衆議院

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第13号 令和6年4月18日(木曜日)

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令和六年四月十八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 井上 信治君 理事 小林 史明君

   理事 田中 英之君 理事 牧島かれん君

   理事 岡本あき子君 理事 藤岡 隆雄君

   理事 一谷勇一郎君 理事 河西 宏一君

      今村 雅弘君    上杉謙太郎君

      川崎ひでと君    黄川田仁志君

      小寺 裕雄君    橘 慶一郎君

      谷川 とむ君    土田  慎君

      土井  亨君    中川 郁子君

      橋本  岳君    福田 達夫君

      藤丸  敏君    堀井  学君

      保岡 宏武君    柳本  顕君

      城井  崇君    坂本祐之輔君

      中谷 一馬君    福田 昭夫君

      早稲田ゆき君    赤木 正幸君

      伊東 信久君    伊佐 進一君

      浮島 智子君    高橋千鶴子君

      田中  健君

    …………………………………

   国務大臣

   (デジタル大臣)     河野 太郎君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   国務大臣

   (地方創生担当)     自見はなこ君

   内閣府副大臣       工藤 彰三君

   経済産業副大臣      岩田 和親君

   内閣府大臣政務官     古賀友一郎君

   デジタル大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    土田  慎君

   財務大臣政務官      瀬戸 隆一君

   国土交通大臣政務官    こやり隆史君

   環境大臣政務官      国定 勇人君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        岩間  浩君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        中村 広樹君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官)            渡邊 昇治君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         猪原 誠司君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局審議官)        山澄  克君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            野崎 英司君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    植田 広信君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房長)            小宮 義之君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長)            熊木 正人君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   冨安泰一郎君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   村上 敬亮君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 西泉 彰雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文部科学戦略官)       梶山 正司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           石垣 健彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)         上村 昌博君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           舟本  浩君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            中村 広樹君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  橘 慶一郎君     川崎ひでと君

同日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     橘 慶一郎君

    ―――――――――――――

四月十八日

 子供のための予算を大幅に増やし、保育・学童保育の基準・施策の抜本的改善を求めることに関する請願(菅直人君紹介)(第一〇三二号)

 同(枝野幸男君紹介)(第一一四七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一九二号)

 同(松木けんこう君紹介)(第一一九三号)

 現行の健康保険証を残すことに関する請願(本庄知史君紹介)(第一〇五五号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第一〇八一号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一二五号)

 健康保険証廃止の中止を求め、マイナンバーカード取得の強制に反対することに関する請願(志位和夫君紹介)(第一一二六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)

 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は、去る十六日に終局いたしております。

 この際、本案に対し、岡本あき子君外一名から、立憲民主党・無所属提案による修正案が、また、一谷勇一郎君外二名から、日本維新の会・教育無償化を実現する会提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者から順次趣旨の説明を聴取いたします。藤岡隆雄君。

    ―――――――――――――

 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

藤岡委員 ただいま議題となりました子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 政府原案のうち、子供、子育て支援施策を強化する内容については、不十分であるものの、かねてより立憲民主党が求めてきた施策が盛り込まれている部分もあり、一歩前進と評価することができます。しかしながら、その財源確保のために新設される子ども・子育て支援金制度については、深刻な問題を抱えていることから、根本的に改める必要があります。

 子ども・子育て支援金は、公的医療保険の保険料に上乗せをして徴収するものとされていますが、支援金は保険料であって、支援金を充てる事業に関しては保険給付ではないと整理をされております。保険料で徴収しながら保険給付でない事業に拠出するのは、当然に慎重な姿勢で臨まなければなりませんが、今回の政府案は、これまでの説明を聞いても一線を越えていると評価せざるを得ません。

 そして、この仕組みでは、子育てを担う現役世代の手取りの減少を招きかねません。同時に、事業主の負担も増加することになるため、賃上げブレーキになる懸念があり、正規雇用の抑制につながる可能性さえあります。政府は実質的な負担増は生じないと繰り返し強弁していますが、これが詭弁であることは、既にこの間の質疑で明らかになったところです。

 このように、子ども・子育て支援金制度は、その名に反して、子供、子育て支援に逆行するなど本末転倒の財源確保策であることから、到底認められるものではありません。

 そこで、我が党は、子ども・子育て支援金に代わる財源として、ETFの分配金収入の活用を提案いたします。現在、日本銀行が保有するETFは、時価総額にして約七十兆円とされ、その分配金は年一兆円を超えています。国民に新たな負担を強いるのではなく、この日銀が保有するETFの分配金収入を子供、子育て支援の財源として活用すべきであります。

 なお、先日、ある委員より我が党の修正案に対して質疑をしていただきました。この機会に、御指摘の点を含めて、より深掘りをして修正案の趣旨を申し上げます。

 まず、ETFの分配金収入は既に国の一般財源として活用されているのではないかとの指摘がありました。元々政府の当初予算にETFの分配金収入を十分に反映した日本銀行の納付金の見込みを反映していれば、そうした指摘もあり得ます。

 ところが、近年、日本銀行からの国庫納付金は当初予算ベースより大きく上振れをしており、令和四年度においては約一兆五百十九億円の上振れをしております。当初予算において計上される日本銀行からの国庫納付金の積算根拠について、政府は、金融政策や金融市場などへの影響を考慮し、明らかにしていません。しかし、日本銀行の収入は、主な部分は国債の利息収入やETFの分配金収入などで構成されることは、決算上明らかであると言えます。

 こうした中、当方において当初予算における日銀納付金額から推計してみますと、近年では予算計上額のほとんどが国債と現在市場売却を進めている個別株式の運用損益で説明でき、ETFの分配金収益が余り考慮されていないと思われる結果となりました。

 したがって、先日の総理答弁にありました、ETFの分配金収入を子供、子育て財源に活用するとすれば国の一般財源が不足するというのは、元々、当初予算段階でETFの分配金収入の見込みを一般財源となる国庫納付金の中にほとんど含めていないと想定されることから、そうした答弁は必ずしも的を射ているとは言えないと思います。

 次に、分配金収入を失うことによる日本銀行の財務に与える悪影響の指摘がありました。しかし、植田和男総裁が大問題と発言しているように、この異次元金融緩和の遺産である巨額のETFを適切に処分していくことは、日本経済の重要な課題です。

 ETFの分配金収入に頼らずに日銀が経営することが本来の姿であり、植田総裁もかねてより必要な財務上の手当てを行っている旨の答弁をしています。

 今回の私たちの提案は、単に子供、子育て予算の財源に充てるのみならず、株式市場に影響を与えることなく、迅速にETFの処分を可能とするものであり、日本銀行の財務の健全性に大きく寄与するものであります。

 なお、先日の質疑に対し、日本銀行から、中央銀行の財務リスクが着目されて金融政策をめぐる無用の混乱が生ずる場合、そのことが信認の低下につながるリスクがありますと答弁がありました。

 しかし、既に金融政策を進める上で役割を終えたETFを保有し続けることこそ、株価変動による財務リスクに着目されることがあることを忘れてはなりません。物言わぬ株主である日銀がETFを保有し続けることは、上場企業のガバナンスという点でも問題です。日本銀行が保有するETFの処分に早急に対応していくことは、アコードを結んで異次元金融緩和を実質的に進めてきた政府と日銀の責任ではないでしょうか。

 最後に、安定財源という点ですが、仮に日経平均株価がマイナス三〇%となった場合でも、一・一兆円の分配金収入を得られる見込みであり、一定の安定性を備えていると思います。

 以上、日銀に死蔵されている巨額のETFを国民に還元することで、増税隠しで保険料まがいの国民負担を回避する、事業主に賃上げブレーキをかけないという点に配慮しながら、子供、子育て支援策を拡充するのが本修正案の趣旨であります。

 その上で、本修正案の内容を御説明申し上げます。

 第一に、子ども・子育て支援納付金の制度は創設しないこととし、これに関連する規定を削除することとしております。

 第二に、子供及び子育ての支援に関する施策に要する費用に係る財源については、日本銀行が保有するETFに係る収益の分配金を活用することとし、そのために必要な法制上の措置その他の措置が講ぜられるものとすることとしております。

 このほか、所要の規定を整備することとしております。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

 以上です。(拍手)

谷委員長 次に、一谷勇一郎君。

    ―――――――――――――

 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

一谷委員 ただいま議題となりました子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 日本維新の会が結党されたのは、まさに、少子高齢化を乗り越えていく、そのための日本大改革を実行するためでした。政府が少子化対策を取りまとめ、法案を国会に提出してきたこと自体については、我が党も評価するところであります。

 しかし、その財源のために、国民に負担を求める新制度でもある子ども・子育て支援金制度を創設することには賛成できません。社会保険料に支援金を上乗せする子ども・子育て支援金制度は、中間層の負担が最も重くなる負担構造を有しています。受益と負担が対応しているべき社会保険料を少子化対策に充てることは、保険料の目的外使用であります。

 子供、子育て支援政策については、施策を総合的かつ着実に実行する観点から、負担と給付の在り方も含め、まだまだ検討が必要であると考えています。

 こうした政府原案の問題点を踏まえ、本修正案を提出する次第であります。

 次に、本修正案の内容を御説明申し上げます。

 第一に、子ども・子育て支援納付金の制度は創設しないこととし、これに関連する規定を削除することとしております。

 第二に、政府は、少子化対策を総合的かつ着実に実行する観点から、子供及び子育ての支援に関する施策について、社会保障制度に係る保険料等の負担と給付の在り方を含め、抜本的な見直しを行い、必要な措置を講ずるものとすることとしております。

 第三に、第二の措置が講ぜられるまでの間、この法律の施行に要する費用については、その財源が確保されるよう、国会議員の定数の削減、行政改革による支出の削減等の歳出の削減を図るために必要な措置、国の不要な資産の売却等の歳入の増加を図るために必要な措置、その他特例公債の発行のために必要な措置が講ぜられるものとすることとしております。

 このほか、所要の規定を整備することとしております。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

谷委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。

 この際、岡本あき子君外一名提出及び一谷勇一郎君外二名提出の両修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。加藤国務大臣。

加藤国務大臣 立憲民主党・無所属の御提案による修正案及び日本維新の会・教育無償化を実現する会の御提案による修正案につきましては、政府としては反対であります。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。早稲田ゆきさん。

早稲田委員 立憲民主党・無所属の早稲田ゆきです。

 私は、会派を代表し、内閣提出、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案に反対、立憲民主党・無所属提出の修正案に賛成、日本維新の会・教育無償化を実現する会提出の修正案に反対の立場から討論いたします。

 反対の最大の理由は、子ども・子育て支援金という財源です。我が党が繰り返し、今回の法律案にも入りましたが、求めてきた児童手当、高校生年代までの支給延長と所得制限の撤廃など、今回の法律案に一定の評価をできる部分もありますが、それ以上に財源については到底納得できるものではありません。

 本来、子供、子育て政策の財源は、歳出改革を徹底した上で、金融所得課税の累進性強化などを実現する公平公正な税制改革により確保すべきです。それにもかかわらず、政府は、支援金という、医療保険料に上乗せする形で財源を確保しようとしています。

 我が党は、社会保険料といいながら、特別の給付と反対給付の関係性が薄弱なこの制度は、税にほかならない、増税であると批判してきました。租税法律主義を逸脱するような、このような制度で国民に負担を強いるやり方は到底容認できません。しかも、国民に負担増となるのに、実質負担はないと繰り返し、負担が少ないかのように見せる政府の姿勢は、国民に対し大変不誠実極まりありません。

 予算委員会のときから我々がずっと求めてきた被用者の年収別の支援金の試算というのがようやく出てまいりました。その結果、年収六百万円で月千円、年収一千万円では千六百五十円ということで、総理が当初答弁されていたワンコイン、五百円とは全く違う、まさにまやかしだったことも明らかになりました。

 今回の支援金は、まさに現役世代の負担がより重くなる制度であり、被保険者、事業主のいずれにとっても増税そのものであり、少子化対策に逆行するものです。

 このため、私たちは、支援金制度を廃止にして、現在、日本銀行が保有しているETFの分配金収入を当面の代替財源として活用するための修正案を提出いたしました。

 一昨日の委員会では、我が党のこの提案に関し、日銀が保有するETFの分配金収入は既に国の一般財源として活用している旨の政府答弁がありました。しかし、先ほど藤岡議員が趣旨説明の中で詳細に指摘をされたとおり、この答弁は根拠不十分であると言わざるを得ません。

 我々は、この修正案が成立すれば本当の意味で実質的な国民負担ゼロが実現するものと自負しております。

 こうした理由から、内閣提出、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案には反対です。

 なお、維新提出の修正案については、我が党とは考えを異にするものであり、反対いたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

谷委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 会派を代表し、政府の子ども・子育て支援法等の改正案に反対の討論をいたします。

 昨年、我が国で生まれた子供の数は過去最少の七十五万人となりました。こうした中、人口問題に正面から向き合い、加速化プランそして本法案を取りまとめた関係者には敬意を表します。

 他方、その財源確保のために創設するとされた子ども・子育て支援金制度については大きく三つの問題があり、賛成できません。

 第一の問題は、支援金が社会保険料の目的外使用であるということです。誰しもが高齢者となりサービスを享受し得るという観点から後期高齢者支援金に社会保険料を充てる理由は説明できても、高齢者が再び子供になることはないのですから、子ども・子育て支援金に社会保険料を充てることには、受益と負担の対応関係がなく、無理があると断じざるを得ません。

 第二の問題は、社会保険料を財源とすること自体が少子化対策に反するということです。社会保険料は所得をベースにしていますから、その負担は現役世代に集中します。その結果、結婚、出産に挑む現役世代の可処分所得を圧迫し、少子化を反転させるどころか少子化を加速しかねません。支援金は少子化対策に反すると断じざるを得ないのです。

 第三の問題は、どのような少子化対策が有効であるかについてのエビデンスがないにもかかわらず、その裏づけとなる恒久財源の仕組みの創設を急ぐことに合理性はないということです。世界に類例を見ない超少子高齢社会に対応する方策について、試行錯誤、トライ・アンド・エラーを続けていく段階にもかかわらず、新しい負担制度の創設を急ぐことに国民の理解を得ることはできないと断じざるを得ません。

 こうした視点から、私たちは子育て支援に関する施策の負担と給付について抜本的に見直しを行い、その見直しが行われる間の財源については、一つ、国会議員の定数の削減を始めとする行政改革による支出の削減等、歳出の削減を図ること。二つ、国の不要資産の売却による歳入を増やすこと。三つ、その他に足りない部分は特例公債発行をすること。この三つを代替の財源とする修正案を提出しました。

 以上、修正案に賛成、修正部分を除く原案に反対の立場からの討論といたします。(拍手)

谷委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、子ども・子育て支援法等改正案に対する反対討論を行います。

 政府は、二〇三〇年までが少子化克服のラストチャンスと強調し、三年間に集中して取り組む加速化プランに三兆六千億円を充てるとしました。しかし、本当にそれだけの危機感があるなら、実質負担増はないなどというまやかしの説明はやめるべきでした。

 まず、社会保険料に支援金を上乗せすることに断固反対します。社会保険料は逆進性が高く、保険者や市町村によって負担に差があるため、格差を拡大させることになります。政府は、社会保障歳出改革によって公費削減効果が生まれ、その範囲で支援金を徴収するので負担増にはならないと繰り返してきました。

 しかし、質疑の中で、改革工程表のメニューの中には負担増となるものもあること、公費は削減できても、利用者にすれば自己負担が増えたにすぎず、結局、その理屈を計算してみせた社会保障負担率というマクロの数字でしかないことを認めました。現瞬間の企業の賃上げトレンドを当てにして、その分も計算に入れているこそくさも許せません。

 次に、こども誰でも通園制度についてです。孤立する子育ての不安に応え、全ての子供の育ちを応援するという理念は共有できるものです。しかし、その内実は、これまで教育・保育給付の対象とはなっていない子育て支援拠点なども新たな給付の対象とします、全国どこでもアプリで空き状況が分かり、直前でも予約ができるシステムをつくります。これでは、利便性の名の下に子供の利益よりも保護者の都合を優先するものと言わざるを得ません。空き定員の活用型なら、保育士を一人も増やさなくてもできるのです。子供の育ちや安全をないがしろにし、保育者らに負担を強いるこの制度を認めることはできません。

 保育士の処遇改善と配置基準の抜本改善は待ったなしであり、全体として公的保育の拡充でこそ、誰でも通園の土台をつくるべきです。

 加速化プランでは、全ての子供の育ちを応援するという理念の下に児童手当の拡充などが盛り込まれたことは評価します。一方、子育て世代に最大の負担となっている教育費、若者が背負わされている奨学金返済は十兆円にも上っており、貧困対策や教育費負担軽減という点では加速化プランは貧弱過ぎます。

 なお、立憲民主党、維教の各修正案については、支援金に関する条文を削除する点では同じですが、代替財源については一致できないため、反対とします。

 子供や子育て支援の予算は、大企業や富裕層に応分の負担を求めるなど税制の見直しと防衛予算の削減で確保できることを述べておきます。

 以上述べて、討論とします。(拍手)

谷委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党・無所属クラブの田中健です。

 私は、会派を代表して、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。

 人づくりこそ国づくりを掲げる我が党が、ヤングケアラーや児童手当の所得制限の撤廃など、重ねて訴えてきた内容が含まれていることは一定の評価をいたします。

 しかし、政府は、少子化対策の財源として、子ども・子育て支援金を新設し、健康保険料に上乗せをして国民と産業界から徴収することとしています。最大の問題は、健康保険に充てるべき保険料の目的外流用であることです。何ら合理的な理由がないにもかかわらず、取りやすいから取るステルス増税にほかなりません。

 政府は、支援金は歳出改革と賃上げによって実質的な負担はないと説明をしてきましたが、年収によっては毎月の負担額が千円や千五百円を超えることも明らかとなりました。また、春闘においても賃上げに至っていない中小零細企業が数多く存在する中で子ども・子育て支援金を新設することは、負担が増えないという発言と矛盾します。

 また、上乗せ分は現役世代に偏って負担が増すことになり、子供を産み育てる世代への支援という少子化対策と逆行することになりかねません。

 異次元の少子化対策のためには、若者世代、子育て世代、両世代の異次元の可処分所得対策が必要であり、一日も早く教育無償化を実現し、子供たちを奨学金返済から解放し、結婚や出産がリスクだと思わない社会をつくらなくてはなりません。

 国民民主党は、結婚したくてもできない、子供を産みたくても産めない、社会保険料負担で手取りが増えない、もう限界だ、そういった国民から寄せられた一つ一つの声を大切に、人づくりこそ国づくりを愚直に訴えてまいります。

 なお、立憲民主党及び日本維新の会・教育無償化の会会派提出の修正案につきましては、我々と考え方を異にするため、反対をいたします。

 税、社会保障そして国債発行を含め、ごまかすことなく正面から堂々とあらゆる選択肢を視野に入れて財源の議論をし、真の意味でのこの国の未来のための子供、子育てを始めとする人づくりの政策に取り組むべきであることを強く訴え、本法案に対する反対討論といたします。(拍手)

谷委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、一谷勇一郎君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、岡本あき子君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、田中英之君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党及び国民民主党・無所属クラブの四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。中谷一馬君。

中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。

 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。

 一 結婚や出産への希望を持ちながら、経済的理由等により将来展望を描けずにいる若者もいることを踏まえ、若者の可処分所得の持続的な増加を図ることに一層努めること。

 二 「加速化プラン」において、若年人口が急激に減少する二〇三〇年代に入るまでが少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスとしていることを踏まえ、「加速化プラン」の後継の検討を含め、こども未来戦略に基づくこども・子育て政策の抜本的強化に速やかに着手するとともに、単に制度や施策を策定するのではなく、社会全体で、こども・若者や子育て世帯を応援する機運を高める取組を車の両輪として進めること。

 三 子ども・子育て支援金制度の導入に当たっては、支援金による拠出が、歳出改革等による社会保険負担軽減効果の範囲内に収まるように取り組むこと。また、全世代型社会保障制度改革等については、医療・介護サービスへのアクセスや必要な保障が欠けることのないよう、丁寧に検討を進めること。

 四 子ども・子育て支援金は、医療保険料や介護保険料とは区分して子ども・子育て支援金率が設定されることから、医療保険料等とは異なるものであることを健康保険者等に周知すること。子ども・子育て支援納付金の納付義務を負う健康保険者等のうち、被用者保険等保険者については、同納付金の負担が被保険者の標準報酬総額に応じた額となることから、子ども・子育て支援金率の基礎として国が実務上一律の支援金率を示す取扱いを堅持すること。

 五 少子化対策は、中長期的な対応が必要であり、本法による改正後の各法律の施行状況について、子ども・子育て支援金制度の拠出とその充当対象事業の給付の状況を含め、こども・若者や子育て世帯の参画の下、不断に効果検証と適切な見直しを行うこと。あわせて、こども・子育て予算倍増に向けて、社会全体でどのように支えるかという観点を含め、政策及び財源の在り方について、あらゆる選択肢を視野に入れて総合的な検討を行うこと。

 六 子ども・子育て支援納付金の使途、使用した額、支援金を徴収するに当たっての課題などに関する報告を国民に分かりやすく示すとともに、子ども・子育て支援金率、使途等を検討する際は、複数の拠出する立場の者が参画した上で検討し、その結果に応じて必要な対応を講じること。

 七 児童手当については、本法により、児童手当の拡充に当たって同手当を次代を担う全てのこどもの育ちを支える基礎的な経済的支援として位置付けた趣旨を踏まえ、本法による効果も検証しつつ、必要に応じて、その在り方について、検討すること。

 八 妊婦等包括相談支援事業の創設に当たっては、オンラインによる相談等の充実や体制の強化に努めること。あわせて、「伴走型相談支援」と呼ぶにふさわしい、産前産後を通じて専門的知見を有する伴走者が一貫してサポートを提供できる仕組みについて相談支援事業の効果の検証をしながら検討を進めること。

 九 こども誰でも通園制度の創設に当たっては、現場や利用者の意見を十分に踏まえた実施に努めるとともに、通常保育での児童の受け入れとの違いも踏まえ、通常保育も含めた幼児教育・保育の質が低下しないよう、万全を期すること。

 十 こども誰でも通園制度については、こどもの所属園や利用日数の在り方を含め、保育者との愛着形成ができるよう、本法に基づき、全てのこどもの権利として保育を保障する仕組みの検討を進めること。特に、医療的ケア児、障がいがあるこどもなど専門的支援が必要なこどもにとって使いやすいものとなるよう、安全な受入施設や体制整備に取り組むこと。

 十一 児童扶養手当については、経済社会の動向を踏まえ、本法による拡充の検証を行い、必要に応じて在り方を検討すること。

 十二 ヤングケアラーの実態や支援のニーズが表面化しづらいとの指摘があることを踏まえ、実態把握や早期発見、当事者に寄り添った支援と正しい理解の啓発に努めること。

 十三 男女が共に育児を担うことの重要性を始め、「共働き・共育て」の推進に向けて、企業も含めた社会全体で機運を醸成していく取組を推進すること。

 十四 出生後休業支援給付及び育児時短就業給付について、その効果や現場に与える影響などを検証した上で、引き続き、労働政策審議会を始めとした関係審議会において審議を行うこと。

 十五 出生後休業支援給付制度において、男性の育児参加をより促す観点も踏まえ、制度の施行状況を確認すること。

 十六 育児時短就業給付制度により、利用する労働者のキャリア形成の阻害や給付の公平性の観点から労働者間の分断などにつながらないよう、趣旨などを丁寧に周知しながら取組を進めること。

 十七 子ども・子育て支援特別会計の創設後も、雇用保険財源の活用の在り方及び保険料率を始め、従来労働政策審議会において議論を行ってきた事項については、引き続き、同審議会において審議を行うこと。

 十八 幼児教育・保育の質のより一層の向上を図り、全てのこどもが希望する施設を利用できるよう、今般の加速化プランに沿って、職員配置基準の見直しや受け皿の整備を進めること。また、処遇改善や働きやすい職場環境の整備に努め、保育人材の確保に万全を期すること。

 十九 貧困の状況にあるこども・若者や子育て当事者が、経済的な面だけではなく、心身の健康、進学機会や学習意欲も含め、権利利益の侵害や社会的孤立などの困難に陥らず、また、貧困の連鎖が断ち切られるよう、こどもの貧困を解消する対策の積極的な推進に取り組むとともに、「加速化プラン」全体の施策の効果を検証していく中で、必要に応じ在り方を検討すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)

谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。加藤国務大臣。

加藤国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

谷委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

谷委員長 次に、地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府地方創生推進事務局審議官岩間浩君、同じく中村広樹君、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官渡邊昇治君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長猪原誠司君、個人情報保護委員会事務局審議官山澄克君、金融庁総合政策局参事官野崎英司君、消費者庁審議官植田広信君、こども家庭庁長官官房長小宮義之君、こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長熊木正人君、こども家庭庁成育局長藤原朋子君、デジタル庁統括官冨安泰一郎君、同じく村上敬亮君、総務省大臣官房審議官西泉彰雄君、文部科学省大臣官房文部科学戦略官梶山正司君、厚生労働省大臣官房審議官石垣健彦君、経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上村昌博君、経済産業省大臣官房審議官田中哲也君、国土交通省大臣官房審議官舟本浩君及び観光庁観光地域振興部長中村広樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。川崎ひでと君。

川崎委員 おはようございます。自由民主党の川崎ひでとでございます。

 まず冒頭、昨夜、深夜に愛媛、高知で地震が発生いたしました。現在、政府の方で被害状況の把握に努めていただいているかと思いますけれども、まずは被害が少ないこと、そして早期復旧を心から祈念申し上げたいと思います。そして、余震が一週間ほど続くというふうに聞いております。各自治体と政府が連携して、しっかりと人命第一の気持ちで取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それでは、本日、質疑に入らせていただきます。

 私自身はIT企業出身でございます。その背景から、現在はデジタル政策を進めており、現在は自民党のデジタル社会推進本部に所属をしております。

 このデジタル社会という表現を聞くと、何やらデジタルでとんでもない社会ができてしまうんじゃないか、こんなふうに思われる方々もいらっしゃるんですけれども、我々がまず目指す社会は何なのかというところに焦点を当てたときに、人口が減少しても成長できる社会、こうしたものをしっかりと進めていかなければならない、そのためにはデジタルが必要不可欠なファクターになっている、こういうふうに理解をしております。

 大平総理がかつて打ち出しました田園都市国家構想、この実現に障壁となっていたのは、地域格差など、こうした課題でございます。これをデジタルの技術を活用して埋めていこう、こういうことでデジタル田園都市国家構想、こうしたものができた。今日は、その観点から、デジタル政策を中心に、河野大臣を中心に御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 ただ、本題の質問に入る前に、一つ確認をさせていただきたい点がございます。

 メタ社のSNS、政治コンテンツについてお伺いをいたします。

 政府の答弁においては、SNSを活用した周知徹底を行っていくという言葉をよく聞きます。先ほど可決されましたけれども、子ども・子育て支援金についても、仕組みが難しいということで委員からの質問があった際に、政府の答弁においては、御理解いただけるように政府としてSNS等を活用した周知徹底を行ってまいりますというような御回答をいただきました。

 このSNSというと何が思い浮かぶかというと、まずはX、そしてフェイスブック、インスタグラム、最近ではスレッズといったものもユーザーが随分増えていて、かなり活用されているというふうに思います。(発言する者あり)はい、ミクシィもそうですね。

 今挙げた四つのSNSのうち、三つはメタ社のものでございます。このメタ社が、三月の二十八日、つい最近、ポリシーを変更いたしました。インスタグラム並びにスレッズは、政治的コンテンツをお勧めに表示しないという設定をデフォルトにしたというものです。

 お配りしている資料の一を御覧ください。

 こうした形で、元々、デフォルトの設定は上の、「フォローしていない人からの政治的なコンテンツを制限する」というところにチェックが入るようになりました。この詳細、詳しくはこちらを見てみると、政治的コンテンツ、例えば選挙あるいは政府、こうしたものについては上げない、要するに表示しないということになっております。

 そうすると、我々政治家の発信は基本的には表示されない。最近は加藤こども大臣も様々な動画を上げてSNSで周知をされておりますけれども、こうしたものが広がっていかない、こういうことになります。今日御参加いただいている政治家の皆様も、これは絶対チェックを下にされた方がいいと思いますけれども。

 では、この中で「政府」と書かれておりますけれども、実際、各省庁においてのコンテンツについてはどうなのか。各省庁でも様々な政策を周知徹底のために上げられていると思いますけれども、これは、表示されるのかされないのか、メタ社に確認を取られているかをまずはお伺いしたいと思います。

冨安政府参考人 御答弁いたします。

 各省庁における、今御指摘のありましたインスタグラムやスレッズなどのいわゆるソーシャル・ネットワーキング・サービスの活用につきましては、基本的には各省庁で判断しているものと承知しております。デジタル庁におきましても広報等の活動におきましてSNSを活用しております。

 委員御指摘のとおり、メタ社は、本年、インスタグラムとスレッズの政治的コンテンツへのアプローチを継続によりますと、利用者がフォローしていない政治的コンテンツを投稿しているアカウントについて積極的にお勧めに表示しないようにするとされているところでございます。

 御指摘ございました、メタ社に確認したかということでございますけれども、デジタル庁におきましてもコンテンツの取扱いにつきましてメタ社に問合せをいたしました。メタ社の回答といたしましては、デジタル庁という組織として適用するのではなく、投稿内容それぞれに判断をするということ、それから、投稿内容が政治的コンテンツに当たるかどうかを事前に調べる方法はなく、いわゆるプロアカウントと呼ばれるアカウント、これは専ら、主に企業向けのアカウントと承知しておりますけれども、このプロアカウントの場合であれば、事後的に、プロアカウントからの投稿が政治的コンテンツに当たるかどうか、当たったかどうかというのを確認ができるということでございます。それから、政治的コンテンツの定義につきましては、先生今おっしゃいましたように、現在、一般的に、研究に基づいて、政治、政治家、政府、選挙又は社会問題に関連するトピックとされていると。ただ、グローバルな問題で、複雑かつ動的でありますので、外部の専門家と継続的に協議しながら今後も見直しがなされるといった回答をいただいたところでございます。

川崎委員 ありがとうございます。

 何点か気になる御回答をいただいたと思っています。

 まず一つは、各省庁で確認をしているというところでございます。

 多くの省庁が、このコンテンツ、大丈夫ですかというふうにメタ社に聞いていると。まず、これは非常に非効率だというふうに思います。プラットフォームを管理しているのは総務省だと思いますので、総務省から一元的に確認ができないかというところをまずは一つ提言をさせていただきたいというふうに思います。

 そして、二つ目に気になった点としては、やはり政府のコンテンツが入ってしまっているというところ。

 政府というのは、我々政治家と違って、国民に対して有益な情報、あるいは理解を増進、促進させるための情報を御提供いただいているわけでございますので、これがコンテンツの中身によって判断されるというのはいささか不思議であります。やはり、各省庁が発信するものについてはきちんとお勧めにも表示されるような仕組みを取るべきだというふうに思います。あわよくば我々政治家も出してほしいなというふうに思いますけれども、その点はさておき、政府においては、少なからずそうしたコンテンツ、有益な情報でございますので、出してほしいというふうに交渉すべきだというふうに思います。

 そしてもう一つ、このコンテンツが上がったかどうかが分からない、確認が取れないという点でございます。

 プロアカウントでないと無理だというような御回答をいただきました。これも非常にばらつきが各省庁で出てくるというふうに思います。やはり、こうした点も踏まえても、メタ社としっかりと話し合うべきなんじゃないかというふうに思います。今日は代表でデジタル庁が御回答いただきましたけれども、これは、しっかりと省庁を一つ決めて、そして対話を行ってほしい、このように思います。

 それでは、二つ目の質問に移らせていただきます。

 これも実はメタ社絡みの質問でございます。成り済ましアカウントによるSNS上の投資詐欺広告について質問をさせていただきます。

 お配りいたしました資料二は産経新聞に掲載された記事になります。「メタの投資広告に登場する著名人ランキング」というところで、森永卓郎さん、堀江貴文さん、西村博之さんを始め多くの著名人たちがこのメタの投資広告に登場しております。

 先般、自民党の方に、前沢友作さん、そして堀江貴文さんがいらっしゃいました。彼らは、画像やAIを活用して偽動画並びに偽画像を投稿されたというふうにお話を伺いました。資料の三がその一部になります。この資料は、前沢友作さんが、そのときに説明いただいた資料を、本人の御許可をいただいて掲載させていただいております。載っているのは全部偽広告になります。この広告以外に、私が党で確認をさせていただいたのは、堀江貴文さんの動画にAIでせりふを当てて、あたかも御本人が投資を促す、こうした広告も拝見させていただきました。

 やはり、こうした投資詐欺が頻発している中で、メタ社には相応の対応をしてもらわなければいけないんですけれども、二日前、四月の十六日にメタ社はこれに対する声明を出しました。この声明の中身を読む限り、全く本人事とは捉えていない。意訳しますけれども、自分たちは精いっぱいやっているんだと。そして、メタのこの偽広告等をチェックするメンバーの中には、いわゆる審査チームの中には、日本語や日本の文化的背景、ニュアンスを理解する人員も増えています、これだけやっているんだけれども無理なのは社会的に問題があるから社会全体で解決すべきだ、こんなふうな答えで、はっきり言って他人事でございました。

 そして、この回答を得るまでに、まさに、前沢友作氏は、一旦メタジャパンの方に問い合わせて、かなり日数がたった後に、これはジャパンの判断ではなくアメリカ本国、本社の対応だということで、たらい回しにされたというふうにも聞いております。恐らく、私が一つ目に確認させていただいた内容も、メタジャパンの回答ではなく、メタの本社のポリシーがそうなっているんだというふうに思います。

 これだけ大きなプラットフォームが自分たちの問題点をしっかり改善しないでこの日本中に広がってしまっているというのは、かなり社会的に大きな問題と思っていますけれども、では、その中で、各省庁はどんな取組が今できるんでしょうか。

 この各省庁の取組が今足りているか足りていないか、これをしっかりと判断する必要がございますので、各省庁の取組内容を教えてください。

野崎政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁としましては、従来から、投資詐欺対策として、金融庁のホームページやSNSを利用した注意喚起に加え、パンフレットやリーフレットの発行、SNS事業者とも連携の上、SNSのページに当庁の注意喚起のリンクを張りつけ、事業者団体のホームページにおける注意喚起ページの相互リンクといった取組を行っております。

 当庁といたしましては、今後も関係機関等と連携し、注意喚起の取組を充実させていくとともに、投資詐欺への対応方法も含めた幅広い観点から金融経済教育を推進するなど、投資詐欺被害の防止に努めてまいりたいと考えております。

植田政府参考人 お答えいたします。

 消費者庁の取組でございますけれども、SNS関連の消費生活相談件数につきまして近年大変増加しておるところでございます。SNSなどを通じたもうけ話に関する消費生活相談の中には著名人や有名人の成り済ましと考えられる事例ももちろんございます。

 このため、消費者庁においても、もうけ話を勧められたらまずは疑うこと、不安に思ったら消費生活センター等に相談することなどの注意喚起を実施してきたところでございます。

 ただし、これらは、御指摘のとおり詐欺事案でありまして、相手が不明であるため、消費生活相談員による助言やあっせんで被害を回復するということが大変難しい事案でございます。そうしたことから、被害の未然防止が大変重要だというふうに考えております。

 そのため、今後も関係省庁と連携しながら、引き続き注意喚起に取り組んでまいります。

猪原政府参考人 御指摘のような詐欺を含みますSNSを使った非対面型の投資詐欺、ロマンス詐欺の被害につきましては、令和五年下半期に急増し、同年中の認知件数は三千八百四十六件、被害額は約四百五十五・二億円に上っており、極めて憂慮すべき状況にあるものと認識しております。

 主な手口といたしましては、被害者がSNS上に掲載された投資関連の偽広告をクリックすると、例えば無料の投資セミナーや投資勉強会と称するSNSのグループに招待され、そのグループ内で被疑者側とやり取りを重ねる中で、投資名目で入金を促され、被害に遭われているものと承知しております。

 警察といたしましては、御指摘のような著名人に成り済ました広告を用いるなどして敢行されるSNS型投資、ロマンス詐欺につきまして、取締りを徹底するとともに、被害実態や犯行手口を踏まえ、関係省庁や事業者とも連携した被害防止対策を強力に推進してまいりたいと考えております。

西泉政府参考人 お答え申し上げます。総務省でございます。

 SNS等のプラットフォームサービス上において、本人や組織の許可を得ずに、本人であるかのように加工、編集された成り済まし行為が発生していると承知しております。

 こうした成り済まし行為は、閲覧者に財産上の被害をもたらす場合があるほか、成り済まされた者の社会的評価を下げるなど、権利を侵害する可能性もあり、重大な課題であると考えております。

 成り済まし行為については、明らかに成り済ましなのに削除されない、削除申出を放置されている、成り済ましに対する削除、アカウント停止の基準はあるが適切に運用されていないなどの課題がございます。

 今国会に提出しておりますプロバイダー責任制限法の改正法案では、大規模なプラットフォーム事業者に対し、権利侵害への対処に関して十分な知識経験を有する者の選任や、削除申出に対する判断、通知義務、削除基準の策定、公表、削除の実施状況についての評価、公表を求めることとしており、成り済ましの対策としても効果が期待できるものと考えております。

 さらに、成り済まし行為に対するプラットフォーム事業者の対策に関しては、情報空間の健全性確保の在り方について、偽・誤情報への対応を含め、有識者会議で議論、検討を更に進めているところでございます。

川崎委員 御説明ありがとうございます。

 金融庁、消費者庁、警察庁、そして総務省と、多岐にわたる省庁が対応をいただいているというふうな御説明でございましたけれども、正直、聞いていてかなり不安でございます。

 特に金融庁においては、SNSでの注意喚起を行っているというような御回答でございましたけれども、これがまさに一点目に入ってきて、この注意喚起が届かないということになりますから、やはりこれは大きな問題だというふうに思います。

 そして、消費者庁においては、相談は受けるけれども、防止できない、解決できないということでございますので、それはもう心情の和らげにしかなっていない、こういうことでもございます。

 やはり、最後、総務省が、御説明いただいたように、検討会を早期に立ち上げて議論をいただくというのはすごく重要であると考えますし、今、実はこのちょうど真裏で、総務委員会の方でまさにこの情プラ法の質疑、審議が行われていますけれども、法律で規制するとなるとどうしても時間がかかります。前沢友作さんや堀江貴文さんがいらっしゃったときには、早期にプラットフォーマーと対話して対応をいただくように政府として働きかけてほしい、これが第一の望みでございます。スピード感を持って取り組んでいただきたいというふうに思いますので、是非、我々自民党の中でもワーキングチームをつくって対応したいと思いますので、政府においても早期に対応をよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、三つ目、デジタル政策についてお伺いをしたいと思います。

 まず、日本のAI戦略についてお伺いをいたします。

 四月の十五日にオープンAI社が日本法人の設立を発表いたしました。将来に向けて政府を始めとする日本の関係者と緊密に協力をしていくことを楽しみにしていると、実は、二〇二三年四月に、一年前の四月にサム・アルトマンCEOはこう述べて、まさにそれを実現いただいた、こういうことになります。

 また、オープンAI社と提携をするマイクロソフトも、二年間で二十九億ドルという巨額を投じて日本でデータセンターを増強するという方針を発表いたしました。

 国内においては、NTTやNECなども独自でAIを開発しており、今まさに日本で追い風だと感じさせる大きなムーブメントがやってきております。

 この状況を絶対に逃がすわけにはいきません。日本としても強いメッセージを発信すべきだと考えますけれども、政府の受け止め並びに意気込みをお伺いしたいと思います。

渡邊政府参考人 意気込みを発信いたします。

 今般、オープンAIを始めとしまして、グローバルなAI企業が日本に投資あるいは拠点の設置というのを相次いで表明していただいているということで、これは、日本の国内事業者との連携とか切磋琢磨を通じて、日本の生成AIの開発ですとか利用促進に大きくつながるというふうに考えております。

 こうした日本への投資を検討している外資系企業からよく聞く声としましては、日本の市場というのは決して小さくない、そして優れた研究開発があるということと、そして、何といっても、昨年、日本がG7の議長国として広島AIプロセスを主導して、そして広島AIプロセス包括的政策枠組み、これを取りまとめたことへの高い評価でございます。

 こうした日本のリーダーシップがこういったグローバルな外資系AI企業の日本への投資を呼び込んだ可能性が高いというふうに考えておりまして、委員御指摘のとおり、強いメッセージ、そして強いリーダーシップというのを発揮していきたいというふうに考えております。

川崎委員 渡邊審議官、ありがとうございます。渡邊審議官は本当にAIインスティテュートを始めとする様々なAI政策、精通されておりますので、力強いメッセージをいただきました。

 実際にオープンAI社のアナ副社長がこの発表のときに我々自民党のAIプロジェクトチームの方にいらっしゃいまして、まさにアジアにおいては日本がしっかりと活動の拠点として、これから広げていく、日本は決して小さいパイではないというような言葉、同じようなことをおっしゃっておりました。

 冒頭申し上げたとおり、人口減少しても成長できる社会、そのためにデジタルを徹底活用する、その上ではこのAIは欠かせないものになりますのでお願いしたいと思うんですけれども、一方で、では、それを使う社会はどうなのかというところを聞きたいと思います。

 河野大臣、お待たせをいたしました。

 まず、デジタル競争力ランキングというところを皆さんと共有をさせていただきたいと思います。

 先ほど申し上げたとおり、少ないリソースでもしっかりと生産性を上げて国際社会において活躍していくためには、我が国のDXは急務であるということは政府も御認識をいただいていると思います。

 しかしながら、二〇二三年十一月三十日に発表された、国際経営開発研究所の世界競争力センターが発表した世界デジタル競争力ランキングの二〇二三年度版においては、日本は前年調査から三つランクを下げた三十二位となり、二〇一七年に調査が開始されて以来、過去最低でございます。

 そして、この要因を調べてみると、一つはデジタル、技術的なスキル人材が不足していること、そしてもう一つはビッグデータとアナリティクスの活用ができていない、これが大きなところでございました。

 この結果について、河野大臣、どのようにお考えでしょうか。

河野国務大臣 このランキングを発表しているIMDというのは、スイスだったかのビジネススクールなんだと思います。このランキングの基になっているのは、様々な統計データと、それからもう一つは、日本の、それぞれの国の経営層へのアンケートということになっております。

 今委員がおっしゃった項目は日本の経営者へのアンケートの項目でございまして、一つには日本の経営者が他国と比べて奥ゆかしいというところと、もう一つは若干マインドが後ろ向きになっているというところなんだろうと思います。

 こういうランキングは、いろいろ取り沙汰されますから、順番がいいにこしたことはありませんけれども、それは経営者の回答をもっと行け行けで言ってくださいと言えば順番は跳ね上がるんだろうと思いますし、余りそれは意味ないのかなというふうに思いますので、むしろ、その統計データのところを重視をする方がいいのかなと思っております。

 ただ、経営者のアンケートにもそれなりの根拠があってマインドが低めになっているところはあるんだろうと思いますので、こういうデジタル人材の育成というところについては、デジタル庁も、大学、研究所、あるいは企業、しっかり意見交換をして、必要なところの手当てというのはやっていきたいというふうに思っております。

川崎委員 河野大臣、ありがとうございます。

 おっしゃるように、IMDの世界デジタル競争力ランキングのデータ、基となっている部分においては、大臣が、御発言ありましたとおり、経営者のアンケートというものがございます。先ほど言ったように、経営者もいたずらに適当なアンケートを答えているわけではなくて、実際に彼らも肌で感じた素直な気持ちをアンケートに発表いただいているんだと思います。

 となると、やはり、経営者の中では、デジタルのいわゆるデータの活用の方法がよく分からない、あるいは活用するに当たっての人材がいない、こうしたところが大きな課題になっていると思います。そのため、デジタル人材育成というのは本当に急務なんだというふうに思っています。

 私は、自民党内においてはデジタル人材育成プロジェクトチームの事務局長を担っております。様々な有識者からヒアリングを行っていく中で、個人がデジタル人材として知識を習得して実践するモチベーション、つまり動機ですね。動機は、この資格を取得するとこういう会社で活躍できて、そうすると、これだけの年収が得られて、社会からこれだけ必要とされているんだというようなモデルケースが一つ明確であることが必要だと。そしてもう一つは、やはり企業の経営者が、デジタル人材が必要だから社員にしっかりとデジタルの資格を受けに行かせる、あるいは、そうした活躍の場を与える、積極的に学習させるという経営者マインドの醸成、この二つをしっかりとかなえていかなければならないというふうに思います。

 そこで、政府に質問をいたします。

 では、実際に今、たくさんの資格があって、スキル取得者、右肩上がりに増えてはいるものの、その方々がどこでどういうふうに活躍しているのか、つまり、このキャリアパス、把握できているのか、お伺いさせてください。

上村政府参考人 政府におきましては、二〇二六年度までにデジタル推進人材を二百三十万人育成するという目標を掲げており、その実現に向け、関係省庁が一丸となって、デジタルスキル標準に定められたデータサイエンティストなどの五類型のデジタル人材育成に取り組んでおります。

 特に経済産業省では、民間の教育講座を一元的に提示しましたデジタル人材育成プラットフォームの活用や情報処理技術者試験の実施などを通じまして、目標の実現に向け、取組を加速をしてきています。また、データサイエンスなどの先端分野については、官民で構成するデジタルリテラシー協議会を通じて、当該スキルの資格、試験の普及に取り組んでいるところであります。

 議員御指摘の、資格取得者のキャリアパスの把握につきましては、同様の問題意識の下で、経済産業省、それから独立行政法人情報処理推進機構において、例えば情報処理技術者試験の合格者が合格後どのように活躍しているかをインタビュー形式で公表するなどの取組を行ってきているところであります。

 ただ、これにとどまらず、今後は、こうした事例の数多くの収集はもちろんのこと、それに加えまして、情報処理推進機構においてデジタル人材の有するスキルや資格などの様々な情報を蓄積をして可視化をする情報基盤を構築をしまして、技術進歩の速いデジタルの世界において、個人が継続的に学び、スキルアップすることで、自分自身でキャリアパスを実現していく環境をしっかりと整備をしていきたいというふうに考えております。

川崎委員 ありがとうございます。

 今後デジタルで可視化をしていくというのは非常に重要だというふうに思っています。様々なデジタルの試験についてはIPAの方で企画、運営をしていただいていると思うんですけれども、私も実際、申込み等をさせていただく手続をしたときに、毎度毎度、パスワード、そしてメールアドレスを登録するというような、つまりIDが全部ばらばらになってしまっているんですね。なので、これは統一して、しっかりと可視化できるようにすべきだというふうに思います。

 シンガポールにおきましては、マイナンバーにひもづく個人の教育ポータルサイト、マイスキルフューチャーというものを用いているようです。ここでは、自分がどのような資格を取得したか、どのようなトレーニングを受けたか、どのような学習をしてきたかというものが全部デジタル証明として見られる。これは、日本の建設業界におけるキャリアアップシステムも同様のものだというふうに思っていますけれども。

 こうしたものがありますので、是非これを活用して、様々なスキルをしっかりと可視化できること、そして、その方々がどういったところで活躍しているのか、まさにデジタル人材を支えるエコシステムというものをしっかりと強化をしていただきたいというふうに思います。

 私、デジタル人材育成PTの方でも、間もなく提言を政府に提出させていただく予定になっております。今申し上げたことをきちんと書かせていただきますので、受け止めていただきたいというふうに思います。

 最後、一問残しましたけれども、時間になりましたので以上で終了させていただきますけれども、間もなく我々としてはデジタル・ニッポン二〇二四という提言書、これは、AIやウェブ3、デジタル人材、サイバーセキュリティー、様々な項目をセットさせていただきます。しっかりと政府の方で受け止めていただきますことをお願い申し上げて、質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 立憲民主党の坂本祐之輔でございます。

 まず、前回の質疑の際に時間の関係でできなかった質問をいたしますので、よろしくお願いいたします。

 前回、多様な子育てを認め、会社で働きながらでも、フリーランスや自営であっても、家庭で子育てに専念する形でも、働き方に関係なく、子育てをする全ての母親に対して公的な支援は基本的に公平に行われるべきという観点から質問をさせていただきました。加藤大臣には、基本的な考え方はおおむね御理解いただいているという答弁があったと思っています。

 しかしながら、私が具体的に提案した、育児休業給付や出生後休業支援給付の在り方の見直しにつきましては、雇用保険制度上、困難であるとの回答でございました。

 この点につきまして、育児休業給付は現状、雇用政策として行われていますが、実態としては、雇用保険政策というよりも、子育て政策、少子化対策の意味合いの方が強くなっており、さらに、育児休業給付の拡充である出生後休業支援給付が子ども・子育て支援法改正法案の中で行われようとしていることを考えても、子育て政策、少子化対策として行っていくべきではないかと考えております。

 また、雇用保険料の中だけで賄うことができずに、およそ一千億円を超える国庫負担金が投入されることからも、育児休業給付を雇用保険制度の中で実施し続ける合理性があるのかどうかと思います。育児休業給付につきましては、雇用保険制度としてではなく、子育て政策、少子化政策の新たな仕組みとして、子供を育てる全ての家庭に公平に支援が行き渡るような仕組みに改めた方がよいのではないかと考えます。

 これは全く私の個人的な考え方ですが、私としては、子供が一歳になるまでの間の子育てベーシックインカムのようなものがあるとよいのではないかと考えています。この件につきましては、加藤大臣、そして厚生労働省からの御所見をいただきたいと存じます。

石垣政府参考人 お答え申し上げます。

 育児休業給付につきましては、これまで少子化対策の観点なども踏まえまして拡充を図ってまいりましたが、労働者の育児休業中の収入減少を補い、その雇用と生活の安定を図るという点で、引き続き雇用保険制度において実施する意義があるというふうに考えております。実際にも、特に女性労働者の雇用継続に大きく貢献をしてきたものと認識をしております。

 また、育児休業給付の国庫負担について御指摘がございましたが、育児休業の取得に伴う賃金収入の喪失に対しまして生活支援をもし行わない場合、更に深刻な保険事故である失業に結びつくおそれがありますことから、育児休業給付の制度創設当初から、失業を保険事故とする求職者給付に準じて国庫負担を行うこととしているものでございます。

 このようなことから、雇用保険制度の対象とならない者に対しまして雇用保険制度から給付を行うことは困難だというふうに考えております。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘の子供を育てる家庭への経済的支援につきましては、加速化プランにおいて、例えば、児童手当の抜本的拡充や、妊娠、出産時の計十万円の出産・子育て応援交付金の制度化などを進めることとしてございます。

 御指摘の育児休業給付は、あくまで育児休業中の収入減少を補い、雇用と生活の安定を図ることを目的とした給付であり、雇用保険制度の中で支援するものと承知をしてございます。

 その上で、加速化プランにおきましては、子の出生後、一定期間について、育児休業給付の給付率を手取り十割相当に引き上げる出生後休業支援給付を創設することといたしました。さらに、雇用保険の対象とならない自営業、フリーランス等の方々に対しましては、育児期間中の経済的支援に相当する措置として、国民年金の第一号被保険者について、育児期間に係る保険料免除措置を創設することといたします。

 育児休業給付の拡充のみならず、様々な制度、政策によって経済的支援を拡充することと併せまして、こども誰でも通園制度の創設などにも取り組み、全ての子供、子育て家庭への支援をしっかり強化してまいります。

坂本(祐)委員 様々な視点に立って子育て支援を行っていく、これはとても大切なことであろうと思います。

 児童手当の所得制限においても指摘されていたことですが、やはり、同じく子育てをする保護者間で、支援がある保護者、その支援を受けられない保護者がいれば、その間で多少なりとも対立の関係が生まれてしまうことも考えられると思います。そして、そういったことの積み重ねが、現状、もう一人子供を産もうかどうしようかという判断に影響している可能性があるのではないかと私は考えております。

 また、家庭で子育てに専念する母親のことを取り上げましたが、以前から申し上げているとおり、ここへの支援が少ないということについては、何とか少しでも公平な支援が行われるようにできればと願っております。

 子ども・子育て支援法改正案において、共育て、共働きの推進を掲げており、当然のことながら、母親がしっかりと活躍ができる環境をつくっていくことは我々の重要な責務であろうと考えています。

 一方で、母親の中には、子供ができて、子供のために育児に専念しようと仕事を辞める判断をする方もいます。中には、仕事を続けたいが、現実的に職場の都合や家族の都合で辞めざるを得ない方もいらっしゃいます。妊娠、出産は体への負担も大きいことから、体や健康の事情で仕事との両立ができず、子育てに専念する選択をする方もいます。また、子供の病気など様々な事情で仕事を続けていくことが困難となって、子育てに専念をする選択をする方もいらっしゃいます。ほかにも、様々な事情で仕事との両立ができない方もいらっしゃいます。

 共働きの推進といっても、それを望まない母親、共働きをしたくてもできない母親もいるということは忘れないでいただきたいと思いますし、だからこそ、公的な子育て支援については、なるべく公平に行っていくべきではないかと考えます。

 今後、少子化対策、子育て政策を検討していく上で、このような視点も考慮に入れて進めていただきたいと思いますが、加藤大臣の御見解をお伺いいたします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 こども未来戦略におきましては、子供、子育て政策の強化の基本理念として、様々な子供、子育て支援に関しては、親の就業形態にかかわらず、どのような家庭状況にあっても分け隔てなく、ライフステージに沿って切れ目なく支援を行い、多様な支援ニーズによりきめ細かい対応をしていくこととしてございます。

 どのような家庭状況であっても公平に支援を行うという視点が重要であることは、委員御指摘のとおりでございまして、先ほど御質問をいただきました育児休業給付などの特定の制度により達成をするのではなくて、それぞれの家庭のニーズに応じまして、様々な制度、政策を用意することで、全体として公平な支援となるように努めてまいります。

坂本(祐)委員 どのような家庭環境の状況にあっても様々な政策を幅広く進めていただきたい、このことをしっかりと行っていただければと思います。

 次に、子ども・子育て支援金について質問いたします。

 前回の子ども・子育て支援法改正案の質疑の際に、子ども・子育て支援金制度について、地元の方からは実際に自分の負担が増えるのか増えないのか分からないといった御意見をいただいております、国民の誰もが容易に理解できるように丁寧に分かりやすく説明をすることが私ども政治家の重要な役割であると申し上げた上で、加藤大臣に、御地元で支援金について保険料負担が増えるのかと尋ねられたらどのようにお答えになりますかと質問したところ、大臣からは、「国民の皆様には新しく拠出をいただくことは事実でございますが、これは、それまでの間に歳出改革等を積み上げて、全体としてそれ以上の社会保険負担軽減を図ってまいります、このように申し上げます。加入者一人当たり月約五百円の軽減効果を生じさせて、その範囲内で、支援金の導入によって差引きでは負担が生じないんだということを御説明をしていきたい、このように申し上げております。」との答弁をいただきました。

 そこで、私の地元の方々に、支援金制度について、加藤大臣の説明で御理解、御納得をいただくことができるか、大臣が説明されたとおりの文言を示して確認をさせていただきました。

 結果とすると、地元の方二十人に伺いましたが、二十人中十九人が理解できない、納得できないというお答えでした。やはり理解できないという方々は、国民の皆様には新しく拠出をいただくことは事実というところまでは理解できるものの、その後に続く、歳出改革等を積み上げて、全体としてそれ以上の社会保険負担軽減を図っていく、加入者一人当たり月五百円の軽減効果を生じさせて、その範囲内で、支援金の導入によって差引きでは負担が生じないというところが理解ができないということでありました。

 加藤大臣にお伺いいたしますが、今回伺った地元の方々のほとんどが、大臣の説明では理解できない、納得できないということでありましたが、多くの国民の皆様も同じように、理解するのは難しく、納得できていないのではないかと私は考えています。大臣、どうしたらよいとお考えになるでしょうか。このまま御理解、御納得をいただけないまま、国民の皆様の保険料から徴収してよいとお考えになるのでしょうか。大臣、お答えください。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 前回の答弁と繰り返しになりますけれども、この説明をすることに尽きると考えております。

 支援金の導入によって、国民の皆様に新しく拠出をいただくことは事実でございますが、それまでの間に歳出改革等を積み上げていくことによって、全体としてそれ以上の社会保険負担軽減を図ることによって実質的な負担が生じないこととしております。

 更に細かく申し上げますと、加入者一人当たり月平均四百五十円の支援金が導入をされましても、それまでの歳出改革等によって四百五十円分の社会保険料の軽減を図るということになりますので、差引きによって、支援金の導入によって負担になるということはなくて、実質的には負担が生じない、このように申し上げているところでございます。

 この点につきましても繰り返し御説明申し上げてきましたが、政府としましては、国民の皆様に御理解をいただけるよう、引き続き丁寧な説明を尽くしてまいります。

坂本(祐)委員 やはり、大臣におかれましても、大変に御多用とは存じますけれども、御地元での多くの方々にこういった御説明を実際にされるということも、これからの説明の在り方について考える点に対して大いに参考になるのではないかというふうに考えます。

 ただいまの支援金制度について、地元での調査の続きですけれども、御意見も伺ってまいりました。多かった御意見としては、負担を発生するとははっきり言うべきという趣旨の御意見でした。また、年金生活の方は、新たな拠出が発生するということについて、生活が苦しくなるのではと心配されておられました。ほかにも、なぜ健康保険から取るのか、税金でやるべきではないか、高齢者は負担はしても給付が受けられない、給付と負担の原則に合っていないのではないかといった御意見もありました。また、中には、説明はよく分からないけれども、子供が減っちゃうから負担はしますという御意見もありました。

 私の地元の方々の御意見ですが、この私の地元の方々の御意見について、大臣の感想、所見をお伺いいたしたいと存じます。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 支援金制度につきまして様々な御意見があることは存じ上げておりまして、法案審議でも様々な御意見をいただいてまいりました。いずれも貴重な御意見として受け止めたいと考えております。

 その上で、今回の子供、子育て予算の財源確保は、現下の経済状況や財政状況を踏まえ、国債や増税によるものではなく、徹底した歳出改革によることを原則といたしました。歳出改革等によって生じる保険料負担の軽減効果の範囲内で支援金制度を構築していくことで、全体として実質的な負担を生じさせることなく財源を確保するものでございます。この方針に沿って、歳出改革や賃上げの取組に全力を挙げてまいります。

 また、様々なお声の中で、例えば生活が苦しくなるのではないかというお声もあったというお話ですけれども、支援金制度は、連帯の理念を基盤に、全世代、全経済主体が子供、子育て世帯を支えるものでございます。実際の拠出額は、負担能力に応じて、年金生活の方を含め、所得の低い方には軽減措置も講じられます。

 また、さらに、支援金制度を通じた給付の充実は、政府が総力を挙げて取り組む賃上げ等と相まって、若い世代の所得を増やし、結婚、子育てを確実に応援をしていくものでございます。こうした給付を受けない方にとっても、少子化傾向を反転させることは、我が国の経済社会システムや地域社会を維持することや、また国民皆保険制度の持続可能性、これを高めることによって、社会の一員として受益するものであると考えております。

 少子化対策のために拠出をお願いすることにはなりますが、政府としては、こうした支援金制度の意義についても国民の皆様に御理解をいただけるよう、引き続き丁寧に説明をしてまいります。

坂本(祐)委員 実際に支援金の徴収が始まるのは二年後の令和八年度からでございます。国民からすれば、忘れた頃に徴収が始まるということになると思います。改めて、加藤大臣には、国民の皆様に分かりやすく、誠実で丁寧な説明をこれからもしっかりとしていただきたい、このことを求めたいと思います。

 次に、扶養控除、特定扶養控除における早生まれの不利の是正について質問をさせていただきます。

 現在、扶養控除は十六歳以上、特定扶養控除については十九歳以上二十三歳未満となっています。そして、この扶養控除、特定扶養控除は、十二月三十一日時点の年齢に基づいて適用されることになっていることから、高校一年生の子供を持つ家庭においては、四月二日から一月一日生まれの子供は扶養控除の対象になりますが、早生まれの一月二日から四月一日生まれの子供は扶養控除の対象にならず、一年遅れて適用になるという不公平が生じております。

 また、現役で大学等に進学した大学等の一年生を持つ家庭においては、四月二日から一月一日生まれの子供は特定扶養控除の対象になりますが、早生まれの一月二日から四月一日生まれの子供は特定扶養控除の対象にならず、大学等の一年生では、高校のときに一年適用が遅れた分の扶養控除が適用され、特定扶養控除はまた一年遅れて適用になるという不公平が生じています。

 そしてさらに、問題は、子供が浪人や留年をせずに卒業して働き始め、親の扶養から外れてしまうと、一年遅れて適用できるはずであった扶養控除又は特定扶養控除が受けられなくなります。納税額では、例えば、高校生の家庭の扶養控除で、所得税率二〇%、住民税率一〇%とすると、およそ十一万円になりますので、月一万円の児童手当と同程度の家計負担の軽減になります。特に高校一年生は、通常の教育、子育て費用とは別に、高校の入学も重なりますので、制服を始め入学に関わる様々な負担が発生するタイミングでもあります。大学等の一年生につきましても、大学の入学金から授業料、自宅から通えない大学等に進学する場合は引っ越しをする費用等、大きな負担が発生をいたします。

 元々特定扶養控除は、教育費等支出がかさむ世代の税負担の軽減を図る見地から、高校入学から大学卒業を念頭に創設されているとのことであります。昭和六十三年十月十八日の第百十三回国会、衆議院税制問題等に関する調査特別委員会における特定扶養控除の創設に関する質問に際して、当時の宮沢大蔵大臣は、「ある程度お子さんが成長されて、そして一番金のかかる年齢になる、そういう場合のことを考えまして先ほど税率構造のことも申し上げましたが、この割り増し扶養控除もそういうことを考えまして」と、その目的を説明されています。

 まさに、高校入学から大学卒業までの子供がいる、教育費等支出がかさむ世代の税負担の軽減を目的に創設された制度であるにもかかわらず、高校入学の年又は大学等への入学の年に利用できない、滞りなく卒業すれば最後の一年分を利用できないというのは、制度の趣旨にも反しているのではないでしょうか。学年が同じでありながら生まれた月によって扶養控除、特定扶養控除の適用に不公平が生じるのは制度の欠陥でしかないと思いますが、見直しが行われないまま今日に至っている状況であります。

 就学年での適用とすることで、子供が早生まれであっても、早生まれでない子供と同じように扶養控除の対象になるよう、そして、その後の特定扶養控除についても同様に、同じ学年で同じ扱いになるよう、直ちに是正をするべきと考えますが、これは瀬戸財務大臣政務官からお答えをいただきたいと存じます。

瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。

 扶養控除は、一定の年齢の子供を扶養する者の負担について、税制の観点からその軽減を行う趣旨で設けられているものであります。

 一人の子供について控除が適用されるタイミングや通算の年数は、毎年の十二月三十一日時点でその子供が扶養に該当するか否かによることとされております。したがって、例えば遅生まれの子供であっても、高校卒業後に就職し扶養から早期に外れれば控除の対象とならなくなり、適用される年数についてもそれだけ少なくなることになります。

 このように、早生まれか遅生まれかによってのみ扶養控除が適用されるかの違いが生じているわけではなく、一概に問題があるとは言えないと考えております。仮に見直しを検討する場合におきましても、所得税における暦年課税の原則やほかの扶養控除との関係も含めて慎重に検討する必要があると考えております。

坂本(祐)委員 一概に問題があるとは言えないということでございますけれども、先ほども申し上げましたが、高校一年生、大学一年生は入学が重なって、特に経済的負担が非常に多くなるときであります。一年遅れれば、子供が浪人や留年をせずに卒業して働き始めて親の扶養から外れてしまうと、一年遅れで適用できるはずだった扶養控除又は特定扶養控除が受けられなくなるということになります。

 この問題は、何か新しい取組をするというものではなくて、制度の欠陥を修正するだけではないかと私は考えております。再度、是正するべきだと思いますが、これは財務省の見解をお伺いいたしたいと思います。

瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。

 見直し等を検討する場合におきましても、先ほどと同じ答弁になりますけれども、所得税における暦年課税の原則、また、ほかの扶養控除との関係もございますので、慎重に検討する必要はあるというふうに考えております。

坂本(祐)委員 私は、学年が同じでありながら生まれた月によって扶養控除又は特定扶養控除の適用に不公平が生じてしまうこの早生まれの不利については、子育て政策上も大きな問題があるのではないかと考えております。そのことを訴えている保護者の方もたくさんいらっしゃいます。

 こども政策担当大臣として、加藤大臣はどのようにお考えでしょうか。財務省に対し、是非是正を求めるべきと考えますが、御答弁をお願いいたします。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、教育費負担がかさむ年代の経済的負担の軽減、これは重要であると考えてございます。

 このため、加速化プランにおきましては、児童手当の高校生年代までの延長、また高等教育費の負担軽減などに取り組むこととしてございます。

 その上で、お尋ねの扶養控除や特定扶養控除につきましては、先ほど財務省の政務官から御答弁がありましたとおり、早生まれか遅生まれかによってのみ扶養控除が適用されるかの違いが生じているわけではないと承知をしてございます。また、そもそも所得税そのものが暦年課税を原則としていると承知をしております。

坂本(祐)委員 加藤大臣は大臣就任会見で、こども家庭庁は司令塔として子供政策に関する省庁間の縦割りを打破するとおっしゃっておられます。これは異次元でも何でもないんだと思います。生まれた月による不公平を修正するだけであります。財務省に対して、早生まれの不利を是正するよう、しっかりと私は求めるべきだと思います。

 多くのお母さん、お父さんたち、保護者の方たちが、このことについては、やはり不利だということをおっしゃっておられる。これが国民の皆さんの実感、その子供たちを持つ実感だと思いますので、このことについてはもう少ししっかりと考えていただいて、適切な是正をしていただきますようにお願いを申し上げます。

 政府は、子ども・子育て支援法改正案で児童手当の高校生までの延長を盛り込む一方で、高校生年代の扶養控除の縮小を検討されています。

 政府の令和六年度税制改正大綱によりますと、十六歳から十八歳までの扶養控除について、十五歳以下の取扱いとのバランスを踏まえつつ、高校生年代は子育て世帯において教育費等の支出がかさむ時期であることに鑑み、現行の一般部分に代えて、かつて高校実質無償化に伴い廃止された特定扶養親族に対する控除の上乗せ部分を復元し、高校生年代に支給される児童手当と合わせて、全ての子育て世帯に対する実質的な支援を拡充するとしており、扶養控除の縮小に伴う税負担の増加が児童手当を上回ることがないよう調整をされているようでございますが、児童手当の延長による子育ての経済的負担軽減の効果を同時に打ち消してしまうような政策ではないか。

 子育て家庭を支援したいのか、したくないのか。少子化対策を行いたいのか、そうではないのか。率直に申し上げて、何をしたいのか、理解に苦しむところであります。

 子育て家庭を支援をして少子化対策を推進するならば、高校生年代の扶養控除の縮小は行わないよう判断をすべきと思いますが、これは瀬戸政務官、お答えをいただきたいと存じます。

瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。

 高校生年代の扶養控除につきましては、昨年末の与党税制調査会におきまして、高校生を持つ世帯では、中学生までの子供を持つ世帯と比べて教育費等の負担が重い状況があるというのと、一方、また、例えば、習い事や塾のような補習教育については高所得者ほど多くの金額を費やしているといった状況が見られるといったことなどについて御議論があったと承知しております。

 こうした議論も踏まえて、政府としましては、高校生年代の扶養控除について、高校生年代に支給される児童手当と合わせまして、全ての子育て世帯に対する実質的な支援を拡充しつつ、所得階層間の支援の平準化を図るよう見直す方針を政府税制改正大綱においてお示ししております。令和七年度税制改正において、最終的な結論を得てまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 また、子ども・子育て支援法改正案では、子供二人までの家庭における児童手当につきましては据置きということで、支援の拡充はありませんでした。

 ここ最近、円安が一段と進んでいます。物価が高騰し、実質賃金が低迷する中で、児童手当が据置きでは、子育て世帯の家計は厳しくなる一方ではないでしょうか。児童手当の増額ができないのであれば、私の考えでは、十六歳から十八歳までの扶養控除を十五歳以下に合わせていくのではなくて、十六歳から十八歳までの扶養控除はそのままにして、十五歳以下の扶養控除を復活させることを検討すべきと考えますが、瀬戸政務官、いかがでしょうか。

瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。

 こども未来戦略における加速化プランでは、児童手当の拡充以外の施策も含め、総計三・六兆円規模の政策強化を進めていくこととしております。主として歳出面の取組による抜本強化が図られているところであると承知しております。

 こうした中、御指摘のいわゆる年少扶養控除につきましては、比較的所得の低い世帯に効果が及びにくいといった課題も指摘されていると承知しておりまして、政府としては、その復活は検討課題としておりません。

坂本(祐)委員 異次元の少子化対策、子育て支援ということでありますから、様々な視点に立って議論をして、その実現に向けて努力を重ねていただきたいと思います。

 次に、保育所や幼稚園、学校における医療的ケアを実施する上での課題について伺いたいと思います。

 私が十六年間の市長在職中に、ノーマライゼーションの町づくりの一環として、全国に先駆けて、医療的ケアを必要とする子供を地域の小学校、中学校に受け入れる取組を行いました。お兄さんやお姉さんが通う小学校、中学校に、なぜ自分が通えないのか。妹や弟が通う小学校、中学校に、なぜ自分が通えないのか。全ては、兄弟みんな同じように望む学校に通うべきだというふうな発想からでございましたが、その当時は賛否様々な意見がありましたけれども、現在、国の政策として、保育所、幼稚園、学校への医療的ケア児の受入れが行われていることを見ると、よい方向に進んでいるのではないかと考えております。

 保育所や学校等における医療的ケア児の受入れに関しまして、受入れは進んでいるものの、医療的ケアを行う看護師の確保が大きな課題になっていると伺っております。そして、医療的ケアを行う看護師を確保することができないため、保護者が付き添わなければならず、さらには、付添いのために仕事を辞めざるを得ないというケースが発生しているという話も伺っております。

 このような中で、医療的ケア児の保護者から、保育所や学校等において看護師を雇用できない場合は、雇用という形でなくても訪問看護で対応してもらうことはできないかといった要望も上がっているとのことでございますけれども、このことにつきまして、国からの支援状況等を含めて確認をさせていただければと思います。保育所についてはこども家庭庁、幼稚園や学校等については文部科学省と所管が分かれておりますので、それぞれから答弁をお願いいたします。

藤原政府参考人 まず、こども家庭庁からお答え申し上げます。

 医療的ケアが必要なお子さんを育てる保護者が自身のキャリアを断念することなく就業を継続していくためには、医療的ケア児の保育所での受入れを進めていくことは非常に重要でございます。また、医療的ケアに当たっていただく看護師の確保、これも非常に重要であると考えております。

 これまでは、保育所において医療的ケア児への支援に当たる看護師等の配置に要する費用について支援を行ってまいりましたが、六年度からは、訪問看護ステーションなどの看護師等が保育所を巡回して対応する方式、医療的ケア巡回型と言っておりますけれども、これも可能とすることで、雇用形式にとらわれずに柔軟で効率的な看護師の配置を可能といたしました。このほか、医療的ケア児の備品の購入に係る補助ですとか、災害対策としての停電時の災害備品の購入補助、こういったことも六年度から開始をすることで、看護師の方が安心してケアに当たれるような環境を整備してまいります。

 加えて、看護師配置への財政支援につきましても、一定の要件を満たした場合には、補助率のかさ上げ、現行二分の一から三分の二にかさ上げをするということも行うなど、保育所における適切な看護師の配置が進むように、医療的ケア児の受入れが進むようにしっかり取組を進めてまいります。

梶山政府参考人 文部科学省からお答えいたします。

 学校において医療的ケア児が安全、安心に医療的ケアを受けられるよう体制を整備していくためには、医療的ケアを行う看護師等の配置が重要となります。

 文部科学省においては、自治体等における医療的ケア看護職員の配置を支援するため、自治体等が実態に応じて柔軟に、看護師を始め一定の研修を受講、修了した介護職員等を配置できるよう、直接雇用する場合に係る経費のみならず、訪問看護ステーションへの委託に係る経費も含め補助を行っております。

 特に、訪問看護ステーションを活用する場合は、看護師が行うケアの内容や配置する人数等について自治体と訪問看護ステーションの間で調整し、委託契約を契約して事業を実施していると承知しております。また、文部科学省では、自治体における医療的ケア看護職員の人材確保、配置方法等に資するための調査研究を本年度実施することとしております。

 引き続き、医療的ケア看護職員等の配置の促進を含め、医療ケアを必要とする児童生徒等に対する支援の充実に努めてまいります。

坂本(祐)委員 時間となりましたので、この件につきましては、また次回の質疑をさせていただければと存じます。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、早稲田ゆきさん。

早稲田委員 立憲民主党・無所属の早稲田ゆきでございます。

 まず私は、観光庁の方に、そしてまた自見大臣に、地域活性化の視点から、そして持続可能な観光のためのツーリストシップという言葉の提唱、提案をさせていただきたいと思います。

 私の地元は鎌倉で、観光地でございます。観光資源、神社仏閣等々ございまして、本当にありがたいことですけれども、この観光資源を抱えている地域におきましては、今、このインバウンド需要の回復がございまして、大変地域活性化が進んでおります。

 他方で、住民の方々にとっては、観光公害とか、それからオーバーツーリズムと言われるような、そうした問題も多発をしているわけです。一言で言えば交通渋滞が一番大きなものですけれども、それ以外にも、自分の敷地内に、お宅の中にごみを捨てられる、それからまた、落書きをされる。そんなマナー違反というのは元々どうなのかということはございますけれども、日本には旅の恥はかき捨てというような言葉もあって、非常に楽しい中で気分が高揚して、逆にそうしたマナー違反が起こってしまうという残念な事態も起こっているわけです。

 この点に関しまして、昨年十月十八日、自見大臣も参加をしておられます第二十一回観光立国推進閣僚会議においてはオーバーツーリズム対策パッケージをまとめられまして、その中で、マナー違反行為防止、抑制策として、二〇二三年度中をめどに統一のピクトグラム及び旅行者向け指針も策定をされるということであります。鎌倉市も先駆モデルとして選定もされました。

 私は、オーバーツーリズム、それから観光公害といった非常に後ろ向きなネガティブな言葉ではなくて、もうちょっと前向きで、みんながそれをやろうと言えるようなポジティブな表現こそが、地域住民とそれから観光客とのウィン・ウィンの関係を構築して、それが地域活性化、地域創生につながっていくのではないかと考えています。

 この点に関しまして、自見大臣所管のデジタル田園都市国家構想総合戦略においては、地域資源を生かした個性あふれる地域の形成の一環としてユニバーサルツーリズムの推進を掲げており、また、地域の魅力を深く味わい、かつ地域の持続可能に寄与する、来訪者も貢献できるサステーナブルツーリズムを推進するとしております。

 そして、私の地元の鎌倉でも、鎌倉市観光協会がサステーナブルツーリズムにも取り組んでいるわけですけれども、一方で、ちょっとこのサステーナブルツーリズムというのは、日本語では持続可能な観光ということになりますが、この具体的な取組はなかなか進んでいないのではないかと思われます。地元でも、やはり清掃活動とかバリアフリーの対応といった内容でありますけれども、それが果たしてデジタル田園都市国家構想の戦略に言われているユニバーサルであるとかサステーナブルというようなことにつながるかどうか、ちょっと、いまいち分かりにくいと私は思っています。

 その中で、ツーリストシップという新しい言葉の普及、これを提唱したいと思います。

 昨年来、スポーツマンシップという言葉がございまして、その観光版であるツーリストシップという言葉の普及に努めておられる一般社団法人ツーリストシップ代表の田中千恵子さんと出会いまして、意見交換を繰り返してまいりました。今日も傍聴席に田中さん見えていらっしゃいますけれども、このツーリストシップ、この同法人で実施する旅先クイズというのが大変楽しいもので、街角で小さなブースを出展して、道行く内外の観光客、それから地域の方にもこのクイズを答えてもらう。これは文化や歴史、それから生活習慣などなど様々なことですけれども、たわいもないことであるけれども、そこで地域住民との交流も生まれるとか、非常に旅行者が、また旅先でどのような心構えを尊重したらいいかというようなことも呼びかけるツーリストシップのイベントであります。

 墨田区観光協会が中期事業戦略の中でこの位置づけを継続的に実施しているほか、北は知床半島、奈良、大津、京都、広島、石垣島にも広がっておりまして、参加者は間もなく一万人を超える勢いであります。ゴールデンウィークには豊島区でも予定をしていて、大分県由布市ではツーリストシップを明記した啓発動画も策定されました。提唱者の法人代表によれば、旅行者に対しては、その旅先の文化や歴史、そしてまた風習などを伝えるとともに、インフラなどの住民生活への配慮、それから、観光ガイドに載らないような小さなお店でもこんないいところがあるから購買してくださいと。それからまた、伝統、歴史の学習、それから挨拶などを地域住民と交わしていただくとか、それから地域貢献事業、ごみ拾いもそうですけれども、そうしたことの参加の姿勢を伝えていく。

 そしてまた、地域住民には、さらに、出会った観光客に何か教えてください、文化、歴史、それから皆さんが知っているいいお店、そんなことも教えてくださいとか、そういう地域の交流を、伝えること、これによってウィン・ウィンの関係ができてきて、それこそ持続可能、住民も、観光客が多過ぎて渋滞で困るというような渋い顔ばかりでなく、大変ウィン・ウィンの関係で交流ができる、いい関係になるのではないかと私は思います。

 まず、観光庁政府参考人に伺いますが、政府が策定中の旅行者向け指針にツーリストシップという前向きでキャッチーな言葉を入れていただくこと。これは、内外での観光客の注目を集めるとともに、おもてなしという言葉がございます、そのおもてなしに代わる、また日本発の新語として、SDGs、オーバーツーリズム対策の柱として世界に発信をするべきではないでしょうか。是非検討していただけないか、お尋ねいたします。

中村(広樹)政府参考人(観光庁) お答えさせていただきます。

 委員からも御指摘ありましたとおり、昨年十月の観光立国推進閣僚会議において決定されましたオーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージの中には、観光客のマナー違反の防止、抑制に向けて、観光客の方々の意識の持ち方ですとか行動例を示す旅行者向け指針の策定が盛り込まれているところでございます。現在、私ども観光庁におきまして、有識者の方々などの意見も承りつつ、当該指針の策定に向けて取り組んでいるところでございます。

 策定に当たりましては、委員からも御指摘ございましたとおり、インバウンドを含めた旅行者の方々にとって分かりやすい内容や表現となるよう、その言葉の使い方も含めて取組を進めてまいりたいと考えております。

 なお、具体的な内容につきましては、現在調整中ではございますが、これも御指摘ございましたとおり、旅先の地域の文化や慣習、マナーを事前に学んでいただくことですとか、その中で、歴史的な文化財の価値や意味を知って大切に扱うということですとか、それから、自然環境を守るために、禁止区域や行為など地域のルールをしっかり守るなどの行動例を盛り込んで、伝わりやすいようなものとしてまいりたいと考えております。

早稲田委員 伝わりやすいようなというふうにおっしゃっていただきましたが、それはツーリストシップという言葉も含めて、啓発活動に一歩前進をする、そしてキャッチーな言葉の検討も前向きに考えていただいているということでよろしいでしょうか。

中村(広樹)政府参考人(観光庁) お答えいたします。

 言葉の、そういう用語も含めて、伝わりやすいということをメニューとして検討してまいりたいと考えております。

早稲田委員 大変前向きな検討をしていただいていると期待をしております。

 その上で、地域活性化の担当として、観光庁の答弁を受けて、自見大臣に伺います。一人の二十代の女性、日本人女性がひらめいた言葉、ツーリストシップというものなんですけれども、こちら、配付の資料も御覧ください。一、二、三とございますが、世界の観光業で最も優れた業績をたたえる賞などを受賞しまして、海外で先に注目が集められております。

 私は、おもてなしという言葉は大変いいと思うんですけれども、これは迎え入れる側の言葉でありますから、もう少し、観光地である、住民とそれから観光客が接点を持てるような、そのツーリストシップという言葉は大変私は期待されるなというふうに思っておりますけれども、大臣のお考え、それからまた、是非、このツーリストシップも含めて、こうした若い考え、発想を応援していただけないかと思いますが、いかがでしょう。

自見国務大臣 お答えをいたします。

 委員御指摘のツーリストシップという言葉、大変興味深く伺っておりました。

 観光庁の答弁にもございましたとおり、観光客にとって分かりやすい内容や表現で観光への理解あるいは地域社会そのものや地域社会に根差している文化、この理解を促進していくということは、大変重要であると考えてございます。

 そういった視点より、地方創生を進めるに当たりましては、旅行者の地方への来訪に伴います地域経済の活性化を図るとともに、旅行者そして地域の双方にとって持続可能な観光地域づくりに取り組むことも、地方創生の観点からも大変重要だと認識をしてございます。

 観光庁など関係府省庁の皆様ともしっかりと連携しつつ、地域に寄り添いながら力強く取組を進めてまいりたいと存じます。

早稲田委員 ありがとうございました。御理解をいただきまして、分かりやすい発信が重要だということであります。

 なかなか、オーバーツーリズム、観光公害とまで言ってしまいますと、本当に、地域経済、活性化していいねと思っていらっしゃる商店街の皆様にとっては、どうなんだろうという気持ちも必ずおありになると思うんですね。ですからこそ、この前向きな、キャッチーな言葉でツーリストシップというものを私は進められたらいいのではないかと大変思っております。

 大臣は万博担当大臣でもあられますので、例えばですけれども、大阪万博でレガシーとして世界に発信すること、これはいかがでしょうか。

自見国務大臣 地方創生担当大臣としてお答えをいたします。

 地方創生担当大臣といたしましても、大阪・関西万博によりまして全国の機運醸成のための各種のプランも御用意をしてございます。また、国際交流プランなどもございますので、地方創生の観点からもしっかりと観光というものを後押ししてまいりたいと思ってございます。

早稲田委員 ありがとうございます。地方創生の観点からということでありまして、是非、期待ができる一つの表現、そしてまた、分かりやすい皆さんへの、内外への周知だと思いますので、応援をしていただけたら、御協力をいただけたらと思いますので、よろしくお願いします。

 そしてまた、大臣には、是非、この団体の元気な女性にも会っていただきまして、意見交換をしていただけると地方創生にもまた示唆が出てくるのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。

 それでは、続きまして、加藤大臣に子供政策について伺います。

 先ほど子ども・子育て支援法改正案、採択をされましたが、支援金の議論に大変時間を要しまして、大臣とこの内容についての深い議論がまだまだ足りない部分もありますので、幾つか伺ってまいりたいと思います。

 まず、子どもの貧困対策法の再改正についてです。

 今回の法案には児童扶養手当の拡充は盛り込まれないなど、子供の貧困対策としては非常に不十分だと私は思っています。先日の山井議員の質疑でもあったように、超党派の議連で立法をした子どもの貧困対策法、これは前回改正から五年がたっています。公益財団法人あすのばや認定NPO法人キッズドアなど五団体が、この子どもの貧困対策法の再改正について提言をしています。事前通告でもお渡しをしておりますので、大臣も御覧になっていらっしゃると思います。目的、理念から大改正をする内容となっております。

 団体によりますと、六千人の調査の中間報告にもあるように、子供の貧困、それから絶望の連鎖がこのコロナ禍から更に続いて、大変厳しい状況になっているということであります。

 この議連の方では、会長の田村憲久議員が大変議連会長として御尽力もされております。私も会員にさせていただきました。山井議員も中心に、そしてまた超党派の議連として、是非この法改正を今国会中に実現したいと思っています。

 この提言書をお読みになっての加藤大臣の御所見、そしてまた、御協力いただけるか、御賛同いただけるかということを伺わせてください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘の提言書は、先月開催された超党派の子どもの貧困対策推進議連の場で関係団体の皆様から提出をされた、子どもの貧困対策推進法の改正に関する提言であると承知をしてございます。

 子どもの貧困対策推進法につきましては、これまで、超党派による議連が中心となって、議員立法による改正が行われてきたものと承知をしてございます。

 その取扱いは国会においてお決めいただくことではございますが、こども家庭庁としましても、必要な協力を行ってまいりたいと考えております。

早稲田委員 議員連盟として、改正が実現できるように、そして進むように、是非、こども家庭庁としても、もうこれは貧困対策というものの一丁目一番地でございますから、全力で応援をしていただきますよう、御協力を最大限お願いしたいと要望させていただきます。

 それでは、続きまして、子育てケアマネについてであります。今回の附帯決議の九番目に入りました、妊婦等包括相談支援事業についても伺います。

 この、伴走型相談支援と呼ぶにふさわしい、産前産後を通じて専門的知見を有する伴走者が一貫してサポート提供できる仕組みというのは、子育てケアマネとも呼ばれる、専門性のある人材の養成、活用であります。

 政府は、かつて、母子保健の改善策として、フィンランドをお手本といたしました日本版ネウボラ導入を自治体に下したものの、ガイドラインを出して推奨をしただけで、ネウボラと称する施設が全国で増えただけに終わっているのではないかという懸念がございます。つまり、児童虐待相談件数の増大など、また、悲惨な事案も、深刻な事件も、まだ止められずにおります。

 今回創設するこの妊婦等包括相談支援事業が伴走型相談支援と呼ぶにふさわしい仕組みになっているかどうか、そして、その相談員の方たちが専門性を有して、きちんとお母さんたちに寄り添っていただけるかどうか、これは今後、政府として、虐待、産後うつ、育児不安をどれぐらい予防できるかということを検証していく、この効果検証をしっかり行わないと、ただただ相談事業をやりましたということで終わってしまうのではないかと大変私は懸念もしております。

 このことについて、加藤大臣の御見解、検証について、どうぞお願いします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほど採決をいただきました法案におきまして、妊娠初期から全妊婦に対する相談支援を行う伴走型相談支援の制度化を盛り込んでおります。これにより、全妊婦に対してより効果的に妊娠初期から相談支援を行うことができるようになると考えております。

 相談支援の質の更なる向上、これに向けて、今後、具体的な相談支援の方法などにつきましては、自治体の実態等を踏まえながら、ガイドラインなどで示してまいります。

 また、加速化プランの各施策につきまして、PDCAを推進する観点から、KPIを設定し、効果検証しながら進めることは大変重要だと考えており、既に、こども大綱で政策全体の数値目標を含めた指標を設定しているところでございます。その上で、伴走型相談支援を含めた具体的施策に関する指標は、骨太方針までに策定するこどもまんなか実行計画で設定するとともに、経済財政諮問会議の改革工程表でも更なる拡充を図ることとしております。

 適切な指標を設定した上で、効果の検証を行いながら、より効果的な事業の実施に向けて取り組んでまいります。

早稲田委員 大変前向きな御答弁をいただいたと思いますが、しっかり指標も設定をして、そして効果検証をしていくということが、大変重要な施策でありますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、子供ホスピスの支援についても伺います。

 小児がんや難病などの子供たちが、サポートを受けながら家族と共に遊んだり学んだりできる子供ホスピス、十二年前に大阪の病院内で開設をされた後、病院に併設をされていない地域型のものも横浜市にも設けられるなど、ほかの地域でも全国的に展開するようになっております。

 今年二月に、子供ホスピスの理解を広め、支援の輪を広げようということで、横浜で全国サミットが行われました。主催者は、NPO横浜こどもホスピスプロジェクトの田川代表理事でありますけれども、その主催者の田川代表理事とも何度か意見交換をさせていただきました。昨日も、私が会員であります横浜本郷ライオンズクラブでも、こちらの施設を視察をさせていただいております。

 昨年度のこども家庭庁による調査研究事業では、検討委員会として田川さんも参加をされておりまして、全国のホスピスの実態調査も行っていて、医療型、福祉型、地域型に区分して、それぞれの課題を整理したと承知をしております。これは配付の資料の四、五でありますけれども。

 ホスピスは、昨年十二月に閣議決定されたこども大綱においても全国普及に向けた取組を進めると明記をされましたし、今回の報酬改定でも、医療型には診療報酬加算、それから福祉型には障害福祉報酬が使えるようにはなりました。

 しかし、一つ抜けているのが、横浜ホスピス、うみとそらのおうちを始めとするこういう地域型の子供ホスピスについては、特段の国からの支援はないわけですね。そして、NPOが民間の方の寄附に頼って運営をされています。

 この医療機関併設型でも福祉施設でもない地域型のホスピスというのが、もっともっと全国展開ができるのではないか。ただし、そこに難しい問題がいろいろあって、やはりその支援を寄附に頼っているということがあると思います。

 国としてどのような支援を検討されるのか。そして、自治体との連携がうまく進んでいない地域もあると聞いています。当然、NPOの自由度、地域型ならではのよさというものを制限するようなことがない形で、人件費などの国の直接補助、そしてまた、自治体へも、その連携がうまくいかないところには、是非、技術的助言などを積極的に検討していただきたいと思いますけれども、大臣のお考えを伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 がんや難病を抱え、医療的ケアが必要な子供やその家族につきましては、療養面のみならず、学びや遊び、家族の休息等を含めて総合的な支援が必要であると考えております。

 こども家庭庁では、いわゆる子供ホスピスの実態調査を行うなど、関係省庁で連携して取組を進めてきており、昨年末にまとめたこども大綱にも、子供ホスピスの全国普及に向けた取組を進める旨を盛り込んだところでございます。

 今年度におきましても、当事者である子供や保護者からのヒアリング調査を行うとともに、子供の居場所づくりモデル事業の中で子供ホスピスの取組についても支援するなど、関係省庁で連携をしながら、小児がん患者等が御家族や友人等と安心して過ごすことができる環境の充実に向け、取組を進めてまいります。

早稲田委員 ごめんなさい、支援について、もう少し地域型についてもお考えいただけないかということについて、お願いします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 地域型の子供ホスピスにつきましては、日中の遊びや宿泊ができる拠点を設ける方法や、拠点を設けず遊びや学びのプログラムを提供する方法など、様々な取組がされていると承知をしております。

 こうした違いや、今年度実施する調査研究の結果なども踏まえながら、国としてどのような支援ができるか、引き続き検討してまいります。

早稲田委員 補助金など公的支援を受けますと、運営面で縛られる、自由度が制限されるという懸念もあるとは思いますけれども、やはり、全国的に普及を促進していくためには、こども家庭庁で何らかの公的支援というのを検討すべきと私は考えます。自治体との連携、使い勝手のよい財政的支援の在り方を、是非前向きに検討していただけますようお願いを申し上げます。

 それでは、最後の質問になりますが、時間も押してまいりましたが、出生後休業支援給付の創設についてであります。

 今回、子ども・子育て支援金を財源として、父母双方の育児休業給付に休業前賃金の一三%を上乗せ給付することで、手取り十割を実現することとしています。父親については、前回改正で創設された出生時育児休業の期間中が対象となりますが、そこに支援金で出生後休業支援給付を上乗せするということです。似て非なる言葉ですけれども、子育て中のママ、パパにとって非常に分かりにくい。これも改善を求めたいと思います。

 そして、配付資料を御覧ください。

 母親の場合、出産後八週間はこれまでどおり三分の二の給付率のままです。なぜ八週目から手取り十割になるんでしょうか。パパ、ママから見れば、財源によって立つ法律だろうが何だろうが関係ないわけで、理解に苦しむ仕組みではないか。出産手当金に支援金を乗せて、出産直後から手取り十割を実現するべきではなかったのか。加藤大臣に伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 少子化対策の観点からは、両親共に働き、育児を行う、共働き、共育てを推進することが重要であり、その定着の第一歩が男性育休の取得促進でございます。

 このため、加速化プランにおきましては、制度面と給付面の両面から対応を抜本的に強化しており、その一環として、子の出生後一定期間について育児休業給付の給付率を手取り十割相当に引き上げる出生後休業支援給付を創設することとしました。

 他方、出産手当金につきましては、従来より女性の産前産後の休業期間の所得減少に対する所得保障として給付されてきたものでありまして、先ほど申し上げた男性育休の取得促進とは趣旨を異にしているものと承知をしております。

早稲田委員 非常に分かりにくいんですよね。制度の違いがあるからというのは、それは政府の方のお考えとしてはそうでしょうけれども、実際に、お産をして、そしてそれから育休に入っていくというパパ、ママたちにとっては、そういうことはほとんど関係ないわけです。そうじゃなくて、分かりやすい制度できちんと十割を保障してほしいというのが私も聞いている皆さんの意見であるということをもう一度述べさせていただきたいと思います。

 さらに、配付資料のとおり、女性の育児休業取得率はこれ以上改善はほぼほぼ望めないので、育児休業給付だけ十割にする理由というのがないわけです。他方、男性の方は、育休取得率が一七・一%、それから取得日数も二週間未満が五一・五%ということですね。本当にまだまだ低いわけで、そこのところをしっかりやっていくべきではないかと私は常々思っています。

 そして、男女の賃金格差を踏まえれば、母親の方に途中から二十八日分だけ手取り十割を実現するよりも、父親に出産直後から二十八日掛ける二倍、五十六日の出生後休業支援給付を上乗せする方が、男性の育児休業取得を促進し、多くの子育て世代に歓迎をされるのではないかと考えます。

 大臣もいろいろ育児の経験もおありになるところから、その点について、こうしたことも考えていただけないかと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 出生後休業支援給付は、子の出生後一定期間内に被保険者とその配偶者が共に十四日以上の育児休業を取得した場合には、二十八日間を限度に上乗せ給付を行い、育児休業給付と合わせて手取り十割相当を給付することとしてございます。

 その上で、委員御提案のように男性のみに給付を行うことは、雇用保険制度における男女間の公平性の観点から、慎重に検討する必要がある問題であると承知をしてございます。

 詳細につきましては制度を所管する厚労省の方にお尋ねをいただきたいと思いますが、こども家庭庁としましては、こうした制度改正の実現に向けて、提出している法案の成立に全力を挙げるとともに、子供、子育て政策の司令塔として、厚生労働省とも連携をして、共働き、共育て実現に向けた取組を着実に進めてまいります。

早稲田委員 公平性ということをおっしゃいましたけれども、何が子育て罰とかそういうふうにお母さんたちが感じてしまうかというと、ワンオペ育児ということなんですよね。結局は、育休をパパの方で取っても、非常にその取る率が少ない、そこを何とかしていかなければならないということを、これはやはり、こども家庭庁が主体的に、その辺の実態調査も踏まえながら、引き続き御検討いただきたいと思います。

 その上で、少し時間がありますので申し上げると、今日の朝の厚労部会の方でも議論があったんですけれども、やはり、育休についても、それから介護の休暇についても、そもそもの長時間労働、男女共にですけれども、それが大変改善をされない限り取りにくいわけです。そこのところですよね。これはこども家庭庁だけではもちろんございません、厚労の方でしっかりとこれも議論してまいりたいと思いますけれども。

 スウェーデンとか、フィンランドとか、オランダでしたでしょうか、閣僚になっている女性の、女性閣僚も四時には帰れる、そして、パパとママと交代に保育園にお迎えをしているというような話も聞きます。それは、もうみんな世界でいろいろなことを考えているわけですから、やはり長時間労働、そして残業、これが当たり前になっている、特に育児世代ですよね、男性の方、大変だと思います。皆さん、国会が始まると本当にこうこうと省庁に電気がついている。私たちもそれをさせないために、しっかりと先に通告をしたいと思っておりますけれども。

 そういうことも含めて、やはり大臣、どうぞ残業のこともいかがお考えか、こういうことを是非こども家庭庁の立場からお答えいただきたいんですが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 女性活躍の観点、また少子化対策の観点から考えましても、男性の長時間労働、また働き方改革、こういったことを推し進めていくことは大変重要だと考えております。また、こども未来戦略においてもそのような趣旨のことも盛り込まれておりまして、今回採決していただきまして、今回の法案が成立するようにしっかり汗をかきながらも、その本質的な趣旨、しっかり少子化が改善されるように、働き方改革も、この国会の活動の中を通じてもしっかり意識しながら、法案成立に向けて汗をかいてまいりたい、このように考えております。

 大変重要な御指摘だと受け止めてございます。

早稲田委員 同じ思いを共有をさせていただいたと思います。

 是非、この長時間労働、それからインターバルを取るということ、こうした規制についても、また共にいろいろ議論をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の伊東信久です。

 地元を回っていますと、やはり、地域の課題というのは、本当に地域によって個別具体的なものも多いわけです。本日は各省庁から政務二役の方もお越しいただいているわけなんですけれども、個別具体的といえども、日本経済を再生するためには、地方創生を進め、地方が元気になることが重要です、これは、自見地方創生担当大臣が三月八日、大臣所信でおっしゃっていただいたことなんですけれども。この後、個別具体的なことは各省庁の政務二役にお聞きするんですけれども。

 こういった全体的なことを考えまして、山積みする様々な地域課題に対して、地方創生にどのように取り組み、何を目的とされているかをまずは大臣にお尋ねしたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 地方創生を担当する立場といたしまして、全国千七百を超える基礎自治体がございますが、あるいは四十七都道府県ございますが、それぞれの地域に、地域課題、特有のものもございますし、また共通項もたくさんあるんだとも思ってございます。そういった共通項も見出しながら、どのような支援ができるのかということを考えていくことも私たちの重要な使命であると思ってございます。

 地方創生は、地域に仕事をつくるということ、また、人の流れをつくる、また、妊娠、出産、子育てなどの環境づくりや、あるいはその地域自体を魅力的にするといったことを、四つの柱を掲げております。その四つ目のところには、防災ですとか、委員も関心の高い医療ですとか、そういった課題もたくさん含まれているところでございます。

 私どもといたしましては、それぞれの地域のニーズをしっかりと伺いながら、寄り添って支援をしてまいりたいと思ってございます。

    〔委員長退席、田中(英)委員長代理着席〕

伊東(信)委員 大臣の四つの柱の中に、地域の経済のことのお話をしていただきまして、中小企業の皆さんを元気にすることも大事だと思うんですけれども、やはり様々な課題もありまして。

 政府としてはいろいろ取り組んでおられるんですけれども、昨年、ちょっと同じような内容を経産委員会でも私はお尋ねしたんです。実は、ポリ塩化ビフェニル、PCBというんですけれども、これの高濃度の廃棄処分については進んではいてるんですけれども、低濃度のPCB廃棄物に関しましては、令和九年の三月末までに、二〇二七年までに、このPCB特措法によって無害化認定事業者の処分委託契約を締結することが義務づけられているんですけれども、二〇二七年、令和九年まで処理に向けた残り時間というのはそんなに、あるようでない。やはり残り僅かな感じと思うんですけれども。

 資料の一にもちょっとお示しはしているんですけれども、最終的に処分しなければいけない低濃度PCBに汚染された電子機器及び保管中の低濃度PCB廃棄物の推計量、加えて、この処理の進捗状況、処理しなければならないと考えている推計量のうちどの程度処理されているかについて、国定環境大臣政務官にお尋ねします。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 低濃度PCB廃棄物につきましては、廃棄物処理法に基づきまして、全国三十三か所に設置されております無害化処理認定施設等におきまして、熱処理又は洗浄処理が行われているところでございます。

 また、低濃度PCB使用製品につきましては、所有者がこれを廃止した段階で低濃度PCB廃棄物として処理することとされているところでございます。

 そこで、お尋ねの進捗状況でございますけれども、令和四年度末までの累計で、低濃度PCB廃棄物であります変圧器、コンデンサーにつきましては約七十一万台、そして絶縁油、汚染物等につきましては約二十八万トンの処理が行われているところでございます。

    〔田中(英)委員長代理退席、委員長着席〕

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 先ほど自見大臣の御答弁の中に、共通の関心である医療の話になりましたけれども、私自身も椎間板ヘルニアのレーザー治療をやっていますので医療機器を持っていまして、やはり、調べてみると、コンデンサーとか変圧器とか、電気関係ですからあるんですね。

 一九八六年から元々アメリカとかオーストリアで始まって、私は一九九〇年代後半から始めたんですけれども、そのときの機械から、今のはやりというわけでもないですけれども、半導体のやつに去年から替えているんですよ。だから前のやつをというところで、私の場合は幸いにして業者が引き取ってくれたのですけれども、そこからの処理がどうなるかというのは分からないんですけれども、やはり存在しているんですね。私自身でさえもそういった機会がなければ分からなかったというのも事実なんですよ。

 政府からいただいているやつに、資料の一番下に、使用中の機械におけるというところで、使用中の機械というのがやはり結構ネックになりまして、中小企業の方にとっては、現在も使用している製品がたくさんある、使用をやめないと分からないんやないかとなっちゃうんですよね。

 低濃度PCBに汚染されることが判明したりした場合、じゃ、この交換の費用がまた高額であると。私の場合は、自分が手術するのに使うから、それを買って、先に、交換したことが初めやったんですね、だから私の医療法人はよかったんですけれども。こういったことも処理が進んでいかない理由になるんです。

 資料の二を見ていただいて。いろいろ支援はしていただいているんですけれども、金額等についても御説明いただきたいと思うんですけれども、低濃度PCB使用製品の分析調査、まずは、現在使用中、どうやって分析するんだ、どういう具合にして補助をしていくんだ、交換事業費の補助の拡充、補助率のかさ上げを行ったりはしないかということを、環境省及び経産省の政務二役の方にお尋ねいたします。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、分析調査費であったり交換事業費への補助についてでございますけれども、環境省におきまして、低濃度PCBに汚染された疑いのある変圧器のまず分析調査、それから低濃度PCBに実際に汚染された変圧器から高効率の変圧器への交換に要する費用に対しましては、昨年度から補助制度を設けさせていただいているところでございます。

 ただ、私どもの周知不足も反省しなければいけないというふうに思っておりますけれども、昨年度から始まった制度でもございます。その結果、令和五年度、昨年度の実績でございますけれども、分析調査につきましては二件、それから高効率変圧器への交換につきましては三件の補助に今はとどまっているというところでございまして、本年度もこの補助事業を実施をすることとしておりますので、この活用についてはしっかりと促しをしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

岩田副大臣 お答えをいたします。

 PCBについては、様々な機器や製品、先ほど委員も御指摘ございましたが、こういった中に含有をされております。その適正な処理は、中小企業を含めて幅広い業種に関わる課題である、このように認識をしております。

 そこで、経済産業省では、環境省とも連携をし、平成二十九年度から、中小企業向けの支援策として、低濃度PCB廃棄物の処理に活用可能な低金利の融資制度を講じております。

 今後、環境省を始めとする関係省庁とも相互に協力をして、低濃度PCB廃棄物の処理に関する事業者負担が可能な限り抑制されるよう、経済産業省としても検討してまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 国定大臣政務官からは、二件、三件だと。まだまだ少ないので、やはりこういったところもちょっと、把握のところも原因じゃないかと思います。

 岩田経済産業副大臣におかれましては、融資の話をしていただいたんですけれども、私は財務金融委員会で理事をやっておりまして、今、やはりマイナス金利政策を解除したことの話も出ているんですけれども、この融資、そもそも固定金利なのか変動金利なのか、これがマイナス金利政策解除によって中小企業の負担とはならないか、そういったところも懸念されるんですけれども、それをちょっとお答えください。

岩田副大臣 お答えをいたします。

 委員御指摘のマイナス金利政策の解除の影響につきまして、PCB廃棄物の処分委託費等に対する融資制度は、融資期間などに応じて所定の利率が適用される固定型金利であるために、既に融資を受けている事業者の貸付金に影響は生じないということです。

 一方で、これから融資を受ける事業者に対する貸付金利につきましては今後の金融環境によって変化をし得るものでございまして、今後、その影響等を予断を持たずに注視をしてまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 このことに限らず、中小企業の方々は金利の変動に関してはかなりセンシティブになっているので、その辺り、ちょっと御考慮いただければとは思います。本当に、このことだけではないんですけれども、やはりこのことが大きいということです。

 そういった費用のことを考えるに至り、先ほど国定大臣政務官からは、焼却処分であったり洗浄であったりとかと話をしていましたけれども、やはり、そういった無害化施設が、数がそんなにあるとは思えないんですね。この辺りの数字的なことは経産委員会でもお尋ねしたんですけれども。

 そうなると、やはり輸送費の問題もありまして、加えて、例えば沖縄などの離島になると船も必要になってくるわけで、こういった費用負担もかなりの負担になっていると思うんですけれども、この運搬、輸送部分に関するコストについて、国が何らの形で支援することは検討いただけるのでしょうか。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 今ほどの処分費用であったり輸送費用の関係についての補助制度の創設について考えがあるかということでございますが、私どもといたしましては、PCB特措法におきまして、PCB廃棄物の保管事業者がそのPCB廃棄物を自らの責任において確実かつ適正に処理しなければならないという定めでございますので、まずはこの保管事業者において処理をしていただきたいというふうに考えているところでございます。

 先ほども答弁申し上げましたとおり、この処分に当たりまして、変圧器の更新については昨年度からの補助事業を創設させていただいているというところでございますので、まずはここを御活用いただけないかというふうに考えているところでございます。

伊東(信)委員 なかなか、低濃度に関してはまだまだ進んでいないのかなというところもちょっと懸念されます。一方で、こういった声はこれからだんだん上がってくると思いますので、その点はやはり考慮いただければと思います。

 こういった問題に関してなんですけれども、やはり、中小企業者向けの、低濃度PCBの廃棄物に向けた処分費用の一部の補助の、負担軽減を検討されることが大事だとは思っているんですけれども、高額な費用がかさんで、次に問題視されるのは不適切な処分であったりとか不法投棄であります。こういったところは、環境問題にも直結しますし、PCBの毒性から健康被害にもつながっていきますし、それがひいては日本の経済への影響にも関わってくるのではないかなと思っています。

 次は、資料の三を見ていただきますと、これは自治体のアンケートです。

 平成二十年度以降のPCB廃棄物の不適切処分事例であったり、不法投棄等のデータもこうやって集めているんですけれども、やはり、年々減少傾向にあるとは思うんですけれども、だから、不正処分については減少傾向にあるんですけれども、不法投棄に関しては増減を繰り返しているようにも見受けられるので、決して楽観してはいけないと思います。

 紛失した台数も示しておるんですけれども、紛失した台数と不法投棄の台数にもやはり数字のギャップがあるんですね、開きがあるので、処分期間後に発見されたというものもあるのではないか。これがまた不法投棄につながっているということです。

 この低濃度のPCBの廃棄物については、令和九年度三月末に処分期間が終了するんですけれども、その終了後にまた廃棄物が発見される可能性も十分にあるんではないかなと思うんですけれども、処分終了後に発見された低濃度PCBが不法投棄されないような、事態が生じないように、適切に処理する必要があるとは思うんです。

 繰り返しますけれども、紛失したPCB廃棄物が不法投棄につながらないようにするための対策、そして、その後に発見された低濃度PCB、同じような感じの質問にはなりますけれども、不法投棄されないような、事態が生じないように、それを適切に処理する方策を今のうちから考えていった方がいいんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 まさに委員御指摘のとおりだというふうに認識をしております。

 まず、実態としてどれぐらいの総量が残っているのかということを把握をしなければいけないわけでございますけれども、現行の廃棄物処理法であったりPCB特別措置法におきましては、低濃度PCB使用製品につきましては届出義務がございません。したがいまして、その総量を正確に把握することが今できていないということでございます。

 そこで、昨年度、令和五年度でありますけれども、関係省庁と連携をいたしまして、業界団体の協力を得て、低濃度PCB使用製品、そして低濃度PCB廃棄物の使用又は保管中の有無などにつきましてアンケート調査を実施したところでございまして、これは現在取りまとめをしているところでございます。

 まずはこの実態把握をしっかりと行っていくことが必要だというふうに思っておりますが、委員からも御指摘いただいておりますとおり、他方で、低濃度PCB廃棄物の処分期間が二〇二七年、令和九年三月三十一日までというふうに定められているところでございます。

 そこで、不適正処理につながらないようにどうしていくのかということでございますけれども、本年三月でございますけれども、有識者検討会におきまして、処分期間後に低濃度PCB使用製品が廃棄される場合に備えた議論をまさに開始をしたところでございまして、この有識者検討会の議論を踏まえながら必要な対応を検討してまいりたいというふうに考えております。

伊東(信)委員 健康被害にも関わってくるところですし、環境汚染も懸念されるわけで、いつかどこかで期間は線引きしなければいけないんですけれども、移行期間であるとか、何らかの猶予措置であるとかということと、ちょっと更問いになるんですけれども、届出義務がないというところなんですけれども、逆に、義務化して中小企業の皆さんに負担になっては更に困るわけなんですけれども。

 移行期間の話を検討していただけるかということと、届出義務とかの検討の話とかも、そんなものを今されているわけですか。答えられる範囲で構いませんので。

国定大臣政務官 まず、私どもの基本的な考え方といたしましては、このPCBの特措法に基づきましてしっかりと令和九年三月三十一日までに処分をしていただきたい、これはまず大前提でございます。

 その上でなお、処分期間終了後に発見される、あるいは廃棄されてしまうという場合も、これは一方で、現実問題としては考えていかなければいけないというふうにも捉えているところでございまして、先ほど答弁申し上げましたとおり、既に有識者検討会の中で検討の議論をスタートをいただいているというところでございます。

伊東(信)委員 今の段階ではそういった答弁だと思いますけれども、しっかりと検討というか御考慮いただけたらとは思うんですけれども。

 やはり、この費用面のネックというところで、効率的、低価格で実施できるような手法を、新たなる、もっと安い、もっと効率的な手法の開発を考えたりとか、無害化処理の認定施設は少ないので価格も上がっているかというところなんですけれども、こういった増加というところに関しても、ここは国が主導していただきたいと思うんですけれども、国定大臣政務官にはこれが最後の質問になると思うんですけれども、御検討いただけるでしょうか。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 一番最初に御答弁申し上げましたとおり、三十三か所にこの無害化処理認定施設が設置をされておりまして、私どもとしては、全国的に、かなり偏らずに設置をされているというふうに捉えておりますし、これが著しく少ないのではないかというふうな声を直接まとまった形で聞いたりしているということはございませんが、今ほど委員からも御指摘をいただきましたので、また改めて、どんなことができるのかということについては引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。

伊東(信)委員 声は出ていないけれども、声を出さずに不法投棄していたらやはり本末転倒なので、この辺りは本当にちょっと御理解いただければと思います。

 では、ちょっと時間も半分以上たってきましたので、次の問いをさせていただきたいんです。

 日本版ライドシェアがいよいよというところなんですけれども、この自家用の旅客運送に関して、まずは有償の話をさせていただきたいんですけれども、資料四のところにお示ししていますように、これはデジタル行政改革の中間とりまとめの中に書いてあるんですけれども、ドライバーへの支払いを、謝礼の支払いをアプリを通じてというところもできるということなんです。ただ、地域住民に対してやはりこの辺りの周知徹底がまだまだされていないように地元を回っていると感じるんですけれども。

 まず、この自家用有償の方、有償旅客運送等の導入に至っての地域住民への情報提供を自治体に対して義務化すべきと思うんですけれども、こやり国土交通大臣政務官にお尋ねします。

こやり大臣政務官 お答え申し上げます。

 自家用有償旅客運送の手続とその周知についての御質問だと思います。

 この制度を導入するためには、市町村長などの地方公共団体の長が主宰する地域公共交通会議によってその導入に関する協議を調えていただく、こういう必要がございます。このため、国交省ではその地域の議論の助けとなるようガイドラインを定めておりまして、その内容を主体である市町村であるとかあるいは公共交通事業者等に周知をしているところでありまして、また、これはホームページに掲載ということになりますけれども、そうした形で一般の方々にも周知をしているところでございます。

 また、加えて申し上げますと、この地域公共交通会議の構成員の中に地方運輸局も含まれておりまして、地域の国土交通の事情というのは様々でございますので、しっかりとその地域に応じた対応ができるように、地域に寄り添って取り組んでまいりたいというふうに考えております。

伊東(信)委員 本当に、こういったところ、地域差もあったりとか、各自治体との、周知徹底もそれぞれに違ったりもするとは思うんですけれども。

 先ほどプロセスのガイドラインのお話をしていただきましたけれども、この地域公共交通会議等の運営に関するところで、このガイドラインの中では、いわゆる二か月ルールというのがありまして、最長二か月のうちにタクシー等の交通事業者から地域の移動ニーズに対応した交通の導入について具体的な提案がなかった場合とか、協議が調ったものとして自家用有償旅客運送について検討が行われるとなっていました、この資料五なんですけれども、タクシー事業者等への運行委託について検討することとなっているんです。

 自家用の有償旅客運送を進めることで既存のバスやタクシー企業が撤退するんじゃないかと不安を抱えている地域もありましたり、一方で、赤字で経営している事業者にとっては、それはやはり苦しいことで、自家用有償旅客運送の導入によって不利な条件になれば、撤退することも示唆し、協議に応じないということで、悪循環になる場合も考えられるわけなんです。

 その導入において、既存のタクシー事業者等の交通事業者の地域の協議が調ったような状況について、まずは国土交通省は把握をしているのか。そして、やはり、これは罰則とまで言わないですけれども、タクシー事業者等が事業撤退を、盾にというか、そういうところを示唆する、立場の濫用とも言いませんけれども、どちらにとってもいいような調整を国土交通省にしていただきたいんですけれども、その辺りを政務官にお尋ねします。

こやり大臣政務官 先生御承知のとおり、この自家用有償旅客運送制度、これは、地域の移動ニーズに対応した運送サービスの提供が、運送事業者において提供が困難な場合に、それを補完するものとして導入をした制度でございます。平成十八年にこれは創設をしておりまして、今全国で約七百地域、実施されているところでございます。

 この制度を導入する、あるいは地域の足を確保するためにこの制度を導入する場合であっても、地域の公共交通機関であるタクシーサービスなどが廃止されるといった御心配が起こったりすることがないように、先ほど申し上げました地域公共交通会議において、しっかりと地域において議論していただくことが大事かなというふうに思っております。

 また、それに加えまして、令和二年から道路運送法を改正をいたしまして、地域のタクシー事業者等の交通事業者が、そのノウハウを生かしつつ、自家用有償旅客運送の運行管理等を連携協力して行う制度も創設をしたところでございます。

 また、自家用有償旅客運送をより使いやすい制度とする観点から、昨年末に、交通空白地に時間帯による空白という概念を追加するなど、タクシーが営業していない時間あるいは不足する時間に運行されるなどの制度改善も行ってきているところでございます。

 今後、こうした形で地域の公共交通、タクシー事業者等を始めとする公共交通の皆さんとしっかり連携を取って、地域の足がしっかりと確保できるように我々国交省としても取り組んでまいりたいというふうに思っております。

伊東(信)委員 その前提として、やはり、交通の空白地域のところが問題になって、ちょっと細かいことになりますけれども、この空白地域でバスの停留所という定義があるんですけれども、各地域でコミュニティーバスというのがあるんですけれども、このコミュニティーバスの停留所というのはバスの停留所として該当するんでしょうか。

舟本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のコミュニティーバスの停留所もこのバスの停留所に該当するかという件でございますけれども、こちらは該当するものというふうに認識をしてございます。

伊東(信)委員 なかなか、ちょっとその辺りのことが、地域の方、分かっていない方も、よく分からないというお声も、不安の声も上がっています。

 もう一つ不安の声が上がっているのが、いわゆる無償の、自家用自動車運転は原則として有償で運送してはならない、つまり無償運送に対する話なんです。

 これまで出ていた通達が一つに整理されて、今年の三月にガイドラインとして示されたんですけれども、それによると、燃料費、有料道路使用料、保険料、車両借料など、実費や謝礼について運送の提供者が支払いを受けても許可等が不要と、これは資料六にあるんです。

 どのような運送が無償運送に該当するかということと、有償と、違いは何かについて情報提供を図っていただきたいんですけれども、もうちょっと時間がないので。

 ちょっと謝礼の定義に関してなんですけれども、運送の提供者が金銭の支払いを求めずに利用者から謝礼として金銭等が支払われたとしても、有償の運送とは言えずに、許可等は不要とされているんですけれども、例えば地域でしたら、やはり、これはちょっと心尽くしというような謝礼があったりとか。私の地元の泉州地区だったら、イチゴとかタマネギとか、野菜とか果物とか。これは、お聞きしたら、いや、それも受け取ったらあきませんとか、そう解釈されているところも本当にあるんですよ。

 例えば、じゃ、福祉協議会の方とか町内会の人がふだん病院とかに連れていったりしているのに、例えばメールとか、その人たちに個別に、五百円で買物に連れていってくれませんかといって、じゃ、いいですよといって五百円受け取ったら、それは謝礼に該当するのかというところで、前もってこういった報酬の請求はないし、また、支払いがポイントで行われたときに、そのポイントは謝礼に該当するとか、本当に細かいところを全然周知徹底されていないんですけれども。

 こういった個別のことに対するお答えに加えて、もっと本当にこの周知徹底をした方がいいんじゃないかというところで、地域の声があったので、その辺り、こやり政務官、お願いいたします。

こやり大臣政務官 先生、周知の話と、あと、謝礼の定義といいますかの御質問だったと思います。

 まず、周知については、先生も今御指摘いただきましたガイドラインにつきまして、そのガイドラインの発出に併せて、資料にもおつけいただいておりますけれども、国交省ホームページに本文とその内容を分かりやすく説明したイラスト版の掲載を行いました。同時に、関係省庁、関係団体への周知も行っているところでありまして、このような形を通じて、分かりやすく、地域の皆様に御理解いただけるように周知を行っていきたいというふうに思っております。

 また、運送が有償であるかどうかにつきましては、これは、規定上、運送サービスの提供に対する反対給付として財物を収受することが有償であるという判断になります。この謝礼の運送が反対給付であるかどうかにつきましては、謝礼が、社会通念上、常識的な範囲内であること、そしてまた、運送の提供者がその支払いを必ずしも求めていない場合、こうした場合に反対給付に該当しないという形でガイドラインにお示しをしているところでございます。

伊東(信)委員 ちょっと時間となりましたので。

 最後、自見大臣の御所見もお聞きしたかったんですけれども、ポイントはやはり発信することなので、自見大臣の発信力を生かして、フェイスブックとかを見ていたら、本当に地域をいろいろ回って、先ほどちょっと万博の話も出ましたけれども、万博と地域創生のお話とか、九州でやられていたのも見ていますので、もう是非とも、是非とも本当に今日の課題を発信してください。

 終わります。

谷委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今日は、地方創生大臣として自見大臣に伺います。

 二地域居住のことなんですが、地方創生にとって二地域居住はどのような意義があると考えているのか、また、目標があれば教えてください。人口減少時代の今、どの自治体も移住の促進に取り組んでおりますが、それとの関連も含めて答えていただきたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 都市に住む人が生活基盤を地方に移すに当たりましては、転職等のハードルがあることから、都市と地方の両方に生活拠点を設ける二地域居住への関心が高まっていると認識をしてございます。このことは地方への人の流れを生み、地域の担い手の確保や関係人口の拡大等に寄与するなど、地方創生に資するものと認識してございます。

 現行のデジタル田園都市国家構想総合戦略におきましては、この二地域居住を含めた関係人口の創出、拡大に取り組む地方自治体を二〇二七年度までに千二百団体とする目標を掲げておりまして、令和四年度末時点で一千百二十三団体となってございます。

 また、移住につきましては、デジタル田園都市国家構想総合戦略におきまして、移住支援金を活用した東京圏から地方への移住者を二〇二七年度までに年間一万人とする目標を掲げてございます。この実績といたしましては、二〇二二年度に五千百八名、そして二〇二三年度は前年度を上回るペースで推移をしているところでございます。

 二地域の居住につきましては、都市に拠点を構えつつ地方と往復する、あるいは将来の移住を見据えて地方と往復するなど、その形態は様々であることから、内閣府といたしましては、多様なライフスタイルに応じた支援をしっかりと行ってまいりたいと考えてございます。

高橋(千)委員 この概念が定義づけられたのは二〇〇五年だと聞いておりますが、私は、一人一人の居住の権利といいましょうか、どこに住むのも、あるいは二拠点に住むのも、それは自由だと思っていたんですが、やはり、こうして一定進んできて、社会が人口減少社会だということで、政治の課題として、何か目標を持って誘導するみたいな性格も含んでいるのかなと、そういうことがありまして、明日国交委員会でもあるわけですけれども、ちょっと質問してみたかったと思います。

 それで、地方創生の担当でよろしいんですけれども、この二地域居住促進のためにデジ田交付金を活用しているわけですが、そのポイントは何でしょうか。

中村(広樹)政府参考人(内閣府) お答え申し上げます。

 デジタル田園都市国家構想交付金におきましては、地方創生に資する取組や拠点施設の整備などを支援しております。本交付金を活用した二地域居住の推進に資する事例としては、例えば、多様な働き方ができるよう、サテライトオフィスやコワーキングスペースなどを整備する事業や、お試し居住のための体験施設を整備する事業などがございます。

 引き続き、地方のニーズや様々な御意見などを踏まえ、各地方公共団体の意欲的な取組を後押しできるよう、しっかりと取り組んでまいります。

高橋(千)委員 事務局がまとめた二地域居住に関する活用事例というのも拝見しました。例えば、北海道の上士幌町の、町民、来訪者問わず便利に移動できる地域公共交通網の構築ですとか、町内高齢者にタブレット端末を貸与、九十歳のおじいちゃんでもネット予約できる。誰一人取り残さないデジタル社会だからこそ、そうした、持ったらみんなができるというふうになったら、それはそれでいいのかもしれないなと。ただし、今、実際進んでいるのは、持てる人が限られているのに、持った人にサービスをするというふうなことが自治体でも起こっていますので、やはりそういうふうになってはいけないなと思っているところであります。

 そこで、デジ田交付金は、前にこの委員会で質問したんですけれども、マイナカードの普及率で申し込めるように差をつけておりました。今はそれがなくなったということは確認をしているんですが、それで、やはり取得率の向上ということは政府としてかなり気をつけていると思うんですが、子供に対するマイナンバー取得率、どうなっているか、伺います。

村上政府参考人 取得率についてのお尋ねということで、お答え申し上げます。

 ゼロ歳から四歳児が今五八・三%、五歳から九歳が七一・二%、十歳から十四歳が七二・三%、大体そういったような数字になってございます。

高橋(千)委員 そこで伺いますけれども、子供のデータ連携の在り方について、また、子供に対する個人情報保護というのは極めてセンシティブだと思うんですが、どのように考え、対応しているのか。これは、こども家庭庁と個人情報保護委員会、それぞれに伺います。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の子供のデータ連携事業でございますが、子供のデータにつきましては、個人情報の中でも特にセンシティブな情報であるということは十分承知してございます。

 こども家庭庁におきましては、地方公共団体がデータ連携の取組を進めるためのガイドライン、これを作成する検討会を、個人情報の専門家にも入っていただきまして開催をいたしまして、令和五年度末、先般の年度末にガイドラインの素案、これを公表、公開しているところでございます。

 このガイドラインにおきましては、子供や家庭の情報は、通常の個人情報と比しても機微な情報であり、利用に当たっては慎重な検討が必要であるということが強調されております。

 令和六年度におきましては、このガイドラインの素案を踏まえた実証事業を更に取り組みまして、子供や家庭の個人情報の取扱いを含めて更に精査をすることにより、最終的には全国の地方公共団体が参考にできるようにしてまいりたいと考えてございます。

 こども家庭庁といたしましては、今後とも、子供データ連携の取組を、今申し上げたことを十分踏まえながら進めてまいりたいと考えております。

山澄政府参考人 お答え申し上げます。

 個人情報保護法上、地方自治体を含めました行政機関は、個人情報を利用する際には、その利用目的というのをできる限り具体的に特定するというのがまず一つございます。

 ただ、例外としてその利用目的外のものに使う場合には、限定的に認められているところでございまして、他法令に特に定めがある場合ですとか、あるいは他の行政機関に相当な理由があって渡すときというようなときがその例外になっておるんですが、その相当な理由というのも、決して安易に認めるというわけではなくて、その必要性ですとか透明性というような様々なテストというものをきちっとやっていただいて、クリアしていただいた上で例外的に認められる、こういうような仕組みになってございます。

 いずれにいたしましても、子供の個人情報というのを保護していくというのが重要であるということは論をまたないところでございまして、引き続き、私どもとしましても、こども家庭庁等他省庁も含めまして、連携しながら、これらの規定の適切な運用ということについて、子供を含みます個人情報保護というものについて万全を尽くしてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 こども家庭庁が子供のデータ連携に対してのガイドラインの素案を出したというふうなお話であったと思います。その出発点は、貧困ですとか、いじめですとか、虐待ですとか、困難を抱える子供たちのデータをしっかり把握する、そういう話の中、文脈であったのかなというふうに思うんです。

 でも、同時に、やはり、だからこそ、子供の情報というのは非常に機微なものであって、自己情報コントロール権あるいは個人情報保護ということがきちっとされなきゃいけない。この点については、諸外国であれば、もうかなり整備をされているし、むしろ大変厳しくなっているわけなんですよね。例えば、国連子どもの権利委員会も、二〇一四年にデジタル環境と子供の権利をめぐっての勧告を出しております。そういう意味でも、日本は実は遅れているのではないかというふうに率直に思うわけです。

 昨日の日経新聞の夕刊で、生徒の成績、出欠状況などをクラウド管理をすると。これは教員の働き方改革には資するんだみたいな記事になっておりますが、それは大人の都合だけれども、子供が、それがどんなふうに管理、利用されるのかということをちゃんと説明できなければならないと思うんですね。

 そういう意味では、自民党さんのタスクフォースの中で、子供に漏れなくマイナカードを取得させよと呼びかけています。まだ七割という取得率という報告があったわけですが、これをどう見るか。それから、児童健診や体力調査のデータをマイナカードにひもづけして管理することを検討せよ、一人一人にIDを付与してビッグデータに、こうしたことを、一昨年ですけれども、提言をされているわけですよね。

 これがやはり、今お話をしてきたような、子供の個人情報をどう見るか、そういう立場に立っているのかということが気になるわけです。もう一言、お願いします。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 マイナカードにつきましては私の方からは若干控えますけれども、委員御案内のとおり、こども大綱におきましては、政府全体の方針が明確に定められております。その基本方針のまず一番目に、「こども・若者を権利の主体として認識し、その多様な人格・個性を尊重し、権利を保障し、こども・若者の今とこれからの最善の利益を図る」と。

 データ連携事業も、まさに子供が困ったことにならないように、できる限り早期に支援の手を差し伸べるための事業でございまして、本末転倒にならないようにするのが当然でございます。

 政府全体としても、子供の最善の利益を常に考えながら施策をすることになると承知をしてございます。

高橋(千)委員 じゃ、せっかくですので、デジタル庁にも伺います。

 今、権利の主体であり、最善の利益、そういう議論から、最初に私が言ったように、検討会が始まっているわけなんですね。

 だけれども、紹介した自民党さんのタスクフォースの考え方はそれとは全く違うと思うんですね。子供の情報をどう利活用するか、そういう発想ではないでしょうか。要するに、成績だとか健診だとか体力調査のデータ、これは本当は医療DX、なぜマイナ保険証じゃなきゃいけないのかという議論をさんざんしてきましたけれども、それを進めたいんだけれども、実際に今非常に世論も反発をしていまして、やっと五・数%の利用率になっているわけですよね。だけれども、子供の世界であれば、学校としてそれを決めていけば進みやすいよ、そういう本音があるのかなと。でも、それは、やはり大人の社会で許容されていないものを子供の世界で進めるということは絶対あってはならないわけなんですよ。

 そういう意味で、デジタル庁に伺います。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル庁では、数年前にも教育データ利活用のロードマップということをまとめてございまして、私どもとしても、適切な形でのデータの利活用は進めていくべきだという立場でございます。その上で、マイナンバーカードは、まさに本人が許諾をし、必要な人だけが見れるようにするための技術的な基盤であるというふうに考えてございます。

 もちろん、使い方、システムのつくり方、十分に個人情報保護のルールに適した形に沿うように作ることは、委員御指摘のとおり、もとより当然であるというふうに考えてございますが、ここもまた御指導がございましたとおり、例えば、先生がおうちでも残業できるようにしてあげることによって、土曜日の学校行事のために自分のお子さんの学校行事に行けないとか、やはり高校入試でも同じような調査票を紙で何度も何度も、調べましたら六回あったんですけれども、書き直していると。学校間でそのデータがトランスファーできない、こういった現場もございますので、そういったところに適切にデジタル化が使われるように、デジタル庁としても今後とも努めてまいりたいと考えてございます。

高橋(千)委員 先ほど紹介したタスクフォースさんの提言の中には、マイナカードの任意ということ、任意の取得ということ自体の見直しも入っておりましたので、これは本当に重大な懸念を持っているということを今日は指摘だけにとどめて、終わりたいと思います。

谷委員長 次回は、来る二十三日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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