衆議院

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第7号 令和7年4月1日(火曜日)

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令和七年四月一日(火曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 西村智奈美君

   理事 小泉 龍司君 理事 津島  淳君

   理事 中野 英幸君 理事 鎌田さゆり君

   理事 黒岩 宇洋君 理事 米山 隆一君

   理事 金村 龍那君 理事 円 より子君

      井出 庸生君    稲田 朋美君

      上田 英俊君    上川 陽子君

      神田 潤一君    工藤 彰三君

      河野 太郎君    棚橋 泰文君

      寺田  稔君    平沢 勝栄君

      森  英介君    若山 慎司君

      有田 芳生君    篠田奈保子君

      柴田 勝之君    寺田  学君

      平岡 秀夫君    藤原 規眞君

      松下 玲子君    萩原  佳君

      藤田 文武君    小竹  凱君

      大森江里子君    平林  晃君

      本村 伸子君    吉川 里奈君

      島田 洋一君

    …………………………………

   法務大臣         鈴木 馨祐君

   法務大臣政務官      神田 潤一君

   外務大臣政務官    英利アルフィヤ君

   最高裁判所事務総局人事局長            徳岡  治君

   最高裁判所事務総局刑事局長            平城 文啓君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           重松 弘教君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 松田 哲也君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 石川 泰三君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    森本  宏君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    小山 定明君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 杉山 徳明君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           橋爪  淳君

   法務委員会専門員     三橋善一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月一日

 辞任         補欠選任

  棚橋 泰文君     工藤 彰三君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     棚橋 泰文君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)


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     ――――◇―――――

西村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る四日金曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房総括審議官重松弘教さん、警察庁長官官房審議官松田哲也さん、警察庁長官官房審議官石川泰三さん、法務省刑事局長森本宏さん、法務省矯正局長小山定明さん、出入国在留管理庁次長杉山徳明さん及び文部科学省大臣官房審議官橋爪淳さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局人事局長徳岡治さん及び刑事局長平城文啓さんから出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柴田勝之さん。

柴田委員 おはようございます。立憲民主党・無所属の柴田勝之です。

 私からは、先日の本会議で質疑した点について、更に詳しくお伺いしていきたいと思います。

 本会議で大臣は、本法案で新設される電磁的記録提供命令について、必ず裁判官の発する令状によること、また、その命令に対しては不服申立てができることという二つの理由から、犯罪と関連性のない個人情報が収集、蓄積されることにはならないと答弁されました。しかし、実務的な観点からすれば、今述べた二点ともその理由にはならないことをまず明らかにしていきたいと思います。

 現行の刑事訴訟法二百十八条二項では、差し押さえるべき物が電子計算機であるときは、その電子計算機が接続しているリモートサーバーに記録されている電子データを記録媒体にダウンロードした上で、その記録媒体を差し押さえることができるとされています。この場合、捜索・差押許可状には、リモートストレージサービスのサーバーの記録領域であって、差し押さえるべきパーソナルコンピューターの使用者のID及びパスワードでアクセス可能な記憶領域といった記載がされていると認識しております。

 新設される電磁的記録提供命令においても、これと同様に、サーバーの管理者に対して、特定のユーザーのID及びパスワードでアクセス可能な電子データ一式の提供を命じることもあり得ると考えますが、この点について法務省の御見解を伺います。

森本政府参考人 お答えいたします。

 まず、電磁的記録提供命令は、現行の記録命令付差押えと同様に、被処分者に電磁的記録の提供を命ずる処分でございますから、その処分の性質上、提供させるべき電磁的記録について、被処分者、提出する方において、何を提供すればいいのかということが判断できる程度にまず特定できているということが必要になると考えられます。

 一方、先生御指摘の、現行二百十八条二項のいわゆるリモートアクセスによる差押えの令状においては、先生御指摘のような形での特定というのも一つの方法があり得ると思いますが、その特定方法は、提供すべき電磁的記録が全く一緒とは言えませんで、異なる場合もあり得る。

 その上で、電磁的記録提供命令における提供させるべき電磁的記録の在り方につきましては、個別の事案ごとに、具体的な事実関係、証拠関係を踏まえて判断されることになりますので、一概には申し上げにくいところはございますが、被疑事件との関連性が認められることを前提として、被処分者において特定すべき電磁的記録の範囲が判断可能な程度に特定されるということであれば、御指摘のIDやアカウントにより電磁的記録の範囲を特定することもあり得るものとは考えます。

 他方で、先生、最後のところで一件記録というおっしゃり方をしたと思うんですが、その言い方ですと、普通は、例えば事業者が、電磁的記録提供命令を出すということを想定しますと、どの範囲のものを出していいのかということが明らかにならない場合もあると思いますので、そのような形で命令が出されるか、あるいは執行されるかということについてはちょっと、事案によるとは思いますけれども、少なくとも、事業者が提供できる程度に特定されていることが必要になるということになろうかと思います。

柴田委員 特定のユーザーのID及びパスワードでアクセス可能な電子領域ということで、一応特定はできるというふうに理解しましたけれども、そのような場合、ユーザーは被疑者とか事件関係者であることは想定されますけれども、そうであっても、提供された電子データの中身を確認した結果、その大部分あるいは全てが犯罪と関係ないデータであった、また、そのデータには当該ユーザーの個人情報、さらには、ほかの人の個人情報が含まれていたということも当然想定されると思います。

 現行法による差押えでも、差し押さえたパソコンなどに記録された電子データを確認したところ、結果的に被疑事件と関係ない個人情報が含まれていたということはあり得ると考えますが、法務省の御認識を伺います。

森本政府参考人 まず、憲法三十五条一項は、何人も、書類及び所持品について押収を受けることのない権利は、押収する物を明示する令状がなければ侵されない旨規定して、包括的な押収を禁止しております。

 これを受けて、現行の刑事訴訟法において、裁判官が発する差押許可状には、被疑者等の氏名、罪名、差し押さえるべき物等を具体的に記載することとされており、捜査機関が差し押さえることができる、記録媒体でいいますと、この令状に記載された、今の範囲に限定されるということになります。

 そして、その令状の審査に当たっては、裁判官は、令状請求書に記載された差し押さえるべきものと被疑事実との関連性を十分に吟味した上で、そのような関連性があると認めたもののみを令状に記載することとなります。その結果、捜査機関が差し押さえることができるものは、被疑事件との関連性があるものに限定されることとなります。

 その上で、一般に、捜査当局においては、法令の趣旨を踏まえて、捜索の現場において、令状に記載された物件の範囲内で、被疑事件等との関連があると判断した物件を差し押さえているものと承知しております。

 もっとも、その処分に対しては不服申立てをすること等ができますので、不服申立て、準抗告等の結果、その処分が取り消されるということは、実務としては想定されているし、現にあり得ることであるとは承知しております。

柴田委員 差押えの違法性が争われている国家賠償請求訴訟において、被告の国から、仮に、差し押さえた物件を精査するなどした結果、関連性がないことが事後的に判明したとしても、当該差押えが刑訴法上違法になるものではないという主張がされているというふうに聞いたことがありますが、これは事実でしょうか。

森本政府参考人 まず、今の、先生が御指摘の、国側の主張というものにつきましては、あくまで検察官による捜索現場における差押えに関して、国が国家賠償請求訴訟において同趣旨の文献に基づいて一般論を述べたものというふうに承知しておりますが、国家賠償法上違法になるかという観点と、それから、その行った行為時において、その当該行為が違法となるかという観点にはかなり違いがありますので、そこを同列に論じていいのかどうかというところについてはちょっと疑問を感じているところでございます。

柴田委員 電磁的提供命令、警察官によって執行されることが多いと思われますが、警察において、収集した電子データに被疑事実と無関係の個人情報が結果的に含まれていた場合に、特に当該データを消去するという取扱いは現在されておりますでしょうか。

松田政府参考人 お答えいたします。

 差押え等により押収した証拠物件については、御指摘のとおり個人情報を含んでいるものもあるところ、いずれにしても、差押えは、裁判官が被疑事件等との関連性を認めて令状に記載したものに限定されるものであります。

 一般論として、警察においては、押収した証拠物件は適切な方法で保管した上、送致すべきものは検察官に送致しております。また、捜査上、留置に必要がないことが明らかであると認められるものについては、必要に応じ、検察官に対し、捜査上、留置に必要性がないことの判断にそごがないことを確認の上、還付又は廃棄しているところであります。

柴田委員 個人情報にフォーカスしたお答えはなかったというふうにお伺いしましたが。

 あと、本会議で、法務大臣は、収集した電子データの取扱いについて、現行の刑事訴訟法や刑事確定訴訟記録法などにより保管、保存する、あるいは、刑事訴訟法等に従って適正に管理、廃棄するという答弁をされましたが、それらの法律の関連規定に、被疑事実とは無関係の個人情報を含むデータは消去するといった定めはありますでしょうか。御担当の方からお答えください。

森本政府参考人 本会議で大臣から答弁させていただきました、現行法の刑事訴訟法や刑事確定訴訟記録法等により保管、保存すると申しますのは、一般論として申し上げれば、まず、捜査、公判に必要なものとして作成された書類には、刑事確定訴訟記録になった公判に提出されたものと、それから、公判には不提出だったけれどもというもの、それから、起訴されなかった場合には不起訴記録などがございますが、それがそうした法律に基づいて保管、保存されるということになります。

 その上で、今委員御指摘の、それらで保管、保存されることになったものを処分するとか、廃棄するということになりますと、これは、それらの法律に基づいて、何年間保存したら廃棄しろとかいうことになっておりますので、その規定に基づいてやっております。

 その上で、個々のデータについて消去をするという規定はございませんが、他方で、それらの記録は、その後、刑の執行に使ったりとか、あるいは、再審請求等の用に用いたりとかいうことがございますので、それを、記録として一体として保管することとなったものについて何かを捨ててしまうということが行われれば、記録の再現性がなくなりますというところもございますので、一旦、今申したような形での適切な管理になったものについては、保存期間が来るまでは取っておくという定めになっております。

柴田委員 これまでの答弁からしますと、要するに、犯罪と関連性のない個人情報が電磁的記録提供命令あるいは差押えにおいて一切収集されないという保証はどこにもないし、その個人情報が適切に、個人情報に着目して処分されるということもないという御答弁だったと思います。

 したがって、本会議で答弁された、電磁的記録命令が裁判官の発する令状によるという点は、犯罪性と関連性のない個人情報が収集、蓄積されない理由としては極めて薄弱であるということが明らかになったと思いますが、この点について法務大臣の見解を伺います。

鈴木国務大臣 今、刑事局長からも答弁させていただいたところでありますけれども、捜査機関による差押えにつきましては、裁判官の令状の審査に当たっては、令状請求書に記載された差押えされるべきものと被疑事件等との関連性、これを十分に吟味した上で、そのような関連性があると認めたもののみを令状に記載をするということとなります。

 その結果として、私どもとしては、捜査機関が差し押さえることができるものにつきましては、被疑事件等との関連性があるものに限定をされると考えておりますし、その上で、一般に、捜査当局におきましては、法令の趣旨を踏まえて、差押えの現場において、令状に記載された物件の範囲内で、被疑事件等の関連性があると判断した物件を差し押さえているものと承知をしております。

 そういったことから、御指摘のように、現在の実務におきまして、被疑事件等と関係がないものが差し押さえられる、そういった状況にはないと考えております。

柴田委員 では、次に、本会議で答弁された不服申立ての点について伺っていきます。

 現行法による差押えで被処分者の所有ではないものが差し押さえられた場合には、そのものの所有者も不服申立てができると解されております。

 同じように考えれば、サーバーの管理者に対する電磁的記録提供命令で、そのサーバーにあるユーザーが保存していた電子データ、これが提供された場合には、当該ユーザーも不服申立てができると解すべきと考えますが、法務省の見解を伺います。

森本政府参考人 捜査機関の処分に対するいわゆる準抗告について定める刑事訴訟法四百三十条においては、不服申立てをすることができる者について「処分に不服がある者」と規定しておりますところ、現行の押収については、直接の被押収者ではなくても、押収物について正当な利益、権限を有する者は準抗告を申立てすることができるというふうに解されております。

 その上で、捜査機関の電磁的記録提供命令に対して不服申立てができる者の範囲については、個別の事案ごとに具体的な事実関係を踏まえて判断される事柄ではございますので、一概にはお答えしかねるところはございますが、お尋ねの、被処分者が管理しているサーバーに命令の対象となる電磁的記録を記録している者については、不服申立ての主体になり得ると考えております。

柴田委員 通信傍受法においては、傍受の後、一定期間内に傍受の事実を通信の当事者に通知するということにされており、これは、通信の当事者が傍受された通信の内容を確認する機会及び不服申立てをする機会を保障し、違法な処分が行われた場合の救済を図るとともに、処分の適正な実施を担保しようとするものであるとされております。

 この趣旨からすれば、サーバーの管理者に対する電磁的記録提供命令で、そのサーバーにあるユーザーが保存していた電子データが提供されたような場合、同じ趣旨で当該ユーザーにも通知がされるべきと考えますが、この法案ではその通知がないという理由をお答えください。

森本政府参考人 お答えいたします。

 通信傍受は、現に行われている他人間の通信の内容を知るため、当該通信の当事者のいずれも同意を得ずに行うというものでございます。また、継続的かつ密行的に、憲法の保障する通信の秘密、憲法二十一条二項の通信の秘密を制約する処分であります。こうした通信傍受の性質を踏まえ、通信傍受法においては、当該通信の当事者が傍受された通信の内容を確認する機会及び不服申立てをする機会を保障するなどの観点から、捜査機関において、傍受記録に記録された通信の当事者に対して通知することとされているところでございます。

 これに対しまして、電磁的記録提供命令は、通信傍受とは異なり、既に存在している電磁的記録の提供を命ずるものにとどまり、先ほど申し上げたような、継続的、密行的に通信の秘密を制約する性質の処分ではございません。

 また、実質的に見ても、仮に、被処分者以外の者に対して不服申立ての機会を与えるために、電磁的記録で提供命令や差押えがなされた、電磁的記録提供命令がなされた事態を通知しなければならないといったこととした場合には、罪証隠滅や被疑者の逃亡を招いて捜査の目的を達することができなくなるであるとか、あるいは、提供を受けた電磁的記録に記録された情報に関係する人を特定した上で、その通知をどこまでするのかといった問題もあって、捜査の迅速性も著しく損なわれるなどの問題があるというふうに考えております。

柴田委員 本会議で大臣は、電磁的記録提供命令に対して不服申立てができることを、犯罪と関連性のない個人情報が収集、蓄積されない理由とされていました。しかし、命令を受けたサーバーの管理者はユーザーから電子データを預かっているだけですから、その中にユーザーの個人情報が入っているかどうかなんて一々把握していませんし、ユーザーのためにわざわざ不服申立てを行う動機もないと思います。

 個人情報の主体であるユーザーに不服申立ての機会を与える必要性について本会議でお尋ねしましたが、大臣は答弁されませんでしたので、まずこの点について改めてお尋ねします。

 また、個人情報の主体であるユーザーに捜査機関から通知もされない、秘密保持命令が出ればサーバー管理者からも連絡できないのでは、サーバーの管理者の不服申立てができるからといって、犯罪と関連性のない個人情報が収集される歯止めにはならないというふうに考えますが、この点について大臣の御見解を伺います。

鈴木国務大臣 現行の刑訴法におきまして、捜査機関が差押え等によって被処分者以外の者に関する情報を取得した場合に、その者に通知をすることとはされておりません。

 実質的に見ましても、仮に、被処分者以外の者に対して電磁的記録提供命令が行われた事実を通知しなければならないとした場合に、捜査機関の活動内容、これが捜査対象者に広く知られることとなる可能性がありますので、捜査の密行性を確保できない、さらには、罪証隠滅行為あるいは被疑者の逃亡等を招いて、捜査の目的を達することが困難となるおそれがあるということもあり得ますし、あるいは、提供を受けた電磁的記録等に記録された情報に関係する者を全て特定をした上で、その所在を突き止めて通知等をしなければならないこととなりますが、実際はそういったことは極めて困難でありますし、捜査の迅速性、これを著しく損なうことにもなりかねません。そういった問題があると我々としては考えております。

 そういったことにおいて、捜査機関が電磁的記録提供命令により電磁的記録の提供を受けた場合に、被処分者以外の者に提供の事実等を通知する仕組み、これを設けて不服申立ての機会を与えるまでの必要性はないと我々としては考えているところであります。

柴田委員 次に、通信傍受法では、不服申立てによって通信傍受命令が取り消された場合、傍受データやその複製データを消去するという規定が置かれております。これは、当該傍受に係る通信が傍受すべき通信等に当たらない場合などには、検察官等に当該傍受に係る通信の記録を保持させないのが適当であるとされております。

 この趣旨からすれば、電磁的記録提供命令が取り消された場合にも、同じようにデータの消去についての規定が置かれるべきと考えますが、その規定は置かれておりません。そうすると、電磁的記録提供命令が取り消された場合にも、捜査機関が提供されたデータ、複製データを使用するのに制約は特にないということになるんでしょうか、お答えください。

森本政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから御答弁させていただいておりますとおり、通信傍受と電磁的記録提供命令の差については先ほど答弁申し上げたとおりでございますが、その上で、現行の刑事訴訟法下では、捜査機関が証拠を収集した場合において、その押収処分がその後取り消された場合、その場合であったとしても、当該証拠の複製等を廃棄、消去することとはされておらず、直ちに裁判において証拠として利用することができなくなることともされておらず、むしろ、最高裁判例により、令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが、将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合に初めて証拠能力が否定されるという取扱いが確立しているところでございまして、そういった取扱いとの関係でも、消去の規定は設けておりません。

 実際にそれが証拠として使われるのが適切なのかどうかというのは、まさに、裁判の中で、今申した判例の趣旨等を踏まえて判断されていくことになろうと考えております。

柴田委員 要するに、裁判所が著しく不当と判断して排除しない限りは使います、そういうふうに聞こえましたけれども、電磁的提供命令が違法、不当であるとして取り消されても捜査機関は提供されたデータを使えるというのは、どう考えても常識に反するし、国民の皆様の理解は得られないと思いますが、法務大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 大変、そこの点については申し訳ないながら、今刑事局長からお答えをさせていただいたとおりでございまして、まさに、我が国における刑事法の基本的な考え方、ここに照らしますと、電磁的記録提供命令が取り消された場合に、その命令により提供された電磁的記録に係る証拠を使用することが直ちに否定をされないとして、不当であるとは我々としては考えていないということでございます。

柴田委員 次に、現行の差押えにおいても、差し押さえるパソコンに接続されているリモートサーバーから電子データを取ろうとした場合、パスワードがかかってアクセスできないということがあると思いますが、警察ではそのようなときにどう対応しているか、お答えください。

森本政府参考人 パスワードがかかっていてアクセスできない場合、どのような対応を取っているかと。

 現行においては、まず、パスワードを任意で供述していただくというほかには、デジタルフォレンジック等の機器でそういったものについて解析した結果、パスワードを解析することができるかどうかというような捜査を用いている場合が一般的かと思われます。

柴田委員 要するに、現行では、パスワードの供述は強制できないということですね。

 それで、本会議において、私から、電磁的記録提供命令には刑事罰が新設されているので、現場で命令を執行する警察官などから自己負罪拒否特権についての説明なくパスワードを尋ねられた者が、答えなければ犯罪になってしまうと誤解して、パスワードを答えてしまうおそれがあるのではないか、そのため、現場の警察官等から命令を受ける者に自己負罪拒否特権を説明する必要性があるのではないかとお尋ねしましたが、その必要性について大臣から答弁がありませんでしたので、改めてこの点についてお答えください。

 また、この点について、取調べにおける黙秘権告知のように、本法律案に明確に規定しておかなければ、現場の警察官による適切な対応を確保できないと考えますが、この点についても法務大臣のお考えを伺います。

鈴木国務大臣 今御指摘の刑事訴訟法の第百九十八条第二項、これは、捜査機関に対して、被疑者の取調べに当たって、あらかじめ供述拒否権を告知すること、これを義務づけている趣旨でございますが、その趣旨は、供述の任意性の確保、これに資することにあると我々としても承知をしているところであります。

 他方で、電磁的記録提供命令、この条文上、必要な電磁的記録を提供することを命ずる命令と規定をしておりまして、これはまさに、既に存在をしている電磁的記録の提供を命ずるということにとどまり、供述を強要するというものではないという認識であります。

 でありますから、憲法第三十八条第一項で保障されている自己負罪拒否特権に抵触するものではないと考えております。このことは条文の文言から明らかでありますので、今御指摘のような規定を設ける必要性ということでは、我々としては、そういった必要性はないと考えているところであります。

 もちろん、捜査機関の活動が適正に行われなければならない、これは当然のことでありまして、本法律案が改正法として成立した場合には、電磁的記録提供命令が適正に運用されるように、この制度内容について適切にこれは周知をする必要があると思いますし、パスワードの供述、これは強制をされないということ、これはまさに、そういった中で、しっかりと周知をしていくということに尽きると思います。

柴田委員 パスワードの供述が強制されないことを担保するために告知が必要であるんじゃないかというのが私の質問だったんですが、時間がないので次の質問に移ります。

 身体拘束中の被告人等による電子データの授受と電子機器での閲覧について、本会議での答弁で、大臣は、権利として認められない理由を三つほど挙げられていましたが、その一つ目として、授受や閲覧に用いる機器について、被告人等がこれを破壊するなどして自傷他害行為に用いる可能性があると挙げられていました。

 私としては、そのようなごくまれなケースを想定して、ほかのほとんどの被告人の権利を制約するのは不当であると考えますけれども、その点をおくとしても、刑事施設において、被告人に破壊されないような機器を整備することは可能ではないでしょうか。法務省の担当の方からお答えください。

小山政府参考人 電磁的記録の授受や閲覧に用いる機器につきましては、御指摘のような機器について、例えば、液晶ですとか電池ですとかというものが用いられるものと承知しております。そのようなものを被告人等が破壊をして、自傷他害行為に用いるおそれはあるものだと思っております。

 このような行為を防止するためには、例えば、機器を自由に動かせないようにするために、機器を壁に固定するなどといったようなことを含めた検討は必要だというふうに考えておるところでございます。

柴田委員 答弁で挙げられた理由の二つ目として、不正な通信等の防止のための設備が必要になるとのことでしたが、刑事施設で整備する機器にそもそも通信機能をつけなければよいのではないかと思いますが、どうでしょうか。お答えください。

小山政府参考人 お答え申し上げます。

 被告人等の罪証隠滅や逃走の企図を防ぐためには、通信相手が弁護人等であることを確認することができることや、弁護人等以外の者との通信が行われないことの確保などが必要であると考えております。

 このような体制や通信方法を構築するということは、単に通信機能を持たない機器を用いるだけということでは困難であるというふうに考えております。

柴田委員 三つ目として、電磁的記録の検査のため業務全体が圧迫されるといった点も挙げられていますが、検察官から開示された証拠など、明らかに問題のない電子データであれば、授受、閲覧を認めてもよいのではないかと私は考えております。

 それで、本会議での大臣の御答弁で、刑事手続のデジタル化に伴って、被告人等に対して電子データの受取や電子機器での閲覧を認める必要性をどう考えているか、直接のお答えがありませんでしたが、そもそも、そのような必要性がないとお考えなのか、改めてお答えください。

 また、今日の答弁を踏まえると、これを権利として明確に規定することは難しいとしても、既に試行されているオンライン外部交通と同様に、対応可能な施設から試行していくことはできないのか、大臣のお考えを最後に伺います。

西村委員長 鈴木大臣、時間が来ていますので、簡潔にお願いします。

鈴木国務大臣 弁護人等から刑事施設収容中の被告人等に対して電子データを記録をした記録媒体が送付された場合に、その閲覧を裁量的に認めることについては、個別具体的な事情を踏まえ、施設の規律及び秩序の維持や、あるいは管理運営上の支障の程度について慎重に検討する必要があるということから、一概にお答えすることについてもこれは困難であるということでございます。

 その上で、刑事裁判の遂行上、必要不可欠と認められる場合等において、刑事施設における体制上の支障の程度が小さい場合には、その閲覧を一時的に認める、そういった余地はあると考えております。

 いずれにいたしましても、個別具体的な事情を踏まえて検討、判断をするということになりますけれども、可能な範囲で被告人の防御権にも配慮した対応がなされるように、引き続き、運用上の検討もしっかりとしてまいりたいと思っております。

柴田委員 最後に少しだけいいお答えがいただけました。

 どうもありがとうございました。

西村委員長 次に、平岡秀夫さん。

平岡委員 立憲民主党の平岡秀夫でございます。

 今日は、刑事デジタル化法案についての質問を中心に行わせていただきますけれども、先ほどは同僚議員から電磁的記録提供命令について質問がありましたし、私のこの後にも、オンライン接見の問題についても質問が行われるんだろうと思いますけれども、私の方は、それらの問題とはまた別の分野での質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず最初に、電子令状についてなんですけれども、電子令状というのは、今回、見ますと、召喚状、勾引状、勾留状、差押状、捜索状、逮捕状とか、たくさんの令状が電子化されるということなんですけれども、この趣旨がどういうことなのかというのをちょっと見ますと、提案理由説明の中には、手続を円滑、迅速なものとするということが課題になっているということで、そういう手続を円滑、迅速なものにするということを目指しているのかなというふうには思うんですけれども、この電子令状の導入によって、捜査機関とかあるいは裁判所において、どの程度の人的あるいは時間的コストの省力化が図られることになるというふうに予測をしておられるんでしょうか。まずお答えいただきたいと思います。

森本政府参考人 お答えいたします。

 まず、具体的な数値まではなかなか難しいかと思いますけれども、現行法の下におきましては、警察官が令状の発付を受けるには、書類を裁判所に持参して令状を受領する必要があり、そのために多大な労力や時間を要する場合がありますところ、捜査機関が令状をオンラインで請求し、電子データにより発付を受けて、タブレット端末等に表示して提示し、執行することが可能になれば、そうした観点での人的、時間的コストを大幅に削減するというようなことが一例としては考えられると思っております。

 このように、電子データの令状による発付等につきましては、委員御指摘の事務の大幅な効率化が図られて、刑事手続の円滑化、迅速化に資することとなるとともに、その結果、これまで令状の発付を受けるために費やした時間を、捜査官であれば他の捜査活動に充てることが可能となる、あるいは、裁判所においても、それにかかっていた時間的コストを削減することができる、そういったものに資するのではないかというふうに考えております。

平城最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 いわゆる電子令状に係る制度の導入により、裁判所における人的、時間的コストがどの程度省力化されるかにつきましては、改正法の成立を踏まえた運用の検討やシステムの開発の状況等によるところが大きいため、現段階で明確にお答えすることは困難です。

 もっとも、令状処理につきましては、適正さとともに迅速さを確保することが重要であるということは言うまでもなく、電子令状に係る制度が導入された場合には、デジタル化の強みを生かしながら、合理的かつ効率的な事務処理の実現に向けた検討を行っていく必要があると考えております。

平岡委員 迅速化とか円滑化とかということは大事なことだとは思うんですけれども、ちょっと心配されるのは、手続が非常に楽になって、簡素化されて、捜査当局からどんどんどんどん令状が出てくるというようなことになると、裁判所の令状審査というのがいいかげんになってしまうんじゃないか。たくさんの令状申請、請求に対して、早く処理しなきゃいけないといったような心理的圧迫もあるんじゃないかなという気もするんですよね。そういう意味で、令状主義が形骸化してしまうということを恐れるんですけれども、その点については、裁判所はどのようにお考えでしょうか。

平城最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 仮に、電子令状に係る制度の導入により、令状請求が増えるということがあった場合でありましても、人権保障の観点から、厳格な令状審査が不可欠でありまして、ルーズな審査が行われるような事態があってはならないというふうに考えております。

 先ほど申し上げましたところでございますが、裁判所といたしましては、デジタル化の強みを生かしつつ、適正かつ迅速な令状処理の実現に向けた方策を今後検討してまいりたいと考えております。

平岡委員 答弁ではそう言わざるを得ないというのは私もよく分かるんですけれども、実際に本当にそれができるのかどうかというのは、またしっかりと検証させていただきたいというふうに思います。

 次に、オンラインでの裁判手続の問題について入りたいと思いますけれども。

 さっきの質問は、裁判所だけじゃなくて法務大臣に対しても答弁を求めていたので、済みません、法務大臣に答弁をしていただかないといけないので、よろしくお願いします。

鈴木国務大臣 先ほどの件でありますけれども、迅速化の結果として、本当にそういった意味で、オンラインによる令状請求が可能になったところで捜査機関による令状の請求件数が大きく増えるかというと、そういったことは私どもとしては想定しておりません。すなわち、令状の請求は捜査の必要に応じて行われるものでありますから、そういった迅速化の結果として請求件数が大きく増えるということにはならないかと思っております。

 他方で、その請求、発付について、従来の要件は維持をするということとしておりますので、先ほど裁判所からも御答弁ありましたが、裁判官による要件該当性の判断、これはこれまでと同様に適正に行われると私どもとしては考えております。

平岡委員 令状主義については、捜査当局もしっかりとその趣旨をわきまえ、そして裁判所においてもその趣旨に基づいた審査が行われるということを是非実現していただきたいというふうに思います。

 先ほどの質問に戻りますと、オンライン裁判、ビデオリンク方式での裁判についての、まず一つは勾留質問ですけれども、今回の改正法の中では、裁判所に在席させて行うことが困難な事情があるときというふうに、抽象的にしか書いていないんですけれども、どのような事情を想定しているんでしょうか。

森本政府参考人 本法律案におきましては、被疑者、被告人に対する勾留質問について、これらの者を裁判所に在席させて当該手続をすることが困難な事情があるときは、いわゆるビデオリンク方式によりすることができるものとしておりますが、御指摘の例といたしまして、例えば、被疑者、被告人が感染力の高い感染症に罹患している場合や、大きな災害等によりまして、被疑者、被告人の収容場所と裁判所との間の交通が一時的に途絶しているような場合に勾留質問を行うというような場合が想定されるものと考えております。

平岡委員 今挙げられた例は、過去にも同じような状況、感染症の問題とか災害の問題はあったと思うんですけれども、どういうふうに対応されたのかということについてしっかりと検証してみないと、本当に必要性があるのかどうかということはちょっと判断しかねるので、一つ留保しておきたいと思います。

 ここでは、やはり被疑者とかあるいは被告人の勾留質問についての防御権が侵害されるんじゃないかという視点から質問していますので、その観点からいいますと、今回の勾留質問の実施については、被告人の同意を、ビデオリンク方式で行うことについては必要としていないんですよね。その理由は何なんでしょうか。それから、もし被疑者とか被告人がビデオリンク方式での勾留質問を望まない場合は、どのように取り扱うことになるんでしょうか。

森本政府参考人 お答えいたします。

 先ほど例として挙げましたように、例えば、被告人が感染力の強い感染症に罹患しており、勾留質問のために被疑者、被告人を裁判所に出頭させる場合が困難な場合のように、被疑者の同意の有無にかかわらず、ビデオリンク方式によって勾留質問をする必要性がある場合が考えられます。

 裁判所が勾留を認めるに当たっては、被告人の陳述を聞かなければ勾留することができないと、六十一条の二項に規定されておりますので、義務として裁判所としては勾留質問をしなければならないという状況の中で、今のような場合に、困難でやむを得ないと判断される場合があるのではないかというふうに思っております。

平岡委員 そういう説明をされると、さっきの答弁の中では、感染症の場合だとか災害の場合だとかというのが挙げられたんですけれども、それはこれまでもあったことですよね。そういうときは勾留質問はやらなかったというわけじゃないんだろうと思うんだけれども、ちゃんとできたんでしょう。できなかったんですか。

森本政府参考人 お答えします。

 まず、裁判所の勾留質問と同じ手続で、その前に検察官の弁解録取、それについても今回、ビデオリンクというものを設けるということがなされています。

 この立法をお願いするに当たっての立法事実の一番のところが、コロナのときに、じゃ、弁解録取をどうやってやるんだと仮に検察庁でなった場合に、いわゆる防護服、タイベックスーツを検事と検察事務官が着て、警察の留置場も一か所の感染病の専門の房みたいなところを設けてもらって、そこにコロナの人はみんないる、警察官も防護服を着て、留置場の人は全員それで対応する、そこへ、検察官と検察事務官も防護服を着て、行って弁解録取をするというようなことをしておりました。

 そういう形ででも、先ほども言いましたが、弁解録取にしろ勾留質問にしろ、これは国の義務ですから、あるいは被疑者の権利としてむしろ聞かなければならないということになっていますので、実施したということがございます。

 今後も、基本的には対面でやるからそういう運用も考えられるんですが、他方で、感染症の場合に、これだけオンライン化している手続の中で、全て全くできないとしておくのがいいのか、今のような場合に、例外的な場合にはビデオリンク、オンライン的な方式でできるようにしておくことが、例えば感染症対策という観点から安全なのかというようなことを私ども立案当局としては考えまして、その上で御提案させていただいているという趣旨でございます。

平岡委員 今御説明された趣旨というのがちゃんと法律の中でできているかどうかということについては、ちょっと検証しないといけないので、また後日、質問の機会等があれば検証してみたいというふうに思います。

 いずれにしても、勾留施設の中で勾留質問を行うことになったら、通常は移送されて勾留質問を受けるので、これは捜査側の施設で行われる手続じゃないんだということは被疑者にもしっかりと認識ができるんですけれども、被疑者は、もしこの手続でやった場合には、勾留施設の中で勾留質問を受けるようなことになりますから、裁判官というのが捜査官の味方だというような思いを持つ危険性もあって、その場合には、勾留質問の中立性、公正性が損なわれることになります。

 そうしますと、被疑者の防御権が侵害されることになると思うんですけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。

鈴木国務大臣 先ほど局長からも答弁させていただいたように、あくまでこれは例外的な措置ということで我々としてはオンラインということを考えているということで、まず申し上げておきます。

 その上で、勾留質問、これは、裁判官が被疑者等を勾留するか否かを判断するに当たって、被疑者等から直接、被疑事件等に関する陳述を聴取する機会でありまして、そういうような聴取については、裁判官等がほかの機関とは異なる別個独立の中立的な立場である、そういったことが明らかとなる形で行われることが望ましい、これは当然のことだと思います。

 そういった中で、この法律案におきましては、ビデオリンク方式によって勾留質問する場合には、被疑者等に対して、あらかじめ、裁判官が勾留質問の手続をする旨を告げなければならない、そういうふうに規定をしております。

 そうしたことから、被疑者等において、画面越しに映し出された相手方が裁判官であって中立的な立場である、その立場からの勾留質問をするということを認識をできると我々としては考えておりますので、まさにそういった意味では、御懸念のようなことということは我々としてはないのではないかと考えております。

平岡委員 そうですかね。勾留施設の中に引き続きずっと置かれたままで、ビデオを通じて裁判官が出てきても、この裁判官はどこにおられるんだろうかな、この施設の中のどこかにおられるかもしれないな、やはり捜査側の人かなというふうに被疑者は普通思っちゃうような気がするんですよね。

 そういう意味では、被疑者の防御権というものが侵害されるということがないように、私は、十分に被疑者の人にも理解できるような対応をしていかなければいけない、場合によっては、こういうビデオリンク方式の勾留質問というのは本当に例外的な場合しかやっちゃいけないというふうにも思います。

 ちょっと時間がないので、次の質問に移ります。

 通信傍受法の改正の部分ですけれども、今回の改正では通信傍受ができる対象犯罪に追加がされています。元々、平成二十八年の通信傍受法の改正では通信傍受ができ得る対象犯罪を拡大しているんですけれども、そのときは強盗、詐欺、恐喝が追加されているんですけれども、それぞれ一項犯罪と呼ばれる部分だけ追加されているんです。今回、二項が、拡大されているんですけれども、この二項に規定する罪がその当時除外された理由は何なんでしょうか。

森本政府参考人 いわゆる一項犯罪というものが追加されたときの流れについては、今委員が御指摘されたとおりでございますが、その当時においては、現金等の財物を取得する類型の特殊詐欺による被害が極めて深刻な状況にあって、一般国民にとって重大な脅威となっており、通信傍受以外の捜査手法によっては背後関係を含む事案の解明が極めて困難であったため、そのような類型の詐欺罪等が通信傍受の対象犯罪として追加された一方で、当時はまだ、財産上の利益を取得する類型の詐欺等については、その種事案が多発していて国民一般の脅威となっているという状況までは言い難かったために、対象犯罪としては追加されなかったものと承知しております。

平岡委員 今、ある程度、次の質問の答えもあったのかもしれませんけれども、今回、財産上不法の利益を得るという強盗、詐欺、恐喝、いわゆる二項犯罪を追加する立法事実というのはあるんですか。

森本政府参考人 お答えいたします。

 近時、特殊詐欺の形が大分変わってきておりまして、典型的なものの一例としていいますと、電子決済の普及に伴って、被害者に電子マネーを購入させて、そのIDを犯人側に伝達させるなどしてこれをだまし取るといった、財産上の利益を取得する類型の詐欺等の事犯がかなり多くなってきております。

 それとともに、事案としては、被害者に暴行、脅迫を加えて、犯罪グループが用意したコインアドレスに暗号資産を移転させるなどして財産上の利益を取得する類型の集団強盗事件なども発生しております。

 このような犯罪情勢を踏まえますと、現時点においては、財産上の利益を取得する類型の詐欺罪等は、現金等の財物を取得する類型の詐欺罪等と比較して、犯罪の重大性においても、また通信傍受の現実的な必要性、有用性の点においても差がないと考えられるところであり、今回、対象犯罪に加えることとしているものでございます。

平岡委員 次に、今回の法律改正とは直接関係ないんですけれども、密接に関係するかもしれない話として、仮装身分捜査の問題について質問をしたいと思います。

 今年の一月二十三日に警察庁の刑事局長が通達を出しておりまして、仮装身分捜査実施要領という通達なんですけれども、これに基づく仮装身分捜査をやるんだということが通達されているんですけれども、実施状況というものはどんな状況なんでしょうか。

松田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの仮装身分捜査につきましては、御指摘のとおり、先般、警察庁より実施要領を全国の都道府県警察に示しまして、適正にこれを実施するよう指示したところであります。

 具体的な実施状況、取組状況を明らかにすることは、犯人に手のうちをさらすことになりかねないため、差し控えさせていただきますが、各都道府県警察において、この要領に基づき、必要な取組が進められていると承知しております。

平岡委員 この仮装身分捜査というのは、非常に違和感を感じる捜査なんですけれども、具体的には、どういう法的根拠に基づいて行っている捜査なんでしょうか。

松田政府参考人 お答えいたします。

 仮装身分捜査は、刑事訴訟法第百九十七条第一項に基づく任意捜査として実施するものであります。

 昨今、インターネット等を通じて実行役を募集する闇バイトによりまして、被害者が亡くなる強盗事案や多額の被害が生じる詐欺事案が発生するなど、国民に大きな不安を与えているところであります。

 こうした強盗や詐欺の実行犯を募集する行為については、それ自体が職業安定法違反に当たる可能性がある行為でありまして、募集が行われた後、直ちに強盗等の予備にも発展し得るものであることから、こうした募集に対して警察が捜査を実施することは適法なものと考えております。

 その上で、架空の身分証明書を作成、使用することは、形式的には虚偽公文書作成等の構成要件に触れる行為ではありますが、他の方法では犯人の検挙等が困難であるなど高い必要性が認められる上、作成した架空の身分証明書は原則として犯人以外の者に提示したりすることはないことなどから、犯人以外の者や一般社会生活への影響もほとんど生じることはなく、刑法第三十五条の規定による法令行為として違法性が阻却され得るものと考えております。

平岡委員 今、刑訴法の百九十七条の任意捜査の規定に基づいて行っているというふうに言われたんですけれども、任意捜査なら何をやってもいいということじゃないんだろうと思うんですよね。特に、この仮装身分捜査というのは、警察による欺罔行為によってだまされた人たちが出てくるんですよね。そういうことを警察がやっていいのか、そういう問題がまずあるような気がするんですけれども。

 この仮装身分捜査実施要領を見ると、「目的」のところに「犯人を検挙し、犯行を抑止するため、」と、こう書いてあるんだけれども、刑訴法の捜査というのは犯罪抑止のためにも使えるんですか。

松田政府参考人 この仮装身分捜査につきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、既にその募集が行われているということでございますので、それ自体が職業安定法違反に当たる可能性がある行為として、捜査として行うものであります。ただ、結果としてそういった犯罪の抑止にも資するものであると考えております。

平岡委員 それだったら、ここに「犯人を検挙し、犯行を抑止するため、」というような、非常に、誤解を招くような表現は取らないでほしい。

 実際に、これはちょっと昨日も議論したんだけれども、これは犯罪捜査のためにやっているのか、それとも犯罪抑止のためにやっているのか、両方なんだろうと思うんだけれども、やはりそこは、警察が行動するに当たってはしっかりとした法的根拠がなければ、警察は非常に強い権力を持っているわけですから、いけないだろう。権力を行使するに当たっては、抑制的でなければいけないというふうに思うんですよね。

 例えば、今内閣委員会で能動的サイバー防御法案というのをやっていますけれども、警察も何かやるんだけれども、警察は、これは犯罪捜査としてやるんじゃないんですよ、サイバー防御は。ある意味では犯罪抑止なんですけれども、でも、なぜそれが認められるかといえば、ネット犯罪というものが、非常に瞬時性があるとか大量性があるとか、いろいろな事情があって、起こってしまってから対応したのでは、これは非常に大きな、国民生活にも影響を与えるというようなこともあるから、例外的に、実際に犯罪が着手されていなくても行使をするというようなことが認められていこうとしているんだろうと思うんですよね。

 それにもかかわらず、こんな通達一本で、警察が、何の根拠か分からない、刑訴法に基づくんだったらあくまでも犯罪捜査でなければいけないはずなのに、犯罪捜査に加えて犯罪抑止まで含めてやるんだというのは、私はちょっと法的根拠としては不十分だというふうに思いますけれども、いかがですか。

松田政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになって恐縮ですけれども、こういった強盗や詐欺をインターネット上で募集する行為につきましては、それ自体が職業安定法違反に当たる可能性がある行為であり、募集が行われた後、直ちに強盗等の予備にも発展し得るものであることから、こうした募集に対して警察が捜査を実施するということは適法なものであると考えております。

 これも申し上げましたが、昨今、インターネットを通じて実行役を募集する闇バイトにより、被害者が亡くなる強盗事案や多額の被害が生じる詐欺事案が発生するところであり、国民に大きな不安を与えているところでございまして、こうした募集行為に対して、職業安定法違反に当たる可能性がある、捜査を行うということは必要なことと考えております。

平岡委員 私は、捜査をするなと言っているんじゃないんですよ。やはり、法律違反があるなら、きちっとそれは捜査をしなければいけない。その捜査というのは、刑訴法に基づいて、任意捜査というのもあるでしょう。任意捜査であるならば、任意捜査として、本来、捜査にふさわしいやり方で、警察庁なり国家公安委員会がどういうふうにしてやるのかというのを決めていくというのは、それは当然あってしかるべきだと思うけれども、今回のこの仮装身分捜査というのは、やっていることが、違法な行為をしながら犯罪の抑止にもつなげていくんだというような趣旨も入っているので、これはちょっと何かやり過ぎじゃないかと。

 もう一度、ちゃんと通達を見直してほしい。犯罪の捜査なら犯罪の捜査ということを明確にする。さっき言った、募集行為による法律違反というのはどこにも書いていないんですよ、この中には。どっちかというと、募集行為を通じてこんなことが行われている、こんなことということが非常に大きな問題だからこれをやるんだというような感じで書いてあって、犯罪捜査ということの側面は非常に薄れてしまっているような気がします。

 もう一度、これは募集要項を見直していただくことを要求いたします。どうでしょうか。

松田政府参考人 繰り返しになってしまうかもしれませんが、募集行為時点で強盗や詐欺の募集をしているということであれば強盗や詐欺の捜査ということになろうかと思いますし、それが明らかでなくても、募集行為自体が職業安定法違反に当たるということでございまして、要領におきましても、対象犯罪として、ちょっと読み上げますと、架空身分捜査は、インターネット等を通じて実行者の募集が行われていると認められる強盗、詐欺、窃盗若しくは電子計算機使用詐欺又はこれらに密接に関連する犯罪の捜査において行うものとするとして明確にしておりますので、現在のところ、この募集要領を見直す必要はないと考えております。

平岡委員 今の文書の中で、先ほどの、何と言いましたか、募集行為が違法であるということはどこに出ていますか。そこの部分については、既に犯罪が実行されて捜査をしなければいけない状況に入っているというのは私も別に否定しているわけではないんだけれども、その趣旨は、今読まれた中には全然出てこないじゃないですか。

 ここは、時間がないから、もうこれ以上はあれですけれども、私は、警察がこういう形で暴走したり、あるいは人権の侵害が起こってくる可能性があるということであるならば、仮装身分捜査というのは、法律でしっかりと枠組みを定めて実行すべきだということを要求したいと思います。

 特に、麻薬関係とか、あるいはギャンブル関係なんかでも、本来であれば違法になる行為だけれども、こういう目的のために関係者が行動するのであればそれは違法ではないというような形で、しっかりと枠組みが定められて実際の捜査等が行われているというのもあるわけですから、そういうことも踏まえて、本来であれば法律で書くことを要求したいと思いますけれども、少なくともこの実施要領については見直しをお願いしたいというふうに思います。

西村委員長 平岡さん、時間ですのでまとめてください。

平岡委員 その質問を最後とします。

西村委員長 質問、ちょっともう次にしてもらえますか。時間が来ております。

平岡委員 ああ、そうですか。

 それじゃ、委員長のたっての要請でございますので、次にまたしっかりと審議をするということを前提として、質問をさせていただきたいというふうに思います。

西村委員長 次に、篠田奈保子さん。

篠田委員 立憲民主党・無所属の篠田奈保子でございます。

 本日の法案の本題に入る前に、司法修習の二回試験の不合格者番号が公表前にサイトで閲覧可能になったことが報道されております。

 刑事手続のデジタル化が推進されようという法案の審議において、個人情報の漏えい防止などの対策が必要であることは言うまでもなく、今回の事案で、裁判所の情報セキュリティーは本当に大丈夫なんですかねというふうに思うのですけれども、まず事実関係を確認したいと思います。

 今回は、本来公表される時間の何時間前から閲覧が可能になったということなのでしょうか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 本来は、三月二十五日午後四時に裁判所ウェブサイト上に考試不合格者の受験番号を掲載する予定でございました。ところが、この日の午前一時頃には、裁判所ウェブサイト内の検索で特定の語句を用いて検索することにより、考試不合格者の受験番号が記載されたPDFファイルが検索結果として表示され、当該ファイルを閲覧することが可能な状態となっておりました。

 したがいまして、本来公表を予定していた時刻の約十五時間前から、このような検索をすれば閲覧が可能な状態になっていたということになります。

篠田委員 裁判所、これから刑事手続について様々にセンシティブな情報を扱うことになるので、こういった事象についてしっかりと対応、対策していただきたいと思うんですが、本件に関し、具体的な原因がどこにあったのか、再発防止に向けてどんな対策を講じたのか、お答えいただけますか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 原因といたしましては、担当の職員におきまして、ウェブサイトに掲載するファイルの公開、非公開に関する認識及び理解が不十分であったこと、また、公表日の前日に公表の準備作業を行ったこと、公表の準備作業に際してファイルの公開、非公開のチェックが不十分であったことなどが考えられるところでございます。

 このような人為的なミスを防止するため、公開、非公開の設定に関する理解を改めて周知徹底することはもとより、公表の準備作業は公表当日に行うようにするとともに、公表の手順を改めて明確にし、公開、非公開の設定が正しく行われていることを確認するよう事務フローを整理したところでございます。

 また、本件に限らず、同種の事態が繰り返されないよう、本件の経緯や原因につきまして、今回の考試の担当係にとどまらず、広く共有し、注意喚起を図ったところでございます。

篠田委員 是非、こういったことがないように徹底をしていただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。

 さて、それでは本題に入りたいと思います。

 被疑者、被告人には、弁護人から援助を受ける権利が憲法上保障されております。さきの参考人質疑においても、冤罪被害者である大川原化工機の島田参考人そして村木厚子参考人からも、弁護人からの援助の必要性そして有用性、強く訴えられていたというふうに思います。

 被疑者、被告人が弁護人から援助を受ける方法も、やはり刑事手続のデジタル化に伴い、活用していくこと、必要と考えております。

 今回は、弁護人、弁護人となろうとする者が最寄りの警察署などの刑事施設に赴き、被疑者又は被告人が留置されている刑事施設とオンラインで結び、音声と映像で接見をするオンライン接見について質問をさせていただきます。

 私は、北海道の旭川で研修をし、その後、札幌、帯広、そして今、釧路で弁護士をしております。言うまでもなく、北海道は広大な面積でありまして、冬場は路面凍結、そして吹雪などに見舞われます。移動が本当に大変でございまして、突然のエゾシカにも対応しなければならないですし、接見に行く途中にエゾシカと衝突して車が大破したという弁護士も知っています。どんな状況でも、遠距離でも、エゾシカが飛び出そうと、被疑者、被告人の接見の要請があれば駆けつけるのが職務ということになっております。

 それはなぜかといいますと、憲法三十四条に、何人も、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ、勾留又は拘禁されないと憲法上に規定があるからです。いつも、ハンドルを握りながら、直ちに、直ちにと念じながら、吹雪の中に、例えば百三十キロ先の根室の警察署へ決死の覚悟で出かけているというのが現状でございます。

 全国の広域の多くの弁護士が、弁護人の救急車のごとく、被疑者、被告人から接見の要請があれば出かけている状況です。私の百三十キロなんてまだいい方で、旭川の弁護士が稚内の警察署に片道四時間かけて行くとか、札幌の弁護士が静内の警察署に片道四時間かけて行くとか、その大変さを是非想像していただきたいと思いますし、残念ながら、刑事事件というのは実入りのいい事件ではありませんので、そのことにも御想像いただければというふうに思います。

 かなり前置きが長くなっていますけれども、弁護士の偏在は本当に今顕著でして、大都会では、たくさん弁護士がいて、すぐに警察署で、弁護士が駆けつける、何度も接見に来る、そういったことが通常だと思いますけれども、偏在が厳しい状況、弁護士が仮にいたとしても、利益相反があって事件を受けられないから、ほかの地域から弁護士が出向く、そういう調整もさせていただいております。

 拘置所の廃止によりまして留置施設が集約化されていますから、この傾向は今後どんどんと加速すると思います。まさに、憲法で保障する弁護人を依頼する権利が地方の方から保障されない、そんな状況があるということをお伝えさせていただきます。

 住んでいる地域によって効果的な弁護を受ける権利に差が出る状況というのは、やはりまずいことだというふうに思います。ですので、刑事手続のデジタル化に伴い、オンライン接見ができるようになれば、より迅速に被疑者の依頼に応えられますし、やはり質の高い刑事弁護もできる、何よりも、都会と地方の格差の解消につながるというふうに考えております。まさに、地方の格差を解消するためにデジタル化の出番だということを思うんです。そして、オンライン接見の実現に向けて、是非確認をさせていただきたいと思います。

 まず、被疑者、被告人が収容されている刑事施設において、デジタル機器がどのように今後整備されていく予定なのかを確認したいと思います。

 先ほど来も出ていますけれども、今回の法案で、裁判官と被疑者との勾留質問や、検察官と被疑者との弁解録取がオンラインでできることになるということでございます。このとき、被疑者は刑事施設に在席しているということなんですけれども、その刑事施設、警察署や拘置所にオンラインの設備が準備されるということで、まず、よろしいでしょうか。

森本政府参考人 お答えいたします。

 まず、今の御質問に対して、警察署に準備されることを想定しているかという点について言うと、基本的には想定しておりません。

 例えば、じゃ、検察官の場合、裁判所は裁判所でちょっと別ですけれども、検察官がどういうふうにやるのかといいますと、先ほども、前の委員の方のときに、平岡先生にも御答弁申し上げましたが、コロナとかのときに、タイベックスーツを着て行きましたというような場合を置き換えるということが前提になっておりますので、どういうふうにやることを想定するかというと、警察と検察庁を全部つなぐようなものを造るとすると、物理的に物すごくかかってしまいますし、かなり無理がございます。

 それで、検察庁の中で、秘密性の担保された、例えばですけれども、パソコンを二台用意して、それを警察に持っていって、警察で、被疑者が例えば感染症の方だとすると、感染症の方専用のところ、入っているところに一台のものを設定し、もう一台は、何房か離れたところで操作しながら行い、弁解録取を行って、それで、終わったらそれをまた持ち帰って、次、同じような機会があればそれを使うというようなことが想定されますので。

 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたが、基本的には対面で行われる、ここは対面で行われるというのが維持されるということですので、ごくごく例外的な場合に使えるだけのもの、そういう意味では、各庁一台程度あればいいかどうかという程度のものを用意しまして、それを基本的には持っていく、二台ということが想定されます。

 もう一つの形態として、こういうことはできるのかという意味で、検察官が検察庁にいて、それを警察署に置くといって、これとつなぐということ、両方検察庁の機器ですが、これは理論的には可能だと思っておりますが、それをやろうとしますと、済みません、細かい話になって恐縮なんですけれども、検察庁に検察官と検察事務官がいて、もう一度、感染症に遭った人の刑事施設、留置施設に、一人で行って不具合が生じてはいけないので、恐らく、多分二人ぐらいの事務官が行って設定して、そこで作業をしてというようなことをすると、要は、一件やるのに四人の人員を割かなければならないということになると、これもかなり捜査経済上不合理なことになるので。

 結論で言いますと、先ほど言った、多分、検察官と検察事務官がパソコン二台を警察に持っていって、それで弁解録取をやって、それを持って帰ってくるというようなことが想定されますので、そういう意味では、先生御指摘のような、何か大がかりなシステムが整備されるということは想定されておりません。

篠田委員 了解いたしました。

 そうしますと、各検察庁にオンラインでの勾留質問のための設備をそれぞれ常備をして、必要に応じてそれを警察署に持っていって対応するという形、それは裁判所もそういった形ということになるのでしょうか。済みません、今日は裁判所の方を呼んでいませんけれども、了解いたしました。

 そうしますと、各検察庁をベースにオンラインの機器が準備されるということだというふうに思います。具体的には、全国様々に検察庁はありますけれども、どのような配置で準備が行われる予定でしょうか。

森本政府参考人 先ほどの答弁でも申し上げたところでございますが、よほど例外的な場合というふうに想定しているものですから、今のところは、東京とそれこそ先生の御地元とで台数はちょっと違うということがあるかもしれません、平均しても各庁一台、各地検に。だから、五十庁ありますから、五十庁に一台ずつ行き渡る程度のものさえあれば、例外的な場合としては十分なのではないか。まだ制度設計しておりませんけれども、現時点での想定としてはそのようなことを考えております。

篠田委員 全国の検察庁にそういった形で準備が徐々に進むということでございましたけれども、それを活用して被疑者と弁護人がオンラインで接見できるような環境に整っていくというか、それを活用するということも一つ方策としてあり得るのではないかなというふうに思っております。

 本会議で法務大臣の方から、オンライン接見については、弁護人に成り済ます可能性があるとか、あとは、ほかの方が成り済ましの可能性などの危険性を御指摘をして、かなり消極的な御意見だったと思うんですけれども、私たちが希望するオンライン接見というのは、弁護士が自分のスマホから警察署にいる被疑者、被告人にアクセスするとか、法律事務所から自分のパソコンでアクセスをするとか、そういう方法でなく、あくまでも最寄りの警察署の留置施設に行って、遠方の警察署に留置されている被疑者とオンラインでの接見を行うことを想定しています。こうすれば、接見の申込みの際に弁護人としての身分確認は当然行われますし、成り済ましの可能性は全くありません。

 ですので、こういったいわゆる成り済ましの可能性のない、いわゆるアクセスポイント方式でのオンライン接見については可能だというふうに考えるんですけれども、これについては十分な検討は今回のデジタル化法案の中で行われたのでしょうか。お答えいただきたく思います。

森本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のいわゆるアクセスポイント方式は、いわゆるオンライン接見について、委員御指摘のとおり、例えば、収容先の拘置所等とビデオリンク方式によって接続されている検察庁や法テラスなどのアクセスポイントに弁護人が赴き、その職員等に本人確認や不正使用され得る電子機器の持込みがないことの確認等を経た上で行う方式でございまして、オンライン接見について、弁護人以外の者が弁護人に成り済ますことや接見が認められていない第三者が同席すること等を有効に防止できるのは、まさにこのアクセスポイント方式を取る場合であるというふうに考えておる。そこはそのとおりでございます。

 その上で、アクセスポイント方式によるオンライン接見を被疑者等の権利として位置づけることについては、法制審議会において議論がなされました。刑事訴訟法上の権利と位置づけて、明文の規定を置くべきとの意見もございました。その一方で、全ての拘置所等でオンライン接見を実現できる見通しが立たないのに権利化してしまうと、大部分の施設において被疑者等が法律上認められた権利を行使できないという状態が長期にわたって続くことになるということ、それから、刑事訴訟法上の権利とせず、運用として、先ほど先生がおっしゃられたような、ニーズが高い地域から弾力に実施していくのが適当であるといった意見があって、答申には盛り込まれなかったものというふうに承知しております。

 そこで、それらのことを規定しまして、本法律案については規定は設けておらず、他方で、御指摘のとおり、従来からやっておる外部交通がありますので、それについて積極的に取り組んでいくという方針としたところでございます。

篠田委員 議論経過を詳細にお答えいただきまして、ありがとうございました。

 様々に必要性や地域事情を基に議論をされたことは大変有益だったなと思いますが、他方で、デジタル化の法案の中にオンライン接見が盛り込まれなかったことは大変残念だと思います。

 しかしながら、私がさきに述べたように、弁護士の偏在は大変顕著で、地方で身柄拘束される被疑者、被告人の権利の拡充、充実のためには、やはりこういったオンライン接見を今後しっかり拡充していくことが何より必要ではないかなというふうに思っています。

 先ほどの森本刑事局長の答弁では、検察官の職員がわざわざ何人も出向いて、パソコンを持って設置してということの話ですけれども、何か本来のデジタル化の趣旨からしますと、全ての拘置所や全ての警察署にそのオンラインのための端末がしっかり常時設備されていて、それを様々なことに活用するのが本来のオンライン化ではないかなというふうに思うんですね。何か余りにも、オンライン化といいつつも、人手をたくさん使って、実際にパソコンの移動を伴うというのは、これが果たしてオンライン化なんでしょうかというふうに聞いていて思うところでございますので、刑事手続のオンライン化というんだったら、しっかりとした設備のやはり予算を獲得をして、様々に有効活用できるような方策になることを応援してまいりたいというふうに考えております。

 それから、先ほど、刑事訴訟法三十九条にオンライン接見の権利を認めると、全国で一律にそれは難しいので、権利確保の観点から見送られたという経過があります。それはもう承知をしておりますけれども、やはり現場の必要性は明らかで、今後これが進まなければ、弁護士過疎地においても直ちに弁護人に依頼する権利がそもそも侵害されて、それこそやはり憲法違反の状態が生じ得るということは指摘をしていきたいと思います。

 ですので、やはり、現場の必要性、有用性をもって、先ほど森本刑事局長が言われておりましたけれども、電話を使った外部交通、今、本当に任意の方々の皆さんの御協力によってやっていただいておりますけれども、やはり、電話の非対面外部交通では接見交通の秘密は確保されませんし、様々に、書面を使って打合せをするとか、そういったことに対しては大変支障があり、当然、顔の見えない関係で、電話だけですので、被疑者、被告人の刑事弁護を受ける権利が確保されている方策かといえばそうではありませんので、この電話での非対面外部交通の拡大について前向きな御検討をいただいているようですけれども、こちらの拡充ではなくて、是非オンラインによる接見を認めていただきたいと思っておりますし、憲法上の権利を何よりも保障するために、法律上の制度として、最終的には全国で実施可能になるように、段階的に整備を進める旨の附則を是非今回の法案につけていただきたいというふうに思いますが、これについて森本刑事局長と法務大臣に答弁を求めたいと思います。

森本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、オンラインによる外部交通、接見も含めてですね、ニーズが高い地域というのがあることは承知しております。

 その上で、どのような方策が可能かということについては、これまでも日本弁護士連合会等と協議もしてまいりましたというところでございます。

 今、私どもとしましては政府提出の法案の審議をお願いしていることでございますので、ここから先、法律がどういうふうになるのかということは、この委員会において決まっていくものであるというふうに承知しております。

篠田委員 それでは、法務大臣に答弁を求めます。

鈴木国務大臣 御指摘のように、オンラインによる外部交通の実施に対するニーズ、先生の御地元もそうだと思いますし、そこは重々承知をしているところでございます。

 ただ、法制上ということでいうと、先ほど答弁がありましたが、様々課題もあるという中であります。

 そういった中で、附則という、それはこの委員会での御審議ということでありますけれども、権利ということではないものの、実務的な運用上の措置としては、先ほど来申し上げておりますけれども、検察庁やあるいは法テラスと拘置所等との間のオンラインによる外部交通、これは実施をしてきておりまして、それを弾力的に拡大していくということで、今、関係機関やあるいは日本弁護士連合会との間での協議を実施をしております。

 こうした関係機関と連携をしながら、一層その拡大をしっかりと加速をしていきたいと思っております。

篠田委員 前向きな答弁が若干あったかとは思いますけれども、電話での非対面外部交通の拡大について、そちらの方に、より前向きな答弁だったと思いますが、やはり、電話での非対面外部交通というのは、これを拡大しても、時間が限られているんですよ。もうとにかく、暫定的に被疑者、被告人に短時間の電話の連絡をするだけなので、時間も制約されています、前日までの予約が必要で、やはり、接見交通の秘密が保障されませんから、事件の内容について何か打合せをするとか、そういったことが全く想定できないんですね。使い勝手がこのように悪く、機材を導入しても利用されない可能性も特に高いであろうというふうに思います。前向きな答弁をいただいたので、時間の制約なく、かつ秘密が保障されることが、やはりこれを拡充するんだったらそこが前提なんですね。

 ですので、非対面外部交通をオンライン化した上で拡大を図っていく場合には、やはり、時間制限を設けないとか秘密を保障するとか、そういった手当てが必要なんですけれども、そこについてのお考えは、法務大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 今御指摘ありましたのは、実務的な運用上の措置として、オンライン外部交通の拡充を行う場合ということでありますけれども、当然、その利用時間等については、利用する側の便宜、これも配慮することが必要、そうした認識を我々としてもしております。

 他方で、その検討に当たっては、接続先の刑事施設とアクセスポイントとなる警察庁等の双方において、被告人等が使用する接見室について、対面による接見との時間調整が必要であるといったことであったり、あるいは、ほかのオンラインによる外部交通との時間調整も必要となるなど様々な事情、各種の実情に応じてこれは検討していく必要があると思っております。

 オンライン外部交通、実務的な運用上の措置としてのでありますけれども、被告人と弁護人とのやり取りについての秘密性、先ほど御指摘ありましたが、そこの配慮も重要であると考えております。そういった中で、防音ブースの設置等をしながら、その秘密性に配慮するということを検討しております。

 そうした様々な御指摘をいただきましたので、いずれも日本弁護士連合会等との間で協議を行っているところでもございますし、一層その取組をしっかりと加速をしていきたいと思っております。

篠田委員 ありがとうございます。

 電話での非対面外部交通を拡大するとしても、その拡大の進展が遅くて、実現まで十年かかるといったようなスピード感ではやはり意味がないと思っております。どの程度のスケジュール感で実施を図っていく方針か、最後に法務大臣にお伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、弾力的にその実施を拡大していくべく、関係機関そして日本弁護士連合会との間での協議、この実施をしております。日本弁護士連合会を通じて、各単位弁護士会からも設置場所等の要望を聴取しているところであります。その協議の結果を踏まえて、法務省におきましては、本年度、オンラインによる外部交通を実施するための環境整備経費を計上しております。今後も各地域の実情に応じて順次拡大するということとしております。

 そのスケジュールということでお尋ねありましたけれども、各地域、どの程度アクセスポイントを設置するかによって拡大に要する期間が異なるということもございますし、あるいは、設置に当たって必要な費用は各アクセスポイント及び接続先の刑事施設によって異なるということ、あるいは、余剰スペースのない施設もございますので、その場合には大規模な施設工事が必要な場合もあるということなどから、具体的に現時点でお答えすることはなかなか困難でありますけれども、なるべく早くということでもございますし、必要性の高い地域においては迅速に環境整備を行うことをしっかりと進めていきたいと思います。

篠田委員 御答弁ありがとうございます。

 どこの地域で被疑者、被告人が拘束されても、どこでも同じような質の高い刑事弁護が受けられる環境整備に向けてこれからも御尽力いただきたいということを最後にお願いを申し上げまして、私の質疑とさせていただきます。

 本日はありがとうございました。

西村委員長 次に、藤田文武さん。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。

 今日は法案審議ということで、刑事デジタル法を前半させていただいて、残り半分ぐらいは、ちょっと外国人の話をまたさせてもらいたいと思いますので、お願いいたします。

 まず刑事デジタル法についてでありますが、この改正の意義は、刑事手続の円滑化、迅速化、それから刑事手続に関与する国民側の負担の軽減、それから情報通信技術の進展等に伴って生じる犯罪事象への対処、こういうことを通じて安全、安心な社会を実現するということが意義に掲げられているわけでありますけれども、内容をいろいろ見ていると、やはり捜査機関のメリットの拡大というのは非常に大きいと思います。捜査機関だけがメリットを受けるんじゃないかという指摘というのはやはりどうしてもつきまとうわけでありますが、この指摘についてまず見解をいただきたいと思います。

森本政府参考人 お答えいたします。

 本法律案は、特定の立場にある者の便宜を図るというものではございませんで、刑事手続等の各場面において情報通信技術を活用することを可能とすることにより、手続の円滑化、迅速化及びこれに関与する国民の負担軽減を図ろうとするものでございます。

 例えば、本法律案においては、証拠書類の電子データ化等によりまして、弁護人が、電子データである証拠書類について、裁判所や検察庁においてコピーの手間なく謄写することを可能とするとともに、オンラインにより閲覧、謄写することも可能としております。また、身柄拘束に対する不服申立て等をオンラインにより迅速に行うことも可能とするなどしているところでございまして、これらを通じまして被疑者、被告人、弁護人側の防御上の負担が大幅に軽減されることが期待されていると考えております。

 また、本法律案におきましては、犯罪被害者等が被害者参加人として公判廷以外の場所に在席してビデオリンク方式により公判期日における手続に参加することを可能としているところでございまして、これを通じまして犯罪被害者等の負担が軽減されることも期待されるところでございます。

 このように、本法律案は、捜査機関側だけではなく、被疑者、被告人、弁護人や犯罪被害者など刑事手続に関わる様々な立場の方々にとって広くメリットがあるものであって、捜査機関だけがメリットを受けるという御指摘は当たらないものというふうに考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 デジタル化すると様々な人が利益を享受するというのは当然で、私も、この法案については、このデジタル社会でありますから、適時適切にそのデジタル技術の活用を拡大していくということには賛同するわけでありますけれども、やはり、この注目のところは電磁的記録提供命令についてだと思います。ここは不安に思われる方、また少しもやもやされる方も多いと思うので、この辺りをちょっと細かく聞いていきたいと思いますが、まず冒頭、この導入の趣旨、総論でいただけますでしょうか。

森本政府参考人 現行法の下におきましては、刑事手続において必要な電子データを強制的に取得する方法として、当該データが記録された記録媒体を差し押さえるという方法や、それから、当該電子データを記録媒体に記録してもらった上でその記録媒体を差し押さえる方法が規定されているところでございます。

 もっとも、これらの方法による場合には、処分者が被処分者の元に赴いて、物理的に赴いて記録媒体を差し押さえるという必要があるため、処分者側それから被処分者側双方に相応の負担が生じているところでございます。また、実務においては、電子データそれ自体を取得できれば証拠収集の目的が達せられる場合もある上、電子データがクラウドサーバーに保存されている場合など、記録媒体そのものを差し押さえることが困難な場合もあり得ます。

 そこで、本法律案においては、既存の強制処分である記録命令付差押えにつきましてこれは廃止いたしまして、新たな強制処分として、有体物である記録媒体の差押えを介在させずに被処分者に対して電子データの提供を命ずるという電磁的記録提供命令を設けることとしているものでございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 これも両者にメリットがあるよという御説明だったかと思うんですが、懸念点として、被疑者等に関連性のない個人情報等も幅広く収集される可能性があるんじゃないかという指摘はやはりあると思うんですね。これについて見解を問いたいと思います。

森本政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来大臣からも御答弁いただいているところでございますが、まず、憲法三十五条一項は、何人も、その書類及び所持品について押収を受けることのない権利は、押収する物を明示する令状がなければ侵されない旨規定していまして、包括的な押収を禁止しております。

 これを受けて、改正後の刑事訴訟法において、裁判官が発する電磁的提供命令の令状には、被疑者等の氏名、罪名、提供させるべき電磁的記録、提供の方法などを具体的に特定して記載、記録することとしており、捜査機関が提供を命じることができる電磁的記録は、令状に記載、記録された範囲に限定されます。

 そして、その令状の審査に当たっては、裁判官は、令状請求書に記載、記録された提供させるべき電磁的記録と被疑事件等との関連性等を十分に吟味した上で、そのような関連性があると認めたもののみを令状に記載、記録することとなります。

 したがって、提供を命じることができる電磁的記録は被疑事件等との関連性があるものに限定される上、その命令に対しては不服申立てをすることができることとしております。

 また、電磁的記録提供命令の場合には、請求する側とそれから提出する側がいるわけですが、その提出する側にとってみますと、何を提出したらいいかということが明示されているという形でなければ提供のしようがありません。そういう意味では、一般の捜索、差押え等の場合には、捜査機関がそちらに赴いて必要性があると判断するものを押収してくるという手続になるわけですが、そういう手続が介在しませんので、どういうものを出せばいいのかということが令状に明示されていないと出しようがないということになりますので、そういった観点からも、そういった、幅広く収集されることにはならないものというふうに考えております。

藤田委員 これは、形上、そういうことなんだと思うんですよね。包括的押収というものはできない、なので、ピンポイントでこの捜査に関連するものを出せということだと思うんですが、情報って混在していたりするので、それはやはり、関連性のないものまで取得するということを前提に、抑制的に運用しないといけないというのは当然のことだと思うんですけれども。

 ちなみに、ちょっと通告はなかったんですが、提供側がそういうのを編集する、つまり、いわゆる本当に必要な部分と混在していた場合に、編集したりするということは許容されているのか、お答えいただけますか。

森本政府参考人 お答えいたします。

 令状の発付のされ方によって、提供する側からすると、何を出すか、具体的には、例えば、クラウド事業者がいろいろな形の情報を持っているとしても、裁判官の令状には、いつからいつの期間におけるこの番号から発信されたメールという記載がされた電磁的記録提供命令を受けた場合には、そのメールだけの部分を当然のことながら特定して、それを捜査機関側に提供する、こういう形になろうかと考えます。

藤田委員 そういう特定の仕方だと、やはり、いわゆる直接的に関連する情報と、その外周というか、少し遠い情報も混在するというのは、それが駄目だと言っているわけじゃなくて、実務的には当然のことだと思うんですよね。

 そうした場合に、取得したデータ、証拠は、当該犯罪捜査に使う以外に流用されたりすること、流用、転用、活用されたりすることがあるのか。これはもしかすると、この刑事デジタル法に限らずの運用かもしれませんが、まず確認したいと思います。

森本政府参考人 お答えいたします。

 これは、今委員御指摘のとおり、電磁的記録提供命令の問題にかかわらず、その他の捜査で収集した証拠において一般的に妥当するところでございますが、例えば、捜査機関が不同意わいせつの被疑事実によりまして被疑者が所有するスマートフォンを差し押さえて、これに保存された電磁的記録を精査したところ、別の例えば不同意性交の場面が映っている、そういった被疑事実を示す電磁的記録が発見された場合というふうなことは、捜査実務上というか刑事実務上は間々あることでございます。

 そういった場合に、その不同意性交を示す証拠としてそれが使えないかということではなくて、それに関するものについては、その不同意性交等の被疑事実に関する証拠として用いられることは、実務上もあり得るというふうに思います。

 このように、一般に、捜査機関がある被疑事実に関連するものとして収集した証拠が、同時に別の被疑事実に関する証拠でもあることが判明した場合には、その証拠を当該別の被疑事実に関する証拠としても用いることは認められているところでございまして、その点については、冒頭でも申し上げましたとおり、電磁的記録提供命令によって収集された電磁的記録についても同様に取り扱われることになるものと考えております。

藤田委員 分かりました。

 最後に、この命令は罰則つきでありますから、それを受けた法人側も作業が必要になってくるということでありますけれども、法人側の負担における配慮についてはどのようにお考えか、お聞かせいただけたら。

森本政府参考人 法人側については、現在でも、例えば何らかの、通話履歴なら通話履歴でもいいんですけれども、そういったものが欲しいのなら、そのデータを送ればいいかということはよく言われるわけですけれども、今の制度ですと、捜査機関が赴いて、向こうに行って、金融機関なりあるいは通信事業者なりに対応していただいて、DVDなりのディスクに焼いてもらって、その有体物を出してもらうという取扱いが行われている、それが記録命令付差押えの典型でございますが、そういったことについては、もう一々そんなことをする必要はない、このデータを送るから、それでいいですよねというような事業者の方もかなりおられます。

 そういった状況も踏まえまして、今回、電磁的記録提供命令が認められるということになれば、事業者側としては、これまで対面で接したり、いろいろな作業をしていた部分がなくなって、電磁的記録を送付すれば足りる、送信すれば足りるという、もちろん高度のセキュリティー、安全性をかけてということではございますけれども、そういうふうになるということで、そういった面では法人側にもメリットがあるものというふうに考えております。

藤田委員 今の御説明だと、利便性は上がるよと。なので、その反対側にある安全性や確実性みたいなところは、これは運用上の話だと思いますけれども、慎重に気をつけていかないといけない問題だということを指摘して次に移りたいと思います。

 前回も外国人の話を大臣ともいろいろさせていただいて、今日もちょっとやりたいなと思うんですけれども、まず、その議論の前提として今の現状を述べさせていただくと、先日、出入国在留管理庁のホームページに最新情報がアップされておりましたが、二〇二四年末の在留外国人の数は三百七十六万八千九百七十七人で、過去最高を更新いたしました。これは前年末比で三十五万七千九百八十五人増えて、比率にすると一〇・五%、一年で増えた。全体人口の約三%が在留外国人になったということで、大台に乗ったというわけであります。

 時系列で見ていると、ちょうど十年前は二百二十三万二千人ぐらいなんですよ。なので、倍率にすると十年で約一・七倍で、このうち約二年半ぐらいはコロナでありますから出入国が相当抑制されていたということを考えると、約二倍ぐらいに増えていくスピードなんですね。十年でならしたらそうなんですが、この三年ぐらい、コロナが明けた二〇二二年以降、二二年、二三年、二四年というのはかなり速いスピードで増えていっているというのがまず実態であります。

 それが今の実態で、今後のシミュレーションは、前回もグラフでお示しをさせていただきましたが、社人研のデータで中位推計、いわゆる低位、中位、高位で、中位推計で見ても二〇七〇年には一〇%を超えるというのがデータの予測なんですけれども、これを現実に合わせると、出生率は低位に近いからより少ないよという設定と、それから入国超過数、つまり外国人がどれぐらい増えていくかということにほとんどニアリーイコールなんですが、それをやると、およそ二〇五〇年ぐらいには一〇%を超える、こういう前提で話をしたいんです。

 しかも、その前提で、今申し上げたシミュレーションは、高位推計の二十五万人ということを数字に置いて、二十五万人ずつぐらい増えていくよという仮定なんですけれども、実際に昨年は三十五万人ぐらい増えているということなので、更に速いスピードなので、恐らく、それを勘案すると、二〇四〇年代の半ばぐらいには一〇%を超えるんじゃないか、こういう現状があるということを前提に質問したいと思います。

 まず、一般論として、我が国は移民という言葉は使いません。それはいろいろな意味合いがあるとは思うんですけれども、あるんですが、国際的には、一年以上他国に居住し、就労、生活する人というのは広義の移民というふうに国連等の国際機関の定義でもされているわけでありますが、日本国においては、中長期に滞在する外国人労働者は、移民と呼ばずに分類するわけであります。

 当時の岸田総理が委員会で答弁されていますが、一定程度の規模の外国人と家族を期限なく受け入れて国家を維持する、いわゆる移民政策を取る考えはないというふうに御答弁されていて、移民という言葉を使わないよということを明示されているわけでありますが、まずこの理由を改めて確認したいと思います。

杉山政府参考人 御指摘いただきましたとおり、移民という言葉は様々な文脈で用いられておりまして、これを明確に定義するということは困難でございます。

 御指摘いただいた政府の答弁も、あくまでも、国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人及びその家族を期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していくという意味での移民政策について、政府としてそのような政策を取る考えはないということを申し上げたというふうに理解しております。

 すなわち、国家維持のために外国人及びその家族を期限を設けることなく受け入れることにつきましては、我が国の将来の形や国民生活全体に関する問題として国民の中に様々な御意見がある中で、その導入には極めて慎重になる必要がある。したがいまして、そのような政策を取る考えはないという趣旨でございます。

藤田委員 今の御答弁だけ聞くとそうかと思うんですが、最初の前提で申し上げたように、移民政策を取るつもりはないんだよと言いつつ、実情は相当なスピードで増えていっているということを、移民というふうに呼ばないから大丈夫なんだというふうにどうしても捉えてしまうんですよね。私は、移民と呼べと言っているわけじゃないんですが、しっかりと向き合った上で政策を打ち出すということが必要だろうと。

 さっきの御説明だと、移民政策は恐らく、人口比率の中で一定の規模感、ボリューム感を人口戦略として取ることを移民政策と呼ぶ一つの要素、もう一つは、入ってくる外国人というのがある種永住までを見据えて中長期にわたって来るという、この二つの要素が多分定義の大きな柱になるんじゃないかなというふうに、今御答弁からも思ったわけでありますね。

 それで、前者の一定規模のというところでいうと、私は一定規模なんじゃないかなとまず思うのと、それから、期限なく受け入れてというところは、確かに初めは期限はもちろんあるんですけれども、初めから期限がないというのは諸外国の事例を見たら余りなくて、最初は期限があるわけです。それから、それが中長期に制度が様々積み上がって、その方の生活に合わせてそれが中長期化していくということなんですよ。

 我が国は、せんだって技能実習制度から育成就労制度に変わっていくということなんですが、これは、そもそもの入口の趣旨が変わりましたね。技能実習制度というのは、国際貢献のために開発途上国等の外国人を受け入れて、OJT等を通じて技能を移転する制度、つまり、目的は相手国のためなんだということを大義名分にしていた、技術を移転させてあげようという趣旨だったわけでありますが、実態としては労働者を補填する意味合い、労働者不足を解消するという目的で現場の産業界の皆さんは活用されているということが非常に多かったということなんですね。

 それで、今回すっきりさせようということで育成就労制度というのができて、人材、育成確保のため、制度の目的自体が変更されるということなんですよ。これはすなわち、労働力として受け入れましょう、人材を育成し確保する、つまり労働力としても頼りましょうという方針転換なんですが、それを考えれば、技術を覚えてもらって帰ってもらおうという極めて短期的な目線ではなく、人材を育成し確保する、つまり中長期的な居住を見据えた制度変更というふうに捉えられると思うんですが、この趣旨を確認したいと思います。

杉山政府参考人 御指摘いただきました育成就労制度につきましては、令和六年六月の入管法の一部改正法において設けられたものでございます。

 その背景といたしまして、我が国の労働力不足が深刻化し、国際的な人材獲得競争も激化していること、技能実習生が現に人手不足解消の手段として受け止められており、制度目的と実態が乖離しているという指摘があること、依然として人権侵害事案等が生じているとの指摘があること等の状況を踏まえ、技能実習制度を発展的に解消し、我が国が魅力ある働き先として選ばれる国になるよう育成就労制度を創設することとしたものであります。

 育成就労制度では、人材育成と人材確保を制度の目的とし、特定技能一号水準の人材を育成するための制度として、受入れ対象分野を特定技能制度と原則一致させるなどした上、特定技能制度との連続性を高めることで、外国人がキャリアアップしながら活躍するための道筋を明確化する予定であります。

 これにより、育成就労制度が外国人にとって魅力あるものとなり、長期にわたり産業を支える人材が確保されることを目指しているところでございます。

藤田委員 今答えていただいたように、中長期で育成していこう、そして、育成就労から入って特定技能に移るのをちゃんとスムーズにしていこう、その代わり、犯罪等、不適合の方はしっかりと厳しい措置をするよというのをセットにした法律改正だったと思うんですね。

 だから、その趣旨は私は賛同できるんですが、私が問いたいのは、中長期で選ばれる国を目指すんだということですよね。だから、つまり、それが期限なくかどうか分かりませんが、明らかに長期化を目指した制度変更なんですよ。だから、先ほどの定義の、何か言葉遊びをするつもりではないんですが、一定規模の要件は恐らく満たしてくるだろうということと、かなり中長期にわたったことを見据えた制度で最初から入っていただく、そういう大きな転換が起こっているということは国民の皆さんにも知っていただいた方がいいというふうに思うわけですね。

 その上で、魅力ある制度で選ばれる国へというのが育成就労の趣旨の一つで掲げられているわけであります。この選ばれるというのはどういう意味なのかをお聞きしたいんですが、ここには、どう考えても、中長期的な滞在を目指して選ぶ、又は、その後に永住というものにも道を開いている制度でありますから、永住を目指す、又は家族も含めた滞在ということも含め、魅力を持って、いわゆる、過ごしやすく、生活しやすく、人生を過ごしてもらうという意味で選ばれるという意味合いも、どうしても含まれるんじゃないかなと思うわけでありますが、この意味合いを聞きたいと思います。

鈴木国務大臣 選ばれるということで今どんな観点かということの御質問だと思いますけれども、まずは育成就労というところでの選ばれるということでいえば、やはりそれは、一つは、他国と比べていい人材にしっかりと来てもらうという意味での選ばれるということであろうかと思います。

 例えば、育成就労制度においては、労働者としての立場をより尊重する観点から、やむを得ない事情がある場合の転籍の範囲を拡大、明確化をする、あるいは、技能実習制度では認めてこなかった本人の意向による転籍を一定の要件を満たせば認めるということで、具体的には、近隣の諸国、例えば韓国だったりあるいは台湾における制度では、転籍に際して雇用主の同意あるいは特別の事情を要件としていますので、そこと比べても、そういう意味では、その比較において選ばれやすい、そういったこととするための改革を行ったところでもあります。

 あるいは、育成就労制度では、受入れ機関や監理支援機関の要件の適正化、これによって適正な受入れや人材育成がなされる仕組みとするであったり、あるいは日本語の能力の向上方策や地域の受入れ環境整備を行うこととしていまして、ある意味で、これは、働くために訪れた外国人の方々が、日本で生活をすることに不安を抱かずに、安心して我が国を選択できる制度とするということを目指しております。

 もっとも、育成就労あるいは特定技能の一号では、在留できる期間に上限がある、そして家族帯同は認めていませんし、あるいは永住許可を付与される際に考慮される就労期間にも含まれていないということから、そうした、入国当初から家族滞在あるいは永住許可を付与されることを前提とするものではないという、そういった認識であります。

 先ほど来移民という話もありましたけれども、やはりそれは、まさに言葉ということではなくて、外国人が増えてくる、この実態というものはしっかり認識をすること、これは政府も、あるいは国民の皆様にもそういった意識を持っていただくことは極めて大事だと思います。

 ただ、その先将来的に、仮に居住ということを前提とするとか、あるいは永住ということを前提とするということがあり得るとすれば、その際には、当然これは国民の皆様方の理解なくしてそういった転換は起こり得ないと思いますので、そこは今後そういったことも含めてしっかりと考えていかなくてはいけないことではないかと思います。

藤田委員 ありがとうございます。

 ちょっと幾つか飛ばして質問したいんですが、要するに、期限付から永住になっていく、そういう人たちのボリュームが増えるというのは国民的コンセンサスが必要だよねという趣旨のさっきの御答弁だったかと思うんですが、そのときに考えるのでいいのかなというのは私は非常に疑問があって、要するに、一定のボリュームになり、コミュニティーが形成され、そして滞在期間がかなり長くなると、その人たちも同じ人間なので、生活があって、恋愛もし、子供も生まれという、そういうことが起こり、そして、子供が生まれると二世で母国語はしゃべれないということが容易に想起されるんですよね。

 その場合に、私は、中長期的滞在をしている外国人労働者に、一定期間、経済も助けてもらいたい、労働者としても貢献していただきたいという趣旨で住んでいただいて、期間が来たからみんな帰ってくれ、そういう、期間限定で帰る、帰してもらうということは、何かそもそも論として可能なのかなという疑問を持っています。

 要は、諸外国でも起こっているんですけれども、一時的にかなり緩和的に移民政策を進めた国は、人口ボリュームの中で相当なパーセンテージを占めていくんですけれども、その後に、これは様々な問題を誘発しているという国民的世論が高まった後に、入口を閉じるということをやっている国はあります。でも、その後も増え続けるんですよ。それは、家族呼び寄せだったりとか、出産だったり、又は二世とかというカウントされない人とかいうのも含めると、閉じても増えていく。もっと言うと、お金を渡すから帰ってくれという政策をやった国が何個かありますけれども、ほとんど減らなかったんですよね。だから、結局、そうして、かなり、思いのほか多いスピードで人が増えていき、そしてそれが長期化することで、そのとき、永住に切り替えるかどうかを議論して、それは国民的コンセンサスがないから皆さん帰ってくださいということは成り立たないと私は思うんですが、そういう、都合よく、期間が来たら帰ってくださいということを、一人、二人の個別ケースじゃなくてマクロで言っています、マクロで考えたときに、可能ですかね、それはお考えをちょっと聞きたいと思います。

鈴木国務大臣 今、専門的、技術的分野の在留資格で受け入れている外国人労働者の方々については、その在留資格に応じて、本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて業務に従事をすること、あるいは事業の経営を行うことなどを前提として在留を認めていて、個々の在留状況に応じて、一年から五年までの期間これを許可して、更新も可能としています。

 この点において、雇用契約が更新されない等の事情も含めて、外国人の行おうとする活動、在留の状況、あるいは在留の必要性を総合的に勘案して、法務大臣が適当と認めるに足りる相当の理由がない場合には、在留期間の更新は許可されないということとなります。

 加えて、特定技能、そして育成就労制度では、ある意味、上限を限って受入れを行うとしております。そして、そういったことにおいて、必要とされる人材がそれぞれの分野で確保されたというふうに認めるときには新規の入国の制限をしているということで、要は、制度としてそもそも、必要とされる人材より多くの人材を受け入れることがないような仕組みというものを取っております。

 ただ、その上でやはり、家族を呼び寄せられる、例えば特定技能の二号とか、そういったことでもこういった上限は当然あるわけですけれども、例えば永住に移っていった人が増えていったらどうするのかということだと思いますけれども、現状においては、制度としてそういうことを想定はしていません。ただ、今後、いろいろな事態を想定しながら検討しておくことは当然に必要だと思っておりますし、そういった意味で、今、法務大臣の私的な勉強会という形で、これは様々な観点からの検討を内々に進めているところではあります。

 ただ、そういったことを今制度としてどうこうする時期かといえば、今はそのタイミングではまだないというのが我々の認識であります。

藤田委員 勉強会でいろいろ検証、検討していただいていることには敬意を表したいと思いますので、引き続き、今日に限らず何回か続けてこれをやりたいと思うんですが、全部できなかったんですが、最後、ちょっと最後のやつをやりたいと思います。

 在留資格のない仮放免中の外国人の方、これは、私も地元で聞いたんですけれども、例えば、公立学校に通いたいよと、若年の方が。例えば観光ビザで来て、難民申請をして、仮放免になりました、市中で生活をしています。その方が、いわゆる学齢簿を作れないので、住民票がないから、役所側から小学校へ行ってくれという通知は来ないんですよね。ただ、学校に来る、又は、教育委員会に来て、教育を受けさせてほしいんだというふうにすると、受け入れないといけないというか、そういう実態になっていますよね。実際に通っています。

 これは、そうなのというのが地元の先生方の、知らないので、反応なんですけれども、通わせないといけない根拠は何ですかというのと、それから、明らかに非常に難しい取扱いになると思うんです、現場としては。もちろん、在留許可がないし、それから日本語もほとんどしゃべれないケースが多い。その際に、国の関与又は支援というのはどのようにされているのかというのを確認したいと思います。

西村委員長 文部科学省橋爪大臣官房審議官、時間が来ていますので、答弁は簡潔に、御協力をお願いします。

橋爪政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国では、在留資格のない外国人の子供でありましても、居住の実態があって、その保護者が希望する場合には、国際人権規約等を踏まえまして、当該市区町村の義務教育段階の公立学校に無償で受入れをしているということでございまして、日本人と同一の教育を受ける機会を保障してございます。

 外国人児童生徒等への学校への受入れに関し、文部科学省では、日本語指導のための特別教育課程の制度化、それから、日本語指導に必要な教員定数の着実な改善、それから、日本語指導補助者や母語支援員の配置など外国人児童生徒等への支援に取り組む自治体への支援などを行ってまいっておりまして、引き続きこのような支援に取り組んでまいりたいと思います。

藤田委員 もうちょっとやりたかったんですが、時間ですので、今日は終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、小竹凱さん。

小竹委員 国民民主党の小竹凱です。

 本日、質疑の時間をいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、デジタル化の最大の恩恵というところについて、政府と意識合わせをしたいと思います。

 近年、デジタル庁創設を始め、行政のデジタル化を強力に推進しております。私も賛成の立場でございますが、政府は、令和六年にデジタル社会の実現に向けた重点計画を閣議決定し、行政手続、民事手続と順次法整備しております。

 今回の刑事手続のデジタル化によって、どういったことが具体的に最大の恩恵となるのか。広い意味でのデジタル社会での恩恵でもいいですし、今回の法改正についてでも、大臣の御見解を伺えればというふうに思います。

鈴木国務大臣 刑事手続等において、それを構成する各制度、これが一体として機能するものですので、そういった意味で、この法律案に盛り込まれた諸制度のうち、どれが最大の恩恵かということを特定することはなかなか困難ではありますが、まさに、今回の法律案においては、刑事訴訟法の一部を改正して、刑事手続等において取り扱われる書類の電子データによる作成、管理、発受や、あるいはビデオリンク方式の一層の活用を可能とすることによって、刑事手続の各場面において手続の円滑化、迅速化、これを実現をする、そして、これに関与をする国民の方々の負担軽減、これを図る、そういった趣旨であります。

 まさに国民負担の軽減という観点で、いずれも重要な意義を有していることだと思っておりまして、そこは、我が国の刑事司法という観点からも大きなメリットをもたらすものではないかと考えております。

小竹委員 ありがとうございます。

 負担の軽減、また効率化、こういったところは意識が共通するところでございますし、私として、デジタル化の今回に関しての恩恵でいいますと、単なる効率化とか、そういったことにとどまらず、公平なアクセス、また、時間的、そして経済的な負担の軽減、時間と場所を超えるというのがデジタルの最大の恩恵だと思います。また、そして、あわせて、情報の可視化というところもデジタルの強みであると思います。こういったところを是非認識合わせした上で、次の質問に入りたいと思います。

 刑事訴訟法施行法改正案の第六条関係について質問したいと思います。

 法務省の資料をいただいてきました、百七十五ページにおいて示された刑事訴訟法施行法の一部改正案、六条関係についてお尋ねいたします。

 今回、訴訟関係人からの謄本や抄本の交付請求等に関し、その費用を収入印紙で納めさせることができるという新たな条文が提案されておりますが、そこで示されている一件につき八千四百円、ちょっと具体的に読み上げますが、電磁的記録の提供を請求する場合の費用額は、当分の間、当該電磁的記録については一件につき八千四百円とするとあります。

 この収入印紙の請求の額が八千四百円というのは、具体的にどういった金額で、どういった根拠なのか。また、この金額が妥当とされた分析等がありましたら是非御説明を求めたいと思います。

森本政府参考人 お答えいたします。

 裁判書等の電子データの提供をする場合には、セキュリティー確保の観点から、請求者側が当該データを記録するために持参した記録媒体を、提供する側の機関、例えば検察庁、裁判所でございますが、の電子機器に接続することはできません、セキュリティーの観点から。また、刑事訴訟記録である裁判書等は、被害者や事件関係者のプライバシーや名誉等に関する機微の事項を多く含むものであり、慎重な取扱いを要することとなります。

 そこで、裁判書等の電子データを記録する記録媒体につきましては、無限定な拡散を防止するために必要なセキュリティー措置を講ずることができるものを、提供する側の機関において用意する必要がございます。

 その上で、一件八千四百円という金額につきましては、裁判書等のデータ、電子データの提供に要する一件当たりの人件費の部分と、ただいま申し上げたような記録媒体の購入費用を含む物件費とを積算して定めたものでございます。

小竹委員 ありがとうございます。

 これまで、紙の場合は一枚につき六十円ということですので、人件費というか、ほとんど媒体費というような認識でよろしいのかというふうに思いますが。

 その上で、様々な形において司法へのアクセスは平等にあるべきというふうに考えまして、こういったところが経済的な障壁とならないように、例えば、比較的低所得な方々、様々な事情、困難な事情を抱える方に対して、減免措置とか特例制度の導入等は現時点で考えているのか、この点についても法務省の見解を伺います。

森本政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、記録媒体の場合には一件八千四百円となっているのに対しまして、紙の場合には、現行法と同様に、用紙一枚につき六十円としております。

 電磁的記録の場合が高いのは、先ほど先生おっしゃられたように、記録媒体がコピーガード等の機能を付するものでなければならないということで、そこのところがかなり高くなっております。そのため、請求者といたしましては、利用目的や費用の多寡等の事情を考慮し、当該裁判書等について、電子データの提供を請求するのか、それとも書面の提供をするのか、これを自由に選択することができるということとしております。

 以上を踏まえますと、用紙の場合には一件六十円でございますので、御指摘のような減免措置までは設ける必要はないのではないかというのが現時点での考えでございます。

小竹委員 ありがとうございます。

 今おっしゃられたことは、いわゆる複製が禁止されているセキュリティーUSBのようなことを考えられていると思うんですが、この紙の一枚六十円も残した上で一件八千四百円というところを新たに新設して、具体的にどういった方がこの一件八千四百円を使われるというふうに考えていらっしゃるでしょうか。

森本政府参考人 実際に運用を始めてみないと難しいところはございますけれども、例えば、裁判書等でも、コピーするものは、要は大量にやはり及ぶ場合がありますので、費用を勘案したときに、例えば、仮に百枚あれば、六十円ですと六千円となる勘定になりますので、その辺りから先であれば、データでもらった方が後で自分が使いやすいよねと思われる方はいらっしゃるのではないかというふうには考えております。

小竹委員 ありがとうございます。

 一般的に、謄本とかは五枚から十枚ほどだと思いますので、百枚というのはなかなかないケースだと思います。

 そういったことで、先ほどの篠田委員の質問にもありましたけれども、デジタル化をすることによって、結局何か媒体が必要になったりとかパソコンを持っていかないといけなくなったりとか、こういったところは本当にデジタル化につながっているのかと私も感じますし、例えばですけれども、USBを今回取り扱うということですが、パスワードつきのURLなどをうまく、例えば、今デジタル庁でやられているガバメントクラウド、更にこれは時間とコストがまだかかると思いますが、過渡期的な案としても、パスワードつきのURLとか、こういったことをいろいろ活用して、デジタルの方が物理的に行政の箱物に行かなくてもアクセスできて、そして紙の方がむしろ比較的金額が発生するというようなことをしていかないと、デジタルを進めていく利点が双方にとってなかなかないと思いますので、是非その辺を改めてしっかりと取り組んでいただきたいというふうに考えます。

 続きましての質問に入りますが、電磁的記録の文書偽造罪の適用拡大について質問いたします。

 先日の本会議の際にも質問しましたが、本法案では、電子データの文書偽造罪の新設が盛り込まれており、紙の文書に限らず、電子ファイルの改ざんも処罰対象とすることで、例えば、他人や架空の人物に成り済ましてネット上に虚偽の情報を発信するような行為にも対処できるようになり、これはこれまで想定されていなかった新手の犯罪にも法の網をかける、本当に意義の大きい、必要な措置だと考えております。

 そこで、改めて確認いたしますが、電磁的記録の文書というのはどのようなものが該当するのか。一般的には電子メール、PDF等が含まれると理解しますが、その範囲について、政府として明確な定義がありましたら是非伺いたいと思います。

森本政府参考人 お答えいたします。

 電磁的記録文書等偽造等罪における電磁的記録文書等とは、文書又は図画として表示されて行使されることとなる電磁的記録をいうものとしております。

 その上で、どのような電磁的記録が電磁的記録文書等に該当することとなるかは、個別の事案ごとに具体的な事実関係、証拠関係を踏まえて判断されるものではございますが、例えば、法改正との関係で典型的なものといたしましては、改正後の刑事訴訟法の規定によって発せられる電磁的記録による令状、例えば逮捕状とか勾留状とかこういうもの、さらには、それ以外のものであれば、電磁的記録により作成された業務文書や、一つ平たい例を言いますと、予防接種の証明書とか、そういうようなものが電磁的記録文書等に該当し得るものと考えております。

小竹委員 ありがとうございます。

 紙の場合は具体的に物があって、替わる場合は差し替えというふうになりますが、電子記録の場合は基本的に上書きされていくわけでありますが、どういった状況において完成といいますか、該当するものに当たるというのか、その判断基準等もございましたら教えていただきたいです。

森本政府参考人 お答えいたします。

 電磁的記録文書等偽造等罪は、紙の文書と同様の機能を果たしている電子データに対する社会的信頼を紙の文書と同様に保護するものでございますから、その既遂時期につきましても、現行の文書偽造罪等のそれと同様に考えるのが相当であるとまず考えられます。

 現行の文書偽造罪については、一般に、偽造された文書が一般人をして真正文書と誤信させ得る程度に至った場合に既遂に達するものとされていますことから、電磁的記録文書等偽造罪につきましても、これと同様に、偽造された電磁的記録文書等が表示された場合に、一般人をして真正な電磁的記録文書と誤信させ得る程度に至った場合に既遂に達することとなるというふうに法律上は解するものと考えております。

小竹委員 ありがとうございます。

 なかなか個別具体的に難しいところだと思いますが、紙の文書と異なり、電子文書は容易に複製、編集が可能であり、それもあって先ほどのUSBの件もあるかと思いますが、誰が作成したか、いつ作成されたか、こういったところも、名義性や作成日時の確定、いわゆるメタデータの書換えも含めて、比較的捜査がかなり困難であるというふうに思います。

 そんな不確実性の中で、どのように、いわゆる今おっしゃられた偽造と正当な編集行為というのを見極めていくのか、処罰の具体的な線引きをどこに置くのかというのがかなり難しいと思いますが、その辺の取組、見解がございましたらお願いします。

森本政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、紙と違う要素があって、電子的データは、例えば上書き等されたりとか、いろいろな、逆に言うと、電子情報がその電磁的記録に化体されているという状況になると思いますので、現在の捜査においても同じでございますが、例えばタイムスタンプであるとか、様々な、いろいろなもの、どういうふうに更新された更新情報であるとか、もろもろを証拠判断して、最終的に、誰がどのような文書となるべき電磁的記録を偽造したのかということを判断していくことになろうかと思います。

 法務省といたしましても、本法律案が改正法として施行した場合には、この電磁的記録文書等偽造等罪が適切に運用されるように、その趣旨、内容を含めて、先生が今御指摘のとおり、適切に周知してまいりたいというふうに考えております。

小竹委員 ありがとうございます。

 時代の流れに合わせて新たな法の網をかけていくということは大事なことだと思いますが、実用になるように、実効性のあるように努めていただきたいというふうに思います。

 次の質問に入ります。

 ビデオリンク方式の拡充や、またオンライン接見の制度について伺いたいと思います。

 本改正の趣旨の一つに刑事手続に関与する国民の負担軽減というのが掲げられておりますが、ビデオリンク方式の導入によって具体的にどのような負担軽減が想定されているのか、御説明をください。

森本政府参考人 例えばで申しますと、現行の被害者参加制度においては、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士が法廷のいわゆるバーの内側に在席して、公判廷に出席することが可能となっておりますけれども、近時、被害者参加人にとって、被告人と同一の空間にいることが強い精神的負担になるなどの指摘がなされており、被害者参加人が法廷とは別の場所に在席しつつ、手続に参加するニーズが生じております。

 そこで、本法律案におきましては、被害者参加人等を公判廷が開かれる場所以外の場所に在席させて、ビデオリンク方式により公判期日の手続を行うことができるようにするための規定を整備することとしております。

 また、証人について申しますと、現行の刑事訴訟法に規定されている場合以外にも、例えば医師に専門家としての証言を求める場合など、ビデオリンク方式により証人尋問を実施できるようにする必要性が高い場合というものが生じております。例えば、医者がどうしても忙しかったり、あるいは、病院での業務の傍らなら証言できるけれども、裁判所に一日行くのは無理である、こういうようなことをおっしゃられるケースというのはかなりございます。

 そこで、本法律案におきましては、証人尋問をビデオリンク方式により実施することができる範囲を拡充し、新たに、証人等が傷病等により同一構内に出頭することが著しく困難であるとき、証人に鑑定に属する供述をさせる場合であって、証人が尋問の日時に同一構内に出頭することが困難であり、かつ、当該日時に尋問することが特に必要であるときなどを追加することとしており、こうしたことによりまして、被害者参加人の精神的な負担や証人の出頭に伴う身体的負担や業務上の負担の軽減に資するのではないかというふうに考えております。

小竹委員 ありがとうございます。

 時間的負担や職業的な負担、様々な経済的な負担も掲げられていました。本当にそのとおりだと思いますし、それをオンライン接見という意味においても、この考え方は私は全く一緒だと思いますので、是非広げていただきたいというふうに考えております。

 先日の本会議において、オンライン接見に関し、大臣は、オンライン接見一般を被疑者等の権利として位置づけることは相当でないと言われております。しかし、現実的には、東京、立川、大阪等で、一部の地域においてはアクセスポイントからのオンライン接見が既に導入されております。

 逆説的に考えまして、この導入という経緯はどういったものがあったのでしょうか。

森本政府参考人 委員御指摘の東京、立川、大阪、厳密な意味でいうと、多分、弁護士の先生方はこれは接見ではないとおっしゃられると思いますけれども、テレビ電話方式での非対面の外部交通がその三か所では行われております。

 これにつきましては、平成十九年当時、裁判員裁判の実施等の刑事司法手続の変革も考慮して、対面での外部交通を原則としつつも、これらを補完するものとして、未決拘禁者と弁護人等との電話による外部交通の試行が開始されましたところ、東京と大阪についてはその時点、平成十九年に、立川についてはその後でございますけれども、各弁護士会との協議において、各弁護士会からテレビ電話導入の希望があったために、テレビ電話によることとされたものと承知しております。

小竹委員 ありがとうございます。

 昨日も伺った際にも、比較的ニーズの高いところからというようなこともありましたけれども、二〇〇七年から始められて、なかなかこの外部交通制度というのが広がっていないというのが現実問題でございます。

 先日の本会議の答弁の際に、例えば災害などによりというような大臣の答弁もありましたが、私のいる石川県も冬は雪が降ります。移動が困難になります。災害級の大雪などという言葉もありますので、私のところにはエゾシカは出ませんけれども、いろいろな手段において、是非、憲法で保障されている、三十四条、三十七条などで保障されているこの権利というのがしっかりと拡充されていくように、法務省として引き続き取り組んでいただきたいというふうに思います。

 また、特に、全国九か所から導入されておりますが、具体的には地方や離島ほど、私はデジタルの導入を進めるべきだと考えておりますし、それは一番最初の質問で大臣とお話をさせていただきました、時間や場所を超えるというのがデジタルの最大の恩恵だと思いますので、こういったところで、結局、現実問題、弁護人が物理的に現地を訪問して、こういった弁護人の依頼権というのがなかなか実質的に確保されていないケースというのが多々見られると思います。

 こういうことを踏まえましては、今、電話連絡から拡充していくという先日の本会議での答弁もありましたが、秘密交通権の保障をしっかり確保した上で、ここを広げていくという大臣の意気込みを改めてお伺いしたいというふうに思います。

鈴木国務大臣 こうしたオンライン外部交通につきましては、弾力的にその実施を拡大をしていくべく、現在、関係機関あるいは日本弁護士連合会との間で協議を実施をしているところでございます。

 御指摘のように、未実施の場所というところはまだまだありますので、そういったところはまずは電話による外部交通等から実施をしていくということも、そういった選択というか、になるかと思いますが、そうしたことも視野に入れながら、拡大に向けてしっかりと努めてまいりたいと思っております。

小竹委員 ありがとうございます。

 是非進めていただきたいというふうに思いますし、電話連絡ではなくて、しっかりと、非対面の、映像での交通というのをしっかりと確認していただきたいというふうに思います。

 また、先ほどの一番最初の質問の際に、被疑者、参加人が被告人と同じ空間にいるのが耐えられないというような一例も挙げていただきました。精神的な負担を軽減するというときにおきましては、先日、参考人の方にも来ていただきましたけれども、被疑者、被告人の方々が、いわゆる人質司法に対しても精神的に耐えられないという過去の事例もたくさんございます。

 そういったところを踏まえまして、デジタル化をしっかりと、恩恵を波及していくというためにも、例えば弁護士の立会いをビデオリンクからでもしっかり導入していく。海外では導入されているが、日本ではなかなかこれが整備されていません。こういったところを、権利保護の強化を図るべきと思いますが、この点について、政府の方針等を御説明していただきたいというふうに思います。

鈴木国務大臣 今おっしゃいましたような被疑者の取調べへの弁護士、弁護人の立会いを権利として認めるということになろうかと思いますけれども、そういった点については、法制審議会の部会においても以前議論されたところがございました。そのときには、証拠収集の方法として重要な機能を有する取調べの在り方を根本的に変質をさせて、その機能を大幅に損なうおそれが大きいということで、そういった問題点が指摘をされたということで、法整備の対象とはされなかったと承知をしております。

 また、現在、法務省で開催をしている改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会においても協議が行われているところでございますけれども、その場においても、不適正な取調べをその場で抑止できるよう弁護人立会いを制度化する必要があるといった御意見もある一方で、弁護人の取調べへの介入等により、被疑者からありのままの供述を得ることはおよそ期待できなくなる、あるいは、弁護人が取調べに立ち会えないときには取調べを行うことが不可能となるなどの意見も示されたと承知をしております。

 こうした議論の状況を踏まえますと、現時点において、いわゆるビデオリンク方式を利用しての立会いを含めて、取調べへの弁護人の立会いを被疑者の権利として位置づけるということについては、相当ではないのではないかと我々としては考えているところでございます。

小竹委員 是非、先日来ていただいた方々の声も聞いて、そして、弁護人の介入というのがちょっと、余り、なかなか、反対意見としてはどういうことなのかと私は疑問ですが。

 本当に、デジタル化の都合のいいところを取るのではなくて、しっかりと全国均一な司法サービス、それから、様々な方々にとって平等な権利を保障するという意味でも、今回の法改正を更に意義のあるものにしていただきたいというふうにお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、平林晃さん。

平林委員 公明党の平林晃です。よろしくお願いを申し上げます。

 冒頭、若干話はずれますけれども、ミャンマーでは大きな地震がありまして、亡くなられた方もいらっしゃって、お悔やみを申し上げますとともに、いまだ行方不明の方がたくさんおられますので、救出されることをお祈り申し上げます。日本政府も救援物資を送られているようでありまして、厳しい政治情勢でありますけれども、可能な限りの支援をお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 この度の刑事デジタル法案に関しましては、情報通信技術の活用により、刑事手続をより円滑に進められることとなりまして、技術の利活用を促進している私といたしましては、法案の方向性に賛同しているところでございます。

 その一方でなんですけれども、刑事手続というものに関しまして、先ほどから非常にプロフェッショナルなやり取りが行われているところではございますけれども、国民感覚としては、当事者となって初めて知るというものも結構多いのではないか。私もこの年になって勉強しているようなところでございますけれども、その意味で、ちょっと素朴な疑問も含めて確認をさせていただけたらというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。これまでの議論と重複する部分が多々あるかと思いますけれども、御容赦いただけたらと思います。

 今、デジタル社会なわけですけれども、アナログ時代と比較して大きく異なる特徴、様々あると思いますけれども、一つは、やはり記録があらゆる点で残されるという点であろうかというふうに思います。何を検索したのか、何を買ったのか、どこに行ったのか、誰と連絡を取ったのか、それがいつなのか、こういったことが、行動だけではなくて、ある意味では思考すらも記録されていると考えても差し支えないような、こんな状況になっているというふうに考えております。残される電磁的記録というものは、紙の媒体と異なりまして、複製とか検索が簡単、加工も容易である、こういった特徴も併せ持っているということでございます。

 こうした電磁的記録、日常的には他人に触れることはほとんどないわけですけれども、しかし、捜査機関が令状をもって調べ上げていけば全てが白日の下にさらされるということになり、個人であろうが、企業、団体であろうが、こういうことになっていくということでありまして、本当にこれは、一国民感覚としては非常に恐ろしいといいますか、しっかり留意すべきことであるかというふうに思っております。

 それらの記録の中には、犯罪に関係するものもあれば、そうでないものも当然含まれるというふうに思いますので、犯罪に関係する情報が捜査対象になること、これは致し方ないことでありますけれども、一方で、犯罪と無関係な内容の電磁的記録が捜査機関に広く収集され、蓄積されることとなった場合には、国民のプライバシー権等が侵害される危険性は極めて大きいと考えております。

 であるからこそ、この度新設されることとなっております電磁的記録提供命令による場合においても、また、現行規定に基づいてスマホやパソコンなどの電磁的記録媒体を押収する場合においても、事件に関係しない個人情報等を収集することのないように、捜査機関はできる限り留意をしなければならないと考えております。

 まずこの点について、基本的にどのように考えておられるのかということを法務大臣に伺えたらというふうに思います。

鈴木国務大臣 憲法の第三十五条第一項において、包括的な押収、これは禁止をされているところであります。

 これを受けまして、現行、そして改正後の刑事訴訟法、ここにおきまして、裁判官が発する差押許可状であったり、あるいは電磁的記録提供命令の令状、ここに、被疑者等の氏名、罪名、そして差し押さえるべき物、提供させるべき電磁的記録等を具体的に特定して記載、記録をするということとなっております。そういったことで、捜査機関が差し押さえることができる記録媒体や、あるいは提供を命ずることができる電磁的記録は、令状に記載、そして記録をされた範囲に限定をされるということとなります。

 そして、その令状の審査に当たって、裁判官は、令状請求書に記載、記録された差し押さえるべきものや提供させるべき電磁的記録と被疑事件等との関連性、これを十分に吟味をした上で、そのような関連性があると認めたもののみを令状に記載、そして記録をするということとなっております。したがいまして、捜査機関が差し押さえることができる記録媒体、あるいは提供を命じることができる電磁的記録、これは被疑事件等との関連性があるものに限定をされるということでございます。

 その上で、一般論として申し上げますと、捜査機関においても、証拠物の押収等に当たっては、今申し上げました憲法あるいは刑事訴訟法の規定、そしてその趣旨を踏まえて、適正な運用に努めているものと承知をしております。

平林委員 ありがとうございます。

 次の質問ともすごく関連した御答弁だったかというふうに思うわけですけれども、今回の改正案の百二条の二においても、「電磁的記録提供命令は、提供させるべき電磁的記録及び提供の方法を指定してするものとする。」というふうに書いてありまして、まさに今おっしゃったことに符合しているというふうに思うわけですけれども、この提供させるべき電磁的記録、例えば事件に関連するファイル、こういう内容であったとすると、どこまでが関連するもので、どこからは関連しないのか。判断によっては、これはどこまででも広がる可能性も十分あるのではないかな、こんな危惧も持つわけでございます。

 このことを防ぐために、事件との関連性はどのような基準で判断されるのでしょうか。法務省の見解を伺います。

森本政府参考人 ただいま大臣から御答弁いただいたとおり、令状の審査に当たって、裁判官は、令状請求書に記載、記録された差し押さえるべきものや提供させるべき電磁的記録と被疑事件等との関連性を十分に吟味した上で、そのような関連性があると認めたもののみを令状に記載、記録することとなります。

 その上で、一般に、あるものについて差押許可状を発するためには、そのものが被疑事実との間に単に関連性を有するというだけでは足りず、その関連性が差押えの必要性を担保する程度に濃いものであることを必要とすると解されているものと承知しておりますが、その個別具体的な判断は、裁判官によって証拠関係に基づいてなされるということになろうかと思います。

平林委員 濃いものであるということでございますけれども、そこが本当に抑制的に行使されていくということをしっかりとお願いしたいというふうに思います。

 三月二十七日の本会議におきまして、鈴木法務大臣が、スマートフォンのロック解除やパスワードの開示を求める行為として、ロックの解除方法やパスワードを供述することを義務づけることは、自己負罪拒否特権と抵触をして、許されないものである、この旨を答弁をされたところでございます。しっかりとこのことも現場で実施をされていかなくてはならない、このことも考えているところでございます。

 自己負罪拒否特権に関するもう一つ別の観点といたしまして、電磁的記録提供命令によって記録を提供する際には、被疑者にとって不利益な情報が含まれることも当然想定されるというふうに思います。このことと自己負罪拒否特権ということが矛盾するようにも感じられるんですけれども、この点について法務省の御見解を伺います。

森本政府参考人 お答えいたします。

 一般的に、例えば、令状に基づきまして捜索、差押えが実施された場合に、令状に基づいてそれが捜索、差押えで押収されることがあるわけですが、その場合であったとしても、その中には被疑者にとって不利益なものが含まれている場合もありますけれども、そういったものも含めて、裁判官の判断する令状によって必要性が認められるものについて押収するという手続、これは電磁的記録提供命令においても、まず基本的な考え方は変わらないというのが前提でございます。

 その上で、憲法三十八条一項は「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」と規定しておりまして、もっとも、電磁的記録提供命令は、条文上、必要な電磁的記録を提供することを命ずる命令と規定しているとおり、既に存在している電磁的記録の提供を命ずるものにとどまり、供述を強要するものではございません。

 したがって、電磁的記録提供命令は、自己に不利益な内容が含まれている電磁的記録の提供を命ずる場合も含めて、憲法三十八条第一項に抵触するものではないものと考えております。

平林委員 微妙な感じを私なんかは受けるわけですけれども、記録と記憶、そういう違いがあるのかなというふうにも思っているところでございます。ありがとうございます。

 続きまして、ビデオリンク方式の利用拡大についてお伺いをさせていただきます。

 この度の法案におきましては、勾留質問、弁解録取、公判期日における手続、証人尋問などにおいてビデオリンク方式を利用できるようになること、あるいは実施要件が明確化されることとされているかと認識をしております。

 これにより、被告人が、先ほどからも話が出ていますけれども、感染症に罹患している場合であるとか、あるいは被害者が被告人と同じ空間にいることに耐えられない場合であっても、公判手続をより円滑に進められる、こういった効果が得られるということは私も理解をしているところでございます。

 一方で、これは弁護士の皆様が、先ほどからもずっと議論になっていますけれども、強く求めておられたオンライン接見については、一般的に被疑者側の権利として位置づけることは相当ではない、こういったお話もずっとなされているということでございます。

 その上で、弁護人と被疑者等との間における迅速な助言、連絡手段の確保については、従来から、運用上の措置として、一部の検察庁や法テラスと拘置所等との間で非対面型外部交通が実施されてきているということでございまして、その実施を拡大すべく、関係機関あるいは日弁連との間で協議を実施をされているということも御答弁もあったということも認識をしております。

 その拡大の方向性なんですけれども、現在のところ、地方検察庁やその支部と拘置所や刑務所などの刑事施設、これらはいずれも法務省管轄の施設と認識しておりますけれども、これらをつなぐことが主となっていると認識をしております。

 しかし、地方では、刑事事件を担う弁護人の方が足りず、都市部の方が百キロ以上の距離をかけて地方に赴かなければならない例もあるというようなことも伺っておりまして、このような不都合を解消していくためには、警察署と警察署、あるいは警察署と拘置所、こういったことをつなぐことに対しても強い要望を伺っているところでございます。

 これらの方向に向けて非対面型外部交通を拡大していくお考えはお持ちであるのか、法務省及び警察庁にも御見解を伺います。

森本政府参考人 まず、法務省からお答えいたします。

 拡大の対象となる地域につきましては、委員御指摘のとおり、日本弁護士連合会や関係機関と協議の上、被告人等が収容されている刑事施設等が遠方の地域や、管内の弁護士数が少なく、遠隔地の弁護士が受任せざるを得ない地域など、その必要性が高い地域から選定しておることといたしておりまして、鋭意協議をしているところでございます。

 法務省といたしましては、今後、御指摘のような法務省管轄の施設間以外の選択肢も視野に入れつつ、引き続き、関係機関等と協議してまいりたいと考えております。

重松政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、刑事訴訟法上の権利という位置づけではないものの、実務的な運用上の措置といたしまして、平成十九年から警察の施設間をつないだ電話連絡による外部交通を試行実施してきております。これまで、弁護士会の要望等を踏まえまして、順次、その実施地域を拡大をしてきているところでございます。

 これを踏まえまして、警察施設間をつないだビデオリンク方式による外部交通につきまして、現在、警察庁において、日本弁護士連合会及び関係機関と協議をしているところでございます。

 今後とも、引き続き、関係機関と連携しながら、実務的な運用上の措置でございますけれども、ビデオリンク方式による外部交通を実施するために必要な検討を行ってまいりたいと存じます。

平林委員 ありがとうございます。

 その上で、もう少しちょっと細かいことを聞かせていただくんですけれども、非対面型外部交通の実施に当たって、これまでどんな設備を使ってこられているのか、また、今後どういう拡大をしていこうとされているのか。昨日、令和七年度予算が成立しましたけれども、その中にも関係項目はあろうかというふうに思いますので、それも含めて法務省の見解を伺います。

森本政府参考人 法務省におきましては、現在の電話又はテレビ電話によるオンライン外部交通の拡充に当たってきて整備してきました設備につきましては、刑事施設やアクセスポイントとなる各施設の設備状況等に応じてなされてきたところでございますが、例えば、アクセスポイントとなる検察庁においては、部屋の改修を行ったり電話回線の敷設等を行うなどして、その環境を整えるということをしてまいりました。

 法務省においては、現在、オンラインによる外部交通を実施している施設は、刑事施設では計九か所の拘置所又は拘置支所、検察庁では十か所の地方検察庁又はその支部、法テラスでは九か所の地方事務所又はその支部でございまして、先ほど来出ておりますが、東京、立川、大阪の三地域においてはテレビ電話も実施しているところでございます。

 また、今後の拡大につきましては、令和七年度予算におきまして、九道県の計十三地域においてオンライン外部交通を実施するための、オンライン外部交通のための環境整備経費を計上しているところでございまして、引き続き、大臣の申されておられましたとおり、順次拡大してまいりたいと考えております。

平林委員 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

西村委員長 次に、本村伸子さん。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず冒頭、三重県の吉田紋華県議に対し殺害予告がなされております。

 警察庁に質問をいたします。

 殺害予告は、三月二十八日金曜日十九時五十八分から、三千件を超えて、同じ文書で三重県議会事務局総務課そして企画法務課宛てのメールで入り続けていたということです。メールの文面は、件名、いい年して非常用ナプキンを持ち歩かない吉田紋華議員を殺害します、本文、ばかに税金が一円でも使われる前に殺してしまえば解決しますとの、絶対に許されない、そうした内容となっております。

 事の発端は、急な生理で生理用のナプキンがなくて困ったという話、トイレットペーパーみたいに生理用ナプキンをどこでも置いてほしいというこうした発信に対しての殺害予告、脅迫ではないかというふうに言われております。

 被害届は既に出されておりますけれども、警察庁におかれましては、吉田紋華三重県議を守ること、警護をしっかりと行っていただくこと、そして、殺害予告に対し、捜査、厳正な対処をお願いしたいと思いますけれども、お答えいただきたいと思います。

松田政府参考人 お答えいたします。

 個別の事案の詳細につきましてお答えは差し控えさせていただきますが、お尋ねの事件につきましては、三重県警察において、昨日被害届を受理し、所要の捜査を進めており、今後、具体的な事実関係に即して、法と証拠に基づき適切に対処するものと承知しております。

 また、三重県警察におきましては、相談内容に応じて、関係箇所のパトロールを実施するなど、被害に遭われた方の不安等を解消するために必要な措置を講じているものと承知しておりまして、引き続き、御本人や関係者の御意向も踏まえ、関係部門が連携しながら適切に対処してまいりたいと考えております。

本村委員 殺害予告というのは明確な犯罪行為です。こうした殺害予告、暴力的な脅迫は絶対に許さないという立場で厳しく対処をしていただきたいと思います。

 これは、女性に対するジェンダーに基づく暴力ではないかというふうに考えられます。なぜ生理用品のことで殺害予告となるのか、何が原因でそのような認識になるのか、このような加害行為、暴力をなくすためにも、是非分析をして対策を打っていただくことも強く求めたいと思います。

 ほかの物を言っている女性に対する深刻な人権侵害が相次いでおります。人権や尊厳を守るために、暴力によって萎縮することなく自由に物が言えるように、是非対策を強化していただきたいというふうに思いますけれども、その点も是非お答えいただければと思います。

松田政府参考人 お答えいたします。

 警察といたしましては、やはり、個別の事案につきまして、具体的な事実関係に即して、法と証拠に基づき適切に対処するということが大切だと考えております。

本村委員 是非、暴力によって萎縮することなく自由に物が言えるように、対策を強化していただきたいというふうに思っております。

 それでは、法案の方に入りたいというふうに思います。

 資料として、日本弁護士連合会の皆様の会長声明をお配りをさせていただいております。

 中ほどのところを読み上げさせていただきますけれども、その中で、閣議決定された刑事デジタル法案は、刑罰によって電磁的記録の提供を強制する電磁的記録提供命令を創設する一方で、犯罪と関係しない市民のプライバシー情報や企業、団体の秘密情報を捜査機関が収集し、蓄積することへの歯止めを欠いたものである、今日、広く利用されているスマートフォンやクラウドストレージには、膨大な量のプライバシー情報や秘密情報が保管されており、その情報が捜査機関によって収集され、蓄積される危険性は、通信傍受によって音声等の通話が傍受される危険性をはるかに上回る、そうであるにもかかわらず、刑事デジタル法案は、電磁的記録の収集について、通信傍受法に規定されているような要件や手続すら定められておらず、犯罪と関係しない情報の取得を防止する仕組みも、消去する仕組みも設けられていない、このままでは、捜査機関によって私的領域が侵され、市民のプライバシーの権利等が侵害される危険性が極めて大きく、かつ現実的であると言わざるを得ないというふうに指摘をされております。

 この指摘に対して、深刻に受け止めるべきだというふうに考えますけれども、大臣に御見解を伺いたいと思います。

鈴木国務大臣 憲法第三十五条の第一項、その中で、何人も、その書類及び所持品について、概要で申し上げますが、押収を受けることのない権利はとありまして、押収する物を明示する令状がなければ侵されないと規定をされております。包括的な押収を禁止をしている規定であります。

 これを受けて、改正後の刑事訴訟法におきましては、裁判官が発する電磁的記録提供命令の令状に、被疑者等の氏名、罪名、提供させるべき電磁的記録、提供の方法を具体的に特定をして記載、記録するものとしておりまして、提供を命ずることができる電磁的記録は、令状に記載、記録された範囲に限定をされると規定をしているものであります。

 そして、その令状の審査に当たりましては、裁判官が、令状請求書に記載、記録された提供させるべき電磁的記録と被疑事件等との関連性、これを十分に吟味をした上で、そのような関連性があると認めたもののみを令状に記載、記録することとなります。

 ということで、したがいまして、提供を命じることができる電磁的記録、これは被疑事件等との関連性があるものに限定をされることとなりますし、その命令に対しても不服申立てをすることができる、そういったこととなっております。

 そのために、今御指摘をいただきました懸念、捜査機関による電磁的記録提供命令により犯罪と関連性がない情報が収集、蓄積をされるということにはならないと考えておりますので、そういった意味で、今の御懸念については当たらないのではないかと考えております。

本村委員 そういうふうに大臣は本会議でもお答えになったんですけれども、被告、被疑事件と関係ない電磁的記録、個人情報の提供命令を行ってはならないというふうな条文がこの法案にはあるんでしょうか。大臣、お答えいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 今申し上げましたように、裁判官が発する電磁的記録提供命令の令状、ここには被疑者等の氏名、罪名、提供させるべき電磁的記録等を具体的に特定して記録、記載をすることとなっておりまして、先ほど申し上げましたように、令状に記載、記録されたものに限定をされ、そして、その令状の審査、これも、裁判官が十分に吟味をして、被疑事件等との関連性があると認めたもののみを記載、記録するということとなっております。

 そういった中において、本法律案において、今御指摘のような、そうした規定をこの法律の中に設けるということとはしておりません。

本村委員 しておりませんということですね。もう一回答えてください。

鈴木国務大臣 今申し上げたような趣旨で、そうした被疑事件等と関連性のない電磁的記録を取得することは、まさにこの規定を設けなくても、できないことと法律上なりますので、そういった意味で、この法律においてはそうした規定を設けることとはしておりません。

本村委員 裁判官は条文によって判断をするわけですけれども、その大切な条文には、今大臣がおっしゃったような限定は書いていないわけです。もうこれは皆さんがお分かりのことだというふうに思いますけれども、改めて確認をさせていただきました。

 裁判官は、限定して電磁的記録の提供命令、これの令状を出す保証は、どの条文を読めば分かるんでしょうか。

鈴木国務大臣 先ほど来申し上げておりますところの根拠となるのは、憲法の第三十五条第一項あるいは刑訴法の第九十九条というところでありますが、先ほど来申し上げておりますように、令状に記載、記録をされたものに限定をされ、そうした趣旨の中で、裁判官が、令状請求書に記録、記載をされた提供させるべき電磁的記録と被疑事件等との関連性を十分に吟味をした上で、そのような関連性等があると認めたもののみを令状に記載、記録をすることとなるわけであります。

本村委員 その限定を法文に書くべきだったんじゃないですか、大臣。

鈴木国務大臣 まさに今申し上げましたように、憲法三十五条あるいは刑訴法の第九十九条という中で、事件との関連性ということ、それが実質的に規定をされている状況でありますので、新たにこの今回の法改正においてそうした規定を置くこととはしていないということでございますので、御理解をいただけますと幸いです。

本村委員 書いていないからこそ、通信傍受法よりも危険性が高いのだということが指摘されているわけです。

 最高裁にも来ていただきました。裁判官は、警察、検察による電磁的記録提供命令について、どのような資料を見て、どのように、どのくらい時間をかけて検討して、限定していこうというふうに考えているのか。今でも事件と関係ないものが差押えされ、収集をされておりますけれども、こことの整合性についてもお答えをいただきたいと思います。

平城最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 今般新設される電磁的記録提供命令においては、先ほどの御説明にもありましたように、提供させるべき電磁的記録を令状に記載することが求められております。

 令状請求を受けた裁判官といたしましては、電磁的記録提供命令を発する必要性や被疑事実との関連性等を十分に審査した上で、提供させるべき電磁的記録を特定した令状を発付することになると考えられます。

 電磁的記録提供命令における令状に、どのように具体的に特定していくのかにつきましては、これまでの令状の記載方法等も参考にしながら、まさに現場の裁判官同士で議論されるべきものでありますけれども、一般論として申し上げれば、被疑事実との関連性を有する範囲のものに限られることはもとより、被処分者においてどの電磁的記録を提供すればいいのか判断できる程度の特定が必要になるものと考えております。

本村委員 今でも事件と関係ないものが差押えされ、収集されていると。今度は、膨大な量のプライバシー情報や秘密情報が保管されているところから取得をされるということで、危険性が増すわけです。

 警察は何の罪もない方々の情報も収集、蓄積、利用していることが、大垣市民監視事件では明らかになっております。名古屋高等裁判所の判決では、このように書かれております。

 思想信条に関わるものや、健康等の秘匿性の高いものは当然として、要保護性が低いとされているいわゆる単純個人情報と言われるものについても、みだりにこれらを取得し、保有し、利用しているものであり、人格権としてのプライバシーを侵害するものとして許されず、損害賠償請求等が認められるべきであるというふうに、警察が法律違反を犯していたということが断罪をされております。

 これはお認めになりますね。

石川政府参考人 お答えをいたします。

 ただいまの委員御指摘の昨年九月十三日の名古屋高裁の判決におきましては、違法ないし明らかに社会的相当性を欠いた不当な目的による個人情報の取得、保有及び利用については、人格権としてのプライバシーを侵害するものとして許されない旨の判示がなされているものというふうに承知をしております。

本村委員 この名古屋高等裁判所の判決の中で違法だというふうに言われた個人情報の取得、保有、利用が、これまでの国会答弁では、通常行っている警察業務の一環であるというふうに答弁をされておりました。当時の国家公安委員会の委員長も、そういう答弁をしておりました。

 こうした認識は正されている、通知などで全国でちゃんと広報されているということでよろしいでしょうか。

西村委員長 警察庁石川長官官房審議官、時間が来ておりますので、答弁は簡潔に、明瞭にお願いします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 これまで国会等におきまして、大垣署員の活動については通常行っている警察業務の一環であるというふうに申し上げてきたところではございますけれども、これは、警察活動は公共の安全と秩序の維持という責務を果たす上で必要な範囲で行われるべきものであり、大垣署員の活動もそういうような考え方を念頭に置いて行われたものであるということを申し上げてきたものでございます。

 しかしながら、結果といたしまして、今回の判決により大垣署員の活動は違法との判断が示されたところでございまして、岐阜県警察におきましては、この判決を重く受け止め、判決確定後は速やかに判決で示された原告らの情報を抹消したところでございます。

 いずれにいたしましても、警察活動が警察の責務を果たす上で必要な範囲で行われるべきものであることは当然のことでございまして、今後とも、不偏不党かつ公平中正に職務を執行するよう、引き続き都道府県警察を指導してまいりたいというふうに考えております。

西村委員長 本村さん、まとめてください。

本村委員 ありがとうございます。

 まだ論点が山積みしております。質疑時間を十分取っていただき、慎重な審議を行っていただきますことをお願いを申し上げて、終わらせていただきます。ありがとうございました。

西村委員長 次に、吉川里奈さん。

吉川(里)委員 参政党の吉川里奈です。

 本日は、刑事訴訟法の改正案について、関連する質問を行ってまいります。

 過去を振り返れば、住基ネットやマイナ保険証など、行政のデジタル化は度々混乱と不信を招いてまいりました。特許庁では、開発ベンダーに五十五億円を投じたシステム刷新が設計段階で頓挫し、実装もテストもなされないまま中止に至った例がございます。制度の全体像が見えないまま拙速に進められ、現場と国民にしわ寄せが及ぶ、その構図は今回の刑事手続のデジタル化にも重なるところがございます。

 法務省からは、新システムについて令和六年から設計、開発を進めており、令和八年度内に運用を開始するとの説明を受けましたが、そこで示されているのは開始と終了の時期だけで、肝腎の導入プロセス、つまり、試行やテストをどこでどう行うのかといった具体像が明らかにされていません。

 既に百億円近い税金が投じられているにもかかわらず、制度の中身も進め方も見えず、このままでは過去の失敗を繰り返しかねません。問われているのはその制度そのものだけではなく、それをどう進めようとしているのかという姿勢です。国民への説明責任をどう果たされようとお考えなのか、大臣の責任ある答弁を求めます。

鈴木国務大臣 令和六年六月に閣議決定をされましたデジタル社会の実現に向けた重点計画においては、令和六年度からシステム基幹部分の設計、開発を進め、令和八年度中にシステムの一部運用を開始することが目標とされております。

 そこで、令和八年度中に新たなシステムの一部運用を開始するべく、令和六年度から設計、開発に着手をしておりまして、本法律案が改正法として成立をした場合を見越しまして、御指摘の端末の使用、あるいはシステム連携の詳細も含め、関係機関と緊密に連携をしつつ、検討を重ねているところでございます。

 また、御指摘のスケジュールということでありますけれども、現在進めております基本設計、詳細設計の終了後、開発、テスト工程を経て、令和八年度の第二・四半期頃、令和八年の夏頃ということでございますけれども、には、警察、検察、裁判所間のシステム連係テストを開始をし、令和八年度中にはシステムの一部運用を開始をするため、稼働開始をするということを想定して、鋭意検討を進めているところであります。

 いずれにいたしましても、令和八年度中のシステムの一部運用を開始するスケジュールに遅れが生じることがないように、検討を加速させていきたいと思います。

吉川(里)委員 具体的なスケジュールは少しお伝えしていただきましたが、我が党に助言をいただいているホワイトハッカーがいるんですけれども、その党員からは、端末が攻撃の入口となるリスクや、閉鎖環境でこういったシステムを使っても不正アクセスが起こり得るとの指摘を受けております。だからこそ、現場での検証、そして実運用を見据えたテストの徹底が不可欠かと考えております。法務省が全体を主導し、責任を持って対応されるよう、強く求めます。

 今述べたシステムの安全性や、運用への懸念を踏まえた上で申し上げます。

 刑事手続のデジタル化を進めるに当たっては、得られたデータを業務効率化にとどめず、制度の改善や国民の理解促進に生かす視点が欠かせません。政府が膨大な情報を一元的に保有する以上、その責任として、制度の透明性や説明責任の向上に結びつける必要があると考えます。

 こちらのパネルを御覧ください。こちら、外国人の起訴率、平成十五年の六九・八%から令和五年には四一・六%へと、二十年間で約六割、減少をしております。他方、起訴猶予が増加傾向で半数を占めるものの、その理由や不起訴後の処遇というのは、制度として明らかにはされておりません。

 こうした中で、外国人による犯罪が増えているのではないか、治安が悪化しているのではないかという不安の声が、国民の間に広く広まっております。どうしてこのような傾向が生じているのか、説明が求められる局面に来ていると考えます。

 これは通告をちょっとしていないんですけれども、こういった現状、大臣はどう受け止めていらっしゃるのか、御見解をいただけますでしょうか。

鈴木国務大臣 今、御通告がない状況でありますけれども、この数字というのは恐らくそのとおりと思います。

 そういった中で、例えば先ほど、刑事デジタルに伴って、DXの成果を活用していろいろな応用ができるのではないかといったお話もございましたけれども、まさにそれは、刑事手続のデジタル化によって、従来の紙媒体の手続に比べれば、データ、この利活用、様々な余地が考えられることになろうと思います。

 そういった中で、もちろん刑事情報ですから機微なものもありますので、そういったところは踏まえなければいけませんけれども、そうした特性に配慮をしながら、積極的、慎重に、そういった利活用がどうできるのか、そこはしっかりと検討していきたいと思います。

吉川(里)委員 デジタル化の成果を通じて、今大臣がおっしゃられましたが、こういった傾向の背景にある判断、運用の実態を検証して、例えば、得られたデータを再犯防止や不起訴の判断の透明、向上等にも生かしていただきたいなというふうに考えております。

 令和五年の埼玉県川口市での病院の騒動では、殺人未遂容疑で逮捕されたトルコ国籍の七人は全員不起訴、本年、同市にて性的暴行容疑で逮捕されたトルコ国籍の男性も不起訴になった、そういった状況、この不起訴の理由というものは全て明らかにはされておりません。先ほども申しましたが、理由が明らかでないということに国民は不安を感じておりますし、外国人事件をめぐる処分の在り方、手続の公平性についての懸念の声が強くあります。

 言語の壁による誤解や意思疎通の困難さを避けるためにも、取調べや記録作成、証拠開示においても、AI翻訳や音声認識の活用等、デジタル技術の導入というものを是非御検討いただきたいというふうに考えております。

 昨年十月に警察庁が実施をした治安に関するアンケート調査というものがあるかと思うんですけれども、日本の治安はよいと回答した人というのは、アンケートを開始して以来初めて六割を下回った、そういうデータが出ております。また、十年間の日本の治安の変化については、どちらかといえばを含むと、悪くなったとお答えになられた方が七六・六%、出ているんですね。

 ということは、やはり治安の悪化を感じている国民の皆様がいらっしゃるという現状がありますので、昨日予算が通過をして、争点として夫婦別姓というものがニュースのトピックにも今日、これから審議されるというふうに上がっておりましたが、やはり法務省として審議すべきことの優先順位、国民の安心、安全な暮らしを守る、そういったところをしっかりと我々は考える必要があるというふうに考えております。

 日本人と外国人の犯罪率の明らかな有意差がないということは承知をいたしておりますが、重要犯罪というのは増加している、これは結果として出ているかと思います。ですので、先ほどのアンケートに関しても、こういった重要犯罪の増加がある以上、例えば、外国人の増加、今移民政策でどんどん外国人が増えておりますので、そういった外国人の増加に対する懸念に対してのアンケートといったものも是非項目として追加をしていただきたいなということを要望いたしまして、本日の私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、島田洋一さん。

島田(洋)委員 日本保守党の島田です。

 刑事手続のデジタル化、オンライン化、これは利便性の向上という点で大いに評価できるんですが、反面、デジタル化、オンライン化となれば、ハッキング等を通じて情報漏えいの危険も高まる。特にロシア、中国、北朝鮮あたりが絡んだ訴訟もあるわけですから、この辺りの悪い意味で超一流のハッカー集団が強烈な攻撃を法務省のシステムにかけてくるということを想定してシステム作りをしていただかないといけないと思います。

 ちょっと私が巻き込まれた例をごく簡単に一つだけ言っておきますと、数年前、マイクロソフトのホストコンピューターに北朝鮮のハッカー集団が侵入して、データにアクセスしました。そのとき、私の名前と住所を使って、私に成り済まして侵入したわけです。

 何で私の名前を使ったかというと、私が、議員になる前、北朝鮮の拉致被害者を救う会の副会長として、特に日米の連携を強めようという、そういう活動をやっていた。北朝鮮にとっては、拉致問題で日米が連携を強化するというのが一番嫌なことなので、だから、私に対する嫌がらせも含めて、おまえの住所を知っているぞという警告の意味も含めて、私の名前を使ってマイクロソフトに侵入した。

 これはアメリカの裁判所から訴訟の文書が来て気づいたんですけれども、そういう、いわゆる関係のない第三者を意図的に巻き込んだ複合的なサイバーテロというのをやってきますから、大いに警戒していただきたい。

 ちょっと質問通告と順番が前後するんですけれども、そうした情報漏えいに対する防備も非常に重要なんですけれども、情報が出てしまった、あるいは政府関係者が不適切な発信をしてしまった、そういうときに、いかに適切、適時にリカバリーするか、善後措置を取るかというのも非常に重要であります。その意味で、英利アルフィヤ外務政務次官が昨年の十一月十日にX上で発信された、これは非常に問題だと思っています。

 というのは、その前半部分はいいんです、前半においては日本保守党の百田尚樹代表に対するいろいろな批判を書かれている。それは自由にお互い論戦してもらったらいいんだけれども、後半においてアルフィヤ外務政務次官は、外務政務次官という日本国の権力を背負った肩書を使って、日本保守党との関係を世界中の人権団体は切れ、こういう発信をしているわけですね。これはとんでもない話であって、あなたが個人でやる分にはいいですけれども、外務政務官という内閣の一員という肩書でそういう特定の国政政党との関係を切れと。

 私も、先ほどちょっと言いましたけれども、北朝鮮の人権問題に取り組んでいるアメリカの団体なんかともずっと連携を深めてきた。そういう団体と関係を切れというわけですか。現に、あなたの発信があった後、私が親しくしてきたアメリカの北朝鮮問題の人権団体の理事会で、私が議員になった、その直後に、外務政務官がこの団体とは関係を切れという発信をしている、これは一体どう対処すればいいのかと理事会で議論になったということ、現に拉致問題の解決に向けた動きを妨害するような効果が発揮されている。

 これは削除すべきだということをアルフィヤさんの事務所にも言っているんだけれども、全く対応しない。どういうことなんですか。

英利大臣政務官 御指摘の発信につきましては、私自身が一政治家として発信したものでありまして、この場で政務官としてお答えすることは差し控えます。

 いずれにせよ、引き続き内閣の一員として力を尽くしていきます。

島田(洋)委員 とんでもない答弁であって、あなたは現時点でも外務政務官という肩書でそれの発信を続けているじゃないですか。違いますか。

英利大臣政務官 繰り返しとなりますが、御指摘の発信につきましては、一政治家として発信したものであります。

 ありがとうございます。

島田(洋)委員 鈴木大臣、政務官というのは内閣の一員ですけれども、内閣の一員が特定の国政政党との関係を切れというのを世界中の人権団体に発信して、そのままほったらかしている。これはいいんですか、石破内閣として。

鈴木国務大臣 恐縮ですが、まず、その発信内容を私は承知をしていないということもございますし、個々の政治家としての活動ということであれば、それは内閣としてどうこうと言う立場にはないのではないかと思っています。

島田(洋)委員 ともかく、我々が求めたいのは、アルフィヤ氏に対して何らかの罰を科せとか民事訴訟をするとか、そんなことは一切考えていません。ただ、求めているのは、現に、さっき言ったように、世界の人権団体と我々との関係で問題が生じちゃっているわけですよ、あなたの発信によって。だから、速やかに削除して、そして、不適切だったから撤回したという旨を発信してくださいよ。

英利大臣政務官 大変恐れ入りますが、御質問をもう一度お願いできますでしょうか。何が御質問なのでしょうか。

島田(洋)委員 あなたの発信が非常に不適切だと思っているわけで、だから、それを削除して、そして不適切だったから撤回したという旨を、あなたは最初の十一月十日の発信を英語でやっておられるわけだけれども、だから英語で、削除して撤回したという旨を発信していただきたいと要請しているわけです。

英利大臣政務官 ありがとうございます。

 繰り返しになりますが、御指摘の発信につきましては、自分が一政治家として発信したものでありまして、この場でお答えすることは控えます。

島田(洋)委員 委員長、余りにもこれは不誠実な答弁だと思うので、きちんと聞いたことに答えさせてくださいよ。

西村委員長 英利外務大臣政務官、もう一度答弁をお願いできますか。

英利大臣政務官 お答えはしていると思います。

 ありがとうございます。

島田(洋)委員 石破内閣の姿勢が全く不誠実だということが明らかになったと思いますけれども、これは、一国政政党との関係を断ち切れと、カット・オール・タイズと彼女は英語で書いていますけれども、そんなことを内閣が発信していいんですか、これは。

 鈴木大臣、もう一回聞きますけれども、そういうことは許されるんですか、法務大臣。

鈴木国務大臣 まずもって、島田先生、様々な形で北朝鮮の拉致問題、いろいろと、様々な御努力をされていること、これは私も承知をしておりますし、その点は敬意を心から表させていただきたいと思っております。

 その上で、先ほどの政務官の発信ということでありますけれども、就任前ということであります、今聞いたところ。そういった中で、そこのところの個人の発信ということでありますから、そこで、内閣として、就任前も含めたところについてということは、私からは申し上げる立場にはございませんので、御容赦いただきたいと思います。

島田(洋)委員 就任前の発信といっても、就任後の外務政務官という肩書つきで、いまだに発信を世界に向けて続けているわけですよ。そこを問題にしているわけですよね。

 だから、もう一回聞きますけれども、まあ、何遍聞いても同じこと……

西村委員長 島田さん、時間が来ていますので、御協力をお願いします。

島田(洋)委員 じゃ、時間が来ましたので、今日はこれで終わりますけれども、今後も追及を続けさせていただきたいと思います。どうも。

西村委員長 次回は、来る四日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十一分散会


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