衆議院

メインへスキップ



第6号 令和7年4月2日(水曜日)

会議録本文へ
令和七年四月二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 宮崎 政久君

   理事 小泉進次郎君 理事 新谷 正義君

   理事 山下 貴司君 理事 荒井  優君

   理事 山岡 達丸君 理事 山崎  誠君

   理事 斉木 武志君 理事 丹野みどり君

      岩田 和親君    鬼木  誠君

      国定 勇人君    小池 正昭君

      坂本竜太郎君    島田 智明君

      鈴木 英敬君    関  芳弘君

      世耕 弘成君    西村 康稔君

      星野 剛士君    細野 豪志君

      松本 洋平君    宮内 秀樹君

      向山  淳君    東  克哉君

      大島  敦君    岡田 克也君

      落合 貴之君    小山 展弘君

      鈴木 岳幸君    田嶋  要君

      馬場 雄基君    福森和歌子君

      吉田はるみ君    東   徹君

      空本 誠喜君    村上 智信君

      岡野 純子君    平岩 征樹君

      西園 勝秀君    福重 隆浩君

      山口 良治君    佐原 若子君

      辰巳孝太郎君    吉良 州司君

    …………………………………

   経済産業大臣       武藤 容治君

   財務副大臣        横山 信一君

   会計検査院事務総局第五局長            長岡 尚志君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 小林  出君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小見山康二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田尻 貴裕君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 一成君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           奥家 敏和君

   政府参考人

   (経済産業省イノベーション・環境局長)      菊川 人吾君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        和久田 肇君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   経済産業委員会専門員   花島 克臣君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二日

 辞任         補欠選任

  鈴木 英敬君     国定 勇人君

  宮内 秀樹君     星野 剛士君

  吉田はるみ君     馬場 雄基君

  東   徹君     空本 誠喜君

  山口 良治君     西園 勝秀君

同日

 辞任         補欠選任

  国定 勇人君     鈴木 英敬君

  星野 剛士君     宮内 秀樹君

  馬場 雄基君     吉田はるみ君

  空本 誠喜君     東   徹君

  西園 勝秀君     山口 良治君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

宮崎委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官小見山康二君、経済産業省大臣官房審議官田尻貴裕君、経済産業省大臣官房審議官田中一成君、経済産業省大臣官房審議官奥家敏和君、経済産業省イノベーション・環境局長菊川人吾君、経済産業省商務情報政策局長野原諭君、資源エネルギー庁資源・燃料部長和久田肇君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長久米孝君及び外務省大臣官房審議官小林出君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長長岡尚志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮崎委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。関芳弘君。

関委員 おはようございます。自民党の関芳弘です。

 悪い癖で、しゃべり過ぎで声がかれてしまっておりまして、本当に聞き苦しくて済みません。いつもの悪い癖で、しゃべり過ぎております。

 それでは、質問させていただきます。

 今から十年後か五十年後か分かりませんが、産業技術の進展というものはすごいなと思います。もう車なんかは恐らく全てが自動運転になってしまっているでしょうし、町を歩いていても人型のロボットが人間と同じように歩いているような、そんな時代が来ると思うんですね。携帯電話も全然形が変わってしまっている。

 もっとも、大臣、今からちょっと一時間、月に私行ってお茶してきますとか、海底三千メートルまで一人で行って静かに本をちょっと一時間だけ読んできますとか、こんな時代が何年かしたら来ると思うんですね。でも、これには必ず必要になるものがあるんです。それが半導体なんですね。電子機器を全て動かすその根本ということでございます。

 そして、私が半導体に思いますのは、半導体を作れる国というのは、世界でも最先端の国で、限られております。その半導体を、世界の、世の中自身を動かす中心となる半導体を作る側になるのか、それとも言いなりで高値で買う国になるのか、もう一回言いますよ、世界中を動かす半導体を自ら作る国になるのか、言いなりで買う国になるのか、これが大きな大きな選択だと思うんですね。

 この半導体、今、日本では、国産の北海道のラピダスという会社をつくって、我々は自ら作る国になっていこうじゃないか、挑戦しようじゃないかと思っているわけでございます。

 そこに対する大臣の熱い思いを聞かせてください。

武藤国務大臣 おはようございます。

 関委員におかれましては、もう長い間、自民党の半導体議連の事務局長として大変汗を流されていることは、私も御一緒しておりましたのでよく存じ上げていますし、ちょっとそのお声では質問する方もつらいと思いますけれども、大事にしていただけるようお願い申し上げます。

 今の、ラピダスを始めとした次世代半導体の日本国内で製造する意義についての御質問をいただきました。

 まさに、ラピダスが量産を目指す二ナノの次世代半導体、これはDX、GXなど産業構造が大きくパラダイムシフトを迎えている中で、生成AIですとか自動運転等には不可欠なものであるのは、今委員おっしゃっていただいたとおりであります。経済安全保障上も重要でありまして、グローバルの需要も特に大きく増大すると見込んでいるところであります。

 このように、今後の経済、産業、生活に不可欠となる半導体を、今委員がおっしゃっていただいたように、他国に依存して購入していかなければ生きていけない国となってしまうのか、あるいは、日本の中でこれを生産することによって、国内に富を生み、世界にも貢献できるようになるのか、まさに今その分岐点にあるんだと私自身も委員と同じ意識を共有しているところであります。

 二ナノの次世代半導体の量産は、海外のトップ企業を含めていまだ実現に至っていない野心的な取組であり、これを諦めては我が国の国益を大きく損ねることになりかねない、こうした強い問題意識の下で、国として一歩前に出る形で本プロジェクトを推進しているところであります。

 よろしくお願いいたします。

関委員 武藤大臣、ありがとうございました。

 世界の言いなりで半導体を買わないといけない国になるのか、それとも自らそれを作っていく国に挑戦しようとするのか、本当に大きな選択、ラピダスは是非成功していただきたいと思います。

 私は歴史の本を読むのが好きで、ダイナミックな変革の時代というのは本当に熱いなと思うんですが、ちょんまげをしておりました江戸時代、そこからちょんまげを落として散切り頭になった明治の時代、「散切り頭をたたいてみれば文明開化の音がする」というふうな歌も歌われたようなことでございますが、その文明開化の、明治の初め頃、そのときの国家を、その世運を左右するものは何だったか。ペリー来航、蒸気船でございました。

 そのときの日本の国家の予算についてという本を読んだことがあるんですが、その蒸気船を初めて日本で造ろう、造っていこうじゃないかと、当時のつくりたての、できたての明治政府というのは、国家の予算の半分をつぎ込んで蒸気船を造っていったというんですね、これが日本の命運なんだと。すごい時代だったと思いますが、そういう志を我々も忘れてはいけないなと思います。

 そして、このラピダスのお話も、これは国家事業になってきます。民間の企業ではありますが、国家事業として国も応援する。国が応援するということは国民の皆様方の税金を使わせていただくわけで、国民の皆様方の意思として、この国家はラピダスを頑張っていこうじゃないかと、国民みんなの心、国民の皆様、皆様のその心意気も是非いただきたいところですね。

 そうなりましたら、ちょっと質問の順番を変えさせていただいて、最後に質問させていただこうと思っておりました五番目のところを先に、国の話が出ましたので、質問させていただきます。

 このラピダスに国が出資する場合です。

 国としても、出資する以上、適正ないわゆるガバナンスというのをラピダスには持っていただきたい。重要な経営権の決定とか若しくは拒否権まで持っておかないと、民間企業でございますから買収に遭ったりするようなリスクもあります。これを国家としても守っていかないといけない。

 そういうときに、やはり、いわゆる拒否権などを持つ株主として、黄金株を国なんかが持つというふうなこともまた考えていかないといけない項目の一つだと思いますし、これは、国家の命運が懸かるんだという事業とはいえ、民間の企業ですから、国民の皆様のお金を使わせていただいても、行く行くはその皆様のお金は返していきますよということで、公的資金の回収の観点から、適正なリターンを国民の方々には返していくというふうなことも将来また考えていかないといけないというふうなことはちょっと一つのポイントになると思います。

 ここら辺について、大臣、どうでしょうか。

武藤国務大臣 ラピダスに対して黄金株を持ってしっかり管理するべきではないかというような御趣旨だと思います。

 本案に基づき出資の対価として取得した株式の設計につきましては、公募を通じて選定された事業者の事業計画の内容や、次世代半導体等小委員会の意見等を踏まえて検討することとしております。

 現時点で、具体的な株式の設計はまだ決まっていないところでありますけれども、その上で、同委員会では、経営判断の迅速性等の観点から政府による過度な経営への介入を避けるべきだとしつつも、例えば、重要な経営事項に拒否権を有する、いわゆる先生おっしゃる黄金株も参考にしながら、経営に不測の事態が発生した場合に備えて適切なガバナンスを確保する必要があるとの方向性が示されているところであります。

 また、事業が成功した場合のリターンについては、民間出資を可能な限り促進する観点と、もう一方で政府出資の回収を図る観点の双方の観点から、適切な設計とする必要があると承知をしています。

 今後、こうした観点を考慮しながら、次世代半導体等小委員会の意見等も踏まえて、具体的な株式設計を検討してまいりたいと思っています。

 また御指導をよろしくお願いします。

関委員 ありがとうございます。

 やはり国の宝になっていってほしい会社でございますので、是非、会社に対するガバナンス、よろしくお願いしたいと思います。

 それで、二番目に当初やろうと思っていました質問に戻ってまいりますが、世界最先端の二ナノというちっちゃいちっちゃい半導体ですね、一ナノは一メートルの十億分の一という、こんなにもう目に見えないようなちっちゃい半導体を、GAA、ゲート・オール・アラウンドという世界で初めての形でやっていこうじゃないか、すごい挑戦だと思うんです。

 これをラピダスが作り上げたと、試作品がまた今月できるのではないか、今頑張ってくれていると思いますが、でき上がったとして、そのでき上がったものが実際に世界中に広まっていって売れていかないといけない。ここの売れていくところ、どのようにお客さんをつかんでいこう、ここの見通しについて教えていただきたいと思います。

野原政府参考人 ありがとうございます。

 半導体のグローバルな市場のうち、七ナノ以下の最先端領域の需要は、二〇二二年の約七兆円から二〇三〇年には五十三兆円まで、約七倍増以上のペースで伸びるというふうな見込みになっております。特に、ラピダスが二〇二〇年代後半に量産開始を目指す二ナノ以下の半導体についても、生成AIの普及、その利活用の拡大に伴って、市場規模は急速に拡大していくことが見込まれております。

 こうした今後の需要拡大を背景に、最先端の半導体のユーザー企業から、供給能力の拡大、供給元の多様化を求める声が強まっております。ラピダスがこうした需要に応えていくことが期待されているということから、顧客獲得も進展しております。

 具体的には、IBMがAI半導体の製造委託先にラピダスを活用するということを公にされております。その他、北米の新興半導体設計会社、テンストレント、エスペラントといった会社との連携も進んでおります。国内においても、ラピダスとプリファードネットワークスそれからさくらインターネットの間で、設計をし、日本のデータセンターにラピダスのチップを搭載していくということで、AI計算基盤の構築に向けた提携を発表するなど、着実な顧客の確保についての進展が見られております。まだ発表になっていない会社も、議論している会社がたくさんございます。

 世界的な半導体設計会社であるクエスト・グローバルとの提携も先日発表されたところでございます。TSMCの設計を担っている会社なんですけれども、同社が抱える幅広い先端半導体ユーザーへの顧客開拓も期待されておりますし、彼らは二万人の設計エンジニアを抱えていますが、ラピダスに無限に設計エンジニアを提供するということも表明されています。

 経産省としては、自動車、通信等の先端半導体の設計開発支援も行っておりまして、こうした取組を通じて、次世代半導体の将来的な需要の創出につなげていきたいと考えております。

関委員 ありがとうございました。

 売り先も心配ないということで私も思うんですが、本当に、デジタルトランスフォーメーションということで、DX化を進めようとか、データセンターをいっぱい造らないといけないとか、一番初めに何年か先の世界の、人型ロボットが町じゅうを平気で普通のように歩いていたり、自動運転の車が走り回ったり、月に行ったり海底にまで行ったり、こんな時代が来る中において、私は、ラピダスができ上がったとしても、供給するその半導体というのは今半導体を供給している世界中の会社だけでも足りないぐらいじゃないのかなと思うぐらいでございますので、是非、その獲得競争、負けないように頑張っていただきたいと思います。

 一方、我々は、台湾のTSMC、世界最高峰だと今言われておりますけれども、その台湾との、今申し上げた半導体を売っていくときには、世界最高のTSMCとラピダスは是非並び立ってほしいというぐらい頑張ってほしいわけなんですが。

 その今世界最高峰と言われている台湾のTSMC、熊本にも来てもらって、ソニーと一緒に合弁でJASMという会社をつくられて、去年の二月スタートしていただいておりますが、このTSMCばかりが世界に物が売れて、ラピダスは売れないんじゃないかなんて心配をする人もいるわけなんですけれども、いやいや、私は、世界中で足りなくなることもあるけれども、また、二つの会社、TSMCとラピダスは違いがあるんだよということを、聞いてくる人には答えたいと思うんですが、それについてちょっとお話を聞かせてください。

野原政府参考人 委員御指摘のとおり、ビジネスモデルが大変重要だと思っています。

 TSMCの成功も、モリス・チャンが新しいビジネスモデルを開発して、それまでになかった顧客価値を提供する。ファウンドリーというビジネスモデルで、設備投資をしなくても設計会社がスタートアップで参入ができる構造をつくったので、エヌビディアを始めたくさんの設計会社が生まれたわけであります。

 そういう意味では、どういう新しい顧客価値を提供するのかというのは非常に重要な視点でございまして、ラピダスが市場参入を図るに当たっても、TSMCとは違う顧客価値をやはり提供していく必要があると考えています。

 ラピダスでは、そういう観点から、現在、最先端半導体の設計、製造に要する期間というのが非常に長期化してきておりまして、お客さんからすると、最先端の半導体を自分のビジネスに投入したいんだけれどもすごく待たされるという状況にございます。したがって、短納期製造を求めるそういうニーズが高まっておりますので、そこへ応えていくというのが非常に重要な視点でございます。

 ラピダスは、そのために、従来の複数のウェハーをまとめて処理するバッチ方式ではなくて、ウェハーを一枚ずつ処理する枚葉式というプロダクションのラインをつくっておりますし、それによって、あるいは、グリッド搬送という、別の、搬送方式についても速くできる仕組みを取っておりまして、そういった方式によって、受注から納入までの期間を短納期化することを目指しているわけでございます。TSMCやサムスンとは違う価値を提供する方針でございます。

 こうした新しいラピダス独自の価値、顧客価値を、それじゃラピダスを試してみようかということでお客さんに試していただくところから顧客を獲得していくということを目指していきたいと考えているというふうに認識をしております。

関委員 なるほど、そういうふうな違いがあったんですね。では、新しいものを作ろうとするときに、本当に早く対応して新しいものを作っていくというのは、逆にラピダスなんかの方がいいんじゃないかなんという期待もできるわけだと思います。

 本当に、今いろいろ私も一番初めに申し上げましたけれども、今後、世界の産業技術がとてつもなく進んでいって今と全然違う世の中になっていくと思うんですが、そのときにこんな世の中になるんじゃないかみたいな私の想像も申し上げたところでございますけれども、私が今物すごく注目しておりますのがグローバルサウスなんですね。

 二〇五〇年、もうあっという間です。あと十五年後。二〇五〇年にはグローバルサウスという国々は、世界の人口の三分の二を押さえてしまう。世界の人口の三分の二が、グローバルサウスで押さえられてしまう。また、中国やアメリカよりもGDPが大きくなっているんじゃないかなんと言われております。ここのところの国々も、当然のことながら、我々も世界最先端の産業技術を自ら生活にも会社にも使いたいということを言ってくるでしょうね。さあ、本当に、半導体をどんどん作っていって、どんどん供給していっていただきたいと思うんですが。

 では、これは最後の質問になります。

 この半導体、今、一方でAIということが、よく話が出てきています。ディープシークとかいう、中国が生成AIをまた新しく作っていった。中国から一歩も出たことがない人が、アメリカやそんなところに留学もしたことがない人がディープシークを作ったとかいうふうな形で、その技術というのはどんどん進んでいくんですが。

 ラピダスが作る半導体、このような半導体とAIをうまく組み合わせて物すごく自由な世界をつくっていくわけですが、ここにおいて、将来どういうふうな世界ができていって、日本としてはここを行こう、ここで勝ち筋をつくっていこう、ここでしっかりともうけていこう、ここから富を世界中から日本に集めていこうなんという戦略を皆様と一緒につくっていきたいなと思うんですが、それについての夢を最後に聞かせてください。

野原政府参考人 我が国は、人口減少であり、人手不足経済化というのは深刻化してまいりますので、AIを使って無人化、自動化していく、そういうテクノロジーを使っていくことというのは我が国にとっては不可欠なものだと思います。

 そういう我が国にとって不可欠なAIをちゃんと使えるためのエコシステムをきちっと確保しなきゃいけないということで、最先端半導体はAI用の半導体でございますし、それを組み上げて作るデータセンター、コンピューティングサービス、それを動かすためにはソフトウェアも要りますし、その上で走るAIのアプリケーションも必要です。日本語で、日本の社会で簡単に使えるアプリケーションがないと、日本のAI武装は進みません。

 そういう意味では、半導体からソフトウェア、データセンター、そしてアプリケーションまで、縦の、AIに関するエコシステムのレイヤーを、一定程度やはり能力を持たないと、我が国がAI武装することはできません。それをやはり確保していくことで、人口減少下においても豊かで便利な経済社会を国内でつくり、それで伸びていく、委員が御指摘のように、グローバルサウスのマーケットに対して日本の先端半導体からアプリケーションまで売っていくことで稼いでいく、それでデジタル赤字についても抑制していくということがやはり必要だと思います。

関委員 今日はどうもありがとうございました。

 ここにお集まりの皆様と一緒に手を結んで、私も頑張っていきたいと思います。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 山岡達丸です。

 本日は、質疑の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 本日、情報処理促進法等の改正案ということで、いわゆる先端半導体の国内製造あるいはAIの製造を支援していくということで、北海道でもラピダスのプロジェクトが動いておりますから、私も重大な関心事でありますし、このことの議論も大いに深めてまいりたいという思いもあるんですけれども、今日、この質疑に入るタイミングで、いわゆる、米国のトランプ大統領、明日にも発動されるという自動車の追加関税、このこともまた本当に大きな重大課題でもあり、また半導体の製造も日米の関係が極めて重要でありますけれども、この関税の件も日米のことが大きく及ぼすということで、このタイミングでありますので、法案質疑に先立って、まず、政府、大臣にこのトランプ関税の対応について伺ってまいりたいと思っております。

 四月二日、三日、今日、明日にも相互関税というような趣旨の中で、自動車関税、既に鉄鋼、アルミは追加関税がスタートしてしまっているわけでありますけれども、この自動車関税も日本が対象となる見通しになっているわけであります。

 この場合の日本の自動車産業への影響というのは、これまで何度も御答弁いただいているわけでありますが、一言で言えば、国内生産に甚大な影響を及ぼすということが強く言われているわけであります。

 五月二日には、完成品のみならず部品にもかかるんじゃないかという話がございます。日本国内には、自動車の、関連する産業も含めれば五百五十万人の雇用があると言われていて、十人に一人、自動車に関わる仕事を、関連産業も含めて、仕事をしているんじゃないかという中で、米国輸出額の三分の一あるいは三〇%程度を占めると言われる自動車の影響というのが計り知れなく大きいということも言われているわけでありますし、私も、地元苫小牧にも大手の自動車工場がありますし、エンジン製造の会社も、あるいは関連する中小企業も多数ありますし、それぞれの委員の皆様の御地元でも相当な影響が出るということも強く懸念されているわけであります。

 この日米間の間では、そもそも、二〇一九年八月、当時、安倍総理とトランプ大統領の首脳会談、あるいは、茂木大臣、当時は内閣府の特命大臣だったと思いますが、ライトハイザー通商代表の間で、アメリカ側が、日本産の自動車、完成車については、両国が日米の貿易協定が誠実に履行されている間、この協定と共同声明の精神に反する行動は取らないということも述べながら、明示的に、米国の通商拡大法二百三十二条に基づく追加関税の対象にしないということは確認されていたということも、何度も国会の答弁の中で明らかにされていることであります。

 具体的に言えば、自動車関税については、もちろん、今二・五%あるものを下げていくことを目指しているわけでありますが、日米の間では交渉中というポジションであって、交渉中でありながら、日本は先んじて米国に牛肉や豚肉等の市場開放を進めたわけでありますけれども、しかし、そうした交渉中、つまり、誠実に履行されている状況であるからこそ追加関税はないというような確認があったという中で、これはまず経産省に確認したいんですけれども、政府は、現在もこの状況は継続している、そういう認識であられるということになるんでしょうか、伺いたいと思います。

小見山政府参考人 お答えします。

 二〇一九年九月の日米共同声明において、両国は、協定が誠実に履行されている間、両協定及び本共同声明の精神に反する行動を取らない旨を明記しているところでございます。

 そして、それが日本の自動車・自動車部品に対して米国が追加関税を課さないという趣旨であることは、当時の首脳会談において安倍総理からトランプ大統領に明確に確認したと承知しております。

 自動車及び自動車部品については、日米貿易協定の米国側の附属書に、関税の撤廃に関して更に交渉すると記載されておりまして、関税撤廃がなされることを前提に、具体的な撤廃時期等について交渉が行われるということになってございます。

 日米間では平素から緊密に意思疎通を行っているところでございますが、その詳細については、外交上のやり取りということもございまして、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。(山岡委員「現在のポジションは継続しているんですか。現在も継続しているかということです」と呼ぶ)

 現在の理解といたしましても、日米共同声明において、協定が誠実に履行されている間、両協定及び本協定の精神に反する措置を取らないということについては変わっていないと承知しております。

山岡委員 ありがとうございます。

 委員長、失礼しました。

 変わっていないという確認をさせていただきましたけれども、当時の結論でいえば、二・五%はそのまま、それを追加関税、上げることはしないということで農業の部分を日本は米国に一定程度開放したわけでありますから、トランプ大統領にしてみれば大成果だったと思いますけれども。

 今回、アメリカの追加関税の、トランプ大統領は相互性を重視するんだと度々話されているわけであります。今回の関税の引上げも、仮にそれに代わるような何か相互的な約束が取れれば対象から当該国を外す、あるいは引上げの幅を小さくするようなことを示唆しているわけでありますが、しかし、そもそも、現在の自動車関税の維持については、二〇一九年の時点での日本の農作物との相互性に基づいて決定されているものだということですね。

 したがって、米国が日本の自動車に追加関税を課すのであれば、まずは、二〇一九年時点の相互性の解消をしてから、その後交渉するというのが筋なんじゃないかということになるわけであります。

 具体的には、日米貿易協定の十条に、いずれか一方の締約国も、他方の締約国に対し書面による終了の通知を行うことにより、この協定を終了させることができるという規定があります。具体的には通告から四か月後ということになりますけれども。

 そして、この終了通告は、今ちまたでいろいろ議題に上がっていますけれども、あるいは、各国が行っている報復関税ではないということなんですね。二〇一九年のこの協定に基づいた、あるいは、日米共同声明の精神に基づいたまずは清算であるということでありますので、まず、この終了通告をしてから次の交渉に入る、もし関税が発動されたらですね、そのことが筋じゃないかと思うんですが、大臣の見解を伺います。

武藤国務大臣 山岡委員から、終了通告したらどうか、そこが筋論という話でございます。

 今事務方からもお話しいただきましたけれども、そういうものがあり、そして、今我々としては、米国のこういう関税措置に対して、どのような対応、これが日本の国益に資するものなのか、またあらゆる措置の中で何が最も効果的なのか、政府としては不断に考えているところであります。

 その上で、米国と緊密に意思疎通を図りながら、我が国の除外を様々なレベルで強く求めてまいりたいと思ってきているところであります。

 米国と意思疎通の際には、日米貿易協定のこれまでの経緯に照らしても米国の関税措置は遺憾であることはしっかりこれまでも伝えてきておりますし、同時に、国内産業、雇用への影響を引き続き精査をしながら、また国内資金繰り対策というものも含めて、しっかりと必要な万全の対策を期していかなくてはいけないと思っております。

山岡委員 もちろん、外交交渉、これは政府の専権だと思っておりますが、この中で、私たちとしては、やはり筋論はしっかり通していっていただきたいという思いであります。もちろん、そういうことになれば、日本国内において、例えばアメリカ産の牛肉がオーストラリア産に置き換わることもあるでしょうし、この円安の状況ですから、私も北海道、活動エリアの胆振、日高という地域も含めて、全国、肉牛や乳製品や豚肉等の生産も国内もあるわけでありますから、国内産に置き換わっていく可能性もあるわけであります。

 でも、そういう過去の清算をせずに、米国に気を遣うことばかり考えて、例えばアラスカのLNGを買うとか非関税障壁の解消を図るとか、様々議論はあるようでありますけれども、更に追加して物を差し出していくような、そういうことにつながる。別に、何か、怒りを持ってそういう行動をしてほしいということじゃなくて、粛々と二〇一九年の時点に立ち返るんだと。各国この状況に対して何らかの交渉をしていく中で、日本も、どこが交渉のスタートラインなのかということを、まずきちんと冷静に整理していかなきゃいけないと思うんですよ。

 米国との相互性、二〇一九年に立ち返る、そのことをちょっと大臣に、更問いになりますけれども、そうした議論の進め方、これを大臣からも政府内に提唱していただけませんか。答弁お願いします。

武藤国務大臣 二〇一九年の件について、これは生きているじゃないかということで、これは私からもグリアにもお話を申し上げていますし、外務大臣の方もおっしゃっていただいています。それぞれのカウンターパートで向こうにはしっかり伝えてきているところであります。

 これが、今回もういよいよ発動を間近に控えながら、山岡委員のおっしゃられるように、どこまで筋論でいけるのか、これは先ほど申したとおり、日本の国益、アメリカの国益、それぞれございますので、その立場を超えて共通点が見出せるように、今後とも引き続きしっかり議論していくところであります。

山岡委員 昨日、石破総理からお話もありました国内措置について少し伺いますけれども、今、国内措置のお話もありましたので。

 今回の対応について、自動車産業の影響等があるのは明らかなわけでありますが、今政府が発表している主な施策は、全国に千件の相談窓口をつくるということであります。

 交渉の結果、影響が極めて小さいのであれば、そうした相談窓口と金融支援ということで、それはそれで一つの対応なのかもしれません。ただ、今まだ交渉ももちろんきちんとはしていないとは思いますけれども、基本的に考えれば影響は甚大であるという中で、これは大臣に伺いたいんですけれども、措置は、こういう千件の相談窓口とか、そんな小さなという、これも必要でありますけれども、小さなものではなくて、影響が出たならば、影響の水準に合わせた国内産業の基盤の維持、あるいは雇用へのきちんとした対処、その必要な規模をしっかり実施していく、そのお気持ちを持っていらっしゃるということでよろしいんでしょうか、伺いたいと思います。

武藤国務大臣 昨日、総理から一千か所の相談窓口の件が発表されましたけれども、今委員おっしゃられるように、相談をまず受ける窓口をつくる、あるいは雇用からいえば、雇用調整助成金等みたいなものを今までもずっとやってきました、これは厚労省の所管でありますけれども。政府全体として、これは当然考えなきゃいけないことでありますので、経産省としては、ミカタプロジェクト等なりいろいろな形でやってきていますけれども、更によく精査をした上で、すぐ対応をできるだけ早いうちに用意するという形になるんだろうと思っています。

山岡委員 昨日の発表は、既存の制度の、しっかりやっていきますというその中身しか見えないんですね。やはり一日も早く、影響に対してしっかりやっていくんだ、具体的な中身はそれから詰めていくとしても、まずそこに経産省としてコミットしていくんだ、国内の産業にコミットしていくんだ、まずその意思をきちんと表明していただく、このことを強く求めてまいりたいと思います。

 今日、外務省の皆様にもお越しいただいておりますけれども、既に鉄鋼、アルミはもう追加関税になっています、これから自動車も始まるかもしれないということになるんですけれども。

 ちょっと端的に伺いたいんですけれども、この一連の米国の対応は、WTOのガット第二条に反している、すなわちWTO違反なんじゃないでしょうか、伺いたいと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 ある国の措置がWTO協定違反か否かについては、WTOの紛争解決手続を経て最終的に判断されるものではございます。しかしながら、今般の米国の措置については、我が国として、WTO協定との整合性に懸念を有しているところでございます。

山岡委員 答弁ありがとうございます。

 我が国は、ルールベースの通商政策を標榜しているという国であります。

 WTO、現実的には、第一次トランプ政権のときに、上級委員会の委員選任に米国が反対した結果、上級委員会が機能停止をしていますから、提訴しても承認は実質的に難しい、あるいは機能していないという状況であるのは現実としては分かってはいるんですけれども、しかし、やはりルールベースを標榜する国として、手続というのは非常に重要じゃないかと思うわけであります。

 鉄鋼、アルミについては、私、今、地元室蘭という町も、鉄の町と呼ばれるほどの鉄鋼の生産地でもありますし、全国、日本も生産地があって、やはり大きな影響も出ますし、日本の対応を極めて固唾をのんで見守っているわけであります。

 大臣に伺いますけれども、やはり我が国の信念を貫いてWTOにも提訴する、経産大臣から政府内にそうした提起をすべきだと思いますが、御所見を伺いたいと思います。

武藤国務大臣 この米国政府による関税措置というものは、日米両国の経済関係、ひいては世界経済ですとか多角的貿易体制全体等に大きな影響を及ぼしかねないと認識をしているところであります。

 その上で、これも繰り返しみたいになりますけれども、米国の関税措置に対して、どのような対応が日本の国益に資するのか、あらゆる措置の中で何が最も効果的なのか、政府としては不断に考えていかなくてはいけないという立場であります。その中で、米国と緊密に意思疎通を図ることが、またこれも必要であって、我が国の除外を様々なレベルで強く求めていくこととしているところであります。

山岡委員 どういう戦略を持って対応していくかというのは政府の専権だということは私も繰り返し申し上げますけれども、やはりルールに基づいて、そして筋に基づいてしっかりやっていただきたい。どういう始まり方をしてもタフな交渉が必要なのは間違いありませんし、日本のあらゆる分野の、経産だけじゃなくて、いろいろな各省庁がこのことにコミットしなきゃいけないということになるのは、誰がどう見ても今回の事態の相場であります。だからこそ、まず最初のスタートの段階から、ちゃんとポジションを、しっかり自分たちのポジション、きちんとしたところに立ってからスタートしていただきたいと思います。

 この政府の体制なんですけれども、二〇一九年には、先ほども申し上げましたが、いわゆる専任閣僚たる茂木大臣がUSTRのライトハイザー氏と交渉したわけでありますが、今、はたから見ますと、経産大臣の武藤さんだけが単身、交渉の前線に当たられているように見えるわけでありますね。もちろん、経産大臣は大事な役割でありますけれども、影響も一番大きいですし、ただ、国内の様々な施策、国内の経済政策もあれば、今回の半導体施策も、もちろん経産省が担当しているわけでありますし、中小企業、エネルギー、幅広いわけであります。

 分野を横断して、外務省、農水省、財務省等、様々な影響をする中で、これは質問はしませんが、私は、官邸において、専任閣僚と、さらに過去の経過を知る専任官僚の皆さん、緊急の体制構築が必要だと思うんです。この経産委員会にも、関連する閣僚の経験の方もたくさんおられて、私は本当に、武藤大臣とともにこの米国の関税のことと闘ってくださる有識な先生方もこの委員会にも所属されていると思いますし、そうした体制を是非組んで臨んでいただきたいと思います。

 その上で、国会でもできることを、また私たち、呼びかけていきたいと思っております。今、決議も含めて皆様、各会派に相談したいということも、具体的にこれから議論として、国会決議の議論も呼びかけていくということになっていくと思います。

 そして、この経済産業委員会では、先日、自民党の筆頭理事を務めておられる小泉進次郎さんも、あるいは元の外務大臣の岡田克也さんも、この件に強い懸念と関心を持ってここの質疑で取り上げられているところでもあります。

 それぞれ立場のテイストは違っても、与野党ともに重大な問題だと受け止めていることにはもう間違いありませんし、委員長と理事と委員の皆様とともにですが、経産委員会としても何ができるのかということを、思いを共によく相談させていただきたいと思いますので、この件についてはまた引き続き委員会でも取り上げさせていただきたいと思います。

 それでは、今回、半導体の情報処理促進法等の改正案ということで、このことの質疑もさせていただきたいと思います。

 私は、申し上げました、北海道でありますから、半導体工場、ラピダス、あるいはデータセンターの建設等様々動いていますので、私の活動している苫小牧市でも、ラピダスの千歳市に隣接して、データセンターの建設予定もあります。地元で聞こえる声、課題も含めて多くのことも聞こえておりますので、この法案審議の中でそのことも伺っていきたいと思います。

 今回の法案は一千億円の出資を含む予算関連法案でありますけれども、これまで研究支援で一兆七千億ということも先端半導体にはされてきているわけであります。今後も追加的な支援を行っていく。私も、この先端半導体の国産化というのは是非成功してほしいという思いでありますので、それはやはり前向きに応援していきたい気持ちもあるんですけれども、ただ、毎年毎年の予算措置においては、やはり、一つの目安といいますか、ここまで来ているから次のステップに進むんですよというメルクマールも必要なんだろうと思うんです。

 例えば、今年であれば、一千億円の政府出資に対して民間の出資がどの程度集まったのかというのは、一定のタイミングで見えてくるんだろうと思います。ですから、そのことをもってまた皆様と判断をしていくんだと思いますけれども、恐らくテストラインの、今これからラピダスで始まっているパイロットラインの、歩留りも含めた事業の状況、果たして量産がちゃんとうまくいくのかということも来年には見えてくるんだと思うんですね。その上でまた次なる様々な支援措置をしていくというのを判断していくのが現実だと思うんですけれども、やはり巨額のお金が動くということで、全国では、この動きがちゃんと見えて、ちゃんとみんながよし分かったと言って判断して進んでいけるような情報がきちんと開示されるのかということは、すごく懸念として今指摘されているところであります。

 大臣に伺うわけでありますけれども、特に来年、量産化、商業化、本当に行けるんだ、この見通しについて分かりやすく提示する、掲示する必要があるということを思うわけですが、この点、どのように考えて示していかれるおつもりか、伺いたいと思います。

武藤国務大臣 税金を入れ込むんだからしっかり情報開示していかなきゃ駄目じゃないか、全く委員と同じ意識は共有しているところであります。

 このプロジェクトについては、これまで、外部有識者による厳格な審査を毎年度実施をし、そして、研究開発の進捗状況を確認の上、追加の支援等を決定してきたところです。

 また、今回の法案に基づきまして公募プロセスを経て選定される次世代半導体事業者への量産支援についても、高い説明責任が当然ですけれども求められるものと思っております。

 このため、半導体技術や経営、金融などの専門家が参画する次世代半導体等小委員会、こちらにおいて事業の進捗管理に関するマイルストーンを適切に設定をし、その達成状況等を確認しつつ、支援を行っていくところだと承知しています。

 その際、達成状況ですとかまた見通し等について、機密事項等にも配慮をしつつ、ここについては可能な限り公表することで、国民への説明責任を果たしてまいりたいと思っております。

山岡委員 もちろん、競争上のこととか機密事項はあるとは思いますが、ただ、やはり多額のお金が入っていく中で、その議論の主たる場所は議会であります、国会でもあります。

 公表という話がありましたけれども、どういう形で国会として情報を得ていけるのか、このことはまた私たち議論を重ねておりますので、私たちとしてのまた提起もあろうかと思いますが、このこともまた議論を深めさせていただきたいと思います。

 その上で、私、先ほど、受入れ地域のすぐ隣接している地域だということで、そのことについて関連しても伺いたいのであります。

 まず、今回のことは、半導体も、前工程、後工程、あるいは関連産業、素材、装置、様々ありますから、産業集積ということで、必要なインフラ整備ということも含めて、またこの議論も次の機会に伺っていきたいと思うんですけれども、ちょっと今日は、労働者の働き方の視点から、そこの地域とどう向き合っていくのかという点も確認させていただきたいと思います。

 ラピダス社、今後、もし事業がうまくいっていけば、千人を超える従業員を抱えることになる見通しでありますけれども、それだけの事業規模になれば、従業員の健康医療、体制を整える、産業医を置くことはもちろんですけれども、健康診断なども含めてかなり大規模な労働衛生環境を整えていくという必要がありますし、そのことに国としても政策的に関わっているわけであります。

 ちなみに、千歳市は苫小牧労働基準監督署の管内になるわけであります。産業地域として、苫小牧も産業地域でありますから、健康診断等の体制、産業医等の体制ですね、苫小牧医師会等も含めて、バス送迎のいろいろな仕組みもつくったり、大規模な対応もしているところであります。

 地域とのつながり、様々ありますけれども、ちょっと医療体制について伺いたいんですけれども、この体制についても、地域とのつながり、地元とのつながりは極めて重要じゃないかと思うんですけれども、ラピダス社において、地元の医師会や医療機関の連携、産業医の関連の選定、どういうふうに政府としてコミットしていくといいますか、その考えを持っておられるか、伺いたいと思います。

野原政府参考人 お答え申し上げます。

 ラピダスは、現在、関係法令に基づきまして、地元北海道の医師一名を産業医に選任し、定期健康診断やストレスチェックといった業務を委託しているというふうに承知をしております。

 今後、従業員数の増加に伴いまして、産業医をラピダス専属としたりあるいは人数を増やすなどの対応が必要となるなど、地域の医療機関との連携が重要になってくるというふうに認識をしております。

 経済産業省としても、ラピダスが適切な従業員の健康医療体制を構築できるよう促してまいりたいというふうに考えております。

山岡委員 是非そのことを、またこれから地域のつながりの中で議論が上がってきますので、国としても関心を寄せ、対応していただきたいと思います。

 大臣にお伺いしたいと思います。

 また基本的な質疑の時間を改めていただいて、私も産業のこととかインフラのこととかも伺いたいと思うんですが、ちょっと視点を変えて、この先端半導体の北海道の事業と北海道のことについて伺いたいと思うんです。

 それは、私が今ここで大臣に提起して伺いたいのは、北海道の観光地としての魅力と今回の先端半導体のプロジェクトの関係であります。

 言わずも知れたといいますか、今、全国から委員が集まっておられますので、それぞれの地域、それぞれプライドを持って、様々な観光地があると思いますけれども、北海道も国内外から多くの観光客が訪れて、自然も豊かでレジャーにも強い、そんな地域でもあります。

 ラピダスの小池社長は、北海道を立地に選んだ一つの理由として、内外の優秀な人材を集めるときに北海道なら住んでもいいと思える地域だと思ったことも理由の一つだということを説明されているわけであります。

 つまり、国内はもちろんでありますが、海外の優秀なIT人材、二十代、三十代、御家族も含めて日本国内に住んでいただいて、あるいはこのプロジェクトに関わっていただくということも想定される中で、やはり、そうした人たちが住んでもいいなと思う地域であることも、優秀な人材を集めることの非常に重要なポイントなんだということを小池さんはお話しされたわけであって。

 そうしますと、経済産業委員会と観光とか、そういうのって経済産業政策とつながっているようなつながっていないようなみたいな話があるかもしれませんが、私は、そういう視点もやはり今後の産業立地に影響するとなると、全国の地方都市は、これは非常に魅力的な話だ、勇気づけられる話だと思うわけであります。

 もちろん、新千歳空港も近くにありますし、私の地域でいえば、登別温泉とか、アイヌ民族の象徴空間であるウポポイという場所とか、あるいは、日高地方は、昨年六月に日高山脈を含む周辺地域が日高山脈襟裳十勝国立公園ということで新たな国立公園にも認定されて、ちなみにこの地域は日本のほとんどのサラブレッドの生産地でもありますので、風光明媚な馬の牧場といいますか、行く人を感動させるような地域でもあるわけでありますけれども。この地域に住んでいただければ、ああ、なるほど、こういう場所で働けるんだという魅力は必ず感じていただけると私は思っております。

 大臣に、改めて別の角度から、この議論の角度で伺いたいんですけれども、北海道の観光地としての魅力、多くの優秀な人たちが集まる地域となるということ、これがラピダスプロジェクトの成功に寄与するんじゃないかと私は思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

武藤国務大臣 ありがとうございます。

 ラピダスが北海道に立地を決めた要因というのを私も小池さんとかに聞きましたけれども、広大な産業用地を活用した将来の事業の拡張可能性ですとか、半導体製造に欠かせない水あるいは再生エネルギーが豊富であるなど、半導体の製造に適した土地であること、そして、今委員もおっしゃられましたけれども、国内外の高度人材を集めて、必要な人材を育て、確保できる余地が大きいことなどがあると聞いています。

 北海道というのは、正直言って、企業立地の面で大きな強みがあるのはもちろん私も今までも経験してきていますけれども、また、シリコンバレーみたいになって世界最先端の研究者を呼び込むこともできる可能性もあるんだろうと思っています。

 また、今委員がおっしゃられたように、私も千歳とか札幌も学生のときに行って、そのときはまだ学生でしたからスキーしに行った覚えがありますけれども、家の中がめちゃめちゃ暖かくて、本来私は寒がりですから北海道は苦手だったと思ったんですけれども、大変住みやすいところだなという思いもしましたし、今おっしゃっていただいたような、まさに非常に多くの観光資源を有しているところです。

 ラピダスを見に行ったときも新しいドームができていたり、というか建築途中でしたけれども、次から次へと魅力的な町が進んでいるということであれば、ある意味で、半導体、先端産業を支える人材というのも、まさに観光との一体化、これはある意味で地方創生の絡みでも今非常に大事な経営資源にもなりますけれども、そういう意味でも大変大事なところで、これから伸び代が大変あるところだというふうに認識をしているところであります。

山岡委員 ありがとうございます。大変心強く思います。

 全国、日本はすばらしい地域がたくさんありますから、そうした場所に産業が立地していくということも、一つの大きな視点だと思います。

 現実的な、水とか再生エネルギーとか拡張性とか、そうしたことは次回また質問をさせていただきたいと思いますので、今日は、時間が来ましたので質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、大島敦君。

大島委員 おはようございます。

 まず、半導体政策から質問をさせてください。

 技術革新には、大きく分けて二種類あると考えております。一つは、次世代革新炉や半導体の微細化など、従来技術の延長上にあるもの、二つ目は、核融合炉や量子コンピューターのように、これまで存在しなかった新しい技術と考えております。これらはゲームのルールを変えるほど大きなインパクトを持ち、開発に成功した者が圧倒的な優位に立つ可能性があります。

 今日は、量子コンピューターについて質問をいたします。

 各国が量子コンピューターの開発にしのぎを削っているのは、安全保障上の理由が大きいとされています。量子コンピューターは、現在インターネットで使用されている暗号を容易に解読できる可能性があるためです。

 パーソナルコンピューターとスーパーコンピューターは、演算速度が異なるだけで、同じタイプのコンピューターです。量子コンピューターは、このような従来型のコンピューターとは全く異なる新しいタイプであり、その演算速度はスーパーコンピューターをはるかにしのぐと言われています。

 二〇二四年四月には、トラックの積載貨物の最適組合せを量子コンピューターで瞬時に計算し、従来二時間以上かかっていた作業を僅か四十秒で完了させる物流会社を訪問しました。また、そのソフトウェアを開発する会社も訪れ、経営者とも意見交換を行いました。使用されているのは世界で初めて量子コンピューターを実用化したカナダのD―Waveのモデルで、ビット数は少ないものの、その性能は圧倒的でした。

 二〇二三年の三月、経済産業委員会で、物流分野にも量子コンピューターを活用し、インターネットを流通する情報のように、物流の省力化、省エネルギー化を推進すべきと指摘させていただきました。つまり、アマゾンで注文するような小さな電子機器からH3ロケットのような大型製品に至るまで、国内のあらゆる商品を把握し、トラックや貨物、船への最適な積載やルートの最適化を図ることはできないかという観点です。アニーリング型の量子コンピューターはこのような最適化問題を解決することに力を発揮すると聞いていましたので。

 現時点でも、衛星を用いて自動車やバイクの位置を正確に測位する技術は存在しています。今後、台風など過酷な天候や、雪道や悪路など様々な路面状況に対応できる自動運転が一般化すれば、量子コンピューターが最適な道順を示してくれるようになります。そんなに遠くない将来と考えます。

 安全保障や物や人の流れなど、産業や私たちの生活を変えるという最適化という観点から、量子コンピューターの実装は欠かせないと考えます。

 最新版のフォーリン・アフェアーズ日本語版でも、量子が導く未来と題したレポートの中で、敵対的な国家や民間企業が新しいテクノロジーの誕生を見越して暗号化された情報を収集し始めているとの記載があります。

 まず、大臣に、量子コンピューターの研究開発の重要性について伺わせてください。

武藤国務大臣 大島委員には、いつもいろいろ御見識の高いところで御教授いただきながら、ありがとうございます。

 量子コンピューターの研究開発の重要性について御質問いただきました。

 将来の稼ぐ力を生む産業の育成、これはまさに次世代の産業を生み出す先端科学技術を見極め、産業化も見据えた研究開発から拠点整備まで一気通貫した取組が今重要だというふうに認識をしているところです。

 その上で、量子コンピューターでありますけれども、自動運転におけるルートの最適化、革新的な創薬のための分子シミュレーションなどの産業用途において、従来のコンピューターと比べて極めて高速な計算が可能となる技術と言われておることを承知しております。次世代の産業を生み出す高いポテンシャルを持っている、間違いなく、これは考えられるところであります。

 量子コンピューターは、製造業等の競争力の基盤となるのみならず、おっしゃっていただいたように、経済安全保障上の自律性の確保のためにも、いち早く社会実装を実現することが極めて重要だというふうに思います。内閣府や文科省も始め、各府省庁とも連携をしながら、研究開発、ルール形成等に戦略的に取り組んでまいりたいと思います。

大島委員 御答弁ありがとうございました。

 私が目指すスペック、二〇三〇年までに百万量子ビットを達成し、研究者や民間企業に計算資源を開放し、二〇三五年までに研究所や民間企業に導入し、二〇四〇年代には一家に一台を目指したらどうかと考えておりまして、極めて挑戦的なゴールなんですけれども、国が資金にも後押しするのであれば私は可能だと思える開発目標だと考えておりまして、だからこそ圧倒的な競争有利を保てると考えています。大臣の御所見を伺わせてください。

武藤国務大臣 御指摘のとおりだと思います。

 量子コンピューターの分野においても、国が野心的な目標を掲げて、資金支援を行って、研究開発に取り組むことは大変、この量子、特に重要だと私も思っています。

 一方で、産業利用可能な量子コンピューターの性能を評価する上では、計算能力を示す量子ビット数だけではなく、計算の正確性、これがまさに、エラー率等の複数の要因を考慮する必要があるところであります。

 こうした観点を踏まえて、経済産業省では、二〇三〇年頃に産業利用可能な量子コンピューターを実現するという高い目標を掲げて、昨年度の補正予算から三年一千億円規模の予算を措置したところであります。目標の実現に向けて、研究開発あるいはユースケースの創出など、積極的に取り組んでまいりたいと思います。

大島委員 百万量子ビットだとスパコンの補助が必要なくなると聞いておりまして、自律的に計算できるのが百万量子ビット、ここまでいくとブレークスルーが起きると考えております。

 二〇一六年一月にNTTの研究所を訪れた際はまだ光の量子コンピューターは完成していませんでしたが、二〇一七年に同研究所から、光ファイバーの中に量子モデルを構築できたという話を伺っています。

 大学などのアカデミアは、研究成果の公開を前提に、人類の進歩に寄与することを目標としています。国の研究所は、国益に貢献する使命があるので、研究成果の公表よりもプロジェクトマネジメントが求められると思います。民間企業は利益追求が主目的になります。

 量子コンピューターには複数の方法があります。量子のもつれ、エンタングルメントを活用する手法は一通り出そろい、研究段階から、実用化に向けた競争が本格化しています。

 理化学研究所、産総研、分子科学研究所、NTTなどを訪問し、研究者とお話しすると、日本は世界の最先端を維持しているものの、中国など他国の追い上げも激しく、国のしっかりとした後押しが不可欠と実感をしております。

 私はこの分野で世界をリードしないと高付加価値の産業はつくれないと思いまして、大臣の御所見を伺わせてください。

武藤国務大臣 次世代の産業を生み出すことが期待される先端科学技術として、量子コンピューターは最たる例だと考えているところであります。

 我が国は、今先生がおっしゃられるように、世界レベルの研究者、部素材の分野での高い技術力に加えて、量子コンピューターのユーザー候補である製造業の事業者が多く存在している強みがあると思います。

 こうした強みを産業創出につなげるため、産業技術総合研究所に研究センター、G―QuATを設置しまして、産学官連携で量子コンピューターに関する研究開発を進めているところであります。

 まさに、各大学や研究機関でのこれまでの基礎研究の成果を結集しながら、世界をリードする高付加価値の産業創出、これは委員のまた御指導をいただきながら、これを実現させていきたいというふうに思っております。

大島委員 御答弁ありがとうございました。

 私、各研究所を訪れて、それぞれの研究者と意見交換をさせていただいておりまして、量子のもつれについてはなかなか理解するのは大変なんですけれども、何か大島の質問は的確らしくて、結構、一時間半ぐらい盛り上がって、議論ができるようになっていまして。

 多分、今がぎりぎりだと思う、各研究所を見ていると。分子科学研究所は寒いですから、この間申し上げましたとおり、電気代が上がってしまって。研究者のうち八割ぐらいが外国ですから、その中で最先端の研究をしていたり。NTTももう十年以上前から、NTTは、ここは光ファイバーについての深い技術力があるので、全く違うタイプの光の量子コンピューター、ここは冷やす必要がないので結構扱いやすいです。ただ、光の分野でも中国の追い上げは激しい、論文とかを見ると。

 ですから、国家プロジェクトでやることが私は必要だと思っていて、これから述べることは、その一端を述べていきたいと思います。

 一九九五年、私は会社の情報システム部でシリコンバレーのハイテクベンチャーに関わる機会がありました。開発資金を求め来日する企業から資金繰りや進捗の説明を受けているうちに、現金が尽きる前に製品を市場に投入できるかが投資の鍵であり、投資はルーレットのような確率のゲームだと学びました。

 しかし、量子コンピューター開発はこのサイクルには合わないと考えています。現在の量子コンピューターの開発は、まだアカデミア発のベンチャーがようやく誕生し始めた段階で、実用化には五年から十年を要すると見られます。どの企業が成功するか予測できないため、長期的かつ安定した資金の供給が不可欠です。

 日本のベンチャーキャピタルは、資金規模が小さく、短期的な利益を求めがちで、この分野には不向きだと考えています。国による支援が成功の鍵を握ります。私は、百万量子ビットを到達するまでは国家プロジェクトで研究開発を促進してもよいのかと思います。なぜなら、大臣も述べたように、量子コンピューターはコンピューター産業のゲームを変えるからです。

 量子コンピューター実用化に向けて、資金供与は惜しむべきではないと思うんですけれども、大臣の御所見、再びお願いします。

武藤国務大臣 おっしゃられるように、量子コンピューターは、世界各国で熾烈な開発競争が進んでいますし、アメリカやイギリス、中国、海外諸国においても政府投資を急拡大させているなど、各国間で政策競争が激化をしているところだというふうに承知しています。

 こうした各国の状況を踏まえれば、我が国においても、先生おっしゃられるように、量子コンピューターの本格的な実用化に向けた野心的な研究開発を更に進めていくことが必要なんだろうということを承知しているところです。

 民間投資の呼び水として、まずは、先ほど申したとおり、令和六年度補正予算で三年一千億円規模の予算を措置したところであります。国として、量子コンピューターの開発支援、また世界最高水準の研究開発拠点の整備などを取り組んでいくこととしておりますが、今後も、技術進展の動向、また国内プレーヤーの状況なども見極めながら、民間の野心的な取組を引き出せるような必要な支援が必要だと思っておりますので、また先生の現場の感覚で御指導をいただきながら、御支援賜りたいと思います。よろしくお願いします。

大島委員 私も研究者の皆さんと意見交換すると、政府系金融機関や政府内にも理解者がいらっしゃいます。属人的ではなく、システムとして、短期的な利益を求めることなく、アカデミアから真に産業革命を起こせる企業を育成できるかが重要だと考えているとか。やはりアカデミアからなんですよ。アカデミアの理論から実装を言うというのが本当の革新だと思っている。ここができるかどうか。量子コンピューターはアカデミアからですから、アカデミアの、物理学の理論から物ができるという、これが革新だと思っていて。

 ですから、量子コンピューターが完成した際の社会的インパクトを考えれば、投資に対して十億ドル以上のリターンを求めるユニコーン企業を育成するような志ではなくて、ユニコーン企業はあくまで既存のサービスの延長上だと思っているので、ユニコーン企業を育成するような志ではなくて、世界のルールを変えるために、私は、国家プロジェクトとして百万量子ビット、コミットメントして潤沢な資金供給を実施した方が国益にかなうと思うんですけれども、再度、安定的に研究開発を促進することができる仕組みをつくることが重要で、今の政府の様々な取組はユニコーン企業をつくるような取組だ、国家プロジェクトとして、私、今日は述べていませんけれども、役所の方にお渡ししている文書の中には、理論物理学からできたという、三年間ぐらいでという話もさせていただいているので、ここは意思なんですよ、百万量子ビットをできるのを五年間でやるというのは。そのことについて、もう一度答弁をお願いします。

武藤国務大臣 量子コンピューターは、もう御指摘のとおりで、短期的な利益を追求するのではなく、産学官で腰を据えてイノベーションに取り組むべき技術であります。

 このため、大学や研究機関により構成される量子技術イノベーション拠点、QIHや、産業団体である量子技術による新産業創出協議会、Q―STARなど、産学官が連携した体制を組んで国家プロジェクト等に取り組んでまいります。

 また、令和六年度補正予算を措置しながら、三年間にわたり、企業の研究開発のみならず、産総研のG―QuATにおけるアカデミアとの連携ですとか、国際ルールの形成、人材育成など、日本として世界に挑戦するための取組も戦略的に進めることとしております。

 このように、国が主導する形で産学官連携に取り組みながら、量子コンピューターの実現を、実現化してまいりたいと思っております。

大島委員 ありがとうございます。

 今大臣が指摘された産総研の取組、産総研が委託研究という形で資金を供与し、研究開発を後押しすることは重要だと考えています。

 同じカテゴリーの量子コンピューター開発であっても、量子コンピューターは今五つぐらいのカテゴリーがあって、それぞれにそれぞれの会社が今生まれてきているので、余り決め打ちしない方がいいと思っている、どれが成功するか分からないから。ですから、同じカテゴリーの量子コンピューターであっても、対象を限定せず、複数の企業や研究所に挑戦を促すことが肝要だと思っていまして。

 産総研だと、これは民間開放で使ってもらうということが前提なので、課金しなければいけないから、産総研の中にそれぞれのベースをつくっていくと理解しているんですけれども、ここに対しては、余り排除じゃなくて、手を挙げるところはみんな巻き込んでほしいんですね。そのことによって、多分、先ほど私が述べた量子のソフトウェア会社もいろいろなプログラムを書いていくので、コンピューターによってプログラムの書き方も違います。その中で、ストレスを与えることによって新しい気づきがあるかもしれない。

 ただ、資金の供与の仕方は、投資のリターンを求めるタイミングじゃないと思っています。

 やはり、シリコンバレーの、あそこの投資のスタイルは短期的利益ですから。カナダのD―Waveが二〇〇〇年から始めて十年間で百五十億円使って量子コンピューターを作ったというのは私は物すごく評価していて、やはり十年間安定的に資金を供与するベンチャーキャピタリストができたから完成したと思うので。

 ただ、今のフェーズはそれを超えていると思うので、資金の供与については、投資対効果、リターンを求めるのではなくて、百万量子ビットまでは国がコミットメントして覆い込んでいくということが必要だと思っていまして、どのような手法が最終的に成功するかは分からない、多くの選択肢に投資をしてというよりも、研究開発資金を供与して、実利用を通じて競争を促進し、開発を加速させることが大切だと思っていて。

 是非、私も様々な量子のベンチャー企業があることは承知していますけれども、ベンチャー企業は面倒くさいんです。要は、株主がいたり、報告義務があったり、短期的な収益はどうだとかが求められたりするので、まだここは十年ぐらいは国家プロジェクトで、特許の関係はしっかりと開発者と打合せをしながら、それで開発した方が、私は、多分中国あるいは米国も国家プロジェクトでやっていると考えているので、ベンチャーよりも。だから、そういうことができないかなと思うものですから、その点について最後に大臣の御所見を伺わせてください。

武藤国務大臣 ありがとうございます。

 世界中で様々な量子の研究開発が進んでいて、どの方式が技術優位を獲得するのか、勝敗は今は決していないというのは先生がおっしゃられるとおりで、現段階では、特定の方式に絞り込むことなく、多様な可能性を追求することが重要であると考えております。

 今後も、計算能力向上や大規模化に向けた技術進展ですとか国内プレーヤーの状況などを見極めながら、幅広く支援を講じていきたいと思います。

大島委員 大臣、ありがとうございます。

 強調したいのは、ぎりぎり世界の最先端を走っているという、このぎりぎりというところは理解していただいて、保ち続けるためには、相当の資金を供給しながら、自由に研究者に研究してもらいながらという、結構難しいフェーズに入っていることは確かなので、そこのところを政府内で、内閣府もあるし、文科省もありますし、リードしていただいて、国のプロジェクトとして、二〇三〇年、五年間、百万量子ビット、物すごくチャレンジングな目標なんですけれども、これを達成したときに我が国の産業構造は全く変わるので、ここに人工知能を入れると全く変わってくるという絵が頭の中に浮かぶので、是非お願いしたいと思います。

 それでは、残り五分ぐらいとなりましたので、今回のラピダスの問題があって、やはり半導体工場には水と電気が必要だと言われておりまして、シリーズで地熱発電を取り上げていきたいと思っていて、次回に地熱発電は本格的に質問しようとは思うんですけれども、まず、地熱発電の熱源。

 これまでの地熱発電というのは、これまで申し上げたとおり、地中の中に熱と水がないと水蒸気が出てこないので、これが今まで。

 今の地熱発電の掘削技術は、掘り方がブレークスルーしたと聞いていて、パルスで掘りながら、硬い花崗岩でも打ち砕けるなんということを聞いていて、それでループさせると、別に蒸気が、要は、地中の中に水のたまりがなくても、そのまま水蒸気化して発電できるということを聞いているので。

 まずは、日本国内で、前回は、世界で三番目、日本が一番熱源を持っているという話を伺ったので、じゃ、どの辺にあるかということについて、政府参考人からの御答弁をお願いします。

和久田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、日本は火山列島でございますので、他国と比較した場合、マグマだまりが浅い地域に多く存在してございます。そうした地域におきましては、地熱発電に活用できる有力な熱源を有するとされてございます。

 北海道でございますけれども、全国屈指の有力な熱源を有する地熱発電の候補地域でございます。四十年以上運転している地熱発電もございますし、国内最大規模の低温型、いわゆるバイナリー型の地熱発電所を有する、それから、数多くの調査等が進められていると承知をしてございます。

 私どもとしては、引き続き、世界有数の地熱発電ポテンシャルを有する国として、将来の電力需要の増加、それから地方創生の観点も踏まえまして、これらを最大限活用した地熱発電の開発を進めてまいりたいと考えてございます。

大島委員 大臣に伺いたいんですけれども、私、この地熱発電についても是非経産省で取り組んでほしい、予算もつけて、まず穴を掘ってみることが大切だと思っていまして、この革新的な掘削技術をまず試してみて、その可能性を追求していただきたいなと思っている。

 次回に基金もつくってもいいかなというお話はさせていただくんですけれども、まずは、革新的な掘削技術開発によりその可能性が大きく広がったと考えますが、大臣の御見解を伺わせてください。

武藤国務大臣 御指摘のクローズドループとか、最近の技術というものに対しては、私自身も次世代型として大変可能性を期待をしているところであります。

 今後は、官民協議会を立ち上げて、いろいろな要素、技術等についてまた研究をしていき、議論していきますけれども、しっかりとこういうものが早期実用化と国内の導入拡大を目指して、各省連携になるかもしれませんけれども、経産省も頑張って予算化、獲得等に、また先生のお力をかりたいと思います。

大島委員 もう時間となりましたので、今日はここまでにしたいと思います。

 是非、地熱発電については多分いけるんじゃないかなと思っています。これはやはり、私、元々シームレスパイプを扱っている工場の工程管理をしていたものですから、ですから、限界を試すような掘削をしてほしいなと思っている。そのことによって素材を含めてもう一度日本が物づくりの技術を復活できると思うものですから、是非その点についても次回以降やっていきたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、東克哉君。

東(克)委員 おはようございます。立憲民主党、広島三区、東克哉でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 早速なんですけれども、質問に入らせていただきます。

 私の選挙区があります広島県なんですけれども、メモリー半導体の製造の大手でありますアメリカのマイクロンテクノロジー社の工場がございます。先日の日経新聞の報道で、広島工場において最先端のメモリー半導体を量産するというニュースが流れてきました。そして、この広島工場では、御周知のとおり、経済産業省が先端半導体の製造基盤確保として合計で最大約二千百億円の助成をすることとなっております。

 半導体の需要が逼迫した際にはこの工場でメモリー半導体を増産するということになっておりますが、こうした取組は、ラピダス同様に、重要物資を内製化するという意味で経済安全保障の観点からも非常に重要だということも感じておりますし、今後も様々な取組を行っていくことを承知しております。

 その上でなんですけれども、経済産業省において二〇〇〇年代前半に見られた、MIRAI、あすか、HALCAなどの半導体に関する幾つかのプロジェクトが発足されました。そして、これらのプロジェクトは、発足当初の期待に応え切れずに、それぞれが目指すべきゴールを達成できないまま、プロジェクト自体が役割を終えていったという過去があるということは認識をしております。

 私自身、これを失敗として、この失敗を殊更取り上げることは私の本意ではないです。というのは、私自身も、一度起業して、そして失敗をしています。そのときに言われた先輩経営者からの一言が、よかったなと言われたんですね、第一声が。その先輩は、失敗を生かすことでこれは経験になるんだ、東、次はどうするんだというふうに言ってくれて、この失敗を経験に生かし、分野も小さいながら、大きくありませんけれども、事業をさせていただくことになりました。

 ですので、やはり様々なところで失敗、失敗と言われていることが多々皆様の耳にも聞こえてくるかとは思うんですけれども、経済産業省が、過去の様々な事例、これを経験として、そして投資をしていくことで、今回の法案審議に当たって、まず、経済産業省として、過去のこの経験を踏まえた上での課題意識を大臣にお尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。

武藤国務大臣 HALCA等、御質問をいただきました。

 過去の政府が支援した案件で、必ずしも期待された成果が上がっていないものが存在することは事実であります。その要因等をしっかりと検証しながら政策立案に生かしていくことが重要であると思っておりますが、過去の半導体政策の失敗の要因としては、これは先般も多分答弁でお話ししたと思いますけれども、国内企業の再編ですとか、あるいは日の丸自前主義の技術開発に注力する傾向にあって、海外との連携やグローバルな技術動向への対応が不十分だったという経験があります。今おっしゃっていただいたHALCA等のプロジェクトでは、研究開発面が強調され、民間企業の巻き込みが十分でなかったという反省点、そして、機動的かつ適切な投資支援策を講じることができなかったことなどの反省点があると考えているところであります。

 こうした反省点を踏まえて、現在の半導体政策では、ラピダスプロジェクト、今回は法案を審議していただいていますけれども、IBMやimecといったような海外トップクラスの機関との密接な連携を進めるとともに、一番大事なのは私は顧客開拓と思っておりますけれども、設計開発支援等も実施をしているところであります。

 機動的に適切な支援を実施できるよう、AI、半導体分野へ七年間で十兆円以上の公的支援を行う財源フレームを措置することといたしました。

 過去の反省点をしっかり謙虚に受け止めながら、政策を進めてまいりたいと思っております。

東(克)委員 ありがとうございます。

 先ほど大臣も言われましたように、やはり顧客獲得というのがこれからの企業、私自身もこの顧客獲得というところで失敗しました、規模は違いますけれども。本当にこれからの経験を次の選定企業に生かしていただきたいなというふうに思います。

 続きまして、半導体の需要見込額について少しずつお伺いさせていただきたいと思います。

 経済産業省の資料を拝見いたしますと、二〇三〇年には百四十五兆円というふうに需要が見込まれているというふうに書かれてありました。これは、半導体市場が二〇二二年から見て一・八倍強の需要増が見込まれているという予測になります。

 一方で、先ほどお話ししたエルピーダ、今はマイクロンになりましたエルピーダについては、DRAMの需要の低迷が一因としてある、そして、経済産業省においてもそういうものがあったと認識しております。また、三月二十四日の日経新聞の報道によると、EV等に使用するパワー半導体の需要減に関するニュースが取り上げられていました。

 ラピダス社が量産を目指す高性能なロジック半導体とは用途も需要も見込みも当然ながら異なってくるとは思うんですが、こうした半導体自体の需要減、そして世界経済の減速など、外部環境、特に、先ほど山岡議員が言われましたように、トランプ大統領は何を言い出すか分かりませんので、こういうことに対して経済産業省がどのような課題意識、対策を検討しているのか、お尋ねいたします。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、半導体の需要自体は、DX、GXが進展し、また、生成AI、これが拡大しているということで、世界的にも大きく伸びるというふうに見込まれています。とりわけ、七ナノ以下の最先端領域、ここの需要は、二〇二二年の約七兆円から二〇三〇年には五十三兆円まで伸びる、そういう見込みをしています。

 一方で、御指摘をいただきましたとおり、半導体ビジネスにはシリコンサイクルと呼ばれる周期的な需要の変動が確かに存在します。また、世界的な景気変動の影響も受けることは当然あり得ます。

 御指摘をいただきました過去のエルピーダメモリの事例では、経営が少し立て直ってきたタイミングで、円高とか、あと、タイの大洪水というようなことが起きまして、DRAM需要が低迷したといった状況が生じました。そのとき、政府として適切な支援を機動的に実施できなかったというふうに考えております。

 こうした半導体特有の事業環境や過去の反省を踏まえまして、AI、半導体分野へ七年間で十兆円以上の公的支援を行うAI・半導体産業基盤強化フレーム、こちらを経済対策で策定しました。本フレームで、事業者の中長期的な予見性を高めながら、我が国の半導体の生産基盤強化に必要な支援を継続して取り組んでまいりたいと考えております。

東(克)委員 ありがとうございます。

 七ナノ以下の半導体がこれからどんどん伸びてくるということを認識させていただきました。これから本当に機動的にいろいろなことに対応していただきたいなというふうに思います。

 先ほど外部要因のマーケットの方でお話をさせていただきましたが、続いて、技術面の方でも少しお伺いさせてください。

 ラピダス社の事業計画を見ると、二〇二七年の第三・四半期以降から量産体制が始まると書いてありましたが、これらの期間で、これから、今まで十年遅れていると経済産業省さんが認識している先端半導体分野において、量産の開始時期が更なる高性能な半導体が先行して量産される可能性は当然ながらあるかというふうに思っております。例えば、昨年の八月に日経新聞の報道で、ラピダス社の二ナノ量産開始をめどとしている二〇二七年に、この分野で先行している事業会社が一・四ナノの量産を目指すというふうな旨の報道がありました。

 実際、今十年遅れていて、そして、先行する企業群に並び立つというのは非常に大きな目標で、後押ししなければならないとは思っているんですけれども、技術面の外部要因、ラピダスより先に行く外部要因の変化について経済産業省としてどのような認識を持たれているのか、御検討されているのか、お尋ねいたします。お願いします。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ラピダスの成功には、御指摘をいただきましたとおり、競合他社との競争の中で勝ち残っていかないといけない。そのためには、顧客にとって付加価値があると評価される差別化戦略、これがまず重要だと考えています。

 ラピダスにつきましては、その製造方法については、いわゆるバッチと呼ばれている一括して処理する方法ではなくて、ウェハーを一枚ずつ処理する枚葉式を採択することなどを通じまして、短納期化を目指しています。また、このプロセスを通じて迅速なデータ収集と改善のサイクルを高速で進めて、歩留りの改善も迅速に進めることが期待されています。

 こうした取組によりまして、TSMCなどの既存の企業とは異なる競争軸で新たな顧客価値を提供したいというふうに考えています。

 実際に、顧客企業におきましても、このラピダスの独自の事業戦略に新たな価値が見出され、IBMのように製造委託先にラピダスを活用すると公表していたり、あと、国内においては、ラピダスとプリファードネットワークスとさくらインターネット、こうした人たちが提携するということで、着実に顧客の方の反応も進んでいるなと思います。

 御指摘をいただきましたとおり、ラピダスにおきましては、二ナノ以下につきましても、一・四ナノ、さらに一、こういった半導体に関する研究開発は継続的に顧客を獲得していくためにも重要ということで、民間資金を活用しながら推進する方針であります。

 経済産業省といたしましても、足下の顧客開拓と中期的な技術力の向上、この双方をしっかり意識しながら、必要な政策を展開していきたいというふうに考えております。

東(克)委員 ありがとうございます。

 二ナノ以下、そして一・四ナノ、一・〇、将来的にもここの辺りがラピダス社が生産できる体制を整えていく、そして、併せて顧客を獲得していくこと、それを民間企業と民間投資によって協力的に進んでいきたいという見解をいただきました。

 この民間資金、民間投資についてまたお伺いさせていただきたいんですが、実際、今回の法案が成立して、IPAを通じた一千億の出資、そして、その他の金融融資が可能な枠組みを検討されている、先ほどのフレームの話であると思います。現在、ラピダス社に対する民間の出資総額は約七十三億円で、今後、この法案が成立した際には、この百億円の出資を呼び水に、民間の資金の更なる流入を期待しての施策と理解をしています。

 この民間出資を含めた民間資金の調達を促進するために、経済産業省としてどのような考え、方針で臨むのか、お尋ねいたします。お願いいたします。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほど来お話しさせていただいておりますとおり、産業全体がパラダイムシフトを迎える中で、次世代半導体、これは我が国の産業の将来を左右する重要な技術であります。ただ、海外トップメーカーも含めまして、どの事業者もまだ量産に至っていない野心的な取組であります。ただ、これを諦めては我が国半導体産業の復活は難しいわけでありまして、ここはしっかりやっていきたい。

 こうした認識の下、次世代半導体の研究開発、こちらにつきましては国の委託事業として実施してまいりました。その量産に必要な資金は、基本的には民間からの資金調達を軸に手当てされるべきであろうというふうに考えています。

 他方、量産実現には売上げや利益が十分に上がる前から巨額の投資が必要であることを考えますと、当初から十分な資金を民間のみから調達することは難しいというふうに思います。

 このため、次世代半導体の量産に向けまして、まず、事業者の財務基盤を強化しつつ、民間からの資金調達を促進、補強する観点などから、出資や債務保証等の金融支援を行うための今法案を提出をさせていただいたという次第です。

 本法案に基づく公募プロセスにおきまして、産業構造審議会の次世代半導体等小委員会の意見を踏まえ、事業計画を精査し、事業者を選定した後、民間出資を含めまして民間資金調達を促進するために、選定事業者に対して必要な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。

東(克)委員 ありがとうございます。

 選定した会社が民間資金の調達を随時促進できるようによろしくお願いいたします。

 また、民間資金についてなんですけれども、先日のラピダス社の小池社長の参考人質疑の際にありましたように、今後非常な額の国費が様々に投資をされていく中で、現在非公表となっているラピダス社の個人株主を含む株主構成若しくは保有割合などの公開について、そして、JASMについては、TSMCが何%とか、過半数を取っていますとか公表されているんですけれども、今後どのようにやっていくのか。先ほど関委員も言われたように、黄金株のことであったり、様々な事業計画を見ていくことにはなると思うんですけれども、その保有割合、株の保有割合についての経済産業省としての考えをどのように持っているのか、お聞かせください。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、株の公表、非公表の話でございますけれども、こちらは、経営株主を含めました個人株主に関する情報開示につきましては、株主構成や保有割合を含めまして、プライバシー保護の観点を踏まえて慎重に対応する必要があるというふうに認識をしております。

東(克)委員 ありがとうございます。

 個人の株もそうですけれども、企業若しくは実際に国が出資したときに、どれぐらいの割合になったかということの公表は是非お願い、個人についてはプライバシーの保護の観点があると思いますので、法人、企業若しくは国が出資した場合、どれぐらいの構成になっているのかということを順次公表していただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 また、この法案が成立した場合、出資や金融機関、様々なことがラピダス社に行われていくことになる可能性がありますが、一方で、先ほど山岡議員も言われましたように、物事が想定どおりに、特にトランプ政権であったり、様々な外部要因、ウクライナ戦争もあるかと思いますけれども、物事が思いどおりに、想定どおりに進んでいかない場合が当然あることは想定されるんですけれども、株主として、国ですね、IPA、情報処理推進機構や外部有識者若しくは先ほどから何回か出てきている小委員会などの意見の具申があると思いますが、事業の見直しを含む最終的な判断、そして責任所在はどこにあるのか。いろいろな人たちがいろいろなことを言って、そして収拾がつかなくなるようなモラルハザードが起こらないような仕組みはなされているのか。

 この質問を考えたときに、私、先ほど思いましたけれども、ちょうどコロナのときに、小委員会の尾身先生とか八割おじさんとか、学識、有識者が矢面に立たされて、そしていろいろな批判を受けたという、しかもあの方は知り合いだったので、非常につらいなという思いを先ほどちょっと思い出しましたので、もしもラピダス社に外部要因のことでいろいろなことが起こったときにその小委員会の方々が矢面に立たないようにしていただきたいということもありますし、そして、これがどのようなラピダス社の経営計画に関与を検討しているのかということを、経済産業省としてのお考えをお聞かせください。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、政府としての最終的な責任は経済産業省にあります。

 本法案におきまして、まず、支援対象となる次世代半導体製造事業者、こちらは、公募を通じて事業計画等を審査した上で、経済産業大臣が選定します。

 また、選定後の事業の進捗状況につきましても、経済産業大臣が報告を受け、あらかじめ設定したマイルストーンの達成状況等について確認することになります。その際、事業者の計画が認定時の基準に適合しないものとなったと認めるときは、経済産業大臣が計画の変更指示等を行うことができる制度になっています。

 こうしたプロセス、これは外部有識者などの御意見を踏まえることとしておりますけれども、最終的な責任は経済産業省にあると考えています。説明責任を果たしながら、全力で取り組んでまいりたいというふうに考えています。

東(克)委員 是非、経済産業省、大臣になると思いますけれども、何かあったときには進んで矢面に立っていただいて、小委員会の方々を前に出さないようにお願いしたいと思います。

 また、こちらはちょっと要望になるんですけれども、昨晩、私が何げなくラピダスと検索したときに、スペースを空けると、次に出てきたのが、上場とか株とかという言葉が出てきたんですね。これからどんどんラピダス社のニュースが出てきたときに、未公開株とか政府が出資した会社ですという言葉が出てきて、いわゆる詐欺の問題がこれから出てくる。私の昨日の夜の時点なので、何の通告もないので要望にしておきますけれども、そういうことが出てくる可能性もあるかもしれないと思いましたので、関係省庁として、未公開株とかそういうことの被害が出ないようにちょっと事前に何か手を打っておいていただければなというふうに思います。恐らく、この法案が成立したらそういう話が一気に出てくるので、メディアに出てくるとそういう話が出てくると思いますので、是非お願いいたしたいと思います。

 続いて、IPAについてお伺いさせていただきたいと思います。

 今法案の改正の内容の一つに、IPAの事業にデジタル人材の養成が追加されると理解しています。

 先日の参考人質疑の際に、荒井議員からラピダス社の小池社長へ人材対応に対する見通しの質問がありました。小池社長からは、毎月三十人の入社があって、毎月入社式を行っている、二〇二七年には千人規模の会社になって、今現在、自動化を推し進めるための人材確保を行っているという旨の発言がありました。

 昨年の日経新聞の報道には、中国地方になりますけれども、中国経済産業局が二〇三三年に中国地方での半導体人材が千六百人不足するという見通しを持っています。そして、この分野で活躍できる人材を育成しなければならないということを急いでいるという報道がなされていましたが、大学や地域との連携について、非常に、中国地方でも、そして全国的にも重要であるというふうには考えております。

 今後、半導体人材を育成するのに経済産業省はどのように取り組んでいくのか、また、デジタル人材を担っていくIPAにおいてどのような事業を行うのか、経済産業省のお考えをお尋ねいたします。

武藤国務大臣 半導体の人材育成につきましては、大学等の教育機関を始め、地域の産学官と協働することが重要であると思います。経済産業省では、各地域で半導体人材育成等を担うコンソーシアムを設立しまして、地元産業界のニーズや地域の実情に応じた取組を推進しているところであります。

 例えば、先生のところの中国地方でありますけれども、大学と企業が連携をしながら出前講義とか工場見学を実施されておられます。さらに、大学や高校などの教育機関の教員を対象とした半導体の研修プログラムを実施するなどもしているところです。

 今後とも、各地域の実情に応じた半導体人材の育成、確保の取組を推進してまいります。

 また、デジタル人材育成について、今のIPAの関係ですけれども、現行法の規定の範囲で、情報処理技術者試験の実施や運営、そしてデジタル人材育成に関する指針の策定等の取組を行ってまいりました。

 今回の法改正でデジタル人材を育成する業務を拡充をし、例えば、IPA独自の人材育成コンテンツの作成ですとか提供等を新たに行うことを検討し、デジタル人材の育成のための取組を一層充実させたいと思っております。

 以上です。

東(克)委員 ありがとうございます。

 是非、必要な人材になってくると思いますので、これからも積極的に人材育成の、特に広報ですね、ここにこういうものがありますよということを是非推し進めていただければなというふうに思います。恐らく、ここの人材育成がこれからの日本を、先ほど大島委員からの話もありましたように、量子コンピューター、その辺りのことにも含まれてくると思いますので、是非ともよろしくお願いしたいと思います。

 続いて、これまではIPA以外の話でしたけれども、IPAの中の人々の話についてお伺いさせていただきます。

 今後、今回の法案では、IPAの役割がかなり拡充されていくというふうに認識をしております。様々な業務の追加が想定される中で、IPA自体の人材が課題になってくるというふうに認識しています。

 現状、IPAについては常勤と非常勤を合わせて六百人程度の職員で運営されているというふうに認識していますが、相当の人員をIPAに確保していかなければならないと思いますし、そして、これからどうやってそのIPAの人材を確保していくのか、加えて、IPAにおいてどうやって集めていくのか、どのような活躍を期待しているのか、IPAを所管する経済産業省のお考えをお尋ねいたします。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、近年のデジタル化の加速、あと、サイバーセキュリティーの対応というようなものが非常に求められるようになりまして、IPAの業務内容や役割は非常に拡大してきています。先ほど六百人以上というお話をいただきましたけれども、この七年で職員数を約二倍に増やすなど、体制の拡充にこれまでも努めてまいりました。

 さらに、今般の法改正に基づきまして、IPAをデジタル技術基盤のコア領域を担う機関にしていきたい。つまり、ハードウェアとしての最先端半導体分野、そして計算基盤整備を含めましたソフトウェアとしての生成AI開発支援、あとデジタル人材、こういったもの、これにサイバーセキュリティーでありますとかそういったものが加わったものを一体的に行うことができる中核機関としてIPAを変革していきたいというふうに考えています。

 当然のことながら、様々なこうした専門的な能力を持つ人材をしっかり確保していかないといけないというふうに考えています。

 今般の法律の関係で申し上げますと、次世代半導体製造事業者への金融支援、これはIPAの方が行っていくことになりますので、したがって、外部の金融専門家の招聘を含めまして金融機能の強化をしていく、また、需要予測や顧客獲得なども含めました事業計画を精査する上で必要な、半導体のユーザーサイドの豊富な知見を有する人材を登用する、こういったことも必要であろうと思っています。

 先ほど大臣の方から御答弁申し上げました人材のところにつきましても、IPA自らが教育コンテンツの作成などに取り組むというような形で、これまでとまた違った専門家を採用していかないといけない。

 こういった問題意識は、以前より、特にデジタル政策の取組を強化していかないといけないということで、二倍に増やしていく過程でどのような形で人を確保していこうかと。これは、経験を持たれている方、さらに新卒で地方の大学からもいらっしゃっている方とか、そういったところを積極的にいわゆるリクルートをかけて適切に人を確保していくための取組を進めておりますけれども、処遇の在り方なども含めまして、こういった人材がしっかり確保できるような取組を進めていきたいというふうに考えております。

東(克)委員 ありがとうございます。

 本当に、技術だけではなくて、先ほども言われましたように、金融であったり、経営のことであったり、マーケティングのことであったり、様々な分野をこのIPAが担うようになってくると思いますし、先ほども、これからどんどんこれが中核地となって、IPA自体も人手不足にならないように、日本のデジタル人材の育成の中核になれるように、これからも本当にいろいろと一緒に頑張ってまいりたいと思いますので、お願いいたします。

 最後に、AIの半導体フレームについてお伺いさせていただきます。

 AI・半導体産業基盤強化フレームに基づいて、二〇三〇年度までに、何度も言われていますが、十兆円の公的資金を想定していると認識をしております。そして、その投資については、計画的かつ重点的な投資で、そして投資支援と書いてあります。

 当然ながら、行政事業レビューなど見える化の仕組み、それらによって外部有識者の目にも触れながら検証されていくことになると思うんですが、これらの巨額の支援について、どのような予算執行の管理、そして検証を実施していくのか、経済産業省としてのお考えをお聞かせください。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、半導体、AI分野への支援につきましては、これまでも、財政当局の査定や国会での御審議をいただいて、必要な予算措置を講じてまいりました。こうしたプロセスは今後も変わることは当然ございません。

 また、個別案件の支援決定に際しましては、あらかじめ外部有識者に、支援の必要性、中の精査、そういったものを審査していただきながら決めていっていく。

 さらに、御指摘をいただいています執行管理、あと事後の検証、これまでと同様に行政事業レビューなども実施してまいりますけれども、それに加えまして、大規模な支援事業につきましては、第三者の評価の下で、事業計画の策定と併せてマイルストーンを設定して、その達成状況を確認し、事業計画の見直しを判断する枠組みを構築して支援を進めていく、まさにこの法律で御議論いただいているものです。

 具体的に申し上げれば、産構審の次世代半導体等小委員会を設置し、こういった枠組みを使ってしっかりと執行管理、検証を進めていきたいというふうに考えております。

東(克)委員 ありがとうございました。終わります。

宮崎委員長 次に、山崎誠君。

山崎(誠)委員 こんにちは。立憲民主党、山崎誠でございます。

 今日は、情報処理の促進に関する法律等の改正案、大事な法案、是非建設的な議論ができればと思います。

 言うまでもありませんけれども、この半導体の分野、国の本当に根幹に関わる、社会を支える、そうした物資ということで、本当に、日本がこれをどういうふうに得ていくのか、国内生産ということはやはり非常に重要な課題であろうと思いますし、それをどういうふうに実現していくのか、このプロジェクトが国の支援でどういうふうに立ち上がっていくのか、再興していくのかということ、大変重要視をし、注目をしているところでございます。

 ちょっと質問は前の皆さんの質問も受けて前後しますけれども、先ほど経産省の責任という話が出ました。極めてこのプロジェクトにかける意気込みも感じたところなのでありますけれども、私は、申し訳ないんですが、やはりこれまでの経産省の事業の数々を見ていて、どうも産業政策はうまくいっていない、今の日本の経済、産業の衰退というのは。これは経産省だけの責任とは言わないですが、私はやはり経産省にその責任の一端はあるんだろうというふうに思うのであります。

 では、これからどういうふうにするかです。これまでの反省も様々な分野で最近は聞かれるようになってきました。例えば日の丸半導体の凋落、この言葉も非常に読むのも嫌な言葉でありますけれども、資料一にも経産省の資料をつけました。これは、一般論としてこういうことがあるということは理解をするんですけれども、経産省としてこの失敗をどう受け止めて、経産省としてどんな支援が必要だったのか、足りなかったのか、それを経産省の立場から語っていただけませんか。

野原政府参考人 私も、三十年以上、経済産業省に勤めてまいりましたので、これまでの政策の結果が現在の状況ということでございますから、大変悔しい思いを持っております。

 そういう意味では、やはりこれまでの産業政策の結果を検証して、そこからどんなレッスン、教訓があるのか、それを抽出して、それを生かさなきゃいけないというのは非常に強く考えているところでございます。

 いろいろ失敗の理由、委員も配られている配付資料にあるように、五つの理由、これは半導体政策を大規模に開始するときに最初に整理した五つの理由でございますが、それ以外にも、二〇〇〇年代に取り組んだ研究開発プロジェクト、国プロでございますね、幾つもありました、MIRAI、HALCA、ASPLA、いろいろプロジェクトがありましたが、その総括、あるいはエルピーダの、最終的に会社更生法に行ってマイクロンに買収されたといった話もありました。

 半導体以外の分野でも、蓄電池分野あるいはディスプレーなど、いろいろな分野でいろいろ御指摘をいただくことがございます。

 レッスンについては、それぞれのケースでいろいろ違うところはありますが、主なものを申し上げますと、半導体でいえば、垂直統合から水平分業への大きな変革を捉えることができなかったとか、あるいは海外との連携が十分じゃなかったとか……(山崎(誠)委員「経産省の立場から、経産省に何が足りなかったかを聞いています」と呼ぶ)

 そういう意味では、機動的に政策を発動することができなかったということでありますとか、国内再編に少しこだわってしまって、グローバルな連携について支援を、そちらに動くように促すことが十分できなかったでありますとか、研究開発のところに少し支援が重点化し過ぎて、次の事業化のところへつなぐところの施策がやはり十分でなかった、量産投資のところの支援が薄かったといったこともあったと思います。

 それらの総括、あるいは中核になる企業が十分なかったとか、いろいろレッスンはあったと思いますが、それを生かして今の政策を展開しようと思っていまして、例えばラピダスの問題でいきますと、ラピダスプロジェクトについて申し上げますと……(山崎(誠)委員「ちょっと長い」と呼ぶ)

宮崎委員長 その原因だけ言ってくれればいいですから、答弁を終えてください。

野原政府参考人 はい。

 研究開発の海外での企業との連携、あるいは、今回の金融支援では、出資を通じて株主としての一定の権利を保有しつつ上場後にはリターンを得るなど、様々、過去とは違う政策を展開しているところでございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 私は、一般論というか、分析の結果は分かっているんですよ。それに対して経産省としてどう関与して、どうこれを改善できなかったのかというのが問題で、その教訓でこのラピダスのプロジェクトが、まあ中心になると思うんですけれども、動いていくんだろうとは期待をしています。

 ですが、ちょっとお聞きをしたいのは、じゃ、ラピダスのプロジェクト、誰に相談をしてこれを進めてきたかですよ。私は、ラピダスのこの経営陣の中に、経営株主のお二人、東会長、小池社長、小池社長からも何度もお話を聞きました、お二人がいる。それから、創業個人株主ということで、ずっと相談を重ねてきた十二人の方がいるというお話。十二人、誰か分からないんです、我々、教えてくれないので。

 経産省は当然そういう方々と相談をしてこのラピダスのプロジェクトを立ち上げたんだろうと想像しているんですが、どういうプロセスで、このラピダスのプロジェクトを誰に相談をして、どんなプロセスで立ち上げてきたのかを教えてください。

野原政府参考人 ラピダスプロジェクトは、最初に東哲郎さんが、旧来の知り合いであるIBM側から、IBMで二ナノの技術を開発したので日本で量産化しませんかというふうに二〇〇〇年に話を持ち込まれたところから話は始まっています。

 東さんが、これは日本で量産化できないかというので、半導体の日本の既存のメーカーに幾つか当たられたそうでございますが、自社がそれを背負って量産化したいと言った企業はなかったので、小池さんを中心とする半導体の各社のトップエンジニアを集めたチームをつくられまして、一年間、これをどうやったら量産化できるのか、日本で量産化できるかということを検討されたそのチームが母体となって立ち上がったスタートアップでございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 この凋落の理由の中で、やはりいろいろな理由があるんでしょうけれども、私が一番大きいなと思っているのは、やはりTSMCの戦略の転換。要するに、設計と製造を分離をして、ファウンドリーというビジネスをつくって。これはキオクシアの早坂社長がお話をしていた、コストが三〇%ダウンになったんだ、そのコストダウンに自分たちはついていけなかったと。それは台湾ですよ。だから、ビジネスモデルを変えて、そして製造のプロセスを大きく変えて、量産化、そしてそれに歩留りも伴う量産化を実現して、三〇%のコストダウンをされたので、もうついていけなくなっちゃった、新しい技術開発の投資も日本のメーカーはできなくなって、それで負けたんだと。私は、この分析というのはすごく腑に落ちたんですよ。

 何が言いたいかというと、問題は、ビジネスモデル、もちろん技術もあります、技術も大事だけれども、ビジネスモデルをどうイノベートしていくのかというのが今の産業界の一番肝じゃないかと私は思うんですよ。例えばアマゾンだって、あれだけのビジネス、誰も考えなかったようなああいう宅配のシステムをつくる。アップルだって、あのスマートフォン。あれは、技術もありますけれども、やはり、それの中のコンテンツだとか、そのアプリケーションの開放をして、どんどん新しいものが生まれてくる、そういうイノベーション。やはりビジネスモデルじゃないですか。

 私は、じゃ、今のラピダスのプロジェクトを立ち上げるときに、こういうビジネスモデルのイノベーションの発想があったのかどうかなんですよ。いや、IBMから、技術がありますよ、量産化しませんかと言われました、じゃ、手を挙げましたと。これで、新しい半導体の産業を日本で立ち上げ、広げることができるか。たとえ、じゃ、二ナノで成功しても、TSMCはついてきますよ。二〇二五年には二ナノを量産化するという、そんな方針も出ていますよね。そうしたときに、ラピダスはどこで勝負するんですか。

 もう一つ言うと、ラピダスの戦略の中は中規模ファウンドリーなんですよ、中規模ファウンドリー。二ナノから、最先端のものを出しました、高いけれども一部のユーザーが買ってくれますと。でも、その次に、中規模ですから、大量に生産をして、コストを下げて、そして市場を取っていくということにはつながらないですよ。なので、次の一・四ナノ、五ナノ、一ナノ、そこに今度はシフトしていきます、最先端、最先端を追っかけていく、そういうビジネスモデルです、そういう説明を受けているんですよ。

 それで、果たしてビジネスモデルとして成立をするのかどうか。私は、そこをすごく腑に落ちない点としてずっと思っているんですが、いかがですか。

野原政府参考人 ビジネスモデルが重要だというのは、TSMCの成功の例を見ても非常に重要な視点だと思います。結局、この新しいビジネスがどういう顧客価値、新しい顧客価値を提供するのかというのが非常に重要な点でありまして、だからお客さんがそこを重用するわけであります。

 ラピダスについては、ビジネスモデルについてはTSMCとは違うビジネスモデル、違う顧客価値を提供するというコンセプトで組まれているプロジェクトでございます。その違うところというのは、今問題になっている、先端になるほど設計から製造まで時間がかかるところを、短期間で発注から納品までする。今のビジネスモデルの半分ぐらいにしたいというのを目標に掲げていますけれども、そういう、お客さんの、早く自分のビジネスに使いたいから早く欲しいというところに応える、これが一番重要なラピダスのビジネスモデルの違いでございます。

 それ以外にも、省エネチップでございますとか、あるいは専用半導体、カスタムチップと言われますが、お客さんの、高性能と低消費電力を実現するために、専用半導体の流れになりますので、そういうところへ応える。それに合わせた生産ラインを、TSMCと全く違う生産ラインを構えているわけでございまして、ビジネスモデル、顧客価値が違う、したがってすみ分けていくという、そういうふうな戦略でございます。

山崎(誠)委員 顧客価値が違うというお話でありますけれども、じゃ、顧客が、今お話をされているのは、早く欲しい、高くてもいいからとにかく早く二ナノのチップを下さいと。そういうユーザーは、じゃ、その後、そのチップを大量に使いますか。大量に欲しくて、それを量産化を、例えば、中規模、まあ大規模ファウンドリーとして製造していくことを期待するユーザーですか。

 私は、いや、欲しいところはあるでしょう、それは、自分の例えばAIのコンピューター、性能を上げて、まずはそういう開発を先に行きたいという人たちはいると思いますよ、それは。でも、それって、決してマスの、大きな市場にはなかなかつながらないんじゃないか、そういう体制に今ラピダスはなっていないんじゃないかと私は思うんですよ。

 そうなるとどうなるかというと、投資を回収できないですよ。この半導体のビジネスの特徴は、初期に大量の投資が要る。それを取り戻すためには、やはりその製造、量産化をして歩留りを上げて、そして大量のものを作るということで一応成り立っているんじゃないですかね。いかがですか。

野原政府参考人 ラピダスのビジネスモデルについて、少量多品種というふうに間違って報道されることが結構ありまして、これは少量ではなくて専用多品種というふうに彼らは説明していまして、発注を受けたものが、少量ではなくて一定ロット生産するというのを彼らとしてはビジネスモデルにしているわけでございます。

 全体の需給についての予想をしますと、二〇三〇年断面で需要と供給を比較しますと、需要に対して供給の方が三割ぐらい少ないというふうに予想されているわけでございますから、潜在的なお客はいる。したがって、ラピダスがちゃんと今掲げているようなビジネスモデルできちっとした半導体を作れるのであれば、お客さんはいる、そういうふうに考えております。

山崎(誠)委員 お客さんはいるというのはそのとおりだとは思いますが、では、ビジネスとして、どういう収支で、ラピダスは今後、次の一・四ナノの開発をするための投資をするのか、次のラインを造るために投資をするのか。そういう収支計画が今のビジネスモデルでちゃんと立てられているのかです。

 これについても我々質問をしているんだけれども、企業秘密、詳細には計算しているけれども皆様にはお出しできない、そう言われているわけですよ。私の今の質問には、やはり答えにならないんですよ。

 では、どのぐらいのコストで製造をし、どのくらいの収益をそのチップで上げられるのか。それが、量産化を開始したときにどういう見通しが立っているのか。どのぐらいを入れる、いや、それは顧客ゼロとは言わないでしょう、だけれども、それがどのぐらい買ってくれて、そのお客さんのビジネスがどのぐらい伸びている、そういったところをきちっとやはり明示していただかないと、私としては納得いかないのであります。

 この収支の話もありますし、じゃ、どんな方と相談をしたのかと。私は、局長、答弁の一番初めのところが一番気になるんですよ。IBMから提案がありました、二ナノの製造をしませんかと。それで飛びつく。これは、今まで三ナノまでは負けてきた、でも、ここで技術的なブレークスルー、新しい技術があるから、だからここで勝負がかけられるんだといって、また同じ勝負に出て。それじゃ余りにも、私は、これまでのレッスンというか教訓が生きていないんじゃないかと思うんですよ。

 ここで、私は、もう一つ、熊本のJASMのプロジェクト、これについてお聞きをしたいんですよ。

 JASMについては、誰とどういうふうに相談をして支援を決めて、あの工場が立ち上がったんですか。経産省の立場から。

野原政府参考人 先ほどの件は、TSMCが例えば四〇%の利益率を出していますので、ラピダスが入っていっても採算が取れるぐらいの利益率が、再投資できるぐらいの利益率が出せるという見込みで、プロジェクトは進めております。ビジネスモデルの検討はラピダス側でよく考えてきたものでございます。

 TSMC、JASMでございますが、これは、TSMCとのコミュニケーションの中で、彼らが日本に進出してロジック半導体に投資をしてもよいというふうな話がありまして、協議をしながら、最終的には投資決定に至ったものでございます。日本としては生産能力がない部分のロジック半導体でございますから、我々としても安定供給を図るために必要だ、そのように考えたところでございます。

山崎(誠)委員 私は、経産省の御判断として、TSMCを誘致をして熊本のあのJASMを造ったというのは非常に評価しているんですよ。だって、今までまさになかったことじゃないですか。あれだけの海外からの工場を誘致をして、それも応援をして、立ち上げる。私は、今、これからかもしれませんけれども、成功しているプロジェクトだと思うんですよ。

 だから、これは私は経産省の中にも発想の転換があったんだと思いますよ、これまでのやり方を変えようと。日本のメーカーだけに頼るんじゃ十分じゃない、やはり世界で、ビジネスモデル、勝者をちゃんと呼んで、それでやることの意義というのは私はすごくあると思うんですよ。

 私は、だから、熊本でそういう決断をしてやっているのに、何で千歳のラピダスは今までのような、国が護衛をする船団のような、ちょっと言葉が適切じゃないかもしれないけれども、そういうプロジェクトになってしまっているのか。

 もっと言えば、極端な話かもしれませんけれども、今のラピダスのプロジェクトにTSMCに入ってもらったらどうですか。そうしたら、また新しい化学反応が起きて、それこそ日本の技術力、そしてTSMCが持っているビジネスモデル、そんなものが融合したら、新しい、もっと確実なプロジェクトになっていくと思うんですよ。

 いろいろな、秘密の保持の問題とか、まあ競争相手ですから、なかなかうまくいかないでしょう。でも、そのぐらいの発想の転換をしていかないと、私は、日本の半導体産業がこれから伸びていくには十分ではないと思うんですよ。大臣、どうですか。大臣、ちょっとお考えを。

武藤国務大臣 山崎委員の御指摘は、この大きな事業に対する国民の税を入れるという観点とか、そして、今までの我々の、いわゆる経産省も関わってきた過去の半導体の凋落の歴史とか、様々、半導体だけではなくて、正直、ディスプレーの話だったり、今まで日本の産業界が何でこんなふうになっちゃったのというところは、過去いろいろ見てきているわけですね。

 その中で、今回、次世代半導体という形の中で、新しい時代へ、一番最初、関先生からも話がありましたけれども、ほかから買うのか、要するに日本で作れるのかというまさに瀬戸際に来ている。まさにその需要がまだ正直言ってよく見えない、これは、ラピダスも計画を作りたいんだけれども、お客さん獲得にはこれが大前提であるというのが、そもそも今回の半導体だったというふうに僕は思っています。

 ですから、そういう意味では、反省をしっかり検証しながら、税金を扱うということについては検証をしっかりし、どういう形で国民の御理解を得ながら日本が外に負けないようにこれから新しい産業の軸としてこれを再構築していくかということなんだろうと思っています。

 ですから、先生の御質問、これはよく分かるんですけれども、やはりこういうレールを敷きながらラピダスが、日本に帰ってきて、私はちょっとこの前の参考人のところは出ていないんですけれども、議事録をざっと見せていただいた中で、ラピダスのやる気というものは、正直、会長とも今までもお会いしていますけれども、改めて感じさせていただいたところで、しっかりと日本の将来というものに向けてラピダスというものが動き出しているというふうに承知をしているところであります。

山崎(誠)委員 ちょっとお答えいただかなかった。例えば、TSMCをラピダスのメンバーに加える、いろいろな形があると思いますけれども、そのぐらいのことをやった方がいいんじゃないですか。

武藤国務大臣 熊本にあるTSMCは、二ナノというよりは、それまでの、いわゆる日本が本当に足りなかったところを補ってきていると思います。世界的にいうとTSMCははるかにラピダスより上へ行かれる技術を持っているということは、私も考えているところです。

 ただ、TSMCは元々台湾という形の中で、やはり経済安全保障上の概念もあり、日本純粋でこれは育てていくというところも必要だという認識は持っています。

山崎(誠)委員 今のお話の中でも、日本で国産化をするためのプロジェクトなんですけれども、じゃ、何を国産化することが一番の国益なのかというのも私は大事だと思うんです。

 半導体にはいろいろ種類がありますよね。ロジック半導体だって、資料二につけてありますけれども、ナノサイズの、微細化の進展によっていろいろなサイズのものがあって、それぞれの産業界のニーズはあるわけですよ。

 皆様御存じのように、例えば熊本のTSMCでは、自動車だとかあるいはソニーだとかも自分の製造にどうしても必要なサイズのものを求めて、一緒に作るということで進んでいるわけですよね。そういう意味で、TSMCの熊本工場というのは、日本のメーカーにとっては一つの安心材料にはなっていると思います。

 ただ、台湾の会社です、あくまでも。実際にどこまで製造が確保できるかというのはあると思う。本当に国産をやるんだったら、この分野の半導体を製造する国内の工場、純日本の工場をつくるべきじゃないですか。いかがですか。

野原政府参考人 TSMCの戦略として、やはり安全保障上、その時点で最先端のものは台湾で作るというのが彼らの大方針でございまして、先端の方へ、熊本も二号棟は六ナノまで来ていますので、少し先端の方に寄ってはきていますけれども、時間軸でずれていきまして、常に最先端がほかの、台湾域外にあるという状況はつくらないというのが彼らの基本方針なので、そういう意味では、最先端のチップがAIのチップで一番重要なチップに今後なってまいりますので、そこを安定供給を図ろうとすると、国内、TSMCに頼むのではなくほかの方法でやるしかないというのでラピダスプロジェクトを支援をしている、そういう位置づけでございます。

 TSMCとの共同というか協力は、TSMCの作るチップ、熊本で作るチップ、六ナノから二十八ナノまでありますが、これを実際、チップレット、ラピダスは後工程でチップレットもやりますけれども、チップレットのときには二ナノ以外のチップも必要なわけでありまして、TSMCのチップを調達したりして協力することは当然あり得るわけでございます。そういう協力が当面想定されているということだと思います。

山崎(誠)委員 だから、TSMCが熊本で作ろうとしているレベルの半導体をラピダスが作った方がいいんじゃないですか。そっちも作れるようにしないと、日本で調達するということにならないんじゃないですか。

野原政府参考人 これはやはり、コロナのときを契機にして、安定供給を図らないと経済社会活動が全部ストップしてしまう、したがって、半導体の安定供給をするためにTSMCを誘致をしているわけでありまして、ここは、六ナノのところを日本の純粋なメーカーで誰かやる人がいるのかというといなかったわけでありますし、だんだん、徐々に、三ナノから二ナノに行くだけでも省エネに三〇%、四〇%なるというふうに言っているグローバルなプレーヤーもいるわけで、どんどん二ナノの方へ二ナノの方へ需要としてはシフトしていくわけでございますから、より先端で、将来的に需要がピークアウトするところへシフトするというのは余り戦略として正しくないんじゃないかと考えていて、こういうふうになっているわけでございます。

山崎(誠)委員 ラピダスがどんどん、先端、先端、先端と行くと、実際に産業界が欲しいのはその前のチップで、それは海外から調達しなきゃいけないとかいうことになっちゃうから言っているんですよ。今はざまに落ちちゃっているというか、段階があるからしようがないのかもしれないですけれども、私はやはり、ラピダスには、もう一回その戦略、今後のやり方、これからいろいろな事業計画が出てくる、審査するわけですから、厳しくやはりその辺りはチェックをいただかなければいけないのではないか。今のままで試作のラインは走っていますから、そこからどうこうというのは難しいのかもしれませんけれども、私は、是非もう一回立ち止まって、本当に、ラピダスの戦略が、日本の半導体、経済安全保障にも、そして日本の産業の底上げに十分なプロジェクトになっているかどうかというのは、不断に検証をお願いをしたいと思います。

 いろいろな御質問をしたかったんですけれども、是非、できる限りの情報公開、先ほども、やはり国会への御報告をもらいたいみたいな話もあったと思いますけれども、それをできるだけ頻度を上げていただいて、特にIPOあるいは量産化が始まるぐらいまでは、四半期に一度ぐらい何かしら状況についての御報告をいただきたいし、そういうことをちゃんと国民にも明らかにしながらでないと、予算をつけろと言っても予算の審議もできないと思います。本当に手遅れにならない前に、どんどん軌道修正をしながら、正しいかじ取りを私は経産省には求めてまいりたいと思います。

 最後、エネルギーの供給のお話をさせていただこうと思います。

 この半導体の工場を造るに当たってどんなエネルギーミックスを考えているか、お尋ねします。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 ラピダスからは、次世代半導体の量産のためには量、価格共に安定的な脱炭素電源の供給確保が重要であるという説明を受けてございます。

山崎(誠)委員 経産省は、それはどうやって実現するんですか。経産省はどんなエネルギーミックスでそれを実現しようとしているんですか。

久米政府参考人 これは北海道もそうでございますし、我が国全体といたしましても脱炭素電源の確保ということがまず重要でございまして、低いエネルギー自給率あるいは火力への高い依存といった課題を克服する上で、脱炭素電源の確保をしていく、それと併せて火力の脱炭素化も進めていくということでございますので、国のエネルギー基本計画と同じような考え方に基づくということかと考えてございます。

山崎(誠)委員 時間になりましたので終わりますけれども、私が申し上げたいのは、胆振東部の地震がございましたよね、あのブラックアウト。あれは、やはり石炭火力に大きな依存をして、地震で止まって、いろいろな状況も、条件も重なったのでありますけれども、あれだけの大きなブラックアウトを起こした。これは、分散ネットワーク型の電源できちっと支える仕組みをつくってラピダスに供給してあげないと、製造にも本当に大きな影響が出ると思うんですよ。

 是非これは、再エネ中心にしたネットワークできちっと、先ほど大島委員からもありました地熱なんかをぎちっと入れて、安定した電源はラピダスに供給するんだ、それは再エネなんだということを私は経産省としてきちっと明示化、明確化するべきだというふうに思いますので、これはお願いをして、今日は終わります。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会の空本誠喜でございます。

 今日も発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 ラピダス法案についての審議におきまして、簡単に今配付資料をお配りさせていただいております。

 まず、指定高速処理用半導体という言葉が今度出ました。この定義について、まず、その物理量の次元とか単位とか、こういったものを含めて、経産省、御説明ください。

野原政府参考人 本法案におきまして、指定高速情報処理用半導体でございますけれども、一としまして、極めて大量の情報を極めて高速度で処理することを可能とする半導体であって、情報処理の高度化のために特に必要なものであり、二として、我が国において、その生産及び供給が安定的に行われておらず、かつ、行われないおそれがある状況にあるという要件に該当する半導体を指定することとしております。

 その上で、現時点では二ナノ世代以降の次世代半導体を指定することを想定しておりますが、政令で定量的、法制的にどのように定義するかについては今後検討を進めてまいります。

空本委員 まだ数値的な、目標数値といいますか、定義ができていませんので、そういったものをしっかり作っていただきながら、定義していただきながら進めていただきたいと思います。不十分だと思います。

 また、次に、順番に、上の方に(1)から(7)と書いてありますが、これが質問項目の項目でございます。

 次に、今回、エネルギー対策特別会計において先端半導体・人工知能関連技術勘定というものを創設する、何か違和感を感じるんですね。

 その下の中段、上の方に私の方が示しておりますけれども、実際、エネルギー対策特別勘定、エネ特会にはエネルギー需給そして電力開発促進勘定、原子力の損害賠償、この勘定がございますが、本来ならばエネルギー特会ではなくて、経産省には特許特会があります。特許というのは、まさに経済安全保障で一番重要なんですね。そちらの勘定を切り替えて、新しい勘定、普通は特会をつくるというわけにいかないので、例えば産業革新特会とか、そういった名前にして、先端技術半導体のこの勘定を置くべきじゃないか。

 何か、エネルギー対策の特会に、エネ特会にいるのはすごく違和感を感じるんですが、いかがでしょうか。財務副大臣、お答えください。

横山副大臣 お答えいたします。

 昨年十一月の経済対策において、AI・半導体産業基盤強化フレームに基づき、AI、半導体分野について複数年度にわたる計画的な支援を行うに当たっては、その経理を一元化することで支援の全体像の見える化を図ることといたしました。

 その際、いわゆる特会改革以降、特別会計の新設は極力抑制的に行うこととされました。また、事業類型が近似する既存の特別会計が存在する場合には、当該特会における対応を検討することが合理的と考えられる。今般の支援によるAI、半導体の活用を通じた情報処理の高度化はエネルギー消費の削減にも大きく貢献すること等を踏まえれば、エネルギー対策特別会計において区分して経理することが適当であると考えております。

空本委員 そうはおっしゃると思うんですが、やはりちょっとエネルギー特会の中にこれを入れるというのはすごく違和感を感じます、技術屋としてすごく感じます。

 そういった意味で、今後見直しをかけるなり、本当に経済安全保障の観点から産業を育成しようというならば、そういう特別会計があってもいいんですよ。それを、今回、財投から公債を発行して入れる、償還に充てるという形なんですが、実際、本当にそういうふうな形でいいのかどうか。

 そして、これと併せて、実は、カーボンプライシングによる国民負担は、これから二十五年間増えていくんじゃないか。配付資料の裏面に、エネルギーに係る負担総額の推移というのは、これは経済産業省さんの資料を私の方で加工させていただきましたけれども。

 実はこれは、再エネ賦課金を使って、これから下がるであろう再エネ賦課金が余るから、いや、その部分をカーボンプライシングに使っていくんだよ、すなわち、電気料金、ガソリン代、石炭税も、それもちょっと下がっていくから使おうじゃないか、そういう仕組みになっていて、実は国民負担はずっと変わらないんですね。逆に、電気料金の高騰が維持されちゃうんですよね。少しこれはやり方が違うんじゃないかな。逆に、これ自身、今回公債を財投でやるというんだったら、カーボンプライシングなんかは逆に財投を入れてやる仕組みの方がいいんじゃないかな。

 少し難しい話ですので、何か、このラピダス法案の公債発行と、逆にカーボンプライシングの再エネ賦課金の活用というのはちょっと違うような感じがするんですが、逆に、特別会計で財投を使ってカーボンプライシングを進める、それも二十兆積んでいますけれども、二十兆というのはすごくでかいですよね。逆に、数兆円でいい、財投なら二兆円、JT株とかNTT株の配当をもって対応するというのであれば、数兆円、何とかいける。ならば、そちらの方がまだいいんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

横山副大臣 AI、半導体分野への支援に当たり、エネルギー特会において最大二・二兆円の債券を発行することとしています。

 その償還財源は、財投特会投資勘定から今後複数年度にわたって繰り入れることを想定しております。その規模は、投資勘定の足下の歳入の状況や、これまでの投資勘定から一般会計への繰入実績等を総合的に勘案したものであります。

 今般の財投特会投資勘定からの繰入れは、次世代半導体の生産を行う産業の育成等を支援し、将来の投資勘定からの出資や収益確保につなげるといった観点から行うこととしております。

 その上で、委員御指摘の成長志向型カーボンプライシング構想において、エネルギーに係る負担を中長期的に減少させていく中で、負担の総額が中長期的に増えないような形でカーボンプライシングを導入する、これにより得られる将来の財源を裏づけに脱炭素経済移行債を発行することで、国として投資促進策を講じることとしております。

空本委員 そのカーボンプライシングのやり方だった場合は、これはラピダスの話なんですが、これは同じような会計、財源の話になっちゃうんですけれども、カーボンプライシングを続けていくのであって、再エネ賦課金若しくは石油石炭税を使っていくというんだったらば、国民民主党さんがおっしゃっている、これから再エネ賦課金を停止しようじゃないか、徴収停止しようとおっしゃっていますけれども、私もそれに賛成なんですね。徴収停止して、電気料金を下げる、又はガソリン代を下げる、減税する、こういったやり方の方が国民はより生活が豊かになるし楽になるしというやり方なんですよ。やはりここはちょっと見方を大きく変えていただかなきゃいけないかなと思っています。

 次に、会計検査院の方にお聞きします。

 実績がありません、信用力もまだラピダスはない。そういったところに金融機関の債務保証、政府保証をつけるということに対して、法人に対する政府の財政援助制限に関する法律三条に抵触するんじゃないでしょうか。どうでしょうか。独立行政法人、例えば中小企業基盤整備機構、過去の例もあるんですが、こういった点で、会計検査院としてはいかがでしょうか。

長岡会計検査院当局者 お答えいたします。

 委員の金融機関の債務保証につきましてのお尋ねは、現在、当委員会で審議されています法律案の規定を念頭に置かれたものであると理解しております。

 お尋ねの件について法律でどのように定めるか、これは、立法政策の問題であると考えており、会計検査院として見解を述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。

 また、会計検査院は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律の解釈権、これを有しておりませんので、同法についてのお尋ねにつきましてもお答えをすることが困難であるということを御理解いただければと存じます。

 なお、今委員から御紹介ありました会計検査院の報告でございますが、平成三十年度決算検査報告に掲記いたしました意見表示事項であると理解しております。これは、先ほどの法律について取り上げたものではなく、中小機構が保有している第二種信用基金における政府出資金の規模等について取り上げたものということを申し添えたいと思っております。

 以上でございます。

空本委員 しっかり会計監査をしていただく、そして、財務省の方におきましても、やはり、こういう独立行政法人に、法律には抵触しないかもしれませんけれども、少し違和感を感じますので、そういったところも踏まえてしっかり見ていただきたいと思います。

 そして、ラピダス、資本金七十三億円への追加投資一千億円ぐらいが今確保できるんじゃないかといううわさもございますが、その確からしさ、確度、いかがでしょうか。経済産業省からお答えください。

野原政府参考人 現在、ラピダス社は、次世代半導体の量産に向けて、既存株主等の企業との間で一千億円規模の追加出資に関する調整が本格化しているところというふうに承知をしております。

 先日の参考人質疑で小池社長からも、めどがつきつつあるという御発言がありました。ラピダス社としては、民間から最大限の資金調達をするべく、引き続き調整を進めているところというふうに認識をしております。

空本委員 私の聞いたところ、いろいろ米国に駐在している方々から聞いたりしているんですが、ラピダスに対してのこれからの商売として、マーケティングというのはないよと。そういうことに関してそういう情報も入ってきましたが、そうなったらば、やはり本当に一千億の追加出資というのをしてくれる企業はあるのかなと。本当ですかね。すごく心配であります。追加出資、国だけだったら本当に終わってしまいますよということだけ申し上げておきます。

 そして、次に、大臣にお聞きします。

 先ほどと同じ話なんですが、物価高騰対策としては、電気料金とガソリン代を下げるというやり方が一番よくて、先ほどのカーボンプライシングでいくとすると、これはやはり再エネ賦課金をそのまま使っていくという形になってしまって、やはり電気料金は下がらない。どうやったら電気料金を下げられるのか。経産省の方に聞いても答えが来ないんですよ。

 そして、このラピダス法案、特許特別会計を本当は産業革新特別会計などに変えてやるべき、そうやって本当に見える形で産業を育成するような形の方がいいんじゃないか。

 その二点について、大臣、いかがお考えか、お願いします。

武藤国務大臣 特別会計の立ち上げにつきましては、先ほど財務副大臣から御答弁があったとおりで、特別会計の新設は抑制的に行われなければいけない、また、その中で、先端半導体の利活用の拡大等を通じた情報処理の高度化は消費電力の抑制にも大きく貢献するところであります。これを踏まえて、エネルギー対策特別会計で区分経理することとなりました。

 GXの予算につきましても、財務副大臣から答弁させていただきましたけれども、財投の特会の投資勘定からの繰入れを財源とすることは適当ではないという考えでございます。

 これは推進法の制定時にも国会でも御了承いただいた方針ですけれども、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく中で、成長志向型カーボンプライシングを徐々に導入しながら、大規模な投資支援を進め、将来の経済成長、雇用、所得の拡大を目指すというものであったと承知をしているところです。

 今先生がおっしゃられたように、電気料金、ガソリン代、これをやめればいいじゃないか、こういう御指摘もあるところでありますけれども、足下では、ガソリン等の小売価格への支援、低所得者給付、地域の実情に応じた交付金、様々に総合的に対応しているところでもあり、中長期的には、燃料価格の影響を受けにくい再エネあるいは原子力など脱炭素電源の活用を進めながら、エネルギー構造そのものの転換を図っていきたいというふうに思っているところであります。

空本委員 ここはもう時間がございませんので議論しませんけれども、やはり見直しが必要であるというふうに進言させていただきます。

 最後の質問でございます。

 二ナノ半導体製造における前工程、後工程がございますが、様々なナノシートの成膜とか周辺回路の形成とかゲート電極の形成、こういったものがありまして、それについては配付資料の下の方に書かせていただいていまして、過去のロジック半導体のロードマップ、二ナノ、次にまたビヨンド二ナノを含めての構造を描いていますが、こういった構造から見ると、まだまだ難易度は高いといいますか、製造工程は厳しい。

 そういった意味で、本当にこれは、経済産業省、克服できるんでしょうか。それを含めて、経産省から最後に御説明をお願いします。

野原政府参考人 委員御指摘の技術的な点でございますが、個別の技術的なハードルの克服方法は、ラピダス等の機密事項に抵触するため、つまびらかにはできませんけれども、IBMの技術者等と連携して取り組む中、先月の外部有識者による審査においても、技術開発の進捗は順調というふうに評価をされております。

 今月から千歳のパイロットラインの立ち上げが開始されるところでございまして、これまでアメリカで開発をしてきた製造技術の千歳ラインへの移管が進んでまいります。

 引き続き、経産省としても、外部有識者の意見を踏まえて、適切なマイルストーンを設定し、その達成状況を確認しながらプロジェクトの成功に向けて取り組んでまいります。

空本委員 技術確認もしっかりお願いしたいですし、また、これができなくても、落としどころをしっかり考えていただいて、税金の無駄遣いをしないように是非お願いいたします。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、村上智信君。

村上(智)委員 日本維新の会の村上智信でございます。

 本日は、質問の時間をいただきまして、誠にありがとうございます。

 しかし、その大切な質問のタイミングなんですけれども、喉風邪を引いてしまいまして、ちょっと言葉が通じにくいところがあるかもしれませんが、どうぞ御容赦をお願いいたします。

 早速質問に入ります。

 情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、早速お聞きしたいんですけれども、本法案の狙いは何でしょうか。お答えください。

野原政府参考人 経済成長の実現や人手不足等の社会課題解決に不可欠な生成AIの利活用を促進するとともに、半導体、AI分野の大規模な官民投資を誘発することにより、我が国の産業の国際競争力を強化していくことが重要でございます。

 こうした状況を踏まえまして、次世代半導体の生産、高性能なサーバー等の導入に対する金融支援、デジタル人材の育成などの措置を加えまして、七年間で十兆円以上の公的支援を行うAI・半導体産業基盤強化フレームに必要な財源確保のための措置を講じる法案でございます。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 大規模な公的支援を行う、半導体やAIの分野に対してそのような支援を行うということで、産業振興は非常に大切だというふうに思います。産業振興は大切だとは思うんですけれども、しかし、今の状況に合わせた金額を考えるということもまた大切な視点かというふうに思っております。

 産業競争力におきまして、今の日本の状況はどうなんだろうか。今の状況がよければ、さすがに十兆円以上の金額は要らないというふうに判断があってもいいでしょうし、逆に、今の状況が大変苦しいんだ、産業の競争力の状況は悪いんだとなれば、多額な予算を費やす意義があるというふうに思っております。

 様々な産業競争力の状況を測る指標はありますけれども、何をもって今の日本の産業競争力、高いのか低いのか、調子いいのか悪いのかを考えたときに、私が注目しているのは経常収支です。

 日本というのは物づくりの国、製造業の国で、工業製品を作って、そしてそれを海外に売って、そして外貨を稼いで、そして日本に必要な食料や石炭、石油を買う、そういうふうなことが表れているのが国際収支です。

 以前は、国際収支の中でも、それが貿易収支に表れてきておりました。日本の中で最終製品を作り、そして車なりをほかの国に売る。貿易収支が重要だったと思いますけれども、昨今は、そういう最終製品を作る工場といいますのが海外に造られて、そして海外の関連会社、関連工場から最終製品を出荷する、そしてその関連会社からの配当金が日本に一次所得として入ってくるというふうなことで、それら貿易も一次所得も含めた国際収支ということで、経常収支が大事だというふうに見ております。

 それで見てみますと、今の日本の経常収支、昨年では二十九兆円の黒字ということで、過去最高ということになります。そういうことを考えれば、今まで経済産業省が大いに頑張ってきたその成果がこの経常収支に表れているのかなというふうに思います。

 そこで、質問をいたします。

 十分な経常黒字を稼いでいるにもかかわらず、半導体、AI産業に十兆円以上の公的支援をする必要があるのでしょうか。お答えください。

野原政府参考人 半導体、AI分野への十兆円以上の公的支援は、日本全体の経常黒字の水準との関係で新たに講ずることが必要というふうに判断したわけではございません。

 半導体は、DX、GX、経済安保にとって重要でございまして、日本の産業競争力全体を左右する戦略物資でございます。他のあらゆる産業の発展それから社会課題解決に貢献し、九州、熊本の例にありますように、半導体投資、地域の中小企業も含め、幅広い経済効果、波及効果をもたらすものでございます。

 また、AIでございますが、我が国の産業が革新的な製品、サービスを創出し、経済成長を実現するとともに、人口減少による構造的な人手不足を解決するためには不可欠な技術でございます。

 こうした中で、諸外国におきましても、特に半導体は、世界市場五十兆円から百五十兆円に、十年で三倍増するというふうに予想されている成長産業でございますので、各国、自国の基幹産業とすべく、必要な財源を確保しながら大胆な支援策を展開しているところでございます。

 我が国としても、二〇三〇年度まで七年間で十兆円以上の公的支援を行うことで、他国に見劣りしない支援をすることで、半導体、AI関連産業を我が国の基幹産業とすべく取り組んでまいりたいというふうに考えております。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 確かにそうですよね。経済産業省に聞くことじゃなかったかもしれません。経済産業省はやはり産業を振興する役所なものですから、必要だと思えばそれを要求する、そして、頑張ったあかしがこの十兆円の予算を獲得できたというふうなことだと思います。

 ただ、やはり日本全体として考えたときに、どの分野に予算を使うべきなのか、むしろ財務省的な発想かもしれませんけれども、そう考えたときには、今産業競争力が十分あるならば、むしろ、今現に困っている分野について予算を使うべきじゃないかなというふうなことは思います。

 七年間で十兆円といいますと、一年間一兆円以上。それだけあれば、例えば、足下で、物価高対策、ガソリン税を下げたらいいんじゃないか、そういう議論がありますけれども、その財源としても十分考えられるような規模になってきます。そういうふうなことは是非全体としては考えないといけないと思います。

 あと、もう一つ心配しておりますのは、十兆円の公的な支援をしていくのに当たって、それが確実に成果が出るようなものだったらいいんですけれども、研究開発的なものにやるときはかなりリスクがあるということを踏まえて、余り一つの案件に大きな金額はかけない方がいいんじゃないかというふうに思います。今回、ラピダスの件についてはかなり大きな金額がかかっているように見受けられますけれども、しかし、やはり研究開発というのは失敗もあり得ますので、そう考えると、余り一つの案件に大きくかけるというのはどうかと思います。大切な税金ですから、是非そこら辺は慎重に考えていただきたい。

 一方で、TSMCはまだ分かります。熊本に工場を造りましたけれども、これは、もう技術的に確立しているものを、その誘致のために公的な支援が入って熊本にできたというふうに聞いておりますけれども、こういうふうなものはリスクはそこまでないと思いますので、予算をかけていく意味はあるのかなというふうには思います。

 これは私の感想ですので、感想にとどめまして、次の質問に移りたいと思います。

 今般の情報処理促進法の改正においては、IPAという独立行政法人に、出資をできるようにする、そういう改正が含まれております。

 出資をする対象といいますのは、高速情報処理の半導体を生産しようとする会社だ、これを公募で決めるということですね。公募で決めるというと、本来でしたら、その公募の決まった会社、これというのは、普通はなかなか、公の場でぱっぱ、こういう公開の場所では言わないのかと思いましたけれども、先ほどからお聞きしていますと、それがラピダスだというふうに話をしておりますので、私も、ラピダスだということでこの後質問をしたいというふうに思います。

 そしてまた、高速情報処理半導体というふうに言っていますけれども、法律上はそうなんでしょうけれども、私は、一般的な言葉として、ロジック半導体とか、単に半導体という言葉で質問をさせていただこうかというふうに思います。

 今回の法改正が行われましたら、今年、ラピダスは半導体を試しに作るという、試作を行うわけですね。半導体を作る工程においては、一度に大量のものを作ります。大量の半導体を作りまして、そしてそれが何割ちゃんと作れたか、この歩留りが非常に大切になります。製造しても、八割とか九割とかちゃんとしたものができればいいですけれども、しかし、ほとんどが不良品で一割しか成功しなかった、こういうふうになると非常に価格的に高くなります。コスト競争力でほかの国の製品に負けてしまう、TSMCに圧倒的に負けてしまう、こういうふうになるわけですけれども、この歩留りが非常に大切なポイントになります。

 そして、二〇二七年度には半導体の量産化を始めたいというふうに考えているようですけれども、この半導体の量産化を始める際には一・五兆から二兆円、これから更に一・五兆円から二兆円かかるというふうに聞いております。

 そこで、質問をいたします。

 ラピダスによる半導体の試作の研究結果がよい場合、リスクが見通せるので、実際の量産ラインへの投資は民間主導で行うべきではないでしょうか。大臣、お願いします。

武藤国務大臣 ありがとうございます。

 量産投資に必要な資金は、基本的に我々は民間からの資金調達を軸に手当てされるべきだというふうに考えておるところですが、今の二ナノの次世代半導体は、海外トップ企業もまだ実現できていない技術であります。非常に野心的な取組でありまして、この量産実現には売上げや利益が十分に上がる前から巨額の投資が必要になっている。今日のこの議論もずっとそうなんですけれども、いかに研究開発、そして世界の国際競争、様々なところで日本国としてこれをやっていかなきゃいけないという使命を持ちながらもやっていってこられるわけですが、試作の段階で研究開発結果がよい場合であっても、当初から十分な資金を民間のみから調達することは過去のいろいろな反省からしても困難であるという中での今回の試みであると思います。

 政府支援により事業者の財務基盤を強化しつつ、民間からの資金調達を促進、補強する観点等から、出資や債務保証等の金融支援を可能とする法案を出させていただいたところであります。

村上(智)委員 御答弁ありがとうございました。

 確かに、二ナノの半導体を製造するのは非常にハードルが高いというふうに思います。ですから、今まで約九千億円もの国家予算をかけて研究をしてきたんだというふうに思います。

 しかし、このタイミングで試作を行って、試作を行った結果として歩留りが高くなれば、そういうふうに見通しができるわけですから、今年研究をやって歩留りが高くなれば、来年以降、更に実際の量産ラインを造る、量産ラインを造るタイミングで二兆円ほどかかるんですけれども、その二兆円については、もうリスクは分かっているんですから、その分については、今までのようにほとんど国が出す、九千億円全部出すみたいな感じじゃなくて、民間主導でいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、このことについて、もし政府参考人からでも答えをいただけるのでしたらお願いします。

野原政府参考人 実際、二〇二七年十月からの量産開始を目指していますので、それまでの間はまだ売上げがないわけでございますね。二〇三〇年頃のIPOを目指していますので、IPOが近づくぐらいのところまでいけば、十分なキャッシュフローが出てきて、マーケット、内外の投資家からの資金を調達しやすくなるとは思いますけれども、それまでの移行期間を考えますと、半導体投資は投資額が大きいものですから、民間からの調達だけで十分な額を調達するのは難しいんじゃないか。その民間からの調達を円滑化するために、政府としても、資本を厚くするところを支援をし、債務保証を部分的にすることで銀行からの借入れを支援するということで十分な投資額が投資できるようにする、そういう趣旨でございます。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 この試作が終わった後は、是非民間主導でやっていただきたいなというふうに思います。だって、九割方例えば歩留りがあって、そして生産すればもうけるんだと思えば、これは出資するんじゃないかと思います。一般の方に出資を募ってもお金が集まるんじゃないかなというふうに思いますので、出資の仕方も是非柔軟に考えていただいて、民間でお金を集めていただく方向で検討いただけたらなというふうに思います。

 経済産業省さんがやっている非常に様々な助成、いろいろな企業に対する補助金などを見てみますと、大体、大企業に対しては補助率がつきまして、二分の一とか三分の一とか、そういう補助率にしております。そういうふうなことと併せて考えれば、このラピダスも同じだというふうに思います。実際の量産化のための生産ラインの話なものですから、それについては、国の補助金は例えば二分の一とか、そういうふうなことで考えていただけたらというふうに思います。民間主導ということで是非お願いいたします。例えば、だから、これから量産ラインに二兆円かかるのだったら、一兆円以上は是非民間で、こういうふうに考えていただけたらというふうに思います。

 さて、ラピダスが生産することになる半導体、ロジック半導体について質問をいたします。

 この半導体、もうよく御存じのとおりだと思いますけれども、ロジック半導体、演算処理をするための半導体ですけれども、この半導体の性能というのは年々上がっておりまして、どういうふうに上がってくるかというと、線幅を細くする、そうすることによって狭い範囲でも多くのことを計算できる、その分だけ高速に処理ができるようになり、省エネになるということなんですけれども、これまで、ロジック半導体の市場というのは、台湾のTSMC社がより高性能なものを開発して、そしてその市場を取っていっているような、そういうふうな状況でした。そのために、スマホやパソコンなど、市場が大きいところはTSMC社がかなり優位な状況になっております。

 そこで、質問をいたします。

 ラピダスが生産する半導体はどの分野で使えるのでしょうか。その半導体の市場は今後どれくらい拡大するのでしょうか。教えてください。

野原政府参考人 ラピダスが量産を目指しております次世代半導体でございますが、DX、GXなど産業構造が大変大きくパラダイムシフトを迎える中で、生成AI、自動運転等の需要が大きく期待されている。そういうところに使われるAI用の半導体、サーバーとか端末とか自動運転などに使われる半導体でございます。

 半導体のグローバル市場のうち、七ナノ以下の最先端領域の需要は、二〇二二年時点で約七兆円だったものが二〇三〇年には五十三兆円まで、七倍増以上伸びるという見通しになっております。

 その中でも、ラピダスが量産開始を目指している二ナノ以下の半導体は、AIの普及、利活用の拡大に伴って、市場規模が急速に拡大していく、そのように見込んでおります。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 様々な分野でラピダスの半導体は使えるというふうに思いますけれども、今御答弁の中にあったかどうかちょっと聞き漏らしましたけれども、やはり、マスが多いパソコンやスマホ、ここの分野も是非一部が置き換わるようにラピダスさんは頑張ってほしいなというふうに思います。

 大体、TSMC社の方が安くていいものができているのかもしれませんけれども、しかし、諦めるのは早いですし、そもそも、スマホ、パソコンを作っているメーカーにしてみれば、全てTSMC社に頼っていたら怖いことだと思うんですね。何か事故など、地震などあって、震災や暴風雨などありまして、そしてTSMC社が台湾で生産できないとなったときには、それは急に別の国の別の会社から調達したいと思うはずですから、パソコン、スマホ、そういうふうな会社からも買っていただけるように、是非そういうふうな努力もしていただきたいなというふうに思います。

 かつて、地震があったときに日本で車の生産が止まったときに、何が原因かというと、半導体の生産が止まったからだという話がありました。やはり半導体のこういうふうな供給というのは様々なサプライチェーンのキーになっているわけですから、そういうことでいえば、パソコンも自動車も是非売り先として検討していただけたらと思います。

 そして、先週の参考人質疑におきまして大変有意義な話を聞きました。日本の半導体メーカーが調子がよかったとき、そのときは日本の家電メーカーも調子がよかったんだという話を教えていただきました。やはり、国内で調達する側、供給する側があって、そして売り買いをする、そうすることによって、必要なものをちゃんと提案をして、そしてそれに応えることができる、そういうふうな関係がかつてあったんだという話を聞きました。

 その話からしますと、先ほど御答弁いただいた話の中で、自動車メーカーに買っていただくという話がありましたけれども、これは私も腑に落ちる話だというふうに思います。是非、国内メーカー、国内の自動車メーカーと連携してこのラピダスの製品を育てていただきたいなと思います。

 そして、次の話題に移りますけれども、自動車に使う半導体についてお聞きします。

 今後、AIが発達しまして、そして自動運転が実用化されていくと思います。そうすると半導体の需要も更に増えることになりますけれども、まずは自動運転の実用化が望まれますが、関連して質問いたします。

 AIの用途とされる自動運転について、その実用化に向けたこれまでの取組と課題、これからの取組について経済産業省にお聞きします。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 自動運転の実用化は、これは、地域公共交通のドライバー不足解消などの社会課題の解決手段であるという点に加えまして、AIなどソフトウェアの技術を徹底活用し付加価値の高い製品、サービスを創出するという自動車産業の国際競争力強化の観点からも重要と認識しております。

 そのため、経済産業省としましては、昨年策定したモビリティDX戦略、これに基づきまして、関係省庁と連携しながら、自動運転システムの研究開発から社会実装まで一貫して取り組む官民プロジェクトや、これらプロジェクトで得られた成果や課題を取りまとめ、他の地域でも参照するための手引の作成、周知、こういうことに取り組んでまいりました。

 そうした中、引き続き、半導体などの要素技術の開発や自動運転の標準的なモデルの構築などの課題がございまして、AI、デジタル技術の変革下でも国際競争に勝ち抜くことができるよう、経済産業省が官民連携のハブの機能を担いながら、我が国における自動運転による移動サービスの早期の社会実装に取り組んでまいりたいと考えております。

村上(智)委員 ありがとうございました。様々な取組をしていることがよく分かりました。

 この取組の内容を実際に職員の方に教えていただきましたけれども、お聞きしていて心配になったことが二つありました。

 一つは、海外と比較した場合の話ですけれども、海外はこの自動運転ではタクシーを先行して開発をしているんですけれども、日本はバスが中心ですね。技術的にどちらが難しいかなというふうに素人なりに考えると、タクシーの方が難しいんじゃないかという気がします。バスは同じところをぐるぐる回るだけですので。それでも、大切なことだと思います。今地方では人手不足が激しいものですから、それが置き換わるという意味は十分あると思います。しかし、やはり難しいタクシーも是非挑戦していただきたいなというふうに思います。

 特に、私の選挙区はすごく田舎なんですけれども、山の方に行くと、買物難民、買物に行けないおじいちゃん、おばあちゃんが困っているんですね。そういう人たちが交通手段を何とかしてほしいというふうに言っております。そんなときに、自動運転のタクシーでしたらその解決方法になると思うんですね。是非、そういう意味では、自動運転のタクシー、日本もこれに取り組んでほしいなというふうに思います。

 もう一つ気になりましたのは、この自動運転において様々な取組をしている企業を見てみると、ベンチャーの企業が多いように見受けられました。ベンチャー企業が多くて、そして、大手の車メーカーを見てみますと、余り目立っていないなというふうに思います。日産が少しやっているんですかね、そういうふうな話でしたけれども。しかし、最終的には、この自動運転システム、車に積んで、そして売って、販売を伸ばすということになるでしょうから、やはり大手の自動車メーカーと連携をしなければならないと思います。是非この点、経済産業省において、よく連携が進むように、ベンチャー企業と大手の自動車メーカー、これの連携を図っていただけたらなというふうに思います。

 今回の法案の目的として、最終的には十兆円、半導体、AI産業に公的支援をしていこうという話をされておりましたけれども、その使い道の一つとして、こういうAIの自動運転、この分野も注目していただけたらなというふうに思います。もちろん、研究開発ですから多額じゃなくていいんですけれども、しかし、この分野で負けるわけにいかないと思います。

 日本の自動車がこれまで多くの外貨を稼いできました。多くの車を海外に売ってきました。いろいろな面で、エンジンがいいとか形がいいとか、いろいろな理由があったと思いますけれども、今後の自動車が売れるかどうかについては、AIシステムの性能もかなり影響するんだと思います。そのことを考えたら、大きな危機感を持っていただいて、日本発の、日本製の自動運転のシステム、これを育てていきたいというふうにお願いをいたします。

 さて、次の話題に移ります。

 ラピダスにおける今年の半導体の試作において、悪い結果だった場合についてお聞きしたいと思います。

 ゲートアラウンド方式ということで、これを既にサムスンがやったけれども失敗したという話も聞いております。他方で、先週のラピダス社の社長の話を聞いていると、非常に力強くて、期待を持ってしまうんですけれども、しかし、失敗したこともやはり考えなければなりません。先ほども話した歩留り、これが非常に大切なんですけれども、これが五割以下とかもっと低いような場合というのはコスト競争力にも及びます。

 そこで、質問をいたします。

 ラピダスによる半導体の試作の結果、歩留りが低ければ、歩留りが高くなるまで研究を続けて、歩留りが高くなってから量産化に係る政府の支援を始めるべきではないでしょうか。大臣、お願いします。

武藤国務大臣 御懸念は分かりますけれども、生成AIの誕生と、誕生というか、劇的に変化が物すごいスピードで今進んでいる中で、そしてそれに伴う利用拡大もあり、二〇二〇年代の後半に二ナノの世代の半導体世界市場、これが本格的に立ち上がってまいります。まさに早期に量産を開始すること、これが極めて今重要で、御理解をいただきたいと思います。これが遅れていきますと遅過ぎるという形になるということが我々の判断であります。

 ラピダスは、競合他社よりも短納期生産方式を、今日もずっとお話しさせていただいておりますけれども、これを採用しておりますので、生産データの収集また改善のサイクルを高速で回すことで、早期の歩留りの向上が可能となるところであります。

 さらに、研究開発の状況については、先月開催されました外部有識者の審査において順調に進捗していると評価をいただいているところであります。今月からは、今お話がありましたように、千歳でパイロットラインがいよいよ立ち上げを開始をします。歩留り改善等に向けた量産製造技術の高度化を加速させる予定であります。

 今回法案に基づく量産支援についても、事業の進捗状況の確認や支援継続の要否を含めて、支援の在り方等を外部有識者の意見も踏まえながら検討を行ってまいりたいと思っております。

 以上です。

村上(智)委員 御回答ありがとうございました。

 これから量産化を始めるためには二兆円ほどの更に資金が必要になってきます。二兆円というのは非常に大きな金額です。その二兆円つぎ込むのに当たって、見通しがないというわけにはいかないと思うんですね。やはり、試作ラインでちゃんとした結果を出して、歩留りもちゃんと上げて、八割、九割上げて、それから判断をすることが適当だと思うんです。確かに世の中は早く動いていますけれども、しかし、量産ラインを造り始めてしまうと一気に二兆円です。この金額を見込みでやるわけには本当にいかないと思います。この点は非常に慎重に考えていただきたいというふうに思っております。

 この点は、我が党としては、予算審議の中で、例えば、来年、予算審議をした際に、ラピダスの件はどうなりましたか、歩留りはどれぐらいでしたかというふうにちゃんとお尋ねをして、そして、しっかりした話がなければ、さすがにそれは、二兆円、先に進めましょうというふうには言えないというふうに思いますので、この点はこの場所でしっかりと大臣にお伝えさせていただいて、私からの質問を終わりにさせていただきます。

 誠にありがとうございました。

宮崎委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

宮崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。平岩征樹君。

平岩委員 国民民主党の平岩征樹です。

 午前中から質問が続いておりまして、少々質問がかぶることもあるかと思いますが、建設的な議論となるよう、本日も御答弁よろしくお願いいたします。

 それでは、早速ですが質問に入ります。

 まずは、ラピダス社の競争力と技術的熟成度についてです。

 先日、三月三十一日に、これまでの九千二百億円の支援に加え、新たに八千二十五億円の追加支援が決定されました。これにより、ラピダス社への委託研究費は総額一兆七千二百二十五億円に達します。日本の次世代半導体の開発を支援することは重要であり、私もその必要性を認識しています。が、これほどの公的資金が投入される以上、政府としても、事業の成功に向けてより慎重に関与していく必要があると考えています。

 そこで、ラピダス社が想定する競合他社、すなわち、TSMC、インテル、サムスンなどが挙げられると思いますが、これらと比較した際、最終的にどのような優位性を獲得する予定でしょうか。また、その技術的な成熟度の成功の見込みについて、経済産業省としてどのように御認識、評価しているのか、御説明ください。

野原政府参考人 まず、先ほどの、午前の山崎誠委員の質疑の中で、ラピダスの設立の経緯に関する御質問に対して、二ナノ世代の量産化の話がIBMから持ち込まれた時期について、二〇〇〇年と私言い間違えてしまったようでございまして、正しくは二〇二〇年でございます。訂正しておわび申し上げます。

 それで、平岩委員の御質問についてでございますが、近年、最先端半導体の製造に要する期間が長期化しておりまして、顧客側で短納期での製造を求めるニーズが高まっております。

 ラピダスは、このような状況変化をよく踏まえまして、その製造方法について、複数のウェハーをまとめて処理する従来のバッチ式ではなく、ウェハーを一枚ずつ処理する枚葉式を採択することなどを通じて、受注から納入までの期間を短納期化することを目指しております。これによって、TSMC、サムスンなど既存の企業とは異なる競争軸で新たな顧客価値を提供する方針でございます。

 また、枚葉式による短納期の製造プロセスを通じて多くのデータが出てきますので、それを取得して、改善に生かすサイクルを高速に回すということで、歩留り改善スピードを上げることも競争優位性の一つとして期待されているものでございます。

平岩委員 ありがとうございます。

 午前中からの質疑にもありましたように、やはり、もちろん支援していかなくてはいけないというのは分かっているんですけれども、ひっかかるのは、要は、これまでに半導体産業の支援を行ってきたが、エルピーダメモリの事例など、必ずしも成功に至らなかったプロジェクトがあるわけです。一九九〇年代のあすかプロジェクト、二〇〇〇年代のMIRAIプロジェクト、いずれも、期待された成果を上げられずに、国内半導体産業の国際競争力を回復するには至りませんでした。

 エルピーダメモリは、一九九九年に日本のDRAM産業を再興する目的で設立されましたが、最終的に、二〇一二年に経営破綻し、外資系企業に買収される形となったという経緯があります。

 もちろん失敗から学ぶということはあるわけで、これらの過去の経済産業省による半導体支援プロジェクトの事例と比較して、ラピダス社は過去とは違うどのような優位性があるというふうに経済産業省としてはお考えでしょうか。また、その支援スキームに相違があるのか、あるならその相違点について、具体的に御説明ください。

野原政府参考人 過去の半導体政策の総括でございますが、MIRAI、あすかなど、半導体に関する研究開発プロジェクト、国プロ、幾つも二〇〇〇年代にかけてやっておりましたけれども、一定の先端要素技術の確立に貢献した部分はあったかと思いますが、一方で、日本の半導体産業の凋落トレンドを反転できなかったという結果から見て、期待された成果を十分上げなかったということは事実ではないかと思います。

 その要因としては、当時、日本の半導体企業は結構まだ数が残っておりまして、多数の国内企業が参加する中で主体的にリードする企業がはっきりしなかった。あるいは、アカデミアの研究者の方が研究開発リーダーで、研究開発の成果の事業化は日本企業の半導体各社に任せるという形だったわけですけれども、実際、社会実装が十分されなかった。また、支援のフォーマットも、日の丸自前主義に陥っていて、グローバルな最先端の技術を有する事業者との国際連携の視点が十分ではなかったといった反省点が挙げられると思います。

 エルピーダは少し、共通しているところよりも、違うところも結構ありまして、エルピーダは、一ドル七十六円の円高、東日本大震災、タイの洪水による顧客のサプライチェーンの寸断で需要が一時的になくなったことが引き金になっておりまして、銀行団が追加融資に応じなくて行き詰まった、そういう経緯でございます。会社更生法を申請してマイクロンに買収されたということでございますが、今はマイクロンの旗艦工場として活躍をしているわけでございまして、事業としては生きているということでございます。

 そういう意味では、適切な支援を機動的に行うことができれば、マイクロンは、まだ生きていたかもしれない、日本の企業としてあったかもしれない、そういう事案でございます。

 これらの、それぞれの反省点を生かしますと、ラピダスプロジェクトでは、まず、国内企業だけではなく、IBM、imec、それからグローバルなトッププレーヤー、ほかにもいろいろな会社がありますが、海外のトップクラスの機関、事業者と連携しながらプロジェクトを進めていくこと。それから、顧客サイドの、やはり注目する必要がございまして、顧客の開拓につながる設計開発支援を今行ってきております。

 それから、適切な支援を機動的に実施できるようにしていくということで、その裏づけとなる、AI、半導体分野の、七年間十兆円以上の公的支援を行う財源フレームを措置しているところでございまして、過去のレッスンを踏まえてこれらの方策を講じているところでございます。

平岩委員 ありがとうございます。

 今お話の中で、IBMやimecなどと提携していくみたいな話もあったと思いますけれども、これがどこまで技術移転とかノウハウの獲得みたいなものにつながっていくのか、これは、何か具体的な契約内容みたいなものは明かせないまでも、どの範囲まで技術供与を受けられるかみたいなことをお答えすることは可能でしょうか。

野原政府参考人 IBMは、GAAという、今の最先端の半導体の構造を最初に開発したと発表した企業でございます。その企業から技術の供与を受けまして、千歳の、今造っている、もうテストラインは稼働しますけれども、この千歳のラインに今年技術移管するということで進んでおりますので、量産技術を確立するところまで、両社の、ラピダスとIBMのパートナーシップで進めていくということになっておりますし、imecも、EUVの技術を中心に半導体の世界的なトップの研究機関でございますから、ラピダスとパートナーシップを組んで、必要なサポートを受けられるということになっております。

 この両社に限らず、半導体の製造装置あるいはツールベンダー、IPの事業者など、グローバルなトッププレーヤー、TSMCが取引をしているトッププレーヤーとラピダスはビジネスを一緒にやっているわけでございまして、そういうトッププレーヤーからサポートを受けながら、実際に量産技術を確立し量産を開始したいというふうに考えております。

平岩委員 それでは、先ほど少しお話に出ましたエルピーダメモリをちょっと振り返るということをやっていきたいと思います。

 このエルピーダメモリは、言うまでもなく、二〇〇〇年にNEC、日立製作所、三菱電機のDRAM事業を統合して設立され、当時の日本政府は、この統合を支援して、エルピーダメモリが国際競争力を持つ企業へ成長することを期待したわけです。しかしながら、二〇一二年に経営破綻し、結果的に、外資企業であるマイクロンテクノロジーに買収された。

 先ほどお答えいただいたように、この背景には、市場競争の強化とか技術革新のスピードの速さとか財務、複雑な要因があったとは考えられますが、特に、韓国や台湾の企業が国家的な支援を受けながら競争力を高める中で、エルピーダメモリは必要な設備投資を十分に行えず、結果として競争に負けたということが考えられると思います。

 先ほどお話しいただいたとおり、その後、マイクロンの傘下に入って、日本国内の生産拠点は維持されて、技術力が生かされる形で業績を向上して、今でも世界第六位ですか、昨年は世界第六位だったと思いますが、マイクロンという半導体メーカーの業績に貢献している。

 この事実は、経営戦略や財務の在り方が、技術力そのものと同じくらい、やはり企業の成長には重要であるということを示唆していると思っています。

 このエルピーダメモリの事例を踏まえた上で、現在進行中のこのラピダス社への支援、その他半導体プロジェクトにおける政府の関与の在り方について慎重に考える必要があると思っています。

 特に、先ほども申し上げましたように、つまり、技術支援だけでなく、企業の経営能力とか財務基盤をどのように強化して、国際競争力に耐え得る企業体制を構築するのかということが問われていると思います。

 先ほど少しお話しいただきましたけれども、エルピーダメモリの経営破綻から学ぶことについて、財務を含めた経営面からどのように総括しているのか、今、外資系企業の傘下に入るということで業績が向上している現状、これをどのように評価しているのか、お聞かせください。

野原政府参考人 エルピーダは、円高や、それから東日本大震災の後のサプライチェーンの途絶という状況だった、非常に特殊なダウンターンのところで行き詰まったわけですけれども、そのときにやはり流動性が供給が十分されていれば潰れることはなかったというふうに思いますけれども、それが、流動性を機動的に政府が供給する仕組みがメカニズムとしてそのとき十分なかったということが言えると思います。民間の銀行団がこれはこれ以上追加で貸しませんよと言ったときに、それで行き詰まっちゃったということでございます。

 当時経営されていたのが坂本さんという方で、その人からヒアリングしたことを日経新聞の小柳さんが本にされていますけれども、そこにいろいろ経緯が出てきます。マイクロンと経営統合しようと考えていまして、交渉していたんだけれども、マイクロンの経営者が死んでしまって、できなくなって、結局、マイクロンとはその話の続きで、買収してもらう、そういう展開になったという歴史であるというふうに書かれています。

 流動性供給の問題はやはり重要な視点だと思っていますので、ラピダスについて、やはり、資本を厚くして、十分銀行団からお金を貸していただける環境というのはつくっていかなきゃいけない、そのように考えております。

宮崎委員長 順調に業績を上げていることについての認識はどう。

野原政府参考人 業績については、今、研究開発段階で、量産技術確立を目指していますので、この後、きちっと歩留りを上げながらテイクオフしていくということを目指していくということになると思いますが、この最先端のところが一番もうかっておりまして、TSMCの利益率が四〇%、しかも、先端ノード、シングルノードのところの半導体が全体の彼らの売上げの半分以上を占めております。

 そういう意味では、一番もうかるセクターのところに参入しようとしている。投資額が大きいので、参入者がこの十五年ほとんどなかった分野でございますので、新規参入が非常に難しいんですけれども、非常にもうかる、今はもうかるマーケットになっている、そういうことでございます。

平岩委員 いずれにせよ、失敗を今回は是非繰り返さないように、また、その失敗を生かして、次のラピダスの支援ということにつなげていかなくてはならないと思うんですね。

 現在、半導体の産業における政府の支援は、技術開発への支援というのが中心となっていると思います。確かに、この半導体分野は、日々進化する高度な技術を必要として、日本の競争力を高めていくためには技術革新というのは不可欠です。

 しかし、技術力だけで企業が成長するということは難しくて、先ほど申し上げましたように、経営の健全性とか財務の安定性も、同様に重要な要素となります。

 過去の事例を見ると、日本の半導体産業において、技術力が高いにもかかわらず、経営判断の遅れや資金調達の課題によって競争力を失った企業、先ほどお話ししたエルピーダメモリとかもその一例に入ると思いますが、それ以外にも、半導体関連企業が市場競争の波にのまれて縮小又は撤退を余儀なくされてきたということがあると思います。

 現在、このラピダス社を始め半導体関連企業への支援というのは行われていますが、経済産業省として、技術支援だけでなく、企業の財務健全性や経営の安定性をどのように評価するのか、そして適切なガバナンスを確保するかが極めて重要なポイントになってくると思っています。もし、技術開発だけに焦点を当て、経営の安定性が軽視されれば、これは同じような過去の失敗を繰り返すというリスクがあります。

 加えて、公的資金が投入される企業については、単なる短期的な技術開発の成功だけでなく、資金調達も含めて長期的に持続可能な経営ができる体制というのを整えることが求められています。

 そのために、政府が企業の経営能力をどのように評価して、支援の仕組みに組み込んでいくかということがかなり重要なことになると思っています。例えば、経営陣の選定基準であるとか、資金調達の適正性、投資リスクの管理体制、企業の市場競争力の評価基準等を明確にしていくということは必要だと思います。

 こうした観点を踏まえて、この本法案に基づく支援において、経済産業省として、企業の経営状況をどう評価していくのか、技術力だけでなく財務や経営の健全性を確保する制度をどのように設ける予定でしょうか。御説明ください。

野原政府参考人 本法案に基づく支援対象事業者につきましては、事業者から提出される事業計画の審査、それから選定後の進捗確認において、産構審に設置してあります次世代半導体等小委員会の外部専門家の方々に、経営の専門家の方々もいらっしゃいますので、経営の観点も含めて精査いただくこととしております。

 この委員会には、最先端の半導体の技術、経営を適切に評価できる専門家に参画いただいておりますので、支援事業者の経営面についても適切に評価できるというふうに考えております。

平岩委員 ちょっと先ほどの質問にもありましたが、例えば、でも、もしこれを進めていくに当たって企業の財務状況が悪化した場合、これは政府としてはどのタイミングで介入するのか、その辺りはお考えでしょうか。

野原政府参考人 この次世代半導体小委員会でモニタリングをしてまいりますので、できる限り早期に、何か異常があれば察知をして、必要な対策について考えていく、検討していくということになろうかと思います。

平岩委員 それから、先ほど小委員会でいわゆるモニタリングをしていくというふうなお話がありましたが、現在の支援体制は、結局、過去のいわゆる産業支援体制と比べて、具体的にどういう違うフレームワークがあるのか、過去とここが違うというのをもう少し具体的にお答えいただけませんでしょうか。

野原政府参考人 法律に基づいて、こういった金融支援の出資、それから債務保証等々の金融支援のメニューを活用できるように構えてやっていくというのは、余りこれまで大規模には取ってきていない手法だと思いますので、新しいアプローチだというふうに認識をしております。

平岩委員 ありがとうございます。

 それでは、次の、公的資金の投入と経営の透明性ということで質問したいと思います。

 ラピダス社には、現在、冒頭でも触れたとおり、既に総額一兆七千二百二十五億円の資金が投入されており、今後更に数兆円規模の支援が行われるという可能性が指摘されています。これほどの巨額の税金が投じられる以上、事業の進捗や資金の使途、経営の意思決定プロセスの透明性を確保するということは、これは国民の理解を得る上でも不可欠です。

 一方で、企業活動には、営業上の秘密や技術的な機密情報が存在し、また取引先との関係や個人情報の保護といった観点も考慮しなければならない。特に、半導体産業は国際競争が激しく、競争力の源泉となる情報が外部に漏れることは、企業の成長や国家の産業政策にとって大きなリスクとなります。

 こうした事情を踏まえつつ、いわゆる経営の透明性と企業の機密保持、このバランスをどうやって確保していくのかというのは、今後の支援の在り方では極めて重要な問題になってくると思います。

 そこで、ラピダス社及び今後本法案に基づいて支援を行う企業について、経営の透明性をどのように担保していくのか、一方、営業上の秘密や個人情報の保護とのバランスをどう取っていくのか、その辺をどのように整理されているのか、御説明ください。

野原政府参考人 これまで行ってきた委託研究開発については、外部有識者による厳格な審査を毎年度実施し、追加の支援等を承認しているところでございます。

 今回の法案で措置する金融支援につきましては、産構審につくった次世代半導体等小委員会において、半導体の技術、経営、金融などの専門家も交えて、選定される事業者の事業計画やその進捗をモニタリングしていく方針でございます。

 委員御指摘のとおり、事業計画の概要やモニタリングの結果等はできる限り公表していきたいと思いますが、一方で、委員の御指摘のとおり、個社の競争上の優位性を阻害することがあってはなりません。事業者のビジネス上の機密事項等に配慮しながら、国民への説明責任をできる限り果たしていくということになるというふうに考えております。

平岩委員 進捗状況というのも公表していくみたいなお話だと思うんですけれども、進捗報告というのには具体的にどのような項目が入ってくるのか、まだはっきりとは答えられないかも分からないですが、その内容というのはどの範囲まで公開が可能だと考えておられるのか、今の時点でお答えできることを教えてください。

野原政府参考人 これまで技術面での審査をいろいろやっております。製造技術やフローの開発でありますとか、枚葉装置の開発、搬送装置の開発、EUV露光技術の開発、パイロットラインの構築、テストチップの試作等々、いろいろな項目がありますが、それをそれぞれ外部有識者の方々、専門家の方々にチェックいただきながら、チェック結果としては順調に進んでいるという評価を今いただいています。

 こういう形でチェックをしていきますが、詳細に、どの項目のどれぐらいの水準をマイルストーンにしてやっているか、それがどこまで達成しているかというのを出してしまうと、ではここまで進んでいるんだなという話になって、競合する企業さんにとってみると非常に重要な情報を公開してしまうことになってしまって、それはラピダス社にとっては非常に不利益なことになりますので、そういうことを阻害しないように配慮しながら、どのくらいの粒度で公開できるのか、公開しても問題ないのかというのをちゃんと確認をしながら公開をしていくということになります。

平岩委員 ありがとうございます。

 それでは次に、ラピダスが将来IPOを行った場合について質問させていただきます。

 現在、巨額の資金が投入されて事業を始めたラピダス社が、将来的にはIPOを行う可能性というのが指摘されています。仮にIPOを実施する場合、政府が出資した株式の扱いについては慎重な検討が求められます。

 政府が出資した株式は、国の資産として適切に管理されるべきですが、市場における売却のタイミングや方法を誤ると、いわゆる国民の財産である資金の適正な回収ができないリスクが生じます。例えば、上場後に株価が大幅に下落すれば、政府が出資した資金の回収が困難になる可能性もあるでしょう。一方、政府が長期間にわたり株式を保有し続ける場合、市場における政府の関与が過度に強まる、そういうことで民間投資家の参入を阻害して、適切な企業経営の自主性が損なわれる懸念があります。

 また、IPO前に株主となった民間投資家、この方々が上場後にどのように株式を扱うかというのも大きな課題となると思います。政府が出資した株式は売却が制限される一方で、民間投資家が上場後に自由に売却し、巨額の利益を得るような仕組みでは、いわゆる公的資金とのバランスに問題が生じかねません。

 このように、公的資金の投入された企業がIPOを行う際というのは、政府の出資分の売却方針とかIPO前の株主に対する規制の在り方みたいなのが慎重に検討が求められるべきだと考えます。

 そこで、ラピダス社がIPOを行う場合、政府が出資した株式についてどのような売却方針を検討しているのでしょうか。また、IPO前の株主が上場後に株式を自由に売却できることで民間投資家が過度な利益を得ることがないよう、何らかの規制というのを設けることを想定しているのでしょうか。見解をお聞かせください。

野原政府参考人 本法案に基づきましてIPAが出資した場合の株式でございますけれども、出資先事業者の経営、財務状況、それから委員から御指摘ありました株式市場の動向等々勘案しながら、適切なタイミングで売却を進めていく必要があるというふうに考えております。

 ただ、一般論になりますが、公的機関であるIPA以外の株主が保有する株式は、私企業、私人が保有している財産でございますので、その処分について何らか新たな規制を課すことについては慎重に検討する必要があるだろうと思います。

 政府として大きな額の支援をして進んでいった結果、成功すれば、IPOをして、株で持っている人が利益が非常に出るというふうな展開になった場合の仮定のお話でございますが、その場合、株で、出資した人はそれぞれリターンがあるんでしょうけれども、政府の支援があったということで、国民の御理解が得られるようにしていく必要もございます。ただ、私人の財産でございますので、関係者との間でよく対話をしながら、どういうふうな取扱いをすることが適切なのかということが、最終的には結論というか解決策として見出されていくんだろうというふうに考えます。

平岩委員 とはいうものの、このラピダスが事業で成功した場合も、いわゆる政府の巨額の支援があったからこそ成功できたという事実は間違いないはずなんですね。そこで、民間の投資家、民間だからといって、やはりそこでIPO直後に売り抜けるなんということも考えられますので、なかなかそこは国民の理解を得られないんじゃないかと。

 そういう中で、今おっしゃいましたけれども、IPO後に民間投資家が株を売却する際、その利益を得るみたいなのを防ぐ、例えばロック期間を設けるとか、そういう仕組みというのは考えておられるのでしょうか。

野原政府参考人 これは今後の議論だと思います。

 一般的なプラクティスとしては、大口の株を持っている方が上場直後に売ると株価がすごく下がるということで、大口の保有者に対してロックアップをかけるというのがビジネスプラクティスとしてはあると思いますけれども、それは大口の保有者の議論でございます。

 本件は、政府の持分もあれば最初から投資されている方もいるし、これから大規模に内外の投資家から資金を集めなければいけないわけでありまして、すごく制限する、リターンを制限しますよというメッセージを発してしまうと投資資金が集まりにくくなってくる、そういう副作用もあるわけでございます。また、国会での御審議がこれまでありましたけれども、優秀なエンジニアの方をグローバルに確保するためには処遇は改善しなきゃいけない、そうすると、ストックオプションを使え、そういうような論点もあるわけで、じゃ、ストックオプションをどう設計しますかと。

 考慮しなきゃいけない要因はいろいろあるわけでございまして、これらの複数の要因について適切な結果を導くようにどのようなアレンジをするかということで、今後検討しなきゃいけない課題でしょうけれども、これは私的な財産の話でございまして、政府がこうしろといって決まるような話ではございませんので、関係者でよく対話をしながら解決策を導いていくということだと思います。

平岩委員 これからになると思いますが、何でも、でもここは民間だから制限できないんだということで、確かに今おっしゃった、余り制限し続けると資金が集まらないみたいなことはあるとは思いますけれども、とはいえ、これだけのいわゆる資金を政府が援助しているところで何の制限もないというのは、またちょっとこれは理解が得られないかなと思いますので、是非御検討をいただければと思っております。

 最後に、今、政府主導の産業支援政策においては、いわゆる経済産業省の果たす役割は極めて大きなものとなっています。特に、今回のラピダス社への支援は、日本の半導体産業の再興という国家戦略に直結するものであり、単に資金を提供するだけでなく、経済産業省が適切なガバナンスを確保し、最後まで責任を持って関与する体制を整えることが不可欠です。

 過去の事例を見ますと、先ほども幾つか挙げたように、日本政府が支援した半導体企業のプロジェクトの中に、十分なガバナンスが確保されずに、経営判断の誤りとか国際競争力の低下によって失敗に終わったというものがあります。また、防衛産業やエネルギー産業などもそうなんですが、国の戦略的産業に対する政府の関与の仕方というのは、単なる資金支援だけでなく、経営の方向性を適切に監督し、産業の持続的な発展を支えるという仕組みが求められていると考えています。

 ラピダス社のように、日本の技術競争力の核となる企業に対する政府の関与がどのように行われていくのかというのは、今後の産業支援の在り方としても極めて重要な論点です。加えて、今回の支援は巨額の資金を伴うために、経済産業省としても、事業の進捗や成果に対する責任を明確にしなければならないと考えています。

 支援の開始時点でのビジョンや計画がその後の技術革新や市場動向によって変化する可能性があることを踏まえて、経済産業省がどのような形で支援企業のガバナンスを確保し、適切なリスク管理を行っていくのかということが問われていると思っています。

 そのため、経済産業省として、ラピダス社を始めとする支援対象企業に対し、どのようなガバナンスを確保し、責任を持って関与していくのか、また、事業の成功に向けてどのような具体的な監督体制を構築し、責任を持って最後まで関わっていく、そのことを経済産業大臣、最後に抱負をお聞かせください。

武藤国務大臣 ガバナンスについての御質問をいただきました。

 本法案に基づく次世代の半導体製造事業者への支援については、重ねての話になりますけれども、外部有識者の意見も踏まえて、事業計画等を厳格に審査をしながら、支援の要否や手法、また支援規模等を決定することになるということであります。

 また、安定的な生産に向けて、事業の進捗管理に関するマイルストーン、これを適切に設定をし、その達成状況等についても外部有識者による確認を受けた上で、支援の継続等の要否を判断することでガバナンスを確保しようと考えているところであります。

 その際、支援終了の目安としても、自立的な資金調達が一定程度可能となり、次世代半導体を安定的に生産できることなどの方向性を現時点では示しているところです。こうした出口戦略も見据え、支援終了まできちんと進捗を管理していくことを考えているところであります。

 先生おっしゃられるように、過去の反省を踏まえて、国として一歩前に出て、研究開発支援にとどまらず、出資等の金融支援まで実施していくことが、出口まで見据えて進捗を管理することで、国民への説明責任を果たしていきたいと思っております。

 以上でございます。

平岩委員 まあ、ラピダスの事業の結果というのが分かる頃には、もしかしたら大臣は今の大臣でないかも分からないですけれども、経済産業省として、国としてしっかり最後まで責任を持ってやるんだということを是非お願いしたいと思っております。

 日本の半導体産業の再興というのは、我が国の経済安全保障のみならず、未来の産業競争力にとって極めて重要なテーマです。しかし、過去の失敗を繰り返さないためには、先ほども申し上げましたように、単なる資金投入ではなくて、技術力の向上、経営の健全性、透明性の確保、そして政府の適切な関与というのがやはり不可欠だと思います。

 今後もこのプロジェクトが本当に日本の産業に資するものとなるのか、国民の皆様に説明責任を果たせるのか、厳しくチェックし、政府には責任ある対応を強く求めて、本日の私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、山口良治君。

山口(良)委員 公明党の山口良治でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 私、初めての経済産業委員会での質問に立たせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、今回の情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案は、二〇三〇年度までに合計十兆円規模の半導体、AI分野への公的支援を実施するという、戦後の産業政策における極めて大規模なものとなっております。先日の参考人の皆様からお話をお伺いしましても、日本の半導体産業の復活に向けた強い御決意、また使命感のようなものを強く感じた次第でございます。

 最後にして最大のチャンスと位置づけられております今回のこの法案における事業、今後の社会のDXの推進による国民生活の利便性向上や生産性向上など、デジタル社会の実現という目的のみならず、デジタル赤字の解消又は国際社会における日本の存在感を高めていくためにも、何としても成功させていかなければならない、そのように強く認識をしております。

 であるからこそ、先ほど来お話となっている部分と重なるかもしれませんが、かつて我が国がたどってきた過去も忘れてはなりません。日本の半導体産業は、かつて世界市場の五〇%のシェアを持ちながら、一九九〇年代以降、急速に国際競争力を低下させてきました。この衰退の背景には、単なる資金不足だけではなく、長期的な戦略ビジョンの欠如、産学連携エコシステムの未発達、縦割り行政による政策の分断など、構造的な要因があったと多くの識者も指摘をしております。

 そこで、経済産業大臣にお伺いいたします。

 今回のこの法案は、こうした過去の失敗の要因をどのように分析し、どのような教訓を取り入れた設計となっているのでしょうか。また、単なる資金投入を超え、どのような戦略的ビジョンと実効性のあるガバナンス体制の下でこの十兆円という巨額の投資を効果的に活用し、真の産業競争力の復活につなげていくお考えか、お聞かせください。

武藤国務大臣 今日もいろいろ、過去の失敗等々、先生方から御質問もいただいたところであります。

 改めて繰り返させていただきますが、御指摘のエルピーダメモリも含めて、過去の政府が支援した案件では、必ずしも期待された成果が上がっていないものが存在することは事実であります。また、その要因等をしっかりと検証し、政策立案に生かしていくことは極めて重要で、例えば、我が国の半導体産業が凋落した背景として、国内企業の再編、また日の丸自前主義の技術開発に注力する傾向にあって、技術開発や販路開拓の面での海外との連携やグローバルな技術動向への対応が不十分であったこと、また、機動的かつ適切な投資支援策を講ずることができなかったことなどの反省点があると考えているところであります。

 一九九〇年、当時、私の父が通産大臣をやっていまして、ちょうど日米構造協議もありましたけれども、そのときの半導体協定、まさに、父の本を読んでみても、非常にそういう反省点もあり、今回こういう形で、何かの歴史の因縁も感じますけれども、しっかりと日本の国策として、これは戦略を持って成し遂げていかなきゃいけないという思いもございます。

 そうした反省点を踏まえて、現在の半導体政策では、例えばラピダスプロジェクトにおいては、米国のIBM、また今日もお話ありましたベルギーのimecといった海外トップクラスの機関との密接な連携を進めているところであります。顧客開拓につながる設計開発支援も実施しております。

 また、機動的に適切な支援を実施できるよう、まさにAI、半導体分野への七年間で十兆円以上の公的資金を行う財源フレームを措置をすることとしたところであります。

 今回の法案は、次世代半導体の量産に向けた金融支援に際しましては、政策資源を集中的に投下するため、指定した半導体に対して、最も適切な事業者を公募により一者のみ選定をし、支援を講ずることとしているところです。

 引き続いて、過去の政府支援案件で得られた教訓も踏まえながら、事業者の支援に取り組んでまいりたいと思います。

山口(良)委員 ありがとうございます。

 それでは、その反省を踏まえた上で、具体的な政策評価や修正メカニズム、この点についてお伺いいたします。

 長期にわたって、二〇三〇年を目指して大規模な投資を行うことが想定をされておりますが、このAI、半導体産業分野、速度が非常に速くて、市場環境も急速に変化をします。そうした中で、政策効果の定期的な評価、環境変化に応じた柔軟な修正、仕組み、そしてさらには、最終的な出口戦略、量産化から、さらにどのようにこの公的支援から自立していくのか、こういったことの言及が法案の中には見当たりません。巨額の投資を効果的に活用するために、明確なKPIの設定、第三者による客観的な評価、環境変化に応じた柔軟な修正、これが不可欠であります。

 これらを踏まえた評価、修正メカニズムをどのように構築をされるのか、また、この出口戦略、成功をどのように指標で測り、どのような基準で支援を終了していくのか、具体的な方針、またスキーム等があればお聞かせください。

野原政府参考人 委員御指摘のとおり、半導体産業は、技術革新、ビジネスモデルの変革が激しくて、国際競争が苛烈な分野でございます。支援に当たっては適切なモニタリングが重要でございます。

 このため、ラピダスプロジェクトを含めまして大規模な予算事業については、第三者の評価の下で、事業計画の策定と併せてマイルストーンを設定し、その達成状況を確認しつつ、計画の見直し等を判断する枠組みを構築し、支援を行ってまいります。

 具体的には、産業構造審議会の次世代半導体等小委員会におきまして、支援決定時のみならず、毎年度のフォローアップ等を行いまして、必要に応じて計画の変更を求めることといたします。また、事後の検証についても適切に行ってまいります。

 それから、ラピダスについてですが、その支援の終了あるいは卒業の目安でございますが、産構審の次世代半導体小委員会におきまして、自立的な資金調達が一定程度可能となり、次世代半導体を安定的に生産できることなどとするというふうな方向性が現時点の考え方として示されております。

 こうした出口戦略も見据えまして事業計画を精査し、次世代半導体の量産基盤の構築を目指してまいります。

 以上です。

山口(良)委員 ありがとうございます。

 過去の失敗の大きな要因としても、長期的な戦略ビジョンの不足、また、資金投入等の判断が遅かった等々、やはりガバナンスに対してどのように政府が関わっていくのか、そうした部分で、より機動的、実効性のある評価システム、また修正システム、スキーム構築をよろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 現在、選定先となるラピダス社への民間出資、目標の一千万に対して、僅か七十三億円にとどまっております。生産実績のないラピダス社に対する出資、当然リスクを伴いますので、なかなか踏み出せない、説明責任を求められる、そういった状況もあるかと思います。

 政府は、今回の法案を通して、半導体、AI分野の公的支援に関わる民間事業者の予見可能性を高め、大規模な官民投資を誘発していくというふうにされておりますが、具体的にどのような仕組みでこの民間投資を誘発、促進をしていくお考えか、そのほか、この半導体、AIスタートアップへのリスクマネーの供給や税制優遇措置、規制緩和など、もし資金支援以外の民間投資促進のパッケージ等がありましたらお示しください。

野原政府参考人 半導体政策に関する民間事業者の予見可能性についてのお尋ねでございました。

 ほかの国では、他国では、複数年にわたって支援できる枠組みを講じているケースが多々ございます。我が国も、複数年度にわたって大規模かつ計画的に重点的投資支援を行う。

 そういう観点から、半導体分野において、二〇三〇年度までの七年間で十兆円以上の公的支援を行うAI・半導体産業基盤強化フレームを策定したわけでございます。

 この新たなフレームを通じまして、民間部門における予見可能性、半導体、AIについては公的な投資というのが続くんだ、一定程度続くんだという予見可能性を与えることで民間部門の投資も促しまして、今後十年間で五十兆円を超える官民投資を誘発し、約百六十兆円の経済波及効果を実現してまいりたい、このように考えております。

山口(良)委員 先日の参考人のラピダス社、小池社長のお話の中でも、民間からの一千億円の追加投資についてはめどが立ちつつあるというお話もありました。

 今月からいよいよ試作ラインが立ち上がり、七月の完成を目指して大きく動き出して、量産化への開発も加速をしていくかというふうに思います。ちょうどやはりこの四月から七月、三か月でありますが、企業の皆様も大変注目をされていらっしゃると思います。試作ラインの実績をしっかりと積み上げて、民間投資の誘発を進めていただきたいというふうに思います。

 次に、デジタル人材の育成という観点から御質問をさせていただきたいと思います。

 本法案では、IPAの業務として、デジタル人材の育成やその資質の向上に係る業務が追加をされました。政府の目指すAI、半導体産業の基盤強化、さらにはデジタル社会の形成に向けて、ハード面のみならず、ソフト面の支援は車の両輪であります。

 そこで、今回の法案を通し、目指されているデジタル人材とは具体的にどのような人材であり、具体的にどのように育成をされていくのか、お伺いいたします。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル人材全般について……(山口(良)委員「全般で結構です」と呼ぶ)はい。お話をいただきました。

 まず、今般の法改正、こちらでIPAの方に業務追加を行います。

 IPA、実は、現行法においても、現行法の規定の範囲内で、デジタル人材の関係については、情報処理技術者試験、これを実施、運営、さらに人材育成に関する指針の策定、こういったことを取り組んでまいりました。

 今回の法改正によって、デジタル人材育成業務を更に拡大させるということで、今までは附帯業務とかいわゆる試験の業務でこれまで取組をしていたのを、人材育成ということを直接書き込んでいますので、したがいまして、IPAがまさに独自の人材育成コンテンツを作成して提供する、このようなこともやっていきたいというふうに考えています。

 具体的に申し上げますと、民間では取組が必ずしも十分ではない分野、例えば、AIの活用に必要なデータを管理する人材、こういった人材を育成するための標準的な教育手法、いわゆるモデルカリキュラム、こういったものを作る、若しくはDX推進に必要なビジネスアナリストを育成するためのコンテンツを作る、このような事業を検討しています。

 また、半導体、こちらは今回の法律に直接関係するわけではないんですけれども、半導体分野においても人材育成、これは非常に重要で、特に高度設計人材をどうやって育成していくのかということでございます。これにつきましてはプログラムを実施しておりまして、具体的には、我が国の企業やアカデミアから人材を募集しまして、アメリカの半導体設計企業に派遣して研修を受けさせるというような、いわゆる即戦力人材を養成するような、こういった取組もしています。

 さらに、AIも非常に重要で、AIにつきましては、開発側、あと利活用側、両方とも人材育成が非常に重要です。

 AIの開発の人材につきましては、まさに開発機会が、実は計算資源が足りなくて開発する機会、経験を積めなかった、これを開発するための計算資源を調達することで経験を積んでもらう、若しくは、ビッグテック、GAFAみたいなところですね、こういったところのセミナーを開催して開発人材を育成する。

 利活用の人材につきましては、実はポータルサイトを立ち上げていまして、ここで、どう使うのかというようなコンテンツ、こういったものが展開できるような環境を用意したりしています。

 引き続き、デジタル人材、様々な分野で活躍をしていただかないといけません。しっかりと人材育成に取り組んでまいりたいと考えております。

山口(良)委員 ありがとうございます。

 デジタル人材といっても幅広いかというふうに思うんですね。ただ、半導体またAIというところにおきましては、やはり先端技術を扱うわけですから、産学官の連携というところが非常に大事になってくると思います。過去の失敗におきましても、省庁間の縦割り行政による政策の分断、また産学官の連携のエコシステムの構築失敗ということが挙げられております。

 例えば、大学の基礎研究と企業の実用化の研究、さらに事業化までをアメリカのように一貫して進められるような仕組み、これはやはり経産省だけではできませんので、文科省との連携が大事になってくると思います。特に産業政策、科学技術政策の融合、研究者と実務家の人材交流促進、大学発のイノベーションの産業化、こういったものも明確なビジョンを持って取り組んでいっていただきたいと思います。

 また、半導体人材育成、研究開発は文部科学省、産業支援は経産省、そして、企業などの、やはり、中小企業の皆さんがDX化を進めて、省力化や様々な生産性向上に生かそうとしたときに、技術はあっても、それを使いこなせる人材がなかなか地方の中小企業の皆様はいらっしゃらない、また、育てようとしても、どのように育てていいか分からないという部分もありますので、今強力に進めていらっしゃるリスキリングの分野におきましては厚労省ということで、複数省庁にまたがって取り組んでいるこのデジタル人材、また、AI、半導体においては、先ほどおっしゃられたような部分での育成体制が非常に重要だと思います。デジタル人材の育成、法案の中では非常にさらっと書いてあるんですけれども、これは非常に重要であると思いますので、どうか力を入れて取り組んでいただきたいというふうに思います。

 時間も間もなく終了となりますが、最後に経産大臣にお伺いをさせていただきます。

 この半導体、AI産業の競争力強化は、我が国の経済安全保障と将来の産業競争力にとって極めて重要な課題であり、これは与野党を超えた国家的な取組が必要であるというふうに考えています。

 しかし、単に大規模な資金を投入するだけでは過去の失敗を繰り返すおそれがあります。真に実効性のある政策とするため、明確な国家戦略の下、透明性の高いガバナンス体制構築、環境変化に柔軟に対応できる政策運営が不可欠でございます。

 最後に、大臣より、最終的な成功をどのように定義され、また、どのような成果を実現することで、国民に対して説明責任、説明責任というとちょっと重いんですけれども、安心して大きな公的支援を行っていく考えでしょうか。また、もしビジョン等がありましたらお願いいたします。

武藤国務大臣 ありがとうございます。

 今日もずっと申し上げてきましたけれども、全ての産業でデジタル化が加速度的に進展する中で、特に生成AI、これはもう我が国の社会や産業構造に大きな変革をもたらす重要な技術であります。

 一方で、生成AIによるデータ処理量の爆発的な増大に伴い、電力需要も増加する見込みであります。そうした中で、先端半導体は、AI、デジタル技術の高度化と、逆に、消費電力の削減を同時に実現できる技術であります。自動運転又はAIロボット等の高度な技術を社会実装しながら、産業競争力を強化することにもつながります。

 こういう半導体への投資、これは、国内の供給基盤を今度は確保することで経済安全保障に貢献するとともに、地域の中小企業も含め幅広い波及効果をもたらし、投資や賃上げを通じた地域経済の大きな牽引役となるところでもあります。

 今日も申し上げましたけれども、TSMC、熊本の例を申し上げるまでもなく、九州は今投資と雇用にも大きく貢献をして、これはまさに地方創生にもつながっていくものだというふうに理解をしているところであります。具体的に、今申し上げました熊本県は一人当たりの雇用者報酬の増加効果が年間三十八万円になるということで試算もございます。

 七年間で十兆円以上の公的支援を行うAI・半導体産業基盤強化フレームを策定いたしましたけれども、これを通じて、今後十年間で五十兆円を超える官民投資を誘発し、そして、AI、半導体のインフラ整備等伴う百六十兆円の経済波及効果を実現してまいりたいと思っております。

山口(良)委員 力強い御答弁、ありがとうございます。

 この大きな国家戦略、何としても成功に導かなければならないと思います。私も、経済産業委員の一人として、そこに携わることを誇りにして、しっかりとこれからも尽力していくことをお誓い申し上げまして、質問を終わりにさせていただきます。

 大変にありがとうございました。

宮崎委員長 次に、佐原若子君。

佐原委員 れいわ新選組、佐原若子です。

 今日は、御質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 しょっぱなから申し訳ありません。通告していないのですが、まず大臣にお尋ねいたします。

 今回の半導体生産企業への支援のお金はどこから出ていますか。端的にお答えください。

野原政府参考人 今回の、当初予算の分、一千億円でございますが、これは一般会計からでございます。

 フレーム自体は三種類の財源の組合せになっていまして、財投特会の投資勘定からの繰入れ、それからGX債の活用、それから経産省の関係での基金からの国庫返納金、この三つが主要なものでございます。ちょっとそれ以外のものがちょろちょろっとありますけれども、基本的にはその三つです。

佐原委員 ありがとうございました。

 国民の血税ですよね。国が支援したお金で、そこから生まれた利益をどう還元するか、まず明確にしてほしいと思っています。

 例えば、これからいろいろな方が投資して、量産に成功して利益が上がっていく、そして出資者にその利益が還元されるというのは、ちょっと納得いかないと思うんですよ、国民としては。国が支援してきた分はしっかりと株式を保有して、その配当は例えば基金をつくって環境や福利厚生に生かすとか、そういうお考えはないでしょうか、大臣。今こそ公益資本主義の先鞭を経済産業省に切ってほしいと思うんですけれども。

野原政府参考人 投資した後のリターンが、成功して株価が上がった場合のリターンが出て、投資した額よりもたくさんもうかった場合はどうしますかというお尋ねかと思いますが、これは、それが近づいてくれば、どういうふうにそれを活用するかという話になると思いますけれども、法律上の、会計上の取扱いは法律に細かく規定がございますので、それを御参照いただければと思います。

佐原委員 できれば国民に還元していただきたいなと思っております。

 半導体産業の考え方についてお伺いします。

 一九九〇年代、日米半導体協定によって衰退した日本の半導体産業をいま一度復活させるための支援だと思いますが、過去三十年間、日本に残された技術を育てるために、基盤の技術研究など、継続的支援を行うべきではなかったのでしょうか。それとも、支援があっても目に見える成果がなかったのでしょうか。お伺いしたいと思います。

 また、日米半導体摩擦のように、またアメリカから横やりが入らないですか。入ったらどうされますか。お伺いします。

武藤国務大臣 今日もずっとこういう議論を重ねてきております。過去の検証も含めて、その上でこのラピダスについて今向かってきているところであります。

 今、これまで何もしなかったのかというようなちょっと御発言もありましたけれども、現実は、場合によって必ずしも実証できなかった事実はあるんですが、それなりにずっと残ってきている会社もそれぞれございまして、半導体は、今回、次世代ということで、新しい試みに今展開を図ってきているところであります。

 今、今日もありましたけれども、成果が上がらなかった理由は、多数の国内企業が参加する中でリードする企業がはっきりしなかったとか、研究開発面が強調されて、民間企業の巻き込みが十分でなかったこととか、最先端の技術を有するグローバルな事業者との連携が不足してきた等が挙げられると今日も申し上げてきました。

 いずれにしましても、こういうことだろうと思うんです。簡単に申し上げますと、なかなか、まずお客さんというのを見つけてこなかった。研究開発という形の中でも、個社の中での判断というのが非常に強かった世の中でした。

 今回、次世代ということになりますと、これは相当お金がかかるということもあって、国も投資をしながら、そういう形で新しい枠組みをつくる。そして、各国とは、アメリカのIBMですとか、またベルギーのimecといった、先端的なそういうところとも連携をしながら、今回は新しくやってきているところであります。実際のところ、顧客開拓につながる設計の開発支援、これも非常に大事なこれまでの反省の検証の結果です。

 そういう形の中で政策を進めて、しっかりとした形で具現化をしていきたいというふうに思っています。

佐原委員 ありがとうございました。

 何度も午前中と重複したような質問で申し訳ございません。

 経産省へのヒアリングで政府支援の成功の事例をお尋ねしましたところ、台湾のTSMCを挙げられました。資本の四八%を政府が占める、事実上の国有企業同等の形でスタートしました。対してラピダスには、これまで委託研究開発という形で、また今後も出資をするものの、民間出資を期待するものです。

 しかし、産業育成を図るなら、当初からしっかり資金を投じ、国策企業として育て、人材も集めるべきではなかったのでしょうか。それであれば、経営の透明化、ガバナンス、またPFASなどの環境問題にも責任を持って対処できると思いますが、いかがですか。

武藤国務大臣 公営企業にするべきではなかったかという御趣旨だというふうに思います。

 最先端の半導体をめぐる世界の技術動向ですとか市場動向の変化というのは、もう本当に近年ますます激化しているところで、加速化しているところであります。これに対応しながら次世代の半導体の量産事業、これを確立するためには、やはり、民間の活力を生かしながら、経営判断の迅速性とか柔軟性、これを最大限確保する必要があると認識したところであります。

 このため、民間企業であるラピダスに対して、国が研究開発委託する形式が望ましいという判断をされたところでありまして、また、外部有識者も交えて進捗管理等を行うことで、適切なガバナンスを実施していかなきゃいけないということになると思います。

 本法案に基づいて、金融支援につきましても、次世代半導体等小委員会というものがありまして、経営への過度な介入は避けることが示されており、この方向性に沿って検討を深めてまいりたいと思っているところであります。

佐原委員 ありがとうございました。

 れいわ新選組は、半導体生産に積極財政で補助することを供給力強化の観点から必要と考えていますが、今回のやり方は、特定企業への支援のための法案と言えます。

 今後の産業支援の在り方に影響を及ぼすのではないでしょうか。一社が継続して支援を受け続けることにならないでしょうか。一社への支援が余りに多いため、自助努力に影響するのではないでしょうか。企業間の競争が抑えられてしまうのではないでしょうか。いかがでしょうか。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 初めに、先ほど、今年の当初予算、一般会計からということで御説明をさせていただきましたけれども、財政投融資特別会計の投資勘定からの繰入金を活用するということで訂正をさせてください。

 いただきました御質問に対するお答えであります。

 まず、今回、次世代半導体の支援スキーム、これにつきましては、複数年度にわたる相当な規模が想定されています。支援対象事業者を厳に限って、政策資源を集中的に投下して、次世代半導体の量産を迅速かつ確実に実現させる必要があるだろうというふうに考えています。そのためには、最も適切な事業者を公募により一者のみ選定、これをしっかり支援するというふうに考えています。

 その上で、選定につきまして、法案に基づく次世代半導体製造事業者への支援規模については、公募を通じて事業計画は提出されてきて、これを厳格に審査して、外部有識者の意見も踏まえまして決定していく。また、その後の進捗管理につきましても、マイルストーンを適切に設定して、その達成状況を確認しながら、支援継続の要否を含めて対応していく。自助努力を阻害する事態は生じないものというふうに考えています。

 また、競争環境につきましてですけれども、次世代半導体の分野につきまして、海外トップメーカー間の熾烈な国際競争が行われています。企業間の競争が抑制されるとの御指摘には当たらないかなというふうに考えております。

佐原委員 ありがとうございました。

 ラピダスが事実上の選定企業になるとされていますけれども、ほかにも何社か候補になった企業はあるのでしょうか。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案において、指定した半導体ごとに、公募を通じて支援対象となる事業者を選定することとなっております。政府としては、まずは、次世代のロジック半導体のみを指定することを想定しています。

 次世代半導体の量産を目指す事業者、国際的に見ればラピダス以外にも存在するわけですけれども、本法案に基づき申請を検討しているかは承知しておりません。

佐原委員 分かりました。

 今のところラピダス一社だけが候補だとしたら、選定に比較対象がなく、ゆえに審査基準が甘くはなりませんか。お伺いします。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案における公募プロセスでは、あらかじめ公募の実施に関する指針を定めて公表した上で、申請事業者の実施計画の内容が指針に照らし適切なものであるか、事業者が次世代半導体の生産を行うに足りる技術的な基礎を有するか、こういったことなどの基準に適合するかどうかをしっかり審査して、基準に達しない事業者は、当然のことですけれども、支援対象事業者として選定されない仕組みとなっています。

 その上で、基準に適合する事業者が複数存在する場合には、指針に定める評価基準に従って厳格に評価を行って、最も適切な事業者を一者選定する、こういう仕組みになります。

 また、選定に当たりましては、産業構造審議会の次世代半導体等小委員会、専門家の方々に集まっていただいて、申請事業者と利害関係がないことを確認した外部有識者の意見も踏まえて審査を行うということでございますので、公平かつ厳格な審査が担保されるものというふうに考えております。

佐原委員 分かりました。ありがとうございます。

 ラピダスは少量多品種生産を掲げていますが、安定した大きな需要、市場の獲得につながるのでしょうか。経営方針、経営状況のチェック、審査、場合によっては改善の協議や指導が必要と思いますが、その仕組みはありますか。先ほどもお伺いしましたよね。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほども、少量多品種ということは、少量ということではないので、そういったところをちょっと誤解を持たれないようにお願いをさせていただきたいなと思っております。

 その上で、半導体のグローバル市場のうち、七ナノ以下の最先端領域の需要は、二〇二〇年の約七兆から二〇三〇年には五十三兆まで伸びる見込みです。特に、ラピダスが二〇二〇年代後半に量産開始を目指す二ナノ以下の半導体についても、やはり生成AIでこの普及、その利活用が拡大していくことによって市場規模は急速に拡大していくというふうに見込んでいます。

 その上で、近年、最先端半導体の製造に要する期間が非常に長期化しています。半導体設計企業などの顧客側においては、短納期製造を求めるニーズが非常に強いです。

 ラピダスは、まさにその短納期製造に適合した生産方法を実現しようということで、複数のウェハーをまとめて処理する、いわゆるバッチというものではなくて、ウェハーを一枚ずつ流して処理する枚葉式を採択するなど、いわゆる受注から納入までの期間を短納期化することを目指しています。こういった取組は、TSMCやサムスンなどの既存の企業とは異なる競争軸というふうになります。新たな顧客価値を提供することができるというふうに考えています。

 こうしたラピダス独自の事業戦略につきましては既に価値を見出されていまして、先ほどちょっとお話しさせていただきましたIBMであるとか、そういったところも非常に価値を見出して、使いますというような形で既に話が動いていて、今後も顧客拡大を期待できるかなというふうに思っております。

 改善の方向ということで、改善が必要な場合ということですけれども、次世代半導体小委員会で、こちらは外部有識者も交えまして、事業の進捗管理については、マイルストーンをしっかり設定した上で、達成状況をしっかりモニタリングする、状況の変化に合わせまして事業計画の見直しも検討する仕組みとなっております。経営状況などをしっかり確認しながら、必要な対応をしっかり取ってまいりたいというふうに考えています。

佐原委員 そういったチェック体制は是非完全な第三者による組織をお願いしたいと思っております。

 また、この半導体支援で泊原発を再稼働させるというようなことはないでしょうか。

 データセンターとか生成AIは大量の電力が必要だということをよくおっしゃるんですけれども、原発が必要だという。しかし、光半導体などのIOWN構想などを見てみると、光を使う場合に大変電力の消費量が実は減らすことができるというすばらしい技術だということを、調べてみたらあったんですね。じゃ、いわゆる脱原発に関してもこれは悪くないぞと私は思ったんですけれども、いかがでしょうか、泊原発の再稼働については。

武藤国務大臣 省電型の半導体ということで、大変期待をされているところでもあるのは承知しています。

 ラピダスは、これはもう全般的に言えることですけれども、次世代半導体量産のためには、量、価格共に安定的な脱炭素電源の供給確保が重要であるということは、これは説明を受けているところであります。

 泊発電所の再稼働については、北海道の電力の安定供給と脱炭素化に大きく寄与するとともに、電力価格の抑制にもつながるものと認識はしているところであります。

 我が国全体としてDXあるいはGXの進展により電力の需要増加が見込まれる中で、脱炭素電源の確保が国力を左右する状況にあります。低いエネルギー自給率あるいは火力への高い依存といった課題を克服する観点でも、脱炭素電源の確保が必要になるということだろうと思います。

 原子力発電所の再稼働につきましては、これは、規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、地元の御理解を得ながら再稼働を進めていく方針でありまして、様々な御懸念の声があることも真摯に受け止めたいと思いますし、それぞれの課題にしっかりと取り組んで、丁寧に説明を行いながら、原子力については活用していかなくてはいけないと思っております。

佐原委員 それはもちろんそのようにいつも御説明をいただいているんですけれども、この半導体の開発をして、そしてまた、NTTのすばらしい技術があるわけですよね、光。そういったことを、やはり脱原発をすることやエネルギーをなるべく消費しないような方向に使っていただくと、それはそれでたくさんの税金を使っていくということに対しての納得ができるんですけれども、それでもやはり原発が必要というのであれば、その意味は何なんだろうというふうに思うんですよね。

 やはり、原発は死に行く、滅び行く恐竜とおっしゃった学者の先生がいらっしゃいますけれども、いいかげん、地球温暖化とかそういうことを本当に真剣に、いろいろな省庁をまたがって、みんなで、国民も一緒になって考えていかなければいけない待ったなしの状況にあるということは皆さんもう御存じだと思うんですよね。ですから、それを是非、この光半導体を使って新しいエネルギーの在り方を一緒に考えるべきじゃないかと思うんですよね。

 原発だのITERだの、エネルギーを大量消費をする時代は終わったんだと思うんですよ。光半導体とかそういうことを作るのに電力が必要だというのであれば必要かもしれませんが、さくら、この間の田中社長さんですよね、一〇〇%自然エネルギーでやりたいと思っているというようなお話もしていたので、是非とも、そういった意味で、半導体をたくさんの国民の税金を使ってやったりするのであれば、この問題からやはりちょっと一歩ほかの方向を目指して、脱原発の方に行っていただきたいなと思いつつ、るる重複した質問をいたしまして、それにお答えいただきまして、どうもありがとうございます。

 是非、公益資本主義というのが今ちょっとはやっております、世界で。だから、この日本がその先鞭を取って、公益的な資本主義の中ですばらしい成果を上げていただけるよう、また、そのナノサイズ、それが達成できることを願って、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、辰巳孝太郎君。

辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。

 ただいま佐原委員の方から、原発の話、泊原発の再稼働の話があって、やはり今大臣の答弁を聞いていたら、原発動かせよ、動かすよというふうにしか聞こえないわけですよね。

 やはりこれは言っておかなきゃならないと思うんですけれども、我が党の議員団が二月にラピダス千歳工場の方に視察に行きました。そのときに、会社の方の方は、一棟で十六万キロワット必要だと想定している、これは四棟まで計画しているということですから、六十万キロワット以上になる、北海道電力に対しても六十万キロワット必要だということを言っているんだということですね。

 先日、小池社長にも来ていただきましたけれども、ラピダスにとって三つキーワードがあって、その一つがグリーンなんだと社長はおっしゃっていたわけですね。

 私は、グリーンだと言うんだったら、それはやはり再エネ一〇〇%の電気でやる、それを目指す、やっていくんだという方向にかじを切らなきゃならないと思うし、そういう方向で経産省もやっていくということをはっきり言わなければならないというふうに思っております。

 さて、今日は、公的資金の投入についてただしていきたいというふうに思います。

 本法案は、何の実績もないラピダスに国有財産をそっくり譲渡することに加えて、政府からの資金の出資、民間融資を呼び込むための債務保証、登録免許税や法人事業税などの軽減など、至れり尽くせりの公的支援を行うものであります。

 今回の法案のスキームは、このラピダスへの国有財産の譲渡と引換えに、経産省所管の独立行政法人情報処理推進機構、IPAが株を取得して、将来のラピダスの株式上場、これはIPOですけれども、以降に売却することで公的資金の回収を図るということも含まれております。

 今日改めて振り返りたいのは、エルピーダメモリであります。国が出資をして大失敗をしたエルピーダは、NEC、日立、三菱電機のDRAM事業が統合した、いわゆる日の丸メモリーの代表的企業でありましたけれども、大失敗をいたしました。

 一九九九年に制定をされた産業活力再生特別措置法、いわゆる産活法ですね、これは、大企業が不採算部門を切り離して成長部門へ資源を集中させる事業再構築、いわゆるリストラ、人減らしを支援をするものでありました。

 二〇〇九年の改正では、リーマン・ショックに端を発した世界的な金融経済恐慌に対応する必要があるということで、一般事業会社への出資を可能とする法改正が行われました。

 結局、この法改正による公的資金の投入はエルピーダのみでありましたので、事実上、エルピーダのための法改正をしたということが言えると思います。

 エルピーダメモリの事業再構築計画を経産省が認定をして、四百億円もの公的資金が投入されましたけれども、その後、三年で破綻をいたしました。負債総額は四千四百八十億円。約二百八十億円の国民負担がもたらされました。

 武藤大臣、当時、このときの審議の当時ですね、大臣は、経産委員の一人として、このときの法案審議に関わっておられましたので、いろいろやり取りがされていたのは覚えているだろうと思います。

 そこで確認をしたいと思うんですけれども、この一般事業会社への出資というのは、今も少し触れましたけれども、内外の金融秩序の混乱のため、企業が出資による資金調達が困難になっている期間内に限って行われるとされていたと思います。

 当時、二〇〇九年ですね、二階経産大臣だったんですけれども、四月一日のこの衆議院の経産委員会で、これは異例の措置なんだ、緊急の異例の措置なんだという答弁をした部分があるんですけれども、ここを経産省、紹介していただけますか。

野原政府参考人 二〇〇九年四月一日の衆議院経済産業委員会における三谷委員との質疑におきまして、当時の二階経済産業大臣より、今お尋ねのように、異例の措置だという認識は我々としては持っております、世界的な金融危機の影響により、金融機関からの融資が難しい状態にまで自己資本が減少する企業が生じるおそれが現にあるわけですから、これらに対して看過することはできないということで、緊急異例の措置として我々はこうしたことを考えておるわけでございますという答弁をしております。

辰巳委員 今ありましたように、あくまで異例の措置なんですね。

 我が党は、一般事業会社への公的資金の注入という踏み込んだ大企業救済を行うにもかかわらず、何ら経営責任が問われない仕組みになっていることが経営のモラルハザードを招いて、際限のない国民負担につながりかねないということで断固反対をいたしました。

 そこで大臣に聞きたいんですけれども、大臣は、三月二十五日本会議、先日ですね、エルピーダの失敗について、要因等をしっかり検証し、次の政策立案に反省を生かすことが政府の責任だと答弁をしたわけなんですが、一方で、予算委員会における私の質問に対して、このエルピーダは誰も責任を取っていないということをお認めになりました。

 大臣、今回もし失敗すれば、誰が責任を取るんですか。大臣が責任を取ってくれるんでしょうか。

武藤国務大臣 ラピダスが取り組む次世代半導体の量産、これはもう世界のトップ企業も実現に至っていない野心的な取組であります。

 様々な課題があることは事実であり、量産技術の確立、また顧客の獲得、資金調達、人材の確保、育成等の課題を一つ一つ解決していかなければならないということだと思います。

 あらかじめ設定したマイルストーンを外部専門家に評価をしていただきながら、事業計画の内容ですとか支援の在り方を検討しながら、経済産業省一丸となってプロジェクトの成功に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

辰巳委員 大臣、私の質問に全く答えていないわけなんですけれども。マイルストーンだと、何か横文字にするとごまかせるみたいな、非常に懸念するんですけれども、要するに、一つ一つ外部の人が検証して、この事業がうまくいっていますよ、目標に達していますよということをやるので安心してくださいみたいな話だと思うんですけれども。

 これも以前やりましたけれども、その外部の皆さんがやっているステージゲート審査ですよね。これは私、経産省にお願いして取り寄せました。(資料を示す)これは誰がやっているかも分からないし、内容だってほとんど黒塗りですから。これは、本当に事業がうまくいっているかなんて、我々国民や国会が分からない状況になっているんですよ。これで、十兆円規模の、それ以上の資金を投入していこう、こういう話ですよね。これは非常に心配になります。

 二階大臣の先ほどの答弁で、緊急異例の措置と言っていたこの一般事業会社への出資を、今回の法案はIPAが恒久的な制度として出資できるようになるわけですよね。しかも、はっきりとした上限というのは示されておりません。これは青天井で膨張する危険があると思います。

 大臣、これは全くエルピーダの反省を酌んでいないと言わなければならないと思うんですけれども、いかがですか。

武藤国務大臣 ラピダスを含めた大規模な支援事業は、第三者の評価の下で、事業計画の作成と併せてマイルストーンを設定をし、その達成状況を確認しつつ、事業計画の見直し等を判断する枠組みを構築し、支援を行っていくところであります。

 こうしたプロセスを通じて、半導体、AI分野の支援を実施するため、新たな予算が必要とならば、これは当然ですけれども、国会にまた予算案を提出して御議論いただくことになりますし、青天井で支援額が膨張するとの御指摘は当たらないと思っております。

辰巳委員 特に根拠なく青天井ではないとおっしゃったと思うんですけれども。

 経産省でもいいんですけれども、ちょっと確認させてください。

 私が今示したこのステージゲート審査、ほとんど黒塗りだ、その外部識者というのも誰かは明らかにはされていない。今は、いろいろな条件がある、あるいは懸念があるということでそういう形にされているかと思うんですけれども、これはやはり一定の期間がたてば審議の中身あるいは外部識者の名前も含めて出すことが国会、国民に対する説明責任を果たすということになると思うんですけれども、その辺り、大臣でも結構ですけれども、どうですか。

野原政府参考人 先ほどもこの場で審議がありましたけれども、個々の企業のビジネス上の機微な情報というのもあります。それから、安全保障上、機微な技術、先端半導体は機微な技術でもありますので、そういう観点からも情報を守らなきゃいけないところがあります。

 したがって、それぞれの技術開発の項目についてどこまで進んでいるのかというのを全てオープンに開示してしまうと、ラピダス社のビジネス上の利益を非常に害する面もありますし、その分、同じマーケットで競合している他社が利益を得るということにもなりますから、そこは開示できない部分があるということは御理解いただきたいと思います。

辰巳委員 今局長申し上げたのは、今の段階の話ですね。これからパイロットをやる、これから量産をやる、今どこまでの技術が進んでいるのか、それを開示できないという説明だったと思います。

 しかし、これから、これは法案が仮に通ればですよ、十兆円規模をやる。量産がうまくいくかどうかは分かりませんけれども、しかし、もう数年たてば、今やっているこのステージゲートの審査というのは当時の技術の話であって、それを開示をするということは可能だと思いますけれども、それは検討していただけるんですか。

野原政府参考人 少しここでの質疑の繰り返しになってしまう面もありますが、半導体の技術、経営、金融などの専門家が参画する産構審の次世代半導体小委員会において、事業の進捗管理に関するマイルストーン、達成目標ですね、を適切に設定し、その達成状況等を中立的な外部有識者の方々に確認しながら支援を行ってまいります。

 その際に、達成状況、見通し等について、機密事項について配慮しつつ、可能な範囲で公表することで、国民への説明責任を果たしてまいります。

辰巳委員 これから今現在黒塗りの部分も外れていくということで、そういう認識でいいですか、今の答弁。

野原政府参考人 先ほど申し上げた機密事項に該当しないものは開示できるようになると思いますが、機密事項に該当する部分は開示できないということになりますので、それは原理原則に沿ってそういう整理かと思います。

辰巳委員 機密事項に関わらないところについては、どのような審査が行われたのかについて黒塗りが外れる部分も今後あるという認識ですね。機密事項以外の話ですよ。いいですね。では、答弁ください。

野原政府参考人 それは、機密事項でない、あるいはなくなったものがあるのであれば、それは開示をして御説明申し上げるということになります。

辰巳委員 エルピーダメモリなんですけれども、結局、アメリカのマイクロンテクノロジーに買収されまして、今の広島工場というのはマイクロンメモリジャパン広島工場となりまして、特定半導体の計画の認定を受けまして、最大一千九百二十億円の補助が決まっております。これはどこまでも国民負担ということに依存をしているということですね。

 今回、ラピダスには既に一兆七千億円以上の公的資金が投入をされるということになります。

 大臣、もう一度確認しますけれども、これは、エルピーダの公的負担というのはありましたけれども、今回もしラピダスが失敗をしたら、国民負担というのはエルピーダと比べ物にならないほどの巨額になるんじゃないですか。

武藤国務大臣 ラピダスが実施する委託研究開発というものは、もう委員もずっとこれはお話をしてきたのであれなんですが、外部有識者による厳格な審査を毎年度実施をしながら、計画の見直しの要否も含めて進捗確認を行ってきているところでもあり、今おっしゃられたような、エルピーダと比べ、失敗をしたらということでありますけれども、今回の法案に基づく金融支援についても、次世代半導体等小委員会における外部専門家の意見も踏まえた上での支援を決定するところでもあり、また、進捗管理に関するマイルストーンも適切に設定をしながら、同委員会の意見も踏まえながら、この状況、達成状況ですとか事業計画の進捗をモニタリングしていくわけです。

 こうしたプロセスを通じて、ガバナンスを適切に働かせつつ、想定外のリスクの兆候なども早期に把握しながら、成功に向けて全力で取り組んでまいるということでありますので、失敗したらということじゃなくて、こういう形の中でこれを何とか成功させていただきたいということでこの法案を出させていただいているので、御理解をいただきたいというところだと思います。

辰巳委員 ことごとく聞いたことに答えていただけないんですよ。成功するように頑張りますとしか言うてないわけですね、大臣。そやけど、公的資金がこれだけ投入されて失敗をすれば、それは誰が負担するんですかという非常にシンプルな質問なんです、大臣、これは。別に、何かごまかしていただくような質問じゃないですよ。

 公的資金が、これはもちろん一・七兆円どころじゃないですからね。ラピダスに対しては相当な、数兆円規模の、二ナノが終わったらまた数兆円規模。もし失敗したら、これはエルピーダとは比べ物にならないほどの国民負担になってしまうでしょうと。

 イエスかノーかで答えてください。

武藤国務大臣 支援額が相当大きい、これはもう事実ですよ。

 ですから、そのためのチェック機能を幾つもつくって、成功に結びついていくということになるんだと思います。

辰巳委員 そのチェック機能が黒塗りばかりだということなんですね、これは本当に。

 ラピダスの出資、八社なんですけれども、これは現在のところ七十三億円の出資にとどまっております。

 八社の内部留保を私は調べたんですけれども、七十三兆円ですよ。七十三兆円の内部留保を持っている企業が、七十三億円しか出資をしていない。つまり、一万分の一なんですね。一万円持っている人が一円出している、出資している、それぐらいの話なんですけれども、大臣、何でこんなに少ないんですかね。

野原政府参考人 ラピダスへの出資の件でございますが、これは、七十三億円というのは、二〇二二年十月に企業八社が出資をしたわけでございますが、その時点というのは、これから会社が立ち上がって研究開発を始めようという段階でございます。二〇二二年十一月にNEDOプロジェクトに採択されて、ラピダスプロジェクトを公表されて、研究開発が始まるわけですけれども、この研究開発が始まる前の段階での出資を集めた段階、ここで各社、トータル八社、合計で七十三億円という話だったわけでございます。

 これは参考人質疑で小池社長が説明されていましたけれども、これから技術開発が順調に進んでいって、パイロットラインを立ち上げる、開始になる、量産化の準備に進んでいこうという段階になってまいりますので、既存の株主を始めとする企業とラピダスの間で一千億円規模の追加出資についての調整が本格化しているというふうに承知をしております。

 そういう意味では、七十三億円はずっと最初の、スタートの時点での話でございます。

辰巳委員 何か一千億円ですと言うんですけれども、これは一円が十三円ぐらいになったという話でありまして、これで喜んでええのかという話だと思うんですね。

 今回の法案は、経済安保の観点からも、日の丸半導体の公的支援を強力に進めるものだ、こういう話だと思うんですね。

 そんな中で、アメリカは中国に対する規制というのを強めてまいりました。しかし、日本の強みは半導体の製造装置、素材だと言われてきたわけですね。

 大臣は、私の本会議の質問に対しても、半導体は、チップの設計、製造から、製造装置や部素材、原料に至るまで、多様な産業や技術領域からサプライチェーンが構成されており、一国だけで担うことは困難だ、このため、経産省としては、同盟国、同志国等とのグローバル連携を推進しています、こう答弁しています。

 この同志国あるいは等に、中国というのは入るんですか。

武藤国務大臣 御指摘の同志国等又は同盟国等ということにつきましては、必ずしも確立された定義はないということだと思います。ある政策課題において、目的を共にする国を指す言葉として用いられていると承知しています。

 その上で、どのような国が同志国に当たるかについては、政策の戦略的な国際展開にも差し障るため、回答は差し控えさせていただきたいと思っております。

辰巳委員 これは半導体に限りませんけれども、日本の最大の貿易国は今、中国ですからね。安全保障とか経済安保という観点から、そういう囲い込みとか規制強化とか、これで日本の半導体産業がどうなるのかというのは非常に考えなきゃいけないと思うんですね。

 もう時間だから私が言いますけれども、これは貿易統計による半導体の製造装置の輸出先とその金額を経産省に調べてもらいますと、やはりこれは中国が一番、二〇二四年の段階ですけれども、五二・九%なんですね。台湾への輸出が一五・三、韓国が一四・三ですから、圧倒的に日本の製造装置の輸出先というのは中国になっているということだというふうに思います。

 私は、この間の質疑で、半導体支援というのはアメリカの軍需にも応えるものだということも示してきました。半導体の覇権争いに日本が巻き込まれるということは、日本の強みをむしろ弱めて弱体化させてしまうことにつながると言わなければならないということを申し上げて、今日の質問を終わります。

 以上です。

宮崎委員長 次回は、来る四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.