第3号 令和7年11月21日(金曜日)
令和七年十一月二十一日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 山下 貴司君
理事 鈴木 馨祐君 理事 長谷川淳二君
理事 鳩山 二郎君 理事 櫻井 周君
理事 森山 浩行君 理事 山岸 一生君
理事 浦野 靖人君 理事 福田 玄君
井出 庸生君 伊東 良孝君
金子 容三君 川崎ひでと君
岸 信千世君 古賀 篤君
平 将明君 高木 啓君
棚橋 泰文君 西田 昭二君
平井 卓也君 平沼正二郎君
古川 直季君 山口 壯君
若山 慎司君 井坂 信彦君
梅谷 守君 岡田 悟君
川内 博史君 小山 千帆君
長友よしひろ君 橋本 慧悟君
原田 和広君 眞野 哲君
森田 俊和君 矢崎堅太郎君
青柳 仁士君 うるま譲司君
臼木 秀剛君 橋本 幹彦君
森ようすけ君 庄子 賢一君
平林 晃君 吉田 宣弘君
上村 英明君 塩川 鉄也君
本村 伸子君 緒方林太郎君
…………………………………
国務大臣
(国家公安委員会委員長) あかま二郎君
国務大臣
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当) 黄川田仁志君
内閣府副大臣 津島 淳君
内閣府大臣政務官 金子 容三君
内閣府大臣政務官 若山 慎司君
内閣府大臣政務官 古川 直季君
内閣府大臣政務官 川崎ひでと君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長) 岡田 恵子君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 山田 好孝君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 重松 弘教君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 山本 宏一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 橋爪 淳君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 伊澤 知法君
内閣委員会専門員 田中 仁君
―――――――――――――
委員の異動
十一月二十一日
辞任 補欠選任
金子 容三君 西田 昭二君
山口 壯君 高木 啓君
岡田 悟君 長友よしひろ君
川内 博史君 矢崎堅太郎君
森ようすけ君 臼木 秀剛君
平林 晃君 庄子 賢一君
塩川 鉄也君 本村 伸子君
同日
辞任 補欠選任
高木 啓君 山口 壯君
西田 昭二君 金子 容三君
長友よしひろ君 岡田 悟君
矢崎堅太郎君 川内 博史君
臼木 秀剛君 森ようすけ君
庄子 賢一君 平林 晃君
本村 伸子君 塩川 鉄也君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)
――――◇―――――
○山下委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案及び配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府男女共同参画局長岡田恵子君外五名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○山下委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。平沼正二郎君。
○平沼委員 おはようございます。
自由民主党の平沼正二郎でございます。
本日は、質問の機会をいただきましたことを、理事、委員各位に心より感謝を申し上げます。
早速で恐縮でございますけれども、特に大臣に御質問ということは通告しておりませんので、退席をいただいても結構でございます。(発言する者あり)では、そのままで。大変失礼しました。
さて、本日は、いわゆるストーカー規制法及びDV防止法の改正となります。ストーカー規制法は平成十二年に法律が成立し、DV防止法は平成十三年に法律が成立してから、幾度かの改正を経て今回の改正となるわけですが、一方で、近年でも痛ましいストーカー事件が発生をしている状況であります。
警察庁が発表している資料によると、ストーカー事案の相談件数は近年二万件程度で推移しており、法整備後も高い傾向にあると思っております。
また、ストーカーの手口もテクノロジーの進化などにより変化をしており、令和三年の改正では、相手の承諾を得ないでGPS機器等により位置情報を取得する行為が規制の対象となりました。
GPS機器等によるストーカー事案の相談件数の数値を見てみると、GPS機器等による相談件数は、令和三年百五十二件で、令和六年は五百十三件でありました。
ここでちょっと御質問をさせていただきたいんですけれども、改正されて以降もGPS等によるストーカー事案の件数が増加傾向にありますけれども、その原因は何であると考えていらっしゃいますでしょうか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
GPS機器等に係るストーカー事案の相談等の件数が増加傾向となっている要因については、GPS機器等の普及、法改正の内容が周知されたことにより、これまで相談されていなかった暗数部分が相談されるようになったといった様々な要因が考えられ、一概に申し上げることは困難であるというふうに考えております。
他方、令和三年の改正によりGPS機器等を用いた位置情報の無承諾取得等を規制対象行為に追加したことにより、ストーカー規制法に基づく警告及び禁止命令等の行政措置の対象となったほか、ストーカー行為罪や禁止命令違反として検挙措置を取ることも可能となったところ、警察としては、事案に応じて行政措置及び検挙措置を的確に講じることにより、行為のエスカレート防止に努めているところでございます。
本改正によりまして紛失防止タグを用いた位置情報の無承諾取得等が規制対象行為として追加されることも踏まえ、引き続き、行政措置や検挙措置を的確に講じることで、行為のエスカレートの防止を図り、ストーカー被害の防止に努めてまいりたいと考えております。
○平沼委員 ありがとうございます。
相談件数の数値を見ると、GPS機器等の相談件数、令和四年で四百四件、令和五年で四百八十六件、令和六年五百十三件と、増えてはいるものの、伸びは鈍化傾向なのかなと思っております。
一方で、紛失防止タグの相談件数というのはやはり増加をしておりまして、令和三年は三件だったものが、令和四年は百十三件、令和五年は百九十六件、令和六年は三百七十件と、かなりこれは増えております。
ここから少し推測できるのは、GPS機器等での位置情報取得手口から、より安価でサイズも小型である紛失防止タグによる位置情報取得手口に置き換わっているのではないかということであります。
この紛失防止タグ、非常に便利なものでありまして、実際、私も子供の持ち物に使っておりまして、私の子供は結構そそっかしい面があって、遊びに行ったときにかばんを忘れてきたりジャケットを忘れてきたりということが結構あったので、こういったところにちょっと入れて、すぐ場所が分かる。これは物によっては、皆さん調べていただければ分かりますけれども、インターネットの通販などで安いものだったら一個千円以下で買えるということであります。しかも、非常に、このぐらいの、小型でありますので、いろいろなものに設置をできるわけです。例えば、縫いぐるみに入れるという事案が発生したり、かばんに忍び込ませる、お財布の中に入れるとか、こういうことの被害も実際に発生をしているわけであります。
今回の法改正ではまさにこの紛失防止タグを規制の対象に追加するとのことなんですけれども、一方で、今後新たな技術や方法が登場して、また再度法改正のような後追いになる可能性もあるのではないかと思ってしまうのですが、この辺りの御見解をお聞かせください。
○山田政府参考人 お答えいたします。
今回の改正後におきましては、自ら位置情報を記録し、又は送信する装置であるGPS機器等に加えまして、自らは識別情報を送信するのみで、周辺の装置の位置情報を利用して位置を特定する機器である紛失防止タグ、これを用いて相手方の承諾なく当該装置の位置情報を取得する行為等が規制対象となるところ、これらの機器と同様に相手方の所在を把握することができる装置は、ほかに現時点で把握しておらず、また想定もしていないため、今回の改正によりまして必要な範囲を規制できているものと考えているところでございます。
他方、ストーカー規制法の規制対象とする行為は、反復して行われた場合や禁止命令等に違反した場合には刑事処分の対象となるものであるため、罪刑法定主義等の観点から、対象行為は明確にする必要があると考えているところでございます。
○平沼委員 ありがとうございます。
法案を読むと、送信機能を有するものは読み込めるという書きぶりになっているということで、こうした機器の場所特定に関してはおおむね防げるかと考えております。
一方で、場所の特定というのはいろいろな方法でできるわけでありまして、質問は特にいたしませんけれども、私が少々最近気になっているのは、SNSとか動画配信などで映り込んでいる背景から場所を特定をできるようになっているということでありまして、現在、例えばAIなんかを使えば非常に簡易にできる世界になっております。被害相談をされている方が安易にSNSなどの投稿や動画配信をするという可能性は非常に低いかとは思いますけれども、一方で、動画配信などでネット上で一方的に好意を抱いて、場所を特定してストーカー行為に及ぶということもあるかと思います。これは実際の事件でありますけれども、少し状況は異なりますけれども、動画配信者が配信中に被害に遭ったというようなケースもありますので、引き続きこういった世情も鑑みながら被害防止に取り組んでいただければ幸いであります。
ここでちょっと、通告している質問を一個飛ばしまして、次の質問に入りたいんです。
日本における被害者は、どちらかというと、極めて能動的でなければならないのかなと思っております。被害者が相談に行って、そこから警察なんかが動いて、場合によっては自分で引っ越したりとか身を潜めたりとか、負担が結構、やはり被害者側に非常に大きいのではないかと感じております。
そこで、加害者側の対策に関してお伺いをしたいんですけれども、加害者等への行動監視みたいなものが諸外国では整備をされていると思いますけれども、それに対する見解をお聞かせください。
○山田政府参考人 お答えいたします。
御指摘のような制度を設けることにつきましては、犯罪を予防する効果の有無や程度をどのように考えるか、また、どのような根拠に基づいて、どのような者を対象に、どのような措置を取ることが許容されるかなどの様々な問題が考えられるところでありまして、その必要性を判断するに当たっては、憲法で保障されている国民の権利等との関係を含め様々な観点からの慎重な検討が必要であるというふうに考えております。
また、GPSの装着につきましては、令和五年の刑事訴訟法の改正により、保釈中の被告人が国外に逃亡することを防止するため、保釈されている被告人の位置情報を取得する制度が創設をされ、公布から五年以内に施行することとされているほか、令和五年三月三十日に性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議において決定された性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針において、仮釈放中の性犯罪者等にGPS機器の装着を義務づけることなどについて所要の検討を行うこととされているところでございます。
御指摘の、加害者にGPSを装着させる、こういった制度につきましては、これらの今申し上げた制度や検討状況を注視しながら、必要に応じて検討されるべきものと考えております。
○平沼委員 ありがとうございます。
様々な状況があって慎重に検討をいろいろ重ねておられるということでありますけれども、やはり被害者側の負担というのも結構鑑みないといけないと思います。
例えばアメリカなんかでは、州によって違いはありますけれども、GPSつきのアンクルモニター、足かせみたいなものだったり、保護命令に違反した場合の罰則が非常に多くて、これが予防につながるというところとか、あと、加害者の行動監視システムみたいなものが普及しておって、加害者、被害者の距離をリアルタイムで監視できるようなものがあったりします。また、再犯防止のための治療プログラムへの強制加入みたいなところをやっているところもありますので、加害者側への対策というのも非常に充実をしているような印象であります。
日本では、加害者側の対策としては、禁止命令などの措置を講じた加害者全員に対して治療等の教示の取組を全国に拡大をしたと周知をしておりますけれども、令和六年において実際に治療を受けたのは約六%にとどまっているということであります。
治療によって再度ストーカー行為を行わせないようにする取組というのも私は有効であると思っておりますけれども、この辺りの制度の充実というのはまだまだ諸外国に比べて弱いのかなと思っております。被害者側の保護は今回の法案で観点としてはもちろん重要でありますけれども、やはり同時に加害者側への対策拡充というのも引き続き検討していただければ幸いであります。
続いてですけれども、被害を未然に防ぐという意味では、今回の法律改正にあるような紛失防止タグの悪用されるような危険性とかそういったものを、やはり一般の皆さんにもしっかり周知をしていただくという必要があると思いますけれども、今回のような、通信機能を利用して居場所を特定できるような機器が現在たくさんあると思っております。家の中にある、例えばエアコンだったり、こういったものも今は全部ネットにつながったり、IoTの機器なんかも発達しておりますけれども、やはりこういった通信機能を持つものが悪用される可能性があるということについて、ユーザー側の注意喚起についての方策と、現在取り組んでいることがあれば教えてください。
○山田政府参考人 お答えいたします。
警察では、令和三年のストーカー規制法の改正により、GPS機器等を用いた位置情報の無承諾取得等が新たに規制の対象となったこと等の内容を国民に広く周知をしてきたところでございます。
今回の法改正においても、紛失防止タグを用いた位置情報の無承諾取得等が新たに規制対象となったことなどの内容を、政府広報や警察庁による広報に加え、都道府県警察を通じて国民に広く周知をしていくこととしております。
また、紛失防止タグを開発、販売する企業においては、本来の用途外で紛失防止タグを悪用することを防ぐための対策を講じておりまして、例えば、紛失防止タグから所有者の携帯電話機が一定時間以上離れた場合紛失防止タグ自体から音が鳴るですとか、登録されていない紛失防止タグが周囲に一定時間以上ある場合自らの携帯電話機にその旨の通知が届くといった対策の例があるものと承知をしております。
警察におきましては、これまで、紛失防止タグの悪用事例を紛失防止タグを開発、販売する企業に伝えるなどして、その悪用防止に向けて連携をしてきたところでございます。
法改正後においては、関係企業に対しこうした悪用防止対策を広く周知するよう働きかけるとともに……
○山下委員長 答弁は簡潔に願います。
○山田政府参考人 ストーカー被害の相談者に対して同対策について周知をしてまいりたいと思います。
○平沼委員 ありがとうございました。
引き続き、注意喚起も含め、取り組んでいただければと思います。
以上で終わります。
○山下委員長 次に、岡田悟君。
○岡田(悟)委員 おはようございます。立憲民主党の岡田悟と申します。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。内閣委員会では初めての質疑となります。あかま大臣始め政府参考人の皆様も、よろしくお願いをいたします。
今回、ストーカー規制法、そしてDV防止法の改正案に関する質疑の中でも、私は、主にストーカー規制法の改正案、これについてお尋ねをしたいというふうに思います。
今回、紛失防止タグも規制対象とすること、それ以外にも、職権で警察官が、被害者の申出がなくても警告を出せるなど、複数の改正がなされる改正案が出されているわけですが、まず、背景として、先ほど若干言及がありましたけれども、我が国の現在のストーカー被害の相談件数、そして検挙数、これがどのように推移をしているのか、概要を政府参考人からお答えいただきたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
ストーカー事案の相談等の件数につきましては、ストーカー規制法が施行された平成十二年以降把握しているところでございまして、平成十二年につきましては二千二百八十件、これは施行日が十一月の二十四日でありまして、それ以降の数字となります。また、平成十三年から平成二十三年までは一万五千件前後で推移しております。また、平成二十四年から令和六年までは二万件前後で推移しておりまして、依然として高水準で推移しているところと考えております。
また、ストーカー規制法を適用したストーカー事案の検挙件数は、平成十二年につきましては二十二件、これも先ほどの施行日以降の数字でございます。また、平成十三年から平成二十三年については二百件前後、平成二十四年以降は年々増加し、令和六年は千三百四十一件となっておりまして、相談等件数と同様に、依然として高水準で推移していると考えております。
こうした背景には様々な要因があると考えられ、一概に申し上げることは困難でありますが、例えば、平成二十四年を起点に相談等件数や検挙件数の増加が著しい理由といたしましては、重大事件の発生により社会的な関心が高まり、被害者等から積極的に届出や相談等がなされたことが考えられるところでございます。
いずれにいたしましても、被害者等の安全確保を最優先に、関係機関等と十分に連携をし、重大事件への発展を未然に防止するための各種取組を更に充実させるなど、しっかりと対策を進めてまいりたいと考えております。
○岡田(悟)委員 ありがとうございます。
先ほど言及がありましたように、警告あるいは禁止命令が出された段階で、犯罪に至らない段階で対処していくということが特にストーカー事件というのは重要になろうと思いますけれども、ただ、最悪の場合、非常に深刻な事件に発展しているケースも実際には存在するという状況です。
令和五年には、JR博多駅前、福岡市において、福岡県警管内で、ストーカーの被害者の女性が加害者に殺害をされるという事件がありました。また、昨年から今年にかけていろいろあったわけですけれども、神奈川県警管内で、川崎市において、これも被害者の女性がストーカーの加害者に殺害をされるという事件がありました。
この二つの事件について、警察庁としてどのような問題点や課題について見解を持っておられるか、これはあかま大臣にお尋ねをしたいと思います。
○あかま国務大臣 お答えいたします。
お尋ねの事案でございますけれども、いずれも、警察で相談等を受けていた元交際相手が殺害されるというまさに重大な結果、これが発生した事案でございます。
まず、博多駅前における事件でございますけれども、警察から禁止命令等の措置を受けた者によって元交際相手が殺害された事案であって、この事案等を踏まえつつ、被害者の安全確保をより確実にするため、昨年の三月より、警察が、禁止命令等を受けた加害者の近況等を把握した上で、リスク評価というものをするなどして取組を行っているというふうに承知しております。
今、川崎の事案についてもお話ありましたので、これにあっては、警察の対応に不十分さ、それから不適切な点があって、被疑者及び被害者の双方に対して必要な措置を講ずる機会、これを逸したことなどが明らかになったところであります。
神奈川県警察にあっては、明らかとなった反省点を真摯に受け止め、再発防止対策を着実に実行するよう、また、全国警察においても、本検証結果を教訓として、それぞれの人身安全関連事案への対処をより的確なものとするよう、警察をしっかりと指導してまいりたい。
以上です。
○岡田(悟)委員 福岡の事件については、警察としては手を尽くした、このような評価があります。私自身がこの事件に物すごく詳しいわけではないので、ちょっと私自身の評価は控えたいと思います。一方で、川崎の事件については、大臣の答弁のとおり、反省点があるということで、神奈川県警として検証報告書というものを出されています。
ストーカー事件というのは、そもそも、被害者の方も、大変な強い不安やストレスにさいなまれた状況で相談にいらっしゃることは想像に難くありません。警察官の皆さんも、大変忙しい中、丁寧にケアをしながら、事件につながらないようにするという丁寧な対応が求められるわけですけれども、この川崎の事件、報告書によりますと、昨年の十一月ですかね、被害届を被害者の女性の方が一旦取り下げておられる。これに対しては、警察としても、取り下げない方がいいということで、翻意をするように説得をされたけれども、取り下げたという経緯があったということが記されています。ただ、その後、つきまとい等の行為があり、被害者の方が警察に対して電話でそれを通報されていた。ただ、一旦被害届が取り下げられてしまったということがある種きっかけとなって、その後の対応が極めて不十分であったというふうに理解をしています。
まず、署の内部、あるいは神奈川県警本部の内部でも十分な報告あるいは危機感の共有がなされなかった。そして、被害者の家族の方が、生活安全部門ではなく刑事部門において捜査をしてほしいとか、あるいは警視庁に対して、神奈川県警ではなく警視庁に対して対処を求め、かつ、警視庁から神奈川県警に対してもそういった報告がなされていたにもかかわらず、なかなか十分に加害者に対して対処をしなかった。その結果、殺害をされたということで、逮捕、起訴までされているという状況。
この経緯を見ますと、ストーカー事件特有の問題もあろうと思いますけれども、警察の事件に対する対処一般の在り方として極めて問題が多いと言わざるを得ないのではないかと思います。被害者の方が被害届を取り下げてしまったというところがこのストーカー事件の対処の難しさとして語られることも多いんですが、特に、昨年十二月以降の神奈川県警の対応について、どのような問題点があるとお考えか、こちらもちょっと大臣に伺いたいと思います。
○あかま国務大臣 お答えいたします。
昨年十二月以降の神奈川県警察における対応についてでございますけれども、委員の方から話がありました、つきまとい行為に関する被害者からの度重なる電話相談であるとか被害者の行方不明事案に関して危険性、また切迫性を過小評価をしてしまい、また、必要な対応が取られていなかった等々、警察署、また警察本部のそれぞれにおいて体制がいわば形骸化して、生活安全部門と刑事部門の連携の不足、また、対処に当たる幹部や要員への指導、教養の不足といった組織的、構造的な問題点、これが明らかになったところであります。
警察庁といたしましては、本事案のことを踏まえて、都道府県警察に対して、本部対処体制において、いわゆる司令塔、これを置いて、情報集約及び対処を統括させること、次に、生活安全部門と刑事部門の間の情報共有、また、事案への対処が、担当者個人の力量によることなく、タイムリーかつ的確に行われるよう、マニュアルの整備等を行うこと等々を警察庁として指示するというふうになったと承知しております。
神奈川県警察においては、今般明らかになった反省点を真摯に受け止めて再発防止策を着実に実行するよう、また、全国警察においても、人身安全関連事案への対処をより的確なものとするよう、警察庁にしっかりと進捗確認をさせながら、しっかり指導してまいりたい、そう思います。
以上です。
○岡田(悟)委員 警察の皆さんも、特に地方ではやはり人手不足が非常に深刻化しているというふうにも承知をしております、その中で工夫をして今いろいろな事件に対して対処に当たっておられると思いますが、やはり国民の命が守られなければ国民の期待には十分に応えられないというふうに思いますので、今大臣が御答弁されたように、今後適切に対処していただきたいというふうに思います。
今回の法改正ですけれども、紛失防止タグ、これを規制対象とすること、ほかにも、職権で警察官の方が、申出がなくても警告ができるということ、そして、探偵業の方などに、ストーカーの加害者に結果的に協力をしてしまうことがないように、警察がそれを伝えるということ、それから、努力義務として、被害者の方の勤務先や学校の校長や雇用者が被害者の方を守るということについて努力義務が追加される等々、改正案が出されておりますが、これら改正案が実現をすることで、ストーカー犯罪の抑止あるいは捜査にどのような点が資すると考えられるのか。こちらも大臣に御説明をいただきたいと思います。
○あかま国務大臣 本改正案でございますけれども、相手方に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、紛失防止タグを用いて相手方の位置情報を取得する行為等を規制することを内容としておるところでございますが、この審議を通じてこれが成立した後は、改正内容をしっかりと国民に周知すること、紛失防止タグを用いたストーカー事案に対して、ストーカー規制法に基づく警告であるとか禁止命令等に加えて、検挙を適切に行うことによって悪用行為に対する抑止、これが期待できるというふうに考えております。
以上です。
○岡田(悟)委員 是非、捜査に役立つ形でこれが実現することが望ましいというふうに思います。
一方で、先ほど来言及がありますけれども、犯罪に至らない段階でこれを防ぐということが、被害者の方にとっては当然ですが、加害者の方にとってもそういう行為に至らないことが望ましい、社会にとっても当然望ましいわけですけれども、警告の段階では一部の方に、あるいは禁止命令の段階では原則加害者の方に、カウンセリング等を受けるように勧めるということが現在警察によって行われているというふうに承知をしています。カウンセリングによって加害者の方もいろいろなことに気づいて、ストーカー行為をやめるという効果があるというふうにも報道されています。
現在、警察庁として、こういったカウンセリングや医療的な措置が犯罪の抑止やあるいは更生等にどのような効果があるというふうに認識をされているのか、取組の現状についても御説明いただきたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
議員御指摘のとおり、警察におきましては、令和六年三月から、ストーカー規制法に基づく禁止命令等を受けたストーカー加害者全員に対しまして、カウンセリング、治療の有用性を教示をして受診等を働きかけるなどの取組をしているところでございます。
他方、実際にカウンセリング、治療機関等につながるケースは大きくは増えておらず、令和六年中は、働きかけた加害者総数三千二百七十一人のうち、治療、カウンセリングにつながった者は百八十四人でございました。
その上で、カウンセリング、治療を実施したストーカー加害者につきましては、再発の防止に結びついた例もある一方で、再発した例もございます。
今後、カウンセリング、治療機関等につながりやすくするための方策について検討を進めるほか、カウンセリング等の効果についても、引き続き有効性をフォローアップしてまいりたいと思います。
○岡田(悟)委員 そもそも、カウンセリングにつながったケースが非常に少ないということ、また、カウンセリング等を受けても再犯につながったというケースもあるということですけれども、カウンセリングが広げられるのかどうか、そして効果についても、是非これはいろいろ検証しながら進めていただきたいと思います。
一方で、自治体において、京都府警あるいは福岡県警、県ということになるのかもしれませんが、現在六府県において公費によるストーカー加害者への医療措置やカウンセリング等が実施をされているというふうに伺っています。現状、今御答弁いただいた警察庁の取組は、費用については加害者が自ら負担するものと承知をしておりますが、自治体で公費で負担をするというケースがあると伺っています。こうした取組が全国で可能になるように、何か警察庁として手だてを取られるお考えがあるのかどうか、こちらについても伺いたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
警察庁では、カウンセリングや治療費を一部公費負担している都道府県警察につきまして、現在のところ、六府県警察を把握しているところでございます。
警察庁としては、ストーカー規制法に基づく禁止命令等を受けたストーカー加害者全員に対してカウンセリング等についての有用性を教示するというのは先ほど申し上げたところでございますが、実際にカウンセリング等につながるケースは大きく増えていないことから、今後、カウンセリング、治療機関等につながりやすくするための方策について検討を進める中で、御指摘の費用に係る論点も含め、どのような方策が効果的か検討してまいりたいと考えております。
○岡田(悟)委員 効果が一〇〇%でなくても、これは、一定の効果が見込めるのであれば、是非進めていただきたいというふうに思います。
一方で、警察というのは事件を捜査するところでありますから、なかなか医療措置等を強制的に行うというのが難しいという現実もあろうかと思います。ストーカー行為によって有罪が確定するなどし、刑務所に入ったりあるいは保護観察等になっている場合に、こういった治療、カウンセリング等が義務として課されているというふうに伺っていますけれども、こうした取組の状況について、これは法務省に答弁をいただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
刑事施設及び保護観察所においては、いわゆるストーカー事犯者に特化したプログラムとしては現在実施はしておりませんが、ストーカー事犯者の個々の特性やその犯罪の態様等に応じ、暴力や性犯罪を防止するためのプログラム等必要な指導を実施しているところでございます。
また、令和七年六月に導入された拘禁刑の趣旨を踏まえ、刑事施設においては、より一層個々の受刑者の特性等に応じた矯正処遇を展開をしているところでございます。ストーカー事犯者が抱える問題性等を踏まえた指導を充実させていく必要が、拘禁刑の施行とともに更に必要があると考えておりまして、今現在、ストーカーに特化した受刑者用のプログラムの作成の検討を進めているところでございます。
また、社会内でのストーカー事犯者に対する保護観察につきましても、その問題性等に焦点を当てたより効果的な処遇の在り方を現在検討を進めているところでございます。
引き続き、ストーカー事犯者に対する指導等の充実に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○岡田(悟)委員 ありがとうございます。
ストーカーに特化したプログラムは現時点では存在しないということでありますけれども、いずれにせよ、更生がなされてストーカー等の犯罪の再犯がなされないということが目的、目標でありますから、必要であれば特化したプログラムも検討されるということで、再犯等が減少する、なくなるように是非進めていただきたいと思います。
ストーカーとはちょっと離れますが、警察の皆さんの大きな課題として、匿名・流動型犯罪グループ、これが今非常に、我が国の治安を大きく揺るがす問題になっています。これは報道等でも皆さん御承知のとおり、国内で、いわゆるオレオレ詐欺、国際ロマンス詐欺等々、あるいは突然お金のある方の自宅に強盗に行くとか、あるいは悪質ホストにつながる女性のスカウトというような様々な犯罪に結びついている、かつ、拠点が東南アジアなど海外にあって、なかなか、国境を越えて犯罪が行われているため、日本の警察単独での捜査も困難が伴う、こういう状況が今広がっているものというふうに承知をしております。
最近ですけれども、警視庁がスカウトグループ、ナチュラルの捜査をしている中で、警視庁の警部補の方が捜査対象側に情報漏えいをしていた容疑で、地方公務員法違反で逮捕をされるという事案がありました。まだこれは起訴等には至っていないと思います、捜査中の事案ではありますが、言語道断という警視庁のコメントも出ております。
改めて、この事案について大臣の見解をお尋ねしたいと思います。
○あかま国務大臣 今お尋ねの事案でございますけれども、十一月の十二日、警視庁において、捜査情報を漏えいした地方公務員法違反容疑で、警視庁の暴力団対策課の警部補を逮捕したものだというふうに承知をいたしますけれども、本年十月に警察庁において、匿名・流動型犯罪グループ情報分析室、これを設置をするなどして、全国警察を挙げて匿名・流動型犯罪グループ対策を推進しているまさにさなかの中にあっての、現職警察官が捜査情報の漏えいで逮捕されるということで、まさに御指摘のあるとおり、国民の皆様方からの信頼、これを著しく損なう誠に遺憾な件であるというふうに認識しております。
今後、警視庁において、必要な捜査、また調査を尽くして、判明した事実関係に即して厳正に対処すること、また、二度とこのような事案を発生させないようにするために再発防止策を徹底するよう、私からも警察をしっかりと指導監督してまいりたい、そう思います。
以上です。
○岡田(悟)委員 いわゆる反社、マル暴、組織犯罪等に対する捜査というのは、かつてから内部に情報提供者をつくってということが行われてきたものと承知をしています。これは非常に本人にとっても警察にとってもリスクのある手法で、その是非というのは余りこういう場で明らかにされるものではないと思いますが、ただ、ある種、そういう役割の方も必要なのかもしれません。ただ、やはり、弱みがあれば、握られるであるとか、つけ込んでこられる要素も非常に多いと思います。そこは是非、警察官の方を守るという意味でも最大限注意を払っていただきたいというふうに思います。
さらに、トクリュウではその首謀者をしっかりと捜査対象にしていく、検挙をしていくことが必要になっているということを警察庁の皆さんはおっしゃっているわけですけれども、さはさりながら、その末端といいますか、現場で手を動かす、犯罪を行う人たちについても何とか手がかりをということで考案されたんだと思いますが、仮装身分捜査、これが始まっているという状況です。
これもいろいろ議論があるところですが、この捜査による実績、あるいは今後の事件に対する有効性について答弁をいただきたいと思います。
○重松政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の仮装身分捜査とは、捜査員が、その身分を秘して、架空の身分証を提示するなどしてインターネット上の犯罪実行者募集に応じ、詐欺や強盗などの検挙につなげる捜査手法でございます。本年一月、警察庁より、実施要領を全国の都道府県警察に示し、その適正な実施について指示をしているところでございます。
これを踏まえまして、各都道府県警察において必要な取組が進められているところでありまして、例えば、本年五月、警視庁において、詐欺未遂の被疑者を検挙し、被害の発生を抑止した事例があるものと承知をしております。
このように、仮装身分捜査は、詐欺や強盗などの被害発生前に実行犯等を早期確保することによりまして、犯罪グループの実態や首謀者等の特定に資する情報を得る機会も増えるなど、一定の効果があるものと考えております。
○岡田(悟)委員 犯罪の被害につながる前にグループを一網打尽にできるという点は、大きな利点であろうというふうに思います。
先ほど警視庁の方の逮捕事案もありましたけれども、そのスカウトグループが独自のアプリを開発をして連絡を取り合っているといったこともある、あるいは、このような犯罪の現場にいる人たちに対する指示などが、通信アプリのシグナルとか、非常に記録が残らないアプリを使って連絡がなされているという状況を考えれば、現場で犯罪を犯す者たちを逮捕をしたり捜査をしても、それ以上、上の突き上げ捜査につなげられるということもなかなか難しいという指摘もあります。
こうした状況も踏まえて、サイバー関係の対応もしっかりと進めながらトクリュウの捜査に当たっていただきたいというふうに思います。
ちょっと時間が余っていますけれども、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
○山下委員長 次に、小山千帆君。
○小山(千)委員 立憲民主党・無所属の小山千帆でございます。
本日は、内閣に所属させていただき初めての質疑の機会をいただき、誠にありがとうございます。
今、岡田委員がストーカー規制法の質疑をさせていただきましたので、時間の関係もあり、私は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律、いわゆる配暴法、DV防止法案について質問したいと思っております。
このDV法は内閣府の男女共同参画局が所管ということになりますので、男女共同参画を担当されているほか、女性活躍についても御担当されている黄川田大臣にお聞きしたいと思います。
黄川田大臣、お会いするのはお久しぶりですが、覚えていらっしゃいますでしょうか。(黄川田国務大臣「川口で」と呼ぶ)はい、ありがとうございます。そうです。大臣の選挙区、川口の市議をしておりました小山千帆です。イベントでは来賓で来られている黄川田大臣にお茶などをお出しした記憶があり、そのような立場で今日質疑をさせていただくのは本当に光栄でございます。
勝手に、そういう旧知の間柄ということで、ざっくばらんにお尋ねしたいことが一つだけございます。この伝統ある第一委員会室にお座りの委員の方々を見てどのようにお感じになられるか、率直な感想をお聞かせください。
○黄川田国務大臣 さきの国会でも内閣委員を務めさせていただきましたので、今度は御指導をいただく立場だというふうに考えております。
○小山(千)委員 率直な御感想、ありがとうございます。
ちょっと私と感覚が違っていて、実は、先週の内閣委員会に初めて出席した際、私、とても違和感を感じました。
この委員会、名簿を拝見すると、山下貴司委員長を始め総勢四十名で構成されております。その中で女性は、私たった一人です。この委員会の女性の比率は約二・五%です。このような構成の委員会で、男女共同参画や女性活躍といったテーマについて、当事者である女性の数が著しく少ない状態で果たして充実した議論が期待できるのか、正直、大いに疑問があります。
ついでに申し上げると、対する委員会にお出になる政府側の三役、大臣、副大臣、大臣政務官は木原稔官房長官を始め総勢十九名もおられますが、その中で女性はたった一人、小野田紀美大臣お一人だけです。女性の比率は僅かに五%にすぎません。これでは、国会も政府も男女共同参画や女性活躍といった課題に真剣に取り組むつもりがあるのか、国民から疑いの目で見られても致し方ないです。
ひょっとしたら、たまたまこういった男女比になってしまったのだという弁解が聞かされるかもしれませんが、そうした明白な明らか過ぎる男女比の乖離があると分かっていながら、それでよいとしていいのでしょうか。
一昨日の本委員会の質疑で我が党の櫻井周委員が、内閣による最高裁判所判事の女性任命について数値目標を設けることの是非について質疑をしておられました。
その前に、内閣自身において、男女共同参画や女性活躍を論じる内閣委員会に関わる閣僚や三役に関して数値目標を設置したらいかがと存じますが、担当大臣、どのような御提案をなされるお気持ちがありますか、教えてください。
○黄川田国務大臣 女性活躍、男女共同参画は、全ての人のためであるというふうに思っております。ですので、女性だけでの問題ではなく、男性も考え、行動することが求められると考えております。
男女比については、考えるところはあるかとは思いますが、男性も積極的に女性活躍、男女共同参画、これを議論することで、社会全体に女性活躍、男女共同参画を推進する力をつけていっていただければというふうに思います。
○小山(千)委員 ありがとうございます。
今聞いていて思ったのは、もちろん男性も大事です。ただ、高市総理が所信でもおっしゃったように、女性特有のこと、本当にあるんですね。当事者だから分かることがある、そのつもりで私も国会議員に立候補した原点があります。なので、やはり内閣委員会、黄川田大臣を中心として、もうちょっと女性の割合も目で見るように増えていくことを私は望みます。
では、本題に入らせていただきます。
DV防止法では、接近禁止命令などの保護命令は裁判所による手続を経て出されるもので、そうした手続を前提に、今回の改正法によって、いわゆる紛失防止タグやエアタグと呼ばれるものを被害者の持ち物に取り付けたり忍ばせたりして被害者の位置を取得することも禁止されているというたてつけになっています。
しかし、そもそも、この保護命令が出されていない状況において、こうしたことを禁止する必要があるケースは多々あると思います。保護命令を前提としている現在のような法制度のたてつけで、配偶者からの暴力の被害に遭っている人たちの保護に十分であるとお考えでしょうか、お聞かせください、大臣。
○黄川田国務大臣 配偶者暴力防止法では、被害者からの申立てにより、裁判所が相手配偶者に対して、被害者の身辺へのつきまとい等の一定の行為を禁止する命令を発令する保護命令制度が規定されております。
これは、法律で主として対象とする行為が、家庭内で配偶者という特段の関係にある者から振るわれる暴力である上、配偶者からの暴力では、被害者と加害者が生活の本拠を共にしていることが多く、場合によっては加害者をその居住から退去させる必要があることなどを踏まえたものでございます。
一方、被害者保護の観点からは、暴力の被害者が円滑に保護命令の申立てができるようにすることが重要であります。
このため、配偶者暴力防止法におきましては、配偶者暴力相談支援センターが保護命令制度の利用について、情報の提供、助言、関係機関への連絡等の援助を行うこととされております。
被害者が保護命令の申立ての支援を含め被害者の居住する地域でそれぞれの状況に応じた必要な支援を受けられることができるよう、都道府県や市町村に対して情報の提供や研修の機会の提供を行うなど、地域における被害者支援体制の充実強化を促してまいりたいと考えております。
○小山(千)委員 ありがとうございます。
もちろん、センターの方はすごく熱心にやっていただいています。約九万件、相談件数があります。しかし、裁判所で保護命令が下されるのは、多くて千二百件です。全国で千二百件しかないんです。千二百件の方の対象となるこの紛失防止タグ、それだとちょっと意味がないのではと私は思います。
分かりやすい例で御説明しますね。
例えば、父親から児童虐待を受けている子供とその母親が二人で一緒に虐待の加害者である父親から逃げている事例を皆さん考えてください。その父親から逃げている子供の居場所を必死で父親が捜そうとしています。ただ、母親には暴力がなかったので保護命令が出ていないので、母親に対して紛失防止タグを忍ばせた封書を郵送しても、これは犯罪にならないのです。大体皆さん、同じところに住まないので、転居されますよね。そうすると、郵便の転送届をします。その郵便は、何も制度がないので、隠れているお母さんと子供の家に行ってしまいます。子供を虐待した父親は簡単にそこの住所を知り得ることができるんですね。法律上、それは禁じられていません。
そのようなケースで、つまり、母親と一緒にいる子供、これは児童虐待の被害者の居場所も分かられちゃう、他方でこういうことが起きる。児童虐待防止法や児童福祉法では、このような紛失防止タグやエアタグに関する法的な手当てがなされていないです。結局、この法律、千二百件しかない保護命令をされている人、若しくは児童福祉法、虐待法などで逃げている子供たちに対しては十分に保護できないように思われます。これは、法で守るべき者がこぼれ落ちてしまう、いわゆる法の隘路の一つではないでしょうか。
児童虐待防止法や児童福祉法についてはこども家庭庁の所管でありますので、地方活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会での御議論、御検討をいただく、すべき事柄ですので、これ以上この場で深入りするのは差し控えますが、幸い、こちらにいらっしゃる黄川田大臣はこども家庭庁を担当される大臣でいらっしゃいますので、こうした所管省庁をまたぐような問題に関しては、いずれにおいても必要な法的な手当てがなされるよう、抜かりなく、ぐいっと横串を入れてくださるようお願いして、黄川田大臣への御質問は終わらせていただきます。
大臣、ありがとうございました。御退室なさって結構です。
○山下委員長 法案審議ですから。
○小山(千)委員 済みません、ありがとうございます。
次の質問にさせていただきます。
暴言、言葉による暴力、モラハラ的な、精神的な被害を受けたケースにおいて裁判所が保護命令の審理をする際に、被害者は実際に精神的な被害を受けているという事実を証明するために診断書を提出するように要求されますのが通常なんですね。こうした運用によって生じる弊害や被害者側の負担、将来における不利益についてどのように認識しておられるか。
これも例で言いますね。
例えば、配偶者からの精神的な暴力によって心が弱ってしまって、それを説明するすべがない、でも、保護命令を出してほしいという場合、しようがなく心療内科の医師等のところに行きます。診察を受けて、精神疾患の病気として診断書を取得することができました。それで裁判所に保護命令を出してもらえて、それはそれで保護をされてとてもよかった。そして、第二の人生をこれから子供と一緒にスタートしようと思った。今まで経済的DVがあったから生命保険も入れなかった、医療保険も入れなかった。子供のために、何かあったらどうしよう。生命保険に入ろうとします。ここで、精神疾患による診断書があることによって生命保険に入れないんです。
裁判のために必要だった診断書、でも、次の生きるステップを、この診断書が、未来を閉ざされてしまう。何か診断書に代わるべきもの、このような被害者側の負担や不利益についてどのようにお考えか、お答えください。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
令和六年四月に施行されました現行の配偶者暴力防止法では、重篤な精神的被害を受けた場合にも接近禁止命令等の対象となるなど、保護命令制度が拡充されたわけでございます。
配偶者からの身体に対する暴力等により、うつ病やPTSD等のような精神医学の見地から配偶者暴力の被害者に見られる症状で通院加療を要する症状が出ていると認められる場合で、配偶者から更に身体に対する暴力等を受けるおそれがある場合には、接近禁止命令等の要件である、心身に重大な危害を受けるおそれが大きいと考えられるわけでございます。こうした場合、裁判を迅速に進めるため、申立ての際に、うつ病、心的外傷後ストレス障害、適応障害、不安障害又は身体化障害についての医師の診断書を添付することが求められているものでございます。
配偶者からの暴力の被害者が円滑に保護命令の申立てができるようにすることが重要でございます。配偶者からの暴力の被害者が身近な地域において保護命令の申立ての支援を含めそれぞれの状況に応じた必要な支援を受けることができますように、配偶者暴力相談支援センターの機能の充実など、地域における被害者支援体制の充実強化のための都道府県や市町村の取組を促進してまいりたいと考えております。
○小山(千)委員 もちろん取組、すごく感謝しております。しかし、裁判所が判断するためには診断書というふうに国が言ってしまっていることが大きな隔たりになっているということは事実なので、例えば、各市町村にあります協働推進課に何回相談に行ったかとかの事実を基に裁判所が診断してくれる。先ほど通院ともおっしゃいましたが、実は通院歴も、生命保険だったり医療保険の告知義務に当たります。それがあることによって自分が望んでいる保険に入れない可能性もありますので、病院を絡まない地域密着型の協働推進など、そういうところと、行政と取り組んで裁判所が判断できるような形を今後望んでいきたいと思います。
では、次の質問に行きます。
政府が公表している統計等を拝見しますと、DV被害からの相談件数は、ここ五年で見ましても年々増加しているところ、被害の相談者の男女比で見ますと、年々比率が大きくなっていることが読み取れます。これは恐らく、男性は従来、自分がDV被害に遭っていることの自覚に乏しかったり、自分が受けている行為や態様がDVに当たるのではないかという知識がなかったり、自分がDV被害に遭っていることは認識しているものの、被害に遭っていることを相談したり申告することは恥ずかしい思いがあったり。あと、よく聞くのは、お子さんが生まれて、一生懸命仕事をしてちょうど九時ぐらいに帰ろうと思うと、子供さんを九時頃に寝かせる、そのときにばたばたされると困るから帰ってこないでほしいという奥様の例えば言葉がある。これって、実は男性に対する家庭内DVの入口なんですね。
今、言葉があって、帰宅困難者のお父さんがすごく増えている。これをきっかけにお父さんがなかなか帰ることができなくなって、子供、お母さんが寝てからそおっと帰って、残っている家事をして、夜中の二時、三時までやり、六時に起きて会社に行き、そうするとやはり仕事のパフォーマンスが上がらなくて、仕事と家庭のバランスが崩れて、お父さんも精神的に心が疲れてしまう、そういった状況が正直あります。でも、これが男性側にとって家庭内DVだという認識が正直ないことがあるんですね。
なので、やはり、男性だろうが女性だろうが、特に男性は被害者であることを言いづらいという事情がすごく想像されます。こういった多様な様々な被害者の中には、公的相談窓口がハードルが高いと思っている方は本当に多いと思います。そういう被害者の受皿になったり、公的機関では把握し切れない被害者の実情などを調査している民間支援団体があります。まだ広く認識されていない立法事実を、実はそういう民間団体さんが私たち議員に知らせてくれる重要な存在となっております。
ですから、二年前の前回、令和五年の改正時に、「被害者支援において重要な役割を果たしている民間支援団体への財政支援の一層の充実を含めた更なる支援の実施について検討する」という附帯決議がありました。その内容は、引き続き今後の課題でもあることには変わりない。なので、なお一層のこと、財政支援を行い、官民で連携して被害者支援に当たるべきだと考えております。
このように、男女共同参画というのは何も女性ばかりを支援するものではなく、弱い立場にある男性についても当然支援するものでなければいけないと考えております。ですので、こうした男性DV被害が増加している状況に対し、政府としてはどのような問題意識を持ち、対応を実施されているのか、そして、今後どのような対策や対応が必要であるとお考えになるか、教えてください。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、警察が受理した令和六年に男性から寄せられたDV被害の相談件数は二万八千二百十四件でありまして、全体の約三割を占めております。過去五年で約一・五倍となったと承知をしております。
DV被害者は女性に限られるものではなく、男性の被害者もためらうことなく相談でき、必要な支援を受けられる環境を整備することが重要と考えております。
内閣府におきましては、DV相談プラスにおきまして、性別にかかわらず相談を受け付けていることに加えまして、令和五年八月から、毎週日曜日の十五時から二十一時までの間に男性からの相談に対応する専用回線を設けまして、その旨を当該相談窓口のウェブサイトに掲載するなどの取組も行っているところでございます。
また、地方公共団体に対しまして、被害者の性別にかかわらず相談しやすい環境の整備に配慮することが望ましいことを周知するなど、地方公共団体の取組を促しているところでございます。
引き続き、男性を含め、配偶者暴力の被害者がためらうことなく相談でき、必要な支援を受けられますように、相談支援体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
○小山(千)委員 特別な時間帯の相談支援の枠を取っていただき、本当にありがとうございます。ただ、そのときに、どうされましたかと女性の声で聞くのではなく、同じ思いを持った男性の方が窓口に出ていただけますことを希望して、次は、ストーカー行為等の規制等に関する法律、いわゆるストーカー規制法の改正に関して質疑させていただきます。
今回の改正法によって、ストーカー被害者が勤める会社など事業所、通学している学校など、会社や学校は被害者に対する援助に努めなければならないという努力義務が定められました。弱い立場に置かれている被害者をこのように周りの方々が一緒になって助けてあげることは、それ自体はとてもよいことであると思います。
ただ、他方で、そういった努力義務を課される事業所や学校にいってみると、努力義務であって罰則などはない、強制はできない、場合によっては重荷に感じる方もいると思います。真面目に考えている勤務先であったり学校の先生が、命を守らなきゃいけない、どうしよう、僕が体を張って、そういうふうに思う先生もいると思います。会社だったら、じゃ、鍵の数を増やそうか、そういう形で費用が増えることもあると思います。
ただ、一番怖いのが、それが度を超えたストーカー行為があるような人だったら、真面目な人すら、あなたの命は守れないから、ごめんね、入学を拒否する、若しくは雇い止めをするということもあり得るのではないかと推測されます。
被害者のために今回新たに設ける努力義務がかえって被害者の仕事や通学先を奪う結果にならないか、心配しております。
また、努力義務が果たされないことを理由に、事業所や学校が民事に訴えられるようなこともあるのではないかと懸念をしております。
こういった努力義務を新設することによってどのような波及効果があるか、お考えですか、教えてください。
○山田政府参考人 お答えいたします。
今回の法第九条の第三項の努力義務は、ストーカー行為等が行われている地域の住民に既に広く課せられている訓示的なものでありまして、具体的な措置を義務づけるものではありません。
その上で、学校、教育現場等に期待されるストーカー行為等の被害者に対する援助の内容は、例えば、緊急時の警察への通報、また勤務場所の変更、配置転換等の勤務形態への配慮、また勤務先や学校及びそのホームページ等における当該ストーカー行為等の被害者の氏名等の掲載を控えること、こういった内容を想定しておりまして、勤務先ですとか教育現場等への過剰な負担とはならないものと考えております。
加えて、本改正内容につきましては、これまで経済関係団体や学校関係団体に個別に御説明をして御理解をいただいておりますところ、引き続き丁寧な周知に努めてまいりたいと考えております。
○小山(千)委員 やはり、こうしたストーカー被害や家庭内暴力、いわゆるDV、私いつも思うんですけれども、素朴に本当に思う、なぜ落ち度のない被害者が逃げたり、対応や対処を余儀なくされるのかということです。
やはり被害者は、いつどこで加害者が来るのか、本当におびえています。なので、こういう被害者の悲惨な状況を少しでも改善するために、最新のテクノロジーの活用、例えばストーカー加害者にGPSをつけるとか、居場所が分かるとか、アメリカやお隣の韓国では導入されています。日本でも導入を希望していくべきだと思いますが、政府の見解をお答えください。短めにお願いします。
○山下委員長 警察庁山田生活安全局長、答弁は簡潔に願います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のような加害者にGPSを装着させるなどの制度を設けることにつきましては、様々な論点がございまして、また憲法で保障されている国民の権利等との関係を含め様々な視点からの慎重な検討が必要であるというふうに考えております。
GPSにつきましては、先ほども申し上げたところでもございますが、保釈中の被告人に対して保釈されている被告人の位置情報を取得する制度というのが創設をされ、また、近く施行予定であること、令和五年三月三十日に開催され決定された性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針において、仮釈放中の性犯罪者等にGPS機器の装着を義務づけることなどについて所要の検討を行うこととされているところでございます。
GPSを装着させる制度につきましては、こうした今申し上げた制度や検討の状況を注視しながら、必要に応じて検討されるべきものと考えております。
○小山(千)委員 ありがとうございます。
あかま大臣、大変お待たせいたしました。
最後、いわゆるこのストーカー規制法、桶川の女子大生殺害事件を契機に議員の皆様が立法でスタートしたストーカー規制法だと思います。
適用時は前提として恋愛感情等が要件として求められていますが、ストーカー事案の中には、最近、恋愛感情等ではないものが原因であるものと多数言われております。こうした事案の中には、各都道府県の迷惑防止条例等で規制されるものもありますが、恋愛感情等という要件の有無で区分けをするのがよいのか悪いのか、それも、いずれであるのか明確ではない境界事案が、そもそも法律からも条例からも漏れてしまう悪質事案があるかもしれません。
また、四年前の令和三年の改正時の附帯決議には、「怨恨の感情等によるストーカー事案のうち、恋愛感情等によらないものについては、ストーカー行為等の規制等に関する法律の規制対象ではないが、被害者に恐怖の念を抱かせるおそれがあることに鑑み、同法の規制対象とすることを含め、必要な対策を検討する」と記載がありました。
ということは、政府としては、こうした必要な対策の検討をどのようにされてきたのでしょうか。また、恋愛感情等の要件の是非を含めてストーカー規制法の全体を抜本的に見直す時期に来ているのではないかと思うのですが、この法律の将来設計についてどのようにお考えか、大臣、お聞かせください。
○あかま国務大臣 今御指摘もありましたとおり、このストーカー規制法でございます。立法当時、つきまとい等事案の実態として、交際を求めたり復縁を迫ったりするなど、恋愛感情等に起因して行われる場合が、そういった状況が多く認められて、こういった場合は、その相手方に対する暴力、脅迫、ひいては殺人等の重大な犯罪に発展するおそれが強い状況が見られたことであるとか、同時に、取材活動であるとか労働運動等との関係も踏まえ、国民に対する規制の範囲を最小限にするべき、そういった観点からの考慮が必要だったというようなことがございました。
その意味で、規制対象を、恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で行われるつきまとい等及び位置情報無承諾取得等に限定しているものというふうに承知しておりますけれども。
その上で、附帯決議を踏まえて確認を行った結果、恋愛感情等の充足目的以外の目的で行われたつきまとい行為等、例えば近隣トラブルであるとか、また、その行為がエスカレートして被害者の生命身体に直接危害が及ぶおそれが高いものとは認められない。また、被害者が亡くなる結果を故意に生じさせた重大事案について分析したところ、その発生以前に被疑者から被害者に対して恋愛感情等の……
○山下委員長 答弁は簡潔に願います。
○あかま国務大臣 充足目的以外の目的に基づくつきまとい等及び位置情報無承諾取得等のみが行われていた事案は把握されていないなどなどが明らかになったことから、現時点において法改正を行う必要までは認められなかったということでございますので、恋愛感情要件の撤廃等については、ストーカー規制法そのもの自体の在り方に関わることですから、慎重に検討を要するものというふうに理解しておりますので、ストーカー事案の情勢をしっかりと注視してまいりたい、そう思います。
○小山(千)委員 ありがとうございました。
○山下委員長 次に、長友よしひろ君。
○長友(よ)委員 立憲民主党、長友よしひろです。
本日は、質問の機会をいただきましたことを御礼申し上げたいと思います。
私、主な活動区域、神奈川十四区、相模原市、愛川町、清川村というところでございます。あかま大臣と同じでございます。大臣、御就任、誠におめでとうございます。三十年近く前から存じ上げる地元の先輩でございます。大変うれしく思いますし、是非、御活躍を祈念申し上げたいと思います。
そして、当たり前でありますが、国民の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序を維持する、このために喫緊の課題に取り組んでいただくことはもちろんでありますけれども、未来のために、将来のために築いていただく、この礎をですね、是非担っていただきたい。心から応援させていただきたいと思います。
本日は、いわゆるストーカー規制法の一部改正でございますので、そのことについて質問をしたいと思います。
議員立法により制定されたいわゆるこのストーカー規制法、時代の変遷とともに実態に見合った強化策が講じられてきたと承知をいたしております。今回の改正につきましても、立法事実に基づき提案してきたものと理解をしているところであります。
そこで、まず、主な改正案として、位置情報無承諾取得等に該当する行為、いわゆる紛失防止タグ、スマートタグ、いろいろ言い方はありますが、これが追加されたことであります。このようなガジェットは私たちの生活をより便利にするツールでありますが、同時に、その使用方法によっては社会へ悪影響を及ぼしてしまうことがあるわけです。今回、新たにスマートタグ、無承諾取得を規制対象とすることにより、どのような効果を得ることができると考えられているのか、まず大臣に伺いたいと思います。
○あかま国務大臣 長友委員には、いろいろ、同じ選挙区で切磋琢磨ということで、しっかり答弁もと思っております。
長友委員の方から、今、このストーカー規制法の改正の内容について御説明がありました。その効果ということでございますので、この審議を経て成立した後、改正内容をしっかりと国民にまず周知すること、このことが肝要であると思っていますし、また、紛失防止タグを用いたストーカー事案に対して、このストーカー規制法に基づく警告であるとか禁止命令等に加えて、検挙を適切に行うことによって悪用行為に対するいわゆる抑止力、これが期待できるものというふうに考えております。
○長友(よ)委員 ありがとうございました。
大臣、ちょっと通告していないんですけれども、このスマートタグ、いろいろなものがあります。エアタグ、ディグル、タイルスティッカーなど様々なものがあるんですけれども、今日、代表的なものを持ってきました。エアタグなんですけれども。これは、御覧いただいて、誰もが承知していると思いますけれども、小さくて、軽量で、気軽に持ち運びができるという利点があるわけですね。
ちなみに、大臣、お持ちですか。あるいは、御利用されたことはございますか。
○あかま国務大臣 私自身、所持、利用、活用はしておりません。
○長友(よ)委員 ありがとうございました。
ということは、よくいろいろな意味で御存じ、利点も、逆に言う、それに伴う裏側も承知のことだと思います。
そこでなんですけれども、新たに明記される一方で、既にこのスマートタグを利用したストーカー行為の事案で書類送検などが行われている、既にそういう実態が、事例が報道されているんですね。これって、今法改正、しているわけですけれども、どういうたてつけでこういった事例があるんでしょうか。伺いたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
現在、紛失防止タグを用いたストーカー事案に対しましては、行為者に対する指導のほか、関連して行われるつきまとい行為等があれば、その関連して行われるつきまとい行為等を捉えましてストーカー規制法に基づいて対処をし、また、刑法に抵触する行為があれば、こうした行為を捉えて検挙するなどしているところでございます。
○長友(よ)委員 つまり、関連する行為が、スマートタグ自体を使ったことだけではなく、その先あるいはそれに関連する行為が存在するわけですね、一般的に。
ということは、これは、あえて今回改正しないという考え方もあってもしかるべきなんじゃないかと思うんですけれども、これって、どう捉えればよろしいでしょうか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
関連する行為があったケースもあれば、ほかの、例えばストーカー規制法上のつきまとい等に該当しないものもあったところでございます。
○長友(よ)委員 承知しました。
そうでない、関連しないケースもあるということで、今回明記をしようということの答弁だったと理解しました。
私は、もう一つありまして、しっかり明記をすることによって、より認知していただく、こういうのは駄目なんだということを広く知っていただくという広報的、啓発的な意味合いがあるんじゃないかというふうに思っております。そこを、この後、法が成立したならば、しっかり取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。
あわせて、大事なのは、これはメーカーさんが、どうこう言うつもりはありませんけれども、製造メーカーですね、開発メーカー、メーカーさんなりにもいろいろな努力をしていただいているんじゃないかなと、犯罪に使用されないように。という意味で、実態として、犯罪若しくはそのおそれのある事案への対応をどういうふうにメーカーと警察は図られているんでしょうか。伺いたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
紛失防止タグを開発、販売する企業におきましては、本来の用途外で紛失防止タグを悪用することを防ぐための対策を講じており、例えば、紛失防止タグから所有者の携帯電話が一定時間以上離れた場合に紛失防止タグ自体から音が鳴るですとか、登録されていない紛失防止タグが周囲に一定時間以上ある場合に携帯電話にその旨の通知が届く、こういった対策を講じている例があるものと承知をしております。
警察におきましては、これまで、紛失防止タグの悪用事例を紛失防止タグを開発、販売する企業に伝えるなどして、その悪用防止に向けて連携をしてきたところでございます。
法改正後におきましては、関係企業に対しこうした悪用防止対策を広く周知するように働きかけるとともに、ストーカー被害の相談者に対してこうした対策について周知をしてまいりたいと考えております。
○長友(よ)委員 よく分かりました。是非そこを強化していただきたいと思います。
次に、ストーカー事案の再犯者率ということなんですけれども、他の事案と比べて低いというふうに言われている。まあ、高いか低いかというのは問題だとは思っていませんけれども、これはどの程度なのかということを聞きたいのと、それに対する見解を端的に述べていただければと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
ストーカー規制法により検挙され、またストーカー事案に関連して刑法犯、他の特別法犯として検挙された者のうち、前にストーカー規制法違反で検挙されている者及びストーカー事案に関連して刑法犯、その他特別法犯として検挙されていると認定できる者をストーカー事案に係る再犯者と定義をいたしまして、令和六年中にストーカー規制法違反により検挙され、又はストーカー事案に関連して刑法犯、他の特別法犯として検挙された者の数に占める再犯者の割合を算出をしましたところ、八・〇%でありました。
他方、直ちに比較することはできないとは考えられますけれども、令和六年の犯罪白書では、例えば薬物犯罪、これは覚醒剤取締法違反でございますが、二十歳以上の検挙人員中の同一罪名再犯者人員等の推移によりますと、令和五年の数値として、六七%と確認することができるところでございます。
いずれにいたしましても、ストーカー加害者に対する検挙等を行った後であっても、加害者の再犯性や報復のおそれの有無を考慮いたしまして、被害者の保護措置の万全を図ることとしてまいりたいと考えております。
○長友(よ)委員 分かりました。
これはやはり、警告などの取組が一定の成果として表れているのではないかなというふうに受け止めています。その意味で、警告の強化を今回図るというのも、非常に重要なことだと認識、受け止めているところであります。
次に、ストーカー加害者に対するカウンセリングについて、最後伺っていきたいと思うんです。
これは、警察職員に研修を実施したりされています。本当は受講状況とか効果について聞こうと思ったんですけれども、時間の関係でここは割愛させていただきたいと思います。
これは、受講の方は数多くいらっしゃいますけれども、一方で、認知行動療法というんでしょうか、禁止命令を受けた加害者全員に促していると。さっきのやり取りでもあったかもしれませんが、実際は任意のために、受けられているのは六%程度しかない、こう報道もされています。極めて低いわけですよね。
警告の強化は大事、いろいろな規制の強化も大事、でも、それって、あくまで対症療法と言えるんじゃないかと思うんですね。根治療法という言い方が正しいのか、根本療法、原因療法という言い方が正しいのか分かりませんけれども、これをやはり目指していかなきゃいけないということからすれば、さっきの議論にもあったと思いますけれども、再犯防止推進計画の着実な履行は不可欠であるのはもう言うまでもありません。でも、それで足りるのかということなんですね。
加害者への対応を充実させることがやはり必要だというふうに思うわけです。もちろん被害者の支援というのは最優先に考えるべきだと認識をしております。折しも、現在は犯罪被害者等支援の啓発強化週間でございまして、シンボルマーク、ギュっとちゃんですね、大臣もおつけになっていますし、今日私もつけさせていただいております。これはギュっとちゃんと言うんですね、御存じでしょうか。
そういう意味で、ここは非常に大事なところなんですけれども、先ほど申し上げたとおり、加害者に対するプログラムという言い方が正しいのか分かりませんけれども、ここの強化をやはり図っていくべきだということを思います。この点について、大臣、所感をお伺いいたします。
○あかま国務大臣 加害者への対応、更に充実にというお尋ねでございますけれども、警察において、ストーカー規制法の適時的確な適用など、関係法令を駆使して加害者の検挙等のまず組織的な対処、これを推進しておりますけれども、あわせて、昨年三月、令和六年の三月から、ストーカー規制法に基づく禁止命令等を受けたストーカー加害者全員に対して、精神医学的、心理学的手法に基づくカウンセリング、治療の有用性を教示して受診等を働きかけるなど、取り組んでいるところでございます。
今後も引き続き、カウンセリング、治療機関等につながりやすくするための方策について検討を加えていくこと、また、関係省庁とも連携して、加害者によるエスカレート防止に向けた取組を推進するよう、警察を指導してまいりたい、そう思っております。
○長友(よ)委員 ありがとうございました。
今のでよく分かったところなんですけれども、申し上げたとおり、あくまで任意のため、六%しかいないんです。この点を踏まえた上で強化策を、是非、関係省庁連携して取り組んでいただきたい、このことを申し上げて、終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○山下委員長 次に、うるま譲司君。
○うるま委員 日本維新の会のうるま譲司です。
早速質問に入らせていただきます。
紛失防止タグという新技術への対応が今回の法改正の主なポイントであると考えておりますが、この分野の技術革新というのは激しいものでありまして、今回の改正が今後の技術進歩に後れを取らず対応できるよう網羅的、包括的な規制となっているのか、まずお伺いいたします。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
今回の改正後ですけれども、自ら位置情報を記録し、又は送信する装置、すなわちGPS機器等に加えまして、自らは識別情報を送信するのみで位置情報を記録も送信もしないものの、周辺の装置の位置情報を利用して位置を特定する装置、すなわちいわゆる紛失防止タグ等でございますが、これを用いて相手方の承諾なく当該装置の位置情報を取得する行為等が接近禁止命令等の対象となるわけでございます。
これによりまして、これらの機器と同様に相手方の所在を把握することができる装置につきましては必要な対応ができるものと考えております。
○うるま委員 現在想定され得る技術進歩には対応できるということで、この分野は技術進歩が激しくて、全て対応というのは難しいとは思いますけれども、今想定され得るところには対応できているということで理解させていただきました。
次に、二番目を飛ばしまして、三番目に入らせていただきます。
令和三年にGPSの規制がなされて、それからも、事案自体は減ってはおりません。先ほど平沼委員の方から相談件数の推移など御紹介がございましたけれども、まだ高止まりをしている状態でして、法規制がしっかりと抑制につながっていないんじゃないか、なめられているんじゃないかという懸念がございます。
警告、禁止命令後の罰則適用をちゅうちょせず、罰則の適用と広報をしっかり徹底することで、しっかりと抑止力、法をなめさせないようなことを国民に知らしめるべきだと考えますが、決意をお伺いいたします。
○あかま国務大臣 お答えいたします。
ストーカーを始めとする人身安全関連事案への対処でございますけれども、加害者に対する警告等はもとより、事案の危険性、切迫性に応じて、第一義的に検挙等による加害行為の阻止を図ることを基本としているというふうに理解をしております。
議員御指摘の、GPS機器等に係るストーカー事案の相談件数が減っていない要因について、一概に申し上げることは困難でございますが、GPS機器等が普及をしたとか、法改正の内容が周知されたことによって、これまで相談されていなかった、見えていない部分の相談、これがされるようになったというような要因も考え得るんだろうというふうにも思っております。
それらを踏まえて、本改正によって紛失防止タグを用いた位置情報の無承諾取得等が規制対象行為に追加されることも踏まえ、改正内容をしっかりと国民にまず周知をすること、また、紛失防止タグ、これを用いたストーカー事案に対して、ストーカー規制法に基づく適時的確な警告また禁止命令等に加えて、検挙を適切に行うことによってストーカー被害の防止に努めるよう、警察をしっかりと指導をしてまいりたい、そう思います。
○うるま委員 周知と検挙を適切に行っていただくことで、是非抑止力を高めていただきたいと思います。
続きまして、警察による職権警告の導入についてお伺いいたします。
職権警告の導入に伴って、被害者が申出をためらっている場合でも、警察においては、客観的に被害者が危険な状況であるかを正確かつ迅速に判断する能力、これが必要になってくると思っておりますけれども、こういった判断能力を警察はどのように担保していくのか、お伺いいたします。
○山田政府参考人 お答えいたします。
ストーカー事案への対処に当たりましては、事案の危険性、切迫性を的確に判断し、組織的かつ迅速な対応を行うため、警察署と警察本部が一体的な対処ができるようにすることが不可欠であると考えております。
このため、警察庁では、都道府県警察に対し、本部の対処体制において、いわゆる司令塔を置き、情報集約及び対処を統括させること、また、警察本部において的確に事態を把握するため、人身安全関連事案の全てについて、事案を認知した段階で警察署長に速報するとともに、並行して本部対処体制にも速報することとしていること、また、報告を受けた警察署長は、事案の認定及び危険性、切迫性の評価を行うとともに、本部対処体制からの指導助言を受けつつ、対処方針及び署の対処体制を決定すること、また、対処幹部、対処要員等の役割に応じたマニュアル等を作成、周知をしていること、こうしたことなどを通達により指示をしているところでございます。
本改正により新設されます職権警告につきましても、被害者の安全確保を最優先に、都道府県警察に置かれている司令塔の下、適時的確に運用されるよう、警察庁として指導してまいりたいと考えております。
○うるま委員 強化されるということで理解いたしました。しっかり実効力、期待していきたいと思います。
続いて、警告によって加害者を不必要に刺激しないような仕組みがあるのか、お伺いしたいと思います。
また、警告、通知と併せて、被害者の安全確保について、加害者が刺激された直後に被害が起こらないようどのように迅速に対応していくのか、具体的な方針をお伺いいたします。
○山田政府参考人 お答えいたします。
ストーカー事案における加害者への対処は、加害者の性格やこれまでの行為の態様などを総合的に勘案した上で判断することとしておりまして、その上で、警告を実施する場合には、加害者の言い分に耳を傾けつつ、加害行為をしていることの自覚を促すなど、鎮静化を図る観点から、現行法においては、国家公安委員会規則で定めるところによりまして、警察官が対面で警告書を交付して警告を行うこととされているところでございます。
本改正により創設される職権での警告においても、申出による警告と同様に、警察官が対面で警告書を交付して行うこととしております。
また、被害者の安全確保についてのお尋ねでございますが、加害者の再犯性や報復のおそれの有無などを考慮をいたしまして、被害者の不安解消はもとより、一時避難等の措置、また被害防止のための資機材の活用を行えること、こうしたことなどを始めとする保護対策に関しても万全を期すこととしております。
改正法の施行に当たっても、こうした保護対策が徹底されるよう、改めて都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
○うるま委員 しっかりお願いいたします。
続きまして、探偵業者を始めとする第三者への通知制度について、警察は業者がストーカーに依頼されている状況をどのように察知するのか、お伺いいたします。
あわせて、探偵業者から怪しい依頼を警察に相談しやすい仕組み、これが必要だと思うんですけれども、どのように構築、強化していくのか、お伺いいたします。
○山田政府参考人 お答えいたします。
ストーカー行為等をするおそれがある者に対して特定相手方情報を提供するおそれがある者を把握する場合としては、例えば、警ら活動中に不審者を警察が発見し、職務質問を行った結果、当該不審者の供述を端緒に把握する場合が考えられます。また、ストーカー行為等の相手方が自宅周辺の不審人物を発見して警察へ通報し、当該通報を受けて臨場した警察官による当該不審人物への職務質問の結果、把握する場合というものも考えられます。また、探偵業者から警察に対して依頼主についての相談があった場合、こういったものも想定されるところでございます。
また、探偵業者に対しましては、業界団体はもちろんのこと、各業者の所在地を管轄する都道府県警察を通じるなどしまして、法改正の内容についてしっかりと周知を図り、警察に対して相談しやすい環境の確保に努めてまいりたいと考えております。
○うるま委員 これは探偵業者など業界との積極的な協力体制というものが必要だと思いますけれども、警察においては、ふだんからそういう協力体制というのはあるものでしょうか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
警察庁では探偵業法を所管しておりまして、また、都道府県公安委員会においては、探偵業者から届出を受ける、指導監督を行う、このような関係になっております。
○うるま委員 ふだんからあるということで、積極的な協力体制、よろしくお願いしたいと思います。
今回、被害者を援助する主体に雇用主と学校長が追加されました。この新設条項を例えばワンオペ回避などの具体的な援助につなげて被害を未然に防ぐ実効性を高めるために、警察はどのように雇用主や学校長と連携し活用していくのか、その具体的な方針をお伺いいたします。
○山田政府参考人 お答えいたします。
法第九条第三項の努力義務は、ストーカー行為等が行われている地域の住民に既に広く課されている訓示的なものでありまして、具体的な措置を義務づけるものではございません。
その上で、勤務先や学校に期待されるストーカー行為等の被害者に対する援助の内容は、例えば、緊急時の警察への通報、また勤務場所の変更、配置転換等の勤務形態への配慮、また勤務先や学校及びそのホームページ等における当該ストーカー行為等の被害者の氏名等の掲載を控えること、こういった対応可能な範囲のものを想定しているところでございます。
また、加えて、本改正内容につきましては、経済関係団体、学校関係団体等に説明し御理解も得ているところでありまして、勤務先や学校において被害者に対して適切な援助がなされるよう、引き続き丁寧な周知に努めてまいりたいと考えております。
○うるま委員 これは多くの委員からもあった指摘でありますけれども、DV、ストーカー事案というのは、被害者の保護だけでなく、加害者の更生による根本解決が不可欠であると私も考えております。
警察が行う治療、カウンセリングへの働きかけというものは、先ほど六%しか治療を受けていないという御指摘もありましたけれども、どうすれば高い割合で接続することができるのか、お伺いいたします。
また、これも先ほど平沼委員からもございましたけれども、GPSは加害者にこそ装着させること、この可能性も考えてもいいのかと思いますけれども、加害者への直接的な措置も含めて、再犯防止のための今後の研究推進体制について、政府の見解をお伺いいたします。
○山田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、警察において禁止命令等を受けた者に対して働きかけを行って実際に治療につながった件数は、約五・六%というところでございます。
この理由について、一概に申し上げることは困難でありますけれども、例えば、専門的な知見を有しない警察官による働きかけのみでは加害者の意識、行動変容には不十分であるということが考えられるところでございます。
警察庁といたしましては、ストーカー加害者がカウンセリング、治療につながるケースが少数にとどまっています現状を踏まえまして、加害者をカウンセリング、医療機関につなげやすくする方策について検討を進めることとしております。
また、加害者にGPSを装着させる制度を設けることにつきましては、犯罪を予防する効果の有無等をどのように考えるかなど様々な問題が考えられるところでありまして、また、その必要性を判断するに当たりましては、憲法で保障されている国民の権利等との関係を含め様々な観点からの検討が必要であると考えております。
警察としては、引き続き、関係省庁と連携をして、効果的な加害者対策の在り方について検討してまいりたいと考えております。
○うるま委員 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○山下委員長 次に、本村伸子君。
○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
今日は、法務委員会の方でも質疑がございまして、質問の時間など御配慮をいただきまして、本当にありがとうございます。
まず冒頭、ストーカー、DVによって命を奪われた方々に心から哀悼の意を申し上げたいというふうに思います。神奈川県川崎市でもストーカーの殺人事件がございました。本当に深刻な事件ですし、何度も警察に訴えをされていたのに、痛ましい結果になってしまいました。
二〇二五年九月の神奈川県警の検証結果等報告書を拝読をさせていただきましたけれども、DV、ストーカーの暴力による支配の構造やDVの被害者、ストーカーの被害者の心理に関する分析が不十分だというふうに感じました。DV、ストーカーの被害者心理に詳しい有識者や支援者の方々に検証していただき、そして、二度とこうした事件を起こさせない教訓を全国の警察官に共有するべきだというふうに考えますけれども、あかま大臣、お願いを申し上げたいと思います。
○あかま国務大臣 今お尋ねの事件に関する検証についてでございますけれども、神奈川県警察において事実関係の精査を行って、警察の対応の問題点と再発防止策に関して取りまとめられたものであるというふうに承知しています。
その状況についてでございますけれども、ストーカー加害者、被害者の心理専門家であるとか、過去のストーカー事件の被害者の御遺族の方にも御説明し、再発防止に向けた取組に資する助言等をいただいております。これらのことを踏まえて、全国警察に再発防止に向けた通達を発出したところでございます。
議員今御指摘の心理に関する知見ということでございますが、ストーカー事案における対処において、確かにこれは極めて重要だというふうに認識しております。全国警察では、地域の精神科医などの助言を得て、ストーカー加害者のカウンセリングへの働きかけに取り組む、また併せて、被害者の安全確保の観点から、被害者の心理状況を念頭に置きながらその意思決定を支援するため、心理に関する知見について警察職員への研修を実施するなどなどをしております。
引き続き、人身安全関連事案への対処がより的確なものになるよう、警察庁を指導してまいりたいというふうに思っております。
○本村委員 DVの構造などを分かっていればこうした対応には絶対にならなかったというふうに思いますので、是非、専門性のある皆さんにしっかりとこの件についても検証していただき、二度と事件を起こさせないために御尽力をいただきたいというふうに思っております。
今回の法改正では、紛失防止タグを用いてストーカーの被害者を追跡する行為を規制するということ、そして、紛失防止タグを用いてDVの被害者を監視する行為は、接近禁止命令における禁止行為に追加をされるということになります。
内閣府の皆さんがDVとは何かということをホームページに載せていただいているんですけれども、そもそも、相手を監視する行為、相手を同意がなく追跡、監視する行為、あるいは、無理やり同意させている可能性もありますけれども、無理やり同意させて追跡や監視をする、こういう行為はDVに当たるというふうに考えますけれども、御見解を伺いたいと思います、大臣。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第一条第一項におきまして、「「配偶者からの暴力」とは、配偶者からの身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」と定義されているところでございます。
この配偶者からの暴力に当たるか否かにつきましては、個別具体の事案によりますけれども、相手を監視する行為により心身に有害な影響を及ぼしたものと認められる場合には、配偶者からの暴力に該当する可能性もあり得ると考えております。
○本村委員 ホームページなんかに載せていただいている広義のDVという点ではいかがでしょうか、局長。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
広義、この配偶者からの暴力に該当する可能性もあると、この広義の配偶者からの暴力でございまして、先ほど先生がおっしゃった接近禁止命令等の申立てとは異なるということでございます。
○本村委員 追跡、監視する行為自体がDVというふうに認識しなければならないというふうに思います。
ストーカー規制法の方は、探偵など、加害者に対して被害者の情報を提供しようとする者に対して、警察から通知を行い、情報を提供しないよう求めることができるというふうにされておりますけれども、DV法の方の改正にはそうした規定はございません。DVで逃げているケースでも同じようになぜしなかったのかという点、大臣に伺いたいと思います。
○黄川田国務大臣 配偶者暴力防止法で主として対象とする行為については、家庭内で配偶者という特段の関係にある者から振るわれる暴力であるという特殊性がございます。このため、同法においては、ストーカー規制法と異なり、行政機関ではなく司法機関である裁判所が接近禁止命令等の必要性を判断するという手続を取ることとされております。
こうした法の仕組みの違い等を踏まえれば、配偶者暴力防止法においてストーカー規制法と同様の規定を設けることについては、通知等を行う実施主体を含めて、関係機関との様々な角度からの検討が必要と考えております。
○本村委員 DV被害者の情報も、探偵などが加害者に対して被害者の情報を提供しないように求める、そうした制度をつくるべきではないかというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○黄川田国務大臣 今回のストーカー規制法の改正は、何人も、ストーカーに対し、ストーカー行為等をするために必要となる情報を提供してはならないとの規定があった上で、一定のストーカー行為等をするおそれがある者へ情報提供を行うおそれがある者に対し、通知を行い、情報提供を行わないよう求める規定を追加するものであると認識しております。
ストーカー規制法における被害……(本村委員「DV」と呼ぶ)まず、ちょっとストーカー規制法を説明させてください。ストーカー規制法における被害者と加害者との関係に限定はありませんが、配偶者暴力防止法における被害者と加害者は、元々、生活を共にする関係であることが前提であります。被害者や加害者の親族等、両者との関係が深い者も想定されておりまして、それぞれの関係性において状況は様々ということでございます。
このため、ストーカー規制法と同様に、何人においても被害者の情報提供を禁止する規定を設けるかを検討するに当たり、その必要性や範囲等について十分に整理する必要があるというふうに考えております。
○本村委員 今後、整理をして、しっかりと検討していただくということでよろしいですね。
○黄川田国務大臣 今申したとおり、ストーカー規制法と同様に、何人においても被害者の情報の提供を禁止する規定を設けるかを検討するに当たり、その必要性や範囲等について十分に整理する必要があると考えております。
○本村委員 大臣は本当にDV被害者を守ろうという気があるんでしょうか、お答えください。
○黄川田国務大臣 はい、もちろんございます。
○本村委員 DV被害当事者の方を守るためにも、その御家族を守るためにも、そうしたことをしっかりとやっていただきたいというふうに思います。
DVで、子供と一緒に逃げているのに、実子誘拐と言われ、恐怖の中にいらっしゃる被害当事者の方がいらっしゃいます。警察からも、子供を連れて出たら誘拐罪で夫に訴えられますよと言われた被害当事者もおられます。
DVケースでは安全を確保するため子供と一緒に逃げていいのだということを関係府省庁に男女共同参画担当大臣から徹底をしていただきたいというふうに思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。
○黄川田国務大臣 内閣府としては、被害者が避難に不安を抱いたり被害者の保護に支障を来したりすることがないよう、適切に周知してまいりたいと考えております。
○本村委員 DVケースでは、リーガルアビューズ、リーガルハラスメント、ポスト・セパレーション・アビューズで苦しみ続けておられる被害当事者の方々もいらっしゃいます。被害者の方が貯金がなくなって弁護士さんを雇うことができなくなったら言いなりになるしかない、そういう被害当事者の方の声もお伺いをいたしました。
今の法律扶助は使えないという声があります。リーガルアビューズ、リーガルハラスメント、ポスト・セパレーション・アビューズで苦しんでいる被害当事者を守るためにも、深刻なDVケースやストーカーの被害者へ弁護士の方々をずっとつけることができるように、弁護士費用を公費で支援するべきだというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○黄川田国務大臣 配偶者からの暴力による被害については、被害の救済、再被害の防止を図るため、弁護士による法律相談等のサービスを利用しやすくすることが重要であると考えております。
配偶者暴力相談支援センターに対しては、それぞれの被害者の実情を踏まえ、離婚調停手続、子との面会交流、多重債務問題等に関する各種の法律相談窓口を紹介することに加えて、被害者の自立を支援するために必要な措置として、法テラスによるDV等被害者法律相談援助や民事法律扶助などの制度に関する情報提供等を促しているところでございます。
内閣府としては、被害者がこれらの制度を始めとした法律相談等のサービスを利用しやすくするために、関係省庁と連携してまいりたいと考えております。
○本村委員 法務委員会の参考人質疑の際にもDV被害当事者の方が発言をしてくださったんですけれども、DVがあって、そして今五年裁判に関わっておりますけれども、それでもまだ離婚は成立していないと。その間に弁護士費用は既に慰謝料などを含めて百万円以上かかっているということで、更にずっとリーガルアビューズのような形で被害が続けば、弁護士費用が用意できなくなったら夫の要求を拒否できる自信はありませんというふうにおっしゃっておられまして、また暴力の支配の構造の中に行ってしまうということがございます。そういうことにならないように、是非力を入れていただきたいと思います。
被害当事者の方々の支援といいますけれども、ニーズは多様です。多様な方々がいらっしゃいます。当事者目線で実効ある支援にするためにも、被害当事者のニーズ、そして支援者のニーズについて是非国で調べていただき、それを施策に生かしていただきたいという現場のお声がございます。
是非こうしたことをやるべきだというふうに考えますけれども、大臣、お答えをいただければと思います。
○黄川田国務大臣 配偶者暴力の被害者のニーズは多様でありまして、支援においてそのニーズを理解し、一人一人の多様なニーズに対応することは重要であると考えております。
内閣府では、令和二年度に開設したDV相談プラスに寄せられた相談事例の分析や配偶者暴力相談支援センター等からのヒアリングなどを通じまして、被害者の悩みや課題、支援内容等について把握を行っているところであります。
こうした取組で得られた結果を地方公共団体等に提供することによりまして、被害者に寄り添った支援の充実に生かしていただいているところであります。
政府としても、引き続き、あらゆる機会を通じて、DV被害者を取り巻く状況の把握をしっかりと行ってまいりたいと考えております。
○本村委員 現場のニーズを是非つかんでいただいて、国の施策に反映して、予算も大幅増額をしていただきたいということを強く求めまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○山下委員長 次に、福田玄君。
○福田(玄)委員 国民民主党の福田玄でございます。
議論がかなり進んでおりまして、多少重複する内容があるかとは思いますが、是非真摯な御答弁、よろしくお願いを申し上げます。
まずは、恋愛感情等要件の撤廃と附帯決議の対応についてお伺いをいたします。
本日、ストーカー規制法の改正案並びにストーカー対策の在り方について質問をいたしますが、今回の改正案では、エアタグ等の無断設置を取り締まる技術的なアップデートが含まれているという、そのこと自体は評価をしたいと思っております。
しかし、本質的な問題が置き去りにされているのではないか。それは、現行法の恋愛感情等の要件でございます。現場では、SNSでの一方的な恨みやカスタマーハラスメントなど、恋愛感情とは無関係な執拗なつきまといが今増加しているのではないか、そして、それに警察が介入できないケースが増えているのではないかと思っております。
令和三年の法改正時、衆参両院で恋愛感情要件の撤廃を含めた検討、これを求める附帯決議が採択をされているはずです。令和三年、もう令和七年ですから、四年たちますが。
にもかかわらず、今回の法改正に、この恋愛感情要件の撤廃を含めた検討、このことが反映をされていないのではないかと思っておりますが、立法事実がやはり変化をしているのではないかと思います。三年の間の技術の変化というのは相当速いですから、今。
立法事実が変化をしているのではないかという状況を認識をされているのかどうか。SNSを通じた集団的なつきまといなど、現代的な被害状態を含めて、早急に要件を撤廃すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〔委員長退席、鳩山(二)委員長代理着席〕
○あかま国務大臣 ストーカー規制法、これにおいては、立法当時というところから話を始めると、つきまとい等事案の実態として、交際を求めたり復縁を迫ったりする、こういった恋愛感情等に起因して行われる状況、これが多く認められて、これらの場合には、その相手方に対する暴力だとか脅迫だとか、ひいては殺人等の重大な犯罪に発展するおそれが強い状況、これが当時見られた、立法当時。同時に、取材活動だとか労働運動等との関係も踏まえ、国民に対する規制の範囲を最小限にするべきだという点を考慮する必要、これもあったということから、規制対象を、恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で行われるつきまとい等及び位置情報無承諾取得等に限定しておるものというふうに承知をした。
その上でなんですけれども、御指摘の附帯決議を踏まえて確認を行ったところ、恋愛感情等の充足目的以外の目的で行われたつきまとい行為、例えば近隣トラブルだとか、これに起因するつきまとい行為に係る事案の再発事案について、行為がエスカレートして被害者の生命身体に直接危害が及ぶおそれというものが高いというふうには認められていないということ。また、被害者が亡くなる結果を故意に生じさせた重大事案について分析したところ、その発生以前に被疑者から被害者に対して恋愛感情等の充足目的以外の目的に基づくつきまとい等及び位置情報無承諾取得のみが行われている事案は把握されていないこと等々が明らかになったことから、現時点において法改正を行う必要性までは認められなかったところであります。
さらに、今御指摘のSNS等々、様々な技術の進展だとか様々な動き、社会の動きがありますので、それを、議員の方の言葉で言う、いわゆる集合的つきまといという言葉で表現しておりますけれども、これを規制するために恋愛感情要件を撤廃することというのが、ストーカー規制法の在り方そのものに関わってしまうことから、慎重な検討を要するのではないのかなというふうに認識もしております。
とはいえ、引き続き、ストーカーの情勢、これはしっかり注視してまいらなければならない、そういうふうに思っております。
以上です。
○福田(玄)委員 御答弁ありがとうございます。
本当に、私たち政治家もそうですけれども、顔をさす、そんな仕事をしていると、SNSを通じて、最近怖いですから、本当にSNSきっかけでいろいろな事象が起きていますから、是非前向きに検討を進めていただきたいと思います。
次の質問に移りますが、これも多くの委員が指摘をされている加害者への治療でございます。
実は、福岡県は、精神保健福祉士を介入をさせて、この治療が全国四十七都道府県で見ると少し高いという数字が出ているという状況がございます。これはやはり、専門家を早期の段階でこういったストーカーの加害者に接続をさせて、そして治療を勧める必要があるかと思いますが、このタイミングですね、なるべく早く介入をするという状況が必要かと思いますが、いかがでしょうか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
ストーカーの加害者に対しましては、カウンセリングですとか医療機関の受診を促していくということが重要であるというふうに考えております。
その上で、警察におきましては、平成二十八年度から、カウンセリング、治療の必要性について地域精神科医等の助言を受け加害者に受診を勧めるなど、地域精神科医等との連携を推進しており、警察庁においてこれに必要な予算措置を行っているところでございます。また、令和六年三月からは、ストーカー規制法に基づく禁止命令等を受けた加害者全員に対して、カウンセリング、治療の有用性を教示して受診等を働きかけているところでございます。
他方、実際にカウンセリング、治療機関等につながるケースは大きく増えていないことから、御指摘いただいた実施のタイミング等についてもよく検討した上で、今後、カウンセリング、治療機関等につなぎやすくする、こうしたための方策について検討してまいりたいと考えております。
○福田(玄)委員 ありがとうございます。
実施のタイミングも含めて検討していただけるということですから。本当に、御自身で気づいていないケースがあると思うんですね、ストーカーになりそうだとか、なっているという。やはり、実施のタイミングを早くすることによって防止できることはあると思いますので、是非その検討を前向きに進めていただきたいと思います。
次に、探偵業者及び善意の第三者による情報収集への規制についてお伺いしたいと思います。
今回の改正案に関連し、加害者が他者を使って情報を入手する、いわば迂回ルートの規制について確認をさせてください。
改正案では、警察が探偵業者に対し、加害者情報を提供することで探偵が知らずに加害者に協力してしまうことを防ぐ運用が想定をされていると思いますが、まず一点目、探偵業者への罰則でございます。
もし、警察からこの依頼者はストーカーの可能性があると情報を得た探偵業者が、その情報を悪用し、あるいは故意、過失によって加害者に被害者の情報を漏らしてしまった場合、明確かつ厳しい罰則規定が設けられているのかどうか、お答えください。
〔鳩山(二)委員長代理退席、委員長着席〕
○山田政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの、本改正により新設する法の第六条第二項に基づく警察からの通知を受け、情報提供の相手方がストーカー行為等をするおそれがある者であることを知りながら情報提供を行った者については、現行法に既に規定されているストーカー規制法第六条に違反することとなりますが、当該違反につきましては現行のストーカー規制法上罰則は設けられておらず、本改正においても罰則を設けることとはしていないところでございます。
しかしながら、そのような情報提供行為は、当該情報提供を受けた者がストーカー行為等を行った場合にはストーカー規制法違反の幇助等に当たり得るものであり、実際、これまでに行為者に情報提供を行った第三者が検挙された事例もあるところでございます。
さらに、探偵業者が加害者側に被害者の情報を漏らしてしまった場合には、探偵業法に基づき営業停止等の行政処分を行うことが可能であることから、ストーカー規制法上に罰則を設けなくても実効性は十分に担保されているものと考えているところでございます。
○福田(玄)委員 今の御答弁の中で、第三者が、ストーカーが起こったことによって罰せられたケースがあるということですが、それはやはり未然に防がないといけないということですから、そのためにしっかりと罰則規定を設ける必要があると思っています。
探偵業法で探偵は処罰されるということでありますが、それよりも深刻なのは、探偵以外の第三者の問題があると思っています。どういうことかというと、ストーカーの加害者はしばしば、事情を知らない知り合いとかネット上の協力者に対して、復縁したいとか、借りたものを返したいなど、うそをついて、善意で被害者の住所や勤務先を捜させるケースがあるんですね。
こうした善意の第三者が、よかれと思って被害者の素性を調べて加害者に伝えてしまった場合、今回の法改正や現行法で規制ができるのかどうか。彼らは探偵業の届出をしていない一般人ですが、被害者にとってのリスクはプロの探偵と同じであるというふうに考えます。
探偵業法の枠外にいる、こうした事情を知らない善意の協力者による、あるいは善意の協力者を装った調査行為に対してどのような対策を講じるのか、お答えください。
○山田政府参考人 お答えいたします。
先ほども申し上げましたとおり、本改正により新設する法第六条第二項に基づく通知を受けた第三者が、ストーカー行為等をするおそれがある者に対して情報提供を行った場合について、ストーカー規制法において罰則を設けることとはしておりません。
しかしながら、当該通知を受けた第三者が、情報提供の相手方がストーカー行為等をするおそれがある者であることを知りながら情報提供を行った場合において、当該情報提供を受けた者がストーカー行為等を行った場合には、先ほども申し上げたとおり、当該情報提供の行為はストーカー規制法違反の幇助等に当たり得るものであり、実際、これまでにも行為者に情報提供を行った第三者が検挙された事例もあるところ、このような情報提供行為について厳正に対処してまいりたいと考えております。
○福田(玄)委員 現状では特に罰則を設ける予定はないということでしょうが、未然に防ぐという観点は非常に大切だと思いますので、そのためには、しっかりと厳しい罰則も含めて検討していただきたいというふうに思います。
最後の質問となりますが、先ほど来、これも各委員から質問がありますが、被害者の物理的な安全確保について伺います。
加害者の行動変容、これはなかなか難しいものだと思います。ストーカーをやめてくださいと、治療しても、なかなか治療にも結びついていない。そういった状況の中で、加害者の行動変容には時間がかかりますが、被害者の命は今守らなければいけないというふうに思います。
海外では、保釈中の被告人にGPS装着を義務づける事例が増えており、日本でも、保釈中の逃亡防止等の観点から議論が進んでいます。対象とされる人の権利侵害には十分注意することを前提として、これをストーカー事案にも適用すべきではないでしょうか。
例えば、既に禁止命令を受けている加害者が接近した際に、被害者のスマホに通知が来るようにして、逃げることができるようにする、その時間を確保する。そういった仕組みを設けることで、被害者がいつ襲われるか分からないという恐怖から解放されるために、これは重要なことではないかというふうに思っております。
今回の法改正、先ほど大臣、一番最初にも、ストーカー規制法全体に関わることがあるという御答弁をいただきましたけれども、全体のことも含めて、GPSの装置を加害者が装着をして被害者に通知をするような、そういったことを検討する方向性というものがあるのかないのか、是非お答えください。
○あかま国務大臣 福田委員にお答えいたします。
今御指摘の、ストーカー加害者にGPSを装着させる制度についてという話、これも、いわゆる犯罪の予防にどんな効果がある、ない、程度、これをよくよく考えていかなきゃならないし、それもまた、どのような根拠に基づいて、どんな人たちにその措置を取ることが許容されるかといったいろいろな問題、これがあること、委員の方も御理解もいただいていると思っています。
その必要性を判断するに当たっては、非常に難しい、憲法で保障されている国民の権利等々の関係も含めて、慎重な検討、これを加えていかなければならないというふうに思っておりますが、冒頭から委員がおっしゃるとおり、技術の進展であるとか、社会情勢だとか、場合によっては、社会、また個々人の考え方、価値観、いろいろ変容する中にあっては、それも含めて、ストーカー事案の実態、またそれをめぐる社会情勢というものを的確に反映すること、また、その実情を踏まえて、必要な対応というものを不断に検討していくこと、これは確かに必要だというふうに思っていますので、しっかりと、警察庁、これを指導してまいりたい、そう思います。
以上です。
○福田(玄)委員 真摯な御答弁をいただき、ありがとうございます。
こういった事案は、何かが起きてから、よく、いろいろなところで話をすると、誰かが死ななきゃ変わらないねみたいな、そんな話が出るわけです。そういったトラウマ型の対応ではなくて、それよりも前に、事前に、未然に防いでいく、その観点でしっかりと法整備を進めていただきたいと思います。
少し早いですが、終わります。
○山下委員長 次に、平林晃君。
○平林委員 公明党、平林晃です。
三年ぶりに内閣委員会に配属とならせていただきました。山下委員長を始め関係の皆様、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
それでは、ストーカー規制法、DV防止法、それぞれの改正案について質問をさせていただけたらというふうに思います。更に議論が進んでまいりましたので、更に重複する部分があるかもしれませんけれども、お許しをいただけたらというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。大臣お二人、よろしくお願いを申し上げます。
ストーカーにしましてもDVにしましても、本当に痛ましい事件が後を絶たない。何でこんなことが起きてしまったのか、どうして防ぐことができなかったのか、悔やんでも悔やみ切れないわけでございます。こうしたことを絶対に起こさせない、そういう強い思いを持って、公明党も、ストーカー規制法、DV防止法の制定、改正を一貫して推進をさせてきていただいたところでございます。
ストーカー規制法に関しまして、これまでの経緯を確認させていただきますと、桶川の痛ましい事件を契機といたしまして二〇〇〇年五月に議員立法で制定され、その後、二〇一三年に電子メールを送信する行為が規制対象に追加、二〇一六年に電子メールに類するその他の電気通信の送信等が更に規制対象に追加をされている。そして、二〇二一年の改正において、相手方の承諾を得ないでGPS機器等により位置情報を取得、あるいはそうした機器を取り付けることという行為が規制対象に追加された、このように認識をしております。そして、更に、今回の改正におきまして、紛失防止タグを規制対象に追加することとされているわけでございます。
こうした経緯から感じますことは、どうしてもイタチごっこになってしまうということでございます。今、最後、福田委員もおっしゃられたことではございますけれども、ある程度仕方ないというところはあるかというふうに思います。特に行為に関しまして、もう全く想像もできなかったような行為がされてくるというようなことはあるかというふうに思います。何でもかんでも法で規制してしまうというのは、罪刑法定主義といいますか、抑制的に権力は行使していくべきである、そういった観点からは、やはり抑制的であるということは非常に重要なことである、この点は理解をさせていただいているところでございます。
その一方で、私は元々技術の出身でして、技術的な進展によって新しい手段が出てくるたびにそれを規制することに関しましては、若干の違和感を感じているところでございます。
そもそも、二〇二一年のGPS規制追加の改正において、位置情報無承諾取得等という言葉が、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情、中略しますが、を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、ここもちょっと中略しますが、に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいうということで、一、その承諾を得ないで、その所持する位置情報記録・送信装置により記録され、又は送信される当該位置情報記録・送信装置の位置に係る位置情報を政令で定める方法により取得すること、また、二は、取り付けることということになっているわけですけれども、ここで、この位置情報記録・送信装置とは、当該装置の位置に係る位置情報を記録し、又は送信する機能を有する装置で政令で定めるものをいうとされ、基本的にはGPS装置となってくるということでございます。
ここでも、私、少し細かい話で気になるのは、記録というのはここでは余り本質的ではないと思っていまして、GPSというのは、そもそも位置情報を算出することに意味があって、別に記録していなくても、別に消えてしまっても問題ないわけですね。消える前にそれを送信すればいいわけでありまして、この記録という言葉も若干ちょっと違和感を感じるところですけれども、ここはそんなに議論するつもりはございません。
この今の規定に関しまして、GPS装置の位置に係る位置情報、こういう規定にしているわけでございますけれども、当該特定の者又はその配偶者(中略)に係る位置情報を類推し得る装置等の位置情報等と規定をしておけば、GPS機器を用いた場合に限定されることなく、今回の紛失防止タグを用いた場合も規制対象に含まれてくるのではないかと考えているところでございます。そして、今回の改正における位置特定用識別情報送信装置なる概念を規定する必要もなくなってくるのではないか、このように考えているところでございます。
以上、事前通告の聞き方と若干ニュアンスは異なっているかもしれませんけれども、本質的には同じことを聞いているつもりでございます。
要するに、位置情報無承諾取得等の規定において、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情(中略)を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者(中略)に対し、その承諾を得ることなく、その位置情報を類推し得る装置等の位置情報を取得する行為などと規定しておけば、GPSも紛失防止タグも含まれ、今後類似の技術が出てきた場合にも対応できるのではないかと考えております。
このような規定ぶりに関する警察庁の見解を伺います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
まず、ストーカー規制法におきましては、今議員御指摘の、恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で行われるあらゆる行為について規制をするものではなく、社会的に逸脱をしたつきまとい等又は位置情報の無承諾取得等の行為を規制対象としているところでございます。
この点、GPS等による位置情報無承諾取得等は、特定の者の所在に関する情報を極めて容易にかつ詳細、確実に把握することを可能にし、つきまとい行為がエスカレートをして凶悪犯罪へ発展するおそれや、自らの所在に関する情報が詳細に把握されていることによる不安を相手方に覚えさせるおそれのある行為でありますことから、令和三年の改正によりまして規制対象に追加をされたものであります。
また、紛失防止タグについても、GPS機器と同様に、今回の改正におきまして規制対象に追加をするものでございます。
今議員御指摘の規定ぶりについてのお尋ねでございますけれども、議員御指摘のような記載ぶりとした場合に、実際に、GPS機器や紛失防止タグと同様に、特定の者の所在に関する情報を極めて容易にかつ詳細、確実に把握することを可能とした仕組みであるのか、そこが必ずしも明確にならないおそれがあるのではないかというふうに考えているところでございます。
以上でございます。
○平林委員 今の御答弁ですと、仕組みが可能になるかならないかということがポイントである、そういうお話だったと思うんですけれども、仕組みなんてどうでもいいんじゃないでしょうか。というふうに私は思います。
仕組みではなくて、仕組みがどうあれ、とにかく分かってしまうことが問題であり、その情報を取得させるということは、特定の目的を持って、特定の相手に対して、知らせることなく、その特定の情報が分かる、その位置情報が分かる。
その仕組みが分かる、分からない、仕組みがどうこうということは私は関係ないのではないかというふうに思うんですけれども、その点、いかがでございましょうか。もう一回、ちょっと。
○山田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の仕組みについてでございますが、私の先ほどの答弁では、仕組みの点についてクローズアップしたものではなくて、今回のGPSとまた紛失防止タグというのは、特定の者等の所在に関する情報を極めて容易にかつ詳細、確実に把握することを可能にする、こうしたものでございます。
こうした、相手の情報を極めて容易かつ詳細、確実に把握することができる仕組みであるということが条文上明らかにされる必要があるのではないかと考えているところということでございます。
○平林委員 容易に詳細にということなわけであって、そうであるならば、まさにそういうことをきちんと条文に表記をして規制すべきではないかというふうに思うわけでございます。
今の書きぶりですと、どうしても手段に固執をした書きぶりになっているのではないか、その結果として、前回、もし二〇二一年のときに、よりそういう記述をしていたら、今回この改正をする必要もなかったわけで、また、その三年間のうちに紛失防止タグによって苦しい思いをした人がいた、そのこともより抑制できたのではないか、こういう問題意識も持っているわけでございます。
そういった意味において、この部分に関しては、決して技術的な細かい話ということだけではなくて、よりストーカーなりDVの抑制をするという意味においても大変重要な観点ではないか、このように思っているところでございますので、是非御検討はいただきたいというふうに思うところでございます。よろしくお願い申し上げます。
時間もありますので、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。様々な、皆様とかぶっているところがございますので、時間ももうあと七分弱となりましたので、今までになかったであろう問題に先に行かせていただけたらというふうに思います。申し訳ございません。
四番のところ、教育に関するところを聞かせていただきたいというふうに思います。
ストーカーやDVを含めて暴力の根絶に向けては、ストーカー規制法、DV防止法などに基づいて加害者に対する厳正な対応を積み重ねること、これは当然大切なことだと思いますけれども、暴力を許さない意識を醸成するための教育も重要であると考えているところでございます。
こうした教育の実施については、現状どのようなものになっているのでしょうか、文部科学省の見解を伺います。
○橋爪政府参考人 お答え申し上げます。
子供たちを性犯罪、性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないための教育、誠に重要でございます。文部科学省では、生命(いのち)の安全教育を推進してございまして、発達段階に応じた教材を作成しております。
例えば、中学校や高校の段階では、デートDVに関する被害の例を示しながら、殴る蹴るといった体に対する暴力だけでなく、相手をばかにしたり無視したりすることといった行為もDVに当たることについて取り上げてございます。また、高校卒業直前の段階では、性暴力でどのような被害が起きているか、性暴力が起きないようにするにはどうするべきかなどについて取り上げてございます。
この普及状況につきましては調査を行ってございまして、令和五年度に、性犯罪、性暴力防止のための教育を実施していると回答した学校の割合は四五・三%でございます。そのうち、生命(いのち)の安全教育教材を活用していると回答した学校の割合は三二・八%で、前回の令和三年度の調査時に比べると、いずれも上昇傾向にございます。
文部科学省としては、性犯罪、性暴力の根絶に向けて、引き続き、生命(いのち)の安全教育の全国的な普及、展開に努めてまいりたいと存じます。
以上でございます。
○平林委員 しっかり取組は進めていただいているわけですけれども、本当になかなか成果が出にくい部分ではございますけれども、より一層の取組を進めていただきたいというふうに思います。
では、最後の質問になろうかと思いますけれども、加害者支援に関しまして、ストーカーに関してはあかま大臣の方からほかの質問でもあったかと思いますので、これは黄川田大臣の方に、DVに関連してお聞きできればというふうに思っております。
DVに関しましても、自分自身で行わないようになっていく、こういう治療というものはやはり重要なことではないかなというふうに思っているわけでございます。
この点に関しまして、公明党は、やはり支援ということ、支援というのは被害者に対する支援と加害者に対する支援、両方の思いで進めてきたところでございます。DVに関しまして、加害者支援、行わないようにするための取組、どういったことがあるのか、大臣にお伺いいたします。
○黄川田国務大臣 DVの加害者が自身の加害責任を自覚し行動変容を起こすことを促す加害者プログラムは、被害者支援の一環として大変重要であると考えております。
内閣府においては、令和五年五月に、地方公共団体が加害者プログラムを実施する上での留意点を取りまとめて都道府県等にお示しするとともに、都道府県等の取組を交付金で支援するなど、各地域で加害者プログラムが実施されるよう推進してまいってきました。多くの地域で加害者プログラムを行っていくためには、都道府県等に実施意義を御理解いただき、実施団体等との連携協力を深めていくことが重要であると考えております。
そのために、他の自治体での取組事例を参考としていただくことや、自治体に対する財政的な支援も必要であると認識しております。このため、内閣府において自治体向けの研修を行っているほか、交付金の活用を促しているところであります。また、自治体の取組事例等をウェブサイトで一元的に提供、発信しているところでもございます。
引き続き、加害者プログラムの全国的な普及に取り組んでまいります。
○平林委員 ありがとうございます。
自治体をしっかり支援をしていっていただくということでございました。恐らく、その先には民間の力も使っていただいているのではないかなというふうに思います。そこら辺がしっかりと回っていくように是非大臣のリーダーシップをお願いできればというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
あかま大臣にも同じような質問をする予定でしたけれども、済みません、ちょっと時間がございませんので、省略させていただけたらというふうに思います。
あと多分一、二分しかないので、もう一個。これも皆様聞いていたことでございますけれども、川崎のストーカー事案に関しまして、通達が出されていて、それに基づく対処がなされていたにもかかわらず、なかなか、なかなかというか最悪の結果になってしまったということ、本当にこれは痛恨の極みであるというふうに思っております。
この九月に行われた、全国から本部長が集まられた会議におきまして、楠長官が、今回のストーカー規制法の契機となった桶川事件から始まった、まさにこの事件から始まった警察改革に言及された上で、警察改革が形骸化しているのではないか、こういう訓示がなされたと承知をしているところでございます。本当にそういった意味で、市民の信頼を得るためにも警察改革をお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
大変にありがとうございました。
○山下委員長 次に、上村英明君。
○上村委員 れいわ新選組の上村英明と申します。
もう大分質問が重複しているんですけれども、頑張っていきたいと思います。
今回の法改正に関しては、我が党としても大変重要なものだというふうに考えているんですけれども、同時に、より本質的な解決に向けて前進することが政治の責務であるとも考えております。
特に、この点、今回はストーカー規制法と警察庁の役割についてお尋ねしたいと思います。
二〇二四年三月から、禁止命令を受けた加害者に対して、治療、カウンセリングの働きかけをされているということはこれまでお話がありました。ちょっとその現状についてお伺いしたいんですけれども、私、実はカウンセリングを受けたことがございます。例えば、月一回カウンセラーのところに行って、半年のプログラムで一回につき何万円というものを払うという意味では、費用もかかりますし、時間もかかります。
済みません。警察庁で推奨されている現状のカウンセリングあるいは治療のプログラムというのは具体的にどういうものなのでしょうか。警察庁の担当の方、よろしくお願いいたします。
○山田政府参考人 お答えいたします。
警察におきましては、平成二十八年度から、カウンセリング、治療の必要性について地域精神科医等の助言を受け加害者に受診を勧めるなど、地域精神科医との連携を推進しているほか、先ほどお話もありましたとおり、令和六年三月からは、ストーカー規制法に基づく禁止命令等を受けたストーカー加害者全員に対して、カウンセリング、治療の有用性を教示して受診等を働きかけるなど取り組んできているところでございます。
委員お尋ねのストーカーの治療の方法ということについてでございますが、警察庁として、何かこれをやるようにという指示をしているものではございませんが、認知行動療法等の治療が取られているものというふうに承知をしております。
○上村委員 ちょっと具体的な話が出てこなかったものですから、大丈夫かなというふうに思ったんですけれども。
ストーカーの被害者やその遺族、あるいはカウンセリングなどを行っている団体からは、ストーカー加害者に対してはこうしたものを強制すべきだという意見がございます。狭い意味での治療という言い方をすると、私の関心事である人権の分野からすると、ちょっと人権侵害の側面が危惧されることもあるので若干配慮が必要なんですけれども、少なくとも、ストーカー規制法第五条一項二の、更に反復して当該行為を行うことを防止するために必要な事項というものの一つとしては、特にカウンセリングを受けることを禁止命令の中に加えるべきではないかというふうに思います。
特に、先ほども言いましたように、実はこれは費用がかかります。その費用負担が、具体的なものを含めて、こうした可能性について警察庁にお伺いしたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の法第五条第一項第二号に基づく命令は、当該命令に違反する行為が罰則の対象となっておりませんことから、当該命令の内容につきましては厳格に限定的なものとするまでの必要はなく、当該命令を受けた加害者が当該命令に係る被害者に対して更に反復して違反行為を行うことを防止し、その実効性を担保するものと認められる範囲内であれば、命令の内容とすることができるものと解されているところでございます。
ただし、あくまで先ほどの法第五条第一項第一号に係る命令、これはつきまとい等を行わないようにという命令でございますが、この命令の実効性を担保するための補充的なものであるほか、第一号に係る命令と異なり、その内容がこの第二号についてはあらかじめ明確になっていないことから、命令を受けた者が過度な負担なく履行できる内容とする必要があると考えているところでございます。
この法第五条第一項第二号に基づく命令としては、具体的には、例えば被害者の性的羞恥心を害する写真、画像データ等が送付されている場合、これはいわゆるつきまとい等で列挙されている行為の一つでございますが、こうしたデータ等が送付されている場合に、その記録ですとか記録媒体等を廃棄などすることを命ずるなど、同項第一号に係る命令の対象となっている行為を継続する手段となるものを廃棄等させる措置が考えられるところでございます。
御指摘のように、加害者へのカウンセリング、治療を受けることを命ずることができるかどうかについては、その必要性、命令を受けた者が過度な負担なく履行できるかどうかといった観点から慎重な検討を要するものと考えられるところでございます。
○上村委員 いろいろとお話を伺ったんですけれども、やはり再犯の防止、あるいは悪化することの予防という意味では、治療あるいはカウンセリングの部分をもっと強化していただいてもいいかなというふうに思います。
前回、二〇二一年のストーカー規制法の改正時に、参議院の内閣委員会で採択された附帯決議がございます。その中に、「ストーカー事案の加害者の再犯を防止するため、性犯罪者に対する性犯罪者処遇プログラム等を参考に、警察と関係機関の連携を推進し、加害者の治療及び更生をより一層支援すること。」とあります。
それから四年間たっているわけですけれども、どういう取組あるいは検討を、具体的に研究、調査、今、慎重な検討が必要だという話がありましたけれども、ある意味では四年間その慎重な検討をどういうふうにやってこられたのかということを、あかま大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
○あかま国務大臣 お答えいたします。
今お披瀝あった令和三年のストーカー規制法改正時の参議院の内閣委員会における「ストーカー事案の加害者の再犯を防止するため、性犯罪者に対する性犯罪者処遇プログラム等を参考に、警察と関係機関の連携を推進し、加害者の治療及び更生をより一層支援すること。」といった附帯決議がなされたところでございますけれども、これらを受けて、令和四年の七月、ストーカー総合対策、これは関係省庁会議決定でございますけれども、これを改定いたしました。
このストーカー総合対策においてでありますけれども、ストーカー加害者に対しては、その者が抱える問題、ここに着目をし、関係機関が連携しつつ、その更生に向けた取組を推進するというふうにされておりますので、警察においては、カウンセリング、治療の必要性について地域精神科医等の助言を受け加害者に受診を勧めるなど、地域精神科医等との連携を推進しております。
令和六年三月からでございますけれども、ストーカー規制法に基づく禁止命令等を受けたストーカー加害者全員に対して、カウンセリング、治療の有用性を教示して受診等を働きかける、また、警察が禁止命令等を受けた加害者の近況等を把握した上でいわゆるリスク評価をするなどなどの取組を行っているというふうに承知をしております。
警察庁でございますけれども、都道府県警察と連携している地域精神科医療関係者のほか、法務省等の関係省庁と情報共有を図る連絡会議を定期的に開催をしております。
引き続き、附帯決議、これはもとより、ストーカー総合対策等に基づいて、しっかりと関係省庁とも連携をして適切に対処、対応するよう警察を指導してまいりたい、そう思っております。
○上村委員 最初の質問に何かちょっと戻ってきたような感じがしたんですけれども。とにかく、本改正法では、まだまだ本質的な課題が、今の何回かの御回答にもありましたように、検討中であるとか課題であるというふうな発言があったと思います。そういう意味では、課題の解決は不十分であるというふうに思います。
加害者に対しては、警察官だけではなくて、心理職の関与を通してカウンセリングなど、先ほども言いましたけれども、広い意味での治療につなげることが重要であります。
一方、被害者への配慮も拡充されなければなりません。被害者の警察での相談には、不安や動揺を取り除くために、同性の警察官の配置やカウンセラーの同席、また関係機関との連携強化も検討課題であります。
内閣府男女共同参画局の統計によれば、ストーカー被害者の八七・六%が女性で、加害者の八〇・七%が男性である。つまり、女性の人権に関する人権教育あるいはジェンダー教育が全体として不十分であるということも、こうした問題の土台を構成しているというふうに思います。そうした意味での人権教育の前進というものも、政府で御検討いただきたいというふうに思います。
特にストーカー規制法は、これまで八回ほど改正されてきました。ストーカー行為がオンラインを使って多様化する中、被害も拡大し、また深刻化している、これは大変な問題であります。その意味で、被害者の救済や加害者の再犯防止、更生などを軸にタイムリーな改正の不可欠さは否定するものではありません。
他方、こうした中で、今回の、これから採択される附帯決議案にもあるように、様々な未解決の問題に対して政治が怠慢であってはいけないということを強調しておきたいと思います。
ストーカー行為の根絶に向けては、二〇二一年に続く今回の附帯決議の誠実な遵守、若しくは制度的側面に関する抜本的な法改正も検討されるべきであるということを強調して、私の質問を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
○山下委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 最後十五分、よろしくお願いいたします。
質問が重複しないようにと皆さん言うんですけれども、私も気をつけてやりたいと思います。
ストーカーの定義からスタートさせていただきたいと思うんですけれども、結構これは難しいなと思って。何をもってストーカーと呼ぶのかというのは、この定義の規定を読んでいると、第二条のところに、特定の者に対する恋愛感情等々を目的として、つきまとい、待ち伏せし、進路に立ち塞がり、その他いろいろなことが書いてあって、ちょっと、待ち伏せしという文言を見たときに、往年のヒット曲「まちぶせ」を私は思い出しまして、荒井由実さん作で、石川ひとみさんの大ヒット曲ですよね。
あの世界観というのは、このストーカー規制法との関係で、どういうふうに整理されるのかなと思ったんですね。私はあれをストーカーだと思わないです。けれども、じゃ、この法律との関係で、なぜあれがストーカーでないということになるんだろうかと思いまして、これは質問通告いたしております。あかま大臣。
○あかま国務大臣 緒方委員の方から、いわゆる「まちぶせ」、石川ひとみの、荒井由実作、この歌のという部分、これが規制対象に当たらないとは思うが、この世界観と。個別の歌についてこの場で言及すること、これが適切か、個人的な見解は別として、控えさせていただきたいとは思いますが。
その上で、ストーカー規制法においてでございますけれども、特定の者等に対する恋愛感情その他の好意の感情を充足する等の目的で、つきまとい、待ち伏せ等の行為をつきまとい等として定義をしております。
他方で、ストーカー規制法に基づく警告、それから禁止命令等の行政措置の前提となる行為は、つきまとい等をして、その相手方に身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせる行為というふうにされております。
また、法第二条第一項に定義されているつきまとい等の行為のうち、つきまといや待ち伏せ等の一定行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限り、反復して行われた場合に直罰の対象となることとされておりますので、つきまといや待ち伏せ等の行為のみをもって行政措置の対象となるわけではないなど、個人の身体又は自由及び名誉に対する危害の発生を防止して、国民の生活の安全と平穏に資することという法の目的に照らして、過度に広範な規制とならないように配慮されているものというふうに理解しておりますので、先ほどの世界観については、どうぞ御理解をと思います。
○緒方委員 済みません、分かりやすくするために少しこういうのを挙げました。
ちなみに、ほかに何かどういう曲があるかなと思ったんですけれども、皆さん方これは知っている曲だと思いますが、ポリスの名曲「見つめていたい」、エブリー・ブレス・ユー・テイクですね。あれは、君の息遣い全て、君の動き全て、君が壊したきずな全て、君の歩み全て、僕はずっと見ているよ。結構来ているんじゃないかなと私は個人的に思ったんですが、それを言ってもしようがないので、質問を移したいと思います。
このつきまといの中に、私、気になった表現があって、「住居等の付近をみだりにうろつくこと。」ということなんですが、このみだりにがすごく気になったんですね。規則正しく通っていく人というのはストーカーに当たらないのかということですよね。朝八時に必ずここを通っていきますという人がいたら、それはそれで結構恐怖だと思うんですよね。このみだりにというのは、本当に必要なんでしょうか。警察庁。
○山田政府参考人 お答えいたします。
みだりにとは、広辞苑によりますと、秩序を乱して、あるいはむやみになどという意味と記載されておりますところ、法令用語といたしましては、社会的相当性がないような態様によることを意味するものと解されておりまして、他の法令におきましても、例えば、軽犯罪法において、みだりに船又はいかだを水路に放置した者については、拘留又は科料に処すとされているものと承知をしております。
したがって、御指摘のように、毎回決まった時間でうろつくなど規則的にうろつく場合であっても、みだりにうろつくに該当する、し得るものと考えております。
○緒方委員 ありがとうございました。
続きまして、位置情報無承諾取得等についてなんですが、これは先ほどから、これだけで本当に捕捉できるのかという議論がたくさん行われているんですが、私がすごく気になったのが、例えば、すごく大量に監視カメラでずっと見張っているという行為、これはこの法律では規制されないんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のカメラを悪用したストーカー事案について調査を行いましたところ、令和六年中に警察が相談受理をしたストーカー事案のうち、カメラを用いて相手方の行動等を把握する行為を含むストーカー事案について分析をした結果、その大半において、カメラの設置を伴う被害者の住居等への住居侵入等ですとか、あるいは撮影のために被害者の住居等の付近において見張りをしたストーカー規制法違反、こうした行為などのいずれかに該当するとして検挙措置やストーカー規制法に基づく行政措置で対応することが可能であったほか、これらの事案に関して把握された再発事案というのは一件のみでありまして、行為がエスカレートして被害者の生命身体に直接危害が及ぶおそれが高いものは認められなかったところでございます。
また、令和六年中に発生をしました被害者が亡くなる結果を故意に生じさせた重大事案について分析をしたところ、その発生以前に被疑者が被害者に対してカメラを用いて相手方の行動等を把握する行為が行われていた事案は把握されなかったところでございます。
これが明らかになったことから、現時点においては法改正を行う必要性は認められないところでございます。
引き続き、ストーカー事案の情勢を注視してまいりたいと考えております。
○緒方委員 今回、紛失防止タグのようなケースを新しく取り締まるということなんですが、これは、本当にこういうことが可能かどうかというのは分からないですが、例えば、GPS衛星やサーバーを経由せずに、単に機器だけで、機器が相互に作用するだけで特定の者を把握するというような可能性はないのかなというふうに思ったんですよね。罪刑法定主義との関係があるものも、先ほど平林さんからも、おられないですが、ありましたが、もう少し広く拾っていいんじゃないかなというふうに私も思ったんですよね。
現時点では大丈夫ということですが、技術的なことで、本当にこれでカバーされているのかということをもう一度お伺いしたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
今回の法改正後におきましては、自ら位置情報を記録し、又は送信する装置であるGPS機器等に加えまして、自らは識別情報を送信するのみで、周辺の装置の位置情報を利用して位置を特定する機器である紛失防止タグ、この両者が規制対象になりますことから、これら以外の装置については、相手方の所在を把握するための装置としては現時点で把握しておらず、想定もしていないというところでございます。
また、委員御指摘の仕組みのものにつきましても、自らの識別情報を送信して、周辺の装置の位置情報を利用してその位置を特定するような仕組みのものであれば、GPSを利用したりサーバーを介したりするものでなくとも、今回追加する位置特定用識別情報送信装置として規制対象に該当し得るものと考えているところでございます。
○緒方委員 ちょっと答弁が長いです。
続きまして、「職権で、」という言葉についてお伺いしたいと思います。職権でではなくて、ストーカー規制法とDV法の違いについてお伺いしたいと思うんですが、ストーカー規制法は警察が禁止命令を出す、そしてDV法は裁判所であります。この違いはなぜでしょうか。
○山下委員長 岡田男女共同参画局長、答弁は簡潔に願います。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
配偶者からの暴力は、外部からの発見が困難な家庭内で行われる暴力であるため、潜在化しやすく、周囲も気づかないうちに被害が深刻化しやすいという特性があると認識をしております。また、被害者自身に被害を受けている認識がないために相談に至らないということも多いという御指摘があることも認識しております。夫婦関係などに重大な影響を及ぼすことになることから、公的機関の関与ということではなくて裁判所が判断するということの規定となっております。
○緒方委員 今の説明を聞くのであれば、むしろDV法は職権で禁止命令を出せるようにするという方向性の方がいいんじゃないですか。外から気づかれない、よく分からない、なかなか夫婦間の関係で自分が被害者であることも認識していないと。であれば、むしろ今の岡田さんの説明なのであれば、DV法には今は職権の規定がないわけですけれども、職権の規定をむしろ設けるべき説明をされたんじゃないですか。岡田局長。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
新しい手続を検討する際には、例えば、職権による命令を行う主体をどうするか、その際の適正手続の確保をどうすべきか、また、命令違反を行った場合に罰則を科すことができるかなどの憲法が求める適正手続の要請との関係を含めまして、極めて慎重である必要があると考えてございます。
内閣府といたしましては、配偶者への暴力は重大な人権侵害であることなどを一層しっかりと啓発していくことですとか、配偶者暴力相談支援センター等相談窓口の周知によりまして、被害者の方が相談しやすい環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。
○緒方委員 けれども、ストーカー規制法では、裁判所ではなくて警察が、しかも職権で禁止命令を出すことができるところまで来ているわけですよね。
それとの並びでいうと、DV法の方が少し、裁判までいかなきゃいけない、裁判所の判断が必要だという点と、あと、職権がないということ等々あって、少し何か法の仕組みが、かなりそごがあるように見えるんですよね。
今、慎重な対応が必要というのはもちろんです。これは刑事法ですから慎重な対応が必要だけれども、もう少し何か言えることがあるんじゃないですか。局長。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
配偶者暴力防止法で主として対象とする行為については、家庭内で配偶者という特段の関係にある者から振るわれる暴力であるという特殊性がございます。このため、配偶者暴力防止法におきましては、ストーカー規制法と異なりまして、行政機関でなく司法機関である裁判所が接近禁止命令等の必要性を判断するという手続を取ることとされてございます。
○緒方委員 ほとんど論理的ではなかったんですけれども。
私、そんなに時間がありませんので、これは多分最後の質問になるんじゃないかと思いますが、あともう一つ、この法律を読んでいてすごく気になった表現に、「更に反復して」という表現なんですね、更に反復して。
そうなんですけれども、反復してというのは、複数回行うことを示唆する表現です。複数回行うことを示唆する表現。しかし、このストーカー行為は、更に反復して当該行為をするおそれのときにいろいろな規制が入ってくるということになっているんですが、別に、反復してを入れずに、更に当該行為をするおそれで十分だと思うんですよね。反復する必要はないと思うんです。なぜこの反復するという言葉が入っているんですかね。
例えば汚物を置く行為とか、そんなの、もう一回やられたら、それはもうアウトですよ。これを、更に反復して行わなきゃいけないというのはちょっと過剰な要件ではないかと思いますけれども、警察庁、いかがでしょうか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の「更に反復して」、これは、警告ですとか禁止命令等の規定において文言がありますところ、これについては、警告又は禁止命令等を受けた後につきまとい等を反復して、すなわち複数回行ってはならないことを意味するものではなくて、警告及び禁止命令等を受ける原因となった行為と反復する形でつきまとい等を再度行ってはならないことを意味するものでございます。
○緒方委員 いや、それなら、反復を置かずに、更にその行為を行うというだけで十分に言葉として足りているとは思うんですけれども、質疑時間が来ましたので、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○山下委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○山下委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、内閣提出、ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山下委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○山下委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、長谷川淳二君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び有志の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。岡田悟君。
○岡田(悟)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につき、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明に代えます。
ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。
一 本法による位置特定用識別情報送信装置を用いた位置情報無承諾取得等に対する規制を始めとする、ストーカー行為等に対する種々の規制の実効性を高めるための方策について検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずること。
二 オンラインでのつきまとい等、ストーカー事案の手口が多様化していることに鑑み、ストーカー行為等の実態について不断の情報収集・分析を行い、必要な対策を講ずること。また、被害者等の位置情報を把握する行為に着目した規制の在り方について検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずること。
三 ストーカー行為等の規制等に関する法律(以下「ストーカー規制法」という。)第二条第三項に基づく政令の改定に当たっては、規制事項を具体的かつ明確なものとし、対象を不当に拡大しないようにすること。
四 ストーカー規制法第四条に基づく警告は被害者の意向を踏まえて行うこととし、職権による警告を検討する際にも、被害者との相談等を通じて被害者の心情を丁寧に把握しその意思を尊重すること。
五 外形的にはストーカー規制法において規制される「つきまとい等」に相当する行為であるが恋愛感情等によらないものを同法の規制対象とする必要性について、その実態及び諸外国の制度を踏まえて検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずること。その際、規制が過度に広範なものとならないよう留意すること。
六 加害者に対する治療について、警察からの働き掛けが実際の治療に結び付いている例が少ないという実態に鑑み、その原因を分析するとともに、カウンセリングや治療の費用負担軽減、医療体制の拡充、加害者及びその家族からの相談窓口の拡充を始めとする適切な措置を講ずること。
七 専門的な立場から被害者の心のケアや加害者への治療の説得を行うために、都道府県警察への心理専門職の配置を支援するなど、被害者の相談や加害者への対応時に心理専門職の活用に努めること。
八 ストーカー事案の被害者が、早期の段階で関係機関につながるように、警察だけでなく国及び地方公共団体の相談窓口を充実させるとともに、民間の自主的な活動を含めた連携協力を推進すること。また、前回の附帯決議以降の進捗状況を報告すること。
九 ストーカー事案の相談等件数が高止まりしている現状に鑑み、ストーカー行為等の原因について分析するとともに、その背景にある社会課題の解決や被害者にも加害者にもならないための予防啓発・教育の実施など、ストーカー行為等の根絶に向け、政府一丸となって取り組むこと。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○山下委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山下委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。あかま国家公安委員会委員長。
○あかま国務大臣 ただいま御決議がありました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○山下委員長 次に、内閣提出、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山下委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○山下委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、長谷川淳二君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び有志の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。小山千帆君。
○小山(千)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、この趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。
一 DV事案において悪用される手口が多様化していることに鑑み、その実態について不断の情報収集・分析を行い、必要な対策を講ずること。また、被害者等の位置情報を把握する行為に着目した接近禁止命令等の在り方について検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずること。
二 加害者に自らの暴力の責任を自覚させる「配偶者暴力加害者プログラム」について、被害者支援にも繋がる重要なものであるという認識のもと、都道府県等に対する交付金を活用した実施を更に推し進めるとともに、地方公共団体、民間団体の関係者等への支援について、加害者へのプログラム参加義務付けを含めた検討を行うなど、全国的な実施の実現に向けた取組を加速すること。
三 配偶者からのあらゆる暴力の予防と根絶に向け、配偶者からの暴力の原因を分析するとともに、関係機関との連携を一層強化し、加害者、被害者、傍観者にならないための予防啓発・教育を始めとする効果的な施策を推進すること。
四 被害者の相談対応や安全確保のための支援、生活再建や心身の回復に向けた支援を担う女性相談支援員の適正な配置など公的相談窓口体制を確保し、二十四時間相談体制の整備を目指すこと。併せて、被害者支援において重要な役割を果たしている民間支援団体への財政支援と連携を強化すること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○山下委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山下委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。黄川田国務大臣。
○黄川田国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいります。
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○山下委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○山下委員長 次回は、来る二十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時五分散会

