衆議院

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第2号 令和6年12月18日(水曜日)

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令和六年十二月十八日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 井上 貴博君

   理事 勝俣 孝明君 理事 加藤 鮎子君

   理事 中谷 真一君 理事 城井  崇君

   理事 神津たけし君 理事 森山 浩行君

   理事 奥下 剛光君 理事 西岡 秀子君

      石橋林太郎君    大西 洋平君

      梶山 弘志君    加藤 竜祥君

      金子 恭之君    工藤 彰三君

      国定 勇人君    小森 卓郎君

      高見 康裕君    田所 嘉徳君

      谷  公一君    土屋 品子君

      中野 英幸君    西田 昭二君

      三反園 訓君    阿久津幸彦君

      新垣 邦男君   大河原まさこ君

      小宮山泰子君    下条 みつ君

      津村 啓介君   長友よしひろ君

      伴野  豊君    松田  功君

      馬淵 澄夫君    谷田川 元君

      伊東 信久君    井上 英孝君

      徳安 淳子君    鳩山紀一郎君

      古川 元久君    赤羽 一嘉君

      中川 康洋君    たがや 亮君

      堀川あきこ君    福島 伸享君

    …………………………………

   国土交通大臣

   国務大臣         中野 洋昌君

   国土交通副大臣      古川  康君

   国土交通副大臣      高橋 克法君

   防衛副大臣        本田 太郎君

   国土交通大臣政務官    高見 康裕君

   国土交通大臣政務官    吉井  章君

   国土交通大臣政務官    国定 勇人君

   政府参考人

   (内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局ギャンブル等依存症対策総括官)           吉岡 秀弥君

   政府参考人

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長)

   (観光庁次長)      平嶋 隆司君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 貫名 功二君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 阿部 竜矢君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 清田 浩史君

   政府参考人

   (スポーツ庁審議官)   橋場  健君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 村田 茂樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通政策審議官)     池光  崇君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房土地政策審議官)       中田 裕人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房上下水道審議官)       松原  誠君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        平田  研君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        藤巻 浩之君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  山本  巧君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  楠田 幹人君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  五十嵐徹人君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  平岡 成哲君

   政府参考人

   (気象庁長官)      森  隆志君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 森田 治男君

   国土交通委員会専門員   國廣 勇人君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十八日

 辞任         補欠選任

  尾辻かな子君     大河原まさこ君

同日

 辞任         補欠選任

  大河原まさこ君    新垣 邦男君

同日

 辞任         補欠選任

  新垣 邦男君     尾辻かな子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

井上委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長村田茂樹君、大臣官房公共交通政策審議官池光崇君、大臣官房土地政策審議官中田裕人君、大臣官房上下水道審議官松原誠君、総合政策局長塩見英之君、国土政策局長黒田昌義君、不動産・建設経済局長平田研君、水管理・国土保全局長藤巻浩之君、道路局長山本巧君、住宅局長楠田幹人君、鉄道局長五十嵐徹人君、物流・自動車局長鶴田浩久君、航空局長平岡成哲君、観光庁次長兼特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長平嶋隆司君、気象庁長官森隆志君、内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局ギャンブル等依存症対策総括官吉岡秀弥君、内閣府大臣官房審議官貫名功二君、警察庁長官官房審議官阿部竜矢君、総務省大臣官房審議官清田浩史君、スポーツ庁審議官橋場健君及び防衛省地方協力局次長森田治男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井上委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。加藤鮎子君。

加藤(鮎)委員 山形三区選出、自由民主党の加藤鮎子です。

 質疑の時間をいただきまして、感謝を申し上げます。

 早速、質問に入らせていただきます。

 まず、中野国交大臣は、先日の所信表明演説で、安全、安心の確保、二つ目、持続的な経済成長の実現、地方創生二・〇の推進、これらを施策の柱として掲げていらっしゃいました。まさに、我が国の目下の重要課題としては、度重なる災害を乗り越え、国民の皆様に安全、安心を感じていただきながら日々の暮らしを送っていただくこと、そして、日本全体の経済を成長させ、その上で、地域が持つ各々の魅力を生かして活性化していくこと、これらが不可欠であると考えます。このために、災害対応やインフラ整備を始め幅広い産業を所管する国土交通省の役割は極めて重要でございます。

 そこで、大臣が挙げておられた三本の柱に沿って質問をさせていただきます。

 今年の七月、私の地元の山形県でも線状降水帯の発生に伴う豪雨が発生し、大きな被害をもたらしました。全国でこうした豪雨を始め災害が激甚化、頻発化しております。こうした災害に対しましては、平時から事前の備えを行っておくとともに、いざ災害が発生したときの対応の体制を整えておくべきであり、防災・減災、国土強靱化の取組を着実に進めていくことが極めて重要でございます。

 国交省として、防災・減災、国土強靱化に今後どのように取り組んでいくのか、そのお考えを伺います。

黒田政府参考人 おはようございます。お答えいたします。

 近年、激甚化、頻発化する自然災害やインフラの老朽化から国民の生命と財産を守るためには、近年の資材価格の高騰等の影響を考慮しながら、必要かつ十分な予算を確保し、国土強靱化の取組を進めることが必要でございます。

 また、災害による被害の発生を未然に防止し、その被害を軽減するためには、先生御指摘のとおり、災害が発生する前から計画的に整備、管理を行う事前防災対策、これが重要であると認識しております。

 国土交通省といたしましては、五か年加速化対策後も、中期的かつ明確な見通しの下、継続的、安定的に切れ目なく、これまで以上に必要な事業が着実に進められるよう、関係省庁と連携をいたしまして、令和六年度能登半島地震の経験も踏まえつつ、国土強靱化実施中期計画の早急な策定に向けまして、検討を最大限加速化してまいりたいというふうに考えております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 そうした取組を進める上では、裏づけとなる予算の確保が重要でございます。現在、令和三年度から七年度までの防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を踏まえて各種の対策を講じていただいていることと承知しておりますが、この五か年加速化対策後も、改正国土強靱化基本法に基づいて、国土強靱化実施中期計画を策定し、十分な予算を確保して、将来にわたって対策をしっかりと進めていかなければならないと思います。

 国交省として、インフラ整備に必要な予算の確保はできているのか、また、五か年加速化対策以降も、その後も必要な予算を確保していけるのか、お伺いいたします。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日成立いたしました令和六年度の補正予算におきましては、国土強靱化の推進といたしまして、国土交通省の公共事業関係費約一・一兆円を計上したところでございます。これは、五か年加速化対策の推進のための経費に加えまして、資材高騰等を踏まえて緊急に措置されました国土強靱化緊急対応枠、さらには、能登半島地震等の教訓を踏まえた、緊急対策のための緊急防災枠を積み上げまして確保したものでございます。

 昨年度を上回る規模で、必要十分な予算が確保できたものというふうに考えてございまして、今回の補正予算に基づきまして、流域治水、災害に強い交通ネットワークの構築、予防保全型のインフラメンテナンスへの転換に向けました老朽化対策などに取り組んでまいります。

 その上で、五か年加速化対策後についてでございますけれども、将来に向かって今まで以上に必要な事業を着実に進める必要があると考えておりまして、関係省庁と連携の下で、国土強靱化実施中期計画の策定の検討を最大限加速いたしまして、これに基づいて必要十分な予算の確保にできる限り努めてまいりたいと存じます。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 是非、必要十分な予算のできる限りの確保、お願いをしたいと思います。

 先ほども言及をさせていただきましたけれども、近年、線状降水帯の発生による豪雨が増えています。七月の豪雨で、山形県では、令和四年八月の、県南部で起きた豪雨災害のとき以来、二度目の線状降水帯の発生ということであり、警戒レベル五の大雨特別警報も発令をされました。

 線状降水帯などの予測は難しいものとは認識しておりますけれども、災害対応や避難行動の支援という観点では、予測精度の向上を図ることが重要であると考えます。この線状降水帯などの予測精度向上にどのように取り組まれていくのか、お伺いします。

森政府参考人 お答えいたします。

 気象庁では、線状降水帯の予測精度向上に向け、観測機器の整備、大学や研究機関と連携した技術開発等を着実に進めているところです。

 具体的には、線状降水帯の発生に結びつく水蒸気の流入量を正確に把握するため、海洋気象観測船や観測機能を強化した気象レーダーの活用により洋上等での水蒸気等の観測を進めるとともに、大気の三次元観測機能を有する次期静止気象衛星「ひまわり」の令和十一年度の運用開始を目指しています。

 また、大学や研究機関と連携して、スーパーコンピューター「富岳」を活用した予測技術の開発を進めており、得られた成果については気象庁のスーパーコンピューターへ速やかに導入していきます。

 これらにより、引き続き、線状降水帯の予測精度の向上に取り組んでまいります。

加藤(鮎)委員 是非よろしくお願いします。ありがとうございます。

 いざ災害が発生した際には、TEC―FORCEを始めとする国土交通省の職員の皆さんが、関係者の方々と連携しながら、現場の対応において大変重要な役割を果たしておられます。被災自治体の方々や被災者の方々からは、いつも感謝の言葉が聞こえます。私からも感謝を申し上げます。

 被災地では地元自治体が災害対応を行っていきますが、必ずしも災害対応に慣れている職員さんばかりではありませんし、また、地元で対応する職員の皆さん自身も被災者であったりします。災害が激甚化、頻発化する中で、現場で被災自治体等の災害対応を支える国土交通省の災害対応能力を不断に向上させていくことが重要だと考えますが、今年一月の能登地震やその後の災害も踏まえて、どのように災害対応の体制を強化充実していかれるのか、お伺いをいたします。

藤巻政府参考人 お答えをいたします。

 国土交通省といたしましては、災害が発生しましたときに、地方整備局の職員等から成りますTEC―FORCE、これを迅速に派遣いたしまして、被災自治体におけるリエゾン活動でございますとか被災実態調査、こういったものを実施しているところでございます。

 能登半島地震や、委員が先ほど御指摘ございました本年七月二十五日からの大雨による山形県の水害、これなどにおきましても、ライフラインが途絶するなど困難な状況の中で、被災状況の把握、被災者支援、応急復旧などの災害対応を実施いたしました。

 こういった活動から得られました教訓も踏まえまして、官民連携あるいは資機材や装備品の充実等によりまして、TEC―FORCEの体制、機能の強化に取り組んでまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 本当に、地域の安全、安心のために期待が大きいことでございますので、是非よろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 国の発災時の体制について先ほどお伺いをいたしましたけれども、事前の備えという観点から、インフラ老朽化対策を進めていくことも重要でございます。インフラの老朽化対策は、国だけではなく地方公共団体にとっても大きな課題でございますが、一方で、地方公共団体では技術職の職員が少なくなってきているということもお聞きします。

 例えば広域的に連携をしてインフラの老朽化に対応していくといったことも考えられますけれども、今後のインフラ老朽化対策にどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 インフラを管理する自治体、とりわけ市町村におきましては、人員や予算の不足などによりまして、インフラメンテナンスの的確な実施をめぐる課題が深刻化しているというふうに認識しております。

 国土交通省では、複数の自治体のインフラを群として捉える、また、道路や公園といった多くの分野のインフラを群として捉えて、効率的、効果的にマネジメントをしていく取組を推進しております。これを地域インフラ群再生戦略マネジメント、略して群マネと呼んでおりますけれども、市町村の技術職員の体制が脆弱でありましても、連携をする先の県あるいは近隣の市などから技術的な知見を得られるといった効果が期待できたり、また、道路、公園等の管理の業務を一括して発注するということで事務負担が軽減される効果が期待できるなど、インフラ管理の的確な実施に寄与できるというふうに考えておりまして、自治体職員の皆様の参考となる手引の策定をするべく作業を進めているところでございます。

 また、自治体がメンテナンス業務を省力化できるような新しい技術の導入につきましても支援を行いまして、国民の命と暮らしを守るインフラ老朽化対策が的確に行われますよう、自治体への支援に取り組んでまいりたいと存じます。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 是非、自治体への支援もよろしくお願いいたします。

 続きまして、大臣が重点的に取り組まれる二つの柱とされた持続的な経済成長の実現についてお伺いをいたします。

 建設業は、インフラの整備、災害時の応急対応、復旧復興など、地域社会に欠かせない重要な存在でございます。また、インフラの老朽化が進展している中で、日常の維持管理ですとか大規模工事を計画的に実施していく、その上でも地域の建設業の皆さんのお力というものが不可欠でございます。また、昨今、建設業の皆さん方に対しては、施工技術の向上ですとかDX、GX、また新たな事業領域への展開など、時代に合わせて進化していくことも求められています。

 建設業が、将来にわたってこうした重要な役割を引き続き果たし、持続的に発展していくためには、何よりも担い手の確保が重要でございます。地域のインフラ整備の担い手、守り手である建設業において、担い手の処遇改善や将来の担い手の確保、育成に具体的にどのように取り組まれるのか、お伺いをいたします。

平田政府参考人 お答えいたします。

 建設業は、災害時に応急対策の現場を担うとともに、平時には、持続的な経済成長や、防災・減災、国土強靱化に必要な社会資本を整備、管理する重要な役割を担っています。その大切な役割を将来にわたって果たすことができるよう、担い手の確保、育成の取組を通じ、持続可能な建設業の実現を図る必要があります。

 このため、本年六月に成立した改正建設業法に基づき、現場技能者の処遇改善に向けて、適正な労務費の確保と行き渡りを図るとともに、資材高騰分の転嫁対策を強化することで、労務費へのしわ寄せ防止を図ってまいります。また、公共工事設計労務単価の適切な設定に努めるとともに、働き方改革に向けて、長時間労働を前提としない適正工期の徹底やICTの活用により効率的で生産性の高い現場の実現につなげてまいります。

 あわせて、技能者の資格や現場就業履歴を登録、蓄積し、技能、経験に応じた適切な処遇につなげる仕組みである建設キャリアアップシステムの利用拡大にも取り組みます。

 こうした施策を着実に実施することにより、賃金や労働時間など処遇の改善を実現し、建設業が、将来の見通しを持てる、若者に魅力的な産業となることを目指してまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 関連しまして、交通産業における担い手確保の取組についてもお伺いをいたします。

 トラックドライバーの皆様は、私たちの社会生活それから経済活動を支えていただいているエッセンシャルワーカーでございますが、二〇二四年度からのトラックドライバーへの時間外労働の上限規制等の適用などによって担い手不足が深刻化している状況にございます。また、タクシーやバスなどの公共交通機関におきましても担い手確保が喫緊の課題となっております。地域交通は地方創生を推進するための基盤でございますし、その担い手であるタクシーやバスの運転手の確保は重要だと考えます。

 そこで、トラックやバス、タクシーのドライバーの担い手の処遇改善や将来の担い手の確保、育成に具体的にはどのように取り組んでいかれるのか、お考えをお聞きします。

鶴田政府参考人 トラックやバス、タクシーの運転者は、国民生活、経済活動、そして地方創生を支える重要な担い手であります。このため、処遇改善による担い手確保が重要な課題であると認識しております。

 トラック運送業につきましては、荷主、物流事業者への規制的措置を導入した改正物流法の来年四月の施行に向けて準備を進めております。加えて、標準的運賃の普及やトラック・物流Gメンによる荷主等への監視体制の強化にも取り組んでまいります。

 バス、タクシーにつきましては、運賃算定手法の見直しや運賃改定の迅速化により早期の賃上げを促進しております。加えて、採用活動や二種免許取得に係る費用への支援、キャッシュレス、配車アプリといった業務効率化、省力化の取組支援を進めてまいります。

 これらを通じまして、関係者と連携して、ドライバーの処遇改善と、将来の担い手の確保、育成に向けてしっかり取り組んでまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 三つの柱と申しまして、最後に大臣が掲げられた三つの柱の地方創生二・〇について、観光やインバウンドについてちょっとお伺いをしたかったのですが、時間の関係もありましてスキップさせていただきます。

 続きまして、大臣にお伺いをさせていただきます。安心して暮らせる住まいの確保についてでございます。

 子育て世代から高齢者まで誰もが安心して暮らせる豊かな住環境の実現、これが今求められていると思います。誰もが安心して暮らしていくためには良質な住宅の確保が不可欠でありますが、特にこれからの社会を担う子育て世代が将来を憂うことなく子育てができるように、国土交通省として住宅政策にどのように取り組まれるのか、是非お伺いをさせてください。

中野国務大臣 加藤委員の御質問にお答え申し上げます。

 委員には、いつも子育て政策、また少子化対策、御尽力いただきまして、心から敬意を表する次第でございます。

 委員御指摘のとおり、住まいは生活の基盤でありまして、子育て世帯を始め誰もが安心して暮らせる住まいを確保することは重要な課題であると思っております。

 このため、昨年十二月に閣議決定をしましたこども未来戦略、委員も大臣として御尽力いただきました、これに基づきまして、子育て環境に優れた公営住宅等への優先的な入居、子供の人数に応じたフラット35の金利の引下げ、あるいは騒音を気にせず住める環境づくり、こうしたことに取り組んでおります。

 また、昨日成立した令和六年度の補正予算におきましては、高い省エネ性能を有する住宅の取得等を行う子育て世帯等を支援するための予算、これも措置させていただいたところであります。

 今後も、住宅の価格や金利等の動向、子育て世帯の皆さんは大変に気にされていると思いますので、これを緊張感を持って注視をしつつ、関係省庁と連携をして、子育て世代が、それぞれのニーズに応じた住まいを柔軟に選択でき、真に豊かな住生活を実現できるようにしっかりと取り組んでまいります。

加藤(鮎)委員 是非頑張ってください。ありがとうございました。

 私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

井上委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 日米安保条約及び日米地位協定に基づく在日米軍の基地の在り方につきまして、首都圏、沖縄及び全国の日本国民の権利関係を守る観点から、以下質問させていただきます。

 本件、是非、各党各会派の国土交通委員の皆様にも同じ問題意識を共有していただきたいと考えまして、今、資料を配付していただいております。毎日新聞と琉球新報の記事をお配りしておりますので、是非、委員の皆様におかれましては、御覧いただきながらお聞きいただければと思っております。

 今、六本木にある赤坂プレスセンターという名の米軍ヘリポートの存在によって、首都圏の土地の有効利用、羽田新ルートの固定化回避など、日本の国土交通行政の様々な重要政策が、不透明な形で大きなマイナスの影響を受けております。そして、その運用実態を国土交通省も防衛省も十分把握していない。大事なことは、これは決して在日米軍が望んだものではないということであります。

 日本の政策当局が、所管外を理由に、この国会議事堂から僅か二千百メートルの距離にある、そして多くの衆議院議員が住んでいる青山議員宿舎のすぐ隣にある米軍のヘリポートの存在を直視してこなかった、そして日本の国民の生活にどんな影響を与えているか直視してこなかった、まるで日米安保は日本の官僚や政治家にとってアンタッチャブルなものであるかのように、常に曖昧さを残しながら行政判断をしてきた、その不作為を改めていきたいと思います。日米安保を重視し、同盟関係をよりよい形に深めていく、深化させていくための質問と御理解ください。

 具体的な話に入ります。

 通常、日本国内で民間の空港を設置する場合は航空法が適用され、その四十九条によって周辺の建築物には高さ制限が設けられております。進入表面、水平表面、転移表面などありますが、簡単に言えば、航空機の離発着の安全を確保するために設けられた高さ制限でございます。航空法は民間空港のみに適用されますが、自衛隊の空港については、自衛隊法百七条が航空法四十九条を準用し、全く同じ高さの制限が設けられています。

 問題は在日米軍でございます。在日米軍は日本国内に八つの空港と一つのヘリポートを運用しております。うち二つの空港は自衛隊と共用ですので自衛隊法が適用されますが、残りの空港とヘリポートは、日米地位協定の関係で航空法も自衛隊法も適用されず、航空特例法において航空法の一部のみ準用されることとなっております。この一部に四十九条の高さ制限が含まれていないために、在日米軍の周辺地域には国内法上の建築制限がかかっていない格好になっております。

 他方、米軍施設には世界標準の統一施設基準があります。日本国内と類似した高さ制限がウェブサイトで公表されております。しかし、空港ごとの空域制限の具体的なデータが日本政府側と一切共有されていないために、日本の行政の判断に常に曖昧さがつきまとい、実際に、沖縄では民間の鉄塔が国内法において合法的に建設された後になって防衛省から撤去を要請されたり、それに国費が投じられて撤去をされているという事案や、また、赤坂プレスセンターという名の六本木の米軍ヘリポートのすぐ隣には、日本の国内法でも米軍の統一施設基準でもあり得ない場所に大学や美術館が建設されております。

 そこで国土交通大臣に伺います。

 ヘリポートの中心から百五十メートルの距離に高さ四十五メートル以上の建物があるヘリポートで旋回半径が五十メートル以上の大型ヘリコプターが離発着している状況は日本では違法だと考えますが、大臣はどう思われますか。

中野国務大臣 一般論として申し上げますと、委員の御指摘のとおり、航空法において、制限表面のうちヘリポートから高さ四十五メートルのところに設定される水平表面の範囲は、仮に旋回範囲が五十メートル以上のヘリコプターが運用される場合という仮定で委員申し上げられましたので、その場合はヘリポートの中心から半径百五十メートルで定める。ということは、ヘリポートから百五十メートルの位置にある高さ四十五メートル以上の物件というのは、いわゆる航空法で言う制限表面に抵触をするということが、委員の御指摘の仮定の下にあるとそうなるということでございます。

津村委員 赤坂プレスセンターのヘリポートでは、ブラックホークやシーホークのような大型ヘリが日常的に離発着をしております。ヘリポートから約百五十メートルの位置には国立大学法人政策研究大学院大学がございます。この高さは、ホームページによれば、五十四・四七メートル、最高高さ六十二・二七メートルとなっています。これは国内法としては違法状態ということでよろしいですね。

中野国務大臣 航空法におきまして、委員御指摘のヘリポートの制限表面、私、先ほど、仮に旋回範囲が五十メートルという仮定で申し上げましたけれども、こうした使用機材の性能等も踏まえて個別に設定されるものであるというふうに承知をしております。

 ですので、御指摘の赤坂プレスセンターのヘリポートにつきましては、米軍が使用する機材の性能、使用機材の性能ですとかあるいはヘリポートの詳細等について現在把握をしておりません。ですので、仮定の個別の御質問についてお答えすることは困難であるというふうに考えております。

津村委員 なぜ、日本の航空行政そして国土交通行政を所管する大臣が把握していないのかということが、そもそも問題だと思います。

 赤坂プレスセンターのヘリポートは、在日米軍の施設ですので、少なくとも米軍の統一施設基準が適用されているはずですが、大臣はその高さ制限の内容についてどのように御理解されていますか。

中野国務大臣 済みません、先ほどの御質問でございますが、米軍がどのような機材を使用しているか、あるいは米軍の中の高さの制限がどういう形になっているかということは承知をしておりません。

津村委員 赤坂プレスセンターの高さ制限を知らずして、首都圏の不動産取引や高層住宅の建設、都市計画を所管する国土交通大臣として、十全な職責が果たせるんですか。

中野国務大臣 米軍が運用する飛行場でございますが、今、日米地位協定の実施に伴う航空法の特例法で適用が除外をされているという状況でございます。航空法の制限表面の規定が適用されていないという状況であります。このため、国土交通省として御指摘の様々な情報を今把握していない、そういう状況でございます。

津村委員 例えば原宿や青山の地権者の方々は、自分の持っている土地に課されている本当の高さ制限を知らない、知らせてもらえていないということになりませんか。国民の土地や建物に係る財産権が重大な制約を受けているわけですが、そのことを国土交通大臣が知らないということはどういうことですか。

中野国務大臣 一般論として申し上げますと、私も、建築物の高さに関する条件が明確で、安定的に土地利用が行える環境が整っていることは望ましいというふうには考えております。

 航空法上の空港については、告示によって制限表面等が公表されておりますので、開発事業者等において、これらに適合するように開発の計画の作成等を行っていると承知をしています。

 航空法上の空港でない、非公共用のヘリポートの周辺につきましては、開発事業者に対して、ヘリポート等の進入区域等と建築物の高さ等については、早い段階からヘリポート等の設置者と協議を行うようにということで促しているところでございます。

 赤坂プレスセンターの周辺につきまして、現状、開発事業者等から、御指摘のような懸念をこちらも把握はしておりませんけれども、先生の問題意識、承りましたので、開発事業者等あるいは地元自治体等関係機関に実態を聞いて、適切に対応していきたいと思っております。

津村委員 実態を聞く相手が間違っているんじゃないですか。米軍に聞かなければいけないんじゃないですか。

中野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、米軍の運用する飛行場というのは、日米地位協定の実施に伴う航空法の特例法で適用が除外をされているという状況にもございます。そういう意味では、直接そういう情報がやり取りをできるかどうか、国土交通省の立場ではちょっと、現状なかなか申し上げることはできないと思っております。

津村委員 答弁次第ではちょっと委員会を止めていただきますけれども。

 日米合同委員会には民間航空分科委員会というものがございます。そこには国交省からは航空局の交通管制部長が御出席になっているはずです。大臣の部下の方でございます。今日は航空局長もいらっしゃっていると思いますが、そういう理解でよろしいですか。

平岡政府参考人 お答えをさせていただきます。

 分科会におきましては、議員御指摘のとおり、確かに交通管制部長がメンバーとなっておりまして、航空管制に関する意見交換をさせていただいているところでございます。

津村委員 その航空管制に関する意見交換の中で、この在日米軍赤坂プレスセンターの高さ制限について意見交換はなぜできないんですか。してください。

平岡政府参考人 議員御指摘ございましたので、防衛省とも連携して、どのような形で確認ができるかということを追求していきたいと思います。

津村委員 是非御報告をお待ちしております。

 そして、これは旧建設省の分野の問題だけではございません。在日米軍のヘリコプターの低空飛行は、二〇〇〇年になってからの規制緩和による首都圏の土地の高度利用が進んで、二〇二〇年から二〇二一年に延期された東京オリンピックを契機とした羽田新ルートの運用が開始された数年前からは、運輸、交通分野はもちろん、国民の生活の安全面でも大きな社会問題になってございます。

 今、国土交通省の中には羽田新ルートの固定化回避の検討会というものが設けられていると思いますが、米軍ヘリの飛行ルートに関する情報は大変重要なものですけれども、高さ制限、そして在日米軍の赤坂プレスセンターにおける進入表面、進入ルートの情報はお持ちですか。

中野国務大臣 米軍ヘリの飛行ルートに関する情報をあらかじめ持っているかという御質問であると思います。

 羽田における新飛行経路、これは、羽田空港到着機とヘリコプター等の有視界飛行方式により飛行する航空機の飛行の安全を確保するために、今、特別管制空域というものを設定をしているところでございます。

 特別管制空域を羽田空港到着機が飛行する時間帯においては、米軍のヘリが管制機関に連絡調整を行うということで、今、米軍のヘリは任意の高度で飛行することが可能な仕組みであるということを承知をしておりまして、現在でも、羽田空港における新飛行経路の運用においては、管制機関と米軍は必要な調整を行っているというふうに承知をしております。

津村委員 端的にもう一度伺います。

 赤坂プレスセンターの進入表面についての情報をお持ちですか。

中野国務大臣 そういう意味では、管制機関と事前に連絡調整を行っているということでございますので、米軍ヘリは任意の高度で飛行することが可能である。すなわち、新飛行経路の設定によって米軍ヘリの飛行に大きな、そういう影響があるという認識はしておりません。

津村委員 データを持っていないので認識をしていないんだと思います。データを正しく入手して、認識を改めていただきたいというふうに思います。

 そのことに関連して、防衛省の副大臣に質問をさせていただきます。

 自衛隊と共用されていない、全国の六つの米軍飛行場及び赤坂のプレスセンターを管轄する地方防衛局が受けた高さ制限に関する相談件数を施設ごとに教えてください。

本田副大臣 御質問にお答えいたします。

 米軍の飛行場周辺における建造物等の設置に関しまして、全国の地方防衛局等で受けた相談や確認の件数について現時点で把握しているものを申し上げますと、令和五年度におきましては、三沢飛行場では七件、横田飛行場では十八件、木更津飛行場では二十二件、岩国飛行場では三件、嘉手納飛行場では九件、普天間飛行場では十八件となります。

 なお、赤坂プレスセンターについては、現時点で把握している限り、令和五年度には相談を受けておりません。

津村委員 赤坂プレスセンターのヘリポートに隣接する国立大学法人政策研究大学院大学の話を先ほど申し上げました。

 この建設は二〇〇五年から二〇〇六年の時期だと把握しておりますけれども、防衛省には事前に相談はございましたでしょうか。もしあったとすれば、国内法の高さ制限や米国の統一施設基準と整合させる上でどのように対応したか、経緯を伺いたいと思います。

本田副大臣 お答えいたします。

 当時の防衛省関係者に確認を行いましたところ、赤坂プレスセンター周辺の政策研究大学院大学の建設に際しましては、建設などの関連事業者からの情報を受け、米側に防衛省が照会をした、その旨の確認はできておりますが、当時どのようなやり取りを行っていたかなどの詳細については、二十年以上前のことであり、記録も残っていないということから、確定的に申し上げることは困難な状況でございます。

津村委員 二十年以上前のそのデータが記録として残っていないというのは、文書管理のルール上、正しいことなんですか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 文書管理の期間の設定等については確認をさせていただきますけれども、一般的に、保存期間基準を定めまして、それに基づいて文書の管理をしております。

津村委員 それでは、先ほど国交省さんに伺ったことと同じことを防衛省にも伺わせていただきます。

 最初に申し上げたように、民間の空港は航空法ですけれども、自衛隊については自衛隊法なので防衛省、そして、在日米軍との関係といいますか、カウンターパートになっているのは防衛省でございますので、一義的には、赤坂プレスセンターの運用実態について日本政府で一番詳しいのは防衛省であるはずであります。そこが更に国土交通省とどう連携しているかということを、私は今日の質問で最も伺いたい部分でございます。

 先ほど航空局長や大臣にも伺いましたけれども、防衛省は、赤坂プレスセンターの空域制限、高さ制限についての情報は正確にお持ちなんでしょうか。

森田政府参考人 お答えを申し上げます。

 米側と施設・区域に関する諸課題について日頃から様々やり取りをしております。これまでも、先ほど副大臣から御答弁申し上げましたように、周辺の方から相談を受けたりしたこともございますし、その中で、米側と調整が必要なものについては調整をして、課題の有無とかあるいは解決を図ってくるというようなことは防衛省として行ってきております。

 御指摘の赤坂プレスセンターについての現状につきましても、今後、米側とのやり取りの中で確認をしてまいりたいと考えますし、また、米側に対しましては、安全面に配慮いたしまして地元に与える影響を最小限にとどめるように求めてまいりたいというふうに考えております。

津村委員 確認してまいりたいとおっしゃったんですけれども、今の段階では情報を持っていないということでよろしいんですかね。

森田政府参考人 現段階でちょっと定かに、どのような基準で赤坂プレスセンターの周辺における飛行の安全を確保するかということについて、現在手元にございませんので、これはよく確認をしてまいりたいと考えます。

津村委員 今非常に深刻なというか重要な答弁をされたんですけれども、手元に持ち合わせていないというのは、省内にあるけれども私の金曜日の通告が遅かったから駄目なのか、それとも、通告、三日前にさせていただいたわけですけれども、省内にないということなのか、どちらですか。

森田政府参考人 防衛省からはこれまで、具体的な米側の運用と周辺での開発等に関しまして、課題が生じた場合にそれを一つ一つ個別に取り上げるというようなアプローチでやってきたというのが実情でございます。

 それで、先生おっしゃるように、では一体どういう基準が適用されているのかということについては、必ずしも詳細に持ち合わせているわけではありませんので、そこは確認が必要になってくると考えております。

津村委員 次長、ないということですね。

森田政府参考人 そのような意味では、御指摘のとおりかと思います。

津村委員 皆さん、ちょっと私、たくさん聞きたかったので早口でしゃべっちゃったんですけれども、皆さんにお配りした二枚目のこの記事の地図を見ていただくと、六本木のヘリポートから一キロ以内にもう既にこれだけたくさんの高層ビルが建っているんですよ。これがもし米国の統一施設基準に違反しているとなったら、これはどうするんですか。撤去するんですか、沖縄の鉄塔のように。沖縄の鉄塔は一千万円とか二千万円とかで撤去されたようですけれども、これだけのものが防衛大臣も国土交通大臣も合法かどうか分からない状態で既に建っているんですよ。

 少し種を明かしますと、二つの進入路が一定の幅で取れればこれでもオーケーになる可能性があるんですけれども、じゃ、その進入ルートはどこにあるんだということが分からないと、この次に新しいビルを建てられないわけです。つまり、まさに財産権を左右するような情報が、日本国政府が持ち合わせていないということ、これは問題じゃないですか。中野さん、どう思われますか。

中野国務大臣 委員の問題意識はよく承りました。

 先ほども申し上げましたけれども、やはり、地権者、開発事業者等の関係者が土地利用の条件に関する情報にアクセスできる環境を整備をするというのは一般的に望ましい、そちらの方が望ましいということを認識をしておりますので、関係の事業者あるいは防衛省ともしっかり連携をして、適切に対応してまいりたいと思います。

津村委員 もう一回。

 日米合同委員会には、防衛省からは、先ほどから御答弁いただいている森田さんが、地方協力局次長として、日本側の防衛省の責任者として出席をされているので、今日は森田次長に来ていただいているわけです。

 森田次長、日米合同委員会の場でこの赤坂プレスセンターの制限表面、空域制限についてしっかりとデータを入手してください。日米合同委員会でこの空域制限の考え方をきちんと米側から伺ってください。お願いします。御答弁ください。

森田政府参考人 ありがとうございます。

 米側とは、日米合同委員会を通じたものも含めまして、施設・区域に関する諸課題につきまして常日頃からやり取りを行っております。御指摘の赤坂プレスセンターにつきましても、米側とのやり取りの中で確認をしてまいるとともに、引き続き米側に対して、安全面に配慮して地域に与える影響を最小限にするような運用を求めてまいりたいと考えております。

 また、赤坂プレスセンターに関しましては、現時点で米側から必ずしも、運用上の支障が生じているということを、そういうことを聞いている状況ではございませんけれども、防衛施設を取り巻く状況には引き続き注意を払いまして、仮にその安定的な運用に関します課題が生じるような場合には、先生の問題意識も踏まえまして、適切に対応してまいりたいと考えます。

津村委員 今のは防衛省の答弁としてはそうかもしれないんですけれども、防衛省さんが、きちんと日米合同委員会の場でこのデータを入手していただかなければ、それは国交省も共有できないわけですよ。その結果、この土地利用、住民が困るわけですよ。防衛省の範囲の中でとどまるようなことを日米合同委員会という重要な場でされたら困るんですよ。

 ですから、先ほど確認しますとおっしゃっていましたし、今現在ないんですねと言ったら、委員の御指摘のとおりですとおっしゃったので、今ないこの……

井上委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力お願いします。

津村委員 赤坂プレスセンターに関するデータを入手して、政府内で共有するということをもう一度御答弁ください。

井上委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いしたいと思います。(津村委員「まだ来ていないじゃないですか。四十八分まで」と呼ぶ)

森田政府参考人 先生の問題意識を踏まえまして、しっかり対応してまいりたいと思います。

津村委員 じゃ、最後に、国土交通大臣に伺います。

 防衛省が日米合同委員会で確認をするというふうに先ほど御答弁がありました。それを国土交通省もきちんと共有していただくということでよろしいですね。

中野国務大臣 防衛省としっかり連携をして、関係機関と連携しながら、問題が確認された場合には改善に向けて対応を検討していきたいと思っております。

津村委員 次回も取り上げさせていただきます。

 終わります。

井上委員長 次に、長友よしひろ君。

長友(よ)委員 立憲民主党、長友よしひろです。神奈川県十四区、相模原市、愛川町、清川村を地盤といたしました。

 この度、初めて国会の場面で質問させていただきます。委員長を始め先輩委員の皆様方、御配慮いただいたことに御礼申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

 冒頭なんですが、能登半島の災害に関して、国土交通省の皆様方も大変な尽力をされているということ、私からも謝意を申し上げたいと思います。

 私の地元、神奈川県の北西部なんですが、令和元年の東日本台風時、甚大な被害を受け、残念ながらお亡くなりになった方も多数いられるような地域でありました。このときも国土交通省の皆様方にはあらゆる面で尽力いただいたことを覚えております。この場をかりて、冒頭、初めて質問させていただくに当たって、この点も地元の一人として御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

 その上で、今日は、地方のこれからということを踏まえて、地方創生に関する観点から、何点かについて質問を行いたいと思います。先般行われました大臣の所信挨拶に基づいてやらせていただきますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 最初なんですけれども、大臣の挨拶を伺ったときもそうでした、そして、実は本会議場で石破総理の所信を聞いたときもそうでした、少しだけ違和感を感じたところがありましたので、その点について、私なりに自分の見解を述べながら質問したいと思います。

 まず、石破総理は、地方創生について、再起動という言葉を使われていました。あるいは二・〇を起動するという言い方もされています。一般的には、再起動というのは、一度電源を切って再び入れ直すというのが一般的だと私は認識をしているところです。あるいは、エラーが出たときとか設定を変更するときという意味もあるかもしれません。こういうときに行う動作なんですけれども、私の感じた違和感の一番目はそれです。再起動ということは、これまでやってきたことをどう捉えているのか。一度切るんだというふうにも受け止めたところであります。

 そこで、大臣に伺いたいと思うんですけれども、国土交通省として、地方創生、十年間やってきたわけですけれども、この成果と未達の状況、反省点などを含めて、この再起動という言葉の意味合いをどう受け止められているのか、ここを含めて総括を伺いたいと思います。

中野国務大臣 長友委員の御質問にお答え申し上げます。

 再起動という言葉をどう捉えるかということであります。

 委員、先ほど、再起動というのは、エラーが出たときや、あるいは取組の単なる充実ということでは違和感があるのではないかということでありましたけれども、私も、十年間の地方創生の取組につきましては、全国各地で好事例が生まれるなどのやはり大きな成果もあったというふうに思っております。他方で、恐らく総理の問題認識は、今なお厳しい状況の地方は多く存在をするということで、この取組が必ずしも十分ではなかったという評価もあるのではないか、こういうことであろうかと思っております。

 今般の地方創生に係る再起動、あるいは二・〇という表現がございますが、私は、これは今までどおりの取組では到底不十分だという認識に立った上で抜本的に強化された新たな取組を始める、そういうことなのではないかと思っております。

 そういう意味では、過去の取組の反省も含めた総括、今後の取組ということでありますが、例えば、ビジョンの共有等に至る関係者間の連携に不十分な点があったということがございます。これについては、伴走型支援の充実を通じて、地域の多様な関係者間の合意形成、情報共有を図りながら、まちづくりに取り組んでいきたいと思っております。

 また、省庁を超えた施策の連携が不十分だという御指摘もありました。所管省庁の枠を超えて、例えば地域にあるバスなどの資源を効率的に活用して地域交通をめぐる課題の解決をするなど、所管省庁の枠を超えた取組を進めてまいりたいと思います。

 また、好事例の横展開もまだまだ不十分だという御指摘もあります。好事例の内容だけではなく、実施体制など、新たに取り組もうとする自治体に参考になるような、そういう情報提供にも努めてまいりたいと考えております。

長友(よ)委員 十年前、地方の現場で仕事をしている立場でありました。この地方創生という言葉あるいは内容に触れたときに、私のところも中山間地域もございますし、非常に期待をした一人でありました。期待をしたんですけれども、今のお話があったように、これは国交省の所管だけではないんですけれども、お金は一定程度あったかもしれないけれども、規制というか、連携の充実が図られていないとか、非常に遅々として進まなかったということを感じておりました。是非、今の点を踏まえて尽力いただければと思います。

 次に、あわせまして、総理の所信表明あるいは代表質問における答弁において、地方から若者、女性の流出は重点に取り組むべき課題だ、こういうふうには述べられていたんですけれども、最初の、十年前のとき掲げられた大目標の一つである東京圏一極集中の是正という言葉は出てきていませんでした。そして、先般の大臣の所信挨拶も同様で、この言葉はありませんでした。

 そこで、大臣に伺いたいと思います。この東京圏一極集中の是正ということは、大きな目標としてなくなってしまったんでしょうか、あるいは、あるんだとするならば、この是正にどういうふうに取り組んでいくおつもりなのか、所感を伺いたいと思います。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 東京一極集中の是正を述べられていないじゃないかという御指摘だと思います。

 例えば、昨年度、我々は国土形成計画を閣議決定させていただきました。やはり東京一極集中ということが起きている、先ほど御指摘があった、その原因としては、若者世代、特に女性にとって魅力的な仕事が東京に集中をしているであるとか、あるいは就学、就職、こういうタイミングで地方から人口が流出をしているという課題も指摘されておりますし、国土形成計画の中で、東京一極集中の是正に向けた取組ということが書かれておりますので、やはりこれをやっていく。

 具体的には、国土全体にわたって人口や諸機能が分散的に配置をされる国土構造の構築を目指すということが書かれております。また、地方への人の流れの創出、拡大を図るとともに、若者世代や女性に開かれた魅力的な地域づくりを推進していこうというのが、まさに国土形成計画の中身でございます。

 国土交通省としても、関係府省と連携をしまして、例えば、広域的な機能の分散と連結強化を図るため、質の高い交通やデジタルのネットワークを通じたシームレスな拠点連結型国土の構築を目指す、あるいは、デジタルの活用、官民の力を最大限発揮させることにより、暮らしに必要なサービスが持続的に提供される地域の生活圏を形成する、地方への人の流れの創出、拡大に向けて二地域居住の促進を促す、こうした取組を行ってまいりたいと考えております。

長友(よ)委員 本年六月十日に出されました地方創生十年の成果と課題を検証した報告書を見させていただきました。こちらには、地方への移住増など一定の成果があったが、東京圏一極集中の大きな流れを変えるには至らなかったというふうに明記されています。

 加えて、残された課題、そして、新たな課題、今後取組が求められるものの最初に、東京圏一極集中の是正ということが報告書には述べられているんですね。それが一番の課題、最初の課題だということであるならば、本来的には、政府のやる気、あるいは目指す方向性の最大の目標の一つとして、この言葉は私は引き続き使うべきだというふうに受け止めています。

 いろいろな計画に東京圏一極集中の是正ということが載っているのも拝見したところでありますけれども、地方創生を掲げるのであるならば、これを強力に推し進めていくというのが石破内閣の目玉、柱の一つであるならば、この点を、是非今後、あらゆる場面で打ち出していただきたいと思いますし、それに向けた具体的な取組につなげていただきたいと思います。

 その上で、一極集中の是正は、言うまでもなく多岐にわたります。何をやったからといってそれがそうなるわけではないし、総理自身も、答弁の中で、一定程度の反省の弁を述べられていたと思います。ただ、いわゆる五大インフラというんでしょうか、電気、ガス、水道、交通、通信、こういったものの整備というのは前提条件になってきます。そして、最重要の前提条件が、移動のコスト、時間だとか費用だとか、こういったものが含まれるコストを下げていくということが必要だというふうに思います。

 大臣所信の挨拶の中で、地方創生の基盤となるインフラ整備を着実に進める、こういう文言がございました。これは具体的にどういったことを指されるのか、確認したいと思います。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 地方創生の基盤となるインフラ整備とはという御質問でありました。

 私も、今後、地方創生を進めるに当たっては、地方への人の流れをつくり、そして、地方の経済や雇用を拡大をし、居住者が生活関連サービスを持続的に享受できるようにすることが大事だと考えております。

 そのためには、交通インフラ、これが移動の速達性を向上させ、あるいは移動に伴うコストの低減を図る上で重要な役割を果たすものだと考えておりますので、二地域居住やインバウンドの地方誘客など、交流人口や関係人口の拡大に資するように重点的に整備を進めてまいりたいと思っております。また、消費地や生産拠点、物流拠点などを結ぶ交通インフラの整備によって、新たな企業立地や雇用の拡大にも貢献していくと考えております。

 そして、コンパクト・プラス・ネットワークのまちづくりに必要な、近隣都市へのアクセスを確保していくということで、病院や百貨店など高次の都市機能についても安定的に享受できるような地域づくりを進めてまいりたいと思っております。

 こうした観点から、しっかりと交通インフラの整備を行ってまいりたいと思っております。

長友(よ)委員 ありがとうございました。

 人生設計において地方での生活が選択されるようにということ、暮らしやすい分散型の国づくり、こういうことが述べられてもいるところなんですけれども、今大臣のお話がありましたとおり、言うまでもなく、交通インフラがあって初めてその次があるわけです。重点的に様々なことに取り組まれるということでございますので、その点、期待を申し上げたいと思います。

 その上で、交通インフラに関して少し伺っていきたいと思います。

 交通インフラといえば道路網、ここでは特に高規格幹線道路、そして鉄道、ここでは新幹線としたいと思いますけれども、これらの整備促進は地方創生にとっても基盤となる必要不可欠なものであると私は考えています。

 そこで、その視点から幾つか伺います。

 地方創生とは切り離してこの件というのは本来ずっと続いてきたんですけれども、地方創生というものを掲げている以上、この十年間というものをあえて伺いたいんですけれども、道路や鉄道の取組はどういう結果になったでしょうか。整備状況、進捗状況、今後の計画なども含めて伺いたいと思います。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 高規格幹線道路の全体構想につきましては、第四次全国総合開発計画におきまして、約一万四千キロのネットワーク計画が策定をされておりました。この十年間で申し上げますと、約千二百キロが新たに開通をしているところでございます。

 高規格幹線道路の整備は、拠点間の移動時間を短縮いたしまして、企業立地あるいは観光振興の促進、生産物の輸送の速達性の向上など、人流、物流の活性化を図る効果がございまして、委員御指摘の地方創生にも大きく寄与するものというふうに考えております。

 具体的な事例で申し上げますと、平成二十九年に東北中央自動車道、福島県の福島市、それと山形県の米沢市を結ぶ区間が開通をいたしました。これによりまして、山形県の主要農産物であります果物の首都圏への輸送が円滑となりまして、県産の農産物の輸出額が増加をするなど、地方創生にも寄与しているところでございます。

 今後の計画につきましては、各地域で策定をされております広域的な道路ネットワークの計画を踏まえまして、高規格幹線道路と一体となって効果を発揮する道路も含めまして、引き続き、地方創生に資する広域幹線道路ネットワークの整備を推進をしてまいりたいというふうに考えてございます。

五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。

 新幹線の整備状況についてお尋ねがございました。

 新幹線の整備については、昭和三十九年に東海道新幹線が開業して以降、順次新幹線ネットワークが構築されてきており、ここ十年間では、平成二十七年に北陸新幹線長野―金沢間、平成二十八年に北海道新幹線新青森―新函館北斗間、令和四年に九州新幹線武雄温泉―長崎間、そして本年三月には北陸新幹線金沢―敦賀間が開業したところです。

 国土交通省としては、北海道新幹線新函館北斗―札幌間、北陸新幹線敦賀―新大阪間、九州新幹線新鳥栖―武雄温泉間の各整備計画路線の着実な整備に取り組んでおり、関係自治体や鉄道事業者などと連携協力し、着実に新幹線ネットワークの構築を進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

長友(よ)委員 分かりました。ありがとうございます。

 本当は、道路について、暫定二車線についての整備を伺うつもりでいました。高規格幹線道路のうち、約一万一千キロのうち四千キロ程度なんでしょうか、この中で優先整備をしていく、八百八十キロですか、これを十年ちょっとでやっていくという計画がなされるということなんですけれども、是非、暫定二車線は早急に解消していただくことを求めたいと思いますし、あわせて、道路について、地方創生の中で道路整備の推進の交付金が設定されるんだろうと思います、これまでもございましたが。これは、所管は地方創生の方かもしれませんが、内閣府の方なのかもしれませんが、道路行政、道路をしっかりと地域の実情に合わせて整備していくという観点から、国交省からも、この道路整備の推進の交付金と同様のもの、是非、予算の確保を努めていただきたいということを申し上げておきます。

 新幹線に関連してなんですけれども、リニア中央新幹線、私の地元も通ります。神奈川の駅の場所でもございます。このリニア中央新幹線の整備状況だけ、一点確認させていただきたいと思います。

五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。

 リニア中央新幹線の整備状況についてお尋ねがございました。

 リニア中央新幹線品川―名古屋間の工事については、JR東海において、山梨リニア実験線を除く工事区間約二百四十三キロメートルのうち約九割の区間で工事契約が締結され、工事が進められております。

 以上でございます。

長友(よ)委員 実は、駅だけではなくて、関東車両基地というものが相模原市緑区旧津久井地域鳥屋という場所にできます。これも地元でございます。ここは車両基地でありますので回送線が通っていくんですけれども、地元としては、この回送線の旅客化というものを求めて活動を行っています。旅客化というのは駅を造るということです。

 この場所は、実は、関東最大級のダムである宮ケ瀬湖の直下にあります。直線でいうならば二キロないぐらいなんですね。年間百三十五万人観光客が来るところであります。一方で、定義は様々あるようですけれども、交通空白地域が広がっているところでもございます。

 観光行政の観点からも、あるいは交通空白地域解消の観点からも、まさに中山間地域に人が来ていただく、あるいは住めるようになる、こういう観点からも、リニアの関東車両基地の回送線の旅客化というのは必要不可欠であるというふうに思っております。

 これは質問しようと思ったんですけれども、時間の関係で意見だけ申し上げておきますが、事業主体は民間のJR東海であります。そことの協議、連携、地方、自治体で、あるいは地域でやっていかなければいけないことだと承知しておりますが、是非、こういった利点があるんだ、あるいは地方創生の観点からも重要なことなんだということを共有をしていただければというふうに思います。

 最後に、大臣にお願いできたらと思うんですが、石破総理は、東京への集中は全く止まっていないという認識の上で、さきに述べたとおり、反省の言葉も述べていらっしゃいました。加えて、新幹線の話を取り上げながら、いろいろなインフラが整ったならば人が集まるかというと、そうではない、こう言明しています。もちろんそれは、交通インフラを整えたから解消するということはないのは当たり前の話であって、ただ、そういうふうにはっきり言われてしまうと、交通インフラを積極的にやらないんじゃないかというふうに受け止めてしまう部分があります。

 この点について、まず基盤がなければ進まないのが事実なんですから、改めて大臣に見解を伺っておきたいと思います。

中野国務大臣 委員の御指摘、私もそう共感をいたします。総理は、それだけではやはり是正は図られないという趣旨かというふうに受け止めております。

 先ほども申し上げましたけれども、東京一極集中を是正をする、あるいは地方創生を進めるという中で、やはり地方へ人の流れをつくり、そして地方の経済や雇用を拡大しないといけない。居住者が生活関連のサービスをしっかり享受できることにしないといけない。そのためには、やはり交通インフラが大事であります。移動の速達性を向上させ、あるいは交流人口や関係人口を拡大させる、そういう、資するよう、交通インフラ、重点的に整備を進めてまいりたいと改めて答弁させていただきます。

長友(よ)委員 地方創生及び国交省の行う事業を推進する立場から質問をさせていただきました。

 ありがとうございました。

井上委員長 この際、一言申し上げます。

 先ほど、津村啓介君の質疑に際し、終了時間を経過したと誤認し、質疑時間が経過した旨、発言したことを訂正させていただきたいというふうに思います。以後、時間は正確に確認してまいります。

 おわび申し上げます。

 次に、阿久津幸彦君。

阿久津委員 立憲民主党の阿久津幸彦でございます。

 大臣所信では、冒頭で能登半島地震、豪雨災害へのお見舞いの言葉から始まりまして、国土交通省の三本柱の一番目に、国民の安全、安心の確保について触れられましたので、私からは、主に防災・減災、国土強靱化について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 たしか二〇一三年だったと思うんですけれども、国土強靱化基本法ができました。減災等に関することを事細かに書いてあって、ハードだけじゃなくて心のケアまで触れている国土強靱化基本法に驚いた記憶があるんですけれども、災害対策基本法あるいは災害救助法と大きく違う点があります。それは、ハードにとどまらず、ソフト、社会福祉に及ぶところまで国土強靱化基本法は踏み込んでいる点だと思います。特に、強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する、ハードだけでなくソフトにも触れた、心のケアにまで言及した、そういう国土強靱化基本法だと思うんです。

 そこで、大臣にお伺いしたいと思います。

 国土交通省における被災者支援に資する取組の位置づけを伺いたいと思います。

中野国務大臣 阿久津委員にお答え申し上げます。

 私も、能登の被災地も行ってまいりました。東日本大震災の復旧復興も長らく携わっておりまして、委員が御指摘いただいたようなハード、ソフトを含めて、そうした復興、そして被災者支援の取組が非常に重要だという御指摘、非常に重く受け止めて、私も職務に邁進していきたいと思っております。

 そういう意味で、国土強靱化基本計画、令和五年の七月に閣議決定をされました。

 国土交通省の被災者支援に資する取組という御質問でございました。

 計画では、基本目標として、迅速な復旧復興というのが掲げられております。国土交通省におきましても、やはり、迅速な復旧復興に資する早期のインフラ復旧、これに取り組むということが何よりも被災者支援につながってくると思っております。

 能登半島でも、やはり、いろいろな孤立集落が出まして、一日でも早くここを開通、道路啓開をしていくということが被災者の支援につながるといったような、いろいろなお声もいただいたところであります。

 ですので、例えば、能登半島地震でいえば、発生直後からTEC―FORCEを派遣をさせていただきました。そうした被災状況の調査、道路啓開等を実施をさせていただきました。また、被災した河川、道路等の早期復旧を国による権限代行等で支援をさせていただいたところでございます。

 また、直接の被災者支援としましては、国土交通省が保有をします資機材等を活用しまして、給水機能つきの散水車による給水活動あるいは停電した避難所への照明車による電源供給、こうした被災者支援も実施をしてまいったところでございます。

 国土交通省といたしまして、引き続き、一日も早い被災地の復興に資するよう、関係省庁と連携をいたしまして、被災者に寄り添った、こうした取組をしっかり行ってまいりたいというふうに思っております。

阿久津委員 ありがとうございます。割と慎重な答弁だったなと感じているんですけれども。

 実は、私、二〇一一年の東日本大震災のときに、たまたま内閣府の大臣政務官として、被災現地の方に、約二か月間ですかね、発災直後から行って、そこで政府現地対策本部を立ち上げて、その責任者的な立場で働かせていただいた記憶があります。

 その中の感想を申し上げると、実は、国土交通省は本当に頑張ってくれたんですね。それは、自分の持ち場はもちろん、ハード中心に、あふれてしまった水を抜くとか、そういうのは即座にもちろんやってくれたんですけれども、それだけじゃなくて、各省庁とのコミュニケーション、それだけではなくて、さらに、NGO、NPOの方々と丁寧なコミュニケーションを国土交通省の職員がつくってくれて、内閣府防災の方に出向している国土交通省の方のアドバイスで、実は、私は、政府現地対策本部の省庁全員がそろった会議をやるんですけれども、そこの場にNPO、NGOも参加させるような、そういう取組も、その国土交通省の方のアドバイスでやらせていただいたんですね。その前段としては、毎日、NPOの方々や各省庁関係なく、飲みュニケーションというんですかね、それも丁寧にやってくださっていた、そういうことがあります。

 だから、私は、災害対策ですから、余り、国土交通省はここからここまでという範囲ではなくて、広げられるところは広げていってほしいなという思いで、次の質問に移らせていただきたいと思うんです。

 新たな国土強靱化基本計画、令和五年七月二十八日に閣議決定されております。避難生活における災害関連死の最大限の防止等の記述が見られるんですけれども、国土交通省として、災害関連死の最小化に向けて、何か協力できることはありますでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 昨年決定いたしました国土強靱化基本計画におきまして、委員御指摘のとおり、避難生活におきます災害関連死の最大限防止のための対策を推進することとされております。

 例えば、国土交通省では、災害発生後、体育館であるとか公民館、避難所生活が始まります、そうしたところで、これを速やかに解消できるよう、いわゆる応急仮設住宅、みなし仮設も含めた応急仮設住宅でございますが、その確保を一日も早く図るというハード対策に加えまして、先ほど大臣から御答弁ございました給水、電源の供給、また最近では、平時でも有事でも使える高機能コンテナ、これは道の駅で試行設置していますけれども、ハード、ソフト対策を講じて被災者支援を実施するということが国交省の役割というふうに考えております。

 今後も、この強靱化基本計画に基づきまして、国民の皆様の命と暮らしを守るため、国交省としましても、まずは災害関連死を防ぐために応急的な住まいの確保、これが非常に重要だと思っていますし、また、委員御指摘の国交省の現場力、これを最大限生かして対応していきたいというふうに考えております。

阿久津委員 どうしても、やはり国土交通省はハードのここからここまでという、決まりを自ら国交省が踏み出られていないなというふうに私はどうも強くしてしまうんですよね。

 ちょっと戻りますけれども、国土強靱化基本法というのは、当時絶大な権力を誇った二階俊博さんが総力を挙げて作ったものだと思うんですね。それで、私は最初は非常に否定的に見ていて、これは、かつての民主党政権の時代の災害対策が、ソフトに寄った、福祉に注力しているから、国土交通省側に戻そうとしているんじゃないかなというふうに危惧した、そういう目的ももしかしたらあったかもしれないんですけれども、でも、ソフトの部分にぐっと入り込んでいって、何でもやりますよ、やれることはやるという姿勢が強かったんですね。

 私は、被災者支援の究極の課題というのは、災害関連死を最小化することだと思っているんですね。つまり、災害で何とか生き残った命を、一人一人の命を大切に守り抜くことだというふうに思っているんです。

 災害関連死は、やはり怖いんです。御存じのとおりです、大臣。熊本地震のときは、亡くなった方の八割が災害関連死で亡くなりました。それから、実際に災害関連死で亡くなった方の数は、熊本地震だと直接死の四倍です。御存じのとおり、能登半島地震でも、直接死よりも災害関連死の数が上回っています。それからさらに、東日本大震災のときを考えると、やはり災害関連死で亡くなった方が一番多いのは福島なんですよ。なぜ福島かというと、それは原発事故があって、二重災害に遭っているからなんですね。

 その教訓を応用すれば、今の能登半島地震で何が起こっているのか。一月一日に地震が起こって広くやられて、その後に、九月に豪雨災害に見舞われた。二重災害に遭った方々もいらっしゃるんですね。ここは、災害関連死から何とか守らなくちゃならない要注意地域なんです。これはもう本当に力を入れてやらなくちゃならなくて、もちろん、厚生労働省もやるでしょう、内閣府防災もやるでしょう、だけれども、それだけでは足りなくて、国交省が何ができるかということを聞きたいんですが、大臣、一言コメントはございますか。

中野国務大臣 ありがとうございます。

 本当に、委員も、東日本大震災の復旧復興ということで大変な御尽力をいただいて、その中で、国土交通省に対して非常に大きな御期待と激励の思いで御質問をいただいたというふうに思っております。

 確かに、災害の対応ということは、関係各省庁、それぞれの施策、それぞれ担当している分野というのはあります。我々も、国土交通省はここまでしかやりません、あるいはそういう省庁の、役所ですから、ともすれば縦割りになってしまうということは大きく肝に銘じなければいけません。しかし、いざ復旧復興となれば、そういった縦割りではなくて、やはり被災者の皆様のために何ができるのか、こういう思いで政策を遂行していかないといけないという、そこは委員の叱咤激励だと受け止めさせていただきました。

 災害関連死という意味では、やはり、住まいの確保、そして、なりわいの再建、復興、まちづくり、こういうところが本当に大事だと思っております。もちろん、関係省庁とも連携をして、そして、我々のできることは最大限何でもやる、そういう思いでしっかりと取り組んでまいりたい、改めてそういう決意をいたしました。ありがとうございます。

阿久津委員 ありがとうございます。

 今せっかく御答弁をいただいたので、角度を変えて質問したいというふうに思います。

 災害に対する国全体の強靱性、レジリエンスとかという言葉を使うこともありますけれども、強靱性を向上させ、また、その持続性、サステナビリティーなんということも言いますけれども、を高めていく上で、国交省の取組の中で、発災抑制、次に被害の最小化、速やかな復旧について、東日本大震災以降の事例を簡単に教えていただければありがたいと思うんです。

 災害対策というと、一気通貫になっているというふうに私は思っているんですね。災害教育があって、それから、災害が起こるぞという、直前の、予測に近い形での準備もあるし、それから、国土交通省は、先ほどの大臣の御答弁にもありましたように、予防的にもいろいろな、先回りして、住まいの確保とか人口の分散とか、そういうのも恐らく取り組まれているというふうに思うんですけれども、発災が起こると大変なことになります。

 発災直後から、守ること、残った命を守ることも含めて、ずっと作業が、これは十年ぐらい、二十年ぐらい続くこともあると思うんですけれども、そんな流れの、一気通貫の中でのお話で、質問にお答えいただければと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のとおり、大規模災害が起こった後の対応といたしまして、まずは、自然災害に強い強靱な国づくり、事前防災、発災の抑制をしっかりするというようなこと、また被害の最小化に取り組むということ、また経済社会の持続性、この三点セットが非常に重要であるというふうに考えております。

 去年五月に決定しました強靱化の基本計画、ここでは五本柱を立てておりまして、防災インフラの整備、管理とか、ライフラインの強靱化、デジタルの活用、官民連携、地域力の発揮というのが掲げられております。

 例えば、インフラの整備、管理におきましては、球磨川で大きな災害がございましたけれども、国、県、市町村が連携をしまして様々なインフラ整備をしていった、これによりまして、かなりの、令和二年の七月豪雨と同規模の洪水に対する被害の最小化ができたということ、また、ライフラインの強靱化につきましては、直近では無電柱化の取組、これはかなり東京でも進んでいますけれども、電柱倒壊による道路閉塞を防ぐという発災抑制の取組、また、デジタルの活用という点では、次期静止衛星の整備を含めて、線状降水帯、これが頻繁に出ておりますけれども、この発生の予測精度の向上、また、国交省全体としましては、TEC―FORCE、これは、平成二十年に創設をされた当初は二千五百人でしたが、現在は一万七千人余というような体制を整備しておりまして、そうした形で、省を挙げてこの強靱化の取組に取り組んでいるという状況でございます。

阿久津委員 それでは、ちょっと最後になるかもしれないんですけれども。

 石破総理の肝煎りで、石破内閣で防災庁設置準備室というのが立ち上がりました。この設置準備室に対して、あるいは防災庁に対しては、屋上屋をつくるのではないかとかいろいろな危惧も実際にはあると思うんですけれども、国土交通省の果たす役割という観点から、防災庁への不安というか想定される課題、それから防災庁への期待を伺わせていただければありがたいというふうに思います。大臣の方からお願いいたします。

中野国務大臣 石破内閣におきまして防災庁を設置をするということを総理もお話をされ、先ほど委員からも、不安や期待、いろいろな声があるという御指摘もいただきました。

 私、国土交通省もそうなんですけれども、やはり国の大変重要な使命として、これだけ災害が激甚化をし、また頻発化をしているという状況、あるいは大規模地震についても非常に切迫しているのではないかと言われている状況、こうした中で、国民の皆様の命を守る、暮らしを守る、これはまさに国の重大な責務であるというふうに改めて受け止めております。

 今、防災庁につきましては、赤澤大臣の下で具体の制度設計をまさに検討されているところだと思っております。今、言われておりますのが、平時において防災業務の企画立案、平時における取組ですね、そしてそれを全国的に調整をしていくということ、いざ大規模災害が発生したときには政府の統一的な災害対応の司令塔だということを言われております。

 防災庁の詳細につきましては今まさに検討中だということでございますので、私の方からそれに対する期待、不安というものを申し上げるのは差し控えさせていただければと思うんですけれども、いずれにしても、先ほど局長からも答弁ありましたとおり、国土交通省では、災害の備え、事前の防災ということもやってまいりました。そして、応急の対応。そして、いざ災害が起きたときに早期に復旧復興するというところで、我々、地方支分部局も含めまして、やはり現場力がある、総合力があるというのが我々の最大の強みだというふうに思っております。

 そういう意味では、国土交通省、引き続き、災害発生時あるいは事前防災で果たす役割は非常に大きなものがあるというふうに思っておりますので、関係省庁としっかり連携をして、防災庁、これから設置をされるということになりましたら、これともしっかり連携をして、我々、総力を挙げて、この防災・減災、国土強靱化にしっかり取り組んでいきたいという思いでございます。

阿久津委員 ありがとうございます。

 私は、特に国土交通省、国土交通大臣を含めてお願いしたいのは、是非、遠慮しないで、持ち場は持ち場という以上に、国土交通省ができる現場力というのは目で測れない大きさがあると思っておりますので、遠慮しないで、防災庁の中の中心的な役割を果たしていただきたいなというふうに思っているんですね。

 今私が考えている防災庁、もちろん議論中ですので、余り外からとやかく言い過ぎることは控えたいと思うんですけれども、発災が起こる前から起こったときのところに重点を置いているのかなと、起こった直後について。スフィアスタンダードみたいなのを持ち出すことはいいと思うんですけれども、スフィアスタンダードというのは、本当は発展途上国向けに、国際紛争などのときにこれは最低限守ってくださいねというふうにいって、BKTですか、ベッドやキッチンやトイレなどを確保してくださいねという最低基準ですから、そこにとどまらず、やはりもっとカンファタブルな状況をつくってほしい。

 イタリアがいい事例になると思うんですけれども、イタリアはやはり、今つくろうとしている防災庁に当たるものがもう既に存在していて、規模でいうと七百人ぐらいだと思うんですけれども、この七百人という規模は、日本で、内閣府防災が百名ぐらい、それで、今はちょっと減っちゃったかもしれないので、復興庁が三、四百でしょうか、それに原子力防災を加えても七百までいかないんですね。

 日本の人口はイタリアの二倍ですから、それを考えると、少なくとも千人規模ぐらいのものをつくっておいて、災害がないときも切れ目なく災害対策をきちっと行っていく、教育も含めて、準備も含めてやっていくということが大事で、今まで本当に、多くは国土交通省から内閣府防災に行っていただいて、いざ災害となったら頑張っていただく方々がたくさんいらしたんですけれども、災害がやっと一段落して、内閣府防災を訪ねてその方の席に行くと、何か災害が終わってしゅんとしちゃっているというか、何も仕事がなくなってしまって、本だけたくさん積まれているところで寂しくいたりするんですね。そうじゃなくて、阪神・淡路の経験も教訓も、東日本の経験、教訓も、その後の災害の教訓等もやはり継承していかないと、なかなか次の災害に対処できないというふうに思っております。

 大臣、一言だけあれば、コメントいただけますか。

中野国務大臣 ありがとうございます。

 まさに委員御指摘の、私も地元は兵庫でございますので、阪神大震災の教訓を踏まえて防災対策を強化する、東日本大震災を受けて我々も防災対策をまたしっかり見直してきたわけであります。

 今回、能登半島地震という、またこういう災害も起きました。しっかりとそうした一つ一つの教訓を踏まえて、そして、国土強靱化というものを、改めてしっかりと政策を遂行していきたい、こういう決意でやってまいりますので、よろしくお願いいたします。

阿久津委員 ありがとうございます。

井上委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党、森山浩行でございます。

 三つの分野についてお聞きをしたいというふうに思います。

 大臣、今回の能登の震災で私も現場に行ってまいりまして、この間、災害局長という党の仕事を長くやってまいりまして、いろいろな現場に行きましたけれども、ここまで水道がずたずたになったというような経験は初めてでありました。耐震化の中でもレベルがあって、これだけ液状化をするとぐちゃぐちゃに割れてしまうというようなことも含めて非常に大変な状況であったと思いますし、トイレトレーラーなども話題となりました。何だったら、家にある便器を使って、これを分解をするというようなものを全戸に配らなきゃいけなかったんじゃないかというようなことも考えたりもするところでありますが、そういったことはまた議論をしていきたいというふうに思います。

 この四月、その震災の復興の最中でありますけれども、この春から、水道が、長年厚生労働省が担当されていたものを国土交通省に移すという形で組織の変更がありました。この水道の国交省移管により改善をされた点についてお聞きをしたいと思います。

中野国務大臣 森山委員にお答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、厚生労働省でやっておりました上水道でありますが、国土交通省に移管をして、今、上下水道一体でやらせていただいております。

 特に何が改善されたのかという御質問でございますのでお答え申し上げますと、水道行政の移管を受けまして、やはり、国土交通省はインフラに関する知見がございます、そして、地方整備局等の現場の力、技術力、こういうものもございます。これを活用しまして、先ほど能登半島地震のお話もありましたけれども、やはり強靱で持続可能な水道システムの構築を進めていかないといけないと思っております。

 少し具体的に申し上げますと、例えば、昨日成立した補正予算におきましては、能登半島地震での被害を踏まえまして、水道の耐震化を加速化させるために、一つは、支援対象の自治体を拡大をいたしました。また、補助率も引上げをいたしました。下水道との相乗効果を発揮するために、上下水道一体での効率化、基盤強化の取組への支援を行うこととしております。

 また、地方整備局等の現場におきましては、やはり、平時における意思疎通や、災害時における、いざ発災したときに連携をしっかり取らないといけませんので、水道の事業者、関係団体との意見交換も実施をいたしまして、きめ細かなコミュニケーションも図っているところであります。

 九月、能登半島で豪雨災害がありました。水道の災害の復旧に早く着手できるように、北陸の整備局が、そのために道路を啓開をするという、それを調整をしていく等、例えばこういう支援も行ってきたところであります。

 国土交通省として、水道行政の移管の効果が着実に発揮されるようにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 インフラに関わる人たちというのは、日々、自分のところの水道なりをやっていくために二十四時間の交代勤務をやっているという中で、では、災害が起こったら向こうに行く、一週間行って、帰ってきたら次の日泊まり勤務だというような話もお聞きをしたりもいたしました。やはり、地方整備局などの戦力をしっかりと使っていただいて、人員、それから予算、そしてオペレーションというようなことで、有機的に動けるように頑張っていただきたいというふうに思います。

 さて、二つ目です。

 海外での事故や犯罪などが報道をされ、安全性に関しての危機意識等も言われているライドシェアですけれども、二〇二三年三月十四日に、前任の斉藤国交大臣がこのように答弁をされています。「ライドシェアについては、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としており、このような形態の旅客運送を有償で行うことは、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があると考えております。」と。

 大臣はどのようにお考えですか。

中野国務大臣 結論から申し上げますと、御指摘いただきました斉藤前大臣の答弁の内容、現在の私のライドシェアに関する認識も同様でございます。

 何度も申し上げておりますが、有償で旅客を運送するサービスにつきましては、やはり、一つは、適切な運行管理、車両整備管理によるドライバー、車両の安全の確保が必要。そして、事故のときを始めとした運送の責任、これも重要です。そして最後に、ドライバーの適切な労働条件の確保。この三点が重要であるというふうに思っております。

 ですので、御指摘の、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かずに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態で旅客運送を有償で行うことについては、安全の確保、利用者の保護の観点から問題があるというふうに考えております。

 こうした観点から、国土交通省においては、安全、安心の確保を前提として、タクシー事業者の管理の下で、地域の自家用車と一般ドライバーを活用しました日本版のライドシェア、これを本年三月に創設をしたところであります。

 今後とも、これを交通空白解消の一つのツールとして、地域の実情に応じまして、各種ツールを適切に組み合わせて実装をする取組を支援してまいりたいと思っております。

森山(浩)委員 来年の春からの万博に向けまして、大阪版ライドシェアという議論が進んでいるとお聞きをしています。しっかりと基本を踏まえた上で議論をしていただきたいと思います。

 三つ目です。

 大阪IRについてということで、公明党さんは、一貫してカジノ、IRの推進担当大臣を務めてこられました。私は、そもそもカジノなんか要らぬというような立場でありますけれども、とはいえ、カジノを引っ張ってくるというような法律を作った状況とは、世界的な情勢、またマーケットの状況、こういったものが随分と変わってきているなというような思いもしております。

 コロナでなかなか集まらなくなってきた、あるいはオンラインのカジノが、蔓延と言ったらあれですね、日本以外は合法なところもありますから、オンラインのカジノが伸びてきているというような状況も含めて、今どき、あの規模のランドカジノをやるというような計画は大阪以外にはないわけですけれども、IR法制定時と現在では状況が変わっているということも踏まえた上での、現在の大臣のお立場をお聞かせください。

中野国務大臣 IRについての御質問でございます。

 改めてになりますが、IRは、カジノだけではなくて、大型の国際的な会議等を開催できるMICEの施設、大型のホテル、あるいは家族で楽しめる娯楽施設、日本ならではの魅力を発信をして、そして国内の各地への送客、お客さんを送っていく施設などが一体的に整備をされるものでございます。そういう意味では、多くの観光客を呼び込む滞在型の観光の拠点である、それがIRであると思っております。

 IRを整備をすることにより、長期滞在の促進や消費単価の拡大等に資するなど観光振興の側面に加え、雇用の創出、周辺地域への来訪の誘発など、地域の活性化につながる効果が期待をされると考えております。

 ですので、IRは、引き続き、我が国が観光立国を推進する上で取り組むべき重要な施策であると考えております。もちろん、依存症対策などの弊害防止対策は万全を期した上で取り組んでまいりたいと思っております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 では、まず依存症対策から行きましょうか。

 今回の大阪のIRにつきましては、ギャンブル依存症対策、これは頑張るんだよというような話になっています。ただ、これは大阪任せになっていて、大阪の府域を越えたところ、つまり、和歌山や奈良や京都や兵庫からも人が来るわけですが、依存症になって地元に帰ったときには大阪まで相談に来いというような形ではちょっと困りますよね。

 そういう意味で、大阪任せでいいのか、府県境を越えたギャンブル依存症対策というのが要るのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

吉岡政府参考人 お答えいたします。

 ギャンブル等依存症対策につきましては、ギャンブル等依存症対策基本法というのがございまして、それに基づいて基本計画を策定をいたしまして、関係省庁が一体となって総合的かつ計画的に対策を進めてきておるところでございます。

 具体的に申し上げますと、居住する地域にかかわらず、ひとしくその状態に応じた適切な医療や相談につなげることができるようにということで、専門医療機関の整備ですとか地域における相談拠点の整備等の対策を推進してきておるところでございます。

 政府といたしましては、依存症により不幸な状況に陥る人をなくし、国民の健全な生活の確保等を実現するために、引き続き、各自治体におきますギャンブル等依存症対策の取組が推進されるように、基本計画に基づく取組を着実に実行してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 ほかの府県並みに、一緒にやるという話ですから、大臣としては、IRを誘致をするという中においては、大阪とその周りについては厚めにやってくれよということをしっかり内閣でも言っていただくということが大事かなと思います。

 オンラインのカジノ、これは違法なんですけれども、この広告にスポーツ選手を起用して、そこが非常に低いハードルとなってしまって違法行為に手を染めるというようなことになっています。昨日も、ギャンブル依存症の家族の会の皆さんがおいでになって、本当に聞いていて悲しくなる、胸の痛い話をたくさんお聞きをいたしました。

 総務省ではインターネットの事業者に対して、あるいは警察庁さんの方でも幇助罪とかいうのをやりながら、工夫をしていただいていますが、基本的に、スポーツ選手あるいはスポーツチームに対して、そういうのに協力しない方がいいんじゃないのかというようなことを、例えばスポーツ庁さんから通達を出したり喚起をしたりというようなことはできないですかね。

橋場政府参考人 お答えいたします。

 日本では賭博は違法とされておりますので、スポーツの振興におきましても、スポーツ関係者のコンプライアンスに対する意識の徹底が重要と考えています。

 スポーツ庁では、スポーツ団体が適切な組織運営を行うための原則、規範としてスポーツ団体ガバナンスコードを策定し、各スポーツ団体への周知を図っています。このコードの中では、スポーツ関係者のコンプライアンス意識の徹底やコンプライアンス教育の重要性についても示しているところです。

 今後も、関係団体と連携しながら、スポーツ関係者が違法な賭博を始めとする違法行為に関わらないよう、スポーツ関係者のコンプライアンス意識の徹底等に取り組んでまいります。

森山(浩)委員 そのコンプライアンスの中にこれがしっかり入っていたら、サッカー選手のユニホームのところにカジノの会社、オンラインカジノの会社のロゴが入っていたりしないんじゃないですかね。あるいは、ページなんかも見ていただきたいんですが、スポーツ選手が私もやっていますとかと入ってくる。こういうようなものなんかも、直接違法ではないという部分に関してしっかり見ていただくことが必要かなというふうに思いますので、しっかりまた議論をしていきたいと思います。

 さて、MICEの施設ですよというような話がありました。国際会議場については六千人規模、これは、日本最大規模、パシフィコ横浜とほぼ同規模というふうにお聞きをしています。ところが、国際展示場、これについては非常に小さいところからスタートというふうに聞いています。東京ビッグサイト、十一万五千平方メートル、これに対してインテックス大阪が七万平方メートルということで、インテックス大阪では東京に来たものを処理し切れないんだということがスタートの議論だったと思いますが、何と、大阪の今回のMICEの施設では、国際展示場は二万平方メートルからスタートをする。これでは国際展示場は活用できないんじゃないですか。

平嶋政府参考人 大阪の区域整備計画におきましては、先生おっしゃいましたとおり、国際会議場について六千人以上が収容できる最大会議室を備えるということ、また、国際展示場について、二万平方メートル程度の展示場、展示ホールを備えるという計画となっております。これ以外にも、ホテルとかいろいろなものが複合的に整備される計画となっております。このうち国際展示場につきましては、順次拡大して、最終的には十万平方メートル以上まで拡張整備されるものと認識しております。

 なお、過去の開催実績としまして、六千人程度の国際会議というのは、大体、土木学会など極めて大規模な学会、また十万平方メートルというのはジャパンモビリティーショー、こういった催しが開催される実績がございます。

森山(浩)委員 会議場については使えるめどがついているけれども、展示場は使えるまで時間がかかりそうだよねというような話だったと思いました。

 以上で終わります。

井上委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。徳安淳子君。

徳安委員 日本維新の会の徳安淳子です。

 初めての質問の機会をいただき、ありがとうございます。特に、中野国交大臣に質問させていただけるということは、地元が同じで、尼崎であれほど盆踊りで一緒に踊っていた方に質問できるというのが本当に光栄でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。

 限られた時間でありますので、早速質問に入ります。

 一点目は、能登半島地震の復旧復興支援に関してであります。

 中野大臣の所信の中で、能登半島地震の現場を視察され、改めて被害の甚大さを確認し、災害への備えや早期の復旧復興の必要性を痛感したと述べておられます。復旧復興の必要性について、視察内容も含めて、もう少し具体的に中野大臣から御説明をお願いしたいと思います。

中野国務大臣 徳安委員にお答えを申し上げます。

 地元で一緒に活動させていただいている徳安委員の御質問でございます。しっかりとお答えしてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 視察の状況、また復旧復興のということで御質問をいただきました。

 私も、国土交通大臣に着任をいたしまして、特に、斉藤前大臣からも、能登半島地震の復旧復興ということで、最優先事項でということでお話をいただいてきたところであります。特に、現場をしっかりと早く自分の目で見て、その復旧復興が早く進むようにということでお話も受けてまいりました。

 私も、着任して最初の視察ということで能登半島に早速行かせていただきまして、特に、能登半島地震、大変大きな被害を受ける中で、また、九月にも豪雨災害があったということで、現場の復旧復興に携わられる建設業の関係の皆様でありますとか、あるいは実際に水害で被害を受けた現場の視察でございますとか、あるいは国の方でしっかりと復旧復興を進めている道路の復旧の状況等々含めて見てまいりました。改めて被害の甚大さと早期の復旧復興の必要性ということで痛感をしたところでございます。

 具体的な進め方ということで、インフラの復旧の状況等も含めて答弁させていただいてもよろしいでしょうか。

 そういう意味では、国土交通省では、能登半島地震で、また九月豪雨で被災された方々が、暮らしとなりわいの再建というのをしっかりしていかないとということで、予備費も活用いたしまして、予備費の合計が、二千七百十四億円活用させていただきまして、インフラの復旧、また町の復興ということで全力で取り組んできたところでございます。

 少し具体的なところも御紹介させていただきますと、インフラの復旧につきましては、地震や豪雨で発生をした県道以上で計百三十五か所通行止めがございましたけれども、今月末までにはこれが計十九か所まで減少する、通行止めの解消をやってまいりました。また、国道二百四十九号というのが能登半島の一番北側の道路であるんですけれども、これは国が権限を代行しまして、国が工事をするということで、国道二百四十九号の沿岸部では、輪島市の門前町、輪島の方から珠洲市の間の通行を確保するという予定でございます。断水も問題になりましたが、建物倒壊地域等を除く全ての地区で、断水も年内に解消する予定でございます。

 町の復興につきましては、国直轄で調査をいたしまして、それぞれの市町が復興まちづくり計画を策定をしているのを支援をしているところであります。これも、今月末までに全ての被災市町で計画又はその素案が作成をされる見込みでございます。

 こうした復旧復興、できるだけ、いつまでにどういうことが進むという見通しをお示しをすることが大事だと思っておりまして、具体的な見通しをお示ししながら進めることで、被災者の方々が暮らしとなりわいの再建に取り組みやすくなるよう努めてまいりたいと思います。

徳安委員 早速に、いろいろと細かく御説明いただいてありがとうございます。

 確かに、今月末までに、年内に断水も解消するということで、どうしても、一月一日発災から今まで、非常に、国民、私たちも目にしてまいりましたのが、崩れたままの撤去されていない家屋とか陥没している道路、そしてまた避難生活が長きに及んでおられる方々、その御様子を拝見するたびに本当に心を痛めておりましたけれども、これまでそのようにされているということなんです。

 一点確認。予備費二千七百十四億円というのは、これまで六回ほど予備費を活用しているとお聞きしているんですけれども、その総額ということでよろしいんでしょうか。

中野国務大臣 はい、御指摘のとおり、今までの合計ということで、予備費計二千七百十億円ということでございます。

徳安委員 新聞報道とまたちょっと違う数字のような気がするので。私が見たら、総額で六千億とか、何かそういうような数字も拝見したんです。またちょっとそれは後で確認もさせていただきたいと思うんです。

 石川県がまとめた公共土木施設の被害額、十二月の十三日時点で一兆二百億円という新聞発表がございました。これまでの予備費の総額の金額と今回の補正予算分、災害復旧三千六百六十八億、補正予算で上げていますけれども、そのうちの能登関連の公共土木という災害復旧費というのが八百七十一億と聞いているんです。さらには、プラス増額分、一千億積み増したということですが、その分である程度賄えるというようなお考えでいらっしゃるんでしょうか。

中野国務大臣 先ほどの予備費のところで御指摘がございましたけれども、私の申し上げた二千七百十四億円というのは、国土交通省の関連の事業の合計額というところでございまして、政府全体の数字となると、またそこは変わってくるというふうに思っております。

 いずれにしましても、この予備費も活用してまいりました。そして、今回の補正予算につきましても復旧復興に必要な事業ということで計上をさせていただいた、そのように思っております。

 引き続き、インフラの復旧、町の復興ということで、しっかりと国土交通省として取り組んでまいりたいと思っております。

徳安委員 失礼いたしました。ありがとうございます。

 新聞報道は総額という形で、そのように私も今理解したところでございます。

 また、先ほど答弁の中で、いつまでに、見通し、具体的な日時ということをまさしく積極的におっしゃっていただいたなというふうに思うんですけれども、まさに地元の神戸新聞の十二月十六日付で、能登の復興進まずというふうにアンケートに答えた方が六三%おられます。さらには、自宅再建の二重ローン、経済的支援というものを訴えておられます。

 令和七年度中、来年度中には何とかというような目標設定をお願いしたいと思うんですが、改めて、具体的な日時、意気込みをお聞きしたいと思います。

中野国務大臣 私も現地を視察してまいりました。珠洲市も行きましたし、輪島市も参りました、朝市のところは火災もございまして。実は今年、私が国土交通大臣に就任をする前に朝市の輪島市のところも行かせていただいたことがあるんですけれども、なかなか公費解体が進んでいない状況がございました。今回行かせていただいたタイミングでは、かなり解体も進んで、これからの復興、まちづくりというところにいよいよフェーズが進んでいくというふうに思っております。

 七尾市も行かせていただきました。珠洲市長あるいは七尾市長、こうした首長の皆様から、地震以降の取組、御説明をいただいたほか、復旧復興に具体的に携わっていただいた皆様の声、あるいは和倉温泉の観光協会の皆様でありますとか、大きな被害を受けた皆様のお声も聞かせていただきました。

 皆様、やはり、今回、九月の豪雨もございましたので、何とか地震からの復旧復興ということで、いよいよこれからかというときにまたあの豪雨が起きて、本当に心が折れそうになった、また本当に心が折れてどうしようかと思った、そういう切実なお声もいただいたところでございます。

 そうしたところから、迅速な復旧復興、そして生活やなりわいの再建、これは国土交通省として全力で取り組んでまいります。引き続き、できる限り具体的な復旧復興の見通しを示しながら、何についてどれまでというのは、御地元の御要望やそうしたところも、御意向もしっかり踏まえながらまた考えていかないといけないと思いますけれども、できる限り具体的な見通しを示しながら、インフラの復旧、町の復興に全力で取り組んでまいりたいと思います。

徳安委員 先ほどの御答弁の中に、もう一点、断水が年内に解消するというお話もございました。それはよかったんですけれども、一年たってやっと全てが解消するというのが本当に果たして早いのかどうかというところもしっかり検証していただきたいなというふうに思っております。

 そういう復旧が遅れるから、災害関連死、午前中にもお話ございました、今、十二月十三日発表で、二百六十一人が災害関連死という発表もございまして、石川県内の自治体には更に二百二十人くらいの御遺族からの申請が出ているということです。

 それも踏まえまして、これからどこでどのような発災があるか分かりません、被災した方々が元の生活に戻れるのか不安な状況を一刻も早くやはり解消するということを、私たちもしっかりとまた前に進めていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 時間がないんですけれども、もう一点だけ。河川整備に係る計画の見直しと、治水の取組についてでございます。

 気候変動による豪雨災害、高潮被害、そして堤防決壊など、河川整備計画の見直しというのは早急に行うべきではございます。ただ、これまでの対策で対応できるのかを検証され、計画の見直しに取り組まれることには大いに期待するところでございます。

 見直し箇所で、特に重点を置いた施策をお聞きいたします。

中野国務大臣 河川整備に係る計画の見直しということで、流域治水の取組、ちょっと全体的なお話にまずはなるかと思いますけれども、気候変動の影響によりまして、世界の平均気温が二度上昇した場合、我が国では、治水計画の目標とする降雨量、これがどのくらいの雨に対応する計画かということでありますが、降雨量が約一・一倍に増大をするということが推計をされております。

 このため、現在の治水計画の目標とする安全度を将来にわたって確保できるように、これはそれぞれの水系ごとになるんですけれども、治水計画の目標となります流量などの見直しを進めているところであります。

 あわせて、流域のあらゆる関係者が協働しまして、縦割りではなく、流域全体でハードの対策、そしてソフトの対策、これを総動員をするのが流域治水という取組でありまして、総合的かつ多層的に取り組んでいるところであります。

 具体的な取組でいいますと、例えば、河床の掘削であるとか堤防の強化、ダムの整備もございます、土砂や流木の対策もございます。あるいは、避難の実効性確保に向けまして、これは中小の、小さい河川も含めてハザードマップをしっかり作成をしていただくということで、ハード、ソフト併せて、様々な手段を用いて流域治水、これを全国的に推進をしてまいりたいと思っております。

徳安委員 今のお話の中で、まさに掘削、堤防強化、そして流木ですね。流木の件に関しましては、大臣も御存じのとおり、地元で、済みません、阪急電鉄の橋脚のところにかなりの流木がたまっているということで、日々、皆さん、流域にお住まいの方々が不安に思っておられます。

 是非、そこは早めに撤去、除却していただいて、防災・減災の強化の取組の一つとして進めていただきたいと思っております。どうかよろしくお願いいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 まずは、中野大臣、大臣御就任おめでとうございます。

 その上で、前任の斉藤前大臣からどのような重点項目を引き継がれたか。先ほど、徳安議員からの、御答弁に対して、能登の復興の話もありましたし、所信において三本柱のことも挙げられましたので、それ以外で、重点、重要項目、どんな引継ぎをされて、また、前大臣と違う新たな試みもあれば、簡単でいいので、まず教えてください。

中野国務大臣 斉藤前大臣からは、国土交通行政全般に関して引継ぎはいただきまして、先ほど申し上げた能登半島地震からの復旧復興、防災・減災、国土強靱化、あるいは交通の安全、安心もございますし、交通空白の解消ということもございました。あるいは持続的な観光の推進、様々な項目、取組を進めていただきたいということで引継ぎを受けたところでございます。

 特に、国土交通省は国民生活に直結した仕事であります。国民の皆様からの御期待も大きいということで、しっかりと取組をしてほしいということや、全国各地方支分部局も含めて、海上保安庁等々、六万人の職員がある、現場を抱える役所でございますので、そうした職員の皆様から信頼されるリーダーになってほしいという、斉藤前大臣からはそのようなお話もいただいたところでございます。

 今、取組ということで、まず第一に、やはり能登半島地震、また自然災害、様々ございますので、この復旧復興というところをまずは総力を尽くして頑張ってまいりたいと思いますし、先ほど三本柱で挙げていただきました、国土交通省、やはり安全、安心の確保ということが大事であります。そして、持続的な経済成長の実現という、インフラ等々を含めて、経済を支えるという大きな役割があると思います。そして、地方創生二・〇というのが石破政権の大きな柱でございますので、それに資するような取組をしっかりと行っていきたい、こういう思いでございます。

 また、それ以外にということで、基本的にはこういうところかと思うんですけれども、例えば、国土交通省、こうした経済成長を支える、いろいろな、働いている方の担い手確保というのも今大きな問題になっております。国土交通省関連の建設業、運輸業を始め、若い方、働かれている方、しっかり希望を持って働けるような、そういう担い手の確保の取組も進めてまいりたいと思っておりますし、また、GX、DXのような、本当に経済成長に資するような取組も様々ございますので、しっかりと、国土交通省、総合力、現場力を発揮をして、皆様のお役に立てるように頑張ってまいりたいと思っております。

伊東(信)委員 三本柱の安全、安心の確保の話をされまして、持続的なと。地方創生二・〇、この辺りを重点にということなので、では、せっかくですので、その辺りで御質問させていただきますと、まず、国民の安全、安心の確保で、防災・減災、国土強靱化のためには、五か年加速化対策、資料一に挙げているんですけれども、これに基づく対策を重点的かつ集中的に講じるとも述べられていました。

 これは令和七年度で終了するんですけれども、現行の五か年加速化対策で設定目標が達成困難と。これは引き続き実施するということなんですけれども、もうあと僅かなんですけれども、現時点で達成困難だと予測されている項目というのは何項目あって、それは中身は何なのか。また、達成困難な理由というのがあると思うんですけれども、それをちょっと大臣から教えてください。

中野国務大臣 達成が困難な項目ということで、少しお話をさせていただきます。

 今委員御指摘の五か年加速化対策、これに基づきまして、防災・減災、国土強靱化の取組を進めてまいりました。

 この五か年加速化対策では、重要業績評価指標、KPIということで、個別施策ごとの評価を実施をしているところでございます。最新の令和五年七月時点の評価でいいますと、国土交通省の所管で五十四対策、七十二施策というところであるんですけれども、当初設定した目標を達成をする見込みなのが四十九施策、課題への対応次第で達成をするという見込みが二十一施策、達成困難の見込みが二施策となっております。

 各施策、直面している主な課題ということで申し上げますと、一つは、やはり昨今の資材価格や人件費が高騰をしております。コストが増大をし、工期が伸びているというところに対応しないといけないというところや、また、豪雨や地震災害、やはり災害が発生しますので、工事等が手戻りがありまして、それに対応するというところが課題となっております。

伊東(信)委員 豪雨や災害と。どれだけ対策を立てていても、天災に関してはある程度仕方ない部分もあるんですけれども、それに対する対策を立てるというのも、やはり国の政治としては大事なことだと思います。そのことに関しては、次の質問のまた更に次に質問させていただくんですけれども。

 さきに持続的な経済成長の実現とおっしゃったんですけれども、地域を支える基幹産業を活性化し、成長を高めていくということなんですけれども、私の地元は関西国際空港がございまして、この空港を効率よく運営をしていくということは、やはり日本全体の景気に寄与することだと考えておりますし、皆さんも同じ認識を得ていただいているのではないかと思います。

 関空では本年三月より、資料に挙げていますけれども、キックス・カーゴ・クラウドという、この仕組みがトライアルで導入されました。日本国内空港で初の取組になる貨物取引の事前予約制が十一月より本格運用をされたんですけれども、これは現在どのような状況であるかということを国交省でどのように把握しているか。また、同様のシステムは成田でももう既に導入されているということですけれども、経済効果はどれぐらい生まれているか。分かっていれば、これは政府参考人からでよろしいので、御説明をよろしくお願いします。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘のありました、関西エアポートが導入いたしましたキックス・カーゴ・クラウドでございますけれども、これは、荷主企業等と空港との間で事前に貨物、車両の情報をシェアいたしまして、空港上屋における輸入貨物の引取り時間を予約するというシステムとなっているところでございます。これによりまして、トラックドライバーの待機時間短縮を図れるとともに、紙による各種手続業務のデジタル化なども図られる、こういうものだというふうに承知をしているところでございます。

 関西エアポートにおきましては、本年三月に一部の事業者を対象としたトライアルを行ったところ、システムの利用につきまして一定の習熟が必要となることが明らかとなりました。このため、一定の試行期間を置いた上で、先月末から正式な導入を行ったところであります。今後、経済効果等の検証を実施するというふうに聞いているところでございます。

 国土交通省といたしましては、二〇三〇年度に向けた政府の中長期計画においてデジタル技術を活用した物流効率化を推進することとしており、引き続き、関係事業者と連携しつつ、国の物流を支えるための環境整備に向けて、航空物流における効率化の実現を目指してまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 成田の場合は比較的輸出が多い空港で、関空の場合は輸入が多い空港だと聞いております。大臣、GX、DXの方の推進もということでおっしゃっていましたけれども、まさに、そのことも含めまして、やはり紙で伝達するよりもDXを使うとかなり効率化が図れると思いますので、その辺りの検証とか、特に、来年、万博がありまして、万博の場合は旅客の方なんですけれども、そういったところで関空自体がやはり混乱を起こす可能性もありますので、貨物のところのこういったシステムを更に大きく活用していただければと思います。

 三つの柱に関して質問させていただいているんですけれども、ここで私の地元のもう一つのお話になるんですけれども、まさに昨日、この地域、十九区以外の泉州地区の首長が国交省に対して、紀淡連絡道路実現期成同盟会というのをつくりまして、紀淡道路等の実現についての政策提言をされました。幾つかあるんですけれども、五項目ある中で、紀淡海峡ルートの早期実現につながる技術開発や研究調査など、広域的な交通体系の調査を積極的に推進することというような要望をされています。

 その上で、大臣が所信で三つの柱の話をされたんですけれども、四つの国土軸を形成して日本を多軸型の国土構造に転換していくことによって、利便性や経済発展性だけじゃなくて防災対策にもなるとやはり考えております。メリット、デメリット、いろいろあると思いますけれども。

 まずは政府に、この議論の前にちょっと技術的なお話をさせていただきたいんですけれども、先日、新幹線のトンネルの掘削技術に関してのレクをもらいまして、トンネル技術の説明を受けたんですね。これは資料三にあるんですけれども、その中で海底トンネルの工法についてもお聞かせいただきまして、十九区においてこの紀淡連絡道路を実現させたいという思いが地元にもありますし、私にもあります。自治体による期成同盟会も、今お話ししたようにあるんですけれども。

 では、この紀淡連絡道路を実現する上で、国交省において、過去に具体的に調査したこともあるとお聞きしているんですけれども、それはそうなのか。その際、構造形式の検討や予算を検討されたのか。現在の技術ではどのような構造形式が最適であるのか。もしそういったところが答えにくいのであれば、国内事例というのがこの構造形式に関してあると思いますので、その点をまとめてお答えください。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 海峡を横断する道路といたしまして、例えば、兵庫県神戸市と淡路市を結びます明石海峡大橋、あるいは神奈川県の川崎市と千葉県の木更津市を結ぶ東京湾アクアライン、こういった海峡を横断する道路がございます。

 こういった道路の構造の形式でございますけれども、明石海峡大橋については、全長約四キロの全て、橋梁の形式となっております。一方、東京湾アクアラインにおいては、海ほたるというパーキングエリアがございますけれども、そこを境といたしまして、神奈川県側が約十キロの地下のトンネルの形式、千葉県側が約四キロの橋梁の形式となってございます。

 こうした構造形式につきましては、海峡部の長さでありますとか、水深でありますとか、地質、風の影響、あるいは潮の流れ、そういった現地の状況のほかに、例えば、航路があるのかどうか、そういったこと、あるいは費用面、そういったことも総合的に勘案して決定をされてきているものでございます。

伊東(信)委員 つまりは、地域地域ごとに調査した上でないとどれが適正か分からないというお答えだと思うんですけれども。

 その上で、四つの国土軸を形成することは、地域の経済発展、南海トラフ地震などの大規模災害に備えるために本当に大事だと思いますし、中野大臣は兵庫尼崎というところで、私は、小中高、大学、六甲でして、神戸でして、まさに平成七年のときに被災に遭うておりまして、阪神高速が魚崎で倒れましたので、当時、僕も医者になって大阪にいてたんですけれども、親元に物資を届けるために、原付では通れたんですね、原付でリュックを抱えて行って。あのことをしっかりと覚えているんですけれども、やはり、こういった予備手段の確保、リダンダンシーを確保することは非常に重要だと思っています。

 本当は紀淡海峡大橋をわっと聞きたいんですけれども、改めて、四つの国土軸の形成に対する大臣の見解を最後にお聞かせください。

井上委員長 時間が参っておりますので、手短に答弁をお願いします。

中野国務大臣 四つの国土軸というのは、平成十年に策定された二十一世紀の国土のグランドデザインで位置づけられたものでございます。

 今の国土形成計画におきましては、日本海側、太平洋側の二面活用により、国土全体にわたる広域圏相互間の連結強化を図る全国的な回廊ネットワークの形成を図る、広域にわたる巨大災害におけるリダンダンシーの確保を図るためのネットワーク機能を強化するということで、これまでの国土計画において構想され、二十一世紀を通じて明らかにしていくこととされたこの四つの国土軸構想とも重ねていくということとしております。

 国土交通省としましては、人口や諸機能が分散的に配置をされる国土構造を目指しまして、陸海空それぞれのインフラ整備を着実に進め、シームレスな総合交通ネットワークの機能強化などを推進してまいります。

伊東(信)委員 また聞きますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

井上委員長 次に、鳩山紀一郎君。

鳩山(紀)委員 国民民主党の鳩山紀一郎でございます。一年生議員でございますけれども、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、これまで二十年間ほど、大学教員として、社会基盤学、とりわけ交通や都市計画といった分野を専門に研究を行ってまいりましたので、その経験や知見にも基づいて質問をさせていただければと思っております。

 まず、私は地域公共交通の在り方に関して研究を行ってきた、そういう経緯もございますので、地域公共交通に関連いたしまして質問をさせていただきます。

 中野大臣、高見政務官におかれましては、最近、地域の交通空白の解消の取組を御視察されたというふうに承知をしております。最近ようやくこの交通空白ということの問題がきちんと取り上げられるようになったというふうに認識をしております。

 この問題の解決のために、これまで各地で様々な工夫ですとか努力というのが実際に行われてきたわけでありまして、私がほぼ毎回参加をしております、くらしの足をみんなで考える全国フォーラムというのがございますが、この会議では、毎年、全国各地から、地域の公共交通の取組に頑張っておられる、そういう地方自治体であったり、あるいは企業であったりNPOだったり、そういう団体の方々がたくさんお集まりになって、それでお話をされるわけで、その中では、身を削って、苦労されて、何とか、自分では運転できない方々の移動支援をしたり、そういうことを続けておられる方々の悲痛な声も伺ってまいりました。

 大臣にお伺いしたいんですが、私は、国民の移動の自由というものを保障することは国の責務であろうと考えておりますが、お考えはいかがでございましょうか。

中野国務大臣 鳩山委員にお答え申し上げます。

 地域公共交通について様々な取組を重ねてきておられまして、本当にありがとうございます。

 先ほどの、地域の移動の足の確保という点につきましては、私も、人口減少、高齢化も進展をしている、公共交通機関の利用者も減少している、運転者の人手不足もある、そして、高齢化が進んで、今、高齢者の方は免許を返納されている方が増えていますので、やはり移動手段の確保、これがまず大きな、地域で今深刻な課題であるということをまずは認識をしております。

 他方で、地方では、委員も御承知のとおり、買物や医療や教育など日常生活に必要不可欠なサービス、これが再編をされて、どんどん統合されていっているわけでございます。ですから、これらのいろいろな日常のサービスにアクセスをしないといけない。ですから、地域の公共交通の役割というのが、まさにそこに求められているというふうに思います。

 まさに、国がしっかりとこの地域公共交通の維持、活性化、地域の暮らしや経済を守るため、しっかりと取り組んでいかないといけない、このように考えております。

鳩山(紀)委員 ありがとうございます。

 移動の自由というのはちょっと、やや踏み込んだ表現だったかもしれませんけれども、基本的に、その地域の公共交通を守っていかなければいけないという点においては大臣とも意識を共有しているということが確認できまして、安心をいたしました。

 この移動の自由の保障というのは、私は国の責務であると考えておりまして、これを国の責務であるとする以上は、交通空白地域というのは本来あってはならないはずでありまして、しかし、実際には多くの交通空白地域というのがいまだに残っているということでございます。

 これまでなかなかこの交通空白地域の解消というのが進んでこなかった、その原因というのはどういうところにあるというふうにお考えでしょうか。

池光政府参考人 お答えいたします。

 地域交通は、人口減少や高齢化等によります利用者の減少、運転者不足等、厳しい状況にございます。鉄道、バス路線の減便、廃止等のサービスの低下も、それに応じて進んでおります。

 今委員御指摘いただいたように、地域交通の足の課題の解決ということで、これまでも私ども、取組を進めてまいりましたけれども、様々課題があると承知しております。例えば、いわゆる事業者との調整の問題でありますとか、あと、やはり、いろいろな制度を用意はしておるのでありますけれども、その制度に係る情報とか知見の収集、それから自治体側における体制とか、あるいは財政的なそういう余力、こういった面での課題がありまして、まだまだ工夫や努力が必要なものだというふうに承知しております。

鳩山(紀)委員 原因は一つじゃありません。いろいろな原因があると思いますけれども、実際に私が過疎地域などにおいて研究をしてまいりました経験にも基づきますと、持続可能性、ビジネスあるいはその事業の持続可能性というところが十分に考えられてこなかったというところ、これは国側の仕組みづくりの面も含めてですけれども、これが十分に考えられてこなかったというところに大きな原因の一つはあったのではないかなというふうに思っております。

 過疎地域などに実際に参りますと、そこには、多くの地域において、余っている車両は実際にありますし、実際に運転できるドライバーの方々もいらっしゃるわけですね。しかし、地域住民の移動のニーズとドライバーをうまくマッチングできる、そしてドライバーもきちんと稼げる、そういう仕組みがなかなかできてこなかったというところではないかなと思っております。

 このきちんと稼げるという意味では、現在各所で進められております公共ライドシェア、これは今まで自家用車有償運送ですとか交通空白有償運送というふうにされてきたものだと思いますが、それがいつの間にかこういう呼び名になっておりますけれども、こちらについて、これまではタクシーの料金の半額ぐらいしか取らなかったという運賃が、タクシーの料金の八割程度というふうに取れるようになったというのは、採算性の面でよい変更だったのではないかなというふうに考えております。

 このマッチングに関しても、現在はアプリなどで比較的容易にマッチングができる時代ですので、そういったプラットフォームなども活用していけばよいのではないかなと私としては考えておるところです。質問というよりはコメントになりましたが、そんなところを考えております。

 ところで、先ほどちょっと話題に出しましたが、ライドシェアに関してなんですが、昨年末に、規制改革推進会議が、ライドシェアについては、地域や時間を限定した解禁の方針を二〇二三年内に示した上で、地域や時間を限定しない解禁の方針も二〇二三年度内に示すべきだという提言を公表したというふうに承知をしておりまして、それを受けて、自民党政権でも、地域や時間を限定しつつ、タクシー会社による運営を義務づける形での解禁というのを実施いたしました。これが、いわゆる日本版ライドシェアというものでございます。

 このとき、ライドシェアの全面解禁についても六月をめどに道筋をつけるということになっていたかというふうに記憶をしておりますが、これについて、ライドシェアの全面解禁に向けた議論というのは現在どのような状況となっているのか、お伺いしたいと思います。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、昨年十二月、デジタル行財政改革中間とりまとめでは、タクシー事業以外の者がライドシェア事業を行うことを位置づける法律制度について、本年六月に向けて議論するという形になっておりました。

 本年六月は骨太の方針が閣議決定されまして、その内容はといいますと、一つは、安全を前提に、いわゆるライドシェアを全国で広く利用可能とする、もう一つは、全国の移動の足の不足の解消に向けて、自家用車活用事業等について、モニタリングを進め、検証を行い、各時点での検証結果の評価を行う、三番目に、並行して、こうした検証の間、タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業について、内閣府及び国土交通省の論点整理を踏まえ、法制度を含めて事業の在り方の議論を進めるというのが、六月の閣議決定でございます。

 今、国土交通省としては、委員も御指摘いただきました、全国での交通空白解消の取組を、まさに解消の本部を立ち上げまして行っているところであります。ですので、この方針に従いまして、安全、安心の確保を前提に、日本版ライドシェアや、先ほど委員からも御指摘があった公共ライドシェア等も含めて、施策を進めております。この実施効果を検証をしながら、地域交通の担い手や移動の足の確保の取組というのをしっかりと進めてまいりたいと思っております。

鳩山(紀)委員 ありがとうございます。

 今は検証の段階ということなのかなというふうに認識をいたしました。

 研究者の立場として一言申し上げれば、このライドシェアというものに関しては、今ある日本版ライドシェアとかも含めてですけれども、うまく工夫等をして実施をしていくということによって、運賃も下げて、移動の利便性も上げられて、ドライバーの収入も増えて、そして安全性も増える、そういうことを狙える可能性はある交通手段ではないかなというふうに考えているところでありますので、引き続き検討については慎重にしていただきたいというふうに思っております。

 ここまでの議論は、どちらかというと、過疎地ですとか地方部の、高齢者などの運転ができない方のための移動の自由の話でしたが、次に、地方の中規模、大規模の都市の交通問題にも話を移させていただきます。

 先日、大臣の所信表明の中に、暮らし、まちづくりの分野でも二〇五〇年カーボンニュートラルに向けたGXに取り組むというような御発言があったと承知をしております。

 この観点から、都市交通に目を向けますと、車依存による交通渋滞などの問題があると思っております。例えば、熊本のテクノパークの周辺では交通量が増加して、新たに十か所以上の渋滞箇所が加わったというような報道も最近ございました。

 二〇五〇年のカーボンニュートラルというのを考えますならば、地方都市における公共交通利用の促進というのを図っていくということも重要と考えますが、大臣、御意見はいかがでしょうか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 委員が御指摘の点、非常に重要だと思っております。まさにカーボンニュートラルの実現に向けて環境負荷を低減をするためには、特に御指摘の地方部、ここは自家用車から、より公共交通、これは二酸化炭素の排出量も少ないわけでございますので、公共交通の利用を進めていくということが非常に重要であります。

 このため、国土交通省としましては、より使い勝手のよい公共交通を実現をしないといけないという観点から、今、地域の関係者の皆様と連携、協働をして、利便性、生産性、また持続可能性、委員が先ほど来おっしゃっておられた持続可能性を高めて地域公共交通を再構築する、リデザインということで呼んでおりますけれども、これを進めているところでございます。

 例えばの例でいいますと、同一の自治体内のふくそうするバスの輸送を統合再編をして効率的な運行をしたり、運行本数を増加をして利便性の向上をしたりという事例でございますとか、あるいはLRTの整備とバス路線の再編を基軸としたまちづくり、これを行って公共交通を利用していただくという取組を支援をしております。

 国土交通省として、より利用しやすい公共交通の実現を進めることで、環境負荷の低減を図り、更なる公共交通の利用の促進を進めてまいりたいと思います。

鳩山(紀)委員 ありがとうございます。

 先日の所信表明の中に公共交通利用促進というようなお言葉がなかったので、念のためお伺いをしたというところでございます。

 当然、公共交通には、まとめて人を運ぶということによって車を減らす、そして都市機能も向上するというような重要な役割もありますので、これをどう実現するか。今、都市圏内の公共交通というのはどちらかというと地方任せになっていて、自治体の財源も限られてしまうので事業者が独立採算で運営することになって、それで地方都市圏ですとか三大都市圏でも郊外の方では公共交通を減便せざるを得ないというような状態も多いというふうに認識をしておりますので、こちらについては、中規模、大規模の都市圏、郊外部なども含めて都市公共交通を維持していくため、例えば環境性能の高い車両を導入するなどの公共交通のイメージ刷新なども必要になっていくかなということを考えておるところでございます。ありがとうございます。

 最後に、ちょっと話題が変わりますけれども、所有者不明土地対策に関してお伺いをしたいというふうに思っております。

 八年ほど前だったと記憶しておりますが、合計して九州一つ分に匹敵する面積の土地の所有者が不明であるというようなニュースがありまして、衝撃が走ったことを覚えております。国土は国民や国家にとって貴重な財産でございます。それを全体的に政府がきちんと把握をしていなければ、知らない間に国民と国家の間に不利益が生じてしまっても対処できるはずがないと思うわけであります。

 したがいまして、土地の登記が完全に義務化されるということが必要だと考えておりますが、そのような意味では、今年の四月一日から相続登記が義務化されたというのは、重要な第一歩だったというふうに考えております。

 一方で、今後の国家の安全保障のことを考えますと、土地についてはより強力な管理が必要となってくるのではないかなというふうに思っておるところでございまして、これは大臣にお伺いをしたいと思っておるんですが、今後、所有者不明土地というものが生じないようにするためには、デジタル庁などとも連携をして、所有者が判明している土地については、例えば全て個人、法人のマイナンバーとひもづけていくというようなことも必要ではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。

中田政府参考人 お答え申し上げます。

 所有者不明土地対策につきましては、先生御指摘ありましたけれども、これまで、まず、所有者不明土地法において公共事業等に必要な所有者探索に固定資産税台帳等の利用を可能とするような措置が講じられているほか、所有者不明土地の発生防止の観点から、法務省により、本年四月からの相続登記等の申請義務化、それから相続土地国庫帰属制度の創設など、民事基本法制の見直しも進められてきましたところでございます。

 こうした措置によりまして所有者不明土地の減少が期待される中で、令和五年度の地籍調査によりますと、不動産登記簿からは直ちに所有者の所在が判明しなかった土地の割合、これは筆数ベースでございますけれども、約二六%ございましたけれども、関連情報を活用した所有者探索によりまして、最終的に所在不明である土地は〇・二六%というふうになってございます。

 今後の方針ということで、先生から御指摘ございましたけれども、所有者不明土地対策につきましては、所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議、これにおきまして基本方針を決めておりまして、直近では本年六月十日付のものになりますけれども、政府一体となった総合的な対策を推進してきてございます。

 御指摘の、所有者探索を円滑に進める、そうした観点からは、基本方針におきまして、例えば、不動産登記システムと住民基本台帳ネットワークシステム等の連携のためのシステム整備、活用を進めることが定められてございます。

 お話しの、登記情報とマイナンバーとのひもづけにつきましては、マイナンバーの活用に関する政府全体の取組状況などを踏まえ、法務省など関係省庁において引き続き検討を実施していくものと承知してございます。

 国交省としましては、関係省庁と緊密に連携しながら、所有者の更なる効果的な探索などに今後とも取り組んでまいります。

鳩山(紀)委員 ありがとうございます。国土交通省の中でも、デジタル庁などと連携をして、このような所有者不明土地というものが今後広がっていかないようにするということで、承知いたしました。どうもありがとうございます。

 所有者不明土地問題というのは国家の安全保障上極めて重大な問題でございますので、それが、いろいろな御尽力をいただいたおかげで、二六%だったものが〇・二六、これは百分の一ですので、というふうに下がったということはよかったのではないかと思う一方で、まだ残っているということは、問題はまだ解決をし切ってはいないということかとは存じますので、引き続き御尽力いただきたいというふうに思っています。

 このようなことが生じないようにするためには、所有者の不明土地については放置をせずに積極的に政府が取得をしていく、所有者不明土地が広がらないということも重要ですが、所有者不明土地だと分かったものについては国が取得していくということも積極的に進めていくというのは、一つの在り方ではないかなというふうに考えております。

 やや時間が余っておるんでしょうか。ちょっと私のタイムキーピングが不十分だったかもしれませんが。

 質問で用意したのは以上ですが、私が申し上げたかったのは、前半では、やはり、地方都市あるいは地方部において公共交通をいかに守っていくかというのは非常に重要な論点でありますし、日本版ライドシェアなども含めて、いろいろな交通のシステム、仕組みがありますので、それを十分に活用して実現をしていっていただきたい、いきたいというふうに私も思っております。

 また、これは、地方部や地方都市というふうに申し上げましたけれども、私の選挙区であります東京二区の中の例えば中央区においても、BRTがまだ足らなくて、ぎゅうぎゅうの状態が続いているというような、通勤の時間帯は連日満員の状態が続いているとか、そういう話も聞いております。都市部、大都市部においても引き続きこのような公共交通の問題は存在していると思いますので、そのような問題点についても、今後、機会を見つけて御議論させていただきたいというふうに思っております。

 どうもありがとうございました。

井上委員長 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 限られた時間でございますので端的に質問させていただきますが、まず、防災、減災についてでございます。

 改めて申し上げるまでもなく、政府の最大の使命と責任は、国民の皆様の命と暮らしを守ることでございます。これは、政党、政治家、また国土交通省を始め官庁の皆さんも一緒だというふうに思っております。

 我が国は、近年、地球温暖化の影響もあってか、自然災害の激甚化、頻発化がとみに激しく、全国各地どこでも、大変な、大きな災害が発生してもおかしくない、そうした状況でございます。かつては、公共事業は無駄の象徴と言われ、コンクリートより人へといった政権もございましたが、その後、今、自公政権の下で、防災・減災、国土強靱化のための緊急三か年対策、それに引き続く五か年加速化対策を実施しているところでございます。

 私自身も国土交通大臣として二年間務めさせていただきましたが、この防災・減災、国土強靱化の予算については、全国の首長の皆様が大変感謝をされております。地方自治体、押しなべて財政が大変厳しい中で、例えば河道掘削とか、目に見えないところというのはなかなか後回しになってしまう。上下水道、特に下水道の老朽化というのも、大変厳しいと分かりながら、そうしたものができない。こうしたことの中で、この防災・減災、国土強靱化の予算の継続ということが大変強く言われているわけでございます。

 法律の改正もされまして、五か年の後も実施中期計画ができて、継続をしていくという方向性ができました。大臣もさきの挨拶の中で実施中期計画の早期策定を求めているわけでございますが、私ども公明党は、この新たな五か年では総事業費二十兆円、これは資材の高騰もありますし、政策の必要性ということもあるということで強く求めているわけでございますが、そうしたことについて、中野大臣の決意と見通しをよろしくお願いしたいと思います。

中野国務大臣 赤羽委員にお答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、激甚化、頻発化する自然災害、あるいは下水道を始めとしたインフラ老朽化、こうしたことの対策、そして国民の命と暮らしを守るということは非常に重要であります。そして、近年、資材価格も高騰しております。こうした点も考慮しながら、必要かつ十分な予算を確保し、国土強靱化の取組を進めていかないといけない、このように考えております。

 令和六年度の補正予算案におきましては、五か年加速化対策関連予算に緊急防災枠を合わせまして、政府全体としては約一・七兆円を計上をいたしました。

 五か年加速化対策後、まさに委員のおっしゃるその後も、中期的かつ明確な見通しの下で、継続的に、安定的に切れ目なく、そしてこれまで以上に必要な事業が着実に進められるよう、これは、関係省庁と連携をしまして、国土強靱化実施中期計画、早期策定に向けて、最大限検討を加速化してまいりたいと思います。

赤羽委員 是非、二十兆円という枠組み、一つの大きな目標だと思いますので、よろしくお願いしたいということを申し上げるのと同時に、予算を確保してもなかなか人材の確保というのは大変、なければ進まないわけでございます。先ほどどなたかの質問もございましたが、全国の地方自治体の建設、土木の技術職も大変厳しくなっておりますし、そうした意味で、来年度の予算編成の中で、各整備局の人員確保、定員確保、これは北海道開発局も含めて、近年の自然災害が頻発した中で今プラス査定が続いておりますが、これも引き続きしっかりと確保していただけるようによろしくお願いしたいと思います。

 また、次に、流域治水プロジェクトについて、若干今の現状を聞きたいと思いますが、令和元年の東日本台風は、一級河川が全国で七つ、堤防が切れるという極めて未曽有の大災害でありました。私自身も、現場に全て足を運びましたが、やはり、河川というのは大変難しい、治水というのは難しいということを素人ながら実感をしました。

 というのは、やはり上流地域の住民と下流地域の住民というのは利害が対立することが多い。また、堤防を強化するというのは、ある部分で堤防を強化すると、その前後が相対的に弱くなって堤防が切れる。阿武隈川では、郡山市なんかは盆地なので非常に堤防強化を進めていた、その結果、北の本宮市と南の須賀川市で堤防が決壊してしまったというようなことで、やはりあのときに、上流から下流まで、そして本川、支川、本当に水系全体を俯瞰しながら、流域の地方自治体や住民の代表、企業の皆さんも参加する流域治水プロジェクト、協議会を立ち上げようということを決定したわけでございます。

 その後五年近くたっておりますが、その現状を、局長で結構でございますので御報告をしていただきたいということと、今回の大臣のあれには流域治水の取組を加速化、深化するということが抱負で語られておりますので、これからの今後の取組方針も含めて、簡潔にお答えを願いたいと思います。

藤巻政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど委員御指摘のとおり、やはり河川というのは、流域全体を俯瞰しながら、あらゆる関係者と協働して流域治水の取組を進めていくことが重要かと思っております。

 そのため、先ほど御指摘のありましたとおり、流域治水、実効性を高めるために、国ですとか流域自治体、企業、住民等から成ります流域治水協議会、これを設置いたしまして、今後取り組むべき治水対策の全体像あるいは役割分担、これを定めました流域治水プロジェクトの策定に令和二年度より着手いたしまして、本年三月時点では、全国の百九全ての一級水系、並びに二級水系に関しましては約六百の水系で、そのプロジェクトを策定、公表済みとなっているところでございます。

 さらに、御指摘のとおり、気候変動の影響によって降雨量が更に増大する。これに対応するために、一級水系におきましては、昨年度から今年度にかけまして、流域治水プロジェクト二・〇と銘打ちまして、見直しを行ったところでございます。

 私どもといたしましては、引き続き、流域治水プロジェクト二・〇を踏まえまして、河川、ダムの整備、既存の治水施設の改造による施設能力の向上、ほかの多くの機関との連携による対策、あるいはまちづくり、住まい方の工夫等に取り組むことによりまして、流域治水の一層の加速化、深化を図ってまいりたいと思っております。

赤羽委員 災害対策の最大のやらなければいけないことは、日頃からの備えに尽きるというふうに私は思っております。地域住民の皆さんが、そうしたリスクを感じながら、協議会に参加をするという仕組みを是非使っていただきたいということが一つ。

 もう一つは、これはちょっと時間もないので結構でありますが、やはり地域の防災力をどう向上させていくのかというのが大変大きな課題になる。そういう意味で、いろいろな自治体でタイムラインの形成、いざといったときにどうするかということは、地方自治体、地域、各地区とか一つの家、そういったものを含めてタイムラインの形成を進めている地域もあります。これは水害が起こったところで進めているんですが、是非、国土交通省がリードして、全国で普遍化できるようにお願いしたいということが一つ。

 また、気象防災アドバイザー、これも肝煎りで進めているはずですが、この気象防災アドバイザーの皆さんが、それぞれの地方自治体のアドバイザリースタッフみたいな形で参加をさせる。

 これも、仕掛けないとそうしたことはなかなか進まないので、この二点についても強くお願いをしたいと思っております。

 次に、バリアフリーについて質問させていただきます。

 バリアフリー政策は、この二十年余り、大変前進をしてきております。今日は、劇場ですとかスタジアム、競技場の車椅子用の皆さんのサイトライン、見た目ですね。何か、盛り上がると、前の人が立ち上がると肝腎のところが見えない。そうしたことも、いろいろなことがあって、そのことについて、国交省もその問題を意識して、国交省にはサイトラインの確保等に係る検討ワーキンググループが立ち上げられて、そこに障害者団体の皆さんも有識者としてとか参考人で呼ばれて、進んでいるところでございますが、なかなか難しくて、先行きが見えないんじゃないかと大変心配をされております。

 サイトラインの確保が一つと、あと、同伴者というのは後ろになっているんですけれども、同伴者、後ろを向けない障害を持たれている方がたくさんいらっしゃるので、隣席にしていただきたいとか。また、健常者は当たり前ですけれども、価格帯とか見る場所とかを選べる自由。選んでチケットを買うとか当たり前でありますが、車椅子席というのは決まったところでしかない。こうしたことについても、もっと自由にできるような、国際社会並みのスタンダードにしてほしいという強い要望がございます。

 バリアフリーというのは私は国家の品格そのものだというふうに考えておりまして、そうした思いで、初当選以来、バリアフリー化を進める、共生社会を進めるということを一生懸命やってきているわけでございます。このことについて、サイトライン、一月には最終報告が出るというふうに伺っておりますが、このことの見通し、見通しというより、難しくても何とかしてやってほしいと私は強く要望いたしますが、局長の御答弁をいただきたいと思います。

楠田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、劇場等の車椅子使用者用客席のサイトラインの確保等につきましては、学識経験者、障害者団体、設計者、審査者等で構成をいたしますワーキンググループを設けまして、議論を重ねているところでございます。

 これまで三回ほど開催をいたしまして、劇場等の車椅子使用者用の客席において確保すべきサイトライン、分散配置、それから同伴者席の在り方、さらには、これらを実現するための実現性の高い枠組み、こういったものについて障害者団体、設計者、審査者のそれぞれのお立場から御意見をいただいているところでございます。

 その中で、義務化すべきであるというような御意見をいただいている一方で、実務面の課題があるということで義務化というのは難しいのではないかというような御意見、様々な御意見をいただいているところでございます。

 車椅子使用者が利用しやすく、そして他の観客とともに観劇等を楽しめる施設の整備に向けましてどのような方策を取り得ることができるかということについて、引き続きしっかりと検討してまいりたいと思います。

赤羽委員 局長、やらない理由というのは幾つもあるんですよ。福祉政策という観点で考えると、そこまではできないとか、ぜいたく言うなみたいな気分というのがあるんですけれども、それは明らかに、今後のサステーナブルな共生社会という観点からすると間違っているんです。もう人為的にやらなければいけない、その義務化をしないと、造ったスタジアムや劇場はずっと続くんだから。そうしたことは許されないということで、これはもう決断をするしかないと強く申し上げておきたいと思います。

 同じことで、実は、税制改正で、文部科学省が劇場等々で固定資産税と都市計画税の特例措置の拡充を出しているんですけれども、これは今バツがついているんです。もうちょっと熟さないと駄目なので、国交省とちゃんと共管でやるようにというふうに言ってありますので、是非、来年度に向けて、文科省より国交省の方がこうしたことは詳しいと思いますので、強く要望したいと思います。

 最後に、観光についてでありますが、能登半島の和倉温泉について、私も、党の災害対策本部の責任者として、選挙まではほぼほぼ毎週足を運んでおりまして、和倉温泉の皆さんとはずっと寄り添いながら対応しております。

 二十一軒ある旅館のうち、解体をしなければいけないのが十軒、修繕中で営業ができていないのは七軒。二十一軒のうち、細々と営業できているのは四軒なんですね。そのうち、三軒が小規模、一軒は一番大きなところの一つですが、全館、フルじゃなくて、一部の五十室だけやっていると。ほとんど、状況じゃないんですね。この解体を予定している十軒も、解体が着手されているのは僅か二軒なんですよ。一年間たって二軒というのはどういうことなのか。もう全く理解ができない。

 ある旅館は、大型の旅館ですけれども、亀裂が入って斜めに倒れている。ここはまだ公費解体の申請が受けられていないという。地元の自治体の、私は、失礼ながら、基礎自治体の能力というのは、本当に難しいし、業界の、解体事業者の問題というのもあるかもしれませんが、このことは何とかやはり国交省として、和倉温泉とか能登半島というのは、観光立国を進めていく上で大変重要な観光資源があふれているわけなので、そこをどれだけ本気になってやれるかだと思いますよ。

 護岸のことは港湾局とか様々一生懸命やってくれているんだけれども、やはり、もうちょっとプロデュースしないと本当にもったいない。高齢化が進んでいるので、輪島の朝市も、あれだけ全焼してしまうから、どう立て直すのかというのは、国が真剣に考えて、観光庁としてどう関わって、国交省を挙げてどうしていくのかということをやらないと、このままだと大変厳しいと率直に言って思います。

 そこをどうするか、観光立国のドル箱にできるかどうかというのは、金沢まで物すごく人が来ているわけですから、そこから先の和倉温泉だって、これは今、公費解体とか私費解体も入れて、解体であと丸二年ぐらいはかかる。それから建設ですから、営業再開はどんなに早くても三年以上かかると思いますよ。

 ここをどれだけ加速化できるかというのは、まさに観光立国としてどう捉えるかというふうに、本当に腹を決めないとこれは本当に前に進まないと思います。すごく心配をしております。

 観光庁次長、来ているので、その決意をお願いします。

平嶋政府参考人 能登地域には、地域経済を支える大事な産業の柱の一つといたしまして、委員おっしゃるように観光業がございます。今回の災害で能登半島の多くの観光地で甚大な被害を受けておる状況であります。

 和倉温泉に加盟している二十一の施設につきましては、委員御指摘のとおり、再開できているのは四施設にとどまっております。残りについては、解体それから復旧、こういった工事が必要になってまいります。時間もかかってくると思います。

 関係省庁、いろいろな補助制度がございますので、きちんとそういったものを使いながら立て直しができるように、また、今おっしゃったように、コーディネートといいますか、うまく進んでいくようにというところを、しっかり、現場、各施設の方々の御意見を聞きながら取り組んでいきたいと思っております。

 観光庁の方でも、観光業の再生に向けまして、今回の補正で、復旧後の誘客を促進するための予算、それから復旧計画の策定、こうしたもののための予算を計上しているところでございます。

 引き続き、被災地の声にしっかり耳を傾けながら、観光復興に向けた支援に全力で取り組んでいきたいと思います。

赤羽委員 付言しますと、一月一日発災した直後に、三千名近くのお客さんが宿泊していた、一人もけがをさせることなく避難させたという、大変すばらしい観光地だと僕は思いますよ。本当にここを国の観光資源の宝と考えるかどうか。そこからできることは何か。任せていたら絶対に進まないから。公費解体だって、着手しているところが再来年の十二月までかかると言われているんです、アスベストの問題とか。着手されていないのが、十軒のうち八軒がまだ何も触っていないんだから。

 本当に大変な状況だということをよくよく考えないと、本当に観光立国という名が廃れると思いますので、是非、省を挙げてやっていただきたい。

 最後に、観光でいうと、どうしても、東京、首都圏、京都、大阪、九州とか、限られているので、地方誘客。しかし、やはり、私、一番のネックは、地方空港の、今まではダイレクト便で国際便がどんどん来たのが、グランドハンドリングが足りなくて対応できない、ここは本当に問題だと思います。

 本当は、ちょっと時間があれば、地震の前に飛んできた国際便がどれだけ復活しているのかということを、答えられれば、局長に来ていただいているので、そのことに触れていただきたいんだけれども、やはり地方への国際便の定期便の復活というのをどう考えていくのか、そのことは私は地方誘客の最大の大きなターニングポイントだと思いますので、そのことについて御答弁いただいて、私の質問を終わります。

平岡政府参考人 お答えいたします。

 コロナの前に国際定期便が就航していた地方空港、これは三十空港ほどございます。現時点において国際定期便が復便していない地方空港は一空港ということで、二十九空港につきましては復便を果たしている。この一空港については新石垣がまだ残っているということでございますけれども、委員御指摘のとおり、ここは、グランドハンドリングそれから航空保安検査、このための人の確保、人材育成が課題になっているということでございます。

 御指摘のとおり、増大するインバウンド需要を地方に誘客する上では、地方空港における空港業務を始めとした受入れ環境を整備していくことが急務であるというふうに私どもも認識しております。

 このため、昨年六月には、有識者会議におきまして空港業務の持続的な発展に向けた総合的な対策を取りまとめたところでございまして、今、関係者一丸となりましてこの総合的な対策を実施しているということでございます。

 全体といたしましては、空港業務の体制はコロナ前の水準におおむね回復しているところでございますけれども、国土交通省といたしましては、地域の状況をよく注視しながら、人材確保や業務効率化等の受入れ環境の整備に向けまして、支援制度も活用しながら、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

赤羽委員 一言だけ。

 一空港以外は復活していると言うけれども、多分、便数は違う話なんじゃないかと想像しますので。いずれにしても地方誘客は大事なので、是非進めていただきたいということを申し上げて、終わりにします。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組の窓際族、たがや亮です。ぎりぎりです。

 中野大臣におかれましては、大臣就任、誠におめでとうございます。斉藤前大臣同様、期待をしております。

 今日は地元からも大勢支援者が来ていただいて、張り切って頑張らなな、そう思っておりますので、早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 運送事業者の担い手に関する質問をさせていただきます。

 資料一を御覧ください。

 今年の通常国会における斉藤大臣への質問の議事録ですが、この中で、運送業の担い手不足の解消策の一環として、経費がかかる中型免許の取得に対して支援をしていただけないかとの質問を斉藤前大臣にさせていただきました。

 どういうことかというと、運送事業者の経営者数名に直接、人手不足の原因を伺ったところ、昔は普通免許で八トントラックまで乗れたけれども、今は乗れなくなり、中型免許が別途必要になったことで、わざわざ費用をかけて中型を取らなくなった若手の求人数が激減したとのことで、中野大臣、この私の提案、予算措置も含めて、国交省のその後の取組を教えてください。

中野国務大臣 委員御指摘のとおり、今、物流二〇二四年問題もございますので、トラックドライバーの担い手不足の解消というのが非常に重要でありまして、特に若年層の人材の確保が重要でございます。

 しかしながら、若年層のトラックドライバーの採用に当たりましては、普通免許に加えて大型、中型免許を取得させる必要があるというのも委員の御指摘のとおりでございまして、この免許の取得費用が採用に当たっての支障となっております。

 この議論の資料もつけていただきましたけれども、国土交通省で様々検討しました結果、若年層の人材確保の観点から、令和六年度の補正予算におきまして、これまでの大型、牽引免許の取得の費用に加えまして、中型免許についても支援の対象とする予定でございます。

 引き続き、トラックドライバーの担い手確保に向けた取組をしっかりと進めてまいります。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。テンションが上がります。

 国交省に確認したところ、約五割程度が補助になるんじゃないかなということです。これで中型免許を取って運送業に従事した若者が増えることを期待したいと思いますが、これで終わりではなく、まだ私は不十分だと思っています。更なる補助率の向上か、できれば普通免許に中型がつく元の免許制度に戻すことが雇用の間口の拡大に大事なことなんじゃないかなと思いますので、引き続き業界の声を聞いていきたいと思います。

 これは、斉藤前大臣の置き土産として、大変感謝いたしております。ありがとうございます。

 次の質問に参ります。

 半島の防災体制に関して質問させていただきます。

 今年元旦に発生した能登半島地震は、およそ一年たっているにもかかわらず、まだまだ復旧しているとは言えない状態です。私の地元は房総半島で、やはり半島特有の災害対策を講じていかなければなりません。三方が海に囲まれた半島では、発災初動の情報収集、救助、支援物資輸送などを行うヘリコプターの役割が大変重要だと思いますが、これは内閣府ですかね、いかがでしょうか。

貫名政府参考人 お答えさせていただきます。

 ヘリコプターは、今般の能登半島地震の災害の対応におきましても、被害状況の確認、現地の捜査活動、それから救助部隊の派遣、救助者や孤立住民の輸送、支援物資の輸送など、半島という地理的制約がある中で、様々な場面で活躍してまいりました。

 また、先月取りまとめました令和六年能登半島地震を踏まえた災害対応検討ワーキンググループの報告におきましても、ヘリコプター搭載カメラによる情報収集の有効性、また迅速な被災地への進入のための海路や空路の活用といったことについても提言をいただいたところでございます。

 このように、発災時におきまして被災地で災害応急対応を行えるヘリコプターは非常に重要な手段の一つであると認識しております。

たがや委員 ありがとうございます。

 ヘリコプターを運用するに当たってのヘリポート、又はヘリが離発着できるグラウンドなど、都道府県単位で集約している情報を国としてどのように一元管理をしているんでしょうか。

貫名政府参考人 お答えさせていただきます。

 内閣府では、国や地方公共団体、指定公共機関等の有する災害関連情報を集約し、一枚の地図上で表現し、関係機関に即座に共有できるシステムであります新総合防災情報システム、SOBO―WEBと呼んでおりますが、を本年四月に運用を開始したところでございます。議員御指摘のヘリポートの情報につきましても、地図情報として一元的に表現される情報の一つとして位置づけているところです。現在、総務省消防庁が収集した情報をシステムに入力することにより、関係機関の中で情報共有されるべく調整を進めているところでございます。

 こうした関係機関の災害対応情報がデジタルで集約、共有される防災デジタルプラットフォームを令和七年十二月までに構築できるよう、引き続き、情報の充実を図るとともに、関係機関のシステムとの接続を進めてまいりたいと思っております。

たがや委員 ありがとうございます。

 このSOBO―WEBは、私も初めてレクで知ったのですが、これはもう完全に自治体等に周知もできていて、今、ちょっとまだこれからということもあったんでしょう、どの程度機能しているんでしょうか。

貫名政府参考人 お答えさせていただきます。

 SOBO―WEBは本年四月に運用を開始したところでございまして、順次、地方自治体や指定公共機関等のシステムとの連携を進めているところでございます。

 例えば、気象情報や道路交通情報、停電情報といったものに関して自動の連携を済ませているところでございます。ですが、現時点で接続が完了していないその他の防災関連情報システムにつきましても、早期に関係機関と接続に向けた調整を進め、防災デジタルプラットフォームの構築に向けて引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

たがや委員 ありがとうございます。

 SOBO―WEBの周知徹底も大事なんですけれども、このSOBO―WEBの各自治体への費用負担、これは大事なんですけれども、この費用負担というのはどのようになっているんでしょうか。

貫名政府参考人 お答えさせていただきます。

 既に自前の防災情報システムを有している自治体におきましては、新たな費用負担はほとんど発生しないと考えております。仮に、これからサーバーを調達し、新たなシステムを構築しなければならないというような自治体がある場合は、所要の地方財政措置などの財政支援メニューがありますので、適宜こちらを御活用いただければと思っております。

たがや委員 費用はかからないということですけれども、システムの入力とか変更等には費用がかかると聞いていますので、財政力の低い自治体などは費用がかかると登録するのにちゅうちょするということも考えられるので、事が起こって時既に遅しとならないよう、自治体などに対して、きちんと運用ができるよう、是非、予算措置を検討していただき、速やかな登録を促していただきたいと思いますが、内閣府としてはいかがお考えでしょうか。

貫名政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほどもお答えさせていただきましたが、ほとんど利用料等の費用負担は発生しないというふうに考えておりますので、しっかりと地方公共団体と連携して、そのような御要望等がありましたら、また今後の課題とさせていただければと思います。

たがや委員 ありがとうございます。

 レクのときには、システムの変更、更新等には一定の費用もかかるということでしたのでそういうふうにお伺いしましたが、是非前向きに検討をお願いします。

 関連して、空からの情報収集にドローンも有効だと考えます。機動性、安全性、視察箇所の数の確保など、効力を発揮すると考えますが、いかがでしょうか。

貫名政府参考人 お答えさせていただきます。

 ドローンにつきましても、今般の能登半島地震におきまして、例えば、行政機関におきましては、警察、消防、自衛隊などにおける現地での捜索活動や被害状況の確認、土砂災害現場の二次被害防止のための上空監視、また、民間企業におかれましても、無線中継ドローンによる携帯電話の不通エリアの応急復旧や医薬品等の物資の配送など、様々な形で活用されたところでございます。

 先ほど申し上げましたワーキンググループの報告におきましても、災害対応等におけるドローンの活用の推進について提言をいただいているところでございます。

 このように、ドローンについては非常に重要な手段の一つであると認識しているところでございます。

たがや委員 ありがとうございます。

 発災時に人材派遣して現地に災害情報を確認しに行く、そういうふうに話を聞いているんですが、これは、内閣府の職員が行かれるのか、どなたが行かれる担当になるんでしょうか。

貫名政府参考人 お答えさせていただきます。

 発災時に情報収集するための職員の派遣につきましては、基本的には被災状況に合わせて各省庁において実施しているところでございます。

 また、内閣府としましては、大規模な自然災害が発生した場合においては、発災後、速やかに内閣府調査チームを派遣し、現地では、関係省庁及び被災地方公共団体とも連携しながら、被災地の課題やニーズを把握し、一体となって災害応急対策を行っているところでございます。

たがや委員 ありがとうございます。

 職員が現地に行って目視による現地確認をするということも大事なんですが、ドローンを備えるメリットというのは、現地に担当職員を派遣するまでの数時間の間に稼働ができて、状況を把握できるというメリットがあると思われますので、各自治体などに、各種ドローン団体との災害協定を結べる仕組みづくり、これを内閣府で検討されたらいかがでしょうか。

貫名政府参考人 お答えさせていただきます。

 災害発生時には個々の自治体のみでの対応には限界がございますので、災害時の応援協定に基づきまして民間事業者等と御協力いただくことが非常に重要だと認識しております。

 ドローンにつきましても、先ほども申し上げましたように非常に災害時に活躍しておりますので、自治体とドローン関係団体との間の協定締結が広がってきているというふうに承知しているところでございます。

 内閣府では、先ほどの提言に合わせて、ドローンなど災害対応上有効と認められる新技術についてカタログを作成しまして、自治体での活用を促しておるとともに、また、消防庁と連携いたしまして、自治体が他自治体における災害時応援協定の締結状況を確認できるよう、自治体が締結する協定のデータベースを整備いたしまして、ドローン関係も含みます協定の締結を促しているところでございます。

 引き続き、自治体における協定締結の促進に取り組んでまいりたいと思います。

たがや委員 ありがとうございます。

 災害協定が進んでいるということで、大変いいことだと思いますが、能登半島地震の際にボランティアとして大活躍した日本キッチンカー経営審議会、これが、災害時の炊き出しに対する協定を内閣府と結んで、費用負担をしていただいている、そういうふうに聞いていますので、是非、同様の仕組みづくり、これを要望したいと思います。よろしくお願いします。

 次の質問に参ります。

 内水氾濫と下水道に関して質問いたします。

 能登半島でも、正月の地震に続き、九月には豪雨による土砂災害に見舞われました。

 資料二を御覧ください。

 一時間に五十ミリ以上の激しい雨が降った回数が激増しています。地球温暖化の影響で各地で頻発する雨水対策は都市部においても重要です。

 ここでは、時間の関係もありますので、内水氾濫について伺います。

 内水氾濫は都市部の下水道の排水能力を超えた雨量があった場合に起こる災害で、下水道管の増強が不可欠です。

 そこで、雨水管と汚水管が別々の分流地区と同じ管の合流地区に分けて伺います。

 資料三を御覧ください。

 合流管の費用の構成比率についての円グラフです。資料には、分かりやすくするために、設備費として仮に二百万円としています。下水道の資本整備は、半分が国の負担となり、残りの半分のうちの六割が公費で賄う雨水分としての地方債の起債により賄われ、残りの四割が下水道の利用者からの使用料で賄われるという繰り出し基準となっています。自治体の公費負担の六割のうちの七割、すなわち全体の二一%が交付税措置される、そういった計算です。

 雨水と汚水の比率は、平成十八年、二〇〇六年当時には、七対三から六対四、これに変更されました。

 まず、この経緯をちょっとお伺いさせてください。

清田政府参考人 お答え申し上げます。

 合流式下水道施設の整備につきましては、下水道事業債の活用は可能でございますが、平成十八年度から、合流式下水道の資本費における雨水分の割合の実態を踏まえまして、雨水分の割合を六割と設定し、地方財政措置を講じることとしておりまして、現在も同様の割合で設定しているところでございます。

たがや委員 ありがとうございます。

 本来は雨水が流れ込まない想定の分流管の汚水管でも、大雨であふれるということはあるんでしょうか。お伺いします。

松原政府参考人 お答えいたします。

 豪雨の増加や施設の老朽化の進行等に伴い、一部の地方公共団体では、大雨の際に汚水管に雨水が流入することにより、マンホールからの溢水、下水のあふれなどが発生しているものと認識をしております。

たがや委員 ありがとうございます。

 合流式で雨水貯留管を整備している自治体も増えておりますが、これも、補助裏は六対四で、公私の負担割合は変わらないんですかね。

清田政府参考人 お答え申し上げます。

 合流式下水道の補助事業の地方財政措置につきましては、御指摘の雨水貯留管を含めまして、補助事業の地方負担分に充当した、すなわち補助裏の部分に充当した下水道事業債の元利償還金の六割分を対象に雨水対策に係る地方財政措置を講じているところでございます。

たがや委員 ありがとうございます。

 ゲリラ豪雨が多発する中、内水氾濫対策は急務だと思います。国交省も雨水対策の国庫補助を増強していますが、自治体が設備する費用に当たって、補助裏の自治体負担分が、分流式が一対九、合流式が六対四のままというのはおかしいのではないでしょうか。雨水の分の公費負担を増やすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

清田政府参考人 お答え申し上げます。

 下水道事業債の地方財政措置における雨水分の割合につきましては、地方団体が整備した下水道施設に係る資本費のうち、雨水処理に係るものの割合を踏まえ、先ほど申し上げましたとおり設定しているところでございまして、直近における状況についてもその比率に変化はないというところでございます。

 また、御指摘のように、総務省としても、いわゆるゲリラ豪雨と呼ばれるような局地的に発生する大雨に対し、住民の生命及び財産を守るための浸水対策は喫緊の課題であると認識しているところでございます。

 このため、災害の発生を予防し、又は災害の拡大を防止することを目的として、地方団体が単独事業として行う雨水貯留浸透施設等の整備につきまして、その財源として緊急自然災害防止対策事業債を令和三年度から発行できることとしております。

 このように、雨水対策事業に対し地方財政措置を講じているところでございますが、引き続き、地方団体の実情を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

たがや委員 実情に即してと言っていますけれども、やはり、例えば人口減少が著しい地方において、人口が減ることで下水の利用割合というのは間違いなく減少しますよね。一方、雨量は、先ほど申したとおり、桁違いに増えているんです。誰がどう考えても、分流一対九、合流六対四の割合というのは時代にそぐわない割合じゃないかと思います。

 具体的に言えば、雨量が激増したことで、公園の水飲み場や公衆トイレなど様々な施設から雨水が汚水管に流れ込んで、入り込んでいる事実があり、マンホールが吹っ飛ぶという事例も現に起こっています。その状況で公費の割合が今までどおりというのはちょっと筋が違うのではないかと思いますので、公費負担の割合を増やしていただけるよう要望いたします。お願いします。

 次の質問に参ります。

 中野大臣、水道のようなライフラインを民間に委ねることのリスクをどうお考えでしょうか。

中野国務大臣 委員御指摘の、水道における官民連携ということだと思います。

 これは、私は、今の制度、地方公共団体が最終的な責任を持つということを前提といたしまして、民間の創意工夫等の活用で水道の基盤を強化するための、それは有効な選択肢の一つなのではないかというふうには考えております。

 この官民連携を適切に実施するためには、地方公共団体は、民間事業者が提供するサービスの内容や水準について、これは契約で明確に定めるということでありますし、モニタリング等により実施状況をしっかり確認をするということとしております。その結果、求める基準を満たしていない場合には、水道の事業者から民間の事業者に対して改善の指示などをすることも可能になっております。

 官民連携の取組については、これまでに大きな問題は生じていないと聞いておりまして、事業は適切に実施をされていると認識をしております。

 国土交通省としては、引き続き、事業の適切な実施と、住民の皆様の理解を得ながら進めていくことの重要性を周知をしながら、官民連携の推進に取り組んでまいります。

たがや委員 ありがとうございます。

 まとめます。

 イギリス、フランスなどは、一九八九年からいち早く水道事業にPFIを導入しましたが、再び公営に戻しています。その理由は、料金が公営のときと比較して高騰した、設備の更新も進まず、漏水や水不足も生じるなど、サービスが低下したといったものです。このように、民営化にすると、株主に忖度した経営にならざるを得ず、住民本位の経営がおろそかになることが懸念されます。

 確かに民間活力の導入により一定の効率化は見込めるかもしれませんが、上下水道の経営が今後更に厳しくなる根本原因は人口減少だと思います。民営化では対症療法の一時しのぎにしかなりません。五年後、十年後に大変なことになるのではないかと懸念します。

 また、先例であるイギリスではテムズウォーター、フランスではヴェオリアといった……

井上委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、手短にお願いします。

たがや委員 はい、まとめます。

 自国企業が運営主体となっているのに対して、宮城県のように外国資本の民間企業に委ねることは、国家安全保障上の懸念もあるのではないでしょうか。効率化の名の下にライフラインを安易に民間の経営に委ねることなく、人口減少に応じた国土開発の在り方、今後の国づくりのような壮大な課題の中で考えていくのが国家の責務であると考えますので、是非慎重な検討をよろしくお願いします。

 質問を終わります。ありがとうございます。

井上委員長 次に、堀川あきこ君。

堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。

 初質問となります。どうぞよろしくお願いします。

 まず最初に、北陸新幹線敦賀―新大阪の延伸計画についてお尋ねをしたいと思います。

 京都を縦断する案ということで、京都からたくさんの不安の声が上がっています。豊富な地下水を使って、和菓子や日本酒、豆腐、銭湯など、これまで京都の文化や住民生活を支えてこられた方々から、地下水に何かあったら死活問題だと声が上がっております。

 先日の報道でも、京都仏教会から、ルートの再考を求めるという要請が近く府知事に行われるということが報じられています。

 この延伸計画について、十二月十三日、与党プロジェクトチームによる沿線自治体からのヒアリングにおいて、京都府知事、京都市長から、地下水や自然環境への影響、残土処理の課題、財政負担などなど、様々な懸念が出されております。また、ルート上にある南丹市の市長からも、要望書という形で懸念が示されています。

 北陸新幹線の延伸計画に関して、このような懸念、不安が出されていることを大臣は認識しておられますでしょうか。お願いします。

中野国務大臣 堀川委員にお答え申し上げます。

 北陸新幹線につきまして、与党の整備委員会が開催をされまして、四日に福井県及びJR西日本から、十三日に京都府、京都市及び大阪府からヒアリングが行われております。そうした場面を含めまして、様々な御意見や、委員御指摘の御意見、御要望が寄せられていることは承知をしております。

 いずれにしましても、国土交通省としては、与党における、駅位置、ルートの絞り込みに向けた御議論を見守りつつ、沿線自治体の皆様の御理解を得られるように、鉄道・運輸機構とともに、丁寧かつ着実に取り組んでまいりたいと思います。

堀川委員 不安の声は認識しておられるということでした。

 今ありましたように、三つのルート案が国交省からも示されて、与党プロジェクトチームは、年内にもルートを絞り込むということで動いておられるようです。

 大臣は、これだけの懸念が出され、あるいは払拭されていなくても、ルートの選定を進めるべきというお考えでしょうか。お願いします。

中野国務大臣 済みません、先ほども少し申し上げて、繰り返しになるかもしれませんけれども、今、与党の整備委員会におきまして、駅の位置、ルートの絞り込みに向けた議論が行われているところでございます。国土交通省としては、まずは、こうした御議論を見守りたいというふうに考えております。

 いずれにしましても、沿線自治体の皆様の御理解を得ながら、鉄道・運輸機構とともに、丁寧かつ着実に取組を進めてまいりたいというふうに思っております。

堀川委員 これは国の事業ですよね。与党プロジェクトチームの議論を見守るというふうなことですけれども、大臣としてのお考えをお聞きしたかったところです。

 地元の方の不安をいまだに払拭できていない、沿線自治体との合意ができているとはとても言えない、予算は当初よりも膨れ上がり、整備新幹線の着工要件を満たしているとは言えない状況です。

 日本共産党は、そもそも、延伸計画自体を中止をし、在来線こそ充実をすべきという立場ですが、地元の方がこれだけ声を上げている、府知事、市長までも懸念を示している中で、強引に進めるやり方はやめるべきだということを申し上げておきたいと思います。

 続いて、この北陸新幹線の延伸工事で想定されている大深度地下工事についてお尋ねをしていきたいと思います。

 大深度地下使用法により、地下四十メートル以深については、地権者が通常利用しない空間として、その土地を所有する方の同意を必要とせずに事業者にその空間の使用権を認め、トンネル工事などが実施できるというふうな内容です。

 大深度地下工事を進める上で不可欠なのは、事前の地盤調査が適切に、正確に行われることです。大深度地下使用法で使用認可を得て行われたシールド工事で、二〇二〇年十月に、東京外環工事において陥没、空洞事故が発生をしました。

 資料一を御覧いただきたいと思います。

 事故後の有識者委員会の報告です。そこでは、「特殊な地盤条件下においてカッターが回転不能になる事象(閉塞)を解除するために行った特別な作業に起因するシールドトンネルの施工が陥没・空洞事象の要因と推定される。」というふうにあります。ただ、事故後の調査でも、事前の地盤調査は適切だったと、事前のレクでも報告をいただきました。

 では、何が原因でこの事故が起きてしまったのでしょうか。説明をお願いします。

山本政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の事故につきましては、振動のお問合せを踏まえまして、夜間休止時間を拡大する中におきまして、特殊な地盤の下で掘進を進める際に、夜間休止中に、シールド先端部の掘削土を充満させる空間におきまして、土砂が分離、沈降し、締め固まることで掘進再開時にカッターが回転しない状態が発生をいたしました。そうしたこと、さらに、そのカッターを再回転させるために特別な作業を行ったこと、こうしたことが要因と有識者委員会で推定をされております。施工に課題があったというふうに考えております。

 こうした複数の要因が重なった上での事象であったことから、あらかじめ予見をすることが困難であったというふうに考えてございます。

堀川委員 振動の問合せが増えていたというふうなことで、シールドマシンの停止時間を拡大した、それも一つの要因だというふうなことをおっしゃられましたけれども、住民の方々は、事前に地上の影響はないというふうに説明を受けて、突然平穏な暮らしが侵害をされたということで、被害者の方々だと思うんですね。住民の方に事故原因があるかのような答弁は控えていただきたいというふうに思います。

 続いて、次の質問は時間の関係でちょっとスキップをさせていただいて、事前調査の地盤調査についてお伺いをしていきたいというふうに思います。

 この工事では、事前調査としてボーリング調査等の地盤調査が行われています。

 資料の三、四、五を御覧ください。

 ボーリング調査の場所を示した図を、三枚に分けてお示しをしています。赤ポツが、ちょっと小さいですけれども、ボーリングの実施箇所ということです。

 続いて、資料六を御覧ください。

 ボーリング調査というのは、百メートルから二百メートルの間隔での実施が推奨されているということですが、外環工事の場合、全長十六キロの事業区域にボーリングは八十六か所打たれたということです。有識者委員会の報告では、調査間隔が二百メートル以上となる範囲があるというふうに記載があるわけですが、この外環工事のボーリング調査で、二百メートル以上の間隔で実施されている箇所は何か所でしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 ボーリング調査を実施した八十六か所のボーリング同士の間隔、平均間隔は百六十七メートルでございますけれども、ボーリング調査に伴います騒音、振動によって周辺の住環境への影響などを考慮いたしました結果、調査間隔が二百メーター以上となっている区間は全部で二十一区間となってございます。

 なお、こうしたボーリングの調査間隔が二百メーター以上の区間については、ボーリング調査地点間に地盤急変部が存在しないことなどを確認するために微動アレイ探査を実施いたしまして、支持基盤の連続性を確認をしております。

堀川委員 ありがとうございます。

 八十六本のボーリングで、調査間隔二百メートル以上のボーリングが二十一か所という答弁でした。この数は尋常ではないというふうに思います。

 先ほど答弁の中で、周辺の住環境の関係でボーリング調査ができないというふうなことをおっしゃいました。この有識者委員会の報告書の中にも、周辺環境条件によりボーリングが実施をできず、調査間隔が二百メートル以上となる範囲があるというふうなことで、微動アレイ探査の調査をやっているというふうにあります。

 もう一つお伺いしたいんですけれども、周辺環境条件ということについて具体的にお伺いしたいんですが、有識者委員会の小泉淳委員長は、二〇二〇年十二月十八日のブリーフィングで、今までのシールドは大体道路下を掘ってきた、今度は民地下も掘らなければいけない、そうするとジャストポイントでボーリングができないと述べておられます。

 つまり、住宅街など地上に何か建物などが既にあって、その地下を掘り進めるという工事は、地盤調査をやるにも、ここでやるべしというポイントにボーリングを打つことができないということをおっしゃっていると思うんですけれども、この周辺環境条件というのはそういうことで認識してよろしいでしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 周辺環境の条件によりボーリングが実施できないという条件でございますが、ボーリングの調査の実施に当たりましては、調査機器を安全に設置するために一定の面積が必要となります。また、その設置に要する期間も数か月要する。また、作業に伴いまして騒音、振動が発生する可能性があるということを考慮する必要がございます。

 こうした点を踏まえまして、周辺の住環境への影響などを考慮することが必要となりますことから、公園などの公有地を基本といたしまして実施箇所を選定をしたという次第でございます。

堀川委員 ありがとうございます。

 つまり、ジャストポイントにボーリングを打つことができない、地盤調査には限界があるということが否定できないというふうに思います。

 資料七としてお示ししているものを御覧ください。

 日本トンネル技術協会のシールド工事格言集の中にある格言です。「ボーリング地点もシールド路線上のジャストポイントでない場合が多く、ボーリングした時期(季節、年代)や方法によって差異のある土質データが得られる場合もあり、必ずしも実態と合致しているものではないことを十分に認識しておく必要がある。」というふうにあります。小泉委員長がおっしゃっていることと同様、それ以上の指摘です。技術者側からもこうした指摘があるということを申し上げておきたいというふうに思います。

 もう一つお聞きしたいんですけれども、外環工事で採用されました直径十六メートルのシールドマシンを使用した泥土圧シールド、こうした大口径の、直径の大きなシールドマシンでの泥土圧式工法というのは、これまで実績はあるのでしょうか。鉄道や地下河川では実績がないということを確認しておりますが、道路ではいかがでしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 道路事業におきまして、東京外環道路を除きまして、直径十六メーターを超える泥土圧シールド工法で掘削を完了又は現在掘削を実施しているトンネルはございません。

堀川委員 実績はないということでした。

 リニア新幹線も同様ですが、実績もない大口径のシールド工事を進めるからには、より詳細な地盤調査が必要だと思います。

 しかし、大深度地下は、地上に家屋などがあって、ジャストポイントでボーリングはできない、ここに大深度地下法の解決し難い矛盾があるというふうに思います。

 大臣、このような大深度地下使用法に基づくシールド工事をまだ継続するべきだとお考えでしょうか。

中野国務大臣 大深度地下使用法による使用認可というのは、国民の権利保護に配慮をしつつ、公益性を有する事業のために、地権者により通常使用されない空間である大深度地下を使用する権利を認めるというものでございます。

 委員御指摘の東京外郭環状道路の大深度地下空間につきまして、平成二十六年の三月二十六日付で使用認可を行ったところでございますが、御指摘の陥没事故は、あくまで工事の施工に起因をするものであると考えておりまして、事業者の責任において適切な対応を行うべきものと考えております。

 したがいまして、現在、大深度地下法に基づく使用認可の取消しなどの必要はないというふうに考えております。

堀川委員 事業者に任せているということですが、国交省、認可をしているというふうなところで責任はあるというふうに思います。

 日本共産党は、大深度地下法の廃止法案を参議院へと提出をしました。地上への影響はないという前提がこの東京の外環事故で破綻した今、やはり廃止すべきだと改めて申し上げたいというふうに思います。

 そして、この大深度地下工事で計画をされようとしている北陸新幹線の延伸計画について、地下水や自然環境に関しては、何かあってからでは遅いんですね。これについても、きっぱり中止すべきということを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

井上委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 今日、元々十四分だったそうでありますけれども、ほかの小さな政党からも御協力いただきまして十八分の時間をいただいたことには感謝を申し上げますが、私の四人の会派の中で、ほかはみんな二十分以上、所信の質疑はいただいております。何で国土交通委員会はこれだけ定数が多いのに少ないのかといえば、総額の時間がたった四時間しかない。内閣委員会は七時間、農水委員会も七時間。本当に真面目にやりましょうよ。そして、少数会派にも配慮いただくよう、城井筆頭には御努力をいただいておりますけれども、与党の皆様方も、委員数、これを見れば野党の方が多いわけですから、その事実を見据えた委員会運営をしていただくことを改めてお願いしたいと思います。

 その上で、中野大臣、大臣御就任おめでとうございます。自分より年下の大臣に質問するということは初めてなものですから、非常に何かやりづらい思いがあるんですけれども、今日はエールを送る意味で、ちょっと嫌みに聞こえるところもあるかもしれませんけれども、是非、御自分の言葉で答弁をいただければと思っております。

 第二次安倍政権、二〇一二年誕生以降、歴代国土交通大臣は、太田昭宏さん、石井啓一さん、赤羽カズヒロさん……(発言する者あり)一嘉さん、済みません、ごめんなさい、申し訳ないです。後で厳しい御指導をいただきたいと思います。斉藤鉄夫さん、中野洋昌さんと、全員が公明党で、その以前にも、北側一雄さん、冬柴鉄三さんと。まあ、冬柴さんの後継で中野さんが出ていると認識しておりますけれども。

 国土交通省が誕生して二十三年間の間に、十六年が公明党の大臣であります。二十三年のうちの三年三か月は民主党政権ですから、それ以外はもうほぼ、ほとんどが公明党の大臣で、自民党の現職議員に、もはや国土交通大臣経験者はいないという状況でございます。私は、これは決して、だから悪いと申し上げるつもりじゃないんですね。

 中野大臣は、国土交通省ということになって、一期生で入省されたというふうに伺っております。私は、歴代の大臣、斉藤大臣や赤羽大臣もよく存じておりますけれども、皆さん非常に真面目で、有能で、それまで、建設相とか運輸相というと、とかく業界との関係で、政治と金にまつわるような暗い話題が取り沙汰されておりますけれども、この間そうしたことは、国土交通大臣をめぐってはないんじゃないかと思っております。ただ、一部地元の地方議員さんなんかを見ると、ちょっと建設会社さんと何か、いちゃいちゃとは言わないけれども、昔の自民党の議員のようなことをやっている人も散見されるかなというふうに思っております。

 大臣から御覧になって、公明党出身者がこれだけ、国土交通省という省の政策はほぼ公明党がつくったと言っても今過言ではない状況なわけですね。そのことは、プラスとマイナス両面があるんじゃないかと思うんですけれども、どう評価されるか、まずお答えください。

中野国務大臣 福島委員にお答え申し上げます。

 大臣の選任人事につきましては、内閣総理大臣の専権事項だというふうに思っております。そういう意味では、私自身の人事も含めたお話でございますので、大臣としてのお答えは差し控えさせていただければと思っております。

 いずれにしても、国土交通省という、陸海空、また命と暮らしを守る、大変重大な仕事でございますので、しっかりと与えられた職責を全うしてまいりたい、こういう決意でございます。

福島委員 もうちょっと御答弁いただけるかと思ったんですけれども。

 私は、中野大臣の就任が悪いと全然、決して申し上げるわけではないんですね。構造的な問題を申し上げていて、これから質問する私の意識というのは、例えば大胆な政治決断が必要な、国土のデザインをするとか、政策を大きく変更する、そうしたことは、やはり与党第一党ではないですよ、これは公明党さんが問題があるんじゃないですよ、構造としてそうしたことが非常にやりづらいんじゃないかということ。もう一点は、拝見していて、国土交通省が、統計の間違いの問題とか天下り問題とかこれまでありましたけれども、私は今、一番官僚たちが喜んでいる省のように思えてならないんですね、ほかの役所と比べてみて。そういうところが若干の問題があるんじゃないかなというふうに思っているんです。

 中野大臣が入省する前は国土庁という役所があって、それが国土交通省の源流の一つでありますけれども、これまで戦後五回にわたって全国総合開発計画、いわゆる全総というものが作られてきました。全て作るのに、策定に携わったミスター全総と言われるのが下河辺淳さん、この委員会でも何度か話題にしていますけれども、私の高校、そして山口那津男前公明党代表の母校、そして今日も一人そこに後輩が傍聴に来てくれましたけれども、同窓であり郷土の大先輩であります。

 三期目当選して、このことを私は斉藤大臣に聞いて、国土形成計画というのは国家の意思や理念が私は求められていると思う、大臣としての理念や哲学を述べてくれと言ったんですけれども、真面目な斉藤大臣はなかなか、そうした答えを聞けませんでした。

 下河辺淳さんは、「戦後国土計画への証言」、もし時間があったら、大臣、この本も読んでいただければと思うんですけれども、そこではこう言っております。

 国土計画というのは何か。国土を論ずるということは、簡単に言えば、人と自然の関わり方をいろんな角度から論ずることだと思います、国土政策を論ずるときにいろいろなアプローチの仕方がありますが、基本的には、歴史を見るという、大きな見方の一つです。文化とか歴史とか、そういう大きなことなんだと。国土政策は人と国土の関わり合いに関する権力の政治的意図であり、これをまとめたものが国土計画ですから、工学部、経済学部の仕事だけではなく、政治学、歴史学の仕事だというのが私の最大の結論なんです。大臣は教養学部という東大の最適な学部を出られているので、まさにうってつけだと思うんですね。日本の政治家たちが時間軸だけで議論しないで、空間軸でもっと発言してくれていいのではないかと思いますと言っていて、まさにこれは政治そのものなんですね。だから冒頭、公明党さんが云々という、ちょっと意地悪な質問をしたんです。

 でも、今回、昨年出された第三次国土形成計画、これはスローガンが、新時代に地域力をつなぐ国土、よく学校に掲げられているようなキャッチフレーズで、本当に芋臭いと思うんですね、失礼ながら。哲学とか理念を全く感じないんです。今どういう時代であって、この国土のグランドデザインをどう描いていくのかというものが余り感じないんですけれども、大臣の目から見て、今の国土形成計画第三次はどのようにお感じになっていらっしゃいますでしょうか。

中野国務大臣 委員の御質問にお答え申し上げます。

 福島委員の様々な御指摘もしっかりと私も受け止めて、行政に邁進してまいりたいと思います。

 私が入省したのは二〇〇一年で、国土交通省になってからでございますので、昔の全総の時代ではなくて、国土形成計画が一回目の大きな計画でございました。

 委員に改めて言うまでもないとは思うんですけれども、昔の全総は、かつて、拡大の時代ということで、量的拡大、開発、そういうところから、人口減少社会の中でどういう国土づくりが必要かという、質的な向上を図ることを旨とする、これが国土形成計画だと思っております。そして、第一次、第二次、第三次ということで今まで三回やってまいりまして、これもちょっと改めてになりますが、第一次の計画では新たな公による地域づくり、第二次の計画ではコンパクト・プラス・ネットワーク、第三次が令和五年に閣議決定をさせていただいたということであります。

 確かに、委員の御指摘のとおり、言葉として、では果たしてどこまでこなれているのか。シームレスな拠点連結型国土ですとか、いろいろな概念的なところはあると思います。

 しかし、私は、この第三次の計画は、やはり、本格的な人口減少社会において、例えば、地域生活圏の形成というものがビジョンとして一つ示されております。地域力を生かして、このままでは今の自治体、暮らしている地域が、日常生活が持続可能でなくなってくるんじゃないか、こういう問題意識の下、こうした新しいビジョン、新しい概念、こういうものを打ち出してきているものだというふうに思っております。時代の要請に応じて、では、質的な向上をこの人口減少社会の中でどうやって図っていくかという国土像を示してきたものではないかというのが私の今の受け止めでございます。

福島委員 私は、それはいいと思うんですけれども、やはりこれは建設省と運輸省の所掌の範囲なんですね。国土のデザインというのはそれだけじゃないと思うんですよ。いろいろな様々な、情報の分野もある、エネルギーもある、農業もある、さらには文化の側面もある。様々な分野を包含したものが、本来は全国総合開発計画。だから、昔は総理府の中にあったけれども、省庁再編の中で国土交通省という形になって、何か私から見れば、公共事業の根拠となることの、がちゃんとホチキスしたようなものにしか残念ながら見えないし、それが改まってこなかったです。そして、まさにそれが公明党さんが歴代大臣を務めてきた国土交通省の成果なんだと思うんですね。それは公明党さんが悪いと言っているんじゃないですよ、政府全体の中で残念ながらそうなっているんだと思うんです。

 例えば、二地点居住。今年も法案の審議を行いました。余りにもしょぼい法案で、時間がないのでこれは質問はしませんけれども、私はすごくいい概念だと思います。ただ、前回の法案の内容はしょぼ過ぎて、いろいろ私は各自治体に説明して回りましたけれども、この中身では全くやる気にはならないと言っておりますし、もっと民間の活力を生かすような形であったらいいと思うし、二地点居住をするためには、やはりインフラの整備が必要なんです。これからは、リモートワークなんかをすることになって、別に東京に住むことをしなくていいわけですよね。

 例えば、私は水戸というところに住んでおりますけれども、水戸から東京まで、今、ドア・ツー・ドアだと何やかんやで二時間ぐらいかかっちゃうんです。もし鉄道がもうちょっと速くて水戸から東京まで四十五分で行って、一時間ちょっとで行くとなれば、二地点居住ができて、全く水戸市というポテンシャルは変わるんですね。そうした大胆なインフラの再配置、それとともに、この二地点居住なり、今おっしゃった生活圏とか、そういうものがなければならないんですよ。

 例えば、水戸から郡山という同じような拠点都市がありますけれども、水郡線という廃止線になりそうな線があって、それにとことこ乗っていくと三時間かかるわけですね。結局、特急で東京まで行って、東京から新幹線に乗っていってとやった方が速いんですよ。

 でも、それは、もっと地方同士をつなぐネットワークというのは、やはり私は鉄道は一つの大きな選択肢だと思っていて、欧州は、環境に優しく、定時、速達性のある鉄道、インターシティーといって、在来線で、百六十キロから二百キロのスピードでばあっと鉄道が走っているのは、ヨーロッパに行った人が見たら分かるとおりですね。私の地元の日立製作所はそこで大きなビジネスをやっていて、鉄道の売上げは一兆円以上になろうとしておりますけれども、その売上げの八割は海外で、日本ではないんです。

 去年、息子を連れてインドに行ってきましたけれども、インドも在来線の高速化が進んでいて、デリーからアグラまで、タージ・マハルまで行く鉄道は百六十キロ以上の高速でだあっと、インドですら走っていますよ。

 このままいくと世界から取り残される可能性があると思うんですが、大臣所信では、戦略的、計画的な社会資本整備、基幹的な交通体系として、高規格道路、整備新幹線、リニア中央新幹線、港湾、空港と挙げているけれども、ここには在来線はないんですよ。あるのはローカル線の再構築、それだけなんですよ。

 在来線というのは、こうした今の国土形成計画を実行するにしても、どういう位置づけがあるのか。その点についてはいかがでしょうか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のように、在来線につきましては、通勤通学等の沿線住民の暮らしを支えるとともに、委員の御指摘の、広域的なまさに地域間の移動、連携を支える、観光やビジネス、二地域居住などを含めた地域の活性化にも資する、地域にとって重要な交通手段としての役割を担っているというものだと考えております。

 特に、特急列車あるいは貨物列車が走行する路線につきましては、我が国の基幹的鉄道ネットワークを形成をしております。基幹的な交通体系にもしっかり位置づけられるものだというふうに考えております。

福島委員 それは、今特急とかそういうのが走っている路線なんですね。

 例えば、新潟から郡山までは磐越西線が通っていて、郡山からいわきまでは磐越東線というのが通っていて、日本海と太平洋側を結ぶ重要な基幹路線だと思いますけれども、ここはそのままローカル線のままなんですね。本来、ここをもうちょっと高規格にすれば、新潟から、郡山を通って、いわきなんというのは一時間、二時間で行けるかもしれない。そうした設備投資は残念ながら行われないんですよ。

 資料にありますけれども、令和六年一月四日のJ―CASTニュースで石破総理はこう言っています。右側のページの石破と書いてあるところで四行目ぐらいからですけれども、私は整備新幹線をこれ以上進めることは懐疑的ですね、今の在来線と同じ狭軌のままでいいから速度を百五十キロまで上げるとかね、並行在来線問題も発生しない、工期も工費も格段に安く済むという、在来線の近代化の方が大事だろうと思っていますというふうにおっしゃっています。

 私は、これも何度も国交委員会で質問しておりますけれども、JRは独占企業であり、新たな巨大な設備投資はやらないんですよね。だから、私は、大事なのは上下分離であって、今、鉄道予算は、下の線路の整備とかにはほとんど国の予算は使われておらず、民間投資となってしまっております。これは経済学でも学ぶように、独占的な市場の場合、市場メカニズムに任せたままでは過少投資になっちゃうんですよ。だから、そこに公的な役割が必要なんです。世界各国は上下分離をやっているから、鉄道を基幹インフラとして国が責任を持って投資を行うとやっているんですね。

 毎日新聞五月号の記事でも、石破総理は、災害復旧で廃線になるんじゃないかと問われて、鉄道が民間事業である以上、そう考えるのは当然のこと、しかしそれは鉄道が上下分離を取っていないからなんです、何で鉄道だけは鉄道会社がインフラも整備するのか、鉄道という公共インフラは、赤字だろうと税金で維持すべきものですというふうにおっしゃっているんです。

 つまり、鉄道事業の運営体制の抜本的な見直し、公的関与の在り方について語っているんですね。それこそ政治の決断ですよ。インフラの中で、普通の一般路線、整備新幹線以外が除かれていると同じように、そこをほったらかしにしてきて、都市と都市を結ぶ、中核的な都市圏を結ぶ鉄道インフラというのが整備されずに来て、しかも、日立製作所のような鉄道ビジネスで世界的に羽ばたこうとしている企業があるにもかかわらず、海外で稼がざるを得ないという状況にもなっているというのを改めるのが、私は政治の役割だと思います。

 これが何でできないかというと、今、企業・団体献金の禁止とかをやっていますけれども、JR各社は自民党に多額の献金をやっております。ときわ会という団体が、JRの関係団体が選挙でも応援とかをしているんです。言い出せないんです。

 だから、私は、公明党の大臣がやるべきことは、こういうことこそ大胆な政治決断を行うべきだと思うんです。上下分離をする、そして国費を堂々と線路の維持管理、さらには高規格化に使う。そうした国鉄分割・民営化以降の鉄道政策を大胆に見直すというふうな政治決断をやるために国土形成計画を作る、そうしたことを、大臣、やっていただきたいんですけれども、私より年下で、まだ長く生きられるわけですから、大臣のときに決断しろとまでは言いません、それに取り組むような思いがあるということを是非おっしゃっていただけませんでしょうか。

中野国務大臣 委員の御指摘の、様々なネットワークの整備の在り方等、本当に大所高所からの御意見、拝聴をして、伺ってまいりました。

 JRの在り方というのは、一つ国鉄改革という歴史もありまして、そういう意味では、民間的な手法の導入、自主的な経営体制の下で効率的に運営をする、そういうものであったと思います。

 他方で、今は人口減少もあります。輸送人員が大幅に減少して、なかなか大量機関としての鉄道特性が十分に発揮できない状況、そういうものもある中で、どういう鉄道に対する取組をしていくかということかというふうに思っております。

 今、昨年、地域交通法も改正をいたしました。地域の将来像に合わせたローカル鉄道の再構築、地域の関係者の合意形成に国が積極的に関与していく、あるいは予算面でも力強い支援を行う、こういう取組もやっております。

 利便性や持続可能性の高い地域公共交通の実現をどうしていくかというところは非常に大きなテーマでございますし、さらに、幹線の鉄道ネットワークの高機能化をどうしていくかというところも非常に大きな課題というふうに思っております。

 また、地域の実情、またそうした長期的な視点に立って政策を検討していきたいというふうに考えております。

福島委員 多少堅い答弁かと思いますけれども、是非、若い世代、そして将来の夢が持てるような、現実だけではない、現実も当然必要ですけれども、やはり、夢を語り、それを実現するために汗をかくのが政治家であると思いますので、今後の中野大臣の御健闘を期待いたしまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

井上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十一分散会


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