衆議院

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第3号 令和8年2月24日(火曜日)

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令和八年二月二十四日(火曜日)

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 議事日程 第三号

  令和八年二月二十四日

    午後一時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑

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本日の会議に付した案件

 国務大臣の演説に対する質疑


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    午後一時二分開議

議長(森英介君) これより会議を開きます。

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 国務大臣の演説に対する質疑

議長(森英介君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。小川淳也君。

    〔小川淳也君登壇〕

小川淳也君 中道改革連合代表の小川淳也です。

 会派を代表し、高市総理大臣に質問いたします。(拍手)

 総理、まずは御就任おめでとうございます。心より敬意と祝意を申し上げます。

 先日、総理が施政方針で述べられたとおり、挑戦なき国に未来はありません。守るだけの政治に希望はありません。二十二世紀の日本が平和で豊かであるように。私どもも全く同じ思いです。

 是非総理、成長のスイッチを押し続けてください。私たちは、成長に加え、国民生活の底上げのため、暮らしを支えて、支えて、支えて、支えて、支え続けてまいります。共に国のため、国民のため、互いに敬意を払いつつ、正々堂々、切磋琢磨しようではありませんか。

 冒頭、私たち中道改革連合がいかなる問題意識と覚悟を持ってこの国会に臨んでいるか、その根幹を申し上げます。

 私たちは、政治のど真ん中を歩む、その決意の下に結集しました。この立場は決して生易しい道ではありません。左右双方からの攻撃を覚悟し、それでも立ち位置を変えず、現実から目を背けず、責任を引き受けつつ、あえて困難な真ん中の道を行く、その決意でここに集まったのです。

 今日、日本のみならず世界で、左右の極論が勢いを増し、社会の分断を深めています。極論は分かりやすく、単純で、感情に訴えます。複雑な問題に即答があるかのような幻想を振りまき、人々の不安や焦りに寄り添う顔をします。一時的に心を軽くし、ストレスを発散させる錯覚を与える。だからこそ、強い魅力と感染力を持つ。その魔力を私たちは決して過小評価すべきではありません。

 しかし、その分かりやすさの先には一体何があるのか。対話の断絶、相互不信、社会の分断、そして最終的には、戦争、内戦、革命といった暴力的な事態。歴史は、嫌というほどその代償を痛ましく見せつけてきたではありませんか。私たちは再び過ちを繰り返すのか。それとも、困難ではあるが理性と対話の道を選ぶのか。日本と世界は今、分岐点に立っています。

 だからこそ、私たちは極論と戦います。現実の社会は決して単純ではなく、安易な答えがあるはずがない。分かりにくさに耐え、批判を受け止めるその先にしか、真の平和と安定はない。その確信を持って前に進むのです。

 同時に、私たちが示す真ん中の道は、決して狭い道ではありません。中道リベラル、中道保守、穏健保守、そして、特定の支持政党を持たない多くの無党派層の皆様と広く課題認識を共有する、裾野の広い、懐の深い道です。日々、普通に働き、普通に暮らす中から生まれる素朴な疑問や願い、それこそが私たちの原点です。

 私たちは、この真ん中の道を進むことで、まず第一に、自由と民主主義を確固たるものとして守り、育み、次世代へと引き継ぎます。

 第二に、徹底した平和主義を貫きます。

 政治家の仕事を一つ挙げよと言われれば、私は迷わず答えます。戦争をしないことだと。国民を絶対に戦争に巻き込まないことだと。全ての戦争は外交の失敗。平和は武装ではなく対話から訪れ、戦争は武装ではなく対話によって回避される。これを政治の中心に据えてまいります。近年、国民の戦う覚悟、血を流す覚悟といった勇ましい言葉が政治の世界で語られることに強い危惧を覚えます。求められるのは国民の覚悟ではなく、むしろ、国民を戦わせない政治家の覚悟ではありませんか。

 第三に、この道は、生活者重視、生活者起点の政策へと続きます。

 全ての政策は国民生活に始まり、国民生活に帰着する。政治とは生活であり、暮らしそのもの。経済、財政、外交、安保、全てが、最終的に一人一人の暮らしの安心と生活の質を高めるために存在します。

 そして、その全ての土台となるのが、透明性の高い政治です。清潔で信頼に足る政治がなくては、どんなに立派な政策も国民の心には届きません。

 以上を踏まえて、総理に質問します。

 最初に、この解散の意味と意義については、どうしてもお尋ねせざるを得ません。

 選挙は、極寒と物価高の中、強行されました。北国では豪雪で貴い人命を失い、多くの受験生が努力と苦心を重ねた季節です。年度末を前に決算や納税実務に追われる事業者、これら有権者の姿を総理はどの程度想像されたでしょう。だからこそ、四十年近く、歴代の内閣総理大臣は、この時期の解散だけは避けてきた。それが国民生活への最低限の配慮であり、政治の節度だったのではありませんか。

 総理は、直前まで、解散を考える余裕はない、一刻も早く政策の果実を国民に届けたいと発言されましたが、結局、この言葉は真実ではありませんでした。

 なぜ、今だったのか。国民生活への配慮と逡巡はあったか。なお三年近く残されていた衆議院の任期、そこに託された国民の思いへの敬意と畏敬は、総理の胸中にあったか。

 戦後最短と言われる、不意打ち、奇襲、急襲は、健全な民主主義と言えるか。相手に十分な準備期間を、国民に十分な熟慮期間を与えないリーダーの姿を自らどう評価するか。

 私か、私以外かと言わんばかりの姿勢は高い支持率を誇示するものと感じましたが、そもそも、選挙は国民の血税によって賄われる国民のためのもの。誰の勝利か以前に、内政から外交まで山積する課題について十分論議を尽くすことで初めて国民にとって意味あるものとなる。その点、総理はどうお考えか。

 以上、諸点について、個別に総理の具体的な御認識と信条をお聞かせいただきたいと思います。

 官邸には、かつて安倍政権の中枢を担った元官僚が再び要職に復したと聞いております。そして、安倍政権下では、短期の解散・総選挙が繰り返されました。その結果、国民の審判という本来の重みが薄れ、選挙が政権の求心力維持の道具となり、政権延命の手段に変質したとの根強い批判が残っています。

 今後も、総理は、支持率の高い局面を狙い、短期解散を繰り返すことで、いわば権力をロンダリングするかの政権運営を行うのでしょうか。内閣不信任案可決の場合を除き、超短期で国政選挙を繰り返す国に、長期的な国益の実現はありません。長期的な政策論争を阻害し、政治不信を深め、民主主義そのものを摩耗させるからです。

 総理は、今後も、解散権の行使を、国民のためというより、自らの足下固め、政権延命の道具として、政治的、戦略的カードとして用いるおつもりですか。答弁を求めます。

 ここで、野党各党の皆様にも、あえて呼びかけたいことがあります。

 戦後日本において、自民党を中心とする政権が過半数割れに追い込まれた例は、数えるほどしかありません。その希少な局面が、僅か一年前でした。

 その際、各党にはそれぞれ実現したい政策があり、個別の条件闘争に入られました。結果、一定の成果を得たことも事実であり、その努力に深く敬意を表します。

 しかし、どうでしょう。あのときもし野党の足並みがそろっていれば、政権交代でした。果たして、そこから得られた全体成果は、個別の成果をはるかに上回るものとなった可能性はないでしょうか。

 自民党が過半数を割るも、野党の足並みが乱れ、僅か一年で三百超の議席を奪い返された。この劇的な再逆転劇の陰の主役は、実は我々野党。裏からいえば、それだけ自民党は強く、したたかだということです。

 しかし、我が国には、定期的な政権交代が必要です。それによる政治の浄化と政策の軌道修正こそが日本の長期的な繁栄につながる、私はそう確信します。

 我々野党もまた、国のため、国民のために、よりしたたかに、より強く、より賢くあらねばならない。今回の事態はそのための、痛みを伴う、しかし、極めて重い教訓とすべき。そのことを今後の日本の民主主義のために強く訴え、呼びかけたいと思います。

 さて、総理、巨大与党となった今、今後の国会運営はどうされるのでしょうか。

 確かに、数は力です。しかし、数は正しさを意味しません。多数は正しさと同義でなく、それを保証するものでもありません。勝った五十一が残りの四十九を背負うのがまさに民主主義の根幹。どうかそのことを心に刻み、謙虚かつ丁寧な国会運営をお願いしたいと思います。

 野党、そしてその背後にある数千万人の国民の声を今後も謙虚に、丁寧に受け止めていただきたいと願い、総理の御決意を求めます。

 関連してお聞きします。

 今回の異例の解散は、国民生活への影響に配慮し、当然、暫定予算によって新年度当初をしのぐ決意を伴うものと私は受け止めておりました。

 新年度の予算や税制の早期成立に可能な限り協力し、国民生活の安定を願う気持ちは、私どもも全く同様です。しかし、当然、過去最大規模となる国民の税金の使い道を決める予算審議は、従来にも増して丁寧かつ慎重に行わなければなりません。

 さらに、国会とは、異論に耳を傾け、十分な審議を尽くす場であるという民主主義の基本と作法を後世に引き継ぐ責任もあります。国会は、国権の最高機関であり、政府の下請機関ではありません。その機能と品位を、時代を超え、世代を超えて守り、引き継ぐ責任は、与野党双方にひとしく課せられているのです。

 総理に伺います。国民から預かる大切な税金の使い道を審議する国会の重要性に鑑み、必要な審議を省略してまで、何が何でも年度内成立に固執することはない。その点、明確にお聞かせいただきたいと思います。

 その上で、私から具体的な提案があります。

 通常、暫定予算は必要最小限の経費に限られます。しかし、今回、例えば学校給食費の負担軽減や高校無償化など、党派的対立が少なく、本予算の成立を待てば国民生活に重大な支障を来しかねないものについて、四、五、二か月分を暫定予算として組み込んではいかがでしょう。

 私たちは、こうした従来の枠を超える暫定予算の策定を積極的に肯定します。速やかな審議と採決環境の整備についても、全面的に協力することをここに明言します。

 その上で、内政、外交全般にわたり、国家的見地から賛否が分かれる本予算案については、従前以上に十分な審議を尽くすべきです。

 暫定予算の在り方を含め、謙虚かつ丁寧な国会運営に関し、重ねて総理の答弁を求めます。

 次に、責任ある積極財政について伺います。

 総理は、政府債務を対名目GDP比で管理すると主張しています。確かに、政府債務は政府のコントロール下にあります。しかし、名目GDPは政府のコントロール下にありません。

 政府が管理できるものと管理できないものを対比し、その比率をコントロールするという考え方自体、本当に責任ある態度と言えるでしょうか。まず、この点、端的にお答えください。

 だからこそ、歴代政権は、誠実に、政府のコントロール下にある基礎的財政収支を指標とし、その改善に責任を持とうと、少なくとも努力してきたのではありませんか。

 責任ある積極財政とは、そもそも責任ある財政政策と言えるのか。円安や長期金利の上昇など、マーケットからの警鐘の受け止めを含め、総理の御認識を伺います。

 総理の施政方針演説からは、成長や供給サイドに関する熱意は感じられました。これももちろん重要です。一方、今の政治が最優先で向き合うべきは、今日の暮らし、今月をどうしのぐかという、より切迫した国民生活の実態ではないでしょうか。

 物価高の中、実質賃金は下がり続けています。先進国では極めて異例であり、国民は年々貧しくなっているのです。スーパーで値札を見比べ、買うことをためらう姿、給与明細を前にしたため息、こうした国民生活の不安と切なさに総理はどう応えますか。

 物価は上がるのに、賃金は追いつかない。このゆがんだ構造は、どこから生じ、誰の責任で、今後どうなっていくのか。総理の基本認識を伺います。

 加えて、数十年にわたり国民生活が貧しくなり続け、悪化し続けている根本原因に関する総理のお考えをお聞かせください。

 その上で伺います。雇用と賃金への不安が強い中、総理は誰のどんな声を基に裁量労働制を見直すのでしょうか。どのような方針で見直すかを含め、具体的な答弁を求めます。

 いわゆる百三万円の壁の引上げも大事です。しかし、就労抑制の観点からいえば、より深刻なのは社会保険料の百三十万円の壁です。これに対し、どのような抜本的対策を講じるのか、併せて伺います。

 食料品の消費減税について伺います。

 総理は演説で、実現に向け、諸課題の検討を加速すると述べました。これは、やると決めた上での発言か、まだ決めていないのか、まず明確にしてください。

 野党の協力がなければ、夏の取りまとめや法案提出は行わない、つまり、やらない可能性が残り、その責任は野党にあるという理解ですか。巨大与党となった今、総理御自身がまずは実施に責任を持つべきではありませんか。財源をどうするのかと併せて、総理のお考えをお聞きします。

 総理は、外為特会は円安でほくほくと発言されました。円安は物価高となって国民生活を直撃しています。苦しい国民生活を前に、政府の特別会計がほくほくであるという発言自体、国民生活への想像と共感を欠く不適切なものではありませんか。答弁を求めます。

 関連して、総理が提唱する超党派国民会議について伺います。

 昨年、与党が過半数割れする中、その開催が約束されました。しかし、国会は一切の議論なく初日に解散。その信義則は一方的に裏切られ、その後誕生したのが巨大与党です。

 まずは与党自らが諸課題を整理し、国会に堂々と提案し、完全公開の場で議論するのが常道ではありませんか。今なぜ、消費税減税等に関して、なお国民会議なのか、その意図を説明してください。

 仮に、やったふり、責任転嫁の国民会議であれば、私は賛同しかねます。一方、明確な決意と財源、そして真摯な協力要請があれば、党派を超えて応ずる責任も感じています。

 総理に伺います。状況が一変し、信義則が破られ、それでも総理が国民会議設置に本気なら、是非、党首会談を呼びかけてください。互いに膝突き合わせ、目を見据えて、国民のために話し合おうではありませんか。総理のお考えをお聞きします。

 私からも逆提案があります。仮に国民会議を設けるなら、併せて国会の現代化を議論したいのです。審議の態様、日程管理、デジタル化などを含め、今の時代、そして未来にふさわしい、効率的で機能する国会へと変革しようではありませんか。国会改革のための超党派の第二の国民会議設置についてどう思われるか、総理のお考えをお聞きします。

 外交、安全保障政策について伺います。

 まず、安保三文書についてです。

 戦後、日本の信頼は、平和の理念と専守防衛によって築かれてまいりました。この大前提を踏まえた上で、あえて非核三原則を見直す可能性はあるか。また、連立相手たる維新が主張する核共有、憲法九条二項の削除を政府として検討する余地があるのか、お聞きします。

 さらに、原子力潜水艦の保有論議、防衛装備移転三原則運用指針五類型の見直しについてはどのような理念と方針で検討されるのか。加えて、核兵器禁止条約へのオブザーバー参加を通じた核廃絶についてどう考えるか、総理の基本的なお立場をお聞かせください。

 政府高官が、非公式の場とはいえ、日本は核武装すべきと発言したと報じられました。この人物は現在も官邸で安全保障や核不拡散を担当していますか。それは適切なことですか。更迭の要否を含め、総理の見解を伺います。

 対米外交について伺います。

 トランプ氏は既に力による平和へと米国の姿勢を大きく変質させつつあり、私は強い懸念を抱いています。総理はこの変化をどう認識していますか。三月の訪米の際、法の支配に基づく国際秩序の支持と回復、並びに一昨日突如報じられた追加関税対策を含め、トランプ氏に強く明確な意思表示をすべきと考えますが、総理の答弁を求めます。

 日中関係についてお聞きします。

 存立危機事態をめぐる総理の発言を機に関係は急速に冷え込み、産業、貿易、観光、民間交流等に深刻な影響が出ています。中国側の過剰反応に自制を求めつつ、日中間の基本合意を改めて確認し、緊張緩和に努めるお考えはありませんか。総理のお考えをお聞きします。

 防衛費について伺います。

 防衛費は既にGDP比二%、十一兆円に達しました。そのための所得増税が来年からスタートします。今後これを更に拡大する可能性はあるのか。その財源はどうするのか。どこまでは抑止力の強化で、どこからは緊張の激化なのか。その線引きも含め、総理の見解を伺います。

 国家情報局の設置について伺います。

 情報機能の強化自体を否定しません。しかし、情報収集、分析の対象範囲をどうするか。権限の中身、収集した情報の政治利用の危険性等、重大な懸念点もあります。これらに関する現時点の総理のお考えをお聞かせください。

 スパイ防止法について伺います。

 その必要性を一定理解するにしても、定義の曖昧さや運用次第で、逆に国民の相互不信や相互監視、密告社会の到来など、人権侵害の危険性が強く危惧されます。極めて慎重な立場から、総理のお考えをお聞きします。

 エネルギー政策について伺います。

 我が党は、エネルギーの安定供給を重視する立場から、厳格な審査と避難計画を含む安全管理の徹底を前提に、原子力発電所の慎重な再稼働をやむなしとする立場です。一方、新増設を含め、将来にわたって原子力や化石燃料への依存を固定化した社会を次世代に引き継ぐことは無責任と考えます。

 最終的には、再エネを中心にエネルギーの国産化へと明確にかじを切るべきです。エネルギー自給国はもちろん、世界第六位の広大な海洋面積を生かす浮体式洋上風力、総理も言及されたペロブスカイト太陽電池など、日本の強みを存分に発揮すれば、将来的にエネルギー輸出国すら視野に入ると私は考えますが、総理のお考えをお聞きします。

 憲法と立憲主義について伺います。

 権力が強大になればなるほど憲法は国民の側に立つ、私はそう考えます。憲法は、国家権力の無制限な拡張を予定しておらず、むしろ立憲主義の理念に基づき権力を監視し、抑制する装置でもあり、かつ国の最高法規です。巨大与党が誕生した今こそ、その重みはかつてなく増しています。

 私は、観念的、イデオロギー的、あるいは歴史修正主義的改憲論とは一線を画します。憲法もまた法規。最高法規であっても法規である以上、改正論議は、実務的、実際的、なおかつ冷静で客観的なものでなければなりません。

 この立場からすれば、改憲論は常に具体的でなければならず、どこにどんな不具合があり、どの条文をどう改めれば何がどのように改善されるのか、その成果とリスクをどう見極め、反対意見や慎重論にどう丁寧に向き合うのか、その検証過程が極めて重要です。

 例えば、内閣の解散権の制約、また、法律論で十分ですが、あえて一層明確化する観点から、婚姻に関する規定、さらに衆参の定数配分や合区の見直しなど、国民の権利を高める議論には大いに賛成です。

 一方、総理が想定する改憲論の中身はどんなものですか。どんな事情に基づき、どの条文を、どのように改めるのか。期待される成果やリスク、反対意見や慎重論にどう向き合うのか。その上で、いつ改憲発議することを目指すのか。現時点で、自民党総裁として、具体的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 総理の施政方針演説では、患者さんにとって極めて負担の重い高額療養費の自己負担限度額の引上げ、そして選択的夫婦別姓については一言も触れられませんでした。国民生活や人権に直結する大事な問題ですので、総理のお考えをお聞きします。

 政治改革について伺います。国民の不安や閉塞感の背景には、経済社会の行き詰まりだけでなく、深刻な政治不信があります。

 まず、衆議院の定数削減について伺います。

 私たちは定数削減そのものを否定しません。しかし、定数は議会制民主主義の根幹です。結論ありき、削減ありきの数合わせは厳に慎むべきです。大事なことは、多様な民意をいかに反映するか、そして、少数政党も含め、選挙制度改革と一体かつ丁寧な合意形成です。少なくとも、今回、一年で結論が出なければ自動削減、比例定数のみ削減といった乱暴な手法は取らない、この点をこの場で明確にお約束ください。

 いわゆる裏金問題についてお聞きします。

 今回の総選挙で、裏金に関与した議員が相次いで復活し、党幹部にまで名を連ねたことに強い違和感を抱いています。率直に伺います。裏金問題は解決したのか。なかったことにするおつもりですか。お答えください。

 総理に要請します。裏金に関与した議員には、政治資金収支報告書の実質的かつ正確な訂正を指示してください。金額は分かるが使途不明といった形式的修正では不十分です。その結果を調査し、国民に報告すべきです。さらに、実質的な訂正が不可能な場合には、これを個人所得とみなし、課税対象として、修正申告、延滞税、加算税を含む追徴納税を行わせてください。総理の覚悟をお聞きし、答弁を求めます。

 企業献金について伺います。

 長年、政治不信の温床となってきたこの問題に今こそ決着をつけようではありませんか。全面禁止を理想としつつ、まずは受け手の限定、寄附限度額の引下げなど、規制強化の断行について、総理の答弁を求めます。

 残念ながら、総理御自身にまつわる疑惑についてもお聞きせざるを得ません。

 まず、総理が支部長を務める政党支部が政治資金規正法の上限を超える企業献金を受けていた問題です。これはどのような経過で起きた問題ですか。また、旧統一教会関係者によるパーティー券購入について、実際に購入があったにもかかわらず、当時の自民党調査や報道機関の調査に対し、総理がこれを秘匿し、正直に答えなかった疑惑が指摘されています。さらに、パーティーの売上収入を寄附と偽り、購入者の寄附金控除に便宜を図った疑いも持たれています。仮にこれが事実であれば、脱税への加担すら疑われかねない重大な事態です。

 一連の疑惑の責任について総理はどう認識しておられるか。総理御自身がその事実を知っていたのか、知らなかったのか。また、御自身及び事務所関係者の責任の所在、処分の有無等について、具体的にお答えいただきたいと思います。

 最後に、総理の過去の政策や政治姿勢を記したコラムが公式サイトから全面削除されたとの報道がありますが、これは事実ですか。事実であれば、なぜなのか。過去の言動は、政治家としての一貫性や責任を検証する素材として重要な資料です。その事実関係と理由の説明を求めます。

 改めて総理に伺いたいと思います。

 総理の言う強くて豊かな日本とは、どのような日本ですか。総理の演説から受けた私の印象は、数字としてのGDP、防衛力、そして国家の威信といった類いのものです。それらも当然重要です。しかし、それだけで日本は本当に強い国と言えるでしょうか。

 私が目指すのは、強い国家だけではありません。そこに暮らす一人一人の国民が安心して暮らし、将来に希望を持てる社会。すなわち、国民生活に強さがある国こそが真の強い国家である、私はそう確信します。

 かねてより私は、我が国を福祉国家としてよみがえらせたい、そう願ってまいりました。ただ弱者を守るだけでなく、社会の活力につながる福祉国家、すなわち競争力のある福祉国家です。そういう国へと日本を生まれ変わらせたいと願っています。

 近く本格的な議論を開始しますが、その中で、人口減少が続く中、健全な経済と地域社会を維持していく決意です。少子高齢化の時代に、社会保障制度を再設計し、過重な現役世代の負担を減らすとともに、高齢者の安心と、世代間の不均衡の是正を両立してまいります。正規と非正規に分断された雇用を、フェアで信頼し合えるものに改めます。同時に、労働力不足の時代に、AIやロボットへの投資を通じて生産性を高めてまいります。莫大な財政赤字と長年の金融政策で失われた円の価値と信認を回復してまいります。

 そして、食料とエネルギーの輸入依存を改め、国家の基盤たるこれらを国産化していく決意です。毎年輸入している食料や燃料は、実に三十兆円以上。海外に流出しているこの国富を国内に循環させれば、直ちに最大の経済対策となり、直ちに最大の社会政策となるでしょう。

 競争力ある福祉国家、その理念と理想を実現することを目指して、近く具体的なプランを示し、党内外に向けて発信し、国民的論議に付す覚悟です。

 やがて、世界の国々が日本と同じ高齢化と人口減に直面します。例外なくです。そのとき、もがき、苦しみ、世界に先んじて変貌を遂げた日本が必ず世界の光となります。課題先進国として苦しみ続けた日本が世界に先駆けて変革を遂げる。競争力ある福祉国家という新たな概念が、世界の模範となり、手本となり、モデルとなり、希望となる。それが私の夢であり、私は、その日が来ることを信じて疑いません。

 だからこそ、私たちはこれからも、分断でも極論でもなく、迎合でも妥協でもなく、求められる正道、王道、道のど真ん中を、力強く、したたかに、そして温かく歩み続けようではありませんか。

 その決意を改めて申し上げ、最後に、総理、総理は史上初の女性総理です。現行憲法下はもとより、近代国家になって以降、もっと言えば古来まで遡っても、女性が我が国のリーダーであったことは極めてまれです。だからこそ歴史的な出来事であり、今後はこれをむしろ普通のことにしていかなければならない、そう感じています。

 しかし、総理には、だからこその未知の可能性と、だからこその想像を絶する御苦心がおありではないかと推察をいたします。日々の激務、御精励に改めて深く敬意を表し、どうぞ心身の健康に留意をされ、国のため、国民のために一層の御奮闘をいただくことを心よりお祈りを申し上げ、私の質問を終わります。

 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕

内閣総理大臣(高市早苗君) 小川淳也議員の御質問にお答えいたします。

 冒頭、私の内閣総理大臣就任への御祝意を賜り、また、御激励も賜り、ありがとうございます。

 小川議員の代表御就任をお祝い申し上げます。

 解散・総選挙の意図、意義についてお尋ねがございました。

 自由民主党及び公明党の連立政権の下で実施された令和六年の衆議院選挙で自民党の政権公約に掲げていなかった責任ある積極財政、安全保障政策の抜本的強化、政府のインテリジェンス機能の強化などの重要な政策転換を、自民党と日本維新の会の連立政権という新たな枠組みで進めてよいかどうか、主権者である国民の皆様に信を問うために解散という重い決断をし、総選挙においても、こうした政策転換を有権者の皆様に御理解いただくべく、しっかり訴えてまいりました。

 解散の時期につきましては、物価高対策等について令和七年度補正予算で当面の対策を措置し、その後、順次執行が進んでいたこと、重要な政策転換は主に今年の国会で御審議いただくことから、その前に国民の皆様の信を問うべきだと考えたこと、一月一日の能登半島地震、奥能登豪雨の犠牲者追悼の日や、一月十七日の阪神・淡路大震災追悼の日を静かな環境で迎える必要があったこと、一月中旬に韓国及びイタリアの首脳を日本でお迎えすることが既に確定していたことなどを考慮したものでございます。

 その上で、できるだけ早く国会を開会させ、令和八年度税制改正関連法案を始め、今年度末までに成立が必要な法案や令和八年度予算の早期成立を図り、国民生活への影響を最小限にするために、総選挙を速やかに実施することといたしました。

 結果として、与党、野党を含めた候補者の皆様、真冬の選挙の管理、執行に当たった自治体等の皆様の準備期間が短くなってしまったことについては申し訳なかったと思っておりますが、相手に十分な準備期間を与えない意図があったという御指摘は当たりません。

 短期での解散権行使についてお尋ねがありました。

 解散・総選挙については、国民の皆様に信を問うために行うべきものであると考えており、御指摘のような、政権の延命を図るために行うつもりは、これまでも、今後とも、一切ございません。

 国会運営についてお尋ねがありました。

 先般の総選挙で賜った国民の皆様からの御信任を基礎として重要な政策転換をやり抜いていく、その大きな責任をしっかり果たしてまいります。様々なお声に謙虚に、真摯に耳を傾けながら、最善の政策を実行に移します。政策実現に御協力をいただける野党の皆様とも力を合わせて取り組んでまいります。

 その上で、主権者たる国民の皆様が期待される政策の効果をタイムリーにお届けするという観点から、熟議の後に決めるべきときは決めなければならない、それが民主主義のルールであると考えています。

 令和八年度予算の審議についてお尋ねがございました。

 予算審議の方針を含め、国会の運営については、国会においてお決めいただくものと承知をしております。

 その上で、国民生活に支障を生じないよう、今後、与党とも相談し、野党の皆様にも迅速な審議について御協力をお願いしながら、令和八年度予算と、今年度末までに成立が必要な法案の年度内の成立を目指してまいりたいと考えております。

 令和八年度予算の審議時間の確保と暫定予算についてお尋ねがありました。

 令和八年度予算の審議日程を含め、国会の運営については、国会においてお決めいただくものと承知をしております。

 その上で、国民生活に支障が生じないよう、野党の皆様にも御協力をお願いしつつ、令和八年度予算について年度内に成立させていただけるよう、国会での御審議に誠実に対応してまいりたいと考えております。

 債務残高対GDP比を管理する責任ある積極財政についてお尋ねがありました。

 債務残高対GDP比は、政府が負う債務について、その返済の原資となる税収を生み出す元となる国の経済規模、すなわちGDPに対してどの程度の割合になっているかを示した指標です。主要国でも活用されており、財政の持続可能性を見る上で有意義なものと考えています。

 高市内閣では、市場動向や経済指標を常に十分注視しながら、責任ある積極財政の考え方に基づく経済財政運営を行い、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を安定的に引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保していきます。

 賃上げについて、十分に進んでいない理由、今後の見通し、並びに国民生活が悪化し続けている理由についてお尋ねがありました。

 我が国の経済は、長年のデフレの中で、企業部門がコストカットを行ってきた結果、収益の増加に比べて、賃金や将来のために必要な投資が抑制され、物価上昇を上回る賃上げも進まず、国民生活も好転してこなかったと考えます。

 他方、足下では、賃上げ率が二年連続で五%を上回るなど、長く続いたコストカット型経済から、その先にある新たな成長型経済へと移行する段階まで来ました。

 毎月勤労統計におけるサンプル入替えの影響を調整した実質賃金で見ると、その伸びは、政府経済見通しでお示ししたとおり、令和六年度にプラスとなっており、令和七年度及び八年度もプラスとなる見通しです。

 今後、政府としては、強い経済の実現により、賃上げの原資を生み出すとともに、物価高対策を着実に実施していくことで、物価上昇を上回る継続的な賃上げを実現してまいります。

 裁量労働制についてお尋ねがありました。

 裁量労働制については、労使から、健康確保を前提に制度の拡充を求める意見がある一方で、長時間労働を助長しかねないため拡充すべきではないという意見も示されています。

 働き方の実態とニーズを踏まえて、日本成長戦略会議の下に設けられた労働市場改革分科会や厚生労働省の審議会において、運用、制度の両面から議論を進めてまいります。

 百三十万円の壁対策についてお尋ねがありました。

 いわゆる百三十万円の壁については、できる限り被用者保険への移行を促していくことが重要であり、被用者保険の適用拡大を着実に実施していきます。

 また、働く方々に壁を意識せず働いていただける環境づくりを支援するため、キャリアアップ助成金を拡充するなどしており、これらの取組を通じ、誰もが希望する働き方の実現に向けた取組を進めていきます。

 食料品の消費減税についてお尋ねがありました。

 もちろん、実現を目指して、さきの総選挙では自民党の政権公約にも記載しています。

 食料品の消費税率ゼロについては、改革の本丸であります給付つき税額控除の実施までの二年間に限ったつなぎと位置づけ、給付つき税額控除への移行を見据えて検討を進める方針であり、超党派で行う国民会議で、これら二つの課題を同時並行で議論してまいります。

 その際、各党派により指摘された、実施に向け検討すべき諸課題についても議論を行い、結論を得てまいります。

 国民会議に参加する野党の皆様の協力を得られれば、夏前には国民会議で中間取りまとめを行い、必要な法案の早期提出を目指します。

 その際、財源についても、特例公債に頼らないことを前提に、国民会議に参加する会派の皆様とも相談、検討し、結論を得てまいります。

 円安の影響についての私の発言についてお尋ねがありました。

 お尋ねの私の発言は、既に対外的に御説明したとおり、円安が経済に与える影響について、一般論として、輸入物価の上昇を通じて国民生活、事業活動の負担を増加させるといったマイナス面がある一方、国内投資が進み、国内で生産した製品が海外に輸出しやすくなることを通じ、企業の売上げが改善するといったプラス面もあるとした上で、為替変動にも強い経済構造をつくりたいとの考えを申し上げたものであり、国民生活への想像と共感を欠いているとの御指摘は当たらないものと考えております。

 社会保障と税の一体改革についての国民会議についてお尋ねがありました。

 食料品の消費税率ゼロについては、党派によりその主張が様々であり、実施に向け検討すべき諸課題があるとの指摘も数多くいただいています。

 政府・与党としては、食料品の消費税率ゼロについては、給付つき税額控除の実施までの二年間に限ったつなぎと位置づけ、給付つき税額控除への移行を見据えて検討を進める方針です。

 これに関し、昨年の臨時国会では、立憲民主党の皆様から、中期的に食料品の消費税を下げ、もう少し長いスパンで給付つき税額控除をやると提案しているので協議したい、二年間の食料品減税は維新の会とは一致しており、公明党も近い、主な政党がこれだけそろえば実現可能な政策に結びつけられるので、そうした協議の場を設けてもらいたいとの趣旨の御提案を何度かいただきました。

 さらに、昨年後半から年明けにかけて、政府・与党は、立憲民主党、公明党、日本維新の会、自民党の四党の政策責任者を中心に、給付つき税額控除の制度導入を含めた社会保障と税の一体改革について、政府、与野党で共同開催する会議体をつくることで協議を続けてまいりました。

 その中で、野党の皆様から、通常国会中に中間取りまとめを、今年中を目途に最終取りまとめを行いたいとの御提案があり、政府・与党として合意しておりました。国民生活のためにスピード感を持って制度設計をする観点からも、まずは当該制度に関心を持つ与野党で議論し、その後、法案については国会の場で審議するということで、ほぼ合意に至っておりました。

 このため、今回、これら二つの課題を国民会議で同時並行で議論することとし、消費税が社会保障の重要な財源であることを認識しつつ、かつ、給付つき税額控除の実現に賛同いただいている野党の皆様に、政策責任者を通じてお声がけしていくこととしています。

 与党単独で国会に提案すべきとの御指摘につきましては、これら二つの課題は、受益と負担や国民経済に大きな影響を及ぼしますため、立民、公明、維新、自民の与野党協議における各党の御主張に沿って、政府・与党として国会に提案する前に、野党や有識者の皆様にも参画をいただきながら、国民的議論を進めることを考えています。

 野党の皆様の御協力が得られれば、夏前には中間取りまとめを行い、必要な税制改正関連法案を国会に提出することを考えており、その段階で、国会での十分な御審議をお願いすることとなるものと考えています。

 国会改革についてお尋ねがありました。

 国会での審議の在り方などについては、国会においてお決めいただくものであり、各党各会派での御議論を期待しています。

 御指摘のあったデジタル化の推進など、今の時代にふさわしい姿への改革は、政府にとっても業務の効率化に資するものであり、お求めがあれば、必要な協力を行ってまいりたいと考えております。

 安全保障政策についてお尋ねがありました。

 三文書の改定は、今後検討を進めていくものであり、現時点で具体的な内容について予断することは差し控えます。

 その上で申し上げれば、政府としては、非核三原則を政策上の方針として堅持しています。

 いわゆる核共有は、一般に、平素から自国の領土に米国の核兵器を置き、有事には自国の戦闘機などに核兵器を搭載、運用可能な態勢を保持することによって、自国等の防衛のために米国の核抑止を共有するといった枠組みと考えられていると承知をしています。

 お尋ねの核共有がこのような枠組みを示すのであれば、私としては、認められないと考えております。

 憲法改正については、内閣総理大臣としては、国会の憲法審査会における党派を超えた議論を期待しており、政府として、具体的な条文の在り方について見解を申し上げることは差し控えたいと思います。

 我が国を取り巻く安全保障環境の変化が加速度的に生じる中で、今後の防衛力については、具体的かつ現実的な議論を積み上げていく考えですが、現時点で、潜水艦の次世代の動力について決まっていることはございません。

 また、防衛装備移転の推進は、地域の抑止力、対処力を向上させるとともに、同盟国、同志国への販路拡大やサプライチェーン協力の拡大を通じ、防衛産業、デュアルユース技術を保有する他産業も含めて、国内経済の成長にもつながります。

 政府として、防衛装備移転三原則の運用指針の見直しを早期に実現すべく、与党とも相談しながら、具体的な検討を加速させてまいります。

 核兵器禁止条約への対応については、国際社会の情勢を見極めつつ、我が国の安全保障の確保と核軍縮の実質的な進展のために何が真に効果的かという観点から、慎重に検討する必要があると考えています。

 政府高官による核保有発言をめぐる報道については、個別の報道の逐一についてコメントすることは差し控えますが、私自身は核不拡散条約を重視する立場であり、政府高官から核保有に関する提言を受けたことはございません。

 米国の外交政策、日米首脳会談における法の支配に基づく国際秩序の扱いについてお尋ねがありました。

 米国の外交政策については様々な見方があることは承知していますが、国際社会の平和と安定にとり、米国の果たす役割は引き続き重要です。

 そうした中、トランプ政権が、ガザ情勢を始め、国際社会の平和に積極的に関与する姿勢を示していることは、前向きに受け止めています。

 法の支配については、自由で開かれたインド太平洋の中核的な理念です。

 昨年十月の日米首脳会談において、FOIPを力強く推進するために、緊密に連携していくことを改めて確認しました。

 来る日米首脳会談においても、日本外交の柱でもあるFOIPへの日米両国の強固なコミットメントを改めて確認したいと思います。

 米国の関税政策については、既に昨晩のうちに赤澤経済産業大臣とラトニック米国商務長官が電話会談を行いましたが、今後も米側と意思疎通を継続していきます。

 日中関係についてお尋ねがありました。

 中国との間で戦略的互恵関係を包括的に推進し、建設的かつ安定的な関係を構築していく方針は、私の総理就任以来、一貫しています。

 その上で、中国は重要な隣国であり、日中間に懸案と課題があるからこそ、意思疎通が重要です。

 我が国としては、中国との様々な対話についてオープンであり、今も各レベルで中国側と意思疎通を継続しています。今後も、国益の観点から、冷静に、適切に対応を行っていきます。

 防衛費についてお尋ねがありました。

 今後の防衛力については、我が国の主体的な判断の下、具体的かつ現実的な議論を積み重ねていく考えです。こうした議論の結果、今後の防衛力強化のための裏づけとなる予算を確保する上で必要な財源の在り方については、財政の持続可能性にも十分配慮しながら議論してまいります。

 その上で、防衛力の強化は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で、国民の皆様の命と平和な暮らしを守り抜くために必要なものです。我が国の保有する防衛力が自衛のための必要最小限のものであることに何ら変わりはなく、緊張を高めるとは考えておりません。

 国家情報局の設置についてお尋ねがありました。

 政府としては、今国会に、国家情報会議や国家情報局を設置する法案を提出する方針です。

 この法案は、政府全体を俯瞰する立場から、国民の安全や国益の確保に資する情報の戦略的な収集、集約、分析を進めようとするものです。お尋ねのような、情報の政治利用の危険性を高めるようなものではありません。

 なお、国家情報会議においては、政府の情報活動に関する基本方針を定めることを検討しています。こうした取組を通じ、国民の皆様にとっても、政府の情報活動について理解しやすくなるよう努めてまいりたいと考えております。

 いわゆるスパイ防止法についてお尋ねがありました。

 昨今の複雑で厳しい国際環境の下、外国勢力が我が国の意思決定に不当に干渉するリスクが生じており、まずは、そうした活動を阻止するための仕組みが求められます。

 その内容については、与党と緊密に連携しながら課題や論点を整理しているところであり、連立政権合意書に掲げられたほかのインテリジェンス政策を含め、必要な検討を進めてまいります。

 エネルギー政策についてお尋ねがありました。

 エネルギー自給率向上のため、我が国が強みを有するペロブスカイト太陽電池や次世代型地熱、浮体式洋上風力などについて、国内サプライチェーンの構築を進めるとともに、次世代革新炉の開発、設置、そして、世界に先駆けたフュージョンエネルギーの早期社会実装に向けて、取組をより一層加速していきます。

 こうした取組を積み重ねることにより、御指摘のとおり、海外にも展開できる技術を育ててまいります。

 憲法改正についてお尋ねがありました。

 憲法は、どのような国をつくり上げたいのか、その理想の姿を物語るものであり、社会や国民意識の変化などに応じてアップデートすべきものであると考えます。

 内閣総理大臣の立場から憲法改正について申し上げれば、憲法審査会における党派を超えた建設的な議論が加速するとともに、国民の皆様の間で積極的な議論が深まっていくことを期待しているということに尽きます。

 高額療養費制度の見直し、選択的夫婦別氏についてお尋ねがありました。

 高額療養費制度については、高齢化や高額薬剤の普及などにより高額療養費が増加する中で、持続可能性の確保と、長期療養者や低所得者へのセーフティーネット機能の強化の両立を目指して見直すこととしています。

 具体的には、超党派議員連盟の提言や、患者団体の方も参画した専門委員会での議論を踏まえ、年間上限の仕組みを新設することとしています。

 選択的夫婦別氏制度の導入の是非については、国民の皆様の意見や国会における議論の動向などを踏まえる必要があると考えています。

 政府としては、婚姻等による氏の変更により社会生活で不便や不利益を感じる方を減らすことができるよう、法制化の検討を含め、旧氏使用の拡大に取り組んでまいります。

 議員定数の削減についてお尋ねがありました。

 内閣総理大臣の立場から申し上げれば、議員定数の在り方は民主主義の根幹に関わる問題であり、各党各会派においてしっかりと議論を重ねることが重要と考えています。

 政治資金収支報告書の不記載についてお尋ねがありました。

 この問題については、これまでに、検察による捜査が行われた上で、それぞれの議員が記者会見、国会の政倫審への出席などを通じて事実関係を明らかにし、説明を行ってきました。そうした中で、それぞれの議員において政治資金収支報告書の訂正を含めた必要な対応を行ってきたものと認識しています。

 それらの対応を今全て誤りであるとみなして別の処理をするよう指示するということは、私としては考えておりません。もちろん、繰り返し申し上げておりますように、私はルールを徹底的に遵守する自民党を確立する考えであり、新しい事実が判明した場合には厳正に対処してまいります。

 企業・団体献金についてお尋ねがありました。

 政治資金の在り方については、各党各会派において丁寧に議論されるべきものであると考えております。

 政治資金などについてお尋ねがありました。

 まず、政党支部に対する寄附についてですが、支部としては、寄附を申し出る企業の側には、資本金の額によって寄附額に制限があるという法律の内容について、書面で必ずお伝えしております。

 それにもかかわらず、上限を超える寄附が行われたものであり、支部としては直ちに返金を行わせていただきました。故意によるものではなく、直ちに是正もしていることから、処分と言えることはしていませんが、支部の代表者として申し訳なく思っております。

 続いて、週刊誌報道についてのお尋ねですが、これらは週刊誌側には明確に否定したものです。

 まず、パーティー券購入についてのお尋ねですが、事務所に保管されている資料を確認させましたが、旧統一教会の関係者がパーティー券を購入したという記録は確認できませんでした。

 政治資金の処理についてのお尋ねですが、関係法令にのっとって適切に処理しているものと認識をしています。

 私のウェブサイトについてお尋ねがありました。

 衆議院議員選挙運動期間中は選挙向けの候補者サイトにしていましたが、これを通常のものに戻すに当たり、総理になってからコラムを書く時間もなくずっと更新できていなかったこともあり、コラム欄は削除しました。

 政治姿勢についても同じでございますが、私の政治姿勢として議員立法を重んじる旨が書かれておりましたが、内閣総理大臣が議員立法を提出することはできないので、削除をいたしました。

 サイトそのものをシンプルにするために、コラム欄以外にも幾つかを削除し、読みやすくした次第です。

 強くて豊かな日本についてお尋ねがありました。

 日本列島を、強く豊かに。これは、さきの総選挙における自由民主党の政権公約そのものです。国民の皆様が直面している物価高への対策から、責任ある積極財政、地域未来戦略、外交、安全保障政策、子供、子育て政策、給付つき税額控除制度、飲食料品の二年間消費税率ゼロ、外国人政策に至るまで、幅広い分野について詳細な政策提言を国民の皆様にお示ししています。

 この政権公約を一つ一つ実現し、それぞれの政策目的を実現した将来像こそ、高市政権が目指す強く豊かな日本列島でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(森英介君) 鈴木俊一君。

    〔鈴木俊一君登壇〕

鈴木俊一君 自由民主党の鈴木俊一です。

 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、高市総理の施政方針演説に対して質問をいたします。(拍手)

 さきの総選挙において、高市政権に対し、国民の皆様から多くの御信任をいただきました。大きな期待をいただいていることは、大変ありがたいことだと思います。しかし、期待には結果が求められます。掲げた政策が実行されているのか、数の力に慢心せず丁寧な政権運営が行われているか、国民から常に厳しい目が注がれていることを忘れてはなりません。我が自由民主党も、謙虚な姿勢で国会に臨んでまいりたいと思っております。

 我々が生きる社会は、これまでとは全く異なる局面にあります。

 先人たちの努力により、我が国は戦後八十年にわたって平和国家としての姿勢を貫き、世界の安定と繁栄に貢献してきました。しかし、今、ウクライナ侵略を続けるロシア、軍事力強化を進める中国や北朝鮮、自国優先を貫く米国など、これまでの国際秩序はもはや崩れつつあり、我が国を取り巻く環境は極めて厳しい状況にあります。

 価値観が大きく揺らぐ今、政治に求められるのは、進むべき方向を示す羅針盤となり、社会の調和と前進を図ることです。次の世代の安心と希望のために、今を生きる我々が、持てる知恵を総動員し、現状より一歩でも前に進むための努力を続けなければならないと思います。

 こうした私の問題意識の下、以下、質問をさせていただきます。

 高市政権は、責任ある積極財政との考え方の下、財政規律を踏まえつつ必要な分野に大胆な財政出動を行い、日本経済の底上げを図る方針を掲げておられます。

 そもそも我々は、これまで一貫して経済の好循環の実現を目指してきました。我が国のGDPは六百兆円を超え、株価は今年に入って五万七千円前後まで上昇するなど、我が国経済は今、長きにわたる低成長から脱却し、大きく胎動し始めています。

 この流れをしっかりと軌道に乗せ、持続的で安定的な成長へとつなげていかなければなりません。そのためには、足下の不安に寄り添いつつ、将来を見据えた日本の成長戦略を描き、必要な施策を戦略的かつ積極的に進めていくことが重要だと思います。

 経済の要は、まさに循環です。三十年にわたる日本経済の停滞に終止符を打ち、新たなステージへと移行させるためにも、今芽吹きつつある好循環の流れを更に加速させていくことが重要と考えますが、総理の経済政策に対する基本的な考え方についてお伺いをいたします。

 責任ある積極財政について、一部で、放漫財政になるといった批判や財政規律を脅かすといった懸念も聞かれます。しかし、高市政権の下で取りまとめられた来年度予算案では、新規国債発行額は前年度に引き続き三十兆円未満に抑えられ、公債依存度は二四・二%と、二十七年ぶりの低水準となった前年よりも更に依存度が下がっております。

 総理は、財政の持続可能性を確保するためには、成長する経済を築いていかなければならないとの姿勢を示されていますが、特に市場からは、日本の財政が持続可能なものであるか、政治家が国の財政にどのような姿勢で臨んでいるかが厳しく見られています。改めて、政権運営に当たっての財政に対する総理の基本姿勢についてお伺いをいたします。

 経済の好循環を実現するためには、成長を促すだけでなく、成長で生まれた果実を国民生活につなげる必要があります。そのために最も重要なのは、賃上げです。昨年、三十年ぶりとなる賃上げ水準を二年連続で達成し、直近三年で、名目賃金は八%、最低賃金は一三%近く上昇するなど、持続的な賃上げに向けて確実に歩みを進めています。

 他方、ここ三年で食料品の価格は二割近く上がり、エネルギーコストも増大するなど、急激な物価上昇によって国民の負担感が大きく高まっています。

 高市政権が昨年取りまとめた総合経済対策では、ガソリン暫定税率の廃止や冬場の電気・ガス料金支援、地域の実情に応じて的確な支援を行うための重点支援地方交付金の拡充など、足下の物価高から国民生活を守るための施策が盛り込まれました。まずは、これを着実に執行していくことが重要です。

 その上で、息の長い成長に向け、賃上げが継続できる環境を整え、物価と賃金が適切に循環する状況をつくっていくべきと考えますが、物価の上昇が暮らしを圧迫する現状をどう打破し、持続的な賃上げを実現するためにどのような取組を進めていくお考えか、総理にお伺いいたします。

 好循環の実現に当たり、賃上げと並んでもう一つ重要なのは、将来を見据えた国の成長戦略です。経済を循環させ、持続的な成長を果たすためには、中長期的な視点に立ち、予見可能性を持って政策を進めていくことが求められます。

 高市政権は、強い経済の実現を掲げています。昨年の経済対策にも、足下の対策や支援だけではなく、日本の成長や社会課題の解決に資する投資の推進に向けた中長期的な施策が多く盛り込まれました。

 また、総理は、日本成長戦略本部を立ち上げ、我が国の成長戦略を策定するとともに、十七の戦略分野について危機管理投資や成長投資を推進する方針を示されました。

 戦略的かつ積極的な投資は、我が国経済の成長に不可欠なエンジンです。特に不確実性が高まる今だからこそ、この機を逃さずに、リスクや社会課題に対し先手を打って投資を行い、リスクを最小化するとともに、日本の未来の可能性を大きく育んでいくべきと考えますが、我が国における成長戦略策定の意義について、総理にお伺いをいたします。

 経済成長を加速させ、社会課題を解決する原動力となるのが科学技術やイノベーションです。最近は、科学技術の急速な進展によって、研究の成果がすぐに社会実装されることも珍しくありません。特に今、安全保障環境が厳しさを増し、さらに、気候変動やエネルギーといった地球環境の課題に直面する中で、重要技術をめぐる国際競争が激しくなっており、科学技術の重要性はますます高まっています。

 科学技術の発展やイノベーションには、基礎研究の積み上げや人材育成が必要不可欠であり、国の戦略的な支援の下、長期的かつ安定的な投資を行っていくことが重要と考えますが、科学技術・イノベーション政策に関する総理のお考えを伺います。

 科学技術の中でも近年、急速な進歩を遂げ、我々にとって身近な存在となっているのがAIです。しかしながら、我が国は、AIの普及や利活用をめぐって他国に後れを取っており、国際競争力がここ数年で急速に低下しているとの調査もあります。

 今やAIは、我々の生活や産業を支える技術にとどまらず、安全保障を含む我が国経済社会の重要な基盤となるものです。高い利便性を有する一方で、偽情報の拡散やAI兵器など、生活を脅かすリスクとなり得ることにも目を向けていかなければなりません。

 総理は、世界で最もAIを開発、活用しやすい国にするとの方針を掲げていますが、今後、適正利用に向けた環境整備を含め、我が国がAI技術とどう向き合っていくべきとお考えか、総理にお伺いをいたします。

 自動車や電化製品など、今や生活や産業のあらゆる面で欠かせないものとなっているのが半導体です。特に昨今はAI技術へのニーズが急速に高まっており、半導体の重要性は一段と増してきています。

 こうした状況の中で、日本の技術力を生かし、半導体分野で国際競争力を高めていくことは、我が国の成長にとって極めて重要です。そしてまた、半導体が生活や産業に不可欠な物資であるからこそ、安定供給に向けた国内の生産基盤強化は喫緊の課題でもあります。

 我が国では現在、国産の次世代半導体の生産に向けたラピダスプロジェクトが進んでいます。最近では、かつてゲーム機やスパコンの開発に関わった技術者が集まり、新たな半導体の設計に取り組むなど、スタートアップ企業も国内で生まれています。

 デジタル社会の中核を成す半導体分野において、我が国が後れを取ることのないよう政府として取組を後押しし、世界に伍して競争できるデジタル産業基盤を築いていく必要があると考えますが、我が国の半導体戦略について、総理のお考えをお伺いいたします。

 我が国は、四面を海に囲まれた海洋国家です。それゆえ、貿易量の九九%以上を海上輸送に依存しており、海運、造船といった海事産業は、国民生活や経済活動、ひいては国の安全保障を支える重要な役目を担っています。

 しかしながら、人手不足や物価高などの影響によって建造量は減少傾向にあり、造船業の再生は急務となっています。我が国に不可欠な産業として自律性と優位性を確保するため、造船業の再生に国家戦略として取り組むべきと考えますが、総理のお考えを伺います。

 地球規模課題の解決に向けた宇宙の利活用について、世界で様々な取組が進んでいます。宇宙開発体制の強化は、我が国の安全保障に直結するものであり、国民の安心、安全を守り抜くためにも不可欠です。

 高市政権は昨年、宇宙基本計画の新たな工程表を決定し、基金による技術開発の支援、人工衛星やロケット部品の生産基盤の構築など、宇宙開発利用の推進に向けた施策を打ち出されました。

 今、我が国の宇宙開発は正念場を迎えています。科学技術は国力の源泉であり、総合的な戦略に基づく研究開発や人材育成を切れ目なく行っていくことが重要と考えますが、宇宙政策について、総理のお考えをお伺いいたします。

 我が国は、世界有数の災害大国です。一昨年の能登での地震や豪雨を始め、昨年も九州地方で大雨被害が相次ぐなど、近年は大規模な災害が全国各地で頻発しています。また、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、インフラ老朽化に対する国民の不安も高まっています。

 こうした見えないリスクから国民の命や暮らしを守り抜き、社会機能を維持していくためには、国土強靱化に向けた取組を加速させていかなければなりません。

 本年、東日本大震災から十五年、熊本地震から十年を迎えます。社会資本の整備は、国民の安心、安全を確保するのみならず、将来にわたり国や地域の財産として残り続ける重要な未来への投資でもあります。まずは、来年度からスタートする防災・減災、国土強靱化中期計画に基づき、必要な施策を集中的に実施していくことが重要と考えますが、令和の国土強靱化に向けた取組をどのように進めていかれるのか、総理にお伺いをいたします。

 次に、国の安全保障についてです。

 安全保障とは、有事に備え、あらゆるリスクから我が国の独立と国民の生命や財産を守り抜くことです。平和を脅かす事態は、いつ、どんな形で起こるか分かりません。だからこそ、平時から不断に万全の備えを行っていくことが重要です。

 そのために、国の根幹を成す外交と防衛を車の両輪としつつ、我が国が主体的かつ優位性を持って国益を守り抜けるよう、取組を進めるべきです。

 安全保障の基本となるのが防衛力です。今から四年前、我が国の防衛力を抜本的に強化するため、新たな国家安全保障戦略が策定されました。しかし、その後、ロシアによるウクライナ侵略や中国の軍事力強化、さらには、AI、ドローン、サイバー等による安全保障基盤のデジタル化など、取り巻く環境は加速的に変化しています。

 こうした状況を踏まえ、高市総理は、安保戦略に定める防衛費の対GDP比二%水準を前倒しして措置するなど、防衛力強化にスピード感を持って取り組まれています。

 我が国の独立と国民の命や暮らしを守り抜く総合的な防衛体制の構築は急務です。多様化するリスクにも対応できるよう、実効性の高い防衛力を早急に確保することが求められていると思いますが、我が国の防衛力強化に向けた総理の御所見をお伺いいたします。

 近年、政府や企業へのサイバー攻撃が多発し、情報の漏えいや物流システムの停止など、社会活動に大きな影響が出ています。我が国の重要インフラに対する重大な攻撃も日常的に行われるなど、サイバーの脅威は安全保障上の大きなリスクとなっています。

 昨年来、能動的サイバー防御を可能とするサイバー対処能力強化法の制定や国家サイバー統括室の設置など、サイバーセキュリティー確保に向けた体制整備が進められてきました。

 デジタル技術が加速度的に発展する時代において、サイバー安全保障分野での対応能力の向上は急務です。国がこれまで以上に積極的な役割を果たしながら、官民で連携し、国民生活や産業を守り抜いていくべきと考えますが、自由で公正かつ安全なサイバー空間の構築に向けた取組について、総理のお考えを伺います。

 技術の急速な進歩に伴って、その基盤となるエネルギーや鉱物資源の重要性が高まっています。さらに、今後、AIや半導体、先端技術の開発や普及によって、その需要がますます増大することが見込まれています。

 しかしながら、我が国のエネルギー自給率は一五%と低く、鉱物資源に至っては、そのほとんどを輸入に頼るなど、安定供給の確保は喫緊の課題です。

 国際情勢が一層不安定となる中、社会生活や経済活動を守るためには、我が国として、特定の国に依存することなく、自らの足で立てるような供給体制を構築していく必要があります。エネルギーや資源の安定確保に向けた取組について、総理の御所見をお伺いいたします。

 我が国では、豊かな自然を生かした農林水産物が全国各地で生産されています。一方で、我が国の食料自給率は三八%にとどまっており、気候変動や価格の急騰など、食料の安定供給に対する国民の不安が高まっています。

 国民が将来にわたって食料を安定的に確保できる体制を整えていくことは、国の責務です。我が国の最新技術を最大限に生かしながら、稼げる農業をつくっていくためには、土地改良やスマート農業の導入など、現場の声に耳を傾けつつ、生産基盤の強化を柔軟に進めていかなければなりません。

 政府は現在、五年間で集中的に施策を実行し、農業の構造転換を図る方針を掲げていますが、我が国の食料安全保障の確保に向け、具体的にどのように取り組んでいく考えか、鈴木農林水産大臣に伺います。

 世界に目を向けると、ウクライナ情勢や中東情勢に加え、不安定な政治体制を抱える欧州、力による平和を標榜する米国など、国際社会は混迷し、不確実性が高まっています。

 我が国として重要なのは、冷静かつ毅然とした姿勢で国益を守り抜くとともに、各国と幅広い分野で連携を強化し、自由で開かれた国際秩序の維持強化に向けて、国際社会の結束を図っていくことです。

 高市総理は就任以来、ASEAN、APEC、G20といった国際会議に出席され、アジア太平洋諸国やグローバルサウスの国々と積極的なコミュニケーションを図られてきました。また、米国のトランプ大統領を始め、韓国、欧州、オーストラリアなどとも首脳会談を行い、連携強化を確認されています。

 分断や対立が起こりやすい時代だからこそ、協調に向けた外交努力が重要です。強固な同盟関係にある米国はもとより、隣国であり、地域と国際社会の平和と発展に共に重要な責任を負う中国を含め、様々な国と対話を重ねながら、日本が自ら旗手となって平和と繁栄をつくっていくべきと考えますが、総理の掲げる平和と繁栄をつくる責任ある日本外交の実現に向けたお考えを伺います。

 我が国の人口は十五年連続で減少し、一昨年には出生数が初めて七十万人を下回るなど、深刻な人口減少に直面しています。

 人口は国力の源であり、持続的な成長にとって不可欠であります。人口減少社会と向き合い、日本国の繁栄を将来にわたって維持するためには、減少トレンドの反転を目指すと同時に、必ずしも人口の数に頼らない、真に強く豊かな社会を目指していかなければなりません。

 その大きな糧となるのが、地方の活力です。我が国には、様々な可能性を秘めた地域資源が数多くあります。この伸び代を最大限生かし、地方に経済の拠点を形成することで、地域産業の活性化や雇用の創出を生み、活力ある地域社会、ひいては日本全体の成長へとつながっていくはずです。

 私の地元岩手県では、昭和四十年代以降、電気機械関連の企業の進出が相次ぎ、近年は半導体関連メーカーの立地が増えてきています。また、平成五年以降、自動車大手の工場建設をきっかけに関連産業の集積が進み、十年間で従業員数が三割、拠点数が八割増えるなど、東北地方に大きな経済効果をもたらしています。今や両産業は、製造品の出荷額が県全体の四割を占め、県内経済を支えているだけでなく、東北経済を牽引する強力なエンジンとなっています。

 総理は、地方の活力は日本の活力との認識の下、夏までに地域未来戦略の政策パッケージを取りまとめる方針を掲げておられます。活力ある地域経済こそ、人や物を集め、活気あふれる地方をつくっていくものと考えますが、我が国の成長に資する、活力ある地域づくりに向けた総理のお考えを伺います。

 近年、訪日、在留外国人の増加に伴って、一部の外国人によるルールからの逸脱や制度の不適切な利用に対し、国民が不安や不公平を感じる状況が発生しています。グローバル化が進み、多様な価値観があふれる中、秩序ある共生社会をつくっていくことは極めて重要です。ルールを守る外国人が多数いる中で、ルールを守らない外国人には厳格に対応し、国民の安心、安全につながるよう、国内の制度整備を急がなければなりません。

 他方、海外とのつながりは我が国にとって大きなエネルギーにもなっています。今後、対日直接投資の促進や外国人材の受入れ、インバウンド消費の拡大などを通じて、我が国の成長や社会課題の解決に資する海外活力を積極的に取り込んでいくべきです。

 そのためにも、我が国の制度や文化への理解を深め、ルールを遵守し、責任ある行動を取っていただくことが重要と考えますが、お互いが安心して暮らせる共生社会の実現に向けてどのように取り組んでいかれるお考えか、小野田担当大臣に伺います。

 我が国では現在、少子高齢化が加速しています。二〇四〇年には高齢化率が三五%に達する一方、これを支える現役世代が大幅に減少すれば、給付と負担のバランスが崩れ、社会保障制度の維持が困難になる可能性も懸念されます。

 国民の命と健康を守ることは重要な安全保障の一つでもあります。時代や環境の変化に応じ、将来にわたって安心できる社会保障制度をつくっていかなければなりません。

 総理は、社会保障制度改革を進めるため、超党派の国民会議を開き、与野党の垣根を越えて議論を行っていく方針を掲げられています。

 社会保障関係費の急増や現役世代の負担上昇といった問題意識を共有しつつ、全ての世代を通じて納得感が得られる社会保障制度となるよう、しっかりと議論を積み上げていくことが重要と考えますが、社会保障改革の方向性や進め方について、総理のお考えを伺います。

 憲法は、国のあるべき姿を示す国家の基本法です。社会構造や国民意識が時代とともに変化する中で、その在り方について広く議論し、国民とともに改正の早期実現に取り組んでいくべきと考えますが、憲法改正について、総理のお考えを伺います。

 また、安定的な皇位継承等の確保についても、我が国の根幹に関わる事柄であり、ゆるがせにすることがあってはなりません。静ひつな環境の中で議論を深め、結論を得ていかなければならないものと考えますが、御所見を伺います。

 元来我が国は、和をもって貴しとなす国です。これまで幾多の困難に遭いながら、時代にふさわしい秩序を確立し、前進を続けてまいりました。その歴史と我が国の底力を信じ、自由民主党は、国民とともに、調和と活力ある社会を必ずつくってまいります。

 このことを結びに申し上げ、私の質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕

内閣総理大臣(高市早苗君) 鈴木俊一議員の御質問にお答えいたします。

 経済政策に対する基本的な考え方についてお尋ねがありました。

 我が国の潜在成長率は主要先進国と比べ低迷していますが、そのために圧倒的に足りないのが国内投資です。

 高市内閣では、過度な緊縮志向、未来への投資不足への流れを断ち切り、官民が手を取り合って世界共通の課題解決を目指す危機管理投資と成長投資などにより、日本の成長につなげてまいります。

 これにより、暮らしの安全と安心を確保し、雇用と所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益が上がり、税率を上げずとも税収が自然増に向かう強い経済を構築します。

 この好循環を実現することで、日本経済のパイを大きくするとともに、物価上昇に負けない賃金上昇を実現します。

 そして、国民の皆様の日々の暮らしと未来への不安を希望に変えてまいります。

 財政に対する基本姿勢についてお尋ねがありました。

 高市内閣の責任ある積極財政は、財政の持続可能性に十分配慮した財政政策であり、マーケットからの信認を損なう野方図な財政政策を取るわけではありません。

 実際に、令和八年度予算でも、責任ある積極財政の考え方の下、投資すべき分野に大胆に投資するなど、強い経済の実現に取り組むとともに、予算全体のめり張りづけを行いつつ、国の一般会計において、新規国債発行額を二年連続で三十兆円未満に抑え、公債依存度も低下させるなど、財政の持続可能性に十分配慮しました。

 今後とも、金利、為替を始め、日々の市場動向を常に十分注視しながら、責任ある積極財政の考え方に基づく経済財政運営を行い、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を安定的に引き下げていくことにより、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保していきます。

 物価高対策及び持続的な賃上げのための取組についてお尋ねがありました。

 物価高への対応については、高市内閣として最優先で取り組み、総合経済対策や令和七年度補正予算に、ガソリン、軽油の暫定税率の廃止や補助による値下げ、電気・ガス料金の支援、重点支援地方交付金による支援などを盛り込み、一世帯当たり、標準的に年間八万円を超える支援を実施しています。

 こうした取組は順次国民の皆様に届き始めており、引き続き、迅速かつ着実な執行に努めます。

 持続的な賃上げの実現に向けては、政府としては、事業者が継続的に賃上げできる環境を整えます。

 具体的には、良質な雇用を支える中堅企業や、売上高百億円を目指す成長志向の中小企業、地域経済を支える小規模事業者などの稼ぐ力を抜本的に強化します。

 プッシュ型の伴走支援や生産性向上、省力化支援に加え、官公需での対策を含めた価格転嫁、取引適正化の徹底、事業承継やMアンドAの環境整備に取り組みます。

 さらに、本年夏に向けて、賃上げ環境整備に向けた対応を含む成長戦略を策定することとしています。その中で、施策を更に充実強化するための具体的な検討を進めていきます。

 成長戦略策定の意義についてお尋ねがありました。

 高市内閣では、経済安全保障、食料安全保障、エネルギー・資源安全保障など様々なリスクを最小化する危機管理投資、AI・半導体、造船などの先端技術を花開かせる成長投資により、世界共通の課題解決に資する製品、サービス、インフラを開発し、国内外に提供することで、日本の成長につなげます。

 先ほど述べたとおり、我が国に足りないのは、資本投入量、すなわち国内投資です。

 このため、十七の戦略分野について、複数年度予算や長期的な基金による大胆な投資促進、国際展開支援、人材育成、研究開発、産学連携、国際標準化、防衛調達を含む官公庁による調達、規制・制度改革といった、供給及び需要の両面にアプローチする多角的な観点からの総合支援策を講じます。

 この夏に日本成長戦略を策定し、こうした施策を強力に推進することで、国内投資の促進に徹底的なてこ入れをし、我が国経済の成長を実現します。

 科学技術・イノベーション政策についてお尋ねがありました。

 強い経済の基盤となるのは、優れた科学技術力です。

 大学改革を進めるとともに、基礎研究への資金提供を含めた科学技術研究の基盤を強化し、イノベーションを通じた経済成長や国際的地位の確保を達成する新技術立国を目指します。

 また、DX、AI化の進展などの産業構造転換に対応した人材育成を進めます。

 AI技術についてお尋ねがありました。

 AIは、我が国の産業競争力や安全保障などの国力に直結する重要な技術です。

 まずは、昨年末に策定した人工知能基本計画に基づき、御指摘の偽情報の拡散などのリスクへの対応とイノベーション促進の両立を図ってまいります。

 具体的には、AIの研究開発や活用の適正性を確保するためのAI指針の周知徹底、AIロボットを始めとしたフィジカルAIに不可欠な国産汎用基盤モデルの開発などを進めてまいります。

 さらに、今年の夏までに、日本成長戦略を構成する投資目標、制度改革、人づくり、データ戦略などを含む官民投資ロードマップを盛り込む形で、AI基本計画を更に充実させるよう小野田大臣に指示をしております。世界で最もAIを開発、活用しやすい国を目指してまいります。

 半導体戦略についてお尋ねがありました。

 半導体は、今後、国内外において急速な市場拡大が見込まれており、成長投資の要となる戦略分野です。

 政府としても、これまで、AI・半導体産業基盤強化フレームを策定し、事業者の予見可能性を確保しました。

 こうしたフレームも活用しつつ、熊本のJASMや北海道のラピダスなどについて、戦略的かつスピード感を持って取り組んでいます。

 先日、TSMCのシーシー・ウェイ会長にお会いした際、高市内閣が、生成AI、自動運転、ロボティクス等の最先端技術への投資を促すのみならず、需要の喚起や人材育成にも積極的に取り組んでいることには、日本国内の半導体産業の成長に大きく寄与するといったお話をいただきました。

 このようなAI、半導体投資は、スタートアップの創出や、熊本や北海道における半導体関連産業の集積など、地域経済にも大きく波及し、地域未来戦略における産業クラスター形成の軸になるものです。

 今後、官民投資ロードマップを夏の成長戦略の取りまとめに向けて具体的にお示ししていく方針です。

 その中には、AIと半導体の戦略投資を一体的に拡大することにより需要と供給の好循環を実現するなどの戦略を盛り込んでまいります。

 造船業の再生についてお尋ねがありました。

 造船業は、海上輸送に不可欠な船舶を安定的に供給し、国民生活、経済活動のみならず、安全保障も支える極めて重要な産業です。

 厳しい国際競争の中にはありますが、我が国の造船業には、ゼロエミッション船など、新たな需要をつかみ、成長産業として大きく飛躍できるポテンシャルがあります。

 高市内閣では、造船を戦略分野の一つに位置づけています。船舶建造量の倍増に向け、官民投資ロードマップを策定し、造船業再生基金などを通じて、大胆な投資促進策を講じてまいります。

 宇宙政策についてお尋ねがありました。

 国際競争が激化する中、我が国の自律性を確保するため、御指摘の新たな宇宙基本計画工程表を着実に実行してまいります。

 とりわけ、我が国の宇宙開発の基盤となる技術力や産業基盤を強化することが重要です。

 宇宙は、日本成長戦略における十七の戦略分野の一つです。宇宙戦略基金による予見可能性の高い投資促進に加え、政府調達や制度整備など、供給及び需要の両面にアプローチする多角的な観点からの総合支援策を講じていきます。

 できるだけ早期に官民投資ロードマップを提示し、宇宙分野での我が国の勝ち筋に対し、戦略的な投資が進んでいく姿をお示しします。

 令和の国土強靱化についてお尋ねがありました。

 自然災害が激甚化、頻発化し、インフラ老朽化に対する国民の皆様の不安も高まる中、御指摘のとおり、未来への投資でもある国土強靱化の取組を加速させる必要があると考えています。

 デジタル技術や衛星などのテクノロジーも活用しながら、ハード、ソフトの両面で、事前防災及びインフラの予防保全を徹底するため、第一次国土強靱化実施中期計画に基づく取組を集中的に実施してまいります。

 防衛力強化についてお尋ねがありました。

 前回三文書を改定した二〇二二年と比べ、各国が無人機の大量運用を含む新しい戦い方や長期戦への備えを急ぐなど、安全保障環境の変化が様々な分野で加速度的に生じています。

 このため、高市内閣においては、まずは、現行の国家安全保障戦略に定める対GDP比二%水準について、前倒しして、令和七年度に措置しました。

 そして、安全保障環境の急速な変化に対応していくためには、抑止力の更なる強化、サイバー、宇宙、電磁波、無人アセットなどの領域への着実な対応、防衛生産・技術基盤の更なる強化、自衛官の処遇の改善といった防衛力の抜本的強化を、これまで以上のスピード感で進めていかなければなりません。

 国民の皆様の命と暮らしを守り抜くために何が必要なのか、具体的かつ現実的に議論を積み上げ、三文書を前倒しで今年中に改定し、現実的で強靱な安全保障政策を前に進めてまいります。

 サイバーセキュリティー対策についてお尋ねがありました。

 我が国においても、重要インフラがサイバー攻撃を受ける事案が発生するなど、サイバー空間の脅威が国民生活や経済活動、ひいては国家安全保障にまで大きな影響を与え得る状況が生じています。

 厳しさを増すサイバー情勢に対応するため、昨年、サイバー対処能力強化法が成立するとともに、新たなサイバーセキュリティ戦略を策定しました。

 これらの法律や戦略の下、サイバー対処能力の更なる強化、社会全体のサイバーレジリエンスの向上など、サイバーセキュリティー対策の強化に積極的に取り組んでいくことで、自由、公正かつ安全なサイバー空間を確保し、国民の皆様の命と暮らし、経済を守り抜いてまいります。

 エネルギーや鉱物資源の安定供給の確保についてお尋ねがありました。

 エネルギーは、国民生活及び国内産業の基盤であり、鉱物資源も、自動車や半導体などの産業に必要不可欠です。

 まず、エネルギー安全保障の観点から、省エネ技術の活用を進めるとともに、国産エネルギーを確保することが重要です。

 また、地域の理解や環境への配慮を前提に、サプライチェーンの強靱性確保を図りながら、脱炭素電源を最大限活用します。

 あわせて、資源外交やJOGMECによるリスクマネー供給支援などを通じた資源調達先の多角化などに取り組みます。

 次に、重要鉱物の安定供給確保に向けては、同志国との連携を通じた代替供給源の確保や、南鳥島周辺海域のレアアースを含む国産資源開発を進めてまいります。

 平和と繁栄をつくる責任ある日本外交の実現についてお尋ねがありました。

 我が国は、戦後一貫して平和国家としての道を歩んできました。

 世界の平和と安定、繁栄に積極的に貢献する日本の姿は、国際社会に広く知られ、揺るぎない信頼を得ており、日本外交の強固な基礎となっています。

 安倍元総理が自由で開かれたインド太平洋を提唱してから十年。

 この間、地政学的な競争の激化、AI、デジタルなどの加速度的な技術革新とその覇権争いといった変化の中で、各国が自律性と強靱性を強化する必要が高まっています。

 このような中、高市内閣として、FOIPを外交の柱とし、経済安全保障上の協力、経済成長機会の創出、安全保障分野での連携強化を中心に、FOIPを時代の変化に合わせて進化させていきます。

 こうした取組を通じ、インド太平洋を共に強く豊かにし、平和と繁栄をつくる責任を果たすことにより、信頼される日本であり続けたいと考えます。

 地域未来戦略についてお尋ねがありました。

 地域の特性に応じた地域発のアイデア創出を募り、これまでの地方創生の支援策や税制などの政策ツールを最大限活用しつつ、大胆な投資促進策と産業用地を含めたインフラ整備とを一体的に講じます。

 そのことを通じた都道府県知事などとの協働により、各地に産業クラスターを戦略的に形成していきます。

 加えて、魅力ある地域資源を生かした地場産業の成長を支援し、地方から日本を成長軌道に押し上げてまいります。

 社会保障制度改革についてお尋ねがありました。

 社会保障制度を持続可能なものとするため、全ての世代で能力に応じて負担し、支え合い、必要なサービスが必要な方に適切に提供される全世代型社会保障を構築することが重要です。

 OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しや、データヘルスなどを通じた効率的で質の高い医療の実現などを進めていく中で、現役世代の保険料負担を抑えます。

 あわせて、社会保障制度における給付と負担の在り方や所得再分配機能について、国民会議において、与野党の垣根を越え、有識者の英知も集めて議論し、結論を得ていきます。

 憲法改正についてお尋ねがありました。

 憲法は、どのような国をつくり上げたいのか、その理想の姿を物語るものです。

 内閣総理大臣としては、憲法審査会における党派を超えた建設的な議論が加速するとともに、国民の皆様の間で積極的な議論が深まっていくことを期待しております。

 安定的な皇位継承についてお尋ねがありました。

 皇室典範の改正は、国家の基本に関わる先送りのできない喫緊の課題であると認識しています。

 国会において皇室典範の改正に向け議論が進展し、速やかにまとまっていくことを期待しています。

 政府としては、国会における議論を経て、速やかに法改正に取り組んでまいります。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣鈴木憲和君登壇〕

国務大臣(鈴木憲和君) 鈴木俊一議員の御質問にお答えいたします。

 食料安全保障の確保に向けた具体的な取組についてのお尋ねがありました。

 農業の生産基盤を維持し、日本の国力の底上げと、食料安全保障を強化していくためには、まず、国内のみならず、農産物、食品の輸出を始めとした世界における日本の食のマーケットをつくり、これに向けて生産を拡大することが重要と考えております。

 このため、全ての田畑をフル活用し、令和七年度から五年間の農業構造転換集中対策期間において別枠予算を確保し、農地の大区画化や中山間地域におけるきめ細かな整備、共同利用施設の再編合理化、スマート農業技術、新品種の開発、輸出産地の育成といった農業の構造転換への集中投資を実施し、生産性の抜本的な向上に努めてまいります。(拍手)

    〔国務大臣小野田紀美君登壇〕

国務大臣(小野田紀美君) 鈴木俊一議員から、外国人政策についてお尋ねがありました。

 我が国に在留する外国人の増加に伴い、一部の外国人による、我が国の法やルールを逸脱する行為や制度の不適正な利用について、国民の皆様が不安や不公平感を感じる状況が生じております。

 これを踏まえ、本年一月二十三日、新たに、外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策を取りまとめました。

 この総合的対応策においては、外国人の方々にも日本社会の一員として責任ある行動を取っていただくことを基本的な考え方とした上で、国民の皆様の安全と安心を確保し、外国人政策を秩序あるものとするため、これまで着手できていなかった問題も含め、幅広い施策を盛り込みました。

 このことは、ルールを守って暮らしている外国人の方々にも資するものです。

 法やルールを守りながら居住する外国人のためにも、関係大臣と連携し、総合的対応策に盛り込まれた施策の実施にしっかりと取り組んでまいります。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(石井啓一君) 中司宏君。

    〔中司宏君登壇〕

中司宏君 日本維新の会の中司宏です。

 会派を代表し、高市総理の施政方針に対し、総理に質問させていただきます。(拍手)

 国の根幹に関わる重要政策の大転換、これこそが、自由民主党と日本維新の会との連立による高市政権が成し遂げなければならない課題です。

 高市総理は、解散・総選挙に際し、国論を二分するような大胆な政策にも果敢に挑戦し、連立政権合意書に書かれた大きな政策転換を成し遂げるため、国民の信を問うと述べられました。

 結果、自民、維新の与党両党で三百五十二議席。憲法改正ラインの三分の二を超える議席を預からせていただくことになり、国論を二分するどころか、国民の皆様から大きな信任をいただきました。

 我々日本維新の会は、国家観を同じくする高市総理を全力で支え、しがらみなく国政を改革し、政策を実現するために与党入りしたのであり、日本を再起するため、覚悟を持って政権のアクセル役となり、連立政権合意書に掲げた政策を実現してまいります。

 国家の運営は、単なる数合わせではできません。国の根幹、国家の背骨、すなわち国柄に関する思想を同じくするからこそ、共に国家を運営することができるのです。両党で力を合わせ、高市政権を長期安定政権にすることが、国難を突破し、日本列島を強く豊かにし、自立する国家としての歩みを進めることにつながると確信をしております。

 この特別国会は、冒頭の高市総理の言葉のとおり、国の根幹に関わる重要政策の大転換を成し遂げていく国会です。連立政権合意書には、いわゆる十二本の矢、十二領域、四十八項目の政策を掲げています。十二の領域とは、すなわち、経済財政関連政策、社会保障政策、皇室・憲法改正・家族制度、外交安全保障、インテリジェンス政策、エネルギー政策、食料安全保障・国土政策、経済安全保障政策、人口政策及び外国人政策、教育政策、統治機構改革、政治改革です。

 また、連立政権合意書の前文にあるとおり、戦後八十年にわたり、国を再建する過程で積み残してきた宿題を前向きに解決しなければなりません。我が国の二千有余年にわたる悠久の歴史を胸に刻み、誇りと希望が持てる日本を取り戻すためには、義命の存するところ、戦後八十年の宿題の解決が必須なのです。

 政策の大転換という大事を成すに当たり、日本の日本たるゆえん、つまり日本の心が重要なのだと私は信じております。

 信はこれ義の本なり。事ごとに信あるべし。それ善悪成敗は、かならず信にあり。群臣共に信あるときは、何事か成らざらん。群臣信なきときは、万事ことごとくに敗れん。これは、日本の心を示された、聖徳太子の十七条憲法第九条の一節です。

 我々の連立政権は、戦後八十年の宿題を解決し、総決算するという大きな仕事を成し遂げていかなければなりません。高市政権を支える同志の皆さん、国民の皆様からの信に応えるべく、我々自身も信をもって政策の遂行に当たろうではありませんか。

 そこで、高市総理に伺います。

 まず、今国会でアクセルを踏んで進めなければならないのは、物価高騰対策と社会保障改革であり、財源確保のための歳出改革、加えて、改革の中でもセンターピンと位置づけています議員定数削減と副首都構想です。

 総理は、先日、物価高騰対策として、食料品消費税を二年間ゼロとする措置を給付つき税額控除導入までのつなぎと位置づけ、国民会議で議論を進め、夏前に中間取りまとめを行う方針を示されました。

 我が党としても、食料品消費税ゼロによって、物価高に苦しむ国民の皆さんに即効性ある対策を届けることと、給付つき税額控除により恒久的な制度を確立することが不可欠と考え、総選挙で訴えてまいりました。

 実現できなければ、国民の皆さんとの約束をほごにすることになります。つなぎという表現をされましたが、食料品消費税ゼロが物価高対策として重要であること、また、この実現を目指し、検討を前向きに加速させる、その思いに変わりはないことを、改めて、総理、明言していただけますか。

 我が国の社会保障給付費は、少子高齢化の進展を背景に年々増え続け、二〇二五年度の予算ベースでは百四十・七兆円まで膨張し、高齢者がピークを迎える二〇四〇年度には百九十兆円規模に達すると推計されています。

 我が党は、社会保障制度を将来にわたり持続可能なものとするために、昨年の参院選挙前から一貫して社会保険料を下げることをマニフェストに掲げ、一兆円の医療費削減効果が見込まれる余剰病床の削減や、OTC類似薬を始めとする薬剤給付の見直しなど、具体的な道筋を描いてきました。

 これらの取組は、長年先送りされてきた医療制度改革を前に進めるための大きな一歩であったと考えますが、総理はどのように認識されますか。

 現役世代にとって、社会保険料負担は重過ぎます。年収三百五十万円の単身世帯は社会保険料を年間五十万円支払い、また、その同額を雇用主も負担しています。これは、企業による賃上げや雇用を抑制するばかりか、若者から結婚や子育ての意欲を奪うものであります。

 現役世代に負担が集中することによる悪循環を断ち切り、少子化に歯止めをかけるべく、連立政権合意書には、中央社会保険医療協議会の改革や医療介護保険システムの全国統合プラットフォームの構築など、抜本的な医療制度の構造改革を掲げ、十三項目を順次実行することといたしました。

 現役世代に負担が偏る現行制度の構造的な不公平を抜本的に是正し、持続的な社会保障制度を構築するために、総理自ら先頭に立って、社会保障改革の新たなステージを切り開く、強い決意をお示しください。

 連立政権合意書においては、責任ある積極財政と責任ある歳出改革を車の両輪と位置づけています。

 来年度予算案は、一般会計総額が百二十二・三兆円で過去最大となりましたが、総理は、この規模について、責任ある積極財政の範囲内であり、財政規律との両立が図られているとお考えか、総理の見解を求めます。

 政府は、昨年、いわゆる政府効率化の担当部署として、内閣官房に租税特別措置・補助金見直し担当室を設置しました。改革を実現するために生まれた我が党がかねてから求めてきた組織であり、財政規律確保の切り札として、積極的に後押ししています。

 そこで、租税特別措置や補助金、基金のうちで政策効果の乏しいものや役割が終わったものは聖域なくメスを入れるべきと考えますが、総理の覚悟を伺います。

 施政方針演説で、総理は、補正予算が組まれることを前提とした予算編成と決別し、当初予算で措置する旨を表明されました。

 当初予算を小さく編成し、補正予算で規模を膨らますという今の予算編成の実態は、プライマリーバランスの赤字、ひいては非効率な予算運営の要因と考えます。

 予算の膨張を防ぐべく、補正予算を前提とした予算編成との決別を必ずやり遂げる、総理、その意気込みをお示しください。

 連立政権合意書では、一割を目標に衆議院議員の定数を削減するため、さきの臨時国会において法案を提出し、成立を目指すこととされていました。

 経済の低迷や財政赤字の拡大、物価高など、日本が抱える問題を解決するためには、既得権益にメスを入れる抜本的な改革が不可欠であり、その実現には、まず隗より始めよの故事のごとく、政治家が率先垂範して自らの身を切る、すなわち議席を削る覚悟を示し、本気の改革を実践しなければなりません。

 しかも、議員定数の削減は、かつて、消費税増税に当たり、当時の自民党と民主党とが取り決めたものの、消費増税だけが行われ、それとセットとされていた定数削減は、様々なやらない理由がつけられて先送りされてきました。これは十数年越しの宿題なんです。

 これから始まる改革に先んじて、定数削減を今国会で必ず実現すべきと考えますが、自民党総裁としての確固たる決意を伺います。

 我が国は、明治維新以降、中央集権により急速な近代化を実現したものの、時代の変化とともにその仕組みは硬直化し、地方の衰退と永田町への陳情型の政策運営を招いてきました。地域の実情や多様なニーズを十分に反映できない現状の中央集権型の国家運営は、我が国の成長の阻害要因となってきたと認識しますが、見解をお示しください。

 また、東京に大規模災害やテロが発生した場合、政治、行政、経済といった国家中枢機能が同時に停止する危険性があります。こうしたリスクに備えるためには、副首都を制定するなど首都機能の確実なバックアップ体制の構築と各ブロックの経済機能強化が必要不可欠であると考えますが、認識を伺います。

 日本維新の会は、東京一極集中の是正を皮切りに分権改革を推進し、行く行くは、副首都に指定された地域を道州制の州都となし、行政、経済機能を多極化させることで、各地域が特色を発揮しながら切磋琢磨して発展し、国は国家の基本政策を行う国家像を思い描いております。

 副首都法を成立させ、この壮大な統治機構の改革に先鞭をつけることは、我々の責務であると考えています。副首都及び道州制を含むその先の統治機構改革の在り方と実現に向けた総理の見解を伺います。

 次に、国の根幹に関わる重要施策について質問いたします。

 まずは、皇室について伺います。

 皇統の安定は、国家の根幹に関わる、先送りできない課題です。総理も、就任前、皇位については、一貫して、男系男子で継承されるべきとの主張をされてきたと承知をしていますが、悠久の時を超えて先人が守り抜いてきた男系継承を後の時代へとつなぎ続ける意義を改めて伺います。

 安定的な皇位継承、皇族確保に向け、自民、維新両党は、養子縁組による旧宮家の男系男子の皇族復帰案を第一優先に、今国会での皇室典範改正を目指すことで合意をしています。皇室典範の改正を実現する決意をお示しください。

 次に、憲法改正について六点伺います。

 総理は、かねてより、総理在任中の国会発議を目標とする旨を述べておられます。また、連立政権合意書においても、我が党が昨年九月にまとめた、二十一世紀の国防構想と憲法改正の提言を踏まえ、与党で憲法九条改正論議を行うこととなっております。また、高市総理は、昨年六月五日の衆議院憲法審査会において、九条につきましては、二〇一二年四月二十七日の自民党の憲法草案がベストだと思っていますと答えておられます。

 そこで、一点目として、憲法改正、特に九条の改正について決意を伺います。具体的にどのように憲法改正論議をリードし、国民投票を実現させるのか、青写真をお示しください。

 二点目として、連立政権発足後、与党による憲法改正条文起草協議会を設置し、憲法九条改正に関する議論を深めてきましたが、条文案をいつまでに集約するお考えですか。

 三点目、日本をめぐる安全保障状況を踏まえれば、自衛隊の明記、すなわち、単に自衛隊という名称を明記するだけでは済まない状況になってきていると考えますが、認識はどうでしょうか。

 四点目、九条二項削除を始めとする、我が党の二十一世紀の国防構想と憲法改正の提言について、率直にどう評価されていますか。

 五点目、緊急事態条項についても、与党の条文起草協議会において論議し、令和八年度中に条文案の国会提出を目指すことで合意しています。目指すではなく、実現させる覚悟はおありかどうか、お聞かせください。

 六点目、今、衆議院において、与党は憲法改正ラインの三分の二を超えています。連立政権合意書にも、可及的速やかに、衆参両院の憲法審査会に条文起草委員会を常設することとしています。まずは衆議院憲法審査会における条文起草委員会の常設を実行すべきですが、いつまでに設置するお考えか、今国会で実現させる決意をお示しください。

 戦後八十年の宿題については、国家安全保障の領域に大きな積み残しがあります。国家安全保障において、各国は、外交政策、インテリジェンス活動、防衛政策、経済財政政策の四つのツールを駆使して国益を追求しています。

 戦後の我が国は、吉田茂首相の吉田ドクトリンに基づき、軽武装、経済重視、すなわち外交面と経済面に重きを置いてきました。当時、荒廃した国土から我が国が再び立ち上がるために必要な道ではあったものの、国家機能の一部に欠缺があったと言わざるを得ません。

 そこで、国家安全保障の観点から、五点質問します。

 第一に、我が国の安全保障環境は、戦後最も厳しい局面にあります。中国、北朝鮮、ロシアが連携を深め、とりわけ、中国の台頭と外洋進出は二十一世紀最大の地政学的変動と言えます。このような安全保障環境下でインド太平洋地域における勢力均衡を維持するため、アメリカが同盟国に対しても役割と負担の分担の強化を強く求める中、我が国に問われているのは、断片的な個別政策ではなく、国家の戦略としての一貫性と覚悟であります。

 我が国は、単に安全保障上の支援を受ける側にとどまるのではなく、自立する国家として主体的に抑止構造を構築し、共に地域の安定を担う国家としての姿勢を示す必要があるのではないでしょうか。総理の基本認識を伺います。

 第二に、防衛装備移転三原則の運用指針に定められた五類型の撤廃について、我が党は柔軟な運用を可能とすべきと考えております。

 政府は、武器輸出三原則及び防衛装備移転三原則を憲法の平和主義の精神にのっとったものと説明しています。平成二十九年の政府見解では、国際紛争の助長や侵略行為に使われると承知の上での輸出は憲法の精神に反するとされていましたが、裏を返せば、そうでない輸出は容認されるとの解釈も成り立ちますが、見解を求めます。

 そもそも、力による現状変更を試みる国々との戦力格差を是正することは、紛争を助長するのではなく、むしろ、抑止を強化し、平和を維持することに資するものと考えますが、いかがでしょうか。

 第三に、少子化により自衛官の採用難が深刻化する中、人的基盤の確保と処遇改善は防衛力維持の要であります。自衛官の使命と負担に見合った待遇を確保するため、恩給制度の創設を検討し、安心して服務できる環境を整えるべきです。

 また、令和八年度中に階級、服制及び職種等の国際標準化を実行することで、同盟国との即応性と相関性を高めることが重要と考えます。恩給制度の創設と階級等の国際標準化を進めることについて、いつ、どのような形で実施されるのか、伺います。

 第四に、多極化する国際社会において、国際平和の構築は我が国外交の柱であります。連立政権合意書では、外務省に和平調停専門部署を設置し、専門人材を育成するとしていますが、これらを通じ平和を構築する外交手段を涵養することで、日本が国際社会においてより重要な役割を担うことができると考えます。和平調停の能力強化に関する総理の決意を伺います。

 第五に、総理は三月に訪米し、トランプ大統領との日米首脳会談に臨まれる予定です。日本が対中抑止の最前線にある以上、我が国の意向抜きの対中ディールは失敗することをトランプ大統領にしっかりと理解、認識してもらうことが不可欠ですが、この点についてのお考えを伺います。

 次に、インテリジェンスについて伺います。

 第一に、連立政権合意書では、我が国のインテリジェンス機能が脆弱であり、インテリジェンスに関する国家機能の強化が急務であるという認識の下で、総合的なインテリジェンス改革を行うこととしています。そのために、今国会において、政府は、関連法案を提出し、国家情報局、国家情報局長及び国家情報会議の創設を行うこととしています。国家情報会議及び国家情報局は我が国のインテリジェンスにおける中枢機関ですが、そのためには情報要求権及び情報アクセス権を付与することが不可欠です。見解をお聞かせください。

 第二に、令和九年度末までに設置することとした対外情報庁については、既存の機関の傘下ではなく、独立していることが重要です。この論点に対し、令和九年度末までの創設を実現するためには、早々に準備を進める必要があります。令和八年度に実施する具体的な対応について伺います。

 第三に、いわゆるスパイ防止法、すなわち外国勢力からの諜報活動に対する防諜のための法律に関し、現行法で対応できない領域はどこで、その領域に対応するためにはいかなる法整備が必要なのか、十分な検討が必要と考えます。連立政権合意書では、関連法制について令和七年度に検討を開始し、速やかに法案を策定し成立させるとしています。令和七年度における政府の検討状況と、令和八年度中に具体的にどのような作業を行い、いつまでに関連法制を成立させるお考えか、総理の描く青写真を教えてください。

 次に、外政の重要政策について伺います。

 まず、拉致被害問題についてです。

 十三歳のとき横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されて、半世紀近くとなりました。母、横田早紀江さんは、今月四日、九十歳の誕生日を迎えられ、拉致被害者の親世代で存命中なのは早紀江さんのみとなりました。拉致被害者、特定失踪者の方々の帰国への展望は開けないまま、時だけが流れています。

 総理は、衆議院解散の記者会見でいち早く拉致問題を挙げるなど、並々ならぬ思いを抱いておられると確信しています。十六日には、拉致被害者の家族会の方々と面会後、SNSで、日朝が共に平和と繁栄を享受する未来を描けるよう、首脳同士で正面から向き合う覚悟だと表明されました。

 北朝鮮を動かすには、米国の関与も不可欠です。全ての拉致被害者、特定失踪者を一日も早く奪還すべく、米韓両国や国連など、国際社会と緊密に連携を取り、国際世論を後ろ盾として、北朝鮮に圧力と対話で臨むことはもちろんですが、特に、トランプ政権と盤石な関係を構築し、日朝の直接交渉の機会を探るべきだと考えます。三月に訪米を控える総理に、その見解と決意を伺います。

 次に、経済安全保障について伺います。

 日中間の緊張が高まる中、中国は軍民両用品の輸出規制を発表しました。中国の措置に対して的確な対策が求められますが、特に重要なのは、レアアースの確保に向けた国際的連携であります。中国に頼らないサプライチェーンの構築は、我が国を含め世界経済の発展の絶対条件と言っても過言ではありません。

 二月二日に海洋研究開発機構は、南鳥島近海の水深五千六百メートルの深海底からレアアース泥の採取に成功したと発表し、大いに期待しております。

 これら国産資源を含め、同盟国や同志国とともに、レアアース確保に向けた国際的連携への戦略をお示しください。

 次に、戦没者の遺骨収集について伺います。

 戦没者の遺骨収集は、法に基づき、国の責務として旧戦域で行われていますが、戦後八十年たった今なお、海外戦没者二百四十万人のうち、百十二万人の英霊の御遺骨が置き去りにされたままです。

 そこで、超党派の議員連盟を立ち上げ、これまでサイパンや沖縄での活動に参加しました。

 サイパンでは、昭和十九年七月七日、日本軍の最後の組織的戦闘として、いわゆる万歳突撃が決行され、この日だけで四千三百人の日本兵と、四百人の米兵が亡くなっています。日米合同の戦没者慰霊祭に参加した際、バンザイクリフから二十分ほど茂みを歩いた洞窟内で、四人のものと思われる遺骨と、靴や弾薬等の遺留品を確認しました。サイパンだけでも、依然として二万六千人が収容されていません。

 沖縄では、糸満市にある真謝原のごうで、自衛隊、米兵及びボランティアの皆様とともに作業を行いました。国内の沖縄ですら、まだおよそ三千人の御遺骨が残されていると言われています。

 戦争の犠牲となられた方々の御遺骨が全て帰還されるまでは、我が国の戦後は終わりません。祖国を案じながら亡くなられた方々に対する思いと、御遺骨収集の加速化に向けた取組について伺います。

 最後に、内政の重要政策について質問いたします。

 まず、日本国国章損壊罪についてです。

 連立政権合意書に基づき、日本国国章損壊罪を制定し、外国国章損壊罪のみが存在する矛盾を是正することとしています。実現に向けた総理の思いを伺います。

 次に、氏の在り方についてです。

 連立政権合意書では、旧姓の通称使用の法制化法案を令和八年通常国会に提出し、成立を目指すと、具体的な内容及び期限を合意しています。なぜ選択的夫婦別氏ではなく、旧姓の通称使用の法制化が重要なのか、総理から国民に対し、分かりやすい説明を求めます。また、この取組に対する総理の不退転の決意をお聞かせください。

 次に、成年後見制度について伺います。

 成年後見制度については、法改正に向けた準備が進められていますが、権利擁護と生活支援など、本来、家族を守るための制度が逆に家族関係を崩壊させる、本末転倒のケースが多く見受けられます。現状を十分踏まえた見直しを行うよう強く求めます。

 私がこの問題に取り組むようになったきっかけは、新聞記者時代の先輩が、この制度によって内縁だった奥様に会えなくなり無念のまま亡くなったことでした。よかれと思って成年後見制度を利用したのですが、その制度によって奥さんと引き離され、また、知らないうちに奥さん名義の不動産も売却されたと聞いています。

 なぜこのようなことが起こるのか。一旦利用を始めたらやめられないことや、制度発足時には親族が後見人の九割を占めていたのが、現在は弁護士、司法書士等の職業後見人が八割以上を占め、家族が事実上排除されるなど、構造的問題を抱えています。

 家族会からの聞き取りでは、職業後見人の選任後、家族が財産や健康状態の情報すら知らされない、本人が一方的に施設入所させられ面会を断たれる、親がだびに付されるまで所在を知らされない、家族の反対にもかかわらず、首長申立てで後見人がつけられてしまうなどといった事態も確認されています。

 にもかかわらず、現行制度には、本人や家族による不服申立ての手段も、相談窓口すら整備されていません。少なくとも、家族が希望すれば後見人になれるよう、柔軟な運用がなされるべきです。

 法の見直しにおいては、制度の普及に重きを置くのではなく、本人の自己決定と家族の関与が十分に尊重され、家族関係を大事にするような適正な運用こそ優先すべきと考えます。現行制度の問題点と改善の方向性について、総理の見解を伺います。

 また、制度改善の前提として、現状把握が不可欠です。利用者である高齢者や御家族、とりわけ制度により不利益を被った方々の声を直接聞く利用者実態調査を実施すべきです。現状を把握せずして改善の道筋は描けません。調査を実施するお考えがあるのかどうか、お伺いいたします。

 四月から、私立高校への所得制限のない就学支援金制度の拡充、いわゆる高校無償化が始まります。しかし、子育て世代への抜本的な支援体制の構築にはまだ不十分です。大阪市では、今年九月から第一子の保育料無償化が実施されます。現在、保育料の負担が最も重いのはフルタイムで働く世帯で、働けば働くほど子育て負担が増すこの状況は、大いなる矛盾と言わざるを得ません。一昨年の三党合意に始まり、昨年の連立合意でも、保育料負担の軽減は自民と維新との重要な約束となっています。

 少子化対策としても、子育て支援は、所得にかかわらず、全国どこであろうと誰もが享受できるサービスであるべきであります。今すぐにでも議論を進めてしかるべきだと考えますが、所見を求めます。

 次に、高市総理の下で外国人との秩序ある共生社会に向けた取組が始動したことは、我が党の提案を取り入れたものであり、大いに評価いたしております。しかし、肝腎の量的マネジメントの具体的プランの策定には至っておりません。外国人比率の上限設定や総量規制といった数値目標を伴う国家戦略の確立は、我が国の社会の安定と国民の安心を確保する上で不可欠と考えますが、どのように認識されていますか。

 令和八年度中に、外国人の比率や総量の上限目標を含む国家戦略を閣議決定し、次期ロードマップ等において量的マネジメントを人口戦略の中核に位置づけるべきだと考えますが、重ねて見解を伺います。

 近年、投資目的の外国人による不動産購入が増え、特に都市部のマンション価格が高騰して国民の手の届かない水準になっています。

 政府はこれまで、日本は世界貿易機関のサービスの貿易に関する一般協定、いわゆるGATSの締結に当たり、内国民待遇の留保事項を設けなかったために、外国人の不動産取得を制限できないと説明してこられました。これは当時の政府の落ち度であって、これを理由に制限できませんというのは国民も納得できません。

 GATS締結の際に留保をつけなかったことは政府の責任と考えているのでしょうか。そして、このことをどのように解決するのでしょうか。見解を求めます。

 さきの選挙で、党派を問わず、街頭演説会場などで大声などによる妨害行為が繰り返され、聴衆の皆さんが内容を聞き取れない、あるいは恐怖を感じて帰らざるを得ないという事態が各地で発生しました。

 表現の自由が民主主義の根幹であることは言をまちません。しかし、演説をかき消すほどの怒声を発したり、聴衆に詰め寄ったりするなどの組織的な妨害行為によって有権者の聞く権利が侵害されることは、選挙の公正性を損ないかねない事態だと考えますが、総理はどのように認識されているでしょうか。

 選挙後の冷静な環境にある今こそ、表現の自由の保障と選挙の公正確保の両立に向け、具体的なルールの整備についての議論を進めるべきと考えますが、併せて見解を伺います。

 さて、まさに今、このときこそ、自民と維新との連立政権が日本の大転換を成し遂げる、国運の分岐点なのであります。我々の存在は、大転換した政策の実現、その一点にあります。日本維新の会は、政権のパートナーであり、アクセル役として、また、時にはエンジンブレーキを利かせてコントロールをしながら、高市政権を全力でお支えし、我が国の繁栄のために全身全霊で働き、日本を動かしていくことをお誓いし、質問を終わらせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕

内閣総理大臣(高市早苗君) 中司宏議員の御質問にお答えいたします。

 食料品消費税と給付つき税額控除についてお尋ねがありました。

 税、社会保険料負担や物価高に苦しむ中所得、低所得の方々の負担を減らすことは重要です。給付つき税額控除導入までの間の二年間に限った負担軽減策として、食料品の消費税率ゼロについて、その実現に向けた諸課題に関する検討を加速してまいります。

 このため、超党派で行う国民会議において、二年に限り、特例公債に頼らないことを前提に、検討すべき諸課題を含め、給付つき税額控除の制度設計と併せて同時並行的に議論し、結論を得ていきたいと考えております。

 医療制度改革についてお尋ねがありました。

 日本維新の会との合意に基づき、病床数の適正化への支援やOTC類似薬などの保険給付の見直しを行うことといたしました。

 現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくことは重要だと認識しています。これらの取組を通じて、持続可能な社会保障制度の構築に向けた大きな一歩を踏み出すべく、政府・与党一丸で取り組んでまいります。

 社会保障改革についてお尋ねがありました。

 社会保障関係費の急激な増加に対する危機感と現役世代を中心とした過度な負担上昇に対する問題意識を共有し、持続可能な社会保障制度の構築に向けた改革に取り組んでまいります。

 日本維新の会と自由民主党の連立政権合意書に掲げた政策の実現に向け、政府・与党一丸となってギアを更に上げてまいります。

 令和八年度予算の規模と財政規律との両立についてお尋ねがありました。

 令和八年度予算については、責任ある積極財政の考え方の下、経済、物価動向等を適切に反映したほか、危機管理投資、成長投資といった投資すべき分野に予算を増額するなど、強い経済の実現に取り組んだ結果、一般会計歳出総額は百二十二・三兆円と過去最大となっています。

 こうした中でも、令和八年度予算では、予算全体の中でめり張りづけを行いました。国の一般会計において、新規国債発行額を二年連続で三十兆円未満に抑え、公債依存度も低下させたほか、二十八年ぶりにプライマリーバランス黒字化を達成するなど、財政の持続可能性にも十分配慮し、強い経済の実現と財政の持続可能性を両立させる予算とすることができたと考えております。

 租税特別措置や補助金、基金の見直しについてお尋ねがありました。

 責任ある積極財政の考えに基づく経済財政運営に当たっては、政府として必要な施策を国民の皆様に届けつつ、政策効果の低い租税特別措置や補助金、基金の見直しには不断に取り組むことが重要です。

 日本維新の会と自民党の連立政権合意書の内容を着実に前に進めるべく、令和九年度予算編成、税制改正においては要求段階から査定段階まで一貫した対応を行うこととしており、担当の片山大臣を中心に、与党とも相談しながら、見直しの検討を進めてまいります。

 補正予算を前提とした予算編成との決別についてお尋ねがありました。

 私はかねがね、経済成長を実現するために必要な財政出動を行うに当たっては、特に、民間事業者や地方自治体の取組を後押しするため、政府の予算の予見可能性を確保することが必要だと考えてきました。

 このため、毎年補正予算が組まれることを前提とした予算編成と決別し、必要な予算は可能な限り当初予算で措置します。

 令和八年度予算はその第一歩でしたが、今年夏の令和九年度予算の概算要求から本格的に取り組み、この約二年がかりの大改革を必ずやり抜いてまいります。

 今後、今年の骨太方針に向けて議論し、政府の予算のつくり方を改めてまいります。

 議員定数の削減についてお尋ねがありました。

 内閣総理大臣として申し上げれば、議員定数の在り方は民主主義の根幹に関わる問題であり、各党各会派においてしっかりと議論を重ねることが重要と考えています。

 もとより、自民党としては、日本維新の会と交わした連立政権合意書の内容を誠実に履行していく考えです。

 いわゆる副首都構想と道州制についてお尋ねがありました。

 国全体の持続的な発展のために、東京一極集中の是正に向けて、人や企業の地方分散を図ることは重要であると考えています。

 また、大規模災害時の危機管理機能のバックアップ体制を構築することも重要であると考えています。

 このような観点から、いわゆる副首都構想については、与党による協議体において精力的に御議論いただいていると承知しており、しっかりと議論を深めた上で、早急に結論を得ていただきたいと考えています。

 なお、道州制は、地方経済の活性化や行政の効率化を実現するための手段の一つではありますが、国と地方の在り方を大きく変更するものであり、その検討に当たっては、地方の声を十分にお聞きし、国会における御議論も踏まえつつ対応する必要があると認識しております。

 安定的な皇位継承等についてお尋ねがありました。

 皇室典範は、「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」と定めています。

 また、政府の有識者会議の報告は、悠仁親王殿下までの皇位継承の流れをゆるがせにしてはならないとしています。

 私はこれを前提としてしっかり進めていくべきだと考えています。

 皇族数が減少している現下の状況において、皇室典範の改正は先送りすることのできない喫緊の課題であり、是非とも実現していかなければなりません。

 国会において皇室典範の改正に向け議論が進展し、速やかにまとまっていくことを期待しています。

 憲法改正についてお尋ねがありました。

 憲法は、どのような国をつくり上げたいのか、その理想の姿を物語るものであり、社会や国民意識の変化などに応じてアップデートすべきものであると考えています。

 様々な観点から御質問をいただきましたが、内閣総理大臣としては、憲法審査会における党派を超えた建設的な議論が加速するとともに、国民の皆様の間で積極的な議論が深まっていくことを期待しており、お尋ねのあった事柄一つ一つについてお答えすることは控えさせていただきます。

 我が国の安全保障政策に対する姿勢についてお尋ねがありました。

 言うまでもなく、我が国の平和と独立は我が国自身が自らの判断と責任の下で守り抜いていくべきものです。

 自らの国を自らの手で守る、その覚悟なき国を誰も助けてくれはしません。

 安全保障環境の急速な変化に対応していくため、防衛力の抜本的強化をこれまで以上のスピード感で進めてまいります。

 防衛力の抜本的強化は、何よりも、相手に攻撃を思いとどまらせ、事態を未然に抑止することにつながります。

 同時に、日米同盟を基軸として、欧州の同志国とも連携し、日米韓、日、米、フィリピン、日米豪、日米豪印などの多角的な安全保障協力を深め、インド太平洋地域、さらには国際社会の平和と繁栄に貢献してまいります。

 防衛装備移転制度の見直しについてお尋ねがありました。

 我が国を取り巻く安全保障環境の変化が加速度的に生じる中、政府として防衛装備移転を更に推進し、地域の抑止力、対処力を向上させることが必要と考えています。

 また、防衛装備移転の推進は、同盟国、同志国への販路拡大やサプライチェーン協力の拡大を通じ、防衛産業やデュアルユース技術を保有する他の産業の発展により、日本経済の成長にもつながります。

 こうした考えの下、御指摘の憲法の精神との関係も踏まえ、政府として、平和国家としての基本理念は堅持しながら、どのような案件を移転可能とするべきか具体的な検討を加速し、防衛装備移転三原則運用指針の見直しを早期に実現してまいります。

 自衛官の恩給制度の創設と階級等の国際標準化についてお尋ねがありました。

 自衛官が安心して国防という国家にとって極めて枢要な任務に当たることができるようにすることは、国の責務です。

 自衛官の恩給制度の創設については、現在進めている再就職先の拡充や若年定年退職者給付金の給付水準の引上げといった施策を十分に踏まえた上で、自衛官の退職後給付の在り方の中で検討する必要があります。

 自衛官の処遇改善について、国民の皆様の御理解をいただきながら、よりよい制度とするべく取り組んでまいります。

 また、階級等の国際標準化につきましては、現在、防衛省において当事者である自衛官の声を聞きつつ検討を行っているところであります。スピード感を持って進めてまいります。

 和平調停の能力強化についてお尋ねがありました。

 国際情勢がますます厳しくなり、各地で紛争が発生する中、危機を未然に防ぎ、また、和平調停を通じて紛争の早期終結、和平の実現につなげていくことが重要となっています。

 我が国として、これまでも様々な外交努力を通じて和平実現への取組を行ってきましたが、今後は、そのような取組に一層積極的に関与すべく、外務省内への専門部署の設置を含め、能力強化に努めてまいります。

 米中関係と来る日米首脳会談についてお尋ねがありました。

 昨年十月の日米首脳会談では、トランプ大統領との間で、中国をめぐる諸課題についても意見交換を行うとともに、日米で緊密に連携していくことを確認しました。

 米中関係が日本を含む国際社会の安定に資するものとなることが重要であると考えており、来る日米首脳会談におきましても、こうした日本の立場をお伝えしたいと考えています。

 国家情報会議等の権限についてお尋ねがありました。

 インテリジェンスの司令塔機能を強化するため、閣僚級の国家情報会議と、それを支える国家情報局を設置する法案を国会に提出する方針としています。

 これらの組織がその役割を十分に果たすことができるよう、必要な権限についてもこの法案に盛り込むことを検討しています。

 連立政権合意書にある対外情報庁についてお尋ねがありました。

 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境において、危機を未然に防ぎ、国民の安全や国益を守るためには、政府の対外情報機能についても充実させていくことが重要です。

 対外情報を収集するための有効な組織の在り方等について、与党と緊密に連携しつつ検討を進めてまいります。

 連立政権合意書にあるインテリジェンス・スパイ防止関連法制についてお尋ねがありました。

 昨今の複雑で厳しい国際環境の下、外国勢力が我が国の意思決定に不当に干渉するリスクが生じており、まずは、そうした活動を阻止するための仕組みが求められます。

 その内容については、与党と緊密に連携しながら課題や論点を整理しているところです。

 連立政権合意書に掲げられたほかのインテリジェンス政策を含め、短期間に結論を得られるものばかりではないため、政府としては、与党と緊密に連携しつつ、様々な御意見も賜りながら検討を進めてまいります。

 拉致問題についてお尋ねがありました。

 拉致被害者やその御家族も高齢となられる中で、人命に関わる拉致問題は、一刻も早く解決しなければならない人道問題であるとともに、国家主権の侵害であり、高市内閣の最重要課題です。

 昨年十月の日米首脳会談では、トランプ大統領に対し拉致問題の即時解決について理解と協力を求め、全面的な支持を得ました。

 拉致問題の解決のためには、国際社会への働きかけと同時に、我が国が主体的に行動することが重要です。

 拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するため、金委員長との首脳会談を始め、あらゆる選択肢を排除せず、私の代で何としても突破口を開くべく取り組んでいく覚悟であります。

 レアアースの確保に向けた国際的連携についてお尋ねがありました。

 レアアースは我が国の産業競争力と経済安全保障の確保に不可欠であり、特定国に依存しない強靱なサプライチェーンの実現に向けて、同志国とも連携し、供給源の多角化を進めることが重要です。

 これまでも、豪州での鉱山開発やマレーシアやフランスでの分離精製事業など、政府出資を通じて支援してきました。

 こうした同志国と連携した供給源多角化の取組を進めるとともに、国産資源である南鳥島周辺海域のレアアースを含む海洋鉱物資源開発についても、米国との議論の場を設けるなど、戦略的な国際連携を進めてまいります。

 戦没者の御遺骨収集についてお尋ねがありました。

 今日の我が国の平和と繁栄は、戦没者の皆様の貴い命と苦難の歴史の上に築かれたものです。

 我が国のために命を落とされた方々の御遺骨を一柱でも多く収容し、一日も早くふるさとにお迎えすることは国の責務です。

 政府では、集中実施期間である令和十一年度までに、保有する三千三百か所の埋葬地などに関する情報について現地調査を実施し、その結果を踏まえて御遺骨を収集することとしています。

 戦没者の御遺族が高齢化している現状を重く受け止め、御遺骨収集に尽力してまいります。

 日本国旗損壊罪の制定についてお尋ねがありました。

 過去、私自身が刑法九十二条改正案を起草し、自民党の党議決定や、御党関係議員の御協力の下、法案を国会に提出したこともございました。

 御党との連立政権合意書の内容を踏まえ、今後、その実現に向けて、両党間で具体的な検討を進めていくとともに、政府としても、与党と連携を図りつつ、必要な取組を進めてまいります。

 旧氏使用の法制化についてお尋ねがありました。

 政府におきましては、これまで二十年以上にわたり、旧氏使用の拡大やその周知に取り組んでまいりました。

 旧氏の使用を法制化することによって、政府、地方公共団体、公私の団体、事業者において取組が一層進めば、婚姻等による氏の変更によって社会生活で不便や不利益を感じる方を減らすことができると考えています。

 政府としましては、連立政権合意書の内容を踏まえ、与党と緊密に連携しつつ、必要な検討を進めてまいります。

 成年後見制度についてお尋ねがありました。

 現行制度には、判断能力が回復しない限り利用を終了できないなどの問題点があると承知しています。

 今月に出された法制審議会の答申は、こうした問題点を見直す内容となっていると承知しており、政府としては、その方向で見直しを進めてまいります。

 また、現時点で利用者への更なる調査の実施予定はございませんが、法制審議会の部会では、認知症の方の御家族が委員となり、認知症の御家族の会の方から話を伺い、パブリックコメントを実施するなどして、現状を把握した上で議論がなされたと承知しております。

 今後の制度の運用において、本人の自己決定が一層尊重されるよう、その周知などに取り組んでまいります。

 子育て支援についてお尋ねがありました。

 全国どこに住んでいても質の高い子育て支援を受けられる環境を整備することは重要です。

 令和八年度予算案においては、連立政権合意書や御党との協議を踏まえ、こども誰でも通園制度の本格実施などに取り組むとともに、保育料負担の軽減について、認可外保育施設などの利用料支援の給付上限額の引上げを行っています。

 御党とも連携しながら子育て支援を進めてまいります。

 外国人の受入れの在り方についてお尋ねがありました。

 政府では、外国人の受入れに関する基礎的な調査、検討を速やかに実施した上で、省庁横断的に更に具体的な調査、検討、将来推計を行うこととしています。

 今後、外国人に係る諸課題を整理した上で、政府全体での検討を推進し、外国人の受入れに関する基本的な考え方を検討してまいります。

 人口減少については、少子化傾向を反転させるための対策と人口減少に対応した社会経済を再構築する対策の両面について、一貫した総合的な戦略を策定、実施するため、検討を進めてまいります。

 外国人の不動産取得及び世界貿易機関のサービス貿易に関する一般協定、いわゆるGATSについてお尋ねがありました。

 GATSについては、交渉当時は、サービス貿易の自由化を積極的に推進することを優先目標とし、今日課題となっている経済安全保障の観点への配慮が必ずしも強くなく、不動産取得に関する留保が付されなかったものと承知をしております。

 外国人による土地取得などに関する規制の在り方については、国際約束との関係の具体的な精査も含めて検討を進め、この夏までに骨格を取りまとめる考えでおります。

 選挙における妨害行為についてお尋ねがありました。

 選挙が公正に行われるためには、選挙運動は自由に行われなければなりません。

 それを妨害するようなことはあってはならないことであり、一般論として申し上げれば、処罰の対象になり得る場合もあると認識をしています。

 表現の自由の保障と選挙の公正確保の両立については、選挙運動の在り方に関することであり、選挙制度の根幹に関わる事柄であることから、各党各会派において御議論いただくべきものと考えています。(拍手)

     ――――◇―――――

小寺裕雄君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十五日午後一時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。

副議長(石井啓一君) 小寺裕雄君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

副議長(石井啓一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十六分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  高市 早苗君

       総務大臣    林  芳正君

       法務大臣    平口  洋君

       外務大臣    茂木 敏充君

       財務大臣    片山さつき君

       文部科学大臣  松本 洋平君

       厚生労働大臣  上野賢一郎君

       農林水産大臣  鈴木 憲和君

       経済産業大臣  赤澤 亮正君

       国土交通大臣  金子 恭之君

       環境大臣    石原 宏高君

       防衛大臣    小泉進次郎君

       国務大臣    あかま二郎君

       国務大臣    小野田紀美君

       国務大臣    城内  実君

       国務大臣    黄川田仁志君

       国務大臣    木原  稔君

       国務大臣    牧野たかお君

       国務大臣    松本  尚君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官 尾崎 正直君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官 岩尾 信行君


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