衆議院

メインへスキップ



第10号 令和8年5月19日(火曜日)

会議録本文へ
令和八年五月十九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 井上 英孝君

   理事 阿部 弘樹君 理事 木原 誠二君

   理事 高見 康裕君 理事 谷川 とむ君

   理事 藤原  崇君 理事 西村智奈美君

   理事 三木 圭恵君 理事 小竹  凱君

      井出 庸生君    稲田 朋美君

      大空 幸星君    上川 陽子君

      神田 潤一君    小泉 龍司君

      河野 太郎君    世古万美子君

      辻  秀樹君    辻 由布子君

      寺田  稔君    西山 尚利君

      福原 淳嗣君    藤沢 忠盛君

      藤田ひかる君    古川 禎久君

      三ッ林裕巳君    保岡 宏武君

      若山 慎司君    有田 芳生君

      國重  徹君    池畑浩太朗君

      金村 龍那君    井戸まさえ君

      鈴木 美香君    和田 政宗君

    …………………………………

   法務大臣         平口  洋君

   最高裁判所事務総局家庭局長            馬渡 直史君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    松井 信憲君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           林  俊宏君

   法務委員会専門員     三橋善一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十九日

 辞任         補欠選任

  武部  新君     若山 慎司君

  山本 大地君     大空 幸星君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     山本 大地君

  若山 慎司君     武部  新君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 民法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)

 民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第四四号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

井上委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、民法等の一部を改正する法律案及び民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長松井信憲君及び厚生労働省大臣官房審議官林俊宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井上委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局家庭局長馬渡直史君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井上委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。三木圭恵君。

三木委員 日本維新の会の三木圭恵でございます。

 現行の成年後見制度は、平成十一年の民法改正等により導入されました。制度の導入から二十五年余りが経過しておりますけれども、これまでの制度について、趣旨と運用実態が乖離しているとの指摘がございます。特に、法定後見人がついた場合、親族に知らされないで後見人がついた、会わせてもらえない、居場所を教えてもらえない、家庭裁判所の許可がないと報告書等が見せてもらえず、申請しても見せてもらえなかった等々、親族の悲痛なお声が届いているのも現実でございます。

 法改正に向け、改善されると期待されておりますが、確認の意味を込めて質疑をさせていただきます。

 まず、平口大臣にお伺いをいたします。

 現行制度を見直すこととしたのはなぜか、見直しについてどのような経緯で法制審議会に諮問したのか、お伺いをいたします。

平口国務大臣 お答えをいたします。

 高齢化の進展等に鑑みまして成年後見制度の利用のニーズが増加しておりますが、現行制度については、判断能力が回復しない限りその利用を終了できないなどの問題点が指摘されておりました。

 そして、令和四年三月に閣議決定されました第二期成年後見制度利用促進基本計画には、そのような問題点が指摘された上で、成年後見制度の見直しの検討が盛り込まれました。

 これらを踏まえて、令和六年二月、法制審議会に諮問をしたものでございます。

三木委員 制度にいろいろと課題があったと。一回後見人がついたらそれを死ぬまで解約できないということで、今回の法制度改正については様々な改正がされていくわけですけれども、まず、制度の利用状況や運用の実態を把握するために、政府として、利用者やその親族等に対して実態調査は行われているのでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 成年後見制度を利用している御本人やその親族に対するアンケート調査のようなものは実施しておりません。

 もっとも、成年後見制度の見直しの契機となった第二期成年後見制度利用促進基本計画は、障害を持つ方やその御家族、支援団体の方も委員として参加している専門家会議の意見を踏まえて策定されたものでございます。

 また、法制審議会の部会にも障害を持つ方やその御家族、支援団体の方が委員として調査審議に参加され、部会で取りまとめられた中間試案のパブリックコメントの手続には、障害者団体や障害を持つ方の家族の会、支援団体から意見が寄せられております。

 今回の成年後見制度の見直しは、これらの方々の声を踏まえたものと考えております。

三木委員 では、法制審議会における審議において、利用者やその親族、支援団体等からヒアリングを行ったということでよろしいんでしょうか。その内容は答申に反映されているのでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 法制審議会の部会では、五回の会議を利用し、障害者団体、利用者の御家族の会、地方自治体、社会福祉協議会、国連障害者権利委員会元副委員長等からのヒアリングを実施いたしました。

 法制審議会の部会におけるヒアリングでは、例えば、本人が事理弁識能力を欠く常況にあることをもって成年後見人が本人の包括的代理権を有することに反対する旨の意見や、本人と一緒に生活していた親族が後見開始の審判によって本人と切り離され、本人についての情報を得ることができなくなるとの意見などが述べられました。

 法制審議会が答申した要綱は、ヒアリングで述べられた内容も踏まえ、部会で様々な立場から議論がされ、コンセンサスの得られた結果が取りまとめられたものでございます。

 要綱には、ヒアリングの内容も踏まえ、例えば、後見人が本人の包括的代理権を有する後見の制度を廃止して、本人にとって必要な範囲で利用できるようにすることなどが盛り込まれております。これによれば、本人と親族が離れる原因となる施設入所契約についても、家庭裁判所が必要性を認めて補助人にその代理権を付与しない限り補助人は締結することができないことになり、この点もヒアリングで述べられた意見に対応するものとなっております。

三木委員 法定後見人が申し立てられた、後見開始の審判が申し立てられた場合について、親族が知らない間に市町村長に後見開始の審判が申し立てられて後見人が選任される事例があることが問題となっているわけでございますけれども、改正案では、補助開始の審判、補助人の選任の審判において、補助人の選任について本人や親族の意向を反映させることができる仕組みになっているのか、お伺いいたします。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 民法等改正法案では、補助人の選任に本人の意見が重要な考慮要素であることを明確にするために、補助人の選任の際の考慮要素の冒頭に本人の意見を規定いたしました上で、補助人の選任の審判をする場合には、原則として本人の陳述を聞かなければならないこととしております。

 他方で、本人と親族との関係は様々でございまして、補助人の選任の審判をする場合に親族の陳述を聞かなければならないこととはしておりませんが、親族に話を聞くことによって本人に害を生ずるおそれがある事案は別として、基本的には、本人の意向や制度利用による保護の必要性を把握する観点からは、本人のことを最もよく知っていると思われる親族に話を聞くことが想定され、親族は、その過程で、補助開始の申立てがされることも知ることができると考えております。

三木委員 今のお答えなんですけれども、本人が認知症になっている場合に法定後見人がつくということがほとんどだと思います。

 本人に確認しても意思、判断能力がしっかりしていない、そういう場合に、親族にも意見を聞かないというのはどういう事例が例として挙げられるんでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたとおり、基本的には、本人のことを最もよく知っていると思われる親族に話を聞くことが想定されるものでありますが、例えば親族による本人への虐待のおそれがある事案などにおきましては、そのようなことはしないということも考えられると思っております。

三木委員 その虐待の事案というのが一番焦点になってくるかなとは思うんですけれども、それはちょっと後々また質問をさせていただきたいと思います。

 次に、特定補助人の選任に当たって、それ以前に本人から特定補助人の選任を望まない旨の意思があったことが確認されるような場合に、その意思表示は裁判所が特定補助開始の審判をするに当たって尊重されることになりますでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 特定補助の仕組みを利用しないとの本人の意向は、特定補助人を付する旨の審判の要件とされている、保護の必要があるかどうかの判断において考慮することが考えられます。

 もっとも、その意向が尊重されることになるかどうかについては、その意向が示された時期やその内容などの個別具体的な事情にもよるため、一概にお答えすることは困難でございます。

 その上で、あくまで一般論として申し上げれば、本人が単に特定補助の仕組みを利用しないとの意向を示しているのみではなく、その意向を示すのと併せて親族等に見守りを依頼しているなどの事情があって、これにより重要な財産行為を単独でしないような環境が整っている場合には、保護の必要性があることを否定する事情としてその意向が考慮されることがあり得るものと考えております。

三木委員 必要があると認めるときという特定補助人を付する旨の審判に当たっての要件は余りに広範な裁量を認めるものであって、例えば、前述の場合が是とされるということであれば、どのようなことがあれば審判が始まるのかということの考慮事項を法律に明記すべきではないでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 民法等改正法案では、特定補助人を付する旨の審判をするには、これによって本人を保護する必要があると認められることを要件としておりまして、その効果を踏まえますと、この要件は、本人を保護するため、法定の重要な財産行為をいずれも取消し可能としておくことが必要であるということを意味しているものと解されます。

 具体的には、本人が外形的に法律行為と見える行動を取る可能性があり、かつ、その利害得失を理解し検討することなく、法定の重要な財産行為に該当する不利益な行為をする危険があることを内容としております。

 このような内容は、家庭裁判所において、個別の事案に応じ、本人の精神の状況、生活の状況、周囲の方とのコミュニケーションの状況、これまで本人がした法律行為やその法律行為をした状況など、種々の具体的な事情を考慮して判断されるものと考えられます。

 現時点では、そのうちの一部の事情が代表的なものであるという共通認識があるとまでは言えないと考えられますので、一部の事情のみを考慮要素として法律に明記することにつきましては、規定の趣旨に誤解を生じさせるおそれがあり、慎重な検討を要するものと考えております。

三木委員 特定の場合ということで、ケース・バイ・ケースのことが多いということを認識として持っているわけでございますけれども、考慮事項というものは、要綱に書き込むなどして、なるべく明確にしていただくようにお願いをいたします。

 次に、家庭裁判所による補助人の選任に当たっては、親族が希望すれば補助人になれるように運用すべきという指摘がございます。先ほどの答弁の中でもそういった御答弁をいただきましたけれども、改正案ではそれが可能な仕組みになっているのでしょうか。事前に意思表示があるという場合も含めて、御答弁を再度お願いしたいと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 現行法の下では、成年後見人等として誰を選任するかについては、個別の事案における具体的な事情に即した家庭裁判所の判断によるものとされており、この点については民法等改正法案でも同様でございます。

 もっとも、本人が親族を補助人に選任することを希望している場合には、その意向を重視すべきであると考えられますため、民法等改正法案では、補助人の選任の際の考慮要素の冒頭に本人の意見を規定して、本人の意見を重視すべきことを明確にし、親族を補助人に選任することを希望する御本人の意向が尊重されるようにしております。

 なお、現行法の下でも、家庭裁判所は、親族が成年後見人等の候補者として記載されている事案では、本人の課題を踏まえ親族を選任することの適否を判断しているものと承知をしておりまして、令和七年において、申立て書に親族が成年後見人の候補者として記載されていた事案の約八割の事案で親族が成年後見人等に選任されていると承知をしております。

 他方で、親族が成年後見人等の候補者として記載されていても、親族間に紛争がある、候補者の親族が高齢であって課題に対応するのが難しい、遺産分割などの法的専門性の高い課題がある、親族が本人を虐待しているおそれがあるなどの事情により、親族が成年後見人等に選任されていない事案も存在します。

 民法等改正法案の下でも、本人の意向を尊重しつつ、様々な要素を考慮した上で、個別の事案における具体的な事情に即して適任の者が補助人に選任されることと考えております。

三木委員 それもケース・バイ・ケースだということだとは思うんですけれども、例えば、先ほど質問をいたしました、事前に本人が、自分が認知症にかかった場合、能力が衰えた場合、そういったときに親族を、この方を希望するというようなことが意思表示としてされている場合はどのようになりますか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御本人が健康な間に、将来、自分の能力が下がった場合に備えて特定の方を後見人にしたいという場合であれば、例えば任意後見契約を結んでいただくということが確実であろうと考えております。

 そのようなことをしないという場合におきましては、先ほど申し上げたとおり、裁判所における後見人の選任に当たっての考慮要素の一つとして考えられるものと考えております。

三木委員 恐らく、本人が親族に虐待をされているというようなケースが想定されると思うんですけれども、認知症にかかっている高齢者の方に、本当に虐待があったのかどうかと確認するのは非常に難しいことだと思います。様々なケースが考えられると思うんですけれども、やはり、病院に行くのを嫌がったりとか、けがをしているのにお医者さんに見せないとか、徘徊があったりとかして親族の方の言葉が乱暴になってしまうというようなことは多々あり得ることだと思いますので、そこら辺の配慮を是非やっていただきたいなというふうに思っております。

 次の質問に移らせていただきますけれども、やはりそこが一番の後見人制度の肝になっているんじゃないかなというふうに思われます。高齢者の方の認知能力が下がっているときに、認知症になられているときに、その御本人が虐待されているか否かというものの判断は非常に難しいと思いますので、そこら辺をよく考慮していただきたいなというふうに思っております。

 次に、補助開始の審判において、家庭裁判所が選任した補助人に不満がある場合、親族は不服申立て、即時抗告ができるという理解でよろしいでしょうか。不服申立てをしても却下されてしまうことが問題となっていることを踏まえて、不服申立てを受けた裁判所における運用を見直す必要がないのかどうか、お伺いをいたします。また、補助人選任の審判についても不服申立てが可能な内容になっているのでしょうか。お伺いをいたします。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 補助開始の審判に対しては、四親等内の親族は不服申立てをすることができます。

 なお、不服申立てを受けた裁判所における運用の見直しに関するお尋ねにつきましては、裁判所の判断事項に関わるものでございまして、法務省としてお答えすることが困難でございます。

 他方で、補助を開始する必要がある場合には早期に本人の保護を開始すべきですが、補助人の選任の時点では補助人はまだ事務を行っておらず、その事務が不適切であるなどの評価をすることができないため、民法等改正法案では、現行法と同様に、補助人の選任の審判に対しては不服申立てをすることができないこととしております。

 もっとも、民法等改正法案では、選任された補助人に不正な行為がなくても、本人の利益のため特に必要があるときは補助人を解任することができることとしております。選任された補助人について、このような解任事由があるときは、本人及び親族は補助人の解任の申立てを家庭裁判所にすることができます。

三木委員 運用に関しては裁判所の裁量ということでしたので、また次の機会に裁判所の方にお伺いしてみたいと思います。

 次に、任意後見制度と補助制度の併存を認めることにより任意後見が法定後見に対して優位である原則を廃止することにはならないとの理解でよろしいでしょうか。これは通告がちょっと外れていますね、済みません。簡単な質問ですので、お答えください。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 現行法におきましても、御本人の意思を尊重する観点から任意後見契約が優先するという原則を取っておりますが、その点については改正法において変更するものではございません。

三木委員 次の質問に移らせていただきます。

 補助人が適切に補助の事務を行っていない場合に、補助人を交代させる手段として、親族等が補助人の解任を申し立てることが可能になっていますか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 民法等改正法案では、補助人が不正行為をしたとき等に加えて、本人の利益のため特に必要があるときに補助人を解任することができることとしております。

 親族は補助人の解任の申立て権者であり、選任された補助人について解任事由がある場合には、補助人の解任の申立てを家庭裁判所にすることができます。

三木委員 補助人の解任事由について、改正案では本人の利益のために特に必要があるときを追加することとしていますけれども、具体的にはどのような場合が該当するのか、家庭裁判所による判断基準を明確に示すべきではないでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 法制審議会の部会の議論を踏まえますと、補助人の新たな解任事由に該当する場合としては、例えば、補助人が、財産管理は行っているものの、本人に面会しなかったり、本人の家族などの本人を支援するチームと連絡を取らなかったりした結果、本人や関係者と適切な関係を構築することができていない事案などが想定されます。

 補助人の解任が望まれる事案の全てを想定して明示的に規定することは困難でありますので、民法等改正法案では、補助開始の審判を受けた者の利益のため特に必要があるときと規定することとしたものでございますが、御指摘のとおり、解任事由について利用者の予測可能性を高めることは重要であると認識をしておりまして、先ほど述べた想定事例を周知するほか、事例の集積を踏まえ、更に周知を拡充することなどを検討してまいりたいと思っております。

三木委員 今御答弁の中でもいただいたんですけれども、そういった事例があるんですね、実際に。例えば、親族や本人の意思に反して、居住していた不動産を売却して施設に入所させるというようなケースがございます。そういったことが解任事由に該当するのかというのが次の質問だったんですけれども、それは解任事由に該当するということでよろしいんですか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 民法等改正法案では、補助人が当然に包括的な代理権や財産管理権を有することはなく、家庭裁判所が本人のために必要な代理権を個別に判断して補助人に付与することとしておりますので、施設入所契約等の代理権についても、その必要性を家庭裁判所が個別に判断して補助人に付与するということが前提となっております。

 解任事由に該当するかについては、個別の事案ごとに補助人に付与された代理権の内容や補助人のした行為の内容等の具体的な事情を踏まえて家庭裁判所が判断するものであり、一概にお答えすることは困難でございます。

 その上で、一般論として申し上げれば、補助の制度は本人のための制度ですので、付与された代理権の行使として補助の事務を行っている限り、補助人がした補助の事務が親族の意思に反しているということのみで解任事由に該当するものではないと考えられます。

 もっとも、例えば、補助人が、本人の意向に反し、かつ、何ら合理的理由なく本人をその支援する家族や社会福祉関係者等から引き離すような施設への入所契約を締結した場合には、本人の利益の観点から適切ではないと考えられ、解任事由に該当することがあると考えられます。

三木委員 ちょっと時間がなくなってきましたので、次の質問に移らせてもらいます。

 親族が本人との面会を希望しても、後見人に断られたり妨害されたりする事例が問題となっております。改正案では、補助人にはそのような権限を与えられないという理解でよろしいのでしょうか。もちろん、今、現行法でもそういった権限を与えられていないと思うんですけれども、様々、そういった事例が報告されています。

 親族等が本人との面会を断られたり妨害されたりした場合は、補助人の解任事由に該当するという理解でよろしいでしょうか。一例として、補助人が施設に入れて、親族が本人と死ぬまで会うことができないことがあるというふうに聞いております。改正後においては、親族と面会は認められることになるのでしょうか。

 また、虐待があったという事案に対してでも、時機を見て、ちゃんと補助人が一緒について施設で面会するというようなケースをきっちりと配慮していただきたいと思うんですけれども、そちらの方はいかがでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、現行民法上、補助人は本人と親族の面会を制限する法的権限等を付与されておらず、このことは民法等改正法案でも異なりません。

 次に、補助人の解任事由に該当するかどうかについては、個別の事案において具体的な事情を踏まえて家庭裁判所が判断するものでございますが、例えば、補助人が、本人の意向に反し、かつ、何ら合理的な理由なく本人と親族との面会を制限している場合には、補助開始の審判を受けた者の利益のため特に必要があるときとの解任事由に該当し得るものと考えられます。

 また、先ほど申し上げたとおり、民法等改正法案では、補助人が当然に包括的な代理権や財産管理権を有することがないため、施設入所契約等の代理権についてもその必要性を家庭裁判所が個別に判断して補助人に付与することとなっておりますので、現行法のように、包括的な代理権や財産管理権を有する成年後見人が、その必要性について家庭裁判所の審査を受けることなく、裁量によって施設入所契約を締結して施設に入所させるといったようなことは生じなくなるものと考えております。

三木委員 済みません、更問いしたいんですけれども、ちょっと時間がないので次の質問に行かせていただきます。またの機会に、今の部分というのはもう少し詳しくお伺いしたいと思います。

 現行制度については、被後見人が弁護士の後見人によって施設に入れられ、通帳も取り上げられて、親族も被後見人と面会を断られる事例があると先ほどの指摘もございます。法定後見人が補助に一元化されることで、このような事態というのは生じなくなるというふうに考えて本当によろしいんでしょうか。

 補助の事務が適切に行われているか、家庭裁判所による監督が適切に行われているかを親族が確認できるように、補助人が家庭裁判所に提出する報告書等の補助事件に関する書類の閲覧を、補助の終了や補助人の解任の申立てに必要な場合以外にも広く認める必要があるのではないかと思います。また、親族が本人の補助事件記録を閲覧することができるのでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げたとおり、民法等改正法案の下では、施設入所契約や預貯金取引の代理権についてもその必要性を家庭裁判所が個別に判断して補助人に付与することとなりますので、現行法のように、包括的な代理権などを有する成年後見人が、必要性について家庭裁判所の審査を受けることなく、裁量によって施設入所契約を締結したり本人の通帳を管理したりすることは生じないと考えております。

 次に、記録の閲覧についてお尋ねがありましたが、親族が家事事件の記録の閲覧をしようとする場合には、家庭裁判所に対し利害関係を有する第三者として閲覧を請求することが考えられ、家庭裁判所は、相当と認めるときは閲覧を許可することができます。そのため、補助に係る審判の取消しや補助人の解任の申立て権を有する親族は、それらの審判との関係で利害関係を有する第三者に当たり得ると考えられます。

 閲覧が許可されるかどうかについては、個々の事案において家庭裁判所が判断するものであるため一概にお答えすることが困難でございますが、一般論として申し上げると、親族が記録の閲覧により本人の生活の平穏を害するおそれがあるような事案において、個別具体的な事情を踏まえて、本人の住所や居所など家庭裁判所が不相当と認める範囲で閲覧が許可されないことはございますけれども、そのような事案は別として、補助開始の審判の取消しの申立てや補助人の解任の申立てをするかどうかの検討に必要な記録全般について閲覧をすることができるものと考えております。

三木委員 今の答弁ですと、居住しているところなどは伏せて、そのほかの一般的な全般の報告書等は見せていただくことができるというふうに理解をしてよろしいですね。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員の御指摘のようなことは、親族が記録の閲覧をすることによって本人の生活の平穏を害するおそれがあるような事案においては、そのような取扱いがされることがあり得ると考えております。

三木委員 もう時間がなくなってまいりました、最後の質問をさせていただきます。

 改正後の運用が適切かを判断するために、利用者の調査を実施するべきではないでしょうか。今、上がってきた声などが様々寄せられております。調査をするならば具体的にどのような規模でどのような調査を実施するのか、教えてください。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 民法等改正法案による成年後見制度の改正は、現行の制度について、利用者の指摘を踏まえて補助の制度に一元化するなどの見直しをしており、改正後の制度の利用状況等を確認し、その結果を踏まえて制度の在り方を検討することが重要でございます。

 そのためには、改正後の利用状況等を確認すべく、本人に加えてその親族も対象として調査を実施することが考えられますが、対象とする親族の範囲、親族の把握の方法、調査の内容及び方法など、検討すべき課題が少なくないと認識をしております。

 したがって、具体的にどのような調査を実施すべきかについて現時点でお答えすることは困難ですが、改正後の利用者の状況を適切に把握できるよう、これらの課題について引き続きしっかりと検討を進めてまいります。

三木委員 質疑時間が終了いたしましたので、今日は、今回はこれで質疑を終了させていただきますが、また、少し課題が残っていると思いますので、次回の質問のときに更に質問させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、藤沢忠盛君。

藤沢委員 自由民主党の藤沢忠盛でございます。

 本日は、初めて質問の機会をいただきました。理事の皆様、そして委員の皆様に心より感謝申し上げます。

 私は、これまで大学教員として、都市計画、町づくり、空き家問題、中山間地域政策などの研究に携わってまいりました。また、地元愛知県豊田市、みよし市を始め各地域において、空き家調査や地域調査を行ってまいりました。

 その現場で強く感じてきたのは、空き家問題というものは、単なる住宅問題ではなく、相続、家族関係、地域コミュニティー、さらには高齢化社会の問題そのものと深く結びついているということであります。

 実際に、長年放置された空き家の多くでは、相続手続が進んでいない、親族間で調整がつかない、祭祀財産の承継が整理されていないといった事情が見受けられます。特に、仏壇などが残されたままとなり、家族の思い出が整理できないまま、結果として空き家の除去や利活用が進まないケースを私は数多く見てまいりました。

 豊田市、みよし市は、世界に誇る物づくりの町である一方、中山間地域も抱えております。都市部と中山間地域の両方を持つ自治体として、高齢化、人口減少、空き家問題、地域コミュニティーの担い手不足など、地方都市共通の課題にも直面しております。

 また、単身高齢者の増加、認知症高齢者の増加など、家族の在り方も大きく変化しております。私自身、母が認知症を患い、現在、特別養護老人ホームに入所しておりますが、成年後見制度や遺言制度は、まさに現実の生活と地域社会を支える制度であると実感をしております。

 こうした中で、成年後見制度や遺言制度は、単なる法律上の制度ではなく、国民一人一人の尊厳ある生活を支えるとともに、地域社会の持続可能性にも深く関わる重要な社会基盤であると考えております。

 本法案は、本人の自己決定権を尊重しながら、より柔軟で利用しやすい制度へと見直すものであり、その方向性を高く評価するものであります。

 本日は、とりわけ、地域社会や地方自治体の現場という観点から、制度の実効性について質問させていただきます。本日は法務大臣が御不在とのことでございますので、政府参考人あるいは副大臣に丁寧な御答弁をお願い申し上げます。

 まず、本改正の背景、認識についてお伺いいたします。

 我が国では、高齢化の進展に加え、単身高齢者や身寄りのない高齢者の増加など、家族形態が大きく変化しております。また、地方では、人口減少が進み、地域コミュニティーの維持そのものが課題となっております。特に中山間地域では、相続未了や財産管理の停滞が空き家問題や所有者不明土地問題へと直結しております。

 私が各地で行ってきた空き家調査でも、単に建物が古いから空き家になるのではなく、相続が整理できない、家族間の感情的整理がつかない、祭祀財産の承継が進まない、こうした背景が長期放置の大きな要因になっていることを実感しております。

 つまり、成年後見制度や遺言制度は、個人の財産管理にとどまらず、地域社会の維持や地方自治体の課題解決とも深く関わる制度になっていると考えます。政府として成年後見制度、遺言制度を取り巻く社会的ニーズの変化をどのように認識しておられるのか、お伺いいたします。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国においては、高齢化の進展や単身高齢者世帯の増加など家族の在り方の変化を踏まえ、成年後見制度及び遺言制度に対するニーズが増えるとともに多様化していると認識をしております。

 例えば、現行の成年後見制度については、本人にとって適切な時機に必要な範囲、期間で利用できるようにすべき、終身ではなく有期の制度として見直しの機会を付与すべき、後見人等を円滑に交代できるようにすべきなどの指摘がされております。

 また、現行の遺言制度については、近年のデジタル技術の進展、普及、手書きの機会の減少という社会状況に対応したものとする必要があるとの指摘がされています。

 法務省としては、成年後見制度及び遺言制度を取り巻くこのような社会情勢の変化等を踏まえ、増加し多様化するニーズに対応し、それぞれの制度をより利用しやすくする必要性が高まっていると認識し、これらの制度に関する民法等の規定の見直しを進めてきたものでございます。

藤沢委員 ありがとうございます。

 次に、成年後見制度改革についてお伺いいたします。

 今回の法案では、本人の能力を一律、固定的に制限するのではなく、必要な範囲で支援を行う方向へ制度を見直すこととされております。私は、この方向性は地域で暮らし続ける高齢者を支える上で極めて重要であると考えております。

 地方では、高齢者の方々が住み慣れた地域で暮らし続けたいという思いを強く持っておられます。一方で、成年後見制度を使うと自由がなくなるのではないかという不安の声も少なくありません。今回、必要な範囲で柔軟に支援を行う制度へ転換することは、制度利用への心理的ハードルを下げ、地域での安心した暮らしにつながるものと期待しております。

 そこで、お伺いいたします。

 政府として、今回の見直しを通じて、地域社会における成年後見制度の利用や支援の在り方がどのように変わっていくことを期待しておられるのか、お聞かせください。

 また、制度の理念を実際に地域で機能させるためには、運用体制の整備が極めて重要であります。特に中山間地域では、司法、福祉専門職へのアクセスそのものが難しい地域もあります。地域包括支援センター、社会福祉協議会、自治体職員など、地域の現場が大きな役割を担っております。

 私が地域調査を行う中でも、制度の存在自体が十分に知られていない、あるいは相談先が分からないという声を数多く伺ってまいりました。また、認知機能の低下がある場合でも、本人の思いや生活歴、地域とのつながりを丁寧に把握しながら支援していくことが重要であり、そのためには多職種による支援体制が不可欠であります。

 法務省として、自治体、地域包括支援センター、司法書士会、弁護士会などとどのように連携し、地域に根差した制度運用を進めていくのか、お伺いいたします。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 高齢者、障害者等に対して必要な権利擁護支援がされるためには、その重要な手段である成年後見制度の利用においても、司法と地域福祉との連携が期待されているものと認識をしております。

 民法等改正法案では、制度の利用によって、本人を保護する必要がある範囲で補助人に権限等を付与することとしており、また、制度利用による保護の必要がなくなったときは制度利用を終了することができることとしております。

 そして、家庭裁判所が、本人を保護する必要があるか、保護の必要がなくなったかを判断するに当たっては、本人及び補助人等の陳述を聴取することに加えて、必要に応じて市町村長等の意見を聴取することとされており、家庭裁判所が地域社会から必要な情報を入手することができることを明確にしております。

 このように、民法等改正法案では、司法と地域福祉との連携強化に資する見直しをしているものと認識をしているところです。

 また、委員御指摘のとおり、民法等改正法案による改正後も、引き続き、司法書士や弁護士等が専門職である補助人等の重要な担い手となります。

 法務省としては、このような改正法の趣旨に沿った運用が適切にされるよう、関係府省庁等とも連携をするとともに、司法書士会や弁護士会等の専門職団体にも協力を依頼するなどし、改正法の趣旨、内容の周知、広報に努めてまいりたいと考えております。

林政府参考人 成年後見制度利用促進の観点で、厚生労働省の取組をお答え申し上げます。

 成年後見制度の見直しに伴いまして、必要性がなくなれば終わらせることができる制度になりますので、判断能力が不十分な方がより使いやすく、地域において本人の意向を踏まえた権利擁護支援がより一層行われるようになるということが重要と考えております。

 また、制度上、このように成年後見制度の利用を終了される方が出てくることから、地域における権利擁護支援のニーズは更に多様化、増加することが見込まれ、こうした状況に適切に対応する必要があると考えております。

 成年後見制度利用促進法に基づきます基本計画に基づきまして、厚生労働省としては、これまでも、成年後見制度を中心とした権利擁護支援策の利用の促進、福祉関係者や司法専門職などによる権利擁護支援の地域連携ネットワークづくりなどについて、地域の連携体制の整備のための支援を行うなど、必要な施策の総合的、計画的な推進を図ってまいりました。

 その上で、こうした取組を制度上にしっかり位置づけ、更なる促進を図る観点から、今般、社会福祉法等の一部を改正する法律案を国会に提出しております。

 この法律案におきましては、判断能力が不十分な方の権利擁護支援に係る市町村の事務を明確化した上で、その中核的な役割を担う機関として地域権利擁護相談支援センターを法律上位置づけることによりまして、特に整備されていないことが多い小規模市町村の体制整備を促進するなど、必要な制度的対応を盛り込んだところでございます。

 これらの取組を通じまして、厚生労働省といたしましても、成年後見制度の見直し後におきましても本人の支援ニーズに対応した支援がより一層行われますよう、市町村における適切な支援体制の構築を促進してまいります。

藤沢委員 お答えありがとうございました。

 次に、遺言制度改革についてお伺いいたします。

 私は、豊田市、みよし市を含む各地域で空き家調査を行う中で、相続未了によって長期間放置された住宅を数多く見てまいりました。相続人が遠方に住んでいる、親族間で話合いがまとまらない、祭祀財産の承継が整理できない、こうした事情が重なり、結果として空き家化し、地域の防災、防犯、景観上の課題へとつながっております。特に中山間地域では、空き家の増加が地域コミュニティー維持そのものに影響を及ぼしております。

 また、その延長線上には、所有者不明土地問題があります。土地の管理が行われず、公共事業や地域整備にも支障を来すケースが生じております。

 私は、こうした問題に対応するためには、相続をめぐるトラブルや手続停滞を未然に防ぐことが重要であり、その意味でも、遺言制度の役割は極めて大きいと考えております。

 今回の遺言制度改革は、円滑な相続を促進し、空き家対策や所有者不明土地問題の解決にも資する重要な改正であると考えますが、政府の認識をお伺いいたします。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたとおり、遺言制度については、近年のデジタル技術の進展、普及、手書きの機会の減少という社会状況に対応する必要があるなどの指摘がされており、民法等改正法案による遺言制度の見直しは、これらの指摘に応え、制度をより利用しやすくするものでございます。

 遺言は、相続人全員による遺産分割協議を経ることなく、祭祀に関する権利の承継も含め、遺産に関する相続人等の権利義務関係を早期に確定させるものであり、遺言により不動産を承継したことは、相続人にとって相続登記を行うインセンティブになると考えられます。

 これに加え、本改正法案により導入することとしている保管証書遺言による場合には、法務局において遺言書が保管され、遺言者が死亡した場合には遺言者があらかじめ指定した者に、また、相続人等の一人が遺言書情報証明書の交付請求等をした場合には他の相続人等にそれぞれ通知がされることなどから、相続人等が遺言書の存在を確実に知ることができ、また、遺言書の改ざん等のリスクが低く、相続人間の紛争の予防にも資することとなるメリットがございます。

 こうしたことから、本改正法案による遺言制度の見直しは、遺言に対する信頼を確保しつつ、国民にとってより利用しやすい制度とするものであるとともに、委員御指摘の所有者不明土地問題や空き家問題の解決にも資するものと認識をしております。

 さらに、祭祀財産の承継について御言及がございました。

 仏壇や墳墓の所有権等の祭祀に関する権利は祭祀を主宰すべき者が承継するところ、祭祀を主宰すべき者は、第一に、被相続人の指定により、第二に、その指定がない場合には慣習に従って、第三に、慣習が明らかでないときは家庭裁判所の審判により定まるとされており、遺言により指定することができます。

 本改正法案によって遺言制度がより国民にとって利用しやすいものとなることによって、祭祀を主宰すべき者を指定する遺言もより活用しやすくなるものと考えております。

藤沢委員 お答えありがとうございました。

 今回創設される保管証書遺言についてお伺いいたします。

 パソコン等で作成した遺言データを法務局で保管できる仕組みは、遺言作成の負担軽減や紛失防止に大きく資するものであり、非常に意義のある制度であると考えております。

 一方で、地方や高齢者の現場では、デジタル機器に不慣れな方も少なくありません。特に中山間地域では、家族や専門職へのアクセスが限られている場合もあります。制度をつくるだけでなく、実際に利用していただける環境整備が重要であります。

 法務局による相談体制や自治体との連携、さらには高齢者への丁寧な周知をどのように進めていくのか、お伺いをいたします。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 新設される保管証書遺言については、現行の自筆証書遺言保管制度と同様に、全国の法務局のうち法務大臣の指定する法務局が遺言書保管所として遺言書の保管に関する事務をつかさどることとしております。

 利用者への相談体制については、現在、自筆証書遺言書の保管の申請に際して、制度の一般的な説明や手続の進め方についての案内を行っているところですが、新設される保管証書遺言についても、遺言者が適切に手続を行うことができるよう、高齢者の方を含め、引き続き丁寧に案内を行うことを予定しております。

 また、現在も、各地の法務局において、自治体と連携し、自筆証書遺言書保管制度の説明会や出前講座等を開催しているところでありますが、新設される保管証書遺言の周知、広報についても引き続き緊密に連携を図っていくことを予定しております。

 法務省としては、本法案が成立した場合には、全国の法務局と一体となって新たな遺言書保管制度の円滑な施行に向け準備を進めるとともに、関係機関と連携して周知、広報にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

藤沢委員 最後に、地域社会との関係についてお伺いいたします。

 成年後見制度や遺言制度は、個人の財産管理にとどまらず、空き家対策、所有者不明土地対策、地域コミュニティー維持など、地方自治体が直面する課題とも深く関わっております。特に、豊田市、みよし市のように、都市部と中山間地域の両面を持つ自治体では課題が複雑化しております。

 今後は、法務行政だけで完結するのではなく、地方自治体、福祉部局、国土交通行政、地域包括ケア、地域づくり政策などとの連携も重要になってくると考えております。

 法務省として、今後どのように関係機関と連携しながら地域社会を支える制度として実効性を高めていくのか、お伺いいたします。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 民法等改正法案は、高齢化の進展、単身高齢者世帯の増加などの家族の在り方の変化等を踏まえ、増加、多様化するニーズに対応する観点から、成年後見制度に関して、本人にとって、利用の範囲で、その利用を可能とすること、遺言制度に関して、電子データ等をもって作成し、法務局において保管するという保管証書遺言の方式を創設することなどを内容とし、成年後見制度及び遺言の制度をより利用しやすくするものでございます。

 このような改正の内容については、地域社会を支える制度としても重要であり、実際に制度を利用する当事者に適切に理解される必要があると考えております。

 法務省としては、改正法が成立した場合には、新たな制度を利用される方に必要な情報提供がされるよう、関係府省庁や地方自治体等の関係機関と連携しつつ、改正法の趣旨、内容の十分な周知、広報に努めてまいります。

藤沢委員 遺言をデジタル化するということに関して、非常に大切なものでございますが、デジタル機器に不慣れな方も多くいらっしゃると思います。そういった方に関して、一回り何か多くの工夫をされている点がございましたら、御説明いただけると大変にありがたく思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 昨今、スマートフォンの普及などもございまして、幅広い世代において電子機器を使えるようになってはまいりましたけれども、今なお、高齢者の方など、デジタルデバイドの問題があるものというふうに認識をしております。

 また、日本全国を見ますと、大都市圏、また委員御指摘のような中山間地域における様々な様子というものも考えなければならないというふうに考えております。

 今後、先ほど申し上げたような保管証書遺言の制度を創設する、実施するに当たりましては、そのような方々また地域の実情を十分に考慮した上で、利用を望む方が適切にそれを使うことができるよう、適切な行政サービスというものを考えてまいりたいと考えております。

藤沢委員 お答え、大変ありがとうございます。

 私は、大学教員として、中山間地、多く、空き家等の調査を行ってまいりました。そういったものは人口減少社会と言われる前から研究を開始して、いろいろなところに調査に行くと、空き家があって、先生、今日ここに泊まっていってくださいよと。しかし、そこには何か物すごく大きな仏壇があって、とても気になる。これは貸出しされる予定とかはあるんですかと聞くと、いや、貸し出したいんだけれども、この仏壇はそのままにしておいてくれと。しかし、やはり仏壇が置いてあると、なかなか、そこを貸出しして、泊まる、他の方がそこの空き家を利用するということは少し抵抗があったりするというような場合がどうしてもあります。私も、実際にその大きな空き家の中で仏壇の隣に寝ていたりすると、ちょっとどうしても気になって、難しいなということがあります。

 今の日本の空き家の問題なんかは、仏壇のようなものがあったり、家族の思い出がしっかり整理できないというようなことが、私はやはり自分の実際の調査において非常に気になる点ではございますが、今回の法改正でも、祭祀の承継のような問題は非常に大きな話で、この法改正によってこの問題が少しでも前向きに進んでいくことを考えておりますが、何かその辺に関して法務省の方から御意見がございましたら、少しお話を簡単に伺えれば幸いでございます。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国では、まだ遺言が十分に活用されているとは言えないものと考えております。民法上、遺言という制度があり、遺言をすれば、相続人の間で別途遺産分割協議をすることなく、財産また祭祀を相続人の方に適切に、円滑に承継させることができるにもかかわらず、遺言がないがために遺産分割に多大な労力、費用をかけるというふうな現状があると認識しているためでございます。このような観点からいたしますと、遺言をより促進していくというのが重要であるということは言うまでもございません。

 そして、今、所有者不明土地問題というものも大きく叫ばれております。登記を見るだけでは、登記名義人として先代、先々代の名前が書いてあって、実際に誰が今所有しているのかが分かりにくい。そうしますと、災害や地震などがあった場合の復旧復興の観点でも、地権者が誰かという把握が難しく、多大な困難を擁しているという現状にございます。

 遺言が活性化されることによりまして、その登記名義人も適切に、正しい登記がされるということになりますと、そのような復興復旧の面、所有者不明土地問題に対する対応としても非常に有用だと考えておりまして、今回創設する保管証書遺言の制度を含め、また自筆証書遺言の制度もより利用しやすく、また公正証書遺言につきましても昨年十月からより利用しやすくなる改正がされているところでございますので、そのような、全体として遺言がより利用しやすくなるものとなるよう努めてまいりたいと考えております。

藤沢委員 お答え、大変ありがとうございます。

 土地所有者不明問題というのは我が国にとっても非常に大きな問題であり、一説によると、九州ぐらいの土地が誰の土地だか分からないということをお聞きしたことがございます。そういった問題に関して、何か一言、今後の日本国における土地所有者不明問題、何か御助成とか御意見があればお伺いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 特に東日本大震災の後の復旧復興の際にそれがなかなか円滑に進まなかったことという反省を受けまして、法務省といたしましては、所有者不明土地問題に対して様々な取組を行ってまいりました。法定相続情報証明制度というふうな、誰が法定相続人であるかを証明するということを法務局の方で証明するサービスをつくることによって相続登記の促進を図ったり、昨今の法改正におきましては、今年の四月一日に施行された、相続登記の義務化、また住所変更登記の義務化、こういうふうな制度を用いまして登記が正しくされるようにするということを考えてきたものでございます。

 まだその道のりは半ばでございまして、私どもとしても、適切な周知、広報を図り、また関係士業者との連携を持って、このような取組を積極的に進めてまいりたいと考えております。

藤沢委員 お答え、大変ありがとうございました。

 本法案は、高齢化社会において国民一人一人の尊厳ある人生を支えるとともに、地域社会の持続可能性にも大きく関わる重要な法改正であると考えております。特に、本人の自己決定権を尊重しながら必要な支援を柔軟に行う方向性は、今後の我が国社会において極めて重要であります。また、遺言制度の利用促進は、相続紛争の予防だけでなく、空き家や所有者不明土地問題への対応、さらには地域コミュニティー維持にもつながるものであります。

 地元豊田市、みよし市を始め全国の地域社会において国民にとって使いやすく信頼される制度となるよう丁寧な周知と実効性のある運用をお願いを申し上げて、私の質問を終わります。

 大変ありがとうございました。

井上委員長 次回は、明二十日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.