衆議院

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第7号 令和6年4月3日(水曜日)

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令和六年四月三日(水曜日)

    午前八時四十一分開議

 出席委員

   委員長 岡本 三成君

   理事 小林 鷹之君 理事 鈴木 隼人君

   理事 松本 洋平君 理事 山下 貴司君

   理事 荒井  優君 理事 山岡 達丸君

   理事 守島  正君 理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    石井  拓君

      加藤 竜祥君    神田 憲次君

      国光あやの君    鈴木 淳司君

      関  芳弘君    冨樫 博之君

      中川 貴元君    福田 達夫君

      細田 健一君    宮内 秀樹君

      宗清 皇一君    山際大志郎君

      山本 左近君    吉田 真次君

      和田 義明君    若林 健太君

      大島  敦君    落合 貴之君

      小山 展弘君    重徳 和彦君

      田嶋  要君    山崎  誠君

      市村浩一郎君    小野 泰輔君

      山本 剛正君    吉田 宣弘君

      笠井  亮君    鈴木 義弘君

    …………………………………

   経済産業大臣       齋藤  健君

   経済産業大臣政務官    石井  拓君

   経済産業大臣政務官    吉田 宣弘君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       浅野 敦行君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           奥野  真君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官)    辻本 圭助君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           浦田 秀行君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 村瀬 佳史君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (気象庁大気海洋部長)  室井ちあし君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 前田 光哉君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     勝目  康君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     古川 直季君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 直季君     加藤 竜祥君

同月三日

 辞任         補欠選任

  山際大志郎君     高木  啓君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     山本 左近君

同日

 辞任         補欠選任

  山本 左近君     山際大志郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案(内閣提出第一六号)

 二酸化炭素の貯留事業に関する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――

岡本委員長 これより会議を開きます。

 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま本委員会において審査中の内閣提出、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案及び二酸化炭素の貯留事業に関する法律案の両案に対し、環境委員会から連合審査会開会の申入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 また、連合審査会において、政府参考人及び参考人から説明又は意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、本連合審査会は、本日午前九時から本委員室において開会いたしますので、御了承願います。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前八時四十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案及び二酸化炭素の貯留事業に関する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房学習基盤審議官浅野敦行さん、文部科学省大臣官房審議官奥野真さん、経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官辻本圭助さん、経済産業省大臣官房審議官浦田秀行さん、資源エネルギー庁長官村瀬佳史さん、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄さん、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長久米孝さん、気象庁大気海洋部長室井ちあしさん及び環境省大臣官房審議官前田光哉さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岡本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山岡達丸さん。

山岡委員 山岡達丸です。

 質疑の機会をいただきました。本日は、今この日本の産業の脱炭素化に向けて大きな鍵を握る水素、CCS、これに関する二法案について二回目の質疑をさせていただいております。

 前回に引き続いて、国内の状況、今回、私の立場からも、特に水素、アンモニア、この辺りについて今日は質疑をさせていただきたいと思います。

 会場には皆様に資料をお配りさせていただいておりますが、私たちの国と似ている部分も多いとされるドイツ、再生可能エネルギーは導入を大きく進めようとしている地域ではありますけれども、他方で、工業国でもあり、私たちと様々な環境が近いドイツがどういう動きをしているかということをまず資料としてお配りをさせていただきたいと思います。

 ドイツ政府は、二〇二三年の七月二十六日に国家水素戦略を改定して、発表されています。この原本をこちらで持ってくると大変な量ですので、ジェトロが分析したレポートが十月に出ていますので、その資料をお渡しさせていただいておりますけれども、この中で、ドイツの状況を見ても、水素は非常に需要が拡大してくると。その中で、やはりドイツであっても国外からの水素輸入をまず現実的な選択肢としてやっていくということが発表されたということが、ジェトロの中で、レポートの大きなポイントとして描かれています。

 その上で、発電用途というところにも、中略して、今皆様にお配りした資料にありますけれども、このドイツにおいても、水素火力発電の電力需要が役割として大きい、再エネの弱点である供給の不安定さに対応するんだということで、二〇四五年の発電用水素需要量として、それぞれ数字はここに記載されておりますけれども、一定程度、今必要としているんだということが記載されているわけであります。

 この中で、具体的な電源としても、水素スプリンター発電所、一時的な水素発電所という意味になろうかと思いますけれども、運転当初からグリーン水素又はアンモニアを燃料とする火力発電所の入札も二〇二四年から二八年に実施ということが記載されているという状況であります。

 資料の二枚目は、このほど報道がありましたけれども、夏までにドイツが閣議決定予定の発電所戦略、より具体化した発電所戦略の中でどういうことを決めていこうかということがドイツの連立政権の三党の党首間で合意されたというリポートで、これはドイツ政府が発表している資料であります。

 これは英語で書かれていますけれども、要約しますと、今後ドイツは速やかに水素対応ガス火力発電の入札を十ギガワット行って、二〇三五年から四〇年に水素専焼に切り替える、その時期は具体的には二〇三二年に決定するんだ、水素は、できればグリーン水素を目指すけれども、ブルーなどの水素も活用することということを明記している、また発表であります。

 そしてまた、資料の三つ目でありますけれども、これは、つい最近、三月二十五日の日経新聞のインタビューにドイツ財務政務次官が今のドイツの状況について答えたものであります。様々広く経済情勢のことなども書かれているんですが、エネルギーのことも、今線を引っ張っておりますけれども、様々、ロシアの関係性の変化の中で、電力価格の高騰で産業の空洞化を懸念されるそのインタビューに対して、いわゆる脱原発も含めた、「何でもやめればいいというものではない。再生可能エネルギーの拡大には賛成だが効率的なガス火力発電所は必要だ。石炭火力だってしばらくあっていい」ということで、ドイツもかなり現実的なステップを踏みながら最終的に目指していくんだということを描いている資料がここ最近特に見られるようになりました。

 ドイツは二〇三八年に脱炭素発電を完全に実施するということも法律で決めていますから、恐らく、このリポートとも併せて考えますと、二〇三五年から二〇四〇年までの間に水素、アンモニアの専焼の発電というのを実現していくんだろうということを思ったときに、私たち、この水素、アンモニアの混焼の議論であったりあるいは専焼の議論であったり、専焼までの道のりは非常に遠いんじゃないか、混焼は脱炭素としてまだまだそのパーセンテージが十分じゃないというようなお話がありますけれども、しかし、世界の流れを見ますと、私たちが思っている以上に専焼化というのの実現は早いんじゃないかということが想像されるんです。

 まず政府に伺いますけれども、政府として、こうした水素、アンモニアの専焼の発電はこの日本国内においていつ頃までに実現できると、そうした考えを持っているのか伺いたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、ドイツ政府の発表によれば、新しい火力発電所は二〇三五年から二〇四〇年の間に天然ガスから水素に切り替える方向というふうに承知いたしております。また、米国でも、水素混焼から開始しまして二〇四五年までに水素専焼に切り替えるプロジェクトの検討が進められていると承知しております。

 こうした諸外国において水素専焼に向けた取組が進められる中で、我が国におきましては、専焼の実現に向けて技術の確立とサプライチェーンの形成の両面で制度的支援の実施を検討いたしております。具体的には、グリーンイノベーション基金等を通じまして、水素及びアンモニアの専焼による発電の技術開発から社会実装まで支援しておりまして、その実現に向けては、水素専焼の大型ガスタービンは二〇三〇年度まで、アンモニア専焼の小型ガスタービンは二〇二五年度まで開発が行われる予定となっております。

 また、社会実装に関する、本法案に基づく価格差に着目した支援は、二〇三〇年度までに供給開始が見込まれる低炭素水素等のサプライチェーンの形成を支援するというふうに考えてございまして、専焼の実現時期につきましては、様々な要因がございますけれども、今のようなタイムスケジュールを踏まえて、できるだけ早く我が国での導入を実現できるよう必要な取組を進めていきたいと考えております。

山岡委員 混焼ではなくて専焼になれば、それは理論上一〇〇%の脱炭素といいますか二酸化炭素を出さないエネルギーという形で安定的な電力供給ができるということになる中で、今御答弁ありましたけれども、二〇三〇年度には水素、そして二〇二五年に、小型のガスタービンではあるもののアンモニアについてもいろいろ専焼に向けた可能性のある技術ができてくるということで、私は結構、この技術というのは、本当に力を入れていけば日本としてかなり早いタイミングで実現できていくのかなということも今の政府の答弁からうかがうことができるということを感じさせていただきます。

 その上で、これは、資料四にお配りしております、皆様もう十分御承知のことでありますけれども、IEAの、世界各国の二酸化炭素の排出量ということになりますが、日本は三%程度、これは二〇二一年ですので最近のデータではまた少し差はあるかもしれませんが、おおむね三%程度と言われている円グラフ、この右上に日本があります。これは、G7とG7以外の二酸化炭素の排出量をグラフとして出しているものでありますけれども、やはり世界の二酸化炭素の排出量、G7以外の国々、中国、インド、ロシア、様々国が掲げられていますけれども、そうした国々がこの二酸化炭素の排出量の六割を占めているんだということが資料にもございます。

 こうした国々、エネルギーの構造転換は、産業への影響とか雇用への影響とか、私たちの国日本でもその点は十分配慮しながら進めていかなきゃいけない、そういう状況ではありますけれども、例えばアジア諸国においては石炭火力が中心になっているわけでありますけれども、そこから脱却する、それに伴う産業構造の大きな変化を一方的に私たちが求めても、我々の国以上にそんなことはとても簡単なことじゃないということは、皆様とも想像を共有できると思います。

 大臣は、三月二十七日の答弁で、中国や韓国もアンモニア混焼技術の開発に参入し始めているということを述べて、いわゆる窒素酸化物や一酸化二窒素への対応とか、アンモニアの着火や燃焼の安定化、そうした課題への対応は日本が優位だ、大気汚染が深刻なアジア諸国で、中国や韓国との差別化を図る意味で追求すべき技術だ、いち早く信頼性の高い脱炭素技術を商用化して、産業政策として、こうした、先ほどのグラフでもお示ししましたけれども、かなりの地域が石炭に依存していて、しかも産業構造の転換が難しいところに対して、新たな高度なアンモニア混焼、専焼という形の産業をアジアのマーケットに、市場に、何としても獲得するんだという強い決意を述べていただいて、そのことは非常に強い共感をさせていただくわけであります。

 政府に伺いますけれども、大臣が日本が技術において優位であると答弁しているわけですが、具体的に政府に、この点、どういう点なのかも答弁していただきたいんですけれども、アンモニアはやはり毒性があるとも言われていまして、ただただ燃やせばいいというものじゃなくて、その取扱い、設備含めて、トータルの技術力というのをパッケージとして日本がやはりアジアの各国に持ち込むことができる、そのことが非常に重要だということは私も感じるわけですが、優位点について政府から御説明いただけますか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のアンモニアを安全に取り扱うノウハウ、パッケージでございますけれども、一九七〇年代以来、発電所では脱硝用途でアンモニアを取り扱ってきた実績がございます。アンモニアの受入れ、輸送、取扱いにおいて、日本は安全に利用するノウハウを有しており、蓄積も極めて高いと考えております。

 加えまして、アンモニアを発電分野などにおいて燃料利用するための鍵となるのが燃焼技術でございまして、アンモニアは窒素を含む物質であるため、燃料利用に当たっては、大気汚染物質であるNOxや温室効果ガスである一酸化二窒素の排出を抑制しつつ利用する必要がございます。また、燃焼速度が遅く燃えにくいため、未燃分を抑制する燃焼技術の開発が必要でございます。

 日本では、これらの課題を解決できる燃焼技術の開発を進めてございまして、グリーンイノベーション基金等で、既に、商用運転中の発電所の実機を用いて大規模な実証を行う予定、こういう段階に至っております。大規模実証の結果、開発された技術が実際の発電所に適用可能であることを確認できれば、御指摘のとおり、アジアを中心に、グローバル市場において優位性を確保できると考えてございます。

 また、優位性を確固たるものとするべく、発電所での燃料アンモニア利用時のNOx値あるいは未燃アンモニア分を計測する運用の国際標準化に向けまして官民一体で取り組んでおりまして、こうした技術の強みを産業競争力にもつなげていければというふうに考えてございます。

山岡委員 ありがとうございます。

 だからこそ、私の立場からは、日本国内でこの技術を高めていくに当たっても、アンモニア混焼も含めた火力発電所の技術をきちんと国内で実装していく、そのことに挑戦していくことが必要だというふうに考えています。

 大臣に伺いたいんですけれども、この脱炭素の議論、自国が二酸化炭素を減らすことの議論が中心的でありますけれども、やはり、先進国がアジアなどにどうコミットしていくか、こういう部分も、どういう国際的な貢献ができるのか、このことが、他国に貢献することがきちんと評価されるような、そういう議論というのを、例えばCOPも含めて様々な会議がありますけれども、そうしたことを持ち込んでいく必要があると思いますが、大臣、御見解を伺えればと思います。

齋藤(健)国務大臣 山岡委員が先ほど言及されましたそのグラフを見ても分かりますように、日本のCO2は世界の三%で、ほとんどが途上国で出しているということを考えますと、日本の技術を用いて途上国で減らす、CO2発生を減らすということが、実は地球全体を考えたときに非常に重要な要素なんだろうと思っています。

 御指摘のように、アンモニアや水素の発電利用等の脱炭素技術について、国際理解を醸成するため、G7やCOP等の国際会議の場を活用して、展示や関連セミナーを実施するとともに、これらの技術の重要性をこれまでも主張してきています。

 アジアにおきましては、日本の技術を活用してアジアの脱炭素化に貢献すべく、アジア・ゼロエミッション共同体、AZECを協力枠組みとして立ち上げました。現在、三百五十件以上もの協力が進行中であります。

 こうした地域への貢献は我が国のCO2削減にとっても重要な取組でありまして、広く国際的にも評価されるように、技術導入に向けたプロジェクトなどの実績を積み重ねつつ、その成果を積極的に発信をしていきたいと思っています。

山岡委員 是非、そうしたほかの国々への貢献というのは、やはりきちんとした評価がされるべきだと思いますし、そこを目指して技術開発を進めていただきたいということを強く私の立場からは申し上げさせていただきます。

 私の地元の選挙活動のエリアでもありますけれども、北海道のことに話を移しますけれども、北海道でも、苫東厚真火力発電所という、百六十五万キロワットの巨大な、道内最大規模のいわゆる安定供給電源、石炭で動いています、火力発電所がありまして、前回の質疑では、洋上風力その他再生可能エネルギーがこれから水素化していくことに非常に大きな希望を持つということも申し上げましたが、他方で、実際の現実的な北海道民の暮らしとかあるいは産業のことを考えれば、この火力発電所が百六十五万キロワットで存在している、基幹的なエネルギーとして支えているというのは非常に大きいですし、もちろん、再エネの調整の支えにもなるわけであります。

 北本連系線が北海道はありますけれども、やはり電力構造を見ますと再エネのみというわけにもいきませんし、過去には、二〇一八年九月には北海道の胆振東部地震で全道停電というブラックアウトも経験して、そのときもやはり大きな火力発電所の役割というのが改めて見直されたわけであります。そうしたことを考えたときに、やはり、今のアジアと似ている部分もあるといいますか、今の道民の暮らしのことを前提に、それでも脱炭素化に向けていく道筋として、この巨大な火力発電所をアンモニア混焼等を含めながらいろいろな挑戦をして脱炭素をしていく、やれることの道筋としてその道をやはり考えていくということを地元の事業者も含めて今考えているという状況であります。

 ここで、大臣にも改めて伺いたいんですけれども、水素基本戦略において、水素、アンモニアの拠点は全国で五から八か所程度と、トータルで八か所程度ということでしょうか、されています。場所の選定は、当然、地域の消費量とかニーズに合わせて決定されるものだということは思うわけでありますけれども、北日本にやはり一つ以上の拠点はなきゃいけないんじゃないかということを思うわけです。

 東北を含めてそうした拠点というのは必ず必要になるんだろうと思うときに、苫小牧という地域は、石油の備蓄の拠点でもあります。これは、いわゆるエネルギー安全保障上の観点から、苫小牧はそういう石油備蓄ということも担ってきたわけでありますけれども、このアンモニアというのも、様々、電力の脱炭素の中で必要なものとされてくるのであれば、やはり備蓄という概念の中で拠点決定というのを考えていくというのも重要な視点じゃないかと思うわけでありますけれども、大臣の御見解をお願いいたします。

齋藤(健)国務大臣 アンモニアの備蓄についての御質問だと思いますが、まず、一般論として、エネルギー政策では、SプラススリーEの考え方に基づいて、調達先の多様性や備蓄といった手段によって安定供給の確保を進めていくということが必要なわけで、一方で、今回の法律案は、水素、アンモニア等のサプライチェーン、これを構築することが目的でありまして、拠点整備支援の計画認定に当たっては、そういう意味では、まだ、備蓄の観点から評価を行うこと、これは考えていません。

 ただし、御指摘のとおり、今後の視点として、水素、アンモニア等への依存度が高まってきた場合には、その段階で備蓄についての検討が必要となる可能性はもちろんあります。このため、現在、JOGMECにおいてLPガス低温タンクをアンモニア貯蔵へ転用するための技術的な検討を進めているところであります。

 今後、水素やアンモニア等の導入を拡大していく際には、御指摘のようなエネルギー安全保障の観点も含めて、様々な観点から検討を進めていく必要があるんだろうと思っています。

山岡委員 大臣に御答弁いただきました。ありがとうございます。

 この水素社会推進法は、かなり長期にわたって今後のことを描いていくということになろうと思います。ですので、先ほどの視点、今後のことを見据えたときにというお話でありますけれども、是非、重要な視点だと思っておりますので、様々この中で今後検討していただきたいということをお伝えさせていただきたいと思います。

 そして、ドイツも当面輸入を見込むという話もありました。北米やカナダなどから大型輸送船による搬送ということで考えれば、苫小牧というのは港の規模としても非常に優位でもあります中で、なぜ私が苫小牧のことを申し上げるかといえば、御存じのとおり、やはりCCSの拠点でもあります。これはもう間違いなく、実証試験を地域の皆様、漁業者の皆様の協力の中で進めてきた地域でもあり、その中で、自動車や紙であったりとか、あるいは、今後はデータセンター、隣の地域には、先端半導体のラピダスなどを含めて、様々エネルギーの脱炭素化も必要とする地域、産業も集積している中で、苫東厚真の火力発電所も隣の地域で、様々なものが集約している地域でもあります。

 このいわゆるいろいろなものが集積しているということによって、私は、この脱炭素の社会実装において、各地域の事業者も巻き込む中で、新しい形、相乗効果の中で、もしかしたらいろいろな課題も見つかるかもしれませんけれども、しかし、いろいろな展開も見込めるんじゃないかということを強く感じるわけであります。

 是非、地域としていろいろなものを集約していくという取組に挑戦していく、この火力のアンモニア混焼もそうですけれども、そうした挑戦も含めて、地域のそうした努力を見ていただいて、また様々な形でサポートもいただきたいということを大臣にお願いしたいと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 私は、苫小牧は、日本初となるCCSの大規模実証試験、これを実施しております。石炭火力発電所や製油所と大規模な港湾設備、これを有しています。脱炭素に向けたポテンシャルが高い地域だと認識しています。

 地域産業構造の特性を生かした形で脱炭素技術を活用することで、産業競争力の強化と脱炭素の両立につながる、こう考えておりまして、地域一体での意欲的な取組を私は大いに期待したいと思っています。

 水素社会推進法案では、個別計画の申請があった後、厳格な審査を踏まえ認定することになります。仮に、同地域から申請があり採択された場合には、本法律案に基づく拠点整備支援を通じてしっかり後押しをしていきたいと考えています。

山岡委員 苫小牧は、港も含めて、脱炭素、カーボンニュートラルポートというのを掲げて、本当に地域で頑張っていこうということをやっているところでありますので、今お話がありましたけれども、是非大臣にも御注目いただければと思います。

 計画認定のお話をいただきました。この計画認定について、今回ちょっとこれは課題ではないかということも少し伺いたいと思います。

 今回、電源がいわゆる水素であったりアンモニアの混焼に切り替えていくということで、その中では、価格差支援の部分の計画が認められて、それと同時に、電源のいわゆる固定費の回収をするための長期脱炭素オークション、こちらでも認められなければ事実上進めることができないんですが、これはそれぞれ別々の制度になっているわけであります。

 これは、どちらかが認められないともうこれは降ろすことができるとか、いろいろそういうような措置はあるようでありますけれども、本当に水素社会を進めるのであれば、ばらばらの制度の中で進むのではなくて、計画が認定されれば、やはり脱炭素オークションの中でもきちんと認められる、あるいは優位に立てる、そういう制度じゃなければ、事業者は、せっかく計画を立てても、今度はこっちの方で駄目だったから結局駄目でしたと。相当長期のプランを立てようとしているのに、予見性が持てないような仕組みのままになっているんじゃないかということを感じるわけでありますが、政府、御答弁いただけますか。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 価格差に着目した支援制度は、低炭素水素等の供給事業者の投資予見性を確保することで、先行的で自立が見込まれるサプライチェーンの構築を目指す制度であります。

 一方で、長期脱炭素電源オークションは、水素やアンモニアといった脱炭素型の火力を含め、脱炭素電源への新規投資を促す措置であり、様々な電源種混合の競争制度であります。

 このように、両制度は目的や条件が異なりますことから、価格差に着目した支援制度で計画認定を受けた案件を自動的に長期脱炭素電源のオークションの落札電源とすることは適切ではないというふうに考えてございます。

 ただし、両制度を組み合わせて投資判断を行う事業者に配慮し、価格差に着目した支援制度の計画認定を受けられない場合、長期脱炭素電源オークションからのペナルティーなしでの市場退出を認めるという措置を取ってございます。

山岡委員 この後、大臣に伺いますが、今のお話でもやはりちょっと違和感を感じるわけでありますよ。どちらも脱炭素を目指す、でも目的が違うんだということをはっきり今言いました。その中で、両制度を組み合わせやすいようと言いますけれども、事実上、組み合わせないとこの電源というのは長期にわたって経営ができないということはもう明らかな状況なわけであります。

 その中にあって、今制度が二つある中で、自動的に両方とも採択というのが、そこまではいかないにしても、私は、やはり、水素のこの計画で認められるのであれば、固定費の部分もきちんと認めて、長期にわたって電源が経営できるような環境を整えるというのが政策の整合性じゃないかなということを強く申し上げさせていただきたいと思います。

 大臣にお伺いしますけれども、この制度というのは、やはり、過去の電力の自由化議論の中で生まれてきたオークション制度で、何でも市場で決定しなければならない、なので電源も長期の様々な固定費を回収するにおいても自由化の市場の中で決定しなければならないという制度と、ここ最近、半導体への大きな投資であったりとか、あるいは水素、CCSもそうですが、長期にわたって産業政策として経産省として様々コミットしてやっていかなきゃいけないという、この大きな流れのはざまの中で二つが今走っているんじゃないかなということを感じるわけであります。

 昨年、いわゆるGX電源法の中で原子力基本法も改正されました。原子力をめぐっては、それぞれ会派で将来どれぐらい依存するのかという考え方は違うわけでありますけれども、しかし、私たちの会派であっても、今現存している原子力についての安全性を高めるということについては、もちろん廃炉のところまで見据えたときに、そこも含めれば、やはり安全性は一日も早く高めていかなきゃいけないということは当然考えるわけでありますし、法文の中にも、経営状況にかかわらず、原子力の安全性は高めるということは書かれているわけです。附帯にも書かれています。

 今回、脱炭素についても、特に、無数にある電源ではなくて、大型電源というのは限られている中で、そうした既存の電源が一日も早く脱炭素を目指すということは、これはこれで大いに進めていくことは意義があることだと私は思うわけでありますけれども、それがなぜか、一方は計画で認定するわけですけれども、もう一方の元々の部分は、自由化議論の名残の中である市場制度の中で、この中の入札で、もしかしたらそこで入札で落札できるかもしれないけれども落札できないかもしれないんですという制度の中で、やはり、こうした中で、例えば脱炭素も進まない、安全確保も進まない、そうしたことになるのは今回の法案の推進の趣旨に反するんじゃないかということを強く感じるわけであります。

 これは、今二つを同時に認めるべきじゃないかという話よりももっと広い話でありますけれども、電力自由化の中で何でもかんでも市場で決めればいい、そういうふうに決めてきたことで、今、火力発電所とかも予想以上に早くなくなって、つい最近、電源の逼迫とか、いろいろな課題が表面化しているところでありますけれども、是非大臣に、制度全体を総合的に見直していただきたいと思いますが、御見解をいただきたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 まず、エネルギー政策を進めるに当たりましては、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合、こういった要素を踏まえて考えていくことが必要でありますので、経済効率性を確保しつつ、脱炭素電源への安定的な新規投資を促進していく、やはり、この両面がどうしても必要なんだろうと思っています。

 御指摘の長期脱炭素電源オークションは、価格競争を通じてコスト抑制を図りつつ、脱炭素電源への新規投資を促進するという制度であります。委員御指摘のように、投資案件を何でも支援していってしまうと、経済効率性が失われて、いたずらにコストが増大するおそれが出てくるわけであります。申し上げましたように、やはり安全性、安定供給、経済効率性、環境適合、これを全て踏まえる必要があります。

 一方で、委員御指摘のように、脱炭素電源への投資自体を強力に進めていく必要性というのは、我々も強く認識をしています。まず、一月に行われた長期脱炭素電源オークションの初回の応札結果、これを踏まえながら、しっかりと脱炭素投資が進む事業環境を常に見直しながら整備をしていきたいというふうに考えています。

山岡委員 大臣おっしゃいましたけれども、何でも支援じゃないんですね。採択は、計画をちゃんと採択するところで判断があると思うんですよ。それとは別に、自由化の中の市場の設計の制度の中で、また別の制度で、別の目的の、先ほど話がありましたけれども、理由で、そして進まないかもしれない、それは事業者が予見性を持てないんじゃないかということで、この議論はまたさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、小山展弘さん。

小山委員 静岡県中東遠地域の出身の小山展弘です。

 それでは、質問させていただきたいと思いますが、今、ちょうど山岡議員のお話も伺っておりまして、市場原理に委ねる委ねないというようなお話がありまして、違う観点でちょっと感じましたのは、私は、全ての産業に同じような競争の在り方、同じような需要と供給があるわけじゃない、産業ごとに競争の在り方というのは違うんじゃないかなと。そのことをやはり踏まえないといけないのではないかということを常々思っておりまして、農業と、私の地元なんかも繊維産業がかつて盛んでして、そういったところの繊維をやっていた方々からすると、こういった支援の金額が多いというようなことについて、やはり、我々のところにはなかったじゃないかというような話もよくあるわけですけれども。

 しかし、だけれども、食料安全保障であったり、今の電力の供給であったり、あるいは、ひょっとしたら鉄道事業なんというのも、全然これは競争の在り方は違うんじゃないかな、そんなことも感じながら、今、山岡議員の質問の最後のコメントを伺っておりましたですけれども。

 最初にまずお尋ねしたいと思いますが、火力発電所のアンモニア混焼とか、そういったことが今回の法案でも議論されておりますけれども、そもそも発電所、火力も原子力も、あるいは水力も含めて、目的は何かといえば、当たり前の話ですけれども、それは電力の供給と思います。一方で、今まさに法案審議されておりますとおり、CO2の排出削減も図っていかなければならないとの観点から、電力供給に伴うCO2削減のためにアンモニア混焼を行う、こういう政府方針また法制定と認識をいたしております。

 電力を供給しCO2削減を図るというこの目的からすれば、午前中の合同審査の近藤昭一議員の質問にもありましたが、再生可能エネルギーの太陽光発電とかあるいは風力発電、ほかにもいろいろ地熱とかありますけれども、こういったことに注力していく方が、発電段階でCO2が排出されず、水素生産の過程でもCO2が排出されず、またCCSによって貯蔵する必要も発生しない。CO2の削減の観点からも、コストの観点からも、メリットが大きいのではないかと思いますけれども。

 ですから、批判する方からすると、火力発電設備を維持すること自体が目的なんじゃないか、こういうような批判もあったり、再生可能エネルギーが今後拡大していくと座礁資産になってしまうのではないかといったような批判の声も聞きます。

 ただ一方で、では、その再生可能エネルギーは、日本とヨーロッパあるいは大陸と同じ条件かというと、やはりそうでもないところもあると考えておりまして、今後、太陽光発電なんかについては、半導体あるいは発電効率が上がっていくということもあろうかと思いますけれども、やはり地理的な制約というものもあろうかと思います。

 太陽光であれば、インドとか中国とかは地理的なものがあって、そこにパネルを大きく、広大な敷地に敷き詰めていくというようなところが、日本ではそこまでの、砂漠であるとか、そういうような広大な土地がない。あるいは、風力については、偏西風、ヨーロッパと同じような条件といったものが日本の方ではない。あるいは、洋上風力といったところでも、ヨーロッパのような大陸棚の遠浅の海といったものではない。

 こういった地理的条件といったものも考えますと、なかなか、ヨーロッパのように直ちに再生可能エネルギーを全面的にやっていくという方法では難しい、制約があるんじゃないかなと思っております。

 こういったようなことも考えられるわけですけれども、今申し上げた地理的な要因も含めて、再生可能エネルギーが、欧州や米国や、あるいはひょっとしたら中国とも比較しても日本でなかなか増えていかない制約条件、こういったものを政府としてはどのように分析していらっしゃいますでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 再エネについては、二〇三〇年度の電源構成比三六から三八%の実現に向けて最大限導入していくということが政府の基本方針でございますが、その導入に当たっては、一つには、やはり地域との共生を前提として適地を確保していかなきゃいけないという点がございます。それから二点目は、太陽光や風力については、どうしても出力変動がございますので、これにどうやって対応していくかという課題もございます。また、国民負担の抑制といったような、こうした課題を乗り越えていく必要があるということがまず第一点でございます。

 その上で、委員御指摘の日本固有の事情というところは、もう既に御指摘いただいているとおりなんですけれども、日本の国土は約七〇%が森林でございまして、これは、再エネを推進しているドイツやスペインの大体二倍でございます。また、海底の地形が急深、深い日本では、着床式の洋上風力の設置可能面積というものが、洋上風力の導入が非常に進んでいますイギリスの大体八分の一というふうに見込まれております。

 こうした制約条件をどうやって乗り越えていくかということが課題で、そこが逆に申し上げるとなかなか進まない理由となっておりますが、そのような中でも、我が国では、FIT制度の導入後、再エネ比率は、震災前の一〇%から二二年度には二〇%に、何とか倍増までは来ておりまして、太陽光導入量は、平地面積当たり、主要国では最大級となっております。

 更に進めるために様々な課題をどうやって乗り越えていくか、しっかり取り組んでいきたいと考えてございます。

小山委員 今の、まさに答弁のお話、私も事前に質問の段階である程度お話ししていたものですから、重なるところは多いかと思いますけれども、政府の方針でも、再生可能エネルギー、その上で、やむを得ないところについては火力をこのCCSやあるいはアンモニア、水素なども活用しながら行っていくということで、方針としても再生可能エネルギーの活用というのを一番に掲げておりましたので、近藤議員のお話にもありましたが、蓄電池であるとか、あるいは、こういった再生可能エネルギーへの投資あるいは支援といったものを是非十二分に行った上で、こちらの水素の方も座礁資産とならないような形で進めていただく、再生可能エネルギーの十分な活用といったことを是非第一目的に置きながら今後も進めていただきたいと思っております。

 それから、二点目の質問をさせていただきたいと思いますが、石炭火力によるアンモニア混焼について、滝沢元さんという方の試算によりますと、石炭火力発電に二〇%のアンモニアを混焼すると発電コストは一・二倍になる、また燃焼アンモニアの場合には石炭火力の二・三倍の発電コストになる、そういう見込みを出されている方もいらっしゃいます。

 当然、普通に石炭火力やLNGを燃やしていたよりも、混焼すればその分コストがかかるわけですけれども、この上昇するコストの負担というのは、誰がその負担を担うんでしょうか。あるいは、電気料金の値上げといったようなことは考えられるんでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 アンモニア混焼、専焼は、CO2はその分削減される一方で、その発電コストは、御指摘のとおり、アンモニアの価格が石炭よりも高いことなどから、現状では石炭火力よりも高くなるという状況となっております。

 この点、このコストの扱いでございますけれども、今回の水素社会推進法案におきます価格差に着目した支援、この計画認定を受けた場合には、アンモニアと石炭との価格差の全部又は一部を国が支援するという形になりますので、今申し上げた発電コストの増分が抑制されることになります。

 また、発電コストの低減自体に向けまして、技術開発も非常に重要でございまして、アンモニア供給コストを二〇三〇年に水素換算で十円台後半・パー・ノルマル立米という目標を掲げて、グリーンイノベーション基金を活用し、アンモニアの製造方法につきまして、新しい触媒の開発などに取り組んでいるところでございます。こうした形でコストの増を抑えていきたいと考えております。

 電気料金でございますけれども、人件費であるとか、各電源の燃料費、これは石炭の燃料費の増減も含みますけれども、そうしたものや減価償却費など、様々なコストあるいは要因によって変わってまいりますので、アンモニア発電を進めることで電気料金にどのような影響を与えるかということは、一概にちょっと現時点では申し上げられないかなというふうに考えてございます。

小山委員 確かに、ほかの原料、燃料の価格のこともありますし、為替の要因とかいろいろなものが絡んできますので、一概には言えないとは思いますが、ただ、コストが上がるということは間違いないわけですし、そしてまた、そこに対して国が支援をするということになれば、これは最終的には広く国民の税負担から出る、そういうことになるかと思いますので、是非ここのコストができる限り低減していくように、また、繰り返しになりますが、やはり本命は再生可能エネルギーの、こういった太陽光であるとか風力であるとかの発電効率を更に高めていくということも必要な視点だと思いますので、是非そういったことから取組を進めていただきたいと思います。

 また、ちょっと、今日は済みません、少しくどくなってしまっているかもしれませんが、CO2削減のために必要な水素生産というのは、その水素生産のためのCO2排出がなくて、また水素生産に係るCO2のCCS等の貯蔵コストもかからないグリーン水素というものが多く生産されてくるというのが最終的な目標で、目指すべきところだと思いますけれども、今回の法案には、再生可能エネルギーによる水素生産、グリーン水素の生産を目指すというような文言というのは明確には入っていないわけなんです。あるべき目標として、そういったことも何らかの形で書き込むべきだったのではないかとも思うんですが、これについての大臣のお考えを改めて伺いたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 水素の利活用に当たりましては、グリーン水素、ブルー水素といった製造方法による評価もあるわけですが、むしろ、その利活用によって、しっかりとCO2排出量の削減につなげる、これが重要だと思っていまして、こうした考えの下に、水素の製造方法を問わず、製造に伴うCO2排出量、すなわち炭素集約度に基づき水素等を評価する重要性をG7広島サミットにおいても確認がされているということであります。

 実際、米国やEUなどにおきましても、炭素集約度に基づいて、ブルー水素も含めて利活用が進められていると承知をしています。

 我が国といたしましても、炭素集約度に基づき、対象となる水素等の基準値を定め、低炭素水素等の供給と利用を進めていくこと、これが重要ではないかと考えています。

小山委員 次に、燃料電池車のことをお伺いさせていただきたいと思います。

 燃料電池車は世界的にはまだ余り販売が伸びておらず、電気自動車のシェアが拡大をいたしております。これは、これから市場ができて、拡大していくというような見方もできようかとも思いますけれども、一方で、仮に燃料電池車が非常に優れた性能を持っていたとしても、世界的にマーケット、ニーズがなければ、将来的に生産を継続していくということが困難になるんじゃないかと。

 こういう、非常に、今なかなか、今後の予測見通しというのを立てなければいけない、そういう局面ではないかなと思っておりますけれども、燃料電池車の今後の販売見通しやマーケットの規模について、政府はどのような見解を持っていらっしゃいますでしょうか。

石井大臣政務官 小山委員の御質問に答えたいと思います。

 自動車分野のカーボンニュートラルに向けては、完全な技術はいまだ存在しないことから、日本としては、EVだけではなくて、電気自動車だけではなくて、合成燃料や水素の活用など多様な選択肢を追求することを基本としております。

 燃料電池車は、EVと比べて充填時間が短く航続距離が長いといった特徴がございます。こうした特徴を踏まえると、経済産業省としては、世界的にもでありますが、大型トラックなどの商用車の分野で燃料電池車の需要が高まると考えており、今後は商用車に支援を重点的に行っていくということとしております。

 具体的には、トラックやバスなどのFCV、燃料電池車を導入する事業者への補助、商用車など大規模な水素需要を見込むことができる地域への水素ステーションの戦略的な整備など、意欲のある地方公共団体と連携しながら商用車分野に政策資源を集中的に投下していくこととしております。

小山委員 私も、どちらかといえば商用車、トラックとかバスとか、大型の、電気自動車になじまないものの方がやはりマーケットとしては考えられるんじゃないかなと思っております。

 ちょっとこれは通告していないものですから、政府参考人さんからでも構わないですし政務官からでも構わないんですが、一方で、トヨタさんが、小型車の、乗用車の燃料電池車というのも開発して販売しているんですけれども、小型車のニーズというのはどのぐらい伸びそうというふうに考えていらっしゃいますか。

浦田政府参考人 お答えいたします。

 燃料電池車の普及の状況でございますけれども、これはちょっと時点で違うんですが、小型の燃料電池自動車、これが現在八千百台、燃料電池のバス百四十九台、それから小型トラック九十四台、フォークリフト四百二十六台となっておりまして、これを全部合わせると八千八百台というのが現時点での普及の状況ということになってございます。

小山委員 済みません、通告もしていなくてお尋ねして恐縮だったんですが、私は、小型車というか乗用車の方はやはりなかなかそんなにマーケットを見込めないんじゃないかなと。先ほど政府の答弁の中で、商用車への支援を、投資を集中していくということでございましたので、そのとおりじゃないかなと思っております。

 特定の企業が行うと、そこの企業さんのやったことはまあまず間違わないだろうと、無謬性神話みたいなものがあるような気がしまして、まさにそれは、よく今回の委員会で出ています「転落の歴史に何を見るか」で、多様性とか、あるいは、異分子の排除というようなことがあってはならないとは思うわけですけれども、本当に、逆に組織の無謬性というものが余り信頼され過ぎると、ちょっとそれはそれで、間違わない組織というものはありませんから、是非そこのところは、まあ、決して小型車の燃料電池車が普及しない方がいいなんて言うつもりはないんですけれども、少なくとも政府の支援としては、やはり商用車と小型車というところでちょっと分けるべきではないかな、そんなふうに私は今の時点では認識をいたしております。

 ここからCCSについてお尋ねをしていきたいと思いますけれども、大規模な事業者さんはともかく、将来的には、中小企業さんからのCO2も回収をして、そしてCCSを実施して、国トータルでもCO2削減を更に進めていくべきではないかと思いますけれども、こういった、大規模な大企業さんでなくて中小企業さんからCO2を回収してくるということになると、アグリゲーターの育成というものが必要になると思います。

 そういった、中小企業さんからCO2を集めてくる、こういうアグリゲーターさんの育成に向けて、政府としては準備とか検討とかそういったことを行っておりますでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 CCSの利用を広げていくためには、大手の排出事業者と貯留事業をつなぐだけではなくて、御指摘のように、将来的に、中小企業を含め幅広くCCSを利用できるように、CO2の分離・回収や輸送のサービスについて、面的な広がりを持たせることが求められていると思います。

 その際、複数のCO2排出事業者を取りまとめてCO2の分離・回収を行う事業者であるアグリゲーターの育成は重要であると認識しています。

 今年一月の総合資源エネルギー調査会の小委員会の取りまとめにおきましても、「分離・回収に係る事業規制の必要性については将来的な検討事項とし、引き続き規制すべき実態があるかどうかを注視する」としておりまして、アグリゲーターの育成方法や規制の検討の前提となるビジネスモデルの具体化に向けて検討していくことになっています。

 以上であります。

小山委員 是非、面的な広がりについても、これからもお取組をしていただきたいと思います。

 次に、CCSのコストについてですけれども、二〇五〇年までには現在の想定コストの約六割まで削減するとの政府の方針でございますけれども、具体的にどのようにこのコストを下げていくお考えなのか、具体的なところをもう少し答弁いただきたいと思います。

石井大臣政務官 お答えいたします。

 委員の言うとおりでございまして、政府の方針、そして、この六〇%まで削減するというのは、公益財団法人地球環境産業技術研究機構、RITEによっての試算ということにもなりますけれども、承知しております。

 具体的には、分離・回収や輸送、貯留の各プロセス、これにおける技術開発やシステムの最適化、圧入レートの向上、規模の拡大などによって低減させることができると試算を示しておるわけであります。

 経済産業省としても、CCSコストの低減は重要であると考えており、まず一として、低コストとなる新たな分離・回収手法の開発、二として、LNG輸送船並みの数万トンクラスの液化CO2輸送船の実現実証、船で運ぶという、三として、温度、ひずみ、音響の同時測定を可能とする低コストなモニタリング技術の開発などに取り組むことでコスト削減を図ってまいります。

小山委員 是非、更なるコスト削減に御尽力、研究開発に力を入れていただきたいと思います。

 今日午前中に、たしか馬場雄基議員だったと思いますけれども、ちょっと質問があって、近いようなお尋ねになるんですけれども、CCSについて、参考人質疑のときに、震度五の北海道沖地震では影響がなかった、あるいは、地震のときには地面全体が揺れるので、その地層の中でそこがひずんだりとか、そういうことは余りないんじゃないかというようなお話もあったんですけれども、確かにそうかなというふうにも納得するところもありながら、今日、馬場議員の質問の中では、断層が入り組んだときに、断層から地層の中も変わるんじゃないかというような質問もありました。

 震度五というと、かなり日本の中でも耐震も進んできて、かつてに比べると被害が少なくなっているところもあろうかと思うんですが、例えば震度七とか、もっと大きな地震が発生する可能性もあろうかと思います。東日本大震災では、たしか震源地は二千二百ガル近く揺れたと思っておりますけれども、震度七とかそのぐらいの最大震度の地震が来るというようなことを想定したときに、そういうような場合、震度五ではなくてもっと大きな地震が来たときでも大丈夫だというような研究の知見というものはあるんでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、苫小牧の実証では、胆振東部沖地震で震度五弱を観測しましたけれども、このときは、地震等の専門家を交えて委員会で検討しましたが、貯留層には異常はないと評価されてございます。

 今後、事業者がCCS事業を行うに当たりましては、CO2の安全かつ安定的な貯留を行う、そして、仮に大きな地震が生じてもCO2が漏えいしないような必要な安全性をそれぞれの地点地点できっちり確保していくということが重要でございます。

 このため、国としても、実際の貯留事業の実施に当たりましては、貯留事業者に対して、貯留事業実施計画を定めた上で国の認可を受けるということを義務づけておりますし、貯留したCO2の挙動などのモニタリング義務も講じているところでございまして、国としては、最新の科学的知見、それからそれぞれの地域の特性も踏まえて、CO2の安全かつ安定的な貯留を実現するよう、しっかりと監督をしてまいりたいと考えてございます。

小山委員 貯留事業者には、JOGMECに移管するまでの間、計画どおりにCO2が貯留されていることなど、モニタリング実施義務が課せられておりますけれども、具体的にはどのようなモニタリング実施を求める方針でしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 CCS事業法案におきましては、CO2の安定的な貯留を確保する観点から、CO2が計画どおりに貯留できているということやCO2が漏れ出していないといったことなどを確認するために、貯留事業者に対しては、CO2を注入している期間だけではなく、CO2の注入の停止後も一定期間は、貯留層の温度や圧力などのモニタリングを行うことを義務づけることとしております。

 具体的には、委員御指摘のモニタリング義務の具体的な在り方につきましては、欧米で様々な制度の整備の先例もございますので、そういうものを踏まえる、あるいは最新の技術的な知見も踏まえまして、今後、有識者の皆さんの御意見もお伺いしながら、引き続き検討を深めてまいりたいというふうに考えてございます。

小山委員 なかなか、このモニタリングのところも、今後事業をやっていくかやっていかないかというところで、判断材料の一つにはなろうかとも思いますので、できる限り正確かつ実証性のあるモニタリング方針というのをまた示していただきたいと思います。

 次に、排出源となる事業分野ごとに、どのぐらいのCO2の年間貯蔵量といったものを政府は想定しておりますでしょうか。

石井大臣政務官 お答えいたします。

 経産省としては、二〇三〇年までの事業開始を目標として、先進的CCS事業、これを選定して集中的に支援をしております。同事業には、CO2の回収源として、発電、石油精製、鉄鋼、化学、紙・パルプ、セメントなどの業種が幅広く参画しております。将来のCCS事業の普及拡大に向けて、各業種で横展開可能なビジネスモデルの確立を目指しております。

 他方、CCSの各業種での業種別の導入目標については、将来的に産業や発電の脱炭素化、低炭素水素の製造などの分野で活用が想定される一方、コストやビジネスモデルなどが確立していない現時点で、部門別のCCSの数値目標を定めていないのが実情であります。

 こうしたことから、まず、CCS事業のビジネスモデルを確立しつつ、脱炭素技術の進展の見通し、コスト水準などを踏まえて、今後、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。

小山委員 これからがスタートということかと思いますけれども、いろいろな事業とか産業分野によってCO2がどのぐらい出てくるかというのを是非算定をしていただき、そこからCCSに行くものとこれから排出削減していくものとがあろうかと思いますけれども、またそういったことも是非想定をして出していただきたいと思っております。

 次に、CCSの貯留事業者に対して、保険加入や供託の実行を事業実施の要件とする明示的な定めはありませんけれども、貯留事業者に付保や供託を要請する予定というのは、政府の方では考えているんでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 貯留事業を安定的に遂行するためには、貯留事業者がその事業に要する資金をしっかりと確保していただくということが重要であると考えています。

 貯留事業に関する許可を出す際には、その申請者が貯留事業を適確に遂行するに足る経理的基礎を有しているかどうかというのを確認することにしておりまして、御指摘の保険の加入につきましても、既に我々が参考にしております鉱業法の運用では、保険の付保証明書の提出を求めるということなどにより経理的基礎の有無を確認しているということがありますので、我々としては、これを参考に、この法案の運用においても同様のことを行っていきたいというふうに考えております。

 また、様々なモニタリングに所要の資金が必要になりますけれども、それについても、事業者に対して、必要な引当金の積立てなどの措置を講ずることを義務づけておりまして、しっかり運営、モニタリングに必要な資金が確保されるような環境を整備していきたいと考えてございます。

小山委員 貯留したCO2の漏えいによって他人に損害を与えた際には損害賠償責任を負うというような法律内容になっておりますけれども、CCSについて、事業リスクとか安全性等に十分に配慮しつつといった表現にもありますが、いろいろな今までの質疑の中でも、パイプラインからの漏えいであるとか窒息の危険なんというようなこともありましたけれども、このCCS、具体的にどういった事故とかリスクとか、損害の具体例というものはどんなことが想定されますでしょうか。

辻本政府参考人 お答え申し上げます。

 CO2の導管輸送や貯留の各段階におきまして対応すべき事故リスク、これは類似の事業を踏まえれば、例えば、一つ目としまして、既存のガス導管事業等ございますけれども、先生御指摘のとおり、導管の破断等による内容物の漏えいリスクに対する対応が取られております。

 また、二番目としまして、貯留事業と類似性のあります油田の土地の掘削の際には、これは鉱山法で、同様でございますけれども、地層に隠れた可燃性ガスなどが噴出するリスクへの対応が取られております。

 こういったことを鑑みまして、CCSにおきましても、これらのリスク防止のために適切に対応することが必要であるというふうに考えております。

 また、CO2を地下に貯留することから、これは概念的ではございますけれども、貯留したCO2が漏えいするリスクにも適切に対応する必要があると考えています。

 このため、これらのリスクに対応するため、本案においても諸般の措置を講ずることとしております。

小山委員 時間が参りましたので、これで質問を終わります。ありがとうございます。

岡本委員長 次に、荒井優さん。

荒井委員 立憲民主党の荒井優でございます。

 今日は資料をまず一枚お渡ししておりますが、日本における二〇二三年の気温についてという気象庁の資料になります。

 今回のこの法案でずっと議論しているのは、脱炭素、カーボンニュートラルを実現するためにということですが、そもそもは、この気温を、高くなるのをどのように抑えるのかというためにしているんだというふうに思います。

 思い起こせば、昨年、二〇二三年は大変気温が高くて、僕の地元の北海道でも、小学校や中学校、学校にクーラーがほとんどないんですけれども、さすがに学校にクーラーをつけないと大変だということで、それの要望を文科省にして今年つけることになってきているほど、まさに肌で感じるような気候変動を、今、日本全国でも感じていると思っております。

 気象庁にお伺いしたいんですが、この資料も含めて、この二〇二三年、どういうように温度が上がっているのか、御説明いただけますでしょうか。

室井政府参考人 お答えをいたします。

 気象庁では、都市化の影響が比較的小さい日本国内の全十五地点の観測結果から日本の平均気温を算出しております。それによりますと、日本における二〇二三年の平均気温は、直近の平年値と比べますと一・二九度高く、統計開始以降最も高い値となってございます。

 二〇二三年は、日本付近が暖かい空気に覆われやすかったこと、日本近海の海面水温が高かったことに加えて、地球温暖化の影響が考えられるところでございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 元々、二〇一五年のパリ協定で、まさに一・五度を目標としようということで定めていたと思うんですが、この元々パリ協定で定めた目標に対して、今どの辺の進捗にあるのかということも教えていただけますでしょうか。

室井政府参考人 お答えをいたします。

 まず、日本の気温の状況についてお答えをいたしますと、年平均気温は、統計を開始した一八九八年から二〇二三年の観測結果によりますと、百年当たり一・三五度上昇をしております。これは、世界の年平均気温の上昇量である〇・七六度よりも高くなっております。この要因でございますけれども、日本が位置する北半球の中緯度は、陸域が多く、暖まりやすいことなどから、地球温暖化に影響を受けやすいことによるものと考えております。

 一方、パリ協定で定めた目標は、産業革命前と同程度とされる、一八五〇年から一九〇〇年までの世界全体の平均気温からの差を一・五度以内とするものでございまして、日本の平均気温と直接比較できるものではないと理解をしております。

荒井委員 ありがとうございました。

 世界気象機関、WMOというところが、ジュネーブにある世界機関だそうですが、今年の三月に、二〇二三年は、やはり観測史上、世界も最も暑い年になったということを確認したという報告書を提出したというふうに聞いております。海面の上昇、氷河の融解、そういったものがどんどん進んでいると。このWMOによれば、二三年の世界の平均気温は、産業革命前と同程度とされる、一八五〇―一九〇〇年の平均より約一・四五度高くなっている、つまり、パリ協定の一・五度に大分世界でも迫っているんだという報告もあるようです。

 カーボンニュートラルの議論を、この経産委員会ではるるしてきております。ただ、やはりこれは、カーボンニュートラル、脱炭素というのはあくまで手段であって、その目的は気候変動を抑えるためにやっていくんだということを、議論している私たちが忘れてはならないんだというふうに思います。

 先ほど、午前中の質問でも、鈴木委員からも、やはり本当に、残りの期間でどう実現できるのかと。それは、カーボンニュートラルを実現するだけではなくて、気温がどんどん高くなっている現状というのを本当にどうやって我々、今人類が抑えられるのかというのに真剣に向き合っていく必要があるのではないかというふうに思っております。

 僕は、どうしても次世代のためにやはり仕事をしていきたいというふうに思っていますので、まさにこれは我々大人の約束なんじゃないかと思っています。この辺については、もう少し、後半にも触れたいというふうに思います。

 それでは、法案に直接関わるお話をさせていただきたいと思います。

 CCSについてでございますが、北海道の苫小牧でCCSの実証実験を行ってまいりました。三年で三十万トンの二酸化炭素を地中に埋めるという実証実験をしたというふうに伺っていますが、二本の圧入するパイプという言い方でいいんでしょうか、を使いまして、深度の浅い方、そして深度の深い方の二つに入れたものの、実際やってみたら、実際は、深度が浅い方に三十万トン入れて、深度の深い方はほとんど入らなかったというふうに伺っております。

 これは、実証実験だからこそ、これを一つの結果として、今後の新たな事業に対して向き合うことだと思いますが、そもそも、深い方にはほとんど入らないかもしれないというのは事前で予測されていたものだったのか、それともこれは失敗だったのか、この辺りを教えていただければと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の苫小牧でのCCS実証では、浅い方、深度約一千メートルないし一千二百メートルの砂岩層から成る上部の地層に加えまして、下の方、深度二千四百ないし三千メートルに当たる火山岩から成る地層にも、この二つにCO2の注入を行ってございます。

 CCSでは、砂岩層の隙間にCO2を貯留するのが一般的でありますので、上部の層ではその実証を行ったものでございます。一方、日本の国内には火山岩から成る地層も広く分布しておりまして、この苫小牧の貯留場の近くにおいて石油生産が火山岩から成る層から行われているものですから、火山岩であっても石油が貯留されるような、そういう隙間の存在が見込まれるのではないかということで、下の方の層でも実証を行ったということでございます。

 結果として、上部の砂岩層においてはCO2の貯留結果は良好で、予定の三十万トンを貯留できました。他方で、下部の火山岩の層におきましては、地層の均一性が予想よりも低く、地層内の圧力が想定よりも早く上昇してしまったため、注入量は百万トン程度にとどまり、そこで注入を停止したということでございます。

 これは、そういう、事前にある種の想定を持って、少しでも可能性を広げたいということでやったんですけれども、結局今のような結果が得られたということで、今後の貯留適地を選定していく上では一応の有益な知見を得ることができたというふうに考えてございます。

 今後、二〇三〇年CCS事業開始に向けた貯留地の選定におきましては、当面は、今回の教訓も踏まえて、砂岩層への注入を想定しているところでございます。

荒井委員 詳しく教えていただいて、ありがとうございました。

 やはりそうすると、深い方、ちょっと浅い深いという言い方しかできないんですけれども、深い方に関しては、相当チャレンジングな試みで、うまくいかないかもしれないけれども、まずは可能性を含めてやってみようというふうに。ですので、これは想定され得る結果だったというふうに捉えているものなんでしょうか。済みません、そこをちょっともう少し教えてください。

定光政府参考人 まず、冒頭、先ほどの答弁を一部訂正をさせていただければと思います。

 火山岩層の注入の結果として注入量が、私、百万トンと申し上げましたけれども、正確には百トン程度の間違いでございました。おわび申し上げます。

 それで、事前の想定ではもう少し入るのではないかという見込みも実はありましたけれども、やはりそこは、実際やってみた結果、必ずしも想定どおりにはいかなかった、それでそういう結果が得られたということでございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 今後、まさに事業として進めていくときにも、やはり、地下の話ですから、思わぬ想定外のことというのは起きるんだろう、そのリスクも含めた事業として進めていかなければいけないと思いますし、そういうリスクに見合ったファイナンスも含めて今後もやっていく必要があるんじゃなかろうかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ノルウェーのCCSでもやはり同じように、元々は十八年分ぐらい入れられるんじゃないかというところが、実際やってみたら、もっとどうも少なかったみたいなことも出てきているというふうに伺っていますので、今後の事業化においては、このリスク、どうぞしっかりと分析してください。

 あと、この前の参考人質疑でも今日の質疑でも、やはり地震の話が出てきておるわけです。前回の参考人質疑の際も今日の回答でも、それぞれ、経産省を含めて、事業者の皆さんが、地震の専門家からしっかりと、地震を誘発するものではないということをちゃんと分析したということをお答えもいただいているわけですが、もちろん、それは事業を進める側の人たちが答えるところも少しあるのではなかろうかと思いまして、先日レクを、逆に日本の政府の地震の研究家の人たちに教えてほしいというふうに聞きました。

 文部科学省や気象庁の担当者の方々にお越しいただいたんですが、今日は別にその皆さんに答弁を求めるところではないんですが、一応、大臣も含めてお伝えしておきたいのは、そういった政府の地震の専門家の方たちからすると、特にCCSと地震の関連性について積極的に調査したことはないんですというような、それはあくまで地震の研究者の側からの見立てなんだというふうに思います。

 今回、この一連の議論におきましても、やはりCCSは、進めていくときに、国民の理解が大変重要な際に、どうしても、一体地震は大丈夫なのかということが必ず問われてきますし、それを進める事業者側ですとか政府側、進める人たちが大丈夫ですとどんなに言っても、なかなかそこは信頼性がつきにくいところは、これは、原子力発電所含めて、ほかのところとやはり似ているんじゃないかというふうに思います。

 ですので、どうぞ、本当に地震を専門で研究している皆さん方にもしっかりと調べてもらうということも、今後の事業化のフェーズにおいて非常に重要だというふうに思いますので、是非これは経済産業省としてもしっかり取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、水素の話になります。

 水素に関しましては、先ほど小山委員からもお問合せがありましたが、FCVと水素ステーション、水素の戦略を政府が二〇一六年に作ったときに、元々、このFCVや水素ステーションをこれだけ伸ばしていきますということを、特に二〇二〇年にもこれだけ増やしていくということを目標値で掲げておったわけですが、その目標値と現在の普及台数を、改めてFCV、水素ステーションに限ってお伝えいただけますでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一七年当時の水素基本戦略では、二〇二〇年までにFCV四万台、水素ステーション百六十か所というものが目標とされておりました。

 これに対して、今年一月末時点の実績値でいいますと、FCVは約八千百台、水素ステーションは百七十四か所ということになっておりまして、FCVの目標達成は未達、一方で水素ステーションは一定程度進んできているという状況でございます。

 また、二〇一七年当時でございますけれども、二〇三〇年までとなりますと、FCVは八十万台、水素ステーション九百か所相当といったような極めて野心的な目標値を掲げていたというところでございまして、現状は今申し上げたとおりでございます。

荒井委員 まさに野心的な目標、どうしても、スタートアップ、まさに最初に設定するときには野心的な目標をつけざるを得ないところはあるというふうに思いますが、特に、自家用車としてのFCVに関してはほとんど進捗が進んでこなかったということは、これはやはり、その当初立てた目標の大ざっぱさみたいなものをしっかりと反省する必要があるんじゃないかというふうに思っております。

 その上で、先ほど来からお話のあった商用車を含めたバスに転換していきながら、先ほどの野心的な目標としての八十万台というのに向き合っていくんだろうというふうに思いますので、いろいろなチャレンジは必要な領域だと思います、この午前中の質問でも、分からないことも、やってみなきゃいけないこともたくさんあるんだという答弁もあったかと思いますので、そこは一生懸命我々も応援していきたいと思いますので、どうぞ前向きに、ただ、やはり立てた目標がうまくいかなかったことをしっかり振り返ることはどうしても必要だというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 目標の立て方とその乖離を、乖離の原因というものはしっかりと文書に残していくことというのは、今後の経産省の、多分今後もいろいろな戦略を立てていくときに振り返る必要な書類になると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 続いて、両法案にくるめてお話をしますが、今日、僕の前に質問された山岡先生の苫小牧の話もありましたが、山岡先生と僕の地元である北海道は、まさに苫小牧のCCS、そして石狩沖の洋上風力、また新千歳空港や札幌市での水素の利活用という話がございます。

 北海道と札幌市でも、ゼロカーボン北海道というものを掲げて、これを更に進めていこう、つまり、水素を作る、そして二酸化炭素を地中に埋めていく、そして、水素をしっかり使っていくということを地域を挙げてやっていこうということで、ここまで大規模にやろうとしている地域もなかなかないんじゃないかというふうに思います。

 そこで、齋藤大臣にお伺いしたいんですが、こういった北海道や北海道の地域の取組というものを、経済産業大臣としてどのように評価し、どのように今後もサポートしていくつもりなのか、お答えいただければと思います。

齋藤(健)国務大臣 北海道は、洋上風力発電を始めとする再エネの導入見込みが大きい地域であります。余剰電力などを活用したグリーン水素等のポテンシャルも大きい地域だと認識しています。

 札幌市や新千歳空港における取組は、こうした再エネを活用して製造された水素等を、市街地や空港周辺施設等での利活用に向けて検討が行われておりまして、水素の地産地消を体現するモデルの一つではないかと思います。

 さらに、苫小牧のCCSは、事業化に向けた事業者の強い期待と立ち上げに向けた努力がございまして、地元の理解を得ながら進んでいる好事例だろうと思います。周辺の発電やコンビナートでの脱炭素にも大きく貢献をするのではないかと思っています。

 日本の中でもこうした先端的な取組が道内で広がっていくことで、北海道のゼロカーボンの実現につながっていくことを私は大いに期待をしています。

荒井委員 ありがとうございます。

 是非大臣には、経産大臣として北海道にその意味でもお越しいただければというふうに思ってございますので、よろしくお願いいたします。

 先ほど、ちょっと昼休みに、委員長からも、荒井さんはどういうキャリアでここにいるんですかという質問をたまたまされたんですが、僕はこの仕事をする前は学校の校長をしておりました。その意味でも、人材の育成、今回の質疑においても、本当に、これだけ大きく国がゼロカーボン、脱炭素に向けて新しい産業をつくろうという意欲があるときに、でも、それは本当に、それをつくる、それを担う人材の育成がしっかりと伴っているのかというのを、まさに学校現場にいた者からもすごく興味、関心がありますし、これは相当に前広にやらないとできないことじゃないかと思って、毎回、人材に関しても質疑をさせていただいております。

 その意味で、今日は文部科学省にもお越しいただきましたが、今、経済産業省を挙げて、水素社会、また脱炭素を、炭素を埋めていく作業みたいなこと、新しい産業をつくろうというふうにしているわけですが、こういった領域を学んでいる学生数というのは現在何名程度というふうに考えるのか、文部科学省にお教えいただければと思います。

奥野政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生お尋ねの、水素社会におきます水素の利活用でございますとか、御審議されておりますCCS、これにつきましては、学問的なアプローチといたしましては、例えば材料科学でございますとか化学、さらには機械工学、資源工学など、関連する分野が極めて多様でございます。したがいまして、それらを学ぶ学生数というのを私どもが持ってございます統計データなどから確定的に数字としてお示しすることは困難でございます。

 したがって、ある意味、一つの試算、推計のイメージといたしましては、これらにつきましては、学生は、分野としては工学分野が中心となるかと思います。現在、大学の工学分野で学ぶ学部学生数は全体で三十八万人程度在籍しております。

 ただ、工学といっても非常に多彩な分野がございます。これは、一つの試算の考え方として、例えば、その中で学科名称にエネルギーの名称を含む学科等の四年間の完成した場合の収容定員というのを見ますと、大体約三千人程度になります。さらに、その中で、今御議論されてございます水素社会でございますとかCCSに関連する学びを行っている学生数というのは更にその中の一部になってくるというような形で推定、試算することになろうかと思います。

荒井委員 ありがとうございます。

 先日の参考人質疑の際にも九州大学の副学長にお越しいただきましたが、九州大学も、まさにこの分野でトップリーダーとして頑張っているかというふうに思っております。

 実は、学校教育は、十年に一回、学習指導要領というもので、学びの方向性みたいなものを、これは文部科学省が中心になって作っているわけですが、前回は二〇一七年に学習指導要領が制定されて、小学校、中学校、高校、幼稚園生もそうですが、そして今度は二〇二七年がその次の学習指導要領になっていくわけです。

 前回の学習指導要領の際、二〇一七年の学習指導要領の際に、まさに、持続可能な社会の担い手となることを求めた、その一文が入っているかと思います。これは、当時の、つまり二〇一七年よりも前の段階から文部科学省がこういった社会の変化を捉えて、持続可能な社会をつくる次の世代を求めてこれを、一文を入れたというふうに思うんですが、ただ、二〇一七年のときには、まだここまで地球温暖化というのが実感値があるわけではなかったのではないかと思います。

 今、文部科学省では、次の学習指導要領改訂に向けて多分議論が始まるところではなかろうかと思うんですが、まさにこのカーボンニュートラルであったり持続可能な社会について、今後の学習指導要領で更にそれをもっと踏み込んでいくのではないかというふうに思いますが、その辺り、分かる範囲でお教えいただければと思います。よろしくお願いします。

浅野政府参考人 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のように、現行の学習指導要領の前文において、持続可能な社会のつくり手となることが期待される子供たちが、環境問題への理解を深め、環境を守る行動を取れるようにするということが盛り込まれたところでございます。

 次期学習指導要領のお尋ねでございますが、学習指導要領の改訂に際しては、まずは文部科学大臣から中央教育審議会に諮問を行い、これからの社会を生きる子供たちに必要な資質、能力を育成する視点から専門的な調査審議を行った上で答申をまとめて、この答申を踏まえて新たな学習指導要領を定め、告示とすることとなります。したがって、今現在でこういうテーマでということはちょっと申し上げられませんが、先ほど申し上げましたように、現行の学習指導要領でそういった内容が前文で踏まえられておりますので、私どもとしても、現行の学習指導要領も踏まえて、さらにまた次の学習指導要領の改訂に向けて検討を始めていきたいと思っております。

荒井委員 学習指導要領というのはかなり影響力が大きくて、今日この場所には多分四十八歳以下の人というのはそんなにいなさそうなんですけれども、四十八歳よりも下の世代というのは、小学校、中学校、高校で技術と家庭科を男女一緒に学んでいるんですね。ちなみに、四十八歳より上、僕は四十九ですので、四十八歳より上は別々に学んでいるわけです、男子と女子が。

 これは明治大学の原先生という方が出されているんですけれども、男女共修、特に家庭科を男女で一緒にやった世代は、四十八歳以下は男性の育児休業の取得率が二五%高かったり、女性の正社員率が高かったり、また女性の平均年収も一一%高いということが分かってきています。

 つまり、こうやって若いときに、例えば、男女一緒に学ぶんだ、特に男の子も家庭で一緒にいろいろなことをやるんだということを小中高で学んでくると、これは社会に出てから大きく社会を変えていくことにつながっているのが分かってきていると思います。

 ちなみに、この家庭科の男女共修化というのは、一九七五年、ちょうど僕が生まれた年ですけれども、このときに市川房枝さんが、まさに、当時参議院議員ですけれども、市川房枝さんが男女共修をするべきだという運動をし始めるんですね。つまり、五十年前に一人の政治家が様々なところで活動しながら、やはりそういう社会をつくっていこう、それをまず学校から始めていこうというのをやったわけです。

 その意味でも、二〇二七年の学習指導要領の改訂というのは僕はすごく大きな意味があるというふうに思っていまして、つまり、二〇三〇年、我々が今目標としている二〇三〇年というのを本当に我々大人が実現できるのかどうかと試されていますし、一方では、次の世代に我々がどういう世界をつくってほしいかというのをこの学習指導要領にしっかりと書き込んでいくという作業が出てきますし、そして、そういう子たちが、もうすぐに社会人になって、様々な産業で国家を支えていく人たちになっていくわけです。

 ですので、これは教育の話ですけれども、経済産業委員会としても全く無関係なことではないというふうに思いますので、是非幅広な議論を次の学習指導要領に向けてしていただきたいというふうに思っております。

 そして、この学びの話でいけば、先日の参考人質疑の際に、まさに委員の先生から、アメリカのスタンフォード大学にはサステーナビリティー学部というものが最近できて、まさに、CCSとか水素単独ではなくて、法体系であったり若しくは様々な既存の産業とのバッティングみたいなものも含めて、包括的に学んでいく学科が最近できたんだということをお話しいただきました。調べますと、投資家の方が約千五百億円ぐらいの寄附をして新たにつくったスタンフォード大学の学科で、非常に鳴り物入りでできたというふうにも聞いております。

 確かに、こうやって一つの学部とかで、まさに今の我々大人ではなかなか実現できていないこのサステーナビリティー、地球温暖化にどう対応するのかということをしっかり学んでいく、そういう学部・学科ができてもいいんじゃないかというふうに思いますが、この辺りは恐らく、文科省だけでやるということよりも、経済産業省や若しくはいろいろな、政府も挙げて旗を振っていく必要があるのではないか。そうじゃないと、なかなか、今、大学は新しい学部を簡単につくる余裕な資金もございません。

 そういった意味で、その旗振り役としても、是非、齋藤経産大臣には、そういったことを、アメリカのそういったものを研究しながら、日本こそやっていこうよ、そんな声をかけていただければと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 三つ子の魂百までという言葉がありますけれども、実は、昨日なんですけれども、私の支援者がお子さんを大臣室に連れてきて、手紙をもらったんですけれども、その手紙の中に、齋藤大臣への質問がありますといって、風力発電を進めるべきじゃないかと小学生が書いていて、それで、SDGsのあのマークが描いてあって、こういう子供が大きくなると随分違うんじゃないかなというのを本当に昨日実感したばかりです。

 大学における学科をどうするかということを、なかなか、政治家が言うことがいいかどうかという問題もあるんですけれども、そういう大きな日本の抱える課題であるということは間違いないので、教育現場でも広がっていくとうれしいなとは思っています。

荒井委員 前回の大臣への質疑の際に、経団連の会社の自民党への献金のことについても大臣に質問させていただきましたけれども、いいんです、社会貢献として、政党に献金をするというのも大事な社会貢献なのかもしれませんが、でも、であればこそ、まさにこういう、経団連とか、こういった企業を挙げて、大学に例えば寄附をして、全く新しいサステーナブルな学部をつくるというのもこれからの時代には大変必要じゃないかと思いますので、三つ子の魂百まで、是非お願いしたいと思います。

 終わります。どうもありがとうございました。

岡本委員長 次に、山本剛正さん。

山本(剛)委員 日本維新の会の山本剛正でございます。

 先ほどの荒井先生のお話を聞いていて、僕は小学校からずっと男子校だったので、女性の心も分からないのはやはりそういうことがあったのかということで、本当に納得をしてしまいました。

 午前中、連合審査会、お疲れさまでございました、大臣。途中ちょっと、大臣の本気の、怒りとは言いませんけれども、強い意気込みを伺って、私は非常にうれしく思いました。二〇五〇年カーボンニュートラルはやらなければならないんです、そのためにCCSは必要なんですと。これは本当に、全くおっしゃるとおりで、その思いを共有して、この法案を育てていく、そしてまた、やはり今後の日本のエネルギー政策を語っていかなければならないと、本当に私、午前中、強く思いました。

 そもそも、やはり、エネルギー自給率が大変低い我が国のエネルギー状況の中で、先人の方々が本当に努力をして現在の繁栄をかち取っているということは間違いないわけでございまして、その中で、電力を見てみると、やはりベースロード電源をどうするのかというのが非常に重要な議論にならなければならないにもかかわらず、ベースロードを走る電源以外のことも一緒くたにして考えてしまっているところに若干の、私は、様々な方面での議論の混乱というものがあるんだろうなというふうに考えております。

 そういった中で、やはり真剣にエネルギーミックスをもう一度原点に返って考えなければならないんだ、そういう一環の中で私はこの水素の法案もCCSの法案もあると思っています。残念ながら、最近、エネルギーミックスとかベストミックスという言葉が一時期よりも聞かれなくなっているのも、やはりちょっとおかしいなというふうに私は思っているんです。

 ですから、そういった、やはりエネルギーというのは我々が日常生活を送っていく中での実は根幹で、しかも我が国は残念ながら資源に乏しいということを考えれば、先ほども、誰かが何か、踊ってよとは言っていなかったですけれども、やはり地に足をつけて議論をするということが私は重要かなと思っていますので、是非今後とも、私の思いをお酌み取りいただきまして、議論を進めていっていただければなというふうに思います。

 今日はCCSの事業法についてだけちょっと議論をさせていただきたいんですが、まず、貯留層の探索とか、そういった部分の話が百八条から出てくるんですが、探査の話ですね。

 私、この間、探査のところで、苫小牧の実証実験に伺ったときに、石油の採掘技術を使っているので、いわゆる貯留の技術自体はそんなに、まあ難しくないとは言いませんでしたけれども、そういったものよりも、一番重要なことは、やはり探査の精度を上げていくこと、これが非常に重要だという話を伺いました。

 そういった中で、貯留層を正確に把握していくための技術向上が間違いなく必要だというふうに私は考えておりますけれども、今後、貯留層探索、正確性向上のための予算とか、研究開発、技術革新についての見解をお尋ねしたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございまして、CCSを進めていく上では、探査に関する技術の精度を高めることによりまして、貯留層を正確に把握し、手戻りを回避するとともに、モニタリングの工数を減らすなどを通じてコスト低減を図っていくことが重要でございます。

 具体的には、これも御指摘ありましたが、CCSにおいて活用する探査の技術は、石油や天然ガスの開発に長年用いられてきた技術が基盤となりますけれども、今後、特に貯留層の評価方法につきましては、更なる研究開発に取り組む必要があると考えております。

 今後、苫小牧等でのCCS実証で得られたデータを活用し、貯留層評価の精度の向上を図っていきたいというふうに考えてございます。この中で、日本の地質特性を考慮した地質データ解析手法、あるいはCO2の挙動シミュレーションモデルの精度向上、あるいは探査ノウハウの蓄積などを進めていきたいと考えております。

 これに必要な予算もしっかり確保させていただきまして、貯留精度の更なる向上、コストの削減につなげていきたいというふうに考えてございます。

山本(剛)委員 ありがとうございます。やはりこの技術は、どんどんどんどん探査の正確性というのは時間とともに研究が進んで上がっていくと私は思うんですが、そこに水を差さないためにも、やはり予算措置であるとか政策の実行とかをしっかりやっていっていただきたいなというふうに思います。

 今日、僕は大臣に全く聞かないので、リラックスして待っていていただいて結構でございます。私は、大臣に、できれば隣に座っていただく、さっきの強い決意で、いつか総理になる日を夢見ているんですけれども。

 それで、次なんですけれども、今度は導管の輸送事業者に対する話なんですが、八十二条と八十三条に、八十二条の五項に、輸送を拒むことは駄目だよ、八十三条には、差別的に取り扱うことを禁止するというような文言で書いてあります。ちょっと読むと、八十二条の五項のところは、「特定導管輸送事業約款による導管による二酸化炭素の輸送の役務の提供を拒んだときは、当該特定導管輸送事業者に対し、当該役務の提供を行うべきことを命ずることができる。」と。

 この説明を聞いたときに、正当な理由がないと拒むことはできませんよという話でございました。その正当な理由というのは、例えば輸送のときに、横持ち運賃が余りにも安過ぎて、今、ガソリンとか軽油の価格も高いので、やはり運ぶだけ赤字になっちゃうよというようなことも、それで、運びたくないとかというのは正当な理由に入るのかどうか。その正当な理由というのはそもそも何なのかというのをちょっとお尋ねをしたいというふうに思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 若干この背景を申し上げますと、導管輸送事業は、CO2の貯留サイトとCO2の排出源との間でパイプラインを介した物理的な接続を前提とする事業形態でございまして、地域における自然独占の発生、あるいは、この導管運送事業者がCO2排出者に対して優越的な地位になることが想定されるということが、これらの規制の背景でございます。

 このため、事業法案では、CO2の排出者が、貯留事業者が提供する貯留サービスに適切にアクセスすることができる環境を整備する、こういう観点から、正当な理由なくCO2の輸送依頼を拒んだり、特定のCO2排出者を不当に差別的に取り扱うことなどを禁止してございます。

 その上で、御質問の正当な理由に該当するケースとしましては、例えば、導管輸送事業者が導管輸送事業を行う導管の輸送能力に余力がない場合、あるいは、料金の滞納を繰り返すなど、導管輸送を依頼したCO2排出者が料金を適切に支払う蓋然性が低い場合、あるいは、委員御指摘の、CO2排出者から不当に安価な料金での輸送を依頼された場合などを想定しているところでございます。

山本(剛)委員 実は、正当な理由というものの判断というのは非常に難しくて、簡単に言うと、依頼する側とされる側でやはり視点というのが変わってくる中で、例えばどちらの正当性を重んじるのかとかということにもなりかねないですよね。

 やはり基本的にはどっちかが、どっちも妥協しなければいけないというような状況とかも出てくるわけで、だから、この部分に関しては混乱が生じないように是非注意をしていただくというのが、こういう言葉で表現すると、逆にこの言葉尻を取って、私の方が正当だというようなことを言いかねない方たちもやはり出てきますので、そこは気をつけていただきたいなというふうに思います。

 また、先ほど差別的な取扱いということも出ましたけれども、この差別的な取扱いというのも逆に具体的にどういうものなのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 特定のCO2排出者を不当に差別的に取り扱うことに該当するケースとしましては、例えば、特定のCO2排出者が導管輸送サービスを利用することを排除する意図を持って、不利な条件でサービスを提供することなどが想定されます。

 ただし、今後は個別具体的な事案に照らして適切に判断していくこととしてございまして、カーボンニュートラル二〇五〇年の実現に向けて、こうした不適切な取引が行われることがないよう、この導管輸送事業者をしっかりと国としても監督していきたいというふうに考えております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 これは、今何で先にこういう聞き方をしたかというと、八十三条の一項では、「不当に優先的な取扱いをし、若しくは利益を与え、又は不当に不利な取扱いをし、若しくは不利益を与えてはならない。」と、まあまあ具体的に書いてあるんですよ。ですから、差別的に取り扱うという言葉で分かりはするんですけれども、例えばここの不当に優先的な取扱いをするというのは結構よくある話で、逆もあるんですけれども、それを差別的という一言で固めてしまうのがいいことなのかどうかというのは、少しやはり考える余地はあるのかなというふうに思っています。

 本当にこれはよくあることが条文の中に書き込まれているわけでありますから、やはりこの意図を、しっかりと今後実行していく上で、皆さんに法を理解をしていただくというのは非常に重要だというふうに思いますので、法案説明で使われた言葉と私のところに説明に来て使われた言葉と条文のニュアンスが少し違うなという思いがあって、ちょっと聞かせていただきました。

 それで、これは最後の質問にしたいと思いますけれども、これはちょっと法案と違うので大変恐縮なんですが、エネルギーミックスの話を一番最初にしたのは、これが聞きたかったからなんです。

 メタンハイドレートの開発を二〇〇〇年初頭ぐらいからずっと進めてきて、当時、この話が出たときというのは、我々、非常に希望を持って受け止めをさせていただいた。私も実はエネルギー業界の人間でございましたから、非常に希望を持ってメタンハイドレートの開発というものは受け止めました。

 そういった中で、日本近海には相当量のメタンハイドレートがあるというふうに言われていて、これこそまさにエネルギー需給とか有効利用の観点からも非常に重要だというふうに考えているんですけれども、もちろん、メタンハイドレート、これは化石燃料でございますから、今の時代になると、CO2があるからといって、ちょっと及び腰になっていやしないか。

 私、ちょっと余り追いかけていないので、実際、CO2の話がたくさん出てくるようになってからは追いかけていないので教えていただきたいんですけれども、やはり、もしメタンハイドレートを使っていこうという方向に行くのであれば、私はCCSは非常に有効だなというふうに考えているんです。多分、皆さんもそうだというふうに思います。

 そうなると、今後、メタンハイドレート、研究開発とか、どの方向に今向かっていこうとしているのかというのをちょっとまず教えていただきたいなと思います。

定光政府参考人 御指摘のとおり、メタンハイドレートは、日本周辺海域に豊富に存在することが期待されておりまして、国際情勢に左右されない安定した国産エネルギーとして、エネルギー安定供給の観点から極めて重要であります。

 太平洋側に広く分布しております砂層型のメタンハイドレートにつきましては、ある調査では日本の消費量の約十年分に相当する量が存在するということが推定されているところでございます。

 このため、二〇二三年四月に閣議決定いたしました海洋基本計画に基づいて、二〇三〇年度までに、民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクト、これが開始できることを目指して技術開発を進めてございます。

 他方で、メタンハイドレートは、非在来型の天然ガス資源でありまして、燃焼させるとCO2が出るという特性がございます。したがいまして、カーボンニュートラルを目指していく中では、御指摘のとおり、CCSと組み合わせて、それから、いわゆる水素に改質していくというような利用方法をこれから検討していくということが重要になってくるというふうに考えてございます。

 メタンハイドレートは、世界的にも商業生産がまだされておりませんで、エネルギー資源として今後利用していくためには、長期安定的かつ経済的な生産技術を確立していくことが目下の課題でございます。

 引き続き、必要な予算の確保に努めながら、このメタンハイドレートの技術開発を早期に進めていきたいと考えてございます。

山本(剛)委員 経済的にという言葉が出てまいりましたけれども、重ねてお尋ねをいたします。技術開発とか、それこそコストダウンの現在地は大体どの辺りにあるのかも教えていただきたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 経済的かつ安定的な生産ができるかどうかというところが今最大の課題でありますけれども、二〇〇一年から一貫してこの技術開発を進めております。結果として、日本近海のメタンハイドレートの、先ほど申し上げた濃集帯の発見にもつながっております。さらに、一か月程度の期間メタンガスの生産を行うなどの一定の実績も出てきております。

 今後、商業化を実現するためには、まずは一年程度の期間にわたって、安定生産が可能であるかどうか、これを確認することが重要でありまして、将来的には海洋での産出試験に行きたいんですけれども、それに先立つ形で、今、陸上での産出試験をアラスカで実施しているところでございます。二〇二三年の九月から実施しております。

 今もガスが出ているところでございますけれども、今後、その成果も踏まえて、しっかりと商業化に向けた方向性を検討していきたいというふうに考えてございます。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 予算は大体年間、この間の説明では百二十億ぐらいというお話でしたが、取っているということで、私、エネルギーの安全保障上、自給率を上げていくというのは、やはりこれは本当に大きな課題で、その枠の中で考えれば、確かにCO2云々という話はあるかもしれませんが、近海に豊富に埋蔵されているメタンハイドレートの活用というものは、やはり真剣に考えて、もっともっと前向きに捉えていくべきものなんだろうなというふうに思っています。

 今後、例えば合成燃料とかそういった話もたまに出てくるじゃないですか。そうすると、合成燃料までになってくるとどういうことが生じてくるかといったら、日本が、今までずっとエネルギーを輸入に頼ってきたわけですが、これはもしかすると輸出国になれるかもしれないという、エネルギー業界にいた人間からすると非常に夢のような話も見えてくるわけでございます。

 あえてこれを申し上げるんですけれども、エネルギーの輸出国になって何がいいのかといったら、僕は、そうなったときの日本の貿易収支の、いわゆるバランスシートがどういうふうになるのかというのが本当に興味があるんです。これは個人的な興味で申し訳ないんですけれども。でも、それぐらい、やはり日本の経済成長とかそういったものを考えたときに無視できないものであるということは、私は間違いないものだというふうに思います。

 時間が来ましたからここで締めますけれども、できれば、この水素の法案やCCSの法案を皮切りに、日本が自給率のアップのみならず、もちろん、省エネ、いろいろなものもありますけれども、我が国が合成燃料までたどり着いて、何とかエネルギーの輸出国になっていくんだぐらいの強い気持ちを持ってエネルギー政策を進めていけるように、本来ならばここで大臣に意気込みを聞きたいんですが、今日のところは、またこれは次回に持ち越しにしまして、終わらせていただきたいというふうに思います。

 本当にありがとうございました。

岡本委員長 次に、小野泰輔さん。

小野委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の小野泰輔でございます。

 まず齋藤大臣、冒頭に、山本さんも心残りだと思いますので、先ほどの、エネルギー輸出国家になるんだというようなことについての大臣のお考えというのをお伺いできますでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 考えたこともなかったんですけれども。

 メタンハイドレートのお話を山本さんはされましたけれども、あれは要するに天然ガスなんですよね。ですから、日本で天然ガスが生産されるようになるということでありますので、これが本当に経済的に安定的に生産できるようになれば、本当に夢のような出来事だと思いますので、その技術開発については、私は追求していく価値はあると思うんですけれども、まだまだそれに頼るわけにはいかないかなというふうに思います。

小野委員 ありがとうございます。

 技術動向次第だと思うんですよね。それがかなりもう現実的にビジネスベースで乗ってきそうだと思えば、今回水素とかCCSでやっているような支援もやりながら、我々が、これは戦争で負ける前からの課題ですが、エネルギーがない、資源がないという国から一気にパラダイム転換ができるということでもありますので、ここに関しては是非頑張っていただきたい、チャンスはちゃんと狙っていただきたいなと思うんですね。

 私は、山本議員よりももっと貪欲というか、顔だけ見るとそうじゃないんですけれども……(発言する者あり)済みません。私の師である蒲島郁夫熊本県知事が、これでもう勇退されますが、ずっと言っていたことで、私はああそういう考え方があるのかなと思っていたのが、熊本県を無税国家にしたい、無税県にしたいというふうに言っていて、つまり、それだけ豊かな県、あるいは豊かな国になれば、国民が税金を払わなくてもよくなるというところまでやはり考えるべきだ、それが政治家の役割じゃないかみたいなことを昔言っていたんです。

 これぐらいのダイナミックな考え方を我々はするべきであって、かつては中東はそうだったんですけれども、でも、今は世の中の変化によって、脱炭素ということでそこはできなくなったんですが、我々は、逆に技術をもって無税国家というものを実現できるんじゃないか。それはもう多分、相当ハードルは高いですし、そう簡単にはいかないんですが、ただ、政治家たるもの、そういうところまで見て、大胆に政策を考える、そして国民にも夢を語るということも大事なのかなというふうに、ちょっと先ほどの山本さんのメタンハイドレートの話を受けて思いました。是非、経済産業省が多分それができる役所だと思いますので、そういった形で、省庁の皆さんには攻めの姿勢でやっていただきたいなというふうに思います。

 それでは、私も今日はCCS一本で質問させていただくんですけれども、CCSもやはりお金がすごくかかるなと思います。水素もコストの削減がどうなるのかというのが一番大事な問題だと思いますが、このCCSもそうだというふうに思っているんですね。

 前回は水素一本で私は質問させていただきましたが、そこでも申し上げたのは、海外から輸入する水素の方が安くて、結局そちらに頼ってしまう。結局、そうすると、エネルギー安全保障の観点からいっても、国富が外に出る、あるいは有事のときにはなかなか国内に入ってこないという問題がやはり残ってしまう。

 このCCSの場合には、CO2の削減ということですので、水素を外から輸入するというほどではないとは思うんですが、ただ、事業者の側でも、CCSを海外でやった方が有利だね、より安いコストでCO2を削減できるというようなことになってしまえば、これは国富の流出にもつながりかねないということであります。

 そこで、ちょっとお伺いしたいんですけれども、我々日本では油田はないので、EORみたいな手法が使えないわけですね。ですから、もちろん過去に開発していた炭鉱とかはあるのかもしれませんが、今その候補地としていろいろと調べられているところは決して油田みたいなところじゃないということで、詳細には分からないのかもしれませんが、大体、海外のプロジェクトの方がCCSを進める上ではやはり安く済むんじゃないかというような、そういう御認識というのは経産省であるんでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 CCSのコストは、分離・回収、パイプラインや船舶などの輸送、それから地下に実際に埋める貯留、大きくこの三つに分かれますけれども、分離・回収のコストは排ガス中のCO2の濃度に大きく影響を受けます。それから、輸送のコストはまさに貯留適地までの距離に大きく依存します。それから、貯留のコストは、貯留層、器の大きさあるいは浸透性などに依存します。

 国内、海外どちらが安いかということは、一概に現時点では申し上げることは困難なんですけれども、一般論として、仮に分離・回収そして貯留のコストが国内外で同じだとすれば、輸送コストが距離に応じて高くなるため、海外の方が高くなる可能性がございます。また、現に欧州でも、いわゆる北海油田、ノルウェーとか、非常に陸地から近いところでのCO2の検討が盛んに行われておりますし、アメリカでも、テキサス、いわゆる陸上でのCO2が検討されているというところなので、距離の要素というのはそれなりに重要な考慮要因だとは思います。

 我が国としても、先進的CCS事業ということで、内外の案件を対象に、まさにコストも含めた様々な事業性調査の支援を開始しておりまして、この結果も踏まえて、しっかりとコストに関する分析を深めていきたいというふうに考えております。

小野委員 ありがとうございます。

 今のお話をお伺いしていると、海外でプロジェクトをやって、例えばタンカーか何かで液化したCO2をわざわざ持っていくというのは結構コスト高になる可能性は大きいかなというふうに思いましたが、いずれにしても、もうプロジェクトも海外のものも採択されているということなので、そこでの知見というものを生かしながら、私は、できればこれは国内のプロジェクトでやった方がいいんじゃないかというふうに思っていますが、いろいろと検討していただきたいと思います。

 もう一つお伺いしたいのは、海外のプロジェクト二件、先進的CCSプロジェクトで採択をされていまして、マレーシアと大洋州に運んでいって、CCS事業をやるということなんですけれども、海外でやるメリットというのは一体どういうことがあるんでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 CCSは、海外のカーボンニュートラルを目指している国にとりましては脱炭素手段として特に重要性を増しておりまして、貯留ポテンシャルに恵まれた途上国の中には、CCSに関する技術移転を我が国に求めてきたり、あるいは、貯留場の操業の安定化や運営のための経験を獲得するためにCO2の海外からの受入れを積極的に模索する国も複数出てきている状況でございます。

 一方、日本企業は技術的にも優位性を持っておりまして、例えば分離・回収技術に関しては、主流であります化学吸収法で日本企業が世界シェア七割を持っている、あるいは、輸送においても、より大量かつ効率的に輸送できる低温低圧方式の液化CO2輸送船を世界で初めて建造するなど、よその国からも関心が寄せられる程度の技術力を持っております。

 こうした技術の優位性を生かしまして、今後、拡大が見込まれる諸外国のCCS事業の立ち上げを支援する、ないしは、日本企業が参画していくということは、国際貢献、さらには、我が国の国際競争力強化、成長戦略の観点からも効果が大きいというふうに考えてございます。

小野委員 国内で発生したCO2を海外に持っていって、それを埋めるということ、それだけじゃなしに、CCS事業の技術基盤ですとかそういったものを海外のプロジェクトにも採用してもらえるようにということで、我々の産業振興という面でも海外プロジェクトも大事なのかなというふうにはお聞きをいたしましたけれども。

 いずれにしても、国内だけでやっていると、これは防衛装備でもそうですけれども、なかなかコストも下がらないというような問題もありますから、そういう意味では、このCCS、先ほど大臣もおっしゃった、強い気持ちでやはりこれをやっていくことがカーボンニュートラルにとって必要なんだという決意も、私も物すごく大臣の思いはすばらしいなと思いましたので、そういう意味では、海外プロジェクトもより積極的に頑張っていただきたいというふうにも思います。

 そういう中で、海外プロジェクトをやる上での留意点というのを私はちょっと指摘をしておきたいというふうに思うんですね。

 今回、法案で様々な保安規程とかというのが国内のプロジェクトにおいては設けられていますけれども、海外においても、やはり私は、日本のプロジェクトであるからには、同じ安全基準とか、現地の方々に日本が信頼されるという意味もそうですし、あとはそれから、イコールフッティングということで、国内の事業者と海外でやる事業者との間で差が出ないようにということも非常に大事だというふうに思うんですけれども。

 この点、国内の様々な、今回の法案で定めるような安全を中心とした規制とかルールというものを、どうやって海外でもちゃんとイコールフッティングで満たしていくのかということについて、大臣にまずお伺いしたいのと、そして、あと、環境省に今日は来ていただいていますが、環境省としても、その辺、海外のプロジェクトについても何か配慮すべきことがあれば、ちょっと答えていただきたいなと思います。

齋藤(健)国務大臣 今般のCCS事業法案は、我が国においてCCS事業を行う場合に適用されまして、当然のことながら、海外で行われるCCSプロジェクトには当該国の法令が適用されるわけで、本CCS事業法案における規制は適用されないことになります。

 一方、国際的には、ロンドン議定書によってCCSに係る規制制度が整備をされてきておりまして、加盟国はこの規制水準を守る必要がございます。このロンドン議定書が一つの国際基準として機能しておりまして、国際的なイコールフッティングにつながっていくと認識しています。

 また、我が政府としても、今国会におきまして、改正ロンドン議定書の批准をお諮りしているところでありますが、批准が実現すれば、海外でのCO2を貯留する目的で、輸出が可能となります。その際には、我が国として、輸入国に対して、ロンドン議定書の同水準の規制の整備を輸入国に求めることになりますので、ロンドン議定書が国際基準として機能していくことになると考えています。

 いずれにいたしましても、我が国のCCS事業者が国内外にて事業を行って、海外でのカーボンニュートラルにも貢献する状況を確保するためには、委員御指摘のとおり、各国の規制内容がある程度イコールフッティングされていることが望ましいと思いますので、事業者ともよく連携しながら、引き続き海外の規制動向等に注視してまいりたいと思います。

前田政府参考人 お答えいたします。

 海外でのCCSの実施に関しましては、廃棄物等の海洋投棄を規制するロンドン議定書の二〇〇九年改正により、関係国間で必要な協定又は取決めを結ぶことを条件として、二酸化炭素を輸出して、輸出先において海底下に貯留することが可能となっております。

 この二〇〇九年改正を受諾するための国会承認案が本国会に提出されているところでございますが、環境省といたしましては、海外でのCCSにつきましても、海洋環境の保全の観点から、この改正後の議定書に基づき、各国において適切に実施される必要があると認識をしてございます。

 このため、海底下のCCSを目的とした二酸化炭素の輸出に当たりましては、協定又は取決めを締結すること等により、ロンドン議定書と同等の措置が輸出先でも取られることを確認することが重要と考えております。

 答弁は以上です。

小野委員 ありがとうございます。大臣も、そして環境省からも、しっかりとした答弁をいただいたと思います。

 我々が海外でやったことで迷惑がかからないということ、これは、ほかの国ではそういうことが間々見られるようなこともありますが、ちゃんと国際的な基準も守りながら、そして、日本がやっているプロジェクトでより我々のレピュテーションが上がるということを目指していただきたいと思います。

 次に、CCS事業をやはり安定的に進めていくために何が必要かということについて、ちょっと議論をさせていただきたいと思うんです。

 そもそもCCSというのは、排出している、役に立たないCO2を埋めるというだけなので、そういう意味では、事業者としては、自分が排出しているCO2を何とかしなきゃいけないというふうに対応する場合に、ほかの方法で安い方法があればそれでやっちゃうというような性格のものだと思うんですね。そうなると、CCS事業というのは、今こうやって法案を作って我々は一生懸命やろうと思っていますが、誰もやらないんじゃないかというようなこともあって。

 そこで、まずお伺いしたいのは、CO2を排出している事業者が、現段階でCCS以外で何かCO2を処理をしよう、対応しようというような方法を何か取り得るのかどうかというのをまずお聞かせください。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、排出されるCO2の削減方法、これはCCSだけではなくて、例えば、CCUあるいはカーボンリサイクルなどの技術を使ってCO2を化合、化学反応を起こさせて新しい素材や燃料として活用するということも考えられます。あるいは、多様な主体による炭素削減や吸収活動を金銭価値化するクレジット制度を活用して、排出されるCO2をオフセットするという手段もあろうかと思います。

 いずれの手段でありましても、事業者などの排出削減努力が適切に評価され、かつ、我が国の温室効果ガス排出量の削減に貢献することが重要でありまして、様々な選択肢の中でCCS事業に対しても適切なインセンティブが働くような、今後詳細の制度を検討していきたいというふうに考えております。

小野委員 ありがとうございます。

 今の段階で、前段でおっしゃった、CO2を原料として様々な物づくりをするなんというのは、逆にそれもコストの問題でなかなか実現できないという段階だと思いますが、ただ、どういう順番で、何が技術的な優位性を持ってコストも下がるのかというのは、誰にも分かりませんので、そういう意味では、我々がCCSを推進するというふうにこうやって決めた以上は、ちゃんとその事業を支えるというようなスキームをつくらなきゃいけないということだというふうに思うんですね。

 それをやはりちゃんとやってこそ、先ほど午前中に齋藤大臣がおっしゃっていただいたような、この事業をしなければカーボンニュートラルは実現できないんだというようなことを担保することにもなるというふうに思うんです。

 そこで、私はやはり、CCSをちゃんと事業者が事業予見可能性を持ってちゃんと取り組んでいくようにするためには、それを支えるための、コストが高い部分をちゃんと抑えていくとか、あるいは、CCSをやるに際して、それがちゃんとクレジットで取引できるとかいうことが必要なんだろうと思っています。

 二〇二六年には本格稼働する排出量取引制度でこのCCSで減らしたCO2がちゃんと取引対象になるとか、あるいは、先ほどから発電に関してはどうなんだという議論がありますが、ここに関しても、脱炭素電源オークションの対象にするとかということで、しっかり、CCSを推進するために必要なコスト増とかコストが低減するまでのカバーというものを制度的にしていく必要があるんだというふうに思いますが、是非、ここの事業スキーム、特に資金面での手当てというものを、スケジュールをしっかり定めて検討を進めていく必要があると思いますが、ここについて、これは参考人で結構ですが、どういった形で今考えているのかを答弁いただきたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 CCSは、現在、二〇三〇年に民間事業が開始するような環境整備ということを目標にしてございますが、そのためには、二〇二六年を目途に、事業者がまさに予見可能性、収支の見通しを得て投資決定が行われるような環境ができている必要がございます。こういう時間軸を踏まえまして、これから、諸外国の支援制度の在り方を参考にしながら、日本としてふさわしい事業者の円滑な参入、操業を可能とする支援策の在り方について、検討していくこととしております。

 その上で、御指摘の、まず、いわゆる排出量取引との関わりですけれども、Jクレジット制度においては、技術動向などを踏まえて、国内で実施するCCS事業の方法論の策定に向けて検討していくこととしております。

 その検討状況も踏まえて、二六年度から本格稼働する排出量取引制度においては、例えば、CCSを行っている場合には、その貯留分が原排出者の排出量から控除されるようにするといったなどの、CCS事業に適切なインセンティブが働くような制度の検討を進めていきたいと考えております。

 また、長期脱炭素電源オークションにつきましては、現時点ではCCSつき火力の応札案件が想定されていないことや、CCSの固定費などがまだ未定であり上限価格の設定が困難であることなどを踏まえて、初回のオークションでは対象外となりましたけれども、第二回目以降の対象としていく可能性を探るため、CCS事業への政府支援策との関わり、あるいはCCSのコスト構造を踏まえながら、今後検討を行っていくこととしてございます。

小野委員 結構詳細に御答弁いただきましたけれども、ここの細かい制度設計というかチューニングが非常に大事だと思っていまして、今、定光さんが御答弁された中で、CO2排出事業者がCCSを使った場合には、その排出量から控除するというような話がありました。

 当然、CCSの事業者に圧入してもらうためのコストを払うわけですよね。その払ったお金とクレジットでオフセットしちゃった場合と、実際にはオフセットの方が安いんじゃないかというようなことであれば、なかなかCCS事業が選択されなくなりますので、これは本当に細かい制度設計というか柔軟なチューニングが必要だなと思っていまして、これは、この間の参考人質疑でも、私、参考人の方と議論をしたんですけれども、それは業界によっても違うと思うんですよね。

 例えば、製鉄会社が、そのCO2をどれだけのコストをかけて、それで削減できるのかという話と、それから電気自動車を造っている会社とか、様々、CO2を排出している会社によっても、やはりどれだけのコストで負担できるのかというのは違うと思うので、そういう意味では、制度設計は非常に、本当に詳細までちゃんと考えてやっていかないとCCSが使われないということになりますので、この辺、是非事業者の皆さんからも意見をちゃんと聞いた上で、そしていい制度にしていただきたいんです。

 我々も去年、GX推進法の審議におきましては、法案の修正をさせていただきました。その中で、我々が入れさせていただいたのは、カーボンプライシングの制度は、やはり前倒ししてどんどんどんどん早くつくった方がいいと。こういったことをどんどん早く決めて、トライ・アンド・エラーでやっていくということが必要だと思っていますので、是非、そういう観点で、昨年できた法律についても、そのカーボンプライシングの詳細な検討に当たっては、スピード感を持って、なるべくいいものになるようにということで、できるだけ早い時間から検討して進めていただきたいというふうに思っております。

 それでは、最後の質問になりますけれども、CCSというのは、そういう意味で、水素とは違って、冒頭に申し上げたように、それ自体が何か価値を生むものではない。もちろん、外部経済化することによって、そこでお金の流れをつくるということはあるんですけれども、ただ、ほかの代替手段があれば使われなくなってしまうという可能性を持っている事業なんだと思います。

 私は、このCCSのどこに注目しているかというと、CO2の分離・回収のところですね。ここってすごく夢のある技術、先ほど山本議員の心残りの質問をさせていただいたときに、無税国家という話もちょっと出しましたけれども、まさに水素社会を実現するのと同時に、炭素を我々が自在に操れる社会になったときに、水素と炭素を使えれば、これはかなりいろいろなことができてしまう。我々が二十世紀に石油化学文明というのを起こしたときに、石油から何でも作れてしまう世の中になったわけですけれども、今度、水素と炭素を扱えるようになれば、資源のない我が国で、科学技術を用いて様々な豊かな社会をつくるということができると思うんですね。

 このCCSの技術の中で、CO2分離・回収というものが進むと、カーボンリサイクルというような道が開けて、一応これは、CCS事業とそれからカーボンリサイクルの共通技術基盤としてはこの分離・回収というところがあると思うんですが、そうなると、ここの技術がある程度発達してしまうと、CCSの事業はそれ以降は伸びなくなってしまうんじゃないかというジレンマが私はあるんじゃないかと。

 ただ、そこにはそんな簡単にはいかないだろうという話もあると思います。実際のところ、CCSというのは非常に効果が高いCO2削減手段でありまして、例えばLNGの火力発電所の場合には、それをCCS化するとCO2は七割削減できますし、それから一般の石炭火力の場合だったらCO2は八割削減できるということで、非常に効果の高い事業なので、これはこれで私はもちろん意義があるというふうには思っているんですが、今私が申し上げたようなジレンマというのは将来的には起こる可能性がどこかで来るんじゃないかなと思いますが、この辺に関して、大臣、何かお考えがあればお聞かせいただければと思います。

齋藤(健)国務大臣 これはあくまでも現時点においてということになるんですけれども、CO2分離・回収技術は、御指摘のように、カーボンリサイクル、CCS、あるいはネガティブエミッション技術に共通する重要な技術であります。様々なCO2排出源や大気中のCO2の効率的な回収を目指した技術開発を今実施しているところであります。

 現時点では、今申し上げた三つはいずれも商業化の途上にあるため、それぞれ、導入量がどうなるかというのを見通すことは困難ですが、ただ、CCSにつきましては、CO2を回収して地下に貯蔵し、CO2排出を直接的に削減することに優位性がありまして、欧米各国でも、二〇五〇年に現在の排出量の一、二割の貯留量を目安として、既に事業環境の整備を進めているという現実がありますし、ネガティブエミッション技術の一つとして、大気中のCO2を分離・回収し地下に貯留する、こういったDACCSみたいなものに産業界も期待をしていることなどを考えますと、CCSの必要性はなくならないと私は考えています。

 脱炭素化に向けて、CCSを含めて、様々な技術のコスト低減やビジネスモデルの確立に向けた取組を進めていきたいと考えています。

小野委員 お答えいただきましたように、CCSは、私も当面は必要だろうと思っていますけれども、本当にDACCSみたいなものができると、そこから物づくりにつながっていくということもありますし、そういう意味では本当に夢のある技術だなと思いますし、CCSを語る上で、単に、何か地中にCO2を埋めるだけでしょうということではなく、やはりその過程で培われていくいろいろな技術が、将来、更に環境に負荷もかけずにすばらしい価値を生み出せるような社会につながる、そういう可能性も持っているんだということで、是非情報発信もしていただくといいんじゃないかなというふうに思っています。

 そして、これは遠い将来かもしれませんが、我々がそういう高い理想を持って挑戦をしていけば、本当に資源を海外に頼らず、地政学的にもいろいろなリスクを考えなくても済むような国に日本がなる可能性だってありますし、そして、本当に、齋藤大臣には無税国家を目指していただきたい。やはりそれは本当に、無理でしょうと言っていたら絶対できないんですけれども、でも実際に歴史上そういう国家があったことは事実ですし、そういったことを我々政治家がつくっていくんだということは本当に夢のあることですし、それが、今、政治家になかなか、なりたくないねというような人が多いかもしれません。

 今日は、私は、毎回毎回、春休みなので、子供たちにできるだけこういう質問を見てもらっているんですけれども、そういうふうに、政治家がやはりちゃんと未来をつくっていけるんだ、そして、みんながちゃんと希望ある世界を政治家が見せてくれるんだ、そういうことを是非目指していただければというふうに思っております。

 終わりたいと思います。ありがとうございました。

岡本委員長 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、前回に引き続き、法案の関連で、経産省の高温ガス炉実証炉開発事業について質問いたします。

 二〇二二年十一月二日の原子力小委員会革新炉ワーキンググループで経産省が示した高温ガス炉の技術ロードマップを見ますと、HTTRに水素製造試験施設を接続して水素製造を行う、HTTR熱利用試験の前半では既存水素製造技術、HTTR熱利用試験の後半ではカーボンフリー水素技術と書かれております。

 そこで、既存水素製造技術とは具体的に何という水素製造技術を指すのか、それからカーボンフリー水素技術とは何を指すのか、答弁をお願いします。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ありました技術ロードマップは、資源エネルギー庁の審議会の下に設置されました革新炉ワーキンググループにおいて議論され、二〇二二年の十一月に骨子案をお示ししたものでありまして、これは研究開発を進めていく上での目標時期として策定したものであり、技術開発の状況等を踏まえ、今後も必要な検討や修正を行っていく性質のものでございます。

 お尋ねいただきました既存水素製造技術につきましては、現時点では、メタンと水を高温で分解、改質し水素を製造するメタン水蒸気改質法を想定しております。また、カーボンフリー水素技術につきましては、ヨウ素と硫黄を利用し約九百度の熱で水素を熱分解するIS法や、高温水蒸気電解法、メタン熱分解法を想定しており、これらは現在、国内外において研究開発が進められているところでございます。

笠井委員 今説明ありましたメタン水蒸気改質法では、CO2が発生をすると。

 なぜ、脱炭素の目標に向かっているときに、逆行するようなメタン水蒸気改質法で水素を作るんですか。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、高温ガス炉の実証炉開発事業では、カーボンフリーな水素製造法の技術成立性の見通しを得るということを目的の一つとしてございます。その際、カーボンフリーな水素製造法というのは、高温熱を利用したカーボンフリーな水素製造法の技術成立性の見通しを得るということが目的でございます。

 その際、日本原子力研究開発機構が有するHTTR、高温工学試験研究炉を活用して、高温ガス炉と高温熱を利用した水素製造施設の安全な接続に必要な技術を確立することを想定しております。

 このHTTRを活用した水素製造試験では、安全な接続技術の確立に向けて、まずは、高温熱を活用した水素製造技術として既に実用化されているメタン水蒸気改質法による水素製造施設との接続から始める必要があり、現在研究開発中のカーボンフリーな水素製造法の利用は、その次のステップとして想定をしてございます。

 このHTTRを活用した接続技術の確立に際しては、中間熱交換器など同一の接続の基盤設備を用いることを想定しております。このため、ここでカーボンフリーな水素製造法による製造施設との接続の互換性を確認できれば、その成果は実証炉でも生かせるものと考えてございます。

笠井委員 できれば、その成果はということは話がありましたが、齋藤大臣、ロードマップでは、早くても二〇三〇年までメタン水蒸気改質法でCO2を発生させながら水素を作ることになります。そういう意味では、CO2発生施設を運転しているのと同じようなことになる。

 原子炉と水素製造試験施設の接続技術というのが確立しなければ、更にCO2を発生させ続けることになってしまうんじゃないかと思うんですが、大臣、どうお考えでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 高温ガス炉の実証炉開発事業では、原子力機構が有するHTTRを活用して、高温ガス炉と水素製造施設の安全な接続に必要な技術、これを確立することを想定しているわけであります。

 この水素製造試験では、まず、既に実用化されているメタン水蒸気改質法による水素製造試験施設で安全な接続の技術を確立し、次に、カーボンフリーな水素製造法による水素製造試験施設を接続するということを想定しています。

 したがって、メタン水蒸気改質法による水素製造施設の接続が確立すれば、試験に伴うCO2発生はありますが、並行して、カーボンフリーな水素製造法自体の技術開発を行い、接続することによって、CO2を発生させない水素製造を実現していく計画となっています。

 いずれにいたしましても、今後の研究開発を通じて、こうした点についての技術的な成立性を確認をしていきたいと思っています。

笠井委員 ロードマップでも、早くても二〇三〇年まではこのCO2を出し続けるような形でやっていくということになります。

 ロードマップでは、新たに設置することになっている高温ガス炉の実証炉でも既存水素製造技術採用というふうに書かれております、既存水素製造技術採用と。既存水素製造技術とは、CO2を発生させる、先ほどからありましたメタン水蒸気改質法のことであります。

 大臣、その実証炉の成果目標というのは、CO2を出さない、カーボンフリーの水素製造法の技術成立性の見通しを得るというふうなことで今もありましたが、そういうことなのに、二酸化炭素、CO2が発生する水蒸気改質法を採用するというのは、これは本末転倒じゃないでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 高温ガス炉の実証炉開発事業では、御指摘のように、カーボンフリーな水素製造法の技術成立性の見通しを得る、これが目的の一つであります。

 その中で、メタン水蒸気改質法での水素製造法を採用しておりますのは、実証炉の開発の工程として、まだ技術的に確立していない水素製造法ではなく、まずは既存の水素製造法を前提に工程を設定したものであります。

 本事業で確立される製造技術は、最終的にはカーボンフリーな水素製造法で活用できる技術であると私どもは考えているところであります。

笠井委員 最終的にはとありましたが、今日午前の連合審査でも環境大臣とも質疑させていただきましたが、政府も環境省も勝負の十年と言っているわけですよね。この期間に更に出し続けるということで、最終的にはということでは、これは本当に整合性があるのかということになります。

 原子力研究開発機構、JAEAは、二〇一九年一月二十五日、実用工業材料で製作した水素製造試験装置を用いた熱化学法ISプロセスによる百五十時間の連続水素製造に成功したということを公表しております。最大九百度Cの熱源によってヨウ素Iと硫黄Sの化学反応を組み合わせて水を熱分解する水素製造法で、CO2が発生しないというものであります。

 大臣に伺いますが、このJAEAのホームページを見ますと、「高温ガス炉だけでなく、太陽熱などの再生可能エネルギーなどの様々な高温熱源を使用することが出来て、将来のカーボンフリー水素製造法として期待されています。」というふうにあります。

 再エネを熱源としたグリーン水素の製造技術があるというなら、高温ガス炉という、危険性があって、使用済燃料やそれから放射性廃棄物の処分のめどがない、この問題は以前の委員会でもただしましたが、そして将来に負の遺産となるような原子炉の使用というのはやめるべきではありませんか。

齋藤(健)国務大臣 本事業で実現を目指す高温ガス炉は、九百度Cを超える高温の熱を取り出せることを生かしたカーボンフリーの水素や熱の供給により、産業の脱炭素化に貢献することが期待をされるものであります。

 そのため、エネルギーの安定供給と脱炭素化を両立するためのGXを進めていく上で、あらゆる選択肢を確保する観点から、実証炉の開発に取り組む意義はあるものと考えています。

笠井委員 あらゆる選択肢といっても、問題点があるものについてあえてやるのかという問題を私はただしてきたわけであります。

 次に、水素等の供給や利用をめぐる保安措置について伺います。

 まず、確認しますが、総合資源エネルギー調査会と産業構造審議会の小委員会による今年一月二十九日の中間取りまとめは、今後十年間で水素の供給拠点を何か所整備するというふうにしていますか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 今後十年間で、産業における大規模需要が存在する大都市圏を中心に大規模拠点を三か所程度、産業特性を生かした相当規模の需要集積が見込まれる地域ごとに中規模の拠点を五か所程度整備するというふうにしてございます。

笠井委員 中間取りまとめで、水素とアンモニアの性質について二十三ページと二十五ページに記載がありますが、どのように説明しているか、端的な説明をお願いします。

辻本政府参考人 お答え申し上げます。

 本年一月の経産省の小委員会の中間取りまとめにおきまして、水素については、拡散しやすい、着火しやすい、金属材料を脆化させるという性質がある旨、記載されております。また、アンモニアにつきましては、強い刺激臭と強い毒性があり、金属材料を腐食させるといった性質がある旨、記載されております。

 こうした水素とアンモニアの性質を踏まえ、安全の確保を大前提とした合理的、適正な保安規制の構築を進めてまいりたいと思います。

笠井委員 水素、アンモニアは管理困難な危険物質ということであります、なかなか大変と。労働者や地域住民を危険にさらすことはあってはならない。

 そこで、大臣に伺います。

 本法案では、高圧ガス保安法の特例として、認定計画に対しては、都道府県知事に代わって、経産大臣が一元的に許可や検査を行うとしております。都道府県知事は、地域住民に不安や影響があっても、製造の許可、工事、完成検査を始め、製造開始後も一定期間は権限がなくなって、安全規制に関与できないということですか。

齋藤(健)国務大臣 この制度の趣旨は、大規模な低炭素水素等サプライチェーンの構築に必要な施設については、最新の科学的、技術的知見を要する場合がありまして、高圧ガス保安法の許可、検査等を行うに当たり、都道府県等においては判断が困難となったり、通常よりも時間を要したり、そうした場合があると想定をされるわけであります。

 この点、国は、現行の高圧ガス保安法において、設備の特性に応じた技術基準や検査の方法及び手順等のルールについて策定するなど、水素やアンモニアを含めた高圧ガスについて科学的、技術的知見を有しているところであります。

 このため、本法案では、認定された計画に基づく施設につきましては、一定期間、都道府県等に代わり国が一元的に保安確保のための許可や検査等に当たる行為を行うことを可能とする特例を講ずることとしています。

 以上です。

笠井委員 中間取りまとめでは「国が自ら全般的に実施できるようにすることが事業の迅速化にとって有効」というふうに記載をしておりますが、迅速化ということから、都道府県に任せると逆に時間がかかったり、あるいは頓挫するかもしれないということで国に権限を集中するということなんですか。

齋藤(健)国務大臣 今お答えしたと思うんですが、大規模な低炭素水素等のサプライチェーンの構築に必要な施設については、最新の科学的、技術的知見を要する場合があるものですから、国がそれを有しているということであるので、それを活用してやっていくということでございます。

笠井委員 国の知見活用は重要ですが、これまでと違うことにして、安全、保安よりも迅速化ありきで、国が自ら実施基準を策定して自ら許可、検査するという、いわば独善的な体制だということを言わざるを得ないと思います。

 更に伺いますが、一定期間経過後、高圧ガス保安法の認定高度保安実施者、すなわち事業者による自主保安に移行が可能とされています。その際の保安検査や変更工事後の完成検査というのは誰が行うのか、それから定期自主検査というのは今後どうなるんでしょうか。

辻本政府参考人 お答え申し上げます。

 国が認可した場合につきましては、三年間におきまして国の方で対応するという整理になっております。その上で、認可した際には、所在の都道府県に対してどういうような内容で認可をしたのかというのを逐一お届けすることになっております。また、安全の確保についての御指摘もございましたけれども、報告徴収、立入検査の後に、引き続き、国と同様に、都道府県もできるようになっております。

 そういう形におきまして、国が都道府県と連携をしましてしっかりと保安の確保に対応していく、こういう制度体系となってございます。

笠井委員 私が伺ったのは、保安検査や変更工事後の完成検査は誰がやるのか、それから定期自主検査はどうなるのか、今後。

辻本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国がやっている場合におきましては、国が検査を行う、こういう整理になっております。その三年間のうちに仮に認定事業者制度の認定を受けた場合におきましては、これは事業者が自ら自主検査を行う、こういうふうな体系になってございます。(笠井委員「定期自主検査は」と呼ぶ)

 定期自主検査も同じでございます。

笠井委員 定期自主検査は不要ということになるんじゃないんですか、認定したら。

辻本政府参考人 お答え申し上げます。

 不要ということはございません。あくまでも事業者の方でしっかり対応することになりまして、それを実際に都道府県並びに国におきましても報告徴収、立入検査においてその実効性は担保する、これが高圧ガス保安法の基本的な構造になっているところでございます。

笠井委員 保安検査と完成検査の記録というのは都道府県に提出するということになりますか。

辻本政府参考人 お答え申し上げます。

 記録につきまして、事業者はしっかり記録を残すという制度体系になっております。その上で、基本的には、事業者の方で記録を確認する、保管するという形になっております。

 先ほど申し上げましたとおり、その記録につきましては、国ないしは都道府県、若しくは中核都市も入ってまいりますけれども、立入検査、報告徴収などで確認ができる、こういう制度体系になってございます。

笠井委員 認定された場合の高度保安実施者については、保安検査も、それから変更工事後の完成検査も自主検査ということで、今聞いていると、都道府県に提出することも義務づけられていない。技術基準への適合性がそういう意味では担保されないのではないか。これでどうやって労働者の命や地域住民の安全を守れるんですか、大臣。

辻本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の御質問につきましては、実は、前回、高圧ガス保安法改正のときもかなり議論をいただいたところでございます。まさに、御指摘のとおり、地域住民の安全の点についてどういうふうに担保するのかという点についても、国会での御質疑をいただいたところでございます。

 この認定高度保安実施事業者制度におきましては、実際に、コンプライアンスの要件、またコーポレートガバナンスの要件、こういった安全確保に向けた会社全体の健全性、また高度なリスク管理体制の構築などの厳しい条件を満たしていると国が直接認定した者について、そういう事業者について認定する制度でございます。

 要すれば、このような厳格な要件を満たした事業者のみに認められる特例制度でございまして、労働者や地域住民の安全に重大な危険を持つというふうなことにはならないというふうに理解をしております。

笠井委員 認定した後が問題で、認定した後はその認定事業者が頑張ってやるよね、やってよねという話になっているということで、本当に労働者の命や地域住民の安全を守れるかという問題になってまいります。

 そこで、関連して伺いたいんですが、一月三十一日に、木質ペレット混焼石炭火力発電の、愛知県の武豊火力発電所が火災事故を起こしました。

 齋藤大臣は、二月二日の記者会見で、このような事案の発生は大変遺憾、こういうことを強く言われて、その上で対応策について述べられましたが、その中で、同社に対して地元自治体や近隣住民の皆様方などに丁寧に説明するよう指導を実施したというふうに述べられました。その指導を実施した結果について、JERAからどんな報告があったんでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 まず、経済産業省からは、火災が発生した本年一月三十一日に、同社に対し、事故原因の究明や再発防止策の検討とともに、地元自治体や近隣住民等への丁寧な説明を行うように指導しました。これは一月三十一日です。

 同社は、こうした指導も踏まえて、本年三月に当省の審議会へ事故原因の究明状況を報告するとともに、回覧板や戸別のポスティング等を活用した地元説明を行っており、引き続き丁寧な情報提供に努めるものと承知しています。

 また、これまでのところ同社は地元説明会を開催してはいませんが、今後、地元の御意向も踏まえつつ開催するものと聞いているところであります。

笠井委員 今、そういうことで、言われた対応について聞いているということなんですが、二月七日の日に、地元住民と、それから日本共産党の梶田進武豊町議、下奥奈歩愛知県議らが、JERAと発電所長に対して事故の原因究明と住民への説明会を要請しましたが、JERAは要請文の受取すら拒否をする、こういう対応をしました、要請文の受取さえ拒否をすると。

 私も、この質問を前に今日も確認をしていたんですが、その後、今日に至るまで、住民への説明会も、武豊町議会への説明も行われていないということであります。

 今大臣が、指導を実施した結果として、回覧板や戸別の説明と聞いている、説明会についても今後やる意向だということを聞いているとおっしゃったんですが、そんな、みじんの気配もないという事態が依然としてあるんですけれども、大臣、こんなことでいいんですか。

齋藤(健)国務大臣 済みません、二月七日の件について私は聞いておりませんので、その点はちょっと申し訳ないなと思いますが、経済産業省としては、同社による原因究明や地元説明等が適切に行われるように指導をしっかりしていきたいと思っています。

笠井委員 そういう、要請についても受取を拒否したり、説明会を住民に対してもやっていないし、今でも武豊町議会に説明も行われていないということについては、大臣、どのように受け止めていらっしゃいますか。

齋藤(健)国務大臣 ちょっと、現時点の情報を私自身正確に把握していないので、何とも答えようがありませんが、ただ、経済産業省としては、地元住民への説明をしっかりするように指導をしていますし、それに応えてもらいたいとは思います。

笠井委員 要請を受け取らなかったり、あるいは説明会もやらない、町議会にも説明していないということは、よくないことですよね、それは。

齋藤(健)国務大臣 先ほど申し上げましたように、二月七日の件については確認できていないので、コメントは控えたいと思います。

笠井委員 要請を受け取らないとか、説明会をやっていないとか、それから町議会にも説明していないというのは、いいことじゃない、あってはならないということ、それ自体はいいですよね、今の大臣の趣旨からいってですよ。

齋藤(健)国務大臣 正確に申し上げますと、二月七日の件についてはコメントできませんが、一般論としてはそうだと思いますよ。

笠井委員 中間取りまとめでは、水素業界団体の水素バリューチェーン推進協議会、JH2Aからの規制改革の要望に対応して水素保安体系を構築しているとしております。JERAも会員でありますが。

 大臣、最後の質問ですが、JH2Aは、水素保安規制がガラパゴス化している、過剰な保安規制と思われる事例が散見されるなどと提言をしております。火災事故を起こしても住民への説明を行わないような事業者の要望に基づいた水素規制づくりというのは、これは安全二の次ではないかと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 笠井委員にはいつも丁寧に事前に御質問をいただいているんですけれども、この件については、私はいただいているという認識をしておりません。御容赦いただけるなら、事務方から答えさせたいと思います。(笠井委員「では、答えてください」と呼ぶ)

辻本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、JH2Aとは、我々、意見交換を重ねております。これは、今後、我々が考えていますのは、これまで想定していなかった大規模な水素利用ということで、例えば大規模な液水タンクなど、これは世界中でまだ五万立米のものは実現しておりません。そういったことで、どういうふうな安全規制をすべきかというところについては、我々自身も、NEDOの研究事業を含めて研究をしておりますし、そこに事業者も参画していただいております。

 我々は、まずは、何はともあれ、水素の大規模利用をするに際して安全性の確保を第一にやっていく、その意味で、事業者の技術的な知見、意見についてはしっかり研究開発の中でも承りながら開発をしていく、それを必要に応じて技術基準体系、規制体系に導入していくという立場でございます。

笠井委員 安全の問題というのは極めて重大な問題で、そのことについてはきちっとやはりしなきゃいけないと思うんですが。

 前回の高圧ガス保安法改定前に、二〇二一年十月二十五日の高圧ガス小委員会で、高圧ガス保安協会の近藤会長、現在も会長をなさっていますが、こうおっしゃっています。協会が把握しているだけで、この十年間に三割弱が法令違反行為を行っている、こう指摘された上で、自律的に高度な保安を確保できる事業者の存在がいかに危ういかを示している、規制を事業者任せにする制度は絵に描いた餅で、保安レベルの低下は確実、そういう形で強い危機感を表明されています。

 私は、今日の質問は終わりますが、事業者の自主性任せということは非常に危険だ、この問題はこの法案審議の中でもきちっとやはり検討すべきだということを申し上げて、今日の質問を終わります。

岡本委員長 次に、鈴木義弘さん。

鈴木(義)委員 今日は、二回目の質問に立ちます。国民民主党の鈴木義弘です。

 議員また執行部もお疲れのことと思いますが、もう少しおつき合いをいただきたいと思います。

 水素の導入について、これを拡大していって、最重要課題は水素の供給を増加させてコストを削減する点にあると思いますし、これは論をまたないと思います。

 現在の水素価格はおおむね一キロ当たり三から六ドルで、各社は、水素を天然ガスよりも有効な選択肢にするために一から二ドルを達成しようとしていると聞きます。各社は、この問題に次の手段で少しずつ取り組もうとしているというものが目に入りました。一つ、水素プラントを建設して供給を増やす、これは当たり前ですね。二番目、水素プラントの稼働率を高める、これも当たり前だと思います。電気分解プラントの設備投資を増やす。四番目、再エネ発電のコストを引き下げる。この四つの手段を全て実施しなければならない、それでコストを下げていくと。

 いつ頃、一ドルから二ドルを達成する時期を見込んでいるのか、お尋ねしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 水素の供給コストにつきましては、二〇三〇年に一立米当たり三十円、二〇五〇年に一立米当たり二十円まで下げることを政府として目標といたしております。

 この目標に向けまして、本法案における支援措置を通じて、低炭素水素等の需要と供給を同時に立ち上げて、規模の経済を働かせながらコストの低減を目指していくという方針でございます。

 一立米当たりと一キログラム当たりというのは、今申し上げました一立米当たりを大体十一倍するとキログラム当たりになります。二〇三〇年、一立米当たり三十円が今三百三十円ぐらいでございます、円・ドルのレート等ございますけれども。それで、二〇五〇年が一立米当たり二十円というのが大体二百二十円ぐらいという形になっておりまして、一キログラム当たり一から二ドルということとの兼ね合いは、今の数字で見ていただくと、大体二〇三〇年から二〇五〇年かいわいに政府としては達成しようとしているというところでございます。

鈴木(義)委員 先週の議論の中で、アメリカはもう〇・九ドルあたりを目指してやっているという話になると、一生懸命汗をかいて自分のところで作らなくて、〇・九ドルで、あと、コスト、輸送コストはどのぐらい、設備だとか、いろいろあるんですけれども、買っちゃった方が安いという話になっちゃったんじゃ、水素の推進が滞ってしまうんじゃないかと逆に思うんですね。

 ここで、水素プラントが水素を供給し始め、供給量が増えると、プラント運営企業は、収益性を高めるために稼働率を向上させて、設備投資を控える必要が出てくると言われているということですね、当たり前の話なんですけれども。この時期に、GX移行債も導入しているんですが、誰が、もっと水素供給を増設、増産してくれというような働きかけを経産省がするのか、できるのかということですね。

 一応スキームはつくるんですけれども、取りあえず、やれる人は手を挙げてくださいという形でやるんですけれども、その事業者が投資をして供給し始めていくと、もうけを出さなくちゃいけないから、やはり利益を上げていこうとするわけですね。そうすると、今言ったみたいに、四つのテーマのところをクリアをしていかないと、コストが下がりませんから、利益が出ない。融資を受けたものを返済していかなくちゃいけない。でも、そうすると今度は必要な水素が供給できない。

 増やしたいといったときにどうするのかなというのが率直な疑問です。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 現状においても、我々のところに、この法案が成立したらいいなという観点で、様々な事業者の方々が御相談に見えておりますが、一つ極めて大きな動きになっているのは、やはり、カーボンニュートラルに向けて、自分たちの製品、サービスをつくっていく過程でできるだけCO2を減らしたいという動きでございます。やや我々の想定を超えて、例えば、半導体のサプライチェーンであるとか自動車のサプライチェーン、あるいはデータセンターにまつわるような企業の方々は、できるだけCO2を減らしたいというニーズがございます。

 一方で、委員御指摘のとおり、じゃ、何でそれをすぐやらないのかというと、水素のコストがまだ高いので、なかなか、おいそれとそこまでは投資ができないという状況でございます。

 今回の法案で、今の価格差の部分をGX移行債でもって埋めてあげることによって、今のような、コストさえ下がってくれば水素を使いたいんだけれどもという方の需要サイドのニーズはますます高まってくると見込んでおります。そういった意味では、逆に、需要はどんどん拡大していくんですが、それに応じた安価な水素をどこまで供給できるかというところが課題でございます。

 もちろん、海外から輸入する場合と国産のもの、できる限り国産をというふうに考えておりますので、御指摘のとおり、国内でどうやって水素供給を拡大し、かつコストを下げていくかというところをしっかりと我々としても施策を打っていく必要があると考えてございます。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。

 じゃ、私が想定した以上にたくさんのメーカーさんというのかな、事業意欲のある企業さんが相談に来ているということで、そうしますと、コスト削減策と市場競争の原理がうまくマッチングできるかどうかということに懸かってくると思います。

 そこで、電力の卸売、自由化したときに質問に立ったんです。その当時、目黒に、電力の卸売市場の場所にも視察に行かせてもらったんですが、何かやはり玉が出てこないんだそうですね。それで、スポットで、いろいろな要因があるんでしょうけれども、玉がどんどん出てくれば、三割も四割も五割も出てくれば、そこで、市場価格でなるべく安いところを買いに来るとか安く提供するというところでインセンティブが働いて、コストがどんどん下がっていく。でも、実際は、余り玉が出てこないので、余り競争の原理が働かない。

 これは電気でもう実際にやり始めているわけです、八年ぐらい前から。実際は、八年ぐらい前に法律ができたから、六年か七年ぐらいなんでしょうけれども。

 こういった、今はまだ黎明期というよりは始まる頃なので、でも、最終的に価格を落としていこうとすれば、市場競争の原理を水素にも入れていかざるを得ないと思うんですね。最初のうちは保護して、補助金を出すとか、GX移行債を使ってもらってプラントを造って運営させていくんですけれども、ある一定時期になってきたときには、やはり市場原理を入れてやらないと、競争しないとコストは下がらないと思うんです。

 その辺を、電気を一つの事例にして、これから、もうちょっと先になるんでしょうけれども、そのときに、玉が出てこないということを踏まえて、もし水素の利用卸売みたいな制度をつくろうとしたときに、教訓として制度設計はできているのか、お尋ねしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 もう委員御指摘のとおりでして、そうした点もしっかり考えていかなきゃいけないと考えております。

 一方で、これも委員御指摘のとおりですが、現状、我が国では、まだ低炭素水素等の市場が黎明期にありますので、まずは、御審議いただいておりますこの法案で価格差に着目した支援等をやりながら、長期的に自立していくようなサプライチェーンを立ち上げていくということが肝要かと考えております。

 他方で、今後、サプライチェーンが数多く立ち上がっていけば、市場での取引のニーズが十分に想定されます。その場合には、委員御指摘の電力分野における教訓ということも十分踏まえて、もちろん、低炭素水素と電力分野、状況に違いがあるかもしれませんが、そこも含めてよく検討しながら、市場設計に生かすことが適切なものをしっかり見極めていきたいというふうに考えてございます。

鈴木(義)委員 具体的な名前はお出しすることは差し控えさせていただきたいと思うんですけれども、例えば、CCSだったら、どこそこの企業が強いとか、すごいたけた技術を持っている、水素の方だったら、どこそこ企業さんがパテントをたくさん持っていて、ほかはもう手出しができないという話になれば、どうやって競争の原理が生まれるのかなというのが一つ疑問です。それはいいとしても、それでもやっていってもらわなくちゃ先に出ないというのであれば、どこかの時点で競争の原理を働かせるような仕組みをつくっていかないとコストが下がらないんじゃないかということですね。

 それと、あと、何回か質問に立たせてもらって、資料を見ている中で、水素を作る方法、水素のキャリアとして使う方法、いろいろな方法があって、今大臣に質問すれば、様々なことを全てやってみましょうというふうに答弁されるんですね。でも、これが、時間がたっていけばたっていくほど、だんだんだんだん技術はどこかに収れんせざるを得ない。そこはコストの部分と技術の部分と、必ずそうなっていくと思うんです。

 そうなってきたときに、運搬の方法とか貯留の仕方、CO2だけどうやって取るかという分離する技術だとか、そういうものを収れんしていく中で、どうしてもタイムスケジュールを出していかないと二〇三〇年、二〇五〇年に間に合わないんじゃないかと思うんですけれども、大ざっぱで結構ですから、その辺の日程感、スケジュール感というんですかね、もう一度確認したいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 水素の製造であるとか運搬であるとか、御指摘のとおり、幾つかのやり方があるということでございます。グリーンイノベーション基金などを使って、それぞれ技術開発のタイムスケジュールを組みながらやってきております。また、今回の水素社会推進法案は、基本的には二〇三〇年をめどに供給開始が見込まれるようなものをということで、そこに目がけてトライをしていくということになります。

 こうした時間軸の中で、どういったテクノロジーであれば我が国が強みを生かして世界の市場を取っていけるのかということを見極めながら、幾つかのテクノロジーを支援していくという形になるというふうに想定しております。

 例えば、運搬につきましては、参考人質疑でもございましたけれども、液化水素で運搬するとか、MCHで運搬するとか、あるいはアンモニアで運搬するといったようなところが今主要どころになっているわけですけれども、それぞれ、二〇三〇年に向けては、場合によっては並走する可能性があると見込んでおります。もちろん、事業者の方々がどう提案を出してくるかというのをこれから見極めた上で決めてまいります。

 その上でですけれども、将来的には、二〇五〇年に向けて、例えば液化水素については、高純度の水素輸送が可能で、そのままFCVなんかにも使えるというところが物すごい強みです。また、MCHについては、季節変動にも対応できる長時間の貯蔵が可能であるといったようなところが強みでございまして、こうしたそれぞれの技術の特徴に応じて、やはり適材適所で活用されていくと考えてございます。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 先ほども前任の方が質問の中で、大臣の答弁で、CCSとCCUも議題になったと思うんです。私の記憶が間違っていなければ、九年ぐらい前に、T中央研究所というところが人工光合成をやってギ酸を作ったという記事が新聞でぱっと出て、それ以降、新聞に掲載されるということはないんですけれども、もし人間が、技術革新ができて、本当に、これは三大発明の一つになるだろうと言われる、人工的に光合成をつくる技術が確立できたら、このCO2の問題というのは、どうってことないようなことになると思うんですね。エネルギーもできるし、ギ酸からアミノ酸を作ってたんぱく質もできるし、食物のもと、私たちが食べているたんぱく質のもとですよね、そういうものも作り得る可能性はないわけじゃないと思うんです。

 だから、そういうCCUの技術も後押ししながら、ためて終わりじゃなくて、そこから取り出してまた使えるぐらいの夢と将来性を持ってやっていった方が、こっちは、まあ、頑張ってくださいよということじゃなくて、こっちはこっちで取りあえずやっておくけれども、まあ、将来使ってみようじゃないかという話が出てきて、そうなると、日本の技術というのは世界に御愛顧いただけるんじゃないかなというふうに思っています。

 今、実用化されている中で、いろいろな説明を受けた中で、エネファームや燃料電池、今日も、燃料電池の定置型と自動車に掲載するので仕組みがちょっとと。素材が違うのは承知しているんですけれども、もっとそれを推奨していけば、水素の需要というのは生まれるはずだと思うんですね。

 それと、もう一つ。まず隗より始めよで、国とか地方自治体の役所が、水素を使ってどんどん供給をしてもらったら需要がある程度見込めますよというのをやるのが先決じゃないかと思うんです、それを民間にばかりやらせるんじゃなくて。それで、ある程度の量が確保できる計画が立ってくれば、今度、供給する側も、じゃ、やってみましょうと、どんどんそこから競争が始まって、コストが下がっていくということにつながるんじゃないかと思うんですけれども、その辺についての需要家に対する働きかけをお尋ねしたいと思います。簡潔にお願いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでして、需要家への働きかけ、非常に重要でございまして、御指摘のありました家庭用燃料電池、エネファーム、あるいは家庭用も含めた燃料電池、これは、様々な導入支援補助金をやると同時に、それぞれどういうメリットがあるのかといったようなところを一生懸命御説明して、市場拡大を図っているところです。

 また、併せまして官公需の方も、関係省庁連携して、更に取組強化をしていきたいというふうに考えてございます。

鈴木(義)委員 大臣、去年もその何年か前も経産委員会で質問に立ったときに言ったんですけれども、太陽光発電にばかり力を入れるんですけれども、なぜ太陽熱をもう一回見直そうという考えがないのかということなんです。世界に先駆けて太陽熱を有効利用していた国のナンバーワンは日本だったんです。昭和五十六、七年ぐらいまでだったと思います。今は、ヨーロッパのドイツだとか、向こうの方がもう設置率は全然多いんですけれども。

 太陽はただなんですよね。お金をかけなくていい、設備費だけでいい。だったら、そこももう一回再考していただいて、このCO2の削減ということであれば、太陽光ばかりじゃなくて太陽熱も有効利用というふうに考えて、最終的には、この水素の法律もCCSも、国民にどれだけのメリットがあるのかというところ。

 電気代でも何でもそうですけれども、今より高くなるのか、いや、少しでも安くなるのかというのが、やはり国民に享受できるような仕組みにしていかなくちゃいけないと思うんですけれども、そこのところ、意気込みを大臣からお聞かせいただきたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 太陽熱について、ちょっと私、今、この瞬間の現状については把握できていないので、その点についてはコメントできないんですけれども、ただ、私が申し上げたいのは、地球温暖化のために、我々が全力を挙げて二〇五〇年の目標を実現をしていかなくちゃいけないというのは、私は国民全体の目標であるとも思っているんですね。

 そのために、国民の皆さんに、どういうメリットがあるかということを理解してもらうということは非常に重要で、例えば今回の水素やCCSも、単に温暖化のためにやるのではなくて、世界での国際競争がこれから始まりますので、その中で何とか日本がいい立ち位置を獲得をして、そして、それが国民の利益に最終的にはつながっていくように持っていくというのも実は一つの目的でありますので、そういうことも含めて、よく我々が説明をして理解をしてもらうということも重要だなというふうには思っています。

鈴木(義)委員 時間が来たので終わりますし、次回、質問する機会がありましたら、是非また議論させていただければと思います。

 今日はこれで終わります。お疲れさまでした。

岡本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時八分散会


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