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第32号 令和8年7月15日(水曜日)

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令和八年七月十五日(水曜日)

    ―――――――――――――

  令和八年七月十五日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 大都市地域における特別区の設置に関する法律の一部を改正する法律案(西岡義高君外一名提出)

 国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律案(簗和生君外七名提出)


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    午後六時十二分開議

議長(森英介君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

小寺裕雄君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。

 西岡義高君外一名提出、大都市地域における特別区の設置に関する法律の一部を改正する法律案、簗和生君外七名提出、国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律案、右両案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(森英介君) 小寺裕雄君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(森英介君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 大都市地域における特別区の設置に関する法律の一部を改正する法律案(西岡義高君外一名提出)

 国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律案(簗和生君外七名提出)

議長(森英介君) 西岡義高君外一名提出、大都市地域における特別区の設置に関する法律の一部を改正する法律案、簗和生君外七名提出、国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員長丹羽秀樹君。

    ―――――――――――――

 大都市地域における特別区の設置に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

 国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

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    〔丹羽秀樹君登壇〕

丹羽秀樹君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、簗和生君外七名提出の国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律案は、大規模災害に備えて、副首都の整備に係る施策その他国家社会機能継続性確保施策に関し、基本理念、基本方針の策定その他基本となる事項を定め、及び副首都の指定等について定めること等により、副首都の整備に係る施策その他国家社会機能継続性確保施策を総合的かつ計画的に推進するものであります。

 次に、西岡義高君外一名提出の大都市地域における特別区の設置に関する法律の一部を改正する法律案は、特別区の設置についての住民投票の重要性に鑑み、当該住民投票に係る住民投票期間と関係市町村及び関係道府県の議会の議員の一般選挙及び長の選挙に係る選挙期間とが重複しないようにするための措置等を講ずるものであります。

 簗和生君外七名提出の法律案は、去る六月二十六日本委員会に付託され、三十日、提出者簗和生君から趣旨の説明を聴取した後、質疑に入りました。七月九日西岡義高君外一名提出の法律案が本委員会に付託され、翌十日提出者西岡義高君から趣旨の説明を聴取いたしました。十三日からは両法律案について質疑を行い、本日質疑を終局いたしました。

 質疑終局後、簗和生君外七名提出の法律案に対して、自由民主党・無所属の会、日本維新の会及びチームみらいの共同提案により、基本理念及び基本的施策の例示に情報通信技術の活用等を追加すること、国会に対する報告に関する規定を追加することを内容とする修正案が提出され、提出者から趣旨の説明を聴取いたしました。

 次いで、両法律案及び修正案を一括して討論を行い、順次採決いたしましたところ、西岡義高君外一名提出の法律案については賛成少数をもって否決すべきものと決しました。次に、簗和生君外七名提出の法律案については、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、修正議決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(森英介君) 討論の通告があります。順次これを許します。伊佐進一君。

    〔伊佐進一君登壇〕

伊佐進一君 中道改革連合の伊佐進一です。

 中道改革連合を代表し、副首都法案とその修正案に反対、同日選を禁止する大都市法改正法案に賛成の立場から討論いたします。(拍手)

 私たちは、一極集中の打破や首都機能のバックアップ、副首都の議論については、全く反対するものではありません。災害が激甚化する中、むしろ重要な課題だと認識をしております。

 しかし、だからこそ、今回の法案の進め方は余りに拙速と言わざるを得ません。副首都をどう定めるかなどは、国家の統治機構の根幹です。与党自民党の内部の会議ですら、有識者を何度も招致し、議論を重ねてこられました。それを国会においては、僅か数時間の議論で強硬に前に進めるなど、数の力に任せた余りに強引な進め方です。

 首都機能の移転については、かつて、一九九二年十二月、国会等の移転に関する法律を成立させ、一九九六年に国会等移転審議会を設置、三年の審議の後、衆参で特別委員会を設置するなど、丁寧な議論が進められてきました。

 こうした国会での議論を無視するかのように、本法案では、副首都の指定などに国会の関与は認めておらず、自治体が手挙げ方式で決められるとしており、理解に苦しみます。

 副首都の指定だけではありません。そもそもの副首都が担うべき機能や基盤の整備、必要な体制の整備の支援など、統治機構の基本的な事項を定める基本方針にも国会は関与することができません。有識者の意見などを踏まえて政府が決定するということとしています。副首都指定のための要件までも政令で定めることとしており、国家統治の基本に対して国会の関与は極めて限定されています。

 そもそも、首都の定義すら現行法制度上存在しておりません。首都の議論がないままに副首都の法整備を急ぐ。更に理解不能なのは、副首都の機能など基本的事項を定める基本方針が策定される前に、なぜか副首都が指定されるということです。何をそんなに急いでいるんでしょうか。国会が十分な議論をないがしろにしてでも間に合わせないといけない、特定の地域の事情などがあるんでしょうか。

 副首都の整備のために必要な財政も、何ら納得できる説明がありません。

 かつて、国会等移転法に基づいた一九九七年の議論においては、首都機能移転の費用として最大十四兆円、国会機能を除くなど半分であれば七兆円が必要と試算されております。

 本法案によって副首都が指定されれば、交通通信体系の整備や移住等の促進、地域における大学振興、創業の促進、規制緩和の推進、民間投資促進の税制措置など、様々なインフラ整備やソフト支援が行われることになります。法案審議においても、その大まかな予算を何度質問しても、今後検討する、整備方針で決めるとしか答えがありませんでした。

 副首都は、道府県の手挙げによって幾つでも指定される仕組みとしているため、同じようなインフラ整備が二重三重で行われることになります。必要な予算額も、また財源の見通しもないまま、自治体の言われるままに二重三重で同じようなインフラ整備を進めるのでしょうか。それ自体、国家として二重行政、三重行政そのものだと指摘したいと思います。

 道府県と市との連携の要件については、現状、具体的には特別区の設置か連携協約と示されています。医療、介護や福祉、防災や給付などの各種の事務で基礎自治体の役割がますます期待される中で、基礎自治体の権限を奪い、弱くしていく特別区を要件とすることは、本当に適当でしょうか。あえて特別区を要件とせずとも、道府県と市との間での連携協約で十分ではないでしょうか。

 ちなみに、私の地元の大阪では、府市が既に一体条例を締結しています。その条例においては、第一条、本市及び大阪府の一体的な行政運営を推進することに関し必要な事項を定める、第二条、本市及び大阪府の二重行政を解消するとともに大阪の成長及び発展を図ることにより、副首都大阪を確立とあります。既に、二重行政の解消どころか、副首都の文言まで入っています。この一体条例で十分であるのに、更に特別区を要件に加える理由は一体何なんでしょうか。何のための特別区であり、何のための都構想なんでしょうか。

 現在特別区を設置している東京都は、一九四三年に東京府と東京市を廃止して誕生しましたが、その趣旨には、帝都における従来の府市併存の弊を解消し、一元的にして強力な遂行を期すとあります。

 時は大戦の真っただ中、東京府知事は官選として国が任命をしていましたが、東京市長は市議会の選挙によって選出されておりました。この統治機構に手を加えて都知事に強大な権限を集中させ、さらに、官選として国の任命権の下に置く。戦争遂行を強力に推し進めることを意図して始まったのが東京都制であり、また特別区でした。特別区や都への名称変更は、単なる地方自治体の統合や名称変更にとどまらず、かつて統治機構を民主的な自治から国家の統制へとシフトさせた歴史の分水嶺だったことを私たちは十分に認識しておく必要があります。

 次に、同日選禁止法案について申し述べます。

 本法案に関連する最も大きな課題は、民主主義をゆがめる可能性のある、住民投票と議会選挙の同日選の取扱いです。

 私の地元大阪では、府知事選挙、市長選挙、府議会議員選挙、市議会議員選挙が来年の四月に同日で行われる見込みです。大阪市の存続を決める重要な住民投票にもかかわらず、もしこれが同日選となれば、人を選ぶ選挙の公示日以降は住民投票運動が制限されてしまいます。また、投開票日においては、人を選ぶ選挙の候補者としては活動できませんが、住民投票運動としては活動することが可能になります。さらには、人物を選ぶ選挙と制度を選ぶ住民投票では根拠法も判断要素も異なるにもかかわらず、人に政策が引きずられる可能性があり、また、住民に十分な情報が届かないことも本法案の審議では指摘されました。

 なお、憲法審においては、こうした事情を踏まえて、憲法改正における住民投票と人を選ぶ選挙は同日にはできないよう、党派を超えたコンセンサスが形成されております。

 もちろん、同日選によって、事務の簡素化やコストカットできるという意見もあります。しかし、これは、公平公正な選挙を実現するという民主主義のコストであって、削るべきコストではありません。同日選により、公平な選挙が阻害されるリスクの方が大きいと思っております。

 一言つけ加えますと、むしろ、都構想の再挑戦を理由に、知事と市長が辞職してダブル選挙を行うことの方が、よほど住民に強いるコストとして議論されるべきものではないでしょうか。

 今国会においては、本法案のように、与党の思惑含みの法案を優先させる姿勢が目立ちました。私たちは、暮らしが先だとの考えの下、物価高騰や資材不足などに苦しむ国民生活への支援を早くから訴えてきましたが、補正予算の予備費はいまだ一円たりとも支出されておりません。国民の暮らしを後回しにし、自分たちの進めたい法案を先に強引に進めていく、そうした政府・与党の姿勢に強く抗議を申し上げたい。

 改めて、様々な課題のある副首都法案については、チームみらいの修正案によっても根本的な解決とはならないため、原案並びに修正案には反対、国民民主党提出の同日選禁止法案には賛成といたしたく、議員各位の皆様の誠意と覚悟を持った御判断を心よりお願い申し上げ、私の反対討論とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(森英介君) 阿部司君。

    〔阿部司君登壇〕

阿部司君 日本維新の会の阿部司です。

 私は、与党を代表し、ただいま議題となりました国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 本法案は、災害対策の法案であることにとどまらず、この国の形そのものを問い直す、統治機構の改革を目指すものであります。

 明治この方、我が国は、東京という一つの極に政治も行政も経済も集めてまいりました。都市に人と産業が集まれば生産性が高まる。経済学でいう集積の経済であり、東京の集積が戦後の成長を力強く支えてきたことは疑いようもありません。東京は、我が国が誇る世界有数の都市であります。

 しかし、集積には最適な規模があるとされています。一つの極に集まり過ぎれば、やがて過密による費用が便益を上回ります。東京は、まさにその段階に差しかかりつつあります。そして何より、国家中枢の一点集中は、危機管理上、看過し難いリスクをはらんでおります。

 政府の地震調査委員会は、首都直下地震の発生確率を、今後三十年以内に七割程度と見積もっています。富士山の噴火もまた、遠い先の話ではありません。百年前の関東大震災は、首相不在という政治空白のさなかにこの都を襲い、官庁は焼け、記録は失われ、情報の途絶が人々を不安の底に沈めました。次にその日が来たとき、なお中枢の全てが東京にあったならば、この国は一度の災害で立ち上がる足場さえ失いかねません。

 ただ祈るのではなく備える、間に合ううちに備える、それこそが国民の生命と財産を託された私たち国会の責務ではないでしょうか。

 本法案は、この備えを国の形として法律に刻もうとするものです。首都中枢機能の全部又は大部分を代替する副首都を法律に位置づけ、内閣総理大臣がこれを指定することとされています。内閣には総理を本部長とする推進本部が置かれ、令和十三年三月末までを集中推進期間として整備を進めることとされています。また、東京都制がしかれた昭和十八年以来、八十年を超えて、幾度も議論されながらついに変わることのなかった、この国の中枢の在り方に正面から向き合うものであります。

 そして、本法案は、いま一つの目的を掲げています。第一条に明記された多極分散型経済圏の形成を通じた我が国経済の成長です。危機管理と経済成長、この二つは切り離すことはできません。平時から経済の中核として栄え、そして、人と企業が現に集まっている都市であってこそ、有事にその機能を確かに引き受けることができます。この二つを一体のものとして追求する点にこそ、本法案の眼目があると考えております。

 その上で、本法案がもたらす意義を三点申し上げます。

 第一に、地方分権の実践です。

 本法案では、副首都の指定は、道府県が自ら手を挙げ、議会の議決を経て申し出るところから始まる仕組みとされています。第十八条です。そして、第二十条では、整備方針の策定に当たり、その地域を代表する知事の意見を聞き、それを尊重することとされています。国が号令をかけるのではなく、手を挙げた地域と国とが共につくり上げていく仕組みです。この分権の理念こそ、本法案の底に流れる思想であります。

 第二に、国土全体の成長力の底上げです。

 本法案の第二条第五項では、多極分散型経済圏の形成が、人口及び経済に関する機能が特定の圏域に過度に集中することなく国土全体にわたり適正に配置され、それぞれの圏域が有機的に連携しつつその特性を生かして発展している国土を形成することと定義されています。

 一つの極が全てを吸い上げる国土から、幾つもの極が互いの特性を生かして支え合う国土へ。まず、副首都という第二の極を打ち立て、そこに生まれた人と投資の流れを各地の中核都市へと広げていく。極が増えれば競争が生まれ、地域はそれぞれの強みを磨きます。その総和がこの国全体の成長力となります。第三条第六項には、副首都の区域における産業競争力の強化、経済活動の拠点の形成、そして圏域内の他の地方公共団体との連携が掲げられています。副首都は、自らが栄えるためでなく、圏域を、ひいては国土全体を引き上げるために置かれるものです。

 第三に、人口減少という我が国最大の課題への処方箋であります。

 人口が減り続けるこの国で、なぜ機能を分散させるのか、限られたパイの奪い合いではないかとの問いもあります。しかし、事実は逆だと考えております。

 東京都の合計特殊出生率は全国で最も低い水準にあります。住宅費は高く、通勤時間は長く、若い世代が家庭を持ち子を育てることが最も難しい環境がそこにはあります。その東京へ地方の若者が毎年集まり続けている。出生率の最も低い場所に子を産み育てるはずの世代が引き寄せられていく。この構造こそが、我が国の少子化を静かに、しかし確実に加速させてきたのではないでしょうか。

 学ぶ場があり、働く場があり、暮らしを立てられる。地方に副首都という核が生まれ、そうした環境が育てば、若者は生まれ育った地域で働き、家庭を築くという選択肢を手にできます。人口減少は、集中によって加速し、分散によって和らぐ。副首都の整備とは、この国の人口構造そのものに働きかけようとする試みであります。

 結びに申し上げます。

 我が国の統治機構の改革については、国会で幾度も議論されてきました。しかし、語られては消え、掲げられては先送りされ、ついに実を結ぶことのないまま今日まで至っております。しかし、八十年もの止まっていた針が今再び時を刻み始めようとしております。皆様、この国の形を変えるその確かな第一歩を、私たちの手で踏み出そうではありませんか。

 私たちが今日投じる一票は、次の世代がどこで学び、どこで働き、どこで家庭を築くのか、その選び取れる未来の幅を決めることになります。政治も行政も経済も、東京という一本の柱だけで支えたまま手渡すのか、それとも、幾つもの極が輝き、どこに生まれても志を遂げられる、しなやかで強靱な国を手渡すのか、今、その問いに答えを出すときが来ました。

 本法案が我が国の未来を切り開く礎となることを確信し、皆様の御賛同を心よりお願い申し上げ、私の賛成討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(森英介君) 向山好一君。

    〔向山好一君登壇〕

向山好一君 国民民主党の向山好一でございます。

 私は、会派を代表いたしまして、ただいま議題となりました副首都法案に対して反対の立場から、そして大都市法改正案に対しては賛成の立場から討論をさせていただきたいと思います。(拍手)

 まず申し上げたいのは、私たちは副首都の必要性そのものを否定するわけではありません。

 私は、阪神・淡路大震災を経験した神戸を地元としております。あの震災のとき、首都東京の機能が維持されていたからこそ、国全体が復旧復興を支えることができました。東日本大震災、熊本地震、そして能登半島地震も同様だったと思います。だからこそ、首都直下地震など国家危機に備えて、東京を補完する危機管理拠点を整備すること自体は重要なことだという認識を強く持っております。私自身も、民主党政権時代、危機管理都市としての副首都法案の策定に携わってきました。

 しかし、この法案は、残念ながら、その理念とは大きく異なっているとしか言いようがありません。

 以下、反対の理由を述べます。

 まず、大切なことは、副首都の役割には国家の危機管理、安全保障の視点が欠かせないということです。

 ところが、この法案には、その視点よりも、特定の地域制度の改革を実現するための政治的な意図が強く、色濃く反映されています。審議を通じて明らかになったように、本法案の制度設計には、大阪都構想との一体化、これを強く意識した経緯が残っています。副首都という国家的課題に地方自治制度の変更を結びつける合理的な理由は、最後まで示すことがありませんでした。

 国家百年の計である副首都整備を地方の制度改革のツールとして利用することは、決して国民の理解を得られるものではありません。

 第二に、本法案は、首都と副首都の定義が極めて曖昧なままです。

 首都とは単に行政機関が集積する場所ではありません。国家の中枢機能とは何を示すのか、どこまで移転し、どこまで代替するのか、審議を通じても曖昧なままです。その根幹が曖昧なまま制度だけをつくることは、極めて無責任な態度としか言いようがありません。

 第三に、本法案は、巨額の財政負担について何ら具体的な説明を行っていないということです。

 交通インフラ、行政中枢機能、都市整備、産業支援、税制措置など、法案には多くの施策が列挙されております。しかし、それが総額どのくらい必要なのか、国民負担や地方負担がどの程度生じるのか、何一つ明らかになってこなかったんです。これだけの国家プロジェクトでありながら、費用の見通しすら示さず法律だけを成立させることは、財政に対する責任ある姿勢とは決して言えません。

 第四に、法案は、副首都を複数指定できるという構造になっています。複数指定となれば、それぞれにバックアップ機能を整備する必要が生じます。これは、結果として二重三重の行政投資を招きかねません。二重行政の解消を掲げる政党が、その理念と整合するのか、大きな疑問が残ります。

 そして最後に、本法案の目的には、多極分散型国家経済圏の形成というのが掲げられております。しかし、多極分散とは特定の二都市を強化することでは決してありません。東京と大阪のツインエンジンではなくて、全国各地がそれぞれの特色を生かして発展するマルチエンジンの国家を目指すことこそが、本来あるべき多極分散型国家経済圏の形成ではないでしょうか。その意味でも、副首都だけに政策資源を集中するこの法案は、多極分散という理念とも整合しているとは決して言えません。

 副首都整備は、国家の危機管理であり、安全保障であり、国民全体のための政策でなければなりません。だからこそ、特定の政治課題や地域事情から切り離して、超党派で合意できる制度として構築すべきじゃないでしょうか。

 さらに申し上げます。

 大都市制度改革には一つの正解しかないわけでは決してありません。特別区制度を選択する地域もあれば、政令指定都市としての一体性を維持しながら権限と財源を一元化する特別市という選択肢を望む地域もあります。重要なのは、どちらの制度が優れているかを国があらかじめ決めるのではなくて、それぞれの地域が自ら最も適した制度を選択できることではないでしょうか。

 副首都という国家的役割を担う都市についても、特別区のみを前提とするのではなく、特別市も制度上の選択肢として位置づけることこそが地方分権の理念にかなうものではないか、このこともしっかりと申し添えさせていただきたいと思います。

 副首都法案、これは国の形を変える改革だけに駆け足で成立に向かうのではなくて、一度立ち止まり丁寧に議論し、お互いに知恵を出し合い、真に国民全体の利益となる副首都制度にすべきではないか、このことを強く申し上げたいというふうに思います。

 次に、大都市法の改正、つまり、住民投票と公職選挙の同日実施禁止法案について討論をいたします。

 本法案の目的は、民主主義の根幹である公正な競争の下での選挙制度と住民投票の自由な意思形成、この両方を守るためのものであります。住民投票は、住民が特定の政策について直接意思を表明する制度です。一方、公職選挙は、誰に決定権を委ねるのか、任せるのか、これを決める制度です。目的も判断基準も異なる二つの制度であるからこそ、それぞれ独立した環境の中で住民が冷静に判断できることが求められております。

 しかし、これを同日に実施した場合、公職選挙に立候補する候補者や政党が、選挙運動と住民投票運動を一体として展開することが可能になります。例えば、知事選挙の候補者が自らへの投票を呼びかけると同時に、住民投票の賛否を訴えることも可能になるわけです。これに対して、公職選挙だけを戦う候補者や住民投票だけに活動する市民団体や関係者は、そのようなことは一体的な運動としてはできません。

 結果として、一方は、二つのテーマを同時に訴えることができる、いわゆる二馬力としての選挙運動となって、他方は、公職選挙だけ、あるいは住民投票だけという、一馬力の活動を余儀なくされることになります。これは、政治的な主張の中身以前に、競争条件そのものが公平ではないのではないでしょうか。

 公職選挙法は、選挙期間中の政治活動について極めて詳細なルールを設けています。それは、候補者間の公平性を担保し、有権者が公正な環境で判断できるようにするためであります。しかし、住民投票運動には、公職選挙とは異なるルールが適用されています。その二つが同時に進行することで、選挙運動と住民投票運動が実質的に融合して、公職選挙法が予定していない新たな不均衡が生じることになるわけであります。

 民主主義は、結果だけが重要なのではありません。その結果に至るまでの過程が、公平であり、透明であり、全ての参加者に等しい機会が保障されていることが何よりも不可欠であります。

 住民投票は、行政組織の将来を左右する重大な意思決定です。だからこそ、候補者個人の人気や政党支持と結びつけることなく、制度そのものの是非について住民が判断できる環境を整えなければいけません。また、公職選挙も、本来問われるべきは候補者の資質や政策であります。住民投票の賛否が選挙全体を左右するような状況は、有権者にとっては適切とは思えません。

 本法案は、そのような混同を避け、選挙は選挙として、住民投票は住民投票として、それぞれ独立した民主的な手続を保障するための制度整備であります。

 国民民主党は、対決より解決を掲げています。そのベースにあるものは、公正なルールに基づく意思決定です。制度改革における最も重要なのは、特定の政策、政治に有利なルールを作ることではなく、誰に対しても公正なルールを整えることです。本法案は、まさにその法案であります。

議長(森英介君) 申合せの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。

向山好一君(続) 民主主義への信頼は、公正なルールによって支えられています。その信頼を守るために、本法案への賛同を皆さんにお願い申し上げ、私の討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(森英介君) 高山聡史君。

    〔高山聡史君登壇〕

高山聡史君 チームみらいの高山聡史です。

 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律案について、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 本法案に賛成する理由は、まず、この法案が向き合う課題の喫緊性にあります。首都直下地震は、今後三十年以内に七〇%程度の確率で発生するとされています。国家の中枢機能が東京圏に集中する中で、その機能が失われれば、影響は国民一人一人の生活に及びます。首都中枢機能の代替性をあらかじめ確保すること、そして、これを契機に多極分散型の国土形成を進め、東京圏や副首都以外にも意義のある取組とすること、この二つはいずれも先送りするべきではなく、本法案はその推進の枠組みを法律として整えるものです。

 また、東日本大震災の教訓を踏まえても、大規模災害への備えや行政の継続性確保には、デジタル行政基盤が整備され、災害時にもデータが保全されることが不可欠です。

 この観点を修正案で反映し、さらに、我が国の行政サービスを、国と自治体の一気通貫で、必要な支援が必要な方に届くプッシュ型へと転換していく、副首都を、単なる代替ではなく、東京圏より一世代進んだデジタル行政都市をつくるような野心的な取組とし、そこで整備した仕組みを全国に行き渡らせていく、それが、副首都のみならず、我が国全体にとって必要なことだと考えます。

 同時に、この法律は、その成果を検証する仕組みも整えました。政府は、施策の実施状況を毎年国会に報告し、集中推進期間の経過後には検証結果を報告することとなります。委員会の質疑を通じて、デジタル行政基盤の整備を基本方針及び整備方針に明確に位置づけること、また、あらかじめ目標を定めて検証を行うことについても、立法者の前向きな意思が示されました。施策の進捗を国会が毎年確かめ、必要な打ち手が打たれるよう、私も立法府の一員としてその履行を注視してまいります。

 以上、本法案への賛同と展望を申し述べ、賛成の討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(森英介君) 吉川里奈君。

    〔吉川里奈君登壇〕

吉川里奈君 参政党の吉川里奈です。

 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました副首都設置推進法案には反対、同日選挙を禁止する大都市法改正案には賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 まず、本法案の審議の進め方に強く抗議をいたします。

 本法案は、国家中枢機能をどこでどのように維持するのかという、国の形に関わる重要な法案です。にもかかわらず、与野党の合意なく審査入りが強行され、会期末の限られた時間の中で、成立ありきの拙速な審議が進められました。十分な審議を尽くさず、このような先例を許すことは、国会審議を形骸化させ、議会制民主主義の根幹を揺るがす、極めてゆゆしき問題です。

 参政党は、首都機能のバックアップ体制を整え、東京一極集中を是正する必要性を否定するものではありません。しかし、本法案の制度設計には看過できない問題があります。

 第一に、危機管理と地域経済政策という本来区別すべき問題を一つの法案に盛り込んでいます。大規模災害への備えであるなら、最優先すべきは科学的安全性の評価です。なぜ、そこに都市開発や行政制度の再編まで抱き合わせるのでしょうか。

 第二に、副首都の指定要件も科学的かつ客観的ではありません。災害リスクの評価基準は法律に示されず、首都直下地震と南海トラフ巨大地震が近接して発生し、広域被害が重なる事態への視点も十分ではありません。巨額の公費を投じる以上、バックアップ拠点自体が被災するリスクまで考慮することこそ、国家BCPの基本ではないでしょうか。政府が専門家の科学的評価に基づいて主導すべきであり、具体的要件を政令に委ね、副首都の指定に国会の承認を要しない制度には賛同することができません。

 第三に、法案から大阪の名は外れたものの、指定要件や支援策は大阪府、大阪市の構想と極めてよく重なっています。後から政令で基準を定める制度では、大阪ありきと言わざるを得ません。我田引水の疑念は払拭することができないでしょう。

 コスト試算や国、自治体の負担も示されないまま、支援の枠組みだけを先行させることは、財政民主主義の観点からも容認できません。

 副首都構想は国家百年の計です。選定基準も財政的裏づけも不十分なまま、二度の住民投票で示された大阪市民の意思を顧みず、結論を急いではなりません。そもそも、大阪市民は都構想なんか求めてないんです。

 国会は国民のものであります。時の権力が特定の政党の宿願を実現するための場ではありません。参政党はいかなるときも、国益を最優先とし、次世代に責任を持つ政治を求めます。

 国家のあるべき姿も、制度の理念も、国民的合意も十分に示されないまま本法案を成立させることには断固反対することを申し上げ、討論を終わります。(拍手)

議長(森英介君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(森英介君) これより採決に入ります。

 まず、西岡義高君外一名提出、大都市地域における特別区の設置に関する法律の一部を改正する法律案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。

 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(森英介君) 起立少数。よって、本案は否決されました。

 次に、簗和生君外七名提出、国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(森英介君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(森英介君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後六時五十六分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       国務大臣  黄川田仁志君


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