衆議院

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第3号 令和7年3月19日(水曜日)

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令和七年三月十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 宮崎 政久君

   理事 小泉進次郎君 理事 新谷 正義君

   理事 山下 貴司君 理事 荒井  優君

   理事 山岡 達丸君 理事 山崎  誠君

   理事 斉木 武志君 理事 丹野みどり君

      岩田 和親君    鬼木  誠君

      勝目  康君    小池 正昭君

      坂本竜太郎君    島田 智明君

      鈴木 英敬君    関  芳弘君

      西村 康稔君    細野 豪志君

      松本 洋平君    宮内 秀樹君

      向山  淳君    吉田 真次君

      大島  敦君    岡田 克也君

      落合 貴之君    小山 展弘君

      酒井なつみ君    鈴木 岳幸君

      田嶋  要君    福森和歌子君

      藤原 規眞君    吉田はるみ君

      東   徹君    空本 誠喜君

      村上 智信君    岡野 純子君

      平岩 征樹君    福重 隆浩君

      山口 良治君    佐原 若子君

      辰巳孝太郎君    吉良 州司君

    …………………………………

   経済産業大臣       武藤 容治君

   法務副大臣        高村 正大君

   文部科学副大臣      武部  新君

   環境副大臣        中田  宏君

   内閣府大臣政務官     今井絵理子君

   財務大臣政務官      東  国幹君

   経済産業大臣政務官    竹内 真二君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   会計検査院事務総局第五局長            片桐  聡君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 福島 健彦君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局官房審議官)       向井 康二君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 大濱 健志君

   政府参考人

   (カジノ管理委員会事務局監督調査部長)      原田 義久君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 内野 宗揮君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文部科学戦略官)       松坂 浩史君

   政府参考人

   (スポーツ庁審議官)   橋場  健君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房政策立案総括審議官)     茂木  正君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           河野 太志君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小見山康二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田尻 貴裕君

   政府参考人

   (経済産業省イノベーション・環境局長)      菊川 人吾君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 畠山陽二郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            伊藤 禎則君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    飯田 健太君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            岡田 智裕君

   経済産業委員会専門員   花島 克臣君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十九日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     勝目  康君

  世耕 弘成君     吉田 真次君

  東  克哉君     藤原 規眞君

  吉田はるみ君     酒井なつみ君

  東   徹君     空本 誠喜君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     岩田 和親君

  吉田 真次君     世耕 弘成君

  酒井なつみ君     吉田はるみ君

  藤原 規眞君     東  克哉君

  空本 誠喜君     東   徹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

宮崎委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、経済産業省大臣官房政策立案総括審議官茂木正君外十七名の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長片桐聡君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮崎委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会の空本誠喜でございます。

 今日は、ラピダスの問題についてしっかり議論を深めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、最先端の半導体の開発とか次世代の半導体開発、これはもちろん国が後押しすべきであろうというふうに考えています。そして、ある程度の資金とそしてまた人材を確保するためのそういった仕組みづくり、こういったものも国が支えていくべきであろうと思っておりますけれども。

 今回、ファウンドリー、ファブレスというような構造の、今、世界の展開があります。TSMCというのはファウンドリー、設計して、そしてそれを製造を行う、量産化を行っていくという構造が世界の流れなんですけれども、実はこれは日本が立ち遅れてしまいました。

 日米半導体交渉、これを踏まえて、大きく、大体四十ナノぐらいの半導体、ここら辺でもう日本は撤退したと同じような状況、特にロジック半導体については。半導体にはいろいろな種類があります。ロジック、メモリー、パワー半導体とか、たくさんあるんですが、ロジックの半導体については、ほぼほぼ最先端というのは日本は手放してしまった。それは一九九〇年代前後でございます。

 その中で一回だけ、日本が半導体を再興できるチャンスがありました。それはいつかといいますと、こちらに書いておるんですが、パネルにさせていただいています、配付資料にもしております。二〇一二年、エルピーダメモリが倒産するときであります。このときに唯一、日本の製造業、特に電機会社、電機メーカーはまだまだ力がございました。そのときに、半導体の大構築、大再編をしていただきたいというふうに、私自身、ちょうど民主党の国会議員でございまして、働きかけをさせていただきました。

 特に、最先端の半導体の開発、ファブレス、ファウンドリーというような構造を今こそ我が国につくり込まなきゃいけない。このエルピーダメモリ、これはDRAM、メモリーの中でもDRAMという半導体でありますが、このDRAMの半導体が我が国から消えてしまってはまずい。だから、エルピーダメモリを立て直さなきゃいけない。

 もう一つ、NAND型のフラッシュメモリーとかありますけれども、こちらは東芝が持っていて、今はキオクシアという会社になっていますが、このフラッシュメモリー、これはまだ日本に残っている。

 NANDがなくなって、今度はロジックも、まあパワー半導体とかそういったものはたくさんあるんですが、そういったものがなくなってしまったらまずいということで、力強く私は直談判、特に経済産業省の担当課長、吉本豊さんにお願いしました。その後に担当課長になったのが荒井勝喜さん、現通商政策局長。そしてまた嶋田隆さんとか、同じ皆さんの、経済産業省のこういう幹部の方々、有能な方々がいらっしゃる。この中で、これを今こそ東芝が中心となってすれば、ファブレス、ファウンドリーはつくり込めるということがございました。

 しかしながら、そのときに私も知人を介して、通産事務次官だった児玉さん、また日本商工会議所会頭であった元東芝の会長、社長の岡村正さんにお願いも直談判して、本当に今こそやらなければ半導体は終わるよと。その当時、リチウムイオンバッテリーも駄目でした。だんだんだんだん廃れていく。まさにこれが起点だったんですよ。二〇一二年、もし万が一立ち上がっていれば、今の半導体産業はもっと日本は活気があったと思います。そういった中で、私は、経済産業省が動かなかった、そこが本当に悔しいんですよ。

 これは予算委員会とか決算行政監視委員会でも述べさせていただきましたが、今こそ立ち上がるなら、次世代の半導体の開発、さらには最先端の半導体の開発はやらなきゃいけない。

 ただし、今回のラピダスの半導体、後ほど聞きますが、成功とは何ぞや。二〇二七年に量産化、歩留りを高くして、八割以上、九割以上の歩留りで本当に成功するのかどうか。

 私は言います、二〇二七年、あと二年後、ラピダス、量産化、八割の歩留り以上、これは不可能です、失敗します。

 しかしながら、もうここまで来ていますので、二兆円、まずは研究開発を含めてやらなきゃいけない。ならば、それは突っ込んでもいいだろう。ただし、その時点でどう立ち止まるか、それを今考えなきゃいけない時期に来ていると思います。そういった意味で話を進めさせていただきたいと思います。

 そして、このラピダスの半導体の製造レシピはどこでしょうか、どこが開発したものか。IBMですよね。アメリカのIBMのニューヨーク州にある研究機関で開発したものであります。ポイントはここです。IBMはバイデン政権の支援企業であります。バイデンさんが推し進めて、そして日本に押しつけたも同じです。が、また、このIBMを支えているある米国の上院の院内総務、これはニューヨーク州の方です。この方々が後押しをしたIBMのこの最先端の半導体、それをトランプさんが、トランプ大統領の政権がよしとするかどうか。厳しいと思います。

 もうここは、トランプさんにしっかりお願いして、これもやるけれども是非とも製造させてほしい、量産化の開発もさせてほしいとお願いし切らなければ、そしてこれはもうかるんだよと言い切らなければ、この研究開発から量産化、こういったものは頓挫すると私は言い切ります。

 まさにトランプさんは今、IBMのライバル企業であるインテル、こういったところに対しての支援を強化しようと。また、TSMC、台湾の企業でありますが、アリゾナにCHIPS法をもって補助金を入れて、雇用をしっかり見、そして量産化をした段階でしっかり金を出すというようなCHIPS法がありますけれども、そういったものはバイデン政権であった。これについても立ち止まる可能性が高い。アリゾナにしっかりTSMCの最先端の工場を造らなければ、台湾に対する制裁もトランプ大統領はしっかり行っていくであろう。

 こういう国際環境といいますか、日、米、台湾、また韓国。韓国なんですが、サムスン、実は、こちらは今メモリーが強いんですね。メモリーのエース級の研究者を全て最先端のロジックの三ナノ半導体、こちらに突っ込んだんですよ。人員を全て強化したんです。けれども、歩留りが出なかった。二割、三割しか出ていないんですよ。このサムスンのレシピが何かというと、IBMの製造レシピです。同じものなんですよね。

 日本の技術者が今アメリカ・ニューヨーク州に渡って研究開発を一緒にIBMとされている、それはうれしい。そして、その中で、新しい次なる技術をもってして量産化できるならばありがたいです。けれども、実際八割の歩留りを取るというのは本当に不可能に近い。そうでなければ、皆さんが今持っていらっしゃるスマートフォン、百万、二百万はすぐします。

 私は、あと、敵はというか、ライバルは中国なんですよ。中国にはファーウェイがある。これはシステムメーカー、アプリケーションメーカーであります。スマートフォンをグローバルサウスに売り込もうとしている。その中で、今回、バイデンさんが中国に対する規制をかけた。これによって、中国は全ての技術を、製造技術を内製化してしまいました。中国独自で全て作れます。まだ二ナノとか三ナノとかの半導体は、開発の情報は入ってきていませんが、七ナノ、五ナノ、こういったところは、下に、ハイシリコンというファブレスがあって、SMICというファウンドリー、量産工場があって、縦の流れができてしまった。

 もうアメリカが全然怖くないんですよ。エヌビディア、これがAI半導体が進んでいた。でも、ディープシークという中国の企業が現れてしまったんですね。これは、SMIC、ハイシリコンのこの五ナノ、七ナノ、こういった、最先端ではないけれども先端の半導体を作ってしまっていて、この技術をもって最先端のAI半導体、二ナノを私たちは攻めているけれども、二ナノじゃなくても、五ナノでも七ナノだって最先端のAI半導体ができちゃうわけですよ。

 ですから、どのところで、研究開発は大事だけれども、アプリケーション、システムとして売り込まなきゃいけない。商売ができたからこそ勝ち得るんですよ。一位になるんですよ。だけれども、二ナノばかり追い求めていて、そっちばかりに金を投じていて、ああ、失敗しました、売り先ありません、こういうことになってしまったら最後です。国民の血税が垂れ流しの状況になる。そうしてはいけないというのが今回の法案であります。

 私自身は、落としどころとして、ラピダスを五ナノとか七ナノの半導体の量産工場にすればいいんじゃないかと、二ナノが失敗したら。もし万が一成功して、私の思い違い、勘違いで、二ナノの半導体が成功したらまたよし、それは本当に。成功とは量産化です。歩留りも八割、九割を取ることです。ここに行かなかったときの落としどころ、ここをしっかり、大臣そして経済産業省、そして今日は会計検査院と財務省、政務官に来ていただいておりますけれども、皆さんに理解いただき、そしてお金の投じ方を間違えないでいただきたいんですよ。

 ここの、今パネルがございますけれども、パネルの上、ちょっとカラーで本当は配ればよかったんですが、上の図上段は製造メーカーであります、製造ラインを書いています。まずは露光装置、そしてコータとか、成層、膜をつけたり、いろいろします。後工程と前工程があり、エッチングがあって、また後工程がどんどん、イオン注入とかいろいろな工程があります。その工程の中でも日本は本当は取るべきところがあったんですが、今、その技術が厳しい。

 二ナノ半導体の一番の肝となる技術というのは何かというと、露光技術なんですよね。元々は、今、二ナノ半導体というのは、波長の短いレーザーをぶつけて、その中で溝を細く作る、集光して細く作るというのが大事なんですが、そうにはなかなかなっていないんですね。そこで、これはオランダのチームが全部取っちゃった、ASML。でも、十年前、ニコンさんとかキヤノンさんとか、企業があったんですよ。そこに支援しなかったんですよ。そこはやっていたんですよ。これを私たちは逃がした。そして、ニコンの技術者の皆さんはどこに行ったか、中国に行きました。だから、中国の企業は全て自前でできるんですよ。

 というところで、まず全体像だけお伝えしたんですけれども、ここから質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、財務省、財務大臣政務官にお聞きしたいんですが、財務省として、この二兆円、先行でありますが、内容について、例えばIBMのライセンス料とかこのオランダの企業への製造装置、こういった費用の内訳をどの程度御理解されていますか。

東大臣政務官 一般論で申し上げれば、予算編成過程の中で、財務省においては、各省からの要求に対して、その数量や単価といった積算根拠を確認することとなっております。

 その上で、ラピダス社については、これまで研究開発への支援についての予算措置を行ってきたところでありますが、予算編成過程の中で、財務省において、ライセンス料や設備を含め、土木、建築工事費、そして製造装置費、国際連携費用などの、経産省から提出のあった、要求の積算根拠になる見積書や契約書を確認をしているところでございます。

 以上です。

空本委員 確認しているということなんですが、でも、中身についての精査がまだされていないと私は感じていまして、こういった中身、ライセンス料が本当に妥当なのかどうか、ここがポイントです。失敗する知的財産に対してお金を出していいんですかというところです。

 それと、会計検査院にお聞きします。

 事前の検査というのはなかなか厳しい、会計検査院の立場からしないとは思うんですが、しかしながら、こういう巨額投資に際しては、やはり今からウォッチをしていただきたいと思っています。

 その中で、先ほど言いましたIBMのライセンス料とか用地選定とか入札、その妥当性とか、また初期の契約、それが指名入札そして随意契約とか、そういう契約の、そして、見えないのが、ラピダスの財務諸表とか、また、役員は分かるんですが十二人の株主、そして、七十三億という資本に対して十兆円投資する。やはり、この企業の財務諸表、さらには出資者、こういったものが見通せない、そしてまた取引先、あとは例えば発注先の財務諸表、そういったものを細かく見ていただきたい。

 内容については事前に会計検査院にお知らせしておりますが、そういった詳細の確認、会計検査院はどのように行っていかれますか。

片桐会計検査院当局者 お答えいたします。

 ラピダス株式会社につきましては、国の二分の一以上出資法人である国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOとの間で委託契約が締結されていると承知しております。

 このような国の出資法人が締結した委託契約につきましては、検査の対象であり、委託費が適切に算定されているかなどに着眼して検査を行っております。

 会計検査院といたしましては、ただいま申し上げた着眼点から、NEDOが締結する委託契約につきまして適切に検査を実施してまいりたいと考えております。

 具体的には、先生御指摘いただきましたように、委託費として計上されている費用、例えば委託費として計上された用地に要する費用、製造装置、資材等の調達費用、人件費などは検査の対象となります。

 他方、委託費として計上されておらず、NEDOが支払わない費用につきましては検査の対象とはならないことと理解しておりますので、よろしくお願いいたします。

空本委員 しっかりお願いしたいと思います。

 また、ラピダスの経営トップ、元東京エレクトロンの会長、東さんが今、元々検討会議の座長をお務めで、そしてそのままラピダスの会長にスライドされていらっしゃる。東京エレクトロンは、ストックオプション制度で、役員の方々はかなりの株式を有している。こういったものは利益相反にならないのかどうか。法務省、法務副大臣、いらっしゃいますか。

高村副大臣 お答えいたします。

 個別具体的な案件についてはお答えすることは困難であることをまず御理解いただきたいと思います。

 その上で、あくまで一般論として申し上げれば、会社法上、取締役は法令、定款及び株主総会の決議を遵守し、会社のために忠実にその職務を行う義務を負うとともに、善良な管理者の注意義務を負っております。

 また、会社法は、取締役が自己又は第三者の利益を図って会社の利益を害することを防止するため、取締役が自己又は第三者のために会社と取引する場合や、会社が取締役の債務につき債権者に対して保証や債務引受けをする場合などを利益相反取引としております。

 その上で、そのような取引については、重要な事実を開示して、非取締役会設置会社にあっては株主総会の事前の承認を受け、取締役会設置会社にあっては取締役会の事前の承認を受けるなどをしなければならないものとしております。さらに、取締役会の決議について、特別の利害関係を有する取締役は議決に加わることができないものとしております。

 このように、会社法上は、取締役の利益相反行為によって会社が不当な損害を受けることがないよう、各種の措置が講じられておるものであります。

空本委員 しっかりそういったところをチェックをしていただきたいと思いますし、やはりかなり巨額を投じますので、よろしくお願いします。

 そして、ラピダスの資本金、先ほど申し上げましたが、七十三億円、それに対して五年で五兆円ぐらい入れるかなという。トヨタさんとかはなぜ追加投資してくれないんですか。そして、もう一点、一緒に併せて。あと、二ナノロジック半導体の量産の成功判断をどうお考えか、経産大臣そして経済産業省に。お答えください。

野原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず出資の件でございますが、会社ができてスタートの時点で、トヨタ等の民間による出資は合計七十三億円でございましたが、現段階では、量産準備の開始が近づいていることもございまして、既存の株主、新規の株主候補の企業とラピダスとの間で一千億円規模の追加出資に関する調整が本格化しているということを承知しております。

 それから、ラピダスの成功の定義についてのお尋ねでございますが、委託研究開発としてのラピダスプロジェクトの成功は、二ナノの世代の次世代半導体の量産化を実現する、それは目標年度としては二〇二七年度というふうに掲げているわけでございます。

 ラピダスの量産事業が成功するためには、定性的には、市場参入に成功して持続的に事業を継続できるようになり、二ナノの半導体の安定供給を確保するための国内拠点となることということになるんですが、そうなるために……(空本委員「いつまで」と呼ぶ)ええ、どのタイミングでどれだけの歩留りや生産能力を達成すべきかは、他社の状況や市場の状況等を踏まえた判断が必要となりますので、現時点ではお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 今国会に提出している法案に基づく公募、選定プロセスにおきまして、歩留りを含めた進捗状況の確認方法、支援に関する判断方法について、今後、外部有識者の意見も踏まえながら検討を行ってまいります。

武藤国務大臣 空本委員から大変すばらしい今までの御経験を踏まえた半導体への御見識をいただきまして、感謝を申し上げたいと思います。更にあと二、三十分は時間を差し上げてお話を聞きたいぐらいだと思いますけれども。

 このラピダスの案件というのは、今の、委員がこれまで経験された、我が経産省の方もそういう意味では経験をした、余り長く答弁すると怒られちゃうのでしませんけれども、一九九〇年の、ちょうど半導体協定のときに、時の通産大臣は私の父でありました。

 いずれにしても、半導体で失敗したという経験を基に、今回は次世代、新しいラピダスというものに我々は期待をしながら、そして、先生おっしゃられるように、これをどうやって成功させていくのか、そして検証して、国民の税金というものに対してしっかりとした形でお応えをできるような形でこれを作っていかなきゃいけない。

 先生おっしゃられるように、やはりまずお買い上げいただける、トヨタの出資もありますけれども、ユーザーをどうやって広めていくのか、そしてアメリカとの関係も、IBMとの関係もあります。これはもう確かに、私自身も商売をやっていましたので、IBMを絶対的に信用していいのかどうかというのは、これはある意味で我々としては真剣に注視をしていかなきゃいけませんし、特にトランプ政権になって変更があるのかどうかという点も踏まえて、先生のまた御指導をいただきながら、しっかりと歩んでいきたいというふうに思っています。

空本委員 大臣、しっかりそれを監視していただきたいし、また交渉していただきたいんですが、今の経済産業省からの御回答であれば、いつまでにどのくらいのものを作るかという量的なもの、時期的なものが全く示されていないんですよ。

 二年後に八割、量産化する、それが成功ですよ。それをできなかったらば、やめるんですよ、立ち止まるんですよ。どうですか。経産省からお願いします。

野原政府参考人 TSMCも、現時点で御指摘のような点については開示をしてございません。

 そういう意味では、歩留りがどこまでか、生産能力はどこまで達成すべきか、どのタイミングでということは、他社の状況や市場の状況等を踏まえた判断が必要となりますので、法律の枠組みにのっとって、実際の選定するプロセスの中で、よく外部有識者の方々にも御意見を賜りながら検討してまいりたいと思っております。

空本委員 全然駄目ですよ。こんなのじゃ無駄な投資ですよ。

 いつまでに幾らの量産化ができるかという数値目標を立てて、それを達成できているか。八割、九割行ったら、まあそれは許しますよ。そこを財務省はちゃんと見ていただきたいんですが。

 財務省さん、財務政務官、最後に聞こうと思っていたんですが、こういうところにお金を投資していいんですか、一企業の、大きな巨額。こういったものは、神田前財務官は、役人が成長分野を選定して補助金を投じるべきではないというようなコメントもされています、文春の方に。これでよろしいんですか、政務官。

東大臣政務官 一般論として申し上げますけれども、特定分野への支援については、政府が支援する目的、そして妥当性、必要な制度的対応がなされているか等を踏まえて、一定の支援が正当化されるべきか十分に検討することが重要であるというふうに考えております。

 御指摘の半導体分野への支援については、こうした点を十分に検討した結果、先般の経済対策において、産業競争力の強化、経済安全保障及びエネルギー政策上の観点から、二〇三〇年までに全体として十兆円以上の公的支援を必要な財源を確保しながら行い、そのために必要な法制上の整備を行う、そしてまた、第三者の外部有識者による評価等の下で適切なマイルストーンを設定する、その達成状況を確認しながら支援を行うこととしているところであります。

 半導体分野において、個々の企業への支援を行うに当たっては、こうした枠組みの下でしっかりと説明責任を果たしつつ、支援を行っていくことが重要であると考えております。

 以上です。

空本委員 財務省としては、財源を出すわけですから、しっかり確認していただいて、成功したならば追加投資してもいいじゃないですか。でも、成功しないというか、失敗したという。万が一、二ナノができなくても、五ナノとか八ナノとか七ナノとか、そういう半導体ができるんだったら、まだいいじゃないですか。そういう目標を立てておいて、それでそれを成功としてもいいじゃないですか。二ナノに執着する必要はないんですよ。

 TSMCはもう成功している。SRAMという情報もありますが、九割の歩留りも行けそうじゃないかというところなんですよ。そこに、二〇二七年、もうTSMCは、一ナノぐらい、ぎりぎり、物理的に限界が来るぐらいの線幅に行けるかもしれない。またそこに渡したら、よく、二ナノができた、できない、そういう段階で、また一ナノもやらなきゃいけないとかになったら、湯水のごとく、水を垂れ流しのごとく、血税が垂れ流しになっちゃうんですよ。

 そこを、経済産業省さん、しっかり見ないと。お金だけ、プロジェクトだけ立ち上げて、やったやったじゃ駄目なんですよ。勝った勝ったは、もうかったもうかったなんですよ。もうからなかったら、二年後、三年後にもうからなかった、これは失敗なんですよ。だって、買ってくれるところがないじゃないですか。アップルだってインテルだって、今、TSMCをもう求めているわけですよ。ラピダスなんか全然眼中にないんですよ。

 けれども、その先の半導体とかの製造開発、こういったものを追求するなら、私も賛成します。研究開発、賛成です。

 あと、IBMの場合は、やはり、先ほど申し上げましたように、アメリカの民主党の議員の皆さんに対するいろいろな、ちょっと、トランプさんの仕掛けもあるようであります。そういった意味で、大変にこれからIBMを取り巻く環境は厳しくなってくる。

 となると、私たちは、今ここに掲げておりますが、懸念事項を挙げておりますが、これで私の四分の一ぐらいです、この四倍ぐらいはいろいろ項目を挙げたいんですけれども。そういったものを全部チェックしながら、経済産業省はお金を投入していいか。あと、パワー半導体とかMEMSとか、またセンサーとか、こういった大事な半導体もあるんですよ。そこもしっかり、そこに投入するのは賛成しますから。ニコンさんとかキヤノンさんをもう一回立ち上げてもらって、線幅の狭い半導体の製造装置を造るのだっていいじゃないですか。

 そういう研究開発に、しっかり見て、ラピダスだけを注目するんじゃなくて、半導体全体の構造を見ながら戦略を立ててやっていただきたい。

 大臣、最後に一言、お願いいたします。

武藤国務大臣 確かにラピダスは先駆的ということで皆さんの注目を浴びていますけれども、いわゆる、私どもが今半導体をこれからやろうといったときは、さっきも申し上げたとおり、過去の経験から、今のパワーもそうだしメモリーもそうだし、様々な形が全く新しい世界に今移行中ですから、そういう意味で、全力を尽くして、先生の御指導をいただきながら頑張ってまいります。

空本委員 経済産業省さん、期待していますから、頑張ってください。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、村上智信君。

村上(智)委員 日本維新の会の村上智信でございます。

 私は、国会議員になる前は公務員をやっておりまして、二十一年間働いた後、今から九年ほど前に公務員を辞めまして、政治家を目指すことにし、そして政治浪人を経て、昨年の秋初めて当選をさせていただきました。今回、この経済産業委員会で質問するのは初めてになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど空本議員から質問をさせていただきましたけれども、実は、質問が始まる前から多分時間をオーバーするというふうに言われていましたので、私としては、維新として与えられた五十分の枠の中に収めようというふうに考えておりますので、私の持ち時間が短くなりますが、それはあらかじめ断っておきます。

 さて、三月十日に財務省におきまして国際収支に関係する統計を発表をいたしました。この統計の中で私が注目しているのは経常収支になります。

 経常収支といいますと、日本で様々なものを製造し、海外に売って、そしてその外貨で海外のものを、エネルギーだとか石油、天然ガス、あるいは食料品、鉱物資源、こういうものを買ってくる、こういうふうなことをして、さらに日本として黒字になっている、これを確認するという意味では、経常収支、非常に大切な国際収支になります。これを非常に注目しておりまして、先ほどの国際収支を見てみますと、二〇二四年度では二十九兆円ほどのプラスになっている、黒字になっているということで、安心をしております。

 しかし、この国際収支の中で心配をしておりますのは、サービス収支になります。サービス収支が二〇二四年度で二兆六千億円の赤字ということになっております。

 この原因がデジタル分野にあるというふうに聞いております。デジタル分野の赤字、デジタル分野というのは、インターネット経由でソフトウェアを提供するサービス、ソフトの著作権、ネット上での広告料などになります。

 このデジタル分野の赤字、このことに関連しまして質問をいたします。

 越境クラウドサービス利用の拡大見通しなどを勘案すると、いわゆるデジタル赤字は今後拡大していくのではないでしょうか。その見通しについてどう考えているのか、教えてください。

野原政府参考人 お答え申し上げます。

 日銀が先月公表した国際収支統計のサービス収支のうち、デジタル関連の取引を多く含む項目であるコンピューターサービス、著作権等使用料、専門、経営コンサルティングサービスの合計が赤字となっていること、これはいわゆるデジタル赤字と言われていまして、二〇二四年六・五兆円になっておりますが、その内訳は、コンピューターサービスが二・三兆円、著作権等使用料が一・七兆円、専門、経営コンサルティングサービスが二・五兆円の赤字となっております。

 二〇二〇年度から二〇二三年度までの赤字の増加率がそのまま継続したというふうに仮定した場合の試算でございますが、二〇三〇年度には約十兆円までデジタル赤字が拡大するおそれがある、このように分析しております。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 今後十兆円ほどまでこのデジタル赤字が増えていくという話を聞きまして、大変心配をします。

 サービス収支が赤字という話をしましたけれども、このサービス収支の中には、インバウンド、海外からいらっしゃる外国人の旅行客、この収入も入っております。これだけ今、観光立国ということで、日本国内で外国の方がいらして消費をしていただいている。それにもかかわらず、それを超えるデジタル赤字があるということにまず驚きますけれども、更に今後十兆円まで増えるというふうに聞くと、心配をせざるを得ないという状況だと思います。

 そこで、特にこのデジタル分野の中でも今後伸びると思うのがAIサービスだというふうに思います。

 このAIサービス、今でも既に世の中に普及し始めておりますけれども、しかし、日本はなかなか、それに乗り遅れているんじゃないか、産業としては国内で育っていないんじゃないかというふうに思われます。生成AIでもなかなか、海外のように、日本で作った生成AIが普及したという話も聞きませんし、自動運転についてもそれほどまでに日本の国内で広がっているという話も聞きません。

 そこで、質問をいたします。

 AIに係る我が国の産業競争力が米国などに後れを取っている理由をどのように分析しているのでしょうか。教えてください。

野原政府参考人 お答え申し上げます。

 AIを含むソフトウェア分野の競争力で日本がアメリカに後れを取った背景としては、まず、ユーザー企業におきまして、デジタル投資を業務効率化のためのコストとみなして、新たな付加価値を生み出すデジタル投資を積極的に行わなかったことがあると思います。

 それから、ベンダー企業の側においても、利幅は大きくないものの、他社の参入が困難な個別のシステムの構築を長期間にわたって受託するビジネスモデルが定着していたということから、AI等の新たなソフトウェア開発に思い切った投資をしてこなかった、こういうこともあるというふうに考えます。

 一方、アメリカでございますが、GAFAMを中心とするアメリカの巨大テック企業は、DXをめぐる世界の潮流を捉えまして、クラウド等を開発し、そこで得た巨額の収益をAI等の研究開発に積極的に投資してきた、その結果、高い現在の競争力が生まれているというふうに考えております。

 生成AIの登場は大きなチャンスでもあります。こうした過去の反省を踏まえまして、高い目標に挑戦するAI開発者の研究開発支援、それから変革の担い手になる人材の育成を実施しているところでございます。

 我々の支援プログラムの中から、サカナAIさんは創業一年でユニコーンになりました。そういう実績も足下では出てきておりますので、今鋭意取り組んでいるところでございます。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 日本のAI開発、ソフトウェアの開発が弱かったからという話で、そのソフトウェアの開発が弱かったのは、お客様というか、工場あるいは会社、それに合わせたシステムを開発する、そういうことは得意だったけれどもという話をお聞きしましたけれども、そういうふうな、日本人らしいと思うんですよね、やはりお客様に合わせてシステムを開発する。ほかの国は、例えばマイクロソフトでしたら、誰でもが使えるソフトを開発して、それを売り込んで、多く売れるから収入が多い。日本はその会社、その工場に合わせたシステムをつくる。まさに日本人らしいなと思います。

 旅行の話をしましたけれども、やはり日本というのはおもてなしがすばらしいというふうに言われます。お客様に合わせたおもてなしをする、多分そういうふうな日本人らしさがあるんだと思います。しかし、このデジタル分野はそうではいけないと思うんですね。そういう日本人らしさというのが弱点になるというふうな面があると思います。

 ほかにもこういう話を聞いたことがあります。

 ソフトウェアの開発において、日本人というのはきちょうめんで真面目なものですから、ついつい完成度を高めようとする。そして、完成度を高めてから出荷するものですから、乗り遅れてしまう、開発コストが高くなる。一方、ほかの国はそうではなくて、すぐに開発して出してしまう。そして、もしバグがあったら、パソコンだったらインターネットにつないでいますから、後からバージョンアップすればいい。そういうふうな、ある程度いいかげんに始めた方がもうかるんだ、そんな面があって、日本人はソフトウェアの開発に向かないという話を聞いたことがあります。

 今、AI戦略会議において、政府において様々な取組をしようとしておりますけれども、人材育成についてもかなり大規模にやるというふうにしていると聞いておりますけれども、まさにそういう日本人の弱点になるようなところ、日本人らしさ、そういうところをこの開発の分野においては忘れてもいいんだと、例えばそういうふうな内面的なことも是非指導していただけたらなというふうには思いました。

 AIサービスやソフトウェア、これに関係する産業、日本が弱いという分析をしていたら、じゃ、それをこれの振興をするときにどうしなければならないかという話につながってくるというふうに思います。

 そこで、質問をいたします。

 デジタル赤字が深刻化する中、日本発のAIサービスの創出やソフトウェアの産業基盤の形成も重要ではないでしょうか。大臣、お答えください。

武藤国務大臣 村上委員、御懸念するところは大変共有するところであります。

 今、参考人からもありましたけれども、GAFAMの、急激な世の中の変化に、正直申し上げて、この二十年、三十年弱ですね、そういう意味で大きな変化が世界を渦巻いているわけで、そういう中で日本がこの反省を、今先生おっしゃられたようなことも踏まえて、生成AIというものをチャンス、機会として、これの巻き返しを今これからやろうということなんだというふうに承知をしています。

 本当に、クラウド、AI、デジタルサービスが社会基盤の役割を増す中でデジタル赤字がいたずらに拡大し続けることは、これはもう経済成長や経済安全保障の観点からも好ましくないわけでありまして、クラウドサービスについては、日本国内の事業者が競争力あるサービスを提供できるよう、また経済安全保障推進法というのに基づきまして技術開発支援等を行っているところでもあります。

 また、日本発の今の生成AIの開発、普及でありますけれども、海外展開に向けて、AI向けの高度なコンピューターの整備支援ですとか、スタートアップ等によるAI開発支援や大企業等とのマッチング促進、人材育成などを通じた利活用の促進などの施策に取り組んでいるところであります。

 これらを通じて、国内におけるソフトウェア産業基盤を強化をし、更にデジタルサービスの海外市場展開を促進することで、デジタル収支の改善に取り組んでまいりたいと思います。

 ちなみに、この前、AZECにも行きましたけれども、そこでも、なかなか中国の生成AIというのは使いづらいんですよね、また、アメリカもちょっといかがなものか、やはり世界的に中立的な日本の生成AIを期待をする、そういうお声も聞いたところでもありますので、しっかり頑張っていきたいというふうに思っています。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 この分野を推進していただける大臣のお気持ちが伝わりました。是非、推進していただきたいと思います。

 生成AIについて中国製品が使いづらいという話をお聞きしまして、ふと思い出したのが、中国の生成AIに質問をすると中国の政府がしゃべっているんじゃないかと思うようなことを発言するというふうな話を聞いたことがありまして、中国の念の入れようが伝わってきて、私は怖いなというふうには思うんですけれども、中国には対抗するためにしっかり日本もやっていかなければならないなというふうに思います。

 デジタル分野につきましては、ソフトの面だけではなくて、ハードも関係してきます。先ほど空本議員から大変熱い質問をさせていただきましたけれども、私も非常に関心を高く持っておりますので、このラピダスの問題についても私もしっかり関わっていきたいというふうに思っております。

 さらに、日本ではTSMCが熊本に工場を造りましたけれども、このことについても注目をしております。

 このTSMCが国内にできたことによって、高速の情報処理の半導体、これが国内でも生産できるようになりまして、国内の需要に臨機応変に応えていけるんじゃないか、そういうことを狙ってのことだと聞いていますけれども、それがうまくいくことを期待をしております。

 また、地域の経済活性化についても非常に大きなものがあるというふうなことは伺っております。TSMCの地元はもちろんですし、私の選挙区は福岡県なんですけれども、その福岡県の、私の片田舎の地元にもその影響がありまして、私が知っている事業者は、TSMCの仕事が入ったので熊本まで行くといって、時々熊本に行くようになりまして、そのようなことが起こっております。大変すばらしい経済効果だというふうに思います。

 デジタル分野、ちょっと遅れている感じもして心配ですし、また半導体も心配をするんですけれども、しかし、かつての日本の経済力の根幹は高い技術力に支えられたイノベーションによるものが大きかったと理解をしております。しかし、昨今では、米国や中国、韓国と比較して、研究開発の対GDP比の伸び率は劣っています。そして、トップクラスの論文も減ってきたと言われております。

 そこで、質問をいたします。

 日本の科学技術力、イノベーション力を再興する大胆な政策が必要ではないでしょうか。

竹内大臣政務官 村上委員にお答えいたします。

 御指摘のように、科学技術における国際競争力が激化する中で、引用件数トップ一〇%の論文数については、G7で最下位、そしてアジアでも韓国やオーストラリアより下位であるということなど、我が国は厳しい状況に置かれているものとまず認識しております。

 こうした状況を乗り越えていくためにも、次世代の産業を生み出すことが期待される先端科学技術分野を見極めて、産業化も見据え、研究開発から拠点整備、人材育成、そして設備投資まで、一気通貫でこれを支援することによって、戦略的に国内投資を加速させることが重要であると考えております。

 例えば、次世代の計算基盤として、我が国の産業競争力などの観点から重要な技術であります量子コンピューターにつきましては、今年度の経済対策におきまして、国内サプライチェーン強化に向けた研究開発や世界最高水準の研究開発拠点の整備を盛り込んだところでございます。加えて、こうした拠点も活用して、グローバル企業やスタートアップとの連携強化、量子人材の育成や国際標準化等に官民で取り組むこととしております。

 今後も、このような先端科学技術について、産業化を見据え、研究開発、ルール形成、スタートアップなど、あらゆるイノベーション政策を動員して、戦略的に取組を進めてまいりたいと考えております。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 産業化を見据えて取り組まれるということで、大切な視点だというふうに思います。

 今話にありました量子コンピューター、これについても私は期待をしております。聞くところによりますと、それほど小さくならないので、パソコンに入ったりすることはないとかスマホには入らないという話は聞いておりますけれども、しかしクラウドとして使うことはできる、そういうコンピューターに使えるという話を聞いておりますので、先ほどのクラウドの分野、日本は後れを取っておりますけれども、そういうふうな分野にとっても、この量子コンピューターがより支えになるようなことになればいいなというふうに思います。

 さて、次の話題に移ります。

 経済産業省におきましては、様々な政策に取り組んで、企業の競争力を上げようというふうにしております。その中の一つに、コーポレートガバナンスという話があります。コーポレートガバナンスというのは、取締役会に外部の方あるいは女性の方を受け入れまして、そして自由闊達な議論を取締役会でやることによりまして、その企業が、それまで気づかなかったような企業の無駄を見つけたり、あるいは長期戦略を作るようになったり、あるいは研究開発をするようになる、こういうことを狙ってやるのがこのコーポレートガバナンスの強化なんですけれども、このことに関連して質問をいたします。

 コーポレートガバナンスの強化として、資本市場との対話などに取り組むように促してきましたが、これにより企業経営の高度化が図られ、長期投資などの成長戦略が検討され、企業価値の向上につながってきたのでしょうか。こうした政策についてどう評価しているのか、教えてください。

竹内大臣政務官 お答え申し上げます。

 日本企業の中長期的な企業価値の向上や持続的成長を実現するには、資本市場との対話等によるコーポレートガバナンスの強化を通じて、攻めの経営判断を後押しすることが重要となっております。

 この十年、コーポレートガバナンスの強化や企業と投資家との対話を促す様々な施策を講じた結果、例えば、社外取締役を選任する企業が増加しました。そして、統合報告書等の開示の充実、こうした一定の成果を上げるとともに、資本効率も意識した事業ポートフォリオの組替え等を通じて、一定程度の企業は企業価値を向上させたと認識をしております。

 他方で、設備投資や研究開発投資の対売上高比率というものは、この十年間、横ばいで推移をしておりまして、企業価値に関する指標も、依然として欧米企業と比較すると低水準であります。更なる企業価値向上の実現には、企業の成長戦略の構築と実行に向けて、コーポレートガバナンスの一層の実質化を進めるとともに、政府といたしましても、大胆な成長投資を促すための制度環境整備を進めることが重要だと考えております。

 こうした問題意識の下で、経産省といたしましても、本年度に新たに検討の場を立ち上げ、有識者の方々にこれまでの進捗と残された課題そして解決策についても議論をいただいているところでありますので、こうした議論を踏まえまして、更なる企業価値の向上に向けて、今後の政策の方向性を検討してまいりたいと考えております。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 取締役の中に占める女性の割合だとか外部の方の割合は増えた、それはいいことだと思いますし、多分自由な議論が進んだと思います。しかし一方で、効果が表れていないこともあったという話ですね。

 元々は、研究開発を進めてほしい、設備投資を進めてほしいというふうに思ったにもかかわらず、そこに結びつかなかったということでしたら、このコーポレートガバナンスも大事でしょうけれども、しかし、そういうふうな設備投資を進めるための政策をまた改めて考えて、それを推進すればいいんじゃないかというふうに思います。

 是非そのような前向きな取組を進めていただきたいということをお願いしまして、私からの質問を終わりにします。

 誠にありがとうございました。

宮崎委員長 次に、岡野純子君。

岡野委員 皆様、おはようございます。国民民主党の岡野純子と申します。

 質疑の時間を下さいまして、ありがとうございます。

 本日は、柏崎刈羽原子力発電所の特定重大事故等対処施設の工期延長について中心的に伺ってまいります。

 以降、便宜上、柏崎刈羽原発をKKと、特定重大事故等対処施設を特重と呼称させていただきます。

 まず、二月二十七日に東京電力ホールディングスが公表しましたKK六、七号機の特重の工事完了時期延長について伺ってまいります。

 特重は、釈迦に説法ではありますが、テロなどが発生した際に、遠隔操作で原子炉を冷却、制御するための予備施設でありまして、二〇一一年の教訓から、原発の安全性を強化するために法律で義務づけられているものであります。

 その特重工事が当初の予定よりも大幅に遅れることとなった理由について、まずは、政府としてどのように認識をされているのか、工期延長の経緯と原因について御説明願います。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力は、柏崎刈羽原子力発電所の特定重大事故等対処施設の工事完了時期について、七号機は二〇二五年三月から二〇二九年八月に、六号機は二〇二六年九月から二〇三一年九月に変更することを先月末に公表したと承知しております。

 東京電力は、この理由として、BWRとして初めての工事であり、審査を通して詳細設計の見直しに時間を要し、審査が長期化したこと、敷地における設計条件を考慮して設計、工事を進める中で、工事物量、工事難易度が増加し、工事物量は原子炉建屋の数倍の規模となったこと、昨今の社会的情勢として建設工事の人手不足が生じていること等を挙げていると承知しております。

岡野委員 ありがとうございます。

 審査が延びたこと、敷地の中で大きな物量の工事をしていること、人手不足など、複数の要因があることが分かりました。

 では、この工事の遅れが柏崎刈羽原発の再稼働にどのような影響を与えるのか、政府としての見解を伺います。

武藤国務大臣 岡野委員から柏崎の件をお話をいただきました。

 特重施設の完成時期が遅れることになりましたけれども、東京電力は、引き続き柏崎刈羽七号機の再稼働を目指すとともに、六号機を切れ目なく稼働させる方針と承知をしているところであります。

 東日本の電力供給の脆弱性ですとか電気料金の東西格差等の観点から、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働は我が国にとって喫緊の課題であり、政府としても前面に出て対応する方針に変更はありません。

 現在、地元の御理解が得られるよう取り組んでいるところでありまして、現時点で政府が再稼働時期の見通しに関することを申し上げるのは控えますけれども、引き続き、丁寧に取り組んでまいりたいと思っております。

岡野委員 ありがとうございます。

 方針に変更はないとの御答弁でありました。

 ただ、これはそもそも原子力規制委員会が必要な施設として判断をしているものでありまして、それが定まっていない状態で運転するということは、市民感覚としては違和感を持つ方がいらっしゃるかもしれません。その点、規制委員会としてはどのように考えているのか、お聞かせください。

山中政府特別補佐人 お答えをいたします。

 特定重大事故等対処施設は、重大事故等対処施設のうち、故意による大型航空機の衝突やテロリズムなどにより炉心の著しい損傷が発生した場合などにおいても、原子炉格納容器の破損による敷地外への放射性物質の異常なレベルの放出を抑制するため、可搬型設備を中心といたしました重大事故等対策の信頼性を向上させることを目的として設置を求めたものでございます。

 このため、特定重大事故等対処施設は対策の信頼性を向上させるためのバックアップという位置づけであることから、その設置には本体施設の設計及び工事の計画の認可後五年の経過措置を設けているところでございます。

岡野委員 規制委としては、これは故意のテロが起こった際のバックアップ施設、可搬型のSA設備もあるということでありまして、これをもってリスクに大きな影響を与えるものではない、そういった見解かと思います。

 では、立地地域としてはどうかと見てみますと、これは報道によりますが、新潟県の花角知事は、工期延長そのものが再稼働の判断に直接的な影響はないのではないかといったようなことを述べられているところであります。

 では、今規制委員長からの御答弁にありました設置期間五年間の期間について伺ってまいりたいと思います。

 今回の工期延長の背景、先ほどの答弁の中にも様々ございましたが、一言で言うなら大変な工事だというところであります。詳細設計が見直されるたびに工事物量や工事難易度が増加をして、御答弁にもありましたが、原子炉建屋の数倍の規模感といった現実や、そして、これは日本中の建設現場に言えることですが、建設業の人手不足という社会全体の問題もあります。また、ましてやこの施設、特殊かつ秘匿性が非常に高いため、どこにでも発注できるというものではありません。限られたメーカーや建設業者しか請け合えない、殊更に期限の厳守が難しい環境であると言えます。

 規制委からは、認可五年以内に工事完了をしなければ稼働できない、そういったルールを設けられているわけですが、この五年という期間はどういった根拠に基づいて、またどういった想定の下で定められたものなのか、根拠を伺います。

山中政府特別補佐人 お答えをいたします。

 委員からお尋ねの経過措置期間については、特定重大事故等対処施設における安全上の位置づけや、事業者が当該施設を新たに設置するに当たり、審査、工事等に必要な期間等を総合的に判断をいたしまして、平成二十八年一月に、本体施設の工事計画の認可の日から五年と設定をさせていただいたものでございます。

 東京電力福島第一原子力発電所事故の重要な教訓の一つといたしまして、継続的な安全性の向上を怠ってはならないということがございます。

 規制委員会としては、特定重大事故等対処施設の設置は、重大事故等対策の信頼性を向上させるという意味において、継続的な安全性の向上であり、事業者には計画性を持って対応していただきたいと考えているところでございます。

岡野委員 ありがとうございます。

 確かに、継続的な安全性や信頼性、そういったものが最重要であって、ないがしろにしてはいけないというのは誰しもが思うところではありますが、先ほど総合的というような文言がございましたけれども、私は、現在のこの市場環境を踏まえれば、その限りではないのかなというようなところもあります。

 また、答弁の中で、初めてのBWRの工事というようなところがありました。全く情報がない中なわけであります。すなわち、先行して着手している他の特重の情報というのも秘匿性の観点からもらえない、まさに手探り状態の中で、その厳しい状況下で、五年という期限、状況によって無理があるのであれば、柔軟的に、柔軟性を持って変えていくのではというような考えを持っておりますが、これは今日のところは意見として申し述べるのみとさせていただきます。

 では次に、原子力発電の議論全体について伺ってまいります。

 特重工事の遅延について、一部には不安をあおるような報道も見受けられます。しかし、誤った情報や偏った情報が拡散されることで社会に分断を生むことは避けなければなりません。

 再稼働に慎重な立場の方々も、電力の安定供給が必要である、そのこと自体は理解をされているわけです。ただ、技術面の議論、理屈だけでは納得できない思いがあるのだろうと思います。万が一の事故への恐怖、未来世代への責任感、情報が隠されているのではないかという不信感、こうした感情ですとか価値観をしっかり尊重して、政府としての丁寧な説明をしていくべきだと考えております。

 一方では、再稼働をしないことに伴うリスク、これもまた丁寧に説明をしていく必要があると思います。電力不足や経済負担の増大、海外依存が高まることによるエネルギー安全保障の問題、温室効果ガスの問題、こうした現実的な課題を冷静かつ具体的に提示することも必要です。

 この十四年間、政府は、技術的安全性を高めて、説明を繰り返してきております。それは正しいことですし、王道だと思いますが、言葉を選ばず言いますと、ただ、慎重な立場の方にはそれが響いていない、刺さっていない、論理と感情がかみ合っていないような、そうした感覚を私はこの間ずっと覚えてきております。

 再稼働によって国民を不幸にしようなんて思っている人は誰一人いないわけで、技術的な根拠を基に、ちゃんと国民の感情ですとか価値観に寄り添って、冷静に具体的に相互理解を進めるアプローチが必要だと考えますが、この点、政府としてどのように取り組んでいくのか、お考えをお聞かせください。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、原子力政策は国民の中でも様々な御意見のあるテーマであり、丁寧に議論を重ねていく必要があると考えてございます。

 今御指摘いただきましたように、安全、安心に対する御懸念、原子力に対する不安の声もある一方で、安定供給を求める声、地球温暖化問題に責任を持って対応していかなければならないという声もございます。そうした様々な声を真摯に受け止めながら、バランスの取れた電源構成を引き続き追求してまいりたいというふうに考えてございます。

 委員御指摘の、我が国が直面しているエネルギーをめぐる困難な状況や再稼働の必要性等について、立地地域や電力大消費地である都市圏などでの説明会の実施、複数のメディアを組み合わせた広報活動など、国も前面に立って丁寧で分かりやすい説明を尽くしているところでありますけれども、引き続き、国民の皆様の幅広い御理解が得られるよう、政府一丸となって粘り強く取り組んでまいりたいと思います。

岡野委員 ありがとうございます。

 そうした安全性などを高めていくという点で、先ほど花角知事のコメントを御紹介申し上げたときに、この工期延長は直接的に影響はないけれども、問題の議論の本質というのは、施設の安全性であったりとか避難の課題、そちら側が本来の本質なんだというような、そういったコメントも併せて述べていらっしゃるところでありますが、直近ではその安全性や避難についてどういった取組を進めていらっしゃるのか、具体的な進捗がありましたらお聞かせください。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に向けては、昨年九月の原子力関係閣僚会議で確認した方針や新潟県からの御要望も踏まえまして、新潟県内全域での住民説明会、新聞、テレビ、街頭広告などの集中広報や、関係府省や新潟県とともに避難路整備に向けた協議の枠組みを立ち上げ、協議を実施するなどの取組を進めております。

 また、先週三月十四日、新潟県議会におきまして、資源エネルギー庁、内閣府、原子力規制庁より、エネルギー政策、原子力防災の取組等について説明する機会をいただくとともに、県議会での質疑にも丁寧にお答えさせていただいたところであります。

 引き続き、県民の皆様の不安の声などをしっかりと受け止めながら、政府一丸となって、原子力防災対策の強化や、柏崎刈羽原子力発電所の必要性などについて分かりやすい情報発信を行うなど、地域の実情を踏まえ、丁寧に進めてまいります。

福島政府参考人 避難の課題につきましてお答えいたします。

 新潟県における避難の課題につきましては、内閣府としては、地域の実情を熟知する新潟県や関係市町村とともに、避難計画を含む柏崎刈羽地域の緊急時対応の取りまとめに向けた作業を進めているところでございます。

 昨年夏には、新潟県主催の住民説明会全七回に内閣府も参加する、また、先週には、新潟県議会におきまして、資源エネルギー庁とともに内閣府の取組について説明する機会をいただき、県議会議員の皆様の御質問にも丁寧にお答えいたしました。

 引き続き、新潟県、関係市町村と連携しながら、新潟県の原子力災害に備えた防災体制の充実強化に取り組んでまいります。

岡野委員 丁寧な御答弁をどうもありがとうございました。

 先ほど大臣のコメントにもあったとおり、喫緊の課題でありますので、たゆまずそのような理解の醸成に向けて努めていただければと思います。

 もう一つ、原発の長期停止による影響について伺ってまいります。

 現在、将来の予見性が不透明なことから、原子力工学を専攻する学生が減少しておりまして、一部の大学では学科の縮小が進んでいます。また、稼働停止が続いたことで原発向けの高度な部品を製造する企業が減り、再稼働に支障を来す懸念が大いにあります。聞くところによりますと、東京電力の若手社員には実際に稼働する原発を見たことがないという人も増えてきていて、今、九州電力とか他の施設まで行って研修を受けて経験を積んでいる、そういった状況であります。

 政府としまして、この人材不足ですとかサプライチェーン継承の問題をどのように認識されているのか、認識と対策を伺います。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力発電所の再稼働や安全で安定的な運転に支障を来さないためにも、御指摘いただきましたとおり、原子力人材の確保、育成や部品の供給体制の維持等は重要な課題と認識してございます。

 原子力人材の確保、育成につきましては、経済産業省では技能実習の講座開発などの人材育成策を実施しており、文部科学省においては、原子力分野の人材確保に向け、産学官が連携した横断的な教育研究機能を有する人材育成コンソーシアムを構築し、体系的な教育研究基盤の整備を進めております。

 部品の供給体制の維持については、経済産業省が、原子力関連企業、団体から成る原子力サプライチェーンプラットフォームの枠組みを通じて、供給体制の維持、事業機会の拡大などのための支援を全国約四百社の原子力関連企業を対象に展開しております。

 引き続き、関係省庁とも連携し、原子力分野を志望する学生の拡大や、現場の実態やニーズに即した形での原子力産業の技術や人材の基盤の維持強化に取り組んでまいります。

岡野委員 ありがとうございます。

 思っていた以上に取り組んでいらっしゃるんだなということが御答弁から分かりまして、逆に言うと、そこまでやらなければならないくらいの状況なんだなと、大変さが御答弁からよく伝わりました。

 非常に卑近な例で恐縮なんですけれども、恐らく委員の皆様のお地元でも、コロナの間、お祭りを四年、五年止めていて、さあ、いざやろうとなったときに、継続しないことでやり方が分からない、そういった御経験、恐らく皆様見聞きされていることと思います。たかだかと言ったらあれですが、自治会のお祭りのレベルであっても、継続をしないこと、断絶をすることというのはこんなにも影響が出るのかというのを身近でも感じているところでありまして、この稼働の停止が延びれば延びるほど影響が増していくんだということを皆さんと共有したいと思い、この質問をさせていただきました。

 それでは最後に、再稼働の判断について伺ってまいります。

 原発の問題は、地域の話ではなく、国全体のエネルギー政策に関わる課題でありまして、受益者は広く国民全体であります。その国策のありようを決めるに際し、現状では立地地域の知事一人の肩に再稼働の判断が委ねられているように見えます。

 これは先日の予算委員会の場でも伺いましたが、再度、国が正面から議論をリードすべきという私の考えを大臣にぶつけたいと思います。大臣のリーダーシップを強く求めますが、見解をお聞かせください。

武藤国務大臣 再稼働に際しましては、やはり地元の御理解というものを得ることが大前提であります。そうした中で、立地県の長としての知事の御理解は重要と考えておるところでありまして、通例、議会での御議論あるいは立地市町村の動向など、様々な関係者のお考えを踏まえる形で知事の理解表明が行われるところであると承知しています。

 その上で、先月閣議決定をいたしました第七次エネルギー基本計画においても、再稼働に際し、国も前面に立ち、立地自治体関係者の理解と協力を得るよう取り組むこととしているところであります。

 引き続き、知事も含めた地元の御理解を得られるよう、原子力の必要性や意義、避難計画などの原子力防災の取組についての丁寧で分かりやすい説明や情報発信など、国もしっかりと前面に立って取り組んでまいります。

 十二月でしたか、御党からも御提案をいただいて、先ほど参考人からもお話ありましたけれども、技術者の育成、まさに産業としてこれからどうするというところも大変貴重な御意見をいただいたので、今後ともしっかり前面に立ってまいります。

岡野委員 ありがとうございました。

 当然、地元の、また国民の皆さんの納得感というものが最優先であることは理解をした上で、今後も安心、安全、低廉な電力供給に向けて議論を深めたいと思います。

 御答弁、どうもありがとうございました。

宮崎委員長 次に、平岩征樹君。

平岩委員 国民民主党の平岩征樹です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。本日も御答弁をよろしくお願いいたします。

 まずは、GX推進改正法についてお伺いいたします。

 現在、物価高騰が深刻な問題となっており、特に電気料金の上昇は国民生活や企業活動に大きな影響を及ぼしています。電気料金には、現在、再エネ賦課金が課されており、これが国民負担を増大させていることから、我が党では停止を主張しています。

 さらに、二〇二八年からは、GX推進法に基づき、電力事業者に化石燃料賦課金が課される予定です。これに加え、二〇三三年からは有償オークションが開始されるということになっています。こうした負担が重なる、積み重なるということで、国民や事業者への影響を懸念しております。

 そこで、質問です。

 GX推進法に基づいて、二〇二八年から化石燃料賦課金が、二〇三三年から有償オークションが開始されますが、適正取引そして価格転嫁の取組を踏まえれば、電気料金の高騰を招くということが考えられます。政府は、二〇二八年から電気料金が上がるかどうかについてどのように認識をされているでしょうか。また、その試算はあるでしょうか。お答えください。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の化石燃料賦課金及び電気事業者に対します特定事業者負担金につきましては、一昨年に成立をいたしましたGX推進法において導入されることが規定をされてございまして、その負担の水準につきましては、関連産業や国民生活への影響にも最大限配慮をいたしまして、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていくという中で導入していくということが現行法にも明記されてございます。負担の総額を全体として増加させるものではないというふうに考えているところでございます。

 さらに、特定事業者負担金と化石燃料の賦課金の二重負担が生じないように必要な調整措置を講ずる旨を本年二月に閣議決定をいたしましたGX二〇四〇ビジョンに明記をするとともに、本国会に提出をいたしましたGX推進法の改正法案においてもその旨の規定を設けてございます。

 このような制度設計を踏まえまして、民間のシンクタンクにおきまして、発電事業者向けの有償オークションの影響について、その負担水準の試算は分析をされてございまして、こうした分析も参考にしながら検討を進めているところでございます。

 以上申し上げたような負担抑制の観点を踏まえつつ、また、GX経済移行債を活用した大胆な先行投資支援と組み合わせることで、事業者や国民に恩恵のある制度となるように取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

平岩委員 ありがとうございます。

 私が聞いたのは、まず、電気料金が上がるかどうかについて試算はあるかということなんですけれども、その辺りはいかがでしょうか。

田尻政府参考人 先ほど申し上げましたけれども、民間のシンクタンクにおいて、二〇三三年度から開始をする発電事業者向けの有償オークションの影響につきまして、その負担の水準がどの程度になるかという試算というのが分析をされて、公表されているところでございます。

平岩委員 民間の試算はあるということなので、いずれにせよ、電気代が上がるということ、一時的にも上がるということは間違いないと思うので、その影響を危惧しております。

 また、先ほど少し再エネ賦課金について触れましたが、電気料金関連の税制についても整理が必要だと考えています。

 現在、気候変動対策を目的とし、かつ電気料金に関わる税制や賦課金だけでも、石油石炭税、その特例としていわゆる温暖化対策税、そして再エネ賦課金といった制度が複雑に絡み合っています。これらの税制や賦課金と、二〇二八年に新たに課す化石燃料賦課金、そして二〇三三年に始まる有償オークションで、非常に複雑な関係になっていますが、まず、この関係について御説明ください。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 化石燃料賦課金を含みます成長志向型カーボンプライシングにつきましては、経済成長と排出削減を両立させることを目的として導入するというものでございまして、この点において、ほかの制度とは歳入の使途や水準の決定方法において考え方が異なるというふうに認識をしてございます。

 まず、使途につきましては、二〇二八年度から開始する化石燃料賦課金等を償還財源といたしまして、発行してございますGX経済移行債を活用いたしまして、民間のGX投資に対する二十兆円規模の大胆な先行投資支援を令和四年度の補正予算から実施をしているところでございます。

 このGX経済移行債を活用した支援措置につきましては、排出削減のみならず、産業競争力の強化や経済成長にも貢献する事業であるということを要件としてございまして、この考え方に基づいて、例えば次世代のペロブスカイト太陽電池であったりであるとか、製鉄プロセスの革新電炉への転換の支援などが措置をされているところでございます。

 このように、歳入の使途について経済成長や産業競争力の強化を目的としているという点で、既存の税制や賦課金とは異なるというふうに考えているものでございます。

 また、化石燃料賦課金の水準の決定方法につきましては、社会全体でGXに向けた行動変容を促しつつ、関連産業、国民生活への影響も最大限配慮して、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく中で導入するということが現行のGX推進法にも明記されてございまして、こういう考え方も既存のものとは異なるというふうに考えてございます。

 このように、化石燃料の賦課金につきましては御指摘の既存の制度とはその趣旨や具体的な設計が異なるものであり、重複をするものではないというふうに認識してございますけれども、いずれにいたしましても、エネルギー負担抑制の観点というものを踏まえながら、事業者、国民にとって恩恵のある制度になるように、今後も適切に制度を運営してまいりたいというふうに考えているところでございます。

平岩委員 化石燃料賦課金の導入は新たな制度で、これまでと根本的に仕組みが違うとおっしゃっているということだと思いますけれども、でも、国民から見たら、負担が積み重なっていくという認識は拭えないと思います。国民の理解を得ながら負担を軽減するという観点から、是非制度設計をしていただければと思っております。

 さて、ここで、GX推進法が制定された二年前に遡りたいと思います。当時の国会審議においても国民や事業者の負担増加への懸念が指摘され、この衆議院でも附帯決議によって十四もの指摘、留意、希望が委員会から出されています。

 GX推進法制定時の附帯決議について、これまでの取組や今回の法改正案作成に当たってどのような検討がなされたのか、お伺いします。特に、第八項で指摘されている、特定の事業者への負担偏重の防止、国民への理解醸成についてどのような対応を行われたのか、お答えください。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 GXの推進に当たりましては、本委員会で二年前に決議をいただきました附帯決議の趣旨を踏まえながら検討を重ねまして、様々な措置を講じてきたところでございます。

 御指摘の第八項のうち、まず、特定の事業者への負担偏重の防止につきましては、今回の改正法案で法定化いたしました排出量取引制度の負担が特定の業種や事業者に偏重することのないよう、業種特定などに考慮いたしました基準に基づき排出枠を当てる方針としているところでございます。

 この基準の詳細を具体的に決定する際には、各業種や事業者が脱炭素投資を行うに当たって置かれている事情なども踏まえた上で、公平かつ透明性ある仕組みになるよう、関係者と丁寧に議論を行い、制度設計を進めていきたいと考えているところでございます。

 また、第八項の後段の国民への理解の醸成というものにつきましても、脱炭素型の製品やサービスの価値が消費者を含む社会全体に適切に評価され選択されるというようになるように、例えば、脱炭素型の製品、サービスの官民による率先調達をするものであったりとか、GX価値の見える化に向けた排出削減量に着目した指標を活用促進する、また、カーボンフットプリントの活用に向けた業界ごとの算定ルールの策定に向けた支援などを行うことによって、国民や消費者の意識改革や行動変容を喚起していきたいと考えているところであります。

 今後とも、前回の附帯決議や本改正法案の今後の議論も踏まえながら、引き続き丁寧に施策を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

平岩委員 ありがとうございます。

 今のお答えだと、やはり特定事業者の負担偏重について十分に考慮されているのかというのが疑問が残ると思います。

 例えば、現在、関西電力管内では原子力発電所が再稼働していますが、東京電力では遅れており、Jパワーでは石炭火力が多いのに対し、JERAではLNGが主体です。こういった特性を考えると、ともすれば、関東では電気料金が上がって、関西では逆に電気料金が下がるといった、地域によって電気料金が大きく変動し、国民負担に偏りが生じるという可能性があると思うのですが、電力会社ごとのエネルギー供給構造の違いによって地域間で電気料金の負担の不均衡になる懸念がありますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギー政策全体につきましては、SプラススリーEという考え方に基づきまして、資源エネルギー庁を中心に、どういった電力政策でいくかということは別途考えるべきことだと思いますけれども、私ども、今回導入いたします排出量取引制度につきましては、先ほどの繰り返しになるかもしれませんけれども、そういうような業種の特性なども応じて、基準に基づいて排出枠を割り当てるという方針の下に、その基準の策定に当たりましても、各業種や事業者が脱炭素投資に当たって置かれている状況などもしっかり踏まえながら、丁寧に議論を重ねながらつくっていきたいというふうに考えているところでございます。

平岩委員 ありがとうございます。

 是非、制度設計において、地域間の不公平を生じさせないように、負担が偏らないように、慎重な対応をお願いしたいと思います。

 それでは、さて、先ほど原発再稼働について少し触れましたが、第七次エネルギー基本計画では、安全性の確保を前提に原発を再稼働し、クリーンな電源として活用していく旨が明記されました。しかし、二〇一一年に原発が一斉停止をしてから、段階的に再稼働してきたものの、今までのように運転はされておらず、技術の継承に懸念が生じています。

 先ほどの岡野議員の質問にも少しありましたが、この二〇一一年以前と現在の原子力関連の技術者数の変化について御説明、そしてまた、経済安全保障の観点から、必要な技術者の確保と技術流出防止についてどのような対応を進めているのか、大臣の御認識をお聞かせください。

武藤国務大臣 平岩委員にお答えをさせていただきます。

 技術者の人数についてですけれども、原子力産業協会の調査によりますと、原子力関係の電力会社、メーカー及び協力企業等の従業員者数は、二〇一〇年度は約四万六千人です。そして、二〇二三年度は約五万一千人となっているところです。

 御党、先ほども申したとおり、エネルギー基本計画に対する御提案をいただいて、安定供給を支える人材の確保等について御提案をいただいたところでありますけれども、私どもも、原子力発電所の再稼働や安全で安定的な運転などに支障を来さないためにも、人材の確保、維持は重要な課題だというふうに認識をしているところであります。

 そのため、経済産業省では、原子力関連企業、団体から成る原子力サプライチェーンプラットフォームというものを立ち上げまして、供給体制の維持、事業機会の拡大などのための支援を、全国約四百社になりますけれども、原子力関連企業を対象に展開しているところであります。また、併せて、技能実習の講座開発などの人材育成策も実施しております。

 各事業者におきましては、人材の確保あるいは維持に努めるとともに、技術流出の防止のため、技術情報、知財について秘密保持契約を各職員と締結しております。社外でのデータ授受を禁止するなどの対策を行っているものと認識をしています。

 引き続き、人材の確保や維持、技術流出の防止について、原子力産業界に働きかけてまいります。

平岩委員 ありがとうございます。

 技術者の確保というのは、国家の競争力を支える重要な要素だと思います。まさに人づくりこそ国づくりですので、しっかり対応をお願いしたいと思っております。

 次に、半導体製造に関する技術者の確保について伺います。

 現在、ラピダスの試作品が四月に完成する予定という非常に重要なタイミングであり、私も二月の予算分科会で質問をさせていただきました。しかし、その中で、技術者の給与水準については依然としてちょっと疑問が残るので、再度質問させていただきます。

 ラピダスの技術者の給与は、競合するTSMCやサムスン、IBMと比べて、明らかに大きく乖離している可能性が示唆されています。予算分科会では、大臣は全国平均と比べて給与が三万円高いとおっしゃっておりましたが、二〇二二年の、朝日新聞の記事によりますと、TSMCでは、修士号を持っている初任給で一千万円、平均では千五百万円だとあります。これは現在ではもっと高いと思われますが。

 現状のラピダスの給与体系について、見直しの余地はないのでしょうか。

野原政府参考人 委員から御指摘がありましたが、ラピダスはまだ研究開発段階でもございまして、世界的な半導体企業と比較して十分な水準とは言い切れないという水準だというふうに認識をしております。

 ラピダスでは、今後の量産に向けて、適切な給与水準の確保、ストックオプションの検討、職場環境の充実など、優秀な人材の確保や流出防止に必要となる取組を充実させるべく、高い問題意識を持って検討しているところというふうに承知をしております。

 経済産業省といたしましても、こうした問題意識は共有しておりまして、ラピダスともよく連携してまいりたいというふうに考えております。

平岩委員 ちょっと現状では難しいみたいなお話だと思うんですけれども。

 そこで、ちょっと次の点をお伺いします。

 半導体産業が国際的な人材市場と接続している中で、技術者の給与水準が事業に与える影響について政府はどのように評価されているでしょうか。また、これらを、法律を制定して特異的にAI、半導体産業を支援していくに当たって、従来の労務費単価を機械的に当てはめるということが妥当だとお考えなのでしょうか。この点について伺います。

竹内大臣政務官 平岩委員にお答え申し上げます。

 次世代半導体の開発、量産というのは極めて高度な技術を要するため、世界水準の技術力というものを確保し、技術流出を防止する観点から、人材確保や適切な処遇というものが重要となっております。そのため、ラピダスにおきましても、グローバル企業と遜色のない給与水準を確保すべきとの問題意識は共有をしております。

 一方、ラピダスは主として国からの委託研究開発を行っている段階にありまして、その給与水準を含む公費負担の在り方につきましては、国民の皆様の御理解を得るということも重要であります。

 AI、半導体産業に限定をして労務費単価に関する考え方を改めることは困難でありますが、御指摘の点について問題意識は共有をした上で、ラピダスにおいて検討する適切な給与水準の確保やストックオプションの付与等を含めて、経済産業省といたしましても、ラピダスとよく連携をして待遇の在り方を検討してまいりたいと考えております。

平岩委員 技術者不足がボトルネックになって事業が停滞することのないように、適切な対応を是非お願いしたいと思います。

 最後に、ラピダスの全体計画について大臣にお伺いします。

 これまでの民間出資額、政府の支援総額、そして、今後予定されている政府の出資額、今後見込まれる民間出資額について御説明ください。

 総理は、二月の予算委員会にて、今後の全体像について、そういうことが分からないのでこの計画が進むことはあってはならないとおっしゃっていますが、今後の計画や出資のロードマップの作成状況について、経済産業省の見解を教えてください。

武藤国務大臣 ありがとうございます。

 これまでに、民間企業八者で、ラピダスに対して先ほど来話がありました七十三億円を出資しております。また、政府は、九千二百億円を上限とする研究開発支援を決定してまいりました。

 今後につきましては、ラピダスによれば、民間からの資金調達で一千億円程度を見込むと聞いておりますけれども、また、政府としては、次世代半導体事業者に対する出資の原資として、令和七年度当初予算案で一千億円を計上したところです。

 全体像につきましては、ラピダスによる今後の開発見通しや同業他社の投資動向等を踏まえて、これまでの支援決定額を含めて、研究開発に総額二兆円程度、また、量産工場一棟ですが、フル稼働に向けて一・五兆円から二兆円程度が必要になると現時点で見込まれているところであります。

 経済産業省といたしましては、今年春に千歳でパイロットラインが稼働する中で、事業の進捗も確認をしながら、民間の投資家や金融機関と連携をしつつ、外部有識者も交えて事業計画等を精査する中で、必要となる支援を具体化をさせてまいりたいと思っております。

平岩委員 以上、政府には是非透明性の高い計画策定を求めます。

 私の質問を終わります。ありがとうございました。

宮崎委員長 大臣が参議院予算委員会から戻り次第、午前十一時三十分をめどで委員会を再開することといたしまして、この際、暫時休憩をいたします。

    午前十時三十一分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時三十分開議

宮崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。福重隆浩君。

福重委員 公明党の福重隆浩でございます。

 時間の制約もありますので、早速質問に入らせていただきます。

 日本経済新聞社が行った主要企業の社長百人のアンケートの中で、石破政権への要望、期待する政策として最も多かったのは再生可能エネルギーの拡大で、内需拡大に直結する賃上げを促進が続いております。アンケートに回答したある社長は、原燃料や物価高への対応と賃上げによる個人消費の活性化と述べておりました。また、賃金水準の引上げに必要なことを聞いたところ、複数回答ではありますが、国内景気の回答に次いで生産性向上を挙げております。このほかにも、アンケートでは、賃上げに結びつく価格転嫁の促進も回答に挙がっておりました。

 昨年から私は、所属委員会や予算委員会などで、賃上げ、価格転嫁や生産性向上について質問をさせていただき、現場まで様々な施策や情報が届いていないことを取り上げ、なお一層の改善をお願いしていたところでございます。

 我が党の竹谷とし子代表代行は、国や自治体が発注する官公需における価格転嫁の推進を強く訴え、国全体でももう一段きめ細かく支援する賃上げ支援パッケージを打ち出すべきであると提案をされております。これに対し、石破総理は、関係大臣に価格転嫁を阻害する商習慣の一掃に向けた取組を指示され、官公需についても適切に価格交渉、価格転嫁に応じるよう各省庁に指示し、省力化投資促進プランを策定し、きめ細かく賃上げを支援する取組を抜本的に強化すると答弁をされました。

 そこで、お伺いをいたしますが、石破総理の答弁で関係大臣に価格転嫁を阻害する商習慣の一掃に向けた取組を指示とあったように、経済産業省としてのこれまでの対応及び、今後の取組と関係するかと思いますが、竹谷代表代行が述べた賃上げ支援パッケージの提案について、経済産業省の御見解をお伺いいたします。

武藤国務大臣 福重委員から御質問いただきました。

 御党にもいろいろと今までも、賃上げ、価格転嫁等々、様々な中小企業政策に対して御理解をいただいて、御指導いただいていることに、この場をかりて感謝を申し上げたいと思います。

 経済産業省では、価格転嫁対策といたしまして、年二回の価格交渉促進月間に基づく発注企業ごとの交渉、転嫁の状況の公表ですとか、事業所管大臣名での指導助言、そして下請Gメンによる取引実態の把握、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針の周知徹底、パートナーシップ構築宣言の周知や実効性の向上など、様々な施策に取り組んできたところであります。

 委員御指摘のとおり、石破総理から関係大臣に対し、価格転嫁を阻害する商習慣の一掃に向けて取り組むよう指示があったところであります。経済産業省といたしましても、関係業界団体や関係省庁に対し働きかけを行い、一層の価格転嫁を推進してまいりたいと思います。

 また、中小企業の持続的な賃上げに向けて、価格転嫁に加え、生産性向上もより一層推し進め、また賃上げの原資を拡大させていくことが極めて重要だというふうに認識をしています。このため、省力化、デジタル化投資の促進、経営革新を実現する事業承継やMアンドAの支援策などについて更に具体化してまいります。また、最低賃金を引き上げるためでございますが、こうした対応策を政府として五月に取りまとめる予定であります。

 経済産業省としても、各省と連携をし、中小企業の賃上げ原資の確保を強力に後押ししてまいります。

福重委員 大臣、配慮あるお言葉、ありがとうございました。

 本当に中小企業が元気になることが日本の再生でございますので、是非そこに焦点を当てて頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 前の質問にも関連いたしますが、政府は、今月十一日、価格転嫁で中小企業の賃上げを促す下請法改正案を閣議決定いたしました。これは約二十年ぶりの改正となり、中小企業が適切に価格転嫁ができる取引環境の整備をすることで価格交渉がしやすくなり、賃上げするための原資の確保が期待されます。

 一方、新聞報道で目に留まった記事がございました。それは、取材した記者が、二〇一九年に部品を製造する町工場で隙間なく多数の金型が置かれている状況を見たが、国も既に対策を講じており、次第に解決していくだろうと思っていた、ところが、翌年に自動車部品メーカーを回っていたところ、ある経営者に金型の保管、管理について聞くと、費用が支払われるようになったのはごく一部、まだ全然足りないと返ってきたとのことでございました。また、別の報道では、下請企業六十一社に四千個を超える金型などを無償で保管させ、下請業者の保管費用は計一億円を超えるものではないかとの報道もございました。

 型を無償で保管させる行為が下請法違反の適用対象となったのは二〇〇四年であると認識しておりますが、公正取引委員会による初の是正勧告が出たのは二〇二三年と随分時間が経過しております。是正勧告になぜこのように長い時間が経過してしまったのでしょうか。下請Gメンは総力を挙げて下請業者を守る対応を強化していただきたいと思います。政府の御見解をお伺いいたします。

向井政府参考人 お答えいたします。

 公正取引委員会では、平成十六年、二〇〇四年の四月からでございますが、改正下請法の施行に基づきまして、不当な経済上の利益提供の要請、それにつきまして、それが違反行為だということを規定したわけでございます。それ以降、金型を含む型の無償保管につきまして実態調査とか問題点の整理などを行ってきた。そして、そういうものを公表することによりまして、問題点の把握や問題となり得る行為の周知を行ってきたところでございます。

 具体的には、公正取引委員会では、下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準、これは事務総長通達でございますが、この中に具体的な違反行為事例を掲げておるものでございます。その中に、平成二十八年、二〇一六年十二月でございますが、型、治具の無償保管要請に関する事例、そういうものを追加したということでございます。それを踏まえまして、その後、中小企業庁と公正取引委員会で金型の取引に関する実態調査を行いました。その結果につきましても関係業界に周知をするなど、関係省庁との連携強化を図ってきたということでございます。

 このような関係省庁との連携によりまして周知活動を行ってきたとともに、この間、公正取引委員会の執行体制というものも整備するということをしてきたわけでございまして、その結果、委員御指摘のとおり、令和五年、二〇二三年の三月でございますが、金型の無償保管、当時は木型でございますが、それに対する勧告が出まして、現時点で十三件の勧告、公表を行ってきたというところでございます。

 このように、関係省庁と今連携をしておりまして、面的な執行の強化ということも掲げてきておりますので、引き続き、関係省庁と連携をいたしまして、型の無償保管問題など同法に違反する行為、こういうものに対しまして厳正かつ効果的な執行を行ってまいりたいと考えてございます。

飯田政府参考人 下請Gメンにつきましても御質問ございましたので、中小企業庁の方からお答え申し上げさせていただきます。

 現在、三百三十名体制の下請Gメンが、全国の中小企業の取引実態につきまして、年間一万件を超えるヒアリング調査を行ってございます。御指摘のありました型の保管費用につきましても、数多くの実態を伺っているところでございます。

 この下請Gメンの調査結果につきましては、下請事業者を守るために様々な場面で活用してきてございます。まず、調査結果を産業別に取りまとめて、各業界の取引適正化に向けた業界ごとの自主行動計画、これの策定、改定や遵守のために活用してきたところでございます。

 次に、毎年三月、九月、価格交渉促進月間というのをやっておりますが、これに当たりまして、発注事業者への指導助言も行っております。これは、そのベースとして、事業者のアンケートに加えまして、下請Gメンによるヒアリングも活用してございます。また、公正取引委員会との連携を強化して、ヒアリング結果を下請法の執行につなげるということについても本格的に活用しつつあるところでございます。

 今般国会に御提出申し上げております下請法の改正の検討につきましても、下請Gメンの調査結果も参考にしながら、公正取引委員会とともに検討を進めてきたところでございます。改正案では、事業所管省庁が指導助言を行う規定を新たに盛り込んでございますけれども、国土交通省のトラックGメン等、各省庁が保有する取引情報を効果的に法執行に活用できるよう、各省庁間連携をより一層深めて、中小企業の取引適正化にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

福重委員 御答弁ありがとうございました。

 実は、私は、議員になる以前、十八年間、部品メーカーの営業をしておりました。そういった経験からすると、取引先、親企業とかお客様は、おたくに金型だとか治工具を預けることによっておたくは優先的に受注できるんだから、それは無償で持つのが当然だろうというような上から目線だったわけですね。そういったときに、やはり、同じ幾つかのライバル会社がある中で、当時は我々も、ほかの企業じゃなくて、うちが金型を持っているからうちに来るなというような安心感というのがあったのも事実です。ただ、営業の立場と現場の立場からいうと、現場の人たちは、その金型がいつ使われるかも分からないけれども、来たときにすぐ使えるようにメンテをしておかなくちゃいけない。それから、大型の金型になるとスペースも取るということ、これはやはり中小企業にとって非常に負担になっているというのは事実なんですね。

 ですから、今も本当に中小企業を守る立場からGメンの皆さんには頑張っていただいているということでございますけれども、是非そのことをしっかりとやっていただいて、中小企業の皆さんから頼られる存在になっていただきたいと思いますので、是非よろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 地元経済の活性化を願う立場から、人材確保、育成に関する重要な実証事業についてお伺いをいたします。

 私が地元を訪問する中で、多くの経営者が人材の確保、育成に御苦労されており、特に中小企業ではその影響が顕著であります。

 こうした状況を打開するため、経済産業省は、地域戦略人材確保等実証事業、通称地域の人事部の取組を推進しています。これは、民間事業者等が自治体、経営支援機関、教育機関等と連携し、地域の関係者が一体となって将来の経営戦略実現を担う人材の確保や地域内でのキャリアステップの構築を行う取組であります。

 私の地元群馬県では、この実証事業において、県物流業界活性化事業が採択されました。これは、二〇二四年問題に直面する物流業界のドライバー不足に対応するため、県トラック協会が中心となり、県、大学、よろず支援拠点、金融機関連携、就業マッチング、教育カリキュラムの整備、広報活動、金融支援を一体的に行うものであり、まさに産官学金が連携し、人材確保から育成、定着までを一貫して支援するモデルケースとなっております。

 人材確保は一企業だけの努力では限界があり、地方においてはなおさら地域全体での取組が不可欠であります。地方創生のためにも、この実証事業の成功は非常に重要であると考えております。更なる推進を期待しているところでございます。

 そこでお伺いいたしますが、この地域の人事部の取組の現状と、全国的な展開における課題についてどのように認識をされておりますでしょうか。また、地域特性に応じた多様な業界での展開を促進するための具体的な方策について御答弁をお願いいたします。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただいたとおり、地域におきましては、複数の企業、それから自治体、金融機関等々が連携をいたしまして、地域一体で人材の確保、育成を進める動き、いわゆる地域の人事部の取組が始まっておるものと認識してございまして、これを加速するため、経済産業省では、他地域のモデルとなるような先進的な取組に対する補助事業というのを進めてございます。御言及いただきました群馬県のプロジェクトも含めまして、令和四年から六年度で延べ八十六件を支援してきたところでございます。

 この取組を通じて浮かび上がってきた課題でございますけれども、いわゆる地域の人事部の担い手の問題、その確保、育成の問題、それから認知度の不足があると認識してございます。

 まず、担い手の問題につきましては、先進的なノウハウを他の事業者に展開することが重要だと認識してございまして、令和七年度の予算案では、そういったモデルとなるような地域の人事部の担い手の皆さん、この担い手の皆さんによる伴走支援、それから様々なノウハウの共有のための関係者を集めた勉強会なども事業の中に盛り込んでおるところでございます。

 それから、認知度の不足でございますけれども、これにつきましては、地域の人事部のロゴマークを作って広報活動に活用いただくとともに、様々なモデルとなる事例集、それから先進的な事業者の方々の対談の動画、さらに全国の地域の人事部の事業者の皆さんを検索できるページみたいなものを公表させていただいてございまして、こうした取組を関係省庁とも連携しながら実施することを通じまして、地域の人材の確保、育成の取組をしっかり後押ししてきてまいりたいと認識してございます。

福重委員 ありがとうございました。

 政府は、あれはいろいろな支援メニューというのを作っているんですけれども、いずれもそれが本当に必要なところに届いていない、そういう現状があります。

 今のこの地域の人事部も、本当にいい制度なんですけれども、今、認識不足という言葉がございました。やはりそういった必要な人たちにこういった支援メニューが届くようにしっかりと後押しをしていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入らせていただきます。

 地域経済の活性化と持続的な成長を実現するためには、中堅企業の役割が極めて重要であると認識しております。中堅企業は、大都市圏だけではなく、地方にも多く立地し、地域経済の担い手として、また雇用創出や技術革新の担い手として地域社会に大きく貢献をしております。

 こうした中、政府は、従業員二千人以下の中堅企業に関する国家戦略、中堅企業成長ビジョンを策定し、二〇三〇年までに中堅企業を現在の九千者から一万一千者以上へと増加させる目標を掲げられました。このビジョンでは、中堅企業を成長型経済への移行を牽引する主体と位置づけ、MアンドAの促進や生産性向上など、具体的な目標も設定されております。

 今後、中堅企業等地域円卓会議を通じて重点支援企業を選定するとのことでございますが、その選定基準について具体的にどのようにお考えなのでしょうか。また、選定された中堅企業等に対して、MアンドAの支援、生産性向上、海外展開支援など、どのような支援策が具体的に用意されているのか。さらに、中堅企業の成長を阻害する要因として、人材不足、資金調達の課題、デジタル化の遅れなどが考えられますが、これらの課題に対して政府はどのような対策を講じられるのか。以上三点について御答弁をお願いいたします。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、中堅企業成長ビジョンをこの二月二十一日に決定してございまして、今後、このビジョンに基づいて様々な具体的な施策を実行に移してまいりたいと考えてございます。

 御指摘いただきました重点支援企業の選定基準でございますけれども、これは地域経済に高い波及効果を生むような中堅企業を選定することが極めて大事であると認識してございまして、そういった視点から、その詳細につきましては今後検討を深めていきたいというふうに考えてございます。

 それから、中堅企業に対する具体的な施策でございますが、先生も御指摘いただきましたけれども、MアンドAを後押しするための税制ですとか、大規模な成長投資に対する補助金、それから海外展開を進めていくに当たって必要となる専門家による伴走支援等を施策として用意してございまして、これらをしっかりとやることを通じまして、中堅企業の成長に向けた取組を後押ししてまいる所存でございます。

 それから、御指摘の中堅企業の人材不足といった課題でございますけれども、様々なプレーヤーを巻き込みながら経営人材をマッチングしていくという支援、それから、銀行のみならず、ファンドなんかも含めました多様な資金調達が可能となる環境の整備、それから、実践的なデジタル教育プログラム、実際に使っていただけるようなプログラムの提供など、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思ってございます。

 こうした取組によりまして、中堅企業が自律的に成長できる環境を構築いたしまして、日本経済の成長を牽引する中堅企業の成長促進に取り組んでまいる所存でございます。

福重委員 御答弁ありがとうございました。

 この後、クリーンエネルギー、再生可能エネルギーの問題について質問をさせていただきたいなというふうに思っておりました。ただ、時間がもうあと一分もないものですから、質問しますと御答弁いただけませんので、これは今後の委員会でまた質問をさせていただきますけれども、地方創生で企業誘致をしていく場合に、やはり、先ほどのアンケートでもあったとおり、再生可能エネルギー、クリーンエネルギー、これが企業にとっては非常に魅力がある。そういった中にあって、私は地元が群馬県でございますので、水源県でございます。そういった意味でいうと、水力発電所、小中水力、それからダム、こういったものというものがクリーンエネルギーを作ることによって、データセンターや様々な、半導体もそうですけれども、いろいろな、電気を豊富に使いますので、そういった意味では、やはりこういった支援をしていくということが非常に私は重要であるというふうに思っております。この電力確保に向けた取組ということをまた今後この委員会でしっかりと質問をさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、佐原若子君。

佐原委員 れいわ新選組、佐原若子でございます。よろしくお願いいたします。

 武藤大臣の所信演説を伺いまして、質問させていただきます。

 トランプ政権による関税問題、それから国内では半導体産業のまた再編成、大変お疲れさまでございます。御心労大変なことと思いますが、質問させていただきます。

 今まで国民は幾つかの神話をもたらされてきました。いわく、原発の安全神話、国債は国民の借金であるという神話。

 そして、今また、データセンターや生成AIの拡大によって電力需要が急増するので原子力発電が必要だという議論。そして、それが議論なのか、本当にあるいは新たな神話であるのか、具体的なデータをお示しいただきたいと思います。お願いいたします。

武藤国務大臣 佐原委員にお答えをさせていただきます。

 今、DXの、あるいはGXの進展等に伴ういわゆる電力の需要見通しについて御質問いただきましたけれども、いわゆる、いろいろな開発をされていくと、これは省エネ効果というのも絶大な効果をもたらされます。ですから、将来の電力需要については、省力もあるんですけれども、やはり使われる方が多くなるだろうということでの増加する可能性が高くなっておりまして、二〇四〇年度エネルギーミックスにおいては、二〇四〇年度の温室効果ガス七三%削減といった野心的な目標と整合すること等を考慮しながら、将来からバックキャストする考え方の下で、一定の技術進展が実現することを前提としながら、将来のエネルギー需給の姿をお示ししているところであります。

 その中で、発電電力量でありますけれども、二〇二三年度の約九千八百五十四億キロワットアワーから、二〇四〇年度には一・一兆から一・二兆キロワットアワーと約一割から二割増加する見通しであります。その際、電源構成に占める原子力の割合はちなみに二割程度ということになることを見通ししているところであります。

佐原委員 大臣、ありがとうございました。

 福島第一原発はレベル7の過酷事故を起こしました。経済は、プライマリーバランスに縛られた緊縮財政のため、失われた三十年をつくり出し、ジャパン・アズ・ナンバーワンから転落し、ロストジェネレーションをつくり出しました。

 データセンターなどの電力需要の急増に伴う原子力発電が不可欠だという神話に基づいて原発の再稼働、新増設に邁進したとき、それが正しいことであるかどうか不安でならないのです。大臣はどのようにお考えですか。

 次に、エネルギー問題に関してお尋ねします。

 福島第一原発事故以降に一旦はなくす方向だった原発を再び活用する方針が第七次エネルギー基本計画に示されました。

 事故で被災された方々の多くが、今もふるさとに帰れず、ふるさとが分断され、健康の不安を抱え、なりわいも絶たれ、かつての暮らしを取り戻せずにいます。原発の周辺地域だけでなく、その被害は広範で、一次産業の販路も減少し、長年にわたる経済的な打撃ももたらしています。原発の廃棄物処理、廃炉の問題も解決していません。レベル7の過酷事故はいまだに収束していません。企業の経営陣は責任を問われず、小児甲状腺がんに罹患した子供たちの問題は置き去りにされたままです。

 様々な問題が解決されずにいるのに、原発を推進していくことが本当によいことなのでしょうか。原発ありきの前提条件に縛られず、エネルギー需給と省エネ、自然エネルギーを総合的に検証して、本気でCO2削減、気候温暖化に対処していくときではないでしょうか。

 一方、大臣の所信で、ペロブスカイト太陽光パネルや中小水力発電といった自然エネルギーも注目していらっしゃいました。

 経済産業省の優秀なスタッフや小水力発電を活用している方からも詳しく伺いましたが、環境に優しく、私も大賛成です。また、それらは地方活性化に寄与すると思うのです。

 原発は、確かに多くの企業が参加し、多岐にわたるベネフィットがあります。しかし、小水力発電など自然エネルギーは、採算が取れないといって大企業は参入しません。しかし、そうではありますが、地方にとっては、中小企業が参入しやすく、地方の活性化が考えられます。今、蓄電池や、地方から都市部への送配電網も順次拡大しているとのこと。小水力発電は、規模や設置場所の特性から、地域社会の活性化の視点を持って支援を進めてほしいと思いますが、お願いできますか。

 ペロブスカイト太陽光電池は、ビル壁面にも装着でき、都市部での電力の地産地消、再エネ導入拡大に寄与できると期待できます。政府を挙げて連携し、推進、応援すべきことと思いますが、政府はどのように取り組んでいらっしゃいますか。大臣、御教示ください。

久米政府参考人 まず、原子力政策についての御質問についてお答え申し上げます。

 まず、福島復興と東京電力福島第一原子力発電所の安全かつ着実な廃炉、これは経済産業省の最重要課題でございます。復興が成し遂げられるその日まで、国が前面に立って全力を尽くして取り組むという意思に変わりはございません。東京電力福島第一原発事故の経験、反省と教訓をひとときも忘れることなく取り組むということがエネルギー政策の原点でございます。

 その上で、DXやGXの進展により電力需要増加が見込まれる中、脱炭素電源の確保が国力を左右する状況でございます。低いエネルギー自給率や火力発電への高い依存といった課題を克服する観点で、脱炭素電源の確保が求められております。

 第七次エネルギー基本計画では、特定の電源や燃料源に過度に依存しないバランスの取れた電源構成を目指すとともに、必要な脱炭素電源を確保するため、再エネと原子力について、二項対立ではなく、共に最大限活用していく方針をお示ししたところでございます。

 一方で、原子力に対する様々な御懸念の声があることは承知をしてございます。これを真摯に受け止め、それぞれの課題にしっかり取り組みながら、丁寧に説明を行い、原子力を活用してまいりたいというふうに考えてございます。

佐原委員 しかし、やはり、原発ありきの発想から離れて、もう一度検証していく必要があるのではないかなと私は思います。

 次に、地域のイノベーション、エンタメ、コンテンツ産業育成について伺います。

 イノベーションの創出、エンタメ、コンテンツ育成を、エネルギー対策にも挙げられている自然エネルギーの促進、被災地復興にも連動できないかと思うのです。特に、経済産業省でも用途を模索中ということですが、NFT、ノンファンジブルトークンを使って地域の魅力を発信し、収益も得る。地域の自然エネルギー発電の電力をNFTにすることも、あるいは地域の文化などのコンテンツに合体させることもできます。まさにクールジャパンを打ち出しているメリットがあると思います。日本の若者たちの得意分野ではないでしょうか。

 海外からの旅行をする人たちが日本食で一番おいしいのは何ですかと聞かれたときに、カツ丼と言う人が結構多いんだそうです。そういったところもNFTに入れて紹介していくということもできると思います。

 地方から都市部への送電プロジェクトも順次進んでいますので、地方の電力をNFTで販売し、自然エネルギー利用、環境保全という行為そのものが価値としてNFTで転売できます。そして、転売されるごとに発電者にインセンティブが入ります。例えば、長良川の水流で発電した電力に大臣の御挨拶動画を合わせてNFTにすることもできます。売れそうです。私は買います。

 また、災害で変わってしまった、あるいは戻ることができないコミュニティーの文化や風景も同様に世界に発信できます。

 アカウントさえあればSNSに写真を上げるのと同じくらい簡単ですが、ただ、このアカウントを作るのが面倒です。その辺りはしっかりサポートする体制をつくり、誰でもどこでも活用につなげられればいいと思います。必要な支援を積極的にしてくださいませんか、大臣。

武藤国務大臣 済みません、長良川と私の郷土のすばらしい山紫水明のところを御紹介いただきましてありがとうございます。

 NFTについて、これは電気との関係ということで御質問をいただいているということで御承知をしているところですが、大変面白いところをまた御紹介いただきましてありがとうございます。

 電気につきましては、需要家に再エネ電気を販売する際に、委員御指摘のNETを始めとしたブロックチェーン技術を活用し、再エネ電気が生み出された発電所の場所ですとか、また発電された時間等の情報を付与する取組が一部の民間事業において行われているものと承知をしているところであります。これは、電気の需要家の多様なニーズに対応して再エネ電気を供給しようとする大変興味深い試みであるということを認識しているところであります。

 経済産業省として、様々な取引においてNFTの活用可能性を広げるため、NFTを活用した商取引についての実務上の留意点であるとかNFT活用のメリットを検証する実証事業などを進めてきたところであります。

 今後とも、再エネ電気の取引実態や需要家のニーズ、またブロックチェーン技術の動向等をよく注視しながら、必要な対応を検討してまいりたいと思っております。

佐原委員 ありがとうございました。

 グリーンエネルギーを使いたいという企業もたくさんあるんですよね。そのことが企業イメージにもつながりますので、これからどんどん広がっていくのではないかと思いますが、先ほども申し上げましたようにアカウントを作るのが大変なので、そういう場所というか、省庁などが出向して、市役所などにそういう場所をつくっていただけるといいなと思います。具体的なそういう支援を是非考えていただきたいと思います。

 被災地の支援についてお伺いいたします。

 能登半島の被災地の救済対策、なりわいの再建への支援は、現地の現場の皆さんの声をしっかり聞き取り、地域のコミュニティー存続を尊重し、全省庁連携して行ってほしいところです。これは能登に限らず、これまでも今後も被災地の再建においてやっていただきたい。

 例えば、輪島市の方のお話ですが、被災して職場も家も倒壊し、一旦輪島の会社を退社し、輪島を離れて金沢の親戚の家に避難しました、自己都合で会社を辞めると、失業保険の給付制限が二か月、来年度からは一か月あります、輪島に帰ってやり直そうとしても、仕事がないので帰る決心がつかない、すぐに失業保険がもらえるなら、まずは帰ろうと思えた。

 境遇は人それぞれですが、ふるさとに戻って働きたい人をしっかり支援してください。失業保険は厚労省の管轄と思うんですが、是非武藤大臣から働きかけて、省庁連携してやっていただきたいなと思います。

 なりわいを再開させる支援を受けるとしても、そのほかに、保険のこと、損壊した家の手続など、手続を必要とすることがたくさんあります。所管が違うから、毎回書類や資料集めに記入、提出と走り回って疲弊してしまう、結局諦めてしまうとか、どれを欠いてもなりわいの再スタートをすることができない、こういう経験談はほかの被災地でもありました。

 単体ではなく、生活をトータルに立て直すという視点で支援するべきではないでしょうか。経験を無にすることなく、関連する省庁としっかり連携して、もっと分かりやすく、やりやすい支援というものをしていただきたいと思うんです。

 被災地の負担を支援するシステムを構築していただけますか。失われた人生を再び取り戻すための支援は国の責務だとお思いになりませんか。御質問します。どうでしょうか。

武藤国務大臣 能登の案件につきましては、大変、そういう意味では、石破総理中心に、今おっしゃったような、私ども経産省だけではなくて、厚労省だったり国交省だったり、復興庁も含めて、様々な役所が横の連携を密にしながらこれは対応していかなきゃいけない話です。参議院の方でもよく御党の代表からも御質問いただいておりますけれども、しっかり対応させていただきたいと思います。

 経産省としての御答弁も用意させていただいておりますけれども、一年を能登半島地震から過ぎたところでありまして、被災事業者の皆様の置かれた状況は様々であります。早期に支援施策を活用しながら復旧された方がいる一方で、引き続き、インフラですとか町づくりなどの状況を踏まえ、再建を検討されている方々も多くいらっしゃるのも認識しておるところです。

 経済産業省といたしましては、昨年度の予備費、また今年度の補正予算にて各種支援策を措置してまいりました。例えば、本格復興に向け、中小企業等の施設等の復旧を支援する、特になりわい補助金とよく言われているものですけれども、現在、九百八十七件の交付決定を行ったところです。また、被災した小規模事業者の販路再開のために持続化補助金というものがありますけれども、二千二百七十件を採択させていただいたところです。

 引き続き、こうした支援策等も活用しながら、被災者に寄り添いながら、各省とも連携をしながら、能登地域の復興に全力で取り組んでまいります。

佐原委員 ありがとうございました。

 すばらしい御答弁をいただきまして安心いたしました。ありがとうございます。

 余談ですが、先ほどの案件で、私、先日、半導体開発に長く携わられた方からお話を伺ったんですが、今は老齢でおうちにいるんだけれども、今なおノウハウ、知識、技術を持つちょっと御高齢の方がいらっしゃる、彼らの能力を使っていくというのがいいのではないか、そのちょっと老齢の方と若者を一緒に働かせることによってその技術の継承ができるのではないかなというふうな御提案をいただきました。私の浅い知識ですけれども、確かにお給料が高かったと、昔、海外に移転していった人たちは。だから、コストとただみなすのではなくて、その人の能力等を評価した給料体系をつくってほしいなということを言っていらっしゃいました。

 また再び日本が半導体でリードをしていくことを願って、御質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

宮崎委員長 次に、辰巳孝太郎君。

辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。

 今日はオンラインカジノ、そして万博についてお聞きしたいと思います。

 カジノは刑法で禁止をされている賭博ですけれども、これは法律で違法性が阻却をされているということになっております。したがって、IR、カジノは合法ということなんですが、オンラインカジノは違法ということになっております。

 この違法なオンラインカジノの利用者が急増しているということで、警察庁は実態を把握するために委託調査を行って、この度、驚くべき結果が出ております。

 確認しますけれども、この調査の背景、目的、推計利用者あるいは賭け金、そして市場の推計、紹介していただけますか。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の調査研究につきましては、オンラインカジノが社会問題化している現状を背景といたしまして、オンラインカジノの利用実態やサイトの情報を把握し、今後の捜査や対策に活用することを目的に実施したものでございます。

 本調査におきましては、国内におけるオンラインカジノサイトにお金を賭けた経験のある者が、推計でございますが約三百三十七万人、このうち現在も利用している者は、推計でございますが約百九十七万人、一年間における一人当たりの平均賭け額は約六十三万円、国内における年間賭け額の推計は総額で約一兆二千四百二十三億円との結果が判明したところでございます。

辰巳委員 なかなかすごい推計、数値が出ていると思うんですよね。

 続けてお聞きしますけれども、このオンラインカジノに対する検挙の実績、また利用者の違法性の認識、そしてなぜそう認識していたのかという理由についてもお示しいただけますか。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 警察では、オンラインカジノを含むオンライン上で行われる賭博事犯につきまして、これまで、賭客につきましては賭博や常習賭博で検挙しているほか、オンラインカジノの運営に関与していた国内の決済代行業者や、オンラインカジノを宣伝することにより獲得したユーザー数に応じて報酬を受け取っていたアフィリエイターなどを、常習賭博や常習賭博幇助、組織犯罪処罰法違反で検挙しているところでございます。

 また、御指摘の実態調査のための調査研究におきましては、違法性を認識していなかった人の割合は約四四%、違法性の認識がない理由として最も多かった回答といたしまして、パチンコや公営ギャンブルなどがあるからが約三六%に上ることが明らかになっております。

辰巳委員 要するに、今答弁あったように、駅前や商店街に行けば、遊技という名の、ある意味ではギャンブルがあふれているわけですね。公営ギャンブルにしても今やネット販路が圧倒的でありまして、経産省管轄の競輪などでは、もう八割あるいは九割ということになっております。

 このオンラインカジノ起因の借金経験なんですが、これは、ありというのが四六%で、約半分なんですよね。十代になりますと六一%がオンラインカジノ由来の借金をしているということなんです。低年代ほど多い結果となっております。ギャンブル依存症の自覚はありますか、そう思う、少しそう思うと合わせて六割に上っております。

 オンラインカジノサイトにアクセスしたことがあると答えた人のうち、七五%がお金を賭けているということも分かりました。つまり、日本でこういうサイトに行ってしまいますと、高い確率で犯罪を犯してしまうということになっちゃうわけですね。

 日本からのアクセスが最も多いとされるサイトにベラジョンというものがあるんですけれども、これは無料版と有料版で別々のサイトになっているんですね。アドレス、IPサイトが違うんですけれども、単にサイトでベラジョンと打って検索しますと、まず一番上に出てくるのは有料版なんですよ、私、確認しましたけれども。

 AIが示す、関連する質問というのが幾つか出てくるんですけれども、その質問の一番上に出てくるのが、こうあるんです。ベラジョンカジノのサイトは安全ですか。ここをくっとクリックしますと回答が出てくるんですけれども、その回答には、ベラジョンは、キュラソー政府、オランダ領のライセンスを取得したカジノで、コンプライアンスを完全遵守の上、運営されていますと出てくるんですよ。続けて、ゲーム内でプレーヤーが行うやり取りは、二百五十六ビットSSL技術を用いて、全て暗号化されており安全性は抜群です。こう出てくるわけですね。

 ライセンスは日本ではありませんので、その意味について合法か違法かと言われたら合法なんですけれども、単にサイトに行って検索をして、ベラジョンと打って出てきたら、これはもうやっていいんだ、オーケーなんだと、非常に誤認するような結果が出てくると思うんですね。有名なプロスポーツ選手が広告塔もなっておりまして、そういう誤認のケースというのもかなりある。先ほどありましたように、違法賭博の幇助罪に問われる危険性もあるということであります。

 ですから、先ほども申し上げたように、そもそも、違法としていなかった理由で、パチンコとか公営競技があるからということが最多だったと思いますけれども、政府として、IR、カジノですけれども、解禁していくわけですよね、つくっていくわけですけれども、やはりそこにも同時に誤認を生じさせるということが言えるんじゃないかと私は思います。我が党はカジノには反対の立場であります。

 今回の調査で少し気になったことがあります。それは、このリストアップされているサイトの幾つかには、スポーツベッティングが同時にできるサイトも含まれているんですね。スポーツベッティングというのは、スポーツ賭博のことなんですけれども、昨年、アメリカ大リーグの大谷翔平選手の通訳が、大谷選手の口座から不正な送金を行ったとして銀行詐欺などの罪に問われているものであります。今、経済界のみならず、このスポーツベッティングの解禁を政府自身が検討してきたのではないか、ここについて確認をしていきたいと思うんですね。

 二〇二二年の文科省のスポーツ基本計画では、こうあるんですよ。「国は、NFTやベッティングなど、デジタル技術の発展により新たに可能となったスポーツ関連ビジネスについて、国内や海外の状況を調査するとともに必要に応じて我が国での事業化に際しての法的な整理も含めた検討を行う。」。

 文科省、スポーツベッティング、検討しているんですか。

武部副大臣 スポーツベッティングについては、現在、文部科学省において導入を検討しているということはありません。

 現状においては、まず、スポーツ選手が違法な賭博に関わらないようにすることと、スポーツ団体や選手等に対するコンプライアンス教育の徹底等を進めることが重要であると考えており、スポーツ関係団体とも連携しつつ、そうした取組を進めていきたいと考えております。

辰巳委員 ちょっと今の答弁なんですけれども、このスポーツ基本計画にあるのは、「法的な整理も含めた検討を行う。」なんですけれども、法的な整理、この検討はされているんでしょうか。

武部副大臣 先ほども申し上げたとおり、文部科学省においては検討はしておりません。

辰巳委員 これからも検討しないという認識でよろしいでしょうか。

武部副大臣 スポーツ振興につきましては、スポーツ基本法の趣旨にのっとって取り組む必要があります。その上で、個別具体な振興施策については、各時点において適切、有効と考えられる施策に取り組むことが重要と考えております。

 このため、将来の振興施策の可能性について現時点において断定的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、その上で申し上げますと、現時点において、御指摘のスポーツベッティングの導入について、文部科学省として検討を行っている事実はなく、また、その予定もございません。

辰巳委員 現時点においてというのが何度も出てくるので、非常に心配になるんですけれども。

 文科省がやはりこういう賭博についての検討をやるべきじゃないと思いますよ。これは将来にわたってやらないという姿勢を取っていただきたいと思います。これは文科省だけじゃありません、経産省はどうか。

 今日、資料にもつけましたけれども、二〇二一年の六月に、経産省の地域×スポーツ産業研究会第一次提言には、スポーツベッティングを活用した新しい資金循環の可能性という言葉が躍りまして、世界のスポーツ産業は、こうしたスポーツテックの進化によってデジタルトランスフォーメーション、DXが進むスポーツベッティング市場を活用して、どのような成長軌道を描き始めているか、それがどのような効果を社会に与えているか。我が国も、この点について目をつぶることなく、世界の趨勢をよく注視して考え続ける必要があろう。海外のスポーツベッティングというサービスは、社会のDXを大前提にした環境の下で、一層の不正防止や依存症対策への有効性を増す努力が進んでいる現状を認識する必要もあろう。経産省の資料の中にこう書いてあるんですよね、続けて。

 さらに、自民党スポーツ立国調査会スポーツビジネス小委員会による提言を引用しているんですね。

 この引用を言いますと、欧米のスポーツ産業では、DX化されたスポーツベッティングがスポーツコンテンツの価値を増し、スポーツ産業の拡大に寄与している。英国では、市場の九割以上をオンラインベッティングが占め、税収は年間九百億円にも及ぶという。我が国でも、DX化されたスポーツベッティング市場がスポーツ産業に与えているインパクト、スポーツ界に与える影響、及びスポーツベッティングをめぐる文化的、社会的背景など外縁についての理解を深め、その活用の可能性について検討することも有益と思われる。

 そして、経産省はこう結んでいるんですよ。

 この自民党提言からも読み取れるとおり、日本におけるスポーツ産業の新しい資金循環や人材循環をつくり出し、トップスポーツの成長と地域スポーツの成長を車の両輪で回すための仕掛けが必要であろう。

 一政党の提言を、なぜ行政機関である経産省がわざわざ読み取ってここに記載しているのかというのは非常に疑問があるんですけれども、経産省、これは解禁する方針なんですか。

武藤国務大臣 今委員がおっしゃっていただいたように、経済産業省の有識者会議、地域×スポーツクラブ産業研究会、二〇二一年でありますけれども、この第一次提言において、スポーツベッティングに関して、欧米で財政に貢献した事例紹介等の形で触れていたということだろうと思っております。導入に向けた検討を行ったものではございません。そして、今も検討していないというところであります。

辰巳委員 聞いてみますと、経産省より文科省の方が何か前のめりのような気もするんですよね。経産省、大臣としては検討しない、していないし、しないということだったと思いますね。

 大阪、夢洲で造られるカジノ施設でのこのスポーツベッティングが、じゃ、どうなるのか、これはできるのかというところで、ちょっと確認をしたいと思うんですね。

 カジノ管理委員会、来てくれて、済みません、今井絵理子政務官ですけれども、カジノ管理委員会としては、このスポーツベッティング、夢洲のカジノでは解禁されるんでしょうか。

今井大臣政務官 お尋ねの、いわゆるスポーツベッティングについては、カジノ事業者が自ら実施し、公平性を確保することが困難であることから、認めることは適切ではないとされていると承知しております。

 その上で、制定されたIR整備法及び同法施行規則においては、カジノ行為の種類については、社会通念上相当と認められるものを規則で規定しており、その中には、いわゆるスポーツベッティングは含まれておりません。したがって、カジノ施設の中でカジノ行為としてスポーツベッティングを実施することはできないと承知しております。

辰巳委員 今ありましたように、今のカジノ管理規則ではスポーツベッティングがありませんので、これは、今のカジノの管理規則ではスポーツベッティングはできないというのはそうなんです。

 ただ、IR整備法制定時のパブリックコメントに対して政府が回答しているんですけれども、ここにはこうあるんですね。

 単純な顧客同士の賭けやスポーツベッティングについては、カジノ事業者が自ら実施し、公平性を担保することが困難であることから、認めることは適切でないと考えております。しかしながら、単純な顧客同士の賭けではなく、ゲームの公正性の確保の手法が諸外国では確立されている場合等はゲームの実施が認められる可能性はあると考えております。こうあるんですよ。

 つまり、ゲームの公正性の確保の手法が諸外国で確立されているとみなせばスポーツベッティングが認められる、そういうことになるんじゃないでしょうか。

今井大臣政務官 御指摘のありましたパブリックコメントへの回答において、いわゆるスポーツベッティングの実施については、先生御指摘のように、カジノ事業者が自ら実施し、公平性を確保することが困難であることから、認めることは適切でないとしつつも、ゲームの公正性確保の手法が諸外国では確立している場合等はゲームの実施が認められる可能性はあると考えておるということは承知しております。

 しかし、その上で、スポーツベッティングについては、IR整備法令において、カジノ事業の中で実施が認められるカジノ行為には含まれておらず、また、現時点においても、カジノ行為の種類及び方法を変更するということは検討しているものではないと承知しております。

辰巳委員 何か堂々巡りな感じがするんですよね。

 今の規則では認められていないのはそのとおりなんです。しかし、諸外国で公平性、公正性が認められるということを政府自身が認めてしまったら、これはカジノの中で、規則を変えることはできますからね、スポーツベッティングを認めるということになるのではないか、その懸念がやはり拭えないというふうに思います。

 ベッティングということになりますと、先ほどあったように、オンラインカジノではベッティングは違法なんだといいながら、カジノの施設ではやってもいいということになると、やはり矛盾が広がってしまうということになりますので、これはやめるべきだということを改めて言いたいというふうに思います。

 万博問題に移りたいと思います。

 大阪・関西万博を運営する万博協会は、三月十日、大屋根リングが海水と接している部分の護岸計一・一キロのうち六百メートルで、浸食被害を確認したと明らかになりました。何でこんなことが起こったんでしょうか。

武藤国務大臣 大阪・関西万博会場の南東部分に位置するウォータープラザ護岸の盛土の一部で浸食が確認されました。

 博覧会協会からは、ウォータープラザ、そしてつながりの海への注水後に、風の影響により水面の波が発生したことなどが原因と考えられていると報告を受けているところです。

辰巳委員 カジノ管理委員会は、もう退席していただいて結構でございます。

宮崎委員長 それでは、退席して結構です。

辰巳委員 今大臣、ありましたとおり、波でやられたという話なんですよ、浸食したという話なんですね。

 だけれども、夢洲というところは、毎年のように台風の通り道になっているようなところなので、波を想定していないということそのものがちゃんちゃらおかしな話なんですね。何で台風のケースを想定していなかったんでしょうか。

茂木政府参考人 まず、委員から御指摘ございましたが、このウォータープラザも含めたここは、海水には接触しておりません。これは、埋立ての中の敷地の中にある池という形になりますので、まず、海水に接触していないということは最初に申し上げたいと思います。

 その上で、今御指摘があったとおり、先ほど大臣から申し上げましたウォータープラザとつながりの海というのは、埋立ての中の敷地の中にあるわけですが、そこに注水をするに当たりまして、先ほど申し上げたように、海に接触しておりませんので、かつ、深さも一メートル弱ということでありますので、当初、静水面に近い状態であるということを想定しておりました。

 ただ、実際に注水をしたところ、広い水面がございますので、想定よりも波があったということで、護岸の浸食が進んだというふうに聞いております。

辰巳委員 いや、ですから、台風が来れば波も起こるじゃないですか、海水じゃなくてもね。そういうことを想定していないことが余りにもずさんだということなんですね。

 この万博については、文科省が全国に通知を出しておりまして、是非遠足を検討してください、そういう通知を出しているんですけれども、事大阪におきましては、この遠足辞退、遠足を辞退するということが相次いでおります。分かっただけでも、大阪だけで大体十万人ぐらいの児童生徒が万博への遠足を取りやめたということでございます。

 小学校の指導要領の解説には、ちゃんと現地調査を行って、安全確認をしなさいということになっているわけなんですね。ただ、この安全確保についてちゃんとできるのかということで今懸念が示されておりまして、どんどん辞退が広がっているということでございます。

 これは文科省自身が、ガス爆発もありましたので、会場は安全だと認識しているんでしょうか。

武部副大臣 多くの子供たちが安心して万博に来場していただくためには、事故の防止や安全確保を徹底することは、来場に当たっての不可欠の前提であると認識しております。

 これまでも博覧会協会において、メタンガス対策を含め、会期中の安全対策を講じていると承知しております。その上で、文部科学省としても、学校への安全対策に関する情報提供に協力してまいりました。

 文部科学省としては、引き続き、安全確保の徹底について、関係省庁を通じ要請するとともに、都道府県教育委員会等に対する必要な情報の提供等についても関係省庁と協力して対応してまいりたいと思います。

辰巳委員 いや、私は、文科省自身が安全だと、確認するだけじゃなくて、自ら足を運んで、本当にここは安全かどうかということをやった上で通知をするべきだと思いますよ。

 そもそも、この夢洲はごみの最終処分場なんですよ。本来はこんなところで、巨大イベントというのはやっちゃ駄目なところなんですよね。

 今日は環境省からも副大臣に来ていただいていますけれども、改めて、まだ廃棄物が運び込まれているような区域でこういった巨大イベントが行われた例というのはあるんでしょうか。

中田副大臣 お答え申し上げます。

 環境省において、今御指摘いただいたような廃棄物の埋立てが行われている場所における催しということについては、これは網羅的に把握をできている状況ではありません。把握をしておりません。

辰巳委員 ないんです。ないんですよ、こんなところは。こんなところは日本に一つもない。ごみが運ばれているところで巨大イベントをする、そして、そのごみから発生したメタンガスの引火で爆発事故が起こってしまいました。

 大阪民主新報という新聞があるんですけれども、この新聞で報道されたことによりますと、大阪のある学校の入学説明会で、来年度の遠足は万博ですと教頭先生が報告すると、保護者からどよめきが起こり、教頭先生が絶望的ですよねと応じたと報道されております。安全とは言えないということで、地元の学校から遠足を取りやめる事例が相次いでおります。こんなのは前代未聞やと思います。

 大阪府の吹田市では、小学校、中学校が学校行事として訪れるに当たり最も配慮すべき事項として、この安全確保の具体的な方策を教育委員会から府の教育庁に対して要請してきましたけれども、特に留意すべき児童生徒の昼食場所及び待機場所での熱中症対策や安全に団体行動をするための動線及び点呼、待機場所の確保が不十分であるという見解に至りました。なので、万博遠足はやめます、こういう資料も出されております。

 熊取町というところでは、保護者に宛てた文書で、教員の下見も四月以降で十分な事前の対策が難しい、さらに、運営面では、見学するパビリオンと見学時間帯が指定されることになっており、しかしながら、バス到着の遅延などがあった場合、パビリオンの見学変更など柔軟な対応が講じられるかどうか不明な状況というふうに記して、万博遠足の中止ということを決めております。

 こんな危ないところに子供たちを連れていく大阪・関西万博は中止すべきだということを最後に述べて、質問といたします。

 以上です。ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 有志の会、吉良州司です。

 本論に入る前に少しだけ前口上を聞いていただきたいと思います。今日は、エネルギー安全保障、電力の安定供給ということを中心に議論をさせていただきたいと思っているんですが。

 私は、一九七六年に大学に入学して、八〇年に卒業、社会人になったわけですけれども、大学在学中に衝撃的なレポートがあった。ここの中にも御承知の方もいらっしゃると思いますけれども、ローマ・クラブの報告というのが出まして、その当時、人口爆発というか人口増加とそれからエネルギー消費の増大によって化石燃料が枯渇する、それも二十世紀のうちに、そういう衝撃的なレポートが出ました。

 私は、仲間と一緒に国際政治経済研究会みたいなものをつくっておったんですけれども、資源小国日本がそういう中で一体どうやって生きていくんだ、生き抜いていくんだということを考え、資源、エネルギーの確保、これはもう日本が生きていくために絶対条件、そういう意味で、私自身は、その資源、エネルギーの安定確保をしている会社、業種、そして、安定的に輸入するためには外貨を稼がなきゃいけない、日本で作ったものを輸出して外貨を稼いで、生きるための資源、エネルギーを買う。そういうことで、私自身も商社に入ったという経緯があります。

 そういう意味で、私自身にとって、この資源、エネルギーの安定確保、安全保障、これはもうライフワークになっておりまして、それがゆえに、私、二〇〇三年十一月、初当選なんですけれども、その後の最初の質問、二〇〇四年二月の予算委員会での質問のテーマは経済安全保障です。その中で、資源、エネルギーの安定確保と、それからもう一つ、レアメタルの安定確保、そして備蓄についてということをテーマに、もう二十一年前ですけれども、質問をしたという経緯があります。それだけ、私自身はこの資源、エネルギーの安定確保というのが重要だと思っています。

 最近、政府の方でも、経済安全保障の重要性というものを押し出しています。その中で、例えば、機微情報の海外への流出を防ぐとか、軍事転用を回避する、そういうような経済安全保障というものも当然打ち出されていまして、それを全く否定するものではありませんし、重要だと思っていますけれども、私は、経済の安全保障といったときには、今言った、日本が生き抜いていくために必要な資源、エネルギーの安定確保、これがもう圧倒的な優先順位ナンバーワンだと思っております。

 そういう中で、電力の安定供給ということで、先ほど言いました議論をさせてもらいたいんですが。

 野党席から石が飛んでくるのを恐れるんですけれども、私は、再エネが主力電源化していくということについてのリスク、そして、それがゆえに、将来的に核融合発電、フュージョンの実用化を急ぎ、それを普及させていくことの必要性、そしてフュージョンがきちっとインハンドの技術になる間は、原子力発電の、もちろん安全性を確認した上での稼働が必要だというふうに思っていまして、その観点で、今から申し上げる事例のときに政府としてどう対応するのかということをお聞きしたいんですね。今私が申し上げたことが問われる質問になります。

 まず、昨今の気候変動を踏まえますと、例えば、日本の六月の梅雨の時期、一か月間、一度も太陽がお目見えしないということが起こり得る。現に今も、太平洋側は晴れはありますけれども、日本海側はもうほとんど雪、太陽が出ていない、こういうことが起こり得るわけですね。

 そして、もちろん今、再エネは、そういうときに備えて、火力が調整電源としてそこを補っています。ただ、やはり地球温暖化対策の中で化石燃料が目の敵にされ、化石燃料を使った火力発電が目の敵にされているという状況の中で、投資家からしてみると、投資予見性、投資の回収見込みが必ずしもつかないということで投資をためらう。火力自体がやはり減退していってしまう。そうしていくと、再エネが増えても、今言った、一か月間太陽がお目見えしないというときに、調整電源すらままならないことになってくる。

 よく、こういう話をすると、いや、蓄電池の開発をしていけばいい、普及させていけばいいという話があるんですけれども、蓄電池というのは、発電した電気をためて何ぼのものですから、さっき言った、一か月間太陽が出ないというときの、太陽光ではもうそもそも発電ができない、ためる電気が出ないということが出てきます。

 そういう中で、第七次のエネルギー基本計画の中でもウクライナ戦争のことを触れられていますし、中東の緊張についても言及されているんですけれども、御承知のとおり、今、アメリカがイエメンのフーシ派に攻撃をしかけている、その前はサウジアラビアがやはりフーシに戦争というか、やはり攻撃をしていた。そして、イスラエルはイランの核施設を攻撃しようという計画がある。

 こういう中で、今言った梅雨の時期に、一度も太陽がお目見えしないようなときに、中東でサウジとイランが事を構える、戦争を起こす、イスラエルとイランが戦争を起こす、ホルムズが閉鎖される、こうなってくると、化石燃料の、石油あたりは大宗は輸入できない状況になってくる。天然ガス、石炭については、これまでの努力によって供給源の多様化はされていますけれども、それでもやはり輸入途絶が起こる。場合によっては、今まで友好関係にあったところも背に腹は代えられないということで日本への輸出を拒む可能性もある。価格が高騰して、取り合いになって、買い負けて確保できない可能性もある。仮に買えたとしても、ばか高いものを買わざるを得ない。

 こうなったときに、私、今言いました第七次のエネルギー基本計画を見たときに、そういう最悪の事態に四割から五割を再エネにするという計画、その中でも、見る限りは……(発言する者あり)いやいや、分かっていますよ、そんなもの。そんなことは分かっているって。太陽光が大宗を占めている。この中にも、二三から二九%は太陽光ということになっている。こういう状況のときに、太陽光で発電するはずであった、それを前提にベストミックスを組んでいる。その発電できない太陽光をどうやって補うんでしょうか。

 今言いましたように、石油火力については、百八十日の備蓄があるので一定程度発電はできる。石炭についても、サイトに一定程度の在庫がある。けれども、一か月も続いたらとてももたない。天然ガスについては、事実上LNG船が備蓄基地みたいなものですけれども、LNGについてもやはり限界がある。今言いましたように、そういうダブルで危機が襲ってきたときに、太陽光発電で発電するはずだったその電源、どうやって補うんでしょうか。

武藤国務大臣 吉良委員と誠に、エネルギーのいわゆる体制づくりというところへの問題意識というのは大変共有するところでありますけれども、今御質問いただきました太陽光とか、ちょっとそういう意味でも、日が出ませんとか中東で何か問題が起きましたというところでどういう形になるかというところなんですけれども、電力の安定供給を確保する、これはSプラススリーEという大原則の中で我々も、先生もそうだと思いますけれども、やっておりました。

 電力需給の見通しを把握して適切に供給力を確保することが、何よりこれは必要だというふうに思っておりますし、その際、天候等によって再エネが発電しない状況と燃料の輸入途絶が同時に発生する可能性は否定し切れないと考えております。そのため、仮にこのような状況となった場合には、原子力、火力など、国内で稼働可能なあらゆる電源を活用するとともに、燃料に関しましては、今の戦略的LNG余剰制度あるいは事業者間のLNG融通スキームの活用、そして需要サイドにおけるデマンドレスポンスの実施等を通じて、安定供給を確保していかなきゃいけないということになるんだと思います。

 これらの対応を講じてもなお供給力が不足する見通しとなった場合には、節電要請等の需要抑制策を講ずる可能性があります。

 実際、近年の需要逼迫事例としては、二〇二二年三月の福島県沖の地震後の発電設備の停止、また、太陽光の供給力低下、寒波による需要増加等を要因とする逼迫ですとか、二〇二二年、また同じ年の六月の記録的な暑さによる需要増加等を要因とする逼迫等がありました。

 これらの対応として、火力発電所の増出力運転や他エリアからの電力融通、需給逼迫警報、注意報の発令など、あらゆる手段を講じて安定供給の確保を図ったところであります。

 引き続き、エネルギー基本計画で示した方針に基づいて、電力の安定供給確保に向けた取組を進めなければならないと思っております。

 島国であるという地勢的な日本の大きな問題、それを誠に委員と共有するところですので、また御指導お願い申し上げたいと思います。

吉良委員 ありがとうございました。

 先ほど、こちらの席から太陽光だけじゃないという話がありましたけれども、ヨーロッパに旅行というか行って、例えばウィーンからスイスに列車で行っているときに、左側に巨大な風力発電の森みたいなものがある。そこはもう、日本の半島とかに建っている風力というのは、時々回っているって飛行機から見てうれしくなるんですけれども、オーストリアのあの風力発電はもうほぼ全部回り続けている。それぐらいヨーロッパというのは西風が、オーストリアというのは内陸部まで風が通っていくんですよね。

 ところが、日本はそうじゃない。ですから、そういう意味で、太陽が出ない、風が吹かない、そういうときでも国民生活と事業の継続を担保するためにどうしなければいけないか。今大臣がおっしゃったことが今現在考えられる、また、やれることなんだろうと思いますけれども。

 私自身は、再エネの中でも、当然、水力はいいし、地熱は、これまでも出ていますけれども、これは開発の余地がある。世界第三位の資源を持っているということから、そこを拡大していく必要があると思うんですけれども。先ほど言いました、融通し合うという答弁がありましたけれども、全国的にそうなった場合、今言った天候不順からですね、そうなった場合には融通すらできなくなりますので、そういう意味では、私は原子力をもう少しベストミックスで増やしていくということが必要なんじゃないかと思っている。

 ただ、やはり福島事故を受けて、国民が心配している原子力を拡大していく、それも未来永劫拡大していくということについては私も否定的な見解を持っています。だからこそ、より安全性の高いフュージョンへの移行、それを加速する、そのための投資をしていく。そして、そのつなぎとして、今言ったいかなる状態になっても、自前電源として発電できる原子力を有効活用していくということをお願いしたいと思っています。

 それと、さっき、私自身の言葉で化石燃料が目の敵にされているとは言いましたけれども、天然ガス発電については、トランジション期間も、それから今現在理想とするベストミックスになった後も、ピーク電源として、調整電源として必ず必要になってきます。そういう意味では、LNG発電を一定程度確保するためには、エネルギー計画にもありますけれども、LNG開発をしていかなければいけない、そうしないと価格が高騰しますので。

 その際に大事なことは、ちょっと詳細は時間がないので申しませんけれども、LNG開発の、実はプロジェクトが成立する一番の肝は、二十年なら二十年潰れずに必ず引き取り続け、払い続けるという体力のあるオフテイカーが必要なんですね。日本でいえば、今現在、やはり旧一電になります。

 だから、そういう意味で、システム改革が、まず発電、送電、配電を分離したこと、ここ自体が、私は日本の国情を見たときには問題だと思っています。ただ、なかなか後戻りすることはできないかもしれない。でも、少なくとも、発電と発電に必要な電力については、東京電力と中部電力がJERAというのをつくって、そこを補おうとしていますけれども。

 私、一つ、東京電力のエージェントでも何でもないですけれども、この関東圏、首都圏の電力を担う東京電力が、今言ったオフテイカーとしては一番重要になってきます。特に、日米首脳会談で、アラスカ天然ガス、これは千三百キロのパイプラインもあり、本当に望む価格で引き取れるか分かりませんけれども、仮にその範囲に入った場合には、じゃ誰が日本の中でそのオフテイカーになり得るかといったら、第一に東京電力だと思っています。

 そういう意味では、東京電力の今の在り方を、もう少し体力を東京電力につけさせて、オフテイカーとしての役割、そして安定供給ができる、そういう体制にしていかなければならないという問題意識を持っています。この点についての大臣の見解をお伺いします。

武藤国務大臣 幾つかいろいろな御質問もあったと思いますけれども、フュージョンについては同じ気持ちですので。あと、この前、生成AIを使ったら、何かアメリカがやけに開発が早くなるというような情報も聞きましたところもありますから、また御指導よろしくお願い申し上げたいと思います。

 そして、今の電力システムの改革と言った方がいいかもしれませんけれども、御答弁させていただきますが、安定供給の確保、そして電気料金の最大限の抑制、また需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大を大きな目的としてこれまで進めてきたところであります。これが電力システム改革ですね。これを実現するため、小売の全面自由化を行うとともに、発電、小売事業者が公平に送配電網を利用できるよう、送配電事業者の法的分離を実施したというのが過去の経緯です。

 その結果としまして、多くの小売事業者が参入して、再エネメニューなど需要家の選択肢が拡大したこと、また、発電部門で燃料の購買力の向上につながるような大規模な事業再編が行われたことは、一つの成果だというふうに認識をしているところです。

 一方で、先生の問題意識と多分同じだと思いますけれども、政府の審議会で電力システム改革の検証を行う中で、発電事業者の収入の予見可能性が低下をし、電源投資や長期の燃料確保のインセンティブが低下している、また、自然災害等に備えたレジリエンスを強化をし、電力の安定供給を確保するためには効率的な系統整備が重要といった指摘もいただいているところであります。

 委員御指摘の点を含めて、検証で明らかになった課題を真摯に受け止めながら、今後、電源投資やあるいは系統整備の円滑化等に向けた制度整備を進めていきたいというふうに思います。

吉良委員 大臣の答弁の中でも、システム改革はいい点もあったけれども課題もあるという認識だと思いますけれども、私に言わせれば、安定供給が危うくなった時期もある。先ほど大臣もおっしゃいました、二〇二二年三月、六月しかりだし、それから、料金がやはり燃料の高騰とともに上がってしまっている。これも達成できていない。

 確かに、需要家といいますか、ビジネスチャンスの拡大というのは、特に小売の面では出てきていると思いますけれども、私自身は、先ほど言いました、日本というのは対外的に、今言ったLNG開発をするにも、オフテイカーが安定していなきゃいけない。そういう意味では、発電事業者、新電力が幾ら束になっても、アラスカのLNGを引き受けますというのは、誰もファイナンスしませんから、プロジェクトは成立しませんのでね。

 そういう意味では、配電やよしですけれども、今言った発電、そして発電に必要な資源の確保、ここは逆に、さっき言いました体力をつけさせる、場合によっては旧一電の合併を促す、それぐらい体力をつけさせないと日本の電力の安定供給がままならないということを申し上げて、もう時間が来ましたので、また引き続いて議論させていただきたいと思います。

 終わります。

宮崎委員長 今日は、皆さん、雪降る中で大変お疲れさまでした。

 次回は、来る二十六日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五十四分散会


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