衆議院

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第3号 令和7年3月14日(金曜日)

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令和七年三月十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 金子 恭之君

   理事 古賀  篤君 理事 土屋 品子君

   理事 平沼正二郎君 理事 小熊 慎司君

   理事 近藤 和也君 理事 森山 浩行君

   理事 林  佑美君 理事 田中  健君

      大空 幸星君    尾崎 正直君

      鬼木  誠君    梶山 弘志君

      工藤 彰三君    小寺 裕雄君

      後藤 茂之君    田畑 裕明君

      西田 昭二君    根本 幸典君

      松本  尚君    松本 洋平君

      簗  和生君    阿久津幸彦君

      梅谷  守君    岡島 一正君

      岡本あき子君    金子 恵美君

      小宮山泰子君    齋藤 裕喜君

      竹内 千春君    馬場 雄基君

      福田 昭夫君    柳沢  剛君

      山 登志浩君    山田 勝彦君

      市村浩一郎君    和田有一朗君

      菊池大二郎君    鳩山紀一郎君

      中川 宏昌君    西園 勝秀君

      山崎 正恭君    櫛渕 万里君

      堀川あきこ君    北神 圭朗君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       伊藤 忠彦君

   国務大臣

   (国土強靱化担当)

   (防災担当)       坂井  学君

   国務大臣

   (防災庁設置準備担当)  赤澤 亮正君

   厚生労働大臣政務官    吉田 真次君

   農林水産大臣政務官    庄子 賢一君

   防衛大臣政務官      金子 容三君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  倉野 泰行君

   政府参考人

   (内閣官房国土強靱化推進室次長)         丹羽 克彦君

   政府参考人

   (内閣官房防災庁設置準備室次長)

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     桜町 道雄君

   政府参考人

   (復興庁統括官付審議官) 牛尾 則文君

   政府参考人

   (復興庁統括官付審議官) 瀧澤  謙君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           小谷  敦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        和久田 肇君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           横山 征成君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         服部 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         安部  賢君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 小田原雄一君

   衆議院調査局第三特別調査室長           南  圭次君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     大空 幸星君

  小宮山泰子君     岡本あき子君

  杉本 和巳君     和田有一朗君

  中川 宏昌君     山崎 正恭君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     松本  尚君

  岡本あき子君     山田 勝彦君

  和田有一朗君     杉本 和巳君

  山崎 正恭君     中川 宏昌君

同日

 辞任         補欠選任

  松本  尚君     小森 卓郎君

  山田 勝彦君     山 登志浩君

同日

 辞任         補欠選任

  山 登志浩君     小宮山泰子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災からの復興・防災・災害に関する総合的な対策に関する件

 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

金子委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災からの復興・防災・災害に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官倉野泰行君、内閣官房国土強靱化推進室次長丹羽克彦君、内閣官房防災庁設置準備室次長、内閣府政策統括官高橋謙司君、復興庁統括官桜町道雄君、復興庁統括官付審議官牛尾則文君、復興庁統括官付審議官瀧澤謙君、消防庁国民保護・防災部長小谷敦君、資源エネルギー庁資源・燃料部長和久田肇君、国土交通省大臣官房審議官横山征成君、国土交通省大臣官房技術審議官服部卓也君、国土交通省大臣官房技術参事官安部賢君及び環境省大臣官房審議官小田原雄一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小熊慎司君。

小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。

 本当に最近災害が続いていて、埼玉県の八潮市では道路の陥没事故、これも救助法の適用になりましたし、また、私の地元もそうでしたけれども、災害級というよりは大雪災害でありました。ただ、二月七日、地元の市町村長さんと連絡を取り合って、内閣府始め担当省庁に連絡していたところ、その日のうちに救助法適用になったということで、これは大変動きも早かった、関係市町村また県の動きもうまく連携が取れたということで、適用になったということは感謝を申し上げるところでありますし、一定の評価をするところであります。

 また、その後の岩手県での大船渡の大規模火災など、これも大変痛ましいところであり、犠牲になった全ての皆様と被災された皆様方にお見舞いを申し上げる次第であります。

 これはやはり、近年、災害がいつ起きても、日常の中で起きるんだという心構えをしていかなければいけないというふうにも思います。そういう中においていうと、災害対策基本法の改正もなされようとしているところでありますし、また、災害救助法の改正もなされようとしています。我々野党も対話は持っていますが、熟議の国会の中で、よりよい形になって修正、改正されればなということを願うところであります。

 それで、この改正のところの、これは実際の審議のところに詳細は、議論は任せたいと思いますが、野党と与党案の、今、差の部分というのは、いわゆる災害時における従事命令の対象者、福祉もやはり入れていかなきゃいけないだろう、これも詳細にフォーカスしていこうというところも議論されているところでありますけれども、この従事命令をした場合に、従わなかった場合、罰則が今のところはかけられている、でも福祉関係者はちょっと違うだろう、我々野党側はそういうふうに思っているところであります。

 やはり福祉関係も広い範囲でもありますし、そういうところに、刑事罰の威嚇によって行けよということではないんじゃないか、そぐわないんじゃないかというふうに考えます。

 そういう意味では、この改正に当たっては、福祉関係者は従事命令に従わなかった場合の罰則は除外すべきだと思いますけれども、政府の見解をお伺いします。

坂井国務大臣 御指摘のように、災害時における福祉サービスは大変重要でありまして、災害関連死の防止という観点からも必要でございます。そして、現行の災害救助法におきましては、災害発生時に人命を守り、被災者の保護を図るため、今委員がおっしゃられたように、従事命令について規定をしているところでございます。

 被災者への福祉サービスの提供が確実に行われるよう、医療、土木建築工事また輸送関係者と同様の措置を講じることとしたところでございますが、これらの措置は、人命を守るに当たって、万が一の場合を考えてということでございまして、実際に今までは御協力をお願いをし、そして福祉関係者にも全力を挙げていろいろ御協力をいただいているのが実態でございますが、命に関わるという、ある種、最後の手段として規定されるものと考えております。

 改正法の運用に当たっては、災害派遣福祉チーム、DWATの活動範囲を拡大をし、福祉サービスの提供を充実させることを想定しておりますが、これまでと同様、福祉関係者の皆様の御協力により、被災者への支援が円滑に行われますよう取り組んでまいります。

小熊委員 これは、災害によってですけれども、今回、私の地元、またほかのところもあった大雪災害なんかは、本当に大変な冬だったんですけれども、行けよと言っても、自分のうちからも出るのに何時間もかかるという場合もあるんですね、大雪なんかの場合は全体がそうですから。実際、僕の地元では、ごみの収集が止まったんですよ。バスも来なかったりした日もあったということで、大臣は雪国じゃないから分からないかもしれないけれども。

 だから、そういう場合も考えたら、出たくても出られないし、じゃ、出ていくときに、自分のうちもどうするのとなるんですよ。僕は地元で消防団活動もしているけれども、消防団員ともしゃべるときに、おい、大規模災害のとき、消防団の心意気で行こうぜというのもあるけれども、自分のうちも、自分の家族もどう守るんだというのもあって。

 だから、これは一律に、その趣旨は分かるんですよ、命に関わりがあるから止めちゃいけない、福祉サービスを止めちゃいけないというのはあるけれども、物理的に難しい場合があるから、ここは弾力的に考えた方がいいし、福祉関係者はちゃんとした志を持ってやっていますから、罰則なしでもちゃんと従事命令に従うと思いますよ。それを威嚇によってやるということの方がよくないと思う。もう一度答弁。

坂井国務大臣 威嚇によってやらせるという趣旨ではないということは御理解いただいているものと思ってはおります。当然、そのときそのときの環境や状況が違いますから、実際に、駆けつけろと言っても駆けつけられない方に命令を出して罰則をかけるというようなことはあってはならないことでありますし、それは、当然、そういったことが起きないように最大限努力はしてまいるところでございます。

小熊委員 威嚇に思うかどうかは、それは受け手の問題なので、法律を制定する側の話ではないので。でも、弾力的にこれはしっかりやっていくということを、今後、与野党間で調整も図られると思いますから、是非、熟議の上で、いい改正にしていただきたいと思います。

 次に移りますけれども、大雪災害のときに、すぐ災害救助法の対象になって関係市町村長も喜んでいたんですけれども、国の予算的措置はありがたいんだけれども、やる人がいないと。マンパワーの問題もあります。そういう意味では、予算措置だけではなくて、まさに人員的な災害における支援というのをどうするのか、真剣に考えなきゃいけない。

 これは内閣府の防災担当は分かっていたんですけれども、雪を知らない人に雪かきに行ってもらっても逆に足手まといになるからと、それもあった。単に、単純に人員がいればいいという話でもないので、やはり人的支援というのを今後様々考えていかなければいけないと思います。

 この点についてはいかがですか。

坂井国務大臣 まず、私、申し忘れておりましたが、内閣府防災のスタッフの対応を御評価いただきまして、こういった公の場で御評価いただいてありがたいと思っております。一生懸命やっております。足りない分は、また御指摘をいただく中で改善をしていきたいと思います。

 今おっしゃられた、御指摘された人員確保というのは、まさしく、今あちらこちらで課題になっておりますし、大変重要な課題でございまして、応援職員という形で迅速に派遣をしたい、また、するということも実際やっております。

 また、被災した建物の公費解体等については、全国から関係者を集めてやっていただくというようなことで今取り組んでいるところでございます。

 また、今回国会に提出した災害対策基本法等の改正案におきましては、国の応援組織体制を充実強化をし、要請がなくとも国が先手で支援することを明確化するとともに、NPO、ボランティア団体等の登録制度を創設をして、いざというときに即、いわば連携を取って駆けつけていただけるような、こういった仕組みを構築していくということとしております。

 これらの取組により、災害対応に当たる人員の確保に努めてまいりたいと思っております。

小熊委員 AIに聞いても、そういう答えは出てきたんだけれども。だから、言ったとおり、雪の除雪とかというのは、知らない人がやっちゃうと全然効率もよくない、それは担当者は分かっていましたよ。だから、しっかりそういうことも踏まえてやらなきゃいけないし、ボランティアも、じゃ、ほかから来るといっても、雪国の人は同じ大雪で困っていたりするから。

 人口減少、東京一極集中で、本当に、あらゆる意味で、災害だけじゃなくて、マンパワーが足りていないというのが今地方の実情ですから、これはしっかりまた議論したいと思いますけれども、是非、そのマンパワー不足をどう解消していくのか。誰でもいいんだという場合じゃない場合もあるんですよ。誰でもできるものもあれば、できないものもある、それをちゃんと分けて、体制強化をしていっていただきたい。

 次に移ります。

 東電の原発事故、これから丸十四年たちましたけれども、総理においては福島の祈念式典に来ていただいたことは一定の評価をしますが、この東電の原発事故で発生した除染土、さきの参議院の予算委員会では、これは東京ドーム十一個分あるわけですよ、一定基準以下のものは、これは再利用する。これは皆、大臣の、皆さんの地元でも対象なんですよ。どこでも、委員長のところでも。皆さんのところでもです。これは福島県内もです。最終処分場に持っていくやつは県外ですけれども、再生土は全国、福島県も含めてどこでも使ってくださいということなんです。

 東京ドーム十一個分のうち十個分ぐらいあるんですが、今、お手元の資料のとおり、関係省庁が植木鉢でやっていただいているんですけれども、これを広めたって、東京ドーム十個分は解消されない。

 さきの参議院の予算委員会で、官邸でも使いますよと言ったんですが、官邸ではもう今植木鉢は置いてある。官邸で使うと総理も明言、今日は総理じゃないからあれですけれども、官邸で使うとなった場合、植木鉢を増やすのか、それともそこの植栽までやるのかで全然話は違うんですよ。

 だって、実験しようとして、新宿御苑と所沢の環境省の施設では住民の反対を食らって頓挫しちゃったわけでしょう。これは、植栽をやるといったら、この辺の、町内会というのはあるのかな、町内会とか自治体とかにも協議しなきゃいけないと思うんですけれども、そこはどうなっているかということ。

 あと、確認します。これは東京ドーム十一個分ですけれども、その基準、高いものは県外ですが、再生土が三十年後、実質二十年後ですけれども、これを迎えたときに再利用する土が残っている場合は、そこに置いておかれるのか、やはり最終処分地に行く対象の土になるのか、まず確認させてください。

小田原政府参考人 福島県内で生じました除去土壌等の三十年以内の県外最終処分という方針は、国としての約束でございますが……

金子委員長 もうちょっとマイクに寄ってください。

小田原政府参考人 法律にも規定された国の責務でございます。

 この県外最終処分の実現に向けては、最終処分量を低減することが鍵でございまして、現在、環境省では、IAEAや有識者からの御意見などを踏まえて、除去土壌の再生利用、また最終処分に関する……(小熊委員「それは分かっている。端的に。三十年後どうなるの」と呼ぶ)はい、分かりました。

 この県外最終処分を進めていこうとしているところでございますが、再生利用を進めていく中で、仮にですけれども、中間貯蔵開始三十年以内に再生利用ができなかった場合は、最終処分の対象になるものと考えられます。

小熊委員 大臣、そういうことなんですよ。東京ドーム十一個分が一個分以下になる、県外に持ち出すのは、最終処分に持っていくのはと言っていたんだけれども、再生利用されなければ、それも最終処分の対象になるんですよ。

 これは、大臣分かっているとおり、三十年後といっても、実質、二〇四五年だから、あと二十年なんです。今までの計画を、搬入とかいろいろなことを考えると、あと、もし適正な土地が選ばれたら住民に説明とかいろいろな準備を考えると、あと十年ぐらいで選定されていなきゃいけないんですね。

 だから、あと十年ぐらいの間に、再生利用の東京ドーム十個分が全国のいろいろなところで使われるということを努力しなければ、東京ドーム一個分だけじゃなくて、仮に東京ドーム七個分余ったら、その分の土地も探さなきゃいけない。選ぶ土地の面積が変わってくるんですよ。

 大臣、それを認識した上でしっかり対応していますか。これは分かっていましたか。大臣のところで再生土を使うと選挙区内でいろいろ話し合ったことは内々でもありますか。

伊藤国務大臣 まず、この件につきましては、去年の十二月の終わり頃に、官房長官を筆頭として、議長として、私それから環境大臣も副議長となりまして、全部の閣僚で対応していくこととして、今おっしゃっていただきました福島県外に排出していくということについて、御協力をいただく方向できっちり事が進んでいけるように、十分な配慮を持って進めていくようにというきつい会議もセットされたところでございます。

 そんな中でなんですけれども、福島県内の除去土壌等の県外最終処分や再生利用の推進に当たりましては、なおかつ、都道府県や市町村等、国民の皆さんの御理解、御協力を重要な認識としております。

 いまだ、読売新聞の状況によりますと、なかなか、御了解をいただいている県がほとんどありません。ですので、これからやっていかなければならないことはたくさんありますけれども、おっしゃったとおり、お約束でございます、県外排出が。これをしっかり守るべく我々としては事をなしてまいりますので、どうぞよろしくお願いします。

小熊委員 福島の復興なくして東北の復興なし、日本の再生なしとよく使うけれども、だから、双葉町の町長は、これは住民の中でも意見が割れると分かっていて、使ってみるというのを問題提起したんですよ。

 だから、大臣、やってみたら。僕、地元でも、内々だけれども、市町村長に再生利用どうかと聞いていますよ。調べると住民は意見分かれるよねと。大臣なんだから、率先して選挙区内の市町村長に議論を投げかけてみてもいいんじゃないですか。

 官邸では使うと言ったでしょう。官邸で使う場合、これは外で使うの、植栽のところで。そうしたら、千代田区と港区のはざまだけれども、この人たちにも説明しなきゃいけないんですよね。総理はそういうつもりで言ったのかな。これは総理がいないから、担当官、どうですか。官邸で使うというのはそういうことで、外で使うということであれば、その説明はしなきゃいけないですよね。

小田原政府参考人 今お話がございました……

金子委員長 ちょっと声が小さい。

小田原政府参考人 はい。

 お話がございました再生利用先の創出に向けては、官邸での利用も含めて現在検討を進めている段階でございまして、まだ具体的には決まっていないところでございます。

小熊委員 これは参議院の予算委員会で、やると総理は結構明言したんですよ。心意気はいいけれども、やっていることが植木鉢を何個か増やしただけといったのでは、これはばかにした話ですから。官邸自ら、ここでやると。我々もそうですよ、国会の関係者として、この地域の人たちを議論に巻き込むんですよ。それで二分するんです。こういうことが福島県ではずっとこの十四年間起きてきたんですよ。

 これはやはり、日本全体の問題として背負うのであれば、国会でも使うとやったらいいんじゃないですか、植栽で。周辺の関係者と我々も議論してみましょうよ。そういうことをなしに、幾ら責任を持ってやるといったって、これは進まない。是非、大臣、そういうことを率先して、具体的に、そして、本当に地域の人たちと議論する場でそこまで明言できるようにしていただきたい。

 時間がなくなりました。次の質問をしないで一言だけ言いますが、F―REI、起工式を今度やりますけれども、世界に冠たると言っている割には、お手元の資料のとおり、これは一概には比べられませんけれども、国の関係する研究機関と予算はこれだけ違います。これで世界に冠たると言っているんですから、これは看板倒れです。期待はしているんですよ。もっとちゃんと力を入れてもらわなきゃいけないし、世界に冠たると言いながら、今のところ、委託研究は海外からはゼロです。世界の評価はそういうことです。

 世界に冠たると言うのなら、その心意気、勢いにふさわしい対応、海外との連携も含めやっていただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 立憲民主党、石川県能登半島の近藤和也でございます。

 能登半島地震から一年二か月がたちました。そして、豪雨からは五か月がたちました。関係者の皆様には、復旧復興に多大なるお力添えをいただきまして、心から感謝を申し上げます。

 一年前の手帳を見返しましたら、仮設住宅がようやく建ち始めてきたというメモですとか、あと、流れた船が新潟に着いて、その処理費用を何とかしてくれという要望をいただいたりですとか、水がようやく来始めたけれども、浄化槽が直っていない、下水道が直っていない、全然水が使えない、何とかしろという御要望であったり、そのような状況でございました。そしてまた、特に田んぼですね、作りたいけれども、早く土砂をどけてくれ、また、水が全然通らない、もう植えるのは無理だ、補償は何とかならないのかというのもちょうど一年ぐらい前のことでした。

 それから比べれば、随分と今解体も進んできましたし、仮設店舗もかなり、何店舗も今開かれてきています。

 一方で、九月の豪雨災害によって、作れない田んぼは更に絶望的な、絶望という言葉がいいか悪いか難しいですけれども、一年、二年では作れないという田んぼも今出てきていますので、地震よりも更にひどい目に遭っているということも事実でございます。

 一つ一つ丁寧に、政府、行政に関わる皆様と対話をしていきながら、そして関係者の皆様にお力添えをいただきながら、また前へ進んでいけたらと思います。

 今胸に着けていますのは、石川県が開発したエアリーフローラという花でございます。フリージアの一種でして、花言葉は希望です。

 今、商売をされておられる方々は、希望をつくろうということで、人から与えられるものじゃなくて、やはり自分たちで夢を持って、希望をつくって頑張っていこうということで日々歩んでいらっしゃいます。心折れていらっしゃる方を無理やり起こすわけにもいかないんですけれども、何とか周りで、みんなで盛り上げていけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

 その中で、今、公費解体が進んできてはいます。公費解体が進んでいるから、大変すかすかになってきて、空が見えるようになってきて、向こう側が見えるようになってきてつらい一面もあるんですが、一方で、今、公費解体の申請をしたけれども、所有権の問題で前へ進めないんだ、何とかしてくれないかというお声を、半年前もいただいていますが、今もかなりいただいてきています。

 その中で、今、石川県では約三万八千件の申請、二月末でございますが、実際には、受理と申請がイコールなのか、そこで止まっている、前へ進めていない案件があるのではないかということで、環境省に確認しましたら、三%ぐらいのずれがあるんじゃないか、内数なのか外数なのかということでございます。

 実際のところはどうなのかというところを環境省に聞きたいのと、あとは、この所有権の問題に関しては、制度としては、災害等廃棄物処理事業費補助金というものが使えます。司法書士や行政書士に行政が委託をするということなんですが、実際には、自治体の負担分は二・五%程度というふうに非常に低くありがたいんですが、余り使われていないんじゃないかということも心配をしています。

 この点について、環境省に伺います。

小田原政府参考人 今委員の方からございましたけれども、私どもが今把握しておりますところで、申請をいただいたものからそれを対応いたしましたところ、三%程度対応できていないというものが、数字としては、調査の結果出てきております。

 これもございまして、私どもといたしましては、公費解体の申請時に必要となる所有者の特定ですとか事務とかについて、各首長が行政書士、司法書士さんに委託するというようなこともできるということにしておりまして、お話がございました災害等廃棄物処理事業費の方で補助させていただいておるところでございます。

 例えばですけれども、七尾市ですとか輪島、珠洲では行政書士会さんたちに、また志賀町では司法書士さんにというふうに聞いております。

近藤(和)委員 実際に私が知っている司法書士さんや行政書士さんにお話を聞きますと、知らないという人の方が多いです。むしろ知っているという人を聞いていないんです、実際のところ。

 そうなので、恐らくは、おうちを解体してほしいという方が役場に来て、そして役場の方で無料相談をいついつどこどこでやっていますよという程度で、本当の委託というところに行っていないんじゃないかなというふうに思うんですね。

 そして、私もおうちが壊れた方にお話を伺いますと、いや、やはりちょっとお金がかかるから、ただでさえ被災してお金がかかる中で、家を壊すのに、その相談をするところでお金がかかるのはしんどいわと聞くんですね。このままだったら、もう家の解体はせずにほったらかしにしてどこかへ行くわというふうに言われるんです。

 是非とも、せっかくいい制度があって、行政書士さんも司法書士さんも、自分たちも仕事としてであればちゃんとやっていきたいという声も伺っていますので、先ほど言われました、七尾市、珠洲市、輪島市では行政書士さんに委託はしていても司法書士さんにはしていない、志賀町では司法書士にはお願いしていても行政書士にはお願いをしていない。穴水町の名前、能登町の名前も出てきませんでした。

 なので、実際には、せっかくいい制度を使われていても、国としてバックアップしているつもりでも、現場の職員の方々にそのメリットというか大切さが伝わっていない可能性もありますし、実際には、現場の方々は大事さは分かっているけれども、本当の最後の最後の出口のところまでこの補助金が面倒を見てくれないから、例えば能登町などは、全部自分たち、職員の方が探しているということも聞いているんですよね。大変です。これだけじゃないですから、仕事は。

 何とかこの事業がしっかりと進んでいくように、やはり壊さないと次へ進めないという方もたくさんいらっしゃいますので、坂井大臣にも、何とかこの辺りの認識を持っていただくように周知も含めて努力をしていただきたいんですが、いかがでしょうか。

坂井国務大臣 この課題、昨年私が災対特の筆頭理事をやっているときにも、近藤委員の方からこういう問題があるんだということを御指摘をいただいて意識をしていたところでございまして、やはり残っているのかというのを今日改めて確認をさせていただいたところでございます。

 今お話を伺っておりまして、私、東北の東日本大震災の後復興庁の政務官をやっておりましたが、そのときの話を思い出しまして、あのときも、同じような課題で、司法書士を活用してほしいということで復興庁から各市町村へ出したんですが、各市町、特に町村では、司法書士に何をやっていただけるのか、司法書士に頼んだら何がいいのか、結局、体験したことがないからよく分からないという状況があって、ある一つの町に、無理やり司法書士さんに行っていただいて、無理やり使っていただいてということをやりましたら、その後、何だ、便利じゃないかといって、何か所かから、司法書士の対策をやりたいので対応してくれということでお声が上がったというのを思い出しまして。

 能登においても既に、少なくとも事例はあろうと思いますので、そういう中で好事例をしっかり捉えて、それを内閣府防災や石川県等にも共有しながら、各市町で対応していただくようなこともやっていかなきゃいけないなと改めて思ったところでございますが、どちらにいたしましても、後は恐らく、最後は個別個別の対応になろうかと思いますが、そこまでしっかりやっていくよう支援を進めていきたいと思っております。

近藤(和)委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 三%という数字が大きいのか少ないのかですが、三万八千件の三%といえば約千件ですよね。今、順調に、五〇%ぐらい解体が進んできていますが、今年の十月までの予定ですが、七月、八月、九月になると、この手続の書類のところで止まっているところがむしろ残ってしまうというところを大変心配をしていますので、間違いなくそのときに問題が表面化してしまうと思いますので、何とか改善に向けて動いていただきたいと思います。

 建物性のなくなった全壊家屋については滅失登記ということもできるようになりましたが、やはりそれだけではまだまだ足りないんだろうなというふうにも思っていますので、ここは立法府の責務として、今後、大災害、どこで、いつまた別の場所で起きるか分かりません。所有権、持ち主のいらっしゃる、相続でいろいろ分散されているところだけではなくて、隣の空き家が壊してくれないから、うちの家はせっかく無事なのに、もうとんでもない、助けてくれというのは今でも能登でございますので、この点については皆様とともに力を合わせて問題解決に当たっていけたらと思います。

 それでは、赤澤大臣に防災庁の件について伺います。

 防災庁については、支分庁ですか、拠点という言い方をするのか支分庁という言い方をするのか分かりませんが、今、各自治体から、自分たちの自治体にどうかという声が出てきています。私たちの石川県からも出てきています。福島県などいろいろなところから出てきていると思いますが、現実的な問題として、今百十名の内閣府のところを来年度は二百二十名ということで、二百二十名の組織なのに、大々的な百名のものをつくってくださいというのは難しい問題だとは思いますし、そもそも、防災庁の、どこまでやり切るかといったところも固まり切っていない可能性はあると思いますが、やはり、リスク分散というものなのか、若しくは、防災そして災害対応、そして復旧から復興フェーズということも含めて、ある程度、数百名単位まではいかないまでも、何らかの形でこの支分庁というものをしっかりと考慮していただきたいなと。

 その中で、今、能登がこういう状況になりました。そして、今後、南海トラフ、東南海・東海地震も含めて、このリスク分散ということも考えると、石川県はメッセージ性も含めて置いていただく、考慮していただくに値すると思いますが、いかがでしょうか。

赤澤国務大臣 近藤委員の防災についての御見識や御熱意には心から敬意を払うものでございます。

 防災に関する専任の大臣を置く省庁の創設は、長らく知事会を始め地方自治体の皆様から御要望いただいており、ようやくお応えをできるものであります。各自治体からは、今までたまっていたというか、真剣に地域の住民を守ろうと防災に取り組んできた熱い思いと積み上げたノウハウを踏まえて、本当に様々な御要望が寄せられており、しっかりと受け止めていきたいと考えております。

 防災庁の機能の一部について、その拠点をどこに置くべきか、そして、防災庁本庁自体が被災した場合の補完機能をどうすべきかについては、これから様々な御意見、御提案を賜りながら、実際アドバイザー会議などを設けておりますので、災害対策を一層効果的、効率的に実施できる体制はどのようなものかという観点から、適切に検討を進めてまいりたいと思います。

 防災庁の設置は令和八年度ということになっておりますので、いましばらくお時間をいただいて検討させていただきたいと思います。

近藤(和)委員 実際には、もう来年度のどこかでということですよね。防災庁設置準備アドバイザー会議ですか、第一回、第二回も開かれて、今月、三月二十五日というふうに聞いていますが、夏のどこかまでに結論を出すということであれば、そろそろこの支分庁のところも議題にのせていかないといけないのではないかなというふうに思います。

 そして、実際には、この支分庁については、永続的なものなのか、若しくは、ある一定の期間、役割を果たしながら、リスク分散も含めて、今度は災害の少なそうなところ若しくは復旧復興の段階に移っていったところに移行していくということも、数千人単位の組織じゃないですから、むしろそのような在り方も大事なのではないかなというふうに思っています。

 何とか希望を被災地が持てるように、防災庁の部分も議論を進めていただけたらということをお願いをいたしまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、梅谷守君。

梅谷委員 立憲民主党の梅谷守です。

 まずは、この度の、今冬の豪雪被害に遭われた、お亡くなりになられた方々に心からのお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた全ての方々に心からのお見舞いを申し上げさせていただきたく存じます。

 また、併せまして、国はもとより地方自治体の職員の方々が現場で汗をかいてくださっていること、またボランティアの方々も日夜必死になって汗をかいてくださっておりますことに、心からの敬意と感謝を申し上げさせていただきたく存じます。

 私の選挙区、新潟五区は特別豪雪地帯でして、今冬も大変でした。その中にあって、現場から相当多くの声をいただきました。その御苦労の声を私の中で取りまとめて、そして今回、項目として通告させていただいていますので、是非、大臣、大臣は雪国の選出ではございませんので、なお、この雪国が一体どういう実情なのかを御認識いただきたい、そのことを御期待を申し上げ、質問に入らせていただきます。

 まずは、災害において最も大事なのは、言うまでもなく、命を救うこと、救える命を救うことだと思います。

 その中にあって、豪雪法がございますよね、この豪雪法の中には民生の安定というのが記されています。すなわち、国民の生活の安定、そこはもう言うまでもなく命を守ることが大前提だというふうに思います。

 ただ、実態はどうなっているかと申しますと、資料の1を御覧ください。これは二月二十八日までの数字ですけれども、三月十日に消防庁から発表していただいたことです。死者が計六十人、そして重軽傷者が、これは三百九十足す六百十三で千三人です。亡くなられた方の内訳は、一番下の四角ですけれども、屋根の雪下ろし等、除雪作業中の死者が四十五人、落雪による死者が十一人、これだけ多くの方がお亡くなりになられています。毎年百人ほどの方々がお亡くなりになられているんですね。

 大臣、是非、もちろんこのことは御認識はされていると私も思います。ですが、もっとこのことを重く受け止めていただいて、そしてもっと、真剣にやっていただいているともちろん思いますが、もっともっと真剣に事に当たっていただきたい、このことをまずは御指摘を申し上げさせていただきたく存じます。

 まず、ちょっと質問通告を変えて、災害救助法の救助の期間についてお尋ねをしたいと思います。

 大臣、災害救助法が適用されると、御案内のとおり、除雪については原則として十日間、救助期間が設けられます。しかし、現場からは、十日間は短いよとか、また、負担が大きいという強い声があります。

 そこで、大臣にまずお伺いしたいんですが、これはなぜ十日間なのか、御説明いただけますか。

坂井国務大臣 内閣府の告示におきまして、救助項目ごとに救助の実施期間を定めているところでございまして、御指摘のように、雪の場合には災害発生の日から十日以内ということを原則といたしております。

 一方、災害の規模や地域の実情等から、あらかじめ定められた救助の実施期間では救助の適切な実施が困難な場合は、都道府県において、国との協議、同意手続により、期間の延長が可能であります。先般の令和七年二月四日からの大雪につきましても、発災直後に新潟県等との協議により、これは発災直後でございますが、二月二十八日まで期間を延長したほか、その後の状況も踏まえ、三月十日まで期間を延長するなど、現実としては柔軟な対応をさせていただいているというところでございまして、それは、電話であったりメールであったりということでも受付ができるような、こういう手続にさせていただいて、できる限り負担を減らすようにしているところでございます。

梅谷委員 今のは、延長するし、柔軟な対応を取られているから、頑張っているから大丈夫だというふうに受け止めましたが、じゃ、本当にそれで大丈夫なのか。十日間と決めることで現場で何が起こっているのかを御紹介させていただきたいと思います。

 これは、とある雪下ろしをされる事業者さんの声ですね。道路除雪で手いっぱいのところに、災害救助法が適用された。もちろん、適用されることは大変ありがたい、国、県には敬意を表すということです。それを前提に、同時に、独居老人宅など一般家庭からの屋根雪下ろし、玄関前除雪の要望の電話が集中した。とにかく、補助の出る救助法適用期間の十日間で済まさなきゃいけない、こういうことなので、頼んでくる住民も我々も必死だった。この間は、道路除雪のオペレーターが夜中から午前中にかけて除雪車に乗り、車を降りてから夕方まで雪下ろしに行くという過酷な毎日だ。若い人でも三日間で音を上げる仕事で、それこそオペレーターたちは死にそうになって頑張った。後に、救助法は十日間ずつ、今ほどの御説明のとおり二度延長されたけれども、これにも振り回されたという話なんですね。

 また、行政手続上、内部でどういうことが行われているかというと、地域では、十日間のスタートと同時に、自治体は、実施する施策の内容や対象世帯のリストアップ、説明資料の作成などを準備し、民生委員を集めて支援の内容を説明します。民生委員は、家を一軒一軒、あの豪雪の中で、積雪状況などをチェックして、各世帯へ支援内容と除雪の依頼方法を説明して回ります。各世帯は、自分で事業者を探して依頼します。私の地元などでは、救助法の適用が時々あるので、実はふだんからこれに備えてやっているんですけれども、それでも、ここまでに五日間ぐらいかかる。そして、残り五日間で除雪を完了するため、事業者は死に物狂いで頑張る、これが現実なんですね。

 延長があるといいますけれども、延長があるといったからといって、十日間に間に合わせるために、民生委員の方々が必死に回る、除雪業者さんは、ミスをすれば命にも関わるような、そういう現場の中で、必死になって、無理に無理を重ねて回ってくださっているんですね。

 そこで、大臣、この十日間、延長されませんか。これは告示なんです。告示の変更を求めますが、いかがでしょうか。

坂井国務大臣 ここでにわかに変えますということは申し上げられませんが、ただ、御指摘のように、現状、十日でどのくらい済む場合があるのか、結局十日で済まずにどのくらい延長が続くのか、そういった今までの実績というか結果なども踏まえて、一回検討させていただきたいと思います。

梅谷委員 御検討いただくということで、是非これはお願いしたいと思います。

 特に、資料の7―2を御覧いただきたいんですが、これに基づくと、救助法施行令の改正で、障害物の除去、これを設けられたのは昭和三十七年です。それ以来、この十日間という期間が定められています。ただ、前提となっているのが、当時から、土砂、竹木等の除去とあるように、この規定は実は土砂災害のことを前提とされているんですね。いわば、除雪に対してももちろん柔軟な対応をこの間もされていますけれども、前提は土砂災害になっている。なので、ある意味、十四日以内とか二十日以内とかにして、その中で土砂災害は十日にすればいいとか、そういう認定の判断は十分あり得ると私は思っているんです。

 是非現場の声をしっかりと受け止めていただいて、この告示の変更を御検討いただくというので、来年はそこがスムーズに、現場の御苦労が更に軽減されることを期待をして、御検討のほどをお願いしたいと思います。

 二つ目の質問です。

 空き家の問題です。これも非常に大きな問題です。

 もちろん、空き家問題は既に各地域地域でそれぞれ大きな課題となっていると思います。平時においては、やはり、いつ壊れるのかという懸念、また腐朽する中で、田舎になればなるほど、私の地元なんかでは鳥獣がすみ着いて周りに迷惑をかけるなんということもありますけれども、実は雪が降ると大変なんですよ、大臣。例えば、これだけの雪が、しかも集中的に、そして昨今の温暖化によって、雪が水をちょっと含み始めて重くなってきているんですね。そういう中で、寝ていると、何か家がきしむ音がするとか、隣の家が空き家だけれども、ちょっとこっちに家が傾いてきているんじゃないかとか、うちの家の方に傾いてきたらどうしようとおちおち眠れやしないというんですよ。

 ほかにも、通学路がありますよね。子供たちが安全確保しながら歩いていても、上から空き家に積もった雪が落ちてきて、けがでもしたらどうするかねと心配する声。また、朝起きてみたら、空き家の上にある雪がどんどん落ちて大きな塊になって、それを、隣に住んでいるんだけれども、そこで人が埋まっていないか心配だから、早く除去しなきゃいけないとして、こうやってやっている、そういう御苦労がある。

 また、こういうこともありますね。崖の上に家を構える場合もあります。ここも空き家の場合には、その家の雪が落ちてきて、下にある住家にどうなるのかという懸念だったり、また、その下が市道なり県道だったりすると、そこにまた雪が積もったりした場合にはどうやるんだろう、除雪はいつやってくれるの、こんな問題が実はあるわけでして。

 そこで、私が申し上げたいのは、平時は平時で、もちろん法律を作っていただいて、改正もしていただいて、対応していただいています。この中でも特に、資料の3、4を見てください、特定空き家の中でも、三百八十六万戸が全国の空き家の数、その中で特定空き家と法律で指定されているのが約四万四千、そして、そのうち、特定空き家の中でも除去や修繕がなされたものが約二万四千戸なんですね。この中でも、豪雪地帯と特別豪雪地帯のものを抽出してもらいました。

 結局、これだけの特定空き家なり管理不全空き家がある中で、代執行してもらっているのが、豪雪地帯では三百九だし、その中でもまた特別豪雪地帯は百三十七。もちろん、修繕等が指導、勧告によってされた場合も相当ありますけれども、それでも割合的に非常に少ないんですね。すなわち、危険が、リスクが、不安が常にまだあるし、やはり雪が積もれば積もるほどそのリスクが高まってくる。スピードが上がってくるんですよ、倒壊の。

 なので、豪雪地帯、特別豪雪地帯においては特に空き家の対処をよりスピーディーに進める、そういう対応が必要なのではないか、そして、そのことがモデル地区になって全国にどんどん広がって、今も全国的に課題になっている空き家の問題の解消に少しでもつながる、そんな取組を私はするべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

坂井国務大臣 空き家につきましては、御指摘のように、平時から適正な管理、対策の取組が重要でありまして、国土交通省などの関係省庁の支援も受けつつ、空き家の所在、所有者を把握するための調査や、空家等対策計画の策定、特定空き家等に対する措置の実施等の取組が進められているところでございます。

 加えて、令和五年の空き家等対策特別措置法の改正により緊急代執行の規定が設けられ、市町村長は災害その他非常の場合に、一定の要件の下ではありますが、一部の手続を省略して代執行を行うことが可能となっております。

 今御指摘のように、本当に危険性が目の前に切迫をしているというケースについては、災害対策基本法に基づいて自治体が空き家の撤去を行うことも可能という状況ではございますが、どちらにいたしましても、常日頃、防災等に関しては平時の備えということを我々は申し上げておりまして、一番やはり大事なのは平時の備えで、常日頃から、特定空き家に対する、若しくは危ない空き家に対する意識を高めていただいて、今ある既存の枠組みの中でその対策を進めていきたい、そしていっていただきたいと思っているところでございますが、いざというときも、対策も充実はさせていきたいと思っております。

梅谷委員 今ほど、令和五年の改正で、命令の手続を省略が、ある意味、原則できるようにして強制執行ができるようになった、そういう取組を、改善していただいていることに敬意を表します。

 ただ、私が申し上げたいのは、雪国の特性というものをもっと鑑みて、ここに着目をした対応をもっとスピーディーに行っていただきたいということを申し上げているんですよ。

 もちろん、実際にはお金も人もそこまで回らなかったり、特に、代執行による除去は、やはり所有者を差しおいて対処することには大きなハードルがあることは分かります。でも、本当に不安なんですよ。リスクもあるんですよ。そして、今年は空き家が持ちこたえたかもしれないけれども、もしかしたら見えないひびが入ったり、どんどんどんどん弱くなってくる。それで、来年には、また同じようなことになればどうなるか分からない。

 こういうことが雪国にはあるものですから、是非、雪国にもっとクローズアップをしていただいた御検討をスピーディーにやっていただくことをお願いしたいんですが、時間も来るので、ちょっと最後に。

坂井国務大臣 最初に御指摘いただきましたように、私自身が雪国に住んだ経験がございませんので、やはり実感としては分からないというか、なかなか実感として感じられないところはあろうかと思いますが、ここは努力をしてしっかりやってまいりたいと思っております。

梅谷委員 時間が参りましたので終わりにしますが、是非、大臣、じゃ、現場をもっと見ていただいて、現場の方々の声も受け止めていただいて、特にこれから防災庁の準備の議論もされているわけですから、この中でも間違いなく豪雪は大きな柱になると思いますよ、私は。ですので、そういうことも踏まえて、是非、スピーディーな、かつ、より具体的な御検討、御対応をしていただきますことを強くお願いをし、御期待を申し上げ、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会、市村でございます。よろしくお願いいたします。

 まさに今、これまでのお三方もありましたように、日本は災害大国であり、残念ながらですけれども、いろいろな災害のことがあります。豪雪もあれば豪雨もある、台風、そして何といっても地震、津波、そして今度は火山ということも考えられるということでございまして、そうした状況の中で、今まで何度も、昔は災害対策特別委員会、今は復興というのも含まれていますけれども、私も与党筆頭理事を務めたことがあるということもありまして、何か起こるたびに、この地域はこうなんだからもっと考えてほしいというようなことが、またこういう議論が進むんですね。

 でも、これは、まさに先ほど坂井大臣がおっしゃったように、平時からの備えということが大切であって、だから平時から災害想定をする。しかし、これは地域によってかなり差があるんですね。豪雪地帯もあれば雪が降らない地帯もある、むしろ豪雨の方が大切だというところもあるということで、だからこそ、今回、防災庁。この名称については、この間も私は、防災庁でいいのか、実際は減災庁だろうと思いますが。

 さらに、ここは、今、復興庁は、東日本大震災の被災三県に特化した復興庁になっていますが、おととしの石川、能登半島地震の被害もあったり、これから起こり得る首都直下、東海、東南海、それから何といっても南海トラフを踏まえて考えると、やはり、防災庁が日頃からの備えをしっかりやっていただくと同時に、例えば南海トラフ大地震などが起きますと、これは復旧復興とか言っていられるような状況じゃない、一つの国づくりをしていかなくてはならない、そういう状況でありますから、そこまで踏まえて、防災庁は復興までをちゃんと日頃から考えておくということが必要だ、こう思っております。

 だから、是非とも、これから、まず防災庁なんでしょうけれども、こうした議論が何か起こるたびに、ここを手直しをやってくれやってくれとかいう話ではなくて、そういうことが起こることを想定して、防災庁がしっかりとふだんから考えていただくということが大切だと思います。しかも、それは、復興、もっと言えば国づくりも、先に来るものも踏まえて、未来を踏まえてつくっていただくということが必要だと思うんですね。

 そのときに、防災庁、私も三・一一の現地対策本部長代行も務めさせていただきまして、一か月陣頭指揮も執った経験から、やはり何といっても、災害時というのは、これは言うまでもなく平時とは違うわけです。

 そこで、今大分改善されているというふうに思っていますけれども、当時、三・一一の現地対策本部ができました。その発災当日に行きました。そして、私を含めて政治家は二人というところで、私は国交省政務官でしたが、十九名の各省庁からの派遣の方がいらっしゃって、市ケ谷から自衛隊のUH1に乗って行ったわけです。宮城県庁の知事室の並びに現地対策本部を置かせていただくということになりました。そこで現地の指揮を執らせていただくことになったわけであります。

 そういうときに、例えば、一週間は、当然、救急救命、一人でも命を救うということに特化をしていきます。しかし、その後になってきますと、今度は、いわゆる体育館とかに避難された方々のケアをどうするかという問題がまた出てきます。それからあとは、瓦れき撤去をどうするかということが出てきますとかなってくるわけですね。その中で、救急救命を当時は自衛隊、警察、消防の皆さんに懸命になってやっていただきながら、一方で、次に来ることも考えながら日々日々いろいろな議論をしています。

 そのときに、ちょっとこれは今日、環境省さんには申し訳ないんですけれども、例えば瓦れき撤去、これから、瓦れき撤去だけじゃなくて、あのときは、冷凍庫に置いてあった、保管されていたいわゆる魚介類、これは、電気がなくなりましたから、冷凍保存できないのでどんどん腐っていくわけです、どうするかという話もあって、それで、瓦れき撤去やそういう腐り行く魚介類をどうしたらいいかというときに相談したら、どんな資料が来たかというと、平時のごみ収集のフローチャートがやってくるわけです。だから、こういうことをないように、防災庁は、やはり平時は平時、緊急事態は緊急事態でしっかりと考えておく省庁であってほしいと私は思います。

 これはたった一つの例でありますが、だから、問われるのは、やはり私は現場を仕切る人の力だと思うんですね。特に何が問われるかというと、これは人間力だと思っています。

 確かに、法律を知っている能力とか、そういう制度を知っている能力というのももちろん一つなんですけれども、そういう災害時の現場はもうそんなことを言っている場合じゃない、常に判断を迫られるわけですね。迅速にやらないと、ちょっとここで相談しますといって、書類を待ってとかいう場合じゃないんですね。だから、目の前にある現実をどう対処するかというところで、瞬時に動いていかなくちゃいけないということになります。

 ですから、今回、防災庁には都道府県ごとに地域防災力強化担当という方が配置されるということなんですが、これもしかし、お聞きすると、基本的には東京にいて、時々その担当の都道府県に行くというようなことが今のところは、今のところですよ、想定されているようなんですけれども、私は逆だと思うんですね。常に担当の都道府県にいて、時々本庁、本庁が東京にあるのかどうか分かりません、さっき、どこかにという、あれは本庁というよりも支分庁の話をされていたと思うんですが、その本部に時々行くなら分かるんですけれども。

 やはり、今回の防災力強化担当の方は、常に担当のところにいて、そして、ふだんから、担当職員の方、それから地域のそれこそボランティア団体やNPOの皆さん等々と日頃から、平時から話をしていくということが私は必要だと思っています。

 ですから、現場は、これは現場を見られている方はお分かりだとは思いますけれども、何か一々そこで話をしている場合じゃないわけです。しかも、そこで、こういう法律がありますから、じゃ、こういう書類を提出してくださいと言っている場合でもないことも多々あるわけでありまして、だから、そういうことも含めて、担当官が、しっかりと人間力を持って、そういう、もちろん法制度は頭に入れながらも、緊急事態ということであれば、そこは柔軟に、まさに弾力的という言葉がさっきありましたけれども、弾力的に対応するということが求められると思いますが、いかがでしょうか、大臣。

赤澤国務大臣 現地対策本部長の御経験もある市村委員の御指摘ですので、一つ一つ本当にうなずきながら聞かせていただきました。本当に多くのことをおっしゃったと思うので、私の方でポイントと思うところを幾つかお答えさせていただきたいと思います。

 御指摘のとおり、防災庁が適切に機能を発揮するには、まず、平時から十分な経験と知見を持って有事のときのことを考えている職員を育成、配置することがやはり重要だなと思います。さっきおっしゃったように、冷凍庫の魚介類といったときに、平時のどうするかを出されても、それでは対応できないので、そういうものはまさに官民連携の中で、そういう冷凍庫に詳しい方たちと日頃から有事について相談し、いざというときのことをつくっておかないとできないと思います。本当に大事な指摘ですので、官民連携、しっかり防災庁でやっていきたいと思っています。

 また、人間力、迅速な判断といったことをおっしゃいました。八年度中の設置に向けて準備を進めている防災庁は、平時、発災時の司令塔として機能を担う。それは、事前防災の司令塔ですし、そして事態対処も司令塔ですし、おっしゃるように復旧復興も司令塔ができるようでないといけない。そのためには、専任の大臣を置いて、十分な数の災害対応のエキスパートをそろえた組織にしてまいりたいというふうに思っております。

 その上で、地域防災力強化担当について御指摘をいただいて、本当に委員のおっしゃるとおりなので。実は、百十人、定員を増やします。今の百十人の倍にいたしますが、その中で地域防災力強化担当をつくりますけれども、それに合う形で、四十七都道府県、その担当を本庁に置きます。ただ、もう一方、カウンターパートを各都道府県に必ず一人、それは知事から指名してもらって、現地にいる人と本庁の人間が二人で協力しながら事を進めるということを考えておりますので、委員の御指摘をしっかり踏まえて、現場でも力を発揮できる、そういう組織にしていきたいというふうに思っております。

 防災庁の設置に向けて、関係機関が持てる能力を最大限発揮できるような体制の在り方について検討してまいります。

市村委員 ありがとうございます。

 やはり、屋上屋を重ねないようにしていただきたいんですね。今度は逆に、地域の声からすると、やはり、国の、防災庁ができました、担当官がいらっしゃいましたというときに、その担当官が何か例えば二年ごとに交代するようなそんな役職だと、なかなかどうかなと。それこそ人間力がある方だったら二年間でもありがたいと思うかもしれませんが、やはり、なるべくきちっと、屋上屋を重ねないように、地域と一緒になって頑張ろうという、日頃から、平時から頑張ろうというような、そういう人であってほしいと私は思います。

 そこで、今回、この間、復興大臣から、これは復興という意味での話なんですが、地域の新たな未来を築いていくことができるよう、引き続き国が前面に立って、復興再生に全力を尽くしてまいりますということがありました。ここで、私は、国が前面に立ってということが大切だと思っているんです。

 これもまた、いわゆる三・一一のときの経験から申し上げますと、前も防潮堤の話もさせていただきましたが、当時の国交省の判断では、今日のような、ああいう防潮堤を張り巡らすという発想は、あれはナンセンスであると。景観上の問題、千年に一度の問題に対して、それはないだろうと。だから、やはり、津波てんでんこですから、津波が来たら、とにかく高台に逃げるんだ。家族のことも心配だろうけれども、それよりもまず自分が逃げる、自分がまず逃げる。子供たちも心配だけれども、子供たちのために心配になって学校に行くと、子供だけじゃなくてみんなが被害に遭うということになっていったということになります。

 だから、津波てんでんこで、まず逃げるんだ、そして高台に逃げる、そして、すぐに来る場合は避難タワーを造っておく、そういう発想でなっていたんです、国は。ただ、しかし、災害対策基本法は、復旧復興は地方自治体がその主たる任を負うということになっているようでありますから、我々国というか当時の国は、いわゆるアドバイスしかできないということになったんですね。

 もちろん、一の自治体とか一の都道府県で物事が完結するのであれば国が出張ることもないでしょうけれども、これから、例えば南海トラフ地震は他都道府県に及ぶことがもう当たり前に想定されているわけでありまして、そのときの復旧復興過程で、国が国全体を考えてこうした方がいいという提案をしても、やはり地域が、いや、うちはそれは困るんだ、こういうことになってきて、いわゆる、ごめんなさい、地域エゴという言葉になってしまうと、これはこれでまた問題なんですね。やはり、国全体の発展を考えて、国は提案をして予算もつけていくということになります。

 もちろん、地域の声は無視できません。地域の声は当然尊重はしなくちゃいけませんが、やはり、他都道府県にまたがる場合は国が前面に出て私はやるべきだと。そうしておけば、あの防潮堤は私はなかったと思うんですね。実際に、防潮堤を要らないと言う市もあったと聞いています。欲しいと言う市もあった。でも、一部だけ防潮堤を造ったところで、そこは、防潮堤がないところから水がどんと入っていくということになるわけですから、じゃ、それならもう全部張り巡らさなくちゃいけませんということで、最後は県の方で御判断があったというふうに聞いています。

 そのときも、国が遠慮をしないで、国全体の発展ということを考えた場合はやはりこういう方向でいきませんかということを、国がもっと前面に立っていけるような方向で私は考えておくべきだと思っておりました。復興大臣が、国が前面に立ってという言葉でお話しされたんですが、これは別に復興大臣だけの話じゃなくて、国がこれから災害対策、復興対策を考えるときに、復興を考えるときに、国が前面に立つというこの思いというのは、特に大規模災害、他都道府県にまたがるような大規模災害は国が前面に立つという思いがやはりないといけないと私は思いますが、いかがですか、坂井大臣。

坂井国務大臣 大規模災害が発生した際には、国が前面に立って関係自治体と連携協力を図り、被災地の復興に取り組んでいくということは、御指摘のように重要だと思います。

 また、今お触れいただいた東日本大震災の教訓を踏まえて、大規模災害からの復興に関する法律というものが平成二十五年に制定されて、速やかな復興のため、復興の基本的な方針の策定、関係行政機関による施策の総合調整等を行う復興本部の設置等について規定をされたところでございます。

 また、能登半島地震におきましても、総理大臣を本部長とする能登半島地震復旧・復興支援本部を司令塔として、政府一丸となって被災地の復旧復興を全面的にバックアップするとともに、能登の復興まちづくりに向けては、能登創造的復興タスクフォースを設置をして、国、県、市町の関係者が緊密な連携を図りながら課題の解決に取り組んでいるところでございます。

 そこで、国と市町との方針であるとか考え方が違うといったことも調整をする中で、お互いが意見をぶつけ合う中で、そこは、解決に向けて、一方的にどちらかということではなしに、しっかり地元の方々の意見も聞きながら進めていくという形になろうかと思っております。

市村委員 最後に、平時の備えということで、仮設住宅ということでちょっと一点だけお話ししたいと思います。

 実は、仮設住宅というのは大体半年ぐらいかかるんですね、半年以上。ならば、実は、今回の、まさに能登の震災の話もしていただきましたが、聞いたところ、千五百軒の木造住宅をもう造られている。これは実は、仮設ではなくて、仮設から今度は恒久住宅へ転用も可能な状況で造っているということをお聞きしました。私、これは大変重要な視点だと思います。

 仮設は、結局、取り壊してまたということで、物すごくお金をかけて、また取り壊すんですね。かけて造って取り壊す、もったいないんですね。そのお金をかけたら、実は恒久住宅を十分造れる。ただ、仮設を緊急に造らなくちゃいけないということだったんですけれども、結局、半年ぐらいかかるんだったら、そもそも恒久に使えることを前提として費用をつくる。そのためにも、日頃から災害想定をケース一、ケース二、ケース三ぐらい作っておいて、日頃から、平時に、このケースだったらここに造るんだということを決めておいてそこに造り始める、そういうことが必要だと思いますが、いかがでございますでしょうか。

赤澤国務大臣 委員御指摘のとおり、起こり得る被害をあらかじめ想定し、必要な対策を講じておくことは重要であると考えております。

 防災庁においては、迅速な復旧復興に向けた事前復興計画の策定、促進などを含め、本気の事前防災に取り組むこととしております。

 被災地の復旧復興に向けては、様々な省庁と連携することが重要であると考えており、防災庁が司令塔として防災施策に係る総合調整を担い、個別の施策を実施する各省庁と一体となった災害対応を一層効果的、効率的に進めることができるように、そして、委員御指摘の、仮設住宅も半年かかるのであれば、もう一気に恒久住宅を整備する方向で進めた方がいいではないかというような御意見もしっかり念頭に置きながら、防災庁の設置に向けた検討を進めてまいりたいというふうに思います。

市村委員 ありがとうございます。

 仮設の件、今挙げましたが、三・一一の後に、私も指摘していたので、大分変わっておりました。というのも、防災庁をつくるのは、やはり縦割りの弊害というのをなくすということが大切だと思うんですね。

 当時、今挙げた仮設というのは、造ることを考えるのは厚生労働省さんだったんです。造るのは国交省だったんです。そして、お金を払うのは財務省だったんですね。だから、そことの調整というのもまたあって、国交省も、早く造りたい、私は国交省政務官でしたから、現地対策本部長であると同時に国交省政務官ですから、造りたいと思うんですけれども、まず厚生労働省が造るという決定をしてくれないと造れないんですね。

 もちろん、その決定が出るまでの間に、全日本プレハブ協会の皆さん方とも協議しながら、いざゴーが出たときには行きましょうということで話をしていましたが、やはりそういうことで縦割り。それで、今聞いたら、今は、あの後に、私の指摘があったかどうかは別として、内閣府に全部それは移管されているということなんですね。災害救助法が内閣府に移管されたということで、内閣府の方で、今、仮設についても、いわゆる縦割りじゃなくて、しっかりと横串を刺してやっていただくということになっておりますし、迅速にそこはやっていただけるようになっていると聞いています。

 だから、そういう感じで、防災庁をつくるとなると、今まで各省庁にまたがっていたものもやはりきちっとまとめていただいて、ワンストップ、赤澤大臣が司令塔という言葉を使っていただきましたが、やはり司令塔という機能を持たすのが、とにかく防災庁の大切な機能だと思います。

 これは、こども家庭庁も含め、司令塔、司令塔といって、なかなかそれが果たされているかという点は、一般的な指摘もありますが、だから、そう言われないように、防災庁は、せっかくつくるのであれば、さっき申し上げたように、防災復興庁という形で、私は、これは庁じゃなくて省だと思うぐらいです。

 だって、これだけ自然災害を含めて大規模災害が起きているこの我が国においては、省であるべきぐらいの覚悟でこれはつくっていただきたいという、これはある意味で、ずっともう、阪神・淡路大震災以降からの悲願だと思うんですね。日本が、必要だ必要だと言われながら、結局つくらない。内閣府防災でずっとやってきて、何か起こると、いや、これがおかしい、これがおかしいといって、その都度指摘されて、対症療法的に直していくというのではもう追っつかないと思いますので、特に南海トラフのことを考えたらそうだと思います。

 最後に、やはり何といっても、これはもう両大臣は重々お分かりのことだと思うんですが、現場に聞くということが大切なんです。今申し上げましたように、中央省庁に、ここにいてですよ、さっき坂井大臣も自分は雪国じゃないから分からないと、本当に素直なお話だと思います。そうなんです、なかなか分からないんです。

 だから、やはり、担当官が今度できますから、その方は現場にいて現場の声を聞く、現場からの声をきちっと聞いた上で、今は、だから、我々が、この委員がそういう現場の声をお伝えしているんですけれども、一々一々、また何か起こるたびに、こういう問題が起こりました、こういう問題が起こりましたじゃなくて、日頃からこういう問題が起こることは想定して現場の声を聞く、そして、そこで平時にしっかりまとめ上げていただくということが必要だと思います。

 最後に、両大臣から一言ずつ決意をよろしくお願いいたします。

金子委員長 赤澤大臣、簡潔にお願いします。

赤澤国務大臣 はい。

 まさに、現場の声をしっかり吸い上げられる防災庁、加えて、それを平時から準備できる防災庁、さらには、いざ事が起きたときは、迅速果敢な決断ができるような、人間力のある、そういう職員を備えた、機能する防災庁をつくってまいりたいと思います。

坂井国務大臣 おっしゃるように、現地現場主義を徹底できるような組織にしていきたいと思っております。

市村委員 ありがとうございました。終わります。

金子委員長 次に、鳩山紀一郎君。

鳩山(紀)委員 国民民主党の鳩山紀一郎でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 東日本大震災から十四年がたちましたけれども、今なお避難生活を送らざるを得ない方々が福島県の被災者の方々を中心に約三万人おられるということで、心よりお見舞いを申し上げたいというふうに思います。一刻も早く復興を完了する、そして私としてもやるべきことをやっていきたいというふうに考えておるところでございます。

 それでは、質問の方をさせていただきます。

 まず、伊藤大臣にお伺いをしたいと思っております。

 大臣のお話の中に、福島県内で発生した除去土壌の最終処分に関するお話がございました。具体的には、中間貯蔵開始後三十年以内に最終処分するという方針は法律に規定された国の責務であるというふうにおっしゃいました。

 読売新聞が各都道府県知事に対して最近行った調査によりますと、秋田、千葉、兵庫、奈良、宮崎、この五県が、最終処分場の受入れを条件次第で検討する意向がある、そのように回答をされたようであります。

 今後のことを考えますと、除去土壌の最終処分場を受け入れてくれる自治体、これは相当数確保しないと、東京ドーム約十一杯分というのは千四百万立米だそうですが、その量があると言われています除去土壌の処分というのは率直に言って相当難しいのではないかなというふうに考えておるんですが、これはどのように確保していくというお考えなのか、お伺いさせてください。

伊藤国務大臣 政府に対しまして正式に除去土壌の最終処分地の受入れを表明していただいた自治体はないと承知をいたしております。

 そんな中でなんですけれども、先ほども申し上げましたが、政府といたしましては、昨年の十二月に、閣僚級の、福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議を設置をし、再生利用の推進や全国的な国民の皆様方の理解醸成などに政府一体となって取り組むことを決めました。その中で、福島県内の除去土壌等の県外最終処分の実現に向けまして、閣僚会議の現場では、議論を進めて、再生利用の推進に関わる基本方針とロードマップを取りまとめていくということになっております。

 国民の皆様方に理解をいただくためにも、IAEAを始めとする国内外の専門家会合等で、その議論を踏まえまして、科学的知見に基づいて、まず、この土壌の再生利用の基準値等を今議論をしていただいているところです。それほどになく多分決まると思います。

 そうした取組の安全性ですとか必要性に関わります情報を国民の皆様方に分かりやすく発信をさせていただきながら、環境省を始めとする各府省としっかり連携をして、自治体を始め国民の理解醸成を丁寧に図らせていただいた上で、二十年後、二〇四五年、この除去土壌全部の福島県外排出という約束を守り抜いてまいりたいというふうに考えております。

鳩山(紀)委員 ありがとうございます。

 そうですね、この除去土壌をいろいろな自治体に受け入れていただくというのは、これはなかなか難しいことだとも思っておりますので、ここを着実に進めていただけるようにということを切にお願いしたいところでございます。

 先ほどもおっしゃっていたように、専門家会議というのを開いておられるということで、こういう除去土壌の受入れをめぐっては、ともすると、反対派と賛成派というのが感情的な罵り合いをするというような状況が発生しがちでありますので、落ち着いた環境で、メリット、デメリットもあると思いますので、科学的にそのメリット、デメリット両方を議論して結論を得るような、そういった努力をしていただきたいし、その様子を公開をしていくということが基本的には重要なことなのかなと私としては思っておるところでございます。

 今、大臣、除去土壌の再生利用についても御言及がありましたけれども、除去土壌の最終処分量を低減するための除去土壌の再生利用についても、同じような観点からちょっとお伺いをいたしたいんです。

 この除去土壌の再生利用自体というのは、除去土壌のうちの放射線の濃度の低い土壌を、草木などの異物を取り除いた上で、十分に品質が保たれている土壌という形で再生をしていく、そして利用するというものだというふうに理解をしておりますけれども、そして現在、福島県内各所で実証実験が行われているというふうに認識をしておりますが、この除去土壌の再生利用についても、最終処分場の問題と同様に非常に丁寧に物事を進める必要があると思っておりまして、でないとまた、先ほど申し上げたとおり、建設的ではない対立というものあるいは分断というものが生まれてしまいかねないと思っています。

 それについても、どのような御方針で取り組まれるおつもりか、ひょっとすると同じようなことになってしまうかもしれませんが、お答えいただければと存じます。

伊藤国務大臣 今、福島県内でもあちこちで実は……(発言する者あり)あちこちほどではないかもしれませんが、実証の実験をやっていただいております。長泥地区なんかでは、お米を植えていただいたり、花を植えていただいたり、それをまた検証して、これが大丈夫であるかということを実際に農家の方と一緒に調べていただいております。私、実は、環境副大臣のときに、そのスタートを切りに、村長さんと一緒に取りまとめの文書まで作らせていただいたようなことでございます。

 また、実際に、それでは土壌を路肩の盛土のところで使用した場合にどうなるのかということについても今実証させていただいておりまして、モニタリングもしっかりやっているところでございます。

 そうしたことを、本当は、これから県外でも御理解をいただいたところで、しっかりと調整をさせていただきながらその実証の実験をさせていただいて、その結果をまた踏まえた上で、物事が進められるかどうかということを併せてやらせていただきたい。そうした段階にできるだけ早くスムーズに入っていけるように、地方の自治体の皆さんともお話をする必要があると思います。

 以上でございます。(発言する者あり)

鳩山(紀)委員 ありがとうございました。

 確かに、小熊先生がおっしゃるとおり大変難しいと思いますので、やはり落ち着いた環境で、メリット、デメリットをきちんと論理的に議論ができるような、そういう空間が必要だとも思いますし、政治家が率先して使っていくための努力をしていくということも必要なのかなというふうに感じておるところでございます。

 どうもありがとうございました。

 次にF―REIについてお伺いしたいんですけれども、F―REIに関しては、世界に冠たる創造的復興の中核拠点を目指すというふうにされておりますが、私も二十年ほど研究者、学者をやっておったんですが、正直申し上げて、どのようにこれを目指そうとされているのかなというのがちょっと分からないんですね。中核拠点ということですから施設整備も当然必要でしょうけれども、それと併せて、優秀な研究者をどう誘致するかということも非常に重要だと思っております。

 現時点における施設整備の状況、進捗と、あと、研究者などの人材をどうこれから確保なさっていくおつもりか、その戦略をお伺いしたいと思います。

伊藤国務大臣 F―REIにつきましては、先ほど小熊さんの御質問で、いただいただけでお答えができませんでしたので、併せてお答えしておきたいと思いますので、少し丁寧にやらせていただきます。

 F―REIというものは、令和五年の四月にスタートするということを決めさせていただきました。今私たちが実際にやらせていただいているのは、用地の取得、そして敷地造成や建物の設計を進め、今春、敷地の造成の工事に着手をするということになっております。できるだけ早いタイミングで建物そのものを造っていくことによって、申し上げているとおり、研究者にとって魅力的な研究環境を整備することがまず必要であるということでやっております。各工程を着実に進めることによって、本部施設棟の令和十年度の完成を目指すなど、復興庁設置期間内で施設の順次供用開始を目指して、施設整備を可能な限り前倒しで進めていくことをまずさせていただきたいと思います。

 続いてですが、F―REIでは現在、ロボット、農林水産業など五分野において委託研究を中心に研究開発を進めておりますが、今後は、海外を含め優秀な研究者を確保して、F―REIによる直営の研究を中心に進めるということにしております。

 そのために、F―REIでは、能力や成果に応じて柔軟に設定ができる、国際競争力のある給与体制を整備するとともに、アメリカのパシフィック・ノースウエスト国立研究所や英国の原子力公社といった海外の研究機関等とは既に連携協力に関する覚書の締結を行うなど、海外からも卓越した能力を有する研究者の確保をしっかりとさせていただきたいと思っております。

 ちなみにですが、アメリカのカリフォルニア大学のバークレー校でロボットの分野でユニットリーダーとして頑張っていただいております富塚誠義さん、教授ですけれども、この方にもユニットリーダーとして着任していただいています。

 そういう意味では、今現場は一生懸命、海外からも卓越した能力をしっかりと研究者レベルを含め確保をし、実際に立ち上がっていく直営の研究ユニットの中でしっかりと研究が進めていけるように、建物ができて人もいるということがちゃんとできるようなところへ向けて全員でしっかり頑張らせていただいておりますので、なお一層この予算が必要になってくると思いますので、皆様方の御支援をよろしくお願いをいたします。

鳩山(紀)委員 非常に御丁寧に御説明いただきまして、ありがとうございます。

 今日は、お三方、大臣の方に御参加いただいているので、少し早めていかないとと思っておりますが。

 御存じのとおり、研究者というのは論文の数で評価されます。そのためにはそれなりに研究のための経費というものも必要になってきますので、政府が潤沢な研究資金というのを長期間にわたって保証するということが必要になりますし、外国の著名な研究者の招聘なども行っていく必要があると思いますので、こういう観点では、沖縄のOIST、沖縄科学技術大学院大学も結構よい参考事例かと思いますので、是非御参考になさっていただければと思っておるところでございます。

 少々質問を飛ばさせていただきまして、次に坂井大臣に、避難所に関して御質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、避難所環境の抜本的改善に関してなんですけれども、災害大国である我が国日本において、避難所の環境というのがなかなかよくなっていかない。今でも被災者の方々が学校の体育館などで身を寄せ合う、そういう光景が見られることに私は憤りも感じておるところでございまして、これは政府が被災者の皆さんに対してみんな大変なんだから我慢しなさいというふうな意識を押しつけているようなものだとも思いますから、私は許せないと思いますし、変えていくべきだと思っております。

 政府は避難所環境の抜本改善というのを具体的にどのように実現していこうと考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

坂井国務大臣 まず、昨年十二月に、避難生活に関する自治体向けの指針等を改定をさせていただいて、自治体の皆様方に、こういう方針で、こういう形でやっていきましょうということをお示しをさせていただきました。そして、昨年の補正予算において、それら施策を進められますように、避難所の生活環境の改善に資する自治体の先進的な取組を新地方創生交付金により支援をする。

 それから、国といたしましても、プッシュ型支援を可能とするため、キッチン資機材の分散備蓄、今まで立川一か所でありましたものを七か所増やして全部で八か所にして、迅速に行えるようにしたい。

 また、実際、トイレでありますとか食事を提供する施設といったものなどは大型のものでございますので、こういったものは、トイレカー、キッチンカーなどを登録するデータベースを作ってまいりまして、すぐに出動を依頼できるような状況にしておく。

 加えて、これらの備蓄拠点にある支援物資を発災時に速やかに最前線に送り届けなければなりません。ですから、ここは平時から自治体と物流事業者等でそのときのことを想像し、話し合って協定を締結することが重要だと思っておりまして、これも進めさせていただいているところでございます。

 とにかく、事前防災ということ、事前に準備をしておくということが何より大事だということでございますので、最終的に物をそろえ、その後訓練もちゃんとやって備えてまいりたいと思っております。

鳩山(紀)委員 ありがとうございます。

 一方、スフィア基準というものがございます。御存じだと思いますけれども。それによると、避難所における居住スペースは一人当たり三・五平米以上、それからトイレは二十人につき一つ以上、それを確保すべきということが記されているわけですが、これはそう簡単なことではないと思っているんですね。例えば居住スペースについては、空き家ですとか空き地ですとか近隣のホテルなどをすぐに情報通信技術なども使って押さえられるような体制をつくっていくとか、そういった仕組みもつくっていく必要があるのではないかなというふうに感じているところでございます。

 また、キッチンカーですとかトイレカーなどについても御言及がありましたけれども、こういった災害時の資機材については、登録してデータベース化するというふうなことでございましたが、データベース化するだけでスムーズに被災地にサービスが提供できるようになるとも思えませんので、やはり、災害時の資機材、キッチンカー、トイレカーなどについても国が相当の量を購入もして自治体に配備するくらいのことはやらないといけないのではないかなというふうに感じておるところでございます。

 とにかく、私は、被災者に我慢を強いているようなこういった状況を一刻も早く何とかしていきたいと思っておりますし、そのための努力は私自身もしてまいりたいと考えておるところでございます。

 どうもありがとうございます。

 次に、赤澤大臣に御質問させていただきたいと思っております。

 令和八年度中に防災庁を設置するように御準備をされているということと存じますけれども、この防災庁の果たすべき役割について幾つかお伺いしたいと思っております。

 大臣は本気の事前防災と先ほどもおっしゃっておられましたけれども、今の内閣府の防災基本計画によりますと、自らの身の安全は自らが守るのが防災の基本だというふうにございます。したがって、国は、住民一人一人の自助の力、自助力の強化を求めているということになると思いますけれども、そのような認識で正しいでしょうか。また、住民の自助力を強化するための具体的な取組としてはどのようなものがなされるべきであるとお考えか、お伺いさせてください。

赤澤国務大臣 我々が目指しているのは人命、人権最優先の防災立国ということで、とにかく人命を救い、とにかく守り抜こうということでありますが、その際、やはり、津波などを想像していただくと、どうしても、率先して逃げていただくということをしていただかないと、どれだけハードを整備しても間に合いませんので。そういう意味では、御自分の命を守っていただくために、先ほども言葉が出ていましたが、津波てんでんこのような、とにかく逃げるというようなところは徹底していかなきゃいけないという思いがあります。

 発災時に適切な行動を取れるよう、委員御指摘のとおり、自らの命は自ら守る、地域住民で助け合う、声をかけ合って逃げるとかそういうことは徹底していきたいというふうに、地域の自助力の強化を図ることが重要だと思っています。

 その上で、私が内閣府副大臣だった二〇二一年に防災・減災、国土強靱化ワーキングチームで取りまとめた五つの提言の中に、防災意識の醸成に向けた防災教育とか、避難所運営等を担う地域の防災人材の育成などについて提言をしておりまして、特に防災教育は国民の防災意識醸成のためのベースとなるものであり、正常性バイアスとかああいったものと闘いながらとにかく逃げていただく、そういったことを確立していきたい、防災庁において重点的に取り組むべき事項の一つと考えております。

 現在開催している防災庁設置準備アドバイザー会議においても、災害の多い我が国で暮らす国民の覚悟や対応力を高める必要があること、生涯学習としての防災教育を展開する必要があるなどの御意見をいただいておりまして、こういった専門家の御意見も踏まえながら、防災教育の推進などによる地域防災力の強化に向けた体制の在り方について検討してまいりたいと考えております。

鳩山(紀)委員 ありがとうございます。

 おっしゃいますように、防災教育ですとか地域の防災力を向上していく、非常に重要なことだと思います。

 一方で、防災基本計画では住民に三日分の備蓄をするということを推奨していますけれども、本来、国民の命を守るというのは国や政府の役割と考えるならば、備蓄の金銭的負担というのを住民に押しつけるのではなくて、国が現物支給をするということぐらいのことはやってもいいのではないかというような思いがございます。

 私がよい事例だと考えているのは、現在様々な自治体でなされていることではあるんですが、防災カタログギフトというのがございまして、例えば、私の地元であります東京都の中央区では、一人当たり五千円分の防災カタログギフトというのを去年の末から配布をいたしました。地域によっては世帯当たり五千円分だったりとか、それはまちまちではあるんですけれども、備蓄の量というのは基本的に人の数に依存すると思いますので、私はこの中央区の考え方は適切なんじゃないかなというふうに考えておるところでございます。

 こういうことをすると、各家庭の中で、じゃ、今一体何が足らないのかというようなことを考えるきっかけにもなりますし、住民の自助の力というのは明らかに高まるのではないかなというふうに考えております。

 そして、こういった施策、各自治体が今自主的にやっているわけではありますが、本来は国、今後は防災庁がこういった取組もやっていくべきではないのかというふうに感じているところでございますが、大臣はいかにお考えになりますでしょうか。

赤澤国務大臣 御指摘は本当に傾聴に値するものと思いますが、やはり、発災直後、二、三日は少なくとも、例えば、道路が啓開が間に合わなくて、国が何か備蓄していても届けることが追いつかないとか、あるいは津波の場合は、これは本当に、道の上に津波で壊された家があってとても道路啓開が間に合わないみたいなことはありますので、やはり我々は、基本的には、最初の数日分から一週間分ぐらいはできれば各家庭で備蓄に努めていただけるとありがたいということで。

 その上で、やはり発災した後の避難生活というのはそれ以上の期間、当然続きますので、そこで足りない部分は自治体の準備状況なども見ながらきちっと補って、最終的に、人命、人権最優先で、温かい食べ物も食べられ、トイレとかお風呂とかそういうことにも困らない、そういう避難生活、きちっとしたものを実現できるようにしてまいりたいと思います。

鳩山(紀)委員 どうもありがとうございます。

 私は各家庭での備蓄そのものを否定しているわけじゃなくて、当然、いつ何どき地震などの災害が起こるか分かりませんので、それは各家庭で対応する必要があるというふうに考えておりますが、そのための準備にかかる費用というか、それについて、国の方がさっき申し上げたようなカタログギフトのような形で対応するというのは一つのあるべき姿なのではないかなということで申し上げた次第でございます。是非こういった取組も積極的に防災庁の中でやっていただければというふうに考えておるところでございます。

 あと、私の地元、観光地の浅草、上野とかがございまして、そういったところに関連する御質問も用意しておったんですけれども、時間が参りましたので、今日はここでやめさせていただきまして、またの機会に議論をさせていただきたいと思います。

 今日はどうもありがとうございました。

金子委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、今日の委員会でも議論されております防災庁の設置、とりわけ防災庁の司令塔機能についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 石破総理は、防災庁設置準備室の発足式で、関係機関、団体が一致団結をしまして、政府の災害対応をリードする司令塔となることを期待する、こういうふうに述べられております。最も重要なのは官邸が全省庁を指揮することでありまして、国の各省庁、さらには地方公共団体、これら全てのリソースを結集して統率する強固な体制が必要だと思っております。

 そのためには、今日も再三言われておりますが、平時から各省庁の職員を集めまして専門性を高める訓練を重ねること、これが非常に不可欠であると思っております。そして、災害時には、その訓練を受けた職員が司令塔の下で即座に結集をして専門能力を生かしまして機能する組織でなくてはならないと思います。

 また、日常の管理なくして危機管理なし、こういう言葉がございます。東日本大震災の事例を見ましても、現地に根差した組織が初動態勢におきまして極めて重要な役割を果たしてまいりました。中央の机上の指示ではなくて、地域の現状を把握して首長と連携する組織が実効性のある指示が出せると私は思っております。

 防災庁は、単なる指示機関ではなく、現場に即応できる司令塔として機能する必要がございます。そのために、日常の管理なくして危機管理なしを基軸といたしまして具体的にどのような司令塔機能を果たそうとされていくのか、この点につきましてお伺いをさせていただきます。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、実効性のある司令塔機能を発揮することは大変重要であるというふうに考えております。

 内閣府では、令和六年能登半島地震の教訓を踏まえまして、現地派遣の可能性がある各省庁の職員を事前にリスト化し研修を実施することとしておりますほか、また令和七年度からは、災害対応全般を総括する防災監を新たに設置するということにしております。

 また、御指摘いただいたように、平時からの取組は大変重要でございまして、平時からの関係省庁の連携強化の取組といたしまして、関係省庁の局長級が集まる自然災害即応・連携チーム会議を定期的に開催しておりますほか、令和七年度からは、内閣府に都道府県のカウンターパートとなる地域防災力強化担当を置きまして、平時から都道府県と顔の見える関係を構築することとしております。

 令和八年度の設置に向けて準備を進めております防災庁につきましては、平時から万全の備えを行う本気の事前防災に取り組むとともに、政府の統一的な災害対応の司令塔としての機能を担う組織とする予定でございまして、現在開催しております防災庁設置準備アドバイザー会議におきまして、専門家から御意見をいただきながら、組織の在り方等について検討を深めてまいりたいと考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございます。

 今御答弁の中で、七年度から地域防災力強化担当を設置していくということであります。中央が現場の実情を把握しまして的確な判断を下していくためには、この取組は非常に重要だと思っております。

 この体制が単なる形骸化してしまったものではいけないというふうに思っております。先ほどもありましたけれども、やはり、防災庁を設置する前の取組でありますので、先行して行われますから、現場で活動する自治体また防災関係機関の声、これがしっかり聞ける機関であるというふうに思っておりますので、この間の中で地方の意見を十分に反映させる、こういう意味合いもあると思いますので、この強化担当については軌道に乗せた形の中でしっかり防災庁に移行していく、こういったことを是非お願いしたいというふうに思います。よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、地方自治体の体制強化について二問お伺いをさせていただきます。

 まず一つが、応援組織体制の整備強化であります。

 今回、これから議論をされます災害対策基本法等の一部改正によりまして、国が地方自治体への応援体制を強化し、自治体の要請を待たずに先手を打って支援する、こういった方針が示されたところであります。

 能登半島地震の発災翌日に私現地を訪問した際、ある自治体の首長から、職員の多くが被災をして、どれだけの職員が職務に就けるか分からない、何から手をつけるべきか混乱していると、この深刻さを目の当たりにしてまいりました。国としての支援体制の強化とともに、被災状況を勘案した地方自治体の受援体制のマッチング、これが非常に大事になると思っております。

 今回予定されている一部改正で迅速な支援につなげるために、国として、地方自治体に対する支援体制の強化、これをどのように想定をされているのか、お伺いをさせていただきます。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 能登半島地震におきましては、災害応急対策の国の応援組織、例えば国土交通省のTEC―FORCE、あるいは農林水産省のMAFF―SATなどがインフラの応急復旧活動において大きな役割を果たしたところでございます。

 このため、今般の改正法案におきましては、国が応援組織体制の整備強化を進めるとともに、緊急の必要性が認められる場合には公共団体の要請を持たずに国が先手で支援を行うことができることを明確化するということを考えております。

 また、避難所運営とか罹災証明書の発行とか、被災自治体の業務の支援のために自治体の応援職員の派遣を迅速に行うことも重要と考えております。

 こうした支援を効率的かつ円滑に行うためには、被災状況を勘案した地方公共団体の受援体制のマッチングも大変重要だというふうに考えております。市町村長とか、また災害統括の責任者とのホットラインを構築するなど、被災地のニーズを迅速に把握し支援に結びつけていく取組を強化していきたいと考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございます。

 今回の能登半島地震のときもそうでした。TEC―FORCE、MAFF―SAT、現地に入っていただいて、非常に地元からは感謝をされております。そして、応援の職員も入ってまいりました。

 どうしても、国の機関ということになると、被災自治体は、こんなことも言っていいのかなということで非常に遠慮をしてしまいます。ですので、私は、ここに壁をつくってしまうということが非常に、行った率直な感想であります。ですので、本当に、意思疎通ができる体制をどうやってつくっていくかということが非常に大事な点であると思いますので、その点につきましては、また深く検討していっていただきたいなというふうに思っております。

 それから次に、受援体制の強化についてであります。

 昨年の能登半島地震を踏まえた災害対応の在り方についてまとめられた報告では、地方公共団体の受援体制強化の重要性、これが指摘をされております。地域防災計画の策定は都道府県また市町村の責務でありますけれども、特に市町村レベルでは、人手不足が大きな課題となっております。また、地区防災計画を新総合防災情報システムまたハザードマップなどと連携をさせて、より実効性のある防災対策を講じていく必要があるかと思っております。

 市町村では、地域防災計画の作成、これは人手不足なので大変な負担になっているという話を聞く中で、地方公共団体がより実効性のある受援計画が策定できるよう国としてどう取組を進めていくのか、お伺いをさせていただきます。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 災害時におきましては、被災市町村のみで災害対応の全てを実施することは困難でございまして、外部からの応援を迅速的確に受け入れて情報共有や各種調整等を行うための受援体制を整備することが不可欠でございます。

 このため、自治体におきまして、受援担当者の選定、あるいは受援対象業務の整理、受入れ環境の確保等を規定した、実効性の高い受援計画を策定することが重要でございます。

 内閣府では、過去の災害対応の経験も踏まえまして、こうした受援計画作成の手引きにつきまして、作成あるいは随時改定を行っておりまして、計画のひな形あるいは具体的な取組事例をお示ししますとともに、消防庁とも連携いたしまして、地方自治体向けの研修会の開催等を通じまして、受援体制の整備を促進してきたところでございます。

 今後とも、より実効性のある受援計画を策定していただけるよう、関係省庁とも連携しながら、手引きの見直し、受入れ訓練の実施など、優良事例の横展開、また研修会の強化充実を進めるなど、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございます。

 地方公共団体の研修会の効果もありまして、今、自治体の七五%が受援計画を策定しているということをお聞きをさせていただいております。これは一〇〇%を目指していくのは当然のことでありますけれども、いかに実効性のある計画にしていくかということは、先ほどもありましたけれども、発災時に真に発揮するには、これまでの災害の実例を発信していくこと、これも非常に重要な視点であるというふうに思いますので、こういった視点の取組も是非お願いしたいというふうに思っております。

 最後の質問になりますが、事前復興まちづくり計画、このことについてお伺いします。

 令和四年度に国交省が全国の地方公共団体を対象に実施をしました復興事前準備の取組状況調査によりますと、地方公共団体の復興事前準備の取組状況、令和四年七月末時点で着手率が約六五%と、これは一定程度定着してきている、こう考えられますけれども、復興体制や復興手順の検討のみにとどまっている、こういった現状があるかと思っております。

 また、報道によりますと、次の災害に備えまして、仮設住宅用地の確保ですとか、産業、教育などの分野別の復興方針を決める事前復興まちづくり計画の策定におきましては、昨年七月末で策定済みは僅か二%、このような報道があったところでございます。

 この現状を鑑みまして、事前復興まちづくり計画の策定を進める取組についてお伺いをさせていただきます。

服部政府参考人 お答えを申し上げます。

 被災後に迅速な復興まちづくりを行うには、平時から災害が発生した際のことを想定し、事前に体制と手順の検討、建物や土地利用状況などの必要なデータの整備、復興まちづくりの目標の検討などを行う復興事前準備に取り組むことが重要だと考えてございます。

 議員御指摘のとおり、復興事前準備の取組状況は一定程度定着してきていると考えられますけれども、体制や手順の事前検討にとどまっているところもあり、今後は復興まちづくりの目標などの検討が求められております。より一層、復興事前準備の取組を推進するためにも、事前復興まちづくり計画の策定を推進する必要があると認識をしております。

 国土交通省では、事前復興まちづくり計画策定を推進するため、事前復興まちづくり計画検討のためのガイドライン及び事例集を策定をするとともに、事前復興まちづくり計画策定に対して防災・安全交付金による支援や、事前復興まちづくり計画策定を検討、実施する自治体に対する技術的助言などの支援を行っているところでございます。引き続き、事前復興まちづくり計画の策定など復興事前準備を進めるようしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 今日は様々な委員からも出ているんですけれども、やはり平時のときにどれだけ備えをしておくか、これが減災になってくると思いますので、是非そういったことを念頭に、各自治体に呼びかけ、そして支援をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

金子委員長 次に、櫛渕万里さん。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 昨年十二月二十三日のこの委員会で、土砂撤去に関する自衛隊派遣について、坂井防災大臣とのやり取りが不明瞭なままでしたので、今日は引き続きお聞きしてまいります。

 さて、道路や宅地、農地に土砂や流木がたまって困っている、このままでは冬が越せない、除雪車も入れない、自衛隊に来てもらえないかという被災地の懸命な叫びを、昨年後半、政府は無視しました。その結果、今でも土砂撤去の作業は続いています。

 これは珠洲市の一部の状況です。パネル一、御覧ください。私の事務所で市の担当者に確認したところ、この地区では、豪雨で土砂災害が発生し、半壊や全壊の被害がほとんどとされ、地震に豪雨が追い打ちをかけた典型例と言えるケースです。例えば、下の赤い字のところ、三月の最終週にようやく作業開始だったりするんですね。応急対応の通路確保の土砂撤去でさえです。

 重要なのは、これが予測されていたことです。パネル二、御覧ください。これは、れいわ新選組の山本太郎代表が珠洲市を訪れ、ボランティアセンターで聞き取りした内容ですが、十二月五日時点で土砂撤去未完了数は二百十六件、作業完了の見込みは二月から三月となっておりました。もしも昨年秋の早い段階で自衛隊を出していれば、被災者の状況は変わっていましたよ。終わっていたんじゃないですか。これはもう政府による人災とも言えます。

 石川県の馳知事は、十一月一日に会見で、全てを建設業者に発注は困難とし、十一月十三日、自民党小野寺政調会長に、民有地の土砂撤去に自衛隊の派遣を含めた支援をと要請しています。そして、続く十一月十九日、私も参加した予算委員会の視察において、県知事は現場でこのように述べていました。少し長いですが、読み上げます。

 実は私もボランティアで宅内の泥上げに行ってまいりました、今のところ、ざくっと二万人のボランティアが必要、一万一千人まで進んでいます、私も行きました、それ以来、私はせきが止まらなくなってしまったぐらい、つまり、健康問題を配慮しながら、宅内の土砂を出してあげないとこの冬を前にして生活ができない、今、実は内々に、できたら自衛隊をお願いできないかと申し上げています、当然、自衛隊の場合は公共性、緊急性、非代替性という原則があるのは存じておりますが、八方手を尽くしたんですけれども冬を前にして大変な状況になっている、こうおっしゃっています。

 つまり、少なくともこの時点で知事は自衛隊派遣の三要件について認識した上で、それでも八方手を尽くして、ほかに手段がないから、予算委員会の委員長や理事にも自衛隊の出動をお願いしたことになります。

 一方、十二月十六日の参議院予算委員会で、土砂撤去に対する自衛隊の出動を求めた山本太郎議員が質問した際、坂井大臣はこう答弁されています。以前その問題があったときに、馳知事から携帯で相談があり、自衛隊に確認したら出動の三要件に当たらないという回答だったと言って、実質、自衛隊派遣はできないと現地に返答したことを明らかにしていますね。

 パネル三、次に御覧ください。こちらが昨年十二月二十三日の本委員会でのやり取りですが、電話はいつかと坂井大臣に私が質問したところ、その日のうちに、これは具体的に十一月二十二日とお答えになって、防衛省の幹部が今の時点では三要件に当たらないという認識だという認識をいただきましたと答弁されているんです。

 しかし、昨年のこの委員会で、電話でのやり取りについてメモや記録は残していないという大臣のお答え、更に、私は防衛省幹部の判断を示す稟議書を出すよう委員会に要求しましたけれども、先日、ないということのお答えでした。また防衛省も、ほかの記録はないということなんですね。

 坂井大臣、防衛政務官、記録を残さないのは、公文書管理法などの法令上、問題ではありませんか。お答えください。

金子大臣政務官 お答えします。

 十一月二十二日、坂井防災担当大臣から電話で防衛省幹部に、奥能登豪雨災害に伴う……(櫛渕委員「公文書管理上どうかとお聞きしています」と呼ぶ)ちょっと説明をさせてください。(櫛渕委員「時間が限られていますので端的にお願いします」と呼ぶ)はい。

 自衛隊の活用できる範囲や自衛隊の派遣に係る三要件について問合せがあり、その時点において省内で共有されている内容を回答させていただきました。その時点において省内で共有されている内容を回答したものでありまして、何ら意思決定を伴わない一般的なやり取りにとどまるものであって、その一つ一つについて記録を残す性質のものではございません。

 当日の電話の内容等については、その時点で省内の関係者に幅広く共有をされております。当該幹部しか知り得ない内容のものでもございません。

 また、最後にお答えしますが、今般の坂井大臣との電話のやり取りについては、省内でやり取りしている内容を回答したものであり、意思決定を伴わない一般的なやり取りであることから、行政文書の管理の観点から文書を作成しなければならないものとは考えておりません。

坂井国務大臣 このときの馳知事からの電話でございますが、これは、年内に四百二十一件の宅内の土砂の撤去を何とか終わりたい、そのための支援をいただけないかということの相談であり、私が防衛省に電話をいたしましたのも状況を確認をするためでございましたので、ここは残すに当たらないと考えております。

櫛渕委員 お答えの内容が質問と違うんですね。

 公文書管理上、こうしたことのメモがない、記録がないということは問題と思いませんかとお聞きしているんですね。自衛隊という実力組織を動かすのかどうかという大きな判断に対して、こうした記録が一切ないということを問題だと思われないんですか。

 意思決定を伴うものではないとか、今の段階ではとか、正式な要請ではないから三要件に当たるか判断していないとか言いますけれども、大臣は、三要件に当たらないと防衛省から聞いた、このようにはっきり答弁されているじゃありませんか。その趣旨を知事に伝えているんですよね。

 もう一度、時系列を確認します。

 予算委員会の派遣で、知事が、内々に、できたら自衛隊をお願いできないか、これまでも申し上げていますと言ったのは十一月十九日。つまり、自衛隊を出してくださいという知事の要望は大臣との電話の前にも伝えられていたことになるんですよ。記録が残っていないということ自体が問題なんです。

 十二月の委員会で赤澤大臣も、自衛隊は我が国の最高の実力組織だ、災害派遣については極めて厳格な手続が定められていると答弁されています。それはそのとおりで重要ですが、問題は、正式な手続が厳格な分、前もって非公式な形で、やり取りで処理され、その経緯がなかなか表に出ず、書類も残されていないのではないか、ここなんですよ。実は、この点は政府も認識しているのではありませんか。

 総務省が三年前に出した報告書、題名は自衛隊の災害派遣に関する実態調査というものですが、このように書かれています。「派遣要請や支援活動等の各段階における自衛隊と地方公共団体との連携に関する実態は必ずしも明らかになっていない。」この報告書では、例えば、総務省が調べた七十八市町村のうち、十九が三要件の解釈が難しいとしていて、九つが災害派遣要請の手続が難しいとしているんです。

 特に今回の土砂撤去と関連するのが次の部分です。パネル四、御覧ください。災害派遣要請の要求を検討したけれども、自衛隊による支援以外の方法で対応した市町村の例としてこう書かれているのが、このパネル四の内容なんですね。「災害対策本部会議で、民地・民家の土砂の撤去が可能か自衛隊に相談したが、」「対応できないとされたため、ボランティア及び消防により土砂の撤去を実施した。」そのほかにも、「民有地等の泥の撤去について、」「自衛隊による支援はできない旨の回答があった」。要は、自衛隊に相談したができないと言われ、正式な派遣要請をせずボランティア等で対応した。今回の知事の電話のケースと同じことがこれまでもあったということになるじゃありませんか。そのことがよく分かります。

 去年の委員会で派遣要請を断った事例はあるかと防衛省に聞いたところ、一件もない、この十年は全て受けていると政務官は答弁されました。防衛省からすれば、正式な要請じゃないから、判断や決定ではなく、単なる問合せなのかもしれません。しかし、自治体からすれば、その時点で派遣の可能性を断られたと考えられるんですよ。そう受け取りますよね。自衛隊は事実上の判断、決定を行ったと考えるのが当然です。

 しかし、そこにはやり取りを示す記録も決裁文書も残っていない。残っていないから詳細な検討ができない。検証ができないから自治体の方は三要件の判断が難しいと頭を悩ませている。これが実態なんじゃありませんか。

 毎年毎年大きな災害が起きていますけれども、そのたびごとに自治体が三要件の判断が難しいとちゅうちょしていたら困るんですよ。その影響はストレートに被災者の命や人生に直結し、現場で身を削って支援をする災害ボランティアや民間組織の活動に関わるからです。

 そもそも、今回の事例は三要件を満たしていなかったんでしょうか。パネル五、御覧ください。三要件、まず一つ目、緊急性。二月、輪島市で降雪量史上最大。公共性についても、コミュニティーの再建、これは総理おっしゃっていますけれども、生活復旧、宅地再建が欠かせません。そして非代替性。ボランティアは足りていないんですよ。民間事業者も手がいっぱいなんです。明らかに三要件を満たしていると私は、現場からは思いますよ。これは現実ですから、満たす可能性は十分に、検証の結果、あったんじゃないですか。

 でも、実際のやり取りで派遣要請をいわば潰してしまって、更に、そのやり取りの記録すら残っていない。今回の土砂撤去の要請が本当に三要件に当てはまらなかったのかどうか、分からなくなっているんですよ。

 さっき述べたように、珠洲市では今も土砂撤去は続いています。本当に自衛隊が出せなかったのかという当たり前の問いに対して、誰も責任を取って答えていないんです。自衛隊を出してくれという知事の要望を受け取った大臣が、防衛省幹部と電話で話し合い、その後に方針が変わったことは確実なのに、その電話では判断も決定もしていないという一点張りなんですね。ちょっと無責任が過ぎるんじゃありませんか。

 能登の土砂撤去に自衛隊を出さなかったことについて、れいわ新選組は、その決定や判断は間違っていたと考えています。今からでも出すべきなんです。

 坂井大臣にもう一度お伺いします。

 確認ですが、電話では、防衛省の幹部の方は、今の段階では三要件に当たらないという認識を示したんですよね。今の段階で要請が出ていないので判断も決定もできないと言ったんじゃありませんよね。どっちなんですか。

坂井国務大臣 過去の事例まで私は分かりませんで、あくまで私が受けた今回の案件について申し上げますが、今回、先ほどから申し上げておりますように、私が知事から相談を受けたのは、年内に四百二十一件の宅内の土砂の撤去を、それを終わらせたいという相談を受けたわけです。私は電話で、私は改めて電話をして、ボランティアの皆さんに声がけを広くすること、そしてまた建設業者さんにお声がけをすることによって、御要望があった四百二十一件の宅内の土砂撤去は年内に終わります、ちゃんとめどが立ちましたという御報告をさせていただいたわけです。

 そして、もう一つ言わせていただければ、知事が必要だとおっしゃった四百二十一件の宅内の土砂撤去はちゃんと年内に終わったという報告を受けております。つまり、その時点において、相談を受けたことに関しては、しっかり知事の相談事には応えられたのではないかと考えておりますし、そこにおいて無責任だという言葉はちょっと心外かなと思っております。

金子委員長 櫛渕さん、金子防衛大臣政務官の手が挙がっていますが、どうしましょうか。

櫛渕委員 大臣で結構です。

 私は大臣に答弁と実態が違っていますよと御指摘しているんですよ。

 もう一回聞きますね。

 去年の十二月では、参議院でも衆議院でも、今の段階では三要件に当たらないと自衛隊から回答があったと答弁しているんです。それなのに、追及されると、三要件に合わないというより、報告の電話と、事実をねじ曲げているんです。

 ですから、大臣の、三要件に当たらないと自衛隊が答えたという十二月の答弁が正しいなら、三月六日の参議院答弁が間違っているんですね。三月六日の答弁が正しいなら、大臣の答弁が間違っているんです。どっちかなんですよ。そこをお答えください。

金子委員長 櫛渕さん、防衛省……(櫛渕委員「大臣に聞いています。大臣の答弁なんですから」と呼ぶ)

坂井国務大臣 ちょっと理解ができないんですけれども。結局、私は、状況をお聞きをした電話でありました、先日も申し上げておりますが、その中で、今はこういう手もあるんじゃないか、事業者さんにお願いをするという手があるんじゃないかということでお話があり、なので、基本的には、私も、そこで、防衛省からの話を聞いて、いわば、今そういった手が尽くされて、要は建設業者さんに頼むという選択肢があるんじゃありませんかということを受けて、結局、その手を、まだ、非代替性の部分からも、その手があるのであれば、まずはそこを考えてみるべきだということもあって、そしてその相談をしたところが、その日のうちにめどが立ったという報告があったということを申し上げたということでございます。

金子委員長 櫛渕さん、申合せの時間が過ぎましたので、御協力をお願いします。

櫛渕委員 はい、まとめます。

 今の大臣のお答えは、三要件のうち、非代替性がなかったということの判断があったというお答えですね。ということになります、内容的には。

 もう時間がないのでまとめますけれども、そのような新たな答弁でしたら、そうお答えになればいいんですよ。四百十六件がどうとか、そういう話をしていません。

 しかも、一言加えるなら、内閣府防災の全部の統括官だとするなら……

金子委員長 申し訳ありません、時間が終了しておりますので、質疑を終了してください。

櫛渕委員 現場の状況、この冒頭のように、まだ土砂撤去作業は終わっていません。その現実にこそ目を向けるべきなんじゃありませんか。

 最後に、自衛隊という実力組織を……

金子委員長 もう終了しています。

櫛渕委員 派遣することに対して記録もない、そして、そんないいかげんな不透明な状況こそ問題であるということを申し上げ、私の質問を終わります。

金子委員長 次に、堀川あきこさん。

堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。

 能登半島地震から一年と二か月が過ぎました。地震、豪雨により住宅を失われた方々の住宅の確保と再建は、生活再建に必要不可欠な問題です。

 日本共産党も運営に参加をしています現地のボランティアセンターからは、今、被災者の皆さんは住宅の確保や再建について不安を口にされることが多いというふうに聞いております。自力での住宅再建が困難な方、御高齢で今から再建しようという気になれない方の多くが災害公営住宅を希望されているということなんですけれども、現地の地方議員が集めたアンケートの声をちょっと紹介したいと思います。妻の介護施設の費用を毎月十二万払っている、公営住宅の家賃が払えるか不安だ、自宅再建のめどが立たないため公営住宅を希望しているが、その建設予定地や戸数が公表されていないので不安がある、こういう声が寄せられています。

 能登には高齢者が多くて、低年金の方も多い地域です。公営住宅の家賃が払えるのか、自分がそこに入れるのか、見通しが持てないという不安が今たくさん出されています。災害公営住宅の整備の進捗状況、あとは家賃設定について今どういう検討がされているか、国交省、お願いします。

横山政府参考人 お答えいたします。

 能登半島地震に係る災害公営住宅については、各自治体による意向調査等が進められております。現時点で、十の市町において約三千戸が必要と見込まれているところでございます。

 現在の整備の進捗状況でございますけれども、今年度内には、大半の市町において、先行して整備を進める地区の測量、設計に着手予定であり、今後、各地域における整備が本格化してくるものと認識してございます。

 入居後の家賃についてでございますけれども、災害公営住宅では、入居者の収入や市町の立地条件等に応じて家賃が設定される仕組みになってございます。収入が低い場合には、低廉な家賃での入居が可能という仕組みになってございます。

 引き続き、災害公営住宅の整備を円滑に進められるよう、被災した地方公共団体に対する支援に取り組んでまいります。

堀川委員 ありがとうございます。

 そういった情報を是非被災地の方々に十分に行き渡るように、努力をお願いしたいというふうに思います。

 続いて、多くの方は、できることなら自分が住んでいた土地に住み続けたい、戻りたいというのが共通の願いかと思います。

 災害公営住宅の建設についてなんですけれども、これまで集合住宅タイプのものがスタンダードのようになっているんですが、戸建ての建設もできるはずなんですよね。仮設にしても公営住宅にしても、平たんな土地が少ないから土地の確保がなかなか難しいというふうなことがよく言われるんですけれども、公有地にこだわらずに民有地の活用についても検討すれば、その可能性は広がるというふうに思うんですね。

 例えば、穴水町の仮設住宅、石川モデルと呼ばれています。住民の方が所有している土地を町に寄附をして、将来的には居住者の買取りも可能になっている。その最大の魅力は、被災者が元々住んでいた集落、自分の家の近くであるということや、それがついの住みかにもできる、しかも、集合住宅ではない戸建て風の住宅を建てることができたというふうなところにあると思います。

 ほかにも、民有地を活用した木造長屋の仮設も建設をされています。災害で突然家を失った被災者にとって、住居の確保は、ただ住むということだけではなくて、個人の尊厳や基本的人権の保障であり、コミュニティーの確保にもつながるものだというふうに思います。

 被災者の方の意向をきめ細かく把握をして、民有地も含めた戸建ての災害公営住宅の在り方なども伴走型で大規模に進めていくべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

横山政府参考人 お答えいたします。

 災害公営住宅の用地につきましては、市町において選定が進められているところでございますが、民有地や農地の活用も含めて円滑に整備していくため、民有地を取得した場合に、家賃低廉化の補助期間を延長するなど支援の枠組みを整えるとともに、令和六年度補正予算で当面必要な予算を確保したところでございます。

 これを踏まえまして、現に、被災者のニーズも踏まえて、地域の将来像なんかも踏まえながら、戸建て型や長屋型での整備についても多くの地区で検討が進められているものと承知してございます。

 引き続き、地元のニーズにきめ細かく寄り添った災害公営住宅の整備が円滑に進められるように、支援に取り組んでまいりたいと考えてございます。

堀川委員 この災害公営住宅の問題は重要な問題だと思いますので、引き続き議論をしていきたいと思います。

 公営住宅の見通しの問題に話を戻したいと思うんですけれども、仮設住宅の入居期限は原則二年、実際あと一年ということなんですけれども、この入居期限までに災害公営住宅の整備が進む見通しというのはあるのでしょうか。

横山政府参考人 お答えいたします。

 仮設住宅でございますけれども、基本的には応急的な住まいという位置づけでございます。できる限り早期に災害公営住宅などの恒久的な住まいが確保されることが望ましく、その供与には原則的な期限が御指摘のとおり設けられているものと認識してございます。

 一方で、能登半島地震の被災地の被害は甚大で、多数に上る被災者の方々の御意向を伺いながら、地域の将来像を踏まえて適切に用地を選定していくなど、丁寧なプロセスを踏んでいく必要があると考えてございます。このような中で、被災自治体はなるべく早期に災害公営住宅の整備ができるように努力をされているものと認識しているところでございます。

 お尋ねの、今後の災害公営住宅の整備の進捗の見込みについてでございますけれども、来年度中には過半の市町で先行して整備する地区の建設工事に着手されるということが現状で申し上げられる状況でございます。

 以上でございます。

堀川委員 今、被災者の方は見通しが見えなくて不安が渦巻いているということなんです。来年度、建設工事に入られるということなのであれば、一年後、仮設を出るということはなかなか難しいという認識でよろしいでしょうか。

横山政府参考人 将来の、今後の予定につきましては、まだ不透明な部分もございますので、皆さんが入れないと今の段階で断言できるわけでもございませんけれども、一方で、完全に完成して全員の方が入られるという見込みが今立っているかということでございましたら、今その見込みを公表できる段階にはないということでございます。

堀川委員 今、本当に被災者の方が不安を抱えておられます。今の答弁でいうと、来年、仮設を出て災害公営住宅に入れるかどうかの見通しというのは余り立っていないということだと思うんですね。被災者の方は、やはり、仮設住宅の入居期限というのは原則二年という頭がある中で、不安が広がっています。住宅再建のめどが立っていないのに二年で仮設からは出てくださいと言われても困りますというふうな声だったり、仮設の入居期限が少なくなってきて日々心細い思いをしていますと、たくさん出されているんですね。

 今答弁あったように、とてもあと一年で確保できるような見通しではないということです。ただ、仮設の入居期限に関しては、次の住宅の確保が困難な場合、その期限の延長は可能というふうにされています。しかし、被災者の方は、こうした事実がしっかり周知をされずに、ただでさえ先の見えない不安の中で、むしろ原則二年という情報が更なる不安材料となり、ストレスになっているというのが現実です。

 東日本大震災のときには、一年と一か月を過ぎた時点で、公営住宅の整備に時間がかかるからということで、政府は、一年延長を決定をされて、その通知を出しておられます。

 被災者の方の不安を一つでも取り除くために、延長を決断し、通知を出して周知すべきと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

坂井国務大臣 東日本大震災や熊本地震等の際にも、最後のお一人まで生活再建の支援をし、そして、そのときまで仮設住宅をお使いをいただいていたということでございます。

 ですから、入居期間の延長が必要であれば国としても柔軟に対応していこうと思っておりまして、しかし、この仮設住宅の入居期間の延長は、都道府県からの協議に基づき国が同意をする形で実施するという形になっておりますので、今回の場合でいけば、石川県から御相談があれば国として丁寧に対応してまいりたいと思っております。

堀川委員 是非、丁寧な対応を、速やかな対応をお願いをしたいと思います。

 今、公営住宅の見通しが立たない中で、仮設住宅での暮らしが長引くということはもう明らかです。その生活環境はやはり人権を保障するものでなければならないというふうに思っています。

 しかし、仮設での生活を送る方々から、狭いという声がよく聞かれるんですね。一K、二十平米に二人が入居しているというケースが多々あります。国の住生活基本法に基づく最低居住面積水準は、二人世帯だと二DK、三十平米となっておりまして、この基準を下回っているんですね。

 実態がかなり深刻です。八十代の母と暮らす五十代の息子さんは、ベッドが必要な母親の横で、体の半分を押し入れの中に入れて寝ている。また、別の方は、母親と二人暮らしのある介護職員の方です、夜勤明けに家に帰っても、母親の体調も不安定なことがあって、横になることができない、なので車で仮眠を取っている、でも、このままでは体がもたないというふうにおっしゃっています。また、ある五人家族の実態、もう少し広い仮設だと思いますが、部屋が狭過ぎてストレスがたまり精神科に通っている、環境がよくないと医師が役所に頼んでも、空いている仮設を貸してくれない、対策として談話室を自由に使っていいということになったが、ゆっくり眠れる環境でもなく、ストレスは軽減されないと。これはかなり深刻なんですね。

 住環境は、繰り返しますが、人権であり、個人の尊厳に関わることです。防災大臣、昨年十一月に能登に訪れて、十九の避難所でスフィア基準を満たしていると記者会見で発表をされました。同じ救助法の対象となっている仮設住宅は、避難所よりも劣悪な環境にあるというふうに言えると思うんです。

 自治体任せにしないことが必要だと思うんですけれども、こうした実態と対応について大臣の認識を伺いたいと思います。

坂井国務大臣 能登半島だけではありませんが、今回、能登半島地震の被災者に対する仮設住宅の提供に際しましても、まず、市町において、被災された方々の今後の住まいに関するニーズを把握し、その結果も踏まえて、石川県において、必要な戸数、数でありますとか部屋のタイプなどを精査されたものと承知をいたしております。

 被災者に提供する仮設住宅のタイプについては、石川県において、世帯人数に応じた間取りとすることを基本に対応されたものと承知しておりますが、入居を急ぐなどの御事情により、要は世帯人数が多くても狭い間取りの住宅に居住されているようなケースもあるということを聞いておりまして、そういった場合には、仮設住宅の空き室が生じていれば、石川県や市町の判断により、広い間取りの空き室に入居いただくことは可能でありますので、その旨、石川県には周知をしてまいりたいと思っております。

 こうした事例の周知を図りつつ、良好な居住環境というのは確かに必要でございますので、確保に努めてまいりたいと思います。

堀川委員 是非、本当に深刻な実態になっておりますので、丁寧に相談をされて対応をお願いをしたいというふうに思います。

 最後に、質問です。

 この間、珠洲市の蛸島漁港の漁師さんから相談が寄せられました。地元の魚屋さんが再開しようとしているんですけれども、そこに並べる魚がないと。地元の方々は、新鮮な魚が食べられるということで、その魚屋さんをとても楽しみにしておられるそうです。こうしたことも後押しになって、漁に出ようという漁師さんが出てきている。しかし、船小屋や定置網などの漁具も壊れてしまってお金がかかってしまうということで、支援制度につなげて、時間はかかったんですけれども、大変安心をされました。

 ただ、おっしゃっていたのは、知り合いの漁師さんはみんな高齢で、インターネットも使えないし、こうした制度を知るすべもない、地元の漁協も職員が被災してなかなか大変だということで、一人一人の漁師さんに対面で丁寧に説明すれば……

金子委員長 申合せの時間が終わりましたので、御協力お願いします。

堀川委員 はい、分かりました。

 前を向こうという漁師さんもいるということです。

 是非、こういう丁寧な伴走型の支援をお願いしたいと思うんですが、最後、済みません、一言お願いします。

金子委員長 簡潔にお願いします。

庄子大臣政務官 お答えをいたします。

 今御指摘のように、十分に情報が届いていないということについて御指摘でございます。

 これまで農水省としては、県と連携をしながら、現地で説明会などを行ってまいりました。これからもより丁寧に、また、被災者の方々に届くようにしっかり対応させていただきたいというふうに思っておりますので、何かお気づきのことがありましたら、また御指摘をいただきたいと思います。

堀川委員 ありがとうございます。終わります。

    〔委員長退席、土屋委員長代理着席〕

土屋委員長代理 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 去年、私、能登半島に行きましてボランティアをちょっとさせてもらって、去年は赤澤大臣とボランティアの士気の高さについて申し上げたんですが、同じ感想として、やはり日本の防災の一つの問題は、国ももちろん頑張っておられると思いますけれども、被災地の自治体職員がかなり負担を背負っている、これが非常に大きいと思います。インフラの復旧だけではなく、避難所の運営とか。もちろん、地元の社会福祉協議会とかその辺も手伝ってはいますけれども。

 そういったところから、先ほど市村浩一郎委員さんからも防災庁は国の司令塔たるべきだという話がありまして、私も同感であります。しかし、そのためにはやはり人員と予算というものも非常に重要で、今のところ、職員は二百二十人ぐらいに増やす、予算の方は補正を入れて二百十九億円ぐらい計上されているということなんですが、これは必ずしも全部いいと申し上げるつもりはありませんが、イタリアの方で、市民保護省あるいは市民保護局というのがありますけれども、そこを見ると、たしか人員は六百人、イタリアというのは御案内のとおり日本の人口の半分強ぐらいありますけれども、大体六百人、それから予算は三千億円ぐらいです。

 ですから、やはりそういったこともちょっと考えて、悪の根源の財務省がいますけれども、それと十分戦って、我々も応援しますから。是非その辺のお考えを聞きたいと思います。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 我が国は全国どこでも災害が起き得る可能性がございまして、いかなる地域で発災したとしても的確に被災者支援を行うためには、国と自治体、またボランティア等の連携体制の強化に取り組んでいくことが重要であると考えております。

 このため、自治体間で応援を行う応急対策職員派遣制度や、また国による応援組織体制の整備を図るとともに、令和七年度の内閣府防災担当の予算、人員を倍増させていただきまして、都道府県のカウンターパートとなる地域防災力強化担当を置くなどの取組を進めていく予定としております。

 また、官民連携で支援を行うため、避難所運営等を担う地域のボランティア人材の育成、研修とか、ボランティア団体等の登録制度の創設などの取組を進めているところでございます。

北神委員 ありがとうございます。

 もう一つは、やはり物資が非常に足りない場合がある。先ほど地方自治体の職員に任せているという話がありましたが、これはやはり、彼らは被災されている場合が多い。実際、被災地の職員ですから、家族も被災されている場合もある。

 それからまた、自治体によって、財政力というか、物資を備蓄する、確保するという対応も調べるとまちまちである。当然それぞれの財政規模というのがありますから、やむを得ないところはあると思うんですが、そういったところも国がしっかりと一定の水準を確保しないといけない。

 先ほどのイタリアの話をすると、イタリアは、人口の数の〇・五%の人たちに対応できる、TKBと言うんですけれども、AKBと違いますよ、TKB、トイレ、キッチン、ベッド、これをちゃんと人口の〇・五%は確保するということを定めています。

 一方で、我が国を見ますと、国の防災基本計画では、初期の対応について、十分対応できるように地方公共団体は十分な物資を確保しなさいと書いてあるんだけれども、災害対策基本法の方を見ますと、どのような物資をどのぐらいの水準を確保するかというのが全く書かれていないんです。したがって自治体の財政力まちまちの対応になってしまっているということで、これはやはり国がしっかりとどういう物資をどのぐらい確保すべきかという基準というものを設けるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

    〔土屋委員長代理退席、委員長着席〕

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 発災直後から被災者の方々に尊厳ある生活を営んでいただけるようにするためには、御指摘いただきましたように、トイレ、キッチン、ベッド等の物資の備蓄を進め、良好な避難所環境を整備することが重要であるというふうに考えております。

 このため、発災直後からそうした良好な環境が確保できるように、自治体ごとの想定災害等に応じた備蓄を推進することとしておりまして、国として、地域ごとにどうしても想定される災害が異なる一方で、南トラとか首都直下とか大規模災害については国の方でも被害規模なんかをお示しをして備えを促す、そうした取組をさせていただいておるところでございますし、また、国によるプッシュ型支援の充実も図ることとしているところでございます。

 具体的には、新地方創生交付金、地域防災緊急整備型、これは昨年の補正で新たに設けましたものでございますけれども、これによりまして自治体における資機材の導入を支援するほか、また、国による迅速なプッシュ型支援を可能とするために、従来、立川に防災の備蓄を置いておりましたけれども、新たに全国で七か所増やしまして、パーティションとか段ボールベッド等の分散備蓄を進めることとしておるところでございます。

 現在開催しております防災庁設置準備アドバイザー会議におきましても、海外の避難生活支援の事例に精通された有識者の皆様にも御参画をいただいておりますので、令和八年度中の防災庁設置に向けて、こうした専門家の御意見もいただきながら、委員の御指摘も踏まえまして、物資の備蓄も含めた必要な組織体制の在り方について検討してまいりたいと考えております。

北神委員 最後に大臣に、国の司令というのをどういう思いを描いているのか教えていただきたいと思います。

 イタリアの例でいうと、三つぐらいに分けて、小規模、広域にわたる災害、そして本当に大規模な激甚災害、激甚災害のときに国がかなり役割を果たすということなんですが、人員確保、今の支援の話、例えばプッシュ型支援とかいっても、これは結局、自治体によって、財政力が弱いところで本当に必要な水準が確保できるかというのも分かりませんので、そういったところの確保、思いを聞かせていただきたいと思います。

赤澤国務大臣 まず、総理がよくおっしゃる、住んでいる地域によって救われる命とそうでない命があってはならぬということで、我々も、防災庁の体制を強化した上で、各自治体の備蓄の水準とかがばらついている場合はきちっとそろえられるように、全国で、立川を加えて八つの拠点をつくって分散備蓄を進めたりというようなことを考えています。

 事前防災もしっかり防災庁が司令塔機能を発揮してそういうものを整備していきたいと思いますし、そしてまた、いざ発災の後は、南海トラフなんかの場合、最大で五百万人が避難するという想定です。なので、極力、被災地の職員、自治体の職員の負担を減らすように、広域で応援する体制をしっかり確立していくことが物すごく大事ですが、それでもやはり地元の方にも頑張ってもらわなきゃいけない。特に、感染症なんかが発生している場合、地域外からウイルスを持って入るわけにいきませんので、何とかそのような状況においても発災直後から良好な避難所環境を確保できるよう地域において自律的に避難所運営を実施できる体制を確立しておくことが重要だと思っています。

 そういう意味で、平時から防災庁は本気の事前防災に取り組むとともに、いざ発災後もしっかり司令塔機能を発揮できるような、人命、人権最優先の防災立国の実現に資する、そういう機能をする防災庁をつくって、官民総力戦で大きな災害と戦ってまいりたいと思っています。

北神委員 期待しております。

 ありがとうございました。終わります。

金子委員長 次に、尾崎正直君。

尾崎委員 高知二区、尾崎正直でございます。

 本日は、各種災害対策について、特に事前防災の観点からいろいろとお話をお伺いしたいと思うところでございますが、まずは岩手県大船渡市の山林火災についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 消火に至るまでの関係者の皆さんの御尽力には本当に心から敬意を表させていただきたいと思います。ただ、やはり建物被害もトータルで二百棟を超えるということであります。まずは被災者の生活支援に全力を挙げていただきたい、このことはしっかり要請をさせていただきたいと思います。

 ただ、その上で、やはり鎮圧までにかなりの長期間、十一日間を要したわけであります。このことについて、その原因と今後の対策をお伺いをしたいと思います。だんだん温暖化が進んできて、乾燥したり大雨が降ったり、どんどんどんどん高低差が非常に大きくなってくるということが予想される中、このような大規模な山林被害というのがあちらこちらで起きるんじゃないか。やはりしっかりと、原因そして対策、これを詰めておく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

小谷政府参考人 お答えいたします。

 岩手県大船渡市で発生した林野火災は、連日の乾燥した天候、折からの強風、そしてリアス式海岸等の急傾斜と複雑な地形などの複合的な要因によって急激に延焼拡大し、大規模な火災になったものと考えられます。

 消防庁は、発災後直ちに緊急消防援助隊の出動を要請し、林野火災としては最大規模の十五都道県からの緊急消防援助隊、岩手県内応援部隊、地元の消防本部、最大約二千百名体制で対応に当たりました。自衛隊ヘリと連携した消防防災ヘリによる空中消火や、市街地延焼を阻止するための地上からの消火活動等に昼夜を分かたず従事したところです。

 延焼範囲が極めて広い範囲にわたることから長期間の消火活動となりましたが、懸命な活動の結果、三月九日、地元消防本部により鎮圧の判断が行われ、現在は、再燃のおそれがない鎮火に向けて、巡回警戒等、必要に応じた消火活動を実施しているところです。引き続き、鎮火に向け全力を挙げてまいります。

 鎮圧まで長時間を要したとの委員の御指摘でございますが、今後、災害対応の振り返りを行い、その教訓を今後の対応につなげていきたいと考えております。緊急消防援助隊として出動した部隊からも意見を聞くなどし、今回の消火活動を始め消防の対応の振り返りを行い、今後の林野火災の対応に向けた消防防災体制の充実強化を検討していきたいと考えております。

尾崎委員 是非よろしくお願いをしたいと思います。

 続きまして、東日本大震災について、帰還困難区域の復興再生の取組についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 本当に、数々の困難もある中、着実に関係者の皆様が努力を積み重ねてこられました。二〇二三年十一月までに、特定復興再生拠点区域における復興再生計画を認定された六町村全てで避難指示が解除をされたということであります。本当に、この間の関係者の御尽力に心からの敬意を表したい、そのように思うところです。

 まだ定住人口は目標の一割程度にとどまるなどしているところではありますが、しかしながら、移住者が急激に増えてきているとか、大変明るい兆しもあるところだと思います。引き続き、帰還困難区域の復興に向けまして、暮らしに関わる多様な取組が必要になってこようかと思います。是非しっかりと進めていただきたいと思いますが、今後の政府の取組の方針についてお伺いをしたいと思います。

伊藤国務大臣 ただいまお話がございました特定復興再生拠点区域につきましては、帰還困難区域の避難指示を解除し、住居を可能とするための制度であります。六つの町、村、具体的には、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、それから飯舘村におきまして、対象地域の避難指示が解除されてから約二、三年が経過しているけれども、御指摘のとおり、住民の帰還等はなお途上であります。

 住民の帰還が更に進んでいきますように、引き続き、住まい、買物環境、教育、医療、介護といった生活環境の整備、並びに、イノベ構想やF―REI等の取組を通じた産業、なりわいの再生、にぎわいの創出や創造的復興に取り組み、安心して暮らせるまちづくりを支援させていただきたいと考えております。

 また、復興庁では、二〇二五年の大阪・関西万博におきまして、五月の十九日から二十四日にかけて、ビルド・バック・ベターということで、よりよい復興をコンセプトに展示を行うこととしておりまして、被災地の復興しつつある姿を避難者の方にも感じていただき、帰還に向けて希望を持っていただけるように取り組んでまいりたいと考えております。

 また、住民の帰還に加えまして、様々な世代の移住者や交流人口、関係人口を増やしていくことも重要なことだと考えております。このため、移住先の市町村に関する情報発信や移住支援金などの移住を促進する取組に対する支援を行っているところであります。さらに、関係人口や交流人口を増やす取組として、地域の魅力を発信し、被災地への関心を醸成する取組など、関係省庁と連携をしているところであります。

 復興庁としては、県や市町村とともに連携をさせていただき、こうした被災地における生活環境の整備や産業、なりわいの再生、にぎわいの創出や創造的復興に全力を挙げてまいりますことで、福島の復興再生を更に加速をしていけるよう努力をしてまいりたいと思います。

 以上です。

尾崎委員 どうも大臣、御答弁ありがとうございました。

 続きまして、防災庁の設置についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、発災後の司令塔機能の強化についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 大規模災害の場合は、発災直後には、対応の最前線に立っている自治体の首長さんも、そして職員の皆さんも自らも被災され、かつ周りの状況把握ができないという、いわば五里霧中の状況に置かれるということが多々あるんだろうと思います。このことは、我々党の方で議論をしている中で、あの熊本地震に直面をされた大西市長さんからもしっかり御示唆をいただいたところでございました。

 そういう中にあって、五里霧中にある現地で対応されておられる方々に対して防災庁から被災の全体像というものを的確に情報提供し、かつ行動についてアドバイスをする、そういうことが非常に重要ではなかろうか、そのように思うところでありますし、また、多様な御要望もあるんだろうと思います、それについてワンストップで対応する、その窓口となるということも極めて重要でなかろうかと思うところでありますが、こういう機能を是非担っていただきたいと思いますが、御見解をお伺いします。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 防災庁の担う司令塔機能といたしましては、委員御指摘のとおり、国が刻々と収集される被害の状況を随時公共団体、市町村と共有をいたし、また、次に対処すべき事柄などを的確に助言するなどして、被災市町村の災害対応や首長の指揮を適切にサポートするとともに、政府全体の窓口として、被災市町村等の要望をワンストップで受け止め、関係省庁の対応を加速させることも重要であると考えております。

 委員御指摘の点も踏まえ、防災庁の司令塔としての在り方について検討を深めてまいりたいと考えております。

尾崎委員 司令塔としての対象範囲について。

 政府の機関間の全ての総合調整を図る機能を発揮していただく、これは非常に大事なことだと思いますが、もう一つ是非お願いしたいと思いますのは、国と地方の関係を超えて、国と県と市町村、この三者の関係もしっかり調整をしていただきたいということであります。

 能登半島地震でも大変課題になってきているわけでありますが、過疎が進んでおる市町村で被災をしますと、対応できる職員の数も少なかったりして大変御苦労されているわけであります。ですから、そのような市町村を県がプッシュ型でバックアップをする、その県を国がプッシュ型でバックアップをする、場合によっては国が市町村にダイレクトにプッシュ型の支援を人的にも行っていく、そういうことも必要になろうかと思います。

 防災庁において、このような調整を迅速に行う、そういう司令塔機能を発揮していただきたいと思いますが、御見解をお伺いします。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、被災市町村に対しまして国や都道府県による支援体制を強化することは重要と考えております。

 被災自治体の支援につきましては、災害の規模に応じまして、都道府県による域内の市町村への支援であったり、あるいは、自治体間で広域に応援を行って国がそれを調整するといった応急対策職員派遣等の取組を進めているところでございます。

 また、令和七年度から、内閣府防災担当の機能を予算、人員の両面から抜本的に強化することとしておりまして、内閣府に都道府県のカウンターパートとなる地域防災力強化担当を置きまして、平時から都道府県また市町村と顔の見える関係を構築し、自治体との連携を強化していくこととしております。

 令和八年度の設置に向け、現在の防災庁設置準備アドバイザー会議におきまして、専門家の御意見をいただきながら、こうした国、県、市町村の役割分担の在り方も含め、効果的、効率的な災害対応を実施する体制の在り方等について更に検討を深めてまいりたいと考えております。

尾崎委員 どうもありがとうございました。

 併せて、官民の連携も非常に重要だろうと思います。そういう点、今回、災害対策基本法、これを見直してボランティア団体等の事前登録制度を設けよう、そういう方向で議論がされております。これは本当に有効な対策だと思います。是非しっかりと国会でも今後議論させていただきたい、そのように思います。

 その上で、続いて、防災庁による本気の事前防災についてお伺いをさせていただきます。

 これまで発生した数々の災害において、本当に数々の想定外が発生をして、そのたびに新たな対策を講ずるということが行われてきました。阪神・淡路大震災、あのときに、震度七の揺れ、あれだけのガル数の揺れが起こるんだということ、本当に多くの方が想定外だとおっしゃった。東日本大震災もしかりであります。あれだけの津波の害が来る、このことについて多くの方が想定外だと思った。熊本地震も、震度七の揺れがあれだけ短期間に二回起こったということについて多くの方が想定外と思われたでしょうし、能登半島地震でも、沿岸部が隆起までして港まで使えなくなるということについて多くの方が想定をしていなかった、そういう状況であったかと思います。

 私は、防災庁の事前防災上の最大の任務はこのような想定外を少しでも減らしていくことだ、そのように思います。是非、防災DXの成果も生かして様々にシミュレーションも繰り返していただきまして、想定外をなくし、新たな弱点が見つかったらそれに関係して関係省庁に勧告する、そういう取組を行っていただきたいと思いますし、そのような権限も必要だと思うところでございます。

 こうした考え方についての御見解をお伺いします。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 今後発生が懸念される大規模災害におきまして想定外を少しでも減らしていくため、防災DX、デジタル技術の活用などによりまして起こり得る被害をあらかじめ想定し、事前防災として必要な対策を講じることは重要と考えております。

 八年度中の設置を目指している防災庁の準備におきまして、先ほど申しましたようにアドバイザー会議を開催しているところでございますけれども、こうしたアドバイザーの皆様からは、被害が大きくなるリスクを事前に見つけておくことが重要である、また、防災庁が府省庁の旗振り役となりコーディネート機能を担うことが必要である、あるいは、被害の軽減に向けAIを始めとする新技術の活用を進める必要があるといった意見をいただいているところでございます。

 委員の御指摘も踏まえ、防災庁が総合調整を担い、個別の施策を実施する関係省庁が一体となった災害対策を一層効果的、効率的に実施できるような体制や権限の在り方について検討してまいりたいと考えております。

尾崎委員 避難所の体制を事前にしっかり整えていくとかそういうことも非常に大事だ、これも極めて重要なことだと思いますが、併せて、是非いろいろなシミュレーションを繰り返していただいて、それぞれの災害に対してそれぞれの地域、施設でどのような弱点があるかということをあらかじめ明らかにし、それに対する対策をしっかり各省庁挙げて行っていく、そういうことをリードする事前防災の司令塔になっていただきたい、そのようにお願いを申し上げたいと思います。

 その上で、どのようなことが今後想定外のこととして起こり得るか、困難な事態があり得るかということについて、ちょっと関連のことでお伺いをさせていただきたいと思います。

 例えば、南海トラフ地震について、平成二十四年に「南海トラフ巨大地震の被害想定について(第二次報告)」というのが出されて、これに基づいて各種の対策が行われてきているところでありますが、ただ、残念ながらといいますか、これは平成二十四年に作ったものですので、現在の知見からするとやはりまだ不十分だなと思われることは多々あるだろうと思いますし、さらに、防災庁が先ほど申し上げたいろいろな事前のシミュレーションをしていただくこととなれば、いろいろなほかの弱点も見つかってくるだろう、そのように思うところです。

 それで、まずちょっと基本的なことからお伺いしたいと思いますが、今、国土強靱化について、新たな実施中期計画の策定についての議論が行われていると思います。従来の五か年加速化対策というのは、元々想定されていたものの完成年度を前倒しをする、加速するという計画でありましたが、今度の実施中期計画は、いわゆる加速するための計画ではありません、新たな知見に基づく新たな取組も盛り込んでいくことが可能なものだろう、そのように思うところでございます。

 是非そうしていただきたいと思いますが、まず、そういう基本的な考え方についてお伺いをいたします。

坂井国務大臣 御指摘のとおり、今実施中期計画を策定しているところでございますが、ここには、策定方針を二月に決定をし、それに沿ってという形で今進めておりまして、この策定方針の中で幾つか新たな要素も入れているところでございます。

 例えば、新たに設置が検討されている防災庁の下で、スフィア基準等を踏まえた避難所環境の抜本的改善、そのため、トイレ、キッチン、ベッド、風呂の備蓄、確保体制の構築等を図ること。携帯電話基地局の強靱化等により通信サービスの維持、迅速な復旧を図ること。また例えば、ライフラインについて、従来のネットワーク型の強靱化に加え、代替水源等のフェーズフリーな仕組みでありますとか、あと、再生可能エネルギーを活用した自立そして分散型システムの導入を図る。そして、最後になりますが、例えば、重要施設に接続する上下水道管路等の老朽化対策、耐震化等。

 一体的なこういった関連する施策間の連携を強化すること等をポイントとして位置づけたところでございまして、関係府省庁と連携をし、検討を進め、六月めどの策定に向けて加速化してまいりたいと思います。

尾崎委員 大臣、どうもありがとうございました。

 本当に、今挙げられた諸点は強化すべき重要なポイントだと思うところでございまして、是非スピード感を持った対応をお願い申し上げたい、そのように思うところでございます。

 さらに、ちょっと関連をして、更に継続的に対策を強化すべきではないかと思われる点について、今日は、たくさんあると思いますが、二点お伺いしたいと思います。一つがコンビナートの対策、そしてもう一つが災害時の医療救護についてということであります。

 コンビナートについて、南海トラフ巨大地震の被害想定について、この第二次報告ではこう書いてあります。「大規模な石油タンク等は、おおむね耐震対策等が完了しており、既知の地震動による石油等の流出の危険性は極めて低い。」とされています。

 揺れを想定した対策のようにお見受けしますが、まず国交省にお伺いしますけれども、コンビナート周辺の護岸について、L2クラスの大規模津波への対策は十分に行われていますでしょうか。

安部政府参考人 お答え申し上げます。

 護岸の津波対策については、コンビナート周辺を含め、これまで、比較的発生頻度の高い津波、いわゆるL1津波に対して防護することを目標に、公共の護岸等の海岸保全施設の整備等を進めてきたところです。

 最大クラスの津波、いわゆるL2津波に対しては、被害の最小化を主眼とする減災の考え方に基づき、ハード対策と避難を中心とするソフト対策とを組み合わせた対策を進めています。具体的には、津波が護岸を越流しても構造物が粘り強く耐え、津波到達時間の遅延、浸水区域の縮小等の減災効果を発揮するよう、護岸の補強、強化等を進めております。

 以上でございます。

尾崎委員 全てハードだけでL2に対応することはできない、それはそのとおりです。

 しかしながら、しっかり減災を進めるためにやるべきことは多々あるんだろう、そういうふうに思います。特に、大規模津波が来たりしますと、大規模な船舶が漂流してしまう、その船舶がコンビナートにだだだっとぶつかっていって大規模火災を引き起こすだとか、そういうことだって想定され得るわけでありまして、是非様々なシミュレーションをして対策を強化していただきたいと思います。

 これに関連してもう一つ申し上げたいのは、コンビナートには民有護岸がたくさんあります。その対策は十分できているかということをお伺いします。

和久田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、製油所とか備蓄基地、化学工場などが立地する石油コンビナート等特別防災区域につきましては、政府といたしましては、津波被害の拡大を最小限に食い止めるため、民有護岸の強化を含めた防災・減災対策を行ってきたところでございます。

 他方、これまでの対策につきましては、委員も御指摘のとおり、L2クラスの大規模津波に対して十分であるかという点につきましては、これは引き続き検討が必要だというふうに考えてございます。

 今後提出される予定である最新の南海トラフ被害想定も踏まえまして、港湾を所管する国交省と連携しながら防災・減災対策の強化に向けた取組を行いますし、さらには、コンビナートに立地する企業に対して災害対策の強化を促してまいりたいと考えてございます。

尾崎委員 是非、継続的に検討を進め、対策を進めていただきたい、そのように思います。

 そして、最後の項目になりますが、災害時の医療救護体制についてお伺いをさせていただきます。

 超大規模広域災害の場合には、膨大な数の負傷者が瞬時に発生する一方で、医療機能も被災し、被災地域での医療機能が麻痺する可能性が高いと思われるところです。

 高知県、最大規模の南海トラフ地震が発生した場合、想定死者数は四・九万人、他方、負傷者も四・七万人であります。この四・七万人をどのようにさばいていくのか。トリアージして救急車で運ぶなんてことをしていたら、一%程度の方が運べて残りの九九%に何の処置もできないということになりかねない、そういう厳しさがあるんだろうと思います。大変難しい問題です。

 政府としてどのような対応をされているか、お伺いしたいと思います。

吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 大規模災害の発生を想定をいたしまして被災地域の医療人材それから医療資機材等の医療資源の不足に備えていくということは、大変重要であるというふうに思っております。

 その上で、災害発生時においては、DMATをまず被災地に派遣をいたしまして、医療機関の診療や物資、搬送等の支援を行うほか、併せて、災害の規模に応じて、これは関係省庁が連携をして、空路や陸路を中心として医療資源を被災現場に展開をすることとしております。

 さらに、その上で、今御指摘がありました南海トラフ地震のような超大規模広域災害では、DMATだけでは対応し切れないという多数の負傷者が発生をし、さらに、陸路や空路でのアクセスが困難な地域も生じ得ることから、更なる対応の強化が必要ということでございますので、そのことに向けて、DMAT以外の医療チームも含めた支援体制の構築を強化をすること、それから、令和六年六月に船舶活用医療推進法が施行されたことを踏まえて必要な対応を図るなど、適時適切な被災地支援の在り方について、引き続き検討してまいりたいと思います。

尾崎委員 医療従事者の皆さんに現地に行っていただくとともに、確かに、様々な医療資機材、これを現地に展開することも大事だろうと思います。その点において、さっきおっしゃった船舶の活用というのは一つ非常に有効な手段ではなかろうかと思うところでございます。

 おいでいただいていますが、済みません、質問する時間はないのでお許しをいただきたいと思いますが、是非しっかりと検討を進めていっていただきまして、厚労省さんと連携をして取組を進めていただきたいと思いますし、そういう連携をしっかり今後新しい防災庁で司令塔機能として図っていっていただきたい、そのように思うところでございます。

 質問を終わります。どうもありがとうございました。

     ――――◇―――――

金子委員長 この際、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来理事会等で御協議を願っておりましたが、協議が調いましたので、委員各位のお手元に配付いたしましたとおり委員長において起草案を作成いたしました。

 本起草案の趣旨及び主な内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。

 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律は、昭和五十五年五月に災害対策特別委員会提出による五年間の時限立法として制定されたものであり、これまで、五年ごとにその有効期限を延長してまいりました。

 この間、本法律に基づき、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業が四十五年にわたり鋭意実施されてきたところでありますが、本法律は、本年三月三十一日をもってその効力を失うこととなっております。

 しかしながら、地震対策緊急整備事業には、現行計画で執行できなかった事業がある上、現行計画には盛り込めなかったものの地震防災対策の推進上緊急に整備すべき事業も少なからず存在しております。

 本起草案は、このような状況に鑑み、本法律の有効期限を更に延長し、当該事業を引き続き実施することにより、地震防災対策強化地域における地震防災対策の充実強化を図ろうとするものであります。

 次に、本起草案の主な内容について御説明いたします。

 第一に、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の有効期限を五年延長し、令和十二年三月三十一日までとすることとしております。

 第二に、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の提案の趣旨及び主な内容であります。

    ―――――――――――――

 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

金子委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。坂井防災担当大臣。

坂井国務大臣 本法律案の提出に際しての議員各位の御努力と熱意に対し、深く敬意を表します。

 政府といたしましては、本法律案については特に異存はありません。

 可決いただきました暁には、その趣旨を踏まえ、適切な運用に努め、地震対策緊急整備事業が速やかに達成されるよう、関係省庁と密接な連携を取りつつ、事業の一層の推進を図ってまいります。

金子委員長 お諮りいたします。

 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付しておりますとおりの起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

金子委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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