第7号 令和7年3月4日(火曜日)
令和七年三月四日(火曜日)―――――――――――――
議事日程 第七号
令和七年三月四日
午後一時開議
第一 公職選挙法の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外十一名提出)
第二 公職選挙法の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外十名提出)
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○本日の会議に付した案件
令和七年度一般会計予算
令和七年度特別会計予算
令和七年度政府関係機関予算
日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外十一名提出)
日程第二 公職選挙法の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外十名提出)
地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
午後二時三十二分開議
○議長(額賀福志郎君) これより会議を開きます。
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○鈴木隼人君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算、令和七年度政府関係機関予算、右三案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
○議長(額賀福志郎君) 鈴木隼人君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。
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令和七年度一般会計予算
令和七年度特別会計予算
令和七年度政府関係機関予算
○議長(額賀福志郎君) 令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算、令和七年度政府関係機関予算、右三案を一括して議題といたします。
委員長の報告を求めます。予算委員長安住淳君。
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令和七年度一般会計予算及び同報告書
令和七年度特別会計予算及び同報告書
令和七年度政府関係機関予算及び同報告書
〔本号(二)に掲載〕
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〔安住淳君登壇〕
○安住淳君 ただいま議題となりました令和七年度一般会計予算外二案につきまして、予算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、予算三案の概要について申し上げます。
令和七年度一般会計予算の規模は百十五兆五千四百十五億円であり、前年度当初予算に対して二・六%の増加となっております。
歳出のうち、国債費及び地方交付税交付金等を除いた一般歳出の規模は六十八兆二千四百五十二億円であり、前年度当初予算に対して〇・七%の増加となっております。
歳入のうち、公債金は二十八兆六千四百九十億円で、公債依存度は二四・八%となっております。
特別会計予算については、十四の特別会計があり、会計間の取引額などの重複額等を控除した歳出純計額は二百四兆九百二十七億円となっております。
政府関係機関予算については、沖縄振興開発金融公庫など四機関の予算を計上しております。
なお、財政投融資計画でありますけれども、その規模は十二兆千八百十七億円で、前年度当初計画に対して八・七%の減少となっております。
この予算三案は、去る一月二十四日本委員会に付託され、同月三十日加藤財務大臣から趣旨の説明を聴取し、翌三十一日から質疑に入り、基本的質疑、一般的質疑のほか、各省別の予算について掘り下げた議論を行う場として、初の省庁別審査を実施いたしました。また、群馬県と広島県における現地視察及び地方公聴会、集中審議、中央公聴会、分科会を行うなど、慎重に審査を重ねました。
審査においては、経済・財政・金融政策、米の価格高騰など物価高や、それに伴う農業政策、さらには、賃上げに向けた各般の取組、高額療養費制度を始めとした社会保障の在り方、いわゆる高校無償化を始めとした教育をめぐる課題、地方創生、外交・安全保障、政治資金問題など、国政の各般にわたって熱心に質疑が行われました。その詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。
焦点の一つとなっていた政治資金問題については、去る一月三十日参考人出頭要求決議を行い、二月二十七日院外において意見を聴取いたしました。
翌二十八日、自由民主党・無所属の会及び公明党の共同提案により、いわゆる高校無償化の実現までの先行措置や高額療養費制度の見直しにおける多数回該当者の自己負担額の据置きなどを内容とする一般会計予算及び特別会計予算に対する両修正案が、立憲民主党・無所属から、いわゆるガソリン税等の暫定税率の廃止や学校給食無償化などによる国民の負担軽減、高額療養費の自己負担上限引上げの凍結などを内容とする一般会計予算及び特別会計予算に対する両修正案がそれぞれ提出され、同日趣旨の説明を聴取いたしました。
昨三月三日、予算三案及び各修正案を一括して集中審議を行い、本日締めくくり質疑を行いました。
質疑を終局し、立憲民主党・無所属提案の両修正案については内閣の意見を聴取した後、れいわ新選組及び日本共産党から、それぞれ、令和七年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出され、趣旨の説明を聴取いたしました。
次いで、予算三案、両動議及び各修正案について一括して討論、順次採決を行いました結果、両動議及び立憲民主党・無所属提案の両修正案は否決されました。次いで、自由民主党・無所属の会及び公明党の共同提案による両修正案並びに修正部分を除く一般会計予算及び特別会計予算はいずれも賛成多数をもって可決され、令和七年度一般会計予算及び令和七年度特別会計予算はいずれも修正議決、令和七年度政府関係機関予算は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
これらの結果、一般会計予算の歳入及び歳出の総額について、三千四百三十七億円を修正減少することとなり、令和七年度一般会計予算の規模は百十五兆千九百七十八億円となっております。また、特別会計について、労働保険特別会計等について所要の修正を行っております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(額賀福志郎君) 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。本庄知史君。
〔本庄知史君登壇〕
○本庄知史君 立憲民主党・無所属の本庄知史です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました令和七年度一般会計予算外二案について、反対の立場から討論をいたします。(拍手)
昨年十月の総選挙の結果、与党、自民党、公明党は衆議院で過半数を割り込みました。三十年ぶりの少数与党という状況の中、野党から安住予算委員長が就任したことも相まって、緊張感ある予算審議に様変わりしました。
私たち立憲民主党は、野田代表を先頭に、熟議と公開を旨とする国会を掲げ、国民から見えづらい与党審査や政党間協議よりも、ガラス張りで議事録も残る国会審議を重視して臨みました。
その象徴が、立憲民主党の提案によって初めて実施をされた省庁別審査です。三日間にわたり、各省別に予算案の細部に至るまで集中的に審議しました。
立憲民主党では、総勢七十人規模の本気の歳出改革作業チームを立ち上げ、各省庁の予算案を徹底的に精査し、必要性の乏しい予算、優先順位の低い予算、活用されていない基金などを洗い出しました。
とりわけ、基金は財源の宝庫でした。
例えば、年間必要額の倍額以上の一千八百億円が積まれたコロナワクチン生産体制等緊急整備基金は、私たちの指摘を踏まえ、与党の予算修正でも財源とされました。
私も取り上げたグローバル・スタートアップ・キャンパス基金、これは補正予算で計六百三十六億円も積み上げながら、二年以上全く事業が進展せず、支出僅か二千四百七十万円、執行率〇・〇四%という、とんでも基金の代表格です。
昨年の臨時国会でも議論した宇宙戦略基金は、二年連続、補正予算で計六千億円を積み上げましたが、来年度末でも残高見込みが五千億円を超える膨張基金です。
防衛装備移転円滑化基金は、五年間で計二千億円の計画で、毎年、機械的に四百億円ずつ積み上げています。令和七年度予算案で累計一千二百億円となりますが、これまで僅か一件、一億円の支出しかないことが明らかになっています。
過大な予備費についても厳しく指摘しました。平時の歳出構造に戻すとしながら、平時の一般予備費五千億円の倍額、一兆円が計上されましたが、最後までその根拠が示されることはなく、結局、与党修正で二千五百億円が減額されました。
こうした省庁別審査を経て、私たちが発掘した財源は計三・八兆円にも上ります。極めて短期間かつ野党の立場で情報が十分でない中での三・八兆円です。与党、財務省は、これまで一体何をしていたのでしょうか。猛省を促したいと思います。
この省庁別審査の成果が結実したものが、立憲民主党の予算修正案です。
発掘した三・八兆円の財源を裏づけに、新たな国債発行や国民負担増に頼ることなく、国民の命と暮らしを守り、子供たちの未来を開くための政策パッケージを打ち出しました。ガソリン、軽油の暫定税率廃止、学校給食の無償化、高校授業料無償化の拡充、介護や保育の現場で働く方々の処遇改善、年収百三十万円の崖対策、高額療養費の負担上限額引上げ凍結など、直ちに実施すべき重要政策のラインナップです。
これに対し、与党の修正案は、百三万円の壁の複雑怪奇な引上げと、高校授業料十一万八千八百円の所得制限撤廃という、極めて小粒の修正にとどまっています。
これまで一円たりとも変えられなかった政府予算案を二十九年ぶりの国会修正に持ち込んだことは、一定の成果とも言えます。しかし、本予算案は、与党修正を経てもなお、賛成できる代物ではありません。
以下、その理由を端的に申し述べます。
反対理由の第一は、国民の命を軽視する予算案であるということです。
政府は、今年八月から二年をかけて高額療養費の自己負担上限額の引上げを予定しています。当初案は、最大で七割引上げとなるなど、余りにも影響が甚大で、がんなどの重病、難病に罹患している方々の命を脅かすものでした。
高額療養費制度は、医療保険制度においては、いわば最後のセーフティーネットです。しかし、政府は、当事者である患者の皆さんや医療関係者の声を十分に聞くことなく、僅か一か月、四回の審議会で引上げを決定しました。このような暴挙は断じて許すわけにはいきません。
患者団体、世論、野党の強い反対を受け、政府は、多数回該当の扱いなど一部修正を決めましたが、これは命に関わる問題です。全面的に凍結し、関係者の意見を丁寧に聞くなど、一からやり直す必要があります。この一点をもってしても、国民の命を軽視する本予算案は賛成に値しません。政府がやらなければ、私たち立憲民主党が厚生労働委員会に凍結法案を提出いたします。
加えて言えば、介護、障害福祉施設で働く方々の処遇改善や訪問介護事業者に対する緊急支援なども、命や健康を守るために待ったなしの政策です。政府・与党は財源を理由にゼロ回答ですが、財源は私たちが示しています。ただ、やる気がないだけではないでしょうか。
反対理由の第二は、物価高に苦しむ国民生活を顧みない予算案であるということです。
民間調査機関によれば、今年、値上げが公表された食料品は一万品目、年間では二万品目に達するとされています。まさに物価高の嵐が国民生活を襲っています。ガソリン価格も、政府の支援策縮小で、地域によっては一リットル二百円を超える状況となっています。地元を歩けば、毎日のように、ガソリン価格の高騰に苦しむ声を聞きます。この声は政府・与党には届いていないのでしょうか。
私たち立憲民主党は、予算修正案と税法修正案の提出という形で、ガソリン減税を求める国民の声を国会に届けました。与党は、昨年十二月、国民民主党と暫定税率の廃止に合意しているにもかかわらず、なぜ私たちの提案に反対するのでしょうか。これでは、二枚舌と言われても仕方がありません。
反対理由の第三は、税金の無駄遣いに向き合わない予算であるということです。
これまで申し述べたように、私たちは、省庁別審査において幾つもの問題基金を発掘し、財源として示しました。基金全体についても、政府が決めた三年ルールを逸脱し、八兆円規模の積み過ぎとなっていることを明らかにしています。
結果として、与党は、維新の会との予算修正合意において、予備費の取崩しやワクチン基金から国庫への返納など、私たちが予算修正案で要求した一部を取り入れました。私たちの指摘が適切であったことの証左であり、これ以外の提案も取り入れることは十分可能です。与党は、税金の無駄遣いという不都合な真実に正面から向き合うべきではありませんか。
他方で、旧民主党政権でスタートさせた高校授業料無償化の拡充が、長年反対してきた自民党の賛同も得て予算案に一部盛り込まれたことは、一歩前進と言えます。
ただ、私たちの財源確保策を素直に取り入れていれば、令和八年度以降に先送りされた私立高校加算額の引上げや小中学校の給食無償化も、七年度中に実現可能でした。与党のしがらみや党利党略が子供たちのための政策実現を妨げたとすれば、極めて残念です。
以上、予算案反対の主な理由を三点申し述べましたが、加えて、予算審議を通じて明らかとなったのは、この期に及んで政治と金問題を反省していない自民党の姿です。
裏金問題をめぐり、旧安倍派元会計責任者の参考人招致が、紆余曲折の末、二月二十七日に行われました。これによって、改めて旧安倍派幹部と元会計責任者の発言に大きな矛盾があることが明確になりました。それでもなお、石破総理・総裁は、キックバック再開の経緯などについて、再調査すらしないという意向です。
また、自民党が今国会に提出した政治資金規正法改正案は合計一千万円を超える献金をした企業名を公表するとしていますが、対象となる政党支部は全政治団体のたった五・六%にすぎません。これで、禁止より公開とはよく言えたものです。開いた口が塞がらないとは、まさにこのことではないでしょうか。
一方で、巨額の政策減税を受けた企業名は非公開のままです。これでは、政策がゆがめられていると言われても仕方がありません。
結びに、本気の歳出改革にも財源確保にも取り組まず、税金の無駄遣いを放置し、必要な政策を実行しない石破内閣、自民党・公明党政権に、これ以上、我が国の予算、財政を任せるわけにはいきません。夏の参議院選挙を経て政権交代を実現し、私たち立憲民主党の手で、日本の未来を切り開く予算と責任ある財政の姿をお示しすることをお誓い申し上げ、私の討論を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) 齋藤健君。
〔齋藤健君登壇〕
○齋藤健君 自由民主党の齋藤健です。
私は、自由民主党・無所属の会を代表し、ただいま議題となりました令和七年度一般会計予算案外二案に関し、自由民主党、公明党提案に係る修正案及びそれを除く政府原案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
日本経済は、三十三年ぶりの高水準の賃上げと過去最大規模の設備投資が実現するなど、まさに三十年ぶりに反転攻勢のチャンスを迎えております。これを確かなものとし、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る、賃上げと投資が牽引する成長型経済を何としても実現していかねばなりません。
加えて、急速に進む人口減少や激甚化する自然災害、厳しさを増す安全保障環境など、国内外の様々な変化にしっかりと対応していかなくてはなりません。
こうした中、令和七年度予算は、日本経済の明るい兆しを本格的な足取りとするとともに、我が国が直面する構造的な変化に的確に対応するための予算となっております。
以下、修正部分を除く政府原案に賛成する主な理由を申し述べます。
第一に、賃上げと投資です。
賃上げと投資が牽引する成長型経済の実現に向けて、賃上げの原資となる企業の稼ぐ力を引き出すため、AI、半導体分野の投資促進やGX投資促進を官民連携の下で力強く推進していく予算となっております。
第二に、新たな地方創生です。
地方こそ成長の主役との考え方の下で、地方創生二・〇を推進するため、地方創生の交付金を倍増し、地方公共団体の自主性と創意工夫に基づいて、産官学金労言における議論を踏まえた地域独自の取組を強力に支援する内容となっております。また、活力ある地方の創造を支援するため、農業の持続的発展や観光コンテンツの充実を推進する予算も措置しております。
第三に、子供、子育て政策です。
こども未来戦略に基づく子供、子育て支援を本格的に実施し、高等教育の負担軽減の更なる拡充、一歳児への保育の質の向上、育休給付の充実等を実施することにより、こども未来戦略の加速化プランの八割超を実現する予算を盛り込んでおります。
第四に、防災、減災です。
能登半島地震等の教訓を踏まえ、災害時に利用可能なキッチンカー、トレーラーハウス等の登録制度の創設など、災害対応力を強化するとともに、今後も想定される災害への備えに万全を期すため、内閣府防災担当の予算、定員を倍増することとしております。
第五に、防衛力強化です。
戦後最も厳しく、更に厳しくなることが想定される安全保障環境を踏まえ、スタンドオフ防衛能力の強化など、防衛力の抜本強化を推進するとともに、入隊後、営舎内で生活する自衛官に対する給付金の新設など、自衛官の処遇改善を進めること等により、自衛隊の人的基盤を強化するための予算を確保しております。
次に、自由民主党、公明党提案の修正案について意見を申し述べます。
同案は、予算委員会における様々な議論及び政党間の協議の結果を踏まえて、いわゆる高校無償化の先行実施、高額療養費制度の多数回該当の自己負担額を見直さず据え置き、所得税の基礎控除の特例の創設等による所要の修正を行うこととしております。
当初予算に対する大所高所に立った二十九年ぶりの国会による予算修正には、賛成の意を表する次第であります。
当初予算の審議は、少数与党になって初めての本格的な審議となり、野党から様々な提案がなされました。それらの提案は、選挙で語れば喜んでいただけるものばかりであり、我々自民党としてもやりたい、思わずそう叫びたくなるものがほとんどでありました。
しかし、一方で、巨額の歳入欠損が恒久的に生じる。子や孫に大きなツケを回すことになるのではないか。だから、やりたいけれども悩むわけです。是非とも、この悩みは野党の諸君にも共有してもらいたい。
この度の予算審議は、我々にとりまして、少数といえども与党だという責任の重さに苦しんだ国会審議となりました。ですが、一方で、野党といえども多数だという責任もあるのではないか、そう痛切に感じる国会審議でありました。一言申し上げさせていただきました。
以上、修正案及びそれを除く政府原案に賛成する理由を申し述べました。議員各位の御賛同を賜りますことを強くお願い申し上げ、私の賛成討論とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) 浅野哲君。
〔浅野哲君登壇〕
○浅野哲君 国民民主党の浅野哲です。
私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、政府提出の予算案外二案に対して、反対の立場で討論を行います。(拍手)
国民民主党は、結党以来、家計第一、給料が上がる経済の実現、そして手取りを増やすというキャッチフレーズを掲げて、常に国民生活の向上を目指す活動を徹底してきました。
さきの総選挙においては、国民一人一人の可処分所得の引上げを目指す国民民主党の姿勢と、長期にわたって実質賃金が上がらず物価高に苦しむ国民の皆様からのSOSが重なり、年収の壁の引上げやガソリン暫定税率廃止にかつてない注目が集まりました。実際、昨年の総選挙前後で、百三万円の壁、年収の壁というキーワードでの検索頻度は、実に十倍以上に跳ね上がっています。この国会に課せられた責任は、この国民から届くSOSにしっかりと応えることのできる予算を策定することです。
そもそも、私たち国民民主党が、なぜ百六万円の壁や百三十万円の壁ではなく、百三万円の壁の引上げを先に行おうとしたのか。それは、百三万円の壁を動かすことで、人手不足が深刻化する今の時代に増加する就業調整の問題を改善しようとしただけではありません。この間、真面目に働き、日本を支えてきた全ての労働者の手取りを増やし、日本を動かしている最大のエンジン、すなわち個人消費を再び活性化させるためであります。
私たちが提案している百七十八万円までの引上げが実現すれば、年収三百万円で年間十一・三万円、年収五百万円で年間十三・二万円の減税効果が表れますが、政府案だと、年収三百万円で年五千円、年収五百万円で年一万円の減税効果しかありません。実に十倍以上の効果を発揮することができます。さらに、これまで就業調整を行ってきた方々が更に労働参加できるようになり、労働対価としての収入も同時に増やすことができるのです。
政府・与党には、限られた国家財政の中で、堅実な財政運営を行う責務があります。しかし、その一方で、三十年以上の長期にわたって低成長が続いてきた我が国の経済と国民生活をもう一度成長軌道に導くためには、財源の範囲で来年度何ができるかではなく、国民生活と将来世代のために今何をすべきかを、そういう姿勢で決断をすることが今の政権を担う者の責任ではないでしょうか。
さて、国民民主党は、昨日、立憲民主党とともに、いわゆるガソリン暫定税率の廃止法案を提出いたしました。そして、日本維新の会も、令和八年度から暫定税率を廃止する法案を提出したと伺っています。
現在のガソリン高は、物流や生産コスト上昇の要因となっており、全国各地の地場産業や中小企業経営者、そして従業員の皆さんを苦しめています。そのため、この間の予算委員会においても、ガソリン暫定税率廃止の必要性について、我々国民民主党はもちろんのこと、自民党、立憲民主党、日本維新の会、公明党、れいわ新選組など、ほとんどの政党が肯定しています。また、何度でも申し上げますが、昨年十二月には、自民党、公明党、国民民主党の幹事長間でも廃止に合意しています。
にもかかわらず、令和七年度予算案や税制改正内容には検討規定しか盛り込まれておらず、三党協議や予算委員会の中でも、石破総理や与党から返ってくるのは、恒久財源をという言葉ばかりでした。
ここで一つ申し上げたいのは、いわゆるガソリン暫定税率は、一九七四年当初、期間限定ということで始められ、延長が重ねられてきました。現在は、当分の間税率という名称がついています。つまり、そもそも恒久財源ではないのです。これは、歴史上決して変えることのできない厳然たる事実です。あくまでも、暫定的、当分の間という前提、名称の税目であり、これを廃止する代わりに恒久財源をというのは根本的に成り立ちません。それは政府の、与党の身勝手な理屈です。
改めて申し上げますが、三党の幹事長合意事項は、いわゆるガソリンの暫定税率は廃止するです。このことから、国民民主党としては、令和七年度予算案及び税制改正内容において、この三党の幹事長合意が履行されているとは考えておりません。
なお、立憲民主党から提出された修正案については、先ほど申し上げた百三万円の壁の引上げについて含まれていない等の理由から、国民民主党の要求を満たすものとはなっておらず、賛成することができません。
以降、政府予算案の内容について、個別に問題点を指摘してまいります。
まず、高額療養費制度の見直しについては、多くの野党が反対を表明した理由として、制度の見直しプロセスに決定的な瑕疵があったと言わざるを得ません。
国民民主党は、制度の持続可能性を高めるために、より精緻な応能負担を推進することや、現役世代の保険料負担軽減をすること自体は評価をしています。しかし、今回の問題は、制度の見直しの影響を最も受ける患者さんを始めとする関係者、団体の意見を事前に聴取しなかった点であります。また、多数回該当時の負担額を据え置いたことは評価できますが、高額療養費の基準額引上げについては、まだ説明が十分とは思えません。
この後、厚生労働委員会が動き始めますが、政府には、患者や御家族が心配している、現在の生活が維持できなくなるのではないか、自分のせいで家族や子供につらい思いをさせてしまうのではないかなどの不安に寄り添った、更なる説明を求めてまいります。
また、教員の処遇改善について、政府は令和七年度から十二年度までの間に教職調整額を四%から一〇%まで段階的に引き上げる方針ですが、初年度の令和七年度にプラス一%だけというのは極めて小幅であると言わざるを得ません。
また、今後についても、教員の働き方改革の進捗を検証しながら追加的な措置を行っていくという方針ですけれども、これは順番が逆です。まず、過労死ラインを超える長時間労働が続いている現場の負担を軽減するため、教員定数を早期に見直すべきです。教職員の皆さんが求めているのは、お金よりも仲間です。そして、政府、地方自治体の理解と協力です。
石破総理には、国家財政ではなく、この国を支えている現場と、現場から生み出されていく未来の日本の姿に心を向けていただきたいと思います。
科学技術振興費についても、同様に、本予算案では前年度比〇・九%増の一兆四千二百二十一億円が計上されていますが、昨今の物価高の中では実質マイナスになることは明々白々です。
国際経営開発研究所、IMDの発表では、二〇二四年の日本の国際競争力ランキングは調査対象となった六十七か国中三十八位と、前年の三十五位から更に順位を落とし過去最低順位となりました。これを深刻な事態と言わずに何と言うべきでしょうか。かつて日本は一位を連続で獲得していた時期もありますが、この三十年間、日本は順位を落とし続けているにもかかわらず、科学技術予算は横ばいのままです。
なぜ政府は、ここまで科学技術分野を軽視するのでしょうか。最近の国際情勢を鑑みれば、防衛分野などの安全保障分野に予算を重点配分することに一定の理解はできます。であれば、なおさら科学技術予算を重視しなければならないはずです。科学技術力は、国家の経済成長はもとより、安全保障能力強化の原動力です。この点からも、政府の予算配分の妥当性に疑問を持たざるを得ません。
最後に、国民民主党として捉えている今後の重要課題について申し上げます。
一つ目は、就職氷河期世代への支援です。
今年は二〇二五年。団塊世代が七十五歳以上に達し、国民の四人に一人が後期高齢者となるタイミングがやってきました。同時に、団塊ジュニア世代の平均年齢も五十歳に到達し、今後、中高年のビジネスケアラーが急速に増加していきます。そして、この団塊ジュニア世代の中心にいるのが、いわゆる就職氷河期世代の皆さんです。
就職氷河期世代は、激しい就職競争の中、不安定な雇用や低賃金、キャリアアップ機会との断絶という厳しい時代の中を踏ん張ってきた世代でもあります。当事者の中には、老後資金への不安や家族の介護問題を抱える人たちも増えていますが、政府の中には、就職氷河期世代に主眼を置いた施策はありません。
そこで、私たち国民民主党は、国による就職氷河期世代に関する実態調査や厚生年金の過去遡及納付、国主導によるソーシャルファームの全国展開などを含む就職氷河期世代政策に関する提言を昨年公表しました。特に福岡厚生労働大臣には、大臣と同年代であるこの就職氷河期世代の国民が抱える様々な課題に寄り添っていただきたいと思います。我々国民民主党の提言内容を含め、今後、更なる具体的な支援策についても議論を深めてまいりましょう。
二点目は、暗号資産に関する規制緩和や課税方法の見直し、取引環境の充実です。
現在、世界の暗号資産関連市場は急速に成長していますが、日本国内では、二〇二一年に行われた取引規制の強化以降、国内の取引量は低空飛行を続けています。一方で、日本には人口の一六%に当たる約二千万人のユーザーがおり、これは米国や欧州と同程度の普及率です。
暗号資産は、新興国を中心に十三億人以上とも言われている銀行口座を持たないアンバンクト層の決済手段や、新興企業の資金調達手段、為替影響の回避や国際送金の効率化、低廉化など、経済や産業を大きく発展させるインフラとなり得る存在です。
石破政権には、暗号資産に係る課税方法の見直し、レバレッジ規制の上限二倍から十倍への緩和、暗号資産同士の交換時における非課税化、損失繰越控除三年間の導入、そして、暗号資産ETF導入に向けた検討を加速していただくよう強く求めます。
以上、本予算に関連した国民民主党としての意見を申し述べました。
私たち国民民主党は、税金を使う側ではなく税金を納める側の立場に立ち、前例よりも可能性を重んじ、対決より解決の姿勢で引き続きこの国会における議論に臨んでいくことをお誓い申し上げ、私の討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) 岩谷良平君。
〔岩谷良平君登壇〕
○岩谷良平君 日本維新の会の岩谷良平です。
会派を代表し、ただいま議題となっております令和七年度予算原案三案及び一般会計予算に対する修正案並びに特別会計予算に対する修正案について討論を行います。(拍手)
昨年十月の衆議院選挙の結果、衆議院は与党過半数割れとなり、自民党、公明党だけでは予算はおろか法律案一本たりとも成立をさせることができなくなりました。
同時に、この与党過半数割れの状況は、我々日本維新の会のようなキャスチングボートを握っている政党が、自公政権が進めてこなかった日本の国家国民にとって真に必要な改革を少しでも前に進めるチャンスでもあります。それが、日本維新の会に大切な一票を投じてくださった有権者を含め、衆議院選挙で自公を過半数割れに追いやった民意に応える政治の責任だと確信しています。
このような認識の下、この数か月にわたり、与党・政府との間で、複数の分野において、予算修正や改革実現に向けた真摯な協議を重ねてまいりました。結果として、教育の無償化などの子育てや人への投資の拡充、そして社会保険料を下げる改革について与党との間で合意するに至り、関連する所要の修正が予算案に加えられたことをもって、我々日本維新の会は、全てに賛成ではありませんが、国民の暮らしを守るため、そして次世代と日本の未来のため、責任ある野党として令和七年度予算案に関して賛成します。
以下、賛成の理由に関して、今般の日本維新の会と自公との間での合意内容に基づき申し述べます。
まず、教育の無償化などの子育てや人への投資の拡充についてです。
この国の最大の課題は何でしょうか。失われた三十年と呼ばれる成長しない経済と少子高齢化に伴い、国民負担だけが増え、実質賃金は伸びない、GDPは人口が日本の三分の二しかないドイツにも抜かれ、経済の国際競争力の低下は火を見るより明らかです。次代を担う人材の育成をないがしろにし、少子化対策にも十分な対策を講じてこなかったツケが、国民の暮らしに今重くのしかかっています。
教育は国家百年の大計です。子供は国にとって宝であり、子供たちの無限の可能性を伸ばすことが、ひいては日本の競争力を高め、持続可能な成長を実現する。そのために、政府は、子育てに係る家庭の負担を減らし、教育への公的支出を増やし、教育の機会確保と質の向上を実現できるよう、予算の拡充を含めた教育改革を推し進めなければならない。このことは、長年、再三にわたり日本維新の会から申し上げてきたとおりです。
今般の与党との合意では、我々日本維新の会が結党より掲げてきた教育の無償化、とりわけ私立高校を含む高校の無償化、給食の無償化、そしてゼロ歳から二歳を含む幼児教育、保育の支援について、政府・与党が年限を決めて具体的な実現を約束し、まずは令和七年度予算として一千六十四億円の修正が実現しました。
子供たちが親の所得にかかわらず主体的に自らの進路を選択し学べる社会を実現するための大きな一歩であり、現役世代の教育や子育てに関する経済的な負担を軽減して手取りを増やす、経済対策や少子化対策としても重要な政策の進展です。
教育の無償化にまつわる様々な懸念を解消し、子供たちにより質の高い教育を提供できるようにするため、日本維新の会は、政府・与党との協議を続け、制度改善にこれからも責任を果たしていく所存ですので、子育てや人への投資の拡充という目標を掲げられている他の野党の皆様にも、大局的な視点から、是非建設的に議論へ御参画いただきたいと思います。
なお、これらの施策の実現に当たっては、政府全体で徹底した行財政改革を行うことにより安定的な財源を確保することが合意文書には明記されました。教育の無償化などの教育、子育てに関する予算をせっかく増やしても、さらにこの上、赤字国債を発行し、次世代に負担を負わせるようなことをしてしまえば、それは本末転倒です。財源確保に当たっては、増税をせず、安易な国債発行に頼らず、徹底した行財政改革など歳出面での改革を追求することで、将来世代にツケを残すことがないよう、政府・与党とも協議を続けてまいります。
次に、社会保険料を下げる改革についてです。
少子高齢化とともに上がり続けた我が国の国民全体の所得に占める税金と社会保障費の負担の割合のうち、特に増えているのが社会保険料の負担です。例えば、独身で年収三百五十万円のケースでは、所得税の負担は年約七万円である一方、社会保険料は年五十万円にも上り、現役世代の大きな負担となるばかりか、同額を事業主も負担することから、中小企業に賃上げが波及しない要因にもなってしまっています。
国民の安心や生活の安定を支えるセーフティーネットであるはずの社会保障制度が、社会保険料の過度な負担を現役世代に課すことで、社会の活力を奪い、ひいては、医療、介護を含む社会サービスの持続可能性自体に懸念を生じさせる事態になっています。
特に、医療保険などによる給付のほか、公費負担、患者負担によって支払われた医療費の総額である国民医療費は、令和四年に四十六兆円に及び、なおも毎年一兆円規模で増え続けています。本年、令和七年には、団塊の世代全員が七十五歳以上の後期高齢者となることを踏まえれば、早急に医療と健康保険の在り方にメスを入れ、上がり続けている社会保険料負担を引き下げることが、現役世代の負担を抑え、経済に活力を取り戻し、そして制度を持続させる上で必要不可欠であるということは、否定しようがない事実です。
今回の日本維新の会と与党との三党協議では、現役世代の社会保険料負担を軽減し、持続可能な社会保障制度を構築するため、具体的な改革を進めることで合意に至りました。
国民医療費総額年間最低四兆円の削減と一人当たり年間六万円の引下げという維新の主張がアジェンダとして位置づけられ、新たに設置される三党の協議体では、OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し、応能負担の徹底、医療DX、医療、介護産業の成長産業化などを通じた効率的で質の高い医療の実現など、社会保障改革のための具体的な柱に基づいた議論を進め、早期に実現可能な具体策については令和八年度から実行に移し、社会保険料の引下げにつなげてまいります。
健康保険の本来の意義とは、予測困難な健康上の問題を前にした国民が、高額な医療費で治療を諦めることがないようにすることです。まさに健康保険の機能を象徴する高額療養費制度のような制度を守るためにも、軽微な症状は自分で治す、処方箋なしで薬局で買える医薬品は保険を使わず買っていただく、ジェネリック医薬品を選択してもらうなど、少しの不便を全世代の国民で分かち合っていただくと同時に、医療提供者側にも、DXを通じた効率化や、過剰な医療については是正を求めるような改革を実行していきます。
この改革は、企業・団体献金を受け取っておらず、しがらみなく、どんな立場の方々に対しても率直な意見を申し上げることができる日本維新の会だからこそ、批判を恐れずに実現を目指せる改革であります。国民の命を守る医療を守り、社会保険料を下げて現役世代の生活を守る、このことに我々日本維新の会は真正面から取り組んでいきます。
さらに、今回の三党合意では、年収百三十万円の壁による手取り減、働き控えの問題についても、賃上げや就業延長による収入を増加させる事業者への支援策の拡充を図ることも盛り込まれました。壁を意識しない働き方についても、目的を同じくする方々とも知恵を結集し、実現に邁進してまいります。
いわゆる百三万円の壁の対策については、我々は、今回の改正案を減税という観点からは一歩前進として賛成するものの、それで決して満足はしていません。
そこで、昨日、私は、自民党の森山幹事長、公明党の西田幹事長と会談し、三党で合意文に署名いたしました。その内容は、自民党、公明党に対し、国民民主党と合意したいわゆる百三万円の壁の百七十八万円までの引上げについて誠実に対応することを求めるものです。改めて、与党には、本件について国民民主党と真摯に協議していただくことを求めます。
また、我々がかねてから主張しているいわゆるガソリンの暫定税率については、昨日、令和八年度から廃止する独自法案を衆議院に提出し、自公の幹事長と、これについても今後実現に向けて協議を行うこと、さらに、同じく廃止を掲げる立憲民主党、国民民主党にも協議への参加を呼びかけることに合意しました。立憲民主党の皆さん、国民民主党の皆さん、是非、協議に御参加いただき、力を合わせ、共にガソリン暫定税率の廃止を現実的に実現しようではありませんか。
以上、申し述べさせていただいたように、我々日本維新の会は、責任ある野党として、教育の無償化などの子育てや人への投資の拡充、そして社会保険料を下げる改革という、重要かつ緊急的な国家的課題に関して一定の政策的な成果を得たことをもって本予算案に賛成することを決めました。
もちろん、全てにおいて賛成ではございません。例えば、高額療養費制度の問題、地方創生のための補助金、防衛増税の入口となるようなたばこ税の増税、そしてそもそも不十分な行財政改革などに関しては、日本維新の会としては従来から反対の立場であり、今後もその態度を示してまいります。また、三党合意に関して、その内容が不十分であるといった御批判があれば、そのことには真摯に耳を傾け、よりよい政策の実現につなげていきたいと考えています。
しかし、少数与党の状況の今、政策実現と引換えに予算案に賛成することをもって、自民党、公明党に助け船を出しているとか、他党の政策実現を妨げているといった批判があるとすれば、そのことには反論をさせていただかなければなりません。手取り増につながる減税は進めなくてよいのでしょうか。教育の無償化は、社会保険料の引下げは、百三十万円の壁対策はしなくてよいのでしょうか。
国会議員それぞれが国民から選ばれた代表であり、各党は異なる政策を掲げているからこそ、与野党に分かれ、別々の政党として活動しています。どの意見も傾聴に値するし、ほとんどの場合、どちらの意見が正しいか間違っているかという、単純な二元論では処理できない複雑な課題ばかりを私たちは扱っています。議員間、政党間の意見の違いを尊重し、真摯に協議や議論を行い、一定の一致点を見出し政策実現につなげていくことが、国民、有権者の信託を受けた我々議員の役割ではないでしょうか。
我々日本維新の会は、責任野党として、国家国民のため、次世代と未来の日本のため、政策実現を追求しました。我々は、公約の実現と合意にある政策の実現に最後まで責任を果たしてまいります。
我々日本維新の会は、次世代のための党として、社会保険料の引下げと教育の無償化、統治機構改革、経済成長、そして憲法改正を実現します。我々は、結果を出すことにこだわります。他党を敵視するのではなく、国民の利益と国益の実現を共に目指すよきライバルとして、敬意を持って向き合ってまいります。
明日の日本を少しでもよくしていくとの思いの下、次世代のために共に全力を尽くしていくことを本院議員の皆様にお呼びかけして、日本維新の会を代表しての私の討論を終えさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) 櫛渕万里君。
〔櫛渕万里君登壇〕
○櫛渕万里君 れいわ新選組の櫛渕万里です。
私は、会派を代表し、ただいま議題となりました令和七年度予算案外二件につきまして、断固反対の立場から討論をいたします。(拍手)
まず申し上げたいのは、今はまだ採決すべきではないということです。
一つは、自民党の裏金問題は真相究明からほど遠い状態にある。安倍派の元会計責任者の参考人聴取でますます疑惑が深まり、安倍派幹部の証人喚問を決めることが不可欠であるのに、それがうやむやなまま予算の採決に至ったことに強く抗議いたします。
そもそも、予算案の採決に関わる資格のないたくさんの裏金議員がこの議場におられるんです。裏金は、安倍派の問題ではなく、二階派、そして岸田派、自民党全体の問題じゃありませんか。自分のお金をごまかしていた裏金議員が国民生活を大きく左右する予算案を採決する、その面の皮の厚さ、これには、大変、驚きを超して怒りが込み上げてまいります。速やかに、自首、辞職をしてください。
裏金議員が美しい日本、楽しい日本を満喫する一方で、国民生活は底が抜けようとしています。二つ目の採決すべきでない理由は、この予算案が国民を救うものではないということです。
六年連続で過去最高の税収で、国は税金取り過ぎ、国民は取られ過ぎ。その大きな使い道は防衛費。三年前から一・六倍という、戦前に匹敵する激増ぶりです。それなのに、消費税の廃止などの大型減税はもちろん、個人給付はありません。倒産が相次ぐ中小企業のための予算は横ばい、道路陥没などインフラ老朽化が明らかなのに、公共事業費も増えません。
元々の予算案でも極悪ですが、自民、公明、維新の冷酷三兄弟、これによって更に拍車がかかりました。高額医療費の負担増で悲鳴を上げる国民を、更に医療費四兆円削減で地獄の底に突き落とす。自民党、公明党、維新の会、今後、あなた方を鬼と呼ばせていただきます。
今、国民は、お金に加えて米がないんです。子供食堂が一万か所を突破して、公立中学校より多くなりました。NPOの試算では十・五万トンの無料配布が必要なのに、政府は備蓄米をけちけちと出し惜しみ。今すぐ、貧困家庭向けと合わせて二十万トンを無料で配ってください。
日本には、お米を炊く煙がないのを見て税金を免除した、民のかまどという逸話があります。お金を取るな、米を配れ、総理、これが古墳時代から続く日本の政治の役割です。
総理は、歴史に興味がない割には、石橋湛山の演説を引用、田中角栄の日本列島改造論もぱくりました。しかし、所詮、ポエムでしかありません。委員会でも指摘しましたが、両者とも大型減税を行っているのに、総理は、消費税廃止を鼻であざ笑うなど、全く無視。湛山の平和主義や角栄の自主外交も見習わず、逆に、地域の分断、核抑止力の強化とアメリカ追従外交を繰り返しています。
ちょうど今、核兵器禁止条約の第三回締約国会議がニューヨークで開催されていますが、日本政府のオブザーバー参加について被爆者にヒアリングさえせず出席を見送るなど、唯一の戦争被爆国として歴史に背を向けている行為です。
戦後八十年、被爆八十年。防衛予算の八・七兆円を見直し、沖縄を捨て石とせず、徹底的な平和外交と核廃絶のための予算に組み替えるべきです。
命と尊厳を守るためには、まずは何といっても人々の経済的な安定が必要。そのためには、消費税の廃止、国民一律十万円給付と社会保険料の引下げ。この三本柱で、この国に生きる全ての人々を救うための組替え予算をれいわ新選組は提出をいたしました。
加えて、教員一・五倍増員や大学院卒業までの教育無償化、介護、保育従事者の賃上げ月十万円、ゼロゼロ融資の利子支払い免除や、農林水産予算の倍増四兆円で食料安全保障の確保など、総額百五十兆円規模の新たな財政出動となるものです。
それは多過ぎると思われる方はよく聞いていただきたい。今なお、失われた三十年の中、人々は物価高、消費税に苦しんでいます。そもそも、不況に加えて、コロナ禍、そして止まらない物価高で、実質賃金は三年連続でマイナス。消費支出も二年連続でマイナス。生活が苦しいと答えた方は六割にも及んでいます。
しかし、今回の予算委員会は、異常なほど、いかに国債を発行しないかという空気にあふれていました。間違っています。国債発行して、財政出動をすることが絶対に必要。来年度の予算案は、過去最高の税収をいいことに、国債の発行を今年度の補正後予算よりも十三・五兆円も減らしています。
一方、お金はあるところにはある。大企業の利益は三年連続で過去最高、お金持ちの数は二十年で最高、この二年間で資産が三割も増えました。法人税の増税や累進化、所得税の累進強化や金融所得課税の導入は、もはや待ったなしです。
税金は、お金のないところから取るな、あるところから取れ、これがれいわ新選組の考え方です。
れいわは無責任だ、財政が破綻するじゃないか、将来にツケを回すのか、そう思った政党は、ザイム真理教の信者です。不況で国民が苦しんでいるときには減税や財政出動をする、景気が過熱したときに増税や支出を抑制する、これが当たり前の経済政策です。今は、大企業と金持ち以外は不況、需要不足のコストプッシュインフレですから、国債を発行した財政出動によって人々を救うべきなんです。財政と命とどっちが大事なんですか。
自民党と公明党、維新の会の与党の皆様、れいわ新選組以外の野党の皆様、命を脅かすこの予算案に反対するとともに、消費税廃止、季節ごとの給付金、社会保険料引下げを中心とするれいわの主張に賛同をする、それが、有権者の期待に応えるとともに、ザイム真理教から解放され、鬼でなくなる唯一の方法である。そのように申し上げ、私の討論を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) 山崎正恭君。
〔山崎正恭君登壇〕
○山崎正恭君 公明党の山崎正恭です。
公明党を代表して、ただいま議題となりました令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算、令和七年度政府関係機関予算、以上三案に関し、自由民主党、公明党提案に係る修正案及びそれを除く政府原案に賛成の立場から討論を行います。(拍手)
令和七年度予算は、令和六年度補正予算と併せて、物価高における国民生活を支え、デフレ脱却、成長型経済への移行を確実にするための総合経済対策を実行するとともに、国民の暮らしの安心、安全を確保するための重要な予算であります。
以下、主な賛成理由を述べます。
第一に、我が党が一貫して取り組んできた教育の無償化が大きく前進する点であります。
高校生年代まで抜本的拡充を行った児童手当に加え、令和七年度から大学など高等教育の無償化が拡充されます。子供を三人以上扶養する多子世帯の学生等について、授業料、入学金を所得制限なく無償化することとしています。
また、この度の自民、公明、日本維新の会、三党での精力的な協議の成果を踏まえ、与党修正案では、いわゆる高校無償化を拡充することとし、令和七年度から、公立高校授業料相当額である年間十一万八千八百円の支給について年収要件を撤廃し、全ての世帯に支給することとしています。
令和八年度以降の抜本拡充に向けては、先行して無償化を実施している東京都や大阪府を検証し、単に無償化すればいいのではなく、多様性や教育の質の確保を車の両輪で議論しなければなりません。
また、公明党の強い主張によって、低所得世帯に対して授業料以外の教育費の負担を支援する、高校生等奨学給付金を低中所得層へ拡充することも合意されています。
三党合意はゴールではなくスタートです。公明党は、教育は子供の幸せのためにあるとの信念の下、議論をしていきたいと考えます。親の経済的な事情にかかわらず、希望する子供がひとしく教育を受けられる社会の実現、そして、多様で質の高い教育の実現に向けて取り組んでまいります。
第二に、物価高から暮らしを守るとともに、物価高克服、デフレ脱却へ、持続的な賃上げ、所得向上を強力に後押しする予算となっている点であります。
本予算案には、賃上げ支援助成金パッケージとして、最低賃金の引上げを含め、生産性向上や、正規、非正規の格差是正、より高い処遇への労働移動等を通じて、賃上げに取り組む中小企業を支援する様々な助成金を用意するとともに、労務費も含めた価格転嫁や適正な取引を推進するため、下請Gメンやトラック・物流Gメン、建設Gメンの体制強化に取り組むこととしています。
さらに、国や地方公共団体が発注する官公需については、総理から、コストが上がった場合に適切に価格交渉、価格転嫁に応じるよう、各省庁に指示をするとの答弁もいただきました。政府におかれては、企業が賃上げの原資を持続的に確保していけるよう、総力を挙げて商慣習の抜本改革に取り組んでいただきたい。
また、給与が公定価格で決まる公務員や教職員、保育士等の給与についても、人事院勧告を踏まえ、処遇改善を図ることとしています。特に教職員については、教職調整額の水準を令和十二年度までに一〇%に改善することとし、令和七年度は一%引き上げることとしています。
社会保険料の負担が生じて手取りが減少することによる働き控えの解消を図るため、年収百六万円への対応として実施しているキャリアアップ助成金をいわゆる百三十万円の壁にも適用することとし、被用者保険に移行して働き続ける人の収入増に取り組む事業者への支援を通じて、年収の壁を気にせず働き続けられる環境整備を進めていきます。
なお、所得税の課税が生じるいわゆる百三万円の壁については、この度百六十万円に引き上げるとともに、年収八百五十万円までの方に対しては、基礎控除を上乗せする特別措置を二年間実施する与党修正案が提出され、総額一・二兆円規模の減税を行うこととしています。来年度において、赤字国債に頼ることなく実現できる最大限の金額ですが、今後も百七十八万円を目指して仕組みの改善を行うことを政府に求めます。
さらに、この度、国民の主食である米の急騰に対応するため、我が党議員の提案も含め、政府備蓄米の放出を決断していただきました。一日も早い米の流通と価格の安定化を願うものであります。
このように、令和七年度予算は、物価高を上回る賃上げが定着するまでの間の国民生活をしっかりと支えながら、力強い賃上げ、所得向上の流れを更に強く広げていくための予算であります。
第三に、国民生活の安心、安全を確保する予算である点です。
高額療養費制度については、医療費が急速に増加する中、現役世代の保険料負担を抑制し、将来にわたって重要なセーフティーネットとして存続させていくための見直しを行いますが、患者団体等の皆さんの不安の声や国会での議論も踏まえ、多数回該当の方の自己負担額を据え置く修正を公明党も求めてきました。
また、能登半島地震を始めとする大規模災害の経験から、内閣府防災の予算を倍増し、災害対応力の強化と地域防災力の向上を図ることとしています。国民の命と暮らしを守る司令塔として、防災庁の設置に向けた準備が加速します。
また、闇バイト強盗対策の強化として、新しい地方経済・生活環境創生交付金を活用して防犯カメラの設置など地域の防犯対策等を後押しするほか、自衛官の処遇改善等を進めることにより、自衛隊の人的基盤を強化することとしています。
なお、今回の所要の修正を図るため、基金からの返納金に加えて、預金保険機構や独立行政法人からの国庫納付金で約二千八百億円を充てることとし、予備費の減額を二千五百億円に抑えた点は高く評価します。今後も、必要な施策の財源確保に向けて、歳出改革や、効果的、効率的な財政運営の在り方について、不断の見直しをお願いしたいと思います。
以上、修正案並びにそれを除く政府原案への賛成理由を申し述べました。
最後になりますが、我々公明党は冷酷三兄弟などではありません。立党以来、大衆とともにということで、国民の皆様の声を聞き、寄り添い、今まで政治を進めてまいりました。これからも、自民党の皆さん方とともに、しっかりと国民に寄り添った政治を行ってまいりたいというふうに思います。
令和七年度予算案は、そのためにも、何としても年度内成立させ、速やかに執行しなければなりません。与野党の枠組みを超え、国民生活と財政に責任を持つ、良識ある政治家の皆様方の御賛同を強く求め、私の賛成討論を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) 田村貴昭君。
〔田村貴昭君登壇〕
○田村貴昭君 私は、日本共産党を代表して、二〇二五年度政府予算三案及び自民、公明両党提出の修正案に反対の討論を行います。(拍手)
二五年度予算案に求められているのは、自民党政治の下での長期にわたる経済の停滞と衰退、家計に襲いかかる物価高騰による暮らしの困難を打開することです。
ところが、政府予算案は、社会保障、教育、中小企業など、暮らしの予算はいずれも物価上昇にも追いつかない実質マイナスの予算です。食料安定供給費は、米の価格高騰による対策が求められているにもかかわらず、実額でもマイナスとなっています。国民の暮らしに極めて冷酷な予算と言わなければなりません。
本予算の最大の問題は、その一方で、軍事費だけが前年度比九・四%増の八・七兆円と異常に突出していることです。
二〇二二年十二月に閣議決定した安保三文書に基づく、五年間で四十三兆円もの大軍拡計画の下で、軍事費はこの三年間で三・三兆円も増えています。
しかも、その内容は、長射程ミサイルを初めて配備するなど、憲法違反の敵基地攻撃の態勢の構築を新たな段階に進めるものです。軍事対軍事の悪循環をエスカレートさせ、戦争の危険を増大させるものです。イギリスやイタリアと共同開発する次期戦闘機は第三国への輸出を前提としており、日本国憲法の平和主義を踏みにじり、世界の紛争を助長するものにほかなりません。沖縄県民の民意を踏みにじる米軍辺野古新基地建設は中止し、馬毛島基地建設などの基地強化予算は削除すべきです。
さらに、石破首相がトランプ大統領との日米首脳会談で、二〇二七年度以降も抜本的に防衛力を強化していくと約束し、軍事費がGDP比二%を超えることはあると答弁したことは極めて重大です。同盟国、同志国との軍事ブロック化、安保法制による集団的自衛権行使の適用範囲の拡大など、日米同盟強化のための大軍拡の推進は許されません。
もう一つの重大な問題は、大企業への優遇税制と異常なばらまき政策を進めていることです。
安倍政権の下で行われた法人税率の引下げや大企業への優遇税制による減税額は、十一・一兆円まで膨れ上がっています。与党税制改正大綱すら、この間の法人税減税などが国内投資の拡大や賃上げにつながらなかったことを認めています。今こそ、大企業優遇税制にメスを入れ、研究開発減税や連結、通算納税制度などは廃止、縮減すべきであります。
法人税率は、中小企業を除いて安倍政権以前の二八%に引き上げ、大企業に応分の負担を求めるべきです。富裕層の税負担が軽くなる一億円の壁の是正も必要です。半導体企業ラピダスに今後数兆円規模の巨額資金をつぎ込むなど、個別大企業への異常なばらまき予算はやめるべきです。
他方で、中小企業、小規模事業者、フリーランスなどに対するインボイス増税を強行しています。そして、我が国の米を始めとする生産基盤を支える農家に対する所得補償政策、一万戸を割る酪農農家の赤字経営に対する直接の支援もありません。
石破政権による大企業と中小企業、小規模事業者に対する支援の格差を厳しく指摘するものであります。
税制の在り方では、我が党の質疑で、消費税の逆進性が余りにも強く、所得八百万円以下の世帯では同じ税率負担となり、累進性が失われていることが明らかになりました。生計費非課税原則と応能負担原則に立って税制のゆがみを正し、消費税を緊急に五%に減税することこそ、物価高騰から国民生活を守るために必要であります。
暮らしに冷たい政権の姿勢を端的に示したのが、高額療養費制度の改悪です。
私は予算委員会で石破首相に、負担上限引上げの撤回を求めてきました。全国がん患者団体連合会や日本難病・疾病団体協議会などから、命を守るために一度立ち止まり議論が必要、当事者や一般の人が参加して解決していくべき課題などと厳しい指摘が続出しています。
日本臨床腫瘍学会や日本癌学会などが、医療費の負担が原因で経済的困窮に陥ることは、患者本人だけでなく、家族を含む生活全般に深刻な影響を及ぼすことが懸念されると指摘されています。この声を無視し、負担引上げを強行することは、断じて許されません。
さらに、与党修正案のベースである自民、公明、維新の三党合意は、いわゆる高校無償化の一方で、国民医療費の年間四兆円削減やOTC類似薬の保険給付の在り方の見直しを明記しています。医療崩壊をもたらす深刻な内容であり、撤回を求めます。
与党修正案は、維新の会との合意により、所得税の課税ラインを百六十万円にして、同時に、基礎控除の引上げ幅を年収により段階的に変える措置を導入するものです。減税幅だけを焦点にしたびほう策です。基礎控除額の適正性を何ら問うことなく、二年間の時限措置が終了すれば、年収二百万円を境に基礎控除額を大きく変動させる、まさに予算成立ありきの政党間合意による御都合主義と言わなければなりません。
最後に、裏金問題です。
一体、いつから、誰の指示で、何のために裏金づくりが始まったのか、旧安倍派会計責任者の参考人聴取で疑惑は一層深まりました。このまま幕引きすることは断じて許されません。真相解明のため、安倍派幹部と森元総理ら関係者の証人喚問を強く要求するものです。
以上で討論を終わります。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○議長(額賀福志郎君) 令和七年度一般会計予算外二案を一括して採決いたします。
この採決は記名投票をもって行います。
三案中、令和七年度一般会計予算及び令和七年度特別会計予算の両案の委員長の報告はいずれも修正、他の一案の委員長の報告は可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。
氏名点呼を命じます。
〔参事氏名を点呼〕
〔各員投票〕
○議長(額賀福志郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。
投票を計算させます。
〔参事投票を計算〕
○議長(額賀福志郎君) 投票の結果を事務総長から報告させます。
〔事務総長報告〕
投票総数 四百五十九
可とする者(白票) 二百五十八
否とする者(青票) 二百一
○議長(額賀福志郎君) 右の結果、令和七年度一般会計予算外二案は委員長報告のとおり議決いたしました。(拍手)
―――――――――――――
令和七年度一般会計予算外二案を委員長報告のとおり決するを可とする議員の氏名
逢沢 一郎君 赤澤 亮正君 あかま 二郎君 東 国幹君
麻生 太郎君 あべ 俊子君 五十嵐 清君 石田 真敏君
石破 茂君 石橋 林太郎君 石原 宏高君 井出 庸生君
伊藤 忠彦君 伊藤 達也君 伊東 良孝君 稲田 朋美君
井野 俊郎君 井上 信治君 井上 貴博君 井林 辰憲君
今枝 宗一郎君 岩田 和親君 岩屋 毅君 上田 英俊君
上野 賢一郎君 江渡 聡徳君 江藤 拓君 英利アルフィヤ君
遠藤 利明君 大岡 敏孝君 大串 正樹君 大空 幸星君
大西 洋平君 大野 敬太郎君 尾崎 正直君 鬼木 誠君
小野寺 五典君 小渕 優子君 梶山 弘志君 勝俣 孝明君
勝目 康君 加藤 鮎子君 加藤 勝信君 加藤 竜祥君
金子 恭之君 金子 容三君 上川 陽子君 川崎 ひでと君
神田 潤一君 城内 実君 黄川田 仁志君 岸 信千世君
岸田 文雄君 木原 誠二君 木原 稔君 草間 剛君
工藤 彰三君 国定 勇人君 国光 あやの君 栗原 渉君
小池 正昭君 小泉 進次郎君 小泉 龍司君 河野 太郎君
高村 正大君 古賀 篤君 國場 幸之助君 小寺 裕雄君
後藤 茂之君 小林 茂樹君 小林 鷹之君 小林 史明君
小森 卓郎君 齋藤 健君 斎藤 洋明君 坂井 学君
坂本 哲志君 坂本 竜太郎君 笹川 博義君 佐々木 紀君
佐藤 勉君 塩崎 彰久君 柴山 昌彦君 島尻 安伊子君
島田 智明君 新谷 正義君 菅 義偉君 鈴木 英敬君
鈴木 馨祐君 鈴木 俊一君 鈴木 貴子君 鈴木 憲和君
鈴木 隼人君 関 芳弘君 世耕 弘成君 瀬戸 隆一君
平 将明君 高市 早苗君 高木 啓君 高見 康裕君
武部 新君 武村 展英君 橘 慶一郎君 田所 嘉徳君
田中 和徳君 田中 良生君 棚橋 泰文君 谷 公一君
田野瀬 太道君 田畑 裕明君 田村 憲久君 辻 清人君
津島 淳君 土田 慎君 土屋 品子君 寺田 稔君
渡海 紀三朗君 冨樫 博之君 永岡 桂子君 長坂 康正君
長島 昭久君 中曽根 康隆君 中谷 元君 中谷 真一君
中西 健治君 中野 英幸君 中村 裕之君 仁木 博文君
西田 昭二君 西野 太亮君 西村 康稔君 西銘 恒三郎君
丹羽 秀樹君 根本 拓君 根本 幸典君 野田 聖子君
野中 厚君 萩生田 光一君 長谷川 淳二君 鳩山 二郎君
葉梨 康弘君 浜田 靖一君 林 芳正君 平井 卓也君
平口 洋君 平沢 勝栄君 平沼 正二郎君 広瀬 建君
深澤 陽一君 福田 かおる君 福田 達夫君 福原 淳嗣君
藤井 比早之君 藤丸 敏君 船田 元君 古川 直季君
古川 康君 古川 禎久君 古屋 圭司君 穂坂 泰君
星野 剛士君 細野 豪志君 堀内 詔子君 本田 太郎君
牧島 かれん君 松野 博一君 松本 剛明君 松本 尚君
松本 洋平君 三反園 訓君 三谷 英弘君 御法川 信英君
宮内 秀樹君 宮崎 政久君 宮路 拓馬君 宮下 一郎君
向山 淳君 武藤 容治君 村井 英樹君 村上 誠一郎君
茂木 敏充君 森 英介君 森下 千里君 森山 裕君
簗 和生君 山際 大志郎君 山口 俊一君 山口 壯君
山下 貴司君 山田 賢司君 山本 大地君 吉田 真次君
若山 慎司君 青柳 仁士君 東 徹君 阿部 圭史君
阿部 司君 阿部 弘樹君 池下 卓君 池畑 浩太朗君
市村 浩一郎君 伊東 信久君 井上 英孝君 猪口 幸子君
岩谷 良平君 梅村 聡君 浦野 靖人君 うるま 譲司君
遠藤 敬君 奥下 剛光君 金村 龍那君 黒田 征樹君
斉木 武志君 斎藤アレックス君 杉本 和巳君 空本 誠喜君
高橋 英明君 徳安 淳子君 中司 宏君 西田 薫君
萩原 佳君 馬場 伸幸君 林 佑美君 藤田 文武君
藤巻 健太君 前原 誠司君 三木 圭恵君 美延 映夫君
村上 智信君 守島 正君 和田 有一朗君 赤羽 一嘉君
浮島 智子君 大森 江里子君 岡本 三成君 河西 宏一君
金城 泰邦君 輿水 恵一君 斉藤 鉄夫君 佐藤 英道君
庄子 賢一君 竹内 譲君 角田 秀穂君 中川 宏昌君
中川 康洋君 中野 洋昌君 西園 勝秀君 沼崎 満子君
浜地 雅一君 平林 晃君 福重 隆浩君 山口 良治君
山崎 正恭君 吉田 宣弘君 鰐淵 洋子君 緒方 林太郎君
北神 圭朗君 中村 はやと君
否とする議員の氏名
青柳 陽一郎君 青山 大人君 阿久津 幸彦君 東 克哉君
安住 淳君 阿部 知子君 阿部 祐美子君 荒井 優君
新垣 邦男君 有田 芳生君 安藤じゅん子君 五十嵐 えり君
池田 真紀君 井坂 信彦君 石川 香織君 泉 健太君
市來 伴子君 伊藤 俊輔君 稲富 修二君 今井 雅人君
梅谷 守君 江田 憲司君 枝野 幸男君 大河原まさこ君
大串 博志君 逢坂 誠二君 大島 敦君 おおたけりえ君
大塚 小百合君 おおつき紅葉君 大西 健介君 岡島 一正君
岡田 克也君 岡田 悟君 岡田 華子君 岡本 あき子君
岡本 充功君 小川 淳也君 奥野 総一郎君 小熊 慎司君
小沢 一郎君 落合 貴之君 尾辻 かな子君 海江田 万里君
金子 恵美君 鎌田 さゆり君 神谷 裕君 亀井 亜紀子君
川内 博史君 川原田 英世君 城井 崇君 菊田 真紀子君
黒岩 宇洋君 源馬 謙太郎君 神津 たけし君 後藤 祐一君
小宮山 泰子君 小山 千帆君 小山 展弘君 近藤 和也君
近藤 昭一君 齋藤 裕喜君 酒井 なつみ君 坂本 祐之輔君
櫻井 周君 佐々木ナオミ君 佐藤 公治君 重徳 和彦君
階 猛君 篠田 奈保子君 篠原 豪君 篠原 孝君
柴田 勝之君 下条 みつ君 下野 幸助君 白石 洋一君
末松 義規君 杉村 慎治君 鈴木 岳幸君 鈴木 庸介君
宗野 創君 高橋 永君 高松 智之君 竹内 千春君
武正 公一君 田嶋 要君 辻 英之君 堤 かなめ君
津村 啓介君 手塚 仁雄君 寺田 学君 中島 克仁君
中谷 一馬君 長妻 昭君 長友よしひろ君 西川 厚志君
西川 将人君 西村 智奈美君 野田 佳彦君 野間 健君
橋本 慧悟君 長谷川 嘉一君 波多野 翼君 馬場 雄基君
原口 一博君 伴野 豊君 平岡 秀夫君 福田 昭夫君
福森 和歌子君 藤岡 たかお君 藤原 規眞君 太 栄志君
本庄 知史君 牧 義夫君 升田 世喜男君 松尾 明弘君
松木けんこう君 松下 玲子君 松田 功君 眞野 哲君
馬淵 澄夫君 水沼 秀幸君 三角 創太君 道下 大樹君
緑川 貴士君 宮川 伸君 森田 俊和君 森山 浩行君
矢崎 堅太郎君 谷田川 元君 柳沢 剛君 山 登志浩君
山岡 達丸君 山岸 一生君 山崎 誠君 山田 勝彦君
山井 和則君 山花 郁夫君 屋良 朝博君 柚木 道義君
吉川 元君 吉田 はるみ君 米山 隆一君 笠 浩史君
早稲田 ゆき君 渡辺 周君 渡辺 創君 浅野 哲君
石井 智恵君 臼木 秀剛君 小竹 凱君 菊池 大二郎君
岸田 光広君 許斐 亮太郎君 鈴木 義弘君 仙田 晃宏君
田中 健君 玉木 雄一郎君 丹野 みどり君 長友 慎治君
西岡 秀子君 西岡 義高君 橋本 幹彦君 鳩山 紀一郎君
日野 紗里亜君 平岩 征樹君 深作 ヘスス君 福田 徹君
福田 玄君 古川 元久君 円 より子君 向山 好一君
村岡 敏英君 森 ようすけ君 上村 英明君 大石 あきこ君
櫛渕 万里君 阪口 直人君 佐原 若子君 高井 崇志君
たがや 亮君 八幡 愛君 山川 仁君 赤嶺 政賢君
志位 和夫君 塩川 鉄也君 辰巳 孝太郎君 田村 貴昭君
田村 智子君 堀川 あきこ君 本村 伸子君 吉良 州司君
福島 伸享君 北野 裕子君 鈴木 敦君 吉川 里奈君
河村 たかし君 島田 洋一君 竹上 裕子君 玄葉 光一郎君
松原 仁君
――――◇―――――
日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外十一名提出)
日程第二 公職選挙法の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外十名提出)
○議長(額賀福志郎君) 日程第一、逢沢一郎君外十一名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、日程第二、逢沢一郎君外十名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
委員長の報告を求めます。政治改革に関する特別委員長渡辺周君。
―――――――――――――
公職選挙法の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外十一名提出)及び同報告書
公職選挙法の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外十名提出)及び同報告書
〔本号(二)に掲載〕
―――――――――――――
〔渡辺周君登壇〕
○渡辺周君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、政治改革に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、逢沢一郎君外十一名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案は、最近における選挙運動をめぐる状況に鑑み、選挙の適正な実施の確保に資するため、ポスター掲示場に掲示するポスターの記載に関する義務を定めるとともに、ポスター掲示場に掲示したポスターにおいて営業宣伝をした者に対する罰則を設けるものであります。
次に、逢沢一郎君外十名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案は、近年における選挙の実情に鑑み、公職の候補者の選挙運動用自動車の規格制限の簡素化及び公職の候補者の選挙運動用ポスターの規格の統一を図るものであります。
両案は、去る二月二十日に本委員会に付託され、同日提出者大野敬太郎君から趣旨の説明を聴取いたしました。同月二十五日に質疑を行い、質疑終局後、討論を行い、順次採決を行った結果、逢沢一郎君外十一名提出の法律案は賛成多数をもって、逢沢一郎君外十名提出の法律案は全会一致をもって、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、逢沢一郎君外十一名提出の法律案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――
○議長(額賀福志郎君) これより採決に入ります。
まず、日程第一、逢沢一郎君外十一名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案につき採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
次に、日程第二、逢沢一郎君外十名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案につき採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
――――◇―――――
○鈴木隼人君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
内閣提出、地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案、右両案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
○議長(額賀福志郎君) 鈴木隼人君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
―――――――――――――
地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(額賀福志郎君) 地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
委員長の報告を求めます。総務委員長竹内譲君。
―――――――――――――
地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
地方交付税法等の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号(二)に掲載〕
―――――――――――――
〔竹内譲君登壇〕
○竹内譲君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
初めに、地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案は、個人住民税について、物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応のため、特定親族特別控除の創設等を行うとともに、新基準原付バイクについて、軽自動車税種別割の税率を五十cc原付バイクと同額にすること等の措置を行おうとするものであります。
次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案は、地方財政の状況等に鑑み、令和七年度分の地方交付税の総額の特例措置を講ずるほか、地方交付税の単位費用等の改正、震災復興特別交付税の確保、緊急浚渫推進事業債の期限の延長、情報システム等の整備についての地方債の特例措置の創設等の措置を講じようとするものであります。
両法律案は、去る二月十八日、本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、本委員会に付託されました。
委員会におきましては、同日村上総務大臣から趣旨の説明を聴取した後、二十日から質疑に入りました。
同日、地方税法改正案に対し、立憲民主党・無所属から、加熱式たばこに関する地方たばこ税の見直しに係る規定の削除や軽油引取税の当分の間税率の廃止等を内容とする修正案が提出され、趣旨の説明を聴取し、二十五日両法律案及び修正案について質疑を行いました。
二十八日、地方交付税法改正案に対し、自由民主党・無所属の会及び公明党の共同提案により、いわゆる百三万円の壁の更なる引上げに伴う地方交付税の減少分について、交付税特別会計借入金の償還の一部を取りやめることにより対応すること等を内容とする修正案が提出されました。
また、三月三日には、地方税法改正案に対し、立憲民主党・無所属及び国民民主党・無所属クラブの共同提案により、軽油引取税の当分の間税率の廃止等を内容とする修正案が提出されました。
本日、三修正案のうち、立憲民主党・無所属から二月二十日に提出された修正案について撤回を許可し、他の二修正案について趣旨の説明を聴取した後、両法律案及び両修正案の質疑を行い、これを終局いたしました。
次いで、両法律案及び両修正案について一括して討論を行い、順次採決いたしましたところ、まず、地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきましては、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきましては、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。
なお、委員会において、持続可能な地方税財政基盤の確立等に関する件について決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――
○議長(額賀福志郎君) 両案につき討論の通告があります。順次これを許します。松尾明弘君。
〔松尾明弘君登壇〕
○松尾明弘君 立憲民主党の松尾明弘です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました地方税法改正案に反対……(発言する者あり)
○議長(額賀福志郎君) 議長から発言を求めます。
議事を一旦中止して、待たせていただきたいと思います、総務大臣が退席しておりますので。
総務大臣はやむを得ない事情で退席しておりますので、しばらくお待ちください。(発言する者あり)
議場、御静粛にお願いいたします。
総務大臣に事情を説明させますから、ちょっとお待ちください。
〔国務大臣村上誠一郎君登壇〕
○国務大臣(村上誠一郎君) どうも大変失礼いたしました。
英語で言うとネイチャー・コールズ・ミーだと思うので、お許しください。どうも済みませんでした。いやいや、本当に失礼しました。どうしても我慢できなかったもので、失礼いたしました。(発言する者あり)
○議長(額賀福志郎君) 議長から発言をいたします。
先ほどは、総務大臣がやむを得ない事情で議場を離れましたけれども、よく事情を聞いたので、議事を再開させていただきたいと思いますので、御理解をいただきたい。
もちろん、こういうことが再び起こることがないように、よく理事会の皆さん方とも相談をして、ちゃんと粗相のないようにしたいと思いますから、御理解をいただきたいと思います。
それでは、改めて議事を再開いたします。
討論は最初からやり直しをいたします。松尾明弘君。
〔松尾明弘君登壇〕
○松尾明弘君 改めまして、立憲民主党の松尾明弘です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました地方税法改正案に反対、地方交付税法改正案に賛成の立場で討論をいたします。(拍手)
多くの国民の声に基づいた討論ですので、大臣、よく聞いていてください。
まず、地方税法改正案に反対する理由について、論点を絞って申し上げます。
政府提出の改正案では、燃油高騰対策が十分に講じられていません。原油価格の高騰や円安の影響等により、ガソリンや軽油といった燃料の高騰が国民生活や事業活動に大きな影響を及ぼしています。
一方、政府は、ガソリン、軽油価格の高騰に対し、支給していた補助金を段階的に縮小しています。昨年十一月以降、ガソリン、軽油の価格は一リットル当たり約十円値上がりをし、今後も更なる値上げが見込まれています。
これらの値上がりに対して、地方の運輸業界を中心に、国民からは悲痛な声が上がっています。実質賃金は上がらない一方でガソリン等が高騰することにより、車移動が欠かせない人々の暮らしは、より一層苦しい状況に追い込まれています。運輸業界は国民の生活に不可欠な業界であるにもかかわらず、このガソリン等の高騰により、廃業を考えている事業者も出てきています。
このように、燃油高騰対策は、今日の最優先課題の一つです。軽油の販売価格を下げ、人々の暮らしを守り、事業者の負担を軽減するために、軽油引取税の当分の間税率の廃止等を盛り込んだ修正案を、具体的な財源の提案と併せて、立憲民主党は国民民主党と共同で提出しましたが、総務委員会では、残念ながら、自民党、公明党及び一部野党の反対により否決されました。
軽油引取税の当分の間税率は、課税根拠が合理性を欠き、物価高に苦しむ国民の納得を得られていません。当分の間税率の廃止により、軽油について一リットル当たり約十七・一円の値下げが期待され、運輸業の燃料費負担の軽減や物流コストの削減につながり、結果として配送料や商品価格の安定化も期待できます。
自民党、公明党は、昨年十二月十一日、国民民主党も含めた三党で、いわゆる暫定税率廃止について幹事長同士が合意しました。同月二十日に決定された令和七年税制改正大綱にも、いわゆるガソリンの暫定税率は廃止すると明記されています。
政府は、実現のためには代替財源が必要であるとして、暫定税率廃止は先送りをするようですが、一方で、令和七年度予算案の与党修正案を見ると、所得税減税に伴う地方交付税の原資減少を補填するために、交付税特別会計における借入金の償還額を約二千五十六億円減額することとされています。
これは、新規国債を発行せず、国の借金を増やさないという印象を与えながら、特別会計における借金の残高を増やすものです。代替財源がないことを理由に私たちの政策提案を否定しながら、自分たちは特別会計の借入金で手当てをするのは筋が通りません。
国民生活の窮状に鑑みれば、先送りにすることなく、直ちに当分の間税率を廃止し、新年度から軽油引取税の減税を実現すべきです。
以上の理由から、政府提出の地方税法改正案に反対します。
次に、地方交付税法改正案については、地方財源の積極的な確保が講じられている点、地方財政の健全化が進められている点、給与改定やデジタル人材確保等、積極的な人への投資が図られている点で評価できるものです。
ただし、本改正案においても、会計年度任用職員の待遇改善、いわゆる百三万円の壁の引上げに伴う地方税財政への影響に対する対策、地方自治体の債務の着実な削減などの課題は積み残しになっています。
さらに、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故から分かるように、自治体が維持管理する施設やインフラの老朽化に伴う更新需要への対応も急務です。
これらの問題を解決するために、交付税の法定率の引上げを議論すべきなどの課題も残されていることを指摘した上で、地方交付税改正案に賛成します。
最後に、今季、多くの地域で大雪や厳しい寒さに見舞われています。雪害対策や灯油価格への支援のための特別交付税の対応に万全を期していただきたいとの要望を申し述べ、私の討論を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) 藤巻健太君。
〔藤巻健太君登壇〕
○藤巻健太君 日本維新の会の藤巻健太です。
会派を代表して、地方税法を改正する法律案等両案について、賛成の立場から討論いたします。(拍手)
まず、申し上げます。我が党は、このタイミングでの令和七年度から揮発油税及び地方揮発油税の当分の間税率を廃止する法案には反対です。国税への影響のみをもって批判するのではありません。地方財政への影響についても申し上げているのです。
もちろん、暫定税率は廃止しなければなりません。我が党は、二〇二二年に揮発油税及び地方揮発油税の当分の間税率を廃止する法案を提出いたしました。そして、今回も、可能な限り早く廃止するために、令和八年度からの暫定税率廃止に向けて法案を提出し、また、自、公、維、立、国の五党による協議体の立ち上げを提案いたしました。
既に三月に入り、来年度は目前です。都道府県や市区町村では来年度予算の審議が大詰めを迎えているでしょう。自治体の予算編成が佳境に入る中、突如として国が税収を奪う、これがあるべき形なのでしょうか。
地方交付税の交付団体は穴の空いた税額の二五%が、地方税収の減収分を加味しても不交付団体である自治体は一〇〇%が減収となりますが、不足する財源はどうするのでしょうか。今から予算編成のやり直しを迫るのですか。
提出された法案には、政府に補填措置を講ずるよう求める条文もあるようですが、地方で合計〇・五兆円に上る減収をどのように補填するのか、具体的なアイデアは示されておりません。燃料油価格激変緩和基金などの基金を取り崩して補填するにしても、国庫返納、予算措置など手続を正しく踏んだ上で次の四月までに間に合うめどは立っているのでしょうか。
平成二十年に暫定税率の適用が停止した結果、予算執行の停止を余儀なくされる自治体が発生し、国において交付金を臨時に支給するために立法措置を取る必要が生じました。自治体の予算執行の停止が住民生活に与える影響を提出者がどのように認識しているのか、疑問を感じざるを得ません。
国会は言論の府ですから、国民が物価高に苦しんでいるというのであれば、現実性のある実現への道筋を併せて提案するのが責任ある政治家ではないでしょうか。
この減税により、最も減収幅が大きい愛知県では三百三十億円、名古屋市では七十七億円の減収に見舞われると試算されていますが、県や県下の自治体と住民にどのように説明するのでしょうか。
この減税は、我々の提案どおり、令和八年度に開始するべきでしょう。このようなやり方は、多くの首長や地方議員を仲間に持つ我が党にとって承服し難いものであります。
さて、我々が本法案に賛成する理由の第一は、令和七年度の地方財政計画において、臨時財政対策債の新規発行額が平成十三年度の制度創設以降初めてゼロとなった点です。政府には、地方交付税の法定率引上げを含め、令和八年度以降も、臨財債に頼ることなく安定的に地方財源を確保していくことを求めます。
また、個人住民税に関して、一般財源総額を確保して地方への影響を抑えつつ、百三万円の壁を引き上げたことを評価しております。政府が今後、地方財政への影響を勘案しつつ、更に百六十万円の壁を引き上げることができるよう、我々も引き続き力強く与党に迫ってまいります。
一方、百三万円の壁の百七十八万円への引上げに関する議論が与野党三党でなされていますが、各党は、この政策を一歩でも前に進めるためにどのような歩み寄りをしたのでしょうか。
これを実現するためには、地方税に関しても、基礎控除額と給与所得控除額を共に大きく引き上げなければなりません。これは個人住民税の減収に直結しますが、減収分の大半は地方交付税で措置されるから影響はないとする声も聞かれます。果たして、地方交付税への依存度を高めることは望ましいことだとお考えですか。
総務大臣は、本会議で、個々の自治体にとっては、地方交付税にできる限り依存することなく、自らの財源である地方税によって財政運営を行うことが理想的と述べていますが、その点にはこだわらないということでしょうか。
所得税収が減少すると、現行の制度を前提にすれば地方交付税の財源が減少するため、地方交付税制度は臨時財政対策債がなければ成り立たなくなる可能性がありますが、どのような対策を打つのでしょうか。
地方全体では一般財源総額を確保できていますが、経常収支比率が政令市の平均で九六・二%、市町村でも九三%にも上っている現状において、軽々しく地方の負担を恒久的に増やすことがあってはならないと考えます。
住民が住みたい地域に移動することで自治体に意見表明をすることを示す、足による投票という言葉があります。都市部の自治体すら地方交付税に頼り切りになれば、自治体がよい政策を行うことで税収増を目指すモチベーションが大きく毀損します。自治体の競争について、どのようにお考えでしょうか。地方全体でどのような財政の構造を目指すのか、グランドデザインはあるのでしょうか。
我々は、減税に反対しているわけではありません。減税をてこに無駄な事業を削減すべきとの考えは一理あるものです。しかし、自治体に無駄な予算を削減させるのは、本来的には地方議会の任務です。もし地方議会制度が機能していないとの認識なら、どのような議会改革をすべきとお考えですか。国から新しい議会制度を提案すべきですか。地方議会に仲間を増やし、地域ごとに独自の議会改革を進めるべきですか。我々は、多くの地域で、後者の手段で自治体の改革を進めてきました。
壁の百七十八万円までの引上げで、地方財政に悪影響を与えることがないようにすると述べる方もいますが、事はそう簡単ではないと考えております。政策よりも政局では、我が国がこの世界の荒波を乗り越えていくことはできません。だからこそ、地方財政への影響を最低限に止めつつ、百三万円の壁の問題の解決に向け一歩前進した来年度の地方財政計画に賛意を示すのです。
我が国は、十年間にわたる地方創生でも、東京一極集中では収まらず、生まれてくる子供は減り続けています。国民医療費は年間一兆円規模で増え続け、子育て家族に重い負担がのしかかる中、子供たちは選択肢を奪われ続けています。
我々は、激動の時代を乗り越えていくために、一致団結して国の在り方を足下から見詰め直さなければなりません。我々は、今国会で、社会保障改革や教育無償化といった公約に対し、与党の協力を取り付け、本法案に賛成することを決めました。批判だけでは国の諸課題は解決しません。我が党は、対決よりも解決の思いを共有し、我が国の課題の解決に挑戦し続けることをお誓いし、賛成討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) 福田玄君。
〔福田玄君登壇〕
○福田玄君 国民民主党の福田玄です。
国民民主党・無所属クラブを代表し、地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案並びに地方交付税法等の一部を改正する修正案に反対の立場から討論を行います。(拍手)
私たち国民民主党は、昨年十月の総選挙で、手取りを増やすという理念の下に様々な手取りを増やす公約を掲げて、七議席から二十八議席へと四倍増の議席をいただきました。その理念の根本にあるものは、額に汗して働いている、頑張って何とか今の暮らしを守っている中間層が少しでも楽になり報われることが、この国の経済の好循環を取り戻し、物価の上昇を上回る賃金や所得の上昇を実現するために必要だという強い思いからです。
今次提出の修正案は、所得税法の与党修正案に対応したものです。この修正案は、私たちが、三十年動かなかった年収の壁に議論をフォーカスさせ選挙を戦い、国民的議論を喚起したからこそ動き出した、重要な政策の一端ではないでしょうか。その証拠に、先ほど来の討論でも、手取りという言葉が何度も飛び交っているのを私は耳にしました。
今回の与党修正案では、インフレによる物価上昇で賃金が上がっても、所得税額がそれ以上の比率で上がり、実質所得が目減りをしてしまうという、いわゆるブラケットクリープ対策と、憲法二十五条の生存権の保障はある程度実現するものと思われます。しかし、その内容は、年収を五段階に切り分け、基礎控除額が徐々に減額され、いわゆる中間所得層には恩恵が微々たるものとなっており、国民の生活苦に応えたものとはなっていません。
また、昨年十二月の自民、公明、国民民主党の三党で合意した、いわゆる百三万円の壁は、国民民主党の主張する百七十八万円を目指し、来年から引き上げるという内容とはかけ離れていると言わざるを得ません。
さらに、この与党修正案では、個人住民税の所得控除額の上限は十万円引き上げるだけの内容となっており、減税額は全ての所得層で微々たるものであり、この物価高で悲鳴を上げている国民に応えるものになっていないと言わざるを得ません。さらには、個人住民税にまた新たな壁が生まれてしまったのではないでしょうか。
私たちは、低所得者だけに対する、低所得者対策を求めていたのではなく、全国民が安心してお金を使い、経済の好循環を実現する、そのスタートを切ることを求めたのです。
国民民主党と立憲民主党が共同で提出した軽油引取税の当分の間税率の廃止法案、先ほどの総務委員会で否決をされてしまいました。この法案は、私ども国民民主党が以前から燃料費高騰の即効薬としてその実現を訴えてきたガソリン税のトリガー条項の凍結解除、つまり、暫定税率の廃止と一体の内容となっている修正案でした。特に、軽油価格は、物価高騰の大きな要因となっている輸送費を下げることにつながり、物価高を抑制する効果が大いに期待できます。
昨年十二月の三党合意の中には、ガソリン税の暫定税率は廃止すると明記をされています。そして、私どもは、現下の物価高を背景に、令和七年度の実施を再三求めてきました。しかし、昨年末から今に至るまで、与党からは実施時期の明確な提案はありません。来年ではなく、今苦しんでいる国民を助ける、その政策が必要です。
私たちは、納税者目線で、国民の生活を守るため、対決より解決の精神にのっとり、一日でも早く国民の負担を軽くするべく、立憲民主党と共同で、燃料に関わる負担を軽くする、ひいては国民の生活を少しでも楽にするための法案を提出したのです。共に国民負担の軽減に取り組もうではありませんか。
政府は、この軽油引取税の当分の間税率の廃止も、国民の声に真摯に向き合い、早期に実現すべきです。
今まさに、デフレから脱却をし、分厚い中間層を取り戻し、経済の好循環を生み出す、その入口に立っている、そして、これが最後のチャンスかもしれません。
同時に、今苦しんでいる国民生活を救い、もう五十代を迎えてしまった就職氷河期世代を救済し、真に国民生活に寄り添った政策が実現されることを強く強く願って、反対討論へと代えさせていただきます。
御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) 山川仁君。
〔山川仁君登壇〕
○山川仁君 れいわ新選組の山川仁です。(拍手)
税金は、お金のないところから取るな、あるところから取れ、それがれいわ新選組の考えです。
今必要なのは、地方に通貨発行権がない以上は、地方への支援を大胆に行うことで、疲弊をした地方財政を底上げ、国民へ、未来への投資を進めることじゃないでしょうか。
日本国内、大なり小なりの災害で、今なお多くの国民が、一日も早い財政支援、復興を望んでいるところが多くあります。それなのに、今年度の税収も過去最高を更新しているにもかかわらず、その預かった国民からの税金を地方へ還元しない理由も理解できません。本来であれば、税収増を反映して地方に配分できるはずの地方交付税を減額して、借金返済に使っており、物価高騰に苦しむ地方自治体を更に苦しめているではありませんか。
御承知のとおり、令和七年度の税制改正の影響は、令和八年度の住民税に影響していきます。その際に住民税非課税世帯がどの程度増えるのか、国はシミュレーションをしているのかが議論になりましたが、十分な把握はしていないことが判明をしているところです。税制改正が地方の足を引っ張るようになってはいけません。
政府は、決まり文句の、財源がと、財源確保の根拠を示せなど言いますが、今国会で石破内閣が国家的殺人未遂として批判されている高額療養費の自己負担引上げについても凍結をされておらず、このまま予算案採決は、国対間での協議も軽視され、許されるわけがありません。
これまでの国家運営のせいで国民はどんどん苦しみ、経済は衰退し、日本の国力は落ちてきたのは周知の事実です。国は税金取り過ぎ、国民は取られ過ぎ。
国民の皆様、知っていただきたいのは、様々な法案でよしあしがありますが、悪いものとましなものを混ぜた上で可決することになれば、防衛増税など様々な悪法が可決、成立されてしまいます。そのような悪法を混ぜて可決するのではなく、政府案を野党多数で否決し、なお単独という形であれば国民にとってもまだましな法案になるので、れいわ新選組は、野党第一党へも、そのように国民を向くことを求めています。
地方が元気でこそ、日本全体が活性されるのではないか。今回の地方税法等の改正は、国レベルの一方的な制度改正が地方に悪影響を及ぼします。
国民が求めていることは、野党が一致して消費税廃止とインボイス廃止を求め、国民をこの地獄から救うことです。
以上の理由から、この法案改正に反対をいたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) 辰巳孝太郎君。
〔辰巳孝太郎君登壇〕
○辰巳孝太郎君 私は、日本共産党を代表して、地方税法等改正案並びに地方交付税法等改正案に対する反対討論を行います。(拍手)
最初に、地方交付税法等改正案についてです。
本法案は、地方の一般財源総額を昨年度と実質的に同水準にするルールに従ったものです。物価上昇は税収にも大きな影響を与え、地方税、地方交付税の増額となっていますが、臨財債の新規発行ゼロを優先させれば、必要な一般財源は抑制されてしまいます。一方、物価高騰は地方の各支出経費にも重くのしかかっています。地方財政計画では、一般行政経費、特に単独分は僅かな増額にとどめるなど、住民福祉の向上を図るという自治体の役割を果たせる額は確保されていません。地方の一般財源総額を抑制するやり方は、根本から見直すべきです。
光熱費の高騰、円安の影響による物価高など、国民の暮らしはますます苦しくなっています。最低限の生活需要を満たすため、所得税、住民税の非課税限度額は、生計費非課税を原則として引き上げるのは当然です。しかし、個人住民税においては、給与所得控除のみにとどまり、基礎控除の引上げを見送っています。減税の恩恵は年収百十万円から百九十万円の給与所得者に限られ、年金生活者、個人事業主、フリーランス、非課税世帯、年収百九十万円超の人は取り残されることになります。
企業版ふるさと納税は、自治体間での事実上の税源移譲となって、地方自治の公平性を損なうだけでなく、自治体と企業の癒着を助長するものです。実際、関連子会社への寄附金の還流、自治体と企業との癒着の実態が明らかになっており、このような制度は廃止すべきです。
現在、日豪部隊間協力円滑化協定によってオーストラリア国防軍に対して行われている軽油引取税と自動車税環境性能割の免除措置の対象国が、省令改正で対象国を追加できるようにします。米軍と連携する軍事的同志国への税制面での支援拡大には反対です。
政府予算案に対する自民、公明、維新の会の三党合意は、国民医療費総額の年間最低四兆円削減が明記されています。過去一年で一兆円を超える医療費削減が行われたときには、各地で医療崩壊が起きました。合意にあるOTC類似薬が保険適用除外になれば、自治体独自の医療費助成の対象外ともなり、治療を諦めなければならなくなります。健康格差を国民に強要する三党合意を撤回することを求めて、反対討論といたします。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○議長(額賀福志郎君) これより採決に入ります。
まず、地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につき……(発言する者あり)
今、議運が相談していますので、少々お待ちください。
それでは、採決に入ります。
まず、地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につき採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案につき採決いたします。
本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。
――――◇―――――
○鈴木隼人君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
○議長(額賀福志郎君) 鈴木隼人君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
―――――――――――――
所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(額賀福志郎君) 所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。財務金融委員長井林辰憲君。
―――――――――――――
所得税法等の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号(二)に掲載〕
―――――――――――――
〔井林辰憲君登壇〕
○井林辰憲君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整対策、地域経済の好循環の実現、国際環境の変化への対応等の観点から、所得税の基礎控除の控除額及び給与所得控除の最低保障額の引上げ並びに特定親族特別控除の創設、中小企業経営強化税制の拡充、防衛力強化に係る財源確保のための防衛特別法人税の創設等を行うものであります。
本案は、去る二月十四日、本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、当委員会に付託され、同日、加藤財務大臣から趣旨の説明を聴取した後、質疑に入り、十八日には、立憲民主党・無所属から修正案が提出され、趣旨の説明を聴取し、二十五日から本案及び修正案を一括して質疑を行いました。
二十八日には、自由民主党・無所属の会及び公明党の共同提案により、所得税の基礎控除等の特例を創設すること等を内容とする修正案が、昨三月三日には、立憲民主党・無所属及び国民民主党・無所属クラブの共同提案に係る修正案がそれぞれ提出されました。
本日、立憲民主党・無所属提出の修正案について撤回を許可し、自由民主党・無所属の会及び公明党の共同提案に係る修正案並びに立憲民主党・無所属及び国民民主党・無所属クラブの共同提案に係る修正案についてそれぞれ趣旨の説明を聴取した後、本案及び両修正案について質疑を行い、引き続き石破内閣総理大臣に対する質疑を行った後、質疑を終局いたしました。
質疑終局後、両修正案について内閣の意見を聴取した後、本案及び両修正案を一括して討論を行い、順次採決いたしましたところ、立憲民主党・無所属及び国民民主党・無所属クラブの共同提案に係る修正案は賛成少数をもって否決され、自由民主党・無所属の会及び公明党の共同提案に係る修正案並びに修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。
なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――
○議長(額賀福志郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。三角創太君。
〔三角創太君登壇〕
○三角創太君 立憲民主党の三角創太です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論いたします。(拍手)
本法案の審議に当たり、私たち立憲民主党は、税への納得と信頼を取り戻し、能力に見合った負担を求めるとの基本的な考え方の下、四項目の修正と複数の検討条項を盛り込んだ修正案を国会に提出し、その実現を求めてきました。
第一に、ガソリンの暫定税率の廃止です。
ガソリンの暫定税率については、当分の間といいながら、五十年も維持され続けております。燃料高に苦しむ国民生活を横目に税負担を放置し続けることは、政治の不作為にほかなりません。
石破総理は、自民、公明、国民民主党の三党で合意したにもかかわらず、暫定税率を廃止する時期について一向に明言されませんでした。自民党総裁として、本来は、自らリーダーシップを発揮して、協議を推し進めることができるはずです。それにもかかわらず、総理は具体的な廃止時期を答弁されませんでした。
こうした政府の姿勢を見ると、本当に暫定税率の廃止を実行する気があるのか甚だ疑問であり、物価高に苦しむ国民生活の実態を全く認識できていないものと断じざるを得ません。
この状況を打開するため、立憲民主党は、国民民主党と共同で、ガソリンの暫定税率廃止に特化した修正案を再提出しましたが、自民党、公明党及び一部野党の反対により否決されてしまいました。このような結果になったことは大変残念でなりません。
第二に、防衛増税の撤回です。
そもそも、前提となる総額四十三兆円規模の巨額防衛費自体が数字ありきです。その必要性について、国民が納得できる説明は依然としてなされていません。また、復興所得税を防衛費につけ替えるのは不当な流用であり、被災地の方々の理解を得られるものでは到底ないと言わざるを得ません。
第三に、租税特別措置が適用された企業名の公表です。
石破総理は、企業・団体献金で政策がゆがめられたとは思っていないと述べられていますが、具体的にどの企業が租特の恩恵を受けているのかが分からなければ検証しようがありません。本気で国民の信頼を取り戻す気があるならば、我々が提案しているように、企業・団体献金は禁止、租特の適用企業名は公表すべきです。
第四に、納税者権利憲章の制定です。
納税者の権利利益の保護を法律上明確化するためのもので、民主党政権時に制定を試みましたが、当時の野党自民党の反対により断念した経緯があります。我々の提案を踏まえ、一刻も早く納税者権利憲章を制定すべきです。
また、我が会派が提出した修正案には、能力に見合った負担、いわゆる税制の応能負担原則を徹底するための検討事項を盛り込んでいます。所得が一億円を超えると逆に所得税の負担率が低下する、いわゆる一億円の壁を解消するため、富裕層の方々を対象に金融所得課税の累進化を図ることなど、具体的な検討事項を提出しましたが、とりわけ、賃上げ促進税制の廃止については、この間の質疑により、合理性のある提案だということが明らかになりました。
この賃上げ促進税制の恩恵をより多く受けるのは、元々収益力が高く、多くの法人税を納めている大企業であり、そのような企業は、この税制がなくても賃上げを進めるはずです。一方で、中小企業は、その約六割が赤字法人と言われており、この税制の恩恵を十分に受けることができません。このような合理性に乏しい税制により、直近、二〇二三年度では、実に約七千三百億円もの法人税収が失われています。
この際、賃上げ促進税制は廃止して、それにより浮いた財源は、我々が提案しているように、新たに正社員を雇用した中小企業の社会保険料負担を軽減する政策などに使う方がよほど効果的です。
以上申し上げたとおり、私たち立憲民主党は、政府案の問題点をただしながら、よりよい税制を実現するための提案を行ってまいりましたが、与党などの理解が得られなかったことは大変残念であります。
また、議論されている百三万円の壁については、昨日、石破総理が予算委員会で我が党の同僚議員の質問に対して、複雑な税制であることは確かだと答弁したように、二百万円での所得制限など、最終的に極めて複雑な制度になり、新たな壁をつくり出す結果となっています。手取り増加の効果も、多くの納税者がおおむね二万円程度と、額だけを見れば、大変不人気だった定額減税四万円の方がまだましです。
税制は、公平、中立、簡素、そして納得できるものでなければなりません。不合理な税負担をなくし、国民が納得のできる税制を確立し、信頼を取り戻し、能力に見合った負担を求める税制の実現に全力を尽くしていくことをお誓いを申し上げ、私の反対討論とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) 萩原佳君。
〔萩原佳君登壇〕
○萩原佳君 日本維新の会の萩原佳です。
会派を代表して、所得税法等の一部を改正する法律案及び同案に対する与党修正案について、賛成の立場から討論いたします。(拍手)
初めに、今回、賛成の立場から討論をさせていただきますが、改正案について、例えば防衛増税に関しては、日本維新の会としては従来から反対の立場であり、全ての改正項目を是とするものではないことは、まずお伝えさせていただきます。その上で、大きく以下五つの理由から賛成をさせていただきます。
賛成の第一の理由は、一九九五年、平成七年より動いていなかった、いわゆる百三万円の壁を百六十万円まで引き上げ、一・二兆円の所得税減税を行うことを評価するためです。
百六十万への壁引上げは、当初案の百二十三万円の平均五千円の減税から、平均二万円の減税へと大きく前進いたしました。減税という高い山は、すぐに頂上にたどり着くことはできませんが、今回の修正案は確実な歩みを進めるものと評価しております。
もちろん、壁の引上げ幅については不十分であると言わざるを得ず、国民の皆様の手取りを増やすためには更なる対応が必要であること、そもそもの基礎控除の考え方について更なる議論が必要になることなど、様々な課題が存在することは事実です。
しかし、かかる課題も含めた壁の引上げに関しては、昨日の自公維の幹事長合意で誠実に対応するとされているため、今後の対応に期待しておりますし、我々日本維新の会としても、できる協力はさせていただこうと考えております。
賛成の第二の理由は、大学生の働き控えの解消を図ったことを評価するためです。
大学生のアルバイトでは、百三万円を超えると親の扶養から外れてしまうことになるため、就業調整が行われていましたが、より働きたいと思う学生さんの希望をかなえる必要があり、大学生の親への特別控除を創設しました。日本維新の会は、大学生が働き控えをしなくて済むよう対応していきます。
賛成の第三の理由は、子育て世帯に向けた減税を行ったことを評価するためです。
子育て世帯に対し、住宅ローン控除、住宅リフォーム税制の拡充、生命保険料控除の拡大を行います。これらは時限措置になっている点で不十分さを否めませんが、子育てをしやすい社会につながっていくと考えます。日本維新の会は、教育の無償化を進めようとしており、税制の面でも子育てを支援していきます。
賛成の第四の理由は、外国人向けの免税制度の見直しが入っている点を評価するためです。
外国人向けの免税制度に関しては、最近、インバウンドが急増する中、これまで、免税店で商品を購入し、それを横流しするといった不正が横行しております。四千万人もの外国人旅行者が来日しており、経済効果は二十兆円にも達すると言われる中、消費税を払わないという不正が生じており、こうした不正を防止するリファンド制度を導入することに対して、評価いたします。日本維新の会は、不正を断じて許しません。
最後に、第五の理由として、ガソリン暫定税率撤廃に向けた合意を評価するためです。
我々日本維新の会としては、継続してマニフェストに掲げ、以前より何度も暫定税率廃止の法案を提出しており、ガソリン価格が高騰する中、暫定税率の廃止の方向性には賛成しています。
立憲民主党及び国民民主党の提出したガソリンの暫定税率廃止に関する修正案については、本年、令和七年四月一日から暫定税率を廃止するとしています。国及び地方自治体合わせて一・五兆円もの財源不足が生じることになりますが、その恒久的な財源は何ら示されておらず、法案実行に向けて必要な準備がなされていません。また、既に各自治体では暫定税率分も含めた形で令和七年度予算を編成、議決しつつある中、急遽廃止するとなると、地方自治体で混乱が生じるのは間違いありません。
廃止に向けては、地方自治体など関係者と丁寧に調整するとともに、安定財源の確保などの課題に対しては、責任を持って解決していくことが政策実現への近道であり、王道です。にもかかわらず、本年四月一日まで一か月を切ったタイミングでの暫定税率廃止の法案提出については、国民の皆様の生活を考えてのことではなく、まさしく政局により行われていると言わざるを得ません。
そもそも、自民、公明、国民の幹事長間合意においては、ガソリンの暫定税率の廃止について期限を入れていなかったことからすれば、政府・与党側が本年四月一日からの施行としないことは、火を見るより明らかであったと言えます。
このような状況下で、本気で本年四月一日から暫定税率の廃止を目指していたのであれば、与党との交渉と並行して野党間での共同提出に向け動いておくべきであり、我々日本維新の会としても十分に共闘できた余地があっただけに、今回の動きに関しては非常に残念であると申し述べさせていただきます。
なお、我々日本維新の会としては、来年、令和八年四月一日を施行日とするガソリンの暫定税率の廃止法案を昨日提出させていただきました。自民、公明の両党には、立憲、国民と我々日本維新の会を含めた五党による政策協議の場を設けることに同意を得ておりますので、来年四月一日からの暫定税率廃止に向けて、共に協力して課題と向き合い、政策実現を目指していきたいと考えておりますので、是非よろしくお願いいたします。
最後になりますが、予算が早期に成立しなければ国民生活に多大な損害を与えるおそれがあり、予算成立は国会の最重要課題であることは申し上げるまでもありません。
そして、ハングパーラメント、少数与党の国会運営において、与党は野党と是々非々で柔軟な政策協力を結ばないと予算を成立させることができないことは明白であったわけですから、野党は、手柄争いではなく、責任を持って各々の政策に磨きをかけ、各々の公約達成に全力を尽くさねばなりません。
我々日本維新の会は、国会では野党でありますが、大阪においては与党として政権を運営してきました。その面で、公約の実現を優先した賛成が、ある意味野党の責務でもあると考えております。
変わらなければ政治じゃありません。我々政治家は、批判のための批判ではなく、選挙のためのパフォーマンスでもなく、国民の皆様の生活が少しでも楽になるよう、国の仕組みを変えていくよう働いていく責任があるんじゃないでしょうか。
我々は、どのような批判を受けようとも、千里の道の第一歩として、この賛成の意思決定が少しでも国民の皆様に恩恵をもたらすこと、そして予算の成立によって国民生活の安定が保たれることを確信しております。
全ての国民が、あしたは今日よりもきっとよい日になる、そう思える日本国に変えていくことをお誓いし、賛成討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) 岸田光広君。
〔岸田光広君登壇〕
○岸田光広君 国民民主党の岸田光広です。
私は、国民民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論いたします。(拍手)
初めに、岩手県大船渡市の山林火災は本日で七日目となります。依然として延焼が続いており、住宅にも広がるなど被害は拡大を続けています。岩手県によりますと、焼失した面積は四日午前六時の時点でおよそ二千六百ヘクタールに拡大しているとのことです。
この度の大規模火災に係る災害等によりお亡くなりになられた方に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。また、消火活動に従事されている全ての関係者の皆様に感謝と敬意を申し上げます。
我々国民民主党は、昨年の衆議院議員選挙において、手取りを増やすと訴えて有権者の皆様の御支持をいただき、躍進をさせていただきました。百三万円の壁の撤廃においては、我が党は、日本経済はデフレ経済から脱却できるか否かの分水嶺にあること、百三万円の壁が労働供給の阻害要因となっていることを解消しようとするものだと訴えさせていただきました。百三万円の壁撤廃について国民の皆さんからの支持は、物価高等で苦しい生活を何とかしてほしいとの悲痛な声であると我々は理解をしております。
基礎控除は、憲法二十五条の生存権に基づき、最低限の生計費には税金をかけないことが原則です。そのことで、中間層を含めた全ての人に簡素な方法で取り過ぎた税金をお返しする。消費を通じた経済の好循環を生み出し、壁をなくすことにより中立的な働き方ができる労働環境をつくり出す。これらが、我が党が訴えさせていただいた百三万円の壁を撤廃しようとした本旨であります。
政府の当初の百二十三万円に引き上げるという案は、引上げ幅百七十八万円を目指すという三党合意からはかけ離れていました。修正案の所得別引上げ幅に四段階の差をつけ複雑化させることは、壁を壊して壁をつくるようなもので、理屈に合わない所得制限をかけることには反対です。
あるシンクタンクの調査では、一世帯当たり年間九万円もの支出増が生じております。物価高対策として二万円の減税では全く足りません。年収二百万円超の方への減税は二年間の時限措置ですが、恒久的な見直しで対応すべきです。
財政規律を優先する余り、国民生活を直視していないのではないでしょうか。予算フレームにこだわる余り、改革の方向がずれてしまっているのではないでしょうか。今やるべきことは、予算フレームを死守することではなく、国民の方を向いた、手取りを増やし、経済を回す政策をつくることです。
以上の理由から、政府提出、所得税法等の一部を改正する法律案に反対をいたします。
我が党と立憲民主党が合同で提出したガソリン暫定税率の廃止法案が否決された、これは誠に残念です。ガソリンの暫定税率は、できてから五十年がたち、二〇〇九年のリーマン・ショックを受けて、当分の間ということで一般財源化されました。税は理屈、根拠が重要で、これが納税者の納得感につながるものです。その意味において、ガソリンの当分の間税率は既に課税の根拠を失っており、地方財政に影響を与えないように配慮した上で、一刻も早く廃止すべきです。
今、物価高で全国の皆さんが困っています。特に地方にお住まいの方々にとっては、通勤、買物など車は生活になくてはならない必需品です。また、日本経済を物流の面で下支えしてくださっている、エッセンシャルワーカーでもある運送業の皆さんやタクシー運転手の方々も、ガソリン価格の高騰に苦しんでいます。高知、長野などではリッター百九十円を超えており、一部では二百円を超えるところもあります。また、高いガソリン代が全ての物の値段、サービス価格に転嫁され、物価高に拍車をかけており、中小企業、小規模事業者を中心に企業経営を圧迫しています。しかし、国民の暮らしを考えたとき、今何が最優先事項かは明白ではないでしょうか。
今回、百三万円の壁が三十年ぶりに動きました。大学生年代の就業調整対策についても、我が党の提案が取り入れられ、特定扶養控除の要件が緩和されました。しかし、物価の上昇に賃金上昇は追いついていません。今まさに、デフレ脱却できるかどうかの瀬戸際です。国民に寄り添う対策を今こそ実行しなければなりません。
今回、自民党、公明党、国民民主党の三党の幹事長間で取り決めた三党合意については、残念ながら実現することはできませんでした。しかしながら、私たちは決して諦めません。この二つの政策を今後も最優先政策として前に進めていく所存です。
私たち国民民主党は、引き続き、対決よりも解決、正直な政治を貫くといった結党以来の姿勢を堅持し、手取りを増やす経済対策を始め、国民の暮らしをよくする政策の実現に向け、全力を尽くしてまいることをお誓いいたしまして、私の討論といたします。
御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) 高井崇志君。
〔高井崇志君登壇〕
○高井崇志君 れいわ新選組の高井崇志です。
会派を代表して、反対の立場から討論いたします。(拍手)
今、我が国に必要な税制改正は、消費税廃止、少なくとも減税、この一択です。
三十年続く不況にコロナ、物価高で、国民生活は地獄の苦しみです。三十年間経済が成長していない国は、世界中で日本だけ。原因ははっきりしています。三十年間に三度も消費税を増税したことです。一回の増税で、百年に一度と言われたリーマン・ショックをはるかに上回る消費の減少が起きています。つまり、日本は、この三十年間の間に、百年に一度のリーマン・ショック級の経済恐慌が四回起きたことになります。これで経済が成長するはずがありません。
景気が悪いときには税金を下げる。これは中学校の公民で習う、経済学の基本のキです。景気が悪いときは税金を下げる、よいときには上げる。消費税は一度下げると上げるのが大変と言って減税をやらないのは、政治家と財務省の職務怠慢以外の何物でもない。コロナのとき、百か国以上が消費税を下げているのに、日本だけは下げる議論すらしなかった。
これは予算委員会での私の発言ですが、これがSNSでバズり、一千二百四十七万再生、十四万いいねがありました。この動画はなぜか今凍結されていますけれども、この発言には多くの人々が賛同したのです。今、財務省や全国の財務局の前でデモが行われ、その数はどんどん増えています。これが国民の声です。この声が、国会議員の皆さんには届かないのでしょうか。
ガソリンの暫定税率廃止にしても、野党の手柄争いが見苦しいです。我々は、租税特別措置法改正案だけを出してくれれば賛成すると申し上げてきました。野党が過半数を占めているから、衆議院では通ります。しかし、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会は、独自の案を出し、成立させようという意思がまるでありません。
法案を出し直す時間がないといいますが、なぜ今日の採決を急ぐんですか。一日あれば法案はできますよ。これだけ国民の要望が強いのだから、なぜ全ての野党が賛同できる形にしないのですか。防衛増税が含まれる政府案を前提としたままの修正案に賛成できるはずがありません。
今回、私の質疑で、我が国予算の一五%を占める国債償還費は、世界中で計上しているのは日本だけであることが明らかになりました。櫛渕議員の質疑では、消費税は一般財源であり、お金に色はない、つまり、消費税の全額が社会保障に使われているわけではないことも明らかになりました。
財務省は、債務残高対GDP比という一つの指標のみをもって我が国の財政は世界最悪の水準などと言い回っていますが、他の指標で見れば、日本の財政は世界で一、二を争う健全財政であることは明らかです。
CDS、クレジット・デフォルト・スワップ、これは国債の信認を保証する市場の数値ですが、直近の数字は僅か〇・二三%。G7ではドイツに次いで低い。〇・二三%しか国債が債務不履行する可能性はないのに、財政再建ばかりをあおる財務省。財務省設置法の任務からすれば、財務省がそう言うのは仕方ないかもしれませんが、それをたしなめるのが、改めるのが政治の仕事ではないですか。
野党第一党にも申し上げたい。立憲民主党が消費税減税を決断すれば、全ての野党は総選挙の公約に掲げているんですから、衆議院は通ります。なぜやらないんですか。野田代表は予算委員会でこう言いました。過ちは改むるにはばかることなかれ。そのとおりです。私も、かつて民主党時代に、消費税増税法案に賛成してしまいました。過ちを心から悔やみ、国民の皆様に謝罪しています。過ちは潔く改めましょう。
れいわ新選組は、誰一人取り残さない、生きているだけで価値がある、そんな社会を実現するために、ぶれずに、愚直に、消費税廃止、季節ごとの現金給付、社会保険料の引下げを始め、人々の暮らしを豊かにする経済政策を実現することをお誓いして、私の討論を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) 本村伸子君。
〔本村伸子君登壇〕
○本村伸子君 私は、日本共産党を代表して、委員会で修正された所得税法等の一部を改定する法律案に反対の討論を行います。(拍手)
反対の理由の第一は、税制のゆがみを生み出している大企業優遇税制に一切メスを入れていないからです。
安倍政権で四回も行われた大企業の法人税率の引下げや、研究開発減税、連結、通算納税などの優遇税制による減税効果は、二〇二三年度に過去最高の十一・一兆円にまで膨れ上がりました。大企業の利益が増加するに従って、減税額も巨大なものとなっています。
例えば、研究開発減税は、二〇二三年度に九千億円を超え、大企業にその恩恵の九割以上が集中しています。しかも、研究開発費を減らしても減税が受けられる、政策減税の目的を失った、まさに大企業へのばらまき減税そのものです。その下で、過去最高の利益を記録する大企業は、配当金や役員報酬を増やし、内部留保を積み上げています。
与党税制改正大綱は、安倍政権下の法人税減税によって企業収益を拡大したものの、国内投資の拡大や賃上げにつながらず、現預金等が積み上がり続けたと厳しく指摘します。そうであれば、なぜ大企業の法人税率を引き上げないのでしょうか。
政府税調は、租税特別措置について、廃止を含めゼロベースで見直すことを要求しましたが、本法案には全く反映されていません。
このような不公平税制は早急に正すべきです。研究開発減税や連結、通算納税制度などを廃止、縮減し、大企業に応分の負担を求める税制改革が必要です。
第二は、消費税の減税に踏み出していないからです。
今国会の我が党の議員の質疑で、収入階級別の税負担割合を推計すると、中間所得層以下の世帯では、所得税よりも消費税の負担の方が圧倒的に重く、収入八百万円以下の世帯ではほぼ同じ税負担率となり、累進性が失われていることを明らかにしました。能力に応じて税を負担する応能負担原則は崩れています。
ここ数年のお米や野菜などの食料品、燃料費などの物価高騰が国民生活を直撃し、暮らしを追い詰めています。生活必需品の価格が上がるたびに消費税の負担が増えるという二重の負担増に、国民、住民の皆さんは苦しんでいます。今こそ、物価高騰から暮らしを守るため、逆進性が強い消費税の減税に踏み出すべきです。
同時に、一億円以上の所得がある富裕層の所得税の負担率が軽くなる一億円の壁問題は是正するべきです。富裕層にも応分の負担を求め、税制の応能負担の原則を取り戻す抜本改正に取り組むことが必要です。
与党の修正案は、維新の会との合意により、所得税の課税ラインを百六十万円にして、基礎控除の引上げ幅を年収により五段階とする措置を導入するものです。減税額だけを焦点にしたびほう策です。
複数の基礎控除が交じることで、収入ごとに最低生活費が異なることになります。収入から最低生活費を除いた所得に課税するという、所得税の仕組みの公平性を土台から崩すものです。所得税の原理原則を損ないかねない修正案には賛成できません。
第三に、戦争国家づくりの軍拡増税を押しつけるものだからです。
二〇二二年十二月に策定した安保三文書に基づき、五年間で四十三兆円もの大軍拡を推し進めようとしています。その財源確保のため、防衛法人特別税を新設して、法人税額に税率四%の付加税を課し、たばこ税増税と合わせて約一兆円の増税を盛り込んでいます。
憲法違反の敵基地攻撃能力を持ち、南西諸島の基地強化など、大軍拡と日米同盟の強化を進めるため、国民、住民に増税を強いることは断じて許されません。
以上、討論といたします。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) ただいま議場内交渉係が協議中でございますので、ちょっとお待ちください。
これにて討論は終局いたしました。
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○議長(額賀福志郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。
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○議長(額賀福志郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後五時五十四分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 石破 茂君
総務大臣 村上誠一郎君
法務大臣 鈴木 馨祐君
外務大臣 岩屋 毅君
財務大臣 加藤 勝信君
文部科学大臣 あべ 俊子君
厚生労働大臣 福岡 資麿君
農林水産大臣 江藤 拓君
経済産業大臣 武藤 容治君
国土交通大臣 中野 洋昌君
環境大臣 浅尾慶一郎君
防衛大臣 中谷 元君
国務大臣 赤澤 亮正君
国務大臣 伊藤 忠彦君
国務大臣 伊東 良孝君
国務大臣 城内 実君
国務大臣 坂井 学君
国務大臣 平 将明君
国務大臣 林 芳正君
国務大臣 三原じゅん子君