第10号 令和8年4月2日(木曜日)
令和八年四月二日(木曜日)―――――――――――――
令和八年四月二日
午後二時三十分 本会議
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○本日の会議に付した案件
国家情報会議設置法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後二時三十二分開議
○議長(森英介君) これより会議を開きます。
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国家情報会議設置法案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(森英介君) この際、内閣提出、国家情報会議設置法案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣木原稔君。
〔国務大臣木原稔君登壇〕
○国務大臣(木原稔君) 国家情報会議設置法案の趣旨について御説明申し上げます。
この法律案は、重要情報活動及び外国情報活動への対処に関する重要事項を調査審議する機関として、内閣に国家情報会議を設置することとし、その所掌事務等に関する事項を定めるものであります。
次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、国家情報会議は、重要情報活動に関する基本的な方針、外国情報活動への対処に関する基本的な方針等を調査審議することとしております。
第二に、国家情報会議は、議長及び議員で組織することとし、議長は内閣総理大臣を、議員は内閣法第九条の規定によりあらかじめ指定された国務大臣、内閣官房長官、内閣府設置法第十一条の特命担当大臣、国家公安委員会委員長、法務大臣、外務大臣、財務大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、防衛大臣をもって充てることとしております。また、議長は、特定の事案に関し、特に集中して調査審議する必要があると認める場合には、議長、内閣官房長官及び当該事案に関係する者として議長が指定する議員によって、当該事案についての調査審議を行うことができるほか、必要があると認めるときは、議員以外の国務大臣を、議案を限って、臨時に会議に参加させることができることとしております。
第三に、内閣官房長官及び関係行政機関の長は、国家情報会議に対し、同会議の調査審議に資する重要情報活動又は外国情報活動への対処に関する資料又は情報を適時に提供するとともに、議長の求めに応じて、必要な協力等を行わなければならないこととしております。
第四に、附則において内閣法を改正し、内閣官房に国家情報局を置き、同局が重要情報活動及び外国情報活動への対処に関する企画立案及び総合調整、内閣の重要政策に関する情報の収集調査、国家情報会議に関する事務等をつかさどることとしております。
そのほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
なお、この法律の施行日は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)
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国家情報会議設置法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(森英介君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。鳩山二郎君。
〔鳩山二郎君登壇〕
○鳩山二郎君 自由民主党・無所属の会の鳩山二郎です。
ただいま議題となりました国家情報会議設置法案について、会派を代表して質問いたします。(拍手)
現在、安全保障環境は戦後最も困難な状況にあります。ロシアによるウクライナ侵略は四年以上継続しているほか、中国の軍事活動の活発化、北朝鮮の核・ミサイル開発の加速化、中東情勢の不安定化など、安全保障環境は厳しく複雑なものとなっています。
また、我が国が直面する脅威は、こうした陸海空の領域にとどまらず、経済や技術、そしていわゆる認知領域へと拡大しており、外交、情報、軍事、経済、技術の統合的な国力が問われる時代へと突入しました。
さらに、外国勢力は、伝統的な手法により非公然に政府や民間部門に対する情報活動を行っているとされており、加えて、SNSを使って偽情報まで拡散していると言われています。
このような難しい環境の中で、国民の安全と国益を守っていくため、我が国はインテリジェンスの機能を強くしていかなければなりません。
総理は、いち早くこの問題に取り組まれ、情報力を強化する必要性を訴えてこられました。
そこで、総理にお伺いをいたします。本法案を議論する前提として、我が国のインテリジェンス機能を強化する必要性や背景についてどのようにお考えなのか、認識をお聞かせください。
次に、法案についてお尋ねいたします。
自由民主党と日本維新の会が昨年十月に交わした連立政権合意書では、インテリジェンス政策を大きな柱の一つとして掲げました。また、自由民主党においては、インテリジェンス戦略本部を中心に議論を続け、本年三月、我が国のインテリジェンス機能の抜本強化に関する提言を取りまとめ、司令塔となる組織の設置が必要であることを訴えてまいりました。
このような経緯で取りまとめられた国家情報会議設置法案により、インテリジェンスの司令塔機能がどのように強化されるのか、本法案の意義について、改めて木原官房長官にお伺いいたします。
本法案では、国家情報局が各省庁の情報活動に対する総合調整を行うことが盛り込まれています。これは、各省庁の縦割りを排し、我が国のインテリジェンスコミュニティーの連携を強化し、国家としての情報分析能力を高める観点から非常に重要な機能であると認識しておりますが、国家情報局による総合調整にどのような効果を期待しているのか、木原官房長官にお伺いいたします。
インテリジェンスを強化するに際しては、国民の皆様に大きな方向性を御理解いただくことも重要であると考えます。情報分野において、国家情報戦略という形で、国民の皆様に対し、政府の情報活動の中長期的な方針をお示しすることも考えるべきだとの議論も見られるようになっており、我が党の提言でもその必要性を強調しています。
情報活動は秘密裏に進められるものではありますが、同時に、これに対する国民の皆様からの理解や信頼も得なければなりません。政府として、国民の皆様の理解を広げるため、国家情報戦略を策定する予定があるのか、木原官房長官にお伺いいたします。
本法案により新たに設置しようとする国家情報会議や国家情報局は、インテリジェンスの司令塔機能を担う組織であります。他方で、本法案により、情報機関による一般市民への監視が強くなるとの間違った認識に基づく懸念や、人権侵害につながりかねないとの誤解に基づく議論も、僅かですが一部に見られることから、こうした懸念や誤解に対し、本法案の考え方を木原官房長官にお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕
○内閣総理大臣(高市早苗君) 鳩山二郎議員の御質問にお答えいたします。
インテリジェンス機能強化の必要性やその背景についてお尋ねがありました。
昨今の複雑で厳しい国際環境において、外交、防衛、経済、技術、人材など、あらゆる面で日本の国力を強くしていくためには、国家としての情報収集、分析能力を高め、正確な判断を行っていくことが重要であるとかねてから申し上げてまいりました。
危機を未然に防ぎ、国民の安全や国益を戦略的に守るためにも、我が国のインテリジェンス機能を強化することが不可欠です。
本法案は、政府におけるインテリジェンスの司令塔機能を強化するため、国家情報会議や国家情報局を設置するものですが、我が国の情報力を強化するために必要となるその他の施策についても、与党と緊密に連携しながら、丁寧に検討を進めてまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣木原稔君登壇〕
○国務大臣(木原稔君) 鳩山二郎議員より、まず法案の意義についてお尋ねがありました。
昨今の複雑で厳しい国際環境において、我が国の国益を守り、国民の安全を確保するためには、政府が的確な意思決定を行うことが必要であります。
また、政府の的確な意思決定のためには、質が高く、時宜にかなった情報が不可欠であり、インテリジェンスの司令塔機能の強化はそのための基盤整備であります。
本法案により、総理を議長とする閣僚級の国家情報会議と、それを支える国家情報局を設置いたします。これにより、政府全体の情報活動を俯瞰しながら、戦略的に、その基本方針を示すとともに、政府内を総合調整し、収集した情報を集約し総合分析を行う等の機能を充実強化するものであります。
次に、国家情報局による総合調整機能についてお尋ねがありました。
本法案により、国家情報局から各インテリジェンス関係機関に対して総合調整を行うことにより、統一的な方針の下で各機関の役割分担等がより明確に行われる、各省庁の保有する多種多様な情報をこれまで以上に集約することで総合的な分析が強化される、これらの結果、政策部門に対し、一層質の高い、時宜にかなった情報の提供が行われるといった効果を期待しています。
国家情報局による総合調整は、政府全体の情報活動のパフォーマンスを最大化、最適化していく上で必要不可欠なものと考えております。
次に、いわゆる国家情報戦略についてお尋ねがありました。
議員御指摘のように、個々の情報活動は秘密裏に行われることが多く、国民の皆様にとってなじみの薄いものでありますが、こうした活動の意義や重要性について国民の皆様に広く御理解いただくことは重要であると認識をしております。
名称を国家情報戦略とするかどうかは未定ですが、本法案により新たに設けることとなる閣僚級の国家情報会議において、政府の中長期的な情報活動の推進方策を取りまとめた文書を作成し、公表することを検討してまいります。
次に、本法案に対する懸念や誤解についてお尋ねがありました。
まず、本法案は、インテリジェンスの司令塔機能を強化すべく、行政機関相互の関係を律するものであり、そもそも、国家情報会議や国家情報局に対し、新たな情報収集の権限を付与するものではありません。
また、現在、各省庁が行う情報活動は、所管の大臣の指揮監督の下、適切に行われておりますが、これは本法案によっても変わるものではありません。
したがって、本法案により、情報機関による一般市民への監視が強くなるといった御懸念は当たらないものと考えております。(拍手)
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○議長(森英介君) 後藤祐一君。
〔後藤祐一君登壇〕
○後藤祐一君 私は、国家情報会議設置法案について、中道改革連合を代表して質問いたします。(拍手)
まず冒頭、中東情勢に伴う物資の確保等について伺います。
厚生労働大臣に伺いますが、大病院と小さなクリニックで医療関連用の物資の逼迫度合いが違うのか、卸段階も含め、念のためあるいは値上がり期待で過剰な在庫を抱えていないか、また、例えば使い捨て手袋は介護や食品加工などでも大量に使われていますが、同じことが起きていないか、現在の状況をお答えください。
赤澤重要物資安定確保担当大臣に伺いますが、製造業もサービス業も農林水産業もプラスチックを使わない方が珍しいのですから、中東情勢の影響を受け得るあらゆる業界のサプライチェーン全体を通じ、どこで逼迫しているか、価格高騰していないか、念のためと値上がり期待の過剰在庫を抱えていないかなど、中東情勢の影響を受ける物資の需給と価格について広範な調査を至急行うべきではないでしょうか。
極端な供給不足や悪質な場合は国民生活安定緊急措置法等に基づく法的措置を取ることの検討、現行法で難しい場合には、第一次石油危機時には経済企画庁が関連法案を作ったように、内閣官房主導で法案も含めた制度的対応を検討すべきではないでしょうか。
高市総理に伺いますが、韓国大統領が既に行っているように、経済に悪影響のない範囲で、国民に節電、節約などの協力を求め始めるべきではないでしょうか。
高市総理、国民生活が危機にあるとの認識はありますか。緊急性のない国旗損壊罪や副首都法案より、第三次オイルショックともいうべき危機対応に専念すべきではないでしょうか。その優先順位についてお答えください。
国家情報会議設置法案について、以下、全て高市総理に伺います。
国家情報局が、各行政機関からの情報収集以外に、自ら直接、行政機関の外側からどのような情報収集をする機能を持つことになるのでしょうか。情報収集衛星始め、現行の内閣情報調査室、内調の持つ情報収集機能を超えて新たに加わるものはあるのでしょうか。そもそも、現行の内調が自ら直接行っている情報収集とは、どんな分野で、どのような対象に対して行っているのか、お答えください。
本法案施行前と後で、警察、公安調査庁を始め各行政機関が行える情報収集に関する事務で、新たに可能になるものはあるのでしょうか。特に、通信傍受法を適用して通信傍受することがあり得るのでしょうか。本法案施行後、より多くの情報関心、情報要求が政策部門から情報部門に対して示され、この要請に基づいて通信傍受が行われることがあり得るのでしょうか。
現行の内調や警察、公安調査庁の情報収集機能として加わるものが余りないとした場合、本法案の施行の前後で情報収集能力の強化につながる具体的な効果は、行政府内での情報疎通の向上以外にあるのでしょうか。行政府内での情報疎通の向上自体は有意義だと思われますが、本法案で新たに可能となる事務で、現行法の解釈上できないことはあるのでしょうか。第七条第二項で各府省の国家情報会議への情報提供が義務になることだけでしょうか。現行の内閣情報会議及び内調で具体的にできない、やりにくいことがあって、この法案が施行されればできるようになる具体的事実を挙げてください。
人権や自由の観点からの懸念について伺います。
先ほど自民党の質疑者からは、誤解とか間違った認識といった、やや決めつけたような発言がございましたが、その姿勢自体を懸念いたします。
国家情報会議及び国家情報局が、情報機関経由を含め、収集対象とする情報は、個人や民間企業、団体の持つ情報そのものも対象となり得ますか。また、行政機関が保有する個人や企業に関する情報、例えば警察が別の目的で収集した個人情報を、国家情報局が指示をして収集することはできますか。
これらの可能性があり得る場合、プライバシー、個人情報、企業秘密の保護の観点から懸念があり得ますが、これらの懸念に対する配慮については、法的にどのように担保されるのでしょうか。第三条に基づいて作成される基本的な方針に盛り込まれるのでしょうか。また、問題ないというのであれば、国民に対する説明責任はどのように果たされるのか、伺います。
国家情報会議が調査審議の対象とする重要情報活動とは、重要国政運営に資する情報の収集調査に係る活動をいうとされていますが、かなり広く読める定義であり、拡大解釈のおそれがあり得ます。例示されている、安全保障の確保、テロリズムの発生の防止、緊急の事態への対処以外の、その他の我が国の重要な国政の運営に該当する具体例を挙げてください。政府や与党に対する反対活動や野党の活動、選挙そのものや選挙運動に関する情報収集活動などは含まれないということでよいでしょうか。この点、曖昧な答弁では国民の理解は得られません。明確にお答えください。
国家情報会議及び国家情報局は、政治的に中立な活動しかできないということでよいでしょうか。政治的に中立でない活動をしていないことをどのように立証するのでしょうか。政治的中立性を外部からチェックする何らかの中立機関、あるいは国会によるチェックが必要ではないかとの意見もありますが、その必要性も含め、お答えください。
同じく、国家情報会議が調査審議の対象とする外国情報活動への対処も、かなり広く読める定義です。特に、国内における日本人の活動の中で、具体的にどのような活動が含まれ得るのでしょうか。過去に起きた具体的な事案の例示も含め、お答えください。
いわゆるスパイ防止法及び対外情報庁について伺います。
自民、維新の連立政権合意書においては、スパイ防止法に関し、令和七年に検討を開始し、速やかに法案を策定し成立させるとされていますが、今国会中又は今年中に法案を提出する予定はあるのでしょうか。
同合意書では、令和九年度末までに独立した対外情報庁(仮称)を創設するとされていますが、対外情報庁の創設について既に検討に着手しているのでしょうか。外国における武器の使用が困難である我が国の憲法上の限界を前提とした場合、現行制度上できませんが新たに可能となり得る活動とは何か、具体的にお答えください。
次に、政策と情報の分離について、まず会議体としての国家情報会議について伺います。
各府省の事務次官級による現行の内閣情報会議を大臣級に格上げすることで、具体的に何が変わるのでしょうか。むしろ、内閣情報会議は純粋な情報機関の統括であることが明確ですが、国家情報会議は大臣がメンバーになるため、政策と情報の分離の観点からは情報機関に政策が持ち込まれる可能性が高まる懸念にどう対応しますか。
政策部門たる国家安全保障会議、NSCと情報部門たる国家情報会議の関係についても、メンバーがほとんど共通であり、政策部門の意向で情報部門の仕事がゆがめられる、あるいはその逆のゆがみが起きやすくなることはないでしょうか。政策と情報の距離をどのように保つのか、伺います。
また、現行では、NSCや国家安全保障局、NSSが政策判断するに際し、内調を経ずに外務省や防衛省から直接情報収集するケースがほとんどだと思われますが、本法案施行後は、国家情報局で一旦情報を集約してNSSに伝えるルートと二ルートになるのでしょうか。両者の整理を御説明ください。
政策と情報の分離について、例えば、イランの核兵器開発がまだ続いているのかについて、米国では、上院の公聴会で国家情報長官が情報機関の情報をトランプ大統領に忖度して読み飛ばしたのではないかと問題になっています。
三月二日の予算委員会で、高市総理はイランに対して核兵器開発をやめることを強く求める趣旨を答弁していますが、核兵器開発が続いていることを裏づける何らかの情報があったのでしょうか。それとも、情報はないにもかかわらず、核兵器開発をやめるよう求めたのでしょうか。情報の内容について触れる必要はありませんが、お答えください。
民主的統制について伺います。
米国の上院、下院の情報特別委員会は全情報機関に対し強い監視機能を持ちますが、我が国では、衆参の情報監視審査会は、特定秘密及び重要経済安保情報の制度運用の監視のみしかできません。国家情報会議及び国家情報局が制度運用を適切に行っているかどうかは、外部からどうやって知り得るのでしょうか。国会が国家情報会議及び国家情報局に対し、制度運用を適切に行っているか監視できる制度が必要ではないでしょうか。
米国の国家情報長官は毎年詳細なレポートを公表しており、我が国でも、特定秘密保護法に基づき、政府は毎年国会への報告、公表が義務づけられ、情報監視審査会も毎年報告書を公表しています。国家情報会議は、定期的に報告書を作成、公表すべきではないでしょうか。
国家情報局の体制について伺います。
令和八年四月一日現在、内調の定員は何人ですか。令和八年度機構・定員要求の結果、本法案施行後、国家情報局長まで含めて何人増員になるのでしょうか。また、令和九年度以降、大幅な増員を検討しているのでしょうか。
情報監視審査会の設置に先立ち、アメリカ、イギリス、ドイツなど、各国のインテリジェンス機関の調査に同行した際、各国で共通して聞いたのは、インテリジェンス人材が各情報機関の間を大量に人事異動することで情報機関相互の信頼が高まり、情報疎通が向上することでした。警察庁、外務省、防衛省、公安調査庁などの間の人事交流を徹底して行うべきではないでしょうか。
終わりに、令和八年度予算案審議が異例の短さと集中審議や分科会の拒否を職権で強行したことを深く反省していただき、本法案は国会による丁寧な審議が特に必要な法案であり、内閣委員会における質疑では、少なくとも、重要広範法案として当たり前の前提である最低二十時間以上の質疑時間、参考人質疑と総理入りの質疑を当然行われることを強く求め、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕
○内閣総理大臣(高市早苗君) 後藤祐一議員の御質問にお答えいたします。
国民への節電、節約の協力と危機対応の優先順位についてお尋ねがありました。
高市内閣としては、現下の中東情勢を受けて、石油備蓄法に規定する、石油の安定的な供給を確保するため特に必要があるとの認識を持ち、いち早く石油備蓄の放出を決め、IEAによる国際協調備蓄放出の決定を積極的に主導しました。
現在、石油については、備蓄放出やホルムズ海峡を経由しない代替調達を通じて、日本全体として必要となる量は確保されております。
また、電力についても、ホルムズ海峡を経由する燃料への依存度は低く、安定供給に支障は出ておりません。
国内での流通過程において、公共交通や運送事業用の燃料や、工場や漁業、農業用の燃料が行き届いていないケースについては、情報提供窓口を設け、寄せられた情報にきめ細かく対応しております。
さらに、ナフサや海外で生産される石油製品由来の部材など、中東情勢に伴い供給制約を受ける可能性がある燃料以外の重要物資についても、安定供給確保のための政府横断的な体制を構築しました。
御指摘の、国民の皆様への節電や節約の御協力依頼については、資源に乏しい我が国においては、毎年、夏と冬のエネルギー需要が増大する時期に行っておりますが、今後とも、重要物資の需給や価格などについて、足下の状況を把握し、あらゆる可能性を排除せずに、臨機応変に対応してまいります。
危機対応の優先順位に関して、国旗損壊罪や副首都法案については、自由民主党と日本維新の会との連立政権合意書に基づき、現在、両党間あるいはそれぞれの党において精力的に御議論いただいている状況と認識しており、現下の中東情勢に対して政府として進めている取組との間で優先順位をつける関係にはございません。
内閣情報調査室及び国家情報局の情報収集並びに通信傍受法に基づく通信傍受についてお尋ねがありました。
現行の内閣情報調査室は、内閣法に基づき、内閣の重要政策に関する事項について情報の収集調査を実施しています。
本法案で設置する国家情報局は、現行の内閣情報調査室の情報収集に関する所掌事務を引き継ぐこととしており、また、国家情報局以外の行政機関を含め、本法案により、新たに情報収集機能を追加することはありません。
そして、本法案は、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律の改正を伴うものではありません。御指摘の、通信傍受を含む犯罪捜査は、犯罪があると思料するときに関係法令に基づいて必要な範囲で適切に行われるものであり、本法案によりその原則が変更されるものでもありません。
本法案による情報収集機能の強化についてお尋ねがありました。
我が国においては、これまで、情報活動に関し、政府全体を統括する見地から調査審議を行う閣僚級の会議体は存在していませんでした。
また、国家情報局が各省庁との総合調整を行うことにより、政府全体のインテリジェンスサイクルがより充実すると考えております。
国家情報会議が定める基本方針の下、国家情報局が総合調整を行うことで、集約される情報の質、量共に向上し、政策部門に提供されるインテリジェンスが向上する価値は高いと考えております。
国家情報会議及び国家情報局が取り扱う情報についてお尋ねがありました。
関係行政機関が保有する個人情報等は、関係法令に基づき適切に取り扱われることは当然であり、本法案によっても、そのことに変わるところはありません。
また、本法案において、国家情報局は重要国政運営に資する情報の収集活動等に関する総合調整を関係省庁に対して行いますが、この重要国政運営の例示として、安全保障の確保、テロの防止及び緊急事態への対処を掲げているとおり、こうした国民の皆様の安全や国益を守っていく上で必要な総合調整を行うものでございます。
なお、国家情報局がこのような観点に全く基づかない指示を関係省庁に行うことはなく、また、その必要もないことから、国家情報局が国民のプライバシー等を無用に侵害するようなことはありません。
これらのことについては、本法案の国会審議においても説明を尽くしてまいります。
重要国政運営及び政治的中立性についてお尋ねがありました。
本法案の重要国政運営のうち国政という言葉は、対外政策や安全保障政策、行政全般や財政運営などを示すものと考えており、重要国政運営は、それらの政策や制度、あるいはその運用の中で重要なものということです。
また、民主主義の根幹を成す選挙において、例えば、外国勢力が偽情報の拡散を含む影響工作を行うことは、国家の安全や国益を揺るがす脅威になり得るものです。その手口や実態を解明することは、外国情報活動への対処のみならず、重要情報活動としての側面を持ち、国家情報会議の調査審議事項となるものと考えています。
他方、選挙であってもなくても、外国勢力によるものでない、我が国の市民団体等の活動については、調査審議事項にはなりません。
いずれにしても、本法案は、政府全体の情報活動を俯瞰する立場から、国民の安全や国益の確保に資する情報の戦略的な収集、集約、分析を図るものであり、情報の政治利用の危険性を高めるものではありません。
なお、政府の中長期的な情報活動の推進方策を取りまとめた文書を作成し、公表するなど、政府の情報活動について御理解をいただくための取組についても検討してまいります。
外国情報活動への対処の具体例についてお尋ねがありました。
外国情報活動への対処とは、公になっていない情報のうち、その漏えいが重要国政運営に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動であって、外国の利益を図る目的で行われるものへの対処をいい、これに該当するものであれば、活動の場所や国籍を問わず、会議の調査審議の対象となり得ます。
外国情報活動への対処の詳細をつまびらかにすることは控えますが、例えば、過去には、外国勢力が日本企業の重要な情報を不正に入手したとして不正競争防止法違反で摘発された場合において、その共犯者が日本人であった事例もございました。我が国の世論形成や政策決定を自国に有利なものとするために行う偽情報の拡散などの諸工作に対処することも、外国情報活動への対処に当たり得ます。
対外情報庁などの検討についてお尋ねがありました。
連立政権合意書に記載された政策については、お尋ねの、現行制度上できないが新たに可能となり得る活動といったことも含め、短期間で結論を得られる課題ばかりではないことから、現時点においてその検討状況などをお示しできる段階にはございませんが、今後、様々な方々に御意見を伺いながら、丁寧に検討を進めてまいります。
国家情報会議への格上げや、情報機関に政策が持ち込まれることへの懸念についてお尋ねがありました。
まず、国家情報会議への格上げについては、事務次官級で構成される内閣情報会議を、総理を議長、閣僚を議員とした国家情報会議に格上げすることで、政治のリーダーシップをより一層発揮しながら、新たに政府全体の情報活動に関する基本方針などを定めてまいります。
また、情報部門と政策部門の双方を同じ大臣が所管することは現在もありますが、それぞれの大臣の指揮監督の下で適切な情報活動が行われていると認識しております。
本法案により、専ら情報評価などを行う会議体が設けられ、政策と情報を分けて議論する仕組みが整備されることは、情報の客観性の確保という点においても大きな意義があると考えております。
政策部門と情報部門の関係や、国家安全保障局などに対する情報提供についてお尋ねがありました。
政策部門と情報部門は相互に干渉し過ぎないように活動することが重要であり、政策部門への配慮により報告すべき情報が報告されなかったり、情報部門の意向で政策がゆがめられるといったことがあってはならないことは当然であると考えております。
情報部門と政策部門の双方がそれぞれに期待されている機能を十全に発揮することが重要であり、その運用には十分配慮してまいります。
また、本法案については、法の施行後も、国家安全保障会議及び国家安全保障局が、国家情報局からのみならず、関係行政機関からも直接資料又は情報の提供を受けることに変わりはございません。
国家情報局を経由しない情報は例えば外交交渉の進捗などといった政策に係るもの、国家情報局が提供するのはインテリジェンスコミュニティーから集約して分析したものというように、質的な違い、これはあり得ますが、いずれも必要なものと考えております。
イランの核開発に関してお尋ねがございました。
我が国の情報収集能力に関する事柄についてはお答えいたしませんが、その上で申し上げれば、イランは、IAEAの査察を完全には受け入れておらず、原子力の平和的利用への限定について説明責任を果たしていません。
イランによる核兵器開発は決して許されないというのが我が国の一貫した立場であり、イランに対しても、米国との協議や、国際原子力機関、IAEAとの完全な協力を求めてまいりました。
我が国としては、今後もイランに対し一層の透明性向上を求めていく考えです。
三月二日の衆議院予算委員会においても、こうした我が国の立場に基づいてお答えをいたしました。
制度の適切な運用を監視するための方策についてお尋ねがありました。
本法案は、行政機関相互の関係を律するものであり、国民の権利義務に直接関わるような権限の強化等を行うものでないことから、国会の関与について新たな規定を設けることはしていませんが、閣僚級の国家情報会議が情報活動の基本方針などを定める仕組みが整備されることは、政府の情報活動に対する民主的統制の強化に資するものと考えております。
先ほど申し上げたとおり、政府の情報活動について御理解をいただくための取組についても検討してまいります。
内閣情報調査室の定員や人事交流などについてお尋ねがありました。
三十五名の定員増などを含む令和八年度予算案をお認めいただいた際には、内閣情報調査室の定員は五百三十七名となります。
情報機能強化のための令和九年度以降の体制整備の方針は、今後の検討事項であり、現時点でお示しできることはございません。
国家情報局と関係省庁との人事交流については、各省庁で培われた多様な専門的知見を生かすとともに、相互理解を深めるといった観点から有意義であると考えており、積極的に実施をしてまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣上野賢一郎君登壇〕
○国務大臣(上野賢一郎君) 後藤祐一議員の御質問にお答えをいたします。
中東情勢に伴う医療関連物資等の確保についてお尋ねがありました。
業界団体を通じた需給状況の一斉調査を行ったところ、現時点においては、卸の段階で医療関連物資の在庫が大きく変動しているという報告はございません。
また、医療機関については、まずは病院について医療関連物資を対象とした定点観測を行っており、現時点では、当面の必要量に見合う量以上の在庫を確保することにしたといった報告は受けておりませんが、今後は、調査対象を拡大し、使い捨て手袋を始めとした、介護など他の分野でも使用が想定される物品も含めて、安定供給に関する積極的な情報収集を行ってまいります。
その上で、厚生労働省としては、必要な物資を適切に患者へ届けられるよう、医療機関及び供給業者団体の双方に対し、必要量に見合う量の受注、発注、適切な対応への協力を依頼をしたところであります。
三月三十一日には、私と経済産業大臣を本部長とする中東情勢の影響を受ける医薬品・医療機器・医療物資等の確保対策本部を立ち上げており、懸念の解消に向けて、国民の命、健康を守るため、引き続き対策に取り組んでまいります。(拍手)
〔国務大臣赤澤亮正君登壇〕
○国務大臣(赤澤亮正君) 後藤祐一議員の御質問にお答えをさせていただきます。
中東情勢の影響を受ける物資の調査と法的措置による対応についてお尋ねがありました。
石油備蓄の放出や各国からの代替調達を通じて、原油や石油製品について、日本全体として必要となる量は賄われており、現時点で我が国の石油需給に影響は生じていないと認識をしております。
他方で、足下では一部で供給の偏りや流通の目詰まりが生じているとの認識の下、経済産業省に情報提供窓口を設けており、経済産業省が所管する工業用燃料に限らず、医療、交通、農業を含め分野横断で、需要家の皆様からの情報も踏まえ、他の流通経路からの融通支援をきめ細かく実施をしております。
また、燃料価格についても、全国約二万七千か所のガソリンスタンドに対する電話調査を、従来は月一回程度であったものを、月二回に頻度を上げて実施をしております。
現時点でも、原油や石油製品について、日本全体として必要となる量は賄われており、国民生活安定緊急措置法や石油需給適正化法を適用する前提となる、生活関連物資等の供給が不足することにより国民生活の安定が著しく阻害されるおそれがある状態や、石油の大幅な供給不足が生じるおそれがある状態に至っているとは考えておりません。
私の下で内閣官房に中東情勢に伴う重要物資の安定的な供給確保のためのタスクフォースを設置し、石油製品・関連製品を始め、中東情勢の影響を受ける重要物資の供給状況を総点検するとともに、重要物資の安定確保のために、事態の長期化も見据え、あらゆる可能性を排除せず、対応を検討してまいります。(拍手)
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○議長(森英介君) 浦野靖人君。
〔浦野靖人君登壇〕
○浦野靖人君 日本維新の会の浦野靖人です。
日本維新の会を代表し、ただいま議題となりました国家情報会議設置法案について、全て高市早苗内閣総理大臣に質問いたします。(拍手)
本法案は、インテリジェンスの司令塔として、総理を議長とする国家情報会議と実務を担う国家情報局を置くものであり、また、自由民主党、日本維新の会連立政権合意書に、令和八年国会において創設するものと明記されている内容であります。現在の世界情勢を踏まえれば、インテリジェンスに関する国家機能の向上は必須であり、本法案の今国会での成立を強く望むところです。
そこで、まず、本法案の必要性を国民の皆様へ是非お話しください。その上で、今国会での本法案の成立に向けた強い決意をお聞かせください。
本法案に対しては全く異議のないところですが、本法案はいわば器をつくるものです。器をつくるだけではインテリジェンス機能の強化はされず、実を上げる様々な対応が必要となります。
インテリジェンス政策の強化のためには、三つの権限を新たに付与することが重要です。
第一に、国家のインテリジェンス活動は、情報要求から始まり、インテリジェンスサイクルを恒常的に回転させることが不可欠です。したがって、内閣総理大臣に情報要求権を付与することが重要です。
第二に、国家情報局の統括権限強化が必要な点に鑑み、内閣情報調査室に付与されている連絡調整権を改め、国家情報局に総合調整権を付与することが必要です。
第三に、その実効性担保措置として、内閣総理大臣に情報アクセス権を付与せねばなりません。インテリジェンスコミュニティーの各個別機関は、情報アクセス権に基づく求めに応じ、情報を提供することになります。
これら三つの情報要求権、総合調整権及び情報アクセス権について、本法案ではどのように整理されているのか、見解をお伺いします。
国家情報局は、関係省庁から情報を提供させる権限を持つことになりますが、省庁の縦割りを実質的になくすには国家情報局の人事も鍵となります。特に、国家情報局長は特定の省庁の指定席のようになることは避けるべきです。
我が党が今月公表した提言、二十一世紀の国家安全保障とインテリジェンス構想においても、自民党の提言にも、国家情報局長は特定の省庁出身者の指定席とせず、インテリジェンスコミュニティー全体からインテリジェンス活動の経験豊富な人物を任命せねばならないと明記しております。
そこで、国家情報局の局長を始めとする人事方針を具体的にお示し願います。
内閣には、外交、安全保障政策の司令塔として国家安全保障会議があり、その事務局である国家安全保障局も重要情報を扱っていますが、国家情報局との間で情報が錯綜して政策判断を誤ることがあってはなりません。政策部門と情報部門の分離を徹底せねばなりません。国家情報局と国家安全保障局の二つの組織の役割分担と緊密な連携方法について、具体的な説明を求めます。
本法案に関して、国民の皆様の中には懸念があるとの一部の指摘を聞くところです。日本維新の会は本法案を強く支持する立場でありますが、国民の皆様が抱くかもしれない疑問や懸念に対応し、適切に説明を尽くすことも政治の役割であると認識しています。政府には、可能な範囲で国民の皆様が抱くかもしれない疑問や懸念に対応することを要望しておきます。例えば、情報機関の権限拡大は国民の監視の強化やプライバシーの侵害につながるや、表現の自由の侵害につながるというお声などです。
そこで、そういったお声などについて、全く問題がないことの理由を一つ一つ説明をお願いします。
本法案はインテリジェンス機能強化の第一段階であり、当然、今後より一層の対応が必要になります。
自民党と日本維新の会の連立政権合意書では、インテリジェンスについて具体的な達成時期を明記した合意が複数あります。高市総理は、令和三年の自民党総裁選以来、インテリジェンス機能の強化を公約にされ、また、さきの衆議院解散を表明した一月十九日の記者会見では、インテリジェンス機能の強化を日本の国の根幹に関わる重要政策の大転換の一つに挙げられました。まさに自民党と日本維新の会の連立政権合意書の内容そのものであり、大いに期待するところであります。
更なるインテリジェンス機能強化の展開について確認したいと思います。
まず、我が国として初のインテリジェンスに関する国家戦略となる国家情報戦略の策定方法と策定スケジュールをお示しください。
次に、令和七年中に検討を開始すると合意書にあるインテリジェンス・スパイ防止関連法案について、これまでの検討内容の報告を求めます。
いわゆるスパイ防止法、すなわち外国勢力に対する防諜法規の制定については、現行の法律で対応できない領域は存在するのか、存在するのならば現行法の改正で対応可能なのか、それとも新法が必要なのか、十分な検討が求められます。令和八年度中に行う具体的な対応をお示しください。
我が国は、国家のインテリジェンス活動そのものを規定する法律が存在しません。情報の分析、情報要求、情報収集、情報処理、情報分析及び情報伝達にわたるインテリジェンスサイクルを恒常的に回転させることを任務として政府に課しつつ、当該活動の範囲についてもネガティブリストで定義づける等、国家として明確な意思を法律で定めることが重要です。
そのために、連立合意書に基づき基本法が定められることになっております。我が党が今月公表した提言、二十一世紀の国家安全保障とインテリジェンス構想においても、情報活動基本法の制定を提言しました。自衛官の活動に対して基本法的性格としての自衛隊法があるように、情報要員の活動に対しても情報活動基本法が必要だと考えます。連立合意書に基づくインテリジェンス分野における基本法について、お考えを伺います。
政府が防諜活動を行うに当たり、我が国国内において誰が外国勢力の利益を代表する者であるのか、公的に特定及び認識することが困難な状況にあります。
外国政府及び国外の組織及び企業などの利益のために国内で政治的又は宣伝的な活動を行う者を透明化することを目的とした外国人代理人登録法と、外国人登録法の前段階として、国会及び政府等に対するロビー活動を透明化し、政治に対する国民の信頼を確保することを目的としたロビー活動公開法については、早急な法案策定を求めるところであります。外国代理人登録法とロビー活動公開法は、法体系として一対であります。法案策定の方法やスケジュールをお伺いいたします。
令和九年度末までに創設すると明記した独立した対外情報庁(仮称)について、創設に向けて令和八年度は何を対応するのか、報告を求めます。
同じく、令和九年度末までに創設すると明記した省庁横断的な情報要員の養成機関については、創設に向けて令和八年度はどんな対応をする予定なのか、お伺いいたします。
以上のものは、全て連立政権合意書に約束期限が明確になっています。目標期限どおりの対応を強く進めていかなければなりません。高市総理におかれましては、間違いなく連立政権合意書にある期限の約束を守っていただけるものと信じております。連立政権合意書に基づき、戦後八十年にわたり劣位に置かれてきたインテリジェンス政策について、高市総理のおっしゃる日本の国の根幹に関わる重要政策の大転換を共に成し遂げようではありませんか。
昨今の国際安全保障環境の悪化は情報の軽視を許しません。我が国に対して非友好的かつ核保有国である大陸国家群が連携を深化させ、脅威が増大しています。同盟国及び同志国との連携を通じて我が国の安全保障を確保するためには、国力発露の手段で欠落している情報面の強化、すなわち国家の羅針盤たるインテリジェンスに関する国家機能を強化することが必須であることを改めて申し上げ、私の質問を終わります。
御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕
○内閣総理大臣(高市早苗君) 浦野靖人議員の御質問にお答えいたします。
本法案の必要性についてお尋ねがございました。
複雑で厳しい国際環境においては、より質の高い、時宜にかなった情報を基に、政府として的確な意思決定を行うことが重要です。
国民の安全や国益の確保に資する情報を戦略的に収集、集約、分析していくためには、各省庁が行う情報活動について基本方針を定め、その活動について俯瞰的な立場から総合調整を行う機能を強化することが極めて重要です。
本法案により、国家情報会議とそれを支える国家情報局を設置し、インテリジェンスの司令塔機能を強化することにより、危機を未然に防ぎ、国民の安全や国益を戦略的に守る取組を強化してまいります。
いわゆる情報要求権、総合調整権及び情報アクセス権についてお尋ねがありました。
本法案では、各省庁に対し、国家情報会議の議長である総理大臣からの求めに応じ、資料や情報を提供する義務を規定するとともに、国家情報局が政府全体の情報活動を俯瞰する立場から総合調整を実施するための規定を設けています。
これらを通じ、各省庁の保有する情報がより多く集約され、総合的な分析機能が強化されると考えております。
国家情報局の人事方針についてお尋ねがありました。
国家情報局長は、官邸直属の情報機関のトップとして、総理や官房長官へのブリーフィング、外国の情報機関トップとの連携といった役割を担うほか、新たに、国家情報会議で決定する情報活動の基本方針などの企画立案、各省庁に対する総合調整といった役割を的確に行うことが期待され、情報活動や我が国の情報コミュニティーに精通していることが求められます。
国家情報局長を始め、こうした重要な業務を行う職については、これまでの経験を踏まえつつ、人物本位、能力本位で任命することが重要だと考えております。
国家安全保障局と国家情報局の役割分担や連携方法についてお尋ねがありました。
国家安全保障局は、国家安全保障に関する外交、防衛、経済政策などの企画立案、総合調整を行う政策部門でございます。
一方、国家情報局は、自ら内閣の重要政策に関する情報の収集調査を行うとともに、各省庁が収集した情報も集約して総合分析を行い、これを国家安全保障局を含む政策部門に提供する情報部門でございます。
このように、両機関は明確に役割分担されるとともに、国家情報局は国家安全保障局などの政策部門の的確な意思決定を情報面でサポートすることを通じ、両者が緊密に連携して活動を行うこととなります。
本法案に対する懸念についてお尋ねがございました。
まず、本法案は、インテリジェンスの司令塔機能を強化すべく、行政機関相互の関係を律するものであり、国家情報会議や国家情報局に対し、新たに情報活動の権限を付与するものではございません。
また、現在、各省庁が行う情報活動は所管の大臣の指揮監督の下、適切に行われておりますが、これは本法案によっても変わるものではございません。
本法案により、国民の監視の強化やプライバシーの侵害につながる、表現の自由の侵害につながるといった御懸念は当たらないと考えております。
国家情報戦略及び連立政権合意書にあるインテリジェンス・スパイ防止関連法案についてお尋ねがございました。
名称を国家情報戦略とするかどうかは未定ですが、国家情報会議において、政府の中長期的な情報活動の推進方策を取りまとめた文書を作成し、公表することを検討してまいります。
また、外国勢力が我が国の意思決定に不当に干渉するリスクへの対応も重要な課題だと認識しております。
そうした活動を阻止するための仕組みを含めた関連施策については、短期間で結論を得られる課題ばかりではないことから、立法措置の必要性を含め、その検討状況などをお示しできる段階ではございませんけれども、今後、様々な方々に御意見を伺いながら、与党と緊密に連携しつつ、丁寧に検討を進めてまいります。
インテリジェンス分野における基本法についてお尋ねがございました。
情報活動の基本的な方針を定めることは重要な視点だと受け止めております。
今後進めていくことになるインテリジェンス機能の強化に向けた全般的な検討の中で、立法措置の必要性についても、与党とも緊密に連携しながら、丁寧に検討を進めてまいります。
外国人代理人登録法やロビー活動公開法についてお尋ねがありました。
先ほども申し上げましたとおり、現在、関連する課題や論点を整理しているところでございます。与党とも連携し、様々な方々に御意見を伺いながら検討を進めてまいります。
対外情報庁や省庁横断的な情報要員の養成機関についてお尋ねがありました。
昨今の複雑で厳しい国際環境においては、政府の対外情報機能を充実させるとともに、情報要員の組織的な養成を着実に進めていくことが重要でございます。
そのため、体制面の検討はもとより、情報収集の手段やそれに合わせた人材育成など、重要な課題が多くあると認識しております。これらを総合的に検討しなければならないと考えております。
国家としての情報力を高め、危機を未然に防ぎ、国民の安全や国益を戦略的に守るため、インテリジェンスに関係する様々な施策をしっかりと進めてまいります。(拍手)
〔議長退席、副議長着席〕
―――――――――――――
○副議長(石井啓一君) 橋本幹彦君。
〔橋本幹彦君登壇〕
○橋本幹彦君 国民民主党・無所属クラブの橋本幹彦です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました国家情報会議設置法案について、高市総理に質問します。(拍手)
本法案は、我が国のインテリジェンスに関する改革の一環として提出されています。そもそも、インテリジェンスとは、国と国民の安全を守るための施策の一つであり、安全保障の施策の証拠となる情報の収集、整理、分析及び活用を行うものです。安全保障のための施策は、時の政権の思いつきで行われるべきものではありません。的確な情報に基づき確かな施策を実行することは、複雑化する国際情勢において、国と国民の安全を守るために必須です。
しかしながら、我が国において情報収集活動はこれまで個別の政策に従属するものと位置づけられてきました。インテリジェンスコミュニティーのコアメンバーとされる省庁においても、警察庁は法執行政策のため、外務省は外交政策のため、防衛省は防衛政策のため、公安調査庁は団体規制のためといった、それぞれの所掌の中での情報収集にとどまっており、日本と世界全体を見渡し、国と国民の安全を守るために専らインテリジェンスを行う機関は存在しません。ゆえに、私も、抜本的なインテリジェンス改革は不可欠であると考えます。
我が国は、インテリジェンスをめぐる手痛い失敗を経験してきました。改革は過去の教訓に依拠して考えなければ、真に実効性のある対策を取ることができません。
昭和五十年代に立て続けに北朝鮮による拉致を許し、さらに、その認定までに多くの歳月を要した政府の対応は、インテリジェンスの活用に政治が失敗した例と言えます。
この失敗の教訓は何かと政府に尋ねると、拉致被害者全員の帰国が実現していない段階で明らかにすることは今後の対応に影響を及ぼしかねないとの答弁が繰り返されてきました。確かに、拉致被害者全員の帰国が実現していないという意味では継続中の事案です。他方で、政治とインテリジェンスの関係については、今日にも通底する教訓を秘めています。
この事案に関係した日本側の資料や知見が失われる前にこれらを整理し検証を行い、拉致被害者全員の帰国実現に支障を及ぼさぬ範囲でこれを国民に公表することが、インテリジェンス改革の出発点になるのではないでしょうか。民主主義を重んずる社会において、国民からの信頼なくして的確なインテリジェンスは成り立たないからです。
総理に伺います。国家情報会議を設置する今こそ、北朝鮮による拉致を結果として許した政府や政治の対応を始めとする我が国のインテリジェンスをめぐる失敗について、政府として歴史的な検証を行い、可能な範囲で国民に公表すべきではありませんか。
次に、総理のインテリジェンス改革の全体像について伺います。
高市総理が昨年十月に署名した自由民主党と日本維新の会との間の合意書をひもときますと、総合的なインテリジェンス改革として次の三点が明記されています。第一に、今国会において国家情報会議等を設置すること。これがただいま説明のあった法案です。第二に、来年度、令和九年度末までに独立した対外情報機関や情報要員の養成機関を創立すること。第三に、昨年、令和七年には、基本法、外国代理人登録法及びロビー活動公開法など関連法制について検討を開始し、速やかに法案を策定し成立させること。
これらが高市内閣におけるインテリジェンス改革の全貌であるとすれば、本法案の審議に当たり、総理から直接、国民の代表者が集う国会を通じて、その全体像を国民に説明していただく必要があります。
総理に伺います。本法案の先にある対外情報機関の創設や基本法等の法整備について、総理は、現在、いかなる展望と工程表をお持ちでしょうか。
適切なインテリジェンスは国民の利益を実現します。しかし、そのための所要の理念と留意点もあります。
国民民主党は、国民の人権と自由の尊重、国家の存立と主権の防衛、インテリジェンスの最前線で活動する者の保護という議論の三本柱を立て、有識者から三十時間ヒアリングして、昨年十一月、改革の全体像をプログラム規定とし、あわせて、その際の理念や留意点を明記したインテリジェンス法案を本院に提出しました。
インテリジェンス法案は、これまでのインテリジェンス改革やスパイ防止法をめぐる議論で光の当たらなかったこの三本柱に光を当て、声なき声を形にしたものです。我が国で初めて法案においてインテリジェンスを定義するとともに、国会による民主的統制や政治的中立の確保など、その実施に当たっての理念や留意点を明確にした画期的な立法です。
もし、政府・与党が真っ正面からインテリジェンス改革を行う覚悟があるのなら、理念と留意点も含め広く国民に理解を求めながら、堂々と議論を闘わせ、改革を進めるべきです。安全保障に右も左もありません。国民民主党は、真っ正面からインテリジェンス改革を訴え、その実現のために力を尽くします。国民とともに、真の改革を進めようではありませんか。
国家情報会議設置法案は、これから委員会に付託されることとなります。総理には、この充実した審査に協力することはもちろんのこと、総裁として充実した審査の実現を自民党に指示することを求めます。国民の理解と信頼なくして的確なインテリジェンスは決して成り立たないからです。
総理、国民民主党が提出したインテリジェンス法案の内容も踏まえながら、国会において熟議を尽くしていただけないでしょうか。
インテリジェンス法案に盛り込んだ留意点は、国家情報会議設置法案には十分に盛り込まれていません。インテリジェンス改革を行うに当たって特に重要と信ずるため、以下六点、質問します。
第一に、国会による民主的統制について伺います。
諸外国では、議会がインテリジェンス機関を監視する委員会を持つことが一般的です。例えば英国では、情報保安委員会が、情報機関の支出、運営、政策のみならず、作戦の精査や監督を行っています。
日本には、特定秘密保護法等の運用を常時監視する情報監視審査会が国会に設置されていますが、実際に開示される情報は限定的で、実態的な監視にはほど遠いとの指摘もあります。そもそも、情報監視審査会は、政府のインテリジェンス活動全般を監視する設計になっていません。
総理は、本年二月二十四日、本院において、小川淳也議員の質問に対して、基本方針の策定を通じて政府の情報活動が国民にとって理解しやすくなるよう努める旨を答弁しましたが、政府による一方的な説明のみでは、国会による民主的統制とは言えません。
総理に伺います。インテリジェンス改革に当たり、国会に対する定期報告や関係委員会の機能強化、第三者の関与による歴史的検証など、国会による民主的統制の枠組みをどのように想定されているでしょうか。既存の情報監視審査会の機能強化や対象拡大を含め、具体的な検討状況をお示しください。
第二に、インテリジェンスに対する歴史的な検証について伺います。
本法案は、会議に出席した大臣ら政治家に秘密保持義務を課しています。秘密保持は当然重要です。一方で、秘密を理由に意思決定のいきさつや失敗の教訓が永久に闇に葬られるなら、我が国の安全保障は長期的に弱体化します。過去の施策の検証ができず、国民からの信頼も失われるからです。
平成十五年、米英等の有志連合は、イラクが大量破壊兵器を保有しているとの誤った情報に基づき、イラク戦争を始めました。英国では後に、バトラー報告書によってこの失敗が厳しく検証され、インテリジェンス改革につながりました。
総理に伺います。歴史的検証の重要性について、いかにお考えですか。また、国家情報会議の議事運営について、会議録や議事要旨、決定文書の作成や保存をどのように担保するのか、作成された記録を将来の検証に資する形で、どの程度の期間、いかなる制度に基づいて管理するのか、公開可能な範囲で年次報告や適時開示など国民への説明を行う考えはあるか、お答えください。
第三に、インテリジェンスの政治化の防止です。
国家情報会議の議長は総理です。政治主導でインテリジェンスを意思決定につなぐ司令塔の強化は重要です。しかし、同時に、都合のよい情報だけが上がる、反対情報が握り潰されるといったインテリジェンスの政治化の危険も懸念しなければなりません。制度は、善意を前提にしてはなりません。悪用が困難な仕組みこそ、国民を守り、官僚を守り、現場の関係者を守るのです。
総理に伺います。インテリジェンス情報が政治的に中立であることを担保するために、例えば、分析部門の独立性確保、異論や反対見解の記録、重要判断のレビュー、政権交代時の継続性など、どのような制度設計を行いますか。国会による検証が可能となる制度の在り方について御説明ください。
第四に、客観性の担保です。
大川原化工機をめぐる冤罪事件は、法執行機関が立件という政策目的ありきで情報収集に走った結果起きた悲劇です。インテリジェンスを行うに当たっては、政策と情報収集との分離を徹底し、客観的な分析を担保しなければなりません。
総理に伺います。国家情報会議が扱う情報と、警察、検察の捜査情報、防衛政策、外交政策などの判断をどのように整理し、相互の不適切な干渉を防ぎ、検証可能性を確保しますか。大川原化工機事件の教訓を制度と人材教育にいかに反映させますか。
第五に、手法の拡充です。
インテリジェンスは、組織図を書き換えるだけでは強くなりません。公開情報、オシント、衛星情報などの画像情報、イミント、通信情報、シギント、そして人的情報、ヒューミントなど、多様な情報源や分析の質、そしてこれを支える人材が必要です。また、衛星情報、サイバー、経済安全保障、危機管理といった、分野横断の分析が今後ますます重要になることは言うまでもありません。
総理に伺います。インテリジェンス改革を通じて、各手法は具体的にどのように拡充され、インテリジェンス情報の質を向上させるのでしょうか。また、手法の拡充に当たって、職員に求められる資質としてどのような人物像を定め、いかなる倫理観を持たせるのでしょうか。
第六に、インテリジェンス関係者の安全の確保です。
特に、人的情報、ヒューミントに関わる要員は、その身を危険な現場にさらして国のために活動します。家族なども含めた彼らの安全を確保し、万が一の際の保護や補償を行う法的な枠組みを用意することは、国家の当然の責務です。
総理、インテリジェンス改革を通じて、現場で活動する最前線の職員の安全確保について、政府としてどのような保護規定や支援体制を想定しているのか、お答えください。
ところで、総理、この国家情報会議設置法案は、いわゆるスパイ防止法なのでしょうか。
昭和六十年、中曽根政権下において、自民党は議員立法として、国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案、いわゆるスパイ防止法案を本院に提出しました。最高刑は死刑又は無期懲役とされながらも、民主的統制の仕組みや、一定期間経過後に情報を公開する三十年ルールなどの歴史的検証の仕組みが抜け落ちていました。結果として、国民の知る権利を侵害するとして国内世論が沸騰し、廃案となりました。
我が国でスパイ防止法という言葉を用いるとき、国民の頭にはこのときのイメージがよぎります。確かに情報保全は重要です。しかし、スパイを防止するという言葉のニュアンスは、逮捕や摘発といった司法的措置、法執行的な措置が強くにじみます。真のインテリジェンスの目的は、単に国内でスパイを逮捕することではなく、国家の脅威となる情報を未然に察知し、安全保障の施策に生かすことにあります。
総理に伺います。今回設立される国家情報会議及び一連のインテリジェンス改革は、かつて国民の強い懸念を招いた昭和のスパイ防止法の焼き直しではなく、また罰則といった司法的措置を主眼とするものでもなく、我が国の安全保障のための施策とその客観的証拠の提供という、本来的な意味でのインテリジェンスの実現のための改革という理解でよいでしょうか。
また、一部に、日本にはスパイ防止法がないためにスパイ天国であるとの巷説がありますが、これには多分に誤解が含まれています。
我が国の情報保全法制としては、安全保障上の秘密保全については特定秘密保護法、装備品に関する情報保全については防衛産業基盤強化法、経済安全保障の観点については重要経済安保情報保護活用法が既に存在します。また、国の安全保障の施策ではありませんが、いわゆる産業スパイに関しても不正競争防止法や外為法が存在しています。
日本におけるスパイ防止や情報保全に関する法制の現状について、総理はいかに御認識されているでしょうか。自民党と日本維新の会との合意にあった基本法、外国代理人登録法及びロビー活動公開法の必要性と併せて御説明ください。
最後に、既存の業務の見直しについて伺います。
国家情報会議が設置された後、現在の内閣情報調査室が持つ情報収集機能はどのように継続、あるいは再編されるのでしょうか。国会に身を置いていると、内閣情報調査室の職員の活動をかいま見ることがあります。各政党や政治家がいかなる方針であるのかの情報を収集することは、国の安全保障を担保することとは趣旨が異なります。破壊活動防止法に基づく団体規制を行う公安調査庁を含め、既存の情報機関の役割や所掌の見直しは行われるのでしょうか。
既存のインテリジェンスコミュニティーをいかに再編し、機能を強化していくのか、総理の具体的なビジョンをお聞かせください。
インテリジェンスは、国と国民の安全を守る盾であると同時に、民主主義にとっては最も慎重な統制を要する強い力でもあります。過去の失敗の検証、教訓の導出と国民への説明、国会による民主的統制、政治的中立、国民の自由と権利の尊重、インテリジェンスの最前線で活動する者の保護、これらを伴わない改革は、インテリジェンスを盾ではなくおりにするものであり、むしろ国と国民の利益を損ねます。
議論の三本柱に基づき、声なき声に耳を傾ける困難な作業に本院が本腰を入れて取り組むことで、組織づくりにとどまらない、本質的なインテリジェンス改革が実現します。与野党を超えた熟議を強く訴え、私から総理に対する会派を代表した質問といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕
○内閣総理大臣(高市早苗君) 橋本幹彦議員の御質問にお答えいたします。
拉致問題に対する政府のインテリジェンスの検証についてお尋ねがありました。
関係機関における過去の教訓を政府内で改めて確認し、それを将来に確実に生かしていくことは、私としても重要であると受け止めております。
拉致問題については、拉致被害者の御帰国が実現していない現時点において、過去の教訓事項をどこまで明らかにできるかは十分慎重に判断しなければなりませんが、インテリジェンス機能の強化ヘの取組の中で、過去の教訓を将来に生かすという視点は大事にしたいと考えております。
自由民主党と日本維新の会の連立政権合意書に盛り込まれた対外情報庁の創設などについてお尋ねがございました。
連立政権合意書にある対外情報庁の創設、また基本法の整備などその他の施策につきましては、関連する課題や論点を整理しているところでございます。現時点でその検討状況などをお示しできる段階ではございませんが、様々な方々から御意見を伺いながら、丁寧に検討を進めてまいります。
国会での御審議の在り方についてお尋ねがありました。
御党が提出された法案に関し、政府として言及することは控えますが、今後の国会審議においては、国家情報会議設置法案の必要性などについて、私どもも丁寧に説明をしてまいります。
インテリジェンス機関に対する民主的統制についてお尋ねがありました。
本法案は、閣僚級の国家情報会議が各省庁の情報活動の基本方針を定めることなどを内容とするものであり、政府の情報活動に対する政治による監督の強化、すなわち民主的統制の強化に資するものと考えております。
なお、本法案は、主に行政内部のやり取りに関する規定の整備を図るものであり、国民の権利義務に直接関わるような権限の強化を内容とするものではないことから、お尋ねの国会による関与について、新たな規定を設けることとはしておりません。
インテリジェンス機能の強化に関する本法案以外の施策については、関連する課題や論点を整理しているところですから、様々な方々から御意見を伺いつつ、丁寧に検討を進めてまいります。
インテリジェンスに関する歴史的検証や、国家情報会議の議事運営についてお尋ねがございました。
一般論として、行政機関における意思決定に至る過程を跡づけ、検証できるようにすることは重要であり、このことは政策判断を支える情報分野においても同様であると考えております。
国家情報会議における議事の記録につきましては、公文書管理法などのルールにのっとり、適切な管理、取扱いを行ってまいります。
その他の議事運営につきましても、機微な内容に関わる事柄であることも踏まえつつ、国家情報会議において適切に検討をしてまいります。
国家情報会議の政治的中立性の確保などについてお尋ねがありました。
国家情報会議は、国民の安全や国益の確保に資する情報の戦略的な収集、集約、分析を進めるため、各省庁が行う情報活動の基本方針などを定める機関であり、党派的利益の実現を図るための機関ではございません。
このことは、本法案により規定される国家情報会議の所掌事務からして明らかであり、議員の御懸念は当たらないと考えております。
いずれにせよ、そのような御懸念を招くことのないよう、その運用には十分配慮してまいります。
政策と情報の分離などについてお尋ねがありました。
もとより、情報部門と政策部門は相互に干渉し過ぎないように活動することが重要であります。進めたい政策ありきで客観性を欠いた情報収集、分析が行われることがあってはならないのは当然だと考えております。
情報部門と政策部門の双方がそれぞれに期待されている機能を十分に発揮することができるよう、国家情報会議の運用には十分配慮してまいります。
なお、御指摘の事案につきましては、捜査、公判上の問題点などについて、警察、検察当局により必要な検証が行われたものと承知をしております。
情報収集の手法の拡充などについてお尋ねがございました。
本法案は、インテリジェンスの司令塔機能を担う国家情報会議を設置するものであり、具体的な情報収集に関する権限を創設したり、拡充したりするものではございません。
他方で、厳しく複雑な国際環境の下で、時宜にかなった的確な情報を得るためには、情報収集の手法についても検討を進める必要があると考えております。
この点、新設される国家情報会議において、情報収集の手法の在り方や、当該手法を踏まえた人材の確保、育成などについて、その方向性をしっかりと検討してまいります。
職員の安全確保などについてお尋ねがございました。
対外情報機能の充実を図るに当たっては、その最前線で情報業務に従事する職員やその御家族の安全を確保することや、必要な支援を行うことについても多角的な検討を進めてまいります。
国家情報会議の役割などについてお尋ねがありました。
国家情報会議は、国民の安全や国益の確保に資する情報の戦略的な収集、集約、分析を進めるため、各省庁が行う情報活動の基本方針などを定める司令塔の役割を担うものです。それを設置するための本法案は、議員御指摘の秘密保護法制や犯罪行為の処罰法制とは全く異なるものでございます。
我が国の秘密保護法制などについてお尋ねがありました。
政府や企業の秘密の窃取や取得を図る行為については、特定秘密保護法、重要経済安保情報保護活用法、不正競争防止法などにより処罰が規定され、当局による取締りなどが行われております。
他方で、複雑で厳しい国際環境の下、外国が日本政府や日本企業の秘密を窃取するといった行為に対しては、一層厳正に対処しなければならないと考えております。国家情報会議が司令塔機能を発揮しながらしっかりと取り組んでいく必要があります。
また、外国勢力が我が国の意思決定に不当に干渉するリスクへの対応も重要な課題であると認識しており、こうした課題についても、様々な方々から御意見を伺いながら、丁寧に検討を進めていく必要があると考えております。
内閣情報調査室や関係省庁の役割などについてお尋ねがありました。
国家情報局の設置により、現在の内閣情報調査室は発展的に解消されますが、その情報収集機能を引き継ぐとともに、関係省庁が行う情報活動などに関する総合調整を行い、収集した情報を集約して総合分析を行う役割を担うものでございます。
なお、本法案は、内閣官房以外の各省庁の所掌事務や権限等について改正を行うものではございません。
以上です。(拍手)
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○副議長(石井啓一君) 吉川里奈さん。
〔吉川里奈君登壇〕
○吉川里奈君 参政党の吉川里奈です。
私は、会派を代表し、ただいま議題となりました国家情報会議設置法案について質問をいたします。(拍手)
まず冒頭、参議院における予算委員会での集中審議について、政府の対応をめぐる報道がなされております。つい先ほど、来週の月曜日の参議院予算委員会での集中審議を行うことになったようですが、そもそも例年に比べて、衆議院、参議院においても審議時間は極めて短い状況が続いています。
その上で申し上げます。
原油の中東依存度が極めて高い我が国にとって、エネルギーの安定確保は国民生活の基盤を守るための政府の最重要責務です。しかし、昨今の国際情勢を踏まえて政府の対応を見たとき、国民の不安は募るばかり。一たび供給が滞り、備蓄が枯渇すれば、医療や物流を含む社会機能は麻痺し、日常生活の維持は困難となります。
だからこそ、今後の見通しや供給途絶に備えた具体的な対策について、国会の場で十分に議論し、高市総理自らの言葉で国民に丁寧に、そして明確に説明することが国民生活の安心につながるのではないでしょうか。
まずは、国民の安心、安全を第一に、十分な予算審議を行うことを強く求めます。
さて、我が国は、古来より和を貴び、共同体の秩序と相互の信頼の上に社会と文化を築き上げ、四方を海に囲まれた地理的条件の下、外に備えつつも、内においては調和を重んじる統治の在り方を育んでまいりました。私たち参政党は、この我が国の調和社会を守り、つないでいきたいと考えています。
しかしながら、現代の安全保障環境は戦後最も厳しく、国家間の競争は、従来の軍事的領域にとどまることなく、情報戦、認知戦、さらには経済安全保障へと拡大し、外国勢力による影響を受け得る時代へと変化しています。
この状況を踏まえると、我が国のインテリジェンス体制は、もはや性善説に基づく考え方では国家の安全を守ることができず、現実に即した安全保障体制への再構築が不可欠です。
参政党は本日、スパイ防止関連二法案を再提出いたしました。防諜体制の強化、外国からの関与を受けた活動の透明化並びに重要情報の漏えいに対する罰則強化を柱とするものであり、これらの総合的施策こそが我が国及び国民の安全の確保に資するものであると考えます。
以上を前提といたしまして、本法案により設置される国家情報会議及び国家情報局について質問いたします。
まず、我が国の安全保障に関する政策部門と言える国家安全保障会議は、第一次安倍内閣において提唱され、五年後に成立した第二次安倍内閣において設置されたものと承知しています。当時から、政府横断での情報収集、分析機能の強化、カウンターインテリジェンス体制の整備の必要性が指摘されてきたにもかかわらず、本格的な制度整備に至るまで長い年月を要した理由を、政府としてどのように評価、分析しているのか。
あわせて、サイバー攻撃や技術流出といった現実の脅威に対し、人員、予算の両面において国際的水準に見合う体制をどのように構築していくのか、とりわけ専門人員の育成及び確保についての具体的な方針をお示しください。
次に、国家安全保障会議と国家情報会議の役割分担について伺います。
政府は、官邸における政策部門と情報部門を区別し、政策と情報の分離を担保するものとしていますが、議長の内閣総理大臣を始め、両会議体の構成員の多くが共通しています。これらは連携が前提となりますが、情報部門の構成員は政権運営にかかわらず連続性を保つ必要性があり、とりわけ政策判断に影響を与える情報については、バイアスがかかることなく、必要な事実が適切に提示される仕組みとなっていることが重要です。
これらの構成員の多くが共通している中で、情報の評価及び提示の客観性並びに独立性をどのように担保するのか、具体的な仕組みについてお示しください。
次に、外国情報活動への対処について伺います。
SNS等を通じた偽情報の拡散や選挙への干渉といった行為について、政府はどのように認識し、具体的にどのような対策を講じているのか。また、外国情報活動への対処は、取締りや情報収集の強化のみで完結するものではなく、民間事業者や国民の理解と協力を含めた社会全体のリテラシー向上による強靱化が必要不可欠であると考えますが、この観点を政府としてどのように位置づけるのか、併せてお示しください。
最後に、総理にお伺いいたします。
本法案により閣僚級の会議体として国家情報会議が設置されることで、政務三役がこれまで以上に重要な秘密に接する機会が増すこととなります。にもかかわらず、現行制度において政務三役が適性評価の対象から除外されることは、制度上の空白であり、看過できない課題であると考えます。
このような状況の中、我が国が国際社会において責任ある国家としての地位を維持し、世界と肩を並べていくためには、国家の意思決定に関与する者に対する適性評価についても、国際的水準を踏まえた制度として整備する必要があるのではないでしょうか。
また、国家機密の漏えい等が発生した場合には、任命権者としての責任を含め、厳格な対応が求められるべきであると思いますが、総理の御認識を伺います。
我々参政党は、本法案を契機として、現実に即した安全保障体制の確立に向けた議論が深まること、さらに、その議論が一次情報として国民生活に共有されることを強く求め、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕
○内閣総理大臣(高市早苗君) 吉川里奈議員の御質問にお答えをいたします。
情報活動に関する体制の整備や人材育成などについてお尋ねがございました。
政府においては、かねてから情報活動の充実強化のための取組を進めてまいりましたが、昨今の複雑で厳しい国際環境において、国民の安全や国益を戦略的に守るためには、政治のリーダーシップの下、政府のインテリジェンス機能の強化を図ることが必要であると考えました。まずは、政府全体の司令塔機能を強化するべく、本法案により、閣僚級の国家情報会議とそれを支える国家情報局を設置することとしたものです。
議員御指摘のとおり、推進体制の整備に当たっては、情報活動に従事する専門人材の確保と育成は重要です。本法案成立後は、国家情報局において各省庁の要員を集めた教育訓練を実施することなど、新たな施策の検討を進めてまいります。
情報の客観性の確保などについてお尋ねがありました。
議員御指摘のとおり、重要な政策の決定に際しては、進めたい政策に左右されない客観的な情報評価を行うことが重要です。
情報部門と政策部門の双方を同じ大臣が所管することは現在もありますけれども、それぞれの大臣の指揮監督の下で適切な情報活動が行われていると認識しております。
本法案により、専ら情報評価などを行う会議体が設けられ、政策と情報を分けて議論する仕組みが整備されることは、情報の客観性の確保という点においても大きな意義があると考えております。
政務三役の適性評価についてお尋ねがありました。
政務三役については、総理大臣としてその任命を行うに当たり、情報保全に関し必要な考慮がなされることから、特定秘密保護法や重要経済安保情報保護活用法の適性評価の対象とはなっておりません。
こうした取扱いは我が国に限ったものではなく、把握している限りで、例えば英国、フランス、ドイツにおいても、閣僚はセキュリティークリアランスの対象から除かれております。
その上で、仮に政務三役が特定秘密や重要経済安保情報を漏えいした場合には、それぞれ、十年以下の拘禁刑や五年以下の拘禁刑などの罰則の対象として刑事責任を問われることになります。
残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣木原稔君登壇〕
○国務大臣(木原稔君) 吉川議員からは、外国情報活動への対処についてお尋ねがございました。
偽情報の拡散を含む外国による影響工作については、我が国にとっても安全保障上の脅威であり、選挙の公正や自由な報道、そういった民主主義の根幹を脅かすもので、その対策は急務と考えます。
これに適切に対処すべく、政府においては、昨年九月に体制を強化し、内閣官房副長官を長として、関係省庁が協力し、情報収集、分析の充実、情報プラットフォーム対処法の運用の徹底、正確な情報発信の強化、各種リテラシー施策の向上等の対策に一体となって取り組んでおります。
また、アカデミアも含めた民間事業者等に対し、外国による工作の手口に関する情報や、その対策に資する情報を提供するアウトリーチ活動を行うとともに、国民の皆様への周知を行っております。
外国情報活動への対処については、こうした活動を通じ、国民、事業者の皆様の御理解と御協力を得ながら、取組を進めてまいります。(拍手)
○副議長(石井啓一君) これにて質疑は終了いたしました。
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○副議長(石井啓一君) 本日は、これにて散会いたします。
午後四時十四分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 高市 早苗君
厚生労働大臣 上野賢一郎君
国務大臣 赤澤 亮正君
国務大臣 木原 稔君
出席内閣官房副長官
内閣官房副長官 尾崎 正直君
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去る三月三十一日は、会議を開くに至らなかった。

