衆議院

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第3号 令和6年12月23日(月曜日)

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令和六年十二月二十三日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 浦野 靖人君

   理事 勝俣 孝明君 理事 中野 英幸君

   理事 松島みどり君 理事 青山 大人君

   理事 大西 健介君 理事 尾辻かな子君

   理事 伊東 信久君 理事 丹野みどり君

      今枝宗一郎君    加藤 鮎子君

      小池 正昭君    島田 智明君

      高木  啓君    武村 展英君

      永岡 桂子君    中西 健治君

      野田 聖子君    深澤 陽一君

      三反園 訓君    若山 慎司君

      井坂 信彦君   大河原まさこ君

      大島  敦君   おおつき紅葉君

      杉村 慎治君    松田  功君

      山田 勝彦君    山井 和則君

      梅村  聡君    西岡 義高君

      角田 秀穂君    沼崎 満子君

      たがや 亮君    本村 伸子君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            伊東 良孝君

   農林水産副大臣      笹川 博義君

   農林水産大臣政務官    庄子 賢一君

   環境大臣政務官      五十嵐 清君

   環境大臣政務官      勝目  康君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 大濱 健志君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 松田 哲也君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         江口 有隣君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          藤本 武士君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    尾原 知明君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    田中久美子君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    井上  計君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森  真弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大隈 俊弥君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           坂田  進君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           関村 静雄君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房新事業・食品産業部長)    小林 大樹君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局研究総務官)       信夫 隆生君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  高橋 広道君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 飯田 博文君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 小田原雄一君

   衆議院調査局第一特別調査室長           千葉  諭君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月二十三日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     深澤 陽一君

  福原 淳嗣君     島田 智明君

  石川 香織君     杉村 慎治君

同日

 辞任         補欠選任

  島田 智明君     福原 淳嗣君

  深澤 陽一君     加藤 鮎子君

  杉村 慎治君     石川 香織君

    ―――――――――――――

十二月二十三日

 消費者対応業務関連特定行為対策の推進に関する法律案(丹野みどり君外一名提出、衆法第二一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

浦野委員長 これより会議を開きます。

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官大濱健志君、警察庁長官官房審議官松田哲也君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長江口有隣君、消費者庁政策立案総括審議官藤本武士君、消費者庁審議官尾原知明君、消費者庁審議官田中久美子君、消費者庁審議官井上計君、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官佐々木昌弘君、厚生労働省大臣官房審議官森真弘君、厚生労働省大臣官房審議官大隈俊弥君、農林水産省大臣官房審議官坂田進君、農林水産省大臣官房審議官関村静雄君、農林水産省大臣官房新事業・食品産業部長小林大樹君、農林水産技術会議事務局研究総務官信夫隆生君、水産庁増殖推進部長高橋広道君、環境省大臣官房審議官飯田博文君、環境省大臣官房審議官小田原雄一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浦野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浦野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山田勝彦君。

山田(勝)委員 立憲民主党の山田勝彦です。

 伊東大臣に初めて質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 食品衛生法が改正され、国の衛生基準が厳しくなり、全国の直売所から農家の手作り漬物が消えてしまいました。生きがいを奪われた、そう嘆く高齢の農家さんだけではなく、人気の漬物コーナーからお気に入りの漬物がなくなり、多くの消費者も残念がっています。

 前回の質疑で厚労省は、国の厳しい基準を厳格に運用するのではなく、参酌基準を十分に参酌した結果であれば、つまり、地域の実情に応じて小規模事業者が漬物を作り続けられるよう、地方自治体が独自の衛生基準を定めることができるという趣旨の重要な答弁がありました。

 私は、このことを現場が知らないことが問題であり、この情報を周知徹底するよう強くお願いいたしました。その後、どのように取り組まれているのでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 漬物製造業を含む営業許可の施設基準につきましては、厚生労働省で定める参酌基準を踏まえ、都道府県が公衆衛生の見地から必要な基準を条例で定めることとしています。

 御指摘の、漬物製造業の営業許可における施設基準につきましては、自治体が柔軟に運用できるよう、営業許可に当たり施設基準の一部をしんしゃく等した事例を自治体から収集し、当該事例を全国の自治体に対し周知をいたしました。これは前回、六月四日の御質問でしたけれども、その後も対応しているところでございます。

山田(勝)委員 大変すばらしい取組だと思います。

 この実態調査の取組事例、例えば区画について、漬物専門の加工施設でなくても、地方独自の基準で、農家さんが自宅で販売目的の漬物を作り続けるには間仕切りが必要になるんですが、この事例集にはこう記載があります。「営業時間や仕込み作業、他の食品の製造作業と漬物の製造や包装の作業の、日にちや時間帯を分ける運用でカバーした。」是非、こういった柔軟な運用が全国各地に広がることを願います。

 その上で、前回の課題についてです。

 漬物という農村の豊かな食文化を継承するためにも、農水省へその加工施設への支援を求めましたが、六次化には三戸以上の農家が集まらなければ対象にならないという残念な回答でした。個人の農家でも続けられるようにしなければ、漬物の廃業者は増え続けます。

 ところが、先日開かれた立憲民主党の農林水産部門会議で川田龍平参議院議員がこの点を農水省へ問いただすと、六次化ではない支援事業で個人からでも対応ができる可能性があるという前向きな答弁がありました。

 大事な点なので、国会で明らかにしたいと思います。

 農家さんが新たな衛生基準を満たす加工施設を整備する補助金について、個人であっても、高齢であられても、申請人数や年齢制限なしで利用できる支援事業はあるのでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省の補助事業は多くが共同利用を要件としておりまして、前国会で御答弁いたしました六次産業化等の補助事業についても、三戸以上等の共同利用施設を対象としたものになっております。

 一方、漬物などの農産物の加工につきまして、お尋ねの個人農家でも助成対象となり得る事業といたしましては、農地利用効率化等支援交付金がございます。なお、これは、農産物の生産に付随した簡易な加工の範囲を超える大規模な施設の導入は想定しておらず、また、経営改善の目標等に応じたポイント制により配分を行うことなどの要件があることに御留意いただきたいと考えております。

 以上でございます。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 これもまた重要な情報です。地域の食文化を残すためにも、自治体独自に補助金をつけながら支援をしている地域が全国に多数ありますが、今の答弁で、国からも、農水省からも支援可能であることがはっきりしました。こういった情報がどんどん広がり、全国で積極的な活用がなされることを願います。

 続いて、ゲノム編集食品についてです。

 消費者庁の調査では、九割以上の方が知らない、さらに、約六割弱の消費者がゲノム編集食品の表示を求めていることが分かりました。一方、表示は要らないと回答した人は一割程度でした。また、市民団体が呼びかけた署名「すべてのゲノム編集食品の規制と表示を求めます」には四十四万七千筆以上の署名が集まり、政府へ既に提出されています。

 そんな中、地方が動き出しました。

 資料一を御覧ください。先月開かれた衆議院の当委員会で、静岡県吉田町議会からゲノム編集食品に対し食品表示を求める意見書が提出されていました。

 資料二も御覧ください。私は気になったので、すぐ調べてみると、吉田町議会だけではなく、地方議会から国へ同様の意見書が既に十九回も提出されています。

 意見書とは、地方自治法の第九十九条、普通地方公共団体の議会は当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができるという規定に基づいた、地方議会に与えられた権限の一つです。

 これは、表示がないと知らないうちにゲノム編集食品を買ってしまったり食べてしまうかもしれないという市民の不安が具体化した結果です。

 伊東大臣の御地元、北海道の自治体からも提出されています。大臣、政治家としてこの民意にどう応えられるでしょうか。

伊東国務大臣 山田勝彦議員の御質問にお答えしてまいります。

 私、山田議員のお父さんとしばらく一緒でありまして、農水大臣もされて、農業に大変に造詣が深く、熱心な方でありました。また、息子さんが替わって出てこられて、そしてまた農政に大変に御関心があり、熱心に取り組まれておるということをお聞きして、大変うれしく思うところであります。

 ゲノム編集食品につきましては、私は、遺伝子組み換えとゲノム編集食品と、つい本当に数年前まで区別がつかなくて、たくさんの皆さんが、御心配される方々も多く、お話をお伺いして、いわゆる遺伝子に傷をつける、あるいは組み換えする、ほかの動物の遺伝子を入れる、様々なやり方があると聞いていたところでもあります。地方議会から食品表示を求める意見書が提出されておることも、それを見て承知をしていたところであります。

 さて、ゲノム編集技術応用食品のうち、安全性審査の要否に関する整理におきましては、遺伝子組み換え食品に該当するものにつきましては、食品表示基準に基づく遺伝子組み換え食品に関する表示制度に基づく表示を義務づけられているところであります。

 一方、遺伝子組み換え食品に該当しないものについては、ゲノム編集技術を用いたものか、従来の育種技術を用いたものかを判別するための実効的な検査方法の確立が現時点では科学的知見では困難とされており、表示監視における科学的な検証が困難であること等の課題がありますことから、罰則を伴う表示の義務づけを行うことは難しいと考えているところであります。

 要は、ゲノム編集の方は許されるけれども、区別がつかないから今認められているけれども、遺伝子組み換えの方はちょっとまずいですよ、そういうことになろうかと思います。

山田(勝)委員 伊東大臣、父との思い出を語っていただいて、ありがとうございます。

 その上で、今回答があったんですけれども、要は、要約すれば、現段階において日本政府は、ゲノム編集かそうでないか判別する科学的知見がない、だから食品表示を義務づけできない、こういう理屈なんですね。でも、これは誰が納得するでしょうか。つまり、判別する科学的知見がないのであれば、判別できるようになるまで流通させてはいけないと思います。

 現に、世界中で、ゲノム編集食品を安全だと言い張って市場に流通させている国は日本とアメリカしかありません。私は、日本が世界に先駆けて、遺伝子操作により意図的に遺伝子を壊し品種改良されたゲノム編集食品を国内市場に表示もなしで流通させることは、メリットよりもリスクの方がはるかに高いと断言します。せめて、百歩譲ってでも、最低限、食品表示は義務化するべきだと言い続けて、訴え続けているのです。

 大臣、当たり前のことを確認させていただきたいと思います。もし仮にゲノム編集食品を判別する科学的知見が開発されたとすれば、そのときは当然、食品表示を義務化する、間違いないでしょうか。

伊東国務大臣 お答えします。

 それは、そうなったとき、また、それが有害なものか、影響のないものか、改めてこれは調べる必要が出てくるのではないかというふうに思うところであります。

山田(勝)委員 いや、なったときに改めて調べるじゃ大変遅いと思うんですよね。

 新しい事実がありまして、EUは既に、ゲノム編集生物の検出方法の開発に資金を投じて、二つの研究所から検出可能な方法が既に提案されています。もはや、ゲノム編集かどうか判別できないから表示義務ができないといった消費者庁の理屈は、もう完全に破綻しています。

 大臣、早急に、このEUの取組を調査研究し、日本でもゲノム編集を判別できるシステムを構築するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

伊東国務大臣 ゲノム編集技術を用いたものか、従来の育種技術を用いたものかの判別に使用できる検査方法が開発されたというお話は、EUでもう開発されたお話は、こちらは承知をしていないところであります。

 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会で審議されました「ゲノム編集技術を利用して得られた食品等の食品衛生上の取扱いについて」という報告書におきましては、ゲノム編集技術応用食品については、従来の育種技術によって得られたものの範囲内であること、また、従来の育種技術によって得られたものと判別し検知することが困難と考えられること等の考えが示されているところでもあります。

 現時点でも状況は変わりないと考えておりますが、今後とも、専門家の意見を聞きながら、動向を注視してまいりたいと考えております。

山田(勝)委員 事前に消費者庁とやり取りしているときに、私がこの点を通告したことにおいて、初めてヨーロッパでそういった動きがあることを知ったと言われていましたが、先ほどの大臣の答弁だと、承知していないということです。これは一体どっちなんでしょうか。

 本当にこのヨーロッパの動きを承知していないわけがない、むしろ、承知していないんだったら大変だと思います。これだけ全国の消費者が声を上げているし、各地から意見書も提出されているわけです。消費者の声をそんなに軽視していいんですか。消費者は、ゲノム編集食品の表示を求めているんです。

 科学的知見を検出する方法がヨーロッパで開発されたとすれば、それはすぐにでも調査研究すべきだと思いますが、もう一回、大臣、お答えください。本当に調べなくていいんですか。

伊東国務大臣 今の段階では、ヨーロッパで、その二か所の、表示食品を区別する、あるいは判別することができるという話は、正式にはこちらとしては確認できておりません。

山田(勝)委員 しっかり調査をしていただきたいと思います。

 ちなみに、ヨーロッパの議会では、ゲノム編集食品の流通に向けた動きもあって、流通するのであれば必ず食品表示を義務づけるということで、こういった科学的知見の開発が進んでいるんだろうと。なので、せめて、日本が流通させるのであれば、やはり食品表示は最低限必要だということを強く訴えます。

 その上で、農林水産省は、省を挙げて有機農業を推進しています。環境保全型農業への直接支払いも増額され、有機農業への支援は年々強化されています。

 遺伝子操作技術による人工的に作られたゲノム編集食品は有機JASとして認められない、この認識で間違いないでしょうか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 有機JASにおきましては、御指摘のとおり、ゲノム編集技術を用いた種苗等の使用は認めないという運用を行っているところでございます。

山田(勝)委員 明確にお答えいただきました。

 それでは、次の質問に行きます。

 政府は、今のように、ゲノム編集は有機JASじゃないと明確に答えを出しているわけです。一方で、放射線育種で開発した品種の使用を有機JAS認証として認めると公表しています。

 放射線育種とは、植物の種子に放射線を照射して遺伝子を破壊し、人工的に突然変異を起こして新品種を作る技術です。つまり、遺伝子操作を行う点で、ゲノム編集と共通しています。

 その上で、日本が加入するコーデックス有機ガイドラインでは遺伝子操作技術を禁止しており、当然、放射線育種も禁止する技術に該当するはずです。なぜ重イオンビーム技術を利用した品種が有機JASとして認められるのでしょうか。

庄子大臣政務官 お答えを申し上げます。

 今委員御指摘の重イオンビームにつきましては、放射線の一種でございます。有機農産物JAS規格におきまして、いわゆる農産物等に直接放射線を照射することは禁止をされております。一方で、品種改良の段階での放射線照射に関しましては、当該技術を利用して改良された品種やこれらを祖先に持つ品種の種子や苗を使用することは禁止されてございません。

 なお、コーデックスガイドラインにつきましては、遺伝子操作、遺伝子組み換え生物、また、それらに由来する製品の定義につきましては、交配又は自然な組み換えによって自然に生じることのない方法で遺伝物質を変化させる技術を用いて生産されるとしておりまして、それらの使用を禁止をしておりますが、放射線照射による育種につきましては、このコーデックスガイドラインにおいても禁止されていないものと承知しております。

山田(勝)委員 今の御説明も全く納得がいきません。一代目は有機ではないが、二代目、三代目なら有機になる、そんな理屈をおっしゃっています。

 子や孫の世代であっても、品種開発時に人工的に遺伝子の改変をした事実は継承されるので、ゲノム編集同様に規制されるべきです。有機JASは、自然界の力で生産された食品という有機農業の理念を尊重した国際水準を保つべきだと考えます。実際、EUでも有機規則で明確に禁止がなされています。遺伝子操作された食品は有機食品ではない、よって、ゲノム編集もこの放射線育種も有機JAS認証しないと早急に結果を出すべきだと強く訴えます。

 次の質問です。アニマルウェルフェアの観点から伺います。

 アニマルウェルフェアとは、動物福祉を意味し、感受性を持つ生き物としての家畜に心を寄り添わせ、誕生から死を迎えるまでの間、ストレスをできる限り少なく、行動要求が満たされた健康的な暮らしができる飼育方法を目指す畜産の在り方です。水産庁でも、このアニマルウェルフェアに配慮した養殖業を推進しています。しかし、ゲノム編集養殖魚はアニマルウェルフェアと言えるのでしょうか。

 資料三を御覧ください。例えば、日本でも流通しているゲノム編集マダイは、筋肉の発達を抑制するミオスタチン遺伝子を破壊することで筋肉の成長を異常に速めたものです。この点について、ドイツの科学者団体テストバイオテクは、筋肉が盛り上がっているが身長が短くなっており、骨格異常であり、拷問魚であると指摘しています。

 自らの意思ではなく、私たち人間の都合で過度に巨大化された魚たち。この環境は動物福祉でしょうか。明らかにアニマルウェルフェアに反しているのではないでしょうか。

庄子大臣政務官 お答えをいたします。

 養殖業におきましても、いわゆる育種を進めることは重要であると認識をしておりまして、ゲノム編集もその手段の一つであるというふうに思っております。

 国際獣疫事務局の水生動物衛生基準におきましては、養殖業におけますアニマルウェルフェアについて、養殖魚の輸送ですとか、養殖魚を締める手段でありますとか、あるいは疾病管理のための養殖魚の処分の際に配慮すべき事項を定めております。

 ゲノム編集を含む育種方法につきましては、当該基準には含まれておらず、国際獣疫事務局におきましてアニマルウェルフェアに反しているとの議論が行われているとも承知をしておりませんが、なお、今後、国際的な動向を注視し、適切に対応していきたいというふうに考えております。

山田(勝)委員 ゲノム編集で養殖している国は、日本だけなんですよね。世界で議論がないのは当然なんです。これは、どう考えてもアニマルウェルフェアの理念に反しているというのは誰が聞いても明らかだと思います。

 今の答弁で、やはり、分かりました。実際、日本は世界動物保護協会が発表した動物保護指数ランキングで最低ランクのGと出ています。こういった状況を改善することが国益に資すると思いますので、水産庁、農水省、しっかりと、アニマルウェルフェアとゲノム編集で養殖することが本当に理念として合致しているのか、検証をしていただきたいと思います。

 そして、農水省は、唯一、世界で、ゲノム編集で養殖をしている企業に対しイノベーション創出推進事業として約二十八億円もの補助金をつけています。私は、ゲノム編集養殖魚よりアニマルウェルフェアの普及にもっと予算をつけるべきだと考えます。

 私自身、七年前、スイスに農業や福祉を学びに行った際、畜産の方法が日本と全く違うことに驚きました。牛も豚も鶏も、放し飼いでなければ法律違反になることを知りました。日本が遅れている理由として、法整備が進んでいないこと、消費者の関心が低いことなどが指摘されています。

 農水省は今後どのようにアニマルウェルフェアの遅れを取り戻すのか、その具体策を教えてください。

庄子大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員は御地元でまさに自らが動物福祉に熱心に取り組んでおられるという、そうした問題意識から御発言をいただいたものと承知をしております。

 農林水産省といたしましては、昨年七月、国際基準であります陸生動物衛生基準、いわゆるWOAHコードに沿った、家畜を対象としたアニマルウェルフェアに関する飼養管理指針を発出をいたしまして、生産現場における普及、定着を推進をしております。

 アニマルウェルフェアに対応できる補助事業といたしましては、畜産クラスター事業や畜産ICT事業等におきまして、例えば、牛の放牧に必要な牧柵、給水施設等の導入でありますとか、また、乳用牛の自発的な行動を促す、いわゆる搾乳ロボット、あるいは採卵鶏の平飼い方式など、生産者がアニマルウェルフェアに対応した生産方式を選択できるよう、そうした措置を取らせていただいているところでございます。

山田(勝)委員 ありがとうございます。是非、アニマルウェルフェアに取り組む農家さんが増えるように、農水省も支援を強化していただきたいと思います。

 次に、環境への影響について伺います。

 能登半島地震でゲノム編集マダイの陸上養殖場が半壊してしまいました。その際、ゲノム編集マダイは施設外へ流出していないと政府は公表されていますが、それは政府として現地などで確認を取られたのでしょうか、教えてください。

五十嵐大臣政務官 お答え申し上げます。

 生物多様性の確保のため規制が必要な遺伝子組み換え生物等の使用につきましては、カルタヘナ法に基づきまして、生物の使用方法を定める規定が適切なものであることを確認するなどして、生物多様性への影響を防止するための措置を取ることとなってございます。

 その上で、御指摘のゲノム編集魚のような、外来遺伝子等が含まれておらず、同法の規制対象とならないゲノム編集技術で得られた生物についても、予防的アプローチの観点から、関係省庁が連携をし、その使用等により生物多様性に影響が生じないように必要な対応を行っております。

 具体的には、ゲノム編集魚については、流通等に先立ち、農林水産省が専門家に意見を伺いつつ、生物多様性への影響が生じないことをあらかじめ確認をしております。

 ゲノム編集技術によって得られた生物が生物多様性に影響を与えることのないように、引き続き関係省庁と連携しつつ適切に対応してまいります。

山田(勝)委員 済みません、委員長、答えてもらっていないんですけれども。そのゲノム編集の魚が逃げ出したかどうかというところの、ちゃんと確認を取ったのかということをまず聞いているんですが。

五十嵐大臣政務官 現地で確認はしておりませんが、流出していないというふうに環境省としては承知をしております。

山田(勝)委員 いや、危機感が相当薄いんですよね。なぜ確認していないんですか。

 前後してもう答えられましたが、日本は、カルタヘナ法で、遺伝子組み換え生物の使用による生物多様性への悪影響を未然に防止するため、遺伝子組み換え生物の使用は禁止されています。

 日本は震災が多い国です。養殖場が壊れ、遺伝子操作された魚が海に逃げた際、生物多様性への影響、これは計り知れないですよね。一旦海に逃げ出した魚は、もう捕まえることはできません。繁殖をしたり、どのような影響が海にあるか。遺伝子組み換えの魚だったら規制はするが、遺伝子操作された魚は規制はしない、こういう今のカルタヘナ法の運用は明らかにおかしいのではないですか。

 そして、本当にこの地震によって遺伝子操作されたマダイが施設外から、流出していないかどうか、政府は確認するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

五十嵐大臣政務官 ゲノム編集技術で得られた生物によりまして生物多様性に影響が生じることがないように必要な措置を講じることとしているというのは、先ほど述べたとおりであります。

 御指摘のゲノム編集魚につきましても、災害時でも陸上養殖施設の外に逸出しないための対応手順を定めるなど、生物多様性への影響が生じないことを農林水産省が確認をしており、予防的アプローチの観点からしっかりと対応をさせていただいております。

山田(勝)委員 いや、全く対応していないですよね。逃げ出しているかどうかも確認していない。そして、遺伝子組み換えだったら規制するが、遺伝子操作された魚であれば予防的見地で専門家から情報収集するなど、そういった運用方法を取られているわけです。これでは到底、ゲノム編集された魚が食の安全の観点からも適切に運用されているとは思えませんし、動物福祉や、そして生物多様性の観点からも問題が多いということを改めて強く指摘をさせていただきます。

 時間が来ましたのでこれで終わりますが、食品表示による消費者の知る権利、選択する権利を強く求めて、これからも訴えてまいります。

 ありがとうございました。

浦野委員長 次に、青山大人君。

青山委員 立憲民主党の青山大人です。

 まずは、悪質クレーム対策、カスタマーハラスメント対策についてお伺いいたします。

 二〇一七年、全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合が、全国で悪質なクレームがどのようになっているのかという実態調査が行われました。私も、その結果を見て、余りにも驚愕、驚いたことを今でも覚えています。それ以来、二〇一八年以降、私も国会で何度もカスタマーハラスメント対策、悪質クレーム対策について取り上げてまいりました。

 政府の方でも、当初は、これは企業の雇用関係外のハラスメントであってなかなか対応するのは厳しい、そういった答弁がございましたが、その後、政府の方でも、二〇二一年度にカスタマーハラスメント対策企業マニュアルを作成したり、二〇二二年度には企業における取組を促進をするための研修や、昨年、二〇二三年度はカスタマーハラスメントに対する政府としての実態調査も行ったというふうに聞いております。

 これらの様々な取組については一定の評価をするところでございますが、まずは、昨年度政府が行った実態調査の結果をどのように分析されているのか、お伺いします。

大隈政府参考人 お答えします。

 厚生労働省では、令和五年度に職場のハラスメントに関する実態調査を実施しておりまして、その中で、カスタマーハラスメントについての実態も調査を行っております。

 この調査によりますと、過去三年間にカスタマーハラスメントを受けた経験のある労働者は一〇・八%であること、従業員規模千人以上の企業においても特段の対応に取り組んでいない企業が三七・二%であること、対策に積極的に取り組んでいる企業ではカスタマーハラスメントの被害が少ない状況にあることなどといった結果が得られております。

 こうした結果を踏まえまして、個々の企業だけでなく、企業横断的にカスタマーハラスメント対策への取組が進むよう、労働者保護の観点から、法的措置も含め、対策の強化について検討を進めているところでございます。

青山委員 十二月の十六日の労働政策審議会雇用環境・均等分科会における議論においても、企業に対してカスタマーハラスメント対策措置を義務づける内容を柱とする方向性が示されたというふうに思っていますが、今後、企業への措置の義務化に向けた法制化も必要かなと私は考えますが、政府の見解をお伺いします。

大隈政府参考人 お答えいたします。

 カスタマーハラスメント対策の強化に関しましては、現在、労働政策審議会雇用環境・均等分科会において議論を進めているところでございます。

 今月十六日の同分科会におきましては、労働者保護の観点から、カスタマーハラスメント対策について、事業主の雇用管理上の措置義務とすること、カスタマーハラスメントの防止に向けて、国は、消費者教育施策と連携を図りつつ周知啓発に取り組むことなどを内容とする取りまとめ案をお示しし、御議論いただいたところでございます。

 引き続き、同分科会において取りまとめに向けて御議論をいただき、その内容も踏まえて、労働者保護の観点から、法的措置も含めて、必要な対応について検討を進めてまいりたいと考えております。

 また、あわせて、消費者庁における消費者教育施策の取組ともしっかりと連携をしてまいりたいと考えております。

青山委員 法的措置も含めて検討するということで、非常に前向きな答弁があったというふうに思います。本当に、これまでも何度か取り上げましたけれども、なかなかそこまで今まで踏み込めていなかったと思いますので、こうやって一歩一歩前進しながら、是非、そういったカスタマーハラスメントを本当に一つでもなくせるように取り組んでいってほしいと思います。

 同時に、これは企業の対策だけではなくて、先ほども答弁の方でもあったように、やはり消費者側にも、カスタマーハラスメントの加害者とならないために、消費者の教育が重要だと私は考えます。これまでもこの委員会で繰り返し述べてきましたが、令和五年三月二十八日変更の消費者教育の推進に関する基本的な方針にも同様の趣旨は反映されております。

 是非、この趣旨の実現のために、現在行われている具体的な取組とその効果、そして今後の進め方について、政府の考えをお聞かせください。

伊東国務大臣 青山委員の御質問にお答えします。

 私も、直接カスタマーハラスメントを目の前で見たことがありまして、そのときは、か弱い女性がというか、飛行機の中のキャビンアテンダントさんが相当意地悪な客にいじめられていたものでありますから、助けてあげた思い出がありました。やはり、カスタマーハラスメントも立場の弱そうな人をターゲットにする傾向が強いのかなという、そんな思いをしたところであります。

 適切に消費者がそのお店、その事業者に意見を伝えることは、提供する商品やサービスの改善を促すことにもつながるものであり、消費者市民社会の形成を目指す消費者教育の理念にも、そこであれば沿ったものである、ほどほどのところであればということになろうかと思います。

 しかし一方で、消費者から従業員等への行き過ぎた言動が見られることも踏まえ、消費者が自立した責任のある行動を通じて社会的な役割を果たしていくことができるよう、消費者教育を推進していくことが重要であると認識しております。

 このため、消費者庁では、事業者に配慮した適切な意見の伝え方に関する消費者向け啓発チラシ等を作成し、消費者庁のSNSあるいはホームページに掲載する等により周知啓発を行っており、地方公共団体における消費者向け啓発活動の場でも活用されていると承知しているところであります。

 今後のカスタマーハラスメント対策の推進に当たりましては、厚生労働省や業所管省庁と連携した取組が必要であると認識しておりまして、消費者庁としても、引き続き、関係省庁との連携を深めつつ、カスタマーハラスメントが生じる場面や条件などの実態把握や効果的な啓発方法の検討を始め、消費者教育の強化に取り組んでまいりたいと考えているところであります。

青山委員 本当に、大臣、目の前でそういった現場を見て、そこで止めに入ったというか、助けに入ったということで、大臣のような勇気ある、そういう行動を取れる方も全員とは限りませんし、やはり、ほどほどという部分がなかなか難しいと思います。

 私は、これは是非、消費者教育の中で、学校教育、やはり若年世代からそういった、本当にカスタマーハラスメントというものの加害者にならないように含めて、学校教育の現場にも今後そういった、取り入れてほしいということを、これも今までも要望していますけれども、重ねて要望し、この質問を終わりにさせていただきます。

 次の質問に行きます。セルフレジの普及と万引きの増加に関してお伺いします。

 セルフレジについては、コロナ以降、急速に普及が進んで、さらに、昨今の人手不足への有力な対策として全国的に導入が進んでおります。しかしながら、最近では万引きの増加も見られるようになってきています。

 警察庁の調べによれば、商業施設、コンビニ、ドラッグストアでの万引き件数が昨年、二〇二三年で八万四千五百五十七件、被害総額十八億二千三百九十六万五千円とのことでございます。要因はいろいろあるかもしれませんが、これは小売業界、現場の肌感覚でございますけれども、やはりセルフレジの導入によって万引きが増加しているんじゃないか、そんな現場の声をよく聞くところでございます。

 そこで、まず政府として、セルフレジの普及と万引き件数との関連性、こういったものをどう捉えているか、また、こうした状況をどのように認識しているのか、お伺いいたします。

伊東国務大臣 身近な店舗におきましてもセルフレジの導入が進んでいることを私も見聞きしておりまして、実感しております。

 このようなデジタル化の進展には不慣れな消費者も存在するであろうと理解をしているところでもあります。セルフレジの普及を含め、消費者を取り巻く環境の変化につきましては、関係省庁とも連携し、常に注視してまいりたいと考えております。

青山委員 実際、これはそういう分析をされていないかもしれませんが、やはりセルフレジの普及によってちょっと万引きが増えている、そういった関連性などについては何か考えるところはあるか、それとも、まだそういったところの見解では分析をしていないか、現状をお伺いいたします。

伊東国務大臣 分析はしておりません。

 セルフレジ、ずらっと並んでいて、お買物をしている人、我々から見ると、ちゃんとお金を払っているんだろうなと思って見ているところでありますけれども、場合によっては万引きをそこですることも、もしかすると可能かなとは思いますけれども、実見したことがないものでありますから。

 これからまたそういう数字が増えてくるようであれば、分析をして対応してみたい、こう思います。

青山委員 そうですね、まだちょっと、今後の推移を見ないと、なかなかその関連性等は分からないと思うんですけれども。

 先ほどちょっと大臣も答弁でおっしゃったように、なかなかセルフレジに慣れていないような方がいて、うっかりみたいなのもあるというふうにも現場の声からは聞いておりますが、とはいえ、万引きが重大な犯罪であることは、これは言うまでもありませんね。

 やはりこれも、今後、消費者教育の中に、先ほどの答弁にもあったように、セルフレジの普及に伴う万引きの件も入れていくことが、抑止力はもちろん、万引きは軽い行為ではなくて犯罪であることを明確に伝えることも私は必要かなというふうに思っております。万引きが小売店に与える経済的損害や社会的影響を消費者教育として伝えることで他者への影響を考えさせる、これも教育の一環ともなりますし、セルフレジが普及する中で、誰も見ていないという状況が犯罪を誘発しやすい可能性もございます。

 具体的な提案として、カスタマーハラスメントもそうですけれども、やはり学校教育、やはり若年世代からの啓発というのが、絶対にこれは入れることも大事だなと私は思いますし、万引きの法律的な側面や店舗経営への影響などを加えたりとか、又は、ソーシャルメディアを活用して社会的に周知したりとか、セルフレジの利用時のルールや注意点を消費者に周知することも私は必要だというふうに思っております。

 大臣に、改めて、万引きに対する消費者教育について、ちょっと考えをお伺いします。

伊東国務大臣 万引きについてでありますけれども、無人レジを導入しているお店のやはり責任もあるのかなと思いますし、また、恐らく監視カメラと一体的なものであろうというふうにも想像できます。ですから、そこで万引き行為をすることによって、それが映像で記録されて、それから身元が割れるということも十二分に考えられることでありますので、そうした周知というかPRもやはり必要ではないかなという気がいたします。

 私の知り合いの中古の本屋さんで、中古の本でありますけれども、買取りセンターのようなものがありまして、新刊書が出てきた夕方にはその新刊書が中古のブックセンターに並んでいるというぐらい、やはりこれは万引きですね。

 そういうのがやはり結構、商店としても、お店としても対策を講じていかなければ、人を配置すればそれはなくなるわけですけれども、人件費と万引き額とどっちが大きいかのようなことで捉えられていても困るかなという、そんな思いをしておりますので、しっかり対処していけるように頑張ってまいります。よろしくお願いします。

青山委員 そうですね、まさに、本当に大臣がおっしゃったように、人が足りなくて、それで省力化していって、でも、結局人を配置してしまったら本末転倒でございますし、おっしゃったように、ある程度、万引きの被害額と人件費とかもありますけれども、ただ、やはりそもそも論として万引きは重大な犯罪なんだということを、これは本当により広く、若年世代の教育からしっかりそこはより徹底していかないといけないのかなと思ってこの質問を取り上げさせていただきました。是非、これからも検討の方をお願いいたします。

 次の質問に行きます。食と農の教育についてお伺いをいたします。

 食料安全保障の強化のためにも、私は、消費者の農業の価値への理解、国産農産物への理解、そういったものが大切かなと思っております。そのためにも、農業関係者と連携した啓発活動の取組が重要だと私は思います。農業への知識を深め、国内の農業への消費者の理解、こういったものがもっと進めば、国内農業を応援し、支える力にもなります。

 今日はずっと消費者教育ということを言っていますけれども、その一環として、農業関係者と連携した啓発活動の取組、私はこういったものもより重要かと思っていますけれども、政府はどういったことを取り組んでいるのか、お伺いいたします。

伊東国務大臣 消費者庁では、安さや便利さにとどまらない消費生活の選択肢として、人や環境に配慮した消費行動であるエシカル消費というのを重点に置いて、これを普及啓発に努めているところであります。委員御指摘の消費者の国産農産物の価値の理解についても、理解の促進がエシカル消費につながることも考えられるわけでありまして、農業関係者と連携した啓発活動の取組について、農林水産省において、生産者と消費者の相互理解を促進する取組などを実施しているものと考えております。

 消費者庁といたしましては、今後、こうした関係省庁の取組をエシカル消費特設サイトというところにおきまして取り上げるなど、関係省庁との連携を一層進めることも検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

青山委員 ありがとうございます。

 まさに、何で今日消費者教育ということをずっと言うかというと、今まで、消費者教育というのは詐欺とかそういうところから守ることに重点を置いていたと思うんですけれども、やはり、これからは本当にみんながより賢くなって、そういった教育が私は必要かなと思っているので、取り上げております。

 例えば、自分たちの食べるものがどこで生産されているのか、手元に届いているのかを知ってもらい、農業を身近に感じ、関心を持ってもらうことが、将来的な、国内農業を守り、新たな担い手を育成する土壌にもつながると私は思いますし、地元の茨城県でも、例えば、ゴルフ場に使われている芝が全国一位ですとか、お正月の飾りに使われる切り枝が全国一位だとか、メロンとか、そういったことを農業団体の出前授業で子供たちに知ってもらうことだけでも、好奇心を見せる、好奇心につながっている、そんな声を聞いています。

 農業体験など一過性の特別なものにとどめるのではなくて、日頃から食と農の教育の機会拡大をすることで、農業を身近に知ってもらい、将来の職業選択につながる好奇心を養うことにもなります。地域団体の取組とも連携しながら、更に効果的に食農教育の機会を拡大し、進めていくことは、将来の食料自給率向上にもつながると考えますが、より政府の考えをお伺いします。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 子供たちに農業を身近に感じてもらうための様々な食育の取組は、生産者の努力や食に関する感謝の念を育み、ひいては、食料の持続的な供給や、将来の農業を担う人材育成につながる重要なものと考えております。

 このため、農林水産省では、米や野菜の作付から収穫までの一連の農作業を体験する機会の提供を後押ししているほか、地域の生産者と給食関係者が連携して学校給食に地場産物を供給、使用するための体制づくりへの支援や、給食現場と生産現場との間を調整する地産地消コーディネーターの派遣を行うなど、地域での食育活動を支援しております。

 加えて、食卓と農業現場との距離が遠くなる中で、一過性のものではない継続的な農業教育がより一層重要になっていることは、まさに委員の御指摘のとおりでございます。このため、農林水産省においては、農業体験にとどまらず、教科を横断した食育授業や、給食の時間などを通じた生産者との交流などを組み合わせた継続的な取組の拡大に向けて、JAなどの農業者団体の取組を支援することにより、引き続き食育の機会の拡大に努めてまいりたいと考えております。

青山委員 それでは、最後の質問に行きます。

 先日の大臣所信表明にもあったように、食品ロス削減のガイドラインの策定、消費者庁は、食品ロス削減と生活困窮者支援を目的として、食品寄附に関するガイドラインの策定を進めているとのことでございますが、今後、例えば、寄附者である企業が安心して食品の寄附やフードバンク活動に参加できるようにするためには、食品提供に伴うリスクや責任の所在を明確化し、適切な免責措置を講じることが重要ではないかと思います。

 アメリカやフランスなどでは、善意で寄附を行った企業や団体が責任を問われないようにする法律が整備されております。日本でも、同じような法制度を整備し、食品寄附を行った企業が、故意又は重大な過失がない限り、食中毒などの問題で責任を問われないようにすることが必要ではないかと思います。こういった免責事項の明確化をすることが私は効果的かなと思うんですけれども、大臣の考えをお伺いします。

井上政府参考人 お答えいたします。

 食品提供に伴って生ずる法的責任の在り方については、昨年度、食品ロス削減推進会議の枠組みも活用し、法的措置も含め、政府全体で検討を進めたところでございます。その結果、現状においては、我が国で食品寄附の促進、定着を図るため、食品寄附に対する社会的信頼を高めることが必要であるとの認識の下、昨年十二月に政府として取りまとめた食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージにおいて、まずは食品寄附ガイドラインを作成することとしたところでございます。

 これを受け、本年五月に食品寄附関係者で構成される官民協議会を設け、一定の管理責任を果たすことができる食品寄附関係者が遵守すべき事項を示した食品寄附ガイドラインを年内に取りまとめることとしております。

 今後、このガイドラインの普及啓発を行い、食品寄附に対する社会的信頼の向上及び食品寄附の促進を図ってまいりたいと考えております。

青山委員 それを踏まえた上で、そういった免責事項の法的な枠組みの整備なんかも今後の検討課題ということでよろしいでしょうか。最後の質問です。

伊東国務大臣 この法的責任の在り方につきましては、推進会議の枠組みを活用して、政府全体で検討を進めてまいりたいと考えているところであります。

 我が国で食品寄附の促進、定着を図るため、これからできる限りのことをしてまいりたいと考えております。

青山委員 分かりました。

浦野委員長 質疑時間が終了しました。

青山委員 以上で終わりにします。ありがとうございました。

浦野委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 伊東良孝大臣、よろしくお願いいたします。同じ伊東でなかなか珍しい、伊東は珍しいんですけれども、伊東大臣とは本当に、私が議員になる前、開業医のときからいろいろなところで御教授をいただきましたので、本日はよろしくお願いいたします。

 加えて、今期から我が会派の浦野靖人議員がこの委員会の委員長になられまして。この委員会というのは、消費者の利益の擁護並びに推進に関する総合的な対策を樹立するということを目的にしています。大臣も最初の所信で、常に消費者目線でということをおっしゃっていただきましたので、そういったところを中心に質問させていただくんですが。

 消費者は、商品を、これがサービスであっても商品であっても、選択する際、購入する際というのは、受動的には広告というのを見ます。能動的には、やはり時代も変わりまして、自分で調べられるという世の中になりまして、社会構造が変わりまして、検索というのを使います。

 ところが、最初の質問なんですけれども、昨今、これは流行語大賞のあれにも入りましたけれども、ステマという言葉がございます。ステマというのは略語なんですけれども、ステルスマーケティングですね。ステルスというところで、分かりにくいとか、隠れるとか、そういうところがあるんですけれども、広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すのがいわゆるステルスマーケティングです。

 今まで、商品があったら、そこには景品表示法というのがあって、うそや大げさな表示というのをしっかりと規制しておりまして、様々な問題があったんですけれども、このステマ自体も規制するために、令和五年の十月一日からステルスマーケティングも表示法の違反となったんですね。

 この法律では広告を規制すると。でも、一般消費者が広告であることを分からないものがステルスマーケティングなんですけれども、そもそも不当な表示というのはどんなものがあって、このステルスマーケティングに対してどのように規制をしているか。大臣、この景品表示法に関する、三つ種類があるんですけれども、資料一にも挙げているんですけれども、御説明いただければと思います。

伊東国務大臣 伊東委員の御質問にお答えしてまいります。

 いわゆるステルスマーケティングにつきましては、景品表示法第五条第三号の規定に基づき内閣総理大臣が指定する不当表示として規制されておりまして、具体的には、広告であるにもかかわらず、広告であることが一般消費者にとって明瞭でないものが禁止をされているところであります。

 ステルスマーケティングにつきましては、消費者庁のホームページにおきまして、専用の違反被疑情報提供窓口、これを設けるなどして一般消費者等から情報を受け付けているほか、景品表示法の執行を担当する職員による日常的な監視を行っております。また、インターネット上の広告表示に特化したインターネット監視チームにおきましても、キーワード検索等により、ステルスマーケティングを含む不当表示について監視を行っているところであります。

伊東(信)委員 資料一に幾つか、その三つの種類を載っけておりまして、有利誤認表示というところがありまして、最後のところに、例えば脱毛エステの料金とか、あたかもよそに比べて低価格であるというような、こういった表示も対象内ということです。

 ただ、割と分かりやすいステマと分かりにくいステマがあるんですけれども、消費者を守るためにこの法律があるんですけれども、対象となるのは、サービスを供給している事業者、広告主が規制対象ということなんですけれども、先ほどの青山さんとかの質問にもあったんですけれども、消費者を守るし、消費者を教育するのも当然のことなんですけれども、こういった事業主がしっかりと理解をせずに、例えば大手製薬会社の大正製薬も同違反で行政処分を受けているんですね。

 これまでに、いわゆる、私は先ほどちらっと言いましたけれども医師ですので、医療とか健康に関わるものでどれぐらいの件数の違反があって、健康に関する、医療、美容の範囲もそうなんですけれども、ステルスマーケティングに対して違反監視に注意を払っているのか、これをお答えいただけますでしょうか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 医療関係につきましてのステルスマーケティングで違反とされた事例、昨年の十月一日にステルスマーケティング告示が施行されまして、それから一年ちょっとというところでございますが、今まで全体で三件の措置命令を出しておりまして、そのうちの一件目につきましては、医療機関についてのステルスマーケティングの違反ということでございます。また、大正製薬、今御言及がございましたけれども、これはサプリメントに関してのステルスマーケティングということで、違反ということで措置命令を行いました。

 以上でございます。

伊東(信)委員 三件とおっしゃって、今二件しかおっしゃらなかったですけれども、まだ一件あるんですか。

田中政府参考人 失礼いたしました。

 残りの一件といいますのが、RIZAPというところに対しての、ステルスマーケティングということで違反としております。

伊東(信)委員 そうなんですね。RIZAPの広告がどうのこうのではなくて、現在、この対象となる広告、これは実際、広告なのかどうなのかというのはなかなか判断しにくい一つの要因としまして、SNS自体の発達というか発展というか、種類が増えていることにあるんです。

 私、二〇〇八年に開業して、十六年前ですけれども、そのときは、本当にホームページぐらいだったんですね。そこから、フェイスブックができて、X、旧ツイッターですけれども、今、ユーチューブとかインスタグラムとかあるんですけれども、そういったところで自らの体験を語る非常に影響力の強い、それを職業とされている方がおられまして、これはインフルエンサーと申します。

 インフルエンサーの方々も、今はそれを職業としていますので、そのお仕事自体を制限するものではないんですけれども、このインフルエンサーもこういったステルスマーケティングの対象となっているんでしょうか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 景品表示法は、事業者が自己の供給する商品や役務についての広告についての規制でございまして、インフルエンサーの方は供給する主体ということではございませんので、その場合には事業者の方が違反ということになるものでございます。

伊東(信)委員 その場合は事業者の方が違反ということは、特にインフルエンサーさんの仕事に関してどうのこうの言うものではなくて、事業主さんが、これが広告であると認められれば、インフルエンサーさんではなくて、広告主の方がこの法律にひっかかるということですよね。

 このステマ自体、どうでしょうか、一年間で三件というのは、私はなかなか少なく感じるんですね。もっともっと被害の状況というのは実際に訴えられているのではないかなというのが肌感でありますし、実際にお聞きするところなんですね。

 その原因として、では、広告主がどういった状況になれば、インフルエンサーさんを使ってのステルスマーケティング、広告と認められるものになるんですか。広告なのに広告じゃないというようになっているけれども、実は広告ということですよね。どういった場合に広告になるんですか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 ステルスマーケティングの告示につきましては、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示ということで、その要件等につきましては、ガイドライン等でも詳しく説明をしております。

 一つ目は、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う何らかの表示であるということ。また、事業者がその表示の内容の決定に関与したというようなところにつきましてもその認定をする必要がございますし、また、一般消費者が当該表示、広告であるということを判別することが困難であるというような点等も認定をしていくということでございまして、三件でちょっと少ないんじゃないかということでございましたけれども、しっかりと審査をいたしまして、違反の情報に接しましたら、法と証拠に基づきまして適切に対応してまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 せっかく答弁いただいているんですけれども、伊東大臣、どうですかね。世代的にやはり、私ももう六十を超えているので、いわゆる「ふてほど」の世代なんですよね、昭和世代なんですけれども、それでも何とか、自分自身もこういったSNSを使ってやっているんですけれども、今の御説明で分かりましたでしょうか。

 というよりも、例えばSNSで、今、ユーチューブ、X、インスタグラム、ティックトック、その他、フェイスブック、LINE、メールもありましたら、ホームページもありますし、検索もあるんですけれども、大臣御自身はどういったSNSを御活用されていますか。

伊東国務大臣 一般的なところは三つ、四つ、フェイスブックもやっておりますし、メール等もやっておりますし。難しいところもたくさんありまして、手をつけられないでいるのもあります。これから勉強して。はい。

伊東(信)委員 いや、同じ伊東ですので、伊東を責めるつもりはありません。

 要は、何が言いたいかといいますと、今、若い子らは、短い動画であるティックトックをよく見て使うわけなんですね。インスタグラムの中も、動画の部分の、ストーリーズといいまして、二十四時間で消えてしまうやつもあるんですよ。こういった中に、厚労省の管轄のいわゆる医療法に関するような違反があっても、なかなか分からないんじゃないかと。また、消費者庁さんに関して言いますと、こういったところのステマが分からないんじゃないかと。

 ここに、例えば、インフルエンサーが、今から治療に行ってきます、治療前はこうです、治療後はこうなります、これは治療前と治療後が出てきますよね。これは違反であるけれども、法の規制にひっかかっていないんじゃないんですか。

森政府参考人 医療機関が行っております広告につきましては、景表法等の規制に加えまして、医療法でも医療広告に関する規制をさせていただいております。

 委員御指摘の、いわゆるインフルエンサーがやっているような場合のステルスマーケティングについては、厚労省が策定する医療広告ガイドラインにおいて、医療機関が広告料等の費用負担の便宜を図って掲載を依頼している場合には、実質的に医療広告に該当し得る旨掲げさせていただいております。このような場合には、当然、医療広告の規制の対象になるという形になっております。

 こうした中で、厚生労働省においては、医療機関のウェブサイト等の監視を行うネットパトロール事業というのをさせていただいておりまして、SNSも含めて、医療広告において誇大広告それから虚偽広告といった不適切な表示が見られるウェブサイト等を把握した場合には、医療機関に対して規制を周知して、自主的に見直す場合、それから、改善が認められない場合については、都道府県に対して情報提供をしているところでございます。その上で、都道府県等において広告の違反が認められた場合には、当該広告を行った医療機関に対して行政指導や広告の是正命令などの措置を行っているところでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 要は、報酬が払われたら、これは広告だよということですよね。であれば、そういったステルスマーケティングと言われるところも、これは広告ですと何か打てば、画像の中でも、これはいいわけですよね。

 じゃ、広告であったらどうなのかというところで、まずは、二〇二四年十二月六日、つい最近ですね、毎日新聞の朝刊の政治面に載っていた記事なんですけれども、再生医療への期待は大きい、だけれども、健康被害など、一たび信頼を失えば、普及が滞りかねないと。がんの予防をうたった再生医療で二人が重大な感染症にかかったとして、厚労省が十月、治療提供を一時止めさせたということです。再生医療は安全性の確保法があって、十年になります。審査する委員会のチェックが甘いケースも明らかになっているとか書いておりまして、この記事には。

 よくない話としては、厚生労働省の承認を受けた、つまり、これは、再生医療の確保法で届出を出したらそれで承認が通りますので、あたかも厚労省のお墨つきを得ているような文言や、効果を過大に期待させる内容のものが確認されているんです。もちろん、こういったところはしっかりとネットパトロールでやっていただきたいんですけれども。

 私が申し上げたいのは、まずは冒頭、やはり消費者目線で、消費者の利益をというお話でいいますと、美容目的のところというのはさておき、今、治療も自費診療がありまして、私自身も、私は医療法人を幾つかやっているんですけれども、一つの医療法人では自費診療をやっているんですね。

 ここで申し上げたいのは、やはりエビデンスが存在しない不十分な未確立医療はネット上に無数存在していると。これはやはり、広告規制でしっかりとやってほしいんですけれども、こういったメディアもよくないなと思うんですね。つまり、自由診療はなぜか行政の規制が非常に甘く、ほとんど野放しの状況と捉えていると書いてあるんですが、そんなことないですよね。かなり厳しくて、グーグルとかそういったところでは、例えば、先ほど再生医療の話をしましたけれども、再生と免疫と治療とかと三つワードとかを入れますと、もうグーグルでひっかかって、広告は出れないんですよね。こういった規制もあったりもします。

 つまりは、何が申し上げたいかというと、日本の国が冠たる医療保険制度というのは必ず守らなければいけません。ただ、やはり困っておられる消費者の方、患者さんもおられるから、そこは患者さんの選択の余地をやはり残してあげるということも十分大事なのかと思います。

 あとは、今広告と言いましたけれども、検索すると、広告料を払うと、リスティング広告といいまして、やはりお金を払っているところがばんと上位に出るんですね。そこには広告と書いています。こういったところを、よくないところもあるけれども、妙に規制し過ぎるのも、かえって患者さんの益に反することになりますので、その辺りはちょっとバランスよく、ここは消費者問題の特別委員会なので、厚労省と消費者庁でしっかりと連携を取って、大臣にお願いしたいのは、そこをやはり消費者目線でしっかりとリーダーシップを取っていただければ幸いです。

 もう一個だけ、逆のステルスマーケティングじゃないかなと思われる話があるんですけれども、口コミのサイトってあるんですね。口コミサイトで、これもまた先ほど青山さんからの質問にもありましたけれども、カスタマーハラスメントであることもあるんですけれども、中に、逆にネガティブキャンペーンを張って、つまり、競合他社に対して、行ったことないのに、さもここはよくないよというところで、グーグル口コミに悪い口コミを書いたりする、そういった事例もありました。

 本年の四月に、医師六十三名がアメリカのグーグル社を相手に集団訴訟をしたんですね。これは、来たことない患者さんと名のる人、若しくは、グーグル口コミだったらハンドルネームなので、どなたかも分からない。名前を書いていても、カルテの中に存在していない。ところが、これを削除依頼しても、全部連絡は、メールしか駄目なんですね、グーグルの場合は。

 これもステルスマーケティングの一つであるし、逆にそこの、訴訟になるぐらいですから、もちろんカスタマーハラスメントもあるし、よくない医療機関もあったかもしれません、だけれども、このこと自体も一つ何か対策というのが必要だと思うんですけれども、消費者庁さんか厚労省さんから何かコメントはございますでしょうか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる下げステマといいますか、そういうおとしめるような口コミということでございますけれども、景品表示法は、繰り返しになりますけれども、自分が、事業者が自己の供給する商品、役務の取引について行う表示についてのものでございますので、そういう他社の商品について口コミをするというところについては、自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示にはちょっと該当し難いと考えておりまして、景品表示法としては規制の対象となるものではないのかなというふうに考えております。

伊東(信)委員 この事例は、美容外科といわゆる治療の外科と混じっているんですけれども、治療に関して言いますと、やはり、厚労省さん、こういった下げステマがあると、なかなか患者さんの益に反すると思うんですけれども、何かコメントはございますか。

浦野委員長 森審議官、答弁を簡潔にお願いします。

森政府参考人 医療法等の関係で、広告主でない医療機関がやったものについて取り締まるというのはなかなか難しいというふうに考えておりますけれども、関係省庁連携して、どういうことが取れるのかというのを丁寧に模索していきたいというふうに考えております。

伊東(信)委員 といったことで、課題が多いので、伊東大臣、しっかりとまたよろしくお願いいたします。

 終わります。

浦野委員長 次に、丹野みどり君。

丹野委員 国民民主党の丹野みどりと申します。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 近年、高齢者を狙った犯罪が後を絶ちません。といいますのも、言わずもがな、高齢者の方が確実に増えているからであります。我が国における六十五歳以上の高齢者の割合はおよそ三〇%ということで、過去最高の更新が続いております。圧倒的に高齢者が狙われているのが、振り込め詐欺といった特殊詐欺であります。

 その理由が二つあると思います。一つは、判断能力の低下や認知症、そして一つは、独り暮らしということです。

 まず、判断能力です。物忘れなどについての不安を聞いた調査があります。資料一を御覧ください。

 当然ながら、年齢を重ねると認知機能の低下に不安を感じているという調査が出ているわけですけれども、このように、御自身が不安を感じているぐらいですから、犯人もそこを狙ってくるわけですね。そして、実際に、御病気であります認知症の方も増えております。厚生労働省によりますと、二〇二二年の最新の調査から、二〇二五年は認知症の方は四百七十一万六千人と推計されています。

 続いて、資料二を御覧ください。

 このうち、独り暮らしの高齢者の割合です。調査は五年ごとになるんですけれども、六十五歳以上で独り暮らしをされている方がやはり増えているんですね。独り暮らしのために家族に相談できない、そういった環境が被害に遭いやすい状況を生んでしまっています。

 この資料二にはございませんけれども、先ほどの認知症の方、認知症の方であってもお独り暮らしという方もありまして、二〇二五年に百四十七・六万人と推計されています。このように、高齢で認知症でお独り暮らしというケースが本当に多いなというのが、実際に私も政治活動をしている中で実感としてありました。

 というのも、私、ポスターを貼ってくださいということで新規開拓をしておりまして、そのときに、ポスターいいよと言われて、貼って帰ってきました。すると、数日後にお電話がありまして、電話の主が息子さんや娘さんなんですね。父や母は認知症で、ポスターいいよと言ったんだけれども、ちょっと困るからもう一回剥がしに来てと言われて、あるあるですよね、後日、剥がしに行きます。すると、お話が、いや、うちの父や母は認知症で、よく分からずにオーケーしちゃったんだけれども、申し訳ないけれども剥がしてねと言われて、剥がすんですね。ふだんは仕事があって、通いで介護をしていて、通常は認知症なんだ、お独り暮らしですという話を聞きます。なので、本当にこういうケースが多いんだなというのを実感いたします。

 私の実感もあるんですけれども、実際の数字も御覧ください。資料三と四なんですけれども、特殊詐欺全体が一万六千三百九十八件です。このうち六十五歳以上が六七・七%。やはり圧倒的に高齢者の方が狙われているわけです。

 この振り込め詐欺なんですが、お恥ずかしい話、実は私の母も被害に遭いました。私は六歳下の弟がいるんですけれども、この弟に成り済ました男から電話がありまして、母が信じてしまったんですね。職場でまずいことをした、穏便に済ませたいから四百万円下さいということで、慌てた母が四百万円振り込んで、冷静になって気づいて、だまされたと思ったんですけれども、もう遅いんですね。

 当時私は、地元の名古屋で、テレビ局でアナウンサー、キャスターをしておりまして、番組で振り込め詐欺に本当に気をつけるようにと皆さんに放送していたのに、まさか自分の母がこういう被害に遭うとは思いませんでした。

 特に、一般的に、母は息子に弱いですよね。母は、娘はこうやってコミュニケーションを取るんだけれども、やはり息子さんというのは、鉄砲玉で行ったきり、なかなかお母さんとコミュニケーションを取らないということもありますので、母は自分の息子の声を見抜けなかったと泣きますし、こういったことを息子に報告をして、何をやっているんだと言われてまた泣きますし、なので、被害額以上に、精神的に本当に傷つくんだなということをよくよく感じました。親の心につけ込んだ犯罪。

 そして、ちなみに、私の母は認知症でもありませんし、当時独り暮らしでもありませんでしたけれども、こういう被害に遭いました。なので、お伝えしてきたように、こういう状況の高齢者の方はもっともっと被害に遭いやすいと本当に感じます。

 そこで、質問でございます。消費者庁の方に伺います。

 高齢者を狙った消費者被害について、今までそしてこれから、どういった対策をされているか教えてください。

尾原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、物忘れ等の認知機能の低下につきまして、年齢層が高くなるほど不安を感じる人の割合は高くなるところであります。高齢者の消費者被害の未然防止、拡大防止に向けた取組が重要であると認識しております。

 消費者庁及び国民生活センターでは、これまでも、高齢者が遭いやすい消費者トラブルについて注意喚起を行うとともに、消費者被害の事案に応じて、幅広い消費者の皆様に対して様々な注意喚起を実施しているところでございます。

 また、高齢者や障害者等の配慮を要する消費者に対して、福祉、教育、警察など多様な関係者が連携して、消費者被害の未然防止、拡大防止に取り組む消費者安全確保地域協議会、見守りネットワークの設置促進、活性化を進めているところでございます。

 消費者庁では、引き続き、注意喚起や見守りネットワークの活性化など、高齢者の消費者トラブルの未然防止、拡大防止に取り組んでまいります。

丹野委員 ありがとうございます。

 続いては、リフォーム詐欺についてなんですが、屋根を無料点検するとか、本来必要がない工事をやりますとか、そういう詐欺が問題になっております。

 警察庁によりますと、悪質な事例として、これも高齢者の方なんですが、令和六年九月です、七十代後半の女性が認知症で判断能力を欠く状態であることに乗じて、汚水パイプを洗浄しますと、工事代金をせしめようとしたんですけれども、これに御長男が気づいて契約をクーリングオフして未然に防ぐことができた、それで被疑者三人が逮捕されたという事例がありました。まさにこれも、高齢者の方、そして認知症なわけです。

 そして、資料五を御覧ください。

 このデータを見ますと、令和五年が千百十四億円となっていて、すごく驚くんですけれども、実はこれは一件で一千億円というのがあったそうで、それを引いても、二十七億円から百十四億円に被害額も増えております。しかも、泣き寝入りをしている人も多いと思うので、これは氷山の一角だと思うんですね。

 そこで、質問です。

 高齢者を狙った犯罪の中でも、前半にお伝えしました特殊詐欺、こういったものについて、今度は、警察としてどういった対策を取られているのか教えてください。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 警察といたしましては、特殊詐欺に対しまして、積極的な職務質問による受け子や出し子の検挙、電話をかけるかけ場の摘発、悪質な犯行ツール提供事業者に対する取締りなど、各種捜査を徹底しているところでございます。

 こうした徹底捜査に加えまして、被害防止の面では、本年六月に決定された、国民を詐欺から守るための総合対策などに基づきまして、犯罪傾向を踏まえた被害防止対策の周知や注意喚起等の広報啓発活動、犯行に国際電話が利用される傾向がございますので、国際電話の着信のブロック、非通知着信を拒否するナンバーリクエストなどによる、犯人からの電話を受けないための対策、また、被害者が振り込み等に訪れる金融機関やコンビニエンスストア等と連携した被害防止対策などを推進しております。

 警察といたしましては、高齢者等が特殊詐欺の被害に遭わないため、関係省庁とも連携いたしまして、今後とも引き続き、こうした取組を強力に推進してまいります。

丹野委員 ありがとうございました。

 本当に長年にわたり啓発活動をされているというのはよく分かりますけれども、それでも一向に被害が撲滅されないわけですね。私は、こうした犯罪に対して厳罰化を求めます。

 現行の刑法では、詐欺罪の法定刑が十年以下の懲役と規定されております。しかし、現実は、執行猶予込みで二年以上三年未満の刑期が最も多くて、全体の三四・一%を占めています。また、五年を超える刑期になりますとおよそ二・三%ということで、これだけ量刑が軽ければ、安易な気持ちでこういう犯罪に手を染めるという人が後を絶たないと思っております。

 私は、法改正をして、詐欺罪の法定刑を、最長十年から、有期懲役の最長であります二十年に引き上げるべきだと思っております。市民に啓発すること、これと同時に、犯罪者が震え上がるような、ためらうような、そういう厳しい法律にすること、そういう環境をつくることを同時に行っていかなければ、この犯罪撲滅には至らないと思っております。

 特殊詐欺などの厳罰化を求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

浦野委員長 次に、西岡義高君。

西岡(義)委員 国民民主党の西岡義高です。

 今回初当選の一年生でありますけれども、このような質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私も、カスタマーハラスメントに関して質問させていただきたいと思います。

 私は、長く食品関連の企業に勤めておりまして、そこで流通業であったり外食産業の方々と一緒に仕事をさせていただいておりました。消費者クレームの現場で、直接お話を聞くとともに、私自身もクレーム対応する、そういった場面がございました。

 当然ながら、消費者が苦情を申し出る、これについては十分に機会を確保して利益を擁護することが重要である、これは大前提としてあるんですけれども、消費者からの悪質なクレーム、迷惑行為によって業務の遂行に支障が生じるということだけではなく、著しく粗野な、そして乱暴な言動によって従業員の方が精神的、身体的な苦痛を与えられる、危害を加えられる、そういった事例も多く存在しております。

 本来であれば、消費者と事業者は対等な立場で仕事、商取引が行われるわけですけれども、消費者の保護だけではなく、しっかりと安定的な消費環境をつくっていくためには、消費者と事業者とが良好な関係を築いていくことが必要であります。お客様は神様ですという言葉だけが独り歩きしてしまっているように、消費者側が過剰に権利を振りかざす、そのような場面が往々にして見受けられております。

 そのような状況の中で、先日、我が党は独自にカスタマーハラスメント対策法案を提出したところでございます。政府の方でも、現在策定中の第五次消費者基本計画の中で、その素案の中でカスタマーハラスメントについて言及されておりまして、消費者の権利と責任の正しい理解や消費者市民社会の一員としての行動について認識を促す教育、啓発を図るとの記載がございます。

 先ほども御答弁があったかと思いますけれども、また改めまして、大臣のカスタマーハラスメントに対する現状の認識と、これからの具体的な対策をお聞かせいただければと思います。

伊東国務大臣 西岡委員の御質問にお答えしてまいります。

 先ほども同様の質問がありましたので、余り重複しないようにと思うのでありますけれども、お許しをいただきたいと思います。

 消費者がお店側の事業者に適切に意見を伝えることは、事業者の提供する商品やサービスの改善を促す、そういうことにもつながるものであり、消費者市民社会の形成を目指す消費者教育の理念にも沿ったものと考えております。

 一方で、消費者から従業員への行き過ぎた言動が見られることも踏まえ、消費者が自立した責任のある行動を通じて社会的な役割を果たしていくことができるよう、消費者教育を推進していくことが重要であると認識をいたしております。

 このため、消費者庁では、事業者に配慮した適切な意見の伝え方に関する消費者向け啓発チラシ等を作成し、消費者庁のSNSやホームページに掲載するなどによって、広く消費者に周知啓発を図っているところであります。

 加えて、消費者の権利や責任に関する内容につきまして、消費者と事業者が相互に適切に意見を伝え合うこと、この重要性を盛り込んだ、そういう従業員向け消費者教育研修プログラムを開発し、活用を促しているところでもあります。

 以上であります。

西岡(義)委員 ありがとうございます。前向きに取り組んでいただけることを改めてお願いしたいと思います。

 先ほど申し上げた第五次消費者基本計画の中にある教育、啓発、先ほども周知であったり啓発というお言葉をいただきましたけれども、令和五年度に、消費者教育の基本的な方針、こちらが出されておりますけれども、これまで取られてきた対策に加えて、新たな施策、具体的に何かお考えになっているのであれば、お聞かせいただきたいと思います。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるカスタマーハラスメントの対応として、消費者の権利と責任の正しい理解の促進など、消費者教育の強化が求められていると認識しております。

 このため、来年度の概算要求において、例えば、一般消費者全般を対象としたアンケート調査を行いまして、これを踏まえ、カスタマーハラスメントが生じる場面、条件を検証した上で、消費者向けの啓発資料や教材を作成することを念頭に置いた予算を要求しているところであります。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 消費者教育、何度もお言葉をいただきました。私も、消費者教育、ここが重要だと考えております。失われた日本人の道徳観であったり倫理観、こういったものを取り戻すためにも、学校教育の中にも是非改めて取り入れていただきたいとお願い申し上げます。

 そして、先ほど我が党が独自にカスタマーハラスメント対策法案を提出したと申し上げましたけれども、厚生労働省でも来年の通常国会に向けて対策法案を提出する予定と伺っております。その概要につきましてお聞かせください。

大隈政府参考人 お答えいたします。

 カスタマーハラスメント対策の強化につきましては、現在、労働政策審議会雇用環境・均等分科会において議論が行われているところでございます。今月十六日に開催されました分科会におきましては、労働者保護の観点から、カスタマーハラスメント対策について、事業主の雇用管理上の措置義務とすること、指針等において講ずべき措置の具体的な内容等を示すこと、カスタマーハラスメントの防止に向けて、国は消費者教育施策と連携を図りつつ周知啓発を行うことなどを内容とする取りまとめ案をお示しし、御議論いただいたところでございます。

 引き続き、同分科会におきまして取りまとめに向けて御議論いただき、その内容も踏まえて、法的措置も含めて、必要な対応について検討してまいります。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 では最後に、効果的な対策をしていくためには、関係省庁との連携、これがこれまで以上に必要になってくると思います。その点に対する認識と今後の取組について、大臣のお考えを改めてお聞かせください。

伊東国務大臣 委員御指摘のとおり、カスタマーハラスメント対策の推進に当たりましては、厚生労働省やあるいは業所管庁と連携した取組が必要であると認識をいたしております。

 これまで、消費者向けの啓発ポスターなどを関係七省庁連名で作成し、事業者やあるいは消費者団体等に活用を促進してきたところであります。

 今後も、関係省庁との連携を深めつつ、消費者の実態把握や効果的な啓発方法の検討を始め、消費者教育の強化に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 時間となりましたので、これで質問を終わりたいと思います。我々も対策をしっかり進めてまいりますので、共に頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

浦野委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組で潜水艦と呼ばれています、たがや亮と申します。

 本委員会で初めての質疑となります。よろしくお願いをいたします。

 年末年始を迎え、贈答品などで宅配業者が忙しくなる、そんな季節となりました。今日は、消費者が注文していない商品を一方的に送りつける、いわゆる送りつけ商法、特に代金引換を利用した送りつけ商法に関して取り上げたいと思います。しかも、これは郵便局員が詐欺商法の受け子の役割を果たしてしまっているのではないかという案件です。

 そこで、まず警察庁にお伺いをいたします。

 元締めがいて、指示役、実行役など役割分担をして行う犯罪は昔からありますが、オレオレ詐欺、最近では闇バイトのような凶悪なものに発展をしております。例えば、オレオレ詐欺などで被害者から現金を受け取る役、いわゆる受け子というのは、犯罪者の一味として考えてもよいのでしょうか。

江口政府参考人 お答えを申し上げます。

 警察では、特殊詐欺事件の被疑者のうち、指示役や首謀者からの指示を受け被害者の自宅等に赴き被害者から直接現金等を受け取る役割を担う者を受け子と呼称しているところでございます。

たがや委員 要するに、受け子という、犯罪者の一味ということでよろしいですよね。

 資料二を御覧ください。

 消費者庁の送りつけ商法に関する三か条のチラシがあり、消費者が過って金銭を支払ってしまったらすぐに相談とありますが、果たしてこれが消費者の根本的な救済になり得るのかという疑問があります。要するに、代引き商品に対して詐欺と分かった場合、代金を支払った後でも返金されるのかということが、消費者にとって一番の不安材料ではないでしょうか。

 過って支払ってしまったらすぐに相談といっても、これで根本的な救済というのができたと言えるのか、消費者庁にお伺いをしたいと思います。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者が金銭を支払ってしまった場合の対応につきましては、消費生活センターなどにおきまして、事業者との協議の進め方についての助言を行う場合や双方の間であっせんを行う場合があり、その結果、返金がなされるというケースがあると承知しています。また、事業者が返金に応じないなどといった場合におきましては、弁護士に相談するなどといった助言を行っているケースがあると承知しています。

 消費者庁といたしましては、消費者被害の救済を図るべく、関係機関によるこういった取組が行われるよう努めてまいりたいと考えています。

たがや委員 ありがとうございます。

 この法改正によってこういう三か条みたいなものができて一定の効果、これはいいことだと思うんですけれども、やはり、弁護士を紹介するといっても、少額の場合、例えば二万、三万とかの場合に、わざわざ弁護士を雇って訴訟するかというと、ちょっと現実的ではないと思います。

 そこで、ちょっと実例を紹介します。私の友人が、僅か二か月前に送りつけ商法の被害に遭いました。しかも、元参議員です。郵便局から届いた荷物を開けて、自分が頼んでいないことだと気づいて、郵便局にすぐに、すぐにですよ、すぐにその旨伝え、料金の返金、返還を求めましたが、全く応じてくれなかったと。

 資料三を御覧ください。

 郵便局のホームページなんですが、せっかくのこの法改正の精神に反し、郵便局では返品、返金には応じないという規定を設けている。

 しかし、代引き商品の郵便物については、消費者が荷物を受け取るには、一旦代金を支払わなくてはなりません。昨今の物流二〇二四年問題にあるように、再配達をしてもらうことが申し訳ないと思ったり、家族が頼んだのかと思い込んで代引きに応じてしまう方も大勢いると思います。その良心につけ込む卑劣なこの商法に対して、商品を開けてしまい、決済したものに関しては直接悪徳業者と交渉してくださいということでは話にならないと思います。被害者にお金が戻ってきて初めて救済と言えるのではないでしょうか。

 更に言うと、これが詐欺事件なら、郵便局員は悪徳業者の手先として被害者から現金を受け取る受け子の役として利用されていることになります。これはかなり深刻な問題だと思うんですけれども、警察庁、所見をお聞かせください。

江口政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねの、代金引換の制度を悪用した送りつけ商法が詐欺を構成するのかどうか、また、被害者から現金を受け取った郵便局員などの行為が受け子として犯罪を構成するかどうかにつきましては、個別具体の事案の事実関係に即して、法と証拠に基づき判断されるものでございますので、一概にお答えすることは困難ではございます。

 その上で、一般論として申し上げますと、詐欺罪の成立には詐欺であることの認識が必要でございまして、これがない場合には詐欺罪は成立しないというところでございます。

 いずれにいたしましても、警察といたしましては、一般論ではございますけれども、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づきまして適切に対処してまいることとなるところでございます。

たがや委員 ありがとうございます。

 なかなか答えづらい問題だと思うんですけれども、例えば、海外旅行で仲よくなった人から自分の代わりにこの荷物を預かってくれないかと頼まれて、麻薬の運び屋にされて、逮捕され、有罪判決が出たというニュースも見聞きします。知らなかったでは済まないという問題もあると思うんですよね。

 郵便局を名指ししましたけれども、これは問題提起で、何も郵便局を責めたいということではなくて、宅配業者全般に通じることですし、国交省所管の民間宅配業者もこのような問題を抱えており、犯罪の片棒を担がされ、受け子にされ、かつ消費者への返金の仕組みもないということで、問題提起いたしました。

 受け子にされないということは大前提なんですが、まずは、送りつけ商法の代引き商品に対して、悪徳業者にお金が渡る前に宅配業者から消費者に返金される仕組みづくりが急務だと思います。

 この問題の本質は、大きく二つあると思います。

 一点目、代引き悪徳業者が宅配業者を利用して受け子役として利用していること。二点目、資料三のように、代引き後、即時決済となるため、被害に遭った消費者に対する宅配業者からの返金できる仕組みがない、すなわちクーリングオフはできないということです。これをどう改善するかがまさに本委員会の責務だと私は考えております。

 伊東大臣、今私が述べた二点を解決する法改正、制度改正、配送事業者に対する善管注意義務を徹底した契約内容にするよう指示徹底を行っていただいた上で、消費者を救済する内容として、以下二点、提案させていただきます。

 一点目。消費者庁は、法改正の周知を消費者にはしているとのことでしたが、総務省や警察庁、国交省などへは周知は特段していなかったとのことでした。まずは、再発防止のため、縦割りにならないよう横串を入れ周知を図ることはもちろんのこと、悪徳業者と判明した場合は、速やかに各関係省庁と情報共有をしていただき、悪徳業者との代引き契約の解除ができる法整備をする。

 二点目。うっかり代引き料金を支払ってしまった消費者が被害者とならないよう、即時決済をさせず、まずは、クーリングオフと同じく八日間は、宅配業者が現金を預かり、返金可能などの措置を取り、悪徳業者か見極める期間を設ける、宅配業者も返金の措置ができる、そういう法整備をする。

 以上二点について、伊東大臣、御検討いただけないでしょうか。

伊東国務大臣 ただいまの、たがや委員の御提案あるいは考え方というのは、極めて妥当なものであろうというふうに思うところであります。消費者保護を徹底していくためにも、御指摘のように、宅配事業者が悪質な事業者に利用されないよう、関係省庁、警察も含めて連携を密にして取り組んでいくことが重要である、このように感じております。

 消費者庁といたしましては、いわゆる送りつけ商法への対策を強化した改正特定商取引法、令和三年七月に施行しているわけでありますけれども、これに基づき執行を厳格に果たしていくとともに、関係省庁による不正利用による被害を防止するための取組と連携を更に密にして対応してまいりたいと考えております。

たがや委員 伊東大臣、ありがとうございます。

 資料四を御覧ください。

 日本郵政の筆頭株主は、三七・二三%を保有する財務大臣です。この受け子をさせられている現状を野放しにしては、財務大臣が犯罪を容認し、責めを負うということにもなりかねません。しかし、今述べた二点の措置をすれば、悪徳業者のメリットは格段に減るどころか、むしろ、損をするというデメリットが増すので、一定の歯止め効果があると思われます。

 さらに、資料一を御覧ください。

 特商法の第六十条二は、主務大臣、すなわち伊東大臣は適切な措置を取らなければならないとありますので、伊東大臣、消費者を守るために、私が提案したこの二点、早急な検討をしていただけるようお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

浦野委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 リゾート会員権の詐欺被害を受けたとして、新潟県在住の方々が、フィリピンリゾートクラブ、ワールドビッグフォーを運営するジャパンエアリゾートインターナショナルに対して刑事告訴をしております。

 資料一の記事にありますように、内部資料の調査から、新潟県内だけでも千六百人以上、計百億円以上の被害があると言われております。そのうち七十人、計約四億円の被害について、詐欺の疑いで新潟県警に告訴をされております。

 別の被害者の方は、損害賠償を求める裁判をされ、二〇二三年一月二十六日、東京地方裁判所の判決で次のように書かれております。セブ島でのホテル等の運営管理等により収益を得られる事業であるなどと虚偽の説明をして原告を勧誘し、原告をしてその旨誤信をさせてワールドビッグフォー事業へ出資を行わせたものと認められることからすれば、被告らが原告に対し本件会員権の販売代金と称して資金を支出させた行為は詐欺の一環であると評価することができるものというべきであるなどと判断をされ、損害賠償が認められております。

 被害の発生は、少なくとも、新潟、長野、群馬、鳥取、島根、東京、神奈川、埼玉、千葉と弁護士の方から伺っております。新潟県警は事情聴取などを行っているとのことですけれども、しかし、例えば長野県では、被害届などの受理をしてもらえない、門前払いのケースがあると聞いております。

 資料の二を見ていただきますと、信濃毎日新聞社の記事がございます。二段落目の最後の段落のところですけれども、長野県内の警察署で被害届は出せないと言われたと書かれております。

 新潟県以外の都道府県でも被害届を受理して、そして捜査をするべきだというふうに考えますけれども、見解を伺いたいと思います。警察庁、お願いします。

松田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の事案につきましては、新潟県警察におきまして被害相談を受け、必要な捜査を行っているものと承知しております。

 また、他の都道府県警察におきましても同様に被害の相談がなされているものと承知しておりまして、個別の事案の取扱いについて、その詳細をお答えすることは差し控えさせていただきますが、その上で、一般論として申し上げれば、都道府県警察においては、詐欺の被害相談がなされた場合には、その相談内容を確認した上で適切に被害の届出を受理するものと承知しており、引き続き、適切な対応が取られるよう都道府県警察を指導してまいります。

本村委員 特殊詐欺事件もそうですけれども、詐欺事件など国際的な事件は、巧妙化、複雑化、大規模化しております。新潟県警だけではなかなか難しいのではないかというふうに言われておりまして、やはり、専門性を持って捜査するためにも、警察庁がイニシアチブを取って合同捜査本部をつくるべきだというふうに考えますけれども、この点、お願いしたいと思います。

松田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、御指摘の事案につきましては、新潟県警察において必要な捜査を行っているものと承知しておりまして、その捜査内容の詳細につきましてはお答えを差し控えさせていただきますが、その上で、本件のような、国際的で被害が複数の都道府県にまたがるような詐欺事件の捜査においては、必要に応じて、警察庁が窓口になりまして関係都道府県における捜査の調整を行っているところ、警察庁として、引き続き適切に対処してまいりたいと考えております。

本村委員 是非しっかりとやっていただきたいというふうに思っております。

 資料二でも、二〇二三年三月、長野地裁の飯田支部で返還が認められる判決が出されております。そして広島地裁でも、二〇二二年二月十七日、損害賠償をするよう求める判決が出されております。

 被害を受けた方々の声を少し御紹介をしたいというふうに思いますけれども、老後資金を全てつぎ込んでしまいました、助けてくださいというお声や、あるいは、老後の資金と思い持っていたお金全てを預けてしまいました、こんなことになり、私自身も七十歳を超え、貯金がゼロ、どうやって生きていこうかと途方に暮れました、一時仕事もなく、お金もなく、死んだ方がましだとさえ思いました、とにかくお金を返してほしい、それだけですというお声でございます。

 このリゾートクラブ、ワールドビッグフォーを運営するジャパンエアリゾートインターナショナルの場合、フィリピンの不動産の所有権の関係、あるいは決算書、送金など、ちゃんと捜査するべきだというふうに考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、本件のような、国際的で被害が複数の都道府県にまたがるような詐欺事件の捜査においては、必要に応じて、警察庁が窓口になっております。警察庁が窓口になりまして、外国捜査機関に対して必要な証拠の提供を求めるなどの捜査共助を要請するということもやっておりまして、そういった捜査の調整につきまして、警察庁として、引き続き適切に対処してまいりたいと考えております。

本村委員 各地で被害を受けたという声が上がっているんですけれども、この被害に関する相談を都内の警察の方に相談に行った方がみえるんですけれども、そのときに初めて聞いたというふうにその警察官は言われたそうです。

 全国各地で被害があり、裁判でも被害の損害賠償が認められ、被害者である原告が勝っている。にもかかわらず、全国の警察が共有していないのではないかというふうに考えております。是非、全国の警察でデータベース化し、情報を共有するべきだというふうに思います。

 そして、国民生活センター、消費センターの方にもリゾート会員権などの投資関係の被害相談があるということ、数値もいただいておりますけれども、被害を警察と情報共有し、捜査につなげていただくことが必要だというふうに考えます。

 通告は一つで言ったんですけれども、二つに分けて質問させていただきたいと思います。警察庁、そして伊東消費者大臣、お願いをしたいと思います。

松田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、被害者が複数の都道府県にまたがる詐欺事件につきましては、都道府県警察から警察庁が報告を求めるなどした上で、警察庁において関係都道府県警察の捜査を調整するなど、都道府県警察に対する指導を更に強化するとともに、こうした事件の被害者の方の中には国民生活センターに相談する方も多いものと承知しておりまして、引き続き、関係機関との連携についても十分に行ってまいりたいと考えております。

伊東国務大臣 全国各地の消費生活センターには、お尋ねのリゾート会員権等の投資関係の相談を始めといたしまして、様々な消費者トラブルに関する相談が寄せられているところであります。

 これらの消費生活相談情報につきましては、警察庁を始め関係省庁にも情報提供を行っているところでありまして、また、消費者庁では、関係省庁とも連携をしっかり取りつつ、無登録業者との外国為替証拠金取引、FX、あるいはSNSなどを通じて投資や副業といったもうけ話が来ている例が多くて、投資に関するトラブルへの注意喚起を実施しているところでもあります。

 引き続き関係省庁と連携して取り組んでまいりますとともに、消費者の皆様におかれましては、トラブルになった場合は、消費者ホットライン一八八、「いやや」といいますけれども、このホットラインを通じまして最寄りの消費生活センター等に是非御相談をいただきたいというふうに思うところであります。

本村委員 是非、連携を強めて、被害者が救済されるように、被害の防止のために全力を挙げていただきたいというふうに思っております。

 資料の三、信濃毎日の記事では、今回のジャパンエアリゾートインターナショナルの件は、会員が別の会員を勧誘するマルチ商法の形で規模を拡大したというふうに書かれております。こうした問題も含め、特殊詐欺、詐欺被害をなくすためにも本気の取組を求めたいというふうに思います。

 被害者が救済されるよう、被害が出ないように対策を強化していただくということを強く求め、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

浦野委員長 次回は、明二十四日火曜日午前九時十分理事会、午前九時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四分散会


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