衆議院

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第22号 令和6年5月30日(木曜日)

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令和六年五月三十日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 井上 信治君 理事 小林 史明君

   理事 田中 英之君 理事 牧島かれん君

   理事 岡本あき子君 理事 藤岡 隆雄君

   理事 一谷勇一郎君 理事 河西 宏一君

      今村 雅弘君    上杉謙太郎君

      黄川田仁志君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    橘 慶一郎君

      谷川 とむ君    土田  慎君

      土井  亨君    中川 貴元君

      中川 郁子君    橋本  岳君

      福田 達夫君    藤丸  敏君

      堀井  学君    保岡 宏武君

      柳本  顕君    城井  崇君

      坂本祐之輔君    中谷 一馬君

      福田 昭夫君    早稲田ゆき君

      赤木 正幸君    伊東 信久君

      伊佐 進一君    浮島 智子君

      吉田久美子君    高橋千鶴子君

      田中  健君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)     自見はなこ君

   内閣府副大臣       井林 辰憲君

   内閣府副大臣       工藤 彰三君

   内閣府副大臣       石川 昭政君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   内閣府大臣政務官     神田 潤一君

   デジタル大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    土田  慎君

   国土交通大臣政務官    石橋林太郎君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         岩間  浩君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         大森 一顕君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室長)          恩田  馨君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室室長代理)         河村 直樹君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        吉田健一郎君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          高橋 宏治君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   冨安泰一郎君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 鈴木  清君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 中村 英正君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森  孝之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官)           金光謙一郎君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     小林万里子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           熊谷 法夫君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           楠田 幹人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           鎌原 宜文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           宿本 尚吾君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局次長)       川野  豊君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 堀上  勝君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十日

 辞任         補欠選任

  橘 慶一郎君     中川 貴元君

  福田 達夫君     杉田 水脈君

  伊佐 進一君     吉田久美子君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     福田 達夫君

  中川 貴元君     橘 慶一郎君

  吉田久美子君     伊佐 進一君

    ―――――――――――――

五月二十七日

 現行の健康保険証を残すことに関する請願(伊藤忠彦君紹介)(第一五五二号)

 同(笠浩史君紹介)(第一五五三号)

 同(重徳和彦君紹介)(第一五六三号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一七〇六号)

 健康保険証廃止の中止を求め、マイナンバーカード取得の強制に反対することに関する請願(宮本徹君紹介)(第一六六二号)

 同(宮本徹君紹介)(第一七〇七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五五号)


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官岩間浩君、同じく大森一顕君、内閣府地方分権改革推進室長恩田馨君、内閣府地方創生推進室室長代理河村直樹君、内閣府地方創生推進事務局審議官吉田健一郎君、こども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文君、同じく高橋宏治君、デジタル庁統括官冨安泰一郎君、同じく楠正憲君、総務省大臣官房審議官鈴木清君、財務省大臣官房審議官中村英正君、文部科学省大臣官房審議官森孝之君、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官金光謙一郎君、文化庁審議官小林万里子さん、農林水産省大臣官房審議官熊谷法夫君、国土交通省大臣官房審議官楠田幹人君、同じく鎌原宜文君、同じく宿本尚吾君、国土交通省不動産・建設経済局次長川野豊君及び環境省大臣官房審議官堀上勝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。橘慶一郎君。

橘委員 おはようございます。

 この特別委員会での質問の機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。

 私、質問には必ず万葉集を詠んで、させていただくというスタイルを取っております。今日は、季節の歌を詠ませていただいて、入らせていただきます。

 初夏といえば、藤の花がだんだん散りながら、ホトトギスというような感じかと思います。その歌を一つ詠んで、入ります。

 万葉集巻十、千九百四十四番。

  藤波の散らまく惜しみほととぎす今城の岡を鳴きて越ゆなり

 よろしくお願いいたします。(拍手)

 分権一括法案ということでありまして、平成二十六年の第五次からは提案募集方式ということで、こういう形で作成をするようになって十回目となるわけであります。元々は、地方分権の流れの中で、まず、国と地方のいろいろな関係の義務づけ、枠づけ、あるいはその権限、いろいろなことを見詰めて、まずは一通り専門家の方も入って全体を総括的にさらった後は、こういう形がいいだろうということで、平成二十六年からは、自治体の方から現場のいろいろなニーズに合わせていろいろな要望を出していただいて、これを改善していこう、こういうことで十回目になるわけであります。

 毎回、新たな要望が数多く寄せられている状況にありまして、必ずしも酌み尽くせないといいますか、やはり、森羅万象、いろいろなことがあるものですから、思いのほかいろいろな御提案があって、そこからいろいろな改革、改善がなされているようにお見受けをしているところであります。

 ちょうど節目ということもありまして、当局におかれても少し、いろいろな振り返りもされたようであります。これまでの提案実現がどういう数になっているのか、また、この地方分権にどのような寄与があったのか、そして、この方式の評価、そしてまた、提案をしてくる自治体側の受け止めについて、総括的にまずは大臣にお伺いをしたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 提案募集方式においては、地方から毎年、おおむね二百件から三百件程度の提案を頂戴してございまして、平成二十六年から令和五年までの十年間の累計では三千五百件を超えるところになってございます。これらの提案のうち、約二千三百件につきまして、内閣府と関係府省庁との間で調整を行ってまいりまして、八割以上の約千八百件について、御提案の趣旨を踏まえた対応等を行ってきたところであります。

 これらの取組を通じまして、例えば、農地転用権限等の地方への移譲、また地方版ハローワークの創設など、地方に関する権限移譲や規制緩和を進めてきたところであります。

 提案募集方式につきましては、昨年十二月の有識者会議の取りまとめにおきまして、地方から多くの提案が寄せられ、それらを契機とした義務づけ、枠づけの見直し等が着実に進められており、相当程度成果が上がってきている旨の総括をいただいているところでございます。

 また、地方からも、同方式に対しまして、令和五年の地方からの提案等に関する対応方針の閣議決定に際しまして、地方分権改革の歩みを着実に進めるものとしての評価を頂戴しているところであります。

 今後も、提案募集方式の推進を通じまして、地方の自主性、そして自立性を高めるための取組を着実に進めてまいりたいと考えてございます。

橘委員 ありがとうございました。

 実際自治体に身を置いたことがある身といたしましても、現場の声が届くというか、そしてまたそのことが、提案が実現をしていくということは非常に達成感のあることだと思っております。是非、こういうボトムアップ式のことということはやはり継続的に取り組んでいただいて、また、いろいろな気づきをまた中央省庁の方々にも与えていただければ、このようにも思うわけであります。

 ただ、これはそれで大変いいことなのでありますけれども、また一面、こういったことを進めていく中では、あっ、この改善点というのは、この役所のこの行政分野だけじゃなくて、もしかしたら横展開できるかもしれないよ、そういった、提案方式ですから、言ってみれば、あるところが改善されても、ほかのところが改善されないと、ある手続においては例えば凸凹が生じるんじゃないか、同じ内容ではないんですけれども、同種の別の手続がそのままになっているとかいうこともあるかもしれません。

 やはり、可能な限り、もしできることで、あっ、そうだ、横展開できるんだというものについてはそういったことをされてもいいとも思いますし、また、十年、これだけこういうことを進めてきて、そういった芽が幾つか出ているのであれば、ある時点で、今度は横展開ということで、中央省庁の中でこういうことを見直してみる、そういうこともあってもいいのかなというふうに思うわけでありますが、この辺、現状の考え方をお伺いいたします。

恩田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、地方からの提案に対しまして、個別的に対応するのみならず、趣旨を同じくする共通的な制度などに関する見直しを図っていくことにつきましては、検討すべき課題であると認識してございます。

 これまでも、計画策定等につきましては、提案募集方式による対応と並行いたしまして、政府部内で効率的、効果的な計画行政の在り方に関して検討を重ねまして、昨年の三月にいわゆるナビゲーション・ガイドということで閣議決定もさせていただいたところでございます。

 また、昨年末の有識者会議での取りまとめにおきましても、個々の提案への対応にとどまらず、趣旨を同じくする課題、支障を有する点で共通する複数の制度等については、その在り方を検討し、見直しを図っていくことが求められていると指摘されてございます。他の類似分野への面的な見直しの展開が課題とされたところでございます。

 今後、内閣府といたしましては、提案団体の意向も踏まえつつ、提案の横展開等の方策等につきまして、有識者会議の御意見も伺いながら検討してまいりたいと考えてございます。

橘委員 虫の目、鳥の目という言い方もよくございますが、細部もしっかり見ながら、しかしまた俯瞰して見ていく、そういったことを両方重ね合わせることによって国と地方の関係がよりよいものになっていく、そういったことで是非お取組をお願いをしたいところであります。

 次に、法律で今回改善がなされる個別の案件、二件ばかしちょっとお伺いをしてまいりたいと思います。

 公立学校施設整備費国庫負担事業の対象となる事業の実施期間を二年から三年に延長いただく。これは、背景には、建築費が高騰している、あるいは、二〇二四問題ということで、やはり、工期というものについてある程度余裕を持たなきゃいけない、こういった建設業を取り巻く環境の変化、そういったことに自治体が対応しやすいように期間を延ばしていただいたんだろうと思います。

 しかし、この建築費の高騰ということは、よくこれは話題になるわけでありますが、学校を改築したり、あるいは修繕したり、そういったときのいわゆる建築単価といいますか、発注したときの値段と、実際、補助単価というのが、どうしても少し乖離があるんじゃないかという声も地方からよく聞くところでございます。

 単価引上げと、今日的なこの状況に対応した取組について、文部科学省にお伺いいたします。

金光政府参考人 お答え申し上げます。

 昨今の建築資材の高騰などを踏まえ、令和六年度予算では、鉄筋コンクリート造の小中学校校舎の国庫補助単価を前年度比一〇・三%増とする大幅な見直しを行っております。これにより、三年続いて一〇%を超える増となっているところでございます。

 文部科学省といたしましては、地方公共団体が学校施設の計画的な整備を行えるよう、引き続き、国庫補助単価の見直しも含め、必要な予算総額の確保に努めてまいります。

橘委員 ありがとうございます。

 かねて文部科学省では学校の耐震化ということも随分熱心に進められて、今回の能登半島地震などを見ていても、そういったことの成果というのは、やはり、耐震化を進めた分野と進めていない分野でも、いろいろ出ていると思います。そしてまた、大切な次代を担う子供たちの学びやでもございます。是非、今のような形で、実情に合わせて随時見直しを図っていただければ大変幸いです。

 次に、オンラインによりまして、獣医師の届出がオンライン化されたということを踏まえて、都道府県経由事務、まあ都道府県にあえて経由しなくても情報は共有できるということで、この経由事務の廃止ということが、今回の手続の中で、この法律の中でうたわれております。

 私、最初に質問で申し上げたように、こういったふうに、例えばオンライン化したら経由事務は要らないよという手続はほかにもあるのではないか、このように思います。

 もちろん内閣府として全体を見ていくということではありますが、一面、デジタル行政を所管されているデジタル庁でも様々な面で国と地方のデジタル化の問題について取り組んでおられる状況にございますから、こういったデジタル化の観点で見直しを横展開できるものについてどのようにお考えになっているか、お伺いしておきたいと思います。

冨安政府参考人 御答弁いたします。

 行政手続のデジタル化、オンライン化は、それぞれの行政手続を使っていただく国民から見ての利便性向上ということを目的としておりますけれども、もちろん、それを提供する行政の業務負担軽減につながることも非常に重要だと考えております。したがいまして、デジタル化を進める際には、申請をオンライン化すること自体が目的とならないように、利用者の利便性向上、行政運営の効率化に立ち返って考える必要があると思っております。

 議員御指摘の、獣医師の届出に係るオンラインを活用した場合の都道府県経由事務の廃止につきましては、まさに地方公共団体の業務負担を軽減することにつながり、大変重要な取組だと認識しております。

 同様の手続を所管する各府省庁においても、こうしたことの重要性について認識を持っていただくことが必要だと考えております。

 確かに、各手続の性質等もございますでしょうから、最終的には各省にしっかり判断していただく必要がありますけれども、このような認識を横展開していくことが非常に重要だと考えておりますので、内閣府の地方分権改革推進室とも相談をしながら、しっかり推進してまいりたいと思っております。

橘委員 統括官、ありがとうございます。

 実は、事前レクのときのお答えよりは随分前進したお答えをいただいたので、大変うれしく思っております。

 お答え、お話があったとおり、デジタル化が目的化するのではなくて、デジタル化をして何がよかったのか、そして、その実感を是非地方自治体の現場に与えていただくということが、今デジタル庁で推し進めようとされている手続の標準化の問題であったり、地方に今投げかけられている様々な課題を解決するよすがになると思いますので、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。

 ちょっとここから先には、地方創生のことについて幾つかお伺いをしておきたいと思います。

 文化庁の京都移転ということから、ちょうど一年たちました。職員さんとか家族の方々の、人口の社会移動、京都の文化環境が新規施策に与える好影響、そういったことの評価の面、それから、やはりリモートとかいわゆるオンライン、いろいろなことがございますが、連絡通信面で業務遂行上課題はないのか、その辺はどういう対応をしていくのか、こういったことを総括的に文化庁にお伺いをいたします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁は、東京一極集中の是正だけではなく、地方創生や文化財の活用など新たな政策ニーズ等への対応を含め、機能強化を図りつつ、昨年三月に京都に移転いたしました。

 職員の移動の面では、文化庁移転協議会におきまして、京都で勤務する職員数は全体の七割を前提とすることとされ、その中には、東京から移動した単身の職員に加えまして、家族を含めて移動している職員もいる状況でございます。

 施策の面では、移転後は、例えば、文化財の高付加価値化を通じたコンテンツ造成事業の創設などを内容といたします文化財を活用した文化観光の推進による地方創生パッケージの策定や、食文化の魅力発信の強化、食文化の検証に係る調査研究の推進など、京都の文化環境などで発想を得ました新しい取組も進めております。

 また、移転につきましては、昨年度の政府関係機関の地方移転に関する総括的評価でも一定の評価がされたところでございます。

 オンライン環境上の課題といたしましては、議員の先生への御説明への対応ですとか他省庁との調整におきまして迅速かつ円滑な対応が取りにくいことはございますが、オンライン会議システムなどデジタル技術の活用と東京で勤務する職員との連携によりまして、状況に応じて工夫しながら対応を行っているところでございます。

 今後、更に、京都、関西に限らず、全国各地域におきましても成果を感じていただけるよう、地方創生に資する文化行政を展開してまいります。

橘委員 どうもありがとうございます。

 実際、社会移動ということで、ちょっと、レクのときにお伺いしていると、五百人から千人ぐらいの社会移動にはなったよねというお話を伺ったり、それから、やはり、京都という非常に文化財が豊富なところで文化行政に携わる方がいろいろなものを実際実感できる、体感できるというようなこともあるかと思います。

 是非、施策に生かしていただくということと、また、連絡通信面では、今、非常に通信技術は発達しているとはいえ、実は、今回の事前レクのときも、これは議員会館の方がまずかったのか、通信が途絶するということが起こりました。ですから、その辺は逆に文化庁さんはまた総務省等に強く申し出ていただいて、せっかくの移転がうまくいくように、また通信面での改善も図っていかなければいけないと思っております。

 さて、省庁の移転というのは、いわゆる都市機能といいますか、東京にいろいろ集中している国の機能を地方に分散していくんだ、それは官もあるし民もあるわけですが、やはり、官が始めていかなければ、民の本社機能等の移転というのはなかなか進まないという問題意識があるんだと思っております。

 そこで、経済界の方々にも本社機能の移転というのを、やはり、経済的な合理性からいろいろ問題があるのかもしれませんが、地方創生の観点から粘り強く働きかけていくべきだと思うのですが、政府の認識と具体的な行動の現状を伺います。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方への人の流れをつくり、地方創生を進めるためには、地域の雇用機会の創出が必要であり、企業の本社機能等の地方への移転促進は重要な課題と認識しております。

 このため、政府といたしましては、平成二十七年度に、地方移転等を行う企業に対して法人税の減税措置を適用する地方拠点強化税制を創設したところですが、令和六年三月末までに、税制等の活用の前提となります地域再生法の地方活力向上地域等特定業務施設整備計画、これを、認定件数は六百九十八件、計画における雇用創出数は約三・一万人となっているところでございます。

 委員御指摘のとおり、本制度の活用も含め、経済界に地方移転を働きかけていくことが重要であり、これまでも、制度改正のタイミング等に合わせて、経団連、経済同友会、日本商工会議所等の経済団体の事務局に対して説明をするとともに、会員企業へのパンフレットの配布や団体会報等による広報などをお願いをしてきたところでございます。

 また、今般の令和六年度税制改正におきましては、女性、若者、子育て世代にとって魅力ある雇用を創出するため、インサイドセールスなどの事業部門が使用する施設や子育て施設等を税制措置の対象に追加したところでございますけれども、これについても経済界等に丁寧に説明し、企業への周知を図ってまいります。

 いずれにせよ、企業の地方移転を促進していく上では、企業誘致に当たり、自治体に加えまして移転の主体である企業の理解が重要であり、御指摘を踏まえ、経済界への働きかけに引き続き努めてまいります。

橘委員 今御答弁ありましたように、いろいろな制度を用意していただいて、推していくという形はあるんですが、やはり今、御答弁の最後にもございましたように、経済界の方々のいわゆる理解といいますか、そうだな、私たちも、そういう流れなんだろうなということを思ってもらう、あるいは、政府も一生懸命やっているからここはそういう世の中にしていかなきゃいけないと思ってもらうためには、隗より始めよという言葉もございますが、いろいろ、地方への政府の機関のあるいは機能の移転ということを率先して進めていく、あるいは、継続的にそういったことが実現していくという姿をつくっていくということがとても大事だと思っております。

 文化庁の移転のときは、文化庁が京都に移転をし、当時、河野大臣が担当でありましたけれども、消費者庁の徳島移転の問題について、一部機能を移すことがあり、また、総務省の統計局の一部機能を和歌山県へ移すというようなことがあったわけですが、ちょっと、地方から見るとまだまだ規模感とか、やはりもう少し大きく踏み出してもいいんじゃないか、そういう思いを強く持っているところであります。是非、こういったことについては、これで終わりだとか、これでよしということではなくて、やはり、東京一極集中の是正が強く求められる。

 そして、地方ではまた人口の減少が目立っている。そして、私の富山県でも、実はこの四月から人口が百万人を切ったということで大変話題にもなっていまして、そういうとき、どうしても声が出るのは、これからの、次の世代を育て、育む若い世代の方々に地域に残ってもらわなければ、地域に魅力を感じてもらわなければならない、こういうことが叫ばれるわけであります。

 そこで、隗より始めよの姿勢で、改めて各省庁に政務としても力強く働きかけていただきたいということで、筑波研究学園都市をお持ちの茨城県選出の石川副大臣にお答えをいただきたいと思います。

石川副大臣 お答えいたします。

 問題意識、強く共感をしているところでございます。

 政府関係機関の地方移転につきましては、文化庁など中央省庁七機関、研究、研修機関二十三機関、五十件を対象として進めてきたところでございます。橘委員の御地元富山県でも、医薬品医療機器総合機構を始めとする三機関が移転取組を実施しているところでございます。

 また、これらの機関を対象として令和五年度に実施した総括的評価におきましては、移転取組を契機とした地方創生上の効果が確認をされております。

 一方、政府関係機関の地方移転を進める上では、費用抑制、体制整備の観点から、新規の地方移転につきましては、新規の施設整備が必須ではなく、デジタル技術やサテライトオフィスの活用、地域による協力の有無の観点を含めまして、総合性、必要性を総合的に判断していくことなどが示されているところでございます。

 今後の対応につきましては、総括的評価の結果等を踏まえまして、各機関や地域の個別具体の状況に応じて検討を実施していくことになりますが、引き続き、東京一極集中の是正に向けて移転取組の更なる充実に努めていくとともに、デジタル分野を担当する副大臣といたしましては、テレワークやICTツールの活用などによりますデジタル社会にふさわしい働き方の実現といった要請にも応えられるよう、知恵を尽くしてまいりたいと思います。

橘委員 よろしくお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 先ほどの橘委員のすばらしい和歌を聞かせていただいて、爽やかな気持ちで質疑に臨んでいきたいというふうに思っております。

 まず、獣医師法の改正について伺いたいというふうに思っております。

 今回の一括法の改正というのは、獣医師の届出、これをオンラインにすると、都道府県経由を不要にする、直接国に行きますという話でした。これは非常に、もう当然やるべき改正だというふうに思っておりますので、是非進めていただきたいというふうに思うんです。

 獣医師法については、幾つかほかのお声もいただいておりまして、少しその点について、二点、伺いたいというふうに思っております。

 まず、獣医師法の第十七条に、「獣医師でなければ、飼育動物(牛、馬、めん羊、山羊、豚、犬、猫、鶏、うずらその他」「政令で定めるものに限る。)の診療を業務としてはならない。」と。つまり、獣医師でなければ、飼育動物の診療をしてはならないということになっています。

 この飼育動物の定義なんですが、獣医師しか、つまり診療してはならないというものですけれども、これは限られております。さっき申し上げたように、まず、飼育動物なので、飼育されている動物じゃないと駄目。だから野生動物は入らない。実験動物、マウスとかラットとかというのも入らない。動物園とか水族館の動物も入らない。さらに、さっき申し上げた括弧書きで牛、馬と限定列挙されていますので、たとえ飼育されていたとしても、例えば、この列挙されている動物、犬、猫とか以外のペットは実は入っていません、ウサギとかフェレットとか爬虫類とか。

 私も家でハムスターを飼っていますけれども、このハムスター、たまに獣医師さんに診ていただいていますけれども、でも、これは実は獣医師法十七条の対象になっていないんです。法的には、獣医師じゃなくても診療行為が行えるということになっています。これは何でこうなっているんでしょうか。

熊谷政府参考人 お答えいたします。

 獣医師法においては、畜産業の発達、公衆衛生の向上等の法の目的からして、獣医師でなければ診療の業務を行えない対象を動物全てではなく家畜や愛玩動物などに限定することが適切であるため、この規定を置いているところです。

 具体的には、その対象となる動物は、畜産業の発達、公衆衛生の向上等の観点からの重要性や疾病の発生状況、獣医師の技術的対応能力等を考慮し、選定しているところです。

伊佐委員 ごめんなさい、今のはちょっと分かりにくかったので、もう一回確認なんですけれども、私が伺っているのは、たとえ動物の健康に取り組んでいたとしても、最後は人間、人の公衆衛生に関係しないと対象外だ、こういう理解でいいんでしたか。

熊谷政府参考人 今委員から御指摘のあったとおり、畜産業の発達に加えまして、公衆衛生上の観点も踏まえて指定しているところでございます。

伊佐委員 つまり、人間の公衆衛生に関係しないと実は獣医師法の対象外になっております。ところが、実態上は、もうこの定義を超えて、獣医師というのは多くの動物にかかっていただいております。

 例えば実験動物は、最近では動物福祉という観点で、例えば健康管理だったり疾病の治療だったり適正な実験手技だったりとか、実は、獣医師にできないような様々な取組も実験動物に対してもしていただいていたりとか、あと、動物園とか水族館でも実際は獣医師さんが勤務されていて、法律上の飼育動物、飼育じゃないので、獣医師じゃなくても診療できるとなっているんです。そうすると、現場で私が聞いたのは、獣医師として勤務しているんですけれども、肩書は飼育員になっていると。そうすると、獣医免許のないほかの飼育員と待遇にほとんど差がないというような場合もあってというようなことも伺っています。

 さっきの、人への感染が大事だという観点でも、今もペットは、本当にいろいろな方がいろいろなペットを飼っていらっしゃいまして多様化していまして、例えば、これまでだったら野生動物というふうに思っていたものが、これがもう家で飼われているというようなケースもあります。それが公衆衛生上の問題につながる場合も私は大いにあるんじゃないかというふうに思っておりますので、そう考えると、獣医師の現場実態、今の状況に合わせて、もうちょっと対象動物の限定列挙というのは考え直していくべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

熊谷政府参考人 獣医師法第十七条に規定する、獣医師でなければ診療を業務とすることができない飼育動物は、畜産業の発達、公衆衛生の向上等の観点から、疾病の発生状況等を考慮して規定されてきたところでございます。

 これまでも、平成四年になりますが、畜産業における重要性や、さらには公衆衛生の観点から、本法律においてウズラを、政令においてオウム科を始めとする小鳥三科を追加しております。

 今後とも、社会情勢等を踏まえ、対象動物について判断してまいりたいと思っております。

伊佐委員 社会情勢を踏まえて判断するというのが本当に迅速に対応できているんだったら問題ないと思うんですが、ちょっとやはり時間も当然かかっていくんじゃないかというふうに思っておりますし、さっき申し上げたように、そもそもの飼育動物という観点を超えて今獣医師の皆さんに頑張っていただいていますので、やはり、この実態に合わせた取組、その法律の整備というのはしっかり私はやっていくべきじゃないかというふうに思っております。

 次に、環境省も来ていただいておりますので、今度は、動物愛護管理法との関係について伺いたいというふうに思います。

 二〇一九年に動物愛護管理法が改正をされました。獣医師の役割が大分増えました。例えば、犬猫を繁殖させる際には、まず獣医師がちゃんと健康診断をする、このワンちゃん、猫ちゃんで繁殖してもいいですよというのを一応お墨つきを与えるとか、あるいは、四十一条では、獣医師による動物虐待の通報義務化というようなものも規定もされております。

 動物愛護管理法での愛護動物の定義というのは、さっきの獣医師法の飼育動物より広いです。全然広いです。どう書いてあるかというと、哺乳類、鳥類、爬虫類に属する動物というのも入ってくるということに、だから、哺乳類全体になります。ここで、うちのハムスターも入ってくるわけですけれども。またさらに、この動物及びで続くのは、飼い主の有無に関わらない全ての牛、馬、豚、綿羊、ヤギ、犬、猫、イエウサギ、鶏、イエバト、アヒル。つまり、飼い主の有無に関わらないなので、野生動物は全部ここで対象になっているわけです。

 動物愛護の観点でいうと、この広い対象動物に対して、獣医師の役割がいろいろな条文で規定はされているんです。ただ、獣医師の指導的な役割というものがはっきりと明記されていません。

 どういうことかというと、例えば、ペットの販売業者がさっき申し上げたような犬と猫の繁殖を行うという際には、獣医師が健康診断、繁殖の適否というのを診断することになります。ところが、例えば、動物取扱業者が獣医師を雇用している場合、その雇用している獣医師が判断するという場合もあるので、そうすると雇主と労働者の立場になるわけです。そうなったときに、適正に獣医師の役割が発揮できるのかという心配の声もありますが、ここはいかがでしょうか。

堀上政府参考人 お答えいたします。

 動物愛護管理法におきましては、犬猫等販売業者は獣医師等との適切な連携を図らなければならないと規定されておりまして、具体的には、かかりつけの獣医師を確保させるということなどが想定されます。

 また、同法に基づく省令におきまして、議員御指摘のとおりですけれども、犬猫等販売業者等は、販売するために犬又は猫を繁殖させる場合に、獣医師による健康診断等の結果に従い、繁殖に適さない犬又は猫の繁殖をさせてはならない、そういうふうに規定をしております。

 獣医師が動物取扱業者の取り扱う動物を診察する際に、当該獣医師が動物取扱業者に雇用されているか否かにかかわらず、適正な診断がなされる、そういうふうになるべきというふうに考えてございます。

伊佐委員 今の答弁はあれですよね、つまり、政府の立場としては、獣医師の位置づけというのはしっかりしたものなんだというふうに政府としても思っているということでよろしいですね。分かりました。ありがとうございます。

 それでは、次の質問に移りたいというふうに思います。

 今回の法改正の一つで、保育教諭の資格の特例措置の延長というのがございました。

 これは、こども園で働く保育教諭というのは、幼稚園の教諭の資格と保育士の資格の両方が必要と。これは平成二十七年度に制度ができて、ただ、現場では一個しか持っていない方が多いので、五年間の猶予期間がありました。五年間の間にできれば資格を取ってねということだったと思いますが、五年たって、一方しか資格のない方がまだまだたくさんいらっしゃった、待機児童解消の動きもあったということで、一回、五年間延長しました。五年たって、今回、二回目の延長、三回目の五年間にしようということだと思います。

 私は、延長することは賛成です。私も現場からずっと言われて、こども家庭庁にも私自身もお願いもしてきたし、保育の現場の質の向上もやらなきゃいけない一方で、現実問題として人手不足があるという中で、ちょっと資料一をお配りしていると思いますが、見ていただければと思いますが、この資料を見ると、下の緑のところは両方持っている人なんですけれども、上の二つが片方しか持っていない人。これは平成二十九年から作ってもらっていますが、足し合わせると、保育のみ、あるいは教諭免許のみというのが、二十九年は六千六百と二千二百で、足して八千九百ぐらい、平成三十年は九千六百人、三十一年は一万人、その次は一万二千人ちょっとというふうに、一方の資格しか持たない人がどんどん実は増えているんですね、減るどころか。

 この理由を伺いたいというふうに思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からお示しいただきましたとおり、幼保連携型認定こども園に勤務する保育教諭のうち、今、どちらかの免許あるいは資格しか持っていない職員というのは増加傾向にあるということでございます。

 この理由といたしましては、保育所や幼稚園から幼保連携型認定こども園に移行するというのが増えておりまして、施設数が平成二十九年から令和四年の五年間で三千六百十八施設から六千四百七十五施設に増加をしているということがございます。これに伴いまして、認定こども園に勤務する職員の数というのも約八万二千人から約十五万千九百人に増加をしておるということでございまして、これに伴って、先生からお示しいただいたように、片方の免許あるいは資格しか持っていない職員というものが増えているという状況でございます。

 ただ一方で、全体に占める割合、両方の免許を併有しているという人の割合というものは減少しているという状況でございます。

伊佐委員 では、二つを持つ、一つから二つに変わっていく人はじわじわと増えているということですよね。

 じわじわとですので、じゃ、今後五年間延長したら今度こそ大丈夫でしょうねという話なんですが、一方の資格を持っている人がもう一つ資格を取るためには、要件があります。一つは、一定の勤務経験がある、三年間。さらに、その上で一定の単位を取得する、八単位。これは大体、聞くと、一年から一年半かかるというふうに言われています。

 これで、ちょっと伺うのは、例えば、実際に保育士をやっていました、自分の子育てで一回辞めました、終わって落ち着いたので、大分もう年も取ったけれども再度復帰しました、人手不足なのでと。経験も十分あるし、ベテランです。それが今更また勉強して資格を取らないといけないのというふうに言われる。新人の方ならまだしも、誰よりも保育現場を分かっていて、子育ても経験していて、そういう方で、年はいっているけれども頑張ろうと思っている人が一年半これから勉強してくれというと、なかなか大変じゃないかと思っています。

 ここは、だから、資格をもうちょっと取りやすくする環境整備というか、こういうものも併せて考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から御指摘いただいたとおり、既に勤務経験年数が豊富な方につきましては、これは令和五年四月から、一定の勤務経験に応じて大学等における資格の取得単位数を軽減しておる、元々の特例としては八単位必要であったところを六単位に軽減して緩和を図っているというところでございます。

伊佐委員 いろいろ工夫もしていただいております。これで終わりますが、根本的な問題はやはり、人手不足が、処遇改善もしっかりと進めていく中で人材が集まっていくような、こういうことが大事だと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 立憲民主党の坂本祐之輔でございます。

 それでは、質問をいたします。

 安倍政権下でまち・ひと・しごと創生本部が設立され、地方創生の取組が進められてきましたが、岸田政権に替わり、まち・ひと・しごと創生はデジタル田園都市国家構想と変わり、そして、今国会冒頭の岸田総理の施政方針演説からはデジタル田園都市国家構想は消えました。デジタル田園都市国家構想は岸田政権の目玉政策、重要政策ではなくなったということでしょうか。

 岸田政権にとってデジタル田園都市国家構想とは何だったのか、お伺いをいたします。

岩間政府参考人 お答え申し上げます。

 委員が今御指摘いただきましたように、政府におきましては、二〇一四年から、まち・ひと・しごと創生本部の下で、地方創生の四つの柱でございます、地方に仕事をつくる、人の流れをつくる、結婚、出産、子育ての希望をかなえる、魅力的な地域づくり、こうした柱に沿って施策を推進してきたところでございます。

 その中で、各自治体におきましては、国が行う交付金などの財政支援、それから地方への人材派遣などの人的支援、情報支援、こうしたものを活用し、地域課題の解決に向けた様々な取組が進められてきているというところでございます。

 このような、人口減少ですとか東京圏への過度な一極集中の是正に向けた取組の一方で、急激な人口減少や高齢化など厳しい状況に直面している自治体も出てきているということでございます。

 このため、地域の行政サービスの維持向上ですとか、産業の活性化をいかに進めていくかが地方創生の新たな社会課題となっているということでございます。そうした中で、IoTですとかAI、こうしたデジタル技術の活用がこうした社会課題の解決に役立つ手段というふうになってきております。そういう意味で、デジタルの活用により地域社会の生産性、利便性を向上させ、地域の魅力が高めることができるというふうに考えてございます。

 こうした考え方の下で、現在、デジタル田園都市国家構想総合戦略に基づきまして、デジタルを活用した地方創生の加速化、深化を推進し、また、デジタル田園都市国家構想交付金により、従来から進めております各自治体が行う地方創生の取組への支援に加えまして、各自治体が取り組むデジタル実装への支援を行っているということでございます。

坂本(祐)委員 今御説明をいただきましたけれども、それらの全てがしっかりと着実に進展をしたのでしょうか。総理の地方に対する思いも大切でありますけれども、私は、その思いつきだけで地方を振り回すのはやめていただきたいと思っております。国が地方の意見も聞かず一方的に押しつけるのではなくて、地方が何を国に求めているのか、そして、地方からよく聞き、よく理解して、地方が真に必要とされている政策を行っていただきたいと思います。

 さて、平成五年の衆参両院における地方分権の推進に関する決議から三十年、提案募集方式の導入から十年が過ぎました。しかし、現在の地方分権改革の推進状況を見るに、私が市長を務めていたときに期待し、思い描いていたようにはならず、今やその推進の勢いはほとんどなくなってしまっており、大変残念に思っております。

 むしろ、特に岸田政権以降、地方に対する配慮もなく、地方を国の下請機関であるかのような対応が目立っており、地方と国とは対等な関係から、地方分権改革以前の上下主従の関係に戻りつつあるのではないかと危機感を覚えております。

 昨年のマイナポイントに伴うマイナンバーカードの発行業務、マイナンバーの総点検、そして、現在進められている健康保険証の廃止に向けたマイナ保険証への対応や、定額減税に関わるもろもろの対応など、岸田総理の都合で、地方自治体には大きな負担がかかっております。さらに、一昨日、総務委員会で採決された地方自治法改正法案も同様であります。これらは全て、現在の岸田総理、岸田政権の地方に対する考え方、認識の表れではないかと私は考えております。

 このような、地方分権に逆行し、地方と国の関係を上下主従の関係に戻そうとするような状況について、地方分権改革、地方創生を担当する大臣として、どのようにお考えになっているか、自見大臣の見解を伺います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 地方分権につきましては、これまで委員会による勧告を踏まえた取組や地方の発意に基づく提案に依拠した取組などによりまして、権限の移譲や規制緩和などが着実に進められたと認識をしてございます。

 これらの取組により、住民に身近な行政はできる限り地方自治体が担うことが基本となり、特に、住民に身近な福祉や子育て等の分野におきましては、地域の実情に応じたきめ細やかな政策、施策が実施されるなど、住民サービスの向上につながったものと考えてございます。

 今後、人口減少や少子高齢化など様々な課題に直面する中で、持続可能な地域社会を実現するためには、地方自治体の力をしっかりと生かしていくことが重要だと考えてございます。

 そのためには、地方が自らの発想とまた創意工夫により課題解決を図り、そして、質の高い行政サービスを実現する上での基盤となる地方分権を着実に推進することが肝要であり、引き続き地方の自主性、そして自立性を高める取組を着実に進めてまいりたいと考えてございまして、その際にも信頼と対話ということが大変重要だと考えてございます。

坂本(祐)委員 まさに大臣がおっしゃるように、しっかりと進めることができるのかどうか。地方自治体の職員も、総理の都合で仕事をしているわけではありません。それぞれに日々やるべき仕事がある中で、国からのこともやらなくてはならない。自治体の職員も、志を高く持って日々の職務に当たっています。国からの急な指示でも、困難な指示でも、それが真に市民のためになるのであれば、納得してその業務に臨んでいただいているものだと考えております。

 しかし、来月の定額減税に関わるもろもろの対応については、経済対策の是非は別にして、一律の定額給付にすれば負担は少なく済んだものを、総理が増税批判を恐れ、定額減税にしたことによって、非課税世帯への対応や減税し切れない方への対応など、定額給付であれば必要ない複雑かつ余計な業務が発生しているのではないでしょうか。

 さらに、ここに来て減税額の給付明細への記載を義務づけるといったことまで生じています。その上、一部報道では、解散・総選挙に向けた選挙対策ではないかとも言われています。このような岸田総理の自己都合としか言えないようなことで、全国の自治体職員に大きな負担がかかっています。

 私は、二月七日の予算委員会で定額減税に関わる対応の件で同様の質問をいたしましたが、その際、新藤大臣からも、簡易に算定できるシステムをつくって自治体に配付していると説明がありましたが、私が申し上げたいのは、業務負担を軽減できるかということではなく、岸田総理、そして政府が地方と国との関係をどう認識していくかということであります。

 私の認識とすれば、先ほども申し上げましたが、岸田政権内には、地方と国は対等であるとか地方は国の下請機関ではないという認識が欠如しているのではないでしょうか。そして、その認識が現在の政府の地方分権改革に対する姿勢に表れているのだと私は思います。

 今回の第十四次地方分権一括法案ですが、法案の改正項目としては、制度の改善や行政の効率化などに資するものではありますが、個性を生かし自立した地方をつくることにつながるようなものになっていると言えるのでしょうか、自見大臣から御見解をお伺いいたします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 平成二十六年六月に地方分権改革有識者会議におきまして、地方分権改革の総括と展望を取りまとめ、地方分権改革のミッションとして、委員御指摘の、個性を生かし自立した地方をつくるを掲げ、地方の発意と多様性を重視し、提案募集方式を導入することといたしました。

 累次の提案募集方式及び分権一括化法におきましては、地方に対する権限移譲やあるいは事務処理の改善を含めた規制緩和を推進をしてきたところでございます。

 今回の分権一括化法でございますが、八事項、九法律におきまして事務処理の改善を含めた規制緩和を図るものでありますが、こうした規制緩和の取組により、地方における事務処理が改善され、地方の現場で実際に困っている具体的な支障を解消するなど、住民サービスの向上につながることから、地方分権改革において意義を有していると考えてございます。

 今後とも、提案募集方式の充実等を通じまして、委員御指摘いただいてございますが、個性を生かし自立した地方をつくるための取組を着実に進めてまいりたいと思ってございます。

坂本(祐)委員 私はまだまだ不十分だと思っております。これからもしっかりとただしてまいりたいと存じます。

 それでは、時間の都合で幾つか質問を飛ばさせていただいて、次に、国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物の計画通知に対する審査、検査等に係る指定確認検査機関の活用についてを質問させていただきます。

 この改正について、大規模災害時に対応が困難になることを挙げて改正するとのことですが、改正後は、大規模災害時であるかは関係なく、平時も含め、民間の指定確認検査機関が審査、検査ができるようになります。

 平成十一年に指定確認検査機関による建築確認が開始されて以降、その件数は増加しており、令和三年度においては、建築確認の九割を超える件数が指定確認検査機関によって行われているとのことであります。

 この法案が成立すれば、国、都道府県、建築主事を置く市町村の建築物の多くも、今後、指定確認検査機関によって審査、検査が行われることになる可能性があると考えております。

 一部に指定確認検査機関の業務改善命令などの事案も発生しております。私は、今回の法改正の、平時も含めて、一度に全て、国、都道府県、建築主事を置く市町村の建築物の審査、検査を民間の指定確認検査機関に開放することには、もう少し慎重であるべきではないかと考えております。

 まずは、支障事由にもある大規模災害時など、特に建築主事だけでは審査、検査に困難がある場合に限って、指定確認検査機関による審査、検査を可能にすることとして、更なる活用の拡大については、今後必要性を見極めながら進めていく方がよいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。国土交通省から答弁をお願いいたします。

宿本政府参考人 お答えいたします。

 今般の建築基準法改正の提案につきましては、災害時のみならず、老朽化した公営住宅団地の建て替えなどに伴い、計画通知に関する業務量が一時的に増大し、建築主事による計画通知案件の審査、検査が困難になるとの懸念が複数の地方公共団体から示され、指定確認検査機関による計画通知の審査、検査を可能としてほしいとの提案があったことから措置をするものであります。

 令和四年度における建築確認のうち、指定確認検査機関による建築確認の割合は九三%に至っており、また、計画通知案件と同程度の規模、用途の建築物に関する建築確認件数も相当数含まれていることから、審査能力という観点からは指定確認検査機関による適正な審査が可能と考えております。

 今般の改正によりまして、計画通知に係る円滑な審査、検査が可能になるとともに、建築主事が、監査、違反是正、処分など、行政職員でなければ行うことができない他の業務に注力することも可能になるものと考えております。

 一方で、御懸念の、建築主事の確保や技術力の維持向上、こういったことは大変重要な課題、深刻な課題と受け止めております。

 国土交通省におきましては、昨年度、建築基準適合判定資格者検定、いわゆる建築主事の試験でございます、これの受験要件の見直しや、二級建築主事制度といった新しい制度の導入に取り組み、建築主事の確保を図るとともに、建築主事の技術力の維持向上を図るために、国土交通大学校における建築確認などに関する実践的な研修の実施、こういったことに取り組んでいるところでございます。

 引き続き、適正な建築行政の確保に取り組んでまいります。

坂本(祐)委員 是非慎重に取り組んでいただきたいと存じます。

 では、次の質問に移ります。

 地方分権改革有識者会議が令和五年十二月十五日に出している、地方分権改革の今後の方向性についてによりますと、地方分権改革は、「個性を活かし自立した地方をつくるべく、段階を追って地道に積み上げていくべき息の長い取組である。」とされています。

 しかし、現在のペースで地方分権改革を進めていたら、いつになったら地方は個性を生かした地域づくりができるよう自立させてもらうことができるのでしょうか。

 また、この有識者会議の資料では、個性を生かし自立した地方をつくるためには、その基盤となる地方税財源の充実確保が必要不可欠であり、地方税財源の充実強化に向けた不断の取組も推進されるべきであるともされていますが、政府は、地方への税財源の移譲も進めるつもりはあるのでしょうか。

 今年は、地方創生の取組が始まって十年目の節目の年です。四月二十四日、民間の人口戦略会議が新たに、消滅可能性自治体に関する分析結果を公表しました。

 この人口戦略会議で副議長を務めた増田寛也氏は、同日の記者会見で、少子化の基調は全く変わっていないと指摘しておりますが、それだけでなく、東京への一極集中も是正されませんでした。

 十年前、私は、地方創生は地方分権とセットでやらなければいけないと訴えましたが、政府は中央集権の下での地方創生を推し進めてまいりました。そして、結局は、この十年間、地方創生の名の下に多額の税金をつぎ込んだものの、地方を再生することはできなかったのではないでしょうか。また、この十年間の政府主導の地方創生の取組は、結果として、自治体同士が子育て世代を奪い合うという事態をも生み出してしまいました。

 政府主導での、中央集権の下での地方活性化、再生はできなかったということが証明されたものだと思っていますが、るる申し上げましたけれども、これまでの十年間の地方分権改革や地方創生の取組への反省も踏まえて、次の十年間で、真に個性を生かし自立した地方が実現できるよう、地方分権改革をしっかりと行い、権限、税財源を地方に移譲していくべきと考えますが、いかがでしょうか。自見大臣、答弁をお願いいたします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 地方分権は、地域が自らの発想と創意工夫により課題解決を図り、質の高い行政サービスを実現するための基盤であると考えてございます。

 平成二十六年以降、提案募集方式を通じまして地方の現場の声からいただきました具体的な提案を受け、規制緩和やあるいは権限の移譲を進めてきたところであり、着実に成果を積み重ねていると認識してございます。

 一方、東京一極集中の是正あるいは少子高齢化の進行など、地方を取り巻く情勢の変化への対応が引き続き緊迫した状況の中で求められていると認識してございまして、そのためには、持続可能な地域社会の実現に向け、地方自治体の力をしっかりと生かしていくことが重要であると考えてございます。

 個性を生かし自立した地域をつくるためには、地方自治体が住民のニーズに的確に応えつつ、デジタル変革への対応など、様々な行政課題に対して行政サービスを安定的に提供できるよう、地方が自由に使える財源をしっかりと確保することが大切であると認識してございます。

 昨年十二月には、提案募集方式を導入して十年が経過したことを契機といたしまして、有識者におきまして、地方分権改革の今後の方向性についての取りまとめがなされたところであり、この御提言も踏まえつつ、地方分権改革の取組を着実に進めてまいりたいと考えてございます。

 また、委員からも度重なって問題意識も受けてございますが、地方創生についても、その取組が始まって十年という節目でございます。地方創生の取組の振り返りを行い、来月、六月をめどになりますが、お示しをするべく作業を進めているところでございます。

 引き続き、地方の自主性、そして自立性を高めることができるよう、これからの取組をしっかりと進めてまいりたいと考えてございます。

坂本(祐)委員 是非、取組の今までの反省も踏まえて、権限、税財源をしっかりと地方に移譲していただきたいと存じます。

 それでは次に、地方分権一括法案からは離れますが、新たな経済に向けた給付金、定額減税一体措置に係る低所得者支援及び定額減税補足給付金について質問いたします。

 まず、この措置の減税以外の給付金について、地方創生臨時交付金が使われているとのことですが、なぜでしょうか。地方創生の取組とどのような関係があるのでしょうか。大臣、御説明をお願いいたします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 昨年十一月の経済対策におきまして、住民税非課税世帯に対しましては、一世帯当たり三万円を目安に支援を行ってまいりました重点支援地方交付金により追加で給付を行い、均等割のみ課税世帯や低所得の子育て世帯、定額減税し切れないと見込まれる方に対しましても、地方の実情に応じて支援を行えるよう重点支援地方交付金による対応を中心とするとされてきたことを受けまして、給付については重点支援地方交付金を活用して実施をしているところでございます。

 賃金上昇が物価高に追いついていない国民の皆様の負担を緩和するため、地方自治体が地域の事情に応じてきめ細かく給付金をお届けし、また、地域経済や住民生活を支援することは地方創生につながるものだというふうに考えてございます。

坂本(祐)委員 低所得者支援の必要性は認めるといたしましても、私は、ここで地方創生臨時交付金を充てることに問題がある、このように指摘をさせていただいております。政府の地方創生とは、その目的をも見失ってしまったのではないかと私は感じております。このように指摘をさせていただきます。

 次に、定額減税し切れないと見込まれる方への給付対応について伺います。

 お配りしている資料を御覧ください。

 ここの方たちには、定額減税し切れない部分を調整給付として給付金を充てることで対応するという仕組みになっており、この調整給付につきましては、自治体の事務負担などを踏まえ、差額を一万円単位で切り上げて給付するとされていますが、ここに大きな問題があると考えております。

 分かりやすい例として単身者を前提としますと、所得税と住民税の控除不足額の合計が二万円の場合には調整給付額は二万円になります。しかし、控除不足額が一万一千円の場合も一万円単位で切り上げて算出するため、調整給付額は二万円になります。また、控除不足額が一万九千円であっても同様に一万円単位で切り上げて算出するため、調整給付額は二万円になります。つまり、一円でも税額控除できない端数が生じると、切り上げて一万円の給付を受けることになります。

 したがって、所得税と住民税の控除不足額の合計が二万円の方は、減税二万円と調整給付二万円で、今回受けられる支援の総額は四万円になりますが、所得税と住民税の控除不足額の合計が一万一千円の方は、減税が二万九千円と調整給付二万円で、今回受けられる支援の総額は四万九千円になります。所得税と住民税の控除不足額の合計が一万九千円の方は、減税が二万一千円と調整給付二万円で、今回受けられる支援の総額は四万一千円になります。

 今回の仕組みでは、定額減税し切れないと見込まれる方については、所得税と住民税の控除不足額の合計の一万円未満の部分の金額次第で、最終的に受けられる支援が最大で四万九千九百九十九円になるとのことです。

 このような今回の仕組みにつきまして、公平性の観点からも、税金の使い方という観点からも大変問題があると思いますが、いかがお考えでしょうか、政府のお考えをお伺いいたします。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 政府といたしましては、定額減税し切れないと見込まれる所得水準の方々にも、定額減税等とのバランスにおきまして、可能な限り公平な支援となりますよう給付を行うことといたしまして、簡素、迅速、適切の三つの観点でバランスの取れた仕組みとなるよう検討を行ってまいりました。

 その際、仮に厳密に減税し切れない額を給付するとの考え方に立てば、令和七年三月の確定申告書情報等で明らかとなる減税実績を踏まえて給付額を計算する必要があり、給付が令和七年以降と遅くなることになります。

 しかしながら、本措置は、むしろ物価高に対応し、可処分所得を増やす目的で行うものでございます。このため、自治体におきまして、令和六年中に入手可能な情報、これはつまり、令和五年分の所得税額等を基に、減税し切れないと見込まれるおおむねの額を一万円単位で本年六月以降で前倒しで給付することといたしました。

 これによりまして迅速な給付が可能となり、また、支給申請や給付に際しまして、住民や自治体職員にとっても事務負担の少ない、より簡素で分かりやすい仕組みといたしたものでございます。

 政府といたしましては、引き続き、迅速に対象者へ給付金をお届けすべく、自治体をサポートしてまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 時間が参りましたので、残った質問に対しては、また次回に質問をさせていただきたいと存じます。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡隆雄でございます。

 本日も、地元の栃木県第四区の皆様に感謝を申し上げ、また、質問の機会を与えていただきました先輩、関係各位に感謝を申し上げまして、質疑に入らせていただきたいと思います。

 まず、本法案について自見大臣にお伺いします。

 地方へのいわゆる権限移譲というよりも、事務負担の軽減などが中心となっておりますけれども、こうした点、分権との関係について、改めてこの見方、受け止めについて御答弁をお願いしたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 地方分権改革の取組として行ってございます提案募集方式におきましては、これまで地方に対する権限移譲や事務処理の改善を含めた規制緩和を推進してきたところでございます。近年は規制緩和を求める提案が多くございまして、今回の分権一括法では、八事項、九法律におきまして事務処理の改善を含めた規制緩和を図るものでございますが、こうした規制緩和の取組により、地方における事務処理が改善され、地方の現場で実際に困っている具体的な支障を解消するなど、住民サービスの向上につながることから、これらの自立性、自主性という地方の在り方そのものにも関わるところでございますが、地方分権改革において意義を有していると考えてございます。

 今後とも、提案募集方式を通じまして、権限移譲や規制緩和など、地方の自主的、自立性を高めるための取組をしっかりと進めてまいりたいと考えてございます。

藤岡委員 権限移譲のところも、やはり提案募集の詳細なやり方等も今後また改善等を図っていく必要があるのかなというふうには思っておるんですが、まず、事務処理の負担の軽減、当然していただくことは大変重要だと思うんですけれども、今回、こういう事務処理の負担の軽減がありながら、いわゆる、さっき坂本委員から指摘がございました。ようやく、本当にようやくこの六月から始まるというこの定額減税。本来、恐らく給付でやっていればもっと早くできていたわけだと思うんですけれども、このようやく始まる定額減税について、改めて自治体の負担等、企業の負担等、大変多いと。今日は新聞の記事もお配りしておりますけれども、そんな声がやはり上がっているところだと思います。

 特に、私も、国民の負担を軽くする、軽減する、これは大変重要ですし、これは当然賛同なんですけれども、ただ、場当たり的な、減税と給付を組み合わせるという今回のこのやり方については、やはり天下の愚策と言われてもしようがないのかなというふうに私は思います。

 そういう意味で、やはり、まず、今日は日本経済新聞の朝の新聞に出ておりましたけれども、自治体の担当者を特に悩ませているのが調整給付というところの話だと。当然、減税と給付を組み合わせているわけでございますから、これはどう、誰が給付の対象なのかとか、また、今年だけではなかなか対応できないとか、来年にも至っちゃうとか、いろいろな負担がある。そしてまた、もう一枚配付させていただいておりますけれども、これは毎日新聞の記事ですけれども、五行目ぐらい、膨大な量の仕事を生み出している最大の原因が定額減税というふうに出ているわけだと思います。

 改めて、井林副大臣にお伺いをしたいと思います。

 この六月から始まるいわゆる定額減税に関し、減税と給付の組合せ対応について、やはり自治体の事務負担などの負担の現状をどういうふうに把握されているか、また、把握されていないとすれば今後はどういうふうに実態把握をされるのかということについて、まずお伺いしたいと思います。

井林副大臣 お答えを申し上げます。

 政府といたしましては、自治体が円滑に執行を進められるように、制度上の疑問点等に関する自治体職員からの照会にも関係省庁で連携して対応しているところでございますが、その中で、事務負担に関する照会等もいただき、その実態を把握しているところでございます。

 その上で、今般の定額減税し切れない方への給付は、これまでの給付とは異なる性格のものであり、自治体の皆様には、実務を担っていただくに当たり、準備段階から御尽力いただき様々な工夫を行っていただいているものと承知をしてございます。

 政府といたしましても、自治体における事務負担を軽減するために、定額減税し切れないと見込まれるおおむねの額を一万円単位で切り上げて給付することとしたほか、給付額を算定する際に自治体が活用しやすい、個人住民税の所得や控除等の情報から簡易に一括算定する調整給付のための算定ツールをデジタル庁において開発するなど、執行面においてもデジタル技術の積極的な活用等の工夫を行っているところでございます。

藤岡委員 照会を通じて把握しているということだと思うんですけれども、今後、照会ということだけじゃなくて、今回のこの減税と組合せについて、負担の現状はどうだったのかということをきちっと実態把握を改めてしっかりやるべきだと思うんですけれども、井林副大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

井林副大臣 まずは円滑な給付と減税をしっかり行っていただくということでございまして、その上で、事務負担に関する照会は常に行ってございますので、それをしっかり行っていきたいと思っております。

藤岡委員 そういうふうなお話ですと、なかなかまた、やはり教訓が生かされないということになると思いますので、きちっと実態把握をやはり私はしていただく必要があると思います。

 その次に、今回の定額減税について、減税と給付の組合せ方式を決める前に、こうした方式といわゆる給付一本の方式の場合で、例えば、どちらが事務負担が軽くなるかについて、国と地方の協議の場などで、事前に地方公共団体と協議をされたということはあるんでしょうか。

井林副大臣 お答えを申し上げます。

 今般の定額減税と給付金については、昨年十月二十六日の政府与党政策懇談会における総理からの検討指示を経まして、十一月二日に閣議決定をされました総合経済対策において、デフレ脱却に向けた経済政策として、定額減税と低所得者支援等の支援を行うとの方針をお示しした上で、地方自治体の事務負担に配慮しつつ、具体の制度設計を進めるとの方針が示されました。

 その後、地方公共団体の実務の実情をよく伺いまして、また、委員御指摘の国と地方の協議の場、これは令和五年十二月十八日における地方団体からの事務負担に係る御意見も受け止めながら、できるだけ分かりやすく、また事務負担も軽減されるよう努めているところでございます。

藤岡委員 十月二十六日に恐らく総理が指示された。その前に、十月の十九日ぐらいにたしか国と地方の協議の場があったのではないかというふうに思われますけれども、要するに、今私が申し上げた点は事前には協議されていないということでよろしいですよね、事実関係として。

井林副大臣 お答え申し上げます。

 今般の定額減税と給付金につきましては、繰り返しになりますが、十月二十六日の総理からの検討指示を経て閣議決定されたということでございますので、時系列から申し上げますと、その後速やかに、令和五年十二月十八日に地方団体から御意見を伺ったということでございます。

藤岡委員 ちょっとこだわりますが、事前にはされていないということでよろしいですよね。

井林副大臣 事前にと申しますか、政策を決めて、その執行の段に至ってしっかり協議をさせていただいたということでございます。

藤岡委員 そんな難しいことは聞いていないので、だから、執行の段ということなので、事前にはされていないということでよろしいですね。

井林副大臣 まずは総理の御指示をいただいて、その後速やかに地方団体との協議を行ったということでございます。

藤岡委員 もうこれ以上やっても押し問答になるので控えますけれども、改めて、井林副大臣、給付一本の方式と減税と給付の組合せ、どちらが自治体の事務負担が少ないかなど、やはり検証した方がいいと思うんですね。

 また、テレビで、先日、また何か来年もみたいな話もおっしゃっている方もいらっしゃったようでありますので、改めて、こういう話について、きちっとこういう負担の実情も把握した上で政策の決定をしていただく必要がやはり私はあると思いますので、これは今後、今は、例えばすぐ、まずは、やらなくちゃいけないと先ほど、今おっしゃっていましたけれども、改めてこれは、少したってからなのかどうかは別としても、実態把握をしてしっかり検証していただくべきだと思うんですけれども、井林副大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

井林副大臣 お答えを申し上げます。

 まず、今回の措置が初めてのことでございますので、調整給付の執行も進んでいく段階でございまして、関係部局と連携し、引き続き自治体の実務の実情の把握に努めながらしっかりサポートしていく、ここに全力を注がせていただきたいと思っております。

藤岡委員 いずれにしても、きちっと、こうしたことがまた何か場当たり的に起きないように対応していただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。

 その中で、いわゆる給与明細への定額減税の明示というところで、今話題になっておりますけれども、この給与明細への定額減税の明示、改めて、これは何のためにやり、結局、これは明示をしないと法令上の罰則の対象になる可能性があるということでありましょうか。赤澤副大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

赤澤副大臣 定額減税につきましては、企業を始めとする関係者の皆様に御協力をいただき、大変感謝をしております。

 今般の定額減税において、所得税の減税額を給与明細に記載することは、減税の効果、すなわち所得の伸びを国民の皆様により強く実感していただくために行うものであり、デフレマインドが払拭され、更なる消費や投資が生まれるという経済の好循環につなげるという政策的観点から実施するものでございます。

 委員御指摘の給与明細に減税額を記載しなかった場合の罰則の適用の有無については、これは個別具体的な判断になるものでございますけれども、例えば六月の給与明細書の交付時には対応が間に合わず、定額減税額の記載がなされなかったような場合については、基本的に罰則は適用されるようなことにはならないというふうに考えてございます。

 いずれにせよ、源泉徴収義務者の皆様に御理解、御協力いただけるよう、引き続き丁寧に対応してまいります。

藤岡委員 今おっしゃってくださった、例えば六月のところで間に合わなければというのは一つの大事な見解だと思うんですけれども、これは六月だけじゃなくて、七月、八月等もかかってくれば、その場合が当然出てくるわけでございますが、六月の場合に今限定をされて御答弁をされたわけなんですけれども、改めて、これはやはり七月、八月等もありますので、給与明細の定額減税の明示がないとこれは罰則の対象になる可能性があるということなんでしょうか。赤澤副大臣、改めてお願いします。

赤澤副大臣 委員の今御質問にお答えするとすれば、これは結論から申し上げれば個別具体的な判断になるということ以外はちょっと申し上げようがないところだと思います。

 特に悪意もなくきちっと対応しようとされているような方たちが罰則の対象になるようなことはないと考えておりますけれども、あくまで最終的な判断は個別具体的なものになるということでございます。

藤岡委員 しかし、罰則の対象になる可能性はあるということでよろしいんですか。

赤澤副大臣 これは、あくまで罰則規定を設ける以上、対象になることが絶対ないということを私はここで言い切ることはできませんけれども、あくまで個別具体的な判断によるということでありますし、先ほど申し上げましたように、例えば、先ほど六月だけお話をしましたけれども、要は、対応が間に合わず、定額減税額の記載ができなかったような場合について、基本的に罰則が適用されるようなことはないというふうに考えてございます。

藤岡委員 改めて、本当に罰則つきで今回のような、私なんかは、最初、減税額を明示するのは、実際受け取った方がきちっと減税されているかどうか、例えば確認するとか、そういう意味もあるのかな、どうなのかなということも考えたときもあったんですけれども。

 ある意味、実感をより持ってもらうという目的だというふうな話を私は今お伺いしましたので、改めて、詰められた減税ではなくて、場当たり的な減税というふうなイメージしかない中で、罰則つきで、やはり、こうして事業主の皆さんにも負担をかけて、そして、それをお伝えするというのは、本当にこれは、私は恩着せがましいと言われても仕方ないなということは強く指摘をさせていただきたいなということは思います。

 そういう中で、こちらについては減税額を、定額減税については給与明細に明示をされるということで、では、少子化対策の支援金について、岸田総理も本会議等で、給与明細への表示が広がることが望ましい旨、ある意味、岡本委員の質疑に対して前向きなように答弁されているとは思うんですけれども、しかし、定額減税については、罰則つきできちっと明示をしろということでやっていると。

 支援金については色合いが違うということで、定額減税との対応はやはり異なっているのはなぜなのか、そして、今後、支援金についても、同じように罰則の対象として給与明細への明示をされていくということなんでしょうか。御見解をお伺いします。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 危機的な状況にある少子化の中、子供、子育て世帯を支援するために、世代を超えて支援金を拠出していただくということについて、被保険者の皆様に知っていただき、御理解いただくことは重要だと考えております。

 社会保険料については、給与から控除した場合は、控除額が被保険者に通知されることになっているところ、給与明細においてその額の内訳をどこまで示すかについては、事業主の判断に委ねられていると承知しております。これらの観点を踏まえ、給与明細等において支援金額を表示する取組が広がっていくことは意義深いと考えております。

 今後、令和八年四月の支援金制度の導入に向けて、支援金制度の理解促進に必要な取組を進めるとともに、更に何ができるか、関係者の御意見等もしっかりと伺いながら考えてまいります。

藤岡委員 やはり、都合がいいことだけは伝えようとされて、罰則つきで、都合が悪い負担をかけることについては、何だか、今後また考えるみたいなところで、ちょっと、これは工藤副大臣、余りにも差があり過ぎるんじゃないんですか。

 やはり、同じ負担という面では共通しているんですよね。この都合のいいところ、都合の悪いところというところで、副大臣、ちょっと、これはいいんでしょうか。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 今回の定額減税については、所管外であるためコメントを差し控えますが、支援金制度については、子供や子育て世帯を全世代、経済全体で支えていくための拠出であるということの趣旨を広く知っていただくことが重要であり、何ができるか、令和八年四月の支援金制度の導入に向けて検討を進めてまいります。

藤岡委員 都合のよいことだけは伝えて、不都合な真実は、何だか、同じように伝えようとしないというところについては、大変違和感を感じるということを強く指摘をさせていただきたいということを思います。

 井林副大臣、赤澤副大臣、ありがとうございます。ここで御退席いただいて結構でございます。ありがとうございます。

 それでは、続きまして、先ほど伊佐委員から、今いらっしゃらないですね、大変分かりやすい質疑もありましたけれども、幼稚園の教諭免許、保育士の資格の件なんですけれども、改めて私もこれは質疑をさせていただきたいと思うんですけれども、五年間という期限を区切って特例延長を規定した理由につきまして、改めて工藤副大臣にお伺いしたいと思います。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 幼保連携型認定こども園は、教育、保育を一体的に実施する施設であることから、認定こども園法において、保育教諭等には幼稚園教諭免許状及び保育士資格の両方が必要とされています。ただし、人材確保の観点から、令和六年度末までの特例措置として、いずれか一方の免許、資格を有していれば保育教諭等となれる措置等を設けています。

 幼保連携型認定こども園に勤務し、両方の免許、資格を有する保育教諭等の割合は着実に改善していますが、現在も約一万二千人の免許、資格の保有状況がいずれか一方のみの状況であり、特例措置の期限が到来すると幼保連携型認定こども園の保育教諭等の確保が困難になることが懸念されております。

 このため、いずれか一方の免許、資格を有していれば保育教諭等となれる特例について、もう一方の免許、資格を取得する要件を緩和する特例と併せて延長することとしております。特例の延期期間については、免許、資格の取得要件を緩和する特例を活用してもう一方の免許、資格を円滑に取得いただけるよう、勤務経験や単位取得等にかかる期間を踏まえ、保育教諭については前回の特例延長期間、令和二年度から六年度までの五か年間と同様、令和十一年度までの五年間としております。

藤岡委員 先ほど伊佐委員からも話がありましたが、現在も、片一方しか持っていない方は、数自体は増えているという話がある中で、私も、これはなかなか、特例、特例、特例ということで五年、五年、五年になっていると思うんですけれども。

 これはちょっと政府参考人の方にお伺いしたいと思うんですけれども、この幼稚園の教諭免許、保育士資格についての特例に関して、近年、新たな年度に、新年度にこの分野に参入してくださる方の、実際併有している方の割合というのは何%ぐらいなんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から御指摘のあった、新規の方はどのぐらいかということについてでございますけれども、併有の割合状況については、大変申し訳ございませんが、私どもでは把握はしていないという状況でございます。

 ただ一方で、これも先生から御指摘あったとおり、現在、大学等の指定保育士養成施設を卒業して保育士資格を取得した者のうち、幼稚園教諭の免許状も取得している人の割合というのはおおむね九割程度ということでございます。現在の新卒の認定こども園での採用状況を見ると、やはりこの両方の免許を持っている人というものを採用するという状況になっていることから、今、現に採用されている方々についてはおおむね両方持っているのではないかというふうに考えておるというところでございます。

藤岡委員 採用されている方についてはおおむね持っているということでございましたが、改めて、資格を持たれている方のうち併有している割合が九割ぐらいだとなってしまうと、やはり特例、特例を講じていっても、また何か、私も当然、幼保連携型のこども園での人材確保というのは極めて重要だと思うので。

 ただ、新年度でどうなのかというところをまず、把握されていないということだったので、それを是非把握していただきたいと思いますし、新たな年度でまた九割、九割、九割だったら、いつまでも特例を講じていかないといけないという多分話になってしまうと思うんですよね。

 さらに、その上で、今、幼保連携型のこども園の割合というのが当然増えてきていると思うんですけれども、幼保連携型こども園の幼稚園や保育園、幼保連携型こども園の中で、占める割合というのは一体今どういうふうに増えてきているんでしょうか。お願いします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど伊佐先生からの御質問でもちょっと数をお答えしたんですが、先ほど、直近五年間の数で申し上げたところなんですが、もう少し長いスパンで割合だけ。

 認定こども園が制度化された二十七年度からの状況を見ますと、二十七年度は五・二%だったというところでございますけれども、直近の令和五年度では一七・二%というふうになってございまして、この八年間で約一二%増加しておるという状況でございます。

藤岡委員 こども園がやはり増えてきていると。それで、新たな年度の算入するところで、まだ九割になっていると。やはりこれは何らかの形で、幼稚園教諭免許状、保育士資格を一本化するなど、何らかの対応をした方がいいと思うんですけれども、副大臣の見解をお伺いしたいと思います。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 幼稚園教諭免状及び保育士資格は、それぞれの専門職に求められる専門性を踏まえて定められており、各施設や子供の多様なニーズにきめ細かく応じる観点から存在意識があると考えております。

 一方、質の高い幼児教育、保育を担う人材を育成する観点から、保育士資格取得のための養成課程と幼稚園免状取得のための養成課程については、これまでも、子ども・子育て支援制度の下で、両資格、免許の取得のためのカリキュラムの整合性も考慮した見直しなど、取り組み、行ってきたところでございます。

 このような状況を踏まえ、昨年十二月に、こども家庭審議会の下に設置されている保育士資格等に関する専門委員会から、次期保育士養成課程等の見直しの際には在り方を検討すると提言されたところであり、今後、有識者の意見や現場のニーズも伺いながら、関係省庁と連携して検討を進めていきたいと考えております。

藤岡委員 時間が来ましたので終わりますけれども、特例、特例、特例ではなくて、きちっとした対応をやはり検討していただきたいということを申し上げまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、岡本あき子さん。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 本日の質疑を聞いておりまして、私自身も改めて、昨今、やはり国と地方の関係の位置づけが変わってきているのではないか、上から、しかも突然の方針で現場が振り回される、そういう動きがある、結果として、それに伴って事務負担あるいは財政負担も増えている状況があるのではないかと思います。ここは是非、自見大臣、頑張っていただいて、地方分権改革をしっかり成し遂げる、そして、地方自治体の立場に立ってやはり必要な声を上げていただく、そういう立場で臨んでいただきたいということを強くまず冒頭申し上げたいと思います。

 今回、八事項、九法律の法改正案です。ただ、中身を見ますと、やはりデジタル化の視点というところが含まれて、事務負担の効率化という内容、それから義務づけ、枠づけの見直しという部分があるんですけれども、でも、地方分権改革という趣旨からすると、今回のこの法改正案、どこが分権につながるのかという点では非常に疑問があります。やはり、抜本的な権限移譲という内容であるのか、あるいは、例えばデジタルを伴っての今回の法改正であれば、これは本来、デジタル行財政改革で、個別法で取り組むこともできるんじゃないかと思います。

 あえて今回一括法案で出された中身として、地方分権の法改正、この趣旨を伴っているのか。私はちょっとずれているんじゃないかということでお聞きをしたいと思います。地方分権の法改正という趣旨、ちゃんと伴っているのか、お答えください。

自見国務大臣 お答えいたします。

 地方分権改革の取組として行ってございます提案募集方式におきましては、地方に対する権限移譲や事務処理の改善を含めた規制緩和を推進してきたところであります。近年は規制緩和を求める提案が多いという現状がございまして、地方の現場で実際に困っている具体的な支障をこれによって解決するものでございまして、改革の推進に寄与しているというふうに認識をしてございます。

 また、いわゆるアナログ的な規制の見直しや、国と地方のデジタル基盤の共通化など、デジタル技術の活用を図ることは、住民へのサービスの向上、負担軽減、また、地方公共団体の業務の効率化とまた高度化にもつながり、地方の自主性、自立性を高めることにもなるものでございまして、地方分権改革において重要な取組だというふうに考えてございます。特に、人口減少の中にあっては、国においてシステム等の共通化や標準化を図り、地方公共団体の事務を技術的にしっかりと下支えをし、地方公共団体が最大限に活用していくことが重要であるというふうに考えてございます。

 そうした視点も併せつつ、今後とも、デジタルの活用を含めまして、地方からの提案にしっかりと寄り添って、関係省庁とも連携しながら分権改革を進めてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 私は、この九法律、中身を見ても、やはり分権というよりは業務改善の点が余りにも強く出過ぎているのではないかという点は、引き続き危惧をしているということは指摘します。

 今までの議論を聞いておりまして、ちょっと、資料一で、国による計画義務が多過ぎるよという指摘が非常に昨今多くて、昨年、一昨年、この計画事業の見直しをしよう、これは私は非常に重要だと思っています。

 国で法律が動くと、それに伴って、自治体で計画をしろと義務づけ、あるいは努力義務、できることにする、でも、実質は作らないとならないということが、もう平成十九年から比べても一・五倍ぐらいに増えている。これはまさに、国の方針に基づいて、地方自治体の事務が、負担が増えているということです。これに対していろいろな声が出ていて、これに寄り添った見直しを図っている、この努力は大変評価をしたいと思います。

 ちょっと時間の関係があるので、時間があったら後ほど御答弁を求めますが、次に移りたいと思います。

 あともう一つ指摘でいきますと、この間、地方自治体から、過去ですけれども、例えば、国直轄事業を見直してくれ、こういう声は非常に強くありました。国が決めるんだけれども、公共事業に対して自治体もいや応なくつき合わされて、維持費は自治体が一定程度持てと言っていた部分の、維持費が改善をされた、これはまさに、地方の声が伴って、国の役割は国でちゃんと責任を持てということが出たということは評価をしたいと思います。なので、本来、国と地方自治体の役割分担、そして、地方自治体でできることはより地方でやらせてくれという趣旨に基づいた取組を、これからも進めていただきたいと思います。

 九法律の中で、母子保健法の見直し、この点について伺っていきたいと思います。

 今国会で、実は、子ども・子育て支援法という法律の改正が先日行われました。この地・こ・デジで議論がなされました。先に資料四を見ていただきたいんですが、これは子育て支援法の法律の中身です。黄色でマーカーをつけましたけれども、母子保健法の事業との連携確保についても、この中でもうたっております。

 私、今回のこの母子保健法の見直しは、地方分権一括法ではなくて、まさに、子ども・子育て支援法の関連法として、本来、母子保健法の個別法の見直し、あるいは、子ども・子育て支援法、これに伴っての法改正ということで提案するべきだったのではないかと思っています。

 資料二に戻っていただいて、今回、地方から声があったというものです。石川県が主体になって提案をされ、全部で九自治体から要望があったということで、里帰り出産に伴って、市町村でそれぞれ、住民票があるところと、実際、出産あるいは里帰りで滞在する自治体で情報を共有してほしいというものでした。

 今回、この一括法の中で提案をされている改正で、社会保険診療報酬支払基金等の情報連携基盤を活用することで、里帰り出産に関連した自治体の連携、何が解決できるんでしょうか。ケアが必要な、心配な妊婦さん、これを着実に引き継ぐということが、まず自治体としての一番の目的だと思っています。

 それと、あと、この支払基金等の整備、それから、実際に事務をお願いする場合は誰がお金を負担するのか、この費用の持ち方、それから中身について、これが、御説明いただいた上で、結果として解決につながるのか、この点、御説明ください。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 里帰り出産に関しまして、今回の改正でできることについて申し上げたいと思います。

 里帰り出産をされる妊産婦の方の情報でございますけれども、現在に至るまで、特に支援が必要な妊産婦などにつきまして、妊産婦健診ですとか乳幼児健診などの母子保健情報の一部につきまして、文書等で自治体間での情報の共有を行っているというのが現状でございます。

 こうした中で、現在、主に紙で運用されている健診等の母子保健業務に関しまして、母子保健情報を住民、医療機関、自治体の間で迅速に共有、活用するための情報連携基盤、いわゆるPMHでございますけれども、これとマイナンバーカードを活用しまして、デジタル化を進めていくということでございます。

 これによって、事務負担の軽減、業務効率化、子育て世帯の利便性向上を目指すわけでございますが、具体的な流れのイメージなのでございますけれども、健診を受けられる方が事前に問診票をスマホ等で入力をしていただきまして、その情報が情報連携基盤に格納される。健診当日は、医療機関側の端末に受診券代わりにマイナンバーカードをかざすことで、情報連携基盤から対象者情報ですとか問診情報を引き出して、医療機関側が内容を把握することができるというふうになりまして、また、医療機関側が今度は健診結果をタブレットなどで入力をすると、また情報連携基盤、それから自治体システムにも格納されて、リアルタイムでマイナポータル上で確認できる状況になって、これによって、リアルタイム性が出るものですから、例えば、健診を定期的にこの人は受診しているんだろうかとか、こういったことが、適時の把握が今までは難しかったんですけれども、こういったことも連携することが可能になってくるということで。

 あと、また、PMHからマイナポータルを経由して受診勧奨を行って健診の受診忘れを防ぐですとか、また、今御指摘もありましたけれども、その基盤に格納された情報について、住所地自治体の中だけではなくて、里帰り先の自治体等への共有も可能とするといったことを実現して、里帰り出産の場合も含めて、関係者間での情報の迅速な共有を行っていこうとするものでございます。

 そして、その利用者の範囲というか、困った人ということも当然あるんですけれども、利用者の範囲は、そういう意味では、そういう非常に支援が必要な方ももちろんなんですけれども、基本的には、マイナンバーカードを保有しておられて、希望する住民の方全てがこのPMHを活用した母子保健情報の共有の対象となるというものでございます。

 それから、あと、これを整備していくに当たって、当然、コストがいろいろと発生してまいります。当然、例えば自治体の方でも一定の改修も必要になってまいりますし、あと、先ほど申し上げたようなPMHといったもの、これは今、デジタル庁の方と連携をして整備をしているところでございますけれども、こういったものについてもコストが発生してまいります。

 これらについては、今、先行的に母子保健DXの実証事業というのをやってみておりまして、何が必要になるのか、それからどういうコストが発生するのかといった課題等についても整理をしておりますので、その辺りで、例えば、我々、自治体、どういうふうな形で役割分担、コストも含めてしていくのか、その場合に必要な支援が何なのかということも含めて、検討を今後していきたいと考えてございます。

岡本(あ)委員 今の御説明のところで、更にちょっと疑問が湧いています。

 資料三を御覧ください。

 これは今回の条例改正の案のところなんですけれども、第八条の三で、市町村は、支払基金あるいは連合会に委託することができる。それから、二番で、市町村は、事務を委託することができる。これは、委託することができるので、義務ではないですよね、やりたいというところができるということです。ところが、三番で、市町村は、委託する場合は、他の市町村と共同で委託するものとするとなっているんですね。

 これは、じゃ、里帰り先の自治体と住民票のところで委託というのか、いやいや、どこに行くか分からないんだから、千七百余自治体全部で共同して委託をしなさいねという前提になるのか、この点もちょっと確認をさせてください。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただいた、今回指摘する、支払基金、連合会への委託規定でございますけれども、市町村が、支払基金、国保連に健診又は産後ケア事業等についての情報の収集それから整理、利用若しくは提供に関する事務を委託する際には、他の市町村と共同して委託するものということでございます。

 この規定の趣旨でございますけれども、市町村間の情報連携に当たりまして、市町村が共同して委託することとすることで、他の市町村に里帰りした際も市町村間の情報連携が円滑かつ効率的に実施されることになるというものでございます。ですので、市町村が、共有された情報を踏まえて、より適切な支援が提供できるようになる、住民の利便性を向上させるといった意義もあるものでございまして、このような規定が設けられている、そのような趣旨でございます。

 ですので、基本的には、幅広く全国の自治体が共同委託をするというのが望ましいというふうに考えてございます。

岡本(あ)委員 望ましいのはそのとおりです。どこの自治体と連携をするのか、今から見通しが全部立っているわけじゃないので。

 これは、他の市町村と共同して委託するものとするとなると、いや応なく、ある意味、義務化と同じ状態になるんじゃないかと私は懸念をしているんです。なので、だからこそ、これは地方分権一括法案で提案するべきことですかという疑問があるんです。

 資料二のところで、そもそも地方自治体からの要望は、里帰り出産に対して、市町村を越えて連携をさせてくれという要望でした。今お答えになっているのは、いろいろな母子保健データがどんどん入ってくる可能性があるので、里帰りじゃないときでも使えるよということでやっていくのかな。その方向性は間違っているわけじゃないんです。

 だからこそ、私は、資料四にありますとおり、本来、子供、子育て支援の伴走型支援ということと全く一致する中身なんです。里帰りしようがしまいが、妊娠期、出産、産後ケア、これに伴って伴走型支援をしていきましょうと子ども・子育て支援法で今回提案をされて、通過をしております。今参議院に行っております。このために情報基盤が必要なんだ、里帰りだけじゃなくて、あらゆる周産期に必要なんだということで母子保健法を改正する、これはよく分かるんです。ただ、今回、地方分権一括法案で、里帰り出産の課題の解決のために必要なんだということでここに提案をされているということは、私は、位置づけとしては非常に違和感を感じております。

 自見大臣に是非お答えをいただきたいと思います。

 自見大臣はずっと子供に関すること、本当に熱心に取り組んでくださっております。妊娠から出産、産後ケアまで切れ目のない支援のために抜本的に見直しをするべき、これは今回の提案の中身、周産期に伴って全体を見直すためにこの基盤が必要なんだ、市町村でそれぞれ、里帰りが理由だろうが、例えば、住民票を移さずに、病院だけが隣の自治体を使っている場合でも、やはり連携が必要なんです。

 こういう意味でいくと、やはり、地方分権一括法案ではなくて、母子保健法の改正、あるいは子ども・子育て支援法の改正に伴ってやるべき中身ではないかと思います。そして、改めて、国の役割、それから県の調整機能、こういうものもしっかり区分して支援をするということにするべき内容ではないかと思います。

 改めて、今回、やはり一括法案で、里帰り出産の目的だけのために改正をする中身で提案をされるこの違和感については、大臣としてはいかがお考えでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 母子保健法の改正も含みます今回の法案は、累次の地方分権一括法と同様に、地方公共団体への義務づけ、枠づけの見直し等を通じまして、地方の自主性及び自立性を高め、自らの判断と責任において行政を実施する仕組みに改めるという同一の趣旨、目的を有するものであることから、一括法として提案するということは適当であるというふうに考えてございます。

 また、本法案は、提案募集方式という共通の枠組みに基づき措置するものでありまして、母子保健法につきましても、九つの団体から提案を受け、自治体間の情報共有による切れ目のない支援の実現という喫緊の課題に対応する内容となってございます。

 これらの関係する法律を個別に改正するよりも、一括して改正法を取りまとめることにより、改正の趣旨、全体像が分かりやすくなるものと考えてございます。

 今後とも、改正する法律の趣旨そして目的に鑑み、一括法として提案することが適当であるか、十分に精査してまいりたいと考えてございます。

岡本(あ)委員 やはり、自見大臣の今までの取組の姿勢を考えると、本来であれば、これは一括じゃないよ、ちゃんと母子保健で総体的に、全体的な抜本的見直しをしようよ、だから伴走型支援につながるんだよという立場を取っていただきたかったなと思っております。

 時間がないので最後になります。

 資料五を御覧ください。

 今回、会計検査院から、マイナンバーによる情報確認システム、二千百億円使っているけれども、実質、活用不十分という指摘がありました。なぜ使われないのかというところにおいては、自治体の中で、添付書類を提出してもらった方が効率的とか、最新の情報が得られないとか、一括照会できないとか、自治体のせいではない、システム上の問題というところも多々見受けられます。

 会計検査院は活用してもらうようにという一言ですけれども、そうではなくて、やはり、これはデジタル庁に最後、伺いますけれども、まずは自治体の現場が使えるようなシステムにすることが前提だし、自治体にとっては、使い勝手が悪いんだったら無理して使わない、そういう選択肢も十分あるんだということを示すべきではないでしょうか。デジタル庁、お答えください。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、今般公表された会計検査院の報告書におきまして、情報連携を実施していない自治体に対する調査によると、業務フローの見直しが未了であったり、また、添付書類を提出してもらった方が効率的といった回答があったというふうに承知をしております。

 また、マイナンバーの情報照会につきましては、先行して制度等の面で情報照会を可能とし、その後に各自治体がシステム整備を行ってから照会するという仕組みとなっておりますので、どうしてもタイムラグが生じてしまう。決して、使えるようにしたから必ず使うという仕組みではなくて、あくまで、それを使えるようにするので、是非使ってくださいという形でやっておりまして。

 こうした中で、特に自治体の場合におきましては、元々情報を持っていて、わざわざ照会しなきゃいけないケースというのは、これは転入者についてのみマイナンバー情報照会が必要な手続があったりですとか、転入者に限られるとどうしても件数が少なくなってしまうというようなこともありまして、なかなかこのシステム対応が間に合っていないといった事情もあるというふうに承知をしております。

 こういったことを踏まえまして、各自治体の事情を丁寧に把握をして、これらの理由が各自治体個別の固有の問題なのか、また共通的な課題なのかを整理をして対応、検討することが必要であるというふうに考えております。

岡本(あ)委員 やはり、自治体の現場に即して、ここの委員会ですので特に自治体の現場に即して、住民サービスをしっかり向上できる、そういう目的で、行政サービス、あるいは制度、あるいはデジタル化、この点も視点を忘れずに取り組んでいただきたいと思います。マイナンバーに関しては、やはり、四百八十五手続、三分の一は使われていないという実態ということにも理由があるということをしっかり受け止めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

谷委員長 次に、赤木正幸君。

赤木委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の赤木正幸です。会派を代表して質問させていただきます。

 本日は、貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、今まで行われているように、いわゆる第十四次地方分権一括法案についての質疑をさせていただきます。法改正事項が八項目、九法律もありますので、私は、地方分権改革における提案募集方式についてと、あと、宅建業法と建築基準法の見直しに関して質疑させていただく予定です。

 まず、この法改正のベースとなっている提案募集方式ですが、今までもお話がありましたように、既に十年も制度が運用されていて、これは、従前の委員会勧告方式に替えて、個々の地方公共団体等から地方分権改革に関する全国的な制度改正の提案を広く募集して実現を目指すという、地方の発意に基づいた地方分権改革の方式と理解しております。

 これは、評価に関しては、個人的には、成果を着実に上げてきているという評価に私も同意しているんですけれども、一方で、調整対象外になった事案が実は結構あることとか、あと、具体的な支障事例が実際にないので、事前相談したものの提案には至らなかったとか、あと、提案団体に対して、支障事例とか制度改正の効果等の、立証責任という言葉はちょっと大げさですけれども、そこは提案団体が示さなければいけないといった、ここの負担が結構大きいんじゃないかというような、そういった評価もあると理解しております。

 ここで自見大臣への質問となりますが、そもそも提案募集方式を導入した目的が何だったのか、そして、この十年間の運用結果についての評価、そして、今後どういった方針でこの制度を進めていくのかについて、御見解をお願いいたします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 地方分権改革においては、令和七年以降、有識者によって構成される委員会からの勧告を背景としつつ、集中的な取組を実施することにより、相応の成果を上げてきたと認識してございます。これらの成果を基盤としつつ、個性を生かし自立した地方をつくるという目的に向け、地方の発意に根差した息の長い取組への転換を図るべく、地方分権改革に関する提案募集の実施方針に基づきまして、平成二十六年から提案募集方式を導入してございます。

 同方式におきましては、令和五年までの十年間で、地方から約三千五百件を超える提案をいただきました。これらの提案のうち、約二千三百件について内閣府と関係府省との間で調整を行いまして、八割以上の約千八百件におきまして、提案の趣旨を踏まえた対応等を行い、地方に対する権限移譲や規制緩和を進めてきたところでございます。

 この取組については、地方からも、地方分権改革の歩みを着実に進めるものとしての評価もいただいてございます。また、委員からの御評価もありがとうございます。

 一方、昨年十二月の有識者会議の取りまとめの中では、提案団体の更なる拡大、そして、提案内容への住民の声の一層の反映、行政のデジタル化への対応などの課題についての御指摘もいただいたところであります。このような指摘も踏まえまして、これらの課題に適切に対応し、そして取組の深化を図ってまいりたいと考えてございます。

    〔委員長退席、田中(英)委員長代理着席〕

赤木委員 ありがとうございました。

自見国務大臣 一個、済みません、訂正させていただきます。

 冒頭でございますが、地方分権改革においては、平成七年、令和と申し上げてしまいましたが、平成七年の間違いでございます。大変失礼いたしました。

赤木委員 ありがとうございます。

 今後も継続して、より拡充されていくということをお聞きして、実際、この十年間どういった提案件数か、今大臣からもお答えいただきましたから、私の方でも配付資料二ページ目を御参考いただければと思うんですけれども、一番右から二列目の実現、対応の割合というものなんですが、先ほどお答えいただいたように、八割以上の実現率を誇っているということが公表されています。これは提案方式のハンドブックなんかでも、実際に八割、八〇・六%実現しているので、是非、提案を皆さんしてくださいというふうに公表されています。

 これは質問になるんですけれども、やはりかなり高い実現率だと考えています。特に、ここ最近は九割に迫る実現率になっているんですが、この理由について教えていただきたいのがまず一つですね。

 あと、配付した資料の真ん中にもありますけれども、関係省庁と調整を行ったもの以外のものが結構な数あるんですが、この調整を行ったもの以外の提案というのは、どういった取扱い、どういったものになっていっているかということをお聞きしたいことと、あと、いわゆる全提案数に対する割合というものをあえて公表されていない理由についても教えていただければと思います。

恩田政府参考人 お答え申し上げます。

 実現、対応の割合が八割、九割ということで高い理由でございますけれども、地方からの提案につきましては、現場の具体的な支障事例に基づいた内容になってございますので、関係府省におきましても、その現場の実態という問題点を真摯に受け止めていただいていることが、対応いただいている結果になっているのではないかというふうに受け止めておるところでございます。

 また、関係省庁との間で調整を行った提案以外の提案という御質問でございますが、例えば、予算の増額を主とするもので、予算措置の在り方と併せて検討を進めることが適当なため、関係府省には予算編成過程での検討を求めるということで調整をしないもの、あとは、支障事例が具体的に示されておらず、次回以降の提案の際に支障事例を明確にすることを期待するもの、こういったものが挙げられているところでございます。

 また、内閣府におきまして実質的に調整したものの実現、対応割合を示しているものでございまして、委員御指摘のあった全提案件数に対する実現、対応の割合を示していないことについては、特段の理由はございません。

 以上でございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 示されていないと、私みたいな人間は、配付資料の一番右端の列は私が作った数値なんですけれども、どうしても気にはなってしまうんですね。

 ただ、私は、これは全然示してもいいのかなと思っています。調整されなかったものに関しても、例えば次年度に検討されるとか、また違った形で実現を目指されるということで、実際、十年間で五〇%以上ですし、直近でももう七割近くの実現があるので、何か心証としてもそっちの方がいいのかなと個人的には思っていますので、御参考いただければと思います。

 次に、配付資料の三ページ目になるんですが、これは地方公共団体ごとの提案状況の一覧表になっています。これは、都道府県、政令市、特別区はほぼほぼ一〇〇%提案されているんですが、中核市でやっと二から四割ぐらい、一番数の多い一般市とか町村では一〇%程度になっていて、結構団体ごとの偏りがあるのかなと考えています。

 ここで質問になるんですが、こういった提案実績の差は何によって生じていると考えられているのか、また、提案数が少ない一般市や町村の発意とか声というものをどのようにして酌み上げられているかについて、お答えをお願いいたします。

恩田政府参考人 お答え申し上げます。

 政令指定都市、中核市を除きます市や町村における提案割合が低い理由についてでございますが、人口規模が小さい町村では職員数も少ないということもあり、日々の業務への対応に追われていることも一因ではないかというふうに考えておるところでございます。

 内閣府といたしましては、提案の裾野を広げるために、地方の提案に対しまして他の地方自治体が賛同する意思を示したい場合に追加共同提案団体として手を挙げることができるようにするなど、小さな団体も提案に参画できるよう工夫をしてきたところでございます。また、個別の提案とは別に、地方三団体から全ての提案に関する御意見をお伺いするための期間を設けておりまして、提案した自治体以外の地方の声もお伺いするように努めているところでございます。

 今後も、地方自治体の担い手不足などの状況も踏まえつつ、自治体の現場の声に依拠した提案がより多くの団体から寄せられるように支援してまいりたいと考えてございます。

    〔田中(英)委員長代理退席、委員長着席〕

赤木委員 ありがとうございます。

 小さな団体も含めて提案しやすい状況をつくっていただけているということをお聞きして安心して、より進めていただきたいと考えているんですが、資料の二ページにもあるように、提案数がちょっとずつ減ってきていることについて、危惧するわけではないんですけれども、どう考えられているかということを気にしております。

 これは、もうちょっと具体的に言うと、いろいろな課題が出てきて解決されていくと、言葉はあれですけれども、ネタ切れになって、提案を掘り起こすのが今後難しくなるんじゃないかなというふうに考えているんですが、これについての対応策についてお答えをお願いいたします。

恩田政府参考人 お答えいたします。

 地方からの提案件数につきましては、平成二十六年を除きまして、おおむね二百件から三百件程度で推移しているところでございます。

 本年につきましては、標準準拠システムへの移行などが進められる中、地方自治体において関心が高まっておりますことも踏まえ、デジタル化というのを重点募集としてテーマに掲げ、幅広く提案を募集したところ、デジタル化で約百件、全体で約三百件の提案をいただいておるところでございまして、提案数は前年に比べて増加をしているところでございます。

 地方を取り巻く環境につきましては、提案募集方式が導入された十年前と比べましても変化していると認識してございます。こうした社会情勢の変化に対応しまして、地方の現場に依拠した提案も変化しながら生み出されていくものではないかというふうに考えておるところでございます。

 今後も、適切に重点募集テーマを設定するなど、地方の現場に依拠した提案がより多く寄せられるよう運用してまいりたいと考えておるところでございます。

赤木委員 そうですね。今おっしゃっていただいたみたいに、重点テーマを募集されたりというのを私も目にして、結構、提案しやすい場はつくっていただけているかなと思います。会議なんかでも一緒ですけれども、意見はありませんかと聞くと答えられないですけれども、これについてどうですかという形は、すごくいいアイデアだと考えております。

 まだまだ、先ほどもお答えいただきましたけれども、提案されていない自治体が存在したり、そういったところが相乗りできる仕組みも既につくられているということなので、掘り起こしについて、引き続き積極的に進めていただければと考えております。

 次は、自治体現場の手間やコストについての質問になるんですけれども、配付資料の一ページ目になるんですけれども、これは、どういった形で提案に至るかというフローなんですけれども、地方公共団体と内閣府さんの間だけでもかなりな頻度のやり取りが発生して、更に、支障事例なり、実際どんな効果があるかということを現場の方たちも検討されていると認識しているんですが、この提案募集方式に提案する際の自治体の現場の手間やコストはどれぐらいかかっているというふうに把握されているか、お答えをお願いいたします。

恩田政府参考人 お答え申し上げます。

 提案につきましては、提案してから年末の対応方針に至るまで、適宜、内閣府の私ども当室と地方団体、提案団体の方で相談をさせていただきながら物事を進めていくということでございますので、自治体におきまして一定の事務作業があるということは認識をしているところでございます。

 この点、提案によりまして、先ほど来から申し上げているように、現場の支障になっている事例を解決していくということは、当然、その後の地方自治体の業務の改善、負担軽減につながることでございますので、提案団体におきましても一定のコストがかかるということについては御理解いただいているものというふうに認識しておるところでございます。

 ただ、今後とも、委員御指摘のように、提案団体の負担を少しでも軽減できるように、内閣府といたしましても、あらゆる場面で支援を行いながら、引き続き、この提案募集方式、充実を図ってまいりたいと考えておるところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 私も、確かに手間はかかるとは思うんですけれども、実は、一方で、提案のプロセスを通して職員の能力向上が図られているんじゃないかという期待と、実際、そういった評価を話されている方もお聞きしたことがあります。

 五ページ目が少しそれに参考になるんです。これは地方公務員の働き方とか求められる能力をどう捉えているかというアンケート結果なんですけれども、もちろん、これは提案方式があるからこういう結果になっているというわけではないかもしれないんですけれども、右上の証言が結構前向きなんですね。これから必要となる能力は、主体的な課題提案、解決策の導出、さらに、時間効率を意識して働くとか、新しいことにチャレンジしているという、こういった言葉が出てくるというのは非常にすばらしいというか頼もしいと思っています。こういったことが提案方式の中でトレーニングされながら出てきているのであれば、なおのこといいなというふうに考えていますので、こういった頼もしいやる気を、志を浪費しないような形で今まで以上に進めていただければと考えております。

 次に、もうちょっと広い、地方自治の現場の話になるんですが、これが資料の四ページになりますね、済みません、ちょっとページが行ったり来たりしてしまって。地方公務員数自体は微増しているんですが、受験者数はちょっとずつ減っていっている状況です。もちろん、公務員の数を確保するという意味では、まだまだそこが足りなくなるようなことはないのかなと思いますが、どんどんどんどん自治体の現場も複雑化、多様化している中で、公務員の数が、担い手不足が、減っていくことをもうそろそろ政府としても考えるべき必要があるかなと考えておりますが。

 ここで自見大臣への質問になりますが、あえて地方分権という観点からも、地方公務員の個々の負担が増大していくことについての対応策について御見解をお願いいたします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 地方分権は、地方が自らの発想と創意工夫により解決を図り、質の高い行政サービスを実現するための基盤だと承知してございます。

 しかし一方で、委員御指摘いただきましたように、人口減少や東京一極集中により、地方においては特に専門人材の確保が困難になっており、行政サービスの維持、確保が課題となっているとも認識をしてございます。

 地方の担い手不足、担い手確保の課題も踏まえつつ、地方自治体の事務負担の軽減等を図るための規制緩和のほか、行政の効率化や行政サービスの高度化に資するデジタル化への対応など、地方分権改革の取組を今後とも着実に進めてまいりたいと考えております。

赤木委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間もありますので、次は宅建業法の改正の話になるんですが、宅地建物取引業者名簿の閲覧制度の見直しに関した話になります。

 これは宅建業法のたしか第十条の宅地建物取引業者名簿の閲覧において、消費者等が適切な宅建業者を選定できるように、この名簿とか免許申請時の提出書類を行政庁、例えば地方整備局とか都道府県の閲覧所で一般の閲覧に供することとされていますが、正直、私はずっと宅建業をやって、不動産業界にいるんですけれども、どの程度、この数が消費者の保護に役立っているのか。もっと言うと、今回の改正はデジタル閲覧化ありきの改正なのか。もっと言うと、宅建業者名簿をたくさん閲覧してもらった方がよいと考えているのかという、ちょっとそこら辺に若干の疑問を持っていたりします。

 そこで、ファクトの確認の質問になるんですけれども、まず、そもそも、今されている紙媒体での閲覧件数というのがどれぐらいあるか教えていただきたいことと、これがデジタル化されることによって閲覧回数が増えると想定しているのか、そこは横ばいと想定しているのか、想定について教えていただきたいということが一点。あとは、どういった属性の方が閲覧を行っているのか、個人さんなのか業者さんなのかということについてもお答えをお願いいたします。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 現在行っている紙媒体での閲覧件数につきましては、都道府県によってばらつきがございますけれども、令和四年度におきましては、多いところで数千件、少ないところで数十件というふうになってございます。

 また、今後、デジタルでの閲覧も可能となった際に想定をされます閲覧件数につきましては、定量的にお示しすることはなかなか困難ではございますけれども、閲覧所に行かなくても閲覧が可能になって利便性が高まるということで、件数としては増加する方向になるというふうに考えてございます。

 閲覧者の属性につきましては、都道府県からは、一般の個人や宅建業者のほか、信用調査会社でありますとか金融機関、行政書士等、様々な方が利用されているというふうに伺っております。

赤木委員 結構ばらつきがあるということをお聞きして、正直、数千件というのが多いのか少ないのか。あと、一般の個人さんだけではなくて、結構業者さんも使われているということなんですけれども。

 これは閲覧に関してのプライバシー情報についての質問になるんですけれども、現行の紙媒体での閲覧時には、個人情報のプライバシー状況は閲覧されていると認識しています。一方で、デジタル化に際してプライバシー保護に対応する理由について教えていただきたいことと、今後、プライバシー情報をそもそも申請情報から除いてしまうという可能性についてもあるかどうか、教えていただけますでしょうか。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 デジタル閲覧は、閲覧所に出向かなくても閲覧ができますので、利用者の利便性が向上する一方で、情報の複製が容易になりますので、プライバシー情報等が複製されて広く流布する等の懸念があるところでございます。

 また、令和五年地方分権提案におきまして、複数の都道府県から、デジタル閲覧の導入を機に、プライバシー情報を除外するなど、閲覧書類を簡素化、合理化をいたしまして、業務負担を軽減してほしいといったような御提案もいただいたところでございます。

 このため、今回、閲覧の対象とする文書について、消費者等によります宅建業者の選定に支障が生じない範囲内で、個人情報保護などの観点から、再整理、合理化を図ることとしたところでございます。これによりまして、法施行後は、デジタルでの閲覧だけでなく、閲覧所での閲覧も含めまして、プライバシー情報は閲覧の対象外というふうになるということでございます。

 なお、申請情報につきましては、行政庁において宅建業者の監督を行うために必要な情報でありますので、プライバシー情報であっても、これを申請書類から除外をするといったことは考えてございません。

赤木委員 申請書類、申請情報にはプライバシー情報は今後も含まれ続けるということなんですけれども、私の記憶上、一つの書類の中に、申請書の中に交ざっているというか、一部分だけがプライバシー情報だったりするので、恐らくこれは、開示するときというのは相当な手間がかかって、これこそ失敗も許されない開示の話になると思いますので、相当大変な業務がこれから待っているのかなというふうに考えております。

 それで、次の質問になるんですけれども、配付資料の六ページ目にスケジュールのイメージを、国土交通省さんが出されているものがありますが、これは、今回の閲覧だけではなくて、申請のオンライン化と閲覧のデジタル化のイメージ、スケジュールになっています。

 ちょうど先週の二十五日に、大臣免許のオンライン申請が、私も全然気づいていなかったんですけれども、さらっと開始されていました。それについても、次の七ページ目に、eMLITというサイトとパンフレットも掲載させていただいているんです。

 質問になるんですけれども、宅建業のオンライン申請の実現予定時期について、大臣申請と知事申請の開始時期がずれた理由がもしあれば教えていただきたいということと、デジタル閲覧の開始も、令和七年度を目指して今動かれているのかについてお聞きしたいと考えています。

 あと、デジタル閲覧の中身に関してなんですけれども、デジタル閲覧の開始前に紙で提出された申請、さらに、デジタル申請と並行して紙による申請も残されると思うんですけれども、紙によって申請された情報についても、デジタル閲覧の対象とする予定なのかについて教えていただけますでしょうか。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 宅建業の免許等のオンライン申請につきましては、議員御指摘のとおり、まず、国土交通省で受け付けます大臣免許分について、今月の二十五日から先行的に受付を開始をいたしますとともに、各都道府県で受け付けます知事免許分につきましても、今年度の下期以降、順次受付を開始すべく準備を進めているところでございます。

 御指摘の開始時期のずれについてでございますが、大臣免許分につきましては、令和三年の地方分権一括法により、今月の二十五日に都道府県経由事務が廃止をされるということになったことから、それに合わせてオンラインシステムを開始することを目指して、先行的にシステム整備を行ったということによるものでございまして、知事免許分につきましても、現在、システム整備を鋭意進めているところでございます。

 また、デジタル閲覧につきましては、本法が施行されます令和七年四月一日以降に開始をするということで予定をいたしております。

 そして、デジタル閲覧を含む新たな閲覧制度につきましては、本法の附則の規定に基づきまして、令和七年四月一日以降にされる免許の申請等に係る閲覧が対象となります。

 また、デジタル閲覧は、オンラインによる申請だけではなく、書面による申請についても対象とするということを予定してございます。

赤木委員 今、まさに紙による申請についても対象となっていくということなんですが、令和五年の提案募集のときに、提案団体から、インターネットでの閲覧となる場合、業者名簿等全てデジタル化、いわゆるPDF化等、置き換える必要があるために、事務負担が非常に大きいというようなことも指摘されているんですが、先ほどの話のように、一つの書類の中にプライバシー情報があったり普通の情報があったりという、そこも含めて相当大変だと考えています。現場の負担が大きいと考えているんですが、オンライン申請やデジタル閲覧化に向けた都道府県等の準備、進捗状況とか、今後の事務負担についてどのように想定されているか、また教えていただければと思います。

 あとは、申請のオンライン化とかデジタル閲覧化後は、最終的に、紙による申請若しくは紙による閲覧というのが全部廃止されてしまうのかについても教えていただけますでしょうか。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 オンライン申請、デジタル閲覧の導入につきましては、都道府県の事務負担をできるだけ増やさないように、国土交通省におきまして、都道府県も利用できるシステムというものを整備をすることといたしております。都道府県には、担当者会議等におきまして、随時、整備状況等の情報を提供しながら、進めさせていただいているところでございます。

 また、これらのシステムの導入後は、閲覧対象書類の見直しと相まって、現在都道府県が行っております免許等に関する事務負担の軽減というものが図られることになるというふうに考えているところでございます。

 なお、オンラインでの申請が難しい利用者にも配慮する必要があるということで、オンライン申請導入後も、紙による申請を廃止するということは考えてございませんけれども、都道府県の事務の効率化等を図る観点から、できるだけオンライン申請を利用いただけるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 また、閲覧所での閲覧につきましても、同様の観点から、デジタル閲覧の開始後も、やめるということは考えていないところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 デジタルとかオンラインが使えない方への配慮も当然大事だと思うんですけれども、両建てですることによるコストというのも、それも膨大だと思いますので、ちょっとそこはなかなか私も、言いながらも答えはないんですけれども、何かしら効率のいい形を探っていければと考えております。

 ちょっと今回の法改正とは外れた質問になるんですが、宅建業のデジタル化とかオンライン化に関する質問になるんですが、コロナ禍以降、不動産業界もいよいよテレワークが結構進んできています。

 そこで、宅建業法というのは、事務所ごとの従業員の五人に一人の割合で専任の宅建士を置くことというのが義務づけられているんですが、専任の宅建士がテレワークで、オンラインの、離れた場所で勤務することとか、もっと言うと、重要事項説明書等を行うことがそもそも可能なのかということをお聞きしたいのと、あと、同じ会社で別の支店、別の事務所の宅建業をオンラインで行うことが可能か。もっと進んで、実は、兼業していた場合に、別の会社の宅建業、これまたオンラインで行うことというのが可能かについてお答えいただけますでしょうか。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 専任の宅地建物取引士のテレワークにつきましては令和三年七月に解釈を示しておりまして、テレワークにより事務所以外の場所で勤務をすること、また、ITを活用した重要事項説明を行うことは可能というふうにしております。

 また、専任の宅地建物取引士が同一会社の他の事務所の宅建業務に従事をするということにつきましても、本年四月に解釈を示しております。その所属する事務所において一時的に宅建業務が行われていない間に、ITの活用等によりまして、同一会社の他の事務所の宅建業務に従事をするということは差し支えないという旨を明確化をさせていただいたところでございます。

 そして、専任の宅地建物取引士が兼業として別会社の宅建業務を行うことについてでございますが、指揮命令系統が複数になりますし、宅建事業者の事務所でいつでも消費者等に対応できるというような体制を整えることが難しいといったような課題がございます。基本的には専任とは考えられないというふうに思っております。

赤木委員 ありがとうございます。

 結構テレワークが進んできて、今までと距離の概念が一度に縮まって、現場も少し、どうしたらいいのか悩まれている業者さんもいますので、またそういったところを伝えていただければと思います。

 これはオンライン重説の普及で、実は、テレワークが始まる前から、体の不自由な方で宅建士を持たれている方の活躍の場がすごく広がった。私、実際、現場を見させていただいたんですけれども、これは元々消費者のための利便性を考えていたところが、実は働き手の改革にもつながったという、すごくいい例だと考えておりますので、何かそういった事例があることももっと公表していただければなと考えております。

 では、ちょっと、だんだん時間がもう迫ってきていますので、次は、建築主事の話に移らせていただきます。

 まず、ファクトというか、現状はどうなっているかを確認させていただきたいのですが、建築主事と確認検査員の数の推移、そして、建築確認件数の推移、さらに、それが分かれば一人当たりの建築確認数も分かると思うんですけれども、あと、建築主事と指定確認検査機関が行う建築確認の割合がどのような変化をしているかについて、お答えいただけますでしょうか。

宿本政府参考人 お答えいたします。

 全国の建築主事の人数につきましては、平成十一年度は千九百人であったものが、令和四年度には約千四百人になってございます。

 また、建築確認の件数につきましては、これは指定確認検査機関によるものも含めた全体でございますが、平成十一年度には八十六万件であったものが、令和四年度には五十二万件となってございます。

 なお、指定確認検査機関の確認検査員の人数につきましては、平成十一年度は、これは制度を立ち上げた時期でございます、百名程度でございましたものが、令和四年度には三千五百人になってございます。

 これらの数字を基に単純に計算をいたしますと、審査者、すなわち建築主事と指定確認検査機関の確認検査員が、それぞれ合計が、一年間一人当たりの建築確認件数は、平成十一年度は約四百件であったものが、令和四年度は約百件となってございます。

 また、それぞれの確認件数でございますが、平成十一年度に八十六万件、令和四年度に五十二万件ございます建築確認のうち、平成十一年度は、建築主事によるものが九八%、指定確認検査機関によるものが二%に対して、令和四年度は、建築主事によるものが七%、民間の指定確認検査機関によるものが九三%となってございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 私も、これはレクのときにお聞きして、平成十一年は一人当たり四百件以上されていたというのを聞いて、ちょっとびっくりしたんですけれども、今はもう百件程度に落ち着いて、九割ぐらいが確認検査員に移られているということをお聞きして、少しびっくりしたところです。

 ちょっと時間も迫ってきていますので、最後の質問になるんですけれども、指定確認検査機関の能力とか確認実績のチェック方法に関した質問になります。

 これは、私がちょうど不動産のビジネス、不動産の証券化とかをやっているときに、まさしくあの姉歯事件が起きまして、業界が相当揺れ動いて、私自身の仕事のやり方も相当複雑になったんですけれども、こういった不正とかを防止する方法や仕組みがどういったものに今現状なったのか、相当進んだと理解しているんですが。あと、検査機関が検査ミスした場合に、その責任の所在とか損害賠償の負担者はどのように取り決められているかについて教えていただけますでしょうか。

宿本政府参考人 お答えいたします。

 指定確認検査機関につきましては、その指定に当たりまして、資格を有する確認検査員の数などによって、確認、検査の実施能力、これをチェックしてございます。また、指定後も、定期的に機関の実績に見合った確認、検査の実施体制、これをチェックをすることとなってございます。

 他方、構造計算書偽装などの不正の防止につきましては、平成十八年の建築基準法の改正によりまして、一定規模以上の大きな建築物に関する構造計算の妥当性につきまして、従来からの建築確認の審査に加えまして、構造計算適合性判定、いわゆるピアチェックの仕組みを導入し、複層的な審査を行うこととしてございます。

 しかしながら、万一、機関が確認検査において見過ごしなどをした場合、一義的には審査を行いました機関にその責任があることとなります。こうしたことも含めまして、機関の指定に当たっては、損害賠償に必要な財産を有することも条件としているところでございます。

赤木委員 時間も参りましたので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、自見大臣に伺います。

 今回で第十四次の一括法案となりました。しかし、地方からの提案というくくりで一括法案という扱いではなく、先ほども岡本委員からも議論があったわけですけれども、重要な改正はやはり一緒にしない。例えば、今回の建築基準法は国交委員会で、母子保健法も、同じこの委員会ではあるんですけれども、こども家庭庁やデジタル庁という形で、所管委員会できちんと審議するべきだと考えますが、大臣の見解を伺います。

自見国務大臣 お答え申し上げます。

 建築基準法の改正も含みます今回の法案は、累次の地方分権一括法と同様に、地方自治体への義務づけ、枠づけの見直し等を通じまして地域の自主性及び自立性を高め、自らの判断と責任において行政を実施する仕組みに改めるという同一の趣旨、目的を有するものであることから、一括法として提案することが適当であると考えてございます。

 また、本法案は、提案募集方式という共通の枠組みに基づきまして措置するものでありまして、建築基準法についても、十一団体からの提案を受け、現行制度におきましては大規模災害時等の公共施設の再建による計画通知が急増した場合に円滑に審査、検査等をすることが困難となるという喫緊の課題に対応する内容となってございます。これらの関係する法律を個別に改正するよりも、一括して改正案を取りまとめることによって、改正の趣旨、全体像が分かりやすくなるものと考えてございます。

 今後とも、改正する法律の趣旨、目的等に鑑み、一括法として提案することが適当であるかを十分に精査してまいりたいと考えてございます。

高橋(千)委員 到底精査しているとは思えません。

 趣旨が合っていたとしても、法律がどういうものなのかと。まして、建築というのは、一生に一度の大切な買物が、それこそ耐震偽装の問題のように全部駄目になってしまったとか、そうした本当に重大な問題なわけですよ。それで規制をしてきたり様々起こってきたことを、やはりそうしたことを踏まえて地方の提案があるので、それをちゃんと所管委員会で議論するべきだと私は言っておきたいと思います。

 そこで、今日、私がこだわって聞きたいのは二本です。

 初めに、建築基準法について伺います。

 まず、建築主事と民間の指定確認検査機関が行う建築確認とはどういう意義があるのか。また、九八年の法改正以降、建築主事のみが行っていたものから指定確認検査機関に民間開放してきた、その理由を伺います。

宿本政府参考人 お答えをいたします。

 建築確認でございますが、建築物の安全性などを確保するために、建築物の計画が建築基準法などの関係規定に適合していることを確認するもので、工事に着手するためには確認済証が交付されていることが必要となります。国などの機関が提出するものを計画通知と呼んでいるわけでございます。

 平成十年以前でございますが、建築確認、これは計画通知も含めてでございますが、特定行政庁、すなわち建築主事がいる行政庁のみが担ってきたところでありますが、建築物の安全確保を図るために、建築確認や検査、違反建築に対する指導や違反是正などの充実が求められる中、行政職員だけでは十分な実施体制が確保できないといった状況を踏まえまして、平成十年に建築基準法を改正いたしまして、一定の審査能力を備えた公正中立な民間機関においても建築確認、検査を行えるようにしたところでございます。

高橋(千)委員 そうすると、先ほど議論の中で答弁がありましたので私の方で言ってしまいますけれども、建築主事と確認検査員の数の推移、それから建築確認件数の推移、資料の一枚目につけております。九八年に民間開放を行って、その翌年から数えると、民間の確認検査機関が、二%だったものが今は九三%を占めている、ここまで来たわけですね。そのことを国交省はどう見ているのでしょうか。

宿本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、建築主事による建築確認の割合は、平成十一年度、九八%でしたが、令和四年度、七%となっています。逆に、民間の指定確認検査機関の確認の割合は、二%だったものが九三%になってございます。

 指定確認検査機関制度を導入したことで、建築主事の人数、これ自体は減少はしておりますが、一方で、指定確認検査機関の確認検査員は約三千五百名おり、全体としては現在約五千人が確保されておりまして、平成十一年当時と比較しても執行体制の充実が図られております。

 この結果、すなわち指定確認検査機関制度の導入によりまして、平成十一年度は、半数以上の建築物が実は建物竣工時の完了検査を受けておりませんでした。そういったものが、令和四年度におきましてはほぼ全ての建築物が完了検査を受けているなど、的確で効率的な執行体制の構築が図られたものと認識をしてございます。

高橋(千)委員 まるでいいことしか言わないわけですね。ちょっと正直驚いているわけですけれども。

 昨年の七月の第百五十二回地方分権改革有識者会議提案募集検討専門部会の中でも、国交省が、当時どういう議論があったのかは詳細には分からないが、民間開放してこれだけ民間機関が担うことは、当時は想定していなかったのは事実である、そう認めていると思うんですよね。

 当時やっていた方々の話を聞くと、民間開放といってもやはり行政が主体でやっていくと思っていたようだ。これは事実ですか。

宿本政府参考人 お答えいたします。

 昨年の分権の会議におきまして、恐らく当時はそういう認識は薄かったんだろうということを発言したのは事実でございます。

 後段の発言はちょっと私は認識しておりませんので、お答えを差し控えさせていただきます。

高橋(千)委員 ですから、前段は合っていたわけでしょう。ここまで民間が占めるとは思っていなかったということを認めているわけですよね。だから、何の反省もない。うまくいっているという答弁は、ちょっと、とてもじゃないが納得できないわけです。

 この同じ有識者会議の中で、委員の方から、民間が力をつけてやっていくのは非常にいいことだと思う、逆に建築主事の方が、数が少なくなってくると、そうすると、医師だってオペの数が少なくなると困るように、スキルが下がるんじゃないかということを指摘しています。そういうことが実際に起こったんじゃないか。

 大手ハウスメーカーやゼネコンがこぞって出資する民間の指定確認検査機関が安さと早さを競い合って、こうした中で起きたのが二〇〇五年の耐震偽装問題ではなかったのか。特定行政庁も民間機関も見過ごした偽装事件。政府はこの教訓をどのように総括したんでしょうか。

石橋大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘の、二〇〇五年十一月に明らかになりました構造計算書の偽装問題でありますが、指定確認検査機関や建築主事の審査において設計者による偽装を見抜くことができず、建築確認制度、検査制度の信頼性を揺るがす極めて深刻な事案であったというふうに捉えております。

 本事案を踏まえて開催されました社会資本整備審議会におきましては、構造審査等を的確に実施するための審査者の能力が不十分であることや、的確に建築行政を執行するための体制整備が急務であるということなどの指摘がされたところであります。

 これらの指摘を踏まえまして、国土交通省においては、建築基準法を改正し、一定規模以上の建築物に係る構造計算の妥当性につき、建築確認における審査に加えまして、構造計算適合性判定による複層的な審査を義務づけること等の対策を講じたところであります。

 現在、構造計算適合性判定は、建築確認手続の一部として定着をし、建築確認の質の確保にも寄与するものとなっているというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 建築基準法が改正されたのは承知しています。

 当時の構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会報告書には、このように書いています。制度の設計時、つまりこの建築確認の制度ができたときのことをいいますが、建築主事は公共建築物の設計などの経験が豊かで、建築確認をする側が申請者に比べて技術的に優位であることが多かったが、その状況が逆転し、審査の形骸化の要因となった。建築確認の民間開放は民間の技術的能力を活用するチャンスだったが、一部の検査機関が、営利企業であることから、建築主に好まれる低料金で早くという経済原理に基づく安易な審査に流れる傾向を招いた。このことを本当に受け止めているのか、問われると思うんですね。

 それを踏まえてお答えいただきたいと思うんですが、資料の二枚目、確認業務と検査業務、これを指定確認検査機関が行うようになってのフローであります。確かに、指定確認機関が確認済証を交付、ここまでやるわけですが、しかし、やはり、最終的に指示を出す、あるいは不適合と認める通知を特定行政庁が出すことになっているわけですよね。

 公共工事も含め、建築確認業務を民間が行った場合の特定行政庁が果たすべき役割、責任は何でしょうか。

石橋大臣政務官 失礼します。

 国民の皆様が安心して建築物を利用するためには、委員御指摘のとおりの、建築物の安全性が確保されるように、建築基準法の実効性を確保することが大変重要であるというふうに考えております。

 その上で、建築確認業務を民間の指定確認検査機関が行う場合でありましても、特定行政庁においては、当該機関に対する検査や、違反建築物に対する違反の是正、また許認可などの処分等、行政機関でなければ行うことのできない義務を果たす、そういった役割並びに責任があるというふうに考えています。

高橋(千)委員 今お話しいただいた、行政機関でなければ果たせない役割があるとおっしゃいました。本当にそれが果たせる体制でなければならない、このことを重ねて指摘したいと思うんですね。

 二〇〇五年の六月の最高裁の判決もありますよね。建築確認を行った民間の指定確認検査機関が提訴をされたんだけれども、結局、当事者適格は特定行政庁にあると認められた。こうしたこともあって、やはり特定行政庁の責任というのは最終的には免れないんだということがあると思うんです。九三%が民間になっているということ、これは本当に深刻だと思います。

 耐震偽装の報告書には、公共建築の設計、工事監理は外部に委託する割合が高くなり、経験が少なくなって、建築主事の技術力が規制される側の建築士の技術力に比べ相対的に低下していった、地方公共団体では、財政事情もあり、建築確認に当たる職員の増加が認められなくなり、仕事量が増え、士気、能力が次第に低下していったとあります。まさに負のスパイラルだと思うんですね。

 様々、こうした問題はいろいろなことに当てはまります。これ以上の緩和をやめ、建築主事をきちんと増やして、そして、能力と経験を積めるように位置づけるべきだと思います。強く要望しておきます。

 次に、母子保健法の改正について伺います。

 第十九条の二で、健康検査に関する情報の求めとあったものが健康検査等になり、かつ、里帰り出産に限っての部分が削除をされました。つまり、里帰り出産でなくても、場所が、出産先がどこであっても情報連携は行うということだと思います。具体的に何がどう変わるのか、簡潔にお答えください。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 現在のものがどういうふうに拡充されるのかということでございます。

 現在、里帰り出産をする妊産婦への支援については、里帰り先の自治体において様々なメニューが提供をされているところでございます。妊婦健診を始めとして、両親学級、新生児訪問、様々なものがございます。

 一方で、課題としては、住民票所在地とそれから里帰り先の市町村等において情報が即座に連携されないためにタイムリーな支援の提供が難しいといった課題ですとか、あと、また、里帰り先で利用できる行政サービスが分からないといった産婦さんの声等もございます。

 そうしたことから、住民票所在地と、それから住民票を動かさないんだけれども里帰り先の市町村間において情報の連携や支援ニーズの対応をできるようにしようということでございまして、今回、支援メニュー自体が、市町村で提供をされる事業自体が増えるということではなく、ある意味、質を改善するといいますか、ということで、迅速な情報提供を踏まえて、それを踏まえた様々な里帰り先における市町村のサービスが提供されるようになる、それが効果であるというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 時間の関係で、二つ一遍に聞きます。

 今回は、情報連携の基盤をつくる、つまりその担い手は支払基金と国保連合会ということまでの改正だと思うんです。ただ、連携をする際には本人同意は要らないと聞いています。それがなぜなのか。

 それから、母子健康手帳の電子化をどのように進めるのか。義務化なのか。それもお願いします。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一つ目の同意の関係でございます。

 現在の母子保健法でも、市町村が必要と認めるときに、過去の居住自治体に対しては、本人からの同意なく情報提供を求めることが可能なわけですが、今回、住民票の異動がない場合にもそれを広げようというものでございます。

 これは、様々な声を我々はいただいていますが、例えば、産後うつの可能性が高いような場合に、支援の必要性が高いにもかかわらず本人の同意を得ることが難しいといったケースですとか、また、里帰り先と住所地の市町村間で情報共有ができないで、必要な支援につなげることが困難だといったような声が、様々、自治体からも寄せられていたと。例えば、一部の市町村からは、住民票所在地の市町村に情報の提供を求めたんだけれども断られたとか、そのようなケースもあるというふうに聞いてございます。

 そのようなことから、今回の法改正におきましては、過去の居住の有無に関係なく、住民票の異動がない里帰り妊産婦等も対象とするということとしたところでございまして、母子保健サービスを提供するために必要があると認めるときでございますけれども、本人の同意がなくとも里帰り先と住所地の市町村間で情報提供を求めることが可能となって、これによって先ほど申し上げたような事例についても適切に対応できるのではないかと考えてございます。

 それからもう一つ、母子健康手帳について、義務化するのかといったことについての御質問だと思いますけれども、こちらについてでございますが、現状は御承知のとおり紙の手帳を前提としておりますので、利用者にとってみると、紙の問診票の記入ですとか、あと、民間アプリを利用する際に健診結果を自分で手入力しなくちゃいけないといったような負担も生じているというふうに承知をしております。

 今般整備するPMHを利用したシステムにおきましては、健診結果が電子的に医療機関から共有されることになりますので、その内容を利用者がマイナポータル上で即座に確認できるようになりますし、また、さらに、これは、マイナポータルのAPI連携を通じまして民間の母子アプリ等と連携をすることによって、利用者の手入力なしで電子版の母子手帳アプリ的なものが実現するというふうに考えてございます。これは、母子アプリがかなり、今、全国の半数以上の自治体で普及をしておりますので、このPMHとの連携による効果というのは相当期待できるのではないかと考えてございます。

 その上ででございますけれども、こうした現状を踏まえまして、昨年十二月のデジタル行財政改革中間とりまとめにおいて、電子版の母子健康手帳を原則とするという表現で書かれてございます。

 ということでございまして、今申し上げたようなことを踏まえて原則とするというふうにしているところでございますけれども、現時点で電子版健康手帳を義務化するということを想定しているものではございません。

高橋(千)委員 確認をしました。

 行った出産先でも情報が分かる、そして支援が受けられる、私はいいことだと思うんですよ。ただ、現行でも同意なくとおっしゃいましたけれども、現行は、本人が申し出なければそもそもほかの自治体が分かるわけないので、ちゃんと申し出ることによって支援を受けている。今回はそれがデータとしてずっと積み上げられていくという問題なんです。

 資料の三枚目に、母子保健情報の標準的な電子的記録、主な項目を挙げ、表になっています。新たに電子化する項目とあり、かなりの情報です。これが母子保健DXのデータとして積み上げられていく、そして大人になれば医療DXとしてパーソナル・ヘルス・レコードとなっていくわけですね。その際の本人同意がどうなるのか、時間が来たので一言でお答えください。

谷委員長 こども家庭庁黒瀬審議官、簡潔にお願いします。

黒瀬政府参考人 はい、分かりました。ありがとうございます。

 最後の、大人になったらどうなるのかという形の問いでございますけれども、基本的に、母子保健情報を継続的に保存をして、将来にわたってPHRとして活用して、医療機関と共有することで質の高い医療も受けられるということを想定してございますので、母子保健情報の取扱いについて、今後検討したいと考えてございますけれども、その際には、最近はデジタル技術の進展で長期の保存が可能になっておりますので、そんなことも踏まえて検討してまいりたいと考えてございます。

高橋(千)委員 終わります。重大な懸念があります。

 以上。

谷委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。

 最後の質問となります。よろしくお願いいたします。

 まず、自見大臣に伺いたいと思います。

 今日の委員会の質問の中にもありました提案募集方式です。十年がたちました。そして、大臣からは評価の声がありました。私自身も、地方版のハローワークの創設など、一定の成果を上げてきたことだとは思っていますけれども、最近のこの改革案、また提出案というのがどうしても小粒な内容であるという指摘もあります。審議する対象がどうしても自治体の事務処理に関わるものに限定されている、今回の改正法案もそのようなものが多いんですけれども、国の組織や税財政に絡む問題というのは、どうしても自治体から提案があっても検討対象にしていないというふうにも言われています。

 この提案募集方式をどのように活用していくのか、伺います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 内容が小粒との御指摘ございましたが、今回の地方分権一括法においては、里帰り出産等における情報連携の仕組みの構築や、あるいは公立学校施設整備費国庫負担金の対象となる事業の実施期間の延長など、地方自治体にとっては大きく影響があるものも含まれていると認識してございます。

 提案募集方式は、地方の現場で実際に困っている問題を解決すること等により、地方の自主性、自立性を高め、地方分権改革に寄与するものであると認識をしているところでございます。また、地方自治体の事務手続に関するものであれば、一律に税財政に関わるものを提案の対象外としているわけではございませんで、例えば補助金等に係る事務手続の簡素化を求める提案など、地方分権改革の観点から検討が必要な項目については提案の対象となり得るものでございます。

 また、関係省庁との調整は行わないものではございますが、予算の増額等に係る例えば御要望等につきましても、関係省庁に予算編成過程で検討していただくように私どもの方から通知をしているところでございます。

 今後とも、地方の自主性、自立性を高めることができるよう、提案募集方式の充実を図ってまいりたいと考えてございます。

田中(健)委員 是非お願いしたいと思います。

 全国知事会からも、この提案募集方式の見直しということで何点か提案が出ておりまして、やはり地方の意欲と知恵を十分に生かせるような制度を、拡充ということを求められています。今、財源に関わることや、そういったものもこれから取り上げていきますし、検討しているということなので、是非お願いをしたいと思います。

 その上で、更に大きな話となりますけれども、この地方分権の推進を決める決議というのは、三十年前、衆参の両院でされたということであります。長らく、地方分権といいますと国政の最重要課題ともされておりまして、政治の大きな課題であったんですけれども、今はなかなかこの分権という言葉が少し小さな声になって、減っており、メディアや国民の関心も少し、以前よりは低く、低下しているように感じます。この三十年間で本当に自治というものは強化されたのかということです。

 分権の一つの目的は、多様な地域社会をつくっていくということでありましたが、自治の形も地域ごとで多様であっていいという理念があったはずであります。関西の方で新たな分権改革を求めて様々なことを行っていたりしていますが、日本では原則として全国一律ということで捉えられておりまして、なかなかその改革というのが進んでいないとも思っています。

 その中で、大臣の考える地方分権、そして今後、地方分権改革という名でありますから、どのようにこの方向性を持って進めていこうと思っているか伺いたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 地方分権については、これまで委員会による勧告を踏まえた取組や地方の発意に基づく提案に依拠した取組などによりまして、権限移譲や規制緩和などが着実に進められてきたものだと認識をしてございます。

 これらの取組によりまして、住民に身近な行政はできる限り地方自治体が行うことが基本となり、特に、住民に身近な福祉や子育て等の分野におきましては、地域の実情に応じた多様できめ細やかな政策が実現されるなど、住民サービスの向上につながったものだと考えてございます。

 また、人口減少や少子高齢化など様々な課題に直面する中で、持続可能な地域社会の実現に向け、地方団体の、地方自治体の力をしっかりと生かしていくことも大変重要でございます。そのためには、地方が自らの発想と創意工夫により解決を図り、質の高い行政サービスを実現する上での基盤となる地方分権を着実に推進することが大変大事でございます。

 個性を生かし、自立した地域をつくりながら、地方の声にしっかりと耳を傾けながら、信頼と対話ということも大事にしつつ、地方の自主性、そして自立性を高める取組を着実に進めてまいりたいと考えてございます。

田中(健)委員 確かに、この間、機関委任事務が廃止されたり、義務づけやまた枠づけの見直しというのが進んだのでありますけれども、しかしながら、やはり、その後はなかなか大きな改革という方針が示されていませんので、地方創生のときにも大臣と議論させてもらいましたけれども、地方創生としっかり位置づけて地方分権も大きく進めていただければと思っています。

 それでは、具体的に今回の法案の中身を聞きたいと思います。生産緑地法に基づく公拡法の届出不要化についてであります。

 生産緑地の区域内の土地を農家以外の方に売却をして農地等以外のものにしようとする場合は、農地法に基づく手続が必要です。それを資料としてつけさせていただきました。生産緑地法の第十条の買取り申出と併せて公拡法の第四条の届出が必要であります。

 しかし、生産緑地法の手続によって市町村が一度買い取らないと判断した土地について、公拡法の四条に基づく届出により改めて、再度、地方公共団体に対して買取り希望の機会を与えても、買取りの協議が成立するというのはごく限定されていると言われています。このような手続は、土地所有者及び行政の二重の負担を生じさせるとともに、民間の土地取引をいたずらに遅延させているということで、今回、静岡市を始めとする自治体からこの提案がされています。

 この過程の中で、生産緑地法に基づく買取りの申出があった場合の結実した件数と、さらに、公拡法に基づいて、買取り協議で実際に買取りが行われた全国的な調査を行ったということですが、この結果はどのようだったでしょうか。伺います。

川野政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の地方公共団体からの御提案を受けまして、制度改正の検討をするに当たり、生産緑地法に基づく生産緑地の買取り申出手続と、公有地の拡大の推進に関する法律、いわゆる公拡法に基づく生産緑地を譲り渡す場合の届出手続について、実際にどのように行われているか、運用実態を確認する必要がありました。

 そこで、令和三年度及び四年度時点で生産緑地地区の指定がされていた又は指定の見込みがあった全国二百三十八市町村に対しまして運用実態に関する調査を行い、二百十二市町村から回答があったところでございます。調査結果は、令和三年度から四年度にかけて、生産緑地について、生産緑地法に基づく買取り申出の後に公拡法の届出が九百七十九件あり、このうち、買取りに至ったものはゼロ件であったこと等が確認されました。

 このように、生産緑地法の買取り申出手続が行われた後であれば、公拡法の届出手続が省略されたとしても公有地の確保について特段支障がないと考えられたことから、今回の改正案におきまして手続の合理化を図ることといたしております。

 なお、公拡法に基づく届出に関し、生産緑地に限らず、全ての対象土地について実施した別の調査によりますと、買取りに至ったものは令和三年度で二十件、令和四年度で十八件となっております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 その中で、今回、公拡法による届出を不要とする期間を生産緑地法の規定による買い取らない旨の通知があった日から起算して一年という日としておりましたけれども、その理由はどうしてでしょうか。

川野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正案におきまして、地方公共団体等及び土地所有者の手続負担の軽減等の観点から、生産緑地法に基づき所有者が市町村長に買取りの申出を行った土地について、公拡法に基づく届出を不要とし、届出不要となる期間を市町村長から買い取らない旨の通知があった日の翌日から一年間としております。

 一年間の理由でございますが、同じ土地であっても、一定期間の経過により公的主体による買取りの需要が発生する可能性があることを踏まえたものでございます。また、現行の公拡法におきましても、同様の観点から、公拡法に基づく届出をした者については一年間届出義務の対象から除外することとされており、それとの整合を図ったものでございます。

田中(健)委員 公拡法に基づく届出の時期というのは所有者が決めるものであって、必ずしも今回の法改正によって公拡法の届出が不要とされる期間内に提出されるものでもありません。そして、一年というと、もっと言えば、そのチャート図にありますけれども、買い取らない旨の通知があった後は、さらに農業者へのあっせんがあって、それは二か月ほどかかりますから、つまり、行為制限の解除を考えると、実質十か月で再び公拡法に基づく届出義務が生じる。ですから、国交省としては、二重の提出をなくす、そして円滑な取引を進めると言っているんですけれども、それは一年だけよと、もっと言えば十か月だけよと言って、結局、私は、これは大きく分権に寄与しているとは思えません。

 なぜならば、更に言うと、そもそもこの提出の最初の書類を見ますと、静岡県を始めとする地方からは、これについて、生産緑地に指定された土地の売買については、生産緑地法の手続により公拡法の制度目的は果たされているということで、当該土地を公拡法の第四条の届出対象から除外してほしいという声でありました。これを最も推奨していました。しかしながら、結果的に、効果はあるよと国交省は言っているんですけれども、言ったように期限を定めたということであります。実質的に、これは本当の意味での解消やないしは効果的な取引につながると思えないんですが、どうしてこの対象から除外はできなかったんでしょうか。

川野政府参考人 お答え申し上げます。

 生産緑地地区は、市街化区域内の農地のうち、良好な都市環境の確保に資するほか、公共施設等の敷地の用に供する土地として適しているなどの要件を満たすものが都市計画で定められるものでございます。

 一方、公拡法の目的は、都市の健全な発展と秩序ある整備を促進するため必要な公有地の拡大の計画的な推進を図ることとされております。

 したがいまして、都市の計画的な整備に有効な土地を公有地として積極的に確保するために、生産緑地を引き続き公拡法に基づく届出の対象とすることが適当と考えております。

田中(健)委員 先ほど来、考えていると言うんですが、買い取る方は地方自治体でありまして、国交省じゃないわけで、買い取る側の地方自治体から、この手続は二重であって、そして意味を成さないというふうに言っているわけですね。なのに、あえて国交省はそれに対して、権限を放したくないのか、それをかぶせて、一年しか認めないよと言っているのはどうしてかということなんです。

 そもそも、生産緑地法の手続によって既に地方公共団体が民間の土地取引に先駆けて買取り機会を与えられていますから、公拡法の目的もこれによって達成されているというふうにも話を実際、自治体からも聞いています。

 ですから、何か合理的な目的があるならば、それは納得しますというか、理解しますけれども、その理由が明確でない中で、どうしてこのような期限を定めたかというのをもう一度御説明いただけますでしょうか。

川野政府参考人 お答え申し上げます。

 通知のあった日から起算して一年を経過する日までとした理由につきまして、お答え申し上げます。

 今回の公拡法の届出を不要とする期間を一年間といたしましたのは、先ほども答弁申し上げましたように、同じ土地でありましても、一定期間の経過により公的主体による買取りの需要が発生する、その可能性があることを踏まえたものでございます。

 したがいまして、一定期間を経た後に再度買取りの機会を設ける公拡法の趣旨からしますと、生産緑地の行為制限の有無にかかわらず、公的主体が買い取らない旨の判断をしたタイミングを捉えて、そこから一年間とすることが妥当であるというふうに考えております。

田中(健)委員 それも、自治体に聞きましたけれども、趣旨はもちろん異なるとしても、どちらも地方公共団体等ですから、公拡法にしても、生産緑地法にしても。ですから、地方公共団体等としては、もちろん法律が違いますから趣旨は異なるけれども、土地を買い取るよう申し出るものであって、相互の手続をまた行わせるというのは合理的な理由はないんじゃないかということで、私もそれに答えられなかったので聞いておりますし、せっかく今回、このように地方分権の中で変えるのであるならば、中途半端というか、ないしは、本当に自治体が望んでいるものに。どうしてなったのかがよく分かりません。

 やり取りしても議論になりません。時間になりましたので終わりますけれども、先ほど大臣からは、地方に寄り添ってこの法案を改正を進めてきた、また、分権を進めていきたいということがありましたので、それに照らし合わせると、今回の法案は、何か大変国交省としては、便利になる、また、効率化になると言いながらも、このようにあえて期限を残すということには、私は、もう少し地方に寄り添って、また、現実に沿ってやってほしいということを要望して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、第十四次地方分権一括法案に反対の討論を行います。

 反対する理由は、建築基準法の改正が、建築確認の安全確保を更に大きく後退させるとともに、公的責任を果たす内容となっていないからです。

 本法案では、建築物の性能を確保する建築確認制度について、新たに国等が建築主となっている建築物についても、民間の指定確認検査機関による建築確認を可能とします。

 一九九八年の建築基準法の改正により、それまで建築主事が行っていた建築確認検査業務が、指定確認検査機関も行えるとして民間開放されました。その後、建築確認件数は減少する一方で、確認検査員数は増加したため、限られた建築物に対する検査競争が発生し、その結果、安全性よりも経済合理性が優先され、二〇〇五年の耐震強度偽装事件の教訓が生かされないばかりか、その後も、構造計算書の偽装や改ざん、違法な手続等が後を絶ちません。

 法案は、国等が建築主となる公共工事さえも民間に委ね、安全確保に責任が持てなくするもので、認められません。

 今や民間の指定確認検査機関が建築確認の九三%を占めています。当初は、建築主事の業務が軽減され、災害対応や町づくりなどに専念できると説明していましたが、地方行財政改革と民間の肩代わりが進む下で、建築主事は減らされ、建築行政の高度化、専門化に対応する技術や経験を引き継ぐことが困難となっています。これでは、指定確認検査機関が交付する確認済証や検査業務の引受通知の報告を特定行政庁が受けても、最終的なチェック機能を果たし得なくなります。

 法の目的にある国民の生命、健康、財産の保護のために、減少が続いている建築主事の増員や不正を見抜ける専門家の育成等を行い、国の監査や監督を抜本的に強化し、建築行政に公的責任を果たすべきです。

 なお、反対はしませんが、母子保健法の改正には重大な懸念があります。

 本法案では、妊産婦等が里帰り先等で母子保健サービスを受ける際、本人の同意がなくても、里帰り先の市町村が住所地の市町村に情報提供を求めることを可能とし、併せて、健康診査や産後ケア事業の対象者に関わる情報収集等の事務を、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会への委託を可能とします。

 妊産婦等がどこにいても母子保健サービスを速やかに、確実に受けられるようにすることは、出産や産後の不安を和らげ、利便性向上に資する面があり、必要なことです。

 しかし、この情報のやり取りについては、今後は新たに、妊娠中の経過や出産時の子の状態等も母子保健情報の電子化項目の対象とし、利用者、自治体、医療機関の間の情報をPMHと呼ばれる情報連携基盤で連携、医学や産業の振興のために二次利用も検討されています。脆弱な個人情報保護制度の下で、プライバシー侵害や情報の誤送信、漏えいなどの危険性があると言わなければなりません。

 以上を述べて、討論といたします。

谷委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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