども、強力な偏在対策をしないならば、医師は増やさなくてはいけないということであります。

 では、強力な偏在対策、先ほど開業規制の話がありましたけれども、もっと私は強力なものが必要であると。例えば、卒後何年かは僻地に行くこととか、あるいは診療科に関しましても、この科ならばあなたは標榜できるけれども、この科は標榜できないとか、恐らく医師法とかあるいは健康保険法とか、そういったものの改正が必要だと思いますけれども、そこまでやって強力な偏在対策もやったら、初めて医師数を減らすことは、医師養成数を減らすことができるのではないのかなと強く思っております。

 ありがとうございます。

永井参考人 ありがとうございます。

 少し繰り返しにもなりますけれども、今、全国の医師数は緩やかに増加しているという現状と認識しておりますが、何より、地域偏在、診療科偏在、診療所に偏り病院では不足という現状は見られるというふうに考えております。

 連合といたしましては、医師不足の地域で優先的、重点的に医師確保対策を推進できるようにすること自体は理解しておりますが、財源については問題があると考えているところでございます。

 以上です。

山田参考人 初めに、病院勤務医については、長年不足しているということについては病院団体等が指摘をしているところでございます。

 偏在対策で多数県から少数県に医師を配置をするとはいいますけれども、医師多数県にどれほどの医師が本当に余っているのかというと、全国知事会等も示しているように、余っていない地域はそれぞれの都道府県に必ずあって、診療科についても足らない地域が必ずあってという中で、どこから医師を持っていくのかということが私は大変疑問に思っています。そういう意味では、医師数そのものを増やしていくということが今の時点ではまだまだ必要ではないかというふうに考えております。

 以上です。

八幡委員 ありがとうございます。

 皆様の御意見、様々ありますが、今日のこの話だけを聞いていると、何や、医師は割と多いんかなと思われた方もたくさんいらっしゃるかもしれないんですが、日本というのは、人口千人当たりで二・四人、OECD加盟国の平均三・五人は遠く及んでおりませんし、都道府県単位で見た場合もOECD平均の三・五人に達する地域が一つもないと言われていて、やはり国際的にも少ないと思うんです。

 私たちれいわ新選組は、やはり医師や医療従事者の数を増やして、長時間労働や医療事故を防ぐ、そしてまた現場の負担を減らしていく、全ての人に行き渡る医療を政府による公金の投入によって目指すことを基本政策に掲げております。今日皆様からいただいた意見を基に、またしっかりと審議していきたいと思います。

 ありがとうございます。

大串委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 参考人の皆さん、本日はありがとうございます。

 最初に、岡本参考人にお伺いします。

 先ほどの御意見の中で、周りの先生の目つきが変わっている、借金が頭をもたげる、そして破綻寸前、大変厳しい地域医療、医療機関の経営状況がうかがえるところなんですけれども、クリニックを中心にどういう経営状況にあるのか教えていただきたいのと、誰も取れない点数がアップしているこの診療報酬の在り方について、どこをどういうふうに見直せばいいのか。教えていただけますでしょうか。

岡本参考人 病院は悪いですよね、まず。僕は一般の会社じゃなかったからよく知らなかったんですけれども、二期連続赤字だと銀行がお金を貸してくれないんですね。初めて知りました。三期連続だと見放されちゃうんですね。そんな病院が周りにいっぱいあって、結局、だから、社員旅行とか社員研修とか、そういうものもできないと言っています。

 話すと、さっき言ったような、毎日三百万円ずつ赤字が増えるよとか、それは決算書を見れば毎期赤字で、内部留保があと二・五年で全部なくなるとか、今年なくなったので運転資金を借りましたとか、そういう病院が、たまたまじゃないんです、普通にやっている病院が今そうなっています。

 だから、みんな、二年前の改定のときは、そう思いながらも何かずるずるずると決まっちゃって、ええっみたいな感じで始まったんですけれども、今回はすごくみんな危機意識が物すごく強くて、病院はもうできないよねという話をしていますね。

 診療所は、診療報酬、前回の件で減ったんですけれども、減ってどこがやはり弱くなるかというと、なかなか上手に点数が取れないところ、そういうところは、点数が取れなくて結構閉めたりするんですね。高齢者の先生とかは、もういいやと結構やめています。あと、地方の診療所も結構やめています。だから、本来とは違って、残らなきゃいけないところがやはり残らないで、逆の作用が出てくるんですね。

 よく僕は言っているんですけれども、勤務医から開業するときに、みんな、サラリーマンの人たちは、じゃ、何倍ぐらいだったら自営業者になりますかと言うと、みんな、二倍とか二・五倍とかいろいろ言うと思うんですけれども、リスクを負うわけなので。だけれども、このままいくと、勤務医をやっていても開業しても同じだったら、多分、町で診療所をやる人たちはいなくなっちゃうのかなと最近しみじみ思っています。

 取りにくい点数はいっぱいあるので、これは誰も取れないだろうとか、これを取るために五倍ぐらいコストがかかるだろうとか、たくさんあります。民医連の先生方とかにも聞いていただければ、たくさん出てくると思いますね。もう少し柔軟に点数の対応とかも書類とかやっていただければ、僕たちも、何か実のある診療報酬の改定になるのかなとは思っています。

 以上です。

田村(貴)委員 神野参考人にもお尋ねします。

 十月二十九日の四病院団体協議会の病院医療提供体制を維持し地域医療を確保する為の要望書については読ませていただきましたし、次期報酬改定で一〇%以上の引上げが必要だといったところは当然の要求だというふうに思います。

 この四病院の中で、日本病院会の相沢会長とも、私ども、先日懇談をさせていただきました。賃金を上げたくても上げられない、十二月の報酬改定では是非とも緊急財政支援が必要だというお話も聞いたんですけれども、全日本病院協会の病院の経営状況についても教えていただけますでしょうか。

神野参考人 ありがとうございます。

 先ほど御紹介いただきました四病院団体協議会で調査をしてございます。全日本病院協会は、どちらかというと民間病院が主でありますので、より厳しい状況にあるということであります。六割方がやはり赤字病院であるということになります。

 今、人事院勧告で、公立病院さんは、人事院勧告に準拠しなきゃいけないから私たちは賃上げが必要でする、だから赤字なんだというふうにおっしゃっておりますけれども、私ども民間病院は、人事院勧告のとおりに賃上げをしてしまうと、ますます赤字が大きくなるということになってしまいます。人事院が勧告したのならば、その分はきちんと診療報酬で面倒を見てもらわないと困るというのが私どもの主張でございます。

 公私のイコールフッティング、同じ土俵に立っているかどうかということからすると、日頃から、総務省のいろいろな補助金等々、運営交付金といったものが公立病院にはついておりますけれども、私どもはもらわないで同じ土俵で医療をやっている。その上に人事院勧告ということでありますので、賃上げするためにも、人事院勧告の分はきちんと報酬としてつけていただかないと合わない。したがって、一〇%以上ということを要求したいというふうに思ってございます。

 ありがとうございます。

田村(貴)委員 続いて、山田参考人にお尋ねします。

 先ほど参考人から、データに基づかず過剰な病床削減が起こることになれば、医療提供体制の縮小の加速と患者の受療権の侵害が起こるというお話がございました。

 私は、先週のこの厚生労働委員会で、地域の介護そして医療が密接に連携している新潟県立松代病院が、今度、赤字を理由にして入院病床削減という動きの話をしました。この病床数の削減というのが、今、厚生労働省が目指す次の地域医療構想の中で、必要な入院もできなくなるんじゃないか、今まで保っていた、通所、それから自宅での介護と医療機関の連携が、元々、崩れてしまうんじゃないかという懸念を私は持っているんですけれども、山田参考人のお考えを聞かせていただきたいと思います。

山田参考人 拙速に今病床数を削減するということについては、その受皿の整備が全く追いついていないというのが一番の問題だというふうに思っております。

 発言でも申しましたように、介護事業所の経営は医療機関以上に厳しい状況があって、地域から介護事業所や訪問介護事業所等がなくなるという事態は報道を広くされているところだというふうに思います。

 削減に前のめりになるが余り、それ以外の整備が追いつかなければ医療需要に追いつかないという事態が容易に生じるというふうに思いますので、是非慎重であってほしいというふうに考えます。

 以上です。

田村(貴)委員 続いて、山田参考人にお尋ねします。

 期中改定とそれから診療報酬の一〇%引上げというお話もあったんですけれども、経営に大きな影響を与えているその要素の一つは消費税だと思うんです。この消費税の負担について、先生は民医連の副会長もされていると思うんですけれども、病院はどういう今状況にあるか教えていただけますでしょうか。

山田参考人 ありがとうございます。

 消費税の負担は、当法人でいいますと、今年度の上半期だけで二億三千万になります。これは、実は当法人の上半期の赤字部分とほぼ同額という形になります。病院ほど損税が発生するというのはこの場の議論でも出されたというふうに思いますけれども、控除対象外消費税負担については、四病院団体協議会が要望を上げたように、病院においては、軽減税率による課税取引への移行等を含めて、実態に即した仕組みで、損税が発生しないようにお願いしたいというふうに考えております。

 以上です。

田村(貴)委員 ありがとうございます。

 山田参考人に、続いて、医師の需給の見通しに関してお尋ねしたいんですけれども、帝国データバンクによりますと、診療所の倒産、廃業の増加の背景には医師の高齢化があるという指摘があります。まず、この高齢化とか医師の過酷な働き方が現場にどういう影響を与えているのでしょうか。

 あわせて、イギリス、ドイツ、アメリカなどでは医師の養成数の増加にかじを切ったということでありましたけれども、どうした議論があってそういうふうになっていったのか、日本との議論の違いは一体どこにあるのかといったことについても教えていただけないでしょうか。

山田参考人 当法人には十七の医科、歯科診療所がありますけれども、所長の最高齢は八十歳、定年延長や定年直前の医師が五名所長を務めていただいていて、診療所の所長の高齢化問題というのは都市部にあっても僻地と同じように大変な状況があります。かつ、そういう先生方に通常勤務をお願いせざるを得ないような状況がございます。それでも、上半期でいえば、その十七の診療所の半数が赤字という深刻な事態にあるということです。

 経営改善と医師の補充という形で診療体制が継続できなければ、地域の最前線で医療を支える診療所が成り行かなくなる可能性が都市部でもあるということは知っていただきたいというふうに思います。

 それから、諸外国の医師養成数の増加の議論でございますけれども、背景にあるのは、人口の高齢化、医療需要の急増、あるいは医師の高齢化、過重労働の問題というのが共通してあるということでございます。このことは日本の現状を説明したとおりでございます。

 ドイツでは、コロナ禍での過疎地域での医師不足や長時間労働を契機に増員の議論が進んだというふうに報道されております。

 ドイツは、開業規制、それから地方勤務や家庭医のインセンティブ、地位向上など、今回、医師の偏在対策の是正に向けた総合的な対策パッケージ、地位向上など日本のこれからやろうとしている取組に似た手法で、長年ある意味日本よりもより強制的に偏在対策等を行ってきたにもかかわらず偏在が解消しないということで、日本でいう地域枠の拡大、それから医学部の定員増員にかじを切ったというふうに報道をされております。また、需給計画については、より正確性を期すために地区単位で細かく設定をして調査をするというような、より実態を正確に把握する見直し、取組を行っているというふうに聞いております。

 医療制度の違いを前提にするにしましても、EU諸国の中では比較的日本と近いとされるドイツで医師偏在解消に向けて医師増員の提案がなされたということは、注視すべきことというふうに思います。

 以上です。

田村(貴)委員 コロナ禍の最大の教訓というのは、いざというときの余裕、サージキャパシティーがないといけないという議論が続いてきました。しかし、小泉政権以来、厳しい医療費抑制策が取られてきました。

 いざというときの余裕はどうなっているのかということについて、サージキャパシティーを回復するためにはどういうことが必要なのかということを遠藤参考人と山田参考人にお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 遠藤参考人は、感染症対策の下で、必要病床数はこのままでいいのかという議論も今後起こり得るのではないかということを書いておられたので、質問させていただきます。よろしくお願いします。

遠藤参考人 ありがとうございます。

 まず、体制として、不確実性の高い感染症が起きたときに個々の病院がどうするかということは、今度、医療計画の中でそういう対策が求められてきたということで、そういう対策が個々の病院で取られていくことになるんだと思いますけれども、問題は、じゃ、財源をどうするのか、そこのところがまだはっきりしていないというふうに私は理解しておりますので、それは今後の議論だというふうには思っております。

山田参考人 当法人の急性期病院でいえば、安定経営のためには、病床稼働率が九四%以上、平均在院日数が十一日前後、回復期機能病院でいえば、更にそれ以上の稼働率がないと経営が成り立たない状況になっています。九四%以上といいますが、感染対策や翌日の予約ベッド等を考えれば、ほぼ一〇〇%ベッドが稼働しているというような状況ということになります。

 また、診療報酬でいえば、様々な加算部分に対応して、関連する書類とかカンファレンスだとか、タスクシフト等で追いつかない業務、それから入退院の患者が増えることで現場の医師や看護師がかなり疲弊しているというような、負担にもなっております。平時から、病床稼働率が八〇%前後で経営が成り立つ、有事に備えた空き病床の確保を医療計画に位置づけることが必要ではないかというふうに思います。

 働き改革と併せて、平時から医師や看護師が残業することなく診療が成り立つように、ゆとりを持った人員配置、それを保障する診療報酬の増額、特に、加算要件方式を改めて、入院基本料等に包括し増額させることを求めたいと思います。

 以上です。

田村(貴)委員 大変勉強になりました。参考人の皆さん、ありがとうございました。

 終わります。

大串委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 参考人の方々におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 次回は、明二十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十三分散会


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