第7号 令和7年4月22日(火曜日)
令和七年四月二十二日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 金子 恭之君
理事 古賀 篤君 理事 土屋 品子君
理事 平沼正二郎君 理事 小熊 慎司君
理事 近藤 和也君 理事 森山 浩行君
理事 林 佑美君 理事 田中 健君
五十嵐 清君 尾崎 正直君
鬼木 誠君 梶山 弘志君
工藤 彰三君 小寺 裕雄君
後藤 茂之君 小森 卓郎君
田畑 裕明君 西田 昭二君
根本 幸典君 松本 洋平君
簗 和生君 阿久津幸彦君
岡島 一正君 金子 恵美君
小宮山泰子君 齋藤 裕喜君
高橋 永君 竹内 千春君
西川 将人君 馬場 雄基君
柳沢 剛君 市村浩一郎君
杉本 和巳君 菊池大二郎君
鳩山紀一郎君 中川 宏昌君
西園 勝秀君 福重 隆浩君
櫛渕 万里君 堀川あきこ君
北神 圭朗君
…………………………………
国務大臣
(復興大臣) 伊藤 忠彦君
国務大臣
(防災担当) 坂井 学君
国務大臣
(防災庁設置準備担当) 赤澤 亮正君
内閣府副大臣 鳩山 二郎君
政府参考人
(内閣官房国土強靱化推進室次長) 丹羽 克彦君
政府参考人
(内閣官房防災庁設置準備室次長)
(内閣府政策統括官) 高橋 謙司君
政府参考人
(復興庁統括官) 山野 謙君
政府参考人
(復興庁統括官) 桜町 道雄君
政府参考人
(復興庁統括官付審議官) 牛尾 則文君
政府参考人
(経済産業省大臣官房福島復興推進政策統括調整官) 川合 現君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 久米 孝君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 横山 征成君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 服部 卓也君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 山本 巧君
衆議院調査局第三特別調査室長 南 圭次君
―――――――――――――
委員の異動
四月二十二日
辞任 補欠選任
小森 卓郎君 五十嵐 清君
梅谷 守君 高橋 永君
福田 昭夫君 西川 将人君
中川 宏昌君 福重 隆浩君
同日
辞任 補欠選任
五十嵐 清君 小森 卓郎君
高橋 永君 梅谷 守君
西川 将人君 福田 昭夫君
福重 隆浩君 中川 宏昌君
同日
理事林佑美君同月十六日委員辞任につき、その補欠として林佑美君が理事に当選した。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
理事の補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
東日本大震災からの復興・防災・災害に関する総合的な対策に関する件
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○金子委員長 これより会議を開きます。
理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。
それでは、理事に林佑美君を指名いたします。
――――◇―――――
○金子委員長 東日本大震災からの復興・防災・災害に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、内閣官房国土強靱化推進室次長丹羽克彦君外十名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○金子委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小寺裕雄君。
○小寺委員 おはようございます。自由民主党の小寺裕雄でございます。
本日は、質問の機会をいただき、委員長始め理事の先生方には感謝を申し上げるところでございます。
今年は、昭和百年でありますとか戦後八十年、あるいは、私の地域でいいますと市町村合併二十周年とか、いろいろ御挨拶をさせていただくときに枕言葉のように言うこうしたフレーズがあるわけですが、近畿地方に暮らしている我々にとっては、忘れてはならないのが阪神・淡路大震災三十周年ということであります。
一九九五年の一月十七日、発災した日のことはとてもよく覚えています。滋賀県はたしか震度五弱だったと記憶をしておりますが、当時は、親子が四人で川の字になって寝ておりましたので、揺れと同時に飛び起きて、たんすが倒れてこないように一生懸命押さえていたことを覚えています。午前七時のNHKのニュースの段階ではまだ被害の状況はそれほど報道されておりませんでしたが、お昼のニュースのときには神戸の町からは幾つもの白い煙が立ち上っておりまして、大きな被害が出ていることにただただ驚くばかりでありました。
それまで余り大きな地震災害に直面してこなかった私たちにとっては、阪神・淡路の震災をきっかけに、地震対策や、災害への支援であったり、そして民間ボランティアの仕組みなどが整備されてきたわけであります。思い出しますと、時の政権は自社さで、村山政権でありました。
それから、十四年前の東日本大震災が続きました。発災したとき、実は私はちょうど行きつけの散髪屋におりまして、テレビでは「ミヤネ屋」が流れておったのですが、巨大地震が三連動で起きて津波が押し寄せる様子を、生放送で、茫然としながら、えらいことになったと衝撃を受けたことを昨日のことのように覚えております。
阪神・淡路のときには西宮へ、東日本のときには気仙沼へボランティアで参加をさせていただきましたが、被災地の様子を肌で感じて、事前防災であったり復興支援の重要性というのを感じたところであります。
そして、今まさに話題になっている南海トラフ巨大地震であります。南海トラフ地震というのは、駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界を震源とするものでありまして、過去に何度も大きな被害をもたらしてきた大規模地震であります。過去の事例を見てみますと、これまで百年から百五十年という周期で大規模な地震が発生しており、マグニチュード八クラスの地震が今後三十年以内に発生する確率が何と八〇%あるというふうに言われています。
そこで、政府では、平成二十六年に南海トラフ地震防災対策推進基本計画を策定して、関東から九州にわたる広い範囲で強い揺れが発生し巨大な津波が到達するという前提の下に、死者数や建物の全壊棟数などを公表し、国民に対して巨大地震が発災したときの危険性を啓発するとともに、防災意識の向上などに努めてこられたものというふうに承知をしております。
この度、前回の策定から十年というタイミングに合わせて令和五年から進めてこられた基本計画の見直し作業の中で、三月三十一日に公表された南海トラフ地震の被害想定における死者数が前回との比較で減少したという結果が出ておりますが、この要因についてはどのような分析があるのでしょうか、お尋ねしたいと思います。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
三月三十一日に公表した南海トラフ巨大地震の被害想定では、津波、建物倒壊、地震火災により、最大で約二十九・八万人の死者数が想定されているところでございます。
一方で、御指摘いただきました、前回、平成二十六年の基本計画では、最大約三十三・二万人の死者数が想定されておりまして、住民の早期避難意識を同じとした場合に、今回の想定では約一割減少するという結果となってございます。
これは、地形データの高精度化等によりまして津波の浸水面積が増加する一方で、各地域におけるこの約十年間の取組によりまして、住宅の耐震化率の向上、津波から身を守るための避難タワーの整備などが進捗をしておりまして、トータルで死者数が減少する結果となったものと考えているところでございます。
○小寺委員 ありがとうございました。
建物の耐震化率が向上したり、あるいは津波から避難するタワーの建設が促進されて、一割程度死者数が減少したということでありますけれども、一割減少したから確かに前進したとは言えますけれども、それでも、これだけやってまだ一割ぐらいしか減少しないのかというふうに感じるところも多々あります。後ほど質問させていただきますけれども、やはり備えをしっかりしていかなければならないということを改めて感じさせていただきました。
さて、これまでの南海トラフ地震に関する歴史などを調べてみたところ、いろいろなことが分かってまいりました。南海トラフでは、昔から、東海地震、東南海地震、そして南海地震という三つの大地震が繰り返し発生をしているわけでありまして、二〇〇〇年代に入ってから、これらの三つが連動して起きる連動型地震について想定をしてきたところです。
しかし、二〇一一年のマグニチュード九・〇でありました東北地方太平洋沖地震、いわゆる東日本大震災でありますけれども、これが、これまでの想定を超える規模の地震が南海トラフでも起こり得る可能性があるということを浮き彫りにしたため、マグニチュード九クラスの地震も想定範囲内に入れて見直しを進めてきたわけであります。
また、南海トラフの西の端であります日向灘では繰り返し日向灘地震が発生している現状を踏まえて、南海トラフ巨大地震では、三連動地震に加えて日向灘地震も、想定される震源域に現在では含んでおります。
南海トラフの地震はこれまで大体百年から百五十年という周期で発生していますが、その発生の仕方には、東海地震であったり、東南海地震であったり、南海地震であったり、少し震源域が違うところで直ちに連動する発生の仕方、あるいは間隔を少し空けて発生したりということで、様々であります。古くは八八七年、平安時代の仁和地震、一〇九六年、九九年と少し間の空いた永長、康和の東南海地震、一三六一年の正平、康安の東南海地震、一七〇七年の宝永地震、一八五四年の安政東南海地震、そして一九四四年、四六年という昭和東南海地震など、その発生する過程には、範囲であったり、連動する間隔であったり、多様な性質があるということが認められております。
そこで、今回の報告書の中で新たに公表されました、時間差を置いて発生する地震というものについて、その被害想定の概要であったり、そのことを公表する目的といったものにはどのようなものがあるのか、お尋ねをしたいと思います。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
南海トラフ沿いでは、一八五四年に安政東海地震が発生し、その三十二時間後に安政南海地震が発生するなど、時間差を置いて連続的に大規模地震が発生した事例も確認されておりますことから、今回、時間差を置いて発生する地震も対象に、繰り返し発生することで被害が増加する可能性があること、また、後発地震までの時間を活用することで新たな被害を軽減できる可能性もあること、こうしたことを示すことで、防災・減災対策を促すことを目的とした被害想定をしておるところでございます。
被害想定の算定結果としては、揺れによる全壊棟数につきましては、先発地震による損傷に加えて更に被害を受けるということになりますので、単独で発生する場合よりも被害が三万一千棟増加するというふうに想定をされております一方で、津波による死者につきましては、先発地震により避難意識が向上するということがあろうということで、津波による死者数については大幅に減少するといったことが想定されているところでございます。
後発地震による新たな被害を軽減するためには、後発地震までの時間を最大限活用し防災対策を行うことが重要でありますので、今回の被害想定を広く周知し、社会全体における防災意識の醸成に努めてまいりたいと考えております。
○小寺委員 ありがとうございます。
東南海地震とは異なりますが、熊本の地震は、翌日にまた同じ規模の地震が発災したという事例もございますので、本当に、今お話しいただいたように、先の地震が連動して起きるとなかなか難しいわけでありますけれども、少し間隔が空いているときには、やはり、被害者に対して次への備えを万全にしていくことが被害を最小限にとどめることにつながるのだということでありますので、今後の対応をよろしくお願いしたいと思います。
先ほどの質問の中で、過去の南海トラフで発生した地震についてお話をしましたけれども、京都大学の名誉教授でおられる鎌田浩毅先生という方によりますと、今、二〇二五年のこの現状がまさに平安時代の九世紀の状況と大変似ているというふうな記事を目にしました。
平安時代の八六九年に発生した貞観地震というものは、現代で置き換えると東日本大震災に匹敵する規模の地震だったそうであります。この八六九年というのは、実は京都で祇園祭りが始まった年でありまして、つまり、貞観地震でたくさんの方がお亡くなりになって、その鎮魂の思いを込めて始まったお祭りというのが祇園祭りであるというふうに言われているわけであります。そして、その九世紀の貞観地震の九年後の八七八年に直下型の武蔵・相模地震が起きておりまして、さらにその九年後には、南海トラフ巨大地震に相当する、先ほどお話しした仁和地震が発生しているわけであります。
東日本大震災は、そのときに、これは千年に一回起きる大地震だというふうに言われていましたけれども、そうであるならば、平安時代に起きた直下型の地震と、東海、南海、あるいはそうした西日本地域で連動型の地震がまさにこの現代において発生すると見るのが至極当然ではないかというのが鎌田先生の見立てであります。
そうしたことを考えると、今、今年は二〇二五年でありますけれども、まさに二〇三〇年代に、首都近辺で直下型の地震が、そして南海トラフ海域で連動型の巨大地震が発生する確率は極めて高いと言えるのかもしれません。
そこで、南海トラフ巨大地震がいつ起きるのか分からない、いつ起きてもおかしくないという前提の下に、地震による被害を更に軽減していくためには、私たち国民はどのような取組をするべきであるというふうにお考えか、この質問を鳩山副大臣にお願いしたいと思います。
○鳩山副大臣 御質問ありがとうございます。お答えをいたします。
今回改めて甚大な被害の想定が示されましたが、津波による死者数は、早期避難率が一〇〇%になれば約二十一・五万人から約七・三万人まで減少をし、住宅被害は、耐震化率が一〇〇%になれば全壊棟数が約百二十七・九万棟から約三十五・九万棟に減少するなど、対策に取り組めば被害は軽減できることも示されたところであります。
国民の皆様には、この被害想定を正しく理解をしていただいて、自らの命は自らが守るという意識を持ちながら、住宅の耐震化や家具の固定、避難訓練や避難場所の確認等の津波への備え、一週間分程度の家庭備蓄の確保などの防災対策に取り組んでいただくことが重要だと私ども考えております。
政府としましても、防災訓練や防災教育などを通じて国民の防災意識の向上を図り、南海トラフ地震等の大規模災害への備えを推進する機運を高めてまいりたいと思っております。
○小寺委員 ありがとうございます。
特に、地元の話ばかりして恐縮ですけれども、我々、内陸部ですので、どうしても、津波の報道が出たときには、内陸部の人間にとっては多少人ごと感があるのは紛れもない事実であります。しかし、今副大臣が言われたように、国民全体が防災意識をしっかり持ってそれぞれの地域でできる備えをしていくということが被害の軽減につながるわけでありますから、国のそうした取組の一層の支援を是非また地方部にもお願いしたいというふうに思います。
それと併せまして、今回の被害想定では、私が今申し上げましたような、滋賀県でも、実は、南海トラフ地震が起きますと最大震度六強が想定されています。阪神・淡路のときが震度五弱で、この数十年というか、戦後でいうとほぼ最大規模の震度であったわけであります。今お話しいただいたように幾ら住民の意識を高めたとしても、自分の命を自分だけで守るということには限界があります。
そこで、今後、各地方公共団体はどのような取組を進めるべきであるのかということをお尋ねしたいと思います。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
南海トラフ巨大地震の被害想定は、全国の被害の全体像を明らかにすることにより、広域的な防災対策を立案するとともに、国民の防災意識の向上を図り、津波からの避難促進など、被害の軽減を図ることを目的として算出しているものでございます。
各地方公共団体においては、国の被害想定を参考に、必要に応じて各地域の被害想定や地域防災計画の見直し等を進めていただくことが重要と考えております。
内閣府におきましても、各地方公共団体の取組を支援するため、各地域のブロック会議において被害想定の説明あるいは周知を行わせていただくとともに、本年度から都道府県のカウンターパートとなる地域防災力強化担当を置いておりますけれども、こうした担当の方で平時から都道府県と顔の見える関係を構築し、連携を強化していくこととしておりまして、平時からの準備が促進されるよう支援をしてまいりたいと考えております。
○小寺委員 ありがとうございます。
いろいろお答えをいただきました。これまでは、南海トラフ巨大地震について、被害想定でありますとか、防災対策でありますとか、あるいは計画の内容であったり、また、国民又は地方公共団体の取組がどうあるべきなのかについて質問をしてきたところです。
しかしながら、どれほど緻密に被害想定をして計画を立てたとしても、また、どれほど国民の防災意識を向上させて地方自治体が迅速な対応を取れるようにしたとしても、先ほど来ございますように、耐震化であったり、津波タワー、避難施設の整備であったり、また、防波堤や防潮堤といったハード対策を更に推し進めることが何といっても重要であるというふうに考えます。一言で言うならば、国土強靱化の推進であります。
もちろん、ソフト対策も必要なことは言うまでもありませんが、これまで、国土強靱化は、平成三十年から令和二年までの三年間緊急対策で七兆円、令和三年から七年までのまさにこの五か年加速化対策で十五兆円という予算を使って実施してまいりました。この六月をめどに策定する第一次国土強靱化実施中期計画では、令和八年から五か年で、加速化対策の予算を上回る規模でインフラの老朽化や大規模災害への対策を進めていかなければならないと考えるところであります。
そこで、新たな計画を策定するに当たってどのようなお考えをされているのか、お尋ねしたいと思います。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
気候変動に伴いまして激甚化、頻発化する気象災害や、切迫する南海トラフ地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震など大規模地震から国民の生命、財産、暮らしを守り、国家、社会の重要な機能を維持するため、防災・減災、国土強靱化の取組を切れ目なく推進する必要があると考えております。
これまでの五か年加速化対策を含む国土強靱化施策の取組によりまして、インフラの耐震強化など、全国の対策箇所で被害を抑制する効果が確実に積み上がっておりますが、対策を急がれる箇所も数多く残っておりまして、継続的、安定的に取組を進めることが重要と考えております。
五か年加速化対策に続く計画として、委員が先ほどお話しになりました、六月をめどに策定いたします第一次の国土強靱化実施中期計画の素案におきまして、推進が特に必要となる施策の事業規模を今後五年間でおおむね二十兆円強程度を目途とすることとしております。
引き続き、関係府省庁と連携いたしまして、第一次の国土強靱化実施中期計画の策定に向けて調整を進め、必要な予算をしっかりと確保いたしまして、防災・減災、国土強靱化の取組を着実に進めてまいりたいと考えております。
○小寺委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
○金子委員長 次に、小宮山泰子君。
○小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。
今月二度目のこの委員会での質問となります。
本日は園遊会があるために既に着物を着させていただいておりますこと、御理解いただければと思います。
さて、先回も伝えましたけれども、本年は阪神・淡路大震災から三十年たち、そして関東大震災は令和五年で百年を迎え、また東日本大震災からは十四年、その間にも、熊本や能登半島での大きな地震、様々なところで被害があり、そして地震の活動期に入ったと言われているところでもあります。
改めて、お亡くなりになった皆様にお悔やみとお見舞いを申し上げ、そして何よりも、被害に遭われた皆様、そこから教えていただいたことに対応する国づくりをするのが政治の役割だということを認識し、強く考え、思い、質問をさせていただきたいと思います。
今年三月、中央防災会議防災対策実行会議南海トラフ巨大地震対策検討ワーキングチームにて、南海トラフ巨大地震、最大クラス地震における被害想定について取りまとめられました。被害想定項目は十分類するとともに、更に五十八項目に分けて整理されております。多くの項目に対して、被害の様相に加えて、定量的な評価も行われているものであります。
東海、東南海、南海地方に加えて、関西、中国地方での被害についても示されるなどしておりますが、南海トラフ巨大地震では、そのほかの地域においても大きな影響や被害が生じると考えられております。
首都直下地震では火災による被害が大きくなることが想定されているのと比べて、南海トラフ地震では津波による被害が大きくなるものと懸念されるという基本的特徴があると思います。
そこで、南海トラフ巨大地震発災時の場合について、全体で被害想定の概要、特徴並びに関東圏における被害についてどのように想定しているのか、御説明ください。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
三月三十一日に公表した有識者による南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループの報告書では、最新の科学的知見や防災対策の進捗等を踏まえて被害想定の見直しがなされるとともに、今後実施すべき対策について幅広く取りまとめをいただいたところでございます。
この被害想定によりますと、例えば、死者数は最大で約二十九・八万人、建物の全壊、焼失棟数は最大で約二百三十五万棟に上るなど、改めて、甚大な被害が発生することが示されたところでございます。
また、御指摘をいただきました、このうち関東圏、一都六県で算出いたしますと、一都六県では、死者数は津波被害を中心に最大で約六千三百人、建物の全壊、焼失棟数は津波や液状化などで最大で約七千百棟と想定されているところでございます。
○小宮山委員 首都直下と違って、予算措置もありますけれども、津波に対しての被害というものが大きく想定されております。例えば千葉県では、一番大きなところで到達まで一時間ぐらいですかね、五十六分かな、十一メートル、東京都でも港区で三メートルという大きな津波による影響がある。ただ、首都直下とか地震の中においては、この点というのは恐らく、多くの都民の方や働いている方というのは認識が薄いのではないかと心配をしております。
そこで、大臣に伺わせていただきますけれども、首都直下地震への備えとは異なる備えとしてどのような対応を政府は行っているのか、また考えているのか、御説明をいただければと思います。
○坂井国務大臣 委員御指摘のように、平成二十五年に公表された被害想定では、首都直下地震の場合は亡くなると想定される方の七割が火災、そして今回、南海トラフの場合は七割が津波というもので想定をされておりますので、津波からの早期避難が重要であると考えております。
そこで、今回の報告書を受け、南海トラフ地震防災対策推進基本計画の見直しに向けた対応を進めるとともに、津波からの避難訓練など、社会全体の意識啓発、津波避難施設の整備、そして、インフラ、ライフラインの耐震化などの国土強靱化、発災後の被災者の生活環境の確保、保健、医療、福祉支援の充実、これらは首都直下地震も同じような備えが必要でございますが、こういったものを関係省庁と連携し取り組んで、一層加速してまいりたいと思っております。
○小宮山委員 ありがとうございます。
大変、そうはいっても、様々なところに、首都直下のエリアというのは準備をしなければならないんだと思っております。
ちょっと質問の順番を変えさせていただいて、今、首都直下のときには火災による被害が多くあると言われていたので、後に質問をするつもりでございました感震ブレーカーについての質問を先にさせていただきたいと思います。
令和六年の能登半島地震を踏まえた災害対応の在り方について、報告書の中では、現状と課題として、古い木造建築物が密集する地域で地震を原因とした大規模な市街地火災が起こり甚大な被害が生じていること、また、地震時等の防災安全性が確保されていない密集市街地は全国に存在しており整備改善が必要であることが指摘されております。
これらの課題に対して実施すべき取組として、家具転倒などがありますけれども、地震火災対策を更に推進する必要があると思っております。首都直下でも同様に、火災を抑えるということは大切かと思っております。
この点において、感震ブレーカーの普及に向けて、各地における取組、推進するための様々な計画、モデル事業などもしているかとは思いますが、感震ブレーカーの普及促進に対する現在の政府の取組について御説明をお願いいたします。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
感震ブレーカーの普及促進は、地震による火災の原因の過半数を占める電気関係の出火を防止するために重要だと考えております。
このため、感震ブレーカーの重要性について、パンフレットや映像資料による普及啓発、あるいは、電気設備の施工等に適用される民間の規程、これは日本電気協会さんが作っていらっしゃいますけれども、こうした規程の中で全国の住宅への感震ブレーカーの設置を推奨的事項としていただくとともに、特に危険な密集市街地等における住宅については、勧告的事項として位置づけていただいて働きかけをお願いする、また、自治体において、関係事業者等と連携した、感震ブレーカーの普及促進に向けた体制構築を含む取組のモデルとなる計画例を本年三月に取りまとめる、そうした取組を行ってきたところでございます。
首都直下地震が発生した場合に著しく危険な密集市街地におけるサンプル調査では、令和元年時点で約二二%の方が感震ブレーカーを自宅に設置しているとされております。引き続き、感震ブレーカーの普及推進に向け、関係省庁や関係事業者等による会議を開催するなど、関係者間で連携しながら感震ブレーカーの普及に努めてまいりたいと考えております。
○小宮山委員 今、実際には感震ブレーカーは二二%ぐらいですか、普及だと思っておりますけれども、これは意外に、漏電の装置がついているからということと混同している方もいらっしゃるという、レクのときに御説明もいただきました。
東京もそうですが、これから観光立国を目指す国としては、やはり木造建築というのは日本の特徴でもあります。この高温多湿の中でも非常に有効な資源でもある、ここを壊さずに共存するためには、まず火災を出させないということが必要です。その点においては、もちろんこの感震ブレーカーというものの存在、また設置の基準というものをどんどん上げていかなければなりません。
現在のところ、感震ブレーカーの普及目標は、現状二五%とされておりますけれども、目標としては低過ぎます。例えば五〇パー、いや、本来では八〇パーというレベルで目標を立てていくべきだと考えますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
○坂井国務大臣 平成二十七年に閣議決定をされた現行の首都直下地震緊急対策推進基本計画では、延焼のおそれのある密集市街地における感震ブレーカーの普及率は、御指摘のとおり二五%を目指すこととしております。これは平成二十七年の閣議決定でございますから、計画策定から十年が経過することになりますので、計画の見直しに向けて、現在、有識者から成る首都直下地震対策検討ワーキンググループにおいて検討を実施しているところでございます。
先ほど政府参考人から、令和元年二二%という数字がありました。それから数年たっているわけでございますので、二二よりは普及をし、そして二五%に行っているかどうかという現状かとは思います。具体的に、令和元年から今までの普及率を想定をしながら、実現可能な目標値を定めてまいりたいと思っておりますが、御指摘のとおり、この普及率は高ければ高いほど安全だということでございますので、より一層の高みを目指して努力はしていきたいと思います。
○小宮山委員 大臣におかれましては、是非、一層の高みを目指していただければと思います。
さて、前回の質問のときに時間の関係で要望にとどめさせていただきました、首都直下地震に対する仮設住宅等の用地確保について、最後に質問させていただきたいと思います。
前回のときにもお伝えさせていただきましたが、首都直下地震が発生した場合、都内で百八十九万戸余りの住宅が全半壊し、五十七万戸の仮設住宅が必要になると、国の被害想定、二〇一九年度のものですが、ございます。NHK特集で、二〇一九年のときにも、仮設住宅では足りないという特集が組まれておりました。
マンションに四十九万戸、空き賃貸物件をこの中ではみなし仮設住宅として活用する場合も、被災者に自己負担を求めない賃料の物件を用いることとなりますが、これだけでは運用がし切れないということで、首都直下型地震の発生の際に必要となる仮設住宅の戸数についての想定と、それら必要戸数に対して実際に提供できると考える戸数について、政府としてどのように算定をしているのか、捉えているのか、御答弁をお願いいたします。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
首都直下地震などの大規模災害が発生した場合に、被災された多くの方々の住まいをどう確保していくか、これは大変重要な課題であると認識をしております。
内閣府では、大規模災害時に被災者の住まいを迅速に確保する上での課題を整理する等の観点から、平成二十八年に、大規模災害時における被災者の住まいの確保に関する検討会を開催し、有識者の皆様に御議論をいただいたところでございます。この検討会による当時の試算では、委員から御指摘をいただきましたとおり、首都直下地震が発生した場合に、東京都内で約五十七万戸、全体では約九十四万戸の仮設住宅が必要になるというふうにされているところでございます。
こうした試算に対しまして、現状においてどの程度の仮設住宅の借り上げや建設が可能か、その具体的な戸数を把握しているものではございませんが、引き続き、地方自治体に対しては、建設候補地を平時から選定しておくなど、発災後に仮設住宅を迅速に提供できるよう、そうした準備について促してまいりたいというふうに考えております。
○小宮山委員 九十四万戸足りないということになるかもしれません。一時的な移転、疎開を含む、仮設住宅、災害復興住宅の建設用地を事前に確保しておくことが重要になってくると考えます。また、埼玉県など周辺の県内に、建設用地、都心部及び当該地域双方の被災者向けを確保しておくことも必要と考えます。
前回質問時は、時間の関係もあり、要望事項として触れるまでにとどめていた件でございますが、改めて、防災担当大臣の所見をお伺いいたします。
○坂井国務大臣 今政府参考人から、五十七万戸、若しくは九十四万戸という数字も申し述べさせていただきましたけれども、かなり多くの戸数が必要になるということは明らかであります。同時に、今どれだけの仮設住宅を建てられるかというのはまだ押さえていないという答弁もございましたが、なかなかこれは難しくて、みなし仮設として使える部屋もある、一方で、各地域、例えば、埼玉、千葉、神奈川、その被害の状況によって、一都六県の中でお借りをして仮設を建てるという選択肢もある。そういう様々な、被害状況によって状況がかなり変わるということもございます。
こういったことも含めて、今まで十二分に数値を押さえ切れなかったところでございますが、今年度からおかげさまで内閣府防災も人員が増えるということもございますので、ここは今まで以上に力を入れて、様々国がフォローアップをしていきたいと思っております。
ただ、各地域において仮設住宅の候補地を探すということにおきましては、国がそこまで行って探すというのはやはりなかなか難しいので、これはやはり地方自治体に御協力をお願いをして、建設候補地の選定でありますとか、地域特性に応じた仕様の検討、多層建てでの仮設住宅の建設が可能かどうか、若しくは供給事業者との協定の締結とか、地方に行っても、その行った先でのみなし仮設等々の空き室の把握などは地方自治体に対して促しているところでございますが、今それらの状況を国が集約して十分に取りまとめているという状況ではないので、そこはしっかりやっていきたいと思っております。
また、ムービングハウスやトレーラーハウスといったような施設もございまして、これも今回、データベース化する取組を六月から開始すべく準備を進めておりますので、ここに向けては、地方自治体とより一層連携をして取組を進めてまいりたいと思います。
○小宮山委員 ありがとうございます。
是非、場合によっては災害復興住宅なども含めて建設用地は必要だと思いますので、その点の確保、地方自治体では実は確保し切れないことが多くありますので、この点の検討も要望いたしたいと思います。
さて、最後になりますけれども、在宅避難者に対しても支援が必要かと思います。十年前よりも恐らく今の方が、災害対応に留意した建築物というのは増えているんだと思っております。特に集合住宅などでは、そういったことをメリットとして売出しが増えているような感覚を持っております。
在宅避難者ということも、次の改定のときには、計画のときには入ってくる、多くの地位を占めていくんだと思いますので、在宅避難者に対しても必要な支援が行き渡るよう政府としてどのような対応をしていくのかも、御答弁をお願いいたします。
○坂井国務大臣 委員の御指摘も大変重要であると考えております。
実は、内閣府におきましては、有識者の会議を経て、昨年六月に、在宅・車中泊避難者等の支援の手引きを作成をしたところでございまして、この手引きにおいて、災害発生時には、避難所だけではなくて在宅の避難者にも必要な支援を行うことが求められること、地域に支援拠点を設置し、避難所と同様に物資配布等を行うことを検討することを自治体に周知をいたしております。私も見せていただきましたが、かなりよくできているものだと私は評価をしておりますが、残念なことに、まだ十二分に本当にこれが浸透しているのかといったところは、昨年六月からということでございますので、まだこれからその努力も必要かと思っております。
また、今般の改正法案においては、福祉サービスの提供も新たに規定をし、在宅で避難生活を送られる方に対しても充実させることとしておりますので、今後とも、在宅の方を含め被災者一人一人に必要な支援が行き届くように、必要な取組を講じてまいりたいと思っております。
○小宮山委員 そのために、今大臣おっしゃっていただいたとおり、多くの方々が備えを始めている、対応しているということではありますけれども、実際に、中古マンションとか老朽化マンションもたくさんあります。そこが大規模改修などを進めることによって、より災害に対応できるかと思っております。
マンションにおいて、管理組合等の規約の類いの中に災害時の対応について規定をしておくことを推奨したり、防災訓練の実施を推奨していただくことが望ましいと考えますが、政府のお考えをお聞かせください。
○金子委員長 申合せの時間を過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
御指摘いただきましたように、災害時において住民等がマンション等で在宅避難を行う場合に備え、各マンションにおいて防災行動に関する計画等を事前に作成することは、住民の命を守り、被害を減らすために重要であると考えております。
国交省で示されているマンション標準管理規約においても、防災に関する業務についても記載されており、防災訓練も想定されたものと承知をしておりますし、また、私ども内閣府では、地域の実情に応じて作成する地区防災計画作りを促進することとしておりまして、いろいろな優良事例を盛り込んだガイドブックを公表しておりますけれども、この中でも、全国で初のマンションの地区防災計画を作られ、消防と連携した実践的な防災訓練が実施される事例を紹介をしているところでございます。
○小宮山委員 マンションの大規模修繕費などの積立てに関しても税制優遇等をできることを要望いたしまして、終わります。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、岡島一正君。
○岡島委員 四月一日ですかね、私は本会議で坂井大臣、赤澤大臣に防災に関しての質疑をさせていただきました。その延長線上の中で今日もお伺いしたいと思っているわけであります。
まず、赤澤大臣、お疲れさまでございました。私も赤澤大臣のサムアップを見て、頑張っておられるなと思いました。
いずれにしましても、今回、関税交渉のために訪米されたということでありましたが、トランプ大統領や財務長官と会談されてトンボ返りだったというふうに、もちろんそれは分かるんですけれども、先日、石破総理が、防災庁の構想については、その姿を六月のうちには示したいと発言されました。
総理も防災庁構想の念頭にしているというのが、アメリカのFEMAであります。FEMAというのは、実は、大臣が行かれたワシントンDCの中にあります。お時間は忙しくてなかったとは思いますが、まさにFEMAに倣うと石破さんが昔から言い続けている防災庁設置ということの、そのFEMAがまさにワシントンDCにあったわけですが、訪米を機に大臣がそこに行って視察なりお話しする時間があったかは私は分かりません、しかし、そういったことに関してどのような状況があったのか、あるいは、またこれからアメリカに行くことがあればそういったところに担当大臣として行かれるお考えはあるか、まず教えてください。
○赤澤国務大臣 岡島委員の御指摘は大変重要な点でありまして、私もできるものならFEMAの視察というのはやってみたいというふうに思っておりますが、目下、米国の関税措置に関する対応について、総理がおっしゃる国難ともいうべきこの状況を何としても乗り越えなければならないということで、最優先かつ全力で取り組んでおります。
そのため、御案内のとおり、四月十六日から十八日にかけて訪米をし、米国の関税措置に関して日米協議を実施してまいりました。また、次回の訪米においても、関税措置に関する交渉に集中して対応していく必要があると現時点で考えておりまして、このため、日米協議の際にFEMAの本部を視察することは予定に入れておりません。
防災庁設置に向けて開催している防災庁設置準備アドバイザー会議において、FEMA等の海外の事情にも精通された方々にも御参画いただいておりますし、内閣府防災では、FEMAとの定期的な会合や研修生の受入れなどの交流を行っておりまして、様々なチャンネルを通じて意見や情報を得ながら、防災庁の具体的な組織の在り方、何がベストかといったことを考えて検討を進めていきたいと思います。
○岡島委員 そのようにお忙しかっただろうということは私も想像がつくわけでありますが。
そうすると、大臣におかれましては、関税交渉のほかにも、今回国会に提出されているREVIC法案とか、あるいは賃金の向上とか、そして防災庁設置と、まさに石破総理の、よくマスコミなどでは最側近と言われておりますけれども、その大臣ならではの、担当が非常に集中しておられるという状況があると思いますが、そうした中で、防災庁等々含めて、災害対応というのは、最終的に、いざとなると国民の安全、暮らしを守る最重要テーマでもある、それを指揮する立場でもあるというふうに、いずれできる防災庁の設置は目指しているんだろうと思っています。そうした中で、大臣、これだけ集中する中で防災も含めてきちんと整理して進めていくことは、大変でしょうが、どうですか、可能ですか。
○赤澤国務大臣 今の御質問の点も大変重要な点でありますが、現時点においては、御案内のとおり、実際、災害が我が国で起きた場合の事態対処は、総理も私も全幅の信頼を置いております坂井大臣が担当しておりまして、そこは完全に万全を期しているということだと思います。
それに加えて、中長期的に、三十年以内に八割の確率で起きるとされる南海トラフの地震などに向けて事前防災も強化していくための、あるいは事態対処の指揮命令機能を強化していくための防災庁ということでありますので、そちらはそちらでしっかり対応していきたいと思っています。
繰り返しになりますが、米国の関税措置に関する対応は国難ともいうべき状況なので、これを乗り越えるのが、今、目下の最優先となっておりますが、防災庁設置も含め他の担務についても、いずれも政権の重要課題でありまして、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
防災庁設置に向けては、阪田内閣官房副長官補を室長とする防災庁設置準備室を既に設けておりますし、アドバイザー会議を通じて有識者から御意見をいただきながら、もう取りまとめの段階に入っておりまして、六月を目途に防災庁の大まかな方向性について取りまとめるというのは、先ほど委員御指摘のとおり、総理が申し上げていることでございます。検討をしっかり進めていきたいと思います。
私に加え、頼りになる担当の副大臣や政務官、職員の皆様がおられますので、総力を挙げて、しっかりと職責を果たしてまいります。
○岡島委員 六月に向けて構想はかなり整ってきているとお話しになりました。
とすると、私の記憶が正しければ、石破総理はずっと、FEMAに倣って日本にも、防災庁のような形だけれども、そういったものが必要なんだということは昔からおっしゃっておられる。これはもうマスコミを含めて皆さんが知っていることですね。赤澤さんが今、防災庁構想も六月に向けて大分整ってきているというふうにおっしゃられました。
一つお聞きしたいんですが、FEMAの特徴と防災庁の特徴、FEMAとは何で、防災庁とは何なのか、一言ずつ教えてください。
○赤澤国務大臣 まず、つくる防災庁とFEMA、特徴といいますか、両方に共通するところ、これについては、まず言えることは、FEMAだけで何かやろうとするわけではない。
実は、災害対応をするときにはFEMAは司令塔機能を果たしますけれども、当然ながら、米国の場合、災害の復旧復興には軍隊、州軍が出てまいりますので、そういうものをしっかり統括しながら取り組んでいくという意味で、地方自治体に当たる部分の力もしっかりかりていく。連邦制と我が国の違いはありますけれども、中央とそれから現場、地方とがしっかり協力しながらやっていくという体制でありまして、我々も、今回そういうものをしっかりつくっていきたいというふうに思っております。
その上で、違うところといえば、これは明らかに規模と予算が違いまして、御案内の、もう先生一番よくお分かりと思いますが、七十三億の予算で百十人の定員でやってきました内閣府防災を、ようやく坂井大臣の下で、倍にする、百四十六億、二百二十名の定員ということにしましたが、FEMAは桁がもう一つ、二つ違っているぐらいの組織であります。
そういう意味では、本当に、ある意味少数精鋭で、しかしながら、これまでとは違う。今までは、数百名規模の犠牲者が出るような災害で事態対処がパンク寸前になり、そのたびに事前防災を中断していましたが、そういうことはないようにという体制をつくり、有事、平時の指揮命令機能、それから事前防災を進める体制というのをしっかりつくっていきたいというふうに思っております。
○岡島委員 私が考えるところ、FEMAというのは、歴史的に言えば、いわゆる戦とか、民間をいかに守るかという民間防衛の視点からも生まれてきた、そこに自然災害が加わってきたという過程があったと思っております。だから、エマージェンシーになるわけですね。
防災庁構想の方に関しては、この前の大臣の答弁もありましたけれども、一つは自然災害を中心として見ていくんだということでありましたよね。
問題は、自然災害を見ていく中でも、その違いというのは、例えば、私は世界中を取材しましたけれども、日本は、何かあったときの、災害なんかの現場の個々の対応、分野別の対応、内閣府防災を中心にした日本の政府や自治体の対応は物すごくすばらしい能力を持っていると私は思っているんです。それはアメリカと比べても、個々の現場では日本はすごいと思っているんです。
しかし、アメリカのFEMAのすごいところは汎用性の高さですよね。つまり、軍事的な救助とか軍事的な防衛とかの能力も含めて、民間の命を守るために災害にも使うんだという、その汎用性がFEMAにはある。これは大きな違いだというふうに思っているわけであります。
そういった意味において、FEMAに倣うという部分で、倣えるところと倣えないところを整理しながら進めるのが大事なんだろうと思うので、是非よろしくお願いしたいと思うわけであります。
次に、四月一日、赤澤大臣、まだもうちょっと続きますが、私、赤澤大臣に御質問させていただきました。防災庁の設置についてお伺いしましたが、そのとき、先般の本会議では赤澤大臣はこうおっしゃっていましたよね、副大臣だった平成二十七年に副大臣会議においてと。私はあの資料を一生懸命探したんですよね。出てきまして、大臣がこうおっしゃっていた。日本版FEMAのような危機管理対応官庁の創設等の抜本的な組織体制の見直しの検討については積極的な必要性は直ちに見出し難いとあのときは結論を出されておりましたよねということをお認めになっておられました。
昨年暮れになって突然、防災庁という話が出てくるわけでありますが、大臣は、十年前のことだったから時代は変わったというお話だったと思います、この前の説明は。大臣の答弁は、平成二十八年の熊本地震や平成三十年七月豪雨を例に、災害の頻発化や激甚化により、事態対処に最大限注力することで、防災施策に係る企画立案業務を中断せざるを得なかった実情があったことから、企画立案機能を抜本的に強化し、本気の事前防災に取り組むためには防災庁が必要となったんだと。このときの例は、平成二十八年、平成三十年のお話をされておったんですね。あれは過去のことで、その後変わって、二十七年以降はこうなったんですよ、だから必要になったというお話があったんですが、ここではそのときのことを一々詰めるというつもりじゃないんです。ただ、防災庁をつくる以上はきちんとつくらなきゃいけないから、だから整理したいという意味であります。
平成二十七年の結論以降、じゃ、歴代政権においてどうだったかというと、大臣が例に出した二十八年の熊本や三十年の七月豪雨以降の、令和五年十一月の衆議院内閣委員会では当時の担当政務官が、そしてまた、令和四年五月の参議院の災対特においては当時の二之湯担当大臣がそれぞれ、防災庁のような新たな組織を直ちに設置する必要性は低いと答弁されている。これは令和五年ですよ。熊本地震や平成三十年七月豪雨の発災の後も、政府の答弁は去年の十二月まで何も変わっていないんです。だから私は聞いたんですね。でも、大臣は十年前だから変わったんだと言った。ちょっとこれはそごがあるんじゃないかなと思いました。
これについては改めてお伺いしたい。やはりきちんとした理由があるんでしょう。僕はそれを教えてほしいと思うんです。なぜ去年の十二月から急に変わったのか教えていただきたい。
そして、企画立案業務の中断。去年は能登半島の大きな被害があった、地震があった、あのときに国土強靱化でいろいろなことを進めていく上での企画立案業務が滞ってしまったということもあり、企画立案業務のためにもやはり防災庁が必要なんだということだったという説明がされてきています。
でも、内閣府防災を百四十六億円にして二百二十人にして、単に企画立案業務が理由であれば、その予算と人材を増やす。防災庁をつくる必要性とこれがつながるのかどうか。私はそこの説明に整合性がもっときちんと欲しい。
この二点について、赤澤大臣、お答えください。
○赤澤国務大臣 まず、防災をライフワークとする政治家は決して多くないと思うんですけれども、私はそれをやってきたつもりなんですが、先生はそのお一人だと思いますので、まず心から敬意を払います。
その上で、今おっしゃっていたことは、まさに我が国の問題そのものを指摘されているように思うんです。というのは、先生もよく御案内のことだと思いますけれども、内閣府防災の諸君に予算と人員は足りているかと聞きます、そうすると、まず間違いなく、もう十分いただいていますと。予算が成立したときに、足りなかったとは絶対言わない。それは、予算が成立したときに足りなきゃ、これは予算を出し直しという話になりかねないですし。やはりこれは、役所からすれば、我々政治家が決断しない限り、新しく役所をつくるんだ、あるいは予算、定員を倍にするような抜本的な、とても言い出せるものではないと思います。
私はずっと、災害が起きるたびに、どういう体制で何をやっているか見てきているつもりなので、先生もきっと薄々気づいておられると思いますけれども、事実上、パンクと言ったらこれはまた役所は認めないと思いますが、やはり、何か起きるたびにパンク寸前までは行く。
数百人の規模で犠牲者が出る災害で、パンク寸前まで行く体制で、この間修正されましたけれども、今までは三十二万三千人が犠牲者になると言っていた南海トラフが二十九万八千人に改まりましたが、これから三十万人の犠牲者が出る災害を我々は迎え撃たないといけない。じゃ、本当に、数百人の規模で、パンク寸前になる体制で大丈夫かということは、私はやはり真剣に考えずにはいられないし、十年以上前から、防災省のようなものが必要だということは言ってきたつもりではあります。
その上で、防災省、単に定員、予算を増やすだけでいいのかという話でありますけれども、これについては、専任の大臣を置きたいということも一つあります。
それから、やはり法令も整備をして、指揮命令、まあ総合調整をする権限ですね、他省に対して指示あるいは勧告をする権限もつけた上で、関係省にそれを遵守する義務のようなものも課すとか、いろいろな意味で、事態対処の指揮命令、あるいは事前防災をやるときの指揮命令機能を強化をする。そういうことも含め、事前防災の取組もパワーアップするために、内閣府防災を防災庁にするいいタイミングだろうと思っております。遅過ぎたとは思いますが、今やるべきだと。
これについては、併せて申し上げれば、知事会が、もう十年近くだと思いますが、ずっと、防災省の創設、専任の大臣がいる防災省ということは言い続けているのに、政府・与党としてお応えしてこなかったわけでして、私からすれば、当然必要だし、ようやくお応えできるものだという感覚を持っております。
○岡島委員 お気持ちがあったということは素直に受け止めたいと思いますが、これを詰めるだけで質問を終わるわけにいきませんのであれなんですが。
ただ、私は結構、大臣のホームページとかツイッターとかを見ているんです。大臣のツイッターは、一番上に固定されているのが、令和三年の、国土強靱化を五年から十年のうちに絶対進めるんだということなんです。これは自分のライフワークだとおっしゃっている。その中に防災庁設置は一言も書いてないんです。大臣も自分でお書きになったんじゃないかもしれませんけれども。ただ、ずっと固定されたままなんです、この四年間。だから、こういった新しい事態については、是非、国民に丁寧にお知らせしていただいて進めていただきたいというふうにも思うわけであります。
それで、先般、防災庁設置に向けての検討状況を政府から説明を受けましたが、防災庁設置アドバイザー会議で検討しているという回答が多かったです。今、大臣もアドバイザー会議のことでさっきお話がありました。
アドバイザー会議の議論や今後のスケジュール、簡単で結構です、説明してください。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
令和八年度中の設置に向け準備を進めている防災庁につきましては、強化すべき防災施策の方向性等につきまして防災分野の専門家の方々から様々な御意見をいただくため、本年一月に防災庁設置準備アドバイザー会議を立ち上げ、これまでに五回の会議を開催したところでございます。
この会議では、官民連携、被災者支援、防災教育、啓発、デジタル、技術、事前防災、防災体制などの各分野の御専門家二十名の構成員の方から様々な御意見をいただくと同時に、自治体やNPO法人等の六名の方からも、委員に加えて六名の方々からも様々な御意見をいただいているところでございます。
アドバイザー会議における議論は六月頃の取りまとめを予定しており、引き続き、スピード感を持って検討を進めていきたいと考えております。
○岡島委員 防災庁設置の方向性が、大臣がさっきお話しになったように、もう方向性も固まっているし、大分見えてきているというようなことをおっしゃっているのであれば、私は是非お願いというか指摘したいのは、日本の場合、防災に関する、個々のスキルアップをする教育機関とか研修所とかのケースは、地方の、防災のための自治体のいろいろなものを含めてあるわけですけれども、大きな意味で組織、自衛隊だったり、警察だったり、消防だったり、ボランティアだったり、企業だったり、あるいは国だったり、そういった様々なところの連携こそ防災対策だと私は思っておりまして、そういった連携の訓練や教育をする機関が必要なんじゃないかなというふうに思うわけです。
今の内閣府防災において、個々の避難所の運営なんかの、人材エコシステムをやって人材を育成しているとか、それは私も存じ上げています。だけれども、そうした個々の場面でのスキルアップが、先ほど申し上げました、僕は日本はすばらしいスキルを持っていると思っています。ただ、横の連携、あるいは省庁間の連携、あるいは民間と省庁。
災害の、台風十五号、十九号とかが千葉に来たときもありましたけれども、ああいうときに困るのは、例えば、自治体の職員でさえも、どうこれを自衛隊に連絡していいか分からない、国土交通の担当者にどう連絡していいか分からない、内閣府の人にどうやって連絡していいか分からない。つまり、私は、そういう組織間の連携、そういったことをきちんとするような、消防や自衛隊だとか、民間組織、ボランティア、そういう場所が日本にはないのかなと。訓練したり教育する、実地訓練できるような。
実際、あるんでしょうか、ないんでしょうか。教えていただけますか。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
委員御指摘のとおり、災害対応を迅速かつ円滑に行うため、消防、警察、自衛隊、あるいは公共団体など様々な組織間の連携の強化が大変重要であるというふうに考えております。
例えば、具体的には、能登半島地震における経験、教訓等も踏まえまして、小型の消防車両を自衛隊航空機で輸送するような、そういう連携訓練を行うとともに、自治体間の広域応援が円滑に実施されるように、受援体制の構築を促進しておるところでございます。
国においては、首都直下地震あるいは南海トラフ地震等の大規模地震を想定し、関係省庁や自治体と合同で訓練を実施しているほか、地方公共団体においても、警察、消防、自衛隊や民間企業等が参加した訓練を実施しているところでございまして、このような様々な取組を通じまして、防災関係機関等の相互の連携強化を図っていきたいと考えております。
○岡島委員 私の質問はちょっと違っていて、そういうことを個々にやっていることは私も存じ上げている。個々の場面のスキルアップや個々の場面の訓練をしているのは私も見ている。しかし、そういったことを大規模に。地震や災害は、どの地震、災害を見ても、能登を見てもそうですけれども、大規模が大変なんです。大規模に連携しなきゃ対応できないということです、大規模は。
そういったものを訓練したり連携を図るための機関や場所や施設をちゃんと日本政府は持っているんですかと聞いているんです。イエスかノーか。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
先ほど答弁させていただいた、例えば首都直下とか南海トラフを想定した地震、それぞれ、例えば大きい防災公園を活用したりとか、様々な工夫をしてやっておりますけれども、それぞれ、例えば、消防なら消防用の訓練施設とか、警察であれば警察の訓練施設、そうしたものは持っておりますけれども、御指摘のような大規模災害を想定したそれ専用の複合的な施設というようなものについては、持ち合わせていないと考えております。
○岡島委員 要するに、昨今、心配が増えて国民が不安に思っているのは、赤澤さんも前から指摘されたように、同時多発的に大規模の災害が起きるようになったんだ、それにどう対応するかがかつてない課題として浮かんできたんだ、だから防災庁だと。だから、そういったことに対応できるような組織間の連携をするような訓練や教育機関が日本にないのであれば、それこそつくらなきゃいけないんじゃないかなと私は思うわけであります。
そういった意味において、アドバイザー会議でそういったものが決してまだ進んでいないというような印象を私は今受けましたので、是非きちんと。そういった、各機関は持っていますということじゃ駄目だから言っているんです。連携できなければ。私はちゃんとそれを御提言申し上げたい、そういうふうに思っているわけです。
さらに、私思うには、防災監の話をこの前もお聞きしましたよね、防災監について。防災監というのは、例えば、福島第一原発の事故があった、それは自然災害に起因した、それが結果的に複合災害として、今も、福島の人たちも、東北の人も、日本国民全体が大きな課題として受け止めざるを得なくなっている、そういったときに、防災監は、将来、防災を取り仕切る防災庁のトップたる防災庁長官となるであろう人が防災監という職種になるわけであるから、防災監は原子力災害も含めた複合災害も所掌すべきだというふうに私はお伺いしました。しかし、そこは専門性が高いからということで、それは別なんだとおっしゃいました。
しかし、やはり本当にそれでいいのかと思うわけであります。福島を原子力の問題だけで片づけられますか。複合災害。自然災害に起因しているんですよ。だから、防災監がそういったことを、複合災害も含めて。ほかのコンビナート火災があったらどうしますか。様々な化学薬品、化学物質がある。そういった、自然災害に起因して、それによった災害が増えていった複合災害、そういったことは、専門性が高いことは所掌しないと本当に言い切れるのか。坂井大臣、どんなふうにお考えですか。
○坂井国務大臣 原子力防災につきましては、今委員も触れておられます福島での経験がございます。その対応には高度な専門性が求められたということで、原子力防災についてを統括をしていくのはやはり原子力防災担当が必要だということで、平成二十六年に、その経験を踏まえた上で、その観点から原子力防災担当が創設されているところであって、自然災害の司令塔の役割を担う防災監の所掌に原子力防災は含めておりませんが、複合災害ということになれば、当然のことながら防災監の分野も出てまいりますから、そのときには、防災監も一緒になって合同会議を開催をして、密接に連携して災害対応に当たり、原子力に関するものに関しては原子力防災担当、そして、その他の、御指摘の複合災害、自然災害に関するものに関しては防災監が指示を出して取りまとめていくということで、密接に連携する体制を考えております。
○岡島委員 防災監は原子力に関しては完全に別だと、これは絶対言い切れないんですよ。やはり、今おっしゃったように連携しなきゃいけない。防災庁ができて、長官は災害のリーダーになるとおっしゃっているわけだから、であれば、しかるべき防災庁なり防災庁長官というのができたときには、原子力災害だって含まれていく。含まるというのは、複合災害という意味において。
今、内閣府には原子力防災がありますもんね。だったら、内閣府防災と原子力防災が協力して防災庁へ発展していくということは自然の流れだとも言えると私は思うわけであります。
防災対応の歴史というのは、FEMAもそうだし日本もそうですけれども、歴史的に起きた災害に応じて、様々な事情に応じて実は法律もできたり、様々な事情に応じてその持つ特徴は変わってきたりしているわけです。だから、突然トランプさんがやめると言ったり、やはりやめるのをやめたと言ったり。レーガンさんのときだって、やはり原子力とか核戦争のことがあったり。あるいは、FEMAができた七九年、あのとき三月のスリーマイル島の原子力事故があったことで、原子力複合災害に力を入れようということを含めたFEMAになったわけです。
日本も、福島の原発の、やはりどう考えても複合災害、自然に起因する。であるならば、原子力災害も当然そういう歴史を踏まえて所掌にしていこうというのが、変な、これまでのかつての教条主義に流されずに、現実において発展していく災害対応ということだと思いますので、是非よろしくお願いしたいというふうに思うわけであります。
私が今日御提案したいのはもう一つありまして、FEMAですごいと思うのは、EMI、エマージェンシー・マネジメント・インスティテュート、これがあることだと私は思っているんです。
先ほど内閣府の説明もありましたが、日本には、各省庁の個別に持っているスキルアップの施設や教育機関はある。あるいは、講座のように、座講のように、有明に行けば、今の災害対応の勉強ができるところもちょっとはある。
しかし、本当に、大規模災害に備えるから時代は変わったと赤澤さんがおっしゃったようなことであるならば、大規模災害に対応できる大規模な組織の連携、それが民間のボランティアや民間人の人にも伝わるように、そういう仕組みをつくる上では、お互いが常に一緒にいつでも学んだり訓練できる施設、そういったものがアメリカにあるとすれば、FEMAの下にあるEMIです。
私は、FEMAから倣うというだけでなく、FEMAと防災庁はやはり違うと思うんですよ、本当は生い立ちが。似ていますよ。だけれども、向こうはやはり元々は戦争まで含めていた。そして、日本は個別の災害対応で発展してきた。伊勢湾台風以降、災害対策基本法ができてから変わってきた。アメリカは一八〇三年から変わっているわけです。最初は、不動産とか、関税を下げるとか、税金を下げるとか、そこから始まっている。それぞれ違うんです。だけれども、やはり同じことは、大規模に対応するためには大規模なきちんとした訓練機関が必要だよと。
私はEMIの組織が必要だと思いますが、これについては、赤澤大臣、こういったものを設けるべきだと、防災庁に併せて。その中でいいですから。どう思いますか。
○赤澤国務大臣 先ほどから御質問いただいている内容は防災庁の設置ということなので、私の担務にも大いに関わるところだと思います。原子力災害の関係、これは複合災害を考えることは非常に大事でして、実際、我々、コロナの最中に災害が起きたときに、ウイルスを持ってくるというので、ボランティアがどこに行っても他地域から入ってもらえなくなったとか、特殊な事態に陥ります。
先生御指摘のとおり、複合災害が起きたときのことを考え抜くのは、国民の命を守り抜くために本当に重要なことだと思っています。そういう観点から、原子力防災をどう扱うかについてもしっかり議論していきたいと思います。
加えて、教育機関というお話がありました。令和八年度中の設置に向けて準備を進めている防災庁は、専任の大臣を置き、十分な数の災害対応のエキスパートをそろえた組織とすることとしております。
委員御指摘のとおり、国の職員の育成に加え、自治体職員や民間の防災人材を育成し、災害対応に当たる関係機関の連携の強化を図ることも極めて重要です。現在、これは政府参考人からも紹介しましたとおり、南海トラフ地震や首都直下地震等を想定し、関係省庁や自治体、インフラ事業者、企業等と連携した訓練も行っており、平時から顔の見える関係の構築に努めているところではあります。
現在開催しているアドバイザー会議においても、災害対応に当たる関係者が共通の行動原則を学ぶことができるようにするなど、人材育成に向けた取組を強化すべきといった御意見をいただいており、現に、アドバイザー会議の場で、防災大学校をつくれというようなお話も出たりしています。消防大学校あり、海上保安大学校あり、そういう類いの、危機に備えるための。一つの考え方だと思いますし、じゃ、それは教育機関なのか、先生おっしゃるように、訓練、連携といったようなものを徹底的に取組をするための機関にするのか。
そういうことも含め、引き続き様々な御意見、御提案を賜りながら、そしてまた、先生から御指摘いただいた今日の議論もしっかり踏まえながら、幅広い防災人材の育成や有効な訓練の実施に必要な体制も含め、防災庁の設置に向けた検討を進めてまいりたいと考えます。
○岡島委員 今、赤澤大臣から、原子力災害も、自然に起因するというところの前提はあるものの、複合災害ということにも目を向けていかないかぬという視点をお示しいただいたことは大きな進歩だと思いますので。やはりとても大事ですよね。事態事態によって、法律だとか、あるいは対応する政府の仕組みが変わってきたのが一番顕著なのが災害ですから、それで法律もみんな変わってきたんですから、だから、是非お願いしたいと思います。
最後になりましたけれども、私は、こうした御提言を踏まえて、坂井大臣が今の防災の責任者であられるという中で、ワーキンググループがいろいろと発表されています。そうした中で、今日の防災庁設置に関する私たちの質疑、議論も踏まえて、ワーキンググループの進めている南海トラフに向けてどういうお考えをお持ちか最後にお伺いして、質疑を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
○坂井国務大臣 南海トラフのワーキンググループの報告書が出まして、そこに大変大きな被害が想定をされるということが周知をされたところでございまして、当然、津波は大きな被害が出る災害でありますから津波対策、それから、当然地震が起因するものでありますから耐震化でありますとか、福祉の充実ということをやってまいります。
同時に、各地域の地方自治体の方々にしっかり、我々内閣府防災が南海トラフとはこういう地震でこういうところが危ないという、思っているものをしっかり共有をして、同じ感覚、感性を持つ中で準備をしていただきますように、まずは今年、各都道府県担当を置きます、地域の防災力を強化をしていこうということで担当を置きますので、そういった人たちを活用しながら、しっかり自治体とも連携をして、同じ感覚でもってこの準備を進めていくということをやっていきたいと思います。
○岡島委員 ありがとうございました。
これで私の質疑は終わります。ありがとうございました。
○金子委員長 次に、馬場雄基君。
○馬場(雄)委員 皆様、お疲れさまでございます。福島県出身の馬場雄基です。
まず、伊藤大臣に御報告をさせてください。自信を持ってやってほしい、前回の質疑で大臣がこういうふうにおっしゃってくださったこと、本当に、多くの方々から感謝のお気持ち、お声が届いています。伊藤大臣のお声は確実に被災地に届いています。だからこそ、次に行う行政の評価に当たっては、留意事項を含めて、是非とも動いていただきたいということをまず先に申し上げたいと思います。
本日は、復興を加速させるため、そして、確実に完遂するために必要な項目二点について伺いたいと思います。
まずは、F―REI、福島国際研究教育機構についてであります。
F―REIは、まさに創造的復興を担う最大の拠点として、国内外の研究者を招致して行う国家的プロジェクトであります。まさに今週土曜日は起工式です。いよいよです。海外からの研究者の招致も、前回レクで伺ったんですが、進んでいると聞いております。
現在の招致の状況を参考人に、時間の都合上、簡潔にお願いします。
○牛尾政府参考人 お答えいたします。
現在、F―REIでは、五十程度の研究グループの構築を目指して、国内外の優秀な研究者の確保に努めております。
令和七年四月一日時点でございますけれども、十一の研究グループが構築されておりまして、そのリーダーとなる研究者のうち一名は、米国の研究機関で長年研究されている方でございます。また、これらの研究グループに所属する五十二名の研究者等のうち八名は外国籍であると承知しております。
○馬場(雄)委員 ありがとうございます。
前回質疑、あるいは、あらゆるレクをするときには、なかなかこの数字は進まなかったんですが、今回、この進捗が見られたというところを、本当にまず御礼申し上げたいというふうに思っています。
しかし、ここから更に加速していかなければならないということで、絶好の好機がやってまいりました。万博であります。
今、世界の科学者は居場所に困窮している状況です。資料を見ていただきたいんですが、タイトルは「米研究者、七五%がトランプ政権下で国外移動検討」ということであります。記事によればですが、研究活動への締めつけを強めている米政権を理由に、特に若手の研究者は落ち着いて研究できる場を求めているとあります。
大臣、F―REIならできると、是非とも世界に発信していただきたいというふうに思っているわけでありまして、この万博の機会を生かして更に発信していく必要があると思っております。研究の環境のよさだけではなく、前回申し上げましたが、教育、ゆめの森、ふたば未来、様々ありますし、ゼロ歳から安心して子育てに取り組める環境がまさに浜通りにはあるよということを研究者の家族の皆様方にも伝わるように、自信を持ってまさにやるべきではないかと思うわけであります。
しかし、現状なんですけれども、一個一個、単体はすばらしい組織だと思うんです。それが、暮らしを考えたり生活の一連を考えたりするときに、なかなかイメージしにくい状況にあるのもまた事実だと思います。
具体的にそういう資料や、何かそういった説明を聞いたことが確かにないなというふうに思いまして、五月十九日から万博でブースを出されると伺っております。F―REIの紹介は絶対必要です。しかし、紹介以上に招致が必要でして、暮らしのイメージが湧くように、海外の研究者がしっかりとF―REIでやれるんだというふうに思っていただけるように、家族を巻き込んだ、そういう準備をしていただけないでしょうか。
○伊藤国務大臣 今、まず、馬場さんから御報告をいただいた上に、すばらしい資料を一品出していただきました。まさに今、アメリカ中の科学者が、何とハーバード大学まで、これだけ首を絞められてしまっているなんて言っちゃいけないんだろうと思いますので、消しておいてもらいたいんですけれども、いずれにしても、今非常に不安を覚えているということなんだろうと思います。
そんな中で、我々のF―REIというところがそうした人たちを招くことができるかどうかというのは、これからもっともっと我々が声がけをしていかなければならないということだと思います。
したがって、今般万博で使用する資料ですけれども、でき得る限り、英語の翻訳のものは絶対に用意してほしいということをお願いをしております。多分、恐らく、F―REIそのものの冊子と、それからもう一つ、やはり、復興地の歩き方ということで、るるぶか何かの冊子がありますが、あれもできるだけ、我々のところだけは抜いて、英語訳にしてほしいということをお願いをして、準備をさせたところでございます。
何せF―REIは、知ってのとおり、被災地の中でも、第一原発から九キロのところに立地をさせていただきました。しばらく土地が使えなかったところを、我々も努力をして使えるようにさせていただいた上で、今般、二十六日の日に着工ということに相なりました。
今回、実は、この三月に、ネイチャーという雑誌、御存じだと思いますが、これは科学者がみんなこぞって論文を書くところなんですけれども、この中にも、F―REIの存在を知ってもらえるようにするために少し内容を出させていただいて、読んでいただける準備もさせていただいております。
そんな中でですけれども、是非、我々としても、海外からもっともっと研究者に来ていただきたいと思っています。理事長をやっている山崎さんも、相当いろいろな国に行って頑張っていただいております。イギリスの原子力公社とも協定を結んでおりますが、原子力公社さんと一緒にやろうとしていることは何かというと、まさにデブリをつかもうとするロボットアーム、この技術を……
○金子委員長 大臣、おまとめください。
○伊藤国務大臣 はい。
余りたくさん言っていてもしようがないので、ごめんなさい。とにかく、そういうことで、世界中の人たちが興味を持って私たちのところに参画してくることを、是非、待つだけじゃなくて、つかみ取りに行きたいという思いでこれからやってまいります。よろしくお願いいたします。
○馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。
英語の資料をまず用意していただくこと、これは絶対必要だと私も思っています。
もう一歩行っていただきたいのが、暮らしがイメージできるように、生活がイメージできるように、必ず、科学者、家族と一緒に来ていただいても大丈夫だと。F―REIここにあり、是非万博で見せていただきたいというふうに思いますので、是非ともよろしくお願い申し上げます。
続きまして、東日本大震災で起きた原子力損害における東電の賠償スキームについて伺います。
本日は、明確な回答をいただきたいということ以上に、この究極の難題に向けた問題意識をすり合わせさせていただきたいということが趣旨であります。
賠償スキームは、廃炉を完遂していくためのいわば血液です。止めては絶対駄目ですし、無理に加速させては壊れます。どれだけ安定的に、持続可能な形をつくっていけるかが大事であります。
まず、端的に参考人さんに、これも時間の都合上、短く伺いたいですが、賠償スキームの持続可能性をどのように評価しているか、伺います。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
東京電力福島第一原子力発電所事故に係る賠償につきましては、令和五年十二月の原子力災害対策本部決定において、一定の蓋然性を有する試算として約九・二兆円とお示ししてございます。この九・二兆円につきましては、交付国債を原資とする資金交付によって対応することとしておりまして、交付国債の元本相当は、東京電力を含む全ての原子力事業者が納付する一般負担金と、東京電力が収支の状況に照らし負担する特別負担金によりましてその回収を進めていく仕組みとなっております。
なお、これまでに一般負担金及び特別負担金により合計約三兆円の国庫納付を行っているところでございまして、足下の状況としては、賠償スキームに支障は生じていないというふうに認識してございます。
○馬場(雄)委員 ちょっと、私の持っている数字と少し異なっていたんですけれども、実際の総額は、廃炉、除染、賠償、まあ除染も含めて、全て見積りを合わせると恐らく二十三兆ほどになるんじゃないですか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御答弁申し上げました令和五年十二月の原子力災害対策本部決定におきまして、今、私、賠償費用だけ、九・二兆というふうに申し上げましたけれども、これに加えまして、除染費用の四・〇兆円、中間貯蔵費用の二・二兆円、それから、廃炉に必要な費用の見通しとして一定の蓋然性を持った金額として八兆円、合わせまして今御指摘の数字になるというふうに認識してございます。
○馬場(雄)委員 ありがとうございます。
つまり、実際の、交付国債からNDFに出されていて、そこからやっていく部分に関しても東電がこれから支払いをしていかなければならない、そして、そもそものいわゆる東電の支出ですよね、自分たちでそもそも費用を捻出していかなければいけないというところを合わせて、やはり総額な規模の物語が必要になってしまうということが今生じているわけでして、恐らく、今から考えても向こう三十年以上返済までにかかっていく可能性があるのではないかなというふうに思います。
二〇五〇年、私も結構な年になっていますけれども、でも、物すごく時間を要するということでありまして、かなり厳しい状況になると思います。
ただ、ここで申し上げたいのが、いいシナリオを考えてもその状況、今、デブリの取り出し、かなり頑張っていますけれども、大規模取り出しにはまだまだ時間を要します。つまり、大規模取り出しをやろうとしたときに想定外以上の費用がかかることは可能性として考えなければいけないことだと思います。現状でさえこれだけかかるものが、更に想定を加えたときに物すごくまた膨れ上がる可能性を見込んだとした場合、このままでいいのかなというところを、一旦立ち止まって余白が必要じゃないかなと私は思いました。
今までのことを私は否定するつもりはないんです。これまで、そもそものストーリーがかなり厳しい状況の中で生まれてきているものですから、そこは絶対評価させていただきたいんです。ただ、これから先、もう既に震災を知らない世代が社会に出ようとしているこの状況の中で、未来にどれだけ形のあるものを我々がつくれるかが勝負になるのではないかというふうに私は思っています。その余白が今ないんですよ。
裏の資料を見ていただきたいんです。資料二枚目、裏ですけれども、左上のグラフ。
お分かりのとおり、東電の収益構造は極めて厳しいです。先ほどもありましたけれども、東電の収益に応じて支出額が変動している特別負担金もあるわけですが、出ているときもあるんですが、二〇二三年のときはこっちはゼロだったわけですよね。うなずいていただき、ありがとうございます。そういう状況にもなります。
廃炉というものは、市場の原理によって絶対左右されてはいけないというふうに思います。国家の意思として完遂していかなければならないということであって、どんなことがあっても、どっしりと構えて正々堂々行っていくことが求められている領域だと思います。
経営的観点に立てば、どんな手を使ってでも利益を追求します。その解決策が、今回、原発の再稼働になってしまっていなかったかというところがどうしても危惧されるんです。
エネルギーミックスの観点から論じられていく原発の再稼働と収益構造を改善するための再稼働は全然意味が違うというふうに思いますけれども、この点、参考人さん、いかがでしょうか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
まず、原発の再稼働、これは一般論として申し上げますれば、進みますと、火力発電所の燃料費が抑えられ、収益構造の改善に寄与するということはあろうかと思います。
一方で、今年二月に閣議決定いたしました七次のエネルギー基本計画におきましては、我が国が直面しているエネルギーをめぐる困難な状況を踏まえ、安定供給、経済成長、脱炭素を同時に実現していくため、再エネ、原子力といった脱炭素電源の最大限活用の必要性をお示ししたところでございます。また同時に、東日本の電力供給構造の脆弱性、電気料金の東西の格差などの観点から、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の重要性についても、そうした観点からお示ししてございます。
いずれにいたしましても、原子力発電所の再稼働は、原子力規制委員会が新規制基準への適合性を認めた場合のみ、その判断を尊重して、地元の理解を得ながら進めるというのが政府の方針でございます。
○馬場(雄)委員 電力の安定供給は絶対に必要です。しかし、廃炉の定義や絵姿、最終処分の明確な道筋がいまだ定まっていません。経営的観点からこれらを導くことは絶対にできないというふうに私は思っています。
エネルギーは国家の柱です。冷静な議論ができる体制をつくるのが私たちの使命だというふうに思っています。国と東電の両者のバランス関係はこれまで以上に重要になってくると私は思っています。
繰り返しますが、賠償スキームは、廃炉を実現するための血液です。止めてもいけませんが、無理に加速させたら絶対に壊れます。経営的観点の中で廃炉を語っては絶対にいけないということは、ここで確認をさせてください。
大臣に最後にお伺いしたいと思います。
今の体制でさえ、向こう三十年、これから三十年以上かかるこのスキームの構造でありますが、これからもっと予算がかかることも我々は想定をしなければいけないというふうに思っています。無理に加速させないためにも、国の在り方を含め、落ち着いた議論の余白、こういったものを改めて、震災から十四年たった今、我々は考えるべきではないかというふうに思いますが、大臣の御見解を伺わせてください。
○伊藤国務大臣 お答えをしたいと思います。
この福島第一原発の事故によるところの賠償責任というものは、原子力の災害は東京電力がしっかりと担ってもらわなければならないということが大前提の下に、我々は、だからこそでもあるんですけれども、原子力損害賠償・廃炉支援機構法という法律を作って準備をしております。
この準備なんですけれども、やはり、原子力を使うと決めた政策は政府が考えて決定したことでありますので、国が最後まできっちり責任を果たしていくということは当然のことだと。これは、我々だけではなくて、私もあなたも三十年後といったらえらい年になりますけれども、そのときも、やはり政府があるでしょうから、引き継いでいってもらえるぐらいやっていただかなければならないというふうに思います。
それだからこそなんですけれども、F―REIで技術開発、そして使える技術をつくる、こういうこともやっていこうということでありますので、しっかり我々はそのことを腹に置いて前に進んでいきたいというふうに思います。
よろしくお願いします。
○馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。
しかし、復興庁は期限があります。二〇三〇年、復興全体を統括する復興庁が存在しているときに、この賠償スキーム全体の方向性とか余白をつくるということは、このときが期限だと私は思うわけであります。将来にわたる確かな道筋をつける責任が我々にはあるということを確認をさせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、小熊慎司君。
○小熊委員 おはようございます。立憲民主党の小熊慎司です。
日本の憲政の歴史上初の平成生まれの馬場雄基さんの後に昭和生まれのしょっぱい私がやるのはいささかあれですけれども、今日は、私の愛する妻も傍聴に来ていますので、授業参観されているぴかぴかの一年生の、そうしたフレッシュな気持ちで頑張りたいと思います。
赤澤大臣、訪米も本当にお疲れ過ぎでございました。そんな中で質問させていただきます。
防災庁の設置について、先日、兵庫県は、内閣府に対して兵庫県内への設置の要望書を提出をされたところであります。また、我が県においても、地方分局というのかを設置してほしいというのが、県内各地でも誘致の運動が出てきていて、全国的にも防災庁の地元への設置の要望が、そういったものが広がりつつありますけれども、現在のところ、直接も含め、報道ベースも含め、そうした地方の声をどの程度把握しているのか、まず確認をさせてください。
○赤澤国務大臣 小熊委員、防災についていつも関心を持って御指導いただいておりまして、誠にありがとうございます。
その上で、防災に関する専任の大臣を置くこととしております省庁の創設は、長らく、これは小熊委員御案内のとおりですけれども、知事会を始め地方自治体の皆様からそろって御要望をいただいており、ようやくお応えできるものです。
直近では、委員御指摘の兵庫県以外にも、富山県とか、これまでに五団体から直接私が御要望をいただいております。そのほか、報道等では、誘致に向けて声を上げている自治体も多数あると承知をしております。
各自治体からは、真剣に地域の住民を守ろうと防災に取り組んできた熱い思いと、過去の災害対応などを含めて積み上げたノウハウを踏まえて、本当に様々な熱い御要望が寄せられるものと認識をしておりまして、しっかりと受け止めていきたいと考えております。
○小熊委員 今大臣御答弁のとおり、県もあるんですけれども、私の福島県では市が三つほどそうした声を上げているところでありますので、これから多分、全国的には、県単位じゃなくて市町村レベルでもこうした要望が来ると思います。
受け止めるといっても、全国全ての自治体に置くわけにもいかないわけでありますし、地域は熱い思いでやっていますけれども、国としては、やはり国益にかなう、国の防災がしっかりなるようにしなきゃいけないので、もし本庁と地方分局も決まったときに何でそこなのかという説明責任を果たすという意味では、今の段階から、本庁はこういう条件が必要だ、地方分局はこういう条件の下にやらなきゃいけないという、そうした適正で公平性のある基準をやはり示しておかないと、本当に誘致合戦で、逆に、ある意味、余りよくない競争にもなりかねないところがありますから、もう地方の誘致運動は始まっていますから、明確な基準をしっかりとお示しをしていかなければいけないというふうに思います。
無用の混乱が生じてしまいますし、せっかくいい防災庁をつくろうというときに、国民的な理解醸成のためにも、こうした基準をなるべく早くお示しすべきだと思いますけれども、大臣の見解をお願いします。
○赤澤国務大臣 全くもって委員御指摘のとおりだというふうに思います。少なくとも、これが立ち上がったときに、どういう根拠で、どういう基準で選んだのか、それが客観性があって公平なものだったかというのは、間違いなくこれは検証されるべきものであるし、それに堪えるやり方をしていかなきゃいけないと思っています。
令和八年度中の設置に向けて今準備を進めている防災庁ですが、強化すべき防災施策の方向性や、そのために必要な組織体制の在り方等については、専門家から御意見をいただくために、防災庁設置準備アドバイザー会議を開催しております。
防災庁の機能の一部について、その拠点をどこに置くべきかとか、また、防災庁本庁自体が被災した場合のバックアップや地域の防災力の強化をどのように進めていくべきか等について、まさに委員御指摘の点も踏まえて、既に相当な意見をいただいていますけれども、これから様々な御意見、御提案を更に賜りながら、災害対策を最も効果的、効率的に実施できる体制はどのようなものかという観点から適切に検討を進め、冒頭に申し上げたような方向でしっかり結論を出したいというふうに考えております。
○小熊委員 ありがとうございます。
明確な、大臣が言っていただいた客観性やしっかりとした基準の中で、私、是非その基準の一つにしていただきたいのは、やはり今声が上がっているのも、神戸とか、石川も声を上げていますし、あと、委員長の熊本もどうですかね、福島県もそうですけれども、大規模災害を受けた地域というのは、やはりその後の、災害というのは、そのときだけじゃなくて、その後どう復興していくか、復旧していくかという中で新たな問題も生じていって、いろいろな知見がたまっていますし、いろいろな経年変化の中で新たな問題も出てくるという意味では、そういった地域に本庁なり地方分局を置くということは、まさに知見も高まってくるということになると思います。
そういう意味では、基準の中に、大規模災害をかつて受けた地域というのも一つの基準として、これは防災庁の在り方としても合致すると思うんですけれども、こういった観点は大臣はどうお考えですか。
○赤澤国務大臣 東日本大震災など様々な災害の経験、知見を着実に蓄積、継承し、新たな災害への対応に有効に活用していくことは極めて重要であります。委員御指摘のとおりです。
防災庁の具体的な組織の在り方については、現在、防災庁設置準備アドバイザー会議で御議論いただいており、組織における災害経験や知見の継承の観点も含め、担うべき業務や組織体制など、しっかり検討してまいりたいと考えております。
その上で、防災庁の機能の一部について、その拠点をどこに置くべきか、また、防災庁自体が被災した場合のバックアップや地域の防災力の強化をどのようにすべきか等について、これは本当に皆さん大変な熱意で手を挙げていただいていまして、委員御指摘のように、災害経験のあるところは、うちには知見がある、ノウハウがある、シンボル的な存在だとおっしゃり、大変な説得力もある一方で、バックアップ機能でしょう、それは災害が今までなかったところがいいんです、そういうセールスの仕方もちょっとあって、両方ごもっともだなと思うので、バランスよく、最終的に、どこで災害が起きようが、あるいは南海トラフのように、千七百以上ある市町村のうち七、八百が被災市町村になることが想定できているようなものに対応するのにどうしたらいいかとか、ありとあらゆる場合を想定して、しっかり決めていきたいと思います。
委員の本日の御指摘も大変ありがたい貴重なものでございますし、それ以外にも、アドバイザーの様々な御意見、御提案を賜りながら、災害対策を最も効果的、効率的に実施できる体制がどのようなものかという観点から、適切に検討を進めていきたいと思います。
○小熊委員 ありがとうございます。
今大臣が言ったバランスというのが大事だと思いますし、災害がいつどこでどういうふうに起きるか分からない、バックアップも重要だということであれば、バックアップも一つ、二つじゃやはり足りないんですよね、多分。
これも、かなり分散してしまっても、力も分散してしまうから、そこはいろいろ工夫が必要だと思いますけれども、大臣が言ったようにバランスが大事だということであれば、今まで災害がなかったところでしっかりやっていくというところもあれば、その知見をしっかり生かしていくという意味では、かつての被災地に置くという、この両方あっていいと思うんですね、どっちかということではなくて。
是非そういった観点から、設置に向けて御検討を、また基準もしっかり示していただきたいというふうに思います。
次に移りますけれども、我が党の岡島さんも、せっかくアメリカへ行ったのにFEMAという話もあり、私もそれは思いました。ただ、大変な任務を負って行かれていたので。
今まで、これまでも日本も、十年に一遍ぐらいのペースで国連防災世界会議をやったり、あと、かつては日米地震防災政策会議というのも開催されていました。
やはり、地球規模での災害も増えていますし、いろいろな国での知見を、それぞれお互い切磋琢磨して、影響し合っていい影響を与えて、共有していって防災をしていくということが大事なので、国際連携が必要だと思いますし、今までも国際的な枠組みはありましたけれども、不定期だったし、本当に間が空いて開催されていたので、防災庁をせっかく設置するに当たっては、日本がリーダーシップを発揮していただいて、こうした国際的な枠組みというのもつくっていくべきだというふうに思います。その点に関してはどうでしょうか。
○赤澤国務大臣 委員御指摘のとおり、国際的連携の推進は重要であります。石破総理が我が国を世界に冠たる防災大国にするとおっしゃっているとおり、災害大国である我が国がその経験や開発あるいは実装した技術などを世界と共有をして国際展開を図ること、これは本当に一番大事な人命を救うということで、国際社会への大変大きな貢献にしていく必要があるというふうに考えております。
これまでも、平成二十七年、二〇一五年に国連が採択した仙台防災枠組で、このとき私は実は防災副大臣で、山谷えり子防災大臣の下でこの会議に参加したわけですが、我が国がその取りまとめや推進で中心的な役割を果たしました。強靱化とか、あと、ビルド・バック・ベターという言い方ですけれども、よりよい復興に向けての考え方をまとめる、そういった日本発の考え方を発信をし、その後も国連と連携してその推進を図ってきております。
また、日・ASEAN防災閣僚会議などの多国間の防災協力の枠組みに参画するなど、防災分野における国際的な取組に積極的に関わってきているところでございまして、防災庁の組織づくりに当たり、今後一層重要になるというふうに考えております。
現在開催している防災庁設置準備アドバイザー会議において、国際的連携に関する観点も含めて様々な御意見をいただいておりますので、そういったものを踏まえ、委員の今日の御指摘もいただきながら、必要な組織の在り方について検討してまいります。
○小熊委員 今大臣から御紹介あった仙台会議も、その前は十年前になっちゃうんですよね。今のいろいろな仕組みを生かすとしても、やはりもうちょっとスパンを短くしてやっていかなきゃいけないし、地球規模でいろいろ起きていますし、気候変動の中で変化も激しい中でありますから、既存のものを使うのであればもっと加速度的にやる、若しくは、効果があるのであれば新しい枠組みを是非つくっていただきたいと思います。
これから大臣、ちょくちょくアメリカにも行く機会が多いかもしれませんが、忙しいとは思いますけれども、やはり防災担当大臣として、そして、アメリカのFEMAと連携を取りながら、そうした点でも世界をリードしていっていただきたいと思います。
大臣も、アメリカに行って、格下と言っていろいろ文句も言われているけれども、僕は外交族なので、外交儀礼上のプロトコルといえばプロトコル、それは、プレジデントが出てくれば、プロトコル以上の対応だったという意味では、日本人らしい控えめな表現だからそこまで問題じゃないなと思ったし、帽子も、MAGAの帽子は商標登録もされていて、あれをかぶったら、おまえ、トランプ派だろうとなっちゃう。阪神ファンの中で巨人の帽子をかぶるぐらいの勢いだったのかなと思ったけれども。あれも、もらったらそれはかぶりますけれども。
ただ、昨日の参議院の予算委員会の質疑でも、自分はそういうつもりは別にないと言っていたけれども、僕も何年か前、帽子をかぶっていろいろちょっと物議を醸したことがあるんですが、本人の意図とは別に受け手のこともありますから、そこは、自分はそういうつもりはない、別にトランプ派の軍門に下ったというつもりでもなく、ただもらったものを礼儀としてかぶっただけだと言っていますけれども、やはり受け手のことも想像していただかなければ、外交といったって、それは政府がやるだけじゃなくて、国民の理解もなければ外交というのは推進できませんから、是非、受け取られ方というのも気にしていただいて、いろいろこれからまた頑張っていただきたいと思います。
私は、あの帽子をかぶったのは否定はしないんです。世間的には、うわっ、トランプの軍門に下ったなと思った瞬間も実際ありましたけれども、これは韓信の股くぐりだなというふうに思いましたし、トランプ大統領は、ボウリングの話も出していますけれども、そのうち日本の左側通行が非関税障壁だなんて言いかねませんから、そういった点も是非頑張っていただいて、併せて、アメリカもFEMAというすばらしい機関がありますので、そうした連携を防災庁設置に向けて強化をしていくということも、訪米の際には是非、何かのあらゆる機会を捉えて取り組んでいただきたいということをお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 日本維新の会、市村です。よろしくお願いします。
まず、先ほどからも防災庁の話、私は防災復興庁若しくはまた別の名前がいいかなとは思っておりますが、あえて今日は防災庁で通しますが、防災庁の話が出ています。
私も、阪神・淡路大震災から三十年目でありますが、阪神・淡路大震災がなければ今の選挙区から立候補させていただくことはなかったという御縁で今いるところでありますので、非常に、この阪神・淡路大震災三十年というのは大変重要に思っている者の一人でございます。
そこで、そのときからいろいろ議論になっていたのは、やはり、日本版FEMAというか日本の防災の専門省庁、防災、減災、危機管理等も入れたいんですが、そういう専門省庁をつくらなければならないのではないかという議論をずっと続けてきたわけでありまして、この度の内閣で、特に赤澤大臣が肝煎りでやっていただいているということで、ようやく、そういう兆しと、また具体的な流れができているということで、私としても、日本の防災力を高めるためにも大変重要な転換期だと思っております。
そこで、この間、災害対策基本法等の一部改正案がありました。その中で、私は特にボランティア団体、NPOの登録というものに注目をしておったわけでありますけれども、その他様々な観点で改正がされたというところでありますが、私は、この法案改正は、一つの意味としては、防災庁設置に向かう一つの流れで、まず一年前に必要な項目を整理しておこうという意図もあられたのかな、こう思っているところでありますが、いかがでございますか、赤澤大臣。
○赤澤国務大臣 今、災害の事態対処と災害対策基本法を始めとする重要な法律改正を心から信頼をする坂井大臣にやっていただいているところでありますが、今般の法律案は、能登半島地震の教訓や有識者会議において取りまとめられた報告書等も踏まえて、速やかに法制上の措置が必要なものについて、坂井大臣の下で取りまとめ、国会に提出したものでございます。
委員御指摘のとおり、今般の法律案は防災庁設置に向けたまさに土台となるものでありまして、現在、防災庁設置準備アドバイザー会議において様々な意見をいただいているところでありますが、避難所外のものも含む被災者の福祉的支援の充実でありますとか、NPO、ボランティア団体等の登録制度の創設でありますとか、今般の法律案の内容も含め更なる災害対応力の強化ができるように、坂井大臣とよく連携しながら、防災庁の設置に向けた準備を進めてまいります。
○市村委員 是非とも、防災庁、先ほどどこに置くかという話もありまして、いろいろなところから、特に今、文化庁もそうでしたけれども、東京以外にも省庁を分散化させた方がいいだろうということで、一極集中を是正するという意味でも。
私は兵庫県出身ということでありますし、先ほど阪神・淡路大震災から三十年ということがありました。おかげさまで、兵庫は、今でこそいろいろな制度が整ってきているわけでありますけれども、あのときはそうじゃなくて、いまだに大きな借金を残したまま。ほかの場所は国が結構支援していただいておるものですが、一生懸命借金を返してきたというところで、まだ残っているところでございます。
その間、いろいろな知識を積み上げて、未来防災館みたいなものも造り上げて、防災拠点としては大変大きな役割を、また研究をしてきたというところでありますので、別に兵庫だけということではないんですけれども、兵庫というのもお考えいただけると、私はいい場所かなと思います。
実は、瀬戸内の、例えば兵庫の近くの岡山とかは非常に地盤が安定しているというところでありまして、それこそ首都移転の候補地にも挙がったようなところでもありますので、瀬戸内のあの辺りは大変安定しているということを考えると、兵庫も含めた瀬戸内に持ってくるというのは一つの大きな拠点としての在り方かなと私は思っております。またよろしくお願いいたします。
そこで、先ほど、ボランティア団体、NPOが事前登録をするという話でありますけれども、これはそういった非営利組織だけではなくて、やはり地域の民間営利企業とか、いざというときにはいろいろな方々が動いていただかなくちゃいけないんですね。ただ、それを、個人というよりもやはり組織にしておく必要があります。だから、いわゆる営利企業も法人格を持った組織でありますし、ボランティアそのものだと個人ですからボランティア団体とか、そこに、ある種のもっと組織的なものを構築し平時から動いているということでいえば、NPOということになってきます。
だから、そうした皆さんが今回は事前登録をされるということで、特に今回防災庁ができますと、各都道府県ごとに地域防災力強化担当の方が生まれてくるわけであります。この方と、やはりそうした、いざというときに動いていただく組織体、営利企業、非営利組織とかそういったところが、ふだんから、平時からしっかりとコミュニケーションを取って、いざというときの備えに関して話をしておくということが必要なのかと存じております。
そこに、できることならば地元の警察、消防、例えば私の地元は自衛隊も、中部方面総監もありますから、是非とも自衛隊にも入っていただくとかしながら、ふだんから、いざというときにどうしようということを話をして、マニュアルとまで言うと、余りマニュアル化すると、マニュアルを守るために何か行動するということになってしまいますので、その辺りも気をつけながら、いざというときにはやはり、いつも申し上げておりますが、地域防災監及び担当者になっている方の人間力が最後は問われてきますので、被災地というのはそんなマニュアルどおりに絶対動きませんから、人間力をということであります。
ですから、そうしたことを前も申し上げましたが、いま一度、そういうふうに、地域防災力強化担当の方がそうした人間力を持った方になってほしいということで、地域から推された方をされるのがいい、中央省庁から送るよりも地域で推された方をそういう担当にしておくのがいいと思っておりますが、大臣、いかがでございますか。
○坂井国務大臣 内閣府防災に今年度新設した地域防災力強化担当は、自治体と連携をしながら避難所環境の整備や官民連携を進め、全国どこで災害が発生しても適切な対応ができるよう、事前防災の取組を強化することを目的としておりまして、基本的には、私ども考えておりますのは、内閣府防災で、国の方でいろいろな情報を集め、いろいろな条件を勘案をして方針を決める、そして必要だと思われることを決める、そういったものを、自治体の皆様方にも同じものを共有をして、同じ方向で取組を進めていくということのために、ある意味リエゾン的な意味合いもあって、この強化担当というのを考えているところもございます。
ですから、国側、国の立場を各地域にお伝えを、特に都道府県にお伝えをする担当を強化担当として国で決めて、今度は都道府県の方でもそのカウンターパートとなる人間を決めていただいて、そしてまずはそこのつながりをスタートとして、各地域の担当、都道府県の担当の方から、その下の市町村の担当者でありますとか様々な方々、そして、そこにはNPOだとか民間の企業の皆さんといったようなところまで連携をしていくということを考えておりまして、備蓄の推進だとかボランティア人材の育成、官民連携ですが、今委員御指摘のように、いざというときに協力をしていただける民間の方々も一緒になって、訓練を必要としておりますので、これら訓練の促進など、こういったものを、取組の主体となる地方自治体の職員と顔の見える関係を構築して支援していくことを考えております。
○市村委員 ありがとうございます。
今ちょうど備蓄という話が出ましたので、次の質問に移りたいと思うんですが、その備蓄です。
いまだに備蓄となると、今、各地域で防災訓練が行われると、出てくるのが大体アルファ米ということですね。最近乾パンは出てこないですけれども、大体アルファ米は必ず出てきて、この間も地元の自衛隊の皆さんにカレーを作っていただいて、防災訓練でアルファ米でカレーを炊き出しで食べさせていただきましたが、余りメニューが変わらないというところがあります。
私は、これからちょっと三つは提案なんですけれども、まずは冷熱を利用するということの考え方を御提案させていただきたいんですね。
やはり、今何でもかんでも電気を作ろうという話なんですけれども、熱を熱のまま利用するというのも大変重要な視点なんです。そこで、温熱というのはもう皆さんもよく御存じなんですけれども、火力発電所から出る温熱をどう利用するかとかですね。ただ、実は冷熱があるんですね。
どこにあるのかといいますと、例えばLNG、液化天然ガスの基地、あれはマイナス百六十二度まで下げないと液化しません。それから液体窒素、これはマイナス百九十六度。今、将来のということで水素社会と言われていますが、液体水素、あれはマイナス二百五十二度まで下げないと液化しないということで、そこまで下げて、エネルギーをかなり入れて、あれは電力を使ったりするんですけれども、かなり電力を投入して温度を下げて液化して運んでくるということなんですが、じゃ、その下げた温度、マイナス二百五十二やマイナス百九十六やマイナス百六十二まで下げた冷熱をどうしているかというと、一部利用していますけれども、ほとんど空気中に捨てられています。
確かに、それを運ぶと、結局、温度はどんどん上がっていきますから。今まで運ぶ管がなかったんですね。ところが、経産省が十五年前ぐらいにお金をつけて二重真空管というのを作って、実験してきまして、実用化までもういっています。神戸の神戸空港沖に、今、川崎重工さんが水素のタンクを造って、オーストラリアから液体水素を運んできて、そこへためています。そのためた水素で発電とかを今しているんですけれども、そこでも使われています、その管がですね。温度を上げないように、球形の保管庫というのかな、に移す。保管庫ももちろん二重真空管になっていまして、外気が例えば何十度だろうと二百五十二度は保たれているという技術なんですが、あるんですね。
だから、そういう技術を利用して、冷熱を捨てるんじゃなくて、それを利用していく、利活用していくということが大切であります。
その利活用のときに、例えば、生鮮食料品とか食料を長もちさせるための技術というのもありまして、冷熱を利用して。だから、そういうものを利用して、ふだんはそういうものを、平時はお弁当を急速冷凍させて長もちさせておく。どんどんフードロスがありますから、そうじゃなくて、急速冷凍させておけば大分もちますから。しかも、これは元々捨てている熱なんですね。捨てている冷熱なんです。捨てている冷熱を利用して、そういうフードロスもなくそうとか。
そうしますと、平時にもフードロスをなくすという政策目的も達成できると同時に、非常時には、そういうものをずっと備蓄しておけばいいわけですね。捨てている熱でやっているわけですから。別に新しい熱を入れているわけじゃない。捨てている熱を利用するということをやるべきだと。
そういった意味でも、備蓄にもそういう冷熱を利用するべきだというふうに私は提案をずっとさせていただいておるんですが、大臣、いかがでしょうか。
○坂井国務大臣 災害時の食料支援につきましては、各自治体で備蓄することを基本としております。自治体のみでは必要な物資量を調達することが困難な場合には、国が市場調達によってプッシュ型で支援することとしております。
委員御指摘の冷熱でございますが、御指摘をいただいて、私も話を聞かせていただいたところでございますが、食品製造や保存への活用についても研究、実証段階の話であるということで認識しておりまして、災害現場での活用には、長期保存に加えて、被災者に喜んでいただけることも必要かと考えておりますので、今後の研究成果に是非注目をしたいと思っているところでございます。
○市村委員 おいしさ、まさにそれを保つための冷凍技術ですから、当然、おいしさ。被災者の方にも、別にそのまま、冷凍したまま出すわけじゃないです、それはちゃんと温めて出すわけでありますので、それは喜んでいただけると思います。新鮮なままということでありますので。
次に、今度は、この間の内閣委員会でもいわゆるサイバー安全保障関連法案というのが審議されました、AI法案というのも審議されました。AIはちょっと後で申し上げますが、いわゆるサイバー空間を守らないかぬ、情報を守らなくちゃいけないということで審議されて、能動的サイバー防御もこれからスタートしますが、一生懸命、ふだんは大変高品質なサイバー空間を、セキュリティーが強化されたサイバー空間を通じて我々は情報のやり取りをできるんですが、災害時にそういうセキュリティーが強化されたサイバー空間を通じての情報のやり取りは難しくなるということも予測されるわけです。しかし、難しいけれども、やはり、機密情報のようなもの、あと個人情報のようなものを迅速に送らなくちゃいけないということ、ニーズは当然あるわけであります、災害時だろうと。
そのときに、実は、政府が、今まで歴代の国土強靱化担当大臣の方々が、今入ってもう十年以上を迎えている、レジリエンスジャパン推進協議会というところでやっているジャパン・レジリエンス・アワードというのがあるんですね。強靱化大賞というのがありまして、ここで、二〇二四年、去年ですけれども、完全暗号を用いた、そういう技術を提供している会社が優秀賞を取られているんです。
優秀賞を取った理由というのは何かというと、災害時の完全暗号によるバックアップ秘匿通信網をつくれるということなんですね。つまり、どんなに脆弱なサイバー空間であろうとその情報を必ず守るという理由で、この賞を取られているんです。
これは、歴代の国土強靱化担当大臣が参画されていますし、その授賞式には総理大臣も出てきてアワードを渡すという役割もしているような、そんなところであります。だから、政府筋もこれはやっておられるし、ならば、やはり、こうした完全暗号の技術というものも改めて評価し、それを使うという方向に向けた方がいい。
これは、実は、CBDCというのが、セントラル・バンク・デジタル・カレンシーと言うんですが、いわゆる中央政府デジタル通貨とか、これがうまくいきますと、決済税とか、こういう話もできるということになります。これも二年前ぐらいから経産委員会でも話をしているんですけれども、予算委員会でもお話しさせていただきましたが、そうした技術を、せっかく政府筋も、十年以上にわたってやってきた中で、それを評価しているわけですから、私はこういう技術も使うべきだと思いますが、いかがでございますでしょうか。
○坂井国務大臣 このジャパン・レジリエンス・アワード二〇二五は、実は今日の午後、予定をされておりまして、私も挨拶させていただく予定にはなっておりますが、大変大事な取組だと思っております。
災害発生時の情報通信においても、セキュリティーの確保はやはり当然重要と考えます。政府におきましては、大規模災害時においても災害対策に必要な通信機能を確保できるように、信頼性の高い通信手段や、複数の通信手段の組合せなどにより、中央省庁と全国の防災関係機関相互の通信を確保できる、一応、政府専用の通信網は設置をしているところでございます。防災無線とも呼んでおります。
引き続き、災害に強い情報通信の確保や、御指摘のサイバーセキュリティーに係る民間の技術の動向も踏まえて、そういったものの活用なども視野に入れながら、災害時の安全かつ確実な通信環境の確保に努めてまいりたいと思っております。
○市村委員 ありがとうございます。
最後に、今度は、AIやドローンの活用ということでお話しさせていただきたいと思います。
今年は実は気象庁百五十年ということであるようでありますが、気象情報とかは、やはりスパコン、AIの活用ということによって、線状降水帯の発現も大分予測されるようになってきておりますし、そうした技術を、特にAIを使ってこれからやっていくということが必要だと思います。もう一部はされていると思いますし。
特に、AI法案というのができましたから、これから更に、国産AIを作る中で、日本に特化した、日本の地形とか地政学上の観点とか、いろいろなことをすぐに分析できるような多言語言語モデルによって、日本語における多言語言語モデルとか、今、LLMといって、言語だけじゃありません、動画とかも含めてやるやつがありますが、そういうのも活用すべきだと思いますし、また、ドローンの活用というのは大変重要だ、こう思います。
今、大阪・関西万博も、ドローンショーが最後にありますけれども、多分あれは、全部のドローンに情報を送っているわけじゃなくて、多分、中核にいわゆる命令するドローンがいて、あとのドローンはそれに従っていると思うんですよね。その命令するドローンに、衛星を通じてか、何かの手段で情報を送っているということになると思います。
そうしたドローンも、やはり災害時は大変重要な役割。今、物資を運ぶだけのところも、これから人間も運べるかもしれません。ヘリコプターじゃ難しいところに、ドローンは大変重要だと思います。そうしたことで、是非とも、ドローンを活用、AIの活用もしてほしいと思います。また大臣の方からよろしくお願いします。
○坂井国務大臣 能登半島地震におきましても、ドローンは、災害現場の状況把握でありますとか、それから孤立集落への物資の輸送等、様々な場面で活用されておりまして、特に、今回、山崩れなどが多数ありました。そういった中で、地震後の能登半島全体のいわば被害状況、これはなかなか、人が今まで行かなければいけなかったものが、ドローンを飛ばすことによって、時間的にも節約もできますし、人的な資源も入れずに把握ができる。
今、ドローンで撮ってきた、それを単に映像で、画面で見るだけではなくて、その情報をどう活用して、例えば3Dのような形で処理をして使えるかといった議論もなされているとも聞いておりますので、ドローンだけではありませんが、こういった最新の技術をやはり災害の現場にも取り込むようにやっていきたいと思いますし、一応、防災×テクノロジー官民連携プラットフォームというのを、内閣府防災にもプラットフォームを設けておりまして、今進めているところでございます。
○市村委員 時間が来ました。
AIエージェントのことも申し上げたかったんですが、また改めてさせてください。
ありがとうございました。終わります。
○金子委員長 次に、鳩山紀一郎君。
○鳩山(紀)委員 国民民主党・無所属クラブの鳩山紀一郎です。
本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
早速質問に入らせていただきたいと思います。
先日の災対法改正案に関わる参考人質疑の際に、私は、ボランティアへの報酬の必要性というのを伺ったところ、ほぼ全ての参考人の方々から、必要であるというような御意見をいただきました。
その結果も受けまして、改正案の附帯決議に、ボランティアに対する報酬の支給を検討する旨というのを盛り込むべきではないかということを提案をさせていただきましたが、これは残念ながら認められませんでした。これは、与党側から、ボランティアはボランティアであって、無償が原則だというような御意見が出たためというふうに聞いておりますけれども、念のためお伺いいたしますが、坂井大臣も同様な御認識でありましょうか。
○坂井国務大臣 災害対策基本法においてのボランティアは、個人、法人を問わず、広く被災者の支援のために自発的に防災活動に参加する者全般を指しておりまして、活動経費の有償、無償については規定されておりません。
被災地で支援に当たる団体の活動の一部については、これまでも民間の支援金等による支援がなされてきたほか、政府におきましても、本年一月から、被災者支援団体への交通費補助事業により支援をしているところでございます。
また、被災自治体からNPO等の被災者支援団体に対して業務委託を出され、その業務委託によって実際支援が行われておりまして、能登半島地震の際にも、炊き出し支援でありますとか高齢者の見守り支援が自治体からNPOに業務委託をすることによってなされておりまして、こういった自治体からの委託によるものに関しましては救助法で支弁されているということでございまして、官民が連携して様々な支援の仕組みを適切かつ柔軟に運用することで、被災地への支援を実施してまいりたいと思っております。
○鳩山(紀)委員 分かりました。ありがとうございます。
制度上は、今回の改正でも、実費支弁ということが書かれていると思います。
私がこの点を申し上げておりますのは、やはり、本業を休んで支援に来てくださるという方々が生活に支障が出てしまうというような状況はつくってはいけないと思いますし、支障が出ないということが保証されれば、より多くの方々が支援に入れるようになるはずだというふうに考えるからでございます。
実費支弁についても、具体的には制度設計次第のところはあるというふうには思っておりますので、是非、報酬に準じるような仕組みの導入も御検討いただきたいというふうに思いますが、大臣、御見解をお聞かせいただければと思います。
○坂井国務大臣 実際に被災地で様々な団体に御支援をいただいておりまして、そういった団体に自治体から今申し上げたような形で業務委託をすればその費用が出るということでございますが、確かに、そこに報酬的なものというのはどこまで入れられるかというのは、これからだと思います。
各国やその他の様々な制度も検討しながら、今回、そういった形で、特に、能登半島地震以降、自治体から委託する形を含めて、先ほど交通費の補助なども始めたと申し上げましたけれども、こういった動きに明らかにかじを切ってきているところでございますので、この現状、状況を見ながらまたこれも検討してまいりたいと思います。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。
本来は、災害時の救援は、ボランティアですとかNPOの方々の善意に依存するものではなくて、国が、今後は防災庁かと思いますけれども、防災庁が責任を持って体制を構築すべきだと考えております。もちろん、善意に基づく支援そのものは貴いものなんですけれども、その支援内容ですとかが地域や時期によって偏りが生じるというようなことがあっては望ましくないというふうに思っております。
そういう意味では、防災庁が各都道府県に出先機関をつくっていって、それで地域の専門人材を適切に把握をいたしまして、それらを全国的に共有するような仕組みというのが必要じゃないかというふうに考えております。そして、災害発生時にはどこにどのような専門人材を何名程度派遣するかというのを迅速に判断できるような、そういう体制が必要と考えておりますが、政府の所見をお伺いいたします。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
委員から御指摘いただきましたように、災害がいついかなる地域で起きようとも、避難所における支援など、被災者支援サービスに違いがあってはならず、良好な質を確保していくことは大変重要だというふうに考えております。例えば、避難所運営につきましては、被災自治体を中心に、自治体間の応援職員の派遣とか、NPO団体など、様々な多様な主体の連携により担われているところでございます。
現在開催しております防災庁設置準備アドバイザー会議におきましては、行政やNPO等、多様な主体の有機的な連携により、支援の漏れ、むらをなくし、被害の軽減を目指すこと、プロである民間企業等による、餅は餅屋の災害対応を行っていくこと、あるいは官民それぞれの強みや専門性を最大限に引き出すためのコーディネート機能が重要であることなど、様々な観点から御意見をいただいているところでございまして、防災庁を中核に、あらゆる主体と連携し、良好な避難生活環境を提供していくことができるよう、設置に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。
このテーマの最後に、一つだけ御提案を申し上げたいと思うんですが、今後、例えば、ボランティアという言葉を、消防団に倣いまして、災害救援団などとして、非常勤公務員として位置づける、そんな制度設計も一案だというふうに考えておりますが、大臣、いかがお考えでしょうか。
○坂井国務大臣 平時から安定的に救援をしていただける体制を構築すべきという趣旨で御提案いただいているものかと思います。
国及び地方公共団体は、被災地で支援に当たる団体、ボランティアの活動の自主性を尊重しつつ、連携に努めなければならないと承知をいたしておりまして、御承知のように、今回、被災者援護協力団体の制度も法案で位置づけたいということで御提案させていただいております。
非常勤災害救援団、これは御提案の名称でございますが、名称そのものは一つの考え方として受け止めさせていただきたいと思います。
一方で、ボランティアによる自主的な活動につきましては、その趣旨に鑑みれば、非常勤の公務員等として公務扱いにしてよいかどうか等々、これは様々な観点からやはり検討する課題がまだあろうかと思っておりますので、今すぐお答えができる状況ではないと思います。
今回の法改正により、自治体と豊富な支援経験を有する団体とが密接に連携する、そしてまた、その仕方をどのようにやっていったらいいかというようなことを、この後、模索をしていく中でまた考えてまいりたいと思います。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございました。
以上、先週の災対法の審議が私の想像とは反して余りにも短時間だったものですから、私、本日改めてお伺いさせていただいた次第です。どうもありがとうございました。
次に、東京電力福島第一原子力発電所の燃料デブリの回収について伺いたいと思います。
燃料デブリの回収完了なくして廃炉の実現はない、これは皆さんの共通認識だと思います。昨年十一月に事故後初めて試験的取り出しが成功したということですが、その量は〇・七グラムにとどまりました。そして、今月十五日から二回目の試験的取り出しというのが始まっておりまして、約十日間で完了する見込みというふうに伺っております。
そこでまず、昨年十一月の試験取り出しの成果についての評価と、その評価が今回の作業にどのように反映されているかについて教えていただければと思います。
○川合政府参考人 お答え申し上げます。
昨年十一月に成功した東京電力福島第一原子力発電所二号機における燃料デブリの試験的取り出しは、より本格的な廃炉作業を迎える中で重要な一歩であると受け止めております。
一回目の取り出し作業においては、燃料デブリを取り出すための装置を原子炉格納容器内に押し込むパイプの配置の順番が計画と異なっていたこと、装置先端に取り付けたカメラの動作不良、引き戻し時につり下ろした部分が安定せず操作に時間を要したことなど、改善すべき点も存在いたしました。
この経験を踏まえて、東京電力は、手順書の見直しや、作業員の習熟訓練の実施、新品のカメラへの交換、安定性、操作性を向上するための装置の改良などの必要な改善を行いました。
四月十五日から二回目の試験的取り出しに着手し、作業が予定どおり進めば、明日にも試験的取り出し作業を完了する見込みでございます。今回の取り出しでは、一回目と異なる位置からの試料の取り出しを実施しており、燃料デブリの性状や分布といった知見が拡充することが期待されております。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。
前回の結果も踏まえまして改善が図られているということかと存じますけれども、今回取り出されるとされる量も数グラムということで、これは推定される八百八十トンのデブリ総量の一千万分の一にも満たないという量でございます。
もちろん、今回と前回、いずれも試験的なものでありまして、大量取り出しを目的としたものではないというふうに承知はしておりますが、事故から十四年たちまして、廃炉の完了目標が二〇五一年とされている中で、このペースで本当に間に合うのかというのが率直に懸念をするところであります。
しかも、現在の試験取り出しは水素爆発が起こらなかった二号機でありまして、水素爆発が発生した一号機、三号機では更に困難性が高まるのではないかということは誰でも想像できるところかと思っております。
当初定められた全体スケジュールを考えまして、現状は進捗は遅れているのか、それとも順調なのか、また、仮に遅れているとすれば今後どのように遅れを挽回していくおつもりなのか、お聞かせいただければと思います。
○川合政府参考人 お答え申し上げます。
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉は、国が定めた中長期ロードマップに基づいて取組を進めております。この中においては、燃料デブリの取り出し開始から廃炉措置終了までの期間を第三期としております。これに基づき、昨年九月の二号機における燃料デブリの試験的取り出しの着手をもってこの第三期に移行いたしました。
また、中長期ロードマップにおいては、廃炉の根幹となる作業である燃料デブリの取り出しについて、燃料デブリの詳細な分析や取り出し作業により得られる原子炉内の状況などの新たな知見や経験を踏まえ、作業を柔軟に見直し、段階的に取り出し規模を拡大していくこととしております。
さらに、三号機での燃料デブリの大規模取り出しに向けた工法につきましては、昨年三月に原子力損害賠償・廃炉等支援機構が報告書を公表しており、この中において、燃料デブリが気中に露出した状態で取り出す気中工法と、充填材で燃料デブリを安定化させつつ、現場の放射線量を低減させ、充填材ごと取り出す充填固化工法を組み合わせて行うことが提言されております。本報告書を踏まえ、現在、東京電力が設計検討を進めているところでございます。
福島第一原子力発電所の廃炉は、世界にも前例のない、技術的難易度の高い作業であります。政府としては、中長期ロードマップに基づき、着実な廃炉に向けて、引き続き最後まで責任を持って対応してまいります。
○鳩山(紀)委員 分かりました。
私には、今のロードマップの進捗に関する認識は楽観的過ぎるのではないかなというふうに映っております。
大規模取り出し工法について、今御説明もありましたとおり、気中工法などの様々な方法が検討されているということですけれども、これは基本的には、どこまで水につけるかみたいな、そういう工法の話だと思っておりまして、実際にこの取り出し作業を行うのはロボットであります。つまり、結局、ロボットの作業効率が全体を決めていくのかなというふうに思うところでして、現段階の試験取り出しの延長線上に大規模取り出しの道筋があるようにはどうしても思えないということで、この辺、政府も説明をしていかれるべきではないかなと思うところでございます。
引き続き、デブリの大規模取り出しの実現に向けて着実に前に進めていきたいというふうに願っておるところです。
最後に、国土交通省が道の駅などに配備を進めておりますトイレコンテナについて伺いたいと思っております。
災害時には避難所のトイレ環境が劣悪化しやすいというお話で、トイレコンテナの果たす役割は極めて大きいということは論をまたないと思いますが、しかし、その仕様ですね。例えば、どれぐらいの水や電気を使うのかですとか、シャーシの有無とか、そういったものが統一されていない場合、被災地に搬送ができなかったりですとか、あるいは被災地で円滑に使用できなかったりといったことが生じる可能性があります。
現時点でトイレコンテナの仕様というものは標準化されているのかどうか、それとも調達する道の駅の管理者任せになっているのか、その辺りについてお伺いしたいと思います。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の、道の駅で活用が想定をされますトイレコンテナなどでございますけれども、これについては、配備をする道の駅ごとのニーズでありますとか、あるいは現場の実情に合わせて仕様を決定する必要があるというふうに考えております。
トイレのコンテナでいいますと、例えば、便器の数だとか、くみ取りまでの処理回数だとか、あるいは移動にクレーンを要するか否かといった、そういった可搬性などについて、各現場の状況に応じて仕様を決定することが必要であるというふうに考えております。
このため、国土交通省では、具体的な仕様を定めることはいたしておりませんけれども、平常時あるいは災害時に可動式コンテナなどを道の駅に置いて活用する際の留意点でありますとか、あるいは活用のアイデアを取りまとめたガイドライン、これは令和六年の四月に発出をしております。
また、被災地に派遣した場合の現地での運用に関して、例えば、コンテナの移動だとか設置あるいは設備の稼働などについて、災害の現場でも混乱なく対応できるように作業マニュアル等を準備しておくことが望ましい、そういった留意点をこのまとめましたガイドラインの中でも示しているところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き、こうしたガイドラインの周知などに努めまして、可動式コンテナの道の駅での配備あるいは円滑な活用が進むよう取り組んでまいりたいと考えております。
○鳩山(紀)委員 どうもありがとうございます。
是非、円滑な被災地支援につながりますように、よろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。
○金子委員長 次に、堀川あきこ君。
○堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。
まず最初に、被災者の土地を活用した被災者の住まいの確保についてお聞きをしていきたいと思います。
石川県の輪島市が、能登半島地震の被災者の所有する土地を活用をして、木造の戸建て型の災害公営住宅を建設するという方針が報道をされています。被災者は、無償で土地を提供して、家賃を払って十年間入居をすると、その後は、その家を時価で購入をして、土地は無償で返還されるというふうなことで報道では聞いています。輪島市の坂口市長は、住み慣れた地域を離れたくない住民に対する提供の在り方だというふうにコメントをされています。
三月に、私、災害公営住宅の在り方について質問させていただいたんですけれども、元々まとまった土地が確保しにくいとされている能登では、このやり方は極めて有効な在り方だというふうに思うんですね。
この制度の概要について説明をお願いしたいということと、また、こうした災害公営住宅の意義について政府はどのように考えていらっしゃるか、お聞かせください。
○横山政府参考人 お答えいたします。
能登半島地震の被災者への意向調査を踏まえまして、被災地全体では約三千戸、委員が御言及されました輪島市におきましては一千戸から一千五百戸程度の災害公営住宅が必要と推定されているところでございます。
輪島市においては、被災者の多様なニーズへの対応、早期の整備や効率的な管理といった観点から、従来からの市街地の便利な土地で集合住宅を整備する、あるいは農地等を活用して木造戸建てを整備する、そして、委員御指摘がございました、被災者から寄附されたある程度まとまった宅地に戸建て型の住宅を整備して、一定期間運用後、入居者に譲渡するという手法、これらも含めまして様々な手法を検討しているものと承知してございます。
このうち、被災者から寄附された宅地に戸建て型の住宅を整備する手法は、公費解体後の宅地の活用あるいはコミュニティーの維持を図る観点から有効な手法であると考えてございます。
一方、このような分散型の公営住宅については、自治体の管理の負担が大きい面もございますので、市においては、この効率的な管理の方法や体制についても併せて検討していると承知しているところでございます。
引き続き、被災者の御希望や御事情を踏まえた被災自治体の意向を丁寧に伺いながら、各地域のニーズに合った災害公営住宅の整備が円滑に進められるよう、国交省としても支援に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○堀川委員 コミュニティーの再生という意味でも大変有意義だというふうな答弁だったと思います。是非、維持管理に課題があるというふうなことでしたけれども、被災者の方のニーズや被災自治体の声を聞いていただいて、国からも柔軟な支援をお願いをしたいと思います。
これは能登だけではなくて、今年二月の岩手県大船渡市の被災地、三陸町の綾里地区でも、被災跡地への公営住宅、応急仮設住宅の建設も地域の方々が要望を出されております。
災害公営住宅だけではなくて応急仮設住宅についても、被災者の所有する土地を活用をして戸建ての木造仮設住宅を建てることは可能だというふうに思いますが、これは内閣府の方、いかがでしょうか。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
被災者の希望にできる限り沿った住まいを提供していくことは、大変重要な課題であります。
能登半島地震では、能登から離れ、みなし仮設住宅等で生活する被災者の方がふるさとに回帰することを目的として、集落内の空き地等に戸建ての木造仮設住宅を整備し、入居期間終了後は市町営住宅に転用することを基本とする、いわゆるふるさと回帰型の木造仮設住宅を三十三戸建設されたものと承知をしております。
また、大船渡の被災地におきましても、現在、木造仮設住宅四十戸の建設が進められているものと承知をしておりまして、内閣府からは、仮設住宅の供与期間終了後も被災者の恒久的な住まいとして有効活用することにつきまして、岩手県に対して助言等もしているところでございます。
今後の災害におきましても、戸建てタイプの仮設住宅の建設も含めまして、被災者の希望に寄り添って対応していけるよう、自治体と連携をしていきたいと考えております。
○堀川委員 ありがとうございます。
最後、ちょっと大臣にお聞きしたいんですけれども、やはり、被災者にとって住み慣れた土地で仮設住宅や公営住宅で生活をするということは、その後の住宅再建のみならず、生活再建にとっても、コミュニティーを再生していく上でも重要だというふうに考えます。こうしたやり方を積極的に進める必要があるというふうに思うんですけれども、大臣の見解をお聞かせください。
○坂井国務大臣 住み慣れた土地に戻って生活再建を実現したいという被災者の声、これにはできる限り耳を傾けるべきだと思っておりますし、また、その必要となる住まいを提供していくことも重要だと思います。
仮設住宅を提供する際は、まずは被災自治体において被災された方々の今後の住まいに関するニーズを丁寧に把握し、その実現に努めていくことが重要だと思います。
内閣府としては、機会を捉えてこうした点を地方自治体とも共有し、発災後に被災者のニーズに沿った仮設住宅を迅速に提供できるよう、自治体と連携の上、取り組んでまいります。
○堀川委員 ありがとうございます。
続いて、液状化対策について、特に被災者の負担のことについてお聞きをしたいと思います。
済みません、ちょっと時間の関係で質問をまとめさせていただきたいんですけれども、能登半島地震における宅地の液状化被害の状況についての概要を教えていただきたいのと、能登の地震から一年四か月になろうとしているわけなんですけれども、液状化対策の現状、どこまで来ているのかも併せてお答えいただきたいと思います。
○服部政府参考人 まず、能登半島地震における宅地の液状化被害についてお答えをいたします。
宅地の液状化被害につきまして国土交通省で概略的に被災件数を推定したところ、石川県において約五千件、富山県において約二千件、新潟県において約一万件、福井県において約百件の宅地被害があったところでございます。
次に、能登半島地震から一年四か月経過した今の液状化対策の進捗の状況でございます。
能登半島地震により発生した液状化被害からの早期の復興に向け、国土交通省では、被災自治体による液状化災害の再発防止に向けた対策等の検討について、直轄調査や本省職員を地区担当として被災自治体ごとに配置することにより、技術的な支援を行っているところでございます。
これらの支援等により、被災自治体において令和七年三月までに液状化対策を含む復興計画が策定をされたところでございます。今後、被災自治体において、住民説明会や実証実験を通じて地元の合意形成を図りつつ、順次、液状化対策事業が開始をされる見込みでございます。
国土交通省としては、被災した方々が安全に安心して住み続けられるよう、自治体が実施する液状化対策への支援にしっかりと取り組んでまいります。
○堀川委員 富山県の高岡市が、地下水位低下工法の住民説明会を開催されています。ただ、住民の間には、排水ポンプの維持管理の負担について不安の声が広がっているようです。高齢で年金生活者には負担が厳しいとか、被災した住宅を直せる人は住宅の補修に多額の支出をもう既にしているとか、あるいは、同じ地区でも被害のない人に負担を求めるのは言いにくいというふうな、こういった声が寄せられています。
液状化対策は、一定の地域がまとまって面的に対策する必要があり、そのためにも被災地住民の合意が肝腎となる事業だというふうに思います。ただ、自治体の財政状況によって住民負担に差が生まれている現状、これはやはり是正していくべきだというふうに思いますし、被災者の負担というのは軽減されるべきだというふうに思います。
これまでの災害での液状化対策の事例も含めて、被災者の負担の在り方について政府の見解をお聞かせください。
○服部政府参考人 お答えいたします。
公共施設と宅地の一体的な液状化対策に要する費用のうち、地方負担分に関する地域住民の方々の負担の在り方については、自治体において判断をされることとなります。過去の事例ですが、熊本市では地域住民の負担がない形で事業が実施されており、浦安市では地域住民が一部負担する形で事業が実施されたものと承知をしております。
液状化対策の実施に当たっては、住民の負担を含め、地域の合意形成を図ることが重要だと考えておりまして、国土交通省としては、ほかの自治体の取組事例を共有するなど、自治体の液状化対策への支援にしっかりと取り組んでまいります。
○堀川委員 浦安市の例がありましたけれども、住民の自己負担が大きいばかりになかなか進んでいないという現状もあるというふうに認識をしています。
この被災者の負担軽減について引き続き取り上げていきたいと思いますが、今日は時間になりましたので、質問を終わります。
ありがとうございました。
○金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時四十六分散会