第2号 令和6年12月18日(水曜日)
令和六年十二月十八日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 宮崎 政久君
理事 小泉進次郎君 理事 新谷 正義君
理事 山下 貴司君 理事 荒井 優君
理事 山岡 達丸君 理事 山崎 誠君
理事 斉木 武志君 理事 丹野みどり君
岩田 和親君 小池 正昭君
坂本竜太郎君 島田 智明君
鈴木 英敬君 関 芳弘君
世耕 弘成君 西村 康稔君
細野 豪志君 松本 洋平君
宮内 秀樹君 向山 淳君
東 克哉君 大島 敦君
岡田 克也君 落合 貴之君
小山 展弘君 鈴木 岳幸君
田嶋 要君 福森和歌子君
吉田はるみ君 東 徹君
黒田 征樹君 岡野 純子君
平岩 征樹君 福重 隆浩君
山口 良治君 佐原 若子君
辰巳孝太郎君 吉良 州司君
…………………………………
経済産業大臣 武藤 容治君
外務副大臣 宮路 拓馬君
環境副大臣 小林 史明君
外務大臣政務官 英利アルフィヤ君
政府特別補佐人
(公正取引委員会委員長) 古谷 一之君
政府特別補佐人
(原子力規制委員会委員長) 山中 伸介君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局官房審議官) 向井 康二君
政府参考人
(金融庁総合政策局審議官) 新発田龍史君
政府参考人
(外務省大臣官房長) 大鶴 哲也君
政府参考人
(国税庁課税部長) 高橋 俊一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官) 金光謙一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房長) 片岡宏一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 西村 秀隆君
政府参考人
(経済産業省大臣官房商務・サービス審議官) 南 亮君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 井上誠一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 河野 太志君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 依田 学君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田尻 貴裕君
政府参考人
(経済産業省大臣官房福島復興推進政策統括調整官) 川合 現君
政府参考人
(経済産業省イノベーション・環境局長) 菊川 人吾君
政府参考人
(経済産業省製造産業局長) 伊吹 英明君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局首席国際博覧会統括調整官) 茂木 正君
政府参考人
(資源エネルギー庁次長) 畠山陽二郎君
政府参考人
(資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官) 山田 仁君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 和久田 肇君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 久米 孝君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 山本 和徳君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 岡田 智裕君
政府参考人
(環境省大臣官房政策立案総括審議官) 中尾 豊君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 小田原雄一君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局次長) 角倉 一郎君
経済産業委員会専門員 藤田 和光君
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十二月十三日
アルプス(ALPS)処理水の海洋放出に反対することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一一三号)
同(志位和夫君紹介)(第一一四号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一一五号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第一一六号)
同(田村貴昭君紹介)(第一一七号)
同(田村智子君紹介)(第一一八号)
同(堀川あきこ君紹介)(第一一九号)
同(本村伸子君紹介)(第一二〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
経済産業の基本施策に関する件
私的独占の禁止及び公正取引に関する件
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○宮崎委員長 これより会議を開きます。
経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
両件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、公正取引委員会事務総局官房審議官向井康二君外二十四名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○宮崎委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。細野豪志君。
○細野委員 おはようございます。
今日は、自民党の枠で質問の機会をいただきました。感謝申し上げます。
早速質問に入りたいと思うんですが、エネルギー基本計画でございますけれども、今改定作業が行われているということで、昨日調査会の方にも資料が提出をされたということで、拝見をいたしました。
まずちょっと大臣にお伺いしたいのは、第六次から第七次にかけて環境は変わったということで、エネルギーの消費量、特に電力に関しては消費量が上がるということが書かれているわけですけれども、先日の大臣の所信の中では余りそこは触れられていませんので、その辺の構造変化をやはりきちっともう一度説明していただいた方がいいと思いますので、なぜここで電力需要が上がるのかということについて、まず御説明いただけますでしょうか。
○武藤国務大臣 皆さん、おはようございます。
細野委員から御質問をいただきました、エネルギー基本計画の今回の改定の件に当たっての話ですけれども、御承知のとおりだと思いますが、第六次エネルギー基本計画は、二〇二一年の十月、現行のものを閣議決定した以降、我が国を取り巻くエネルギー情勢は大きく変化をしていると承知をしています。
具体的に申し上げますと、ウクライナの侵略ですとか中東情勢の緊迫化などを受けて、エネルギー安全保障への対応が急務となったこと、また加えて、今細野先生からもおっしゃっていただいた、データセンターであるとか半導体工場の増加など、DXやGXの進展に伴う電力需要増加の見通しが極めて大きくなってきたということ、世界各国で、脱炭素の野心的な目標を維持しつつも、多様かつ現実的なアプローチが拡大していること、また、エネルギー構造転換を自国の経済成長につなげようとするいわゆる産業政策の強化などの変化が起きていると承知をしています。
特に、将来の経済成長を支えるデータセンターや半導体、鉄や化学などの基幹産業はいずれも脱炭素電源を必要としており、脱炭素電源を安定的に確保できるかが国力を大きく左右する状況にあります。
私も、この大臣になる前に、ちょうど印西市のデータセンターも当時のエネルギーの関係で皆さんと一緒に伺ってきましたけれども、やはりこれはちょっと大変な状況にこれからなるなというのを、現場も見させていただきつつ、昨日十七日に第七次エネルギー基本計画の原案をお示ししたところであります。
こうした変化や問題意識も踏まえた上でのエネルギー安定供給、経済成長、脱炭素を同時実現する、この三本柱を具体化していく、この方策を示したところであります。
○細野委員 この基本計画の原案にも書かれているんですけれども、エネルギー効率についてはこれからも徹底追求していく、しかしその一方で、これからの経済成長というのを考えたときに、電力需要の増加というのは避け難い、こういう状況の中でバランスのいいエネルギーの構成というのを考えていかなければならないというのは、私も大臣がおっしゃるとおりだというふうに思います。
私は、あの原発事故が起こったときに内閣で補佐官をやっておりまして、今日も来ておられますけれども、当時の官僚の皆さんとも一緒に原発事故の収束というのに当たりました。したがって、原発事故の恐ろしさについては永田町の中ではかなり具体的に経験をした者の一人であります。
しかし一方で、二〇一二年には、今度は原発が動かないということでエネルギーの供給危機が参りまして、大飯原発の再稼働という苦渋の決断をすることも私はやらせていただいたということなんですね。
それからもう十二年が経過をして、今大臣がおっしゃったように、エネルギー環境が大きく変わる中で、やはり今回のエネルギー基本計画はかなり明確にかじを切っていくべきだろう、それは原発も例外ではないというふうに思っております。
そこで、ちょっと焦点を絞って質問していきたいんです。
この原子力の発電をどう考えていくかということで、いわゆるリプレースというものがこれまで前に進んでまいった、これはGXの方の流れの中でということなんですが。今回、その部分についてエネルギー基本計画で初めて踏み込むことになるんですが、率直に申し上げて、ちょっと表現が分かりにくい。改めて読ませていただくと、「廃炉を決定した原子力発電所を有する事業者の原子力発電所のサイト内で」ということなんですね。
これはちょっと、もう少し大臣に、何をやろうとしているのかをきちっと御説明していただいた方がいいと思いますので、御答弁いただけますでしょうか。
○武藤国務大臣 リプレースのことについて、今度のエネ基の中でどういう表現をしていくかということにいろいろな議論を重ねてこられて、党でもされていると思いますし、我々も審議会でいろいろしてきたところであります。
おっしゃられたとおり、今まで申し上げた、エネルギー情勢の変化の中で、運転期限を迎えることによって原子力の供給量が大幅に喪失していくことを踏まえると、やはり経済成長や国民生活の向上に向けて必要な脱炭素電源を確保していかなければならないということがあります。
昨日の第七次基本計画の原案におきましても、今おっしゃられていただいたように、「廃炉を決定した原子力発電所を有する事業者の原子力発電所のサイト内での次世代革新炉への建て替えを対象として、」具体化を進めていくこととしています。
当然ですけれども、その他の開発などについては、各地域における再稼働状況、また理解確保等の進展等、今後の状況を踏まえて検討していくということになりましたけれども、まずは地元の御理解、そして各事業所の中で、サイトの中で有効利用ができるところ、あるいは違ったところも含めて考えられるのかどうかという、否かのいろいろな議論もこれまでも集積してきているところであります。
これについては、最終決定をまだ踏まえていませんので、今後とも、また先生方の御意見をいただきながら、細目について詰めていかなきゃいけないと思っています。
○細野委員 つまり、今大臣が御説明されたのは、ある電力会社が原子力発電所をAという一つのサイトで持っていて、Bというサイトを持っている、具体名は挙げない方がいいと思いますので。Aというところで廃炉があった場合に、これまでAの中でリプレースということだったけれども、Bの方にもこのリプレースという形でできるということですよね。
ただ、これは果たしてリプレースと言えるのかどうか。大臣は新規増設とはおっしゃらないんでしょうけれども、このBというサイトでは新しく原子力発電所が一基できるということは事実なわけですよね。そこはいろいろ、多分、諸々意見がある中でこういう表現になったということは承知をしていますが、やはりこれからの原子力産業、そこにどれぐらいの投資が集まるか、さらにはどれぐらいそこに人が新規に入ってきてくれるかということに関わるので、実質的に新しく造るんだということはきちっと説明した方がいいと思うんですよね。
その辺り、どういうメッセージをここに込めたのか、もう一言、大臣に御答弁いただきたいと思います。
○武藤国務大臣 細野先生おっしゃられるとおりで、今後、原発というものを、全体的な数字からいうと増設といっても増やしはしないというところのベースとか、それから、今おっしゃっていただいたように、投資というものを事業者が、これは金融機関のファイナンスも含めてですけれども、これからどうやってそれを支持されるのか、あるいは、人そのものが、研究機関あるいは学生さんのものも含めて人材が育っていっていないという中で、これをどうやって担保していくのかという様々な論点があるんだと思います。
今、先生からおっしゃっていただいたように、しっかりともっと明記するべきではないかというのも是非参考にさせていただいて、協議を前に進めていきたいというふうに思います。
○細野委員 今大臣がおっしゃった、実際に、では、サイトが違う場所に原子力発電所を新しく造るということになったとして、今の電力会社にそれだけの長期投資をやる体力があるのかどうか。
さらには、この原発政策の一つの特徴というのは、以前からいわゆる国策民営と言われていて、国策で目標はつくるわけですね。二〇四〇年に二割という数字は、これは私はそれほど高い目標だとは思いません。逆に、産業を維持するという意味でもぎりぎりの目標だし、バランスからいっても悪くないと思うんだけれども、これから原発が増えるということではないわけですね。それにしても、一定の、この二割という目標を政府として出すんだけれども、実際に造るか造らないか、そして稼働するかどうかは、これは民営といって、民間の電力会社が判断するということになるわけですね、若しくは発電会社が判断するようになるわけですけれども。
しかし、目標を立てるからには、やはりそれに責任が伴うというふうに私は考えていまして、では、それだけの投資をどうやってやっていくのか、そして、それをファイナンスをする仕組みをどのように考えていくのか、エネルギー基本計画の原案にも一応書かれていますが、ここはやはり、しっかりとした何か仕組みなり政府としての方針を持つべきではないかと思うんですよね。
現段階でそこをどのように考えていて、これから何をやろうとしているのか、これは政府委員の方に答弁をいただきたいというふうに思います。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
原子力発電所の建て替えに限りませんけれども、今後、相当な規模の脱炭素電源への投資が必要というふうに考えてございます。現在の事業環境の下で積極的な投資判断を促すためには、投資回収の予見性を確保するための制度措置、それから投資資金を安定的に確保するためのファイナンス環境の整備が求められるというふうに考えてございます。
具体的には、事業が長期にわたる大規模投資、事業開発の動向、制度変更、インフレ等による費用変動リスクが大きい投資について、事業者がちゅうちょする懸念がございますので、事業期間中の市場環境の変化等に伴う収入、費用の変動に対応できるような制度措置あるいは市場環境を整備してまいりたいというふうに考えております。
また、民間の金融機関等が取れないリスクについても、公的な信用補完の活用とともに、政府の信用力を活用した融資など、脱炭素投資に向けたファイナンス円滑化の方策等を検討してまいります。
脱炭素電源の一つでもある原子力についても、大規模かつ長期にわたる投資、事業期間の長さ、規制基準、バックエンド事業といった特徴も考慮した事業環境の整備が重要だというふうに考えておりますので、こうした課題を解決し、必要な脱炭素電源投資を事業者が積極的に行うことができるよう、必要な対応の検討を進めてまいります。
○細野委員 今の久米さんの御答弁を聞いていると、そういう仕組みをこれからつくっていく、仕組みとしてですね、政府として配慮するというレベルではなくて仕組みをつくる、そういう理解でよろしいんですね。では、一言どうぞ。
○久米政府参考人 必要な対応の検討を進めて、しっかり制度を整備してまいりたいと思います。
○細野委員 次に、再エネの中でも私が是非推していきたいと思っている地熱について伺ってまいりたいと思います。
今回、このエネルギー基本計画の中にも、地熱フロンティアプロジェクトというのを入れていただいているんですね。地熱というのは、一九七〇年代からかなり盛り上がって、サンシャインプロジェクトでしたっけ、かなり盛り上がった時期があって、ただ、私が永田町に来た二〇〇〇年頃からは地熱はさっぱり駄目で、仕組みが一回途切れたわけですね。ですから、もう何年ですか、半世紀ぶりぐらいに新たな政策が打たれるということで非常に期待をしているんですが、世の中でこの地熱フロンティアプロジェクトというのを知っている人はほとんどいないと思うので、ちょっと、どんなものかというのを、せっかくですので、簡潔に御説明いただきたいというふうに思います。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
経済産業省では、今後の地熱開発の加速化に向けた方針を議論するため、今年九月から十月にかけまして、環境省にも入っていただきまして、研究会を実施してまいりました。その中では、地熱開発の主な課題として、開発初期リスクの高さ、それから地域の理解醸成、許認可取得等に伴う開発期間の長さ、そういった指摘がございました。
こうしたことも踏まえまして、十一月十三日の資源・燃料分科会におきまして、経済産業省と環境省との連名で地熱開発加速化パッケージを発表いたしまして、今後、国が全面的に支援する地熱フロンティアプロジェクトを通じて、地熱開発を加速化するという方針をお示ししたところでございます。
その中で、具体的には、まず、経済産業省とJOGMECが、地熱ポテンシャルが有望な自然公園等のうち未開発のエリアを指定をする。その上で、JOGMEC自らが掘削をいたしまして、蒸気の有無を確認するまでの初期調査を実施をいたします。さらに、関係省庁、それから自治体との連携強化を通じた円滑な許認可取得や地元理解の醸成を進めるとしております。
今後、これら方針を速やかに実行に移しまして、地熱開発への民間企業の参入を促してまいりたいと考えてございます。
○細野委員 かなり画期的だとは思います。これまでJOGMECは、調査というところについてはいろいろな案件をやっていきましたけれども、実際に掘るところまでは基本的にはやっていなかったわけですね。地熱の場合には、掘ったはいいけれども熱源に当たらないとか、若しくは地元の理解が得られない、こういうことで途中で棚上げになったプロジェクトというのも結構あって、そういった意味では、JOGMEC、すなわち実質的には国がしっかりと掘るところまでやるというのは、非常に大きな変化だというふうに思います。
ただ、懸念がなくなったかというと、そうではなくて、実際、私はちょっと数字を見て、もうちょっといけるんじゃないかと思っているんですけれども、二〇四〇年度で地熱の電源構成の見通しは一%から二%。大臣、前回のエネ基で、二〇三〇年に一%の目標で、どうもそれは未達なんですね、恐らく、もう今から考えると。その更に十年後に、まだ一%という数字すら残っている。上限は二%ですね。これは、地熱フロンティアプロジェクトということで大々的に銘打っている割には、私は、野心的な目標とは言えないというふうに思うんですね。
最大のボトルネックの一つが、やはり許認可の省庁の多さなんですね。具体的に御説明申し上げると、資源エネルギー庁は、もちろんエネルギー開発という意味では許認可を持っています。ただ、ほとんどの地熱は国立公園の中にありますから、これは、私も閣僚をやっているときにやらせていただいたんですけれども、掘れるようにはなったけれども、環境省は非常に強い権限を持っている。あとは、大体森の中に当然ありますから、林野庁が権限を持っているということで。
今回、自民党の提案に基づいて、ワンストップサービスというのを書いていただいたのは非常にいいことだと思いますが、ちょっと気になるのは、「ワンストップでフォローアップに取り組む。」。何かフォローアップと言われると、民間事業者がやるのを後ろからついていくように見えなくもないわけです。これは、フォローアップというのは、一緒にやるという意味で書いていただいていると理解しますが、これは、きちっと政府として、ワンストップで窓口をつくって、そして全ての許認可について並行してやっていく、それぐらい踏み込まないと地熱は前に行かないと思います。
ですから、ここは大臣に、まさに、何といいますか、政治的な御判断ということも含めてやっていただけるお立場ということで、御答弁いただきたいと思います。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。
今、細野先生がおっしゃられたように、地熱開発、私も実はこれは大変期待をしております。ただ、今までも、温泉法ですとか、地域によって自然公園法とか森林法の許認可とか、今おっしゃられたように、本当にいろいろな制約が、規制がかかっちゃっている。この許認可に時間を要して開発が長いというのは、ちょっと正直申し上げて、いつまでこんなことをやっているのというのが正直な気持ちだったんですけれども、今回、今おっしゃっていただいたような、ワンストップで対応していく、もちろんフォローアップも含めてだろうと思いますし、実は、地熱というものは石破総理も今大変御執心でございまして、何かというとすぐ地熱はどうなんだということをおっしゃられるので、そういう意味でも、経産省としても、しっかりとこの地熱を、環境省や林野庁も含めて、そういう形で強力に進めていきたいというふうに思います。
また、御承知のとおり、世界でもいろいろな実証もあったり、新たな形がつくられているのも事実ですから、研究開発をちょっとスピードアップをしながら、開発、実証に向けて進めていきたいというふうに思っています。
○細野委員 クローズドループを始めとした新しい技術というのは、世界で相当の投資ブームになると思いますので、そこも含めて、二〇四〇年というのは、それほど近くもないけれども、果てしない未来でもないわけですね。ちょうど、目標として、その辺りにしっかり、そういう最新の技術も含めて実装化していくという意味では、いいタイミングだと思いますので、数字については私もこれ以上申しませんが、現実的な目標としては、もう少し上の野心的なものを目指していただきたいというふうに思います。
大臣、エネルギーについて最後にちょっとお伺いしたいのが、原発、地熱を始めとした脱炭素電源ということで全体を後押しをしていくということになるんですけれども、一つの視点として、最近よく聞くのが、原発なんかまさにそうなんですけれども、データセンターとか半導体の工場なんかも含めて、電源に近いところに産業立地するというのが一つの流れになっていますよね。これはやはり新たな政策手段だと思うんですよね。地熱発電を例えば導入したときにどういうメリットがあるのか、若しくは、原発について、リプレース、実質的には新規増設に近い形ですけれども、それを受け入れたときにどういうメリットがあるのか。そこに産業が新たに来て、新たに雇用が生まれ、そして経済がよくなるというのは、大変いいことだと思うんですよね。
その辺りをやはりもう少し政府として踏み込んで政策をつくっていってもいいのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 世界的にも、特に脱炭素電源を利用して製造したいわゆるグリーン鉄ですとか蓄電池などの製品、またデータセンターといったサービスなどが大きな付加価値を生む時代となってきております。各国でも、経済安全保障の観点を踏まえて、豊富な脱炭素電源を活用して製造業などを誘致する動きが顕在化をしてきております。
我が国においても、脱炭素電源の供給拠点に地域偏在性があることから、そうした供給拠点に新たな産業を集積させる大胆な発想が必要だということになっている時代だと思います。
年内にまとめるGX二〇四〇ビジョンにおいて、脱炭素電源近傍への産業集積を進めるための方策というものを、具体策を示す今予定でございます。その上で、今後、具体的な、今先生おっしゃったような、さらに町づくりといいますか都市づくりにつながってくると思いますけれども、政策の検討を進めていきたいというふうに思います。
○細野委員 そこは非常に期待をしております。それがあれば、やはりエネルギーを新しく受け入れる、投資をするということに関しても、それを受け入れるということに関しても積極的に手を挙げる自治体が出てくるというふうに思いますので。GXの方で出すということですので、しっかり私も注視をしていきたいというふうに思います。
残された時間で、環境省の方にも御答弁をいただいて、中間貯蔵施設の除染土壌の再生利用についてお伺いしたいと思います。
大臣、何でこれを私が聞くかというのをまず説明したいと思うんですけれども、実は、除染というのは二〇一一年の秋からスタートしたんですけれども、初めはやる役所がなかったんですよ。つまり、そんなことはやったことがありませんから。放射性の物質が飛散をして、ではどうするのという話だったんです。
当時、私は環境大臣になっていて、ではどうするかということになったときに、いや、経産省がやるべきだという話があったんですよ。当然ですよね、原発という経産省が所管をしている施設から飛散をしたと。
それは、大きな責任としてどうかというのはあるけれども、当然東電にも責任はあるけれども政府の責任もあるといったときに、経産省じゃないかという議論もあったんだけれども、やはり事業としての、仕事としての種類が違うということで、当時環境大臣だった私が当時の南川次官なんかと相談をして、全部受けると決めたんですよ。その代わり、経済産業省にも予算を融通してもらって、除染の事業ということで兆円単位の事業をやったんですね。そして、それが、十数年たって、もちろん全部ほとんど運ばれて、中間貯蔵施設になって、再生利用になるんです。
なぜこのことを言ったかというと、中間貯蔵施設の再生利用というのは、国として非常に難しい事業で、これまでほぼ環境省だけでやってきて、うまくいかなかったわけですね。今度、関係閣僚会議が立ち上がります。そこは、武藤大臣、当事者としての意識を持っていただきたいんです。つまり、本来であれば、経産省がやってもいいのを環境省が受けて、この十二年間悪戦苦闘してきたという歴史があるわけです。
なので、まず、ちょっと環境省の方の事務方に答弁をお願いしますが、再生利用の部分だけ、中間貯蔵のことは結構です、再生利用について今どういう進捗状況にあって、何が問題になっているのかを簡潔に御答弁いただけますか。
○小田原政府参考人 お尋ねのありましたことでございますが、最終処分の実現に向けましては、最終処分量を低減することが鍵となっておりまして、環境省では、二〇一六年に定めました方針に沿って、減容に関する技術開発や理解醸成の取組等を進めておるところでございます。
また、除去土壌の再生利用というのが一つの鍵になりますが、こちらにつきましても、福島県内で実証事業を行って、国内外の有識者の御意見等を踏まえて、今年度末までに再生利用に係る基準等について取りまとめを行うこととしております。
また、お話もございましたが、再生利用先の創出等につきましては、閣僚会議の立ち上げに向けて現在調整を進めておるところでございます。
以上でございます。
○細野委員 今、中間貯蔵施設にたまっている土壌の中で、八千ベクレル・パー・キログラム、これが安全の基準ということになっているんですが、それを下回っているものが、大臣、四分の三あるんですね。ですから、この四分の三は、基準が間もなくできるということですが、これまでの考え方でいえば再生利用可能なんですね。最終的には、この残った四分の一を減容化をした上で県外で最終処分という方針になっているので、その努力をしなければならないんですが、この四分の三については、再生利用できるので、福島の県内でも再生利用していただきたいわけですよ。ところが、いや、再生利用は福島の県内だけですということだと、それは、全部、要するに福島で処理しているんですよねという話になって、国として再生利用しているということにはならないですよね。
そこで、どう再生利用するかということで、環境省が、ここ数年間、私はもうちょっと早い段階でできたんじゃないかと思いますが、処理水の問題もこれあり、別の問題なんだけれども似た要素があって、処理水が先行したという経緯があるわけですね。
そこで、大臣にお伺いしたいんですが、関係閣僚会議のメンバーには経産大臣も当然入られると思います。これまで、新宿御苑とか、あと所沢で調整をしてきて、うまくいっていないんですよね。やはり、どこで再生利用するかということについても、場所探し、今、環境省の所管の施設でやろうとしているんですが、経産省の所管施設も含めて、真面目に探していただけませんか。
国土交通省というのが一番大きな対象になり得るというふうに思いますけれども、やはり、福島県外でも再生利用しているということで、それがきちっと理解をされれば、中間貯蔵施設の周辺だっていろいろな再生利用の方法があるわけですね。あれだけの敷地ですから、逆にそこでいろいろなことがやれる可能性もあります。
そこも含めて、県外での再生利用がうまくいくかいかないかが、福島のあの場所を再生することができるかどうかの非常に大きな分かれ目になりますので、大臣に当事者意識を持っていただいて、関係閣僚会議に出席をしていただきたい、そして場所探しにも力をかしていただきたいということで、御答弁いただきたいと思います。
○武藤国務大臣 お答えをさせていただきます。
まずもって、まず、この中間貯蔵開始後の三十年以内の除去土壌等の県外最終処分、これは一応法律で定められた国の責務ということが一つあります。その実現のために再生利用等を進めていくことが大変重要なのは、今先生おっしゃっていただいたとおりです。
私自身も、今、六年前から七年前になりますけれども、副大臣として、原子力の災害対策本部として、一年ずっと福島に通わさせていただいて、いろいろな、汚染という問題についても、また風評問題という問題にも、いろいろと地元からの御意見も承って、それなりに寄り添ってきたつもりであります。今も、離れてもずっと福島のことは忘れません。今またこういう形で大臣に戻ってきました。
今回こういう関係閣僚会議ができるということは承知をしています。是非、先生からも言っていただいた当事者の一人として、そこの責任を持って、環境省共々、またほかの省庁とも連携をしながら具体化をしていきたいというふうに思っていますので、またいろいろ御助言をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○細野委員 当事者というお言葉がありましたので、それをしっかり受け止めたいと思います。
ただ、当事者の一人というよりは原因者ということですから、一人称で語っていただいて、具体的な場所の選定にも関わっていただきたい、このことを最後にお願いを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、田嶋要君。
○田嶋委員 おはようございます。立憲民主党、田嶋要でございます。よろしくお願いします。
大臣が新たな方になりますと、プロフィールをもう一度改めて確認して、武藤さんの御実家は造り酒屋なんだなということも初めて知りました。二代続いて経産省出身の大臣だったと理解していますので、少しプロファイルの違う大臣になりまして、私は、中小企業に本当に寄り添う大臣として御活躍をいただきたいと、本当に念じております。
二〇一二年、自民党政権になってからの大臣のことをちょっと確認しましたら、十一名の大臣なんですよね、十一番目。十四年間ぐらいで十一番目で、ちょっと多いなという印象が私はします。人のことは言えませんね、民主党政権のときもそうでした。もうちょっと腰を落ち着けてトップのリーダーシップを発揮できる政治にならなきゃいけないと自戒も込めて思うわけでございますが。
ちょっと通告してないんですが、関連で、私が前々から問題意識として、あっ、今日は所信ですから、大臣の信ずるところに従って何でもしゃべってください。役所の人は答弁なくて結構ですので。前々からの問題意識で、役人のローテーションが二年交代というのは本当にいいのかなというのを私はいつも感じるんですね。
大臣も細野さんもありましたけれども、先日、地熱発電のお話をしていたら、来たばかりの方が二名お越しになった。所管は三人ですよ、僅か三人でやっておられる、地熱発電。二年で替わって、それで、民間に投資、投資というのがこれからの流れでしょう。日本は大規模投資ができなかった、だから中国に抜かれたとか、こういう話をしているのに、投資というのは基本足が長いんだけれども、霞が関の人事異動というのは二年でくるくる替わる。私の理解は、民間はもう五年ぐらいになっているという理解なんですが。
大臣、バックグラウンドも含めて、御経験からどうですか。私は、ちょっとこういうことも考えていかないと、日本が競争力を失っていく一つの理由として、当事者意識を持って、もっと情熱を持って取り組めるような人の体制というのをつくるべきじゃないかなというふうに思っているんですが、大臣、いかがですか。
○武藤国務大臣 田嶋先生、久しぶりのこういうお話合いができて大変楽しゅうございますけれども。
今先生おっしゃられたように、役人の方々のローテーションというのは、これはなかなか、正直言って、僕らの民間の感覚からいうと、ちょっと早いのかなと。私もこの世界へ入ってもう十九年になるんですけれども、正直に申し上げて、安倍さんが第二次政権をやっていたときも、長いということが、これはいろいろな弊害もあると思いますけれども、やはり安定するというところが一つの、政策的にも継続性というものがあって、それが効果を出すというところも、ある意味で評価はしているところであります。
ですから、だからといって、では役人は五年ごとにしようとか、それもなかなか難しい話だと思いますけれども、そういう観点というのは大変大事なことだろうと思っています。
○田嶋委員 長いプロジェクトで、やはり我々としては、日本がまたそういう産業で競争して勝てるようにしていきたいわけですから、途中で着任して途中で帰っていくというような異動だと、その人にとっても何か力が入らないんじゃないのかなという感じがするんですよね。
やはり、オーナーシップというか、俺がこれをやり切るんだというぐらいの、そういう人がいてもいいと思いますし、海外ですと恐らく、自分で異動したいと言わなきゃずっといられると思うんですよね。だから、そういう人たちと対抗して日本が、日本らしい人事システムの中で、二年ごとにごろごろ替わっていくのが本当にいいのか。
私は、経産省だけでも、もう少し本人の意向を聞いて、例えばCCSならCCSで、俺はこれは絶対やり切りたい、ずっといさせてくれという人にもっと長くいさせられるような仕組みをやはり考えるべきだと思っております。どうですか。
○武藤国務大臣 参考にさせていただきます。ありがとうございます。
○田嶋委員 お願い申し上げます。
それでは、通告に従いまして、中小企業の話をちょっと一点。
大臣が造り酒屋をなされて、建材の商社もやられているということを確認させていただいて、本当に価格転嫁というのは悩ましい問題ですよ。これは前の大臣にも申し上げました。一生懸命価格転嫁して、何%賃金が上がったとか連合も言っていますよね。あのときから私が心配したのは、この流れが続けば続くほど大企業と中小企業の格差は大きくなる一方じゃないですかということを問題意識として持っていましたが、案の定、新聞でいろいろそういうことが書かれております。これはこれからも続くんじゃないんですかね。
ということは、それは一部の人は給料が上がって幸せですよ、だけれども、いつまでたっても上がらない人はもう相当おいでの感じがするんですね。今、中小企業の半分ぐらいしか転嫁ができていないという話もありますね。それは製造業とサービス業で違うかもしれない。
何で海外に比べてこんなに遅れるのだということも私は分かりません。いろいろ情報を取ってみても、決め手となるものは見つからないんですが。
大臣は、今の価格転嫁の状況は、結果として、大企業の人を幸せにするけれども、中小企業の人は相対的に何かますます沈んでいくような、給料が全然上がらない中でつらい思いをさせてしまうという、望ましくない社会の方向に向かっている要素も私はあるような気がするんですね、もちろんそれは中途半端ではいけないわけなんですが。現状をどのように見ておられますか、価格転嫁の問題。
○武藤国務大臣 済みません、造り酒屋なんですけれども、何年前かな、MアンドAをしまして……(田嶋委員「ああ、そうですか」と呼ぶ)ええ。経営者からは一応外れています。
そういうような中で、当時も大変そういう意味では苦労をしました。やはり中堅にいますと、やはり価格転嫁というのは、要するに販売競争です、まず。市場価格の競争があって、その中で苦労して何とか利益のない中でやってきましたけれども、やはり原材料が、米が高いとかいろいろあって、価格転嫁というのは本当に難しい問題だというのは、中小をやって、商売をやっていると、特に地方の人間というのはよくそこは分かっていると思いますし、先生も、今日皆さんも、地元に行かれると、まだまだそんな楽なものじゃ絶対ないよというのが当たり前の話で。
ただ、世耕先生もいらっしゃるし、西村先生もここの委員でしょう、岡田先生もいらっしゃるので、経産大臣が三人もいるというこの委員会なので、過去からずっと長くこの価格転嫁の問題、あるいは、どうやって中小企業の商売をうまく回していくのか、特に今回、石破政権になって、中小、地方創生の、まさにこれから、今年、来年というこのタイミングで価格転嫁がどのぐらい進んでいくのかというのはまさに勝負どきだというふうに思います。
今までも、こうやって、下請法の改正もいろいろ考えてはきましたけれども、一応、来年早々に頭をお示しできるんだと思いますけれども、予算委員会でも各先生からもいろいろな御意見を賜りました。
いずれにしても、とにかく価格転嫁をどうやって中小、小規模、地方に転換をさせていくのかというところが悩み事であります。役所からは下請Gメン等々のいろいろな話もありますけれども、感覚的にはそういうことで、まさに来年が勝負どきだと。これをどうやっていくのかは、またこの委員会でもいろいろな御議論をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○田嶋委員 まさに勝負どきなんですが、大臣は最終ゴールをどこに置いていますか、御自身の中で。今、大企業が五%上がった、六%上がった、大いに結構ですよ。だけれども、今表現されたように、もう競争が激しくてそんなことは夢のまた夢だという現場の声をいっぱい聞くわけですよね。彼らはずっとそこに止まっていますよ。格差が広がる一方ですよ、当たり前ですけれども。
最終ゴールはどこなんですか。全員給料を上げるんですか。
○武藤国務大臣 全部がというわけには、なかなかこれも難しい話かもしれませんが、いわゆる周知をされているというのが約三割ぐらいしかいない。ですから、その割合が五割、六割と増えていって、結果的にそれがうまく回ってくるというのが、そう時間のないスパンの中でこれをやっていかなきゃいけないと思っていますから、まずは、周知の方法も含めて、これからは新しい方法をどうやってやっていくかということだろうと思います。
○田嶋委員 これは、正直、私も答えを持ち合わせているわけではないですよ。だけれども、提案を三つしたいと思うんですね。
やはり、余りよくなかった事例が公表されるというのは、私はそれはそれで効果があったと思うんですが、私の地元でも、価格転嫁を非常に協力的にできた荷主とトラックの事業者さんのその面会の場所に呼んでくれたことがありまして、やはり利他的に、みんなで共存共栄の意識を持つ経営じゃなかったら無理ですよ、そんなことは。いろいろな交渉の現場でいくと、価格をできるだけ下げたいというのも、それは一つの貢献なんだから、会社に。だから、自分の会社さえよければじゃ無理なんだから、そういういい事例をもう少し公取も含めて省を挙げて学んでいただいて、そしてそれを広げていくということ、そこから何を学び取れるかがやはり一つあるのかなというふうに思います。
二点目は、なぜ価格転嫁が海外に比べてこんなに難しいのか。私も分かりません。しかし、これはやはりもう少し調査をされて、国会図書館なんかでもなかなか情報が出てこないんですが、そこはお願いをしたいというふうに思います。
それと、三点目は、最後のお一人まで、結局、今の大臣のこと、今年、来年頑張ったら九割方給料が上がっても、最後の一割の方は一切給料の上がらない方が残るんですよ。結局、弱い立場の人がますます弱くなるじゃないですか。私は社会正義に反すると思いますよ。
では、どうやってそれを解消するか。強制性のあるルールを入れるしか、僕はないと思うんです。だから今度の、名前が悪いですけれども下請法の改正、何をなされるか分かりませんが、強制性のあることができないのかということを考えるべきだと思いますよ。
例えば何があるか。最低賃金というのは強制性がありますから。これを導入した国は最初どこか知っていますか、全世界で。最低賃金を最初に導入した国はニュージーランドなんですよ。つまり、歴史のない国だから、そういう新たな挑戦ができる。最近も、オーストラリアで、十六歳以下の子供に初めてスマホも何か禁止するみたいな、そういう法案が通りましたよね。
やはり、日本のように長い歴史があるとしがらんじゃって、なかなか難しいこともあるけれども、私は、本当に社会の一番弱い立場の人たちの給料も上がる社会にするには、善意だけではなかなか解決しないんじゃないかなと思います。何がしかルールをつけて、例えば、極論かもしれませんが、大企業の給料のアップは一番末端の取引の中小・小規模事業者の給料アップの比率を超えてはならないとか、そういう何かルールでもなければ、弱い立場の方は常に後回しになりますよ。私はそれはよくないと思っておりますので、是非大臣、頑張っていただきたいと思います。一言ありますか。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。
頑張りますという一言で終わりたいんですけれども。
確かに、今の、今回の下請法も、この前のアンケート結果も、いわゆる多段階で下に行くほど価格転嫁の割合が悪いということはもう出ていますから、そういうところもまた田嶋先生の御指導をいただきながら頑張っていきます。
○田嶋委員 次の質問に行きます。
気候変動でございますが、NDCということで、今大事なステージに来ております。
今の政府の動きに関して、高い低いという、いろいろなお声を外からもいただいておりますが、一点確認は、大臣、この二〇五〇年カーボンニュートラルというゴールと一・五度目標というゴールはどういう関係性にあるというふうに大臣は御理解なさっているかということを教えてください。
どこにも書いてない。何も通告はしてないので、大臣の御認識だけで結構でございます。
○武藤国務大臣 もう一度、質問、いいですか。
○田嶋委員 二〇五〇年カーボンニュートラルは、エネ庁の資料にいっぱい出てくるんです。ところが、一・五度という言葉が、資料は出てこないんですよ、エネ庁は、環境省には出てくるけれども。
だから、僕が聞いているのは、一・五度以内に収めるという目標と二〇五〇年カーボンニュートラルという目標は、どういうふうに両方が成り立つのかということを聞いているんです。
○武藤国務大臣 ちょっとスライスが来たかなと思ったんですけれども。
いわゆる一・五度目標、これはNDCで環境省が主体で今詰めています。また、我々も、もちろんNDCあるいはGXの関係でも今一緒に協議をしてきているところでありますけれども、カーボンニュートラルゼロ、これを目指してとにかくやっていく。その中で、我々は、脱炭素とか様々な三本柱がありますけれども、それで経済というものも動かしつつ、その目標をやっていくという立場だというふうに承知をしているところです。
環境省の方もゼロというところで、気候温暖化の問題も、これだけ毎年異常な暑さがあったりしていると、これはもう間違いなく影響してきている、私は、そういう思いの中でやっていかなきゃいけない。ただ、やはり経済というものをどうやってそこでうまく回していくのか、そういうところの中の話としてこれからもやっていかなきゃいけないだろうなと思っています。
○田嶋委員 ありがとうございます。どちらももちろん大事だと思っております。
二〇五〇年カーボンニュートラルという数字、ゼロというのは、私の言い方で言えば、その瞬間風速に数字が合えばいいんですよ。だから、それはフローというふうに言ってもいいと思いますね。他方で、一・五度目標というのは、二〇五〇年の瞬間につじつまが合っても、そのプロセスがどうなるかによって全然結果が違う。だから、それは積分値であり、ストックだということですね。
だから、私が申し上げたいのは、フローの議論だけしていても、最後に帳尻が合えばいいだろうじゃなくて、これから二〇五〇年に向かってどういう道筋を行くかによって、一・五度どころか三度になっちゃうこともあるよということを世の中は警鐘を鳴らしている、それがカーボンバジェットという考え方だと私は認識しておるんですね。
だから、大臣、是非これはそういう両方をやはりやっていかないと、人類全体にとって大変厳しい状況になる。一・五度はほぼ無理じゃないかとか、そういう声も聞こえてくるんですが、是非そこは、経産省の資料は、二〇五〇年カーボンニュートラルが結構強調されるので、あえて一・五度は言わないようにしているのがね。でも、やはりそれはよくないです。やはり先進国の一端として、世界の三%のCO2排出かもしれませんが、両方をちゃんとにらんで最適な判断をお願いをしたいというふうに思っています。
そこで、配付資料の一を御覧いただきたいんですが、これは、齋藤大臣のときにも申し上げました。法案が成立をして、私どもも賛成をして、水素社会を目指していこうという中に、水素とちょっと似たような違うようなアンモニアというものもございまして、このアンモニア混焼ということで、JERAの碧南火力の発電所も見させていただきました。
私は、これは大臣にももう一度直接お伝えしたいと思いますが、このアンモニア混焼は、絶対駄目だと言う気はありません、ありません。日本中にたくさんまだ石炭火力がありますが、世界は結構、絶対駄目だと言っているわけですね、御存じのとおり。石炭火力は、二〇三〇年にやめていく国がたくさんあります。つい最近、ロングボトム大使が胸を張って、世界で初めて石炭火力を始めたイギリスが、ついに全ての石炭火力を止めましたと、この間イギリスの大使がおっしゃっていましたけれども。
そういう中で、日本は独自の道を歩み始めておるわけでございまして、これも、先ほどの話で、投資でありますから、事業リスクを取って民間がやるのを私たちは見守るし応援もしたいと思います。
しかし、どこかで判断をしなきゃいけないと思うんですが、私は、JERAさんのこの資料を見ていると、間に合わない心配がすごくするんですね。つまり、実証実験あるいは技術的にはクリアできても経済合理性でクリアできるのかという問題と、じゃ、日本中の石炭火力に実装できるのかということを考えたときに、全然間に合わない可能性が十分あるのではないかというふうに懸念しております。
もちろん中長期では、アジアの石炭火力に売り込めるというビジネスチャンスも期待できますが、日本の、今申し上げたカーボンニュートラルと一・五度目標に、本当にこのプロジェクトが間尺に合うんだろうか、タイムスパンがちょっと違うんじゃないかという危惧をしておるんですが、大臣、どういう御認識でしょうか。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。
碧南の火力も私も行きまして、いろいろ説明も聞き、やってきましたけれども、今日本がこれからエネルギーのトランジションの世界で、いろいろ、水素、アンモニア等々、石炭火力をどうするという中で、正直申し上げて、今大変難しい時期にあるのかな、これが今の私の率直な気持ちです。
この前も、AZECに行って各国それぞれの首脳の話も聞きましたけれども、やはり、日本というものに対するその新しい技術の可能性というものに非常に期待感もあるのも、これも事実でありまして、世界のCO2の排出を考えれば、なかなか日本は優等生の方だと思っていますし、ある意味で、アジアに対する貢献等々を考えれば、いましばらくこれはしっかりちょっと後押しをしていく必要があるんだろうなというのが今の気持ちです。
○田嶋委員 大事だと思いますが、どこかでやはり見極めをしなきゃいけないと思いますね、ずるずるとということはいけないと。前大臣もそういうふうに答弁なさっていただきましたので、大臣にも、ここは大事だと思います、日本のビジネスチャンスになる可能性もある、人の行かない道ですから、ひょっとしたら日本の独壇場になれる可能性だってゼロじゃない。そこは本当に難しいところですね。よく見極めていかなきゃいけないけれども、やはり定点観測をし、そして、日本国内のカーボンバジェットということを考えるときに、いや、とてもこれは間に合わないということであれば、違う方向に踏み出す可能性もゼロではないなというふうに私も考えておるところでございます。
それでは、次の質問をさせていただきたいと思います。
一つ飛ばしまして、資料の三を御覧いただきたいんですが。
海洋立国という言葉が日本にはよく使われるわけですが、私は、後ほど原発の話もいたします、やはり浮体式洋上風力など、これは本当に頑張っていかなきゃいけないし、ポテンシャルから考えても、今までの着床式や内陸の陸上風力に比べて圧倒的に大きいというふうに予測されますね。
ポテンシャルが大きいという意味は、もちろん、関係者が余り、海域ですから陸域に比べたら少ない、あるいは、風況が全然違いますから、海上は八メートルとかの風が普通に常に吹いているということで、言ってみれば地熱発電みたいな安定性が期待できるんですね、陸上に比べても。ちょっと、私はこういう部分でも、日本のスピード感と取組が非常に遅れが目立ってきているというふうに感じます。
まとめて申しますが、ペロブスカイトも同じでございまして、これも前回、前の大臣、元の大臣にもそれぞれお尋ねしていますが、日本発の技術と日本のヨウ素という、本当に運のいいというか、これは千葉県なんですけれども、運のいい資源に頼れるのにもかかわらず、中国にいっぱいあるシリコンのときと同じように、だんだん日本が水を空けられてきているんじゃないんですかということを前回も申し上げておるんですが、だんだん差が開いているんじゃないかということを懸念しています。
そのときにまた、設備投資の規模とか、スピード感とか、特許の問題とかで、もう嫌というほどシリコンの時代に煮え湯を飲まされた日本が、まさか同じ失敗をすることは私はなかろうと期待したいんですが、大臣、もう一度そこで覚悟を持って、これを絶対に日本の成功産業にするんだということをお聞かせいただきたいと思います。
○武藤国務大臣 DX、GXの進展もあって、とにかく今、この再生エネルギーの、今先生おっしゃられたようなペロブスもそうだし、洋上風力もそうだし、地熱もそうですけれども、とにかくこのトランジションの中でいかに早く技術を前に検証しながら、実証化というものの中で先見性を持てるかということだろうと思うし、そういう意味で、今中国のお話もありましたけれども、過去の痛い経験も踏まえて、今ヨウ素というものが日本の中で、千葉で、チリに次ぎ生産量というのはあれだと思いましたけれども。
今世界をリードする、まさにこういうところが問われているところでありますので、今回も、GX、いろいろな形で後押しをしていきますけれども、そこの中で加速感を持ってやっていきたいというふうに思っています。
○田嶋委員 お願いしますね、本当に。申し訳ないけれども、なかなか成功事例がない経産省の産業政策で、前に西村さんに聞いたときは化学ぐらいしかということを、化学という答弁がありましたけれども、なかなかないんですよ、成功事例が、本当に。自動車産業は今でも日本の柱でございますが。
四ページに地熱もつけさせていただいたけれども、相変わらず賦存量は世界で三位といいながら全然進まないというのはやる気のなさの象徴ですよ、これ。先ほど言った地熱は三人ですから、職員。原子力は何人いるか、御存じですか。気合いの入り方が全然違うから。
地熱、世界三位ですよ。世界の市場の七割を押さえているのは日本の四社のメーカーですから。御存じですよね。何で日本でこんなにできないのかというのは、先ほどの細野さんとのやり取りを聞いていましたけれども、十年前の議論と何も変わっていないんですよ。やる気のないのがもう表れている。だから、そういうところで頑張っている人がかわいそうだから、私は、先ほど言ったように、五年とかちゃんと長い、腰を落ち着けて徹底的にこの地熱をやり切る。新しいプロジェクトが始まるようですから、頑張っていただきたいと思います。
やる気のない地熱やソーラーに比べて、次に原子力の話ですけれども、原子力はやる気が異常ににじみ出ているという感じですね、今日の日経新聞のトップも含めて。私が今日限られた時間で申し上げたいのは、可能な限り低減というのは、これは下ろさない方が僕はいいと思うんですよ。
原発の利活用、私たちも今再稼働は絶対反対なんて言っていませんから、現実的な対応をしていますよ。だけれども、福島の方のことを思い浮かべて、細野さんが本部長のとき、私は現地本部長ですから、細野さんと私でペアを組んで避難所を回りましたよ。もうあちこちで大変厳しいお言葉をたくさんいただきました。そういう怒られ役でもあったと思うんですけれども。そういう細野さんと今は随分歩いている道が違うわけでございますが。これは、やはり可能な限り低減という抑制的な姿勢で原発に臨むということは、私は、この日本の宿命であり責務ではないかなというふうに感じるんですね。
ちょっと資料を御覧ください、五ページ。有名な地図なので誰でも知っていますけれども、日本は、悲しいかもしれないですけれども、地震の巣窟なんですね。そういうのが一つね。
次の六を御覧いただいても、実は、お隣の韓国とはまるっきり事情が違うということも確認できるんですね。だから、カリフォルニアなんかと日本はそっくりですね、もう真っ赤っかですよね。アジアで見ると、韓国と日本は、韓国は原発が動いていますけれども、近いから同じようなものかなと思いきや、まるっきり違う。これは自然の地理的条件で仕方がない。宿命ですよ、日本の。プレートとプレートの継ぎ目の上に乗っかっているんだから。
あの珠洲原発のことだって、三・一一の四号機の燃料プールに続く、神風が吹いたような、超ラッキーですよね。十一基とかあそこに建てる計画があって、それが潰れたわけだから。三つの電力会社があそこに最低でも六基の原発を並べようとして、それでやめたんですよ。あれは断層の真上でしたよね。今でも大変大きな被害のある珠洲市ですよ。
そう考えると、ほかの国がやっているから日本もここまで行こうなんというのは、結局、安全神話に舞い戻り、そして規制のとりこになっていくという、元に戻っていっているんじゃないかということを私は大変危惧します。
カリフォルニア州というのは地震が多いのを御存じですよね。原発、どのぐらいあるか御存じですか。
○武藤国務大臣 教えていただけますか。
○田嶋委員 情報は、直接見に行ったわけじゃございませんが、今、再稼働で二基、四十年ぐらいたった原発が二基動いているようですが、今度行きたいと思いますが、五年間の運転延長がカリフォルニア州によって認められた。カリフォルニア州の原発依存度は現在九・二%。
アメリカには、御案内のとおり、百基の原発がありますけれども、僅か二基しか西海岸にないのはなぜですか。
○武藤国務大臣 地震層ということですね。
○田嶋委員 だから、賢くやっているんですよ、現実を見て。原発はほとんど中西部か東にしか置かない、西海岸には置かない。西海岸と同じ運命にあるのが我々のこの日本列島じゃないですか。大丈夫かなと。私は抑制的にいくべきだと思いますよ。
それからもう一つ。よく言われる、日本海側に原発銀座、福井県、新潟。そして、能登半島だって、珠洲原発がやっていたら原発銀座ですよ。この安全保障環境の中で大丈夫なんですか。所信の中に安全保障環境のことを書いていますよね。それを言うんだったら、エネルギー安全保障はもちろん大事ですけれども、ミサイルがこっちを向いているようなところに原発を並べていいんですかという議論はありますよね。それは規制委員会の所管外なんですよ。テロ対策は所管内ですよ。だけれども、ミサイルをぶち込まれることは想定外なんですよ。どうするんですか、これ。
何かみんなで、地熱は僅か三人、原発は全員集合で、何か原発に力が入り始めていますけれども、これで安全保障に対して答えを持っていらっしゃるんですか。全部地下に逃げ場所を造るんですか、日本は。どうされるんですか。それは何か大臣としてお考えはございますか。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。大変大事な観点だというふうに承知をしています。
島根、原発に視察に行ったときも、これはどうするんだ、特重は今やって、ずっとやってきましたけれども、じゃ、ミサイルが撃ち込まれるときはどうするんだといって、それはどこが守るというところがまだ抜けているのは事実だと思います。これを日本の安全保障という観点の中で防衛省にやらせるのかというのも一つではあるんですけれども、これはまだまだ正直言って議論が詰められていないところだと思っていますので。
また、今先生からおっしゃられたように、アメリカの問題もありますけれども、やはり、我々からすると、エネルギーの安定供給、いかにこれを確保していくのか、それから経済成長、脱炭素を同時にやってどうやっていくのというところが、正直、今の観点で、エネルギーの七期で大変な大きな問題だと思っています。いろいろまたこれからも検討させていただきます。
○田嶋委員 そういうこともちゃんと答えを見つけてから、やはり原発を新増設というふうになるのが順序じゃないかなと思うんですよね。再稼働とは訳が違うと思うんですよ。再稼働よりも、ずっと使うでしょう、造ったら、やはり人情として。造っちゃったら、ここから更に六十年とかになるわけだから、これは本当にそこをどうするのと。
だって、ウクライナだって、あのザポリージャ原発が狙われて、あれが一番嫌じゃないですか。私も国会図書館で情報を取ってみたけれども、これは核兵器よりもある意味影響がでかいということがあっちこっちに書かれていますね。だから、いわゆる直接的な大きな被害というよりは、中長期にわたっての放射能による汚染という意味では、もう比較にならないというような、いろいろ専門家のレポートもありますよ。だから、分からないんですよ、これは本当に。ザポリージャはあれだけ警戒しているのに、我々は原発銀座をいっぱい並べて、しかも、御丁寧に日本海側に。大丈夫かなと、これは誰だって思いますよね、素人ですけれども。
だから、これはやはり国民の代表たる我々国会議員が、原発、原発と言う前に、そこをもうちょっと考えないと。私は、この可能な限り低減というのは極めて大事な、抑制的な、絶対駄目とは言いませんけれども、抑制的な、重要な基本スタンスだと考えておりますので、そのことを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございます。
○宮崎委員長 次に、山崎誠君。
○山崎(誠)委員 おはようございます。立憲民主党、山崎誠でございます。
武藤大臣、就任おめでとうございます。随分遅くなってしまいましたが、初めての大臣への質疑ということで、よろしくお願いいたします。
早速で申し訳ないんですが、一点だけ外務省についてお尋ねしたいことがございまして、外務副大臣に来ていただきました。済みません、順番をちょっと変えて、五番の質問から。副大臣、終わったらすぐお帰りいただきたいと思いますので、お許しください。
緊急でお尋ねしたいことがあってお呼びをしております。経済産業委員会ですから、私の関心事は経済安保であります。経済安保のかじ取り役となっていただかなければいけない外務省なんですけれども、組織のガバナンスが大丈夫かという問題であります。
私は長らく、外務医務官、コロナ禍で大活躍をされた方もいました、もっとこの医務官を活用すべきだということで主張をしていまして、そのおつき合いがあって、いろいろな委員会の質疑などもさせていただいたんです。そういう中で、内部告発のようなものがありました。その一つは、ハラスメントです。パワーハラスメントとかセクハラだとか、こういったものが外務省の組織の中で問題になっている、そして、より問題が深いのは、そういうハラスメントに対する対応がきちんと取られていない、そういう訴えであります。
例えば、内部通報をした者が逆に処分されてしまうとか、あるいは、ハラスメントの対象者が守られずに精神的に追い込まれたり病気になったり、そういう事態が放置されている、そして、もう一歩悪いのが、そうしたハラスメントの加害者がかばわれて、組織として守られて、そして事実が隠蔽される、そういう問題が外務省にあるのではないかということであります。
そして、さらに、そうした中で、看過し難い情報が入りました。医務官の方の中に、白紙のカルテ、診療をしているのに診療録を作らずに診療行為をしていた、これは不法行為であります。そして、その白紙カルテで医療行為をしていたと疑われている方が人事課に籍を置いて、ハラスメント対応の中心人物であるというお話でありました。私は、極めて不適切な人事が行われていると言わざるを得ないと考えております。
経済安保に関しては、組織のガバナンスが本当に大事になると思うんですよ。このような不正や、あるいは問題事案が発生しないようにするのはもとより、発生した場合に厳しく対応する、これが例えば人事課の役目であるし、組織ガバナンスの意味だと思うんですけれども、今のこの外務省の実態について、外務副大臣、把握をされているかどうか、また、把握されているとしたらどう対応する必要があるとお考えか、お尋ねしたいと思います。
○宮路副大臣 まず、お尋ねのございました、いわゆる白紙カルテということについて申し上げます。
外務省診療所で診療を行った場合、通常、電子カルテに記録を残しておりますが、人事情報等を含めて、慎重な取扱いを要する場合には、当該電子カルテには記載せず、紙のカルテに記録を残しています。こうした対応については、保健所としても、一般論として関連法令上問題ないということを確認しております。
今回、山崎委員の御指摘を受けて、改めて診療所内で確認をいたしましたが、従来から電子カルテ又は紙カルテへの記録が行われておりまして、御指摘のような法律違反の状況は確認されておりません。したがって、ガバナンス上問題があるのではないかという指摘については当たらないものと考えております。
○山崎(誠)委員 本当にそれが現場の実態なのか、今お話ししたような隠蔽を副大臣がしてはいけないし、許しちゃいけない、それが私の大事な問題意識であります。まあ、組織防衛はもちろんしていただくのは構いませんけれども、問題はきちっと正さなければ、経済安保だとか、これから大事な国際的な競争をやっていく中で、不正があった、問題があった、それを隠していたら話になりませんよ。
これは、今日はここまでにとどめますけれども、今の答弁をしっかりと受けて、更に私も調査をして、また次の機会にお尋ねをしたいと思います。大臣、お帰りいただいて結構です。
○宮崎委員長 宮路外務副大臣は退席していただいて結構です。
○山崎(誠)委員 それでは本来に戻りまして、今日の経産省の大事な話題、一つは田嶋委員からもありましたNDCの話、あるいはエネルギー基本計画の話であります。
今日は環境省の副大臣にも来ていただいております。まず、このNDCを決める議論が今進んでいるのでありますけれども、この議論がうまく動いているか、正しく議論がされているか、その問題です。
十一月の二十五日の委員会、環境省と経産省共催の委員会で、この資料一のNDCの考え方についての事務局見解が示された。これは突然会議の後半で出されたということで、委員の多くの皆さんが非常に不審に思い、また疑問に思い、環境省の担当者にお聞きすると、これは議論を尽くされたのでいいんですと言うんですけれども、非常に唐突にこれが出てきたということで、そういう声が上がっています。そしてまた、若い世代の皆さんからも多くの声が上がって、もっとやはり野心的な目標、高い目標にしてもらいたいという声も多くいただいています。こういう方々、ヒアリングもしているのも分かります。ただ、そうした声とこの事務局案が余りにも乖離しているので、じゃ、自分たちの声は、自分たちの主張はどこへ行ってしまったのというのが率直な今皆さんの思いだと思うんですよ。
これは、これから、この委員会の皆さんの議論を踏まえて、さらに、こういう若い人たちの声を踏まえて、それをパブリックコメントで終わらすのではなくて、もっと深く議論を尽くす必要がある、そのように考えるんですけれども、副大臣、どうですか、環境副大臣。環境副大臣にお願いします。これは議論の基本中の基本ですから。スタンスの問題ですから。事務的な、技術的な問題ではありません。
○小林副大臣 山崎委員の問題意識はしっかりと受け止めさせていただきました。
その上で、この審議会、いろいろな、多様なメンバーから御意見をお伺いするということで、しっかり伺っていくことが重要だと思っています。一方で、我が国として、やはり経済成長と環境への負荷の低減という目標達成を、現実的に道を示していく必要があるというふうに思っています。
その点でいくと、この直線経路が甘いのではないかという問題意識なんだと思っていますが、各国を見ていても、あと、先ほどの田嶋委員の質疑でもあったように、やはり時間が経過すればするほど技術が革新をし、削減できる幅というのは大きくなるんだと思っています。それでいくと、上に凸から下りていくという姿も描ける中で、様々な御意見がある中で、ここの間を取って直線経路を取ったということですので、問題意識は全くそのとおりだと思っておりますが、しっかり現実の道を進めていくということだと思っています。
そして、若者の御意見ですけれども、私も別途お会いをしたりとかして今後お話を伺う予定ですが、御意見は御意見として承る、ただ、現実の道として、何が正しいのか、何が必要なのかということはしっかり政府として示していく必要があると思っております。
○山崎(誠)委員 では、大臣、まだ若い人の声を聞いていないんですかね。是非聞いてください、早く。それから決めてくださいよ。そうでないと本当に問題だと思います。
今大臣、上に凸でも、最後、落とせばいいんだと言うけれども、それは、先ほどの田嶋委員の質疑で、カーボンバジェットなんですよ。経路が大事だというのは、これは環境副大臣としてはちゃんと認識しておいてもらわないと、今のお話はちょっと、申し訳ないけれども、理解が不十分だと思いますよ。
もう一つ、私、資料を見ていて思うんですけれども、何で直線的な経路だと現実的なんですか。実現可能性を高める、予見可能性を高めるという意味では、曲線だって、ちゃんと目標が定まっていれば、それは明確ですよ。上だ下だ、どこにあっても、それがちゃんとポイントとして見えれば、そして経路が見えれば、それは予見可能性が高いですよ。何で直線だと予見可能性が高いんですか。
○小林副大臣 今の委員の御指摘だと、政府が目標さえ決めれば予見性があるんじゃないか、こういうことなんだと受け止めましたけれども、それはそうなのかもしれませんが、一方で、現実として、産業界の技術がついてくるのか、そして、それのコストがちゃんとこの日本の経済構造で見合うのかということも併せて整理をしていく必要があるわけですね。
国際的にも、ちゃんとIPCCからも、最後に二〇五〇年ネットゼロということを達成することが重要なのであるというふうにいただいていて、我々は、過去もそれに向かって直線的な線を引いてきて、やってきたわけですから、まさにそれをなぞって更に直線的に引いていくというのは、より予見性が高いものだというふうに考えております。
○山崎(誠)委員 当然です。技術がどうなるか、そして、より深掘りをしないと。環境副大臣なんだから、より深掘りの方向で私は議論をしていただく担当者だと思っています。武藤大臣が産業界は厳しいんですと言うならまだ分かるんですよ。でも、環境副大臣が深掘りをせずに環境のことを言ったら、どうやってこれはバランスを取るんですか。
目標はもちろん大事ですけれども、議論はもっと大事なんですよ。誰がどういう立場で、どういうスタンスで、何を議論するかが問われているんです。
先ほど事例を挙げました、十一月二十五日の話をしましたけれども、要は、そういう議論ができていないんじゃないか、結論ありきでこれがぽんと出てきたことに対して、委員の皆さんは、いや、反対の立場を取っている人たちもたくさんいるはずですよ。そういう人たちの声は、若者の声は聞きおくといって、それで済ませているから、国民的な合意が取れないんだと私は思うんですよ。
これは、国民の皆さんの協力、大変必要ですよ。この環境に対する投資は大変貴重ですよね、GX。この道筋を間違えたら、それこそ日本の経済や社会に与えるインパクトも大きいし、気候変動も抑えられない。私は本当に岐路に来ていると思う。
もう一回、副大臣、環境省としてこの目標をどうしたいのか聞かせてください。
○小林副大臣 環境省としてということでもありますし、私のスタンスとしてですけれども、やはり脱炭素とエネルギー安定供給、経済成長、これを同時に実現するということで、現実の道を引くというのがスタンスだと思っております。環境省への御期待はしっかり受け止めましたけれども、これはもう目の前に未来が迫っているわけでありますので、先生の問題意識と同じだと思います。その点では、とにかく高い球を投げるのが環境省の仕事ではなくて、産業界と、そして世界との中で現実的な道を科学的に示していくことが環境省の私は重要なスタンスだと思っております。
この会議において、反対の方もいらっしゃるんじゃないか、こういうことでしたので、今後も丁寧にしっかり議論を進めてまいりたいと思いますが、この資料が提示されたときに、明確にこれに対して反対ということはなく、しっかり、これを軸に議長からは議論を進めるということで、議論が進められたというふうに認識をしております。
○山崎(誠)委員 その様子も見ましたけれども、本当に最後の三十分のときにぱんと出されて、元々事務局から、こういう提案をしますよという事前のアナウンスがあったりしたのであれば、私は、皆さんも意見を言うチャンスが確保できていると思いますけれども、どうなんでしょう、私はそういう会議ではなかったのではないかなと。私の認識であります。
次の話題に移りたいと思うんですけれども、是非これは環境省としては深掘りをしてもらいたいんですよ。これは決して、産業界、産業界といいますけれども、例えばJCLP、日本気候リーダーズ・パートナーシップという、これは、大手の企業の皆さんが集まって、どちらかというと需要家側の企業でありますけれども、本当に大手の企業がそろって、大手だけではないんですけれども、中小企業も含めて、大きなグループが、とにかくこれは深掘りをしなさい、七五%以上削減をと言っているんです。いいですか。これも間違いなく産業界の声であります。
もちろん、エネルギー産業の方々、エネルギー多消費産業の皆さんは、ううん、厳しくすると厳しいな、それは分かりますよ。だけれども、需要者側からいえば、もっと深掘りしてもらわないと自分たちの商売も困るし、日本の将来は本当に心配だと言っている経営者もたくさんいるんですよ。そういう実態をちゃんと踏まえていただきたいんです。
それから、産業界だけではありません、農家だって漁業者だって、気候危機で、気候変動、地球温暖化の影響を受けて大変ですよ。例えば、雪国のスキーで産業をやっている、雪が降らないともう死活問題だ、そういう声も上がっていますよね。私は、そういう人たちの声も聞いて、気候危機、地球温暖化、これに対応するためにはどうしたらいいのかということを、まさにこの議論を審議会でやってもらいたいんですよ。私には、そういう議論がまだ十分できていないというふうに思うので、重ねて申し上げておきます。
それで、先ほど原子力発電の依存の問題について、方針が、次のエネルギー基本計画で撤廃されてしまうのではないかということで、問題だと。田嶋委員と私も同じ認識であります。
その理由として、とにかく電力の需要が大きく伸びると。資料二、三につけさせていただきました、いわゆるデータセンター、AI、こういったものが、利用が必要だということであります。
ただ、これを見ると、このインパクト、例えば二〇四〇年までを見れば、大きな、電力消費全体に占める割合で、増えてもこれは一〇%くらいなんです。それから、資料三を見ていただくと、例えば電力の需要の見通しというのは、大きな幅もあって、まだ不確定なんですよ。不確定なんです。だから、増えるかもしれない、でも、これは省エネ技術をちゃんとやっていけば抑えられるかもしれない。
こういう、これは私は不確定な事実だと思うんですけれども、武藤大臣、どうお考えですか。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。
今の需要量の見通しの不確定さ、これは、正直言って、本当に今まだ幅が広い。研究機関によっても全然違うところもあります。ただ、総体的に言うと、やはり増えるというのが今の各研究機関のデータかというふうに承知しています。
先ほどのNDCの問題もそうなんですけれども、やはりバランスをどう取っていくのかという点と、産業というものに影響をできるだけ抑えていきたい。これがまさに、先ほど来価格転嫁の話もありましたけれども、中小企業の収益ですとか、大手はもちろんなんですけれども、特に中小企業のエネルギーのいわゆる電力代等々を本当に抑えていかなきゃいけないだろうと。
そのため、また世の中の変化というものに対応して、どうやってこれを確保していくのか。これは正直言って大変大きな問題に今もうまさになってきているわけですから、今回、七期のエネ基というのは、そういうバランス感覚というものを持ちながらしっかり作っていきたいというふうに思っています。
○山崎(誠)委員 今、大臣、コストの話をされましたよね。コスト、検証したじゃないですか、新しいモデルで。一番安いのは、やはり再生可能エネルギーですよ。それは皆さんが出したモデルですからね。
統合コストとかというばか高いのがあるんですけれども、それはもう少し先の話として、今、再生可能エネルギーが一番安くなっていなきゃいけないんですよ、少なくとも、世界の常識で。それができなくて、原発のモデル計算、これは私、この後時間があればいろいろ指摘をしたいんですけれども、本当に原発が安いのか。これは、原発は高いのであります。新設、新増設すれば、一基は一兆円、二兆円、三兆円なんですよ。皆さん、幾らで見積もっていますか。いまだに五千億円とか、新設のコスト。どのぐらいで見積もっているか、これはもう一回聞きたいんですけれども。
本当に、ちょっと時間がないのでやめておきますけれども、コスト、高いんですよ。それは皆さんの計算でも明らかなので、電力のコストの話をするんだったら、やはり再生可能エネルギーをもっと入れないと駄目なんですよ。データセンターに電力を供給したって、安い電気じゃなかったらビジネスにならないから、外へ出ちゃうんですよ。それがビジネスの私は常識だと思います。
私が主張したいのは、先ほど田嶋委員からもありました、原発のリスクとか危険性とか、それから過酷事故が不可避なんだ、不可避というか避けられないんだというのが、これは確定的な事実ですよ。確定的な事実です。それに対して、今大臣がお話しになった電力の需要は不確定なんですよ。増えるか増えないか分からないんです。
いいですか。確定的な原発のリスクを回避しようという考え方と、不確定な需要に対してどう挑むか、これは私は結びつけるべきではない、政策判断ではそこをちゃんと切り分けるべきだと思いますよ。
いいですか。例えば、だって、使用済みの核燃料をどこにどういうふうに処分するか、これは本当に難題だと思います。それから、原発の絶対安全はあり得ませんから、これもしっかりと守っていくためには相当な努力をしなきゃ駄目ですよ。だけれども、これでも不可能だというのが科学技術の今限界です。この原発というものの特徴です。
こうしたことを考えて、確実性、不確実性、どっちを取るかというのが今問われています。再生可能エネルギーは不安定だというお話もありますけれども、再生可能エネルギーが不安定だというのは、例えば、蓄電技術とか送電線だとか、そういったものをきちっと整備をすれば克服できる。使用済みの核燃料を保管するためにどうするのかという議論よりはずっと私は解決が可能だし、早いと思いますよ。是非私は、そうしたことを国民の皆さんにも理解していただき、皆さんにも考えていただきたいのであります。
だから、確定的で明確なこと、そして不確定なことについてはチャレンジすればいいじゃないですか。そこにビジネスのチャンスもあるし、日本の経済成長の原点もあるわけですから、是非それを皆さんにお考えいただきたいとお伝えをしておきます。
最後、大臣の所見をお願いします。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。
山崎先生のいわゆる御意見、久しぶりに、また改めて聞かせていただいた雰囲気がしますけれども。
要するに、七期のエネ基を作るに当たっては、まさに、先ほど申したとおり、脱炭素、SプラススリーEの原点、そして経済成長という形の中でこれを作っていかなきゃいけない。
ただ、おっしゃられるとおり、原発のいわゆるさっきの事故に対する物の考え方もありますし、今、再生エネルギーで、安定力という意味の中のトランジションのまだ技術的な実証もありますし、正直言って、蓄電池というのはいつになったらもっと実現できるのか、その辺、ずっと僕らも言い続けているんですけれども、なかなか、系統の方もまだまだお金がかかる話もあるし、ここはやはり、今、これから先、さっきの三本柱に基づいてこの七期を作っていかなきゃいけない。
だから、原子力の位置づけも、これもいろいろなお話もあると思いますけれども、原子力産業も、学生の参入の妨げになったり、サプライチェーンを構成する企業の事業撤退という懸念もありますし、そういう意味の中で、一定、やはり安全性というものは、いわゆる立地自治体の皆様ともいろいろ御理解をいただきながら最終処分の話も進めていかなきゃいけない話だと思っていますので、またこれからもいろいろと御教授いただきたいと思います。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。
時間ですし、ちょっと納得はいかないんですが、引き続き議論したいと思います。
風力発電について一つだけ御要望で、EEZの法案が通常国会、最後、廃案になってしまいました。これは大至急やはり対応すべき課題だと思うので、通常国会冒頭で議論できるように準備を進めていただきたいとお願いをして、終わります。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、東克哉君。
○東(克)委員 おはようございます。立憲民主党の東克哉と申します。
本日、このような質問の御機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
私自身は、中小企業の経営者をしておりまして、また理学療法士をしておりまして、今大臣が椅子を立たれたときに、腰、大丈夫かなというふうに思いました。そういうケアの、ヘルスケア産業についてもいろいろと御質問させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
まず、中小企業の支援の強化及び公正な取引間についての価格転嫁について、賃上げについての御質問をさせていただきます。
現在、燃料高、物価高において、特に中小企業において、それらの適切な価格転嫁や適切な取引に目を向けなくてはいけない状況になっています。特に、人材不足、人手不足による人件費の上昇、企業が適切な価格転嫁ができることが中小企業にしっかりと広がっていき、それが賃上げにつながっていくことが大変重要だと、私自身もこれは経験値として分かってきております。
そうした取組の一環として、経済産業省では毎年九月、三月に価格交渉促進月間、そして公正取引委員会では労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針の策定をして、その周知に力を入れているということは、私自身も承知をしております。
そうした努力から、少しずつ労務費の適切な価格転嫁に関する機運が醸成しているということは、肌感覚では分かってはきているんですけれども、業種によって、やはり様々な割合、三割から六割の転嫁率と、非常に幅があるということも承知しております。
今年の九月の価格交渉促進月間についてのフォローアップ調査においても、最新のものを見ると、実は、実際には価格交渉のテーブルにも着いていないという企業が二割ほど存在するということが、やはり看過できない状況だというふうに認識しています。実際に私の地元の企業でも、交渉すらさせてもらえないという声をたくさん聞きます。
ここで、質問なんですけれども、直接交渉が困難である事業者さん、恐らくこれからも困難であろうと思われるんですが、例えば代理交渉若しくは交渉のスタート地点に立てるようなサポートができる支援体制などを検討しているのかどうか、今以上の取引適正化を進めるために、論点の整理や下請法の改正などを含む大臣のお考え方を是非お聞かせいただければと思います。
○武藤国務大臣 東先生、どうもありがとうございます。御質問いただきました。現場をよく分かっていらっしゃる先生だと思いますので、よろしくお願いしたいと。またこれでお仲間は増えたかなと思っていますので、よろしくお願いいたします。
調査結果は、今お話しいただいたように、交渉のテーブルに着くことができなかった企業、一三・六%もまだいるんです。これが現実です。
こうした企業が交渉のスタートラインに立てるように、今、全都道府県ですけれども、下請かけこみ寺、これも今までもある、あるいはよろず拠点というものもあります。価格転嫁サポート窓口というのを相談窓口として全国に設置しています。これらの活用というものが、周知というところにまだなかなかつながっていないのがまだこの現状。ただ、これまで累次のいろいろな形でそれぞれの動きをやりながら、少しずつじわじわじわじわと今上がってきているというのが今の状況だと思います。
ただ、そのスピード感だと間に合わないでしょうと。いわゆる燃料の話もあるし、材料費は上がっているし、今はもう、おっしゃられるとおり、人材がいなくて給料を上げざるを得ないんだ、おまえ、これ以上どうしてくれるんだよというのが今の全国の地方の状況だというふうに思っています。
そして、経産省も今いろいろ何かやっているらしくて、メルマガですとかXとかいろいろ使いながら、商工会、商工会議所、さらには金融機関と税理士、ここがちょっとまた新たにつけ加わりながら、僕も、正直言って、地方銀行を何とかしなきゃいけないんじゃないのという話は言いましたけれども、そういう形の中で、ちょっと本当に、不断の努力を続けながら、更に深掘りをして、中小の中で、その一三・数%の交渉できない人たちを何とか、ゼロとは言いませんけれども、できるだけ改善させていけるようにということと、それから、交渉に乗ってくれるんですよという人が最近は本当に増えました、周りの方々の。ただ、本当に、現実どのぐらい上げられるのといったら、突然一〇〇%とはいかないというのが現状だと思いますし、賃金にそれが回り出すということを考えると、やはり相当まだベースを、更に周知して、上げていかなきゃいけない。
これは、いろいろな業界のやはりガイドラインもそうですし、今の周知の方法も含めて、来年はもっともっと活性化をさせなきゃいけないんだろうと思っていますから、下請法の改正も公取と一緒にやりながら具体化をしていかなきゃいけないんだろう、そんな思いで今おりますので、またよろしくお願いいたします。
○東(克)委員 ありがとうございます。
私も、先ほど大臣が言われましたように、周知の問題が非常にこれから大事になってくるだろうなというふうに感じております。
周知に続いてなんですが、二つ目の質問に移らせていただきます。
中小企業の経営支援、周知のところも関連しての御質問になりますが、中小企業は、国内の労働人口の約七割をカバーしています。こうしたことから、価格転嫁の課題以外に、直接的な経営支援、その体制を手厚くすることで、雇用の確保、賃上げがしやすい環境を整えていく必要があるというふうに感じています。
先ほど大臣も言われたように、税理士さん若しくは社労士さん、地銀、このような方々の直接的な業務のサポートで企業経営を円滑に進められていることですけれども、広範的な経営のサポート、これをきめ細やかに助言をするためには、今以上に必要だと感じている企業者もたくさんおられます。
例えばなんですが、企業経営に役立つ補助金。たくさん補助金、私も、この委員会に属して、こんなに補助金があったのかということを知りました。この情報がやはり行き届いていない、活用されていないということを先ほど大臣も言われましたけれども、そのことの情報をより網羅できるようにしたい。書類の申請、申請書類に書くことをもう少し簡便にしたいということを、既に地域の商工会議所、商工会ではやっていることは承知しているんですけれども、これを、スポット支援ではなくて、やはり継続的に続けていけるようなことを、中小企業の声としてよく耳にしています。
ですので、中小企業の支援策の在り方として、中小企業のサポート、伴走者としての商工会議所、商工会、若しくは、先ほど言われたよろず支援拠点、地銀などの一層の活用を含めた定期的な経営支援の施策について御答弁いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○岡田政府参考人 お答えいたします。
中小企業、小規模事業者は、企業数全体の九九・七%、先生おっしゃるとおり、従業員数の七割、付加価値の過半を占めている日本経済の屋台骨でございます。地域経済を支える重要な存在だと認識をしてございます。
一方で、人手不足や物価高、金利上昇など、様々な経営課題に直面している状況でございます。このように、刻々と変化する経営環境において、経営者単独で対応するというのは容易ではないというふうに感じております。したがいまして、経営者に寄り添った経営支援というのは非常に重要であるというふうに承知しております。
そのため、中企庁といたしましては、全国四十七の都道府県によろず支援拠点を設置いたしまして、売上拡大や経営改善等の経営サポートを行っております。事業者は何度でも無料で相談することが可能でございますので、先生おっしゃるとおり、年度をまたいでの活用ということもできるようになってございます。
また、全国の商工会議所、商工会においても、地域における身近な支援機関として、経営指導員が中小企業、小規模事業者に対しまして、補助金情報の提供、補助金の取得に向けた支援に限らず、総合的な経営サポート等、経営者に寄り添った伴走支援も積極的に行っているところでございます。
今後も、これらの支援機関を活用いたしまして、中小企業、小規模事業者をしっかりと支援してまいりたい、このように思っております。
○東(克)委員 ありがとうございます。
やはり、何度でも無料ということを更に周知していかないといけないなというふうに改めて痛感いたしました。
また、最後、企業の出口について二つ御質問させてください。まず、スタートアップと事業承継についてです。
企業が生まれてから、上場、承継、売却、最終的には廃業という形がありますけれども、様々な支援がある中で、スタートアップの支援、起業した後の出口が、今どのような出口に向けて、上場若しくは売却とあると思うんですが、そのスタートアップ支援の施策について是非お聞かせいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○菊川政府参考人 今委員の方から、スタートアップ支援、そしてまた出口を見据えてという御指摘がございました。
昨今、今るる御審議ありました中小企業の中でも、例えばスタートアップについても、若い世代を中心に非常に関心が高まっております。近年、ITのスタートアップに加えまして、宇宙だとかAIだとか、いわゆる先端技術、ディープテックと言われるようなものでありますとか、あとは、委員のいろいろと事業をやられている介護の分野、こういった社会課題への解決というところへ取り組むスタートアップも多く存在してございます。こうしたスタートアップが上場や買収といった出口を見据えていくためには、様々な主体による支援が必要だというふうに考えております。
二年前、二〇二二年にスタートアップ育成五か年計画ということを政府でも策定いたしまして、経済産業省もそれに沿って取組を進めているところでございます。
先ほど中小企業庁の方から中小企業の支援についてのお話もございましたが、例えば、スタートアップ、これは技術開発から、まさに設備を造って商品を量産していく、こういったところまで非常に大事なわけですが、どうしても手前の最初の技術支援ばかりに注視されてしまうので、今般の様々な国会の御審議も経て、補正予算の御議論もいただいたというふうに承知していますが、NEDOによりまして、NEDOというのは、いろいろな支援をする、中小企業には中小機構があるわけですけれども、NEDOだとか、まあ中小機構もやっていただいているんですが、NEDOによる、研究開発から設備投資のところまで一気に通貫をして、一気通貫で支援するというような資金面での工夫もしております。
また、地方のイノベーションの創出、こういった観点でも、例えば、大学発のスタートアップというのは地方ですごく増えておりまして、東京以外のところでの大学、地方での大学のスタートアップというのが非常に増えているということも認識しております。委員の御専門であります医療産業分野のような、こういったところについても、地域の強みを生かしたスタートアップ支援をやってございます。
出口を見据えてというところにつきましては、今、買収、MAというお話もありましたが、買収のところは若干、日本はアメリカと比べても非常に少のうございまして、ここの厚みをどう増していくか、ここは、先ほど大臣の方から地域金融機関というお話もありましたが、そういったところの支援もいただきまして進めていきたいというふうに思ってございます。
○東(克)委員 ありがとうございます。
続いて、スタートアップではなくて、次は事業承継についてお伺いさせていただきたいと思います。
一万者から二万者が事業承継できずに廃業する事例があると聞いておりますので、その辺りについての支援策を教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○山本政府参考人 お答えいたします。
経済産業省といたしまして、事業承継につきましては、四十七都道府県に設置している事業承継・引継ぎ支援センターを中心とした相談対応などのワンストップ支援、また、事業承継税制の特例措置による、株式等の相続時、贈与時の税負担の猶予といった、総合的な支援策を講じてきているところでございます。
これに加えまして、足下におきましては、人手不足の深刻化や賃上げの必要性を背景といたしまして、事業承継やMアンドAを契機として、新事業展開による経営革新など、生産性向上を図ることが一層重要になっておると認識しております。
このため、令和六年度補正予算の事業承継・MアンドA補助金において、MアンドAの専門家活用費用等を支援する既存の措置に加えまして、事業承継促進枠を設けまして、より早期の事業承継を促すべく、事業承継を予定している中小企業等への設備投資などの費用を支援することといたしております。
加えまして、MアンドAの実施後の成長の実現に必要となる経営統合の取組、PMI、ポスト・マージャー・インテグレーションも重要でございまして、これも、新たにPMI推進枠を設けまして、PMIに当たっての専門家活用や設備投資の費用を支援することともしております。
引き続き、中小企業を支援する地域金融機関、商工団体等のほか、新聞、ウェブ媒体等の多様なメディアを通じまして各種施策の周知、広報に取り組み、更なる円滑化、事業承継、MアンドAを契機とした経営革新の実現を後押ししてまいる所存でございます。
○東(克)委員 ありがとうございます。
事業承継、本当に大事な問題だと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
最後に、ヘルスケア産業について少しだけお伺いさせてください。
ヘルスケア産業は、健康情報、いわゆるPHRなど、情報の集積、分析で、介護予防など、私も理学療法士として介護に携わっておりますので、そのことについて厚労省とも連携して是非進めていきたいと思っております。そこから、これからどのように進めていくのか御答弁いただければと思います。最後にお願いいたします。
○南政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおりですが、経済産業省で、個人の健康医療情報でありますPHR、これを利活用しまして、個々人に最適化されたサービスを提供する、そうしたものを推進する取組を行っているところでございます。
具体的には、国民が自らのニーズに応じまして安全、安心にPHRサービスを利用できるよう、関係省庁や民間事業者団体と連携しまして、データの標準化などを進めております。
私たちも、まさに先生御指摘のとおりでありますが、厚生労働省とも密に連携しまして、このPHRの活用を推進し、国民の健康寿命の延伸に貢献してまいりたいと思っているところでございます。
以上であります。
○東(克)委員 ありがとうございました。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、鈴木岳幸君。
○鈴木(岳)委員 立憲民主党の鈴木岳幸でございます。
本日、初めての質問でございますので、ちょっと緊張しておりますけれども、よろしくお願いいたします。
それでは、大臣の所信に対しましての質問をさせていただきます。
大臣の所信の中では、日本の経済には明るい兆しが現れている一方で足下の物価高により消費が力強さを欠いているとのお話がありました。まさしく私も同じように感じております。その要因は、何といっても、この物すごい物価高が続いている中で収入がなかなか上がってこないということが要因の一つにあるのではないかと思っております。
特に地方に暮らしておりますと、私は静岡県の藤枝市に住んでおりますけれども、都市部の大企業の方はこの昨今の物価高の中でどんどん給料が上がっているような、そんな感じがありますけれども、地方ではそのような状況がほとんど感じられません。地方の事業者はほとんどが中小零細ですから、中小零細事業者の厳しい状況は今更述べるほどもないかと思っております。
大臣からは、コストカット型経済から賃上げと投資が牽引する成長型経済への転換を確実にするため、物価高に負けない持続的な賃上げを実現するとの言葉もございました。これは大変力強い言葉だと感じております。このことは地方に住む多くの人が望むことでありまして、ただしかし、同時に、大臣の所信の中にもあったように、中小企業、小規模事業者は、業績の改善が伴わないのに人手を確保するための賃上げを迫られる厳しい状況にある、このことは大臣も把握されているということでございました。この状況を改善していくためには、収入を上げていくためには、やはり適切な価格転嫁が必要でありますので、そのための対策を強くお願いしたいところでございます。
先ほど東委員と田嶋委員の方からも価格転嫁についての質問がありましたが、私もこの価格転嫁について改めてお伺いをさせていただきます。
価格転嫁を円滑に迅速に行うことが大変重要なことでありますけれども、そのための取組として行われております、毎年三月と九月の価格交渉促進月間、これは非常に重要なものであると認識しておりますが、この価格交渉促進月間による効果というものがどれほどのものであったかという点についてまずお伺いをさせていただきます。
○武藤国務大臣 鈴木委員にお答えをさせていただきます。
今の、経済産業省でやっていることですけれども、年に二回、価格交渉促進月間を通じて、受注側そして発注側の双方に積極的な価格交渉を呼びかけておりまして、その後、三十万社の中小企業に対して、実際に交渉、転嫁できたか、アンケート調査を行ってきました。
その結果に基づきまして、この取組を始めた、二〇二一年になりますけれども、約三年間で延べ約七百七十社の発注企業の交渉、転嫁の状況を公表させていただいたところで、その中で結果の芳しくない百二十社の経営トップに対して、事業所管大臣、これは私だけじゃなくて国交省とかいろいろなのがありますけれども、指導助言を行ったところです。これらにより、中小企業始め取引先が多く波及効果の高い発注企業に対して、取引方針の改善を促してきたところであります。
こうした形で、徐々に交渉しやすい雰囲気は醸成されつつあるんだというのが認識であります。足下においても、半年前と比べて、発注側からの声かけで価格交渉できた割合が、二ポイントですけれども増加をして、二八・三%となりました。また、価格転嫁率は、約三ポイント増加ですけれども、四九・七%となったところです。
一方で、サプライチェーンの取引段階の階層が深くなればなるほど転嫁率がやはり下がってきておりまして、価格転嫁の浸透が今後の重要な課題と認識をしているところであります。
今後は、二月上旬を目途ですけれども、最新の調査に基づく発注企業の社名公表ですとか事業所管大臣の名前において指導助言を行い、そして発注企業に更なる取引の改善を促します。また、公正取引委員会と連携をし、下請法改正の検討を含めて、中小企業の価格転嫁を更に後押ししてまいりたいというふうに思います。
よろしくお願いします。
○鈴木(岳)委員 百二十社の方に指導助言されたということで、これはなかなかお仕事がよくできているなということを率直ながら感じておりますので、これを更にまた進めていただきますように、改めてお願いを申し上げたいと思います。この価格交渉促進月間による効果というものが徐々に出始めているということですので、これは大いに期待することかなと考えております。
それでは、またさらに、パートナーシップ構築宣言についてお聞きしたいと思います。
このことも所信の中で述べられておりましたけれども、私のイメージでは、このパートナーシップ構築宣言というものは、本来は、大企業も中小零細、個人事業の方も、みんながこの宣言を行うことによって適正な取引が行われて、価格転嫁も交渉事のテーブルにのりやすくなってくるものだなということを感じるんですけれども、勝手なイメージかもしれませんが、有名企業とか大手の企業というのはこういう宣言をやりやすいのかもしれないですけれども、中小零細とか中間に入っている企業というのはなかなかやりづらいんじゃないか、私のイメージかもしれませんが、そのように思うところがあります。
このパートナーシップ構築宣言の更なる拡大と実効性強化に取り組むとおっしゃられておられましたけれども、現時点で実効性への取組というのは実際どのようなことを行っているかという点についてお伺いをさせていただきます。
○山本政府参考人 お答えいたします。
パートナーシップ構築宣言、この宣言数の拡大に向けましては、経団連を始めとする経済団体への協力の呼びかけや地方紙を中心とした政府広報などを行ってまいりまして、この結果、パートナーシップ構築宣言の宣言数は、この一年で約二万社増加して五万七千社を超えたところでございます。また、このパートナーシップ構築宣言の公表は、賃上げ促進税制の一部の要件にもさせていただいておるところでございます。
このパートナーシップ構築宣言の実効性の向上のためには、二〇二二年から、宣言企業とその取引先の双方に対しまして、取組状況に関する調査を実施しております。昨年度の調査におきましては、ほぼ全ての宣言企業が八割以上の下請企業からの価格協議に応じているという結果が出ております。
また、価格転嫁率も重要でございます。こちらにつきましては、一層の向上が必要であるという結果も出ておるところで、課題も見られるところでございます。
このような調査の結果、下請振興法上の基準に照らしまして問題となるおそれが認められた企業の経営者などに対しては、フィードバックをさせていただいております。このフィードバックを踏まえ、各企業の経営者におかれては重要な経営課題として認識いただき、改善をしていただくということを促しているところでございます。
加えまして、シンポジウムの開催や経済産業大臣賞を始めとする優良事例の表彰、優良事例集の公開など、宣言企業の取組の参考となるような事例等につきましても発信を行っているところでございます。
今後ともこうした取組を継続していくことで、宣言の実効性の向上を着実に進め、中小企業の価格転嫁や賃上げができる環境の整備を行ってまいる所存でございます。
○鈴木(岳)委員 今お聞きした中でいきますと、パートナーシップ構築宣言の宣言企業がどんどん増えているということで、この宣言を行った企業はほとんどが価格転嫁に応じているということのようでございました。これは大変頼もしい取組だと思いますので、是非、今後も宣言企業というものの拡大にどんどん取り組んでいただければと考えておりますので、その点、お願いいたします。
今、受注側と発注側の企業に対してですけれども、やはり発注側の方がどうしても立場は強くなるんじゃないかということが皆さんの共通認識かと思っております。
その中で、大臣の所信の中では、適切な価格転嫁を定着させるために、下請法の改正を検討していくという言及がございました。やはり、受注側の立場が弱くなる点を何とか改善していくために、優越的地位の濫用とかそういったことがないようにしていくためには、どうしてもこの下請法の改正というのは必要になってくると思うんですけれども、下請法に関して、まず現状の問題点と改善すべき点はどのように捉えているかというところについてお伺いしたいと思います。
○向井政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のように、持続的な賃上げを実現するためには、賃上げの原資を確保するために、事業者間の取引におきまして、適切な価格転嫁、これができる環境を整備することが極めて重要と認識してございます。そのような観点から、公正取引委員会では、独占禁止法の優越的地位の濫用規制、そしてその補完法であります、御指摘のありました下請法、そちらの厳正な執行を中心に、取引の適正化に取り組んでいるところでございます。
一方で、問題点といたしましては、近年の原材料やエネルギーコスト、そういうものが上昇するという局面におきましても、事業者間の取引におきましては、明示的な協議もなく価格を据え置くというような行為というようなことがありますと、一方的に下請事業者の経営を圧迫するような価格設定、そういうものも見られてきておるということでございます。
そのほかの問題点といたしましては、下請法というのは、迅速、効果的に下請事業者の利益保護等を図るという目的でありまして、下請法の制度といたしましては、一定の資本金区分、そして親事業者と下請事業者との取引関係、製造委託等でございますが、それによりまして適用対象を外形的、画一的に取り扱っておるところでございますが、近年、下請法の適用を逃れるために、親事業者が例えば減資をするとか下請事業者に増資を求めるというような事例もあるということでございます。
以上のような課題があるということでございます。
○鈴木(岳)委員 やはり、今のお話を聞いていると、どうしても、発注側が自分の身分を守るために、受注側に対して様々な圧力をかけたりとか、減資や増資を行って法逃れをするなんということは、こんな、もう、裏も裏で、考えられないことではありますけれども、そういったところはやはりきっちりと取り締まっていかなければならない、そのための更に強制力を持ったお仕事に期待したいと思っております。
大臣も、中小企業を地方で経営されていたということでございます。私も、地元の方では、商工会議所の一会員として様々な事業者さんからお話を聞いておりますけれども、やはり仕事をいただく側というのは発注側に対しては強く言えないということはたくさんあります。そして、発注側が同じような事業者さんを幾つも抱えていると、うちの言うことに応じられないのであれば、ほかの人と見積りを取ってみるよとかということを平気で言われる世界がまだまだあります。
こういった状況を改善していくためには、ある程度強制力を持って皆様がお仕事に取り組んでいただくということは非常に重要かと思っておりますので、適切な価格転嫁に向けて今後も御尽力いただきたいと強くお願いをいたします。
その点、ちょっと、もし最後、大臣からお言葉をいただければと思いますけれども、お願いいたします。
○武藤国務大臣 静岡もそうだと思いますし、同じ東海地区として岐阜県も同じだと思います。同じものをやっているんだろう、これ、いいよ、別に見積りを出さなくても幾らでもやる人はいるんだからといって、ずっと延びてきたのが、本当に、バブルの崩壊もありましたけれども、あの時代からずっと続いているんですよね、地方というのは。
ですから、それはもう本当に経営者、中小企業の経営者のおやじさんの感覚からやはり変えていかなきゃいけないという背景もありますから、周知徹底、そして、今言った商工会とか地方銀行とか様々な形で、世の中がこうやって変わってきているんですよということをやはり社会の中で共通しておかなきゃいけないんだろうな、そんな思いで今先生のお話を聞いていました。
今後ともよろしくお願いいたします。
○鈴木(岳)委員 大臣の所信の中を見る限りは、大変、中小企業のために御尽力をいただけるものと期待しております。
以上で質問を終わります。
○宮崎委員長 次に、福森和歌子君。
○福森委員 福森和歌子です。よろしくお願いいたします。
立憲民主党、福森和歌子です。改めまして、質問の場を与えていただいたこと、大変ありがたく思います。ありがとうございます。限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
まず初めに、私は、女性活躍推進施策を進めていく上で実は一番考えなくてはいけないのは、選択的夫婦別姓を導入しないがゆえの経済的損失があるのではないかということでございます。これについてお聞きしたいと思っております。
そう申し上げるのも、私は、一九九六年、選択的夫婦別姓法案が出されたときに、別姓で婚姻したいと望みました。そして、法案が通るのを待ちました。しかし、法案は通らず、婚姻は今の法律の下でいたして、社会人としてのキャリアを私は旧姓使用で通してまいりました。この間、様々な不自由、不便を私自身、キャリアを積んでくる上で感じました。
例えば、今回私は初めて当選をさせていただきました。大変ありがたいことです。しかし、大臣、御存じでしょうか。当選証書というのは、戸籍名でいただくんですね。私は、いただいた瞬間、自分の今まで使ってきた旧姓のキャリアの名前ではなかったのでちょっとびっくり、愕然としました。後で聞けば、申請を出せば括弧で旧姓も書いてくださるということですが、申請の時間もなく、確認されることもなく、ああ違うんだなとがっかりした、その記憶が今も鮮明でございます。実際、その当選証書、こちらが戸籍名であることによって、私の選挙のときの名前あるいは旧姓と照らし合わせる手間が増えますし、それは、これまでのキャリアでも感じてきたことでございます。
私は、自身の経験から、選択的夫婦別姓を導入しないがゆえに、実は、経済的な不利益、経済的な損失というのは多いと確信しております。石破総理は、選択的夫婦別姓法案については、様々な観点から検討しなくてはいけないとおっしゃいました。実際、厚生労働、福祉という視点では様々検討されていると思いますが、私は、この経済的な損失、経済的な視点ということでも、一層検討を深めるべきではないかと考えております。
今申し上げた私自身の経験からも、選択的夫婦別姓を導入しないがゆえの経済的損失、マイナス効果は非常に大きいと感じます。
少なくとも、実際、経団連の方々もレポートされておられましたけれども、研究等実績を継承できずキャリアが途絶えてしまう、これは大きな損失だと思います。また、名字をやはり大事にしたい、そんな中で旧姓を使えない企業もあるということで婚姻をしない、それがひいては、私は、少子化につながっているという側面もございます。そういう大きなことがある。
あるいは、細かいことですけれども、金融機関で一々戸籍と通称を照合していただかなきゃいけない、そういった時間、手間のロス。あるいは企業人事でも同じことが起きている。そういったことの二度手間、これも積み重ねるとかなりのロスと思います。あるいは海外でもそうですね、パスポートの話も出てきているところです。
そして、私が一番キャリアを積んできて不自由だったのが、自分の、資格を取得してそれの証明書、あるいは大学の卒業証明書が必要なときに、これは旧姓、結婚する前に取っている場合、卒業している場合、一々戸籍を取り寄せて、私が結婚して姓が変わったことを証明するその書類を提出しないと、証明書一通もいただけない。そうすると、どういうことが起きるかというと、私は三重県でございますから、頼んでですけれども、戸籍抄本を取り寄せる、一回一回費用がかかる。そんなことでございます。
今申し上げた戸籍の問題ですけれども、例えば、例えばです、経済的な損失というのはありますかと事前に調べたり聞いたりしたら、特に数量的データがないということだったので、私、例えばで、令和五年の女性の雇用者、二千七百九十三万人です。配偶者のある方は五七・九%でした。そのうち、旧姓を使っている人というのはどのぐらいおるんやろうなと。これはデータがなかったので、遡って、平成二十八年、内閣府が委託調査をしているデータを調べたところ、そこでは一〇%。パートの方とかいろいろな方を含んでいらっしゃいますから、そういうことでした。
それを計算すると、旧姓使用をしておると推測される女性の雇用者が百六十二万人。例えば、こういう人が転職をしたいと考える、あるいは、会社の中で何らか、さっき言った資格や卒業証明が必要になったら、戸籍抄本というのは一回四百五十円ですから、郵送費とかを除いても七億三千万近くの費用がかかるわけです。
私は、婚姻においては夫の姓になる人が九五%、これはいろいろなところでも言われていますけれども、ということは、実に女性の多くがこの経済的なデメリットを、キャリアを積んでいく上で、経済産業省も推し進めておられる女性活躍というところでもデメリットがあると考えており、改善していくべきであろうと考えております。特に所信にはなかったものですから、ここで大臣の御意見をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
○武藤国務大臣 福森委員から御質問いただきました選択夫婦別姓の話でございます。
女性が氏を改めることによる職業生活上又は日常生活上の不便、不利益と今も先生がおっしゃられたとおりで、いろいろな御意見があるのは承知していますし、産業界からの声もあるのも承知をしているところであります。
ただ、選択夫婦別氏制度は経済産業省の所管ではないので、一般論として申し上げるというならば、家族の在り方の根幹にも関わる問題でもあり、これは予算委員会で石破総理もよく答弁されていますけれども、御指摘の観点を踏まえて、国会において、具体的な制度の在り方を含めて、建設的な議論をしていただくことが重要であると考えています。
ちなみに、私の娘も、長女ですけれども、別姓で、通称で通っています。いつも怒られています。
○福森委員 ありがとうございます。
私は、今所管ではないとおっしゃいましたけれども、ジェンダー平等の視点、あるいは、先ほどおっしゃった、まさに経済産業、女性活躍を進めていく上で、この課題を考えていく、さっき言った経済的損失とかもきちっと測って検討していくということは非常に大切なことだと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
そして次に、クールジャパンの成果と今後の施策についてお聞きしたいと思います。
二〇一二年十二月にクールジャパン戦略担当大臣が設置されると、二〇一五年十二月にはクールジャパン官民連携プラットフォームが設立され、官民一体となってクールジャパンを進める体制が構築されました。コロナという影響はありましたけれども、二〇一九年九月にはクールジャパン戦略が策定され、推進されてきたかと思います。
コンテンツ、クリエーティブ産業予算に限って見ても、令和二年以降、約二百七十億円の予算がついていて、昨今、その統括もされておられます。
ただ、予算に対してどの程度の効果があったのかということ、あるいは、どういった課題があるか、特にコンテンツに関しては非常に曖昧な言い方だなと感じましたので、その辺りのところをお教えください。
○南政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおりですけれども、二〇二〇年度から、ゲーム、アニメ、漫画などのコンテンツ産業の海外展開に関する予算は約二百七十億円でございます。
当該予算では、具体的に申し上げますと、ゲームでは、欧州最大級のゲーム見本市でありますパリ・ゲームズウィークにおける日本企業の出展ブース、それから、まさに先生がお働きになっていた出版の関係では、世界最大規模のブックフェアでありますフランクフルト・ブックフェア二〇二四におけるジャパン・ブースの展開、その他、アニメでは世界的にヒットしました「君の名は。」ですとか、映画ではカンヌで受賞しました「ドライブ・マイ・カー」、こういったものについての翻訳や見本市への出展費の支援、こういったものを行ってきております。
この間で、我が国コンテンツ産業の海外売上高ですが、二〇一九年の三・七兆円から二〇二二年には四・七兆円と、非常に成長しております。私たちの施策、どの程度の効果がというところは、なかなか定量的に難しいところなんですが、この増額にある程度効果を持ってきたのではないかと思っておりますし、今後の成果にもつながっていくものだと思っております。
いずれにしましても、令和六年度の補正予算も含めましてですが、今後、コンテンツの海外展開にしっかり効果が上がるように施策を展開してまいりたいと思っております。
○福森委員 是非お願いしたいと思います。
私自身も近いところで働いておりましたので、新たなクールジャパン戦略というところでいいますと、実際海外にコンテンツを発信していくとき、コンテンツ産業の方々が何が一番困るか。クリエーターを育成されたい、そういうことや、投資をしてほしい、出資をしてほしいということよりも、売り込むときに、実は交渉力、言語もそうですし、例えば価格交渉、そういったことからお困りのことが多いと思いますので、そういったところ、いま一度耳を傾けていただき、いろいろお話ししていただいて、より効果の高い具体的な施策をやっていっていただきたいと思います。
また、本日お聞きしませんでしたけれども、このクールジャパン、地方におきましては観光や農産物のブランド化、輸出といったことも大事なことでございますので、また機会を得て議論させていただければと思っております。
私の質問時間が少々減ってまいりましたので、中小企業支援の考え方については、先ほど東委員や皆さん聞いていらっしゃるので、そこをスキップさせていただいて、リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業についてお聞きしたいと思っております。
リスキリングを促すことで労働市場を活性化する、ひいては物価高を克服する、経済再生実現を目指していく、そういうふうにおっしゃっておられたかと思います。しかしながら、リスキリング自体、これまで民間主導かもしれませんけれども、資格取得や転職を促す流れはありました。それでも、資格を取っても、例えば、給料は上がらない、あるいは転職はなかなかできないといったところで大きく伸びてこなかったのが実情ではないかと思います。
そんな中、今、事業をスタートされて、どのような成果があり、どういった課題が見つかっているかということを教えてください。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のリスキリング事業でございますけれども、これまで別々に行われていたリスキリングの支援とキャリアアップのための転職支援を一体的に講じるということを目的に始めております。
これまでですと、一般的な転職者の賃金は、転職しますと賃金が上がっているという方は実は三七%程度ということで、残りの方は同じくらいか下がっているという状況でございましたけれども、今回経産省が始めたリスキリング事業のこれまでの成果でございますけれども、本事業を活用して転職された方々のうち、これまでのところは六〇%以上の方が年収が増加しているというふうに私どもは効果を把握しているところでございます。さらに、この転職された方のうちの約二五%の方が三割以上年収を増加させているというのがこれまでの実績ということで、成果が上がっているかなというふうに思っております。
一方、委員御指摘があった課題でございますけれども、やはり私ども、新しく始めた事業でございますので、認知度の向上というのが課題だというふうに元々思っております。私ども、今回、周知、広報のためにテレビCMの放映ですとか検索サイトのページのバナー広告を新たに開始するなど、本事業の広報に取り組んでいるところでございまして、引き続きこの事業の成果が上がるよう、しっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○福森委員 ありがとうございました。成果も出始めているということで、期待したいと思います。
ただ、今課題でおっしゃった広報ですとか認知というところで、これは、私は特に地方をもっと力を入れていただきたいと思っています。
というのも、この執行スキームを拝見したときに、まず一般社団法人環境パートナーシップ会議に補助がなされ、そこから野村総研に行っておられる。そこがさらに補助事業者を三十四社採択されておられます。その三十四社中、実に二十八社が東京、あとは大阪が二社、そして埼玉、愛媛、熊本、福岡が一社ずつ。お聞きするとオンラインでできるからいいんだよというところもございましたが、私は、やはりリアルということも非常に大事ですし、リスキリングをして地元の中で転職をしていくということを考えると、もっと地方にもこういった事業はきちっと広報し展開をしていっていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、この補助事業の交付決定を受けた事業者、確かに東京が多いという結果になっておりますけれども、ただ、この東京の事業者も含めて、行っているものについてはオンラインで全国で展開するということでやっていらっしゃる事業者も結構いまして、交付決定をした事業者の半数近くが完全にオンラインでリスキリング講座を提供しておりますので、一応、場所を問わず全国で受講いただくことは可能というふうなことでありますし、一部の事業者さんは対面のものも、東京の事業者さんなんですけれども、地方にも支社というか支店があってやっているという事業者もいらっしゃるようでございます。
ただ、引き続き、この制度を地方の方も含めて知っていただいて、積極的にオンラインなどで受講いただくことはすごく大事だと思いますので、周知、広報にしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○福森委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
私の質疑は終わらせていただきます。ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、吉田はるみ君。
○吉田(は)委員 立憲民主党としては最後の質問になります。初めて経産委員会に所属させていただいて、大臣に初の質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。
今日は、私は、揚げ足取りもしませんし、批判のための批判もしません。ファクトとしてどんなことがあるのかなというのを一つ一つあぶり出しながらお話しできたらいいなと思っていますので、大臣、私もほとんど原稿は書いていないです、質問だけなので、是非大臣のお声でお考えを聞かせていただけたらなと思います。
今日取り上げる話題は、昨日、政策活動費の廃止が決まりまして、これはすばらしいなと思うんですよ、政治資金の透明化という点で。ただ、積み残ったのが企業・団体献金のことです。これは来年の春、三月末をめどに結論を出すということになったんですが、この企業・団体献金のことに関して今日はちょっと取り上げたいと思います。
どうしてもこの話題は政治家の側からの話はされるんですけれども、じゃ、企業の側から献金するのはどういったインセンティブやメリットがあるのか、こういうことも頭に入れながら今日は質問させていただきたいと思います。
もう当然委員の先生方も御存じだとは思うんですが、今インターネット中継も見ていらっしゃる方もいらっしゃると思いますので、まず、企業・団体献金、どこができるか、どこに企業は献金できるかという意味で、政党があります、そして政党支部があります、もう一つが政治資金団体というものがあります。
大臣、私は、企業・団体献金は受け取らないので、初めて、今回非常に勉強になったんですが、資料の一です、皆様のお手元資料の一を見ていただくと、当然、政党、これは届出されている政党ですね。その下の政治資金団体というのは、えっ、これしかなかったんだとちょっと私はびっくりしました。ああ、そうなんだと。ここで、自由民主党さんの場合は国民政治協会というところで企業・団体献金を受けていらっしゃる。
ここでちょっと大臣に質問なんですが、もう一つ、政治家個人には企業・団体献金はできないんですけれども、もしかしてこれは抜け穴なんじゃないかとか時々言われますが、政党支部。これは、私も自分の選挙区には総支部を持っていますし、大臣も政党支部をお持ちかと思うんですが、大臣の、自由民主党岐阜県第三選挙区支部でよろしいでしょうか、こちらでは、大臣、企業献金は受け取っていらっしゃいますか。また、受け取っていらっしゃる場合、その金額も併せて教えていただけますでしょうか。
○武藤国務大臣 吉田先生に初めてのお答えをさせていただきます。
岐阜県の第三選挙区支部であります。恥ずかしいですけれども、声がちっちゃくなりまして済みません、令和五年に八百九十八万でございます。
○吉田(は)委員 ありがとうございます。
これは本当に政治活動をする上で大切な資金なんだということを私も伺っています。有権者の方とどう接点をつくっていくかというのを私も本当に工夫しながら、パーティーしない、企業献金は受けないということで必死にやっているわけなんですけれども、こういうところを何か工夫できないかなという思いでおります。
この中で、大臣、私も実は収支報告書を拝見したんですけれども、毎月一万円ずつ定期的に払っていただく、サブスクみたいな感じで企業献金を受け取っていらっしゃるのは、何か、毎月定期で入ってくるというのは、収入の安定という意味ではすごいなと私は思いまして、サブスクかとちょっと思ったんですけれども、念のために伺います。こういった企業献金をいただいている企業と大臣は、利害関係はないですよね。
○武藤国務大臣 国会でも今回そういういろいろな話がありましたけれども、全くそういう感覚は持ち合わせておりません。
○吉田(は)委員 利害関係があるとどうしても政治がゆがめられる、これが私は企業献金の一番の問題だというふうに思うんです。
次に、大臣、この企業献金自体に対して、大臣としてはどのようなお考えをお持ちですか。短くで結構ですので、お答えください。
○武藤国務大臣 先ほども申しましたけれども、この世界に入って十九年になりますね。このいわゆる政治献金の方々というのは、今サブスクの話がありましたけれども、本当に地元で今までも長い間、政治家という意味の前に、ロータリーだったりJCだったり商工会議所だったり、様々なおつき合いの中で、おまえ頑張れと言っていただいている方がほとんどだというふうに思っています。
○吉田(は)委員 個人的に大臣とのつながりからで、そうやって応援していただいている企業で、何らか利益を誘導するとか、そういうことはないという心強いお言葉をいただきました。
今、大臣は、大臣自身を応援するために企業は寄附している、献金しているということだったんですけれども、ちょっと私は冷静に見て、じゃ、企業は利益を追求する存在ですよね、だとしたら、この寄附したものの取扱いはどうなのかなというふうに思いました。
今日は国税庁それから金融庁の方からも参考人の方に来ていただいておりますので、ちょっと教えてください。もし企業が、政党や政治資金団体、そして政党支部に寄附した場合、この金額は、経費、つまり損金として認められますか。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
企業が負担することとなる寄附金につきましては、一般的に、損益計算書上、費用に計上されておりまして、法人税法では、政党、政党支部、政治資金団体に対する寄附金に関しましては、一般の寄附金に該当し、損金算入限度額の範囲内で損金に算入されることになります。
○吉田(は)委員 一般の寄附と同じ取扱いで損金算入が可能、それも上限があると。私が調べたところでは、資本金の〇・二五%と、あとは法人税法上の所得の二・五%、これを足してその範囲内でというふうに学ばせていただきました。それは、企業としては、損金算入できるので、全部ではないですけれども、メリットはあるのかなというのが一つ明らかになったと思います。
ここで、企業献金といっても、多分、大臣が政党支部で受けているような企業と、それから、例えばここで言う国民政治協会、自民党の政治資金団体ですね、ここで受けているところとちょっと違いがあると思うんですよ。
私は、今日は、どちらかというと大型の献金、つまり国民政治協会で受けているような大企業に関してちょっと見ていきたいと思います。恐らく、大臣が政党支部で受けているのは、地元の企業様で、公開企業というのは少ないんじゃないかなと、ごめんなさい、私は調べていないので、申し訳ないんですが、少ないんじゃないかなと思うんですが、今日は、ちょっとこちらの上場企業あるいは公開企業と言われたところに注目していきたいと思います、金額も大きいですので。
そこで、金融庁にお伺いします。
こうした上場企業が政党、政党支部、政治資金団体に寄附をした場合、財務諸表上は一般の寄附金として扱われると今答弁がありました。これは、そのほかの、つまり政治献金以外のものと一括になって総額が、金額が計上されるということでよろしいですか。
○新発田政府参考人 お答え申し上げます。
上場企業が作成する財務諸表の用語、様式や作成方法につきましては、財務諸表等規則で定めるということでございますけれども、寄附金につきましては、その金額に重要性がある場合を除き、個別あるいはまとめた形で寄附金一般という形で掲載することとはされてございません。このため、一般的には、ほかの費用と合わせて、販売費及び一般管理費という形で記載されているものが通常であるというふうに承知をしてございます。
○吉田(は)委員 ありがとうございます。
ちょっと次の質問とかぶるところだったんですが、記載義務はないということでよろしいですよね。
○新発田政府参考人 企業献金につきましては、有価証券報告書の記載事項とはされてございません。
○吉田(は)委員 いや、ここなんですね。私、今回、結構驚いたのが、二千万円以上、自民党の政治資金団体に寄附している企業をちょっと調べてみました、大臣。二〇二三年、自民党本部又は国民政治協会に対して二千万円以上という大口の寄附を行った企業は、二千万円以上の、企業の約七割に達しまして、総額で七億七千三百五十万円に上ります。この企業は、いわゆる、いろいろな、公開企業として開示が義務づけられている有価証券報告書の中で、開示の義務はないというのが私は結構びっくりしたんですね、改めて調べてみて。
政治家の方はもちろん収支報告書の方で書いています。政党も政党のもので書いています。でも、これは双方だと思うんですよ、私は。企業の側もきちんとそれは、本来なら正々堂々開示してほしいなというふうに思ってちょっと調べてみましたところ、自民党さんの政治資金団体の七割の中で一社だけ、ちなみに会社の数でいうと上場企業は二十七社あります、その中の一社だけが開示をされていました。それが皆様のお手元資料の二になります。三井物産さんですね。すごいなと思ったんですね。三井物産さん、義務もないけれども、ちなみにこれはホームページです、ホームページで開示をされています。ただ、四角で枠を囲ったんですけれども、大臣、御覧になってお分かりのように、自民党さんに寄附したとは書いてない。二千八百万円を政治資金収支報告書に掲載と書いてあって、何かもう一歩踏み込んでほしいなというのが私の感想なんですけれども。
改めてちょっと大臣にお伺いしたいんですが、まず、政治家の側から開示をする、当然です。企業の側からも、こういった寄附に関して、まさに資金の透明化というところであれば、開示するということが必要なんじゃないかなと思うんですが、武藤大臣、どうお考えでしょうか。
○武藤国務大臣 一般論としてちょっと申し上げますけれども、ステークホルダーの関心に応じた情報の開示と対話を行うことは、中長期的な企業価値の向上のためにも重要なことだろうというふうに私も思います。
御指摘の、政治献金を含めたどのような情報を企業が開示するかということについて、開示に関するルールに沿いつつ、ステークホルダーの要請を踏まえて各企業において適切に判断されるものだというふうに承知をしております。
私個人というよりも、ちょっとそれは、政治協会の話なので、経産省でやるよりは、今回の政治資金の方で御議論いただいた方がよろしいのかなというふうに思っています。
○吉田(は)委員 ありがとうございます。
でも、これは、今まさに大臣がおっしゃっていただいたように、企業って誰のものという話になるわけですよ。今ステークホルダーというお話が出てきましたけれども、株主もいます、そこで働いている方もいます、取引先もあります、いろいろなステークホルダー、利害関係者が企業にはいて、私は、その方々に対する説明責任もあるから、公開企業というのはこういった開示義務が課されているんだと思うんですね。
これは、レクの中で、いや、でも投資判断にはこれは関係ないかもしれないから載せていないんじゃないですかと言われたんですけれども、ちょっと待ってください。個人の投資家がそこの会社の株を買うときに、やはり気になる人はいらっしゃると思うんですけれども。私は、これは投資判断にも影響してくるところだと思うので、開示すべきじゃないかなというふうに私個人は思っています。
最後にこの質問を大臣にお伺いしたいんですけれども、企業は、まさに誰のものですか。
○武藤国務大臣 済みません、私はこの質問の事前通告を受けたときに自分のレベルで考えちゃったので、何となく、中小企業、小規模の形で考えちゃったんですけれども、今のお話だと、まあ、これは一般的な話としてお答えさせていただきますけれども、株式会社は、出資者である株主が所有するものであると理解をされていると承知をしておりますけれども、株式以外にも、従業員、今おっしゃったように顧客、取引先、債権者、地域社会を始めとする多様な関係者、いわゆるステークホルダーがたくさんいらっしゃる。
株式会社が持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を達成すれば、それらのステークホルダーの利益にもつながる点を踏まえれば、これらの関係者を意識しながら経営されることが望ましいということだろうと思っております。
○吉田(は)委員 ありがとうございます。
やはりステークホルダーという考えがとても大事で、何か、会社というと、社長の一存でとか、これもちょっとおかしな話で、先ほど申し上げましたように、上場会社と非上場会社はちょっと分けて考えるべきだと思うんですが、今日は私は上場会社の話をしています。
ここは、やはり株主始め、投資判断に影響するというのは、例えば、何かニュースが出て、ああ、もうあそこの商品は買わないわという判断をすることもありますし、あっ、こんないいことをやっているの、もっと応援しようと思って、その会社のサービスや商品を買うことだってやはりあるわけですね。これは、私は、やはり公開企業としての責任があるというふうに思います。
ちなみに、最後に一つ例なんですが、何でこんなに私がここにこだわるかというと、イギリスの場合、政治献金は認められています。ただし、条件があります。五千ポンド、大体今日のレートでいうと九十八万円ぐらい、百万円ぐらいと言ってもいいかもしれないんですけれども、百万円の寄附をする場合、イギリスは事前に株主総会の承認決議を得るんです。イギリス人が一番大事にするのはフェアかどうかとよく言われるんですけれども、やはり、フェアに、正々堂々いくのであれば、こういった会社のステークホルダーの方々に対して、私たちはこうやりますよ、これですよと私は言ってほしいんですね。
最後に大臣にお伺いします。
上場企業に限ってですけれども、こういった方向性を検討することは私はあってしかるべきと思いますが、大臣の見解を伺います。
○武藤国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、本来は、だから、政治資金の在り方についての議論というものになると思いますから、国会で今やっていただいている政治改革に関する特委で、是非また議論を進めていただきたいと思います。
個人的には、今日は勉強させていただきました。
○吉田(は)委員 もう終了しましたというのが出たので、今日は上場企業の話をしましたけれども、是非、今度は、まさに中小企業の皆様も支援したいという観点からまた御議論させていただければと思います。
本日はありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、東徹君。
○東(徹)委員 日本維新の会の東徹でございます。
まず、武藤大臣の方に、大阪・関西万博のことからお聞きしていきたいなというふうに思います。
いよいよ大阪・関西万博ですけれども、来年四月十三日ですから、あと百十六日ということになりました。もうだんだんカウントダウンに近づいてきているという状況です。
私は、この大阪・関西万博は、日本の未来にとっても、そしてまた地球の未来にとっても非常に夢のある、そういう万博にして、成功させていかなくてはならないというふうに思っております。
万博へのアクセスも順調に進んでおりまして、夢洲までに、あそこは島ですけれども、地下鉄が来月には開通するということになっておりまして、結構前倒しで地下鉄の開通も、メトロですけれども、進んでおります。
そんな状況にありますけれども、万博のチケットが、これはちょっとまだまだ売れていないなというふうに思うわけですね。
大臣、まず大臣にお伺いしたいと思いますけれども、万博のチケット、御購入されたのかどうか。前、たしか西村経産大臣は十万円買ったとかと言っていましたですね。(武藤国務大臣「本当ですか」と呼ぶ)はい。どうぞ是非。
○武藤国務大臣 西村大臣はそんなに買われたんですか。何か手を挙げていらっしゃる。
私も就任して即ネットで孫の分まで買いましたけれども、ちょっと、十万の半分ぐらいだったと思います。
○東(徹)委員 ありがとうございます。
ネットで買うのはなかなか大変なんですね。本当にこれは大変で、僕も一時間かけてネットでアクセスして買うことができたわけですけれども、これはなかなか高齢者ではできないんじゃないかというふうな話もあって、今はコンビニエンスストアで、全国のコンビニで購入することができるんですけれども、多分、購入されたことはないと思うんですね。
僕は購入してみました。どうやって購入するのかなと思ったんですけれども、議員会館の地下にセブンイレブンがありますから、そこに行って、チケットありますかと聞いたら、いや、これは機械で買うんですよということで、機械が置いてありますよね、それに、チケットというところを押して、そして紙が出てきて、その紙を、今度はレジのところに行ってお金を払うというような仕組みになっているんですね。
今、万博のチケットですけれども、七百四十二万四千六百十八枚ということであります。私は、この大阪・関西万博は、テーマが「いのち輝く未来社会のデザイン」ですから、未来の実験場だけではなくて、やはりそういった、命輝くということは、今、世界各国で戦争、紛争がありますけれども、やはり命が大事なんだ、そして、そういった命が輝く社会をつくっていこうということで、今回、ウクライナも出展するということになっております。
この万博、是非多くの方に足を運んでいただきたいというふうに思っておりまして、入場券の販売をやはりかなり促進していかないといけないなというふうに思うわけです。前売り販売の目標である一千四百万枚、この達成に向けて、国としてどのように取り組んでいくのか、武藤大臣にお伺いしたいと思います。
○武藤国務大臣 東先生、本当に、一緒に頑張りましょうという感じなんですが、今おっしゃったように、一千四百万枚、これを目標にされているわけで、前売り発売から一年たって、今、現状、さっき七百四十万を超えたということですけれども。
今後、一般向けの販売を伸ばしていくために何をしていったらいいのか。今おっしゃっていただいたように、コンビニでもチケット販売ができるようになった。そしてまた、コンテンツですね。やはり、万博、僕もメールの登録をしましたので、いつも来ますけれども、コンテンツをしっかりPRをしながら、そして、いかに周知をしていくかというところに今懸かっていて、じゃ、何があるんですか、イベントはどういうものがいつにあるんですかという話が、一般の方々といいますか、大阪圏外、まだなかなか浸透していっていないというのが今の状況かなと思っています。この前、東京の八重洲口にもやっと万博のあれがぼんと出ましたし、徐々に動き出していますけれども。
あとは、最近の情勢として、イベントをやっている方々、イベント屋さんというのか、なかなか、例えば昔の大阪万博だったら、もう一年前からどんどんPRして、この日は何をやるよといって言わせていたんですけれども、最近の情勢はどうも変わっているらしく、なかなか来年までイベントの内容までははっきりしないとか、そういうのもあるようで、できるだけそういうものを早めに送り出しをしながら、皆さんに周知を徹底していくということが大変大事だろうと思っていますし、予約サポートの充実も含めて、まだまだ課題があるのかなというふうに承知をしているところであります。
○東(徹)委員 ありがとうございます。
私、まだまだここは不足しているなと思うところがありまして、それはやはり、旅行業者が、そういう万博に行くツアーというのがまだまだできていないんですね。ユニバーサルスタジオは、結構、旅行代理店に行ったら、何かユニバーサルのチラシも出ていたりとかするんですけれども、万博のチラシはないですね。ないかどうか、まあ、あるところにはあるのかもしれません。
僕は、議員会館の下に旅行代理店があるので、そこへ行って聞いてみたんですよ、団体で申し込むことはできますかと。できるのはできるんですけれども、今はまだみたいな感じなんですね。だから、やはりこれはちょっと進めていかないといけないな、こう思ったんですけれども。
○茂木政府参考人 旅行代理店については、既に、大手の旅行代理店さん、それから地方の旅行代理店さん、併せまして、それぞれの業界団体を通じて各所にツアーの造成をお願いをしておりまして、ようやくそのツアーが出始めたところというところであります。
まだまだ周知が不十分であったり動きが遅い部分はございますけれども、これから、ツアー客の方が来年の春以降のツアーに御参画いただけるように、更に周知を進めていきたいと思いますし、代理店さんともしっかりと連携してPRをしていきたいと思います。
それから、紙のチケットの方も、これは旅行代理店さんであれば紙としてチケットを御購入できますので、こちらも是非周知をしてまいりたいというふうに思います。
○東(徹)委員 大手の旅行代理店さんに私も何店舗か聞きました。何店舗か聞いたんですけれども、やはりまだまだなんです。まだまだです。是非、やはりそこをしっかりと進めていただきたいなというふうに思います。
続いて、我が国の産業政策のことについてお伺いをさせていただきたいと思います。
武藤大臣が大臣所信においておっしゃっておられました。人口減少や三十年以上続くデフレ経済、企業の国際競争力低下などの課題が山積している、本当にそうでして、このままだと、失われた三十年とよく言っていますけれども、失われた四十年になるんじゃないかというふうに私はすごく危機感を感じているわけです。
このような重要な課題、まだまだこれは解決していないわけですね。競争力でいうと、IMDの国際競争力ランキングがありますけれども、二〇二三年は世界で六十四か国中三十五位ですから、非常に低いわけですよね。一九九八年は一位だったわけですからね。
非常に、そういった状況がまだまだ続いているということで、大臣がおっしゃられているこの課題が解決できない原因、それにまた経産省の責任、こういったことについてどのようにお考えなのか、まずはお伺いしたいと思います。
○武藤国務大臣 お答えをさせていただきます。
予算委員会でも総理も随分いろいろとお答えさせていただきましたけれども、経産省の今日の委員会として、これまでの日本経済を振り返ると、人口減少による将来悲観とかデフレマインドの広がりを背景とした、企業の認識する我が国の期待成長率も低下していったんだ、こういう背景の一つがあり、これによって、日本国内における設備ですとか人への投資というものが諸外国に大きく後れを取って、経済成長が停滞をした要因の一つになったと認識をしております。
こうしたデフレ環境の中で、企業は、生み出した収益を主に海外投資に使うことで収益性を高める一方、国内への還流が限定的であったということがあると思います。また、政府も、民間主導という考え方の下で、市場を重視して、規制緩和など市場環境整備を中心とした政策を進めてきていたものの、結果として、国内において新たな付加価値を創出する取組が不十分だったというのがあったと考えております。
こうした反省を踏まえて、経済産業省としては、将来の稼ぐ力を生み出し、賃金や成長の源泉となる、今ですと半導体を含んだDXの関係、GXの関係、そういうような国内投資を後押しするべく、経済産業政策の新機軸を展開していきたいというふうに思っています。
実際、ここ数年取り組んできました積極的な産業政策の効果もあって、足下の日本経済は、三十三年ぶり、これはよく言われますけれども、高水準の賃上げですとか、過去最高水準の設備投資が実現し、潮目の変化を感じさせていただいているところであります。
長きにわたるコストカット型経済から賃上げと投資が牽引する成長型経済へと転換を確実なものとするため、今後も積極的な産業政策を展開し継続することで、物価高に負けない持続的な賃上げを実現し、これを更なる消費と投資につなげてまいりたいと思います。
○東(徹)委員 意気込みはそういうことだと思うんですけれども、なかなかやはり、賃金、三十三年ぶりに上がったとかいうふうなお話もありましたけれども、実質賃金で考えると、まだまだ実質賃金が上がっていっているという状況にはないわけでありまして、非常に厳しい。そしてまた、税金だとか社会保険料もこれからまだまだ更に上がっていくのではないかというふうにみんなが感じているわけですよね。そんな中で、もっと、更にやはり経済が成長していかないと、そういった払拭というのはなかなか難しいんだろうなというふうに思うわけです。
是非、しっかりと日本の経済が成長するための取組に、本当に、ここは選択と集中なのかなというふうに思っておりますので、引き続き取り組んでいっていただきたいと思います。
大臣所信にもありましたように、我が国の将来の稼ぐ力を生み出す産業の育成、非常にこれは重要なわけですけれども、エネルギーの安定供給と経済成長、脱炭素、これを一体的に目指すということ、これは非常に日本の将来にとって大事なところの部分でありますが、具体的に、ペロブスカイトの太陽電池、それから次世代革新炉、こういったことには言及されておられましたけれども、核融合についてはちょっと触れられていなかったなというふうに思っておりまして。
大臣もよく御存じだと思いますが、核融合発電、非常にこれは技術面とかコスト面で壁があるのも理解しておりますけれども、やはりそれを乗り越えていってこそ新しい技術ができるのかなというふうに思うわけです。
たった一グラムの燃料で石油八トン分のエネルギーを生み出すと言われている核融合発電です。重水素という燃料、これは海水から取れるわけでして、無尽蔵にあるというふうに言われておるわけですから、これを是非進めていくべきではないのかなというふうに思いますが、この点についてはいかがなのか、お伺いしたいと思います。
○武藤国務大臣 済みません。フュージョンは、し損じたんじゃなくて、実はうちの岐阜県にも核融合の研究所もございますし、ある意味では実用化までに、そういういろいろなところを見ながら研究してきましたけれども、正直言って、まだまだ時間がかかるのかなと思いますが。
GXの方ではもう既にフュージョンもこの前から入れさせていただいて、昨年四月になりますか、フュージョンエネルギー・イノベーション戦略というものを取りまとめたところです。現在、これは内閣府と文科省を中心に、研究開発基盤の整備として、スタートアップを含めた官民の研究開発力の強化などを進めているところであります。
我が省としましても、内閣府や文科省と連携をしながら、早期の社会実装に向けた関連分野の技術開発支援や、将来のサプライチェーン構築を見据えた、本年三月設立の業界団体、フュージョンエネルギー産業協議会、いわゆるJフュージョンとの連携についても検討してまいりたいと思っています。
頑張りますので、よろしくお願いいたします。
○東(徹)委員 大臣から頑張りますのでとおっしゃっていただいたので、その言葉を信じたいというふうに思います。
続いて、我が国の基幹産業である自動車産業のことについてお伺いをさせていただきたいなと思います。
今日、ニュースを見て、多くの方も驚いたのではないのかなというふうに思いますが、ホンダと日産が経営統合に向けた協議に入っていくというふうなことで、これが実現すると、世界的に見たら第三位に入ってくるわけですね。それだけの大きな経営統合になる。そうなれば、非常にやはり競争力もついていくだろうし、技術やコスト面においても非常に効果があるのではないのかなというふうに思って、非常にうれしく見させていただいておりました。
日本の基幹産業である自動車産業ですけれども、GXだとかDXだとか、そういった対応も迫られておって、これまでとは違った国際競争が繰り広げられているのも事実です。特に、EVですけれども、EVをめぐっては、これは中国メーカーがどんどんと低価格で攻勢を進めてきています。日本でも中国メーカーのディーラーも出てきたりとかしているわけです。僕の近くのイオンモールにはBYDの車を売っているんですけれども、イオンモールで売るのかと思うんですけれども、そんなような状況にあったりとかするわけです。
エネルギーコストの上昇とか、各国のEV購入の補助金、これは削減をしていったりとか、いろいろ変化は確かにありますけれども、やはり将来的なことを考えると、二〇五〇年のカーボンニュートラル、そういったことを考えていくと、EVの販売も大事なのかなと。ところが、EVの販売は減速していっているというような状況にあるわけです。
今後の自動車産業の行方について、武藤大臣、どのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
○武藤国務大臣 委員御指摘のとおり、一部の国でEVの販売の伸びが鈍化をしてきているところであると思います。
各国政府のEV政策に大きな変更はなく、今後もEVの普及は進んでいくものと見込まれていると承知しています。他方、カーボンニュートラルを達成する完全な技術はまだ存在をしていない、これも間違いない事実だと思います。
我が国の自動車政策、これは本当に、自動車は基幹産業ですので、これから大変な選択をしていかなきゃいけないわけですけれども、日本は、EVのみならず、水素、あるいは合成燃料、バイオ燃料等の低炭素燃料、あるいは多様な選択肢を追求する方針を今までも掲げてきているところであります。
我が国のサプライチェーンの強みを生かしながら、EVや内燃機関の競争力を維持しつつ強化するため、インフラの整備、蓄電池や合成燃料技術開発の支援、サプライヤーの支援等を進めることとしてきたところです。
まさに我が国が自動車産業を、引き続きグローバル市場をリードできるように、官民一体で連携を図りながら、しっかり前に進めていくということが大変大事なことであると思っています。
○東(徹)委員 最後の質問をさせていただきますけれども、経産省は、二〇三〇年までに、乗用車新車販売台数に占めるEV、PHEVの割合を二〇から三〇%、FCVの割合は最大三%にするという目標を立てているんですね。
一月から十一月の自動車販売台数を見ると、EV、PHEVの割合はたった二・九七%、約三%にとどまっておるというような状況ですし、FCVも〇・〇三%、目標の百分の一という状況です。ところが、今回の補正予算でも、クリーンエネルギーの自動車導入促進補助金、一千百億円も予算が組まれているわけですね。
あと五年しか残っていませんが、この目標をどのように実現するのか、武藤大臣にお伺いします。
○武藤国務大臣 自動車のこれから五年の計画の中で、私もずっと、EVの充電基盤ですとか、あるいは水素のステーションですとか、これはなかなか、正直言って、これじゃ広がっていかないですよねというのを数年前からずっと言いながら、今回もまた経産省でもいろいろと予算化を、応援はしてくれているのが今の現状だというふうに思います。
一方で、ただ、自動車業界の方も、今、日産さん、ホンダさんの話もありましたけれども、海外との競争の中では、やはり、どうやってこれから、我々はしっかりやっていかなきゃいけないという、民間同士でも、今、経団連の中でも動きがあり、しっかりとした、また、自動走行ですとか、いろいろな新しい今度の自動車という形の流れをつくっていくという中でも、大変難しい時代に入ってきていると思いますので、政治としては一生懸命これを応援していくということになるんだろうと思います。
足りない部分は製造局長に言ってもらいます。いいですか。
○伊吹政府参考人 お答え申し上げます。
主に三点、動きが出てございます。
一点目は、EVを造るには蓄電池が必要なんですが、いろいろな目標も考えて、二〇三〇年百五十ギガワットという目標をつくっています。今のところ百二十ギガワットまで製造能力、作るということは確認をできています。
二点目、これは自動車メーカーの方ですが、各メーカーは大体グローバルで、EVの台数、二〇三〇年にこれぐらいやりますということを皆さん言っていまして、国内では、去年、今までの投資減税とは違う戦略分野国内促進税制、これをつくっていただいて、国内でEVの国内生産拠点をつくっていくということを応援しています。
それから三点目、大臣からも申し上げましたが、やはり充電インフラが非常に大事ですので、昨年十月、元々の目標は十五万口、二〇三〇年だったんですが、倍増するということで、いろいろな予算の手当てもしていただいているということでございます。
より一層力を入れてやっていかなきゃいけないというふうに考えてございます。
○東(徹)委員 ありがとうございます。
武藤大臣からは自動運転の話も出ました。私は、これは非常に大事だと思いますので、これも是非進めていっていただきたいなと思います。
以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、斉木武志君。
○斉木委員 午前中の質疑のトリを務めます斉木武志でございます。
今日は、まず武藤大臣の所信表明で触れられました原子力発電所の安全性、これをどう実現していくのか、また、どのような懸念点、落とし穴があるのかということを、私の地元にあります敦賀二号機のケースを基に、私もUPZの住人ですので、一地元住民として議論を深めていきたいなというふうに思っております。
規制委員長にも来ていただいて、ありがとうございます。
敦賀二号機なんですけれども、先月、九年に及ぶ異例の長期審査を経まして、規制委員会が再稼働を認めないということを最終的に決定をいたしました。建屋の直下に活断層が走っている可能性を否定できないということが最大の論拠でございますけれども、九年に及ぶというのは、私は非常に異例の長期化だと思っております。委員長も発言されておりましたとおり、建屋の断層データが書き換えられていたり、また一千か所以上の誤りがあったり、こういったことで二度やり直しをさせたので非常に長期に及んだということでございます。
やはり、私は一地元住民として、データは書き換えちゃあかんと思うのですね。やはり断層が原子力発電所の直下にあるかどうかというのは本当に致命的なところです。そこが、一回目の審査では、たしか全部未固結層というふうに十七か所表現されていました。断層が、要するに活断層の疑いありというふうに、日本原子力発電、事業者が取った柱状図データ、土砂を肉眼観察した結果、これは活断層の疑いがありますねというふうに一回目の会合では出されていたと思います。それが、次の会合になってみると、なぜか全部固結層、固まっている層です、要するに、活断層ではありません、疑いはありませんという形に、ソリッドな地質ですということに全部書き換わっていた。しかも、それが規制委員会に何の通知もなく上書き保存、活断層の疑いありというものが全部消去されて、活断層の疑いなしという表現に変わっていた。私は、やはり、敦賀市民の方からも、これはやっちゃあかんだろうということを何人もお聞きをいたしました。
やはり、原子力発電所のボーリングデータというものは事業者しか持っていないわけです。同じ柱状、ボーリングした土砂の柱ですね、これを観察した結果が、なぜか事業者が主張するように、再稼働に有利になるように、固結層ですというふうに任意に書き換えられてしまったら、これは何を、これは科学ではないということを、私は四年前のこの委員会でこのことを質問させていただきました、地元住民として。
当時、更田委員長でしたけれども、更田委員長も、これはもう科学の否定であると。要するに、事業者が出してくるデータをいじられてしまったら、我々規制委員会というものは、事業者が出してくるデータ、サンプルを基にこれをチェックをしていくものであるから、それを通告もなく上書きされて、全部活断層の疑いなしとされてしまったら、やはりこれは科学以前の問題であるというふうに、更田さんも非常に御立腹をこの委員会でなさっていた。
地元住民としても、そういうことをしてしまう事業者だったら、やはり、安全ですと言われても、なかなかついていけない。私たちは、私も原子力と共生している人間ですので、電気代が下がるんだったら大いに活用すべきだと思っていますが、やはり、武藤大臣もおっしゃるとおり、それは安全が大前提なんですよ。やはりそれを勝手に書き換えてしまうということはあかんと私は申し上げました。これが四年前のこの委員会だったんですね。
その質疑をした後に、実は事業者と組合側からこういう何十ページにも及ぶ質問状がファクスされてまいりました。これは、発信元は、福井県電力総連、要するに日本原子力発電という今回のデータの書換えを行った組合、それと北陸電力と関西電力の連名なんですけれども、要は、書換えを行った事業者側、組合員が規制委員会に送る申請書を作成しているわけですが、データを書き換えた側から、どうしてこの委員会で取り上げたのか、そして、誰にこの情報を聞いたのか、その職員名を答えよであるとか、三十六か所において私の質疑に真っ黒に下線を引いて、情報提供者を明かせ、そもそも質問するな、そして、例えば日本原電の所属の敦賀市議会議員の方は、私を糾弾します、連合推薦の議員だったらこういうことは質問するなということを熱心にキャンペーンされた。
要するに、やはり、日本原電なり、データを書き換えた側が、国会で取り上げるな、そして、国会で取り上げるんだったら、私たちに通知をした上で、質問調整をした上で発言せよ、こんなことを質問状として三十六項目にわたって送りつけてくる体質、これはまさに危険なものに蓋をしろという姿勢ですから、やはりこれもあかんと思うのですね。
規制委員長、こうしたこと、これは初耳だと思います。データは規制委員長と大臣には全て御提供してありますので、この文書に関しては。これも踏まえた上で、やはり、データを書き換えること、そしてデータを書き換えることを国会の場で質疑をするなという企業体質、どう思われますか。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
新規制基準への適合性に関わる審査におきましては、データ等に基づく事業者の評価結果の妥当性を技術的な観点から審議を行うことを前提としております。したがいまして、審査資料の信頼性が確保されることが必要でございます。
敦賀二号炉の審査におきましては、当初の申請に記載の誤り、データの書換え等が多数発覚いたしまして、複数回にわたる原子力規制検査並びに日本原電社長との意見交換を経まして、信頼性のあるデータに基づく補正申請がなされましたので、この補正申請に基づいて審査を実施したところでございます。その結果といたしまして、委員からも御紹介ございました、本年十一月に許可をしないこととする処分を行いました。
したがいまして、規制委員会の審査、検査におきましては、科学的、技術的な判断を行うために、事業者における信頼性のあるデータ等に基づく説明が不可欠であると認識しております。
以上でございます。
○斉木委員 上書きをされたことに関してはどのように御評価されていますか。やはり、変更するのであれば、その理由等を付記した上で新たに書き加えるべきだと思うんですが、未固結層を全て固結と書き換えたことに関してはどのように御判断されていますか。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
データの書換えにつきましては、委員会でも議論した上で、不正等がないかどうかについて、日本原電の本社に検査に入りました。その検査の結果に基づいて、意図的な不正はないという結論を得ましたので、委員会で改めて審査を再開することにいたしました。
○斉木委員 ちょっと確認させていただきたいんですが、人間は、書き換えるということは、書き換える必要があるから書き換えるわけですよね。そこに意図は存在するわけですよ。書き換える必要がないというのであれば書き換えません。書き換えようという意思がなければ書き換えないんですが、意図がないというのはどのような御趣旨なんでしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
日本原電から委託を受けた事業者が柱状図のデータの上書きをしてしまって、その情報共有が、日本原電の職員と共通認識になっておらなかったという検査結果を規制庁の検査で得てございます。意図的な不正があったというふうな検査結果にはなっておりませんで、委員会としても、その検査結果に基づきまして、審査を継続するという判断に至ったわけでございます。
○斉木委員 ちょっと性善説に立ち過ぎているのではないかなと、私もレクで検査官と実際に面談しましたが、感じました。
実際に、こうやって国会で質問する我々は、国会というものは、特に経産委員会、原子力特別委員会というものは、まさに、福島の事故をもう一度絶対に起こしてはならないという反省の下に委員長は職責を与えられていると思うんですね。だから、そこの穴を探すのが我々の仕事なんですよ。穴を探すなというふうに、国会で取り上げるなというふうに、るる三十六問も質問を、情報提供者の名前を明かせとか送ってくる企業体質、武藤大臣、どう思われますか。これで安全が確保できると思われますか。
○武藤国務大臣 今の送ってくるやつは、総連さんからの資料の話ですよね。ですから、そういう意味でいうと……(斉木委員「いや、総連からではなくて。意図を持って、書換え」と呼ぶ)今の話ですか。(斉木委員「そう。今の話です」と呼ぶ)
まあ、経産省なので、こちらのスタンスというものと規制委員会は、もうこれは独立した組織ということですから、そこに対してのコメントを私からするのはちょっとおかしな話かもしれませんけれども、その上で、議員が、四年前でしたか、そのときも多分僕はここにいたと思いますけれども、大変な、そういう意味では非常に大きな関心事としてこれをお持ちになっていらっしゃることはもう当然だと思いますし、その解決策として、今のこの議論というものを進めていただくということになるんだと思います。
それに対する意見ということですから、まあ私から言うのもちょっとおかしな話かなというような気がしますけれども、とにかく安全というものを、基準を作るというところが規制委員会でもあり、そして規制庁のお仕事でもありますから、その中でしっかりとした形をやってほしいというのが私の立場だと思います。
○斉木委員 ちょっと、大臣、御理解されていないみたいなんですが、大臣がおっしゃったんですよ、所信で、安全性を大前提にやはり原子力は活用していくと。所信でおっしゃっているので、それに対して御質問しているんです。
要は、こうして国会で取り上げるなというふうに事業者及びその組合側が言うということは、まさに、じゃ、福島がなぜ事故が起きたんでしょうか。津波が十メーター以上の高さが来ますよという指摘があったにもかかわらず、当時の経営陣が、要するに、都合の悪いことは見ないことにしようと。活断層のデータがあったらデータを書き換えてでも審査を通そうという姿勢になるじゃないですか。要するに、都合の悪いこと、津波高の予想波高を無視したら、ああいう事故が起きた、バックアップのバッテリーも全部地下に置かれて、全部ショートして、緊急冷却もできなくなった、その反省があるわけじゃないですか。都合の悪いことに蓋をしたらあかん。
要するに、都合の悪いこと、地下断層があるよというデータも正直に出すことがやはり事業者としてのこれは安全確保の第一歩じゃないんですか。それを、我々、武藤大臣、福島から学ばなかったんですか。
こういった、まさに指摘されたら事業者にとって都合の悪いことを質問するなというふうに国会に圧力をかける、こういう姿勢では、まさに、地下に断層があって建屋が破壊されましたとか、断層型、正断層、逆断層型地震が起きて建屋が破壊されてしまうとか、やはりそういったリスクが起きるわけですよ。ですから規制委員会があるわけですよ、そのリスクを見つけるために。
大臣、やはりそういった都合の悪いことを正視して発掘しなければいけないのが事故防止じゃないんですか。推進官庁の大臣としてのお考えをお伺いさせていただけますか。
○武藤国務大臣 先ほどの電力総連とのやり取りの件につきましては、事務方から聞きましたけれども、そのことについては私はコメントを控えさせていただきます。
それから、今の安全性の問題につきましては、福島の一Fの事故が起きて以来、原子力規制委員会というものが新しく、いわゆるそういうものができた。そこはもう安全大前提の、そこで第三委員会をつくって、そういう形の組織体系をつくった。ここにスタートしているわけですから、しっかりとした安全というものを確保するために、今みたいなことで、何か隠蔽があったとか、そういうことは、大変、私はあっちゃいけないことだろうと思いますけれども。
○斉木委員 これは、我々はやはり過去に学ばなきゃいけないと思うんですよ。やはり津波の予想高とかそういったものは、確かに東京電力にとっては当時都合の悪い指摘だったかもしれない。でも、そういったことに経営陣が目を背けた結果、あの事故が起きたわけですから。
やはり、そういったリスクをいかに発掘していくのかというのが、当委員会、そして原子力特別委員会を始めとする国会の責務だと思うんですが、原子力規制委員長、そういう理解でよろしいですか。国会はどういう役割を、この原子力の安全性に関して、我々は問題点を発掘していくのが国会の責務だと思っているんですが、規制委員長はどのようにお考えでしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
原子力規制委員会は、委員御指摘の事業者の体質といった経営姿勢について直接指導をする立場にはございませんが、私どもの役割は、審査や検査といった規制活動を通じて、科学的、技術的に正確な情報に基づいて、事業者における安全確保の取組を厳正に確認することであると考えております。
原子力規制委員会としては、こうした役割を今後も適切に果たしてまいりたいというふうに考えております。
○斉木委員 山中委員長から、先ほど、意図がなかったというふうに御発言されましたけれども、やはり、それはちょっと甘い見方であるし、人間、意図がなければ書き換えません。そもそも、そのまま出しますから。やはり意図はあるわけですよ。書き換えるのは、目的があるから書き換えるんです。書き換える必要があるから書き換えるんです。だから、そこのところを是非しっかりこれは認識する必要が私はあると思います。
もう一つ。実は日本経済新聞も、昨日の朝刊、大臣お読みになりましたか。「オピニオン」欄、社説で、日本原燃と日本原電の国策民営を終わりにして、日本原電もほかの発電ができるようにしてあげたらどうかということを社説で掲げておりました。
ちょっと御紹介しましょう。これは日本経済新聞の昨日の朝刊の「オピニオン」欄、社説です。たしか論説委員の方が書いていたと思いますけれども、今回のこの敦賀二号機の判断に関して、要するに、ほかの原子力以外もできるようにしてあげたらどうだということなんです。
「不合格」が覆ることはないだろう。
ならば早急に廃炉を決断し残る東海第二原発を動かすことに注力するのが賢明だ。敦賀二号機にこだわり続けては、結局、原子力の推進を遅らせることになる。
そして原発専業という「国策」を終え、経営に自由度を与える。エネルギー政策に詳しい国際大学の橘川武郎学長のアイデアが面白い。「敦賀発電所には立派な送変電施設がある。アンモニアや水素といったゼロエミッション火力として再出発する道がある」
これは一つの事業の可能性を示している社説。
そして、私が思うのは、やはりこの定款を変えてあげたらどうかというのは全く同じ意見なんです。日本原子力発電というものは、大臣、定款をお読みになったことはありますか。原子力及びその附帯事業しか認められておりません。要するに、原発専業、原発以外の発電をやっちゃいけないというふうに枠をはめられている日本で唯一の発電会社なんです。
だとしたら、やはり直下に地下断層があったとしたって、書き換えてでも動かそうとするじゃないですか。北陸電力だって関西電力だって、ほかにリニューアブルズもできるし、火力もできるし、何でもできるんですよ。だけれども、これしか生き残る道がないよと言われたら、やはりデータの書換えを誘引してしまう。
だって、生き残るためには、組織というのは生存することが第一目標ですから、そのためには、この十数年間一ワットも発電できていない、いつまで我々国民の電力料金で、大手電力からの受電契約金で、発電もしていないのに何百億も売上げを立てているんだ、電力料金の無駄遣いじゃないかと今非難されているから、非常に彼らも生存することに必死です。でも、その生きる道が原子力しかないと定められているからこそ、書換えしてでも動かそうというモチベーションにつながっちゃうじゃないですか。
その危うさをどうお感じになりますか。大臣、規制委員長、御所見を伺います。
○武藤国務大臣 原電がどのような事業を営むかについては、株主ですとか経営陣の方針、ガバナンスの下で決定されるものだというふうに思っています。私の、国の立場からコメントすることは差し控えたいと思います。
いずれにせよ、敦賀二号機に関しまして、日本原電は再申請に向けて追加調査等に取り組んでいく意向と承知をしております。僕は、これまでの原子力規制委員会からの御指摘を踏まえて、適切に対応していただきたいと思います。(斉木委員「規制委員長に振る前に。規制委員長は、たしか、この……」と呼ぶ)
○宮崎委員長 ちょっと、指名してから発言してください。(斉木委員「済みません」と呼ぶ)
斉木武志君。
○斉木委員 規制委員長は、たしか、この敦賀二号機の再稼働、また申請しますというふうに今、日本原電はしていますが、非常に難しいんじゃないかと。活断層が非常に多く、二百本以上あの敷地には走っているので、活断層ではないことを証明するのは非常に厳しいというようなコメントをおっしゃっていましたが、その辺も含めて、敦賀二号機にこだわって再稼働を申請してきて、果たして動くものなのかどうか、御所見を伺えますか。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
本年の十一月に、設置変更許可申請については許可しないという判断を原子力規制委員会としては行ったところでございます。この点につきましては、K断層の活動性と連続性に基づく判断でございます。
敷地内には非常にたくさんの断層がございます。全ての断層について活動性、あるいは重要な施設の直下に活断層がないということを証明するというのはかなり難しい作業になるかというコメントは、会見で示させていただいたところでございます。
この事業を継続するかどうかという判断については、私ども規制委員会が何かコメントをすることではございません。
○斉木委員 では、経産大臣にお聞きします。
というコメントがありまして、まさに電気代を使って、これからまた敦賀二号機の再稼働申請に向けていろいろ事務作業を進めます、ボーリング調査も何十か所も行います、これが現実的な、冷静な判断と言えるかどうか、経産大臣の御所見を伺えますか。
○武藤国務大臣 今、規制委員会の委員長のお話もありましたけれども、いずれにしても、原子力規制委員会の指摘を踏まえて、安全性の確保に向けて適切に対応してもらいたいと思います。
経済産業省としても、日本原電が規制委員会の審査に適切に対応すべく、先行電力や専門家など外部の知見も取り入れながら取組を進めるように指導してまいります。
○斉木委員 私も一地元住民ですので、何かあれば逃げなければいけない住民です。やはり共生ということですよ。共生していく前提は安全なんです。安全の基は信頼性なんです。その会社が言っていることは本当なのかどうか。だから、そこのところを勝手に書き換えて審査を通そうとか、そういった、だって、データは科学なんですから、同じものを観察した結果が変わるというのはおかしいわけですよ。そういったところをもっと、大臣、規制委員長にも、これは注視をしていただきたい。
何よりも、そういったことを国会で質問すると、事前に我々に通告をし照らし合わせた上で質問せよみたいな、こういう、労働組合、福井県電力総連さんのファクスが三十六問来ていますけれども、やはりこういった圧力をかけることが、まさに穴になるわけですよ。我々が質問できなくして、我々に活断層のデータ書換えとか事業者にとって都合の悪いことを指摘させない、でも、そこに一番のリスクがあるわけですから。津波の高さとか活断層の可能性とか。
やはりそういったことを、連合推薦議員の方は質問するななんということを日本原電の敦賀市議会議員の方はおっしゃっていますけれども、そういったプレッシャーにめげずに、野党の方々もしっかりこういったリスクをやはり直視をして、国会でどんどん穴を、懸念点を掘り出して見つけるのが我々国会議員の責務だと私はこの場に立っている者の責任として思いますので、今後とも、そういった穴を隠す姿勢、リスクを隠す姿勢を是非直視をしていただくことを与野党の議員にもお願い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
○宮崎委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十五分休憩
――――◇―――――
午後一時四分開議
○宮崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、武藤経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。武藤経済産業大臣。
○武藤国務大臣 申し訳ありません。
午前中の委員会の、田嶋委員の御質問の中で、最初の方に、この委員会に経済産業大臣経験者が三名、いわゆる世耕委員、西村委員、岡田委員と発言をさせていただきましたけれども、申し訳ありません、二名という形で訂正にさせていただきます。岡田委員は外務大臣経験者でございます。
それともう一点、原発の話で、ミサイルが撃ち込まれたときに、それをどこが守るという点について、抜けているのは事実と申し上げましたけれども、防衛省・自衛隊といたしまして、原子力発電所に対する武力攻撃の対応については、弾道ミサイルによる攻撃であればイージス艦とPAC3による多層防衛での対応が考えられるということに訂正をさせていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○宮崎委員長 それでは、質疑を続行いたします。丹野みどり君。
○丹野委員 国民民主党、丹野みどりです。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
せんだっての衆議院選挙におきまして、豊田、みよしを選挙区とします愛知十一区で初当選をいたしました。選挙前、政治活動中から、多くの地域の皆様からいろいろなお声を伺っておりまして、特に中小企業を経営していらっしゃる皆様、そしてお勤めの皆様から、たくさんのお声を伺っておりました。経済産業委員となりまして、こうした皆様のお声を基に質問ができますことを大変ありがたく思っております。
今日は、皆様のお声の代弁者として質問をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
さて、総合経済対策で、取り組むべき三つの柱が示されました。そのうちの二つが、日本経済や地方経済の成長であり、物価高の克服でありました。
また、武藤経済産業大臣の所信の中でも、持続的で構造的な賃上げを実現できる環境づくりが重要であり、そのためにも、価格、取引の適正化に向けた取組を強化するといった内容がございました。
今日午前中の質疑の中でも、たくさんの委員の皆様が価格、取引について取り上げていらっしゃいました。
私も、一つ目のテーマとして、この課題を取り上げたいと思っております。中でも、この価格転嫁の実現度をどのように強化していくかということに的を絞ってお話をしていきたいと思います。
地元でも、本当は価格転嫁をしたいんだけれども、他社との価格競争があるからなかなかできないんだというお声を聞いております。
現状は本当に厳しいんですけれども、この価格転嫁を積極的にリードをしている企業も実際にございます。私の選挙区であります愛知十一区なんですけれども、豊田市にはトヨタ自動車本社がございます。自動車産業の中心地であるわけですけれども、このトヨタ自動車さんが今年の春闘で労務費を含めた価格転嫁を標榜されまして、実際に取り組まれました。
こういったお取組はすばらしいなと思うんですけれども、やはり、日本全国を見てみますと、なかなか、こういう取組を実行している企業がまだまだ少なくて、隅々まで波及していないという現状があります。
実際はどうなのか、課題はどこにあるのかというのを、御提案を含めてお話を進めたいと思っております。
まず、私、資料を持ってまいりました。ちょっと多いんですけれども、これから七つのデータを御覧いただきたいと思っております。
お手元の資料を御覧ください。
まず、資料一番の(1)です。ちょっと小さくて恐縮なんですけれども、まずは中小企業の数です。最新のデータで、三百三十六万四千八百九十一者、その割合は九九・七%です。資料(2)です。その働く人の数は三千三百九万八千四百四十二人、その割合は六九・七%に上ります。
本当に日本経済が元気になるためには、よく言われておりますけれども、中小企業が元気にならないといけない、中小企業を元気にするためには、やはり利益がきちんと確保されることが必要と思っています。
日々行われております商取引の中で、適正にコストが上がった分を上乗せできるという、この担保なくして、今言われている賃上げもできなければ、人手不足、人を集めることも本当にできないと思っています。
現状はどうなっているのか、もう一つ数字を御覧ください。
午前中の審議にも出ておりましたけれども、中小企業庁が三月と九月にフォローアップをしております。その九月の方の円グラフを御覧ください。発注側からの申入れで交渉が行われた割合が二八・三%、受注側からの申出で交渉が行われた割合は五八・一%、合計しますと、回答した五万社のうち、八割以上が交渉は行われたという結果になっています。
交渉ができても実際はどうなのかというところが、次の数字になります。資料三です。これも九月を御覧ください。実際、コストが上がった分の何割を転嫁できたかという数字なんですけれども、全額転嫁できましたという企業が二五・五%いる一方で、一割から三割だけ転嫁できましたと答えた企業が二五・四%、やはり多いんですね。そして、全く転嫁できなかった、むしろマイナスになってしまったという企業も合わせて二割ということで、やはり、話は聞く、だけれども、改善されてきてはいるけれども、まだまだ転嫁できていないというのが現実のようです。
こういった現実が積み重なるとどういうことが起きるか。結局、最悪の結果で、倒産をするわけですね。
次の資料です。物価高倒産の数なんですけれども、物価高倒産というのはそもそも、原油や燃料、原材料が上がっているにもかかわらず適正に価格転嫁ができていないことによって収益が悪化して倒産をしたという、まさに物価高倒産なんですが、最新のデータで、これが六百五十件、去年の六百四十六件を超えているわけです。なので、こういう数字からも、価格転嫁こそが中小企業の命綱になっていると私は本当に感じます。
そこで質問です。こういったもろもろのデータ、状況を踏まえて、現状の認識をお聞かせください。中小企業庁、お願いします。
○山本政府参考人 お答えいたします。
委員からただいま御披露をいただきましたとおり、今年九月の価格交渉促進月間のフォローアップ調査におきまして、価格交渉につきましては、八六%が価格交渉ができたという状況になってございます。発注側からの声かけで価格交渉できたという割合も増えておるということでございまして、全体として、交渉しやすい雰囲気は醸成されているというふうに認識してございます。
他方で、価格の転嫁につきましては、価格転嫁率が四九・七%でありまして、半年前より増加しておりますけれども、三ポイントでございます。他方、その内訳を見ますと、全額転嫁できた企業は二五・五%、先ほど委員から御紹介がございましたけれども、半年前から増えております。他方で、全く転嫁できなかった企業も約二割程度引き続き残っておりまして、転嫁できた企業とできなかった企業の二極化が明らかになっている状況であると認識しております。
○丹野委員 ありがとうございます。
本当に、まさに二極化が進んでいるなと感じるわけです。
そこで、次の質問です。
価格転嫁適正化に向けて法律がどんな役割を果たしているか、要点としてお聞かせいただきたいんですけれども、価格転嫁に関連する法律、独占禁止法ですとか、下請代金支払遅延等防止法、いわゆる下請法、こういったものがあると認識しております。この中で、特にいわゆる下請法がどういった機能を果たしているのか、改めてお聞かせください。これは、公正取引委員会の委員長、お願いします。
○古谷政府特別補佐人 お答えいたします。
委員の御質問にありましたように、公正取引委員会では、独占禁止法と下請法を積極的に運用いたしまして、取引適正化を通じた適切な価格転嫁ということに取り組んでおります。
このうち下請法ですけれども、独占禁止法の優越的地位の濫用の規制、これの補完といたしまして、資本金の基準によりまして、親事業者と下請事業者との関係を外形的に定めます。適用対象を製造委託などの一定の取引関係とした上で、親事業者がやっていけない行為、禁止行為などを類型的に定めることで、迅速かつ効果的に下請事業者の利益保護を図ろうというものでございます。
下請取引が公正に行われているか否か把握するために、公正取引委員会では、毎年、親事業者と下請事業者に対して定期調査を実施しておりますし、さらに、近年は、労務費などのコスト上昇分の価格転嫁円滑化といった観点から、テーマを絞ったかなり大規模な特別調査も実施してきております。
こうした調査ですとか下請事業者の皆さんからの通報などを通じまして、下請法違反が認められた事案に対しましては、違反行為を取りやめることですとか、下請事業者がかぶった損害の回復を行うこと、こういったことを内容とする勧告を行いまして、勧告を行った場合には、その旨を公表いたします。
そういうことを通じて、下請法を積極的に運用し、適切な価格転嫁が実現できるような取引環境の整備を推進しておるということでございます。
○丹野委員 ありがとうございます。
いわゆる下請法が、価格転嫁に応じてくれないという通報があったら、調査をして、そして問題があれば勧告、公表するという流れなわけですね。よく分かりました。
次の質問ですけれども、今のような法律とは違って、価格転嫁の取組を国としてどう行っているのか、概要を教えてください。中小企業庁、お願いします。
○山本政府参考人 お答えいたします。
これまでの中小企業庁の価格転嫁、取引適正化の促進に向けた取組といたしましては、毎年三月と九月の価格交渉促進月間を通じまして、発注企業ごとの交渉、転嫁の状況を調査いたしまして、結果を公表させていただいております。その中で、芳しくない取組の企業につきましては、事業所管大臣名での指導助言を実施してきております。
あわせて、全国三百三十名配置しております下請Gメンによる取引実態の把握を行っておりますとともに、これらを踏まえた業界団体の自主行動計画の改定、徹底を定期的に行っておるところでございます。
あわせて、昨年策定されました労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針につきましても、産業界全体への周知徹底を行っておりますとともに、パートナーシップ構築宣言についても普及促進に努めてきているところでございます。
○丹野委員 御説明ありがとうございます。
本当に様々な面から取組をされていて敬意を表したいと思うんですけれども、ただ、こういったたくさんの取組があるにもかかわらず、その実効性がやはり十分じゃないという現状があるようでして、資料の五番目を御覧ください。
これはまさに公正取引委員会さんが公表した数なんですけれども、価格転嫁を拒否をした企業として社名を公表された企業の数が十社ありました。このうち、今お話がありました、まさにパートナーシップ宣言をしている会社が九社ということで、ちなみに、このパートナーシップ宣言、午前中もありましたけれども、発注側と受注側が共に成長していこう、持続可能な関係性を構築しようということで結ぶ宣言なわけですけれども、こういったパートナーシップ宣言があるにもかかわらず、十社中九社がこういう公表をされたということなんですね。これを見ますと、やはり、この宣言自体、意味があるのかなという疑問にも感じてしまうわけでございます。
そこで、大臣に伺いたいんですけれども、法律もあります、取組もある。法律や取組にもかかわらず、こうした現状がるるありますけれども、大臣はどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
○武藤国務大臣 丹野委員にお答えをさせていただきたいと思います。
今回、選挙で、おめでとうございました。その前は岐阜県で戦っていただきましたけれども、残念でございましたけれども。ある意味で、岐阜も愛知も、今のトヨタもそうですけれども、大体みんなが一緒でやっていますので、まさに下請構造にどこまで切り込んでいけるかというところだと思います。
今回、今も申されましたけれども、下請法の改正も近々お示しさせていただきたいと思いますけれども、やはり、トヨタさんはいいですよ、あるいはデンソーさんとかアイシンさんはいいですよ、ただ、その三次、四次、五次になると、これはちょっとあさっての方の人が随分いらっしゃる。それから、やはり、価格交渉というものは、それなりに両方の意見というものが合わないと、これはなかなか進みません。ですから、午前中もいろいろ申し上げましたけれども、やはり、いやいや、あなたのところはいいよ、あなたのところがやらないんだったら、ほかから見積りがあれば、幾らでもやる人はいるよという世界だったんですよ、今まで。だから、これは何とかしなきゃ駄目だよねというので、過去、大臣の方々がみんないろいろやっていただいて、皆さんの御協力、御指導もあって、やっとここまで進んできているというのが正直なところです。
ただ、本当に、地方が元気にならないと、そこにいわゆる物価を上回る賃金を実現しないと、これは本当に地方がよくなりませんので、今の下請法の改正やら、また、データから分かっているように、深い取引段階で、今も申し上げた、転嫁状況は余りよくないものですから、そこまで切り下げて、しっかりとお金が回るような形を是非これから構築していきたいと思いますので、また御指導のほど、ひとつよろしくお願いいたします。
○丹野委員 大臣、ありがとうございます。
本当におっしゃるとおりで、法律もあるよ、取組もたくさんあるよ、だけれども進んでいないというところにやはり私は課題があると思っています。
例えば、改正も控えている下請法ですけれども、下請法で厳しくするというのも、厳しくし過ぎても、だったら取引先を海外に移すとか、そういう動きもあったりして空洞化してしまって、これも本末転倒と思いますし、逆に取組で促すというのも、基本お願いベースで、機運の高まりを醸成するのはとても有効だと思うんですけれども、やはり時間がかかりますし、おっしゃったように、ティアの奥深くまで行く、隅々まで行き渡るというのはなかなか難しいものがございます。
この取り締まる法律と促す取組が対応できていないところに課題があると私は思っておりまして、価格転嫁が進まない原因は、ひとえに、取引先との関係を悪くしたくないんだというその気持ちがあると思うんです。先ほどの下請法の中で、何かあったら通報して取り締まってもらうんだみたいなのはあるんですけれども、そこの、通報する前の段階の、商取引の段階で、やはり関係を崩したくないという気持ちを後押しするためには、厳しくする下請法の法律ではなくて、この促す取組の方に寄り添った法律を作ってはどうかなと思うわけですね。
そこで、ちょっと最後に提案なんですけれども、本当に、例えば価格転嫁法と、名前は仮称を作るとします。そうすると、促す取組を、例えば、言ってもいいんだよみたいな、法的根拠を与えて後押しをするような、先ほど議論がありましたけれども、数値目標、そういったものもある程度議論の上織り込んでいく。そういった、こちらの取組の方に寄り添ったような法律を新たに作ってはどうかなというのも最後に御提案をいたします。
中小企業庁によりますと、やはり価格転嫁率が高いほど賃上げもされているということで、それは消費の活性化につながりますので、引き続き、この問題に取り組んでいきたいと思います。ありがとうございました。
では、二つ目のテーマに参ります。
二つ目は、災害時の対応力を上げるために、LPガスを避難所に設置してはどうかという内容でございます。
総合経済対策の中でも、防災、減災などの国民の安心、安全の確保、これが明記されました。そして、経済産業省の補正予算においても、災害時に備えた社会的重要インフラへの燃料備蓄の推進として、今回二十一億円が計上されております。
災害時に備えること、もちろん、国民の皆さん、命を守るために最重要なことだと思っているんですけれども、その備えが、いざというときにきちんと使える有効なものであること、これが大事だと思っております。
先ほど来申しております、私の選挙区が愛知県豊田市、みよし市なんですけれども、この豊田市に二十八の中学校がございますけれども、来年中に全ての中学校の体育館にLPガスの空調が入る予定なんです。これは、電気による空調じゃなくてLPガスによる空調が入るというところがみそでして、これはどうしてか、まさに今回私が取り上げたいテーマなんですが、災害用の備えとしてLPガスということなんですね。
現在、公立小中学校等の教室や体育館に空調設置の動きが加速化しています。空調といいますのは、大型送風機それからスポットクーラー、エアコンなどを指しておりますが、資料の六を御覧ください。
文部科学省によりますと、教室への空調普及率は九九・一%、もう教室にはほとんど空調が入っております。ですが、体育館を見ますと、二二・一%なんですね。近年、本当に猛暑ですので、子供たちの生育環境におきまして、空調、冷房の環境整備、これはもう大賛成でございますが、一方で、体育館というのは災害時に避難所になりますので、子供たちだけではなくて、地域の皆様、高齢の方、赤ちゃん、障害をお持ちの方、いろいろな方が利用される、その機能をしっかりと考えなくてはいけないと思っております。
資料七を御覧ください。これは見慣れた体育館の写真でございますけれども、この体育館にエアコンを設置した場合、当然屋内機そして室外機があってエアコンが動くわけですけれども、空調の中でも当然最も涼しくなるのがエアコンでございますので、エアコンをこれからどんどん設置していこうという動きがあるわけですけれども、私は、そこでちょっと待ってと言いたいわけです。それは、やはり電気によるエアコンの設置というのが話の中心になっちゃっているんですね。そこをちょっと待ってくださいと言いたいわけです。
資料八を御覧ください。このエアコンの室外機なんですけれども、様々な燃料で動きます。都市ガスでも動きますし、電気でも動きます。ただ、電気の場合、当然停電をしたら使えないわけですし、都市ガスもパイプが寸断されたらやはり使うことができません。こういったときに、LPガスのタンクがあれば、煮炊きもできるし、エアコンを動かすこともできるし、充電することもできるし、照明もつくということなんです。なので、災害の備蓄として、やはり全国の避難所にLPガスを置いてはどうかと思うわけですね。
そこで、大臣に質問です。災害への備えとして、こういったLPガスをどういった形で捉えているか、教えてください。
○武藤国務大臣 今、LPガスの、災害への備えとしての御質問をいただきました。
全国の四割の世帯で利用されているLPガスというふうに承知をしておりまして、品質が劣化をせず長期保存もできますし、持ち運びも容易だといった利点があります。また、導管には依存せず、ボンベで供給される分散型エネルギーであるため、災害時に電力や都市ガスといった導管供給が寸断された場合でも、LPガスは有効に利用できる。また、近年では、輸入先がアメリカ、カナダ、オーストラリアで九割を今占めておりまして、地政学的リスクも低く抑えられていると認識をしております。
このため、LPガスは、災害に強く、エネルギー安全保障にも資する重要なエネルギーだと考えております。
この特性を踏まえて、現行の国土強靱化基本計画ですとかその年次計画においても、災害時に避難所となる重要施設にLPガスの備蓄を促進することや、LPガスを充填する中核施設の災害対応能力強化に取り組むことが盛り込まれたところであります。
経済産業省としても、例年、LPガスの備蓄体制の強化等に必要な予算を確保してきているところでありまして、引き続き、LPガスは災害時に使用するエネルギーとして有益という点をしっかり周知、説明をしながら、避難所等においてLPガスの利用が進むように取り組んでまいります。
よろしくまた今後ともお願いいたします。
○丹野委員 大臣、ありがとうございます。
本当に有益で、しかもそれを周知していく必要があるというお話で、心強く感じます。
今年一月に発災した能登半島地震ですけれども、このときもLPガスがかなり威力を発揮したと伺っております。今年の八月に私も行ってまいりまして、輪島市ですとか珠洲市の皆さんにお話を伺ってまいりました。やはり、これから寒い冬がやってきて、雪がたくさん降って、木が倒れて電線が切れると、また停電になってしまって、本当に発電装置が欲しいというお話がありました。
そこで、能登半島地震でLPガスが実際にどう活用されたのか、事例を教えてください。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
令和六年の能登半島地震でございますけれども、LPガスは、避難所の炊き出し、それから復旧住宅の熱源として活用されました。また、長期化する避難生活の中で高まった洗濯ニーズに対応すべく、ランドリー車が派遣されましたけれども、LPガスはその燃料としても活用されたところでございます。まさに、持ち運び可能な分散型エネルギーとして、災害時のエネルギー供給に貢献したというふうに考えてございます。
さらに、LPガスタンク、それからLPガスにより稼働する発電機を設置した避難所では、停電中におきましても、照明それから通信機器の電源を確保するなどしまして、被災地における生活環境の維持向上に大いに役立ったというふうに考えてございます。
事例ということでございますので幾つか御紹介申し上げますけれども、例えば、輪島市の避難所では、地震直後から停電しましたけれども、LPガス仕様の非常用発電機を稼働させることで照明、電源を確保した、それから、炊き出しを実施をしまして、避難生活を乗り切ったというふうに聞いてございます。
それから、能登町の福祉施設では、停電復旧までの四十八時間、通信機器等の電源としてLPガス仕様の非常用発電機を稼働させたというふうに聞いてございます。
それから、志賀町でございますけれども、福祉施設では、地震直後から、外部からの避難者を百名近く受け入れまして、LPガスによる空調設備を稼働させることで、快適な生活環境を提供したというふうに承知してございます。
○丹野委員 ありがとうございます。本当に能登半島地震でもやはりいろいろ活躍したんだなというのが分かります。
LPガスのメリット、先ほど大臣からもお話がありましたけれども、三つやはりあるなと思っておりますので、繰り返しますが、お伝えします。
まず、LPガスが劣化しないということ。なので、長期にわたって保存することが可能です。そして二つ目、LPガスは、導管、いわゆるパイプで運ばれているわけではないので、ボンベやタンクで保存することができる。なので、電気や都市ガスが寸断されてしまっても、こちらは大丈夫というところが二点目です。そして三つ目、大臣のお話もありましたけれども、輸入先ですよね。やはり仕入れ先がアメリカ、カナダ、オーストラリア、これを九〇%以上輸入していらっしゃるので、中東情勢に左右されないというところもあって、以上の点から、本当にこのLPガスが災害に強いんだなというのを私は感じております。
そこで、質問です。このLPガスの備蓄やシステムを今能登半島地震のことに的を絞ってお話しいただきましたけれども、全国的にこういったシステムを導入している事例がありましたら教えてください。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
災害時に停電が起こった場合にあっても、持ち運び可能な分散型エネルギーのLPガスを燃料として稼働する設備であれば、電源、照明、冷暖房、温水の供給、それから煮炊きや温かい食事の提供ということが可能でございまして、災害時における避難所の生活環境に貢献できるというふうに考えてございます。
そのため、これまでも、医療施設、福祉施設、それから避難所におきまして、LPガスタンクに加えて、LPガスにより稼働する発電機や空調設備などを設置する取組を様々支援してきているところでございます。
幾つか事例を申し上げますと、例えば、平成三十年に北海道の胆振東部地震がございましたけれども、その際に、LPガスを用いた非常用発電設備を導入した医療・福祉施設、合計で二十五か所におきまして、停電復旧までの二日間の間、照明それから携帯電話の充電サービスの提供、そういったことを提供して、結果、LPガスの残量について問題が生じることはなかったというふうに承知をしてございます。
北海道では、その後、ブラックアウトの経験も踏まえまして、施設の災害対応能力の強化を図るべく、LPガスタンクとLPガス空調を導入した例もあるというふうに聞いてございます。
それから、令和四年の台風十四号、十五号の際も、避難所を開設した医療・福祉施設などのうち十二か所におきまして、停電復旧までの間、LPガスを用いた非常用発電設備それから空調設備を稼働させ、施設の生活環境を維持した、そういった例があるというふうに承知してございます。
○丹野委員 ありがとうございます。本当に全国を見ても威力を発揮しているんだなと分かるわけですけれども。
では、幾らぐらい費用がかかるのかというのを調べました。日本LPガス協会の資料などから、初期の導入費用が五千万円ということなんですね。全国の避難所に指定されております公立小中学校の体育館の数が二万六千五百四ありますので、これを掛けますと、概算一兆三千二百五十億円になるわけですね。このお金をかけると、避難所がまさに使える避難所になるなと感じております。
先ほどお話もありましたが、供給能力なんですけれども、一基九百キロのガスが蓄えられていると計算した場合、一基で二百人から三百人の避難者に対して数日間程度対応することが可能だそうです。例えば、業務用の大型炊飯器で百人分の御飯を炊いたり、ガスコンロ二台、ガス給湯器一台を三時間使って温かい汁物、シャワーを提供できる、それからガス発電機一台、ガスストーブ二台を一日中フル稼働できる、こういう威力があるわけですね。
加えて、LPガス協会によりますと、現在、全国に充填できる基地が二千二百か所あって、そのうち災害時にも自立的に稼働できる施設が三百七十か所あるんですね。なので、これは追加補充も可能なわけです。こういったことからも、本当に備えるべきだなと思っております。
ちなみに、豊田市の中学校の体育館で来年度に導入する分の費用がおよそ二十七億円で、国の補助が四・九億円。ちなみに、あと三億円の補助は今申請中ということだそうです。計算すると、国の補助が実質三割ほどということになります。ですので、裕福な自治体ができて、そうではない自治体ができないとなりますと、やはり格差が生まれると思うので、これは、自治体ではなくて、国として、全額補助で、もう全額負担をして対応すべきでないかと私は思います。
先ほど見ていただいた資料の中に、公立小中学校等の体育館への空調の普及率二二%と申しましたけれども、既にいろいろ空調は設置されているんだけれども、多いのが大型送風機とかスポットクーラーなんだそうです、それでエアコンなんですけれども。避難所に指定されている体育館、先ほどお話ししました、二万六千五百四ありますので、このうちにLPガスが既に入っているのが僅か二百校程度です。なので、これは〇・七五%で、一%にも満たないんですね。なので、本当にこれを普及していかないと、避難所が生きたものにならないなと思っております。
私は、先ほど来申しておりますように、これは国が全額負担してでもいいから、全国の避難所指定された体育館にLPガス空調を入れた方がいい。一兆三千億円かかりますけれども、私は、今すぐにでもこれはもう対応した方がいいと思う立場で、質問を最後にいたします。
現在、LPガスシステムの導入補助金、これはどういったものか教えてください。
○金光政府参考人 お答え申し上げます。
LPガスシステムの導入についてでございますが、文部科学省といたしましては、令和六年度補正予算におきまして、避難所となる公立小中学校体育館への空調設備を加速するための必要な経費として、七百七十九億円を計上いたしております。
具体的に申し上げますと、これは新たに臨時特例交付金というものを創設をいたしました。LPガス仕様の空調を含めまして、空調整備を行う場合に補助率二分の一の国庫補助を行うものでございます。
引き続き、各自治体がその実情に応じて様々な選択肢を検討できるよう、関係省庁と連携しながら取り組んでまいります。
○丹野委員 ありがとうございます。
現状七百七十九億円、しかもそれは全ての空調を含んでということで、半分の補助ということでお話がありましたけれども、全額負担となりますと一兆三千億円ありますので、かなり乖離があるなというのは分かりました。
最後に、災害というのは、もう御存じのとおり、地震だけではありません。近年の異常気象からも、豪雨ですとか台風とか、本当に避難所の役割というのが重要度を増しております。本来は、こうした備えが全くもう意味を成さないぐらい活用されることがないというのがいいんですけれども、そうはいきません。災害をなくすことはできません。私たちにできることは、本当に、備えることだと思っております。
阪神・淡路大震災、東日本大震災、能登半島地震など、数々の災害がありました。災害で命が救われたのに、震災関連死、避難所の劣悪な状況によって命を落としてしまうということも指摘されています。これはもう天災じゃなくて人災だと思っています。なので、本当に国民の命を守るというのが国の最大の役目であると私は感じておりますので、質問の機会をいただきましたけれども、このLPガスについても引き続き取り組んでいきたいと思っております。
今日はありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、福重隆浩君。
○福重委員 公明党の福重隆浩でございます。
時間の制約がありますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
先週、全ての世代の賃金、所得を増やすことを目指す総合経済対策の裏づけとなる令和六年度補正予算案が衆議院を通過いたしました。我が党からも政府への、経済対策への提言を行い、多くを反映していただいております。政府とともに、経済成長、物価高克服に全力で取り組んでまいる決意でございます。
一方で、現実的に厳しいデータがございます。東京商工リサーチによると、今年十月度の全国企業倒産件数は九百九件、そのうち負債が一億円未満の企業の倒産が七七・一%を占めており、厳しい現実が浮き彫りになっております。
政府は、最低賃金引上げに対応する生産性向上支援に二百九十七億円を計上し、様々な施策を打っておりますが、企業の多様なニーズに対応していかなければなりません。特に、昨今の原材料費や燃料高騰、人材不足等により経営が圧迫されている中小零細企業事業者への対応は喫緊の課題でございます。
中小企業の生産性向上、なかんずく稼ぐ力をどのように高めていくのか、経済産業大臣の御見解と御決意をお聞きしたいと思います。
○武藤国務大臣 福重先生にお答えをさせていただきます。
まさに、物価高あるいは人手不足の中で中小企業の稼ぐ力を根本的に強化をさせる、この中小企業の生産性向上や省力化投資等を支援することが極めて、ますます重要になってきているときだというふうに思います。
今般、経済対策において、もの補助、いわゆるものづくり補助金、また新事業進出補助金、IT導入補助金などの生産性向上、省力化投資支援の拡充をいたしました。また、売上高百億円を目指すような、成長意欲の高い、いわゆる中小企業から中堅企業を目指すという、この成長投資支援を盛り込んだところであります。
こうした支援に加えて、地域の商工会、商工会議所、よろず支援拠点等の支援機関においても丁寧にサポートしているところでもありまして、施策をとにかく総動員させながら、稼ぐ力をどうやって持ってもらうか、これがまさに正念場を迎えているときだと思いますので、先生のまた御指導をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○福重委員 大臣、ありがとうございました。
今の大臣の御答弁を、これからちょっと掘り下げていきたいなというふうに思います。
次に、今月十一日の予算委員会において、我が党の岡本政調会長が、中小企業向けの補助金、今大臣がおっしゃられましたものづくり補助金やIT補助金などのメニューはあるが、現場の中小企業まで周知がなされていない現実があると述べておられました。
私も同じ経験をしており、地元群馬県で、事あるごとに、商工会議所や業界団体と、中小・小規模事業者の集まる会合で、人手不足の解消や省力化による生産性の向上を目指すための省力化投資補助金、通称カタログ型補助金についてお話をしてまいりました。個人的には非常によいスキームだと思っておりますが、参加された方々にこの補助金について伺ったところ、驚いたことに、どなたも知りませんでした。どんなによい制度をつくったとしても、現場の皆様に情報が届いていかなければ全く意味がありません。
そこで、カタログ型補助金についてお伺いいたしますが、ユーザーがアクセスしやすい、ピンポイントで欲しい製品が見つかるなど、これまでの改善点を含め、今後の対応について御答弁をよろしくお願いいたします。
○山本政府参考人 お答えいたします。
中小企業にとりまして人手不足は喫緊の課題でございまして、先ほど大臣からも答弁があったとおり、今般の経済対策において省力化投資支援を拡充したところでございます。
内容の拡充といたしまして、省力化投資補助事業においては、支援対象となる製品カタログの更なる充実や制度の改善を進めているところでございます。加えまして、今後につきまして、事業者それぞれの業務に応じたオーダーメイド型の省力化投資も幅広く支援することとしております。
また、委員から御指摘をいただきました省力化投資補助事業の広報についてでございます。これまで、全国四十七都道府県全てにおける説明会を開催したほか、関係省庁と連携した業種ごとの個別の周知、カタログの更新情報をSNSやメールマガジン等で発信するなど、中小企業が簡単に欲しい製品を見つけられるようにする取組を行ってきておりますけれども、更に一層広報活動に取り組んでまいる必要があると認識しております。
今後とも、中小企業の皆様にとって活用しやすい補助金となりますよう、全力で取り組む所存でございます。
○福重委員 ありがとうございます。
今、簡単で欲しい製品が見つかるということだったんですけれども、これは実は、令和五年度の補正予算で一千億措置をしていただいて、そして、見つけやすいように、事業者が、お歳暮のギフトカタログじゃないですけれども、そういったものから見つけて、見つけやすく、自分のところにこれだったら使えるよなと思えるようなものを選んでもらうというようなことで、カタログ型補助金ということでスタートをしたんだと思うんですけれども、非常に期待をしておりました。
ただ、三月になっても五月になってもまだできなくて、六月ぐらいになってやっと本格的に始まったわけですけれども、そのときには、カタログですから印刷になるのかなと思ったら、どんどん掲載の製品をバージョンアップしているから、もう印刷する暇がないので、ホームページにアクセスしてもらってというような状況だったんですね。そうすると、最初そういったことを御説明して、事業者にこういうホームページがあるから見てくださいというような形で、見たときに、自分のところで使える製品が載っていなかった、ああ、何だ、駄目じゃないかというようなことで、次にアクセスするのをしなくなってしまった。そして、その後、幾ら新しい製品をどんどんどんどん載っけても、事業者はそれにたどり着かないんですね。だから、現状、去年の補正でもう約一年近くたっているのにもかかわらず、申請がまだ百二十数件というような状況に陥っているはずなんですね。
ですから、こういったところが、しっかりとピンポイントで事業者さんに欲しい製品が届くというようなシステムを考えていかなければならないと思いますので、是非そういったところに知恵を出していただいて、これは本当に稼ぐ力に期待をしておりますので、是非よろしくお願いをいたします。
次の質問に入ります。
経産省の資料では、百億円企業育成ファンド出資事業として三十億円が計上されております。中小企業基盤機構が出資するファンドを通じて、売上高百億円を目指す成長志向の中小企業等に対するメザニンファイナンス等の供給により、財務基盤の強化を図り、MアンドAや新事業展開等を後押しすると経産省の資料には記載されております。
基本的なところからお伺いをいたしますが、なぜ売上高百億円なのか、根拠、理由について御答弁をお願いいたします。
また、MアンドA等を後押しすることなのですが、最近MアンドAによるトラブルが相次いでいると報道で承知しております。MアンドAでの事業承継は、不適切な買手との間で成立後にトラブルに発展する例も見られております。これらのトラブルについて、政府の御見解をお伺いいたします。
以上二点について、御答弁をお願いいたします。
○山本政府参考人 お答えいたします。
国内投資拡大や賃上げといった潮目の変化を迎えておりまして、デフレからの脱却が急務であります日本経済を更に成長させていくためには、日本経済や地域経済の屋台骨である中小企業の成長を促進することは必要不可欠であると考えております。
売上高百億円を超えるいわゆる百億企業でございますけれども、これは、直接輸出額や域内仕入れ高が大きく賃金も高いなど、国内投資や地域経済を牽引していくような存在だと捉えております。したがって、百億企業を目指すような経営者、企業について成長の後押しを行っていくことは、日本経済の更なる発展に寄与するものと考えてございます。
こうしたことから、御指摘の百億企業育成ファンド出資事業を活用いたしまして、売上高百億円超を目指す成長志向の高い中小企業等のMアンドAや新事業展開等を後押しすることとしております。
また、中小企業のMアンドAについて御指摘を頂戴しました。
後継者不在への対応、経営資源の集約化による生産性の向上、それらに伴う従業員の賃上げなど、重要な取組でございます。それにもかかわらず、譲受け側企業によりまして、前経営者の経営者保証が外れないまま現預金が流出したり経営が困難になるなどの事例が発生していることは、誠に遺憾でございます。
これらの問題に対応いたしまして、今年八月に中小MアンドAガイドラインを改定いたしました。MアンドA仲介事業者等に対し、不適切な譲受け側の排除に向けた取組の実施を求めているところでございまして、具体的には、悪質な譲受け側企業に対する業界内での情報共有の仕組みの構築、譲受け側に対する信用調査の実施、譲渡し側に対する経営者保証について提供先の金融機関へのMアンドA成立前の相談などを求めているところでございます。また、MアンドAに関するトラブルについて中小企業の方々への周知を図るなど、再発防止策を講じておるところでございます。
今後とも、中小MアンドA市場における健全な環境整備と支援機関の支援の質の向上を進めるとともに、改定後のガイドラインの浸透、徹底を図ることなどによりまして、トラブルの防止に努めてまいる所存でございます。
○福重委員 御説明ありがとうございました。
健全な発展をするためには、やはりそれなりの支援機関が能力を高めて、そして伴走型でやってあげることが必要なのかなというふうに思っておりますので、是非、このMアンドAも推進して、間違いのないように取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
次の質問に入ります。
公正取引委員会は二年前、中小企業など下請との取引で適切な価格転嫁に応じようとしない大企業に対し、法令違反を認定しないまま社名を公表するという新手の奇策を講じました。
昨年十月、公明党中小企業活性化対策本部は、中小企業等の賃上げ応援トータルプランを政府に提出をしました。
提言では、価格交渉促進月間の周知徹底を図り、中小企業庁のアンケート及びフォローアップ調査を強化し、取引実態を把握、発注側大企業の交渉、転嫁の実施状況を毎年公表すること、あわせて、状況の芳しくない親事業者に対する指導助言を行うこと、また、公正取引委員会においてもできるだけ毎年社名公表ができるよう努めることと記載されております。何よりも重要なのは、中小企業への価格転嫁であり、それを賃上げ向上に結びつけることであります。
一方で、価格転嫁等の厳しい状況が帝国データバンクの調査からも分かります。価格転嫁状況を二〇二四年二月と七月で比較したものが公表されており、二月の価格転嫁状況と七月の価格転嫁の状況を比較すると、転嫁率が拡大した企業は三二・四%にとどまり、縮小した企業は二〇・八%、変化がなかった横ばいの企業は四六・七%と半数近くを占めました。結果的に、半年程度で転嫁状況には大きな変化はなく、コストの上昇に価格転嫁の状況がなかなか追いついていないという状況と結論づけられております。このような状況がある中で、さきの公明党の提言にも、優越Gメンの増員を図ることと記載されております。
昨年の提言ですが、今年度、どの程度の増員体制になったのか、また、増員によって調査件数がどのぐらい増加したのか、その上で、価格転嫁の進捗状況について御答弁をお願いいたします。
○向井政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の優越Gメンにつきましては、令和四年度に創設されたものでございまして、令和六年の予算によりまして三十三名の増員が認められてございます。現在は百人体制ということでございます。
そして、公正取引委員会におきましては、令和四年、五年に続きまして、今年度におきましても価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査というものを実施してございます。
今年の調査では、十一万者を超える事業者に対しまして書面調査をしてございます。その結果、問題があると疑われる事業者のところに対しまして、いわゆる立入調査ということでございまして、三百六十九件の立入調査を実施してございます。そして、労務費転嫁指針につきまして、具体的にどのような取組をしておったのかということを事業者から聴取するために、八十七名から具体的な好事例を聴取しているということでございます。
このように、優越Gメンのマンパワーを活用した調査も積極的に実施をしているということでございます。
そして、今年度の特別調査の結果でございますが、今週の月曜日、十六日に公表したところでございます。
調査におきましては、労務費に関する価格協議が多くの取引につきまして行われるようになっている、労務費の転嫁率は昨年度よりも一定程度上昇しているという傾向がございました。その一方で、取引の段階が遡るほど労務費の転嫁率が低くなるというところで、まだ道半ばというような状況もございます。そして、報告書の中には、労務費転嫁のベストプラクティスということで、具体的な好事例というものも記載しておりますので、事業者においては参考になるのではないかと考えてございます。
公正取引委員会といたしましては、引き続き、優越Gメンを積極的に活用しつつ、価格転嫁対策を実効性のある政策として、中小企業を含めた事業者が賃上げの原資を確保するための適切な価格転嫁ができる環境を整備してまいりたいと考えてございます。
○福重委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、本当に中小企業の賃上げができるかどうかが今一番大事な問題だというふうに思っております。そういった意味では、中企庁さんのお取組に大変期待をしておりますので、是非よろしくお願い申し上げます。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、佐原若子君。
○佐原委員 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。れいわ新選組、佐原若子でございます。その上、このようにかけたままで発言をお許しくださいまして、特段のお計らいをいただきましたこと、感謝申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
私がここに座らせていただいているのは、東北の原子力政策に対する様々な疑問や不安、そして、福島原発事故でいまだに避難されている方々、そしてまた様々なところでその影響に関して心を痛めている方々の代弁をするということで参ったのだと自分で考えております。
実は、先日、経済産業省のミッション・ビジョン・バリューというものを拝見させていただきました。そのすばらしい文言と、そこにいらっしゃる動画を見たときに、皆さんが若い力で一生懸命この国を変えようとしているということが伝わってまいりました。すばらしいな、こんな方たちと一緒に働きたいものだなと思っております。
非常に僭越で、失礼とは思いますが、その文言が余りにすばらしいので、読ませていただきます。お許しください。
未来に誇れる日本をつくる。
その提案は、世界に誇れるか。
その取組は、国民に誇れるか。
その行動は、自分に誇れるか。
私たちには、この国の変革を導いていくという誇り高き想いがある。
戦後の経済を牽引し、現在の経済基盤を作り上げることができたのもその誇りがあったからこそ。
組織の枠を超え、国境を越え、時代を超えて、国富の増大とエネルギーの安定供給に邁進してきた
途中を飛ばします。
そして、「前例にとらわれず、常識に縛られず、固定観念を捨て、最後までやり遂げる。」「この国の未来をつくると信じて。」という文言でございます。すばらしいなと思いました。拍手喝采と私は思いました。
しかし、このことを踏まえて申し上げれば、私はいささか質問をしなくてはなりません。
今現在、今日の東京新聞にもありましたが、原子力政策に邁進する姿が見受けられます。被曝労働者など、誰かの犠牲なしには原子力発電は成り立たないのではと思っております。二〇一一年三月十一日に起きた東日本大震災、東京電力福島第一原発事故が起こりました。原子力発電を続けるということは、事故が起きる可能性を抱え続けることではないでしょうか。
原子力発電に使用されるウランは、海外からの輸入によるものです。海外では、ウラン残土の汚染による健康被害が報告されています。このように、多くの犠牲と負担の上に原子力発電はあります。誰かの犠牲なしには動かせないのであれば、それは立ち止まって考え直すべきではないでしょうか。
人間は失敗する生き物ですが、ただ、その失敗から学ぶことができます。失敗からしか学べないのかもしれません。私たちも、その失敗を糾弾するだけでなく、共に解決策を見出していくことが大事だと考えております。
大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○武藤国務大臣 佐原委員にお答えをさせていただきます。
委員からMVVをお教えいただきまして、ありがとうございました。私も、経産省、案外、役人出身じゃないんですけれども、久しぶりに戻って、改めてお気持ちを、同感をさせていただくところであります。
また、エネルギー政策につきまして御質問いただきましたけれども、日本という国は本当にすぐに使える資源に乏しい。これが、残念ですけれども、地政的な意味もあります。エネルギー供給の八割以上を化石燃料に今依存している中で、その大宗をさらにまた海外からの輸入に依存しているという大変厳しい状態にあります。
今日も午前中からいろいろとお話を申し上げてきましたけれども、そうした状況を踏まえて、SプラススリーE、これがエネルギー政策の大原則として、我々は、安全性の確保を大前提としつつ、エネルギーの安定供給、そして、経済効率性が確保されたエネルギー供給を実現し、同時に環境への適合を図るという、まさにSプラススリーEのバランスを取りながらエネルギー政策を進めていかなくてはなりません。
現実の中で、国民の安心と安全、これをどう維持をしながら、そして、何よりも経済というものをこれからも存続させて発展させていくという中で、今のMVVも含めてしっかり対応させていただかなきゃいけない。またいろいろ御指導いただきたいと思います。
○佐原委員 ありがとうございます。
また、日本は活断層を多く持つ地震大国であり、日本列島には複雑な地下水脈も存在しています。
かつて、能登半島珠洲市では原発誘致の動きがありましたが、住民が力を合わせ、原発の誘致を撤回させました。そして、今年初めに起きた能登半島の地震では、沿岸が三・九メートルも隆起いたしました。珠洲市も大きな被害を受けました。脱原発、誘致を撤回したことは、住民が自らかち取った成果であり、今となってはみんなが胸をなで下ろしたのではないでしょうか。
原発事故は、いつどこで起きても不思議ではありません。そして、火力発電のように、すぐに止めることができません。原発は廃止、まして老朽原発の再稼働をさせてはならないと考えます。
大臣は、日本には資源がないとおっしゃいましたが、日本というものは固有の地形がございまして、小水力発電のような環境を破壊せずにできるような発電もございます。そして、それは既に国内では活用され、治山治水のエネルギーとして活躍をしております。送配電のことを考え直せば、もっともっと活躍できる、そう思うんです。
そして、その技術は大変シンプルで、中小零細企業でもできるようなものではないでしょうか。それを電力会社と一緒に行うことで、海外にその技術を移転することもできる、そのように思うんです。
また、高レベル放射性廃棄物処分場においても、多くの問題を残しております。深地層処分については、地下三百メートル以下まで掘れば安全性が高いとのことでしたが、その根拠となるものをお示しください。高レベル放射性廃棄物処理場を設置することについて、住民の不安は大きいと思いますが、事故を防ぐための対策をどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定は、過去半世紀以上にわたり原子力を利用し、使用済燃料が既に存在しております以上、必ず解決しなければならない国家的課題でございます。
地下の深部、奥深いところにおきましては、地表と比較して揺れにくく、地下水の移動も限定的という特徴がございます。そこに長期間にわたり放射性物質を閉じ込め、人間の生活環境から隔離するという考え方に基づきまして、地層処分を行うというのが国際的にも共通した考え方であります。
我が国におきましても、一九七六年より地層処分の研究を開始し、一九九九年には、当時の核燃料サイクル開発機構が取りまとめた報告書において、我が国の地質環境における地層処分の技術的な成立性及び信頼性が示されております。それ以降も、東日本大震災などの大規模自然災害を踏まえ、地層処分の技術的信頼性について、地質関連学会から推薦された専門家による検討を行い、我が国における地層処分が技術的に実現可能であるということを随時確認してきてございます。
その上で、最終処分地の選定に当たっては、断層やマグマによる地層の著しい変動が長期間生じていないこと、あるいは、御指摘いただきました、地下水が地下施設に悪影響を及ぼすおそれが少ないこと等を法定要件として定め、地質環境が大きく変化する可能性が低い地域を選定することといたしております。
引き続き、地層処分の技術的信頼性の更なる向上、安全な処分の実現に向けて取り組んでまいりたいと思ってございます。
○佐原委員 ありがとうございました。
まだまだお聞きしたいことがあるのですが、時間がございますので、進めてまいります。
再処理工場などは、安全に稼働させるとおっしゃいますが、稼働すること自体が放射性物質を環境中、大気、水中にまき散らすことになるのではないでしょうか。
事故が起きなくても、トリチウム、クリプトン、炭素は全量放出されます。トリチウム、クリプトンの除去装置は、当初の設計では設置されていることになっていましたが、経済的な理由として、除去装置を取り付けないということに決まったと聞いております。
日本は英仏に再処理を委託してきましたが、フランス・ラアーグでは、再処理工場周辺で小児白血病が多発いたしました。イギリス・セラフィールド再処理工場周辺の子供たちの永久歯からプルトニウムが検出されました。それなどを踏まえても、平常時被曝についても配慮をお願いできないでしょうか。大臣にお伺いいたします。
○久米政府参考人 冒頭、確認させていただきたいんですけれども、廃炉と廃棄物処分についての考え方という御質問ということでよろしゅうございますでしょうか。(佐原委員「これは再処理工場の稼働についての放射性廃棄物の放出についてですが」と呼ぶ)
お答え申し上げます。
再処理工場についてお尋ねいただきましたけれども、エネルギーの安定供給と脱炭素化に向けて、安全性の確保を大前提に、原子力発電を安定的に利用していくことが必要でございますけれども、原子力発電を利用する以上、使用済燃料が発生いたします。その使用済燃料を再処理して有害な放射性廃棄物を少なくするとともに、回収したウランやプルトニウムを新たな燃料として利用する核燃料サイクルを推進するということが我が国の基本的な方針でございます。
六ケ所再処理工場は核燃料サイクルの政策の中核でございますので、その竣工は必ず成し遂げるべき重要課題でございますけれども、そのためには、当然のことでございますけれども、原子力規制委員会による審査や検査に円滑に対応するということが大前提でございますので、そのような対応で、安全性についての課題についても取り組んでいくということでございます。
○佐原委員 ありがとうございました。
大臣にお聞きしたいんですが、経済的にコストが高くなっても、平常時の被曝を考えて、捕集装置というものを取り付けるというようなお考えはございませんでしょうか。トリチウムやクリプトンなどの捕集というか、集めて外に出さないようにする。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、安全性に関する規制につきましては、原子力規制委員会による審査や検査にしっかり対応していくということを基本的な考え方として、核燃料サイクル、再処理工場の竣工に向けて進めさせていただいているところでございます。
○武藤国務大臣 いわゆる原発に関連する、六ケ所もそうですけれども、いろいろな形での安全性ということについての多分御質問だというふうに思います。
我が国は、福島の事故以来、やはり、原子力規制委員会をつくって、しっかりとした形で安全性というものを担保する、その上で、いわゆる産業として電力をどうするかという話で我々が担当しているところでありまして、先生おっしゃられるように、私も福島に一年間ずっと通わせていただいて、福島の実態というものを、それなりに私として、今も忘れずに対応させていただいているところであります。
その意味で、日本の将来あるいは国民の安心、安全というものを考えながら、電力をどうしていったらいいのかという前提の下で、今の安全性についての担保性をしっかり担保しながら、これからもやらなきゃいけないんだという覚悟でおりますので、その思いで答弁させていただきます。
○佐原委員 大臣、ありがとうございました。
続いて、既に日本は、海外保有分も含めまして、四十三トンのプルトニウムを保有しています。それを消費するために、プルサーマル発電や大間フルMOX発電をするという必要は本当にあるのでしょうか。廃棄物の処分の問題解決には、使用済核燃料の発生源である原発を止め、元栓を閉めるという決断が必要と考えますが、再処理せずにワンススルーにした方が、放射能汚染の問題も少なくなり、また、バックエンド費用も安く済むのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
原子力発電を進めてまいります上で、使用済燃料の問題というのは避けて通ることができない問題でございます。
我が国は一貫しまして、この使用済燃料につきまして、高レベル放射性廃棄物の減容化、量が少なくなるということ、有害度の低減、資源の有効利用という観点から、核燃料サイクルの推進を基本的方針といたしておりまして、この方針をこれまで貫いてきておるところでございます。
○佐原委員 ありがとうございました。
再処理工場に予算十五兆円が見込まれておりますが、「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故以来、燃焼事故が起き、その後の事故処理の隠蔽、不祥事などがあって、ついに廃炉に移行するようでございますが、各国でも高速増殖炉は中止になっています。
原発の使用済核燃料の再処理を日本原燃に委託する使用済燃料再処理・廃炉推進機構は、本年六月二十一日に、再処理工場の総事業費が昨年度から四千億円を超え、十五兆一千億円になる見込みだと発表されております。再処理工場の予算十五兆円の詳細と、再処理で取り出したプルトニウムとウランから製造するMOX燃料の加工事業費を教えていただきたいと思います。また、日本原燃の経営状況も教えていただきたいと思います。
膨らみ続ける事業費が国民負担になるような、電気の使用料金に上乗せし、徴収するようなことになりませんか。先の見えない再処理工場につぎ込む経費は税金の無駄遣いだと言えませんか。お答えいただきたいと思います。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま委員から御紹介いただきましたとおり、使用済燃料再処理・廃炉推進機構におきましては、毎年度、使用済燃料の再処理などに必要な事業費を算定しておりますけれども、最新の二〇二四年度時点の数字が約十一・五兆というふうに見込んでございます。
その内訳は、設備投資に約五兆円、操業費等で約七・九兆円、廃止措置に約一・八兆円、廃棄物の管理、輸送、処分に約一兆円、この費用の合計から、将来の経営効率化による約〇・五兆円の費用減を見込みまして、約十五・一兆円になるというふうに見込んでございます。
MOXにつきましては、約二兆円というふうに見込んでございます。
日本原燃の経営状況についても御質問をいただきました。
使用済燃料の再処理、この事業費について十五・一兆に増加しているということでございますけれども、原燃の二〇二三年度の決算発表によりますと、同社は当期純利益で約九億円の黒字というふうに承知をしております。
電気料金への影響という点についても御質問がございました。
使用済燃料の再処理に必要な費用につきましては、再処理等拠出金法に基づきまして、原子力事業者が使用済燃料再処理・廃炉推進機構に支払う拠出金によって賄われてございます。これは最終的には電気料金によって回収されることになりますけれども、この拠出金単価は、再処理費用の長期的見通しに照らして適切であるかという観点から、この機構におきまして、毎年度、再処理等に必要な事業費を見直し、それを基に、再処理や金融、会計の専門家から成る運営委員会での議決を経た上で決定しているところでございます。
○佐原委員 ありがとうございました。
昨日公表されたエネルギー基本計画原案は、国民の安全よりも原発を最優先し、原発を最大限活用し、推進するというものです。この計画案の中に福島の反省という文言がございますが、この計画案は本当に福島の原発事故を教訓としているのでしょうか。私にはそのようには思えません。
形を変えること、原発をやめること、それは大変な勇気が要ることだと思います。しかし、もしこのことを、経済産業省がその英断のなたを振るったならば、国民は拍手喝采をすると私は思います。
私は、これからも原発廃止、核燃料サイクル廃止を訴えてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
武藤大臣、今日は本当にありがとうございました。るるいろいろ伺いましたが、本当に参考になりましたので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、辰巳孝太郎君。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
私は、大阪でカジノ万博問題プロジェクトチームの責任者を務めてきました。今日、この万博問題を取り上げて質問をいたします。
この万博会場である夢洲一区において、三月の二十八日、大規模な爆発事故が起きました。地中から排出をされていますメタンガスが引火をしたというものであります。
さて、今日資料にもつけましたので、ちょっと見ながら、説明もしながらやりたいと思いますけれども、万博会場、いわゆるリングというのが真ん中にありますけれども、この左の方にグリーンワールドとありますが、ここが夢洲一区というところなんですね。リングがあるところは夢洲二区ということになります。ちなみに、白くなっていますけれども、この北側にあるのが、これはIR、カジノの予定地ということになります。
さて、この夢洲一区なんですけれども、ちょっと小さくて見えにくいかもしれませんが、屋外イベント広場というのがあったり、営業施設というところで幾つかあると思いますけれども、この夢洲一区にもフードコートやファストフード、あるいはカフェなどが公募をされております。ただ、この仕様書を見ますと、契約書の中身を見ますと、この夢洲一区のこういった飲食店は、火を使ってはならないということになっているんですね。
確認しますけれども、経産省、何で火を使ったら駄目なんですか。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
夢洲一区でございますが、会場内の営業施設でございます。これは、まず、環境負荷の低減という観点から、会場全体でございますが、調理には原則的にガスの使用はできないということになっておりまして、IH、電気調理器の使用を条件に公募を行っております。
したがいまして、今御指摘があったフューチャーライフゾーンとか西ゲートゾーンとかを含むグリーンワールドだけではなくて、全体が、そういう形で原則的にガスの使用ができないということで公募を行っているということでございます。
○辰巳委員 ちょっと信じ難いですよね。環境の負荷の低減と言うんですけれども、この夢洲一区では、今申し上げたとおり、三月の二十八日にガス爆発事故が起きたわけなんですね。だから、裸火を使ってはならないという契約ということになっています。
これは、ガスがまだ出続けているんですよ。ガス爆発事故で終わりではなくて、出続けているということなんですね。メタンガスだけではありません。一酸化炭素、硫化水素、アンモニア、これが出ているんですね。これは、命輝くどころか、命に関わる有害な物質が出続けているというのが万博会場なんですね。何でわざわざこんなややこしいところに会場を決めてしまったのかということなんですよ。
当初、この夢洲は候補地にすら挙がっていませんでした。大阪では、一九七〇年の、千里の万博をやりました、そこが候補地に挙がっていたり、服部緑地とか鶴見緑地とか、もう既に公園として整備されているようなところなどが幾つか候補地に挙がっていたんですが、この夢洲というところは候補地にすら当初は挙がっていなかったんですね。ところが、当時の大阪府知事の松井一郎さんと市長の橋下徹さん、そして当時首相である安倍さんと菅当時の官房長官が、お酒を飲みながら、万博誘致をしましょうということを決めたんだと。これは松井一郎さんの著書でそういうふうに記されているんですね。その後、この万博開催地に、松井さんのトップダウンで夢洲というところが決められたという経緯があるんですね。
これは、元々、この夢洲ではIR、カジノをやろうじゃないかという計画が進んでいたんですけれども、IR、カジノというのは民間の事業ですので、夢洲はごみの最終処分場ですので、道路もなければ電気、水道もない、インフラ整備がありませんので、カジノ業者にインフラ整備を負担させるのではなくて、国策である万博を誘致すれば、万博名目でインフラ整備ができるじゃないかということで誘致をされたのではないかと私たちは言っているわけですね。
この間、経産省は、一体どれぐらいのインフラ整備がこの万博名目でやられるのかということで、これは、大阪、夢洲だけにとどまらず、全体で九兆円ほどのそういう工事費が必要になる、事業費が必要になるということを発表していますけれども、私たちの試算でも、この夢洲だけに限っても、土壌がもうふにゅふにゅですからね、豆腐みたいなところですから、液状化対策をやらなければならない、様々な事業費で一兆円ぐらいのお金がかかるだろう、こういうふうに私たちは見ています。
この夢洲の一区と二区なんですけれども、とりわけこの夢洲一区に問題があるということなんですね。今日は、この問題を取り上げたいと思うんですけれども、まず、この万博会場である夢洲全体、夢洲という土地の法的な位置づけを確認をしたいと思います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
大阪万博会場でありますこの夢洲一区についてでございますけれども、この夢洲一区につきましては、廃棄物処理法に基づき設置されました一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の管理型最終処分場となってございます。
○辰巳委員 今ありました夢洲一区は、管理型の廃棄物最終処分場ということなんですね。この処分場というのは、廃止されるというまでの期間があるわけですね。この期間は、水質の管理や通気装置を設けて、そして地下から発生するガスを排除することが求められます。この廃棄物処理場が廃止ということになるためには、この水質が基準に適合して二年以上ガスの発生がないということが求められます。逆に言いますと、ガスが出ている限りは、廃止という手続はできないということになります。
無論、廃止となった最終処分場であっても、土地の掘削や形質の変更が行われることにより、中の廃棄物が攪拌されて、廃棄物の発酵とか分解が進んで、再びガスが発生するなどの事態が発生するおそれがあるということなんですね。
改めて、念のため確認しますけれども、この最終処分場である夢洲一区は、処分場として廃止をされているんでしょうか。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
大阪万博会場でありますこの夢洲一区につきましては、廃棄物処理法に基づき廃止された最終処分場とはまだなっておりません。
○辰巳委員 ということなんです。つまり、現役なんですよ。現役の廃棄物の最終処分場ということなんですね。
続けて聞きますけれども、この現役のごみの最終処分場において、このような巨大イベント、二千八百二十万人来場予定ですからね、こんな巨大イベントが開催されたことはあるんでしょうか。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
環境省といたしまして、廃棄物の最終処分場でのイベント開催状況について、網羅的に把握しているわけではございませんけれども、私どもが承知している事例として、廃棄物処理法に基づく廃止をしていない最終処分場におけるイベント開催の例といたしましては、例えば、泉大津フェニックスにおいて、複数日にわたって野外コンサートを実施した事例がある、このように承知をしております。
○辰巳委員 ほとんどが太陽光パネルなんですよ。ここの夢洲一区、見ていただいたら、メガソーラーと書いていますよね。だから、基本的に、それだけの多くの人が立ち入らない。まだ廃止されていないところでいうと、太陽光パネルがほとんどなんですね。二千八百二十万人もの方が、それこそ半年間にわたって来場するというのは例がないわけなんですね。
念のため聞きますけれども、これは結局、廃止がされていないということですから、ガスは醸成され続けるということでいいですか。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
廃止の基準の一つとして、埋立地からガスの発生がほとんどない、又はガスの発生量の増加が二年以上ないこと、このように規定をされております。そして、夢洲一区につきましては、まだ廃止の手続が取られていない、こういうことでございます。
○辰巳委員 現役なんですね。
この度、万博協会は、この会場内の駐車場に、駐車場が幾つか交通ターミナルということでありますけれども、屋外消火栓設備を設置するための契約変更手続を行ったとされております。これはなぜ設置することになったんでしょうか。
○茂木政府参考人 今委員から御指摘ございました消火栓の設置でございますが、これは、夢洲地区の交通ターミナルの契約変更に際しまして、屋外の消火栓の設備を追加したということでございます。この追加した場所は、夢洲第一交通ターミナルの管理運営施設に設置する屋外消火栓設備ということになります。
これは、これまで消防とも協議をしながら消火栓の設置はやってまいりましたが、協会側で設計しておりますこちらの管理運営施設とそこに隣接します民間パビリオンの建物の詳細設計がようやく確定しましたので、本年の六月にその詳細設計をお持ちして消防協議を改めて行った結果、その管理運営施設に対して新たに二基の屋外消火栓を設置する必要があるとの御指摘を受けて、当該屋外消火栓を設置することとしたものでございます。
○辰巳委員 本来、駐車場というのは、消火栓の設備の設置義務というのはないわけなんですね。ですから、改めて消火栓を設置しなければ駄目だということになったということですよね。この交通ターミナルは、遠足や修学旅行の児童生徒が降り立つ場所なんですよ。そういうところにガスが出続けるという、この夢洲会場で行う万博ということになるわけなんですね。
このメタンガス対策なんですけれども、約八十本のガス抜き管で一日最大で二トン、これは二十五メータープールでいいますと一日九つ分のメタンガスというのが出ているんですね。
経産省に聞きますけれども、万博協会は、ガス抜き管から排出されているガスの濃度について計測をしております。今日、資料の二枚目、三枚目につけてありますけれども、このデータ、最新のデータが八月になるんですが、退避基準、つまり、そこで働いている労働者は、この濃度に達すると、工事を一旦やめて、中止をして退避しなければならない、そういう基準、あるいは爆発基準、これを超えた箇所と回数を答えていただけますでしょうか。最も高いメタンガスの排出がされているのはどこかも併せてお答えください。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
まず、委員から御指摘ありました退避基準でございますが、これは、いわゆる隧道等の閉鎖された空間において作業する労働者が安全を確保するために、それを念頭に置いて定めたものというふうに承知をしております。
その上で、博覧会協会が公表しておりますガスの濃度でございますが、八月に、グリーンワールド工区において、ガス抜き管、いわゆるガスを大気に放散する管ですが、その管において測定された結果というのを公表しておりまして、先ほど御指摘があったガスの退避基準値、それから爆発基準値というのを公表しています。
いずれも、最も高い箇所というのは、いわゆる交通ターミナルが設置される場所にある測定点でございまして、八月に十九回測定を行いまして、爆発基準値とされる、いわゆる五vol%以上の検知回数が十六回、それから、退避基準値とされる一・五vol%以上の検知回数が十九回というふうになっております。
○辰巳委員 濃度によって退避、濃度によっては爆発で、今お答えがあったように、爆発する濃度の回数が十六回あったということですね。これは、一番高い箇所というのはどこですか。
○茂木政府参考人 一番高い数値が検出された場所は、これは交通ターミナルの中の測定箇所ということになります。
ただ、こちらのガス抜き管ですが、いずれにしても、これは屋外に設置されているものであります。それから、退避基準値以上の濃度を確認した場合には、こういった当該箇所の周囲を、一メートルぐらいですけれども、測定をしまして、現在も工事の際には安全な濃度であることを確認しながら作業をしておるというところでございます。
○辰巳委員 資料にありますとおり、交通ターミナルのちょっと左上の方ですね、98G7、ここに非常に濃度の高いガスが出続けているんですよ。オーバーですからね。これは、引火すれば爆発ということになるガスが常時出続けていると言ってもいいと思うんですね。
今おっしゃったのは、濃度が高いときは一メーター空けて、ちょっと済みませんということをやるという話ですが、出ているんですよね。そんな対策でいいんですか。このガス管は、八十本あると言ったのは、何本かは海岸の方に延ばして出している管もあるんですよ。こういう管は置いておったら駄目なんじゃないですか。交通ターミナルということは、みんなバスで来るところ、降りるところで、爆発濃度を超えるようなところがあるということでしょう。
大臣、これはちょっと危険じゃないですか、このガスは。交通ターミナルにあるんですよ。いかがですか。
○茂木政府参考人 もう少し正確に申し上げますと、まず、今測定しているガスの測定濃度というのは、いわゆるガス抜き管と呼ばれるものでありまして、そこからそのまま大気に放散しております。委員も御承知と存じますけれども、爆発基準値の数値はガス抜き管の上部で計測をしています。当然、そこから大気に放散しますと濃度は下がりますので、通常、こうしたメタンガスは大気に放散しますと爆発基準値を下回って、安全に運行ができるということになります。
ただ、これは、現状において、先ほど申し上げたのは、工事を行っておりますので、この工事を安全に行うための基準として運用をしております。当然、開幕いたしましてたくさんの人が来場されますので、その来場に応じまして、常時こうしたガスの濃度を計測をして発表してまいりますし、それに応じてどのような対策を取るべきかということは、現在、専門家と相談をしながら具体的な運用を検討しているところでございます。
○辰巳委員 誰かがたばこの吸い殻を入れたらどないになりますかね。
○茂木政府参考人 ガス抜き管については、大阪市の方からは二・二メートルの高さを要請されましたが、博覧会協会の方で更に排出口の高さを二・五メートルまでかさ上げをしております。それによって人の手が届きにくいような高さまでかさ上げすると同時に、もう一つは、今配置されているガス抜き管につきましては、人流などを踏まえまして、来場者が接近しにくいようなバックヤードに移す、あるいは、排出口を移設した場所に一部植栽を覆う、こうした対策を講じているところでございまして、引き続き、専門家に意見を聞きながら、更なる対策を検討してまいります。
○辰巳委員 いや、高さ二メートルにしました、二・五メートルにしました、そういう問題じゃないんですよね。そういう問題じゃないですよ。人が通るところをちょっとよけてやりますと。だけれども、人が行けるんですよ。何か柵を囲ってやるわけじゃないんですね。
これは非常に危険だと思いますよ。何が起こるか分からないですよ。いろいろな対策をやるやると言うんですけれども、爆発が起きる前も対策はやっていたんです。だけれども、ガスはたまって爆発が起きたわけですよね。そもそも、こういうメタンガスが出続けるようなところで万博をやることそのものが私はおかしいと言わなければならないと思います。
さて、この万博については、赤字になったらどうするのかという話がこの間一年やられているんですけれども、改めて確認します。チケットの販売目標と実績、そして損益分岐点、これをお示しください。
○茂木政府参考人 まず、販売状況でございます。大阪・関西万博の想定来場者数ですが、二千八百二十万人としておりまして、複数回来場可能なチケットなど、様々な価格帯のチケットがございますことから、チケット販売については二千三百万枚というのを想定しているところでございます。十二月十一日現在の販売実績は、約七百四十二万枚の販売となってございます。
博覧会協会としては、来場者想定の約八〇%程度の来場数であっても収支相償となるような事業計画を立てているものというふうに承知をしております。
○辰巳委員 つまり、損益分岐点は二千三百万枚売れたうちの八割、一千八百四十万枚売れれば、これは損益として成り立つということだと思うんですね。
今、前売りとして一千四百万枚、開幕までに売りましょうと。実績は七百四十万枚ぐらいですよね。その半分ぐらいなんですよ。今、半分しか目標の前売りは売れていないということです。二〇〇五年の愛知万博の前売り入場券の販売目標は、八百万枚だったんですね。開幕約半年前、今と同じ時期ですけれども、この時点で、目標の九七・七%売れていたんですよ。大阪・関西万博は半分なんですね。
これは、何でこんなに売れていないのかということになると思いますし、この運営費をどう賄うのか。一千百六十億円の運営費の約八割はチケット収入で、あとの残りはグッズの収入などになるんですが、チケットが売れなければ運営費が賄えないということになりますので、赤字ということに直結するわけなんですね。
この問題について、大臣は、直轄で予算執行監視委員会というのを設けまして、これはちゃんといけているのかという委員会を、外部の識者を呼んで検討、議論させているんですけれども、ところが、この大臣直轄の委員会の中でも赤字の問題というのが出てきまして、これから何を削るのか議論しておく必要がありますねということが再三にわたって委員から出されているんですよ。何を削るのか、運営費でもう既に執行は六割ぐらい執行していますから、残り、じゃ、何を削るのかということを検討せいよということを再三にわたって言われているんですけれども、これは経産省から回答が一切ないんですよ。
これは、大臣、あなたの直轄の委員会なんですよね。きちんと、何を削るのか、赤字になる懸念がもう具体的に出てきているわけですから、これは示すべきじゃないですか。
○武藤国務大臣 コンティンジェンシープランの件ですけれども、今の予算執行監視委員会の議論の中で、有識者委員から、運営費の支出に関して、万が一の際に支出をどのような形で削減できるのかといった点を含めて、幅広く考えていくべきである旨の指摘があることは承知をしております。
こうした指摘を踏まえた具体的な対応方針につきましては、現在、博覧会協会において、運営費の状況を見ながら、支出抑制の方策だけでなく、収入の拡大策を含めて検討を進めていると認識をしているところであります。
博覧会協会を監督する立場にある経済産業省といたしましても、予算執行監視委員会の指摘について対応するよう博覧会協会に求めており、今後とも適切な執行を管理していきたいと思っています。
○辰巳委員 いや、もう具体的に詰めないと。もう四か月前ですからね。それは総花的な話をしても仕方ないと思いますよ。
最後に、イスラエルの万博参加について聞きたいと思います。
これまで政府は、ロシアの万博参加については、ウクライナへの侵略が、命輝くという万博の理念にそぐわないという発言をしており、ロシアの参加は想定されないという説明を繰り返してきました。
さて、イスラエルなんですけれども、十一月の二十一日、日本も加盟している国際刑事裁判所、ICCが、ネタニヤフ首相らに逮捕状を発付いたしました。これは、改めてちょっと内容だけ聞きます、どんな内容ですか。
○英利大臣政務官 ありがとうございます。お答えいたします。
現地時間十一月二十一日、ICCは、パレスチナの事態に関し、人道に対する罪及び戦争犯罪で、イスラエルのネタニヤフ首相らに対する逮捕状を発付した旨、発表いたしました。
我が国は、ICCの独立性、こちらを尊重してきており、また、パレスチナ情勢にいかなる影響を与えるかという観点も含め、引き続き関連の動向を重大な関心を持って注視してまいります。
○辰巳委員 大臣、ロシアの不参加、イスラエル、これは同列で論じるべきじゃないというのが一応これまでの政府の立場なんですよね。イスラエルの参加はいいんだと。ただ、今あったように、ICCがネタニヤフ首相に対して逮捕状の発付までしたわけです。これは、同列で論じるべきではないというその論自体がもう成り立たなくなってきていると思うんですよ。
イスラエルの参加、日本政府として、これはノーと言うべきなんじゃないですか。
○宮崎委員長 武藤経産大臣、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
○武藤国務大臣 政府内でよく協議をしていきたいと思います。
○辰巳委員 イスラエルの不参加、これは政府がきっちり立場を示すべきだと思いますし、危険な万博は中止することを求めて、質問を終わります。
以上です。
○宮崎委員長 次に、吉良州司君。
○吉良委員 有志の会、吉良州司です。
今日は、エネルギー安全保障とそれから電力の安定供給、これを念頭に置きながら質問をさせていただきます。
最初は、少し外務委員会に迷い込んだのではないかという前置きをさせていただくことをちょっとお許しください。
現在の日本外交を見ていると、その外交方針というのはもう二つしかない。一つは対米協調、もう一つはG7との共同歩調。私は唯一CPTPPについては高く評価しておりますけれども、今言ったように、基本は、米国と仲よくやっていればいい、G7と協調していればいい、こういうふうにしか見えないんですね。
ところが、事エネルギー安全保障という観点からは、一〇〇%自給できる米国、それからEU全体、広域で見ればやはり自給が可能な、そういうG7の主要国とは、日本の置かれた立場は全く違うわけです。そういう中にあっても、日本が生きるか死ぬかのエネルギー安全保障についても、外交上どうしても、今言った対米協調、それからG7との共同歩調を優先してしまう。その最たるものが、私はウクライナ問題だというふうに思っているんです。
お手元に資料を渡していますけれども、私は、二〇二二年の二月三日の予算委員会と、二月十六日の、これは予算委員会の分科会でありますが、ここで、ウクライナに中立化を求めなければ、少なくとも、NATO加盟というのを放棄するか、一定期間でもいいけれども、そこについては凍結するということをやらなければ、ロシアが攻め込んできてしまうと。
もちろん、一番困るのは、罪のないウクライナの人たちが犠牲になることなんだけれども、でも一方、日本を考えたときに、さっき言ったエネルギー安全保障の観点からは、もちろん一番大事な天然ガスは、オーストラリアあり、マレーシアあり、インドネシアあり、最近は米国あり、中東のカタールとかもありますけれども、供給国が多様化してはいるんですが、やはりサハリン2始め、輸送期間が極めて短いロシアからの天然ガスの輸入というのは日本にとって非常に助かった。当然、地政学的リスクを考えたときに、ロシアに一定以上依存し過ぎてはならないです。そういう意味では、八%ぐらいだったので、適度だったと思うんですけれども。ただ同時に、日本政府としても推し進めてきた北極海航路の開設、そしてそれに伴うロシアのヤマル半島、ヤマルにおける、やはり天然ガスの開発。ここからの輸入も可能になれば、日本の化石燃料、特に天然ガスの、LNGの安定確保というのはかなり盤石になったと思っているんです。
それのみならず、ロシアがウクライナに攻め込んだとしたならば、当時私が、まだ攻め込んでいない段階でいろいろ問題意識を言っていますから、そのときに一つ挙げていたのは、これはこれを契機に中ロが接近するよということも申し上げていました。正直言って、北朝鮮とロシアがくっつくというのは、私は想定していませんでした。ただ、中ロは確実にくっつくと。
私たちは、民主党政権のときに、防衛大綱を大きく変えました、二二大綱。それは、北に備えた防衛体制から、今後は、南西諸島だ、東シナ海だ、ある意味、中国を想定した防衛体制が必要なんだと。そこの背景には、北はもうそこまで力を入れて備えなくても大丈夫だと。それもあって、世耕さんもおられますけれども、日ロ経済共同活動だったですかね、そういうこともしながら、また平和条約締結というのを安倍総理が非常に前向きにやっておられて。
そういう、今言った、軍事安全保障とあえて言いますけれども、軍事安全保障上もロシアと決定的な亀裂を生じさせないことは重要であったし、我が国の資源エネルギーの安定確保という観点からも、ロシアと決定的な亀裂を招いてはいけない。
こういう観点からすると、私は、当時林外務大臣だったですけれども、本当に胸ぐらをつかんででもいいから、もうとにかくロシアがウクライナに攻め込まないような手を、日本だけでできないのは分かっている、だけれども、それをヨーロッパとアメリカにとことん働きかけろということを訴えていました。
そういう意味で、私は、今日、経産委員会という場で言いたいのは、今申し上げましたように、ロシアという国は、近距離でもあり、そして、石油もそうですけれども、特に天然ガス、資源エネルギーの安定確保という観点から極めて重要な国であった。今でこそ、ロシアと仲よくするというのかと、攻め込んだ後は誰でも言いますよ。けれども、私が言ったのは攻め込む前です。
そのときに経産省は、今言ったそんなことが起こっては我が国の資源エネルギーの安定確保に支障を来するんだ、外務省よ、また官邸よ、何としてもこれを阻止するように動いてくれというような、縦割りがあるとはいえ、経産省としてそのような動きをしたのか、そこをお聞きしたいと思います。まあ、武藤大臣のときではないんですけれども。
○依田政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘の、ロシアによるウクライナ侵略に至るまでの間ということでございますけれども、我が国を含む国際社会におきまして、事態の平和的解決に向けたロシアへの働きかけを含め、懸命な外交努力ということを政府一体で行ってきたというふうに承知しております。
侵略直前の令和四年二月十七日には、電話会談におきまして当時の岸田総理からプーチン大統領に対しまして、力による一方的な現状変更ではなく、外交交渉により関係国にとって受け入れられる解決方法を追求すべきであるということで働きかけてきまして、そういう意味では、経産省も含めて、総理からそういうような働きかけを、外交努力を続けてきたという状況でございます。
○吉良委員 外務委員会に立ったら更問いをがんがんやるんですけれども、ここは経産委員会なので、そこはぐっとのみ込んでやりますけれども。
今言った、プーチンに働きかける。これは、もう一言だけです、NATO側が、当面はウクライナを入れるつもりはないとか、アメリカ側が、NATOに入れるつもりはないということを働きかければ。プーチンに力による現状変更云々と言ったって動くわけないじゃないですか、そんなことは。
本当は、この資源エネルギーだけじゃなくて、食料価格も上がることは見えていましたので。今になってみればよく分かるわけです。これによって資源価格が上がり、食料価格が上がり、それじゃなくても日本中が物価高で苦しんでいるというときに、なぜこういうものを事前にもっともっと必死になって阻止しようとしなかったというのは、私はもう本当に残念で、じくじたるものがあります。
ただ、結果的には、侵略があって、そして、化石燃料、少なくとも、サハリンの権益を維持したということについては、私は非常に高くしているし、さっき言ったロシアとの関係の中で、辛うじて、命綱じゃないけれども、関係をいずれ改善するぞというメッセージを私は日本政府としても発しているというふうに思って、そこは高く評価しておりますけれども、それでも、今回のような事態になって、日本自体が自ら首を絞めるようになっていることは残念でなりません。本当は、G7広島サミットで、侵攻後も、一刻も早く終戦すべきだということを、またG7に、アメリカを含めて働きかけるべきだったというふうに思っています。
そのことを申し上げた上で、何でここまでエネルギー安全保障、天然ガスの供給先、安価に輸入することの重要性を言うかといえば、当然ながら、我々は常に世界の地政学的リスクにさらされているからであります。そして、その地政学的リスクにさらされなくていいようにするためには、当然ながら、あくまでも純国産エネルギー、電力でいえばその電源を確保しなければいけない。
今までの議論の中でも、原子力、賛否両論出ておりましたが、まず私が申し上げたいのが、私自身は、今の状況下、地球環境も考え、そして電力の安定供給を考えたときの、原子力の、安全性が確認されたものの再稼働、これは必要だと私はずっと言い続けていますし、今も当然そのように思っています。
ただ、国民が、三・一一の状況の中から、やはり原子力は心配だという、これはやはり我々は考慮しなければいけない、最大限配慮しなければいけない。そう考えたときに、私は、同じように純国産電源になり得るフュージョン、この核融合発電に向けて、最近、ありがたいことに、岸田総理から石破総理も、所信表明の中でも核融合発電の必要性、必要性とまで言っているか、表明されているので、そこを期待しているんですけれども。
何が言いたいかというと、やはり、福島の事故を受けた後でも、今言った純国産エネルギー電源が必要だ、ただし、より安全なものを政府としては追求し続けます、そこに対する技術開発投資をしていきます、そしてより早い段階でその実用化にこぎ着けます、そういうメッセージが必要で、そして、それまでの間、さっき言った世界の地政学的リスクにさらされ続けるわけですから、それまでの間、原子力発電でつながせてくれ、こういう形のメッセージが必要だと思っていますけれども、いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 吉良委員におかれましては、予算委員会からもう大変高尚な御意見をいろいろ御指導いただきまして、本当に感謝を申し上げたいと思います。
また、今フュージョンの話も出ました。先ほど、私の方針に入っていないじゃないかというお叱りも受けたんですけれども、私のところにも土岐市というところがあって、核融合の科学研究所がございます。
フュージョンについては、昔、何年前だったですかね、平成十九年ぐらいにITERの建設予定地も見させていただいたところで、いや、世界各国がそうやって力を合わせて、世界の太陽を地上にというスローガンというのはすばらしいなという思いはあるんですけれども、なかなか、正直申し上げて、こういう状況になって、本当に外交、私も副大臣をやりましたけれども、外交のしたたかさの中で、本当に国益を、皆さんがそうやって、どうやってこれからつくっていくのかという非常に難しい時期の中で、吉良先生にはまた今後とも御指導いただいて、今の権益を確保する手段というものを、私ちょっとつかまれても何ともしようがないんですけれども、是非また御教示をいただきたいと思います。
本当に、フュージョン、これは間違いなく、我々としても、昨年四月にフュージョンエネルギー・イノベーション戦略をまとめましたので、内閣府と文科省が今中心になっていますけれども、我々としてもしっかり、スタートアップも含めて日本の総合力を生かせるように、これからも応援をさせていただきたいというふうに思っています。核融合と共通性のある分野の技術開発の支援なども含めながら、オール・ジャパンでやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○吉良委員 前向きな答弁をありがとうございます。
そういう国産エネルギーで、化石燃料の輸入代金を外に払わなくて済むということのメリットを、あと一点だけ強調しておきたい。
ここのメンバーの皆さんは御承知のことかもしれませんけれども、御承知のとおり日本は、やはり化石燃料の高騰、これは円安もあるんですけれども、によって、最近はずっと貿易赤字ですよね。サービス収支もずっと赤字。第一次所得収支と言われる金利収入、配当で、実は帳簿上は第一次所得収支が三十四、五兆円あって、日本全体で見れば、経常収支は二十兆円とかの黒字なんですけれども、実は、あくまでもそれは企業の連結決算上の、帳簿上の黒字であって、実際、債券投資であればほぼ複利投資をしていきますので、日本にキャッシュフロー上は戻ってこない。そして、現地の直接投資も、その半分、三分の二は現地での再投資ということで、キャッシュフローとして戻ってきていないんです。ですから、表面上というか、帳簿上は日本の経常収支は黒字と言われているんだけれども、実はキャッシュフロー上は赤字なんですね。
ということは、キャッシュフローの観点でいうと、これも円安要因になりますけれども、円でドルを買って、今言った赤字になっているところを手当てをしなければいけないという状況なわけですよね。しかも、場合によっては、今後はそれらの資金の出し手が外国になってくる可能性がある。
そういう観点からも、日本としては、やはり輸入金額を減らしていく、キャッシュフロー上も黒字に持っていくという観点が必要でありまして、そういう観点からも、やはり今言った化石燃料の輸入を抑えていくということが必要であるということを申し上げます。
そして、最後に、電力の安定供給ということについては、これもいろいろな政党が、私が今言った、純国産で外貨を持ち出さなくていいという観点では、再エネもその重要な手段ではあるんですね。ただ、現時点での技術、システムでは、調整電源としての火力がなければ一人前ではない。電力逼迫で日本中が震えた二〇二二年の三月二十二日でしたか、あのときと、三日後か四日後、物すごく天気がよかったときでは、一千二百万キロワット分の再エネによる出力の差があったんですね。逆に言えば、天気が悪いときは、それだけの量を火力で補っていたということなんです。その火力が、残念ながら供給力不足になってこようとしているということなんですね。
もちろん、この供給力を何とかしようということで、政府の方も容量市場というのをつくり、その中で、デマンドレスポンスという形で、需要も抑える、需要を抑えた人にもメリットを与えましょう、当然、容量、キャパシティーを供給できた事業者にもメリットを与えましょう、こういうことで、容量、キャパシティーというか供給能力をつくり提供する必要性というのがそういう容量市場においても考案されているんですが、実は私が思うのは、この容量市場で十分なんだろうかと。
まず一つは、当局が四年後の需要予測をしなければいけない。この需要予測の正確性というのは本当に大丈夫なのという問題もあります。それから、ちょっともう時間がないので割愛しますけれども、さっき言った二〇二二年の三月二十二日のときに私が思ったのは、実は日本というのは電力の安定供給という意味では途上国と一緒なんじゃないかと。
つまり、これまでの電力政策というのは、供給力は何の問題もない、だから、電力のシステム改革をやる中でも、電力の安定供給と、より安価に供給しましょうということと、いろいろな事業者にビジネスチャンスを渡しましょうということで、システム改革ができたわけです。けれども、結果としては、供給力に不安が出てきている、安価なはずが高くなっている。ビジネスチャンスだけはできていると思いますけれども。
そういう意味では、まずシステム改革自体が失敗をしているということと、我が国は、今言った安価と安定供給、これはどっちも大事なんですけれども、あえて言うならば、安定供給の方が大事だ、供給力をきちっと維持することの方が大事だ、こういう状況になっているんです。
私は、商社時代、電力プロジェクト部というところでIPPという、海外で発電所を造り、バルクで例えば電力庁とかに売るような仕事をしていたんですけれども、そのときに、そういう途上国で供給力が足りない国は、料金体系を二つにしているんです。一つはキロワットアワー、どれだけ出力したかで払う。もう一つは、一キロワットアワーも発電しなくても、発電容量を持っている、発電供給能力を持っているということ自体に価値を見出して、キロワットで払うんです。そうすることによって、やはり供給能力を高めようとしているということがあります。
私は、今の容量市場も、設計した時点が供給力は問題がないという段階で、再エネの気まぐれさにどう対応するかでつくられた制度だと思っていますので、供給力の増強が必要だという観点で、今言った、キロワットに対してきちっと払う、事業者に対してはそういう意味では投資の予見性をきちっと示していくということが大事だと思っていますけれども、済みません、時間がなくなって、最後に答弁いただければと思います。
○宮崎委員長 武藤経産大臣、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
○武藤国務大臣 本当に、委員にはいつもいろいろ御指導いただいちゃっておりますけれども、本当に、日本の電力需要というのは、もうまさにこれからというか、ここから寒い時期になりますし、本当にずっとこういう綱渡りをしてきているなというのが正直な、私の持っているイメージなんです。
ですから、そういう中において、今これからエネ基を作る、そしてGX二〇四〇を作るというビジョンの中で日本の方向性をしっかり示していきたいというふうに思いますので、また御指導をお願いいたします。
○吉良委員 終わります。ありがとうございました。
○宮崎委員長 皆さんの本日の委員会の運営に、御協力に感謝を申し上げます。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時七分散会