第11号 令和8年5月14日(木曜日)
令和八年五月十四日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 山下 貴司君
理事 安藤たかお君 理事 鈴木 馨祐君
理事 中根 一幸君 理事 長谷川淳二君
理事 鳩山 二郎君 理事 後藤 祐一君
理事 浦野 靖人君 理事 森ようすけ君
阿部 弘樹君 石坂 太君
井出 庸生君 岩崎 比菜君
衛藤 博昭君 遠藤 寛明君
大空 幸星君 長田紘一郎君
金子 容三君 草間 剛君
世古万美子君 平 将明君
中田 宏君 平井 卓也君
平沢 勝栄君 文月 涼君
村木 汀君 吉田 有理君
米内 紘正君 若山 慎司君
渡辺 博道君 大島 敦君
長妻 昭君 池下 卓君
高見 亮君 西田 薫君
野村 美穂君 川 裕一郎君
高山 聡史君 塩川 鉄也君
中村はやと君
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内閣府大臣政務官 金子 容三君
内閣府大臣政務官 若山 慎司君
参考人
(一般社団法人日本経済団体連合会常務理事) 原 一郎君
参考人
(東京大学公共政策大学院教授)
(国際文化会館地経学研究所長) 鈴木 一人君
参考人
(国際社会経済研究所特別研究主幹) 布施 哲君
参考人
(日本電気株式会社Corporate SVP兼海洋システム事業部門長) 植松 智則君
内閣委員会専門員 田中 仁君
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委員の異動
五月十四日
辞任 補欠選任
大空 幸星君 世古万美子君
川崎ひでと君 石坂 太君
河野 正美君 岩崎 比菜君
佐藤 主迪君 米内 紘正君
古川 直季君 阿部 弘樹君
黒田 征樹君 池下 卓君
西田 薫君 高見 亮君
同日
辞任 補欠選任
阿部 弘樹君 古川 直季君
石坂 太君 遠藤 寛明君
岩崎 比菜君 衛藤 博昭君
世古万美子君 大空 幸星君
米内 紘正君 草間 剛君
池下 卓君 黒田 征樹君
高見 亮君 西田 薫君
同日
辞任 補欠選任
衛藤 博昭君 河野 正美君
遠藤 寛明君 川崎ひでと君
草間 剛君 佐藤 主迪君
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本日の会議に付した案件
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律及び株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)
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○山下委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律及び株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、一般社団法人日本経済団体連合会常務理事原一郎君、東京大学公共政策大学院教授、国際文化会館地経学研究所長鈴木一人君、国際社会経済研究所特別研究主幹布施哲君、日本電気株式会社Corporate SVP兼海洋システム事業部門長植松智則君、以上四名の方々から御意見を承ることにいたしております。
この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。本案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、原参考人、鈴木参考人、布施参考人、植松参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、参考人各位に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
それでは、原参考人にお願いいたします。
○原参考人 それでは、早速説明に入らせていただきます。
まず、今般の経済安全保障推進法の一部を改正する法律などにつきましては、全体として賛成であると申し上げます。
まず、重要な物資の安定的な供給の確保につきましては、いずれの改正も、既存の制度を補完、補強するためのものであり、必要な改正であると考えております。
第一は、役務を支援対象に加える改正についてであります。
国民生活や経済活動にとって重要な物資が確保されたとしても、その供給に不可欠な役務が確保されなければ、当該物資を使用できる状態にすることはかないません。改正は、その点を補おうとするものであり、役務を支援の対象に加えることは合理的であると考えます。
ただし、物資と役務とで所管官庁が異なる場合におきましては、政府の取組方針は一つというふうに理解しておりますが、企業が供給確保計画の認定を得るに当たりまして、主務大臣及び相談窓口が異なることでいたずらに時間と手間を要することがないよう、関係省庁間で十分に連携をしていただきたいと考えております。
第二は、安定供給確保に向けた努力義務、協力要請についてであります。
現行法では、政府の方針に沿った民間事業者による供給確保のための取組を支援するのが基本となっておりまして、民間による取組では重要な物資の安定的な供給が確保できない場合におきまして、第四十四条、四十五条の規定に基づきまして、政府自らが措置する、いわゆるGOCOという手法が定められております。GOCOでは、サプライチェーンに国が介入することになりますことから、基本指針におきましては、政府による過度な介入を行わないよう留意するとした上で、GOCOを発動する際の要件を記載しております。
今般の改正は、GOCOを発動する前段階、すなわち安定供給確保に支障が生ずるおそれがある場合に協力を要請するなどの措置を規定するものと理解しておりまして、GOCOの抑制的な運用という趣旨に沿ったものであると考えられます。加えまして、国や供給事業者のみならず、供給を受ける事業者など、広く関係者が相互に連携協力する努力義務を定めていることは、経済活動の自由と供給の確保との間のバランスを考慮したものであると考えております。
次に、基幹インフラ役務の安定的な提供の確保についてであります。
この制度は、我が国の基幹インフラを構成する設備が国の外部からの妨害行為の手段として使用されることを防止するためのものであり、国の外部からのサイバー攻撃が頻度を増し高度化する中にありまして、その実効性について不断の点検が必要と考えます。
その点、医療DXが進展する中にありまして、今般、制度の対象事業に医療分野を追加することは妥当と考えます。
改正法案が成立した暁には、省令において、事前届出の対象となる特定重要設備を定めることになりますが、それに当たりまして、基本指針に記載されているとおり、事業の実態等を十分に踏まえたものとなるよう、当該設備のベンダーの意見に十分に耳を傾けていただきたいと存じます。
基幹インフラ制度は重要な制度である一方、対象となる基幹インフラ事業者及びベンダーにとりましては負担の大きい制度でございまして、その運用についても不断の改善努力が不可欠であります。今回の制度運用改善のための改正は、いずれも二〇二四年五月に制度運用が開始されて以降指摘されてきた課題に対応するものと承知しておりまして、適切であると考えます。
なお、法改正が必要な事項以外にも、有識者会議の提言では、例えば、企業による届出のシステム化などを求めておりまして、そうした改善も併せて行われることを期待しております。
次に、先端的な重要技術の開発支援につきましては特段意見を持ち合わせておりませんので、次の重要な海外事業の促進に移りたいと存じます。
今般、新たに設けられます重要な海外事業の促進につきましては、我が国の経済安全保障の確保に資する民間の海外事業を支援するものであります。グローバルサウスとの連携強化の一環として、経団連として政府に提言してきた制度が創設されるという理解をしておりまして、賛成であります。食料、資源、エネルギーの確保を含めました経済安全保障を、同志国やグローバルサウスと連携することによって、我が国単独ではなく、他国と一緒に、線あるいは面で確保することが可能になるものと考えます。
具体的には、JBICからの劣後出資等を受けることで民間資金の動員につなげていくものと理解しておりますが、具体的な認定の基準などにつきましては、策定される基本指針の内容を注視してまいりたいと存じます。
総合的な経済安全保障シンクタンクの創設につきましては、そもそも二〇二二年の本法制定時から、経済安全保障の観点から重要な技術を選定するために必要なものとして考えられてきたと思います。今般、総合的なシンクタンクを創設するに当たりましては、技術に限らず、外交、情報、防衛、経済面で国力の向上につながる、文字どおり総合的な機能を有する組織が早期に立ち上がることを期待しております。
例えば、経団連では、安全保障の観点から規制を導入するなど国が経済活動に関与する場合でありましても、スモールヤード・ハイフェンスを旨とし、その対象を真に必要なものに限定する必要があると主張してきておりますが、シンクタンクによる総合的な調査研究、政策提言がそのような方向で機能することが重要であると存じます。
なお、シンクタンクの運営体制を始めとする詳細は、法案成立後、基本指針で定められることになりますが、限られた人材や予算が最大限活用されるような体制となることを期待しております。また、シンクタンクを通じまして、官民双方のリテラシーが高まるよう、企業との人材交流を進めていただきたいと思います。
官民協議会の創設につきましては、経済安全保障の確保に不可欠な官民連携を法的に担保するものでございまして、賛成でございます。
なお、協議会に参加する民間人に対しまして国家公務員と同等の守秘義務を課すことは、機微な情報を共有するために必要な措置と考えております。
ただし、民間事業者が協議会に参加するに当たりましては、そうした守秘義務や資料提供等の協力要請に応じる義務が課されますことをよく理解した上で参加の是非を判断できるよう、基本方針などにその旨記載していただきたいと考えております。
私からの発言は以上でございます。(拍手)
○山下委員長 ありがとうございました。
次に、鈴木参考人にお願いいたします。
○鈴木参考人 ありがとうございます。御指名いただきました東京大学並びに地経学研究所の鈴木と申します。
私は、国際政治経済学というのを専門にしておりまして、日本が二〇二二年に経済安全保障推進法を成立して以来、世界から経済安全保障に対する日本の取組というのが極めて高く注目されていて、その評価について、またこの内容について説明を求められることが多々ございます。そうした観点から、今回こうした改正が行われるということで、更なる進展をされるということを大変望ましい、また、国際社会においても胸を張る経済安全保障の制度ができるんだろうということを期待できるというふうに考えております。
現代の世界においては、ルールに基づく国際経済秩序というものがだんだんと揺らいでおって、経済の武器化と言われるような現象が散見されるようになっております。経済の武器化というのは、まさに国家が政治的な目的のために経済的な手段を用いて他国に対して威圧、圧迫を行うことである。その際に重要になるものは、他国において不可欠性がある、それはすなわち、自国において自律性が低い状態であるということが問題であり、その際に、他国はこうした不可欠性を使って、輸出規制や関税、そして投資規制などの手段を使って経済的な威圧を行ってくるということが実際に行われております。
ですので、現代社会においては、自律性を高めること、これこそが他国からの圧力をかわす手段であり、我々の不可欠性を高めてそうした威圧に対して対抗できる措置を取ることができる、こういったことが重要なのではないかというふうに考えております。
この観点からいいますと、今回の改正においては、この自律性を高める措置ということでは大変適切なものだと思います。
第一に、サプライチェーンの強靱化に向けた更なる措置として、海底ケーブルの敷設等を含む役務を加えるということは、物の自律性を高めるだけでなく、敷設、補修、維持をするといったような、重要物資を使うというときの重要な手段として、この措置として重要なものだというふうに考えております。
また、基幹インフラに医療を加えるという点に関しては、これもまた重要なことだと思っております。
私も、二〇二二年の経済安保推進法の制定の際に、この件について、医療は入らないのかということを経済産業省また内閣府の担当者に問い合わせたことがありますけれども、その際は、日本の医療というのは分散型であり地方に分かれているので一つのシステムを攻撃されてもこのインフラは強靱性がある、つまりリスクが分散されている状態である、ゆえに医療データというのは攻撃の対象にならない、こういう判断から最初は入らなかったというふうに伺っております。
しかしながら、経済安全保障推進法が成立して以来三年がたちまして、その中で、医療に関わるデータのシステム、これがより一元化される、マイナンバーカードなどを使った効率的な医療データの交換が可能になるような状況になって、今回は医療を含めることで、医療に関するサイバーインフラ、それから様々な医療制度、これの制度が一元化してきたということが、今回の改正に重要インフラとして加えることの意義だというふうに考えております。
指定基金の拡大については、主にNICTとJAXAが想定されているというふうに伺っておりますけれども、それはやはり、我が国の不可欠性を高めていく上でも重要だと思います。とりわけ、今NICTが進めている光通信などの技術ですとか、JAXAが進める衛星の打ち上げ、そして衛星の整備ということは、日本だけでなく、世界において不可欠なシステム、不可欠なサービスを提供することになるであろうというふうに考えております。
こうした不可欠性が高まることによって、我が国が提供するサービスやシステムをほかの国が使っていく、それによってほかの国が我が国を不可欠な存在として見ていくようになる、これがまさに不可欠性を高め、他国による依存度を高め、そして我が国と他国の関係性を強化していく、こういった効果につながっていくのではないかなというふうに考えております。
また、重要な海外事業の支援については、現在、高市政権の下で進められている成長戦略、私も大変光栄なことながら日本成長戦略会議の構成員として参加させていただいておりますけれども、その成長戦略と連動するものであるというふうに理解をしています。
例えば、私も参加しております造船ワーキンググループなどでは、今、船舶の補修の問題を論じていたりもしますが、その中で一つの問題になっているのは、他国、特に今、中国ですとかその他の国に修繕用のドックがあるということなんですけれども、これは、船舶の修繕が必ずしも情報をちゃんと管理する国にあるわけではないというリスクを抱えているのではないかというふうに思っております。
そういう意味では、修繕する船舶の安全、そしてその情報の保全ということを考える上でも、友好国、同志国、信頼できる国々にドックを造るということを進めていく。これは一つの例でありますけれども、こうした重要な海外事業の支援というのは、我が国とそして信頼する同志国との間の関係を強化するという意味でも重要な役割を果たすのではないかというふうに考えております。さらには、そうした国々との事業の展開を通じて我が国の競争力を強化することにも貢献し、それがひいては我が国の経済成長にもつながるものだというふうに考えております。
シンクタンクと官民協議会の設置についてですけれども、これは大変すばらしいことだと思っております。私自身も、今、地経学研究所というシンクタンクを運営させていただいておりますけれども、この中で、常に経済安全保障の研究を進める中で非常に難しいのが、いかにしてサプライチェーンの分析をしていくか、また、どこにチョークポイントがあるのか、これを判断していく、分析していくためには、やはり官民の間での情報共有が不可欠であるというふうに考えております。
当然のことながら、経済的な活動というのは企業が担っていることであり、そして、そうしたサプライチェーンのつながりというのは企業が持っている情報なしには理解することが無理であるというふうに思っております。そうした情報に基づいて、我が国がどこに脆弱性を持っているのか、また、他国の脆弱性がどこにあるのかということを理解すること、これが今後の経済安全保障を進めていく上で、更に精緻化したサプライチェーンの強靱化につながっていく、また、不可欠性を強化するということにつながっていくのではないかというふうに考えております。
このような観点から、今回の改正は極めて適切なものだというふうに感じておりますが、必ずしも完全なものだとは思っておりません。
第一に、官民協議会の設置に関する条項の中に「未然に防止する」というふうにありますけれども、実際、現在のホルムズ海峡を取り巻く問題などを考えてみますと、これは事前に予想できるようなことではなく、突発的に起こる、そういった事象がサプライチェーンの寸断ということには必ずつきまとうことであろうと思います。ですので、未然に防止するという考え方では必ずしも十分な対応が取れない可能性があるということで、こうした未然に対応するという限定をする必要は必ずしもないのかなというふうに考えております。
これは、特定重要物資の見直しに関しても同様に「未然に防止する」という規定がありますけれども、ここもまた柔軟に対応できるように検討されるべきであろうというふうに思います。
また、今回の改定とは少し離れますけれども、今後、不可欠性を高めていった後をどうするかということを考える必要があるかと思います。現在、欧州においては、EUに反威圧措置、アンチコアージョン・インストルメントというものがございます。これは相手が威圧をかけてきたときにそれに対抗する措置を取るということでありまして、まさに抑止力としてそうしたものが機能しているというふうに考えております。こうした点も含めて、今後の検討をお願いしたいと思っております。
私からは以上です。ありがとうございました。(拍手)
○山下委員長 ありがとうございました。
次に、布施参考人にお願いいたします。
○布施参考人 おはようございます。株式会社国際社会経済研究所の布施でございます。
本日は、このような貴重な意見陳述の機会をいただきまして、心より感謝申し上げます。
私は、企業のシンクタンクにおいて、経済安全保障と防衛問題の調査研究を担当しております。本日は、企業のシンクタンクにおける経験に基づきまして、経済安全保障推進法等の改正について、賛成の立場から意見を申し述べさせていただきたいというふうに思っております。
大きく分けて二つの論点、一つ目は、本改正法案の意義について戦略的不可欠性の文脈に引きつけて触れさせていただいた後に、二つ目の論点として、経済安保シンクタンクに期待される役割について申し述べたいというふうに思っております。
過去数年間の日本の経済安全保障の取組を振り返ってみますと、日本の戦略的自律性を高める、いわば守りの充実が目につきます。基幹インフラ事業者の審査制度を始めとして、特定重要物資の制度、研究セキュリティー、サプライチェーンの強靱化、リスク点検、技術情報の流出防止策といったものはその最たる例だというふうに言えると思います。リスク対応やリスク管理といった守りの充実、言い換えますと守りの経済安全保障の充実が図られてきたのが過去数年間の日本の経済安保の歩みだったと私は理解をしております。
こうして日本が守りの経済安保の充実を図る一方で、世界の方の動きに目を転じますと、経済の武器化、先ほども鈴木参考人からお話がありましたように経済の武器化が、いわば、はばかられることなく展開されるような動きが顕著になってきています。経済的な相互依存、本来であればウィン・ウィンの関係ですけれども、これが逆手に取られる形で自国の国益追求の武器や手段に使われてしまう、そういう時代になっているというふうに言えると思います。
日本にとっては、そうした経済的な威圧によって望まない不利益を強要されたり、あるいは健全な意思決定をゆがめられる、そういった事態をいかに回避していくかというのがこれまで以上に求められているというふうに考えています。こうした状況下においては、残念ながら、従来の守り一辺倒だけの経済安保では、日本の国益を確保することはますます難しくなっていくのではないかというふうに私は認識しております。
求められるのは、より能動的に、日本が世界の中で必要とされる存在になっていくこと、日本が持つ技術や製品、サービス抜きには世界のエコシステムが回っていかない状況をつくっていく、そうしたいわば積極姿勢、私は攻めの姿勢というふうに言っているんですけれども、攻めの経済安保、こういった発想が求められているのではないかというふうに考えます。
言い換えますと、リスクや状況が起きて初めて対応するのではなく、一歩進めて、あらかじめ自分たちの戦略的不可欠性や強みを伸ばすことで、必要とされる存在になり、そもそもリスクを顕在化させない、日本に好ましい状況を自らつくり出そうとしていく。こういった攻めの経済安保が次の日本の経済安保には求められているというのが、今日申し上げたい私の趣旨でございます。
そうした視点に立ったとき、本改正法案はまさに、状況に対応するだけではなく、状況を自らつくり出していこうとする、攻めの姿勢に必要なツールあるいは基盤が盛り込まれている内容になっていると考えます。
具体的には、経済安保シンクタンクと官民協議会、重要な海外事業の展開支援、Kプロの拡充、こういった施策は、いずれも戦略的不可欠性の強化を目指すものであって、攻めの経済安保の基盤になり得る。そういう意味では、政策的な意義が非常に高いというふうに私は考えております。
次に、二つ目の論点として、経済安保シンクタンクに期待する役割について申し上げます。
戦略的不可欠性を発揮して経済的威圧を抑止する、あるいはそれに伴う不利益を回避するには、重要技術やサービス、それらを開発、育成するだけでは十分ではありません。日本に対してちょっかいを出すのはやめておこうという抑止効果が生まれるのは、日本の強みが相手に認識されて初めて発揮されるからです。抑止効果は相手が認識して初めて生まれるもの。つまり、相手に日本の戦略的不可欠性を認識してもらって初めて、じゃ、日本は大事にしなきゃいけないな、あるいは日本にちょっかいを出すのはやめておこうという抑止効果が生まれるわけです。
つまり、重要技術や製品を作るだけではなく、それがいかに相手のエコシステムにとって欠かすことができない重要なピースなのか、これを我々でまず特定し、伝えていく、それを認識してもらう、そういう戦略的コミュニケーションが必要になってくるというふうに考えます。そうした戦略的コミュニケーションやシグナリングがあって初めて、戦略的不可欠性による抑止効果が生まれるということを付言しておきたいというふうに思います。
その意味においては、経済安保シンクタンクには、政策テーマの調査研究だけではなくて、海外における研究成果の発表あるいは対外発信、こういったものを通じて、世界に日本の戦略的不可欠性を認識してもらう戦略的コミュニケーションの役割も期待したいというふうに考えております。
また、もう一つ、経済安保シンクタンクに期待するものがあるとすれば、シナリオベースの議論、これを展開してくれることを期待申し上げたいと思います。
日本として、そもそも目指したい状況は一体何なのか、あるいは避けたいシナリオは何なのか、こういうイメージを持った上で、では、そうした好ましい状況をつくり出すには、どんな技術やどんな経済的手段が必要になるのか、あるいはそれをどう使っていけばいいのかという議論がこのシンクタンクを起点に活発になれば、日本の経済安全保障の議論というのは更に厚みを増すのではないかというふうに期待をしているところでございます。
また、もう一つ、シナリオベースの効用のところで指摘をさせていただきますと、本改正法案に盛り込まれている各種の施策、これの相互連携が進む推進剤にもなるんじゃないかという期待を持っております。
どういうことかといいますと、例えば、経済安保シンクタンク発で、日本が備えるべきワーストシナリオや戦略的不可欠性を発揮するシナリオ、こういったものを考えて提案してもらい、そうしたシナリオに基づいて、官民協議会やシンクタンクにおいて官民が同じ場所で集まって議論をする、場合によっては、机上演習、テーブルトップエクササイズというものを一緒に行って、同じ空間で実際のリスクシナリオを体感することで、課題や目指すべき方向感、場合によっては対策の手がかりなんかを一緒に見つけることができるかもしれません。
また、Kプログラムについても同様です。そもそも、どんな技術を育成すべきかという命題に取り組むのがKプロではありますけれども、日本にとって望ましい状況をつくり出すために役立つ技術というのは一体何なんだろう、こういうシナリオを起点に考えれば、おのずとKプロで育成すべき技術という、解像度についてもより上がってくるのではないかということが考えられるわけです。
そうしてKプロで育成された重要技術を、今度は海外事業の展開支援の枠組みを使って海外展開を支援していく、こういった連携があってもいいというふうに思います。
このように、経済安保シンクタンクを起点に、シナリオベースの戦略思考を推進剤にして、シンクタンク、官民協議会、Kプロ、海外事業の展開支援、こういった取組は、個別個別ではなくて相互に有機的に体系的に連携していく動き、こうしたものを今後私は期待申し上げたいというふうに思っております。
最後になりますが、改めまして、本改正法案は、日本の経済安保をこれから攻めの経済安保へとバージョンアップしていく上での必要な基盤、ツールを盛り込んでいるという意味において、非常にその政策的意義は高いということを申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきたいと思います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○山下委員長 ありがとうございました。
次に、植松参考人にお願いいたします。
○植松参考人 委員の皆様、おはようございます。本日は、このような貴重な機会をいただきまして、心より感謝申し上げます。
NECから参りました植松と申します。
本日は、サプライヤーの立場から、事業継続あるいは安定供給のための課題とその取組に絞って述べさせていただきます。事業の現場の生の声として、委員の皆様の法案検討の一助になれば幸いでございます。
それでは、お手元の資料に沿って御説明申し上げます。
既に御承知かもしれませんけれども、海底ケーブル市場は、主にハイパースケーラーが牽引して、年間三千億円から五千億円規模に伸長すると予想しております。
これに対して、弊社では、様々な施策を講じて、市場シェアの拡大であったり経済効果を目指しております。しかしながら、変動幅が大きくて不均一な市場の伸長ということもありまして、企業単独での大型の投資というのは慎重にならざるを得ないということもあります。成長期待だけではなくて、大きな波、市場の波に耐え得る供給力と持続力、こういったものを持つことも必要と考えております。
経済安全保障の観点からも、海底ケーブルは単なる通信設備ではなくて国家や社会を支える重要なインフラですから、企業の収益事業にとどまらず、日本の産業基盤と安全保障に資する重要分野であると考えております。
次のページから、課題について御説明いたします。
まず、課題一の敷設船の保有と海洋工事ナレッジの増強でございます。
弊社の海底ケーブル事業は、実は二年連続の赤字という厳しい状況にあります。その原因を分析すると、実に海洋工事に起因するものが七割を占めています。将来にわたって持続可能な収益事業とするためには、まずはこの点を克服しなければなりません。
競合と比較してみますと、決定的に違うのは、敷設船を自社で保有していないという点でございます。競合は二社とも自社船を保有しておりますし、業績好調な米国サブコムに関しては、船を使う米軍の仕事で船の稼働を上げているというのも特徴的な点かと思います。
弊社は、長期チャーターとスポットの契約で数隻使っておりますが、配船計画やコストやあるいは工期のコントロールというのも必ずしも弊社の意図するとおりにはいっておりません。業界全体では、敷設船の老朽化が確実に進んでおります。このままチャーター依存では、敷設能力が危うくなるというふうに見ております。当面は伸長する市場、敷設船の老朽化、そして造船所の生産能力も考えると、自社船保有に踏み切るというのはまさに今がベストなタイミングかなというふうに考えています。
保有する船舶は、新造船ですので、最新技術で工事効率を上げるような、そういう改善も考えていきたいと思っております。さらには、高度なスキルでリスクマネジメントする工事技術者というものの育成も計画しております。海底ケーブルの安定供給には、船舶とナレッジ、すなわち人になりますけれども、これが最優先の課題と考えております。
次に、課題の二で、生産設備と技能者の拡充です。
生産拠点はいずれも国内にあって管理はしやすいのですが、ケーブルと海底装置の生産拠点がそれぞれ北九州と山梨県の大月の一か所ずつしかございません。災害などがあれば生産がストップしてしまう、そういった懸念もございます。
北九州では敷設船への積込みまで行うんですが、積込み経路が、今、二本なんですね。そのうち一本が破損している関係で、今、一本での運用になっています。さらには、岸壁なんですが、これは公共施設ですので一定の制約がございます。
弊社の取組としては、まず、技術競争力の源泉となる大容量ケーブル、多芯・マルチコアと称しております大容量ケーブルの生産設備の増強です。従来のケーブルであれば生産能力にまだ余裕はあるんですが、勝ち筋を描くためには、やはり大容量ケーブルの生産ラインの構築、さらには技能者、こういったものが必要になってきます。そして、設備の脆弱性の解消のためには、防護はもちろんですし、遠隔地でケーブルを備蓄するような、こういったデポも検討し始めようと考えております。
次のページで、課題の三、原材料の仕入れと許認可の短縮です。
原材料については、現時点では、価格高騰はあるんですけれども、何とか入手はできています。ですが、この先の社会情勢、既に今がそうかもしれませんけれども、深刻な問題となるような懸念は当然持っております。
もう一つの許認可の方が、実は材料よりも深刻な問題です。国によって違いはあるんですけれども、主には海洋工事と陸上工事に関する許認可の取得が物すごく複雑で、かなり長期化してしまっています。この許認可の遅れというのは、当該の契約だけでなく、全体の生産計画、敷設計画を乱しますので、実はこれだけでも億単位の原価悪化というものが発生しております。これは競合にとっても同じ条件ですので、許認可の短縮というのは業界全体の課題というふうに考えています。もしこれが解消すれば、工事の定時性が高まりますから、安定供給はもちろんですが、海底ケーブル産業そのものも更に伸長する可能性ももしかしたらあるのではなかろうかというふうに思います。
海底ケーブルの業界の商慣習といえば商慣習なんですけれども、原材料の高騰とか許認可の遅れ、そういった外的要因のリスクというのは、多くは契約者側が負うようになっています。施主、ケーブルのオーナー様とのリスクシェアの交渉であるとか、原材料については国内の業者との交渉を進めているところでございます。許認可については、社内には専任も配置しておりまして、海外各国については専門の許認可のエージェントを活用しています。
次に、課題の四、これが最後ですけれども、付加価値技術の研究開発を挙げさせていただきました。付加価値がないと、価格競争に陥って体力がもたないんですね。
技術戦略の一つは、先ほども少し触れた大容量の技術というふうに考えています。これはマルチコアファイバーという技術で、資料中はペタビットという言葉を使っていますけれども、これは通信容量を示す単位です。従来の海底ケーブルの、何と比較するかにもよりますけれども、二倍以上、そういった大容量で、実は太さが変わらないものですから工事効率も変わらずと。技術的にはかなり高度なもので、髪の毛ほどのファイバーの中に光の通り道が二本入るというようなものです。最近は、工事のコストというものはかなり高騰していますので、大容量のケーブルを一回の工事で敷けるというのは、ケーブルの主な施主にとっても大きなメリットかなというふうに思います。
海底ケーブルは、この長い歴史の中で、あえて存在を知らせることで、切られないように注意してくださいという、そういう考えの下普及してきたようにも思います。ですが、昨今ケーブル切断の事例も多くなっておりますし、こういった第三者のケーブル切断に関しては、早急に防護あるいは抑止のための打ち手が必要と考えています。弊社では金属で保護したケーブルも生産しておりますし、さらには、抑止力につなげるために、仮に切っても必ず見つけるぞ、捕まえるぞと、そういった抑止力のために切断箇所を正確に短時間で特定するような技術開発にも取り組んでおります。
最後に、政府への支援要望をまとめさせていただきました。私どもは、海底ケーブル事業を、日本経済を支えるデジタルインフラ事業であると認識しております。日本の緻密で繊細な物づくりというものを生かせる、国として守り育てるべき産業の一つであるというふうにも考えております。その上で、御支援いただきたい内容を、こちらのページの四つに分類してまとめております。既に技術開発については多大なる御支援を賜っております、引き続きお願いいたします。
今般、特にお願いしたいのは、左上にあります安定供給のための設備投資です。敷設船を筆頭に、設備に関する御支援を賜りたいと存じます。さらには、下段になりますけれども、定時性確保のための陸揚げする国との協調であったり、高度人材育成のための産官学の連携、こういったものについても、民間企業ではできることには限界がございますので、是非とも御支援を賜りたいと思います。
この海底ケーブルの事業を持続可能なものとするためには、様々な御支援の下、当然、自社での努力もいたします。我が国の産業競争力とレジリエンスを高めることにも直結すると考えております。是非御理解と御支援を賜れればと思います。
私からは以上になります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○山下委員長 ありがとうございました。
以上で各参考人からの御意見の開陳は終わりました。
―――――――――――――
○山下委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。長谷川淳二君。
○長谷川委員 おはようございます。自由民主党の長谷川淳二でございます。
本日、四名の参考人の皆様におかれましては、経済安全保障に関しまして、それぞれのお立場から専門的な知見に基づく貴重な御見解を賜りまして、誠にありがとうございます。
早速、質問に入らせていただきたいと思います。
まず、今回の改正案についての評価でございます。これは、経団連、原参考人にお伺いさせていただきたいと思います。
先ほど、今回の改正案につきまして、全体として賛同するものであるという御見解をいただいたところでありますが、もう一段掘り下げまして、今回の改正案が、今般の中東情勢の緊迫化など、国際情勢の急激な変化に対して対応できる仕組みとなっているのかどうかについて御見解をお伺いしたいと思います。
現下の中東情勢の緊迫化に伴いまして、御案内のとおり、ナフサ由来の石油関連製品の供給不安の高まりなど、これまで特定重要物資として必ずしも認識されていなかったものも供給制約を受けるリスクが顕在化しているところでございます。一方、これは政府の有識者会議の委員として法制定に当初より携わってこられた原参考人御案内のとおり、この経済安全保障推進法は、サプライチェーン上、供給不安のおそれがある物資については、不断に原材料を含めて点検をして、逐次、特定重要物資に指定して、安定供給を確保するための枠組みが整備されているところでございます。
さらに、今回の改正案では、重要物資の供給に不可欠な役務に対する支援の創設、具体的には、先ほど植松参考人におかれましての海底ケーブル敷設などの役務に対する支援の創設なども盛り込まれております。したがいまして、今回の制度の拡充と相まって、国際情勢の急変を受けて先を見越した対応がより可能になっているものではないかと考えているところでございます。
今回の改正案による制度の拡充と相まって、今般の中東情勢、あるいは更に今後想定される今後の国際情勢の急激な変化にも機動的に対応することができる仕組みがより強化されているのではないかと考えますが、御見解を伺いたいと思います。
○原参考人 ありがとうございます。
先ほど申し上げましたとおり、今回の改正には賛同する立場にございます。
今先生からございました、中東情勢を含めて、様々な国際情勢の変化にこの法制度が十分対応可能なものかどうかについてでございますけれども、先ほどほかの参考人の方からもありましたが、なかなか、不安定で複雑な国際情勢を読み切って先回りをするということは、そもそも非常に難しい問題だというふうに思っておりまして、この制度以前の問題かと思います。
ただ、この制度自体も、まず、基本になります基本方針、これも国際情勢に合わせて変更可能という仕組みになっておりますので、逐次、国際情勢に合わせて、若干後追いになるにしても対応は可能だというふうに考えております。
また、具体的に申し上げましても、特定重要物資の指定は政令で可能でございまして、四要件に当てはまれば、閣議決定をして、政令で定めることによりまして新たな物資を追加することができるという仕組みになっておりますので、未然にというのはなかなか難しい問題ではありますけれども、指定した以降のいろいろな不足については未然に防止ができる仕組みになっているかと思います。
以上でございます。
○長谷川委員 原参考人、ありがとうございました。
続きまして、経済安全保障とルールに基づく自由で開かれた経済活動との関連につきまして、国際政治経済を専攻されておられます鈴木参考人にお伺いさせていただきたいと思います。
先ほど、御意見の中で、グローバル経済の中で、中国が、国家管理による経済体制を強化してレアアース禁輸のような経済の武器化の動きを強めている、これに対して我が国は、やはりまずはこうした力による威圧、支配に対して我が国の経済の自律性を、先ほど委員も、私の愛媛の地元の造船能力の復活にも携わっていただいておりますが、そうした自律性をまず高めるとともに、優位性や不可欠性を向上させていかなければいけないという御意見を賜りましたが、同時に、我が国は、戦後、自由貿易体制を堅持し、国際社会からの信頼を積み上げながら経済活動を行ってきました。
同盟国、同志国、あるいはミドルパワーと連携をして、やはりまず、経済安全保障を推進する上でも、こうした同盟国、同志国と連携をして、国際約束やルールを守ることを主張して、ルールに基づく自由で開かれた経済活動を引き続き進めていく必要も、重要ではないかというふうに思いますが、この経済安全保障に基づく自律性、不可欠性の確保と自由で開かれたルールに基づく国際経済秩序の関係について、鈴木参考人の御見解を賜りたいと思います。
○鈴木参考人 御質問、ありがとうございます。
これは、まさに経済安全保障が抱える根本的な矛盾というかジレンマであるというふうに考えております。
現在、我が国も含め多くの国が自由貿易から裨益をし、そして、自由貿易を維持することによって経済活動を可能にするという国が多々あります。これは、我が国だけでなく、より小さな国々であればなおのこと自由貿易は不可欠なものになっているというふうに考えられます。
ただ、一部の国家ではそうしたルールが十分に守られないということも、これはまた確かであります。
ですので、我が国は、まず、信頼できるパートナーというのがどこにいるのか、そしてそれらとどうやって手を携えていくのかということで、例えば、地域的な取組、例えばCPTPPのような、こうした地域的な自由貿易の枠組みをまずはしっかりとつくって、それを拡大していき、そして、可能な限りルールに基づいた信頼できるパートナーとの自由貿易体制を維持しながら、同時に、ルールを破るかもしれないという国々に対しては常にそのリスクを考えながら対処をしていく。まさに、今回の経済安全保障推進法のような様々な措置を取っていくということでこうしたリスクを回避していくという、この両方を同時に進めていくことが方策ではないかというふうに考えております。
○長谷川委員 鈴木参考人、ありがとうございました。
続きまして、総合的な経済安全保障シンクタンクにつきまして、布施参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
先ほどの意見表明の中で、我が国の戦略的不可欠性を発揮するためには、経済安全保障シンクタンクを核として、攻めの経済安保を推進していかなければいけない、その攻めの経済安保の基盤の一つとしてシンクタンクがあるという御指摘をいただきました。
この経済安全保障シンクタンクについては、調査研究、政策提言に限らず、先ほども、我が国に好ましいシナリオベースでの戦略思考ですとか海外への発信も必要だという御提言もいただきましたが、そうなりますと、専門的な知識や経験を有する優秀な人材の確保が不可欠ではないかと考えます。
そこで、国際社会経済研究所特別研究主幹としてもまさにシンクタンクの運営に携わっておられる布施参考人に、総合的な経済安全保障シンクタンクに優秀な人材を確保するために、待遇面を始め官民の人材交流ですとか研究体制の確保、まさに先ほど言いました海外発信等々の体制の整備も含めて、どのような人材確保のための体制を確保する必要があるか、布施参考人の御見解を伺いたいと思います。
○布施参考人 お答えします。御質問ありがとうございます。
まさに委員御指摘の点、シンクタンクは人の質によって発信の、研究のクオリティーが規定されるという意味においては、本当に最も重要な御質問だというふうに認識をしております。
経産安全保障、特に難しい分野です。文字どおり、経済と安全保障という、全く似て非なるもの、水と油のような関係のロジックで動いている分野をブリッジさせなきゃいけないという意味においては、技術と政策をつなげられる思考力を持っている人材、あるいは、文系と理系をある種、横断的、融合的に捉えて、しかも政策的なインプリケーションまで含めてアウトプットができる、しかもアカデミックなディシプリンに基づいて知的生産物をまとめられる、かつ戦略的コミュニケーションを担うという観点でいえば、まさに委員御指摘のとおり、海外における発信力、海外におけるネットワーク形成力、こういったものが求められるわけですね。
私が仄聞している範囲では、シンクタンク、民間企業の出向組と各省庁からの出向組等を主にメインのチームにしながら事務作業が今進んでいるというふうに聞き及んでおりますけれども、そういった各種の分野の知見を持っている人たちの上で、更に文理融合や政策と技術をつなげられる知見を持ったプロデューサー役、司会役のような高度人材がいて、いろいろな分野の知見を引き出しながら、政策的なニーズにも応えて、かつ海外とも連携していくということが必要になりますので、相当な高度人材になります。
ですので、これは待遇も含めたシンクタンクの魅力化をどれだけできるかということで、高度人材を引きつけられるかということに直結しますので、私、ちょっと危惧しているのは、今のRIETIという、独立行政法人の報酬体系の外に抜け出すような好待遇を提示しないと、このような高度人材をなかなか引きつけるのが難しいんじゃないかなというところを一番心配しております。
○長谷川委員 布施参考人、大変貴重な御提言、ありがとうございます。
続きまして、本法案に経済安全保障上重要な物資の供給に不可欠な役務に対する支援が創設されるということでありますけれども、この不可欠な役務の具体例として、海底ケーブルの敷設役務が想定されています。そこで、NECの海底ケーブルシステム事業を手がけられておられます植松参考人にお伺いさせていただきたいと思います。
海底ケーブルは、国際通信の九九%を伝送していると言われる大変重要な基盤でございます。AIやデータセンターの利用拡大に伴って、先ほど御説明ありましたように、海底ケーブルの大容量化の需要が増加する一方で、海底ケーブルの切断による通信途絶ですとか、あるいは海底ケーブルからの通信傍受というのが経済安全保障上の重大な脅威になっているわけでございます。その中で、企業経営として、先ほど申し上げていただいたように、敷設船の取得など、事業継続性を確保しつつ、こうした経済安全保障上の観点から海底ケーブルの防護強靱化や、あるいは複線化などの対策が求められているわけでございます。
そんな中で、今回、本法案に盛り込まれた支援策について期待の御提言をいただきましたが、最後、政府への支援要望ということで、ざっと御説明をされたところではございますが、せっかくの機会でございますので、この政府への支援要望、設備投資あるいは陸揚げ国との協調、高度人材育成のための産官学連携、もう少し具体的に政府に対する御要望をいただければ幸いでございます。
○植松参考人 御質問いただきありがとうございます。
まず、一つ目のケーブルの防護についてでございますけれども、先ほど少々触れさせていただきましたが、まず、物理的な切断については、鉄線でかなり頑丈に保護したケーブルというものもございます。ただし、これを広範囲に設置しようとすると、やはり敷設船の能力が必要になってきます。
もう一つ、物理的な切断の防護の方法としては埋設という工法がございまして、海底に埋めるんですね。これも現状の埋設工法ですと、深さでいうと一メートルから三メートル程度で、実にすごく遅いんですね、これは時間がかかって。ですので、敷設船へ御支援をいただけるのであれば、そういった敷設の能力、具体的には埋設の能力も向上するというような検討も進めていきたいと思います。すなわち、より深く、より早くというような埋設ですね。
これは直接船には関係ないんですけれども、防護の方法として、ほかにはハイリスクの海域を回避するようなルート設計の最適化であるとか、今度は、次、技術開発での御支援というところで敷設からちょっと離れてしまいますけれども、先ほど申し上げた、被疑船を特定するための切断箇所の特定を、現状ですと本数によるんですけれども二十四時間程度かかっているものを、一時間程度まで短縮しようというような技術開発は、既に政府の御支援も一部いただきながら進めているところでございます。
次に、サイバーのタッピング、要は盗聴に関するところですけれども、これは敷設船とまた離れますが、手段としては、一つは暗号化がすぐ思い浮かぶかと思います。海底ケーブル向けの暗号化を一例とするセキュリティーについての技術開発は、現時点では着手はしておりません。ただし、弊社の場合、航空宇宙、防衛の分野も広く仕事をさせていただいていますので、流用、応用できるような技術アセット、人的アセットも持っているものと自負しております。
先ほどの、最後のページでの政府への支援要望で、四つ挙げさせていただきました。
安定供給のための設備投資というのは、まずは第一に敷設船。しかも、単なる隻数だけではなくて、その敷設能力。これは冬季の敷設能力であったり、あとは積載能力であったり、従来使っているものをより更に上回る積載、そういった仕様の船を保有するとなると、政府の御支援を賜りたいというところです。生産設備は先ほど申し上げた多芯ケーブルですね。
どちら側に行くかというと、優位性の開発費用補助というところで、既に御支援いただいているところではございますが、先ほどの切断場所の特定に加えて、外装ケーブルというのは実は重いので、深い海にはこれは敷設できないんですね。深ければ深いほど細いケーブルを敷設しているんですけれども、自重にも耐えられて深い海にも敷設できる外装ケーブル、金属製の保護されたケーブル、こういったものも、もう既に着手をしておりますけれども、これも進めていく、これも引き続き御支援をいただきたいというところです。
定時性のための陸揚げ国との協調というところですが、先ほど許認可にかなりの時間を要しているというふうに申しました。これは日本は例外で、日本は物すごく速いです。世界で一番速いかどうかは分からないですけれども、とにかく速いです。その一方で、遅いところがございますので、これは各国の法整備に関わるところですので、私ども民間企業では、そのテクニック、方法論まではちょっと考えが及ばないところがございます。今後、関係省庁の担当者の方々ともいろいろアイデアを出しながら協議させていただければと思います。願わくば、契約時点でもう許認可が取れている、若しくは、六か月なら六か月、十か月なら十か月で、それ以内に取れるというような担保がいただけるというのは非常に助かります。
人材育成のための産官学というふうに、四つ目、させていただいておりますけれども、実は、社内でも当然人材の確保や育成はしているんですけれども、やはり裾野を広げるという意味で、こういった専門学校であるとか大学の専門学科であるとか、そういったものが必ずしも十分ではないというふうに思っております。ですので、こういったところも、産官学というところでの連携を更に深く広くお考えいただけると非常に助かります。
○長谷川委員 ありがとうございました。
四名の皆様方の貴重な御知見に感謝申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○山下委員長 次に、後藤祐一君。
○後藤(祐)委員 中道改革連合の後藤祐一でございます。四人の参考人の皆様、今日はありがとうございます。
私は野党ではありますが、今回の法改正、必要な法改正だと思っております。ですが、今まさに中東情勢を踏まえてナフサが不足して、昨日の質疑でも、特定重要物資の多くのものはナフサがないと作れないという答弁もありました。また一方で、クロード・ミュトスに代表されるようなAIの進展、これもリスクになっている。これはいずれも、恐らく政府がこの法案を準備していた時点では予想できなかった事態が、大きな事態が二つ起きているわけでございます。そういう観点から、もう少しこの情勢に対応できるような、より改善ができるのではないか、あるいは、今後もうちょっとバージョンアップした法律が必要ではないか、そういう観点から質問をさせていただきたいと思います。
まず原参考人と鈴木参考人に伺いますが、今申し上げましたが、中東情勢に伴うナフサ不足ですとかミュトスの対応ですとか、これが今回の法改正で十分なんでしょうかという観点です。
先ほど鈴木参考人からは、未然に防止するというのはなかなか難しいんじゃないかという御指摘もありました。ちょっと条文を読み上げて恐縮なんですが、官民協議会、今回設置されますけれども、この官民協議会は、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止するため、官民の連携による当該行為の防止のための情報共有、対策に関する協議会となっていて、行為を未然に防止するために限定されちゃっているんですね。
ですが、今回の例えばナフサ不足みたいなことは、ホルムズ海峡を封鎖したという行為が問題なのではなくて、その結果として起きているナフサ不足、あるいは、これに由来する物資の不足が経済安全保障上問題なのであって、未然だとか行為というよりは、事態として、このナフサ不足が起きてしまっているという事態に対して対応するという必要があるんじゃないかと思うんです。ですから、この官民協議会の書き方をもうちょっと広くした方がいいんじゃないか。
あわせて、七条の特定重要物資もそうなんですが、これは、外部から行われる行為により国家及び国民の安全を損なう事態、ここは事態があるんですね。事態を未然に防止するためとあって、ここは、特定重要物資の方は事態という言葉があるのでまだいいかと思うんですが、ただ、やはり未然に防止するためとなっていて、未然に防止するのは難しいじゃないかという御指摘、原さんからもございました。
ここは、余り限定的にするよりは、実際の指定だとかはもちろん厳格な要件に従ってやればいいと思うんですけれども、法律上は、官民協議会はいろいろな形で開ければいいし、今回のナフサ不足を踏まえて開けるようにもした方がいいと思いますし、特定重要物資も、法律の条文上は、いろいろな形で、例えば、今回ナフサを指定するべきじゃないですかと昨日私聞いたら、それは否定し切れない、可能性としては残す答弁を昨日政府からもいただきました。とすると、未然に防止というのは、もうナフサは現に不足しているわけですから、ちょっと条文を、より解釈しやすくするための工夫をすべきじゃないかと思いますが、原参考人と鈴木参考人の御見解をいただければと思います。
○原参考人 ありがとうございます。
未然にという表現と行為という表現をいただきましたけれども、私は法律家ではございませんので、この法律自体、変える必要があるのかないのか、これは国会でお決めになることだと思っていますが、今の制度でも、先ほどの御質問にお答えしたとおり、柔軟に対応できるような仕組みにはなっていると思います。
ただ、いかに未然に防止するかというところは、私は、今回、シンクタンクが創設されることによって、ある程度、知見を集めて、いろいろなものを予測する、先ほどシナリオというようなお話もありましたが、シナリオ作り、あるいはサプライチェーンのいろいろなリスクがどこにあるのか、これを未然にいろいろ調べて、いざというときにアクションが早く取れるようにするということが可能になるのではないかというふうに期待しておりまして、まさにそれがシンクタンクを設ける一つの意義だろうと思っています。
それを生かすことによって、例えば特定重要物資であれば、それを指定した以降の不足については未然に防止ができるということになるのではないかということで、その点は特にシンクタンクに期待をしてございます。
以上です。
○鈴木参考人 御質問ありがとうございます。
今回の事案においてナフサが指定されていないのではないかということなんですが、経済安全保障推進法の設置の経緯から考えますと、元々、石油並びに石油製品に関するものは、これは別途、石油備蓄法等でカバーされているということで、経済安全保障推進法の中に積極的に取り込まれなかった、こういうことがあったがゆえに、今ちょうど法律と法律の間に落ちてしまった案件なのではないかなというふうに理解をしています。
ただ、後藤議員のおっしゃるとおり、未然に防ぐ、また、行為に限定するということについては、やはりこの法律の可能性を制限してしまうことになるだろうと思いますし、今、原参考人の方から、シンクタンクによって、十分にいろいろな調査を通じて未然に防げるものは防ぐ必要があると思いますが、ただ、防げないというか、人知の及ばない未来を予測するというのはかなり難しいことでありますので、その際には柔軟に対応できるような形で官民協議会が開けるですとか、また、柔軟に特定重要物資を指定するということが可能になるということは重要なことだと思います。
その意味では、今回、ナフサのように法律と法律の間に落ちてしまったような案件についてはなおのこと、どちらでこれをカバーするのか。とりわけ国民生活、社会生活に大きな影響を与えているという点を鑑みますと、経済安全保障推進法の設置の趣旨から考えまして、経済安全保障推進法で対処するべき事態なのではないかなというふうに考えております。
○後藤(祐)委員 具体的な御回答、ありがとうございます。
次に、これは改めてまた鈴木参考人と布施参考人にお伺いしたいと思いますが、先ほどから不可欠性の議論がございました。我が国が、他国にとって不可欠な技術や物資、こういったものを持っていくべきじゃないか、それが他国に対しての抑止になるんじゃないか、全くそのとおりだと思います。
今回の改正も含めて経済安保法、あるいはほかの外為法とかそういったものを含めて、不可欠性の観点から、あるいは攻めの経済安保の観点から、今の日本の法体系で攻めができるんでしょうか。あるいは、もうちょっと丁寧な言葉で言うと抑止力を、例えば日本が全世界の九十何%シェアを持っているようなものをある特定の国に対しては輸出をしないというようなオプションは、外為法、例えば四十八条を使えば論理的にはできるのかもしれませんが、現実には難しいのではないかと思うんですけれども、現行の法体系の中で攻めの経済安保はできるのでしょうか。できないとしたら、どういったところを改善、検討していくべきでしょうか。鈴木参考人と布施参考人に伺います。
○鈴木参考人 御質問ありがとうございます。
まさにおっしゃるとおり、不可欠性は、ある意味、不可欠性を持っているだけでは十分な抑止力にはならないというふうに私は理解しております。これが抑止力として機能し、他国が日本に対して威圧をかけないようにするために、こちらも何らかの形での対抗措置が取れるということを見せるためには、やはりこの抑止力を進めるための法体系が必要だというふうに考えております。
現行の法体系で恐らく可能なのは、外為法十条に基づく閣議決定で、こうした輸出を規制するという判断をすることは可能であろうというふうに思います。ただ、これは非常に、閣議決定という政治的な重みのある判断ということになって、ある種のオートマチックな実施ということではなく、かなり慎重な判断が求められるということで、かなり難しい方法ではないかなというふうに思っています。過去にロシア制裁ですね、これは国連安保理の決議に基づかない制裁ということで、こうした十条を踏まえた結論になっていると理解しておりますけれども、このような方法はあり得るだろうというふうに思います。
ただ、先ほど私が陳述の中で申したように、ヨーロッパにおいては、反威圧措置ということで、威圧を受けたときにはこういうことができるというような広範な措置を取れる。例えば、関税を上げるですとか、それ以外にも、輸出規制、投資規制等の措置を取るようなことを可能とする別の法体系を持っていて、そういったものが不可欠性をある意味担保として抑止力になる、こういう法体系を持っておりますので、そういったものを参考に御検討いただければいいのではないかなというふうに考えております。
以上です。
○布施参考人 御質問ありがとうございます。
現法体系との整合性、実現可能性については鈴木参考人の御説明に尽きるというふうに理解をしておりますが、一方で、現法体系の中においてもできることがあるということがあれば、それが一体何なのかというところの御説明をさせていただきたいというふうに思っております。
例えば、不可欠性を相手に認識をしてもらって初めて抑止効果が生まれるという話をさせていただきましたけれども、相手に対して伝え方、コミュニケーションの仕方、シグナリングの送り方というのは、公開の場所で公開情報に基づいて行うことも十分可能だと思います。
例えば、アカデミアの現場において学会での発表を通じて行うとか、経済安保シンクタンクに所属している研究者がシンクタンクレポートを発表することで、日本の強み、場合によっては他国がその日本の強みの技術に依存している状況をデータに基づいて実証的にまとめたレポートを発表するといったことも、相手に対するシグナリングになり得るというふうに私は理解しています。
今年の二月に、ヨーロッパにエコノミックセキュリティータスクフォースという研究者グループがあるんですけれども、彼らが出したレポートがまさにそうした趣旨でして、EUが持っている不可欠性の技術は何なのか、その技術を日本の技術と掛け合わせると中国とアメリカに対してどのぐらいの交渉力が発揮できるのかといったレポートを発表しております。こういったレポートもシグナリングの在り方の一つかなというふうに考えられると思います。
あと、もう一つは、相手に日本への依存性を知ってもらう、認識してもらうという観点でいえば、デリスキングでリスクを回避して相手から遠ざかるというところがよく注目されがちですけれども、むしろ相手のエコシステムに入っていって、より日本の製品やサービスを取り込んでもらう、あるいは依存してもらうというところも、その過程を通じた日本の不可欠性を認識するということにもつながり得るのではないかなというふうに考えております。
ありがとうございました。
○後藤(祐)委員 ありがとうございます。
ここまでの、中東情勢、ナフサ不足、あるいはミュトス対応、そして不可欠性、こういった状況を見ますと、もう次の法改正が必要ではないかと思うんですね。
検討規定というのがあるんですけれども、これは今回の改正の施行の状況を勘案して検討するというのが、施行後三年を目途として、ちょっとこれは遅過ぎだと思うんです。今回の改正部分以外も含めて、もっと大きなことが起きていますので、この法律が成立したらすぐにでも次の改正に向けて検討すべきじゃないかと思いますが、鈴木参考人、いかがでしょうか。
○鈴木参考人 ありがとうございます。
まさに、今、国際情勢は極めて速いスピードで動いていて、大きな変化が我々が想定しないスピード感で起きていますので、その意味では、常に柔軟な対応が可能になるような法制度であるべきだというのが一般原則だと思っております。
その意味では、法改正が本当に必要なのかどうかも含めて検討されるべきだと思いますが、あえて三年と、こういうふうに限定をする必要もなく、将来において適宜法改正を進めていくということが可能になるような柔軟な制度であるということが望ましいと考えております。
○後藤(祐)委員 最後、植松参考人に伺いたいと思いますが、これまでの経済安保法、そして今回の改正で、民間企業として、こういう運用をされると困るとか迷惑だとか、こういうことにちゃんと配慮してほしいというところがございましたら、最後にお願いしたいと思います。
○植松参考人 御質問ありがとうございます。
特にありません。今までなかったものをつくっていただいただけでも非常にありがたくて、御支援いただける対象の幅が広がり、さらに深くもなるということであれば、関係省庁の方々との相談は都度させていただくところではございますけれども、特段この法改正についてこちらから追加でのお願い等はございません。
ありがとうございます。
○後藤(祐)委員 時間が来たので、終わります。
参考人の皆様、ありがとうございました。
○山下委員長 次に、浦野靖人君。
○浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。
まず、布施参考人にお伺いをしたいと思います。
攻めの経済安保というお話、先ほど後藤委員の質問にもありましたけれども、私もこの部分を少しお聞きしたかったんですけれども、先ほどお話をされていましたので、経済の武器化について少しお伺いをしたいと思っています。
先ほどのお話にもありましたが、これは米中が経済の武器化というものを多用するわけですけれども、実際、今イランにおいても、恐らくホルムズ海峡の封鎖というのはそういうことだと私は認識をしているんです。今起こっている経済安保の課題というものは、そういうことが起こらなければ恐らくそこまで問題にならない出来事ばかりなんじゃないか。要は、世界中が今、グローバリズムから自国中心にシフトをして、そのあおりを受けて経済を武器化して、更にそのあおりを受けて、グローバル経済をつくってきた地球全体がバランスを崩していっている。
そういう意味では、経済の武器化というのは全ての原因の一つになっていると思うんですけれども、この部分についてもう少し詳しく知見をお話しいただけたらと思います。
○布施参考人 御質問ありがとうございます。
経済の武器化ということですけれども、私が理解していますのは、経済的手段を使って安全保障上あるいは戦略上の目標を達成しようとする試みだというふうに経済安保を定義するのであれば、まさに経済の武器化というのは、経済を武器に使って自国の戦略目標を達成する。本来であれば、場合によっては武力行使も含めて、戦争の形態を取る形で政治目標を達成する代わりに、経済的手段があるのでそれを使って自国のやりたいことをやり遂げていくというところで、手段のハードルが下がっているというところで、武力行使よりも経済的手段を使った目的の達成の方が圧倒的にハードルが低いので、そこが経済の武器化を横行させる一つの敷居の低さにもつながってしまっているというふうに理解をしております。
経済の武器化の典型的なリスクで、私が今最も注目しているのは、やはり社会インフラに対するインパクトだと思います。
社会インフラに対するインパクトというのは、サイバー攻撃もそうですけれども、物理的な攻撃も含めて社会インフラを麻痺させることで、生産活動を麻痺させ、国民心理を不安にさせ、相手国の政治の決定プロセスに介入していく、自国にとって望ましい方向に相手の国の意思決定を誘導していくというような動きが、ウクライナ紛争においてもイラン情勢においても散見されておりますので、決して今後の東アジアの情勢においても無縁のリスクではないですし、これはもう戦争というフェーズとは関係なく、平時、グレーゾーンのフェーズにおいても日常的に展開され得る可能性のあるリスクだというふうに考えております。
○浦野委員 ありがとうございます。
基幹インフラについての言及もありましたけれども、そうだとするならば、経済を担っている日本の多くの企業の皆さんも、経済戦争であれば、戦争というカテゴリーの中に知らずに引き込まれていくということになると思うんです。
経済安全保障というのは企業の利益と相反する部分というものが恐らく出てくる、時と場合によっては出てくると思うんですけれども、そういったリスクと経済安全保障のバランスについて、どのようなお考えがあるのかを原参考人にお伺いしたいと思います。
○原参考人 御質問ありがとうございます。
まさにそれは経済安全保障と自由な経済活動、これをいかにバランスを取るかという問題だろうと思っていますが、先ほど国際ルールとの関係もございましたが、まさにバランスを取らないといけないんですけれども、やはり企業といたしましては、国際的に自由な経済活動がルールに基づいて行われる、これが一番理想的な世界だと思っています。
ただ、現実は経済安全保障の重要性がますます高まってきているというのが現状で、その現実に目をつぶるわけにはいかないと思います。したがって、国際ルールに基づく自由な経済活動においても、そういった現実を踏まえたルール作り、これが必要になると思います。その下で企業は経済活動を行っていくということは、もうやむを得ない状況に至っていると思います。
ただ、日本は、資源にいたしましてもエネルギーにしましても食料にしても海外から買ってこないと成り立たない国でございますので、ルールに基づく自由貿易の旗は決して降ろさない方がいいというふうに考えております。
では、いかにこの現実を踏まえてルールを変えていくか、これが重要だと思っておりまして、そのルール作りにおいて、日本が、あるいは日本の経済界が重要な役割を果たしていくこと自体が諸外国からの評価を高めることにもなり、これが仲間づくりにも資するものだというふうに思っております。その一環として、ほかの参考人の方がおっしゃっていた、例えばEUが持っておりますACI、経済的な威圧行為に対する対抗措置、これなども日本も考えていった方がいいと私も思います。
ただ、EUと比べた場合に、EUは五億人の市場がございますけれども、日本は一億ちょっとということで大分規模が違いますので、日本の場合、例えばCPTPP、これのライク・マインデッド・カントリーズと協力をしながらそういったルール作りを進めるですとか、あるいは、WTO改革が今行われておりますので、その改革の一環として、今まで安全保障は例外という位置づけになってきましたので、これを例外ということで放っておくのではなくて、安全保障上の措置が講じられた場合に、どういうものであれば是とするのか、どういうものであれば経済的威圧行為なのか、こういうものが認定できるようにルール作りをしていくべきだというふうに思っております。
以上でございます。
○浦野委員 ありがとうございます。
もう切っても切れないものに、やっと日本も位置づけられたというふうに思うんですけれども、先ほどの布施参考人のお話にありました、インフラ等への攻撃というのもあります。
資料に載っておりますけれども、FBIの長官のお話、中国によるサイバー攻撃で、いろいろな基幹への攻撃をされているのが発覚しているとか、少し話は変わるかもしれないですけれども、ついこの間、ニュースでもやっていましたけれども、アメリカのどこかの市長さんが中国のスパイだったというのが発覚して、司法取引に応じてそれを告白した市長さんが辞職をされたというニュースがありました。ありとあらゆる手で、ありとあらゆるところに食い込んでいくということをもう既に中国はやってきている。そういう中で、経済安全保障がどこから崩されていくのかというのは非常に私も心配をしております。
インフラについてのこういった攻撃に対して、今回の経済安全保障の法案というのはそれなりに対応できるのかということを布施参考人からお聞かせいただけたらと思います。
○布施参考人 お答えいたします。
基幹インフラに対するリスク、脅威というところですけれども、私、やはり注目をしているのは、ソルト・タイフーン、ボルト・タイフーンという、サイバーセキュリティーの世界では中国由来のAPTグループによる米国の基幹インフラに対する攻撃というのが報じられているところではありますけれども、サイバーセキュリティーの世界において注目されているのは、そこにある種、中国のアプローチの変化があるのではないかという議論がございます。
それまでは、米国企業を中心とした外国企業のシステムに入り込んで技術情報を窃取して、それをある種、軍民融合の戦略に生かすという一環でのサイバー攻撃、つまり企業情報の窃取型のアプローチだったものが、基幹インフラシステムに入り込んで潜伏をして、何か具体的にすぐ加害行為をするわけではない、だけれども、そこに潜んでいる、ある種の何かタイミングが来たときに悪さをできるような形で入り込んで潜伏するという、いわば潜伏型のアプローチが顕著になっているというふうに言われています。
先ほど来から私、シナリオベースというふうに申し上げておりますけれども、まさにそうしたサイバー攻撃は、単純にどんなリスクやダメージがあるのかというのみならず、そこを超えて、そのサイバー攻撃の背景にある意図は何なのか、狙っているシナリオは一体何なのかというところをイメージしていくということが非常に重要だと考えております。
それを踏まえますと、官民協議会における様々なリスク情報、事案発生時の情報交換、そういったものを踏まえて、官民における情報の解像度を上げて、かつ、それを基幹インフラ事業者の審査制度にもひいては反映させていく、そういった各施策の連携、先ほどから体系的な連携が必要だと申し上げておりますけれども、まさに各施策が一気通貫につながっていく連携というのが求められているのではないかなというふうに考えております。
○浦野委員 ありがとうございます。
最後に、少ししか時間がありませんので、アメリカなどでは、経済安保が、産業といいますか、経済の大きな成長の一つとして、今発展をしています。日本でもそういったことが想定はされると思うんですけれども、それについて、原参考人、鈴木参考人、そういう方向性に日本もなっていくとは私は思うんですけれども、その辺の部分についてお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
○原参考人 御質問の御趣旨を正確に理解できたかどうかちょっと不安でございますけれども、経済安全保障推進ということが重要な課題であることは間違いないことだと思います。その下でこういった法律の改正も行われているものと思います。
ただ、経済安全保障をビジネスとしてどう考えるかということでございますが、今そういったことで企業のコンサルをしたり相談に乗っていただける方というのはどんどん日本でも増えているかと思いますが、私が一点懸念をいたしますのは、経済安全保障がややはやりの言葉のようになっていて、経済安全保障であれば企業は利益を度外視して、コスト管理もある程度度外視をして、経済安全保障推進に向かうべきだという論調がかなり広がってきているのかなというふうに思います。
そこは二つございまして、企業としても経済安全保障の必要性の認識というのはこれまで以上に高めていかなければいけないこと、これは間違いございませんけれども、企業としては、安全保障の場合は国が前面に立って国を守るわけですけれども、経済安全保障になりますと、企業が前線に立たされることになります。そのときに、経済安全保障の確保で必要だということで行った行為が、例えば特定国から制裁の対象になったり、あるいはいじめの対象になった場合に、その企業の利益をいかにして保護していただけるのか。ここが非常に重要なポイントでありまして、官民連携は経済安全保障の要諦だと思いますけれども、この官民連携ということの意味ですね、そういった企業が危機的な立場に陥ったときに政府として何をしていただけるのか、ここが問われてくるのかなというふうに思います。
以上です。
○鈴木参考人 時間もありますので、手短に。
米国の経済安全保障の考え方というのは、経済安全保障は国家安全保障であるということで、国家安全保障、特に防衛ですとか軍事部門における安全保障ということを中心に、今後、国に必要な、特に防衛装備ですとか、防衛産業を支えるために必要なサプライチェーンの構築のためには国家が積極的に出資をするというような形で対処をすることで経済成長につながっているということになってはいるんですけれども、それは裏を返せば、極めて保護主義的な、ある種の極端な防衛産業政策というふうに言えるかと思います。
その意味では、産業自体はそうやって安定化するということもありますけれども、逆に言うと極めて高いものを買わされているような状況も生まれていますので、この辺は少し精査が必要なテーマではありますけれども、米国の方法が必ずしも我が国のやり方と一致するというか、やはり安全保障上のリクワイアメントが異なりますので、そういう意味では、必ずしも同じ土台で経済安全保障が語られているわけではないというふうに理解をしています。
以上です。
○浦野委員 ありがとうございました。
○山下委員長 次に、野村美穂君。
○野村委員 国民民主党の野村美穂です。
本日は、四人の参考人の皆様、ありがとうございます。
私の方からは、三点、質問をさせていただきたいと思います。
まず一点目は、特定重要物資指定による事業への効果と期待する国の関与について植松参考人に、それから二点目、官民連携のバランスについては原参考人と植松参考人に、そして三点目、海底ケーブル切断リスクへの対応と敷設船保有の重要性について植松参考人に順次お尋ねをいたします。よろしくお願いします。
まず初めに、植松参考人にお尋ねします。
特定重要物資指定による事業への効果と期待する国の関与についてお尋ねします。
御社は、国際海底ケーブル事業において世界シェア約二割を有し、今般の経済安全保障推進法改正により、海底ケーブル敷設が特定重要物資の供給に不可欠な役務として指定される見通しであると承知をしております。
まず、この法改正によって、海底ケーブル敷設事業にどのような具体的な効果が見込まれるとお考えでしょうか。特に、今後五年間で一千億円超の投資を計画されているとのことですが、敷設船の自社保有や海外保管基地の設置、研究開発等において法改正がどのように寄与するとお考えでしょうか。
また、法改正に限らず、経済安全保障上、国による関与として期待されることは何でしょうか。財政支援、技術開発支援、外交面での支援など、具体的にお話しいただけたらと思います。
○植松参考人 御質問いただきありがとうございます。
敷設船に御支援いただけるという形になったとして、その効果と政府への期待というところですけれども、敷設船と、あとナレッジ、人材ですけれども、これはセットのものと考えています。船がなければナレッジも蓄積しない、ナレッジがなければ船も持てない。ナレッジと船舶というのをセットで考えたときに、まずは、これまで海洋工事に起因する原価悪化というものが、全部と言わないまでも、大部分が解消するかというところで、収益面での改善ということを期待しております。
さらには、新造船ですので、燃費の効率であるとか工事の効率、これによる原価低減であるとか、さらには敷設能力が上がるということは、より多くのケーブルも敷けますので、受注機会も創出できるか、そういう効果も期待できます。
これまではチャーター船に依存していましたので、ある意味、その船の分の利益が外に出ていたわけですけれども、それも中に残りますので、そういったところで収益の改善、さらには敷設船の老朽化も進みますので、敷設船あるいは敷設能力そのものの市場価値も上がると思っています。
したがいまして、このような収益性の改善によって、高額な投資ではあるんですけれども、社内でもビジネスプラン等は試算しておりまして、回収の計画は立つものと見込んでおります。もちろんこれは、市場の動向によって、一隻、二隻、三隻と、どの程度自社で保有するかという判断を伴うものですけれども、その都度ビジネスプランを検証して、投資回収の計画を立てた上での投資の判断というふうにしたいと思っています。
政府への要望としましては、簡潔に申し上げますと、やはり資金面での補助というものはもちろんでございますけれども、もう一つつけ加えさせていただけるとすると、適時の援助の執行というところでございましょうか。やはり、造船所の混み具合を考えますと、タイミングを逃すと船ができる時期もずっと後ろに行ってしまうということもありますので、やはりタイミングを逃さないように資金援助をいただけるようなところも、できればお願いしたいかなというふうに思います。
○野村委員 ありがとうございました。
続きまして、原参考人、植松参考人のお二人にお尋ねをします。官民連携のバランスについてです。
事業の自律性確保のために控えてほしいと思う国の関与があるのではないかというふうにも考えます。民間事業者の自律性、機動性を確保する観点から、国の関与については慎重であるべき領域もあるのではないでしょうか。事業運営において、過度な規制や手続の煩雑化など、控えてほしい国の関与があればお聞かせください。
特に、グローバル市場で競合するアメリカのサブコムやフランスのアルカテルと競争していく上で、日本特有の規制が足かせにならないよう、どのような点に配慮が必要だとお考えでしょうか。
○原参考人 まず、経済安全保障にかかわらず、一般論で申し上げますと、規制はできるだけ少ない方がいい、それから、導入しなければいけない場合でも、焦点を絞って行っていただきたいというふうに考えておりまして、その観点では、経団連も日頃から規制改革の御要望を政府の方に申し上げて、逐次対応してきていただいているところでございます。まだまだやらなければいけない宿題はあると思っています。
それに加えて、経済安全保障の世界で申し上げますと、今回の経済安全保障推進法におきましても、規制措置とそれから支援措置、この二つに分かれるわけでございますけれども、特に規制措置、具体的に申し上げますと基幹インフラの制度、重要設備を特定して、それを導入する場合には、あるいは外部に委託する場合には事前届出が必要という制度でございますが、これはかなり企業にとっては負担の重い制度でございます。
したがいまして、制度導入前から、経団連といたしましては、できるだけ対象となる事業者、あるいはそれを納入するベンダーと十分に話合いをしていただいた上で、重要設備というのをできるだけ絞り込んでいただきたいというふうに言ってまいりまして、そのような作業が行われた上で法律が施行されているという状況でございます。
その結果として、たしか九百何件の事前届出が既に行われているわけでございますが、こうした事前制度を行ったことによって、企業はそれなりの負担がかかっているわけでございます。ただ、負担だから嫌だということではなくて、自分たちが負った負担によって日本の経済安全保障がどの程度高まったのか、これがもう少し実感できるようにしていただけると、よりこの制度の実効性というのは上がってくるのではないかというふうに思っておりまして、今からの期待としてそのような形で申し上げたいと思います。
それから、冒頭の陳述におきまして私が申し上げたのが、関係者への協力義務、努力義務あるいは要請といった今回新しく入った制度でございますが、これは、最終的に、いわゆるGOCO、政府がどうしようもなくて乗り出していって介入をして、政府自らがそれを生産していくという仕組みでございますが、それは抑制的に運用するようにということで基本指針にも書かれているかと思います。
今回設けられる制度はその前段階の制度でありますので、協力義務では、努力義務では軽いのではないかという御批判があるかもしれませんが、我々からいたしますと、GOCOという最終手段の手前で行われるものでもありますので努力義務が適当だというふうに思っておりますので、それ以上の強化というのは必ずしも制度全体で見た場合に合理的ではないのではないかというふうに思っておりますので、今回御提案のある改正については賛成をしております。
以上でございます。
○植松参考人 法制度でのやりづらさとか足かせとかというような御質問だとすると、海底ケーブルに限って申し上げますと、特段ございません。
さらには、弊社の場合、私自身もそうですけれども、航空宇宙、防衛、私、三十年やっていますけれども、いわゆる社会インフラの事業は、少なからず多からず、国の関与、法律の中での仕事ということになっておりますけれども、これも、これまでのところ、法律に起因するようなやりづらさというものは感じたことはございません。
これも、日本の法律の完成度であるとか運用の成熟度の高さかなというふうには思っております。
○野村委員 ありがとうございました。
それでは、最後、また植松参考人にお尋ねをします。海底ケーブル切断リスクへの対応と敷設船保有の重要性についてです。
資料によれば、近年、台湾周辺やバルト海など、各地で海底ケーブルの切断事案が相次いでおり、中国やロシアの関与が疑われるケースもあると報道されています。また、ユーチューブでも海底ケーブル切断のリスクが解説されており、国民の関心も高まっています。
御社は、今回、初めて敷設船の自社保有に踏み切られるとのことですが、海底ケーブルの切断や損傷といった事態に対して、自社保有の敷設船を持つことでどのような迅速な対応が可能になるのでしょうか。また、日本で敷設船を保有しているのは、NTT、KDDI、そして今後御社が保有されるということですけれども、こうした民間の敷設能力と国の安全保障上の要請をどのように調整していくべきか、御社のお考えをお聞かせください。
○植松参考人 先ほど申し上げましたとおり、敷設船を自社で保有する計画を今実行中でございますけれども、自社で保有する意義としましては、敷設能力の向上と、あとは弊社のコントロール下に置けるという、その二点なんですが、一つ目の能力では、先ほどの防護のところでも申し上げましたとおり、弊社は、敷設までというところのサプライチェーンを受け持っている立場からすると、完全に切れないようなケーブルというのはなかなか難しいんですが、やはり、防護されているケーブルを敷設するための高機能、高性能な敷設船、さらには、先ほども触れた埋設するための、これも高機能、高性能な、これは、自社保有で仕様を決めて、自社でコントロールできる敷設船を持てるということの意義でもあり、効果でもあるというふうに思っています。
経済安全保障上のケーブル切断に対する防護はもちろん弊社だけで十分対応できるものではございませんので、通信事業者様、さらにはハイパースケーラーさんも含めての、今のケーブルオーナー様等を含めてのバリューチェーンということで考えますと、やはり、弊社が引き渡した後の長い期間、おおむね二十五年の運用の期間になりますけれども、その間、切断されたときに速やかにつなぎ直す、そういった保守の部分につきますと、保守を受け持っていらっしゃる民間企業が国内にもございますし、海外にもございます。そういったところの保守船の方の拡充も必要になってくるかなというふうに思っております。
その際に、やはり速やかに切断箇所にたどり着けるように、切断箇所の特定というところは弊社の技術開発の中で貢献できるかなというふうに思料します。
○野村委員 ありがとうございました。以上で質問を終わります。
○山下委員長 次に、川裕一郎君。
○川委員 参政党の川裕一郎です。
本日は、参考人の皆様、ありがとうございます。勉強させていただきますので、よろしくお願いいたします。
経済安全保障は、国家の存続基盤を左右する極めて重要な課題でございます。地政学的な緊張の高まり、サプライチェーンの脆弱性の露呈、デジタルデータの主権の問題、先端技術をめぐる国際競争の激化、そして、脱炭素、エネルギー転換に伴う新たなリスクといった、日本が直面する複合的な脅威に対応するため、政府、与野党を問わず、全ての国会議員が最善の審議を行う責務を担っていると思っております。
本改正案におきましては、重要物資の対象を物から役務にまで拡大し、医療分野を基幹インフラとして取り込むとともに、JBICを通じた海外事業の支援、研究開発基金の拡充、経済安保シンクタンクの新設など、多岐にわたる改正が盛り込まれております。一見、包括的かつ抜本的な強化に見えます。
しかしながら、果たしてこれらの政策が誰のための経済安保なのか、真に日本の自律を高めるものなのかという根本的な問いかけを私自身はしております。
こうした複雑多岐にわたる改正案を第一線で御活躍の専門家の四人の皆様に本日俯瞰いただくことは、国会審議の質を飛躍的に高めるものと確信をしております。皆様がこれまで培ってこられた知見と経験を国会に生かし、日本が直面する課題に対する最良の解決策を模索していきたいと思っております。
そこで、まず、四人の参考人の皆様にそれぞれ同じ質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
我が国の経済安全保障上の最重要課題は何であるのか。我が国の経済安保上の最重要課題、これ一点で構いませんので、具体例を挙げてお聞きしたいと思います。それぞれ、お願いいたします。
○原参考人 ありがとうございます。
どれか一つを経済安保上の課題として挙げるのは、非常に難しゅうございます。
ただ、先ほど来、私も繰り返しておりますけれども、また先生方からも御質問がありましたが、官民連携、これが一番重要だと思っております。
なぜかと申しますと、経済、これを担っているのは企業が中心でございます。安全保障、これは国がまさに前面に出る話でございまして、経済と安全保障の主体が連携しない限り経済安保は達成できないというふうに思っておりますので、官民連携が一番の要諦であろうというふうに思っております。
この考え方の下で経済安全保障推進法も作られ、それから今般改正されるものと思っておりますけれども、今後を展望した場合、先ほどの繰り返しになりますが、特に民間の立場から申し上げますと、民間と官が連携をして経済安全保障上の措置を講じてきた結果、我が国の経済安全保障がいかに高まっているのか、これがもう少し実感できると、将来的にもより官民連携が強まっていく方向に作用するのではないかというふうに思います。
また、究極の世界を想定しますと、企業が、経済安全保障上必要だということで求められ、あるいは期待されたことをやった結果、特定の国から制裁の対象になったり、あるいは嫌がらせを受けたりした場合に、日本という国がどういう立場でその企業を、もちろん守っていただけるんだろうと思いますけれども、どういう措置を講じていただけるのか、これに対する具体的なお答えを用意していただくことが、今後の官民連携の更なる推進に役に立つんだろうというふうに思っております。
以上です。
○鈴木参考人 また非常に難しい問題で、何か一つ最重要な課題を挙げるとするならば、冒頭の陳述のところでも申したとおり、我が国の経済安全保障は、先ほど布施参考人もおっしゃっていましたが、これまではやはり守りが中心であった。もちろん守ることは大事で、守りのない攻めというのはあり得ないんですけれども、守るだけでは、どうしてもどこかに隙があったりですとか、十分な措置が取られていない場合、結果として我々としても他国からの威圧を受ける、そういうリスクが残ってしまいます。やはり、それを防ぐためにも、冒頭述べましたように、抑止力を高めていくことが重要であろうというふうに考えております。
そのためには不可欠性というものを高めていくことが何よりも大事で、それが基礎にはあるんですけれども、それをしっかりと政策として実行可能なものにしていくということが重要で、その一つの例として、EUがやっている反威圧措置、ACIと先ほど原参考人もおっしゃっていましたが、この反威圧措置に関して、こうした何らかの抑止力になるような手段を持つこと、これが最重要課題なのではないかなというふうに考えております。
○布施参考人 御質問ありがとうございます。
経済安保の重要テーマは種々、多々ございますけれども、あえて一つ挙げるとするならば、クロード・ミュトスの話題もありますけれども、やはり先進、先端AIを、いかに日本の安全保障を毀損せずに、でも同時に日本の経済的繁栄につなげる形で社会実装できるのかというところが、今大きな日本にとってのチャレンジでもありますし、そのインパクトの範囲、安全保障の分野、そして産業競争力、両方にもインパクトが大きいということを考えますと、重大な経済安全保障のテーマと言えるんではないかなというふうに考えております。
特に、米中が基盤モデル開発競争を繰り広げる中で、日本の勝ち筋は一体どこなのかというところはAI戦略の重大テーマではありますけれども、同時に、そういった外国由来のAI技術に依存することに伴うリスクやデメリット、副作用というのもありますので、そういったものを最小化する技術というのは一体何なのかというところは、一つ日本の自律性につながっていく上での、重要技術とは何なのかという経済安保的な命題にもなり得ると思います。
同時に、先端AIを国産で開発することができず、海外に依存するということであるならば、そうした先端AIへのアクセスをいかに国として確保していくのかというところが求められるわけですけれども、そのアクセスを確保していく上で、日本の戦略的不可欠性をどういう形でアピールしてアクセスにつなげていくのか、世界におけるAIエコシステムにおいて、日本が必要とされる存在になって、いわゆる先端AIのアクセスをどう確保していくのかというところは、経済安保のいわゆる戦略的不可欠性を考える上での重要な命題にもつながるというふうに考えております。
○植松参考人 経済安全保障を担保する産業の一員として申し上げるとすると、やはり、技術で勝負する、そういった産業を持つべきだ、日本国においてですね、というふうには思っております。
やはり、一つ挙げるとすると、まずは人ですかね。言い換えると、産官学連携と先ほども少し触れましたけれども、技術も日々進化します。ただ、人間もどんどん年を取って、自然減として企業からも抜けていきますけれども、やはり一番怖いのが技術の空洞化なんですね。これは品質問題を引き起こしたり、さらには事業そのものを危うくするであるとか、そういった技術の空洞化を避けるためにも、やはり底上げしていかなければいけないというのが一つ思いとしてはございます。
そのためにも、産官、官民連携プラス学の部分も、これまでこういった議論は余り広くはしておりませんでしたけれども、今、やはり、技術の空洞化を避けるためにも底上げの人材育成、人材確保というものを早いうちからしなければならないかなというふうに思う次第でございます。
○川委員 それぞれ御答弁ありがとうございました。
原参考人からは官民連携のお話、鈴木参考人からは抑止力であったり不可欠性、また、布施参考人からは、AIを中心とした今のデータ主権の問題であると思います。植松参考人からは、技術の空洞化、そして人材が大切だろうというお話でありました。
ここで布施参考人に質問させていただきたいんですけれども、今ほどお話があったクロード・ミュトス、最近国会でも大分議論が深まっておりますけれども、この件に関してちょっとお話をしていきたいと思います。
経済安全保障の観点から、データ主権の確立というのは、もはや避けて通れない課題であると考えております。我が国の行政や重要インフラのデータが、どこの国の法制度と企業のガバナンスの下に置かれているのかという点は、国家主権そのものであると思っております。現在、ガバメントクラウドや自治体情報システムも含め、海外クラウド事業者への依存が急速に進んでおります。その一方で、国内事業者によるクラウドの育成が十分ではない、先ほどお話があった部分だと思います。このままでは、サイバー攻撃、情報収集活動を通じて、我が国の重要なデータベースへのアクセスを許すリスクが高まっていくのではないかという危惧をしております。
こうした現状認識であるんですけれども、まず、日本における守るべき重要データの範囲と優先順位、ここを参考人の主観で構いませんので教えていただければと思います。
○布施参考人 御質問ありがとうございます。
まさに、データが現代においては戦略物資になっているというところは、委員の問題意識、非常に共感するところでございます。
その上で、日本にとっての戦略的物資としてのデータとは一体何なのかというところの御質問だというふうに理解をしておりますけれども、日本の今後のAI戦略の中核であるフィジカルAI、あるいは領域特化型のバーティカルAIというのが今後の大きな勝ち筋というふうに位置づけられておりますけれども、フィジカルAIでいえば、産業ロボット、工場AIといったものになりますし、バーティカルAIとなれば、領域特化型ですので、金融あるいは医療、サイエンスへのAIの応用ということになります。
AIの性能を決めるのは、いかに良質なデータを学習させるかというところに尽きますので、まさに日本がAI戦略の中核に位置づけているバーティカルAIやフィジカルAIの性能を左右するようなデータというのが、日本にとっての最もプライオリティーの高いデータ領域になるというふうに考えております。
具体的には、製造業における現場の様々な操業データ、暗黙知も含めて、職人の手作業による様々なすり合わせ技術なんかの例えばデータ化みたいなところも非常に重要なデータになると思いますし、医療や介護の現場における様々な人間が行ってきた動作を再現する上でロボットに学習させるべき現場のデータ、こういったものが重要なデータになるというふうに考えております。
○川委員 御答弁ありがとうございました。
まさしく、これから働き手がどんどん少なくなっていく中で、ロボットというものがやはり国を支えていく部分にもなると思いますし、そのデータとなる、AIの革新的な進歩というのはなくてはならないと思っております。
そんな中で、政府がすべきことですよね。今ほどお話があったフィジカルAI、バーティカルAIを進めるために政府としてやらなくちゃいけないということはどういう部分だとお考えでしょうか。
○布施参考人 これは経済安保の範疇の少し外の話になるかもしれないんですけれども、現場におけるデータというのは、多くはまだ構造化されていない、つまりAIが学習できる形にまだ規格化されていないデータが大半だというふうに言われていますので、まずは、現場における暗黙知も含めたデータをAIが学習できるような規格にしていく、データの構造化と言われるプロセスですけれども、まずデータの構造化を各企業が現場で取り組んでいく、政府としてはそれを後押ししていくというところが、AI戦略のまず第一歩、データ主権の第一歩になるのではないかというふうに考えております。
○川委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○山下委員長 次に、高山聡史君。
○高山委員 チームみらいの高山聡史でございます。
参考人の各先生におかれましては、貴重な意見をいただき、ありがとうございます。順に質問をさせていただきます。
まず、原参考人に伺います。
基幹インフラ制度につきまして、先ほど、もちろんその意義は認めつつも、事業者にとっては負担が重い制度でもあるという言及がございました。事前審査において審査基準が不透明なまま運用された場合、企業の設備投資計画であったりとか外部委託、そういったものに対しても支障が生じるというリスクもあるかと思います。
審査の透明性であったりとか予見可能性を高めるために、政府に対して、具体的にどのような取組であるとか制度的な対話、こういったものを求めますでしょうか。
○原参考人 ありがとうございます。
従前の経済安保推進法の中で四つの柱がございまして、その中で最も企業の負担が重いと思われますのは、今御指摘のあった基幹インフラの制度でございます。
まず、特定重要設備、これについて、事前届出をしないといけない、委託する場合もそれしかりということでございまして、ただ、それによって何か企業から今大きな不満が出ているかというと、そういうことはございません。
ただ、今後、負担が重たい制度でございますので、一つには、先ほど申し上げましたが、これによってどの程度日本の経済安全保障が高まっているのか、これがもう少し実感できると、もちろん開示できる情報は限られると思いますけれども、そのような努力を政府にはお願いをしたいということでありますし、これは冒頭の陳述でも申し上げましたが、届出のシステム化、こういった改善努力を今後も引き続き行っていただきたいというふうに思います。
以上です。
○高山委員 ありがとうございます。
負担を求めるからには、その意義がしっかり伝わるということであったりとか、あるいは、手続のシステム化、簡便化みたいなところは政府としても重要な取組であるというふうに認識をいたしました。
続いて、鈴木参考人に伺います。
かねてから先生は、サプライチェーンのチョークポイントは突発的に発生する性質を持つんだ、予測困難な形で顕在化するということを繰り返し御指摘されてこられたかと存じます。
今回新設される官民協議会は、国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止するものとされていますが、向き合うべきは突発的に発生する事象であり、また、行為を未然に防止するという整理は、先生が論じてこられた事柄の性質とも概念的に整合しないのではないかと考えるわけでございます。
例えば、官民協議会、平時からサプライチェーン上のチョークポイントを把握、マッピングする営み、これは未然防止に近いと思うんですが、また、危機が顕在化したときの情報共有、対応調整、そして事後の制度改善など、より今の整理よりも多層的に担う器として設計されるべきとも思うのですが、いかがでしょうか。官民協議会の機能を未然防止に限定的に整理することの是非であるとか、あるいは今私が申し上げた機能を多層的に拡張していくような方向性について、先生の御見解を伺います。
○鈴木参考人 ありがとうございます。
今御質問の点に関しては、まさに冒頭陳述で申しましたとおり、未然に防ぐというだけでは必ずしも官民協議会のポテンシャルが十分に発揮されないのではないかというふうに理解をしております。
とりわけ、私は内閣府の宇宙政策委員というのも拝命しておりますけれども、その中でも、宇宙の分野でも官民協議会というのがございまして、それはまさに、事態が突発的に発生した際に官民協議会で情報共有がなされ、そしてそれによって適切な対処を行うということが前提になっている、そういう仕組みでございます。
その観点からしますと、官民協議会、サイバーの世界でもございますし、宇宙でもございます。それらを見ても、いずれも、事態の発生後の対処、そしてそれに対する情報共有ですとか、その後の事後処理の問題等についての協議の場というふうに、そういった機能を付されていますので、今回も、この経済安保の官民協議会もそうした機能が持たされるのが望ましいのではないかというふうに思っております。
○高山委員 ありがとうございます。
先生も今おっしゃったとおりだと私も思います。中東情勢であるとか、あるいは今のAIの状況というものも、では去年このようであると思われたかというと、そうではないと思いますし、まさに今おっしゃっていただいたようなことに対して官民協議会がきちんと対応できるような形になっていくのが望ましいのかなという理解をいたしました。
続いて、布施参考人に伺います。
布施参考人は、先ほども守りの経済安保からより能動的な攻めの経済安保への転換ということをおっしゃっておられますが、今回の法改正、その転換に向けた一歩として十分なものであるというふうに評価されますでしょうか。
特に、戦略的不可欠性を実際に抑止力として機能させるために、今回の法制度の改正に加えて運用上どういったことが必要になるのか。先ほど戦略的コミュニケーションであったりとかシグナリングというキーワードもございましたが、是非具体的にお聞かせください。
○布施参考人 お答えいたします。
先ほど来、私、シナリオベースで考えることが重要だということをるる申し上げてまいりましたが、まさに今、日本の経済安保政策に求められるものがあるとすれば、具体的な課題を解決するんだと、それをシナリオに引きつけて考えて、打ち手を考えていくという発想ではないかというふうに考えております。
産業振興と安全保障上の解決という、この二つが混在する経済安保の領域ですけれども、産業を強くすることが日本の安全保障をよくするということなんですが、時として技術を伸ばすとか産業を伸ばすというところがやや目的になっているのではないかなというような、心配になるような施策も散見されたりしております。ですので、明確な安全保障上の課題はこれなんだ、その解決に資する技術というのはこれであり、そのアプローチというのはこれなんだというところのシナリオベースの思考が重要だというふうに考えております。
そうしたものを政策当局に求めるというのは、日々のこれだけの様々な負担を考えますと、負担の量を考えますと、やはり現実的ではないですね。目の前の動きに対応している政策サイドとは違った視点で、より中長期的な視点で、シンクタンクだったりあるいは官民協議会がいろいろなシナリオを基に議論をし、打ち手のオプションなんかを幅をそろえる、それを政策サイドに提言をして、政策サイドはその時点において最良のものを選び取っていくというようなサイクル、これが今後の、まさにこの法改正を踏まえた次の日本の経済安保のフェーズで、期待しているところでございます。
○高山委員 ありがとうございます。
今いただいたシナリオベースの議論というところ、私も非常に重要だと思っておりまして、追加で布施参考人に伺いたいと思います。
シナリオベースといったときに、短期といいますか、数か月から一年のシナリオもあれば、三年から五年、より長期のシナリオ、それぞれあると思うのですが、どういう時間軸で考えることが今重要なのか。
これは論点によってもそれぞれあるとは思うんですが、例えば、経済安保推進法がどういう時間軸で動いているかみたいなところでいうと、法案は三年の見直しみたいなところがあったり、あるいは特定重要物資においては毎年検討が入るというところがあったり、あると思いますが、変化の激しい時代において、一年、二年でシナリオを検討すべきことがあれば、是非教えていただきたいというふうに思います。
○布施参考人 お答え申し上げます。
具体的な一年あるいは二年、三年といった期限を数字で区切ってシナリオプランニングをやるというのは、私はちょっと適当ではないというふうに考えておりまして、AIの進化も含めて我々側の予測を超える動きがございますので、それは状況に対応しながら随時フレキシブルに行うということが最も有効なのかなというふうに考えております。
その際に、年限を区切らずシナリオを考えるとすれば、やり方としては、日本として避けたいワーストシナリオは一体何なのかというところを一回考えてみて、そこから逆算して、その事態を避けるために打つべき打ち手は一体何なのかというところの考え方をするのも、一つの時間軸に縛られない形で、トピックベースで、課題ベースで考える思考の一つかなというふうに思います。
例えば、AI戦略でいえば、基盤モデルを外国製に握られて、日本は完全に基盤モデルから敗退してしまったシナリオがあるとすれば、どんなインパクトが日本の産業にあり得るのか、アプリケーションで日本はどういう活路を見出していけるのかというような様々な論点が浮上しますので、そういったシナリオも一つだと思いますし、あと、先ほど来ホルムズ海峡の問題も話題になっていますけれども、ホルムズ海峡の問題は古くて新しい問題ですので、本来であれば、ホルムズ海峡が封鎖されたときのシナリオというのがどこかの知的基盤のある組織において検討されていてもよかったのかなというふうに考えるところでございます。
そういう観点においては、重ね重ねになりますけれども、経済安保シンクタンクが、時間軸に縛られずに、シナリオベースで日々動きに応じて内容を更新する形で検討作業をやって、知恵袋になっていくというところを期待したいというふうに考えております。
ありがとうございます。
○高山委員 ありがとうございます。
まさに今いただいた、何年なら大丈夫ということに縛られず、対処が必要な事態にきちんと対応できることが大事だというふうに受け止めました。ありがとうございます。
続いて、植松参考人に伺います。
意見陳述の中でも、海底ケーブル事業においては、自社敷設船保有の有無が、競合を見ても大変重要であるというお話でした。
もちろん個別の設備投資補助の判断についてこの場で論じるわけではございませんが、先ほどのお話の中でも、政府に最も求めたい支援は自社敷設船の取得を含む補助であるというところでしたが、これに対して、今回の法改正によって必要な支援の可能性が開かれる、少なくとも制度としては期待できるものになっているという御認識でしょうか。御見解をお聞かせください。
○植松参考人 もちろん本法案、かなり追い風というか、海底ケーブル事業に対しても追い風になっているものと認識しております。
これまで御支援いただけなかったようなものも支援いただける、先ほども幅も広がったというところを申し上げましたけれども、民間企業で負担していたものを、費用面だけではなくそれ以外のソフト面も含めてですけれども、政府から御支援いただけるというのは大変ありがたい話でありますし、経済安全保障、本法案ももちろんそうですけれども、重要インフラの安定供給というものも、弊社としても責任を全うできるというところにつながると考えております。
○高山委員 ありがとうございます。
今日の意見陳述の中でもいただいた、そもそも事業環境がどうなっていて、どういう支援が必要かというようなやり取りが、官民連携のやり取りの中でもしっかりコミュニケーションが取られて、その連携が進むことを私も期待をしております。
もう一つ、鈴木参考人に伺いたいと思います。反威圧措置、経済の武器化への対抗について伺いたいと思います。
先生も御指摘のところかと思いますが、対抗手段を欠いたままでは、相手国にとって、日本に対して経済的な威圧を行うコストが低く見積もられてしまうというふうに考えるわけですが、反威圧の制度を今後しっかりと整備をしていくということにおいて、将来的に経済安保推進法の枠組みの中に組み込んでいくものなのか、あるいは、それだけでなくて、別建ての立法であるとか外為法を本格的に改正するような対応、どういった形が筋であるというふうにお考えでしょうか。
また、併せてお伺いできれば、現在の国際政治の情勢も踏まえて、この反威圧手段を整備する際に必要な要素、先ほども少しおっしゃっておられましたが、設計についても御見解を伺いたいと思います。
○鈴木参考人 ありがとうございます。
反威圧措置をどのような形で法制度にしていくのかというのは、まさに国会で検討されるべき課題だと思いますけれども、ヨーロッパの場合、EUは、反威圧措置に関しては、それ以前からブロッキングスタチュートという、ブロック措置というのを持っていまして、それの発展形として、一つの法体系として持っているということですので、別建てでやるというのがヨーロッパのやり方ですが、日本には外為法がございますので、その外為法をどうやって起動するか。
つまり、例えば、経済安全保障推進法の中でこうした条件が威圧であるという認定をして、そして、その認定に基づいて外為法、とりわけ外為法十条に基づく閣議決定を促すというような組立てもできるかと思いますが、輸出の規制ですとか関税措置、何らかの対抗措置を取るには、外為法の機能というものが最終的には、現行の法制度の中では、これが変わらないとすれば、外為法をどういうふうに使って対抗措置を取るかということになるかと思います。
ですので、今回の経済安保推進法の枠組みの中には必ずしも最終的な措置が入るということにはならないと思いますけれども、何らかの威圧に対して外為法を起動するという形のたてつけは可能かなというふうに考えております。
○高山委員 ありがとうございます。
この反威圧の措置ということも大変重要な論点だと思いますので、また引き続き議論してまいりたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○山下委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
四人の参考人の皆様には、貴重な御意見を賜り、ありがとうございます。
最初に、植松参考人にお尋ねをいたします。
海底ケーブル、お話しいただきました。この海底ケーブルの市場規模は、変動幅はありながらも拡大傾向にある、特にハイパースケーラーが市場を牽引しているというお話がありました。同時に、植松参考人のメディア等での御発言などを拝見していますと、将来、例えばエッジコンピューティングやデータ圧縮といった大容量通信を必要としない技術革新が進めば、海底ケーブルの需要も変わる可能性があると述べておられます。
このような、海底ケーブルの需要が大きく変わる可能性について、具体的に少し教えていただけないでしょうか。
○植松参考人 御質問ありがとうございます。
可能性としては、その二つ、三つに限らずほかにもあると思うんですけれども、海底ケーブルに代わる何か、技術について申し上げると、十年、二十年、三十年、五十年先は分かりませんけれども当面の間はないと思います。
一つは、衛星通信が現時点でも挙げられますけれども、通信速度が明らかに違うんですね。ですので、ここまでデータ通信に依存する社会に、スマホ一つ取っても、企業のソフト、何にしろ、なってしまうと、この通信容量に代わるものというのはそう簡単には出てこないと思うんですね。
ただし、二〇〇〇年代の前半、一年、二年ぐらいでしょうか、ITバブルなんて言われたときがあって、海底ケーブルの需要がどんと落ちたときがあったんですね。今後も、別の言い方をするのであれば、今はAIクラウドでどんとハイパースケーラーを中心に伸びていますけれども、AIバブルが崩壊というようなところというのももちろん想定はしなくてはならないんですけれども。
一方で、海底ケーブルは一般的には二十五年運用するんですけれども、最初に敷いたケーブルがもう既に運用期間を過ぎた年を迎えつつありますので、新たに敷き直すというような需要も、市場もまたそこに入ってきますので、突然下がるということはないのかあるのかというと、今、調査会社等のデータ、様々なものを基に分析はしていますけれども、向こう五、六年までは見えても、その先というのはなかなか見えないので、頻繁に各所からデータを取って、予測しながら事業計画を立てていくかなというようなところで考えています。
○塩川委員 ありがとうございます。
今、衛星通信の話もありましたけれども、植松参考人は航空宇宙関係の事業も担当されておられたということで、今回、重要な海外事業の促進に関する支援措置が法改正で設けられる中で、支援対象として衛星通信システムの地上設備も挙げられているところであります。
NECとして、光通信衛星コンステレーションの実現に向けた取組を行っておられるということで、現行、NECの取り組んでいる事業に対してどのような国の支援が行われてきたのか、また、今回の法改正によって支援対象となるような事業はどのようなケースが想定されるのか、この点について、衛星通信システムの話ではあるんですけれども、お考えのところを教えていただけないでしょうか。
○植松参考人 大変恐縮ではございますけれども、私、海底ケーブルの分野で本日参考人として参っておりますので、当然弊社の中では今おっしゃったような内容も事業としては持っております、必要とあれば担当の部署の者が対応させていただきたいと思いますので、本日、詳細については御容赦いただければと思います。
○塩川委員 ありがとうございます。
もう一問、戻りまして、今回の海底ケーブルの件で、政府への支援要望を冒頭の陳述のところでも述べておられました。技術開発への支援についての継続ということで書かれておりまして、これまで受けてきたということであります。
これまでどのような開発費用補助を受けてきたのかについて、御説明いただけますか。
○植松参考人 ここ数年でありますと、先ほども少し申し上げましたかね、深海用の外装ケーブルの開発費用であるとか、あとは、これも触れましたけれども、切断箇所の早期探知、そういったところで支援をいただいております。
○塩川委員 ありがとうございます。
次に、原参考人と布施参考人に官民協議会の関係でお尋ねいたします。
原参考人は冒頭の陳述の中で、官民協議会において、民間人の守秘義務の規定も盛り込んだ官民協議会についての必要な措置というお話をされました。同時に、資料提供義務については、よく理解できるような、そういう、基本指針で示していただきたいというお話がございました。
やはり、官民協議会で情報、資料提供義務、これは義務ということなので拒めない、拒むということであれば協議会に入れないとか、そういう問題、矛盾もあるのかなと思うんですが、その点で、民間サイド、事業者サイドとして官民協議会に係る問題について困ることというのはないのだろうかということをお聞きしたいのと、布施参考人につきましても、シナリオベースの話として官民協議会を挙げておられたと承知をしております。民間側にとっての官民協議会に係る課題等について、お考えがあれば教えていただけないでしょうか。
○原参考人 まず、官民協議会を新たに設置するわけでございますが、これは私が度々申し上げております官民の連携、これを強化する、まさに形にするものだと思いますので、これは大いに進めていただきたいというふうに思います。
それから、今先生が御指摘のとおり、私も申し上げましたが、入ってから、あれ、これは想定と違ったということにならないように、事前に基本指針の段階で、入った場合に何が求められるのか、義務づけられるのか、それから、どういうことが期待されているのか、よく理解した上で判断できるような材料を基本指針の中で提供していただきたいということでありまして、それ以上は、新しく設置されるものでございますので、その後の協議会のありようを逐次フォローしていきながら、また必要に応じて御意見を申し上げたいというふうに思います。
以上です。
○布施参考人 御質問ありがとうございます。
官民協議会についてですけれども、リスク対応や様々なシナリオを官民で議論する場ということであるのであれば、脆弱性の情報も含めて、脆弱性の情報や技術を持っているのは企業の側ですので、いかに企業の側が安心して機微な情報も含めて官民協議会においてシェアできるのか、あるいはシェアをしようと思えるのかというところの保護措置、仕組みづくりが重要なのではないかなというふうに考えております。自社のシステムの脆弱性の情報だったりとか、あるいはサプライチェーン上の課題、最新の技術ロードマップみたいな議論を、自社の情報を共有する形で議論が進むということになるとすれば、そういった情報がきちっと保護されて、不必要に外部にさらされるようなことがないような仕組みづくりなんかも必要になってくる。
そういった仕組みづくりがあって初めて企業は任意で参加をしたいというようなインセンティブが働いてくるということになると思いますので、保護の仕組みづくり、非常に重要だと考えております。
○塩川委員 ありがとうございます。
次に、鈴木参考人にお尋ねいたします。
鈴木参考人がこの間メディア等で発言しておられるのを拝見しておりまして、例えば、経済安全保障と産業政策は、一歩間違えれば自国の利益や選挙目的を含む政治的な目的のために濫用される可能性を含んでおり、保護主義の手段として使われるリスクを抱えていると述べておられます。
このような経済安全保障に係る措置というのが、具体的にどのような濫用というのが問題となっているか、又は今後想定されるのか、この点について、お考えのところを教えてください。
○鈴木参考人 御質問ありがとうございます。
経済安全保障という概念は、自国の自律性を高めるということが一つの、メインの柱になっております。自国の自律性を高めるということは、すなわち自国の中に産業を置いておくというか自国の産業を守るということになりますので、ともすると保護主義ですとか競争力の弱い産業を守る、こういうことになりかねないということだと思います。その点では、冒頭のお話もありましたし、また、最初、長谷川議員の方からの御質問にもありましたけれども、バランス、つまり、どこまでを守って、どこまでは自由で開かれたものにするのかということのバランスが大事なんだと思います。
経済安全保障推進法の優れたところは、特定戦略物資というある一定の物資を法律の中できちんと明記し、そしてそれを限定することによって、この部分は一定の保護ないしは自律性を高めるということを目指しつつ、この自律性も、必ずしも全て国産、内製化をするというわけではなく、友好国、同志国との間の信頼できるパートナーとの間の戦略的自律性というふうに規定されています。その意味では、可能な限り開かれた貿易体制を維持しながら、部分的には戦略的なものを守るという、いわゆるスモールヤード・ハイフェンスの仕組みをこの経済安全保障推進法は体現しているのではないかというふうに考えていますので、その意味では、保護主義に陥らない様々な仕掛け、これが当初からこの法律の中には埋め込まれているというふうに理解をしております。
○塩川委員 ありがとうございます。
続けて、鈴木参考人にお尋ねいたします。
新聞報道のインタビューにおきまして、CPTPPを例に挙げまして、経済を武器にするのはやめようという取決めであり、この枠組みの中に入る国をできるだけ増やすことが国際秩序の安定に寄与するのではないかと述べておられました。
経済を武器にするのはやめようという働きかけを日本としてどのように行っていくことが必要なのか、この点についてのお考えをお聞かせください。
○鈴木参考人 ありがとうございます。
CPTPPは、自由貿易の関税を下げる、いわゆる最恵国待遇の度合いが九〇%を超えるという極めて高い水準の自由貿易体制であるということでありますので、他国に対して経済を武器化する、つまり、そのための手段である例えば関税ですとか投資規制、そういったものは、ルールによって支配されるというか、ルールによって規定をされているので、武器化するための手段がCPTPPの加盟国内では実施されないということがこのルールを守っている限り約束されているというふうに私は理解をしています。
逆に、こうしたルールに属さない、そういった国々がこうしたルールを飛び越えた形で、今、特に、WTO等もルールがあるにもかかわらず、それを実施しない国というのが出てきて、それがまさに経済の武器化と言われる状況を生み出していますので、CPTPPがしっかりと機能し、そして、日本を含む主要国のリーダーシップによって、ルールがきちんと参加国によって守られることによって、こうした武器化をするための手段というものが実施されないということが約束されるのではないかというふうに考えております。
○塩川委員 最後にもう一問、鈴木参考人にお尋ねいたします。
同じインタビュー記事の中で、中国との関係について述べておられました。最初からけんか腰で向き合う必要はない、互いに大事な相手であることを認め、うまくつき合っていくことが本来あるべき姿だと述べておられます。
日中間に、互いに大事な相手であることを認め合うような外交的な資産など、共通の土台というものというのは何らかあるのか、その点について教えていただけますでしょうか。
○鈴木参考人 ありがとうございます。
日中関係、現在かなり厳しい状況であることは確かだと思うんですけれども、日中の間には四つの文書と言われる日中友好条約も含めた外交的な資産はこれまでもございますし、また、戦略的互恵関係というコンセプトで、お互いに互恵関係にあるということは相互に確認されるべきだというふうに考えております。
このところ、残念ながら、中国とのハイレベルの接触がなかなか難しいので、それを確認するという機会はなかなか得られておりませんけれども、こうした戦略的互恵関係のような外交的資産はまだ十分生きていると思いますし、また、これを基に、日本は今後、中国との関係をまた再構築していくということが望ましいというふうに考えております。
経済安全保障の観点からも、やはり日本と中国の相互依存関係、これは非常に深いものがありますので、これを損なうことなく戦略的にまさに互恵関係でいられるという状況を、日中間のハイレベルのコンタクトを通じて一刻も早くそれが再構築されることを望んでおります。
○塩川委員 終わります。ありがとうございました。
○山下委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
この際、一言御挨拶を申し上げます。
参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
この際、お知らせいたします。
経済産業委員会との連合審査会は、午後二時から開会いたします。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時二十八分散会

