第24号 令和8年6月26日(金曜日)
令和八年六月二十六日(金曜日)午前九時八分開議
出席委員
委員長 山下 貴司君
理事 安藤たかお君 理事 鈴木 馨祐君
理事 中根 一幸君 理事 長谷川淳二君
理事 鳩山 二郎君 理事 後藤 祐一君
理事 浦野 靖人君 理事 森ようすけ君
井出 庸生君 伊藤 聡君
大空 幸星君 長田紘一郎君
金子 容三君 川崎ひでと君
河野 正美君 こうらい啓一郎君
坂本竜太郎君 佐藤 主迪君
平 将明君 中田 宏君
平井 卓也君 平沢 勝栄君
文月 涼君 村木 汀君
山本 左近君 吉田 有理君
若山 慎司君 渡辺 博道君
大島 敦君 長妻 昭君
吉田 宣弘君 黒田 征樹君
西田 薫君 野村 美穂君
川 裕一郎君 高山 聡史君
畑野 君枝君 中村はやと君
…………………………………
議員 石橋林太郎君
議員 勝目 康君
議員 塩崎 彰久君
議員 鈴木 英敬君
議員 高木 啓君
議員 田野瀬太道君
議員 長谷川淳二君
議員 平沼正二郎君
議員 松野 博一君
議員 阿部 圭史君
議員 黒田 征樹君
議員 原山 大亮君
議員 飯泉 嘉門君
議員 豊田真由子君
国務大臣
(内閣官房長官) 木原 稔君
内閣府大臣政務官 金子 容三君
内閣府大臣政務官 若山 慎司君
内閣府大臣政務官 川崎ひでと君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 重松 弘教君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 竹林 俊憲君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 杉浦 正俊君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文部科学戦略官) 三木 忠一君
内閣委員会専門員 田中 仁君
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委員の異動
六月二十六日
辞任 補欠選任
大空 幸星君 坂本竜太郎君
古川 直季君 伊藤 聡君
大島 敦君 吉田 宣弘君
塩川 鉄也君 畑野 君枝君
同日
辞任 補欠選任
伊藤 聡君 こうらい啓一郎君
坂本竜太郎君 大空 幸星君
吉田 宣弘君 大島 敦君
畑野 君枝君 塩川 鉄也君
同日
辞任 補欠選任
こうらい啓一郎君 山本 左近君
同日
辞任 補欠選任
山本 左近君 古川 直季君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
国旗の損壊等の処罰に関する法律案(松野博一君外十六名提出、衆法第一八号)
――――◇―――――
○山下委員長 これより会議を開きます。
松野博一君外十六名提出、国旗の損壊等の処罰に関する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、警察庁刑事局長重松弘教君外四名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○山下委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鳩山二郎君。
○鳩山委員 おはようございます。自由民主党の鳩山二郎でございます。
本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
本法案は二日間にわたって審議されてきましたから、かなり重複する部分もあろうかと思いますけれども、是非今日はよろしくお願いをいたします。
本法案を今国会で提出する理由の一つに、外国の国旗の損壊罪は存在するのに対し、自国の国旗を損壊することを罰する法律がないということが挙げられていました。外国の国旗損壊罪は存在し、自国の国旗損壊罪が存在しないことは、私自身、やはりアンバランスではないかと思いますが、大切なことは、我が国の国旗を大切に思う心、このことを守るために法律が必要であって、しっかりとした議論の上、作り上げていくべきだと私は考えております。
その上で、この度、国旗損壊についての処罰に関する法律案を提出することになったその意義について、改めてお伺いをさせていただければと思います。
○石橋議員 おはようございます。御質問にお答えを申し上げます。
国旗を貴ぶ心は万国共通の価値観でありまして、外国の国旗であれ、我が国の、日本の国旗であれ、損壊等のやり方によっては、国旗を大切に思う国民感情や、また尊厳を害することになると考えております。
そして、国旗は国家の象徴として大切に扱われているものではありますけれども、我が国では、G7諸国の中で唯一、外国国旗の損壊は処罰対象でありますが、自国国旗の損壊について処罰する規定を持っておりません。
また、外国に限らず我が国におきましても、これまでに国旗を公然と損壊等するような事例が生じていたことも確認されておりますし、近年のSNSの加速度的な普及やグローバル化の進展が見られる中、そうした国外における事案が我が国の皆さんの耳目に入ることによって発生するかもしれない同様の事案の発生を将来に向かって抑止する必要のあることから、国旗損壊罪の法制化を図る必要があると法案提出者としては考えているところであります。
我々としては、国旗を大切に思う国民感情が法的に保護されていない現状は我が国の在り方として容認できず、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法で公然と国旗を損壊、除去、汚損する行為を罰するための国旗損壊罪を新設する法案を提出させていただいているところでございます。
○鳩山委員 御答弁ありがとうございます。
本法案では、提出の理由として、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法により公然と国旗を損壊し、除去し、又は汚損する行為についての処罰規定を設ける必要があるとされ、条文にも、そのような行為が行われたときに罰則が与えられると定められております。
私自身、当然我が国の国旗を大切に思っておりますし、本法案によって保護しようとしているのは、強制ではない、あくまでも自然な、国旗を大切に考える気持ちかと思います。
そこで、改めて、本法案が守ろうとしている法益について、詳しく御説明をいただければと思います。
○石橋議員 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、自然な気持ち、本法案第二条のこの罪の保護法益は、国旗を大切に思う国民感情という社会的法益であると提案者としては考えているところであります。
また、本罪同様に、ある種の社会的に共有されている感情を社会的法益として保護するものとして、例えば、礼拝所に対する一般の宗教的な感情を保護する礼拝所不敬罪、また、健全な性秩序、性風俗ないし公衆の性的感情を保護する公然わいせつ罪などもあるところでございます。
○鳩山委員 御答弁ありがとうございます。
多くの国民の皆様の国旗を大切に思う気持ち、その気持ちを守るためにいかにいい法律を作り上げるか、そのことがやはり重要だと思っております。
本法案でしっかりと議論しておかなければいけないのは、これは決して国家の権威的なもの、政府への権威的なものを批判することにまで罰則を広げようなどというものではないということをはっきりとさせなければ、国民の皆様の理解を得ることができません。だからこそ、法案の条文にも、罪に問われる行為の判断は、行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情を総合的に勘案するとしているんだと思いますが、具体的にはどのような状況を想定しているのでしょうか。
本法案を議論するときによく取り上げられる事例として、自国の国旗の保護規定を定めているアメリカにおいて、政治的表現が憲法に定められた表現の自由によって保護されるという判例によって、自国の国旗の損壊が処罰されない状況が続いたという問題があります。
法律を作ったとしても、意味がないという状況にならないようにするためには、表現の自由をいかに守りながら国旗を大切にする気持ちを守っていくか、その時々の個別の状況判断が非常に重要になるかと考えます。
可能な限り具体的な状況を考え、例として積み上げていく作業が必要と考えますが、そのことについて御答弁をお願いいたします。
○石橋議員 お答えを申し上げます。
状況でありますけれども、法文にもありますとおり、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法を条文の方に規定をしております。これは、一般通常人から見てひどく快くないと感じさせる又は不愉快に感じさせるような方法をいうというふうにしているところであります。
また、これに該当するかどうかにつきましては、行為者自身やこれを見た者が現実に不快感や嫌悪感を覚えたか否かではなく、あくまで一般通常人を基準として、客観的、具体的な状況から判断をするということになっております。具体的には、損壊等する行為がどのような一連の行為の過程で行われたのか、行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情を総合的に勘案するというふうにあるように、そういったものを総合的に勘案し、社会通念に照らして判断をしてまいることになる予定であります。
○鳩山委員 御答弁ありがとうございます。
次に、ちょっと質問を飛ばさせていただいてお伺いしたいのですが、今回の法案では自己所有の国旗も対象となるわけで、ここが現行の適用可能な法律と大きく違うわけでありますが、その理由について御説明をいただければと思います。
○石橋議員 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、器物損壊罪等にありましては、自己所有の国旗を損壊したところで処罰されるわけではなく、また、親告罪であるため、被害者からの告訴がなければ起訴されないことになっております。
しかしながら、本法案における保護法益は、国旗を大切に思う国民感情としております。そうである以上、自己所有の国旗であるかどうか、あるいは被害者からの告訴があったかどうかにかかわらず、国旗を損壊等する行為そのものが保護法益を侵害する蓋然性が高いと考えておりまして、そのような行為を行った者を処罰対象としていこうというところであります。
○鳩山委員 御答弁ありがとうございます。
次の質問ですが、現行の器物損壊罪や外国旗損壊罪は親告罪でありますが、本法案は非親告罪であります。自己所有の国旗であっても罰せられるだけに、非親告罪とするには、罪が成立するかを相当慎重に見極める必要があると思いますが、なぜ非親告罪となっているのか、御説明をいただければと思います。
○石橋議員 失礼いたします。
外国国章損壊罪は、外国政府の請求がなければ公訴提起をすることができない親告罪ということになっていますけれども、本法案は、国家的法益を保護法益とするものではなく、国旗を大切に思う国民感情という社会的法益を保護法益とするものでありまして、特定の被害者を想定することも困難であります。そのゆえに、本法案では、国の請求等、告訴を公訴提起の条件とはしていないところでございます。
○鳩山委員 御答弁ありがとうございます。
続きまして、処罰される国旗の範囲についてお伺いをいたします。
処罰の対象となるのは、法に定めた国旗そのもののみと考えていいのでしょうか。国旗をプリントしたTシャツ、あるいは日の丸をデザインした小物は対象にならないと考えていいのでしょうか。
また、これに関連して、アニメ、ゲーム、生成AIによる創作は含まれないと説明されていますが、このことが条文に明記されていないのはなぜでしょうか。お答えをいただければと思います。
○石橋議員 お答え申し上げます。
本法案においての国旗とは、国旗・国歌法に定める国旗として用いられていると社会通念上認められる有体物をいうと第一条で定義をしているところであります。すなわち、本法案における国旗は日章旗のことを意味しますけれども、必ずしも国旗・国歌法に定める制式にのっとったものには限られず、少なくとも、社会通念上国旗の用に供していると認められる有体物であればこれに当たると考えております。
お尋ねの国旗をプリントしたTシャツ、あるいは日の丸をデザインした小物等でありますけれども、これが国旗に当たるのかどうかについて、個別具体的な状況に応じて判断されるものであり、一概にお答えすることは困難ではありますけれども、法案提出者といたしましては、基本的には、社会通念上、そうしたものは国旗の用に供しているとは認められないのではないかというふうに考えているところであります。
また、アニメ、ゲーム、生成AI等の創作が含まれないのはなぜかということでありますけれども、今ほど申し上げたとおり、本法案における国旗とは、国旗・国歌法に定める国旗として用いられると社会通念上認められる有体物として定義をさせていただいております。ゆえに、アニメ、漫画、ゲーム等の作品や生成AI等により作成した動画内における国旗の損壊等の描写につきましては、有体物である国旗を損壊したとは言えないと考えますので、本法案の処罰対象に含んでおらないところでございます。
○鳩山委員 御答弁ありがとうございます。
法律の趣旨を考えたときに一番大切なのは、やはり国旗を大切に思う気持ちを守るために法律を作ることだと思いますので、是非しっかりと取組をお願いをしたいと思っております。
ここまでいろいろとお伺いしてまいりましたが、一番私が大切だと思っておりますのが、この法案は、国旗を大切に思う素朴な心を大切にしようというものでありまして、特定の思想、信条を制限又は統制しようとするものではないということであります。どのようなときに罰せられて、どのようなときに罰せられないのか、このことがなるべく具体的に分かりやすく周知徹底されていないと、国民の皆様に誤解を招いたり、理解されないことによる反対運動なども起きると思われます。
本法案を周知徹底させ、理解を促進するためにどのような手法をお考えなのか、お聞かせをいただければと思います。
○石橋議員 お答えを申し上げます。
本法案が特定の政治信条、思想を制限し、統制しようとするものではないということにつきましては、これまでも本委員会で答弁をさせてもらったとおりであります。
本法案は、あくまでも国旗の損壊等として外形に表れた客観的な行為を処罰の対象とするものでありまして、個人の内心に立ち入って、その行為の基礎となった思想、信条を処罰するものではない、また、その思想、信条に反する特定の行動を強いるものではないということは繰り返し述べてきたものであります。
こうした点でありますけれども、こうしたこの委員会における審議を通じまして、まず国民の皆様にも御理解いただきたいというふうに考えておるところであります。
○鳩山委員 お答えありがとうございます。
何よりも、具体的に分かりやすくした上で、しっかりと理解していただく、この動きをしっかりと進めていただければと思います。
最後に、表現の自由との関係についてお伺いしたいと思います。
繰り返しになってしまいますが、本法案で最も心配されているのが表現の自由との関係性であります。表現の自由については、もちろん保護されるべきものでありますし、自国の国旗損壊罪を定めているいずれの国も常に抱えている問題であります。
表現の自由について十分配慮がなされているのか、その点について最後にお聞かせいただければと思います。
○石橋議員 お答え申し上げます。
本法案は、人々が国旗を大切に思う気持ちを侵害する蓋然性の高い行為、そうした行為に限定して処罰の対象としようとするものであります。国旗を公然と損壊等する行為に処罰範囲を限定をしております。また、表現内容に着目をして処罰しようとするものではありません。処罰対象の範囲を厳格に画すために、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法でという外形的、客観的な行為態様に着目をして構成要件を定めております。
この方法に当たるかどうかでありますけれども、行為者の目的や意図がどのようであるのかにはかかわらず、一般通常人を基準として、行為の外形、周囲の状況等の客観的事情を総合的に考慮して判断されることになると考えております。
このように、外形的、客観的な事情に着目すべきということを明らかにするために、二条二項におきましては、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法に該当するか否かを判断するに当たって、行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情を総合的に勘案すべしとの注意規定を置いているところでもございます。
また、加えて、三条におきましては、本法の適用に当たり、表現の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意すべき旨の適用上の注意規定も置かせていただいております。
○鳩山委員 ありがとうございます。
終わります。
○山下委員長 次に、吉田宣弘君。
○吉田(宣)委員 おはようございます。中道の吉田宣弘でございます。
早速質疑に入らせていただきます。
まず初めに、政府の方にお聞きします。
犯罪構成要件の機能について、端的に御答弁ください。
○吉田政府参考人 一般に、構成要件とは、犯罪として法律上規定された行為の類型であるとされておりまして、それに該当しない行為については、国民が行ったとしても処罰されることはなく、自由に行動ができるという点で、国民の行動の自由を保障する機能を有するとされているものと承知しております。
○吉田(宣)委員 端的な答弁、ありがとうございます。
刑罰法規の機能というのは、国民の自由を保障する目的であるというところに主眼があるというお話でございました。
では、国民の自由を保障するために刑罰法規はどうあるべきか。これは限りなく明確でなければいけないという観点から質問いたします。
法文を読ませていただくと、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法と構成要件に規定されておりますが、このような方法を誰が判断し、また、不快や嫌悪といった、極めて主観的な概念だと私は思いますが、これをどのように判断するのかについて、御答弁を願います。
○高木(啓)議員 吉田委員の御質問にお答え申し上げます。
人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法に該当するかどうかは、最終的には刑事裁判において裁判官が判断することになると思われます。
そして、その判断については、行為者自身やこれを見た者が現実に不快感や嫌悪感を覚えたか否かではなく、あくまで一般通常人を基準として、損壊行為がどのような一連の行為の過程で行われたのか、周囲の状況はどうであったのか等の客観的事情を総合的に勘案し、社会通念に照らして判断されることになります。
そして、このような判断方法を取ることを条文上も明らかにするため、その判断は、行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情を総合的に勘案して行うものとする旨を規定したところであります。二条の二項でございます。
したがって、極めて主観的な概念の判断になるとの御指摘は当たらないものと考えております。
○吉田(宣)委員 最終的には裁判所が判断する、これはそのとおりでございます。しかし、刑罰権の発動というのは捜査機関から始まりますので、その点に対しても十分考えなければいけないんだろうと思います。恣意的な捜査機関の運用というものについては、構成要件の明確性から判断しなきゃいけないと思います。
次の質問に移りますけれども、今御答弁いただいた法案の二条一項の方法に該当する判断は、行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情を総合的に勘案して行うものとする、これは法案の二条の二項でございますが、こういうふうな規定の仕方は、刑法典や、また、これは法務省所管の特別刑法で結構でございますけれども、特別刑法法規の中でこのような規定の例があるかどうかについて、政府から答弁いただきます。
○吉田政府参考人 把握している限りで申し上げますと、あくまで法務省所管の法律には、罰則の適用に係る判断について、御指摘のような規定を設けている例はないものと承知しております。
○吉田(宣)委員 法務省所管の法令で恐縮ですけれども、ほかの省庁の所管する特別刑法について私も調べていないので、申し訳ありません、そういった意味では無責任かもしれませんが。
私は何を申し上げたいかというと、逆に、このような規定があることで、国民の皆様が、どういうことが処罰をされるのかということを社会通念とか総合考慮とかいうことで考えたときに分からなくなってくると私は思うんです。私は、そのことについては指摘をしておきたいというふうに思います。
次の質問に移ります。
憲法学で言う二重の基準というのがございますけれども、これについて、議案提出者の方から御説明いただければと思います。
○高木(啓)議員 お答え申し上げます。
学説に言ういわゆる二重の基準というのは、表現の自由を中心とする精神的自由を規制する立法の合憲性は、経済的自由を規制する立法よりも特に厳しい基準によって審査されなければならないという理論であると承知をいたしております。
なお、判例はこのような学説のアプローチを必ずしも受け入れておりませんで、基本的には、制限の必要性の程度と、制限される自由の内容及び性質、それに加えられる具体的制限の態様及び程度等を衡量して決するという利益均衡論に依拠してきたものと理解されていると承知をいたしております。
○吉田(宣)委員 ありがとうございます。
判例はそのとおりでございます。それは付随的審査制だから、当然そういうことになると思います。
憲法学において二重の基準を否定する憲法学者は恐らく一人もいないと思います。そんな学者がいたら、多分、憲法学界で生きていけないと思うからですね。
これは、そういった意味においては、ある意味、通説的な見解であるということでございますけれども、今も御答弁にございましたとおり、表現の自由に対する規制については厳格な審査基準が妥当するというふうなことで理解されておりますが、表現の自由に対する規制に対して違憲審査基準が厳格とされていることについての認識をまた御答弁いただければと思います。
○高木(啓)議員 お答え申し上げます。
学説上、二重の基準の理論的根拠としては、まず第一に、経済的自由に関する不当な立法は、民主制の過程が正常に機能している限り、議会でこれを是正することが可能であるのに対し、民主制の過程を支える精神的自由が不当に制限されている場合には、そのような自己回復が困難であること、第二に、経済的自由の規制については、社会経済政策の問題が関係することが多く、裁判所の審査能力に限界があるのに対し、精神的自由の規制についてはそのような問題は少ないことなどが挙げられることが多いものと承知いたしております。
○吉田(宣)委員 そのとおりなんです。本法案で一番私が懸念されるところはその点なんです。表現の自由が制約をされることによって、それが民主制の過程でも修復が難しくなってくるというところに実はこの表現の自由に関する部分がありますから、そういうふうな懸念について明確に答えを国民の皆様に示していかないといけないということで今審議をさせていただいているわけでございますが、時間の関係で先に進ませていただきます。
六月二十四日の内閣委員会で示された、実際に国旗の損壊等の行為が行われた四つの事例を紹介していただきましたが、この四つの事例は政治的表現の行為として行われたものかについて、政府参考人から御答弁いただきたいと思います。
○吉田政府参考人 先日の当委員会で示された四つの事例、すなわち、一つ目として、昭和六十二年に、競技会場に掲揚されていた日の丸を引き降ろし、ライターで火をつけて掲げた後、その場に投げ捨て、半分ほど焼失させた事例、二つ目として、平成三年に、大学生が大学正門に掲揚されていた日の丸を引きずり降ろした事例、三つ目として、平成八年に、旧日本海軍殉職者記念碑近くのポールに掲揚されていた日の丸を燃やした事例、四つ目として、平成二十年に、神社の境内で参拝客が所持していた日の丸を奪い、足で踏みつけた上、さおを折った事例についてであります。
公刊物によりますと、一つ目の事例については、その判決において、被告人は、日の丸旗は国民を戦争に動員するのに利用された旗であり、国旗としてふさわしくなく、本件競技会の開始式において日の丸旗を掲揚すべきでないと考えており、日の丸旗が掲揚されることになったことを知り、開始式で日の丸旗が掲揚されれば、これを引き降ろそうと考えるに至っていたところ、その当日、会場に実際に日の丸旗が掲揚されたのを見て、これを引き降ろして、再掲揚を妨げるため燃やしてしまおうと決意した旨判示されていることが確認できました。
他方で、二つ目から三つ目までの事例については、公刊物において確認できなかったところでございます。
その上で、先ほど申し上げた一つ目の事例の犯行が政治的表現行為として行われたものかどうかについては、個別の事件における裁判所の認定した事実に対する評価にわたる事柄でございますので、法務当局の立場からお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○吉田(宣)委員 私は、今、法務省は、三権分立という矜持の上から評価は差し控えされたと思います。そこは私も十分理解するところでございますが、私は、明確にこれは政治的表現の行為であったというふうに思います。
ただ、残りの三つについては、事案が明確でないし、裁判になったかどうかも明確でないし、よくぞこの四つの事例を事案として出してきたなというふうに私は率直に驚きました。そのことについては少し苦言を呈させていただきたいのですけれども、次の質問に移らせていただきます。
先日の中道の後藤議員の質問に対して、国旗損壊罪の構成要件に該当する行為で、ここからが答弁ですが、政治活動上の表現の自由として行われたような、そういったものについて、あくまで違法性阻却事由の有無等において判断されるものであると認識をしていますとの答弁がございました。
政治活動上の表現の自由として行われた行為が違法性阻却事由で判断される理由について教えてください。
○高木(啓)議員 お答え申し上げます。
御指摘の答弁は、構成要件該当性の判断の段階においては政治目的か否か等の主観を考慮しないことから、政治活動上の表現として行われる行為についても、著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法であると客観的事情から認められる場合があり得ることを前提に、仮に構成要件に該当した場合であっても、違法性阻却事由の検討段階においては、政治表現目的であること等の事情も含めて総合考慮して、社会通念上相当なものが判断されるという趣旨で述べたものでございます。
違法性阻却については、本法案に限らず、刑法三十五条に基づく正当行為として、ある行為が構成要件に該当したとしても、個別具体的な事情を考慮して、社会通念上相当性が認められれば犯罪が成立しないものとするものであるから、その検討の際には、政治活動上の表現としてなされたものであることも考慮して、適法なものか否かが判断されるということになるものと思われます。
○吉田(宣)委員 私も、刑法をそれなりに学んできた者としては、今の答弁では、残念ながら、ちょっと納得できないところでございます。
答弁を聞いていて、恐らく違法性の本質については、判例の立場に立っておられるのかなと思います。すなわち、行為無価値論から入っているのかなというふうに考えます。ただ、様々、違法性でこの判断をするというのは非常に私は危険だと思いますよ。なぜならば、間口の部分で、構成要件の部分で国民の自由というものが保障されなければならないのに、その判断が違法性の段階で、しかも、今、何か社会通念とかそういったものもありましたけれども、そういったもので違法性が判断されるというのは私は危険だというふうに思います。仮に違法性が阻却されるような事案、例えば、国旗を損壊しなければもうどうしようもないような差し迫った状況で違法性が阻却されるというふうな話であれば、期待可能性の話になって、私は責任論で論じられるものじゃないかという気もいたします。
そういった意味においては、私は刑法理論として非常に雑だなというふうな感想を述べさせていただいて、次の質問に移らせていただきます。構成要件のレベルでそれは判断すべきじゃないかという質問は飛ばさせていただきます。
したがって、次の九番目の問いに入らせていただきますが、本案件で刑事事件として摘発された場合、その刑事裁判は、私は違憲訴訟になると思います。この法案が成立をして、犯罪で立件されて刑事裁判になったとき、私は弁護士の資格はございませんが、偉そうなことを言うつもりはありませんが、私が仮に弁護士だったら、恐らく違憲訴訟まで持っていきます。
そういった意味からすれば、表現行為を制約するこの法律を適用する側で、本法案の合憲性について、裁判所を説得するに足る議論を物すごく積極的にやらなきゃいけなくなるというふうに思うんですね。
このことわりは、実は立法作業においても私は当てはまると思うんです。
これは、佐藤幸治先生の教科書に記載がございます。憲法の第二版の二百八十三ページ、表現の自由に対する制約の合憲性判断基準というところの総論の部分に、そのように述べられているんですね。表現の自由というのは、精神的自由であって優越的価値が認められているので、それを規制する立法というのは、普通の法律だったら合憲性の推定が、国会の手続を踏んで成立するものですから合憲性の推定が働くんですけれども、表現の自由を制約する法律については、これは違憲性の推定が働くというふうにおっしゃっておられます。
したがって、違憲性の推定があるということを前提に、立法作業をするに当たっては、裁判所がどのような審査をしということは、立法の側でもしっかり事前にそのことを検討しておかなければいけないんだろうと思いますけれども、そのような裁判の場面になったりとか、また違憲審査基準であったりとか、そういった議論というのは議案提出会派の皆様の中で行われていたのかどうかについて、是非御答弁いただければと思います。
○飯泉議員 お答えをさせていただきます。
実は、一昨日の階委員さん、あるいは森委員さんの御質問にもお答えをさせていただいたところでありますが、当初の原案の中では、二条の第二項の中で、いわゆるインターネットなどでの配信、こうしたものについて、公然以外の、つまり、例えば一時間後であるとか、あるいは十二時間後、予告配信、こうしたものも共に処罰をするということになっていました。
しかし、国民民主党といたしましては、昨今のDX化、文化、政治活動、これはもとよりのこと、社会経済活動の中で、かなりネットを使って、しかも、リアル配信だけではなくて予告配信、あるいはメタバースを活用する、こうしたものも多々あるわけでありますので、こうしたものまで処罰をするということであれば、かなり表現の自由、憲法第二十一条、ここに影響を及ぼすのではないかということがありましてこちらを提案させていただいた結果、旧第二条二項が削除となったところであります。
もとより、三条の中には、二十一条、つまり表現の自由、これをしっかりと配慮するんだ、配慮規定、こちらもあるわけでありますが、そうした形で、また、その後の様々な情勢が変わり得るということもありますので、当初なかった、附則の中に検討事項、見直し規定、こちらも入れるべきではないか、このことも導入をされたところであります。
以上です。
○吉田(宣)委員 国民民主党の皆様の積極的な議論への参画については敬意を表するところでございますけれども、私はまだ足らないというふうに思います。
これまで表現の自由が問題となった裁判例というのは物すごくたくさんありまして、様々な状況に基づく、様々な違憲審査基準も実はあるわけです。そういった一つ一つ、違憲審査基準でこの法案がどうなのかということも検討されないと、私は心配でなりませんよ、正直。
済みません、次の質問に移らせていただきます。時間の関係です。
次に、所有権絶対の原則というものについて聞きますが、所有権絶対の原則は所有権の対象物の処分の仕方にも及ぶのかどうかについて、法務省から説明いただければと思います。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の所有権絶対の原則の表れといたしまして、民法第二百六条は、所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有すると規定してございます。
したがいまして、所有者による所有物の処分につきましても、原則として自由にすることができますが、法令に定めがあれば、その制限を受けることとなります。
○吉田(宣)委員 原則論として、自分が持っているものについては、自分がどのように処分してもいいんだという話なんですね。もちろん、不法投棄なんというのは罰せられますから、捨てるとかいうふうなことについて制約があるのも事実でございます。
では、その制約がこの法案において、自分が持って、自分のお金で買った日の丸の国旗について、原則は、自分でどんなふうな処分をしたって構わないわけなんです。ただ、今言ったように、不法投棄とか、様々な法令によって制約があるのも私も存じておりますので、その観点で、この国旗損壊罪法案は、国民の財産権に対する不当な侵害とならないのかどうかについて、御答弁いただければと思います。
○高木(啓)議員 お答え申し上げます。
本法案は、国旗を損壊等する行為を処罰する行為でありまして、自己所有の国旗であっても対象となることから、財産権との抵触という問題を生じさせるのではないかという趣旨と御理解をいたします。
この点、財産権の保障についても公共の福祉による制限があるところでありまして、まず、例えば、国旗を大切に思う国民感情を保護する必要性は高いということ、そして次に、本法案が処罰するのは、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法で公然と国旗を損壊等する行為に限定しているし、そのような限定的な行為に限って国旗の用い方を制約することは、物の所有権に対する制約の程度として小さいこと等からいたしますと、財産権の不当な侵害にはならないと私たちとしては考えております。
このことは、動物愛護の良俗という社会的法益を保護法益とする動物愛護法においても、自己所有の動物を虐待等しても処罰されるのと同じであるというふうに認識をいたしております。
○吉田(宣)委員 財産権との関係では説明がなされました。表現の自由というのは一歩高いレベルで制約の厳格性が求められるところ、財産権ではその制約の程度というのは低くてもいいんだろうというふうなことから一応理解はいたしますけれども、それでも、私は、この法案に関する心配は実は拭えません。
最後の質問になりますけれども、議案提出者の皆様の御説明によると、本法案の保護法益は、国旗を大切に思う国民感情といういわゆる社会的法益というふうに繰り返し説明をいただいているところについては理解をしております。
私は、私自身、国旗についてはとても尊重もしておりますし、様々な会合で掲げられている国旗に一礼を申し上げて、そして礼節を尽くす、また尊敬の念を示す、そのようなこともいたしますが、それは自然な感情としてやらせていただいているところでございます。
国民の皆様も同じだと思うんですね。国民の皆様がこのように自然に思って、国旗を本当に親しんで尊重する心というものが、この法案が成立してしまうと、国民が国旗を尊重しなければ処罰されるという国家権力の象徴となり、国民の国旗に対する自然な感情に私は本当によくない影響が出てくるんじゃないかというふうなことをとても危惧いたします。
この思いは、実は私が尊敬申し上げる、今この場にはいらっしゃいませんが、政治家の方のお心でもございます。これについてどのように議案提出者として受け止めておられるのかについて、最後にお聞きしたいと思います。
○高木(啓)議員 お答え申し上げます。
繰り返しになりまして恐縮ですが、本法案の提出者といたしましては、まず、本法案二条の罰則は、あくまでも国旗の損壊等として外形に表れた客観的な行為を処罰の対象とするものでありまして、個人の内心に立ち入って、その行為の基礎となる思想、信条を処罰するものではございません。その思想、信条に反する特定の行動を強いるものでもないことでありますから、思想及び良心の自由を保障する憲法十九条に違反するものではないというふうに考えております。
このため、この法律が、国旗は尊重しなければ処罰されるという国家権力の象徴であるとか、あるいは国民の国旗に対する自然な感情によくない影響があるという御指摘は、私どもとしては当たらないものと考えております。
○吉田(宣)委員 時間が参りました。終わります。
○山下委員長 次に、長妻昭君。
○長妻委員 おはようございます。長妻昭です。よろしくお願いをいたします。
外国国章損壊罪はあるにもかかわらず、日本国旗は損壊しても野放しになっているのではないかということが言われておりますけれども、日本国旗についても、最高三年の拘禁刑である器物損壊罪が既にございます。今回の法案の立法事実について、法案提出者からの説明で、過去の日本国旗損壊の四事例が提示されました。しかし、いずれも器物損壊罪で既に逮捕されている事件でした。一方で、自己所有の国旗に対しての罪はないのではないかとの指摘がありますが、これは外国国章損壊罪においても同様です。
国民の身体を拘束する新たな刑事罰を創設するときには、客観的な立法事実など、必要不可欠であるとの相当の理由が必要です。刑事罰を科す法案の審議においては、これまで具体的な立法事実が示されてきました。立法事実とは、ある法が存在する合理性の根拠となる社会的事実です。今回、予防的立法事実という答弁を始め、通常の刑事罰を伴う法案の審議とは異なり、非常に曖昧模糊とした説明しか返ってきません。刑事罰という重い法案を審議する国会としては、慎重にならざるを得ないのは当然です。
それでは、質問をいたします。
例えば、国旗を隠すという行為は、本法案で適用されるんでしょうか。
○勝目議員 お答えを申し上げます。
本法案におけます構成要件は、累次御答弁を申し上げておりますとおり、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法によって、公然と国旗を損壊し、除去し、又は汚損した者ということになってございます。
先生御指摘の行為がこれら構成要件に該当するような場合には対象となるわけでありますけれども、隠すということがこの要件に該当するかどうかというのは、これはそれぞれの個別の態様等によって違うわけでありますから、個々の事例について申し上げることは立法者としては難しいわけでございますけれども、まさに構成要件該当性というものは外形的に判断をされるということでございます。
○長妻委員 訳が分かりません。
では、例えば、国旗を見えない場所に移動させる、これはいかがですか。
○勝目議員 掲揚されている国旗を別のところに持っていく、隠すということになりますと、それは除去に当たるということでございます。ですので、ほかの構成要件と併せ持ってそこは判断されるということであります。
○長妻委員 私が心配しますのは、やはり萎縮効果ということが出てくるのではないかということなんですね、国への批判をちゅうちょする空気。そして、例えば、ワールドカップなどで、顔に国旗なんかをペイントしますね、これはもちろん取締りの対象じゃないとは思いますけれども、こういうものについても、もしかしたらということで、萎縮効果が起こってくるのではないか。そういう意味では、国旗への親しみというよりは、恐れ多いもので、余り気軽に使わない方がいいんじゃないのかという、かえって国旗を遠ざけることにつながらないかということも私は心配をしております。
そして、これも多くの専門家から指摘されるんですが、近代美術とか芸術について、展示する主催者が法律相談をした場合、やはりこういう法律があるから、念のため、やめておいた方がいい、よく分からないからやめておこう、国旗を使った芸術展示は。そういうような萎縮効果が相当出てくるのではないかと危惧するんですが、これは大丈夫なんでしょうか。
○勝目議員 この間、るる答弁を申し上げておりますとおり、今回のこの法案というものは、表現の内容に対する規制ではないということでございます。
したがいまして、あくまで外形的、客観的に判断される構成要件への該当性というものが問われるということでございますので、そういったことに当たるのかどうなのかということでありますから、そこは、それこそ今ほど委員が例示として挙げられた顔に描いたペイントというようなことがありましたけれども、あくまでこの国旗というものが、法律に定められる国旗として用いられると社会通念上認められる有体物ということで、ここはやはり刑事法規でありますから、対象を明確に記載をさせていただいているところでありますので、そういったところのそご、疑義というのはないんだろうというふうに思っております。
繰り返しになりますけれども、あくまで表現内容に対する規制ではないということは国民の皆様にも是非広く知っていただいた上で、今回の国旗損壊罪の法案の内容を御理解いただけるように、法律が成立をいたしましたならば、該当省庁、政府において、そこはしっかり対応していただきたいと思います。
○長妻委員 これまでのるる質疑の中で、非常にこの構成要件が曖昧であるということで、今回唐突に出てきたわけですから、萎縮効果は否めない、非常にそれを危惧するものであります。
そして、もう一つは、拡大解釈や、今後、法律がどんどんどんどん対象が拡大していく、検討事項も入っております、そこら辺の懸念というのもあるわけでございます。
今ここで議論している法案というのは、もちろん現行犯逮捕も可能だ、時と場合によってはですね、一般人も現行犯逮捕できるということでございます。その前提として、一般人、一般の方から通報があれば警察が駆けつけるということになりまして、これも非常に萎縮効果というのも出てくるのではないか、あるいは相互監視ということも出てくるのではないか。
昨日、大学の先生を始め参考人の方の御意見をお伺いしました。ある方は、社会の分断を防止するためにこの法律が必要だ、こういうふうにおっしゃっておられたんですが、私は、逆に、これは社会の分断を生んでしまうのではないかという危惧も持っているんです。事実、今、この法案はリトマス試験紙であるという言説が流布されておりまして、この法案に慎重な立場、あるいは反対する人たちは国旗を損壊したい、反日である、こういうような言説も流布されておりまして、非常に社会がむしろ分断されるのではないか。
もちろん、この法案に慎重な立場の方々というのは、何か国旗を損壊したいからこの法律ができたら都合が悪い、こういう方ではなくて、先ほど申し上げましたように、刑法、国民の皆さんに刑罰を科すときの構成要件等々の疑問について、ほかの法律、器物損壊罪があるにもかかわらず、なぜこの法案なのか、こういうような疑問についての慎重意見ということにもかかわらず、そういうような事態になるというのは大変ゆゆしきことだなというふうに思います。
同調圧力が日本は非常に強い国でございますので、こういう今私が申し上げたような懸念というのは、これは大丈夫なんでしょうか。
○勝目議員 今回のこの法案は、先ほど来申し上げておりますように、表現の内容に立ち入る、内心に立ち入るというものではないわけであります。そして、その構成要件というものを定めつつ、それは外形的、客観的に判断をされるということでありますから、そういったところをしっかり御理解いただく中で、そういった萎縮効果を生まないようにしていく配慮が必要だろうというふうに思っております。
これはまさに刑事法規でありますから、今回の件について、立法事実であるとか保護法益であるとか内心の自由との関係はどうなんだ、こういう御指摘をいただくわけでありますが、刑事法規における質疑としてそこは当然あるべきものであろうというふうに思っておりますので、そうした質疑を通じて、そういった私どもの考え方を明確にお示しをさせていただきたいと思っております。
○長妻委員 今申し上げた懸念が払拭される答弁とは思えないんですね。
幾つか新聞記事があるんですが、これは一九三八年五月十日の夕刊、読売新聞の記事であります。対米戦争の三年前でございます。過去の日本も今回と同じような動き、ムーブメントが出てきた時代があったんですね。このタイトルは、「白地に赤き純潔の“日の丸”を守れ! 国旗冒涜者が意外に多いと県が検閲標準を定む」「精神総動員へ」ということで、当時、国民精神総動員ということで運動があったというふうに聞いております。日中戦争が始まった一九三七年頃から、日の丸は戦意高揚のためのシンボル的及び国民統合の装置としての役割を担うようになった、日の丸への落書きが禁じられるなど、日の丸に権威を持たせるための動きというようなことでございました。
過去、日本では、一方的な空気がつくり上げられて極端な方向に一気に動いたという大変苦い歴史の教訓がございます。暗い時代が来ないようにするためにも私たち国会議員の責任は大きいということを肝に銘じなければならないというふうに感じているわけで、その中で、今回の質疑を慎重にしているということであります。
もう一つ、先日の質疑の中で、法案提出者の中から、この立法事実について、昨今の御時世に鑑みて社会的法益を守っていく、こういう御答弁があったんですが、昨今の御時世というのはどんな御時世なんでしょうか。
○勝目議員 私自身がその答弁をしたわけではありませんので、一言一句正確にということにはなかなか難しゅうございますが、ただ、私が理解するところでは、やはり今SNSの発展というもの、あるいは普及というもの、これがかつてとは比べ物にならない、著しく広がっているわけであります。そうした中で、世界的な、国際的な動き、日本の国外も含めて、様々な情報をリアルタイムで、あるいはそれに近い形で目にするということが日常的に起こっているわけであります。しかもまた、アテンションエコノミーなどという言葉もありますが、過激であればあるほど耳目を集めるというようなこともあります。場合によったら、それが収益化の種になっているというようなこともあるわけであります。
やはりこうしたことが与える影響というもの、これは非常に重く受け止めないといけないのではないかという中で、国旗を損壊等する事案の発生を将来に向かって抑止をする必要があるのではないか、こういうことを立法事実の一つとして考えているところであります。
そして、先般、委員を始め、御指摘を賜りまして、私どもの方でも確認をさせていただきましたけれども、現に国旗を損壊をしている、燃やすといったような、こういうものがSNS上、インターネット上、見られる状態にあるということ、これは確かでありますから、そういうことを総じて、昨今の御時世という答弁になったんだと認識をしております。
○長妻委員 もう一つは、国旗へのマジックでの書き込みというのはどういう判断ですか。
○勝目議員 先ほど来繰り返しの答弁になりまして恐縮でございますが、今回の法案の構成要件というのが、あくまで著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法ということになっておりまして、その内容というものは問わないということになっているわけでございます。
したがいまして、この構成要件に該当するかしないかというところが判断基準になるところでございます。
その意味で、マジックであるから、すべからく、あらゆるものが対象外だということにはならないんだろうとは思いますけれども、そうした中で具体の判断がなされるということだと思っております。
○長妻委員 これは、この後、後藤委員もやられると思いますけれども。
そうすると、今回の法案の骨子を拝見しますと、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法ということが書いてありますけれども、不快、嫌悪、これは人によっても相当違うと思うんですが、一般通常人というふうにおっしゃっておられますけれども、これは相場観として、普通の国民の皆さんの大体何割ぐらいがこういう感情を持つ、半分以上が持つ場合とか、どのくらいの程度を想定されておられるんですか。
○勝目議員 一般的に考えて、合理的な範囲でということであろうと思います。
したがいまして、相応の割合の方がそういうことを感じるということなんだろうと思っております。
○長妻委員 そうすると、どのぐらいなんですかね、六、七割とか半分とか。半分の方はそうでないと思っても、これでいってしまうのか。
どのぐらいの割合、これは非常に抽象的なんですよね、構成要件が。不快とか嫌悪というのは、一般通常人といっても、誰が一般通常人なのか、我こそが一般通常人だということで判断されては困るわけですよね、その人の思いですから。
これは全体でいうと、大体相場観としてどのくらいの程度なんですか、割合でいうと。
○勝目議員 これは、現実問題としてカウント、数を数えるというのは難しいという制約がある中ではありますけれども、そうした中にあって、これまでも、こうした一般通常人を基点とした規定ぶりというのがストーカー規制法であるとか軽犯罪法とかであるわけでありますので、そうしたところも踏まえてということだと思っております。
○長妻委員 これは、ストーカー規制法とか軽犯罪法では政治的表現というのはないわけですよ。今回は政治的表現を含むものでございますので、不快又は嫌悪という曖昧な形で刑罰を科すというのは非常に慎重にならなきゃいけないなと思います。
私自身も国旗を前にすると厳粛な気持ちになりますし、国旗が何か汚されたら不快になるというのは当然の気持ちだと思うんですね。私もそうです。
しかし、やはり国会の場ですから、国民全体に与える影響とか過去の歴史の教訓というのもきちっと踏まえなきゃいけない。私たちは、本当に暗い時代にしないように我々国会議員としての責務をきちっと果たすということが必要だと思いますので、それを踏まえて行動いただければというふうに思います。
よろしくお願いします。
○山下委員長 次に、後藤祐一君。
○後藤(祐)委員 中道改革連合の後藤祐一でございます。
国旗を大切に思う感情、もちろん私も強く持っているということを申し上げた上で始めたいと思いますが、昨日の参考人質疑で志田参考人の配付資料というのがあって、これは通告のときに別紙でつけておりますけれども、萎縮効果について具体的な記述がありました。
表現者自身の萎縮、よく分からないからやめておこう。嫌がらせ通報や嫌がらせ炎上の材料になりやすい。あるいは警察マターとなる、警察の取調べを受けるとなれば萎縮が生じる。あるいは公民館や公立美術館などが集会への会場や美術作品の展示を拒む。こういった萎縮効果が発生する可能性はあり得るのではないでしょうか。
○塩崎議員 お答えいたします。
表現の自由は民主主義の根幹を成す極めて重要な権利でありまして、萎縮を招かないようにすることが大事であるということを提出者としても重く受け止めております。
今委員から御指摘のありました志田参考人の配付資料の中で四つ、こういう萎縮効果の可能性について言及しておりますが、例えば漫画、アニメ等への波及の可能性につきましては、漫画、アニメ、ゲーム、生成AIの画像はそもそも客体に当たらないということを明確にしておりますので、対象が無制限に広がるということにはならないと思っておりますし、今委員からもお話のありました嫌がらせ通報や炎上の懸念、こうしたことにつきましては、構成要件該当性というのは、通報者の主観ではなく、一般通常人を基準とした客観的態様で判断されるものとなりますので、通報があったとしても、客観的態様で該当しなければ処罰対象とはならないものだというふうに考えております。
○後藤(祐)委員 全ての日本人がここでした議論を精緻に把握して、いや、これは構成要件に該当しないから大丈夫だと完璧に分かって行動するなんてことはあり得ないわけですよ。何か国旗損壊したら警察に捕まるらしいということをふわっと感じて、ちょっとこれは念のためやめておくかという萎縮効果があるんじゃないかと聞いているんですよ。
今のような答弁しか、これは全部通告していますからね、できないということは、やはり、国民はそこまで精緻に国会の議論は分かりませんという中で、萎縮効果が発生するということを非常に軽視している答弁だなと思います。
それでもやはり萎縮効果をできるだけ発生させないようにするために、政治的表現だとか芸術表現が中心になると思いますけれども、自らの行為が構成要件に該当しないことが事前に明確に分かることが重要だと思うんですね。
そのためには、具体的な基準、具体例を示す、理事会に先ほど提出された資料、私の配付資料の一、二、三、四ページ、ちなみに先ほどの志田先生の資料は五ページ目にありますが、これを示されたというのは一つ評価をしたいと思いますが、これと、ここの場での答弁と、あるいは今附帯決議もやっていますけれども、こういった形で具体例あるいは基準を具体的な形で示すことが重要だと思いますが、いかがでしょうか。
○塩崎議員 お答えいたします。
委員のおっしゃるとおり、やはり、今回の法案によってどのような行為が犯罪に当たるかどうかということについて、なるべく明確に分かる、そして萎縮効果を及ぼさないように配慮するということは重要であるというふうに我々法案提出者としても考えているところでございます。
そのため、理事会協議事項とされた件につきましても、我々として一定の具体例をお示しすることで、この判断に資する参考となる基準を御提示したところでございます。
○後藤(祐)委員 ここでの議論は、今後、この法律が成立した場合に、警察が現場で本当に捕まえるかどうかの判断基準になるという意味において極めて重要なので、是非答弁者の皆さんも心していただきたいと思いますが、今のところ、基準はまだ曖昧だと思うんです。
議論させていただきたいと思いますが、結構明らかになったものもあります。おととい、芸術表現は、損壊しているところをリアルタイムに流すケースは対象となり得るが、完成した作品を公然と陳列する行為は対象外との答弁がありました。
政治的表現も含めて、あらゆる場合において、国旗の損壊行為自体は公然と行わないで、自分の部屋か何かで作って、その損壊済みの国旗を公然と陳列する行為は全て構成要件の対象外ということでよろしいでしょうか。
○塩崎議員 お答えします。
委員が今御指摘をされましたように、既に損壊等された国旗を公然と陳列する行為は構成要件に該当せず、処罰対象外となります。なお、附則の検討条項におきましては、三年をめどとした検討に当たって勘案すべき事項として、まさに、損壊等された国旗を公然と陳列する行為等の発生の状況等を例示して、明記しているところでございます。
○後藤(祐)委員 今の答弁が極めて重要だと思うんですね。ほとんどの政治的表現は、普通はどこかで書いてそれを外に持っていくわけで、あるいは芸術作品も、アトリエか何かで芸術作品を作ってそれを美術展とかで展示するわけで、それはもう全部入らないということが今の答弁で明確に示されました。これは大変重要な答弁だと思います。
その上で、文字による表現行為がどの程度対象になり得るのかについて聞きたいと思いますが、配付資料の一ページ目で、前回私が行った、日本頑張れと国旗損壊罪反対という文字内容によって差があるのかということについてでありますけれども、左右されることはない、書く内容によって左右されることはないと明確に書いてあること自体は、非常に一歩進んだと思うんですが、これは両方アウトのようにも取れるわけですよ。両方セーフなのか両方アウトなのか、よく分からないわけです。
公然と、汚物とかによるものではなく、通常の黒いマジックなどで日本頑張れあるいは国旗損壊罪反対と書いた場合でも、どちらも構成要件には該当しないということでよろしいでしょうか。
○塩崎議員 お答えいたします。
具体的な事案における行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情を総合的に勘案し、最終的には司法判断によるものになると思います。
ただ、それを前提に、今委員から御質問があったケースについて考えをお示ししますと、やはり、一般に市販されている黒いマジックで国旗に文字を書く行為というのは、例えばこれは、汚物によって何かそういったものを書く行為などと比べると、一般論としては、通常は人に不快又は嫌悪の情を催させるその程度というのは、限定的なものではないかというふうに考えております。
いずれにしても、全体としては、国旗に書かれた文字の内容について、委員がおっしゃったように、構成要件該当性の判断が左右されることはないというのが本法案の考えですし、一方で、その態様が人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法であると評価される場合には構成要件に該当し、処罰対象となり得るというものだと考えております。
○後藤(祐)委員 書かれた文字内容によって差はないということは明確になりましたが、黒いマジックで書いてすら構成要件に該当する可能性を少し残した答弁なんですね。とすると、日本頑張れと、今まだワールドカップをやっているのか、終わったかな、ワールドカップで日本頑張れと書いても構成要件に該当する可能性があるという答弁ですよ、今のは。おかしくありませんか。
しかも、この配付資料の三ページ目、ここがこの理事会提出資料で一番問題なんですが、日の丸の白い部分の隅の方に、視認できるかどうかという程度のごく小さな文字を墨汁で書く場合は該当しないと。それが日本頑張れだろうが増税反対だろうが該当しないと。これは、逆に言うと、大きい文字で書いたら該当し得るという話であって、視認できるかどうかという程度のごく小さな文字よりは、もうちょっと大きく日本頑張れと書いたら、アウトになる可能性があるという文書なんですよ。これは駄目じゃないですか。
実際、聞きたいんですけれども、もうちょっと大きく、赤い丸に少し重なるかもしれないけれども、大きく黒いマジックで日本頑張れと書く行為は、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法に該当しないんじゃないんですか。だとすると、字の大きさだとか赤い丸にかかっているかどうかは関係なく構成要件に該当しないということでよろしいですか。
○塩崎議員 お答えいたします。
今申し上げましたとおり、書かれた文字内容によって構成要件該当性の判断が左右されるものではないということで、例示としても、委員会提出資料の中でも出させていただきました。
また、御指摘のような態様で、一般に市販されているような太い黒マジックで文字を書くような形態というものは、著しく人に不快又は嫌悪の情を催させる方法に該当する例というのは限定的であろうかと思っております。
一方で、その態様などにおいて、著しく人に嫌悪又は不快な情を催させる方法が行われた場合ということは、これはやはりそうした構成要件に該当してくる可能性というのはないとは言えないというふうに考えております。
○後藤(祐)委員 限定的ということは、あり得るということじゃないですか。ここをはっきり言い切ってくださいよと、昨日夜中に長谷川さんに言っておいたんですよ。ここをはっきり言い切れば、文字内容は関係ありません、文字の大きさも関係ありませんとなれば、あらゆる文字による表現行為は対象外だとはっきりなって、明確な基準になるじゃないですか。残念ですよ。
そうすると、さっきの質問に戻りますが、答えていませんよ。日本頑張れと赤い丸に重なるような形で黒マジックで書く行為は、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法に該当することはあり得るということですか。
○塩崎議員 重ねて申し上げますが、個別のケースごとに、やはり、構成要件に該当するかというのは、そこに置かれた行為そのものだけでなく、その周囲の状況や一連の流れ、そういったものも総合的に判断されて構成要件該当性が判断されるものとなりますので、一概に、こうした場合はイエス、こうした場合は違うということをここで指し示すのは適切でないというふうに考えております。
その上で申し上げるとすれば、黒いマジックペンを用いて文字を書くという行為形態については、やはり、汚物を使った行為の形態であったり、又はそれ以外の形での損壊行為を行う事例に比べると、一般的には、こうした著しく不快や嫌悪の情を催させる行為に該当するケースというのは限定的なのではないかというふうに考えております。
○後藤(祐)委員 あり得るということですね。日の丸に大きな字で黒マジックで日本頑張れと書く行為は、国旗損壊罪の構成要件に該当し得るという答弁ですよ。本当ですか、これ。極めて萎縮効果があるんじゃないんですか。逆に残念な基準が示されちゃったんだけれども。
逆に言うと、すごい小さい字だったらオーケーというのは、じゃ、どのぐらいの大きさまでオーケーなんですか。
○塩崎議員 お答えいたします。
繰り返しになりますが、文字の大きさなども含めて、外形的、客観的に行為態様が著しく人に不快又は嫌悪の情を催させるかどうかということが構成要件でございますので、そうしたことを勘案して判断されるということになろうかと思います。これは、黒マジックで書く場合であっても、ほかの行為である場合でも、判断の基準としては同じでございます。
○後藤(祐)委員 視認できるかどうかという程度のごく小さな文字を墨汁で日の丸の白い部分の隅の方に書く場合は該当しない、だけれども、それより大きな字の場合は、状況によると。対象となり得ると。しかも、日本頑張れと書いた場合ですよ。これが国旗損壊罪の意味内容です。
本当にこの法律、大丈夫ですか。萎縮効果はありませんか。
それは捜査当局が判断するんじゃないんですよ。皆さんが答弁して、きちんとした文書でまとめれば、その文書に従って現場は判断するんですよ。逆ですよ。皆さん、提出者なんですから、この法案の意味はこういうことでございますということを決める権限は皆様にあるんですよ。警察が決めるんじゃないですよ。皆様が字の大きさは関係ありませんとここで答弁すれば、文字による表現はおよそほとんどオーケーになるんですよ。
長谷川さん、昨日の夜と話が違うじゃないですか。先週と同じだ。文字の大きさは関係ないと言ってくださいよ。
○塩崎議員 お答えいたします。
まさに、例えば、公的な儀式の場で掲揚されているなどの、場所など外形的な事情に関わる場合などもありますので、一概に申し上げることは難しいということは御理解いただきたいと思いますが、例えば、黒いマジックを使ったり塗料を使ったりするような場合でも、これは様々な極端な事例というのがあり得ますので、一概に、全てよし、全てなしということをここで申し上げるというのは、なかなか、個別の判断になるということを申し上げております。
例えば、黒い塗料などで日の丸全体を広く塗り潰したりするような行為、これは、マジックだったらいいのかとか、こういったことはやはり個別に考えていかなければいけないケースとなりますので、そういった意味で、個別の判断になるということを申し上げているわけでございます。
そういった意味では、一般的には、文字などを書いていく場合においては、著しく人の感情を害するような行為に当たるケースというのは限定的ではないかということは、我々、提出者の考えとしてはお示ししているところでございますので、その点について御理解いただければと思います。
○後藤(祐)委員 全体を黒くする話は文字の話じゃないですよ。それはこれからの話ね。芸術表現の方がより深刻なんですよ。
汚物によって書いたら駄目、まあ、そう思いますよ。じゃ、汚物のように見える汚物でない物体による損壊行為、これは芸術活動を念頭に置いてください、泥や土による国旗損壊行為、国旗をくしゃくしゃにするけれども引き裂いてまではいない行為、元に戻せる、あるいは国旗を引き裂く行為そのものを公然と、行為者の内心としては芸術表現だと思って行った場合、構成要件に該当するんでしょうか。
○塩崎議員 お答えいたします。
まず、委員から御質問がありました、汚物のように見える汚物ではない物体による国旗損壊行為につきましては、これは一般通常人の認識からは汚物のように見えるわけでございますので、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させる方法に該当し得る場合というのはあり得るというふうに考えます。
次に、泥や土による国旗損壊行為について、例えば、泥靴で踏みつけるという行為ということで理解すれば、これもまた、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させる方法に該当し得る場合というのはあり得るというふうに考えております。
また、国旗をくしゃくしゃにするが引き裂いてはいない行為についてでございますが、これは物質的な破壊を伴っていないため、損壊に該当しないというふうに考えております。
国旗を引き裂く行為を公然と、行為者の内心としては芸術表現として行った場合等については、行為者の意図、これは構成要件該当性判断については問われていないため、同様に構成要件該当性に該当し得るケースもあるかと思います。
○後藤(祐)委員 文字による表現は、文字の内容が内容であってという面があると思うんですが、芸術表現というのは、今言ったような、どういう素材を用いるかというのは芸術の内容そのものなんですよ。ですから、表現内容に規制が立ち入っているということなんですよ。
しかも、今のやつ、入るやつと入らないやつをやりましたよね。今、私が聞いたから基準が示されました。じゃ、ほかのものはどうなんですか。さっき、踏みつけると聞いたけれども、踏みつけていないけれども泥を使った場合はどうなのか、まだ分からないですよね。判断できますか、皆さん。
このように、今日理事会に提出された、今配付資料になっているものは、かなり頑張ってはいると思うんだけれども、これは足りないんですよ。
是非、この基準、しかも、ごく小さな文字でというのは、これはやはり変えた方がいいと思いますよ。今日の答弁を踏まえて、今日の答弁じゃ私は駄目だと思うけれども、この理事会提出資料をもうちょっといい形でバージョンアップしてほしいんです。
それで、今までの答弁、今日の頭の方の答弁、大事ですよね。自分のおうちの中で損壊したやつを持ってくるやつは全部入らない、これは重要な答弁ですよ。そういったものも含めて、今やっている附帯決議も含めて、全てを一つの文書にして、それを全国の警察に通知しないと運用できないじゃないですか。
こういった全てのものを統合した資料を作って、それを理事会に提出いただけるよう、委員長に御差配をお願いします。
○山下委員長 後刻、理事会で協議いたします。
○後藤(祐)委員 これだけですら足りない可能性があります。幾らでも出てくるんですよ。実際、侮辱罪を強化したときには、こういったところでこういった議論があって、より精緻なものを、法案が通った後、精緻な文書を作って通知したりしているんです。
特に、刑事法は政令で定めるとかできないから、このガイドラインが警察が逮捕するかどうかの基準になってくるわけですよ。是非、そのガイドラインが、これから提出される資料が不十分なこともあり得ますから、その場合には、この法案が仮に成立したとして、その後、より精緻なものを作っていただく必要があるかもしれないんです。
とすると、二十日後施行は無理だと思いますよ。という意味で、今日の朝、施行日を三か月後にするという条文修正案を提出させていただきましたが、是非、先ほど理事会マターになったバージョンアップした全体を統合した資料、これが不十分だった場合には、あるいはそれだけで判断できない要素があった場合には、より精緻なものを法案が成立した後も含めて作っていただけるということをお約束いただけないですか。
○松野議員 基本的には、当然のことながら、委員長の御指示に従って、提出者として真摯に対応してまいりたいというふうに考えておりますが、もう先生も御案内のとおり、構成要件に関してどこまで詳細に書くことができるかというのに限界があることは、この法案だけではなくて、一般の法令においても同様であることは御理解をいただければと思います。
○後藤(祐)委員 これは表現の自由という、憲法の中でも、二重の基準論からすれば極めて重要な精神的自由を毀損する可能性のある規制立法だから言っているんですよ。かつ、この法律というのは、判例がそんなに積み上がるとは思えません。外国国章については一件だけでしょう。わいせつ物なんかだったらいろいろ判例があるわけです。
最後に聞きますけれども、わいせつ物と芸術作品との関係については、これはもう判例がいろいろあって、おととい、長谷川提出者も高木提出者も、政治的意見を表明するためであったのか、単なる嫌がらせであったのかは、違法性阻却事由の有無の判断に関わることもあり得る、違法性阻却される可能性があるという答弁をなされていますが、実は、わいせつ物陳列罪と芸術表現との関係は、「チャタレイ夫人の恋人」最高裁判決、「四畳半襖の下張」最高裁判決によって、芸術性、文学性が高くてもわいせつ性を否定する事情にはならない。つまり、わいせつ性だけで構成要件に該当して、芸術性で違法性は阻却されないというのが最高裁の判例なんです。何で、国旗損壊罪については芸術性が認定できれば違法性は阻却される可能性があると言えるんですか。
これはもし、国会答弁で、される可能性があると言ったって、訴追されたら裁判所は最高裁判例に従って判断するんじゃないんですか、違法性阻却されない可能性もあるんじゃないんですか。この過去の判決との関係を答弁してください。
○塩崎議員 お答えいたします。
提出者が申し上げてきましたのは、行為が構成要件に該当することを前提に、それでも刑法上の正当行為として社会通念上相当と認められれば違法性が阻却され得るという、違法性阻却の一般的な法理として御説明をさせていただいたものでございます。
今、チャタレイ判例等の引用をいただきましたが、御指摘のこちらの判例は、あくまでわいせつ物頒布等罪、こちらの構成要件であるわいせつの解釈について、芸術性とそしてわいせつ性というものは両立し得るということを判決の中で判示したものでございまして、芸術性で違法性が阻却されないという判断まで示したものではないというふうに我々としては理解をしております。
したがいまして、芸術表現としての国旗の損壊等の行為が仮に構成要件に該当したとしても、個別の事案ごとに具体的な事実関係、証拠関係を踏まえて、社会通念上相当と認められる場合には違法性が阻却される可能性があり得るという趣旨のこれまでの答弁は、これまでの判例とそごするものではないと考えております。
○後藤(祐)委員 でも、実際には、芸術性、文学性が高くてもわいせつ性を否定する事情にはならないとして有罪になっているんです、両方とも。言っていること、違うと思いますよ。
議論、尽きないんじゃないんですか、今日、採決は無理ですよ。さっきの文書を今日のうちに出すなんて無理じゃないですか。ゆっくりやりましょうよ。来週まで議論を続けることを求めて、終わります。
○山下委員長 次に、西田薫君。
○西田(薫)委員 日本維新の会の西田薫でございます。本日もよろしくお願いいたします。
順次質問をさせていただくんですが、その前に。
我々は立法府です。立法府というのは法律を作る機関であります。しかし、処罰を対象とする法律というのは慎重に判断をしていかないといけないというふうに思っておりますし、憲法違反がないだろうか、そしてまた、憲法の理念との整合性を欠くおそれはないのだろうか、こういったこともしっかりと判断していかないといけないというふうに思っております。
あわせて、国民の皆さんに寄り添う、国民の皆さんの気持ちを反映していくような施策をしていく、これも、私、政治家として非常に大切な仕事じゃないかなというふうに思っております。国旗というのは国家の象徴であり、それを傷つけられているシーンを見たくもない、やめてほしい、そういった心の叫びにしっかり寄り添っていくというのも私はまさしく政治じゃないかなというふうに思っているんですね。
そして、私たちは、日本の文化というのは、物を大切にするというすばらしい文化があろうかと思うんですよ。もったいない精神ですね。そういったことを子供たちに教えていくというのも非常に大切であるというふうに思っております。
そして、あわせて、前々回のこの委員会質疑のときに、私は二歳で父を亡くして母子家庭で生活をしたという話をさせていただいたんですが、母は、昼間は工場で働いて、朝と夜は家で内職を、和裁をしていたんですね。着物を縫って生計を立ててくれておりました。そして、一年に一回なんですが、針供養、使えなくなった針であったり、折れた針、これを、針供養をずっと母はしていたんですね。日本の文化においては、物に魂が宿るという文化もあろうかと思うんですね。そういった中で、針に感謝をする、ありがとうという感謝の気持ち、そしてまた、今までの労をねぎらうということから、これを豆腐に刺して供養する。
このように、日本文化というのは物を大切にしようという文化があるんですね。こういったものを、やはり教育、子供たちに対して教えていくというのも私は大事じゃないかなというふうに思っております。それをまず冒頭申し上げて、質問をさせていただきたいというふうに思っております。
今も他の委員の方からいろいろ質疑があったんですが、本法案が成立すれば、国民の皆さんが国旗に触れること自体をちょっと避けようとしてしまうんじゃないかな、表現の自由が萎縮してしまうんじゃないかなというような指摘があろうかと思うんですね。これは逆のパターンなんですが、例えば、先ほどの質問もありましたが、頑張れと書いたこと自体が何か自分が処罰になってしまうんじゃないかなということを懸念している方もいらっしゃるという中において、ただ、今回の法案というのは、極端な態様での損壊、汚損したということで限定されておりますし、通常のといいますか、政治的表現であったりとか芸術的な表現というのは処罰対象にないというふうにされているんですね。
そういった中で、本法案が一般の表現行為に与える影響は必要最小限というふうになっており、そして憲法二十一条の許容範囲内であると断言する具体的な理由を、判例や諸外国の立法例も踏まえて御説明いただければと思います。
〔委員長退席、鳩山委員長代理着席〕
○阿部(圭)議員 お答えいたします。
委員御指摘のように、表現の自由は基本的人権のうちでもとりわけ重要なものでございます。そうではありますが、国旗を大切に思う国民感情の保護という社会全体の重要な利益の保護を図るため、本法案二条の罰則を設ける必要が極めて高いと考えていること、そして、本法案二条の罰則は、国旗の損壊等の行為によってなされる表現の内容、すなわち、伝達されるメッセージとは全く無関係に、その行動がもたらす弊害を防止するためのものでありまして、表現の自由に関する制約の程度は小さいと考えられることなどから、本法案二条の罰則は必要かつ合理的な規制でございまして、当然、表現の自由を保障する憲法二十一条一項に違反するものではないと考えております。
このように、本法案二条の罰則が、個人の内心に立ち入って規制を加えたり、表現の内容に着目して規制を加えたりするものでないことは、侮辱を加える目的といった主観的な要件ではなく、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法により公然とという客観的な行為態様を、表現行為を構成要件とする規定がございます。また、今申し上げた方法に該当するかどうかの判断については、行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情に基づいて行う旨を定めている規定などの本法案の規定自体から明らかであるというふうに考えております。
本法案は、このようなことを前提としつつ、入念的に、本法案の適用に当たって、いやしくも国民の思想及び良心の自由や表現の自由等を不当に侵害することのないよう、いわゆる適用上の注意の規定を設けて、その万全を期すこととしているということでございます。御理解いただければと思います。
○西田(薫)委員 しっかりとした御答弁、ありがとうございました。
冒頭も申し上げたとおり、例えば、我々において、各政党においても党のシンボルマークがあります。党旗もあります。それをやはり傷つけられると、不快な思いになろうかと思うんですよね。我々だけじゃなく、その政党を支持している支援者の皆さんも不快な思いになろうかと思うんですよ。
そういった中で、それでも、この政党、嫌いなんだという思いからその政党の党旗を傷つける、これは表現の自由である、思想、信条の自由である、そういった観点から守るんじゃなく、やはり、そういうことをやめましょうよということを子供たちに教えていくというのが私は大事じゃないかなというふうに思っております。
次の質問なんですが、二番目の質問は少し割愛をさせていただいて、三番目の質問をさせていただきたいというふうに思っております。
当初の案では、国旗損壊の様子を撮影した動画をインターネットに流すという部分において処罰対象になっていたということなんですが、いろいろ協議をされた結果、ライブ配信は処罰対象となるが、録画配信は処罰対象にならないと。ここは前回も私は言わせていただいたんですが、やはりこれはなかなか分かりにくい部分があろうかと思うんです。
ただ、先ほど飯泉先生もしっかりとした御答弁をいただきましたので、三年後にこれまた見直し規定も入っているということですので、いろいろ不具合が出たとき、その場でまたいろいろ議論できればなというふうに思っております。
映像を流すという観点から、この逆の発想で考えますと、例えば器物損壊をしている光景、これは絶対よくない、批判をしようというので、報道であったりとか市民の方が、こんなことをやっている、これはよくないということを例えばニュースの映像で流すであったり、こんな行為をしている、これは許せないということを市民の方が例えばSNSで共有する、そういった映像を使うということもやはり萎縮してしまうんじゃないかなというふうに言われております。そういった声もあるんですね。
そこで、お伺いさせていただきたいんですが、報道の機関であったり市民の皆さんが、国旗損壊行為を批判するという思いであったりとか、また、これを記録する目的でその映像を放送したりインターネットで共有する行為というのが今回の本法案の下で処罰対象とならないよう、どのような運用上の配慮を行うのか、御答弁いただきたいと思います。
○阿部(圭)議員 お答えいたします。
本法案では公然と国旗を損壊等する行為のみが処罰対象となってございまして、また、当初案で検討されていたのは、自ら損壊等している動画を事後的に配信する行為であって、損壊等している様子を第三者が撮影して発信するという行為、すなわち、報道やリポストといった行為は、当初から処罰の対象外と整理していたところでございます。
したがって、本法案の成立によって、ニュースや報道、批判的論評のための映像利用が萎縮するということにはならないというふうに考えておりますので、御理解ください。
○西田(薫)委員 御答弁ありがとうございました。
そういった誤解をされる方もいらっしゃるんじゃないかなというふうに思っておりましたので、そういった、報道で使うとか、また、そういう批判をしている、こんな損壊行為がやはり駄目なんだという批判をしているというのは、共有させていただいても処罰対象にはならないという御答弁ですね。ありがとうございました。
それでは、次の質問に移りたいと思いますが、今回、この法案提出に当たっては、国旗を損壊している者たちを検挙していきたい、逮捕していきたい、処罰を与えたいという思いで今回法案を提出されたわけじゃないと思うんですよね。私も全く同じ思いなんですよ。やはり国家として国旗を侮辱的に扱う行為を許さない、そういった意思を明確に示す点にこそ私は意義があるんじゃないかなというふうに思っているんですね。
そして、今回の法案の新設が、国民の皆さんの自然な国旗尊重の気持ちを守り、そしてまた節度ある表現の在り方、これを促すという観点から、国内外に発する法制だというふうに私は思っているんですね。それについてどう思うかということと、一昨日の委員会のとき、私は教育の正常化に向けて取り組んできたという話も披露させていただきました。
もう二十年前です。私は、大阪府議の前は地元衛星市の市議をやっておりましたが、公立のある小学校の卒業式の話なんですが、冒頭、国歌斉唱がありました。すると、百名いる卒業生のうち九十九名が席に座ったんです。その後、校歌斉唱がありました。そのときには、生徒そして教師も全員、席を立ったんですね。これは、十二歳の純真無垢な子供たちが、この歌を歌うと戦争になってしまう、自然にそういう思いというのは持たないと思うんですよ。そういった教育、指導があった。戦後の自虐史観の中で、偏向教育の中で純真無垢な子供たちがそういう気持ちになってしまった。
この教育を何とか正常化に戻さないといけない、そういう思いから、私は府議に当選させていただいて、それから四年後です、平成二十三年に、大阪府におきましては国旗の常時掲揚の条例を制定させていただいたんです。それがきっかけとなって、教育の正常化というのは随分前に進んできたんじゃないかなというふうに思っております。
今回も、こういった法案を成立させることによって、やはりいまだに偏向教育というのはあろうかと思うんですよね、その偏向教育を是正する。そして、子供たちに、純真無垢な未来ある子供たちに、やはり、この国に生まれたことに自信と誇りを持つ、しっかりとした国を思うという愛国の思いであったり、そしてまた物を大切にするというようなことをしっかり教える。そういったきっかけにも、今回の法律が成立すると関係がしてくるんじゃないかなという思いから、私は是非、この法案、成立をさせていきたいというふうに思っているんですが、そこは、阿部議員、私と同じ思いを持っている阿部議員に、政治家として御答弁をいただければと思います。よろしくお願いします。
○阿部(圭)議員 西田委員、どうもありがとうございます。非常に重要な御指摘だと思います。政治家としての答弁をということでございましたが、お答えをさせていただきたいと思います。
国旗を大切に思う気持ちというのは万国共通でございます。本法律案が成立することによって、これまで外国国章損壊罪しか存在しなかったアンバランスが解消され、国旗を大切に思う国民感情が正面から保護されることになると考えております。
そして、本法案の成立を契機に、国民が自国についての帰属意識、一体感等を抱くことによりまして、国民の気持ちの上での結合、統合の役割を果たすという国旗の意義がますます向上し、今後一層、国旗を大切にするという気持ちが醸成されていく、そして愛国心、国を愛する心も醸成されていくのではないかというふうに考えております。
○西田(薫)委員 御答弁ありがとうございました。
まさしくそうだと思うんですね。本当に、条例制定のときも、随分、一部の教職員組合から猛反発がありました。しかし、その条例が制定できたことによって、そういった偏向教育はよくないなということにもなってきた結果、そういった教育の正常化というのが進んだんじゃないかなというふうに思うんですね。
先般、一昨日の質疑の中で、一昨日のときにも言わせていただいたんですが、文科省の政府参考人の方が、学習指導要領にもしっかりと、国を愛し、国を思うという気持ち、これは学習指導要領にも明記をされて、それを実際、学校現場では徹底しているという答弁があったんですけれども、まだまだそんな現状じゃないので、しっかりと教育の正常化に向けてもこれからも取り組んでいきたいというふうなことを申し上げて、私の質問を終了とさせていただきます。
ありがとうございました。
○鳩山委員長代理 次に、野村美穂君。
○野村委員 国民民主党の野村美穂です。
本日は、国旗の損壊等の処罰に関する法律案について質問をいたします。
この法案は、国旗を大切に思う国民感情を保護するため新たに刑罰規定を設けるものであり、国民の表現の自由にも関わる重要な法案です。
これまでの質疑では、立法事実、表現の自由との関係、器物損壊罪との関係など、様々な論点について議論がなされました。
本日、私は、特に法律の施行に向けた実務的な課題、国民への周知、警察の運用体制、そして具体的な事例における適用範囲について、提案者、政府、各省庁に、五つのテーマ、合計十三点、お尋ねします。
まず初めに、国民への周知について質問いたします。施行期間の妥当性と準備期間についてお尋ねします。
この法律案は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行されるとされています。
まず、提案者にお尋ねします。
新たな刑罰規定を設ける法律として、なぜ二十日間という期間を設定されたのでしょうか。また、諸外国で同様の法律を制定した際、施行までどの程度の期間を設けているのでしょうか。把握されている範囲で構いませんので、お尋ねします。
○飯泉議員 お答えさせていただきます。
国旗を大切に思う国民感情を保護する、こうした趣旨からは、なるべく早く、法律が成立をすればやはり施行すべきである、このように考えるところから、本法案の施行日を公布の日から起算して二十日を経過をした日、このように定めているところであります。
諸外国の事例、御質問がありましたが、少し、その辺り詳細に存じているわけではありませんので、国内の事例で何点か同様の形を取っているものを、実は数多くありますが、四点だけ御紹介をしたいと思います。
例えば、昭和四十七年施行されました火炎びんの使用等の処罰に関する法律、また、平成十一年、これは、世の中、オウム真理教の問題で大きな課題となった、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律、また、平成二十八年では、国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律、これは、首相官邸の屋上に実はドローンが着陸をしていたのになかなか分からなかった、こうした事例から出たものでもあります、また、一番至近の例では、令和五年のものとして、性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律、これらがあるところであります。
○野村委員 ありがとうございました。
続いての質問です。具体的な周知計画についてお尋ねします。
二十日間という限られた期間で、国民の皆様にどのような周知を計画をされているのでしょうか。施行により特に影響を受ける可能性のある業界や団体に対してどのような対応を検討されているのか、お尋ねします。
○飯泉議員 お答えさせていただきます。
法案が成立をした暁にどのように周知をするのか。一義的には政府がこれを行っていただくもの、このように考えるところでありますが、法案提出者としては、やはり広く国民の皆さん方あるいは機関に御理解をいただこうということで、例えば、ニュースであるとか、あるいは新聞、さらには、昨今の利用状況を考えますとSNSでの広報、こうした点が必要なのではないか。そして、多くの国民の皆さん方に知っていただく、ここが大きなポイントになる、このように考えております。
○野村委員 限られた方法ではありますけれども、関係業界団体の方にできるだけ広く周知をする必要があるというふうに考えております。例えば、清掃、ごみ処理業者であるとか、国旗の製造販売業者であるとか、様々な関連団体があるかと思いますので、できるだけ広く、そして限られた期間内に周知の方をお願いをしたいなと思っております。
続いて、一義的には政府の方でというようなことを今御答弁いただいたんですけれども、この国民への周知に関して、所管省庁はどこになる見込みなのでしょうか。国民への周知、関係機関との調整や施行後の運用について、どの省庁が責任を持って対応することになるのでしょうか。提案者にお尋ねします。
〔鳩山委員長代理退席、委員長着席〕
○飯泉議員 お答えをさせていただきます。
法案成立後の周知を担当する省庁でありますが、こちらにつきましては、実は提案者としてお答えをする立場にないところでありますが、今お話がありましたように、広く国民の皆さん方に知っていただく必要がある、あるいは事業者の皆様方にそごを来さないという観点からは、こうした点にしっかりと対応できる、そうした省庁に行っていただければありがたいな、このように提案者としては思うところであります。
○野村委員 ありがとうございます。
続きまして、四点目の質問です。周知不足のリスクと対応についてお尋ねします。
施行後、法律ができたことを知らなかったとして違反する事例が発生する可能性があります。このような場合、どのように対応するのでしょうか。事例としていろいろ挙げられていますけれども、例えば、外国人観光客がスポーツ大会で日の丸に寄せ書きをした場合、古い国旗を廃棄する際に適切な方法を知らずに処分した場合など、悪意のない行為であっても、通報があれば警察は取り締まらないといけないケースがあると思います。
このような悪意のない行為について、現場の警察官はどのような判断をすることになるのか、警察庁にお尋ねします。また、検察は、このような事例の場合、どのような判断をすることになるのでしょうか。警察庁、法務省の順番でお尋ねをします。
○重松政府参考人 お答えいたします。
現在審議中の法律案に関する仮定の事例についてのお尋ねでございますので、お答えをするのは困難ではございますけれども、その上で、一般論として申し上げますと、警察におきましては、通報等を受けた場合、その被疑者が法律を知らなかったというふうな供述をする場合でありましても、犯罪があるというふうに思料するときには捜査を行うこととなりますけれども、刑事事件として取り上げるかどうかにつきましては、その具体的な状況、事実関係に即しまして、国会での御審議の趣旨も踏まえながら、法と証拠に基づいて適切に対応するということになると考えております。
○吉田政府参考人 お尋ねの設例における行為が本法律案で設けることとされている罪の構成要件に該当するか否かについては法務当局としてはお答えする立場にございませんけれども、委員の問題意識は、本法律案の内容を知らない者が本法律案で設けることとされている罪の構成要件に該当する行為をした場合に、検察当局としてその訴追についてどのように判断するかということであると理解いたしました。
その上で、一般論として申し上げますと、検察当局におきましては、本法律案が成立した後は、立法者の意思を含む成立した法令の趣旨や内容、さらには刑法等の関係法令を踏まえて、個別の事案ごとに、法と証拠に基づいて、刑事事件として取り上げるべきものがあれば取り上げ、適切に対処するものと考えております。
○野村委員 御答弁ありがとうございました。
一つ目のテーマの最後の質問になります。施行後の周知度検証についてです。
施行後、国民への周知が十分に行われたかどうかを検証する御予定はあるのでしょうか。提案者にお尋ねします。
○飯泉議員 お答えをさせていただきます。
実は、当初原案にはなかった附則の第二項、つまり検討事項、我々国民民主党の方から提案をさせていただいて盛り込まれたいわゆる見直し条項であるわけでありますが、この法律の規定については、法施行後三年を目途に、この法律の施行状況等を勘案し、国旗を大切に思う国民感情を保護するのに必要かつ十分なものになっているのかどうかなどの観点から検討を加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて所要の措置が講ぜられるものとする、このように検討条項を設けさせていただいております。
当然のことながら、この検討の関係で、必要に応じ、その周知がちゃんと行われているのかどうか、どのような形で行われたのか、それが効果的であったのか、こうしたものも検討なされるもの、このように考えております。
○野村委員 ありがとうございます。
それでは、二つ目のテーマ、教育における国旗の取扱いについてお尋ねします。これまでも何名かの委員から質問がありましたけれども、私からも改めてさせていただきたいと思います。
学校教育において、国旗は国家の象徴として大切に扱われるものであることをこれまでどのように指導をされてきたのでしょうか。また、新たな刑罰規定が設けられることを踏まえ、学校教育における国旗に関する指導内容をどのように変更していく予定でしょうか。文部科学省にお尋ねします。
○三木政府参考人 学校における国旗に関する指導につきましては、学習指導要領等において、小学校の社会科では、国旗はいずれの国でもその国の象徴として大切にされており、互いに尊重し合うことが必要であること、我が国の国旗は、歴史を背景に、長年の慣行により日章旗が国旗であることが広く国民の認識として定着していることを踏まえて、法律によって定められていることを理解できるようにすることとしております。
また、中学校の社会科では、この小学校の段階の指導の上に、国家間において相互に主権を尊重し、協力し合っていく上で、国旗を相互に尊重することが大切であること、小中高等学校の入学式や卒業式などで、国旗の意義を踏まえ、掲揚することとされ、これらの記載に基づき、学校において指導が行われております。
また、本法律案による改正後の指導につきましても、学校における国旗に関する指導については重要であり、文部科学省としては、引き続き、学習指導要領の規定に基づき、国旗を尊重することを始め、国旗の意義や歴史について各学校で適切な教育が行われるよう取り組んでまいりたいと考えております。
○野村委員 ありがとうございました。
それでは、三つ目のテーマに入ります。警察における運用体制について、二点お尋ねします。
まず、一点目です。国民が国旗損壊行為を目撃した場合、どこに通報すればよいのでしょうか。また、通報時において緊急性が高くないと通報者が考えた場合の連絡先はどこになるのでしょうか。警察庁にお尋ねします。
○重松政府参考人 一般に、犯罪行為を目撃をした場合におきましては、緊急の対応を必要とするときには、一一〇番通報をしていただくほか、最寄りの交番や警察署への届出をしていただいておりますけれども、本法律案が成立した場合の対応についても同様になるものというふうに考えてございます。
また、緊急の対応を必要としない相談等の連絡先につきましては、相談の総合窓口として、全国統一番号の警察相談専用電話、シャープ九一一〇番を活用していただきたいというふうに考えております。
○野村委員 ありがとうございます。
やはり、緊急性の高くない場合の相談の窓口の徹底を是非お願いしたいと思います。何でもかんでも警察に一一〇番で連絡が入ってしまっては通常業務に支障が起こりかねないというふうにも思いますので、改めて、シャープ九一一〇、徹底をお願いしたいと思います。
それでは、二点目です。警察における運用体制と実務上の課題についてお尋ねします。
本法案の第二条第二項において、「行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情を総合的に勘案して行う」とされており、現場での判断が求められることになります。新たな犯罪類型の追加により、警察の業務に支障が生じる懸念はないでしょうか。警察官に対する研修や判断基準の周知徹底など、どのような準備を進めていく予定でしょうか。具体的な方針をお聞かせください。
また、六月二十四日の質疑において、他人の所有物である国旗を損壊した場合、器物損壊罪と国旗損壊罪は観念的競合の関係となり、罰則の重い器物損壊罪が適用されるとの答弁がありました。しかし、器物損壊罪は親告制であり、国旗の所有者が親告しなかった場合は、国旗損壊罪での立件となると思います。現場の警察官は、まず国旗の所有者を確認し、告訴の意思があるかどうかを確認する必要が出てきて、現場での対応がとても複雑になると思いますが、警察庁の見解はいかがでしょうか。
○重松政府参考人 お答えいたします。
まず、前段のお尋ねについてでございます。
本法律案が成立した場合の対応についての御質問でございますけれども、詳細につきましては国会における御審議の状況等を踏まえながら検討する必要がありますので、現時点での検討状況についてのお答えになるということについて、まず御理解を賜れればというふうに思います。
その上で、本法律案が成立した場合、警察庁におきましては、都道府県警察に対しまして、国会での御審議を踏まえて、成立した法律の内容や趣旨を示すとともに、運用上の留意事項として、例えば構成要件に該当するかどうかの判断に当たっては、組織的に検討を行うとともに、検察当局とも緊密に連携をして対応することなどにつきまして、第一線の警察官に対して周知徹底を図ることを検討をしております。
また、後段のお尋ねについてでございます。
六月二十四日の本委員会におきまして、階委員の御質問に対して塩崎議員が御答弁された観念的競合に関する御質問というふうに理解をしておりますけれども、一般論として申し上げますと、警察におきましては、一個の行為が二個以上の罪名に触れる場合でありましても、いずれの罪名についても捜査を行うことがあるというふうに承知をしております。
○野村委員 ありがとうございました。
次のテーマです。四つ目のテーマは、諸外国における法律について、二点質問いたします。
ほかのG7各国においては、自国の国旗損壊についてどのような法律があるのでしょうか。各国の法律の概要について、外務省にお尋ねします。
また、実際にこれらの法律に基づいて処罰された具体的な事例があれば、併せてお話しいただけたらと思います。
○杉浦政府参考人 お答え申し上げます。
G7各国の中には、自国の国旗損壊等に関して法律上に規定を有する国と、それから、そうではない国がございます。その上で、具体的には、フランス、ドイツ、イタリアにつきましては、各国の刑法に自国の国旗損壊等に関する規定を有しているというふうに承知しております。
各国の法令については有権的に解釈する立場にはございませんけれども、その上で概要を申し上げれば、国旗又は国の象徴を公然と物理的に破壊、損壊する行為でありますとか、国旗又は国の象徴について侮辱的な表現行為に及ぶことに対して、罰金刑や拘禁刑を規定しているということは承知しております。
ただ、具体的な事例については、先ほど申し上げましたとおり、私どもの方からお答え申し上げるのは適切でないと考えております。
○野村委員 ありがとうございました。
二点目の質問です。外務省にお尋ねします。
他国から、日本が自国の国旗損壊について規定がないことについて、意見や指摘を受けたことがあるのでしょうか。もし外交の場や国際会議などでこの点が問題視されたことがあるとすれば、どのようなシチュエーションだったのでしょうか。
○杉浦政府参考人 お答え申し上げます。
過去に遡って全てのやり取りを網羅的に確認することは困難でございますので、その点は御理解を賜りたいと存じますが、その上で、把握できる範囲におきましては、日本が自国の国旗損壊等を規定する法令を有していないということについて、他国から意見や指摘を受けたことがあるとは承知しておりません。また、同様に、把握できる範囲におきまして、外交の場や国際会議などでこの点が問題視されたことがあるとも承知しておりません。
○野村委員 ありがとうございました。これは、確認という意味でさせていただきました。
本日の最後のテーマに入ります。幾つかの事例の確認をしていきたいと思います。三点、お願いします。
まず、一点目。国会内のお土産屋さんでは、日の丸が描かれているゴルフボールが販売されているそうです。この日の丸が描かれているゴルフボールは、本法案の第一条で言う社会通念上国旗の用に供していると認識される有体物に該当するのでしょうか。また、ミスショットではなく、そのゴルフボールをゴルフ場の池に向かってわざと打った行為、わざと池ポチャをさせた場合は処罰対象となるのでしょうか。提案者にお尋ねします。
○黒田議員 お答えいたします。
まず、今おっしゃられたように、本法案における国旗とは、国旗及び国歌に関する法令に定める国旗として用いられるものとして社会通念上認められる有体物ということでありますので、御指摘の日の丸が描かれているゴルフボールというのは、社会通念上国旗の用に供していると認められる有体物には当たらないと考えておりますので、本法案の処罰対象には当たらないというふうに考えております。
その前提がありますので、御指摘のゴルフボールをゴルフ場の池に向かって打っても、これは本法律によって処罰されるものではありませんし、僕自身はそこに狙って打っても入るかどうか分からないみたいな、それも踏まえて、この法律には当てはまらないということであります。
○野村委員 ありがとうございました。
やはりこの法案に関して関心のある方がゴルフになぞらえてこういった疑問をお持ちだったということもあったので、ここで確認をさせていただきました。全国のゴルファーの皆さんにもお伝えしたいなというふうに思います。
二点目の確認です。自分で描いた日の丸の絵、つまり手描きで国旗の絵を描いたものは、本法律第一条で言う社会通念上国旗の用に供していると認識される有体物に該当するのでしょうか。例えば、ライブ動画配信を行う者が自分で描いた日の丸の絵を何らかの侮辱的な言葉とともに損壊した場合、処罰対象となるのでしょうか。提案者にお尋ねします。
○原山議員 お答えいたします。
本法案における国旗とは、国旗及び国歌に関する法律に定める国旗として用いられていると社会通念上認められる有体物でございます。
御指摘の自分で描いた国旗の絵であっても、それが社会通念上国旗の用に供していると認められるものであれば、これを人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法で損壊等する状況をライブ配信する場合には、本法案の処罰対象になり得ると考えております。
○野村委員 ありがとうございました。
続いて、最後の確認です。三点目です。共犯の対象範囲についてお尋ねします。
国旗損壊を行うことを予告したAという者がいた場合、Aが参加するイベントのライブ配信を行ったBという者は処罰の対象となるのでしょうか。共犯の成立要件について、提案者の見解をお尋ねします。
○黒田議員 お答えいたします。
犯罪の成否といったものは、法案提出者において、これが該当するしないといったようなことを確定的に申し上げることは困難でありまして、最終的には具体の事案における司法判断ということになろうかと思いますけれども。
その上で、例えば二名の者が事前に共謀して、一方の者が人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法により国旗を損壊し、他方の者がそれをライブ配信するという明確な役割分担の下で行為を行った場合など、ライブ配信を行った者が共犯として処罰される場合もあり得ると考えております。
○野村委員 ありがとうございました。
様々な事例が幾つも幾つも浮かび上がってくるんですけれども、私からは三点確認をさせていただきました。
以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○山下委員長 次に、川裕一郎君。
○川委員 参政党の川裕一郎です。
前回の質疑で、参政党の主張が取り入れられたこと、表現の自由、構成要件の明確性、法案成立の意義について質問をさせていただきました。本日、更に議論を深めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、諸外国との比較についてお伺いさせていただきます。
本法案に対しては、国家による過度な介入ではないかという意見もあります。しかし、世界に目を向ければ、多くの国が自国の国旗に対する一定の保護規定を設けています。
配付資料、御確認ください。
こちらの資料は国会図書館で作成いただいたものであります。これによれば、調査した国の中で、フランス、ドイツ、イタリア、中国、韓国で自国国旗の損壊に対する刑罰規定があります。また、他国国旗に関しては、ドイツ、イタリア、韓国に刑罰規定があります。つまり、本法案は決して特殊な制度ではなく、各国はそれぞれの法秩序や歴史的経緯の中で表現の自由との調整を図りながら自国国旗の保護を制度化してきたのだと思います。
そこで、お聞きをさせていただきます。
他国の事例にも鑑みれば、今回の法案の内容は国際的にも一般的で妥当な法制度であると考えてよいのか、提出者である自民党の提出議員にお聞きしたいと思います。
○石橋議員 お答えを申し上げます。
趣旨説明でも申し上げたところでありますけれども、我が国は、G7で唯一、外国国旗の損壊等についての処罰規定はあるものの、自国国旗の損壊等について同様の規定を持っておりません。
今委員お示しいただいた資料のとおり、G7の国ではドイツ、イタリア等々あるわけでありますけれども、例えばドイツでは、お示しの資料のとおり、公然と、集会で又は文書の頒布等によって国旗又は国章等を誹謗した者、及び、公に掲揚された国旗等を撤去し、破壊し、損壊し、使用不能にし、若しくは識別不能にした者又は冒涜する粗暴行為を行った者について、それぞれ三年以下の自由刑又は罰金に処するという規定があるところでございます。
その他、お示しの資料のとおりに、ほかの国にもあるわけでありまして、こうした諸外国における規定などにつきましては、委員御指摘のとおり、それぞれの国の歴史、文化、国民感情などを踏まえて形成されてきたものであると受け止めておるところであります。
でありますので、提案者といたしましては、本法案が国際的にも妥当であるかどうかということもありますけれども、我が国において国旗を大切に思う国民感情を保護する必要があるというところから、本法案を取りまとめをさせていただいたところであります。
○川委員 御答弁ありがとうございました。
次に、本法案が成立した後の実際の運用についてお聞きしたいと思います。
法律は制定すること自体が目的ではありません。国民が安心して生活できる社会を実現するために、現場で適正かつ実効的に運用されて初めてその役割を果たすものであります。特に、刑事罰を新たに設ける以上、国民にとって、実際にどのような場合に警察が動くのか、どのような手続で事件として取り扱われるのか、これを明らかにしていくことは極めて重要であります。
そこで、具体的な場面を想定してお伺いさせていただきます。
例えば、人通りの多い公園や駅前広場、街頭の演説の場などで、今回の構成要件に該当する可能性の高い場所で国旗を損壊や汚損する行為を一般市民が目撃し一一〇番通報を行った場合、警察はどのような対応を行うのか。また、今回の構成要件に該当する可能性の高い国旗を損壊や汚損する行為について、現場で目撃した市民が撮影した動画を、SNSへの投稿などを基に通報があった場合にも、本法違反の捜査を開始することは可能なのか。状況確認、証拠保全、行為者からの事情聴取など、実際の捜査の流れについて、具体的なイメージが分かるように御説明ください。警察庁政府参考人にお聞きします。
○重松政府参考人 お答えいたします。
お尋ねは本法律案が成立した場合の具体的な捜査に関するものでございますけれども、実際にどのように捜査を進めるかについては、個別具体の状況によって異なりますので、一概にお答えすることは困難でございますけれども、その上で、一般論として申し上げますと、犯罪行為を目撃したとされる方から通報があった場合には、その目撃情報について事情聴取を行ったり、あるいは犯罪行為があったとされる現場周辺の防犯カメラの確認等を行うといったことが想定をされます。
また、後段のお尋ねでございますけれども、目撃者からではなく、犯罪行為が撮影された動画や、犯罪行為に関するSNS上の投稿を見たとする方からの通報に基づいて捜査を行うことがあるのかというふうな御趣旨であるというふうに理解をしておりますけれども、一般論として申し上げますと、そのような方からの通報であっても、個別具体の事実関係に即して、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づいて適切に対応することとなります。
したがいまして、そういった通報であるということのみをもって、捜査を行うことが排除されるものではないというふうに考えております。
○川委員 ありがとうございました。理解しました。
次に、違法性阻却についてお伺いをします。
本法案に対しては、芸術表現までが処罰の対象になるのではないか、表現の自由が萎縮するのではないかという懸念の声もあります。一方で、刑法では、構成要件に該当する行為であっても、正当行為と認められるような場合には違法とはされないという考え方もあります。しかし、この点は、法律の専門家には理解がなされても、一般の国民には分かりにくく、どこまでが適法でどこからが違法なのかという線引きが見えにくいことも事実であります。法律は、国民が自らの行為が処罰の対象となるかどうかをあらかじめ予測できるものでなければなりません。
そこで、お聞きをします。
芸術表現にあっては、構成要件に該当する行為であっても違法性阻却される場合があると考えますが、国民の予見可能性の観点から、具体的事例に即して分かりやすく説明いただきたいと思います。参政党の提案者にお聞きします。
○豊田議員 本法案は、国旗の損壊等の行為を制限するにとどまるものでありまして、そのほかの、国旗を用いた表現行為を制限するものではない。表現内容を規制するものではなく、表現行為の手段を規制するものとなっております。
具体的に申しますと、本法案におきましては、その行為が、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させる方法によって公然と行われたのであれば、構成要件該当性が満たされる。そして、そのことを前提といたしまして、個別具体の事情に応じて、その行為が社会通念上相当性を有すると判断されれば、違法性が阻却されることがあり得るということになっております。そして、その判断基準の一つとしては、その方法による以外には当該芸術表現等をなし得ないものと社会一般に理解されるかどうかということが挙げられると考えられます。
一つ事例を挙げて申し上げますれば、例えば、舞台演劇の中で、国旗を損壊等する情景が欠かせない場面で、その情景にふさわしい態様で行われた行為である場合などにつきましては、違法性が阻却される可能性があるものと考えております。
○川委員 どうもありがとうございました。
次の質問に移りたいと思います。
本法案について、人の心の中まで処罰する法律ではないか、思想や考え方そのものが問題にされるのではないか、国旗を大切に思う国民感情を保護法益とするのであれば、事実上そうした感情を強制することになるのではないかといった懸念が示されることがあります。
本法案は行為者の内心に立ち入るものではないという点について、非常に重要な点だと考えていますが、いかがでしょうか。参政党提案者にお聞きします。
○豊田議員 本法案二条の罰則は、あくまでも国旗の損壊等として外形に表れた客観的な行為を処罰の対象とするものであります。したがって、個人の内心に立ち入って、その行為の基礎となった思想や信条を処罰するものではありませんし、その思想や信条に反する特定の行動を強いるものでもございません。したがいまして、思想及び良心の自由を保障する憲法十九条に違反するものではないと考えております。
このことは、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法により公然とという客観的な行為態様を構成要件としている規定、また、その方法に該当するかどうかの判断につきましては、行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情に基づいて行う旨を定めるなどの規定で、本法案のそうした規定自体から明らかであるというふうに考えております。
さらに、本法案では、以上を前提としつつ、なお入念的に、本法の適用に当たって思想及び良心の自由を含む日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害することのないよう、いわゆる適用上の注意の規定を設けて、その万全を期すことといたしております。
○川委員 適用上の注意ということで、万全を期しているということでありました。
最後にお聞きしたいと思います。法案提出者である豊田議員にお伺いをします。
国旗は、先人たちが築いてきた歴史や伝統、文化、そして日本という国家そのものを象徴する存在であります。その象徴である国旗を公然と損壊する行為について、社会として一定の線を示すことは、成熟した国家として当然の姿ではないでしょうか。
この法案は、思想や言論を取り締まるものではなく、政権批判を封じるものでもありません。日本という国を大切に思う多くの国民の思いに応えるための法整備であると私は考えています。
そこで、最後に、法案提出者として、この法案を通じて、国民の皆様、とりわけ未来を担う子供たちや若い世代にどのようなメッセージを伝えたいと考えているのか、豊田議員の率直な思いをお聞かせください。
○豊田議員 国旗は、国家の象徴であり、その国の歴史、伝統、文化、主権などを表すものであります。
今回の法案は、国旗を大切に思う国民感情を保護法益とするものでありますが、私は、国民の皆様、とりわけ未来を担う子供たちや若い世代の方々に、改めて、我が国の歴史、伝統、文化などへの理解を深め、誇りを持ち、そこに存する多くの先人たちの歩みに思いをはせていただき、そして、同じように他国の歴史や文化、価値観なども尊重し、国際協調や相互理解が深まっていく契機としていただければと願っております。
また、こども家庭庁によると、他国の若者に比して、日本の若者は自己肯定感やチャレンジ精神が少々低いのではないかと解釈できるようなデータがあるようでございます。また、統計を取って以来、残念なことですが、小中高校生の自殺というものが非常に増えている、一番数が今多いという状況にもございます。
自国や自分への誇りといったものを、学校教育の場のみならず、家庭や職場といったふだんの生活の場においてもみんなで育んでいける環境が広がっていき、多くの方々との率直なコミュニケーションなどを通じて、自己と他者、自他の人格を尊重し、自己肯定感を高めるとともに、相互に思いやる心が育まれ、そして、個人的なちょっと見解にもなりますが、人生はつらいことも多うございますけれども、子供たちや若者が前を向いて、力強く人生を歩んでいける、そうしたまたきっかけにもなればと、私たち大人も頑張ってまいらなければならないと思っております。
○川委員 本法案については、三日間にわたり質疑を行いましたが、今後も様々な立場からの議論が行われるものと承知をしております。
本日の質疑を含め、国旗の意義、国家の尊厳、国旗を大切に思う国民感情、そして自由と秩序の調和の在り方について、国民的議論がより深まる機会になることを期待を申し上げ、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○山下委員長 次に、高山聡史君。
○高山委員 チームみらいの高山聡史です。
先日の質疑では、提出者の皆様から、幾つかの重要な点について具体的な指針となるような答弁をいただきました。
特に、本法案が処罰の対象とするのは、表現された思想や主張の内容、すなわち伝達されるメッセージそのものではなく、その行為の態様であること、そして、その判断は、特定の者が現実に不快を覚えたか否かではなく、一般通常人を基準として、行為の過程や周囲の状況といった客観的な事情を総合的に勘案してなされることなどが繰り返し確認をされました。
もとより、私自身、国旗を大切に思う国民感情を守るという目的には賛同する一方で、昨日の参考人質疑でも賛成、反対両面の意見がはっきりと分かれたように、その手段として新たに設ける罰則が適切に運用されるかという不安もまた理解できるものでございます。
そのため、本日も具体的な事柄を伺いながら、罰則が恣意的でなく、適切に運用されることを確認させていただきたいと考えております。
今、附帯決議の検討もお願いをしておりますが、本日いただく答弁も、将来の法解釈、運用の指針となるものでございます。立法者意思を明確にし、また国民の予見可能性を確保するという観点から、明快な御答弁をお願いいたします。
まず、内容中立性について改めて確認させていただきます。
先日、提出者から、本法案二条の罰則は、国旗の損壊等によってなされる表現の内容、伝達されるメッセージとは全く無関係に、その行為がもたらす弊害を防止するためのものである旨明確な答弁をいただきました。私は、この内容中立性こそ、本法と憲法二十一条との関係を考える上でも極めて重要であると考えます。
そこで、改めて、立法者意思として確認をさせていただきます。
本法第二条第二項が同条第一項の方法に該当するかどうかの判断を、行為の外形その他の客観的な事情の総合的な勘案によるものとしていることを踏まえ、処罰の成否は表現された思想又は主張の内容によって左右されるものではない、すなわち本法が規制するのは行為の態様であって表現の内容ではない、このように理解してよろしいでしょうか。自民党提出者に改めて明確に御確認いただきたいと存じます。
○平沼議員 御質問ありがとうございます。
先ほど委員も、繰り返しというお話もありましたけれども、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法に該当するかどうかについては、これを見た者が現実に不快感や嫌悪感を覚えたか否かではなく、あくまでも一般通常人を基準として、国旗を大切に思う感情を害するに足ると認められるか否かを、損壊行為がどのような一連の行為の過程で行われたか、周囲の状況はどうであったかなどの客観的な事情を総合的に勘案し、社会通念によって判断されることとなります。そして、このような判断方法を取ることを条文上も明らかにするために、その判断は、行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情を総合的に勘案して行うものとする旨を規定したところであります。
したがって、行為に表れた思想又は主張の内容それ自体によって本罪の成否が左右されることはないということでございます。
○高山委員 ありがとうございます。
次に、具体的な内実について伺います。
先日、二十四日の質疑では、一部、どのような場合に構成要件に該当して、あるいは該当しないかということを一概にお答えすることは困難であるという御答弁もございました。判断が客観的な事情の総合的な勘案によるものである以上、一律の線引きが難しいという事情は理解をいたします。
ただ、罪刑法定主義の明確性の原則、そして、国民の予見可能性という観点からは、国民が自らの行為が罰せられるかどうか、その判断のための具体的な手がかりが不可欠です。既に、明らかに撮影と分かるロケーション撮影は違法性が阻却されるなど、幾つか具体例も示されています。こうした手がかりをより体系的に示していただきたいと思います。
そこで、国民民主党提出者に伺います。
罪刑法定主義の明確性の原則に照らし、処罰の対象となる行為及び対象とならない行為の典型例としてどのようなものがあるか、客体、態様、行為に至る過程、周囲の状況といった要素に即して、なるべく具体的にお示しいただきたいと思います。
○飯泉議員 お答えをさせていただきます。
罪刑法定主義、しかも明確性の原則、憲法第三十一条は大変重要な規定であります。それにしっかりとのっとって、この国会での審議、この場でもって具体的な事例を出していく、その重要性は高山委員おっしゃるとおりであります。
ということで、おとといも、スタジオの点については申し上げたところでありますが、より体系立ててということでありますので、以下、対象になるもの、ならないもの、こう分けて御回答させていただきたいと思います。
まずは、処罰の対象になると思われる事例ということであります。あくまでも、これは法案提出者としての考えと御理解をいただければと思います。
駅前広場など人通りの多い場所で、自ら持参した国旗を引き裂いたり、焼いたり、切り刻んだりする行為。国や自治体の庁舎前に掲揚されている国旗、これを引きずり降ろして投げ捨てる場合。また、公園や公道などで、国旗を勢いよく踏みつけ、そして泥だらけにする場合や、国旗にふん尿などをすりつけて汚す場合。自室で自ら国旗を切り刻んで燃やしているその状況をスマホで撮影をし、その動画をライブ配信をする場合などを考えております。
また、逆に、処罰の対象にならない行為につきましては、法案提出者として、例えば、古くなった、あるいは汚れてしまった国旗、こちらを廃棄をする、そのために屋外の人の目につく場所でその国旗を焼却する場合。イベントで配布した小旗、よくいろいろな式典で、あるいはマラソン大会などでもあるかと思いますが、イベント終了後に回収をして廃棄をする場合。また、国旗を殴る場合、ただ、これは物質的に破壊を伴わないということであります。イベント会場に掲揚されていた国旗が照明設備に絡まり感電や落下の危険があるため国旗を切って除去する場合。また、スポーツ大会などで我が国の代表チームを応援するために国旗に寄せ書きをする場合。また、実写映画の中で国旗を損壊する状況が流れているような場合。また、自室で自ら国旗を切り刻んで燃やしている映像、この状況を撮影し、その動画を後に配信をする場合。これらを考えているところであります。
少し大盛りでお話をさせていただきました。
○高山委員 ありがとうございます。こういった具体例が示されることは大変重要だと思います。
そして、本日の質疑の中でも、後藤理事から、国旗にペンで文字を書く、その文字のサイズみたいな、そういった話もございました。これは理事会に提出された資料とも関係するところですので、その辺りの扱いについては改めて明確にしていただきたいというふうにも考えます。
今のような典型例が示されるということは大変重要なことでございますが、それが国民に十分知らされていなければ予見可能性は確保されません。新たな罰則を設ける以上、何が罰せられ、何が罰せられないのかを国民が知り得る状態に置くこと、それ自体が罪刑法定主義が実質的に要請するところであると考えます。
そこで、自民党の提出者に伺います。
処罰の対象となる行為及び対象とならない行為の典型例について、国民に分かりやすく周知するための方法として、提出者としてどのようなものが考えられますでしょうか。御見解を伺います。
○平沼議員 お答え申し上げます。
処罰の対象となる行為、ならない行為の典型例については、先ほど来の御説明もありましたけれども、本委員会で、答弁を通して、そしてその審議を通じて、まずは国民の皆様にも広く御理解をいただきたいと考えております。
また、周知の方法でございますけれども、先ほど野村委員からも周知方法への質問があったと承知をしておりますけれども、仮にこの法案が通った際には、周知方法については、政府が行うものと考えておりますけれども、法案提出者といたしましては、様々、SNSやホームページ等々、いろいろな方法を取って、国民に対する適切かつ十分な周知、広報にしっかりと努めていただきたいと考えております。
○高山委員 ありがとうございます。
これは、今日の質疑の中でもありました、施行までの期日が短いという案でございますので、しっかり丁寧にやっていただきたいというふうに思います。
次に、表現の自由との関係を、国民への説明という角度からより具体的に伺ってまいります。
先日、二十四日の質疑では、政治的な抗議として国旗を損壊する行為も、その政治的な主張の内容によって構成要件該当性が判断されるものではないという答弁をいただきました。内容によって処罰が左右されない、これは確認されたところでございます。
もっとも、国民の側から見ると、内容によって判断されないと言われても、では何によって判断されるのか、自分が行おうとしている政治的な抗議の表現が罰せられるのか否か、これがなお分かりにくいという面がございます。立法者意思を国民に届けるためには、肯定的な説明、すなわち、このような行為は処罰対象たる態様には当たらないという形の説明も必要ではないかと考えます。
そこで、自民党提出者に伺います。
正当な政治的表現について、その内容によらず、行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情から処罰の対象となる態様には当たらないということをいかように説明すれば、国民にとって分かりやすい説明となりますでしょうか。御見解を伺います。
○平沼議員 お答え申し上げます。
国旗の損壊等の行為が政治的表現としてなされた場合でも、それが人に著しく不快又は嫌悪の情を催させる方法で公然と行われたときには、構成要件にこれは該当いたしまして、処罰対象になり得ると考えております。
他方で、仮に構成要件に該当したとしても、個別の事案ごとに具体的な事実関係、証拠関係等を踏まえて、社会通念上相当と認められる場合には違法性が阻却される可能性があると考えております。このようなことについて国民の理解と関心を深めることができるよう、本日も様々な議論が行われていると承知をしておりますけれども、国会審議も通じて分かりやすく説明をしてまいりたいと考えております。
○高山委員 違法性が阻却される場合があるよということを分かりやすく説明するという内容であったと思います。この違法性を阻却という言葉自体が既に難しいというところがございますので、これは丁寧にやっていきたいなと思います。
続いて、芸術的、創作的な表現について伺います。
先日、二十四日の質疑の中では、実写の映画や映像作品において国旗を損壊する場面を撮影する行為、これが処罰の対象とならないという旨の答弁をいただいたと認識しております。
本日は、この芸術、創作の自由との関係について、参政党提出者のお考えも伺いたいと存じます。
芸術や創作に関わる表現もまた、政治的表現と並んで憲法二十一条が保障する重要な価値であり、刑罰への萎縮によってこれが狭められることは文化国家たる我が国にとって避けるべきことです。
そこで、参政党提出者に伺います。
正当な芸術的、創作的表現について、その内容によらず、行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情から処罰の対象となる態様には当たらないということをいかように説明すれば、国民にとって分かりやすい説明となりますでしょうか。御見解を伺います。
○豊田議員 芸術的、創作的表現についての御答弁も、先ほどの平沼議員の政治的表現についての御答弁とほぼ同旨になりまして、繰り返してもよろしゅうございますでしょうか。恐縮でございます。
国旗の損壊等の行為が芸術的、創作的表現としてなされた場合でも、それが人に著しく不快又は嫌悪の情を催させる方法で公然と行われたときは、構成要件に該当し、処罰対象になり得るということになります。
他方で、仮に構成要件に該当したとしても、個別の事案ごとに具体的な事実関係、証拠関係等を踏まえ、社会通念上相当と認められる場合には違法性が阻却される可能性があると考えられます。
具体的な例を一つ挙げますれば、例えば、舞台演劇の中で、国旗を損壊等する情景が欠かせない場面で、その情景にふさわしい態様で行われた行為である場合などについては、違法性が阻却される可能性があるというふうに考えられます。
このようなことにつきまして、先生おっしゃるとおり、国民の皆様の理解と関心を深めることが大事だと思っておりますので、今国会の審議を通じて、また今後も様々な形で周知に努めてまいりたいと考えております。
○高山委員 ありがとうございます。
政治的表現であるか、芸術的表現であるかで異なる趣旨の回答ではないというのはそのとおりであるというふうに思っておりまして、ただ、やはり、政治的表現であるか、芸術的表現であるかで、実際にどのような損壊が疑われる行為が起きやすいかであったりとか、あるいは具体例に関してはそれぞれ異なる部分があると思いますので、是非その辺りが国民にとって分かりやすいように周知をしていくというところを、御検討を政府にはいただきたいというふうに思います。
ここからは、本法案が成立した場合、その執行に当たる政府に伺いたいと思います。
本法案の構成要件該当性は、一般通常人を基準として、客観的な事情を総合的に勘案して判断される、そして、先ほど来あります構成要件に該当しても、違法性阻却の可能性があるということがそのケースごとに整理されてきたと存じます。
しかし、こうした基準であったり適用の具体例が国民に十分に周知される必要があるというところで、法務省に伺います。
本法案が新たに罰則を設けるものであることに鑑み、いかなる行為が処罰の対象となり、又はならないかについて、構成要件該当性のみならず、違法性阻却の有無を含め、その基準及び具体的な事例を国民に分かりやすく周知をするため、政府としていかなる方法を講じる必要があるとお考えでしょうか。あわせて、本法案が成立した場合、施行に向けて、こうした基準及び事例の整理と周知の準備を進めるお考えがあるかもお聞かせください。
○吉田政府参考人 お尋ねの点は本法の所管省庁において判断されるべきものと考えられますが、現時点においては、本法律案が成立した後の所管省庁は定まっていないため、法務省の立場から確たることをお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。
その上で、一般論として申し上げますと、新たな法律が成立した場合には、例えばホームページにその法律の趣旨、内容を説明した資料を掲載する、その内容については国会審議における議論の状況を踏まえたものとするといったことを含めて、適切な方法により、できる限り速やかに、分かりやすい周知、広報に努めることになるものと承知しておりまして、その際には、周知の在り方等についての国会での御議論の状況も踏まえることになるものと考えております。
○高山委員 ありがとうございます。
この国会での議論も踏まえていただけるということ、また、内閣提出の法案と議員立法とで、その準備も、準備にかけられる時間であったりとか準備に至るまでのことも違うというところで冒頭答弁をいただいたと思いますが、是非丁寧にお願いをいたします。
次に、警察庁に伺います。
表現に対する萎縮は、最終的に起訴されるか否か、有罪となるか否か以前に、捜査の現場において生じ得るものです。国旗の損壊等に関する通報を受けた警察が捜査に動けば、たとえ最終的に処罰に至らないとしても、その過程それ自体が正当な表現を萎縮させかねないというものです。それゆえ、第一線の警察官が適切にかつ抑制的に判断できるよう備えることが重要であると考えます。
そこで、警察庁に伺います。国旗の損壊等に関する通報への対応として、警察としても、正当な政治的表現並びに芸術的及び創作的表現を萎縮させることのないようにすることが求められる中で、第一線の警察官が捜査等に関する判断を適切に行えるよう、いかなる周知及び教育が必要とお考えでしょうか。
○重松政府参考人 お答えいたします。
お尋ねは、本法律案が成立した場合の対応についての御質問であるというふうに理解しておりますけれども、詳細につきましては、国会における御審議の状況等を踏まえつつ検討する必要がございますので、現時点での検討状況についてのお答えであるということを御理解をいただきたいとまず思います。
その上で、本法律案が成立した場合でございますけれども、警察庁におきましては、都道府県警察に対して、国会での御審議を踏まえ、成立した法律の趣旨や内容を示すとともに、運用上の留意事項として、例えば、構成要件に該当するかどうかの判断に当たっては、組織的に検討を行うとともに、検察当局とも緊密に連携して対応することなどについて、通達や執務資料などによりまして第一線の警察官等への周知徹底を図ることを検討してございます。
○高山委員 ありがとうございます。
これはまだ成立前の状況ということではございますが、成立すると施行までの日にちは短いというところでございますので、是非十分な対応をお願いしたいというふうに思います。
また、先ほど、法務省そして警察庁いずれの御答弁も、この国会での議論をきちんと踏まえるという趣旨をいただいたと思っておりますので、今日これまでの法案の質疑の内容がしっかりと踏まえられた対応が政府によってもなされるということを強く期待するものでございます。
冒頭私申し上げたとおり、本法案については、その目的に関しては、私自身、国旗を大切に思う国民の感情、これは守られてほしいという気持ちがございます。
一方で、その手段であるとか、あるいは何が構成要件に該当して、あるいはどういう場合において違法性が阻却され得るのかということが分かりやすくきちんと国民に伝わる、そして、国民の不安、懸念がしっかりと解消されるような運用がなされる、これが何より重要であるというふうに考えております。
今日御答弁いただいた方々の立法者の意思がしっかりと附帯決議にも反映をされて、明確にされるということを強く希望いたしまして、私の質問を終わります。
○山下委員長 次に、畑野君枝君。
○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
国旗損壊処罰法案について引き続き質問いたします。
前回の質疑で、私は、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させる方法というのは極めて曖昧で主観的なものであり、憲法三十一条の罪刑法定主義に反すると指摘しました。提出者は、保護法益は国民の一般感情であり、不快や嫌悪についても通常一般人のものを基準として考えると繰り返されました。
通常一般人という言葉自体、とても抽象的です。一体、これは何を指しているのか、どういう基準に基づくものなのか、伺います。
○鈴木(英)議員 お答え申し上げます。
前回も申し上げさせていただきましたけれども、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させる方法において、一般通常人から見てひどく快くないと感じさせ又は不愉快に感じさせるような方法ということで、これに該当するかどうかについては、行為者自身やこれを見た者が現実に不快感や嫌悪感を覚えたか否かではなく、あくまで一般通常人を基準として、損壊行為がどのような一連の行為の過程で行われたのか、周囲の状況はどうであったのか等の客観的事情を総合的に勘案し、社会通念によって判断されることになるということでありまして、この一般通常人ということについては、その他の刑罰法規や各法令などにおいても、判断などにおいて活用される部分があるというふうに思っていますので、そういう過去の例などにのっとって対応していくということになります。
○畑野委員 その行為に対して国民がどのような感情を持つのかというのは十人十色です。通常、一般などといってくくれるようなものではありません。それは、昨日の参考人の意見陳述や質疑でも明らかです。
昨日、参政党の川委員が、街頭演説の場で日本国旗にバツ印をつけて振り回す行為についての評価を四人の参考人に聞きました。百地参考人は、当然表現の自由を超えるもので、侮辱罪に当たるようなもので、国旗損壊罪で対処するしかないと述べられました。江藤参考人は、心が痛むが、処罰する趣旨の法律案であれば、相当に憲法違反の疑いが高いと指摘されました。野村参考人は、政治活動の自由は当然に保障されなくてはいけない、非常に難しいとおっしゃられました。志田参考人は、バツ印は一般には賛同しませんという表現であり、侮辱表現と取ることはできないと答えられました。
バツ印という行為一つ取っても、四人の参考人はそれぞれ違う評価をされました。このことを自民党の提出者はどのように受け止められましたか。
○鈴木(英)議員 お答え申し上げます。
参考人の意見陳述や、そもそも人が持つ国旗への感情というのは人それぞれではないかという御質問だったと思いますが、国旗に対して人それぞれ様々な思いを持ち得るということは承知をしております。
その上で、本法案は、あくまでも国旗の損壊等として外形に表れた客観的な行為を処罰の対象とするものでありまして、個人の内心に立ち入って、その行為の基礎となった思想、信条を処罰するものではありませんし、その思想、信条に反する特定の行動を強いるものでもなく、国民に幅広く定着している、国旗を大切に思う感情を保護するものとして提出をさせていただいております。
○畑野委員 国旗を汚したり傷つけたりする行為をどのように受け止めるかは人によって違うということはお認めになりましたね。そうですね。確認です。人によって違うと。確認ですから。
○鈴木(英)議員 今私が御答弁させていただいた、国旗に対して様々な思いを持ち得るということは承知しているということは答弁で申し上げました。
○畑野委員 例えば、万引きやひったくりなど、その行為そのものは、誰がどう見ても犯罪行為です。しかし、国旗に対する行為は、人によって評価が分かれるものです。それを、通常一般人のものを基準としてまとめることなどできないのではありませんか。確認です。
○鈴木(英)議員 繰り返しになりますけれども、先ほど私が答弁させていただいたのは、国旗に対して様々な思いを持ち得ることは承知している、その上で、本法案は、あくまでも国旗の損壊等として外形に表れた客観的な行為を処罰の対象とするものであって、個人の内心に立ち入って、その行為の基礎となった思想、信条を処罰するものでもない、また、その思想、信条に反する特定の行動を強いるものでもなくて、国民に幅広く定着している、国旗を大切に思う感情を保護するものであるというふうに答弁させていただきました。
○畑野委員 お答えにもなったように、人それぞれが抱く感情というのは違うものですから、通常一般人のものなどとまとめることはできるはずがありません。犯罪の構成要件が曖昧で、刑罰の明確性がないということは明らかだということを指摘しておきます。
次に、本法案は、国旗について、国旗・国歌法に定める国旗として用いられていると社会通念上認められる有体物と定義しています。犯罪の構成要件で、社会通念上という規定をしている刑罰法規はありますか。
○鈴木(英)議員 お答え申し上げます。
社会通念上という文言を用いている刑法、特別法の条文の有無についてでありますが、刑事罰に関連しまして、社会通念上という文言を用いている立法例としては、いわゆるAV出演被害防止・救済法の二条二項の性行為映像制作物の定義規定に用いられているものが挙げられます。また、刑事法ではありませんが、労働契約法や商標法でも、社会通念上という文言が用いられております。また、他の刑罰においても、その判断の際に、社会通念上という考え方が使用されるケースは十分に存在します。
○畑野委員 昨日、江藤参考人が、本法案による不快、嫌悪はどこまでなのか、どこからなのかが曖昧で、刑罰法規が備える明確性から逸脱していると述べています。さらに、似たようなものにストーカー規制法があるとした上で、明らかに不快なものが明示されているとして、本法案は一般的な表現にとどまっているので、明確性の観点から、罪刑法定主義違反の疑いがあるというふうに述べました。
提出者は、この指摘をどのように受け止めましたか。
○鈴木(英)議員 御答弁申し上げます。
先ほどおっしゃっていただきましたストーカー規制法で、著しく不快又は嫌悪の情を催させるようなものという構成要件で、そこに例示が書いてあるということでありますけれども、これにつきましては、同法において、それはあくまで例示でありまして、何が著しく不快又は嫌悪の情を催させるものかどうかは、客観的に社会通念上そのように評価できるかどうかが基準になるとされておりまして、本法案と同様の考え方に立っているというふうに考えております。
罰則規定に関しては、罪刑法定主義の観点から、法文の明確性が確保されなければならないことは御指摘のとおりでありますけれども、本法案は、二条二項において、表現の自由に配慮して、特にその解釈の判断に当たっての基準や考慮要素を明らかにしており、また、既存の立法例に倣った文言を用いて構成要件を規定することで、その意味、内容を明確化しており、罪刑法定主義に反するとの批判は当たらないと考えております。
○畑野委員 ストーカー規制法等は具体的に書いてありますよね、この間お答えになったとおりです、汚物、動物の死体など、具体的に書いているんです。
この問題について、志田参考人は、外的なところに着眼して判断すると言うが、見る人によって千差万別で、ある一定の人の価値観に根差した感情だということにならざるを得ないと指摘しています。一般人ではなく、特定の価値観がということになるのではありませんか。どうですか。
○鈴木(英)議員 お答え申し上げます。
これまでも答弁させていただきましたし、また先ほども答弁させていただきましたが、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させる方法というのは、あくまで一般通常人から見ての方法をいうものでありまして、これに該当するかどうかについては、行為者自身やこれを見た者が現実に不快感や嫌悪感を覚えたか否かではなく、あくまで一般通常人を基準として考えるものであります。
○畑野委員 いつもそういう御答弁を繰り返されるんですけれども、問題なのは、犯罪になるかどうかを誰が判断するかということです。
前回の質疑で、私の質問に対して、鈴木提出者は、刑事訴訟法二百十三条に基づいて、現行犯は何人でも逮捕できる、私人による現行犯逮捕も可能であると答弁されました。現行犯逮捕ができるということは、行為が起きている現場においてその行為が犯罪であると判断する、それは、その現場にいる警察官と市民ということになりますね。
○鈴木(英)議員 御答弁申し上げます。
現行犯において、これを判断するのは誰かということでありますが、刑事訴訟法におきましては、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。」とした上で、「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」とされています。これは、刑事訴訟法の二百十二条、二百十三条になります。
この現行犯逮捕において、その要件を満たしているかどうかを判断するのは、これは本法案のみならず、一義的に逮捕する者であって、これは捜査機関であることもあれば、一般私人であることもあります。
したがって、本法案の罪に係る現行犯逮捕において、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法により、公然と国旗を損壊し、除去し、又は汚損したかどうかを判断するのは、他の刑罰同様、逮捕する者であります。
○畑野委員 犯罪かどうかは、現場に居合わせた警察官や私人の判断によらざるを得ないということです。
それは、それぞれの警察官や私人の個人的感情、主観によって判断することになるのではありませんか。昨日の参考人がそれぞれ別の評価をしたように、人によって判断が違ってくるということになるのではありませんか。どうですか。
○鈴木(英)議員 我々としましては、これまでも答弁しておりますけれども、客観的な状況、一連の行為であるとか、また周囲の状況、それがどのような流れの中で行われたのか、どのような物体を用いて行われたのかといった態様、あるいはどのような場所で行われたのかといったシチュエーションなど、一連の行為、周囲の状況、そういう客観的な事情を総合的に勘案して行うということで、そのために二条二項も規定しているところであります。
○畑野委員 一つとして具体的なことはありません。これでは、個々人が判断する基準には到底なり得ないと思いますが、いかがですか。確認です。
○鈴木(英)議員 繰り返しになりますけれども、あくまでも、我々立法者としては、今申し上げたような、客観的な事情を総合的に勘案して行うということで規定をさせていただいておりますので、そういう判断で対応するということになります。
○畑野委員 全く明確でなくて、基準になりようがありません。個人の判断で逮捕するということになります。
それぞれの判断で逮捕されることによる影響は重大です。私の質問事項への回答で、提出者は、私人の現行犯逮捕について警察が引渡しを受けた場合、法令にのっとり留置するかどうかを判断すると述べています。しかし、一私人の判断によって逮捕された人の表現行為が中断され、警察への身柄引渡しが行われれば、たとえ釈放されたとしてもレッテルを貼られたり、解雇されるなど社会的制裁を受けかねないのではありませんか。
○鈴木(英)議員 お答え申し上げます。
実際の警察活動においては、その時々の情勢においての様々な行為、可能性などを判断しながら対応するというように考えておりますので、おっしゃったような指摘は当たらないというふうに考えます。
○畑野委員 いや、全く当たっているでしょう。何よりも、一旦傷つけられた人権を取り戻すことはできませんよ。国民に刑罰を科すということはそういう危うさを持っているという自覚が提出者にありますか。確認です。
○鈴木(英)議員 お答え申し上げます。
怪しさというふうにおっしゃる言葉が……(畑野委員「危うさ」と呼ぶ)危うさ。危うさということが適切かどうかは別といたしまして、我々、今回、繰り返しになりますが、二条二項を設けているのは、客観的な状況を勘案して判断するんだという、それを肝に銘じてやっていかなければならないということでありますので、我々としてはそういう方向で考えております。
○畑野委員 刑罰法規というのは、明確性とともに謙抑的でなければならないというのが当然の原則です。立法者としてその自覚を持っているのかということを伺っております。
○鈴木(英)議員 これまでの様々な刑罰法規、あるいは判例、そういうものを積み重ねながら、客観的な事情を勘案して、そして慎重にしっかり考えていかなければならないという自覚は当然持っております。
○畑野委員 事態の深刻さを認識しているとは到底思えません。
国旗に対する行為に刑罰を科し、私人による現行犯逮捕まで可能だとなれば、普通の人は、過って傷つけてしまったら大変だと考えて、国旗に近づくのを避けようという気持ちが起こるのではないかと思うんですが、いかがですか。
○鈴木(英)議員 お答え申し上げます。
これは今日もるる答弁、質疑がありましたように、そういう萎縮効果などが生じないようにしっかり留意しながら、国民の皆さんにも御理解いただける周知、広報なども徹底してやってまいりたいと思います。
○畑野委員 国旗を大切にしたいと思う人は、国旗に近づく人に対して、何かするのではないかという疑心暗鬼を持つ、そういう気持ちになるのではないですか。
○鈴木(英)議員 繰り返し申し上げますけれども、その方がどういうような感情を持つか、そして、その個別の状況というものによって変わってこようかというふうに思いますので、この場では一概にお答えすることはできません。
○畑野委員 志田参考人が、コロナのときに、ステイホームで、外で子供を遊ばせてはいけない、違法のことを許していいのかと、正義感から国民の過剰な監視やあげつらいを起こす危惧、このことを指摘されました。
そもそも、国旗に対して好きや嫌いなど、どのような気持ちを持つかは自由であり、人それぞれです。気分を害するから罰しろというのは、その個人の内心を罰しろということになるのではありませんか。提出者、いかがですか。
○鈴木(英)議員 繰り返し答弁させていただいておりますけれども、本法案においては、個人の内心に踏み入る、思想、信条の自由を侵す、そういうことはない、そういうふうにやっていくということで申し上げているところであります。
○畑野委員 それに反するということを指摘しておかなければなりません。
江藤参考人は、今回の法案が規制する対象が民主社会において重要な表現の自由であり、単に国民感情という社会倫理を守るためだけに刑罰を使ってはならないと指摘しています。
法案が規制するのは、思想、良心の自由、内心の自由であり、表現の自由です。刑罰で強制するなど許されません。
高市総理は、一月二十七日、総選挙公示日の演説で、国旗損壊罪について、外国国旗を損壊したら二年以下の拘禁刑、日本国旗を損壊しても全くお沙汰なし、これはおかしいのでそろえようと述べています。
この間の審議で、この高市総理の認識が間違っていることは明らかであり、見解をただす必要があります。さらに、このような人権に関わる法案に対し、国民の声を聞かなければなりません。公聴会を開くべきです。
引き続き質疑が必要と考え、今日の質問は終わります。
○山下委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時五分休憩
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午後零時十六分開議
○山下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。後藤祐一君。
○後藤(祐)委員 中道改革連合の後藤祐一でございます。
先ほどの質疑の中で、文字の大きさについて曖昧な答弁がありました。これについて再度答弁していただきたいと思いますので、同じ、通告どおりの質問をしたいと思います。
通常の黒マジックなどで記載する場合、どんなに大きく、つまり赤い丸に重なるような記載であっても、いかなる文字内容であろうと、構成要件に該当しないということでよろしいんでしょうか。
今日の配付資料の三で、該当しないと考えられる事例には、日の丸の白い部分の隅の方に、視認できるかどうかという程度のごく小さな文字を墨汁で書く場合は該当しないというふうにありますが、赤い丸に重なる形で、太い黒マジックで日本頑張れと書く行為は、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法に該当しないのではないでしょうか。だとすれば、字の大きさとか赤い丸にかかっているかどうかとかは無関係に構成要件に該当しないということでよろしいでしょうか。
これに対して、先ほどの答弁ですと、限定的であろうかと思っておりますとか、やはりそうした構成要件に該当してくる可能性というのはないとは言えないというふうに考えておりますというのが塩崎提出者の答弁だったので、これは、附帯決議の内容ですとか、あるいは理事会提出資料の修正版とかと矛盾するところがありますので、答弁の訂正をお願いいたします。
○塩崎議員 お答えいたします。
今、後藤委員から改めて御質問がありました点につきましてですが、個別案件ごとに諸事情を総合的に勘案して判断するということになりますが、その上で、一般論として申し上げれば、文字の大きさのみによって、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法に該当すると判断されるものではないと考えております。
○後藤(祐)委員 これによって、文字内容によっても差はない、そして文字の大きさによっても差はないということが明らかになりましたので、つまり、政治的表現というのは、ほとんどの場合、文字でなされるでしょうから、政治的表現以外のものも含めて、少なくとも、文字による表現はおよそほぼ全てのものが、汚物で書くとかそういう余計なことをしない限りは対象外だということが明らかになったということで、質疑を終わらせていただきます。
○山下委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○山下委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、順次これを許します。後藤祐一君。
○後藤(祐)委員 私は、中道改革連合・無所属を代表して、国旗損壊罪法案に反対の立場から討論を行います。
私は、国旗を大切に思う気持ちは、当然、皆様と同様、強く持っている一人でございますが、法案としてはやはり問題ではないかという点を以下申し述べます。
昨日の参考人質疑で江藤参考人から示されたように、刑罰は国家が個人に科す最も強力な制裁であり、刑罰法規の新設には、必要性、相当性、処罰範囲の明確性が求められますが、本法案はそもそも立法事実がありません。提出者から示された四つの事例はいずれも器物損壊罪の対象となる他人の国旗の損壊であり、国旗損壊罪より罰則の重い器物損壊罪との関係は観念的競合になるとの答弁を踏まえると立法事実がありません。将来の事実を立法事実と主張していますが、将来、国旗損壊が増加することが確実であるといった立証もできませんでした。また、刑罰法規は最終手段であって、立法事実には、刑罰の新設によらなければ解決できないという事実も必要ですが、何ら説得的な説明がなされておりません。
また、憲法との関係についても、表現の自由という基本的人権の中でもより尊重されるべき精神的自由を公共の福祉で制約するのに、国旗を大切に思う国民感情の保護という曖昧な保護法益で説明することには無理があります。罪刑法定主義のうち、構成要件の明確性、特に政治的表現、芸術表現としてどこまで認められるかが争点となりました。いかなる行為が対象となるのかについての基準や具体例については、今回の理事会提出文書、答弁、附帯決議などである程度示された点もあると思いますし、これを一つの文書としてまとめることをお約束いただきましたので、そこには期待をしたいと思いますけれども、例えば、国旗の損壊行為は非公然と自室などで行い、損壊済みの国旗を公然と陳列する行為は構成要件の対象外となりました。国旗に書かれる文字内容、例えば日本頑張れ、国旗損壊罪反対といった内容では全く差がないこと、文字の大きさも無関係だということが今示されました。結果として、政治的表現についてはほとんど構成要件に該当しないことが示されました。ただ、芸術表現については、表現の内容自体が損壊行為になり得る場合もあって、曖昧さがかなり残りました。違法性阻却になる可能性もありますが、捜査当局の判断によるため、捜査対象になり得るとの答弁がありました。
この点、参考人からも懸念が表明された萎縮効果については深刻です。芸術表現にかかわらず、全体として、よく分からないからやめておこうという気持ちが広く生まれるのではないでしょうか。警察の取調べを受ける可能性があればなおさらです。嫌がらせの通報や炎上が多発するのではないでしょうか。公的な建物の会場貸しも拒まれることがあるのではないでしょうか。
そもそも、立法事実も示せない、適用対象も曖昧なこの法案がなぜ今必要なんでしょうか。選挙目当てと与党間の約束という政治的理由で本法案を成立させて萎縮効果を発生させるべきではありません。
以上、憲法違反の可能性が残る本法案には反対し、討論といたします。(拍手)
○山下委員長 次に、高山聡史君。
○高山委員 チームみらいの高山聡史です。
ただいま議題となっております国旗の損壊等の処罰に関する法律案について、私自身、賛成の立場から討論を行います。
本法案は、会派として、容易に割り切れない法案でございました。国旗を大切に思う国民の感情を守りたいという目的には賛同するものでございます。同時に、その手段として新たに刑罰を設けることへの懸念、反対の声もまた十分に理解ができます。表現の自由、思想及び良心の自由という憲法が保障する基本的価値に関わるからこそ、いずれの立場にも傾聴すべき理由がございました。
その上で、私は、この間の質疑を通して、懸念を軽減する議論と努力が質疑者、法案提出者の双方で積み重ねられたものと評価をいたします。本法案が規制するのは表現の内容ではなく行為の態様であること、その判断は特定の者の主観によらず一般通常人を基準に客観的になされること、政治的表現、芸術表現の自由には最大限の配慮がなされるべきこと、これらが立法者の意思として明らかにされた意義は決して小さくないと考えます。
しかしながら、我が会派はなお、反対の立場の意見を否定し得るという確信には至っておりません。明確性や萎縮効果をめぐる懸念は、運用のいかんによる部分が大きく、その不安が完全に払拭されたとは申し上げられないからです。
国旗を大切に思う国民の感情を守ろうとして、かえって国民の間に分断を深めることになっては本末転倒であり、最も避けたいと願うところです。
であればこそ、私どもの会派は、本法案に賛成する立場の意見も反対する立場の意見も、そのいずれをも包摂したいと強く願っております。そして、いずれの立場をも代表し得る行動を会派として真摯に考えてまいりたいと存じます。
ただし、これは、いかなる法案にも賛否がある中で、全員が一致しなければ自由投票とするといった一般的な意味を持つものではございません。本法案が、国の象徴に関わり、国民の心情と分断という特別の重みを持つがゆえの熟慮の結果でございます。
最後に、私自身、賛成の立場から政府に強く求めます。
本法の運用に当たっては、国会において確認された立法者の意思、そして附帯決議も踏まえて、何よりも丁寧かつ抑制的な運用を徹底していただきたい。そのことを強く要請して、私の討論といたします。
○山下委員長 次に、畑野君枝君。
○畑野委員 私は、日本共産党を代表して、国旗損壊処罰法案に反対の討論を行います。
反対する第一の理由は、憲法が保障する思想、良心の自由、内心の自由に踏み込み、表現の自由を不当に侵害するものだからです。
本法案は、国旗を大切に思う国民感情を保護することを理由に、国旗に手を加える行為に刑事罰を科すものです。
国旗にどのような感情を持つかは個人の自由であり、人それぞれです。刑罰によって特定の価値観を押しつけるものにほかなりません。とりわけ日の丸は、二千万人以上のアジア太平洋地域の人々や三百十万人を超える日本国民を犠牲にした侵略戦争のシンボルとしての歴史を持つものです。にもかかわらず、国旗を大切に思う感情を強制することは、断じて許されません。
法案審議を通じて、集会やデモなど政治的なものから芸術表現に至るまで、ありとあらゆる表現行為を処罰の対象とすることが明らかになりました。国民の自由な意思表明を広範に抑圧するもので、許されません。
提出者が持ち出した外国国章損壊罪とのバランスなどという主張に全く根拠はありません。
第二に、対象物や行為、その態様に至るまで、何もかもが極めて曖昧であり、憲法三十一条の罪刑法定主義に真っ向から反します。
国民に刑罰を科すには、どんな行為で処罰されるか明確でなければなりません。
法案は、国旗損壊といいながら、その対象は国旗・国歌法に定められた国旗に限られず、更に自己所有物にまで及びます。
人に著しく不快、嫌悪の情を催させることを構成要件としており、極めて主観的です。提出者は、通常一般の国民感情と述べていますが、それ自体が抽象的で、何の説明にもなっていません。一連の行為、周囲の状況、客観的事情、行為の外形で判断すると繰り返しますが、こんな曖昧かつ不明確な基準で国民に刑罰を科すことが許されるはずがありません。
さらに、本法案が成立すれば、私人による現行犯逮捕も可能になります。現場に居合わせた警察官や私人の主観的判断によって逮捕され、社会的制裁を受け、取り返しのつかない人権侵害を受けることになります。
このような法律は、一般市民に疑心暗鬼を呼び起こし、思想、信条の異なる市民同士がお互いの言動を監視し合う社会につながりかねません。
思想、良心の自由、内心の自由や表現の自由を侵害し、罪刑法定主義に反する違憲立法は、断固として廃案しかありません。
以上、討論を終わります。
○山下委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○山下委員長 これより採決に入ります。
松野博一君外十六名提出、国旗の損壊等の処罰に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山下委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○山下委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、長谷川淳二君外六名から、自由民主党・無所属の会、中道改革連合・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、参政党、チームみらい及び中村はやと君の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。後藤祐一君。
○後藤(祐)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
国旗の損壊等の処罰に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の事項を遵守しつつ、運用すべきである。
一 政治的意見表現や芸術表現など「表現の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利」として正当に保障される国旗への表現やメッセージの記載は第二条第一項の構成要件のうち「人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法」によるものに該当しないこと。
二 第二条第二項における同条第一項の「人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法」に該当するかどうかについては、国旗に文字を書く行為それのみによって該当すると判断し得るものではなく、また、その判断は、国旗に記載された文言によって左右されないこと。
三 本法の施行に当たっては、国民の政治的意見表現や芸術表現の萎縮を招かないように、本法の趣旨及び内容を周知するよう努めること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○山下委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山下委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。木原内閣官房長官。
○木原国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、関係省庁とも連携を図りつつ、努力をしてまいる所存でございます。
―――――――――――――
○山下委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○山下委員長 次回は、来る七月一日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十三分散会

