衆議院

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第4号 令和6年6月4日(火曜日)

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令和六年六月四日(火曜日)

    午前八時五十分開議

 出席委員

   委員長 秋葉 賢也君

   理事 小倉 將信君 理事 武井 俊輔君

   理事 中山 展宏君 理事 堀内 詔子君

   理事 青山 大人君 理事 大西 健介君

   理事 林  佑美君 理事 吉田久美子君

      井原  巧君  英利アルフィヤ君

      加藤 竜祥君    金子 容三君

      岸 信千世君    鈴木 英敬君

      高見 康裕君    中川 貴元君

      永岡 桂子君    仁木 博文君

      船田  元君    松島みどり君

      三ッ林裕巳君    森 由起子君

      保岡 宏武君    井坂 信彦君

      石川 香織君   おおつき紅葉君

      大河原まさこ君    山田 勝彦君

      浅川 義治君    岬  麻紀君

      日下 正喜君    鰐淵 洋子君

      本村 伸子君    鈴木 義弘君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            自見はなこ君

   内閣府副大臣       工藤 彰三君

   厚生労働副大臣      浜地 雅一君

   農林水産副大臣      武村 展英君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 和田  薫君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     吉岡 秀弥君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          藤本 武士君

   政府参考人

   (消費者庁食品衛生・技術審議官)         中山 智紀君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    真渕  博君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    植田 広信君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    依田  学君

   政府参考人

   (消費者庁消費者法制総括官)           黒木 理恵君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 西泉 彰雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           淵上  孝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 悦子君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  坂  康之君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     蔵持 京治君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     石塚 智之君

   衆議院調査局第一特別調査室長           千葉  諭君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  山田 勝彦君     渡辺  創君

五月一日

 辞任         補欠選任

  渡辺  創君     山田 勝彦君

六月四日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     森 由起子君

同日

 辞任         補欠選任

  森 由起子君     勝目  康君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

秋葉委員長 これより会議を開きます。

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官和田薫君、消費者庁次長吉岡秀弥君、消費者庁政策立案総括審議官藤本武士君、消費者庁食品衛生・技術審議官中山智紀君、消費者庁審議官真渕博君、消費者庁審議官植田広信君、消費者庁審議官依田学君、消費者庁消費者法制総括官黒木理恵君、総務省大臣官房審議官西泉彰雄君、文部科学省大臣官房審議官淵上孝君、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君、厚生労働省大臣官房審議官宮本悦子君、水産庁増殖推進部長坂康之君、国土交通省航空局航空ネットワーク部長蔵持京治君、観光庁審議官石塚智之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。浅川義治君。

浅川委員 おはようございます。日本維新の会・教育無償化を実現する会の浅川義治でございます。

 十六分の質疑時間ですので、簡潔に御答弁をお願いいただければと思います。

 最初に、紅こうじの問題、紅こうじを含む健康食品の問題で、これについてはいろいろ、その後、報告書も出ておりますけれども、まず、科学的な因果関係、原因物質のところについて、厚労省の方で研究も事業者と一緒にやっているということなんですが、そこをちょっと先に確認したいと思います。

 毒性を持つ仕組みの仮説が発表されたかと思いますけれども、このプベルル酸の発生というのが、青カビがあれば、紅こうじがなくても発生し得る仕組みということかと思います。これについては、今まで世界中の研究所等で分かっていたことなんでしょうか、この点については。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 今般の紅こうじの事案の原因究明に関しましては、厚生労働省におきまして、国立医薬品食品衛生研究所と連携をしながら取り組んできたところでございます。五月二十八日に、これまでに得られた結論として、健康被害が多く報告されている製品の原料ロットからは、プベルル酸のほか二つの化合物が検出されたこと、プベルル酸については、工場内の青カビが培養段階で混入し、米培地を栄養源として産生したと推定されること、二つの化合物については、青カビが紅こうじ菌との共培養によりモナコリンKを修飾して生成されたと推定されること等について公表したところでございます。

 これまではプベルル酸及び二つの化合物の毒性や腎臓への影響については必ずしも明らかとなってはおりませんでしたが、今般の事案の原因究明の過程で、プベルル酸については腎障害を引き起こすことが動物実験から確認され、二つの化合物につきましても、今後、動物実験においてこれらの寄与度を確認する予定でございます。

浅川委員 次の質問も答えていただいたんですけれども、このプベルル酸について、これまでも、ここについては可能性はあったと思うんですけれども、それ以外の化合物、YとZというふうに表記されていますけれども、これらの発生というのは予想されなかったというふうにこの文書を読むと分かるんですけれども、これは科学的には、いわゆる理論的にはこういう結合というのが想定されるということかと思うんですけれども、青カビ類をもとに、この工場等の条件の中でこういう化合物のYとかZというのが生成されるということは、一般的には想定されるんでしょうか。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 一般的に想定されるという認識はございません。

浅川委員 つまり、科学的にはあり得るけれども、自然科学的にはですね、科学的にはあり得るけれども、このようなサプリメントだとか食品工場等でこのような化合物が生成されるということは想定外だったということかと思うんですね。

 この事実に基づいて、今後、この食品表示についても考えていかなければいけないと思いますので、この点だけはちょっと押さえておきたいと思いました。ありがとうございました。

 続きまして、通告、ちょっと順番を変えまして、先に三つ目の、P社、カメラの広報写真の使用についてお伺いします。

 今日、資料でつけさせていただきました、この朝日新聞の記事ですね。これは社名も載ってはいるんですけれども、あえて今日はちょっとP社とさせていただきますけれども。

 いわゆる、私もカメラはよく分かっているんですけれども、このP社というのが、元々ビデオカメラからスタートして、いわゆる写真のカメラを作るようになった。そこで、イメージ写真、いわゆる広告に使う写真を、元々、動画から切り出しをすると画質が悪いから、昔から静止画を、ほかから得られたものを使っていたということがこの記事にも書いてあるんですけれども、一般的に、消費者は、そのカメラを買おうかなと思ったときに、そこに表示されているホームページ等の広告の写真はそのカメラで撮られたものだろうというふうに思うと思います。

 今回、この件について、私は、事前の段階では、なかなか答弁は難しいというふうに伺ってはいるんですけれども。私は実は、ビッグモーターの問題のときに、当委員会で、社名こそは出しませんでしたけれども、質問の前日にビッグモーターの役員と会って、コンプライアンスの体制がないこととか、それから、現場に全部任せていることとか、現場から本社への報告が全くでたらめであることとかということが分かって、消費者庁の職員の方たちに、ビッグモーター、これはやばいでしょうというお話をしていたんですね。にもかかわらず、なかなか動きが、私からすると、遅かったというふうに思っております。

 ビッグモーターは被害が非常に大きかったと思うんですけれども、このカメラの問題は、誤認して買うという方がどれだけいるかという問題はありますけれども、この問題について、既にこのP社はホームページ上で謝罪等も出しているということであるんですけれども、会社のスタンスですね、こういうことが平気でできてしまうという、コンプライアンスという観点で私は問題があると思っているんですけれども、大臣、この点については、どのような感想というかお考えをお持ちでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 コンプライアンスについてのお尋ねということだと思います。

 消費者庁におきましては、事業者が、事業活動に当たりまして、法令の遵守、コーポレートガバナンスの強化を図るとともに、消費者と共創、協働し、商品、サービスの改善等を通じまして社会価値の向上を目指す、消費者志向経営というものを推進してございます。

 一般論として申し上げれば、消費者志向経営の観点から、商品、サービスの性能や価格を正確に分かりやすく消費者に伝えるということが望ましいと考えてございます。消費者志向経営を実施する事業者の製品、サービスを消費者が選択することで更に消費者志向経営の取組が広がる好循環を消費者庁としては重視をしているところでございます。

 消費者対応に誠実な事業者が消費者の支持を受けると言えると認識してございまして、消費者庁といたしましては、しっかりそのような事業者をサポートしてまいりたいと考えてございます。

浅川委員 ありがとうございます。

 ちなみに、記事では、他社がどうなっているかという取材もされているようなんですけれども、この記事を見て、消費者庁として、他社で同じようなことが起きていないかということを調査したり、あるいは促したりするということはないんでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 消費者志向経営につきましては、しっかりと推進してまいりたいと考えてございます。

 また、委員が前半におっしゃっておられましたけれども、著しく優良であるということで訴えているのではないかというような御質問があったと思います。

 一般論として申し上げればですが、景品表示法におきましては、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容について実際のものよりも著しく優良であると示す表示を禁止しているところでございます。

 そして、優良誤認表示に該当するか否かについてでありますが、表示と実態との間に著しい乖離があるかといった法律上の各要件を満たすかを証拠に基づき総合的に判断するということになってございます。仮に、表示と実態の間に著しい乖離がないのであれば、直ちに景表法違反となるものではないということでございまして、今申し上げたような考え方もございますので、そういったことも踏まえつつでございますが、消費者志向経営というものをしっかりと推進してまいりたいと考えてございます。

浅川委員 これはネットでも何かいろいろ騒がれたようなんですけれども、これは物がカメラなので、その社で撮ったものがそこに表示されているというふうに考えるのが一般的なんですね。ところが、いわゆるネットで販売されているデータを買ってきて、あたかも自分の社で作っているカメラで撮ったかのように表示をしているのは、コンプライアンスの問題と同時に、やはり著しく不当な表示じゃないかというふうに考えられると私は思うんですね。今後、多分、もうこのP社についても他社についてもこういうことは生じないと思いますけれども、是非、消費者庁でも関心を持っていただければと思います。

 続きまして、最後に、二年前も当委員会で質問させていただきましたカキの生食用という表示について、水産庁さん、今日お越しいただいているかと思うんですけれども、私、カキにあたったのでこだわっているんですね。カキは大好きなんですけれども。

 先にちょっと、大臣、カキはどうですか。好きですか。食べられたりしますか。

自見国務大臣 大好きです。

浅川委員 よかったです。

 以前、若宮大臣も大好きだとおっしゃっていて。

 このカキで私、三回ぐらいあたったことがあるんですけれども、懲りずに、今はもう、実は秘書から、カキを食べないでくれ、議会に影響を及ぼすからと言われて、カキが今食べられないんですね。それでちょっとこだわっているんですけれども。

 実は、カキの中毒というのはノロだとほぼ分かっていて、それに着目して、水産庁さん、宮城県の例をちょっと教えていただけますか。

坂政府参考人 お答え申し上げます。

 宮城県漁業協同組合におきましては、生食用カキの出荷前に調査を行いまして、ノロウイルスが検出された場合には自主的に出荷を取りやめるという取組を行っているものと承知しております。

浅川委員 つまり、品質を生産者の段階で高めているということなんですね、安全性が高いと。これをカキについて全般的に取り入れたらいいんじゃないかと思うんですけれども、ノロが海域あるいは個体で発見されたら、もうそれは生食用としては表示しないというルールを定める。すごく簡単なことなんですけれども、大臣、どうでしょう、政治家の判断として。

自見国務大臣 お答えいたします。

 生食用のカキにつきましては、関係省庁が連携をいたしまして、ノロウイルスの食中毒防止対策や低減対策を行っており、消費者庁としても、委員からの御指摘も踏まえまして、令和四年の十二月、そして令和五年一月及び三月にも、持ち込まない、つけない、やっつける、そして広げないといった、ノロウイルス食中毒の四原則をSNSで注意喚起するとともに、関係省庁と連携し、予防策について注意喚起をしてきたところであります。

 先ほど水産庁より説明のありました、宮城県での取組で使われておりますノロウイルスの検査についてでございますが、ノロウイルスの遺伝子の有無を確認する遺伝子検査でございまして、遺伝子ですので、そのものが生きていても死んでいても出てくるということから、その結果からは感染性の有無が判断できないということでございますので、現時点での科学的知見から、規格基準を設定するということは慎重な検討が必要であると考えてございます。

 各産地におきましても自主的な取組がなされているということは承知してございますので、このような取組も含めまして、生食用カキのノロウイルスによる食中毒を予防するため必要な対策について、各省庁と連携し、しっかりと検討してまいりたいと思います。

浅川委員 結局、宮城がやっているノロウイルスの検査、どこでもできるわけで、PCR検査、あのコロナと同じ。そうすると、コストもそんなにかからない。でしたら、それを簡単に、各養殖場とかに、ノロがあるかないか、遺伝子があるかないか、遺伝子があったら感染するかもしれないということで、それを生食用表示をしないということで、簡単にできることなんですよ。ですから、これは大臣の政治的なリーダーシップで是非大きく変えていただきたいと思います。

 あと、時間、三十秒ぐらいですかね。

秋葉委員長 時間が来ております。

浅川委員 来ております。

 大臣には、もう一つ、大阪万博も是非期待しておりますので、よろしくお願いします。

 以上です。どうもありがとうございました。

秋葉委員長 次に、岬麻紀君。

岬委員 皆様、おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。

 本日、十分間しかお時間ございませんけれども、私の選挙区も含まれております愛知県におきまして、経営母体である愛知中央協同組合に加盟する、三社しかないのに二社が倒産をしたことによりまして経営破綻をしてしまったという、愛知中央美容専門学校の突然閉校について伺いたいと思います。

 直接的には消費者庁は関係ないのかもしれませんけれども、学費を納めている方々がいらっしゃるという点で、この学生若しくは保護者の皆様方を消費者とするならば、この辺りから伺っていきたいと思っております。

 まず、消費者庁に伺いますが、学費を支払っている側として消費者とした場合、一般的な学生や保護者、今回被害者となるわけですが、この辺りをどのようにまず受け止めていらっしゃいますでしょうか。お願いいたします。

黒木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御指摘の専門学校の閉校につきましては、現在、愛知県を中心に原因究明に努めておられるものと承知をしております。

 その上で、一般論として申し上げますと、事業者が経営破綻に至る理由というのは様々あると考えられるところでございますが、仮に、事業者が近い将来サービスを提供しなくなることを認識していたにもかかわらず、そのサービスの提供をするかのように偽って勧誘をし、その対価を受け取っていたということであれば、そのような勧誘行為は消費者契約法の不当勧誘に該当するものと考えてございます。

岬委員 ありがとうございます。

 まだ今、情報収集の段階であるということで、全貌がまだしっかりと分かっていないという状況ではございますが、私が、愛知県側にも、文科省にも、そして厚労省にもヒアリングをした結果、昨年の八月の段階では、経営がなかなか厳しいんだ、そういった御相談があったであるとか、愛知県側からは、同じ八月の段階で、別の学校から、経営を引き継ぎましょうかという相談があったというような情報があります。

 これは、そうだとするならば、次の年度の学生を募集すること自体が非常に危険だったのではないか、事前にそういう状況は把握できたのではないか、把握できたとすれば、このような被害を未然に防止することができたのではないかという注意が必要ではないかというふうに考えております。

 そこで、今、現状の段階で、学校等を設立する、若しくは学生の立場、監督責任において、文部科学省はどのようにこの事態を受け止めていらっしゃいますでしょうか。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 愛知中央美容専門学校の閉校につきまして、学校の都合により、生徒への説明責任が十分に果たされることなく、生徒の修学機会が奪われるような事態となっているということは、誠に遺憾なことだというふうに認識をしております。

 本件につきまして、まずは、生徒が学習を継続できる環境の整備が重要だというふうに考えております。

 現在、愛知県や愛知県専修学校各種学校連合会において、受入れ学校の授業料の一部免除なども含めまして、学生の受入れに向けた調整が行われているものと承知をしております。

 文部科学省としても、学校において生徒に寄り添った適切な対応がなされ、生徒が学びを継続できるよう、愛知県と連携しながら、状況の確認など適切な対応に努めてまいりたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 これは、まず第一報が、五月の九日に保護者会が行われて、そこで突然、閉校します、それも、五月の九日なのに、五月の末に閉校しますということが告げられたということなんです。新年度というのは四月から始まっておりますので、そうすると、一か月の間にそれを学校側は決めて発表しているということになります。これは全く、前年度の段階、募集をする段階で分からなかったんだろうかというのは大変疑問に思います。この点がまず一点。

 それから、放り出されてしまったという形に現状なっている学生さん、この学生さんたちを受け入れていくという、どこに受け入れていってもらうかということを今検討されていると思いますが、現状は十四校の受入れ表明校が示されています。

 ただ、この破綻してしまった学校というのは愛知県の小牧市です。愛知県の尾張地区という部分ですけれども、愛知県も広いですから、三河地区に急に受入れができるよと言われても、実際、そこに、では日々通えるのだろうかということ、さらに、また別の学費が加算されていくということも情報として入ってきています。その単位も三十万だとか五十万だとか、かなりばらつきもあります。

 そして、この止まってしまった一か月、二か月、若しくは三か月、そうなってくると、学習の進み具合であるとか、国家資格を取っていくための必要要件であるとかが満たせなくなるという危険も出てきます。そうなると、学生にとってはこれは非常に大きな問題にもつながっていくと思われますので、緊急を要するのではないでしょうか。

 次に、厚生労働省に伺います。

 これは、厚生労働大臣の指定、認可というふうに、今は愛知県にももちろん責任はあるのですが、厚生労働省としては、では、この件をどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 美容師養成施設の開設に当たっては、美容師養成施設指定規則に基づきまして、都道府県知事の指定を受ける必要がございます。そういう意味で、この指定規則は厚生労働省の所管となっております。

 今、文科省からも答弁がありましたとおり、現在、愛知県と愛知県専修学校各種学校連合会と美容師養成施設の間で、在学生の受入れ、授業料の一部免除などの支援について調整が行われております。

 厚生労働省といたしましては、学生が円滑に転入できることがまず何より重要と考えておりまして、引き続き、愛知県や文科省等とも連携しながら、在学生の受入れ等に係る調整状況を注視し、その状況に応じて必要な対応を検討してまいります。

岬委員 ありがとうございます。

 今、所管であると明言をされましたので、引き続き連携をしていただきたいと思います。

 次に、同じく文科省、戻りますけれども、授業料の件ですけれども、授業料は大体百万円ぐらいを納入されています。もちろん入学金が入っている場合もあるでしょうし、授業料というものですが、授業料とするならば、授業をやってこその費用だと思われます。授業をやっていないならば、それを全額返金をするのが道理であろうかと思いますが、現状は、百万円に対して五万円程度の返金しかされていない、若しくは、これからされるのかどうかという部分ですけれども、いずれにしても、これだけの金額を、百万単位の金額でお支払いになった保護者なり御家庭は、非常にこれは大きな金額だと思われます。

 この辺りも含めまして、これは、分かっていて、こうなることが予想されていてやったとしたら、逃げ得なんということは絶対あり得てはいけないわけですし、また、詐欺まがいではなかろうかというふうにも感じられます。これは計画的な倒産だったのかなと、いろいろな推測ができるわけですけれども。

 十四校の、ばらつきのある中で、受入れ体制の進捗、これは、聞いてからもうほぼ一か月ぐらいはたちますので、どのような進み具合なんでしょうか。文科省、お願いします。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、学生の受入れの状況についてでございますけれども、現在、受け入れる学校側からの情報を集約しております愛知県と愛知県専修学校各種学校連合会からの報告によりますと、六月の三日現在で、昼間学生二十六名につきましては、六校において、この六月より他校へ転籍をする学生が二十六名中二十二名、来年度から他校入学が一名、それから就職等が三名。通信制の六十一名につきましては、四校の学校で、六月より他校転籍が五十七名、就職等が四名というふうに伺っております。

 また、授業料についてのお尋ねがございましたけれども、この返還につきましては、現在、所轄庁である愛知県におきまして、学校が授業料を返還できていない理由を始め、事実関係を確認をしているというふうに承知をしております。

 私ども文科省といたしましては、一般論ではございますが、在学契約に基づき、学校側には授業料に相当する授業を提供する義務があるというふうに考えられますので、今回のケースの場合は、本来提供されるべき債務が履行されていない余地があるというふうに考えております。

 愛知県と連携をして、しっかり原因の究明を進める必要があるというふうに考えております。

岬委員 ありがとうございます。少しずつ進んでいることは分かりました。

 この件は、再発を防止するという観点も非常に重要だと思います。引き続き、明日、厚生労働委員会におきましてもこの件は取り上げることになっておりますので、引き続きよろしくお願いします。

 本日は、学費を払った皆様方が消費者側ということで、この委員会で取り上げさせていただきました。

 日本維新の会の岬麻紀でございました。ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 通告からちょっと順番を変えまして、七番から質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 今日お配りをしております資料、閣僚会合の今後の対応ということで、五月三十一日に決められた対応なんですけれども、今日は黄色い線を引かせていただいたところをやろうというふうに思っているのですけれども、その中で、まず、日本腎臓学会を通じて得られた百八十九症例、これに基づきまして、このように書かれております。紅こうじ関連製品、これを摂取開始した時期や摂取期間の長短にかかわらず、初診は二〇二三年の十二月から二〇二四年の三月に集中しているというふうに書かれておりまして、括弧として、大阪市が五月十五日時点で解析した二千五十症例についても同様の傾向というふうに書かれております。

 資料の五番目、一番最後を見ていただきますと、これは大阪市の第三回小林製薬の紅麹配合食品にかかる大阪市食中毒対策本部会議の資料ですけれども、二〇二一年四月から紅麹コレステヘルプが販売を開始されて、それ以降、二〇二三年十二月以降にかかわらず、健康被害者の発症があるというふうになっております。

 その点でお伺いをしたいんですけれども、小林製薬の三商品の被害は二〇二三年十二月以前にも出ておりますけれども、その原因についてどのように分析をしているのか、まずお伺いをしたいと思います。これは厚生労働省、お願いします。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省で、日本腎臓学会を通じて得られました百八十九症例の病像の把握に取り組みまして、その結果、摂取開始時期や摂取期間の長短にかかわりませず、初診日は令和五年十二月から令和六年三月に集中していることから、対応する期間に製造された製品の原材料ロットについて分析を行っておりますけれども、それ以前の原材料ロットについても念のため分析を行っております。その結果、今回検出されております三つの化合物のピークは確認されなかったところでございます。

本村委員 そうしますと、別の要因があるという理解でよろしいでしょうか。

鳥井政府参考人 前提といたしまして、日本腎臓学会の調査は医師からの情報提供に基づくものである一方、大阪市の調査は患者本人からの状況に基づくものでございます。

 厚労省は、原因究明といたしまして、日本腎臓学会のデータの方の病像の把握に取り組んでおりまして、ただ、それ以外の時期についても確認は行っているというところでございます。

本村委員 先ほど、プベルル酸、そして二つの化合物は検出されなかったというふうにおっしゃいました。

 閣僚会合の今後の対応の文章の中には、大阪市が五月十五日時点で解析をした二千五十症例を見ても発症時期は同様の傾向であったというふうに書いてあるんですけれども、大阪市の会議の資料を見てみると、そうでもないということがございまして、やはり正確に記すべきだというふうに思いますし、そして調査、研究、分析をしっかりと二〇二三年十二月以前も行うべきだというふうに考えますけれども、これは厚生労働副大臣、お願いしたいと思います。

浜地副大臣 お答えいたします。

 先生御指摘の点でございますけれども、先ほど政府参考人が答弁いたしましたとおり、日本腎臓学会を通じて得られた百八十九の症例につきましては、これは摂取時期にかかわらず、医師が実際に診断をしました初診日が令和五年十二月から令和六年三月に集中しているということを公表し、表しているものでございます。

 一方、大阪市の取りまとめにおきましては、これは患者本人からの申出による発症時期でございまして、その差があることは我々も承知をしておりますけれども、いずれにしましても、今後、大阪市の調査については、大阪市が引き続き分析を進めております、その進捗を注視をしてまいりたいというふうに厚労省としても思っております。

本村委員 二〇二三年十二月以前も健康被害の訴えがあるわけですから、国も徹底的に調査をするべきだということを強く求めたいと思います。

 今後の対応という中に、健康被害の情報提供の義務化というところもあるわけですけれども、線を引っ張っておきました。事業者、届出者は、健康被害と疑われる情報を収集し、健康被害と疑われる情報、医師が診断したものに限るというふうになっております。ここは問題だというふうに思います。医師が診断したものに限らず、消費者から直接寄せられた情報なども事業者が報告することに含むべきだというふうに思っております。

 また、当該食品との因果関係が不明であっても速やかに消費者庁長官及び都道府県知事等に情報提供することを、食品表示法に基づく内閣府令である食品表示基準における届出者の遵守事項とするというふうになっておりますけれども、この速やかにというのは、重篤の場合十五日以内、重篤等以外は三十日以内を想定しているのではないかというふうに思われますけれども、今回の紅こうじの関連の製品でも、亡くなられた方もいらっしゃいます。重篤の方々がいらっしゃいます。同時に、重篤の範疇にはならないであろうけれども、つらい思いをされている方々もおられます。この十五日、三十日というのは遅過ぎるというふうに思うわけです。

 命と健康を一刻も早く守るというためにも、原因究明、分析、これを一刻も早く進めるためにも、もっと早く報告をするように義務づけるべきだというふうに思いますし、報告をしなかった場合の罰則も設けるべきだというふうに思っております。

 今三点申し上げましたけれども、その点、消費者担当大臣、そして副大臣、お願いしたいと思います。

自見国務大臣 お答えをいたします。

 今般の閣僚会議におきまして取りまとめられました今後の対応に基づきまして、消費者庁といたしましては、今後、届出者が健康被害と疑われる情報を収集する中で、医師が診断した情報を把握した場合には、速やかに、消費者庁長官及び都道府県知事等、具体的には都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長に情報提供することを、内閣府令である食品表示基準において届出者の遵守事項とする予定でございます。

 委員御指摘の一点目についてでございますが、機能性表示食品を巡る検討会におきまして、提出期限については、食品における類似の制度も参考に、重篤度等に対応して明確なルールを定めるべきとされたことを踏まえまして、検討を進めてまいるというところでございます。

 また、委員御指摘のもう一点でございますが、食品基準に規定することにより、同基準に違反した場合、食品表示法に基づき指示、命令などの行政措置を適切に行うこととなります。

 また、もう一点御指摘ございましたが、医師の診断の有無にかかわらず、消費者から直接寄せられる情報につきましては、機能性表示食品を巡る検討会の結果を踏まえまして、しっかりと検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

浜地副大臣 今、食品表示基準につきましては自見大臣が御答弁をされたとおりでございます。

 厚生労働省としましては、まず、食品衛生法の方ですね、衛生法の施行規則を改正しようというふうに考えております。そこでは、機能性表示食品を製造、販売する営業者に対して、都道府県知事等への情報提供を義務づけるということで調整をしたいというふうに思っております。

 食品衛生法の施行規則の中におきましての情報提供の期限につきましても、事業者が判断に迷わないような明確なルールを消費者庁とも連携しながら定めていきたいというふうに思っております。

 次に、情報提供をしなかった場合の罰則につきましては、食品衛生法施行規則におきまして情報提供の義務化をすることによりまして、営業者がこの義務に違反した場合には、食品衛生法に基づき営業の禁止、停止を行う行政措置が可能となる予定でございます。したがいまして、この行政措置に違反した場合には、食品衛生法に基づく罰則の適用もあり得るというふうに思っております。

 最後に、情報収集の対象につきましては、まず、製造者である届出者においては、医師の診断の有無にかかわらず、健康被害情報を幅広く収集、保管し、これを評価することが必要であろうと思っておりますが、一方で、都道府県に対する届出につきましては、製造者であります届出者が自ら行った上で健康被害の状況を行政に報告することは難しいというふうに思っておりますところでありますので、行政への報告に関しましては、医師により判断されたものが適切であるというふうに厚労省としては考えております。

本村委員 やはり、命、健康を第一に考えた施策、速やかにといって、三十日未満は報告しなくても大丈夫みたいなことにならないように、一刻も早く報告するような制度にしていただきたいというふうに思っております。

 そして、情報提供を受ける都道府県などの保健所設置自治体や、そこが円滑、適切に事務を執行できるように、保健所、衛生研究所の体制強化、これをしていただきたいというふうに思っております。そして、国立医薬品食品衛生研究所などの体制も抜本的に強化するべきだというふうに考えますけれども、厚生労働副大臣、お願いしたいと思います。

浜地副大臣 本村先生の問題意識、全く我々も共有をしているところでございます。

 したがいまして、今後、健康被害の情報提供を受ける保健所等が円滑かつ適切に事務を執行できるように、必要な検討を厚生労働省としても行ってまいりたい、そのように思っております。

本村委員 続きまして、前に戻りますけれども、資料二、三、四に出しました資料を見ていただきますと、健康被害が様々なサプリメント形状の食品で出ているということが分かっていただけるというふうに思います。機能性表示食品でも、特定保健用食品でも、栄養機能食品、そしてその他の健康食品、これに関しましても被害が出ている。

 これに関しまして、サプリメント形状の食品に関して、安全と品質を担保する厳しいルールが必要だというふうに思います。機能性表示食品でいいますと、健康被害情報の中で九一%がサプリメント形状の食品だということで、厳格なルールが必要だというふうに思います。

 時間がないので併せて質問させていただきたいんですけれども、先ほど来御答弁があったように、食品表示基準ですとかガイドラインのみの制度ということではなく、法律にちゃんと位置づけるべきだというふうに思っております。

 安全、品質、機能の担保、これを事前に国がチェックをする制度にするべきだというふうに思いますし、資料の二、三、四を見ていただきますと、健康被害の情報の報告、公表の在り方なんですけれども、幾つか健康被害が出ているのに商品名が分からないというところがございます。やはり商品名も含めて消費者に、私たちに提示をしていただく、そういう義務などを含めて、違反した場合の罰則も含めて、新しい、法律に位置づけた制度にするべきだというふうに考えますけれども、大臣と副大臣、お願いしたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 報告書におきまして、サプリメント形状の加工食品に関する規制の在り方についても今後の検討課題とすべきとの御意見があったことは承知してございます。

 また、五月三十一日に開催されました閣僚会合におきまして取りまとめられた政府の対応方針では、「食品業界の実態を踏まえつつ、サプリメントに関する規制の在り方、許可業種や営業許可施設の基準の在り方などについて、必要に応じて検討を進める。」とされたところであります。

 消費者庁といたしましては、まずはサプリメント形状加工食品に対するGMPの要件化など、機能性表示食品制度の信頼性担保、確保のための措置の検討を進め、関係者との調整を経て実施に移すことが重要だと考えてございます。

 その上で、サプリメントに関する規制の在り方については、厚生労働省とも連携して検討していくことになると認識してございます。

 また、もう一点の御質問に対してのお答えでございます。

 今般の事案を受けまして、私どもの所管させていただいております機能性表示食品制度の信用性、信頼性が問われる事態となったことは事実でございます。

 今般の事案を受けまして、健康被害情報の提供義務化や、サプリメント形状食品へのGMPの要件化、そして、機能性表示食品を正しく理解し、健康の増進、維持のために活用することができるよう消費者教育を強化することなど、五月末に今後の対応を取りまとめ、整理をさせていただいたところでございます。その方向性に従って、必要な制度、そして改正等に取り組んでまいりたいと考えてございます。

秋葉委員長 浜地厚労副大臣、簡潔にお願いします。

浜地副大臣 はい。

 先ほど大臣が御答弁されましたが、厚生労働省としても、サプリメントに関する規制につきましては、食品の衛生監視行政の観点から消費者庁と連携をし、必要な措置を取ってまいりたい、そのように思っております。

 以上でございます。

本村委員 食の安全が子供たちや情報弱者の方々も保障される、命と健康を第一に考えた法制度に変えるということを強く求めて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、吉田久美子君。

吉田(久)委員 公明党の吉田久美子です。

 早速、機能性表示食品の内閣府令改正に向けての現状についてお伺いしたいと思います。

 小林製薬の紅こうじサプリによる腎臓などの健康被害問題の原因究明に向けて、厚労省と医薬品食品衛生研究所において原因物質の特定に取り組まれておりますけれども、五月二十八日に公表されたのは、工場内の青カビが培養段階で混入され、プベルル酸などの化合物が生成されたと見られること、プベルル酸による腎臓組織への毒性が動物実験では確認をされているということで、ほかの二つの化合物についても、更に調べ、特定を進めているところだと承知をしております。いまだ原因物質の特定ができていない中ではありますけれども、今回の事件をきっかけに、機能性表示食品を国民から信頼を得るものに改革しなければならないことは、論をまたないと思います。

 機能性表示食品を巡る検討会による提言案を基に、消費者庁が五月末に、内閣府令改正に向けた対応策を発表したところですけれども、まず、その改正に向けた対応策について、分かりやすく御説明いただきたいと思います。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、五月三十一日に開催されました第二回関係閣僚会議におきまして、機能性表示食品制度等に関する今後の対応が取りまとめられたところでございます。

 そのうち食品表示基準改正で対応することについてお答え申し上げますと、現在、食品表示基準におきまして機能性表示食品制度が規定されているわけでございます。ここでは定義あるいは機能性表示食品の表示事項が定められているわけでございますけれども、私どもの反省点としまして、届出後の運用が全て運用通知に落とされている、こういう状況でございます。

 こういったことを踏まえまして、この取りまとめに基づいて、主に三点申し上げます。

 一つ目としましては、まず、機能性表示食品についての健康被害の情報提供に関する点でございます。この点は、ガイドラインの内容を必要に見直しまして、事業者は、医師が診断した健康被害と疑われる情報を把握した場合には、当該食品との因果関係が不明であっても速やかに消費者庁長官及び都道府県等に情報提供することを、内閣府令における届出者の届出後の遵守事項として位置づけるということでございます。

 また、製造工程管理における製品の品質の確保を徹底する観点から、機能性表示食品の中でもサプリメント形状の加工食品につきまして、GMP、適正製造基準に基づく製造管理、これを届出者の届出あるいは届出後の遵守事項として明記する。

 また、届出時の確認をより慎重に行う手続、あるいは、特保との違い、摂取上の注意事項といった義務表示事項の記載方法などの方式、あるいは表示の位置などの方法、方式、こういったものを改正する予定でございます。

吉田(久)委員 一日も早くこの改正が発出されることが重要かと思いますけれども、今後、いつ、どういうタイミングでこの改正が実施される予定になっているのかをお伺いしたいと思います。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 食品表示法に基づく内閣府令でございます食品表示基準の改正につきましては、消費者委員会への諮問が法定されてございます。したがいまして、消費者委員会への諮問を早速させていただく準備をしておりますし、また、パブリックコメントなどの所定の手続が必要だというふうに認識をしてございます。

 いずれにしましても、この事案の性格に鑑みまして、可及的速やかに公布し、届出者の準備期間を確保するための周知期間を設け、円滑に施行できるように、スピード感を持って取り組んでまいりたいと存じます。

吉田(久)委員 いろいろなところに大きな影響がありますので、可及的速やかにということだと思いますけれども、是非早めに対応をお願いしたいと思います。

 先ほど御説明ありましたとおり、健康被害の報告、また生産管理の厳格化、消費者への情報伝達、この三つの柱で製造企業に遵守項目を設けること、守らなければ機能性表示食品として表示できないように命令を出せるとした点は、既に四月九日の本委員会においても、私も含めて多くの委員から同様の意見も重なっておるところでありますし、我が党からの提言にも明記をさせていただいたものも踏まえたものと理解をしております。

 特に、健康被害の報告については、企業に速やかな報告を求めることはもちろんでありますけれども、企業からの報告を待つだけではなく、消費者庁が医師や薬剤師等から幅広く情報収集する仕組みを持つことも重要だと考えますけれども、どう対応しようと考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げましたとおり、今回制度化の対象といたしますのは、医師の診断を受けた情報を、届出者、すなわち事業者が情報提供するということを制度化する予定でございます。

 他方で、今回の取りまとめに至るまで、消費者庁において設置しました有識者の検討会の報告書の中では、この健康被害に関する情報収集に関しまして、当該症状が当該食品に起因する又はその疑いが否定できないと医師が判断した健康被害情報につきましては、事業者を経由することなく、消費者庁において医師、薬剤師、管理栄養士等から幅広く収集できる仕組み、こういった仕組みを検討する必要性が指摘されてございます。

 こういった御意見なども踏まえまして、今後、健康被害の情報収集体制につきましては、医師会あるいは薬剤師会などの御協力を得ながら、体制整備を検討してまいりたいと存じます。

吉田(久)委員 健康被害だけは速やかに報告を受け取れる体制を進めていただければと思います。

 これらの改正は、機能性表示食品だけの問題ではなく、加工食品全般に適用されてしかるべき内容であり、少なくとも特定保健用食品には適用されるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました五月三十一日の関係閣僚会議における今後の対応におきまして、本事案に対応した機能性表示食品制度の在り方の取りまとめに加えまして、更なる検討課題として、今委員御指摘のとおり、消費者庁長官の許可を得て、食品自体の特定の保健目的が期待できる旨の表示ができる特定保健用食品、通称特保と申しておりますけれども、こちらにつきましても、健康被害の情報提供の義務化あるいはGMPの要件化といった機能性表示食品制度における措置と同様の措置を許可制度の運用上講ずることを速やかに検討することとされたということでございます。

 特定保健用食品は、根拠法がちょっと異なりまして、健康増進法第四十三条第一項に基づく特別用途表示の許可制度として運用してございます。今後、特定保健用食品につきましても、機能性表示食品と同様に、健康被害情報の情報提供、製造工程のGMP遵守について、関係する内閣府令の改正など、必要となる対応を検討してまいりたいと存じます。

吉田(久)委員 今ほどから御説明いただいているGMP、適正製造規範の要件化と今回の事案の関係についてお伺いをしたいと思います。

 今回、GMP、適正製造規範に基づく製造管理を遵守することを機能性表示食品の要件とすることは、信頼性を高める上で極めて妥当だと評価をしたいと思っております。

 その上でお聞きいたしますけれども、今回健康被害を起こした紅こうじ関連製品の事案は、工場内の青カビが培養段階で混入して、紅こうじと関係なく、米培養地を栄養源にプベルル酸ほか二つの化合物が生成されたことが原因ではないか、こう推定されているわけですけれども、小林製薬は今回のケースで、ガイドラインで示されていたGMPを遵守していなかったのか、つまり、GMPを遵守して守っていれば防げていたと断言できるものなのか、また、健康被害を起こしたのは特定の原料ロットに限定されているということでありますけれども、ロットごとに検査をしないと防げなかったものなのか、この辺について御説明いただければと思います。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理に関する指針、委員御指摘のガイドライン、こちらにつきましては、厚生労働省、四月から消費者庁の方に担当を、所管を移管しておりますけれども、広く、いわゆるサプリメント形状の食品について推奨する位置づけでございますけれども、出荷前にロットごとの検査を行うことを求めてございます。

 具体的には、製品の品質管理といたしまして、製品などはロットごとに、容器包装及び表示は管理単位ごとに試験検査に必要な検体を採取するとともに、その記録を作成し保管すること、採取検体をロットごと又は管理単位ごとに試験検査を行うとともに、これも記録を作成し保管すること、こういったことを求めているところでございます。

 他方で、今回の事案の原因につきましては、汚染物質の意図せぬ混入によるものと推定されておりまして、こういった事態をこのGMPに基づく製造基準の遵守だけで防げたものと断定することはできないのではないかと考えております。

 いずれにしましても、今回の事案を受けまして、機能性表示食品制度としましては、制度の信頼性を高めるための措置として、サプリメント形状加工食品については、GMPに基づく製造管理を食品表示法に基づく食品表示基準における届出者の遵守事項とすることとしておりまして、御指摘の点も含めて、実際にどのような運用をしていくかの方法についても検討していく必要があろうかと考えております。

吉田(久)委員 原因究明した時点でまた対応も加えないといけないところもあるかと思いますので、そこら辺はしっかりやっていただければなと思います。

 摂取する上での注意事項の表示についてお伺いします。

 今回の改正で信頼回復を果たした上で、機能性表示食品という表示の意味するところを消費者の皆様が知っていただき、適切に摂取、喫食していただくことが重要かと思います。

 過度に食品の栄養や健康効果を信頼し過ぎてしまうことをフードファディズムと呼ぶそうでありますけれども、そもそも機能性表示食品というのは、事業者側から効能を裏づける論文が一本でも提出されてさえいれば、その論文の質はどうあれ、機能が報告されていますというだけで表示できてしまうものであり、特保のように国が審査をしているわけではなく、安全性、効能についても国がお墨つきを与えているものではないということ。

 たとえ、効能が多くの人から証明されているだとか、原料は自然由来だから安心ですよとうたっていたとしても、濃縮され、サプリメント形状に製造されたものを、健康な人でさえも、取り続けることによって腎臓や肝臓に負担をかけ、肝機能障害等を起こしてしまった事例もあると聞いております。

 また、生活の質を著しく損なう持病がある方などが、SNSなどの効果を誇大にうたった広告に惑わされてしまって、医師に相談せずに勝手に薬と置き換えてしまったり、また、薬を飲みながらそれを加えて飲んだり、それらによって健康被害が出てしまうことなどもあるというふうに承知しております。

 我が党からいち早く、四月九日に自見大臣に手交させていただいた機能性表示食品の改善に関する緊急提言の中でも、本品は多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありませんといった摂取上の注意事項や、本品は疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありませんなどの容器包装上の義務表示事項が、容器包装だけではなくて、インターネット販売また広告などにおいても消費者に分かりやすくしっかりと確認ができるよう、製造者、ネット販売や小売業者への協力の呼びかけを求めさせていただきました。

 摂取における注意事項の表示について、どのように見直しをしていくのかをお伺いしたいと思います。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、食品表示基準におきまして、機能性表示食品の義務表示事項としまして、委員今御指摘のような、安全性、機能性について国による評価を受けた食品ではないといったこと、あるいは、疾病の治療、予防を目的としたものではない、さらには、摂取上の注意事項、こちらは義務表示事項として規定されてございます。

 他方で、今回、検討会の提言、あるいは三十一日の関係閣僚会議で取りまとめられました対応方針に従いまして、この義務表示事項の表示方法あるいは表示の位置といった方式について見直すよう指摘されているところでございます。特に、摂取上の注意事項につきましては、医師に御相談くださいといった丸投げの方式ではなくて、医薬品などとの相互作用や過剰摂取防止のための注意喚起を具体的に記載することが必要といった御指摘をいただいているところでございます。

 こういった御指摘を踏まえながら、まずは、容器包装上の表示の内容、表示の方法をきっちり見直していくということ、さらには、こういった容器包装上の表示を超える広告等につきましては、他の担当ではございますけれども、景表法あるいは健康増進法に基づく誇大広告防止の措置を、いわゆる事後チェックの規制を引き続き適切に運用していくということで対応したいと考えております。

吉田(久)委員 続いて、カスタマーハラスメント対策についてお伺いしたいと思います。

 我が党のカスタマーハラスメント対策検討委員会では、近年深刻化する、従業員に対する顧客等からの悪質なクレームや著しい迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメントについて、各業界団体から現状や取組について数度にわたりヒアリングをさせていただき、議論を深めてまいりました。

 消費者として適切な意見を述べることは商品やサービス向上を促す上で重要でありますけれども、著しく行き過ぎた言動から労働者を守る体制は、人手不足が深刻な中で、早急に整えるべきだと考えております。たとえ従業員側に過失があったとしても、意見を通り過ぎて、人格否定の暴言、長時間に及ぶ叱責、土下座を強要したり等の行き過ぎた行為はカスタマーハラスメントに当たることの認識を広げることは急務だと考えます。

 我が党においては、学校現場を含む公務においても対策の中に位置づけていくことが重要だと、自治労の皆様にもお話を伺いました。公務員に対してのハラスメントも深刻なものであります。内閣人事局、総務省、人事院等の公務員官庁による公務部門における対策の強化も進めていくべきだと強く認識をしているところでございます。

 厚生労働省に伺います。

 オール霞が関で対応に取り組んでいくべきであり、つまり、カスタマーハラスメントについて、一定の範囲を明確にして共通認識にすべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 カスタマーハラスメントにつきましては、消費者が企業に申入れを行うこと自体は正当なものだと考えますが、その際の対応が権利の濫用や逸脱とも言える行き過ぎた事例も見られ、労働者の心身に深刻な影響を与え、休職に至るケースもあると認識してございます。

 こうした労働者に対する悪質なクレームなど、顧客等からの著しい迷惑行為の防止対策を総合的かつ効果的に推進するために、令和三年一月に関係省庁連携会議を立ち上げたところでございます。

 また、令和四年二月には、カスタマーハラスメント対策企業マニュアルを作成いたしまして、カスタマーハラスメントと考えられる言動、またカスタマーハラスメント対策の基本的な枠組みなどをお示ししますとともに、関係省庁の御協力を得まして業界団体等に周知したところでございます。

 加えまして、厚生労働省におきましては、令和五年度には、企業向けのカスタマーハラスメント対策リーフレットを作成したほか、職場のハラスメント撲滅月間におきまして、初めてカスタマーハラスメントをテーマとしたシンポジウムを実施するなどの取組を行ってございます。

 さらに、令和六年度におきましては、カスタマーハラスメント対策に関心を持つ業界団体が業界共通の対応方針などを策定し周知啓発を実施するというモデル事業を行うこととしております。

 引き続き、業界団体や企業において自主的な取組を促進するために支援してまいりたいと考えてございます。

 また、公務部門についてでございますが、国家公務員につきましては、人事院におきまして、カスタマーハラスメントなど組織外からのハラスメントに対する対応が重要との御認識の上、政府における検討、取組等も踏まえつつ対策を進めていくことが必要と考えておられると承知してございます。

 また、地方公務員につきましては、総務省におかれまして、今後新たに、地方自治体に対しまして、ハラスメントを抑止するために厚生労働省が作成したカスタマーハラスメント防止を呼びかけるポスター等を窓口に掲示することを促すとともに、カスタマーハラスメントを含むハラスメント対策を実施する好事例を収集し、情報提供を行い、その中で例えば効果的な広報の取組などがあれば、そのような情報についても共有を図ることとされているというふうに承知してございます。

吉田(久)委員 もう一問ありましたけれども、時間になりましたので、以上で質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、金子容三君。

金子(容)委員 自由民主党、長崎四区の金子容三です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今日は、消費者行政に関して網羅的に質問させていただきたいと思います。開会より機能性表示食品に関して多くの質疑が行われておりますので少し重複する内容がございますが、質問させていただきます。

 まずは、この度の紅こうじ関連製品に関する事案等を踏まえ、機能性表示食品制度に関する今後の方向性について、改めて政府の見解をお伺いいたします。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 去る五月三十一日の関係閣僚会合において取りまとめられた、機能性表示食品制度等に関する今後の対応の概要についてお答えいたします。

 まず、一つ目としまして、機能性表示食品に関する健康被害情報の行政庁への提供についてのルールでございます。表示責任者でございます届出者は、医師が診断した健康被害と疑われる情報を把握した場合に、因果関係が不明であっても速やかに消費者庁長官及び都道府県知事等に情報提供することを、食品表示法に基づく食品表示基準におきまして表示責任者である届出者の遵守事項とする、併せて、食品衛生法施行規則においても、機能性表示食品の製造を行う者の義務とするということでございます。

 また、二つ目としまして、機能性表示食品制度の信頼性を高めるための措置といたしまして、製造工程管理による製品の品質の確保を徹底するため、機能性表示を行うサプリメント形状加工食品につきまして、GMP、適正製造規範に基づく製造管理を届出者の遵守事項といたします。

 このほか、機能性表示食品の容器包装上における義務表示につきまして、安全性に関する事項を中心に表示方法や表示方式を見直す、その他信頼性確保のための措置を講ずることとしております。

 また、法令関係ではございませんけれども、消費者庁における機能性表示食品のウェブサイトの情報提供のDX化の推進、あるいは消費者教育の強化というものが指摘されているところでございます。

 法制面での対応につきましては、食品表示基準の改正で対応することとしておりまして、消費者委員会への諮問等の必要な手続を経て、可及的速やかに公布し、届出者の準備期間を設けるために必要な経過措置も検討の上施行するということとされてございます。

金子(容)委員 消費者の安全を確実に守るためには厳格な制度が必要であるというふうに考えております。

 機能性表示食品の今後の方向性に対する消費者庁としての受け止め方について、見解をお伺いいたします。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 今回の小林製薬による事案により、結果として、機能性表示食品制度に対する信頼が問われることとなりました。

 五月三十一日に取りまとめた対応方針では、有識者による検討会の提言などを踏まえ、健康被害情報の提供義務化、サプリメント形状食品へのGMP、適正製造規範の要件化、機能性表示食品を正しく理解し、健康の増進、維持のために活用することができるよう消費者教育を強化することなど、今回の事案を受けて、想定される対応策を整理することができたと考えております。

 今後、この対応方針に即して、制度への信頼性確保に向け、必要な法制面での対応や、予算や組織・定員の要求等の検討を進めてまいりたいと考えております。

 法制面での対応では、食品表示基準、内閣府令でありますが、改正について、消費者委員会への諮問やパブリックコメントといった手続を経て、可及的速やかに公布し、届出者の準備期間を確保するための周知期間を設けた上で速やかに施行できるように、しっかりと対応してまいります。

金子(容)委員 ありがとうございます。

 機能性表示食品を巡る検討会の報告書にも記載されておりますけれども、機能性表示食品は、事業者の責任において、特定の目的が期待できる旨の表示を行って、消費者庁長官に届出をし、公表されるものでもあります。そのため、規制、要件を厳格化し過ぎることは、安全性や機能性に関する科学的根拠の情報開示が求められないその他のいわゆる健康食品に戻る可能性のある食品が増えることとなり、そのことが消費者の選択肢を狭める結果に陥らないよう留意すべきであります。

 また、実効性のある対応策とするには、事業者の実行可能性も考慮し、準備期間として一定の期間が必要であると考えます。消費者の安全はもちろん、事業者の可能性もしっかりと見据えた方向性を示していただきたいと思います。

 次に、ここからは、来年度から始まります第五期消費者基本計画の策定に向けて、現在走っている第四期基本計画の現状について質問していきます。

 まず、地方消費者行政強化作戦二〇二〇についてです。

 地方消費者行政強化作戦二〇二〇は、第四期基本計画を踏まえ、どこに住んでいても質の高い相談、救済を受けられ、消費者の安心、安全が確保される地域体制を全国に維持拡充することを目指し策定されましたが、消費者庁として現状どのような認識を持っているのか、お伺いいたします。

植田政府参考人 お答えいたします。

 地方消費者行政強化作戦二〇二〇ですけれども、御指摘いただきましたとおり、地方消費者行政においては、どこに住んでいても質の高い相談、救済を受けられ、消費者の安全、安心が確保される地域体制を全国的に維持拡充することを目指して取組を進めることが重要と考えております。

 このため、消費者庁では、地方消費者行政強化作戦二〇二〇を定め、消費生活センターの設置促進、消費生活相談員の配置、レベルアップの促進、消費者安全確保地域協議会の設置等を目標に、地方公共団体の取組の支援等を進めてきておるところでございます。これによりまして、消費生活センターの設置や消費生活相談員の配置が全国的に進むなど、全体として着実に取組が進展してきております。

 また、相談員の研修参加や消費者安全確保地域協議会の設置など更なる課題には、それぞれの施策も充実させてきておるところでございます。引き続き、地方消費者行政の充実強化に向けて、地方公共団体の自主財源に裏づけされた安定的な取組と国の支援とを適切に組み合わせて、しっかりと取組を進めてまいります。

金子(容)委員 次に、地方消費者行政強化二〇二〇で定められている政策目標ごとについて見ていきたいというふうに思っております。

 見守りネットワークについて質問いたします。

 二〇二〇では、政策目標の一つとして、高齢者等の消費者被害防止のための見守りの充実が掲げられております。

 私の地元長崎県では、消費者安全確保地域協議会の設置において、設置市区町村の都道府県内人口カバー率が八三%と、目標値である五〇%を超えております。

 一方で、四十七都道府県のうち半数以上は目標値を達成しておりませんけれども、見守りネットワークの設置促進にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

植田政府参考人 お答えいたします。

 高齢者や障害者等の配慮を要する消費者については、消費者被害の未然防止、拡大防止のために、地域で見守る活動が重要と考えております。

 このため、消費者庁では、地方公共団体の消費者行政担当部局や消費生活センターのほか、福祉関係者、警察、民間事業者など、多様な関係者が連携し、配慮を要する消費者の被害を防止する、御指摘いただきました、いわゆる見守りネットワーク、消費者安全確保地域協議会につきまして、地方消費者行政強化作戦二〇二〇の目標にも定め、設置を促進しているところでございます。

 具体的には、地域協議会の設置に向けまして地方公共団体への直接的な働きかけを行うほか、福祉部局等との連携の促進や優良事例の紹介、地域の見守りに御協力いただける団体の養成、地方消費者行政強化交付金を通じた地方公共団体への支援などの取組を継続的に行っているところでございます。

 こうした取組も通じまして、見守りネットワーク設置自治体は着実に増加してきており、本年の四月末時点で、設置自治体数は四百九十七となっております。委員御指摘の長崎県も含めまして、見守りネットワークを既に設置いただいている自治体の工夫等も参考にしつつ、引き続き、まだ設置されていないところにつきましては見守りネットワークの設置をしていただくように、また、活動の促進に取り組んでまいります。

金子(容)委員 次ですが、地方消費者行政強化二〇二〇には、また政策目標として、若年者の消費者教育や地域における消費者教育の推進体制の確保などの消費者教育の推進も掲げられております。

 消費者教育の推進においても、協議会の設置や消費者教育推進計画の策定、講習等の実施ができている市区町村の割合が目標値を下回っている都道府県がまだまだ多いというふうに認識をしております。

 例えば、金融経済教育推進機構が今年度設立をされまして、今後は認定アドバイザーが地方で出前講座等を開催し金融経済教育を推進していくということですけれども、消費者庁においても、学校や地方でもしっかりとした消費者教育を推進していくことが必要であるというふうに考えます。

 また、デジタル化が進み、子供たちも気軽にスマホなどを通して消費者となる環境が増えてきている今現在では、消費者庁の進める消費者教育の重要性は大きなものであるというふうに考えます。

 消費者庁として今後どのように政策を進めていくのか、見解をお伺いいたします。

藤本政府参考人 お答えいたします。

 消費者教育の推進につきましては、消費者教育推進法及び基本方針に基づきまして、ライフステージに応じた体系的かつ継続的な取組を進めてまいりました。

 若年者につきましては、実践的な消費者教育教材を作成しまして、中学、高校、大学等への出前講座を実施しているほか、若手、壮年期、退職期、各層の従業員向け研修プログラムを開発し、講師派遣の実施などにより、職域での消費者教育を進めております。また、高齢者向けにデジタル関連のトラブル回避のための教材を開発、提供するなど、各ライフステージにおける教育を推進しております。

 さらに、委員からも御指摘のありました金融経済教育の推進に当たりましては、金融トラブル未然防止策や、家計管理、生活設計等の消費者教育の内容につきまして、金融経済教育推進機構の教材コンテンツの作成に協力するなど、金融庁との連携を図っております。

 加えまして、昨年度は、若年、社会人、高齢者の各世代に多い被害に係るVR、バーチャルリアリティーの動画等により、悪質商法被害の防止に必要な消費者力を育成、強化する体験型教材を作成いたしました。今後この教材が様々な場で活用されることを通じ、気づく、断る、相談する等の消費者力アップにつながるよう、消費者教育の一層の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

金子(容)委員 ありがとうございます。

 いろいろと取組をなされているというふうには認識をしておりますけれども、まだまだ計画値を達成していないところがたくさんあるわけなので、計画を立てるだけでは意味がなくて、それをまず実行して実績をつくる、それで、なぜその実績が伴っていないのかというふうな要因分析をしっかり行うことで更に推進を進めていくというようなPDCAサイクルをしっかり行っていくというふうに、こちら方針にも記載されておりますので、そういったことをしっかりと行っていただきたいということを求めていきたいというふうに思っております。

 続きまして、質問通告の順番を入れ替えまして、公益通報者保護制度について質問いたします。

 消費者の安全を守るためには、消費者教育の推進が重要なことはもちろんですが、事業者や従業員の教育についても非常に重要なことと考えます。この度の紅こうじに係る事案とは異なりますが、最近でも、自動車業界におきまして不正行為、いろいろと問題が生じております。

 問題のある事案が発生した場合においては、従業員からの通報が早期解決の糸口になるようなケースもあります。また、事故を未然に防ぐことも可能になると考えますが、政府の見解をお伺いいたします。

藤本政府参考人 お答えいたします。

 令和二年六月の公益通報者保護法の改正によりまして、事業者には、従業員等からの公益通報を受け付ける窓口の設置や周知、教育など、体制の整備が求められております。

 消費者庁では、こうした制度に関しまして、本年、就労者、事業者、行政機関に対して実態調査を行ったところであります。

 その結果、従業員数三百人超の事業者に勤める就労者の半分超が内部通報窓口の設置を認識しておらず、就労者に対する事業者の周知が十分でないこと、三分の二の民間事業者が、年間の通報受付件数につきまして、〇件、一件から五件、又は把握していないと回答しておりまして、窓口の活用が限定的であること、一定割合の事業者が、通報の受付や調査、是正を行う従事者を指定していない、内部規程を整備していない、通報を理由とする不利益取扱いの禁止について周知していないことなどの結果も存在することが明らかとなりました。法律や指針が求める事項の徹底や制度の実効性の確保は道半ばであると受け止めております。

 このため、消費者庁では、令和二年改正法の附則の規定も踏まえまして、今年五月に、有識者で構成される検討会を立ち上げたところであります。検討会での御議論を公益通報者保護制度の改善につなげてまいりたいと考えております。

金子(容)委員 こちらについても、制度があるだけでは意味がありませんので、しっかりと実効性を持たせた運用を心がけていただきたいというふうに強く求めたいと思います。

 続きまして、消費者庁は二〇二〇年に、新たな恒常的拠点として新未来創造戦略本部を徳島県に設置をいたしましたが、同本部が徳島県にあることの意義についてお伺いいたします。また、同本部の成果についてどのように評価をしているのか、政府の見解をお伺いいたします。

植田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきました新未来創造戦略本部でございますけれども、二〇二〇年に徳島県に設置をしております。そちらでは、デジタル化等による新しい課題に関する消費者政策研究を行うとともに、実証フィールドを活用した先駆的な取組の試行を行うモデルプロジェクトなどを行っております。具体的には、見守りネットワークの先駆的モデルの構築、消費者志向経営の推進などの取組を実施してきているところでございます。

 見守りネットワークにつきましては、徳島県、香川県、兵庫県において全市町村で設置済み、消費者志向経営につきましては、消費者志向自主宣言を行っている事業者数が徳島県が全国第二位となるなど、本部を拠点として置く徳島県やその近隣県の地域で成果を上げているということでございまして、本部を置いているということの意義として、成果として積極的に評価をしているところでございます。

 また、徳島県にあることの意義でございますけれども、こうした実証フィールドを活用したモデルプロジェクトの実施、活用に当たりましては、地元の自治体の協力が不可欠でございます。

 徳島県においては、例えば、モデルプロジェクトに御協力いただける市町村や事業者、関係団体等を御紹介いただいておりますし、また、徳島県の実施するイベントにおいて新未来創造戦略本部の取組を情報発信する機会をいただくなど、本部のプロジェクトに積極的に連携していただいているという環境が整っているところでございます。

 また、本部につきましては、働き方改革の拠点でもございまして、職員のワーク・ライフ・バランスの向上が図られておるということで、こうしたことも、モデルプロジェクトや政策研究に集中できる環境が整備されているところでございます。

 こうしたことも要因となって、新未来創造戦略本部の成果に結びついていると考えております。

金子(容)委員 最後に、第五次基本計画の策定に向けて質問させていただきたいと思います。

 大臣所信におきまして、消費者法制度のパラダイムシフトに向けて検討を進めていくということでありますけれども、これは具体的にどういうことなのかということに加えまして、今決まっております第五期の基本計画について、どのような基本方針となるのか、消費者庁にお伺いいたします。

秋葉委員長 黒木総括官、持ち時間が経過しておりますので、簡潔に御答弁願います。

黒木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、パラダイムシフトについて御指摘をいただきました。

 高齢化やデジタル化の進展など消費者を取り巻く環境が大きく変化する中で、消費者法制度の在り方を抜本的に見直す必要があるということが考えられます。この点につきましては、本委員会の附帯決議においても御指摘をいただいていたところでございます。

 消費者庁では、一昨年来の有識者懇談会を経まして、現在、消費者委員会に諮問いたしまして、この件について審議をいただいているところでございます。

 パラダイムシフトの具体的問題意識、種々ございますけれども、例えば、従来の消費者法制度が、情報の質、量、交渉力の格差を是正すれば消費者が事業者と対等に取引ができるという前提で規律してきたことに対し、現実の消費者は情報等が与えられても必ずしも合理的に判断できるわけではないといった様々な脆弱性を持つことを正面から捉えているところでございまして、このような考え方に基づきまして、抜本的な見直しの検討を進めているところでございます。

秋葉委員長 植田君、簡潔に、一言でお願いいたします。

植田政府参考人 第五期消費者基本計画の検討に当たりましては、例えば、デジタル社会においては誰しもが不利益、不公正な取引にさらされる可能性があることに配慮した消費者利益の擁護、高齢化、孤独、孤立社会に対応した包括的な消費者支援の在り方等の観点について有識者懇談会で御意見をいただきましたり、また消費者等の当事者の声をしっかり伺った上で、中長期先の未来を見据えた新たな消費者基本計画を策定してまいります。

 以上でございます。

金子(容)委員 ありがとうございました。(発言する者あり)失礼しました。以後気をつけたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、武井俊輔君。

武井委員 時間も来ておりますので、早速質問させていただきます。

 自民党の武井俊輔です。

 今日は、非常に小さなお子さん、傍聴者の皆さんもと言ったらちょうど帰られるので、どうもありがとうございました。こうして消費者問題に関心を持っていただいて、ありがたいなと思っております。

 早速ですけれども、今自民党の中でもカスハラについて、先ほど吉田委員からもお話がありましたけれども、議論をしているところでございまして、まずこの辺からお伺いをしたいと思います。

 消費者庁というのは、元々、悪質な事業者とか、またそういった問題のある物品に対する対応ということで、どちらかといえば、消費者は弱い立場であって、それを守る、消費者を保護するというのが基本的なコンセプトである。これは今後も変わらないというふうには思いますが、このカスハラというのは、一方では消費者が言ってみれば加害者にもなるというものであるわけでありまして、今までの消費者庁の基本的なスタンスとはまた違う立場で取り組んでいく必要があるというふうに考えますが、消費者庁としてこのカスハラの問題をどのようにまず捉えておられるか、お伺いしたいと思います。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 消費者が事業者に適切に意見を伝えることは、事業者の提供する商品やサービスの改善を促すことにもつながるものであり、消費者市民生活の形成を目指す消費者教育の理念に沿ったものと考えております。

 委員御指摘のとおり、消費者が、従来の保護される脆弱な消費者としてだけではなく、自立した責任のある行動を通じて社会的な役割を果たしていくことができるよう、消費者教育を推進していくことが重要であると考えております。

 昨年三月の消費者教育の推進に関する基本的な方針の改定においては、消費者と事業者が双方向のコミュニケーションを深化させ、共創、協働するパートナーとしての関係へと高めていくことを盛り込むなどの拡充を図ったところでございます。消費者が公正で健全な市場への参加者という自覚を育成できるよう、消費者教育の取組を一層進めてまいります。

 今、カスタマーの話がありました。昨今、いろいろな問題がありまして、消費者がクレームをつける場合と、逆に事業者が、カスタマー、様々な問題があります。多岐にわたりますので、その辺をしっかりと検討しながら、そしてまた、消費者庁として発信力を強くすることが大切だと考えておりますので、その辺を踏まえて、検討課題とさせていただきます。

武井委員 お願いしたいと思います。

 党でもカスハラに関する議論をしてきたわけですが、その中で私も話をしましたし課題になっているのは、いわゆる名札の問題ですね。今はSNSなどもありまして、それを撮られてアップされたりとかいろいろな課題もあるわけでありまして、特に、最近は名前を、例えばコーヒーチェーンなんかですと、ケイとかジュンとか、そういう名前になったりとか、いろいろなものもあるわけで、別に、これは必ずしも本人を、お客様は自分が名札を着けているわけじゃないわけですから、フルネームで名のる必要が本当にあるのかということは、大分考えていかなければいけないわけであります。

 私はバス議連の事務局長というのをしておりますが、今年から、バスとかタクシーは氏名の掲示をやめたんですね。タクシーの乗務員証、裏を返せば名前があるんですけれども、今は番号しか書いていない。しかし、じゃ、それで社会が何か問題があるかというと、何も問題ないというふうに思うわけで、やはりそういったようなものを進めていくべきだというふうに思っております。

 そういった中で、一点お伺いをしたいんですが、我々は毎週のように飛行機を使うわけですけれども、空港の例えば保安業務などを見ると、名札の下にフルネームで名前を提げているわけですが、例えば、こういったようなものは、実際に国交省の様々な指針等でそういったようなことが定められているということでありますが、こういった様々な国の指針等でフルネームの掲示をしなければいけないというようなものは、まず、いろいろと改めるべきものは改めていくということを積極的に進めていくべきではないかというふうに思いますが、この保安業務について対応はできるのか、国交省にお伺いします。

蔵持政府参考人 お答えいたします。

 空港内で働く職員のうち、制限区域内で業務に従事する保安検査員などに対しましては、国際民間航空機関のガイドラインに準拠した航空局の通達に基づきまして、常に外部から容易に視認できるように立入り承認証を身に着けることが求められております。

 この立入り承認証に関しましては、顔写真、氏名、立入り可能区域等が記載されておりますが、その氏名については、外部から視認できない措置を講ずることができないかと一部の空港から要望があったところでございます。このため、令和元年八月より、当該空港においては、氏名の部分にシールを貼付する対応を運用上認めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、このような対応を今後他の空港に広げていくことが重要であると考えております。委員の御指摘を踏まえまして、今後、各空港の関係者に対しまして情報提供等を行ってまいりたいと考えております。

武井委員 お願いします。

 これは、例えばCAさんなんかは今も名字だけであって、空港の窓口の方だけフルネームを掲示するというのもちょっとやはり、必要なのかということもありますので、資格が分かるということとフルネームを掲示するということはまた違うわけですから、是非柔軟に対応をお願いしたいと思います。

 その上で、例えば、このカスハラ、最近は空港やお店でもポスターとかを間々見るわけでありますけれども、こういったようなものをなかなか、サービス業というのは現場で作るというのは、お客さんもあることですから難しいわけですね。例えば飲酒運転防止などは、警察が作って、当店ではお断りしますみたいな、宮崎は宮崎県警察みたいなポスターが貼ってあったりするんですが、こういうものであれば、これは警察が持ってきたんだなということで比較的貼りやすいなどというような声をお店からも聞くわけであります。

 そういった意味でも、こういったカスハラの防止、またこういったような様々な課題についても、むしろ行政側でしっかりとポスターを作ってお店に貼ってもらう、こういったような形で、サービス業というのは、私も現場で仕事をしてきましたけれども、やはりお客さんに弱いわけでありまして、そういったような方が苦労せずにこういったようなことを啓発できるような取組というものを積極的に進めていく必要があると考えますが、対応をお伺いします。

吉岡政府参考人 お答えいたします。

 店舗等で活用できますポスター等の提供についてのお尋ねでございます。

 消費者庁といたしましては、これまで、消費者が事業者に意見を伝える際のポイントに関する啓発チラシを作成いたしまして消費者への周知を図るとともに、関係省庁の協力も得まして、小売業界等の事業者団体にも活用していただけるよう取り組んできたところでございます。

 また、二〇二二年、令和四年には、消費者向けの啓発普及ポスターとしまして、「STOP!カスタマーハラスメント」を厚生労働省、消費者庁等七省庁の連名で作成いたしまして、事業主や消費者団体等に活用を促してまいったところでございます。

 今後とも、関係省庁と連携いたしまして、消費者の目に触れやすく、店舗等において活用しやすい啓発資料を作成いたしまして活用を図っていくことが重要であると考えておりまして、引き続き、効果的な啓発方法を検討しながら、取組を進めてまいりたいと考えております。

武井委員 皆さんが啓発するのも大事なんですけれども、お店が啓発をし、最終的には、ユーザーはそこにいるわけですから、そういうところで効果的になるようにお願いをしたいと思います。

 続きまして、私、旅館とかの皆さんのお仕事などもよくするんですけれども、やはり非常によく御相談があるのは、こういったブラックリストみたいなものを共有できないのかと。要するに、問題のあるお客さんというのは、あっちのお店に行ってもこうし、こっちのお店に行ってもこうしということがあるわけであります。

 ただ、一方でやはりプライバシーの問題もありますから、個人情報を共有するということは非常に課題はあるわけでありますが、少なくとも、氏名はともかくとして、こういう客が最近この地域に来てこういう言動を繰り返しているといったようなこと、言ってみれば風体、例えば、何十代とか、男性とか女性とか、一人なのか夫婦なのかとか、ある程度のことについてはそういった地域で一定の共有をして対策をしていくということは、私はあっていいというふうに思うんですね。

 やはりそういったようなことに対して、そして、かつ、お店側がこういう対応をしましたみたいな、こういったようなことも含めて、こういった情報を共有して蓄積をしていくことによって、全体としてこのハラスメントに対する対応能力を高めていく必要があるというふうに思うんですが、このようなブラックリストといいますか、そういった対応の蓄積を共有していくことについて、どのように取り組む意思があるかも含めて、お伺いしたいと思います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 カスタマーハラスメントにつきましては、消費者が企業に申入れを行うこと自体は正当なものだと考えますが、その際の対応が権利の濫用や逸脱とも言えます行き過ぎた事例も見られ、労働者の心身に深刻な影響を与え、休職に至るケースもあると認識してございます。

 厚労省といたしましては、カスタマーハラスメント対策につきまして、現在、パワーハラスメント防止指針におきまして、各企業の取組として、相談体制の整備等を事業主が行うことが望ましい取組としてお示しするとともに、業種、業態等における被害の実態や業務の特性等を踏まえた取組を進めることも効果的である旨もお示ししているところでございます。

 こうしたことも踏まえまして、令和四年二月に、関係省庁連絡会議等での議論を経まして、カスタマーハラスメント対策企業マニュアルを作成して、カスタマーハラスメントと考えられる言動、またカスタマーハラスメント対策の基本的な枠組みなどをお示ししているところでございます。現在、業所管官庁の御協力を得まして業界団体等に周知しており、業界団体や企業によっては、本マニュアルも踏まえた独自の実効的な対策を推進されていると承知してございます。

 また、先生御指摘の、個々の企業が受けましたカスハラ事例の企業間の共有についてでございますけれども、厚生労働省が運営しておりますサイト、あかるい職場応援団におきまして、個別企業が受けたカスハラの被害の事例とそれへの具体的な対応策などを公表し、他の企業等への周知を図っているところでございます。

 さらに、令和六年度におきましては、カスタマーハラスメント対策に関心を持つ業界団体が業界共通の対応方針を策定し普及啓発を実施するというモデル事業を行うこととしておりまして、引き続き、業界団体、また企業における自主的な取組を促進するために支援してまいりたいと考えてございます。

武井委員 取組は十分理解しているんですが、できるだけ具体的に、例えば地域とか、やはりタイムリーさが非常に大事ですので、いろいろと工夫をして取り組んでいただきたいというふうに思います。

 続きまして、やはり、こういったようなカスハラというのは、これは犯罪でありますから、例えば、嫌がる人をスマホで撮影すれば軽犯罪法違反でありますし、過度に謝れと言うのは強要罪でもあるわけですから、私は、警察も、もちろん事例に即してという警察の御回答は分かりますけれども、積極的に関心を持っていただくことは大事だというふうに思っております。

 そういった中で、警察官立ち寄り所というのが書いてありますよね、いろいろなところに。これというのは、アマゾンなんか、ネットでも実はステッカーを売っていたりとかしてよく定義が分からないんですが、例えば、こういったようなものを、名称はどうするかというのは別として、より拡充していくということも必要ではないかというふうに思うんです。

 この警察官立ち寄り所というのは、そもそもどういう定義でどういうふうに取り扱われているのか、お伺いしたいというふうに思います。

和田政府参考人 御指摘のカスタマーハラスメントを含め、警察では、様々な犯罪被害を訴える通報や相談があった場合には、被害者の心情に寄り添い、訴えの内容を正確に把握し、適切な助言等を行うこととしており、その中で刑罰法令に違反する行為があれば、法と証拠に基づき適正に対処することとしているところです。

 また、いわゆる警察官立ち寄り所に関しては、都道府県警察において、学校等の公共性の高い施設や、強盗、窃盗等の犯罪被害に遭うおそれのある金融機関、コンビニエンスストア等に設置されているもので、制服警察官等が巡回の途中に立ち寄り、必要な警戒や防犯指導等を行っているものと承知しております。

 警察といたしましては、警察官立ち寄り所の趣旨や目的、その時々の社会情勢等も踏まえ、その設置や運用について、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。

武井委員 是非こういったような対策にも積極的に皆様にも取り組んでいただきたいと、重ねてお願いをしておきたいと思います。

 ちょっと時間も限られてきましたので、次に参ります。

 観光に関してであります。

 今、例えば京都で、非常にバスが混んでいて、市民を割り引くことができないか、外国人と価格に差をつけられないか、そういったような議論もあったりもしたわけでありますし、今、円も安くなって、外国人にとっては非常に安いんだけれども、日本人にとっては非常に高いというようなこともあるわけであります。

 そういう意味で、私、外務省にもおりましたが、諸外国では二重価格というものもある国もあるわけでありますけれども、今後、こういった二重価格というものを、例えば日本人を割り引くという形もあるかと思うんですが、対応していくということが日本でもできるのか。対応は今後考えていかなければいけないと思うんですが、これについての見解をお伺いしたいと思います。

石塚政府参考人 お答え申し上げます。

 観光分野は、旅行者の宿を提供する宿泊事業や移動手段を提供する公共交通など、サービスの形態や業種も多岐にわたるため、一律にお答えすることは難しいものと考えております。

 その上で一例を申し上げますと、宿泊料金については、各宿泊事業者において提供するサービスの内容やそのときの需要動向等も踏まえ、自らの経営判断に基づき自由に定めることが可能となっております。

 なお、国際観光ホテル整備法の登録を受けた宿泊施設については、宿泊料金等について、外客とその他の客との間で不当な差別的取扱いをしてはならないこととされております。

 また、公共交通のうち、例えば乗り合いバスの運賃については、道路運送法において、特定の旅客に対して不当な差別的取扱いをすることを禁じております。

 一方、観光需要で混雑し、地域住民のバス利用に大きな影響がある地域があることなどを踏まえ、住民の方々が利用する一般の路線バスに加えて、通常運賃よりも高い価格を設定し、観光施設へ直行、急行するバスを設定できる制度、また、日常的にバスを利用されている地域住民を始めとする多頻度利用者等への割引を前提として、通常より高い運賃設定を可能とする制度が新設されております。

 このように、観光分野における御指摘のような価格設定については、各事業の実態や各種法制度に基づきながら、各事業者において対応されるものと承知しております。

武井委員 不当な差別という言葉が非常に重く受け止められて、確かにいけないことではあるんですけれども、そこをできるだけ時代に即して柔軟に考えていくということは、不断に、また観光庁でも考えていただきたい。これはお願いしておきたいと思います。

 最後になりますが、一点、ホテルの関係で、これは前から私もちょっと問題意識を持って消費者庁等ともお話をしているんですが、インターネットでホテルを取る、例えばその日にホテルを取ろうとすると、残り一室と出ているわけですね。みんな、残り一室と出ているから早く取らなきゃいけないと思い、残り一室で取るんだけれども、残り一室で取っても、また残り一室と出るわけですね。それで時間がたつとそのホテルが安くなっていたりとかするわけで、要するに、実際はこれは残り一室じゃないわけですね。残り一室じゃないけれども、残り一室と書いていると、早く取らなきゃなということで、高い値段のうちに取っちゃう。でも、それが夜、もうちょっと、十一時とかになったら安くなっているとかということがあるわけなんです。私は、消費者庁はそうではないとおっしゃるけれども、これはやはり優良誤認じゃないかと思うんですね。

 こういったようなことは、きちんとシステム上改善できるはずですから、やはりきちんと改めるように指導するべきではないか。特にビジネスマンなんかは、やはりそういうところで少しでも安いものを選んだりするわけですよね。残り一室で、もうここでこれを取らないと今日泊まれないかもしれないと思ったら、高くても取ったりするわけですから、やはりこういうことはよくないわけでありますから、しっかり指導するべきではないかと思いますが、見解を求めます。

秋葉委員長 消費者庁真渕審議官、簡潔にお願いします。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の残り一室という表示につきましては、それのみで、景品表示法が定めております著しい優良性や有利性を持つとは考えられないということで、当該表示のみをもって直ちに景品表示法上問題となるものではないというふうに考えております。

 他方、適切な表示は消費者の利益保護にとって重要でございますので、残り一室という表示が他の表示内容と相まって表示全体から見て景品表示法上問題となるような場合には、法と証拠に基づいて適切に対処してまいりたいと考えております。

武井委員 終わりますが、これはちょっとなかなか国民の皆さんの理解は得られないのではないかと指摘をして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党の大西健介です。

 私は、機能性表示を巡る検討会の報告書が出た段階でこの委員会を開いてしっかり議論しないと、消費者特別委員会として、我々立法府として責任を果たせないんじゃないかということを申し上げてきました。今日、こうやって委員会を開いていただいたことに対して、委員長及び与党筆頭の堀内理事には感謝を申し上げたいと思います。併せまして、また、短期間に今回検討会の報告書をまとめていただいた委員の先生方にも心から敬意を表したいというふうに思います。

 今回、時間がなかったので、検討会の中川座長も言われているように、三つに論点を絞って議論したということであります。

 一つ目の論点は、これは言うまでもなく健康被害情報の報告の義務化であります。

 この点、政府は、先ほども出ておりましたけれども、内閣府令の食品表示基準を改正して遵守事項として規定するということと併せて、省令の食品衛生法施行規則でこの報告義務を義務づけるという方針を示されています。

 これまでガイドラインで定めていたものを府令とか厚生労働省令に格上げして明確に義務づけするということは、もちろん私は一歩前進だというふうには考えています。ただ、法律で義務づけなくていいのか、これは私は非常に疑問を持っています。ちなみに、我々立憲民主党は、法律で義務づける食品衛生法改正案を既に国会に提出をしております。

 なぜ、法律で義務づけるのではなくて、府令、省令の改正で済ませるのか、それで本当にいいのか、まずこの点について大臣にお聞きしたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 今般、当庁で開催いたしました機能性表示食品を巡る検討会におきましては、有識者の構成員から、届出ガイドラインに違反しても直ちに食品表示基準に違反しているとして食品表示法に基づく指示、命令や立入検査などの必要な行政措置を講ずることができるかどうか必ずしも明確ではない、したがって、届出ガイドラインの内容を必要に応じて見直した上で、これを食品表示基準又はその委任を受けた告示に明確に規定し、これらの規定を遵守しない場合は主務大臣による指示、命令等の行政措置を講ずることを明確にすることが必要であると指摘をされてございます。

 こうした専門家、有識者の御意見も踏まえまして、届出ガイドラインに記載されている健康被害の情報提供やGMPにつきまして、届出者が届出後であっても遵守すべき事項とすることを食品表示基準に明記する予定でございます。

 こうした措置によりまして、これらを遵守しない場合は、食品表示法第六条の規定に基づき、機能性表示を行って販売を行わないよう指示、命令する行政措置等が可能となると考えてございます。

 以上から、健康被害情報の提供を行政措置等で担保するために、食品表示基準、内閣府令の改正で対応可能と考えてございまして、消費者委員会への諮問など必要な手続を経て、可及的速やかに公布することとしたいと考えてございます。

大西(健)委員 私の質問に全く答えになっていないんですよね。だって、ここは消費者特別委員会、立法府ですよ。私が言っているのは、何で府令、省令みたいな改正で済ませるのかと。これは予算委員会でも私申し上げましたけれども、この機能性表示食品という制度は、アベノミクスの鶴の一声で、極めて短期間に、国会審議を経ずに、これは食品表示基準の改正だけでできた。そこにまず、私は大きな問題があると思っています。

 つまり、法改正であれば、衆参の委員会で審議をして、国会答弁で懸念点も確認をして、そして参考人の意見も必要なら聞いて、必要なら法案修正もして、そして附帯決議もつけて、そしてこの議論が国会の会議録にちゃんと残るんです。

 ところが、今回も府令、省令の改正で済ませてしまうと、我々国民の代表である立法府の意思も十分に反映させることができないんじゃないですか。

 大臣、今回、人が五人も亡くなっているんですよ。延べ三百人近い人が入院して、医療機関の受診も千五百人を超えている。これだけの被害を受けての今回の改正なのに、また国会の審議、議決なしに決めていいのか。私はそれが問題だと思っているんですけれども、併せて、答弁書を読むんじゃなくて、是非大臣の政治家としてのお言葉をお願いいたします。

自見国務大臣 お答え申し上げます。

 今回でございますが、食品表示法第六条の規定に基づき、機能性表示を行って販売を行わないよう指示、命令する行政措置が可能となると考えてございますが、この行政措置には、法的根拠を持ってできる、法令上に明確に規定するということで、法的根拠を持ってできるということで考えているということは繰り返し申し述べさせていただいたところでございます。

 一方で、国会での御議論ということ、あるいは与党、野党を超えた御指摘ということは、いつもながら謙虚に受け止めたいと思ってございます。

 私どもは、今回、機能性表示食品制度につきまして信用が問われる事態となったということを大変重たく受け止めまして、可及的速やかに様々な検討を、専門家の先生方、皆様の御協力をいただきながら進めさせていただきました。

 是非、御理解を賜りながら、消費者委員会への諮問など必要な手続を経て、可及的速やかに、法令につきましての行政措置等を公布することとしたいと考えてございます。

大西(健)委員 今の答弁で速やかにという話がありましたけれども、我々はもう法案を提出していますから、もし賛成していただければ、ほぼ内容的には変わらないので、この国会中にできるんですよ。

 では、府令、省令はいつ改正するんですか。いつまでにやるんですか。

自見国務大臣 様々な手続、必要な手続を経てということでございますが、可及的速やかに公布することとしたいと考えてございます。

大西(健)委員 速やかにと言っているけれども、我々が出している法律は、もう出してあるんですよ。内容も、健康被害情報の報告の義務化、それからGMPの義務化についても検討しろということも書いてありますから、ほぼ内容的には変わらないんですよね。だから、やはり法律を出して、ちゃんと国会で審議して議論を残す、それを二〇一五年のときにやらなかったから、こういうことになっているんだと私は思います。

 では、もう一つ。

 健康被害情報の収集、情報提供が実際にどのように行われるのかについて確認したいんですけれども、これは提供を受けるのは具体的に保健所ということになるんでしょうか。また、それを分析して、では、公表するのはどこがやるんでしょうか。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘ございましたように、今回の閣僚会議において取りまとめられた今後の対応に基づいて、健康被害の情報提供のルールを整備するということでございます。

 こちらの、当方の食品表示法に基づく措置と厚生労働省におけます食品衛生法上の措置、両者で対応していくということでございますが、このルールにつきまして具体的に申し上げますと、届出者でございます食品関連事業者が健康被害と疑われる情報を収集する中で、医師が診断した情報を把握した場合には、速やかに消費者庁長官及び都道府県知事等、これは都道府県の知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長ということでございます、こちらに情報提供することを内閣府令で措置するということでございます。また、食品衛生法の方でも措置するということでございます。

 公表でございますけれども、こういった都道府県知事等に提供された情報の取扱いにつきましては、厚生労働省において集約の上、同省におきまして、引き続き医学、疫学的に分析、評価した上で結果を公表することになると承知しております。

大西(健)委員 今の答弁のように、消費者庁は、その内容を健康上どう影響するのかとか分析する能力というのはないので、分析は厚労省がやって、公表も厚労省がやるということなんですね。

 では、厚労省に確認ですけれども、公表は具体的にどのような形でやるのか。製品名とか症状の重篤度が分かるように公表されるのか。

 小林製薬の例でも、多くの患者がサプリの摂取を中止すれば症状の改善が見られたということですけれども、製品名とか症状が分からなければ、その公表した情報を聞いて、あ、自分も飲んでいるからやめようといってやめれないわけですよ。つまり、被害拡大防止にはならないと思うんですけれども、製品名とか症状というのがちゃんと公表されるんでしょうか。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 機能性表示食品の健康被害情報の報告義務化に伴いまして、都道府県知事等に提供された健康情報につきましては、厚生労働省に集約し、小委員会で医学、疫学的な分析、評価を行った上で、その結果を定期的に公表することといたしております。その際の具体的な公表の仕方につきましては、専門家の意見も伺いながら、今後検討してまいります。

大西(健)委員 今後検討していきますということですけれども、今言ったように、例えば、今回の紅こうじサプリでいえば、その製品名とか症状が分からなければ、飲んでいる人が、あ、これ、私も飲んでいる、これはまずいなと思って飲むのをやめようってできないじゃないですか。

 当然、製品名は公表されるんですよね。

鳥井政府参考人 今回の事案のように、食品衛生法六条二号に該当するものについては、速やかに回収命令等を出し、その際に製品名を併せて公表いたしております。そういったことを踏まえまして、今後、具体的な運用について詰めてまいりたいと考えております。

大西(健)委員 もちろん事業者側の風評被害というのにも配慮する必要はあると思いますけれども、被害拡大を防止することが重要ですので、その観点から、しっかりやっていただきたいと思います。

 機能性表示食品を所管しているのは消費者庁です。消費者庁の使命というのは、消費者の選択に資することであって、消費者の安全を守ることであります。消費者庁にはその自覚と責任を持ってやっていただきたいと思います。

 もう一つの論点がGMPによる製造工程管理の義務化でありますけれども、報告書では、消費者庁がチェックポイントを整備して、届出者が自己点検した結果を消費者庁に定期的に報告しつつ、消費者庁が必要に応じて立入検査を行うということにしていますけれども、この自己点検というやり方は、またもやこれは性善説に立った仕組みであって、これで本当に大丈夫なんだろうか。

 また、立入りをやるというのは、これはなかなか強い権限ですけれども、その監視を地方支分局もない消費者庁でどうやってやるのか。小林製薬の工場の立入検査だって今回厚労省がやっていましたよね。残念ながら、消費者庁には、日本全国のこういったことを監視する能力も人員もないのが現実だというふうに思いますけれども、大臣、この点、いかがでしょうか。

自見国務大臣 お答え申し上げます。

 今般の関係閣僚会議における取りまとめに基づきまして、今後、製造工程管理による製品の品質の確保を徹底する観点から、機能性表示を行うサプリメントについてはGMPに基づく製造管理を食品表示法に基づく内閣府令である食品表示基準における届出者の遵守事項とする方向で法令改正の準備を開始してございます。

 今般のGMPに基づきます製造管理の要件化に当たりましては、都道府県知事等における検査ノウハウも整っていないことも踏まえまして、新たに設ける製造管理基準への遵守をまずは届出者が自主点検することを求めると同時に、食品表示法に基づく立入検査等につきましては、消費者庁自らが権限行使するために必要な体制の整備を行った上で対応していくことを予定しているところでございます。

 今後でありますが、今回の対応方針を踏まえまして、検査等の対象となる製造者数等を捕捉の上、体制の整備に必要な予算あるいは組織・定員等の検討についても、法令改正と同時にしっかりと進めてまいりたいと考えてございます。

大西(健)委員 自己点検というのは、繰り返し言いますけれども、これは性善説に立った仕組みであって、では、それをチェックする、立入検査する体制の整備、今これから予算とか組織を要求していくということですけれども、これは大変な数ですから、本当にやろうと思ったら大変な体制を整備する必要があると思いますので、ここはしっかりやっていただきたいと思います。

 先ほども出ていましたけれども、関係閣僚会合では、健康被害の情報提供の義務化、それからGMPの要件化は、これは特保についてもやらなきゃいけないということであります。もっと言えば、特保に限らず、いわゆる健康食品を含めて、錠剤、カプセル形状のサプリメントを規制する法律を作らなければ、本当の意味で安全を守ることは私はできないと思います。このことは、我々の提出した議員立法の検討条項にも書いていますけれども、報告書の中でもこれは書かれています。

 錠剤、カプセル形状は、かつては医薬品以外での使用は禁止されていたのが、二〇〇一年に解禁をされた経緯があります。成分を濃縮して毎日飲むものなのに、食味がないためについつい多く摂取してしまう。有効性が高くても、有害な成分が入っていれば深刻な被害が出ます。このため、一般の食品と切り離した法律を作るべきだと思いますけれども、大臣、このことは今後どこでいつから検討するのか、お答えをいただきたいと思います。

自見国務大臣 特保は、健康増進法第四十三条第一項に基づく特別用途表示の許可制度として運用している制度であり、今回の取りまとめを踏まえ、機能性表示食品と同様の措置をできるだけ早期に講じることができるよう、現在、事務方に速やかに検討させたいと考えてございます。

 また、後半の御質問でございます。

 報告書におきまして、サプリメント形状の加工食品に関する規制の在り方についても今後の検討課題とすべきとの御意見があったことは承知をしてございます。

 また、五月三十一日に開催されました関係閣僚会合において取りまとめられました政府の対応方針においても、「食品業界の実態を踏まえつつ、サプリメントに関する規制の在り方、許可業種や営業許可施設の基準の在り方などについて、必要に応じて検討を進める。」とされたところでございます。

 消費者庁といたしましては、まずはサプリメント形状加工食品に対するGMPの要件化など、機能性表示食品制度の信用性、信頼性の確保のための措置の検討を進め、また、関係者との調整を経て実施に移すことが重要だと考えてございます。

 その上で、サプリメントに関します規制の在り方につきましては、厚生労働省とも緊密に連携して検討していくことになると認識しているところでございます。

大西(健)委員 そのとおりで、これは消費者庁だけでは手に負えない話で、厚労省も含めてやらなきゃいけないんですけれども、結局、今の答弁では、どこでいつからこれを検討するかも全く決まっていないという話だと思います。

 最後に、検討会の議事録を見ると、海外に比べて、食経験の定義、食経験がない場合の安全性の立証が曖昧とか、販売実績が数年程度あることを食経験の根拠として届け出ているものが目立つといった、食経験に関する意見が複数見られました。

 この点、アメリカのFDAは、食経験を構築するには広範囲の使用が二十五年間あることが最低限としています。それから、欧州の食品安全機関EFSAは、その国の多くの人々により最低二十五年間、習慣的な食の中で使用された経験がある、又は継続的に使用されていることとしています。

 こういう国際的な基準に合わせて十分な食経験の内容を明確にすべきだというふうに思いますけれども、大臣、この点、いかがでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 現行の制度では、届出に当たって、喫食実績による食経験の評価、またデータベースの二次情報などを用いた情報収集、そして最終製品又は機能性関与成分における安全性試験の実施のいずれかにより安全性を評価し、説明できることを求めているところでありますが、喫食実績による食経験の評価に当たって期間を一律に置くことは、御指摘のとおり、していないところでございます。

 他方、機能性表示食品を巡る検討会において、食経験による安全性の評価についても御意見をいただいているところでございます。

 こうした意見も踏まえまして、機能性関与成分の安全性の課題の一つとして、今後、制度の運用に当たって検討を進めてまいりたいと考えてございます。

大西(健)委員 今私が言った食経験のところも、複数の委員が発言していますし、アメリカでもEUでも二十五年になっている。あるいは、厚労委員会で私も何度も指摘していますけれども、機能性関与成分に医薬品成分が含まれていること、これも今回の見直しの中には入っていません。今回、時間が非常に限られていたということで論点を絞っての検討になりましたけれども、まだまだ課題が残っているというふうに思います。

 冒頭に言ったように、これは本来、法改正をして、国会で慎重な審議をやった上で私はやるべきだというふうに思っていますけれども、今日、三時間のこの一般質疑、設定していただきましたけれども、まだまだ不十分だというふうに思っています。

 厚労委員会の方の理事懇で、消費者特との連合審査を求める、こういう声が上がっているというふうに聞いております。これは是非前向きに検討していただきたいと思いますけれども、委員長、よろしくお取り計らいお願いします。

秋葉委員長 はい。検討させていただきます。

大西(健)委員 重ねて申し上げますけれども、やはり、健康食品を含めた錠剤、カプセル形状のサプリメント規制、これこそが私は肝だと思いますけれども、大臣、早急に政府の中に検討の場を設けていただくこと、これをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

秋葉委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 本日は、ちょっと冒頭、二問だけ、ネット上の成り済まし広告について、その後は、本論であります機能性表示食品について伺いたいと思います。

 ネット上の成り済まし広告、問題になっております。有名人の写真を無断で使って投資を持ちかけてお金をだまし取る、ネット上の詐欺広告であります。

 私、不思議なのは、なぜこんな明らかな虚偽広告が野放しになるのかということであります。広告内容の適正さを事前に審査するのは難しいとしても、有名人本人がこれは無許可の成り済まし広告だということで確定したら、広告主を一〇〇%処罰できないとおかしいわけであります。

 成り済まし広告や誤認表示など違法、不当なネット広告を出稿した広告主を事後に特定できるよう、プラットフォーマーに広告主の本人確認を義務づけるべきではないでしょうか。

西泉政府参考人 お答え申し上げます。

 成り済まし型の偽広告は、それを閲覧した方に財産上の被害をもたらすといった側面があるほか、成り済まされた人の社会的評価を下げるなどの権利を侵害する可能性もあるものであると考えており、重大な課題となっているものと認識をしております。

 総務省では、偽・誤情報を含む情報流通の健全性確保の在り方について、デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会を立ち上げ、検討を進めているところでございまして、偽・誤情報の流通、拡散等の関係も含むデジタル広告をめぐる課題について、広告関係団体や主要なプラットフォーム事業者にもヒアリングを実施しているところでございます。

 この有識者会議では、偽・誤情報の流通に利用されるプラットフォーム事業者は偽・誤情報対策の実施について社会から強い期待を受けているといった御意見や、SNS上に偽広告が掲載されているのは、広告を管理、配信するプラットフォーム事業者がコントロールし切れていないという課題があるといった意見をいただいております。

 総務省としましては、こうしたヒアリングの結果や国際的な動向も踏まえつつ、この夏頃の取りまとめに向けて、偽・誤情報の流通、拡散への対応について、表現の自由の観点とのバランスにも配慮しながら、制度面も含めた総合的な対策の検討を進めてまいりたいと考えております。

井坂委員 詐欺広告に表現の自由も何もないわけでしてね。

 これは元々大臣に通告したんですね。ところが、ネット広告なのでということで総務省に逃げられたわけであります。

 大臣に伺いますが、やはり虚偽広告の広告主が分からず処罰できないという現状は、広告の適正さを取り締まる消費者庁の仕事の根幹を揺るがしていると思います。大臣、他人事でなく真剣に対処してほしいんですが、総務省はああおっしゃいましたけれども、消費者庁、大臣として、虚偽広告の広告主、これは、プラットフォーマーに本人確認を義務づけるべきだと。べきだとは思いますよね。

自見国務大臣 お答え申し上げます。

 成り済まし詐欺による被害は重大な問題だと考えてございます。

 消費者庁ではこれまでも注意喚起を行ってきたところでございますが、今般の消費者トラブルの急増を踏まえまして、五月末に消費者庁及び国民生活センターから注意喚起を実施したところでございます。

 本人確認等々の御質問もございました。先ほど総務省から御答弁もあったとおりでございますが、現在、総務省において検討会を立ち上げ、今年の夏頃に取りまとめということで伺ってございます。

 偽情報、誤情報の流通、拡散の対応につきましては、表現の自由との観点のバランスも必要だということで、まずは、総務省の取りまとめ、しっかりと拝見しつつ、私どもといたしましては、消費者の利益の擁護ということが非常に重要でありますから、この観点も踏まえまして、しっかりと総務省と連携しながら、消費者にとって効果的な対策が取れるようにしっかり取り組んでまいりたいと思ってございます。

井坂委員 大臣、これは、もし本人確認が広告でできないとなれば、もう消費者庁は仕事ができないですからね。いかに不当な広告があっても、結局、誰がやったか分からないということですから。これはもう根幹を揺るがしていますから、消費者庁の仕事としてもきちんとやっていただきたいというふうに思います。

 次に、成り済まし広告の被害を防ぐ方法について伺います。

 有名人の写真が使われた成り済まし広告をクリックすると、特別に資産運用のコツを教えますというLINEなどのSNSチャットに誘われるわけであります。誰も見ていない一対一のチャット空間の中で、もうかる投資があるんです、この口座に入金してほしいといって、個人口座に何百万、何千万も入金をさせているわけであります。

 政府も、個人名義の口座に振り込めと言われたら詐欺ですよという注意喚起の広報はしています。しかし、こうした広く浅い広報ではなくて、今まさにお金を振り込もうとしている人にピンポイントで警告が必要だと考えます。

 政府は通信の秘密があるのでSNSチャットの中身には触れられないと言うわけですが、しかし、例えば、皆さんも使っているLINEで、クリスマス前に、メッセージ、テキストでクリスマスと打ち込むと、背景にクリスマスの絵が出たりするんですよ。要は、文字の中身を単語レベルで自動的に判定して何か簡単なものを表示するというのは既にやっているわけなんですね。

 参考人に伺いますが、SNSのメッセージ内に投資とか入金などの特定のキーワードが含まれていた場合、あるいは、ネットバンク、ATMで他人の個人口座に数百万、数千万円を振り込む場合など、被害に遭う可能性の高い状況で注意喚起アラートを表示する方法を消費者庁は検討し、他省庁とも連携をして実行していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 御指摘の、被害に遭う可能性の高い状況で注意喚起のアラートを表示する方法を行うには、SNS事業者に対する取組や金融機関に対する取組等が必要であることから、消費者庁といたしましては、関係省庁とも連携しながら、消費者にとって効果的なものになるよう注意喚起に取り組んでまいりたいと考えてございます。

井坂委員 実際の技術的なことはもちろん総務省さんと連携だと思うんですけれども、私はこれはできると思いますから、LINEでちゃんと警告表示を出すぐらいのことは。是非やっていただきたいというふうに思います。(発言する者あり)ありがとうございます。

 次に、紅こうじサプリメントなど機能性表示食品について伺います。

 前回、四月九日の委員会で、私が日本の機能性表示食品の制度は世界一緩いのではないかとお尋ねしたところ、大臣は、日本の制度は、全ての機能性表示食品の届出情報を公開をしており、透明性の高い制度なので、世界一緩いという指摘は必ずしも当たらないと答弁をされました。

 では、参考人に伺いますが、その高い透明性を担保する機能性表示食品検索サイトの個別製品の詳細ページは合計で月間およそ何件ぐらい閲覧されているんでしょうか。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 届出情報のデータベースのアクセスは年々増加してございます。ただし、消費者庁における、商品の個別のページを開いた回数を月単位で把握することはちょっと困難でございまして、届出食品全体の総計として、総数としてのお答えということになることについて御容赦いただければと思います。

 直近の四月におきまして確認いたしましたところ、商品の個別のページを開いた回数は、総計で約二十五万件ということでございました。

 消費者庁としましては、今後、販売中の機能性表示食品に関する安全性や機能性に関する委員御指摘の科学的根拠の情報が消費者目線で使いやすく分かりやすく提供されるように、ウェブサイトの情報提供のDX化などの対応を強化してまいりたいと考えております。

井坂委員 数字、答えていただいてありがとうございます。

 二十五万件ということで、約七千種類の機能性表示食品があるわけで、一製品当たり大体月三十回強閲覧されているということになると思います。これは、一日一回しか各製品のページが閲覧されていないということでありますから、とても十分とは言えない、要は、形骸化しているというふうに思います。

 これはやはり、要は、政府が中身をチェックしていないわけですよ、機能性表示食品は。消費者がちゃんと自分でそれを確認をして、これは大丈夫だ、これは飲もうというのが制度の趣旨でありますから、この閲覧数が極めて少ないということは、まさに、安全だと前回大臣がおっしゃった答弁の根幹が揺らいでおりますので、きちんと国民が、消費者がチェックをする、確認をする、そういう仕組みにしていただきたいというふうに思います。

 次に、消費者庁が三月末に行った健康被害情報アンケートについて伺います。

 五月二十三日にようやく分析結果が公表されましたが、私はやはり根本から間違った分析をしているのではないかというふうに思います。

 健康被害の発生、拡大のおそれがある場合として、短期間に特定の製品への症例の集積が見られる状況というふうに定義をしているわけです。その上で、小林製薬の紅こうじサプリ以外に、速やかに消費者庁に報告すべき事案と判断できるものはなかったと結論づけています。この、短期間に症例が集積する状況という定義がくせ者なんです。

 消費者庁のアンケートでも、中身を見ますと、一製品で十二件とか十五件とか症例が報告されている製品が存在します。ところが、この十二件とか十五件が短期間ではなかったので、長期間にわたって報告されていたから問題ないという結論になってしまっているわけであります。

 これは考えれば分かりますけれども、例えば、毎月一万個の製品を売って月に一件ずつ被害報告があった場合と、キャンペーンで、ある月に五万件がっと売って被害報告が五件出た場合というのは、これは製品の危険度は全く変わらないわけです。

 これは、担当者と事前に三十分ぐらい議論して、確かにそうですねとなった話でありますので、端的に答弁をいただきたいと思いますが、短期間に特定の製品への症例の集積が見られるというこの要件は、健康被害の発生及び拡大のおそれがあるか否かの判断材料から外し、症例の件数が多ければ危険と判断すべきではないでしょうか。

依田政府参考人 ただいま委員御指摘の七千件の点検結果については、さきの閣僚会議におきましても報告したところでございまして、ガイドライン上における健康被害の発生及び拡大のおそれがある場合には消費者庁に報告するというふうに定めているわけでございますけれども、短期間に特定の製品への症例の集積が見られる状況が考えられるが、今回の調査で得られた情報からは、回収命令の対象製品に関する報告を除きまして、これに該当する場合とは直ちに判断できるものはなかったというふうに締めくくっているところでございます。

 この拡大のおそれがある場合につきましては、これは、過去に遡っての長年の販売経験がございまして、かつ相当数の売上げがある製品の場合に、必然的に健康被害に係る症例数も多くなることが見込まれますので、一概に症例の件数だけでは今回は判断しなかったということでございます。

 もちろん、委員御指摘のように、一定の件数を報告の判断基準にするということも方法の一つではないかとも考えてございますが、いずれにしましても、今回の今後の取りまとめにおきまして、健康被害の情報のルールにつきましては、厚生労働省と消費者庁におきましてルールを統一するということが必要かと思っておりまして、今後は、医師の診断に基づく健康被害と疑われる情報を、届出者が情報を入手した場合には、因果関係いかんによらず、消費者庁長官及び都道府県知事等に幅広く報告させるべく、必要な制度改正を行う所存でございます。これによりまして、今後は、健康被害に関する情報を行政がいち早く入手の上、適切な対応を迅速に行えることを期待しているところでございます。

井坂委員 もちろん、本当に何年にもわたって売られているもので件数が多いというのは、それはたくさん売れているから、たくさんそういう、それでも問題だと思いますけれども、何か特異体質の人に当たって、おなかが痛くなったりというのはあるというのは半分分かる話なんですが、ただ、消費者庁は、実際、各商品がどれだけ売れたかという数字は持っていないんですよね。だから、別に、長い間売っていたから本当にたくさん売っているかどうかも実は全然分からない話で、結局、件数で判断するしかないんですよ。

 私も、何個売れて何件症例が出たかというのが一番分かりやすい、フェアな指標だと思いますよ。ただ、何個売れたかが消費者庁は確認できない以上、短期間か長期間かというのは、これは全く関係のない話で、やはり件数が多ければ危険と判断せざるを得ないし、あるいは、今回の紅こうじみたいに、長年売っていたって、特定のロット以降で何か混入して、そこから急に症例が出るということもあるわけですよね。

 ですから、これは、ちょっと答弁、曖昧でしたけれども、短期間にという要件は、これは全く間違った要件だと私は思いますので、外すと言っていただけますか。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の七千件の緊急点検結果におきましての判断は変えることはございませんけれども、ただ、委員御指摘のとおり、健康被害の可能性が完全に否定できないという製品、あるいはメーカーさんがございましたので、こちらにつきましては、文書を通知いたしまして、今後、委員御指摘のような件数も含めて、その企業における健康被害が更に同一製品において集積されるような事態が認められる場合には速やかに報告するようにという文書を通知しているところでございます。

 また、今後におきましては、健康被害の情報につきましては、もちろん消費者庁の方にも提供をいただくことにはなりますが、一義的には、都道府県知事、保健所ですね、保健所の方に提供いただきまして、これを厚生労働省におきまして分析をし、そして公表していく、こういうスキームを想定して、今、制度化に、検討を進めているところでございます。

井坂委員 今後、判断は厚労省ということで、やはり私も、厚労で理事をしておりますが、連合審査、是非やっていただきたいというふうに思います。

 次に、臨床試験の信頼性について伺います。

 私は、前回の質疑で、安全性を臨床試験やマウス試験で確認したと届出書類に書いてあっても、実際はレベルの低い試験が横行しているので、臨床試験やマウス試験の最低限の基準を義務づけるべきだと提案をいたしました。

 五月三十一日に公表された検討会報告書には盛り込まれませんでしたが、検討会の委員からは、やはり臨床試験の信頼性を高めるべきという意見が出されていたわけであります。

 大臣、これはやはり何か改善すべきではないでしょうか。

自見国務大臣 委員御指摘のとおり、臨床試験につきましては、検討会におきまして、臨床研究法の対象としないまでも、もう少し信頼性を確保する方策を考えてもよいのではないかといった御意見をいただいております。

 こうした御意見につきましては、五月三十一日の政府の対応方針におきまして、今後の事案を踏まえた更なる検討課題の一つといたしまして、機能性表示食品制度に対する信頼回復に向けた届出者による表示の適正化等の自主的な取組を促進するとされていることも踏まえまして、機能性表示の裏づけとなる安全性、機能性の課題としてしっかりと検討してまいりたいと考えてございます。

井坂委員 是非、検討して、実装していただきたいというふうに思います。

 続きまして、機能性の科学的根拠の論文選定、PRISMA二〇二〇というチェックリストに基づいて行うことに今後なるわけでありますが、これは、機能性だけではなくて安全性についても、システマチックレビューをやるときは、PRISMA二〇二〇のチェックリストを用いてやるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

依田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、令和七年度から、PRISMA二〇二〇を新規の届出において求めていくということにつきまして、これは閣僚会議の方の方針でも報告させていただいているところではございますが、委員御指摘のとおり、こちらは有効性の部分について、論文のいいとこ取りといいますか、選定プロセスを客観的に行っていくということでございます。

 一方で、今回の巡る検討会におきまして、そういった論文選定のシステムは非常に有効であるので、安全性の評価においても取り入れたらどうかという委員の御指摘がございました。

 いずれにしましても、今回の事案を受けまして、安全面の評価についてはどのようなことができるか、今後検討させていただければと思っております。

井坂委員 もう時間が来ましたので終わりますが、今の御答弁が全てだと私は思うんですね。やはり機能性の改善が優先をされていて、我々はやはり安全性を早くやってほしいんですよ。何でシステマチックレビューの改善が、機能性だけ先にやって、安全性は、まあ、そういう意見もあったので考えますと。もうこの順序自体が私は本当に間違っていると思いますので、こういった安全性、厚生労働中心にもまたしっかりやっていきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

秋葉委員長 次に、山田勝彦君。

山田(勝)委員 立憲民主党の山田勝彦です。どうぞよろしくお願いいたします。

 今年度から、食品衛生基準行政が厚労省から消費者庁へ移管されました。全国各地の直売所から手作りの漬物が激減している問題についてです。

 六月一日から改正食品衛生法が完全実施され、漬物の製造に営業許可が必要となり、かなり高額な加工施設を設置することが義務づけられました。この改正により、多くの田舎の高齢農家さんたちが漬物作りを諦めています。

 私の地元長崎県の各地の直売所を回って話を伺うと、人気だった漬物コーナーに漬物が置かれなくなっている、そういう状況の現場は困惑しています。さらに、対話集会を地元でやったときも、直接、自分の漬物を楽しみにしてくれている人がいる、お年寄りの生きがいを奪わないでほしい、そういった声を高齢の農家さんから聞きました。

 そして、全国の消費者の皆さんがとても残念に感じていることだと思います。○○さんの漬物はおいしいと言われ、誇りを持って、生きがいとされている高齢農家さんがたくさんいらっしゃいます。政治がそういう方々の生きがいを奪ってはいけないと思います。

 資料一を御覧ください。厚労省が公表している漬物による食中毒事件の一覧です。

 確かに、二〇一二年、食品会社で製造された白菜の浅漬けによって、患者数百六十九名、死者数八名の痛ましい事件がありました。再発防止のため、食の安全性を高める食品衛生上の規制強化は当然必要です。

 その上で、この事件以来、この約十二年間で、漬物による食中毒の事件は五件発生しており、患者数百八十九名、死亡者は一人もいません。そして、食中毒を起こしているのは、浅漬けやキムチなど、低塩で非加熱殺菌の漬物のみです。

 厚労省に伺います。なぜ、リスクの高い浅漬けなどに限定して規制強化をしなかったのでしょうか。梅干しやラッキョウやたくあん、そういったところでは事件は起こっていないわけです。限定して規制強化するという考えはなかったのでしょうか。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年に成立した改正食品衛生法の施行に合わせまして、令和三年六月より、漬物製造業を新たに営業許可業種としたところでございます。

 これは、平成二十四年八月に浅漬けによる大規模な食中毒事件が発生したことが契機でございますが、漬物は、野菜を調味液等に数日間漬けることが製造工程に含まれており、製造工程が長期間になるほど製造中の食品に含まれる細菌等が繁殖するおそれがあるため、浅漬けに限らず、漬物製造は食中毒のリスクが高いと考えられることなどを踏まえ、食品の営業規制に関する検討会で専門家による御審議をいただいた上で導入したということでございます。

 なお、漬物製造業に関して、都道府県等がしんしゃくする施設基準につきましては、食品衛生法施行規則におきまして、各種漬物の製造に当たり共通して必要となる基準と、浅漬けの製造に際して特に必要となる基準を分けて規定をしておりまして、漬物の製造方法に応じた基準といたしているところでございます。

山田(勝)委員 衛生基準を強化し、食の安全性を高めることは大切でありますが、余りにも、きっと行き過ぎているところがあるのではないかと。

 確かに、浅漬けだけとか、線引きすることが難しいということも理解できます。だからといって、日本の伝統的な、地域独自の漬物文化がなくなってしまうことは、絶対にあってはなりません。国の基準が厳し過ぎて、小規模事業者への配慮もなく、現在、廃業者が急増している状況です。このままでは、各地域で先祖代々受け継がれてきた食文化が継承されず、失うものが余りにも大き過ぎるのではないでしょうか。

 衛生面の強化は、何度も繰り返しますが、理解します。その上で、地域の、町の直売所で売られている漬物の衛生基準を、その町の自治体が独自で条例を定め、独自のルールで運用していくことは可能でしょうか。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 食品衛生法第五十四条で、漬物製造業の衛生基準を含む営業許可の基準につきましては、厚生労働省令で定めるしんしゃく基準を踏まえ、都道府県等が公衆衛生の見地から必要な基準を定めることとされております。

 その際、都道府県は、食品衛生法第五十四条の規定に基づき、参酌基準を十分にしんしゃく、参酌した結果であれば、法令に反しない限りにおいて、地域の実情に応じた施設の基準を条例で定めることができると考えております。

山田(勝)委員 今の答弁は大変重要な答弁だと思います。この重要な話が現場に全く周知されていません。

 資料二を御覧ください。日経新聞の記事によれば、今言われたとおり、厚労省は、一律に基準を運用すれば小規模事業者の生産継続への影響が大きいとして、改正後、各自治体へ衛生基準を柔軟に運用するよう通知を出して呼びかけています。

 具体的には、加工場所と住宅を分離しなければならないという厳しい国のルールに対し、個人の農家さんがこれまでどおり自宅で漬物を作り続けられるように、シートで住居スペースと区切れば許可をする、指で触れないセンサー式の蛇口でなくても、レバー式でも許可をする、水洗いで清潔さを保てる床や壁でなくても、シートで許可をする、全て屋内で製造という国の基準に対しては、敷地内であれば天日干しでも許可をすると。

 このレベルの対策強化であれば、実は、個人の農家さんでも廃業せずに漬物を作り続けることは十分可能ではないかと考えます。しかし、この大切な情報、緩和策が現場に十分知られていないということが大変な課題だと思いますので、是非、引き続き、厚生労働省は周知徹底を現場へお願いしたいと思っております。

 そして、さらに、すばらしい取組があります。厚労省だけではありません。高知県や鳥取県、さらには複数の市町村が既に、自治体独自の補助金事業で地域の漬物文化を守る動きがなされています。

 農家を支援していくのは、本来、農水省の役割です。そこで、農水副大臣へ伺います。

 こういった自治体のすばらしい取組を全国各地へ広げていくために国が、農水省が積極的に支援していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 平成三十年の食品衛生法改正に関連しまして、漬物製造業が新たに許可を得なければ営業できない業種とされたところですが、農業者の方が漬物製造に取り組まれているケースもある中で、厚生労働省では、都道府県等に対しまして小規模零細事業者の事業継続に配慮するよう依頼をし、都道府県等では、御指摘のように、各地の実情に応じて施設整備に対する支援を講じていると承知をしております。

 農林水産省では、こうした食品衛生法改正に伴う善後策とは別に、六次産業化・地産地消法等に基づく計画の認定を受けた農業者の団体等が漬物製造のための施設を整備する取組に対し支援をすることが可能です。

 なお、この農業者は、規模の大小は問わず三戸以上を要件としておりますが、都道府県が採択する事業ですので、都道府県と相談の上、活用を御検討いただきたいと考えます。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 元々、当初、この事業は農家さんが三人集まらないと対象にならないと事前のレクでは聞いていたんですが、今の副大臣のお話であれば、そういったことではなくて、今回の事情も含めて、個人の農家さんが個人の自宅で漬物作りをするために必要な設備投資を三戸以上の農家さんが集まらなくても可能とするという理解でよろしいですか。

武村副大臣 いえ、これは要綱の中で三戸以上を要件としております。そうした事業を採択するのは都道府県ですので、都道府県に御相談をいただいた上で活用を御検討いただきたいと思います。

山田(勝)委員 かなり前向きな御答弁だったと思います。農水省も、そうやって地域が条例で認めた限りにおいては国の支援事業も対象になるというお話でした。本当にありがとうございました。

 それでは、厚労省と農水省はここまでで結構でございます。ありがとうございました。

 次に、食品表示の問題について質問いたします。

 食品表示は、私たち消費者が食を選ぶ上で重要な役割を果たしています。食品表示法第三条にも、「消費者の安全及び自主的かつ合理的な選択の機会が確保され、並びに消費者に対し必要な情報が提供されることが消費者の権利であることを尊重するとともに、消費者が自らの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動することができるよう消費者の自立を支援することを基本として講ぜられなければならない。」と、すばらしい法律がございます。

 しかし、実際の今の食品表示は問題だらけです。表示内容が国産の原料かどうか紛らわしく、遺伝子組み換えやゲノム編集の表示義務を求める消費者の声にも全く応えていません。

 自見大臣との前回の質疑の中でも、今、パンや麺などの加工食品に対して国内製造という表現が、表記が余りにも紛らわしくて、国内で生産された小麦と勘違いされている消費者がたくさんいる、これは改善すべきじゃないかというやり取りをさせていただきました。しかし、大臣が答弁されるお話が全て、事業者側が言っている実行可能性についてでした。

 資料三を御覧ください。これは、製粉協会が政府に要望している内容そのままです。事業者の実行可能性の点で義務化は適切でないと記載されており、まさに大臣が答弁されている内容そのままです。

 更に驚くべきことに、この製粉協会の主張では、生産地表示が義務づけられた場合、「国内産小麦の使用量が激減する」と記載されていますが、これは、申し訳ございません、明確な誤りだと指摘せざるを得ません。この委員会でもやり取りをさせていただいたとおり、むしろ、国産小麦と食品表示できるようになれば、大臣もお答えいただいているように、消費者は積極的にその国産小麦の原料のパンや麺を選択するようになり、間違いなく我が国の食料自給率が向上していくということです。

 こういった背景がありながら、なぜ、生産地表示を求める消費者の声ではなく、大臣は事業者の声を代弁し続けているのでしょうか。この食品表示の議論を始める最初の質問で、当たり前のことを聞かせていただきたいんですが、自見大臣は、事業者の声と消費者の声、どちらを大切にされますか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 原料原産地制度を導入するに当たりましては、農林水産省及び消費者庁の共催によりまして、加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会で十回の議論を経て、平成二十八年十一月に報告書を取りまとめ、その後、当該取りまとめを踏まえた食品表示基準改正案につきましてパブリックコメントを実施し、また、改正案を諮問した消費者委員会食品表示部会におきまして五回の議論を行った上で、平成二十八年八月に、制度が妥当であるとの答申をいただき、同年九月に制度が施行されたところでございます。

 この検討会や食品表示部会におきましては、消費者の意見を代表する方や事業者の意見を代表する方など様々な立場の方が委員として参加をしており、失礼、平成二十九年八月の誤りでございます。

 この審議会に……(山田(勝)委員「どっちの声を大切にされるんですか」と呼ぶ)お答えさせていただいております。

 この検討会や食品表示部会におきましては、消費者の意見を代表する方やあるいは事業者の意見を代表する方など様々な立場の方が委員として御参加いただいておりまして、その方々に真摯に御議論いただき、現行の制度ができてございます。

 したがいまして、本制度は様々な立場の方の御意見を聞きながら制定されてございまして、どちらかの声を大切にする、あるいはしないといった話ではないというふうに理解をしてございます。

山田(勝)委員 全然答えていただけていないし、なぜ素直に消費者の声だと答えられないのか。それが答えなんだろうと思います。消費者庁で消費者担当大臣なのに、本当に今の答弁は問題だなと改めて感じたところです。

 そして、先ほど、検討会議のメンバーに幅広くとおっしゃっていました。十七名のこの有識者の中で、消費者系の委員は四名、そして事業者系の委員も四名、これはバランスがおかしくないですか。どう考えても、半分半分の構成ということ自体が、本当に消費者の声を真摯に受け止めている、そういった消費者行政がなされていないあかしだと思います。

 先週、五月二十八日、衆議院第一議員会館で、正しい食品表示を求める市民の集いが開催され、多くの人たちが、約、会場には二百人、オンラインで五百人、合計七百人もの人たちが参加しました。

 その中で、母親の立場から、こういう声がありました。国産小麦を選びたい、家族の食卓を預かる者として食べ物を選べないのは困る、こういうふうに言われていました。

 輸入小麦に検出されているグリホサートは、世界中で最も使われている除草剤の主成分で、二〇一五年にWHOの専門家機関がグリホサートを発がんのおそれがありと評価しており、世界では規制強化が進んでいます。輸入小麦に依存している日本では、学校給食のパンにもグリホサートが検出されています。

 別の参加者からは、グリホサートについて学んだ上で、子供に食べさせたくない、輸入小麦なら輸入と書いてほしい、私たちには食の安全、安心を求め、食を選ぶ権利がある、消費者の声を聞いて改善してほしい。

 さらに、国産小麦の生産者も国産だと表示してもらうことを求めていますし、そういった国産の小麦を生産してもらう農家を応援している事業者の方々も、その表示を求めている。みんなが生産地表示を求めています。

 自見大臣、前回、私の質問に対して、最後、消費者や生産者の意見に丁寧に対応しながら進めると答弁されました。是非、大臣、お一人お一人の消費者や生産者の声を直接大臣自ら聞かれてみてはいかがでしょうか。どうですか。端的にお答えください。

自見国務大臣 お答え申し上げます。

 丁寧に声を聞くべきだということで、組織としても丁寧に対応してございますので、しっかりと答えさせていただきたいと思います。

 消費者庁が主催をしている意見交換につきましては、平成二十九年から、消費者団体と連携をいたしまして、消費者に対する食品表示制度セミナーを行ってございまして、現在までに、百十六地域におきまして原料原産地表示制度の説明と意見交換を行っているところでございます。また、消費者団体からの要請も受けましての意見交換も実施してございます。

 加えまして、原料原産地表示の見直しにつきましては、平成二十九年の原料原産地表示制度の導入時、食品表示基準改正について諮問した消費者委員会からの答申書におきまして、必要に応じて、制度の拡大や廃止を含めて、幅広く見直しを実施することとされてございます。

 この答申書を踏まえまして、今後、消費者委員会で見直しの議論が行われる際には、必要に応じ、消費者そして生産者双方にしっかりとヒアリングを行うなど丁寧に対応してまいりたいと考えてございます。

山田(勝)委員 本当に、大臣と議論していると残念なんですよね。政治家として自らの声でしっかりと答えられるじゃないですか、会うのか会わないのか、直接聞くのか。消費者庁としてどうのこうのと聞いているわけじゃないんですよね。

 資料四を御覧ください。最後の質問になります。

 消費者庁自らアンケートを行っており、消費者は国産原料を選びたい、そういうふうにアンケート結果も出ている。しかし、現在の国内製造という表示では、国産を選びようがありません。多くの消費者が、お隣の韓国はできているんです、韓国のように、加工食品の原料がどの国で生産されたのかを表示されることを望んでいます。

 大臣、先ほどからいろいろと答弁書を読まれていますが、もう答弁書なしで答えてください。消費者が求めている、韓国ができて日本ができていない状況、まずは韓国を調査研究するべきではないでしょうか。

自見国務大臣 お答えさせていただきます。正確にお答えさせていただきます。

 義務表示の対象となります原材料が加工食品である場合におきましては、制度検討時の有識者検討会におきまして、加工食品の製造方法は多種多様であり、原材料の加工食品につきまして生鮮原材料まで遡って原産国を特定することは困難であることに加えまして、原材料の加工食品につきましても、それがどの地域、国で製造されたかの情報は消費者の選択にとって有用な情報であると考えられるとの意見を踏まえ、制度化したものでございます。また、その検討会での議論の際には、当時の韓国の原料原産地制度についての調査結果も踏まえまして検討され、現行の制度となってございます。

 なお、本制度導入時、食品表示基準改正において諮問した消費者委員会からの答申書におきまして、必要に応じて、制度の拡大や廃止を含めて、幅広く見直しを実施することとされたことを踏まえまして、今後、消費者委員会で見直しの議論が行われるものと考えてございます。

山田(勝)委員 是非見直していきましょう。そして、韓国を調査してください。

 終わります。ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 お疲れさまです。国民民主党の鈴木義弘です。

 先週、経産委員会で公正取引委員会に関わる質問に立たせてもらって、少しかぶるところもあろうかと思うんですけれども。

 一問目は、製造物責任法。最近、PL法という言葉が余り聞かれないんですけれども、この法律の二条の、本文のところに、その製造、加工、輸入した製造物等、引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときには、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずるとしているんですね。民民で損害賠償のやり取りをするのは承知しているんですけれども、同法の同条の二項に言う欠陥がある場合、これは食品だとか広く一般のことを指しているので、そう思って御答弁いただきたいんですけれども、欠陥がある場合に、当該製品について原材料から加工、流通、販売を行わせないような取組があるんだったら示してもらいたいんです。

 質問の趣旨、分かりますよね。大丈夫だよね。

植田政府参考人 お答えいたします。

 欠陥がある場合など、危険な製品への対応でございますけれども、消費者庁では、危険な製品による事故など、消費者事故等の情報をまず収集しております。情報を得た場合には、概要を公表するとともに、製品を所管する省庁に情報提供を行っております。提供した情報につきましては、関係省庁において、あるいは消費者庁と関係省庁とが連携する中で、事業者に対する個別の法執行や指導、業界団体への情報提供、制度改正や規格基準の策定等に活用されているところでございます。

 また、昨年六月でございますけれども、製品安全誓約を策定いたしました。これは、関係省庁及び主要なオンラインマーケットプレース運営事業者と協働いたしまして、リコール製品や安全でない製品の出品を削除するといった取組でございますけれども、こういった取組も開始しているところでございます。

 さらに、消費者庁では、消費者庁ウェブサイトやSNS、消費者庁リコール情報サイトを通じまして、消費者への情報発信にも取り組んでおります。

 こうした取組、引き続き、関係省庁と連携しながら、消費者の安全確保に努めてまいりたいと存じます。

鈴木(義)委員 またのところを先に答弁いただいたんですけれども、そうすると、情報は消費者庁に集まってきて、関係する省庁にその情報を投げて、そちらで、法律違反になっているとか法律を厳しくするというのは、ほかの省庁がやらざるを得ないということなんですね、一応、たてつけ的には。

 それで、業界の周知徹底ということを今も答弁の中で言われたんですけれども、業会に入っていないところはどうするのかということなんです。だから、何とか業会、何とか組合だとかいろいろな業界団体はあるんですけれども、今は、どんどんどんどん、業会に入らない人、一般、個人事業者なんかは特にそうですよね。例えば美容とか理容なんかで組織率はどのぐらいですかといったら、一昔前よりも格段に落ちています。

 じゃ、そういったところは誰が指導するのか。保健所が直接行って指導する、衛生管理がちゃんとできているか。組合に入っている人たちは、組合の中で自浄作用を起こそうとして、何とか委員さんを選任して、その人が店舗指導に回るとか。じゃ、保健所はどこを回るのといったら、そうじゃないところを回るんです。ほとんど回れないですよ。回れない、人がいなくて。

 だから、業界団体を周知徹底するんだとか、ホームページで注意喚起をするんだといっても、そのホームページを見ている国民がどのぐらいいるのか。カウンターか何かがついてあって、そのホームページで、見たというところに何かクリックしてもらったら何人見たかというのを集計するぐらいなことをやれば、何万人なのか何千万人なのか分かりませんけれども、周知がなされたというふうにできるんでしょうけれども、そうじゃない場合、ホームページに出しただけで、例えば御年配の人方でほとんどパソコンなんか使わない人たちには周知が行かないということなんですよね。

 だから、製造物責任法で、民民で損害賠償が、おなかが痛くなっちゃったとか指を切ったとかといったら、お互いで損害賠償を訴えてくれ。日本の場合は、裁判で損害賠償を訴えても、懲罰的な損害賠償は認めていない国ですから、百万の治療費に対して一千万も一億も慰謝料を下さいといって裁判に訴えたとしても、実際は百万以下になる、それが今の日本の司法制度です。そうすると、民民で争えばいいじゃないかと言うだけでは、事故はなくなっていかないだろうという考え方なんです。

 それで、二番目に具体的な話をしていくんですけれども、特定商取引法における特定継続的役務の提供について、現在は、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の七つの役務が対象とされているんですけれども、その理由についてまずお尋ねしたいと思います。

藤本政府参考人 お答えいたします。

 特定継続的役務とは、国民の日常生活に係る取引におきまして有償で継続的に提供される役務であって、身体の美化、知識、技能の向上その他心身又は身上に関する目的を実現させることをもって誘引が行われ、役務の性質上、目的が実現するかどうかが確実でないものとして政令で定めるものであります。

 委員御指摘の七つの役務は、まさにそうした特徴を有するがゆえに、往々にして高額取引になりやすい上、客観的な評価が困難である効果等が達成することをもって誘引するという取引の特殊性を持つものとして、規制の対象としております。

秋葉委員長 山田君。(鈴木(義)委員「いや、鈴木なんですけれども」と呼ぶ)大変失礼しました。

 鈴木君。

鈴木(義)委員 そうしますと、ここに載っていることは、まあ、山田さんが何かすごく印象が強かったのかね、私は余り大きな声を出さないので聞きづらいかもしれませんけれども、七つの役務と指定しちゃっているんですけれども、これの周辺にあるような仕事をやっている事業者というのかな、業界もいっぱいあると思うんですよね、ここに指定していない。

 じゃ、そこは、この七つの役務以外のところ、周辺で同じような感じの仕事をしているところは対象にならないということでいいんですかね。簡単に答弁してください。

藤本政府参考人 お答えします。

 今の法令上は、七つの役務を対象としておりまして、それ以外は対象となっておりません。

秋葉委員長 鈴木ヒロヨシ君。

鈴木(義)委員 義弘なんですね。やはり山田さんの印象が強いのかな。委員長辞任かな。

秋葉委員長 大変失礼しました。誠に申し訳ない。

鈴木(義)委員 それで、さらに、入会金等の契約金の総額が五万円を超えるものが対象になるんだそうですね。政令で定められているんだそうです。

 五万円を超えるものとした理由についてなんですけれども、結論からいけば、もっと下げてもいいんじゃないかとか、今物価がどんどん上がっちゃっているから五万円なんて大したことないかもしれないんですけれども、その辺の考えをお示しいただきたいと思います。

藤本政府参考人 お答えいたします。

 そもそも、特定継続的役務提供の対象金額を設定している理由は、特定継続的役務は往々にして高額取引になりやすい性質であることから、少額取引まで規制をする必要性がないことによるものであります。

 また、具体的な対象金額は、消費者被害の未然防止等の消費者保護の観点を重視しつつも、善良な事業者による通常の事業活動への過剰規制を避けるため、消費者被害の実態等に応じて妥当な水準に設定しているものであります。

鈴木(義)委員 今のところ、この金額を引き下げる考えはないということですかね。

 じゃ、もう一点お尋ねします。

 最近では、店舗でスタッフやトレーナーと対面することのない無人のスポーツジムやオンラインレッスンなど、新しいサービスに関する相談も国民生活センターに寄せられていると聞くんです。ネットが普及していますからね。コロナもあって、リモートでいろいろなことを商売にしようと。

 でも、このようなサービスは、インターネットで手続が完了しちゃって、比較的安価で気軽に利用することができるんですが、サイト上での解約手続がうまくできない、問合せをしたが事業者の電話がつながらないなどのトラブルが見られる。一回申し込んでしまって何回かやると、もう解約したいんだけれども、どういうわけだかつながらないとか、解約できない。

 だから、大臣の所信のときに私質問したと思うんですけれども、行儀の悪い業界とか事業者がいたんだったら、そこからもう契約を、義務づけて、解約条件をきちっと相手方に説明する、それで同意をもらうようなことをしないと、同じようなことが繰り返されてしまうんじゃないか。

 だから、つまり、特定継続的役務提供となっていない取引類型や高額でないものであってもトラブルになっているということですね、今説明したように。

 今後、特定商取引法の特定継続的役務提供について規制対象を広げる考えはあるのか。また、金額については、総額を、五万円を引き下げる考えはあるのか。そして、解約のしやすい規定を導入していこうとするのか。その三点、お尋ねしたいと思います。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、社会経済の変化とともに新しいサービスが次々と生まれ、我々の生活の利便性が向上する一方で、消費者トラブルも複雑多様化してまいりました。

 そのような中、消費者庁としては、特定商取引上規定された特定継続的役務提供以外の規制も含め、現行制度を最大限活用し、消費者被害の拡大防止に取り組んでまいりました。

 もっとも、規制は不断の見直しを行うべきものであることから、悪質事業者を市場から排除し、消費者保護と適正かつ円滑な役務の提供を図るべく、委員御指摘の特定継続役務提供に係る被害の実態把握に努め、今後の対応の在り方について研究してまいります。

 今お尋ねのとおりでありますが、金額規制を広げる考えはあるのかというのは、今研究している、今の五万円というのをどのように対応するのか、数が多くなっておりますので、早急に対応したい、そういう考えでございます。

鈴木(義)委員 それと、いいと思って入会して、スポーツジムでもやるんですけれども、結局、一回お金を払って何回か使ってしまうと、クーリングオフの制度は使えないんだと思うんですね。入ってすぐにやめるとか、買ってすぐに戻すとかというんだったら十日間のクーリングオフの制度があるんだけれども、途中でやめられないんです。だから、そこが一番の元なんですね。

 だから、解約のところをどうするかというのを周知徹底して、これは国民ばかりじゃなくて事業者にそれを義務づけるようなものをしないと、多岐にわたっていろいろな業界に、じゃ、法律の改正で、経産です、農水です、国交です、何ですといったら何年もかかりますよ、これ。

 そうじゃなくてやるやり方を消費者行政なり内閣府の中でやらないと、これはいつになっても、消費者契約法については、過去を見ると二年ぐらいでころころころころ法律を変えているんですよね、後追い行政になっちゃっている。後追い行政じゃないやり方をもうやらなくちゃいけない時代に入っているんじゃないかと思うんですけれども、これは大臣がいいのか、副大臣、どちらでも。通告は出していないので、今、話の流れでお尋ねしているので、どちらでもどうぞ。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 通告云々じゃなくて、後追いではいけないということは重々承知しております。

 過去の話をして申し訳ないですけれども、私も、学生、入学した頃に、英語の教材とかいろいろありまして、クーリングオフ、全然分からない頃に大変苦労した覚えがありまして、こんなことがあるのかなというのが、東京は怖いところだなと当時思ったことがあるんですけれども、それが延々とまだ続いているということは、消費者庁として、今担当している副大臣としていかがなものかということでありますので、委員御指摘のとおり、持ち帰って早急に、いろいろな面がありますけれども、事前に対応できるように、研究課題とかじゃなくて、きちっとしたことを手を打つ、そういう算段を考えてまいりたいと思います。

鈴木(義)委員 今、御決意を聞いたので。

 時間が来ました。終わります。ありがとうございました。

秋葉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十五分散会


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