第15号 令和6年4月25日(木曜日)
令和六年四月二十五日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 谷 公一君
理事 井上 信治君 理事 小林 史明君
理事 田中 英之君 理事 牧島かれん君
理事 岡本あき子君 理事 藤岡 隆雄君
理事 一谷勇一郎君 理事 河西 宏一君
今村 雅弘君 上杉謙太郎君
黄川田仁志君 小寺 裕雄君
笹川 博義君 杉田 水脈君
高木 啓君 橘 慶一郎君
谷川 とむ君 土田 慎君
土井 亨君 中川 郁子君
中曽根康隆君 橋本 岳君
福田 達夫君 藤丸 敏君
堀井 学君 保岡 宏武君
柳本 顕君 荒井 優君
井坂 信彦君 城井 崇君
坂本祐之輔君 中谷 一馬君
福田 昭夫君 山崎 誠君
早稲田ゆき君 赤木 正幸君
伊東 信久君 伊佐 進一君
浮島 智子君 高橋千鶴子君
田中 健君
…………………………………
国務大臣
(デジタル大臣) 河野 太郎君
デジタル副大臣 石川 昭政君
厚生労働副大臣 浜地 雅一君
デジタル大臣政務官
兼内閣府大臣政務官 土田 慎君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 中溝 和孝君
政府参考人
(警察庁刑事局組織犯罪対策部長) 猪原 誠司君
政府参考人
(個人情報保護委員会事務局審議官) 大槻 大輔君
政府参考人
(金融庁総合政策局参事官) 若原 幸雄君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 高橋 宏治君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 冨安泰一郎君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 楠 正憲君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 村上 敬亮君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 布施田英生君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 鈴木 清君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 西泉 彰雄君
政府参考人
(総務省自治行政局長) 山野 謙君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 木村 公彦君
政府参考人
(消防庁国民保護・防災部長) 小谷 敦君
政府参考人
(法務省刑事局長) 松下 裕子君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 辻 貴博君
政府参考人
(国税庁長官官房審議官) 植松 利夫君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 斎須 朋之君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 日原 知己君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 楠田 幹人君
政府参考人
(国土交通省不動産・建設経済局次長) 川野 豊君
衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君
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委員の異動
四月二十五日
辞任 補欠選任
上杉謙太郎君 高木 啓君
谷川 とむ君 杉田 水脈君
福田 達夫君 笹川 博義君
城井 崇君 荒井 優君
福田 昭夫君 井坂 信彦君
同日
辞任 補欠選任
笹川 博義君 福田 達夫君
杉田 水脈君 谷川 とむ君
高木 啓君 中曽根康隆君
荒井 優君 城井 崇君
井坂 信彦君 山崎 誠君
同日
辞任 補欠選任
中曽根康隆君 上杉謙太郎君
山崎 誠君 福田 昭夫君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)
――――◇―――――
○谷委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官中溝和孝君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長猪原誠司君、個人情報保護委員会事務局審議官大槻大輔君、金融庁総合政策局参事官若原幸雄君、こども家庭庁長官官房審議官高橋宏治君、デジタル庁統括官冨安泰一郎君、同じく楠正憲君、同じく村上敬亮君、同じく布施田英生君、総務省大臣官房審議官三橋一彦君、同じく鈴木清君、同じく西泉彰雄君、総務省自治行政局長山野謙君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長木村公彦君、消防庁国民保護・防災部長小谷敦君、法務省刑事局長松下裕子君、財務省大臣官房審議官辻貴博君、国税庁長官官房審議官植松利夫君、厚生労働省大臣官房審議官斎須朋之君、同じく日原知己君、国土交通省大臣官房審議官楠田幹人君及び国土交通省不動産・建設経済局次長川野豊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中谷一馬君。
○中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日もどうぞよろしくお願いを申し上げます。
先日、私と同い年で、敬愛する小林史明議員から……(発言する者あり)ありがとうございます。質問をいただいて、非常に心に響く、琴線に触れる提起がありました。
私自身は、与野党、山の登り方は違えど、国民生活をよりよくしたいという思いは共通していると思っております。
現在、世界の政治の体制を見ておりますと、権威主義国家を中心に一党独裁で運営されている国の事例もありますけれども、民主主義社会においては常に水を流し続けることのできる政治体制がやはり健全だなというふうに思っておりまして、民主主義がアップデートをされていく中で、政権交代が定期的に起こる政治状況になったとしても、与野党が対立しづらいテーマであるデジタル政策はしっかりと適切に進めていくことが求められる、私もそのように思っております。
こうした思いを根源的に持ちながら、私からは、まず、立憲民主党のデジタル政策PTの座長、責任者という立場で、私たちが何を考えてデジタル政策を進めようとしているのか、こうしたビジョンについて分かりやすく御説明をさせていただき、その上で、政府に対して、何を、なぜ、解明、是正をしてほしいと考えているのか、意見、提言を交えながら質疑を行ってまいりますので、本日は、河野大臣、浜地副大臣、政府参考人の皆様方、どうぞよろしくお願いします。
その中で、私、先日の衆議院の本会議でも示させていただいたんですが、こちらの資料一でございます。
私たちは、立憲民主党の中で、五原則を基に、誰一人取り残されないデジタル社会を構築していくというのが基本でございます。その中で、最近、技術革新が非常に速いスピードで進んでおりまして、こちらは資料二になりますけれども、二十六年後の二〇五〇年には、スマートフォンやパソコンを使っている人がゼロ%、いなくなるということが想定をされておりまして、デジタル機能を搭載したスマートコンタクトレンズであったりとかハプティクスなどの新しい技術が主流になるという報告がなされております。
いろいろな世界観を想像してみると、例えば二〇三〇年代、自動運転の車が普及すれば、ドライバーの娯楽といえば音楽やラジオを聞いたりとかそういったことが主流であったのが、オンラインで誰かとコミュニケーションをしたり映画を見たり仕事をしたり等、全く別の空間になっていくわけであります。また、現在の5Gから6Gの電波になる時代となれば、オンライン会議ツールレベルで、そんな体感値で、どんな言語でもスムーズに翻訳をされて、各国の方々とのコミュニケーションが極めて円滑になるという時代になることが想定されるというわけであります。
そうした中で、私、先日の本会議で、河野大臣に、二〇三〇年代、二〇四〇年代の近未来はどういったデジタル社会が形成されているという構想を持った上で二〇二〇年代の今におけるデジタル政策を講じているのかという、本法案の根源的な認識を問わせていただきました。その際、大臣からは、デジタル分野の技術革新のスピードは速く、新技術など予測不可能な要素もありますが、デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な国民が価値ある体験をし、多様な幸せが実現できる社会を目指してまいりますとの答弁がありましたけれども、大臣、これは、二〇三〇年代、二〇四〇年代の近未来がどのような時代になっているかという構想を具体的には持っていないという理解でいいですか。
○河野国務大臣 デジタル社会の実現に向けた重点計画において、デジタル社会の目指すビジョンとして、デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会というものを掲げております。
具体的には、人に優しいデジタル化として、徹底した国民目線でのUI、UXの改善による国民の幸せな生活の実現、誰一人取り残さない、誰一人取り残されないデジタル社会の実現のため、アクセシビリティーの確保や国民への丁寧な説明、DXによる多様なサービスの創出などによる持続的、健全な経済発展といった社会を実現をしていくことを目指しております。
こうしたビジョンの実現に向け、デジタル庁では各種施策を講じておりますが、その際に重要なことは、労働力不足や災害の激甚化などのデジタルを活用して解決すべき課題を的確に捉えること、そして、最適なデジタル技術を迅速に活用し、最も効果的な施策を講じていくことであります。
このためには、専門の知見を有する民間人材を積極的に活用していくほか、デジタルの技術革新スピードが速いことから、デジタル社会の実現に向けた重点計画を技術の進展に合わせて改定していくことで施策の最新化を図ってまいります。
○中谷(一)委員 私、今の答弁は河野大臣らしくないなと思って聞いておりました。というのは、河野大臣は、余り官僚の皆さんの原稿を読んでそれを伝えるというよりも、真っ正面から本当に気迫のある態度で質問者に向き合われて様々な御議論をされている印象がございましたので、非常に私的にはがくっときた感じがあるんですけれども。
大臣、今の答弁は、持っていないけれども、総論はよくしたいと思っているので、今目の前にある社会課題に対応しているという認識でいいですか。
○河野国務大臣 繰り返し同じことを申し上げるのは避けますが、デジタル社会の実現に向けた重点計画において、デジタル社会の目指すビジョンとして、デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会を掲げているところでございます。
○中谷(一)委員 私が小選挙区で戦っている候補者は大変優秀な方で私のライバルなんですけれども、この方はいつもさすがだなと私はリスペクトをしている方ですが、その方は河野大臣の右腕とメディアでは報じられている方でありまして、それだけの人物が支えている方なのできっとすごい人なんだろうと、河野大臣と議論をするたびに、私はわくわくしながらいつもこの場に立っております。そうした意味で、本日も、私は徹夜で質問の準備をしてきておりますので、どうか向き合って御答弁をいただければと思います。
その上で、本法案は、デジタル技術の活用で、利便性を向上させることであったりとか、行政運営の簡素化及び効率化を目指すことを目的に、ベースレジストリーの整備を実施することに加え、マイナンバーカードに係る機能をスマートフォンに搭載するために必要な仕組みを設けることなど、こうしたものが起案をされています。
しかしながら、私はそもそも、現在の岸田政権にデジタル社会を形成する資格や資質があるのかということに関して甚だ疑問を感じています。なので、性根の部分から伺わせていただきたいと思います。
最近の世の中の動向について触れさせていただきたいと思いますけれども、四月十五日の世論調査では、自民党の裏金問題で岸田文雄首相が処分されなかったことに納得できないとの回答が七八・四%、自民党の調査や国会での質疑を通じて裏金問題の実態が十分に解明されていないという答えが九三・三%でした。消費税の透明化と公平性を目的としたインボイス制度など、こうした制度を国民に対しては課しておきながら、自民党政権では、裏金の実態解明を不十分なまま、不明と記載された収支報告書を恥ずかしげもなく提出させていたり、裏金議員への甘過ぎる処分、これは目に余るものがありまして、五百万円までの裏金に対しては何のおとがめもなく、当然のように納税も行っていない、そんな中で、国民に対しては納税を求める、ブラックジョークのような、笑えない政権運営が続いているわけでありますけれども。
こうした中で出てきた自民党の改革案、これは、羊頭狗肉と評されるようなブラックボックスだらけの案でした。こちらも資料を用意をさせていただいておりますけれども、立憲民主党の改革案と自民党、公明党さんの改革案ということで比較をお持ちをさせていただきました。
私たちは、収支報告書に関する処罰の強化というのをかなり強く徹底的にやっていこうということであったりとか、収支報告書に関しては、やはり適正確保、公開の充実ということに加え、政策活動費、調査研究広報滞在費の透明性の確保であったりとか政治資金パーティーの全面禁止、企業・団体献金も禁止ということで掲げさせていただいているんですけれども、残念ながら、自民党さんの案を見ていると、企業・団体献金に関しては言及なし、政治資金パーティーの収入の透明化についても方針の言及なし、そして政策活動費に関しては廃止、使途公開共に否定的ということで、挙げれば切りがないんですけれども、こうした状況になっているわけであります。クリーン、フェア、オープンの理念で私たち立憲民主党の政治改革案は作らせていただきましたので、今の自民党の案を総選挙などで仮に国民の皆さんに問うていただけたならば、評価は一目瞭然だと思います。
こうした状況下において、デジタル社会の実現に向けた重点計画の理念、原則には、オープン・透明、公平・倫理と記載をされておりまして、閣議決定がされています。しかしながら、この岸田政権で、私は、このオープン・透明、公平・倫理の理念、原則を進める資質や資格があるのかということに非常に疑問を持っておりまして、自民党の裏金問題で国民の不満が最高潮に高まっている中で、国民からの信頼を得られていない政府は、どのようにして国民からの信頼を得て、オープン・透明、公平・倫理を原則としたデジタル社会を形成できると考えているのか、実効性に関する見解をお示しください。
○河野国務大臣 デジタル社会の実現に向けた重点計画では、デジタル社会を形成するための基本原則として十原則を掲げており、議員御指摘のオープン・透明、公平・倫理も含まれております。
デジタル庁が進める各施策においても基本原則に基づき進めており、例えばマイナポータルについては、マイナンバーにひもづく情報について、行政機関間でやり取りされた履歴の確認機能の提供、行政機関等が保有している利用者自身の情報を閲覧することができる機能の提供、行政機関だけでなく民間企業等へのAPIの提供を行っているところでございます。
引き続き、こうした基本原則に則しながら、デジタル社会の実現に向けた取組を進めてまいります。
○中谷(一)委員 そういったものを進める資質や資格については、大臣はどのようにお考えになられていますか。
○河野国務大臣 答弁を繰り返すことはいたしませんが、デジタル社会の実現に向けた重点計画では、デジタル社会を形成するための基本原則として十原則を掲げており、オープン・透明、公平・倫理も含まれているところでございます。
こうした基本原則に則しながら、デジタル社会の実現に向けた取組を進めてまいります。
○中谷(一)委員 大臣、今日は随分安全運転で、答弁の原稿を読まれているという状態でありますが、これもちょっと苦言を呈させていただきたいんですけれども、牧島かれんさんや小林史明さんが大臣、副大臣をやっている頃というのは、もちろん政府としては言えない範囲はあるんですけれども、もっと自分の考えを的確に述べられておられましたし、もっと生産的な議論をできたというふうに思っております。なので、国会での質問は、もちろん極力大切な答弁をせず、バリューをつけない方が世間からは注目されないから、政府にとっては都合がいいのかもしれませんけれども、国権の最高機関である国会で大臣と行っている議論としてはいささか寂しいものがありますし、私もこの議論を聞いていてもわくわくしませんので、是非、もう少し向き合って話をしていただけたらうれしいなというふうに思います。
その上で、ベースレジストリーに関しては、情報の正確性であったりとか、最新性、信憑性、完全性、一貫性などが確保され、社会活動の様々な場面で参照される、社会全体の基盤となるデータベースを作成することが求められております。すなわち、国民にとって最大限価値を発揮するよう、行政データ全体の枠組みを整理することが求められており、行政データの品質を改善し、制度間の情報連携を容易にすることにより、行政事務、手続の簡素化にとどまらず、EBPMを推進する土台づくりというものが求められているわけであります。
しかしながら、先ほどから繰り返している政治資金収支報告書の支出欄に不明と提出をしている人たちというのは、これは残念ながら、EBPMどころか、つじつまを合わせなきゃいけないから後づけの根拠を持ってこいというPBEM、まさにポリシー・ベースド・エビデンス・メイキングのような状態になっているということでありまして、こうした疑念を抱かれている状況の中で、データの正確性や最新性等の確保、こうしたものとは最もほど遠いところにいると思うんですけれども、政府は、こうした状況下において、国民からの信頼に足り得るベースレジストリーの整備を行うこと、これをどのようにできると考えているのでしょうか。
○河野国務大臣 ベースレジストリーは、デジタル社会の基盤であり、当然、各省庁におけるデータに基づく政策立案、EBPMや、政策の取組状況や結果のモニタリングなどにも利用されるものと考えております。
デジタル庁としては、政策データダッシュボードの取組を強化し、マイナンバーカードの普及率やアナログ規制の見直し状況などをウェブサイトで公開をしており、データに基づいた政策立案やモニタリングを行う文化を霞が関にしっかりと広げてまいります。
○中谷(一)委員 堅いですね。その答弁であれば質問主意書でも返ってくると思いますので、河野大臣にしか聞けないことに行こうかなと思います。
大臣、マイナ保険証の在り方について伺っていきたいというふうに思うんですけれども、誤解なきように冒頭お伝えをしますと、私はデジタル化の推進論者ですし、医療を始めとした必要なDX、これは進めるべきだと思っています。一方で、便利ではないデジタルを押しつけられると忌避感が強くなって、かえってデジタル化が遅れるということを懸念しています。
デジタル社会形成、これを進めるのであれば、私は急がば回れという感覚は非常に重要だというふうに思っておりまして、台湾のオードリー・タン・デジタル大臣も、青銀共創、青年世代もシルバー世代も共につくるという理念を掲げて、デジタル化を進めるに当たっても、そういうことを大切にされているという状況がありますけれども。
そうした状況下において、日本では、今、マイナ保険証の利用率が五・四七%でありまして、九四・五三%の方が利用しておらず、普及が進んでおりません。ピーク時の、これは二〇二三年四月の六・三〇%よりも一%低い状況であります。こうした状況で、普通に考えれば、健康保険証の廃止を二〇二四年の十二月に行う必要というのは全くありませんし、不安が払拭されるまでシステム全体を見直すべきというのは当然の結論だと思います。
ローマは一日にして成らずでございます。世界で最も共通番号制度がうまく機能していると評されるデンマークにおいても、一九六八年からCPR制度がスタートをして、五十六年もの月日をかけて現在の状況に至っているわけであります。
想像していただきたいんですけれども、日本において電車に乗るときというのは、SuicaやPASMOのような交通系ICカードの電子マネーが主流に使われています。ただ、この普及も一朝一夕で進んだものではなくて、日本で交通系ICがスタートしたのは一九九七年、要するに二十七年の月日をかけて今に至っているということであります。しかも、切符を廃止するといった強硬手段というのは当然今でも取られることはなくて、交通系ICの方が便利だと実感をした方が多くいたからこそ、緩やかに移行が始まって普及が拡大しています。
日本でそもそもマイナンバーカードが本格稼働したのは二〇一六年の一月、今、八年たっているわけですけれども、政府が本来的に行う政策は、個人情報の取扱いに関して透明性、公平性を確保できる環境を整備して、マイナンバーカードによる利便性、効率性、生産性の向上を追求したソリューションを提供した結果として、国民のみんながマイナンバーカードを持つことのメリットを感じて、誰もが自然に欲しくなる仕組みを構築することではないでしょうか。
大臣、便利になったからみんなが持つが順序としては僕は正解だと思っていて、みんなに持たせて便利にするは発想が逆だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○河野国務大臣 やはり、皆さんが使っていただくことで便利になることがあるんだと思います。
○中谷(一)委員 なるほど。何というか、廃止というのはほぼ強制に近いんですよね。切符は廃止にしていないじゃないですか。やはり、使えるということをしていくということが私は重要だというふうに思っておりまして。
ちょっと自分の恥をさらすことを言わせていただきたいんですけれども、ちょっと恥ずかしいんですが、この一番最後の資料の総務委員会の資料なんですけれども、今読んでも本当に恥ずかしい議事録でありますが、私、マイナンバーカードの交付に関して、五年前、二〇一九年の二月にこんなことを言っています。
普通に考えれば、数値を取り扱う事業において、まず目標を定めて、それに到達させるための普及、利活用に係る施策について効果の調査研究を行い、導き出されたエビデンスに基づいて、広報等によるアウトプットを進めて、成果としてのアウトカムをチェックすることで、この事業の進め方は正しいのか、正しくないとしたら、PDCAを回しながら、その事業がうまくいくように改善を行うのが普通の事業では当然のことではないかと私は思います。
と問い詰めまして、交付枚数に目標を定めるべきだと迫ったことがあります。
その際、政府参考人からは、逆に、
マイナンバーカードの普及に向けた取組と、その目標を定めるべきであるという御指摘でございます。
カード自体は申請に基づいて交付されるものでございまして、その普及に向けては、私どもの基本的な考えは、国民の皆様が自然に持ちたいと思っていただけるよう、その利便性自体を高めていくことが必要だと考えております。
という答弁をいただきまして……(発言する者あり)いやいや、そんな。政府の言っていることが非常に高尚だったなというふうに、私の稚拙さを反省するばかりでありますけれども。
河野大臣は、マイナ保険証の利用率の低迷に憂えておられるように見えますけれども、そもそも、政府はマイナ保険証の利用率を上げたいと思っておられるんでしょうか。
○河野国務大臣 そのとおりでございます。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
上げたいとすれば、幾つにしたいなど、数値目標を掲げる予定があるのかと思っておりましたら、国として健康保険証を廃止する二〇二四年十二月時点の利用率の目標、これは設定しないということでありまして、マイナ保険証を利用するか否かは本人の意向として判断されるというこの状況下において、利用率の目標は設定していない。利用率の低迷、これはむしろ、使いにくかったり利便性を感じなければ当たり前のことだと思うんですよね。
政府としては、マイナ保険証の利用率を上げなければ何か問題が生じるんでしょうか。
○河野国務大臣 マイナンバーカードの保険証を利用していただいて、よりよい医療を提供したいと考えております。
○中谷(一)委員 よりよい医療を提供したいということなんですけれども、何というか、問題点としては、今御説明をいただけなかったんですけれども、私は、問題があるとすれば、マイナ保険証の利用は患者、国民の任意の選択の結果として、二〇二四年三月の利用率が今五・四七%にとどまる一方、九四・五三%の方が健康保険証を利用している、この状況が問題なんだと思うんですよね。これは要するに、ソリューションがちゃんと提供できていないからこの状況になっていますので。
こうした状況であるにもかかわらず、二〇二四年十二月に健康保険証を無理に廃止したり、政府が目標値を定めない中で、民間医療機関等に対しては自主的な目標を定めるような促しを行いながら、多額の税金や診療報酬を投入して医療機関、薬局にマイナ保険証利用、これを呼びかけるキャンペーンを行っている。この実態を踏まえない机上の空論で政策を進めることの方がよっぽど問題なんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
○河野国務大臣 利用率を上げるために様々な努力をしているところでございます。
○中谷(一)委員 これこそ、何といいますか、健康保険証の廃止とマイナ保険証の普及拡大を行う政策というのか、この政策をやると決めたから後づけで根拠を持ってこいというPBEMの典型例になってしまっていないかなというふうに思うわけであります。
厚労省が昨年十一月に公表した調査結果では、マイナ保険証による診療情報等を活用している病院の半数程度が、診療情報等の活用による患者へのメリットについて、特にない、分からないと回答していますが、この事実をどのように受け止めますか。
○河野国務大臣 使っていただければ、便利さが分かると思います。
○中谷(一)委員 そうであれば利用率は下がらないということで、まさに、私たち自身は、机上の空論じゃなくて、やはりEBPMで政策を打っていくべきだというふうに思っておりまして、何かを強制したり廃止したりとか強権的な政策の動かし方じゃなくて、やはり、みんなが、理解を得ながら、どうデジタル社会を形成していくかということの方が、私は、結果として、私たちが理想とする社会の実現には早いんじゃないかなというふうに思っております。
また、本件に関連して、最近、報道でいろいろ出ている、河野デジタル大臣名で発出された文書についての話もちょっと伺っていきたいというふうに思うんですけれども、大臣、まず、この文書の発出は、これは今神奈川新聞の記事を持ってこさせていただきましたけれども、この報道はまず事実でしょうか。
○河野国務大臣 済みません、神奈川新聞は読んでおりません。
○中谷(一)委員 聞き方が悪くて済みません。この文書の発出は事実でしょうか。
○河野国務大臣 どの文書。それは私の名前で出ているものです。
○中谷(一)委員 この文書は大臣が出された文書ということなんですけれども、昨日、岸田総理が、河野大臣がこうした政府の取組を紹介するために配付したものであると承知をしている、政府の見解と合致していて、一議員としても、大臣としても、不適切なものではないという答弁をされていますが、大臣もこの文書は不適切じゃないとお考えですか。
○河野国務大臣 全く問題ないと思います。
○中谷(一)委員 全く問題ないということでありましたので、この文書は今後、都道府県連及び地方議員の皆様にも順次お願いをしてまいる予定ということなんですけれども、こちらも予定どおりお願いをされている、若しくは、される予定なんでしょうか。
○河野国務大臣 そのとおりです。
○中谷(一)委員 だとするとなんですけれども、本件文書は、何も問題ないとすれば、デジタル大臣河野太郎名で発出が行われているということで、本件、我が国のデジタル化の推進に引き続きお力をおかしいただきたい旨の記載があるものの、自民党の所属国会議員若しくは地方議員、都道府県連のみに配付をされていて、与党公明党や私たち野党への呼びかけをしていない理由というのは何なんでしょうか。
○河野国務大臣 御協力いただけるなら、喜んで、御協力いただきたいと思います。
○中谷(一)委員 浜地さん、文書が来なかったことは残念に思いませんでしたか。
○浜地副大臣 私、今現在、厚生労働省の副大臣という立場でございますので、河野大臣が個人として発せられましたこの通知につきましては、これまでの政府の取組を紹介していただくものということでございます。
個人的には、私にも御要望があれば、私もしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○中谷(一)委員 そうした話だったということでございますけれども、大臣は当初、一議員として発出しているということを強弁されておられたんですけれども、やはり、デジタル大臣河野太郎名で出ているものなので、ちょっとその論調は厳しいかなと思って聞いておりましたら、岸田総理が、別に大臣としても一議員としても問題ないよという、ある種、ちょっとフォローを入れられるような答弁をされていて、その中で、ただ、私たちは問題だと思っているんですね、この文書。
では、どういうことが問題かといいますと、例えば、「マイナンバーカード保険証の利用率が低迷しています。その原因は、医療機関の受付での声掛けにある」と記載されていますが、政府は、マイナ保険証の利用率の低迷の原因は医療機関の受付のせいだと思っているんですか。
○河野国務大臣 それも一つの理由だと思います。
○中谷(一)委員 では、ほかの理由は何ですか。
○河野国務大臣 まず、カードリーダーが使えなければ利用ができませんので、そこから行ってみたいと思っております。
○中谷(一)委員 ただ、医療機関のせいにされていることについて、とても怒っている方々がいらっしゃいまして、私は、それよりもやはり、そもそもインフラの整備であったりとか、まさにカードリーダーの話もそうですし、体制が全然整っていないことがむしろ利用率の低迷の主原因じゃないかと思っていて、それは医療機関の受付のせいにされたら、みんな怒ると思うんですよね。
怒っている意見について、何か所感はありますか。
○河野国務大臣 マイナンバーカード保険証を持っていっても、カードリーダーが使えなければそもそも利用ができませんので、まずそれに対する対応をしていきたいと思っております。
○中谷(一)委員 神奈川県保険医協会の幹部が、密告を受け付け、監督官庁から是正させると受け取られる文書に対して、マイナ保険証の取得が任意にもかかわらず、大臣が通報するよう呼びかける行為には反発を覚えざるを得ないとコメントをしていると神奈川新聞に報じられておりました。また、全国保険医団体連合会は、公式サイト上で、利用率の低迷の理由を保険証提示を求める医療機関にあるとし、通報を呼びかけているとしたら、八つ当たりもいいところですという指摘をされていますが、これらの指摘をどのように受け止められますか。
○河野国務大臣 カードリーダーの設置とマイナ保険証の受付、これは義務でございますので、それができない場合には、御連絡をいただいて、きちんと対応していきたいと思います。
○中谷(一)委員 医療機関がマイナ保険証に対応することは義務だということなんですけれども、この義務に反すると、政府から何かいじめられたりペナルティーを科せられたりすることはありますか。
○河野国務大臣 マイナンバーカード保険証を持ってこられた方が使えないということがあってはいけませんので、使えるようにしっかり厚労省の方から対応していただくことになっております。
○中谷(一)委員 しっかり対応というのは、別にペナルティーがあるという認識ではないという理解でよろしいですか。
○日原政府参考人 お答えを申し上げます。
今お話のございました、医療機関などの窓口でマイナ保険証が利用できなかった場合にデジタル庁のマイナンバー総合フリーダイヤルに連絡をいただいたケースにつきましては、厚生労働省におきまして事実関係の確認をさせていただいているということでございまして、まず、そういう提供された内容のお心当たりがあるか否かといった事実関係の確認……(中谷(一)委員「そこはまだ聞いていなくて、ペナルティーのことについて聞いています」と呼ぶ)これは、そういう事実関係の確認をさせていただくということと、それから、マイナ保険証の提示があった場合の対応あるいは保険証のメリットなどを説明させていただくものでありまして、直ちに指導監査、保険医療機関の指定取消しにつながるものではございません。
○中谷(一)委員 浜地さんでも河野さんでもいいですけれども、じゃ、ペナルティーはないということでいいですね。
○浜地副大臣 先ほど事務方からお答えさせていただきましたが、現在、事実関係の確認をしております。現在、その事実確認を基に直ちに指導監査、保険医療機関の指定の取消しにつながるものではないというのが答弁でございます。
○中谷(一)委員 じゃ、ペナルティーはないので、まず、確認はすると。(発言する者あり)じゃ、現時点では想定していないということよね。じゃ、今のやじに対してどうぞ。現時点ではペナルティーは想定していないということでいいですね。
○浜地副大臣 現在、カードリーダーが使えない等の事実確認は二百十七件寄せられているわけでございますが、それを随時、事実確認をしております。その二百十七件におきまして、現在、直ちに指導監査、保険医療機関の指定取消しにつながるものはないということであります。
○中谷(一)委員 じゃ、今のところはないということなんですけれども、やはり。
それで、大臣の文書の中で、是非皆様の支援者にマイナンバーカード保険証の利用を働きかけていただくと同時に、マイナンバーカードの受付ができない医療機関があれば、マイナンバー総合窓口に御連絡を下さいますよう、お声がけをお願い申し上げます、厚労省から必要に応じて事実確認をさせていただきますという記載があるんですけれども、どのような事実確認をされるのか。さっき先に事務方がちょっと答弁しちゃっていましたけれども、大臣からよかったらお聞かせいただけませんか。(発言する者あり)ごめんなさい、副大臣でいいです。
○浜地副大臣 基本的には、デジタル庁の相談窓口に架電をされた場合には、その旨が厚生労働省の方に照会がされます。厚生労働省としましては、文書を送付をいたしまして、どういった理由等でマイナ保険証を利用できなかったであるとか、若しくは、直接電話をしまして、そういった状況の事実確認を行っているところであります。
○中谷(一)委員 ただ、こういう実際の通報を促すことに関して、医療機関に圧力をかける手法に対して批判の声が殺到していて、監視社会のやり方はやはり自由主義国家の日本に合致するものではないんじゃないかという指摘がネット上もニュース等でもさんざん出ているわけです。その中で一例を読み上げると、河野のやり方は大反対、義務じゃないことを強制するのは合理的に考えて矛盾する、利用率が低いのは単純にユーザーにとって便利でない、不便だからだなどの批判の声が圧倒的だったとのことであります。
残念ながら、今回の文書発出は、ネガティブな意見が多くて、デジタル化に対する忌避感を抱かせる結果となってしまっておりますので、こうした声を真摯に受け止めて、今回配付した文書を撤回をしていただき、国民の皆様から理解を得られる丁寧なデジタル化を進める方向にかじを切り直していただくことは、大臣、できませんでしょうか。
○河野国務大臣 先ほどから申し上げているように、カードリーダーの設置とマイナ保険証の受付は義務でございます。マイナンバーカード保険証を持っていった方が受付されないということがあってはいけませんので、この問題に対しては、今後もしっかり対応を続けてまいります。
○中谷(一)委員 義務だから対応を続けていくということなんですけれども、現場は追いついていないんですよね。追いついていないどころか、国民も、僕たちも追いついていません。それは、デジタル化というものが本当に何か強行的に嫌なもので押しつけられるものになっちゃうと、私は本当にみんなにとってよくないんじゃないかなと思うので、是非再考をしていただければというふうに思っています。
厚労省は、マイナ保険証の利用で医療情報、投薬情報の閲覧、取得ができて、質の高い医療が実現するということをうたい文句にされていますけれども、保険証を提示するだけでも、現在、オンライン資格確認システムは利用できるので、健康保険証でもデジタルデータを利用できるというのが事実だと思います。なので、様々この後も議論があると思いますけれども、残り時間も短くなってきましたのでこの辺りにさせていただきますが、大臣、いま一度、デジタル化は急がば回れ、青銀共創で丁寧に進めていただくことを、大臣、副大臣共に要望をさせていただきます。
続きまして、スマートフォン用の電子証明書のiPhone搭載について伺ってまいります。
これも本会議で質問させていただきましたが、iPhoneは五〇%、利用者のメイン利用率として使っています。
私は、いつから始めていて、実現しない理由はどういう理由からですかと伺ったところ、電子証明書機能搭載に関する交渉時期と、実現しない理由については、相手方のある交渉という性質上、回答を差し控えさせていただきますとの答弁でありました。
ただ、実は私、本件について、二〇一九年二月、五年前から、衆議院の総務委員会において、アップルのiPhoneが使えるようにならなければ日本人の半数がスマホ搭載できなくなりますから、マイナンバーカード対応できるスマホをもっと増やして、ユーザーに寄り添った、国民目線に立った改革を進めるべきだという提言をしています。
これも、資料の最後、議事録にまさに書いてあるところなんですけれども、この中で、参考人からの答弁で、当時返ってきたのは、「平成二十八年七月以降、携帯電話事業者及び製造業者に対しまして、マイナンバーカードの読み取り機能に対応したスマートフォンの製造、販売につきまして対応をお願いしてきたというところでございます。」との答弁がありまして、要するに、八年くらい前から働きかけていますよということを言われていました。
当時、当然ですけれども、交渉の開始時期を言うことは、別に何か交渉に不利益があるわけではありませんから、隠されたことはありませんでした。なんですけれども、河野大臣の所管になると、なぜ、いきなりこういった情報が出てこなくなるのか、教えてください。
○河野国務大臣 マイナンバーカードの電子証明書機能をスマートフォンに搭載していくことは、国民の皆様の利便性向上の観点から重要と認識をしております。
搭載を実現できていないiPhoneへの対応についても、国内シェア率が高いことも踏まえて、これまで早期実現に向けた働きかけを継続してきたところであり、現在も、前向きに具体的な調整を進めております。
残念ながら、これ以上のお答えは、相手方の方針その他もあるために、差し控えることについては御容赦いただきたいと思います。
いずれにせよ、利便性向上につながることから、マイナンバーカード機能のスマホ搭載の実現に向けてしっかりと取り組み、お知らせできる状況になれば速やかに周知させていただきます。
○中谷(一)委員 大臣、交渉開始時期をさらすことが何か影響があるとは思えないんですけれども、どんな問題、影響があるのか、是非教えていただけませんか。
○河野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、相手方の方針もあるために、これ以上申し上げることを差し控えることについて御容赦いただきたいと思います。
○中谷(一)委員 相手方が交渉開始時期をさらさないでくださいと言っているという理解でいいですか。
○河野国務大臣 繰り返しで恐縮でございますが、こちらから申し上げられることについては常に申し上げておりますが、申し上げられないことについては差し控えることについて御容赦をいただきたいと思います。
○中谷(一)委員 私には影響や問題が分かりません。
というのも、この情報が出て困るのは、例えば、やっている時期が長ければ、そんな前からやっているのに実現しないのとか、逆に、遅ければ、そんなのんびり交渉していたのとか、政府にとって都合の悪い情報になり得るだけで、相手方や、交渉相手に何か影響を与えるようには感じられません。
ただ、それに関しても、本来は政府が受け止めるべきことだというふうに思っておりまして、それらの意見を踏まえてどう実現をするかということが求められるんじゃないかなというふうに思うんですけれども。
河野大臣、これ以上言っても堅いんでしょうから、この質問もこの辺りにさせていただきたいと思いますけれども、やはりしっかり、iPhoneが使えるようにならなかったらみんな困ってしまうので、私もiPhoneユーザーですから、大臣もiPhoneユーザーだと伺っていますけれども、そういったことをしっかりと着実に進めていただきますことを要請をさせていただきます。
続けて、私の方からは、避難時のマイナンバーカードの取扱いについて伺わせていただきたいと思います。
先日の本会議で、マイナンバーカードの取扱いにつきまして、二〇二四年一月の能登半島地震を受けまして、河野大臣が、避難時にマイナンバーカードを持つよう呼びかけました、一方で、災害発生時には荷物は何も持たずに命を持って逃げろというのが原則でありまして、災害リスク学専門の東京女子大学の広瀬弘忠名誉教授は、マイナンバーカードを探している間に津波が襲ってきたらどうするのか、河野氏の呼びかけは災害の危険を理解しておらず、誤ったメッセージになりかねないと危険視をされています、実際に能登半島地震の避難者からは、逃げるのに必死でマイナンバーカードを持ち出すどころではなかったという声がありますが、これらの状況を踏まえても、河野大臣は当該呼びかけは適当であったと考えていますかと本会議で伺わせていただいたところ、災害時だけではなく、平時からカードを携帯していただくことは重要であり、救急業務での活用など、利用シーンの拡大を通じ、ふだんから持ち歩くメリットも広げていただくことで、携行率の向上を図ってまいりますという答弁をされましたが、聞いていることには何もお答えをいただいていないので再度伺わせていただきますけれども、マイナンバーカードを持って避難、避難する際には一緒に避難していただければと呼びかけたことは、今でも適当だったとお考えですか。
○河野国務大臣 平時から携行していただければ、これが避難した先で役に立つということを申し上げているわけで、避難時にマイナンバーカードを探して持っていってくださいということではございません。
○中谷(一)委員 一歩進んだ答弁でよかったなというふうに思ったんですけれども。
じゃ、あれですよね、大臣の言っているのは、常に財布に入れておいてね、携行率を上げてねと言っているだけで、財布を探すところから始めるのも大変なわけですよ。財布も持たずに逃げた方が本当は、命を持って逃げるという原則で考えれば、正しいわけですから。百歩譲って、財布に入れてねという呼びかけがあり得たとしてもですよ、たんすとかいろいろなところから探してわざわざ持ってきてねというピントのずれた、マイナンバーカードを持って避難してねと言っているわけではないということは明確にしていただけますか。
○河野国務大臣 当初からそう申し上げております。
○中谷(一)委員 当初からそうは申し上げていないような切り取られ方をされているのか、大臣の説明の仕方が悪いのか、私には分かりませんけれども、文章を私も全文読ませていただきましたが、やはり、誤解を招くような発言、当然大臣の発言は影響力がありますから、国民が誤解するような言葉にならないようにしていただきたいというふうに思いますし。
ということは、豊後水道の震源の地震なども発生して、今、地域では南海トラフの巨大地震を心配する声なんかも多数聞かれるわけでありますけれども、マイナンバーカードに関しては、マイナンバーカードを持って避難、避難する際には一緒に避難していただければとこれからも呼びかけを続けるということはないという認識でいいですね。
○河野国務大臣 マイナンバーカードがあった方が、避難所の管理その他あるいは物資の供給で役に立つということでございますから、まず、避難をする際に何か持っていくようなものがあれば、例えば、スマホやお財布にマイナンバーカードがあればこれは役に立ちますから、わざわざそれを探すという必要はありませんが、避難する際、持って逃げるものの中にマイナンバーカードの機能をなるべく入れておいていただくというのは大事だと思います。
○中谷(一)委員 わざわざ持って逃げる必要はないということでした。ただ、役に立つということだったんですけれども。
ただ、その役に立つというのも、私、どこまでの話なのかというのをちょっと伺いたいと思うんですけれども、災害時には、当然、電源が失われたりとか、スマホは充電切れ、通信も途絶えて、病院は停電する大規模災害、こうしたものが想定をされるわけです。全ての人がいつも便利に使える環境であるとは限りません。ネットにつながらない、電源もない。アナログ手段は完全になくすことはやはりできない、デジタルでは全てをやり切ることができないからです。
そうした中で、もしものときのために、紙の保険証といったアナログの手段、これも残しておくべきだと思いますし、実際、今回の災害でマイナンバーカードはどれだけ役に立ったと考えているのか、大臣の見解を教えていただけませんか。
○河野国務大臣 全ての避難所で確実に全員が使えるというわけではないのかもしれませんが、少なくとも、使える環境にある方は、マイナンバーカードを利用して薬剤情報を確認をしたり、あるいは罹災証明のオンライン取得というようなことをすることができましたので、災害時に停電をするから、あるいは電波が途絶する可能性があるからということではなくて、使える環境にあれば選択肢が一つ増えるわけですから、これは大事なことだと思います。
○中谷(一)委員 デジタルもあった方がサービスが一つ増えるけれども、当然、アナログベースでやっている今のものが大事だという理解でいいですよね。
○河野国務大臣 いろいろな手段があるというのは確かに大事だと思いますが、だから健康保険証を残せという議論にはなりません。
○中谷(一)委員 私は残した方がいいと思いますので、それも改めて要望させていただきます。
最後に、私の方から、ジェンダーニュートラルな発想で国際標準を捉えたデータ管理と身元証明書の発行についてというテーマで伺わせていただきます。今日は多分、時間がないので、長く聞き切れないので、また次の内閣委員会で触れさせていただきたいと思いますが。
先日の本会議で、日本においても、性別の在り方について、ジェンダーニュートラルな発想で国際標準を捉えたデータの管理と身元証明書の発行に関して、関係省庁横断的に課題を整理し、実行することの検討を含めた議論を行っていただけませんかと伺った際に、一般論として、各施策において多様な性の情報を取り扱うことが必要な場合に、情報システムにおいてそれに対応できるよう、国際標準に準拠することは大切であると考えます、その上で、性別に関するデータの管理と身元証明書の発行の在り方については、性の多様性に関する様々な議論を踏まえた検討が必要であると考えていますと大臣はおっしゃられたわけです。
デジタル社会形成基本法の基本理念、第五条を見ても、情報通信技術を用いた情報の活用により、国民の立場に立って、国民生活の全般にわたる多様なサービスの価値を高め、その新たな価値を生み出すことにより、生活の利便性の向上、生活様式の多様化の促進及び消費者の主体的かつ合理的選択の機会の拡大が図られ、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現に寄与するものでなければならないと掲げられています。
大臣のデジタル庁における所管事務を見ても、行政各部の施策の統一を図るために必要となる事務をつかさどられている中で、情報通信技術を用いた本人確認に関する総合的かつ基本的な政策の企画及び立案並びに推進することという項目がありますので、一般論ではなく、リーダーシップを発揮して横断的に取り組んでいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○河野国務大臣 マイナンバーカードの次期カードの記載あるいは電磁的な事項については、議論を終えたところでございます。
一般的な性の多様性については、所管大臣の方で検討されることになるだろうと思います。
○中谷(一)委員 時間が参りましたので終わりますが、次の内閣委員会では、官房長官やデジタル大臣、また担当大臣にもお越しをいただいて複合的に議論を行いたいと思いますので、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○谷委員長 次に、井坂信彦君。
○井坂委員 おはようございます。衆議院議員の井坂信彦です。
本日は、マイナンバーカードの根本的な問題について、大きく三点伺いたいと思います。
まず、認証アプリについて、配付資料の黄色いマーカーのところを御覧いただきたいと思います。
個人の認証アプリ迷走と見出しがついていて、政府に情報集中、リスク懸念、現在は民間事業者が担う公的個人認証の認証業務を政府が行えるように施行規則を改正する、これでは、国民がいつどんなオンラインサービスを使っているのか、政府が網羅的に把握できるおそれがあると専門家の懸念が書かれています。署名検証者、政府は今後これになろうとしているわけですが、署名検証者のサーバー内には発行番号とそれにひもづいたサービス利用履歴などが蓄積される、そして、その番号の有効期限は五年だが、変更前と変更後の番号をひもづけもできるため、長期の追跡も可能だということであります。
この新聞は読売新聞なんですが、ほかにも日経とかテック系メディアなど、政府のデジタル化やマイナンバーカードに賛成している保守系、経済系メディアがこぞって問題だと報じているわけであります。
この認証アプリというのは、我々もいろいろな民間のサービスを使うときに、フェイスブックでログインしますかとか、グーグルアカウントでログインしますか、そういうログインの仕方が最近時々ありますが、それと同じように、今後はマイナンバーで民間サービスにログインができるようになるアプリを、政府が、デジタル庁がその認証アプリを作ろうとしているわけであります。
この認証アプリを政府が作ると何が怖いかというと、ここの記事の左側の図のところにちょっと黄色いマーカーを引いてありますけれども、政府、デジタル庁のサーバーに、国民一人一人がどの民間サービスをいつ使ったのか、履歴が全て蓄積をされるわけであります。
デジタル庁は、最初、私にこう言いました。政府サーバーにはシリアル番号しか残らないから、民間サービスの利用履歴がどの番号にひもづいているかは分かるけれども、どの国民がサービスを使ったのか、個人名は分からないので大丈夫ですよと。ところが、その晩、専門家に聞いたら、専門家は、井坂さん、それ、だまされていますよと言うわけです。認証のときには利用者から政府は電子証明書を受け取るので、それを見れば、個人名とシリアル番号のつながりは簡単に分かるんですと専門家に言われたんですね。
それを翌日デジタル庁に聞いたら、電子証明書はすぐ消すし、用もないのに電子証明書を見たら目的外利用で違法なので大丈夫です、こういう答えに変わってきたわけであります。結局、シリアル番号が国民の誰のシリアル番号なのかということを政府は知り得る立場にあります。
参考人に伺いますが、政府の認証アプリが多くの民間サービスで使われると、政府が国民のサービス利用履歴を把握することが、仮に法的には禁止されていても、技術的にはできるのではないでしょうか。
○村上政府参考人 一部、御指摘を既にいただいたところも含めて御説明させていただきます。
デジタル庁では、当然、事業者さんから、本人であるかどうかを確認するためには、利用者証明用電子証明書のシリアル番号、これは本人確認の用務に必要なので取得することになりますが、これにつきましては、御質問のように、御紹介ありましたとおり、氏名等の四情報は入っておりませんので、この段階で個人は、事実上結びつけることは、あえて探すことをしなければできないという状況でございます。
それからもう一点、民間事業者がいつ、どのサービスについて本人確認を求めてきたかという記録は、システム的には残ってございますが、これは、そのサービスの内容まで記述されているものではございませんし、システム上、デジタル庁の職員がそれを逐一チェックすることはございません。
最後に、後になって四情報の照会をすることはできるのではないかと。これにつきましても、先生も御説明ありましたとおり、利用規約外になりますが、加えて一言申し上げれば、実は、現在のシステム上もこれをできる仕組みは実装してございませんので、実際の実務の現場では、四情報とのひもづけを行った上で本人を特定し履歴を整理するということはできない、行わない仕組みとなってございます。
○井坂委員 やはり最後の答弁に表れていると思うんですけれども、一瞬、できないと言って、行わない仕組みになっています、こう言い換えるわけでありますね。ここは大事なところで、後で少し詳しく議論しようと思いますが、技術的にできないということと、しませんということとかあるいは法的に禁止されていますということは、やはり全然レベルの違うことであります。
重ねて伺いますが、電子証明書、見えないということを言うんですけれども、例えば、公共利用、マイナポータルとかe―Tax、マイナポータルは違う電子証明書かもしれませんが、e―Taxとか自治体システムなどの利用では、シリアル番号だけでなく、個人の住所、氏名も含む電子証明書も、やはり政府は取得して保管するのではないでしょうか。公共利用の場合でも電子証明書はどこにも保管されないのか、伺います。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
まず、市町村はそもそもカードの発行事務をしておりまして、その段階で電子証明書の提供自体を事務にしてございますので、当該事務に関する情報として、住民の電子証明書のシリアルは当然知っているということでございます。
ただ、当該情報につきましては、公的個人認証法や個人情報保護法又はそれぞれの条例の下で目的外の利用は禁止されており、また、それに基づき、これらの法令が求める技術的な面も含めた適切な安全管理措置が講じられているところでございます。
また、例えば、こうした発行事務等の事務においては、市町村の窓口職員が電子計算機処理等を行う上で、例えば、電子証明書のパスワードの設定等を行うところ、これに際して、御指摘のあった電子証明書のシリアル番号が見れない、認識できない技術的仕組みとなってございます。
また、他方で、こうした発行事務ではなく、図書館その他で本人確認等のサービスを受けるという場合につきましては、それらが当該証明書のシリアル番号を保有することがあります。これらにつきましても、公的個人認証法や個人情報保護法又はそれぞれの条例等により律せられ、それらに反する目的外の利用は禁止されますし、これらの法令等が求める技術的な面も含めた適切な安全管理措置が講じられることとなっております。
以上のように、市町村におけるシリアル番号は、制度及びシステム上適切な措置が講じられており、同様に、個人情報保護委員会等の監視の下、プライバシーの問題が生じる危険性がないよう、しっかりと運用されているところでございます。
○井坂委員 昨日、おとといと、デジタル庁の担当の詳しい方と、大分お時間をいただいて議論したんですが、その担当の方は、こういうことも随分おっしゃっていたんですね。電子証明書はすぐに消しますということなんですが、これも更問いで伺いますが、認証アプリで必要とした電子証明書をすぐ消す、そういう運用は恐らくしてくださるんだろうとは思いつつも、削除する、すぐ消さなきゃいけないというような法的義務はあるんでしょうか。これは昨日も議論しましたので、お答えいただきたいと思います。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
本人確認をするに当たって、電子証明書のシリアル、これは、その電子証明書が有効であるかどうかを問い合わせるために保有するものでございます。この有効性が検証できましたら、それ以上持っている必要はないので、直ちに削除をする。
技術的にもそのように対応しておりますが、これが、問合せや検証のプロセスによって最大一時間程度かかる可能性があるということで、一時間持っているということではなく、そのシリアルの有効性が確認でき次第削除いたしますが、その検証の作業に最大一時間までかかる可能性があるということで、それ以上必要ないものについては持たない。
法律にそこまで、削除しろと書いているわけではございませんけれども、必要のないことはやらないということで、こうしたプロセスにつきましても、個人情報保護委員会等にも報告をしつつ、適切な形で運用させていただいているところでございます。
○井坂委員 今答弁いただいたように、すぐ消すといって、実際、そういうプログラムに当然してくださっているんだろうとは思いつつも、公的個人認証法五十二条に書いてあるのは、単に目的外利用の禁止ということが書いてあって、要らなくなったデータは消さなきゃいけないというのは、個別のルールはなくて、個人情報保護法の一般的な規定として努力義務的に書かれているのみであります。つまり、消さなきゃいけないという法的な義務は全くかかっていないということであります。
ちょっと、質問の二は時間がなさそうなので飛ばしまして、質問の三に行きたいと思います。
この問題、あるいは読売や日経などが指摘をしている懸念、プライバシーリスクの解決策は、シンプルだと思います。デジタル庁が認証アプリを自ら開発するのはやめればよいだけであります。そうすれば、国民一人一人の民間サービス利用履歴が政府のサーバーに蓄積されるということは、これはもう物理的にそうはなりません。そして、国家権力が国民の公共サービスから民間サービスまで全ての利用状況を把握し得るという、そうしないとおっしゃっていますけれども技術的にはできてしまう、そういう超管理社会のような恐ろしいプライバシーリスクは、これはなくなるわけであります。
私、前の予算委員会でも申し上げましたけれども、私自身は、自分でITの仕事もしておりますし、政府のデジタル化は大推進の立場であります。そして、その基盤としてのマイナンバーというのは、むしろきちっと構築すべきだという立場であります。ただ、この基盤を政府がつくるということと、その基盤の上で国民に直接触れるところで動くアプリを政府が一事業者の立場で作るということは、これは大分違う話だというふうに考えております。
配付資料の、またもう一度見ていただきたいんですが、真ん中ぐらい、中段ぐらいの黄色いところを御覧いただきたいと思います。
これまでは、民間の署名検証者、いわゆるアプリ会社が十八社あって、どのアプリを使うかはそれぞれの会社の自由ですから、そこに情報が分散されて、結果的に、全てのサービス履歴が一か所に蓄積されるという名寄せリスクは一定程度回避されていた。
ところが、政府が今から作ろうとしている政府の認証アプリの手数料は無料だと。無料でやられたら民間はお手上げ、デジタル庁の独占になるのでは、こういう声が上がっているわけであります。私は、そうなると思います。無料で、しかも政府がデジタル庁お墨つきで広めたら、これはデファクトスタンダードになると思うんですね。もちろん、民間の認証アプリにも、私が今申し上げた、同じようなプライバシーリスクはあります。むしろ、だからこそ、それを監視、監督するのが政府、デジタル庁の役割ではないでしょうか。
例え話をしますと、野球に例えますけれども、俺が俺がで監督自らバットを持って飛び出して、一番バッターでヒットを打つようなものなんですね、デジタル庁が民間アプリを作るというのは。一塁へ行ってしまったら、後誰が試合を監督するのかという話であります。ヒットは誰でも打てますけれども、認証アプリを作る、このバッターに当たる民間企業は既に十八社いるわけです、認証アプリを作っているわけです、でも、その監督というのは政府しかできません。
質問通告の三番、大臣に伺いたいと思いますが、この際、民間サービスの認証アプリの開発は、これはやはり民間に任せて、国は、その監査、監督を行うべきではないでしょうか。
○河野国務大臣 やや世の中に誤解があるかもしれませんが、電子署名と認証と二つあるわけでございます。
電子署名のところは、今、民間企業がマイナンバーカードを使った電子署名というものをやられていて、これはビジネスとして成立をしておりますから、恐らく、これからもそれは続くんだろうというふうに思っておりますが、他方、認証の部分は、今、民間の事業者がやってくれておりません。
ただ、金融機関を始め、この認証のところを、マイナンバーカードを使った認証、ID、パスワードより強度も高いということもありますから、認証をサービスとして提供してほしいという声は非常にございますが、ここのところはなかなか民間事業者としてもビジネスとして成立しづらいということがあるんだと思いますが、ここは残念ながら出てきてくれておりませんので、認証の部分に限ってデジタル庁がサービスを提供をするということでございまして、民間がやっている電子署名というところはデジタル庁としてやるつもりはございません。
電子署名については、これは手数料を取ることができますが、認証の部分、ログインのたびに手数料を取っているということになりますと、これは相当な金額になってしまいますので、そういうこともあって、ここはデジタル庁として認証のサービスを提供し、無料でやっていただく。
利用する機関、金融機関を始め利用する側からしてみると、自前で認証の部分を組まずに、APIをたたけばデジタル庁の提供するサービスで認証をすることができますし、そこが無料であれば、例えば、金融機関がお客様がログインするたびに手数料ということになると、これはなかなかコスト的にも引き合いませんので、デジタル庁として無料の認証サービスを提供して一般に開放していただければ、様々な事業者がこれを使える。
電子署名のサービスを提供しているところは、これは電子署名の部分で手数料を取ってビジネスとして成立をしているところですから、そこにデジタル庁があえて出ていく必要は、委員おっしゃるとおり、全くありませんので、我々としてもそこへ出ていくつもりもないということで、電子署名の部分と認証の部分、これは違うんだということを是非御理解いただきたいと思います。
○井坂委員 済みません、いろいろはしょって議論してしまったので。要は、認証の部分が、コストがネックとなって広まっていないということまでは私も理解をしております。コスト論でいくと、だから、政府が作って無料で配るんだというやり方ももちろん考え得ると思うんですけれども、やはりそうではなくて、まさにコスト論なので、作ることは民間もできますから、普通にできることなので、それだったら、例えば民間の認証アプリに補助金を出すとか、そういうやり方もあると思うんですね、コスト論を乗り越えるやり方は。
やはり、政府がこれを作るということについては、私は、自分たちが国家権力であるという自覚と慎重さが必要だというふうに考えています。今回、たまたま、政府が認証アプリを作るために施行規則の改正が必要だったからこの話が作る前に表に出て、専門家やメディアが今警鐘を鳴らしているわけであります。もし施行規則の改正が必要なかったら、本当に誰も知らないうちに政府がアプリを作って、デファクトスタンダードになってということもあり得たというふうに私は思います。
繰り返しますが、これを報じているような保守系、経済系メディアとか、これに警鐘を鳴らしている民間の専門家も、デジタル化やマイナンバー及びこの認証ということにはみんな大賛成なんですよ。
ただ、懸念は、配付資料、下の方のピンクのところ、最後、御覧いただきたいと思うんですけれども、やはりデジタル庁も反省していて、社会や専門家との情報共有を怠り、内部だけで進めてきたことが批判を招いたと関係者は反省を口にしました、海外では国民に影響のあるシステムを開発する際は事前にプライバシー影響評価を実施し、リポートを公開することが少なくないとか、今回の変更が立法時の想定を超えるもの、要は、政府自らが認証アプリ開発に乗り出す、それがデファクトスタンダードになるみたいなことが当初の立法時の想定を超えているものであるなら、本来は開かれた国会で議論すべきものだ、こういうふうに、そのプロセスの民主性、透明性を非常に厳しく指摘をされているわけであります。
大臣に伺いますが、やはり、こういう国民のプライバシーに大きな影響のある政府のシステムの仕様、設計をこうしますとか、あるいは運用をこうしますという運用ルール及びそれを変更する際には、透明性と民主的な議論及び国民、メディアによるチェックが必要ではないでしょうか。
○河野国務大臣 この認証アプリについて申し上げれば、昨年の六月の重点計画に明記し、その後、関係者と様々意見交換をしながら、この在り方、仕様というのを決めたものでございまして、委員がおっしゃる民間の事業者についても、度重なる意見交換をしてきております。また、調達する前にも意見の招請をして、そうした意見を取り入れた上で調達の公告ということをしておりますので、何か知られないところで政府がシステムをつくっているという御批判は、これは当たらないというふうに思っております。
委員がおっしゃるように、様々政府の方針をお示しをし、議論をしながら物事を進めていくというのは大事なことでございますから、だからこそ、六月に重点計画の中で明記をし、様々な関係者と意見交換をしながら今日に至っているということでございます。
○井坂委員 私は、デジタルのこういうリスクを防ぐのは、やはり松竹梅と三段階あるというふうに考えています。
政府が今回、シリアル番号と個人名のひもづけはできないと言っているのは、これはあくまで法的に目的外利用が禁止されているという話であって、これはもう、法律を犯して国民の個人情報をのぞき見た公務員の事件はたくさんあるわけでありますね。だから、法律で禁止されているというだけでそれができないというのは、一番、松竹梅の梅の話だと思います。
すぐ削除しますとか、プログラムでそもそもすぐ消えるようにしますとか、そういう運用面でできないようにする、こういうやり方はあります。これは法律だけで禁止するよりは安心なんですけれども、しかし、プログラムというのは変更ができてしまいますし、運用も常にそのとおりやってくれるかどうかというのは、これは別途監査が必要な話だと思います。これは松竹梅の竹の話。
やはり、本当に、理想は、物理的、技術的に政府はその情報をそもそも取れない、あるいはタッチできない、そういうところまでいくと、これは本当に絶対不可能なので、安心な話であります。
つまり、システムをどうするかとか、そういう、やると決めた後で中身の議論は専門家でもやっていると思うんですけれども、その前段階で、今の社会で国家権力たる政府がどこまでやるのかとか、そういう、果たしてこのやり方で大丈夫なのかというような前段の大きな議論を私はやはり社会や専門家と早い段階でやって、それからこういう各論、実装論に入るべきだというふうに考えています。
ちょっと長くなりましたので、大きなテーマの二つ目、マイナンバーカードの再発行、そしてカードそのものの機能について伺いたいと思います。
政府はこれまで、システムの基盤とか名寄せがまともにできていないのに、保険証とマイナンバーカードの統合を強制的に進め、残しておいたらいいだけだと私は思うんですが、保険証のカードの廃止を強制をしようとしているわけです。また、今後、運転免許証とマイナンバーカードの統合も進めるということであります。
参考人に伺いますが、仮に、保険証と運転免許証を統合したマイナンバーカード、みんなこうなるわけなんですけれども、このマイナンバーカードを紛失した場合、再発行するときの身元確認というのはどのように行うんでしょうか。
○三橋政府参考人 お答えいたします。
マイナンバーカードを紛失した者が再交付を希望する場合には、お住まいの市区町村におきまして、紛失届を提出した上で、再交付の申請書により再交付申請と再交付を行うこととなります。その際、本人確認書類を用いて本人確認を行うということになります。
健康保険証や運転免許証と一体化したマイナンバーカードのみを所持し運転免許証を所持しない者がカードを紛失し、再交付を希望する場合にも同様の手続となりますが、その際、必要な本人確認書類については、パスポートなどのマイナンバー法の主務省令で定める公的な写真つきの本人確認書類の提示又は社員証や学生証、各種資格証、母子保健手帳、子供医療費受給者証、年金手帳などの年金関係書類などの書類の複数提示及び申請者本人の住所宛ての照会文書への回答書を提示することなどにより、本人確認を行うこととなります。
○井坂委員 パスポートがあれば早いと思うんですけれども、これはなかなかみんなが持っているものではありません。それがないと、いわゆるサブの身分証というのが非常に今手薄になってしまうんですね、何でもかんでも統合すると。
大臣に伺いますが、運転免許証とマイナンバーカードの統合は無理にしなくてもいいんじゃないんでしょうか。
○河野国務大臣 私は、むしろ早くやりたいというふうに思っておりまして、一体化ができるようになりますと、一体化した運転免許証を入れたマイナンバーカードを保有する、一体化したマイナンバーカードと運転免許証の双方を持つ、いろいろな選択肢がございますから、それは皆さんに選んでいただければいいと思います。
一体化を選択をしていただければ、住所変更など、自治体に連絡をすればワンストップで全部の手続ができるようになりますから、非常に利便性も上がってまいりますので、そこはそれぞれの免許の保有者の御判断でどれにするか決めていただければいい。選択肢を増やすことなので、なるべく早くやりたいと思っております。
○井坂委員 もちろん、選択できるということで、統合した上で、なおかつ免許証をカードとして持っておくとか、そういうやり方もあるんだということでありますが、やはり、この間いろいろ議論が混線しているのは、物理的なカードを一枚にするという話と、同じ番号にひもづけてきちんと情報連携をして、一つ変えれば全部変わるようにワンストップでするということ、議論が混在していると思うんですね。
大臣も、よく最近、マイナンバーカードという名前はマイナンバーとカードが混乱するから名前を変えた方がいいんじゃないかみたいなことをおっしゃっていたと思いますけれども、まさにこれもその側面があると思っていまして、免許番号とマイナンバーカード、番号と番号の連携、これは私は非常に重要だと思います。これはやるべきなんですけれども、カードとカードの統合とは、これは全然別次元の話で、いわゆる身分証として、カードは一枚にまとめると、さっき申し上げたような、むしろ不便が増すので、複数持っておく、サブのいわゆる顔写真つき、一枚で全てが済む公的身分証明書として。そういうことを考えた方がまともなのではないかということで御提案を申し上げました。
さらに、総論に行きますと、マイナンバーカードに関わる今日までの問題や混乱、また数々の不手際、これはやはり、いろいろな機能を深く考えずに一枚のカードに物理的にまとめるということにこだわったことに原因があると考えています。
身分証明書としての複数の機能がごちゃごちゃになって認識、議論されておりますが、大きく三つの機能があります。一つは、いわゆる普通にみんなが想像する身元証明機能。身分証明機能ですね。顔写真つきで常時携帯をしている、そういう機能です。二つ目は、ログイン認証機能。ネット上で、これが井坂信彦ですよという、本人が確認されてログインできる機能です。三つ目が、ひもづけ番号機能。さっきお話しした、一つの番号に複数の行政情報をひもづけて情報間の連携ができるようにする機能であります。
これら三つは、別に物理的に同じカードでやる必要は全くありません。ログイン認証機能はカードである必要すらなく、昨年秋、予算委員会で議論したように、スマホ認証や、あるいはパソコンでID、パスワードを設定してログインするのがむしろ普通であります。これらをなぜか一枚のカードでやると。
私もガジェット好きでデジタル好きなので、何かいろいろな機能が一つに小さくまとまると、何かうれしいのはうれしいですよ。これ一枚で何でもできるというのは何かわくわくはするんですけれども、ただ、そういうレベルで決めてよい話ではなくて、本当に国民にとって便利な立て分けはどうなのかというのを私はやはりいま一度考え直した方がいいと。身分証明と、ログイン認証と、そして番号による名寄せ機能、これは別に一枚の物理的なカードに全て収める理由はないですし、むしろ不便や混乱が増すわけであります。
例えば、認証機能は高度なセキュリティーが求められます。それをマイナンバーカードに今載せているので。一方で、唯一の身分証明、顔写真付身分証明機能ということに事実上なってしまうと、さっき災害時にもという話になっていますけれども、常時携帯、そして常時提示ということもしなければいけないわけであります。こういったものを一枚のカードに混在させるべきではないと考えますが、いかがでしょうか。
○河野国務大臣 対面の本人確認の書類と様々認証機能を分けるよりは、これはやはり一つで両方できる方が利便性ははるかに高くなるのかなというふうに思っております。救急車で搬送されるときに使う、あるいは避難所に避難をしたときに使う、その機能と本人確認の書類が一体になっている、一つのカードで様々なことができるわけですから、利便性という意味では高くなるというふうに思っております。
○井坂委員 せっかくデジタル大臣なので、そこは余り雑に答弁していい話ではなくて、便利ですかね、それ。それは本当に便利ですか。いやいや、一緒になる便利さもゼロだとは言わないですよ。ゼロだとは言わないけれども、だって、世界的にこの三つが一緒になっているカードなんてないでしょう。
○河野国務大臣 やらないとやらないと言われ、やるとほかはやっていないと言われるというのが何かよくある話だと思うんですが、やはり私は利便性を高めていったというふうに思っております。
○井坂委員 やらないとやらないと言った覚えは私はないですけれども。
要は、ちゃんと本当に生活実態に合わせてもう一度立て分けをした方がいいのではないかという御提案をしておりますから、何か、合わされば便利だとか、二枚が一枚になればかさばらなくていいみたいな話ではないと私は思います。
だから、やはり真面目にここは議論すべきところだと思っていて、いや、いろいろな人がいますよ、それは。そもそもデジタル化が怖い、反対だという人ももちろん国民にはいらっしゃるし、そういう考えを私は否定はしません。ただ、やはりデジタル化は推進すべきだ、その基盤は、ちゃんと最初にしっかり土台をつくるべきだと思っている私から見ても、あるいはそういう専門家から見ても、ちょっとやはり、余り深く考えずに何でも一枚のカードでまとめ過ぎなんじゃないか。その結果、幾つか不便やあるいはセキュリティーリスクやあるいは混乱が生じているのではないかということでありますから、そこは余り決めつけずに、今ここで、はい、そうですということにはならないでしょうけれども、ちょっとやはり一遍一緒に考えさせていただきたいなというふうに思います。
最後、大きな三つ目の話で、いわゆる名簿の整理についてであります。
先ほどのマイナンバーカードをどういう仕組み、立て分けにするかという話は、野球に例えれば、全体のルールをどうするかみたいな話でありますけれども、その更に土台ですよね、基盤の更に下のグラウンドをいかに平らにするかみたいな話だと思います。
私、実は、落選中、何か仕事をしなければということで、会社設立の書類を作る、電子定款を、ネットでお客さんを集めて大量に作る仕事をやっておりまして、年間五千件ぐらい、会社、作っているわけでありますけれども、そうすると、やはり何が一番困るって、漢字なんですね、名前とか住所の漢字。
一番ポピュラーなのはサイトウさんでありますけれども、サイトウのサイの字もトウの字も本当にいろいろなバリエーションがあって、くさかんむりも、よく見たら上が切れているとか、シリという字も、何かよく見たら点が一個ついているとか、本当にいろいろあるんですよ。これは、日本の歴史と文化として別に悪いことではなかったわけでありますが、それも今回、やはりマイナンバーの名寄せの失敗の大きな原因になっているというふうに思います。
参考人に伺いますが、この住所、氏名データを整理、今回の法律でするわけですけれども、まず、その前に、外字と呼びますが、こういうバリエーション、漢字のバリエーションの標準化をすべきでないか。
聞くところによると、自治体のシステムでは既に標準化が始まっているそうなんですね。それはいいことだと思います。ちょっとどうなるのか、サイトウさんといったら、いろいろなサイトウさんも全部、一番シンプルなサイトウさんで悪いけれども表記させてもらうということになるのかというふうに思いますけれども、そういうことをしないと、要は、違う漢字でたまたまサイトウさんを書いちゃったから同一人物の名簿が二本できるとか。我々も選挙をやっているから、名簿の整理は大変じゃないですか。何か、亡くなったと思って消したつもりが、ちょっと違う字で残っていて、手紙が届いて物すごく怒られたりとか、本当にあるわけなんですね。
だから、名簿の整理というのは我々共通の課題でありますので、そのときに、外字の問題、自治体が自治体システムで今やっているのであれば、当然これは政府のシステムでも同じ文字セットを使ってやらなきゃ、また二種類の文字セットが混在して名簿のダブり問題が発生しますから、当然それをやるという御答弁をいただきたいと思います。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
議員御指摘のとおり、国の行政機関のシステムと自治体の基幹業務システムとは連携が想定されるものでございまして、両者で異なる文字ルールを作成をすることは、デジタル社会の形成の観点から適切ではないというふうに認識をしております。
現在、二〇二五年度末までに自治体の基幹業務システムの標準化の取組を進めておりますけれども、この標準化をきっかけといたしまして、外字を使用せず、また新たな外字も発生させないことを目指した取組を進めているところでございます。
元々、行政事務標準文字、自治体で進めている取組というのは、戸籍のシステムが自治体の戸籍と国の戸籍副本システムとの連携をしている中で、国の戸籍副本システムで使っている文字を自治体の業務システムで使っていこうという取組でございますので、まさに自治体と国で同じ文字セットでやり取りをしていくというところが大きな目的でございます。
一方で、今回の標準化におきまして、氏名と、特に戸籍の中には住所も入っていますので、氏名と住所についてはしっかりと必要な漢字が網羅されているのでありますけれども、一方で、例えば、先ほど会社設立の例を出されておりましたけれども、商号に用いられる外字というのはまだ戸籍の中に入っていないので、この文字の中に入っていないというようなところがございまして、こういったところをまだまだちょっと整備を引き続きやっていく必要があるというふうに認識をしております。
こういった、今の行政事務標準文字で対応できないものに関しましては引き続き検討を要する部分というのもございますけれども、今後、円滑にデータ連携を進めていくために、このベースレジストリー、公的基礎情報データベースの整備改善計画に基づきまして、関係行政機関と連携をして、国の行政機関における文字ルールにつきましても適切に検討してまいりたいというふうに考えております。
○井坂委員 最後の法人の会社名のところだけ、ちょっとどうなるか分からないということで心配はあるんですけれども、当然、やはり同じ文字セットで今後あらゆる行政情報の入力を行うということにしなければいけないと思いますから、是非やっていただきたいと思います。
時間がないので、地番のこと。
地番も同じで、一丁目二番三号だけかと思ったら、一丁目二番地三とか、一丁目二番地の三とか、いろいろなバリエーションがあるわけですね。これも、地番の標準化もやるべきだ。今はまだそこまでやる予定になっていなくて、町字の表記ぶれまでしか今はやっていないということでありますから、これは質問はしませんが、急いでやっていただきたいというふうに思います。
大臣、最後に伺いますが、今回、あと漢字だけで名寄せをしたから失敗したと思うんですね。氏名、住所の漢字で、要は目視でやろうとしたから失敗をしたと思うので、今回、片仮名表記を氏名、住所、追加をして、これから収集をするというふうに伺っておりますけれども、時間が来てしまいましたので質問はできませんが、この片仮名表記も是非、パスポートに書くだけとかではなくて、むしろ片仮名を基準に名簿の同一性チェックをすることにすると、これは目視じゃなくてコンピューターで網羅的にざっと早くできる部分がありますので、是非、片仮名表記を今回取り入れるのであれば、名簿のクレンジング整備、同一性確認に片仮名表記をきちんと使う、使う前提で片仮名表記を整備していただきたいということだけ最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
○谷委員長 次に、荒井優君。
○荒井委員 立憲民主党の荒井優でございます。
ふだんは別の委員会に所属しておりますので、今日はこういう機会をいただきましてありがとうございます。
最初にレクを受けたときに、この法案、大変難しい法案を進めているんだなというふうに思いました。何回か聞きましたし、自分でもいろいろ読んだつもりなんですけれども、なかなか頭に入ってこなくて。
まず最初に、法案の条文の、少し条文について幾つか教えていただきたいところがありますので、五点ほどちょっと最初に伺わせてください。非常に基本的なこともあるかもしれませんが、こちらの、いただいているペーパーの中の新旧対照条文のところから五点伺いたいと思います。
まず、第三十四条の、データの品質の確保ということを今回新設しているわけですが、この条文を新たに加えたことについて教えていただけますでしょうか。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
デジタル社会形成基本法において、目指すべきデジタル社会を定義をするとともに、その形成に関し、基本理念や施策の策定に関する基本方針等を定めております。
データ連携等を進め、行政手続における情報の提出を一度限りにすること、ワンスオンリーと呼んでいますけれども、こういったことを実現するために、その前提として、行政機関等が保有するデータが正確かつ最新であること等の、品質の確保を徹底するということが不可欠でございます。
先般、ひもづけ誤り問題をきっかけとしてマイナンバー情報総点検がございましたけれども、こちらでもデータの品質確保というのは一義的にはそれぞれのデータを管理している組織のものとなりますけれども、一方で、実際にひもづけを全部再チェックをしようというような場合には、ツールの提供を始めとして、デジタル庁も政府の一員としてそういった組織にきちっと手を差し伸べて協力をしてというようなことをいっぱいしてまいりましたので、そういったことも含めまして、データの品質確保というものを政府として恒常的に進める、この必要性を明確化するという観点から、同基本法の基本方針に今回位置づけることといたしました。
○荒井委員 ありがとうございます。
まさに、この法案の一番肝の部分を改めて書き足したということなのかなというふうに思いました。
続きまして、ちょっとこれは、僕は法律を書いたり読んだりすることはそんなに今までもありませんでしたので基本的なこと過ぎるかもしれませんが、第五条のところで、以前のものに比べて、修正したところについて、「事務について」ということで、それまでは「事務の簡素化又は」というふうになっていたところを「事務についての簡素化又は」というふうに書き直しているんですが、ここについて、まさにどういう理由で書き直したのか、教えてください。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
本改正は、文意を明確にするための技術的修正でございまして、意味の変更を伴うものではございません。
具体的には、改正前の条文では「行政機関等の事務の簡素化又は合理化」と規定をされておりましたところ、最後の「合理化」という表現に表現上係ってくるのが、行政機関等そのものの合理化を指しているのか、それとも行政機関等の事務なのかというところが文面上必ずしも明確でなかったということがございまして、そのため「行政機関等の事務についての」というふうに、こういう表現とすることによって、簡素化と合理化がいずれも行政機関ではなくて事務に関するものであるということを明確にするための変更でございます。
○荒井委員 ありがとうございました。そう言われて、非常に納得いたしました。
続いて、第十九条のところですけれども、第十九条で、公的基礎情報データベース整備改善計画の作成等、ここからこの十九条では大分な行を使って書かれているわけですが、このデータベースを作るに当たって、計画の期間とか方針とか内容とかを定めているわけです。
僕自身は民間企業に勤める機会が長かったですので、こういう新しい何かをするときには、同時に、予算的にどれぐらいお金がかかるのかということも、通常、必要な要項なんじゃないかというふうに思うんですが、この十九条にはお金に関することというのは一切触れられていないという形に読めるんですが、お金の話をしないことというのはどういうふうなことなのか、教えていただけますでしょうか。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、公的基礎情報データベースの整備改善に当たっては、一定の予算が必要となる場合も存在しているというふうに考えております。
一方で、整備の対象となるデータベースの規模や必要な機能は様々でございまして、コストに関しましては、取組内容や実施時期を踏まえて、具体的な年度単位の予算編成において検討していくというものとなります。
そのため、予算に関しましては、法定の記載事項とはしてはいないんですけれども、具体的な整備改善に当たっての費用対効果の観点というのは、これは大変重要でございますので、法案を国会でお認めいただいた後に適切に検討してまいりたいというふうに考えております。
○荒井委員 こういう政府のやり方、こういう法律の作り方というのは、まさに法律が通らないとある程度予算を精緻に立てられないんだなというのも非常に興味深く感じています。
でも、大本では、恐らく、このデータベースを構築するのにおおよそ幾らぐらいのお金がかかるのかというのは、多分、試算は当然ながらあった上での、じゃないと、作ってみたものの、余りにも莫大な予算過ぎてまさに議論の端にも入らないという話にはならないと思いますので、きっとそういうことがあるんだろうとは思いますが、こういう法律にはそういうお金のことを書かれないんだなと改めて学びました。
続いて、これは四号と言ったらいいのか、ちょっと、このページでいうと十六ページのところになるんですが、この法案の中で幾つか総理大臣の名前というか名称が出てくるわけです。特定個人情報の正確性の確保のためには内閣総理大臣の支援が必要だとか、あと、内閣総理大臣が設置して、及び管理する等々、この法案における内閣総理大臣という役職の人が、そんなに非常に、国の最高責任者というふうに思っていますが、この一つの法案においても、総理大臣が責任を取るということをこんなにも書かれなければいけないものなのかというふうに思っています。
大臣もいるわけですしと思いますが、ここはどういうふうになっているのか、教えていただけますでしょうか。
○楠政府参考人 私も民間から参った者ですから、法案を見て、最初はとてもぎょっとして、これは一体どういうことだというふうに勉強させていただいたところですけれども。
お答え申し上げます。
社会、政府全体のデジタル化の司令塔としての役割を担うデジタル庁がその調整機能を十分に発揮するために、デジタル庁設置法の上では、デジタル庁の長は内閣総理大臣としております。その上で、デジタル大臣が内閣総理大臣を助け、デジタル庁の事務を総括する、そういう構成となっております。
そのため、マイナンバー法におきましては、情報提供ネットワークシステムの設置、管理や特定個人情報の正確性の確保の支援の実施主体、こちらは内閣総理大臣と規定をされておりますけれども、実務上は、デジタル大臣、そしてデジタル庁がこれらの事務を行うものというふうになっております。
○荒井委員 ありがとうございます。
思い起こせば、楠さんとは僕も前々職のときから御縁をいただいていましたので、僕自身も、実は、今日この場に立ったときに楠さんが答弁するんだというのに、おっと思いながら、でもまさにこれがデジタル庁で、民間の方も多く活躍されているというふうに聞いていましたし。ただ、逆に、民間からすると本当に、政府で働くというのはまさに今の話も含めてびっくりすることが多いかと思いますが、そういう中で、様々な手続や民間の思想やデジタル的な発想がデジタル庁を含めて政府、国につながっていくといいなと思いますので、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。多分、楠さんはここまでなんだと思いますが。
もう一点、第三条のところで国立印刷局の話が入ってくるわけですが、今回の法案では、ベースレジストリー、後で伺いますけれども、この実作業に関しては国立印刷局が業務を担うということで、大分な追加が国立印刷局の法律に増えているわけですけれども、元々やっていた業務に加えて、この非常に新しそうな業務を追加すること、通常業務そのものもやられているかと思いますのでそちらの方は大丈夫なのか、財務省の参考人に教えてもらえればと思います。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
国立印刷局は官報業務等を通じまして文字情報の取扱い等に高い専門性を有しておりまして、御指摘の公的基礎情報データベースの運用に係る新規業務でございますが、これにつきましては特に新しく技能を取得するということは必要ないというふうに考えております。
また、現時点におきましては、この新規業務の実施に必要な人員も限定的なものになるというふうに想定をされておりまして、したがいまして、この新規業務でございますが、今のところ、国立印刷局では、銀行券の製造などの既存業務、こちらの遂行には支障を来すことなく実施できるというふうに考えてございます。
財務省といたしましては、やはり、国立印刷局において、今般追加される新規業務だけではなくて、銀行券の製造等の既存業務、これも含めた業務全体が適切に遂行されることが大事だというふうに考えておりますので、しっかりとその指導監督をしてまいりたいと思っております。
○荒井委員 ありがとうございます。
ちなみに、もう少し国立印刷局のお話を伺いたいんですが、今、大体どれぐらいの人数規模で運営されている組織なのかということ、そして、今回の新しいこの新事業というんですかね、に関しては大体どれぐらいの人数を張ろうということを現状では考えているのか、教えてもらえますでしょうか。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
まず、国立印刷局の職員数でございますが、今年の四月現在で四千七十三人ということになってございます。
今回の新しい業務の追加でどれぐらいの人が増えるのかということでございますが、まだ具体的な業務内容は明確に定まっておりませんので、現時点で確たることは申し上げられないところは御理解いただきたいと思っておりますが、多くても数十名程度の人員で業務ができるのかなというふうに考えておりまして、先ほど申し上げたとおり、国立印刷局全体の人員に比して限定的でございますので、今の人員配置の見直しで十分に対応可能と考えているところでございます。
○荒井委員 ありがとうございます。
四千人いる組織で、その数十名で新しい新事業をやる中で、全く新しく人を雇用するというよりも、既存の人たちの部署異動等でやれるんじゃないか、そういうことですか。一応それも答弁してもらっていいですか。
○辻政府参考人 御指摘のとおりで結構でございます。
○荒井委員 ありがとうございます。
是非、大変難しい業務になるんじゃないかというふうに思っていますので、今までやってこられた方が心理的安全性が高い状態でその新しい事業に取り組めるよう、予算の確保等、人員の配置もしっかりとやっていただければというふうに思っております。
以上がこの法案を読んだときの自分なりの疑問点でしたので、次は法案全体の話に移りたいというふうに思います。
この法案では、先ほど井坂さんからもお話がありましたけれども、後援会の名簿というのが確かに非常に政治家にとっては分かりやすいかなというふうに思っていまして、僕たちは仕事的にその後援会の名簿というのを整理するわけですが、特にこの住所の部分をしっかり正確性を持とうというのが、今回の、特にベースレジストリーをしっかり正確にしていくということの、大きなこの法案のど真ん中にあるところだというふうに思います。
実は、この法案のことを聞いたときにふと思い出したことがありまして、実は、僕の地元の札幌市の豊平区に水車町(まち)という名称の地域があるんですが、地元の住民の人たちは水車町(まち)と呼んでいるんですけれども、行政上の表記になりますと水車町(ちょう)というふうに書かれるんです。(発言する者あり)よくありますよね。
実は、僕も地域を回っていると、この水車町(まち)の人たちから、でも水車町(ちょう)というふうに札幌市の表記ではなっていて、何とかならないかなというのを新年会とかで気軽に言われたりするんですね。ただ、でも多くの人たちは物すごく困っているわけではそんなにないわけですね。これを、水車町(ちょう)というふうに表記され、読み方を水車町(まち)に変えてくれ、どうしてもやってくれというふうにすごく言われるわけではないので、どうしても僕の中で、多くの皆さんの中でもきっと、重要だけれども緊急度の低い、陳情とも言うかどうかもちょっと難しいところではあると思うんですが、そういうものとして捉えているんじゃないか。実は僕もそうだったんです。
今回、ベースレジストリー、つまり、今までいろいろなところで持っていた住所情報を一つに集めて、まさに国立印刷局でデータベースに格納していくという言い方でいいと思うんですが、そのときに、先ほども、井坂さんも片仮名表記もというお話がありましたが、まさに漢字だけではなくて読み方の部分も、今回決められるんだと思うんです。恐らく、この法案が通って、このまま進んでいくと、札幌市豊平区水車町(まち)というのは、印刷局のデータベース、データレジストリーには札幌市豊平区水車町(ちょう)として表記されるんですね。
確かに、読み方の部分に関しましては、書いてあるものに関しては同じ漢字でしかありませんので、住んでいる人たちにとってもほとんど違和感はないんですが、時々、例えば電信柱とかに英語表記が書いてあると、漢字の横にSuisyachoというふうに英語で書いてあったりしますので、そういうのを指さして、知っている人は、本当はここは水車町(ちょう)と言うんだよというふうに教えてもらったりする機会もあり、でも、これは住民の皆さんからすると結構もやもやしている話なんじゃないかというふうに思うんです。
是非直していきたいというふうに思うんですが、実際、多分総務省の所管だと思うんですけれども、こういうものを直していこうとすると一体どういう手続になるのか、まず教えてもらえますでしょうか。
○三橋政府参考人 お答えいたします。
市町村の区域内の町若しくは字の名称を変更しようとするときは、市町村長は、地方自治法第二百六十条の規定に基づき、当該市町村の議会の議決を経て定めた上で、これを告示することとされております。
町若しくは字の名称を変更することにつきましては、文字の変更だけではなく呼称の変更をも含まれるものと解されておりまして、議員御指摘の事例のように、文字は同一でありましても、呼称を変更する場合には地方自治法の規定による手続が必要となります。
○荒井委員 ありがとうございます。
地方自治法によって規定されているということですよね。ですので地方議会で承認が必要になりますし、それぞれのプロセスは各自治体に大きくは任されているものだというふうに理解しています。
実は、札幌市は、こういった町名の読み方の変更というのは過去やったことがないということで、時々、まさに水車町(まち)、水車町(ちょう)のことも、話はあるけれども、実際、その手続には至ったことがないという話でした。
今回、それで、札幌市と一緒にほかの地域の事例を調べてみましたところ、こういう呼び方を変更した事例というのが幾つかあるんですよね。
川崎市は、境町(まち)というところを境町(ちょう)というふうに変えていますし、名古屋市は、御器所(しょ)というところを御器所(そ)、黄金(おうごん)というところを黄金(こがね)、あと、栃木県宇都宮市は、徳次郎(ろう)町を徳次郎(ら)町、愛知県北名古屋市は、徳重土部(どぶ)というのを徳重土部(つちべ)というふうに、これは大分変わりましたよね、名前を変更しているんです。
でも、実は、もう少し細かく聞いていくと、町内会でやはりまず議論をして、そして、町内会で議決をした後に、今度は地域の人たちに対してそれでいいかどうかという署名活動をして、その署名を持って議会に上げて、そして、議会の方でも承認をするに当たっては有識者の会合等を必要としているということです。
ちなみに、川崎においては、この有識者会合には六、七名参加していて、川崎の郵便局の方、総務部長、そして法務局の登記官、そして警察部長、あと日本地名研究所、有識者だと思います、あと大学の先生、有識者として。こういう五名の人たちが、呼び方、読み方に関しても一応議論をした上で承認するというプロセスに至っているということなんですね。
結構長いプロセスだなというふうに思いまして、幾つかの自治体に聞いたところ、やはりこれをするのに二、三年かかるかなというふうに言われるわけですね。水車町(ちょう)を水車町(まち)にするのに、そうか、三年間もかかるのかと言われると、確かに、町内会長とか、何か、自分のときじゃなくてもいいかななんというふうに思ってしまうんじゃないかと思うんです。
ただ、先ほど申し上げた川崎においては、これは四か月で実現しているんですよね。これはそれぞれの取組方やいろいろな考え方もあるんだと思います。
という話をしたところで、河野大臣に是非お伺いしたいんですけれども、今回、でも、すごくいい機会なんじゃないかと思うんですね。今まで、そういうふうに読み方、みんなもやもやして、先ほどもいろいろな先生方からもそうだそうだという、各地域に実は思った以上にあるんじゃないかと思うんです、こういう読み方を。
もちろん、どっちが正確かというのはそれぞれの地域で判断することだと思いますが、今回まさに、先ほどの法案にも出てきた、正確性を大事にするんだというベースレジストリーの、今回の法案の趣旨にのっとっていけば、まさにそれを、地域の人たちの、運動と言うには大げさかもしれませんけれども、みんなでちゃんと議論をして、そして一つのことにちゃんと統一していこうよという、これもデジタルな社会に非常に必須な取組だというふうに思うんです。
まさにデジタル庁として、非常にアナログな活動かもしれませんけれども、こういうことを是非やってみたらどうかということを推進していくみたいなお考えはあるでしょうか。いかがでしょうか。
○河野国務大臣 今の質問にお答えをする前に、先ほどの内閣総理大臣の話がございましたが、例えば、外務大臣、防衛大臣のときは、大使の信任状、解任状の署名、河野太郎といたしますし、様々な法令に関する書類に河野太郎と、それは外務大臣あるいは防衛大臣河野太郎として署名をいたしますが、デジタル大臣あるいは内閣府特命担当大臣は、そういう署名がなく、議案に花押を書くだけで、デジタル庁に関するものの署名は全部、内閣総理大臣岸田文雄名で閣議のときに署名されます。というのが最も考え得るものでございまして、あとの実務はおまえやれということで、私が担当するということになります。
今の地名の件、結構いろいろな地名の話を私も聞いておりまして、今回ここで、ベースレジストリーを整備するという大きなきっかけになりますから、全国で、委員おっしゃるように、何となくもやもやしていたものは、この際、その当時の町内会長さんにも、周りがよかったか悪かったか分かりませんが、もうこの機会にやっちゃおうということで、全国でいろいろと見直しをしていただいて、じゃ、我が町内はこれでいくぞということを積極的に議論するきっかけにしていただけたらというふうに思いますので、ベースレジストリーをやるときには、是非そういう議論をやった上でしっかり登録をしてくださいということにしていきたいと思います。
○荒井委員 ありがとうございます。
僕は、地元とか地域の郷土史とかを読むのは好きなんですけれども、でも、郷土史とかには、もちろん、町が変更したとか、こういう町が増えたみたいな、そういう漢字の部分はあるわけですが、読み方に関しては郷土史をどんなに読んでも出てこないんですね、やはり字ですので。ですので、この読み方というのは結構各地で同じようにあるんじゃないかと思います。是非、河野大臣の発信力等も含めて、各地でこういったもやもやを解消する一つの大きな流れになったらいいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
そして、そのときにもう一点、先ほど申し上げたように、手続上で、例えば、ひょっとすると多くの自治体で、じゃ、こうやって読み方を変えていこうというふうな運動がなったときに、いや、うちの自治体だと二、三年ぐらいかかりますよというふうに言われたときに、結構みんな、そうすると、うっと思っちゃうところがあると思うんですね。
こういう手続をもっと簡素化していく。やっている自治体があれば、そうじゃない自治体もあるんだとすると、もう少しこの手続も含めて簡素化していこうという方向を是非大臣から声を出していただいて、各自治体になるのか総務省なのか分かりませんけれども、そういう方向性をつくっていただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。
○河野国務大臣 地名について、もうほとんどの方が、いやいや、それはこうだよねというコンセンサスがあるものはなるべく手続を簡単にしていただくのがいいと思いますが、やはりそこに長く住んでいらっしゃる方の考えというのもあると思いますし、新しく引っ越してこられた方のまた違う考えがあったりということがありますので。
非常に大事なものでございますから、もうコンセンサスができているものは速やかに、そうでないものはやはりしっかり議論をしていただくというのが大事だと思いますので、そこはケース・バイ・ケースで、じっくり時間をかけなければいかぬというものも、これはあってもしようがない。むしろそこはじっくり、今後何十世紀にもわたってその地名になるかもしれませんから、そこはしっかりやっていただきたいと思います。
○荒井委員 ありがとうございます。
是非こういった、国民運動と言うのには大げさですけれども、地域の課題を少しでもデジタル庁ができる中で解決していっていただけるといいなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
そしてもう一つ、この法案を作っていく過程の中で、元々、マイナンバーもベースレジストリーに加える、ベースレジストリーとして扱うということが、特に令和三年度の指定においては議論されていたというふうに聞いておりますが、今回の法案では、マイナンバーに関してはデータレジストリーとしては指定しないというふうになりましたが、この変遷は、なぜ、どのように行ったのか、どうして行ったのかというのを教えていただけますでしょうか。参考人から。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、旧内閣官房IT室時代に出したこのベースレジストリーの指定において、氏名、住所等の個人情報や、マイナンバーにつきましてもベースレジストリーとして整備を検討するということとしていたのは事実でございます。
しかしながら、これらの情報は、広く提供するものではなくて、取り扱う主体や事務を限定すべきものとして、マイナンバー法等に基づいて情報連携の枠組みを整備をしてきたところでございます。
一方で、今回のベースレジストリーは、登記のデータを始めとして、多様な主体がこのデータを取り扱えるように基盤を整備するものであって、やや両者の性質は異なるところがございました。
これらを踏まえまして、マイナンバー等につきましては、今回ベースレジストリーとは位置づけないということといたしました。
具体的な検討経緯といたしましては、二〇二三年の二月のデータ戦略ワーキンググループにおきましてこの見直しの案を示しつつ、同ワーキンググループやデジタル臨時行政調査会作業部会における議論を踏まえまして、二〇二三年七月のデジタル大臣告示において、既に整備されているデータベース、整備中のデータベース、今後整備を検討するデータベースという形で改めて指定したものとなります。
以上です。
○荒井委員 ありがとうございます。
このベースレジストリー、例えば先ほどの後援会名簿みたいなものに例えましたら、今回のベースレジストリーになっているのは、いわゆる郵便番号とか住所とか呼び方のところだけで、まさに共通の基盤のところだけで、いわゆる、例えば荒井優という名前であったり年齢であったりという、その個人を特定するもの、まさにここの、マイナンバーなところはもう外しているという形になるわけですよね。
元々それを、まさに令和三年のときにはそれを一緒にしようと思ったけれども、五年で外したと。今後に関しては、これは、このマイナンバー等の個人の情報をベースレジストリーに格納していこうという考え方はあるんでしょうか、教えてください。
〔委員長退席、田中(英)委員長代理着席〕
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
なかなか将来のことは分からないところも多いのですけれども、ベースレジストリーを指定すること自体がやはり目的ではなくて、このベースレジストリーを指定することによって、具体的にどういった行政手続をどのように効率化をしていくのかとか、あるいは民間においてどういったことでデータが整備されていなくて困っているかというようなところを踏まえて総合的に検討してまいるものとなりますので、一方で、特にマイナンバー等に関しましてはプライバシーをちゃんと守ってほしいというようなニーズもございますので、そういったことをちょっと総合的に考えて、今後、必要に応じて、どの項目をベースレジストリーとして整備していくかというところは検討することになろうかと思います。
○荒井委員 ありがとうございます。
令和五年に指定したベースレジストリーの一覧の方と、三年のときの、元々違う部署、部門でということなんだと思いますけれども、その後決めた中の大きなあれの中にマイナンバーの情報は入れないということがあるわけですね。
あと、令和三年のときには、今後ベースレジストリーとしての整備の在り方を含め検討するものとして、法人の決算情報とか、割と、いわゆるストックの情報ではなくてフローの、一年ごとに決算の情報とかは新しくなっていくと思いますが、そういうフローのものに関しては今後検討するということになっていましたが、今回、令和五年の指定においては、この決算等、フローのものに関しても積極的に取り入れることにしているというふうに読めるんですけれども、まさに、一年に一回、こういったものをどんどん追記していくという業務が発生していくということでよろしいんでしょうか。
○楠政府参考人 なかなか、将来に関しましてはこれから考えていくことになりますけれども。例えば決算情報等につきましては既に仕組みができ上がっていることもございますし。
まずは、やはり、どういった行政手続において、ベースレジストリーに指定していくことによってどういった効果を狙っていくかということに関しまして、令和三年の時点では、どちらかというと、国としてデータを整備していくものはどんどんベースレジストリーとして整備をしていこうという考え方もあったんですけれども、令和五年、今回大きく見直した部分というのは、データベースというのは、そこに行けば必ずちゃんとあるということが大事になってきますので、中途半端に集めたものだと逆にアクセスをしようというふうにはなりづらいというところがありますので、きちっとルールを決めて、全てをきちっと網羅することができて、最新のものをそろえることができる、それをそろえることによってこういうふうに便利になっていく、そういうところが見通せるものに関してできるものから指定をしていくというふうに考えております。
○荒井委員 ありがとうございます。
まさにこういったベースレジストリーを担っていく部門として、先ほども答弁いただきましたけれども、国立印刷局が担当することになったということですが、これは、読むと、審議会等でも、国立印刷局というところで、名称のイメージからも含めて、こういうデジタルというものとの親和性みたいなことが少し議論になったということも書いてありましたが、なぜ国立印刷局を最終的に決めたのか。実際、あとほかにも独立行政法人統計センターの、その二つを検討した等も書かれていましたが、なぜ国立印刷局だったのかというところをもう一度教えていただけますでしょうか。
〔田中(英)委員長代理退席、委員長着席〕
○河野国務大臣 何となく、国立印刷局というと、イメージとやや差があるかなという気もするかもしれません。
国立印刷局は、長年、官報の編集や発行をやっておりまして、これは、先般お認めをいただいた法律で、デジタルの官報が正、紙のものは副というふうに、正副を替えました。
いろいろなところから、いろいろな機関から来るデータを速やかに定められた形式に編集をするというのは、そうしたことからこれは国立印刷局が得意とするところでございますし、先ほど議論がありました、外字を使った作業というのもやっております。
また、何より、二十四時間三百六十五日、緊急に対応できるという体制もあるわけでございますので、ベースレジストリーというのは、やはり、今後、いろいろな意味で安定して稼働をする、そして緊急的な対応ということが起こり得るということを考えると、国立印刷局というのが適当であるという判断をしたところでございまして、その体制については先ほど財務省から御答弁があったとおりでございますので、これはしっかりやってくれるというふうに思っております。
○荒井委員 ありがとうございます。
先ほど、財務省の方からは、予算感を伺ったときには、これから、法案として決まってからというようなお話でしたが、とはいえ、これを決めていく過程の中で、幾つかの団体というか法人にこのベースレジストリーをやってもらおうと思っていく中で、当然ながら、ある程度のお金の規模感みたいなものがあったり、若しくはサウンディングというかヒアリングですかね、それぞれからどれぐらいだったらできるのかみたいなお話もあったんじゃないかと思うんですが、先ほど人数規模としては数十人規模ということで、ある程度それでイメージができるのかもしれませんけれども。
これは、そもそも、こういったものを検討していく中でおおよその予算感みたいなものというのは検討されたんだと思うんです。こういった国会の中でそれを言うことが難しいのかもしれませんが、その辺り、大臣、いかがなものなのかというのを教えてもらえますでしょうか。
○河野国務大臣 予算規模その他につきましては、これはやはり、法律をお認めをいただいた後、具体的に検討して示すということでございますので、余りここで不確かなことを申し上げるということもあれでございますので、お認めいただいた後にしっかり御説明をできるように検討していきたいというふうに思います。
○荒井委員 ありがとうございました。
多分、楠さんも僕も、民間出身だと、やはり、この辺が少し、政府の進め方というのがちょっと分かりにくいところだったり、特に野党側からするとその辺が見えないところでもあったりもしますので、こういう情報の、できるだけオープンにしていくということも今後も必要なんじゃないかなというふうには思います。そういった形で、デジタル庁は民間の方々が多いですので、そういった民間の声も是非聞いて進めていただけるとうれしいなと思います。
もう少し、国立印刷局のことにつきまして。
国立印刷局、先ほど数十人規模でということではありましたけれども、この取扱いをそこから第三者に委託するということがあるものなんでしょうか。恐らく、例えば、どこかに打ち込む、確認するみたいな作業等をそこから……(発言する者あり)そうですね、システムを第三者にお願いするということがあるのかどうかということを教えていただけますでしょうか。
○河野国務大臣 システムを構築するようなところについて、これは第三者に委託するということは可能でございます。
これは行政執行法人という法人でございますので、そこの主務大臣が内閣総理大臣ということで、毎年の事業計画を主務大臣が認可をして、デジタル庁がしっかり監督をするということで、第三者に委託するところを含め、しっかり見ていきたいというふうに思っております。
○荒井委員 その意味で、今回、主務大臣としてデジタル庁の大臣もここに追加されている、法案の中でたしか追加されていると思います。そういうことなんだろうというふうに思いますので、是非、どうしても第三者への移管というのはいろんなことも起きやすいところでもあると思いますから、しっかり大臣として見ていっていただきたいなというふうに思っております。
最後に、先ほどまでお話がありましたが、マイナンバー、マイナンバーカードのことについてお伺いしたいというふうに思います。
次のマイナンバーカードへの切替えに際して、カードの交付事務を担う市町村の窓口の負担軽減のために、郵便局での更新体制の整備を推進する、検討する、そして実施するというふうにされていたかと思います。郵便局でのマイナンバーカードの交付事務の取扱いというのは、今どんなようになっているのか、どれぐらい今活用されているのか、教えていただけますでしょうか。
○三橋政府参考人 お答えいたします。
マイナンバーカード関連事務の郵便局への委託に関しましては、カードの電子証明書の更新などが令和三年の郵便局事務取扱法の改正により、また、カードの交付申請の受付などが昨年六月の郵便局事務取扱法の改正により、地方公共団体の指定した郵便局において実施できるようになっております。
現在の委託状況につきましては、電子証明書の更新などにつきましては、これまでに十七市町村において四十八郵便局に対して委託をされております。また、カードの交付申請の受付などにつきましては、昨年二月、宮崎県都城市の一郵便局への委託が開始されておりまして、今後、東京都府中市の六郵便局や福島県郡山市の一郵便局においても順次委託が開始される予定となっております。
○荒井委員 ありがとうございます。
郵便局にとって過度な負担にならなければいいなと思いますが、でも、レクを聞いていると、それぞれの郵便局が是非やりたいというふうに手を挙げているというふうに聞いています。是非、全国の郵便局の皆さんにも、そういった意味では、余力があるのであれば積極的に引き受けていただきたいと思っていますので、推進の方をよろしくお願いいたします。
質問時間が来ましたのですが、最後に大臣に、先ほど一馬さんからもお話ありましたが、電子証明書のiPhoneへの搭載、大変難しい交渉だと思いますが、期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。最後にお願いをして、終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
○谷委員長 次に、岡本あき子さん。
○岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。
質問の機会をいただき、ありがとうございます。
最初に、データレジストリーの件について、私からも確認をさせていただきたいと思います。
資料を一枚めくっていただいて、まだ届いていないかもしれませんが、資料二のところで、今回、ベースレジストリーとして指定をするものが一覧として載っております。この中に、土地系のデータベース、赤線を引かせていただいておりますが、これが、各省庁で持っているデータベースをデジ庁の方でレジストリーにするという案が入っております。私、よくこの土地系に指定をするという覚悟をしたなと、ある意味、驚いております。
資料三を見ていただければ、令和三年のときに、IT戦略室で既におっしゃっていますけれども、「台帳の保有する地図データそのものの連携を可能とする必要があるが、地図データの四割程度は地籍調査等を経ていない古い公図のままである。そのため、当該四割程度は正確な緯度経度が確定できない任意座標系に基づくものであり、他の地図データとの連携の際に適切に重ね合わせられないなどの課題がある。」と指摘があります。また、法務省で、不動産の登記というのがまずは軸になるのかなと思うんですが、法務省の中でも地図混乱区域があったりしている状況です。
これをオープンにして、そして、それぞれの地図、どこか変更したら自動的に変更もできるようにしていくんだというのがこのレジストリーの共有化の目的だと思うんですが、大変な、整合性を取る作業が必要なんじゃないかと思いますが、これはどのようにデータの正確性、それから連携できる取組を進めていくのか。この点、これはデジ庁が担当するのではないかと思います、是非、大臣、お答えいただければと思います。
○河野国務大臣 日本の国の中には、地籍調査が完了していなくて、筆界も確定できていないものも結構ございますので、これは現場でいろいろ進めていただかないと、特に筆界なんというのは、当事者が合意をしていただかないとできないということがございます。
ただ、今、いろいろな行政の業務の中で、登記事項を確認をする必要があるものがありまして、そのたびに、データがないものですから、登記事項証明書を取ってきてくださいということになって、これは国民の皆様にも行政職員にも結構不便を強いるということがございますので、最初から完全なものはできないんですけれども、少なくとも、できるものからベースレジストリー化していく。そうすると、登記事項証明書がなくとも登記事項の確認ができるようなところは、これは利便性が向上しますので、まず、そういうできるところからやりながら、現場の作業も進めていっていただくということになるのかなというふうに思っております。
○岡本(あ)委員 登記事項を発行するのであれば、これは法務省のデータベースをオープンにすればいいだけだし、今、実際、オンラインでも手に入れることができるんじゃないかと思います。あえて土地系でデータベースをレジストリー化するという意味というのは、デジ庁として、やはりここを共有の、共通のデータベースとして使い勝手をしていくべきということで指定をされたんじゃないかと私は思っております。所有者不明や相続未登録土地など、こういうのが、整合性を合わせていくことで解決につながるということは大変期待をしているんです。
ただ、私、地元は宮城県ですが、震災のときも大変筆界で苦労しました。ただ、おかげさまで、集中的に取り組んでいただいたおかげで、筆界が明確になって、相続ですとか、あるいは住宅の再建、進めていただきました。これは市町村で取り組みたくても、予算がないのでできないんです。
それから、デジ庁、法務省、国交省、それから、地籍ですとかあるいは地図混乱というと、都道府県の予算も使うことになるんです。この予算の確保。それから、それぞれの省庁の優先順位づけ、これが合わないがために、結果として、市町村でやりたくてもやれずにずっと残っている。その結果、先ほど指摘があったように、四割地籍調査を終えず、実態の、公開する情報としても、登記の情報と国土地理院が出している地図が合っていないとか、そういうことが起こりかねないんです。
是非、これはデジタル大臣として、デジタル庁でちゃんと、データレジストリーを、各省庁が持っているところのデータを、整合性を促進をするんだという意味での予算獲得、それから行政組織間の協力、これを求める覚悟を示していただきたいと思います。お答えください。
○河野国務大臣 これは我が国としてやらなければいけないことでございますので、ここはしっかりやろうということで、ベースレジストリーの中に組み込むわけでございますが、実際のデータ連携をするためには、データの正確性が担保されているというのは非常に大事なことです。ここについては、法務省、国交省を中心に、現場も含め、しっかり予算を取ってやっていただかなければならないということでございますが、ベースレジストリーに組み込む以上、デジタル庁としても、そういう関係機関のお尻をたたきながら、正確なデータがきちんと組み込まれていくように、そこは見ていきたいというふうに思っております。
一義的には、基情報を管理する行政機関にそこのデータの正確性を担保していただくということは作業していただかなければならないということでございます。
○岡本(あ)委員 非常にがっかりです。
各省庁がそれぞれの予算でやってきた結果、今、例えば地籍調査が四割行われていないとか、あるいは地図混乱区域も、徐々に徐々に各省庁はやってくださっていますよ、でも、進まないんです。
例えば、各市町村で都市計画道路をしたいと思っても、地図混乱がある。これをやりたい、整理したいと申し出ても、国の予算がないということで、結果として、予算がつかない以上、整備が遅れる。自治体の計画が遅れていく。最終的には自治体が単独で予算を取らない限り進まないような、これまでの土地をめぐる歴史を考えると、私、よくこの土地系のデータ、ベースレジストリー、これに載せたなというところで非常に感心をした一方で期待をしたんですが、今の答弁では本当に残念です。
ここは、デジタル庁がしっかり進めるんだという覚悟は持てませんかね。もう一度お答えいただきたいと思います。
○河野国務大臣 デジ庁が出張っていってやるわけにはいきませんけれども、少なくとも、ベースレジストリーに載せる以上、そこは今までとは当然違う対応にしなければいけないというふうには思っておりますので、先ほど申し上げましたように、各省庁のお尻をたたきながらしっかり前に進めていきたいと思います。
○岡本(あ)委員 先ほど荒井委員から町の話もありました。目の前の急がなきゃいけないことじゃないと、結果としてずっと取り残されていく、それが結果としてこういう土地に関わる部分が残されていったんじゃないかと思いますので、是非デジタル庁がちゃんとリーダーシップを取るということ、これを進めていただきたいですし、各省庁が既存の予算でということではもう限界が来ているということを強く申し上げたいと思います。
さて、ちょっと質問を順番を変えて、資料一を御覧ください。質問でいきますと二番、マイナンバーカードのマイナ保険証のことを伺わせていただきたいと思います。
この間、同僚委員、井坂さん、中谷さん、指摘をされていますが、私も、マイナンバーカード、それからマイナ保険証、それから免許証、希望する方は一緒にした方が便利、一枚にしたら便利、希望する方はどんどんそれに応えていただければと思いますが、最初のときに、河野大臣、デジタル社会のところで、誰一人取り残されない社会、取り残さない、取り残されない、それから、一人一人のニーズに合った社会という言葉、先ほど御答弁されました。私、まさにデジタルが可能なのはそれだと思っています。
その意味でいくと、デジタルを希望したい人には十分応えていくべきで、そのメリットを享受していただく。ただ、メリットを感じない、デジタル化しなくても十分と思っている人にまで強制をするということは、やはりデジタル化を目指す意味でいくと、非常に誤解を招きますし、やるべきことではないと思います。
マイナ保険証、十二月に廃止をすると声高におっしゃっています。(河野国務大臣「健康保険証」と呼ぶ)あっ、ごめんなさい、健康保険証。マイナ保険証にしていくと。
既存の保険証を私は廃止する必要はないのではないかと思います。マイナ保険証にしなかった人には、今現在は、プッシュ型で資格確認書を今後発行していく、有効期限が切れたところで。それを当面行う。その先というのはまだ御説明いただいていませんけれども、じゃ、資格確認書は一体どういうものなんですかということで、厚労省から資料をいただきました。
資料一の左側が現行の国民健康保険証です。右側が今後出す資格確認書です。どこが違うんでしょうか。厚労省、お答えください。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
資格確認書は、改正法の規定に基づき新たに創設するものでございまして、これまで全ての加入者の方に発行してきた現行の保険証とは発行の対象者等が異なるということでございまして、資格確認書という名称で発行いただくこととしてございます。
○岡本(あ)委員 資料一の左と右を見て、記載事項、どこが違うんですかという質問です。
○谷委員長 厚生労働省日原審議官、資料一の左と右との違いについてお答え願います。
○日原政府参考人 御指摘の点でございますけれども、現行の保険証と資格確認書、いずれも保険診療を受ける際に医療機関等で提示するということで、被保険者の資格の確認を受けることができるという効果を有するものでございます。
ですので、記載事項について大きい違いはございません。
○岡本(あ)委員 記載事項、ないんですよ。
マーカーをつけましたけれども、負担割合というのが資格確認書はあります。これは、七十歳以上の人は割合が変わりますのでこの記載があるんですが、国民健康保険の高齢者受給証だと、まさに全く同じ記載なんですね。
なので、資格確認書と言わず、今後も、マイナ保険証を持ったので私は既存のは要りませんという方を消していただいて、それ以外は引き続き健康保険証として出せば、資格確認書という文字を入れ替える作業が健康保険組合にも要らなくなるんです。そのまま健康保険証という名称で、マイナ保険証にしたので私はこれは要りませんという方は消していただいて、残りの人には、毎年、期限が切れるごとに送ったらいかがでしょうか。もう一度お答えください。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
保険証の廃止後でございますけれども、これはマイナンバーカードにより受診いただくことを基本とした上で、資格確認書は、マイナンバーカードでオンライン資格確認を受けることができない状況にある方に対して交付するものでございまして、全ての加入者を対象に発行する健康保険証とは、対象の範囲、位置づけも異なってまいります。
このため、資格確認書という名称で発行をいただくこととしてございますけれども、その発行に当たりましては、既存のシステムを最大限に生かしつつ、保険者などに追加の事務負担が極力生じないよう、できる限り効果的、効率的なものとなるよう対応しているところでございます。
○岡本(あ)委員 健康保険に加入をしていて保険料も払っている、医療を受けられる権利がある方々に出すものとしてこれがあるんだと思います。記載事項も同じですし、医療機関がこれを見て確認をするのも、今現在の健康保険証と何ら変わらないんですね。なので、保険証廃止、廃止という声を声高に言うことよりも、私、マイナ保険証を主にする、それも否定しませんよ、ただ、健康保険証を廃止する、廃止するという声ばかり出して、まるで医療が受けられなくなっちゃうんじゃないかという不安をあおるこの間のやり方に異を唱えています。
なので、安心してください、マイナ保険証を希望されない方にはちゃんと既存と同じ証を発行しますと。これは健康保険証という名前で全然問題ないと私は思います。なので、マイナ保険証にしない人もちゃんとこういう証を発行して医療を受けられるので安心してくださいと言うべきだと思います。
何で、既存の保険証廃止、廃止、廃止という言葉ばかりを強調されるんでしょうか。私の言っている方向でやったら国民も安心しますし、引き続き健康保険証と同じものを発行します、これをもってちゃんと受診できます、そういう発信の仕方をされたらどうでしょうか。もう一度お答えください。
○日原政府参考人 保険証が廃止になりましても、マイナ保険証による受診を基本とする仕組みに移行はいたしますけれども、全ての国民の方が安心して保険診療を受けていただけますように、最大一年間、現行の保険証は使用可能であるという経過措置も設けてございますし、それから、ただいまお話ございましたように、現行の健康保険証からマイナ保険証への移行期であるということを踏まえまして、当分の間、マイナ保険証を保有していない方には、申請によらず、資格確認書を交付することとしてございまして、どなたにも安心して保険診療を受けていただけるような形で円滑に移行してまいりたいと考えてございます。
○岡本(あ)委員 是非、この記載事項も変わらないんです、同じものを出すので安心してくださいという言葉を言うべきだと思います。
あと、河野大臣、ちょっと通告をしていないんですが、先ほどの答弁で、よりよい医療という言葉がございました。私、これ、本気でそのよりよい医療が受けられるようになってほしいとは思うんですが、かえってデジタル化で、効率的で効果的になることがデジタル化の目的だと思うんですが、実は、マイナ保険証になってから、今までは、健康保険証は、医療機関、月一回、月の初めに提示をして確認となっていたんです。原則は毎回なんですよ、原則は毎回ですけれども、月の初めに確認する運用でいいですとなっていたのが、マイナ保険証になったら、毎回マイナ保険証で確認することになったんです。
これは、デジタル大臣として、かえって手間暇を、医療機関、それから受診する人にも、今まで月一回出せばよかったのを、ピッとやることで楽にはなったとしても、毎週受診している人は毎週その行為をしなきゃいけないんです。これは、デジタルの勧めとしては、本当に効率的なことなんでしょうか。大臣、お考えを示してください。
○河野国務大臣 本来毎回保険証も確認をしていただくのをやっていなかった結果として、レセプト請求で返戻が数百万件という事務コストがかかるということになってしまっております。
実際にマイナ保険証を医療機関で使われた方、顔認証が非常に簡単にできるという体験をされている方は多いと思いますので、顔認証を毎回やることが大きな負担になるとは思っておりませんし、医療機関あるいは支払基金、そもそも返戻を減らすという大きな事務コストの削減にもつながりますので、これはデジタル化の本来の目的に即していると思います。
○岡本(あ)委員 患者さんにとっては毎回その作業をしなきゃいけないということが、私からすると、何でデジタル化なのに手間暇を増やすのかというところに対しては疑問が残っています。既存は、毎回だけれども月初めの確認でいいですとわざわざお知らせをしていたところを削除されましたので、この点は、デジタル化の勧めの割には手間暇が増える。
それから、電子カルテをどんどん推進していただくこととセットにはなると思いますが、残念ながら、支払基金での確認であれば、リアルタイムで診療データがすぐ反映されるものではない。ここは必ずしも、リアルタイムのよりよい医療になっているにはまだまだ課題がございます。あと、同じように薬も、支払基金のデータベースなので一か月前のデータ、直近で二週間前ぐらいというのは確認したんですが、結局はマイナ保険証のほかにお薬手帳をお持ちくださいとなっているんですね。
これがよりよい医療になっているとは言えないと思うんです。目指しているのは分かります。目指した結果、利益が分かります、患者さんにとっても、これを使うことでこういう恩恵があるねというのが実感として伴えば利用率は上がると思うんです。
ただ、今使えばよりよい医療になるよと言った結果、一か月前の診療データ、お薬手帳も結局は持ってこないとリアルタイムのお薬情報が分からない、そして毎回保険証のチェックを今までよりも頻度高くやらなきゃいけないということをもって、今、必ずしも十分なメリットを享受していない。だから、ちょっと様子を見ているよという方が多いというのが事実ではないかと思います。
是非、現実、よりよい医療になる努力を先に進めるべきだと思います。お答えください。
○河野国務大臣 毎回保険証確認をしなかったことで、成り済ましの被害というのも出ているわけでございます。これは、なかなか成り済ましのデータが取れていないということでお示しをすることができないのはあれでございますけれども、毎回、数秒の手間をかけることでこうしたことがなくなれば、成り済ましによる本来医療保険が負担しなくてもいいものが今負担になっている、これは結果として、保険料を払っている皆さんの負担にもつながっているということがございます。
それから、お薬手帳でやれば、お薬手帳を避難するときに探すというのはなかなか大変で、避難所で薬の確認ということは、これはマイナンバーカード保険証ならやることができますし、院内処方あるいは入院中の薬というのは、残念ながら、お薬手帳に反映されることはめったにございません。
電子処方箋の導入を進めておりますが、電子処方箋になっていけばリアルタイムで薬剤情報も反映することができるようになりますし、また、今デジタル庁で電子カルテの開発もやっておりますが、これは御自身の電子カルテをいずれマイナポータルから確認しにいくということもできるようになりますので、着実に利便性が高くなっている。
そのための今ベースをつくっているところでございますので、多くの方に御理解をいただいてマイナ保険証を病院に持っていただいているんですけれども、病院の受付でそれが使えないということが非常に頻発しているようでございますので、今、そこについて対応を厚労省と一緒にやろうとしているところでございます。
○岡本(あ)委員 私は、やはり享受するべきメリットがまだ見えていない。まだ実感、先ほどの御答弁でも、いずれという言葉なんですね。なので、いずれ整ったら利用率が上がる、それは自然として当然あっていいと思います。ところが、今は、避難所に確かにお薬手帳を持っていけませんでした、マイナンバーカードはあります、でも、お薬がリアルタイムの情報で取れないということが課題なんだと思います。ここのメニューを整える努力を更に重ねていただきたいと思います。
これまでの同僚委員の議論を見ても、やはり、希望する人がマイナ保険証にする、希望する人が免許証をマイナンバーカードに載せる、これは全然私はやるべきだと思いますが、自分のニーズはそこにはない、自分は望んでいない、そういう方にまで強制するようなことはあってはなりませんし、アナログも含めての選択肢というのは、やはりニーズが高まるまでは残すべきだということを強く求めたいと思います。
それから、一個にまとめるとなくしたときの本人確認が取れないというのは、井坂さんがおっしゃったとおりです。私の周りでもそれを経験した方がおります。マイナンバーカードと保険証を入れた財布を落としてしまった。すぐ見つかって窓口に行ったんですが、本人確認できるものを何か持っていますかと言われて、結局持ち合わせていないということで、それは二枚一緒に入れていたから二枚ともなかったんですが。
一枚だけにしたら、それを紛失したときに代わりに保証するものが限られてしまう。そういうことのリスクをもって一緒にしたくないという方々にとっても、それは尊重するべきだと思います。
あと、質問一の五番に飛ばさせていただきたいと思います。
今日、こども家庭庁、お越しいただいていると思いますけれども、今回、デジタル社会を形成する中のベースレジストリーというところに今後どういうのが入ってくるかというと、まだ決まっていないということでした。
今、こども家庭庁で、こどもデータ連携の取組を進めていることを明らかにしています。これは、こういう、基盤にするものではないという答弁を事前に伺っております。子供のセンシティブな情報を取り扱うんですけれども、こういう必要性は感じますけれども、みんなで共有すればいいというものではないということを強く申し上げたい。
少なくとも、子供に関するデータ、資料四に載っていますが、生活保護を受けているとか、あるいは要対協の対象者になっているとか、小中の出席日数とか、かなりセンシティブなものが入っています。かつての検討だと、学生時代の成績も、あるいは担任から見たときの生徒の態度も何か指標に入れようみたいな項目がありまして、私からすると、非常に自分にとっても黒歴史を十八歳、二十歳まで引きずられるとたまったもんじゃないと思った思いです。
少なくとも、これは本人の同意というところは手続として取るべきだと思いますし、少なくとも、自分のデータは扱ってほしくないという子供の意見があったら、これは尊重されるべきではないかと思いますが、こども家庭庁、いかがでしょうか。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
今先生から御指摘のあったこども連携事業でございますけれども、子供に関するデータ、これは、地方公共団体におきまして、福祉部局であったり、あるいは保健部局、教育委員会など様々な部署に分散して保有されております。このため、横の連携で各部署が持っているデータを突き合わせるということを通じて潜在的な子供というものを早期に発見するということで、その発見した支援が必要だと思われる子供に対して、プッシュ型、アウトリーチ型の支援を行うということを目指して、今、こども家庭庁で実証事業という形で進めておるというところでございます。
先生から本人同意が必要ではないかというような御指摘ございましたけれども、子供のデータ、おっしゃるとおり、個人情報の中でも非常にセンシティブなものでございますので、その利用に当たりましては、本人同意も含めて慎重に今検討をしておるというところでございます。
また、先生御懸念の、子供本人から自分のデータを取り扱ってほしくないというような意見があった場合ということでございますけれども、当然、子供本人の意見を尊重して、その意見を踏まえて適切に対応することになるというふうに考えておりますし、また、今後、データ連携の在り方を更に検討していく上で、子供からも意見をこの在り方について伺うということにしておるところでございます。
○岡本(あ)委員 少し安心しました。実証実験でも、保護者とか本人の同意を得て収集しているところもございましたし、それでトラブルになったという話も聞いておりません。
一方で、先ほど申し上げましたとおり、例えば、先生から見た生徒の態度とか、主観が混じるようなことは決して指標としては使ってほしくないと思います。下手したら子供に対するレッテル貼りになりかねないということは指摘をさせていただきます。
これは、集めて、ちょっとケアが必要なお子さんがいたねで終わるものではなくて、そのお子さんの意思も確認した上で、望むケアができることがこの取組の意義だと思います。
ただ、今、現場の市町村、首長部局、教員、それから福祉部局、障害がある子の療育機関など、ほぼほぼオーバーワークで体制が取れていないんです。見つけたから行政がやれだけでは実効が上がりません。本気でこの体制も強化をする覚悟の上で取り組むべきだと思います。こども家庭庁のお答えを聞きます。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
今回、実証事業の趣旨といたしまして、データ連携することで、支援を必要としている子供、これは、困難さが深刻化する前に支援をするということを目指しておるものでございまして、結果として、事前に早期に把握することによって、現場の皆様の負担を減らす効果も期待できるのではないかというふうに考えておるところでございます。
一方で、今先生御指摘があったような声も現に上がっておるということは承知しておりますので、私どもといたしましては、こうした声を真摯に受け止めまして、データ連携によって把握した子供への確実な支援の実施など、支援体制の強化についても実証事業の中で検討してまいりたいというふうに思っております。
○岡本(あ)委員 データ、デジタルを活用して、一人一人がみんな幸せになること、社会をつくっていく、このことを望んで、質問を終わります。
ありがとうございました。
○谷委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前十一時四十七分休憩
――――◇―――――
午後二時二十四分開議
○谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。一谷勇一郎君。
○一谷委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いいたします。
私からは、デジタル社会を進めていくために、本日は、医療そして介護、保健、そういった分野から質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず、特定妊婦さんの各市町村での認定基準のデジタル化、これを進めていかなければならないのではないかという問題意識であります。
現在、厚生労働省が出す全国的な特定妊婦に関するリサーチは、全てバイアスがかかってしまっている状態ではないかなというふうに思います。選定基準などを全国的に統一ができていないという問題があるのではないかというふうに思います。これでは、労研、厚労科研が特定妊婦や社会的ハイリスクの妊産婦さんの精密なアセスメント方法を幾ら作っても、基準が統一されていないので、全国的な均てん化、全国どこでも標準的な専門医療を受けられる医療技術等の格差の是正ができていないのではないかというふうに考えます。
各自治体がやはり独自のその選定基準を作っているということに対して問題意識があって、それをデジタル化することが必要ではないかということの質問です。政府参考人の方にお答えを求めます。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
特定妊婦の関係、現在、こども家庭庁の方で検討させていただいておりますけれども、今先生から御指摘あったとおり、認定基準というのは特段設けてございませんで、今、目安という形で、通知という形で自治体の方にお示ししておりますけれども、特定妊婦に該当し得る妊婦の様子や状況として、例えば、妊娠、中絶を繰り返しているでありますとか、あるいは薬物の使用歴があるとか、DVを受けているといったような具体的な項目をお示ししています。
これらの項目が複数該当し、かつ状況が継続している場合には、特定妊婦に該当する可能性があるという形で、今、目安の一つとして自治体の方に御活用いただいているわけですが、その自治体においては、私どもが示しているその標準的な項目に対しまして様々な独自の工夫等を加えながら活用して、ケース検討会議等の合議を経ながら運用されている状況であるというふうに承知してございます。
したがって、例えば、どの項目が該当するからこれは一律に特定妊婦になるでありますとか、あるいは、二つあるいは三つ該当するから特定妊婦に該当するとか、そういった一律の判断がなかなか難しゅうございまして、やはりそこはケース・バイ・ケースにならざるを得ないというところがございます。
こうした実務の状況に鑑みまして、先生の御提案ではあるんですけれども、全国一律の認定基準として統一を図り、さらに、その判定等の業務をデジタル化していくことは、現状ではなかなかちょっと難しい状況にあるというところでございます。
○一谷委員 これは、これに関わるドクターから大変たくさんの御意見をいただいていまして、先ほどの、十八歳未満で妊娠とか、虐待とかというのもあると思いますが、それはちょっと特例として、ただ、ある一定、標準はあると思いますので、標準化をして、国の方でデータを分析するということが必要だというふうに思いますし、せっかく厚労科研が物すごく綿密なデータを基にしてアセスメントを作ってもそれが生かせていないという現場の声をいただいておりますので、断言せずに、是非これは検討を進めていただきたいと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。
もう一つ、市役所の、保健所なんですが、母子手帳のデジタル化ということも進めていくということなんですが、まだまだ現場のスタッフの方の紙での作業が多いということで、やはり転記、転記を繰り返すということが非常に現場の重荷になっています。
このことについて、政府としては、何か取組がある、考えがあるのか、お答えをお願いいたします。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
現在、妊婦、乳幼児健診等は、問診票など紙による運用が基本となってございまして、住民の方、あるいは自治体、医療機関において負担でありますとか手間が生じております。また、健診結果につきましても、共有にどうしてもタイムラグが生じているという課題がございます。
このため、妊婦健診や乳幼児健診等を実施した際に受診者が電子的に記入した問診票が迅速かつ効率的に医療機関に共有されるとともに、医療機関からも健診結果が受診者や自治体に共有されますよう、母子保健情報を住民、医療機関、自治体の間で迅速に共有、活用するための情報連携基盤、これはパブリック・メディカル・ハブ、PMHというふうに呼んでおりますけれども、これの整備を今デジタル庁と一緒に進めておるというところでございます。
これによりまして、医療機関でありますとか自治体の事務負担は大幅に軽減されるということになるものと考えてございますし、母子保健の実施状況に関するデータの把握でありますとか管理が効率的に行うことができるというふうに考えておるというところでございます。
○一谷委員 そういったシステムをつくって、あとは現場にどう定着させていくかということが非常に重要だと思いますので、そこに何か、これは物すごいインセンティブがなければ、私も現場で仕事をしていて思いますけれども、なかなかやはり進まない現状がありますので、思い切ったインセンティブを与えていただいて、現場の方が、これはもうやらなければならない、やった方が本当に得だなと思うようなことを一緒に考えていただきたいと思います。システム上はどんどんどんどん組み上がっていくと思うんですが、是非お願いをいたします。
続きましては、医療と介護の問題の、連携についてお話をさせていただきたいと思います。
平成二十六年に介護保険法が改正されまして、平成二十七年度から、市区町村が行う事業として地域支援事業に在宅医療と介護の連携推進事業というのが位置づけられました。これで何が起こっていくかといいますと、やはり、地域包括ケアシステムの中で、人口が減少する中で介護需要は非常に増えていく、その中で、専門職と地域の方々が寄り添って、地域の介護と医療の連携、在宅医療を支えていこうということだと思うんですね。
私は、この二十六年から二十七年、もうずっと現場にいましたけれども、なかなか医療と介護の連携は進まないところがあります。やはり、介護側から見ると、医療側は非常に、ドクターに話をするとか看護師さんに話をするのもハードルが高いということなんですが、今、最も重要になってくるのは退院されるときの退院サマリーだと思うんですね。それをどうやって介護側が病院から引き継ぐかということが非常に重要になってくるというふうに思います。
今、ケアマネジャーさんは、退院されるときに、必ず病室に行って、そして医療から介護にスムーズにつなげるということが、これはもう課題というか職責として担わされていると言ってもいいぐらい、やらなければならない事業になっています。そこに、ケアマネジャーさんがサービスを出そうとする訪問看護であったり、介護であったり、通所であったりが、みんな一緒に集まるわけなんですね。これが全部紙なんですよ、紙なんです。これは、転記、転記していく間にまず間違ってしまった情報になることもありますし、病院から退院してしまってすぐというのは症状が重たいんですけれども、だんだん軽減をしていく、そうするとケアの中身も変わってくるはずなんですが、それがリアルタイムでやはり変更されていかないので、ファクスであったり、電話であったり、紙であったりでまたやり取りしなければならないのが、これが現状です。実際、二十七年度から医療、介護の連携ということが言われていますが、これはまだまだ進んでいないということです。
そして、これを政府の方にお聞きしますと、薬剤の方、これは進んでいると。これは私も承知をしています。ただ、今度、医療機関と介護機関の情報基盤を今別々でつくっているというふうにお聞きをしたんですね。これを別々でつくれば、またコンバーターシステムでつないで、変換してということが手間になりますし、そのシステム料は事業所に乗っかってきますので、やはり事業所の運営も大変になってくるということです。
こういった、今私が説明させていただいたことを踏まえて、今政府が医療、介護の連携、デジタル化についてどういった考えをお持ちなのかをお聞かせください。
○斎須政府参考人 お答え申し上げます。
政府としては、医療DXということで取組を行っておりまして、オンライン資格確認システムを拡充いたしまして、保健、医療、介護の情報を共有可能な全国医療情報プラットフォームというのを構築することとしております。
この中で、医療機関等が保有する情報ですとか介護事業所が保有する情報について、医療機関、介護事業所等で共有できる基盤をつくろうということで取組を進めているところでございます。
医療機関が保有する医療情報のうちどのような情報を介護事業所に共有するのが適当かということにつきましては、具体的な運用、情報の範囲、個人情報の保護の在り方も含めまして、関係者の御意見を伺いながら検討を進めているところでございます。
医療、介護の連携を進めるという観点で申し上げますと、令和六年度の医療、介護の同時報酬改定におきまして、入退院支援における関係機関との連携強化の観点からの診療報酬改定を行っております。また、介護報酬改定におきましても、入院時に生活支援上の留意点等の情報提供に係る評価の新設を行いました。このように、医療、介護双方からの連携を推進するように取組を進めているところでございます。
患者さんとか利用者さんに質の高い医療、介護サービスを提供する、そういう観点から、効果的な医療、介護連携に向けまして取組を進めてまいりたいと考えております。
○一谷委員 今、介護の現場では、非常に医療依存度の高い方がどんどんどんどん介護の現場に来られると。これはやはり、早期に退院をしていただくということもありますし、リハビリ日数が、百八十日から百二十日になり、そして九十日になっていく、なってくると、大腿骨の頸部が折れて、人工関節にして、それをデイケアではなくて、デイサービス、今までケアを行ってきた介護の現場でやりましょうというのが今の制度ですよね。そして、四十歳以上の方が脳梗塞になって、二年半ぐらいは回復の期待がありますけれども、実際、百二十日ぐらいで退院をしてこられるとなったら、やはり、デイサービス、デイケアでリハビリを継続するわけなんですよ。
これに対しては、私は、問題はないというふうに思います。体制を整えたらいいんですよ。ただ、この情報共有というのは、やはり、介護だからこれぐらいでいいんじゃないかという考えは、これはやめていただきたいなというふうに思います。
今、介護側にも、看護師さんもいらっしゃいますし、理学療法士もいますし、柔道整復師も、医療体制はかなり充実してきていると思いますし、その方向で加算をつけてきたはずなんですよね。ですから、ここは何か、出し渋りをせずにしっかりと情報提供していただく。それに対して介護側は勉強すればいいと思いますので、そういったところに加算を振り向けていただいて、誘導していただけたらというふうに思います。
ただ、やはり、河野大臣、スピード感が必要だと思うんですね。二〇四〇年が山として、もう僅かしかありません。是非、河野大臣の今のお考えをお聞きしたいと思います。
○河野国務大臣 やはり、医療、介護、あるいは医療の前の保健の部分、このデータ連携に対する現場のニーズというのは非常に強いものがございます。
全国医療情報プラットフォームを構築をして、介護の現場でも医療の情報がしっかり見られるようにする、あるいは介護の現場、自治体、情報がしっかり共有できるようにする、これは本当にスピード感を持ってやらなければいかぬというふうに思っておりますので、デジタル庁、厚労省、しっかり連携をして進めてまいりたいと思います。
○一谷委員 今、すごい、目線から強い意思を感じましたので、是非よろしくお願いをいたします。ありがとうございます。すごい、ひしひしと感じました。大臣の一言で大きくこの世の中が変わりますので、お願いをいたします。
続きまして、介護分野のDXだけのお話をさせていただきたいと思います。
介護事業所にとって最も困ることというのは実地指導です。実地指導は、介護保険が、地方分権ということで、かなりローカルルールがあります。このローカルルールに苦しむんですけれども、それ自体は、私は、各自治体の地域の実情がありますから、問題はありますけれども、クリアしていったらいいと思うんですね。
実地指導に来たときに、今、記録を紙ではなくてデータで見せる、これは問題がないと言われているんです。ならば、実地指導というのは行きますよと言ってから大体一か月ぐらいの猶予があります。その期間にこちらがデータで保有しているものを自治体に提出をさせていただけたら、そうしたら現場で多くの時間がかからずに、そこで修正をして、介護事業所にとっては、これは営業を止めてやらないといけないわけですから、営業損失も出るわけですし、何か、一か月間もやもやもやもやしながら、そわそわしながら事業をする必要もないと思うんですが、この考えについて、政府、どう考えておられるか、御答弁お願いします。
○斎須政府参考人 お答え申し上げます。
介護保険制度におきます運営指導につきましては、デジタル原則の考え方ですとか事業者の負担軽減の観点から、令和四年三月に、国が定める指導指針を改正いたしまして、実地でなくても確認できる内容については、情報セキュリティーの確保を前提にして、オンライン会議システム等の活用による確認を可能としているところでございます。
今後こうした取組を普及すべく、オンライン会議システムを活用した運営指導に対する自治体や事業者の意見を確認いたしました。そうしましたところ、前向きな意見がある一方におきまして、ICT環境の確保ですとか、あるいは文書確認の困難さに課題を感じているという声も聞かれたところでございます。
介護全体としてデジタル化に取り組んでいる中で、運営指導の実効性と現場の負担軽減に留意しながら、関係者の御意見も踏まえて取り組んでまいりたいと考えております。
○一谷委員 今、ICT化という言葉が出ましたので、質問を、順序を変えて、九番目の質問をさせていただきたいと思います。
介護現場のセンサー利用についてです。
政府は、このICT化にかなりの予算を割いていただいて、我々介護事業所にタブレットの導入であるとかアプリの導入というのを進めてくださいました。
確かに、手書きをして、紙ベースで転記をするよりは、タブレットに情報を打ち込んだ方が、転記もなくて、情報の間違いもなくスムーズだと思います。ただ、この十年、十五年、このICT化は、結果的には私は介護現場では進んでいないというふうに思いますし、それを否定は多分政府もされないというふうに思います。これはなぜかといいますと、結局、ボタンを押さなければならないという手間なんですね。
介護事業所の介護点数というのは時間でいただきます。配置基準と時間です。病院の診療は傷病名になりますが、介護は時間なんですね。ということは、利用される方が、決まったケアプランに基づいた時間、その場にいらっしゃるかどうか、そして、決められた資格を持ったスタッフが、決められた時間、その場にいるかどうかというのが実地指導の最大のポイントであります。記録のポイントなんですね。
じゃ、これはセンサーで今測れるはずなんですよね。商品は開発されています。ですから、このセンサーの導入に対してもっと力強く、加算で誘導していただくとか、これが特老であったり有老であったらセンサーを通す、配線については助成金が出ていますけれども、これは通所であったり訪問であったりするところにはセンサーのところの補助金は出ていないと思いますので、これは、ICT化で効率をよくしようという政府の宣伝よりは、センサーを使って、タブレットのボタンを押すことも必要ないというようなことで、実地指導にこれを連動させてしまえば大幅な介護現場の省力化になると思います。
これは私の今の考えですが、政府、こういった考えはあるのかどうか、お聞かせいただけたらと思います。
○斎須政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のような見守りセンサーの活用によりまして、介護職員による不必要な巡回を減らすことができますし、また、介護記録ソフトと連携して、そのセンサーから収集した情報を自動で記録できるということで、手間も省けます。業務負担の軽減につながるものと考えております。
こうしたテクノロジーの活用につきましては、一層推進していきたいと考えております。
ただ、先生御指摘のとおり、見守りセンサーを導入している施設系のサービスで申し上げましても全体の三割程度ということでございまして、まだまだ幅広く普及しているとは言えないという状況にございます。
厚生労働省といたしましては、地域医療介護総合確保基金を活用した導入支援ですとか、あるいは、令和五年度からは、介護事業所による生産性向上についての相談を一元的に受け付ける、ワンストップの相談窓口を都道府県に設置するということで、導入の後押しをしてまいりたいと考えております。
○一谷委員 見守りをセンサーでするというのは、ケアの質を上げていくという視点だと思うんですね。その視点とは別に、やはり、実地指導、本当に業務負担を軽減するという、違うスタンスで是非考えていただきたいというふうに思います。
それでは、次はケアプラン連携について質問をさせていただきたいと思います。
一昨年、十月十一日にもこの質問をさせていただいたんですが、昨年四月にケアプラン連携というのがリリースをされました。公益社団法人である国民健康保険中央会介護保険課が運営する、介護サービスを効率的にさせるというところで、厚生労働省も導入を後押しをしてくださっております。どういうサービスかといいますと、介護というのはケアプランに基づいたケアしかできない、リハビリしかできないんですよね。そうすると、そのケアプランに基づいた内容を、手で持っていく、ファクスを送るではなくて、もうデータ連携していこうということで、これは私は物すごく画期的なシステムだというふうに考えたんですね。
そこで質問をさせていただいていたんですが、実際、昨年の四月にリリースされてもう一年たちますけれども、導入が五%に、止まっているということで、本日、今日質問に立たせていただくので現場に電話をいろいろしてみましたが、ほとんど導入されていないんですよ。それは、隣の事業所、自分の自治体の事業所の中に導入している事業所が少ないから、結局、自分のところが導入しても連携する相手がいないということなんですね。私の兵庫県でも五百五十事業所だけでした。ゼロという市町村もたくさんありました。
ここを進めていくために政府はどういったことを考えているか、答弁を求めます。
○斎須政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、ケアプランデータ連携システムにつきましては、昨年運用を開始いたしましたけれども、本年三月時点で、対象事業所の約五%、約九千事業所の利用にとどまっているというところでございます。
このシステムを全国的に広げていくためには、やはり、保険者であります自治体に主体的に取り組んでいただくことが効果的と考えておりまして、昨年末のデジタル行財政改革会議に厚生労働省からお示ししたKPIにおきましては、導入実績がある自治体の割合を、二〇二六年に八割、二〇二九年に十割まで引き上げるということで、普及促進に取り組んでいるところでございます。
具体的には、各都道府県の国保連と連携しまして、説明会等、普及啓発の取組を強化するとともに、令和五年度補正予算を活用いたしまして、自治体が主導してこのシステムの活用を促進する取組を支援していきたい。
令和六年度の介護報酬改定におきましても、このシステムを活用することを要件といたしまして、ケアマネジャー一人当たりの取扱件数の上限の緩和といったような措置を講じているところでございます。
今後とも、効果的と考えられる様々な機会を捉えまして、このシステムの利用を促していきたいと考えております。
○一谷委員 これを一気に広げるためには、私はケアプランのAI化やというふうに思います。
一昨日、厚生労働省の視察で大成建設さんに行かせていただきました。そこでは、従業員の方に、ケアマネジャーさんに渡す、自分がどういった働き方をしたいか、家族構成はどうか、こう書いてあるわけなんですね。それをケアマネジャーさんに渡して、プランを作る。大成建設さんは、それで介護離職がほぼないわけなんですよ。こういったデータをどんどん吸収していただいて、是非、ケアプランはAI化を進めていただきたいと思います。
時間がないので、最後、意見だけ述べさせていただきたいんですが、もう一つは、デジタル社会を目指す六つの姿の中に、やはり防災という言葉も入っています。
今、避難困難者のデータ化というのは各自治体が持たれていて、そして個別避難計画を作られます。ただ、これも、実際、避難の方を助けに行くのは、地域の民生委員の方であったりとか介護事業所であったりケアマネジャーさんなんですよね。
これはまだ紙なんですよ。そうすると、紙ベースでは何とか一人で歩行ができると書いてあっても、実際、行ってみたらもう寝たきりになっていますみたいなことなので、やはりこれもリアルタイムで情報を変えていかないといけないと思いますので、是非、時間がないので言いっ放しにしますが、この困難者の方々、避難するのが困難な方々、個別避難計画も、もうデジタルでやるということを決めて進めていっていただけたらというふうに思います。
時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○谷委員長 次に、赤木正幸君。
○赤木委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の赤木正幸です。会派を代表して質問させていただきます。
今日は五十分も時間をいただきまして、誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします。
本日は、デジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案についての質疑になるんですけれども、私は、ベースレジストリー、つまり公的な基礎情報データベースに関する質疑を中心に進めさせていただきます。特に、このベースレジストリーの中でも、不動産に関するレジストリーを深掘りさせていただきます。
これは私ごとになるんですけれども、国会議員になる前、実は私は、不動産会社とか不動産ファンドで不動産の売買をばりばりとやっておりました、証券化を含めて。そのときに、不動産関係のデータレジストリー、まあ、その当時そのような言葉はなかったんですが、やはり不動産ビジネスのサイドから、関心とか、場合によっては不満を持っていたというのが現状です。
特に二〇一五年以降は不動産業界にもテクノロジーを活用する機運が高まって、アメリカでプロップテックという、プロパティーとテクノロジーをくっつけた造語なんですけれども、それが始まって、日本では不動産テックと呼ばれる動きが活性化して、実は、私も会社を立ち上げて、不動産ビジネスに関する不動産の情報流通を活性化させるシステムをエンジニアと協力しながら開発して、展開しておりました。そのときに、これから質問させていただく不動産の情報の特殊性に改めて直面して、相当苦労した苦い経験があります。
そこからここ数年は、不動産関係のベースレジストリーですか、進捗は実はとても的確かつスピード感があると個人的には期待しています。これがもしあと五年早く進んでいればあんな苦労していなかったのになと思いながら、ちょっと本日の質問を考えておりました。
あとは、不動産テックに関わる企業を集めて、私自身が不動産テック協会という団体を立ち上げて、そこで、不動産ID、これも後ほど質疑させていただきますが、最近IDに関する取組も積極的に行っているんですが、これも御縁だなと考えております。
ちょっとつらつらと私の身の上話をさせていただきましたが、今日の質疑は、国会議員の立場というだけじゃなくて、実際に不動産ビジネスをやっていた人間、なおかつ不動産テックビジネスを現場でやっていた人間の声としてお聞きいただければなと考えております。
まず、不動産関係のベースレジストリーですが、実は、皆様が当たり前と考えていることが当たり前に起きていない世界です。今日、ちょっとそれを実感していただきたくて、量は多いんですけれども、十ページもの資料をお配りさせていただきました。
まず、ちょっと一ページ目を見ていただきたいんですけれども、ちょうど上の文章をちょっと読ませていただきます。これは、ベースレジストリーと制度課題についてというデジ庁さんが去年の秋に作られた資料なんですが、一行目に、「現状の日本では、住所・所在地及び建物情報を行政が一元的に管理しておらず、各管理主体でそれぞれに住所・所在地及び建物情報や地図等を整備しているため、社会全体で重複したコストが生じている。」と。最後の方になるんですが、「住所での物件の特定が困難な場合があり、調査コスト等が発生している。」と。これはちょっと何を言っているのか御理解いただくのが難しいかもしれません。
住所というのは当たり前に存在していて、郵便とか宅急便も当たり前に届くんですけれども、実は、この住所と地番というのが違う概念のものだったり、複数の省庁とか地方自治体に点在したり、管理とか情報の所在が点在している。特にまた、民間の事業者しか持っていない情報があったりする世界です。
これをもうちょっと詳しくイメージしていただきたくて、二ページ目を見ていただきたいんですが、住所と一言で言っても、実はこういった、レイヤーというか、複合的な情報が重なっています。
まず、土地を特定する地番というものの上に建物を特定する不動産の番号があるんですが、ここに人が住んでいれば住所が設定されて、人が住んでいなくても事務所等には所在地が設定されるという、まあ、住所と所在地は実は違うんですが、人が住んでいる場所はざっくり言うと住所で、事務所なんかの住んでいないところは所在地なんです。さらに、建物のない土地には住所が存在していなかったりします。なので、たまに、自治体のホームページで、建物を新築したときは住居表示の申請をしてくださいという案内があるんですが、これはこういった理由があるからなんですね。
こういったことを踏まえて、一つ目の質問になるんですが、不動産関係のベースレジストリーを指定されていると思うんですが、実際どのように指定されているか、これを、どのような整備状況になっているかについて状況をお伝えいただけますでしょうか。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
現在、不動産関係ベースレジストリーとして、不動産登記、アドレス、不動産ID、この三つを指定をしているところでございます。
このうち、デジタル庁で整備をしている不動産登記ベースレジストリーにつきましては、データの品質を始め課題があったんですけれども、昨年度の事業においてパイロットシステムを構築して、各省庁にも協力を得て実証事業を実施するなど、課題を解決するための必要な取組を進めているところとなります。
デジタル庁としては、国民の利便性向上や行政運営の簡素化等に資するよう、引き続き、関係省庁とも連携をしながら、着実に整備を続けてまいりたいというふうに考えております。
一方、アドレスベースレジストリーにつきましては、行政機関が保有する情報に基づいて、町字データを整備し、令和四年から試験的にデータを公開しているところでございます。
このデータにつきましては、例えば昨年も、ひもづけ誤りの問題があったときに、大量の突合作業が発生して、ここでもやはり住所揺らぎで非常に苦しんだ自治体やそのほかの機関が多くありましたけれども、これをある程度揺らぎを吸収して突合するツールを自治体に提供したりですとか、かなり、試験的なものとはいえ活躍をしたというところがございます。
とはいえ、まだ運用の状況が、きちっと最新のデータを常に自治体から吸い上げるようにはなっていないところもありますので、これは本格運用に向けてしっかりと今準備を進めているというところでございまして、この町字データにつきましては、市町村にも御協力をいただきながら、最新性や正確性を担保する取組を進める予定でございまして、令和六年度中に整備をできるように取り組んでいるところでございます。
○赤木委員 ありがとうございます。
私も実際の作業工程を具体的に幾つか見させていただいているんですが、本当に、相当に膨大な作業で、言い方はあれなんですけれども、とても地味かつ地道な作業で、ただ、これをやらないと次のデータの活用ができないという作業と認識しています。不動産の情報というのは特に日々拡大していく情報なので、本当に、システムをつくっていた身からすると、一番避けたい、長くつらい作業だと思うんですけれども、継続して進めていただければと思います。
先ほどアドレスという言葉も出てきたので、ちょっとそこの参考資料になると思って、三ページ目を御覧いただければと思います。
実は、住所と言えないのが、所在地という世界があるんですけれども、先ほどもちょっとお話ししたみたいに、住所がない、いわゆる土地だけの場合、住所がある、住所だけの場合と、全部細分化すると、実は、総務省さんとか市区町村さん、あと法務省さん、管轄が違ったりするんですね。なので、やはり、整備するには非常に膨大なコストが、時間、人員がかかると考えております。
そこで質問になるんですけれども、これだけの人員をかけて不動産関係のベースレジストリーを整備する意味というかメリット、逆から言うと、整備されていないことによる問題やデメリットについて、政府のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
不動産に関するデータのうち、不動産登記や住所、所在地に関するデータにつきましては、行政機関における手続や事務で頻繁に利用されているというふうに認識をしております。
しかしながら、行政機関でこれらのデータを利用する際には、それぞれの機関において、所在地情報の表記揺れを補正する等の加工作業を行う必要があるという状況にあると承知をしております。
また、国や一部の地方公共団体での手続において登記事項証明書の添付を省略する取組が行われておりますけれども、国民の利便性を更に向上していくためには、利用できる自治体を拡大していく必要があるというふうに考えております。
デジタル庁としては、不動産登記や住所、所在地に関するデータをベースレジストリーとして整備することを通じて、今申し上げたような課題を解決し、国民の利便性向上や行政運営の簡素化等を実現してまいりたいというふうに考えております。
○赤木委員 そうですね。データの連携はすごく大変なんですけれども、それが実現したときには、不動産IDにも関わるとは思うんですけれども、電気とかガスとか水道等のデータなんかと連携して、空き家がすぐ分かったりとか、物流問題が解決したりするような可能性を秘めていると私も考えております。
特にこの不動産関係のベースレジストリーに関しては、データの所在が実は民間にも散らばっていて、行政がやるべきことと民間がやるべきことの境界が結構曖昧というか、そこの線引きが難しいと考えているんです。
そこで質問になりますが、不動産関係のベースレジストリーの整備に関する官民連携、若しくは官と民と役割分担について、政府としてどのように考えているか、お聞かせをお願いいたします。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
ベースレジストリーは、行政機関等が正当な権限に基づいて収集した情報に基づいて整備をすることとしております。一方、過去のデジタル臨時行政調査会の作業部会でのヒアリングにおいて、建物情報に対するニーズもありましたけれども、これまでの検討では、行政機関が収集した情報だけでは建物までのデータを整備することは困難であるというふうに考えております。
詳細につきましては引き続き検討を行っているところでございますけれども、このような状況を踏まえますと、例えば、デジタル庁で行政機関が収集した情報に基づいてアドレスベースレジストリーを整備し、民間事業者の方々が建物を特定するための追加的な情報を提供するというような形で連携していくことなどが考えられるというふうに考えております。
○赤木委員 ありがとうございます。
そうですね。まさに今お答えいただいた内容と次の不動産IDに関する質問が多分関連してくるんですけれども、デジタル社会とかIT化が、デジタルがあふれ返ってきているんですけれども、私は、人間の認知能力の柔軟性というものはすごく非常に高いと考えています。
一般の世の中で、生活で当たり前のことをシステム化すると、途端にデータの世界の制約にひっかかってしまうんですが、その一例が住所や所在地の情報なんですね。これは表記揺れ、先ほども何度か言葉が出てきましたが、デジタル化の最大のボトルネックになっていると考えています。
これは四ページ目の資料を見ていただけると非常に分かりやすいんですけれども、我々、見れば、表記揺れの例で五つの、例えば一丁目五番地一とか、一―五―一、これは全部同じ住所と分かるんですが、データになった瞬間に、データ上は別のものになってしまうんですね。一丁目の一が数字なのか漢字なのか。あと、ハイフンもそうですね、これは半角なのか全角なのかによって違いますし、「番地」がついているかどうかでも変わってきます。あと、漢字の揺れもあります。霞が関も三パターンありますね。霞が関の「が」が平仮名なのか、片仮名なのか、ちっちゃい片仮名なのか。こういった部分が、デジタル化する、データ整備の上では非常に難しいハードルとなっていると考えています。
そこで、今のは一例にすぎないんですけれども、不動産に関する情報の現状と、不動産IDがなぜ必要と考えているのかといった点について、政府の見解をお願いいたします。
○楠田政府参考人 お答えを申し上げます。
不動産に関する情報につきましては、住所、地番の表記揺れ等がある場合、同一物件か否かというものが直ちに分からず、名寄せ作業に手間、時間がかかることが一つの課題となってございます。
不動産IDは、このような土地や建物を一意に特定するためのIDでございまして、名寄せを容易にすることで事業者の負担を軽減いたしますとともに、行政や民間など多様な主体が保有する不動産に関する情報を効率的に連携をするということを目指して取り組んでいるところでございます。
○赤木委員 そうですね。まさにこの不動産IDを整備することの効果やメリットというのがあると思うんですけれども、もうちょっとイメージをつきやすいように、ユースケースのようなイメージでも結構ですので、このIDを整備するメリット、若しくは整備されていないことのデメリットについてお聞かせいただけますでしょうか。
○楠田政府参考人 お答えを申し上げます。
不動産IDは、不動産分野に限らず、物流でありますとか災害対応など、様々な分野での活用が期待をされているということで、昨年度、モデル事業というものを実施いたしまして、多様なユースケースの創出に取り組んでいるところでございます。
その中で、例えば、災害対応ということで、不動産IDを介して自治体と民間の方で建物の被害情報を連携することによりまして、罹災証明の発行を効率化するなどの活用の検討を進めているところでございます。
御指摘をいただきました不動産IDが整備をされない場合につきましては、このような事務の効率化や新たなサービスの創出を図ることが困難になるというふうに考えてございます。
○赤木委員 ありがとうございます。
そうですね。今御回答いただいたような内容以外にも、例えば、特に最近問題になっている再配達の問題で、住所、場所をはっきり認識して、それをおいおいドローンで自動で配送したりとか、あと、損保業務なんかも、不動産の管理状況なんかをIDとひもづけて管理すれば、精緻化、効率化できるといったことも言われていますので、ちょっと、この不動産IDについては、直接それ自体が効果があるというか、そこから派生した効果が非常に大きいと思いますので、進めていただきたいんですが。
このIDの整備の方針なんですけれども、当初は、国はあくまでもルールの整備にとどまって、一元的なデータベースを作成する方針じゃないということも出されていましたが、現状では更に踏み込んだ実証実験もされていると認識しております。この辺り、国の役割と進捗についてお聞かせいただけますでしょうか。
○楠田政府参考人 お答えを申し上げます。
令和三年九月に不動産IDルール検討会というものを設置いたしまして、不動産IDの目指すべき方向性、不動産IDのルール、不動産ID利用に当たっての留意事項、留意点等について議論を行いまして、令和四年三月に中間取りまとめを行いました。その中で、委員御指摘のとおり、一元的なデータベースを作るということは、国が担うかということについては、担うものではないというような記載もさせていただいたところでございます。
ただ、その後、不動産IDの利活用を更に進めていくということで取組強化をしておりまして、昨年度、住所、地番を入力することで不動産IDを確認できるようなシステムの試作をするといった実証実験を実施したところでございます。
その結果みたいなものをしっかり踏まえながら、不動産IDの整備の方針でありますとか国の役割について、引き続き検討を深めてまいりたいと考えてございます。
○赤木委員 ありがとうございます。
まさにシステムの開発に近い世界なので、走りながら考えて改善していくアジャイル的な進め方というのは非常に理にかなっているかなと思っていますので、引き続きIDの方を進めていただければと考えております。
次は、不動産の価格についての質問に移らせていただきます。
よく、不動産の価格は、一物五価、五つの価格があると言われています。これは五ページ目を御参照いただければと思うんですけれども、公的な価格、行政が主体となって把握している価格だけでも四つあります。公示価格、基準価格、路線価、固定資産税評価額ですね。これに加えて、実際の不動産のマーケットで形成される実勢価格、これで五つあるんですが、これは根拠法とか、根拠になる法律ですね、中身も違うような公的な評価が実は四つもあるんです。
これは、公的に把握している価格であるなら不動産関係のベースレジストリーに位置づけられてもいいのかなと考える部分もあるんですけれども、不動産の価格がベースレジストリーに指定されていない理由、また、今後どういった方針で動かれるかといった点について、御見解をいただけますでしょうか。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
ベースレジストリーは、制度横断で多数の手続等で参照され、正確性や最新性等を確保したデータを整備することにより、国民の利便性向上や行政運営の簡素化、効率化に資する、こういった性質のものを入れていこうというふうに考えております。これまで不動産価格をベースレジストリーに指定するか否かについて検討を行ったことはないというふうに承知をしておりますけれども、まずはこうしたベースレジストリーの性質になじむものなのかの検討が必要であるというふうに考えております。
ベースレジストリーの指定につきましては昨年七月に見直しを行ったところでございまして、現時点で直ちに見直しを行うことは想定しておりませんけれども、見直しを行う際には、必要に応じて、今申し上げた観点などを踏まえて適切に検討してまいりたいというふうに考えております。
○赤木委員 ありがとうございます。
これは、相当なコストをかけて、毎年若しくは三年ごとに価格を調査されているわけですが、地価公示価格、都道府県地価調査、相続税評価、そして固定資産税評価、不動産という意味では不動産の価格なんですけれども、それぞれの違い若しくは役割分担、あと、評価の地点数でかぶっている評価地点もあると認識しているんですが、それについて、そして、できれば、それぞれの調査にかかる予算額等についてお答えいただけますでしょうか。
○川野政府参考人 お答え申し上げます。
地価公示につきましては、地価公示法に基づき、国土交通省土地鑑定委員会が毎年一月一日時点の正常な価格を判定するもので、一般の土地取引の指標、不動産鑑定評価の基準、公共事業用地の取得価格の算定の基準などの役割を果たすものであり、令和六年公示におきましては、予算額は三十七億二千万円、調査地点は二万六千地点となっております。
また、都道府県地価調査は、国土利用計画法に基づき、都道府県知事が毎年七月一日時点の正常な価格を判定するもので、国土利用計画法の価格審査の基準の算定基礎のほか、地価公示を補完する役割を果たすものであり、令和五年調査においては、調査地点は二万一千三百八十一地点となっております。
なお、地価動向を代表的に表す地点や、地価が変動しやすい地点などについては、半年ごとの地価動向を把握する必要があることから、令和六年地価公示では、千五百八十四地点が都道府県地価調査との共通地点となっております。
○植松政府参考人 相続税評価についてお答えいたします。
相続税等におきます財産の価額は、相続税法第二十二条の規定によりまして、財産取得時の時価によることとされております。
しかし、納税者が申告に当たりまして土地等の価額を的確に把握することは困難でありますため、納税者の申告の便宜及び課税の公平性を図る観点から、なるべく簡易かつ的確に評価額を算定することができますよう、国税当局におきましては路線価等を毎年定めているところでございます。
路線価等の評定の実施に当たりましては、課税の適正化のみならず、評定の効率化という観点も踏まえまして、地価公示価格、都道府県地価調査価格の全てを路線価等の評定の基礎として活用しているところでございます。
また、市街地でない地域の土地の具体的な評価額の算定に当たりましては、固定資産税評価額を活用し、これに一定の倍率を乗じて評価することなどにより、他の公的土地評価も十分に活用し、効率化に努めているところでございます。
お尋ねの調査地点数、予算額でございますけれども、直近の令和五年度における調査地点数につきましては約三十七万地点、予算額につきましては約三十一億円となってございます。
○鈴木政府参考人 お答えいたします。
固定資産税の評価についてお答えいたします。
土地に係る固定資産評価額は、各市町村が課税している固定資産税の算出に用いられており、具体的な評価方法は、総務大臣が定める固定資産評価基準に定められております。
土地に係る固定資産評価は約一億八千万筆について行われており、そのうち宅地の評価につきましては地価公示価格等の七割を目途に評価することとされていることから、基準となる標準宅地の評価に際して、地価公示や都道府県地価調査の価格を活用しております。
この標準宅地は、令和三年度評価替え時におきまして全国で四十三万地点ございまして、このうち地価公示及び都道府県地価調査地点の価格を活用している地点数は約三万四千地点でございます。残る約四十万地点につきましては、各市町村におきまして不動産鑑定士等による鑑定評価を行っているところでございます。
○赤木委員 ありがとうございます。
実際に、やはり三省庁にわたってお答えいただいているというのが、一つこの実態を表している部分があるかなと思うんですが、相当な数の地点を調査されて、実際、私がいただいた資料でも、地点数が少しずつ減っていっていて、効率化されているとは認識しているんですが、実は、財務省が平成十四年度に予算執行調査というものを行って、国土交通省さんの地価調査経費が正しく執行されているかどうかということをチェックされて、その結果、地点とか調査手法の連携が不十分、公的地価調査相互の役割分担の在り方と調査手法の効率化が必要であると指摘が過去ありました。
この予算執行調査の指摘を受けての改善結果、若しくは、国土審議会土地政策分科会とか公的土地評価研究会において議論が続けられていると思うんですけれども、その後の状況についてお答えいただけますでしょうか。
○川野政府参考人 お答え申し上げます。
平成十四年度予算執行調査においては、地価公示を始めとする公的地価調査について、公的地価調査相互の役割分担の在り方と調査手法の効率化が必要との指摘がなされたところでございます。
これを踏まえまして、各公的土地評価を担当する国土交通省、財務省、総務省から組織する公的土地評価研究会におきまして、定期的に意見交換を実施してきたところでございます。具体的には、各公的評価の地点の重複や近接状況の確認等を行いながら、地点の見直しなど各公的評価における調査の効率化を進めてきたところでございます。
土地基本法において、「公的土地評価について相互の均衡と適正化が図られるように努めるものとする。」とされていることを踏まえまして、今後とも、財務省、総務省とも緊密に連携しながら対応してまいります。
○赤木委員 そうですね。まさにこのような省庁横断的な課題で、特にデータに関することはデジタル庁さんのような省庁が本領を発揮する場面かと認識しています。国会だけじゃなくて、研究者とかメディアでも価格の一本化の議論というのはあったのかなと。先ほどちょっと御答弁がありましたが、やはりほかの国税庁さんとか総務省さんが国交省さんと調整するといったお話も聞いたこともあります。
ここで、大変遅くなりましたが、河野大臣への質問になるんですが、この四つの公的な価格、省庁横断的な不動産の価格というもののデータを政府としてどのように扱う方針を持たれているかについて、お答えをお願いいたします。
○河野国務大臣 四つの価格とそれから実勢価格とあって、私もこれは一体何なんだろうというのを子供の頃おやじに聞いた記憶があるぐらいでございます。
今答弁ありましたように、まず、国交省、国税庁、総務省、研究会を立ち上げていろいろ議論をしてくれておりますので、その中で、ベースレジストリーのようなデータベース化することがやはりこれは利便性の向上のために必要だよねということになれば、デジタル庁も出張ってまいりたいというふうに思っているところでございます。
○赤木委員 先ほどの一谷委員じゃないですけれども、河野大臣の強い目線を感じて、非常に心強い、かなり一歩進んだ御回答をいただけたと思っております。これはもう一体化は無理ですと一言で一蹴されるのかと思ったんですけれども。是非、やはりデータレジストリーとの関係もあります、それぞれの価格の意味というのは、私も不動産をやる中で意義があるというのは理解はしていますが、すごく難しい調整だとは思うんですけれども、これを機に進めていただければと考えております。
次に、実は不動産業界で四月に衝撃が走っているんですね。何かというと、国土交通省さんが公開された不動産情報ライブラリというサービスがあるんですが、これは、衝撃って何かというと、むちゃくちゃ使いやすいんですね。動作も早くて、UIという、いわゆる使い勝手の、画面構成もすごい直感的に使えるもので、私の知り合いの不動産業者さんなんか、これは役所が作ったものとは思えない、金を取れるレベルだよと絶賛されています。
特別なシステム、インストールも要らないですし、ブラウザーだけで見られます。更にすごいのが、APIといったほかのシステムとの連携をする仕組みを最初から搭載して、APIを発行してくれているという、データのオープン化を最初から考えて作られているものなので、すごく皆さん喜んでいます。私も使わせていただいております。
そこで質問になるので。まだ始まって一か月もたっていない状態なので、今後の展開を期待しているんですけれども、先ほどの相続税評価、固定資産税評価はまだ見られない状態になっている、地価公示なんかは見られるんですけれども、今後の方針として、そういったものを掲載する若しくは連携する方針があるかどうか、教えていただけますでしょうか。
○川野政府参考人 お答えいたします。
不動産情報ライブラリは、不動産取引を検討している消費者を対象に、地価公示やハザードマップ等のGIS形式のオープンデータを地図上で重ねて表示するウェブサービスであり、今月一日より公開しております。
委員御指摘のとおり、この不動産情報ライブラリにおきましては、価格情報として相続税評価及び固定資産税評価に関する情報は掲載しておりません。
その理由でございますけれども、それぞれのデータ保有者にも確認をいたしましたところ、相続税路線価につきましてはGIS形式のデータを保有していないこと、それから、固定資産税路線価につきましては個別の地方公共団体から承諾を得る必要があることなどの理由から掲載を見送ったところでございます。
国土交通省といたしましては、不動産情報ライブラリの利便性向上のため、利用者のニーズも踏まえつつ、引き続き掲載データの充実に努めてまいります。
○赤木委員 是非掲載して一元化していただくことを期待しております。これは、実は不動産業者だけじゃなくて、我々国会議員も非常に使えるものになっています。実は、小学区とか中学校区の学区が全部重ねて見られるようになっていますので、実はすごく有用性のあるもので、一般の方も引っ越しするときにどの学区になるかみたいな使い方を実は既にされ始めていますので、是非進めていただければと考えております。
じゃ、次に、だんだんちょっと時間が、不動産の話ばかりしているとどうしても私は長くなるんですが、ちょっと、指定流通機構、いわゆるレインズという、不動産業者が活用しているシステムの、機構とシステムの話に移らせていただきます。
これは、以前は全国四つのレインズ、機構があって、三つのシステムを利用していたと認識しているんですが、今、統合化されていると先日お聞きしました。
これは、元々異なるシステムを構築していた理由や、逆に、統合した経緯、あとは、統合しているシステムにおいては全国一律で同じものが見えるようになっているかという点、最後に、可能であれば、システムの構築、メンテナンスを行っている企業名に関して教えていただけますでしょうか。
○楠田政府参考人 お答えを申し上げます。
令和四年の一月に、委員御指摘のとおり、それまで四つの指定流通機構が運用しておりました三つのレインズシステムにつきまして、一つに統合されたところでございます。また、これに伴いまして、システムへの登録項目も基本的に統一をされてございます。
この統合につきましては、指定流通機構によりますデータベース管理の効率化でありますとか、広域での物件の登録、検索など、宅建業者の利便性の向上を図るといったことを目的に、各指定流通機構の間で議論が行われまして、令和四年一月に実現に至ったということでございます。
また、統一システムの構築、そしてメンテナンスを行っている事業者についてでございますけれども、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、それから株式会社日立システムズであるというふうに承知をしてございます。
○赤木委員 ありがとうございます。
レインズに関して、APIを公開していないんですけれども、これはなぜなのかということと、あと、データの二次利用も規約で禁止されているんですね、ここについてちょっと教えていただきたいことと、もう一個、質問を統合してしまうんですけれども、そもそも、レインズを、例えばベースレジストリーと連携していくような方針はお考えになられていないかという点について、御見解をお願いいたします。
○楠田政府参考人 お答えを申し上げます。
APIの関係でございますけれども、不動産の流通の円滑化を図るというためには、宅建業者の間で物件の情報を広く交換をして、取引の相手方を探索できるということが大変重要だというふうに考えております。
このため、依頼者が他の宅建業者に重ねて売買の仲介等を依頼することが禁じられております専任媒介契約等の目的物であります建物等につきましては、その情報を広く交換できるように、宅建業者が指定流通機構に登録をするといったことを義務づけているところであります。
ただ一方で、当該登録される事項につきましては、宅建業者が業務上知り得た秘密が含まれるというふうに考えられますので、慎重な取扱いが求められるということも考えておるところでございます。
こういった観点を踏まえまして、レインズの利用につきましては、レインズの利用規程に基づきまして、利用主体を、原則として、宅建法で守秘義務が課せられております宅建業者の会員に限るというふうにしますとともに、利用目的につきましても、会員が宅建、宅地建物取引業の用に供する目的以外の目的で利用するということは禁止をしているということでございます。
それから、ベースレジストリー等との連携ということでございますが、現在、国交省の方におきましては、レインズが保有します成約価格情報につきまして、個人情報保護ということにも十分留意をした上で、ウェブサイトにおいて、RMIというもので、レインズ・マーケット・インフォメーションということで情報発信を行ってございます。
これにつきましては、令和五年の三月に提供情報の充実等を図っているところでございますし、先ほどお話もありました不動産情報ライブラリからも確認できるという形で連携をしております。
また、加えまして、不動産IDがベースレジストリーとして今後整備される可能性というものを踏まえて、今年の一月にシステムを改修をいたしまして、不動産IDを任意で入力するということを可能としたところでございます。
引き続き、不動産IDをキーとしたデータ連携について検討を深めてまいりたいと思います。
○赤木委員 実は、裏側で粛々と次なる展開が進められているということをお聞きして、一方で、不動産の情報というのを広めなきゃいけないけれども、広げ過ぎては不都合になる部分もあるという悩ましさもあるとは思うんですけれども、そういった部分を含めて進めていただければと考えております。
これまで、不動産分野に関するデータベースやデータ連携についていろいろと質問してまいりましたが、繰り返しになりますが、まさに省庁横断的なデータの課題がたくさんあると思うんですけれども、今後、こういった不動産関連のデータレジストリーについて、どういった調整をしたいとかどういった整備をしていくかについて、河野大臣より方針若しくは御見解をいただけますでしょうか。
○河野国務大臣 委員からお話をいただきました表記の揺れにつきましては、デジタル庁で一元的に補正をしていかないといかぬかなというふうに思っております。
その上で、不動産の登記の情報あるいは所在地といったベースレジストリーをしっかり整備をしていく、また、不動産のIDを使って様々な展開もあり得ると思いますので、そうしたことにしっかり活用していただけるようなベースレジストリーの整備というのをしっかりやってまいりたい。別に目に力はそんなに込めているわけではございませんが、しっかりやらせていただきます。
○赤木委員 ありがとうございます。発言とともにますます目に力を入れていただいて、ありがとうございます。
本当に、もう縁の下の力持ちというか、すごく地味なんですけれども、絶対そこをやらないと進められない世界なので、是非こういった部分はデジタル庁さんに、河野大臣に引っ張っていただければと考えております。
それでは、ちょっと最後、まだ十分ぐらいありますので、話題が変わりまして、六ページ目にあります、誰一人取り残されないデジタル社会に関連した質問にさせていただきます。端的に言うと、デジタルデバイドですね。情報格差、あと、情報に近づけない人なんかの話になるんですが。
実は、私が大変お世話になっている六十五歳ぐらいの方が、元々スマホじゃなくてガラケーを使われていて、スマホを購入されて、LINEを使ってお孫さんとやり取りしたり、写真撮影したりとか、しまいにはオンラインショッピングとか、デジタル能力の向上はもう本当に目をみはるものがあったんですが、実は、ロマンス詐欺にひっかかってしまったんですね。
ロマンス詐欺というのは何かというと……(発言する者あり)そうです、投資詐欺。最近ニュースになっていますが、ロマンス詐欺も実はすごく皆さんひっかかっているというか、被害者が多いです。
これは、SNSとかマッチングサービスで知り合った異性から、最初、愛をささやかれるんですけれども、だんだんお金の話になっていく。これは十ページ目を見ていただくと、すごく分かりやすく整理されています。もうタイトルがそのままですね。「「愛してるから投資して」って、おかしくない!?」というのが、まさにそのとおりなんですが。
実際、その方、どういった経緯があったかというと、リアルな会話でいくと、最初、もう、赤木ちゃん、いい出会いしてる、いつまでも独身だと駄目だよとマウントを私は取られていたんですね。それがだんだん、赤木ちゃん、何かいいもうけ話があるよと来たので、いや、それはちょっと何か危ないんじゃないですかと突っ込むと、また何か嫉妬しちゃってもうみたいな形で、お決まりのパターンにひっかかって、実はもう時既に遅しでした。私もスマホの使い方を教えてあげた部分もあって、ちょっと後悔というか反省の部分もあるんですけれども。
そこで質問になるんですが、誰一人取り残されないデジタル社会を実現することに関して、高齢者に対するデジタル活用とかネット活用の現状、あと、政府によるデジタルデバイド解消に向けた取組について、どんなことをされているかを教えていただけますでしょうか。
○西泉政府参考人 お答え申し上げます。
委員からお示しのありました令和三年版情報通信白書掲載のグラフについては、内閣府が令和二年に実施をしました情報通信機器の利活用に関する世論調査が出典となっておりまして、委員の資料にございますとおり、スマートフォン等を利用していると回答した方は全体で七七・八%でしたが、令和五年の調査結果におきましては、利用していると回答した方は全体で八〇・五%となっております。
また、高齢者について見ますと、令和二年の調査結果では、スマートフォン等を利用していると回答した方は、六十代が七三・四%、七十代以上が四〇・八%でしたが、令和五年の調査結果では、六十代が八四・二%、七十代以上が四八・四%となっております。
令和二年と令和五年の調査結果を比較しますと、全体の伸び以上に高齢者の利用率は上昇しておりまして、高齢者においてもスマートフォン等の利用が進んでいるものというふうに認識をしております。
○冨安政府参考人 政府によるデジタルデバイド解消に向けた取組でございます。
政府といたしましては、デジタル社会の実現に向けた重点計画を策定いたしまして、政府全体としてデジタルデバイド対策について取り組んでおります。
具体的には、例えば利用者視点に基づきまして、いわゆるウェブアクセシビリティーと呼んでいますけれども、分かりやすいウェブを提供するようなシステムをやはりつくっていかなければいけないということで、そういったことを意図したサービスデザイン体制を強化し、また、それを各省庁とか自治体にも展開したりする。それから、やはりデジタル機器、サービスに係るアクセシビリティーの環境の整備をしたり、デジタルに不慣れな方へのサポートを行うデジタル推進委員の取組を推進するといった形で取り組んでいるところでございます。
○赤木委員 ありがとうございます。
先ほどちょっとほかの委員からも、これは実は年寄りだけじゃないんだよという言葉があったんですが、いわゆるロマンス詐欺の被害状況、これについて、推移を含めて教えていただけますでしょうか。
○猪原政府参考人 お答えいたします。
お尋ねのSNSを使いました非対面型のロマンス詐欺に関する数字でございますが、令和五年中の被害発生状況について申し上げれば、認知件数は千五百七十五件、被害額は約百七十七・三億円となっております。
また、同年中のSNS型ロマンス詐欺の被害者の年齢層について見ますと、男性につきましては五十歳代から六十歳代が多く、女性につきましては四十歳代から五十歳代が多かったものと承知しております。
さらに、同年中の被疑者と被害者の当初接触ツールといたしましては、主としてSNSやマッチングアプリが使用されていたところ、具体的には、男性の場合はフェイスブック、女性の場合はインスタグラムが使用されるケースが特に多かったものと承知しております。
○赤木委員 ありがとうございます。
配付資料の九ページを見ていただければ今のことが示されているんですが、実は、さっきお話しいただいたみたいに、四十代、五十代でも被害に遭われています。実は、女性と男性半々ぐらいで、勝手に私が、偏見なんですけれども、男性が多いのかと思ったら、そうではない状況ですね。金額も少なくて、今回、私の知人の方もそうなんですけれども、お金が実はない方も詐欺に遭われています。SNSで、例えばキャッシングとか、クレジットカードのキャッシングのやり方、あとサラ金の借り方を懇切丁寧に全部教えてくれて、なおかつ、ひっかかってしまうという状態があります。
そこで質問に移るんですが、実際、ロマンス詐欺の被害者の救済制度について教えていただけますでしょうか。(発言する者あり)具体的には、振り込め詐欺救済法の内容についてですけれども。
○若原政府参考人 失礼いたしました。
お答えいたします。
いわゆる振り込め詐欺救済法でございますけれども、こちら、振り込め詐欺にかかわらず、お話にありましたロマンス詐欺を含みます預貯金の口座への振り込みを利用して行われた犯罪、こういうものにつきまして、被害者の財産的被害の迅速な回復を図るために、犯罪に利用された預貯金の口座につきまして、金融機関において取引停止等の措置を適切に講じることといたしまして、その口座に係る債権を一定の慎重な手続の下で消滅させ、つまり払戻しができないようにさせた上で、それを原資といたしましてその口座を利用した犯罪により被害を受けた方々に分配金を支払う、そういった手続を定めた法律でございます。
活用実績でございますけれども、ロマンス詐欺に限定した実績は把握しておりませんけれども、ほかのものを含みます法律の適用全体の計数でございますと、直近五か年の被害者の分配金の支払い実績は、令和元年度が約七億円、二年度が約十一億円、三年度が約十五億円、四年度が約十八億円、令和五年度が約二十四億円と承知いたしております。
○赤木委員 最後に大臣への質問になるんですが、こういったサイバー空間、デジタル空間が広がる中で、今のような誰一人取り残されないことと、あと負の側面もあるとは思うんですが、デジタル庁としてどのような進め方をされるのか、御見解をいただけますでしょうか。
○河野国務大臣 消費者庁、警察庁としっかり連携しながら、デジタルデバイドというよりは、これはもうリテラシーの問題だというふうに思いますので、しっかり周知、広報に努めてまいりたいと思います。
○赤木委員 ありがとうございます。
是非、デジタルリテラシーとして、負の側面、危ない部分があるということを、子供に教えるだけじゃなくて、年配の方、我々のような中年の世代にも改めて伝えた上で、いざ、かかった場合に相談できる窓口も確保していただくようにお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
本日は、ありがとうございました。
○谷委員長 次に、高橋千鶴子さん。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
市役所でマイナカードの申請を担当しているある職員の方が言っていました。暗証番号をまず決めてねと言った後に、書くんですけれども、その後、申し訳ないがこれとは別の番号を更に決めてくれと言うと、えっ、そんなに覚えられないと言われてしまったそうです。
それはそうだと思うんです。高齢者じゃなくたって、幾つもの番号、忘れるし、忘れないようにどこかに書いて番号を貼り付けていたら意味がないわけです。
それぞれの場面で四種類の暗証番号が必要であります。手続が煩雑だとか、覚えられないなどの声がありますが、次期カードではこれをどのようにしていくのか、伺います。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
本年三月に次期個人番号カードタスクフォースというところで最終取りまとめをし、方針を固めたところ、今御指摘のとおり、四つある暗証番号を、それを使うアプリケーションも二つに、暗証番号も四桁一つ、六桁以上一つの、二つにまとめるということで、分かりやすくなるように近づけたいというふうに思ってございます。
引き続き、御指摘のような点も踏まえ、魅力的なカードを実現するという観点から、利便性向上に向けてしっかり検討してまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 二種類でも大変だなと思いつつ、まず減ったということであります。
それで、マイナカードのスマホ搭載について、今回の法案なんですけれども、今、前の質疑者でもありましたように、スマホの所持率が非常に高いという中で、そうはいっても、乳幼児などもいるわけですから一〇〇%にはならないし、その必要もないと思うんですね。ただ、一家で数台持っているという事実にはなっていると思うんです。
それで、そのスマホ搭載をどこまで進めるのか。つまり、もうスマホにマイナカードの情報を入れてしまえばマイナカードを持たなくていいですよとおっしゃっています、政府は。ということは、マイナカードそのもの、なくてもいいという発想にいずれなっていくということでしょうか。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
今回の能登半島でも、つくづくスマホに載っていればと思う局面がたくさんございました。
実際、やはり、スマホに載っておりますと、マイナポータルでの申請や自己情報の閲覧などをするときにもかざさなくていい。今でも、アンドロイドで、載っているものについては、コンビニ交付サービスでも置けばもう同じように使えるというようなことで、行政サービスではもちろんでございますけれども、公的個人認証の民間サービスでも使ってほしいと考えてございます。そうした民間アプリとの連携というときにも、やはり、カードをかざさなくても、スマホ搭載版を使っていただければ、いろいろな形で民間ビジネスにも使っていただける余地が増えるということで、是非とも進めたいというふうに考えてございます。
今国会では、デジタル社会形成基本法等の一部の改正法案の提出の中で、マイナンバー法の改正により、既に措置済みのマイナンバーカードの電子証明書機能に加え、マイナンバーカードが保有している基本四情報、氏名、生年月日、住所、性別、マイナンバー、それに加えて顔写真もスマートフォンに搭載し、本人の了解の下で相手方に提供していくようにしたいということでございます。できるだけ多くの方に使っていただけるようにということでございます。
なお、最後に御指摘のありました物理的なカードをなくすことにつきましては、スマートフォンを、搭載する際にはカードでの本人確認が必要なこと、つまり、携帯を売るときに最初から入って売るということができませんので、どうしても、携帯を買っていただいた後にスマホ搭載のアプリを落とすという順番が変えられないものですから、そのためにも親元になるカードは必要だということ。
それから、やはり、スマートフォンの場合は、人によっては頻繁に入れ替わる可能性がございますけれども、カードの有効期限は相当長いこと、それから、もちろんでございますが、スマートフォンをお持ちでない国民の皆さんもいらっしゃるということでございますので、中長期的には技術的に何か代替策がないかということは検討してまいりますが、当面はカードをなくすことは考えていないということでございます。
○高橋(千)委員 いろいろ順番に聞こうと思ったのをいろいろまとめて答弁をされたなと思っていたんですけれども。
できるだけ多くの方に持っていただきたい、でも、なくすわけではない。確かに、スマホというのは機種変が物すごく頻繁にありますし、それに忘れやすいというのもあるし、避難所に持っていっていても充電していなければ意味がないし、そういうこともあるということは言っておきたいなと思うんですね。
それで、認知症の高齢者など、暗証番号の要らないマイナカードが発行できるようになりました。これは、スマホの場合は、スマホにこれができますかということと、本人確認以外は、暗証番号を使えなくても顔認証ができるので、本人確認はできる、ただ、それ以上の、政府が言っているマイナカードのメリットというものは使えないという考え方でよろしいでしょうか。これは大臣に。
○河野国務大臣 顔認証マイナンバーカードは、暗証番号の設定や管理に不安があるという方も安心して利用できるようにしてほしいという御要望を受けて作ったものでございますから、顔認証マイナンバーカードは、電子証明書の利用、これは顔認証に限定をせざるを得ないということになります。
ですから、マイナポータルで情報を確認したり、コンビニ交付サービスで証明書を発行したり、あるいはスマホ搭載をということが、これはできないということは御容赦いただきたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 これは確認をいたしました。
次に、資料の1なんですけれども、下の方の、デジ庁が作った資料ですけれども、スマホのみで本人確認が行えるようになるんだと。その際に、今は左側ですよね、マイナカードを使って、J―LISに送信をして本人確認をする。これが今度は、マイナカードがなくても、アプリを使ってカード代替電磁的記録という形で本人確認をするんですけれども、条文上は、記録を送信するときは、つまり右側ですね、内閣総理大臣の認定を受けたプログラムのみである。認定を受けたプログラムというのは、平たく言うと民間のアプリです。確認に用いるプログラムは、国が開発したアプリ又は民間のアプリ。これは、又はと、両方ある、この理由は何でしょうか。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
ちょっと用語が難しくて恐縮でございますが、本法でも申し上げていますカード代替電磁的記録、これは、例えばマイナンバーカードでいうと、今でも四情報がカードのチップの中に入ってございますが、それを携帯に搭載した場合は、携帯には、鍵の組合せと、それから四情報が入っている、勝手には開けられないセキュアなファイルを両方お届けをする。恐らく今後、ほかの形で、スマホ搭載された、例えば国家資格であるとかそういうものを使うときも、鍵で本人を確認するということと、カードであれば券面に書いてあるものをスマホの画面で表示をするといったようなときにも、こういったカードの機能が使えるようにというふうに考えているものでございます。
御指摘いただきました送信用プログラムというのは、その携帯の中に載っているセキュアなファイルをリクエストに応じて送るためのプログラムでございます。これは、一般の今のマーケットに出ている機種でいえば、シンプルに申し上げますと、iPhoneであればアップルウォレット、アンドロイドであればグーグルウォレット。でも、技術的機能としてはこれと全く変わりませんので、あえて国が二つ目を作ることなく、中身はきちっと認定審査をさせていただいた上ではございますが、このウォレット機能をそのまま、送る方は使わせていただこうと。
片方で、その載っているファイルを見せてくれといってリクエストをする側がございます。これが御指摘をいただきました確認用プログラムということでございますが、これは、それぞれの用途や、例えば銀行であるとかいろいろな方が、あなたの携帯に載っている四情報を見せてくださいということを、依頼をかける方のプログラムでございます。
これにつきましては、利用を広げたいということから、国でも皆さんに使っていただけるようにプログラムを作らせていただきますが、民間でもそれは、自分のいろいろなサービスの中でその機能も持ったものも作るからそれもいいことにしてくれというお話もあるということでしたので、国も作りますが、民間が作ったものも使っていただいても差し支えないんじゃないんでしょうかということで、結果として非対称な制度になっている、こういうことでございます。
○高橋(千)委員 まず、送る方はウォレットを使うということでありました、私も使ったことはありますけれども。
今説明を聞いていて、後の方は、要するに、見せてくれということになるので、よりプライバシーの機微な情報になるから国なのかなと思っていたら、逆なんですね。国も使いたいからというお答えであった、そういうことですよね。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
確認というか、その書類を下さいとリクエストする方は、送信用と違って、送信用の方は、もう携帯を買えばウォレットがありますので、既に必ずあるものですからあえて作りませんということですが、送って見せてほしいという方は、今現在アプリがございませんので、国が作ったものを使いたいという方がいればそれを差し上げますし、自分で作りたいという方がいればそれを確認、認定をさせた上で使わせていただくということで、恐縮でございますが、国が使いたいからということではなくて、今存在していないのでどちらでもいいようにしたい、そういう趣旨でございます。
○高橋(千)委員 いや、そう言ったと思うんですが、最初の答弁は。
元々、よく分かるんですが、最初の方は、送るだけなので、もうできている。既に民間のサービスがあるし、そもそもマイナカードを使って本人確認をやっているということも実績としてもう既にあるので、これはもう自然だというふうにおっしゃっているんだと思うんですね。
それで、今回政府は、今の本人確認のアプリ以外に、例えば、性別を券面から削除する代わりにICチップに性別の情報を記録して、読み取りアプリを無償配布すると言っていますよね。それから、法案にはないんですけれども、ログイン認証のためのアプリも国として開発するという報道があります。これは一体幾つ国はやるんでしょうか。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
ちょっといろいろな問題がありますので、どこかで整理を、切らせていただきますと、今回、この法令改正を受けて、スマホ搭載を次にやるに当たって、同時にリリースすることを考えておりますアプリは二つ、署名、認証を行う認証アプリと、それから四情報を送ったり券面の入力補助をしたりする券面等アプリ、この二つのアプリでございます。
○高橋(千)委員 でも、私が言ったことは今検討しているということで間違いないですよね。
○村上政府参考人 ちょっと、どういったお話であるかをしっかりと確認をさせていただく必要があろうかと思いますが、ほかにも、便利なサービスでリクエストがあれば、いろいろ検討させていただきたいと思っております。
○高橋(千)委員 今日最初の質疑で井坂委員が先にやってくださったんですけれども、報道の中で、国が、やはり、アプリを使って情報を一元化するという指摘が、抜けていくんだとか、様々な報道の中で指摘をされているということで、昨日の時点で、法案とは違うけれども作りますということは確認しておりますので、その上で質問させていただきました。そこをまず、マイナカードの問題が、今こうした形で国が利用を広げようとしているんだなということが確認できたと思うんです。
その上で、次に、公的基礎情報データベース、ベースレジストリーについて伺います。
ベースレジストリーは現在幾つの分野が指定されているのかと、それで、今回、法人、不動産レジストリーから始める理由は何か、お願いします。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
ベースレジストリーにつきまして、分野を指定しているわけではございませんけれども、二〇二三年七月のデジタル大臣告示におきましては、商業登記、不動産登記、町字、文字、法令などのデータを指定をしております。
具体的な整備の対象につきましては、データ戦略ワーキンググループやデジタル臨時行政調査会等における議論を踏まえ、制度横断で、多数の手続等において参照され、国民の利便性向上と行政運営の簡素化、効率化につながるデータとして、法人登記関係、不動産登記関係、住所、所在地関係データベースから検討することといたしました。
○高橋(千)委員 今の指定の問題は、令和三年、令和五年と順番に指定されてきているので、もう少し丁寧にお答えくださってもよかったのかなと思っております。
それで、資料の3に「ベース・レジストリとして法人基本情報のデータを整備することの意義」というふうな資料がございます。これまで、住所や法人名が変わったなどの手続を関係する行政機関に一つ一つ持っていかないといけなかった、この左側の矢印ですよね。これは四つしか書いていませんが、点々々があるので、実際は、四つどころじゃなく、たくさんあるということです。これが、今回は、「マスターデータ」とここに書いてありますけれども、一回問合せをすれば全部済んでしまうということで、飛躍的に楽になるというのは思います。
各制度においては、大きいところで年十万件以上の法人基本情報の変更手続が行われていて、潜在的には八十二万件くらいの変更があるというふうに聞いています。そういう意味では、法人の皆さんにとっては大変楽になるというのは事実だと思うんですね。
それで、問題は、この資料の右にあるんですが、「目指す姿」と書いていますよね。「法人基本情報は共有」なんですね。このイメージを御説明いただけますか。
○楠政府参考人 今御質問のございました、この「法人基本情報は共有」というところの意味でございますけれども、かねて、例えば法人登記情報そのものは、登記情報システムにおいて管理をし、法務局等において紙を出しておりましたけれども、残念ながら、これはシステムで連携しておりませんでしたので、例えば法人が住所を変更を行った場合等を考えました場合に、本来であれば、登記情報を、住所、所在地のところを書き換えれば、それは公示されているのだから見ることができるはずですけれども、実際には、それぞれの行政手続において、法務局に行っていわゆる登記の謄本を取得をし、これを所在地変更届とともに、いろいろな許認可をしている省庁であったり、もろもろに対して個別に提出をしていたというところが現行の行政手続でございますけれども、そうではなくて、きちっと法人番号を御登録をいただいて、一度手続をしておけば、所在地の変更等については、それぞれの機関において個別に手続を行うのではなくて、これは、ベースレジストリーを見て、ああ、この会社は引っ越したんだなということで、特段の手続を行わなくてもこの手続が行われたものとみなすことができる、そういう状況をこの法人基本情報を共有した世界ということで実現してまいりたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 最初の手続をするときは、その企業の皆さんが、自分のところの住所が変わったんだよとか法人名が変わったんだよということで手続をすると思うんですよ。そうすると、どことどこに届出しなきゃいけないのは分かっていて、元々やっていたわけですから、それが省略できるというところまでは分かるんです。
だけれども、ここに書いているのは、各データを組み合わせることが容易になり云々ということと、データの民間利用についても民間企業同士の取引効率化にもつながる、つまり一回の手続で済んだ後の利用というのも念頭にあるということですよね。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
今、民間との関係の話が出ましたけれども、民間においても、例えば郵便物を送ると、様々な理由で相手先企業の所在地というものを必要とする場合がございますけれども、これもやはり、民間の商取引の場合には、いわゆる行政手続とは異なりますので住所変更届みたいなものがあるわけではないですけれども、例えば商慣行で申しますと、所在地を変更した場合に、過去に名刺交換をしたことがあるような会社の方に対してお手紙で移転いたしましたみたいなことをこれまでであればやって、そういった手紙を見て、郵便の送り先の情報を書き換えたり、もろもろのことをされていたと思うんですね。
今後、こういうベースレジストリーが整備をされて、ただ、これは当面、国の機関でのみの利用としておりまして、民間に関しましては、所在地に関しては、今、国税庁で出されている法人番号のデータベース等で見ることができますけれども、当面、民間に関しましては、登記情報に関しましてはこれまでどおり法務局に取りに行っていただく必要はありますけれども、ここは、ニーズとしては民間もあるというところは承知をしておりますし、そういった中で、民間も含めて参照できるデータに関してはベースレジストリーの中できちっと提供できる。例えば町字のコード等に関しましては住所の表記揺らぎを解消していく上でも重要になってまいりますし、幾つかのベースレジストリーは民間も含めてお使いをいただくというところを考えております。
○高橋(千)委員 ということは、後のと私は聞きましたけれども、やはり法人の情報にはたくさんの機微な情報も含まれているわけですので、住所が変わったとかそういう単純なものではなくて、データが別に利用されるということはないということでよろしいですか。
○楠政府参考人 もちろん、共有して大丈夫なものから進めておりますし、そういった機微な情報をデータベースとして共有するという趣旨ではないというふうにお考えいただいてよろしいかと思います。
○高橋(千)委員 確認しました。
次に、今の法人ベースレジストリーを通して、各行政機関に、今のこの表なんですけれども、それぞれ出していた届出が不要となるというときに、行政機関には当然地方自治体も含まれるというか、むしろ多いかなと思うんですね。それで、新たに地方自治体が求められる、例えばインフラ整備とか体制強化とか、何かあるんでしょうか。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
変更届出を不要とする仕組みは、これは、自治体に関しましては、義務ではなくて、任意に応じて使うものでございますけれども、法案成立後、自治体が変更届出を不要とする際に、自治体が管理するシステムについては、当該自治体によるシステムの改修が必要となるということはあり得るのではないかというふうに考えております。
現在、デジタル庁において、データ連携を行うための方法の検討を進めておりまして、今後、自治体におけるシステム改修等の詳細についても検討してまいりたいというふうに考えております。
なお、商業登記関係データベースを整備することにより、自治体の行政職員が登記情報をオンラインで確認することができるようになる等の事務負担の軽減につながることから、当該データベースが広く活用されるということを期待しております。
○高橋(千)委員 今、システムの改修が必要になるというお話がありました。今、自治体を含めての検討会の中では、その予算ですとか財政措置が大変だという声が出ているというのもあると思うんですね。
今までは法人情報のレジストリーの話をしていたんですが、それが広がっていったときの、次の資料のところなんですけれども、「共通化を含めたシステム整備のパターン」というふうになっています。左側に、共通化、国、事業者。そして、標準化の下に自治体とあるわけですね。個別開発、自治体と。
囲みのところを読みますけれども、「まずは、自治体への二十業務標準化支援に最優先で取り組みつつ、二十業務以外の共通化すべきシステムについては、自治体のニーズを吸い上げつつ、共通化の必要性を見極めた上で、業務の性質や、既存システムの態様、共通化によるメリットの実現可能性に応じ、可能なものから移行。」していく。移行なんですよね、これは矢印がついていますので。
自治体の標準化ということが、これまではガバメントクラウドの問題で話題になっていたと思うんですが、これからは共通化と呼ぶのか。もっと自治体の裁量がなくなっていくといいましょうか、義務ではないとさっきおっしゃったから義務だとは言いませんけれども、全体としては共通化になっていくという理解でよろしいでしょうか。
○河野国務大臣 我が国は、今、人口が減少し、高齢化が進んでいく中で、自治体の職員の数も増やすということは、これは将来的になかなか難しくなっております。
これまでは、千七百四十一の自治体の多くが個別で自らのシステムを開発をし、何か制度変更があればそのシステムを更新をしということをやってまいりましたが、もはやその手間をかけることに余り意味がない。今までは、それぞれの自治体がシステムをつくり込むということに注力をしてくれましたけれども、むしろこれからは、業務は標準化、システムは共通化して、国が提供をし、そのシステムをしっかりと使いこなしていくというのが大事なんだというふうに思います。
今までは、地方自治というかけ声の下、システムもそれぞれの自治体にお任せをしておりましたけれども、地方自治で大事なのは政策の選択をするところであって、セキュリティー面を考えれば、やはり、共通化したシステムの上に移行してきてもらって、むしろそのシステムの上で提供されるサービスをいかに使いこなしていくかというところに自治体には注力をしてもらう、そういうことでございます。
○高橋(千)委員 今、業務は標準化、システムは共通化という解説をしていただきました。
そこで、自治体の皆さんは、最初のところが大変な思いをして、人もいないし、人もいないどころか、そもそも一つの課で幾つもの課をかけ持ちしているというような形で、大変な苦労をされている中でこれまで進めてきたわけなんですね。
ただ、私は、共通化できるところというのはたくさんあると思うんですよ。つまり、国として、どこに住んでいても標準的にやらなきゃいけないサービスというのがあるだろう。そういう意味で、地方がやることに対して確実にできるように保障するというのは必要だと思うんです。だけれども、やはり自治体が独自に頑張ってきたことというのがどうなるのかという不安はもう一つあるわけですよね。
最後の資料になるわけですけれども、左側に「共通化に関連するこれまでの取組」ということで、介護だとか子育てだとか防災だとか、あと健康管理だとか、いろいろあります。生活保護なんかは、国が本当に責任を持って、自治体負担なんかなくしてしまってほしいという思いがすごくあるわけですけれども、だけれども、本当にここの町は子育てに力を入れているよとか、そういう取組というのはあるわけですよね。そこが損なわれないというか尊重されるということは、やはり大事、このシステム整備の中でも必要なことだと思っているんですが、それはどうなんでしょうか。
○河野国務大臣 先ほど申し上げましたように、政策の選択というのは、地方自治でございますから、我が町がどのような政策を取るのか、これはもう自治体がお決めになることでございます。
ただ、その政策を実行していく中で、今までは、システムにも注力をし、様々な業務のやり方も、地域独自で業務のやり方を考えてこられましたけれども、もはやそこにリソースを割く余裕はこれからなくなってまいりますから、共通化したシステムを提供し、標準化された業務の中で、政策の立案、政策の選択というところは、これまでどおり自治体の独自色を発揮していただくということになります。
○高橋(千)委員 独自色を発揮していただくと言ってくださったことはとても大事だと思っているんです。そこを、やはり財政的にも権限的にも保障していただかないとうまくないなということなんですね。
一番最初の質疑で小林委員がおっしゃっておりましたけれども、人口減少の時代だからこそ、この瞬間はやはり人をきちっと手当てしていくことが必要なんだ、これは私、賛成であります、必要だと思っております。
それと同時に、今、誘導策になってはならないわけですよね。例えば、デジ田交付金がマイナカードの普及率によって上乗せされていくとか、もう選びようがなくなって、やはり補助率が高いところを選ぶとそれしかないよねみたいなことになってはならないと思うんですね。
それから、とても残念なんですけれども、例えば、スマホを利用していれば敬老パスに代わるサービスを受けられますよ、障害者のバス代補助を受けられますよということがあるんだけれども、でもスマホがなかったら受けられません、そういう自治体も起こっています。それは、進めようとする国の方向性に自治体がのっとっていくことによって、結局、それこそ取り残される人が出てくる。それではやはりよくないと思うので、そこをしっかりと保障しますということも、では、併せて言っていただけるでしょうか。
○河野国務大臣 デジタル化、誰一人取り残されないように進めていきたいというふうに思っております。
ただ、その中で、先行して行ける方、あるいはゆっくり歩かれる方、そのスピードは様々だと思いますので、先行して動ける方を足止めをするということもこれはいかぬというふうに思いますので、みんながそちらの方向で、様々なスピードの違いはあっても動いていける、今よりもより便利に、より豊かになれる、そういうデジタル化をしっかり目指していきたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 とてもいいことをおっしゃったんですが、スピードは様々なので足止めはしないでとおっしゃったんですが、大臣が、健康保険証を廃止してマイナカード、マイナ保険証にしろと言ったときに、五年の準備を五か月に読み替えてと言ったわけですから、やはりそれはスピード様々ということに合っていないですよね。このことは指摘をさせていただきたいと思います。
それで、マイナ保険証の話を最後にしたいなと思うんですけれども、利用が広がっていなくても予定どおりの健康保険証廃止だとおっしゃっていると。
それで、これというのは、やはり医療の分野で、パーソナルヘルスデータですとか、その分野での、国際競争力に勝つというんでしょうか、日本のデータを本当に生かしたい、そこがあって、一人一人の速度に合わせたらそこまで急がなくたっていいし、選択制でよかったはずなのに、でも廃止は変えませんよと言っているのは、やはりそういう狙いがあるからなんでしょうか。
○河野国務大臣 これまでも繰り返し申し上げておりますが、薬剤情報、診療情報を医療機関が閲覧をすることができて、投薬の重複などを防ぐことができるという意味で、医療の質は向上してまいります。また、御自身が薬剤情報、健診データをマイナポータルで確認をすることもできる。また、APIを活用することで、薬剤情報を民間の提供するデジタルのお薬手帳などと連携をし、国民の皆様の利便性というのは大分向上してきたのではないかと思います。
また、今後、医療情報について、様々なデータを匿名化し、適切な情報の取扱いをした上で、ビッグデータとして扱って、よりよい治療法、よりよい治療薬を開発をしていくということも期待されているわけでございますから、こういうメリットをなるべく早い段階で発揮できるように努力していきたいと思います。
○高橋(千)委員 やはりそこが政府の本音なのかなというふうに思うんです。
なぜなら、前段の、質が向上しますとか、マイナポータルで自分のいろいろな履歴を見ることができますと。それは、メリットかもしれないけれども、必然ではないわけです。それを望む人はいいけれども、必然ではない。だから、それは理由にはならないわけです。義務やみんなでやらなきゃいけないということの理由にはならない。それはお認めになりますよね。
○河野国務大臣 ちょっと言っていらっしゃる意味がよく分からないんですが、国民全体の医療の質、利便性の向上につながるものだと思っております。
○高橋(千)委員 残念ながら時間が来ましたが、意味が分からないとおっしゃいましたけれども、利便性が上がるとかメリットがあるということは、必ずやらなきゃいけないということの理由ではないということ、これははっきりと指摘をしておきたいと思います。また次の機会にやります。
ありがとうございました。
○谷委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。
今日は一日お疲れさまです。最後の質問となりますので、よろしくお願いします。
まず、本法案の前提となる社会環境の認識について大臣に伺いたいと思います。
国家公務員や地方公務員、また教職員など、今、離職や採用難、公務員離れということが深刻になっています。デジタル化によって行政の運営の簡素化、効率化を図る本法案の趣旨とは逆の流れが来ているんじゃないかなと思っています。現場では、デジタル化によって業務が簡素化するどころか、逆に、まだリアルとデジタルが併存することで大変になっているという声も聞きます。
こうした声に対して、デジタル庁としての考えや、また、公的機関の在り方に関するグランドデザインが必要ではないかと思っています。メッセージの発信が必要ではないかと思っています。先ほど、業務は標準化、またシステムは共有化というキーワードもいただきましたけれども、まず、大臣の現状認識等をお聞かせください。
○河野国務大臣 学校や行政機関で今までのようなアナログの業務を続けられると思っている方は、多分どなたもいらっしゃらないんだと思います。なるべく早く業務の見直しをした上でデジタル化を進めていく、これをやらなければ、もうどこももたないというふうに思っております。
もちろん、アナログでやっていたものをデジタルに変えるということは、そこに追加の業務が発生をするわけでございますので、例えば霞が関は、そのために一時的に人員を増やす。結果として将来的には人員を削減することができるかもしれませんけれども、現行の業務をやりながらデジタル化をやってくださいというのは、これはなかなか難しいことですから、その辺りのことをしっかり配慮しながらデジタル化というものを進めていく必要が大事だと思います。
○田中(健)委員 まさにデジタル化というのは私も必須であると思っていますし、ここの委員会に集う皆さん、そうかと思っていますけれども、デジタル化の仕事そのものや、今、情報システム、デザインをし直す、今の仕事をやりながら何とか回していかなきゃならないということで、今、人員も増やして対応してくれているということです。何とか、過渡期という、今負担がちょうど上がるときでありますから、ここを乗り越えて、是非踏ん張っていただいて、次のデジタル化のステージに上がっていただきたいと思います。
追加でちょっとお聞かせいただきたいんですけれども、東京都も今、個別自治体で頑張っているどころではなくて、人手がいないので、GovTech東京ということで、人材を共有して、東京都の中で何とかDXを進めていこうといった動きがあります。
今大臣が、人材ということで、今増やして何とかデジタル庁もやっているということなんですけれども、人材の共有化というか、人材をこのようにして、東京はオール東京でDX推進と言っているんですが、デジタル庁としてはオール・ジャパンという考えかと思うんですけれども、人材について、もしも大臣の考えがありましたらお聞かせください。
○河野国務大臣 やはり、自治体の中には一人情シスなどと言われているところもございます。デジタルの人材をいかに確保する、育成していくというのは非常に大事になってまいりますので、デジタル庁として、まず、委員おっしゃるように、オール・ジャパンで、専門人材を確保した上で、都道府県にも御協力をいただきながら具体的な人材をプールをして、必要な自治体には支援をしていく。
そういうことをこれから考えていかなければいかぬということで、知事会、市長会あるいは町村会とデジタル庁、今様々検討をしているところでございます。なるべく早い時期に結論を出して、方針を出した上で動いてまいりたいというふうに思っております。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
まさに、東京や都市圏はいいですけれども、地方になるとまだまだ人材が不足しておりますし、これをオール・ジャパンで進めようというときに、やはり人材不足というのが大きな課題となると思いますので、お力添えをお願いしたいと思います。
デジタル化によって簡素化や効率化を図る上で、経済的なインセンティブを働かせていくというのが私は大事だと思っています。一部の自治体では、特に繁忙期に、マイナンバーカードを使った証明書のコンビニの交付手数料を引き下げるなどの動きもあります。こうした動きを是非より後押しすることで、窓口業務の負担を軽減していくことも大事だと考えています。
経済的インセンティブの活用の仕方というものについて大臣はどのように考えているか、お伺いします。
○河野国務大臣 幾つかの自治体が、委員おっしゃるように、コンビニ交付手数料を大幅に下げて、窓口に来る方をコンビニに誘導をされたということは私も実際に聞いております。遠くの役所より近くのコンビニ、九時―五時の役所より二十四時間開いているコンビニ、待たなきゃいけない窓口より待たなくてもいいコンビニ。そして、手数料がコンビニの方が安ければ多くの方がそちらへ流れるということで、窓口業務に当たる職員の数を削減をすることができたというような話もございますので、こうしたインセンティブというのは非常に大事になってくると思います。
更に加えて、今、デジタル庁では窓口DXSaaSを提供して、書かない窓口というものを提供しております。バックオフィスのデータ連携をすることで、来庁者が窓口をぐるぐると回らなくても一つの窓口で必要な手続を全部こなすことができる。これも、窓口の職員の負担を軽減をすることができるようになります。
また、スマホを使って行政手続、オンラインで六十秒でできるようにしてまいりたいというふうに思っておりますので、そうしたことを実現できれば更に窓口業務の人数というのは減らすことができますので、限られた職員を必要なところに、優先順位の高いところに割り当てることができるようになると思いますので、手数料その他のインセンティブと必要なサービスシステムの提供という両面から、そこはしっかり対応してまいりたいと思います。
〔委員長退席、田中(英)委員長代理着席〕
○田中(健)委員 銀行なんかが分かりやすくて、元々銀行もみんな窓口でやっておりましたが、ATMになりまして、更に今は携帯で取引できるようになりました。これも、もちろん便利だというのもあるんですけれども、しっかり手数料をかなり格差をつけて、窓口でやると大変な手数料を取られるということで誘導をしています。私は必要だと思っています。そのようにして、まず使ってみることで便利だということを実感してもらうのが必要だと思っています。
しかし、普及は今は実現したけれども、マイナンバーカードを使うことでの住民のメリットやインセンティブやサービスの活用シーンというのはまだまだ少ないと思いますので、これから一気にいろいろなサービスが付与されるということですので、是非、推進を期待します。
経済的インセンティブ、大臣の考えは私も賛同するんですけれども、マイナ保険証においては、医療機関に補助金を出すとかそういうふうにして、私はちょっと、使い方、どうかなという思いもあります。是非、私たち国民が便利だと、国民に対するインセンティブという、今大臣が言っていただいた考えで進めていただければと思います。
また、大臣が自治体窓口ということも言っていただきましたけれども、自治体窓口、特に福祉や子育て支援、どんどんと制度が今変わっておりまして、また充実をしていることもありますので、これをめぐって職員が窓口や電話で住民からの相談や問合せに忙殺をされているということで、多くの各自治体から声が上がっています。
この自治体の窓口業務のうち定型的なものについては、国で一元的に窓口をつくり、問合せを受け付け、そういったことができればと思っています。自治体の現場は、個別の詳しい対応が必要なときに、個別具体的なことに集中して向き合ってサービスを充実させていくということができればすばらしいと思っています。
これは、政府のデジタル行財政改革会議でこうした議論が行われているということは承知をしています。今回の法案の中では、そういった考え方や、また推進するような内容というのが盛り込まれているのかということで、デジタル庁の取組について、参考人でよろしいですが、伺いたいと思います。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、自治体窓口の職員の負担軽減を図ること、これは非常に重要なことであるというふうに認識をしております。
これを実現するために、御審議いただいている法案とは直接の関係はございませんけれども、デジタル庁といたしましては、先進自治体等を参考に、全国の自治体において書かないワンストップ窓口を実施できるよう、必要な機能を有したソフトウェアサービスである窓口DXSaaSをガバメントクラウド上で提供をしております。
また、システム導入の前提として、業務のやり方を見直すBPR、業務改革も重要であるという認識から、これをサポートする窓口BPRアドバイザーを希望する自治体に派遣する取組も行っております。
そのほかの取組といたしまして、総務省とデジタル庁が連携し、国・地方共通相談チャットボットを本年三月末にリリースいたしまして、住民からの問合せが多いマイナンバー、医療保険、年金、税、子育て、登記、戸籍の行政分野を中心として、自動的に回答するサービスを提供を始めたところでございます。
実際に効果を上げていくためには、しっかりと問合せと回答のデータベースを充実させる等の取組が今後必要となってまいりますけれども、こういった取組を通じまして、国民の利便性の向上とともに、自治体窓口の職員の負担軽減を実現してまいりたいというふうに考えております。
○田中(健)委員 共通のものはチャットボット等を使って情報提供するというのはいいことだと思っております。
また、同時に、先ほど大臣もほかの答弁でありましたけれども、今、千七百を超える自治体、ばらばらだということで、ガバメントクラウドも進めています。やはり、標準化することで更に効率が進みまして、そして、この人口減の中でも持続可能な行政をつくっていくことができると思っていますので、その前提には、先ほどありましたが、各自治体ではなかなか財源が足りない、また財源の見通しがつかないということなので、そこもしっかりと地方自治体にも目を配っていただければと思います。また、実現スピードを是非上げていただきたいと思っていますので、それについてもお願いをいたします。
法案についても伺いたいと思います。
これも先ほど来出ていましたけれども、法人の登記情報を変更した際に、法務省に変更を届け出ると各省庁が持つ企業情報が自動で更新されることになります。各省庁がばらばらに扱う公的情報を管理するデータベースを整理するということになるかと思いますが、今回、商業登記のほか、不動産登記、住所表記、これも議論が出ましたけれども、これも、それぞれ一括のシステムを構築するという理解でよいかをお聞きしたいと思います。
あわせて、行政機関等がデータ連携をすることにより情報を入手した場合には、どの程度の規模や件数、効果が期待できるのか、伺います。
〔田中(英)委員長代理退席、委員長着席〕
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
今後、商業登記関係データベース、不動産登記関係データベース、住所・所在地関係データベースにつきましては、それぞれ独立したデータベースとして整備することとしております。
また、本法案で想定するデータ連携といたしましては、法人が名称、所在地等を変更した際に、その変更に係る行政機関への届出を省略するために行うものも存在をしております。具体的には、ある制度の届出変更を不要とする場合、当該制度を所管する行政機関が法人の名称や所在地等、変更届出の省略の対象とする事項を特定し、当該事項に係る情報に変更があった場合に、当該行政機関がシステムを通じて自動で情報を取得できるような仕組み、こういったものを想定をしております。
また、整備の効果につきまして、商業登記関係、不動産登記関係のデータベースが整備をされることによりまして、届出省略の実現、書類添付の削減、登記事項確認のオンライン化対応等によりまして、年五千万件以上の手続が効率化されることを想定をしております。
○田中(健)委員 不動産登記や住所表記、これは独立してシステムを改築していくということで、これは岡本委員からもありましたが、まだまだ不十分でありますし、各自治体の力もかりなきゃならない、また、ほかの各省庁の力もかりなきゃならないということ。これは大臣からも答弁がありましたので、是非このようにして、大変私はすばらしいと思っています、登記情報。私も一度変更に行ったことがありますけれども、一つのところに行くと、次は法人税だとか、次は給付金だとか、次は年金だとか、あちらこちら事務所を回らなきゃならないということで、変更だけで一日以上かかるという、何て無駄なんだろうということを思ったことがありますので、是非、これは効率よくできるように、課題はありますけれども、進めていただければと思います。
また、今回の法改正には入っていませんが、これも少し出ました、民間同士の手続のデジタル化についてもより進めていくべきと考えていますが、どのような考えで今進めていらっしゃるでしょうか。
○楠政府参考人 今回の法案につきましては、行政手続等に係る国民の利便性の向上や行政運営の簡素化、効率化を図るためのものではございますけれども、議員御指摘のとおり、データ整備につきましては、民間を含めたデータ連携を見据えて取り組むことが大変重要であるというふうに考えております。
今回の法案に関しましても、例えば町字情報については、行政機関だけでなく、配送事業者、不動産事業者など様々な民間事業者が利用することを想定し、様々なニーズを集め、データ整備に反映しているところでございます。本当に、住所揺らぎを始めとした問題というのは、住所を扱うあらゆるシステムや事業者に影響がございますので、大きな効果を出していけるのではないかというふうに考えております。
引き続き、デジタル社会の形成に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○田中(健)委員 是非、民間が進みますと更に日本全体が進むということでありますので、お願いしたいと思います。
時間がなくなってきましたが、LINEの情報漏えい問題について伺いたいと思います。
これは、デジタル庁、認証アプリの件がありまして、最後に大臣に意見を伺いたいと思っていたんですけれども、まず、日本で一番使われているアプリと言われているLINEなんですけれども、総務省が四月十六日に、LINEヤフー社の対応を不十分だとして、二度目の行政指導を行われたと承知をしています。
LINEや親会社のソフトバンクの対応が不十分ということであったと思いますが、この情報漏えいについて、今どのように総務省は当たっているのか。またあわせて、少なくとも国が認定したLINE社の今の違法の状態が改善されることを知って、地方公共団体が多く使っています。これについても、地方の自治体について、どのようにして総務省は問題視して地方にも伝えているのかもお聞きします。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
LINEヤフー社に対しましては、三月五日に行政指導を実施しまして、四月の一日に、同社から再発防止等に向けた取組に関する報告書の提出があったところでございます。
この報告書を精査しましたところ、一定の応急的な対策については実施済みであるものの、安全管理措置及び委託先管理が十分なものとは言い難く、また、グループ全体でのセキュリティーガバナンス体制の構築につきまして見直しの具体的な計画が示されておらず、十分な見直しが行われる展望が明らかでないと判断をしまして、四月の十六日に再び行政指導を行ったところでございます。
この行政指導におきまして、LINEヤフー社に対しましては、安全管理措置や委託先管理の抜本的な見直し及び対策強化の加速化、それから、委託先から資本的な支配を相当程度受ける関係の見直しを含め、親会社等を含むグループ全体でのセキュリティーガバナンスの本質的な見直しの検討の加速化、こういったことの措置を講じるように求めるとともに、その措置の履行状況や実施計画につきまして、本年の七月一日までに具体的かつ明確に報告するように求めているところでございます。
総務省としましては、今後も、委託先の適切な管理やセキュリティーガバナンスの強化に向けまして、厳正に対処してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○田中(健)委員 LINEは今や利用者が九千六百万人ということで、多くの日本人が使っています。政府も、調査によれば、政府機関でも七八・二%、地方公共団体も六八・四%と、LINEを業務利用しています。機密情報の取扱いや住民の個人情報も扱う業務も含まれているということです。
今、今年に入って二回と言いましたが、前社のLINEのときも、二〇二一年、二〇二三年と二度にわたって行政指導、つまり四回も行政指導が起きています。
LINEは、政府、自治体、私たち国会議員も利用してしまっていますが、公的機関や公人の話の内容もあります。漏れてしまっているなんというおそれもあります。政府はそういった情報をどこまで把握しているのか、機密情報は漏れていないと確約できるのか、内閣官房にお聞きします。
○中溝政府参考人 お答え申し上げます。
内閣サイバーセキュリティセンターとして、現時点で、御指摘のような公的機関や公人の機密情報がLINEを通じて漏えいしたとの情報には接しておりません。
なお、政府では、政府機関等における情報システムのセキュリティーを一定以上に保つための基準として、政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準を策定しております。この中で、政府機関においては、LINEサービスを含め、民間企業が不特定多数の利用者に向けてインターネット上で提供するいわゆる約款型サービスの利用に当たっては、要機密情報を取り扱うことはできないとしております。
いずれにしましても、今般の事案を踏まえて、現在、総務省及び個人情報保護委員会がLINEヤフー社に対し、対策、検討の加速化を求めているところと承知しておりまして、これを踏まえ、今後、同社のサービスのセキュリティーの確保に万全が図られるよう注視してまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 情報は漏れていないということで、それについては一つ安心をしたんですけれども、今ありました、総務省だけではなくて政府の個人情報保護委員会も、三月二十八日には、個人情報保護に違反していると是正勧告を出しています。この中では、個人データの適切な取扱いが組織的にできていないと認定もしていますが、つまり、現時点ではLINEは違法状態のまま運用されているということになるんでしょうか。見解を伺います。
○大槻政府参考人 お答えいたします。
お尋ねのLINEに関する個人データの漏えい等事案に関して、個人情報保護委員会においては、先月二十八日、LINEヤフー社に対し、個人情報保護法第二十三条の規定違反、組織的安全管理措置の不備でございますが、これを是正するよう勧告等を行ったところです。
したがいまして、当該時点において、LINEヤフー社が組織的安全管理措置の不備という意味において個人情報保護法に違反する状態であったこととなると考えております。
現在、LINEヤフー社に対して、再発防止策の実施状況を含めまして、勧告に対する改善状況について、今月二十六日までに初回の報告を求めているところでありまして、また、それ以降も、約三か月ごとに一年間報告を求めることとしておりまして、報告内容を精査の上、引き続き適切に対応してまいります。
○田中(健)委員 違法状態であるということでありまして、本来なら、しっかりと総務省が確認し、また個人情報保護委員会が安全確認をするまでは、しっかりと、今そういう状態であるということを発信をしてもらって、また本来ならば、公的機関の利用を制限するなどという措置が私は必要ではないかとも思っています。
総務省、大臣は大変に怒っていまして、会見でも、対応をしっかりしろということを言っていましたので、そこには対応を期待しますけれども、是非この問題、もう大分根が深く続いている問題ですので、取組を、しっかり対応してもらいたいと思っています。
そこで、本来、LINEを使ってマイナポータルが子育てワンストップサービスをやっていたので、大臣、これは問題じゃないですかと聞こうと思ったんですが、これは去年にもう終了してしまっているということです。終わったのは個人情報と関係なくて、そもそも、LINEを使っていたんですけれども、もうマイナポータルで全てできるということで、もう使わなくていいということなんですね。私は、これは大きなこれからの流れになるんじゃないかなと思っています。
というのは、マイナポータルはそもそも、オンライン上での行政機関が持つ自分の情報を確認したり、あと、行政機関などのお知らせを受け取るということができる。これは、今LINEの公式アカウントを各自治体がつくって、同じことをやっているんですね。でも、それがマイナポータルでできるならば、私は、そういったLINEのサービスを地方自治体が使うのも今の状態では危険だと思っていますので、やめるべきだと思うんですけれども、本来はマイナポータルがそのようにして全てのサービスができれば、私は、その必要性はなくなってくるんじゃないかなと思っていました。
先ほどの個人認証やまたオンライン署名の話ではなくて、まさにオンライン上で行政機関が持つ自分の情報を確認したりするというのは、マイナポータルが役目として果たせるんじゃないかと思うことについては、大臣、どのようにお考えでしょうか。
○河野国務大臣 マイナポータルで様々な情報を、国であったり都道府県、地方自治体が個人向けに発信をする、大分いろいろなものの用意が整ってきているところでございます。こうした双方向のやり取りをマイナポータルを通じてしっかりできるように、今後も機能の拡張はしてまいりたいというふうに思っております。
スマホ搭載を今頑張っているところでございますが、現時点で、例えばiPhoneを使っている方は、マイナポータルにアクセスするのに、カードを読み取って暗証番号を入れていただかなければいかぬという手間もかかるというところはありますが、スマホ搭載ができれば、これはもう少し便利になるんだろうなというふうに思っております。自治体も、ぴったりサービスその他、いろいろとマイナポータルをこれまでも使ってきてくれているところでございます。
LINEのサービスの在り方につきましては、これは総務省と個情委で今後も適切に対応されていくだろうと思います。民間のサービス、これはLINEに限らず、民間のサービスと公的なサービス、どういうふうに切り分けていくのがいいのか、これはいろいろな考え方があると思いますので、デジタル庁としては、まずはマイナポータルを使いやすくしていく。当然、民間の様々なサービスというのもアップグレードされていくだろうと思いますので、我々は我々として、必要なことをしっかり粛々と進めてまいりたいというふうに思っております。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
私たち、皆さん、国民の情報がしっかりと守れるような体制を、民間そして私たち国でもしっかり取り組んでいただきますことをお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○谷委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。高橋千鶴子さん。
○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、デジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案について、反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、ベースレジストリーの整備によって、行政手続の簡素化、効率化と引換えに、官民連携での個人情報の利活用を進めるとともに、自治体の行政サービスの標準化を更に進めるものだからです。
策定を義務づける公的基礎情報データベース整備改善計画に基づいて整備を進めようとしているのは、現時点では法人、不動産ベースレジストリーとアドレスベースレジストリーで、地方自治体や民間事業者にとって業務効率化に資する面があることは理解できます。しかし、機微な情報を扱う場合は個別法で対応するとしているものの、同計画の対象としている整備計画の範囲は政府に委ねられており、今後、どのようなデータを整備し、連携するのかは見通せません。
ベースレジストリーの整備は、官民が保有するデータ連携を容易にし、利活用を促進するための基盤整備としての性格を有します。個人情報を匿名加工していれば本人の同意なしに目的外流用が可能となっていることなど、プライバシー保護がないがしろにされている現行制度の下で、オープンデータ化、利活用が進むことは認められません。
さらに、地方自治体に対して、同計画に従い整備改善を行うよう努力義務を課しており、行政の効率化の名の下に、行政サービスの共通化、ひいては住民生活向上のための自治体独自のサービスが後退させられることにもなりかねません。
第二は、スマホへのマイナンバーカードの搭載を可能とし、個人を特定する機微な情報である四情報等を一体化することは、個人情報の漏えいと流用のリスクを高めるからです。
スマホはサイバー攻撃のリスクを抱える上、日常的に持ち歩くことでプライバシーの侵害や成り済まし等のリスクが高まることが懸念されます。現在でも民間アプリを通してマイナカードによる本人確認は様々な場面で使われており、様々なトラブルが起こっています。しかし、マイナカードのスマホ搭載を機に、政府が本人確認アプリ提供に乗り出すこと、別途準備しているログイン認証アプリなどと併せ、デジタル庁に国民個々人の利用状況が集中することにもなり、自身の情報が誰に、どのように利活用されることになるのか分からないという重大な懸念があります。
終わりに、河野大臣が健康保険証の廃止について発言してから約一年半が経過しました。国民や医療機関関係者からの声に耳を傾けず、スケジュールありきで推し進めてきた結果、トラブルが絶えず、マイナ保険証はいまだ五%台という非常に低い利用率にとどまっています。このような状況で、事実上の通報を促し、更に医療機関に圧力をかけることは断じて許すことはできません。今すぐ健康保険証の廃止を撤回するべきです。
以上述べて、討論とします。
○谷委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○谷委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○谷委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、田中英之君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党及び国民民主党・無所属クラブの四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。城井崇君。
○城井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。
一 行政手続に係る国民の利便性向上を図るため、他の法令に基づく許認可の申請時においても、データ連携により登記事項証明書の添付を不要とすることが可能となるよう、手続の簡素化の在り方について検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
二 公的基礎情報データベース整備改善計画の作成及び同計画に基づくデータ連携の拡大に際しては、保有個人情報の利用が野放図に拡大していくことのないよう、個人情報保護委員会その他の第三者機関の関与の在り方について検討すること。
三 本法によってベース・レジストリの整備及び運用等をデジタル庁と連携して行うこととなる独立行政法人国立印刷局及び独立行政法人情報処理推進機構に対しては、新たな業務を十分に実施できるよう、必要な支援を行うこと。
四 国の情報システムの運用に際しては、マイナンバーと個人情報のひも付け誤りを始めとする個人情報の漏えい事案を起こさないよう、作業時間を十分に確保するとともに、誤操作の発生を前提としてあらかじめ対策を講ずるといったフールプルーフやフェイルセーフの考え方を徹底するなど、万全を期すこと。
五 移動端末設備用電子証明書及びカード代替電磁的記録については、我が国で利用されているスマートフォンの機種に広く搭載できるよう、関係事業者との協議を加速化すること。また、将来的にマイナンバーカードを物理的なカードとして発行し続けることの必要性について検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
六 移動端末設備用電子証明書又はカード代替電磁的記録が搭載されたスマートフォンの譲渡、機種変更、紛失等に際して、電子証明書等が悪用されることのないよう、これらについて迅速かつ確実な失効等がなされるよう措置を講ずること。
七 オンライン資格確認等システムを利用する医療機関等がスマートフォンに対応できるよう、必要な支援の在り方について検討を行うこと。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○谷委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。河野デジタル大臣。
○河野国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえまして、配意してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○谷委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
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○谷委員長 次回は、来る五月八日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時五十二分散会