衆議院

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第3号 令和6年12月23日(月曜日)

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令和六年十二月二十三日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 牧  義夫君

   理事 石橋林太郎君 理事 黄川田仁志君

   理事 星野 剛士君 理事 有田 芳生君

   理事 下条 みつ君 理事 藤岡たかお君

   理事 和田有一朗君 理事 向山 好一君

      大空 幸星君    栗原  渉君

      小泉進次郎君    塩崎 彰久君

      寺田  稔君    西村 康稔君

      福田 達夫君    福原 淳嗣君

      松野 博一君    三谷 英弘君

      小熊 慎司君    篠原  豪君

      柴田 勝之君    太  栄志君

      西田  薫君    岸田 光広君

      福重 隆浩君    上村 英明君

    …………………………………

   外務大臣         岩屋  毅君

   国務大臣

   (拉致問題担当)     林  芳正君

   防衛副大臣        本田 太郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  平井 康夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 赤阪 晋介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大河内昭博君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    岩本 桂一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       森  孝之君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 上田 幸司君

   衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長          菅野  亨君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月二十三日

 辞任         補欠選任

  小泉進次郎君     塩崎 彰久君

  西村 康稔君     栗原  渉君

  原口 一博君     柴田 勝之君

  浜地 雅一君     福重 隆浩君

同日

 辞任         補欠選任

  栗原  渉君     西村 康稔君

  塩崎 彰久君     小泉進次郎君

  柴田 勝之君     原口 一博君

  福重 隆浩君     浜地 雅一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 北朝鮮による拉致問題等に関する件


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     ――――◇―――――

牧委員長 これより会議を開きます。

 北朝鮮による拉致問題等に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官平井康夫君、総務省大臣官房審議官赤阪晋介君、外務省大臣官房審議官大河内昭博君、外務省領事局長岩本桂一君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官森孝之君及び防衛省防衛政策局次長上田幸司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。福原淳嗣君。

福原委員 拍手をしてくれた方もそうでない方も、ありがとうございます。

 委員長、そして理事、委員の先生方を始め、質問する機会を与えていただきましたことに心から感謝を申し上げたいと思います。そして、それ以上に、今まで北朝鮮による拉致問題に関わってきた、そして今も関わっている全ての人に感謝を申し上げたいと思います。

 と申しますのも、私にとりまして、北朝鮮拉致問題の本質というのは、一つは、私たち国民と国家との間のきずなと信頼をきちんと示していくという重要な問題であると同時に、極東アジアにおける日本の役割あるいは使命というものを私たち国民に気づかせて、そして共有をさせる重要な問題であるとも捉えているからであります。

 ですので、林拉致問題担当大臣におかれましては、来月、石破総理とトランプ大統領が会うから、そこで拉致問題のことをまず言うべきだとか、そういう質問は一切いたしません。それよりもむしろ、この問題に主体的に真正面から取り組む担当の国務大臣としての、北朝鮮と日本の歴史的な関わり、あるいは極東アジアが今持っている地政学的なリスク、こういうものをどのように捉えているのか、大臣の捉え方が私たち国民を前に突き動かす新しい物語を作っていくという意味においても、大臣の考え方をお聞きをしたいと考えております。

 そして、この思いに至った出来事が、週末、立て続けに二つ、三つありまして、そのお話をさせていただいてから質問に入らせていただきたいと思います。

 まず一つは、土曜日なんですけれども、地元で、豊かな村づくりの農林水産大臣を受けた集落の祝賀会に行ってまいりました。八十代、七十代、六十代、五十代、何と二十代の若者も農事組合法人に入って頑張っているということで表彰を受けました。私は、金曜日、星野理事から、福原君、頼むよということで、質問をしますと話したら、みんな拍手喝采で、それはよかったんです。

 というのは、実は私は、横田めぐみさんの三つ下になります。リアルタイムではないんですが、当時、中曽根康弘総理の不沈空母発言の頃と記憶していますので、高校時代、郷里秋田は、夜は一人で秋田の浜辺に行くなというのが、学校の先生だったのか警察からだったのか分からないんですが、そういうのを共有をしていました。ですので、私たちの上のお父さん、お母さん世代、八十代中頃、前半、七十代は知っています。ところが、ヒーローであるはずの二十代になってくると全然その興味もなく、関心もなく、知っていない、こういう現状を見たときに、このままではいけないなという思いに至りました。

 と申しますのも、福原君、現存する国家の中で一番最古の歴史を持つ国はこの国日本だよ、古来、日本という国は、国生みの言葉、国生みの物語というのを大切にしてきた民族なんだよということを教えてくれたのが、私が秘書としてお仕えをいたしました野呂田芳成元国務大臣、防衛庁長官であります。

 まさしく野呂田大臣は、平成十一年、一九九九年の三月二十三日、北朝鮮の不審船に対して戦後初の海上警備行動を発令をし、その後、不審船は現れなくなった。まさしく国家としての意思を明確に示したことを通じて、対等な関係になれたというふうに私は理解をしておりました。

 そういう観点から見ると、実は、今回の三人の大臣の所信表明の中に明確に共通した文字があります。それは、この問題の本質は国家主権の侵害だという文言であります。これは、私は非常に重要なことだと考えておりまして、まさに林大臣がおっしゃるとおり、日本という国は国民の生命そして安全を守る、そういう国なんだという意思表示、ここから私は、拉致問題を解決することを通じて極東アジアにおける地政学的なリスクを減らすという、日本が本来していかなければならない役割あるいは使命というものを私たち国民と共有する契機になるのではないのかなと思っております。

 そして、この地政学的なリスクという意味で申し上げるならば、誰よりもその言葉を日本人以外で体現したのはダグラス・マッカーサーであろうというふうに思います。戦後の日本の政治、経済、社会だけではなく、今の日本国憲法の起草にも大きく影響を受けたダグラス・マッカーサーは、朝鮮半島をめぐってトルーマン大統領と意見が合わず、離れた後、後日談として日本の立場に理解を示している発言をしておられます。つまり、極東アジアには持って生まれた地政学的なリスクがあって、そのために日本は立ち上がったのだということをダグラス・マッカーサー本人が言っている。

 となれば、極東アジアにおいて、日本がこれから果たしていかなければならない、極東アジアが本来持っている地政学的なリスクを減らしていく上でも、この北朝鮮拉致問題に国を挙げて取り組んでいくということは非常に重要だという認識を私たち国民は持たなければならないんだろうというふうに私は考えております。

 そういう意味において、是非にとも林大臣の見解をお聞きをするとともに、実はもう一つ、若い世代の無関心に関しては、大臣の所信表明の中に、これまで拉致問題に触れる機会の少なかった若い世代への啓発活動を特に積極的に推進していく考えということを表明しておられます。大いに私もお手伝いをさせていただきたいと思います。

 と申しますのも、これはさきの二十日の金曜日でありますが、都道府県で初めて、埼玉県議会で北朝鮮による拉致問題解決の取組を促進するための施策を推進する条例というものが可決、成立をしております。実は昨日、自民党秋田県連の会合において県議会の先生方とこの話になったとき、これは横展開をしていくそうであります。そして、縦にも下ろしていくそうであります。まさに、そういう意味においては、国と県と市がこの国民的な機運を醸成する好機でもあるというふうに考えております。是非にとも進めていくべきだ、これは提案でございます。

 改めまして、林担当国務大臣の、北朝鮮、日本の歴史的な関わり、あるいは極東アジアが持つ地政学的なリスクに関しての御所見をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 福原議員から大変奥深い御質問をいただきまして、ありがとうございます。

 野呂田先生には実は私も大変お世話になりまして、構造改革特区というのを最初につくるときの特命委員長だったと思いますが、野呂田先生で、私は事務局長というのをやっておりまして、規制改革をこういう形で進めていく、そういうことをもう体当たりでやっておられる姿を目の当たりに拝見させていただいて、非常にありがたかった気持ちを今でも持っておるところでございます。

 その野呂田先生の御薫陶を受けられたということで非常に奥深い御質問をいただきましたが、やはり国際秩序、我が国を取り巻く安全保障環境、これは二年前の暮れでしたか、外務大臣のときに国家安全保障の大綱というのをまとめました。そのときに、かつてない複雑で厳しいものであるというまとめをして、それに基づいて防衛費を増やしていこう、こういうことにつながっていくわけですが、まさにその中に書いてあることが、日本沿岸の安全で、まず中国、これは東シナ海で力による一方的な現状変更の試みを行っている、また我が国周辺での一連の軍事活動、これは度々ロシアと一緒にやることも含めて、こういうことになっております。

 そして、もう一つが北朝鮮でございまして、核・ミサイル開発を継続して、ICBM級を含めて高い頻度で、かつ様々な態様、弾道ミサイルの発射を繰り返してきておるわけでございます。そうした国々に我々は囲まれている。先ほどマッカーサーのお話がありましたが、あのときに比べても大変複雑で厳しい状況なんだろうというふうに思っております。

 これは我が国のプリンシパルとして、世界のどこであっても力や威圧による一方的な現状の変更の試み、これは許してはならないということであります。そして、北朝鮮の核・ミサイル開発、これは断じて容認できないということであります。

 そしてさらに、最近の状況としては、北朝鮮兵士がウクライナに対する戦闘へ参加しているということでありまして、こうしたことに見られるロ朝軍事協力の進展というのが、昨年、一昨年まではなかった状況だろうと思いますが、こうしたことが進展することは、当然、ウクライナ情勢には影響を与えるわけでございますが、そこにとどまらず、我が国周辺のこの辺りの安全保障に与える影響、これも我々は深刻に憂慮しておるところでございます。

 先ほど申し上げました最も厳しく複雑な安全保障環境、これに直面している中でも、先ほど主権という言葉をいただきました。国の独立と平和、そして国民の生命と平和な暮らしを守り抜く、まさに主権でありまして、そのために、防衛力の抜本的強化というものに努めているわけでございますし、また、その車の両輪として、国益に基づく現実的な外交、これは当然、日米同盟を基軸にして、その他の友好国、同志国を増やしていくということですし、各国との対話を重ねることで、分断や対立、これを乗り越えて、価値として大切にしなければならない法の支配、これに基づく国際秩序、これを断固として堅持をしていかなければならない、そういうふうに考えております。

福原委員 林大臣、丁寧にお答えをいただきまして、誠にありがとうございました。

 改めまして申し上げたいと思います。

 来年は、戦後八十年の節目でございます。そういう意味におきまして、拉致問題というものもまた違う意味で国民的な関心を私は呼び起こすものと思います。先ほど申し上げましたとおり、県あるいは市町村といった地方行政体の機運も高まりつつあります。是非、この好機を生かして、日本全体にこの問題に取り組む機運を林大臣が先頭となって引っ張っていただきたい。

 その御期待を申し上げて、私の質問を終わります。

牧委員長 次に、有田芳生君。

有田委員 有田芳生です。

 今から四十六年前の一九七八年六月に、東京の池袋で働いていた田口八重子さん、当時二十二歳が姿を消しました。後に、北朝鮮によって拉致されていたということが明らかになり、北朝鮮では李恩恵という名前で大韓航空爆破事件の実行犯である金賢姫の教育係をやったということが明らかになり、政府認定拉致被害者のお一人になっております。

 田口さんが拉致をされたとき、お二人のお子さんがいらっしゃいましたけれども、そのうちの一人が飯塚耕一郎さん、当時一歳です。その飯塚耕一郎さんは現在、拉致問題を解決するための家族会の事務局長を務めていらっしゃいます。

 林大臣にまずお伺いしたいんですけれども、この飯塚耕一郎家族会事務局長が十二月九日付で石破総理に向けて拉致問題解決のための嘆願書を出されておりますが、これは承知されておりますか。

林国務大臣 今事務局長をされておられます飯塚耕一郎さんが石破総理宛てに御指摘の嘆願書を出されたということは承知をしております。

有田委員 どういう内容でしょうか。

林国務大臣 嘆願書には、例えば、「二〇二四年において、岸田前政権、石破政権及び拉致対策本部は本年中に救出のため何をしたのか全く見えてきません。救出のため行動を即時に起こしてください。」等々、いろいろなことが書かれております。

 しっかりと我々も、家族会の皆様、また特定失踪者の会の皆様や支援する皆様とは度重なる面会の機会をいただいておりまして、長年にわたる苦しみや悲しみ、そうしたものを直接お伺いしているところでございます。

有田委員 拉致被害者家族の多くの方々の思いを飯塚耕一郎さんは嘆願書に込められているわけですけれども、皆さんも私たちも年末年始を迎えようとしているけれども、非常に華やかな年末年始になるんだけれども、拉致被害者というのは、毎年毎年、また今年も何も解決しなかったのかという思いが強くて、特に今年、その思いが極めて濃くなっているというのは、拉致被害者御家族の中で、帰国した方々でないお父さん、お母さんで言うと、神戸にいらっしゃる有本明弘さん九十六歳、横田早紀江さんは、滋さんがお亡くなりになったのは八十七歳でしたけれども、早紀江さんも八十八歳になった、もう時間がないんだということを去年よりも切実に感じているということを書いていらっしゃるんですよね。

 今大臣がお話しなさったように、とにかく岸田政権から石破政権にかけていろいろな動きがあったかも分からない、北朝鮮側が、金与正がいろいろな声明を出したことを含めて期待をしていたんだけれども、何も動かなかったということを嘆いていらっしゃって、石破総理が就任のときにこう語っていらっしゃる、これまでの経緯などをもう一度検証、分析して最も有効な手だてを講じていくと語った、でも、あれから二か月たって何が行われているんですか、拉致対策本部から検証の状況も伝えられないし、状況説明あるいはヒアリングも全くないんだ、こういう思いを語っていらっしゃるんですが、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 政府といたしましては、拉致問題を含む諸懸案の解決に向けたこれまでの取組等を整理をするとともに、政権も替わりましたので、総理御自身もしっかり自分として検証、分析をしたい、こういうことでもあっただろうというふうに思っておりますが、今御指摘のあった点も含めて、北朝鮮情勢に関する情報収集、分析、これは先ほどの福原議員にお答えしたように、状況がどんどんどんどん変わってきておりますので、そういうことも踏まえてこの収集、分析を行う、また、国際社会との連携を行う中で何が最も効果的かという観点から不断に検討してきているところでございます。

 家族会等の皆様とは不断にコミュニケーションを取っておりますが、我々として、今後の対応に影響を及ぼすおそれがあるということは、ここでお話しすることは差し控えたいというふうに思いますけれども、一日も早い御帰国を実現をする、このことに向かってしっかりやってまいりたいと思っております。

有田委員 拉致対策本部にお聞きをします。

 この飯塚耕一郎さんの嘆願書の中にはこう書かれている。過日、つまり先日、対策本部関係者から総理や政権などへの批判や要望を聞きたい、極めて困惑したというんですよね。政権が始まってまだ僅かなのに、政権への批判を聞きたい、これは、拉致対策本部、どういう意図でそういうことをお聞きになったんでしょうか。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 御家族の皆様とは、平素より情報提供や意見交換に努めるなど緊密にやり取りをしているところではございますが、その個別のやり取りの詳細につきましては、大変恐縮でございますが、お答えすることは差し控えたいと存じます。

有田委員 批判してくれと拉致対の関係者から言われて困惑した、その事実だけ押さえておきたいんですけれども、もう時間がありませんので、次に外務省にお聞きをします。

 トランプ政権が発足をする今の日米関係の下で、私が知っている限りは、トランプ次期大統領と金正恩総書記はメールでやり取りをかつてもやっていると私は認識していますけれども、恐らくトランプ政権の下で米朝関係は大きく動くだろうと私は判断しております。

 そこで外務省にお聞きしますけれども、いわゆる連絡事務所をアメリカ政府が平壌につくろうとしていたのは、私の認識ではビル・クリントン政権のとき、一九九四年からですが、その事実を確認をしたいんですが、いかがでしょうか。

大河内政府参考人 委員御指摘の一九九四年十月の米国と北朝鮮との間で合意された枠組み合意では、「双方は政治経済関係の完全な正常化に向けて動く。」といたしまして、「双方は、専門家レベルの協議を通じて、領事関係その他の技術的問題が解決した後、各々の首都に連絡事務所を開設する。」こういうふうに示されていたと承知してございます。

有田委員 さらには、二〇〇九年のバラク・オバマ政権でも同じような動きがありましたね。お答えください。

大河内政府参考人 ただいま御指摘いただきました報道に関しましては承知してございますけれども、他方におきまして、対北朝鮮政策に関する政府部内の検討過程について、日本政府としてお答えする立場にはないということを御理解いただければと思います。

 その上で、米国とはこれまでも北朝鮮への対応を含めて緊密に連携してきてございますが、日米間の外交上のやり取りについて具体的に明らかにすることは差し控えさせていただければ、このように思います。

有田委員 二〇一八年にも、トランプ政権は連絡事務所構想があったんですよ。つまり、どのような厳しい交渉をやるにおいても、相手との日常的な接触は必要だということをアメリカ政府は考えていた。だから、その経過があったのかどうか分かりませんけれども、石破茂総理も、少なくとも二〇一八年の自民党総裁選挙に立候補されたときには、平壌に連絡事務所をつくる、そういう構想を打ち出して、二〇一八年以降も、二〇二〇年、そして二〇二四年も、石破茂議員の構想としてそういうものを出していらっしゃった。大臣、それで間違いないですね。

林国務大臣 過去、石破総理が議員としてそういうことをやっておられたかというのは、私も記憶がそれほど鮮明ではございませんが、恐らく総裁選挙のときは、そういうことをおっしゃっていたやに記憶をしております。

有田委員 今は封じていらっしゃいますけれども、二〇一八年以降、アメリカ政府の本当の正式の動きに符節を合わすかのように、石破茂現総理もそういう構想を持っていた。だから、連絡事務所に対する批判のある方は、連絡事務所をつくったって、北朝鮮側はいいかげんなことをやって時間稼ぎに使われるだけだという意見もある。それは確かにそういう側面はあるでしょうけれども、同時に、日本で拉致問題に関わっている、例えば特定失踪者会の方々は、いや、首脳会談を実現するための連絡事務所だったらあり得るだろう、あるいは、北朝鮮側が何かを言ってきたならば、それを検証する場として、徹底的に戦う場として、連絡事務所の設置もあり得るという意見も、いろいろあるんですよね。

 石破現総理は、二〇二〇年にこう語っていらっしゃる。水面下の交渉を続けるのは政府として無責任であり、北朝鮮当局との公式な交渉を早期に目指す、その関係づくりのための連絡事務所だ、だから、北朝鮮が出してきたものを検証するための連絡事務所ではなく、本当に水面下ではなく、表向きの交渉をするためにそういう場所が必要だというのは、二〇二〇年に当時の石破茂議員がおっしゃっているのは、私はそれに賛成なんです。

 そこで、外務省に時間がないので伺いますけれども、今、国連加盟国で北朝鮮と国交のある国は幾つでしょうか。

大河内政府参考人 国連加盟国百九十三か国、この中から北朝鮮を除きました百九十二か国、このうち北朝鮮と外交関係を有する国、これは百五十八か国でございます。

有田委員 その中で大使館を置いているのは何か国でしょうか。

大河内政府参考人 北朝鮮と外交関係を有する国のうち、コロナ禍前は二十か国を超える国々が北朝鮮に大使館を置いていた、このように承知しております。

 他方で、コロナ禍や各国との関係の動向、交友等々もございますので、そのような状況を注視している、こういう状況でございます。

有田委員 いろいろなアプローチがあるんでしょうけれども、これまでうまくいかなかったものをどのように乗り越えていくかということを具体的に考えた場合、やはり交渉の場を実現する連絡事務所というのもありなのかなと私は判断している。

 もう時間がありませんから締めますけれども、横田滋さんは私にもう何度も何度も、とにかく政治家が動いてほしいんだ、政府が動いてほしい、動かなければ変化は起きないんだ、滋さんはずっと語ってお亡くなりになりました。

 本当に石破政権の下で新しいアプローチを是非とも行っていただきたいということをお願いをいたしまして、時間が来ましたので、質問を終わります。

牧委員長 次に、藤岡たかお君。

藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡たかおでございます。

 たくさん申し上げたいことがあるんですが、十四分ということで、早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 まず、トランプ大統領との電話会談において、拉致問題への言及、五分でしたからなかなか難しかったかもしれませんが、政権移行チームを始めトランプ大統領側への拉致問題解決への働きかけの状況について、外務大臣にお伺いしたいと思います。

岩屋国務大臣 御指摘のとおり、大統領選挙直後に、石破総理そしてトランプ次期大統領の電話会談を行っております。その内容については、トランプ次期大統領の陣営側との具体的なやり取りの中身については、先方との関係もございまして、お答えすることは差し控えたいと思います。

 いずれにしても、米国との間では、拉致問題の即時解決に向けてあらゆるレベルで緊密な連携を確認してきているところでございまして、次期政権発足後の米政府との間でも緊密に連携していきたいと考えております。

藤岡委員 拉致問題について既に何らかは言及されているということでいいんですよね。

岩屋国務大臣 中身については、先ほど申し上げたように差し控えさせていただきますが、次期政権発足後の米政府との間でも、この拉致問題についても緊密に連携していく考えでございます。

藤岡委員 言及したかどうか分からない、確認をしただけということとしか思いませんでしたが、残念だなと思います。

 その中で、渡辺周先輩議員も以前取り上げておりましたけれども、韓国、もちろん今のような状況になる前ということでお聞きをしたいと思うんですけれども、韓国から拉致被害者に関する新たな情報提供があったのかということをお聞きをしたいと思っております。

 当時、金暎浩韓国統一相が、脱北者への調査では、四月から、日本人拉致被害者の目撃情報について質問しており、情報が得られた場合は日本政府と情報共有するというような趣旨のことをマスメディア等に語っていたと思います。韓国から新たな情報提供、拉致被害者に対するものはあったんでしょうか。外務大臣にお聞きしたいと思います。

岩屋国務大臣 これに関しても、というのは、韓国との間でも、拉致問題を含む北朝鮮の人権問題への対応についてあらゆるレベルで緊密な連携を行っておりますが、これもまた外交上のやり取りでございますので、申し訳ありませんが、中身についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 私は、ここに来る前に、韓国の趙兌烈外務大臣と電話会談を行っておりますが、今後とも、米国そして韓国を始めとする国際社会と拉致問題の解決に向けて、しっかりと緊密に連携をしていきたいと思っております。

藤岡委員 回答を控えるということが過去から続いておりますけれども、新たな動きというのも、立法府としても、国会としても、やはりもっと示していかなければいけないのかなということを私も思っております。もちろん、これまで取り組んでくださった先輩方には心から敬意を表しますけれども。

 今、回答を控えるという答弁が多いんですけれども、これは秘密会であれば、当然、韓国からの新たな情報提供やもろもろのことについて御答弁いただけるということでよいでしょうか。外務大臣にお聞きしたいと思います。

岩屋国務大臣 韓国との間では、拉致問題の即時解決を含む北朝鮮の人権問題の対応について、先ほど申し上げたとおり、あらゆるレベルで緊密な連携を行っておりますが、秘密会という形式であっても、外交上のやり取りそのものである韓国とのやり取りの詳細を明らかにするという前提で御審議をいただくということによって、韓国との関係に悪影響が生じ、今後の日韓間の緊密な連携に困難が生じるおそれがあるというふうに考えておりまして、また、そのことを北朝鮮側がどう受け止めるかというのは予断ができないという状況でございますので、今後の交渉に影響を及ぼす可能性は排除されないというふうに考えております。

 御理解をいただければと思います。

藤岡委員 国権の最高機関たる立法府の行政監視という面でも、どこまで本当に死に物狂いで取り組んでいただいているかということも含めまして、やはり、御見解といいますか、もう少し詳細を当然お聞きをして、更に国会としてもということが当然に思うところであります。まさに一刻の猶予もないという中で、やはり国会も力を合わせて最大限努力をしていかなくちゃいけないというのは、今日ここにいるみんな、委員全員の思いであるというふうに私は思っております。

 そういう中で、前提がなかなか、情報を出す前提ではという話ではありますけれども、やはりこれは、全てお答えできないということには多分ならないと思うんですよね。秘密会であればお話をいただくことも当然あるでしょうし、それはできないこともひょっとしたらあるのかもしれません。

 私は、やはりこれは、是非与党の委員の先生方にも申し上げたいと思うんですね。圧倒的な多数の場合はなかなか難しいというふうに思うんですけれども、これはきちんと国会としても、新たな動きということで、是非秘密会を開催していただくことをお願いをしたいと思います。

 委員長、是非お願いをしたいと思います。

牧委員長 大変重要な御提案でございますので、後日、理事会でしっかりと協議したいと思います。

藤岡委員 本当に、最初も、アメリカとの関係でも、言及したかどうか、それぐらい、当然拉致問題については最重要課題だからお話をしたというぐらいの答弁があってもいいのかなと思ったんですが、考えがあるということしかなかったものですから、これでは本当に、もう一刻の猶予もないという気迫が私は正直感じられないところがあるので、是非秘密会の開催ということも含めて協議をお願いをしたいということを思います。

 それから、細かな言い方の詰めはあるかもしれませんが、例えば、北朝鮮のどのような組織、個人であっても、拉致被害者救出に協力をする場合、協力をしてくれる場合は、日本政府として全面的な支援、協力する、保護するというメッセージを是非発出をしていただきたいということを思うんですけれども、林大臣の御見解をお願いしたいと思います。

林国務大臣 委員も御高承のように、今、北朝鮮とは国交がないものですから、この北朝鮮の中にいろいろな情報伝達手段というのは限られております。そうした中で、まず拉致被害者等の日本人の方々、それから北朝鮮市民や北朝鮮当局に対しましても、日本政府そして日本国民、さらには国際社会からのメッセージを伝達する手段というのが限られている中で、ラジオ放送は極めて効果的だと思っております。

 北朝鮮向けのラジオ放送は、日本語の「ふるさとの風」のほかに、朝鮮語の「日本の風」、こういうものを放送しまして、北朝鮮内への情報発信を精力的に行っておるところでございます。

 この朝鮮語放送の「日本の風」にて、聴取者に対して、拉致被害者に関する情報提供、これは拉致被害者の安全確保について協力は呼びかけておりまして、毎日発信しております。私も、五月にこれら北朝鮮向けラジオ放送にメッセージを収録した際に、同様の内容を発信させていただきました。

 こうしたメッセージを送るときに、どういうメッセージを発信することが最終的に拉致問題解決のために最も効果的かという観点から検討しておるわけでございます。そうした観点から今の状況になっている、こういうことでございます。

藤岡委員 今の林大臣の御答弁ですと、いろいろ検討してくださってということでありますけれども、協力を呼びかけるというところまでだと思うんですよね。協力してくれた人は保護しますよということを、何らかやはり強くメッセージとして是非私は発出をお願いをしたいということを思います。

 それから、続きまして、シリアのアサド政権が突然崩壊ということもありました。北朝鮮が体制崩壊をしたときに、速やかに、例えば、いわゆる相手国の同意とかを本当は取らなくちゃいけないかもしれませんけれども、なかなか同意の相手方がいないようなときということも、当然、体制崩壊すればあると思います。自衛隊による邦人の保護という面でありますけれども。

 こういうふうな、北朝鮮の体制崩壊時などにおいて同意の相手方がいないようなときも、自衛隊による拉致被害者の救出についてやはり速やかにできるように、シミュレーションをもちろん含めて、是非これに対応すべきだと思いますけれども、防衛副大臣の見解をお伺いしたいと思います。

本田副大臣 お答えいたします。

 一般に、自衛隊が他国の領域において行動する際には、国際法上、当該国の同意を得る必要がございます。既存の体制が崩壊した場合であっても、その時々の情勢に応じまして適切な相手方の了解を取る、そういうことが必要になってまいります。

 このような国際法上の要請を踏まえまして、在外邦人等の保護措置を定めた自衛隊法第八十四条の三におきましては、国連の総会又は安全保障理事会の決議に従って当該外国において施政を行う機関がある場合にあっては、当該機関の同意を得て在外邦人等の保護措置を実施することが可能である旨が規定をされております。

 こうしたことからしますと、政府としましては、様々な状況を想定した上で対応を考えるべきことは当然であると思っておりますが、北朝鮮の情勢も注視しつつ、不断に検討を加えてまいりたい、このように考えております。

藤岡委員 いつか日本から助けが来ると思って待っておられる拉致被害者のことを思うと、本当にこういうタイミングがもし来たりせば、絶対逃さず救出ということが行われるということに向けて、是非本当に検討を進めていただければということを思います。

 林大臣、これはいかがでしょうか、この件。

林国務大臣 今、本田副大臣から仕組みの御説明はありました。

 まさに、我々としては、やはり拉致被害者の皆様の安全確保、これが一番重要なことでございます。様々な状況をして対応を考える、こういうことは当然であると思いますが、そのときに安全確保というのは最も重要視してやっていく、こういう考えでございます。

藤岡委員 外務大臣にもお聞きしたいんです。

 同意の取り方のところ、もし、外務大臣、ちょっと御見解がありましたら、お伺いしたいと思います。

岩屋国務大臣 同意というのは、当該国のということですか。(藤岡委員「相手国です」と呼ぶ)

 これも防衛副大臣から先ほど説明がありましたが、施政を行っている機関といいますか、政体があれば、当然そこと話をするということになりますが、そうでないような状況も全くないとは言えないだろうと思いますので、いずれにしても、その時々の状況に応じて、個別具体的に最適な方法を検討して対応していくことになると思っております。

藤岡委員 是非、本当にそのシミュレーションをお願いしたいと思います。

 最後に、短波放送「しおかぜ」の放送時間変更の問題、また、四月以降もちゃんと二波体制で運用できるように是非お願いしたいと思いますけれども、林大臣の御見解をお願いしたいと思います。

林国務大臣 これまでNHKに対しては、二波体制、これの安定的な運用に向けた検討を促してきたところです。NHKにおかれましては、特定失踪者問題調査会の御要望を踏まえて、「しおかぜ」の二波送信体制の維持に向けて前向きに対応する考えだというふうに聞いております。先日の衆議院の総務委員会でもNHKから御説明があったようですが、三月末まではこれまでと同様の二波体制が維持されることとなった、そういうふうに承知しております。

 放送時間帯の件も含めて、四月以降の送信については、現在、NHKの業務に支障がないことを前提に、調査会、KDDI、NHKの三者で協議を進めているところと承知をしておりまして、三者間における協議の状況を政府としては注視をしながらも、「しおかぜ」の担う重要な役割でございますので、拉致被害者等に向けた情報発信に支障が生じないようしっかりとやってまいりたいと思っております。

藤岡委員 時間が参りましたので終わりますが、是非、四月以降もきちんと放送を二波体制でやれるように強くお願いをしたいと思います。

 以上で質疑を終わります。ありがとうございました。

牧委員長 次に、和田有一朗君。

和田委員 日本維新の会の和田有一朗でございます。

 では、時間がございませんので、早速質問に入っていきたいと思うんです。

 今も幾つか出ましたけれども、トランプ政権がこれから、来年発足する。トランプ政権は、当然のように、第一期のときに、非常に熱心に日本人拉致問題に対して関わっていただいた、協力をしてくれたわけです。

 これは、もちろんいろいろな考え方、物の見方がありますけれども、安倍さんとの人間関係があったり、あるいはテロに対する憤りがあったりありますけれども、原点はやはり米国の国益のためというのが当然あっただろうと私は思います。要は、米国の国益というのは、米本土を攻撃できる核ミサイルを止めるというために何ができるか、こういうことをやはり考えておられたんだろうと思います。そんな中で、拉致問題に対する協力というのも一生懸命やっていただいた。

 次に、第二次トランプ政権が間もなく発足するわけですけれども、拉致問題についても、やはりそういった観点も含めながら、我々は協力してもらうような体制をつくっていかなければならないだろうと。そういうことに対しての、まず政府の認識はいかがか。

 それから、続けてお聞きしますけれども、近々にやはり米朝首脳会談が行われる可能性が高いと私は思います。その証左というのは幾つか、また私も答弁を聞きながらお話ししようと思いますけれども、そういった中で、我々は、アメリカの第二次トランプ政権に対して、協力しいろいろな構図をつくりながら解決に向けていくという状況が必要だと思うんですが、その点について、外務大臣の御所見をお伺いします。

岩屋国務大臣 委員御指摘のとおり、拉致問題の解決のためには、我が国の取組はもちろんでございますが、米国との緊密な連携が重要だと考えております。

 トランプ次期大統領におかれては、第一期政権において二度にわたって拉致被害者御家族と面会もしていただいておりますし、金正恩氏と二回にわたって会談をして、拉致問題に関する日本の考えを伝えていただいたというのは大変大きな成果だったと思っております。

 次期政権発足後の米政府の政策について、政府として予断を持ってこの段階でコメントすることは控えたいと思いますが、当然、北朝鮮問題、いわゆる拉致、核、ミサイル開発を含む問題への対応については、米国も重大な関心を持っておられると思います。しっかり次期政権とも緊密に連携し、意思疎通を図り、協力体制を取ってまいりたいと思っております。

和田委員 第一期のトランプ政権のときに、ハノイでトランプさんが会ったんですね。そのときに、実はかなりいいところまで行ったんですね。そのときトランプさんが明言していたことは、制裁解除は行うけれども経済支援はアメリカはしない、こう言っていたんです。

 なおかつ、このとき、いいところまで行ったけれども最後に駄目になっちゃったというのは、よく今報道で言われていますけれども、北朝鮮はその当時、降仙にあるウランの濃縮施設を、トランプさんが、これはもう潰せ、こう言った、ところが、途中でそれはできないと逃げた、それで全てが御破算になった、こう言われているんですね。

 ところが、今年の九月に、北朝鮮はこの降仙のウラン濃縮施設をオープンにした。それは、トランプ政権に対して、これは交渉のカードとしてお互いにやり取りできるというメッセージを送ったんだろう、こう言う方がおられます。そういった中から、アメリカがすぐにこういったメッセージを受け取って、交渉の場に着いていくのではないか、こういうふうな物の見方があるんですが、この点について、どうお考えになりますか。

岩屋国務大臣 北朝鮮側の意図が那辺にあるかということについて、これを断定的に私どもが答えることは控えたいと思います。また、米国の対北朝鮮政策が実際に政権発足後にどうなっていくかということについても、予断を持って申し上げることは控えたいと思いますが、しかし、米国と北朝鮮との間で何かしらの接触は行われるのではないかと想定はしております。

 それだけに、我が方は我が方として努力をしていきながら、米国としっかり緊密に連携をしていきたいと考えております。

和田委員 アメリカとしっかりと緊密に連携をしていきたい、こういう言葉がありました。

 そこでお伺いしたいんですけれども、米朝首脳会談において核、ミサイルの問題で合意なんかができたら、米朝首脳は日本に対して、人道支援や国交正常化に伴う請求権資金の提供というのを求めてくることがあると思うんです。

 過去に、一九九四年、北朝鮮の核問題に関する米朝枠組みのときには、合意がまとまった後、その建設費用四十五億ドルを誰が出すかといったときに、韓国に三十億ドル、日本に十億ドル、その他の国に五億ドルの出資を求めて、当時の村山政権というのは出資を約束して、四億五千万ドル出してしまっているんですね、あの当時。でも、そのとき、これだけの約束をしてお金を出しながら、拉致問題について解決しようという交渉は一切できていない。これは、私は、そういう轍を踏んではいけない、そういうふうな状況をこの先つくってはいけないと思うんです。

 それはどういうことかというと、アメリカと北朝鮮がいろいろな交渉をして合意をつくっていく前に、私たちは、アメリカと日本、日米の間で構図をつくっておく必要がある、私はそう思うんです。日本とアメリカがきちっと組んで北朝鮮と向き合う、そういう構図を先につくらなきゃいけないと思うんです。

 だから、私、近々に北朝鮮とトランプ政権は交渉に入るのではないかと言ったんです。その前に、私たちはアメリカと枠組みをつくっておいて、その中では、ひょっとすると経済的な話がアメリカとの間で出てきた場合も、北朝鮮から言ってくる前に、こういうことができるならばここまで踏み込めるとか、こういう体制をつくれるというものを私たちはアメリカとつくっておく必要があると思うんですね。そういったことについて、いかがお考えになりますでしょうか。

岩屋国務大臣 委員の御指摘はしかと受け止めさせていただきたいと思います。

 村山政権時代を含め、過去に北朝鮮に対して米や医薬品などを供与したことがありますが、これらの支援は、北朝鮮や国際機関の要請を踏まえた人道支援として実施されたものでございます。

 我が方の基本的な方針は、言うまでもなく、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイルといった懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を実現するというものでございまして、北朝鮮に対する経済協力はその文脈の上で行われるということだと思います。

 いずれにしても、委員の御指摘も踏まえて、米国側としっかり連携をしてまいりたいと考えております。

和田委員 分かりました。しっかりと向き合っていただきたいと思うんです。

 アメリカと先にきっちり我々は構図をつくり、そして、アメリカと北朝鮮が話が先に進んで、後からくっついていって何か回ってくる、請求書が回ってくるというようなことは、こんなことは避けなければならないし、我々は拉致を解決するために、物事を、構図をつくらなければいけないということを申し上げたわけです。

 その次にお聞きしたいのは、政府は、拉致問題の解決に向けた方針と具体的施策において、拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はあり得ないと明記されています。解決の定義では、全ての拉致被害者の安全を確保して帰国させる、北朝鮮が拉致被害者の真相を明らかにする、北朝鮮が拉致を実行した実行犯を日本に引き渡す、これが明記されているわけです。

 その中で、全ての拉致被害者という言葉がありますが、これは前の期のときに、私、担当大臣、外務大臣にお聞きして、あれもいただいていますけれども、改めて聞きますが、全ての拉致被害者には認定ができていない被害者もいます。そういう方も含まれておりますね。もう一回、確認させてください。

林国務大臣 政府といたしましては、拉致被害者として認定された十七名以外にも北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者が存在する、こういう認識でございますので、その認識の下で、認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くしてまいるということでございます。

 引き続き、認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現すべく、全力で果断に取り組んでまいります。

和田委員 そういう前提でやってください。

 そういうときに、もう一点お聞きしていきたいのが連絡事務所の話なんです。連絡事務所、先ほど来出ていましたけれども、いろいろな考え方があります。

 北朝鮮側は、例えばの話、トランプ氏に、再調査で見つかった数人の被害者を出して、それ以外については、平壌と東京に連絡事務所を設置して、日本と協力して再調査したらいいじゃないかというような提案をすることもあるかも分からない。そうして、そういう、北朝鮮側がトランプ氏に言ったことをトランプ氏が受け取って、じゃ、日本は北朝鮮の提案をのんでやっていったらどうだと、そうやって連絡事務所を開いてしまう。そんなことをしていくうちに、北が連絡事務所を開く代わりに、あれをやれこれをやれという、また何かいろいろな要求を出してくることがある、決してそんなことがあってはいけないと思うんです。

 こういう形で連絡事務所を開くような筋道が立ってしまうと私はいけないと思うんですが、そういったことについて、連絡事務所を設置する、あるいは再調査をするということに関して、私は、そういう形、北朝鮮の支援をする形になるような仕組みではいけないと思うんですが、その点について、いかが外務大臣はお考えになりますか。

岩屋国務大臣 今委員は、一つの仮定に基づいてのお尋ねでございましたが、それについて断定的にお答えをすることは控えたいと思いますが。

 いずれにしても、北朝鮮から何かしらのメッセージがあった場合は、石破総理、また担当大臣である林官房長官を中心に、内閣全体として対応方を考えていく、そして最も有効な手だてを講じていくということになるだろうと思います。

和田委員 最も有効な手だて、全ての拉致被害者を救うということですから、それに向けて頑張っていただきたいと思います。

 最後の質問に移ります。

 私は、核、ミサイルの問題が解決に向かっても、日本は、今言いましたように、全ての拉致被害者が助けられるということがなければそれはもう話にならないわけでありまして、そのためには、いろいろな交渉の仕方、いろいろなものはあると思います。

 でも、その中で、やはり横田さんや有本さんが御健在のうちに全ての被害者が帰ってくる、これは全てです、認定、未認定を問わず、そういうことをしなければならない。それができないということは、我々日本は北朝鮮に対して怒っているんだぞ、許し難いと私たちは思っているんだということをはっきりとやはり言い続ける必要があると思います。

 そのことについてどう決意を持っておられるのか、もう一度その決意をお聞きいたします。

林国務大臣 先ほども申し上げましたように、この認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現すべく、全力で果断に取り組んでいく、このことを申し上げたとおりでございます。

 先ほど来の御質問にもありますように、年の瀬が迫ってきておりまして、また一年、二〇〇二年以来どなたも御帰国が実現していないというのは、我々担当する者としては誠に申し訳なく思っておりまして、そういう思い。

 また、私も、この大臣になりましてから現場を幾つか視察させていただいておりますけれども、横田さんのところは日本海側だったんですけれども、私の地元の下関と本当に同じような国道があって、住宅があって、防砂林があって、砂浜があって、海。何一つうちの地元と変わらないようなところでこういうことが起きている、誰の身にも起こり得たことだ、こういう思いで、娘を持つ身としては身につまされるものもありました。

 そうした思いを全て、この問題の解決に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

和田委員 政権の最重要課題と書いているんですから、しっかりとやってください。

 終わります。

牧委員長 次に、岸田光広君。

岸田(光)委員 こんにちは。国民民主党の岸田光広と申します。

 本日は十分という短い時間ですので、早速質問の方に入らせていただきたいと思います。

 私は兵庫県の尼崎市の生まれでございます。そして、私の小学校の隣の小学校、ここに特定失踪者の秋田美輪さん、私より学年が二つ上なんですけれども、この方がいらっしゃるということで、それを知ってから、私も、拉致被害者救済の署名、募金集めなどの街頭活動の方をこれまでさせていただいてきました。

 秋田美輪さんは、神戸松蔭女子学院大学四年生、昭和六十年の十二月四日ですが、大学の校門前で友人と会った後に突然消息を絶たれました。非常に不可解な点が多々あり、北朝鮮による拉致の可能性が高いと考えられております。調べてみますと、秋田美輪さんを含め、兵庫県の尼崎の方では八名の方が特定失踪者ということでいらっしゃるということが判明をいたしました。

 皆様も御承知のとおり、北朝鮮による日本人の拉致問題について政府が認定した拉致被害者のうち、有本恵子さん、そして田中実さんの二名が神戸の出身者でございます。また、このほかにも、兵庫県には特定失踪者の方々が多くおられます。私の身の回りでこういう恐ろしいことが起きていたということに、改めて驚くばかりでございます。

 それでは、質問をさせていただきます。

 去る十二月十日から十六日まで、北朝鮮人権侵害問題啓発週間でございました。重大な人権侵害である拉致問題を風化させないためにも、石破内閣の総意として、ブルーリボンバッジを常に着けていただきたいというふうに考えておりますが、内閣としてどのように対応されているでしょうか。林大臣、お答えいただけますでしょうか。

林国務大臣 全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現するため、毎年十二月十日から十六日まで、今委員から御指摘をいただきましたように、北朝鮮人権侵害問題啓発週間としまして、その前に開かれます閣僚懇談会で、日本国民が一体となって拉致被害者を取り戻すという強い意思を示す機会にするために、全閣僚にブルーリボンの引き続きの着用の協力を呼びかけております。

 私自身、常にブルーリボンをこうやって着けておりますが、引き続き、国民の皆様から、拉致問題に関するより一層の理解と支援を得るためにも、ブルーリボンの着用も含め、様々な形で取組を進めてまいりたいと考えております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 石破首相は、拉致問題の解決、これを内閣の最重要課題というふうにおっしゃっています。

 拉致問題啓発週間はもちろん、私は常にブルーリボンバッジを着けていただきたいなというふうに思っているんですけれども、ただ、それぞれの所管に関わるバッジの着用等もあるとは思います。ただ、組閣時の記念撮影をされていると思うんですけれども、是非とも全閣僚の皆さんがブルーリボンバッジを着用していただきたいというふうに思っているんですが、御検討いただけないでしょうか。林大臣、お答えをよろしくお願いします。

林国務大臣 ブルーリボンの意義については、先ほど申し上げたとおりでございます。

 各閣僚でいろいろな所管の政策がございまして、万博ですとかSDGsとか、私もそのたびに着用しておりますので、かなりの数、いろいろなバッジを持っておりますが、これだけはいつも着けておるというような状況でございます。

 今委員からは、まあそれも分かるので、内閣発足のときの写真、こういうことでございましたので、参考にさせていただいて、大事なことは、国民の皆様から拉致問題に関する一層の理解と支援をいただく、こういうことでございますので、しっかり検討してまいりたいと思っております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 組閣時の記念撮影の方は新聞にも掲載されまして、多くの人が目にする写真ですので、是非とも前向きの御検討をよろしくお願いいたします。

 拉致問題の支援活動をしておりまして、最も重要だというふうに思ったことは、やはり拉致問題を決して許さないという、日本人の総意として声を上げ続けるということが必要だと私も常々思っております。

 北朝鮮は日本の世論を非常に気にしております。ですので、拉致問題の啓発、非常に重要な活動でございます。特に若者に対する拉致問題の啓発、先ほども御意見がありましたけれども、これは二〇〇二年に本当に拉致被害者五名の方が帰られて以来、もう二十二年がたっているわけでございます。拉致問題自体を知らない若者が増えております。

 去る十二月十四日、政府主催の拉致問題に関するシンポジウムの方が行われたと思います。私も出席させていただきました。中高生の拉致問題に関する作文を聞いて、また中学生サミットの取組を見させていただいて、本当にいい取組だと思いました。

 林大臣はこのシンポジウムに参加されてどのように感じられたか、感想の方をお聞かせください。

林国務大臣 御出席をいただきまして、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 まずはシンポジウムで御家族のお訴えを改めて、まあ何回も聞いておりますけれども、あの場で改めて伺いました。やはり、先ほども申し上げましたが、この一刻の猶予もないという切迫感、改めて痛感をさせていただきまして、この問題の解決に向けて取り組む決意を新たにしたところでございます。

 また、委員がお触れになっていただきましたように、若い方への啓発というのが非常に大事になってまいります。

 作文コンクールや動画の紹介もあの場でありましたけれども、それに加えて、大学の教育学部の皆様にもお願いして、私も車座でお会いしましたけれども、今教職課程にある方に、いろいろな講演なんかを直接聞いていただいたりして、そして、中学生に教えるための要領というのを作っていただくという事業をやっております。

 去年も参りましたが、既に、その方々が、二〇〇二年に御帰国をされたときのことは生まれる前ですとおっしゃって、それぐらい時間がたってしまっているということと同時に、そういう方々が更に若い中学生にどう教えていくかということをしっかり検討していただいている、こういうことを続けていかなければならないなと思って痛感をいたして、今年も同じことをやらせていただきました。

 動画は、去年は、キャッチボールをしている間に相手がすっといなくなるということで、大変すばらしい動画だったと思っておりますが、今年の動画も、いろいろなものがなくなっていく中で、最後にしわくちゃになった希望というのが手の中に残っていた。これも、中学生の皆さんが作っていただいた非常にすばらしい動画でございますので、これを活用して、作文コンクールやサミットの成果、こういうものを使って、若い世代を中心にして更なる啓発に取り組んで、国民全体が怒っているぞ、この気持ちを強く持ち続ける、これに取り組んでまいりたいと思っております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 非常にいい取組でしたので、先週金曜日の毎日新聞に作文の方も全文で掲載されておりましたが、是非ともこの取組をできるだけ多くの方に知っていただくように、今後の取組も併せてお願いいたします。

 政府は、若者世代に対する啓発活動として様々な取組を行っていらっしゃると思いますが、その中の一つである、アニメ「めぐみ」についてお聞きしたいと思います。

 アニメ「めぐみ」は全国の小中高校などに配付されていると思いますが、いつ、何枚、どのぐらいの経費をかけて配付したのか、教えてください。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 アニメ「めぐみ」のDVDにつきましては、平成二十年度に、全国の小中高校だけでなく、特別支援学校や高等専門学校等も含めまして、三万九千六百十枚配付したところでございます。

 その費用につきましては、アニメ「めぐみ」の配付等に係る契約文書の保存期間が経過しておりますことから、お答えすることは困難であることに御理解をいただければと思います。

 なお、ユーチューブ、拉致問題対策本部公式動画チャンネルにおきましても、アニメ「めぐみ」は常時視聴可能となっているところでございます。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 もうちょっとこの点についてお聞きしたかったんですけれども、時間の方が残りもうありませんので、次回の方に回させていただいて、最後に、ちょっと意見を述べさせていただきます。

 最後になりますが、「しおかぜ」放送につきまして、北朝鮮の拉致被害者に向けて日本から放送している短波ラジオでございますが、特定失踪者調査会とNHKとKDDIの三者で運用されております。「しおかぜ」の発信拠点は茨城県八俣送信所ですが、施設の老朽化で送信機七機のうち二機を削減する計画で、工事中は従来どおりの運用ができなくなるのではないかと調査会の方からも心配の声をいただいています。

 総務省に確認したところ、工事は来年一月から最大十か月かけて行われるということで、二波体制で放送をしっかり続けていただけるよう、こちらの方もよろしくお願いをいたします。

 また、石破首相が主張しておられます日朝間の連絡事務所の開設につきましては、反対の意見を表明したいと思います。家族会の皆様も指摘していらっしゃいますが、時間稼ぎや言い訳の機会を与えてはならないというふうに考えます。

 以上で質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

牧委員長 次に、福重隆浩君。

福重委員 公明党の福重隆浩でございます。

 質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 先月、アメリカでは大統領選が行われ、共和党のトランプ候補が勝利をいたしました。

 トランプ大統領は、第一次政権の二〇一八年六月に、北朝鮮の金正恩委員長との史上初となる米朝首脳会談を実現をいたしました。この際のシンガポール共同声明で、朝鮮半島の完全な非核化に向けて取り組む旨が合意をされました。しかし、二〇一九年の二月のハノイにおける第二回米朝首脳会談では、非核化の具体策をめぐって双方の溝が埋まらず、六月には板門店で米朝首脳が面会し、実務者協議を行うことで合意をいたしました。二〇一九年十月の実務者協議では、北朝鮮側から交渉は決裂したとの発言があり、それ以降、米朝間における協議は進んでいないものと承知をしております。

 今年十一月二十六日のロイター通信によりますと、複数の関係者の話として、トランプ次期米大統領の政権移行チームがトランプ氏と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の直接会談を検討している旨が報道をされました。政権移行チームは、現在途絶えている北朝鮮との意思疎通の再開を当初の狙いとし、具体的な政策目標や日程は定めていない、再会談に向けた調整も流動的で、トランプ氏自身は最終決定していないということも報じられております。

 一方で、北朝鮮の金正恩委員長は、十一月二十一日、平壌で開かれた最新兵器の展示会、国防発展二〇二四の開幕式での演説で、米朝首脳会談など米国との過去の対話を念頭に、米国とともに交渉の道を行けるところまで行ってみたが、確信したのは、超大国の侵略的かつ敵対的な政策だったと述べたと北朝鮮メディアが二十二日に報道をいたしました。

 現状では、トランプ次期大統領の今後の外交方針や国際情勢がどのように変化していくのかは不透明ですが、第一次政権で米朝首脳会談を実現させ、拉致問題にも理解のあるトランプ次期大統領には、拉致被害者の会の家族会を始めとする方々も期待を寄せておられます。

 そこでお伺いをいたしますが、トランプ次期大統領に、拉致問題についてどのような協力要請を日本政府として求めていくのか、御答弁をお願いいたします。

岩屋国務大臣 委員御指摘のように、第一期のトランプ政権におきましては、二度にわたって米朝首脳会談が行われました。そのときの合意は今日に至っても結実をしていない、実現をしていないわけでございまして、今委員が御指摘になった様々な報道に私どもも接しておりますけれども、この段階では、米次期政権の対北朝鮮政策というのを予断を持って答えるわけにはいかないと思いますけれども、恐らくそれぞれに、過去にそういう会談や合意があったがゆえに、思いがおありなんだろうというふうに推測をしております。

 その中において、拉致問題に関してもトランプ次期大統領は大変御理解をいただき、二度にわたって家族会の皆さんとも会っていただき、また、金正恩委員長に、拉致問題についてもしっかりと我が国の思いを伝えていただいたという事実がございますので、次期米政権発足後においても、拉致問題に関して米政府との間で緊密に我々は連携を取っていきたいと思っております。

福重委員 御答弁ありがとうございました。

 これは先ほどからも議論になっておりますけれども、やはりこの問題を解決するためには、国際社会との協調、特に米国との関係が最重要になってくると思いますので、しっかりとした御対応をお願いしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続いて、最近の北朝鮮とロシアとの関係について質問をいたします。

 北朝鮮はロシアとの軍事協力を強化させており、今年六月、プーチン大統領と金正恩委員長は首脳会談に臨み、両首脳は有事の相互支援規定を盛り込んだ包括的戦略パートナーシップ条約に署名をいたしました。同条約は今月四日に発効したものと思います。

 北朝鮮はロシアに爆弾を供給し、ロシアは北朝鮮に石油精製品や軍事技術をそれぞれ提供しているとされ、日本政府関係者は、ロシアの技術協力により、北朝鮮の核・ミサイル開発が加速するおそれがあると指摘しております。さらに、北朝鮮はロシアに派兵し、ロシアのクルスク州に一万二千人が駐留しており、ウクライナとの戦闘で死傷者が発生しているとも報道されております。

 また、ロシアやウクライナ政治が御専門の慶応義塾大学の大串敦教授は、十月二十六日の東京新聞で、これまで軍事偵察衛星打ち上げなどでロシアから技術支援を受けてきたとされる北朝鮮にとって、派兵はロシアに恩を売る絶好の機会となる、ロシアの最新兵器や装備の供与を見返りとして念頭に置いた行動だろう、兵士らの経験値を底上げする狙いもあると見られる、ロシアにとっては、派兵を受け入れることで国内の兵力不足を補うことができるのに加え、ロシアと北朝鮮の協力体制を国際社会に最大限アピールできる利点があると指摘されております。

 このような北朝鮮によるロシア派兵は、我が国を取り巻く安全保障関係を一層厳しいものにするのではないかと思いますが、このことは言語道断であります。

 そこで、北朝鮮によるロシアへの派兵に対する政府の見解及びこれに対する国際社会からの評価がどうなっているのか、御答弁をお願いいたします。

大河内政府参考人 まず、北朝鮮の兵士派遣に対する日本政府の見解でございますが、ただいま御指摘のございましたような北朝鮮兵士のウクライナに対する戦闘への参加、そして、ロシアによる北朝鮮からの弾道ミサイルを含む武器弾薬の調達、使用といいました最近のロ朝軍事協力の進展の動き、これを強く非難してございます。こうした動きは、ウクライナ情勢の更なる悪化を招くのみならず、我が国を取り巻く地域の安全保障に与える影響の観点からも深刻に憂慮すべき、このように考えてございます。

 次に、ロ朝の動向への国際的評価でございますが、一例といたしまして、今月十六日には、G7、豪州、韓国及びニュージーランドによるロ朝関係に関する外相共同声明が発出されてございます。同声明におきましては、北朝鮮による部隊のロシアへの派遣を含む、拡大するロ朝間の軍事協力、これを非難するとともに、北朝鮮がロシアのウクライナ侵略戦争を直接支援することは、欧州及びインド太平洋の安全に深刻な結果をもたらす、このように指摘してございます。

福重委員 ありがとうございました。

 次の質問に移りたいと思います。

 韓国の現在の政治状況が拉致問題に与える影響についてお伺いをいたします。

 十一月二十九日、石破総理は、第二百十六回国会の所信表明演説において、拉致問題は、単なる誘拐事件であるにとどまらず、その本質は国家主権の侵害であります、拉致被害者やその御家族が御高齢となる中、時間的制約のある、ひとときもゆるがせにできない人道問題であり、政権の最重要課題でありますと表明された上で、米日韓の首脳会談におきましても引き続き連携を確認いたしましたと発言されています。私も、拉致問題解決には、国際社会、とりわけ日米韓の協力が極めて重要であると考えております。

 韓国の尹錫悦政権は、韓国人拉致問題に焦点を当て、統一部に拉致被害者対策チームを新設しました。韓国には、朝鮮戦争後に拉致された韓国人が五百十六人いるとされ、北朝鮮訪問中に抑留された方々や、戦争中の捕虜六万人と合わせて、北から戻れなくなった国民の問題解決に取り組む方針を掲げておられました。

 また、韓国統一部の傘下機関は韓国内の脱北者への聞き取り調査を行ってきましたが、今年二月からは、この際に日本人拉致被害者の情報も問う取組を始めたと報じられています。

 今月三日、尹大統領は突如として非常戒厳を発令しました。翌四日未明の国会での戒厳解除決議案の可決を受け、尹大統領は戒厳解除は決定したものの、十四日、野党が提出した二度目の尹大統領の弾劾訴追案が国会で可決され、尹大統領は職務停止となり、韓悳洙首相が権限を代行しております。そして、十二月十九日には、石破総理と韓総理との電話会談が行われました。

 こうした現在の韓国の政治状況が日本人拉致問題の解決にどのような影響を与えていると政府は考えておられるのか、確認したいと思います。

大河内政府参考人 まず、韓国の情勢でございますけれども、他国の内政へのコメントは差し控えさせていただきますが、日本政府としても、韓国内の一連の動きについて特段かつ重大な関心を持って注視してございます。

 その上で、韓国は国際社会の様々な課題にパートナーとして協力すべき重要な隣国でございまして、現下の戦略環境の下で、日韓関係の重要性、これは変わらないところでございます。日韓両政府間でも緊密な意思疎通を継続していくこと、そして、日韓、そして日米韓三か国が緊密な連携を継続すること、この重要性を確認してきているところでございます。

 その上で、今般の韓国国内の動向の拉致問題への影響につきましては、政府として予断を持ってお答えすることは差し控えますが、拉致問題を含む北朝鮮問題への対応におきましては、米国及び韓国を始めとする国際社会の連携は引き続き不可欠でございますので、今後とも韓国との間で緊密に連携してまいりたい、このように考えてございます。

福重委員 ありがとうございます。

 韓国の政治状況が動いておりますけれども、この問題は日米韓でしっかりと連携を取っていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 最後に、特定失踪者問題調査会による北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」について伺います。

 この件につきましては、先ほども藤岡委員、岸田委員からもお話がございましたけれども、私の方からも質問をさせていただきます。

 我が党の浜地雅一議員は、令和四年十月十三日の衆議院安全保障委員会外務委員会北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会連合審査会において、「しおかぜ」について、北朝鮮に対する、また、北朝鮮にいらっしゃる被害者の皆様方、特定失踪者の皆様方に対する最後のともしびであり、絶対にこれは絶やしてはならないと思っておりますと述べた上で、短波放送の重要性、そして政府の支援について政府に質問をしました。

 「しおかぜ」の運営主体である特定失踪者問題調査会のホームページによりますと、今年十一月十九日に総理官邸で林官房長官との面会の際、長官から四月以降の二波放送継続可能であることを示唆されたものの、NHKからの打診では放送時間の大幅な変更となっており、聴取者、すなわち拉致被害者への情報伝達に支障を来すことは明らかである旨掲載がされておりました。

 そこで、お伺いいたします。短波放送の重要性の認識、老朽化施設のメンテナンスの時期及び期間、「しおかぜ」の二波体制の担保の可否など「しおかぜ」をめぐる現状について、そして、「しおかぜ」に対する政府における改善策の方向性についてお伺いをいたします。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮域内への情報伝達手段が限られている中で、拉致被害者を始め北朝鮮市民や北朝鮮当局に対し、日本政府や日本国民、さらには国際社会からのメッセージを伝達する手段として北朝鮮向けラジオ放送は極めて効果的であり、「しおかぜ」による拉致被害者等に対する情報発信も非常に重要であると考えているところでございます。

 御指摘の「しおかぜ」の送信設備の移行工事期間につきましては、NHKから、年明け一月から最大十か月間を見込んでいると聞いております。また、NHKからは、「しおかぜ」の二波同時送信による安定的運用の重要性に鑑み、国会等における議論も踏まえNHKとして検討を重ねた結果、今年度内についてはこれまでと同様の二波体制が維持されることになったと聞いております。

 来年度以降につきましては、御指摘の放送時間も含めまして、KDDI、特定失踪者問題調査会、NHKの三者間において協議が行われるものと認識しておりますが、政府といたしましても、三者間における協議の状況を注視しつつ、「しおかぜ」の担う重要な役割を踏まえ、拉致被害者等に向けた情報発信に支障が生じないよう適切に対応してまいりたいと存じます。

福重委員 ありがとうございました。しっかりとした支援をお願いしたいと思います。

 公明党は、認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の皆様が一日も早く御家族の元にお戻りいただけるよう、与野党を超え、拉致問題解決に向けた協力を全力で尽くしていきたいと思っております。

 改めてこのことを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、上村英明君。

上村委員 れいわ新選組の上村英明と申します。よろしくお願いいたします。

 まず、私は、昔働いていたところが、川崎市に平和館、ピースミュージアムというのがありまして、たまたま横田さんの御家族は川崎市在住だったものですから、そこの中に横田めぐみさんのコーナーを作って啓発活動をしていたことを思い出します。

 そのときに比べても、今、早紀江さんしかいらっしゃらないんですけれども、本当にお年を召したなというふうな感想を持っておりまして、それを考えると、本当に一刻も猶予がならないという、問題がいかに重要であるかということを皆さんと共有をしたいというふうに思います。

 今、いろいろな方が質問をされましたように、今回の拉致問題の解決には国際社会の連携あるいは協調が必要だということは、皆さん、おっしゃいました。おっしゃったんですけれども、もっと一歩踏み込まないかなというふうなことを思ったんです。それは何かといいますと、日米韓全て、政治体制がこの半年ぐらいで変わる可能性があるということです。

 アメリカはトランプ政権に替わります。それから、韓国も、これは皆さん、予断を許さないとはおっしゃいましたけれども、これから韓国の政治がどう変わるかというのは、よっぽど国際関係に暗くなければ、こういうふうに変わるなという予想はつくと思います。

 そして、実は、日本もこの十月に政治が変わりました。その意味でいけば、日米韓の政治体制がある種変化するときに、我々は今、この問題をどう考えるべきかということに関しては、一歩踏み込んで話をすべきときかなというふうなことを考えております。

 簡単に言うと、それは何かというと、私は、この体制の中で北朝鮮との話合いが進むと思っています。これは韓国にしても、今の野党が政権に返れば話合いが進みますし、何人かおっしゃられたように、米朝会談もあると思います。石破総理もひょっとしたら、前に進んで、話合いに行かれるのではないかというふうに期待しているんですけれども、この日米韓の政治の変化と拉致問題について外務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

岩屋国務大臣 韓国については引き続き国内の動向を特段かつ重大な関心を持って見詰めていきたいと思っておりますが、現段階では、韓悳洙大統領代行の下に、安定的に政権による活動が行われていると承知をしております。私も、つい先刻、外務大臣と電話会談をしたところでございますし、韓国との間では、拉致問題についても緊密に今後とも連携を取っていきたいと思っております。

 米国の新政権の対北朝鮮政策、予断を持ってこの段階で申し上げることは控えますけれども、先ほど来お話をさせていただいているように、米国側も、拉致、核、ミサイルといった問題の重要性というのを、一期目のトランプ大統領、米朝の直接のやり取りをなされた方でいらっしゃるだけに、引き続きしっかりと認識をしていただいていると思いますので、米国新政権とも緊密に連携を取っていきたいというふうに考えているところでございます。

上村委員 ありがとうございます。

 外務大臣としてはそういうお答えになるということだと思いますけれども、外務省の方がここにいらしていますので、ちょっとお尋ねしたいんです。

 林大臣もそれから岩屋大臣も、やはりこの二十二年間、一人も被害者を取り戻すことはできなかった、今、一生懸命交渉をやっているというふうにおっしゃっておりますけれども、二十二年間成果がなかったということであれば、一般的に考えれば、これは外交の失敗です。今、失敗したんだったら、新しい枠組みを考えるということが大事ではないかなというふうに思います。

 そういうことを踏まえて、例えば、このパッケージ、拉致問題と核とミサイルを一緒にする、皆さん、拉致問題は大事だとおっしゃられていますけれども、核とミサイルは時間がかかります。これが何で同じパッケージになるのか、私はよく分からないということがあります。

 そうした問題について外務省はどういうふうにお考えなのかということをお答えいただき、さらに、例えば日朝国交正常化というのもこの所信の中に出てきます。これもある意味では優先度の高いものではないか、パッケージをもう一度見直して、優先順位を再検証するべきではないかというふうに思うんですけれども、外務省の御意見を伺いたいと思います。

大河内政府参考人 北朝鮮に関する基本方針といたしましては、もう累次この場でも御説明していますとおり、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸案件を包括的に解決し、不幸な過去を清算し、国交正常化を実現するというものでございますが、拉致問題については、ひとときもゆるがせにできない人道問題である、このような認識もございますので、拉致、核、ミサイルの諸案件につきまして、あくまでこれらを包括的に解決する方針であるが、その中にあって、拉致問題は、今申し上げましたような認識に立ちまして、我が国が特に主体的に取り組まなければならない課題である、このように考えているところでございます。

 いずれにせよ、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するために、石破総理の強い決意の下で総力を挙げて最も有効な手だてを講じていく、このように事務方としても考えているところでございます。

上村委員 ありがとうございました。

 では最後に、外務大臣に、今御答弁があったんですけれども、拉致問題の重要性ということを改めて確認いただく中で、民間の動きも大事だというふうにおっしゃっております。その意味では、例えば安倍昭恵さんが行かれたり、様々な民間の交流もあると思いますので、その辺の生かし方に関してはいかがお考えでしょうか。

岩屋国務大臣 拉致問題の解決のためには、我が国自体の取組、これは当然でありますけれども、国際社会とも緊密に連携する必要がありますし、あるいは民間団体の皆さんとも緊密に連携をしていかなければいけないと思っております。

 これまでも、拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟、いわゆる拉致議連、それから、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会、家族会、及び、北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会、救う会、こういった団体の皆さんが訪米される際に、外務省としても支援をさせていただいてきたところでございます。

 本年については、四月二十九日から五月四日の日程で三団体による訪米が行われ、米国関係者の理解を深める上で非常に有意義であったと考えております。

 外務省としては、引き続き、このような取組についてしっかり支援をしてまいりたいと思います。

上村委員 ありがとうございました。

 時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。

牧委員長 次回は、明二十四日火曜日午前十一時三十分理事会、午前十一時三十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十三分散会


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