第18号 令和7年6月17日(火曜日)
令和七年六月十七日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 井上 貴博君
理事 勝俣 孝明君 理事 加藤 鮎子君
理事 中谷 真一君 理事 城井 崇君
理事 神津たけし君 理事 森山 浩行君
理事 奥下 剛光君 理事 西岡 秀子君
石橋林太郎君 尾崎 正直君
梶山 弘志君 加藤 竜祥君
金子 恭之君 工藤 彰三君
国定 勇人君 小寺 裕雄君
小森 卓郎君 坂本竜太郎君
塩崎 彰久君 島田 智明君
高見 康裕君 田所 嘉徳君
谷 公一君 土屋 品子君
西田 昭二君 平沼正二郎君
三反園 訓君 山本 大地君
阿久津幸彦君 梅谷 守君
尾辻かな子君 小宮山泰子君
白石 洋一君 辻 英之君
津村 啓介君 長友よしひろ君
伴野 豊君 福田 淳太君
松田 功君 谷田川 元君
阿部 弘樹君 井上 英孝君
徳安 淳子君 鳩山紀一郎君
古川 元久君 中川 康洋君
西園 勝秀君 たがや 亮君
堀川あきこ君 福島 伸享君
…………………………………
国土交通大臣 中野 洋昌君
法務副大臣 高村 正大君
文部科学大臣政務官 金城 泰邦君
国土交通大臣政務官 高見 康裕君
国土交通大臣政務官 国定 勇人君
政府参考人
(内閣官房防災庁設置準備室審議官)
(内閣府大臣官房審議官) 河合 宏一君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 貫名 功二君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 阿部 竜矢君
政府参考人
(金融庁総合政策局参事官) 八幡 道典君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 内野 宗揮君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 田原 芳幸君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 今井 裕一君
政府参考人
(国土交通省大臣官房公共交通政策審議官) 池光 崇君
政府参考人
(国土交通省大臣官房上下水道審議官) 松原 誠君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 黒田 昌義君
政府参考人
(国土交通省不動産・建設経済局長) 平田 研君
政府参考人
(国土交通省都市局長) 内田 欽也君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 藤巻 浩之君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 山本 巧君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 楠田 幹人君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 五十嵐徹人君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 稲田 雅裕君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 平岡 成哲君
政府参考人
(国土交通省政策統括官) 小善 真司君
政府参考人
(観光庁次長) 平嶋 隆司君
政府参考人
(運輸安全委員会事務局長) 藤原威一郎君
国土交通委員会専門員 國廣 勇人君
―――――――――――――
委員の異動
五月三十日
辞任 補欠選任
中川 康洋君 西園 勝秀君
六月九日
辞任 補欠選任
西園 勝秀君 中川 康洋君
同月十七日
辞任 補欠選任
石橋林太郎君 平沼正二郎君
大西 洋平君 坂本竜太郎君
小森 卓郎君 塩崎 彰久君
下条 みつ君 梅谷 守君
馬淵 澄夫君 辻 英之君
赤羽 一嘉君 西園 勝秀君
同日
辞任 補欠選任
坂本竜太郎君 山本 大地君
塩崎 彰久君 尾崎 正直君
平沼正二郎君 石橋林太郎君
梅谷 守君 下条 みつ君
辻 英之君 福田 淳太君
西園 勝秀君 赤羽 一嘉君
同日
辞任 補欠選任
尾崎 正直君 小森 卓郎君
山本 大地君 島田 智明君
福田 淳太君 馬淵 澄夫君
同日
辞任 補欠選任
島田 智明君 大西 洋平君
―――――――――――――
五月二十八日
南アルプスリニアトンネル工事の中止を求めることに関する請願(堀川あきこ君紹介)(第一五〇二号)
同(山崎誠君紹介)(第一五〇三号)
六月三日
南アルプスリニアトンネル工事の中止を求めることに関する請願(上村英明君紹介)(第一六六四号)
同月五日
国土交通行政を担う組織・体制の拡充と職員の確保に関する請願(中谷一馬君紹介)(第一九二五号)
同月十日
災害からの復興、国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願(浅野哲君紹介)(第二〇二五号)
同(安藤じゅん子君紹介)(第二〇二六号)
同(池田真紀君紹介)(第二〇二七号)
同(枝野幸男君紹介)(第二〇二八号)
同(大河原まさこ君紹介)(第二〇二九号)
同(岡本あき子君紹介)(第二〇三〇号)
同(金子恵美君紹介)(第二〇三一号)
同(鎌田さゆり君紹介)(第二〇三二号)
同(神谷裕君紹介)(第二〇三三号)
同(源馬謙太郎君紹介)(第二〇三四号)
同(神津たけし君紹介)(第二〇三五号)
同(佐原若子君紹介)(第二〇三六号)
同(篠田奈保子君紹介)(第二〇三七号)
同(高松智之君紹介)(第二〇三八号)
同(寺田学君紹介)(第二〇三九号)
同(中谷一馬君紹介)(第二〇四〇号)
同(西銘恒三郎君紹介)(第二〇四一号)
同(福田昭夫君紹介)(第二〇四二号)
同(牧義夫君紹介)(第二〇四三号)
同(馬淵澄夫君紹介)(第二〇四四号)
同(屋良朝博君紹介)(第二〇四五号)
同(荒井優君紹介)(第二一四四号)
同(上村英明君紹介)(第二一四五号)
同(岡田華子君紹介)(第二一四六号)
同(黒岩宇洋君紹介)(第二一四七号)
同(長友慎治君紹介)(第二一四八号)
同(西川将人君紹介)(第二一四九号)
同(長谷川淳二君紹介)(第二一五〇号)
同(福田玄君紹介)(第二一五一号)
同(松木けんこう君紹介)(第二一五二号)
同(山崎誠君紹介)(第二一五三号)
同(笠浩史君紹介)(第二一五四号)
同(稲富修二君紹介)(第二二三一号)
同(川内博史君紹介)(第二二三二号)
同(小山千帆君紹介)(第二二三三号)
同(櫻井周君紹介)(第二二三四号)
同(たがや亮君紹介)(第二二三五号)
同(西岡秀子君紹介)(第二二三六号)
同(藤原規眞君紹介)(第二二三七号)
同(三角創太君紹介)(第二二三八号)
同(道下大樹君紹介)(第二二三九号)
同(宮川伸君紹介)(第二二四〇号)
同(山岡達丸君紹介)(第二二四一号)
国土交通行政を担う組織・体制の拡充と職員の確保に関する請願(浅野哲君紹介)(第二〇四六号)
同(安藤じゅん子君紹介)(第二〇四七号)
同(大河原まさこ君紹介)(第二〇四八号)
同(岡本あき子君紹介)(第二〇四九号)
同(金子恵美君紹介)(第二〇五〇号)
同(鎌田さゆり君紹介)(第二〇五一号)
同(源馬謙太郎君紹介)(第二〇五二号)
同(神津たけし君紹介)(第二〇五三号)
同(佐原若子君紹介)(第二〇五四号)
同(篠田奈保子君紹介)(第二〇五五号)
同(高松智之君紹介)(第二〇五六号)
同(たがや亮君紹介)(第二〇五七号)
同(寺田学君紹介)(第二〇五八号)
同(西銘恒三郎君紹介)(第二〇五九号)
同(福田昭夫君紹介)(第二〇六〇号)
同(牧義夫君紹介)(第二〇六一号)
同(馬淵澄夫君紹介)(第二〇六二号)
同(屋良朝博君紹介)(第二〇六三号)
同(上村英明君紹介)(第二一三四号)
同(岡田華子君紹介)(第二一三五号)
同(黒岩宇洋君紹介)(第二一三六号)
同(長友慎治君紹介)(第二一三七号)
同(長谷川淳二君紹介)(第二一三八号)
同(福田玄君紹介)(第二一三九号)
同(円より子君紹介)(第二一四〇号)
同(三角創太君紹介)(第二一四一号)
同(山崎誠君紹介)(第二一四二号)
同(笠浩史君紹介)(第二一四三号)
同(有田芳生君紹介)(第二二二二号)
同(稲富修二君紹介)(第二二二三号)
同(海江田万里君紹介)(第二二二四号)
同(川内博史君紹介)(第二二二五号)
同(小山千帆君紹介)(第二二二六号)
同(櫻井周君紹介)(第二二二七号)
同(西岡秀子君紹介)(第二二二八号)
同(藤原規眞君紹介)(第二二二九号)
同(宮川伸君紹介)(第二二三〇号)
同月十二日
国土交通行政を担う組織・体制の拡充と職員の確保に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三五七号)
同(荒井優君紹介)(第二三五八号)
同(新垣邦男君紹介)(第二三五九号)
同(大石あきこ君紹介)(第二三六〇号)
同(菊田真紀子君紹介)(第二三六一号)
同(斎藤アレックス君紹介)(第二三六二号)
同(佐藤公治君紹介)(第二三六三号)
同(白石洋一君紹介)(第二三六四号)
同(仙田晃宏君紹介)(第二三六五号)
同(高橋永君紹介)(第二三六六号)
同(中島克仁君紹介)(第二三六七号)
同(野間健君紹介)(第二三六八号)
同(松下玲子君紹介)(第二三六九号)
同(山岸一生君紹介)(第二三七〇号)
同(吉川元君紹介)(第二三七一号)
同(青山大人君紹介)(第二五三九号)
同(阿部知子君紹介)(第二五四〇号)
同(池田真紀君紹介)(第二五四一号)
同(枝野幸男君紹介)(第二五四二号)
同(落合貴之君紹介)(第二五四三号)
同(塩川鉄也君紹介)(第二五四四号)
同(篠原孝君紹介)(第二五四五号)
同(堤かなめ君紹介)(第二五四六号)
同(松原仁君紹介)(第二五四七号)
同(山岡達丸君紹介)(第二五四八号)
同(山田勝彦君紹介)(第二五四九号)
同(早稲田ゆき君紹介)(第二五五〇号)
災害からの復興、国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三七二号)
同(新垣邦男君紹介)(第二三七三号)
同(大石あきこ君紹介)(第二三七四号)
同(海江田万里君紹介)(第二三七五号)
同(菊田真紀子君紹介)(第二三七六号)
同(斎藤アレックス君紹介)(第二三七七号)
同(佐藤公治君紹介)(第二三七八号)
同(白石洋一君紹介)(第二三七九号)
同(高橋永君紹介)(第二三八〇号)
同(中島克仁君紹介)(第二三八一号)
同(野間健君紹介)(第二三八二号)
同(松下玲子君紹介)(第二三八三号)
同(山岸一生君紹介)(第二三八四号)
同(吉川元君紹介)(第二三八五号)
同(青山大人君紹介)(第二五五一号)
同(阿部知子君紹介)(第二五五二号)
同(落合貴之君紹介)(第二五五三号)
同(塩川鉄也君紹介)(第二五五四号)
同(篠原孝君紹介)(第二五五五号)
同(堤かなめ君紹介)(第二五五六号)
同(山田勝彦君紹介)(第二五五七号)
同(早稲田ゆき君紹介)(第二五五八号)
同月十三日
国土交通行政を担う組織・体制の拡充と職員の確保に関する請願(石川香織君紹介)(第二七一五号)
同(神谷裕君紹介)(第二七一六号)
同(川原田英世君紹介)(第二七一七号)
同(小宮山泰子君紹介)(第二七一八号)
同(下条みつ君紹介)(第二七一九号)
同(田村貴昭君紹介)(第二七二〇号)
同(長坂康正君紹介)(第二七二一号)
同(村岡敏英君紹介)(第二七二二号)
同(八幡愛君紹介)(第二七二三号)
同(米山隆一君紹介)(第二七二四号)
同(志位和夫君紹介)(第二九三一号)
同(篠原豪君紹介)(第二九三二号)
同(田中健君紹介)(第二九三三号)
同(田村智子君紹介)(第二九三四号)
同(松木けんこう君紹介)(第二九三五号)
同(緑川貴士君紹介)(第二九三六号)
同(森田俊和君紹介)(第二九三七号)
同(柳沢剛君紹介)(第二九三八号)
災害からの復興、国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願(川原田英世君紹介)(第二七二五号)
同(小宮山泰子君紹介)(第二七二六号)
同(下条みつ君紹介)(第二七二七号)
同(田村貴昭君紹介)(第二七二八号)
同(長坂康正君紹介)(第二七二九号)
同(村岡敏英君紹介)(第二七三〇号)
同(八幡愛君紹介)(第二七三一号)
同(米山隆一君紹介)(第二七三二号)
同(志位和夫君紹介)(第二九三九号)
同(篠原豪君紹介)(第二九四〇号)
同(田中健君紹介)(第二九四一号)
同(田村智子君紹介)(第二九四二号)
同(緑川貴士君紹介)(第二九四三号)
同(森田俊和君紹介)(第二九四四号)
同(柳沢剛君紹介)(第二九四五号)
てんかんのある人とその家族の生活を支える交通に関する請願(赤羽一嘉君紹介)(第二九二七号)
同(大西洋平君紹介)(第二九二八号)
同(小森卓郎君紹介)(第二九二九号)
同(古川元久君紹介)(第二九三〇号)
同月十六日
国土交通行政を担う組織・体制の拡充と職員の確保に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三一三五号)
同(おおつき紅葉君紹介)(第三一三六号)
同(佐々木ナオミ君紹介)(第三一三七号)
同(志位和夫君紹介)(第三一三八号)
同(塩川鉄也君紹介)(第三一三九号)
同(重徳和彦君紹介)(第三一四〇号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第三一四一号)
同(田村貴昭君紹介)(第三一四二号)
同(田村智子君紹介)(第三一四三号)
同(堀川あきこ君紹介)(第三一四四号)
同(道下大樹君紹介)(第三一四五号)
同(本村伸子君紹介)(第三一四六号)
同(谷田川元君紹介)(第三一四七号)
同(渡辺創君紹介)(第三一四八号)
同(眞野哲君紹介)(第三三一一号)
同(本村伸子君紹介)(第三三一二号)
同(櫛渕万里君紹介)(第三四三四号)
同(末松義規君紹介)(第三四三五号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第三四三六号)
同(西川将人君紹介)(第三四九八号)
災害からの復興、国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三一四九号)
同(おおつき紅葉君紹介)(第三一五〇号)
同(志位和夫君紹介)(第三一五一号)
同(塩川鉄也君紹介)(第三一五二号)
同(重徳和彦君紹介)(第三一五三号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第三一五四号)
同(田村貴昭君紹介)(第三一五五号)
同(田村智子君紹介)(第三一五六号)
同(堀川あきこ君紹介)(第三一五七号)
同(本村伸子君紹介)(第三一五八号)
同(谷田川元君紹介)(第三一五九号)
同(渡辺創君紹介)(第三一六〇号)
同(眞野哲君紹介)(第三三一三号)
同(本村伸子君紹介)(第三三一四号)
同(櫛渕万里君紹介)(第三四三七号)
同(末松義規君紹介)(第三四三八号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第三四三九号)
てんかんのある人とその家族の生活を支える交通に関する請願(神津たけし君紹介)(第三一六一号)
同(白石洋一君紹介)(第三一六二号)
同(たがや亮君紹介)(第三一六三号)
同(堀川あきこ君紹介)(第三一六四号)
同(西岡秀子君紹介)(第三三一五号)
南アルプスリニアトンネル工事の中止を求めることに関する請願(本村伸子君紹介)(第三三一〇号)
北陸新幹線延伸計画の中止を求めることに関する請願(堀川あきこ君紹介)(第三四九七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○井上委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、去る九日、国土交通行政に関する実情調査のため、石川県の視察を行いましたので、参加委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。
参加委員は、理事中谷真一君、城井崇君、神津たけし君、森山浩行君、西岡秀子君、委員徳安淳子君、西園勝秀君、たがや亮君、堀川あきこ君、福島伸享君、そして私、井上貴博の十一名でございます。
このほか、現地参加として、西田昭二君、近藤和也君が参加されました。
本視察は、令和六年一月の能登半島地震及び同年九月の豪雨によりインフラ施設や住家に大きな被害がもたらされたため、被害の実態及び復旧復興の状況等について調査することとしたものです。
それでは、調査の概要について御報告いたします。
初めに、のと里山空港を視察しました。同空港は、地震発災翌日の一月二日から災害救援活動の拠点として活用され、応急復旧により同月二十七日より民間航空機の運航が再開されています。一方で、盛土と切土の境界で滑走路等に段差が生じるなど空港施設が被災しており、石川県の要請を受け、国が、空港の運用を確保しながら、令和七年度末までの完成を目指し復旧工事を権限代行しています。
次に、土砂や流木により河道閉塞が発生した塚田川において、仮設堰堤の施工状況等を視察しました。直轄砂防工事と連携して国の権限代行による河川工事も実施されており、現地では応急対策で見込まれる効果や工事の施工体制等について意見交換を行いました。
次に、地震で発生した火災により約五ヘクタールにわたり商店や住宅が焼失した輪島朝市通りを視察しました。土地が狭小で建築物が再建できないといった課題がある中、具体的な復興の在り方について検討が進められているとのことでした。
次に、輪島港において、海底の隆起により多くの漁船が座礁した漁船だまりの状況を視察しました。ズワイガニ漁等のなりわいの再開に合わせ、利用を確保しつつ、段階的に復旧されていました。
次に、内灘町において、西荒屋公民館周辺の被災状況を視察しました。同町では、液状化により広域で側方流動が発生し、土地の現況と筆界にずれが生じており、改めて早期に筆界を確定させる必要が生じています。復旧の遅れは人口流出にもつながることから、同町からは、地籍再調査のみで筆界確定を可能とすることや、復旧復興業務に係る技術的、財政的支援が要望されました。
また、震災により大規模崩落等の被害が多数生じた、のと里山海道を走行しました。車中から、河道閉塞が発生した河原田川の市ノ瀬地区や熊野地区などの被災及び復旧状況について視察し、その説明を聴取しました。
最後に、石川県庁において、馳石川県知事から、液状化の影響を受けた土地の筆界確定に係る制度運用の見直し、能越自動車道及びのと里山海道の機能強化、金沢港港湾計画の実現に向けた支援並びに防災・減災、国土強靱化の着実な推進と公共土木施設の早期復旧に向けた支援について要望がありました。
その後、土地の筆界確定に係る制度運用の見直しに関する課題や、のと里山海道の早期の復旧復興について意見交換を行いました。
今回の調査では、今般の地震や豪雨が甚大な被害をもたらし、いまだ復旧復興が道半ばであり、被災地の再生には年単位の取組が必要であることを痛感いたしました。当委員会としても、一日も早い被災地の復旧復興の実現に向け、継続的に取り組んでいく必要性を改めて認識しました。
以上が視察の概要であります。
なお、今回の視察に当たり、私どもの調査に御協力いただきました皆様方に心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。
―――――――――――――
○井上委員長 この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、国土交通省大臣官房公共交通政策審議官池光崇君外二十名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○井上委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西田昭二君。
○西田(昭)委員 おはようございます。
自由民主党、能登半島出身の西田昭二でございます。
今日は、質問の機会をいただきましたことに心から感謝を申し上げるところでございます。
ただいま、井上委員長より、能登半島の視察について御報告があったわけでございます。
先週、六月九日でございます、国土交通委員会で、井上委員長とともに理事の皆様方が能登半島の被災地を視察していただき、一年半たった状況を見ていただいたわけでございます。改めて、被災者の一人として、感謝を申し上げるところでございます。
被災した状況や場所について、今御報告があったとおりでございますが、恐らく、参加された委員の方々の中には、一年半が経過をしてまだまだこんな状況なのかというふうに思われた方も中にはおいでるかも分かりません。また、しかしながら、発災直後から、震災また豪雨災害と二重の災害があった中で、本当に、一つずつ着実に復旧復興を進めてきていただいた状況を、私どももつぶさに拝見をさせていただいたわけでございます。よくぞここまで復旧復興を進めていただいたことに、改めて感謝を申し上げさせていただきたいなと思っているところでございます。
また、被災者の皆様方におかれましては、本当につらい、言葉に言い尽くせないような状況も多々あったわけでございます。しかしながら、それについては、全国の皆様方の温かい御支援、御協力、そしてまた国からの全面的な支援、御協力によって、能登の復旧は確実に一歩ずつ進んできているところでございます。
また、国土交通省におかれましては、発災直後から、本当に、被災状況を把握するための取組、また、直轄事業であったりとか権限代行によって、能登の復旧復興を全面的に後押しをしていただいたわけでございます。それにつきましても、本当に御礼を申し上げさせていただくところでございます。
しかしながら、委員の皆さん方に見ていただいたとおり、復旧復興はまだまだ道半ばでございます。真の復旧復興を進めていくためにも、国土交通省を中心として、そしてまた、委員の皆様方の温かい御支援、御協力、御理解なくしてこれは進まないと思っておりますので、引き続き、御支援、御協力、お支えをよろしくお願いを申し上げるところでございます。
復旧から復興へ、様々な工事が同時並行で国交省として進めていただいているところでございます。その中で、最初に復興の重要な要となるのが道路であると思っております。
能登の大動脈と言える、のと里山海道の本格復旧と、国の直轄事業による、徳田大津インターチェンジから、のと里山空港インターチェンジの四車線化について、地元から切実な要請と期待が寄せられているところでございます。その見通しについてお聞かせをいただきたいと思います。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
国が代行して災害復旧を進めております、のと里山海道、能越自動車道の石川県管理区間につきましては、令和六年七月十七日に南北両方向の通行を確保いたしまして、現在、急カーブや段差などの改良を行うなどの走行性改善を順次行いながら、本格復旧工事を実施しておるところでございます。早期完成に向けまして、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
また、石川県からも御要望いただいております、徳田大津インターチェンジから、のと里山空港インターチェンジの間の四車線化につきましては、令和七年三月二十七日に、能登半島におきます広域道路ネットワーク基本方針が定められております。その中でも、能越自動車道を能登半島の基幹軸として強化していく、そういったことが位置づけられているところでございます。具体的な整備手法でありますとか事業主体について、石川県などの関係機関と連携をして、しっかりと検討してまいりたいと考えております。
国土交通省といたしましては、能登半島地震からの復興を促進する観点からも、引き続き、石川県と連携し、のと里山海道の一日も早い本格復旧と高規格道路などのネットワーク強化を進めてまいります。
○西田(昭)委員 ありがとうございます。
この道路の実現については、復興の加速化、そしてまた、未来を見据えた創造的復興に大きく寄与するものと思っております。引き続きよろしくお願いを申し上げます。
次に、視察の際にも見ていただきました、液状化の問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。
かほく市や内灘町では、液状化による側方流動が広域的に発生をいたしました。最大では十四メートルというところもあったわけでございます。この状況で地籍調査を行い土地区画整理事業を進めていくには長い時間がかかり、個人宅地の復旧が大きく遅れるという懸念を地域の皆さん方がお持ちであります。
震災から一年半が経過する中で、スピード感を持ってこの液状化による側方流動の問題化に政府としてどのように取り組んでいただけるのか、その点についてお聞かせをいただきたいと思います。
○小善政府参考人 お答えいたします。
国土交通省では、液状化による側方流動が発生した被災自治体に対し、昨年度より専門家を派遣し、土地境界に関する助言などの支援を行ってきており、その結果、既に現況とのずれを把握するための地籍再調査に着手した自治体も出てきております。
さらに、次の段階として、土地境界確定手法を具体に検討するために、法務省、石川県、被災市町及び専門家で構成するプロジェクトチームを設置し、第一回目を先月末に開催したところでございます。
プロジェクトチームの運営に当たりましては、被災地の問題意識やお考えをよくお伺いしながら検討を進めているところでございます。石川県からは、地籍再調査や土地境界確定手法の一つである土地区画整理事業について、実施期間の短縮化や被災自治体のマンパワー不足への支援等の要望を伺っているところでございます。
今月末に予定している第二回プロジェクトチームにおいては、外部委託の活用や事業手続の迅速化など、石川県からの要望への対応策も含めて検討を更に加速化していくこととしております。
土地境界問題の早期の解決に向けて、被災自治体とともにしっかりと取り組んでまいります。
○西田(昭)委員 是非とも、被災自治体と連携をして取り組んでいただきたいと思っておりますし、様々な取組を、連携をして、しっかりと時間短縮ができるように、そしてまた、予算面であったりとかマンパワーが本当に足りていないところでございます。しっかりと取り組んでいただき、液状化に苦しむ皆様方に一日でも早く再建のめどが立てられるように、よろしくお願いを申し上げます。
次に、災害土砂の処理の問題について質問をさせていただきたいと思います。
震災と豪雨の二重災害により発生をいたしました災害土砂は、輪島市や珠洲市を合わせると数百万立米とも言われております。奥能登地域においては、この処分場所が問題となっております。能登の創造的復興を進めていく上で大きな足かせとなってくるものと思います。この問題について、政府の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
○藤巻政府参考人 お答えを申し上げます。
災害によりまして流出、堆積いたしました土砂につきましては、公共工事等に最大限活用した上で、どうしても活用し切れないものもございますので、それにつきましては処分場の確保が大変重要であると認識しております。
これまで、地震や豪雨で被災した能登半島における復旧工事で発生した土砂につきましては、公共工事に活用いたしましたり、お借りした土地に仮置きをさせていただくなどの対応を図っているところでございます。
また、委員御指摘の輪島市や珠洲市を始め奥能登四市町における災害発生土砂の中長期的な処分方法につきましては、国、石川県及び関係市町の共通の課題でございます。そのため、能登半島地震、奥能登豪雨災害復旧工事に係る発注者調整会議等の場を活用いたしまして、お互いの情報共有や調整などを行いながら、関係者が一体となって検討を進めているところでございます。
引き続き、国土交通省といたしまして、県や関係市町と連携しながら、処分場所の確保に努めまして、被災地の早期の復旧復興を進めてまいります。
以上でございます。
○西田(昭)委員 ありがとうございます。
地元では、仮設住宅等、建設であったりとか、なかなか用地というものがない状況でございます。また、隆起をした海岸とかを活用しながら埋立地の確保であったりとか、様々な事業を推進する上での知見を活用しながら、またその処分場所についても是非とも検討をお願いしたいと思っております。
ありがとうございました。
次に、道の駅について質問させていただきたいと思います。
震災発生後、防災道の駅である、のと里山空港を始め、道の駅が果たした役割はとても大きいものがございました。ある道の駅では、臨時医療施設の設置場所となり、電力の復旧の拠点や物資の輸送拠点、被災された皆さん方の入浴施設にもなりました。被災者の皆さん方の生活再建を様々な形で、道の駅がその機能を発揮していただいたものと思っております。
能登地方において道の駅が持つコンセプトである地方創生や観光を加速する拠点として、今後も復興に大きな役割を果たしてもらえると期待をしております。政府の所見をお聞かせいただきたいと思います。
○山本政府参考人 能登半島地震におきましては、防災道の駅、のと里山空港などが、支援物資の集配や災害復旧活動の拠点といった広域防災拠点としての機能を発揮いたしました。また、それ以外の、防災道の駅以外の道の駅におきましても、委員御指摘のとおり、医療や入浴、宿泊など、被災者支援のための様々なニーズに対応したものというふうに認識をしております。
また、道の駅は、地方創生や観光拠点でもございまして、能登地域の有する絶景スポットなどの観光資源を生かした地域振興を支援するなど、災害時のみならず、今後の能登の復興においても重要な役割を果たし得ると考えております。
こうしたことから、能登地域の振興に向けまして、県内外から能登へ人を呼び込みます能登半島絶景海道プロジェクトの第一弾といたしまして、北陸「道の駅」連絡会の協力の下、能登の魅力や特産品、復興の状況などを道の駅で紹介するリレーイベントなども開催をしております。
道の駅が能登地域へ人を呼び込み、魅力を発信する拠点となるよう、国土交通省といたしましても、引き続き、各地域の道の駅の取組に協力するなど、支援を続けてまいりたいと考えております。
○西田(昭)委員 ありがとうございます。
能登半島地震において、防災拠点としての役割を本当に道の駅は果たしていただいたと思っております。
最後に、この道の駅は全国で一千二百三十か所、その中で防災道の駅に指定されているところが三十九か所、そして更に四十か所を追加認定されると聞いております。災害大国であることを踏まえて、更に防災道の駅を増やすことや、あるいは指定されていない道の駅の防災機能を底上げする計画はあるか、またその見通しについてお伺いをさせていただきたいと思います。
○山本政府参考人 防災道の駅につきましては、これまでのところ、合計で七十九か所選定をされております。
今後の追加指定についてでございますけれども、現在選定をされました防災道の駅での整備の進捗、活用状況、あるいは各地域での防災施策への取組状況などを踏まえまして、更なる追加選定を進める必要性も認識をしております。当面、各都道府県で二から三か所程度を目指していくというのも一つの有効な考えであるのではないかというふうに考えておるところでございます。
また、防災道の駅以外の道の駅についても、地域の防災拠点として、一時避難場所でありますとか防災資機材の備蓄拠点として位置づけられているものもございます。こうした道の駅に対しましても、令和七年度の予算から、社会資本整備総合交付金の中でも重点配分の対象事業として新たに位置づけをさせていただいたところでございます。
引き続き、道の駅の防災機能強化に努めてまいりたいと考えております。
○西田(昭)委員 引き続きよろしくお願いをいたします。質問を終わります。
○井上委員長 次に、尾辻かな子君。
○尾辻委員 おはようございます。立憲民主党の尾辻かな子です。
今回、一般質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
時間も短いので早速行きたいと思いますが、私は今日は不動産特定共同事業法についてお聞きをしてまいりたいと思います。
実は、今国会、私、不動産特定共同事業法の質問をするのは四回目になります。やはりこれは非常に課題があるというふうに思っていますので、今日も順次お聞きしてまいりたいというふうに思います。
まず、金融庁に確認をしておきたいと思います。金融サービス提供法改正が行われまして、顧客の最善の利益配慮義務というのが法定をされたかと思います。これは不動産特定共同事業も含むということでよいのか、確認いたします。
○八幡政府参考人 お答え申し上げます。
金融サービス提供法におきましては、金融事業者等による主体的な創意工夫に基づく顧客本位の業務運営に向けた取組の一層の定着、底上げを図るため、委員御指摘の最善利益勘案義務を規定しているところでございます。
本義務は幅広い金融事業者等を対象としておりまして、お尋ねの不動産特定共同事業者につきましても本義務の対象となっているところでございます。
○尾辻委員 これは昨年のたしか十一月の施行ということでよろしいでしょうかね。はい。
これは新誠実公正義務とも言われていますけれども、国交省も、不動産特定共同事業の監督に当たっての留意事項についてというところで、顧客の最善の利益を勘案した誠実公正義務ということで触れられているところであります。
それでは、この誠実公正義務が本当に果たされているのかという観点でお聞きをしてまいりたいと思います。
本年の六月八日付で、不動産情報を扱う楽待編集部がウェブ記事を掲載いたしました。四十億円集めた戸建て七十戸計画、実は更地のままだった、不動産クラファンの謎と見出しにあります。一〇%の利回りをうたって投資家から資金を集めた不動産開発プロジェクトで、実は建物が建設されていなかった、それにもかかわらず、想定どおりの利息をつけて投資家に元本が戻された。
私、四回の質問の間、この間、本当に実体があるのか、そして、実体があるのをどうやって監督するのかという疑問を投げかけてきました。
この楽待の記事によると、カザフスタンのファンドで計十四件、そのうち、現地調査、これは編集部の関係者の方が現地に行かれてみたところ、建物があったのは三件で、残り十一件は建物が建っていなかった。そして、事業者は、建物の建設が完了したと投資家に報告をされています。そして、完了したという投資家へのレポートは記載ミスだったというふうに会社はおっしゃっております。
まず、この指摘の記事について、国交省として承知しているかどうか、お聞きいたします。
○平田政府参考人 お答えいたします。
記事については承知をしております。
○尾辻委員 それでは、一般的に、投資の募集が住宅建設とされているところに、住宅が建設されなかったにもかかわらず、投資家向けの運用レポートに建築工事が全て完了したと報告されている場合、これは不実告知に当たるのでしょうか。
○平田政府参考人 お答えいたします。
一般論としてお答えを申し上げます。
こうした委員御指摘のような場合には、二つの論点があろうかと思います。
まず、募集時に説明された事業が行われなかった場合、不動産特定共同事業法において、不動産特定共同事業者が、契約の勧誘時、投資家の判断に影響を及ぼすこととなる重要な契約事項について、不実のことを告げる行為をしてはならないとしている規定等との関係、これがまず一点、論点になろうかと思います。
また、不動産特定共同事業法は、運用中の商品について、事業者が毎年、不動産特定共同事業契約に係る財産の状況に関する一定の事項を記載した財産管理報告書を投資家へ交付することを義務づけておりまして、この報告書の内容に虚偽があるかどうかについても論点になると考えられます。
実際にこれらの規定に抵触しているか否かにつきましては、個別の商品の内容などにもよりますことから、事業者を監督する行政庁において判断することになると考えております。
○尾辻委員 何か今、論点整理だけされて、何も答えておられないように思うわけですけれども。
ちょっと聞きますけれども、では、二つ目の、財産管理報告書の記載の事実と現地の事実が違った場合、これはどうなるんですか。
○平田政府参考人 お答えいたします。
現地の状況が記載の状況と異なった場合、その状況、事情、経緯等を勘案して判断することになろうかと思います。
○尾辻委員 判断するということですけれども、これはどうやって許可権者は判断をするんでしょうか。
○平田政府参考人 お答えいたします。
事業の実体がないことが疑われるような情報に接した場合、あるいは、予定された建築等の工事が完了せず投資家から苦情が上がっているような場合、こういった場合に、事業者を監督する行政庁が、必要に応じて、事業者に対する報告徴収あるいは立入検査等を実施しまして、建築工事の進捗など、事実関係の把握を行うことになるものと考えております。
こうした事実関係の把握と、実際の記載等を照らして判断することになろうかと思います。
○尾辻委員 今回、実はこれは編集部の関係者の方が現地に行ったから分かったわけなんです。不特法自身には、こういった、現地の実態と違う場合に許可権者がそれをどうやって知るのかというところについて、何も担保されていないんじゃないかということなんですよね、一つは。
だから、こうして一つ一つ誰かが、第三者が物件を見に行かないと実体がないかどうか分からないような、そんな事業のスキーム、本当にいいんですかということなんです。
今から中間取りまとめの中で、財産報告に進捗状況を掲載してくださいということをこれからお願いするんだと言っていますけれども、それが現地の事実と合っているのかどうかは一体誰がどのようにして把握をするんですかということ。
そして、例えば、今、都道府県が許可権者になっている場合が多いわけですよね。今回の議論の中でもずっと、これは許可権者ですというと、では都道府県が見に行くんですかということです。神奈川県の、宅建をやっている県の職員がカザフスタンに見に行くんですか。では、その予算はどうやって取るんですか。ほかにもあります、スリランカだってあるしモンゴルだってあるしアメリカだってあります。大阪の事業者だったら韓国を持っています。
先ほどから制度の話をされていますけれども、実体はどうやって許可権者は把握できるんですか。
○平田政府参考人 お答えいたします。
事業の実体の把握でございますけれども、まずは、監督行政庁が事業者に対して報告徴収あるいは立入検査等を実施するということが基本になると考えておりまして、これらによって事実関係の把握を行っていくということでございます。
その上で、都道府県が担当しております案件についてのお尋ねがございましたけれども、都道府県のみの対応では難しい案件につきましては、事案の内容に応じまして、国としても、立入検査の合同実施ですとかあるいは技術的助言の積極的な実施など、必要な協力を行ってまいりたいと考えております。
○尾辻委員 いつも定型的な答えですけれども、ここまで事実が明らかになって、何も調査をしないとか何も立入検査がないとかそういうことは私はあり得ないと思いますので、まずはそこはしっかり取り組む必要があるかと思います。
そして、もう一つ。いろいろな問題があるんですよ。要は、海外の土地なんて、例えばカザフスタンなんかは土地の所有は国ですから、そうしたら借地権ですよ。借地権がどうやったのか、建築工事がどう確認されたかなんて、どうやって日本で確認できるんですかということです。それをこうして不動産クラファンにできてしまう制度をつくった。国交省、本当にこれは危機意識を持ってください。
さらに、今回の場合は、建物が建たなくても売却が成立したことで、配当金が支払えた。この報道では、仕入価格の十倍以上の値段で売却がされています。その償還金はどこから来たのかと指摘されているわけですが、こうした取引の妥当性は、投資家はどのように判断するのか。その材料は投資家に提示されていると言えるんでしょうか。
○平田政府参考人 個別の案件についての答弁は控えさせていただきますけれども、不動産特定共同事業の商品で設定される不動産の価格がどのように説明されるのか、また、その情報を基にどのように投資判断すべきかということにつきまして、一般論としてお答え申し上げます。
御指摘のありましたようなことにつきましては、一般論で申し上げますと、まず、不動産特定共同事業法では、事業者に対して、契約が成立するまでの間に、運用対象となる不動産の価格及びその算定方法、鑑定評価の有無等を記載した書面を投資家に交付することを義務づけております。
また、運用期間中に不動産特定共同事業契約に係る不動産取引が行われた場合には、その不動産取引から生じた収益又は利益、損失の状況、運用の経過について、財産管理報告書に記載され、投資家に情報提供されることとなります。
投資家におきましては、これらの書面に記載される情報も踏まえて、不動産価格の妥当性について各自判断されるものと考えております。
○尾辻委員 今聞いていただいている皆さん、どう思われますか。海外の事業で建物を建てるといってお金を集めて、そしてその建物が建ちませんでした、でも、その分はしっかりと十倍の利益を出して、ちゃんとお金を返して、十倍の値段で売却されている。これはどうやって、誰が、妥当かどうか投資家として判断するのか。
これは不特法の抜け穴がやはりあるんだということだと私は思います。ずっと言っています。金融商品取引法に比べて、この不特法は甘過ぎるんじゃないですか、そして、その抜け穴の中で投資家保護がされていませんよねということをずっと申し上げてきました。しかし、今返ってくる答えは、制度の説明しか返ってこないわけです。
大臣にお聞きしたいと思いますけれども、私、今日取り上げた事例は大問題だと思います。大臣、これは問題だというふうに思われますか。
○中野国務大臣 個別の事案についてのお答えは差し控えさせていただきますが、一般的な対応としてどういうことをするのかというのは、先ほど局長が申し上げたとおりだというふうに思っております。
いずれにしても、問題がある事業者がある場合には監督行政庁において必要な監督を行うということは当然のことであるというふうに認識をしております。
○尾辻委員 私は神奈川県にも聞きましたけれども、まだそういう調査には入っておられないということでした。個別のことですけれども、ここまでの問題が起こっているんです。
中間取りまとめ、今、在り方検討会をやられていますけれども、法改正から逃げようとばかりしているわけです。事業者のガイドライン、事業者が自分たちでやったら大丈夫でしょうとか、とにかく法改正をせずに何とか穴を埋めようとしていますが、私はこれはもう無理だと思います。
ここはしっかりと、今、投資家被害がここまで出かけているような状況を見ると、やはり法改正を検討すべきである。例えば、金商法と同じように、善管注意義務とか忠実義務とか、これをしっかりとまず明記すべきだというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか。
○中野国務大臣 金融商品取引業者は、金融商品取引法においては、その業務について、顧客のために忠実に業務を行うとともに、顧客に対して善良な管理者の注意をもって行わなければならないとされております。
他方で、不動産特定共同事業者は、不動産特定共同事業法におきまして、信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければならないとされていることに加え、民法の一般原則に従い、投資家との契約に基づく業務の実施に当たっては、善良な管理者の注意をもって行うということが求められております。
これらの規定について、金商法と比して財産管理や顧客への対応という観点で欠けているものではないというふうに認識をしておりますけれども、先ほど御指摘ありました不動産特定共同事業への一般投資家の参加が増加をしているという環境変化を踏まえまして、本年三月に、一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての検討会を設置し、これは制度面での議論を進めていただいているというところでございますので、この夏に取りまとめを予定しております中間整理を踏まえまして、必要な制度の充実に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○尾辻委員 それでは不十分だということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、梅谷守君。
○梅谷委員 立憲民主党の梅谷守です。
今日は、十五分という貴重な大事な質問時間をいただいたこと、委員長、また理事の皆様を始めとする関係各位に心から感謝を申し上げます。
そして、これから私が指摘というか質疑をさせていただく点は、全てデータや、また現場の声に基づくものですので、大臣から是非、その意味で、現場に寄り添う気持ちとともに、前向きな御答弁をいただきますようにお願いを申し上げます。
まず、中野大臣と、私は今日は豪雪対策一本で質問させていただきますが、雪国の現状について、危機意識を是非大臣と共有をさせていただきたいと思います。
その前に、今冬、私の地元を始め各地域で災害救助法を適用していただけたこと、そして、これは非常に迅速な対応をいただきましたので、このことに対しても、心から、まずもって感謝、敬意を表させていただきたいと思います。
まず、私が強調させていただきたいのが、救助法が適用されない、いわばいつもの冬、そしていつもの豪雪も、雪国の暮らしにとっては大きな負担であり、命に関わる深刻な問題だということです。
令和六年度も、雪による死者は全国で六十八名、例年、五十人から百人が亡くなっております。これは災害と呼ぶべき実態です。
資料一を御覧ください。直近三十年で、雪害による死者は約千五百人、青いグラフですね、青い方。そして、台風などの風水害の約二千五百人に次ぐ規模ですが、風水害の対象人口が約三千万人に対して、豪雪地帯の人口は一千九百万人です。人口当たりの被害では、雪害が最も深刻な災害と言えます。
そして、更に深刻なのが、除雪の担い手不足。資料の二つ目を御覧ください。これは新潟県長岡市のデータなんですが、除雪を担う地域の互助組織では、七十歳以上が四割を占めている。その四割が、あと五年以内で限界だと答えています。除排雪事業者も同様でして、その意味で、このままでは数年以内に除雪体制が崩壊しかねない、この強い危機意識を抱かずにはいられません。
そこで、大臣にお伺いしますが、日常の豪雪も災害と認識すべきという点に対する所見と、除雪の担い手不足が既に危機的である現状に対する認識及び今後の対応について、お聞かせください。
○中野国務大臣 お答えを申し上げます。
委員の御地元の十日町市あるいは上越市など、昨冬、災害救助法が適用されるような大変な豪雪もあったというふうに承知をしております。
他方で、恒常的な積雪ということもございます。近年、特に短期間で集中的な降雪も発生をしているということで、積雪による交通の阻害、御指摘のような除排雪の作業中の死傷事故でございますとか、あるいは除排雪を担う人材不足の深刻化、委員御指摘のとおり様々な課題があるというふうに認識をしております。
国土交通省では、令和四年十二月に豪雪地帯対策基本計画が閣議決定をされております。これに基づきまして、冬期の安全で円滑な道路交通の確保ですとか、建設業を始めとした除排雪を担う人材の確保、育成、そして地域における持続的な共助除排雪体制の整備などの取組をまさに進めているところでございまして、特に、人口減少や高齢化など、やはりそういう除排雪の体制の整備に課題を抱える道府県ですとか市町村に対しましては、豪雪地帯安全確保緊急対策交付金というものがございます。こうした、例えばボランティアの活用も含む共助による持続可能な除排雪体制の整備などの取組も支援をさせていただいている、そういう状況でもございます。
引き続き、関係省庁あるいは豪雪地帯の道府県、市町村と連携をしながら、豪雪地帯対策の一層の推進に取り組んでまいりたい、このように考えている次第でございます。
○梅谷委員 ありがとうございます。
危機意識は共有していただいていると思いますが、改めて、今現場を回らせていただくと、今大臣も御指摘いただきました、本当に高齢化がすごくて、このまま数年たってしまうと、この方々がどうしてもやむにやまれない諸事情で除排雪できなくなる。そして、では、それを今度は業者さんが担っていただくと思いきや、そこも担い手不足。非常に厳しい状況が向こう五年以内には急に訪れてくると、私は現場を回っていて確信をしております。その意味で、閣議決定しており、それを順次都道府県と連携しながら進めていただいているのは重々承知をしておりますが、是非、更にねじ巻きしていただくというか、強い危機感を持っていただいて御対応いただきたいと思います。
その上で、やはり現場を回っていると、小型除雪機、小型でもないんですけれども、家庭用除雪機というんですか、これに対する補助を何とかしてほしいという声を非常にいただきます。
豪雪地帯では、言うまでもなく、大型除雪車でかき切れない雪、これを各御家庭など個人などで、除雪機で雪をかきます。この金額が一台当たり、御案内でしょうけれども、私の地元では百三十万円から三百万かかるんです。冬期間の数回しか使用しないにもかかわらず、家庭や個人でこれを購入して備えていくことは非常に負担が重くて、何とかしてほしいという声があふれています。
この点、今お話しいただいた交付金、交付制度の中に除雪機の整備、共有体制というものは設けていただいていますけれども、実際、この豪雪交付金の今年度予算は僅か六千万円、そして、昨年度補正を含めても一・六億円。そして、この交付金を、交付金は四種類メニューがあって、その中の一つの除雪機整備体制ですけれども、これを活用したのが二十七自治体、三十三件にとどまると伺っています。補助率二分の一、国が。こう考えると、全額使っても除雪機二台分が手いっぱい。なので、程度について、正直なところ、焼け石に水の感が私はあります。豪雪地帯では何千何万という世帯が重い負担を強いられている現実があり、現状の支援規模では余りにも非力だと思います。
そこで、大臣に伺います。交付金の大幅な拡充をするべきではないかと考えますが、見解を伺います。
○中野国務大臣 先ほど私からも答弁させていただきました豪雪地帯安全確保緊急対策交付金、これは共助による持続可能な除排雪体制の整備などの取組に向けての支援を行っているところでございます。
委員御指摘の、地方公共団体が小型除雪機を購入をする場合についても支援を行わせていただいておりまして、地方公共団体から町内会などに小型の除雪機を貸与して、使用方法を習得するための実技の講習ですとか実際の除排雪活動に活用されているということでございます。
一応、この本交付金を今四十九の自治体が活用していただいておりまして、そのうち二十七自治体で小型除雪機の購入に対して本交付金を使われているのは、先ほど委員がお話しいただいたとおりでございます。
予算の規模が足りないというふうな御指摘も委員からございました。このような取組も含め、引き続き、豪雪地帯の皆様からの御意見もしっかり伺いながら、持続可能な除排雪の体制の構築に向けて、国土交通省としてもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○梅谷委員 ありがとうございます。予算面については含んで御検討いただくという御答弁をいただきました。
基本的には個人の資産には税金を投入しづらい、そういう原則の下で、本当に関係各位におかれては、それを何とか工夫をしていただいて、このメニューを加えていただいていると受け止めています。ただ、その上で、雪国ならではの、高齢化だからこそ負わなければならない負担があるので、是非拡充の旨、強くお願いを求めたいと思います。
次、凍上災への対応についてお伺いをします。
これも言うまでもなく、道路の舗装下の水分が凍結、融解することで路面が盛り上がったり亀裂が入る凍上災、これが雪国における道路破損の大きな原因の一つとなっています。国は災害復旧事業として支援していただいていますが、これが非常に使いづらい、そもそもどこまでが支援対象かが分からない、こういう声が自治体から寄せられています。現場から聞こえています。
資料三を御覧ください。私の地元では、往々にしてこういう道路を見かけます。ところが、修復のための災害復旧事業で凍上災として採択された案件がどれだけあるかというと、今度は資料四を御覧いただきたいんですが、過去十年でこれしかないんですね。
自治体に確認すると、自治体といってもうちの地元がメインですけれども、亀甲状のひび割れなどはあちこちであるがそれが凍上災であるかどうか確信が持てない、災害復旧事業の対象になるには十年確率凍結指数を超える低温という厳格な要件がある、申請要件を満たす確信が持てず申請をためらう、こういう現場の声をたくさんいただきました。
そこでお尋ねしますが、近年の災害復旧事業における凍上災の申請件数の少なさも踏まえて、この制度が適切に活用されているとお考えなのか、大臣の御所見を伺います。
○中野国務大臣 委員御指摘の凍上災、凍上現象による道路舗装にひび割れが発生をする被害に対しまして、災害の復旧事業であるいわゆる凍上災により被災した自治体を支援しているというところでございます。
凍上災、いわゆる凍上災として採択をされるには、御指摘のとおり、異常な低温により発生をした災害であること等が要件となっております。
国土交通省としましては、この異常な低温というのが、いわゆる一日の平均気温が連続して氷点下になる期間における、一日の平均気温の累計値を用いて算出をした指数が一定の基準を超えるという、委員が御説明いただいたとおりなんですけれども、地方公共団体に実情を丁寧に伺いながら、凍上被害に対して適切に復旧を支援するように努めてまいりたいというふうに考えております。
○梅谷委員 適切にやってまいりたいという気持ちは分かりますが、私が現場からいただく声としては決してそうなっていないということを今申し上げておるわけなんです。
例えば、一つ目、資料五を御覧いただきたいんですが、この五番目ですね、一番下。ここに、問題の一つとしては、被災前状況を説明できる資料を求めていることなんですね。つまり、要は破損直前の道路の写真を申請要件としているんですよ。これが、破損箇所の直前の写真なんというのは、全線の写真撮影を秋に行いでもしない限り、正直なところ、用意するのは困難だと思います。適正な申請を担保したいというのは分かりますけれども、自治体からの申請ですから、そこまで疑うべきものなのかどうかというのは私は疑問に思います。
もう一個が、今大臣おっしゃっていただいた十年確率凍結指数を超える低温、この要件ですね。これは確かにおっしゃるとおりなんですが、かなり前につくられた制度、基準だし、また、温暖化で寒波が減ったとされても、現実には冬期の路面の損傷は依然として多数発生しています。見た目の損傷状況も凍上災と変わりません。名称の問題はあるにせよ、昔ながらの基準を基に制度の対象を極端に絞ってしまうのは、私は今の時代になじまないと思います。
なので、大臣に伺います。
申請時に破損箇所の直前の写真を要件とすることや、十年確率凍結指数を超える低温という基準での凍上災しか認めない扱いを改め、基準の現代化、現実的見直しを求めますが、いかがでしょうか。
○中野国務大臣 凍上災の採択要件につきましては、地方公共団体の実情や御要望については、今後とも丁寧な把握に努めてまいりたいというふうに思っております。
いずれにしても、被災地に寄り添い、凍上による災害からの復旧を支援してまいりたいというのは先ほど答弁したとおりでございます。
○梅谷委員 是非、すべからく現場の声を伺って、御検討いただきたいと思います。
私の申し上げたのは、もう一度言います、破損直前の箇所の写真が必要だと申請要件にしていること、それと、低温の凍結の確率が十年続いた、これをやらなきゃいけない。でも、これは、温暖化が進んで、そして、昔作った、相当前に作った基準ですから、それらを今の時代に合うべく改善をするべきだ、そういう求めなので、是非頭に置いていただいて、御対応いただければと思います。
そして、最後になりますが、除雪実績の経営事項審査への反映について伺います。
雪国では、冬期、公共事業がどうしても止まらざるを得ません。そうした中、地域の除雪が主要な業務となります。しかし、経営事項審査では、この除雪作業が完成工事高に含まれておらず、事業者の評価に反映されません。
済みません、質問時間が終わったので終わりにしますが、いずれにしても、後でまた、担当者とは密に打合せをさせていただいたのでうまく聞いていただいて、御対応を要望させていただきまして、私の質問を終わりにしたいと思います。
大臣、ありがとうございました。皆さん、ありがとうございました。
○井上委員長 次に、神津たけし君。
○神津委員 立憲民主党、長野三区の神津たけしです。よろしくお願いいたします。
質問に先立ちまして、昨年一月一日に発生いたしました令和六年能登半島地震により貴い命を奪われた全ての方々に対し、改めて謹んで哀悼の誠をささげます。また、御遺族の皆様には心よりお悔やみを申し上げますとともに、今なお避難生活を余儀なくされ、厳しい状況におられる全ての被災者の皆様に心よりのお見舞いを申し上げます。
六月九日に、委員長、理事、オブザーバー、現地の近藤議員と、先ほど質問に立たれた西田議員と、能登半島視察に伺ってまいりました。
多くの方々の御尽力によって全国から集まった工事現場の皆さん、住民の方々の御尽力、御協力、それから国交省、自治体の皆様の御努力によって、一歩ずつ震災からの復興復旧というのが進んできたというところが分かったんですが、ただ、同時に、まだまだ手を加えなければならないという箇所が非常に多くて、ここについて改めて私たち国会議員としても、国会としても、現地の皆さんが元の生活に一日も早く戻れるようにしなければならないと決意を新たにした次第でもございます。
本日は、視察時にいただいた県と内灘町、御要望を二点、取り上げさせていただきます。
先ほど西田議員からもありましたけれども、まず、四車線化について取り上げさせていただきます。
配付資料二の四車線化候補箇所を示した地図を見ていただくと分かるんですが、能越自動車道、のと里山自動車道は、四車線化の優先整備区間に選定されていないという現状がございます。半島の地理的制約も踏まえた上で、災害時に機能する道路を確保するため、石川県の要望に沿って、国の直轄事業によって四車線化を進める必要があると考えます。
また、国による一元管理につきましても、昨年六月に国土幹線道路部会が取りまとめた緊急提言におきましても、能越自動車道については、能登半島地域の一つのネットワークの中で管理主体が別となっているが、今般の災害において対応の一貫性や迅速性などの観点で課題が生じた要因とも考えられる、災害時における機動的な対応や持続可能な維持管理の重要性の観点を踏まえつつ、これまでの整備や管理に係る経緯や国と地方の役割分担等を考慮した上で、ほかの半島地域も含めて適切な管理の在り方を検討する必要があるというふうにされました。
能登半島地域の道路ネットワークを国が一元管理する必要性について、それから、先ほどの国の直轄事業により四車線化を進める必要と併せて、大臣の御見解を伺います。
○中野国務大臣 二点御指摘いただきました。
能越自動車道の、のと里山空港インターチェンジから、徳田大津インターチェンジの間の四車線化につきましては、令和七年三月二十七日に、能登半島における広域道路ネットワーク基本方針におきまして、能越自動車道が能登半島の基幹軸として位置づけられているということから、具体的な整備手法や事業主体について、石川県などの関係機関と連携して検討してまいりたいというふうに思います。
あと、能越自動車道の石川県管理区間であります穴水インターチェンジから病院西インターチェンジ間につきましては、まず、令和六年能登半島地震による被災が極めて大規模な箇所があることから、国が県に代わりまして、今、復旧工事を進めているというところでございます。
この穴水インターチェンジから病院西インターチェンジの間の国による一元管理につきましては、先ほど少しお話もありました、国と地方の役割などを考慮しつつ、港湾や空港など重要な拠点との連絡状況、広域的な利用状況、一元的な管理の必要性などの観点を踏まえた検討が必要だというふうに考えております。本格復旧を進める中で、石川県などの関係機関と調整をして検討してまいりたいというふうに思います。
○神津委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。現地の御要望を踏まえた上で、優先順位を決めて取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。
次に、災害により地表面が水平移動した場合の筆界の取扱いについて伺います。
能登半島地震では、内灘町を始めとした複数の地域で液状化により側方流動が発生いたしました。内灘町は、地籍調査は実施済みでした。調査実施済みの土地では正確な境界が復元できるということから、通常であれば災害復旧の迅速化につながるというところであります。
しかし、今回の側方流動では、広大な地域で数メートルレベル、最大で十四メートルも地表が動き、約二千八百件の筆界と実際の現状にずれが生じております。元の位置に復元するには移動した地上の建物を削ったり移築したりすることとなるため、現実的ではなく、内灘町や石川県からは、被災地負担の軽減と迅速な復旧復興のために、土地区画整理事業の手間をかけることなく、地籍調査の成果をそのまま登記に反映できるよう、制度運用の見直しが要望されております。
阪神・淡路大震災の事例では、地殻変動により動いた後の筆界を相対的に移動したものとして扱う例外的な取扱いを可能とする法務省通達が発出されました。しかし、液状化による側方流動は、筆界は動かないものとしてその当時は取り扱われました。阪神・淡路大震災の通達の肝というのは、広範囲にわたった土地のずれが生じたことによる混乱回避にあるのであって、混乱が重大とならないような局部的な事象と分けたというのが本質なのではないでしょうか。
今回のことを受けて、私は全国の液状化マップにも目を通しましたけれども、大地震が起きれば、内灘町のように広い範囲にわたって液状化が発生して、側方流動が発生する可能性のある土地が非常に多くございます。
内灘町で被災された方々の暮らしを迅速に再建し、早期に戻ってきてもらうためにも、これからの大災害に迅速に対応するためにも、側方流動でも筆界を動いたものとして取り扱う、被災者のための運用を検討すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。また、運用見直しではなく、新たに液状化による側方流動の取扱いを可能とする立法措置を行うことについてはどのような課題があるか、法務副大臣の御見解を伺います。
○高村副大臣 お答えいたします。
筆界とは、登記された土地の客観的範囲を区画する公法上の境界であり、基本的に動くことはないものと解されております。
委員御指摘の阪神・淡路大震災の際の先例では、崖崩れ等により局部的に地表面の土砂が移動しても筆界が動くことはなく、地震による地殻変動に伴い広範囲にわたり土地の地表面が水平移動した場合に限って、例外的に筆界が移動したものと取り扱うこととされております。
液状化に伴う側方流動は、局部的な地表面の土砂の移動であるため、崖崩れの場合と同様、筆界は移動しないものと取り扱われます。仮に側方流動でも筆界が移動するとした場合には、しわ寄せを受けた土地の所有者は所有権の一部又は全部を失うおそれがあるなどの懸念があるため、従来の解釈を変更することには慎重な検討が必要であると考えております。
また、御指摘の立法措置としてどのようなものを想定するかにもよりますが、液状化に伴う側方流動によって筆界が移動したものとして扱うとの立法措置を取ることについては、筆界に関するそもそもの考え方とそごする上、しわ寄せを受けた土地の所有者が所有権の一部又は全部を失うおそれがあるなどの懸念があるため、被災者の財産権の保障の観点から、慎重な検討が必要であると考えます。
他方で、現行法上、実際の土地の状況に合わせて筆界を創設する方法として分筆の登記や土地区画整理事業等が考えられるところであり、不動産登記制度を所管する法務省としても、国土交通省や被災自治体等と緊密に連携して、プロジェクトチームにおける検討にしっかりと協力していきたいと考えております。
○神津委員 御返答ありがとうございました。
私、内灘チョウと言ってしまったみたいですが、正確には内灘マチでした。訂正させていただきます。
今の御返答に対する答えなんですが、これだけ広範囲にわたるずれが生じた中で、果たしてそれだけで、今までの運用で本当に実効性があるのかというふうなところで私は疑問を持っているところでございます。
特に今、現地の自治体、例えば内灘町については、地籍調査の実施についても、これだけでマンパワーがない、たった一人しか実は担当者がいないというふうに伺っています。内灘町の現在の体制でもし地籍調査をやった場合、これだけで五、六年かかるというふうにおっしゃられておりました。土地の境界の確定というのは住宅再建などの前提であり、復旧の遅れというのは人口流出にもつながることから、被災地に寄り添って、見通しのある早期の解決を図る必要があると思います。今後も同様の状況が全国で起きることが想像でき、改めて運用の見直し、それから法制度創設の検討をお願いしたいと思います。
それから、法務副大臣、一つちょっと今日はお願いなんですが、私はやはり、現地に視察に行ってちゃんと現場を見ることによって、内灘町、私たちも現場に行って見ることによって、本当に百聞は一見にしかずというところで、すごく高低差が生まれていたりとか、実際に物すごくこれまでの筆界が移動しているという現場を見て、改めてこれが全国で起きた場合どうなってしまうんだろうというところもありました。本当に、この点について、ちょっと現地に是非見に行っていただいて、法制度の改正の検討について御検討をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○高村副大臣 お答えいたします。
一応、国会閉会後に現地の方を視察できるように今調整している最中ですので、是非、伺った現場も見て、現状を確認してまいりたいと思います。
○神津委員 よろしくお願いいたします。
法務副大臣、ここまでで大丈夫です、御退席いただいて。
○井上委員長 どうぞ、御退席していただいて結構です。
○神津委員 次に、昨年の一月二日、能登半島地震の支援に向かう海上保安庁の航空機と着陸した日本航空の旅客機が衝突し炎上した事故では、海上保安官五名が貴い命を落とされ、一人が大けがをしたほか、旅客機の乗客十七人が医療機関を受診されました。
改めて、航空機事故により亡くなられた方々に謹んで哀悼の誠をささげるとともに、関係者全ての皆様に心よりのお見舞いを申し上げます。
私たち、今の日本において、航空機事故が一旦起きればどのように調査を行うかといえば、国際民間航空条約、この附属書にまとめられている、日本も締約国となっておりますが、国際民間航空条約の第十三附属書、事故調査の規定がまとめられております。これに従って調査を行うことというふうになっております。
国際民間航空条約の第十三附属書第三・一項で定められている調査の唯一の目的とは何か、また、何が目的でないとされているか、第十三附属書第三・一項に定める調査の唯一の目的に対し、日本政府は相違通告を行っているか、伺えますでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの国際民間航空条約第十三附属書における事故又はインシデント調査の唯一の目的は、将来の事故又はインシデントの防止であり、責任追及が目的でないことが定められております。
運輸安全委員会は、事故等及び被害の原因を究明するための調査を的確に行うとともに、事故等の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として設置された独立した機関であり、同附属書の趣旨に相違していないことから、お尋ねの点に関して相違通告を行っておりません。
○神津委員 日本は相違通告を、将来の事故及びインシデントの防止、これが調査の唯一の目的であるということについて、相違通告を行っていないという現状がございます。
次の質問に移りますが、運輸安全委員会の事故調査報告書は裁判の証拠として取り扱われるか、また、調査時に事件の捜査のように黙秘権があるか、事故調査報告書が裁判の証拠として取り扱われるとどのようなことが起こり得ると考えるか、伺えますでしょうか。
○中野国務大臣 お答えを申し上げます。
運輸安全委員会に確認をしたところ、刑事手続において認められている黙秘権はありませんが、事故調査時には、質問に対する陳述に任意に御協力をいただいているというふうに聞いております。
また、事故調査報告書が裁判の証拠として取り扱われる可能性についての御質問がございましたが、そうした可能性があるために関係者から必要な協力が得られずに、事故原因の究明に支障を来すというようなことは、これまで特にはなかったというふうにも伺っておるところでございます。
○神津委員 事故原因のこの調査、正直に話したばかりに有罪になってしまう可能性というものが指摘されているというところでございます。二〇〇一年のニアミスの事故のときに、航空管制官の方二名が有罪になってしまったということがありました。これは、便名を間違えて言ってしまったことで有罪になってしまったということです。
今、日本において、先ほどの国際航空条約に基づいて、本来であれば、事故の調査の唯一の目的というのは再発防止にあるというところなんですが、実は、この精神というのが日本も尊重しているのかというところが私は問われているというふうに思っています。
まず、配付資料五を御覧ください。昭和四十七年二月に警察庁と運輸省との間で締結された航空事故調査委員会設置法案の運用について定めた覚書というふうにございます。これは条約の趣旨というものに全く反するようなところで、逆に、再発防止のための原因究明を行う事故調査に対して責任追及のための刑事捜査が優先する、運輸安全委員会は警察に協力する立場であることを確認したというような内容でもございました。
覚書、三つ目を御覧いただくと分かるんですが、捜査機関から航空事故調査委員会委員長等に対し航空事故の原因について鑑定依頼があったときは、航空事故委員会委員長等は支障のない限りこれに応ずるものというふうにされております。
昭和四十七年当時は事故調査機関というものが確立しておらず、警察の捜査に頼らざるを得ない時期があったのかもしれないんですが、現在は運輸安全委員会が独立性の高い三条機関として設立されて、専門性は格段に向上しております。
私は、もはやこの覚書の歴史的役割というのは終えているというふうに考えております。政府として、国際民間航空条約第十三附属書の趣旨に立ち戻り、本覚書を破棄する、あるいは第十三附属書に沿った内容に見直すべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○中野国務大臣 お答えを申し上げます。
議員御指摘の文書が締結をされるきっかけとなりました航空事故調査委員会、これは航空分野におきまして、刑事責任の追及とは独立をした事故の調査を行う組織として昭和四十九年に設立をされました。
そして、事故調査の対象を鉄道、船舶に拡大をした運輸安全委員会も、事故等の防止と被害の軽減を目的とするものでありまして、犯罪捜査とは独立して行われているところでございます。
事故調査と犯罪捜査は、どちらかがどちらかに優先をするという関係にあるものではございません。他方で、事故時には、両者は並行して行われるものでございますので、こうした相互の調整を図ることを文書で確認しておくということは重要であるというふうに考えている次第でございます。
○神津委員 結局、有罪になることを恐れて航空機事故の関係者が黙秘してしまう、何も真実を証言しなくなれば、事故を未然に防ぐこともできなくなるというところだと思います。大臣は、航空機事故の関係者が真実を語らなくなって事故を未然に防ぐことができなくなっても問題ないと思うか、ちょっと次の質問、併せて伺わせていただきます。
今国会では、羽田の事故の事前の対応として不十分であったというところを受けて、私はこの緊急対策、それから法案の改正というものが行われたというふうに思っております。事故を防ぐ法制度がなかったのであれば、事故の責任を問うべきは個人ではなくて立法府と行政府ではないかと思いますが、大臣、時間が終わってしまったので、少し短めに御答弁いただけますでしょうか。
○中野国務大臣 刑事責任の追及や刑事訴訟手続の在り方については、ちょっと国土交通省から見解を述べるというのは、これは法務省の所管でございますので差し控えさせていただきたいと思いますが、運輸安全委員会に確認をしたところ、これまでの事故調査において、警察による捜査の可能性があるため、関係者から必要な協力が得られず事故原因の究明に支障を来すようなことは、これまで特になかったというのが先ほど来のお話でございます。
やはり、立法府と行政府がもっと、責任ではないかという御指摘もございました。航空の歴史を振り返りますと、残念ながら多くの事故があったという歴史があるということはありますが、そのたびに事故原因の科学的な究明を行い、その結果を踏まえて必要な対策を積み重ねてきたものだというふうに考えております。二度とあのような事故が再発をしないように、しっかりと対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
○神津委員 時間が終わりましたので、ありがとうございました。
○井上委員長 次に、辻英之君。
○辻(英)委員 立憲民主党の辻英之と申します。
国交委員会の質問は初めてとなります。委員外の発言の機会を与えていただきまして、大変感謝を申し上げます。
早速質問に入ります。
今回は、北陸新幹線延伸について、福井県や関係市町、関係団体そして住民の皆さんへの聞き取りを基に質問したいと思います。
資料一を御覧ください。
令和六年十二月三日本会議で首相答弁、令和七年二月二十八日衆議院予算委員会、同六月九日参議院決算委員会で国交大臣答弁においても、北陸新幹線の敦賀―新大阪間については小浜・京都ルートで決定している、こう明言がありました。
政府として、この認識でいるか、改めて大臣に確認をしたいと思います。よろしくお願いします。
○中野国務大臣 委員御指摘の北陸新幹線敦賀―新大阪間のルートにつきましては、平成二十八年度に与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおいて、米原ルートを含めた三案のうち、関係自治体等からのヒアリングを経まして、速達性、利便性等を総合的に勘案し、小浜・京都ルートとするということが決定をされております。昨年十二月の与党整備委員会による中間報告においても、そのことが改めて確認をされております。
こうした与党における御議論も踏まえまして、国土交通省としては、現時点で小浜・京都ルートを見直すことは予定しておりません。
いずれにしましても、一日も早い全線開業に向けまして、鉄道・運輸機構とともに、丁寧かつ着実に取り組んでまいります。
○辻(英)委員 ありがとうございます。
昭和四十八年十一月十三日の閣議決定、これは田中角栄内閣ですが、北陸新幹線は、長野市、富山市、小浜市付近を通して大阪に至る、これが決定されています。もう五十二年経過しているんですね。与党が小浜・京都ルートを決定した平成二十八年から既にもう九年。なぜ認可、着工できないのかという不信感に近い感情が、私の地元小浜市を含む福井県若狭地域、これは資料一の左上の地図、皆さん分かりますかね、赤い線の日本海側は若狭地域を指します、ここから強く上がっています。
幹線交通網から取り残され続けてきた若狭地域は、御承知のとおり、五十年間、日本のエネルギー政策、つまりは国策に大きな貢献をし続けてきました。大阪まで、今大臣もおっしゃいましたが、一日も早く全線開業してこそ、国策に貢献してきた若狭地域に対して敬意、リスペクトを示すことになり、経済効果を含め、整備効果が最大化される、こう考えています。
その上で伺います。
資料二を御覧ください。裏ですね。
京都府、京都市から、地下水への影響、建設発生土対策、交通渋滞、建設費の負担、さらには、歴史的、文化的な側面などなどから懸念、課題が示されています。福井県の人々も、京都の皆さんの懸念は強く理解していますし、対立するのは全くもって本意じゃないんですね。
また、令和六年十二月三日の本会議で首相も、今も大臣もおっしゃいましたが、着工五条件の検討を深め、一日も早く全線開業を目指すと答弁しています。京都府、京都市が示す懸念にしっかりと対応することは当然のことと思います。
それらを含めて、政府は、どのようなスケジュール感と実現性を持って着工五条件の課題解決を図るつもりか、大臣に伺います。
○中野国務大臣 委員の御指摘の点につきましては、昨年十二月の与党整備委員会の中間報告におきましても、京都府、京都市を始めとした地元関係者等の懸念や不安を払拭するため最善を尽くすことが必要であること、安定的な財源の確保、費用対効果の在り方等について検討を速やかに行う必要があることなどが示されております。
国土交通省としては、中間報告を踏まえまして、地域の皆様の御理解が得られるように自治体向けに説明会を開催するとともに、安定的な財源見通し確保等の着工五条件について、与党の御議論なども踏まえながら、検討を進めているところでございます。
引き続き、一日も早い全線開業に向けて、鉄道・運輸機構とともに、丁寧かつ着実に取組を進めてまいりたいと考えております。
○辻(英)委員 ありがとうございます。地域及び関係市町村を含めて、しっかりとした説明等、よろしくお願いをしたいと思います。
敦賀―新大阪間は、ある意味、国策の新幹線にする覚悟を持つべきだと思います。国策に貢献してきた若狭地域には、国策でもってきちんと態度を示してほしいと考えています。ただ、やはり最大の壁は、建設費、着工五条件、そして京都からの懸念にもあるように、財源の問題もやはり大きな課題であることは私たちも承知をしております。
令和八年度の概算要求が迫っています。小浜・京都ルートに関してどのような要求をする予定か、もしありましたら御教示ください。
○五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。
令和八年度予算要求につきましては、六月十三日の金曜日に閣議決定されました経済財政運営と改革の基本方針二〇二五を踏まえ検討していくことになりますが、北陸新幹線敦賀―新大阪間については、一日も早い全線開業に向けて、鉄道・運輸機構とともに、丁寧かつ着実に取り組んでいきたいと考えております。
以上でございます。
○辻(英)委員 福井県の皆さんに、納得ができるような要求をよろしくお願いしたいと思っております。
北陸新幹線は、これまでの地方に延びる整備新幹線とは性質が違う、東京―大阪という巨大都市圏を結ぶ新幹線ですね。これまで地方に延びていたんですね。そして、北陸という名前はついていますが、東京―大阪間を結ぶもう一つの動脈、つまり、東海道新幹線に対する日本海新幹線という認識を持つべきものだと考えています。また、御承知のとおり、南海トラフを始め、台風、集中豪雨などの自然災害の際に、東海道新幹線の代替機能、リダンダンシーですね、これを持つ新幹線だと思っています。
この極めて重大な性質、特徴が、果たしてどこまで国民の皆さんに知られているのだろうかと思います。関西の住民の皆さんを始め広く国民に届いていないことが、整備が進まない一つの大きな理由なんじゃないかと考えています。
沿線自治体は、既に五十数年にわたって様々な、ありとあらゆる取組や努力を続けています。それでもいまだ形になっていない今この状況にあって、ここはもう政府が前面に立って進めるときが来ているのではないか、このように思っています。
そこで、伺います。
北陸新幹線の必要性や意義について改めて伺うとともに、政府は、国民に対して今後どのように説明をして、どのように機運醸成を図るつもりか、その見解を大臣に伺います。
○中野国務大臣 お答えを申し上げます。
北陸新幹線につきましては、新幹線の本来的な効果として、敦賀―新大阪間が整備されることにより、例えば、京都と小浜は約二十分、関西と北陸がおおむね一時間から一・五時間、そして関西と信州がおおむね二・五時間となるなど、関西と北陸などとの移動時間が大幅に短縮をし、観光やビジネスなど地域の活性化に大きく資するというふうに考えております。
また、こうした時間短縮効果のみならず、先ほど委員からも御指摘がございました、我が国の大動脈であります東京―大阪間について、複数の新幹線ネットワーク、特に太平洋側と日本海側の二面活用が図られ、災害や輸送障害時におけるリダンダンシーの確保、国土強靱化にも大きく寄与するものというふうに考えております。
京都府内の自治体向けの説明会などの中でも、こうした点に関しても説明をしてきておりまして、今後も、そうした場も活用しながら、丁寧に説明をしてまいりたいというふうに考えております。
引き続き、国土交通省としても、地域の関係者の皆様の御理解が得られますように、一日も早い全線開業に向けて、鉄道・運輸機構とともに、丁寧かつ着実に取り組んでまいりたいと考えております。
○辻(英)委員 ありがとうございました。力強いお言葉をいただきました。
これまでの整備新幹線とはやはり性質や特徴が根本的に違うということに鑑みて、これまでの事業費、スキームを見直して、政府が財源の特例措置を取ってはどうか。なかなか自治体の財政も難しいところであります。是非ともそう考えておりますが、見解を伺います。
○五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。
整備新幹線の整備スキームにつきましては、全国新幹線鉄道整備法などの法令によりまして、貸付料などを除いた整備費につきまして、国と地方が二対一で負担することとされており、具体的には、いわゆる着工五条件の議論の中で検討されていくことになります。
北陸新幹線敦賀―新大阪間につきましては、昨年の十二月に与党整備委員会におきまして、安定的な財源の確保、費用対効果の在り方などについて検討を速やかに行う必要があることなどを内容とする中間報告がなされております。与党の御議論なども踏まえながら、検討を現在進めているところでございます。
いずれにいたしましても、一日も早い全線開業に向けまして、鉄道・運輸機構とともに、丁寧かつ着実に取り組んでまいります。
以上でございます。
○辻(英)委員 ありがとうございます。
なかなか、これまでの新幹線と不公平感があるというのは、難しいと思いますが、今後もまたしつこく質問をしていきたいと思っております。
昭和四十五年、前回の大阪万博ですね。同じ年に国内初の営業運転を始めた若狭地域の美浜原子力発電所、ここからこの大阪万博へ電気が送られました。初のことですね。私が生まれた年です。以来五十五年、大阪、関西へ電気を送り続けているのが若狭地域です。
「若狭にひかりを」。これは、五十年前に若狭の青年たち、青年会議所の皆さんが運動を起こしたスローガンですね。今回、大阪万博がある。くしくも今年、令和七年です。今度は大阪から五十年以上待たされ続けている若狭へ新幹線を通す、光と輝きを、希望、望みですね、を通す決断をされることを強く強くお願いを申し上げます。
先ほど、昭和四十八年の田中角栄内閣の閣議決定の話をしました。ちょっと私ごとになりますが、その閣議決定に遡ること半年前、昭和四十八年四月六日、参議院予算委員会で、福井県小浜市出身のある野党議員が、北陸新幹線について当時の国鉄総裁と運輸大臣に質問をしています。この答弁が、政府が若狭ルート、今の小浜ルートですね、昔は若狭ルートと言っていたんですが、政府が若狭ルートを示唆した初の答弁だと言われています。
その質問をした議員が、私の父親、故辻一彦です。その後、父親は、連立与党で、衆議院運輸委員長でこの問題にも注力しました。そして、平成十一年七月一日に衆議院の運輸委員会で質問した際の運輸委員長が、今の石破首相です。五十年の時を経てバトンを受け取って、こうしてまた新幹線の質問をさせていただけていることは本当に感慨深いと思っております。
今後もしぶとく政府の姿勢をただしていく、いや、この件につきましては応援をしていくことをお約束申し上げまして、そして、この委員会に委員外の議員の発言の機会を与えていただけること、皆様に本当に感謝を申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、長友よしひろ君。
○長友(よ)委員 立憲民主党、長友よしひろです。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、通信制高校の学習等支援施設、サポート施設という言い方でいきたいと思いますけれども、における通学定期券取扱いに端を発しました、通学定期ということについて伺いたいと思います。
この問題は、問題とあえて申し上げます、この問題は、文部科学省の高等学校通信教育規程の一部改正、令和四年に行われましたけれども、ここが起点になっていると言えます。サテライト施設を面接指導等実施施設と学習等支援施設、サポート施設ですね、と分類した結果、JR東日本が、学習支援施設、サポート施設は通学定期の対象外として発表いたしました。その後、これは一年間の延期を決定されています。加えて、その後の報道では、それ以降についても協議を進めていくというふうにJRの社長は述べているとありました。
最初の質問です。
いろいろ調べてみたところ、通学定期というものは、我が国では、明治二十八年、一八九五年に、国有鉄道、国鉄が学生用の定期券、学童通学切手を発売開始したことから始まると言われています。そして、その後、戦後も、国有鉄道運賃法、旅客及び荷物運送規則で定められて、普通旅客運賃から、普通の定期ですから、これから割り引かれています。これはどのような理由でこの制度があったんでしょうか、伺いたいと思います。
○五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる通学定期運賃につきましては、委員からも御指摘がありましたように、明治時代より設定されておりまして、昭和二十四年の国鉄発足以降においても継続して設定されていたものと承知をしております。
戦前の通学定期の詳細を把握することは現時点においては困難ではございますけれども、旧国鉄におきまして通学定期運賃が設定されたことにつきましては、当時の運賃制度に関する文献によりますと、学生の負担を軽減するという公益的見地からであるとの理由が示されているところでございます。
以上でございます。
○長友(よ)委員 そうですよね。学生の負担、家庭の負担、いろいろ言い方はあるかもしれませんけれども、とにかく学生に対する費用を少しでも減らしていこう、こういう視点だと思います。
では、国鉄民営化後、JR各社は引き続き通学定期の割引を実施してくださっています。これはどのような理由からというふうに国交省は認識されていますか。同様に、民鉄各社も割引を実施されているところが多いと思いますけれども、これについても伺いたいと思います。
○五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御答弁申し上げましたように、通学定期運賃については、明治時代から始まりまして、国鉄発足以降も継続して設定され、広く社会に定着している制度であることなども踏まえまして、国鉄分割・民営化後もJR各社が引き続き設定するとともに、その他の鉄道事業者においても通学定期運賃を設定しているものと認識をしているところでございます。
以上でございます。
○長友(よ)委員 では、JR東日本がサポート施設を発売対象外とした、通学定期の対象外とした理由をどのように認識されていますでしょうか。
○五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。
通学定期券の発売対象となる施設は、通学定期運賃を設定しております各鉄道事業者において判断されるものというふうに理解をしているところでございます。
JR東日本は、通信制高校の生徒が在籍する高校のほか、卒業に必要な単位を取得できる対面授業や試験のため通学が必要となる施設については、通学定期券を発売していると承知をしているところでございます。
JR東日本によれば、令和四年の文部科学省の改正高等学校通信教育規程の施行によりまして、これらの施設が新たに面接指導等実施施設と位置づけられたことを踏まえ、卒業に必要な単位を取得するための対面授業や試験を行わず、学習面や生活面のサポートを行う学習等支援施設を通学定期券の発売の対象から除外すると判断したと聞いております。
なお、これも委員から御指摘もございましたけれども、本年三月二十八日に、JR各社がいわゆるサポート施設への通所を、来年、令和八年三月三十一日までを期限といたしまして、引き続き発売対象とする決定をしたと承知しているところでございます。
以上でございます。
○長友(よ)委員 今日は文科政務官にもお越しいただいております。
今の答弁にありましたとおり、先ほど申し上げた規程の改正により、こういう事態が生じたと認識をいたしております。がしかし、この規程の改定自体は、文部科学省としてこのような事態が生じるとは想定されていなかったと私は推察をしています。その認識でよろしいでしょうか。
○金城大臣政務官 お答えをいたします。
通信制高校につきましては、平成二十七年のウィッツ青山学園高等学校の事案を始めとして、一部の高校におきましてサテライト施設とのずさんな関係の下で違法又は不適切な学校運営や教育活動が行われるなど、課題が指摘されてきたところでございます。こうしたサテライト施設の中には、面接指導等の実施について連携協力を行う施設のほか、特段の法令上の位置づけなく、学習活動等の支援など、事実上の連携協力を行う施設も存在していたところでございます。
このため、令和三年三月、高等学校通信教育規程を改正し、面接指導等実施施設と学習等支援施設とに分けて、それぞれの法令上の位置づけを明確化することで、サテライト施設の教育水準の確保を図るという教育行政上必要な措置を講じたものであり、JRの今回の動きを想定していたわけではございません。
以上です。
○長友(よ)委員 そうですね。想定外という言い方をしていいんじゃないかと思っています。大事なのは、全てのことは、可能な限り想定したとしても想定外のことというのは起きてしまうと思うんです。大切なのは、起きたときにどう対処していくかということであります。
そこで、サポート施設というのは全国に一千八百か所以上あるわけですから、相当数の通信課程の高校生の生徒さん、ここの施設を利用されているわけです。サポート施設について、JRが通学定期の発売対象外としたことに対する政府の見解、それと、各社とどういうふうに対応をしてきたのか、あるいはしているのか、今後どうしようと思っているのかについても伺いたいと思います。
○金城大臣政務官 お答えいたします。
御指摘の通学定期券等の取扱いにつきまして、昨年十二月に、JR東日本では、本年四月から、学習等支援施設を通学定期券等の購入が可能な施設から対象外とする予定としたところと承知しております。
これを受けまして、文部科学省としましては、国土交通省と連携をしつつ、JR東日本に対して、通学定期券等の取扱いについて柔軟に対応をしていただくよう御配慮いただきたい、そういう旨をお伝えするなど、意見交換をこれまで行ってきたところでございます。その結果として、今年の三月、JR東日本におきまして、対象の生徒への影響等に鑑み、既にJR東日本が指定している学習等支援施設については、一年間、通学定期券等の購入が可能となるよう、取扱い変更の延期の判断、公表がなされたところでございます。
以上です。
○長友(よ)委員 今後どうされるつもりですか。今後です。
○金城大臣政務官 お答えいたします。
通学定期券等の取扱いにつきましては、各鉄道事業者の御判断によるものでございますが、文部科学省としては、国土交通省と連携しながら、令和八年度以降の取扱いについて、引き続きJRと意見交換を行ってまいります。
○長友(よ)委員 文科省に対して一つ苦言を申し上げたいと思うんですけれども、本件について、文科省の発表はないし、ホームページを確認する限り全く記載がないんですね、この件。それは、教育行政をつかさどる機関として、もちろんいろいろ努力されているのは分かりますが、全くない、コメントがないというのは、ちょっとここは検討していただいた方がいいと思います。
あと、先ほどの、報道によりますという、JRの会見では、生徒、御家族、関係者、皆様に対する配慮に欠けるところがあった、多大な心配をおかけしたことをおわびしますというふうにJRは述べているんですね。文科省がおわびする必要があるかどうかというのはちょっとあったとしても、やはり寄り添うとか、あるいは不安を取り除くという意味からも、この点、ちょっと配慮に欠けているんじゃないかということを申し上げたいと思います。
最後に、鉄道運賃は、鉄道事業法によって、上限認可制と事前届出制として国が関与をしているわけです。通学定期などの発売対象や割引は、事業者の自主的判断に委ねられているわけですね。つまり、交通事業者の理解と協力の下に適用されているわけです。これは大変ありがたいことなんですよ。先ほどの答弁にありましたとおり、学生の負担を軽減させるというのが目的として、これが続いているわけじゃないですか。
そこで、今後、国としてやはり支援を考えるべきじゃないか。補助なのか何なのか、いろいろあると思いますけれども、制度の創設を、国交省を中心として政府としてやっていただきたいと思いますけれども、見解はいかがでしょうか、大臣。
○中野国務大臣 長友委員にお答えを申し上げます。
鉄道運賃は、鉄道事業者の経営判断で設定をされるものでありまして、先ほども説明ありましたけれども、鉄道事業者におきましては、公共交通機関の社会的役割に鑑み、通学定期券を設定をしているというふうに認識をしております。
この通学定期券の設定により生じる減収分につきましては、制度上、運賃改定に反映をさせるということが可能でございまして、各鉄道事業者においては、自らの経営判断の下、この仕組み等を活用しまして、全体として鉄道事業の原価を賄うことのできる運賃設定を行っているというところでございます。
そういう意味で、現在、この通学定期券は広く社会にこのような形で定着をしている制度であるというふうにも考えておりますので、現時点においては、国によるそういう支援は考えていないというところでございます。
○長友(よ)委員 高校無償化というものを推し進めていますね。大事なことです。だから、高校は無償化で、でも、通うお金は負担してくださいと。しかも、それは鉄道事業者、もっと言うと、その鉄道事業者に通常運賃を払っている方々が負担しているということなんですよ。そういうことじゃないですか。
そうじゃなくて、高校無償化の流れもあるわけですし、負担を減らしていくという流れがあるわけでしょう。それを求めているわけじゃないですか。ならば、そこも一歩踏み込んでいくべきだと思います。事実、自治体においては、この無償化あるいは補助というものをやっているところは幾つも幾つもありますよ。
そういうことを踏まえた上で、是非、大臣、政治家としてちょっとお答えいただきたいと思います。
○中野国務大臣 繰り返しになりますけれども、そうした様々な観点から自治体等がいろいろな政策を行っているということは、それはそれとしてあろうかと思います。先ほど来申し上げた、鉄道運賃の制度そのものが鉄道事業者の経営判断で設定をされるというものでありますとか、先ほど私が申し上げたように、制度上、定期券の設定により生じる減収は運賃改定に反映をさせることができるという仕組みである、全体としてこうした鉄道の原価を賄う、そういう経営判断で行われているということで、そういう仕組みで公共交通としてはやっているということなんだろうというふうに思っております。
いずれにしても、先ほど申し上げたとおり、広く社会に定着をしている現在この制度であるということでございますので、改めて、国によりまたそういう支援をするということについては考えていないというのが、大変恐縮でございますが、繰り返しになりますが、そういう現状でございます。
○長友(よ)委員 政治家としての答弁を求めたんですけれども、残念でした。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、徳安淳子君。
○徳安委員 日本維新の会の徳安淳子です。
先週は、石川県へ調査に参加させていただきまして、本当にありがとうございました。発災からいまだ訪問できていなかったということもあって、本当に今回は大変よい機会を頂戴したと思っております。感謝を申し上げ、また、この質問の時間もいただきましたことにもありがたく存じます。
限られた質問時間ですので、その中で特に、今回調査しました港湾関係の質問を行いたいと思います。
まず初めに、金沢港港湾計画の実現に向けた支援についてお尋ねをいたします。
この支援に関しましては、六月九日、この訪問した調査日に、石川県馳知事より直接お聞きした重点要望事項の一つでございます。金沢港は、耐震強化岸壁等を活用して、発災直後から奥能登の港へ災害物資を輸送する拠点として重要な役割を果たしました。今後の大規模災害時におきましても、物流、防災の拠点として機能を発揮するためには、更なる港湾施設の強靱化を進めていく必要があることから、金沢港港湾計画の実現に向けて、具体には、岸壁延伸、耐震強化の新規事業の着手、そしてしゅんせつ土砂処分に必要な埋立護岸整備等の早期実現に向けた財政支援の要望です。
最初に、この支援への実行性について参考人に伺います。
〔委員長退席、中谷(真)委員長代理着席〕
○稲田政府参考人 金沢港につきましてお尋ねがございました。
金沢港は、北陸地方の経済の中心都市である金沢市や、産業都市である小松市などを背後地域として、港周辺には世界的な産業機械の製造工場を始め、石油関連企業やセメント産業が立地するなど、物流拠点として重要な役割を担っております。
令和六年一月に発生しました能登半島地震におきましては、御指摘のとおり、金沢港の耐震強化岸壁を活用して、発災直後から緊急物資の輸送拠点としての役割も果たしました。
こうした状況も踏まえ、令和七年三月に港湾計画が改訂をされまして、大規模災害発生時の幹線貨物輸送機能を確保するための耐震強化岸壁や、新たな埠頭用地などが大浜地区というところに位置づけられたところでございます。
これらの新たな施設の整備につきましては、金沢港の利用状況や今後の貨物需要の見込みのほか、港内のしゅんせつ土砂の適切な処分の観点を踏まえまして、必要な検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○徳安委員 先ほど申し上げましたとおり、財政支援を要望されておりまして、今おっしゃったその整備についてどのような財政支援を行う予定であるんでしょうか。参考人にお聞きします。
○稲田政府参考人 ただいま申し上げましたとおり、今後の需要の見込みやしゅんせつ土砂の適切な処分の観点を踏まえ、新しい整備が必要かどうか、これを判断した上で、必要と判断されれば、必要な予算要求を行って整備を進めていくという考えでございます。
○徳安委員 その判断はいつまでにという予定なんでしょうか。お尋ねします。
○稲田政府参考人 毎年毎年の概算要求の予算折衝過程でその辺の見極めをし、新規事業着工の要求をするかどうか、それを適宜判断していく所存でございます。
○徳安委員 参考人は現場を見ておられるんでしょうか。一年半たってまだこのような状況で、まだ適宜判断するというのは、ちょっと遅いんじゃないかと思うんですけれども、それについてはいかがでしょうか。
○稲田政府参考人 発災直後から何度も金沢港の方は見てございます。発災直後は、セメントだとか石油だとかの被災地への輸送拠点として大変重要な港でございましたので、その復旧について、これまでもしっかりやってきたところでございます。
○徳安委員 しっかりやっていただいているというのは理解はできるんですけれども、しかしながら、結局は地元の知事から、しっかりと、もっと財政支援を要望されているということは、足りないということにしかつながらないかなと思うんです。その部分を今後どのように考えて、いつまでにというスケジュールぐらいは出せるんじゃないのかなと思うんですけれども。
適宜という言葉じゃなくて、スケジュールの時間を具体に教えていただけないでしょうか。
○稲田政府参考人 繰り返しになりますが、まずは復旧、今まさしく災害復旧の真っ最中でございます。これを今年度中に仕上げるという目標に向かってしっかりやっているところでありまして、それと並行して、繰り返しになりますが、今後の貨物需要の見込みやしゅんせつ土砂の適切な処分の観点、これを踏まえて新規プロジェクトについては検討していくことになろうかと思います。
○徳安委員 まさに今、災害の応急復旧をしてくださっているということで、それと並行してまた新規の事業を着手するというのは、人手の問題とか、今おっしゃった予算の問題とかもあるかと思うんですけれども、現場としたら、一刻も早くという気持ちも強いところも感じておりますので、よろしくお願いしたいと思っております。
次いで、輪島港の復旧状況についてお尋ねをします。
この地震で生じた海岸線隆起は、漁港の機能不全をもたらしました。海士地区も含めた漁業関係者への打撃は大きく、復旧にはまだ時間が必要だと思われますが、このような中で、昨年七月の半ばには伝統の海女漁が再開したり、また、十一月にはズワイガニ漁が再開したというニュースも入ってきまして、少し安堵もいたしました。しかしながら、今年三月二十二日付の日本経済新聞朝刊によりますと、輪島港で今年三月二十一日から本格的な復旧工事を始めたという記事がございました。来年度中をめどに早期完成を目指すとあります。
出漁が少しずつ再開をされているんですけれども、本格復旧の着手にこれだけの時間を要しているということについて、参考人はどのように受け止められているのか、今後の見通しも含めてお尋ねをいたします。
○稲田政府参考人 能登半島に位置する輪島港につきまして、ここは県内最大の漁船数、漁獲量を誇る水産基地を有するとともに、能登半島地震前にはクルーズ船が寄港するなど、なりわい及び観光の拠点として重要な役割を担っております。
能登半島地震の際の地盤の隆起によりまして、輪島港の水深は一・五メーター程度浅くなってしまいましたが、国土交通省と石川県が連携をして、海底地盤のしゅんせつ、仮桟橋の設置などの復旧工事を進めておりまして、今月末には、二地区ある漁船だまりのうち、海士地区のしゅんせつ工事が完了する見込みでございます。
復旧工事の進展で、昨年七月のモズク漁の再開以降、十一月にはズワイガニ漁、そして今年の五月には定置網漁がそれぞれ再開されるなど、段階的に漁業の再開がなされてきてございます。
港湾施設の早期復旧、なりわいの再建に向けまして、地元関係者とも緊密に連携をしながら、令和八年度中の可能な限り早期の完成を目指した復旧工事を進めてまいる所存でございます。
○徳安委員 今の御答弁の中で、まさに水産基地というお言葉もありましたけれども、島の漁業関係者の話によりますと、輪島では約六百人の漁業者がいると。でも、今、漁には出ることができないので、その大半は、国の事業の海の調査、泥や海藻、外敵の駆除などの仕事をお手伝いしたり飲食店でバイトをしたりして何とか食いつないでいるという状況ですが、このまま漁ができない状態が続きますと、結局は漁業に関わる方が輪島を去っていってしまうという状況になりますと、先ほどおっしゃった、クルーズが来るとか、にぎわいの醸成とかに大きくこれから影響が出てくるんじゃないかと思います。
もっと早く、またこれも取組を進めていただきたいと思っておりますし、特に輪島の海女漁の技術につきましては、七年前に重要無形民俗文化財に指定をされております。海女さんの人数も、全国で当時は二番目の約二百人おられまして、全国で約二千人の海女さんのうち輪島が二番目と多い状況であります。今では百三十人ほどに減っているようでございますが、このまま同じように出漁できなければ、どんどん減少して、伝統技術そのものが継承されなくなるということでありますので、できるだけ、このような伝統文化を継承する上でも、早くにぎわいを取り戻していただきたいと思います。
拝見した輪島朝市でもまだ更地というような状況でありますし、たとえ漁業で、例えば海産物が新鮮に水揚げされましても、売るところがないとか直売できないとかいうことになりますと、それももったいない話でもありますので、一体となって復旧していくということが大事じゃないかなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
私がこのように港湾関係の質問をいたしましたのは、実は本年、日本維新の会の中で港湾議員連盟を発足させまして、港湾の振興及び港湾政策の充実を図るために、こちらの委員でもあります井上英孝会長を筆頭にいたしまして、活動を行っているところです。なので、お聞きをいたしました。
主要な港とともに、地方の港に関しましても応援してまいりたく、その政策の方向性につきまして、中野大臣に一言いただきたく存じます。
○中野国務大臣 ありがとうございます。
港湾政策の重要性ということで、我が国は島国でございますので、貿易に不可欠で、その後背地には人口や産業もあります港湾、港は非常に重要なインフラでございます。
そして、我が国の輸出入の九九・六%が港でございますし、また、クルーズ船の寄港など、経済効果もございます。そして、先ほど来御指摘の能登半島地震、被災地支援のための海上輸送にも活用されてきたところでございます。
国土交通省では、国際コンテナ・バルク戦略港湾政策の推進による国際競争力の強化でありますとか、カーボンニュートラルポート、洋上風力発電など脱炭素社会の実現、あるいはクルーズ船の受入れ環境整備、観光立国の実現、こうした様々な施策に取り組んでいるところでございます。
近年、災害も激甚化、頻発化しております。インフラの老朽化や担い手不足、こうした課題に対応するために港湾法も今国会で改正をさせていただいたところでありますので、しっかり国民生活や経済活動を支える港湾を、しっかりと必要な港湾政策を推進していきたい、このように考えている次第でございます。
○徳安委員 終了時間になりましたので終わりますけれども、石川出身ではございませんが、人ごとではないと思って質問させていただきました。これからもよろしくお願いいたします。
終わります。ありがとうございました。
○中谷(真)委員長代理 次に、奥下剛光君。
○奥下委員 日本維新の会の奥下でございます。
では、早速、限られた時間ではございますので、質問に入りたいと思います。
まず、電動アシスト自転車などのシェアサービスを展開しているLUUPさんが、先日、中国の対話アプリ、ウィーチャットから電動アシスト自転車を利用できるようにすると発表がありました。
ミニアプリから日本の交通ルールを学んだ後に借りることができる流れのようですけれども、利用に当たっては、日本で守るべき交通ルールテストの合否が必要になるとのことで、このテストの合否というものが一体誰がどのように判断するのか、またミニアプリから学ぶ交通ルールに何らかの形で役所として関わっていらっしゃるのでしょうか。教えてください。
〔中谷(真)委員長代理退席、委員長着席〕
○阿部政府参考人 お答えいたします。
自転車は運転免許を要さずに幼児から高齢者まで幅広い年代が利用する身近な交通手段であり、その安全で安心な利用を図るためには、自転車の交通ルールを十分に利用者に周知することが重要であるというふうに認識しております。このような観点から、電動アシスト自転車のシェアリング事業者が外国人利用者に対し独自に交通ルールテストを実施すること、これは有意義なことであるというふうに考えております。
自転車の交通事故を防止するためには、自転車の基本的な交通ルールについて、外国人も含め、より一層の周知を行うことが重要であると考えておりまして、警察におきましては、事業者に対して働きかけを行うとともに、自転車の交通ルールに関する分かりやすい資料の作成等に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○奥下委員 LUUPのアプリを開いていただいて、一回私もやってみましたけれども、十五問ぐらいのテストがあります。これは一般常識であれば正解できるものですけれども、間違ってももう一回これを開き直せば、順番は変わりますけれども聞いている内容は一緒なので、すぐ合格というふうになると思います、あの内容でしたら。
外国人による重大な事故が相次いできているために外免切替えの厳格化を骨太に盛り込むなどしてきているわけですし、我が国の人でも自転車で事故、小学生とかお年寄りに突っ込んで亡くなる事例も出てきているわけですから。特にアジア、ウィーチャットを使っている中国人、中国なんか、行ったことがある方なら分かると思いますけれども、交通ルールはあってないようなもので、守られている方もいない中で、これをやったから守って普通にやるのかといったら、到底思えません。
ですから、何か事故が起こったときだと遅いですし、このままだと事故があったときの責任の所在というのが何とでも言い訳できるような形になっていると思いますので、ここをしっかり監修していただいて、指導していっていただけたらなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
次の質問に移ります。先ほど申し上げた骨太の方針で、外国人の税とか社会保険料の未納付の防止であるとか社会保険制度の適正利用、こういったのも盛り込むことを検討されているということで、一般質疑で再三質疑させていただきましたリファンド方式なんですけれども、先日質問してこれで終わるかなと思ったんですけれども、インバウンド客の消費税の免税制度について自民党内で有志の勉強会が立ち上がった、撤廃も視野に入れて議論を進めていくということらしいんです。移行時期にこういった報道が出たものですから、現場の方々は更に混乱されておりまして、結構反応が大きいです。
本当に撤廃を視野に入れてやっていかれるということであるならば、今の政府のやり方でいけば、リファンド方式は民間に丸投げしている状況の中、民間企業が時間とお金をかけてそういったものをつくっていくということは考えにくく、こういったところはやはり政府主導でやっていく必要もあると思いますし、本当にこういった撤廃、これが三年後なのか五年後なのか分かりませんけれども、そういったことを考えているのか、見解を教えてください。
○田原政府参考人 お答えいたします。
外国人旅行者向けの免税制度でございますが、こちらは、外国人旅行者が一定の条件の下で購入される物品につきましては、実質的に輸出取引と変わらないものといたしまして、消費税が免除される仕組みでございます。OECD加盟国におきましても、本制度が導入されている国が大半であると承知しております。
また、本制度につきましては、令和五年三月に閣議決定されました観光立国推進基本計画におきましても言及されておりまして、観光立国の推進、実現に資する制度であると承知しております。
本制度につきましては、令和八年十一月から、出国時に免税対象物品の持ち出しが確認できた場合に消費税相当額を返金いたします、いわゆるリファンド方式に見直すことが法律で定められております。リファンド方式の実施に向けて、既に事業者も準備を進めているところです。
引き続き、関係省庁や業界団体と緊密に連携いたしまして、円滑な実施に向けて対応してまいりたいと考えております。
○奥下委員 閣議決定されたことですから、なかなかこれを覆すというのは難しいことだ、ハードルが高いというふうには思っておりますが、こういった撤廃を視野にやっていくということ、まずこの時期に、骨太の方針に盛り込んでいくということもありますけれども、選挙前の時期というのもあるんだと思います。
一億円以上、これが六百九十人で二千三百三十二億円、こういったのがほぼ払われずに滞納状態となって海外に逃げられているといった状況、これもそうです。だから、こういったときに、どこに責任が行くのか。
免税事業者、こういったところは売上げで一回いただいていて、今聞いている限りだと、九つの免税事業者があって、九つ全てにアプリを登録して行かないと外国人の方は免税してもらえない状況があり得るということで、そうなったときに、免税事業者に対して、最後、申請がなかったらこれは売上げとみなされるのか。それはまだ分かりませんけれども、ここに対して追徴課税という可能性も出てくると思いますし、こういったことが本当に今の段階で出るということは、選挙を目前にしてあれなのかなというふうに、ちょっとどうしても感じてしまいます。
また、それ以外にも、外国人観光客、買物で来られている方は結構いる中で、やはり宿泊税、宿泊とか飲食とか、そういった免税がかからない部分で打撃を与えるところも大きいですし、やはり小売業なんかはそうなったときにも打撃を受ける可能性は高いので、是非大きな目で見て、今のところ今の答弁だとないと思いますけれども、自民党内でそういった議連が立ち上がったときに、そういったことをきちんと打ち返していただいて、なくなったらないでいいと思いますけれども、日本の消費者が納得できるような制度にしていっていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いします。
次の質問です。
関西MaaS協議会が運用を開始したスマートフォンアプリ、KANSAI MaaSにおいて、大阪・関西万博の来場者に対し、各種交通モードのサービスをワンストップで提供されております。
周辺地域への周遊にもつながるよう促されていることは承知しておりますが、周辺だけではなく、全国への誘客促進をするためにも尽力されています。開催から二か月がたちました。その成果はいかがなものなのか、教えてください。
また、MaaSを始めとする交通サービスの連携や協働を更に深めていくため、アプリ連携の標準化やMaaSから得られたデータの活用など、更に取組を発展させていくべきと考えますが、国土交通省の見解を教えてください。
○池光政府参考人 お答えいたします。
お尋ねのKANSAI MaaSにつきましては、国内外の万博来場者を円滑に誘導するとともに、関西圏、さらに全国への地方誘客を促進するため、各種交通サービスを横断した検索や決済、広域周遊チケットの販売などのサービスを提供しており、国土交通省としても、万博事務局とも連携し、これらの取組を支援しております。
本年四月の万博開幕以降、現時点でKANSAI MaaSのダウンロード数は約四倍に増加をいたしました。また、万博会場へのシャトルバス利用は約百万人に及び、広域周遊チケットの利用も約三倍に増加するなど、着実に利用が広がっていると承知しております。
また、交通サービスの連携や協働を更に深め、交通空白解消など地域交通のリデザインを全面展開していくためには、御指摘いただきましたとおり、地域交通におけるデジタル技術の活用を更に発展させていく必要があると認識をしております。
このため、本年四月からは、MaaSや配車アプリなどサービスアプリのシステム連携や、データ活用の高度化、業務効率の向上などを進めるため、地域交通におけるデジタル技術の活用の先進事例創出と標準化を進める地域交通DX、この取組を新たにスタートさせたところであります。
地方創生の基盤である地域交通におきまして、引き続きデジタル化を推進することにより、持続可能な地域交通の実現を目指してまいります。
○奥下委員 ありがとうございます。
先日、僕も万博に行って、サウナに入ってきたんですけれども、そのときに、KANSAI MaaSで来られたという方もいらっしゃって、神戸、なかなかふだん、平日はいなかったものが、KANSAI MaaSを使って、万博のお土産袋を持って、人がにぎわってきたというふうに飲食店の方も、そのサウナにいらっしゃった方から話を聞きましたので、是非、今後、もっともっとこれを広げていくよう、我々も協力していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
時間なので終わります。ありがとうございました。
○井上委員長 次に、古川元久君。
○古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。
今日は、まず、超党派の医療・防災産業創生推進議員連盟の幹事長として質問したいと思います。
議連として推進をしてきております、災害時に役立つコンテナ型トイレやキッチンコンテナ、あるいはコンテナハウスなど、様々な種類の高付加価値コンテナ、議連ではいわゆる命のコンテナというふうに呼んでいるんですけれども、この命のコンテナの有用性は、能登半島地震での支援活動を通しても確認できたと思います。
したがって、今後は、こうした命のコンテナについて、平常時の利活用を推進して、それによって普及拡大をしていって、普及すればコストも削減できます。そういうものでコスト削減も実現して、私たちでこれを、災害のときにしっかり国民の命を救っていく、そしてまた、避難所環境をよくするだけじゃなくて、日本の国として産業の創生まで結びつけたいというふうに考えているんですけれども、そうした視点から、まずちょっと幾つか御質問します。
防災道の駅における高付加価値コンテナの設置について、国交省は、この秋から全国二十三か所の道の駅にコンテナ型トイレを配備する予定でありますけれども、先月新たに四十か所を防災道の駅に指定したと思いますが、この新たに防災道の駅に認定した四十か所についても、コンテナ型トイレを配備していくようにしたらいいと思うんですが、いかがでしょうか。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
防災道の駅は、大規模災害時におけます広域的な防災拠点となる道の駅でございます。この防災道の駅に、被災地支援のために、災害時に移動して活用します高付加価値コンテナを設置しておくということは極めて有効なものだというふうに思っております。
令和六年度の補正予算におきまして、道の駅に防災用コンテナ型トイレ二十三台分を配備する予算を措置しておりますけれども、うち十八台につきましては、防災道の駅に配備をすることとしております。
まだ配備されていない防災道の駅につきましても、現場のニーズでありますとか、道の駅に限らない地域全体におけるコンテナ型トイレの配備状況を鑑みながら、配備に向けてしっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。
○古川(元)委員 これは本当に足らないので、やはり大規模災害なんかが起きたときに、本当にトイレの問題というのは極めて深刻な問題になります。是非、防災道の駅、認定したところにはどんどんと積極的に配備を進めていきたいと思っています。
あと、今国会で成立した道路法改正によりまして、トイレ以外の高付加価値コンテナを道の駅の駐車場に設置することが可能となりましたが、今後、こうしたコンテナの設置、民間でもいろいろやっているところはあるので、官民連携で積極的に進めていく、そうしたことを我々議員としても応援していきたいと思っています。
国交省としても、こうした今回の法改正を受けての、コンテナ型トイレ以外の高付加価値コンテナ、是非、官民連携で普及していっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○山本政府参考人 議員御指摘のとおり、我が国の災害対応力を高めていくためには、トイレ以外にも様々な機能を持った高付加価値コンテナの普及が重要であると考えております。また、行政と民間との連携、これも非常に重要なことだというふうに思っております。
地方公共団体と民間企業におけます高付加価値コンテナの設置を促すという観点で、令和六年四月に、道の駅で高付加価値コンテナを活用するためのアイデアでありますとか留意点をまとめたガイドラインを策定しております。
加えまして、今国会で成立をいただいた改正道路法では、道の駅の駐車場にこうしたコンテナを設置するときの占用許可基準の緩和などを措置しているところでございます。
国土交通省といたしましては、こうしたガイドラインや新たな制度の周知を通じまして、道の駅への高付加価値コンテナの官民による設置を促進し、その普及に努めてまいりたいと考えております。
○古川(元)委員 是非よろしくお願いします。
次に、今、政府の方においては、石破総理の肝煎りで、防災庁の設置に向けての取組が、準備がなされていると思いますが、この防災庁は、避難生活環境、備蓄体制の抜本的改善に重点的に取り組む予定だというふうに聞いておりますけれども、それであれば、我々の議連が推進しているこの命のコンテナ、これをパッケージで、具体的に幾つかのモデル自治体を選んで、そこにトイレとかキッチンとかシャワーとかランドリーとか宿泊、医療、そういう様々な可動式のコンテナ一式、これをパッケージで配備するということにして、その配備を支援していくのがいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○河合政府参考人 お答えいたします。
防災庁の設置に向けましては、関係分野の専門家から成ります防災庁設置準備アドバイザー会議で議論が行われまして、今月四日、赤澤大臣に報告書が手交されたところでございます。
報告書におきましては、災害支援物資等の標準化の検討、避難所運営等に係る業務の標準化、訓練実施など、避難生活環境を抜本的に改善することが重要といった指摘をいただいております。
令和六年度補正予算においては、新地方創生交付金によりまして自治体におけるキッチンカーやトイレカー等の資機材の備蓄を支援したところでございまして、今後も、アドバイザー会議の御提言や委員の御提案も踏まえまして、漏れ、むらのない被災者支援の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○古川(元)委員 パッケージでセットしてあると、何かあったときにそれを一気に持っていけば、すぐ、とにかく発災後の初動対応で避難所の最低限の必要な機能というのは確保できると思いますから、是非前向きに、防災庁設置のときには早急に取り組めるように考えていただきたいと思います。
次に、来年、私の地元愛知・名古屋で開催が予定されているアジア大会、アジアパラリンピック大会があるんですけれども、そこでは、選手の宿泊施設としてコンテナハウスを利用することや、また、コンテナ型トイレを活用することが予定されております。
この大会は、主催者は愛知県そして名古屋市が中心でありますけれども、現在開催されている大阪万博と同じように、やはりこれは国家的な行事であって、その成功に向けて超党派の議連もできて活動をいたしております。
ただ、今のこの御時世で、御多分に漏れず、当初の見込みよりも相当、開催にかかる費用が物価高騰とか資材高騰で大幅に増加する、そうしたことが見込まれておりまして、今、県やあるいは組織委員会なんかも増えた費用を工面するのに四苦八苦しているところなんです。
こうした状況を受けて、超党派議連としても何とかサポートしていかなきゃいけないということで、先般、予算委員会で、この議連の事務局長をやっている自民党の丹羽議員が総理に協力支援をお願いして、総理からも、大会成功に向けてきちんと政府として協力するという答弁をもらいました。
この大会で使用されることになるコンテナハウスやコンテナ型トイレを大会終了後に防災用の命のコンテナとして活用することとして、その設置や利用にかかる費用を国が支援する、そういう形を取れば、地元としても大変助かる話でありますし、また、こうした機会にこういうものを作るとか利用することが命のコンテナの普及拡大にもつながると思いますので、是非国としても積極的に支援していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○河合政府参考人 お答えいたします。
アジア大会、アジアパラ大会の大会運営費につきましては、閣議了解におきまして国費による支援は行わないこととされておりまして、大会で使用する設備の費用負担については、大会組織委員会で検討されているものと承知をしております。
個別の大会における設備の補助について内閣府防災担当からお答えすることは困難でございますが、スポーツ大会等のイベントで使用されたトイレカーやコンテナハウス等を自治体が災害時に活用できるようにするということ自体は、地域の防災力を向上させる意味で望ましいというふうに考えております。
内閣府防災としては、地域の災害対応力を強化するため、スポーツ大会に限らず、平時に利用しているキッチンカー、トイレカーなどのいわゆる災害対応車両について、被災自治体が発災時に迅速に活用できるよう、平時から登録、データベース化する施策を本年六月一日から開始したところでございます。
また、先ほども答弁させていただいたとおり、令和六年度補正予算で、新地方創生交付金で、トイレコンテナ、トイレトレーラーハウス等の資機材の整備について、自治体を支援する措置を講じたところでもございます。
平時に利用しているものを発災時にも活用すること、そのために平時から用意をしておくということは重要でありまして、地域の防災力の更なる向上のため国として何ができるのか、引き続き検討してまいりたいです。
○古川(元)委員 大臣、通告していないですけれども、これは御党も議連の中で一生懸命、今のお話だと、とにかく大会本体に一切援助しないという、ここのところがあって、それがために本当に今苦労しているんです。
だから、いろいろ工夫して、何とかこれは、万博と同じ国家的競技ですから、大臣も閣僚の一人として、御党も一生懸命ここは応援しなきゃいけないというふうに言っているわけですから、是非そこは大臣も閣内で、アジア大会、アジアパラ大会成功に向けてしっかり声を上げていただきたいと思いますが、一言、是非お願いします。
○中野国務大臣 済みません、御通告がありませんでしたので。
どういう状況になっているか、またどういう御要望があるか等々、しっかり私の方でも伺ってまいりたいというふうに思います。
○古川(元)委員 しっかり、御党も、骨太にもっとちゃんと支援するようにというのを入れろと今頑張っているはずですから、頑張っていたんですから、是非そこは大臣もちゃんとフォローして、閣内で声を上げていただきたいと思います。
あと、さっき私が言っている議連は、斉藤前大臣は議連の副会長もやっていただいていますので、大臣は入っていらしたかどうか、確認をしたときはお名前はなかったようなんですけれども、是非また議連の方にも御加入いただければ、ちょっと勧誘をしたいと思います。
残りの時間で、外国人絡みの税についてちょっとお伺いしたいと思います。
国際観光旅客税、これは、日本が観光立国として、そういう環境整備のためと目的税で導入されていますけれども、これは出国時に外国人だけじゃなくて日本人も課税されている。
ただ、ここのところ、コロナがあって落ち込んだ海外が、コロナが明けてインバウンドは戻ってきて、むしろコロナ前を超えていますけれども、しかし、やはり円安の影響もあって日本人が海外に行くのにブレーキがかかっているわけでありまして、そういった意味で、海外に行くのに負担になるコストをちょっとでも下げるべきじゃないかなと思うんですよね。
そうやって考えると、ほかの国を見ると、別に、出国のときにというやり方もありますけれども、入国に外国人に対してだけ税金を取るとか、あるいは、アメリカのESTAみたいな形で、手数料みたいな形でお金を取る。日本も、今みたいな、出国時に外国人も日本人もという形で取るんじゃなくて、外国人が入国するときに、税なのか、あるいはESTAのような形の手数料でもいいんですけれども、それをいただく。
しかも、今の出国税の水準は、やはり税の水準、ほかの国々からしたら低いですから、これを上げろという話もあるみたいですけれども、今のままで上げちゃうと、日本人の海外に行こうという人たちの負担も大きくなっちゃうわけですから、それをちょっと仕組みを変えて、観光立国にするために必要な資金を調達するという制度目的は理解できるので、その財源調達の手段としては、日本人からも取るんじゃなくて、外国人の人から取って、もうちょっと水準を諸外国並みに上げていく、そう考えていくべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
今、二〇三〇年の訪日客数六千万人、消費額十五兆円の目標に向けまして、必要な施策を盛り込む新たな観光立国推進基本計画、これを今年度末までに策定するべく検討を進めている、現状、こういう検討をやっているところでございます。
国際観光旅客税につきましては、古川先生からも先ほど様々な御指摘もございました。また、様々な報道も含めて、いろいろな御意見があるということは当然承知をしておりますが、いずれにしても、現状としては、国土交通省として、引き続き、観光立国の実現に向けた施策の検討を基本計画のところで進めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
○古川(元)委員 これは見直しとか何か、内容を検討はしないんですか。どういう意味ですか、今のは。何か大臣の答弁を聞いていて、よく分からないんですが。
○中野国務大臣 様々な御意見があるというのは当然承知はしておるんですが、現状、次の目標に向けまして必要な政策というのを観光立国推進基本計画でまさに策定をしようというところで、今まさに検討をやっているというところでございますので、済みません、ちょっと現段階の御答弁としては、しっかりとその実現に向けた施策の検討をここで進めてまいりたいということに尽きるのかなというふうに思っております。
○古川(元)委員 是非、検討するときには、根本的なやり方の見直しも考えていただきたいと思います。
時間になりますので、最後、一問、さっき、維新の奥下さんの質問とも絡むんですけれども、消費税の外国人の免税扱い、リファンドが決まっているというのは、これは法律で決めたところでありますけれども、ただ、自民党の、財務大臣を長く務めた麻生さんが座長の勉強会で、このリファンド方式では転売などの不正防止に実効性がない、だから、そもそも免税をやめろ、そういう提言もなされていると聞いています。
これは、ちょっと一旦、最低でもリファンド方式の準備ができて、転売などの不正防止策がちゃんときちんと講じられたとみなされるような状況になるまでは、免税措置を停止してはどうかと思いますが、いかがですか。
○田原政府参考人 お答えいたします。
先ほど御答弁させていただきましたとおりでございますが、本制度は令和八年十一月からリファンド方式に見直すことが法律で定められてございますし、リファンド方式の実施に向けて既に事業者も準備を進めているところでございます。
引き続き、不正対策も含めまして、関係省庁や業界団体と緊密に連携して、制度の円滑な実施に向けて対応してまいりたいと考えております。
○古川(元)委員 いろいろ問題も指摘されているわけですから、やはりちょっと立ち止まるということも是非考えていただきたいということを最後にお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、西園勝秀君。
○西園委員 公明党の西園勝秀です。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
六月九日、能登を視察させていただきました。
地震で発生した火災により、約五ヘクタールにわたり商店や住宅が消失した輪島朝市通りの周辺において、仮設住宅にお住まいの被災者の皆様が一日も早い復興を待ち望んでいることがよく分かりました。また、豪雨災害が発生した塚田川の周辺では、多くの方が御自宅に戻れない状況であることも分かりました。
被災された全ての皆様が、一日も早く元の生活再建が果たされるよう、政府におかれましては継続的な支援を是非ともよろしくお願いをいたします。
先ほども質疑がございましたが、改めて内灘町の側方流動について質問させていただきます。
今回の液状化被害は、内灘町に限らず、かほく市や金沢市など広範囲に及びました。被害面積は約百八十ヘクタール、被害戸数は約二千八百戸に上り、東日本大震災時に千葉県我孫子市で発生した約十三ヘクタール、二百二十三戸という被害規模を大きく上回りました。被害の範囲と規模の点で極めて深刻な事態であることは明らかです。
こうした中で、被災地の復旧を進めるには、土地の境界が明確であることが不可欠です。震災前に地籍調査を済ませていた土地であっても、今回の災害により現況とのそごが生じており、再度の地籍調査が被災地再建の出発点として求められています。
ただし、地籍の再調査に当たっては、登記上の土地の境界である筆界を変更しなければならない可能性があります。しかし、昭和三十一年十二月二十八日の最高裁判決では、筆界は客観的に定まるものであり、当事者の合意によって変更することはできないとされています。
それでは、筆界を変更するのではなく、現況に合わせて新たに筆界を創設することは可能なのでしょうか。法務省の御見解をお聞かせ願います。
○内野政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、筆界は、登記された土地の客観的範囲を区画する公法上の境界でございます。基本的に動くことはないものと解されております。
液状化に伴う側方流動が発生をいたしまして、筆界と実際の土地の現況との間にずれが生じた場合においては、実際の土地の現況に合わせて筆界を創設する方法といたしまして、分筆の登記や土地区画整理事業等がございます。
そこで、令和六年能登半島地震の被災自治体においては、まずは、筆界と現況との間にどの程度のずれがあるか、これを把握するため、地籍再調査の実施に向けた準備が進められているものと承知しております。
不動産登記制度を所管する法務省といたしましても、国土交通省や被災自治体等と緊密に連携いたしまして、プロジェクトチームにおける検討にしっかりと協力してまいりたいと考えております。
○西園委員 御答弁ありがとうございます。
今の御答弁は、筆界を新たに創設することができるという認識だと捉えました。
そうしますと、登記上の筆界を新たに創設することにより、従来よりも登記面積が減少する土地が生じた場合、その損失にどう対応するのかが大きな課題となります。その解決方法として土地区画整理事業の活用が考えられますが、その場合、土地の面積が減った方に対してどのような手当てが考えられるのでしょうか。政府の御見解をお聞かせください。
○内田政府参考人 お答えいたします。
今回の側方流動により、従前の土地境界と現況のずれが大きい場合に、新たな筆界を創設する手法として、土地区画整理事業を活用することが考えられます。
土地区画整理事業を活用する場合、ずれにより面積の増減があった土地に対しては、従前の土地の財産権に配慮するため、従前と従後で土地の位置や地籍などが地権者間において総合的に均衡するように換地をする方法ですとか、あるいは、地権者間において不均衡が生じた場合には金銭により清算する方法がございます。
国土交通省においては、被災市町ごとに配置した地区担当の本省職員や、法務省、石川県、被災市町から構成されるプロジェクトチームを通じ、被災市町のニーズに応じた土地区画整理事業の活用について、過去の事例や、手続の迅速化、費用の低減方策などの紹介をしているところであり、引き続き一刻も早い被災地の復興に向けて全力で支援を行ってまいります。
○西園委員 御答弁ありがとうございます。
換地や、あるいは金銭による清算も可能だということを聞いて安心をいたしました。
この被災市町、さらには県も含めて、地籍調査等にマンパワーが非常に不足しているのが現状です。被災自治体からは、地籍調査の実施でも六年、土地区画整理事業を実施すれば最短でも七、八年かかる見通しと言われています。
被災自治体へのマンパワー支援について、専門資格者の活用などを含め、国としてどのようなやり方を考えておられるのか、法務省、国土交通省、それぞれのお立場からお答えいただければと思います。
○内野政府参考人 お答え申し上げます。
地籍再調査、これを実施する際には、筆界と現況とのずれを測量によって明らかにする必要がございますため、専門的知識が不可欠でございます。委員御指摘のとおり、被災自治体へのマンパワー支援、これは重要な課題であると考えております。
そして、地籍調査等と不動産登記とは密接な関係にございますので、その実施に当たっては、不動産の表示に関する登記の専門家でございます土地家屋調査士の積極的な活用が期待されるところでございます。
土地家屋調査士制度を所管する法務省といたしましても、日本土地家屋調査士会連合会等と緊密に連携いたしまして、被災地の復旧復興に向けて、被災自治体をしっかりと支援してまいりたいと考えております。
○小善政府参考人 お答えいたします。
地籍調査事業は、計画策定、土地の現況測量や一筆地調査、地籍図の作成など多くの工程があり、また、その全体の工程管理も必要です。
被災自治体においては、これらの多様かつ多くの業務を担うだけのマンパワーが不足しているとともに、経験やノウハウを持つ職員も少ないとの声を聞いております。
この課題を解決するためには、できるだけ多くの業務を外部に委託することや、地籍調査に豊富な知識経験を有する専門家を派遣することなどが有効であると考えております。
また、今後、土地区画整理事業の事業化に向けては、被災市町ごとに地区担当として配置している国土交通省職員を通じて、きめ細かく指導助言を行っていくことが効果的と考えております。
先月末に設置しましたプロジェクトチームにおいて被災市町ごとの状況や要望をきめ細かくお伺いしながら、支援の具体化を進め、土地境界問題の早期解決に向けて、被災自治体とともにしっかり取り組んでまいります。
○西園委員 ありがとうございます。
今、プロジェクトチームの話が出ました。これはスピードが本当に大事でございますので、政府の迅速な支援を何とぞよろしくお願いいたします。
次に、避難生活で必要な備蓄品の調達について伺います。
今回の視察では、いまだに屋根にブルーシートがかけられたままの住宅を見受けました。能登半島地震では、多くの住宅で屋根瓦が損壊し、雨漏りを防ぐためにブルーシートの重要性が改めて認識されました。
また、昨年六月に修正された防災基本計画では、在宅避難者等の支援方策を検討することが自治体の努力義務とされ、屋根の損壊時にはブルーシートを張るなどして、被災者の応急的な住まいを早期に確保することの必要性が示されました。
ブルーシートの設置作業は、全日本瓦工事業連盟に加盟する事業者などの協力により行われますが、その前提となるのは、自治体が必要なブルーシートを事前に確保していることです。
しかし、能登半島地震では、全国から多くの瓦職人が応援に駆けつけてくださったにもかかわらず、肝腎のブルーシートが不足していたために、作業が滞り、屋根の応急修理ができず、在宅避難が困難となる事例が多く生じました。今後の大規模災害に備えては、被災自治体が必要量のブルーシートを迅速に確保、配付できる体制の整備が急務です。
また、能登半島地震では、水道管や浄水場の被災、機能停止により最大約十四万戸が断水する事態となりました。飲料水はもとより、トイレや入浴、避難所の清掃、洗濯、器材の洗浄などに不可欠な生活用水の確保が課題となりました。災害時に生活用水を安定的に確保するためには、平時からタンク、貯水槽、防災井戸等の整備に努め、衛生的な水を継続して供給できる体制を整えておくことも重要です。
さらに、下水道についても、半年以上復旧しなかった地域があり、生活用水の排水処理にも深刻な問題が生じました。下水道が復旧するまでの間は、限られた水を繰り返し使用し、川や地面への排水を抑える工夫が必要です。近年では、合成洗剤に含まれる界面活性剤を一切使用せず酵素の力で汚れを分解する洗浄剤も開発されており、こうした環境に配慮した製品を避難生活において活用することも有効です。
このように、災害時に必要となる生活必需品や食料、ブルーシートなどは各自治体が必要量を備蓄していくことが基本ですが、財政上の制約から十分な備蓄ができていない自治体も少なくありません。そのような場合には、国からのプッシュ型支援が極めて重要となります。とりわけブルーシートや水などの資材については、市中からどれだけ迅速に調達できるかを平時から把握しておく必要がございます。
自治体の備蓄量及び市中からの供給可能量をどのように把握し、必要な物資をいかに迅速かつ的確に被災地へ届けるのか、政府としての具体的な方針をお聞かせ願います。
○貫名政府参考人 お答えいたします。
防災基本計画におきましては、大規模災害を想定いたしまして、食料、飲料水、生活必需品等必要な物資を自治体においても備蓄に努めることとなっております。
自治体による物資の備蓄状況を可視化するために、本年四月から運用しております国の新物資システムにおきまして、各地点の拠点における備蓄量を自治体が登録し、発災時にはどこで過不足が生じているか把握できるようにしているところでございます。
また、大規模災害時、自治体の備蓄物資だけでは不足し、被災自治体が支援要請をするいとまがないと認められる場合には、国がプッシュ型支援で物資を被災地に搬送することとしております。この際、市場の調達可能量は各省庁から業界団体等を通じ把握し、より迅速に被災地に届く供給先から届けられるよう、平時から体制を構築しているところでございます。
これに加えまして、市場流通が少なく、発災後すぐの調達が難しい段ボールベッドやパーティション等一部の物資につきましては、内閣府におきましても分散備蓄をいたしまして、市場調達が整うまでの自治体の不足分を補完することとしております。
○西園委員 御説明ありがとうございます。
次に、建築基準法や住宅性能評価の在り方についてお伺いいたします。
能登半島地震において、現行の建築基準が適用された二〇〇〇年以降に建てられた住宅の六五・五%、三百九十八棟は全く被害を受けておらず、日本の耐震技術が改めて実証されました。
建物の耐震性を確保するための工夫としては耐震、制震、免震の技術がございますが、これらを建築基準として標準化した方がよいのではないかという意見がございます。しかし、国土交通省の御担当からは、人命を守るための建築物を造る最低限の基準である建築基準法に必要以上の耐震性を義務づけることは難しいと伺いました。
このようなことから、同じ建築基準法で造られていても被害を受ける家と被害を受けない家があるのではないかと考えます。能登半島の地震においてもそのような状況があったのではないかと推察いたします。
耐震等級一は建築基準法レベル、耐震等級二は耐震等級一の一・二五倍の地震力に耐えられるレベル、耐震等級三は耐震等級一の一・五倍の地震力に耐えられるレベルであり、大きな開きがございます。能登半島地震のように短期間に連続して揺れが発生する場合、倒壊のリスクが高まるため耐震等級二や三にグレードアップした方が安全です。安価で耐震性を確保できる技術も開発されてきていることから、二〇〇〇年基準以前の基準で造られた建物が多い地域などでは耐震等級二や三を標準に設定していけるよう、自治体がその流れをリードしていくような努力も必要かと思います。
また、長周期地震動が高層ビルに与える深刻な影響が指摘されたことを受け、建築基準法の見直しも進められていると承知しております。
複雑化、激甚化する自然災害、とりわけ地震災害に備え、人命を守る観点から、今後の建築基準法や住宅性能評価はどうあるべきとお考えか、中野国土交通大臣の御見解をお聞かせいただければと存じます。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
建築基準法では、国民の生命財産を守る観点から、最低の基準を定めております。耐震については、震度五強程度の中地震までの地震時に損傷しない、震度六強から七に至るまでの大地震時には損傷しても倒壊しないというのが最低の基準でございます。
現行の耐震基準により建てられた建築物は、震度五程度の地震に対して損傷せず、同程度の地震を再度受けても倒壊に至ることは基本的にはないというふうに考えておりますが、複数回の地震に対する被害を抑えるためには、より高い耐震性能を確保することが当然有効でございますので、住宅性能表示制度を通じまして、消費者がより高い耐震性能の住宅を選択できる環境整備に努めるとともに、住宅金融支援機構のフラット35Sによる支援や長期優良住宅の普及等を通じて、より高い耐震性能の住宅の普及を促進してまいりたいと思います。
長周期地震動につきましては、今、南海トラフ沿いの巨大地震による影響を強く受ける三大都市圏等の地域において、高さ六十メートルを超える超高層建築物等を建築する際に、長周期地震動を用いた構造安全性の検証を求めるなどの対策を講じてきたところでございます。
今、内閣府において、相模トラフ沿いの巨大地震等による長周期地震動について現在検討が進められていると承知をしておりまして、国土交通省としても、その検討結果を踏まえて、更なる対策の必要性も含め、しっかり検討を行ってまいりたいと考えております。
○西園委員 ありがとうございます。
以上で終わらせていただきます。
○井上委員長 次に、堀川あきこ君。
○堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。
今日も北陸新幹線の問題について、まず質問をしたいと思います。
六月六日、京都市議会において、北陸新幹線の京都市内大深度トンネルルートへの反対決議が賛成多数で採択をされました。資料の一にその文案を示しております。地下水への影響や残土の問題、建設費用の自治体負担の問題など、これだけ問題点が指摘されている中でこのまま計画を進めることは、京都市の未来に向けて重大な問題を招くため、反対を表明するというふうにあります。これは、現行の計画案二つのルートそのものに京都市議会が反対の意思を突きつけたもの、非常に重い決議だというふうに考えます。
この決議について、大臣の受け止め、まずお聞かせください。
○中野国務大臣 お答えを申し上げます。
六日の京都市会におきまして、北陸新幹線に関しまして、御指摘の北陸新幹線の京都市内大深度トンネルルートへの反対決議とともに、北陸新幹線延伸計画に係る国等の適切な対応を求める決議が可決されたものと承知をしております。また、これらの決議を受けまして、京都市長が、時間がかかってもしっかりと納得のいく説明をいただきたい旨のコメントをされたと承知をしております。
国土交通省としましては、これまでも、昨年十二月の与党整備委員会の中間報告等を踏まえまして、地域の皆様の御理解が得られるよう、自治体向けに説明を開催してまいりました。引き続き、一日も早い全線開業に向けまして、沿線自治体の皆様の御理解を得られるよう、鉄道・運輸機構とともに丁寧かつ着実に取り組んでまいりたいと思います。
○堀川委員 大臣、この決議は反対を表明されているんです。この提案、賛成した政党や会派に延伸計画への見解の違いはあるものの、京都市民が声を上げ続けてきたことで反対の意思を議会が共通の意思として示したものです。
この決議を受け止めるのであれば、計画の撤回を含めて検討し直すべきと思いますが、これについてはいかがでしょうか、大臣。
○中野国務大臣 いずれにしましても、御地元、六日の決議、二つ決議が可決をされておりますけれども、京都市長も、時間がかかってもしっかりと納得のいく説明をいただきたいというふうなことのコメントもされておられます。
沿線自治体の皆様の御理解を得られるように、これは鉄道・運輸機構とともに丁寧かつ着実に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○堀川委員 反対の決議について全く受け止めておられないという答弁だと言われてもしようがないと思います。あくまで計画ありきだというふうな姿勢だと思います。
この決議の中で住民への情報非開示についても指摘をしています。また、この日、先ほど大臣がおっしゃられた、北陸新幹線に関してもう一つ決議が上がっておりまして、その中でも、市民や事業者が体感的な納得を得られることが不可欠というふうにあります。住民への説明が不十分というのは共通した意見だというふうに思います。
これまでも指摘をしてきましたが、住民の皆さんは、地下水がどうなるのか、ボーリング調査をやった結果がどうなのか、なぜ自分たちの地域がルートとして選択されるのか、科学的事実に基づいた説明を求めておられます。計画の是非も含めて協議する場を求めているというふうな声もあります。
私が実際にお話を聞いた和菓子屋の御主人、二百年以上続く伝統ある和菓子屋なんですけれども、過去に市鉄の地下工事で、使っていた地下水が駄目になったというふうなことも経験をされています。だからこそ地下水への影響に関しては強い懸念を持っておられるわけなんですね。この御主人がおっしゃっていたのは、様々な学習会に参加をしてきたけれども、持っているデータを全部開示して専門家に議論してもらいたい、市民はそれを見て判断するんだと。ごもっともな意見だというふうに思うんですね。それすら国交省はやっていないわけです。
この説明会について京都府に調整してもらっているというふうなのがこの間の答弁ですけれども、それはあくまで自治体向けの説明会であって、しかも計画推進ありきの説明会になっています。この住民の皆さんが求めている計画の是非も含めての住民説明会を開催するべきだと改めて思いますが、大臣、お考えをお聞かせください。
○中野国務大臣 お答えを申し上げます。
一日も早い全線開業に向けまして、沿線自治体の皆様の御理解を得られるよう取り組んでまいりたいということは、それは先ほど答弁をさせていただいたとおりでございますが、いわゆる住民説明会も含めまして、今後どのような形で説明会を開催するかにつきましては京都府等と御相談をさせていただきたいと考えております。府民の皆様始め関係者の皆様の御懸念や御不安を払拭できるように、誠実かつ適切に開催をしてまいりたいというふうに考えております。
○堀川委員 そういうふうに住民の皆さんの不安あるいは京都市議会の意思にまともに向き合わないという姿勢が、より不安を増殖しているわけなんですよ。それこそ是非自覚をしていただきたいというふうに思いますし、北陸への接続でいうと、「サンダーバード」の復活こそというふうな声も多数あります。計画の中止、撤回を改めて求めたいというふうに思います。
続いての質問です。上下水道施設の耐震化状況についてお聞きをしたいと思います。
能登半島地震では、インフラの中でも上水道の寸断というものが被災者にとって避難生活に大きな支障をもたらしました。
今回、こうした能登の被害を受けて、国交省は、上下水道システムの急所施設や、あるいは避難所や拠点病院などの重要施設に接続する上下水道管路の耐震化の緊急点検を行っておられます。その結果を見ていると、いろいろな数字があるんですけれども、重要施設につながる水道、下水道管路の両方が耐震化されている、この数字が一五%程度になっているということなんですね。
二〇〇八年から上下水道施設の耐震化状況は毎年調査をしているというふうなことでお聞きをしているんですけれども、そこから先の重要施設に接続する水道管の耐震化もあってこそ災害時に対応できるというふうなことだと思います。
こうした重要施設に接続する水道管の点検についてはこれまでどれくらいやられてきたのか、政府参考人、お願いします。
○松原政府参考人 お答えいたします。
上下水道については、国民の生活に直結する重要なインフラであり、能登半島地震での被害等から、災害時においても上下水道の機能が確保されていることが重要であると改めて認識したところでございます。
昨年三月に設置いたしました上下水道地震対策検討委員会の中間取りまとめにおいて、今後の地震対策として、浄水場、下水処理場やそれらに直結する管路などの上下水道システムの急所となる施設の耐震化、避難所など重要施設に係る上下水道管路の一体的な耐震化などに取り組んでいくべきとされたところです。
これを踏まえ、昨年、国土交通省において、避難所など重要施設に接続する上下水道管路の一体的な耐震化状況についての緊急点検を初めて行ったところでございます。
○堀川委員 八潮市の事故を受けてもそうなんですけれども、水道管路の点検や調査が行われるのは、何か事が起きてからになっているように思うんですね。本来であれば、災害時にきちんと機能をする、あるいは八潮の陥没事故のような大事故が起こらないような事前の措置というものが必要だというふうに思います。
大臣にお聞きしたいんですが、こうした点検や調査は適切な時期に行ってきたというふうな御認識でしょうか。
○中野国務大臣 昨年の能登半島地震の教訓や水道行政の国土交通省への移管を踏まえまして、国土交通省で今、上下水道一体での耐震化について取り組んでいるところでございます。
水道行政の移管前には、管路の耐震化の状況につきましては水道、下水道それぞれで把握はしておりましたが、今回初めて、避難所など重要な施設に係る上下水道管路を一体のものとして耐震化状況を把握をしたというものでございます。そういう意味では、まさに行政移管の効果が発揮をされたものであるというふうにも認識をしております。
国土交通省としては、移管の効果がより一層発揮されるように、今後とも耐震化、老朽化対策の課題に上下水道一体で取り組んで、強靱で持続可能な上下水道の構築に向けて、しっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○堀川委員 この点検の後、上下水道耐震化計画の策定というものが都道府県を通じて水道事業者に通知をされています。その策定率、これはちょっと質問にしていましたけれども、時間の関係で飛ばします。策定率が、水道が九四%、下水道が九九%の策定状況というふうに伺っています。
今回初めて点検対象となった重要施設に接続する水道管路の耐震化計画について、国土強靱化計画の中期計画では三十年後の完了というのを目指しています。それらに倣って、ほとんどの自治体で、この耐震化計画でも三十年後の完了というのが目標になっているというふうなことだと思います。
ただ、例えば京都市は、対象となる学校などのこの重要施設が百八あるのに対して、接続する水道管路の耐震性能確保済みの施設というのは、今の時点でゼロだと。計画策定から五年後の二〇二九年までの目標施設数というのが二ということで、三十年で耐震化が完了するのか、大変心もとない目標になっているわけなんですね。
この三十年という設定は妥当なんでしょうか。大臣、お願いします。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
地方自治体の上下水道耐震化計画における耐震化の完了目標時期については、それぞれの自治体の判断の下に設定をされているというふうに認識をしております。
先日、閣議決定をされました国土強靱化実施中期計画では、水道、下水道の管路等の両方が耐震化されている避難所等の重要施設の割合については、御指摘のとおり、令和三十年度に一〇〇%とする将来目標を設定いたしました。
この目標につきましては、上下水道耐震化計画の内容も踏まえつつ、国土強靱化実施中期計画の計画期間において耐震化を加速させることで、早期に完了できるように設定をしたものでございます。
国土交通省としましては、令和六年度補正予算から、水道事業について、耐震化の取組を加速する事業体を支援対象に追加をしたほか、補助率を引き上げるなど、支援制度を大幅に拡充をしてきたところでありまして、引き続き、耐震化を計画的、集中的に推進できるよう、財政的、技術的支援を行い、強靱で持続可能な上下水道の構築に向けて、しっかり取り組んでまいります。
済みません、ちょっと先ほど私、令和三十六年度に一〇〇%とする将来目標というのが正確な表現でございました。訂正させていただきます。
○堀川委員 能登半島の地震を見たら、やはり災害時に避難所につながる上下水道管が破損をするというのは、断水とかトイレが使えないなどの状況が続くということで、被災者の心身の健康や地域の復旧にも直結する課題だということが明らかになったと思います。
上下水道は地方自治体の仕事ですけれども、災害対応の耐震化に向けては、より踏み込んだ国の支援が必要だというふうに思いますので、改めて求めておきたいと思います。
時間がないので、最後の質問を大分短縮するんですけれども、水道料金の問題についてです。
上下水道管の維持管理費用、更新費用が今後更に増額していくというふうな見通しの下で、水道料金の値上げを今全国各地で行っています。しかし、水道料金は元々、政府の過大な水需要予測に基づいて過大に設定されているのではないかというふうに思っているんです。
そこで、私の地元京都を含む淀川水系の水資源計画について御質問をしたいと思います。この淀川水系フルプランにおける水道用水の一日最大取水量の想定と実績、これをちょっと質問にしようと思ったんですが、資料をお配りしておりますので、御覧いただければと思います。
二〇一五年の想定が九十五・七七で、実績でいうと七十一・七四。それ以降、二〇一九年、二〇二〇年、二〇二一年の実績と想定というのも資料に示しているんですけれども、いずれも想定よりも低い実績になっている。二〇一八年以降、高位想定と低位想定と二つの想定が設定されているんですけれども、高位想定よりも低位想定の方に実績が近くなっている。
これは大臣に最後にお聞きしたいんですが、このような過大な水需要の予測、過去にはダムなどの水資源開発が行われてきたというふうな過程もあり、それが水道料金に跳ね上がってきたというふうなこともありました。こうした予測はもうやめるべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○中野国務大臣 二〇〇九年の淀川水系フルプランにつきましては、関係府県がそれぞれ需要想定を行った後で水系全体の需要見通しを設定して、国土審議会の意見を聞いた上で閣議決定をしたということで、この水道用水の需要の見通しと実績に差が生じているという御指摘であります。
主な理由としては、節水意識の向上、節水機器の普及等による節水の進展や、スーパーや飲食店、事業所等の都市活動用水の減少等であると認識をしております。
いずれにしましても、気候変動の影響によりまして、年間の無降雨日の増加や降雪、積雪の減少による渇水リスクも一層高まるということも予測がされる中で、ソフト、ハード両面で渇水対策を進める必要がございます。引き続き、国土交通省としては、適切な需要予測に努めるとともに、水の安定供給の実現を目指してまいりたいと考えております。
○堀川委員 もう時間がないので終わりますけれども、大臣の答弁は既に役割を終えた水資源開発を無理に続けるための後づけの理屈だというふうなことを指摘させていただいて、質問を終わります。
○井上委員長 次に、福島伸享君。
○福島委員 有志の会の福島伸享です。
まず最初に、骨太の方針二〇二五、金曜日に閣議決定されたものについてお伺いいたしたいと思います。
これまで、私、国土交通委員会に所属して以降、日本の鉄道政策が整備新幹線とかリニア中央新幹線に偏っていて、在来線の話で出てくるのはローカル線の縮小の話ばかりで、鉄道ネットワーク全体の在り方の議論や在来線の機能強化といったことの政策が不在であるということを八回にわたって委員会で質問してまいりました。
例えば、令和四年の十月二十八日の国土交通委員会では、主に整備新幹線以外は完全に民間任せとなっていて、国土のインフラとしてどのような鉄道網をつくっていくかということは、国鉄の分割・民営化以降、ほとんど国土形成計画などに書かれていないということを言ったりとか、令和五年の三月二十二日の国交委では、交通ネットワークにおいて、鉄道というのがこれからGXが進む中でどういう役割を果たすのか、そのために国自身が鉄道ネットワークの維持にどのような役割を果たすのか、そうした基本的な国の姿勢をまず定めるべきといった議論をしております。時に、中野大臣にきつい言葉を言って、ちゃんと政治家として答弁しろと言ってしまったかもしれません。
二月二十六日の予算委員会でも石破首相に、在来線を百六十キロから二百キロで走る中速新幹線、石破首相もこれはホームページで掲げているんですけれども、この議論をしたところ、総理からは、中速新幹線というものは、私は首肯、うなずく部分はたくさんあるというふうに思っております、政府の中でその点は真剣に議論していかなければならないというふうに答弁されております。
そこを受けて、今年の骨太の方針を見てみますと、資料一なんですけれども、右側が昨年の二〇二四年、左側が今年の二〇二五年です。役所というのは一つ一つの文言に非常に気を使いますから、ちょっとした違いが実は大きな政策の転換を生んでいるときがあります。
この右側の上のポツですけれども、ここではローカル鉄道の再構築ということだけが書いてありますが、左側に行くと、鉄道ネットワークの在り方等の議論の深化、幹線鉄道の地域の実情に応じた高機能化という言葉が新たに含まれておりまして、これはまさに私が主張してきたことを入れていただいております。下でも、基本計画路線、これは整備新幹線の後の新幹線ですけれども、その基本計画路線及び幹線鉄道ネットワークとなっていたのが、基本計画路線を含む幹線鉄道のネットワーク。これは、及びと含むじゃ全く違って、含むになったことによって政策の主体が基本計画路線から若干幹線鉄道ネットワークの方に移行しているというふうになっておりまして、さらにその先、方向性も含めた検討など、更なる取組を進めるといって、方向性の検討を進めるということまで明確にしております。
私は、これは私だけの議論ではないと思いますけれども、累次行ってきた議論を受けて、これまで骨太の方針にこのような在来線の高機能化みたいなのが掲げられたことはないんですね。大きな政策の転換であり、進歩でもあるんじゃないかと思っているんですけれども、その点、大臣、どのような思いでこの言葉がつくられたかということについて御答弁いただけないでしょうか。
○中野国務大臣 経済財政運営と改革の基本方針二〇二五の記述について、福島委員から御質問いただきました。
まず、鉄道ネットワークの在り方等の議論の深化についてでございますが、これはローカル鉄道の再構築に端を発したものでございます。
令和五年の地域交通法の改正等による新たな制度を活用したローカル鉄道の再構築の取組が全国的に進んでいる一方で、更なる制度の充実強化や全国的な鉄道ネットワークの在り方等に関して様々な意見が出ていると承知をしております。
こうした点も踏まえ、ローカル鉄道の再構築を更に進めていく上で、全国的な鉄道ネットワークの在り方等の議論を深化していく必要があるというふうに認識をしておりまして、その取組を進めていくということでございます。
もう一つの幹線鉄道の高機能化であります。これは、少子高齢化や人口減少が進む中で、広域的な地域間の移動や連携を支え、観光やビジネス、二地域居住などを含めた地域活性化にも資する重要なものであるというふうに考えております。
今後、幹線鉄道の高機能化に向けまして、利用状況や地域の実情、鉄道事業者の意向を踏まえつつ、技術的な観点も含めて一歩ずつ着実に検討を深化してまいる所存でございます。
○福島委員 昨日の事務方の方の方がよっぽど政治家らしい夢のあることをおっしゃっていたので、事務方の方は、是非そうした政治家らしい答弁を答弁原稿で渡してあげていただいたらと思います。済みません、嫌みで。
さて、能登半島の方に行きたいと思うんですけれども、私も理事会派でないにもかかわらず連れていっていただきまして、本当に与野党の皆さん、ありがとうございました。先ほど西園先生からありましたけれども、液状化に伴う筆界の再確定の話について議論したいと思っております。
先ほど来ありましたように、液状化でおおむね一メートルから三メートルもの側方流動が前例にないほどの広域的に発生しております。改めて地籍調査を行って、様々な手法を通じて筆界を確定する必要があります。
これまで法務省は、地殻変動に伴って広範囲にわたって土地が水平移動した場合には、筆界も相対的に移動したものとして取り扱うという例外的な扱いをしていましたけれども、今回のような液状化に伴う側方流動ではそれが適用できないというのが法務省の見解ですけれども、三メートルも動いちゃっていたら、元の筆界のところに隣の人の建物が建っていたりするような場合もあるわけですから、これは何もしないというわけにはいかないと思うんですね。
資料二の上の欄を見ていただけたらと思いますけれども、側方流動で、今まで左側にあったA、B、C、D、E、F、G、Hという整然とした区画が、面積が広まったり縮まったりする様々な人ができているというのが今回の内灘やかほく市での実態だと思っております。
そうしたことに対して対応するには、先ほど来、西園委員との議論でもありましたけれども、まず一つ目は、余り大きくずれていないという場合には、隣接の土地所有者等の同意を得て、そのまま現況の境界で地籍調査をするということも一つの、大きく動いていないときはあると思います。
二つ目、大きく動いちゃっているところは、これも先ほどの西園先生の議論ですけれども、側方流動でずれが大きくて、しかもずれの箇所が少ない場合は、隣地の土地所有者の同意を得ながら、分筆をして新たな土地として登記をするというやり方が二つ目。
三つ目は、土地の境界の確定に向けて、広い面積を土地区画整理事業で行う、これは下の図の三の例ですけれども、この三つを組み合わせてやらざるを得ないんです。いずれにしても、地籍調査を行わなければ何も始まりません。
先ほどの西園委員の質問に対して、国の支援の姿勢が明らかになりました。法務省の土地家屋調査士会への協力、ありがとうございます。ちょっと国交省さんは、外部委託をやらせるとか専門家の活用とか国交省の職員が指導助言するとか上から目線なんですけれども、国土交通省も測量関係団体を所管しているわけですから、そうしたマンパワーの上で所管団体に協力を求めるとか、もう一歩進んだ答弁をいただけませんでしょうか。
○小善政府参考人 お答えいたします。
先ほど申し上げましたとおり、被災自治体におきましては、地籍調査を担うだけのマンパワーが不足し、また、経験やノウハウを持つ職員も少ないという声を聞いております。
この課題を解決して地籍調査の事業期間を短縮するためには、できるだけ多くの業務を外部に委託することや、専門家を派遣、この専門家の中には、委員おっしゃいました測量士でありますとかそういう関係も含まれておるところでございます。
その上で、さらに、今後、プロジェクトチームにおきまして、被災市町ごとに状況や要望、今後どれだけの要望をするかを含めてお聞きしながら、必要があればその対策も、先生御指摘のありました事業者側の件も含めて、検討していきたいと思っております。
○福島委員 委託先とかマンパワーといっても、それはやはり国交省が呼びかけてくれなきゃならないんですね。国交省さん、ちゃんと呼びかけていただけるのであれば、うなずいていただければと思います。呼びかけていただけますよね。
○小善政府参考人 お答えいたします。
受注者側の方にも課題があるということであれば、まずそれをお聞きした上で、必要な対策は、業界も含めてしっかりと講じてまいりたいと思っております。
○福島委員 是非、主体的に取り組んでいただけたらと思います。
問題は、資料三の上の場合でありまして、隣接土地所有者内で合意が成立して分筆して登記を行うという場合には、登記をすると新たに登録免許税や不動産取得税が発生します。税が発生すると、分筆して解決しようというインセンティブにならないと思うんですね。
東日本大震災のときには、被災した建物を再取得した場合には、登録免許税の免税の特例措置というのが政令改正で実現しております。東日本大震災のときはそうした対応をしたわけですから、今回、液状化した土地の分筆登記に伴うものというのはこの特例措置の対象にならないんですけれども、新たに政令を改正して登録免許税の減免を行うべきだと思うんですけれども、大臣、どうでしょうか。
○中野国務大臣 今回の液状化の被災地におきましては、側方流動により土地境界と現況にずれが生じておりまして、解消が必要と認識をしております。
まず、地籍再調査によって現況とのずれを把握するということとしております。その上で、ずれの解消に向けた土地境界の確定の手法については、ずれの程度に応じて様々な想定をされるところでありますが、ずれが比較的大きく関係者が限られているという場合には、土地所有者間の合意に基づいて分筆登記をして土地を売買するということも選択肢として考えられるということであります。
この土地境界の問題解決に向けまして、今、関係者等々から成るプロジェクトチームを設置してということは先ほど来答弁させていただいておりますが、地籍再調査の結果も踏まえ、こうした場も活用しまして、分筆登記及び土地の売買という手法がどの程度見込まれるのか、まずはそこを把握させていただきたいというふうに考えております。
○福島委員 冷たい答弁ですね。何で東日本大震災のときに民主党政権でできたのに、今回はできないんですか。
ちょっと大臣として、だってこれは、初めから税が発生するとやったら、その手法を選択しないですよ。もう一声いただけませんか。もう一声。別に、税を減免する、そこまで言わなくていいですよ。ただ、負担が生じないように努力するぐらいは答弁できないんですか。
○中野国務大臣 いずれにしましても、土地境界の確定の手法をどういうやり方でやるかというところも含めてプロジェクトチームの中で、どういう手法を使うのかということも含めてこれは恐らく今後検討されていく、把握をしていくということでございますので、それに基づいて、何が必要か、対応を考えていきたいというふうに考えております。
○福島委員 これは、委員会で視察に行ったときに、内灘町の町長さんが言っていることなんですよ。それに対して応えるのに、何か手法がどうたらじゃなくて、少なくとも政治家として、だって、何にもその人に責任がないんだから、負担が生じないということを、なるべくそれは減らすということを明らかにしなければ、分筆して登記するなんてやりませんよ。そのことぐらいは言えないんですか。どうですか。
○中野国務大臣 先ほど来申し上げておりますが、どのような手法が使われるのかというのをまずは把握をさせていただいて、それに基づいて必要な対策というのは検討していくということだというふうに思っております。
○福島委員 残念な答弁と言わざるを得ません。本当にもう、ちゃんとした原稿を渡してあげた方がいいと思いますよ、役所の方々。ちゃんとそのための打合せもしているんですから、昨日。全然昨日の答弁のラインと違うんですよね。後退しております。
次に、資料三の下の場合で、土地区画整理事業を行う場合は、区画内で反対者が出て事業が遅延したりする場合もあります。自治体の負担は膨大であります。また、事業計画認可のための事務費負担や換地設計に要する費用に対する都市防災総合推進事業での国からの補助は二分の一で、残りは市町村の負担になってしまいます。
現在、石川県には、災害対応のために能登半島復興基金と能登創造的復興交付金の二つがありますけれども、交付金の方はこの補助金の裏負担には使えません。前者は、ほかにもいっぱい事業に使っていますから、この基金の中から出すのは困難だと県の方は言っております。市町への例えば特別交付税などによる支援が必要だと思うんですね。
ですから、まず二つあります。土地区画整理事業の同意の円滑に向けて、市町に人的、技術的にどのような支援措置を国は講じるのか。二点目は、換地設計等に、市町の財政負担軽減のために特別交付税など国は支援を行うべきと思うんですけれども、その点についての答弁をお願いいたします。
○中野国務大臣 先ほど来答弁しております、広範囲で側方流動が発生をしておりますので、関係者が一丸となって土地境界の確定に取り組むということが急務になっております。
特に、土地境界のずれが大きな地域においては、新たな筆界を創設することができる土地区画整理事業は有効な手法であると認識をしておりますので、国土交通省においては、被災市町ごとに本省職員を地区担当として配置をするとともに、法務省、石川県、被災市町から構成されるプロジェクトチームを設置しております。
こうした場を通じて、被災地の実情や被災市町のニーズをしっかりと受け止めつつ、一刻も早い境界確定が実現をできるように、例えば、石川県等との協力による被災市町の体制の充実、あるいは社会資本整備総合交付金等による財政支援、そして県、被災市町による合意形成プロセス、事業手続の迅速化のための技術的な助言等、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○福島委員 時間が来ましたけれども、終わりにしますけれども、是非しっかりと地元の意見を聞いて財政措置とかを遺漏なく講じていただけたらと思います。
以上です。
○井上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十一分散会