衆議院

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第7号 令和7年4月4日(金曜日)

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令和七年四月四日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 宮崎 政久君

   理事 小泉進次郎君 理事 新谷 正義君

   理事 山下 貴司君 理事 荒井  優君

   理事 山岡 達丸君 理事 山崎  誠君

   理事 斉木 武志君 理事 丹野みどり君

      岩田 和親君    鬼木  誠君

      小池 正昭君    小寺 裕雄君

      坂本竜太郎君    島田 智明君

      鈴木 英敬君    世耕 弘成君

      西村 康稔君    細野 豪志君

      松本 洋平君    宮内 秀樹君

      向山  淳君    山田 賢司君

      池田 真紀君    大島  敦君

      岡田 克也君    落合 貴之君

      小山 展弘君    鈴木 岳幸君

      田嶋  要君    馬場 雄基君

      福森和歌子君    吉田はるみ君

      東   徹君    村上 智信君

      岡野 純子君    平岩 征樹君

      福重 隆浩君    山口 良治君

      佐原 若子君    辰巳孝太郎君

      吉良 州司君

    …………………………………

   経済産業大臣       武藤 容治君

   経済産業大臣政務官    竹内 真二君

   政府参考人

   (内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官)         岩間  浩君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           松家 新治君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 片岡宏一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           井上誠一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小見山康二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           奥家 敏和君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済安全保障局貿易管理部長)   猪狩 克朗君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            山本 和徳君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 伯野 春彦君

   経済産業委員会専門員   花島 克臣君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月四日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     山田 賢司君

  宮内 秀樹君     小寺 裕雄君

  東  克哉君     池田 真紀君

  小山 展弘君     馬場 雄基君

同日

 辞任         補欠選任

  小寺 裕雄君     宮内 秀樹君

  山田 賢司君     岩田 和親君

  池田 真紀君     東  克哉君

  馬場 雄基君     小山 展弘君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)


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     ――――◇―――――

宮崎委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房長片岡宏一郎君、経済産業省大臣官房審議官井上誠一郎君、経済産業省大臣官房審議官小見山康二君、経済産業省大臣官房審議官奥家敏和君、経済産業省貿易経済安全保障局貿易管理部長猪狩克朗君、経済産業省商務情報政策局長野原諭君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長久米孝君、中小企業庁事業環境部長山本和徳君、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官岩間浩君、内閣府地方創生推進室次長松家新治君及び環境省大臣官房審議官伯野春彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮崎委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田嶋要君。

田嶋委員 おはようございます。立憲民主党・無所属の田嶋要でございます。今日もどうぞよろしくお願いします。

 いわゆるラピダス法案ということの審議でございまして、今日はお手元に配付資料も御用意させていただきました。御覧をいただきたいと思います。一番が、日本の自動車のシェア、各国における東南アジアのシェア、二番目、DX人材の不足、三番目も同じ資料からでございます。最後のページ、ラピダスの経緯について、経産省に作っていただきまして、ありがとうございます。

 ということで、ラピダスでございますが、ちょっとそれに入る前に、まずは、自動車関税を含めたトランプ関税の質問を大臣に向けてさせていただければと存じます。

 いわゆる自動車の追加関税の発動ということと、それから相互関税の発表ということが行われましたので、まず大臣、予想はされておられたと思いますけれども、受け止めと、これからの急ぐべき最優先のアクションはどんなところというふうにお考えになっておられるか、お願いいたします。

武藤国務大臣 おはようございます。

 田嶋委員から、今回の自動車関税の発動について等、御質問いただきました。経済産業委員会で初めてですので、しっかりお答えをさせていただきたいと思います。

 これまで、先月の訪米の際の関係閣僚との面談ですとか、また、先日、ラトニック商務長官とはオンラインの会談を通して、米国に対して、一連の関税措置から日本を除外するよう強く求めてきたところであります。

 その中では、米国の関税措置が日本企業の対米投資の余力をそぐ、あるいは米国経済にも悪影響を与えるということや、関税によらず、日米双方の利益になる協力の在り方などをずっと議論してきているところであります。

 それにもかかわらず、日本が除外されない形で、今回、日本が一連の関税措置の対象とされたことは極めて遺憾なことだということを改めて申し上げたいと思いますし、引き続き、日本の除外を強く求めていきたいというところです。

 そして、国内の対策につきましては、昨日、省内に米国関税対策本部を立ち上げたところであります。また、国内産業への影響の精査、また、必要な対応の検討も至急進めていきたいというふうに思っております。

 まずは、短期の支援策として、特別支援窓口の設置、これは総理もおっしゃっていただいていますけれども、一千か所、そして、資金繰りや資金調達への支援、そして中堅・中小企業の事業強化のための支援を着実に実施することで、中小・小規模事業者の皆様の不安にきめ細かく対応させていただけたらと思っております。

 また、関税措置が契機となって適切な価格転嫁が進まなくなることのないよう、私からもしっかりと業界に要請をしてまいりたいと思っています。

 影響の把握を速やかに行い、それらの状況も踏まえて、追加の対応を検討してまいりたいと思います。

 いずれにしましても、政府一丸となって、今回の関税措置から我が国の産業、雇用を守り抜いていく、この覚悟であります。

田嶋委員 大臣、ありがとうございます。

 我が国の雇用、産業を守るというのは非常に大事だと思います。そういう意味では守りも大事でありますが、同時に、しっかりと発信をしていく、そして、攻めといいますか、アメリカと向き合っていく、トランプ政権と向き合っていくということも私は大事だろうと思いますので、私の質問は、今後最も急ぐべきアクションということでございますが、守りをしっかり固めながら、是非、トランプ政権に対しても、いろいろな形での対話を続けていただきたいというふうに思ってございます。

 私から二つ申し上げたいと思いますが、一点は、先日、二日前の山岡委員からの御質疑との関連でございますが、日米貿易協定の問題、これは十条に、終わらせることができるとなっておる。清算ということでございますけれども、私は、その手前にやはりまだやれることがたくさんあるのではないのかなというふうに考えてございます。

 せんだっての、小見山さんがいらっしゃっておりますけれども、政府、米国側の附属書というものもしっかりとあるわけでございまして、自動車と自動車部品に関して、この協定の米国側の附属書にはどういうことが明記されているかということを改めてお願いします。

小見山政府参考人 お答えいたします。

 二〇一九年九月の日米共同声明において、両国は、協定が誠実に履行されている間、両協定及び本共同声明の精神に反する行動を取らない旨明記しているところでございます。

 それが日本の自動車・自動車部品に対して米国が追加関税を課さないという趣旨であるということは、この前御報告申し上げましたとおり、当時の首脳会談において安倍総理からトランプ大統領に明確に確認したと承知しております。

 また、自動車及び自動車部品については、日米貿易協定の米国側附属書に、関税の撤廃に関して更に交渉すると記載されており、関税撤廃がなされることを前提に、具体的な撤廃時期について交渉が行われることとなってございます。

田嶋委員 大臣、ラトニック氏とオンライン協議されたということをお伺いしましたけれども、アメリカですから、ポリティカルアポインティーでごっそり替わっちゃうわけですね。しかも、とりわけ今回のトランプ政権、第二次とはいえ、メンバーが、今までとはちょっと想像できないような閣僚、いろいろなメンバーがなっておられるわけでありますので、私は、一番ベーシックな部分からもう一度原点に立ち返ってしっかりとコミュニケーションを取っていくということがこの際大事ではないかと。どういうような動きが出てくるか全く読めないというところがあるトランプ政権でありますので、改めて基本的な対話を大事にしていただきたい。

 今、政府から御答弁がありました。当時の安倍総理からそういう話をしているというのは記録に残っているかどうかはっきりしませんけれども、附属書に関しては明記されている。だから、そうしたファクトをベースにして、それを今のキーマンたちに、しっかりと会話をもう一度していただきたい。

 これはトランプさんしか最後は分からないという話もありますが、やはり、ラトニックさん始めそうした方々と、もう一度ファクトをベースにした協議をしっかり大臣にやっていただきたいというふうに思っておりますけれども、大臣、いかがですか。

武藤国務大臣 この日米貿易協定について、しっかり残っているだろうということで、これは前回アメリカへ行ったときにも、ラトニックにもそうですけれども、グリア通商代表にお会いしたときに、グリアさんは、前回、二〇一九年のときの次官だったかな、ライトハイザーの下にいましたので、彼にもその旨をしっかりとお伝えしたところであります。

 今田嶋委員がおっしゃられたように、こういう、ポリティカル何とかという、全体が替わったところで、そういうところもありますけれども、ファクトというものが、これは間違いなく大事ですから、我々としてもそれをベースにしながらこれからも継続協議をしていかなきゃいけないんだろうと思います。

田嶋委員 あとは、日本の自動車市場の実態とか、ひょっとしたら余り御存じないと思いますよ、大臣。

 日本の自動車関税の税率は幾らなんですか。

武藤国務大臣 二・五%になっていると思います。

田嶋委員 いや、日本の市場における輸入車の自動車の関税税率は幾らですか。

武藤国務大臣 済みません。日本側の方はゼロです。

田嶋委員 私は、ひょっとしたら、そういう基本的なことすら認識ないのかもしれないと思うんですよ。要するに、非関税障壁とか言っているけれども、そもそもアメリカは二・五を今掛けていて、それに二五を乗っけようとしていて、日本は税金をかけていないのに、何だか日本が不公平なことをしているみたいな言い分は間尺に合わないですよね。

 そういう、地元で有権者に説明するような話と同じで、基本的なところからもう一度しっかり理解を深めるという動作が私は必要になってきているんじゃないのかな、そのような感じがいたします。

 私、かつて五年間アメリカに住んでいましたけれども、大臣、ブルーブックは御存じですか。ブルーブック、御存じないですか。私は、アメリカで自動車を買って、自分でホンダの車を買ったんですが、二年乗って、販売するときに九〇%以上のリセールバリューなんですよ。そういう価値が全部載っている本が、ブルーブックというのがアメリカにございまして、いかに日本の車がアメリカで高い評価を受けているかということを、目の当たりにして、私は実感いたしました。

 また、今日の質問に際して、私の友人、これはアメリカ人の友人からメールが来たんですけれども、アメリカでレクサスを含む高級車が平均で二万ドル、約三百万円ほど値上げになるかもという報道がされていると。これはアメリカですけれども。だからといって、富裕層が、そうだ、フォードを買おうとはならない、黙っていてもその三百万円、二十K、二万ドルを払うだけ、アメリカ・ファーストとうたうならば文字どおり世界一の車を造ればいい、そういう厳しめの言葉もアメリカ人からもあるわけですね。違うところからもやはり同じ意見です。

 値上げしてもやはり日本車を買う人は日本車を買うということで、私は、アメリカにとっては耳の痛い話かもしれないけれども、日本のマーケットが閉じているなんということはとんでもない話で、現にスウェーデンやドイツや、売れているじゃないですか。そういうことを考えたときに、そういう話をしっかりと基本からやっていただきたいと思います。

 そしてもう一つは、かつての、その後の半導体の問題ですね。

 大臣、結局、半導体産業というのは、凋落の五つの原因を政府がまとめた一番目に出てきているのは、アメリカとの半導体の戦いですよね。先ほど、ウィン・ウィン、ルーズ・ルーズの話がありましたけれども、あなた方のやっていることはルーズ・ルーズですよ、ウィン・ウィンなんかじゃございませんよ、そういうことも含めて、アメリカとしっかりと対話をすべきだというのが私の意見です。

 提案ですけれども、もうすぐゴールデンウィークですね。日本は休みですけれども、アメリカは開いておりますから、行かれたらどうですか。すぐ動くべきですよ。その間は国内の対策をしっかりやっていただいて、そして、ゴールデンウィーク、国会も閉じるかもしれないけれども、そのときに、とにかく行く。首脳間ではないけれども、大事な交渉、交渉というか、しっかりと理解してもらうための動作を私は強化していただきたいと思います。大臣、いかがですか。

武藤国務大臣 激励いただきまして、ありがとうございます。国会がお許しいただくならば、そのつもりで、これからもしっかり頑張ってまいります。

田嶋委員 言うまでもなく、これは与野党を挙げて、日本の国益を守る、世界の自由貿易体制を守る。そして、多くのことが、ひょっとしたら、誤解や勘違いに基づいて、昨日もテレビでいろいろ報道していましたけれども、この四十六というのは何の根拠だとか、分からないことがたくさんあるから、暗中模索ではありますが、とにかく相手としっかり胸襟を開いて話をすることが私は大事だと思っておりますし、大臣をサポートできるように私どもも頑張っていきたいというふうに申し上げたいというふうに思っております。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいんですが、法案、これは無関係ではありませんが、ラピダス法案と言われておりますけれども、一見するとよく分からない法案でもありまして、IPA、これが半導体の法案なのかなという印象も受けるわけでございますが、デジタルの総枠で二〇三〇年までの間に十兆円ということでございます。だから、ラピダスだけではないということでございますが、政府参考人で結構でございます、この十兆円というのは、大体イメージとしてどんな使われ方をするのかということで御答弁ください。

野原政府参考人 七年間で十兆円以上の公的支援でございますが、これを活用して、十年間で五十兆円を超える官民投資を誘発していくという目標になっております。

 このフレームの支援対象には、次世代半導体からレガシー半導体、製造装置、部素材、AI等が含まれますが、個別の案件の選定には、産業競争力や経済成長につながること、経済安全保障上の重要性、公的支援がなければ投資が行えないこと等の観点に基づきまして、優先順位をつけて実施をしてまいります。その上で、毎年度、支援に要する予算については国会で御審議いただいて計上していく、そういうふうになります。

田嶋委員 その一番目に、今回のメインだと思いますけれども、北海道のラピダスの案件があるわけでございますが、言うまでもなく、既にラピダスには巨額が投じられているわけでございます。今回、そういう中でこの法案を提出されて、更に支援を続けていくということでございますが、これまでの巨額はお金だけがもう投じられた、今回、このタイミングで法案が必要になっている、なぜでしょうか。

野原政府参考人 これまでの支援は、五年間の次世代半導体の量産技術の確立を目指した研究開発のプロジェクトでございまして、国が委託をして、毎年ステージゲート審査をしながら、進捗点検しながらラピダスを支援をしてきたというものでございますが、いよいよ量産準備にかかる段階に差しかかっておりまして、民間から資金を導入して量産投資を進めていく、そのためには、民間から投資資金も、それから融資のお金なんかも調達する必要がありますが、それをサポートしていく必要がございます。

 ラピダスは二〇二七年の十月の量産開始を目指していますが、それまでは売上げがないわけでございまして、IPOを、二〇三〇年頃を目指しますが、それまでの間はキャッシュフローの厚みがまだないわけでございますから、そこを、民間からの資金を十分調達できるように、政府として出資や債務保証をすることで民間からの資金導入を円滑に進めるために法案を提出しているということでございます。

田嶋委員 配付資料の四番でそれを表していただきましたけれども、これまで、ついせんだっての八千億強の追加支援、全てNEDOからの委託金でありまして、その後には何も入れていませんけれども、今回のこの審議を基に、一千億の初めてのラピダスに対する金融支援というもの、一千億プラス債務の保証ということになろうかと思います。

 そこで、大前提として、今回のこのトランプ関税も目の当たりにする中で、大臣、当然、一社に対する巨額投資ではあるけれども、その一社というのは、裏にアメリカと日本の信頼関係がないと成り立ちませんよね。今、こういう関税のことを目の当たりにして、大丈夫なのかということは誰でも考えるわけでございます。

 かつての半導体の凋落は、いわば最大の理由五つのうちの一番目に、アメリカとの半導体戦争というか、アメリカにいろいろ言われてどんどんどんどん凋落していった、日本のマーケットも密約か何かでこじ開けられたということが書いてあるわけですね。それなのに、もう一回アメリカのIBMと連携して大丈夫なんですか。大臣の御意見をお願いします。

武藤国務大臣 田嶋先生のおっしゃられるとおりで、私も、ある意味で、一九九〇年の父がやっていたときの半導体協定、そこから始まったいわゆる半導体の凋落というものは見ている中で、おい、今度は大丈夫なのか、IBMという話から、私自身も今大臣をさせていただいたところですけれども、これまでも米国とは、もう委員も御承知のとおりだと思いますけれども、両国の半導体のサプライチェーンを補完的に強化をしていくという形の中で、日米半導体協力基本原則というもの等の下で、次世代半導体の開発に関する共同タスクフォースというものを設立するなど、信頼関係を構築してきているところだというふうに承知しています。

 現在のトランプ政権においても、二月七日になりますけれども、日米首脳会談、ここでも、この共同声明で、先端半導体等の重要技術開発で世界を牽引するための協力を両国が追求することが明記をされたところでもあります。

 その後も、閣僚レベルや、事務方含め各レベル間で米国政府と直接対話しているところで、引き続き、このような機会を捉えて、御懸念の点を解消できるように、トランプ政権との間で半導体に関する協力関係、これを深めていきたいというふうに思っております。

田嶋委員 今おっしゃっていただいた二月七日の日米首脳共同声明で、確かにそうやって明記されています。先端半導体ということで、協力、強靱性の構築、経済的威圧への対抗、おっしゃるとおり立派な言葉が書いてあるんですが、果たしてトランプさんがこれを読んでいるかどうかもよく分からない。何か、前の共同声明のコピペに近いといううわさもあるんですけれども。

 トランプさんは余りこういうことに関心がなさそうですね、細かいことに。だから、これは何度も何度も刷り込んでいかないと無理ですよ。はしごを外されますから。だって、今、自動車でそういう状況じゃないですか。

 だから、私が申し上げているのは、さっきの話で、附属書も、紙で残っていたってどうなるか分からないんだから、首脳で共同声明したってどれだけのものかなという感じがするんですよ。だから、とにかくそこは常に警戒をしながらというふうに思います。

 だって、考えてみたら、半導体産業を凋落させたのは、ある意味、一部、アメリカでしょう。マッチポンプみたいな話じゃないですか。徹底的にたたきのめしておいて、今、もう一回連携して、IBMの技術で頑張れというようなことをやられているような感じもするんですね。何かしっくりしないですよ。大臣、もう一回同じ目に遭うということは本当にないのかということで、私はそこが非常に気になるところでございまして。

 是非とも、そうした意味で、私が御提案を今日も申し上げたい。ここに小泉理事もいらっしゃいますけれども、これは与野党共に心配は尽きないと思うんですね。ですから、今、七十五条の第二項というところで報告徴収ができる規定になってございますけれども、これはやはり、そういう国会での交渉余地を残していただいているのかもしれませんが、アクティブサイバーディフェンスじゃありませんけれども、国会への報告というのは絶対必要ですよ。

 それだけではなくて、政府はこれからもしっかりとラピダスさんと向き合っていかれるわけですから、同じ内容をそっくりそのまま我々も詳細に聞いていきたいということと、目まぐるしくこれから変わっていく、量産の試作が始まるのが今月ですね。二七年の秋には量産が始まると言っています。その中で、資本政策として、民間からどのタイミングでどれだけの額のエクイティーが入ってくるのかということも見極めていかないと、私たち、国民のお金だけリスクにさらすわけにはいきませんから、そういう意味で、四半期に一度はきちんと国会報告をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

武藤国務大臣 ありがとうございます。

 今回の法案に基づく金融支援については、これは、次世代半導体等小委員会において、外部有識者を交えて、適切なマイルストーンを設定、事業者の事業計画等の進捗をモニタリングする中で、事業の進捗ですとか事業環境の変化等を踏まえて、必要に応じて事業計画の見直しの検討をする仕組みとなっています。

 今まさに委員がおっしゃられるように、こういう一連の流れの中で、国民への説明責任を果たすべく、適切なタイミングで可能な限りこれは公表していくべきだと私は思っておりますので、国会の方の御審議、いただいておりますけれども、そういう形の中でのまた御意見を賜っていきたいというふうに思っております。

田嶋委員 国会へきちんと報告してくださいということを申し上げているんです。

 これは、ラピダスさんというよりは、政府に対してそれを義務づけて、大臣、政府から私ども国会に、四半期に一度の報告をお願いをしたいということであります。よろしいですね、大臣。

武藤国務大臣 加えて、国民への説明責任を果たすために、適切なタイミングで事業の進捗等を公表することは重要だというふうに思います。

 その上で、国会での御指摘をいただきながら、どの程度の頻度であれば公表が可能なのか、ここは、事業者に関わる情報の整理、あるいは取引先への確認等の負担も勘案をしながら、外部有識者を交えて検討してまいりたいと思います。

田嶋委員 外部有識者も大事でございますけれども、国民が主権者でございますので。国民の巨額を投じる、私どもの党内からも、こんなことは過去に聞いたことがないという声がいっぱい出ていますから。みんなそうですよね。多分、自民党さんも同じだと思いますよ。いいのかと。だけれども、やらなきゃいけない、私はそういう思いでございますが、だからこそ、しっかりと透明性、そのために説明責任を、普通の会社は四半期でちゃんと整理していますから、だから、四半期に一度というのは、私は無理な注文をしているつもりはございません。

 次の質問ですが、黄金株というものの検討もあると聞いておりますが、大臣、黄金株というのはどういうもので、過去に日本のケースはあるのか教えてください。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 黄金株につきましては、いわゆるINPEX、こちらについて黄金株を保有しています。(田嶋委員「どういうものですか」と呼ぶ)

 少数の株主であっても拒否権を発動することができるという株式です。

田嶋委員 これも事務方と話をしてまいりましたけれども、これはやはり、いろいろな意味で、前例のない、国としてリスクを取って行っていく。

 基本は私は賛成をしたいと思っておるんですが、黄金株に関しては是非お願いしたいと思っております。明快な答弁をいただきたいと思います。

武藤国務大臣 黄金株についての御質問をいただきましたけれども、本法案に基づいて、出資の対価として取得した株式の設計につきましては、公募を通じて選定された事業者の事業計画の内容ですとか次世代半導体等小委員会の意見等を踏まえて検討することになっております。

 現時点で、具体的な株式の設計はまだ決まっていないところでありますが、経営判断の迅速性の観点から、政府による過度な経営への介入を避けるべきだとしつつも、例えば、重要な経営事項に拒否権を有する、いわゆる先生がおっしゃられるような黄金株を参考にしながら、経営に不測の事態が発生した場合に備えて、適切なガバナンスを確保する必要があるとの方向性が示されているところであります。

 また、事業が成功した場合のリターンについても、民間出資を可能な限り促進する観点と政府出資の解消を図る観点の双方の観点から、適切な設計とする必要があるところでありますけれども、今後、こうした観点を考慮しながら、次世代半導体等小委員会の意見等を踏まえて、具体的な株式設計を検討してまいりたいと思います。

田嶋委員 いきなり政府が非常に少数株ということにはならない。INPEXは今は一割ぐらいですかね。しかし、黄金株を保有しているということがあります。だから、国にとっての重要性を鑑みると、私は是非、今後検討いただきたいと思います。

 他方で、国の資本比率が上がり過ぎるのではないのかという懸念を持っております。一千億、いつお金を出すつもりか。出す同じタイミングで同水準の規模の出資が民間から本当にあるのか。とりわけ、ロイヤリティー契約を結んでいるIBMがどのぐらい本気になって、言ってみれば、JASMの中におけるTSMCですよ。JASMの中のTSMCのような存在としてIBMが、私が予算委員会で申し上げた船頭になれるような、そういうリスクを取っていただけるのか、そのことは非常に懸念しております。

 資料の四にこれまでの流れを表しておりますけれども、ここで一千億入れる、しかし、やがて二七年の量産手前で現物出資を行う。どのぐらいの政府の持ち株比率になるんでしょうか。そして、民間の出資はついてくるんでしょうか。お答えください。

野原政府参考人 ラピダスが国の委託研究開発で行っている中で、千歳の建屋でありますとか半導体の製造装置などを整備、導入していますけれども、これの所有権は今、NEDO、国が持っているわけでございまして、これを将来的に量産開始するまでにラピダスにどう引き渡すかというのがありますので……(田嶋委員「IPAでしょう」と呼ぶ)そのIPAがそういう意味では現物出資をできる規定がございますので、現物出資をすることで、将来的に、政府の保有株式に換えて、政府としては投資回収をしていくということを念頭には置いております。

 ただ、その額については、実際、建物とか設備の資産価値がどれぐらいかということを専門家にデューデリジェンスで評価していただく必要がございますので、また、その時点でのラピダスの企業としての価値でございますとか、民間側の出資の状況でございますとか、いろいろ複数の要素がありますが、それを総合的に勘案して現物出資の額というのは決まってくる、あるいは株の保有率が決まってくるので、現時点ではそこは確定はしておりません。

田嶋委員 例えば、最初に個人が十四人出資しましたね。その後、七十三億円ですけれども、民間企業八社が出資。これは同じ株価で出資しているわけじゃないでしょう。どうですか。

野原政府参考人 株の構成につきましては、最初に出資した方、それから七十三億円出されている方、それで、この次のステージで、今、民間から一千億円、政府についても、IPAの予算、一千億円計上していますけれども、この後、二〇三〇年頃の、IPOをするまでの間にまだ資金調達は続いていきますので、ステージごとに株も出され、出資をされる方がいて、その株はどういう構成になるかということになってまいりまして、最終的に、IPOをして、巨額の資金をマーケットで調達して、再投資をできる状態をつくっていかなければいけないわけでございまして、将来的に投資資金を内外から引けるような構成でそれぞれのステージのときに調達をしていかなければいけない。これが今、複数ありますので。

田嶋委員 TSMCは、四九%以上政府は投資できないルールがあるんですよ。常にマイノリティー株主に政府はステイするということで、あくまで民間企業が中心なんですね。

 ただ、これは現物出資を行った瞬間に、ひょっとしたら九割ぐらいが日本の政府の会社になりますよ。違いますか。だから、そこの試算をしていただきたいと私は申し上げているんですよ。変動幅はあると思いますよ。だけれども、一千億入れる必要があるんですか。現物出資した瞬間に、もう五割以上の持ち株になりますよ、今のままだったら。だから、どれだけ民間のリスクマネーが入ってくるんですかということを聞いているんです。

 そして、現物出資した瞬間に大変なダイリューションが起きるじゃないですか。つまり、希薄化が起きるじゃないですか。ですよね。そのときに、日本の政府のほとんど国有会社みたいなふうになってしまったらまずくないですか。だから、これをずっと前からお願いしているんです。見通しを、幅でいいから出してほしい。

 私は、これは基本的にはやらなきゃいけないという思いがあるものの、TSMCがJASMに関して行ったスキームとも随分違うと。

 今は言えませんという話があるので、ちゃんと民間の出資が来るんだろうと信じていますが、そこは一〇〇%保証がないので、私は、一千億を出すタイミングと、それから三か月に一回のチェックをしっかりとさせていただいて、どこの会社がエクイティーを突っ込んだかということを確認させていただきたいということを最後に申し上げたいと思いますが、大臣、分かりましたとおっしゃっていただきたいと思います。

武藤国務大臣 預からせていただきます。

田嶋委員 以上です。ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、池田真紀君。

池田委員 立憲民主党・無所属の池田真紀です。

 今日は、委員長、理事の皆さん、そして委員の皆さんの御理解をいただきまして、質問に立たせていただきました。ありがとうございます。感謝を申し上げまして、質問させていただきたいと思います。

 私は、先ほど来から話題になっておりますラピダス、千歳工場が、今パイロットラインがまさに稼働し始めた、その地域の選出議員でございまして、地元から、いろいろな角度で、御不安な声や期待する声や、いろいろな声がありますので、そういった声をしっかりと、これまでも事務方の皆さんにいろいろ共有をさせていただきながら今日まで来ておりますが、しかし、この委員会をおかりして質問をさせていただきたいと思います。

 それでは、まず第一点目なんですが、今申し上げましたとおり、ラピダスの方では、パイロットラインが四月から稼働をしました。日にちはちょっとよく分かりませんけれども、報道ベースでは、四月の一日に様々な報道がされています。

 そこで、私が若干懸念をいたしましたのが、四月一日の報道によりますと、ラピダスの小池社長が記者会見を開いた、そのかぎ括弧の言葉なんですけれども、今日、配付資料一ページ目に、配らせていただきましたけれども、量産技術の開発は非常に難しいという言葉をおっしゃられていて、今まで余り聞いたことがなかったなと思っています。

 それで、非常に、そのほかの報道も、いわゆる、この後の、いろいろな開発段階の施策ができて工場が生産できるかまでは物すごくハードルが高いということや、課題が残されている報道なんかが目立ってきているように思っております。

 この報道を含めてですけれども、まだまだ追加支援も必要だという状況の中でも、このような不安な声を聞いておりますが、大臣にまずは冒頭、確認したいんです。今回の次世代半導体に向けた政府の覚悟、これをお聞かせいただきたいと思います。

武藤国務大臣 ラピダスの小池社長は、先週ですか、ここで参考人招致があって、私はちょっとそのときは出ておりませんけれども、議事録は読ませていただきましたが、大分覚悟を持った、決意表明みたいなものをされていたというふうに承知をしているところであります。

 また、政府としまして、今委員から御質問をいただきましたけれども、ラピダスが量産を目指しているこの二ナノという次世代の半導体でありますけれども、まさにDX、GXなど産業構造が大きく変化するこのパラダイムの中で、いわゆる生成AIですとか自動運転には必要不可欠なもので、非常に重要なものであります。経済安全保障上にも重要であって、グローバルの需要も特に大きく増大すると見込まれているところです。

 今後の経済、産業、生活に不可欠となる半導体を他国に依存して購入しなきゃ生きていけない国になるのか、あるいは、日本の中でこれを生産することによって国内に富を生み、世界にも貢献できるような日本、そういう国になるのか、まさにこの分岐点に今立っているところだと承知しています。

 こういう形の中で、二ナノの次世代半導体の量産、これは海外のトップ企業も含めてまだ、いまだ実現に至っていない野心的な取組でもある。そういう中で、これを諦めては我が国の国益を大きく損ねることになりかねないという、こうした問題意識の中で、国として一歩前へ出る形で、最後まで責任を持って本プロジェクトを推進してまいりたい、これが私どもの思いでございます。

池田委員 ありがとうございます。

 民間企業の強い決意を聞かれたということではなくて、今大臣が、最後までちゃんと頑張りますというお話だったので、非常に安心しました。

 なぜかといいますと、これはやはり国策ということに意義があると思うんですよね。成功させなければ、これまでの支援も含めてこのプロジェクトは何だったのかということではないでしょうか。ただ、やはり、そこに少し疑義といいますか、そういったところは、先ほど来から申し上げております透明性だとか公開性だとか、こういったところについては丁寧にやっていく必要があると思いますが、しかし、最近のようなトーンが出始めると、非常に政府の覚悟といったものが問われてくると思います。

 これまでも、成功するまではやるんだと山際先生がおっしゃられていたりとかということが述べられておりますので、非常にその辺のトーンが今日は聞きたかったわけでありますので、政府としてしっかりと成功するまで取り組むということの決意をいただきましたこと、まずは次の質問につなげていきたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、量産までの間ですが、やはり、今はパイロットラインということで、私、直近で三月三十日に行ってまいりました、ラピダスの方に。そうしたら、取水についてはまだ千歳市の上水を使っているとか、まだまだそういう状況の中でパイロットラインが稼働しているということであります。

 こういった下水道とか道路のインフラ整備というのは極めて重要な課題でありまして、これが一体的に整備ができなければ、これはプロジェクト全体に大きな影響を及ぼすおそれがあるということは大臣も御承知かと思います。

 この中で、まず道路の整備、補正予算を始め、さきにも決定をされましたけれども、この先、道路、あとは下水道の確保、交付金化されていますが、この整備について、これはいつまでですか。今回、毎年度毎年度の決定なんですけれども、例えば量産体制まで目指すというような、プロセスといいますか、お考えを伺いたいと思います。

松家政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の交付金、地域産業構造転換インフラ整備推進交付金でございますけれども、これは、半導体等の戦略分野におけるリーディングプロジェクトとなる産業拠点の整備等に当たりまして、プロジェクトの安定的かつ円滑な操業に支障が生じないよう、下水道や道路等の関連インフラの整備を支援するものでございます。

 ラピダスプロジェクトにつきましても、本交付金を活用いたしまして、関連インフラといたしまして、令和五年度から下水道及び工場周辺の道路の整備に必要な支援を行ってきているところでございます。

 本交付金につきましては、こうした制度の趣旨を踏まえまして、ラピダスプロジェクトを含めまして、継続して、今委員から御指摘いただいたとおり、二七年に向けて量産化ということもございます、それに向けて必要な下水道の整備等々も行うという地元の御要望も聞いてございますので、こうした必要な関連インフラの整備の支援ができますように、地元自治体の要望も踏まえながら、関係省庁と連携しながら取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

池田委員 ありがとうございます。

 また、建設に当たりましては、ちょっと余談なんですけれども、非常に、北海道は、大自然で、豊かで、この千歳市の工場が立地されているところは、鹿や熊やいろいろな鳥や、もう当たり前にたくさんいるんです、人よりも。それで、そういう状況の中で、道路造りのときにパイプカルバートというのを、キツネさんが通る道路をちゃんと造る、環境に配慮をして、動物の生態系にも配慮した道造りを、つい先日開通をした道路のところでもそういった配慮が何か所かされておりまして、非常にそういう環境にも優しい配慮をした中で是非とも進めていただきたいと思いますので、併せてよろしくお願い申し上げます。

 続けて、産業集積についてお話をさせていただきたいと思います。

 今は、ラピダスの工場のど真ん中の、工場を造るに当たって必要な、目の前の道路だとか、あとは下水の処理ということの交付金のお話でした。

 しかし、今回は、それを超えた枠組みの中で、前工程、後工程、そして、関連の産業はとても広い半導体の事業でございますので、また、まだまだ開通していない道路もございます。千歳空港から港に行くまでの道路で、まだ時期も示されていない道路もありまして、その辺が一体的に開通ができるか、そしてあとは、立地する工場団地についても、後々はそこは施工されるとしても、それを一斉に整備をしなければいけないということで、非常に地元では大変な思いをしております。

 ここについての配慮といいますか、支援といったものはございますでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 ラピダス進出による、周辺における産業立地ニーズの高まりを受けまして、地元北海道では産業用地整備に向けた検討がなされているというふうに承知しております。

 各地域における産業集積に向けて、産業用地の確保は重要と認識しておりまして、経済産業省としては、産業用地確保に向けた取組といたしまして、自治体の求めに応じ、産業用地造成に係るプロセスの進め方や用地に係る規制対応への助言を行う伴走支援を実施しているところでございます。また、地域未来投資促進法において、土地利用調整手続に係る配慮も行っているところでございます。

 今後も、産業用地造成が円滑に行われるよう、経済産業省としても支援をしてまいりたいというふうに考えてございます。

池田委員 ありがとうございました。

 自治体の求めというのは、基礎自治体とか範囲はありますか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、令和六年度に実際にアドバイザリーの事業などをやらさせていただいておりまして、こちらにつきましては、基本的にはいわゆる基礎自治体さんですね、工業団地の整備などを検討されていらっしゃる自治体さんからのお求めということで実施しているものでございます。

池田委員 ありがとうございます。

 今回、様々な支援策があるといいながらも、加えて、今コロナが終わって、観光客、インバウンドも非常に増えております。その中でも、日本の観光地への訪問の意欲、外国の方の意欲ですとか、これも北海道が非常に高い数値を、喜ばしいことなんですけれども、ありまして、そして日本人の宿泊客も、道央圏、石狩管内に六割なんですね、六割、七割。そしてまた、外国人の方々も、石狩管内には四割、そして道央圏に七割という方が今わさっと来ているわけですね。

 ですので、非常に、千歳空港を降りた目の前ということでもありまして、道路の混雑や、そして空港に対しても、直轄事業ですから、空港の整備も併せて必要になってこようかと思います。これは両方併せて、それぞれの別の目的ではありますけれども、非常に関連することですので、政府全体として取り組んでいただきたいと思います。

 引き続きまして、ちょっと今度はお水の件ですね。

 このラピダス社の取組ももちろんなんですが、今回のお水、工場で使うお水なんですけれども、先ほど申しましたように、直近で三月三十日にラピダスに伺ったときに、パイロットライン、まず最初に使う分については千歳市の上水を使うとおっしゃっていました。あれって思ったんですけれども、今そのための取水の整備をされていると思っておりましたけれども、それはいつ完成をするといいますか、専用の取水ですよね、それはいつになりそうでしょうか。

野原政府参考人 今後、千歳の工場の本格稼働に必要となる水の供給に向けまして工業用水路が整備されておりまして、昨年八月に着工いたしまして、二〇二六年中に完成する計画であるというふうに承知をしております。

池田委員 それまでの間というのは自治体の上水道を使うということで、量産体制に入ったら当然もう間に合わない話ですので、それはしっかりと進捗状況もチェックをして後押しをしていただかなければ、千歳市民の皆さんのお水が足りないとかになってしまうと両方うまくいかなくなると思いますので、しっかりこれは、プロジェクトにまつわる必要なものは整備をお願いしたいと思います。

 そして、排水の問題ですね。これは昨今、他の部会や委員会でももちろんのこと、PFASの問題、排水に対する処理の状況も確認をさせていただきたいと思います。

野原政府参考人 排水の方でございますが、昨年七月に、工業用水の取水の予定地であります安平川で一リットル当たり九十五ナノグラムのPFOAが検出されるなど、取水先にPFASの一種が含まれる可能性があることが分かりました。

 そのため、ラピダスとしては、工場で使用した水はPFASの吸着効果がある活性炭処理をした上で排水すること、北海道庁との間で規制対象PFASの自主測定等に関する協定を締結しておりまして、これを遵守していくこと、それから、規制対象外のPFASが含まれる可能性がある材料につきましては、回収の上、産業廃棄物として専門の外部業者に引き渡すことなどを表明しておりまして、こうした自主的取組もしっかり講じるものというふうに承知をしております。

 経済産業省といたしましては、ラピダス社が本協定、道庁とラピダスの間の協定を含めまして関係法令等をしっかり遵守するとともに、地域住民の安心を確保する取組となるよう、引き続き指導してまいりたいというふうに考えております。

池田委員 この基準がどうかという話ももちろんありますけれども、これは他の部会でまた掘り下げて質問させていただこうと思っておりますが。

 今回の排水についての調査、前に行ったのは十二月ということだったんですけれども、パイロットラインが稼働して、次はいつ調査とかというのは決まっているんですか。

野原政府参考人 決まっていないというふうに承知しております。

池田委員 まず、どのぐらいの稼働を今されているかということも、パイロットラインの状況も分からないので、これが分かるようにしていただくことと、それと併せて、このチェック、調査もしっかりと、いつしていただくのかというのを公表をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

野原政府参考人 御指摘いただきましたので、検討いたします。

池田委員 ありがとうございます。

 次に、人材の確保についてお伺いをしたいと思います。

 ラピダス社のみならず、道内全体での半導体とかのデバイスの関連の人材の採用の数といったものが、二〇二三年では、採用の部分については不足数が五十三人、そして、二〇二四年は全体で九十五人不足していたというふうに伺いました。また、二〇三〇年度までには二〇二三年の二・七倍、年間六百七十人も採用をしていく、拡大を目指していくというふうに伺っています。これはまだ人材育成ということでございますけれども。

 実際に、ラピダス社の人材については、確認なんですけれども、公費が入っているとお給料が上げられないとかということがあるというふうに伺っているんです。これはラピダス社さんが決めているものだからということであればそうなんですけれども、政府として、それであれば、やはり有能な人材が集まらなくなってしまいますので、もちろん今いらっしゃる方がそうではないということではないんですが、より成功に、最先端の技術をこれから日本で絶対に成功させるんだということであれば、何が何でも引っ張ってくるという覚悟が本来だったら必要なんじゃないかなと思うんですね。

 もちろん、一緒に汗をかいて頑張ろうという精神のある人たちと一緒にやっていくということも重要なんですけれども、この辺の難しいあんばいかと思いますが、ただ、実際に、千歳市におきましても、例えば、学校があるんですが、学校に合格をしたけれども入校はしなかったとか、採用されたけれども、千歳市には住まないでよそから通っているとか、あるいは他社へ行っちゃったということもちょっと耳に入ってくるわけですね。

 ですから、人材確保というところで、もう少しラピダス社に対しての支援というのがないのかなと思いまして、あるいはお考えというか実態というか、教えていただきたいと思います。

野原政府参考人 優秀な人材の確保が必要だというのは、委員御指摘のとおりだと思います。

 ラピダスの給与自体はラピダス社が決めているんですけれども、日本の、全国の平均の給与から比べますと、大体三万円ぐらい、月給で高いぐらいの水準に今なっているというふうに聞いております。

 これは、民間企業なので自分で決められるんですが、ただ、今は収入が、売上げがラピダスとしてありませんので、ほぼほぼ国の研究開発を受託してやるというところで収入があるということなので、国の予算でほぼほぼ研究開発活動を資金を見ていますので、そこで、NEDOからこの研究開発プロジェクトについて、給与を、働いている方々の給与の分、どの分だけ予算で支援をしますかというのは、ルールがNEDOとして決まっておりまして、それに合わせて公費としてはお支払いしている。

 そうすると、民間企業として上乗せ分があればどんどん給与は上がるんでしょうけれども、そこは収入が独自にないので、そこの分が余り積まれていないということだと思います。

 これは、給与のレベルに合わせて、健保等級に合わせてNEDOとしてはお支払いするというルールになっていますので、ラピダスがこれぐらいの等級の人というふうにすると大体自動的に幾らというのが決まってくる、そういう構造になっております。

 ただ、委員の御指摘のとおりでございますので、他のこのセクターのほかの企業との関係で人材の取り合いにもなりますので、やはり優秀な人材が採れるように、ストックオプションの検討とか、ほかの処遇の改善を図るための課題というのはあるというので、それは検討しているところでございまして、我々としても、それをサポートしながら具体化していきたいというふうに考えております。

池田委員 人材育成は、将来ということなので、何年か後にはすごくいろいろな人たちが育ってくるというふうには思いますけれども、今こそ量産を実現させるために動かなければいけないときではないかというふうに思っておりますので、そこはちょっとミスマッチができないか、できてしまうと困るので、ちゃんとチェックをしていただきたいなというふうに思っています。

 決して私はラピダス社と何かあるわけでも、一回しかしゃべったことはありませんし、なんですけれども、ただ、それであれば、国として責任を持つ意味で、物すごい優秀な人を公務員として、国家公務員として一瞬有期採用してということだってあるわけじゃないですか。いろいろな方法をして、とにかく、何が何でも優秀な人材を集めて量産体制を目指していくというところに、ちょっと人ごとじゃなくて、しっかりやっていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 ちょっと、あわせて、続けて、それにはもう一つ大事な要素が町づくりだと思っています。

 今、地元で、先ほど来から話をしているように、突如、ラピダスプロジェクトが来て、道路や下水やいろいろなものが、ハード面のものにもう必死になっているわけです、ただでさえ人材不足の中で。なんですが、大事なことは、そこに住むかどうか、住める町かどうかというところも非常に働いている人たちに対しては重要なことでありまして、ですから、公共交通の整備だとか医療機関といったものも重要だと思っているんですね。

 ちょっと視点を変えて、私は内閣官房地域活性化伝道師でもありました、かつてですけれども。その当時からの人たちは必死にこういった町づくりを自分たちの仕事やライフワークを通じてやっていこうと。その中に、資源としては、北海道は物すごい豊かな暮らしができる要素が実はあるんですね。高い給料を持って豊かな暮らしをしようというような、外国からも招いてこられるようなことができます。カヌーだとか、あと、物すごい自然豊かなところが物すごくあるんですね。ちょっと、今日、写真でお見せしたかったんですけれども、ちょっと私の不備がありまして御覧いただけないんですが、来られた事務方の皆さんにはちょっと見ていただきまして、非常にそういったポジティブな町づくりですよね。

 そういったところを併せてやっていくということが、万が一、このラピダスが、時代のその先に、何十年後先になるか分かりませんけれども、千歳工場ではもう難しくなったとか、時代が変わったといったとしても町は残るわけですから、そういった町を廃墟にさせない取組として、地方創生関係の取組があるというふうに私は思っています。

 これをきっかけにやっていくということで、地方創生の担当の内閣官房の方にお伺いをしたいのですが、こういった合わせ技の取組について、ちょっと御見解といいますか、伺いたいと思います。

岩間政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたように、半導体などの大企業の地方誘致、これとともに、そこで働き暮らす人々、皆様の仕事、生活を確保し、魅力ある地域を各府省連携して進めていく必要があるというふうに考えてございます。

 内閣府といたしましては、先ほど答弁ございました半導体などの生産拠点整備に関する道路等のインフラ、これと併せて、新しい地方経済・生活環境創生交付金を活用しまして、地域がまさに主体的に行います買物、交通、子育て、教育、あとデジタル、そうした生活環境の整備ということも支援をしてございます。

 一つの例として、例えばラピダスが立地する千歳市では、令和四年度、当時デジ田交付金といっておりましたが、これを活用しまして、除雪の車両にGPS機能つきの端末を設置し、まさに道路の除雪がリアルタイムで携帯でマッピングして見られるという取組を行っておりまして、まさに、雪は降りますけれども、どこの地域でどこの道路でどういう除雪がされたかというのはすぐ分かるとか、そうした取組を行っている。それから、あと、教育現場でのデジタルの導入、それから子育て、母子健康手帳アプリ、こうしたものも千歳市で行われておりまして、支援しているということでございます。

 それから、先ほど、地域活性化伝道師、ありがとうございます。そういう魅力向上という部分で、財政支援に加えて、人材の支援、これも重要だと考えておりまして、まさにこの四月からでありますが、各府省庁の本省の職員が副業的に中小規模の自治体に寄り添って伴走支援を行っていくという地方創生の取組を開始するということでございます。

 そういう意味で、関係府省庁と連携しながら地方創生の取組をしっかり進めてまいりたいと考えております。

池田委員 最後のその取組は物すごく大事だと思っていまして、そこは、やる気のある市民とか地元の企業さんたちとかを併せてフィールドを自治体がつくっていくというような形だと思いますので、今のそもそもやらなければいけないハード面のだけで自治体はもう必死ですから、だから、そこはうまく活用できるように宣伝をしっかりしていただきたいと思います、知る人ぞ知るみたいな感じになってしまいますので。是非そこはお願いしたいと思います。

 そういう意味でちょっとつけたのが、今日資料でつけていますので、まだらな開発になっているよというような指摘があっているところを是非プラスに変えていく、そのための取組として、私も一緒にやっていきたいと思います。

 最後になりますけれども、やはり、そうはいっても、お金を投資、公費ですから、国民に開示をされているのかというと、なかなか開示をされていない。市民が情報開示をしようと手続をしたとしても、真っ黒の文書が出てくるというようなこともございます。ですので、今回は、国会の中での、先ほどの田嶋委員からのお話があるように、国会に求めると同時に、私から提案がございます。

 これは、事業計画のチェックにも必要ですし、企業は営業の秘密がある、当然だと思います。ですので、開示が困難なものがあるかと思いますので、国会における秘密会、国会法の秘密会のような仕組みも活用することが可能なのではないか。もちろん、これをこのまま当てはめて国会でやることもありでしょうし、若しくは、自治体の中で秘密会を参考にしながら、こういった傍聴を許さない会議の中には、やって公表しないとか、あと情報保護をチェックしながら行うための手法といったものを、これを企業と地域住民との共生ということで実現できないかというふうに提案をさせていただきたいと思っております。

 これは、開示をしていく、情報公開をしていくということで、併せてその手法としての提案でございますので、是非御検討をいただきたいと思います。最後。

野原政府参考人 御指摘でございますので、何ができますか、企業としての営業秘密やら機微な情報を扱うところもありますので、どのような手法が可能なのか、これから相談をしたいと思います。

池田委員 ありがとうございます。前向きに検討していただきたいと思います。町づくりは、全員参加、巻き込んでこそ盛り上がっていくものですから。

 そして、最後につけました、一言だけ申し上げたいと思います、資料です。

 これは、NPO法人のキッズドアさんからいただいたものでございますけれども、デジタル、デジタルといいながら、まだこれは学校の部分の話ですけれども、パソコンが自宅にない、WiFiがない、こういう子供たちが一定数います。

 こういう困窮家庭、誰一人置いてきぼりにしない、こういったデジタルのウェルフェアにしっかりつなげていく。これを忘れてしまっては、やはり国民の国費を投資する意義がなくなってしまいますので。そして、その中には、障害を持たれたりとか御病気、そういったところがプラスになっていくAIの産業もあるかと思いますから、是非、この産業が全ての人たちの利益になるように、これを実現していただくように心からお願いを申し上げまして、私からの御質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、福森和歌子君。

福森委員 立憲民主党、福森和歌子です。よろしくお願いいたします。

 他の先生方と質問が重複するところもありますが、それだけ非常に重要なことだと私は思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 まずは、半導体、デジタル産業について、国としてのお考えをお聞きしたいと思います。

 四月二日の委員会でもお聞きいたしましたが、七ナノ以下の先端半導体の市場規模は非常に大きくなると予想されていて、今後、次世代半導体でシェアを取っていくことが日本にとって非常に大事だということでした。

 また、一方で、今現在、日本がすごくシェアを持っている強い分野もあります。半導体の部素材等がそうです。それを守っていくことも非常に重要と思っています。

 現状を踏まえ、半導体全体としては、次世代半導体の研究開発、またパワー半導体の量産投資等への補助及び委託等で六兆円、次世代半導体投資やAI利活用に向けた計算基盤整備等への出資や債務保証として四兆円を財政措置されます。

 この金額の根拠、それから、この金額を積んでいった結果、二〇三〇年にラピダスを含め日本がどのようであると未来予想図を描いているか、大臣にお聞きしたいと思います。

武藤国務大臣 福森委員からお尋ねいただきました。

 まず、AI・半導体産業基盤強化フレームにおける十兆円以上という公的資金の金額の全体についてでありますが、半導体製造能力の確保に向けて、米国が約十四兆円、中国が約十七兆円の支援策を講じるなど、熾烈な政策競争がまさに起きている中で、各国に見劣りしない支援規模を確保する観点ですとか、また、今後AIの普及を支える半導体やデータセンター等の需要拡大が見込まれる中で、これに必要となる技術力、また供給能力を国内に整備していくため、AI、半導体関連分野で十年間で五十兆円超えの国内投資を誘発をし、国内での技術開発あるいは製造基盤整備を確実に進展させるという観点を踏まえて措置しているところであります。

 その上で、半導体の量産投資は民間資金の活用が原則であって、事業者の財務基盤の強化には金融支援での対応を想定していることで、一方で、我が国も他国との誘致合戦に負けないよう半導体の製造能力を確保しようとすると、補助金の活用も必要になると思っております。経済安全保障の観点からも装置、素材の研究開発支援を行う必要もあることなどを踏まえて、それぞれに必要な金額として、今おっしゃっていただいたような、金融支援で四兆円以上、補助、委託等で六兆円としているところであります。

 二〇三〇年を予想すれば、生成AIが加速度的に浸透し、自動運転ですとかAIロボット等の高度な技術が社会実装をされ、様々な社会課題の解決に寄与してくる、こうした未来の想定をしているところであります。

 他国に依存しない形で実現していくことが重要と考え、ラピダスが量産する次世代半導体は、それを支え、我が国産業の未来を左右する最重要技術であると承知をしているところであります。

福森委員 アメリカや中国に負けない技術、そしてそれがもたらす社会、豊かな社会、それを目指していくことだと理解をいたしました。それであるならば、本当に失敗は許されないといいますか、何が何でもだと思いますので、これを旗印に実現に向けて頑張っていただきたい、私も頑張りたいと思います。

 ちょっと繰り返しになりますけれども、国として二〇三〇年度までに計十兆円以上のAI、半導体支援を実施して、これを呼び水に今後十年間で五十兆円を超える国内投資を官民協調で実現するということですが、海外含め実に多くの多様な企業がそれぞれの会社の利益を追求する中で、どうやって情報を共有して、あるいは連携して協調へとつないでいこうとお考えですか。

 半導体、デジタル産業においてはより一層連携が必要だということでございますけれども、であるならば、ハブとなる専門組織があるべきではないか、あるいは、海外に対峙していくということを考えても、日本として何らかハブとなって取りまとめていく、戦っていくという部分も必要だと思いますが、いかがでしょうか。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省では、外部有識者で構成される半導体・デジタル産業戦略検討会議など、こういった場で情報共有や意見交換をやっていることを始めとして、関連企業や大学、研究機関、また多様な関係者との日常的な意見交換を通じて、国内外の市場動向でありますとか企業の動向、技術トレンド、諸外国の政策などに関する様々な情報収集を実施してきています。

 これらを踏まえまして、まさに半導体・デジタル産業戦略を策定し、そして改定をしている。大きな政策の方向性を示しつつ、先端半導体を研究するセンターであるLSTCでありますとかIPAなど、必要な関係機関とも連携して様々な政策やプロジェクトを展開してきている。

 さらに、今般法改正によりまして、IPAを、ハードウェアとしての最先端半導体、計算基盤整備の整備を含めたソフトウェアとしてのAIの開発支援、デジタル人材、さらにサイバーセキュリティー、そういったデジタル技術基盤のコア領域を一体的に扱える中核機関に変革しようというふうに考えています。

 こういった取組によりまして、経済産業省、IPAが専門家などとの連携のハブとして機能していく体制を強化していきたいというふうに考えています。

福森委員 今まさにIPAを強化していくということと理解をしましたけれども、本当にそうで、特に中国とかアメリカとか、いろいろやってくる中で対峙していく力というのは必要だと思いますので、そういう人材含め、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、事業者の選定やその進捗をどう確認していくかということについてお聞きします。

 選定事業者の選定についてまずお聞きします。

 公募に応じて選定事業者になろうとする者は、特定取組内容及び実施期間、特定取組を実施するために必要な資金の額及び調達方法、公募対象半導体の生産目標及び実施体制等を記載した実施計画を作成、提出しなければならないとされています。

 この実施計画というのは、いわば事業者にとっては中期経営計画、ビジネスモデルを示すものになろうかと思いますけれども、それをどのように審査される予定ですか。審査の方法等をお示しください。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案における公募プロセスでは、あらかじめ、お話しいただきました、公募の実施に関する指針を定めて公表した上で、申請事業者の実施計画の内容が指針に照らし適切なものであること、事業者が次世代半導体の生産を行うに足りる技術的な基礎を有することなどの基準に適合するかどうかを審査し、基準に達しない事業者は支援対象事業としては選定されない仕組みとなっています。

 その上で、基準に適合する事業者がもし複数存在する場合には、指針に定める評価基準に従って評価を行って、最も適切な事業者を一者選定することとしています。

 選定に当たっては、公平かつ厳格な審査を担保する観点で、専門性を確保する観点で、産業構造審議会の次世代半導体小委員会において、申請事業者と利害関係がないことを確認した上で、技術、経営、金融、様々な分野の外部専門家の意見をいただいて、その上で審査を行うというふうに進めてまいります。

福森委員 分かりました。

 ただ、最もというところで、もし仮にすごく惜しいと思われる事業者がいた場合、私は、この場でのジャストアイデアみたいになっちゃいますけれども、支援をやはりすべきではないかともちょっと思っています。ですから、今回のことでは最もということで選定されるとは思いますけれども、今後で考えていくとそういった企業がどんどん出てくることが望ましいんだと私は思っていますので、そういったところへの支援の在り方も今後考えていっていただければと思います。

 続きまして、経済産業大臣は、この実施計画が選定に係る基準に適合しないものとなったと認めるときは、選定事業者に対し、当該計画の変更を指示し、又はその選定を取り消すことができるとしているほか、選定事業者に対し、計画の実施状況について報告を求めることができるとされています。

 特定取組について実施計画が着実に実施され、成果を出しているかを検証するために、どのようにフォローアップし、評価、判断されるのか、教えてください。

武藤国務大臣 フォローアップと評価、判断の基準等についてだと思いますが、まず、今回、法案に基づく金融支援につきましては、次世代半導体等小委員会において、外部有識者を交えて、適切なマイルストーンを設定し、選定事業者の事業計画等の進捗をモニタリングする中で、事業の進捗ですとか事業環境の変化等を踏まえて、必要に応じて事業計画の見直しも検討する仕組みとなっているものであります。

 また、事業計画の概要やモニタリングの結果等につきましては、個社の競争上の優位性を阻害することがないよう、事業者のビジネス上の機密事項等に配慮しつつ、国民への説明責任を果たすべく、適切なタイミングで可能な限り公表してまいりたいというふうに思っております。

福森委員 検証の方法は分かりましたけれども、先ほど来ほかの委員もおっしゃっていますけれども、とにかく国の予算を大きく使ってやるものですから、私も国民に対しての一定の報告、公開が必要だと思っています。厳しく正しく審査、フォローアップしていただくということですけれども、スピード感というものも私は非常に大事だと思っています。

 一般的に、会社であれば、少なくとも私が長く働いていた会社では、四半期ごとに売上げ等をチェックして、半期ごとに計画に照らし合わせて現状がどうなっているかということを確認し、リカバーが必要なときは追加施策等を考えて実施する、そういうことが当たり前に行われておりました。ラピダス社も株式会社ですから、そういったことを行っていくのは当然のことと思います。

 田嶋委員もおっしゃっていましたけれども、私も、過去の自分の経験も踏まえましても、四半期ごとに、計画どおり進んでいるのか、あるいはどこをどうすればいいのかといったことは国として確認すべきであり、先ほど大臣がおっしゃってくださいましたとおり、オープンにできるところはオープンにしていくべきと思いますが、確約していただけますでしょうか。

武藤国務大臣 国民への説明責任を果たす意味で、適切なタイミングで事業の進捗等を公表することは極めて重要だと思っております。

 国会での御指摘も受け止めつつ、どの程度の頻度であれば公表が可能なのか、これは、事業者に係る情報の整理や取引先への確認等の負担も勘案をしながら、外部有識者を交えて検討してまいりたいと思っております。

福森委員 繰り返しになりますけれども、会社であれば、四半期ごとにチェックする、それが当たり前だと思いますので、それの方向で進めていただければと思います。

 次に、人材育成についてお聞きしたいと思います。

 これまでにも、デジタル田園都市国家構想総合戦略として、政府全体で二〇二二年度から二〇二六年度までに二百三十万人を育成するという目標を掲げられ、二〇二二年度、二〇二三年度は目標を達成、また、二〇二四年度も達成の見込みとお聞きいたしました。

 そしてさらに、IPAの業務について、デジタル人材の養成や、その資質の向上に係る規定が追加されます。

 IPAではこれまでも、情報処理技術者試験を始め、情促法の規定の範囲で人材育成に取り組まれてきたと思いますけれども、今回追加される人材育成とは具体的にどのような取組を考えていらっしゃいますか。これまでの成果も踏まえ、お示しください。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 IPAは、現行法の規定の範囲で、情報処理技術者試験、また、デジタル人材育成に関する指針の作成などを行ってきています。

 御指摘をいただきました情報処理技術者試験でありますけれども、これは、元々、IT産業の勃興期に、ソフトウェア産業の担い手を確保しなければいけないということで一九六九年に開始して、累計でこれまで二千三百万人が応募して、一応、合格者三百六十万人程度ということで、貢献をしてきております。

 また、トップ人材の育成に資する取組といたしましては、未踏事業というものを二〇〇〇年から開始しています。こちらは、延べ二千三百人のいわゆるトップエンジニアたちを育成して、四百五十人が起業するというような形で、スタートアップ事業の苗床のような役割も果たす、こういうような形でIT産業分野における人材育成にIPAは貢献をしてきております。

 ただ、今回、よりデジタル化が進んでDXを進めるということになってきますと、使う側の人をどうやって育てていくのか、これがまさに二〇二二年の二千三百万人のところで議論をされて、問題意識を持たれていたもの。

 今回の法改正によりまして、IPAのデジタル人材の育成事業を更に拡大させて、IPAが独自の人材育成コンテンツを作成するとか、そういったところまでしっかりと踏み込んで取組をしていきたいというふうに考えています。

 具体的に申し上げますと、AI活用に必要なデータ管理人材、これはまさにユーザー側で活躍していただく人材になるわけですけれども、こういった人材を育てていくに当たっての教育手法がなかなか確立していないということで、モデルカリキュラムを作成する、若しくは、DXの推進に必要になりますビジネスアナリストとか、そういった人たちに適したコンテンツを作って提供するというようなことを進めていきたいというふうに考えています。

福森委員 本当に、使う側といいますか、これからどんどん技術が発展して、AIも開発されていくという中で、データの管理とか分析というのは非常に有用だと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 ただ一方、半導体の関連産業では人手不足の状態が続いていることも事実です。足りない人材をもっともっと育成して、マッチングを優先するということも優先すべきだと考えています。

 地域単位で産官学連携による取組を開始されていらっしゃるということですが、実際、そういったマッチングの視点からどういう成果が生まれていらっしゃいますか。

 そして、LSTCでも人材育成プロジェクトがあります。拝見すると大学と重なる部分もございますけれども、どのようにすみ分け、連携していくのかということも併せてお示しください。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 半導体産業を担う人ということでございますけれども、経済産業省の方では、地域の教育機関や半導体企業、自治体などと連携して、地域の実情やニーズに応じて取組を進めるために、地域ごとに地域人材育成等を進めるコンソーシアムを設立しています。

 九州から北海道まで、全国六地域でコンソーシアムが今活動しておりますけれども、成果としては、例えば、中国地域では、地域内の大学や高校などの教育機関の教職員を対象としまして半導体に関する講義や研究所、工場ツアーなど、研修プログラムを実施していたり、九州地域では、半導体教育における産学連携のポイントと事例をまとめた産学連携ガイドブックの作成、展開、こういうような各地域で具体的な取組、成果が生まれています。

 さらに、東北地域の取組では、元々、このコンソーシアム、経済産業省の主導で声をかけてコンソーシアムを立ち上げてきていたわけですけれども、民間が主体的に取り組もうじゃないかということで、このコンソーシアムを民営団体にして地域での人材育成に取り組むというような、更に踏み込んだ新しい取組も進んでいます。

 御指摘をいただきましたLSTCのところにつきまして、ここは、特に次世代半導体等の実現に不可欠な高度人材、ここの育成をしっかりやっていかないといけないということで旗振り役になってくれていて、国内外の半導体関連トップ企業と教育研究機関が連携した全国的な取組を進めています。

 経済産業省といたしましては、必要に応じて関係機関同士の連携を促しながら、これらの取組を通じて、引き続き、半導体人材の育成そしてしっかりとした確保、これを進めていきたいというふうに考えています。

福森委員 分かりました。

 特に、私は、そのコンソーシアムというのは地方創生にとっても非常に有用であると思いますので、促進していっていただければと思います。

 人材ということで言うと、直接関係ないかもしれませんけれども、生成AIの開発力ということを強化するということで、GENIACがいろいろな取組をされておられると思います。これは実は、いろいろ取組を私は拝見を今回したんですけれども、非常に、人材育成、起業、そういったことにも寄与していくと思います。GENIACの現状や成果、今後の予定も教えてください。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 最初に、先ほど、情報処理技術者試験、私、これまでの応募者二千三百万人と申し上げてしまったんですけれども、済みません、二百三十万人ということです。大変失礼いたしました。

 GENIACについての御質問でございます。

 国内のAI開発力強化に向けて、GENIAC、これを昨年の二月に立ち上げまして、まさに、アイデアはある、技術もある、だけれども計算資源がないので取組が進められないという若いトップエンジニアたち、こういった方々の活動を支えるために、AI開発に不可欠になる計算資源の提供、そういったことなどを支援しています。

 この中で、三百名を超える人材が、いわゆる基盤モデル、AIの中で一番汎用的な、一番難しい、頭を使うモデルのような開発、こういったものを経験する、そういった取組とともに、成果としても結構いいものが出ている。例えば、プリファードエレメントなどによる世界の最先端モデルよりも高い日本語性能を持つモデルの開発、また、各国からも注目を浴びて投資も受けていますサカナAIの小型で効率的なモデルの開発、こういったものは国際的にも評価を受け始めています。

 今後は、幅広い分野におけるAIの開発と利活用を一体的に行う観点から、GENIACを通じて、国内ユーザー企業とのマッチングをもっと進めていこうとか、社会実装を見据えたAI側の開発に重点をシフトしていこうとか、さらに、製造分野とうまくマッチングさせていって、日本の強みも生かした形で海外展開の促進なんかもやっていけないかというようなことを取り組んでいきたい、進めていきたいというふうに考えています。

福森委員 昨年二月からということでございますけれども、人材の海外流出を止めるということにも役に立つと思いますし、あるいは海外との競争力を高めるということにも非常に有用かと思いますので、こちらにも注力していただければと思います。

 続きまして、ラピダスについてお聞きしたいと思います。

 国がIPAを通じ一千億円を出資する一方で、民間企業による出資も募っている状況と先ほど来お聞きしております。民間では、追加、新規で一千億円調達の見通しは立ちつつあるということでございましたが、万が一それがかなわない場合、どうされるのですか。国が追加出資されるのですか。教えてください。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 度々済みません。実は、先ほど申し上げました、情報処理技術者試験の公募は二千三百万人、政府の目標が二百三十万人、これを二千三百万人というふうに私は言ってしまっていたようなので、政府の目標が二百三十万人ということでございます。

 ラピダスの出資の関係に関する御質問でございます。

 現在、ラピダスにおいては、量産の準備を進めるべく、既存株主などの企業との間で一千億円規模の追加出資に関する調整が本格化しているということです。

 政府としましても、公募を通じて選定された事業者に対する出資の原資として、当初予算に一千億円を計上している。

 こういった取組が今後どうなるのか、どういう見通しでいくのかということなんですけれども、具体的な出資額につきましては、今後、外部有識者から構成される次世代半導体委員会の意見を踏まえて、民間からの資金調達状況を考慮しながら、事業計画等を精査した上で決定していくという方針でおります。

福森委員 見通しどおりになればいいんですが、そうならないケースというのはあり得ると思っています。そうならないケース、今、外部有識者の御意見を聞いて、民間も考慮してということでしたけれども、より具体的に想定するといいますか、そういうことをやって、とにかくスピード感を持ってやらないと、判断が遅れると、さっきおっしゃった、今売っているものがないわけで、お金がとにかく必要ということもあると思いますので、迅速に判断されるようにお願いしたいのと、あわせて、先ほど来、国のお金を使うんだからきちっと国会にも諮ってくださいということを申し上げましたが、それも併せてお願いしたいと思います。

 そして、四月二日、経済産業委員会では、七ナノ以下の最先端半導体の需要は、二〇三〇年、五十三兆円もの規模になると予想されているとのことでした。これは、五十三兆円と予想されているということは、ほかの国も含め、ここを目指そうということで、競争も非常に激化すると思われます。

 ラピダスはスピードが強みということでしたけれども、私は、それだけでは、技術の強みだけでは市場で勝てないこともあるのではないかと思います。技術力だけではなくてマーケティングや営業力も非常に重要と思いますけれども、人材含め、どう進めていらっしゃいますか。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のマーケティングは非常に重要でございます。

 ラピダスの方では、昨年の四月にシリコンバレーにラピダスデザインソリューション社を設立して、国内外でのマーケティング体制を強化しています。

 人材面につきまして、海外拠点のトップには、元AMDとかそういった半導体の中核になる会社でマーケティング担当役員を務めたアンリ・リシャール氏が就任しています。そのほか、半導体設計企業などで経験豊富な社員の採用が進んでいます。

 こうした取組によりまして、IBMがAI半導体の製造委託先にラピダスを活用すると発表したり、国内においても、ラピダス、プリファードネットワークス、さくらインターネットの間で提携が進んでいる等、着実な進展が見られています。

 また、先月ですけれども、世界的な半導体設計会社であるクエスト・グローバル、こちらとの提携も発表されました。同社が抱える、クエスト・グローバル、これは非常に実は大きい会社でございます、幅広い顧客を持っています。こういったところへの顧客開拓の可能性も広がるというふうに期待しています。

 今月から千歳パイロットラインの立ち上げも開始され、そこで試作が進んでいきますと、その結果を踏まえまして顧客獲得活動も加速されていくかなというふうに期待しています。

福森委員 本当に、技術だけではなくて、量産化したときに、作ったはいいけれども売れないということでは非常に困ると思いますので、今言ったようなマーケティングの取組も進めていただければと思っています。

 そして、ちょっと最後に、唐突なんですけれども、私は、半導体とかAIのお話を聞くたびに、学生時代に見た映画を思い出します。ヴィム・ヴェンダースの映画で「夢の涯てまでも」というタイトルだったと記憶しておりますけれども、日本では一九九二年に公開されたものです。

 これはどういうものかというと、主人公が世界中を巡って映像を集めて、父親が発明した装置を使ってその集めた映像を盲目の母親の脳に送り込むんですね。奇想天外なんですけれども、これは実は今のAIにも通じるんじゃないかなと思っています。というのは、集めた膨大な映像を見る側の要望に沿って即座に編集して見せるという点では、非常に通じるんじゃないかと思っています。主人公一家がこの映画ではどうなったかというと、この装置によって、リアルな世界ではなくて、自分の見たいものを見せてくれるこの装置の中に没入してしまうということでした。当時、この映画を見た私は、技術の進歩がこんなに人間を変えてしまうなんて怖いなと思ったわけです。

 それだけではなくて、最近、今年三月二十一日、御覧になった方もいらっしゃるかと思いますけれども、日経MJ新聞では、全国の十五から六十九歳の方を対象に調査を行っています。十代では、AIに恋人になってほしいと答えた率、二八%、全体の三分の二の人は、AIに社会をコントロールされてしまう不安があると回答されている、そんな記事でございました。若年層はAIを使いこなす一方で、世の中全体はAIの発展に対して漠然と結構不安を感じられているんじゃないかなと思います。

 今こうやって話してきて、技術の発展というのは非常に喜ばしいこと、日本にとっても非常に重要なことと思いますけれども、同時に、その使い方をしっかり考えなくちゃいけない。これはずっと言われ続けてきたことですが、いよいよ、この課題、問題が先送りできない、そういう状況に来ているなと私は思っています。

 半導体や生成AIの研究開発を支援されておられる経済産業省として、AIのガバナンスの在り方についてどう考え、どうされようとなさっているか、お示しください。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 AIは、委員御指摘のとおり、国の競争力や社会の豊かさを左右する重要な技術で非常に期待をされている、その一方で様々なリスクをもたらし得る技術でもあるということで、国際的にもガバナンスが意識をされているということです。

 こうした問題意識から、我が国がリーダーシップを発揮しまして、二〇二三年のG7広島サミットにおいて、高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際指針などをまとめています。

 これを踏まえまして、さらに、AIシステムを開発、提供、利用するそれぞれの利用者がリスクに応じて適切なガバナンスを利かせるように、二〇二四年の四月ですけれども、AI事業者ガイドラインを策定し、その更新も行ってきています。

 また、昨年、AIセーフティ・インスティテュート、いわゆるAISI、こちらも設置しまして、国内外の関係機関と連携を図りながら、AIセーフティーに関する技術的な評価手法などをまとめ、示したりしてきています。

 さらに、今国会で、内閣府が中心となりまして、国としてAIのイノベーションの促進とリスク対応を両立するためのAI法案を提出しています。

 関係省庁と連携しながら、我が国が世界で最もAIを開発、活用しやすい国となることを目指してまいりたいというふうに考えています。

福森委員 技術だけではなくて、社会ルールといいますか、そういった整備を併せて行っていただくことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、東徹君。

東(徹)委員 日本維新の会の東徹でございます。

 私からも、米国トランプ大統領、関税、あれには本当に皆が衝撃を感じたというふうに思いますが、これは、武藤大臣も報復関税は正直言って難しいというふうなことをコメントされておりましたけれども、本当に冷静に交渉していくしかないのかなと。日本は米の関税七〇〇%じゃないか、ああいうちょっと誤った情報もかなり入っているのではないのかなと思いまして、是非、武藤大臣におかれては、冷静にこれから交渉をしていっていただきたいなというふうに思います。

 これまで質疑の中で、武藤大臣が、先週、三月二十八日だったと思いますけれども、参考人質疑がありまして、それの参考人質疑の中で、ラピダスの小池社長も来られて、お話を聞きました。私、こういう法案審議の前に、一番最初に今回ああいった参考人質疑は大変よかったなというふうに思っておりまして、是非、議事録を読まれたというふうなことでありましたけれども、また呼んでいただければなと思っています。私が非常に面白かったなと思ったのは、さくらインターネットの田中社長ですね。この方なんかも、高専時代にさくらインターネットというのを立ち上げて、そして二十七歳で上場されているという、こんな方がどんどんと出てこられたらいいなというふうに思った次第です。

 そういったことをちょっと冒頭お話をさせていただきまして、今回のラピダスのことについて質問をさせていただきたいと思います。

 このラピダス、これは国家戦略でやっていこうという大変重要なことだと思っておりまして、我々もこれは本当に成功させなきゃならないなというふうに思っております。

 ただ、やはりこれが本当に成功するのかというのは厳しいいろいろな要素があるというふうに思っておりますが、半導体産業への、デジタル産業戦略が策定されて、二〇二一年六月以降、これまで五・二兆円の予算が措置されてきたわけでありますけれども、この予算の効果をしっかりとやはり説明していかないとなかなか皆さんも納得がいかないのかなというふうに思っています。

 このことについて、本会議で我が党の斉木議員の方から質問させてもらったんですけれども、これは本当に明確な答弁ではなかったというふうに思っていまして、改めて、この五・二兆円の予算措置について、どれぐらいの経済効果があったのかとか、税収がどれぐらい増えたのかとか、そういった、具体的にお伺いしたいというふうに思います。

武藤国務大臣 税収については後ほど説明させていただきますが、今の五・二兆円の予算措置の効果ということで、ちょっと長くなりますけれども、お話をさせていただきたいと思います。

 特定半導体基金、そして経済安全保障基金、ポスト5G基金、この大体三つがこれまで措置をしてきたところで、令和三年度の補正から令和七年度の当初予算までで合計約五・四兆円という形になります。

 これを通じた経済効果として、例えば、TSMC、今日も出ていますけれども、JASMが立地している熊本県、ここでは一人当たりの雇用者報酬が年約三十八万円増加すると試算をされているところです。また、TSMCの進出決定以降、公表されている情報ですが、八十六社の企業が熊本県への進出又は設備拡張を決定しているということであります。

 また、ラピダスが立地している北海道の方、これは企業の進出ですとか地元企業とのマッチング事例が今増加しておりまして、今後、量産段階を含めた十四年間で約十九兆円の経済波及効果が期待されるとの民間試算もございます。

 税収でありますけれども、経済産業省の試算によりますと、例えば、JASM、キオクシアそれぞれに対する合計最大約五千七百億円の助成に対して、十年強の事業期間で発生する直接的な税収効果はそれと同程度である、約六千億円という形で試算をしているところであります。

東(徹)委員 こういった経済効果が上がっていますよということを、これはこの委員会でも何度かこれまでも同じような数字が出ておりましたけれども、我々もやはりしっかりとこういったことを発信していく必要があるのかなというふうに思っております。

 今回の法案によって、ラピダスを始めとする我が国の半導体、AI分野に対して二〇三〇年までに十兆円以上の公的支援ができるようになるわけでありますが、世界の半導体市場ですけれども、二〇三〇年には一兆ドル規模になるというふうに見込まれておりますが、この十兆円の公的支援によって、我が国の半導体の分野、将来どれくらいのシェアを、世界の厳しい競争の中ではありますが、どのような役割を担っていくのか、どのような目標を掲げておられるか、この点についてもお聞きしたいなと思います。

武藤国務大臣 半導体市場は、刻々と今、激変している状況であります。世界シェア目標を掲げることはしておりませんけれども、国内で生産される半導体の世界売上高について、二〇二〇年五兆円であるところ、二〇三〇年には三倍の十五兆円となる目標を掲げているところです。

 したがって、七年間で十兆円以上の公的支援を行うAI・半導体産業基盤強化フレームを通じて、当該目標を更に上回るよう努めてまいりたいと思います。

 我が国半導体産業の役割については、これは、次世代ロジック半導体を含めた多様な半導体や、また日本の強い製造装置、素材について、同盟国また同志国等とのグローバル連携も行いながら、国際的な半導体サプライチェーンの強靱化に貢献化をしていくことが重要であると考えているところであります。

東(徹)委員 なかなか数字で、目標数字を掲げるというのは大変難しいというのはよく分かります。

 続いて、中国の動向も、これについてもやはりしっかりと見ておく必要があるというふうに思っておりまして、必ず日本の半導体産業の競争相手でもあるわけであります。例えばこの間のディープシークですけれども、低コストで高度なAIモデルというふうなことで、これも世界に衝撃が走りましたけれども、今後改良が続けられれば中国製のAIも高度化が実現する可能性もあるのかなというふうに思います。

 中国は、トランプ政権による対中輸出規制にも備えて、サプライチェーンの自国内完結を進めるために七兆円規模の国策半導体ファンドが始動し、支援を強化したほか、中国二位の半導体受託生産会社がインテルの元幹部を起用して技術開発を進めるとか、こういった半導体分野で力をつけていこうとしているわけでありますが、中国の半導体分野の今後にどのような見通しを持っているのかとか、中国との競争にどうやって勝っていくのかとか、その辺についてもお聞きしたいなと思います。

武藤国務大臣 中国は、今、足下で半導体世界市場の中で必ずしも高いシェアを持っているわけじゃないというふうに承知をしているところでありますけれども、何といっても、これまでもいろいろな形の各産業においても、急激に中国が巨大な投資をやったり、また人材を引き抜いたり、様々な形で我々も経験している中であると思っております。

 もちろん、今、中国がこういう形で国家の重要な戦略物資と位置づけているところは承知しておりますので、先端半導体から車載向けのパワー半導体、また装置、材料への支援も含めて、半導体産業の振興に対して約十七兆円の支援策を講じている、こういうことだろうと思います。

 こうした巨額の政府支援や旺盛な国内需要を背景に、生産能力ですとか技術力を更に高め、中国の半導体産業は今後ますます発展していくものと見込んでいるところです。

 我が国としても、特に今おっしゃっていただいた生成AIの分野ですとか自動運転、まさに将来の我が国産業全体の競争力や経済安全保障を左右する次世代半導体や、日本が優位性を持つ製造装置や部素材等を重点支援し、他国への依存度の低減、そして将来伸び行く世界市場の取り込みなどを図ることが極めて重要だと思います。

 今後、七年間で十兆円以上の公的支援を行うAI・半導体産業基盤強化フレームを通じて、日本政府による投資支援への民間の予見可能性を高めることで、半導体投資を一層促進してまいりたいと思っております。

東(徹)委員 是非その辺、中国に、やはり競争、中国もどんどんと国策でやっていきますので、そことの、動向を注視しながら日本も考えていっていただきたいなと思います。

 半導体の中でも、元々日本はここは強みだったんじゃないのかというふうに思われているのがEVの中核部品であるパワー半導体なんですけれども、EV市場の拡大を見据えて各社が投資を増やしてきたわけでありますけれども、逆に、今、残念ながらEV市場が鈍化してきたということで、生産能力が過剰だというふうに判断されて、世界各社のリストラだとか投資の延期とか、これが続いてきている。非常に残念な話ではありますが、ただ、やはり我々もこういったことに対しても対応していかないといけないのかなと思うわけでありますが、世界最大手のドイツのインフィニオンは千四百人のリストラ、二位の米国オンセミも千人規模のリストラということが明らかになってきております。

 経産省として、EV市場の動向だとかパワー半導体の今後の需要、この点についてどのように考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。

野原政府参考人 世界のEV市場は、委員御指摘のとおり、一部の国を中心にEVの販売の伸びが鈍化しておりまして、そういう状況にはあるんですけれども、大きな方向感としては、中長期的にEVを進めていくという方向感というのは、それが変わっているわけではないというふうに考えております。

 御指摘のとおり、パワー半導体は非常に重要な部品でございます、基幹部品でございます。足下の状況は、確かに需要の後ろ倒しになるという見方が関係企業から示されておりますけれども、中長期的に見ると、省エネ性能の高い次世代のパワー半導体、SiC、シリコンカーバイドのパワー半導体を中心に、今後長期的には需要は増えるというふうに考えております。

東(徹)委員 そう願いたいわけでありますし、また、EVもまだこれから更に伸びていってもらいたい、これは希望的な観測でありますが、そのように思っております。

 続きまして、我が国の企業のパワー半導体の技術力が高いというふうに言われておりますけれども、規模や資金力で劣っておりまして、国内大手の三菱電機と、それから富士電機、ローム、この三社のシェアを足しても一一%で、首位のドイツ・インフィニオン一社の二〇%にも及ばないわけですね。

 パワー半導体の分野において世界規模での企業と競争していくためには、再編統合とか、やはりこういったことも必要ではないのかなというふうに思ったりするわけですけれども、我が国の競争力強化に向けた取組をどう考えていくのか、お伺いしたいと思います。

野原政府参考人 現状と方向感については委員の御指摘のとおりだと思います。

 世界のパワー半導体市場において、日本は複数の国内企業がシェアを分け合っている状況にありまして、個社単位では、ドイツのインフィニオン、アメリカのオンセミ等の世界シェアトップ企業には大きく劣後をしております。

 今後の激化する国際競争、特にこの分野、パワー半導体とか、中国企業は相当投資をしております、勝ち抜いていくためには、各社が強みを生かしつつ相互に連携しながら設備投資を行っていくことで、日本全体として競争力を向上していく必要があると考えております。

 政府としては、パワー半導体に関しましては、総額二千億円超の大規模投資に限って経済安保推進法に基づく支援を行うことにしておりまして、少しバーを上げております、ほかの分野に比べて。それは、複数企業の連携投資、再編に向けた連携投資を促していくという政策的な意図でそういうふうにしておるわけでございます。

 こういった取組を通じまして、日本のパワー半導体業界の競争力強化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

東(徹)委員 それでは、ラピダスに関してお伺いしたいと思います。

 ラピダス、これまでに国が支援を決定した一兆七千億円の資金を使って一台五百億円の露光装置なども導入をしてきました。

 二ナノの最先端半導体の量産化のためには五兆円の資金が必要というふうに言われておりますけれども、今後更に税金が使われていくわけですけれども、これには、よく言われておりますが、歩留り問題、それから技術や顧客の獲得、こういった問題、そしてまた量産化の課題、様々な懸念点が常に指摘をされているわけでありますけれども、まず、量産化のために必要と言われる五兆円についてなんですけれども、これは本当に五兆円で実現できるのかどうか、追加で費用がかかる可能性があるのかどうか、その点についてもお伺いしたいと思います。

武藤国務大臣 ラピダスプロジェクトにつきましては、同社による今後の開発見通しや同業他社の投資動向等を踏まえて、これまでの支援決定額を含めて、研究開発に総額二兆円程度、量産工場一棟のフル稼働に向けて一・五兆円から二兆円程度が必要になると現時点で見込んでいるところです。

 ただし、本法案に基づいて選定をされる次世代半導体製造事業者に対しどのような支援を行うかについては、今後、民間投資家や金融機関とも連携をしつつ、外部有識者を交えて事業計画等を精査する中で具体化をさせていくわけですが、その上で、必要となる予算案については、毎年度国会に提出をし、御審議いただきたいと思っております。

 そういう形で、慎重に、しかも国会の御了解を得ながら前に進めていかなきゃいけないと思っております。

東(徹)委員 そういったところを一番懸念されているというところがあると思います。ラピダスは国策としてやっていくということでありますから、何兆円もの税金をつぎ込んでいく以上、やはり何が何でも成功させないといけないし、無駄にするようなことがあってはいけないわけですけれども、ただ、じゃ、かといって、どんどんどんどんと税金をつぎ込んでいったらいいのかというと、そうではないというふうに思うわけです。

 どこかで、これだったら更に追加で投資をしていこうとか、いや、もうこれはこういうことになったら撤退しようとか、そういった判断というのがやはり必要になってくるということも想定しておかないといけないのかなというふうに思ったりもするわけですけれども、そういったところをどのように、どのような状況になればというふうなことを考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

野原政府参考人 ラピダスプロジェクトにつきましては、これまで、外部有識者による厳格な審査を毎年度実施し、研究開発等の進捗状況を確認の上、追加の支援を決定してまいりました。

 今回の法案に基づく公募プロセスを経て選定される次世代半導体事業者への量産支援につきましても、半導体の技術、経営、金融などの専門家が参画する産構審の次世代半導体等小委員会におきまして、事業の進捗管理に関するマイルストーンを適切に設定し、その達成状況等についても確認を受けた上で、支援の継続等の要否を判断してまいります。

 つまり、今後の外部有識者と議論の上で設定するマイルストーンの達成状況を見極めた上で、この後、継続していくのか、どうするのかということを判断していくということになります。

 また、うまくいって成功した場合に、では、いつその支援を終了するのか、卒業の時期はどうなのかという議論もありますが、この時期につきましてもこの小委員会で議論をされておりまして、自立的な資金調達が一定程度可能となり、次世代半導体を安定的に生産できることというのを現時点で目安とするというふうに御意見をいただいているところでございます。

東(徹)委員 なかなかそこが分からないから、常に外部有識者の判断とか、そういったところとの話合いというか、そういったところで決めていくんだということですから、非常にここは不透明なんだろうなというふうに思います。

 ただ、これは、武藤大臣は大臣をいつまでもやっておられませんから、辞めた後もこの半導体については必死になって追いかけていってもらいたいなというふうに思うわけですけれども。

 過去に国策として支援してきた企業で、エルピーダという失敗した事例もよく聞きましたけれども、逆に、過去に成功した事例というのはあるのかどうか、この点についてもお伺いしたいと思います。

武藤国務大臣 成功した事例ということですけれども、過去に経産省が支援をし、投資した公的資金を大きく回収した成功事例として、自動車や家電などに広く使用されるマイコンと呼ばれるロジック半導体等を製造するルネサスエレクトロニクスが挙げられると承知しています。

 具体的に申しますと、二〇一三年になりますけれども、官民ファンドである産業革新機構、現在のINCJが同社に対して出資を行ったところ、その後、同社の構造改革と成長戦略を着実に実行した結果、出資額約千三百八十四億円に対して、総回収額は約一・三九兆円になります。

 引き続き、こうした成功事例だけではなく、失敗事例も含め過去の教訓を踏まえながら、半導体政策に取り組んでまいりたいと思います。

東(徹)委員 千三百八十四億円を投資して一・三九兆円の回収というのは、これは大きい、いい事例だと思いますが、残念ながらこれ一個なのかなというふうに思ったりもするわけですけれども、もっとほかに多くはないのかなと思ったりしたわけですけれども、一つの事例としてお聞きしておきたいと思います。

 それから、今回のラピダスについての税収の増加、株の売却、配当金などでつぎ込んだ税金が回収できるというふうに考えておられるのかどうか、この点についてもお聞かせいただきたいと思います。

武藤国務大臣 ラピダスへの研究開発支援については、国として必要な事業を委託事業の形で実施してきており、委託元であるNEDOが今、母屋、設備の所有権を有しているところであります。

 本法案に基づき選定された事業者に対して、これらの建屋ですとか設備の現物出資、あるいは本年度予算に計上している一千億円の予算を活用した現金出資を行う場合、対価として取得した株式を適切なタイミングで売却することにより、これまで投じた公的資金の回収を最大限図っていくことになると思っております。

東(徹)委員 つぎ込んできた税金というのは全て回収できるとお考えになられているのかどうか、再度お聞かせいただきたいと思います。

野原政府参考人 これは、うまく今の想定しているビジネスプランのように成功すれば、その可能性はあるというふうに考えております。

東(徹)委員 ラピダスが二ナノの半導体の量産化に成功した場合ですけれども、その技術というのは我が国にとって大変重要な技術だというふうに思うわけでありますけれども、それが他国に流出しないように、そういったことの対応というのも必要なのかなというふうに思うわけですけれども、その点についてはどのような対策を講じるのか、お伺いしたいと思います。

武藤国務大臣 他国流出のないということで考えておりますが、これは外為法を始めとした国内法令により適切に管理をされるところが問題だと思っております。

 その上で、ラピダス社の研究開発事業における審査基準でも適切な情報管理体制の確保を求めておるところで、技術流出にも当然ですけれども配慮しながら研究開発が行われているものと承知しているところです。

 また、社員の転職を通じた技術流出に対しても、こうした取組に加え、適切な給与水準の確保ですとかストックオプションの検討、また並びに職場環境の充実等の待遇整備に取り組んでいるものと承知をしています。

 国が大規模支援を行った研究開発について重要技術の流出を防ぐことの必要性については問題意識を本当に全く共有するところでありまして、引き続き、ラピダスとも緊密に連携しながら、対策を強化してまいりたいというふうに思っております。

東(徹)委員 先ほども申し上げましたけれども、中国二位の半導体受託生産会社がインテルの元幹部を起用して技術開発を進めたということもありましたので、是非その点についてもしっかりと対策を講じていっていただきたいなと思います。

 電力コスト、電気代についてお伺いしたいと思います。

 昨年五月にまとめられたJEITA、電子情報技術産業協会の国際競争力を実現するための半導体戦略二〇二四というのがありますが、ここに、日本、それから米国、欧州、韓国、台湾で同じ半導体工場を運営した場合の年間の電力コストが試算されているわけです。

 その試算を見ますと、先端ロジック半導体では、日本と欧州の年間電力コストが四百億円を超える中、米国、韓国、台湾ではその半額以下という結果が出ておるわけですね。メモリーも、日本と欧州が三百億円を超える中で、米国、韓国、台湾はその半額以下とされているわけでありますけれども、この電力コストの差というのは大変大きな問題だというふうに思っておりまして、日本の半導体工場を誘致する上で深刻なマイナス要因になりますし、日本の半導体産業の足かせになって、産業の空洞化にもつながりかねないというふうに思います。

 経産省はこの点についてどのように認識しているのか、お伺いしたいと思います。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 電気料金の国際比較につきましては、国によって異なる様々な要因があるため単純な比較は困難でございますけれども、国際エネルギー機関、IEAのデータによりますと、今少し御紹介もいただきましたけれども、イギリスやドイツなどのヨーロッパの国々の産業用電気料金単価は日本よりも高いとされております一方で、日本よりも低い単価の国、地域として米国や韓国、台湾などが挙げられているというふうに承知をしてございます。

 台湾や韓国では、公営の電力会社が電気の供給を担っている、電気の供給、電気料金の改定については国の承認を受ける必要があって、結果的に電力会社に巨額の累積赤字が生じているといった事情、中国では、同様に国営企業が多いことに加えて、石炭火力の発電容量が約六割を占めているといった事情、米国では自国の資源が潤沢であるといった、様々な制度的、構造的な背景があるというふうに認識をしておりますけれども、電力を始めとするエネルギーは国民生活や経済活動の基盤でございますので、特にエネルギー多消費産業などの製造業では、国際的に遜色ない価格でのエネルギー供給が重要だというふうに考えてございます。

東(徹)委員 本当にそうなのかなというふうに思うわけですけれども、ただ、米国、韓国、台湾、そういったところはやはり電気代は安いということでお認めになられたというふうに今話をお聞きしていて思いました。

 やはり電力コストが原因で工場が日本から出ていくということのないようにしないといけないわけだと思いますし、そしてまた、ただでさえどんどんどんどんと日本の電気代というのは今上がっていっている状況ですから、これは電気代を下げることも考えていくべきだと思いますけれども、その点についてどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。

武藤国務大臣 電気料金というものが、様々な費用を総合的に勘案した上で各電力会社において算定をされているものでありますが、この数年間、まさに世界的な燃料価格の高騰ですとか為替の影響があったり、またLNGや石油の輸入価格が高騰したことで電気料金が上昇してきたと認識をしているところであります。

 またさらに、今後DXやGXの進展による電力需要増加が見込まれる中で、産業用電気について、質と価格の両面で安定した供給を実現していくことは極めて重要だと私自身も承知をしているところです。

 足下でこれを実現するために、まずは徹底した省エネを進めることが一つだと思います。そして、二つ目として、安全性の確保という意味で、これを大前提としながら、原子力発電所の再稼働も進めることも必要だというふうに考えてきているところです。中長期的には、燃料価格の影響を受けにくいいわゆる再エネそしてまた原子力、エネルギーコストの上昇に強い経済構造への転換を進めていかなければならないんだというところでお答えをさせていただきたいと思います。

東(徹)委員 電気代は、また別に、また一般質問があれば、その機会にでも質問させていただきたいなと思っていますけれども。再エネもやはり高いですよね。先日経産省からいただいた資料の洋上風力の浮体式なんかを見ていても、買取り金額三十六円とか、非常に高いわけですよ。それは電気代がまた上がっていくよな、こう思ったりとかするわけです。一番コストが安くて、手っ取り早いというか早くできるというのは、安全性を確保した上でのやはり原子力発電なのかなというふうに思うわけであります。そこは、是非、電気代のコストを下げていくという意味でも大事だと思いますし、国が電気代の料金を下げるためにいつまでも補助金を出すというのも違うのかなというふうに思いますので、是非、電気代についてはまた別にお聞きしていきたいと思います。

 次に、商工中金の株式売却のことについてお伺いさせていただきたいと思います。

 令和七年度の予算案で、国がラピダスに一千億円出資するものというふうにされておりますけれども、その財源として商工中金の株式売却益が想定されているわけでありますが、政府が保有する商工中金の株式売却ですけれども、これは残念なわけでありますが、二回目の入札を終えても九割が売れ残っているという状況であります。

 株式の売却は法律上六月十五日が期限となっているということで、四月一日から始まった三回目の入札が最後の可能性になるというふうに思いますが、残った株式全て売却が進むと考えているのかどうか、お伺いしたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 商工中金の政府保有株式につきましては、二〇二三年の商工中金法改正の趣旨に沿いまして、全部売却に向けた取組を着実に進めることが重要と認識しております。

 御指摘の残余の株式につきましては、入札を担う財務省におきまして第三回目の一般競争入札公告が三月二十六日に行われたものと承知しておるところでございます。

 今回、第三回目の入札におきましては、より多くの株主資格のある方々に御参加いただくため、株主の最低申込単位が第二回目の五万株から一万株に引き下げられたものと承知しております。

 中小企業庁としても、全国中小企業団体中央会、日本商工会議所、全国商工会連合会などの中小企業支援機関を通じて周知活動を行ってきているところでございます。

 また、商工中金は、一月二十一日に臨時株主総会を開催いたしまして、残余株式全株を対象として、入札に参加し、自己株式取得を行うことを決議したものと承知しております。

 政府保有株式の全部売却に向けた取組が着実に進められるよう、中小企業庁として適切に対応してまいる所存でございます。

東(徹)委員 これまで二回の入札で九割も売れ残ったということになると、売却価格も下げざるを得ない。そして、仮に三回目の入札で売れ残りが出た場合、ラピダスを始め半導体分野の支援をする財源に穴が空くのではないかというふうに思ったりするわけですけれども、三回目の入札で売れ残りが出た場合、全株式の取得に意欲を示す商工中金自身に売れ残った株式を売却するとか、一般競争入札以外の売却方法も検討しているのかどうか、この点についてもお伺いしたいと思います。

竹内大臣政務官 お答え申し上げます。

 二〇二三年の改正商工中金法におきまして、公布の日から二年以内に政府保有株式の全部売却に努めるものとされております。

 現在、まさに入札を担う財務省におきまして三回目の一般競争入札が実施されているところでありまして、現段階において仮定の御質問にはお答えすることは困難であります。

 いずれにいたしましても、経済産業省といたしましては、改正法の趣旨に沿って、できるだけ多くの株主資格のある方々に御参加いただけるよう周知、広報に努めるなどして、政府保有株式の全部売却に向けた取組が着実に進められるように、適切に対応してまいりたいと考えております。

東(徹)委員 質疑時間が終了ということになりましたので、最後、一点だけ要望して終わらせていただきたいと思います。

 やはり顧客をどう獲得していくのかというのは非常に大事だと思います。経産省も、政府を挙げて是非顧客の獲得にも協力していってもらいたいなというふうに思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、丹野みどり君。

丹野委員 国民民主党、丹野みどりでございます。よろしくお願いいたします。

 私は、日本がもう一度世界一を取ってほしいと心から願っております。二月にラピダスを視察してまいりました。そのときに、会長からもお話を伺って、技術者の皆さんからもお話を伺って、そう思いましたし、先週、参考人の皆さんの熱い思いを伺って、もう本当に心から願っております。心から願っているからこそ、本当に大型投資をしていいのか、勝算はあるのか、過去の反省もしっかり踏まえて、日本の未来の産業を握るこの状況について厳しい質問もしていきたいと思っております。

 一九八八年、日本は日の丸半導体と言われて世界のシェア五〇%以上を誇っておりましたけれども、今は本当に残念ながら、その地位が低下して、存在感もほとんどありません。その原因、これまでの質疑の中でかなり重複している部分があって恐縮ではございますけれども、改めて伺いたいと思っております。日の丸半導体がその地位を失ってしまった原因は何だとお考えでしょうか。

武藤国務大臣 半導体の凋落の原因でありますけれども、まさに一九八〇年代、日米半導体協定に代表される貿易摩擦が生じてしまったことがございます。そして、一九九〇年代以降、設計企業と製造企業が水平分業というものを行うビジネスモデルが隆盛する中で、その潮流に乗ることができなかったということがございます。

 その後も、国内企業の再編や日の丸自前主義の技術開発に注力をしてしまい、技術開発ですとか販路開拓の面で海外との連携やグローバルな技術動向への対応が不十分であったこと、また、そしてその後にバブル経済崩壊後の不況により、将来に向けた思い切った投資ができず、日本政府も適切な支援を機動的に講じることができなかったことなど、数多くの反省点があると思っております。

丹野委員 ありがとうございます。

 今大臣から伺いましたたくさんの反省点、課題、これを是非具体的に今度生かしてほしいなと思うわけですけれども、そのように世界の中で落ち込んでしまった日本の半導体、供給を海外に頼らざるを得ないという状況であります。

 現状の生産国を調べているんですけれども、十ナノ未満の半導体が台湾、韓国、アメリカから一〇〇%輸入されています。十ナノから三十二ナノの半導体も一〇〇%輸入、四十ナノから九十ナノになって、ようやく日本が一八%作っているという状況なんですよね。ですから、本当に、御案内のとおり、これだけ輸入に頼っていると、供給が途絶をした途端にやはり経済的損失が甚大になる。このため、だからこそ、国内できちんと供給できる体制をつくること、これは経済安全保障の面からも本当に大賛成でございます。

 ただ、その勝負の仕方が、いきなり大丈夫なのかなというふうにやはり思ってしまうんですね。といいますのも、これまで日本が作ってきたのは四十ナノであるにもかかわらず、今回ラピダスが挑戦しようと思っているのがいきなり二ナノなわけですね。

 ちなみに、熊本にある台湾のTSMC、一号棟では二十八ナノから十二ナノの量産を開始、二号棟では六ナノまでを作ろうとしております。ちなみにちなみに、TSMC本社では三ナノを作っていて、二ナノの量産、もうこれも目前と言われております。

 このTSMCは自分たちの国内でせっせと最新技術を磨いている、そういう状況の中で、これだけ遅れていた日本が世界トップである台湾のTSMCがこうやって取り組んでいることをいきなり実現できると踏んでいるのはなぜなんでしょうか。

武藤国務大臣 ラピダスが量産等を目指しているのは、御承知のとおり、この次世代半導体であります。今おっしゃっているようなTSMCを始め海外のトップ企業も量産にまだ至っていない二ナノの世代の、次世代の半導体でありまして、難易度は、当然ですけれども超難しいのも事実だと思います。

 他方で、二ナノ世代で用いられる技術というものは、三ナノより古い世代の技術とは半導体の基本的な構造に大きな違いが存在をしているところであります。製造技術も大きく変わるため、競合他社の先行優位が小さく、新規参入者には大きなチャンスがここにまた逆にあるんだろうと。

 こうした中で、ラピダスは、二ナノ世代の製造技術を有する米国IBMの協力を得ることもできたところであります。実際に、現状、もうお聞きになったと思いますけれども、IBMに約百五十名の技術者を送り込み、imec等の海外トップ機関等とも連携をしながら、研究開発を進めているところであります。

 先月の外部有識者による審査では、おかげさまで順調な進捗と評価をされておりますし、ラピダスは、競合他社よりも短納期の生産方式、これがまさにラピダスの売りでありますけれども、これを採用することによって、歩留りの改善スピードを向上させる方針であることも強みの一つであると考えています。

 このような点から、国としても、ラピダスプロジェクトを完成させる、そして成功させるべく、支援をしてまいります。

丹野委員 ありがとうございます。

 今のお話を伺って、二ナノと三ナノの間にはすごく技術的に壁があって、これまでの日本の遅れがそこまで影響しないというのは、ちょっといい情報かなと思いました。ありがとうございます。

 その技術面でも大いに期待しているというのはよく分かったんですけれども、私、冒頭でも申しました、先日、ラピダスを視察してまいりました。会長からもお話を伺って、国内トップの技術者が集まっている、それから、ヨーロッパ、アメリカの先端技術、先端企業、研究機関としっかり連携をしていること、いろいろお話を伺いまして、会長いわく、今大臣がおっしゃったように、今回の二ナノにかける争いというのが本当に日本にとっては最初で最後のチャンスである、だからこそやり遂げなきゃいけないという本当に熱いお話がありまして、私も胸が熱くなったんですね。

 先週の参考人質疑におきましても、今度は小池社長が、日本は確かに遅れていたんだ、だけれども、このままでは日本が駄目になるんだ、ロジック半導体を日本で作らないとあらゆる産業が駄目になるので、本当に作らなきゃいけないんだという、そういった思いも伺って、本当に熱く心が震えました。

 とはいえなんです、とはいえ、やはり、この四月にパイロットラインが稼働したばかりの企業に対して、国を挙げて大型投資をしていく、その価値があるんだというふうにしているわけですね。その根拠というのを教えてください。どのような具体性をもって投資できる案件だと踏んでいるのか、どこに売るのかとか、ユーザーは大量に存在しているのかとか、どういった顧客が想定されていて、どういった展開が内々でしっかり目されているのかということもお願いいたします。

武藤国務大臣 前向きに判断する材料として、四つ申し上げたいと思います。

 まず一点目ですけれども、ラピダスが量産を目指す二ナノの次世代半導体が、今おっしゃっていただいたように、これからの、今の世の中の大きな、今パラダイムにある生成AIですとか自動運転等に不可欠なもので、経済安全保障上も極めて重要だというところであると思います。我が国の最重要技術の一つと考えているところがまず一つ目です。

 二つ目ですけれども、現在の研究開発の状況について、先月開催されました、これも先ほど申したとおり、外部有識者の審査においても順調に進捗していると評価をされておりまして、量産技術の確立にめどがつく見込みがあること。

 そして三点目ですが、これは、IBMがAI半導体の製造委託先にラピダスを活用すると公表をし、他の北米の新興企業との連携も進んでいるところです。国内においても、ラピダス、プリファードネットワークス、またさくらインターネットとの間でAIの計算基盤の構築に向けた提携が進んでいることが発表されました。顧客獲得が着実に進んでいることということだろうと思います。

 そして、最後、四点目ですけれども、ラピダスは、競合他社よりも、先ほど申したとおり、短納期の生産方式を採用することで、歩留りの改善スピードを向上させるとともに、競合他社とは異なる競争軸で新たな顧客価値を提供するという、競合他社と差別化された戦略を持っているということ。

 こうした点に重きを置いて総合的に勘案をして、投資判断が適切であると判断しているところであります。

丹野委員 ありがとうございます。

 本当に前向きな情報をたくさん伺って、本当にうれしく思いますけれども、このラピダスには当然課題もあると思うんです。その課題を挙げるとすると、今現在どういうところにありますでしょうか。お願いします。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで答弁で言及してきました量産技術の確立、顧客の獲得以外にも、今後解決すべき課題は存在します。

 具体的に申し上げれば、例えば、財務基盤を強化しないといけない、したがって、そのための資金調達が挙げられます。次世代半導体の量産を実現するためには、売上げや利益が十分に上がる前から巨額の投資が必要です。当初から民間のみからの十分な資金調達を行うということは難しい。

 このため、事業者の財務基盤を強化しつつ、民間からの資金調達を促進、補強する観点から、出資や債務保証などの金融支援を可能とする法案を提出させていただいております。

丹野委員 今、財務面の課題も伺いましたけれども、そのほかにも、いろいろな委員から御指摘がある人材育成の問題ですとか地元のインフラ整備とか、関係者が一致団結して取り組まなくてはいけない課題がたくさんあると思っております。そういったことにどのように取り組んでいくのか、教えてください。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 ラピダスプロジェクトの成功には、御指摘をいただきました人材、その育成、周辺インフラの整備なども重要な課題です。

 人材育成につきましては、北海道経済産業局が事務局を務めます、二〇二三年に設立しました北海道半導体人材育成等推進協議会において、産学官連携により、地域の実情に応じた半導体人材の育成に取り組んでおりまして、現在七十三機関が参画するという形で活発に活動しています。

 また、国際連携の下で最先端半導体の研究開発、人材育成を行う技術研究組合、LSTC、こちらの方で次世代半導体の設計や製造に必要な高度専門人材の育成にも取り組んでいます。

 また、御指摘ございました周辺インフラの整備でございます。こちらにつきましても、令和五年度補正予算におきまして、内閣府の下で創設した地域産業構造転換インフラ整備推進交付金を通じまして、北海道千歳市に対して、交通渋滞対策などのための道路整備などに対して、令和五年度と六年度で約四十二億円の予算が配分されています。

 引き続き、関係省庁、関係自治体と密接に連携しながら、ラピダスプロジェクトの成功に向けて必要な取組をしっかりと進めてまいります。

丹野委員 ありがとうございました。

 前回、ペロブスカイトのときにも申し上げたんですけれども、やはり、行け行けどんどんの投資計画だけではなくて、下山する勇気も必要であると申しました。やはり、こうなったらどうしよう、こうするみたいな、マイナス面にもしっかり向き合った下振れ想定みたいなもの、こういったものを具体的に教えてください。

武藤国務大臣 二ナノ世代の次世代半導体の量産に向けた支援に当たっては、事業の進捗をしっかりと確認することが極めて重要だと思っています。

 ラピダスが実施する委託研究開発については、外部有識者による厳格な審査を毎年度実施し、計画の見直しの要否も含めて進捗確認を行っています。

 また、今回の法案に基づく金融支援についても、外部専門家を交えて選定事業者の事業計画等の進捗をモニタリングする中で、必要に応じて事業計画の見直しも検討する仕組みとなっています。

 具体的なプロセスといたしましては、事業者から申請を受けて検討する場合と、選定時の基準に基づき経済産業省が計画変更の指示等を行う場合があります。いずれの場合であっても、外部専門家の意見も踏まえながら適切な対応を取ってまいりたいと思っております。

丹野委員 ありがとうございます。

 しっかり進捗を確認しながら、適切に計画を変更していくこともあるということですね。ありがとうございます。

 今回の法案は、当然、ラピダスだけではなくて半導体事業全体への後押しになります。

 そこで、次の質問です。

 これまで国が行ってきた半導体産業全体への支援に対して、その効果はどう算定しているんでしょうか。また、個別事例になりますけれども、四日市のキオクシアですとか、またTSMCにおいて、雇用はどうなって、地元経済への波及効果はどうだったのか、こういったことも教えてください。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 半導体分野の大規模投資は、関連企業の進出、雇用創出、そういったものも含めました地方経済に広範な波及効果をもたらすものでございます。

 例えば、御指摘をいただきました四日市、三重県ということでございますが、民間試算によりますと、キオクシアの三重県における最新製造棟の整備について、十年間の累計で約七・二兆円の経済波及効果や雇用創出効果などが見込まれるという試算をしております。

 また、TSMCの熊本工場の方では、同県において、これはデバイス産業全体、活発に投資が動いていますけれども、民間試算では、十年間で約十一・二兆円の経済波及効果を試算しています。一人当たり雇用者報酬が約三十八万円増加で、関連産業全体で一万人以上の雇用効果が見込まれるという試算です。

 TSMCの進出決定以降、こちらもお答えをさせていただいておりますけれども、公表されている情報だけでも八十六社の企業が熊本県への進出又は設備拡張を決定するなど、地域経済の活性化に貢献しています。

 今後、AI・半導体産業基盤強化フレームを通じて行われる支援全体の効果につきましては、経済産業省の産業構造審議会に設置した次世代半導体等小委員会において、マクロ経済や半導体等に関する外部専門家を交え、検証方法を検討していきたいというふうに考えています。

丹野委員 ありがとうございます。

 今回、そうした半導体事業全体とかAIに対して二〇三〇年度までに十兆円の大型投資とありますけれども、その国の責任をどう明確化するのか教えてください。

 そして、事業やお金の流れの透明化、投資結果の検証、これもどう担保されるのか、改めて教えてください。

武藤国務大臣 七年間で十兆円以上という巨額の公金を投入する以上、投入した公金がしっかりと目的を果たすよう適切に事業を管理し、国民や国会に対して透明性高く説明することが、政府として果たすべき重要な当然の責任と認識しているところであります。

 こうした責任を果たすために、委員御指摘のような、透明化、また投資結果の検証は重要な要素と考えているところです。

 このため、今回のフレームを通じた大規模な支援事業や提出している法律に基づく支援では、マイルストーンを設定した上で外部有識者にその達成状況を評価していただき、事業計画の継続や見直し等を判断する枠組みとしております。

 事業の達成状況や今後の見通しについては、企業の営業上の機密事項等にも配慮しつつ、可能な限り公表することとしております。

 国会でいろいろ今日も御指摘いただいていますので、慎重にまた考えてまいりたいと思います。

丹野委員 ありがとうございます。

 これまではそんなに大型投資をして大丈夫かという論調で質問をしてきたんですけれども、それとは真逆の質問になります。逆にこれで足りるんですかという質問をしたいんですけれども。

 各国の半導体支援策の支援規模を比較してみますと、アメリカが十四兆円、中国が十七兆円なんですね。それに比べて、今お話がありました二〇三〇年までに十兆円以上という額なんですけれども、これは、何をどのように見積もってこれで足りると言っているのか、世界の競争に打ちかっていくのに逆にこれで十分なのかという視点もお願いいたします。

武藤国務大臣 半導体製造能力の確保に向けて、今おっしゃっていただいたような、米国が十四兆円です、中国十七兆円という支援策、これも大変巨額な、まさに熾烈な競争が始まっているわけでございまして、これに見劣りをしない支援規模を確保する観点、これは私どもとしても重要だと思っております。

 また、今後AIが一層普及し、それを支える半導体やデータセンター等の需要拡大が見込まれる中で、これに必要となる技術力また供給能力を国内に整備していくため、AI、半導体関連分野、これはまさに十年間で今度は五十兆円という形で国内投資を誘発させようと思っております。国内での技術開発や製造基盤整備を確実に進展させるという観点を踏まえて措置したものであって、十分な規模を確保したものと考えているところです。

丹野委員 ありがとうございます。

 では、最後に、電力体制について伺いたいと思います。

 ラピダスの工場とデータセンターによりまして北海道の電力需要が増すことは確実であります。電力の供給体制をどのように万全にしているのか、そして、泊原発が停止している中でどういった内訳で電力が担保されているのか、教えてください。

久米政府参考人 北海道エリアの電力需要の見通しは、電力広域的運営推進機関の想定によりますと、委員御指摘のとおり、主にデータセンターや半導体工場等の産業用の電力需要の増加によりまして、二〇三四年度は二〇二四年度と比較して約一三%増加する見通しでございます。これは、全国平均の約六%よりも高い伸び率となっています。

 こうした中で、安定供給を維持する上では、電力供給の見通しを適切に把握することが重要でありまして、毎年度、電気事業者が提出する供給計画を確認し、容量市場を通じて必要な供給力を確保してまいります。

 現在、北海道エリアにおける発電電力量に占める電源種別の比率は、二〇二四年度では火力が約六割、再エネが約四割となっており、足下の電力需要に対しては、これらの電源や地域間連系線を活用することで安定供給を確保してまいります。

丹野委員 ありがとうございます。

 今、火力が六割、再エネ四割という内訳を伺ったんですけれども、現在も再エネができないときに火力がその分頑張っているみたいな感じになっています。なので、今後こうやって増やしていくとなると、やはりその増やした先に、再エネができない日に火力がいっぱい頑張るとなると、カーボンニュートラルの観点からは逆行しているような気がするんですね。

 安定供給に加えて今お話ししたカーボンニュートラルの観点もあって、環境性も求められる、電気代という経済性も必要である、本当に難しい難題だなと思うわけですけれども、かつてブラックアウトも経験した北海道において、泊原発の再開というのはどういった形で位置づけられているのか、教えてください。

武藤国務大臣 まさに今委員おっしゃっていただいたように、電力の安定供給と脱炭素化の同時実現、これがまさに本当に重要なことであります。

 再エネも原子力も共に最大限活用する必要があると考えておりますが、北海道は、今の現状の発電電力量の約六割を火力に依存していまして、泊発電所の再稼働、ここも非常に大きな議論になっておりますけれども、安定供給と脱炭素化に大きく寄与するとともに、電力価格の抑制にもつながってくるところであると思っています。

 そうした重要な位置づけを有していると認識している中で、再稼働は、原子力規制委員会が新規制基準への適合性を認めた場合のみ進めるのが政府の方針であることは申し添えておきたいと思っております。

丹野委員 先週の参考人のお一人で、さくらインターネットの社長の言葉がとても残りました。国民が便利になればなるほどデジタル赤字が増え、国民が貧乏になる、便利にしているものにこそ投資をして国産にすべきだというお話があって、本当に深く共感いたしました。

 単に産業が成長していくだけじゃなくて、私たちの人生が想像を超えた豊かで快適なものになる、そのために、そんな未来をつくるためにオール・ジャパンで臨むべきだと思いまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、佐原若子君。

佐原委員 れいわ新選組、佐原若子です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。何度も同じようなことを聞いていて、もう飽きられているかなとも思いつつ、よろしくお願いいたします。

 今月、四月二日、野原局長の御答弁で、成功してリターンが上がった場合、その用途はどうするかについて、それが近くなったらまた考えますがとおっしゃっていました。

 投資する以上、成功させて、どのくらい利益を上げて、さらに、それをどう使って次のステップをどうするかは、投資するときに考える当たり前のことではないですか。利益をたくさん上げて、そもそもの出資者である国民にたくさん還元する、そのくらい貪欲に考えないと、また失敗するのではないですか。どうお考えになりますか。

 また、国策企業なので、どんどん積極財政出動で、国債発行でやっていったらどうかなとも思うんですけれども、お答えいただけますか。

野原政府参考人 事業が成功した場合のリターンにつきましては、民間出資を可能な限り促進する観点と、政府出資の回収を図る観点と、双方の観点から適切な設計とする必要がございます。

 今後、こうした観点を考慮しながら、産構審の次世代半導体等小委員会の意見等も踏まえまして、具体的な株式設計を検討してまいりたいと考えております。

佐原委員 ありがとうございました。

 半導体工場立地での環境問題に関して、ラピダスは、北海道との協定で、毎月PFAS、PFOSを測定し北海道に報告する、排水によって周辺に悪影響が出た場合は、必要な措置を取り、道に報告するとしています。

 測定が月ごとというのはずさんではないでしょうか。工場は毎日稼働します。国際がん研究機関で、PFASは発がんの可能性も指摘しています。悪影響を及ぼしてからの措置では取り返しがつきません。常時、毎日測定し、その値を公表すべきだと思いますが、いかがですか。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、工場排水につきましては、法令上は、PFOS、PFOAなどのPFASを測定する義務は存在していません。

 一方で、御指摘をいただきましたラピダスは、北海道庁との間で締結した水利用に関する協定に基づきまして、PFOA、PFOSなどについて自主測定するとともに、ラピダスと北海道庁が協議の上、地元関係者の声なども踏まえて、北海道庁に対して毎月一回報告することになったと承知しています。

 経済産業省といたしましても、本協定が遵守されるとともに、住民の方々の安全と安心が確保されるよう、引き続き注視してまいりたいと考えています。

佐原委員 ありがとうございました。

 しかし、できれば毎日報告していただきたいなと思います。これは、本当に健康に関わることです。

 次に質問させていただくのは、PFAS、PFOSに関する文献の差し替えのことなのですが、これは経産省の皆様の名誉に関わることなので、ここでおわび申し上げておきます。これは、経産省ではなくて食品安全委員会でのことでございまして、こちらの経産の職員の方々のせいではないということを先に申し上げておきます。そのような、御不快になることは重々承知しておりますけれども。

 北海道との協定で示されているのは、一リットル当たり五十ナノグラムを基準に報告するとしています。日本の暫定的な目標値ですが、既に各報道にもあるように、内閣府の食品安全委員会での評価に際しての問題が指摘されています。三月七日に、れいわ新選組の上村議員も内閣委員会で指摘をしています。

 後の報道では、評価に際し、二百五十七件の参照文献のうち、評価で重要とされていたダブルA文献百二十二件を差し替えていたとあります。差し替えによって、参照にふさわしくないとされていた文献を復活させ、評価の根拠としていたとする上村議員の指摘に対し、内閣府の中政府参考人から評価手順の説明がありましたが、極めて事務的な方法を取っておられます。

 健康被害の可能性を示す情報が既にあるのなら、その因果関係を徹底的に追及するのが政府の責任ではありませんか。非常に緩く危険な評価だと思います。その基準値を基に協定を結び、安全の証明とすべきではありません。曖昧な評価が明らかになっている状況で、ラピダスの環境措置も厳格に法で定めるべきではありませんか。

 そして、現在の日本の目標値は、PFOA、PFOSの合計で一リットル当たり五十ナノグラムとなっていますが、毒性や分解のされ方が異なる物質を合算するのはおかしくないでしょうか。法的な拘束力もありません。過小評価になりませんか。アメリカでは法律で規制があり、PFOA、PFOS、個別に基準値を法で定め、それぞれ四ナノグラムです。基準も桁違いです。

 国が支援をするにもかかわらず、健康に関わる問題に法的な拘束力がないのは、この法案の大きな欠陥ではないですか。支援する側の責任だと思います。どう思いますか。予防原則でやっていただきたいと思います。

 また、経産の方々には本当に、職員の方々には失礼をしたと思っております。お腹立ちのこともあったと思います。どうぞお許しいただきますよう。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、排出規制をするべきではないかということでございますけれども、PFASを含めまして、国の法令や地方自治体の条例で定められた環境規制をラピダスは当然遵守していく必要はあります。

 ラピダスの方では、PFASのうち、いわゆる化審法で使用が禁止されているPFOS、PFOA、PFHxSと呼ばれる物質については使用しないというふうに聞いています。このような形で、きちっとした取組をラピダスはしていること、これを経済産業省としてはしっかり指導してまいりたいというふうに考えております。

 また、こういった取組につきましては、国際的にはストックホルム条約の方でそういったルールを定めていて、これをしっかりまず守っていくということなんだろうというふうに考えます。

 各国の取組につきましては、排水については余り、規制というか、一応ガイドラインのようなものを設定しているアメリカのような例はあるんですけれども、まだ規制については検討中ということで、いろいろな学術的な研究などもこのエリアは進んでいるというふうに認識しておりますけれども、必要な対応を適切な機関の方で検討していただいて、規制になった場合にはそれはしっかりと従っていくということかというふうに考えております。

佐原委員 それは分かりますが、やはり日本は、かつて公害というものを経験してきまして、心の中に、やはり自分は安全なところで暮らしたいと思う気持ちがあると思うので、アメリカに準じて毎日測定するとか、そのような体制にしていただきたいと思います。

 そして、先日、経産省の方が、御不満があったと思うんですね、私たちがやったところではないと。それはよく分かります。しかし、国策である大事なプロジェクトに向かうのであれば、省庁の垣根を越えて、本当にみんなが一緒になって、やるべきことをやって脇を締めていかないと実現できないのではないかなと思うのです。ですから、どうぞ、先ほどの問題も、予防原則ということをお考えいただいてやっていただけたらなと思います。

 次の質問に移ります。半導体の市場についてお尋ねします。

 半導体はデュアルユースですが、輸出において規制はありますか。規制があるのなら、どのような審査ルールになっていますか。教えてください。

猪狩政府参考人 お答えいたします。

 半導体は、その仕様、性能によりまして、外為法の規制の対象に該当する場合がございます。そのような製品を輸出する際は許可の取得が必要となっております。

 また、仕様、性能上は規制対象に該当しない場合でありましても、輸出時点で、大量破壊兵器などの開発、製造に用いられるおそれがある、こういうことを輸出者の方でも認識されている場合には、いわゆるキャッチオール規制というものによりまして許可を取得する必要がございます。

 我が国としましては、軍事転用を未然に防ぎまして、国際社会の平和及び安全の維持を期する観点から、引き続き厳格に輸出管理を実施してまいりたいと考えております。また、輸出者に自主的な輸出管理の取組を促すとともに、税関等の関係省庁と協力して、外為法の運用や執行の実効性向上に取り組んでまいりたいと思います。

佐原委員 ありがとうございました。

 輸出許可は、世界のどこの国に対しても同条件で審査するのですか。

猪狩政府参考人 お答えいたします。

 外為法におきましては、全ての国に対しまして、国際社会の平和及び安全の維持の観点から、軍事転用懸念があるかどうかという観点で輸出管理を行ってございます。特定の国をターゲットにするということではなく、全ての国に対して輸出管理を行っております。

佐原委員 日米半導体協力基本原則では、両国は、半導体サプライチェーンの強靱化のために同志国、地域と協力して取り組むこととしています。

 同志国とはどの国を指しますか。あるいは、この法案に関わる政策での同志国はどこですか。同志国以外にも輸出できるのですか。教えてください。

武藤国務大臣 日米半導体協力原則ですけれども、これは、半導体サプライチェーンの強化に向けて、市場経済また自由貿易を前提に、日米及び同志国、地域が相互補完的に取組を進めるもので、特定の国に対して半導体の輸出を規制するものではありません。

 その上で、半導体のサプライチェーンですけれども、半導体の製造、設計に加え、製造装置や部素材、原料も含め、幅広い産業、技術領域から構成されているものであります。一国だけでサプライチェーン全体を賄うことは困難であります。同志国との連携が不可欠であって、また一方で、国際秩序が非常に不安定化する中で、米国のみならず、EUですとか英国、オランダ、インドなど、多様な国との半導体協力に関するパートナーシップを締結することで、我が国として強固な国際協力の枠組みを構築してきているところであります。

 引き続き、同志国等と連携しながら、我が国半導体産業の復活に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

佐原委員 同志国以外でも輸出は可能だということですか。

猪狩政府参考人 お答えいたします。

 外為法の対象になっている半導体につきましては、同志国、同志国以外かかわらず、軍事転用の有無などを確認しながら審査を行ってございます。ですので、軍事転用の懸念がない、そのような場合には同志国以外にも輸出許可は可能だと考えております。

佐原委員 これまで、参考人の皆様のお話や委員の皆様の議論、また省庁の皆様から伺ったラピダス支援までの経緯から、日本の半導体産業がアメリカの対中国政策、経済安全保障の構図に組み込まれている感が否めません。

 アメリカから中国に輸出規制をかけるように要請されたら、従いますか。

猪狩政府参考人 お答えいたします。

 外為法におきましては、例えば外国において軍事に転用される、そういう懸念があるかどうか、そういう観点から輸出管理をあくまで行っております。あくまで、安全保障の観点から、我が国の判断として輸出管理を行っているところでございます。

佐原委員 ありがとうございました。

 かつては、皆様御存じだと思いますけれども、TRONというOSを作った天才、坂村教授、月尾教授というお二方がいらっしゃいましたが、今なおTRONは世界的にいろいろ使われております。しかし、このとき、スーパー三〇一条でアメリカにはしごを外されてしまい、圧力がかけられてしまいましたね。

 そういったことで、また日本はそういったアメリカの圧力をはね返すことができるでしょうか。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 半導体の日米の関係につきましては、非常に密に信頼関係を着実に構築してきています。

 まず、バイデン前政権との間では、両国の半導体サプライチェーンを補完的に強化していこうということで、先ほどもお話がありました日米半導体協力基本原則などを結びまして、次世代半導体の開発に関する共同タスクフォースを設置するなどの取組をしています。

 現在のトランプ政権におきましても、先ほども質疑でありましたが、二月七日の日米首脳共同声明で、先端半導体などの重要技術開発で世界を牽引するための協力を両国が追求するということを明記しています。

 その後も、閣僚レベル、事務方含め、各レベルでアメリカ政府と直接対話を行っています。今後も、様々な機会を捉えまして、御懸念の点を解消できるよう、トランプ政権との間で半導体に関する協力を深めていきたいというふうに考えています。

佐原委員 ありがとうございます。

 NTTの光半導体のテクニック、技術力、そういったものは、日本の中でやはり守っていかなければならないと思うんですね。ですから、その点をお願いいたします。ありがとうございました。

 また、使用電力について、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

 ラピダスは、使用電力について、自然エネルギーの使用を前提にしています。さくらインターネットの田中社長も、そのようにおっしゃっていました。

 これに関して、原子力は使わないということを明確にしていただきたいと思っています。国民の安全が第一です。ラピダスへの巨額の支援は、国民の血税です。血税で作るものに原発を使うことは、私は許せないんですね。原発は、多くの命を奪いました。生活や人生を奪いました。

 ここで、是非お願いしたいのです。泊原発は絶対再稼働しないと約束していただきたいんです。ラピダスの工場のために原発を使うということは、道民への裏切りだと思います。道民の健康と安全を守ってください。皆様の血税が投入されているんです。だからこそ、原発ではなく再生可能エネルギーを使ってほしいと思うんです。今、日本は地震活動期です。原発の安全神話は、今はもうありません。原発は、スイッチオン、オフがすぐできるわけではありません。また、冷却水は、七度温度を上げて海に放出されています。

 そういったことで、是非とも、環境保全の意味からも、地球温暖化の意味からも、原発から、できるだけ再生エネルギーをというか、完全に再生エネルギーを使っていただきたい、そうお願いをいたしまして、大臣のお答えをいただきたいと思います。

武藤国務大臣 委員の御懸念は、いつもこの委員会でもお聞きしておりますところであります。

 ただ、私どもも、やはり、電力の安定供給を考えなきゃいけない、国民の生活を守っていかなきゃいけない。一方で、特にラピダスの、また話が出てまいりました。

 いずれにしましても、原子力発電所の再稼働については、これは、原子力規制委員会が、新規制基準に適合するかどうか、これを認めた場合のみ、地元の御理解があった上で動いてくる話でありまして、この御懸念、これは真摯に受け止めながら、まだまだ解決しなきゃいけない課題もございますので、真摯にこれからも進めていきたいというふうに思っております。

佐原委員 様々な懸念があるということを理解していただいたということで、是非とも、原発ではなく再生エネルギーということで行っていただきたいな。国策企業ラピダス、前途のために、こういった事故がないようにしていただきたい。是非とも新しい考えに従ってほしい。何か希望が見えてくる、そういうものにしていただきたい。国民の血税を使っているのだから、原発に回帰することは、私は反対です。これが新しい日本の幕開け、そして世界に対しての新しい日本の力を見せるところではないかなと思っています。そう願って、原発を使用しないことを願って、質問を終わらせていただきます。

 長々と、ありがとうございました。失礼いたします。

宮崎委員長 次に、辰巳孝太郎君。

辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。

 まず、大臣、やはりトランプ関税についてただしていかなければならないと思っております。

 二四%、これは衝撃が走っているわけですけれども、半導体、ラピダスの事業、これは甚大な影響が出てくるんじゃないですか。どういう影響を考えておられますか。いかがですか。

武藤国務大臣 これが今出て、今精査をして、この内容がどうであるか。もちろん、相互関税の話もあれば自動車関税の話もあり、様々なんですけれども、これを精査しながら、私どもの関係では、いろいろな形で相当大きな影響があるものと思っていますし、自動車産業は、メーカーさんもそうですけれども、サプライチェーンを含めて精査をしていかなきゃいけないんだろうと思っています。

 また一方で、委員の御指摘はないんですが、特に大体想定されるところであると、これから日本政府としてどうするかということだろうと思っています。先ほど、今日は一番最初の質問で答えさせていただきましたけれども、政府全体としてもやはり対応を考えながら、しっかりと向こうとも協議を更に進めていくことも必要だろうというふうに思っておるところであります。

辰巳委員 大臣、私が問うたのは半導体なんですね。

 では、野原局長、どうぞ。

野原政府参考人 昨日アメリカ政府から発表になった関税は、自動車関税とあと相互関税なんですけれども、相互関税の方は、アメリカ政府が発表したファクトシートの中で個別の物品は除くと書いてありまして、半導体関税についてはまだ出ておりません。

 したがって、発表されたものを踏まえて影響を精査していく必要があるというふうに考えております。

辰巳委員 半導体についてはまだ分からない、詳細は分からないということだったと思います。

 二〇二四年、直近ですけれども、日本からアメリカへの輸出総額は二十一兆円ですから、これは国別で最も多くなっております。品目別では、最も多い自動車の六兆円、これを筆頭に、建設用・鉱山用機械が九千億円、科学光学機器が六千億円、そして半導体等製造機器が五千三百億円と続いておりますので、仮に半導体に対して関税がかけられるということになりますと、甚大な被害をもたらすということになるというふうに思います。

 ラピダスの小池社長は、顧客の獲得について問われて、シリコンバレーを中心に、報道されている以外に四十社と交渉を進めて、幾つかの会社は具体的に発注したいということを言っております。

 もし日本からの半導体輸出に対して関税がかけられるということになりますと、これはまさにラピダスそのものの事業計画に大きな影響を及ぼすということになるわけですね。

 経産省にちょっと確認しますけれども、ラピダスの競合の一つは台湾のTSMCということになります。今回のアメリカの相互関税において、台湾の半導体については何%の関税が課せられることになったのかを把握しておりますでしょうか。

野原政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたように、半導体の部分は昨日発表した部分から除かれています。相互関税の対象ではないとはっきり書いてありますので……(辰巳委員「台湾」と呼ぶ)台湾についてはですね。

 そういう意味では、日本からアメリカに直接輸出する半導体も、台湾からアメリカに直接輸出する半導体も、半導体の関税は幾つになるかというのはまだ発表されていないというステータスでございます。

辰巳委員 ロイターの報道、あるいは毎日新聞の報道によりますと、台湾からアメリカに輸出される半導体については関税が除外されたと。これは既に昨日の報道でされておりますので、台湾はほっと一息という話になっているわけですね。

 仮に、この報道が正しくて、日本の半導体が相互関税で関税がかけられるということになりますと、ラピダスの事業計画そのものに甚大な影響を及ぼすということになるのは間違いありません。

 TSMCは、アメリカのアリゾナ州に合計で三つの半導体工場を建設して、計画を進めております。既に四ナノの量産が開始をされておりまして、これから二ナノ、それ以降の先端半導体の量産計画も進んでおります。こういう状況で、こうなりますと、ラピダスは更に価格競争力が格段に劣るということになりかねないというふうに思うんですね。

 仮に、これから半導体については示されるということだと思いますけれども、示された時点で、ラピダスの事業計画そのもの、あるいはこれからのプランそのもの、一旦立ち止まって見直す、そういうおつもりは、大臣、ありませんか。

野原政府参考人 半導体という製品のサプライチェーンをちょっとよく考える必要があると思っていまして、これは千工程あって、上流からチップになるところまで千工程のプロセスがありまして、一つの国の中で最初の川上から川下まで全て完結していることはありません。そういう意味では、いろいろな国を転々として最終的にチップになり、そのチップがいろいろな最終製品に組み込まれていく。

 したがって、アメリカの国境をまたぐときに、どのレイヤーのところで国境をまたぐかという問題になってきまして、半導体のところで国境をまたぐのが非常に不利だったら、川上か川下のところで国境をまたぐということになるわけです。

 そういう意味では、実際のアメリカの半導体の関税についてはまだ詳細が発表されていませんので、それを踏まえて評価する必要はありますが、半導体のサプライチェーンのストラクチャーとしてはそういうことでございまして、台湾からアメリカに行くチップ、あるいは、台湾から大体は部品や最終製品になるためにASEANの国とかほかの国に行って組み立てられて、それが最終的なユーザーがアメリカにいればアメリカ市場に入ってくる。その時点でその分類のものの関税がかかる、そういうストラクチャーになるということだと思います。

辰巳委員 いや、ですから、それを問題にしているわけなんですね。

 ラピダスの計画というのは、おっしゃるとおり、川下とか、前工程、後工程がありますけれども、今のところ想定されているのは、ラピダスの社長が言っているわけですよ、四十ぐらいの北米のテックなんだと。日本ではそんなにいないわけですね。アメリカで売れなければ、関税がかけられてしまえば、ラピダスの事業計画に甚大な影響を及ぼすのは一目瞭然だというふうに思いますので、しっかり、一旦止まって、私たちは計画そのものをストップさせるべきだという立場ですけれども、経産省には求めていきたいというふうに思っております。

 さて、今日は、このラピダス、もう既に二回の質疑をやっていますけれども、いわゆるIPOをされたときの、株式が上場されたときにどうなるのかという議論がこの間されております。巨額の公的支援を受けているのがラピダスですから、同社の東哲郎会長、小池淳義社長以外に十二名いるとされている個人株主は、同社のIPOの際には巨額の利益を得る可能性があるんだということであります。

 同時に、この計画に関わってきた経産省の職員の株売買についても私は目を光らせておく必要があるというふうに思います。

 なぜなら、経産省においては、インサイダー取引事件というのが度々起こっているんですね。かなり起こっているんですよ。九五年には、担当局あるいは担当課が所管する業種に関する企業の株取引は禁止する、こういう規則が定められましたけれども、その後も株取引をめぐる不祥事というのは後を絶ちませんでした。

 二〇一二年、経産省資源エネルギー庁次長を務めた人物が金融商品取引法違反、インサイダー取引容疑で逮捕されて、二〇一六年十一月に有罪が確定をしております。この事件、詳細を紹介していただけますか。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十一年当時ですけれども、商務情報政策局の審議官でございました当該職員でありますけれども、所管している企業の合併計画など、公表前の企業情報を知った上で、配偶者の証券口座を利用いたしまして当該企業の株式を購入したということでございます。

 平成二十三年、証券取引等監視委員会の調査によりまして、当該取引がインサイダー取引に当たるとして、金融商品取引法違反の容疑で逮捕されてございます。その後、平成二十八年の最高裁判決で有罪が確定したと承知してございます。

 以上です。

辰巳委員 続けて聞きますけれども、このエネ庁次長の疑惑の発覚後、経産省が全職員を対象に行った株取引の実態調査の内容とその結果、その後作られた規則、ルール、これを改めて紹介していただけますか。

片岡政府参考人 お答えいたします。

 経済産業省におきましては、平成二十三年十月下旬から十二月下旬にかけまして、全ての常勤職員に対しまして、株式等の取引に関する内部規則の遵守状況、これについての総点検を行ってございます。

 その結果、届出なく株式の取引を行ったとの内部規則違反が二件発覚してございまして、当該職員につきましては処分を行ってございます。

 また、それを受けまして、平成二十三年十二月に、まず一つ、常勤職員は株式等の取引を自粛をする、これは全ての株式等の取引を自粛をする、二つ目に、子供の進学等の合理的な理由によりやむを得ず株式等の取引を行う場合には事前に届出を行う、三つ目に、常勤職員、配偶者及び被扶養者が有する全ての証券口座を登録する、こうした内容の内部規則を制定いたしまして、職員の株取引に関するルールを抜本的に強化したところでございます。

 現在におきましても、この規則は維持されてございます。

 以上です。

辰巳委員 ラピダスでも同様の事態を繰り返すことは絶対に許されないと思うんですね。なぜならば、ラピダスというのは、これは突然に立ち上がった事業ではありません。経産省の中にも多くの関わった職員がおります。立ち上がり後は半導体産業全体の株価が上昇をしております。

 改めて時系列で振り返りたいと思います。

 ラピダスの法人としての設立は二〇二二年の八月です。

 二〇二〇年にIBMから東哲郎氏に話があり、その年の十一月に小池氏に、今の社長ですね、声がかかりました。

 小池氏のインタビューを交えた「Rapidus ニッポン製造業復活へ最後の勝負」というルポによりますと、二〇二一年三月九日、小池氏、東氏が経産省を訪問した。このプロジェクトを説明した後に、経産省はプランを前向きに検討すると約束をした。二〇二一年の三月九日ですよ。このときの小池氏のメモには、経産省アグリーメント、同意を取り付けたとの記載があります。

 二〇二一年三月二十四日、第一回半導体・デジタル産業戦略検討会議が開催をされ、座長には東氏が就任をしております。

 小池氏のメモによりますと、二〇二一年の五月の二十八日、これは、自民党の半導体戦略推進議員連盟がその一週間前につくられて、この会長に就任したのが甘利議員なんですけれども、二〇二一年の五月二十八日にこのお二人は甘利議員を訪問した。そして、後日に、この自民党半導体議連も同席した会合に東氏、小池氏が呼ばれて、ラピダスのファウンドリー構想を説明した。そこで小池氏からどういう発言があったか。二〇二七年までに七兆円が必要であると。そのとき甘利氏がどう答えたかというと、議員たちに、やるしかないんだということなんだな、こういうふうに言って、そのとき同席をしていた商務情報政策局長は、はい、やりましょうと答えたとあるんですね。

 今申し上げたのは二〇二一年の五月の話なんですね。つまり、ラピダスの創設が発表されるよりも最大で一年以上前にラピダスが国策事業として動き出すことを少なくともこの場にいた関係者は知っていた、理解をしたということになると思うんですよ。そういうことになりますね。

 これは、東氏、小池氏ほか十二名が今回ラピダスにまず出資をしたというんですけれども、会社が立ち上がる前から数兆円規模の政府出資が見込まれるということを認識していた、こういうことになります。今後、株がIPOで上場されるということになりますと、他の委員の皆さんもおっしゃるとおり、この株は高騰するということが予見できます。当時も予見できるわけです。

 これは問題じゃないでしょうか。国がここまで公的資金を投入する事業で、やはり一体誰がこの株式を保有しているのか公開をするべきじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

野原政府参考人 参考人質疑のときに、小池さんが、個人株主について、半導体のエンジニアの方だというふうな御説明をされていまして、そのうちの相当数の方は今ラピダスにいらっしゃるというふうな感じのお話だったと思います。

 プロジェクト、今そういうようなクロノロジーをお話がありましたけれども、私がこのポストに来たのが二〇二一年十月ですが、その時点で、経済産業省としてこのプロジェクトをやると決まっていたという認識はありません。

 そういう意味では、まだ、そういう議論は出ていたのかもしれませんけれども、このプロジェクトをやりましょうというふうにもう決まっていますからという引継ぎを前任から受けた記憶もございませんので、そういう意味では、今御紹介あったスケジュールというかクロノロジー、少し間違っている、事実関係は間違っているんじゃないかと思いますが。

辰巳委員 局長、それはごまかしだと思うんですよ。

 小池社長は七兆円必要だと言っているんですね。七兆円ものお金をどこから調達するのかと。隣に商務局長がいるわけですよ。国もやりましょうと。国が支援する、これは巨額の公的資金が入ると。私が問題にしているのはそこですよ。

 ラピダスの事業そのものが、具体的なものがまだというのはそうかもしれません。しかし、国が公的資金をつぎ込んでラピダスという民間事業を支援しましょうということが前提になってこれは全部動き出しているんですよね。そして、この十四名の株主、出資ということになるわけですから、これは大問題や、ごまかしたらあかんと思いますね。

 いま一つの問題は、やはり経産省の側だと思うんです。

 さきに紹介したように、経産省はインサイダー取引、株売買で不祥事というのを度々起こしてまいりました。

 先ほど、経産省の常勤職員は株式等の取引を自粛するという、改めてそういうルールが、内規が作られたということになっているんですけれども、これは、口座を定期的に確認を経産省はしているんでしょうか、職員の口座。口座番号の登録はしてもろうています、出してもろうています、これは聞いているんですが、しかし、口座番号が何番ですということを経産省が知っただけでは取引をやっていることなんて分からないわけですから、これは経産省の職員に対してどういうトランスアクションがあったのかどうかということを経産省がやはりチェックしていくべきじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

片岡政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、職員には株式の取引の自粛を求めてございます。その上で、証券口座も登録を行っていただいております。

 加えまして、年に一度、全ての常勤職員に対しまして、株取引があった場合には内容の報告を求めてございます。例えば、お父さんが亡くなられて相続があったとか、そういうものについては報告を求めてございます。

 加えまして、これはちょっとあれですけれども、極めて厳重に、毎年研修等も行ってございます。全ての職員がこうした株取引についても研修を受けて、遵守するように努めてまいるところでございます。

 以上です。

辰巳委員 相続でやむを得ず株を譲渡する、相続する、これは認められているんですよ。先ほどの内規でも認められているので、それを報告をしてくださいねというのは、それは報告すると思うんです。だけれども、認められていない取引があるわけですね。それをわざわざ報告する職員なんて私はいないと思いますよ。

 だから、報告を求める、研修をするだけではなくて、経産省自身が、だって、二〇一二年に、調査をしたときに、あのエルピーダのときに、不祥事、刑事事件になったときに、調査をしたことで発覚をしたわけですよね。そのことで新たなルールを作ってきたわけですよね。だったら、それは実効性をちゃんと高めるためにも、これは職員に対してやるべきだと思うんです。

 もう一つ事実関係を確認させてください。

 株の取引というのは禁止されているというのは分かりましたけれども、いわゆる投資信託でも、例えば半導体特定の投資信託というのもあります。これも禁止されていますよね。いかがですか。短く。

片岡政府参考人 お答えいたします。

 個別産業に係る投資信託については自粛を求めてございます。

辰巳委員 私、これは極めて重要だと思うんですよ。

 大臣、最後。これは調査してください。やったら駄目だよだけでは駄目だと思うんですよ。これは、巨大なプロジェクトでもし同様の事件が起こってしまったら、絶対許されないことになりますから、大臣、調査すると。お願いします。

武藤国務大臣 委員のおかげでいろいろ勉強させていただきましたけれども、今官房長からもお話がありましたように、いろいろの経緯の中で、経産省としてガバメントをしっかりコントロールするという方向性はしっかり示されていると思います。

 今回、こうやって巨額ないわゆる公的資金が絡む話なので、これを調査しろということでありますけれども、いろいろな形で多層的に職員の株取引に関する状況把握、これに努めているという今の方向の中で、今そこまで差し迫って私はやるべきなのかなというところは、正直、預からせていただきたいなと思いますけれども、今ちょっと結論を出す方向ではないなと思っています。

辰巳委員 また続きは次やりましょう。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次回は、来る九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十一分散会


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