衆議院

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第11号 令和7年5月30日(金曜日)

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令和七年五月三十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 金子 恭之君

   理事 古賀  篤君 理事 土屋 品子君

   理事 平沼正二郎君 理事 小熊 慎司君

   理事 近藤 和也君 理事 森山 浩行君

   理事 林  佑美君 理事 田中  健君

      大空 幸星君    尾崎 正直君

      鬼木  誠君    梶山 弘志君

      勝目  康君    工藤 彰三君

      小寺 裕雄君    後藤 茂之君

      小森 卓郎君    島田 智明君

      田畑 裕明君    西田 昭二君

      根本 幸典君    松本 洋平君

      簗  和生君    阿久津幸彦君

      梅谷  守君    岡島 一正君

      金子 恵美君    小宮山泰子君

      齋藤 裕喜君    竹内 千春君

      馬場 雄基君    福田 昭夫君

      柳沢  剛君    市村浩一郎君

      杉本 和巳君    菊池大二郎君

      鳩山紀一郎君    大森江里子君

      中川 宏昌君    櫛渕 万里君

      堀川あきこ君    北神 圭朗君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       伊藤 忠彦君

   国務大臣

   (防災担当)       坂井  学君

   内閣府副大臣       瀬戸 隆一君

   復興副大臣        鈴木 憲和君

   内閣府大臣政務官     西野 太亮君

   政府参考人

   (内閣官房防災庁設置準備室次長)

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (復興庁統括官付審議官) 瀧澤  謙君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森  真弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉田  修君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  宮崎 貴哉君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           横山 征成君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         服部 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         岸谷 克己君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 飯田 博文君

   衆議院調査局第三特別調査室長           南  圭次君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十日

 辞任         補欠選任

  尾崎 正直君     勝目  康君

  小森 卓郎君     大空 幸星君

  田畑 裕明君     島田 智明君

  西園 勝秀君     大森江里子君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     小森 卓郎君

  勝目  康君     尾崎 正直君

  島田 智明君     田畑 裕明君

  大森江里子君     西園 勝秀君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災からの復興・防災・災害に関する総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

金子委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災からの復興・防災・災害に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、内閣官房防災庁設置準備室次長高橋謙司君外八名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柳沢剛君。

柳沢委員 おはようございます。立憲民主党、柳沢剛です。

 本日は、このような貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。この委員会では二回目の質疑となります。よろしくお願いいたします。

 二〇一一年三月十一日に発生しました東日本大震災により、東日本の太平洋沿岸五百キロに及ぶ広い範囲が甚大な被害を受けました。人的被害は、死者一万九千七百四十七人、いまだに手がかりすらない行方不明者二千五百五十六人、建物の全壊、半壊、一部損壊が合わせて百十五万四千八百九十三棟、社会資本、住宅、民間企業設備への直接的被害額はおよそ十六・九兆円と推計され、阪神・淡路大震災の九・六兆円のおよそ一・七倍以上の被害額となっております。

 その惨状から、被災地では、被災の実情や教訓を伝えていくための施設が整備されております。

 近年、地震や水害などの大規模な自然災害が頻発しておりますが、過去の災害の知識があれば命を失わずに済んだケースもあるとも言われています。堤防などのハードの整備と併せて、一人一人が意識を持って避難することなど、適切な行動を取る防災意識が今求められております。

 今後起こると言われている南海トラフ地震、首都直下地震に対して、一人一人の防災意識の向上のため、そして自らの命を守る行動のため、東日本大震災の惨状と経験と教訓が詰まった、歴史的、学術的にも価値のある東北各地の震災遺構や震災伝承施設を有効に利用してほしい、東北の現場に来て、見て、そして考えて、備えてほしい、そんな声が被災地にはございます。

 そこで、まず最初の質問です。

 復興庁が認識しております東日本大震災の震災遺構そして震災伝承施設はどのくらいあるのか、また、それらの施設の運営主体はどこなのか、教えていただけますでしょうか。

瀧澤政府参考人 お答え申し上げます。

 復興庁では、駐車場等がある伝承施設を取りまとめたガイドブックを発行しておりまして、七十五施設を伝承施設として紹介しております。また、二十二件の震災遺構も紹介しております。

 伝承施設の主な管理者は、国が三、県が九、市町村が五十一、その他民間が十二となっております。また、震災遺構の主な管理者は、国が二、県が一、市町村が十八、その他民間が一となっております。

柳沢委員 ありがとうございます。

 各自治体によって、震災遺構を残したいところ、そして残さなかったところ、これは様々です。身内が亡くなった建物を見たくない、だからそのまま残してほしくない、そういった住民感情や、それを受けての行政の対応、そして、維持していくための予算も考えなければなりません。各市町村により、その規模もやはり大きく違います。

 そんな中、復興庁として、それらの施設に対して補助、バックアップをしているのかしていないのか、しているとすればどんなことをしているのか、教えていただけますでしょうか。

瀧澤政府参考人 お答え申し上げます。

 復興庁においては、震災遺構の保存のために必要な初期費用について支援を行ったところでございます。具体的には、市町村において、維持管理費を含めた適切な費用負担の在り方や住民の合意が確認されるものに対して、令和二年度まで復興交付金により支援を行ってきたところでございます。

 委員御指摘のありました小学校等につきましても、復興交付金により支援を行っているところでございます。

柳沢委員 ありがとうございます。

 被災地の議員の一人として、私は様々な震災遺構、震災伝承施設を訪れておりますが、先週、改めて、宮城県山元町の震災遺構、旧中浜小学校を訪れました。山元町の現在の人口は一万一千人余り、東日本大震災では六百三十七人が犠牲になりました。震災遺構となっている旧中浜小学校の校舎は、児童や教職員、地域の人など屋上に避難した九十人の命を守り、その災害を今なお伝える校舎です。見学通路からは、押し寄せ、通り抜けていった津波被害の痕跡が、そして、寒さと余震の中、子供たちが一夜を過ごした倉庫が被災したままの状態でそのまま保存されています。

 校舎と海岸との距離はおよそ三百メートル、津波の第一波、第二波の後、第三波は、一波、二波より更に高く、屋上から見えたそうです。もはやこれまでかと思った方もいたそうですが、第一波と第二波の引き波で第三波の高い津波が崩れたんだそうです。屋上にいた先生たちはその波を見ていました。

 前回の質疑のときに、私は、津波はより低いところを探すかのように真っ先に川を遡上するというお話をしましたが、中浜小学校でもその現象による津波があったようです。校庭の南側に小さな一の沢川という川が流れていますが、その川を周りの陸地よりも早く津波は遡上して、回り込むように南の校庭側から校舎に入ってきて、北側に抜けていったそうです。

 津波が来る方向は海側からだけではない。川はもちろん、その土地の地形により、ぶつかった反射波と引き波が重なり、時間差で思わぬ方向から津波が襲ってくることがあります。宮城県の多賀城市内では、この思わぬ方向から来た津波により、多くの犠牲者が出ています。

 現場に行くことによって分かる、現場に行ったからこそ理解できることがあります。中浜小学校には、ここ三年間、毎年二万人以上の人が訪れています。人口の二倍近い人たちが訪れていることになりますが、このうち、去年見学に訪れた学校は五十四校、しかし、多くが宮城県内の学校で、調べてみますと東北以外の学校は七校のみでした。

 首都直下地震、南海トラフ地震に備えて、日本中の多くの人たち、そして子供たちに東北の地を訪れていただき、自分の目で見て、考え、未来の災害に備えるための知識に変えていってもらいたいと思いますが、大臣の見解はいかがでしょうか。

伊藤国務大臣 東日本大震災の記憶ですとか教訓を後世に継承していくということについては、復興しつつある被災地の姿やその魅力を若者を始め多くの人々に体感をしていただくことは、先生が言ったとおり、そのとおりであります。

 復興庁では、現在開催中の二〇二五大阪・関西万博におきましても、十九日から二十四日までの六日間で、EXPOメッセ会場、復興万博テーマウィークとして展示を行わせていただきました。

 この会場、言ってはなんですが、あの大屋根の外なんです。つまり、入口から物すごく距離のあるところで開催をさせていただきましたが、驚くほど人が来ました。本当に、開催した者たちがびっくりするほどそこに来てくれた。六日間で約五万人近くの人が足を運んでくれました。

 そんな展示を併せてやっているんですけれども、そこでは、多くの方々に是非被災地まで足を運んでいただけるように、被災地の高校生の皆さん等がお勧めする地元のスポットの展示ですとか、伝承館を紹介するガイドブック等も配布をさせていただきました。

 今後は、首都直下型地震、南海トラフの地域、そうした、若者が東北の被災地で交流をするイベントを行う予定にもなっております。

 何より重要なことは、先生おっしゃったとおり、被災地に足を運んでいただくことであります。大阪・関西万博を通じて被災地に対する関心が高まったこの機会を活用して、伝承施設を始めとする被災地への誘客につなげてまいります。頑張ります。よろしくお願いします。

柳沢委員 大臣、ありがとうございます。

 是非万博でも、より多くの人たちが東北の地を訪れてくれるようにアピールしていただければと思います。

 実は、能登半島地震で被害を受けました石川県珠洲市の小中一貫校、珠洲市立宝立小中学校の生徒さんが、二〇一五年から二〇一九年まで、修学旅行で、震災遺構、中浜小学校を訪れています。宝立小中学校のホームページを見ますと、二〇一八年四月のこととして、そのときのことが次のように掲載されています。

 東日本大震災で、二次避難所までたどり着く時間がないと判断し、二階建て校舎の屋上に避難し、児童や地域住民の方々全員が生還することができた旧中浜小学校を見学しました。当時の校長先生から、そのときの様子などを詳しく説明していただきました。また、やまもと語りべの会の会長の先生からも、被災状況と現在の復興状況を詳しく丁寧に説明していただきました。このようにホームページに書いてありました。

 このとき中学三年生だった生徒が、去年の元日、能登半島地震が起きたとき、大学生や専門学校生、社会人となっていて、震災遺構の中浜小学校で見聞きしたことを思い出し、自宅や避難所で活躍、ボランティア活動にも率先して参加していたそうです。

 このような震災が自分の住む町を襲った際、全く知らないことではない、見聞きした経験、そのことを真剣に考えたことがあるという経験は、いざというときに役に立ちます。ぼうっと震災遺構を見学しても忘れてしまうかもしれませんが、人から直接語りかけられ、自分のこととして真剣に考えた場合、そのことはしっかりと記憶に刻まれると思います。

 震災遺構での様々な説明をしてくれる人を語り部といっていますが、中浜小学校はこの語り部のクオリティーが非常に高い震災遺構です。珠洲市のホームページに書かれていた、退職した当時の校長先生や当時勤務していた教員経験者、防災士、青年団、保育士さんなど、それらの人たちの体験談や教訓、それぞれの思いがしっかりと伝わってくる語り口になっています。自分のこととして考えさせられる、そんなお話をしてくれます。

 ただ、発災してから既に十四年が経過し、語り部も高齢化しています。今後、持続的な語り部の育成が必要となってくると思われますが、語り部の育成について、大臣はどのような見解をお持ちでしょうか。

伊藤国務大臣 あの東日本大震災のときの山元町にあった津波の惨禍というものは、語り継ぐには本当に厳しいほどの大変な被害を及ぼしたところでございます。改めてお悔やみと、そしてまた、頑張ってほしいということを申し上げて、お答えをさせていただきます。

 自然災害に対する危機意識あるいは防災意識を醸成するということは、持続可能な伝承活動等、そうしたことで行われていくことがまた一つの大切なきっかけになるというふうに思っております。先生の言うとおりです。

 そして、この中浜小学校ですが、そもそも、それを建てられたとき、既にこういうことに対応するために建てていったということも伺いながら、クオリティーの高い語り部の方が一生懸命やっていただいているということについても承知をしております。

 復興庁といたしましては、語り部団体へのハンズオンの支援、そして語り部育成講座の開催、さらには伝承団体や伝承プログラムを紹介するガイドブックの作成、さらに、復興大臣表彰におきまして、今の、震災伝承部門の新設を今後させていただきますので、またそうした方々にも手渡しながら、その業を継いでいってもらう意識を語り継いでもらえるようにさせていただきたいと思っております。

 東日本大震災の教訓の継承の取組は、国、地方公共団体、そして民間がそれぞれの役割を果たしていただきながら、連携をして進めることが重要と認識をしております。復興庁といたしましても、ただいま申し上げたような持続可能な伝承活動の環境整備をしっかりさせていただきますので、よろしくお願いします。

柳沢委員 大臣、ありがとうございます。引き続き御支援をよろしくお願いいたします。

 最近は、メモリアルとして保存はされているものの、財政負担が大きいため、音声ガイドや展示物だけという場所も残念ながら増えてきてしまっています。それはそれで仕方がないことなのかもしれません。近い将来起こると言われている災害に対して、命に関わること、安心、安全を考えれば、生きた言葉で語りかけてくる語り部の話は、未来の災害から命を守ることにつながる非常に重要なことだと思います。是非、末永いバックアップをよろしくお願いいたします。

 また、十四年が経過しまして、建造物の方も年々劣化してきています。安全を確保するための施設整備をしなければならない、そんな段階に来ていると思います。復興庁としては、何か、建造物に対してお考えがございますでしょうか。

瀧澤政府参考人 お答え申し上げます。

 冒頭の方の問いで、復興庁においては、震災遺構の保存のために必要な初期費用について復興交付金により支援した、その対象は、各市町村において、維持管理費を含めた適切な費用負担の在り方について決められたものということを申し上げました。

 具体的な維持管理の手法につきましては、岩手県宮古市において、震災遺構、たろう観光ホテルというところがございますけれども、そちらの維持管理費にふるさと納税を活用した事例でありますとか、その他寄附金、入館料、民間活力の活用によりコスト削減に努める様々な事例がございます。

 このため、復興庁といたしまして、震災遺構の施設改修等の維持管理に直接的な支援を行うという予定はございませんけれども、復興庁といたしましては、先ほど大臣等からも答弁申し上げているとおり、東日本大震災の記憶、知見の伝承に関する様々な取組がございます、これを通じまして、伝承施設あるいは震災遺構への来訪者の増加に努めていくということを通じまして、国として求められる役割、それを的確に果たしてまいりたいと考えております。

柳沢委員 申し訳ありません、具体的にはどんなことをやっていただけるでしょうか。

瀧澤政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な支援としましては、先ほど、伝承施設、震災遺構、来訪者の増加という話で申しますと、まさに冒頭、施設の数を数え、ガイドブックを発刊していると申し上げましたが、そういうものを活用していくということによりまして宣伝活動みたいなことをしっかりやって、来訪者を増やしていくということに努力してまいりたいと思います。

柳沢委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

 日本中、いつどこで起こってもおかしくない災害だからこそ、東日本大震災の震災遺構を自分の目で見て、そして考え、未来の災害に備え、自分の、そして家族の命を守るための知識にしていただきたいとの思いを込め、本日の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、梅谷守君。

梅谷委員 立憲民主党の梅谷守です。

 坂井大臣、お疲れのところ、どうぞよろしくお願いいたします。

 今日は、液状化被害対策について一本でいかせていただきたいと思います。

 この点、能登半島地震においては、石川県はもとより、富山県そして新潟県の各沿岸部を中心に広範な被害が起こったのが、この液状化現象。中でも石川県におかれては、先生いらっしゃる中ですけれども、内灘町、そしてかほく市、また、私の選挙区ではありませんが、同じ新潟県内にある新潟市の西区、ここは甚大な被害に見舞われました。ほかにも、私の新潟県内でいうと、新潟市中央区というところも被害がありましたし、また、私の地元にある糸魚川市というところにも被害がありました。

 ここに向けては、関係者の方々が一生懸命汗をかいてくださっておりますし、この間も一生懸命かいてくださいました。このことに対して、改めて深く敬意を表させていただきたいと思います。

 その上で、この液状化については、災害対策基本法の改正の中で、災害として明確に定義づけられました。

 そこで、まず大臣にお尋ねしたいんですが、定義づけられたことに対して、被災者の、また現場の声に寄り添う決意を込めて、大臣のこの定義づけに対するお考えを、思いをお伺いしたいと思います。

坂井国務大臣 私、昨年の通常国会は災害対策特別委員会の与党の筆頭理事をやらせていただいておりまして、今御指摘があった新潟市の西区の現状も委員会で視察に行ってまいりまして、やはりひどい状況であったことも確認をさせていただきました。

 今回の法改正によってしっかり位置づけるということでございますから、そういった意味では、新しく認識をされた災害であるがゆえに、これからやらなければいけないことはたくさんあろうかと思いますけれども、そういったことも含めて、しっかりした対応を取っていくよう、しっかりやってまいりたいと思います。

梅谷委員 私としては、定義づけした意義について、本当にしっかりやっていただくという非常に前向きな、気持ちのこもった御答弁をいただいたと受け止めさせていただきました。

 その上で、何度も言いますが、このことに対しては、政府も様々な努力をしてきてくださっています。液状化の被害に対しても、個人の住宅とか宅地被害の対応は従来から一歩前進したというふうに私も受け止めています。ただ、現場を回らせていただくと、まだまだ液状化被害に対しては根深い課題、問題があるなというふうに私は受け止めています。

 中でも、液状化で、罹災証明で半壊までいかない問題というんですかね、今の地震保険や罹災証明の判定基準の一つである傾きの基準と、実際に被災された方の感覚、受け止め、ここの間に開きがあって、いわば液状化被害は実情に合っていないという声をかなり私自身はいただいているんです。

 資料一を御覧いただきたいと思います。

 資料一の中で、例えば、半壊認定は百分の一程度のところ以上の傾斜とされます。百分の一程度というところから下に向けてですね。ですが、この上の、括弧の百二十五分の一とか以下の傾斜、ここの傾きの方々ですら、いわば百分の一未満でも、傾斜を大小感じることが分かっています。当然生活にも不都合が生じますが、これが認定から外れてしまうんですね。

 また、局所的に、例えば、住んでいる家の中の居室だけが健康被害が生じやすい傾きが生まれた、大きな傾斜があったとしても、判定は家全体の平均値ですから、全壊とか半壊の認定には届かないということもあります。

 これまでも運用を改善されてこられたことは重々承知をしておりますが、それでも、この百分の一で一律に線を引くということに、私はこれが本当に妥当なのかなというふうに強く思っています。

 そこでお尋ねしたいんですが、住めないよといった実感、実態に即した判断が十分でないといった切実な声にもっと寄り添う、生活の支障や健康などをより踏まえた支援策に改善すべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

坂井国務大臣 この被害認定調査の結果につきまして、様々な御要望やまた声があったということは承知をいたしております。

 住宅の液状化被害については、もちろんいろいろな形、その家々によってそれぞれ違うということだろうと思いますが、被害認定調査の結果によって受けられる支援が変わるということでありますから、我々も、どなたにもちゃんと説明ができるように、きっちり十分な理由と理屈をつけて説明ができる形で進めていかなければいけないと思っております。

 今年度の予算において予算も確保しておりまして、検討は今進めておりますし、また、能登半島地震の検証作業も進めているところでございます。ですから、この被害認定調査の在り方、御指摘のようにいろいろな声を受けながら、ここは不断に見直していくということで今取り組んでいるところでございます。

梅谷委員 どなたにも御説明できるように今検討しているし、今年度予算づけも行ってこれから行動していくということは私も存じ上げています。

 例えば、ほかにも、傾きの基準だけじゃなく、潜り込みの基準というんですかね、二十五センチで線を引いていますけれども、これも、配管が切断されたりすれば、住むこと自体が困難になるんですね。潜り込みを伴わない宅地の沈下、擁壁の損壊、あるいは地盤ごと横に滑る、こういったことがやはり認定されない。

 だから、私はやはり、生活できないとの声にしっかりと寄り添って、実際の声を受け止めた見直しが必要だと思います。先ほどの大臣の御答弁は、ある意味、どなたにも説明ができるようにというのは、どこかで線を引かなきゃいけないよね、それを御納得いただけるような考えにしなきゃいけないよねとおっしゃったようにしか聞こえなくて、私は、その気持ちも分かりますが、是非これは、その上で検討していただかなきゃいけないなと思います。

 今年度予算で調査費をつけられたわけですよね。この調査費は、認定基準の課題について調べていきましょうという調査費だと思います。じゃ、これはどのような理由で調査費をつけられ、そして今後どのように実施するのか。この予算づけの調査の趣旨と今後について教えてください。大臣。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 罹災証明を発行するに当たりましての被害認定調査につきましては、先ほど来御指摘いただいておりますように、例えば液状化の関係の認定の在り方とか、様々、御指摘またいろいろなお声を頂戴しているところでございます。

 こうした被害認定調査を今後の災害において市町村が適切かつ迅速に実施していけるように、こうした調査費を確保いたしまして、まずは能登での実態をしっかり把握した上で、今後どういった見直しをしていくことが適切であるか、そうしたことにこの予算を使って検討をさせていただきたいというふうに考えております。

梅谷委員 ありがとうございます。

 今の御説明では、やはり国としても、実情に合っていないねと問題意識を持っていただいた上でこの調査費をつけていただいたのだなというふうに受け止めさせていただきました。

 そこで、もう一点お伺いするんですが、この調査費の今後ですけれども、なかなかまだ固まっていないからお答えできないかもしれませんが、調査では、私、入札書というんですか、紙を見たら、自治体や有識者からヒアリングをするという仕様になっているんですけれども、これで間違いないんですか。もっと言えば、ここに被災者の声は入るんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 建築とかあるいは医療関係とか、様々な有識者のお声をお聞きするとともに、自治体を通じまして、実際の被害の状況に置かれた被災者の皆様の状況なんかももちろん把握をさせていただいた上で、どうした在り方が適切であるか検討していきたいというふうに考えております。

梅谷委員 是非ここは、被災者の生の声もきちんと受け止められる、そういう体制でヒアリングをしていただき、そのための調査体制を構築していただきますことをお願いしたいんですが、大臣、御答弁をお願いできませんか。

坂井国務大臣 大変難しい作業になるかと思いますが、今委員御指摘の点も踏まえて、しっかり調査をしていくようにやってまいりたいと思います。

梅谷委員 大変難しいと思いますし、また大変な行政負担もかかる部分もあるかもしれませんが、ここは大事なポイントなんだと思うので、前向きな御検討、是非実施を、被災者を交えてのヒアリング体制を構築していただきますことを強くお願いをさせていただきます。

 大臣の今の御答弁のままだとすると、どこかで線を引かなきゃいけない、これは私が今勝手に言っている言い方ですけれども、だとすると、同じ液状化地域内においても、認定されるものがあって、認定されないものがある。それによっては、ここは再建して住もうとか、ないしは、ここはもう再建が困難だな、離れざるを得ないなとか、息子とかそういうところへ行こうかとか、要は、ばらばらになることが懸念されるわけですね。このことが地域全体の、個別の話じゃないんですよ、私は一個一個の話をしているわけじゃなくて、地域全体としての復旧復興、もっと言うと地域コミュニティーの再建に大きな妨げになりかねないと強く懸念をしている。そして、ゴーストタウンになってしまうんじゃないか、そういう声もいただいております。

 この点、私は昨年の二月の予算委員会におきまして、当時の岸田総理でしたけれども、被害認定の柔軟化とかエリア認定、これについて提案をさせていただいたところ、こう答えたんですね、柔軟な対応は大事なので、何ができるか考えると。私自身は前向きな御答弁だなと受け止めさせていただいたんですが、ところが、その後別の場面で、現状の認定マニュアルを徹底することが柔軟対応である等の趣旨の答弁がされて、結局、具体的な対応には至っていないというふうに、このエリア認定というところで私はそう受け止めています。

 そこで、是非、大臣、液状化被害の特徴に鑑み、また、行政負担の軽減だったりスピードアップ、こういった観点からも、面的に被害を捉えるエリア認定の考え方を導入すべきじゃないでしょうか。お考えをお願いします。

坂井国務大臣 エリア認定の考え方でございますが、実は、御指摘をいただいた以降、液状化ではないんですけれども、エリア認定をした、要は活用したところはございます。輪島市の朝市の地区などにおいてはエリア一括で全壊の判定を行うなど、こういった形でエリア認定という手法を入れられるところは入れてきたということかと思いますが、液状化については、住宅の敷地の地盤の条件でありますとか基礎の構造の違いなどによって、被害状況が同じエリアであっても一様ではない場合というのがやはりあるわけでございまして、そうなると、様々課題が生じてくるということもございます。

 ですから、今御指摘の点も、今回の予算をいただいて今検証している中に課題、テーマとして入れて、被害認定調査の在り方についての検討に加えて検討していただきたいと思っています。

梅谷委員 ありがとうございます。

 難しいんだということの御説明もいただきましたし、その上で、これも踏まえた検討をしていただくということをお約束いただきました。ありがとうございます。是非よろしくお願いをいたします。

 次に、復興基金に基づく石川県の液状化対策は、御案内のとおり、被災宅地等復旧支援事業で行われていて、被害認定の有無にかかわらず支援が可能です。このことは、被害認定にかかわらず支援を行うことが、歯抜けのと言うとあれですけれども、ばらばらになってしまう復旧復興としない第一歩であって、非常に重要な点だと私は受け止めています。

 他方で、石川以外の地域でも同様の制度を設けています。しかし、支援の要件に準半壊以上などの条件がついているんですね。自治体によって、救済される範囲にばらつきが生じています。新潟や富山では、特別交付税による制度なので、どうしても財源を気にせざるを得ない側面があるのかもしれません。

 だから、私は、この復興基金が石川にあってありがたい、でも、そもそも石川にしか置かれなかったことが問題だったとも思っているんですよ。

 そこでお尋ねしますが、能登半島地震で当時論点にもなりましたが、そもそも、政府は、同じ被災地にもかかわらず、地域によって差をつける支援の仕組み、仕方をしていますが、こういうことはもうやめるべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

坂井国務大臣 今御指摘のように、石川は石川、また新潟、富山、それぞれ対策があり、対策の内容も違っているという状況がございます。これらの支援策の恒久化も含めた今後の取扱いにつきましては、被災地域の状況に応じた柔軟な支援策の在り方という観点も踏まえて、ある意味抜本的な話になりますので、こういった観点で検討してまいりたいと思います。

梅谷委員 ありがとうございます。

 抜本的な観点で御検討いただけるということで、是非期待をさせていただきたいと思います。

 これは確かに、自治体が決めることだというような趣旨のことを冒頭おっしゃっていましたが、おっしゃるとおりです。ただ、何度も申し上げますけれども、地域での被災という液状化の特性、それとかコミュニティーの維持の必要性を考えたら、ここにそもそも対象外の住民をつくるべきではないと私は思っていますので、是非、事務方の皆さんも前向きに受け止めていただいて、抜本的な検討をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、地域とのコミュニケーションの充実についてお伺いをしたいと思います。

 国交省の事業を使って地域全体の液状化対策を行うに当たっては、自治体が調査した上で工法を決めて、そして住民の同意を取ってとなるので、着手まで二年、三年とかかるのが現実です。工事の完了までとなると、五年か十年まで見込まなければなりません。被災から今一年半がたって、液状化した地域の住民からかなり、私のところにすら不安の声が上がっています。

 そこで重要なのが、行政と住民のコミュニケーションだと思います。こうした住民の抱える不安や、コミュニケーションの重要性について、政府はどのようにお考えでしょうか。大臣、お答えください。

坂井国務大臣 もちろんコミュニケーションを取っていくことは重要であり、町づくり一つ取っても、そこに住む方がどういった町を望むかといったことを根底に置いて、町づくりの議論、そして計画作りになっていくものと考えております。

梅谷委員 ありがとうございます。重要であり、どういった町づくりを望むか、これを根底に置いたことをしていかなきゃいけないと。

 そこで、関わっている専門家の方のお話を聞くと、実は、行政が工法などの検討をして説明会をしても、住民としても、なかなか是非を判断できない方もいらっしゃるというんですよ。そして、そのためにかえって不安を生んでいる実態もあるというふうに伺っています。

 なので、対策を決めてから、何かやるよ、やるんだけれどもどうですかという、対策を決めてからでなくて、早い段階から住民の希望を吸い上げて、そして、調査などの途中で随時状況を住民に御説明して、そしてまた共有をしていくことが私は大事だと考えているんです。小まめに声を聞く機会、説明の機会を設けることが不安解消のためには必要だと思います。

 その上で、資料二を御覧ください。

 中段以下のところですね、一から二か月以下の一番下のところに、ここでも確かに、地域特性の検討、住民の実施の意向確認というのが始まってくるんですよ。その後、事業計画案の住民の実施の意向確認などなど、対策方針決定の住民同意の確認というふうにあるんです。これは国交省のあれなんですが。

 時間が来たので終わりますが、もっと早めに、このフローに、住民の意向確認なり、希望を受け取る、吸い取る、そういうものも必要だと思います。そのためには、エリアにそういう相談所なりを国が設けて、そして柔軟に聞く体制が必要だと思いますが、最後に、大臣、早めに早めに住民の意向を吸い上げる仕組みづくり、御答弁をいただいて、終わりにしたいと思います。

坂井国務大臣 基本的には、今委員御指摘のような、早めに希望を聞いて積み上げていくということは大事なことだと思いますが、やはりこれも、地域地域でそれぞれだと思います。

 ですから、こういった考え方が大事だということをしっかり各自治体にも共有していただく中で、最終的には、自治体と、それから、町づくりでありますから、基本的には恐らく国交省の地方整備局等々が出ていって一緒に話をしながらということになろうかと思いますので、そこの段階で、何が最もその地域に適しているかといったことを考えていただく中で進めていっていただきたいと思います。

梅谷委員 ありがとうございました。

金子委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 伊藤大臣におかれましては、日頃から福島も含めまして被災地に寄り添っていただいていることに心から敬意を表したいというふうに思います。

 四月の二十六日、F―REIの施設の起工式にもお出ましいただいておりましたけれども、御一緒させていただきました。その際にも感じておりますけれども、災害対応や被災地への支援とか、特に東日本大震災、原発事故からの本当の意味での再生、これに向けた取組というのは与党も野党もないだろうというふうに思っておりますので、今日もいい議論ができればというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

 一方、五月の十四日、これは地元紙、福島民報、福島民友というのが二社あります。御存じのとおりです。どちらにも、第十四次与党提言における、避難指示解除を前提としない帰還困難区域の活動方針というようなことで、この第十四次提言の骨子案の内容が報じられました。

 実際に、昨日二十九日にもこの内容が報じられまして、これは骨子ではなくて、実際には与党提言の案になっているらしいんですね。

 これが六月の頭に、政府に対しまして、総理にでしょうか、提出がなされて、その後、実際に基本方針案が作られ閣議決定がされるというような、そういう手続になっているということでありまして、つまり、与党の提言を受けて、それを反映させ基本方針を策定するというような、そういう手続が行われている。そして、これまでも行われてきたわけです。これは驚かないです。

 私のところに届いている福島県の要請書の中にも、与党の東日本大震災復興加速化のための提言に言及されている、そういう内容もあります。

 ただし、その中身が大丈夫なのかということは、やはり確認させていただかなくてはいけない。何でもかんでも与党から出てきた提言を新しい基本方針に反映させるということにはならないと思うんですね。

 ですから、私たちの意見、本当に被災地の皆さんの意見というのを吸い上げて私たちは議論をさせていただいていますから、そのことも含めて是非お答えいただきたいと思います。

 まず、この件について復興庁に問合せをしましたが、もちろん、分からないという回答でした。そしてまた復興庁は、例えば、この報道にありますような、六月中の復興基本方針の閣議決定を目指す、この事実についても、どこから発信されているか分からないということでありました。

 この夏であろうということはよく分かります。もちろん、今年が二期復興・創生期間最終年度ということでありますから、新しい復興期間というものになっていくんでしょうか、それに対してもしっかりとした基本方針を作らなくてはいけないし、そうしますとしっかりと予算も取らなくてはいけないということで、予算の概算要求をするためにはこの夏までにはしっかりと基本方針を作らなくてはいけない。これは当たり前のことなんですが、どの時期に、いつまでに閣議決定をやるのかということ、そういう方針というものを目指しながら今動いていらっしゃると思います。

 基本方針案などがあるのかということも問合せをしましたが、それもまだ見せられない、ないというふうに言われました。これが事実なのかどうか分かりません。野党だから拝見することができないということではないとは思いますけれども。

 実際に、ここで事実確認をさせていただきたいんですけれども、報道されているとおりに、閣議決定は六月中を目指すんですか。

伊藤国務大臣 金子先生にお答えをさせていただきますが、まず、第二期復興・創生期間の後に向けた復興の基本方針の見直しについてです。

 昨年十二月の二十七日に開催された復興推進会議におきまして、検討すべき主な課題等を明らかにして、「「第二期復興・創生期間」以降の東日本大震災からの復興の基本方針の見直しに向けた主な課題等」を決定をしたところでございます。

 この決定を踏まえて、被災地の皆様ともよく御相談をさせていただきながら、次の五年間においてこれまで以上に力強く復興施策を推進することができるように、基本方針の見直しについては、本年の夏、夏というのは夏、に行うべく、関係省庁や各自治体とも連携しつつ作業を進めております。

 将来に、帰還困難区域の全ての避難指示解除、そして復興再生に責任を持って取り組むという考えについては、全く変わっておりません。これを一歩でも着実に進めるということが私たちの使命でございます。

 新たな復興の基本方針においても帰還困難区域について言及をする必要があると考えておりますが、その内容については、現在検討中のことでもありますのでこれ以上のお答えは控えさせていただきますが、意思がそこにあるということだけは分かっていただければありがたいというふうに思います。よろしくお願いします。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 この見直しについては、「課題等」が昨年の十二月の二十七日にまとめられているということで、その中には、令和八年度から五年間の復旧復興事業の規模は一兆円台後半というようなことも言われていますから、これだけの予算をしっかりと取っていく、そういう気概はあるのだというふうには思います。

 一方で、多分、六月中ということはなかなか言えないのだと思います。六月も夏ですけれども。

 ただ、これだけ報道されているわけですよ。一回じゃないですよ。地元紙、両新聞社で二回。ということは、本当にそれを目指しているんだというふうには思いますけれども、ただ、それを明確におっしゃらないというのはなぜか、よく分かりません。

 もし六月中に閣議決定を目指すということであればもう一か月しかないわけですから、これから与党の提言を受けて、それを精査して、どういうふうに新たな基本方針を策定するかという。見直しということにもなりますから、今まであったものを手直ししていくというイメージですから、そんなに時間はかからないと言われればそれまでかもしれませんが、そうではなくて、今も大臣おっしゃっていただいたように、しっかりと地元の皆さんの声を聞きながら丁寧にやらなくてはいけない重要な時期なわけです。ですから、私はこのことを改めて確認をさせていただいているということ。

 そしてまた、与党の提言案にある、帰還困難区域の避難指示解除を待たず、活動の全面自由化の検討、これを政府に促していくという内容について。

 これは今までの考え方を大きく変えていくということになります。帰還困難区域は、手続なくして、許可なくして入れないところで、そして、特定復興再生拠点区域とか特定帰還居住区域とか、そういうものが計画的に設置されていれば、そこの整備はできたけれども、それ以外の帰還困難区域ということについては、何も今まで決まったことがなかったわけです。それが突然、活動の全面自由化の検討という話になってくる。これをどう受け止めますか。

伊藤国務大臣 自民党の東日本大震災復興加速化本部においてお尋ねのような内容の議論が行われたということは承知をしております。

 今後、こうした点について与党から提言をいただいた場合は、県や地元自治体とも丁寧に協議をさせていただきますが、無論、皆様からも、あるいは地元からも、地元というのは福島の皆様からも、同様、お話をいただいた場合にあっては、関係省庁においても、しっかり丁寧に協議を進めて、検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

 政府においては、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除をし、復興再生に責任を持って取り組むとの決意に揺るぎはないわけでございまして、進めていく方向はそれということですので、引き続き、復興に向けて、大勢の皆様方のお気持ちを頂戴しながらこれに取り組むことを推進してまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。

金子(恵)委員 今までは区域、でもそれを個人というような形で、提言の中身を見ていきますと、区域一律での立入り規制から個人の放射線量管理による安全確保への移行だということと、手つかずとなっている森林の整備などの具体的な活動が可能になるからという理由なんですね。

 でも、一方では、例えば福島県からも、森林・林業再生に向けた取組に必要な運用の整備と予算の確保という要請の中で、やはりきちんと安全に森林作業を実施できるよう条件やリスク対策等をまとめたガイドラインを速やかに作成することというのもありまして、私の方からは、先ほども申し上げました、これは報道ベースで申し訳ないですけれども、この件が報道された後は、やはり地元から懸念の声というのが私のところに届いてきたわけです。今までと違っている、どのような対応をこれからしていくのか。

 住民の不安を払拭していくということはやはりとても重要なことでありまして、今言ったように、この提言の中身はただ単に森林整備だけに関わることなのか、そういうことなのか、あるいは、本当に様々な点で自由な活動を認めることになっていくのか、ここもきちんと精査していかなくてはいけないですし、改めて、住民の皆さんの不安を払拭するのであれば、この提言に書かれているような個人の放射線量管理以外に何かきちんと具体的な方策を講じることも必要だと思うんですが、大臣、いかがですか。

伊藤国務大臣 今の金子さんの御指摘は、私の頭と心にとどめるだけじゃなくて、聞いてくれている復興庁の者たちもしっかりその言葉をそしゃくして持って帰っていただくようにしてもらいたいと思います。

 いずれにせよ、県や地元の自治体とも丁寧に協議をして関係省庁と検討を進めてまいるその一番大事なことは、安全が大前提なんだ、これを外して物は進められないということが一番大切なものではないかということだけは申し上げられます。

 帰還困難区域における活動に際して、政府としても、安全の確保のために取り組むことは当然とする関係省庁との連携をしっかりさせていただきながら、安心して安全に暮らしていただける場所にお帰りをいただくということが帰還困難区域を外すということに当たると思いますので、そうしたことをやらせていただくべく、これから検討をまとめさせていただきたいというふうに思います。

金子(恵)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

 限られた時間なので、次の質問をさせていただきたいと思います。被災者支援総合交付金の件であります。

 宮城県、岩手県、こちらの方は来年度から平時の一般施策への移行というようなことで、福島県だけはこの被災者支援総合交付金の交付は残すということではありますけれども、こういう変更が起こっていくということです。

 事実確認と、そしてまた、そうはいっても、岩手県あるいは宮城県の皆さんたちの中で、やはりニーズのある方々がいるということを御存じだというふうには思います。その点についてどのような対応をしていくのかお聞かせいただきたいということと、そしてまた、特に福島県は、子ども・被災者支援法、しっかりと支援の継続をしていかなくてはいけないということでこの法律があるわけですが、ここのところ、基本方針も何も改定もされていなくて今に至っているんですが、どのようなお考えをお持ちかお聞かせいただきたいと思います。お願いします。

鈴木副大臣 御質問ありがとうございます。

 まず、地震、津波被災地域についてでありますけれども、復興の基本方針で、令和七年度までの第二期復興・創生期間において、復興事業がその役割を全うすることを目指すこととしております。

 一方で、昨日も実は、石巻市の市長さん始め、また議会の皆さんも陳情に、要望に来ていただいたのでありますが、被災地の課題の中には心のケアなど中長期的に取り組む必要があるものがあるというのを、昨日、具体的な事例も含めてお伺いをしたところであります。

 こうした課題については、政府全体の施策で対応することなどにより、第二期復興・創生期間の後も必要な支援が個別にしっかりと行っていけるように、関係省庁、また自治体とも、しっかりお話をお伺いをして、丁寧に取組を進めてまいりたいというふうに思います。

 そしてまた、原子力災害被災地域については、今委員から御指摘のあった子ども・被災者支援法も踏まえて、関係省庁が連携をして必要な施策を推進してきたところであり、復興庁でも、関係省庁と連携をいたしまして、心のケアや見守り、相談等の被災者支援について、避難生活の長期化等に伴い個別化、複雑化した課題を抱える被災者に対するきめ細かい支援に取り組んできております。

 引き続き、被災地の状況を丁寧に伺い、被災者の方々の声にもしっかりと耳を傾けながら、私自身も、私の地元にも福島の皆さん、たくさんまだ避難していらっしゃる方がいらっしゃいますので、そうした方にもお話を伺って、できる限りの支援に取り組んでまいりたいと思います。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 被災者支援総合交付金も、やはり災害公営住宅では、高齢化に伴う自治会の担い手不足や孤独死といった課題もあるわけです。何も終わっていないわけですから、形がもし変わったとしても、しっかりと継続した支援ができるようにしていただきたいというふうには思います。ただ、本当であれば、形は変えないでいただきたかったというふうに思っております。今後の対応をよろしくお願いします。

 最後になりますが、福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等の推進に関する基本方針でございます。

 これにつきましては、石破総理を除く全閣僚を構成員とする第二回目の推進会議が開催されまして、基本方針が五月の二十七日に決定されたと伺っております。どのような内容で、そしてどのように内容に沿った形で県外最終処分に向けた取組を今後進めていくのか、最後の質問になってしまうと思いますけれども、お聞かせいただきたいと思います。

伊藤国務大臣 今回決定をいたしました基本方針は、復興再生利用の推進、そして二番目に復興再生利用等の実施に向けた理解醸成、リスクコミュニケーション、そして三番目に県外最終処分に向けた取組の推進を三つの柱として、県外最終処分の実現に向けた具体的な取組方針として政府全体で取りまとめたものでございます。その三つをまず決めさせていただきました。

 主な内容といたしまして、復興再生利用の推進について、官邸での利用の検討を始めとして先行事例の創出等に取り組むこと、それから、理解醸成、リスクコミュニケーションについても、各府省庁が様々な機会を捉えて国民の皆様や関係機関等へ理解醸成に取り組むということを進めます。さらに、基本方針を着実に実行するため、本年夏頃に、政府一丸となって当面五年程度で主に取り組む、復興再生利用の推進や理解醸成、リスクコミュニケーションを中心としたロードマップを取りまとめることといたしております。

 今回の基本方針を踏まえ、県外最終処分の実現に向けて取組をしっかり進めてまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

金子(恵)委員 政府を挙げての対応を是非お願いしたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、岡島一正君。

岡島委員 今日は、赤澤大臣と二度目の質疑を楽しみにしておりましたが、アメリカ出張というかお忙しいということでありますので、坂井大臣とまた副大臣と、よろしくお願いいたしたいと思います。

 立憲民主党の岡島一正であります。

 前回の質疑に続いて、私は、防災庁構想についてお伺いしたいと。私は、防災庁をつくるのであればきちんとしたものをつくっていただきたいし、それでなきゃ意味がないという立場であります。もしかしたら省庁再編しなければできないんじゃないかというぐらい、私は、災害に対して防災庁のような調整機関が必要だと思っている立場であります。であるがゆえに、形だけではならないだろうという視点から今日も質疑をさせていただきたいと思うわけであります。

 前回の委員会では、私は、日本版FEMAということを、石破さんは昔からよくおっしゃっておりましたし、私もそういった勉強もしてまいりましたが、そういった考え方を起点として、組織の在り方や、あるいはFEMAの中で大きな位置づけを持っていますEMI、緊急事態管理研究所のような防災教育訓練機関といいますか、そういったものの設置についても、私の方からも御指摘であったり提言であったり、議論させていただきました。

 また、防災監が置かれる、次官級というふうになるんでしょうけれども、後々です、そういった方の役割についても議論させていただきましたが、防災庁と原子力防災や複合災害、そんなことも質問させていただきましたけれども、今日もそういったことについて御質問させていただきたいと思います。

 今年三月二十八日、原発事故時の屋内退避の運用を見直す原子力規制委員会、これは直接、今、坂井大臣の所管ではありませんけれども、原子力規制委員会の検討チームの報告書の中で、複合災害などへの具体的な対応策を盛り込むことを求める声がありました。原子力規制委員会が関係機関などと連携して取組を進める必要があるというふうに記載されております。国全体での連携強化が課題として残されたということも、一方で報道がありました。複合災害対策は原子力規制庁だけではもちろん解決できないということがそこで出てきて、これは先送りという結論になったわけであります。

 この報告書は、まさに、原子力災害が起きたから、原子力事故が起きたから、原子力規制委員会だけで対応できるわけではない、様々な避難なんかでは、道路などは地方の行政に聞いてくれというような話になってくるというわけで、ある意味、縦割り的な行政の限界というか、縦割りの象徴の例だと思います。

 そうした意味において、今度は内閣府防災担当としての立場から、そういう規制委員会の動き、どのような受け止めになっているか、坂井大臣にまずお伺いいたします。

坂井国務大臣 原子力防災につきましては、東日本大震災での経験から、その対応には高度な専門性が求められることを踏まえ、平成二十六年に原子力防災担当が創設されているところであり、やはり、複合災害においても原子力のある種の専門性が求められる、対応が求められると思いますので、そういった、本当によく知った方が必要だということは間違いないと思います。

 同時に、原子力災害は自然災害との複合災害で起こることを想定するということが自然じゃないか、こういったお声もあることも承知をしておりまして、そういったものに関しましては、もっと言うと防災監が、今は内閣府防災、その後防災庁になってまいりますけれども、トップとなって、ここを所掌していくという形になってまいりますので、この連携というのは今もう既に行っていると認識をしております。毎年度の原子力防災訓練に防災担当として参加するとともに、内閣危機管理監の下に関係省庁の局長級が集まる自然災害即応・連携チーム会議に原子力防災担当者にも参加していただくなど、原子力防災と自然災害対応との連携を、今もう既に、こういった具体的な形で図っているところでございます。

 また、原子力災害と自然災害の複合災害には、原子力災害対策本部も緊急災害対策本部との合同会議を開催することとしておりますので、いろいろな、様々な方々からいただくそういった声に対応していただくべく、内閣府防災も対応してまいりたいと思っております。

岡島委員 前回を含め、原子力に関わる、自然災害に起因する複合災害としての原子力災害といったことも想定すると、そういった大きな関わり、連携をふだんから持っていくし、今後もというお答えだと思います。であるならば、ある意味、防災庁の、防災監などを含めて、所掌の一つとして、それはやはり当然検討しなきゃいけないということを含んだものだと受け止められるわけでありますね、私としては。そこまできちんと絡んでいるということであれば、認識として、原子力規制の担当だけではできないし、ましてや専門性がなきゃできないし、だから連携だというのであれば、それを取りまとめていく意味で防災庁の所掌になるだろうと私は認識するわけであります。

 赤澤さんも、そういったことについて前回、前向きな御答弁をされたと思っています。そのときに赤澤大臣がおっしゃったのは、複合災害が起きたときのことを考え抜くのは、国民の命を守り抜くために本当に重要なことだと思っています、そういう観点から、原子力防災をどう扱うかについてもしっかり議論していきたいと思いますという、これはある意味、非常に前向きに大臣が答えているわけでありますが、答弁であります。また、坂井大臣も、防災担当という立場から連携といったことを今強くお話しになったと心強く思ったわけでありますが、先ほどの原子力規制委員会の対応を見ると、どこも、原子力災害を含む複合災害に、私のところがきっちりと担当して責任を持っていきますというような所掌をしっかり持っているのかなというふうに、それぞれが専門性が必要だし、自分たちだけでなくやはり連携が必要なんだということで、決して一つの省庁じゃできないんだということを強く考えると、ある意味、じゃ、しっかり連携しなきゃ心配だなというふうにも取れるわけであります。

 そういった中において、防災庁設置アドバイザー会議、これは五月十二日にあったと思いますが、防災庁構想の検討において、原子力防災をどう扱うかについて議論が行われていたのかどうか、これは瀬戸副大臣になると思いますが、お答え願います。

瀬戸副大臣 お答えさせていただきます。

 令和八年度中の設置に向けて準備を進めている防災庁は、平時、災害時の政府の災害対応の司令塔として、内閣府防災担当を発展的に改組した上で、専任の大臣を置き、十分な数の災害対応のエキスパートをそろえた組織とすることを想定しているところでもあります。

 そういった中で、複合災害についてお話がありましたけれども、本当にそれは国にとっても重大な事案になってしまうということだというふうに思っています。

 原子力防災につきましては、災害の特性、時間軸がちょっと違うかもしれないとか、あと、避難の場所が遠方になるかもしれないというところも含めて、また、対応に係る専門性や手順が自然災害とは異なるものであるというところもあります。そういった中で、東日本大震災を踏まえて設置された内閣府原子力防災担当が中心となりまして、関係省庁が連携して取り組んでいるところでもあります。

 一方で、委員御指摘のとおり、複合災害を想定するということは非常に重要であります。防災庁の組織づくりに当たりましては、あらかじめ、起こり得るあらゆる被害を想定するとともに、原子力防災担当との密接な連携も含め、各省庁、関係機関が一体となった災害対策を一層効果的、効率的に実施できる体制整備を進めてまいります。

岡島委員 是非しっかりと進めていただきたいと思うわけであります。

 私も、前の、放送局にいた時代から振り返ると、ずっと災害に向き合った仕事をしてまいりましたけれども、災害というのは、大体複合災害が多いんですね、基本的に複合災害になってしまうといいますか。つまり、一次的に災害が起きた、その後に、例えばこの前、能登半島の地震が起きた後に大雨が降ったわけでありまして、被災後災害といいますか、災害の後に、じゃ、今度それをどう防災するかという視点がとても大事だと。

 これは、複合災害をどうするかということと一緒なんですね。その対象が、富士山の噴火であったり、もしかしたら原子力事故であったり、様々ある。南海トラフもそうした視点がちょっと実は足りないところが僕はあると思っていますけれども、対応がですね。

 そういった意味において、被災後防災といった議論がどうなっているのか。防災庁構想がある中で、被災後の防災をどうするかという構想はあるんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 災害大国である我が国におきましては、地震や火山噴火等の多様な災害の発生が懸念されるほか、風水害が激甚化、頻発化しており、複合災害が発生することを念頭に防災対策を講じることが重要であると考えております。

 防災庁設置準備アドバイザー会議におきましても、複合災害を含む様々な事態を想定し、発生し得る被害を先回りして発見することが重要である、また、そのため、平時から未然の被害防止、軽減対策や、発災後の円滑な災害対応に向けた事前準備といった事前防災を徹底する必要があるといった御意見をいただいているところでございます。

 委員御指摘の点も踏まえ、様々な事態を想定した防災施策の推進の司令塔としての機能を発揮できるよう、防災庁設置に向けた準備を進めてまいりたいと考えております。

岡島委員 この被災後防災という視点、あるいは事前防災だけじゃなく、被災後防災、これを併せてしっかり見ていくことが、実は防災庁だからできるんじゃないかというような視点を私は持っているということであります。

 それで、先般行われました参考人質疑の際に、福和さんがお配りした資料、あの中に各省が所掌する防災・減災施策というものがありまして、十七省庁、四十を超える施策が羅列というか載っておりました。あれを見たときに、うおっと思うわけですね。一個一個は知っていても、羅列されると、うおっと驚きました。

 防災庁は、この各省の所掌しているものをどのように、どのぐらい所掌できるか、具体的にあの図とどんなふうに関連性があるのか、教えていただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 令和八年度中の設置に向けて準備を進めている防災庁は、平時、発災時の政府の災害対応の司令塔として、内閣府防災担当を発展的に改組した上で、専任の大臣を置き、十分な数の災害対応のエキスパートをそろえた組織とすることを想定しております。

 委員御指摘いただきましたように、災害対応業務は様々な省庁にまたがっておりまして、各省庁との連携が重要であるというふうに考えております。現在開催しておりますこのアドバイザー会議におきましても、あらゆる主体が連携した総力戦での災害対応が重要である、また、防災庁は、関係機関のコーディネート機能を担うことが重要である、あるいはワンストップ窓口として被災地の支援に当たっての役割を果たすべきといった御意見をいただいているところでございます。

 防災庁が総合調整を担い、個別の施策を実施する関係省庁が一体となった災害対策を一層効果的、効率的に実施できるような体制を検討してまいりたいと考えております。

岡島委員 最後に一言だけですが、所掌はたくさんあります。それを防災庁が全部できるわけはありません。

 私は、基本的に、防災庁がちゃんとやっていくためには、省庁の再編が必要だぐらいの内容だと思っております。そういった意味において、防災庁構想は、安易に国民受けを狙った、何となく防災をやっているなというイメージではない、本当に議論が必要だと思いますので、これからもこういった議論をさせていただきたいとお願いして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 今日は、赤澤大臣がいらっしゃらないということで、政府参考人の方とお話をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 それで、私も、先ほどの岡島委員に続きまして、防災庁についてお話をさせていただきたいと思っています。

 いよいよ、お聞きしているところによりますと、六月三日に防災庁の設置に向けた取りまとめが出される、発表されるというふうにお聞きしています。防災庁設置準備アドバイザー会議というものが、これまでいろいろ議論を積み重ねまして、六月三日に取りまとめ報告をされるということでございます。

 そこで、今ちょっと私のところに入っている声が、取りまとめはまず一弾としてあるんだろうけれども、そこで、特に避難所について、被災者の生活環境の保持、若しくはそれを支えるための備蓄体制について、非常に弱い、議論がまだ余りされていないし、もしここで取りまとめをしてしまって、もうこのままいくんだとなってしまいますと、急性期における被災者の避難所というものが大変ないがしろにされるのではないかと。

 ですので、六月三日に取りまとめが出されるにしても、そこでもう設置に向けた議論は終わりということではなくて、特に避難所の議論は終わりということではなくて、しっかりとその後も、来年度の設置に向けた段階で、避難所における被災者の生活環境の質の向上、そしてそのための備蓄を進めるということについて議論を進めてほしいという意見が出ておりますが、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 避難生活環境の抜本的改善等の避難生活支援でございますけれども、防災庁において重点的に取り組むべき事項の一つと考えておりまして、防災庁設置準備アドバイザー会議には、能登半島地震の現場で活動された医師やNPO団体の代表など、避難所や避難生活支援について知見を有する多くの有識者に御参画をいただいているところでございます。

 また、三月に実施した第三回の会議では、大規模災害における被災者支援体制をテーマに、避難所環境改善などについて御議論をいただいたほか、その他の回におきましても、例えばゲストスピーカーとして、日本赤十字社や福祉施設関係者、あるいは被災者支援に当たった自治体の首長さんなんかもお呼びして、御意見もいただいて議論してきているところでございます。

 また、防災庁の設置までの間も、できることから直ちに取り組むという観点で、これは内閣府防災におきましてということになりますけれども、新地方創生交付金による、自治体の備蓄、資機材の整備、こうしたものを支援する、あるいは、キッチンカーとかトイレカーとかの登録制度を創設する、これは六月一日から登録を開始したいと考えております。また、迅速なプッシュ型支援を可能とするための分散備蓄、あるいは、避難所運営等を担う地域のボランティア人材の育成、研修等の取組を進めているところでございます。

 避難所を始めとする避難生活環境の抜本的な改善は防災庁が取り組むべき施策の大きな柱の一つでありまして、被災者が安心して過ごせる避難生活環境の整備に向けて、引き続きしっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、土屋委員長代理着席〕

市村委員 ありがとうございます。

 特に避難所という場所は、極めて現場だと思います。私も何度も、現場に駆けつけたり、また、まさに避難所の設置のために力を出したこともありますので、極めて現場なんですね。その現場対応ができる人、経験者というものの意見をやはり聞かないと、今おっしゃっていただいたようなことは、これまでの積み重ねの中で大分改善はされてきていると思います。これまでどちらかというと受け身だった国がプッシュ型というのも、それもあると思います。

 ただ、このプッシュ型についても、今政府の方はそうおっしゃっているというふうに申し上げたら、いやいや、全然足りませんと。プッシュ型で政府が用意をしているものは全く足りないと思うというような意見もあります。特に、今回、南海トラフ大震災となってくると、被災者だけで今のところ想定が五百万人と言われているところでもありまして、それを国が一律にやることは多分できないと思います。

 そういった意味で、今回、防災庁が設置されて、各都道府県に担当官を置くということもされていると思いますし、やはり、何といっても、その地域地域で災害のタイプというのは全然違うので、避難所の在り方もかなり変わると思います。

 ただ、用意をしなければならないことというのは、これまでの知見から、大体どこでもこういうものは必要なんだねということはあると思いますので、そういうところを国がしっかりと考え、現場を知っている方から意見を吸い上げて議論して、そして備蓄をしておくということだと思っておりますので。

 御提案としては、避難所というのは極めてそういった意味では現場対応力を求められるところでもありますから、そういう現場を知った方を入れた専門家会議ですか、アドバイザー会議の方は大変大所高所からの、先日もここで参考人質疑もありましたが、それはそれで、マクロ的視点で大変重要な御見解をおっしゃっていたと思います。

 ただ、避難所というのは、事、避難所に関しては非常に現場なんですね。しかも、これは決めていたことで成り立たないんです。いろいろなことが湧き上がってきますから、現場対応力ですね。そのときに、いや、ちょっと考えますと言っていたら、それこそもっと現場の状況を悪化させるということになるわけです。これは心理的な面でもそうなります。

 ですから、そういう現場のことを、これまで現場で御苦労された方、頑張ってきた方を入れた、六月三日以降にもそういう専門家会議を立ち上げていただいて、現場の方からお聞きする。ボランティア、NPOの事前登録ということも今度はあるということでありますから、そうした現場を知っている方々からしっかりと意見を吸い上げていただきたいと思いますが、いかがでございますか。

    〔土屋委員長代理退席、委員長着席〕

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘をいただきましたように、避難所の運営は、本当にいろいろな、医療、保健、また福祉関係の支援も必要ですし、食料とか電力の問題とか、様々な問題が発生をいたします。そうしたときに、これまで対応に当たってこられた皆様方のいろいろな知見をしっかりと踏まえて対応していくことというのは大変重要だというふうに考えております。

 今、アドバイザー会議では、御指摘もいただきましたように、防災庁の基本的な方向性の取りまとめに向けておまとめの議論をしていただいているところでございますけれども、今後、さらにまた、避難所の環境を始めとする被災者支援の在り方、こうしたものをどういうふうに検討していったらいいかということにつきましては、委員の御指摘も踏まえてしっかりと検討させていただきたいと考えております。

市村委員 ありがとうございます。

 今回、今日の質疑に当たって事前の話をさせていただいたときに、御担当の方から、いや、いわゆる発災後の避難者の、避難所における施設の質の向上、生活の質の向上、備蓄というのはもちろん当たり前なんですと。ただ、だからこそ、その前に、今、例えば南海トラフは、想定では二十九万数千人の死者の想定、また避難者が五百万ということでありますが、その数をいかに減らすかが大切で、やはり事前防災、徹底的な事前対応というのが必要なんですということでおっしゃられました。私は、全くそのとおりだなと思っています。

 ただ、それは、ゼロにできるのならそれにこしたことはないんですが、前もここの委員会で申し上げたように、残念ながらゼロにはできないんですね。だから、防災庁よりも減災庁の方がいいんじゃないかという、私は危機管理庁の方がいいと思っていますが、そういう話もさせていただきまして、やはり、ゼロにできるということは前提にできないんですね、残念ながら。幾ら、例えば寝室で頭の上より高いところに重たいものを置かないとか、家具を固定するとか、一生懸命頑張っていても、外出中に地震が起きて、その外出中に上から何か物が落ちてきたとかいうなら、これはもう運命なんですね。ゼロになることはないんです。

 ですから、できるだけ事前に、例えばこの間参考人質疑でもありました、やはり徹底的に耐震化を進めるとか、そして、とにかくまず命を守るということ。

 それから、何といっても、前もよく言われていたんですけれども、まず最初の発災三日間は、七十二時間は、自分の命は自分で守った上で、三日間は生き延びてほしいということが大分言われていたのが、最近余り聞かれなくなったなと思うんですけれども、やはりまずは自助です。

 だから、まずは自分の命は自分で守るということ。いろいろな知見、知識を持って、事前にしっかりと備えておくということ。そして、三日間は政府の、やはりなかなか食料とか水の配給はできないので、三日間はちょっと生き延びてください、最低ですよ、最低。

 というようなことを、いま一度防災庁はしっかりとやはり話をすべきだと思います。皆さんの自助努力がないとゼロにはできませんということをやはりしっかりと打ち出していただきたいと思いますが、いかがでございますか。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘いただきましたように、南海トラフ地震とか首都直下とか、本当に大きな、大規模な自然災害の発生が懸念される中、被害を大幅に軽減するというのは、これは事前の取組に尽きるということだと思っております。防災、減災のための予防的な対策、発災後の円滑な災害対応のための事前準備といった、こうした事前防災の取組を推進する必要があると考えております。

 行政だけが防災に取り組むのではなくて、国民のお一人お一人に、自らの命は自らが守るという意識を持っていただくということが大変重要だと思っておりますし、建物の、住宅とかの耐震化あるいは家具の固定といった、そうした対策で被害も軽減していけるものというふうに考えております。

 防災庁設置準備アドバイザー会議におきましても、そうした事前防災対策の重要性とか、また、国民の行動変容を促すような防災教育とかそうしたものの取組、あるいは、自らの命を守ることが難しい方につきましては様々な関係者の共助による支援の重要性、そうしたことについても御議論をいただいておりまして、こうした御議論を踏まえながら、防災庁の設置に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。

市村委員 最後に、今ちょうど、共助という話をしていただきました、それを申し上げて終わろうと思っていたんですが、やはり自助、共助、公助のバランスの取れた支援策というのが必要だと思いますので、それを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

金子委員長 次に、林佑美君。

林(佑)委員 日本維新の会、林佑美です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 前回、質問を丸々残してしまったので、今回、その続きから質問させていただきます。ペットの避難対応の在り方についてです。

 災害が発生した際、私たちは、まず命を守ることを最優先に行動いたします。しかし、その中で、私が現場やSNS等で寄せられる声として特に切実に感じているのが、一緒に暮らしているペットとどう避難するかという課題です。

 現在、我が国では約三千万頭の犬や猫などのペットが飼育されているとされており、大切な家族の一員、ペットが家族同然の存在となっているケースが少なくありません。事実、災害時にペットを置いていけないだとか、避難所に入れないので仕方なく自宅にとどまったという事例は、東日本大震災、熊本地震、そして能登半島地震、そのほかの災害においても繰り返し報告されております。

 内閣府や環境省におかれましては、これまで、ガイドラインの整備や、ペット同行避難の原則などを示してこられました。多様な主体による支援、被災者ニーズに即した避難環境の整備が掲げられていますが、現実の運用においては、ペットを連れての避難が実質的に困難である、避難所によって対応がばらばら、動物アレルギーや衛生面の観念からペット不可とされる例が多いといった、自治体ごとの判断に委ねられた状況が続いております。ペットを理由に避難をためらう状況を看過することは、まさに、誰一人取り残さないインクルーシブ防災の理念に反するものです。

 そこで、伺います。

 今後、ペットの同行避難や同伴避難をより円滑に進めるために、ペットの同行避難や同伴避難を前提とした避難所の受入れ基準の明確化、仮設住宅や公営住宅などの復興フェーズにおけるペットとの同伴生活への配慮、自治体の負担軽減と制度の平準化の観点から、ペットとの避難環境の整備について、どのような方針を持って取り組まれるのか、御見解をお聞かせください。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 災害時のペットの避難につきましては、環境省におきまして、人とペットの災害対策ガイドラインを作成し、ペットとの同行避難の留意点や、避難所や仮設住宅における受入れに当たっての必要な事項などについて取りまとめていただいております。

 能登半島地震の際には、環境省職員を避難所に派遣し、現場でのペットの対応に関する確認や助言等を実施しているところでございます。また、学校の教室をペット同伴者専用の避難所とした事例とか、また、トレーラーハウスを設置して飼育スペースを確保した事例もあったというふうに承知をしております。

 また、石川県に対しまして、仮設住宅等へのペット同居に関する通知を行うなど、災害時におけるペットとの同行、同伴避難に関する更なる周知も行っているところでございます。

 また、加えまして、令和六年六月に政府の防災基本計画を改定をいたしまして、ペット同行避難した被災者を避難所で適切に受け入れることなどを盛り込みますとともに、避難生活に関する自治体向けの指針等におきましても、自治体に対しまして、ペット同行避難者の受入れができる避難所やペットの預け先を紹介すること等、事前にペット避難のルールを決めておくことなどを求めているところでございます。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 ペットとの避難に関する課題に正面から向き合っておられることを、非常に心強く受け止めております。とりわけ、命を守る避難行動を全ての人がためらいなく行える環境を整えるためには、ペットとの同伴避難や同行避難を、例外や自治体の裁量に委ねるのではなく、前提として制度設計を見直すことが必要不可欠だと私は考えております。

 実際に、能登半島地震においても、ペットがいるから避難できなかった、車中泊を選ばざるを得なかったといった声が多数寄せられました。先ほど、ペット専用トレーラーハウスや、教室をペット専用にしたというお話もございましたけれども、このような状況を繰り返さないためにも、避難所でのゾーニングの標準化、ペット同伴可能な仮設住宅や公営住宅の整備、そして、現場が混乱しない明確な運用基準の提示が国の責任として求められていると思います。

 人命最優先は当然ではありますが、人と共にある命を守ることが結果的に人を守ることにもつながるという視点は、今後の防災・減災政策においてますます重要になってくるのではないでしょうか。今後、内閣府や環境省におかれましては、自治体任せでは解決が難しい現実に寄り添い、実効性のある支援体制と制度整備に向けた具体的な施策を是非加速させていただきたいと思います。

 先ほどの質問に関連し、もう一点お伺いしたいのが、自治体ごとのペットの同行避難や同伴避難の対応の格差です。

 現時点でも、自治体においては、ペット受入れ避難所を、先ほどもありましたけれども、あらかじめ指定し、飼い主向けの啓発や訓練、避難所のゾーニング設計までを取り組んでいる例もある一方で、全く対応が進んでいない自治体も存在しております。その背景には、財政面への負担や専門人材の不足、ほかの避難者とのトラブルへの懸念などがあり、こうした点に関しては、自治体単独では解決が難しい構造的課題であります。

 ペットとの同伴避難や同行避難を現実的なものとするには、避難所の設計、運営に関する国の支援だけではなく、獣医師会や動物愛護団体などとの事前連携体制の強化、ペットとの同行避難や同伴避難を可能にする自治体の取組をどのように支援していくお考えなのか、お聞かせください。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、災害対応の体制として、自治体が地方獣医師会や民間団体などと連携することは重要でありまして、環境省が作成している人とペットの災害対策ガイドラインにおいても、それらの連携の重要性や災害時の取組事例などについて記載し、全国の自治体などへお示ししております。

 また、ガイドラインの提示のほか、環境省では、自治体におけるペット同行避難訓練の支援及び自治体向け研修などを行っております。避難訓練及び研修には、自治体の動物愛護管理部局だけでなく、防災部局や地方獣医師会などにも参加を求めており、平時からの連携の強化を図っているところです。

 令和七年度においては、ガイドラインを改定するとともに、同行避難訓練や研修を実施する自治体数を増やすこととしており、引き続き、自治体における災害時のペットに関する対応を支援してまいりたいと考えています。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 現場では、既に災害対応の負担が重く、特に小規模自治体では、財政的にも人的にも限られたリソースの中で、避難所のゾーニングやペット受入れ体制の整備までは手が回らないという声が数多く寄せられております。

 そのために、先ほどありましたけれども、単なるガイドラインの提示や各自治体へのお願いだけでは限界がありまして、やはり国が一定の実地的、財政的な後押しを伴ったモデルケースをつくり、それを水平展開していくことが鍵になると考えております。

 また、獣医師会や動物愛護団体などとの平時からの協定やネットワーク構築は、発災時に混乱を防ぎ、住民の理解も得ながらスムーズに受入れを進めるために欠かせません。

 是非、国として、モデル事業や実証実験の全国展開、そして関連団体との連携マニュアルの整備、そして、自治体職員向けの研修と先ほどありましたけれども、制度化を、お願いなど段階的ではなく、より計画的、集中的に実施していただきたいと重ねて要望いたします。

 次に、南海トラフ地震への備えについて伺います。

 政府の発表によれば、南海トラフ地震が発生した場合、最大で震度七の揺れや三十メートル級の津波が東海、近畿、四国、九州といった広範囲の太平洋沿岸を襲うとされています。とりわけ、津波の到達時間は非常に短く、早いところでは地震発生から数分から十分程度で到達する可能性があるとされており、いかに早く避難行動を取るかが命を守る上で最大の鍵となるのは疑いようがありません。

 しかしながら、こうした現実に対して、住民の多くがいざとなれば逃げられると考えている一方で、巨大地震警戒が発表された場合に実際の避難行動に移せるかというと、津波が来るか来ないか分からない段階で避難することへのちゅうちょや、高齢者や障害のある方の避難、移動の困難といった要因から、現実の避難実行率が大きく低下してしまうという課題が指摘されております。

 質疑時間が終了してしまいました。済みません。この質問はまた今度にしまして、終了いたします。大変失礼いたしました。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、菊池大二郎君。

菊池委員 国民民主党・無所属クラブの菊池大二郎でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 鉄道施設の災害復旧等について御質問いたします。

 昨年、私の地元山形県では、過去最大規模の豪雨水害に見舞われまして、JR東日本管内の山形新幹線、奥羽本線、そして陸羽東線が被災しました。三年前になりますけれども、令和四年の豪雨においては米坂線が被災しまして、それぞれ一部区間について、いまだなお復旧の見通しが立っておりません。

 米坂線について言えば、これまで、新潟県、山形県及び沿線自治体で復旧検討会議が設置され、工事費負担や運営方法等についての議論が継続しているものと承知をしております。この点、これまでの被災鉄道施設の復旧を語る上で道しるべとなるのが、地元自治体が積極的に復旧に向けて尽力されたJR只見線やJR肥薩線が挙げられます。現状における国の考えはといいますと、地元自治体と鉄道事業者の調整がつけば国も応援しますよといった、どうしても、私個人としては消極的な立ち位置という印象が強くあります。

 この点、災害復旧も含めた鉄道事業の話になりますと、必ずと言っていいほど採算性という議論が出てきますけれども、例えば採算性だけで考えたら、世界中のどの鉄道事業を見ても東京ぐらいしか成り立っていないと言っても過言ではないと思います。そうした視点から脱却して、そもそも鉄道事業を国としてどう位置づけていくのか、より国が主体性を持って鉄道ネットワークの維持に力を注ぐという視点を、災害復旧の議論を契機に、より深めていく必要があると思います。

 そこで、先ほどJR肥薩線等を例示いたしましたけれども、災害復旧や復旧後の運営に係る財政支援をより積極的に国が後押ししていく姿勢を示していくことが、むしろ鉄道事業者や地元自治体の調整、意思形成を促していくことになるのではないかと考えます。具体的に言えば、現行の鉄道施設災害復旧事業に係る地元負担の軽減措置又は国自体の負担割合をかさ上げするなど、関係法令の改正を含めた対応が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

岸谷政府参考人 お答えいたします。

 鉄道につきましては、鉄道事業者が運賃収入を得て事業を行っているものであることから、運賃収入を基本として整備、運営することを原則としております。

 その上で、国土交通省では、鉄道事業者の資金のみで復旧困難な被害に対応するため、被災路線への災害復旧支援制度の拡充に努めてまいりました。

 具体的には、鉄道軌道整備法に基づく支援制度といたしまして、経営の厳しい鉄道事業者に対し国と自治体が復旧費用のそれぞれ四分の一を支援することが可能であり、また、平成三十年六月の改正により、例えばJR東日本やJR東海のような黒字の鉄道事業者の赤字路線に対する支援や、大臣が特に必要と認める場合には補助率を国、自治体それぞれ三分の一にかさ上げする措置などの制度の拡充を行ってまいりました。

 また、支援制度の拡充だけではなく、河川や道路の災害復旧との事業間連携や、令和五年に設置された鉄道・運輸機構による鉄道災害調査隊、RAIL―FORCEの派遣等を通じて、被災した鉄道施設等の早期復旧に取り組んでおります。

 いずれにしましても、鉄道での復旧を検討する際には、復旧費用の負担の在り方や、復旧後の利便性、持続可能性の確保のための方策などにつきまして、鉄道事業者と地域の関係者でしっかり議論をすることが重要であると考えております。

 国土交通省としましては、利便性や持続可能性の高い地域公共交通の実現に向けまして、必要な支援や助言を行ってまいります。

菊池委員 これまでも、鉄道施設の災害復旧に関して、道路予算と比較して鉄道予算はどうだというような話があります。道路予算は単年度で大体二・五兆円から二・七兆円になっていると思いますけれども、鉄道関係の予算というのは一千億ちょっと超えるぐらいであります。災害復旧に向けて地元自治体の後押しをしていく意味で、こういった予算措置というものもしっかり底上げをしていく必要があるんだろうというふうに思います。

 続いて、鉄道施設の老朽化対策等についてお伺いをいたします。

 繰り返しになりますけれども、昨年、そしてまた過去の山形県における豪雨災害によって、鉄道施設の被災状況、損傷、流失した橋梁部分等を見ても、ここはもう何か起きたらやばいぞと地元の方も分かっているんですよね。実際にそういうところがやられているということで、老朽化や耐震化に対する備えが全くもって不十分であったというふうに思います。

 実際、国の方も、先般作成されました国土強靱化実施中期計画の素案を見るに、例えば鉄道施設の老朽化対策、耐用年数を超えて使用している又は老朽化が認められ、予防保全が必要な鉄道施設約四百七十か所の老朽化対策の完了率、これは令和五年で二七%にすぎません。そしてまた、鉄道施設の耐震対策というところで、首都圏直下地震又は南海トラフ地震により震度六強以上が想定される地域等の主要鉄道路線等の駅、高架橋等約三万か所の耐震化率、これは令和六年からスタートするという意味でありますけれども〇%、そして一〇〇%に到達するのは令和四十年度です。

 そういったところも踏まえて、こうした部分がいかに脆弱であったかというのが浮き彫りになっていると思いますし、果たして、素案で示すような目標、タイムスケジュールで適正なのかという点で大変疑義があります。

 そこで、自然災害が激甚化する中で、被災規模をより抑制するための鉄道施設等に対する予防措置、減災措置の考え方をお伺いします。

岸谷政府参考人 お答えいたします。

 鉄道事業においては、ローカル線も含めた安全、安定輸送の確保は大変重要な課題と認識しており、これまでも耐震対策や豪雨対策等の防災対策を推進してまいりました。

 また、近年、自然災害が激甚化、頻発化しておりますことから、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策、現行の対策でございますが、これに基づきまして、鉄道の隣接斜面からの土砂流入対策等につきまして、必要な支援をしております。

 この一環としまして、鉄道施設の豪雨対策の更なる推進を図るため、今年度、令和七年度予算から、これまで対象としていませんでしたJR東日本、JR東海、JR西日本の三社に対しましても、一定の要件の下に財政支援を行うこととし、豪雨対策を推進しております。

 加えまして、議員御発言のございました、六月目途に策定いたします強靱化実施中期計画に向けても、現行の五か年加速化対策を上回る事業規模となる見込みであることから、こうした取組を通じまして、ローカル線の老朽化対策も含めた国土の強靱化を進めてまいりたいと思います。

菊池委員 鉄道事業者の、いわゆる民間事業者の採算性重視から生じる、ある意味、反射的効果の一つの欠陥部分とも思えますので、是非しっかり対応していただきたいというふうに思います。

 最後に、これらの話も踏まえながら、では、鉄道事業そのものに対する国の主体性とはどういうものなんだというところを問いたいと思います。

 遡ること約四十年前になります昭和六十二年に国鉄の改革がありまして、例えば、全国のローカル線における輸送密度が低いとされる割合も、当時から比べるとより大きくなってきました。

 そもそも、不採算路線を含めた鉄道ネットワークの維持が鉄道事業者の収益と内部補助で可能となることも国鉄改革の目指すべき姿であったと考えられたわけでありますけれども、それが残念ながら、かなっていないというふうに思われます。地域によっては、バス等への転換も含めた地域公共交通の再構築に向けた取組もスタートしておりますが、実際、バスの運転手確保という問題もあって、とりわけ地方部においては単純な話ではないと思います。

 そこで、極端な話、国鉄改革で果たせなかった不採算路線も含めたローカル線等の維持について、国が引き受けていくぐらいの覚悟がないと、そういった部分が問われているのではないかなというふうに思いますが、繰り返しになりますが、採算性の議論から脱却し、鉄道ネットワークの維持に向けてしっかり国が主体性を発揮していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

岸谷政府参考人 お答えいたします。

 人口減少等による長期的な利用減に直面しているローカル鉄道の維持に当たりましては、鉄道事業者のみならず、沿線地域、沿線自治体等の多様な関係者が、路線や地域の実情に応じた適切な役割分担の下で、連携して対応することも必要だと考えます。

 他方、ローカル鉄道の在り方は、地域における移動手段の確保のみならず、地域振興や観光振興とも密接に関わるものであることから、まずは、地域にとって最適な公共交通の在り方について、主体的に検討することが肝要であると考えております。

 このため、国土交通省におきましては、令和五年に地域交通法を改正し、上下分離の導入等によるローカル鉄道の再構築に向けて、地域の関係者の合意形成に国が積極的に関与し、予算面でも力強い支援を行う仕組みを整えたところでございます。

 国土交通省としましては、引き続き、こうした制度面、予算面の支援を通じて、地域が主体となったローカル鉄道の再構築を促進し、利用者の利便性を高めるとともに、持続可能性の高い地域交通が実現するよう取り組んでまいります。

菊池委員 ここでちょっと地元の取組を紹介したいなと思うんですけれども、私の地元になります、先ほど来紹介しております米坂線の、今回運休されて不通区間になっている駅ともまた違うんですけれども、でも同じ路線上に羽前小松駅というのがあるんです。

 これは、大正十五年に、米坂線の開通と同時にこの駅が開業したんですけれども、国鉄から委託を受けて、全国初の町民駅ということでスタートしまして、結局、平成二十二年三月末で羽前小松駅業務管理組合というのが解散になって、新たに、えき・まちネットこまつというところが、この業務を委託をして、今、駅を核とした町づくりを行っています。地元の山形県立置賜農業高校の生徒も、町民駅の応援団ということで本当に様々なプロジェクトに参画をしていますし、この米坂線の復旧に向けて十万人の署名運動ということも、本当に世代を超えて活動している。

 費用対効果で語られる鉄道事業でありますけれども、是非、鉄道維持、災害復旧支援を考える場合に、こういった点だけじゃなくて、こうした地元のストーリーもすごく重要だし、視点として大切にしていっていただきたいなというふうに思います。

 続いて、残り時間が少なくなってきましたけれども、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業についてお伺いをしたいと思います。

 今週月曜日、我が党の同期有志で、鳩山委員も一緒でありましたけれども、東京電力福島第一原発の現地を視察してまいりました。一号機から四号機を本当に間近に臨ませていただいて、不思議な感覚というか、感慨深いものがありました。それに加えて、六号機の内部にも立入りさせていただきまして、私も初めての視察でありましたので、いろいろ勉強させていただきました。

 ちょうど一号機への大型カバーの設置作業が進められておりまして、これから、一号機、二号機、それぞれの使用済燃料の取り出しが進められる期間と言えると思います。

 また、二号機の燃料デブリが試験的に採取されたわけでありますけれども、デブリの分析、本格的な取り出しを始め、処分に係る見通しがまだまだ不透明であると感じております。

 そこで、ちょっと一括して御質問させてください。

 まず、燃料デブリの現状、国の支援も含めまして確認をさせていただきたいということと、燃料デブリの処分等に係る法整備も含めた対応がいずれにしても今後求められると考えますが、取り出した後の保管、輸送、そして処分方法、様々あるわけでありますけれども、現時点における国の考え方についてお伺いしたいと思います。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の燃料デブリの取り出しにつきましては、まず、燃料デブリは一号機から三号機に存在しておりますけれども、その原子炉内の状況を確認するために、ロボットやドローンを使った調査を実施いたしました。

 その上で、まず二号機から試験的な取り出しということで始めておりまして、御指摘にございましたとおり、昨年の十一月と、それから今年の四月、二回にわたりまして、それぞれ異なる場所から少量のサンプルの取り出しに成功し、現在、それを分析に回しております。分析によりまして、デブリに含まれる放射性物質の種類でありますとか濃度、あるいは硬さといった情報が得られますので、こうした情報が、今後の取り出しに向けた安全対策、あるいは取り出し方法の検討、こういったものに役に立つというふうに考えております。

 こういった調査あるいは取り出しは技術的には非常に難易度が高いものでございますので、以前より、経済産業省でも、遠隔操作ロボットの開発でありますとか、水中を泳ぐロボット、こういったものの開発を、国費によってプロジェクトで支援をしてきたところでございます。

 また、今後、取り出し規模を拡大していく必要がございますけれども、こちらにつきましては、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の方で小委員会を立ち上げて、提言をまとめていただいておりまして、その提言に基づいて、今、東京電力において、具体的な工法の検討を進めているというところでございます。

 いずれにしましても、燃料デブリの取り出しは、まさに廃炉作業の根幹でございまして、非常に難易度も高く、世界にも類を見ない作業でございますので、引き続き、デブリの取り出しに必要となるような技術開発の支援などを含めて、国も前面に立って取り組んでいく所存でございます。

 また、お尋ねのございました、取り出したデブリの処分につきましては、廃炉作業について国が定めております中長期ロードマップにおきましては、まず、取り出した燃料デブリの処理処分については、燃料デブリの性状の分析等を進めて、今後決定していくということとなっております。既に取り出しましたサンプルにつきましては分析に回しておりますけれども、今後、こうした検討を進めていく上でも、分析体制の確保は何よりも重要、必要不可欠と考えておりまして、分析施設の整備あるいは人材育成といった取組を進めていくこととしております。

 以上でございます。

菊池委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

金子委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。

 能登地域ですけれども、現在、多くの方々が仮設住宅で生活を続けております。避難所から仮設住宅へ移ったということで一時的な安心感が得られた一方で、次に、どこでどのように生活を再建していこうかということが大きな課題であると思っております。

 先般石川県が実施をしました仮設住宅入居者へのアンケート調査では、入居世帯の多くが御高齢の単身世帯又は御高齢夫婦の世帯でありまして、住まいの再建に対して経済的、身体的に厳しい実態が浮かび上がったと思っております。また、今後の住まいにつきましても、まだ考えられない、決められないと回答した世帯が多数に上っておりまして、生活の基盤が定まらないまま時間だけが過ぎていくという深い不安を抱えた実態が示されているかと思っております。

 そこで、政府といたしまして、このアンケート結果をどう受け止めておりまして、高齢世帯や再建困難層に対して、今後、石川県とどう連携をしまして、どのように対応していくのか、特に、自己再建が厳しい、難しい方々への恒久的住まいの確保に向けましてどのように対応を取られていくのか、大臣にお伺いをしたいと思います。

坂井国務大臣 能登半島地震の発生から間もなく一年半を迎える中、昨年末には全ての仮設住宅の建設が完了し、現在は災害公営住宅の建設も順次進められているなど、復旧復興に向けた動きは着実に動いていると思っておりますが、一方で、今回の調査結果でございますが、自宅再建を希望されているものの費用のめどが立たないなど、引き続き厳しい環境に置かれている被災者の方々が多数いらっしゃるということが改めて認識され、大変重く受け止めているところでございます。こういう方々にこれからの生活について少しでも明るい希望を持っていただけるよう政府として最大限に支援していくことが重要であると考えております。

 まず、仮設住宅でございますが、供与期間は二年ということになっておりますが、被災された方々の生活再建の状況等に応じて、その延長が必要であれば、まず国として柔軟に対応してまいります。

 次に、能登半島地震では、仮設住宅でも木造の仮設住宅の建設に積極的に取り組んでおりまして、今後これらを、特に、自力再建が困難な高齢者の恒久的な住まいとして活用できないかということも念頭に、これも被災者のニーズを踏まえて対応してまいりたいと思います。

 そして、現在、災害公営住宅に関しまして、建築も進んでおりますが、被災者の方々に今後の見通しを示す工程表も策定されたと聞いております。先の見通しというところを考えれば、この工程表というのは大事でありまして、一部団地では、事業者が既に決定し、事業が進められていると承知しております。

 引き続き、県と連携しながら、被災された方々が安心して生活できる住まい環境の整備に努めてまいりたいと思います。

中川(宏)委員 大臣、ありがとうございます。

 仮設住宅にいる方々が、どこで誰とどう生活するかということが決められないまま、そのまま時間が過ぎてしまうということは、非常に申し訳ないことだと思っております。そういった意味で、大臣から県と連携しつつということがございましたけれども、しっかり国としてもサポートに入っていただいて、是非とも関わっていただきたいと思いますので、是非よろしくお願いをしたいと思います。

 大臣への質問は以上でございますので、御退席いただいて結構でございます。よろしくお願いいたします。

 これに関連をしまして、高齢化が進む地域におきましては、制度そのものの存在はもちろん重要であると思いますが、その制度を使いこなせるかどうか、これが生活再建の成否を分ける要素になっているかと思っております。たとえ住まいの再建支援制度が用意されたといたしましても、それを理解して、申請をして、活用するための手続、これが煩雑であれば、御高齢者の方、また要支援者の方は制度の向こう側に取り残される懸念があるかと思っております。

 そのため、制度だけではなくて、それを支える人的支援、これが不可欠であると思っています。住宅再建支援員、また生活再建コーディネーターといった不安や悩みを聞いてもらえる人材が、制度の説明や、申請の支援、また住まいの選択肢の提示、さらには心理的なサポートに至るまで被災者のそばで一貫して伴走する体制、これをどういうふうに構築していくのか。あわせまして、災害公営住宅の整備促進に当たりましては、被災者の選択肢を広げる政策展開についても、政府の見解をお尋ねしたいと思います。厚労省、国交省、それぞれお伺いしたいと思います。

横山政府参考人 お答えいたします。

 被災された方々が生活を再建する上で、住まいの確保が重要な課題と認識してございます。私から、まずその支援について中心にお答え申し上げたいと思います。

 被災者のニーズに応じた住宅再建につきましては、住宅の再建や改修等に対する融資のほか、被災した住宅に関する相談窓口の設置や復興住宅のモデルプラン作成などについて、幅広く支援を実施しているところでございます。

 また、高齢者や要支援者の方は、自力再建が難しい方も多いと考えてございます。地元には既存の民間賃貸住宅も限られてございますので、災害公営住宅などの公的賃貸住宅による住まいの確保が不可欠だというふうに考えてございます。

 地方部において、被災者の生活支援のニーズを踏まえながら住まいの確保を図る施策につきましては、過去の災害復興でも様々な取組が試みられておりまして、例えば、被災者が相互に支え合い共同生活を送ることを念頭に、共助スペースを有するグループホーム型の災害公営住宅を整備した福島県相馬市の事例でございますとか、軽度の要支援者が生活支援を受けつつ地域内の安全な拠点に集まって暮らされるための公的賃貸住宅を整備したという、これは奈良県の十津川村の例でございますけれども、このような例もございます。このような情報は、県を始めとして被災自治体とも既に共有をさせていただいているところでございます。

 現在、各市町は、住民へのヒアリング等を繰り返し丁寧に行われて、住まいの将来像を共有しながら、復興に向けた検討を進めておられると認識してございます。今後、先行事例を参考にしながら、能登の実情に即した住宅の整備や再建支援が進められていくことになります。

 また、被災者の生活支援の観点からは、住まいの確保に併せ、福祉部局、福祉事業者との連携が不可欠であると考えてございます。今後、地元の居住支援協議会の構成主体とか居住支援法人との連携も図りながら、地域において、被災者のニーズに応じた住宅団地の運営の在り方を模索されていくと考えてございます。

 こういった取組に関しても、県、厚生労働省とも密接に連携して、国交省としても支援をしてまいりたいと考えてございます。

吉田政府参考人 厚生労働省関係の取組についてお答えを申し上げます。

 仮設住宅へ入居されている方々は、被災によりこれまでと大きく異なる生活環境に置かれており、安心した日常生活を取り戻していただくため、伴走的な支援を継続することが重要であると考えております。

 このため、厚生労働省では、仮設住宅等における孤立防止のための見守りや日常生活上の相談を行った上で、必要に応じて専門の相談機関へつなぐ支援などを行う事業を実施しております。

 この事業を活用いたしまして、石川県におかれましては、生活再建支援アドバイザーという名称で民間団体への委託を行っておりまして、生活再建が困難な方に対しまして、住まいの再建も含めた相談対応や同行支援を行って、被災者に寄り添いながら伴走支援を行っております。

 厚生労働省といたしましては、被災された方々に寄り添いながら継続的な支援を行っていけるよう、関係省庁や自治体と緊密に連携をするとともに、地域の関係機関のネットワークの強化を図り、見守り体制の構築に努めてまいりたいと考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 現場の実態を是非把握していただいて、国としてそれをサポートする体制、是非またお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 近年、地域の中小企業やスタートアップによりまして、防災、減災に資する先進的な技術、また製品が数多く生まれておりまして、その実用性は被災現場でのニーズと強く結びついていると私は思っております。

 しかしながら、こうした有用な技術が十分に活用されない現状がありまして、その背景には、情報発信力の弱さですとか、行政調達における採用実績の不足、標準化の未整備など、技術はあっても現場に届かない状態にあろうかと思っております。

 こうした課題を解決するために、政府が今進めております防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム、これは重要な今後の鍵になろうかと思っております。このプラットフォームのこれまでの成果と課題、これをどう評価されているか伺うとともに、中小企業の技術を自治体が安心して採用できるように、国として、技術評価や認証制度の整備、モデル事業の展開、さらには補助制度等で明示的な活用を位置づけていくのが大事だと思っておりますけれども、こういったものをどう進めていくのか、官民連携による技術の社会実装をどう支援していくのか、方針をお伺いさせていただきます。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘いただいたとおり、防災、減災に資する先進技術や製品を積極的に活用し、激甚化、頻発化する災害に、より効果的、効率的に対応していくことが重要であると考えております。

 このため、内閣府では令和三年度から、防災×テクノロジー官民連携プラットフォームを構築をいたしまして、マッチングサイトの運営やマッチングセミナーの開催を通じまして、民間企業等が持つ先進技術と災害対応における現場ニーズを結びつけ、地方公共団体等への先進技術の導入、活用を支援しているところでございます。

 マッチングサイトには、千七百五十団体の企業等、また八百五十四団体の地方公共団体等に登録をいただいておりまして、これまで、例えば、避難情報発令システムを構築した福知山市の事例とか、また、個別避難計画システムを導入した長岡市の事例とか、二百件のマッチング事業化事例が生まれているところでございます。

 また、能登半島地震におきましても、ドローンとか水循環型シャワーとかいろいろな技術が活用されたところでございまして、こうした地方公共団体等での活用が有効と考えられる新技術につきまして、カタログとして取りまとめこうしたマッチングセミナーで御紹介するなど、活用を促しているところでございます。

 引き続き、こうした防テクプラットフォームを最大限活用して、先進技術とニーズの結びつき、また先進技術の社会実装を促進してまいりたいと考えております。

中川(宏)委員 中小企業の技術が、単なる棚に並ぶだけではなくて、被災地に届く実効性のある仕組みへと今後発展させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 最後になりますけれども、地区防災計画制度、これは平成二十六年に施行されて以来、全国に広がりつつありますけれども、小規模自治体、また過疎地域では、作りたくても人手がいない、また更新のノウハウがない、こういった課題が浮かび上がっておりまして、制度が十年経過した中で、実態を捉えて次の段階に踏み出す必要があると私は考えております。

 施行十年を経過した上で、この現状を認識し、地区防災制度の支援体制の再構築について、最後、所見をお伺いさせていただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 地区防災計画制度は、自治会等のコミュニティーを中心に御活用いただいておりまして、令和五年四月時点で、地域防災計画に地区防災計画が反映された地区数は二千四百二十八、地区防災計画の策定に向けて今まさに活動中の地区数が六千五百十となっているところでございます。

 こうした地区防災計画の策定を促進するため、内閣府では、大学の教員等の防災関係の専門家をアドバイザーとして各地区に派遣をいたしまして住民や自治体職員を支援するモデル事業を実施しておりますほか、また、地区防災計画の優良事例につきまして、ガイドブックの中で紹介し、全国的な周知を図っているところでございます。このガイドブックは本年四月に公表したところでございますけれども、こうした優良事例の紹介あるいはモデル事業の取組、そうしたことを通じまして、地区防災計画の支援を強化してまいりたいと考えております。

中川(宏)委員 好事例の水平展開を是非していただいて、これは自治体任せということではなくて、大事な計画でありますので、時には国がしっかりリーダーシップを取っていただいて展開をしていただきたいとお願いを申し上げまして、終わりにします。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 まず、災害救助法についてお伺いいたします。

 現行法では、救助費の出せる項目が限定されているんですね。能登半島地震でも、県が重機をリースして、社会福祉協議会を通じてNPOなどに無料で貸し出す、こうした状況でしたけれども、これに救助費が使えるかどうか。

 このパネル一をまず御覧ください。

 災害救助費に関する県から国への問合せ。これは、石川県が四回も問い合わせたのに対し、二月末まではっきりした回答がありませんでした。それを、れいわ新選組の山本太郎代表が参議院予算委員会で問いただし、やっと、救助費の対象になることを認めさせた。対象の範囲についても、従来、住宅や生活に必要な最低限の土砂撤去しか救助費は出ない扱いでしたが、これも予算委員会で総理に問いただし、畑や菜園、保育所や集会所など、コミュニティーを守るために広い範囲で使えるように救助費が出ることを認めさせました。

 次、パネル二です。

 こちらなんですけれども、重機リース、救助費は出る。これについては、民有地の土砂撤去に使う重機のリース代、救助費から出ると現場に伝えていただきたいと山本代表。総理は、直ちに周知すると約束をしました。

 大臣にお聞きします。まさか、これは能登半島地震限定ではないですよね。今回の決定は今後の災害にも適用される、これでよろしいですね。

 最初に申し上げますが、大臣答弁、災害の性質や被害状況による、一概に言えないとか、そういう官僚答弁はやめていただきたいんですよ。そうなったら、また今回と同じように、自治体もNPOもいつ適用になるかどうか分からず、復旧が遅れます。そして被災地も混乱します。大臣のお言葉で、この方針は恒久的であると言ってください。いかがですか。

坂井国務大臣 都道府県が重機を借り上げ、これを市や町等の社会福祉協議会を通じてNPOに貸し出す場合、そのリース費用でありますとか燃料費は、災害救助費の対象として国の支援が可能であります。

 専門NPOの協力を得ながら災害救助に当たることは大変重要であり、今後発生する災害においても、国として適切に支援してまいりたいと思います。

櫛渕委員 恒久的だと言ってくださいとお願いしたんですよ。お答えがないじゃないですか。

 この委員会は、一つ一つの災害を教訓にして、災害支援の在り方を改善していくためにあるんですよね。これからも、大きな災害が出たときに、今回のように土砂撤去が問題になることは明らかなんです。絶対にあるんですよ。そのたびに国会議員が総理に問いただして、毎回毎回、認めさせるために質問をし、重機のリース代、救助費が出るかどうかやらなきゃいけないんですか。何のために委員会があるのか。何のために大臣がいるんですか。

 次のパネル三です。

 災害救助法の運用について御覧いただきたいと思います。問題は、現行法で、被災者へは救助費が出るものの、被災者を支援する者への救助費が出ないことが基本になっている点なんですね。先日、災害対策基本法に対する私の質疑でも申し上げましたけれども、官民連携ということで、被災者援護登録団体という制度を新設し、行政だけではできない被災者支援を災害NPOなどの力をかりていくことを法制化したわけですから、この災害救助法の仕組みも改め、このパネルの下段にあるように、被災者を支援する者、救助を行う者にも救助費が活用できるように、救助法第四条の三項を見直してはどうかと考えます。

 先ほどの重機の話でいえば、先日の参考人質疑でJVOADの栗田さんからも、必要だ、こうしたお話がありました。

 大臣、こうした重機のリース代や燃料費、明らかに公費でカバーすべきなんですけれども、これはレンタル代がどれぐらいかかるか、大臣、お分かりですか。ちなみに、二か月で一千万近い費用がかかるそうです。これを災害NPOが自前で負担しながら、災害直後の被災地で被災者を助けろというのは酷な話ですよ。

 大臣にお聞きします。災害救助法の救助費について、被災者だけではなく、被災者を支援する者、具体的には災害NPOや技術系ボランティアに、委託とかではなく、独自に行う行動についても法律で救助費を出せるように見直していただけませんか。いかがですか。

坂井国務大臣 災害救助法は、第一条において、災害が発生した場合に、応急的に、必要な救助を行い、災害により被害を受け又は被害を受けるおそれのある者の保護等を図ることを目的としている旨規定しております。この法目的を踏まえ、災害により被害を受け、現に救助を必要とする者を対象に都道府県知事等が行う避難所や仮設住宅の供与、炊き出し支援等の各種救助を対象に国は財政支援をしているものであります。この点、被災自治体が救助事務の執行に必要な業務をNPOや民間団体等に委託する際には、その委託費は災害救助費の対象として支援をしております。

 このほか、能登半島地震では、石川県において、のと里山空港でコンテナハウスや仮設カプセルホテルを設置したほか、学校校舎を宿泊施設として利用するなど、支援者を支援する取組が行われてきたところでございます。

櫛渕委員 余計なお答えは、時間がないのでやめていただきたいんです。

 救助法の四条の第三項、これを見直していただけませんかとお聞きしているんですね。なぜか。政府は、口ではNPOやボランティアとの連携が必要だと言いますけれども、本気なのかどうか。

 次のパネルを御覧いただきたいと思います。

 災害救助の概念図ですけれども、先日、四月十六日の質疑でも指摘しましたが、内閣府の資料、これは二〇二三年のものですが、考え方が古いんですよ、問題なんです。最も現場で支援をしている災害NPOの存在や役割がどこにも出てこない。全く現場の実態に合っていません。

 左から縦に国、都道府県、被災市町村となっていて、右側の、被災住民に届ける応急救助の実施という横の部分、具体的な項目の書かれた、青字の点線で囲まれたところ、避難所の設置や炊き出しなどがありますけれども、この多くは行政だけでは無理で、そこを専門性の高いボランティアが担っている。下にくくられている災害ボランティアセンターに集まる一般ボランティアとは全く違うんです。ここなんです。この違いを認識しなければ、三十年前の阪神・淡路大震災がボランティア元年と言われたときと、政府の災害対策の在り方が実質的に変わっていない、進歩がない、そういうことになるんです。だから申し上げているんです。委託ではなくて、直接救助費が出せるように、専門性のあるNPOやボランティアには支援をしてくださいということが趣旨なんですよ。

 今回、災害対策基本法の改正で、被災者援護協力団体の登録制度もできたわけですから、こうした技術系ボランティアなど災害NPOがどう位置づけられるのか、今までとどう違うのか、しっかり明記いただかないと、非常に分かりにくいだけでなく、混乱します。しかも、場合によっては協力命令が出されるわけですから、災害NPOにとっても被災者にとっても大変重要です。

 大臣、この概念図について改定を考えているか、改定するとしたらいつまでに行うか、検討するんだったらいつ結論を出すのか、お答えください。

坂井国務大臣 今回、災害対策基本法等の改正が行われましたので、被災者援護協力団体、御指摘のように新たに位置づけておりますから、災害NPOを含めて明記する形で概念図は修正することを考えております。いつまでということでございますが、これも、のんびりしているつもりはございませんので、急ぎ行いたいと思います。

櫛渕委員 概念を改め、図も書き換えるというお答えをいただきました。是非、期限を区切って、今国会中にやっていただきたいと思います。

 そして、災害NPOや専門性の高いボランティアは、行政の下請や命令対象ではありません。行政ができないところを、彼らの力をかりてやるんですね。彼らの知見や、そして経験に基づいた技術、こうしたものを生かしてもらい、被災者を迅速に幅広く助ける、そのためのパートナーですよね。だから、最低限の実費は少なくとも災害救助法で救助費を出せるよう、法律を変える必要がある、このことも是非検討をお願いいたします。

 最後に、被災者生活再建支援法への修正案概要という資料をお手元にお配りしています。先日の参考人質疑でも配付し、意見をお聞きいたしました。

 大臣、この内容、もう説明する時間がありませんが、大きく三点に対する大臣の御見解、これは通告していますので、最後にお聞かせください。

金子委員長 申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお答えください。

坂井国務大臣 もう時間が過ぎているということですので、一点目、二点目、三点目含めて、過去の震災や、現在支給が続いている他の災害における被災者との公平性の確保といった課題もあり、慎重に検討すべきものと考えております。

櫛渕委員 委員長にお願いです。

 今国会、まだ時間があります。この野党提出の改正案、是非審議入りしてください。

金子委員長 理事会で協議します。

櫛渕委員 質問を終わります。

 御検討をお願いします。

金子委員長 次に、堀川あきこ君。

堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。

 今日は、能登半島地震の被災地復興にとって重要な課題である医療、福祉関係の再建について質問をしたいと思います。

 先日、珠洲市を訪問してきまして、副市長さんにお話を聞きました。元々珠洲市に七つあったデイサービスセンターの再建についてお話を聞いたんですけれども、見通しの持てない事業所もありながら、地域の利用者のニーズに何とか応えようということで奮闘されておられました。

 被災したデイサービスセンターの整備を進めておられたんですけれども、一千万、千五百万規模の工事というのが、事業者も不足している中で、なかなか受けてもらえないということで、三度目の入札でやっと決まったというふうなお話でした。また、職員の確保についても、お子さんや御家族の関係で珠洲を離れざるを得ない職員の方もいらっしゃって、苦労しているというふうなお話でした。

 災対法の参考人で来ていただいた障害者支援団体のJDFの大野参考人からは、施設が復旧をしても職員が戻ってこずに、他府県から支援スタッフが職員の穴を埋めている状況だ、元々JDFは三月までの支援だったんだけれども、それを延長して九月末までとしている、ただ、職員が戻ってくるというふうな見通しがなかなか持てなくて、地元に自分たちの支援の活動を引き継いでいくイメージが、これまでのどの被災地よりも持てないというふうなお話をしていただきました。

 一年半たって、こうした状況が能登にあるということで、行政はどう対応していくのかということが問われていると思います。

 まずお聞きしたいのが、能登半島地震での高齢者施設、障害者施設の被災状況、一年と半年がたとうとしている今、再開の状況はどうなっているか、どうでしょうか。

 済みません、ちょっと質問の順番を変えました。申し訳ないです。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の能登半島地震によりまして被災した珠洲市、輪島市、能登町、穴水町、七尾市、志賀町の能登地域六市町における復旧状況でございますけれども、石川県に確認をいたしましたところ、高齢者施設につきましては、令和七年三月十七日時点で、被災前の施設の数が九十二ございました。これに対しまして、再開した施設も含めまして現在運営中の施設が八十、また、今後再開予定、未定の施設が十一、廃止となった施設が一と伺っております。

 あわせまして、障害者施設の復旧状況について、こちらも石川県に確認をいたしましたところ、令和七年四月末時点で、被災前の施設の数が四十六ございました。これに対しまして、再開をした施設を含めまして運営中の施設が三十八、今後再開予定の施設が二、廃止となった施設が六と伺っております。

堀川委員 済みません、続いて厚労省にお尋ねしたいんですけれども、その再開に至っていない事業所が何につまずいているのか、政府は把握する必要があると思いますし、具体的な手だてを取るべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

吉田政府参考人 能登半島地震で被災した要介護者や障害者の方々が希望する地域で安心して暮らすためには、地域で必要となる介護や障害福祉サービスが確保されることが重要であると認識をしております。

 このため、厚生労働省では、令和五年度予備費及び令和六年度補正予算におきまして、被災した介護、障害者施設等の復旧を支援するための予算を確保しまして、施設の被害状況の確認と併せまして、再開に向けた課題の把握を行っているところでございます。

 再開に至らない理由につきましてですが、災害復旧が途上であるということに加えまして、利用者が避難先での生活の継続を選択したこと等によりまして介護や障害福祉サービスの需要が減少していること、また、これに伴いまして、介護、障害福祉人材の必要数が減少していることなどが複合的に関連しているものと考えられます。

 能登半島地震で被災した利用者が希望する地域で介護また障害福祉サービスが受けられるよう、各自治体が、把握したニーズを踏まえまして、地域で必要なサービスの確保に努めているものと承知しております。

 厚生労働省といたしましても、引き続き、情報把握を行いながら、石川県や市町と連携をして対応してまいりたいと考えております。

堀川委員 ただ、やはり現地の方々のお話を聞いていると、事業所の職員がなかなか戻ってこられない状況がある中で、広域避難された高齢者の方々なんかが戻りたくても戻れないような状況もいまだにあるというふうなお話を聞いています。

 ちょっと時間がないので三番目の質問は飛ばすんですけれども、事業所の職員がどの程度戻ってきているのか、あるいは、帰還を望まれている被災者の方々がどの程度施設や地域に戻ってきているのかというふうなことを厚労省はつかんでいないということでした。是非これは政府として把握をするべきだということは強く求めておきたいというふうに思います。

 最後に、大臣の方にお伺いをしていきたいというふうに思うんですけれども、奥能登の、先ほどの六市町の自治体で、昨年の一年間で介護や支援が必要な高齢者数が急増したというふうな報道がありました。その要因について自治体の担当者は、広域避難した人が環境激変により避難先で介護が必要な状態となった、あるいは、避難先の環境変化によって認知症の症状が進行したというふうなことを話されているようです。やはり、広域避難による環境変化が被災者の心身に及ぼす影響ということは、これまでも様々指摘をされています。

 高齢者施設や障害者施設からやむを得ず広域避難した被災者が望めば元の地域に戻るということは、生活再建にとって不可欠だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

坂井国務大臣 委員御指摘のような状況が今生まれていることは承知をしておりまして、こうした方々が元いた施設に早期に戻っていただくということは大事でございますので、厚生労働省において、被災した高齢者施設等の早期復旧を図るため、施設復旧支援や復旧手続の迅速化のための特例的な取扱いといった取組、これも、今までも講じられてきましたけれども、また今後、委員が御指摘のような様々なデータの把握などもしながら進めていっていただいて、それぞれの希望に応じて一日も早く元の生活を取り戻すことができるよう、厚生労働省や石川県と連携してまいりたいと思います。

堀川委員 その際に、やはり元いた地域の医療、福祉関係施設の機能の再建というのが大前提となるというふうに思います。この機能の再建というのは、施設の建物だけではなくて、必要な機材や、そしてその施設を運営する職員が戻ってくるということが重要だというふうに思います。それはやはり、広域避難の被災者に限らず、そこで働く人がいるということは、なりわいの再建にもなるし、地域の再生にもつながっていくというふうに思うんですね。

 能登の復興を考えたときに、この医療、福祉関係施設の再建の意義と役割というものは本当に大きなものがあるというふうに考えていますけれども、そこについて、最後、大臣のお考えをお聞かせください。

坂井国務大臣 医療や福祉を必要とする皆さんは、そこにそのサービスを提供できる環境がなければ戻りたくても戻れないという環境、状況でございますから、すごく大事なことだと思います。そして、財政的な面もそうですが、人的な面も大変課題になるという御指摘もありました。

 これは医療、介護の分野だけではなくて、能登半島全体もそういった困難に直面をしているということかと思いますが、局所というか、この医療、介護の分野だけではなくて、地域の課題としてもしっかり取り組んでいかなければならない課題であろうかと思います。

 内閣府としても、被災した、今御指摘いただいたような高齢者施設等の施設の再開は、地域の復興のためには重要であると考えておりますから、引き続き厚生労働省や石川県と連携をし、そしてまた、それと同時に、まちづくり、地域としての復興にも人が来る、戻ってくるということは大事でございますので、こういった意味での復興を図ってまいりたいと思っております。

堀川委員 能登の人々が自分たちの地域を取り戻していく上で、やはり医療、福祉の関係の再建ということは要になってくるというふうに思います。引き続きこの問題は取り上げていきたいというふうに思っていますので、これで質問を終わります。

 ありがとうございます。

金子委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 私、時間が余りないので、二問立て続けにさせてもらってよろしいですか。

 それで、資料もお配りしておりますけれども、まず備蓄の話で、内閣府が今度、防災庁として、こういういろいろなところに備蓄を置く、立川防災基地を始め、七地域に置かれるということなんですが、ちょっと足りないんじゃないかというふうに率直に思います。

 もちろん、自治体もそれぞれ備蓄をされるということなんですが、例えば、簡易ベッドでも、全部で四千、国がプッシュ型支援で用意する。自治体を調べると、全部で三十万あるんですね。だから、三十万四千、簡易ベッドがある。簡易トイレについては、百三十五しか国はプッシュ型支援で用意しない。自治体全部含めると六万一千ですから、六万一千百三十五ということになる。

 能登半島の避難者数だけで三万四千から五万。南海トラフで想定されているのは一千二百三十万人なんですよ。ですから、これは余りにも少ないんじゃないかということ。備蓄量だけじゃなくて、七か所しか、全部で八か所ですね、立川を入れたら。それもちょっと機動性を欠くのではないか。

 例えばイタリアなんかは、我が国土と大体面積は、若干小さいぐらいですが、二十州あるうち全部、二十か所置かれている、そういう国の備蓄というものが。だから、そういう意味では、箇所も少ないんじゃないか。

 二点目にお聞きしたいのは、偽・誤情報。能登半島のときも、熊本地震に比べて倍増している。例えば、本当に迷惑極まりない話なんですけれども、救助支援のデマとかそういうのを流して、この住所において助けてほしいと。それによって自治体の職員たちが大変翻弄されてしまったという事実がありますので。

 私はやはり、防災庁、国の司令塔として、偽・誤対策もしっかりやるべきだというふうに思いますが、この二点について大臣にお伺いをしたいと思います。どちらでもいいですよ。

坂井国務大臣 備蓄は私から、偽・誤情報は副大臣からということで御答弁申し上げます。

 今回、全国八地域で分散備蓄をスタートすると発表させていただいて、進め始めました。しかし、これは八か所で終わりというわけではなくて、まずは八地域九か所ということになりますが、ここをスタートしたということでございます。

 これは、なかなか備蓄というのも難しくて、何をどれだけ備蓄すればいいのかというのはなかなか難しい課題であり、そして、各自治体にも、イタリアでも各州で備蓄されているというお話を今御紹介されましたが、日本でも県でも市町村でも備蓄をお願いしていますが、それぞれの市町村等から、うちの規模だとどのくらい備蓄したらいいんだという問合せなども来ております。

 今、そういった状況も整理をしながら、大体の目安をつくる作業もいたしておりまして、まずは、この八地域九か所の備蓄をしっかり整備をして、機能するように訓練も含めて取り組んでいくことからスタートをし、最終的には、どれだけ必要かといったことも換算をしながら、必要なだけの備蓄の状況がつくれるように努力をしていきたいと思っております。

瀬戸副大臣 お答えさせていただきます。

 災害時、特にまた大規模災害におきましては、国民一人一人、また自治体等が、正確な情報を得て、各々が判断して、適切に行動していただくということが非常に重要であります。そういったところで、偽情報への対策を行うとともに、政府から正確な情報を発信、共有していくことも重要であるというふうに考えています。

 災害時のインターネット上の偽情報対策につきましては、総務省におきまして、偽・誤情報に対する注意喚起や、主要なSNS等プラットフォーム事業者に対する対応の要請等を実施しているものと承知しております。先ほど先生がおっしゃったような偽の支援要請につきましては、QRを活用した疑わしい支援要請についてはアカウントを凍結したりとか、そういったことも行ってきたというふうにも聞いております。

 防災庁は、大規模災害発生時における政府の統一的な災害対応の司令塔としての役割を担うことを想定しております。防災庁を中核に、偽情報対策を含め個別の施策を実施している各省庁、関係機関が一体となった災害対策を一層効果的、効率的に実施するとともに、災害時において正確かつ的確な情報を発信することができるよう、設置に向けた準備を進めてまいります。

北神委員 ありがとうございます。

 最後にしますけれども、大臣に、どのぐらい備蓄が必要かと。イタリアをちょっと参考にさせてほしいんですけれども、各二十州において約二千人分ずつ、それから、それにプラス五か所、大規模な、それよりも大きい規模の備蓄をやっています。さらに、市町村で小規模のをやっている。そういうことを一つ目安に頑張っていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

金子委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、政府参考人として厚生労働省大臣官房審議官森真弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 次に、尾崎正直君。

尾崎委員 どうも、衆議院高知二区の尾崎正直でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にどうもありがとうございます。

 私からは、南海トラフ地震対策についてお伺いをしたいと思います。

 この委員会でも何度も取り上げられていますが、この三月末に、南海トラフ地震について新たな想定が示されました。

 これによりますと、想定死者数は最悪の場合で約二十九・八万人と、これまでの三十三・二万人よりは減少いたしておりますが、引き続き極めて厳しい水準であります。これは、早期避難率を二〇%と設定した場合ということでもあり、また、浸水範囲が前回より三割増えているとか、高齢化を反映して避難速度をより遅めに設定したとか、そういうことも背景としているかと思いますが、いずれにしても、対策の強化が求められるということかと思います。

 ただ、もう一つ注目すべきことがあると思います。これは、いわゆる災害関連死についての想定ということであります。最悪の場合は約五・二万人に至るとされていますが、これは、想定負傷者数が前回は約六十二万人とされたものが九十五万人に、避難者数も九百五十万人から千二百三十万人に増加をしている、極めて厳しい水準にあることがその背景にあるものと考えられるところであります。

 全ての施策を漫然と一律で横並びで進めるのではなくて、死者数を減らすための対策に重点的に取り組むべきだと思います。新たに国が作ります南海トラフ地震防災対策推進基本計画や、都道府県、市町村等が作ります同防災対策推進計画においては、まずは、直接死、関連死を減らす対策に重点を置くべきだと思います。例えば、死者数を大幅に減らすために必要な重点施策を定めて、今後十年で確実にそれをやり切るというような形で、めり張りを利かせた対応が必要かと思いますが、この点について、大臣の御見解をお伺いいたします。

坂井国務大臣 今御紹介いただきました報告書を踏まえ、政府におきまして、今、南海トラフ地震防災対策推進基本計画の見直しの作業を進めているところでありますが、一人でも多くの人命を守るべきというのは委員御指摘のとおりだと思います。

 そして、直接死を減らす、命を守るための対策として取りまとめた対策と、それから、災害関連死を減らす、命をつなぐために取りまとめられた対策と、着実に推進することが必要であると考えております。

 このため、今回の推進計画におきましては、命を守るための対策、命をつなぐための対策について、特に重点的に取り組むものとして計画に盛り込むよう、検討を進めてまいりたいと思います。

尾崎委員 そのような特に重点的に取り組む施策について、是非、取組をしっかりと進めていただきたいと思います。

 そういう中で、都道府県が作る推進計画の方については、十年でしっかり取り組んでいくべきいわゆる重点施策というのを定めて対応していただくとか、そういうめり張りづけを是非お願いをしたい、党の方でもそういう提言をさせていただいておりますが、是非お願いしたいと思います。

 ここから先は、取りあえず暫定的に重点施策ということで呼称させていただきたいと思いますので、お許しいただきたいと思います。

 こういういわゆる重点施策でありますが、それぞれの自治体の置かれた状況によって、そのありようというのは異なるんだろうと思います。ですから、国と都道府県がしっかりと話し合ってそうした対策をつくり上げて、かつ、毎年度、PDCAサイクルを回して着実に実行していく必要があるだろうと思います。

 是非そうした取組を進めてもらいたいと思いますが、御見解をお伺いします。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘をいただきましたとおり、各自治体の立地や置かれた状況、それにより想定される被害も異なることから、それぞれの自治体によって、命を守るための対策や命をつなぐための対策は異なるものになると承知をしております。

 各地域で策定する南海トラフ地震防災対策推進計画の実効性を高めるためにも、国と都道府県等が共同し、命を守る、命をつなぐために特に重点的に取り組むべき具体的な対策を定め、PDCAサイクルを回しながら進捗を図ることが重要であると考えておりまして、今後、具体的な方策について検討を進めてまいりたいと考えております。

尾崎委員 是非そのようにお願いをしたいと思います。

 これからおつくりになるということですので、あらかじめ、どういうものになるかということについて予断を持ってお話しされることは難しいだろうと思いますが、是非、つくり方についての考え方について、今の段階でも少し質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、この重点施策ですが、できる限り具体的なものにしていただきたい、そういうふうに思います。例えば、単に県全体の耐震化率を○○%まで引き上げますというだけでは、一言で言うと抽象的過ぎて不十分だ、そういうふうに思います。また、いろいろな要因によって県全体の耐震化率とかというのは上下したりしますので、施策の効果を測るという点においても不十分だろう、そういうふうに思うところです。

 是非、津波避難が特に大事な○○地区の耐震化率を一〇〇%へとか、さらには、地震火災が特に懸念される○○地区の防火対策と耐震化率を一〇〇%へというような形で具体的に定めていくということが非常に重要かと思いますが、これについてのお考えをお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 南海トラフ地震防災対策推進基本計画の見直しにおきましては、建築物やライフラインの耐震化などの命を守るための対策とか、スフィア基準を満たす避難所の設置に係る取組などの命をつなぐための対策につきまして、特に重要な施策として選定することを検討しております。

 また、これを踏まえて各地域で策定する南海トラフ地震防災対策推進計画におきましても、命を守る、命をつなぐために特に重点的に取り組むべき具体的な対策を定めることを検討しているところであり、委員御指摘の地域ごとの重点施策の推進方策につきまして、今後、具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。

尾崎委員 もう一回お伺いしますけれども、○○県において耐震化率を何%にという対策の定め方をするんだったら、今までと全く変わりません。それだと検証不能ですしね。更に言うと、検証不能であるがゆえに、結果としてできませんでしたで終わってしまう可能性というのは非常に高い。それでは駄目だろうと思います。

 津波避難をしていくためにあって、ここの集落は非常に密集をしている、ここについては津波避難を確実に確保するためにも耐震化率は着実にやり遂げなければならぬ、そういうことは都道府県だとか市町村だったら分かっているはずです。そういう意見をしっかり吸い上げて、それを確実に成し遂げるということをやっていくことが大事だと思いますが、いかがでしょう。もう一回お願いします。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘をいただきましたように、特に南海トラフ地震では、想定される最大の人的被害の七割が津波による避難というようなことでございます。津波の避難タワーとか避難路とか避難場所の確保、そうした取組が大変重要だというふうに考えております。

 それぞれの地域ごとでどういった対策に特に重点的に取り組むべきか、そうした地域で策定する防災対策推進計画の考え方をどういうふうにお示しして、また、それをしっかりどういうふうに盛り込んでいくか、具体的に検討してまいりたいというふうに考えております。

尾崎委員 是非よろしくお願いをしたいと思います。

 そして、もう一点重要な点として、こうした重点的な施策については、是非、これをつくるに当たっては、国と都道府県が的確に役割分担をして、それぞれがそれぞれの対策をつくるということをお願いをしたい、そういうふうに思います。

 例えば、ある地域の孤立を防がなければならない、なので道路のリダンダンシーを確保しなければならぬということになった場合には、例えば、ここからここまでは国道で対応します、しかしながら、ここからここについては県道、市町村道で対応するんだといった形で、国と県、市町村それぞれが役割分担をして対策を定めるということが大事だろう、そういうふうに思います。そうでないと、都道府県に全部丸投げして対策を考えてくださいと言っても、都道府県は都道府県で、いや、国がやってくれないとできませんということになって、結果として、実現不可能な、もっと言うと実現する気のない対策が盛り込まれるということになってしまっては絶対にいけない。

 是非、国と都道府県、それに市町村もということかと思いますが、それぞれが的確に役割分担をして、それぞれ重点施策というものを定めていく、そういうことが非常に重要かと思うところでありますが、お考えをお伺いさせていただきます。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘をいただきましたように、国と都道府県がしっかりと役割分担、共同しながら対策を進めていくことが大変重要だというふうに考えております。

 この南海トラフ地震防災対策推進計画におきまして、関係者が十分に意思疎通を図りながら、重点施策を定め、対策を推進することができるよう、例えば関係者が集まるブロック会議、そうしたものも私ども持っておりますので、そうしたブロック会議の開催を始め、国、県等の各主体が着実に対策を進め、それぞれの役割を果たすための仕組みを検討してまいりたいと考えております。

尾崎委員 前向きに御答弁いただきまして、どうもありがとうございます。是非その点、よろしくお願いを申し上げたい、そのように思います。

 各都道府県それから市町村は、具体的にここの地区のここがこのように危ないというのは分かっているはずです。それをしっかりと反映していただいて、ただ、それを都道府県だけではできない、市町村だけではできない、対策としてできないということが多々あるはずでありまして、是非、国と都道府県、市町村、しっかりと役割分担をして対策を進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、続きまして、もう一点、災害時の医療救護の問題についてお伺いをさせていただきます。前回も質問させていただきましたが、より詳細にお伺いしたいと思います。

 想定死者数が約五・二万人ということでありますが、その大きな背景として、想定負傷者数が九十五万人にも至るということ、このことが大きな背景としてあるのだ、そういうふうに思います。この想定死者数を抜本的に減らすための鍵となるのが災害時の医療救護の取組だろう、そういうふうに思います。

 南海トラフ地震などの超広域大規模災害の場合は、いわゆる普通の局所災害で行う、負傷者をトリアージして被災していない災害拠点病院まで運ぶ、こういう通常の対応というのは事実上不可能だろうと思います。

 それは、まず第一に、被災地と病院をつなぐインフラが破壊をされること、中には完全に孤立する被災地も出てくるであろうこと、更にもっと言わせていただければ、搬送しようにも、災害拠点病院そのものが災害域の中に入っていて被災している可能性も高いということ、そういうことも考えられるだろうと思います。

 それと加えて、何といっても、この新たな想定では、想定負傷者数は九十五万人です。極めて多数に上ります。これだけの負傷者の方を運ぶというオペレーションそのものが事実上不可能ということになりかねないということか、そのように思います。この場合は、負傷者を搬送するという通常のオペレーションではなくて、むしろ逆に、例えばDMATなどの医療スタッフを、さらには医療コンテナ等の資機材とともに現地に展開する、そういうやり方でなければ対応できないのではないか、そういうふうに思うところであります。

 政府として、このような極めて厳しい状況にどのように対応していくかということについて、前回、吉田政務官からも前向きに、しっかり検討しますというお話をいただいて、現実にいろいろと前向きに検討しておられるお話も私も伺っておるところでありますが、是非、この委員会においても、お考えについてお話をお聞きさせていただきたい、そういうふうに思います。

森政府参考人 災害発生時における診療体制についてでございますが、委員御指摘のとおり、基本的な災害発生時については、災害拠点病院に搬送するということを前提に、これまで必要な体制というのを整備して、DMATの養成とか広域搬送体制というのをつくってきたところでございます。

 ただ、南海トラフのように、本当に大規模発生時においては、孤立地域が発生する可能性がある、交通網、インフラがやられる可能性がある、それから、災害拠点病院そのものがダメージを受けてしまうということを当然、御指摘のとおり、私どもも想定しなきゃいけないという段階に来ておりまして、そういったケースも、必要な対応ができるような体制をこれから整備していかなければならないというふうに考えているところでございます。

 現在、DMATの養成等についても、南海トラフ等を見据えた必要な養成数というのを、どんどん今、養成しているところでございます。それから、医療コンテナについても整備しているところでございますが、具体的に、きちんと活用していくということを踏まえて、どういうふうにやっていくのか。それから、おっしゃったように、現場に赴いて取り組むということになりますと、実際に、医療スタッフを含めて、資機材をどういうふうに被災現場に、輸送方法、持っていくのかということも含めて検討していかなければならないことがあるというふうに考えておりまして、これらについて必要な取組と検討というのを今一気に進めているところでございます。

尾崎委員 大変難しい問題であるにもかかわらず、これにしっかりと取り組んでいただいている、これは本当にすばらしいことだと思います。是非頑張っていただきたいと思います。

 実際、これほどの大規模災害になっていく、DMATの方が現地に展開する、たくさん負傷者の方がおいでになる、そのときに、じゃ、ヘリの救急搬送を要請しますと言ったら、ヘリなんてとてもじゃないけれども展開できませんよ、こんなに負傷者がたくさんいるんだからという話になる。目の前で多くの方がうめいて亡くなっていくのをただ茫然と見守るだけみたいな、そういうことに本当になりかねない話だと思うわけでありまして、是非前向きな、今の姿勢のままで御検討を続けていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。

 災害時の医療救護のお話をさせていただきましたが、このような南海トラフ地震のような超大規模災害の場合は、想定外の連続となる可能性というのが非常に高いんだろうと思います。だからこそ、日頃より様々な被災シナリオを予測して、各々に対して、事前の備えは十分か、不足はないかを把握をして必要な対策を追加するという取組を繰り返していくということが非常に重要なのだろう、そういうふうに思うところです。

 新たに設置される防災庁においては、こうした防災シミュレーションや演習を繰り返して、新たな対策が必要な事項を明らかにして、要すれば各省に勧告するといった機能を持つべきだろうと思います。また、各省側も、その勧告を尊重して対策を推進する必要があります。この点に関して、政府の見解をお伺いします。

西野大臣政務官 まず、尾崎委員におかれましては、高知県知事時代から、大規模災害への備えという観点から熱心に御議論いただき、提言いただいておりますこと、私の立場からも敬意を申し上げたいと思います。

 その上で、御質問にお答えしたいと思いますけれども、委員御指摘のとおり、大規模災害において想定外を少しでも減らしていく、そして、事前防災として必要な対策を講じることは非常に重要だと思います。そのため、デジタル技術、さらにはAI、こういったものを活用してシミュレーションをしていく、そして、来年度でございますけれども、発足予定の防災庁においても実効的な権限を付与していく、非常に重要だと思います。

 今、防災庁の設置につきましては、防災庁設置準備アドバイザー会議でいろいろ議論されておりますけれども、その中でも、リスクを事前に見つけておくことが重要だ、さらには、防災庁が府省庁の旗振り役となってコーディネート機能を担うことが重要だ、さらに、各省庁に対して強い権限を持つことが重要だ、こういった御意見をいただいております。

 こういった御意見を踏まえて、防災庁が総合調整を担い、個別の施策を実施する関係省庁が一体となった災害対策を一層効果的、効率的に実施できるような体制をつくっていきたいと思います。

尾崎委員 是非御検討をよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 ここから先、これ以上のことに関連して、防災DXの関係について、少しテクニカルな話になりますがお伺いをさせていただきたい、そのように思います。

 先ほどお話もいただきましたような防災シミュレーションとか演習、これを十分に行っていけるようなシステム整備ということも極めて重要なんだろう、そういうふうに思います。この点に関して、内閣府は、今年度よりでありますが、新総合防災情報システム、SOBO―WEB、これを活用して、南海トラフ地震に係る具体的なシナリオに基づく実践的な机上演習、TTX、これを全国三か所程度で実証的に実施するというふうに伺っておるところであります。これは本当に大変にすばらしい取組だろうと思いますし、是非本格的に実施するようにお願いをしたいと思います。

 被災地域全域に関して様々なシナリオに対応したTTXを十分に実施できるだけのシステムと人員体制を防災庁においてつくり上げるべきだ、そのように思います。これはあらゆる対策づくりの基礎となる取組でありまして、想定外を減らす、更に言えば定量的に分析をしていく、超大規模災害時においても実現可能性をしっかり把握をする、そういう点において、演習を行うことが非常に重要だろうと思います。この点について、政府のお考えをお伺いします。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 内閣府におきましては、国や自治体等の災害対応機関の間で災害情報を迅速に集約、共有をいたします防災デジタルプラットフォームの構築に向けて、御紹介をいただきました新総合防災情報システム、SOBO―WEBの運用を昨年四月に開始したところでございます。

 災害発生時に各自治体において本システムが十分活用されるよう、今年度、南海トラフ地震や首都直下地震などの被害想定に基づきまして、訓練用の模擬データを作成した上で、関係自治体の御協力も得て、全国三か所程度で実践的な机上演習、TTXと呼んでおりますけれども、これをモデル的に実施することとしております。

 今後、このTTXの取組を全国に横展開していくとともに、最新の研究開発の成果も踏まえながら、システムの機能強化を図っていくことにより、様々なシナリオに対応した訓練を全国各地で実施できるようにしていく必要があると認識しております。

 より一層、防災DXを効果的、効率的に進めることができるよう、防災庁の設置に向けた検討も併せまして進めてまいりたいというふうに考えております。

尾崎委員 若干同床異夢のところがあると思っていて、TTXというのは多分システムに習熟するためにやる演習だ、そういう意味もまずは大きいんだろうと思います、さっきもそういうふうに言われましたけれども。そのとおりだろう、それはそうだろうと思うんですが、それを、最初の頃は習熟していくやり方もしていきながら、実際の机上演習をいろいろなパターンで繰り返していくことで対策の抜け、漏れを見つけていくといいますか、そういうものにどんどん進化をさせていっていただきたい、そういうふうに思うところでございまして、是非よろしくお願いいたします。これは要請とさせていただきたいと思います。

 続いてでありますけれども、全容把握ということが被災時には非常に重要だ、しかしながら、全容の把握というのは簡単にはできないので、全容予測をする、そういうシステム自体を持っていくことが非常に重要ではないかということをちょっとお話しさせていただきたいと思います。

 災害発生時には、被災した市町村というのはいわゆる五里霧中の状況に置かれるわけでありまして、その市町村に対して、国として、あらゆるセンサーの情報を集約して全容を把握した上で、市町村に速やかに提示し、やるべきことについてアドバイスをすることが大事だろうと思います。

 しかしながら、特に超大規模災害の場合は、関係する情報は極めて多数、多量となって、その真偽も含めて処理と把握に時間を要するおそれというのが非常に大きいのだろう、そういうふうに思います。ですから、まずは、多数の情報からポイントをつかんで全容の予測を行って、特に重要な起こり得るイベントについてあらかじめアラートを鳴らすとか、こういうようなシステム構築が非常に重要なんだろう、そういうふうに思うところです。

 いわば、先ほども申し上げました、全容把握の前に全容予測をするシステム整備というのが必要だろうと思いますが、そうした体制について、これはもう既に一定の検討はされているのか、また、そのような体制を構築していくためにどのようなことが必要なのか、見解をお伺いしたい、そういうふうに思います。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 新総合防災情報システムには、被害情報やライフライン情報、また避難所情報等、各省庁、地方公共団体、指定公共機関等の災害対応機関からの様々な情報が集約されることとなってございます。

 委員御指摘いただいたとおり、情報収集の上で、さらに、そうした情報を解析して、また被害の全容を予測して判断に活用するということは、今後大変重要なことだというふうに考えております。

 災害の推定技術につきましては、例えば、防災科学技術研究所におきまして、画像から解析した土砂崩壊箇所と道路情報を組み合わせて孤立可能性集落を推定するとか、産官学において様々な研究開発が進められていると承知をしております。

 こうした研究開発、技術開発の進展に期待いたしますと同時に、こうした研究開発の成果につきまして、関係機関との連携の下、有効性を実証するなどした上で、新総合防災情報システムにおいて活用できるように、しっかりと検討していきたいと考えております。

尾崎委員 能登半島地震でもそうでしたが、夕方に発生する、暗くなる、全容が分からない、ゆえに対策の取りようがない、例えばそういうことになってはいけないのでありまして、できる限りその全容について予測をして対処を始めるということが大事だろうと思います。是非、そういうシステム整備は極めて重要なことだと思いますから、前向きに御対応いただきたいと思います。

 最後の最後でありますが、言うまでもありませんが、超大規模災害の発災時にあっても、一連の防災システムが十分に機能し続けるということが極めて重要だろうと思います。このため、自治体も含めた関係部署や避難所等においても、システムを動かす電源と通信系統が生き残り続けるということが大事だろう、そういうふうに思います。関係省庁と連携して、十分な自立電源、蓄電池の確保とか、例えばNTNとかHAPSとか、ああいう取組なんかをしっかり加速する必要があろうかと思います。お考えをお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 南海トラフ地震等を想定し、防災DXの推進を災害対応に活用していくためには、その大前提として、電力、通信の確保を図ることが極めて重要になります。

 例えば、自治体庁舎における非常用電源の設置状況でございますけれども、昨年四月時点で、都道府県は全て、また市町村では九七%で設置済みとなっております。また、指定避難所につきましては、昨年十一月時点で、全国の約六割で非常用発電機等を確保しているところでございます。

 また、内閣府におきましては、通信衛星等を用いた中央防災無線網を整備、運用をしておりまして、大規模災害時に通常の通信回線が途切れた場合でも、政府の災対本部と、被災自治体に設置された現地対策本部あるいは都道府県等の対策本部との間で通信を確保することとしております。

 また、令和六年の能登半島地震の際には、通信が復旧するまでの間、総務省あるいは通信事業者から被災自治体に衛星インターネットの機器が貸与されまして、災害対応機関あるいは避難所等において通信環境の確保に寄与したというふうに承知をしております。

 こうした事例も踏まえつつ、委員御指摘の自立分散電源とか蓄電池の確保、あるいはHAPSの活用によるNTN、非地上系ネットワーク、そうしたものの早期実装も含めまして、電力、通信の確保に向けて関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

尾崎委員 様々な前向きな御答弁、どうもありがとうございました。大変重要な問題でございます。引き続きどうぞよろしくお願いをいたします。

 これで終わります。

金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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