衆議院

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第5号 令和7年4月2日(水曜日)

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令和七年四月二日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 堀内 詔子君

   理事 中曽根康隆君 理事 星野 剛士君

   理事 山田 賢司君 理事 源馬謙太郎君

   理事 鈴木 庸介君 理事 太  栄志君

   理事 杉本 和巳君 理事 和田有一朗君

   理事 臼木 秀剛君

      逢沢 一郎君  英利アルフィヤ君

      大空 幸星君    新藤 義孝君

      高木  啓君    広瀬  建君

      松島みどり君    松本  尚君

      茂木 敏充君    小熊 慎司君

      亀井亜紀子君    篠原  豪君

      竹内 千春君    武正 公一君

      渡辺  周君    中司  宏君

      西田  薫君    深作ヘスス君

      西園 勝秀君    山崎 正恭君

      阪口 直人君

    …………………………………

   外務大臣         岩屋  毅君

   外務大臣政務官    英利アルフィヤ君

   外務大臣政務官      松本  尚君

   財務大臣政務官      東  国幹君

   経済産業大臣政務官    竹内 真二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   大鶴 哲也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 松尾 裕敬君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 濱本 幸也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房政策立案参事官)         金子万里子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 門脇 仁一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 村上 顯樹君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    北川 克郎君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    片平  聡君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    高橋 俊一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岡本 利久君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           高橋 秀誠君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           中山理映子君

   政府参考人

   (国土交通省海事局次長) 舟本  浩君

   参考人

   (独立行政法人国際交流基金理事)         下山 雅也君

   外務委員会専門員     山本 浩慎君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二日

 辞任         補欠選任

  西田  薫君     中司  宏君

  西岡 秀子君     臼木 秀剛君

同日

 辞任         補欠選任

  中司  宏君     西田  薫君

  臼木 秀剛君     西岡 秀子君

同日

 理事和田有一朗君同日理事辞任につき、その補欠として杉本和巳君が理事に当選した。

同日

 理事西岡秀子君同日委員辞任につき、その補欠として臼木秀剛君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

四月二日

 横浜ノースドックへの米軍揚陸艇部隊配備撤回とノースドックの早期全面返還に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第七二五号)

 同(志位和夫君紹介)(第七二六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第七二七号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第七二八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第七二九号)

 同(田村智子君紹介)(第七三〇号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第七三一号)

 同(本村伸子君紹介)(第七三二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とウクライナ政府との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とトルクメニスタンとの間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルメニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

 経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第四号)


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     ――――◇―――――

堀内委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事和田有一朗君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任及び委員の異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      杉本 和巳君 及び 臼木 秀剛君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

堀内委員長 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とウクライナ政府との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とトルクメニスタンとの間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルメニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、参考人として独立行政法人国際交流基金理事下山雅也君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房長大鶴哲也君外十二名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

堀内委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。広瀬建君。

広瀬委員 広瀬建でございます。

 本日は、質問の時間をいただき、ありがとうございます。

 まず冒頭、先週のミャンマーでの大きな地震がありました。被害は相当になると思いますし、死者の数も残念ながらまだまだ増えていくと思います。この場をかりて哀悼の意、お悔やみ、お見舞いを申し上げたいと思います。

 大臣におかれましては、この極めて厳しい国際情勢の中で、昼夜を問わず日本の外交のトップとしてかじ取りをいただいておりますこと、この場で、まず冒頭、感謝そして敬意を表したいと思います。

 発表によりますと、今日もこれから、NATOの外相会議に出られるということで、ベルギーに向かわれると認識をしております。まさに世界中を飛び回りながら、各国の要人と会われて連携を深めていっていただいております。移動に移動を重ねる御苦労はもとより、時差の闘い、本当に体に大変なダメージを与えると思いますが、どうぞ体をいたわりながら、引き続き頑張っていただければと思います。私も、大分県の一後輩議員として、頭の下がる思いであります。

 さて、本日は、ウクライナ、トルクメニスタン、アルメニアとの、各国との租税条約、それからインドネシアとの経済連携協定改正に関して、質問の時間をいただいております。順序としては、まずインドネシアの方から行きたいと思います。

 インドネシアは東南アジアの雄と言ってもいい国でありますが、こことの経済連携強化、深化のためにこうした枠組みを改善していくというのは、これは大いに進めていくべきと思っております。これは、もう本当に応援していきたいと思います。

 二国間での関係、当然、これはウィン・ウィンの関係でなければならないわけですが、これが今以上にウィン・ウィンという関係になっていく未来像を創造していきたいと思います。

 その上で、インドネシアについて少し質問をさせていただきます。

 今般の経済連携協定改正はインドネシアが対象になっているわけですが、東南アジア、当然、これを広く見ていくと、インドネシアのみならず、ほかの諸国との同様のエンゲージメントをしていくことが肝要だと考えます。

 当然、日本の外交の在り方として、歴史的であったり地理的であったり、文化的な観点から近い東南アジア諸国とは均等に関係を深めていくべきと思いますが、その文脈で、今般のインドネシアとほかの国々とのバランスはしっかりと保たれているのか。また、インドネシア以外の東南アジア諸国との同様の動きについて、あれば御教示いただければと思います。

 私の問題意識について少し補足をしますと、東南アジアという文脈でいうと、APECがあったり、TPPという枠組みがあったり、関係が非常に重層的になっているという理解をしております。日本とA国、日本とB国、日本とC国という一直線の関係ばかりでなく、複数国を同時に箱に入れている枠組みが幾つか存在しているという状況があります。

 その上で、今般のインドネシアとの協定改正での条件であったり待遇というものが、他国、例えば、ベトナムだとかタイだとかフィリピン等との関係でもきちんとバランスが保たれているのか。つまり、インドネシアだけが先に行っているようなことがないのか。東南アジア全般的に、国はいろいろ経済成長の濃淡がありますが、その辺りについての御所見を大臣からいただければと存じます。

岩屋国務大臣 広瀬委員には同郷のよしみで温かいお言葉をかけていただきまして、本当にありがとうございます。

 また、冒頭触れられたミャンマーの地震災害につきましては、外交は外交、災害支援、災害対応は災害対応として、できる限りのことを関係省庁と連携してやってまいりたいと思っております。

 お尋ねですけれども、国際社会の分断と対立が深刻化している中にありまして、世界の成長センターであるインド太平洋地域、また、その要に位置する東南アジア諸国の役割は、地域全体の平和と繁栄にとってますます重要になってきていると思います。

 既に、東南アジア諸国との間では、タイやベトナムを含めた個別の国との経済連携協定、EPAを結んできておりますし、日・ASEAN包括的経済連携協定、東アジア地域の包括的経済連携協定であるRCEPといった多国間条約が発効しております。また、CPTPPの取組の中に東南アジア諸国も含まれております、もちろん全部ではありませんが。

 こうやって、それぞれの国と多岐にわたる経済分野の協力を積み上げてきております。そういう意味でいいますと、インドネシアだけが今度突出するのではなくて、バランスは基本的に取れていると考えているところでございます。

 今後とも、貿易、投資の促進や人的交流など、幅広い分野において、成長センターである東南アジア各国との経済関係を強化してまいりたいと考えております。

広瀬委員 ありがとうございます。

 今大臣から成長センターという言葉がありましたけれども、私もまさにそう思います。今おっしゃっていただいたように、バランスよく、多岐にわたりながら、重層的に、これからも引き続き東南アジアと日本との間の連携を深めていくようなことで、是非お願いしたいと思います。ありがとうございます。

 次の質問に参ります。

 今般の改正では、インドネシアの話ですが、看護師それから介護福祉士候補者の受入れ条件改善というものが一つあると理解をしております。改善の内容の具体的な説明をいただければと思うのとともに、それから、これをすることで今の受入れレベルからどのぐらいの受入れ増加が見込めると考えていらっしゃるのか、例えば、合格率の改善だとか全般的な人材不足への改善にどのぐらい資するのか、この辺りの考え、方向性があれば、よろしくお願いしたいと思います。これは、政府参考人の方、お願いします。

門脇政府参考人 お答え申し上げます。

 インドネシア人の看護師、介護福祉士候補者の国家試験の合格率が低い状況にあるというふうに承知しております。

 合格率がこうした状況にあることを踏まえ、今回の改正によりまして、滞在期間の上限を、看護師候補者については現行三年でございますけれども、これを五年に、そして介護福祉士の候補者については現行四年でございますが、これを五年にそれぞれ延長して、これに伴い、国家試験を受験する機会も増加するものと考えております。

 現時点において、改正後の国家試験の合格率について具体的な数字をもって見通しを示すことは困難ではございますけれども、滞在期間が延長されて、また受験回数が増加することによりまして、国家試験の合格者が増えることを期待しているところでございます。

広瀬委員 ありがとうございます。

 今御教示いただきましたように、合格率の改善につながるような担保がされていくということで、安心をいたしました。

 時間の都合で次の質問に移ります。

 東南アジアから少し離れて、せっかくですので、グローバルサウスという観点で少しお話をしたいと思います。

 これから中南米だとかそれからアフリカなどの国々との連携強化は、今まで以上に重要になってくると思われます。単にビジネス、経済という観点だけじゃなくて、安全保障の観点からも非常に大事なのではないかと考えております。その上で、こうしたグローバルサウスの諸国それから地域との連携強化、いろいろな濃淡があると思いますけれども、これの全般的な今の政府の方向性について御教示いただけないでしょうか。

 グローバルサウス、私の理解は、一般的には、国民国民の世代が若い、年齢層が非常に若い、若い国民がいるということは当然アイデアも斬新なものが相対的には出てくる、私も民間企業におりましたので、そういう思いは強く持っております。商品にしてもそれからビジネスモデルにしても、なかなか斬新なものが出てくるという理解をしております。

 彼らは、将来の国の成長に向けて、エネルギーであったりパッションみたいなものに本当に満ちあふれております。かつてマハティールさんがルックイーストといって、日本に学べと言っていたような時代がありましたが、時代は大分変わって、今や我々もルックサウスというようなことを少し頭のどこかに置いて、そうした元気な若い国々からどんどんどんどん貪欲に学んでいくべきときに来ているのかなという観点での質問でございます。

 これは、できれば大臣に御所見をいただければと思います。

岩屋国務大臣 委員御指摘のとおり、グローバルサウスの国々といっても多様ですけれども、この連携強化は今まで以上に重要だと我々も考えております。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持していくためにも、グローバルサウスとのきめ細かな連携が不可欠だと考えております。

 例えば、中南米諸国は、基本的に、自由、民主主義などの価値や原則を共有していると思います。また、我が国の経済安全保障上も重要なパートナーでございます。引き続いて、中南米外交イニシアティブというものをつくっておりますが、これに基づく新たな連携を追求していきたいと考えております。

 それから、アフリカですけれども、アフリカ大陸は人口の六〇%が二十五歳以下という若い大陸、未来の大陸と申し上げていいかと思います。高い人口増加率による若い人口、そして豊富な天然資源を有しております。今後も成長が期待できる地域だと思っておりますので、我が国としては、本年八月に横浜で開催するTICAD9の機会も活用しながら、アフリカ各国の現状や課題に応じたきめ細やかな対応を進めながら、アフリカ外交にもしっかり取り組んでいきたいと考えております。

広瀬委員 ありがとうございます。

 きめ細やかな対応を取っていくということで、どんどんどんどん若いエネルギーを得ながら日本も発展していければ、そのように思います。

 時間がありませんが、三か国、ウクライナ、トルクメニスタン、アルメニアとの租税条約について一点だけ質問をさせていただきます。

 今般、租税条約締結ということですが、一つだけ質問は、元々あった日ソの租税条約の改正、改定だという理解をしておりますが、大分時間がかかっての今般の租税条約締結になっているなという感触を持っております。なぜ今頃になってという質問なんですけれども、この辺りにつき、政府参考人の方、御回答いただければと思います。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、租税条約の締結、これは二重課税の除去を確保、あるいは国際的な脱税、租税回避を防止するものとして、二国間の健全な投資経済交流の促進に資するものと思っております。

 そういった租税条約を締結するに当たっては、相手国との経済関係、日本の経済界からの要望、租税条約の締結、改正から生じ得る効果、こういった観点を踏まえまして、これまで、租税条約の締結、改正に向けた交渉を行うべき相手方を検討してまいりました。

 その結果、今般、ウクライナ、トルクメニスタン及びアルメニアとの関係で所要の環境、準備等が整ったと判断されたことから、締結に向けた交渉を開始し、合意、署名に至ったものでございます。

広瀬委員 ありがとうございます。

 是非、引き続き日本の企業のため、両国間、多国間での経済の深化のためにいろいろな各国との租税条約、まだまだ結んでいくべきところはあろうと思いますので、できるだけスピーディーにやっていっていただければと思います。

 済みません、時間でありますので質問を終わります。

 ありがとうございました。

堀内委員長 次に、武正公一君。

武正委員 立憲民主党、武正公一です。

 それでは、三租税条約並びに日本とインドネシアのEPA協定改正について質疑をさせていただきます。

 今日は、東財務大臣政務官、また竹内経産大臣政務官も、御出席ありがとうございます。

 まず、財務省にお聞きをさせていただきます。

 資料の方の一ページを御覧をいただきますと、租税条約、たくさん日本は各国と締結をしておりますが、当初は、租税条約に伴いまして所得税法改正などが行われておりましたが、昭和四十四年にそれぞれ個別の特例法を租税条約特例法に一本化したために、以後、原則的に、租税条約が国会に提出されても財務金融委員会での法案質疑はなし。ただ、四つほど条約の例外があったということであります。

 財務省の政務官にお伺いしますが、なぜこういった、昭和四十四年に租税条約特例法を国会に提出をしたか、御説明をいただけますでしょうか。

東大臣政務官 お答えをいたします。

 昭和四十四年に制定されました租税条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律、いわゆる実特法は当時の政府が一体となって提案したものでありまして、その際の提案理由説明においては、昭和三十八年のOECDモデル租税条約案の採択以降、租税条約やその実施特例法の形式、内容が定型化されてきている状況に鑑み、税制の簡素化に資するため、条約ごとに制定されてきた特例法を統合し、将来締結する租税条約の実施に備えて一般的に定めると説明されております。

 その後の実特法改正は、実特法の既存の規定では対応できない内容を含んだ租税条約が締結、改定される際に、その内容の実施に必要となる規定を盛り込む等のために行われてきたものと承知をしております。

 以上でございます。

武正委員 そのときの改正については、当然、条約は外務省が専権事項として締結をするというか、署名なりするわけですけれども、財務省からのこれは提案なのか、それはいかがでしょうか。

東大臣政務官 これも、昭和四十四年、この当時ですけれども、これは、いわゆる政府が一体となって提案してきたものというふうに承知をしています。

武正委員 岩屋外務大臣、いかがでしょうか。これは、財務省からの提案なのか、外務省からの提案なのか。前回もACSAとRAAについても伺ったと思いますが、いかがでしょうか。この租税条約について、当初の法改正のとき、いかがですか。

岩屋国務大臣 ただいま財務省から答弁もありましたとおり、当時は政府一体としてそういう判断をしたということではなかったかと思います。

武正委員 前回は、外務省じゃなくて他省からの提案ということでお話があったわけですので、必ずどちらかが言い出しっぺというんですかね、それがきっとあったはずなので、そこら辺がもうあやふやになっているということもやはり課題かなというふうに思っております。

 政務官、日米租税条約は、何か法案の、必ず法改正が必要だというふうに聞いているんですが、ちょっと御説明いただけますでしょうか。

東大臣政務官 例えば平成十六年の日米租税条約の改定に際しては実特法が改正されておりますが、この条約改定では、例えば、ある米国内の事業体が得る所得について、我が国ではその事業体自身の所得として扱われる一方で、米国ではその構成員の所得として扱われるなど、日米両国で課税上の取扱いが異なる事業体の得る所得に関わる条約の適用関係が具体的に定められておりまして、改正前の実特法の規定では対応できないことから、実特法の改正が行われてきたというふうに承知をしております。

武正委員 私が事前に聞いたところでは、日米租税条約は実特法の対象外というふうに私は説明を受けていたので、ちょっと今の政務官の御説明と違うんですが、これはまた追って聞きたいと思います。

 政務官、ここで御退室していただいて結構でございます。

 続いて、日本・インドネシアEPA協定に移りたいと思います。

 資料でいうと三ページの方を御覧をいただきたいと思うんです。このEPAをインドネシア、ベトナム、フィリピンと結ぶ中で、看護師さん、介護福祉士さんの合格率、候補者、受けた方と、それから合格率、それが示されております。

 これを見ると、やはり、インドネシアが、今回、EPAの改正協定で、滞在を延ばすことでこうした試験を受ける回数が増えますよという説明を受けているんですが、例えば二〇二三年、インドネシア、看護師さんの合格率ゼロ%、二〇二四年七・三%などは、特にベトナムと比べて低いところもございます。

 例えば、この合格率の高いベトナムを見習って、今、日本語研修、日本に来日する前は半年とされておりますが、これをベトナムと同じように一年にする、あるいはまた、日本語習得レベル、今N4以上としておりますが、これをN3以上に引き上げるなどの対応ができないだろうかというふうに考えますが、外務大臣、いかがでしょうか。

岩屋国務大臣 委員御指摘のように、ベトナム人に比べますと、インドネシア人の看護師、介護福祉士候補者の国家試験の合格率が低い状況にあると承知をしております。

 合格率が低い要因には様々なものが考えられると思いますけれども、今般、こうした状況も踏まえまして、改正によって滞在期間の上限が、看護師候補者については現行の三年から五年、介護福祉士候補者については現行の四年から五年にそれぞれ延長されますので、これに伴って国家試験を受験する機会も増加するということになります。

 現時点において、改正後の合格率について具体的な見通しまで示すことは困難でありますけれども、この滞在期間の延長及び受験回数の増加によって、合格者数の増加につながるということを期待をしております。

 また、日本語研修についてですが、インドネシア人看護師、介護福祉士候補者については、訪日前及び訪日後にそれぞれ六か月間の日本語研修を実施しており、日本語研修期間は、全体として、ベトナム人看護師あるいは介護福祉士候補者とほぼ同等に確保できているものと考えておりますが、委員の御指摘も踏まえて更に検討を加えていきたいと考えております。

武正委員 インドネシアは、日本語学習者の数が世界で第二位の、非常に多い、そういう国でもあります。また、最近は、コロナも経て、こうした事前の日本語学習もオンラインで行うことが、ベトナムなど含めて、インドネシアなどでも見受けられるようですので、やはり事前に、生活しながら、日本への準備の中で、一年間あるいはN3以上というような形で取り組むことが合格率を上げることに寄与するのではないかと思いますので、そのお取組もお願いしておきたいというふうに思います。

 それで、インドネシアということで、資料の二に戻りますけれども、アジア海賊対策地域協力協定、ReCAAPがございます。マラッカ海峡で海賊対処ということで、二〇〇〇年から発効しておりますが、日本が主導をして、そして、事務局長も三代にわたって日本から輩出。ここのところは二代インドということで、おととい、インドの新しい事務局長も就任というタイミングでございますが、この資料でアンダーラインを引いておりますように、交渉参加国十六か国の中で、マレーシアとインドネシアだけが今もって協定締結に至っておりません。

 御案内のように、日本と、特にインドネシアについては、去年、警備艇の供与とか、あるいは外務、安保の2プラス2とか、様々な形で、外交あるいはまた、安全保障に至るかどうかはあれですけれども、少なくともこうした海上保安能力、キャパシティービルディングについては、非常に密接な取組をしております。しかも、グローバルサウスの一国ということでありますので、やはりインドネシア。

 インドネシアが入ると、多分、マレーシアもというような、そういったこともあるようでありますので、是非、アジア海賊対策地域協力協定締結を日本から働きかけるべきだというふうに思っております。

 ただ、今年一月、石破総理が行ったとき、あるいは、二年前に林外務大臣が行ったときなど、そういった、どういうやり取りがあったかについては、残念ながら、このReCAAPが出てまいりません。やはり政治レベルから強く働きかけが必要と思うんですが、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。

岩屋国務大臣 アジア海賊対策地域協力協定、ReCAAPと言っておりますが、これは、委員が外務副大臣時代に大変御尽力をいただいたと承知をしております、敬意を表したいと思います。

 この枠組みは、アジアの海における海賊対処のための多国間協力を促進するための協定で、我が国が交渉を主導し、設立をしたものでございます。

 このReCAAPは、情報共有、能力構築、他の機関との連携の取組などを通じて、我が国のみならず世界経済にとって死活的に重要なシーレーンであるマラッカ、シンガポール両海峡を始めとするアジアの海において、海賊等の脅威の抑制に貢献している枠組みでございます。

 我が国として、インドネシアとマレーシアがReCAAPに加入していない理由について我が方から説明する立場にはありませんが、その上で申し上げれば、両国は、ReCAAPの活動目的である情報共有及び能力構築に関しては、非締約国であっても実務レベルで参加をしている、貢献をしていただいていると承知をしています。

 委員の御指摘も踏まえまして、ハイレベルを含む様々なレベルの働きかけを継続して、マラッカ・シンガポール海峡の沿岸国であるこの両国の加入を更に促進をしてまいりたいと考えております。

武正委員 インドネシア、マレーシアの外務大臣を始め、いろいろな機会でお会いになることが多いと思いますので、是非、お声がけを、そして要請をお願いしたいというふうに思います。

 それでは、次に質問を移らせていただきます。

 あしたの午前四時には、トランプ大統領が日本を含むそうした相互関税の発表ということで、特に自動車、日本の自動車のアメリカ輸入関税二五%への引上げ、明日、これが明確になっていくというふうに言われております。

 そこで、御質問でありますが、二〇一九年の日米貿易協定締結後、米国に対して、自動車及び自動車部品の輸入関税引下げの交渉はどのように行ってきたか、まず、経済産業省の政務官がおいでですので、お答えいただければと思います。

竹内大臣政務官 お答え申し上げます。

 自動車及び自動車部品につきましては、日米貿易協定の米国側附属書に関税の撤廃に関して更に交渉すると記載されており、関税撤廃がなされることを前提に、具体的な撤廃時期等について交渉が行われることになっております。

 二〇一九年九月の日米貿易協定交渉妥結の際の共同声明では、今後の交渉につきましては、どの分野を交渉するのか、まず、その対象を日米間で協議することとなっております。

 日米間では平素から緊密に意思疎通を行ってきておりますが、その詳細については、外交上のやり取りであり、お答えは差し控えたいと思います。

 我が国といたしましては、この共同声明等を踏まえまして、米国政府と適切な機会を捉えながら、我が国の国益が確保されるよう、引き続き真摯に取り組んでいく考えであります。

武正委員 資料五の方にその日米貿易協定の英文の文章をつけておりますが、「ファーザー ネゴシエーションズ ウィズ リスペクト トゥー ザ エリミネーション オブ カスタムズ デューティーズ」ということで、自動車の輸入関税引下げに向け、撤廃に向け交渉を行っていくということが貿易協定の方には書かれているということであります。

 当時、立憲民主党も、衆議院本会議では、やはりこの協定には反対ということで、討論にも立っております。当時、後藤祐一議員がなぜということで、言いますと、第一に、自動車への二五%の追加関税が本当に回避できたかどうか不明な点である、第二に、アメリカの自動車関税の撤廃が獲得できなかった点である、第三に、約九割を自由化しなければならないとするWTOルールに違反する疑いが強い点であるなど、理由を述べております。

 そこで、資料四を見ていただきますと、同じ日の衆議院本会議で、ただ、安倍総理からはこのように言われております。日米貿易協定についてのお尋ねがありましたと。これは失礼しました。令和二年一月二十四日のときの参議院本会議ですね。

 今後、関税撤廃がなされることを前提に、具体的な撤廃時期等について交渉を行うことになる、それから、この意味については、日米首脳会談において、日本の自動車・自動車部品に対して二百三十二条に基づく追加関税は課されないという趣旨であることを、私から直接トランプ大統領に確認しております、これが当時安倍総理の参議院本会議での答弁ということであります。

 ただ、あした、二百三十二条に基づく日本への自動車関税二五%引上げが適用される可能性が極めて高いということでありますが、これについて、外務大臣、例えば、日米自動車協定では一応、ファーザーネゴシエーションズというふうになっていて、先ほど、経産大臣政務官は、その中身についてはお答えできないということですが、外務省も当然交渉には関わっているということでありますが、この日米貿易協定のやはり条文をもって、約束をもって、この二五%関税引上げは認められないというふうに発言すべきではないかと思うんです。

 まだ、日本時間、あしたの未明、四時まで時間もありますので、まだ総理も電話もしていないというふうに巷間聞いておりますが、やはり今、何かのアクションを起こすべきではないか、そのきっかけが、トリガーがこの日米貿易協定ではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

岩屋国務大臣 米国政府によるこの度の一連の関税措置については、従前より、我が国は対象になるべきではないということをあらゆるレベルで伝えてまいりました。

 私からは、カウンターパートのルビオ国務長官に数次にわたってお伝えしておりますし、あしたからのNATO外相会合でお目にかかれると思いますので、その際には、実現すれば重ねて申し入れたいと思っておりますし、先般は武藤経産大臣が渡米をされまして、カウンターパートのラトニック商務長官との間でそのような申入れをしていただいているところでございます。

 いずれにしても、引き続き、米国に対してこれらの措置の対象からの我が国の除外を強く求めていきたいと思います。同時に、米国と緊密に協議を進めて、打開策を探ってまいりたい、粘り強く必要な対応を行っていきたいと考えております。

武正委員 明示的に、この日米貿易協定を引き合いに出してトリガーにということにはお答えをいただいていないんですが、政務官に伺いたいと思います。

 今回、カナダもメキシコも、二五%自動車関税引上げということで、それについてやはり異を唱える、反対あるいは報復関税だというふうに打ち返しをしておりますが、日本からアメリカへの自動車以外に、多分、メキシコあるいはカナダ経由で日本の自動車がかなりアメリカに輸出されていると思うんですが、一体その額がどのぐらいか、把握をされておりますでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

竹内大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のように、我が国企業は、米国のみならず、カナダ、メキシコを始め、海外にも生産拠点を有しておりまして、サプライチェーンを構築しております。

 このカナダ、メキシコ、それぞれから米国への日系自動車メーカーの輸出額について、統計は、申し訳ないんですが、承知をしておりません。他方で、カナダから米国への二〇二三年の自動車の総輸出額につきましては約四百二十億ドル、そしてメキシコから米国へは約七百七十六億ドルとなっておりまして、これらのうち一定割合に日系メーカーが生産した自動車が含まれていると考えております。

武正委員 事前にも伺ったら分からないということで、あえて政務官に伺わざるを得なかったんですが、やはり、これだけトランプ大統領就任で関税引上げが言われている中に、日本からの輸出の自動車は分かっていても、特に、隣国であるカナダ、メキシコから一体日本車がどのぐらい輸出されているのかが分からない、しかも国会でも答えられない、残念ながら、本当にそれで経産省と言えるのかということを言わざるを得ないわけですね。

 是非、国会に御報告をいただきたいというふうに思いますので、委員長、お取り計らいをよろしくお願いいたします。

堀内委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議させていただきます。

武正委員 政務官、どうぞお引き取りください。ありがとうございます。

 それで、外務大臣、この日米貿易協定は、第十条で、お互いに、この条約について、「いずれの一方の締約国も、他方の締約国に対し書面による終了の通告を行うことにより、この協定を終了させることができる。」こういう条項もありますので、これを例えば使うというようなことになると、これは報復関税には当たらないというような整理もできるわけですし、いろいろな選択肢があり得るという中で、この日米貿易協定をしっかりと踏まえて私は話をしていったらどうかというふうに思うんですが、先ほどちょっと言及がなかったので、お答えをいただきたいと思います。

岩屋国務大臣 委員からも御紹介いただいたような、これまでの日米貿易協定をめぐる経緯、それから日米共同声明の精神に鑑みると、今般、米国政府が取ろうとしている措置は極めて遺憾であると思っておりますし、その旨も先方に伝えているところでございます。

 したがって、これからも粘り強く米国側と交渉、協議をしてまいりますけれども、中身についてどう言うかということまで子細に申し上げることは控えたいと思いますが、これまでの経緯を踏まえて、しっかり主張してまいりたいと思っております。

武正委員 先ほど話がありましたメキシコ、カナダの動向、あるいはまたEUの動向なども当然念頭にということで、ましてや、EU外相会合にこれから行かれるわけですから、EUの外相と接する機会もあろうかと思うんです。

 例えば、EUと、自動車の今回の二五%関税引上げについて、もちろんアルミや鉄鋼のこともありますが、特に日本にとって自動車はやはり死活的なテーマであるということから、EUなどと連携を取るというような可能性というのはいかがでしょうか。

岩屋国務大臣 EU外相会合、様々な地域情勢、国際情勢も含めてテーマになっていくと思いますが、恐らくは、こういう関税、貿易に関することも議論されると思います。しっかり意見交換をしてまいりたいと思います。

 連携するかどうかということ以前に、まずは、各国としっかり意見交換をしたいというふうに思っております。

武正委員 先ほど外務大臣から、日米貿易協定を締結している日本として極めて遺憾であるというふうに明示をしていただいたので、是非、石破総理からも、その旨の発言なり、あるいはトランプ大統領に電話をするなり、まだ、あしたの未明、四時まで時間がありますので、あちらはもうお休みのときかもしれませんが、是非ぎりぎりまで努力をしていただきたいというふうに思います。

 そこで、最後にお伺いしたいのが、トルコなんですけれども、イマモール・イスタンブール市長が拘束をされております。御案内のように、日本にとっても非常に親しいトルコでありますので、諸外国からもやはり懸念が示されております。それこそ、これからお目にかかるフォン・デア・ライエン欧州委員長、あるいはルビオ米国務長官、ドイツのベアボック外務大臣、それぞれやはり懸念を表されています。

 この場でも何度か、日米首脳会談あるいは日米外相会談を経て、あるいはG7外相会談を経て、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋、この法の支配ということは日本にとって極めて譲れない考えだというふうに思うわけですね。

 真偽のほどは定かではないと言ってしまえばそれまでですけれども、現市長が二〇二八年の有力な大統領候補でもあり、そして、今回、特に大学の卒業の資格の剥奪など、これが立候補の要件をそぐというようなことも含めて、極めて政治的なそうした拘束になっているのではないかということを、やはりいろいろな形から、各方面から、諸外国からも指摘を受けているわけです。

 これについて何も、政府また総理や外務大臣からメッセージがいまだ出ていないというふうに承知をしておりますが、この点について外務大臣の御所見を伺いたいと思います。

岩屋国務大臣 今般のトルコ・イスタンブールにおける事案については、私どもも特段の関心を持って事態を注視しております。まだ事実関係が必ずしも正確に把握できていない状況ではありますが、今、特段の関心を持ってこの事態を注視しているところでございます。

 委員御指摘のように、法の支配は、国際社会の平和と安定に資するものであり、国内においても公正で公平な社会に不可欠な基盤であると考えておりまして、我が国の外交政策の柱の一つでございます。

 今般のトルコでの事案について、現段階でコメントすることは控えたいと思いますが、しかし、冒頭申し上げたように、引き続き特段の関心を持って事態を注視していきたいと思っております。

武正委員 まだグローバルサウスには入らないというふうに言われておりますが、その一歩手前のトルコでもありますので、やはり、グローバルサウスを始め多くの世界の国が、今、日本の総理や外務大臣の一挙手一投足を注目していると思います。

 これでEU外相会合に行っていろいろな話を聞いて発言するのと、やはり今の時点で発言するのとでは違うと思うんですね。やはり日本としてはこれは譲れないというようなメッセージが私は必要だというふうに思います。是非、そのことをお願いをしたいと思います。

 重ねて申し上げたいんですが、これから、ACSA、RAAの条約の審議もございます。先ほどの、場合によって日米租税条約だけ法改正、法案の対象外にしているとすれば、例えば日米ACSAだけは法案の審議があっても私はいいんじゃないかというふうに思いますし、この後、当委員会で審議に当たるASEANセンター、今日改めて説明を聞いて驚きました。ASEANセンターの改正案の条約を審議すると、以後、条約の中身が変わっても、交換公文だけで済ませて、条約はもう国会に提出しないんだそうです。

 今、日本を取り巻く非常に大事な時期なのに、何か、外務省さんが中心なのか分かりませんが、条約や法案をできるだけ国会で審議しないで、簡素化、簡素化と。本当にそれがいいのかというふうに非常に危機感を持ちます。

 なぜならば、先ほどの日米貿易協定も、国会にほとんど説明がなく、我が党も反対をした理由は、やはり明確な説明がなかったから、そして、資料を求めても出てこない、日米間のことは言いません、あるいは交渉のことは言えません、本当にそんなことをやっている間に自動車も二五%に引き上げられるというようなことも含めて、やはり私は、国会も、そして政府も、そして特に外務省は、国会への説明が緩いというか弱いというか、そういうふうによく言われますので、そのことは是非肝に銘じていただくようお願い申し上げ、私からの質問に代えさせていただきます。

 ありがとうございました。

堀内委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。

 条約の審議に入る前に、多少絡むので、国際交流基金の下山理事にもお越しいただいて、国会に基金から来るのは久々だというふうには聞いておりますけれども、よろしくお願いします。

 インドネシアのこの協定の部分で、人材獲得の話も出ましたけれども、これに絡むので、ちょっと条約じゃないことを先にやらせていただきます。

 日本語能力試験の情報漏れ問題です。これと併せて、日本語基礎テストの方では逮捕者も出て、一時中止をして、再発防止が確認されたところからまた再開をしているようでありますが、それはそれとして。今度は、日本語能力試験において、昨年十二月で判定不能が多数出たということで、これは時差があるので、世界各地でやるときに、中国でその解答がSNSで拡散をされてしまったということで、不正とは認定しないで判定不能というふうにしてあります。

 不正ではなく判定不能とした理由と、判定不能になった人数をまずお聞かせください。

下山参考人 お答えいたします。

 昨年十二月一日に実施された日本語能力試験において、一部の問題について同一の解答パターンが不自然に多いという事実が確認されました。私ども、専門家の協力も得まして、この事象について調査検討を行ったところ、これに該当する一部の受験者の試験結果を正確に判定することが不可能、困難という判断に至りました。

 各受験者が個別にどのような行動を行ったのかということは確認できてはおりませんけれども、これに該当する一部の受験者に対しては、試験結果が判定困難として、成績を交付せず、受験料を返還するということをいたしました。

 御質問にありました判定不能とした者の人数につきましては、今後の試験の公正かつ適正な実施に支障を来すおそれがございますため、対外的な公表は行っておりません。

 以上が答弁です。

小熊委員 再度聞きますけれども、数を公表すると今後の公正な試験に影響が出るという理由がよく分からないんですけれども、もう少しそこを、公表しちゃうとどういう公平性を欠くのか、ちょっと詳細に。しても、僕はならないと思うんですけれども。その理由、公正さを欠く理由ですよ、人数を公表しちゃうと。それは何で。

下山参考人 お答えいたします。

 統計上、不自然な解答の集中に関するデータを公表した場合、今後、そうしたデータを不正利用され、将来の試験の公正かつ適正な実施に影響が出るという懸念がございますため、非公表としているものでございます。

小熊委員 判定不能の数が悪用されるという理由もちょっとよく分からないんですけれども、ちょっと前に進めます。

 基礎テストの方は替え玉ですから、明確な人がいて、逮捕にも至っていますけれども、確かに、これは誰がSNSで情報を知って、それをカンニングというか暗記してやったのかというのは、誰がどれだか分からないけれども、今言ったように返還しちゃう。受験料返還ということは、真面目にやった人が損したんですよね。この能力試験にも大きな損害が与えられています。

 今、中止にはしていないんですよね。基礎テストの方は中止にしたんです。再発防止がしっかりなされる、なされて大丈夫だという再発防止策を取ったところから、国内のこれは試験ですから、全国で再開していますけれども、再発防止、まだ明確に、どんなふうにするのか。まず、ちょっと再発防止策をお聞きします。

下山参考人 御説明いたします。

 基礎テストの方は、一年、二か月ごとに約六回、ほぼ毎日のように実施しています。他方、こちらの日本語能力試験の方は、十二月と七月、年に二回実施しております。

 先ほど申し上げた事象が生じたのは、昨年の十二月の試験でございました。今現在、七月の試験に向けて、今回のその十二月の事象も踏まえまして、適切な実施が行えるよう、不正対策も含めて、今手を尽くして検討しているところでございます。

 以上です。

小熊委員 これは、対策がなされなかったら中止すべきだと思います。基礎テストの方は実際中止して、それは何回やるかによってですけれども、一応中止は発表して、一回中止しているわけですから。これも、だから、七月に向け、それで再発防止ができるのであれば、それはそうでしょうけれども、できなかったら中止すべきだし、その判断は、受験者が応募するのもありますから、ちょっと前段階ですから、もう来月ぐらいには判断しなきゃいけないと思いますよ。

 ちょっと話がごちゃごちゃになっていますけれども、基礎テストの方のあの二人の逮捕者の証言によれば、かなり前からいろいろ組織的にやっていたということなんですよね。今回のこれも、発覚はして不能になっていますけれども、実際、いろいろな情報では、うわさレベルでは、やはりあったと。これはやはり時差があるからですね、一斉同時で、テストが同じものですから。

 先週のこの委員会でもやったように、日本に来る、こうした中国からの、まあ新移民という言葉は政府としては使わないと思いますけれども、在留中国人が増えていて、性善説に立って何でも進めればいいけれども、やはりいろいろやってきている。これは中国で起きたことです。せめて中国のテストは、改善策が取れなければ中止すべき。全世界に影響しちゃうので、全部止めるというのもちょっとしんどいし、今、外国人材を獲得していく上では必要不可欠なものですから。

 でも、これは状況は分からないわけですよね、SNSでどうやってやったかというのは見えていないので。原因がしっかり分からなければ、再発防止も取れないわけですよ。時差はあるけれども、一斉に同じ時間にやるしかない。私の単純な対策だと。

 中止も含め、その対策も含め、もう一回お願いします。

下山参考人 ありがとうございます。

 おっしゃいますように、昨年十二月の日本語能力試験の終了後、中国を発信源とするSNSに、この試験の解答に関する複数の投稿がなされたことは私たちも把握しております。他方で、試験結果が判定困難となった受験者がこれらの投稿を直接参照したのかどうかというのを直接確認することはなかなか困難でございます。その背景には、先生が御指摘になったような問題もあるかと思います。

 私たちとしては、七月に向けて、そのようなことがないように、御指摘いただいたことも踏まえて、適正な試験の実施に向けて、不正防止策を今徹底しようとしているところでございます。

小熊委員 今言った、時差もあるけれども、全世界同じ時間にやるというのはどうなんですかね。それがあれば、確実に、物理的にはそれは無理ですからね、持ち出してやらない限り。

下山参考人 この試験は全世界で行われ、同じ日に行われるものですから、全ての試験を同じ時間に行うということは事実上非常に困難でございます。

 他方、アジアの地域、中国を中心とした東アジア、東南アジア、南アジアぐらいの範囲においては、七月に向けて、可能な限り試験の時間が重なるよう、そういうことも含めて今対策を検討しているところ、実施しようとしているところでございます。

小熊委員 本当に真面目に日本語を学びたい、学んで日本に留学したり、働いたりしたいという人たちの方が多いわけですけれども、悪用する人たちが出てきてしまっている。基礎テストの方では、もう組織的だった、複数年にわたってやっていた、氷山の一角でした。中国で起きたことも、去年の十二月だけとは思えないわけですよ。相当ちゃんと対策を取らなければいけないし、同じ時間にやりましょうというので多少はクリアするけれども、まだまだ問題の根は深いので、中国の日本に来ようとしている人たちが年々増加しているのも、中国の脱出ですから、日本だけじゃなくて、いろいろな国に今行っていますから、富裕層。

 言葉は悪いですけれども、本当に志高くして日本に来ようとしていることではないので、いろいろな不正もこれから起きてくる可能性も排除できませんから、徹底した対策が取れないということであれば中止にすべきだと思います、せめて中国では。中国の受験者も少し審査を厳しくすべきだというふうに思います、年々増加もしていますから、いろいろな人が出てきていますので。

 そうしたことも含め、今後、この基礎テストの方も含め、能力試験の方も適正に行われて、真っ当な受験者が不利益を被らないように是非対応をお願いしたいというふうに思います。この後も継続していろいろと注視をしていきますので、どうぞよろしくお願いします。是非頑張ってください。

 基金の方は、もういいです。

堀内委員長 どうぞ、御退席いただいて結構でございます。

小熊委員 次に移ります。

 経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定を改正する議定書についてお聞きします。

 今までも質疑がありましたけれども、この議定書によって看護師、介護福祉士候補の受入れ条件の改善等が行われるということで、今ほどの質疑でも大臣からも詳細に説明がありましたけれども、受入れ人数はどのぐらい増えるのかという見込みを聞きたいのと、これは国が、厚生労働省ですけれども、アジアにおいてこういう人材獲得のためにお金も支援したりしてやっているんですけれども、実際、インドネシアでは、ドイツまで来ている。ドイツもインドネシアに来て、そういうことをやっているんですね。

 アジアの優秀な人材というのは、日本だけが獲得しようとしているんじゃなくて、世界各国から注目をされているし、去年かな、おととしかのこの委員会でもやったけれども、スリランカの介護人材、日本にもたくさん来ていますけれども、日本だと大体十八万ぐらいが、スリランカから韓国へ行けば三十六万ですよ。ただ、学びが日本は多いから、日本を選びたいから枠を増やしてくれと大統領顧問から頼まれたこともあったんですけれども、そういう日本の強みもありながら、今の失われた三十年と言われているこの低成長そして物価高の中で、金銭的な意味では、やはり日本の魅力がなかなかほかの国よりなくなってきているということですから。

 インドネシアにおいては、日本も改善して、枠を広げるというか、入りやすくするようにしているんですけれども、世界の競争がある。こういう中で、受入れ人数をどういうふうに増やそうと見込んでいるのか、お聞きします。

門脇政府参考人 お答えいたします。

 現時点で、改正後、滞在期間を延ばすことによってできるだけ合格率を高めるということで、そういう、インドネシアに対してのメッセージになればと思ってやっておりますけれども、現時点で合格率の具体的な見通しを、どういうふうに増えるかという見通しを示すことは、残念ながらちょっと困難な状況にございます。

 いずれにいたしましても、この委員会でも御指摘いただいたことも踏まえて、インドネシア人の看護師、介護福祉士候補者の合格率向上に向けて何ができるのか、受入れを増やすことについて何ができるのかというのをインドネシア政府とも引き続き議論してまいりたいと思います。

小熊委員 政府においては介護人材の目標値を決めているんですね、総枠で。その今五割ぐらいにとどまっているんですけれども、こういうことがあるから、やはり見込みというか目標値は持った方がいいし、厚労省がお金を使ってやっているわけですよね、日本に来て頑張ってもらうということで育てて。明確な数値はやはりあった方がいいと思いますよ、国際人材獲得競争になっているわけですから。円安でもあるし、日本は賃金が上がっていないし、非常に不利な状況です。政府の取組は分かるけれども、ライバルがいっぱいいるということです。

 特にインドネシアは近年、フィリピンの介護人材もすごく国際的に評価が高いけれども、それ以上にインドネシアは評価が高くて、だから、いろいろな国がそこで介護人材を獲得しようとしていますから、競争が激しいので、是非そこは戦略的に対応していただきたいと思います。

 次に移ります。

 市場、いわゆるマーケットの部分でアクセスもしやすくなるということで、水産資源も入ってきやすくなりますけれども、いわゆるIUU漁業、違法・無規制のような漁業の解消に向けては、日本も、近年、水産流通適正化法を制定して対応していますけれども、日本の輸入水産物、ドルベースで百億ドル以上、一兆円以上です、年間。これは世界三位です。その中に占める、これは推定ですけれども、IUU漁業に関わる水産物というのが三割前後あるというふうに言われているんですね、国際的に。だから、二、三千億がIUU漁業の水産物だというふうに日本は言われているんです、国際的に。

 ただ、済みません、配付資料にしていなかったんだけれども、外務省のホームページにIUU漁業の現状と対策ということで、サミットの中ではIUU漁業の重要性を明記するなど、国際社会における議論をリードしている、こう外務省はうたっているんだけれども、これはちょっと言い過ぎで、言っているだけで、実態はこういうことですよ。適正化法だって、魚種が少ない、少な過ぎる、数種類ですから。そういう意味では、取組は遅れているというふうに国際的に評価されているのではないかなと僕は思っています。

 今回、この議定書によって、インドネシアとの協定によって水産物も輸入しやすくなるんですけれども、日本自身がIUU漁業をやっているというわけじゃないんですよ。IUU漁業の物を買っちゃっているということです、それを支えているということです。そうしたら、正規の漁業も邪魔しているということになるし、環境も破壊していることになるし、児童労働なんかも、逆に消費者として日本人が支えちゃっているということですから、これはシビアにもっと厳しくやっていかなきゃいけない。

 そういう中で、インドネシアにおけるIUU漁業の状況というのはどう把握をしていて、そういう物が入ってこないようにする配慮もされているのかどうか、お聞きします。

門脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、IUU漁業、違法・無報告・無規制の漁業は、これは水産資源の持続可能な利用に対する深刻な脅威であり、国際社会の共通の課題だと考えております。

 インドネシアについては、海洋国家として水産業の発展を志向している中、近年、漁獲量が増加しております。同国が、インドネシアが適切な資源管理措置を行っているかどうかというのを注視をしているところでございます。我が国は、こうした観点から、インドネシアの海上法執行能力の強化に向けた協力も行ってきているところでございます。

 委員御指摘のインドネシアの水産物の件でございますけれども、例えば、インドネシア産のかつおぶしとか、カツオ・マグロ調製品については、資源管理の観点から、原料に体長三十センチメートル未満のカツオが含まれないことをインドネシア政府が証明したものに限って、今回、関税撤廃を認めることとしております。

小熊委員 是非これは大臣に、日本はサミットの場でもIUU漁業をなくしていこうと声高に言っているのは、実態はこういうことなんですよ。三割も入っていると言われちゃっているんですね。それなのに、やろうぜ、リードしているというのは、どの口が言っているんだと言われちゃうから、大臣も是非また検証していただきたいし。

 アメリカは、トランプさんがめちゃくちゃなことをやっているけれども、アメリカの方が厳しいんですよ、実は規制に関しては。さすがのトランプさんも、これを撤廃しろなんとは言っていないので。

 ここはちょっと、日本は海洋国家としても、確かにリードはしていかなきゃいけない責務があるし、善良な消費者が知らないうちにこういう違法な漁業を支えているということになりかねないわけです。だって、輸入品の三割がそうだと言われているんですよ。我々も食べちゃっているかもしれないですよ、分からないで。

 これはちょっとゆゆしきことで、この水産物の世界においては日本が本当に世界をリードしていかなきゃいけない分野でもありますから、これは是非。あと、適正化法の改正もしっかり国会としても対応しなきゃいけない、政府としてもやってほしいとは思いますけれども、大臣、よくこれからちょっと検証していただいて、やっていただきたい。

 これはいろいろな貿易上の観点から、インドネシアだけではないです、とりわけアジアが厳しく言われているんです、IUU漁業がいっぱいあると言われているので、タイなんかもそうですけれども、厳しく対応していく。自らもやらなければ駄目だという、相手の国だけ言っていても駄目だし、そういうことをしっかりとやっていただく。

 せっかくこの協定があって、これからいい市場アクセスになっていくわけですから、厳しく対応していっていただきたいということを、大臣、何か一言あれば。

岩屋国務大臣 委員御指摘のとおりだと思っております。

 やはり水産物に関しては、その国が適切に資源管理措置を行っているかどうか、ここをしっかり見ていかなきゃいけないというふうに思っております。いわゆるIUU漁業を監視、監督するための海上法執行能力の能力向上支援などを始め、様々な措置をやはり取っていかなきゃいけないと思っておりますし、インドネシアとは、この適切な資源管理に向けても引き続き協議をしていきたいと思います。

小熊委員 あとは国内法の問題もあるので、そこもしっかりやっていかないと、我々もこういう犯罪みたいなものに加担していることになっているんですから。三分の一というのは相当大きいですよ。

 是非、大臣も、料理するかどうか分からない、料理するときに、海外産の水産物を使うとき、食べるときがあれば、これは大丈夫かなと思いながら食していただきたいなというふうに思います。

 次に移ります。

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とトルクメニスタンとの間の条約についてお聞きをいたします。

 近年ですけれども、かなりの埋蔵量を誇るガス田が発見されて、トルクメニスタンは世界第四位の埋蔵量を誇るというふうにも言われています。ただ、内陸国なので、これをどうやってほかの国にやっていくのか。パイプラインも相当やっている、中国とかもやっているようでありますけれども、今回のこの条約によって、日本も、大型プロジェクト、日本企業はもう既にいろいろやっている部分もありますけれども、これからまさに加速をしていくんじゃないか。

 二〇一五年には両国でも合意されているんですけれども、発見された巨大ガス田のガス処理プラントの建設が合意されていたんですが、その後しばらく動いていなかったということも確認しているんですけれども、今の進捗具合をちょっとお聞きいたします。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘の事業は、二〇一五年に当時の安倍総理がトルクメニスタンを訪問した際に、両国の企業の間で枠組み合意文書が署名されたものと承知しておりますが、こういった大型プロジェクトをこれまでも多数企業間で署名されておりますけれども、特定の個別の民間プロジェクトでございますので、その詳細について、現状の状況も含めて政府から言及することは差し控えたいと思います。

 ただ、その上で申し上げますと、トルクメニスタンは、委員がおっしゃいましたとおり、豊富な天然資源、天然ガスを有しておりまして、我が国からは、これまでも、発電所やプラントの建設、更新など様々な分野で協力してきております。この租税条約の締結によって、両国間の投資、経済交流が一層促進するとともに、大きな経済的潜在力を有するトルクメニスタンとの関係を一層強化していきたいと考えております。

 以上です。

小熊委員 民間でやっているから詳細にと、政府間が合意してこれをやるということだから、多少云々ぐらいの説明はあっていいんじゃないの、どうなっているという進捗具合。もうちょっとお願いします。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 安倍総理が訪問をして、そういった訪問に当たっては、政府がもちろんビジネスミッションを率いて現地を訪問して、いろいろな形でお膳立てといいますか、協力のこういった雰囲気をつくりながら、日本それから現地の企業の案件形成に向けてサポートするトップセールスのようなことをこれまでしてきております。

 こういった事業もその一環で、当時、署名に至っているものでございます。ただ、我々が承知しているところで申し上げれば、現時点でこれが、例えばプロジェクトが大きく動いているというふうには聞いておりません。

 それ以上の詳細については、まさにビジネス上の問題かと思いますので、控えさせていただければと思います。

小熊委員 合意からもう十年たって、これなんですね。

 今回、この条約をやるといろいろビジネスが活発化しますよということで、外務省の説明資料ができています、この条約ね。でも、その十年前の合意も、何らかの事情、ビジネス上のあれもあるから詳細は言えないけれども、止まっているんですよね。カントリーリスクなのか、単なるビジネス上の問題、課題なのかは分かりませんけれども。これをやるから、もっといろいろな交流がありますよと言ったところで、信憑性に欠けるんですよね。

 確かに資源大国ですから、きちっとつき合っていけばいいし、ガスそのものを日本に持ってくるというのはなかなか難しいけれども、それを加工すれば出てくる尿素とか、そういうのを使って、農業の肥料にもなりますから、そういうものの輸入先としてはいいことですし、トルクメニスタンも、資源依存度よりも、もっと高度化して違う形で輸出品を増やしていきたいという向こう側の狙いもあるから、これは合致しているんですけれども。

 今もいろいろな成功を積み上げてきていますが、このプロジェクトが止まっているということが、なかなか、後追いしていく者にさお差さないかなと心配して、今回聞いたわけですよね。

 政府としてやれるものがあれば、せっかく十年前に合意しているものですから。もっと政府でやれるものは、今のところはないんですかね。完全にビジネス上で、民民の間のことの課題が積み残っているから進んでいないのであるのか、政治的な解決ができる部分はないのか、もう一回確認します。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 租税条約は、ビジネスを進めるためのいわば環境インフラのようなものでございますので、特定の案件に集中、特定したものではございません。そういった意味で、こういった経済的な潜在力があるトルクメニスタンと日本の企業との今後の一層の経済的な関係強化に大きく役立つものと考えて、今回推進してまいったものでございます。

 委員御指摘の個別の案件、我々外務省、関係省庁、例えば経済産業省、資源エネルギー庁、こういったところともふだんから緊密に連携を取りながら、できる限りのサポートをしてきております。この具体の事案につきましても、引き続き、経済産業省を含めた関係省庁と連携しながら、何ができるかを考えながら、できるだけの支援をしてまいりたいと思っております。

小熊委員 ちょっとまた確認します。

 今のところ、このプラントについては止まっているけれども、支援はしていく、でも、ビジネス上の問題があるけれども、今、特段具体的に政治上の手を差し伸べるというのは、今のところはないということね。何かあれば、それはやるけれども。

 今のところは、完全にビジネス上の中で頓挫しているということの理解でいいですか。政治が関わるところはまだ今のところはないということですか。このプラント開発、建設についての確認です。

北川政府参考人 繰り返しになりますけれども、特定の民間プロジェクトですので、その詳細について、現時点がどこにある、何が問題である、何をしたら動くということをなかなか申し上げられないところもございますが、ただ、この件に限りましては、何か今政治的な問題で止まっているとか、政治的に大きな後押しをすると何か事態が改善するとか、そういうことというよりは、あくまでも民間企業間の純粋な案件が議論されるところだと理解しております。

小熊委員 分かりました。

 他国のことですから、それは民民の間でもいろいろあります。そうしたことも含め、両国間の経済発展を支援していかなければいけないということで、ただ、政治的な案件があれば、これは政府が、外務省がしっかり対応していただきたい。

 ただ、ビジネス上のものも、単に本当にビジネス上のものなのか、いろいろなトルクメニスタンの国内法の問題なのかということも含め、その国のそうした状況というのはしっかり外務省は把握して発信した上で、こういうリスク、こういう課題があるけれども、どうぞと言ってあげないと、何でもかんでも行け行けでは、これは日本の企業は参っちゃいますから、是非、その民民の間も円滑にいくように、政府の役割を十二分に発揮をしていただきたいというふうに思います。

 ただ、トルクメニスタンを含め、この周辺諸国というのは非常にこれから重要な地域であり国となってきていますので、岩屋外務大臣においても、トルクメニスタンを始め、この周辺の国々に是非御訪問をお願いしたいと思いますし、過日、キルギスの議連の会長が防衛大臣だったんですけれども、行けないからと、官邸でやったイフタールに私は行ってきて、キルギスタンとかカザフスタンの大使ともお話をさせていただきましたけれども、そうした国々からも、岩屋大臣に是非来ていただきたいというふうに言っていましたので、この場をおかりしてお伝えさせていただきますが。ここで行きますと言うわけにはいかないけれども、お気持ちだけでもちょっと。

岩屋国務大臣 これらの中央アジアの国々は、我が国にとって、地政学的にいっても、また豊富な資源を有しているという意味においても非常に重要な国でございますので、私もできるだけ早く訪問させていただきたいと思っております。

小熊委員 そこまで言っていただければ、ありがとうございました。

 是非早い段階で行けるように調整を図っていただきたいということをお願い申し上げ、質問を終わります。ありがとうございました。

堀内委員長 次に、鈴木庸介君。

鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介です。

 今日は政治的な判断を伺う質問はないので、岩屋大臣は外していただいて結構です。お疲れさまです。

堀内委員長 大臣は御退席いただいて結構です。

鈴木(庸)委員 じゃ、進めさせていただきます。

 毎年というか、外務委員会にこの租税条約の話が来るんですけれども、ここでいろいろな論をこねているよりも、実際、各国の肌感覚としてどうなのかなと思いまして、昨日、トルクメニスタン大使にお時間をいただいて、トルクメニスタン側はどんな見立てをしているのかと伺ってきたら、やはり伊藤忠商事の都梅さんがトルクメニスタンを中心にやっていらっしゃいますけれども、伊藤忠と川崎重工と、あと三菱重工の名前が出てきて、これも、六十億ドルとか四十億ドルとか、大変大きな数字が出てくるわけですね。そういうプラントの話が先に行って、次にコマツさんとかがこのプラントに係る部品をどんどんどんどん向こうに持っていって、トルクメニスタン側としてはかなり期待をしていると。

 この租税条約がかかることによって、値段の交渉ができるようになるというようなお話をおっしゃっていました。だから、値段の交渉ができるようになる、イコール、もっと経済的なつながりが深まるということで、最終的にはトルクメニスタンも、自国で大変有名な織物とか、あとフルーツの加工物とか、さらには化学肥料みたいなものを日本に売り込んでいきたいというところまで見据えての租税条約ということだったので、将来的にある程度の期待はできるのかなと思っております。

 そういう中で、八十七条約が百五十五の地域とともに適用されているわけですけれども、トルクメニスタンは、今申し上げたように、これからいろいろな企業も入っていく。先ほど小熊委員もおっしゃっていましたけれども、天然資源に関しては期待値も高い。ウクライナについては、これから復興のフェーズに入ってきたときに、当然ビジネスチャンスもあるだろうという中なんですが、アルメニアがこの時期になった理由というのは何かあるんでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、これまでもたくさん租税条約を締結しておりますし、これからも締結してまいると思いますけれども、そういった租税条約を締結するに当たりましては、相手国との経済関係、日本の経済界からの要望、租税条約の締結や改正から生じ得る効果、こういった観点を踏まえて、これまでも新規条約の締結や既存の条約の改正に積極的に取り組んできたところでございます。

 今御指摘のアルメニアでございますけれども、これは現在、アルメニア政府は経済パートナーの多角化を目指しております。また、アルメニアはITの分野に非常に強みがございまして、ITの人材もたくさん抱えてございます。そういった中で、日本企業も関心を高めており、今後、日本とアルメニア双方の企業の活動の活発化、これが期待されているところでございます。

 そういったことも踏まえまして、日本とアルメニア、二国間の健全な投資、経済交流を一層促進するために、新たな条約の締結に向けた交渉を開始して、今般、合意、署名に至ったものでございます。

 以上です。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 当然のことながら、租税の帰属主義というところで、OECD承認アプローチという話がいっぱい出てくるんですけれども、このOECD承認アプローチについて御説明いただけますでしょうか。

片平政府参考人 お答え申し上げます。

 OECD承認アプローチとは、海外における支店等の恒久的施設に帰属する事業利得に対する課税について、本支店間の取引に関して独立企業原則をより厳格に適用いたしまして、本支店間の内部取引を網羅的に認識して、恒久的施設に帰属する利得を計算することを規定するものでございます。

 これにより、恒久的施設に帰属する利得の計算方法がより明確となりまして、二重課税や二重非課税のリスクをより小さくすることができるというメリットがあるかと感じております。

 以上でございます。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 そうやってビジネスが進んでいっても、当然もめごとは起こるわけで、もめごとが起こった場合に、国際租税に関する専門知識又は経験を有する三人の仲裁人を選ぶということになっておりますが、この仲裁人を選ぶという行為は、常にそれぞれの国と日本に仲裁人になる人がいるのか、それとも、問題が起きたときにその都度選ぶのか、どちらなんでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 今般御審議いただいております、日・ウクライナ租税条約、日・トルクメニスタン租税条約及び日・アルメニア租税条約、全てにおきまして、仲裁人は仲裁の要請の都度、その都度選任することとされております。

 以上です。

鈴木(庸)委員 選定はどんな人を予定していますでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 この仲裁人の選定の方式でございますが、まず、各締約国、その権限のある当局は、一人の仲裁人をそれぞれ任命いたします。このようにして任命された二名の仲裁人は、仲裁のための委員会の長となる第三の仲裁人を任命いたします。このように規定されております。

 また、仲裁人は、国際租税に関する事項について専門知識又は経験を有する個人であるといった条約上の要件を満たす者である必要があり、第三の仲裁人は、いずれの締約国の国民又は居住者でもあってはならないという規定もございます。

 我が国日本におきましては、国税庁が、適用される条約や個別の事案の内容を踏まえた上で、適切な仲裁人を任命するものと承知しております。

鈴木(庸)委員 いただいている御説明だと、今まで仲裁人を選んだことがないということですよね。選んだことがないどころか、それぞれの国の仲裁人も選んだことがないし、かつ、第三者の仲裁人、どこの国にするかとか、そういうことについてのルール作りみたいなものもまだ決まっていないということで伺っているんですけれども。

 なかなかやりたがる人もいないんじゃないかなと思うんですけれども、待遇面とかはどうなっているんでしょう、この仲裁人の。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 待遇面、すなわち報酬という趣旨だと理解しますが、これは、事案の困難度に応じて、二国間の権限ある当局が協議して決定することになっております。

 以上です。

鈴木(庸)委員 基準も何もなく、協議だけで決まってくるということになるんですか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど委員御指摘ありましたとおり、これまで、租税条約に基づく仲裁の実績はございません。したがって、具体的な報酬の金額を現時点で念頭に置いてあるものではございません。

 ただ、その上で申し上げれば、あくまでも参考としてですが、例えば、EUの紛争解決指令がございますが、ここでは日額上限千ユーロの報酬が規定されており、各国がこれを参考にしていると承知しております。

鈴木(庸)委員 一日千ユーロぐらいもらえるなら、結構、それなりの人材がやってくれるんじゃないかという気もするんですけれども、その都度その都度ということで理解をいたしました。

 ちょっと先に進ませていただきますが、ここから、済みません、ちょっと文言の細かい話になって大変恐縮なんですけれども、恒久的施設の果たす機能及び事実関係に基づいて、外部取引、資産、リスク及び資本を恒久的施設に帰属させるということであるんですけれども、海外で完結する資金取引とか、こういうものもあるわけですよね、当然。そういったところの事実関係の把握というのは、具体的にどのように把握する御予定でしょうか。

高橋(俊)政府参考人 お答え申し上げます。

 国税当局におきましては、あらゆる機会を捉えて、課税上有効な各種資料情報の収集に努め、これらの資料情報と提出された申告書などを分析し、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めることとしております。

 例えば、内国法人が国外に有する恒久的施設に係る取引などについて、課税上の問題があると認められる場合には、内国法人に対する税務調査などを通じてその詳細を確認するとともに、必要に応じて、外国税務当局への要請に基づく情報交換なども活用しているところでございます。

 なお、一般的には、国外に恒久的施設を有する内国法人は、その恒久的施設に帰属する外部取引や内部取引の内容などを記載した一定の書類を作成することとされており、必要に応じて税務調査などで確認することにより、事実関係を把握することとしております。

 いずれにいたしましても、国税当局としては、引き続き、海外取引等に係る適正、公平な課税の実現に努めてまいりたいと考えてございます。

鈴木(庸)委員 これまでの調査手法をそのまま使ってという理解でおりますが。

 次に、ウクライナとロシアの領有がいろいろ問題になっておりますが、第三条(b)のところで、ウクライナとは、地理的意味で用いる場合には、ウクライナの全ての領域、領海及びこれらの上空を含む、並びに領海の外側に位置する水域であって、ウクライナが自国の効力を有する国内法及び国際法に基づいて主権的権利又は管轄権を行使するものというとありますけれども、例えばクリミアとか、さすがに今ドンバスでどうこうという話にはならないと思うんですけれども、クリミアは比較的、安定という言い方も変ですけれども、ばんばん飛んでくる状況じゃないですよね。こういうところでビジネスをする場合にはどういう判断になるんでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 今の委員の御指摘、御質問が、クリミアあるいはロシアが現在支配しているような地域が果たしてウクライナのこの租税条約の対象地域となるのかという趣旨の御質問であると理解するならば、まず、我が国は、クリミアを含むウクライナの主権及び領土一体性を一貫して支持してきております。

 その上で申し上げますと、今委員御指摘の地域は、本条約第三条のウクライナの全ての領域に含まれております。

 以上です。

鈴木(庸)委員 そうですね。そちらをちょっと確認させていただきたかったところです。ありがとうございます。

 また、ちょっと文言の細かいところで恐縮なんですが、第五条で、恒久的施設の定義について、トルクメニスタンとウクライナは十二か月になっているんですね。でも、アルメニアは九か月だったり、あとは、企業が行う役務の提供が百八十三日を超える期間といった、アルメニアだけ特有の文言が幾つかあるんですけれども、この辺の差異というのはどういう理由で生じてくるんでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の恒久的施設でございますけれども、そのうち、いわゆる建設PE、工事現場等でございますが、これは、OECDのモデル租税条約におきましては、工事現場等は、建設PEとされる場合の存続期間は十二か月とされております。それに対しまして、途上国側からは、源泉地国の課税権を強化するといった観点から、より短い存続期間が提案されることがよくございます。

 我が国としましては、日本企業の海外展開を支援する観点から、可能な限り長い存続期間となることを目指しておりますけれども、この租税条約の内容につきましては、我が国と当該国との間で交渉して、最終的には総合的に勘案した上で合意するわけでございますけれども、相手国との交渉の中で合意されるといった上で、アルメニアについては九か月とすることで合意したという経緯でございます。

 それから、百八十三日間を超える期間、これも同様でございまして、日・アルメニアの租税条約におきましては、企業が使用人その他の職員を通じて役務の提供を行う場合には、このような役務の提供が百八十三日を超えて行われるときに限り恒久的施設を構成すると規定しておりますけれども、これも同様に、途上国を中心に、一定の継続的な役務提供については源泉地国の課税権を全く認めないのは必ずしも適切ではないといった考え方もありまして、途上国との租税条約交渉におきましては、相手国から当該内容を規定することを提案されることがよくございます。

 アルメニアにつきましては、アルメニア側からそういった提案があったところでありまして、我が国及び相手国がほかの国と締結している租税条約の内容等を総合的に勘案して交渉した結果、御指摘の現在の規定等を盛り込むことで合意したものでございます。

鈴木(庸)委員 おっしゃる次第の交渉の中で、ここのはあそこだという、そういうことの理解でよろしいということですね。

 トルクメニスタンにだけ、これは推察もできるんですけれども、天然資源の探査ということを記してあるんですけれども、これは何を意図したものでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 トルクメニスタンは天然ガスを含めて天然資源が豊富な国でございますけれども、こういった豊富な天然資源を有している国との租税条約におきましては、この天然資源の探査等から生じる所得についても課税権を確保する観点から、そういった国々は、天然資源に関する恒久的施設に係る規定は提案することがよくございます。

 今回も、トルクメニスタン側の提案を踏まえ、我が国及び相手国が他国との間で締結している租税条約の内容などを総合的に勘案しつつ、相手国、すなわちトルクメニスタンとの交渉の中で合意したものでございます。

 以上でございます。

鈴木(庸)委員 済みません、ちょっと分からなかったんですけれども、探査に係る租税権というのはどういうことなんですか。もうちょっと御説明していただけますか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 天然資源という文言が盛り込まれた原因は御説明いたしましたが、探査ということにつきましては、それを最終的に採掘、加工、製品化するといった段階に至らない段階でも、当初の探査の段階でも対象とするという考えでございます。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 また同じようなことで恐縮なんですが、ウクライナだけに、国際運輸に運用することによって取得する利得と記しているんですけれども、これは何を意味しているものなんでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 日・ウクライナ租税条約八条二項でございますけれども、これは、船舶又は航空機を国際運輸に運用することによって取得する利得の範囲を明示的に確認しております。

 こういった規定の内容は、国際標準でありますOECDモデルに即した内容の租税条約を締結している国の間で広く共有されている解釈でありますが、こういった規定がなくとも、船舶又は航空機を国際運輸に運用すること、これについて、通常、利得の範囲に含まれると理解されているんですが、ウクライナ側の要望を踏まえて確認的に盛り込むこととしたものでございます。

鈴木(庸)委員 確認的というところなんですね。

 配当という言葉についても、それぞれの国で定義が異なっているということなんですけれども、配当の定義についても教えてください。

北川政府参考人 お答えいたします。

 配当の定義は第十条にそれぞれございますが、これは、今回の三本の租税条約、同一の内容となっておりますけれども、トルクメニスタンについては若干異なる規定、受益株式、鉱業株式、発起人株式を規定をしております。

 これは、トルクメニスタンの国内法の規定を踏まえてそのような内容としておるものでございまして、それぞれの国の国内法に即して若干の記載の差異はございますけれども、そもそも対象としているものについては大きく変わるものではございません。

 以上です。

鈴木(庸)委員 あと、ウクライナだけ匿名組合がないというのは、理由は何でしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、この匿名組合契約を用いた租税回避の防止、これは適正な課税を確保する観点から、匿名組合契約に係る所得に対して源泉地国における課税を認める、こういった本規定を置く必要があると考えておりまして、各国と条約交渉しておるところでございますが、ウクライナにつきましては、ウクライナ側からそういった本規定の適用は想定されない、ウクライナの国内法上そういった組合は考えられないという指摘があったことから、今回は議定書において片務的に規定することが先方から提案されたものでございます。

 そういったことを踏まえまして、本条約の議定書の2というところにおきまして、ウクライナの居住者が匿名組合契約等に基づいて行う出資について取得する所得が、日本国内において生じるなどの条件を満たす場合には、日本国内において、日本の法令に従って租税を課すことができるといった片務的な規定として定めたものでございます。

鈴木(庸)委員 何か文言の細かいところだけつらつら聞いて大変恐縮なんですけれども。

 あと、無国籍者に関する項目がアルメニアだけあるんですけれども、なぜアルメニアにだけあるんでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 通常、日本におきましては、居住者であるか否かに関して、無国籍であるか否か、大きな差異は設けておりませんけれども、今回、アルメニアにつきましては、アルメニアに無国籍者である居住者が多数存在する、そういった先方の事情等も踏まえ、アルメニアからの強い要望で規定しているものでございます。

 以上です。

鈴木(庸)委員 通告はしていないんですが、アルメニアの当該の多数存在するというのは、どういう国内事情があるんでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 アルメニアはコーカサスの地政学の要衝に面しておりまして、そこにはこれまでも、ナゴルノ・カラバフ問題、いろいろな問題もございました。これまでもそういった各種の紛争でありますとか、隣国との複雑な関係を生き抜いてきた、あるいは、アルメニア人という人々は、世界中にディアスポラで、何百万人と各地、各国にその関係の方々が居住されておりますけれども、そういった歴史的あるいは民族的な経緯も踏まえまして、恐らく無国籍の居住者の方も多いということなんだろうと思いますけれども、あくまでもこれは、先方の要請ということで対応したものでございます。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 租税条約でも本当にお国柄というのが出てくるんだなというのを、いろいろ比べながら私も思ったんですけれども、通告していないのに、ありがとうございました。

 将来的に租税条約についてこれからも進んでいくということだと思うんですけれども、今のところ将来的にやりましょうねというような話合いが進んでいる国というのはどの辺の国があって、その国とはなぜそういう話が進んでいるかということを御説明いただけますでしょうか。

片平政府参考人 お答え申し上げます。

 現在交渉を行っている国は、チュニジア、フィンランド、ナイジェリアが挙げられます。これらの国、相手国との経済関係、日本の経済界からの要望、租税条約の締結、改正から生じ得る効果といった観点を踏まえて判断しているところでございます。

 交渉に積極的に取り組み、租税条約ネットワークの更なる拡充を図ってまいりたいと考えております。

鈴木(庸)委員 済みません、御説明いただいたレクのときに、チュニジアとフィンランドは伺っていたんですけれども、ナイジェリアをちょっと聞いていなかったんです。例えば、具体的に、このナイジェリアとどういった将来的なものを見据えているのかというのを伺えればと思うんですが。

片平政府参考人 まず、経緯のところを申し上げますと、ナイジェリアとの間では、二〇一九年六月十八日に交渉を開始するということを発表しております。それを受けまして、今交渉を鋭意やっているところでございます。

 ナイジェリアは、当然、アフリカの非常に重要な国の一つでございますし、資源という観点からも重要なところでございまして、ナイジェリアとの関係でこのようなものをつくっていくということは重要だと考えているところでございます。

鈴木(庸)委員 そうなんですよね。将来的には世界第三位の人口大国にもなるだろうし、アフリカの中でも相当な経済力があるし、身近なところでいうと、六本木の路上とか新宿の路上へ行くとナイジェリアの客引きの方がいっぱいいますけれども、この方々は実は母国では物すごいお金持ちだったりするわけです、みんな配偶者ビザを持っていて。

 僕は、事件記者だったときに、何とかこの人たちと仲よくならないかなと思っていろいろやったんですけれども、結構、株式会社みたいにすごいしっかりした組織になっていて、でも、それぞれが日本のお金で稼いだものを全部向こうで使うので、すごいんですよ、こっちの何千万なんて、向こうの何十億ですから。

 だから、そういったビジネスも含めて、いい悪いは別としてですよ、どういうビジネスをやっているか分からないけれども、まともなビジネスをやっているという前提に立つと、ナイジェリアとの関係を強化するという上での租税条約の締結には是非御尽力をいただきたいなと改めてお願いを申し上げます。

 この租税条約のところの最後の質問になるんですけれども、御案内のように、ウクライナは退避勧告が今出て、レベル4の状態です。この勧告の解除の見通しも、御案内のように、今立っていないですよね。特に、ばんばんまだミサイルが飛んできていますけれども。こういった国と租税条約を結ぶことについての意義づけについて教えていただけますでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ウクライナですけれども、そもそもウクライナは世界有数の農業国で、天然資源に恵まれ、高い経済的潜在能力を有していることから、これまで商社やメーカー等の日本企業が進出してきております。そういった緊密化する両国間の経済関係を踏まえて、ウクライナとの間で新たな条約として締結するために、今般、交渉を行い、租税条約の署名に至ったという経緯がございます。

 一方で、委員御指摘のとおり、ロシアによるウクライナへの攻撃、これは今も継続しております。ウクライナ全土に対する退避勧告を維持されているところですが、我が国としては、国際社会とともに現地情勢に留意しつつ、日本としては、官民一体となって長期にわたるウクライナの復旧復興を後押ししていく考えでおります。

 したがいまして、この条約が締結されることによって、二重課税の除去ですとか脱税及び租税回避への対処を通じて、日・ウクライナ間での健全な投資、経済交流の促進が見込まれ、あるいはそのための環境整備を行って、ひいては、官民が連携してウクライナの復旧復興を後押ししていくということが期待されているところでございます。

鈴木(庸)委員 先日も、ウクライナの国会議員団がうちの野田代表と会ったときに私も同席させていただいたんですけれども、よくウクライナの国内から聞くのは、突然、お金持ちになった人が今物すごく増えてきていると。汚職担当の委員長の方もいらっしゃったので、ちょっと雰囲気を壊すかなとも思ったんですけれども、とにかくちゃんと日本のお金がウクライナの困っている人のところに行き渡るようにしてくださいということを申しました。

 なかなかああいう難しい国なので、是非この租税条約で、今三十八社ですか、ウクライナに行っている会社がこれから多分増えてくると思うんですけれども、ビジネスがやりやすい状況を整えていただければと切に切にお願いを申し上げます。

 最後に、またちょっと毛色の変わる質問になるんですけれども、租税条約の締結によって当然ウクライナとの経済交流というのは加速することになるんですが、キーウ渡航の安全基準について伺わせてください。

 外務省さんのホームページを見ると、今、ウクライナはレベル4、退避してくださいということなんですけれども、そこにどういうことが書かれているかというと、ウクライナの復旧復興に寄与する企業、団体の取組等として、真にやむを得ない事情でキーウ州キーウ市に渡航する必要があると考える場合には、渡航の必要性、緊急性、所属企業や団体等の指示に基づく組織としての必要かつ十分な安全対策を準備した上で、渡航の二週間前までに、外務省窓口に相談してください。

 その際、当該渡航の必要性やリスク回避のための安全対策に関する情報として、渡航目的、必要性及び緊急性、渡航日程、必要最小限の渡航期間、渡航者情報、連絡先、キーウ市までの移動手段、具体的な安全対策、括弧、シェルター等を備えた安全な宿舎の確保、信頼できる警備会社の手配する安全な車両による移動、警備員の同行は必須、こうしたことを記載した渡航計画を提出するとともに、治安等の変化に係る渡航中止や退避の勧告には必ず従ってくださいということになっています。

 私も、いろいろ外務省さんには御迷惑をおかけいたしましたが、二年前に一人でキーウに入りました。そのときに思ったのは、まず、ロシアによる拉致の危険性があると思ったので、イビスホテルとか、入口に銃を持った警備員が立っているところのホテルにしようと。

 ミサイルが飛んできて、落下物が多分最大の危険であると思うんですよね。ですから、ここまで二週間前にやって、シェルターはどこにある、何をやる、何をやるというのは、警護員までつけるというのは、治安自体は安定しているので、ちょっとやり過ぎかな。

 今何が起きているかというと、ウクライナ、キーウに長期間行く企業とか役所、役所の名前はあえて申し上げませんけれども、先日も二十五人単位で行っておられましたよね、ある役所が。ポーランドでチケットから何から全部買って、民間の警備会社的なところにお願いして、そこからキーウに行く、戻ってくるところまで。これは物すごいお金がかかるわけですよね。物すごいお金がかかって、かつ、ぱっとしたコミュニケーションも取れなくなってくる。これは、緩和する時期に来ているのではないのかな。

 ですから、正直、上からおっこちてくるもの、これは危ないです。でも、それならば、例えばキーウ市内のシェルターのマップなんて、こんなものは簡単に作れるわけですから、どこのお店も基本的に警報が鳴ったら入れてくれるところが多いわけですから、そこにぱっと入るようなものだけを用意しておいて、ここまで全体的にがちがちに固めてやるというのは三十八社の皆さんが大変なんじゃないかなというのもあるし、一部からはそういった愚痴も出ておりますが、この辺についての外務省さんの見解を教えてください。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 ロシアによるウクライナ侵略が開始されてから三年以上が経過しております。残念ながら、引き続き戦闘は継続しております。こういった状況から、ウクライナ全土に対する退避勧告、これは維持しているところでございます。

 委員御指摘のとおり、キーウの市内、そこに毎日のようにミサイルが飛んできているわけではございません。ただ、一方で、特に現在は、アメリカ、ロシア、ウクライナあるいは欧州といった国々が和平、平和の実現に向けた様々な外交交渉を行っているところでありまして、戦況がどのように変わるのか、全く予断を持って判断できないといった状況でもございます。

 そういった中で、この現在取っている措置は、ウクライナ全土に対する退避勧告は維持するということを前提としつつ、ウクライナの復旧復興のために関与が不可欠な民間企業や団体の方々がキーウ市に渡航する場合には、その必要性について、真にやむを得ない事情で渡航する必要があると判断する場合、あるいは十分な警護をつける場合等々の条件をつけて、危険情報の内容の一部という形で、具体的な安全対策として発表しているものでございます。

 これは今後も同じ内容でずっと続けるという類いのものではございませんですし、委員御指摘のとおり、様々な声は、我々も実際に現地に渡航した、あるいはしようとしている企業の方から聞いております。そういった具体的な企業のニーズ、あるいは現地の安全、治安状況、これを踏まえながら、今後も不断に見直しをしていきたいと考えております。

 以上です。

鈴木(庸)委員 これは阪口先生とかお詳しいところだと思うんですけれども、戦場によって、外国人が狙われる戦場と外国人とは関係ない戦場で、典型的な外国人に関係ない戦場だと思うんですね。ですから、警護員をどこまでつける必要があるのかというところが一点、論点としてあると思います。

 済みません、ちょっと時間もなくなってきたんですけれども、是非、今後の交流を進めていく上でも、ウクライナの渡航の緩和ということについては御検討をいただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

堀内委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会の杉本和巳であります。

 広瀬議員も言われましたけれども、まずもって、日本維新の会としては、ミャンマーのマグニチュード七・七の地震、被災されたミャンマーの方々、タイの方々、亡くなられた方々の御冥福と、被災されている方々へのお見舞いを心から申し上げたく存じます。

 それで、今日は、租税条約がウクライナ、トルクメニスタン、アルメニア、そして経済連携協定がインドネシアということでございますけれども、我が党としては特段承認を否とするようなことはございませんので、さきの機会にできなかった質問を、質疑をさせていただきたいというふうに思っております。

 私、先般、地球を俯瞰する外交と言ってしまったのかもしれない、よく間違えるんですけれども、やはり地球儀を俯瞰する外交ということで、茂木大臣のときなんかも、たしか結構直された記憶がございますが、小熊さんからもよく注意されるんですけれども、地球儀を俯瞰する外交という中で、アフリカなどを中心に、岩屋大臣に幾つか質問をさせていただき、また、政府参考人の方にも御回答をいただきたいなというふうに思っております。

 また、今もアルメニアが、紛争があったりとかという過去がありますけれども、やはり平和を希求する外交というんですか、平和外交というものが我が国には求められているのかなというふうに思っております。

 それで、私は、万博もいよいよ二週間以内に近づいてくる中で、先般も申し上げたかもしれないんですけれども、各国大使館をお訪ねして、大使並びに公使にお会いしたりして、正直に申し上げて、三十秒、一分のショートインタビューを撮って、そちらの国のパビリオンの宣伝をしていただきたいというような、コメントを頂戴しています。

 そんな中で一番印象に残ったのが、実はサンマリノ大使でいらっしゃいまして、サンマリノ大使は今八十一歳であられます。お名前がマンリオ・カデロ大使閣下なんですけれども、平成の天皇陛下が在位三十年のときに国立劇場で在位三十年の祝賀の儀がありましたけれども、その際にサンマリノの大使が一番最初に登壇なさりました。なぜなのかなと思ったら、各国大使というのは、歴任の長さに応じてその順番みたいなものがあって、今はもうさすがに長過ぎちゃったので、退任して、アフリカの方がトップをやっているということをそのマンリオ・カデロ大使から伺いました。

 マンリオ・カデロ大使が言われたその三十秒のメッセージで一番彼が強調したのは、とにかく平和をつくっていかなきゃいけないんだ、それを私はつくづく感じているというお話をされました。

 君、杉本さん、何か国、今紛争が起きているか知っているかということで、当時なので正確ではないかもしれないんですが、私の意識は、ウクライナの侵略とそれからガザの侵攻というような二つしか頭の中にはなかったのが率直なところなんですけれども、二十七か所紛争があると。これは内戦などもあって、この後質問させていただく、イエメンなんかも内戦とかフーシ派の問題とかがあると思いますけれども、各国では引き続き内戦も含めて行われているということです。

 冒頭、お見舞い、御冥福をお祈りすると申し上げたミャンマーも、残念ですけれども、空爆が引き続きミャンマー国軍によって行われ続けている、被災地に対して。それで、BBCでは七名という数字が出てきましたし、ほか、十六名だったか三十名だったか、ロイター等も報じていますけれども、引き続き内戦がミャンマーでも行われている、この被災している事態でもそういう状況にあるということは誠に残念でならないということを皆様にも申し上げたく存じます。

 それで、いろいろ申し上げて恐縮なんですが、ちょっとウクライナについても、私のたまたまの御縁で、ラーメン屋さんに並んでいたんですね、文京区の人気のあるラーメン屋さんに。そうしたら、前に外国の方がいて、ロシア人かと思ったんです。二人、若い学生がいまして。それで、ちょっと話をしてみました。そうしたら、僕らはウクライナ人です、東大に勉強に来ていますというお話をされました。

 ちょっと余談になっちゃうんですけれども、私は、ゴルバチョフ大統領閣下、もう亡くなられましたけれども、大好きなんだというお話をしたところ、彼らは、いや、我々は、ウクライナとしては、プーチンさんはもちろん嫌いだけれども、ゴルビーも実はそんなに好きじゃないと。なぜかといえば、やはりチェルノブイリのことを我々にきちっと伝えなかったからだということを言われました。

 問題意識が違うんだなと。私は、恐らくゴルビーの場合は、当時のソ連の中での情報管制という中で、大統領閣下に情報が上がるのが遅かったんじゃないかな、あるいは、かなりずっと遅い段階で聞かされて、当時、避難をしろという指示を出せなかったんじゃないかな、そんなようなことを思っております。

 それで、岩屋大臣はもう御存じかもしれないですが、ちょっとロシアの状況というか、今後のロシアを見通す場合に、ウクライナの方々は今被害を受けているわけでありますけれども、ロシアの方々も結構、優秀な方々と言ったら御無礼かもしれないですが、かなりロシア国を離れているということで。

 大分、一年半ぐらい前になっちゃって恐縮なんですけれども、ドバイに行った際に、かなりのロシア人の優秀な若い人に会いました。ドバイの海岸線沿いにもう住んでいるんですね。もう住んでいて、それで安定を求めているということもありますし、報道等でも、若いカップルがアルゼンチンに逃避というか避難されて、新しい家庭を築かれているというようなことで。

 ロシアは軍事経済下にあって、経済成長著しいけれどもインフレも激しい。しかし、その一方で、本当の人材という意味では、大分抜け出しちゃっている人がいるというようなのが現状ではないかなというふうに私は拝察させていただいております。

 ちょっとそんな余談を申し上げつつ、我々は平和を希求する国家として、普遍的価値、先般申し上げましたけれども、法の支配等を中心に、各国にとにかく平和を求めていくことをお願いしたいと思っています。

 先ほどもちらっと大臣はおっしゃっておられましたけれども、まずTICADについて、トーキョー・インターナショナル・カンファレンス・オン・アフリカン、これの第九回会合が八月二十日から二十二日に横浜で開催されるという予定でございます。

 このTICADに対して、先ほど大臣は、五〇%以上が二十五歳以下の若い大陸であるというお言葉をおっしゃられましたけれども、このアフリカ、TICADに対する、特に第九回の今年のTICADについての思いを伺えればと思っております。お願いします。

岩屋国務大臣 冒頭、委員には、様々多岐にわたって興味深いお話を聞かせていただいて、ありがとうございました。

 TICADですが、これは一九九三年に我が国が主導して立ち上げた枠組みですが、三十年以上にわたって、アフリカ自らが主導する開発を支援していく、オーナーシップとパートナーシップということをうたって取り組んでまいりました。

 今般の、八月の横浜で開催するTICAD9、もう三十年という大きな節目というか区切りでもありますし、この次はTICAD10ということになりますので、この三十年をある意味で総括して、また次に向かっていく、そういう節目のTICAD9になるというふうに思っております。

 先般、私、週末にアフリカの各地域を代表する大使の皆さんと懇談をさせていただく機会を得ました。そこでは、例えばAIなどについても、非常に、全ての大使の皆さんが高い、強い関心を持っておられるということを、そのときに認識を改めてさせていただきました。

 こういう、今度のTICAD9では、最先端技術、日本が様々優位性を持っている技術を用いて、廃棄物のリサイクルとか、あるいはエネルギー転換とか、そういうことのノウハウを活用して、それぞれの課題の解決を具体的に共につくり上げる機会、そういう議論の場にしたいというふうに考えております。

 アフリカ諸国を含む様々なステークホルダーが集まってきますが、そことも協力をしながら、来るTICAD9の成功に向けて準備をしっかりと進めて、成果を出せるようにしていきたいと考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 AIのお話とかリサイクルとか、教えていただきました。ありがとうございます。

 たまたま感じちゃったんですけれども、万博の日本館は、そういった資源循環というか、まさしくその実験場みたいな形で、ごみから水、水から資源へみたいなものでございますので、御覧になったかもしれないんですけれども、是非、各国大使にも日本館を、万博をお訪ねいただき見ていただくということは、改めて私は大切なことかなというふうに思いました。

 大臣はもうお目にかかられているかもしれないんですけれども、次に、アンゴラの大使にお会いしたときのお話を含めて、ちょっとアンゴラについてお伺いをしたいと思いますし、お答えは政府参考人からいただいて、最後に大臣から感想めいたお言葉をいただければというふうに思っています。

 アンゴラは、最近CNNを見ていますと、CNNでコマーシャルを流しているんですね。アンゴラは観光の名地です、いいところなんですよみたいな。というようなことで、独立五十年、一九七五年の十一月十一日が独立記念日のようでございます。

 危険レベルをちょっと確認すると、全域がレベル1で、レベル2の地域があるというようなことだとか、ロシアのカリーニングラードみたいな飛び地を持っているんですね、このアンゴラというのは。北西の地域でカビンダ州というのがあって、コンゴ共和国とコンゴ民主共和国に囲まれた地域が、全体として見ると小さな地域、ポーションとしては少ないんですけれども、そういった地域もあられます。

 それで、アンゴラとの外交の状況とか我が国の支援の状況を政府参考人に伺いたいんですけれども、併せて申し上げておきたいのは、大使閣下からは、大使のお名前はテオドリンダ・ローザ・ロドリゲス・コエーリョ駐日大使でいらっしゃいますけれども、大使からは、当時の西村経産大臣がアンゴラ国をお訪ねくださったんだ、非常にありがたかったというお話をされておりました。

 何か近々、南部の方の海岸、まあ、もちろん港なので海岸線なんですけれども、修理をしていたナミベ港が、修理が完工するような予定がある。是非、岩屋外務大臣に、日程が合えばというか、いろいろスケジュール、本当に忙しいと思うんですけれども、アフリカに目を配っていただいて、このアンゴラのナミベ港の修繕の完了式みたいなところにお運びいただけないかというお言葉がありました。

 まずは、政府参考人から、アンゴラとの関係、現況をお話しいただき、その後、大臣から、感想を含めて、訪問の可能性などについてもお話しいただければと思います。

村上政府参考人 お答えいたします。

 アンゴラは、サブサハラ・アフリカ地域において有数の経済規模を有するとともに、アフリカ屈指の産油量と豊富な鉱物資源を背景に高い潜在成長力を有しています。昨年七月に日・アンゴラ投資協定が発効するなど、経済関係を含め、日・アンゴラ関係は着実に進展しています。

 また、アンゴラは、本年二月に、AU、アフリカ連合議長国に就任しており、本年八月に横浜で開催するTICAD9では、日本とともに共同議長国を務めることになります。

 また、本年二月のG20外相会合の機会には、日・アンゴラ外相会談も行われました。その場では、TICAD9も見据えて、二国間関係を一層強化し、国際社会の諸課題に対し、引き続き緊密に連携していく旨を確認したところです。

 経済協力ですが、アンゴラ経済は依然として石油に依存し、産業発展に資する人材及び資金が不足しています。また、過去の内戦の影響により、地雷除去もアンゴラにおける開発課題となっています。このような状況を受け、我が国はアンゴラに対し、産業多角化のための経済インフラ整備、技術協力を通じた人材育成、地雷除去などの支援を行ってきております。

 政府として、引き続き、アンゴラに対する経済協力を通じて、同国の経済発展を後押ししつつ、両国関係を発展させていく考えです。

岩屋国務大臣 アンゴラとの二国間関係は今説明させていただいたとおりでございますが、先般の二月のG20ですね、アフリカにおいて初めてG20外相会合が開かれたということで、その機会に、私もアンゴラの外務大臣とバイの会談を行ってまいりました。

 というのも、今も説明させていただいたとおり、AUの議長国に就任をした、したがって、TICAD9では我々と共同議長を務めていただくということになりますので、その重要性にも鑑みて二国間会談をさせていただいたところでございます。

 委員が紹介されました港湾開発事業ですけれども、ナミベ港ですね、ここは、我が方でいうと、もちろん、これは非ODAでJBICが絡んでいるわけですが、豊田通商及び東亜建設工業といった日本の企業が中心に開発を進めているプロジェクトでございます。この秋ぐらいに竣工式を開催予定であると理解をしておりますが、この段階で誰が出席するかはまだ定まっておりませんが、いずれにしても、アンゴラにも、私も機会を得て是非訪問させていただきたいと思っております。

杉本委員 ありがとうございました。

 明確なお答えは当然いただけないのは分かっているんですけれども、頭の中のどこかにしっかりと刻み込んでおいていただくと、日本の駐在の大使閣下も大変喜んでくださるのではないかなというふうにも思います。

 今、政府参考人の方からは地雷除去のお話がございましたが、本当に、内戦を経ている国というのは、この間もカンボジアの大使にも言われたんですけれども、やはり地雷除去というのは多くの国で抱えた問題で、日本が助け船を出せるというか、お役に立てる部分は大きいと思いますので、アンゴラを始め、内戦をしている国に目を配っていただいて、日本ができることがないかどうか、外務省も是非、御活躍というか、そういう点に力点を置いていただければというふうに思っております。

 次に、また、このアフリカの中で、アンゴラも政治的安定が出たからこそ、今度、アフリカ・ユニオンの議長国というか、それで共同議長をTICADでやっていただけるということなので。日本もそうですけれども、どこの国も政治的安定が非常に大事だというふうに外交上は感じています。政権交代はあっていいとは思いますけれども、とにかく紛争があったり内戦があったりしてはいけないということの中で、アフリカの優等生というか、タンザニアという国はかなり安定的な国でいらっしゃるなと思っています。

 タンザニアの大使、バラカ・ハラン・ルバンダ大使閣下にお会いしましたけれども、お話で非常に興味を持ったのは、是非タンザニアに投資してくださいというふうにおっしゃっているのかなと思って聞いていたんですけれども、そうじゃなくて、タンザニアが日本に投資したいんだ、こういうようなコメントをおっしゃっていたように、私の聞き違いじゃなければなんですけれども、そういうお言葉まであったので、ああ、世の中というのは変わってきているんだなという印象を受けながら、タンザニアの大使にはお会いしました。

 それで、やはり危険情報を確認すると、レベル1の地域があり、ただ、レベル3のところがブルンジだと思うんですけれども、北西の辺りの国境線の辺りがレベル3という状況になっているという治安状況かというふうに拝察していますけれども、このタンザニアについて、外交の状況、日本国からの支援の状況、逆に、向こうから投資があれば、そんなこともあれば教えていただければと思います。お願いします。

村上政府参考人 お答えいたします。

 タンザニアは、六千五百万人を超える人口を有し、農業や製造業等が順調に伸び、高い成長力を有しています。

 昨年五月の辻外務副大臣によるタンザニア訪問、同八月のTICAD閣僚会合の際のチュミ外務・東アフリカ副大臣による訪日を始め、ハイレベルの往来を通じ、両国の関係は一層緊密になっております。

 また、タンザニアは、日本企業の東アフリカ進出に向けた拠点の一つであり、本年一月には、藤井外務副大臣を団長とするアフリカ貿易・投資促進官民合同ミッションが訪問しました。その機会に、藤井副大臣は、マジャリワ首相に表敬するとともに、チュミ副大臣とも面会し、TICAD9を見据えて、二国間関係及び国際場裏における協力を強化していく旨を確認したところです。

 経済協力ですが、タンザニアには、高い貧困率、膨大な社会インフラへのニーズ、増加する若年層の雇用や都市部への人口集中等の課題が存在し、同国政府は国家開発計画に基づき産業化に取り組んでいます。このような状況を受け、我が国はタンザニアに対し、これまで、基盤インフラ、農業、漁業、保健、教育等の多岐にわたる分野で支援を行ってきています。

 政府として、引き続き、タンザニアに対する経済協力を通じて、同国の安定的な経済成長を後押ししつつ、二国間関係を強化していく考えであります。

杉本委員 ありがとうございます。

 とにかく、アフリカ、ルック・アフリカで、是非TICAD大成功を期待しております。

 ちょっと時間がなくなってきたので、次に、国交省の参考人の方に来ていただいているので、そっちの方に質問を移したいと思うんですが。

 トルコの大使は、エルトゥールル号という船がありましたけれども、今、大使の名前がエルトゥールルさんなんですね。

 これはちょっと事実確認だけなんですけれども、今、トルコとの民間航空機の離発着の状況というのは週二十一便というふうに私は伺っていたんですが、どうやらANAの三便か何かが増えて、増便されたようでございまして、大使閣下はちょっと増やしてほしいみたいな感じで言っておられたんですけれども、逆に、民間航空機の、日本と、イスタンブールを中心とするトルコとの行き来というのはもう増えている状況にあるのかどうか。

 南回りとあと北極回りしか今ヨーロッパに行けませんけれども、重要なルートとして、トルコ経由というのはあっていいともヨーロッパに対しては思っていますので、この状況をちょっと教えていただければと思います。

中山政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国とトルコとの間では、現在、本邦航空企業が羽田とイスタンブールの間に週三便、トルコの航空企業がイスタンブールと羽田、成田及び関空の各空港との間にそれぞれ週七便の定期便を運航しております。これらを合わせますと、我が国とトルコとの間の定期便は現在合計週二十四便の運航となっております。新型コロナウイルス感染症拡大前の二〇一九年は週七便でございましたので、それと比較いたしますと、約三・四倍と大幅に増加した格好となっております。

 国土交通省としましても、今後とも引き続き両国間の人的交流の促進に資するよう、後押ししてまいりたいと考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 続いて、また国交省さんにお伺いしたいのは、イエメンのフーシ派空爆とかをアメリカが予定していたりとか、いろいろありますけれども、今、紅海とかスエズ運河の通航の安全度というのはどうなっているのか。何か喜望峰をほとんど回らなきゃいけないみたいに聞いていますけれども、引き続き、この中東というか、紅海、スエズ運河というのは運航しにくい状況にあるのかどうかも確認させていただきたいんですが、お願いします。

舟本政府参考人 お答え申し上げます。

 紅海、アデン湾の海域におきましては、ホーシー派による民間船舶への攻撃が二〇二三年十一月以降相次いだことによりまして、国内外の多くの海運会社が当該海域の航行を停止いたしまして、喜望峰回りの航行をしている状況にございます。

 まず、日本の外航海運会社でございますけれども、この外航海運会社が運航している船舶につきましては、今も引き続きこの海域の航行をしていない、このように聞いておるところでございます。

 また、世界を見ますと、本年一月一日から三月十六日までの間に、この海域に通じますスエズ運河を通航した隻数につきましては、事案発生前の二〇二三年時点との同期比で約五五%減の通航量となっているところでございます。

杉本委員 ありがとうございました。

 時間となりました。ラオスについては、また別途機会を持って質問させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

堀内委員長 次に、深作ヘスス君。

深作委員 国民民主党・無所属クラブ、深作ヘススです。

 私も冒頭、まずはミャンマーについて少し触れたいと思います。

 大変甚大な被害が出ており、今も多くの被害者、この被害の数が増えている状況です。昨晩には日本からも医療支援チームが既に出発をしたということで、積極的に政府におかれましては支援に向けて動いていただきたいということを申し上げますとともに、こういった災害支援は、どうしても局所的な、大きな被害を受けたところに支援が集中しがちであるということもございます。

 昨日、大臣の記者会見の中でも、JICAが、これから、どういった被害がどこで起きているのか、どういったニーズがあるのかを調査をされるということがありましたが、この現地の調査だけではなく、各国、各支援団体がどういったところに手を出そうとしているのか、これを見ていただくことで、どこに空白地点があって、その中で私たち日本が担えるところがどこにあるのか、こういった視点も持って是非支援に当たっていただければと思います。

 そして、本日は、この租税条約等、条約の審議でございますが、既に様々な委員からの御指摘の中で明らかになってきたところもございますが、私からは、この租税条約についてまず冒頭お伺いをしたいと思います。

 今回、この租税条約批准に向けて、私も調査をしたところ、今、現時点で署名済みの租税条約、八十二の国と地域と署名を行っています。そのうち、まだ批准をしていない、未発効となっているものが今回の三件、そしてアルゼンチンの一か国であるというふうに承知をしております。

 先ほど広瀬委員から、なぜこのタイミングで、再度これを検討するタイミングとなったのかという質問がありましたが、なぜこのタイミングというのは、私は二パターンあると思っています。それこそソ連の時代からのものを、なぜ今のタイミングで再びこれを見直すことになったのかということと、鈴木委員から御指摘があったように、ウクライナにおいてはこういった戦闘が行われている状況で、なぜ今このタイミングで行われたのか。

 特に、私、後段について、なぜこういった状況下で改めてウクライナとの条約を結ぶということで動いたのか、この背景について、改めてお聞かせをいただければと思います。

岩屋国務大臣 まず冒頭、委員がお触れになったミャンマーについては、御指摘を参考にさせていただいて、各関係国際機関でありますとか支援団体等の情報も集めて、適切な我が国の支援ができるように努力してまいりたいと思います。

 それから、お尋ねのウクライナについてですが、ウクライナは、残念ながら、今なおロシアによる侵略が継続しているさなかにあるわけですけれども、もとより世界有数の農業国でございますし、天然資源にも恵まれており、高い経済的潜在能力を有しております。これまでも我が国の商社、メーカー等、日系企業も進出をしております。

 このように緊密化する両国間の経済関係を踏まえまして、日ソ租税条約の内容を全面的に改正してウクライナとの間で新たな条約として締結するために、二〇二一年三月から政府間交渉を開始をしておりまして、二〇二四年の二月十九日に東京で開催された日・ウクライナ経済復興推進会議の機会を捉えて、本条約の署名に至ったという経緯でございました。

 我が国は、ウクライナ侵略開始後、国際社会と足並みをそろえてウクライナ支援を推進してきておりますが、二重課税の除去及び脱税、租税回避の防止を目的とする本条約の締結によりまして、日・ウクライナ間での健全な投資、経済交流の促進に資する法的インフラが整備されることになります。

 私も、就任直後にウクライナに行きましたが、戦争を早く終結して平和を回復するということはもとより、やはり復旧復興が何より大事だ、経済の再生が大事だということを本当に大統領始め要人の皆さんがおっしゃっておられました。今般のこの日本との条約がウクライナの復旧復興にも重要な役割を果たすということを期待しているところでございます。

深作委員 ありがとうございます。

 今回、この租税条約、改めて私も見てみるところ、締結をしている国の中で、輸出入、日本との経済的な交流がどれだけ多くあるのかというのを調べてみたところ、ウクライナであれば七百七十七億円相当、そしてアルメニアが百億円、そしてトルクメニスタンが五十六億円程度ということで、今の時点で多くの経済交流があるわけではないけれども、先ほど北川欧州局長がおっしゃられたように、これはインフラなのである、将来的な二国間関係を、より活発に経済交流ができるようにしていくためのインフラであるということで御答弁がありまして、そのような形でほかの国々とも結んでいくということを私たちとしても後押しをしていくべきではないかなと思っております。

 他方で、先ほど鈴木委員からも少し御指摘があったんですが、日ウ租税条約の第三条一項の(b)の中に、全ての領域及び領海の外側に位置する水域ということが定義をされています。

 現状、この中で、先ほどの答弁の中では、いわゆるクリミア以前というところが定義になってくるのかなと思ったんですが、改めて、ここについて大臣からお聞かせいただけますでしょうか。

岩屋国務大臣 本条約の第三条一項(b)が規定する「全ての領域」とは、ウクライナが国際法上、本条約の対象税目の課税権を行使し得る区域から領海の外側に位置する水域を除いた区域、すなわち、クリミアを含むウクライナ全土を指すと認識をしております。その上で、我が国としては、クリミアを含めたウクライナの主権及び領土の一体性をこれまで一貫して支持してきております。

 また、ここに言う「領海の外側に位置する水域」とは、国際法上、ウクライナの主権的権利又は管轄権の行使が認められる排他的経済水域及び大陸棚を指すと認識をしております。

深作委員 その中で、現時点においてはそれが定義であるということは承知をいたしました。

 他方で、今、停戦合意などが行われている中で、将来的に、国の形、地域の在り方というのが変わってきたときに、これがどのように、何を基準として定義をされていくのか。それは、ウクライナが主張する主権の範囲で、それを私たちが追認をする形なのか。そこの根拠というのをどこに今後持っていくのか、そこについてお考えがあれば教えてください。

岩屋国務大臣 難しい御質問ですが、事態は今なお進行中でございますので、断定的なことを申し上げることは控えたいと思いますが、同地域をロシアが違法に併合している状況下においては、ウクライナが同地域において本条約上の義務を履行できない場合、その違法性は阻却され得ると考えられます。

 ただ、先ほども申し上げたように、我が国は、まさにクリミアを含むウクライナの主権、領土の一体性というのを一貫して支持してきておるところでございますので、いわば、まだ仮定の質問についてはお答えは控えさせていただきたいと思います。

深作委員 現状において、こういった紛争が起きている中でこれを日本が定義をすることは大変難しいと思いますし、それをなかなか政府に言っていただくというのは厳しいことは重々承知をしていますが、法律だけではなく条約も、様々想定し得る空白であったり抜け穴が起きたときに、それをどうやって定義していくのかということは、事前にある程度考えておく必要があるのではないかと思っております。

 ただ、これが、現状、いろいろなことが動いている状況ではありますので、都度都度、やはりウクライナとの条約関係ですので、ウクライナがどのように主権を主張しているのか、そういったことに従って、私たちがこの条約はどこに適用していくのかということを考えていただければと思っています。

 今回、今日、今夜から大臣が外相会談に出られるということで、それに関連した質問をさせていただきます。

 昨日の外務大臣の記者会見でもう既に表明がありましたが、今回のG7、NATO外相会談の中では、日米韓なども行われるということで理解をしております。基本的には、G7、NATOとの外相会談であるということは承知をしておりますが、この会談でどのような成果を求めることを考えて今回御出張になられるのか、改めて大臣の御決意をお聞かせいただければと思います。

岩屋国務大臣 御指摘のとおり、お許しをいただいて、今夜出発して、ブリュッセルでのNATO外相会合に出席をする予定でございます。

 今度のNATO外相会合に日本が出るのは、外務大臣が出るのは四年連続ということになりますけれども、インド太平洋のパートナー、IP4ですね、日本、韓国、ニュージーランド、オーストラリア、このセッションに参加をして、ロシアのウクライナ侵略を含む力による一方的な現状変更の試みへの対応について、あるいは、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化について議論をする予定でございます。

 私としては、やはり、今や、大西洋、欧州と、インド太平洋の安全保障はまさに密接に連関をしているという観点から、しっかりと問題意識を打ち込んでいきたいというふうに思っているところでございます。

 日・NATOあるいはNATOプラスIP4間の地域を超えた協力の更なる推進を目指して議論に参画をしていきたい、そして、そこに集まってくるカウンターパートともできるだけ会談を行って、また、認識を共有させていきたい、日米韓の外相会合も開催をしたいというふうに思っております。

深作委員 ありがとうございます。

 本当に、大変強行日程であられると思います。くれぐれも体調にお気をつけていただければと思います。

 他方で、今大臣がおっしゃられたように、様々なことを打ち込んでいくいい機会であるとも考えております。やはり、今回のNATOは、多くの時間をロシアに割く、又は、核の抑止をどのように働かせていくのか、アメリカの不安定性も含めて、こういったことに時間が割かれていくのだと想定をしております。

 他方で、このNATOの行動指針ともなる戦略概念、ストラテジックコンセプト、これはおおむね十年ごとに更新をされていますが、二〇二二年において、我々の利益、安全、価値観への挑戦として中国が挙げられています。その前の二〇一〇年のタイミングでは中国について明確な言及がなかったものの、実は、NATOの中国に対する見方というのは揺らぎが出ているように、常に揺らいでいるように感じております。

 例えば、二〇一九年にほぼ初めて、中国という言葉はこれまで出てきているんですが、二〇一九年に、影響力の増大を懸念をするという表現から始まって、実は、その翌年には、中国を融和的国家として評価をするという表現を使っています。これは、アデン湾の海賊対策パトロールなどに中国が参画をしたということで言っていながらも、その翌年には、中国は国際的秩序の脅威であるというような表現をして、NATOは中国との向き合い方というのを常に模索するといいますか、これが脅威であるのかということを、揺らぎがあるようにも感じております。

 今回、特にこの会合の中で、ロシアそしてアメリカの動きなどが注目をされる中で、中国に対する脅威、IP4という枠組みもありますし、私たちが脅威である又は挑戦的であるというものに対して、しっかりと大臣からは打ち込みを是非していただきたいと思っておりますが、この点に関して、大臣の御認識、御見解があればお聞かせください。

岩屋国務大臣 ただいま委員が御指摘されたように、NATOは二〇二二年六月に、NATOの戦略文書である戦略概念を発出しておりまして、その中で中国に初めて言及しております。また、欧州大西洋の安全保障に対する体制上の挑戦と表現をしたわけでございます。

 NATOが中国をどう評価しているか、記述しているかということについて、我が国としてコメントすることは控えたいというふうに思いますけれども、それだけ、NATOも元々は欧州の安全保障の枠組みでしたけれども、やはりインド太平洋の安全保障とも欧州はもう密接不可分にあるという認識、問題意識を持ってきていただいているんだと思いますし、そこを私どもは共有をさせていただいているところでございます。

 名指しで申し上げるというよりも、やはり世界のどこであっても、力による現状変更は許されない。残念なことに、インド太平洋においてそういうことがかいま見られるということについてはしっかりと申し上げて、是非認識を共有していただきたいというふうに思っております。

深作委員 ありがとうございます。

 注目がアメリカやロシアに向かっていく中で、中国に対しての空白を起こしてはいけない。やはり歴史を見ても、空白が起きたところに、そこにしっかりと手当てができているかということは大変重要だと思いますので、問題意識として、大臣がおっしゃられるような打ち込みということは重要だと思いますので、様々な場面でこういった認識を打ち込んでいただきたいと思います。

 そして、最後に、もう一点、最近アメリカで行われましたシグナルアプリに関して、時間が大変少なくなりましたので、少しだけ触れさせていただきたいと思います。

 シグナルアプリというものを使って、マイク・ウォルツ国家安全保障担当大統領補佐官だけではなく、国防長官、CIA長官、ホワイトハウス首席補佐官、そして私の元上司でもあった国家情報長官などがやり取りをして、具体的な他国への攻撃、これを行っていた、そこに記者が入っていたということで、これが表に出たということなんですが、これについて大臣に何かお伺いすることもございませんし、特に日本が言うことはないとは思ってはいるんですが、ただ、情報を扱う相手として少し不安があるというのは、私、正直感じたところではあります。

 他方で、日本における情報セキュリティーやハイレベルにおけるコミュニケーションがどのように行われているのか。時間も押し迫ってまいりましたが、どのような形でハイレベルの、そしてセキュアなコミュニケーションが行われているのか、これについて少し大臣からお答えいただければと思います。

岩屋国務大臣 外務省では、秘密保全に関する規則それから外務省サイバーセキュリティーポリシーというものにのっとりまして、情報保全を徹底しております。

 要機密情報は秘密区分に応じて取り扱っておりまして、機密性の高い情報については、公電システムを含め、インターネットから遮断された環境下でのみ通信するなど、厳格な情報管理を行ってきております。また、情報保全分野における訓練や研修、注意喚起などを行い、省員の意識啓発に努めているところでございます。

 御指摘の米国における事案に関しては、日本政府としてコメントする立場にはありませんが、いずれにしても、外務省としては、引き続き情報保全に万全を期していきたいと思います。

深作委員 時間が参りましたので、終わります。

 くれぐれもお気をつけて出張してきてください。

 ありがとうございました。

堀内委員長 次に、西園勝秀君。

西園委員 公明党の西園勝秀です。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まず、ミャンマーの大地震で、ミャンマーとタイで甚大な被害が発生しております。亡くなられた方々への御冥福をお祈りいたしますとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。日本政府におかれましては、被害が甚大なミャンマーへの最大の支援を講じてくださいますよう、お願いを申し上げます。

 質疑に入らせていただきます。

 なお、これまでの質問とかぶる部分があるかもしれませんが、御容赦いただければと存じます。

 まず初めに、日・インドネシア経済連携協定改正議定書について伺います。

 私は、国土交通省から出向し、JICAの専門家としてインドネシアに三年間勤務しておりました。赴任したのは二〇〇九年で、日本とインドネシアの経済連携協定、いわゆるEPAが二〇〇八年七月に発効してから約一年が経過した頃でした。ちょうどその時期、日本企業の投資が進み、雇用が創出され、インドネシア経済が活気に満ちているのを肌で感じてまいりました。

 私が駐在していた当時、ジャカルタ市内は世界一の渋滞都市と言われ、どこへ行くにも渋滞を避けられない状況でした。しかし、駐在期間に、EPAに基づく日本からの投資で地下鉄を含む都市鉄道のインフラ整備が始まり、私の帰国後に開通しました。数年後、出張でインドネシアを訪れた際、空港からジャカルタ市内までの都市鉄道の快適さに感動し、羨ましく思った次第です。

 一方で、ジャカルタからバンドンまでの高速鉄道整備事業は、日本側の提案は受け入れてもらえず、中国に受注されてしまいました。

 中国や韓国の進出が加速する中、今回のEPA改正によって、日本はインドネシアに対してどのように存在感を発揮していくことができるのでしょうか。日・インドネシア経済連携協定の改正の意義について、岩屋外務大臣の御見解をお聞かせください。

岩屋国務大臣 まさにインドネシアに勤務されたこともあるという、委員は専門家でいらっしゃいますので、是非御指導をよろしくお願いしたいと思います。

 日本にとって、インドネシアは長年にわたる友好国であるだけではなくて、民主主義などの基本的価値や原則を共有する戦略的パートナー、包括的な戦略的パートナーでもございます。また、ASEANにおいて最大の経済規模をインドネシアは有しておりまして、我が国にとって、輸出入の両面でASEAN最大の貿易相手国でもございます。かつ、重要なエネルギー供給国ともなっております。同国には約二千社の日系企業が進出しているなど、我が国にとって極めて重要な貿易、投資の相手国でございます。

 今回の本議定書は、二〇〇八年に発効した日・インドネシアEPAに関して、物品及びサービスの貿易に関する市場アクセスを改善し、並びに自然人の移動、電子商取引、知的財産等の幅広い分野のルールを一層整備することを通じて、更に経済関係の発展、強化を図るものでございます。

 今回の改正を通じまして、日本とインドネシアの二国間関係を更に緊密化させて、両国の連携を一層深めていく端緒にしたいというふうに考えております。

西園委員 御説明ありがとうございます。

 まさにアメリカの関税引上げで世界が戦々恐々とする中だからこそ、自国第一主義にとらわれない、EPAを始めとするグローバルな経済連携の重要性が一層高まっているのではないかというふうに感じております。

 では次に、本議定書における看護師、介護福祉士候補者の受入れ条件の改善について質問させていただきます。

 日本では、医療や介護の現場での人材不足が深刻な問題となっています。その意味では、日本での看護師、介護福祉士の国家資格取得を目指し、EPAに基づき来日してこられるインドネシアの方々は大変貴重なありがたい存在です。

 気になるのは、看護師候補者の受入れ人数が近年減り続けていることです。現行の日イEPAに基づく看護師候補者の受入れ者数は、毎年度の上限二百人に対して、受入れを開始した二〇〇八年度は百四人、二〇〇九年度は百七十三人でしたが、二〇二一年度から二三年度までの三年間は、八人、十六人、十六人と、上限より大幅に少なくなっています。

 また、せっかく来日しても、看護師、介護福祉士の国家試験に合格できず、帰国を余儀なくされている方が多いのも実態です。EPAで来日したインドネシアの候補者のうち、二〇二三年度の看護師試験には百三十人が受験し、残念ながら、合格者はゼロ人です。同年度の介護福祉士試験についても、百八十九人が受験し、合格者は僅か四十二人で、合格率は二二・二%でした。他方、同じくEPAに基づき来日するベトナムの候補者の場合、二〇二三年度の合格率が、看護師一六・四%、介護福祉士八六・四%と、インドネシアよりはるかに高くなっています。

 この背景に、日本語の研修期間の違いが指摘されています。ベトナムの候補者は、訪日前に十二か月の日本語研修を受け、日本語能力試験N3以上を取得することが要件として課されています。一方、インドネシアの候補者については、訪日前の日本語研修が六か月のみで、日本語能力試験は、N3よりも一つ下のN4以上、つまり、基本的な日本語を理解することができる程度を要件としています。

 ベトナムと同じ要件にすればインドネシアの候補者の合格率も上がると考えますが、政府の御見解をお聞かせ願います。

門脇政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、ベトナム人に比べ、インドネシア人の看護師、介護福祉士の候補者の国家試験の合格率が低い状況にあると承知しております。

 こうした状況を踏まえて、今回の改正では、滞在期間の上限を、看護師候補者については現行の三年から五年、介護福祉士候補者については現行の四年から五年に、それぞれ延長されます。これに伴い、国家試験を受験する機会も増加することになります。こういった滞在期間の延長、受験回数の増加が国家試験の合格者数の増加につながることが期待されているところでございます。

 また、日本語の研修、あるいは日本語の習得レベルについて御指摘がございました。

 日本語の研修期間につきましては、インドネシア人の看護師、介護福祉士候補者については、訪日前と訪日後、それぞれ六か月間、六か月間ということで日本語研修を実施しておりまして、全体としてはベトナム人の方々とほぼ同等に確保できているものとは考えております。

 また、日本語習得レベルの条件の引上げにつきましては、もし引き上げた場合には、現在訪日を希望されているインドネシア人の看護師、介護福祉士候補者の訪日の意欲に影響する可能性もちょっと念頭に置きながら、いずれにいたしましても、御指摘を踏まえつつ、今述べましたような点も留意しつつ、合格率向上、受入れ向上に向けて何ができるか、インドネシア政府側ともよく議論していきたいと考えております。

西園委員 御説明ありがとうございます。

 インドネシア候補者の合格率を上げるためにも、日本語研修の充実を是非よろしくお願いいたします。

 現在、介護人材の不足が深刻化しており、特に、訪問介護の現場は危機的な状況にございます。多くの事業所が経営難に陥り、倒産を余儀なくされるケースも増加しております。また、現場で働く介護職員は、人手不足の中で過重な負担を強いられ、心身共に疲弊し、離職を考える人も少なくありません。私も、地元静岡で訪問介護の事業所を運営されている複数の方々から悲痛なお声を伺っております。

 今後ますます高齢者が増加する中、このような状況が続けば、訪問介護サービスの提供が困難となり、支援を必要とする高齢者や障害をお持ちの方々が必要な介護を受けられなくなるおそれがあります。

 そこで、政府は、本年四月から、技能実習生、特定技能一号の外国人材による訪問介護サービスを認めるように要件を緩和しました。EPA介護福祉士候補者についても、送り出し国との調整が整えば訪問介護に従事できるようになります。これにより、これまで大変な思いをしながら介護現場を支えてくださっていた事業所を始め介護者の皆様にとって一筋の光明となることは間違いないと思います。

 しかし、日本と文化が大きく異なるインドネシアの方々が訪問介護の現場に立つ際には、受け入れる我々日本側も彼らの文化を尊重し、適切な配慮を行う必要がございます。

 例えば、左手は、トイレ使用後の洗浄に使われるため、不浄とされています。そのため、握手や物の受渡しを左手で行うことは礼儀に反すると考えられ、左手の握手は避けられます。日本では両手で名刺を受け取るのが一般的ですが、インドネシアでは、さきの理由で両手を使うのは御法度です。また、イスラム暦でラマダン月と呼ばれる約一か月間は日の出から日没まで断食を行い、食事や飲物を控える方も多くおられます。

 介護現場の人材不足が深刻化する中、日本で働き、支えてくださるインドネシアの方々の文化的背景を理解し、配慮することは、彼らが心身共に安心して働ける環境を整えることにつながります。それは日本側の責任であり、日本の努力が両国の信頼関係を深め、将来的にもインドネシアの方々を安定的に受け入れる基盤となっていくと確信いたします。

 これらの点も踏まえ、技能実習生、特定技能一号、EPA介護福祉士候補者に訪問介護サービスを担っていただくに当たり、リスク管理を含めた政府の対応についてお伺いをいたします。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 外国人介護人材の訪問系サービスの従事につきましては、訪問看護員等の人材不足の状況などを踏まえまして、厚生労働省の外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会など複数の場におきまして、介護の関係団体など様々な団体等の意見を聞きながら丁寧に議論を進め、技能実習生と特定技能外国人について本年四月から認めることとしたものでございます。

 その従事に当たりましては、初任者研修百三十時間の受講に加えまして、外国人職員について介護事業所等での実務経験が一年以上あることを原則とし、受入れ事業所に対しましては、利用者、家族の方へ事前に説明を行うとともに、同行訪問などのOJTの実施、ハラスメントの対策、それから、緊急時の対応が適切にできるようICTの活用を含めた環境整備などの遵守を求める、こういった要件を課しておりまして、御指摘のリスク管理の観点も踏まえた対応を行っていきたいというふうに考えております。

 加えまして、国といたしましても、人権保護の観点から、母国語で対応できる相談窓口につきまして、令和七年度からその体制をより強化しているというところでございまして、引き続き、外国人介護人材が働きやすい環境整備に努めてまいりたいと考えております。

西園委員 御説明ありがとうございます。

 母国語で相談できる窓口というのは、本当に大切だと思います。外国人介護人材が働きやすい環境づくりを是非よろしくお願いいたします。

 次に、日・ウクライナ租税条約について伺います。

 先ほどの委員の質問の中で、三十年以上たってなぜこの条約を結んだのかという話がございましたので、この点の質問は飛ばさせていただきまして、まさに日ロ租税条約の発効が二〇一八年であるということを考えれば、それから三年後の二〇二一年にウクライナとの交渉が開始されたということについては一定の理解ができると思います。

 この日・ウクライナ租税条約は、二〇二四年二月十九日、日・ウクライナ経済復興推進会議の開催に合わせて署名がなされました。また、同会議の基調講演で、岸田前総理は、官民一体でウクライナの復興に向けた取組を強化する方針を示されました。アメリカのトランプ政権誕生により難しい立場に置かれているウクライナにとって、本条約の発効は復興支援の一助となるのでしょうか。政府の御見解をお聞かせください。

岩屋国務大臣 ロシアによるウクライナ侵略開始後、我が国は、G7を始めとする国際社会と足並みをそろえまして、ウクライナ支援を推進してまいりました。ウクライナへの攻撃は今も継続しており、引き続き厳しい状況にありますけれども、我が国としては、官民一体となって、長期にわたるウクライナの復旧復興を後押ししていく考えであります。

 租税条約は、この二国間の健全な投資、経済交流に資するものと考えておりまして、ウクライナでの雇用を生み出す法的なインフラ整備として、ウクライナの復興にも重要な役割を果たすことが期待されます。

 その意味から、本条約の発効はウクライナの復興支援の一助になると考えておりますし、また、そうなるように政府としても全力を尽くしてまいりたいと思います。

西園委員 ありがとうございます。時間となりました。

 岩屋大臣、今日は、NATO外相会議ですね。是非、お気をつけて行ってください。国際秩序の維持、そして力による現状変更を許さない、こういう立場をしっかり示していただければと存じます。

 大変ありがとうございました。終わります。

堀内委員長 次に、阪口直人君。

阪口委員 れいわ新選組の阪口直人です。

 今回のウクライナ、トルクメニスタン、アルメニアとの租税条約では、二年以内に相互協定で合意に達することができない未解決の事項については、締約国は、仲裁機関の決定に従う義務が生じます。紛争処理の権限を当事者が仲裁委員会という第三者機関に委ねることは、国際法上は問題がないとされています。

 しかし、課税要件を法律で定めることを義務づける憲法八十四条の租税法律主義とは矛盾するとの指摘もあります。一方、憲法第七十三条三号では、内閣に条約の締結権はありますが、事前又は事後の国会承認が必要とされると記されています。

 政府としては、この二つの関係性をどのように解釈しているんでしょうか。

岩屋国務大臣 一般論といたしまして、条約における仲裁規定は、各種国内法令に従って実施されることとなります。なお、仲裁手続に基づく判断に対応できない場合は、所要の措置を取ることになると承知しております。

 いずれにしても、憲法第九十八条第二項は、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」と規定をしておりまして、締結した租税条約に関しても、我が国としては誠実にこれを遵守していくということになります。

阪口委員 憲法八十四条の懸念を七十三条で補っているという解釈であろうかと思います。

 さて、ミャンマー中部のマンダレー、またザガイン地域では大地震が発生し、隣のタイも含めて甚大な被害が出ています。内戦の当事者である民主派勢力の国民統一政府、NUGは一時休戦を宣言し、救急救命に全力を注ぐと表明をしています。ところが、ミャンマー国軍は、大きな被害を受けたこのザガイン地域、またシャン州、カチン州などで空爆を続け、そして、支援物資の運搬を止めるなどの人権侵害を行っていると報道されています。

 どこに住んでいるかにかかわらず、目の前の救える命は救う、これが緊急人道援助だと思います。そして、ファーストイン、最初に入る、早期に入ることも非常に重要だと思います。中国やロシアなどの国軍に近い国は、もう既に直後から救援活動をしていますが、日本政府は今調査を始めたところということです。

 これまでの日本の人道援助は、ほぼ国軍の支配地域のみでした。今回、民主派勢力が奪還した地域に住んでいらっしゃる方々に対する支援、彼らを見捨てるということがあってはなりません。

 国軍は、二〇〇八年には、サイクロン・ナルギスによって十三万八千人余りが亡くなったり行方不明が出た、その自然災害の際も、これを権力維持に悪用して、救援活動より自己利益を追求をしてきました。再びこのようなことを許してはなりません。

 今回、国軍からの要請で救援活動を行うということであれば、この援助が公平に実施されるように、しっかりとその実効性を担保する必要があると思います。この点、日本政府はどのような対応をする予定でしょうか。

岩屋国務大臣 今御指摘の点は、大変重要な御指摘だというふうに思っております。

 言うまでもないことですが、今回の支援は、ミャンマーの人々に直接裨益する人道支援であって、日本政府として二〇二一年のクーデターの正当性を認めていないという立場に変わりはございません。

 したがって、先遣隊が行って調べているわけですが、先ほども他の御質問で御指摘がありましたけれども、様々に情報を集めて、できるだけ支援の空白を埋めていくというか、我が国の支援がより効果的なものになるように工夫をして臨みたいというふうに思っております。

阪口委員 特に、今回、これまで本当に大変な思いをしてきた民主派勢力の人たちが支配する地域の国内避難民を含めた方々にもしっかり支援が届くように、この機をある意味有効に活用して、しっかりと人道支援を行っていただきたいと思います。

 このような戦略をしっかり持っていただきたいと思うんですが、大臣のお考え、いかがでしょうか。

岩屋国務大臣 ただいまの委員の御指摘には全く同感でございまして、そのことにしっかり留意をしながら、日本の支援ができるだけミャンマーの人々に幅広く届くように努力をしてまいりたいと思います。

阪口委員 このことに関しては、現地の方々とも連絡を取りながら、日本の支援が本当に全ての人、より多くの方に実効性のあるものになるように、しっかり私も監視をし、また問題提起をしてまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

堀内委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二分散会


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