第2号 令和7年3月18日(火曜日)
令和七年三月十八日(火曜日)午後零時二十分開議
出席委員
委員長 牧 義夫君
理事 石橋林太郎君 理事 黄川田仁志君
理事 星野 剛士君 理事 有田 芳生君
理事 下条 みつ君 理事 藤岡たかお君
理事 和田有一朗君 理事 向山 好一君
大西 洋平君 草間 剛君
小泉進次郎君 寺田 稔君
西村 康稔君 福原 淳嗣君
松野 博一君 森下 千里君
小熊 慎司君 篠原 豪君
原口 一博君 太 栄志君
西田 薫君 岸田 光広君
浜地 雅一君 上村 英明君
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外務大臣 岩屋 毅君
国務大臣
(拉致問題担当) 林 芳正君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 坂井 学君
衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長 大野雄一郎君
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委員の異動
三月十八日
辞任 補欠選任
大空 幸星君 大西 洋平君
福田 達夫君 森下 千里君
三谷 英弘君 草間 剛君
同日
辞任 補欠選任
大西 洋平君 大空 幸星君
草間 剛君 三谷 英弘君
森下 千里君 福田 達夫君
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本日の会議に付した案件
北朝鮮による拉致問題等に関する件
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○牧委員長 これより会議を開きます。
議事に入るに先立ちまして、一言申し上げます。
去る二月十五日、有本明弘さんが逝去されました。御存命の間に有本恵子さんの御帰国が果たせなかったことは、誠に痛恨の極みであります。
ここに、委員各位とともに哀悼の意を表し、御冥福を祈り、謹んで黙祷をささげたいと存じます。
全員御起立をお願いいたします。――黙祷。
〔総員起立、黙祷〕
○牧委員長 黙祷を終わります。御着席願います。
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○牧委員長 北朝鮮による拉致問題等に関する件について調査を進めます。
この際、林拉致問題担当大臣、岩屋外務大臣及び坂井国家公安委員会委員長から、それぞれ所信を聴取いたします。林拉致問題担当大臣。
○林国務大臣 拉致問題担当大臣の林芳正でございます。
拉致問題をめぐる現状について御報告を申し上げます。
北朝鮮による拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、国の責任において主体的に取り組み、解決を目指すべき課題です。
二〇〇二年に五名の拉致被害者の方々が帰国されて以来、一人の拉致被害者の御帰国も実現しないまま、本年二月には、有本明弘さんがお亡くなりになりました。心から哀悼の意を表するとともに、御家族の皆様にお悔やみ申し上げます。御存命のうちに有本恵子さんとの再会を実現できなかったことは、痛恨の極みであり、誠に申し訳なく思っております。
拉致被害者やその御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題であるとともに、その本質は国家主権の侵害です。もはや一刻の猶予もない、何としても結果を出してほしいという御家族の皆様の切迫した思いを改めて胸に刻んで、全力で果断に取り組んでまいります。
拉致問題の解決に向けては、我が国自身が主体的に取り組むことが重要です。石破総理自身、日朝間の諸懸案を解決するため、もう一度日朝平壌宣言の原点に立ち返り、当時思い描いた思いを大局観を持って実現すべく、この機会を逃すことのないよう金正恩委員長に対して呼びかけていくとし、首脳同士が会談し、解決へ導かなければならない旨を述べています。こうした石破総理の強い決意の下、引き続き北朝鮮に対して様々なルートを通じて様々な働きかけを行ってまいります。
また、拉致問題の解決には、国際社会との連携が不可欠です。例えば、先月の日米首脳会談では、石破総理から、いまだに肉親と再会することができない拉致被害者御家族の苦しみや切実な思いをトランプ大統領に直接伝達した上で、一日も早くこの問題を解決したいという決意を伝え、米朝間の交渉の可能性も念頭に、改めて理解と協力を求め、トランプ大統領から全面的な支持を得ました。
私自身も、国際会議や外国要人の方とお会いする機会に、拉致問題の即時解決に向けた理解と協力を直接求めてまいります。米国の新聞への意見広告の掲載など、米国を始め国際社会において広く拉致問題についての関心と認識を深める取組も続けてまいります。
拉致問題は過去の歴史上の事件ではなく、今なお被害者が自由を奪われ、御帰国できない状態が続いている現在進行形の問題であり、日本国民が心を一つにして、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現への強い意思を示すことが問題解決に向けた力強い後押しとなります。このような認識の下、政府としては、拉致問題に関する啓発活動にも力を入れて取り組んでおります。
本年度は、地方自治体との共催により国内七か所で拉致問題を考える国民の集いを開催したほか、拉致問題に関する舞台劇や映画等の上映会を全国各地で開催しました。
加えて、これまで拉致問題に触れる機会の少なかった若い世代への啓発活動を特に積極的に推進していく考えです。具体的には、教員等を対象とした研修や、中学生、高校生を対象とした作文コンクール、教員を目指す大学生に対する講座の開設などの取組を行っております。また、昨年八月には、全国の中学生の参加を得て拉致問題に関する中学生サミットを開催しました。本サミットに参加した中学生のアイデアを基に制作した広報動画も活用しております。
これらの啓発活動と並行して、拉致被害者や北朝鮮の人々に向けたラジオ放送も政府として実施しております。また、民間団体に委託した放送を行うとともに、ラジオの共同公開収録を本年度も四回実施しました。今後とも、拉致被害者や北朝鮮の人々に向けた情報発信を積極的に行ってまいります。
拉致問題は、石破政権の最重要課題です。拉致被害者の方々、そして御家族の皆様が御高齢となる中、一刻の猶予もありません。認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国の実現に向けて、全力で果断に取り組んでまいります。
牧委員長を始め、理事、委員の皆様の御理解、御協力を心よりお願い申し上げます。
○牧委員長 次に、岩屋外務大臣。
○岩屋国務大臣 外務大臣の岩屋毅です。
衆議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会の開催に当たり、牧委員長を始め、理事、委員各位に御挨拶を申し上げますとともに、北朝鮮をめぐる最近の状況について御報告いたします。
初めに、拉致被害者御家族の有本明弘さんの御逝去に、心から哀悼の意を表するとともに、御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。
日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を実現するとの方針に変わりはありません。
拉致被害者やその御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題であるとともに、その本質は国家主権の侵害であり、石破政権の最重要課題です。被害者の御帰国を待ち望んでいる御家族の皆様の思いを胸に、政府一丸となって、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現すべく、全力で取り組んでまいります。
拉致問題は、国際社会共通の課題です。石破総理はこれまで、各国首脳との会談といった場において、拉致問題についての支持を働きかけています。先月の日米首脳会談においては、拉致問題の即時解決について、トランプ大統領から全面的な支持を得ました。
私も、外務大臣として、あらゆる外交の場面において、拉致問題に関する日本の立場を説明し、多くの国から理解と支持を得てきています。先月の日米韓外相会合や今月のG7外相会合、その際の日米外相会談、及びその他の二国間会談においても、拉致問題の解決に向けて各国の理解と協力を求め、支持を得てきているところです。
北朝鮮による核・ミサイル活動は、日本の安全保障への脅威であるのみならず、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦です。北朝鮮が繰り返す弾道ミサイルの発射は断じて許されません。今後とも、日米、日韓、日米韓で緊密に連携するとともに、国際社会とも協力しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄を求めてまいります。
今後とも、牧委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力を何とぞよろしくお願い申し上げます。
○牧委員長 次に、坂井国家公安委員会委員長。
○坂井国務大臣 国家公安委員会委員長として、拉致問題に関する警察の取組について御報告申し上げます。
北朝鮮による拉致容疑事案は、我が国の主権を侵害し、国民の生命身体に危険を及ぼすとともに、被害者やその御家族に耐え難い苦痛を与える許し難い犯罪であり、治安上極めて重大な問題です。
また、拉致被害者の方々、そして御家族の皆様が御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題であるとともに、その本質は国家主権の侵害です。本年二月には有本明弘さんがお亡くなりになられました。もはや一刻の猶予もない状況にあると認識しております。
現在、警察においては、日本人が被害者である拉致容疑事案及び朝鮮籍の姉弟が日本国内から拉致された事案、計十三件十九人を拉致容疑事案と判断するとともに、拉致の実行犯等として、北朝鮮工作員等計十人について、逮捕状の発付を得て国際手配をしているところです。
また、これらの事案以外にも、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案があるとの認識の下、関係機関と緊密な連携を図りつつ、鋭意所要の捜査や調査を進めています。
今後とも、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するため、拉致容疑事案等の全容解明に向けて徹底した捜査及び調査を推進します。
また、我が国は、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するため、国際社会との緊密な連携の下、関連する国連安保理決議を完全に履行するとの観点からも、我が国としての対北朝鮮措置を着実に実施しているところです。
警察では、これまで、対北朝鮮措置の実効性を確保するため、対北朝鮮措置に関係する違法行為の取締りを推進してきたところですが、引き続き、関係機関と緊密な連携を図りつつ、徹底した取締りを推進します。
拉致問題は、石破政権の最重要課題であります。
今後とも、拉致問題対策本部事務局や外務省等、関係機関と緊密に連携し、政府全体としての取組にしっかり貢献します。
牧委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。
○牧委員長 以上で各大臣の所信表明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十二分散会