衆議院

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第7号 令和7年4月10日(木曜日)

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令和七年四月十日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 上田 英俊君 理事 上川 陽子君

   理事 牧島かれん君 理事 神津たけし君

   理事 坂本祐之輔君 理事 森田 俊和君

   理事 東   徹君 理事 日野紗里亜君

      大西 洋平君    勝目  康君

      加藤 竜祥君    岸 信千世君

      草間  剛君    小池 正昭君

      佐々木 紀君    田野瀬太道君

      萩生田光一君    松島みどり君

      三反園 訓君    宮内 秀樹君

      宮下 一郎君    東  克哉君

      阿部祐美子君   安藤じゅん子君

      市來 伴子君    中谷 一馬君

      橋本 慧悟君    福森和歌子君

      松下 玲子君    柚木 道義君

      奥下 剛光君    黒田 征樹君

      仙田 晃宏君    浮島 智子君

      大森江里子君    阪口 直人君

      本村 伸子君    吉良 州司君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)     伊東 良孝君

   内閣府副大臣       鳩山 二郎君

   総務副大臣        冨樫 博之君

   文部科学副大臣      武部  新君

   デジタル大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    岸 信千世君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     井上  学君

   政府参考人

   (内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官)         北尾 昌也君

   政府参考人

   (内閣法制局第三部長)  嶋  一哉君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室長)          坂越 健一君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   布施田英生君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        望月 明雄君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 新田 一郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 須藤 明裕君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森友 浩史君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         浅野 敦行君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官)          先崎 卓歩君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉田  修君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           宿本 尚吾君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  小池 正昭君     勝目  康君

  田野瀬太道君     佐々木 紀君

  宮下 一郎君     松島みどり君

  中谷 一馬君     松下 玲子君

  福田 淳太君     阿部祐美子君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     小池 正昭君

  佐々木 紀君     田野瀬太道君

  松島みどり君     宮下 一郎君

  阿部祐美子君     福田 淳太君

  松下 玲子君     中谷 一馬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第三五号)


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長井上学君外十三名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。加藤竜祥君。

加藤(竜)委員 おはようございます。長崎二区選出の加藤竜祥でございます。本日は、理事の皆様方始め、このような機会を賜り、心から感謝申し上げる次第でございます。

 時間も限られておりますので、早速本題に入りたいと思います。

 地方分権改革は、地域が自らの創意工夫で課題解決を図る基盤を築くものであり、地域の特性に応じた行政運営の実現、ひいては地方創生の推進に不可欠な取組であると理解をいたしております。

 現在、私の地元長崎県の市町村を含め、全国の自治体の半数以上の八百八十五の市町村が過疎地域に指定されており、人口減少が顕著でございます。そのような中、各自治体も広域的な合併でこれまでも効率化、合理化を図ってまいりましたが、人的、財政的に余裕がなく、権限を自治体に移行しても果たして対応できるのかという根本的な問題がございます。

 とはいえ、行政サービスの必要性を考慮すれば、行政の効率化に資する改正は歓迎されるものであり、それが利用者の利便性向上にもつながるものであれば、更に進めていかなければいけないと考えております。

 そのような観点から、本改正法案に賛成の立場で質疑をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 さて、地方分権一括法は、平成二十三年以降、複数回にわたり制定、改正されてまいりました。これまでの法案では、地方自治体への事務、権限の移譲や規制緩和、国の関与の見直しが進められており、今回の第十五次法案もその流れを着実に引き継ぐものと受け止めております。

 そこで、政府にお尋ねいたします。これまでの地方分権改革の取組や成果について政府はどのように評価しているのか、教えてください。

伊東国務大臣 おはようございます。加藤委員の御質問にお答えしてまいります。

 地方分権改革につきましては、平成七年以降の第一次地方分権改革におきまして、地方分権推進委員会の勧告に基づきまして機関委任事務制度の廃止や国の関与の見直しを行い、国と地方の関係を対等、協力の関係へ転換いたしました。

 また、平成十八年以降の第二次地方分権改革におきましては、地方に対する権限移譲や規制緩和など、地方の自主性、自立性を高めるための改革を積み重ねてきているところであります。

 平成二十六年以降につきましては、地方からの提案募集方式に基づきまして、令和六年までの十一年間で約二千五百件の提案について関係府省と調整いたしまして、その八割以上で実現、対応してきたところであります。これによりまして幅広い分野におきまして住民サービスの向上や自治体行政の推進につながっており、地方からも地方分権改革の歩みを着実に進めるものとして評価をいただいているところであります。

 今後とも、地方の現場での支障や問題意識を丁寧に酌み取りながら、地方の自主性、自立性を高めるための取組を着実に進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

加藤(竜)委員 具体的な御説明をありがとうございました。

 地方からの提案の八割以上を実現できたということで、地方分権改革は地方自治体の声が反映されているものと理解をいたしております。引き続き、地方の現状に寄り添い、住民サービスの向上につなげていただきたいと願っております。

 次に、住基ネットの活用拡充についてお尋ねいたします。

 第十五次地方分権一括法案により、住基ネットの利用対象が大幅に拡充され、三十六の法律に基づく事務が追加されました。これにより、住民票の添付や公用請求が不要となり、手続の簡素化と迅速化が図られることになります。

 このような改革の背景として、住民票の取得、提出に係る住民の負担の大きさ、また、自治体職員の事務負担、さらに、煩雑な書類管理や手続ミスのリスクといった課題が挙げられます。

 特に、高齢者や障害者など、物理的に移動が困難な層にとって住民票の取得手続は大きな障壁であり、今回の見直しは住民の手続負担の軽減の実現に寄与するものでございます。また、住民票の写しの公用請求が不要となり、市町村の事務の効率化が期待されます。

 住基ネットの活用拡大は行政の合理化と住民の利便性向上に資する重要な施策ですが、行政や住民の双方にとって住民票の写しゼロを実現するための政府の中長期的な方針をお伺いいたします。

新田政府参考人 お答え申し上げます。

 今ほど御指摘いただきましたとおり、住民票の写しの交付件数を更に削減することは、住民の利便性向上と市町村の事務の効率化の観点から重要だと考えてございます。

 そのため、本法案により、制度上、住基ネット利用事務を拡大することに加えまして、各行政機関において住基ネットの利用を徹底していただくことも重要だと考えてございます。併せて、住民の利便性の観点から、コンビニ交付の利用促進についても取組を進めてまいりたいと考えております。

 総務省といたしましては、今月より有識者や地方自治体の職員により構成されるワーキンググループを開催し、人口減少下においてもデジタルの活用によりまして市町村の事務負担軽減と住民利便性向上を実現する方策について議論を始めてございます。この議論を踏まえまして、中長期的に住民票の写しを削減する方策について具体的に検討してまいります。

加藤(竜)委員 前向きで明確な御答弁をありがとうございました。住基ネットの本格活用により利便性向上につながるものと願っております。

 続きまして、デジタル基盤改革支援基金の延長によって、移行が遅れる自治体をどのようにフォローアップしていくのかについてお尋ねいたします。

 今回の法案では、標準システムへの移行を支援するデジタル基盤改革支援基金の設置期限が令和十三年まで延長されました。その背景には、DX人材や財政面での課題を抱える小規模自治体の実情や、ITベンダー側の供給制約といった事情があり、制度運用の柔軟性を担保するものとして妥当で重要な対応と考えます。

 しかしながら、単なる猶予措置にとどまらず、標準システムへの円滑な移行を進めるためには、政府での継続的なフォローアップが不可欠です。例えば、伴走支援や職員向けの研修、移行進捗の見える化、情報の共有などが求められます。特に、地方間格差が広がらないよう、技術支援、財政支援と並行して伴走型支援を行うなどの地域の実情に応じた柔軟な制度運用が不可欠だと思います。

 支援基金の延長に伴い、政府として今後どのような支援体制を整え、システム標準化への移行を促進していくのか、政府の方針をお伺いいたします。

新田政府参考人 お答え申し上げます。

 自治体情報システムの標準化、共通化につきましては、原則、令和七年度末までの標準準拠システムへの移行を進めていただいておりますが、現行システムが複雑で移行の難易度が極めて高い、事業者のリソース逼迫などの事情によりまして、令和八年度以降の移行とならざるを得ないシステムがございます。そこで、地方公共団体からの御意見も踏まえまして、今回、法改正を行い、基金の設置年限を令和十二年度末に延長することといたしております。

 今ほど御指摘いただきましたように、財政支援に加えまして、これまで、主な移行手順を整理した手順書の提示でありますとか、また、各地方団体からの様々な質疑もいただいてございますので、こちらに対しても丁寧に御回答するなどといった支援を行っております。

 引き続き、自治体情報システムの標準化、共通化については、デジタル庁を始め、関係省庁と連携して、標準準拠システムの円滑かつ安全な移行に向けて、特に、実施いただく地方団体の意見を丁寧に伺って必要な支援に努めてまいりたいと考えてございます。

加藤(竜)委員 ありがとうございました。今後も自治体ごとの事情を丁寧に酌み取りながら、地域の声に寄り添うデジタル化を進め、標準化の全国的な達成に向けて推進していただきますようにお願い申し上げます。

 続きまして、公立大学法人によるベンチャー出資の拡大について、地域経済活性化へどのような狙いがあるのか、政府の方針についてお伺いいたします。

 本改正案により、公立大学法人が認定ベンチャーキャピタルや研究成果活用事業者等への出資が可能となります。これまで国立大学と異なり出資対象が制限されていた公立大学において、地域に根差したイノベーション創出の可能性が広がる画期的な措置と言えます。

 公立大学法人を設置しているのは主に地方でありますが、地方大学は地域人材の育成拠点であると同時に、地方の特性に応じた研究も盛んであり、この研究成果を民間に還元することで地域経済の活性化に貢献する役割を持っております。しかし、研究成果の多くは実用化、事業化に至らず、知的資産が十分に生かされてこなかったという課題がございます。

 今回の改正は、大学がリスクマネーを供給することでスタートアップ創出を促進し、地域産業との好循環を生み出すものであると考えております。一方で、公的資金を用いた出資である以上、その成果の見える化が不可欠です。KPIの設定や第三者評価、出資先の透明性確保など、制度としての信頼性、持続性の担保が求められております。

 そこで、お伺いいたします。公立大学法人の出資対象拡大により地域経済の活性化と大学の社会的役割強化が期待されますが、どのような狙いがあるのかについてお伺いいたします。

須藤政府参考人 お答えいたします。

 国立大学法人におきましては、法人が保有する研究成果や教育研究施設等の資源を社会に還元するとともに、自ら投資を呼び込み成長し続けるために出資の範囲が拡大されてきており、研究成果の社会還元が進んでいるものと認識しております。

 今回の公立大学法人の出資対象の拡大により、国立大学法人と同様に、公立大学法人におきましても、大学発ベンチャーの促進や大学の研究成果を活用したコンサルティング等により、大学の研究成果の一層の活用や社会還元が期待できるものと考えております。

加藤(竜)委員 明確な、そしてまた前向きな御答弁をありがとうございました。

 大学の知的財産、資産を地域産業に生かすというビジョンは地域経済の新たな成長軸となり得るものでございます。適切なKPIと透明な運用によって制度の信頼性を確保し、大学と地域が共に育つ関係を築く基盤として制度が根づくことを心から御期待申し上げます。

 今回の第十五次地方分権一括法案は、これまで積み重ねてきた地方分権改革の成果を更に進化させるものであり、デジタル化や大学の役割拡充を通じて利用者の立場に立った行政の実現を目指すものとして評価いたしております。

 今回盛り込まれなかった提案についても、今後の制度設計や次回の改正案に生かされますように、引き続き、政府のリーダーシップと、地方との双方向的な対話を続けていただきますことを心からお願い申し上げまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、福森和歌子さん。

福森委員 立憲民主党の福森和歌子です。よろしくお願いいたします。

 本日の案件である法律案は関係八法律を一括して改正するものですから、個々気になる点についてお聞きしてまいりたいと思います。細かなこともございますけれども、いずれも非常に大切なことだと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 まず初めに、住民基本台帳ネットワーク等の利用事務の大幅拡大についてお聞きしたいと思います。

 提案事項に対する各府省からの第一次回答において、各省庁や自治体に対して住基ネットの利用が想定される事務について悉皆的に調査を行った上で、住基ネットの利用範囲の拡大について検討するとされておりますけれども、この悉皆的な調査の内容及び調査結果はどのようなものであったか、お示しいただけますでしょうか。

新田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、地方分権改革に関する提案募集におきまして、住民からの住民票の写しの提出や住民票の写しの公用請求を不要とするため、住基ネット利用可能事務の拡大を求める提案がございました。

 この時点では三法律について見直しをしてほしいという御提案をいただいたわけでございますが、これを機に、ほかの法律についても同様のことができないのかということについて関係省庁と都道府県、指定都市に対して調査を行いました。

 その結果、住基ネット利用意向ありとされた事務がございまして、最終的にはこの法律で三十六法律について新たに住基ネットを利用可能とすることにしたという経過でございます。

福森委員 ありがとうございます。三十六もあったんだなということで、今回それがかなっていいじゃないかと思っております。

 また、この住基ネットワークは、その言葉を私自身もよく耳にするんですが、実際に国や地方公共団体でどの程度、どのように利用されてきたかが見えづらかったのではないかと思います。

 改めまして、住基ネットの利用状況はどのようであり、地方公共団体の事務負担軽減等につながっているのかということを教えてください。

新田政府参考人 住基ネットによる行政機関への本人確認情報の提供件数は年々増加いたしてございます。

 具体的に申し上げますと、直近の令和五年度においては、国の行政機関などに対して約十五億五千万件の情報提供を行っておりまして、例えば年金の給付に関する事務などで利用していただいてございます。

 また、地方自治体に対しては約九千万件の情報提供を行ってございまして、主な事務といたしましては、地方税の賦課徴収に関する事務などで活用いただいてございます。

 これによりまして、住民票の写しの提出や公用請求のほか、住民の方からしますと年金の現況届の提出が省略されるというような効果も出てございますので、住民の利便性向上と市町村の事務の効率化が図られていると考えてございます。

福森委員 今、その数が十五億を超えているとお聞きして、大変効率化できているんだろうなと思いましたけれども、一方で、きっとまだまだ事務負担をもうちょっと軽減できないのかというようなお声もあるかと思います。今後どのような取組を行っていこうとお考えでしょうか。

新田政府参考人 本改正案は、制度上、住基ネット利用可能事務を追加するものでございますけれども、住民票の写しの公用請求を削減するためには、例えば、既に住基ネット利用可能とされている事務もあるわけでございますが、これにつきまして、各行政機関において住基ネットの利用を徹底していただくといった取組も重要と考えてございまして、今年の三月には、住基ネットを既に利用されている各機関に対して、住基ネットの利用を徹底するよう通知を行ったところでございます。

 また、先ほども御答弁申し上げましたが、総務省では今月より有識者や地方自治体職員により構成されるワーキンググループを開催してございまして、住民票の写しの更なる削減方策について、住基ネットの利用やコンビニ交付の利用促進なども含めまして、引き続き検討を深めてまいりたいと考えてございます。

福森委員 既に今構築されている住基ネットを利用して住民票の添付や公用請求がなくなるということは、地方公共団体だけではなく市民にとっても非常に便利なことだと私は認識しております。

 ただ、これによって何が省略化できるのか。例えば、パスポートの申請に住民票の写しは原則不要と思いますけれども、それを知らない市民の方もまだまだいらっしゃるというようなこともあるかと思います。ですから、今、通知で徹底ということでございましたけれども、広く一層の普及に向けた普及啓蒙策を御検討いただければと思います。

 次に、公立大学法人の出資可能対象をベンチャーキャピタル等に拡大することについてお聞きしたいと思います。

 これまで公立大学法人は、地方独立行政法人法において、特定大学技術移転事業者及び成果活用促進事業者に対する出資が可能とされてはいるものの、国立大学法人と比べると出資できる範囲に違いがあって、国立大学法人において出資が認められている認定特定研究成果活用支援事業者などに対して公立大学法人は出資することができなかった、これらの出資を通じた研究成果の社会還元ができない状況にあるという指摘がなされておりました。

 今回、国立大学法人同様、出資が可能になることは非常に望ましいことではあると思うのですが、そもそも、なぜ公立大学法人と国立大学法人とを区別し、公立大学法人については遅れて対応するのかなと思うので、教えてください。

須藤政府参考人 お答えいたします。

 公立大学法人の出資できる範囲につきましては、これまで、自治体におけるニーズやシーズ、国立大学法人における実績等を踏まえ、拡大してきたところでございます。

 認定特定研究成果活用支援事業者への出資につきましては、国立大学法人での事業の実績が出ておらず、大学の財務への影響の有無が不明確であったこと、また、教育研究施設管理等事業者及び研究成果活用事業者への出資につきましては自治体からの要望が寄せられていなかったことから、出資対象としていなかったところでございます。

 今回の分権提案におきまして、これらの事業者に対する出資を可能とするよう自治体から要望が寄せられ、国立大学法人における実績も確認できたことから、制度改正することとしたものでございます。

福森委員 今御説明があったとおりだとは思うんですけれども、先ほど加藤委員からもありましたけれども、地方の公立大学は産官学連携の地域産業の活性化等にも重要な役割を担うものであり、自由闊達な活動がなるべくできるよう御配慮をいただければと思います。

 それに伴って、国立大学法人による出資について、現在、指定国立大学法人のみに出資が認められているものもあるかと思います。今回、公立大学に広げようとするときに、他の国立大学法人と併せて拡大してもよかったのではないかと思うのですけれども、実際、指定国立大学研究成果活用事業者への出資実績はどのようになっているのか、また、他の国立大学法人や公立大学法人への拡大は検討されるのかといったことをお聞かせいただけますでしょうか。

森友政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点では、指定国立大学法人における指定国立大学研究成果活用事業者への出資実績は、令和六年に行われた一件にとどまっております。出資の結果もまだ明らかになっていない段階であると認識しております。

 指定国立大学法人のみに出資が認められております指定国立大学研究成果活用事業者、いわゆる商品開発等事業を行う大学発ベンチャーでございますけれども、シーズを直接的に製品化するものであるため、成否が不確実なものも多くございます。事業化の見通しが不明確な面があります。そのため、事業化、特許化が可能なシーズを多く生み出す研究開発力を有し、かつ財務基盤が安定している指定国立大学法人に限り出資対象としているところでございます。

 今後、指定国立大学法人における先行事例の実施状況等も踏まえて、他の国立大学法人への対象の拡大を検討すべきものと考えております。その際、公立大学法人についても、他の国立大学法人への対象の拡大の際に併せて検討していくべきものと考えているところでございます。

福森委員 令和六年に一件ということで、まだ様子見なのかなということは分かりました。

 ただ、私は、指定国立大学法人だけではなくて、特に地方の国立大学、公立大学にこそ実はその地方ならではのシーズがあったり、成否を慎重にということでしたけれども、たとえ否であっても、経験といいますか、こういうことが商品にできるんだなとか、そういうことを積み重ねていくことも実は研究開発には大事な要素になると思いますので、そういった点も併せて今後検討していただければと思います。

 次に、建築基準適合判定資格者等の登録申請についてお聞きしたいと思います。

 現行制度において、国の資格である建築基準適合判定資格者及び構造計算適合判定資格者の登録申請等を都道府県経由事務としている理由は何でしょうか。また、都道府県を経由しないことで資格者らに不利益はありませんか。

宿本政府参考人 お答えいたします。

 建築基準適合判定資格者、構造計算適合判定資格者は、いずれも建築基準法に基づきまして建築物の審査や構造計算の審査を行う資格者であり、検定に合格した者が国土交通大臣に登録を行うという仕組みになってございます。

 その登録申請などに際し、これまでは都道府県を経由する仕組みとしておりますが、これは、申請窓口を都道府県に設置することによって、申請者にとって身近な窓口で手続ができ、記入漏れなどの形式的なチェックをその場で行うなど、申請者の利便性確保の観点から設けられているものでございます。

 今般、登録申請などの手続をオンライン化いたします。オンライン化されるに伴いまして、オンラインシステムを利用して自宅からでも登録申請などの手続が可能となりますし、オンラインシステムの中のチェック機能によりまして記入漏れなどの確認が可能となります。したがいまして、都道府県経由事務を廃止したとしても申請者の利便性が確保されると判断されますので、これを廃止することとしたものでございます。

福森委員 理由がよく分かりました。資格者にとって特に不利益がないということでございましたけれども、このように制度が変わりましたよという周知徹底は大事なのかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 ちなみに、この都道府県経由事務を廃止すると、どの程度時間やコストが圧縮されるのでしょうか。

宿本政府参考人 お答えいたします。

 今般都道府県経由事務を廃止するもののうち、建築基準適合判定資格者に関する手続については、現在、登録の申請から登録者証を交付するまで、おおむね一か月弱から最大二か月ぐらいかかってございます。

 今般、経由事務の廃止と手続のオンライン化を併せて行うわけでございますが、申請後に都道府県を経由して書類が国に到達するまでの期間と、登録証が都道府県を経由して申請者に交付されるまでの期間がそれぞれ短縮されることとなります。この結果として、最大で一か月程度審査期間が短縮されると見込んでおります。

 なお、コストについては明確な数字でもってお答えすることはなかなか難しいのでございますが、都道府県経由事務に要する人件費などの削減は見込まれると考えてございます。

福森委員 この事務手続で一か月以上短縮できるというのは非常に望ましいことだと思います。こういったことが、小さなことかもしれませんけれども、一つ一つ改善されていくのは非常に大切だと思いました。

 この建築基準適合判定資格者等の登録申請のお話をお聞きしておりますと、これ以外にも都道府県を経由しないで国が一括でやった方が効率的な事務はないのかなと思うわけですけれども、いかがでしょうか。

坂越政府参考人 お答えいたします。

 都道府県経由事務の廃止につきましては、全国知事会など、地方からも強い要望がある事項でございまして、自治体の負担軽減につながる大変重要な課題であると認識しております。

 このため、今回の令和六年提案に対する対応につきましても横断的な見直しを行うこととしております。今回の改正法案で対応するもののほかにおきましても、薬剤師、准看護師、精神保健指定医につきましては、政令改正でオンライン手続に伴い経由事務を廃止することとしております。

 さらに、今年の提案募集におきまして、デジタル化に伴う経由事務の廃止を重点募集テーマに選定して幅広く募集を募っているところでございます。現在のところ、相当数の提案が寄せられる見込みとなっておりまして、今後とも横断的な見直しを進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

福森委員 分かりました。まだまだ恐らく効率化できるところがあるんだろうなということでございますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 ここまでは個々気になる点についてお聞きしてまいりましたけれども、ここからは地方分権改革全体についてお聞きしたいと思います。

 まず、今年度、十五次まで回を重ねてまいりましたが、これまでの地方分権改革の成果をどう評価されていらっしゃるか、教えてください。

坂越政府参考人 お答えいたします。

 地方分権改革につきましては、平成七年以降の第一次地方分権改革におきまして、地方分権推進委員会の勧告に基づきまして機関委任事務の廃止や国の関与の見直しを行いまして、国と地方の関係を対等、協力の関係へ転換いたしました。

 また、平成十八年以降の第二次地方分権改革におきましても、地方に対する権限移譲や規制緩和など、地方の自主性、自立性を高めるための改革を積み重ねてきているところでございます。

 平成二十六年以降は、地方からの提案募集方式に基づきまして、令和六年までの十一年間で二千五百件の提案につきまして関係省庁と協議、調整いたしまして、八割以上で実現、対応してきたところでございます。これによりまして幅広い分野におきまして住民サービスの向上や自治体行政の推進につながっていると考えておりまして、地方からも地方分権改革の歩みを着実に進めるものとして評価をいただいているところでございます。

福森委員 今、例えば二千五百程度提案があって、八割方対応できているというようなお話もいただきましたけれども、この地方分権改革提案募集方式によって実現された制度改正は本当に多くあるんだと思います。

 ただ、私が資料を拝見させていただいたときに、地方自治体等が実施する災害ボランティアツアーに係る旅行業法の適用除外とか、空き家の利活用における旅館業法の規制緩和など、結構地元ニーズはあるのかなと思う制度改正について、まだまだ認知が低いと思うものも中にはございました。周知が大事かなと思いますけれども、どのように周知徹底していこうとお考えでしょうか。

坂越政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたような災害ボランティアツアーの実施のように、認知度や活用状況の低いものも散見されるところでございますが、実施している自治体が少ないことも一因になっているのかなと思っております。

 一方で、認知度不足が制度改正の活用状況に影響するケースも多く見られておりますので、せっかく実現した制度改正を実際の現場のサービス向上につなげるためにも、認知度の向上は重要な課題だと考えております。

 したがいまして、まずは制度所管省庁におきましてしっかりと周知徹底していただくことが重要になると思っておりますが、同時に、内閣府におきましても、シンポジウムとか研修、事例集、ハンドブックなど、様々な啓発ツールがございますので、これらを活用いたしまして周知徹底を促してまいりたいと思っております。

福森委員 是非お願いしたいと思います。

 特に、災害ボランティアツアーもそうですけれども、空き家なんかも今実施している自治体が少ないからパーセントもということでしたが、これは知ればもっと広がるのではないかと私は思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 また、今後の方向性の取りまとめを受けて、令和六年度はどのような点を変更して、それが地方公共団体にどう評価されているかということも教えていただきたいと思います。

坂越政府参考人 お答えいたします。

 令和五年十二月の御指摘いただきました取りまとめにおきましては、今後の課題といたしまして、提案を行った一般市町村の割合がかなり低く、小規模な市町村からの制度改正のニーズを十分に酌み取れていない課題があるという御指摘や、個別の提案には対応しているものの、類似する制度への横展開が十分ではないというような御指摘をいただいたところでございます。

 これを踏まえまして、提案募集方式の一層の充実を図る観点から、三点ほど取組を進めているところでございます。

 まず第一に、小規模な市町村からの提案を促進するために、国や都道府県、地方六団体などによるサポートを充実させようというふうに働きかけているところでございます。また、分権改革の意義や成果を市町村長の方にしっかりと御認識いただくことが大変重要だと思っておりますので、そういう取組も進めております。

 第二に、制度改正のスピード、効果を上げるために、類似する制度もまとめて横断的に見直すことにも取り組んでおるところでございます。

 第三に、より制度改正効果の大きい提案を促進するために、好事例や着眼点をしっかりと情報提供しているところでございます。

 これらの取組の結果、令和六年の対応につきましては、地方三団体からの声明におきましても、高く評価するという声とか、横断的な見直しを行ったのは大変よかったことなので今後も続けてほしいというような評価を頂戴しているところでございまして、今後とも分権改革を推進してまいりたいと考えております。

福森委員 まだまだ改善に向けていろいろ動いていらっしゃるんだなということが分かりました。

 ただ、それでも、令和六年までの提案実績を拝見しますと、都道府県内全ての市区町村で提案実績がある県もある一方で、県内の一割未満の市区町村でしか提案実績がない県もあって、結構差があるというふうに認識しております。

 今、小規模のところにはサポートするとか、各長の方々に啓蒙というか認識していただくことをされていらっしゃるということでしたが、提案しない側にはしない側の要因があるのではないかと思いますけれども、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。

坂越政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただきましたように、都道府県ごとの提案数の格差につきましては、各自治体における分権改革に対する優先度の違いとか、都道府県による市町村へのサポート度合いの違いなどが影響している側面があるかなと認識しております。

 このため、分権改革の意義とか高い効果があるということ、それから、実際の好事例をしっかりと周知徹底することが重要かなと考えておりますし、同時に、都道府県による市町村への支援が大変重要になってくると考えてございます。

 好事例もたくさんございますので、そういう事例を示しながら都道府県にも促してまいりたいと考えております。

福森委員 おっしゃるとおりかなと思います。特に、小規模の自治体では、諦めといいますか、人が少なくて大変だなと思って、言う前にちゅうちょされておられたり、それがおっしゃるとおり県のサポート等があればできることかもしれないし、横展開ができればそれに乗るねと言えるかもしれませんので、一層の啓蒙をお願いしたいと思います。

 これに伴って、例えば、このハンドブックを私は拝見させていただきました。提案募集方式では非常に分かりやすいハンドブックだなと思いました。しかし、中を見ると、手続とか準備が大変だなという感じも受けました。特に、地方の小さな自治体では人が足りずに提案が後回しになるのかもしれません。その点について、国はどのように寄り添って課題解決を支援していこうとされていますでしょうか。

坂越政府参考人 お答えいたします。

 自治体の提案募集ですけれども、業務負担も一定程度あるということで、小規模自治体からの提案が少ない最大の要因は、やはり業務負担の問題だろうと考えてございます。小規模自治体からの提案割合はおよそ一割になっておりまして、それらの特有のニーズを酌み取れていないという課題もあるかと思っておりまして、この課題にはしっかりと対応する必要があると考えております。

 このため、先ほども申し上げましたが、都道府県によるサポートがすごく重要だと思っておりますし、国においても、市町村からの提案については寄り添って、こうしたらいいんじゃないかとか、事前相談をかなり強化しておりまして、提案に業務負担が生じないように側面支援しているところでございます。

 それから、首長さんや市町村職員の方々が分権効果が非常に高いということを御認識いただいて、業務負担がある中でも積極的に御提案いただくことも重要かなと考えておりまして、そういう意味でも、啓発を通じましてしっかりと周知徹底することも重要かなと考えているところでございます。

福森委員 ありがとうございます。

 地方創生という視点で見ましても、地方の小規模な自治体が元気になっていく、そこの声を聞いていくことは非常に重要なことだと思います。県のサポートがあればできることがあるかもしれないということでしたけれども、遡って、先ほど、いろいろ省略化できることによって、建築のものもそうですけれども、県が効率化できるという話もありました。一体になって進めていくことでより一層の効果を生めるのかなと思いましたので、どうかよろしくお願いしたいと思います。

 私からの質疑はこれで終了いたします。ありがとうございました。

谷委員長 次に、安藤じゅん子さん。

安藤(じ)委員 おはようございます。立憲民主党の安藤じゅん子です。

 通告に従い、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律に関する法律案、第十五次一括法案、内閣提出第三五号について質疑をいたします。

 前者の福森さんと若干かぶるところもございますけれども、大切な観点だと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず、地方分権改革について伺います。

 地方分権一括法は、一九九七年七月に成立し、二〇〇〇年四月から施行されました。この法律により、国と地方自治体の関係が従来の上下関係から対等、協力関係に改められました。

 地方分権の目的は、国が持っている地方に関する決定権や財源を地方に移譲し、住民に身近な行政サービスをその地域で決められるようにすることであり、法律の中では、地方の自主性、自立性を高めと記されており、全国一律ではなく、より効果的に、より効率的に、地域の事情や住民のニーズ等を反映させた自主的な行政運営を可能にさせていくことを目指しています。

 地方分権絶対ではないものの、地方分権改革がスタートして三十年、地方分権を推進する文脈で取組が行われてきたと認識しています。二十年経過の折、それまで国からの勧告で実行されてきた地方分権改革は、地方からの改革提案を受ける提案募集方式をスタートさせることで、より効果的に効率性を高める事業を模索してきているとのことです。

 今年二〇二五年でこの方式も十年を迎えることとなりました。しかし、この提案募集方式も、提案する町村割合が各年で見ると一〇%程度であったり、抜本的地方分権改革というよりは現行の見直しにとどまる小規模提案が続いたり、行政サービスを享受する地域や住民、事業者といった国民全体の地方分権改革に対する関心のなさなど、地方分権改革有識者会議の今後の方向性の指摘、提言からも、岐路に立つ地方分権改革の現在地が見て取れます。

 ユーチューブで私も拝見させていただきましたけれども、三月五日に行われました内閣府の地方分権セミナーの中でも、人口減少、少子高齢化、人手不足と併せデジタル化が進展する昨今、いかに地方が持続可能性を維持できるかが地方の声、ニーズだという言及があり、至極納得した次第であります。

 今や国に期待されることはプロデュース力であり、不毛な自治体間競争から自治体を解放し、住民ニーズに応える自治体のスタートラインをそろえ、さらには選択肢を増やすことだろうと考えます。

 また、当該セミナーの中でも触れられていた計画行政については、島根県の環境総合計画、富山県の氷見市地域福祉計画の取組が好事例として紹介されていましたが、計画の一体的策定や、共同策定による脱炭素化や、交通空白地対策、消費者教育等は、県民、市民に分かりやすく行政の計画性、方向性、姿、ビジョンを見せることにつながり、まさに地域のニーズに沿った改革だと感じました。

 特に、氷見市の人を支えるシームレス地域福祉計画は、法規制、法の壁に阻まれることなく効率的、効果的な行政を実現するもので、地域の力を遺憾なく発揮することにつながる計画策定手法、抱える困難が多様かつ複雑化、複合化する支援対象である住民を、福祉の担い手、支援者が切れ目なく支援対象の支援に伴走できる制度を整備できる計画となっているのだろうと思料します。

 これまでの総括と今後を踏まえて是非お答えいただけたらと思います。

 そこで、以下伺います。

 これまでの地方分権改革の取組や成果について政府はどのように評価しているのでしょうか。また、地方分権改革によって制度改革が進んだとはいえ、地域社会に真に自治が実現し、その果実を住民が十分に享受している実感は乏しいとの有識者からの指摘がありますけれども、政府はどのように考えているのでしょうか。

坂越政府参考人 お答えいたします。

 四点ほど御質問いただきましたので、逐次お答えさせていただきたいと思っております。

 まず、分権の評価でございますけれども、これまでの三十年近くの地方分権の取組によりまして、機関委任事務制度の廃止や国の関与の見直し、地方に対する権限移譲や規制緩和など、地方の自主性、自立性を高めるための改革が積み重ねられたと考えております。これによりまして幅広い分野におきまして住民サービスの向上や地方自治体行政の推進につながっていると考えておりまして、この点につきましては、地方からも地方分権改革の歩みを着実に進めるものとして評価をいただいているところでございます。

 また、国民の関心や効果の実感が低いとの御指摘につきましては、分権改革に伴う実際の高い効果を数値化して、分かりやすく国民に伝達する取組を進めているところでございます。また、併せまして、より改正効果の大きい提案の実現を図る取組や、類似した案件を横断的に見直す取組などを現在進めておりまして、国民に分権の高い効果を実感してもらえるように今後とも努力してまいりたいと考えております。

 それから、現行制度の見直しが多いとの御指摘につきましては、人口減少や過疎化、人手不足の深刻化に伴いまして、持続可能な地方行財政の確保が喫緊の大きな課題となっていることを背景といたしまして、地方からは、現場で実際に困っている切実な課題として、事務の簡素化、効率化、デジタル化を求める提案がなされているということで対応してきているところでございまして、その実現は極めて重要な改正だというふうに考えてございます。

 最後に、小規模自治体からの提案の割合が低いとの御指摘につきましては、先ほども答弁申し上げましたけれども、業務上の余裕がないことが要因と考えられますので、国や都道府県、地方六団体からの市町村に対する支援の充実を働きかけているところでございます。

 今後とも、地方の自主性、自立性を高めるための取組を着実に進めてまいりたいと考えております。

安藤(じ)委員 ありがとうございます。

 地方から国への提案スパンが人事サイクルの関係で長過ぎるという御指摘もあるようでございます。一年を通じて提案、相談できるようにする国側の体制の強化や、年に二度、二回提案できるようにすることで、自治体に眠る提案の種や原石をしっかりと育て、磨きをかけられるようにしていくべきではないかと考えます。有識者会議からの今後の方向性の取りまとめを受け、政府の今後の対応が気になります。

 そこで伺います。

 令和六年度の提案募集方式においてどのような点を変更したか、また、この変更について地方公共団体はどのように受け止めているのでしょうか。

坂越政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の令和五年十二月の取りまとめにおきましては、今後の課題といたしまして、提案を行った一般市町村の割合がかなり低く、小規模な市町村からのニーズが十分に酌み取れていない課題があるのではないかという御指摘や、個別の提案に対応する一方で、横展開がしっかり取れていないのではないかというような御指摘をいただいたところでございます。

 これを踏まえまして、提案募集方式を拡充する観点から昨年度取り組んでおりまして、第一に、小規模な市町村からの提案を促進するために、国や都道府県、地方六団体などによるサポートを充実させるということに取り組んでございます。

 第二に、制度改正のスピード、効果を上げるために、類似する制度も含めて横断的に見直すことに取り組んでいるところでございます。

 第三に、より改正効果の大きい提案を促進するため、好事例や着眼点を広く情報提供することなどの取組を行っているところでございます。

 こうした取組の結果、令和六年対応方針の閣議決定の際に地方三団体から声明が出ておりますが、その中におきましても、地方分権の歩みを着実に進めるものとして評価する、今後も、個々の提案への対応にとどまらず、同様の課題を持つ類似業務の見直しにもつなげるよう期待するとの評価を頂戴しているところでございます。

 今後とも、提案募集方式の更なる充実を図りまして、地方の声に寄り添って地方分権改革を推進してまいりたいと考えております。

安藤(じ)委員 ありがとうございます。

 今後、人口減少が進む中で、人的、財政的資源が厳しくなる自治体は確実に増えていきます。人口減少に伴い自治体の職員数も減り、もう新たな権限は要らないという声がまさに小規模市町村を中心に上がっているという指摘もあります。

 全国知事会からの声を答弁いただきました。コロナ禍、度重なる自然災害を経て、人口減やデジタル化を鑑み、国が一括処理した方が効果的、効率的であること、すなわち地方分権一括法の目的にかなうのであれば、改革の見直しに踏み込んではいかがかとする意見も出ているようでありますことから、分権改革を通じて目指すべきこれからの国と地方の関係について、まさに気になるところとなります。

 分権改革を通じて目指すべきこれからの国と地方について、大臣はどのように考えますでしょうか。

伊東国務大臣 たくさんの御提言、御意見をありがとうございました。

 住民に密着したサービスにつきましては、住民に身近な市町村が住民の声に寄り添って実施することが最も住民福祉の向上に資するとの考え方から、これまで地方分権改革を進めてきたところであります。

 これまでの三十年近くの地方分権の取組によりまして、地方の自主性、自立性が高まり、地域の実情に応じた自治体行政が着実に進められてきたと認識いたしております。

 他方で、近年の人口減少や過疎化、人手不足の深刻化など、社会経済情勢が大きく変化する中において、持続可能な地方行財政の確保が喫緊の大きな課題となってきているところでもあります。

 この課題解決に資するよう、地方分権改革の進め方や、国と地方の役割分担、効率的、効果的な事務の在り方については、地方の声を十分に伺いながら議論を進めてまいりたいと考えております。

安藤(じ)委員 ありがとうございました。まさに地方の声が大切だと思います。

 少子化、高齢化、コロナ禍、頻発する激甚災害、物価高、トランプ・ショックと続いていますけれども、危機に瀕する我が国国民の生命や財産、暮らし、なりわいを守ることは、国と地方それぞれに課された責務であると思います。しっかりとその役割を果たすためにも、平時からの連携や持てるチャネルの全てを総動員しておくべきだろうと思います。

 先日の報道にも、東京都が今年度新たにサイバーセキュリティーに関する事業を首都防衛の最前線として展開し、今後は、本庁、都民の重要生活インフラ、二〇二八年には外郭団体へ対象範囲を拡大、さらに、十年後であります二〇三五年には都下の市区町村へのサイバー攻撃にも備えていく、カバーする計画を持っているという報道を目にし、まさにサイバー攻撃は何も東京都に限ったことではありませんし、リスクが高いとはいえ、近隣都市、全国津々浦々であり得ます。

 国が国民の生命、経済活動に関わる対策、対応を、財源を含め、縦横の連携をしっかり強化していただきたいと考える次第です。国に先んじて対応を図る都道府県レベルの強化、そして創意工夫が遺憾なく全国展開されるよう、発揮されるよう、国が陰にひなたにきめ細やかな協力をお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、内閣府地方分権改革推進室が令和五年度に実施した、地方分権改革・提案募集方式により実現された制度改正等の活用状況に係る調査について伺います。

 活用状況調査によれば、改正内容の認知度は二五%から九五%と大きな差が生じていることが見て取れます。制度利用者等が改正したことを知っていなければ活用できないので、認知度を高めることは大変重要です。有識者会議の今後の方向性においても、地域住民、事業者の認知度向上を図る取組を調査項目に追加する見直しをという指摘があります。

 そこで伺います。政府は認知度向上に向けた取組を強化すべきではないでしょうか。

坂越政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の内閣府が実施いたしました活用状況調査におきましては、制度改正の認知度が二割から三割となっているものが散見されるほか、制度改正の活用状況が一割未満となっているものもございます。その要因といたしましては、当該事業を実施するニーズがそれほどないという声が自治体からは多くあったところでございますが、一方で、認知度不足が制度改正の活用状況が進んでいない要因となっているケースもございました。

 したがいまして、せっかく実現した制度改正を実際の現場のサービス向上につなげるためにも、認知度の向上は大変重要な課題だと考えております。

 このため、まずは制度所管省庁におきましてしっかりと周知徹底していただくことをこちらからも促してまいりたいと考えておりますが、内閣府におきましても、シンポジウムや研修、事例集、ハンドブックなど、様々な啓発ツールがございますので、これらを活用いたしまして認知度向上に取り組んでまいりたいと考えてございます。

安藤(じ)委員 どうもありがとうございます。

 続きまして、制度改正の活用状況についても伺いたいと思います。

 調査項目は、新規に住民サービスの向上の観点から重要な提案を選定し調査した項目、医療・福祉、防災、子育て、町づくり、過去に調査を行った提案、すなわち認知度一〇〇%の追跡調査の合わせて十三項目の状況が見て取れますが、活用状況も、新規項目では〇・五%から二八%、追跡項目では約二四%から約八四%を超えているものまで、大きな差が生じています。

 そこで伺いますが、活用状況を高める提案例はどういったものと認識しているのでしょうか。また、今後活用を促すために政府はどのように取り組んでいくのでしょうか。

坂越政府参考人 お答えいたします。

 提案のうち、例えば、福祉関係の全国一律の従うべき基準が参酌基準とされ、条例で独自に定めることが可能となったような制度改正を行った場合には、自治体側での対応が必要となってまいりますので、制度改正の効果を自治体側が認識して活用していただくことが大変重要となってまいります。

 例えば、第九次一括法におきまして、放課後児童クラブの人員や資格の基準を参酌基準とする改正を行いました。その際は、約四割とかなり多くの自治体が条例で独自に基準を定め、地域の実情に応じた運営が可能になったところでございます。

 このように、自治体の実務における支障が大きく、制度改正により高い効果が見込まれる提案につきましては、活用状況も高くなるものと考えてございます。

 今後、活用状況を高めるため、関係省庁や地方六団体などとも連携いたしまして、これまで以上に制度改正の内容や、その活用方法、高い効果を周知徹底してまいりたいと考えております。同時に、より改正効果の大きい提案や類似案件を一括して改正する横断的見直しを進めまして、活用を促してまいりたいと考えております。

安藤(じ)委員 どうもありがとうございます。ニーズが高いものは利用率も高いということで理解できました。

 活用を高める提案には、提案に至るプロセス、ストーリー共有が欠かせないかなと思っています。毎年通知によって改正を周知し、都道府県や自治体との協議の場などを活用し、活用を促しているとのことです。いかに自治体の現場に、活用してもらいたい者へ伝わることが欠かせないかと考えます。

 一度制度を活用すれば、ほかに活用できる制度はないのかな、あるいは、制度を改正して他の自治体にも活用してもらいたいなと感じてもらえることもあると思います。こういった観点も通知の際には盛り込んでいただけたらありがたいなと思います。よろしくお願いいたします。

 また、地方公共団体は、団体間で相互防災協定を締結しております。災害時には職員を派遣し、救援活動を始め、復旧復興の支援に、受援に当たっていただいております。防災を始めとした制度改正の認知度と活用状況が低い状況は急ぎ改善をお願いしたいと思います。

 国が一括処理した方が効果的、効率的であること、すなわち地方分権一括法の目的にかなうのであれば、改革の見直しに踏み込んだ意見に向き合うこと、東京一極集中を排除し、ゆとりと豊かな地方の暮らしの実感をもたらすためにも、是非多くの地方公共団体、地域住民、事業者の認知を高めて制度を活用いただけたらと思います。

 続きまして、地方分権改革の今後の方向性について伺います。

 令和五年十二月十五日、地方分権改革有識者会議によれば、今後の対応の方向性として、課題と対応の方向性のうち、1として住民参加の視点の重視という提言がなされています。引用しますと、地方分権改革は、この十年にわたる取組により相当程度成果が表れてきているが、実践段階における改革を更に前に進めていくためには、改めて、国民がゆとりと豊かさを実感でき、地方分権に一層主体的に関わるようになることが求められている。そのためには、地方分権改革の推進に当たっても住民自治の視点を取り入れていくことが必要であるとあります。

 地域を持続可能なものにしていくためには、住民へしっかりと地域の情報が提供され、その情報を基に選択、判断していく作業は欠かせないという示唆を含んでいるのだろう。大切な御指摘、御提言であると思っています。

 そこで伺います。住民参加のために国はどのような施策を講じるのか、御答弁をお願いいたします。

坂越政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の令和五年十二月の取りまとめにおきましては、住民参加の視点の重視について、提案募集に係る住民参画の機会拡大を図るための方策や、改革の成果を住民へ還元するための方策が必要と指摘されているところでございます。

 これを踏まえまして、地域住民等の意見を地方公共団体の提案に取り込むためのワークショップの開催を昨年度充実させたところでございます。また、住民発意の提案が実現した好事例をしっかりと横展開して住民の方々に周知していくことも重要だと考えております。また、提案実現の効果を分かりやすく数値化して住民の方々に分権改革の意義を実感していただく取組も重要だと考えておりまして、実施してきたところでございます。

 今後とも、住民の皆様の声についても丁寧に酌み取り、地方分権改革を推進してまいりたいと考えております。

安藤(じ)委員 御答弁ありがとうございます。

 住民参加、ワークショップの形を取ってみたり、あるいは数値化ということで見える化をしていただいたりということで、地域住民として、地域をよくするプレーヤーとして、一人一人が何ができるか、こんなことをしてみたいな、そんな思いに寄り添うような取組が今まさに進められているということを確認できました。そうした仲間の皆さんをどんどん増やしていけるといいなと思います。

 続きまして、提言からもう一問伺いたいと思います。

 引用いたしますと、「今後、経営資源が縮小し、課題が多様化していく中、持続可能な行政サービスの提供体制を構築し、各地域の置かれた状況に応じて、柔軟に対応するためには、住民と情報共有しながら、地域の現状を認識し、将来のあり方を考え、どのようにサービス提供を維持していくのかを住民とともに考えていくことも望まれる。その際には、地域の多様な民意を集約し、広い見地から個々の住民の利害や立場の違いを包摂した地域社会のあり方を議論する地方議会の役割も期待される。」とありますことから、政府として、この提言を受けて、地方議会の役割、期待、どのようなものがあるのか、伺いたいと思います。

 私は臨時議会のときにちょっと気になっていたんですけれども、地方自治法第九十九条の規定で地方議会から意見書が上がってきます。国に送付されております。

 私も地方自治体議員を十三年務めてきたんですけれども、都道府県とか政令市ではない議会ですと、政策を実現するための会派制を組んでおります。選挙戦では激しく戦い合う、しかし、議会活動では力を合わせて政策を前に進めていく、住民の声を実現していくということで取りまとめてきた、大変貴重な結晶である意見書だと思います。

 地方議会で進む議会改革の文脈でも、提案募集方式の主体という選択肢が増えることは、議会機能の更なる強化につながったり活性化に資するものだと思います。

 そこで伺います。地方議会を提案募集方式の主体と位置づけるべきと考えるが、どうか。

坂越政府参考人 お答えいたします。

 提案募集方式の募集要項におきまして、提案主体は地方公共団体やその連合組織とされておりまして、地方議会につきましては、議会活動を通じて執行部当局に働きかけ、地方公共団体として提案していただくことが可能となっておりますし、併せまして、全国議長会を通じまして御提案いただくことが可能な仕組みとなっております。

 住民自治に基づきまして、地方公共団体の政策プロセスにおきまして地方議会が果たす役割は極めて大きいと考えておりまして、地方議会におきまして、高い実現効果が得られる提案募集方式を活用した国への制度改正の提案を促していただくことは、地方分権改革の推進に大きくつながると考えております。

 地方分権改革有識者会議におきましても、この旨の指摘は従来から重ねてなされてきたところでございまして、全国議長会とも連携いたしまして、各地方議会にもこの旨の周知を図ってまいりたいと考えております。

安藤(じ)委員 これからスタートラインに立っていくのかなという思いもします。引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 では、法案の中身でございますけれども、最後に、条例公布時における首長の署名の方法に電子署名を追加する改正について伺いたいと思います。

 こちらの提案の趣旨、改正の狙いについてお願いいたします。

新田政府参考人 お答え申し上げます。

 条例公布時における長の署名につきましては、現行制度は紙媒体の原本に直接署名することが前提となっておりますので、条例の公布に関する手続が電子的に完結できない、また、災害などの際に円滑な公布手続が困難になる可能性がある、こういう御指摘をいただいてきたわけでございます。そこを踏まえまして、今回、条例公布時における長の署名を電子署名により代替できるようにすることとしたわけでございます。

 これによりまして、条例の公布に関する手続を電子的に完結させることが可能になります。また、公文書管理の合理化や、原本の滅失リスクの低減や、災害時の際に紙媒体に直接署名する以外の方法も選択することが可能となる、こういった効果を考えてございます。

安藤(じ)委員 御答弁ありがとうございます。

 まとめます。

 地方から上がってきましたこういった提案によってデジタル化がまさに今進んでいる。行政手続のオンライン化、デジタル基盤の統一化、共通化ということで、住民にとってはサービスの向上、負担軽減、自治体にとっても業務の効率化、高度化、未来がすぐそこにあるなと思います。

 今回の法案の公布署名は大臣は紙なのかなと思うんですけれども、それは憲法に関する事案ということでしたので、今後のデジタル社会の推進に向けた議論に委ねたいと思いますけれども、もうすぐだと思います。一緒になって議論できたらと思います。

 本日はありがとうございました。

谷委員長 次に、神津たけし君。

神津委員 長野三区の神津たけしです。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、地方分権一括法案の、束ね法案の審議ですが、法案の中身に入る前に、束ね方について私は疑問を持っているところでございます。

 まず、内閣法制局の方から、法案を束ねて審議する場合の束ね方について基準があるか、もし基準があれば教えていただければと思います。

嶋政府参考人 お答えいたします。

 政府におきましては、従来から、法案の立案の段階で、法案に盛られた政策が統一的なものであり、その結果として法案の趣旨、目的が一つであると認められるかどうか、あるいは内容的に法案の条項が相互に関連して一つの体系を形作っていると認められるかどうかを十分に検討した上で、一つの改正法案として提案することが適当であるという結論に達した場合、そのような形で提案してきているところであります。

神津委員 今お示しされた二つの条件ですが、この二つ、今回の束ね法案について、どういうふうに適合していると考えて今回束ね法案として提出するという見解を示されたのか、それを教えていただけますでしょうか。

嶋政府参考人 お答えいたします。

 今回御審議いただいております地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案につきましては、立案に当たった内閣府地方分権改革推進室から、地方公共団体に対する義務づけを緩和する等の措置を講ずるため複数の法律を一体的に改正する必要がある旨の説明を受け、法案に盛られた政策が統一的なものであり、その結果として法案の趣旨、目的が一つであると認められることなどについて十分に検討した上で、内閣法制局としてこれを了としたものでございます。

神津委員 今おっしゃられたのは、最初におっしゃられていた二つの条件のうち最初の条件が適合している、政策が統一的なものであること、その結果として法案の趣旨、目的が一つであると認められる場合でございますというふうにおっしゃられたと思います。

 この条件なんですが、私が今回の法案の中身を見る限りだと、行政の手続の簡素化、円滑化を図っていくような法案は、ここは私はまとめるのはいいと思うんですよね。ただ、ほかの部分について、例えば標準化システムに係る基金の期限を延長する、それから公立大学法人がベンチャー企業に投資できるようにするといった部分については、私は行政の手続の円滑化、簡素化とは違う部分になってくると思うんですよね。という部分において、私は今回は束ねて審議する部分についてちょっと納得いかないところがございます。

 私も全ての法案を束ねるなというふうには言いません。しかし、目的が全く異なるような法案を一つにまとめるのはいかがなものかと思っております。先ほどの内閣法制局が示した基準にさえ私は合致していないというふうに思っております。既に自己矛盾を起こしているような状態にあると思っております。

 大臣は、今回、内閣法制局が示した基準に合致していると思われるのか、もし思われるのであれば、どこが具体的に合致していると思われるか、教えていただけますでしょうか。

伊東国務大臣 神津先生にお答えをいたします。

 ただいまの御意見につきましては我々もまた理解できるところもあるわけでありますけれども、今回の法案につきましては、累次の地方分権一括法と同様に、自治体への義務づけ、枠づけの見直し等を通じて地域の自主性及び自立性を高め、自らの判断と責任において行政を実施する仕組みに改めるという同一の趣旨であり目的を有するものでありますから、一括法として提案することが適当である、このように考えたところであります。

 また、本法案につきましては、提案募集方式という共通の枠組みに基づき措置するものでありまして、関係する法律を個別に改正するよりも、一括して改正案を取りまとめることにより、改正の趣旨、全体像が分かりやすくなるものと考えているものでもあります。

 今後とも、改正する法律の趣旨、目的等に鑑み、一括法として提案することが適当であるかを十分精査してまいりたいと考えております。

神津委員 法制局がおっしゃられていたのは、政策が統一的なものであること、それからその結果として法案の趣旨、目的が一つであることが認められるというふうにおっしゃられておりました。今おっしゃられていたような義務づけ、枠づけについては全く触れられていないわけでございます。というところにおいては、私は、政策の目的が異なるものについては一緒にやっていくべきではないというふうに思います。

 今回、分権一括法、第十五次というところにおいては、私は、そろそろこのやり方というのは見直していくべきではないかということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

 次の質問ですが、まず、今回、先ほど申し上げたように、一つ目は行政の手続、二つ目が標準化システムの基金の期限を延長する、それから三つ目が公立大学の出資対象をベンチャーキャピタル等へ拡大していくというところにあります。今回の法案で本当に地方分権が進むのか、自主性及び自立性が高まるのかというところに疑問を持っているところでございます。

 配付資料を御覧ください。配付資料の下の方に、各自治体から提案された提案の件数というものがございます。そして、その中に、赤く塗られている部分が権限移譲、初年度の際、二〇一四年、この分権一括法が始まったときには三百六十六件の権限移譲というものがございました。そして、その翌年には八十一件、翌々年には三十八件、それからどんどん少なくなってきていて、令和六年度には二件にとどまっているというようなところがあるんですね。

 これでは私は地方分権が全く進まないのではないかというふうに思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。今回の法案によって、本当に地方の自主性及び自立性が高まる法案となっていると考えているのか、本法改正によって地方分権が進むと考えているのか、教えていただけますでしょうか。

伊東国務大臣 私も、地方自治体、地方議会を経験しているところでありますけれども、地方分権改革がスタートしたときから、当初は相当難しい問題も含めてこれが審議され、そしてまた規制緩和がなされ、権限移譲がなされてきた。それが三十年近くも積み重なりますと、案件案件で小さなものになっていく、あるいはそこまでしなくてもというようなものも散見されるようになる、こう思うところでもございました。成熟してきているのかなという一面もあろうかと思います。

 人口減少あるいは過疎化、人手不足の深刻化に伴いまして、持続可能な地方行財政の確保というものが大きな課題になっているところでありまして、地方分権改革もこの課題解決に取り組むことが最優先課題である、このように認識をいたしております。

 現場で実際に困っている切実な課題といたしましては、規制緩和による事務の簡素化、効率化、あるいはまたデジタル化などを進めることにより自治体の負担軽減を求めるものとなっており、その実現は自治体の自主性、自立性を高め、住民サービスを充実確保することに直結する、このように認識をいたしております。

 引き続き、現場、自治体の声に寄り添った、自治体が強く求める制度改正にこれから重点的に取り組んでまいりたい、このように思う次第であります。

神津委員 御答弁ありがとうございます。

 思った以上に率直な御意見でちょっとびっくりしました。私も、今、年数がたっていくことによって、分権をこれ以上はやってほしくないというような御意見もあるのかな、ここの提案件数の中で権限移譲が少なくなってきているというところがまさにその表れではないかなというふうに思います。

 そして、自主性及び自立性を高めるというところについては、私はまだそこについては疑問を持っているところで、手続の迅速化、簡素化が図られれば自主性、自立性が高まるのかといえば、私は高まらないと思っておりますので、これからこの法案、分権一括法を改正する際には、私は、もう少し名前を変えていった方がいいのではないかなというふうなことを申し上げて、次の質問にいきたいと思います。

 次の質問なんですが、今おっしゃられていたところ、既に今日安藤委員がおっしゃられていたことと重なるところであるんですが、今、小規模自治体では、これ以上の権限移譲をしてほしくないという声が高まっているというふうに感じているところでもございます。

 地方自治体が発展していくには、私はやはり主体性というものが求められていくと思いますが、今、人手不足に陥っている中において、権限移譲はもうしてほしくないというところがあるのかなというふうに思っております。地方の持続性を高めていくには、地方の自主性及び自立性を促進する権限と財源の移譲が私は重要だと考えておりますが、近年は分権を望まない自治体もあるというふうに聞いております。

 近年、分権を望まない自治体があると大臣も考えていらっしゃるか、伺えますでしょうか。

伊東国務大臣 お答えいたします。

 地方分権改革とは、権限移譲あるいは規制緩和などを進め自治体の自主性、自立性を高める改革であり、自治体からは、規制緩和による事務の簡素化、効率化を求める提案を中心として、毎年たくさんの提案をいただいているところであります。

 今年も、例年を大きく上回る四百件程度の提案が寄せられる見込みとなっております。これは、近年、人口減少や過疎化、人手不足の深刻化など、社会経済情勢が大きく変化しておりまして、自治体の業務量も増大している中で権限移譲に係る提案も少なくなってきているのかな、このように推測をいたしております。

 一方で、持続可能な地方行財政の確保が喫緊の大きな課題となってきていることを背景としていると考えており、地方分権改革もこの優先課題に重点的に取り組む必要がある、このように認識をいたしております。

神津委員 私も同感で、人手不足に陥っている中で、自治体がやらなくてはならない仕事が今増えているというふうに感じます。その最たるものというのが、私は計画作りだというふうに思っております。計画を作っても、誰も進捗を追わずに、絵に描いた餅となるような計画が増えているというところでもございます。

 二〇一〇年から二〇二〇年までの間で、自治体が立てなければならない計画は一・五倍に増えている。昨年を見ると四百九十八まで来ているというふうに聞いているところでもございます。これ以上の負担を強いるような計画を立てさせるべきではないと考えますが、大臣のお考えを伺えますでしょうか。

伊東国務大臣 計画行政につきましては、自治体から強い要請を受け、令和五年三月に効率的・効果的な計画行政を進めるためのナビゲーション・ガイドを閣議決定いたしたところであります。これに基づきまして、各省庁におきまして、新たな制度を検討する際は内閣府や自治体と協議することが義務づけられておりまして、最小限度の計画策定となるように調整を行っているところであります。既存の計画につきましても、このナビゲーション・ガイドに基づき、他の計画との一体的策定や計画策定時の負担軽減などの見直しが進められております。

 この結果、令和六年末時点で、法定計画の全体の九割につきまして一定の見直しが実現したところでもあります。残る一割につきましてもナビゲーション・ガイドの趣旨に沿った見直しを促し、自治体の負担軽減を更に図ってまいりたいと考えております。

神津委員 計画をこれ以上増やすことは是非ともやめていただいて、簡素化していただければと思います。

 次の質問に行きたいと思います。

 石破総理ですが、石破総理は、総理就任直後に衆議院を解散したときには、日本創生解散だということで、地方創生に力を入れていく、地方を守っていくというふうに訴えておられました。

 今回の法案も、これまでどおりの内容を踏襲したものであると私は感じているところでもございます。各省庁の予算で地方創生二・〇に資するとされているものも、看板をかけ替えたものばかりでもございました。伊東大臣が地方創生担当大臣となって新たに始めた取組を教えてくださいますでしょうか。

伊東国務大臣 昨年十月一日の大臣就任以降、石破総理を本部長といたしまして全閣僚で構成されます閣僚本部を立ち上げるとともに、私の下に産官学金労言から成る有識者会議を創設いたしまして、これまでの取組の成果と反省を含め議論を行い、昨年十二月に地方創生二・〇の基本的な考え方を取りまとめをいたしました。年明け以降は有識者会議を地方で開催するなど、これまで計五回の開催をいたしまして、現場の声を伺いながら議論を進めているところであります。

 また、交付金につきましても、成果と反省を踏まえ、新地方創生交付金を創設いたしまして、当初予算ベースで倍増するとともに、ソフト事業とハード事業の制度区分を廃止しまして、両者を組み合わせた地方創生の取組を促進しているところであります。

 さらに、中小規模の市町村が地方創生を推進していくための人材支援の一環として、国の職員が定期的なオンライン会議や現地訪問等を通じて自らが関心を持つ地域を副業的に支援する、地方創生伴走支援制度を新設いたしたところであります。

神津委員 今おっしゃられていた地方伴走支援制度について伺いたいと思います。

 具体的に、これは事務方から答えていただいても構いません。業務のどのぐらいの時間を使ってこの伴走支援を行っていくのか、それから、期間がどのくらいなのか、どのくらいの頻度でオンライン会議をやって、どのくらいの頻度で現地訪問を行っていくのか、これを教えていただけますでしょうか。

北尾政府参考人 お答えいたします。

 地方創生伴走支援制度は、国の職員が自らの仕事を行いつつ、これまでの職務経験等を生かし、三人一組のチームとなり、担当する自治体に一年間寄り添い、助言等を行うものでございます。

 今回創設した制度により、これまで行っていた現地に赴任する出向等の形態による支援に加えまして、副業的に、これは、本来の与えられている業務を行いつつ、例えば一週間のうち一回ですとかそういったものをオンライン等で支援するということでございますけれども、副業的に地方創生に携わることができるようになることで、より多くの職員が参加し、より多くの市町村を支援することが可能となるものと考えております。

 また、多様な省庁、役職、年齢により編成されたチームでございますので、相互の強みを生かしながら丁寧な支援が行えるものと考えておりまして、対象自治体においては国の職員の能力、企画力、人脈などを大いに活用していただくことを期待しているものでございます。

神津委員 今お答えいただいたところに漏れがあったんですが、業務のどのぐらいの割合の時間を使って副業としてサポートしていくことが想定されているのか、それからどのぐらいの頻度で現地に行くことが想定されているのか、教えていただけますでしょうか。

北尾政府参考人 業務につきましては、本職で与えられているものの一割から二割程度の業務量を想定してございます。

 また、随時オンラインでの相談等を行うとともに、三か月に一回ぐらいは現地に訪問して、実際に現地を見ながら意見交換等も行っていただくということも想定してございますが、基本的にはそのぐらいの想定ということでして、あとは個別の市町村、チームごとに実情に応じて支援を行っていただくということを想定してございます。

神津委員 今までの地方創生人材支援制度、この場合においては、省庁から職員が派遣されて、しばらくの間、現地にいらっしゃって開発のサポートをしていくということとなっていたものが、今回、地方創生の伴走支援という名前でやるとおっしゃられたこと。私は、この内容については、本当にこれで地方創生が果たされていくのかなと。

 業務のたった一割から二割の時間を使ってサポートしていく。期間が一年間で、週に一度の定期的なオンライン会議。それから、四半期に一度訪問する。一年間で換算すればたったの四回しか現地を訪問しないというところで、本当に地方の実情をこれで理解して助言することができるのかという大きな疑問を持っているところでもございます。この制度設計については、私は早いうちに見直しを図った方がいいのではないかというふうに思うところでございます。

 これまでずっといらっしゃったものが四半期に一度しか滞在しないようではなかなか現地の方ともコミュニケーションが取れないと思いますので、もう少し長期で現地に滞在するとか、それから、期間は一年間だけじゃなくて、やはり三年間とかもう少し長くすべきだということを主張させていただきたいと思います。

 これは大臣に質問通告していないので、何か大臣、ありますか。

 では、お願いします。

伊東国務大臣 今回のマッチングにつきましては、職員にも相手の町村にもお伺いし、そしてまた要望等、意見を聞いているところであります。

 昨日、実は結団式、スタートしたところでありますけれども、皆さん非常に意欲に燃えて、頑張ろうという熱意を感じたところでもございます。

 週に半日、多くても一日程度ということでありますし、必要に応じて本省とはオンライン会議で連絡を取り合うということでありますので、今スタートしたばかりで、まだ動き出してもいないところでありますので、これから御本人たち、あるいは対応する市町村の御意見をしっかり伺いながら、どのような実を上げていけるか、これからまた頑張りたいと思っているところであります。

神津委員 まだ始まったばかりというところで、これから制度設計をもう少し充実させたものにしていただきたいというふうに思います。百八十人の支援官でしたか、具体的に官職として派遣されるというところで、本当にやる気を持った方々が手を挙げられていらっしゃると思いますので、是非その方々のやる気を促進できるような制度設計にもう一度考え直していただければというふうに思います。

 ちょっと時間がなくなってきたので、私の方からちょっと申し上げさせていただきたいと思いますが、今回の地方創生二・〇については、石破総理は地方を守っていくんだという強い思いの中でやっていらっしゃると思うんですね。ただ、なかなかその思いに応えられるようにはなっていないというふうに感じるところでもございます。是非、真に地方創生につながることを要望いたしまして、私の質疑とさせていただきます。本当にありがとうございました。

谷委員長 次に、東徹君。

東(徹)委員 日本維新の会の東徹でございます。

 先ほど、神津議員も幾つか質問しておられましたけれども、ちょっと私とかぶるところもありますが、お許しいただきたいというふうに思います。

 法案に入る前に、いよいよ大阪・関西万博ですけれども、三日後ということになりました。ちょっと失礼なことを申して申し訳ないですが、伊東大臣は万博担当大臣でもあるということで、ちょっと僕からは印象が薄いなというふうな感じがするんです。いよいよ三日後に、四月十三日から開催されるということで、万博を是非成功させて、経済効果が全国に波及していくような、そしてまた地方創生の意味でも重要であるというふうに私も思っておりまして、是非、地方創生担当大臣でもある伊東大臣に、まず、万博も担当されている大臣ですから、開幕に向けた意気込みをお聞かせいただきたいなというふうに思います。

伊東国務大臣 東先生には大変に御支援をいただいておりまして、感謝を申し上げる次第であります。

 本委員会におきましては、万博担当というのは、所管がちょっと違うものでありますから私はなかなかお答えしづらいところでありますけれども、現実に三日後に開幕を控えているところでありまして、大いに私も楽しみにし、期待をしているところであります。

 多様でありながら一つという理念を示す万博のシンボルである大屋根リング、私も何回か上がったわけでありますけれども、いよいよ開幕ということで、命をテーマにした八人のプロデューサーによるシグネチャーパビリオンを始め、「いのち輝く未来社会のデザイン」のテーマの下に、様々な魅力的な展示、イベントを通じてこうした万博の意義を国民に伝え、世界に発信できるものと承知をしているところでありますし、大いに期待をしているところであります。

 また、この万博は、大阪、関西だけの万博ではない。地方創生の観点から見ましても、国内外からの万博来場者に、大阪、関西だけではなく全国各地に訪れていただいて、新たな日本の魅力を発見してもらう、地方創生二・〇の好機でもあろうと思います。また、世界が新しい日本を発見する万博であり、来場者の皆様を万全の体制でお迎えできるよう、大阪府、市、経済界、博覧会協会とともに日本政府は国際博覧会条約に基づく招請国政府として最大限の力を尽くすべき、このように承知をしているところであります。

東(徹)委員 何度か訪れたということでありますけれども、開催してからも何度か訪れていただきたいなというふうに思っておりまして、チケットを買っていただいて、行っていただきたいなと思います。私も、通期パス、三万円かかるんですけれども、あれを買わせていただきましたので、是非大臣も通期パスでも買っていただいて何度かお越しいただけたらなというふうに思います。

 ただ、先週、四月四日から六日までテストランというのをやっておりまして、万博会場への入場に時間がかかるとか、そういった課題も見つかってきました。

 伊東大臣、どのような課題を今把握されていて、どのように対処されようと考えているのか、この点についてもお聞きしたいと思います。

伊東国務大臣 繰り返しになりますけれども、本委員会におきまして万博の話に終始するのが、担当大臣としてはなかなかお答えしづらいところでありますが、最終調整を進めている。

 テストランにおきましても、数々の改善を要する点、また御指摘をいただいた点があるものでありますから、オープンまでに改善できるところはまずしっかり改善していきたい、このように考えているところであります。約十万人の方々がテストランでおいでをいただいたところでありまして、リングがすばらしい、あるいは、外国との交流ができる、再び来場したいなどのたくさん好意的な声も聞かれているところでありまして、情報発信をしっかりしていかなければと思うところであります。

 また、他方で、会場の入場プロセスや予約システム、場内案内の改善に関するものを含めて、このテストランにおきまして発見された課題につきまして早速見直しを進めているところであります。しっかり対策を取って開幕を迎える必要がある、このように考えております。

 万博担当大臣は、各府省庁における万博関係の様々な施策の実現に向けた取りまとめなど政府全体の総合調整を担っているところでありますけれども、一方、経済産業大臣も、万博会場を運営する博覧会協会の監督、こういう立場でありまして、万博の成功に向けて取り組んでいくところでありますので、一丸となって成功に向けて最大限の力を尽くしてまいりたい。

 ちなみに、チケットはしっかり買っております。

東(徹)委員 ありがとうございます。是非万博を盛り上げていっていただきたいなと思います。

 では、法案の方に入らせていただきたいと思います。

 この委員会は、地域活性化・こども政策・デジタル社会形成という委員会であって、今回、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案ということで、分権一括法案とかとよく言われております。私もこの自立という言葉は非常に大事だというふうに思っていまして、元々、日本維新の会の理念でもありますが、自立する個人、自立する地域、自立する国家というのが維新の会の理念でもありまして、自立ということが非常に大事だというふうに考えております。

 少子高齢化、人口減少、これが非常に進んできて、大変問題ではあります。地方が自立していくという精神がなければ、国に依存してばかりでは、国力がどんどんと衰退していくし、地域も衰退していくというふうに考えます。自立する地域という考え方は大変重要であって、地域が自立するためにも地方分権は必要であるというふうに考えています。

 内閣府のホームページを見させていただくと、「地方分権改革とは、」と書いてありまして、読ませていただくと、「住民に身近な行政は、できる限り地方公共団体が担い、その自主性を発揮するとともに、地域住民が地方行政に参画し、協働していくことを目指す改革です。」というふうに書かれております。

 伊東大臣は、北海道で市議、県議そしてまた首長も経験されているという方なので、本来、大臣にふさわしい方だというふうに思っております。

 今回、条例公布時における首長の署名方法に電子署名を追加するというものがこの中に追加されているんですけれども、これは当たり前じゃないですかと思うわけですね、今の時代になってみれば。手で書いていたものを、電子の署名もオーケーですよと。今のデジタル社会では当たり前の改革だと思っていて、こんなの一々法改正せなあかんのかというふうに一瞬思ったんですけれども。

 また、これまでの分権一括法でも、改正の内容がほとんど知られていないようなものもあって、どれだけこれは意味があったのかなという気がするわけですね。これで本当に自立性が進んでいったのか。

 大臣、地方分権一括法によって地域の自立が進んだというふうに考えておられるのかどうか、是非お聞きしたいなと思います。

伊東国務大臣 大変に厳しい御質問であります。

 これまで、地方の自主性、自立性を高め、地域の実情に応じた自治体行政を推進するために、地方からの提案募集方式に基づきまして、事務権限の移譲、それに伴う財源措置などに取り組んできたところであります。

 提案募集方式につきましては、地方発意の取組として、自治体が現場で実際に困っている切実な課題を提案していただき、その地方の声に寄り添って実現を図ることが住民サービスの向上や地方行政の推進に直結し、地方分権改革の推進に最もつながるものという考え方で進めているところであります。地方からは、地方分権改革の歩みを着実に進めるものとの評価を毎年いただいているところであります。

 近年、人口減少あるいは過疎化、人手不足等を背景にして、持続可能な地方行財政の確保が喫緊の大きな課題となっておりますため、その解決を図るための様々な負担軽減等の提案が全国知事会や多くの自治体からなされており、その実現は極めて意義が大きい重要な制度改正と認識をいたしているところであります。

 以上であります。

東(徹)委員 今回の法案も、見ていて、こんなの当たり前のことじゃないのかというようなのが多いなと。それだけ今まで法律でいろいろな縛りがあったんだろうなというふうに思うわけです。

 先ほど神津議員からも質問がありましたけれども、計画についてなんですが、私も、地方分権が進めば自治体の権限と責任が増していくというふうに思うわけですけれども、一方、業務量も増えていくわけですね。人口減少によって自治体の職員数も減っていく中で、事務の見直しも行って、地方自治体の業務量を減らすことも同時に行っていくことが大変重要だというふうに思います。

 一例として、都府県などが作る計画がありますけれども、お配りした資料を見ていただけば分かると思いますが、これは平成二十六年からどんどんどんどんと計画の数が増えていっているということで、元々平成二十六年は三百九十六あったものが今は四百九十八ということで、百二本も計画が増えていっているわけですね。

 地方の自主性、自立性といいながら、地方分権といいながら、計画の数はどんどんどんどんと増えていって、十年間でこれだけ増えているわけですよ。これは逆行しているんじゃないのかというふうにも思ったりするわけです。こういったことが実情としてあるわけですね。

 努力義務やできる規定の計画も二百二十五から三百二まで増えています、これは資料はありませんが。努力義務やできる規定の計画であっても作成しないと予算がつきませんよみたいな、事実上、作成義務のある計画になっているわけです。恐らく、首長も経験されている伊東大臣であれば、この辺よく事情が分かるんだろうというふうに思いますが、自治体の計画形成の業務は増えるばかりで、ほぼほぼ手が回らないところはコンサル会社に、それも東京のコンサル会社に委託しているとかいうところもいっぱいあるわけですね。

 これで本当に地方分権なのかと思うわけでありますが、自治体の業務負担を減らすために政府として計画数を減らしていくべきだというふうに考えますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

伊東国務大臣 計画行政につきましては、先ほども一部でお話をさせていただきましたが、計画策定に係る自治体の負担軽減を図るためにナビゲーション・ガイドを作り、これに基づきまして、計画数の抑制を各省庁に促すとともに、計画の一体的な策定や策定手続の簡素化など様々な観点から自治体の負担軽減に実質的につながる見直しを行っているところであります。

 例えば、複数計画を一体的に策定することにより自治体が策定する計画数や手続が減少することから、実質的には計画の廃止に近い負担軽減効果を図ることが可能となるものと考えております。

 引き続き、提案募集方式を活用しつつ、ナビゲーション・ガイドの趣旨に沿った見直しを促し、自治体の負担軽減を図ってまいりたいと考えております。

東(徹)委員 伊東大臣、この委員会は、地域活性化、こども政策、デジタル社会形成の委員会でもありまして、ナビゲーション・ガイドではなくて、これからAIなんかも活用してこういった計画を作るということをしていかないと、もう手が回らないというふうに思うわけですね。

 ただ、とはいっても、鳥取県とか島根県、高知県とか徳島県ですけれども、これは人口でいうと、世田谷区が九十四万人、鳥取県、島根県、高知県、徳島県は大体五十万人台なんですね。都道府県でも、八百万人台の都道府県もあれば、五十万人台の都道府県もある。これは同じ都道府県でいいんですかというふうに思うわけですね。

 今の都道府県の在り方、これはもう限界に来ているんじゃないのかなと思うんですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

伊東国務大臣 都道府県の人口につきましては、様々な今日までの歴史的要件があってこうなってきているのかなと。ただ、人口五十万人台まで、毎年徐々に徐々に減ってきている府県の皆様にとりましては深刻な問題であろう、このように思うところでもあります。

 持続可能な地方行財政の確保というのが大きな課題となっているところでありまして、これは市町村も都道府県につきましても同様の課題があるもの、このように思うところであります。

 地方分権改革も、この優先課題に対処するために、提案募集方式に基づきまして、関係省庁が連携し、自治体行政の事務の簡素化、効率化、デジタル化を徹底的に進め、自治体の負担軽減等に重点的に取り組んでいくことが重要と認識しているところであります。

 先ほどお話ございましたように、これからの社会の中で、行政もAIを活用した事務の簡素化、合理化、また将来の在り方など、自治体の負担軽減等につきまして取り組んでいくことになるのかな、このように思っております。

 全国知事会からも、社会経済情勢の変化を踏まえた効率的、効果的な都道府県行政の推進の観点から、様々な地方分権改革の提言もいただいているところでありまして、各省庁とも連携して持続可能な都道府県の行財政の確保を図ってまいりたいと考えております。

東(徹)委員 それだったら、もっともっと人口の少ない都道府県に本気で、大学とかも誘致したりとか、そしてまたそこに企業誘致もできるぐらいの政策をやっていくとか、それだったら分かるんですけれども、そういうこともできない。

 でも、何もできないから地方創生とかいって交付金でやっているけれども、十年間結果が出なかったわけですよ。これは、お金を増やしたからといって、私はそんな簡単に結果が出るものではないというふうに思うわけです。

 一方、人口の少ない県が将来にわたって広域行政をやっていくということは、私はだんだんとこれはもう難しいというふうになっていっていると思います。だから、広域的にやっていくことも考えなきゃいけないというふうに思っていまして、改めて道州制の議論、政府としても本格的に始めていくべきだというふうに考えます。

 ただ、こういうことを聞くと、いつも、国会での議論を経てというふうな答弁が出てくるのは分かるので、それ以外の答弁だったらお聞きしておきたいなと思いますが、いかがでしょうか。

伊東国務大臣 道州制の在り方に関するお話でありますけれども、平成十八年に第二十八次地方制度調査会におきまして道州制の在り方に関する答申がなされて以降、各党において様々な議論がなされてきたと思うところであります。

 また、毎年の例でありますけれども、地方六団体からも様々な意見が出されており、とりわけ全国町村会からは導入に反対する要望が出されてきているところでもあります。

 私も、三十年ほど前、道州制、スタートした頃から市会議員、道議会議員等々やっておりますので、その議論の中に入ったこともありますけれども、相当様々な問題があり、難しい点があるのかな、今でもそう思っているところであります。

東(徹)委員 人間誰しも変化を嫌うということがあると思いますので、なかなかこういったものは本当に難しいと思いますけれども、ただ、日本の今の現状でいいのかというところに起点を置いて考えていかないといけないのかなというふうに思います。

 今回の法案の中身の提案募集方式についてでありますけれども、これは平成二十六年から提案募集方式が行われておりまして、これまで地方自治体から三千八百十四件の提案がありました。そのうち、内閣府が各省庁と調整したものが二千五百二十八件で、実際に実現したものが二千六十四件なんです。

 実現したとされていない一千七百五十件の中には、実現できなかったものが四百六十四件、それ以外の一千二百八十六件は、予算編成過程の中で対応するものとか状況の変化があれば改めて検討するという、現行制度でも対応可能なものが含まれているということです。

 そのうち、予算編成過程で対応するとされたものは二百三十五件であるようですが、今回事前に問合せすると、内閣府としてはそれらの提案が最終的に実現したかどうかは把握していないというふうに答えられるわけです。

 提案させておいてそれはないだろうと私は思うんですけれども、地方分権を進めていくのであれば、地方の提案や要望が実際にどうなったかというのをちゃんと把握して、実現できなかった場合には今後実現できるように自治体と協力して進めていくということが大事だというふうに考えますが、今後の対応についてお伺いしたいと思います。

坂越政府参考人 お答えいたします。

 自治体から提案があったもののうち、内閣府で調整を行わないで予算編成過程で調整を国庫当局と関係省庁で行うものが二百三十五件ございました。これにつきましては、そのうち、実現したものを集計いたしますと、五割強が実現したものとなってございます。

 それ以外の案件につきましては、八割強が実現しているというところでございまして、若干低い実現率になっておりますので、予算制約の問題等もあると思われますが、自治体の現場における具体的な支障に基づく切実な提案でございますので、少しでも実現率が上がりますよう、内閣府といたしましても関係省庁にしっかりと要請してまいりたいと考えております。

東(徹)委員 是非きちっと把握をして、そして実現できるように取り組むべきだということを申し上げておきたいと思います。

 時間がありませんので、ちょっとまとめて質問をさせていただきたいと思います。

 一つは、建築基準適合判定資格者等の登録申請、これは都道府県経由事務の手続をオンライン化して廃止していくということでありますが、デジタル化や地方自治体の事務負担の軽減を考えれば、これも当たり前のことなのかなというふうに思います。

 なぜこれまで都道府県を経由することになっていたのか、ちょっと私は本当に不思議なんですが、それよりも、都道府県の提案を待つまでもなくこういったことはデジタル化を進めてなくしていく、ほかの案件も同じようにやっていくということが大事だと思いますし、そしてまた、生活保護の仕組みもそうなんですけれども、こういった二重の手間というのがあったわけです。これは生活保護施設だけではなくて、ほかにもあったはずだと思います。

 こういったところを是非解消していく、都道府県から言われなくても解消していくことが大事なのかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

伊東国務大臣 都道府県経由事務の廃止につきましては、全国知事会からも地方からも強い要望があるところでございまして、自治体の負担軽減につながる重要な課題であるというふうに認識をいたしているところであります。

 このため、令和六年の提案に対する対応につきましても横断的な見直しを行うこととしておりまして、今回の改正法案で対応するもののほか、薬剤師、准看護師、精神保健指定医については政令改正でオンライン手続における経由事務を廃止するということとしております。

 さらに、今年の提案募集におきまして、デジタル化に伴う経由事務の廃止を重点募集テーマに選定をいたしまして、幅広く提案を募っているところであり、相当数の提案が寄せられる見込みとなっているところでもあり、横断的な見直しを更に進めてまいりたいと考えております。

東(徹)委員 時間が来ましたので終わらせていただきますが、地方からの提案を待つまでもなく、やるべき改革はどんどんと進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、仙田晃宏君。

仙田委員 国民民主党・無所属クラブの仙田晃宏です。

 本日は質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。

 第十五次地方分権一括法案の一つであります、地方公共団体のシステム標準化等のための基金の設置期限を五年間延長する法案に対し質問をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 初めに、今回の法改正案で地方公共団体のシステム標準化等のための基金を五年間延長するとのことですが、そもそも当初の計画に無理はなかったのでしょうか。また、当初の計画に無理がなかったのであれば、なぜできなかったのでしょうか。お答えをお願いいたします。

冨樫副大臣 令和二年十二月に閣議決定されたデジタル・ガバメント実行計画では、新型コロナウイルス感染症対応を踏まえ、行政のデジタル化を加速化するため、国、地方を通じたデジタル化を今後五年間で進めることとされました。これを踏まえ、地方公共団体情報システムの標準化の目標は令和七年度とされ、デジタル基盤改革支援基金の設置年限についても令和七年度末とされたところであります。

 しかしながら、現行システムが複雑で移行の難易度が極めて高い、事業者のリソース逼迫などの事情により、令和八年度以降の移行とならざるを得ないシステムが存在しております。このため、地方公共団体情報システム機構法を改正し、基金の設置年限を延長することとしたものであります。

 延長幅については、各システムの移行完了見込みの時期を踏まえて五年延長を目途に検討することとし、全国地方公共団体に意見照会を行ったところ、賛同の意見が得られたことから五年延長としたものです。

 引き続き、関係省庁とも連携しつつ、各団体の御意見なども丁寧に伺いながら、円滑かつ安全なシステム移行に取り組んでまいります。

仙田委員 御答弁ありがとうございます。

 元々現行システムも複雑だったというところはそもそも分かっていたことだと思っておりますし、移行難易度は極めて高い。事業者のリソース逼迫、こちらもそもそも分かっていたことだというふうに私は思っております。

 さらに、今、五年間延長というふうにお話がありましたけれども、そもそも五年間で全ての地方公共団体のシステムの移行が完了できるかどうかというところを、全体統制をしておりますデジタル庁から、できるかできないか、はいかいいえでお答えを簡潔にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

岸大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、多くの自治体システムにおきましては、二〇二五年度末の移行期限までに標準準拠システムに移行できるよう、今まさにベンダーの選定、また移行スケジュールの確認、確定に向けた作業が着実に進んでいると認識しております。

 なお、様々な事情によりまして、委員御指摘の、例えば具体的にはベンダー側のリソースの逼迫等々、標準準拠システムへの移行が二〇二六年度以降にならざるを得ないことが具体化したシステムもございます。これは特定移行支援システムと呼んでおりますけれども、このシステムは今年の一月末の時点ではシステム数ベースで一割弱にとどまっております。

 こうしたシステムにおきましては、おおむね五年以内に標準準拠システムに移行できるように関係省庁とも連携をいたしまして、しっかりと自治体への取組を進めてまいりたいと思います。

仙田委員 御回答ありがとうございます。

 私は、この五年間でできるかどうかというところで、はいかいいえでお答えを教えていただきたいなというふうに思っておりますので、改めて、できるかできないかではなくて、はいかいいえでお答えをいただきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。

岸大臣政務官 これは先のことなので確たることは申し上げられませんけれども、しっかりと遅滞なく進めていきたいと思っております。

仙田委員 ありがとうございます。

 しっかりとやっていただきたいなというふうに思っておりますけれども、延長期間を五年間ということで、目途で決められたというふうにおっしゃられております。

 先日の一般質疑で、平大臣にも、五年間でできる、やり切れる根拠を教えてほしいということで、具体的な根拠のお話をさせてきましたけれども、具体的にといいますと、政令指定都市は具体的にできるのか。今回、二十業務ございます。二十業務の中で、例えば戸籍の付票が難しい、個人住民税が難しいといった個別具体的なところがあるというふうに思っております。

 今、政務官の答弁の中でも一割というお話がありましたけれども、具体的にこの一割の中で何が難しくて、どういうふうにやったから具体的にここがやり切れるのかといったところを、平大臣の答弁を踏まえた上で更に具体的に教えていただきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。

岸大臣政務官 五年でやり切るという具体的な根拠に関しまして御質問いただきまして、今まさに先ほど申し上げましたスケジュールのように進めようとしております。

 具体的に申し上げますと、まず、現行システムの事業者の撤退等によりましてなかなか進みが遅いというところに対しましては、次期事業者の選定をしっかりと進められるように、自治体に対する事業者情報の提供をしっかり行っていきたいなと思っております。

 また、標準化PMOツール上でしっかりと所管省庁からの助言を充実させていきたいと考えております。また、デジタル基盤改革支援基金の設置年限の延長に必要な法改正に向けてしっかりと取り組むことを支援いたしまして、さらには、二〇二六年度以降には事業者のリソースの逼迫が少し緩和してくるということで、特定移行支援システムを有する自治体に対してリソースを回して支援を重点化する、こうしたことも可能になると考えております。

 いずれにいたしましても、各自治体で様々、人口、またシステムを組んでいるものが違います。しっかりと実情を踏まえて丁寧な個別の対応をしていきたいと思っております。

仙田委員 御回答ありがとうございます。

 今、デジタル人材はだんだんだんだん解消していくとありましたけれども、先ほど東委員のお話がありましたとおり、これからAI含めてデジタル人材というのはどんどんどんどん必要とされていきますし、供給が逼迫していくと思っております。

 その中で、事業者のリソース逼迫というのは五年間の間に解消できるとは思えない状況でございますけれども、デジタル庁としてこれから五年間でしっかりやり切っていくという中で、システム提供会社並びに地方公共団体に対しまして、システム移行計画書ですとか移行方針書並びに移行手順書といった、しっかりとやり切れるかどうかというところの、具体的に目検確認を含めてできているかというところをお伺いさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど政務官からも御答弁差し上げましたとおり、事業者のリソース逼迫等を理由として二〇二六年度以降の移行とならざるを得ないことが具体化したシステムというのも一部ございますけれども、今年一月末時点では一割弱にとどまっているというところでございます。

 今年度中に多くの標準準拠システムへの移行を確実に行っていくことによって、二六年度以降に関しましては、事業者のリソース逼迫に関しましては相当緩和されるというふうに考えているところでございます。

 自治体システムの標準化を円滑に進めるためには、自治体はもちろん開発を行う事業者等の理解と協力が必要でございまして、デジタル庁といたしましては、これまでも事業者協議会を定期的に開催して情報提供や課題の協議を行うとともに、特に遅れそうだというような団体やシステムに関しましては、かなり踏み込んだ内容を含めて事業者と個別に打合せを行っておりまして、その状況を把握しているところでございますので、そういった点では、しっかりと個別システム単位で見ているという状況でございます。

仙田委員 ありがとうございます。

 個別具体的に、個別業務ごとにしっかり見ていただいているということでございますので、楠統括官始め皆様しっかりと見ていただいて、五年間で終わるようにしていただきたいというふうに思っております。

 今回、政府からの要望につきましては、具体的に、ハードウェア、今回はガバメントクラウドへの移行ということと、もう一個はソフトウェア、二十業務の標準化への移行という、ハードとソフトの二種類の移行が今回あるというふうに思っております。

 今回、このハードウェアとソフトウェアの切替え、両方必要になってくるんですけれども、今遅れている残りの一割のシステムの方々については、一斉に切り替えていくのか、段階的に切り替えていくのか。段階的な場合はどちらを優先的に切り替えていくのか。デジタル庁の見解を教えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

岸大臣政務官 お答え申し上げます。

 地方公共団体情報システムの標準化に関する法律では、標準化対象事務の処理に係る地方公共団体の情報システムにおきまして、国が定める標準仕様への適合が義務づけられております。

 そのため、標準準拠システムは、これはソフトの方ですね、移行は法的に求められているものである一方、ガバメントクラウド、ハードの方は活用は努力義務とされているところ、これが違いでございます。

 その上で、どちらを優先的に行うかについて御質問いただきましたが、各自治体によりまして、現行システムの契約終了時期や、また運用形態、オンプレサーバーかクラウドか、そういったところも様々方法が異なっております。各自治体において合理的な方式で移行計画を作成していただいているものと認識をしております。しっかりとそのサポートをしていきたい、そのように考えております。

仙田委員 御答弁ありがとうございます。

 そのときそのときに合わせて柔軟に対応していくということはあるんですけれども、今政務官おっしゃられたとおり、二十業務の標準化というのは義務でございます。義務をしっかりと果たさないといけないにかかわらず、今回いろいろな事情で五年間延長するということでございますので、しっかりとこの義務を果たしていただくよう、地方公共団体にはしっかりと申入れをしていただきたいなというふうに思っております。

 次に、今回、ガバメントクラウドに関する料金に関する御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 今回、既にガバメントクラウドに移行済み、若しくは移行しようとしている自治体からは、利用料金が上がるという声が上がっております。こちらをデジタル庁さんにお聞きしましたら、見積精査支援というのを実施できるので、こちらを是非使っていただくよう働きかけをお願いしますということで、働きかけをいたしました。しかし、システム提供会社からはデジタル庁を含めて第三者への開示が不可のため、支援をお願いしたくても今できないといった地方自治体が多数ある声を伺っております。

 デジタル庁からも、この見積精査支援をやれるようシステム提供会社に、デジタル庁には開示できるといったような働きかけをお願いしたいと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

岸大臣政務官 委員が今御紹介いただきましたガバクラ移行後に料金が上がるという問題、また、そこに対して見積精査支援をデジタル庁が行っている、さらには、そこの運用実態として様々問題があるのではないか、こうした意識は我々も共有をしているところでございます。

 デジタル庁におきましても、委員御指摘のような御相談が地方公共団体から寄せられたこと、また、そもそも見積精査に必要な情報が開示されず、デジタル庁に支援を依頼するために必要な資料を用意できない、そういったケースがあったと認識しております。

 まずは、当事者間、地方公共団体と事業者間で解決すべき問題と考えておりますけれども、デジタル庁といたしましても、かねてから事業者に対しまして見積精査支援に必要な情報の提供を求めている、また資料等をリスト化してお示しをしているということでございます。

 見積書の内容について地方公共団体に丁寧に説明するようこれまでも要請をしてきたところでもございますし、今後とも、地方公共団体の御意見も踏まえながら、事業者に対して必要な情報開示を行っていただけるように要請をしてまいりたい、そのように考えております。

仙田委員 御答弁ありがとうございます。

 今政務官おっしゃっていただいたように、元々自治体システムの効率化といったところについては、オンプレミス、普通のハードからクラウドに替えることによって料金が削減できるというところが一つのうたい文句ではございましたけれども、実際高くなってしまっている自治体もあるというところでございます。

 その中で、見積精査をしっかりデジタル庁がやっていくというふうにしっかりと言っていただいているにもかかわらず、そこを要請してもなかなか受けていただけない会社がいるというところは、やはりデジタル庁さんの司令塔並びにガバナンスというところがしっかり利いていないんじゃないかというふうに思っておりますので、具体的にここの部分、どういうふうに見積精査支援を、開示をできるように働きかけていくのか、こちらについては改めてもう一度お願いしたいなというふうに思っております。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 二点ありまして、クラウドそのものの費用に関しては、事業者と国と自治体の間で関係がございますので、かなりきちっと分析ができるというふうに考えております。

 御指摘ありましたように、特にソフトウェア賃料であるとか、あるいは工賃の部分に関しましては、これは自治体とベンダーとの関係で、間にデジタル庁が介在しない中でどういったやり方があるかというところは今後研究してまいりたいところでございますけれども、一義的には自治体からの委託をきちっと受けて専門家がそこをレビューできるような仕組みとか、様々なやり方があると思うので、きちっと法令に基づいてどういったやり方があるかというところは研究してまいりたいというふうに考えておりますし、また、ベンダーともしっかりと信頼関係をつくっていくことが大事だと思うので、しっかりと建設的に、お互いメリットがあるような形で効率化していくということに取り組んでまいりたいというふうに考えております。

仙田委員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたんですけれども、これから見積りを精査していくに当たって、今後研究では遅いんですね。今回、五年間延長するということは、そこを目がけて今回やられた地方自治体があって、これからサービスインしたらその料金を払わなきゃいけないという地方自治体が今ある中で、これから研究では遅いので、具体的にいつまでにこの研究結果を公表する、若しくは回答するかというところをしっかり明言していただきたいと思っておりますので、いかがでしょうか。

楠政府参考人 可及的速やかに取り組んでまいります。よろしくお願いします。

仙田委員 可及的速やかにやっていただきまして、地方自治体のところでは料金が二倍、三倍に上がってしまっている自治体もございます。是非、早くやっていただきながら、そこについての精査支援含めて抜本的な対策をお願いしたいというふうに思っております。

 続いての質問でありますけれども、今回、五年延長するというところで、しっかりやり切っていくというお話を聞いておりますけれども、具体的にデジタル庁としてどのような支援を行っていく予定なのかというところをお伺いさせていただきたいというふうに思っております。

 今回、五年で確実に移行できるよう、省庁からの民間企業並びに地方自治体への出向者含めて抜本的な対策を講じていく必要があるというふうに思っておりますが、こちらに対するデジタル庁の見解をお伺いさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

谷委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。岸政務官。

岸大臣政務官 答弁申し上げます。

 まさにこの五年間でしっかりと進めていく、さらには遅滞なく進めていくということを申し上げましたけれども、人材面での出向に関してお話がありました。

 デジタル庁は、これまでにない官民融合の組織でございまして、これまでも民間企業から出向をしっかりと受け入れたりとか自治体出身の方々を受け入れて、またエンジニアなど専門人材を多く採用しておりまして、民間の知見やノウハウ、こうしたものを活用、共有しておるところでございます。

 他方で、デジタル庁採用の常勤職員については、在籍の期間もかなり短くなっておりまして、民間企業へ今から出向させて相互に知見を交換することは現時点では時期尚早であり、出向は行っておりませんけれども、環境が整った段階で、将来的に、民間企業の意向等も含めて、状況も踏まえ、出向、派遣、これを検討していきたいと思います。

 また、自治体への派遣に関しましては……

谷委員長 答弁は簡潔に願います。

岸大臣政務官 はい。

 むしろ今デジタル庁にいろいろな方々が来られている、そういう状況ですので、こういう考えをお示しさせていただきたいと思います。

仙田委員 ありがとうございます。

 四月八日の一般質問でも平大臣にお伝えしましたが、民間企業において、サービス開始を延期するというのは、多方面に大きな影響と莫大な追加コストが発生するため容易にはできません。次の更なる延長はないよう、五年後の第二十次地方分権一括法案に更なる期間延長法案が提出されないよう、覚悟を持って運営に当たっていただきますようお願い申し上げ、私の質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、大森江里子さん。

大森委員 公明党の大森江里子でございます。

 本日は、質問の機会を頂戴し、ありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 済みません、ちょっと順番を変えさせていただきまして、初めに地方分権改革についてお伺いさせていただきたいと思っております。

 平成二十六年四月から提案募集方式が導入されていますが、内閣府公表の令和六年までの都道府県別の提案実績のある市区町村割合の資料によりますと、都道府県ごとに提案実績に大きな差があるように見られますが、この差が生じている要因について御見解をお聞かせください。

坂越政府参考人 都道府県ごとの提案数の格差につきましては、各自治体における分権改革に対する優先度の違いや、都道府県による市町村へのサポート度合いの違いなどが影響しているのだろうというふうに考えております。

 このため、分権改革の意義や高い効果、実際の好事例をしっかり周知徹底するとともに、都道府県による市町村支援についても好事例がたくさん全国にございますので、しっかりそれを示しつつ、都道府県に働きかけてまいりたいと考えております。

大森委員 先ほどまでの質疑とちょっと重なってしまうかと思いますが、現場からのお声も伺っておりますので、御質問させていただきます。

 人口減少が進む中で、自治体の職員数も減る傾向にありまして、財政的にも厳しい自治体というのは増えていると思います。国から地方への更なる権限移譲を負担に感じているとの小規模な市区町村からの声もあります。

 政府が考える今後の地方分権改革の方向性について御見解をお聞かせください。

坂越政府参考人 お答え申し上げます。

 人口減少や過疎化、人手不足の深刻化に伴いまして、持続可能な地方行財政の確保が喫緊の大きな課題となってございまして、地方分権改革もこの課題解決に取り組むことが最優先課題と認識しております。

 このため、近年、地方からの提案の多くは、現場で実際に困っている切実な課題といたしまして、事務の簡素化、効率化、デジタル化を進め自治体の負担軽減を求めるものとなっておりまして、その実現は極めて重要と考えておりまして、重点的に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、国で定めました全国一律の基準が過疎地におきまして過剰な基準となっておりまして、サービスが空白地域になっているケースが多く見られます。全国一律の基準を柔軟に見直しまして、過疎地の行政サービスの確保を図っていくことも重要だと考えてございます。

 あわせまして、持続可能な地方行財政の確保は喫緊の課題でございますので、スピード感を持って対応する必要があると考えてございます。提案募集方式におきましても、提案に対する個別的対応のみではなくて、類似する案件も一括して制度改正を行う横断的対応を進めまして、スピード感を持って取り組んでまいりたいと考えてございます。

大森委員 ありがとうございました。

    〔委員長退席、牧島委員長代理着席〕

 これまでの委員の皆様からもお話がありましたけれども、地方分権改革、是非住民参加の視点で充実させていただきたいと思っております。

 地方分権改革有識者会議による地方分権改革の今後の方向性についてという資料では、今後、経営資源が縮小し、課題が多様化していく中、持続可能な行政サービスの提供体制を構築し、各地域の置かれた状況に応じて柔軟に対応するためには、地域の多様な民意を集約し、広い見地から個々の住民の利害や立場の違いを包摂した地域社会の在り方を議論する地方議会の役割も期待されるとあります。

 公明党は、三千人の国会議員と地方議員のネットワークがございます。現場のお声をよく聞かせていただき、現場をよく知る地方議員の皆様とともに地方分権改革に共に取り組ませていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、今回の一括法案のうち、地方公共団体情報システム機構法の一部改正について御質問させていただきます。

 住民基本台帳等の二十業務を標準準拠システムに移行する費用については、デジタル基盤改革支援基金を経由して上限の範囲内で地方公共団体に補助されていますが、今年度での移行が難しいシステムが存在するため、今回、基金の設置期限を五年延長することとしています。

    〔牧島委員長代理退席、委員長着席〕

 今年度末の移行期限に間に合わない特定移行支援システムの該当見込みは、デジタル庁で公表している資料によりますと、今年一月末時点では、前回発表の昨年十月末時点よりも八百二十四システム増加して二千九百八十九システム、特定移行支援システムを有する団体数は百五十二団体増えて五百五十四団体です。前回の発表よりも今回の発表の方が移行困難な数字が増えていますが、その事由と今後の見通しをお聞かせください。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、特定移行支援システムの該当見込みにつきまして、昨年十月末時点の状況を十二月に公表したところでございますけれども、今般、一月末時点の数値を取りまとめましたところ、全三万四千五百九十二システムのうち二千九百八十九システム、全システムの約八・六%が該当するというふうに見込まれております。

 増加の主な要因といたしましては、従来、移行スケジュールが確定的でなかったシステムにつきましても、実際に作業スケジュールの調整が進むに従って、事業者のリソース逼迫等を理由に標準準拠システムへの移行が二〇二六年度以降にならざるを得ないということが明らかになってきたといったことがあります。言ってみれば、より作業が前に進んでいることによって具体的に見えてきたというところでございます。

 現時点で今後の見通しを正確にお答えすることはかなり難しいですけれども、多くの自治体システムについて二〇二五年度末の移行期限までに移行できるように、作業が着実に進捗をしているという状況そのものは変わっておりませんので、引き続き、各自治体、事業者における移行作業の進捗の状況というのを注視してまいりたいというふうに考えております。

大森委員 ありがとうございました。

 また日が進むにつれまして、今のお話ですと更に具体的に現実が見えてくる、それによって数字が増えてくるということになるかと思いますので、更なるお取組をお願いしたいと思っております。

 今回の改正で基金の設置期限は五年延長いたしますが、移行作業の難易度は、地方公共団体によって状況が様々であると思います。先ほどもお話がございましたけれども、事由のうち、事業者のリソース逼迫による開発又は移行作業の遅延の影響を受けるものというのが圧倒的に事由としては多くて、独自のシステムを開発していた政令指定都市などは、特に標準化作業がより複雑で、現在の人員で対応できるのかとの不安のお声も伺っております。

 そこでお伺いいたしますが、基金の設置期限の延長だけではなく今まで以上の支援が必要かと思っておりますが、政府としてどのような検討をなさっているのか、お聞かせください。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 まずは、二〇二五年度末の移行期限に向けまして、少しでも多くの自治体システムが移行できるように関係省庁とも連携をして引き続き取り組んでまいります。

 一方で、今委員御指摘のように、標準準拠システムへの移行が二〇二六年度以降にならざるを得ないことが具体化しております特定移行支援システムにつきまして、これをちゃんとおおむね五年以内に移行できるように国としてどのように積極的に支援をしていくか、ここは非常に重要な点だというふうに考えております。

 具体的には、今回の法改正のほかにも、現行システムの事業者の撤退等によって、まだ次期事業者の選定に至っていない自治体等もございますので、これをPMOツール上で制度所管省庁からの助言を充実させていくといったところを始めとして、また、二〇二六年度以降は事業者のリソース逼迫が緩和するというところに加えまして、まさに御指摘のありました政令市を始めとした独自構築しているシステムをどのように対応していくかというところも重要なところとなってまいりますので、先に進めている団体の知見をどのように共有していくかを始めとして、やるべきことは非常に多いというふうに考えておりますので、各自治体の事情に応じて丁寧に対応してまいりたいというふうに考えております。

大森委員 ありがとうございます。

 これからが困難の山場だと思いますので、是非ともよろしくお願い申し上げます。

 ここで、ガバメントクラウドについても少しお伺いをさせていただきます。

 アメリカの相互関税が発動されまして、条件によっては、今、停止期間が設けられるようでございますが、今後アメリカの政権運営によってはこうした関税や規制がクラウドやサイバー領域にまで及ぶ可能性もあるのではないかと懸念しております。

 現在、ガバメントクラウドの多くは海外企業、アメリカの四社と、今年度末までに全ての要件を満たす条件付で日本企業の一社が選定をされています。ガバメントクラウドの基礎を特定の海外企業に過度に依存している現状は、国としてデジタル主権や経済安全保障の観点から極めて脆弱な構造ではないかと懸念をしております。国内事業者の参入をもっと拡大する必要があると思っておりますが、御見解をお伺いいたします。

布施田政府参考人 お答え申し上げます。

 ガバメントクラウドは、国内の事業者であれ国外の事業者であれ、最新かつ最高レベルの情報セキュリティーを確保できることなどの技術要件を満たすことを必須としてございます。

 委員御指摘のとおり、令和五年度の調達におきましては、アマゾン、グーグル、マイクロソフト、オラクルに加えまして、さくらインターネット株式会社のさくらのクラウドを条件付で国内事業者として初めて採用したところでございます。

 今後についてでございますが、現行のガバメントクラウドの契約満了後の令和八年度以降のクラウドサービス事業者の調達につきまして、最新の技術動向、また市場環境なども総合的に勘案した上で、今年度、適切に対応してまいりたいと考えてございます。

大森委員 ありがとうございました。

 国としてデータ主権を守るという姿勢を明確にし、少なくとも基幹的な行政データについては国産クラウドで是非安全に管理運用する体制を整える必要があると思っております。

 また、昨年成立いたしました情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の一部を改正する法律に対する附帯決議には、「ガバメントクラウドが海外企業のクラウドサービスに依存している現状について、データ主権及び経済安全保障の観点から懸念が示されていることを踏まえ、ガバメントクラウドの要件を満たす日本企業のクラウドサービス提供事業者を育成するための方策を早急に講ずること。」とあります。

 国産クラウドの開発は国の将来にとって極めて重要であり、人材育成も含めた国内事業者の育成には政府の後押しが不可欠だと思っております。また、事業者の育成となりますと、経済産業省の御担当になるということも承知しておりますが、国産クラウド開発の重要性に対する御見解を是非お聞かせください。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの答弁と重なりますが、令和五年度の調達におきまして、二〇二五年度末までに技術要件を満たすことを条件にいたしまして、さくらのクラウドを採用してございます。

 現在、このさくらのクラウドの開発状況を、定期的に進捗状況を確認させていただいて、二五年度末までにガバメントクラウドになるように対応を進めているところでございます。

 また、経済産業省におかれましては、日本国内の事業者が競争力あるクラウドサービスを提供するための技術開発などを支援してございまして、さくらインターネット社のさくらのクラウドもその支援対象に採択されているものと承知しているところでございます。

大森委員 ありがとうございました。

 時間が近づいてまいりましたので、残りの質問はまた別の機会で御質問をさせていただきたいと思っております。

 地方公共団体情報システムの標準化とともに、サイバー攻撃などにも対抗し、重要情報を保護するためにも、環境整備を含めた対策も必要だと思っておりますので、更なるお取組をお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、阪口直人君。

阪口委員 れいわ新選組の阪口直人です。

 全国千七百八十八の自治体のシステムを標準化するこの問題、既にかなり論点が出されておりますので、少し角度を変えた質問も含めてお伺いをさせていただきたいと思います。

 再三指摘されているように、標準化への移行が非常に困難であるということ、特に、移行期限に間に合わない、SEが不足していて当初考えたシステムへの移行が難しいということ、様々ありますが、そもそもこの法律は菅義偉内閣においていわゆる政治主導で行われたものということでございます。

 ホームページなどを見ると、提案募集方式によって、共有化すべきシステムの対象として二百三十二の様々な提案が寄せられているんですね。これ自体は非常にいいことだと思うんですが、そもそもこのシステムの標準化ということが地方からの要望、提案であったのか、それとも強引な政治主導であったのかということ、この点についてどのような見解なのか、これは質問にはありませんが、お考えを聞かせていただきたいと思います。

楠政府参考人 デジタル庁発足前の話でございますので、なかなかデジタル庁としての答弁は難しいところでございますけれども、官邸のマイナンバー等のワーキンググループにおりました者として当時のことを振り返りますと、十万円給付があったときに、これはかなりマイナポータルでも受付を行ったんですけれども、非常に操作性が悪かったことに加えて、後ろの事務がほとんど手作業で、エクセルで印刷したものを一個一個消し込んでいって、こういうところをデジタルでできないのかというところをやろうとしたときに、それぞれの自治体においてシステムがばらばらで共通化することが非常に難しいというところの議論が非常にございました。

 実は、それ以前、菅政権以前から、総務省におかれましても、自治体二〇四〇研究会を始めとして、これからの人口減少の社会においてどうやって各自治体の御負担を減らしていくかというところの議論の積み上げの上に成り立っている話でございますので、菅政権においてこれを加速する必要があるということで非常に後押しいただいたというところはございますけれども、基本的には自治体の方々も入っていただいて積み上げてきた議論がコロナ禍において加速をしたというふうに承知をしております。

阪口委員 非常に難しい質問に対して、大変上手な答弁だったと思います。

 ただ、地方がそれぞれの事情に合わせて創意工夫をして、そして地方のことは地方で決める、この地方分権の基本的な考え方からすると、千七百八十八ある自治体、様々な事情がある、特に小さな自治体などにおいては標準化を義務化するというのは相当無理があったのではないかと思います。この点については、今後様々な同様の改革を行う際には十分に留意すべきであるということをまずは申し上げたいと思います。

 そして、システムの標準化、先ほど答弁がありましたが、千七百八十八の自治体のうち五百五十四自治体が今年度中にシステムの標準化ができない見通しであるということですが、根本的な要因をどのように分析しておられるのか、改めて伺いたいと思います。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 理由は様々でございますけれども、当初、計画をした段階において、ただ移行するのであれば大きな問題がなかったところに関しましても、例えば、決めた後も、異次元の少子化対策であったりとか定額減税であったりとか様々な制度改革と並行してベンダーの皆様も取り組んでいらっしゃるというところもございますので、計画したときよりもやらなきゃいけないことが後から増えてきたという部分は一つ大きいのではないかというふうに考えております。

 加えまして、コロナ禍以降、IT投資そのものが非常に活発になっておりまして、公共分野に限らず大変なエンジニアの逼迫があるというような環境の中で、かなり無理をしてやりくりしていただいている。

 加えまして、一昨年、ちょうどマイナンバー法の大改正を行ったタイミングに、いわゆるひもつき誤り問題というのがございまして、このときにも、様々な事故等がある中で、システムの品質、データの品質というものをもっときちっと高めて住民の皆様に御迷惑をおかけすることがないようにというところで、ベンダーによってはかなりリソースを品質改善のところに振り向けられたことでなかなか当初のスケジュールどおりにいかなくなったといったところもあったというふうにお伺いしておりまして、そういった様々な、今激変の時代で、環境の変化がある中で、機動的に取り組んでいただいているというふうに認識をしております。

阪口委員 今の答弁を聞いていると、様々な困難が予測されていたにもかかわらず、悪い意味での政治主導で強引に標準化を決めた、そしてなかなかそこに追いついていけない地方自治体が犠牲になっている、このように私には読み取れるんですが、改めて、これは政治主導の悪い面がかなり顕在されているのではないかと私は思うんですが、このことについてお考えをお聞かせいただければと思います。

楠政府参考人 ちょっとお答えしにくいところでございますけれども、私どもとしては、しっかりと政治から後押しをいただいて今回の期限延長も行っておりますし、引き続きしっかりと自治体と寄り添って共に課題を乗り越えてまいりたいというふうに考えております。

阪口委員 政権の批判というのはできないことは承知の上でお伺いをいたしました。

 次に、システムが移行していく上でSEの確保というのは大変重要だと思うんですが、業務の困難さを含めたSEの確保についての分析であったり対策というものはしっかりなされていたのか。先ほど様々な予期せぬ事態もあったというような答弁もありましたけれども、でも、それが予期せぬものだったという分析はちょっと甘いんじゃないかなとも思うんですね。この辺りはどのようにお考えでしょうか。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル庁においても、個別のプロジェクトにおいて、それを遂行できるリソースがあるかということをしっかりと考えてくる機会というのはこれまで多くあったんですけれども、全国の自治体の三万四千ものシステムで、ベンダー自体、開発ベンダーが六十以上あり、デリバリーのベンダーが更に百数十というのがある中で、これは全体の状況を正確に把握できるかというと、やってみなければ分からない部分というのは大変多うございますけれども、推進していく中で、この二年近くでも非常に私ども解像度が上がっている中で、どこが足りなくなるというのを見ていきながら、そこをどうやって改善していけるかというところを取り組んでまいりましたし、今後も、解像度が上がってきた中で、どのように自治体をお支えしていくかということを一緒に伴走してまいりたいというふうに考えております。

阪口委員 移行期限に間に合わないシステム別の状況を見てみると、まずは共通機能の実装が間に合わないということが最大、次に障害者システムの構築、これが大きな問題、課題であるということをお聞きしています。この障害者システムというのはどのような点が難しいんでしょうか。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者支援であったりですとか介護ですとか社会保障分野のシステムというのが、全般的に、住民記録や税と比べると若干手間取っているという状況がございます。これは背景が何点かありまして、元々標準化に着手した時期そのものが一、二年遅れているというところもございます。スタートが遅いので、当然時間がかかるという部分。

 加えまして、社会保障というのは非常に、公約等でも各自治体においてかなり創意工夫をされていらっしゃる領域で、元々そういった施策に寄り添って取り組まれてきたところが多いので、なかなか標準化しづらい。上乗せの給付であったり横出しの給付であったり、そういった、住民記録なんかと比べますと、団体において非常に特色のある分野でございます。

 しかも、それは技術的な話だけではなくて、そもそも住民サービスの根幹に関わるところが非常に多うございますので、そこはかなり苦労をして、フィットギャップ分析を始めとして取り組んでいただきながら、今課題が明らかになっている状況であるというふうに考えておりまして、業務の性質上、きちっと住民に寄り添ってやっていこうとすると、障害者のところですとか介護を始めとしたこの分野というのは大変難しいというふうに承知をしております。

阪口委員 ありがとうございます。

 こういった全国一斉に、そしてまさに義務としてシステムを移行するということに関しては、民間業者の取り合いになると、どうしても財政力のない小さな自治体が不利になるという現状があると思うんですね。したがって、今回の様々な学びを今後に是非生かしていっていただきたいと思います。

 次に、介護保険法の介護施設の届出を生活保護法の介護機関の届出とみなすなどの手続の簡略化法案について伺いたいと思います。

 生活保護法上の指定介護機関が名称変更を行う場合は、介護保険法、生活保護法の両方で届出を出す必要が現時点ではある。しかし、改正案は、指定介護機関や都道府県の事務軽減の観点から、介護保険法の届出をもって生活保護法の届出があったとする法律案でございます。

 問題点としてこれはお伺いしたんですが、両法の指定が連動して失効する可能性もあると聞いているんですが、具体的にはどのようなケースでしょうか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今般の改正内容につきましてでございますが、現在、生活保護法に基づく指定を受けた介護機関、事業者に関しましては、生活保護制度と介護保険制度の双方の手続を要する状況でございます。

 これにつきまして、自治体からの提案を受けまして、こうした手続の重複を解消し、事業者と行政双方の事務負担を軽減するため、現在御審議いただいております地方分権一括法案によりまして、介護保険法による変更等の届出があった場合に生活保護法上の届出もあったものとして取り扱うとともに、介護保険法による指定の取消しや失効などがあった場合には生活保護法上も取消し等の効力が連動することとしたものでございます。

阪口委員 非常に分かりにくいといいますか、事業者が混乱する可能性もあると思うんですね。

 したがって、この制度改正の周知を徹底するということと同時に、失効してしまった場合にリカバーする、そのための支援も必要かと思います。この点についてはいかがでしょうか。

谷委員長 厚生労働省吉田審議官、時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

吉田政府参考人 はい。

 今ほど御説明したとおり、介護保険法に基づく指定の取消しがあった場合には生活保護法に基づく指定が失効することになる一方で、生活保護法に基づく指定のみが取り消された場合には介護保険法に基づく介護事業者の指定が連動して失効する規定は設けられていないところでございます。

 厚生労働省としましては、本法案が成立いたしましたならば、事業者や自治体に対しまして法改正の趣旨及び内容についてしっかり周知してまいりたいと考えております。

阪口委員 以上です。ありがとうございました。

谷委員長 次に、本村伸子さん。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 今回の分権一括法なんですけれども、大学発ベンチャーを支援するベンチャーキャピタルファンド等に公立大学法人が出資できる法案の中身となっております。これは元々、国立大学法人に対して、運営費交付金に依存するのではなく、企業の投資の呼び込みなどによる稼ぐ大学経営を押しつけてきた、こうした流れを公立の大学法人にも促すものであり、大問題だというふうに思っております。公的な財政支援こそ拡充する必要があるというふうに考えます。

 そこでお伺いしますけれども、今回、公立大学法人が出資できる、その出資の要件があるのかという点、文部科学省にお伺いしたいと思います。

森友政府参考人 お答え申し上げます。

 公立大学法人の出資に当たりましては、公立大学法人が無制限に出資の対象を広げること又は出資額を増やすことがないよう、国立大学法人の例に倣い、設立団体の長の認可を要件とし、設立団体が関与することにしております。

本村委員 要件ですね。認可基準はないということだというふうに思います。

 投資によって命を奪うことに加担する、あるいは人権を侵害することに加担する、そういうことがあっては絶対にいけないというふうに思っております。

 投資、出資に関しましては、出資した先の全てのサプライチェーン、あるいは作った製品、これが人権侵害を引き起こすことがあってはならない。その責任が、出資をする、投資をするところに責任があるというふうに思います。

 私は、この間、独立行政法人であります年金積立金管理運用独立行政法人、GPIFが、ガザ地区で七月七日の時点で一万八千人の子供たちの命を奪っているイスラエルの国債、ここに投資をしている。二千二百七十億円。そして、イスラエルに兵器を供給する軍事企業の株式に関して、十一社六千三百九十八億円、これは二〇二四年三月時点の数字ですけれども、そうしたところに投資をしていることを本当に憤りを持って、やめるべきだということで市民の皆さんと一緒に厚生労働省にも物を申す、そういう交渉の場にも参加をさせていただきました。

 この点に関しましては、子供政策を担うこの委員会の全ての皆さんが、こうした投資はやめるべきだということを声を上げていただきたいということも強く申し上げたいというふうに思います。こういうふうに、投資によって人権を侵害することに加担する、こんなことは絶対にあってはならないというふうに思っております。

 今回の、大学発ベンチャーを支援するベンチャーキャピタルファンド等に公立大学法人が出資をするということに関しまして、軍事に関わる事業には出資できないというふうにするべきだというふうに考えますけれども、これは文部科学副大臣、そして地方創生担当大臣の伊東大臣に是非お願いをしたいというふうに思います。

武部副大臣 公立大学法人の出資対象の拡大については、研究成果や教育研究施設等の資源の社会への還元や、自ら投資を呼び込み、成長し続ける経営モデルの実現に資するものと期待をしております。

 先ほど政府参考人が答弁しましたけれども、公立大学法人の出資に係る要件等につきましては、国立大学法人の例に倣い、設立団体の長の認可を要件としておりまして、設立団体が関与することとしているため、各設立団体において適切に判断、設定されるものと承知しております。

伊東国務大臣 所管外ではありますけれども、先ほど文部科学副大臣の答弁があったとおり、公立大学法人の出資に係る要件等につきましては、国立大学法人の例に倣い、設立団体の長の認可が要件とされていると承知しております。このため、設立団体が関与することとされていることから、各設立団体におきまして適切に判断、設定されるべきものと承知しているところであります。

本村委員 大変残念な答弁だったんですけれども、国立大学法人の出資に関する認可基準を見ても、そうした点は書いていないわけです。暴力団の、そういったところには駄目ですよとか、そういうことは書いてあるんですけれども、軍事は駄目だ、非軍事でなければならない、そういうことは書いていないわけです。

 今、国連ビジネスと人権作業部会では、ビジネスと人権指導原則の採択から十年を経て、この節目の年に、次の十年に向けたロードマップの中で、全ての企業と国の関与するビジネスについては国も規制の対象とする法制度を求めております。世界の流れはそういうふうになっておりまして、当然ながら、この国立大学、公立大学に関わる出資も、そうした観点で投資、私たちは投資をするということは反対ですけれども、もしやるのであれば少なくともそうしたルールを作るべきだというふうに思っております。

 是非、今回の出資に関して、非軍事、ビジネスと人権に関する指導原則、強化された人権デューデリジェンスを厳しく実施していただくこと、そして人権侵害を回避することについてルールを作っていただきたいというふうに思いますけれども、これは総務副大臣にお願いしたいと思います。

冨樫副大臣 今回、拡充対象となる三類型のうち、認定特定研究成果活用支援事業者への出資については、対象となるベンチャーキャピタルやファンドは文部科学大臣と経済産業大臣による認定が必要となっているところです。

 また、拡充対象となる全ての類型において、公立大学が個別の出資を実施するには、設立団体である自治体の長の認可が必要となっております。このような仕組みは国立大学法人の例に倣っているものであり、具体的な出資対象については、設立団体である自治体、公立大学法人において適切に判断されるべきものと考えております。

 以上です。

本村委員 是非ルールを作るべきだというふうに思います。人権侵害に加担をする、命を奪うことに加担をする、そういうことが絶対にあってはならないというふうに思います。

 国立大学の出資に関する認可基準も、是非、非軍事、ビジネスと人権に関する指導原則、人権デューデリジェンスを厳格に実施し、そして人権侵害を回避する投資、ESG投資、こういうルールを作るべきだというふうに考えますけれども、これは文部科学副大臣に改めてお願いをしたいと思います。

武部副大臣 国立大学法人及び大学共同利用機関法人の出資に関する認可基準は、国立大学が出資できる事業者の種類や、その事業者の適格性などを確認するためのものです。事業者への出資については、国立大学等の定める方針の下、出資する各ベンチャーキャピタルにおいて適切に判断されるものと考えております。

 なお、国立大学が出資するベンチャーキャピタルからの投資先については、御指摘の人権侵害等、倫理上問題のある事業に出資が行われることは想定されておりません。

本村委員 今後もないようにということで、是非ルールを定めていただきたいというふうに思っております。

 次に、公立大学が出資をして、そして利益を生じた場合ですけれども、大学への運営費交付金は減らさないように地方財政措置をするべきだというふうに考えますけれども、これは総務副大臣、お願いしたいと思います。

冨樫副大臣 公立大学法人については、設置者である自治体において、法人運営に必要な経費のうち、授業料などで賄われる以外の部分を運営費交付金として交付されているものと承知しております。

 総務省においては、公立大学に関して、自治体が公立大学を運営するための標準的な経費について、学生一人当たりの単価に学生数を乗じて算定し、普通交付税措置を講じているところであります。この地方財政措置に対して、個々の公立大学における出資による利益が影響するものではありません。

 公立大学の運営に関して引き続き所要の地方財政措置を講じ、適切に対応してまいります。

本村委員 どこの大学、学校でも、今運営するために大変な状況となっております。公的な財政支援強化こそ必要だというふうに強調させていただきたいというふうに思います。

 今、学生さんも、学生さんがいらっしゃる御家庭も、本当に大変になっております。東京私大教連の調査では、二〇二四年春の新入生、入学の年にかかる費用は自宅外の通学生で平均三百十三万円ということで、入学費用のための借入金二百三万ということで過去最高となっております。九割以上の家庭が入学費用の負担が重いというふうに答えております。

 にもかかわらず、今年の四月から大学の授業料が値上げをされるという事態が発生をしております。私の地元の大学でも値上げがされました。

 そこでお伺いしますけれども、四月からどれだけの大学、短大、専門学校、高専もあれば、授業料の値上げをしてきたか、そのことを是非お示しいただきたいと思います。副大臣、お願いします。

武部副大臣 大学等の授業料については、関係法令等に基づいて、各大学等の設置者の判断により徴収されているものです。

 お尋ねの本年四月からの見直しについては、国立大学では一校が授業料の見直しを行ったと承知しておりますが、公立や私立の大学等の授業料の見直しの状況については把握しておりません。

 なお、私立の大学等については、初年度授業料の平均額を分野別に隔年で調査、集計しておりますが、私立大学は令和三年度は九十三万九百四十三円であったのに対し、令和五年度は九十五万九千二百五円と上昇傾向にあるところであります。

 いずれにせよ、文部科学省としては、基盤的経費などの機関支援と給付型奨学金等の個人支援の両者を組み合わせながら、高等教育費の負担軽減に取り組むとともに、各大学等が安定的、継続的に人材の育成や教育研究を実施できるよう、しっかりと支援してまいります。

本村委員 文部科学省に、私も値上げだけはやめてほしい、せめて値上げだけはやめてほしいと申し上げたときに、高等教育局長が、本当に学費が重いんだという主張に対して、それは主観ですよねと言ってきたんですよ。やはりそういう感覚は本当におかしいというふうに思いますので、武部副大臣、是非その点も正していただきたいというふうに思います。

 公立大学でも、物価の高騰の下で大学運営が非常に大変になっています。それを出資などで稼がせるのではなく、教育予算を抜本的に増やして、全ての大学、短大、専門学校、高専など、学費を半額にし、無償化に踏み出すべきだというふうに考えます。また、少なくとも授業料の値上げを食い止めるべきだというふうに思います。

 武部副大臣、是非政治力を発揮していただきたいと思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。

武部副大臣 文部科学省としては、経済的な理由で学生が学びを諦めるということがないようにすべきというふうに考えております。

 このため、機関支援と個人支援の両者を組み合わせながら予算確保に取り組むことが重要であると考えており、令和七年度予算においては、国立大学法人運営費交付金などの基盤的経費、低所得者世帯や多子世帯の学生等への授業料、入学金の無償化などに必要な予算を計上しております。

 先月末には、多子世帯の学生等の授業料等無償化に関する法律も成立していただきました。引き続き、高等教育の負担軽減に取り組むとともに、大学の実情を把握しながら、各大学が安定的、継続的に人材の育成や教育研究を実施できるよう、支援してまいります。

本村委員 元々子育て世帯の六五%が生活が苦しいとお答えになっております。そこに学費が乗せられたら本当に大変な状況なんです。是非この実態を国としても把握していただいて、学費、全体を値上げしたかどうかについては、全体を把握していないわけですから、是非把握して、絶対にもう値上げをさせないということを最後にお願いしたいと思います。

武部副大臣 繰り返しになりますが、教育費の経済的負担を軽減するために、機関的支援と個人支援をしっかりと組み合わせながら必要な予算を確保してまいりたいと思います。

本村委員 教育予算の抜本的な拡充こそ必要だということを強く申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。本村伸子さん。

本村委員 私は、日本共産党を代表し、第十五次地方分権一括法案に反対の討論を行います。

 反対の理由の第一は、地方独立行政法人法と産業競争力強化法の改定についてです。

 本法案により、公立大学法人が学校発ベンチャーに投資、支援を行う認定ベンチャーキャピタルファンド等への出資が可能となります。同制度による出資は、先行して国立大学法人で行われており、二〇二三年度末時点の官民イノベーションプログラムの実績では、投資額八十六・三億円に対して百五十二・二億円の回収額で、回収率はプラスだと説明しています。

 しかし、この実績は、IPOやMアンドAにより利益を得たエグジット案件、最初の成功可能性が高かったケースの数字ではないのか、エグジット案件を含めた投資先会社数二百二十六社のうち約二一%の結果にすぎず、その他は不透明です。既に清算した会社も五社あり、現時点ではプラスであったとしても、情勢の変化次第では今後投資結果がマイナスとなる可能性もあります。

 国立大学法人でもそうですが、公立大学法人でも出資に際して非軍事や人権侵害を回避する基準もありません。

 不透明な財政運営に道を開く措置ではなく、教育予算を抜本的に増やして、全ての大学、短大、専門学校など学費を半額にし、無償化に踏み出すことができるよう、公的な財政支援の拡充こそが必要です。

 第二の理由は、マイナンバー法の改定についてです。

 法案では、家畜人工授精師の免許に関する事務においてマイナンバーの利用を可能とします。マイナンバーは元々、社会保障制度、税制、災害対策の三分野に限定して利用するとしていましたが、これまでの改正でそれ以外の分野でも利用を可能とし、今回はその対象を拡大します。

 マイナポータルを通して各種手続等を行うとしていますが、マイナポータルでは、世帯・戸籍情報、健康・医療、年金関係、一部の国家資格等で既に様々な個人情報がひもづき、確認できるようになっています。マイナンバーカードと暗証番号が入手されれば、こうした情報が一気に流出し、情報漏えいの危険性が更に高まります。

 さらに、プロファイリング規制もなく、個人情報保護施策が弱い中で、マイナンバー、マイナポータルの利用が拡大していくことは、個人情報の利活用、人権侵害を引き起こすことにつながります。

 以上、反対の理由を述べ、討論といたします。

谷委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、牧島かれんさん外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。福森和歌子さん。

福森委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の事項に十分配慮すべきである。

 一 デジタル基盤改革支援基金の設置期限を五年間延長するに当たっては、国は、住民の利便性の向上や地方行政運営の効率化の観点を踏まえ、各地方公共団体の自主性を尊重しつつ、着実かつ早期に標準準拠システムに移行できるよう、必要に応じた地方公共団体へのデジタル庁による技術的支援及びシステム提供会社との調整を含め、必要な措置を講ずること。また、基金の設置期限までに移行が困難な場合、国の責任において必要な人的・財政的支援を行うこと。

 二 国及び地方公共団体情報システム機構は、デジタル基盤改革支援基金の適切な管理に努め、積み増しを行う場合は、地方公共団体への悉皆調査を行い、必要額を措置すること。また、各地方公共団体の移行の進捗状況等に十分配慮した上で、残高が過剰となった場合には余剰分について速やかに国庫に返納すること。

 三 標準準拠システムへの移行に当たっては、国は、地方公共団体及び事業者への過度な負担が生じないよう、地方公共団体等の実情を踏まえた上で調整を十分に行い、必要かつ適切な支援を行うこと。

 四 公立大学法人による出資については、各公立大学法人の自主性・自律性を尊重するとともに、公立大学法人の財務基盤強化の意欲が削がれることがないよう留意すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。伊東国務大臣。

伊東国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえまして配慮してまいりたいと存じます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

谷委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

谷委員長 次回は、来る十五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


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