第4号 令和6年12月19日(木曜日)
令和六年十二月十九日(木曜日)午前八時十五分開議
出席委員
委員長 谷 公一君
理事 上田 英俊君 理事 上川 陽子君
理事 牧島かれん君 理事 神津たけし君
理事 坂本祐之輔君 理事 森田 俊和君
理事 東 徹君 理事 日野紗里亜君
遠藤 利明君 大西 洋平君
加藤 竜祥君 岸 信千世君
草間 剛君 小池 正昭君
小泉 龍司君 佐々木 紀君
田野瀬太道君 萩生田光一君
宮下 一郎君 簗 和生君
東 克哉君 安藤じゅん子君
市來 伴子君 中谷 一馬君
橋本 慧悟君 福田 淳太君
福森和歌子君 柚木 道義君
阿部 司君 斎藤アレックス君
仙田 晃宏君 浮島 智子君
大森江里子君 阪口 直人君
本村 伸子君 吉良 州司君
…………………………………
国務大臣
(デジタル大臣) 平 将明君
デジタル副大臣 穂坂 泰君
総務副大臣 冨樫 博之君
デジタル大臣政務官
兼内閣府大臣政務官 岸 信千世君
総務大臣政務官 古川 直季君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 大森 一顕君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 冨安泰一郎君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 楠 正憲君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 村上 敬亮君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 布施田英生君
政府参考人
(総務省大臣官房地域力創造審議官) 望月 明雄君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 新田 一郎君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 下仲 宏卓君
衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君
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委員の異動
十二月十九日
辞任 補欠選任
田野瀬太道君 佐々木 紀君
宮下 一郎君 簗 和生君
同日
辞任 補欠選任
佐々木 紀君 田野瀬太道君
簗 和生君 宮下 一郎君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)
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○谷委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官大森一顕君、デジタル庁統括官冨安泰一郎君、同じく統括官楠正憲君、同じく統括官村上敬亮君、同じく統括官布施田英生君、総務省大臣官房地域力創造審議官望月明雄君、同じく大臣官房審議官新田一郎君及び同じく大臣官房審議官下仲宏卓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○谷委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。神津たけし君。
○神津委員 皆様おはようございます。立憲民主党の神津たけしです。
平大臣、皆様、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
今回の法改正については、ガバメントクラウドの料金についてボリュームディスカウントを得ていくために、政府が自治体から徴収し、それを政府が一括で納めるというふうに報道上では言われておりますが、実は、私は、今回の法案は、主にガバメントクラウドを推進していくという法案になっているというふうに思っております。特に、十八条の二項においては、国の行政機関は公共情報システムを導入するときにガバメントクラウドの検討義務を課していくと。それから、十八条三項では、国の行政機関等以外の行政機関で努力義務を課していくというところで、ここが主な点だというふうに思っています。
そして、今回ですが、ガバメントクラウドの法案ではありますが、今回、親和性の高い標準化についても一緒に、ガバメントクラウドに上げていく標準化のシステムについても一緒に伺っていきたいと思っております。
ガバメントクラウドは、政府や自治体が保持する個人の情報をガバメントクラウド上に上げていくこととなります。そこで、伺います。政府、自治体が扱う個人情報は機密情報だと考えているか、情報漏れが起きたときにどのように対応し責任を取るのか、情報漏れが発生したら個人に通報が行くのか、教えてください。
○布施田政府参考人 お答えいたします。
個人情報保護法では、機密情報について特段の規定を設けていませんが、個人情報の中には機密情報に該当するものがあると承知しております。また、同法は、必ずしも機密情報と同義ではございませんが、要配慮個人情報の取扱いについて規定を設けているところでございます。これらの情報は、政府、自治体で扱う個人情報にも含まれていると認識してございます。
ガバメントクラウド上であるかどうかにかかわらず、仮に政府、自治体が個人情報を扱う情報システム上で漏えいが発生した際は、個人情報保護委員会に対して速やかに報告することが義務づけられておりまして、特に要配慮個人情報や財産的侵害が生じるおそれがある場合には迅速な対応が求められているところでございます。
ガバメントクラウドにおける個人情報を含めたデータの扱いにつきましては、クラウドサービス事業者がガバメントクラウド上のデータにはアクセスできないように制御されておりますし、データを保有している行政機関等が必要に応じて第三者が解読できないよう暗号化の処理を行っていることもございますので、クラウドサービス事業者が、ガバメントクラウド上の行政機関等が保有する個人情報については知り得ないものと考えてございます。
その上で、仮に、クラウド事業者の責に帰すべき事由により情報漏えいや不正利用が発生し、国民や法人に被害が生じた場合の責任主体については、クラウドサービス事業者になります。
また、クラウドサービス事業者の責に帰すべき事由に起因して行政機関等が損害を受け、デジタル庁に対して損害賠償請求をした場合、この場合、デジタル庁は、当該クラウド事業者の契約に基づきまして賠償請求を行って適切に対処してまいります。
いずれにいたしましても、そもそも御懸念のような事象が起き得ないよう、クラウドサービス事業者をしっかりと監督してまいります。
○神津委員 端的に答弁をお願いします。それから、マイクの近くで是非しゃべっていただけると助かります。
今のはちょっとよく分かりにくかったんですが、国民の情報というものはクラウド上に載っていくんでしょうか、載っていかないんでしょうか。端的にお願いします。
○布施田政府参考人 ガバメントクラウドを利用しております地方の、例えば地方自治体の情報システムの中に個人情報が含まれておりましたら、その個人情報はガバメントクラウド上で扱うということになってございます。
○神津委員 個人情報が載る、ガバメントクラウド上に個人情報が載っていくシステムもあるということで理解いたしました。
一たび自国の国民の情報が海外に流出してしまえば様々な犯罪被害に遭ってしまうようなおそれもあるというところでは、ガバメントクラウドには国民の生命と財産にも深く関係する個人情報が保管されることとなります。
ガバメントクラウドの調達は、WTO第三条、安全保障のための例外及び一般的例外の条項から定められるように、この調達を外国の事業者に任せるのではなくて国内事業者に本来であれば絞るべきであったと思いますが、いかがでしょうか。
○平国務大臣 ガバメントクラウドについては、データセキュリティーの要件を適切に講じることで安全保障上の問題は生じないと考えられることから、委員御指摘のように、ガバメントクラウドをWTO第三条で定められているような安全保障に係る調達として捉え、国内事業者に絞るべきだとは考えておりません。
○神津委員 分かりました。
今受注している企業は米国の企業が多いというところでは、同盟国なので一定程度は私たちも協力していただけるのではないかというふうに思うんですが、例えばなんですが、同盟国でないような国がこのガバメントクラウドのサービスの事業者になることができるのか。今、ISMAPと、それからガバメントクラウドの三百五要件というのを課していると思いますけれども、これが満たされた場合、同盟国以外の事業者がクラウドサービス事業者になることができるのか、教えてください。
○平国務大臣 ガバメントクラウドは、政府情報システムのためのセキュリティー評価制度であるISMAPに登録されたクラウドサービスから調達することで、セキュリティー上の懸念のあるクラウドサービスは排除をすることができます。
また、一切の紛争は日本の裁判所が管轄をするとともに、契約の解釈が日本法に基づくものであることを契約等により担保できることに加え、データセンターも日本国内に置くこととなっています。不正アクセス防止やデータ暗号化などにおいて最新かつ最高レベルの情報セキュリティーを確保できることなどが調達仕様書で定められた要件を全て満たしており、当該クラウドサービスの提供事業者が国内の事業者か国外の事業者かによって区別はしていません。
標準化システムの開発事業者については、それぞれのシステムの発注主体である地方公共団体において適切に御判断いただくものと考えております。
○神津委員 もう一度ちょっと短目に、端的に答弁いただきたいんですが、同盟国でない国の企業もガバメントクラウドのクラウドサービス事業者となることができるかどうか、お願いします。
○平国務大臣 内外無差別であることはまず原則であります。
その上で、委員、同盟国、同志国以外の事業者ということでありますが、これは、大臣なので発言は慎重にしなければいけませんが、セキュリティー基準や、ちゃんと国とコミュニケーションが取れるなどの要件を課されていますので、なかなか考えにくいかなと思います。
現時点で、具体的にクラウド事業者として検討する、若しくは手を挙げているところはございません。
○神津委員 明確な答弁、ありがとうございます。
少し米国のCLOUD法について触れておきたいんですが、米国のCLOUD法では、米国に所在を置く企業が国外に所在するサーバーに保存しているデータに対して開示命令というのを行うことができるということになっております。
そこで伺いますが、日本のガバメントクラウドは、米国のCLOUD法について具体的な対応が取られていないというふうに思っています。他国の事業者を排除しないというのであれば、米国のCLOUD法が適用されないようにこれから二国間合意というのを結ぶべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○平国務大臣 ガバメントクラウドを構成する米国のクラウドサービス事業者が、米国の裁判所から米国CLOUD法に基づき犯罪捜査を目的とした開示請求の要請があり得るものの、仮に要請があった場合にも、当該事業者は、ガバメントクラウド上のデータに関して外国の裁判権から免除される主権免除の主張を確実に行うとともに日本国政府に通知するよう調達要件で規定をさせていただいております。
さらに、通知された日本国政府が外国主権免除に基づく主権免除を適用し、要請に基づく開示がなされないようクラウドサービス事業者や米国政府に求めることとしていることから、その結果として意図しないデータ開示を回避できるものと考えております。
ガバメントクラウド上で管理されているデータについては、主権免除の対象であって米国CLOUD法によって開示されるものではないと考えておりますので、ガバメントクラウド上のデータ保全のみを目的とした二国間合意の締結は必要ないというふうに考えております。
○神津委員 日本は主権免除ということで対抗しようとしていらっしゃると思いますけれども、米国がそれで納得するのであれば、そもそもCLOUD法は規定していないというふうに思います。
OECDのガバメントアクセス宣言というものがございますが、その中では、各国政府が、民間部門又はデータが自国の領域内に存在しない場合に、当該民間部門に対してデータ提供を義務づける権限を各国法の下で有する場合を認めております。日本も、このOECDのガバメントアクセス宣言を尊重されているという意味においては、主権免除というのはできないと思うんですが、いかがでしょうか。
○布施田政府参考人 お答えいたします。
先ほど大臣が答弁されましたとおり、米国側が米国CLOUD法に基づいてデータ開示を請求してきた場合には、主権免除を主張するように、また、主権免除によって対抗する措置を規定しているところでございます。
そのために、先ほど大臣が申し上げましたとおり、ガバメントクラウド上のデータ保全のみを目的とした二国間合意の締結の必要はないと考えているところでございます。
○神津委員 今のは答えていないと思います。
OECDガバメントアクセス宣言では、自国の企業が他国に持つサーバーに対して、その自国の法令が適用、法令というか、捜査権限が適用される、情報を持ってくることができるというふうに、このOECDガバメント宣言ではそういうふうになっていると思いますが、いかがでしょうか。
○布施田政府参考人 今委員御指摘のOECDの法規制につきまして、その詳細を承知するところではございませんが、我が国、日本政府全体でクラウド上にあるデータに関して開示の対象としないようにする二国間合意を結ぶ必要性があるとなった場合には、デジタル庁といたしましても今後とも協力してまいるところでございます。
○神津委員 恐らく今答弁を持ち合わせていないというところで、またしっかりと御検討いただければと思います。
米国のCLOUD法には、少し伝えておきますけれども、外国との行政協定というのを結ぶことが最初から想定されております。
米国CLOUD法の第百五条、外国政府によるデータアクセスに関する行政協定における合衆国法典第二千五百二十三条(b)項には、行政協定の要件を満たし適格外国政府と認められる必要がありますが、既に米国CLOUD法では外国政府との行政協定を結ぶことが想定されているというところでは、是非日本も積極的に検討していただければと思います。既にイギリスとか、それからカナダが結んでいて、オーストラリアも交渉している。そして、EUについては、米欧データプライバシーフレームワークというのを結んで、米国側からの命令の対象となり得るデータというのは、必要かつ最低限に限定されております。こういう意味からも、是非日本でも検討していただければというふうに思います。
もう一つ伺いますが、例えば米国のCLOUD法のようなものを、同盟国、同志国でないような国がそうした法律を作って、その国の企業がガバメントクラウド提供事業者や標準化システム開発のベンダーとなることも問題ないと考えているのか、教えてください。
○布施田政府参考人 お答えいたします。
ガバメントクラウドは、ISMAPに登録されたものから調達することによりましてセキュリティー上の懸念があるクラウドサービスは排除をしてございます。かつ、最新、最高レベルの情報セキュリティーが確保できる調達書に定めた要件を全て満たしたものから、国内外かかわらず事業者の中から特定しているものでございます。
また、標準化システムの開発事業者につきましても、それぞれのシステムの発注主体である地方公共団体において適切に御判断いただくものと考えているところでございます。
○神津委員 ISMAPに登録されている企業とか、それからクラウドサービス事業者として三百五要件を満たした会社しか選ばれないから大丈夫だというところもあると思うんですが、ただ、もしかしたらば、今既に、それかこれから得ていく企業、最初は日系の、日本の企業だったとしても、その後で第三国に買収されてしまうようなこともあり得るというところにおいて、少しそこが危険なのかなというふうに思っているところでもあります。是非、同盟国でない国が米国のCLOUD法のようなものを作ったときには、少し気をつけていただきたいというふうに思っています。
次の質問に移ります。
デジタル庁は、これまで自治体が使用していたシステムと比較して三割のコスト削減を目指すとしておりますが、三割削減の根拠はそもそもどのように計算したのか、ネットワーク費用、システム利用料、それから保守運用費も含めての積算か、教えてください。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
標準化対象事務に関する情報システムの運用経費等につきましては、標準準拠システムへの移行完了後に、二〇一八年度比で少なくとも三割の削減を目指すこととしており、国は、デジタル三原則に基づくBPR、最適化を含めた業務全体の運用費用の最適化のため、継続的、横断的な分析を行い、当該目標の実現へ向けた環境を整備することとしております。
これは、自治体クラウドを導入したグループにおいて御指摘の費用なども含め約三割の情報システムの運用コストの削減効果を生じている例が多いこと、また、標準化の取組が進むことにより制度改正に伴うシステム改修経費の削減効果を期待できること等を踏まえたものでございます。
○神津委員 既に自治体クラウドを導入していて三割コスト削減を図れているようなところについては、ガバメントクラウドに移行したとしても三割減にはならないという理解でよろしいでしょうか。
○楠政府参考人 現在行っております先行実証等におきまして、確かに、自治体クラウドを入れているところにおいてなかなか効果について難しいデータ等も出ているところではございますけれども、これはまだベンダー等もクラウドについてこれから勉強するという段階の状況でありまして、運用経費等も含めてしっかりと今後見ていく。また、大口割引、長期継続割引等も含めてしっかりと織り込んでいけば、きちっと三割減を自治体クラウドの導入団体においても実現できるという方向で、しっかりと経費削減に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○神津委員 少し富山県の富山市を除く十四市町村の例を出したいと思いますが、自治体クラウドを活用して、これまでに既に三割減を達成しているというところがあります。ただ、これから標準準拠システムに移行のために見積りを取ってガバメントクラウドに移行していくというところにおいて、システム移行後の五年間のコストを積算したところ、二倍以上の百六十四億円になっていくというふうな事例もございます。それから、ガバメントクラウドの先行実証自治体の検証を行ったと思うんですが、八つの地域のうち五つの地域で移行後にランニングコストが増していくというふうに言われております。
そこについては、本当に二〇一八年度比で三割コスト減、削減できるのか。恐らく、二〇一八年度としているのは、自治体クラウドで削減している分も含めてのガバメントクラウドに移行したということにしていると思うんですけれども、その辺りはいかがでしょうか。
○楠政府参考人 御指摘のように、なかなか先行実証において厳しい数字が出ているという状況は認識しております。また、二〇一八年度と状況を考えますと物価も大幅に上昇しておりますし、特に、データセンター運営においては、電力費用を始めとしたエネルギーコストの問題もありますし、技術者のいわゆる人件費も増大をしているという中で、三割というものはデフレの時代に立てた目標でございますので、この中でしっかりと、システム経費の中で真水の部分というのと外的環境の変化というのをきちっと切り分けて今後分析していく必要がございます。
また、加えまして、現時点の先行実証というのは、なかなか、各ベンダーも非常に保守的に見積りを行っているということで、引き続きしっかりと経費削減に取り組んでまいります。
○神津委員 河野元デジタル大臣の発言なんですが、もし足が出た場合、それなりの責任を政府として持たなければならないと思っているというふうな発言もされております。ガバメントクラウド、標準化システムに移行することで運用経費が増す場合には国が負担するのか、教えてください。
○平国務大臣 クラウド利用料を含む運用経費については、自治体が現行システムで負担する運用経費等に相当するものであることなどを踏まえ、各自治体が負担するものと考えております。
実際に、デジタル庁といたしましては、ガバメントクラウド移行後の運用経費が削減できるよう、見積り精査支援とか、大口割引とか長期継続割引の提供とか、クラウドの最適化支援などを行っているところであります。
それで、特に見積り精査支援とか、我々が入るとかなりディスカウントが実現したりします。これは宣伝しているんですけれども、意外と自治体から具体的に要請をいただいていなかったりするので、こういうことをフル活用して協力をしてまいりたいと思っております。
○神津委員 今の質問に答えていただけていないと思うんですが、もし足が出た場合、運用経費が、標準化システムに移行したことで、それからガバメントクラウドに移行したことで経費が増してしまう場合、国が負担するのか、明確に御答弁をお願いします。
○平国務大臣 まず、今、楠統括官からあったように、全体のインフレ基調とか人件費とか電力のところは、やはりちゃんとネットで見なければいけないと思います。その上で、どういう支援の仕方があるかというのは、これはまた総務省との連携だというふうに思っておりますが、取りあえず、今、現時点では、あらゆるサポートをしてそうならないように取り組んでいくというのが今の政府の立場であります。
○神津委員 もし増してしまった場合には国が負担していくというところを、是非とも御検討をお願いしたいと思います。
そして、今の費用を支払う面においては、総務省が自治体のシステム移行費用として二〇二五年度末を期限に設けている約七千億円のデジタル基盤改革支援基金がございます。これについては地方公共団体情報システム機構法上の附則に二〇二五年末までに使うということが規定されておりますが、昨日、平大臣からも、移行困難自治体のシステムについては二〇三〇年までを検討している、延長していくということをおっしゃってくださっていたので、基金の使用期限についても二〇二五年度末から二〇三〇年末に変更していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○冨樫副大臣 地方自治体の標準準拠システムへの移行経費を支援するデジタル基盤改革支援基金の設置年限は、地方公共団体情報システム機構法で令和七年度末までとされています。一方、現行システムが複雑で移行に時間を要する場合や、移行作業を担う事業者の撤退などにより、移行完了が令和八年度以降となる見込みのシステムが一定数存在しております。
こうした状況を踏まえ、総務省としては、引き続き財政支援を行うため、基金の設置年限の延長は必要と考えております。このため、五年延長をめどに検討を行っているところであり、今後も関係省庁と協議も含め必要な調整を行ってまいります。
○神津委員 恐らく来年の通常国会で法案が出てくると思いますけれども、是非御検討をお願いしたいと思います。
それから、自治体が経費を見積もっていく上においては、為替リスクというものを自治体が背負わなくてはならないような事業者もいらっしゃいます。自治体はどういうふうにこの為替リスクを避けることを求められているのか。
それから、自治体が来年度、二〇二五年度から自分たちで支払いを行っていくというところにおいては、一月か二月の議会の中で積算をしていかなくてはいけないというところにおいて、ボリュームディスカウント、二割引きを勘案した上で計算すべきか。議会の中で計上していく予算について、ボリュームディスカウント、二割引きを勘案した上で計算すべきかを教えてください。
○布施田政府参考人 お答えいたします。
まず、為替リスクの方でございますけれども、令和七年度からは、ガバメントクラウドを利用する自治体は、その利用に応じて発生するクラウド利用料をデジタル庁を通じてクラウドサービス事業者に支払っていただくことになります。
クラウドサービス利用料は、クラウドサービス事業者と単価契約に基づきまして実際に利用した分のみを支払う従量課金制となっておりますが、ドル建て円払いのサービスを利用する場合には、同じ量を利用いたしましても、その時々の為替レートの影響を受け、実際に支払う円建ての金額は上振れすることも下振れすることもございます。
デジタル庁といたしましては、地方自治体が為替変動リスクを回避できるように、クラウドサービス提供事業者との間で、まず為替の固定レート化などのお支払い方法につきまして引き続き交渉を続けてまいります。
また、ボリュームディスカウントを来年度利用料で勘案するかどうかでございますが、既に地方自治体の方には説明会を繰り返してございまして、各クラウド事業者のボリュームディスカウントの数字を、現段階の数字はお伝えしてございます。そのボリュームディスカウントを掛けた上での料金を来年度の予算として計上していただくよう御説明しているところでございます。
以上です。
○神津委員 ありがとうございます。
為替のレートについては、そもそも調達の契約の時点でドル建てにしてしまったということが私はおかしいというふうに思っています。日本政府については、私はアフリカに十七年いまして、円借款の案件形成とかをやってきましたけれども、常に為替リスクを負わないという立場であったと思いますので、是非、日本政府が契約するものにおいては、常に円建てで行っていくということを心がけていただきたいというふうに思います。
ちょっと時間がなくなってしまったので、最後にお伺いしますが、今、ベンダーを見つけていく中において、大きな事業者が、規模の経済が働くような形で二十業務のシステムを作って多くの自治体の受注を得ていくということをやっていらっしゃいます。これによって地方の事業者が淘汰されてしまっているような状況がありますので、地方のベンダーを育成する観点から、地方の事業者が淘汰されないようにすべきと考えますが、デジタル庁や自治体は何らかの措置を行っているのか、伺わせてください。
これは、一分しかないので、済みません、最後に御答弁いただいて、私の答弁を終わりたいと思います。
○岸大臣政務官 お答え申し上げます。
地方の中小ベンダーにおいては、各地域において、既に顔の見える関係を各地方公共団体と構築していると認識しております。その上で、標準準拠システムへの移行をきめ細やかにサポートできる、既にそういう強みがあると考えています。
また、今までハード、ソフト両面で投入していたリソースがここで軽減されることで、標準化対象事務以外の業務に係るアプリ開発等、様々デジタル活用支援できる環境になると考えておりまして、現場に近い中小ベンダーの活躍の機会が増すという一面もございます。
また、ガバメントクラウドを活用することで、自社開発のアプリを全国に展開することが容易となりまして、今まで以上の販路拡大にも資すると考えております。
このように、地方の中小ベンダーならではの視点で地域におけるデジタル化のニーズを積極的に見出していって、新たなビジネスの機会の創出につなげていくことも可能だと考えておりまして、デジタル庁といたしましては、地方の中小ベンダーの声もしっかりとお伺いしながら、その活躍の機会を、地方自治体と協力して、また連携を取って創出できるように努めてまいりたいと考えております。
○神津委員 地方のベンダーが淘汰されないようにお願いしたいと思います。
私の質疑はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○谷委員長 次に、安藤じゅん子さん。
○安藤(じ)委員 立憲民主党、安藤じゅん子です。
初当選後初めての質問の機会をいただき、御関係者の皆様には感謝を申し上げます。
少し自己紹介いたしますと、今回の総選挙で新たな区割りとなりました、五十万都市松戸市、千葉六区の選出です。私は、団塊ジュニア、二〇〇〇年大卒の就職氷河期世代です。民間企業を経て、結婚、妊娠、出産。一児の母となり、待機児童問題に直面したことをきっかけに、松戸市議一期、千葉県議三期、合計十四年地方自治に携わり、子育て支援や教育、防災、環境対策など取り組んでまいりました。これからは、地元の声を国に届ける役目として、一つ一つ真摯に対応してまいりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
では、通告に従いまして質問いたします。
まず、デジタル行政推進法改正案について伺います。神津委員とも重なる部分もあるかと思いますけれども、地域の声でありますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、自治体の標準準拠システムへの移行期限についてです。標準化法では、自治体の基幹業務システムのガバメントクラウドへの移行は二〇二六年三月末とされておりますけれども、千葉県では十市町二十七システムが移行困難システムとして認定されているところです。移行が困難な自治体が多数存在する現状を踏まえ、移行期限の延長について検討すべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○平国務大臣 標準準拠システムへの移行期限については、地方公共団体情報システム標準化基本方針において、原則二〇二五年度末を目指すとともに、移行困難システムについては、当該システムの状況を十分把握した上で、所要の移行期限を設定することとしています。
標準準拠システムへの移行の難易度が極めて高く、二〇二五年度末までの移行が難しいと考えられるシステムについては、昨年十月時点の状況を今年三月に公表したところでありますが、その後、様々な事情により標準準拠システムへの移行が二〇二六年度以降とならざるを得ないことが具体化したシステムの状況について把握を進めているところであります。
現在の数字は精査中でありますけれども、今年度十月末時点で、おおむね二千百システムの全体の約六%程度、当該システムを有する団体数はおおむね四百団体、全自治体の二割程度になると見込んでおり、引き続き確認を進めていきます。
今般、自治体や事業者の取組の進捗状況や意見などを踏まえ、二〇二五年度末に向けた円滑かつ安全な標準準拠システムへの移行を着実に推進するとともに、二〇二六年度以降の移行とならざるを得ないことが具体化したシステムの対応の方向性などについて明らかにするという観点から、今月中に標準化基本方針を改定できるよう、現在、所要の調整を進めているところであります。
この改定において、二〇二六年度以降の移行とならざるを得ないことが具体化したシステムについては、おおむね五年以内に標準準拠システムへ移行できるよう、国として積極的に支援する方針を明確にしたいと考えています。
○安藤(じ)委員 ありがとうございます。
では、次に、自治体の状況に応じた移行への柔軟な対応について伺いたいと思います。
現状では、ガバメントクラウドへの移行の目標は一律に定められていますが、自治体ごとに状況は大幅に異なっており、私の地元の松戸市にガバメントクラウドへの移行状況を聞いてみたところ、移行困難システムが間に合わない、令和八年申請を行っているというお話を伺いました。まさに大臣御指摘のとおりでした。
移行については、自治体の規模、権能、地域特性や現在運用されている情報システム等の違いを踏まえて対応する必要があるとやはり考えます。同じ自治体内でも、住基、福祉、税等、システムごとにガバメントクラウドへの移行の進捗状況は異なります。移行を進められるところは予定どおりに進めてもらうとして、移行が困難なシステムについては手厚く支援するなど、柔軟な対応が必要であると思います。お願いいたします。いかがでしょうか。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
地方公共団体の標準準拠システムへの移行経費について、総務省で所管をするデジタル基盤改革支援基金によって措置されているところでございます。
先ほど大臣の答弁にもありましたように、今月中に標準化基本方針を策定して、二〇二六年度以降の移行とならざるを得ないことが具体化したシステムに関しましては、おおむね五年以内に標準準拠システムへ移行できるように国として積極的に支援する、この方針を明確にしたいと考えているところでございます。
この点、基金の設置年限、二〇二五年度末とされているところ、総務省において五年延長をめどに検討が行われているところでございまして、デジタル庁といたしましても、引き続き総務省と連携して対応してまいりたいというふうに考えております。
○安藤(じ)委員 ありがとうございます。
続きまして、自治体クラウドをガバメントクラウドへ移行させることの妥当性について伺います。
東日本大震災以降、危機管理や負担軽減等の観点から自治体ではクラウド導入が進んでおり、二〇二一年四月時点で千四百四自治体が単独又は共同で自治体クラウドを立ち上げています。クラウドが導入されている自治体では、既に情報システムのランニングコストが大幅に抑えられています。
標準化法で移行が義務づけられているとしても、ガバメントクラウドに移行しなければならない理由は何か、自治体クラウドからガバメントクラウドへの移行で確実にコストが下がると言えるのか、コストが上昇してもやるべきと言えるだけの理由があるのか、移行メリットについて大臣に伺います。
○平国務大臣 自治体クラウドは、確かに委員の御指摘のとおり、コストを抑えて高度なデジタルのサービス、行政サービスを提供しているものと思います。
なので、オンプレサーバーで独自でやっているよりは進んでいるというふうに思いますが、自治体クラウドよりガバメントクラウドの方が広域になりますので、いわゆる費用按分効果みたいなものですね、全体をみんなで分け合うということでコストが削減できるということも見込めますし、いわゆるサイバーセキュリティーにおいてもガバメントクラウドの方が高度になります。あと、いわゆる災害復旧も、自治体クラウドも多少広域にはなっているんだと思いますが、ガバメントクラウドは日本全体でカバーしますので、大きな災害が起きたときのリカバリーもガバメントクラウドの方が優れている、そのように思います。
○安藤(じ)委員 ありがとうございます。
ガバメントクラウドへの移行に伴う経費負担について、次は伺いたいと思います。
ガバメントクラウドへの移行費用を補助するためのデジタル基盤改革支援基金については、おとといの本会議で百九十四億円を補正し、今年度七千百八十二億円の予算規模となりました。各自治体へどのように対応をしていくのか、お聞かせいただきたいと思います。
○新田政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘ありましたように、各自治体の情報システムを標準準拠システムへ移行させるために、これまでデジタル基盤改革支援基金に六千九百八十八億円を計上しておりましたが、今般、全国の地方公共団体に調査を実施いたしまして、物価上昇などを踏まえて基金の積み増しを行うこととし、令和六年度補正予算において百九十四億円を計上し、補正後総額としては七千百八十二億円となります。
今後、この移行経費については、人口やシステムの実態に基づく分析などを行いまして、引き続き総務省において経費を分析した上で、改めて地方公共団体に対して配分し、支援をしていきたいと思っております。
○安藤(じ)委員 ありがとうございます。
一点、ちょっと要望もさせていただきたいと思います。
自治体の情報システムには、ガバメントクラウドへの移行が義務づけられている基幹業務システムに加えて、これらにひもづいている自治体独自のシステムも多数含まれていますので、独自のシステムの改修等必要な費用についても適宜自治体からの相談に乗っていただきたいと要望申し上げます。お願いします。
法案質疑、最後は移行に伴うベンダー側の負担の軽減策について伺います。
ガバメントクラウドへの移行に際して、余り指摘されていませんが、実際の移行作業を担うベンダー側の負担です。しばしばベンダーロックインばかり強調され、ベンダーが悪者扱いされていることが多いですけれども、ベンダーも自治体と同様に人材不足が深刻で、ガバメントクラウドに対応した標準準拠システムの開発ができずに、移行作業からの撤退を余儀なくされていることも移行が遅れている原因の一つです。
このようなベンダー側の負担の状況についてどう認識しており、どのように支援をしていくのか、お聞かせください。
○布施田政府参考人 お答えいたします。
地方自治体のガバメントクラウドへの移行については、ベンダーにおきましても人材不足など様々な課題を有していると認識してございます。
デジタル庁といたしましては、自治体の基幹業務の標準化及びガバメントクラウドへの移行が円滑に実施されるよう、標準準拠システムの開発事業者、ベンダーなどから構成された事業者協議会を開催いたしまして定期的に事業者への情報提供、意見交換を実施するとともに、クラウドサービス事業者と連携いたしましてベンダーに対するトレーニングメニューの提供などを行うなど、人材育成や技術支援を実施しているところでございます。
引き続き、自治体やベンダーの意見を丁寧にお伺いしながら、円滑かつ安全な移行ができるよう、関係省庁とも連携して取り組んでまいります。
○安藤(じ)委員 御答弁ありがとうございます。
松戸市も、やはりベンダーの方が撤退をされているというところで、税のところが遅れているというお声がありましたので、是非とも丁寧に御対応、お声を聞いていただいて、トレーニングといった具体的な支援も行われているようでございますので、是非ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
続きまして、自治体のデジタル化について二点伺いたいと思います。
まず、マイナンバーカードの発行事務に関する現状と課題です。
政府は、マイナンバーカードの普及を急がせるため、二兆円もの巨額の予算を投じてマイナポイント事業を行いました。また、マイナ保険証への移行を急がせる余り、昨年の法改正で医療関係者等からの反対の声を無視して従来の健康保険証の廃止を強引に決定した結果、国民の四分の三の方々がマイナンバーカードを保有するに至っている一方で、マイナ保険証の利用率は本年十一月で一八%台にとどまっており、マイナンバーカードを持っているにもかかわらず利用されていないという状況になっています。
このような政治主導による強引なデジタル政策の進め方に対しては、現場に無用な混乱や不信感といった摩擦を招いてしまっているとの指摘もあります。こうした強引なデジタル政策の進め方は、デジタル庁のミッションであります「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。」の真逆で、ついて来ない人は取り残してしまう、人に冷たいデジタル化をといった印象を与えてしまっていると思っています。
政府は、マイナンバーカードを普及するに当たって、こうした進め方が適切であったと考えているのか、お聞かせをいただきたい。お願いします。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
マイナンバーカードは、対面だけではなくオンラインでも確実に本人確認ができる、重要なデジタル社会のパスポートでございます。
お尋ねの普及でございますが、まずはメリットを増やしていくということが重要であると思います。例えばマイナ保険証につきましても、健康保険証のオンライン資格確認が話題になりがちでございますが、薬剤情報や特定健診情報が見られる、医療費の情報の閲覧利用ができる、国内外で利用可能なワクチン接種証明書の取得ができる、さらに加えれば、転職時に今後保険証の切替えが不要になる、さらには救急時等々正確なデータに基づいた医療を受けていただくことができるといったように、具体的なメリットとともに、しっかりと普及をしていかなければならないものであります。
今後につきましては、免許証との一体化でありますとか、エンタメ分野、Jリーグさんなんかにも試しにお使いいただいてございますけれども、民間サービスでの活用、さらには防災現場での活用と、まさに国民の皆様に使っていただけるような利便性をしっかりと増やしながらその活用と普及をお願いしていく、こういう考え方で引き続きマイナンバーカードの普及にもしっかりと取り組んでまいりたい、このように考えてございます。
○平国務大臣 私が大臣に就任して初めに出した指示は、マイナ保険証に関して不安に思っている方々がいらっしゃるので、その人たちに寄り添うような広報に転換をしろという指示をさせていただきました。資格確認書も申請なしに届けるということも、ちゃんと周知をするということであります。
デジタル化を進めていくことは、基本方針は変わりませんが、どうしても嫌だとかちょっと怖いという人は、無理に来なくていいですと。ただ、みんなが、できるだけ行ける人はデジタル化していただいた方が、アナログにとどまっている方にも裨益をする。例えば、災害があったときに、罹災証明をもらうのに今までずっと並んでいたわけですよね。それをデジタルで申請できることによって、行列がぎゅっと短くなった。だから、デジタルに行ける人はできるだけデジタルに行ってくださいという基本方針を維持しつつ、不安に思っている方にも寄り添って政策を進めてまいりたいと考えております。
○安藤(じ)委員 大臣からもありがとうございました。
具体的なメリットを丁寧に国民の皆様にお知らせをしながら、デジタル化への移行を誰一人取り残さずに行っていく。大臣からも、プッシュ型のところであるとか、今後とも丁寧に行っていくという御答弁もありました。
防災のところでいうと、デジタル庁、この後ホームページのところで触れたいと思ったんですけれども、他の省庁は能登地震からの復旧復興というのがトップページに来ています。やはりそういったところについても寄り添うという広報、広報の在り方を大臣自らおっしゃっていたので、是非とも、改善にもし努められるのでしたらば、この後質問しますけれども、冒頭で申し上げたいなと思いました。
続きまして、強引なデジタル政策、特にマイナンバーカードの政策によるひずみは自治体の現場にも影を落としました。昨年二月末まで自治体のマイナンバーカードの申請窓口には申請者が殺到し、自治体の業務が麻痺状態になったことは記憶に新しいと思います。その過程で人為的なミスも重なり、マイナンバーのひもづけ誤り等の事案が多数発生してしまいました。これに対処するため、マイナンバー情報総点検本部の指示により、自治体はひもづけ状況の再点検が命じられ、再点検作業を強いられることになりました。
さらに、マイナンバーやマイナンバーカードに関するトラブルに嫌気が差したのか、マイナンバーカードを申請したのに受け取りに来ない住民の未交付カードの保管にも手を焼いているという問題が未解決のまま残っていると聞きます。
こうした自治体におけるマイナンバーカードの発行事務に関する現状と課題について、政府としてどのように認識しているのか、お聞かせください。
○新田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、マイナンバーカードの保有枚数については、先ほどお示しがありましたが、本年十一月末時点で九千五百三十四万枚ということで、人口の約七六・三%となっております。これは、これまでの間、申請増加への対応など、カード交付を担う自治体を始めとした関係者の御尽力のたまものと認識をいたしております。
御指摘があったように、事務負担が増えてございます。さらに、今後カードや電子証明書の更新増加が見込まれます。こういった更新に円滑に対応するために必要な経費については、郵便局や民間事業者への委託経費も含めまして令和六年度補正予算に計上いたしております。
また、カード申請後も受け取りに来ない方というのも確かにいらっしゃいます。こちらについては、積極的に受け取りに来ていただくように勧奨を行いまして、自治体に対しても助言を行いました。その結果、自治体に保管されている枚数も相当程度現状では減少いたしております。
今後とも、自治体の円滑な交付体制の整備と負担軽減に努めてまいりたいと思います。
○安藤(じ)委員 ありがとうございました。是非よろしくお願いしたいと思います。
次に、書かない窓口の取組と普及状況について伺いたいと思います。
地元の松戸市では、建て替え建設中の新庁舎においては、書かない、待たない、行かない窓口等、手続のオンライン化によって来庁者数が二〇二二年比で七割削減という調査に基づきまして、庁舎や駐車場をダウンサイジングする庁舎建て替え計画が進行中です。政府におかれましても、是非、東京近郊に所在する自治体による自治体DXがもたらす町づくりへの影響を注視いただきたいと思います。
話を戻しまして、書かない窓口についてです。
自治体では、都市、地方を問わず人口減少が深刻化する中で人材の確保難が続いており、少ない人数で窓口業務を回さなければならなくなります。そのため、デジタル庁では、マイナポータル等を活用して、自治体の窓口で紙の書類への記入に伴う住民、職員双方の負担を極力減らし、浮いた人材を配慮が必要な住民への対応に回す、書かない窓口の取組を推奨しています。
そこで、伺います。書かない窓口についてどのように取り組んでいるのか、また、全国でどの程度普及しているのか、お聞かせください。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
デジタル化が進む社会において、スマートフォン等を使わない方が窓口に来られた際にも、デジタル化の恩恵を受けられる取組といたしまして、デジタル庁では、住民が窓口に何か所も回らず、何度も同じことを書かずに済む、書かないワンストップ窓口の導入を支援しているところでございます。
デジタル庁では、昨年度より、全国の自治体で書かないワンストップ窓口を導入しやすくなるように、自治体の業務の見直しをサポートするアドバイザーの派遣事業、自治体職員の研修事業を実施しているほか、必要となるシステムを備えた窓口DXSaaSをガバメントクラウド上で自治体に提供して、自治体への支援を行っているところでございます。
こうした支援を通じまして、窓口DXSaaSを使ったサービスが今年一月から順次導入が始まりまして、来年三月までに四十八の自治体において導入予定でございます。
デジタル庁といたしましては、引き続き書かないワンストップ窓口の全国展開を進め、全国のあらゆる地域で誰一人取り残されない人に優しいデジタル化を実現してまいります。
○安藤(じ)委員 ありがとうございました。
今回の法案は採決で決まっていきます。積み残しの質問もございますので、引き続き議論をさせていただけたらと思います。本日はありがとうございました。
○谷委員長 次に、橋本慧悟君。
○橋本(慧)委員 おはようございます。兵庫九区、明石市、淡路島から参りました橋本慧悟と申します。
では、早速質問を通告に従いまして進めさせていただきます。平大臣には、昨日別の委員会で質問させていただきました。今日も引き続きよろしくお願いいたします。
時間の関係もございますので、ちょっと一番は一度飛ばさせていただいて、申し訳ございません、データセンターの設置場所についてからということでよろしいでしょうか。
先ほどから、神津先生、そして安藤先生の中でも議論が進んでおりますが、データセンターの設置場所については、ガバメントクラウドの提供事業者として令和五年度までに選定されたのは全て海外の事業者であります。データセンターの設置場所を日本国内に限定するというのはもちろんのことでありますが、海外の事業者が提供するクラウドの場合には、監督権限を持った政府機関によるアクセス、ガバメントアクセスと呼ばれますが、これや事業者による遠隔でのアクセスができないように対策していると理解をしております。ただ、仮に米国政府から介入があった場合は拒否条項を入れて対応するということのようですが、海外事業者が私たちの大切なデータを扱うということに対してやはり国民の不安は大きい面があると思います。
漏えいした場合のリスクが明らかな利用者データを保管する場合はデータを判読できないように暗号化の措置を講ずるということになっておりますが、将来的に、例えば量子コンピューター等の先進的な技術によって暗号が解読されるリスクや対応策について政府はどのように考えているのか、御見解をお聞かせください。
○布施田政府参考人 お答えいたします。
ガバメントクラウドのクラウドサービス提供事業者は、そのデータセンターの物理的な所在地は日本国内にあること、また、データは日本国内に保管することを調達要件として求めているところでございます。また、クラウドサービス提供事業者は、クラウド上で扱うデータにアクセス制御をするということで情報をしっかり守っているところでございます。
議員御指摘のとおり、技術の進展に伴いまして現在の暗号の強度が弱くなっていく、そういう事態も想定されるところでございますが、その際には、暗号に係る技術要件の見直しを検討するとともに、また、対応できる暗号鍵を、自らデータを所有する方が暗号鍵で暗号をかけて、それでクラウドにデータを持ち込む、そのようなBYOKの視野も見据えまして、技術の進展に応じてデータの安全性の確保に引き続き取り組んでまいるところでございます。
○橋本(慧)委員 是非ともしっかりと取組を進めていただきたいと思います。
また、補正予算の中でも、デジタル庁として、政府として努力をしていくというような、先般の可決された補正予算の中にもございますので、しっかりとそちらについても我々は注視して見守っていきたいと思いますので、透明性の高い報告もまたお願いいたします。
これまでは、一つの自治体データを一か所で保管していたと思います。しかしながら、ガバメントクラウドにおいては、災害の備えとして、一つの自治体のデータを、距離が離れた二か所以上の場所でデータを保管するということの理解でよろしいんでしょうか。
○布施田政府参考人 ガバメントクラウドサービスの提供事業者を選定する技術的要件がございまして、その際に、ガバメントクラウドサービス提供事業者のデータセンターは、距離的に離れた複数のデータセンターにおいてデータを扱う、保持するということが要件として決められているところでございます。
○橋本(慧)委員 かしこまりました。
そうしたら、次の三つ目の質問に移らせていただきます。日本企業のクラウドサービス提供事業者の育成方針についてお伺いしたいと思います。
先ほども申し上げましたが、ガバメントクラウドとして、提供事業者としては、令和五年度までに選定されたのはアマゾン、グーグル、マイクロソフト、オラクルの四社であり、海外企業に独占をされておりました。その後、令和五年十一月にデジタル庁は、令和七年度末までに全ての要件を満たすという条件で、日本企業として初めてさくらインターネットが選定されたということです。
一方で、令和六年十月末のガバメントクラウドの利用状況を見ると、最多のアマゾン、AWSが約九七%を占めている。このような現状に対して、自国のデータは自国で守るといったデータ主権や経済安全保障の観点からも懸念が示されているのもまた事実だとは思います。
そこで、日本企業であるさくらインターネットも提供事業者として選定されたわけでありますが、実態としては、地方公共団体の情報システムを請け負ってきた国内のIT事業者が実質的な決定権を持ち、クラウド市場でも占有率が高い、対応可能な技術者を確保しやすい海外企業、先ほど名前を挙げたアマゾンなどを選ぶことが想定されて、国産クラウドの導入が進むかどうかは見通せないというような指摘もございます。
一定の割合の国産クラウドの利用を政府が地方公共団体に求めるといった支援策が必要だといった意見もございますが、国産クラウドの導入を進めるための方策、この必要性について政府はどのようにお考えなのか、お願いいたします。
○平国務大臣 まず、ガバメントクラウドは、ISMAPなどの情報セキュリティーや技術基準が大変高いレベルで設定をされていることから、結果としてアマゾン、グーグル、マイクロソフト、オラクルというふうになっています。先ほど委員も御指摘ありましたけれども、やはりサイバー攻撃にしっかり耐え切れる技術力も必要ですので、ここを下げてまで国産事業者を採用することはあり得ないんだろうというふうに思います。
一方で、さくらインターネットさんが、さくらのクラウドということで、これは条件付採用ということになりましたので、是非さくらインターネットさんには頑張っていただきたいというふうに思っています。
クラウドのところは外資が中心になっていますが、その上に載っかってくるアプリケーションレイヤーは、結構日本の国内事業者とかスタートアップの活躍の場もあり、ここに、例えばデジタルマーケットプレースというのを作りましたので、ここで使いやすいソフトウェアを上げていただければ、今までは一つの自治体しか営業できなかった中小、スタートアップも、デジタルマーケットプレースでいいとなればかなり広く自治体に採用される可能性もありますので、そういったビジネスチャンスを国内の事業者さんには是非活用していただきたいと思っております。
○橋本(慧)委員 ありがとうございます。
確かに、アプリケーションレイヤーの話とかデジタルマーケットプレースでいいんだというような話も出て、地方自治体にとっては選択肢が増えるというようなことをお示しいただきました。
是非ともそういったところを国としても更に後押しをしていただきたいというのはもちろんのことですが、ただ、さくらさんにも頑張ってほしいというような激励のお言葉もありましたが、企業の自助努力だけに任せるのかというところに少し私は、もっとできることがあるんじゃないかなと思っておりまして、例えば、人材育成のための支援メニュー等、資格取得要件であるような技術資格とか、そういったものを受検するというような仕組みが進んでいくとは思うんですけれども、これを、是非とも国内企業の中での人材育成のための支援メニューなんかも新たに更に整備する必要があると思うんですけれども、御所見をお伺いしていいですか。
○布施田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、さくらインターネット、条件付でございますので、その条件を満たせるよう、私ども、四半期ごとに開発状況を見ながら、また、必要な助言などをしてきているところでございます。
その中で、委員御指摘の人材育成というところも重要な観点でございます。さくらインターネットのところにおきましては、さくらインターネットを使う技術的スキルを担保する資格制度というものをさくらインターネットは用意してございますので、そこを受講する人々に対する支援というものも含めているところでございます。
引き続き、さくらインターネットがきちんとできるようにフォローしてまいりたいと思います。
○橋本(慧)委員 大臣からも、そういった支援の思いがあれば是非とも御答弁ください。
○平国務大臣 今デジタル庁から答弁したとおりでありますが、これは所管ではありませんが、経産省の方でも恐らくデータセンターなど様々な支援、補助金メニューがあるんだろうというふうに思いますので、あらゆるメニューを活用していただければと思います。
○橋本(慧)委員 かしこまりました。是非、国産の企業を育成するという観点で、省庁横断的によろしくお願いします。
続きまして、海外クラウドサービス提供事業者との契約は円建てで行うべきではないのかというような議論のところについて移りたいと思います。
既に先ほどの質問の中でいろいろと議論が出てまいりました。ただ、為替リスクを回避するための方策でありますとか、地方公共団体への影響というのがかなり大きいものがあると考えています。実際に、私も自治体での予算査定業務等に関わったこともございますし、地方議員として自治体がつくるような予算について審議をするといった場面もございました。この中、本当に様々根拠を持った、しっかりとしたバックデータを基に地方公共団体の中では予算要求をする必要がありますし、予算査定もそうです。
ガバメントクラウド提供事業者によってはドル建て、そして円払いとなるケースもあって、そうなると地方自治体がやはり為替リスクを負うことになること、この懸念があると思います。国として、この為替変動リスクを回避するための方策と、地方公共団体への影響とその対策をどのように考えているのか、お答えをお願いします。
○平国務大臣 先ほど神津委員からも指摘をされました。そのときは政府の答弁だったと思いますが、為替リスク、結構避け難いリスクだというふうに思います。
グーグル、アマゾン、我々も円建てで契約をしたいと思いましたが、全世界共通でドル建てだということで、諦めるのかドル建てでいくのかという決断を迫られたわけであります。ただ、やはりAWSとかグーグルは世界最高水準のサービスがありますので、これを選択できる、オプションに入れるということはやはり重要だろうというふうなことになりまして、これはドル建てということになりました。
その際に、実際の情報サービスのクラウドが占める部分は全体のコストの四分の一ぐらいで、その四分の一に更に為替リスクがかかってくるわけなので、残りの四分の三のサービスのところでいろいろなやり方がありますので、そういうところも含めてデジタル庁としては支援をして、為替リスクを回避できるようにというふうに思っております。
○橋本(慧)委員 その説明でしっかりと国民の不安が取り除かれるように、周知、広報も徹底いただきたいと思います。
また、民間企業の取引では当たり前になっているような、例えば為替ヘッジ契約を並行して義務づけることとか、こういったことも具体的に検討していかないといけないのではないか。会計法の問題とか改正が必要になるという話も伺っておりますので、本当にいろいろな問題がこれから、本当に複雑多様化して、為替レートも急変動するような時代に入っておりますから、是非ともそういった研究も多面的に、横断的に進めていただきたいと思います。
そして、次に進みます。標準準拠システムへの移行期限の延長についてです。
先ほどからも議論が出てまいりましたところです。そして、大臣からも、今となっては移行期限に間に合わない移行困難システムについての最新の調査、発表について、今年の十月時点では約四百団体あるんだというようなお話が、回答がありました。そして、そちらについては具体的な期日の設定があるのかというような話につきましても、総務大臣からの答弁等も含めまして、約五年以内に、難しい自治体については五年以内に進めていこうというような方針も示されたところであります。
それはそれで、本当に大いに自治体に寄り添う対応をしていただきたいところなんですけれども、仮にそういった地方公共団体から、やはり移行期限の延長を求められるパターンがこれから増えてくると思いますが、政府はどのように対応していくのかというところで、移行期限までに移行できなかった地方公共団体に対して、例えばですが、地方交付税の減額とか、何かそういった明らかな制裁措置とかペナルティーとか、不利益が生じるようなことは絶対にやめていただきたいと考えるんですけれども、そういった想定はないという理解でよろしいでしょうか。
○平国務大臣 二〇二五年度末を目指すということでやってまいりました。自治体の皆さんにも御協力をいただいて、九割を超えるシステムがまさにその期限内に完了するということです。移行困難システムがまだ残っているということで、こちらについては今まさに年内に方針を改めて期限の延長、多分総務省さんの方もそれに伴って基金の適用の延長ということを発表されるんだろうというふうに思っております。
また、やはり自治体によって、またシステムによって様々だと思いますので、寄り添う形でしっかり、その後の期限がしっかり守れるようにデジタル庁としては支援をしてまいりたい、そのように思っております。
制裁とかペナルティーはないです。インセンティブしかないです。
○橋本(慧)委員 ペナルティーはないということで安心しました。そして、インセンティブしかありませんよというところですし、自治体が抱える様々な問題が、地方で様々本当にございますので、是非とも一件一件丁寧に寄り添っていただいて、なおかつ、一か月とか一か月半には定期的にアクションを取っていますよというようなお話もやり取りの中であったんですけれども、官僚の方々とのお話の中で、また緻密に、どれぐらい本当に、何が問題なのか、いつぐらいになりそうなのかといった地方自治体の、マンパワーも、様々、予算も不足しておりますので、是非とも寄り添うような対応を丁寧に心がけていただきたいと思います。
そうしたら、次に移りたいと思います。
デジタル基盤改革支援基金についてであります。
これについても、先ほどの議論の中で様々御回答もいただいてきたところであります。しかしながら、ガバメントクラウド上に構築された標準準拠システムの移行費用については、国から地方公共団体情報システム機構に造成されたデジタル基盤改革支援基金を経由して地方公共団体に補助され、そして標準準拠システムへの移行準備経費やシステム移行経費に充てられているというところです。
これまでにこの基金に造成された予算額は約七千億円ということでありますが、現時点での執行率というのはどうなっているか、お知らせください。
○新田政府参考人 お答え申し上げます。
今お話ございましたように、デジタル基盤改革支援基金については、令和六年度補正予算後で総額約七千二百億円程度となってございます。この執行率でございますけれども、本年九月末時点では約二千億円程度交付決定をいたしておりまして、その時点での執行率は約三割ということになってございます。
○橋本(慧)委員 九月末時点で約三割。以前発表されたときには約二割だったということで、それは数字が当然変わっているわけでありますが、金額ベースでいうとまだ七割分、実際七割には届かないというか、実数としてはないと思います。そういった自治体が残っているわけですから、是非ともそちらについても期限の延長も含めてしっかりと対応いただきたいと思います。それを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
続きましては、ガバメントクラウドの運用経費についてとなります。
神津先生からの質問の中でもやり取りをされてきたというところで、三割削減、平成三十年度比で三割削減にするという目標についての御言及が、政府の方から回答をいただいたところではあります。
それについて、実際のところ、明確な基準をもって、かなり精緻な基準で三割というような数値が出たわけではないと思います。自治体クラウドの方で、これまでおおむね三割ぐらいの削減ができたんだというところでの目標の設定になっていると思うんですけれども、これについては、例えば、個々に絶対に達成をしなさいというような目標になっているのか、国全体で平均、アベレージとして達成していくんだというようなところなのか、それをお聞きしたいというところと、これを達成、既にいろいろなリソースを投入して頑張って達成に向けてやられているところ、さらに、既に達成している自治体もあるわけです。こういった先行的に頑張って進めてきたところに対しての、何か応援というか、更なる業務改善に向けての支援なども含めて、何かそういうメッセージがあれば、お伝えください。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
今お話ありましたように、標準化の基本方針におきまして、標準化対象事務に関する情報システムの運用経費等につきまして、移行完了後に、二〇一八年度比で少なくとも三割の削減を目指しているというところでございます。これは、自治体クラウドを導入したグループにおいてそういった削減効果が生じている例が多いこと、また、標準化の取組が進むことによって個々のカスタマイズが抑制されることによって、制度改正に伴うシステム改修経費の削減効果が期待できるといったことを踏まえたものでございます。
国としては、デジタル三原則に基づくBPR、最適化を含めた業務全体の運用費用の適正化のために、引き続き継続的、横断的な分析を行って、目標の実現に向けた環境の整備を行ってまいりたいというふうに考えております。
○橋本(慧)委員 そうしましたら、大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、地方公共団体が、結局、導入を進めたことによってコストアップになってしまった、コストが増えてしまったというようなときにおける政府の対応についてお聞きしたく、運用経費が移行前よりも増大するというような可能性も、十分自治体によっては懸念されているところだと思います。その場合、その地方公共団体に対して国から何らかの財政支援を講ずる必要性等々についてどのようにお考えなのか、メッセージをお願いします。
○平国務大臣 まず、もしガバメントクラウドに移行しなかったらどうなるかとなると、オンプレサーバーでやっているところは、サーバーを更新して、自分でソフトウェアを作って、自分でセキュリティーをやらなきゃいけないですね。これはかなりしんどい話で、全くサステーナブルではないと思います。
その上で、ガバメントクラウドに移行して、経費が上がったらすぐ政府が補填するとなると、様々な工夫をする前にそういった支援となると、これもまた生産性の観点から問題があると思いますので、政府としては、クラウドの最適化、漫然とクラウドを使っていると高いので、最適化するとすごくコストが下がるし、政府が大口割引や長期継続割引の提供もしますし、あとは見積り精査支援、先ほどお話ししましたけれども、もし自治体でお困りでしたらデジ庁に相談してください、そうすると我々が入って事業者と見積りの支援をします。これはかなり実際にやったところは削減できていますので、そういうものをまずはフルに使う、自治体を最大限支援していくというのが今の立場です。
それで、最大限やっても最後残ったところをどうするのかというのは、そのときに政府として、また政治として考えることだろうというふうに思っております。
○橋本(慧)委員 分かりました。
そうしましたら、時間の都合で次の質問を少し、申し訳ない、飛ばさせていただいて、九番、地方公共団体におけるデジタル技術の活用に対する支援及び人材確保と育成についてお尋ねをしたいと思います。
一つ目につきましては、今、市町の方では、最初、導入のときはすごく先進的な名前だなという理解もあったんですが、デジタル田園都市交付金、この継続と補助率の向上についてお伺いしたいと思います。
これについては、最先端の技術導入に重点を置かれがちな運用に今なっているんですけれども、まだまだ実際、書かない窓口でありますとかオンライン申請などの、そういったフロントヤード、どちらかというとデジタルの難度でいうと低い方に入るかもしれませんが、そういったベーシックな改革でありますとか、地域アプリ等の導入、こういったものに取り組んでいる段階の自治体も多数あるわけです。全体としての底上げのために、財政支援の継続と更なる充実というものが必要だと考えるんですが、御所見をお聞かせください。
○大森政府参考人 お答えいたします。
デジタル田園都市国家構想交付金のうち、デジタル実装タイプでは、デジタルを活用した地域の課題解決や魅力向上に資する取組を支援してきたところです。
最先端の技術導入に重点を置かれがちという今先生の方から御指摘ございましたけれども、実は、デジタル実装タイプのうち多数を占めるいわゆるタイプ1というものでは、他の地域等で既に確立されている優良なモデル、サービスを活用した迅速な横展開というのを支援してきており、これまでオンライン申請や書かない窓口等の取組についても多数採択してきたところでございます。
今般成立いたしました令和六年度補正予算において創設された新しい地方経済・生活環境創生交付金においても、こうした取組について御活用いただける制度となっております。
引き続き、地方公共団体のニーズを踏まえながら、しっかりとデジタル化の取組を後押ししてまいりたいと考えております。
○橋本(慧)委員 御答弁いただいたように、補正予算の編成を通じて、その使えるメニュー、対象メニューの名前が変わったというようなところもあると思います。これを分かりやすくしっかりと周知をしていただいて、更に使いやすい制度について、また周知、広報の徹底をお願いいたします。
地方公共団体の情報システムの標準化に関する取組やガバメントクラウドへの移行に当たっては、やはりデジタル人材の確保が必要です。しかし、自治体業務に慣れた技術者が少ないということもありまして、いずれの業務においても人材の取り合いが生じて、確保が困難になっているという指摘もございます。
標準化やガバメントクラウドへの移行に円滑に対応するためにはデジタル人材を改めて十分に確保する必要があると考えますが、政府として地方公共団体に対して人材確保の面からどのような支援を行っていくのか、更にこれから行っていくのか、お聞かせください。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
デジタル人材の確保、育成につきましては各自治体において尽力されているところではございますが、全国的に人材が不足する中で、特に小規模な自治体におきまして対応に苦慮されているといった声を伺っております。自治体のDXを推進していく上で早急に解決すべき重要な課題であるというふうに認識してございます。
そのため、総務省では、専門アドバイザーの派遣等によりますノウハウの支援とともに、自治体がデジタル人材を確保、育成するために必要な経費につきまして、例えば市町村支援のためのデジタル人材の確保に要する経費、また外部人材の任用等に要する経費、さらにはDXの取組の中核を担う職員の育成に関する経費、こういったものにつきまして特別交付税措置を講じているところでございます。
また、来年度中に全ての都道府県で市町村と連携したDX推進体制を構築していただきまして、その中で、都道府県において、市町村が求めるデジタル人材のプール機能、人材プール機能を確保していただきたいというふうに考えてございます。
今後とも、現場の意見を聞きながら、自治体が安心して取り組めますように、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○橋本(慧)委員 御丁寧な答弁、ありがとうございます。
是非ともCIO補佐官とか、地方自治体では使いやすいというか、是非とも財政措置を、例えば今特別交付税で措置していただいているようなものがあると思いますが、これも継続をしていただきたいという要望を最後お伝えして、最後に平大臣の方から少しメッセージを伺いたいと思います。
○谷委員長 時間が既に経過しておりますので、簡単にお願いします。
○平国務大臣 済みません。
人材のところは、是非自治体でデジタル庁に派遣をしていただいて、育ててお返しいたしますので、御活用ください。
○橋本(慧)委員 終わります。ありがとうございました。
○谷委員長 次に、斎藤アレックス君。
○斎藤(ア)委員 日本維新の会の斎藤アレックスでございます。
ただいま議題となっています法案につきまして、質疑をさせていただきたいと思います。
まず、本日既に議論になっていますガバメントクラウドの利用料に関してお伺いをしたいと思います。
この法改正の趣旨というか一番の要点は、一括払いを政府として行うことによってボリュームディスカウントをガバメントクラウドのクラウド利用料について発生させるということであると説明を受けております。
それに関してですけれども、どの程度ボリュームディスカウントが発生するのか、また、ボリュームディスカウントが発生しているということも踏まえた利用料については、これは事前に検討段階で自治体に情報提供はされるのか、そういったところをまずお伺いしたいと思います。
○布施田政府参考人 お答えいたします。
デジタル庁が一括いたしましてクラウドサービス事業者に利用料を支払うことによりまして、より有利な、クラウド利用料の大口割引などの恩恵を利用者は享受することができることとなってございます。
大口割引につきましては、クラウドサービス事業者によって異なっておりますし、また、サービス事業者との秘密保持契約によって細かに御説明することはできないのでございますけれども、令和六年度におきましては、おおむね数%から十数%の割引率を実現しているところでございます。
また、来年度の大口割引率につきましては、クラウドサービス事業者と現在交渉しているところでございます。
この状況につきましては、自治体の方にも数度の説明会にわたりまして情報提供しているところでございます。
また、地方自治体の方で確実に利用料が計算できるかというところでございますが、各クラウドサービス事業者はオンライン上にクラウド利用料を計算するツールを公開してございます。そこに各地方自治体のシステムの構成ですとかシステムの使い方を入れていただくことで、クラウド利用料が計算できます。さらに、先ほど申し上げました大口割引の率を掛けていただくことで、各地方自治体では利用料が見積もれるということでございます。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
このクラウドサービスプロバイダーというのは複数選定をされている、それで、アメリカの事業者と、今、さくらインターネットの実現に向けて、導入に向けて取組をされているということだと思います。
ちょっと確認なんですけれども、先ほどおっしゃったツールで料金を確認できるというのは、この事業者はこれぐらい、この事業者はこれぐらいという出方をするのか、それとも、それは事業者ごとに関係ないのでしょうか。
○布施田政府参考人 計算ツールは、各クラウドサービス事業者ごとに各事業者が提供しているものでございます。ですので、各クラウドサービス事業者ごとに計算されるものでございます。
○斎藤(ア)委員 これも追加で質問して恐縮なんですけれども、今の契約状態だとほとんどがアマゾンウェブサービスになっている。これは様々な要因で、それはコストが安いからそうなっているんだというふうに思いますけれども、アマゾンウェブサービスばかりになってしまうと、最終的に何かのタイミングでそちらの方が高くなるという場合も当然あるでしょうけれども、クラウドサービス間の乗換えというのは柔軟に行えるものなんでしょうか。そういった乗換えを阻害するような何か規定というものがあったりするのか、そういったところを伺えればと思います。
○布施田政府参考人 クラウドサービス事業者間の乗換えにつきましては、クラウドサービス提供事業者を選定する際の要件の中にその措置が入ってございます。データを別の事業者に移行しやすいようにフォーマットを決めておくことなどが示されているところでございます。
また、AWSにつきまして、コストのメリットがあるというお話がございましたけれども、例えば、このAWSを扱う人材が多いというメリットもございますし、また、料金が安いというところも事業者にとってはメリットでございます。あるいは、事業者によってはデータ分析が得意だと。それぞれ得意なところがあったりしますので、そこはシステム利用者側の方がそのシステムの特質に合わせてクラウドサービス事業者を選んでいくということになると考えてございます。
○斎藤(ア)委員 是非、さくらインターネットの取組もありますけれども、事業者が複数いて、競争環境があって、またそれが国益にもつながると思いますので、その取組を引き続きデジタル庁にもお願いをさせていただきたいと思います。
このガバメントクラウドの利用者となる様々な主体でありますけれども、地方公共団体からは、ガバメントクラウドの利用料について、国からの継続的な支援をお願いしたいという声が上がっていると思います。私も、滋賀県の自治体からよく、首長からそういったお話をいただきます。基本的に、自治体で使うサービスですから自治体でお支払いをいただくということが基本だと思います。そうでなければ効率的な行政の運用とかできなくなってしまいますので。
ただ一方で、やはり、移行経費については御支援をいただいているけれども、利用料がとても払えないというような、実際のところは分かりませんけれども、お声をいただいています。かつて高度経済成長期にコンピューターが各自治体に導入されたときと違って、今、人口もシュリンクしていて、各町、特に町は財政状態が厳しくなっていると思いますので、継続的な支援を求める声が上がっていますけれども、ちょっと質問を分けて聞くことになりますけれども、まず、この利用料に関する国からの継続的な支援を求める声については、大臣、どうお受け止めになられますでしょうか。
○平国務大臣 委員御指摘のとおり、基本、自治体で御負担いただくことになっています。その上で、今回の法律を通していただいて、クラウド事業者と我々が交渉をして大口割引、長期割引などをかち取っていく。あとは、クラウド最適化をすることによってランニングが下がりますので、こういったところの支援もデジタル庁としてしていきたいというふうに思います。
自治体の方々に是非考えていただきたいのは、クラウドがなかったとして、自分でオンプレサーバーでやったときに、これから更に熾烈になってくるサイバー攻撃から本当に自分のサーバーを守れるんでしょうかとか、人材が採れるんでしょうかという観点を考えれば、これはクラウドで、みんなで協力をしてガバメントクラウド化にするしかないと思いますので、よく協力をして、コストも抑えていく努力をしてまいりたいと思います。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
クラウド活用することの利点というのは本当にあると思います。セキュリティー面でもそうですけれども、コスト面でも本来はそうだと思います。
ただ、国民の間では、やはり、理解度にそれぞれ当然差がありますので、何か違うところにデータが持っていかれるということに不安を抱く人もいるので丁寧な説明が必要だと思うんですけれども、その中の一つがコスト削減効果だと思います、今おっしゃっていただきましたけれども。
これは先ほど質疑にあったので、もし事務方でお答えいただけるのであればちょっとお願いしたいんですけれども。物価が上がっていて、人件費も上がっていて、削減効果はこれぐらいありましたというのが実額でなかなか示しづらくなってしまうのではないかなと思うんです。削減効果は実際あるんだけれども、そもそも全ての物価が一年単位で上がっていっているので、特にデジタルベンダーの作業料というか工賃なども大変上がっていると思いますので、そういった削減効果を説明することが難しくなっていると思うんですけれども、そういったところをどう取り組まれていくのか、現在の御見解などがあれば教えていただければと思います。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
これはなかなか、自治体の話だけではなくて、国のシステムにおいても同様の課題が今後出てくるというふうに考えております。長いデフレの時代がございましたので、今この時点で、こういうふうに整理してまいりますという答えを持ち合わせているわけではないですけれども、地方だけが直面していることではなくて、政府全体の経費管理の中でしっかりと考えていくべきことだと思いますので、今後しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○斎藤(ア)委員 まさにおっしゃったように、デフレの時代が終わって、インフレのある通常の社会に戻りつつあるわけでして、実額として減っていなかったら駄目だということではまたデフレマインドみたいなものになってしまうので、しっかりと、これぐらい削減効果があるということが分かりやすく国民にも示していただけるように検討していただきたいというふうに思っています。
とはいいつつ、ちょっと私自身が矛盾することを申し上げて悪いかもしれないですけれども、先ほど大臣がおっしゃったように、自分で、自前でセキュリティーもやって自前で運営していくのに比べてそれはコスト削減できるだろうという話はよく分かるんですけれども、これまで自治体クラウドを活用していたところ、共用のハード、アプリを利用していたところでは、先行事業体で、経費が上がって、ガバメントクラウドにすることによって逆に経費が上がってしまっている現状もあると思います。
繰り返しになってしまうと思うんですけれども、そこの削減効果というのはしっかりと発揮されるものなのか、発揮していきますというような、気合みたいなものかもしれないですけれども、そこに向けた取組を改めてちょっとお伺いできればと思います。
○平国務大臣 先行して自治体クラウドをやっているところは、オンプレサーバーで個別にやっているところに比べると、ガバメントクラウドに移行したときのメリットというのはやはり少なくなるんだと思います、先行してやっている分。
ただ一方、先ほどお話ししましたとおり、ガバメントクラウドの規模が大きくなりますので、それでみんなで費用を按分するという効果はガバメントクラウドの方が大きいですし、また、大規模災害が起きたときのリカバリーも、エリアでやっているとそのエリアが全部災害に遭うと復興しにくいですが、全国に分散をしていれば災害時のリカバリーもやりやすいということもあります。さらに、国家がしっかりとガバメントクラウドでやりますので、サイバーセキュリティーも含めて、世界のビッグテックや国内事業者と常に議論しながら最新、最善のセキュリティー環境もつくれますので、メリットは大きいと思います。
○斎藤(ア)委員 サイバーセキュリティーの問題、大変話題にもなっていますし、そういったところの要件を満たす中でやっていこうとすればガバメントクラウドが一番効率的なんだということを、これもまた国民に示していただく。そもそも難しい、よく分からない話でございますので、分かりやすく伝えていただくのもデジタル庁のお仕事だと思いますので、是非よろしくお願いしたいというふうに思います。
次に、移行に関して、期限なども含めて改めて確認をさせていただきたいと思います。
繰り返しになると思うんですけれども、質問する前提として改めてお答えいただきたいんです。まず、標準準拠システムへの移行、これは二〇二五年度末までの移行期限というものが設けられていますけれども、それに間に合わないと想定される自治体がどの程度あるのかということと、併せてですけれども、政府として、当然、標準準拠システムに移行してもらうことと、その先にあるガバメントクラウド、クラウドへの移行というものも促進をしていくということだと思うんですけれども、そのガバメントクラウドに移行することが見込まれている、具体的にスケジュールが分かっているような感じで見込めている自治体がどの程度あるのかというところもちょっとお答えをいただければと思います。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
標準準拠システムへの移行の難易度は極めて高くて、二〇二五年度末までの移行が難しいと考えられているシステムにつきましては、昨年十月時点の状況を今年の三月に公表したところでございますけれども、様々な事情によりまして標準準拠システムへの移行が二六年度以降にならざるを得ないことが具体化したシステムの状況につきましても、併せて把握を進めているところでございます。
現在、数字そのものを精査中でございますけれども、本年の十月末時点でおおむね二千百システム、全体の六%前後が、全自治体の二割ぐらいがそういったものに該当するということで見込んでおりまして、引き続き確認を進めているところでございます。
また、デジタル庁において実施しているガバメントクラウドへの早期移行団体検証事業の採択団体につきましては、本年十一月の末の時点で千団体超となっておりまして、こういった団体を始めとして、ガバメントクラウドへの円滑かつ安全な移行に向けて、デジタル庁として自治体を最大限支援してまいりたいというふうに考えております。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
ちょっと確認なんですけれども、先行事業団体、千程度選定をという話なんですけれども、それ以外の地方公共団体については、ガバメントクラウド、クラウドへの移行については、まだ具体的なスケジュールが見込めない状態という理解なんでしょうか。
○楠政府参考人 これはなかなか、捉え方ではございますけれども、先行事業と申しますのは、令和六年度中に使い始めたいという場合に申し込むものでございますので、令和七年度にガバメントクラウドを利用するということを決めている団体であっても、まだ具体的な作業を始めていない場合には先行事業に申し込まないケースというのも出てまいりますので、計画をしている団体という点においては、より多くの団体がお使いいただけるというふうに承知をしております。
○斎藤(ア)委員 そうですね、どれぐらいの進捗なのかというのが、ぱっと、ちょっと分かりづらい。仕方ない面もあるかもしれないですけれども、分かりづらい状況かなとは思ったんです。
ちょっと大臣に御所見を伺いたいんですけれども、先ほど、二割の自治体が困難で、期限に間に合わないという話に加えて、今の、クラウドへの移行の全体のスケジュール感というか、そういった状況についてどのように受け止めているかというところを少し教えていただければと思います。
○平国務大臣 先ほど申し上げたとおり、それぞれの自治体がオンプレサーバーでやっていくというのはもう限界だということで、できるだけ早くガバメントクラウドに移行するべきだということで、二〇二五年度末ということで自治体の皆さんにも御協力をいただいてきたところであります。かなり頑張っていただいて、実質、システム数においては九割超が期限内に実現をできるということで、本当によく頑張っていただいたというふうに認識をしています。
一方で、まだ移行困難というところもたくさんありますので、これはいわゆるハンズオンで寄り添って、それぞれのところをしっかり支援し、今後、多分、これから方針を示しますけれども、恐らく、更に五年という猶予と、あと総務省の方での基金ということで猶予ができると思いますが、その中でもやはりできるだけ早く移行していただけるように支援をしてまいりたいと考えております。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
標準準拠システムへの移行についてはそういったことを是非進めていただければと思いますけれども、標準準拠システムにしていただいて、そしてそれをクラウドに載せていただく、最終的にガバメントクラウドを実現するということをもって運用経費の削減であったりセキュリティーを確保していく、最大限発揮されるという理解でよいのか。つまり、そこはクラウドに載せていきますよということですよねということをちょっと改めて確認させていただきたいんですけれども、それはいかがでしょうか。
○平国務大臣 イメージとしては、オンプレサーバーからクラウドになります。ここは、費用対効果も世界最高水準だし、セキュリティーも最高水準になります。その上に載せるアプリケーションは、デジタルマーケットプレースというのをつくって、そこにいろいろなベンダーさんとかソフト事業者がアプリケーションを並べていただいて、自治体の方は、サーバーはクラウドですけれども、そこから欲しいソフトというかアプリケーションを抜いてカセットのように入れていくと、それなりのものができます。なので、非常に開発コストも抑えられるし、セキュリティーも担保されるデジタルガバメントができるようになるというイメージです。
○斎藤(ア)委員 標準準拠システムに移行して、そしてそれぞれガバメントクラウド、クラウドに載せていくという、そのクラウド移行の期限というものを、目標というものを設けるということはあるんでしょうか。そこの部分はないということなんですかね。
○楠政府参考人 現時点でクラウド移行そのものについて期限を設けるということは特段考えておりませんけれども、当然、移行には移行経費を伴うものでございますし、クラウド移行そのものに対する移行経費を別途設けているものではございませんので、多くの団体において、標準準拠システムへの移行に伴ってガバメントクラウドに移行していくことによって、標準準拠システムへの移行の基金による措置をガバメントクラウドへの移行において受けられるというふうに承知をしております。
○斎藤(ア)委員 承知をしました。
クラウドにするということの効果を最終的には求めていくんだろうということだと思います。その部分も、どういうスケジュールで進めていくのかということをまた検討いただければと思います。
一方で、一気に今回ガバメントクラウドを進めたせいで、いろいろな記事とかありますけれども、ITベンダーの人手が不足していたり、料金がすごく高くなってしまっていて、これは一気にすると駆け込み需要みたいなものが発生するんじゃないか、そういった懸念もあるんです。
現状、総務省の方にお伺いしますけれども、そういった高騰のようなものが起きていたりとか、あるいはこれから起きていくようなことが懸念されるのかどうか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
○新田政府参考人 お答え申し上げます。
標準化につきましては、原則、令和七年度末までの移行期限を踏まえ各自治体は移行作業を進めてございますけれども、こちらも先ほど来議論になっておりますように、移行が遅れてしまう自治体若しくはシステムがございますので、こういった状況、また、自治体からも期限の延長を是非お願いしたいという声もございましたので、五年延長をめどに、令和七年度末である基金の設置年限を、延長の検討を今行ってございます。この基金の年限延長になりますと、各自治体において実情に応じた対応が可能になりますので、需給逼迫を緩和する効果が一定程度見込まれるのではないかと考えてございます。
いずれにしましても、今後とも、円滑かつ安全に標準準拠システムに移行できるよう、支援に努めてまいります。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
需給逼迫、これは懸念すべきことだと思いますので、それが期限延長によって緩和されるということはよく分かりました。
ちょっと最後の質問になるかなと思うんですけれども、今回、地方公共団体の方のお話を聞いていて、これは一方の意見なので、それがどうなるかということは大臣にお伺いをしたいんですけれども、一気にガバメントクラウドに移行してしまうということが果たして効率的だったのかという意見をよくいただきます。先ほどの駆け込み需要の質問でもそうですけれども、需給が逼迫をしてしまうと、やはりベンダーの値段であったりとか工賃とかが上がってしまうので、国として、全体としてコストアップに逆につながってしまったのかと。
繰り返しになりますけれども、これは当然、セキュリティー面だとか効率面でガバメントクラウドを進めていくことに私も賛成ですし、それに反対される方というのはなかなか、当委員会ではそこまでの意見は出ていないと思いますのでそれ自体はいいんですけれども、全ての自治体で共通の期限を設けて、これを一部、間に合わないからこれから延長するという話でしたけれども、取りあえず、これまではそこに向けて動いていたということですから、大変負担が大きかったし、コスト面でも問題が生じてしまっていた可能性があったのではないか、一部無理があったのではないかなと思っているんです。
このガバメントクラウド政策全体のスケジュール感だとか、一気にやるということについて、どう今お考えなのか、御所見を伺いたいと思います。
○平国務大臣 まず、日本のデジタル化が遅れているというのは、私が内閣府でデジタルの担当副大臣をやっているときに、コロナが来まして、いろいろなデジタル化の基盤ができていないということが明らかになりました。そういった中からデジタル庁といったものが発足をし、このガバメントクラウドというのが進んできたんだろうと思います。
そういった中で、やはりスピードを上げてやっていくべきだろうというのは、判断は当時あったし、今見れば全システムの九割以上が期限内にできるということでありますので、これは一定の成果があったと思います。一方で、自治体の皆さんには大変な御負担をかけたと思います。
そういった中で、いわゆるITベンダーの仕事の受注能力とか技術者の数も限られていますので、確かに単価が上がったのではないかという可能性は否定できないというふうに思います。
ただ、成果としてここまで来ましたので、あと、残りの困難と言われているシステムの移行については、また伴走型でしっかり寄り添ってできるだけ早く実現をしてまいりたいと考えております。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
ガバメントクラウドを始め、今後、様々なデジタル行政の推進であったり、日本のデジタル対応を進めていくということになりますので、なるというか、していかなければならないと思いますので、今回のガバメントクラウドについても、当然、また随時検証をしながら、次の政策に生かしていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○谷委員長 次に、日野紗里亜さん。
○日野委員 国民民主党一期生の日野紗里亜でございます。
今回の質疑がガバメントクラウドに関することでございまして、私は五番目でございますので、事前に通達しました内容ほとんどがかぶっております。なので、重なる部分もあるかと思うんですけれども。
実は、ちょっとお話しさせていただきたいのが、私は一期生で、今回初当選をさせていただきました。選挙期間中、ずっと政治の日常化ということを訴えてまいりました。私自身が自治体議員の経験もなく秘書経験もなく、本当に真っさらなところからこの度国政に手を挙げさせていただきました新人でございます。
そんなことから、この新人が今回手を挙げ、国会議員になって、皆様、やはり私の周りで応援してくださった方も、これまで政治と余り近しくない生活をされてきた方がとても多いです。そんな方々が、この度私が国政に御縁をいただいたということで、今日の委員会の様子もインターネット中継で見てくださっている方も大変多いです。ですので、見てくださっている方にとっても分かりやすい質問をさせていただきたいということで、ちょっと導入部分の御質問もさせていただきたいと思います。
最初の質問です。
まず、ガバメントクラウド、導入する目的は何か、国と公共団体、そして国民においてそれぞれどんな利点があるのか、お答えください。
○平国務大臣 御質問ありがとうございます。
先ほども言ったんですけれども、今は千七百八十八の都道府県と自治体がそれぞれサーバーを買って必要なソフトを開発してやっているんです。でも、これは、人材不足もあり、それぞれがサーバーを持ってアプリケーションを作る、またサイバー攻撃からも守るという人材を確保するのはもう無理だと思います。更に言うと、これから人手不足になってきますので、役所も人が採れない状態で行政サービスの水準を維持していかなければなりません。そういった中でデジタル化を進める、ガバメントクラウドというクラウド化をしていく。
クラウドの一番の私の問題意識は、コロナのときに、陽性患者になった人が病院でPCR検査を受けて保健所にその連絡をしました。その保健所の情報が自治体に上がり、都道府県に上がり、厚労省に上がりと三層構造だったんですね。その間、ファクス、ファクス、ファクスだったので、情報が目詰まってしまった。なので、リアルタイムに厚労省は、あのときにあの混乱の中でコロナの陽性の人が何人この国にいるんだという把握もできなかった。
これは、行政の縦割りとよく言われますけれども、縦割りと併せて、自治体のレイヤー構造、横割りの壁がある。この縦割り、横割りを壊していくという言い方はおかしいですけれども、情報共有して機能しなくするためにはクラウド化をしていくということが実は一つのソリューションになります。
そういったことで、安全性、コスト、人材不足、さらには国民と行政が直接つながるような行政サービスを実現するためにガバメントクラウドというのが必要だということで、今回この法案を出させていただきました。
○日野委員 大変分かりやすい御説明、大臣、ありがとうございました。
私も、ガバメントクラウドは行政のデジタル化を進める中で大変重要な基盤として位置づけられていると思っております。しかしながら、先ほどの御質問にもありましたが、移行に伴う費用の負担でしたりとかランニングコストの安定化までの見通し、さらにセキュリティーリスクや国内事業者育成への取組についてはまだまだ明確に示されていない部分があるのではないかなというふうに思っておりました。
そこで、二点目の御質問をさせていただきたいと思います。
政府は、これまで自治体クラウドを推進してきたと思います。自治体クラウドを導入している自治体におきましては、既に職員の負担軽減や行政の効率化といったものが図られていると思います。一律にガバメントクラウドに移行することを今回求められているでしょうか、お答えください。
○平国務大臣 自治体クラウドで取り組まれている皆さんは、先ほど申し上げました一自治体でサーバーを持ってやっている、オンプレサーバーでやられている方々よりも多分ローコストでランニングが実現をしているんだろうと思います。なので、ガバメントクラウドに移ったとしても、オンプレサーバーの方々から比べれば、その効果は圧縮をされると思います。
一方で、ガバメントクラウドは規模の経済性が働きますので、イメージとしては、自治体クラウドはこんな感じだ。ガバメントクラウドは広いのでコストのところにも優位に働きますし、また、サイバーセキュリティーにおいても、ガバメントクラウドの方が常に最新の情報を入れながら高度なサイバーセキュリティーの体制が組める。さらには、災害があったときの復旧復興もガバメントクラウドの方が優位だと思いますので、コストのみならず、サービスの高度化、サービスの強靱化においてガバメントクラウドに是非移っていただきたいと思っております。
○日野委員 ありがとうございます。
皆さん気になっているのがコストの面だと思います。ガバメントクラウドの移行に係る費用につきましては、地方公共団体の負担なく全額国費にて補助されると伺っておりますが、その認識でよろしいでしょうか。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘のありましたように、移行経費等につきましては基金で面倒を見ることにしておりまして、具体的な支援額というのは、これは実際に様々団体においてばらつきもある中で、しっかりと一個一個査定をしていきながら、合理的に支出をしてまいりたいというふうに考えております。
○日野委員 先ほど大臣からも、九割近くが移行できる、そして五年の延長ということをお伺いしておりますが、それに間に合わなかった自治体、これは独自の費用負担がございますでしょうか、お答えください。
○平国務大臣 今の御質問は、二〇二五年度末じゃなくて、その後、更に五年延びたにもかかわらず間に合わなかった自治体に対してペナルティーがあるかどうか。(日野委員「そうですね、その後にスライドした自治体についての費用負担の面でございます」と呼ぶ)
○谷委員長 日野委員、委員長が指名をしてから発言をお願いします。
○平国務大臣 済みません、私が悪かったです。ごめんなさい。
これは、今の政府の立場といたしましては、まず、二〇二五年度の大方針、これは変えません。その上で、この十二月末に新たな方針、現状を踏まえて出そうということにしていますので、その五年間の間でガバメントクラウドに移りたいという意向を持っている自治体は全部移れるようにデジタル庁として支援をしていくという立場であります。
○日野委員 ありがとうございます。
また、費用の面でもう一つ負担がありますのが、ガバメントクラウドの運用開始後、現在と比べて年間の運用費、どのぐらい抑制されるのかといった見通しがなかなかつかないといった現状があると思います。それも、新旧のシステムが併存する期間というのが間違いなくあると思います。そこの部分でのコスト増でしたりとか、標準化しなかったシステムの存在により逆にコストが上回ってしまうという可能性もありますが、例を示して具体的な金額とか割合を示していただけますと分かりやすいかと思いますので、お願いします。
○布施田政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘のとおり、システムをクラウドに移行した直後と申しますのは、多少そのコストが上がる部分はございます。あと、過去のシステムと新しいシステムの両方の併存期間、これもございます。
ただ、今後は、その併存期間をなるべく短くするということの取組も進めてまいりますし、委員の御指摘があったかと思いますけれども、基本業務以外のシステムも、それらのシステムも全てガバメントクラウドに上げていただくことで、地方自治体とガバメントクラウドの間の通信回線もそこ一本だけで済むということもございますので、今後の運用経費につきましては、デジタル庁が地方自治体とも一緒になって、こういう対策ができる、こういう対策ができるという形で、伴走型の支援でしっかり取り組んでまいりたいと思います。
○日野委員 コストの面につきまして御丁寧に御説明いただきまして、本当にありがとうございました。
続きましては、セキュリティー面についてお伺いをしたいと思います。米国企業のクラウドを利用する場合に想定されるリスクでございます。
米国のCLOUD法の下では、米国企業が運営するクラウドサービスを利用する場合、サーバーが日本国内にあったとしても、米国政府がデータにアクセスするリスクが排除できないという指摘があるかと思います。特に、日本のガバメントクラウドにおいて米国企業であるアマゾンウェブサービスが約九割を占めているといった現状では、このリスクが現実のものとなる可能性があります。政府として、このようなガバメントアクセスによるデータ主権侵害や機密情報漏えいのリスクをどのように認識し、現段階でどのような対策を講じているか。また、万が一これらの事態が発生した場合、責任の所在はどこにあるか。
これは、先ほどの質問で大臣からクラウドサービス事業者というお答えがあったかと思います。しかしながら、ガバメントクラウド、大変膨大なデータを管理されると思います。一つの事業者のみが責任を負うといったことに対して、国民の皆様からの不安の声はあるかと思います。こちらは政府も責任を負うべきかと思いますが、いかがお考えでしょうか、お答えください。
○平国務大臣 まず、ガバメントクラウドに生のデータが載っているわけではなくて、暗号化されているデータが載っています。それを、米国の司法の判断でそのデータを開示しろと言っても、暗号が出てくるだけということになっています。
更に言うと、先ほど申し上げたように、データセンターは国内にあります。
さらに、調達条件においてガバメントクラウド事業者にはいろいろな制約をかけていて、言われたからといってすぐ出すようなことはしないということも含めて、日本国政府と併せて、連携をして対応していくということになっておりますので、そうした調達要件、また契約、そしてテクノロジー上の実態を踏まえれば、それほど御心配には及ばないというのがまずは我々の認識であります。
その上で、仮に、クラウド事業者の責に帰すべき事由により情報漏えいや不正利用が発生をし、国民や法人に被害が生じた場合の責任主体については、これはやはりクラウドサービス事業者になります。そのクラウドサービス事業者に対して損害賠償を請求し、その範囲で市町村、当該行政機関に対して損害賠償の金額をお支払いするというたてつけになっております。
○日野委員 御説明いただきまして、ありがとうございます。
一点お伺いしたいのが、米国のガバメントアクセスに応じるか否かの判断というのは、これは国が行いますでしょうか、それともクラウドの事業者が行いますでしょうか、お答えください。
○布施田政府参考人 お答えいたします。
米国CLOUD法では、まず、犯罪捜査に関わるところでありまして、また米国の裁判所が令状を出したものに限るということでございますので、極めてまれな例ではございますが、その際、米国政府が米国企業に対してその企業が持っている情報の開示を求めているというたてつけになってございます。
ですので、議員の御質問に答えますと、米国政府が米国の企業に対して求める形になってございます。
○日野委員 分かりやすい御説明、ありがとうございます。
続きましては、国産クラウド事業者が選定されるための取組についてお伺いしたいと思います。
先ほども申し上げましたとおり、現在海外事業者のクラウドが多く採用されておりますが、今もちょっとリスクの部分をお伝えさせていただきました。いかに暗号化されたデータになったとしても、その暗号が読み解かれてしまう可能性もゼロではないと思っております。
そんな中で、特定のクラウドサービス提供者の技術やサービスに依存し過ぎることでまた新たなベンダーロックインの可能性もあるということで、その対処のためにも国内の事業者の参入を促進するための具体的な取組が必要と考えます。
今後、国産クラウド事業者が優先的に選定されるような基準や施策を検討する予定があるのか、また、今のところ国内の事業者がなかなか手を挙げることができないこの現状について大臣はどう受け止めているかどうか、お答えいただけますと幸いです。
○平国務大臣 外国のクラウド事業者にデータを預けるリスクがあるんじゃないか、だから国産で、国内事業者でという話ですが、何で国内事業者が採用されないかというと、セキュリティーも含めた厳しいISMAP基準をクリアできないからで、そのクリアできない事業者を無理にガバメントクラウドに使うということはセキュリティー上あり得ないということなんです。なので、定量的に安全な、さらにはサービスがよくてコストの安い事業者を選んだら外資になったということであります。なので、リスクの観点からは、そこを手加減して国内事業者を採用することはあり得ない。
一方で、さくらインターネットさんが手を挙げています。まだ条件付でありますが、頑張ってこのISMAP基準をクリアして、是非その選択肢の一つに日本の国内の事業者として入っていただきたい、そのように思います。
また、クラウド事業者の育成に関しては、これ自体は経済産業省の所管だと思います。データセンターの支援とか補助金などいろいろな支援がありますので、政府の様々な支援策をそういった事業者には御活用いただきたいと思っております。
○日野委員 コスト面とセキュリティー面についてお答えいただきまして、ありがとうございました。
そこで、大臣、私、このガバメントクラウド、これが円滑に進む鍵、これはもう政府による伴走支援しかないと思っております。これはあえて、決定するのが政府でございますので、クラウド事業者とは言わずに政府と言わせていただきます。
というのも、やはり地方公共団体、いわゆる一人情シスですよね、なかなか人材不足ということで、システム環境を一人で担ってしまって属人化しているといった現状があると思います。新しいガバメントクラウドを採用する、セキュリティー面、コスト面、いいと思って採用した。だけれども、最初の部分では既存のシステムの方が使いやすいと思います。そうすると、どうしてもガバメントクラウドへの移行というのが置き去りになってしまう。
そんな中で、どうしても自治体からの要請に基づいてという部分ですと、なかなか円滑に進んでいかない。どちらかというと、政府の方である程度のパッケージ化をしてプッシュ型の支援をしていった方がこのガバメントクラウドが円滑に進むと思っておりますが、いかがでしょうか。
○平国務大臣 デジタル庁の運用は、私もデジ庁に携わってよく分かったんですが、上意下達で何か書面をぽんと送って仕事が終わったような気分になるような役所、そういうのはないとは思いますが、デジ庁はかなり自治体のシステム担当者とコミュニティーをつくって密に意見交換をしています。その上で伴走型で進めておりますので、委員の御指摘を踏まえて進めてまいりたいと思っております。
○日野委員 済みません、質疑時間が来てしまいました。
最後に一点だけ。人材不足という観点から、人材を養成していくといった部分はすごく大事だと思います。我が子供たち四人もIT企業系に進んでくれないかなと、親としても思っているところでございます。そんな中で、人材不足、育成者が本当にいないと思います。IT人材を育てるための育成者がいないと思いますので、そういった育成者の養成について政府の方で取り組んでいただけると大変うれしく思います。
日野紗里亜からの質疑を以上とさせていただきます。ありがとうございました。
○谷委員長 次に、阪口直人君。
○阪口委員 れいわ新選組の阪口直人でございます。
本日は、地方公共団体におけるガバメントクラウドへの移行について、そして、ガバメントクラウドの主たる情報提供者が外国企業、米国企業であることについて、また、米国CLOUD法への対応について質問させていただきたいと思います。
論点が出尽くした感もありますが、重複するものもあるかもしれませんが、できる限り違った角度で聞いていきたいと思っております。
政府は、令和七年度末までにガバメントクラウドに移行する努力義務を課しております。そして、地方公共団体が原則として令和七年度までに、つまり来年、あと一年です、ガバメントクラウドを利用したシステムに移行できる環境を整備することを目標としているということでございます。
ただ、様々な地方公共団体が移行期限にどうしても間に合わないということで、移行期限の延長であったり移行経費の財政措置を求める声も多々上がっていると聞いております。
先ほどの平大臣の答弁においても、移行した場合の地方自治体の負担が増えた場合の国の財政支援について明確な答弁はございませんでした。また、ドル建て契約ということで、円払い、為替リスクというものも当然ありまして、地方自治体は不安を抱いていることと思います。
まず最初の質問ですが、期限を、あと一年、令和七年に切るということに対してできる限り柔軟な対応をしていただきたい。目標年度があるということで、大変多忙な地方自治体の方々の業務がガバメントクラウド採用の業務に相当割かれてしまうということから、先ほど、あくまでも目標年度は設定した上で努力してもらう、それも分かるんです。ただ、様々な業務の負担を考えて、ここをより柔軟に対応するということについての政府のお考えはいかがでしょうか。
○平国務大臣 先ほど申し上げたとおり、千七百八十八の都道府県、自治体が各々オンプレサーバーを持って独自でソフトを開発するのはサステーナブルではないということもありますので、できるだけ早くデジタルガバメント、ガバメントクラウドへの移行が必要だと思っています。
そんな中で、二〇二五年度という期限を切って、自治体の皆さんには大変御負担をかけたと思っています。一方で、みんなが力を合わせた結果、九割を超えるシステムが期限内に移行ができる、標準化ができるという成果も得たところであります。
なので、この大きな方針は変えずに、一方で、どうしても間に合わない、自治体によって、システムによってはそういった問題がありますので、そこは政府としてもしっかり寄り添って今後支援していく。また、期限についても、総務省と相談し、年末には新たな方針を出させていただきたい、そのように考えております。
○阪口委員 大臣の説明は説明で分かりますが、このガバメントクラウドへの移行については、経団連からの強い要望、国が強い指導力を発揮して行うべきだ、そういう要望があったとも聞いています。
これは、地方公共団体、地方自治体の様々な業務の煩雑さよりも経済界の要望をより重視した、このように捉えられかねないことだと思いますが、この点については大臣はいかがお考えでしょうか。
○平国務大臣 私は、経団連から政策提言をもらって、そのとおり政策をやったことは一度もありません。
○阪口委員 大臣がそのようにお答えになるとしても、自民党さんがどれほど経団連さんから献金をもらっているかというようなことを考えると、正直、余り説得力のない答弁であったと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○平国務大臣 デジタルの政策は確かに党が主導してつくってまいりました。特に、今のデジタル政策は、コロナ禍でデジタルを使ったパンデミックへの対応といったところで持った問題意識をベースに私は政策を進めております。
また、人手不足や技術者不足、さらにはサイバー攻撃がどんどん進化していく中で、繰り返しになりますけれども、各自治体が各々オンプレサーバーを持って開発するのはサステーナブルではないというのは、ある程度デジタルを分かっている人、行政を知っている人なら共通の認識だと思います。
なので、そこの判断に経団連が入り込む余地は私はないと思います。
○阪口委員 デジタル化、クラウドの利便性、そしてセキュリティーを向上させる、これは本当に不可逆的なことで、そこに反対するということでは全くありません。
ただ、地方自治法の団体自治の原則から考えると、移行のタイミングについては自治体に選択権があってもいいのではないかと思います。最低限、法案改正に当たって、努力義務という規定を外してはどうかと我々は考えているんですが、この点はいかがでしょうか。
○布施田政府参考人 お答えいたします。
ガバメントクラウドの推進は、国と自治体のデジタル基盤の共通化を整備していくことでも重要でございますし、先ほど来議論のございますセキュリティー対策、大災害対策などでも有効でございます。
このような有効性を踏まえますと、自治体がガバメントクラウドを活用した標準準拠システムを利用することにつきまして努力義務を課していることにつきましては、標準化の趣旨、目的と合致しているものと考えているところでございます。
ですので、今回の法改正におきまして、努力義務の規定につきましては特段の改正は考えていないところでございます。
○阪口委員 この点については、地方自治体に寄り添うという視点をしっかり持ちながら、決してこのガバメントクラウドへの移行が大変重要な様々な業務の足かせにならないように、最大限の配慮をいただきたいと思います。
次に、ガバメントクラウドの提供者が海外企業であるということについての懸念についてお伺いしたいと思います。
令和五年度までに選定されたのは、アマゾン、グーグル、マイクロソフト、オラクルの四社であり、この中でアマゾンウェブサービスが圧倒的に大きなシェアを占めているということであります。また、全ての条件を満たすという条件付で、日本企業として初めてさくらインターネットを選定したということでございます。
令和六年十月末時点での利用状況を見ると、このうちアマゾンが九七%を占めているということは、自国のデータは自国で守るというデータ主義や経済安全保障の観点からも当然懸念しなければいけないことだと思います。
そして、この点は、例えば、アマゾンの事実上の独占状態になっているということで、競争原理が働かずにアマゾンへの長期的な依存につながる可能性や、また、将来的に、利用料がアマゾンの言い値になって行政コストが上昇するのではないかという懸念もございます。
日本企業であるさくらインターネットも提供事業者として選定されておりますが、実際には、先ほど大臣がおっしゃったような理由で、地方自治体も対応可能な技術者を確保しやすいアマゾンを選ぶことが想定されて、国産クラウドの導入がどこまで進むかということについては懸念を持っております。
先ほど大臣が大変胸を張って国内企業でセキュリティー等に対応できる企業はないとおっしゃっていましたが、これをしっかりと後押しするのがデジタル庁そして日本政府の役割だと思います。
質問ですが、国産クラウドの導入を進める、依存するのではなくてなるべく高めていくために、今講じている戦略といいますか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○平国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、ISMAPの基準を満たしていただかなければいけないので、その基準を満たさない事業者を国内事業者だからといって選定することもないし、そこにデータを預けることは逆にリスクが高まるということです。
そんな中で、さくらインターネットさんが手を挙げて、今、条件付でありますが、準備を進められているということで、デジ庁といたしましても、さくらクラウドさんから四半期ごとに開発の進捗状況を伺って審査をしているところでございますので、伴走型でやってまいりたいと思いますし、その他の支援策は、基本的に経済産業省でいろいろな、データセンターの支援金とか補助金等があると思いますので、フルに御活用いただければと思っています。
○阪口委員 先ほど来の議論とも重複しますが、米国企業のクラウドサービスを利用した場合、米国のCLOUD法によって、米国の捜査機関が裁判所の令状によって、米国企業、例えばアマゾンのサーバーに保存された日本人の個人情報について開示要求できる可能性があるということです。
先ほど大臣は、暗号などの対策によってディフェンスすることは可能だという答弁でしたが、例えば、開示要求されているのが米国の治安であったり安全を脅かすテロリストとの関係を疑われるような人物だった場合、本当に日本政府としてしっかりディフェンスできるのか、このような可能性があるということは想定されているんでしょうか。
○平国務大臣 暗号化だけではなくて、さっき申し上げたのは、いろいろな、調達要件とか契約内容とか、クラウド事業者との連携とか、先ほど言った暗号化などで総合的にということであります。
今、テロの話がありましたけれども、これは今回の法律とかガバメントクラウドのレギュレーションの話ではなくて違う話でありますので、それはその法律にのっとってやるんだろうと思います。今回のクラウドの規律の話ではありません。
○布施田政府参考人 リスク管理につきましては、先ほど来議論のありましたとおり、米国政府からの問合せ、開示要求につきましては、様々な対抗措置を設けているところでございます。
先ほどの個別具体的なケースにつきましては仮定の話でございますので、別の所管での議論かと存じてございます。
○阪口委員 デジタル庁の管轄ではないとはいえ、その辺の懸念も含めてしっかりと政府として対応していく必要があると思います。
地方自治法においては、第一条の二で、国際社会における国家としての存立に関わる事務、全国的に統一して定めることが望ましい事務や施策、事業の実施を重点的に担うと国の役割を定めております。このガバメントクラウドは、地方自治体の自主性を重んじつつ、最終的な責任は国が負うんだ、そういう自覚と責任を持って進めていっていただきたいと思います。
大臣、もし何か一言あればお願いします。
○平国務大臣 その趣旨にのっとって国の責務を果たしてまいりたいと思います。
○阪口委員 以上です。ありがとうございました。
○谷委員長 次に、本村伸子さん。
○本村委員 日本共産党の本村伸子です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず、平大臣にお伺いしたいと思います。
十二月二十六日号の週刊文春には、平大臣が自民党の内閣第二部会長のとき、二〇一九年二月十八日、マイナンバーの中核システムなどを受注しているNTTグループから、東京都港区麻布十番の会員レストラン、KNOXというところで、ここはNTTグループの接待に利用されている迎賓館というふうに書かれております。そういう場所で、最上級五万円のコースを振る舞われたというふうに書かれております。接待のホスト役は当時の取締役と書かれております。このほかにも、二〇二〇年三月十二日、内閣府副大臣のとき、五万円のコース。二〇二〇年九月十七日、副大臣退任直後、五万円のコース。そのときもてなしたのはNTTの会長。
こうした接待を受けたのは事実かどうか、まずお答えいただきたいと思います。
○平国務大臣 週刊文春でございますが、まず、平デジタル相がNTT迎賓館で三度接待を受けていたということですが、大臣として接待を受けたことはありませんので、明言しておきたいと思います。
また、この記事にある会食は事実でございます。NTTとは、科学技術やイノベーション、スタートアップなどの最新の情報について意見交換をしたものであります。
また、内閣府副大臣在任中の二〇二〇年三月十二日の会食については実費をお支払いしています。
あと、記事によると、高いお酒を持って帰ったか飲んだか言われていますが、その事実はございません。
○本村委員 ということは、内閣府副大臣のときは五万円のコース、実費を払ったということですけれども、二〇一九年二月十八日、そして二〇二〇年九月十七日は五万円のコースをおごってもらったということになりますでしょうか。
○平国務大臣 五万円かどうかは当時認識もありませんでしたし、何ら法令に反することもないので、民間の皆さんとは、最新の技術動向を踏まえ、いろいろな意見交換をいろいろな場面でさせていただいているところであります。
なお、接待を受けたからといって、何か先方から依頼されたこともなければ、私の方でそういったことを受けて何か役所に働きかけをしたなどということは一切ございません。
○本村委員 NTTが関わっているのはマイナンバーだけではありません。
私もマイナンバーカードに関しての入札について質問したことがございます。不調、不調、不調となって、なぜか随意契約になってNTTグループが受注していたんですけれども、そういうこともございました。
今回のガバメントクラウドのことでも、例えば、NTT西日本のホームページには、NTT西日本グループは、政府や地方公共団体が共同利用する共通クラウド基盤、ガバメントクラウドへの接続、円滑な移行をトータルサポートするガバメントクラウド接続サポートサービスを提供、これを四月十七日から開始しますというふうに書かれております。地方自治体をガバメントクラウドに誘導する流れと合致した動きをしております。
このNTTの接待の問題について、私は当時の総務省接待のことでも質問させていただいたんですけれども、平大臣にも、是非、NTTと会食した日時、場所、誰にどのようなツールを使って招待を受けたかという点、そして、参加者、会食の趣旨、飲食の単価、お土産代、タクシー代、お車代などの交通費、費用負担の有無、費用負担額、これを今まで全て出していただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○平国務大臣 NTTは日本を代表する通信事業者でありますから、いろいろな業務をやっているんだろうと思います。そこでどういう仕事を担っているか私は存じ上げませんが、そこの採用とか調達などで私が関与したことは一切ありません。
また、今お答えしているとおりで、この報道のとおりであります。それ以上お答えする必要もないと私は思っています。
○本村委員 今申し上げた資料を是非委員会として求めていただきたいということを委員長にお願いしたいと思います。
○谷委員長 理事会で後日協議させていただきます。
○本村委員 接待の問題については、行政をゆがめてしまう。何も影響していないとおっしゃるんですけれども、大臣の頭の中にはいろんなお話が入っていて、そういうふうに誘導されていく危険性もございます。また、甘い指導や監督になる可能性がございます。あるいは、本来必要な規制あるいは立法もできない、そういうふうになってしまう可能性もございます。これは国民、住民の皆さんにとって不利益になる、利益に反する事態になるおそれもございます。政治家、国会議員、大臣、こうした方はそういう企業からの接待というものは受けるべきではない、やめるべきだということを強く申し上げたいと思います。
今回の法案について質問させていただきたいと思います。
私もある自治体にヒアリングを行わせていただきました。その自治体の方は、今、地域の自治体の皆さんと自治体クラウドで運用しております。ガバメントクラウドに移行するという業務は、標準化対象業務、戸籍を含む二十業務のみで、残りの業務は現行システムで運用するということであるため、これまでの利用料に加えてガバメントクラウドの利用料分がそのまま負担増になる、しかも利用料が高いというふうにおっしゃっておりました。また、初期投資の費用は分かるけれども、ランニングコストが幾らかかるのか分からない、国に聞いても明確な回答がない。また、国はベンダーロックイン防止として複数事業者を選定しているというけれども、現在使用しているシステムとの関係で特定事業者のクラウドを利用せざるを得ない。ベンダーとの関係で特定事業者を選定せざるを得ない。それがアマゾンウェブサービスなんですけれども、そういうふうにおっしゃっておりました。具体的なランニングコスト等も分からず、でも利用料は自治体が負担しろというのでは、余りにも乱暴ではないかと思うわけです。
先ほどもデジタル庁が最適化を案内しますからというふうにおっしゃったんですけれども、その最適化が住民の皆さんの福祉にとって本当にいいことなのか。結局後退することになるんじゃないかということも大変懸念しているわけです。財政保障するとも言わない、これは余りにも乱暴過ぎるのではないかと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○布施田政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘のとおり、自治体によりましては、現在、二十業務につきましてガバメントクラウドに移行する自治体がございます。その際に、委員御指摘のとおり、二十業務と今残っている業務が二つあって大変だというお声もございます。
そこで、自治体によりましては、その二十業務以外の業務を一緒になって上げていただくことで、一つのデータセンター、クラウドのところを面倒を見ればよくなりますので、そういうところもコスト削減だったり使い勝手がよくなるところがございますので、先行事例も御説明しているところでございます。
また、ランニングコストが分かりにくいという御指摘もいただきましたが、ランニングコストにつきましても、各サービスベンダーが計算ツールを出してございまして、あとは、自治体の方が、自分たちのシステムが今どうなっていて、どういう使い方をしているのかということを入力していただければ、クラウド利用料の計算値、料金はしっかり出てくるところでございます。
また、クラウドの最適化をすることで住民の方々への利便が目に見えにくいという御指摘もございますけれども、自治体説明会で申し上げてございますけれども、自治体が持っている幾つものシステムのデータを連携していくためには、ガバメントクラウド、同じクラウドの中に載っていればセキュリティー高くデータ連携ができるということで、住民へのサービスの質の向上にもつながるということでございます。
様々なメリットがございますが、今後とも引き続き自治体、国民の方々へ御説明を尽くしてまいります。
○本村委員 国にいろいろ聞いても、結局、ガバメントクラウド分の利用料が負担増になってしまう、その財源をどうしてくれるんだという声が自治体からあるわけでございます。
九七%がアマゾンに依存するという寡占状態になっているということで、先ほど来御指摘がありましたように、競争原理が働かずにアマゾンへの長期依存につながる可能性ですとか、あるいは、将来的に、利用料がアマゾンの言い値になって行政コストが増大するのではないかという懸念なども指摘されております。また、利用件数が少ないクラウドでは、長期契約でないと割引されないんじゃないかなどの懸念もあるわけです。そういう懸念がある中で、国が誘導していく。
なぜそこまでガバメントクラウドにこだわるのかということですけれども、資料を出させていただきました。「基本方針を通じた国・地方デジタル共通基盤の整備・運用の推進」というペーパーを見ていただければと思います。右のところに、将来的な実現イメージとして、物理基盤、DPIということで、共通SaaS、ソフトをパソコンにインストールしなくてもインターネット上でソフトの機能が使えるというものですけれども、その利用を前提とするデジタル公共インフラ、そして、国や地方自治体が活用できる共通SaaSが描かれております。必要に応じデータ連携が実施できるというふうに書かれております。
まず確認したいんですけれども、この図における物理基盤が今回審議しているガバメントクラウドを指しているのかという点をまずお示しいただきたいと思います。
○布施田政府参考人 お答えいたします。
絵にありますとおり、物理基盤はネットワーク層、クラウド層でございますので、そこはガバメントクラウドサービスが提供しているところでございます。このような基盤の上に様々なアプリケーション、システムが乗っかっているところでございます。
○本村委員 次に、今後どのようにデータ連携をしていくことを想定しているのか、そのときに個人情報はどのように利活用されていくことを想定しているのかという点をお伺いしたいと思います。六番、七番に通告していることを大臣に答弁をお願いしたいと思います。
○布施田政府参考人 お答えいたします。
クラウド上でのシステム間のデータ連携でございます。
クラウドサービス事業者は、現在四つを運用していて、今度五つになりますけれども、異なるクラウドサービスに乗っかっているシステムの中でのデータ連携ということが話題になるところでございますが、異なるクラウドサービス間でのデータ連携のためにつなぐ回線、ネットワークのところはデジタル庁がしっかり用意させていただきまして、自治体側の多くのニーズに対応していくということでございます。
○本村委員 個人情報はどういうふうに利活用されていくのか、その点。
○布施田政府参考人 お答えいたします。失礼いたしました。
まず、個人情報をセキュリティー高く使うということにつきましては、ガバメントクラウドサービスの技術要件の中でセキュリティーを高く規定しているところでございます。
どのように使うかというところは、まさにシステム側の範疇でございまして、例えば、自治体の中で住民の方々のデータをどのように連携したいかというニーズがありまして、その際にガバメントクラウド上にシステムが乗っていれば、サービスを提供するまでの期間を非常に短縮して提供できる、このようなメリットがあるところでございます。
○本村委員 個人として、どこからアクセスされ、どのように情報が利活用されているのか、その点を把握するすべを私は持つべきだと考えます。その点を構築するべきではないでしょうか。大臣、お答えいただきたいと思います。
○布施田政府参考人 お答えさせていただきます。
ガバメントクラウドサービスの上にあります住民サービスを提供するシステムにつきましては、各システムオーナーの方が設計して運用されてございます。ですので、地方自治体の場合は、地方自治体がサービスを設計し、そのシステムを作り、地方自治体が住民の方々に提供しているところでございます。
ですので、委員の御質問の住民の方々への説明につきましては、一義的にはサービスを提供している主体となります地方自治体の方が御説明していただき、その中で物理基盤としてのクラウドネットワークのところの御説明が必要でございましたら、デジタル庁から積極的に御説明させていただくところでございます。
○本村委員 個人の情報活用というのは本人同意が基本だと思います。勝手に利活用することは許されないというふうに強調させていただきたいと思いますし、自治体が保有している個人情報に関しまして、デジタル庁や、もちろんほかの国の機関もアクセスが禁止されていると思いますけれども、しかし、アクセスした場合はどうするのか。あるいは、デジタル庁、国の機関がガバメントクラウドの個別の領域へアクセスすること自体、法律で禁止していないという問題をこの法案は抱えていると思います。
そのことを指摘し、質問を終わらせていただきます。
○谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○谷委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、順次これを許します。阪口直人君。
○阪口委員 情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の一部を改正する法律案に対して、反対の立場から討論をさせていただきたいと思います。
政府は、これまでデジタル庁を中心に、民間の知見を活用して様々なデジタル政策を打ち出してまいりました。デジタル政策を技術面から支援してきた民間事業者との役割分担や、公共サービスの担い手である地方公共団体との連携については、まだ不十分であると言わざるを得ません。そもそも、政府主導によるこれまでのデジタル政策についての検証も十分になされておりません。
地方公共団体情報システム標準化基本方針においては、地方公共団体に対して令和七年度までにガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへの移行が求められていますが、当初からこの期限の設定には無理があるという声がありました。実際に移行困難な自治体が多数出ています。
また、政府のデジタル政策ということでいうと、令和六年十二月以降の健康保険証の新規発行を停止する改正マイナンバー法の施行等により、医療機関などにおいては混乱も続いています。
このような政府主導によるデジタル政策の進め方に対しては、一定の政策効果があったとされる一方で、現場に無用な混乱や不信感といった摩擦を招いてしまったという意見もあり、検証の必要性が指摘されています。十分な検証がないままに経団連からの要望で進めてきたのは問題です。
また、ドル建て円払いという事業者との契約でありながら、そのリスクは自治体が負うこと、政府クラウドに移行した場合の地方自治体の負担が増えた際に国が財政支援をしないことも問題です。
我が党としては、特に、この法案について、ガバメントクラウドのセキュリティー、ガバメントクラウドの提供事業者の海外企業への依存度が高いこと、また、国産クラウドの導入の問題点、米国CLOUD法への対応、そして、地方公共団体におけるガバメントクラウドへの移行にまだ解決されない問題があるということから、災害対応における情報が守られる可能性が高いことなど、デジタル化を進める大きな流れに反対するものではありませんが、政府のデジタル政策に対する十分な検証のないままに、クラウド提供者としての海外企業への依存、地方公共団体におけるガバメントクラウドへの移行などの点において懸案事項を抱えたまま進めることについては反対という立場を表明いたします。
以上です。
○谷委員長 次に、本村伸子さん。
○本村委員 私は、日本共産党を代表して、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の一部改定案に関して、反対の討論を行います。
本法案は、公共情報システムの整備、運用を行おうとするとき、国の行政機関等に対してはクラウドサービス利用検討の義務を、また、地方公共団体等に対しては利用検討の努力義務を課すものです。
反対の第一の理由は、データの取扱いや自治体等との関係など、重要な規定についての法的な規律事項は設けられておらず、国の裁量が大きく影響を及ぼすものとなっているからです。
国が推進する自治体情報システムの標準化、共通化では、自治体カスタマイズは抑制が前提とされ、国の定めたひな形に自治体の業務を制限するなど、地方自治を侵害する重大な問題があります。本法案は、これを更に強力に進めるもので、千七百を超える自治体の個々の多様な意向が十分に反映されず、重要事項の決定や変更等も国が定める基本方針や契約によって一層推し進められることになります。ガバメントクラウド活用が先にありきで、地方自治を制約し、後退させることは認められません。
情報漏えいの危険が拡大することも重大です。近年、サイバー攻撃やクラウドの設定ミスによる情報漏えい事案も発生しています。大量の情報を集約し、連携することは、一方で大量の情報漏えいへの懸念を高めるものとなります。
第二に、地方自治体の負担増、行政サービスの後退の問題です。
政府は、金銭保管の仕組みを導入し、デジタル庁が一括契約することで利用料の低減を図るとしています。しかし、デジタル庁が実施した先行事例検証の中間報告は、現行のシステムよりランニングコストの負担額が増えている団体があります。また、クラウドサービスを提供する事業者はアマゾンウェブサービス一社の寡占ともいう状況であり、しかも、支払いはドル建て円払いで、為替変動も大きく影響してきます。
国のガバメントクラウドにおいても、自治体情報システムの標準化、共通化においても、運用経費等の削減根拠は明確になっていません。負担増によって自治体の独自施策が廃止に追い込まれるなど、行政サービスの後退につながりかねず、反対です。
以上申し述べ、討論といたします。
○谷委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○谷委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○谷委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、牧島かれん君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党、れいわ新選組、有志の会の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。福田淳太君。
○福田(淳)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。
一 ガバメントクラウドが海外企業のクラウドサービスに依存している現状について、データ主権及び経済安全保障の観点から懸念が示されていることを踏まえ、ガバメントクラウドの要件を満たす日本企業のクラウドサービス提供事業者を育成するための方策を早急に講ずること。また、地方公共団体に対して、日本企業のクラウドサービスも含めて各社のクラウドサービスの特徴を情報提供するなど、利用機会の拡大に向けた措置を講ずること。
二 海外企業が提供するガバメントクラウドに保管された利用者のデータについて、外国政府が監督権限を行使して取得する可能性があることに対応するため、利用者のデータの暗号化等及び主権免除の適用等の措置を講ずるとともに、我が国の主権及び国民の権利利益の侵害を防止できるよう、データの取扱いに関する透明性を確保し、必要に応じてクラウドサービス提供事業者との協議を行うとともに、外国政府との行政協定の締結などを検討すること。
三 政府情報システム及び地方公共団体情報システムのガバメントクラウドへの移行に際しては、クラウドサービス提供事業者を適切に選択し、いわゆるベンダーロックインやクラウドロックインを回避できるよう、データの移行性及び導入プロセスの透明性を十分に担保するために必要な措置を講ずること。
四 クラウドサービス提供事業者からガバメントクラウドを調達する際には、国又は地方公共団体が為替変動リスクを回避できるようにするため、円建てによる支払が可能となるよう、クラウドサービス提供事業者と交渉すること。
五 令和七年度末までの標準準拠システムへの移行期限については、期限までの移行が困難な地方公共団体が一定数存在する現状を踏まえ、各地方公共団体が必要な移行期間を確保できるよう、各地方公共団体の状況に応じて柔軟に対応すること。また、標準準拠システムへの移行期限までに移行が困難な地方公共団体に対して切れ目のない財政支援を継続できるようにするため、地方公共団体情報システム機構に造成されたデジタル基盤改革支援基金の令和七年度末とされている設置期限を延長するために必要な措置を講ずること。
六 為替レート、物価高、人件費等の他律的な要因も加味した上でガバメントクラウドの運用経費等を平成三十年度比で少なくとも三割削減する目標を達成するため、必要な措置を講ずること。また、地方公共団体が支払う利用料の低廉化等に資するため、各地方公共団体がクラウドサービス提供事業者を選択するための判断に資する情報の提供その他の必要な措置を講ずること。
七 地方公共団体の情報システムの標準化及びガバメントクラウドへの移行に対応するデジタル人材が不足している現状に鑑み、地方公共団体におけるデジタル人材の確保のために必要な支援を行うこと。
八 ガバメントクラウドへの移行に伴い発生する経費については、標準準拠システムへの移行準備経費及びシステム移行経費に加えて、移行完了後の運用経費等についても、必要かつ十分な財政措置を講ずること。
九 地方公共団体の基幹業務システムのガバメントクラウドへの移行に際しては、地方自治の本旨に基づいて、地方公共団体の意見を最大限尊重するとともに、地方公共団体の規模、権能及び地域特性並びに現在運用されている情報システム等の違いを踏まえて柔軟に対応すること。
十 地方公共団体の基幹業務システム以外の情報システムのガバメントクラウドへの移行については、地方公共団体の自主的な検討に委ねることを原則としつつ、移行を希望する地方公共団体に対しては、現在運用されている情報システムの更改の時期等にも配慮して、個々の状況を踏まえた伴走型支援を適切に行うこと。
十一 ガバメントクラウドを利用したEBPMの実現に資するよう、データ要件・連携要件の標準仕様について、将来的に適切な見直しを行うこと。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○谷委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。平デジタル大臣。
○平国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえて配意してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○谷委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時散会